衆議院

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第15号 平成23年7月29日(金曜日)

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平成二十三年七月二十九日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 大泉ひろこ君 理事 吉良 州司君

   理事 首藤 信彦君 理事 長島 昭久君

   理事 西村智奈美君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      勝又恒一郎君    阪口 直人君

      田中美絵子君    玉木 朝子君

      中後  淳君    道休誠一郎君

      中津川博郷君    中野  譲君

      中林美恵子君    萩原  仁君

      浜本  宏君    早川久美子君

      伴野  豊君    平山 泰朗君

      山尾志桜里君    山岡 達丸君

      山花 郁夫君    伊東 良孝君

      金田 勝年君    河井 克行君

      河野 太郎君    丹羽 秀樹君

      松野 博一君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   外務副大臣        伴野  豊君

   財務副大臣        櫻井  充君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 甲斐 行夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十九日

 辞任         補欠選任

  浅野 貴博君     山岡 達丸君

  菊田真紀子君     玉木 朝子君

  阪口 直人君     田中美絵子君

  早川久美子君     平山 泰朗君

  金田 勝年君     伊東 良孝君

  高村 正彦君     丹羽 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  田中美絵子君     阪口 直人君

  玉木 朝子君     菊田真紀子君

  平山 泰朗君     早川久美子君

  山岡 達丸君     中後  淳君

  伊東 良孝君     金田 勝年君

  丹羽 秀樹君     高村 正彦君

同日

 辞任         補欠選任

  中後  淳君     浅野 貴博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東南アジアにおける友好協力条約を改正する第三議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千九年六月十五日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)

 理事会の改革に関する国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一三号)


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 東南アジアにおける友好協力条約を改正する第三議定書の締結について承認を求めるの件、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千九年六月十五日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件及び理事会の改革に関する国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房審議官甲斐行夫君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君、防衛省地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中林美恵子君。

中林委員 きょうは、このような貴重な質疑の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の議題は、条約の第十一号、第十二号、第十三号にかかわる案件ということで、これにかかわる質問をさせていただきたいと思っております。

 松本外務大臣そして伴野副大臣にお越しいただきましてきょうは質問させていただきますが、特に十一号と十三号、さらに言えば十三号をより深くお伺いさせていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、横浜、神奈川県第一区の選出でございまして、やはり国際都市という部分もありますので、貿易関係それから国際条約関係には有権者の皆さんも非常に高い関心を持っておられます。その中でも、やはり今回そういった国際条約の部分ですので、特に十一号の場合は、東南アジアにおける友好協力条約を改正するということなんですけれども、このTACと言われている友好条約、言ってみれば、かなり基本理念的な条約であるというふうに理解しております。それが今回改正されるということの意義を、この機会にもう一度確認させていただければというふうに思う次第です。

 EUを加盟させるために、本来であれば、国としてTACに加わることができる、そういう条項を、経済の地域でもいい、つまり、EUのような、一つの国ではなくて地域連合でもよろしいというふうな項目にするのが今回の改正だと私は理解しております。

 その場合、わざわざEUが入れるようにすることになった今回のタイミングで、なぜEUなのか。そして、EU側の目的というのは、恐らく、大変速く、スピードを上げて経済成長をなし遂げているASEAN地域における経済的なアクセスに主眼があるのではないかというふうに私は考えるところですけれども、EUがこのTACに加盟することによってどのような変化や日本にとっての期待があるのか、そこのお考えをお聞かせいただければと思います。外務大臣、よろしくお願いいたします。

松本国務大臣 今お話がありましたように、このTAC、東南アジアにおける友好協力条約というのは、ASEANのいわゆる設立条約がありませんので、実質的な基本文書的なものであるというふうに、御指摘のとおり、私どもも理解をしております。これに、今回、実質的にはEUを加えるための改正という点も御指摘があるとおりであります。

 まず、ASEANが、今もお話がありましたように、成長をしていくASEANということで大変注目をされる存在であると同時に、今後、一つの世界の中の地域の核として大変期待をされるということから、EU側も、ある意味ではASEANとの連携、そして対話というものに大変熱い期待があるのであろうということが考えられるところではないかというふうに思います。

 同時に、既にASEANとの連携を深めております私どもを初めとする東アジアの各国にとりましても、ASEANを通して、またASEANとともにEUとの協力関係をさらに深める機会を締結するというふうに考えているところであります。

 そもそも、我が国としては、開かれた国であるということが我が国のこれまでの発展の大きな基盤ともなってきておりますので、世界の国々が多層的、重層的に安定的な関係を深めるということは我が国の国益にも大きく寄与するものがある、このように考えており、また、ASEANと我が国との友好関係というのも長年の積み重ねの中で大変深いものがありますので、私どもと大変深く友好的な関係にあるASEANを核として世界における関係が重層的、多層的になるということは、我が国の将来にも、安定した、開かれた国際的な体制が整うという意味では大いに価値があるものと考えております。

 我が国とEUとの関係も、現在、EUとのEPA交渉などを通じて大変深くまた拡大をしていくことを期待しているところでありますけれども、そのような意味でも、ASEANを中核として東アジアがEUとの関係を深めるということには意義があるものと考えております。

中林委員 ASEANという地域は、本当に大きな経済成長を遂げておりますので、世界からも注目を浴びているところですけれども、非常に会議が頻繁にあるし、多いし、分散化されているという部分もあって、非常につかみどころがなかなかはっきりしない、問題点もあるのではないかというふうに指摘をされております。

 また、日本とASEAN、そして、例えば韓国とASEAN、または北朝鮮とASEAN、このTACには韓国も北朝鮮も入っております。一瞬私は、これは韓国や北朝鮮の問題についても、ある基本理念で平和的なものを保ちましょうというグルーピングであるのかと思ったんですが、そうTACはなっておりませんで、実は、非常に基本理念的なものを持つがゆえに、一つ一つの国、あるいは今度はEUという地域経済が入りますけれども、そういった一つ一つのものとASEANが結びつくことで、横を飛び越した連携というのはない。つまり、言ってみれば、EUが入ったとして、EUと日本が何かを相談するのに、ASEANも入っているこのグループの中で何か調整機能があるというわけではないというふうに聞きました。

 拘束力が特にない、そして韓国も北朝鮮の問題との調整もするわけではないこのTACというものにEUが入ることにおいて、例えばEUは、自由貿易のいろいろな交渉に次は出ていこうというふうにしているんでしょうか。

 そういったことで、EUがアジアに入ってくることによって、どのように、日本の利点とか、それから日本にとっての経済成長のプラスになるのか。EUの戦略、そしてそれが何であるかによりけりで日本がどういうふうな将来を期待できるのかということがもしおわかりになれば、教えていただきたいというふうに感じます。TAC自身が非常に基本理念的なものであるがゆえに、EUの動きをこのTACとそしてASEANとで見越すというのは難しい部分かもしれませんけれども、わかる範囲で教えていただけたらというふうに思います。

松本国務大臣 EUとASEANのFTAの交渉の現状については、委員もよく御案内であろうと思いますけれども、二〇〇七年の七月に交渉を開始して、二〇〇九年三月に一たん中断をしておりまして、EUはその後、ASEAN加盟各国とのバイ交渉にシフトしておりまして、シンガポール、マレーシアと交渉を実施しているというふうに私のところにも報告が入っております。

 全体的には、EUもやはり、成長するアジア、その中でも、成長する核の一つである東南アジアとの関係を深めていこうということを基本的には考えているのではないかということは、もちろんEU自身の意思を私どもがそんたくする立場にはないわけですけれども、委員が御指摘になられたように、十分考えられるところではないかというふうに思います。

 そこで、我が国としてということがあるわけでありますけれども、貿易通商政策というものを基本的に考えた場合にも、いわば世界全体をカバーするWTOの形と、それからバイもしくは地域間であるFTA、EPAというものの組み合わせをどう考えるかといったときに、我が国としては、最終的に、ある意味ではひとしくとそのまま言っていいかどうかはわかりませんけれども、広く進められるWTOという形で進むことが大変望ましいということでこれの積極的な推進を進めてきたわけでありますけれども、他方で、世界の中では二国間もしくは地域間のFTAなどが急速に今進展をしつつあるということがあります。

 今回、今お話がありましたように、EUとASEANがもし関係を深めるということになるとすれば、直接は我が国と確かに関係がないようになりますけれども、広くネットワークがつながるということは、最終的には、二国間、二地域間のネットワークが広がって、そちらからのアプローチによって結局は世界全体をカバーされるような開かれた社会ができるということは、日本にとっては最終的には大きなメリットがあるというふうに考えてもよいのではないかと私自身は思っているところであります。

 おっしゃったように、条約の構造としては一遍にこれを拘束するようなものではないという、政治的な要素のかなり強い構成になっているというのは御指摘のとおりでありますが、先週、ASEAN関連外相会合に参加する機会を国会の御了解もいただいて得た私の率直な感想を申し上げれば、もちろん拘束力があるわけではありませんけれども、定期的に地域の外相が集まり、さらにそこに拡大をされた形でEUまで含めて集まる協議の場が定期的にあるということは、経済的にも、安全保障の面でも政治的な面でも、やはり安定的な状況をつくり出すということには大変大きく寄与する部分があるのではないかというふうに思っておりまして、その意味でも、私どもとしては、歓迎される方向ではないか、このように考えているところであります。

中林委員 ありがとうございます。

 それでは、このTAC、本当に日本にとっていい方向に向かうためにもEUにも入っていただいて、広い経済の実現につながればいいなというふうに私も思っております。

 それでは次に、IMFに関する、十三号の改正の方の話題に移っていきたいと思います。

 今回の改正、実は私は、非常に画期的な改正ではないかというふうに思います。

 内容は、かいつまんで言えば、理事の全員を投票で決するということに変化するということですね。もともとは、日本やアメリカを初めとして何国かはもう既に指定席として投票なしで、具体的にはアメリカ、日本、ドイツ、フランス、イギリスですね、これが自動的に理事のいすに座れる、任命理事という役割を持っていましたけれども、ほかの新興国とともに、これらも含めてすべて投票で行うと。ただし、その投票権の重みが出資の量によって変わってきますので、事実上は日本は今の地位を存続できるということで、非常に画期的な、大きなシステムの変化だというふうに私は感じておりますが、中には、日本は本当は指定席を持っていたのだから、それも投票にされてしまうということは、将来的に不安も生じるので、日本は損をしてしまうのではないか、つまりデメリットが大きいのではないかというような意見もあるというふうに聞いております。

 私は私なりにメリットを非常に感じているわけですけれども、また松本大臣の方へで恐縮ですけれども、このメリットは何だというふうに大臣はお考えでしょうか。

松本国務大臣 IMFに限らず、国際機関の中における我が国の地位というのをどう確保するかということは、我が国の国益にとっても大変重要な視点であるということは申し上げるまでもありませんし、その地位というのは、例えば理事であるとか、意思決定にかかわることができるポジションをどのように確保するかということが一つの大きなポイントになるということも、今委員が御指摘をいただいたんだと理解をしますが、そのとおりでありますが、同時に、国際機関の中における我が国の位置と、国際機関そのものの価値というんでしょうか、位置づけというか影響力というのをどう考えるかということをやはり考えていかなければいけない。

 今回であれば、このIMFそのものの将来ということが、世界におけるIMFの存在意義であるとか、世界におけるIMFの活動の影響力であるとか、そういったものを引き続きいわば高い水準に維持をするということが重要であって、その中において、いわば機関そのものの価値が高まる中での我が国のまた地位を確保する、そういう関係にあるのではないかというふうに思います。

 その意味では、今回の改定というのは、これまでもIMFは世界経済の安定に大きな役割を果たしてきたわけでありますけれども、世界の経済の現況にかんがみて、理事会に新興国、途上国のより積極的な関与を促すということで、これによって、いわばIMFが世界経済の現実をより反映をした意思決定を行うことが可能となってまいります。

 世界経済安定のためのIMFの対応能力が高まる、いわば国際機関としてのIMFの立場、価値が高まる、こういう意味では、世界経済と深く結びついている我が国にとっては、世界経済を安定的に推移させることに大きな役割を果たしているIMFの立場、価値が高まることが、やはり我が国の経済にもプラスに回ってくる、寄与してくるものだというふうに考えております。

中林委員 メリットを非常に端的に、明快にお答えいただきまして、本当にありがとうございます。

 そうしますと、やはりその機関そのものの地位向上と、そしてそのことによる世界経済安定が非常に日本にもメリットになるということなんですけれども、もう一つ、私がこれは非常に画期的だと思った理由が、このロジックが定着すると、実は、もしかしたら、国連の常任理事国ですとか理事国、こういったものも、一つ、このIMFで例ができることによって不可能ではなくなるというような、本当に小さな第一歩ですけれども、そういった考えもなきにしもあらずなのではないかなというふうに感じたりします。

 ただし、国連はIMFと違って、本当に、その存在意義、国際機関としての存亡の危機にあるとか、そういうことが言われているわけではありませんので、当然、前提条件や環境が大きく違うとは思いますけれども、こういったものについての意見とか主張というのは、余りまだ国連に対しては、理事の選出の仕方について、このIMFのパターンというものをさらに汎用的に使っていくというようなことはささやかれてはいないんでしょうか。いかがでしょうか。

松本国務大臣 国連の安保理改革においても、改革を主張する私どもとしては、いわば六十年以上前の世界の現状に基づいて構成をされている国連ないしは安保理の組織というものと、世界の現状を今見たときのあるべき組織ということを考えた場合に、やはりそこには改革の必要性というのが生じてくるのではないかということを申し上げて、改革の必要性を訴えてまいりました。そしてまた、世界の今の現状に合わせることこそが、まさに安保理の正統性を高めることにもつながるし、ひいては安保理が有効に機能することにもつながるのではないかということを申し上げてまいりました。その意味では、今委員が御指摘になりましたように、今回のIMFの改革とある意味では並行するというか、同じ流れの考え方があるということは、御指摘のとおりではなかろうかというふうに思っております。

 他方で、安保理改革の場合は、やはり担う課題が安全保障であるということもあって、もちろんIMFでも必要なんですけれども、IMF以上に速やかな決定が必要であるとか、また、安保理の決定の持つ拘束力とか強制力というのは経済的な側面とはまた違う側面もあるわけでありますので、全くそのまま当てはめられるかどうかということは必ずしも一概に言えないところがあると思いますが、大きな基本的な考え方としての改革の必要性の共通点があるという点については御指摘のとおりだろうというふうに思います。

 今申し上げたように、基本的な考え方の表現としては同趣旨のことを申し上げていますが、直接IMFの改革と関連づけて安保理改革について主張したことは今までないわけでありますけれども、共通点がある点は踏まえて、今後も安保理改革に取り組んでいきたいと思っております。

中林委員 ありがとうございます。

 さて、その理事の選出について改革が今回なされるということなんですけれども、それをきっかけに、どういうふうな歴代のIMFの専務理事や副専務理事がいたかということを見させていただきますと、特に専務理事は、ほとんどヨーロッパの国々、欧米の国々の指定席になっている。ヨーロッパが中心です。世界銀行はアメリカが占めておりますので、こちらはヨーロッパということなのではないかと思いますが、例えば、初代はベルギー、それから、スウェーデン、スウェーデンと続いて、フランス、オランダ、またフランス、そしてフランスが続き、ドイツ、スペインで、また現在フランスということになっております。

 日本の場合は副専務理事の中に途中から入れるようになったというような経緯がある中で、欧米によるトップ人事に対して、今回の理事の選出の仕方というものが何らかの影響を与えるような、これは短期的には難しいでしょうけれども、将来的にそのような可能性を含むものなのでしょうか、いかがでしょうか。お願いいたします。

松本国務大臣 もうよく御理解をいただいているとおり、何か規則で欧州出身を専務理事にするということがあるわけではないですけれども、結果としては歴代そうなってきているということは事実であります。

 今回の改革にも関連をする部分があろうかと思いますけれども、G20のサミットなどでは、国際金融機関の長及び幹部の選出に当たっては、開かれた、透明で、実力本位の選任プロセスを経るべきであるということに合意をいたしているところでありまして、このようなことも踏まえて新しい制度になったわけでありますから、今後、将来に向けては新しい制度がどう機能していくかということをよく見きわめていかなければいけませんし、結果を予断することはできませんけれども、新しい制度のもとで新しい流れが出てくる可能性というものはもちろん全くゼロではないということは申し上げられるのではないかというふうに思います。

中林委員 そうしますと、トップ人事、非常にゆっくりと、また、変化する可能性があるにしてもそう早急には変わらないということだろうと思います。

 そうしますと、IMFで働く日本人の数、これもまた注目点の一つではないかというふうに思います。日本もかなり頑張って、日本人をふやそうというプログラムをいろいろと努力しているということは私も存じ上げております。

 現在、IMFの日本人専門職員数は五十名というふうに聞いておりますけれども、特に全職員に占める割合は、二〇〇六年で一・七九%、そして二〇一一年で二・五四%ということで、ふえてはいるものの、なかなか、日本が今、クオータと言われる、IMFで割り当ての金額のパーセンテージは六・四六%ということですから、それに比べると、日本人が二・五四%ですと、まだまだ、過小代表といいますか、少ないんじゃないかというような、そういう比べ方もできるのではないかと思います。

 今の日本人の数について、努力の結果、どのような努力がされていて、これからまたどういう努力をしようという見通しがあるのか、教えていただけますでしょうか。

伴野副大臣 中林委員にお答えいたします。

 二〇一一年の四月末現在でございますが、IMFにおけます日本人専門職員数は全部で五十名でございまして、二〇〇六年当時と比べまして十四名増加しているというのが現状でございます。そのうち、お話のございました、日本政府等から派遣されている職員数は十八名ですから、三六%程度を占めているわけでございますが、そうした中で、先生の御指摘のように、出資比率に対してどうだというようなお話もございます。

 そういった意味で、我が国としまして、かねてよりIMFに対しまして、日本人の採用、幹部ポストへの登用を強く働きかけているところでございまして、私自身も何度かIMFの幹部には、のりを越えない範囲で、言葉を選びながら強く働きかけております。これを受けまして、IMFとしましても、我が国にリクルートミッションを派遣いたしまして採用活動を行うなど、優秀な日本人の採用をふやすため、積極的に取り組んできているところでございます。

 今後も、引き続き採用に向けて最大限努めてまいりたいと思っております。

中林委員 引き続き、ぜひここは力強く頑張っていただきたいというふうに思いますし、まだまだ努力の余地は残っているというふうに考えています。

 特に、IMFは経済的な専門性が高く要求されるような職場でございますので、そういう専門性の高い人を日本から送り込むということは非常に重要であるとも考えます。ただ一方で、IMFという機関の特性からして、世界の経済が安定することに資するということが、世界経済に頼っている日本の国益であるということを考えますと、その国益を日本人職員を送り込むことによってどの程度実現できるのかというところは、もう少し詰めて考えることによって、どのような人をIMFに送り込んでいくことが日本の国益なのかというところにやはり詰まっていくのではないかと思うんです。

 そうしますと、日本の出資比率が高いがゆえに指定席というものがある程度IMFにあって、そこに行くのはやはり省庁の出向の方が多い。当然省庁からもしっかり行っていただかないと国益にはなりませんので、それはがっちりお願いしたいところではありますけれども、ただ、本当に、世界経済が安定するためにIMFがあって、そしてその安定自体が日本の国益であるという前提に基づくのであれば、それこそ優秀な、日本が誇りとできるような経済学者の方に行っていただいて、その指定席のところで思う存分IMFで大活躍をしていただいて、世界じゅうのテレビでもその活躍や発言の様子を映し出していただいて、そして、IMFというものが日本のある意味ソフトパワーの一環であるという形でアピールすることも、もしかしたら大きな日本の国益になるかもしれないというふうに思います。

 世界経済が安定することが第一でありますが、世界経済の安定に資する能力というのは、今の時代は、必ずしも日本人でなければ安定しないということが言えるわけでもないと思いますし、今回の理事の改正で、新興国の方々の意見はしっかりと入るというような第一歩が踏み出せたということですので、その辺の、日本の指定席について、あるいはそれ以外のところで、いかに優秀な日本の人たちにIMFに入っていただけるのかというところについての工夫がありますでしょうか。あるいは、なければ、そういうことをこれから企画していくような、そんな意図はございますでしょうか。お伺いいたします。

松本国務大臣 国際機関で働く日本人の職員という意味では、今お話がありましたように、根本的に、それぞれの国際機関にふさわしい、高い能力を備えた人材をどう育成して送り込んでいくか、今、伴野副大臣からもお話をさせていただいたように、枠としてぜひ日本人の採用をふやしてほしいということを私どももお願いをしているわけでありますが、今お話がありましたように、向こうからもぜひ欲しいというような人材をたくさん育成するようなことを我々も真剣に考えていきたい。

 これまでも幾つかそのような試みがなされてきているわけでありますけれども、まだまだ、すべての国際機関において、結果としては、もう少し日本人が活躍をしてもいいのかなというような状況であることは事実だと思いますので、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。

 一朝一夕につながるものではありませんけれども、政府においては、グローバル人材育成会議というのも先般立ち上げました。これは広い意味で、世界に開かれた国の日本としては、世界で活躍できる人間というのをどのように育てていくのか、これには文科省であるとか経産省であるとかにもたしか加わっていただいて、つまり、産業界や教育界からも、そういった人を育てる、またそういった人が外国と日本を行き来するためには、では、日本の仕事の仕組みというのがどうあるべきなのかということも考えていこうと。

 そういう中で、優秀な人、日本にもたくさん優秀な人がおられると思いますけれども、優秀な人が国際機関に行こうかという気持ちにもなっていただける枠組みをつくっていきたいな、そういうふうに思っています。

 また、お話がありました、御指摘のいわゆる指定席、日本側から出向させる、ないしは、そういった方々にどういう方を登用すべきかということについては、これは国際機関にとどまらず、政府においても、どういう方のどういう能力を活用するかということとも共通する部分があろうかというふうに思いますけれども、御指摘を踏まえて、また、国際社会からも評価をされるような人材を送り込むことが必要だという視点はよく念頭に置いて今後の対応もしていきたい、このように考えております。

中林委員 大変ありがとうございました。

 IMFにおける出資比率は、いずれ中国、新興国がどんどん上がってくると思いますし、今回の改革で、日本の理事の席というのも未来永劫安定ということは言えないと思いますので、しっかりと日本のプレゼンスを高めるために、今のうちから頑張って、そのための施策、企画をどんどん立てておいていただきたいというふうに思います。

 きょうは、大変貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

小平委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、櫻井副大臣、ありがとうございます。篠原副大臣、ありがとうございます。

 冒頭、少しIMFのことについてお伺いをしたいと思います。

 また、その前に、財務省にまずお伺いしたいのは、今、一ドル七十七円、大変進んだ円高という状況になっています。そして、日本の各種企業が今、どんどん海外に展開をする。国内の産業の空洞化が叫ばれております。ここまで日本の円が高くなる、そして、それほど日本国内の経済、景気がいいわけではないのに、ここまで厳しい円高を強いられてしまう。ところが、ふとアジアの諸国を見ますと、中国の元あるいは韓国のウォン、ウォン安も含めて現在も続いております。

 このような、例えば、中国の元、韓国のウォン、そして日本の円、この現在の為替レートの状況をどのようにお考えでしょうか。

櫻井副大臣 小野寺委員に御答弁させていただきたいと思いますが、済みません、通告がありませんでしたので、答えられる範囲で。それから、為替のことについては、財務省として、基本的にこれは大臣の専権事項になっておりまして、私の方から余り答弁しないようにと言われておりますので、申しわけありませんが、不十分な答弁になるかもしれませんが、その点はお許しをいただきたいと思います。

 私も、小野寺委員と問題意識は全く共有しておりまして、現在の日本経済のことを考えてくれば、円高がいいとは全く思っておりません。ただし、これは世界の全体の流れになっておりますから、世界の中で、日本も問題を抱えておりますけれども、アメリカ並びにヨーロッパもさまざまな問題を抱えていて、そこの中でバランスとしてどうなってくるのかということになるんだと思っています。

 ただし、だからといって何もしないというわけではありませんで、日本政府としても、円高の是正のために各国と協調して取り組んでいかなければいけない、協調介入したときがありましたが、そういったことをきちんとやっていかなければいけないと思っています。

 それから、私なりに、ウォンに対して介入できないのかどうかということについても検討させていただきましたが、現状なかなか難しいようでございまして、もしそういったところを是正するような手だてがあるのであれば、逆に言えば、御指導いただければありがたいなと。

 いずれにしろ、ここは、政府とか与党とかの問題ではなくて日本国全体の問題であって、与野党ともにこの今の円高問題に取り組んでいくということが極めて大切なことなのではないのかというふうに考えております。

 以上です。

小野寺委員 そのとおりなんです。今の日本の産業空洞化、この国の根幹のさまざまなところが今揺らいでいるのは、日本から見れば行き過ぎた円高。そして、今さまざま、きょうも報道がございましたが、日本の電機メーカーの白物家電が中国の企業に買収をされるということ。今、サッカーの試合を見ると、広告、かつては日本の弱電メーカーが出していた広告欄に、今は韓国の弱電メーカーが広告を出している。このような日本の産業の問題に今直面をしており、国内では空洞化が起きつつあり、そして、この由来、原因というのは円高であり、私どもが日々感じているのは、どうしてこういう状況でもウォン安というのが行われるんだろう、どうして元というのは日本と同じような変動相場にならないんだろう、このようなさまざまな矛盾を感じながら、実は国際競争社会の中で頑張っているわけです。

 ところが、きょう、外務大臣にお伺いしますが、IMF、この目的というのは、世界貿易の均衡のとれた発展、通貨の切り下げ競争の防止、こういうことが目的としてあります。明確に通貨の切り下げ競争の防止ということが現実にあるんですが、このIMFの目的からして、私は、やはり、現在の日本の円が置かれた状況、そして日本のライバルとなっている中国、韓国の通貨、元、ウォンの問題、ここに本来はIMFがもっと厳しく切り込んで、先ほど中林委員のお話がありましたが、日本の職員が、日本の国益を背負って、本来はこの場で通貨切り下げあるいは現在の日本の円高の問題に関して対抗すべきだと思いますが、今どのような機能が果たされているか、お答えください。

松本国務大臣 お話がありましたように、IMFの目的として為替の安定を促進するということがあることは御指摘のとおりであります。その目的を果たすために、IMFとして、加盟国に対して、マクロ経済政策や為替相場制度、金融市場、資本移動といった分野、それを中心にマルチ、地域別、バイのサーベイランスを実施しているわけであります。

 国際収支困難に陥ったときの対応については重ねて申し上げませんけれども、その上で、またさらに、加盟国の今申し上げたようなマクロ経済政策、金融や為替相場制度に資する政策の推進、サーベイランスで示された提言の実施をすることを支援するために、専門性を有する分野については技術支援などを実施しているということでIMFが活動しているというふうに私どもとしては理解をいたしております。

小野寺委員 本来、日本が出資比率第二位です、そして今までも支えてまいりました。このIMFの果たすべき役割、ここにありますように、これは櫻井副大臣おっしゃったように、日本として、与野党を問わず対応しなきゃいけない、そのような内容だと思いますが、その目的に、通貨の切り下げ競争の防止ということが明確に書かれています。本来であれば、日本政府は、現在の行き過ぎた円高についてIMFの場でしっかり機能をさせる、それが大切だと思います。

 では、改めてお伺いしますが、日本が本来国益を担って行うべき改正に向けて、今回の改定はどのような役に立つのか、教えてください。

松本国務大臣 改正の意義については、先ほど中林委員との御質疑でもお話をさせていただきましたので、簡潔に申し上げてまいれば、世界の経済の現況にかんがみて、新興国、途上国にも積極的な関与というのを求めていくことによって、IMFそのものの正統性であるとか立場を高める、その中で、将来に向けて我が国もしっかりと発言をしていくことで我が国の国益にも資するという意味で、今回の改正の意義があるものというふうに理解をしております。

小野寺委員 それでは、易しく言いますと、日本のこの行き過ぎた円高、そしてまた、元、ウォン、私どもから見れば、元はどうして日本と同じような変動相場にならないのか、あるいはウォンはどうして今のウォン安のような状況になっているのか、今回の改定によってこれが改善される、そう大臣はお思いでしょうか。

松本国務大臣 一つは、現在の為替相場については私どもも言及をする立場にありませんけれども、基本的には、市場による取引によって現在の円の価値、取引額というのは決定をされているというふうに理解をしております。

 その上で、必ずしも市場による決定によっていない通貨制度をとっている国もあるわけでありますけれども、こういった国々について、市場制度をとっている国も含めてということになろうかと思いますけれども、先ほどお話しさせていただいたように、為替相場制度についてマルチ、地域別、バイのサーベイランスをIMFとしては実施して、必要であれば、そのサーベイランスに示された提言に基づく政策の実施を支援するために、専門性を有する分野については技術支援などを実施する。そういった中で、やはり最終的には市場の評価に適切にかなった形での通貨の取引が行われることが適切だろうと思います。

 もちろん、市場も万能ではなくて、その時々によっては行き過ぎた取引になることについては、先ほど櫻井副大臣からもありましたように、かつては各国が協調して介入をしたことというのも何度もあるわけでありますけれども、IMFとして、今、具体的に市場の制度についてどのようなサーベイランスを出して提言をしているかは、ちょっと今手元にすべてありませんけれども、将来に向けてそのような形になる、望ましい形を目指してIMFも活動をされるもの、そして、我々もそれをまたしっかりと支えていくものだというふうに理解をしております。

小野寺委員 私どもは日本の国会議員ですから、日本の政府ですから、日本の国益を増大することをまず目的に、そして世界の平和に貢献するということが大切だと思っております。まず日本の国益、日本人の経済、これをしっかりするということが本来の目的であります。

 さて、もう一度お伺いいたしますが、実は、今回の改定、一番大きな改定というのは、理事。今までは出資上位五カ国、日本は出資上位五カ国のうちの二番目ですから、実は、これは理事の選挙をしなくても、無投票で理事に選ばれる。選挙活動というのは、私も外務省にいたとき経験しましたが、ほかの国のさまざまな支援を受けるというのは大変な努力が必要になります。実は、それをしなくても日本は自動的に理事になれる、そういう安定したシートを今まではずっと持っていたわけです。

 ところが、今回の改定では、このシートを手放すということになります。日本も同じように選挙を受けるということなります。そうすると、理事の選出のことだけに限れば、決して日本にとってはハッピーな話ではない。ですが、それを放棄してもあり余る何か、日本の国益のプラスになる、そのようなことがあるから、恐らくこの改定ということをお話しされたんじゃないかと思います。

 そして、本来の目的でいえば、中国の元、韓国のウォンを含めて、私ども、どうもこれは不公平ではないかという考えを持つこういう通貨について、本来のIMFの目的、通貨の切り下げ競争の防止の観点から見れば、当然これが是正される、そういう目的を持って今回のこのような日本が譲歩するような改定になるというふうに理解できると思いますが、この交渉の過程で、この改定によって元が例えば日本と同じような変動相場になる、あるいは現在のウォンという政策的にウォン安に誘導されているところの是正ができる、このような約束をこれらの国と取りつけたんでしょうか。

    〔委員長退席、長島(昭)委員長代理着席〕

松本国務大臣 G20においても国際機関の意思決定のあり方ということが議論されたことを踏まえて、今回のIMFの改定にもつながっているというふうに理解をしておりまして、今回のIMFの理事国の選出を含む組織のあり方の議論は、広く国際機関における意思決定のあり方であるとか、世界の経済を含めた政治経済の現状に合わせた国際機関のあり方といった視点から議論をされているというふうに理解いたしておりまして、個別の通貨についての現在の市場ないしは取引の評価ということについて、今私が評価についてコメントをすることは差し控えたいと思いますが、加えて、そういった評価そのものを、IMFの制度をつくるに当たっての交渉において議論をされたというふうには私自身は承知をいたしておりません。

小野寺委員 松本外務大臣にお伺いします。

 あなたはどこの国の外務大臣ですか、お答えください。

松本国務大臣 日本でございます。

小野寺委員 日本の外務大臣が日本の国益のことを全く話さずに、国際社会、国際機関のあり方がG20でこっちの方に行きそうだから、そのまま日本は乗っていきますと。そんな答弁で外交をしているから、こんなに日本の外交がぼろぼろになっているんですよ。

 何でこのときに、この日本がここまで譲る、言ってみれば、国連常任理事国でいえば常任理事国のシートを譲る、今回のそういう改定をする。そこまで譲っておきながら何かを得るのが、本来は外交というものじゃないですか。そして、今日本が、きょう現在も困っている円高、その是正の本体がIMFでしょう。そこの中の改革も全然提案せずに、全体の流れの中で、ああ、そうなるから仕方がない。そんな答弁は許せませんよ。もう一度お答えください。

松本国務大臣 総合的に、現在ないしは将来の国益も考えてしっかりと議論を進めてきているというふうに考えております。

 なお、今お話がありました円高について、私どもが、私も内閣の一員として、今我が国において大変重要な問題であるという認識は共有をさせていただいているというふうに思っております。

小野寺委員 これは委員の皆様にもぜひ共有していただきたいんですが、今回、日本がずっと無投票で得る理事のシートを、この改革の中で手放すことになります。これからは日本は、選挙を経て理事のシートを得るということになります。これは、日本からすれば、ある面では譲歩ということに当然なります。そうなれば、国際交渉の場です、日本が出資国第二位の立場にあります、何か逆に、このIMFの中で、日本が本来かち得るもの、かち取るもの、それがあって初めてこういうディールが成り立つのが外交だと私は思っています。

 そして、私たちが今このIMFに一番求めていること。

 今、本当に地方経済、もう悲鳴を上げています。これだけ産業空洞化して、また、一ドル七十七円で、そして、日本は中国の元と韓国のウォン安と戦って、日本の企業は頑張っているわけです。でも、どうしても抗し切れなくなって、きょうの報道にも出ておりましたが、日本の白物家電の企業が中国の企業に売却をされる。逆に言えば、中国にどんどん買収されている、韓国の企業がどんどん日本に入ってきている。こういう中で何も手を打たないというのは、しかも、IMFを使って何もしないということ、譲歩だけを重ねる、これは私は、オール・ジャパンとして決して許してはいけない、そう思っています。

 ぜひ、この産業政策、IMFを使って、日本が今厳しい立場に置かれているところを少しでも改善するような努力をしていただきたいと思いますが、外務大臣に改めて決意をお伺いいたします。

松本国務大臣 今の円高が我が国経済に与えている甚大な影響ということに十分心して、政府全体としても、よく、その認識のもとに、あらゆる政策手段を動員することが必要だということについては、私もぜひそのように努めてまいりたいと思います。

小野寺委員 所掌であります財務省からもお伺いをしたいと思います。

櫻井副大臣 今の議論をお伺いしておりまして、小野寺委員の提案というのは本当にすばらしい内容だ、私はそう思います。その意味で、もう一度省に持ち帰らせていただきたいと思いますが、今IMFでどういう議論を我が省の出身の職員の人たちがしているのかとか、そういったことについて改めて検討させていただきたい。

 そして、その上で、ここにまさしく委員が御懸念の点を是正する機能を本来持ち合わせているわけですから、本来の機能が発揮できるように我が省としても全力を挙げていきたい、そう思っております。

小野寺委員 今回の改定について、ぜひ、大きな流れということなんでしょうが、当然、日本が譲っているということがあるのであれば、やはりかち得るところをたくさんにすべき。

 そして、もう一つ心配なのは、これによって、また新興国の増資がふえるということになります。今回、多分、大口の増資として第三位に上がってくるのは中国だと思いますし、また韓国もかなり増資をしてくると思います。そうすると、このIMF自身が、例えば、中国が国際的な役割を果たして、元についても、もうそこまでの理事国になるんだから、これは変動相場制に移りましょうとか、韓国についても、公正な競争をしましょうとか、そういうふうにこの国の政策が変わるのであればいいんですが、そうでなければ、逆に日本の近隣のライバルとする国がますます有利になるようなIMFの改革をされたのでは、これは日本が本当に干上がってしまう。そのような重要な役割があると思います。

 今回、この出資比率、新興国が高まるということは、二つの側面があるということ。一つは、新興国の発言がますます強まるということ、もう一つは、新興国の責任が重くなるということ。ぜひ、この重くなるという立場で、政府としてしっかり対応することを改めて確認したいと思います。

松本国務大臣 改革の議論そのものは、昨年来から、というよりは根っこはもっと前からでありますけれども、行われてきた中での議論だということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 その上で、今お話がありましたように、IMFにとどまらず、私どもとしては、あらゆる面で、新興国については、国際社会に対しては建設的な役割を果たし、責任を持った対応をしてもらうことが我が国にとっても必要であり、国際社会にとっても必要であるというのが基本的な立場でありますので、そのことに向けてはしっかり努力をしたい、このように思います。

小野寺委員 ぜひ、これから新興国、恐らく責任も重くなるという中で、国際社会、国際経済の中で、しっかりとした責任、公平さ、公正さ、透明さを推進していただくように、この場でさらに進めていただければと思っております。

 櫻井副大臣、どうもありがとうございました。

 それでは次の質問に移りたいと思います。協定については後の委員がまた御指摘をすると思いますので、今回の震災の復興のことについて少しお伺いしたいと思います。

 ちょっと通告がなくて恐縮なんですが、外務省の方から、ODAを使って震災復興について支援をするという一部報道がございました。現在の検討状況で結構ですので、どのようなお考えがあるか、お伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 ちょっと今手元に個別具体の進捗はありませんけれども、御案内のとおり、基本的には、ODAは、被援助国、援助を受ける側のニーズにかなったものを、どのようなものを提供できるかということが考え方の基本であります。

 その上で、例えば食料などについては、これまでも我が国の水産物などをWFPなども通じて提供してきて、非常に栄養価が高いものとして高く評価をされてきた経緯もありました。我が国の水産物などを調達するに当たっては、可能であればやはり被災地からの調達を中心に進めるべきではないかということを今考えて進めているところでありますが、こういった方針、考え方というものを示して以降、具体的なODAの機会、そして調達の実績というのは、申しわけありません、ちょっと今手元に持ち合わせておりません。

    〔長島(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

小野寺委員 これは実際起きた話ということでちょっと聞き流していただければと思うんですが、私のところに早朝電話がありまして、地元の被災地のある農家からなんですが、政府はODAでこれから今回の震災復興地域を支援する、ついては、ある農協の組合長のところにODAでお金を振り込むので、一度どのような内容が必要か教えてほしい、ついては手数料がこのぐらいかかると。手数料詐欺ですよ。

 今こんなことが実は被災地で、本当に弱り目にこういうことをする人がいるのかと思うんですが、政府が例えばODAの話をして、これが復興に役立つということであれば、言ったからにはやはり明確なメニューをきちっきちっと示していただかないと、実は、間違ったいろいろな情報が流れ、それでまたこのような犯罪もどきのことが横行し始める。実は、これは一人からじゃないです、数人から同じような話を伺いました。ぜひ、ODAをどのように活用するかということ、それを早く明確に示していただいて、方針を決定していただきたい。

 それから、もう一点言えば、例えば水産物、これは被災地の水産物と言いますが、今、今回被災した漁港では、水揚げが従来の五分の一から十分の一になっていて、送りたくても実は魚がない。あるいは、今回、福島、宮城、岩手、茨城もそうですが、例えば日本の優秀な和牛をでは輸出しようか、農畜産物を輸出しようかと思っていても、現在これは全頭出荷禁止。あるいは、日本ブランドに今放射能でさまざまなダメージがあり、逆に、こういうものをODAで相手の国に出すということは、国際社会にとって、もっと日本のイメージを傷つけることになる。

 ですから、よくよく見ていくと、日本のODAで被災地の農産物を中心にというふうになると、一体どれがそれに当てはまるのかな、なかなかイメージがわかないんです。

 きょうは篠原副大臣いらっしゃいますが、具体的に、例えば、この地域の被災地のこういう農林水産物をODAとして使う場合、どのような御検討をされているか、教えていただければと思います。

篠原副大臣 今、我々は輸入をストップされている段階です。ですから、一番力を入れているのは、各国の大使館、在京大使館に働きかけるのと、現地の大使館で日本の今の制度、一たん信頼を失っておりますので、こういう状況だというのを丁寧に説明しているところでございまして、ODAのところにどういった物資を入れるとかというところまでは気が回っておりません。

小野寺委員 ちょっと今のお話を伺うと少し不安になってきまして、ODAについて、被災地の農産物を中心にというふうに外務省は発表されますが、農林水産省の方では検討しておりませんということであれば、一体だれがどういうことで今後これを決めてやっていくのか。

 私どもは、これは大臣の考えではないと思いますが、総理を何度も思いつき発言で指摘しております。ですから、今回の、ODAを使ってというのは、もう既にニュースに流れ、多くの被災地域は何かこれで自分たちにプラスになるんだろうと今思っている。そして、うちの農産品をODAで出すといっても、事実上魚なんかないし、そうすると、ODAを海外に上げるんじゃなくて、ODAを被災地の漁協とか農協にくれるのか、今そんな話がどんどん広がり、今回のような振り込め詐欺みたいな状況になっています。

 もう一度大臣にお願いしたいのは、一度政府がODAを使って震災復興するというふうにするのであれば、明確に何をどのようにするかという具体的なことを、あるのであればお話ししていただき、ないのであれば早急に詰めていただきたいと思います。

松本国務大臣 もう既に二月ぐらい前だろうと思いますが、すべての調達であり活動について復興復旧に配慮をするようにということは、私も全省にお話をさせていただきました。そういう中で、ODAの調達をする部門としては、では、できれば何らかの形で被災地の支援になるようにというようなことでお話をさせていただいた部分があるんだろうと思います。また、私もそういう報告も受けました。

 しかし、今委員のお話がありましたように、被災地の皆さんを励ますつもりで、できればこれから被災地の皆さんのところから買い求めたいという趣旨でお話をさせていただいたんだろうというふうに思いますが、メディアに載せるような形にするということについては、今もお話がありましたように、そういった気持ちが届くことによって励みになった部分もあろうかと思いますけれども、悪用する人も含めて、さまざまなことが出てくるということであろうかというふうに思います。

 現段階でも、食糧支援というのは、ODAですから、調達は最終的には外務省なり関係のところが責任を持つわけでありますけれども、具体的なそういう機会の際には、ぜひそういうことも勘案をした調達をしたいということは考えているところでありますし、また、それが今後どういう形で具体化できるかについては、開かれた政府でもありますので、しっかり御報告をしてまいりたいというふうに思っておりまして、今のお話も十分に踏まえながら、今後、対応とか基本的な方針とそれの具体化の詰め方についてもよく整理をして取り組んでいくようにしたい、このように思っております。

小野寺委員 ありがとうございます。ぜひしっかり詰めて、なるべく被災地にとって感謝されるODAづくりをお願いしたい、そう思っています。

 さて、篠原副大臣にお伺いいたします。

 きのう、宮城の牛が出荷規制ということになりました。今、農家は、牛にはえさを食べさせなきゃいけない、ですが、出荷規制ですから、全く収入、所得がないということで、生活もできなければ、えさのコストだけはどんどん進んでいく、こういう悲惨な状況になっています。そして、この原因は農家にあるわけではなくて、この間農林大臣も認めていただきましたが、今回の放射能えさについての通達に稲わらという文言が入っていなかった、そして、稲わらの検査を実は今までしていなかった、そういう責任があるともお認めいただきました。

 その中で、今、畜産農家への立てかえ払いの支援ということで、一頭五万円の支援を検討されているということなんですが、これはどのような制度で、いつごろ出るか、教えてください。

篠原副大臣 小野寺委員御指摘のとおりでございまして、畜産農家の責めに帰さない理由で非常に困っておられるわけでございます。ですから、いろいろな手当てを講じなければいけないということで、我々は、生産者、消費者両方のことを考えなければなりません。

 一番最初にしていることは、汚染されて流通してしまっている牛、実は、ちょっと誤解があるんですが、汚染された稲わらを食べた牛というのは三千頭ぐらい、これが流通してしまっているわけです。今、検査が終わったのが四百四十頭ぐらいなんですが、そのうちの三十頭強しか実は食肉は汚染されていないんです。汚染された稲わらを食べた分が流通してしまっている、それで消費者がちょっと買い控えをしているということで、まずは、汚染されたと思われる牛肉を市場から回収すること、これを一番にやっております。

 それから二番目が、今御指摘のとおりでございます、五万円でございます。非常に困っている。大きな農家、規模にもよるんですけれども、一カ月ウン百万というえさ代がかかるわけです。出荷ができない、手元にお金がないということで、当面のえさ代ということで一頭当たり五万円を可及的速やかにお支払いするつもりでございます。それはどういう地域かというと、汚染された稲わらが流通している県、ですから、福島県もそうですし、宮城県、こういった県には当然支払われることになります。

 それから、そのほかにも、これはちょっと農業関係の人しかわからない事業名なんですが、俗称、新マル緊事業と言っております。価格が低下した場合に四半期ごとに支払われている仕組みがあるわけです。これを、もう三カ月なんて待っていられないということで、一カ月ごとに区切ってやることにしておりまして、かつ、福島県につきましてはもう支払いも済んでおります。

 どういうことかといいますと、手元に資金がないというのが一番困っていることでございますので、それを何とか、今の既存の制度でもやはり新しく制度を仕組んでということで、全面的にバックアップしていく所存でございます。

小野寺委員 今回、宮城も福島に次いで出荷規制ということになりました。対応していただきたいのと、再度確認しますが、そうしますと、例えば、私が今三百頭の牛を肥育している、そうすると、これは一頭五万円ずつということで、今回は、三百頭掛ける五万、一千五百万が出るということでいいんでしょうか。

篠原副大臣 ただいまのところを正直にお答えしますと、そのようにはなっておりません。まじめなお役人が計算することでございますけれども、今、当面出荷を停止されている牛が困っているんだということで、対前年同月比というか、昨年の今出荷する牛、それに掛けるというのが今の仕組みになっております。

 それではだめじゃないか、見通しが立たないんだから飼養頭数全部のえさ代を面倒見てやらなくちゃいけないんだということで、第一弾として、この間政策を発表したところなんですが、今小野寺委員御指摘のとおりの仕組みに変えていきたいと思っております。ただいまのところは、少々けちっておりまして、頭数が少ない状況でございます。

小野寺委員 毎日問い合わせがありまして、うちは三百頭いるから、この五万円だと一千五百万ですかということで、お話を聞くと、今の篠原副大臣のことでいうと、恐らく、三百頭いても十五頭ぐらいしか多分今月の対象にならない。ということは、十五頭掛ける五万円ということで、大した金額ではないと説明すると、がっかりされます。

 それからもう一つ、これは多分矛盾だと思いますが、牛というのは、実は、一年一年生産して出荷するわけじゃなくて、御存じのとおり、三十月齢必要です。そうすると、肥育では大体十九から二十カ月が必要になります。二十四カ月であれば、ちょうどサイクルになるんですが、この十九から二十カ月ということになりますと、去年の数字がことしに直接反映するわけではなくて、隔年でずれていきます。本当の数字を見るのであれば、過去二カ年の平均というようなことで考えていかないと実態に合わないのかなと。

 それ以上に、やはり、牛は全部えさを食べるんです。出荷を今必要な牛だけがえさを食べるんじゃなくて、今いる三百頭全部がえさを食べるんです。この農家は一銭もお金が入ってこない。毎日毎日、この三百頭のえさ代がどんどん消えていく。そして、国から来るのは、三百頭のうちの十五頭分だけ。これではとても採算ができないという実態を多分副大臣もおわかりだから、今言ったお話をしているんだと思います。

 けちらずに、牛が今食べているのは、三百頭全部が毎日食べているということを含めて、全頭の対応を、仮払いですから、後で請求すればいいわけですから、ぜひこういう対応をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

篠原副大臣 そういう方向で検討させていただきたいと思っております。

小野寺委員 済みません、ちょっと牛の話ばかりで。

 もう一つ、稲わらの問題があります。

 きのうも実は稲わら生産農家を回って、自分でもちょっとはかってきました。春上げの稲わらは秋上げの稲わらに比べて、いわゆる放射能の簡易的なレベルを見ると、約四十倍か五十倍高かった。やはり明らかに、同じ農家で、こっちの倉庫には春、こっちの倉庫に秋、その比較をすると、ことしの春上げは大変状況が高い。

 実は、これは今でも農家の軒先、農家の庭先にみんな置いてあるんです。そして、このうちには子供もいるんです。この間まで子供がこの稲わらの納屋で遊んでいたんですよ。今も置いてあるんです。しかも、動かせないんです。高度に放射能汚染された稲わらが、実は、農家の方が自分の生活する同じ敷地の中に今でもたくさん置いてある。ところが、これは燃やすこともできないし、持っていくこともできない。何ともならない。こういう稲わらの処理を、これは国が方針を決めないと、いつまでも農家の子供はこの汚染された稲わらとともに暮らしているわけですよ、家族は暮らしているわけです。

 この対応について、今どのような検討状況か、教えてください。

篠原副大臣 小野寺委員、非常に機微に触れるところをお気づきいただいていると思います。今、汚染された稲わらを食べた牛肉、この汚染ばかり、経口被曝のこと、体内被曝のことばかり新聞等も喧伝しておりますけれども、実は、六十九万ベクレル・パー・キログラム、五十万ベクレル・パー・キログラムというのは半端な数字ではありません。ですから、だれが真っ先にそれでもって被曝しているかというと、農作業をした畜産農家です。

 大体、畜舎の二階に干し草、稲わらを置いてあるわけです。それをどんどん上から下にほうり投げて、それで牛に与えるわけですけれども、そのときにたくさんほこりが出ます。それで体内被曝している。

 それから、一番は子供たち。これもまた、いろいろ語弊があるかとは思いますけれども、稲わらがそれだけ汚染されているわけですから、そこに住んで生活している人たちも相当汚染されているわけです。もちろん、中で、屋内にたくさんいるのとずっと外にいるのと違いますけれども。

 その点は我々も十分承知しておりまして、今、原子力安全委員会にこの稲わらをどう処理したらいいのかと。同じ問題というのは汚泥にありました、十万ベクレル以上は隔離して保存するというのが。あれと同じ扱いになるんだろうと思いますけれども、我々、今そちらに問い合わせをしておりまして、同じように、早く、超汚染されたものは隔離し、そこそこ汚染されたもので、汚泥の場合は八千ベクレル以下の場合は近所ですき込んでいいというふうになっておりますけれども、そのようにきちんと方針を定めて処理してまいりたいと思っております。

小野寺委員 実は、えさの稲わらだけじゃなくて、当然、家畜はえさを食べるとふん尿を出します。今、そのふん尿が汚染されている可能性があるということで、実は農家の中で全部ためられています。今までこれは、さまざま、有機センター、処理センターに持っていって、それぞれ処理をしていって、においを取ったり、あるいは堆肥として使えるような、そういう状況まで持っていったんですが、今その受け入れをしてもらえないということで、日々、えさを食べさせるだけじゃなくて、ふん尿が、しかも汚染されているかもしれないと言われているふん尿が農家の敷地の中にどんどんたまっている状況、これが毎日毎日続いているんです。

 このふん尿対策について、方針が決まったかどうか教えてください。

篠原副大臣 ふん尿対策が実は一番悩ましいところでございまして、与えてしまったえさ、人間にも動物にもあるわけですが、ホメオスタシスという自己保存本能があります。生物学的半減期というのがありまして、セシウムを外に出されるわけでございます。非常に汚染された稲わらを食べた牛は、当然外に出しているわけでございます。その地域で循環しているんだったらそれでいいんですが、ほかから持ってきた高濃度に汚染された稲わらを食べた場合は、そのふん尿が相当、近辺のものと比べて汚染度が高いわけです。そういうものを畑に返すとなると、その畑が一たん汚れてしまったら取り返しがつかなくなりますので、これが大問題でございます。

 稲わらの場合はこれ以上ふえることはないわけですけれども、ふん尿の場合は今現在もふえ続けてしまっている。つまり、今まで食べさせてしまったものが二カ月ぐらいかかって出てくるわけですから。

 この処理をどうするかということで、全く同じでございまして、原子力安全委員会に今質問をいたしまして、回答を待って、きちんと対応してまいりたいと思っております。汚染汚泥と同じような解決になるのではないかと思っております。

 それにしても、スペースとかが問題になりますので、これについてもきちんと対応していかないと、畜産農家は非常に困るのではないかと思っております。ですから、万全を期していくつもりでございます。

小野寺委員 私ども、こうして日々いろいろな審議をし検討しているんですが、今、畜産関係の農家、扱っているのは生き物です。ですから、毎日えさを食べ、毎日ふん尿を出し、そして実は、その周りで農家の方が日々生活をしている。そのことをやはり忘れてはいけない。必ず、私どもとしたら、その事々を思いやりながら国会の審議をすべきだと思っております。

 最後に、外務大臣にお伺いいたします。

 もう一つ、農家の方が心配しているのは、TPPの問題です。TPP、実は、こういう日本の震災以降、国内では大きな議論になっていない。そこが議論できるような状況でもない今の現状でありますが、ただ、農家の方にとっては、突然、例えば、ことしの秋、APEC、ハワイで行われるところで、政府からTPPの推進の方針がどんと出て、農家の、農業のさまざまな懸念に対しての回答がないまま進むということ、これを一番懸念しております。

 現在のTPPの検討状況について教えていただければと思います。

松本国務大臣 今お話がありましたように、TPP協定の交渉そのものは、ことしの五月の米国のモンタナのAPEC貿易大臣会合でも、十一月にTPP協定の大まかな輪郭を固めるという目標を表明したということで、交渉は回数を重ねながら前進をしているというふうに理解をいたしております。

 その上で、政府においては、御案内のとおり、五月に決定をされた政策推進指針で、TPP協定交渉参加の判断時期については総合的に検討ということになり、また、日米首脳会談で総理から、これについては、改めて総合的に検討し、できるだけ早期に判断をしたいということを申し上げているのは御案内のとおりであります。

 今、政府においては、TPPも含めて、EPA、FTAについては、FTAAP・EPAに関する関係閣僚会合ということも先月開催をいたしまして、ここでの議論を積み重ねて方針を定めていく中で、各EPA、FTA、そしてTPPについての政府の考え方をしっかり議論した上で申し上げていくことになろうかというふうに思います。

 現段階で、交渉参加の時期については、私どもが理解をしているところでは、総合的に検討する、そして、検討はできるだけ早くに判断をしたいというふうな総理の考えがあるということでありまして、それに基づいて我々関係閣僚間で議論をさせていただいているところだと理解をしています。

 同時に、開かれた国、高い水準の経済連携と両立をする農林漁業の再生を行うというのも再生実現会議において議論をされてきているところであります。現在は、高いレベルの経済連携と両立する農林水産業の再生の実現ということについても、この実現会議で議論を進めているところで、これの中で提言ないしは考え方を示していきながら、御理解をいただきながら前進をさせていきたい、こう考えております。

小野寺委員 済みません、篠原副大臣に。

 今、総合的に考えるというお話でしたので、今回被災しているところは、農林水産業が実は主産業で、大変この問題については心配をしております。ぜひ、この総合的な考え方の中に農水省の考え方をしっかり入れていただきたいということを最後の質問にして、質問を終わりたいと思います。答弁だけお願いいたします。

篠原副大臣 お答えいたします。

 皆さんに対するお願いにもなるかと思いますけれども、今、冒頭、小野寺委員御指摘のとおり、農家の責めに帰さない、あるいは漁業者の責めに帰さないことで非常に困っているわけです。

 そうしたときに、日本の農産物、水産物は汚染されているんだから、安全な外国のものを輸入すればいいじゃないか、TPPを推進すればいいじゃないか、私はこれはとんでもないことではないかと思います。東北福島の、離れたところの人たちの犠牲において東京の電力が供給されていたわけです。こういうことを許容してきたということですから、こんな事故が起きた際には、食べて応援していただいてというのが礼儀じゃないかと思っております。

 そういう気持ちで、こういったこと、TPPをどうするかということも考えていただきたいというのが私の願いでありますし、全農業者、漁業者の願いではないかと思います。

小野寺委員 ありがとうございます。終わります。

小平委員長 次に、河野太郎君。

河野委員 自由民主党の河野太郎でございます。

 まず、このIMFの協定の改正について政府に御質問をさせていただきたいと思いますが、我が国は、任命理事という権利をこの改正によって失うことになります。それでは、我が国はこの改正によって一体何を得たんでしょうか。

松本国務大臣 任命理事の立場を失うのは、我が国だけではなくて五カ国であることは河野委員もよく御承知のとおりだろうというふうに思います。

 今、この件については、先ほど中林委員そして小野寺委員とも議論を重ねてきたところでございます。委員も、委員としてお聞き取りをいただいていた、このように理解をいたしておりますけれども、IMFそのものについて、これから新興国、途上国が積極的関与をすることによって、IMFの本来果たすべき役割を、一層効果的、有効的に機能できるようなものになっていくもの、また同時に、新興国、途上国にも建設的で責任ある立場を果たしていただけるようになるもの、こう理解をしております。

河野委員 そういう建前はわかっておりますが、任命理事の権利を失ったものと引きかえに、我が国は何を得たんでしょうか。

松本国務大臣 IMFが世界の経済の安定にとって大きな役割を果たしていることは委員も御案内のとおりでありまして、このIMFが将来に向けてしっかりとその機能を果たすということ自身が我が国にとっての国益だというふうに考えております。

河野委員 結局、我が国は交渉に失敗したんじゃありませんか。結局、失うものだけは失って、得るものは何もなかった、そういうことなんじゃありませんか。それなら、なぜ我が国はこの協定を結ばなきゃいけないんですか。

松本国務大臣 先ほど申し上げたように、IMFが、新興国、途上国の積極的な関与を得て、将来に向けて有効かつ安定的に機能するということは我が国の国益に資するものと考えていますので、協定について御賛同をいただくように皆さんにお諮りをしているところでございます。

河野委員 そうすると、日本は任命理事という権利を失っただけで、具体的には何も得たものはない。IMFが安定したものでなければいかぬというのは、それは世界各国共通の話であって、何も我が国に特有な話ではありません。我が国は、そういう建前のもとに権利を手放して、結局何も得るものはなかった。その交渉をやった政府の責任というのは、やはりとがめられなければならないと思います。

 現在、IMFには二千数百人の職員がいると思いますが、日本人の職員は何人いるんでしょうか。

松本国務大臣 これについても、この委員会で、けさほどから時間をかけて議論をいただいてきたところを、委員も委員としてお聞き取りをいただいていたもの、このように考えておりますけれども、二〇一一年の四月末で、たしか五十人だったというふうに理解をしております。

河野委員 そのうち、財務省出身者は何人いらっしゃいますか。

松本国務大臣 個別の数字については、改めて確認をして、御通告をいただきたいと思いますが、改めて整理して御報告したいと思います。

河野委員 質問通告をしておりますので、整理していただくまで一時中断してください。

小平委員長 即刻答弁してください。

 では、櫻井財務副大臣。早く答弁してください。

櫻井副大臣 済みません、申しわけございません。

 財務省出身者以外が三十九名ということなので、差し引き十一名ということになると思います。

河野委員 財務省出身者とそれ以外の方々で、どのようなランクになっていますでしょうか。まず、最高のランクにいる日本人は財務省出身なのか、それ以外の方なのか。それ以外、財務省以外の出身の方のランクはどうなっていますでしょうか。

櫻井副大臣 篠原副専務理事が財務省の出身者ということだそうです。

 今のIMFにおける管理職以上の日本人の職員数が八名、それから、財務省の出向者以外がその中で三名ということになっています。

河野委員 その財務省以外の方のランクはどのようなものになっていますか。

櫻井副大臣 もう一度申し上げますが、出向者以外の者については、先ほど申し上げました篠原副専務理事、それから石井アジア太平洋地域事務所長、武田アジア太平洋局次長がその三名に当たります。

河野委員 日本の政府の政策として、IMFにいる日本人の職員のランクを引き上げる、そういう政策がありますか。

櫻井副大臣 現状、総理初め財務大臣、関係者の方々、これは財務省だけではなくて、外務大臣を含めて皆さんに働きかけを行っていただいているという現状でございます。

河野委員 具体的に引き上げる対象になっているのは、財務省出身者ですか、それともその他の日本人ですか。

櫻井副大臣 これは、財務省と関係なしに、すべての方々に対して行っているというふうに承知しております。

河野委員 それでは、過去の日本人のIMF職員、財務省出身者とその他に分けて、どのようなランクであったか、取りまとめた資料を提出していただきたいと思います。

小平委員長 後でよろしいですか。(河野委員「後で結構です」と呼ぶ)

 では、後ほど資料を提出してくださいね。よろしいですね。

河野委員 それでは、具体的に、日本人の職員のランクを引き上げるために、どのような活動をこれまでされてきたんでしょうか。

櫻井副大臣 先ほど答弁したのがすべてでございますが、改めて資料をまとめさせていただくということでよろしゅうございましょうか。

河野委員 質問通告をしておりますので、まとまっていないなら、それまで中断してください。

小平委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

小平委員長 速記を起こして。

 それでは、櫻井財務副大臣。

櫻井副大臣 例えば、鳩山総理の方から、加藤副専務理事の後任として篠原前財務官を選んでいただいたことを感謝しておる、日本人スタッフの増加は日本とIMFの関係をさらに強化するためによいことであり、今後ともよろしくお願いしたいというふうに総理からお伝えいただいている。

 それから……(河野委員「だれに伝えているんですか」と呼ぶ)それは、ストロスカーン専務理事に対してでございます。

 それから、同じように、菅財務大臣の方から、これからももっと多くの日本人を、特にシニアレベルで登用していただきたい、こちらからも努力するが協力してほしいと。

 それから、昨年の十一月十三日になりますけれども、野田財務大臣からも同じようなことを要請しているというところでございます。

河野委員 その程度のことは、ほかの国も当然やっているんじゃないんですか。むしろ、それだけのことをやっていなかったらおかしいですよね。

 そうすると、全然今の日本政府は、財務省は、IMFにいる日本人職員のランクを引き上げるための作業をろくに何も考えていない、そういうことですか。

櫻井副大臣 決してそういうことではございません。

 それからもう一つは、こういった外交というのは、私は継続されているものと承知しております。ですから、これは民主党政権になってから何もしていないとか、以前の自公政権のときに、済みません、どうだったのかについては詳細を私は存じ上げませんけれども、私は、自公政権下でも、それから今の民主党政権下でも、同じように努力をしているものというふうに承知をしております。

 ただし、その前にもう一つ考えなければいけない点があると思っておりまして、それは、要するにIMFに出向するというか、そこの職員の日本人の絶対数が少ないというところが、もう一つ考えなければいけない点だと思っています。

 きょう河野議員から質問通告がありましたので、私なりに少し検討させていただいたんですが、今、海外に対して留学する、例えば財務省なら財務省の人間が減ってきていて、海外に出ていこうとする人たちが減ってきている。こういったところから変えていかないと、なかなか、何というんでしょうか、そこから引き上げてくるというんでしょうか、ボトムアップしていくような、こういったことも一つ一つやっていく必要性があるのではないのかというふうに考えております。

河野委員 済みません、今、副大臣、財務省の留学生が少なくなっている、そうおっしゃいましたか。

櫻井副大臣 これは、日本全体の海外に対しての留学生が減ってきているということでございます。これは、済みません、ここの内容とは関係ないかもしれませんが、医学の領域でもここが非常に問題になってきているところでございます。

河野委員 この財務省の問題は、かつて十年以上前に指摘をいたしましたけれども、本来、人事院のルートで留学をしなければならないにもかかわらず、財務省のODAと称してお金を国際機関に出して、そのお金でいわば裏口入学をする、そういうことを財務省はずっとやってまいりました。それをとめさせました。ですから、財務省の留学生の数は、それ以降減っているはずでございます。それを理由にIMFの人数云々と言われてはたまりません。それはもともと財務省が悪事を働いていたわけでございますから、それとは別のやり方を考えてもらわなきゃいけません。

 少なくとも、IMFに対する出資の比率で職員数をとるとすると、日本人職員はIMFに本来何人いるべきですか。

櫻井副大臣 出資比率がたしか六・五六で、現在が二・五%ですから、あとこれに二・五倍ぐらいの人数になろうかと思います。

河野委員 それでは、IMFの職員数をいつまでにどれぐらいふやすのかという目標と、その目標を達成するために具体的に何をやるのかということをお出しいただきたいと思います。

小平委員長 それは今後の課題として検討してください。今は答弁できないでしょう。今後の課題として。

 松本外務大臣。

松本国務大臣 私どもとしても、日本人の職員がふえることが望ましいというふうに考えていますが、他方で、職員はそれぞれの機関においてふさわしい人間がその場で仕事をする点が望ましいことも事実でありますので、今御指摘をいただいた点も踏まえて、今後どのようにふやすかということについては検討してまいりたいと思います。

河野委員 それでは、いつまでに何人にふやすのかという目標と具体策をお出しいただけますね。

松本国務大臣 今申し上げたのは、それぞれの国際機関の適正、ふさわしいのもありますので、何人にふやすという目標をどう設定するのが適当かどうかということも含めて検討させていただきたいというふうに申し上げたつもりでございます。

河野委員 それでは、別にIMFに日本人の職員が今のままでいいと思っているんですか。そうは思っていないわけでしょう。だったら、具体的にどこまでふやすのかという目標を決めて、具体策を検討しなかったら、ふえないじゃないですか。時の流れのままにいきますでは今と何も変わらないわけじゃないですか。今の大臣の答弁はおかしくないですか。

松本国務大臣 冒頭で、今より多いことが望ましいというふうに申し上げたと承知をしておりますが、他方で、人数を何人にするということの目標の設定そのものがどのような形で適切かどうかということも含めて、先ほど委員も、その役職者、ポストについても御議論されていましたが、そういうことも含めて、日本のIMFにおけるプレゼンスをどういうふうに確保するかということの全体と考え合わせて今後の対応を考えていきたいというふうに申し上げさせていただきました。

河野委員 今より多いのが望ましいにもかかわらず、具体的な目標もつくらなけりゃ具体策もつくらないというのは、単なる責任逃れ以外の何物でもない。能力のなさを露呈しているだけじゃないですか。そんなばかなことをやっているから、こうやって、権利だけはどんどん失われて何も得るものがない協定にサインをしなきゃいけない、批准をしなきゃいけないことになるんじゃありませんか。もう少しまじめに、こういう国際機関に対して政府がどうするのかという対応をやっていただかなければ困ると思います。

 財務副大臣、どうもありがとうございました。どうぞ御退席ください。

 次に、経産副大臣にお越しをいただいております。我が国の核廃棄物、使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物がございますが、この核廃棄物を外国に最終処分のために持っていく考えがないということを明確におっしゃってください。

松下副大臣 我が国で発生した使用済み燃料を、モンゴルにおいて、あるいは外国において貯蔵、処分するという意向は一切有しておりません。

河野委員 今、使用済み核燃料とおっしゃいましたが、高レベル放射性廃棄物についても同様ですね。確認してください。

松下副大臣 同様です。

河野委員 それでは、経産省にお伺いをしたいと思います。

 我が国は、法律で使用済み核燃料を全量再処理とすることをまだ決めております。ですから、今我が国が最終処分をするのは、すべて高レベル放射性廃棄物ということになると思いますが、この高レベル放射性廃棄物の最終処分地を決めるのは西暦何年までに決めるのか。それまでに文献調査、概要調査というものを行った上で精密調査を行うことになっていると思いますが、一体、文献調査はいつまでに終えるのか、概要調査はいつまでに終えるのか、最後の調査をいつまでに終えて最終処分地を決定するのか、現在の政府の最新の方針をまず教えてください。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、法律に基づきまして、特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画、最新時点のものは平成二十年三月十四日に閣議決定をされたものでございます。これに基づきますと、平成四十年前後、したがいまして、二〇二八年前後を目途に最終処分の建設地を選定するということになってございます。

 それを目指して、委員御指摘のとおり、文献調査、概要調査、精密調査を行うことにしてございますが、この処分計画では精密調査の選定を平成二十年代中ごろ、したがいまして、二〇一三年前後を目途に精密調査の地区を選定するということとされてございますので、それまでに文献調査と概要調査を終えて、その上で精密調査を選ぶというのが現在の計画のスケジュールでございます。

河野委員 文献調査、概要調査、それぞれ何年かかりますか。

横尾政府参考人 これは場所にもよりますが、文献調査についてはおおむね一年から二年、概要調査については三年から四年程度というふうに想定をしてございます。

河野委員 私が間違っていなければ、ことしは西暦二〇一一年ではなかったかと思うんですが、二〇一一年の現時点で文献調査の候補地も決まっていないということは、二〇一三年に精密調査を始めるというのはほぼ不可能ではないんでしょうか。そうすると、当然のことながら、二〇二八年前後に精密調査を経て最終処分地を決めるというのは、これは不可能な状況にある、そういう認識を政府はお持ちですか。

横尾政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、精密調査を選定するのは平成二十年代中ごろ、つまり二〇一三年前後でございますが、二〇一三年と決めておるわけではございませんので、その前後三、四年ぐらいの幅はあるかと思ってございます。

 委員御指摘のとおり、現行の計画でのスケジュールというのが大変厳しくなっているのは事実でございますが、引き続き、処分地の選定については、国民の皆様、それから地域住民の理解を得ながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。

河野委員 この日程でやるのは大変厳しいとおっしゃいましたけれども、この日程でやるのは不可能なんじゃないですか。副大臣、お答えください。

松下副大臣 就任以来、二年目に入っていますけれども、私の地域も含めていろいろな可能性を探っているのは事実でございます。表に出るまでにはなかなか時間がかかりますけれども、最後までその努力はあきらめずにやりたい、そう考えています。

河野委員 日本の原子力政策の問題は、今の副大臣の答弁にあるんだと思うんですね。つまり、努力はしますと。しかし、現実的に、二〇一三年に精密調査の場所を選定するんですということを閣議で決めておいて、もう二〇一一年ですから、今から文献調査をやって、概要調査をあした始めたとしても二〇一三年にはできないわけで、さっき、三年前後してもいいみたいな、前になるわけはありませんから、三年後ろに下がって二〇一六年と言ったって、ほとんど不可能なわけです。

 そうすると、不可能だとわかった時点できちんと計画を変更するのが責任ある政策なんじゃないでしょうか。不可能だというのがわかっているのに、二〇一三年になるまでは目をつぶって頑張りますと言っているのは、これは明らかに無責任な政策と言わざるを得ないんじゃないですか。副大臣、どう思いますか。

松下副大臣 今の政権で取り組んできたわけではありません。継続してこの問題を国として取り組んできた結果が今ここに積み重なってきているわけでありますから、そのことは、我々は共同の責任を負いながら、次の世代に負担をかけないような、しっかりとした我々の努力をしていかなきゃいかぬ、最後まで努力したい、それが今の姿勢であります。

河野委員 いや、だから、最後まで努力をして結局できないというのがこの原子力政策の繰り返しじゃないですか。できないというのがわかったんだったら、何で今の政権で方針を変えないんですか。別に今の政権がやってきたわけじゃありませんというなら、変えればいいじゃないですか。

松下副大臣 最後まであきらめないと言っているわけです。努力すると言っているわけです。その時点で、変えなけりゃいけない時点が来たら変えなきゃいかぬ。しかし、努力をして、あきらめないで努力していく、これは当然だと思っています。

河野委員 いや、最後までって、もう最後は過ぎているじゃありませんか。二〇一三年に精密調査を始めるのはできないわけですから、もうその最後までという期限は切れているんですよ。では一体全体、現実的な数字は、現実的な時代はどうなんだというのを考えて、方針を変えるべきときじゃないですか。今が二〇〇〇年ですというなら、二〇一三年に精密調査を始めるように最後まで努力をしますという答弁は正しいと思いますよ。しかし、今からどんなに努力をしても二〇一三年の精密調査は始められないんです。もう最後のときは過ぎているんです。今のこの平成二十年三月十四日に閣議決定をした方針はもう守ることができないわけですから、最後の時期を過ぎているんです。何で方針を変えないんですか。

松下副大臣 最後まで努力します。その上で、変更するときには決断して変更します。

河野委員 ちょっと待ってください。最後のときって、では副大臣、いつだと思っているんですか。

松下副大臣 工程を考えて、ぎりぎりの時期を判断したいと思います。

河野委員 ぎりぎりの時期はいつかと聞いているんです。答えてください。

松下副大臣 工程を考えて、ぎりぎりの時点で判断します。時期は言えません。

河野委員 質問通告しています。答えが出ないんだったら、答えを精査するまで委員会をとめてください。

小平委員長 いや、これは答弁もしているし、質問と答弁とで。

 もう一度答弁してください。そうしたら私が判断しますから、答弁してください。松下副大臣。(発言する者あり)

 では、少し協議、速記をとめましょう。

    〔速記中止〕

小平委員長 それでは、速記を起こして。

 松下副大臣。

松下副大臣 時期はまだ決めていません。最後まで努力するということは変わりませんけれども、高レベル放射性廃棄物が既に発生している中で、議員御指摘の点については私も共有しておりますし、大変重要な課題だと考えています。やはり将来世代に負担をかけないということのためにも、我々は、最終処分場の全体の、核の問題についての、原子力の平和利用についての最後のところまで、今の世代で責任を持って対応していくという努力は最後まで続けなきゃいかぬ、こう考えています。

 その中で、あなたがおっしゃるように、何年の何月で期限が切れてだめなんだから、それですぐやめろということであれば、それはこれまでの何年間もかけてきた努力も含めて、もう一度総括して判断したいと思います。

河野委員 さっきの答弁で、二〇一三年から三年前後しますといえば二〇一六年ですよ。文献調査が一年から二年、概要調査が三年から四年と言いましたけれども、一番短く見積もっても四年かかるわけです。ぎりぎり、精密調査が三年後ろへ行って二〇一六年、それまでに最短でやっても四年かかるわけですから、二〇一二年からできていなかったら、この二〇一三年ごろというのはできないわけで、少なくともことしいっぱいに候補地が決まらなかったら来年から調査はできないじゃないですか。論理的に考えてそうでしょう。

松下副大臣 今、河野委員がおっしゃったように、最後までぎりぎりまで努力して、その時点で判断します。その時点で判断します。

河野委員 その最後の時点はいつかと聞いているんですよ。

松下副大臣 今、あなた自身が言葉にされたじゃありませんか。その時点をぎりぎりまで探って判断しますということです。

河野委員 では、私が申し上げたように二〇一一年の年末ということでよろしいんですね。

松下副大臣 ぎりぎりまで努力して、政府で判断します。(河野委員「いやいや、ちょっと待ってください。こんなインチキな答弁はだめですよ。理事、お願いします」と呼ぶ)

小平委員長 河野太郎君、挙手をして。

 あなたの質問に対して、彼はぎりぎりまでと言っているんだから、答弁になっていますよ。(河野委員「いやいや、違うんですよ。答えになっていませんよ」と呼ぶ)答弁になっています、これは。

 ぎりぎりまで努力すると言っているんだから、答弁になっています、これは。(河野委員「いや、ぎりぎりまで努力するかどうかは聞いていません。いつかと聞いているんです」と呼ぶ)なっています、これは。なっている。続けて。答弁になっているから。質問してください。

河野委員 できません。(発言する者あり)

小平委員長 では、とめて。

    〔速記中止〕

小平委員長 速記を起こして。

河野委員 二〇一一年末までに場所が決まらなければ、二〇一三年、三年前後して二〇一六年までに精密調査の場所を決めることができないわけですから、二〇一一年末が来たら、この三月十四日の閣議決定は論理的にできないことになりますね。だから、二〇一一年の末になったら、この閣議決定を変えなきゃだめですね。そういうことを言っているので、最後まで努力するのは当たり前じゃありませんか。何を言っているんですか。

 二〇一一年の末までにできなかったら、この閣議決定は論理的に実現不可能ですね、そういうことを聞いているんです。それが正しいかどうかを答えてください。

松下副大臣 政府参考人に調査の内容と工程を説明させます。

河野委員 さっき聞きました。委員長、時間の無駄です。そんなことは聞いていません。

 ちょっと理事、お願いします。

横尾政府参考人 委員御指摘の……(河野委員「聞いていません」と呼ぶ)副大臣から指名がございましたので、お答えさせていただきますと……(発言する者あり)済みません。

小平委員長 いやいや、今指名しましたよ。

横尾政府参考人 委員長からも指名をいただきましたので、答弁させていただきます。

 私が申し上げましたのは、文献調査に想定している期間でございますので、一、二年ないし概要調査三、四年というのは、それでかっちりと決まっているわけではございません。

 したがいまして、委員御指摘のような一一年末でかっちりと事態が決まるという性格のものではございませんので、先ほど松下副大臣から御答弁申し上げましたとおり、ぎりぎりまで努力をして、その上で判断をするということだと思います。

河野委員 要するに、日本の原子力政策がイカサマだというのは、ああいう答弁を平気で官僚がやるからなんですよ。ああいう答弁を官僚にやらせる政治家の責任でもあるんですよ。

 ごみの処理をどうするかというのが原子力を進める上で最大の問題だというのは、全国民がわかっています。ごみの処理が今できないということも、みんなわかっているんです。これを一体全体どうするのかというのが最大の問題であって、今の役人たちは、自分の任期のときは関係ないと思っているんですよ。だから、いつまでかというのを言ったら自分が責任をとらなきゃいけなくなるから、特に二〇一一年の末と言ったら自分の任期中でしょう、だから、そういう責任をとらないんじゃないですか。それをきちっと管理するのが政治家でしょう。その政治家が、私は知りません、最後まで努力します、それしか答弁しないんだったら、日本の原子力政策、まともなものになるはずがないじゃないですか。

 自民党政権から延々とこれを繰り返してきたんですよ。民主党政権になっても同じことを繰り返しているだけじゃないですか。これで原子力政策を続けるんですか。副大臣、どうなんですか。

小平委員長 時間が来ましたので、松下副大臣、簡潔に答弁願います。

松下副大臣 国民新党も参加した政権でございます。少数でも、私たちの意見は意見で持っていますけれども、反映するものもある、反映しないものもある。長い間、四十年続いた自民党政権の中の、いろいろなおりがたまった上での引き継いだものもあると考えています。

 その中で、将来を見据えて、しっかりとした対応を今この時点から始めなきゃいかぬということは共有しています。一緒に頑張りましょう。知恵をかしてください。

 以上です。

小平委員長 河野太郎君、時間が来ましたので。

河野委員 はい。最後にします。

 結局、どの党もろくに原子力政策を考えていないというのがよくわかりました。自民党だから、民主党だから、公明党だから、何党だから、関係ないんですよ。やはり次の選挙は一人ずつきちんと、議員一人一人が原子力政策にどう向き合っているのかというのを国民の皆さんに判断をしていただいて、そして、いい議員は残していただく。だめな議員は、はっきり言って、電力の労働組合から票をもらってなびいているようなやつとか、献金をもらってなびいているやつは、国民の皆さんに排除してもらわなきゃいかぬ。それができなければ原子力の政策は正しいものに直せないということが、多分国民の皆さんにもそろそろわかっていただいたんだと思います。

 そういう観点から、この核廃棄物の問題は最大の問題ですから、それを副大臣でいる間、いつまでかわかりません、八月末までかもしれませんし、お盆で終わっちゃうかもしれませんけれども、副大臣の任期中に、もう少し官僚にきちんと答弁させられるような指導力を発揮していただきたいと思います。

 以上です。終わります。

小平委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 外務大臣、先ほどの委員の質問に対して、朝からいろいろ議論があったから云々という発言がありましたけれども、私も、かぶる部分というか重なる部分があるかもしれません。余りそういう言い方をされないで、初めて答弁するような気分で答えていただきたいと思います。

 まず、IMFの協定改正に関する質問をいたしたいと思います。この問題については、先ほど来ここでやりとりがありました。私からも、公明党を代表して、何点か聞かせていただきたいと思います。

 まず、IMF理事会改革の一環として、従来、無投票で選ばれてきた、出資額上位五カ国からの任命理事を廃止し、二十四人の理事は全員を加盟国の投票で選ぶようにする、こういうことを目的にして今回のこの改正がなされたということでありますけれども、ここに至る議論の経緯、その中での我が国の主張、この点をまず聞かせていただきたいと思います。

松本国務大臣 今回の協定改正の直接的なきっかけというのは、二〇〇八年に発生した世界経済金融危機を受けて、IMFがより有効に機能するための改革についての検討が行われてくる中で、二〇一〇年十月のG20、財務大臣・中央銀行総裁会議において、G20各国は、増資などを内容とする出資額改革、そして理事会の改革を内容とするIMF協定改正を初めとするガバナンス改革について実質的に合意に至ったわけでありまして、これを受けて、その年十二月、ガバナンス改革の一環として協定改正がIMF総務会によって承認をされ、今回のIMF協定改正は、理事会への新興国、途上国のより積極的な関与を促すものとして策定をされたというふうに承知をしております。

 この以降については、繰り返しになりますが、簡単に申し上げれば、IMFが世界経済の現実をより反映した意思決定を行うことができる、世界経済の安定化に向けてその役割を効果的に果たすことができるという効果があるものと期待をしております。

 我が国は改革をめぐる議論の中で、一つにはIMFの資金基盤の増強、そしてもう一つには世界経済における加盟国の相対的地位の出資比率の適切な反映、そしてもう一つ、三つ目としてはガバナンスの強化という点を主張してまいりましたので、おおむねこの主張の流れに沿った内容になっているものと理解をしております。

赤松(正)委員 先ほどの同僚委員の質問にもありましたが、日本の今まで出してきた立場、副専務理事ですか、こういう立場がなくなるどうこうということではなくて、そういう立場云々ではなくて、中身的に、さっき大臣がおっしゃった幾つかの改革の中身が含まれているということによって、どちらかといえば、そういう人的な仕組みの部分、構成メンバーいかんよりも、中身の方で首肯できる部分が多かったから、これはいいという判断をした、ざっと大きく言えば、そういうふうに理解をしてよろしいわけですか。

松本国務大臣 先生御案内のとおりだろうと思いますが、副専務理事は、たしか専務理事が指名をする、いわば事務局の中の人事だろうというふうに思います。

 今回、協定で直接改正になるそういったガバナンス部分は、理事国の選出方法ということになります。現在の出資比率でいきますと、また、いわば定数というのでしょうか、そういうことを考えた仕組みからいくと、事実上、出資比率に比例をした投票権がありますので、我が国としてはほぼ自動的に理事国ポストが確保できるという、実態としては、まず変わりないということは申し上げられるかというふうに思います。

 その上で、これはほかの国際機関全体においても、我が国としても、今後いろいろ考えながら戦略的にやらなければいけないと思いますが、多くの国際機関は、出資比率と発言権というのは、ある程度比例をする、もしくは制度上直接比例をする仕組みになっています。

 他方で、出資をするということは、国民の皆様の税金をそこへ投入するということでもありますので、どのぐらいつぎ込んでどれだけ国際機関で発言権を得るのかということを総合的に勘案する必要があるのではないかというふうに考えておりまして、今回、IMF全体として資金基盤を強化する必要がある、そして、そのいわば負担でもある部分の出資比率というのは世界経済の現況に合わせていく必要がある、このように考えて、私どもとしてはそのように申し上げてきたというふうに思います。

 同時に、途上国、新興国の積極的な関与を得ることによって、途上国、新興国に建設的に、かつ、きょうの議論を踏まえて申し上げれば、責任ある対応を求めていくことにもつながるという意味からも、前進につながると考えたというふうに御理解をいただきたいと思います。

赤松(正)委員 IMFの歴代専務理事は、大筋というか大半がヨーロッパから選出されてきたという経緯があるわけですけれども、こういう事態に対して、まず第一点、そういう人事慣行的なものについてどう思っているのかというのが一つと、あと、今外務大臣がおっしゃった、今回の改定を踏まえて、途上国、新興国の積極的な関与という側面が今回から出てきているということのようでございますが、その二点について見解を示していただきたいと思います。

松本国務大臣 私どもとしても、国際機関の問題ではありませんが、これまで、例えば政府の外郭団体などで、同じポストから自動的に同じ出身者が続くということはというような指摘をしてきた経緯もあります。

 そういう中で、御指摘があったように、結果として歴代の専務理事が代々欧州の出身者であったということについては、やはり何らかのそういう形での、専務理事そのものの資質だけを問うているのではなくて、全体としての何らかの形があったのではないかというふうに言われてきておりますし、そのことを否定する材料を今私がここで持ち合わせているわけではありません。

 ただ、今回、専務理事の選出に当たっても、それぞれすばらしい候補者でありましたけれども、選出されたフランス出身のラガルド次期専務理事は、まだ次期なのかな、ちょっと正確には確認しなければなりませんが、やはり十分に専務理事の任にたえ得る資質、資格と意欲をお持ちの方だということは、私もさまざまな情報から、その点については間違いないもの、このように思っておりまして、欧州出身でありますが、少なくとも欧州からふさわしい人を出し続けていただいているということは、別の角度から申し上げれば申し上げられるのではないかというふうに思っております。

赤松(正)委員 二点目の、新興国、途上国の問題についてはいかがですか。

松本国務大臣 先ほども、今回の制度改正によって、出資の部分も今回の改革の機会に変わってくるわけでありますが、積極的かつ責任ある対応を求めるということになってまいりますと、やはりガバナンス、全体の意思決定、理事国という部分と同時に、執行される事務局の中においても新興国、途上国はある一定の形で関与をするということは、繰り返しになりますけれども、事務局はやはり実力本位でなければいけないわけでありますけれども、全体としては途上国の関与というのが一定程度あることは、全体のガバナンスには寄与するのではないかというふうに思います。

赤松(正)委員 今、一般論的な言い方をされましたが、個別具体というか、中国は今、新興国、発展国、そういう中に入りますか。

松本国務大臣 一般的にはさまざまな区別があろうかと思いますが、少なくともこのIMFの議論においては、中国は新興国、途上国の分類に入るのではないかというふうに思います。

赤松(正)委員 今回、朱民氏ですか、元中国人民銀行副総裁の副専務理事起用という問題について、大臣はどのような見解を持っておられますか。

松本国務大臣 私が承知をする限り、副専務理事の職務を果たしていただくだけの知見と国際的な活動をされてこられた方だというふうに承知をいたしております。

 その上で、中国出身の方が副専務理事に加わるということの意義をどう考えるかということであろうかというふうに思いますが、私どもとしては、これを積極的に評価し、先ほど申し上げてきたように、副専務理事を出している国としての、またこれからの対応というのもしっかり国際金融の議論の中で求めていきたい、このように考えております。

赤松(正)委員 今日の午前中、私の質問に至るまでの皆さんの中にもあったと思いますけれども、一方でまさにヨーロッパの独擅場のようなIMFの人事的構成の中にあって、今日までの日本の地位というものがそれなりにあったのに、それが相対的な低下の流れの中で、一方で新興国家群の代表選手としての中国が出てくる。

 これは、今大臣の答弁にあったように、本人の持たれる能力が十二分にあればどうこう言うべきことではないかもしれませんが、ただ、漠然たる私どもの不安、さまざまな懸念というのは、先ほど来の政府側の答弁を聞いていましても、そういう思いが募ってくるのは、日本が戦略的にしっかりと体制を立てて、国際社会におけるこうした大事な国際機関の中に人を送り込んでいない、極めて薄弱である、弱い、そういう現実というものがあって、それが名実ともに、そうした事態が今回の改正を機縁に大きく進むような、そういう懸念を持つからであります。

 先ほど来もありましたけれども、日本の出資額に比べて、IMFで働かれる日本人の職員の数が際立って少ない。出資額が六%、それに対して、人の面では日本は二%。正確に言うと、約二千五百人のIMF職員の中で、改めてお聞きしますが、日本人は何人なんでしょうか。

松本国務大臣 二〇一一年四月末現在、日本人専門職員数は五十名というふうになっております。

赤松(正)委員 先ほどの議論の中で、櫻井財務副大臣が、そうした国際機関で働く人間が少ないという現実をどうするかということに対して、先ほどの質問に対する、言わずもがなというか、聞かれてもいないのに答えられたと思いますが、要するに、日本人の学生が海外に出ていく、そういう機会が非常に減ってきている、よく言われる内向きになっている、それが大きなバックグラウンドとしてのこうした問題の背景にあるんだという意味合いのことを言われましたけれども、外務大臣は、その点についてどのような見解を持っておられるでしょうか。

松本国務大臣 国際機関において日本人の割合が相対的に少ないのではないかという指摘は、長い間続いてきていた指摘だろうと思いますし、これまでも政府としてはいろいろな形での努力を重ねてきておると思いますけれども、結果としては、まだ十分に多いというふうに言われる形にはなっていないのではないかというふうに思っております。

 先ほども私もお答えいたしましたが、そういう意味では、国際機関にとどまらず、ビジネスにおいても、また国際的な政治においても、広くグローバルに活躍できる人材の育成が必要ではないかということで、今回、政府としては、グローバル人材育成会議というのを、関係の閣僚会合というのをスタートさせております。

 これは、これまでは、やはりグローバルな人材が必要だということを各省が問題意識を持ちながら、必ずしも横の連携がとれていなかったのではないかということで、先ほど申し上げましたように、教育の面、そして若い人たちを受け入れる、もしくは、若い人というふうに限定をするのが適切かどうかわかりません、グローバルに活躍した人をまた何らかの形で国内で受けとめるという産業界の協力なども得るような仕組みをつくっていきたいというふうに申し上げております。

 私たちとしても、国際機関にとどまらず、広く世界に打って出るような意欲と能力を持ち合わせた人材を多く育てていきたいと思いますし、それが日本の将来にもなると考えておりますが、昨今、おっしゃったように、身近でも、また全体としても内向きではないかという指摘を受けるような事象に遭遇することがふえてきていることは事実でありまして、これについては危機感を持って対応しなければいけない、こう思っております。

赤松(正)委員 私なんかの世代は、小田実さんの「何でも見てやろう」の世代でありまして、海外に出かけていくというのは当然のような考え方を持つ若い人が多かったわけですけれども、最近は随分、この約四十年から二分の一世紀ぐらいの間の中で、圧倒的にそういう流れが逆流しているような印象を受けます。それは、なぜそういう事態になっているというふうに外務大臣は考えますか。

松本国務大臣 昨日、実は外務省記念日というのがございまして、海外で活躍をいただいている民間の方々に対して私から感謝を申し上げる機会がございました。

 そのときに、海外で活躍をいただいている、率直に申し上げて、正確には存じ上げませんが、私よりかなり年長ではなかろうかと思われる女性の方々がおっしゃったのは、ボランティアの活動をされていて、未知のものを知る、そして知らない人と出会う、このすばらしさをいただいたことに感謝をしたい、こう言われました。大変すばらしい気持ちの持ちようだし、言葉だなと思っております。

 ぜひ、そういう考え方なり気持ちの持ちようというのを、これからの世代の人たちに一人でも多く持っていただけるようにする。そのためには、教育であり、また若い人たちを取り巻く環境でありということをどう考えていくかということになろうかと思います。

 幾つか心にも思うことがありますが、長くなりますので、問題意識としてはそういう問題意識だとお伝えしたいと思います。

赤松(正)委員 今回の民主党政権に至るまでの政権の流れの中で、海外で活躍する人をつくっていこう、そういう戦略のもとに考えてきたものが二つあったと思うんですね。まあ、ほかにもあるかもしれませんが、大きく言って二つある。

 一つは、私どもが政権にかかわったときに強く主張したのは、平和構築のために役立つ人材を育成していこうということで、外務省が、平成十九年からですか、今から四年前から取り組んでおります平和構築人材育成事業、これが一つあると思うんですね。

 もう一つは、ずっと前から日本が取り組んできている青年海外協力隊。これは一見、そういう国際機関で、あるいは海外で働くということと直接結びつかないかもしれませんが、やはりこれも、日本の海外での存在ということにとって非常に大事な役割を果たさなくちゃいけないものが青年海外協力隊だろうと思うんですね。

 そこで、一つは、平和構築人材の育成ということについて、四年間で何人、この平和構築人材育成事業で人を育ててきた、そしてどういう分野に進んでいるかということについて、おわかりでしょうか。ちょっと、細かいことを聞くというふうには投げていなかったのであれですが、どうでしょう。

松本国務大臣 申しわけありません。ちょっと今手元に数字がありませんので、数字については御答弁を御容赦いただきたいと思いますが、たしか、私も副大臣の時代に、ちょうど平和構築事業で育成された人材の節目の何か事業に出席をした記憶があります。内外を問わず、やはり意欲と能力に燃えた人材を育てるという意味では大変意義のある事業だろうというふうに思っております。

 おっしゃったように、青年海外協力隊も実はそうなんですが、育てた、もしくは育った人間がその先にどういう道を歩むかということについて、よく注意深くフォローする必要があるという点については委員の御指摘のとおりだろうというふうに思います。この平和構築事業についても、そういう視点を持って、私どもとしても、これからもフォローしていくように努めていきたいと思います。

赤松(正)委員 四年間で百六十人のようですね、この平和構築人材育成事業。現実的には広島平和構築人材育成センターでその事業がとり行われているわけでありますけれども、この百六十人の行く末というか、その活躍というものも非常に注目をされるというふうに思うんですが、なかなか一般的には、日本全体で、こういうところで人が育っている、またどういう部分で活躍している、そういうものが見えてこないという現実があると思うんですね。

 それとあわせて、青年海外協力隊でありますが、たまたま、二十五日ですか、せんだって政府がこの青年海外協力隊について、「草の根外交官・共生と絆のために 我が国の海外ボランティア事業」そういう文書を発表しておられますが、この青年海外協力隊の取り組み、今の時点でこれを見直すというか、新しい対応としてこれに取り組むということは、どういう意義を持ってこれに取り組もうというふうにされたのか、改めてお聞かせ願いたいと思います。

松本国務大臣 青年海外協力隊事業というのは、制度創設から半世紀を経ております。私自身は、この意義、そしてこれまでの実績というのは大変評価をされるべきものがあると思いますし、さらにしっかりと受け継がれていくべきものではなかろうかというふうに思っております。

 今回、改めてこのような形で取りまとめた一つのきっかけは、率直に申し上げれば、やはり事業仕分けにもあったわけでありますけれども、私どもとしても、新政策としてというよりは、これまでの政策について改めて目的を問い直し、確認をする、そして、今後も必要な政策として位置づけると同時に、これまでの中でさらに必要な点については改善も図っていくというようなことを主題に議論を重ねた結果として、今御指摘があった「草の根外交官・共生と絆のために」と題する、青年海外協力隊を中核とする我が国の海外ボランティア事業に関する政策ペーパーを発表したというふうに御理解をいただきたいと思っております。

 先ほどから触れておりますグローバル人材育成会議などとも関連づけていきながら、この意義をしっかりとしたいと思っておりますし、また、青年海外協力隊については幾つかの課題というのもあって、例えば、青年協力隊から帰還後の再就職というものについては一層フォローが必要であるというような御指摘もあったので、そういうことについても、我々としてしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 政策ペーパーでは、中核である開発協力ということにとどまらず、外交上の意義も非常に大きい、また、人材の輩出という意味でも意義があるということを改めて確認をして、明らかにする位置づけにさせていただきました。その意味で、帰国後の、先ほど申し上げたような、社会での活躍の支援、取り組み強化、企業、NGOとの連携強化、そして理解をいただくための見える化などを打ち出したというのがこの内容でございます。

 関係のするところとも協力をしていきながら、しっかりこれを実現に移していきたいと考えているところであります。

赤松(正)委員 青年海外協力隊は全く局面が変わった。外向きの時代から内向きの時代にあって、同じような今までの流れの上に乗っかってこの事業に取り組むということでは絶対成功しない、そのように私は思いますね。

 つまり、今大臣からもありましたように、青年海外協力隊を終えて日本社会の中でどういうふうに新たに仕事をするかどうかという問題も含めて、これは全政府挙げてこの問題に取り組まないと、外務省だけがこのことに取り組むということでは非常に弱いと思うんですね。さっきの国際平和協力のための人材構築の問題にしてもそうでありますけれども、国を挙げてこうした人材育成という問題に取り組んでいかないとうまくいかない、そんなふうに思います。

 たまたま、今回質問するに当たりまして、加藤隆俊さん、IMFの副専務理事を六年間務めた方の講演が文書になっているものを読みましたけれども、その中で彼自身が、日本のさらなる国際化のために、まず日本人の海外留学をふやすこと、そして企業も学生の留学経験を積極的に評価するという、だれしも考えることを言っているんですが、それとあわせて言っているのは、国際社会で日本の存在感を増すための戦略がある、それは要するに、外国人を積極的に活用するということを言っているわけですね。

 これは、ある種、もうどうしようもない段階での手段といいますか、そこの段階に至るまでに日本人の中から国際的に貢献できる人材をつくっていかなくちゃいけないと思うんですが、最近は、この加藤さんの意見だけではなくて、せんだっても、日本経済新聞を見ておりましたら、あるコラムの中で、積極的に外国人の活用というものが望まれるというふうな論調もありました。

 というふうに、今の日本の国際機関における、あるいはまた国際社会における、紛争地における、例えば今東京外語の教授をしています伊勢崎賢治さんのような、ああいう人材をつくり出していくための、さまざまな戦略性を持った人材育成というものが今ほど望まれているときはない、そういうふうに思うんですね。

 そういう意味で、改めて政府のしっかりとした取り組みを求めたいと思うんですけれども、再度、グローバル人材育成会議について取り組む大臣の決意を述べていただきたいと思います。

松本国務大臣 おっしゃったように、私どもとしても、青年海外協力隊事業は外務省の事業として責任を持って取り組まなければいけないわけでありますが、再就職というんでしょうか、青年海外協力隊事業で活動をして戻ってきてからの日本におけるそういった方々の有為な活躍の場を提供するといったようなことを一つとってみても、外務省だけで十分にできること、もしくは最もいい方法として、外務省だけで、ひとりでやるということではないと思いますので、関係の省庁ともよく連携をしてまいりたいと思っております。

 率直に申し上げて、関係の省庁とよく連携をしてまいりたいという答弁は私どももよく使うわけでありますけれども、これも、せっかく私どもとしては政務三役という枠組みをつくったわけでありますから、従来の縦割りを超えるために、そういった新しい枠組みを活用していきながら、しっかり取り組むことが必要ではないか、こういうふうに考えております。

赤松(正)委員 全然背景が変わった新しい段階に入ったということですから、断じて、旧来的な縦割りで、結局、連携をとるなどと言っているうちに余り効果を発揮し得ない事態がまた続くということにならないようにしていただきたいと思います。

 次に、東南アジアにおける友好協力条約を改正する第三議定書、これについて若干触れたいと思います。

 大臣は、ASEAN外相との二度にわたる会合で、ASEANに対するインフラ支援の継続に言及しておられるわけですけれども、アジア地域における従前の経済外交方針が大きく変更される可能性はないという認識を持っていいのかどうか、当然そういう認識でいいと思うんですけれども、その点をまず冒頭で確認をしておきたいと思います。

松本国務大臣 御承知のとおり、三月の十一日の大震災の発災以降、一月たたない四月の九日に最初の日・ASEAN外相会合がございました。その時点で、私どもとして、これまでのASEANに対する支援、そして外交の方針というもの、まさに赤松理事がおっしゃったように、変わるのか変わらないのかということに対して一定の答えをしなければ、四月九日、招かれて行くことはできないというふうな思いがございましたので、四月の九日に先立って、まさに関係省庁、そして官邸、総理も含めて御議論をいただいて、対ASEAN外交というものは変わらないということでしっかり取り組んでいきたいということを確認した上で、そう申し上げてまいりました。

 むしろ、四月九日以降は、これまで行ってきた、いわゆるASEANの結束を高めることに、また経済的なつながりを深めることになる連結性支援に加えて、これまでも行ってきたわけでありますが、一層の防災支援の強化ということはむしろつけ加えた部分があるわけでありますが、基本的な外交の姿勢は不変だということをむしろ申し上げられるかというふうに思います。

赤松(正)委員 それで、具体的な問題として、ベトナムとのお話でありますが、ベトナムでの原発建設に我が国の技術を供給する方針に変わりはないのか。この角度の質問はいろいろな場面でなされておりますけれども、改めて、ベトナムに対する原発建設に対する我が国の対応ということについての外務省の方針をまず聞かせていただきたいと思います。

松本国務大臣 ベトナムとの協力については、御案内のとおり、六月にサン・ベトナム共産党書記局常務が訪日をされて、そのときに総理から、日越共同声明に基づいて協力していくということが確認されておるところでございます。

 原子力分野での協力というのについては、より高い水準の原子力安全の実現を目指し、ベトナム側と協議を進めていきたいと思っております。これまでも、原子力協力については、国会内では、政府の関係大臣ないしは総理に対しても、さまざまな御質疑をいただいて、御議論を賜っているところだというふうに私も承知をしており、理解をしております。

 私自身も、そしてこれは政府全体でも、答弁等でも明らかなように、共通の理解であろうと思いますが、ベトナムとの協力というのは外交交渉によって進んできているという経緯があって、これらの外交交渉の現状に留意をしつつ、そして相互の信頼を損なわないように、もちろん安全性にさらに留意をしなければいけないことは言うまでもありませんが、相手国側が期待をされるという部分があるとすれば、我が国の国際的に高い技術力や今回の事故の知見等でこたえていけるように、信頼関係を損なわないことも含めて進めていきたいと考えておりまして、ベトナムについては引き続きの期待をいただいており、また信頼関係をしっかりと維持していく必要があるものと考えておるところでございます。

赤松(正)委員 今言われたようなことは、菅総理大臣の発言録を読むと、なかなか、いろいろな受けとめ方ができる、非常に複雑なことをおっしゃっているんですね。

 今大臣が言われたように、外交交渉という形で進んできている経緯がありまして、この外交交渉の現状を留意しつつ、相互の信頼を損なわないように対応してまいりたい。こういう発言は、文字どおり、今の外務大臣の発言とまさに一致するわけですけれども、一方で総理大臣は、そう言いながらも、要するに、これまでの経緯も含めしっかり議論をしていきたいというふうなことで、国際関係の信頼関係を損なわないと言いつつも、この問題をめぐってまださまざまな角度で議論をしなくちゃいけない、こういうことも同時に言っておるわけですね。

 そこで、ベトナムだけじゃなくて、ヨルダンとの協定、あるいは韓国、ロシア、さまざまな原子力協定がこれから後控えているわけですけれども、要するに、日本政府としてのしっかりとしたメッセージを発信していかなくちゃいけないと思うんですが、その辺が非常に受け身になって、国会で求められて答弁するという格好で今のような発言をされているだけでは極めて弱いと私は思うんです。日本の対外向け原子力発電所に対する、協定に対する取り組み姿勢というものをしっかりとメッセージとして発するべきである、このことについて最後に見解を聞きたいと思います。

松本国務大臣 まさに国会での御議論などを通じて私どもの姿勢というのはお伝えをしておると考えておるところではありますけれども、今委員から御指摘がありましたように、改めていわば整理をして、原子力協力についての考え方を打ち出す。これは、対国民に対して、同時に、協力を求めている国々に対してという趣旨ではなかろうかというふうに思いますが、そういった御指摘があることにはこたえられるようになることが望ましいというふうに私自身も思っておりますので、それに向けて努力をしなければいけないと思っております。

赤松(正)委員 終わります。

小平委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今回の三条約の中で、東南アジア友好協力条約を改正する第三議定書及び千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の修正及び訂正に関する確認書については賛成であります。その上で、国際通貨基金協定、IMFの改正に関して質問いたします。

 まず、先ほど来議論がありますガバナンスの改革についてでありますが、私、ちょっと別の角度から聞きたいんですけれども、今回の協定改正は、これまで出資額上位国に与えられていた無投票選出という特権を排除するという意味においては、私は当然の措置だと考えております。しかし、議決権のシェアについていいますと、依然として出資額の多い先進国が圧倒的に上位を占める。IMFの理事選出はもちろんですが、政策、方針の決定においても先進国は優位となったままとなっております。

 特に私が問題だと思うのは、IMFの議決要件が八五%というふうになっているもとで米国の議決権のシェアが一六・五%、増資後ですけれども、これを占めるということで、引き続きいわば拒否権を持つことになるということであります。

 そこで、松本大臣に伺いますが、今回の協定を改正しても、IMFに対する米国の支配力が維持されるという点においては仕組みは変わらないんじゃないかと思うんです。このことに新興国や途上国から不満の意見、批判が根強くあるのは、これまた当然だと思います。このIMFの議決権におけるこうした問題点について、どのようにお考えでしょうか。大臣に伺いたいと思います。

松本国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、IMFでは、各加盟国がその経済における相対的な地位を反映した出資額などに基づく投票権を行使するということになっており、意思決定をされることになっているところであります。

 この意思決定については、先ほど委員からお話がありましたように、例えば、クオータの変更であるとか、評議会の設置であるとか、選出理事数の増減または維持などについて、特別多数決が必要となる重要事項の中には、投票権ベースで八五%以上の同意が必要とされるというものがありまして、他方で、米国が一五%以上の投票権を持っていることから、一部事項については米国は実質上の拒否権を有しているというふうにされている指摘があることは、今お話があったとおりであります。

 もちろん、出資比率は今回、これも委員よく御理解のとおり、変わったわけでありますけれども、その点について今回のガバナンスの変更があったと言うことはできないというふうに、私も、その意味では御指摘はそのとおりだというふうに思います。

 他方で、協定の改正という意味からすれば、ぜひ前進をした部分というのを見ていただきたい、このように考えておりまして、今回は、IMFが世界経済の安定のために、より効果的にその役割を果たすことが重要であるという視点から、そのための改革の一環として、理事の選出方法の見直し、理事全員を選挙によって選出することを、この点については委員も今御評価をいただいたものと思いますが、主たる目的とした改定であります。

 この改正の発効が要件の一つとなっている増資によって、先進国から新興国、途上国に対して三%程度のクオータシェアが移転する、出資比率が移転をすることになるわけであります。まさに、先ほどからも議論があったわけでありますが、分担と責任、権利と責任というような部分の兼ね合いになってこようかというふうに思います。

 米国においては事実上の拒否権ということについて委員からお話があったわけでありますが、制度として、それだけ大きな負担をして大きな責任もまた果たそうとしている、結果として、それが八五%の、出資比率ということで拒否権という制度になっていることそのものについては、私は、ここで評価をすることは差し控えたいというふうに思います。

 大きな負担をして大きな役割を果たしている、私どももまた、大きな出資をしてそれだけの発言権を有すると同時に責任を果たしたいと思っていますし、新興国についても、今後、御負担をしてもらうと同時に役割もしっかり果たして、責任もしっかり果たしてもらいたい。このことによって、世界全体の安定した経済運営につながるものだというふうに考えているところであります。

笠井委員 役割と責任、中身が問題なわけですが、IMFのガバナンスを改善するには、投票権の基礎となるクオータの配分、今大臣言われましたが、これを見直して、世界経済において比重を高めている新興国の比率を上げる必要がある。

 ガバナンス改革をめぐっては、IMFの中でも、さらにはNGOや民間団体等からもさまざまな改革の提言が行われてまいりました。二〇〇八年の協定改正では、新興国、途上国の投票権及び参加を強化する目的で、総投票数のうち、出資額に関係なく各加盟国に平等に配分される基本票数を増加させる改定を行った。しかし、新興国及び途上国の発言権というのはわずかばかり高まりましたが、引き続き先進国が半数以上の票を占めて、米国を中心とする先進国主導のIMFの意思決定や人事運営を大きく変えるものにならなかった。そういう中で、ガバナンスの改革について抜本的な意見としては、国連の機関に切りかえて、投票権は各国平等にすべきだという意見も出されております。

 そこで、改めて伺いますけれども、日本政府がIMFで議決権を行使する場合に、いかなる判断のもとで行うのか、その基本的スタンスはどのようなものか。また、IMFの改革において、出資比率第二位の日本の果たす役割は大きいと思いますが、日本政府として、ガバナンス改革についてどのような提言、提案を行ってきているのか。その提言、提案はIMF改革の中でどのように実現してきたか、あわせて報告を願いたいと思います。

山花大臣政務官 IMFでは、国際社会の要請に、より的確にこたえることが可能になるように、これまでも、今御指摘がありましたように、その機能やガバナンスなどについての見直しが行われてまいりました。今回の改正に先立って、六度協定の改正が行われてきております。いずれもIMFの機能を強化するというために行われてきておりまして、これまで我が国は、この協定改正を積極的に受諾してきているという経緯がございます。

 また、先ほど御指摘があった、二〇〇八年の話がありましたけれども、今回のIMF改革というのは、二〇〇八年に発生した世界経済金融危機というものを受けまして、IMFがその役割をより効果的に果たすようにすることを目的としたものでございます。

 我が国のスタンスですけれども、これまで、この改革をめぐる議論の中で、IMFの資金基盤の増強ということ、また、先ほど大臣からクオータシェアについて説明がありましたけれども、世界経済における加盟国の相対的な地位の出資比率への適切な反映をするということ、またガバナンスの強化ということについての主張をしてまいりました。今回の改正は、こうした我が国の主張を内容とするものでございまして、一定程度その主張が反映されたものと考えております。

笠井委員 次に、融資におけるコンディショナリティーの問題について伺いたいと思います。

 IMFの融資を受ける際に、IMFから融資条件が設定をされる。IMFは、対外債務を抱えた国への融資条件や加盟国の経済政策への監視を通じて、緊縮政策や税制改悪、あるいは金融自由化、規制撤廃、民営化など、いわば弱肉強食の新自由主義を押しつけてまいりました。

 かつてのアジア経済危機の際のIMFの対応に対する批判を受けて、二〇〇八年十一月の衆議院本会議での当時の麻生首相ですけれども、「IMFは、危機に対応する新興国、中小国に対して積極的かつ柔軟に支援を行っていかなければならないと考えております。」このように答弁をしております。

 IMFが融資する際に、対象国の経済政策や経済システムそのものを変えろということまで迫るような条件をつけることは、その国の自主的あるいは自律的な経済発展を妨げることになり、いわば内政干渉にもつながるのではないか。そういう条件の押しつけをやめて、融資の条件を緩やかにするという点での改革というものはどうしても必要だと思います。

 そこで、大臣に伺いたいんですけれども、IMFのコンディショナリティーについて、支援対象国の自主性を重視すること、融資条件を必要最小限に限定することは、私、当然必要だと思うんですけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。

松本国務大臣 委員もよく御承知のとおり、一九九〇年代末のアジア通貨危機の際に、IMFの被支援国へのコンディショナリティー、いわば融資の条件が、今お話がありましたが、特に構造政策面で過度に広範にわたり、必ずしも支援対象各国の実情を反映していなかった。その結果、アジア諸国等においてはIMF融資に対する抵抗感が生まれたということは、私どもも認識をいたしております。

 実際に、IMFの中でありますが、独立性の高い評価機関の報告書においても、当初のIMFの見通しが楽観的に過ぎ、その結果、プログラムにおける経済政策目標が緊縮的になり過ぎた、インドネシア、韓国に対して当初はIMFが要求した財政緊縮策は必要とは言えなかったなどの指摘も、IMF内部の評価機関からもあったというふうに承知をいたしております。

 そのような反省のもとに、IMF自身、二〇〇二年、コンディショナリティーに関するガイドラインというのを策定しまして、この設定の際には、まさに今お話がありましたように、被支援国の主体性を重視する、その実情に即したものとするなどの指針を示したところであります。我が国としても、アジア危機の際の状況、支援の問題点ということをしっかり踏まえて、こういう取り組みを積極的に推進をしてきたというふうに考えております。

 最近のIMFの視点というのは、このような方針を反映して、構造改革については必要不可欠なものに絞るなど、運用が弾力的に改善されてきているというふうに私どもは見ているところであります。また、今回の世界経済金融危機を受けて、IMFは融資制度の抜本的な改正を行って、コンディショナリティーのさらなる合理化、経済状況が良好な加盟国に対する、引き出しに際しての条件を課すことなく一度に多額の資金支援を可能とする柔軟な融資制度、フレキシブルクレジットラインの創設を決定するなど、不断の改革努力というんでしょうか、取り組みを継続しているというふうに私ども理解をしており、私どもも責任ある立場から、しっかりこれをフォローしていかなければいけないと思っております。

笠井委員 ガイドラインを策定したといっても、短期の緊縮的な財政金融指標を押しつけたり、それから、融資条件の設定目標を削減することはまだ不十分だと言われております。政府は、この間のIMFの改革についてどう評価して、今後、さらなる改革のためにどのような対応をするかが問題だと思います。

 IMFは、一九八〇年代の南米債務危機、九〇年代のアジア通貨危機などにおいて、融資の条件として緊縮財政、社会保障削減、金融自由化、規制緩和などを途上国に押しつけて、融資先の国民生活を深刻にさせた経緯があります。今回の改正では、理事選出方法などの一定の見直しがなされているものの、依然として本質的な問題点に関する改編が見られないということで、我が党は本協定には反対であります。

 さて、残った時間でありますが、私、二〇〇九年六月十九日の当委員会で質問した問題に関連して、その後どうなったかについて若干ただしておきたいと思います。

 私、二年前に、東京の立川基地の騒音問題について、一九八〇年及び八二年に地元自治体と防衛施設庁が取り交わした協定書と事前協議に基づいて、協定書や事前協議の内容が守られているかどうかをただしました。

 東京立川市にある防衛省所管の立川飛行場、周辺には武蔵村山市、東大和市などがあります。この基地では自衛隊、警視庁、消防庁、さらには米軍機が運航をしているという状況ですが、私、まず伺いたいのは、そのうち最も運航数が多い自衛隊機について確認したいんですけれども、この基地を運用する航空機、ヘリの高度規定というのはどのようになっているでしょうか。

井上政府参考人 御質問をいただいたところでございます。

 立川飛行場、これは特に市街地の中にある飛行場であるわけでございまして、私ども、できる限り、住民の方々の生活に影響がないような運用をさせていただいているところでございます。

 今御指摘にありますように、防衛省と立川市、昭和五十五年の十月にまず協定書を締結させていただいておりまして、立川市の行う周辺整備事業等につきまして、予算の範囲内で助成に努める等々の規定を行っておるところでございます。また、昭和五十七年二月に事前協議文書を締結しておりまして、飛行時間帯、離着陸回数、飛行経路、そういうものの取り決めをさせていただいているところでございます。

 飛行の高度でございますけれども、飛行経路によって異なるわけでございますけれども、事前協議によります飛行経路概略によりますと、飛行場の上空におきましては千フィート、それ以外の飛行経路におきましては千五百フィート、千八百フィート等で飛行するというような取り決めをしているところでございます。

笠井委員 長島理事も、地元に住んでいて、とてもうるさいということで今言われていましたけれども、過去五年間の自衛隊機の離着陸の回数を見ますと、二〇〇六年度の八千九百十八回に対して、二〇一〇年度は七千九十一回と年々減少はしてきている。しかし、航空機の騒音苦情というのは、過去五年間の平均が百八十五回と余り減少していないわけですね。二〇〇九年度は二百二十八回で最高となっております。

 こうした地元住民の苦情を受けて、武蔵村山市が、二〇一〇年の十一月十五日から十七日の三日間に航空機飛行経路・飛行高度測定調査というのを実施しております。防衛省に確認しますけれども、武蔵村山市からこの測定結果の報告あるいはこの結果に基づく要望などを受けているでしょうか。

井上政府参考人 立川飛行場、今委員の御指摘のとおり、住民の方々からの苦情が一定程度あることは事実でございます。先ほど御指摘がございましたけれども、二十二年度は合わせて百六十二回、二十一年度は二百二十八回、二十年度は百六十五回ということでございまして、特にこの近辺が高いということではございませんけれども、そういう回数があるということは事実でございます。

 それから、地元自治体との関係であるわけでございますけれども、私ども、当然ながら地元の市町村と密接な連携をとらせていただいているところでございまして……(笠井委員「要するに、武蔵村山から来ているかどうかだけですよ」と呼ぶ)はい。

 毎年、立川飛行場環境対策会議、関係の十二市町村等と連携を図りまして、騒音の状況、それからそれぞれの市町村の要望等をお聞きしているわけでございまして、そういう中で、そういうような御要望も聞いているものというふうに理解をいたしております。

笠井委員 去年調べたことについて、報告ないしは要望が来ているかと聞いているんですよ。それを答えてくださいよ、一言。端的に。

井上政府参考人 今、事前の御質問に、その件の登録がなかったものですので、今の個別の問題について直ちに、具体的なものとしてあったかどうかということについては後ほど調べさせていただきたいというふうに考えております。

笠井委員 この問題を聞くことはわかっていたわけですからね。

 それで私、ここに報告書、武蔵村山から出たものがありますけれども、持っております。調査を実施した三日間で、自衛隊機は三十五回も飛行しているということで、そのうち高度制限、先ほど千五百フィートと言われましたけれども、約四百六十メートルまで上がっているのは三割にすぎない。あとの七割は高度制限以下で飛行しているということで、ここに調査資料がありまして、実際に市が調べたものがあるんですよ。実際に千五百フィート以下というのが、ずっといっぱいあるわけです。

 これまでも住民が再三再四、協定書、事前協議が守られていないということで苦情を出してきたわけですけれども、昨年、市当局がやった調査で見ても、七割近くが協定書や事前協議で取り交わした高度制限を守っていない、こういう実態が改めて証明されたわけで、こうした結果についてはどう見ているんですか。知らないんですか。

井上政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、協定書等があるわけでございまして、基本的にそれを踏まえて運航をしているものというふうに理解をしているところでございます。

 ただ、原則的にそういうようなことであるわけでございますけれども、災害対応、それから緊急時の対応等があった場合に、それとは異なる運航をするということがあることはぜひ御理解を賜りたいというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、私ども、住民の方々の生活環境に十分配慮しながら運航させていただきたいと考えておりますし、協定書で取り交わした内容を踏まえて飛行することが原則であるというふうに考えておりますので、今後ともそういうような配慮をさせていただきたいと考えているものでございます。

笠井委員 緊急事態とか災害対応と言いましたけれども、去年の十一月十五日から十七日は緊急事態もないんですよ。災害対応でもないんですよ。実際、天気だって、十五日はおおむね晴れという状況で、十六日、十七日は曇り後雨でしたけれども、風もそんなに強くないという状況なので、そんな言いわけは通用しないわけですよ。武蔵村山で市当局が調べたら、実際は高度を守っていないというのが七割ですからね。

 二〇〇九年の六月の質問に対して、局長は当時も局長で、同じ答弁をされているわけです。この協定書、事前協議の内容を踏まえて対応していく、ほかの機関とも同じ対応をすべきだということで言っていたけれども、ちっとも変わっていないわけですよ。何をやってきたんですか。全然わかっていないんじゃないですか、実態が。

井上政府参考人 二〇〇九年の六月に御質問いただいたことはまさに事実でございまして、その段階でも私の方から、協定等を踏まえて運航させていただくということについて御説明をさせていただいたところでございます。

 もちろん、もとより、部隊におきましては、協定の内容、それから運用規則があるわけでございまして、飛行騒音の低減方策としてそういうことを踏まえて対応していく。そして、各部隊間におきまして、月に一度等々さまざまな会議を開きまして、その徹底を図っていく。そして、消防、警察もこの飛行場を使用しているわけでございますけれども、そうした機関とも連携をしていく。そして、地元の方々、さまざまな御意見、御要望があるわけでございますので、先ほど申し上げました立川飛行場環境対策会議を開きまして、さまざまな情報交換をさせていただき、その協定書の趣旨を踏まえ、そして住民生活に十分配慮して運航するよう、さまざまな努力を積み重ねてきているというふうに理解をしております。

笠井委員 会議をやったり、いろいろしたりしたって、事態が変わらなきゃしようがないわけですよね。

 今まさに深刻で、一つ、福祉施設がここのところにあるわけですけれども、こういう声が上がっています。ヘリコプターの騒音がひどくて毎日の生活が苦痛です、精神的に参ってしまってノイローゼになりそうです、自衛隊に言っても、伝えておきますばかりで、何の変わりもありません、節電対策で窓をあけるとさらにひどく苦しいですということなんです。

 これは、聞きましたら、ことし六月十六日午前十時台ですけれども、一時間計測すると、この騒音が、十時十二分、十六分、二十一分、三十五分、四十三分二機、四十七分、四十八分、五十四分、五十五分、こんなにやはり集中しているわけですよ。

 今まさに、この地域も御多分に漏れず、三月の東電の福島原発事故を受けて、節電の努力がされています。暑い夏でも、クーラーも可能な限り控えて、自然の風に頼るということで窓をあけているということで、まさに騒音という問題が一層深刻になっているわけです。

 防衛省、昨年の調査結果を本当に深刻にちゃんととらえたのか。改めて実態調査をやって、少なくとも協定書、事前協議の内容がしっかり守られるように直ちに是正する、直ちに、この高度についても。それぐらいはっきり明言すべきだと思うんですけれども、どうですか。

井上政府参考人 先ほど御指摘のあった武蔵村山市の資料につきましては、後ほどしっかりと拝見をさせていただきたいというふうに考えております。

 また、先ほど来申し上げておりますとおり、住民、生活者の方々に十分配慮をいたしまして、最大限の運航上の努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 ただ、一点申し上げさせていただければと思っておりますけれども、この立川駐屯地、確かに市街地の中にあるわけでございますけれども、観測ヘリコプター、多用途ヘリコプターを配備しておりますが、航空偵察、人員、物資の輸送、空中消火を行う等、災害対応等で真っ先に出動をするような部隊であるわけでございます。また、日ごろからの訓練も必要であるということでございまして、そういう中にあって、できる限り周りの生活環境に十分配慮させていただきながら運航に努めたいというふうに考えておりますので、御理解賜りたいと存じます。

笠井委員 災害とかそういう話をやっているわけじゃなくて、訓練のときに自衛隊機が守っていないんですからね、みずからちゃんと約束した事前協議のことを。これはやはりだめですよ、ごまかしちゃ。直ちにこれを改める。これはいろいろなことを言わないで、これをしっかりやります、直ちにそれを是正します、武蔵村山の実態調査も踏まえてやりますと、これははっきり言わなきゃだめですよ、すぱっと。言ってください。

井上政府参考人 武蔵村山市の資料につきましては、部隊ともども情報を共有したいと思っております。その上で、先ほど申し上げましたとおり、住民の皆様方の生活環境に十分配慮しながら、最大限の努力を重ねていきたいというふうに考えております。

笠井委員 終わりますが、米軍機はもっと低い高度でやっていますからね。これは本当はまた外務省に伺いたいと思ったんですが、こういう問題を含めて、住民の生活第一ですから、ここのところを本当にしっかりやらなきゃいけないということを求めて、私は質問を終わります。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 まず、ASEAN友好協力条約に関連して外務大臣にお聞きをしたいと思います。

 ASEANが地域内協力を強固にし、域外との協力関係を深めていく、それに対してEUもコミットメントを強めていくということは、いい方向であるというふうに思います。当然ながら、その枠組みに日本も深くかかわり、寄与していくということが重要であるだろうと思います。

 ただし、グローバルな協力をより実効性あるものにするためにも、まず、地域レベルでどのようにして互恵的な関係を構築できるかということも、また一方で大事だろうというふうに思うわけであります。

 日本がアジア外交をどういうふうにしていくのか、どうもそのビジョンがよく見えません。浮き足立ってと言ったら失礼になるかもしれませんけれども、TPPに飛びつくというのではなくて、アジア外交についてどのようなビジョンを描いておられるのか、それから東アジア共同体構想というのは一体どうなってしまったのか、まず外務大臣にお聞きいたします。

松本国務大臣 まさに、アジア大洋州地域、豊かで安定をしていることが望ましいと思いますし、またその可能性を大いに秘めた地域であるというふうに思っております。

 そういう意味で、日本の平和、安定、繁栄を私どもも目指さなければいけませんし、その中で、アジア大洋州地域の安定そして発展というのが必要だろうというふうに思います。そのためには、開かれた重層的なネットワークが形成をされていることがまさに安定につながり、そして、その安定を基盤として発展、繁栄があるんだというふうに考えておりまして、今回の東南アジア友好協力の枠組みの中のEUの位置づけというのは、もうまさに委員も御指摘になられたとおりであります。

 その中で、今、東アジア共同体構想ということでお話がありました。

 従来から、やはりアジアというのは、政権にかかわらず、我が国にとっての外交の一つの大きな柱であったと理解をしておりますし、その考え方は、私も肯定をされるべきではないかと思っております。

 しかし、先ほどお話をさせていただいたように、そのために必要なのは、開かれたネットワークが重層的に展開をされることではないかと思っておりますが、東アジア共同体構想という言葉そのものは、一時期、特定の国、米国と言った方がいいかもしれませんけれども、加える加えないといったような、排除するしないといったようなところに焦点が当たってしまったという意味で、適切な利用のされ方になっているかどうかということがあったので、その言葉そのものを使うことについては少し慎重な対応をさせていただいたということでありますけれども、基本的に、アジアとしっかり連携をしていくということ、そしてそれが開かれたものでなければならないという考え方は共有をされているというふうに考えております。

服部委員 最近、東アジア共同体という言葉をめっきり聞かなくなりまして、大臣は忘れたんじゃないかなとちょっと心配しておったわけです。

 インドネシアは、原発を棚上げして地熱発電に力を入れております。日本も官民一体で協力する方針というふうに伝えられているわけですが、ほかの東南アジア、東アジア諸国でも、再生可能エネルギーやスマートグリッド推進の機運がむしろ日本以上に高まっているんじゃないかと言われているわけです。

 先日、二十七日、原発の海外輸出の中で、使用済み核燃料のリスクについて議論をさせていただいたわけですけれども、世界的に、エネルギーの需給、あるいは地球温暖化、原発、核問題といったリスクがある中で、日本としても、もう原発輸出から戦略をシフトして、アジアにおける再生可能エネルギーやスマートグリッド推進の先頭に立つべきではないかな、私はこう思うわけですね。

 この分野は市場規模が急速に拡大するというふうに見込まれておりますし、地域経済協力という意味、あるいは日本の経済成長戦略という意味からも、脱原発の経済外交の展開というものもあってもいいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

松本国務大臣 原子力発電についてはさまざま御議論があろうかと思っておりますが、私のこれまでの経験からすると、やはり物事は前向きに取り組んでいくことが大切でありまして、脱官僚とか脱原発とか、何かを否定して前進をするという考え方は、基本的には私は、むしろすべてを前向きにとらえることの方が望ましいというふうに考えて生きているわけでありますけれども。

 今委員のお話がありました再生可能エネルギーについて、アジアにおいて先頭に立って取り組むべきであると。我が国の中においても、再生可能エネルギーについてこれまでも取り組みが行われてきたわけでありますが、もう一度、本気になって取り組むとしたらどこまで行けるのか、そして国際協力の面でも、再生可能エネルギーについて徹底的に、もう一度、どこまで本気で取り組めるのかということを進めなければいけないという御指摘については、全く私どもも同感であります。

 これは既に、こういった分野を拡充することそのものについての方向性については、恐らく国際社会全体で、課題であると同時に、取り組むべきものと認識をされているというふうに思っておりまして、また同時に、我が国にとっても、それぞれの分野においてかなり高く評価をされる技術もかなり蓄積をされているというふうに我々も承知をしていますので、我が国自身にとっても成長機会になるものというふうに思っております。

 私自身も、先般のいわゆるEAS参加国外相会議で、低炭素成長モデルを域内で促進するための協力の推進を目的として、来年の前半に、各国が知見、経験を共有するための国際会議を日本で開催してはどうかということを提案してまいりました。これは各国より歓迎をいただいたところでありまして、ぜひ知見を共有していきつつ、我が国が先頭に立っていくという意気込みで進めてまいりたいと思います。

 また、我が国とASEANとの間でも、昨年の日・ASEAN経済大臣会合、そして東アジア経済大臣会合で、我が国から東アジア・スマートコミュニティー・イニシアチブを提案して、閣僚声明にも盛り込まれているところでありますし、また、アジア各国との二国間の間でも、例えばインドネシアとの間で、従来から円借款などを活用して地熱発電分野における協力を進めてきておりますし、また、ASEAN域内ではありませんけれども、インドとの間で、平成二十一年に総理が訪印をされた機会に、スマートグリッドなどの日本の環境システム技術を生かしたスマートコミュニティーの開発について日印首脳間で合意し、協力をしているところでありまして、これまでも行ってきましたけれども、改めて今後しっかりと取り組むということの御指摘であるとすれば、それはしっかり受けとめてまいりたいと思っております。

服部委員 ありがとうございました。

 エネルギー政策も転換しなければならないと思っておりますし、当然、経済外交をおっしゃるんであれば、その中身も転換していかなければならないというふうに思っております。

 ぼやぼやしていると、もう日本はこの分野で大きく世界から立ちおくれるということにもなりかねないわけで、この再生エネルギーの技術あるいはそれをもとにした経済成長という分野においては、失われた十年ということも言われているわけで、そういう点でよろしくお願いをしたいと思います。

 お手元に、きのうの朝日新聞の記事のコピーを配付させていただきました。残りの時間、この問題を質問させていただきたいわけです。

 ことし一月に沖縄で、米軍の軍属の男性との交通事故で十九歳の青年が亡くなったわけです。那覇地検は、公務中だったとして加害者の米軍属を不起訴にしたわけですが、この事件について沖縄県民の怒りが改めて高くなっております。

 六月二十五日に沖縄で抗議集会も開かれまして、私も参加をしてきたわけですが、この不起訴処分に対して、五月二十七日、那覇の検察審査会、これは不起訴処分を不当として、起訴相当という議決をしております。その理由として、公務認定の裏づけが不十分である、二点目に、アメリカの裁判所あるいはNATOの解釈を踏まえ、軍属に対しては日本で第一次裁判権を行使すべきである、それから三点目に、五年間の運転禁止という米側の処分は軽過ぎる、その上で、日本の裁判所で審理できないというのは非常に不合理であって、日米地位協定の改定を求めるということを検察審査会が判断をしているわけであります。

 法務省にお聞きしますけれども、検察審査会で起訴相当の議決がなされた場合には、この事件を再検討して、三カ月以内に起訴、不起訴の判断をするということになっているわけですけれども、まず、今回の議決を受けて、公務証明書の根拠及び内容について米側に照会はされているんでしょうか。

甲斐政府参考人 那覇地検におきましては、御指摘の事件につきまして、本年三月二十四日に不起訴処分といたしました。今御紹介ありましたように、これに対して、五月二十七日に、検察審査会から起訴相当議決がなされたところでございます。

 那覇地検におきましては、この議決を受けて、直ちに事件を再起いたしまして、現在捜査を行っているところでございます。

 今御紹介ありましたように、この検察審査会の議決におきましては、幾つかの点で指摘を受けております。那覇地検におきましては、当然、こういった検察審査会の議決を踏まえて所要の捜査をするというふうに思っておりますけれども、何分、個別具体的にどういう捜査を行うか、あるいは行っているかということにつきましては、捜査機関の活動内容に関する事柄でございますので、なかなかお答えをいたしにくいところでございます。

 検察当局におきましては、今回の議決で指摘されたところを踏まえて適切に対応するものと考えております。

服部委員 もう前置きはいいですから、公務証明書の根拠及び内容について、妥当なものであるかどうかということについて米側に照会はされているんですか。端的に。

甲斐政府参考人 米側への照会等につきましては、まさに個別の捜査事項でございますので、これをここでつまびらかにするということはいたしかねるわけでございます。

 ただ、当初の処分のときも同じなのでありますけれども、米側から公務証明書が提出された、そういう一事をもって公務であるという認定をするわけではありません。当然、検察当局においては、それについての裏づけ捜査というものを行った上で、公務であるかどうかということの判断をするものというふうに考えております。

服部委員 どうも明快な回答をいただけないんですけれども、この公務証明書が恣意的につくられているんじゃないかという問題が、常に、繰り返し指摘をされるわけです。

 では、今までノーチェックで受け入れているんじゃないかという批判もされてきました。今後、今回の事件を契機に、この公務認定のあり方について見直す、あるいは基準をつくる、そういったお考えはありませんか。

甲斐政府参考人 今申し上げましたように、公務認定につきましては、先生御指摘のように、公務証明書が出されたということで、ノーチェックでそれを受け入れるというようなことはしておりません。もちろん、事件が起きたときの状況でありますとか経緯等をよく捜査した上で判断すべきものでありますので、今後ともそのようにしていくものというふうに思っております。

服部委員 人を殺しておいて五年間の免停だけでは軽いじゃないかという不満、批判が非常に出ているわけですけれども、そもそも米側は軍事裁判を開いて裁判権を行使されたというふうに理解されているのか、あるいは行政処分であるというふうに理解されているのか、どっちなんでしょうか。

甲斐政府参考人 日米地位協定の十七条の第一項におきましては、合衆国の軍当局は、刑事及び懲戒の裁判権を行使する権利を有するとしているところでございます。したがって、軍当局におきましては、刑事処分だけでなくて、懲戒の処分も行うことができるということにされているところでございます。

 個別の処分について、それが条約上のどういうものに当たるかというのはまた個別の事件の話でございますけれども、条約上はそういった刑事裁判だけに限られているわけではないということを申し上げたいと思います。

服部委員 それならば申し上げますけれども、アメリカの最高裁、連邦裁判所あるいはNATOでは、軍属については、平時において、軍法裁判にはかけないというふうになっているわけですけれども、その点についてはどうなんですか。そこを何とかしないといけないんじゃないんですか。

甲斐政府参考人 先生御指摘の点は、まさに今回の検察審査会の議決でも指摘を受けたところでございます。検察当局におきましては、そういった指摘も踏まえて適切に対処するということになろうと思います。

服部委員 適切に対処しているように見えないんですよね。一体何をしとんやということなんですよ。人を殺しておいて免停五年ですよ。こういうことがまかり通っているわけですよ、沖縄では。だから、きょうの質問は、検察はもうちょっとしっかりしてくれということを、私は別に批判しているというか、しっかりしてくれということを言っているわけですけれども。

 外務大臣、今このやりとりを聞かれていて、外務大臣にもぜひ力になっていただきたいわけですよ。まさにアメリカとの交渉の窓口であるわけですから。

 検察審査会の議決に基づいて公訴を提起する場合には、裁判権を日本側で行使するという旨の質問主意書に対する回答が出てきております。「公訴の提起がされた場合には、これについて裁判が行われることになると理解している。」というふうなことなんですけれども、この問題の解決のために、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 服部委員からの御質問でありますけれども、この件に関して申し上げれば、法に基づいて今検察において再捜査が行われているというところだと考えておりまして、それぞれの事案の捜査もしくは法的手続について、私どもとして直接コメントをすることは必ずしも適当でないというふうに考えております。

 その上で、これまでも、大変残念ながら、在日米軍関係者の方にかかわる事件、事故が発生をいたしてまいりました。今回の事案についても、たしか十九歳の方が、成人式を控えた状況だったですかね、帰省をされた際に交通事故に遭われて命を落とされたということで、御家族の痛みはいかばかりかと思いますし、お悔やみを申し上げたいと思っております。

 その意味で、私どもとしては、改めて私自身も沖縄を訪問した際にもしっかりと申し上げてまいりましたが、まず事件、事故の発生そのものに対して徹底的な再発防止をお願いしたい、こう思っておりますし、地位協定の運用については、しっかりと運用すると同時に、これまでも必要な対応というのはとられてきたと思っておりますが、沖縄の皆様の声を受けて、また私どもにできることについてはしっかりと対応して、御理解をいただけるように、前進をさせられることがあればしていきたい、こう考えております。

服部委員 大臣、そういう一般論じゃなくて、今回の事件、例えば裁判権を日本側に移せとか、そういうことを具体的に、例えば日米合同委員会に提起するとか、そういった点についての決意はどうなんですか。

松本国務大臣 先ほど申し上げたように、今まさに検察審査会法にのっとって手続が行われているところだと理解をいたしておりまして、この個別の事案の法的な手続が進められているものについて、私が外務大臣としてコメントをするということは今考えておりません。

服部委員 個別の事案というふうにおっしゃるのもいいんですけれども、これは日米地位協定の改定の問題が絡んでいるわけじゃないですか。絡んでいるんですよ。

 これは三党合意の案なんですけれども、大臣、ちゃんと読まれましたか。三党って何やという話かもしれませんけれども、民主党、国民新党、社民党ですよ。その三党で、二〇〇八年に日米地位協定の改定案というのをつくりました。これ、今どうなっているんですか、外務省として。たなざらしですか。少なくとも提起するということは言ったんでしょう。

松本国務大臣 地位協定の改定に係る三党合意というのが、今まさにお手元にあるものがあるということは承知をしておりますし、私も民主党の一員として、その意味では非常にコミットしているという立場になるのではないかというふうに考えております。

 その前から私自身も、外交、安全保障政策の議論をしていく中で、民主党の中でも地位協定について議論がありましたし、また、もし改定をするとすればということで何度か議論を重ねられてきたことはよく承知をいたしております。また、民主党自身も、マニフェストで、地位協定については改定を提起するということを申し上げてまいりました。

 外務委員会を初めとする委員会での議論でも、残念ながら今までのところ、日米地位協定の改定を米側に申し入れるには至っていないという現状は率直に御報告をさせていただきましたが、私自身もそのマニフェストをいわば掲げた民主党員の一人であるということはしっかり受けとめ続けていって、その責任があるという自覚のもとに、これからの行動についてもまた考えていかなければいけないというふうに思っております。

服部委員 安保安保、日米関係日米関係もいいんですけれども、まず国民の生命と財産をしっかり守ってください。そのことを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小平委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

 ここで速記をとめてください。

    〔速記中止〕

小平委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

小平委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、東南アジアにおける友好協力条約を改正する第三議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千九年六月十五日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、理事会の改革に関する国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時二分散会


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