衆議院

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第16号 平成23年8月10日(水曜日)

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平成二十三年八月十日(水曜日)

    午前八時五十五分開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 大泉ひろこ君 理事 吉良 州司君

   理事 首藤 信彦君 理事 長島 昭久君

   理事 西村智奈美君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 稲津  久君

      浅野 貴博君    磯谷香代子君

      勝又恒一郎君    阪口 直人君

      道休誠一郎君    中津川博郷君

      中野  譲君    中林美恵子君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    伴野  豊君

      山尾志桜里君    山花 郁夫君

      稲田 朋美君    河井 克行君

      河野 太郎君    松野 博一君

      笠井  亮君    服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   外務副大臣        伴野  豊君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   防衛副大臣        小川 勝也君

   法務大臣政務官      黒岩 宇洋君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  高宅  茂君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月四日

 辞任         補欠選任

  赤松 正雄君     稲津  久君

同月十日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     磯谷香代子君

  松野 博一君     稲田 朋美君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     菊田真紀子君

  稲田 朋美君     松野 博一君

同日

 理事赤松正雄君同月四日委員辞任につき、その補欠として稲津久君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

八月九日

 普天間基地の無条件返還を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一九九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一四号)(参議院送付)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に稲津久君を指名いたします。

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長高宅茂君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笠井亮君。

笠井委員 おはようございます。日本共産党の笠井亮です。

 在日米軍が日米地位協定に基づいて日本政府から提供された施設・区域を返還する際の問題について伺いたいと思います。

 まず、松本大臣に確認的に伺いたいんですが、これまで返還されました施設・区域の事例を見ますと、そのための日米協議では、米側が提示してきた、例えば代替施設などの条件をつけたりする場合があるわけですけれども、それらを日本側のだれが実際に実施、履行して費用を負担するかまでは具体的に議論されない、日米間で合意すれば、基本的にはそれは日本政府の責任において返還に必要なことをきちっとやっていく、こういう大きな考え方はそれでよろしいでしょうか。

松本国務大臣 委員がお話しいただいているのは、返還の際というお話でありました。

 御案内のとおり、第四条で、施設・区域の返還に際して、米国は原状回復義務を負わない一方で、我が国は米国がつけた施設・区域への付加価値を補償する義務を負わないということが規定をされていることは、御案内のとおりであります。

 在日米軍施設・区域が日本側に返還される際に、返還を受ける主体は日本政府であるというふうに考えております。

 返還される際に、日本側の費用負担ということでありますけれども、この場合について、例えば建物の移設などが条件とされている場合など、その費用をどのように分担するかということでありますけれども、この分担について、例えば日本政府と地方公共団体などがどう分担するかは、日本側にゆだねられているというふうに理解をしております。

笠井委員 主体は日本政府だということでありますが、今、日本側にゆだねられているという話なんですが、実際には、米側が返還の条件にする代替施設については、返還を要求した地方自治体または跡利用する事業者の負担になっている場合が多いわけですね。

 それで、小川防衛副大臣にお越しいただきましたので伺いたいんですが、具体的な事例についてなんですけれども、沖縄県の浦添市が実施している西海岸開発の埋立事業というのがございます。二〇〇九年一月着工ということでありますけれども、これでは、事業実施に伴って、米軍の牧港の補給地区、キャンプ・キンザーの提供保安水域全面返還を要求したというのがございます。これは、二〇〇五年の六月一日に浦添市が防衛省に対して、沖縄ですけれども、これを求めた。

 これを受けて、ここに、平成二十年、二〇〇八年の七月三十一日付の沖縄防衛局長から浦添市長あての文書がございますが、日米協議でその返還問題を「提案したところ、米側から下記条件を付して返還に同意する旨の回答があったので、貴見を得たく照会します。」とありまして、十八項目もの条件が列記をされております。

 これらをのめば返還が実現するかどうか、そういうふうなものとして出されている。その第一項目めが、「牧港補給地区沖合における西海岸開発事業の事業者はベテランズ・クラブを関連附帯工作物及び改良工事と共に」「牧港補給地区内に、合衆国政府に費用の負担をかけることなく、移設する。新しいクラブ施設の完成後、事業者は合衆国政府に費用の負担をかけることなく、既存施設を解体し植栽を施す。」という条件が冒頭に書かれております。十八項目の冒頭であります。

 そこで、副大臣に伺いたいんですが、ここで言う西海岸開発事業の事業者というのはだれになりますでしょうか。

    〔委員長退席、長島(昭)委員長代理着席〕

小川(勝)副大臣 浦添市が主体となるというふうに承知をいたしております。

笠井委員 浦添市ということで、浦添市土地開発公社ということでありますが、このベテランズクラブというのは、基地内の老朽化した退役軍人用の会員制クラブでありますけれども、この件については政府答弁書が出ております。

 それを見ますと、日米地位協定二条に規定する施設ではなく、米国の財産ということでありますけれども、現在、この会員の退役軍人というのは何人いて、どれぐらいの頻度でこのベテランズクラブが使われてきたというふうに承知していますか。

小川(勝)副大臣 先生から御指摘がございました質問主意書でもお尋ねがございましたけれども、会員数や入会資格及び利用状況並びに利用資格を得ている日本人の存在等は把握しておりません。

笠井委員 そうしますと、そういうことも確かめないで、要するに、返還するための条件の十八項目の一つに、これは浦添市が負担してつくれ、跡も片づけろというふうに米側が言ったのを、防衛省は、どんな施設でどういう使い方をしているか、それが必要かどうかという判断もなしに、アメリカ側が条件として求めたから、それをのんで、浦添市に照会して、これを含めた十八項目をのんだら返還が実現しますよということを言っただけなんですか。なぜそういうときに、一体、その施設というのは、条件だけれども、どんなもので、どういうことで使われてきたということも確かめなかったんでしょうか。

小川(勝)副大臣 お答えをいたします。

 米軍施設あるいは米軍に関する情報の中で、日本国として、防衛省として、どこまで知り得るかという話は別途あろうかと思いますけれども、今先生からも解説がございましたように、浦添市が返還を求める、アメリカ側から返還の条件が提示され、それを浦添市に提示をいたしました。浦添市はその条件をのむという形で今回この運びになったわけでございますので、浦添市がその了解をしたというふうに防衛省としては考えておるところでございます。

笠井委員 十八項目をやれということを、一刻も早く返してほしいといったときに、のまざるを得なかったと浦添市は言っているんですよ。

 日米合意でやって、基本的には日本政府と米国政府の間で返還問題を議論しているわけですから、それを結局、全部浦添市のせいにして、あんた方、返してほしかったらのみなさい、アメリカは言っていますよという話では、政府の役割は果たせないんじゃないか、独立国の政府ですから。私はその辺を感じます。とんでもないと私は思う。

 実際、関係者によりますと、会員は数人で、月二回程度しか使っていないということが言われているわけですよ。

 この「関連附帯工作物及び改良工事と共に」「牧港補給地区内に、合衆国政府に費用の負担をかけることなく、移設する。新しいクラブ施設の完成後、事業者は合衆国政府に費用の負担をかけることなく、既存施設を解体し植栽を施す。」という先ほどの条件ですけれども、この条件を満たすということで、事業者の浦添市側の負担は合わせてどれぐらいになったんですかね。

小川(勝)副大臣 自治体の負担額については、承知をいたしておりません。

笠井委員 だから、もう自治体の判断で自治体が後は払ってくれ、国は知らないという話になってしまうんじゃないですかね、これ。ちょっと私、この基地問題、立場は全然違いますけれども、少なくとも六千七百万円とか七千万円という額が負担になっているわけですよ。浦添市は言っています。

 では、これはいつ完成するということになりますか。

小川(勝)副大臣 通告もいただいておりませんでしたので、ただいまお答えする能力を持ち合わせておりません。

    〔長島(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

笠井委員 結局、日本政府がアメリカと交渉して合意するという条件の中に入っている問題について、浦添市に照会して、浦添市がそれを、ではわかりました、しようがないからやりましょうと言った、そういう経過になっているのは一つ先ほどありましたけれども、しかし、そのことについて、ではどうなったのかということについても承知しないというのが防衛省の立場ですか。

小川(勝)副大臣 今までにもこの例に類似する例がたくさんございましたけれども、金額やその後の詳細について防衛省が知り得る立場になかったというのは、先生のお調べのとおりでございます。

笠井委員 それはおかしいと思いますね。やはり基地の返還というのは、最初に、冒頭大臣が言われたように、政府間の問題で、基本的には主体は政府ですから、照会をした結果どうなったか、どう進んでいるか、幾らかかってどうなっているか、これぐらいはつかむのは当たり前じゃないでしょうか。

 大臣、そこはいかがですか。

松本国務大臣 もちろん、私ども政府としても、浦添市から御相談をいただく機会があれば、政府としてはしっかり対応してまいりたい、このように思っておりますが、今現在、防衛省としても必要な対応はしていただいているもの、このように理解をいたしております。

笠井委員 これは外交ということでやっているのに、政府の役割を果たしていないと言わざるを得ません。

 そもそも、ベテランズクラブは返還用地には含まれていないんです。引き続き残る施設・区域内にあるけれども、それを、返還するところに近いからということで、テロ対策などがあるので米側が移転を要求してきたという経過でありますけれども、しかも、日米地位協定二条に規定される施設ではなくて、米国の財産、これは政府も認めている。ほとんど使われてこなかった老朽化したベテランズクラブを、今度は、こういうことをきっかけにして日本側が真新しくして、新たな施設として提供することになる。それをなぜ事業者の浦添市の側が負担しなければならないのか。

 自治体や事業者に負担させる法的根拠というのはあるんですか。

小川(勝)副大臣 一般論で申し上げますと、公共事業等を施行する場合、当該事業の起業者がその負担を行うことになるというふうに考えております。この場合は、公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱などがその基準になろうかと思っております。

 今回のお申し越しの件については、浦添市側が道路を通すために土地の返還を求めた、すなわち、事業の起業者が浦添市に当たるということから負担の理由が発生したものと承知をいたしております。

笠井委員 要するに、公共事業一般と同じだと。それは、ここをやりたいと言った事業者の側の問題で、要するに、原因者負担の原則だという話ですね。

 しかし、もともとは、日米政府によって、民有地を強制的に接収されたのが基地であります。歴史的な経緯からいったら、銃剣とブルドーザーで強奪された土地だってあるというのはもう言われてきたところです。一般の公共事業と同じような原因者負担の原則、理屈を返還米軍施設にまで適用するというのは、私は到底納得できないし、沖縄県民だって一体何だと。だって、自分たちの土地だったのを勝手に持っていったものを、自分たちがちゃんと使いたいと言ったときに、それはあんた方が使いたいんだったら負担しなさいと。こんな話があるかということになるわけですよ。県民、市民の基地負担の軽減、生活向上のために一部施設・区域の返還を要求したら、要求した側が負担しなければならない。返してもらいたければ金を出せというのは余りに理不尽じゃないかと思うんです。

 副大臣、立場はわかりますけれども、政治家としてこのことをどう思われますか。まして、防衛省は、必要性のない代替施設、それを確認してもいない。要るかどうかさえ問われるわけですから、そんな条件というのは、本来は日本政府の責任で、米側が要求してきたけれどもお断りしますと。経過からしたって、必要性からしたって、なぜそれを政府が橋渡しして、照会して、自治体に、返してもらいたきゃ負担しなさいなんということを言わなきゃいけないんだ、もう恥ずかしくて日本政府は言えませんから、お断りしますと言うのが筋じゃないですか。

小川(勝)副大臣 委員から御指摘がございましたように、沖縄県特有の歴史的いきさつもございます。たくさんの土地が返還されることを望む一人でもございますし、沖縄県や地元の負担が、できれば少ない方がいいと政治家として思っております。これからもたくさんの返還事例がどんどん出てくることを望んでおりますし、またそうしたいというふうに思っております。

 しかしながら、一般的な返還と、自治体等が条件をつける、あるいは望んでというところで、負担の公平性あるいは整合性をとるということも行政の中では必要なことかと考えておるところでございます。

 今回、お申し越しの点、感情的な点はいろいろわかるわけでありますけれども、まさに先ほど御答弁申し上げましたとおり、浦添市側が希望、要望して起業者になる整備事業、そしてまた日本国政府も間に入りまして、米軍等との調整が進み、浦添市も納得した形で負担をいただいておるということでございますので、答弁はそこまでになろうかというふうに思います。

笠井委員 今伺っていて、副大臣、政治家として苦しいなと思いながらおっしゃっているなという思いが私はしましたけれども。

 要は、これからも、自治体が言った場合には、それは公共事業と同じ理屈で負担してもらいますよという話なんですよ。実際おっしゃっていることはすごく冷たい話なんですね。

 浦添市の側も、結局、この条件を提示されて、防衛省から照会されて、平成二十年、二〇〇八年八月四日に防衛局長あてに回答を出しています。「返還条件の全てを受諾する旨回答します。 つきましては、早期返還に向けた諸手続きを進めて」くださいと言っているわけですよ。市の側ははっきり言っていますよ、日米合同委員会で決まった条件と言われれば、市の発展に必要な計画なので移設をのまざるを得なかったと。こういう思いなんですね。

 このように、米軍施設の土地返還に伴って、返還地にあった施設の代替施設について、あるいはその近傍について、地方自治体が負担した事例というのは、ほかにも沖縄県を初め全国に幾つもあります。

 副大臣に伺いますが、最近十年間でこうした事例はどれだけあるか。施設数と自治体数、主な移設物件を報告してください。

小川(勝)副大臣 金額あるいは数値は正確な数字を報告できるかどうかわかりませんけれども、手元に情報があります例といたしましては、千葉県の木更津飛行場の境界さく、倉庫等の移設、東京都多摩サービス補助施設の境界さく、門、倉庫等の移設、神奈川県綾瀬市厚木海軍飛行場の境界さく等の移設、同相模原市相模原住宅地区の境界さく、門等の移設、長崎県赤崎貯油施設の境界さく、門、倉庫等の移設、沖縄県金武町ブルー・ビーチ訓練場の進入路の移設、キャンプ・コートニーのボイラー室、燃料タンク等の移設、嘉手納弾薬庫地区及び嘉手納飛行場の家族住宅、保安さく等の移設、キャンプ瑞慶覧の泡瀬クラブハウス等の移設など数例が報告をされているところでございます。

笠井委員 今報告がありました移設物件の内容を見ますと、家族住宅や倉庫、ユーティリティー施設など、思いやり予算で建設された施設も含まれています。もともと政府が建設した施設を、今度は返還を要求している原因者の負担でリニューアルしてあげる。大臣、こういう理屈が通ると思いますか。(松本国務大臣「申しわけありません」と呼ぶ)

 今、物件の報告がありましたけれども、家族住宅とか倉庫、ユーティリティー施設など、思いやり予算で建設された施設も含まれているわけですが、もともと政府が建設した施設を、今度は返還を要求している原因者の負担でリニューアルしてあげるという理屈が通ると思われますかと聞いたんです。

松本国務大臣 大変申しわけありませんでした。ありがとうございます。

 返還については、今、小川副大臣からもお話をさせていただいたように、それぞれ返還を求める経緯であるとか背景であるとか事情がある中で、返還に必要な条件、その適切性などは総合的に判断をされる中で決定されるもの、このように理解をいたしております。

 先ほど冒頭でも申し上げましたように、その点から考えて、だれがどのように費用負担をするのが適切なのかということは、もし日本側が負担せざるを得ないということになった場合に、日本国全体の税金で負担するのが適切なのか、当該自治体の税金で負担するのが適切なのか、また、日本国として負担をすべきでないという中で、返還に必要な緊急性であるとか交渉の経緯などを踏まえて判断をされるものというふうに考えております。

笠井委員 答えをされていないわけですけれども、米軍基地の一部を返還させるために、跡利用する関係者が費用負担しなければならない、こんなことになれば、資金の都合のつかない自治体などは、返還を要求したくたってちゅうちょするということになります。金がないから、言ったら結局持たされると。

 では、大臣に伺いますけれども、地位協定四条一項、先ほど冒頭にお話がありましたが、合衆国は、日本に施設・区域を返還するに当たって原状回復または補償の義務を負わないことになっている。第二項では、返還の際に、当該施設・区域に加えられている改良または残されている建物、工作物について合衆国に補償する義務を負わないことになっている。その上で、第三項では、日米両政府の特別取り決めに基づいて行う建設には一項、二項は適用しないというふうにあります。

 この三項の規定で言う特別取り決めに基づいて行う建設というのは、具体的にどのような場合ですか。また、これまでにそのような事例はありますか。

松本国務大臣 今委員お話しになったとおり、四条の一項、二項のいわば別の規定として三項があるわけでありますけれども、このような特別取り決めが結ばれた例はないというふうに承知をいたしております。

笠井委員 例えばどんな場合を想定してこういうふうにこれがあるんですか、第三項というのは。

松本国務大臣 具体的な例がない中でありますので、現在、一概にどういう場合を想定してということをお答えすることはできないかというふうに思います。

 効果については先ほど委員が御指摘になったとおりでありますので、その効果に該当すべきことを考えて例が発生をするかどうかということだと思いますが、これも両者の間での取り決めということになろうかというふうに思います。

笠井委員 この地位協定の四条では、要するに、返還に伴って日米双方に補償義務はないと。三項の規定に基づく事例もないということでありますが、そう言いながら、実際には、既存施設の移転を含めた条件をアメリカが要求してきている。こういうことが許されるのか。これを地位協定上どのように説明するんでしょうか。

松本国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、個々の返還については、関係者の方々の意向であるとか返還の持つ意義であるとかいうことを総合的に考えて、日本側は日本側の中で議論をし、日米間で議論をしたその交渉の結果として返還が成立をしているというふうに理解いたしております。

笠井委員 基地を置いたり返還するのは地位協定に基づいてやるわけですが、地位協定上の説明が今ないんですね。

 私は、三項でなければ二項で、二項には、日本国が補償する義務を負わないというふうに書いてありますけれども、これは日本国ですから、国はないけれども、では自治体に負わせることができるという話になっているんじゃないか、そういうふうな理解も成り立つんじゃないかと思わざるを得ません。

 沖縄県民は、基地あるがゆえに、社会上、生活上のさまざまな苦難を強いられてきています。その基地を少しでも縮小、返還させて基地負担の軽減を図って、社会の発展、住民生活の向上のために役立てる、これは沖縄県や基地を抱える自治体の役割だし責務だということで仕事をされていると思うんです。大臣も、答弁されるたびに、口を開いたら、沖縄の負担軽減、基地の整理縮小ということを言われます。総理も言われます。しかし、沖縄の自治体が、基地の負担軽減のためにということで基地の施設・区域の返還を要求したら、米側から代替施設の建設などたくさんの条件を突きつけられて、それを政府は、自治体に照会と称して負担をのませる。

 その結果、最近の沖縄県議会で明らかになりましたが、平成八年、一九九六年、それから平成十六年、二〇〇四年の二件の返還に伴うだけでも、沖縄県自身が八億一千四百万円も負担するということになっています。

 住民の立場に立って自治体が負担軽減を求めたら、それは原因者負担だということで新たな財政負担を強いられる、こんな本末転倒はないんじゃないでしょうか。

 大臣、どうお考えになりますか。負担軽減、沖縄のためといつも言われます。しかし、それで、負担軽減ということで自治体の側が求めたら、それに伴うアメリカの条件をつけてきて、それは自治体が負担する。こんな仕組みは本末転倒だと思いませんか。

松本国務大臣 先ほどの例もそうでありますけれども、具体的に自治体の側が御負担をいただいているケースというのは、自治体の側の事業に伴う用地の確保などが背景にあるケースがあるというふうに理解をいたしております。もちろん、それぞれの自治体の側は、その事業の実施によって確保することができる利益とそれに伴ってかかる費用というものを総合的に勘案をした結果、御判断をいただいているものだというふうに理解をいたしておりまして、原因者負担という言葉をそのまま利用するのが適切なのか、ある程度は、事業を行う以上、利益があるとすれば、受益者として総合的に判断をした中の負担の一部であると解することが適当であるのかということも含めて、判断をされるものではないかというふうに考えております。

笠井委員 終わりますけれども、自治体が事業を行うというのは、住民にとって必要だからやるわけですよね。住民にとって必要なものをやるときに、基地の存在が邪魔になっている、障害になっているから返還を求めるわけですよ。そういう中で、求めたら、結局、負担させられる。負担軽減、基地の整理縮小と言うならば、それに伴う財政負担も含めて、主体は国だと冒頭大臣言われたんだから、徹頭徹尾国の責任でやるべきだ、このことを強く求めて、きちっと考え直してもらいたいと求めて、質問を終わりたいと思います。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 前回、七月二十九日の本委員会で、米軍属による交通事故で十九歳の青年の命が奪われた件を取り上げました。関連して、米軍属に対する裁判権の帰属先と日米地位協定の問題について質問をしたいんですけれども、その前に、八日の予算委員会で、人の命を奪っておいて免停五年という米側の処分に対して、菅総理にお尋ねをいたしましたところ、菅総理は、少なくとも日本の中の常識的な感覚からすると五年間の免許停止というのは余りにも処罰としては弱い、御家族には大変申しわけないというふうに菅総理は答弁されたわけですけれども、松本大臣自身は、この処分についてどう思われますか。

松本国務大臣 さまざまな例があって、我が国においても、交通事故であれば交通事故の過失について、どのように責任をとらされるかというのは個別の例があろうかというふうに思っております。人の命の重たさということについて、私もそのことは重大に受けとめているところでありますけれども、個別の処分の軽重についての感想を申し上げる立場にはないと思いますので、その点については申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。

服部委員 どうも大臣、もうちょっと本音でぜひしゃべっていただきたいんですけれども。

 地位協定では、軍属が公務中に犯した罪について、米側に第一次裁判権があるというふうにされております。しかし、一九六〇年のガリアルド裁判など、累次にわたるアメリカ連邦最高裁判決を通じて、軍属を初め文民に対する米軍法会議の管轄権は否定をされています。つまり、平時においては、公務中であると否とにかかわらず、軍属に米軍の裁判権は及ばないというのが米国における司法判断であるわけですけれども、この司法判断に対する外務省の見解はいかがでしょうか。米軍属に対する裁判権の帰属先を、どう認識されておるでしょうか。

松本国務大臣 今御指摘の判決に限らず、私どもとしても、必要な法的な整理というのは行っていかなければいけないというふうに思っておりますが、今回の今御指摘の件については、まさに服部先生よく御存じのとおり、過日の那覇検察審査会の議決において展開された議論そのものでありますので、現在これについて私どもからコメントをするということは、申しわけないながら、すべきではないというふうに考えておりますので、御容赦いただきたいと思います。

服部委員 これは個別の問題について聞いているわけじゃなくて、日米地位協定の解釈上の問題、アメリカの判決との関連についてお聞きしているわけですので、もう一回御答弁をお願いします。

松本国務大臣 問いはそのような御趣旨であろうかというふうに思いますが、まさに今進行中の案件での理論の展開そのものでありますので、コメントをすべきではないというふうに申し上げさせていただいたというふうに御理解をいただきたいと思います。

服部委員 どうもおもしろくないですね。

 前回委員会で法務省からも答弁がありましたけれども、日米地位協定第十七条第一項においては、合衆国の軍当局は刑事及び懲戒の裁判権を行使する権利を有するとされているわけですけれども、先ほど申し上げましたように、アメリカの最高裁判決では、米軍は軍属に対して裁判権を行使できないとしているわけですね。外務省は、これらの判決の解釈として、この判断には懲戒は含まれるのか、要するに懲戒の裁判権も行使できないというふうに認識されているのかどうか、お尋ねいたします。

松本国務大臣 申しわけありませんけれども、お答えは同じになってしまいますので、御容赦いただきたいと思います。

服部委員 外務省が出している日米地位協定に関する取り扱いの文書があるわけですけれども、これについては外務省はこういう認識を持っているわけですよ。

 合衆国の軍法に服する者の範囲について、米側の公式の立場と合同委員会合意の内容との間に差異があるまま放置しておくのは好ましくないので、本件合同委員会合意にはなるべく早い機会に必要な修正を行うべきであると考えられると。要するに、アメリカの判決と日米合同委員会との判断には違いがある、これは外務省としても早い時期に必要な修正を行うべきであるという認識を示しているわけです。これは御存じでしょうか。

松本国務大臣 冒頭で、地位協定について必要な法的整理は常に行われなければいけないというふうに申し上げたのはそのような趣旨でありますが、当該まさに今進行中の案件となっておりますので、ここで個別に立ち入ってコメントをするのは、大変申しわけないけれども、御容赦いただきたいというふうに申し上げたところであります。

服部委員 それでは大臣、必要な修正はやはりその都度行わなければならないという答弁でよろしいですね。そういう修正は必要に応じてやるということですね、今の答弁は。

松本国務大臣 必要なことはやらなければいけない、こう思います。

服部委員 今までそういったこと、地位協定の改定も含めて必要なことはいっぱいあって、それをやられてきたとは、ちょっとなかなかにわかに信じがたいところはあるんですけれども、大臣がそうおっしゃるのであれば、ぜひとも必要なところの改定をよろしくお願いいたします。

 この米軍属の裁判権の行使、アメリカでは、平常時では軍法会議にはかけないということになっておるわけですね。明らかに地位協定上とのそごがある、このことはぜひ御認識をいただきたいというふうに思います。

 長崎、広島の問題ですけれども、オバマ政権が昨年七月以来、三回の臨界前核実験を行いました。これは核なき世界を訴えるオバマ大統領の姿勢と矛盾をし、核兵器の維持を図るものであって、認めるわけにはいきません。

 きょうお手元にも配付をさせていただいておりますけれども、広島の平和宣言、長崎の平和宣言でも、臨界前核実験を批判して、核保有国に対して核兵器廃絶のための行動を求めております。日本政府は、何でアメリカに抗議しなかったんですか。

松本国務大臣 御指摘の未臨界核実験というのは、御承知のとおり、核爆発を伴わないものでありまして、既に保有をしている核兵器の有効性を確保することを目的としたものだというふうに理解をいたしております。

 この実験に使用された技術は、新しい核兵器の開発を目指したものではないというふうに承知をいたしております。また、CTBTにおいて禁止される核爆発を伴わないものであるというふうにも理解をいたしているところ、現在、申し入れを行うことは考えていないということでございます。

服部委員 外務大臣、外務大臣は日本の外務大臣なんですから、言葉は悪いですけれども、アメリカに気を使うことなく、長崎とか広島の被爆者の声、その立場に立って発言してくださいよ。もう一度お願いします。

松本国務大臣 核兵器のない世界の実現を目指すということについては、私どもも同じ立場であります。また、核兵器が一日たりとも存続することは認めがたいという被爆者の方々のお気持ちというものは、私どもに刺さってくるものもあるわけでありますけれども、現在、外交、安全保障を所管する立場からは、現下の国際情勢、現在、世界に残念ながらいまだに核兵器が多数存在をするという現実をもとに踏まえて、それぞれ行動、言動については判断をいたしているところでございます。

服部委員 菅総理は六日の広島平和記念式典の終了後の記者会見で、核抑止力そのものがなくなるような世界を目指すのが我が国の方針だというふうにおっしゃいました。大臣もこの認識を共有されていますか。

松本国務大臣 私は決して総理と認識を異にしているわけではなく、核兵器のない世界というのは核抑止力のない世界と同義ではないかというふうに考えております。

 先ほど申し上げたのは、他方で、今現在は、現実に存在をするという現実にも目を向けなければいけないと。私自身も、政治というのは、率直に申し上げて、やはり夢というか理想を持たなければいけないというふうに思いますが、他方で、現実に目を向けなければこれまた政治ではない、このように思っているところでございます。

服部委員 この長崎、広島の問題を見ても、本当に戦争によって多くの民間人が亡くなる。もとは軍隊と軍隊が戦争をしていたかもしれませんけれども、結果としては民間人が多く亡くなっているわけです。

 イラク戦争でも多くの民間人が亡くなっているわけですけれども、このイラク戦争の検証の問題、開戦の理由であった大量破壊兵器が存在しなかったことであるとか、あるいは関係各国でも開戦に至るプロセスの検証というものが始まっております。米軍もアフガニスタンから撤退しようとしているわけですけれども、松本大臣は、イラク戦争の検証ということは政府としてするべきだというふうな認識に立っておられるでしょうか。

松本国務大臣 イラク戦争の検証については、承知をする限り、岡田大臣が必要であると考え、また前原大臣も必要であるとのもとにお進めをいただいていたというふうに理解をいたしておりまして、私もその立場を引き継ぐものでありますが、私が就任して二日後に震災が発災をしたこともあって、現在のところは、これは課題であるということで私自身が今認識をしている状況でございます。

服部委員 ありがとうございました。

 大臣としても、このイラク戦争の検証は必要である、そういう認識だということですね。そういうことでいいわけですね。では、ぜひどこかの時点でよろしくお願いします。

 次に、空襲の問題なんですけれども、日本でも大変な数の空襲被害者が出ております。空襲の被害者、遺族の皆さんが補償を求めて訴訟を提起されておりますし、また補償の立法を求める動きもございます。国策の結果として勃発した戦争において、何ら責任のない市民が、米軍による大量虐殺行為とも言えると思うんですけれども、大空襲の犠牲になり、あるいは深い傷を負い、あるいは遺児として苦しい生活を強いられてきているわけです。皆さんたちは、全然自分たちが補償されない、何で自分たちが差別されなければならないのかということを悶々として問いながら、年とった体にむち打ちながら頑張っておられるわけです。

 この未解決の戦後補償問題である空襲被害者の補償の問題、これについて厚生労働省としては今どういう考えでおられるでしょうか。

大塚副大臣 厚生労働省としてどういう考え方であるかという御下問でございますので、まずそれをお答えさせていただきます。

 一般戦災者の皆さんに対する特別な対応というものは、現実には行われておりません。そして、今、米軍の軍属のお話がずっと出ておりましたけれども、日本の戦傷病者戦没者遺族等援護法においても、国と雇用または雇用類似の関係にあった軍人軍属、準軍属の公務等による障害や死亡について、使用者の立場から補償しているものであります。したがいまして、一般戦災者の皆様方に対しては、一般の医療等の施策の中で対応させていただいているわけでございます。

 そうした中で、今先生御下問のように、実際に被害を受けた方々から訴訟も提起されておりますけれども、厚生労働省の立場としては、これは省という立場で判断できるものではありませんので、政府全体で、広く国民的な合意を要する問題と考えているということでございます。

 ただ、ちょっと付言をさせていただきますと、私の地元は名古屋でございますが、民間戦傷者という言い方をしておりますけれども、民間戦傷者の皆さんに対する補償を求める活動を、もう九十を超えて実際にやっておられる方々に我々は日々接しておりますので、この問題に対する数十年間の政府のあり方が本当にこれでいいのかということについては、私も個人的に思うところが若干ございます。

服部委員 ありがとうございます。

 厚生労働省の建前としてはそういうことだけれども、これはやはり政治がそういった国民の苦しみに対してこたえていかなければならない、そういう問題だと思いますので、今付言で言及されたことを大変私も深く受けとめたいと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 そこで、外務大臣、この空襲の問題は日本だけじゃなくて、日本軍による重慶大爆撃というのもあるわけですね。これは余り知られておりませんけれども、一九三八年の二月から一九四三年の八月の五カ年にわたって二百十八回に及ぶ爆撃が行われて、直接的な死者だけで一万二千名が犠牲になっております。二〇〇六年以来、被害者と遺族が謝罪と補償を求めて提訴しており、四次提訴の原告は百八十八人に上るわけです。

 本当に、戦争によって多くの民間人が死ぬ、それはもう中国の被害者でも日本の被害者でもイラクでも、ある意味同じなんですけれども、この重慶の空襲被害者に対して、どういうふうに大臣としては思われているのか。そしてまた、解決に向けて尽力をしようというお気持ちはございませんでしょうか。

松本国務大臣 先ほど、被爆者の方のお話もありましたし、空襲のお話もありました。私自身も、東京大空襲のお話を聞いたのが、恐らく、戦争による民間人の被害の話を聞く一番最初の機会だったのではないかというふうに思いますが、衝撃を受けたことをよく覚えておりますし、また、こういったことはしっかりと多くの人が共有をしなければいけないという思いで、私自身も家族で広島の平和記念資料館を見に行ったこともあります。

 そのような意味で、先ほど大塚副大臣からもありましたけれども、どういう形で行うことが望ましいのかということは、さまざまな御議論があろうかというふうには思います。ただ、今、重慶のということでお話をいただいたことで申し上げれば、まさに委員がおっしゃったように、既に司法の判断にゆだねるステージに上がっている段階であります。もちろん、私どもも司法の判断も踏まえながら、これまでも司法の判断に対して、もしくは何らかの司法判断が出た際に必要な政治判断というのが行われてきたことは承知をいたしているところでありますが、司法の判断も踏まえながら、法治国家の行政府を預かる者としては対応せざるを得ないというふうに思っております。

 なお、重慶というお話で念のため申し上げれば、日中間の請求権の問題というのは、一九七二年の日中共同声明発出後、請求権の問題は存在していないというのが私どもの理解であるということは外務大臣として申し上げたいと思います。

服部委員 もう質問を終わりますけれども、きょうは、菅総理の菅談話のちょうど一年目になるんです。外務省としても、その菅談話の実現のために努力するということもおっしゃっているわけで、もう戦後六十六年になります。いつまでもこういう戦後補償の議論をしなければならないということ自身が非常に残念だという思いもありますので、ぜひ、外務省におかれましては、その点を踏まえて全力で、また今後の対応をよろしくお願いをしておきます。

 以上で終わります。

小平委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時十六分開議

小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。稲田朋美君。

稲田委員 おはようございます。自由民主党の稲田朋美です。

 まず、先日、私たちが鬱陵島を視察するために韓国を訪問し、入国を拒否されたわけでありますけれども、その際、在韓国日本大使館の皆さん方には大変丁寧かつ懇切に対応をいただき、助力をいただきましたことに深く感謝をし、この場をおかりいたしましてお礼を申し上げたいと思います。

 ただ、大臣、結果といたしまして入国を拒否されたわけであります。もちろん、主権国でありますから、どのような人を入国させるか、それは主権国家としての自由でありますけれども、友好国の国会議員が正当な目的で視察をしようという場合に入国を拒否される、これは世界に見ても前代未聞のことだと思います。また、その理由が、韓国の入国管理法のうちの十一条一項三号の規定、大韓民国の利益や公共の安全を害する行動をするおそれがあるということで、私たちがまさにテロリストのような危険人物であるという理由で入国を拒否されたわけですけれども、そのことについて大臣の御意見をお伺いいたします。

松本国務大臣 本件につきましては、東京において、私からもシンガクス在京の韓国大使に対して抗議をしたことは御案内のとおりだろうと思っておりますが、改めて私どもの立場を申し上げれば、今委員もお話しになられましたが、視察目的で、そして通常の適正な手続を経て行うことを目的とした訪韓が受け入れられなかった、拒否をされたという今回の韓国側の措置は、日韓間の友好協力関係にかんがみて極めて遺憾であるというのが私どもの立場であります。

 また、その措置の根拠となる法の適用については、今委員がお話しになったような法が適用されるというふうに、私どもも今の段階では仄聞をしていると申し上げた方がいいのかもしれませんが、改めて私どもとしては、どのような根拠に基づいてどのような解釈であるかということを照会を申し上げ、ぜひ回答をということで求め続けているところでありますが、今に至って正式な回答をいただいているという状況ではありません。

 なお、念のため申し上げれば、当該条項において、ちょっと今手元に正確な条項がありませんが、解釈をどのようにされているかは私どももわかりませんが、私どもは、我が国の国会議員が直接そのような行動をされるとは思っておりませんし、そのことは韓国側も理解をされておるというふうに思っております。

稲田委員 今の大臣の御答弁でも、この出入国管理法の十一条一項三号の危険人物に当たる条項には該当しないものと認識をしていただいているということで、現在、大使を通じて韓国政府に問い合わせをいたしております。

 きょうは法務省にも来ていただいておりますが、同じたてつけの条文があり、これは過去一回しか使ったことがないということでございましたけれども、間違いないでしょうか。

黒岩大臣政務官 これは、今現在法務省として認識しているところでは一回しか使われていない、そう承知しております。

稲田委員 法務省の説明では、最後の最後に使う条文であって、みだりに使う条項ではないということのようでございます。

 また、韓国にも日本にも、出入国の管理法の中に相互主義のような条文がありまして、法律で列挙されている以外の事由で入国を拒否した場合、その国の人が反対に日本に入国する場合には同じ理由で拒否ができるという規定があるということでございますが、その点も間違いないでしょうか。

黒岩大臣政務官 委員御指摘のような条文は、入管法の第五条二項にそういった条項が含まれております。

稲田委員 ということは、今、政府から韓国の政府に対して、入国の拒否の事由について問い合わせをいただいておりますが、それが法律に列挙されているもの以外の、例えば、竹島が日本の領土であるという認識でもって入国することとか、そういう理由で拒否された場合には、対抗手段として、この相互主義の規定を使って入国を拒否する場合もあり得ると思いますが、その点、外務大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 入国管理法の解釈、運用をする立場にはないことは、委員御承知のとおりであります。

 現段階では、私どもとしては、今、韓国側に照会をいたしておりますので、また、これをたびたび求めておりますが、ぜひ回答をいただいた上で判断させていただきたい、それを見た上でどのように解するべきかということを考えたい、このように思っております。

稲田委員 もちろん、これは入国管理法の解釈の問題でもございますが、ここに至っては外交問題にもなっておりますので、外務大臣、もう一度お伺いをいたしますが、韓国側が入国を拒否した理由が法律に列挙してある事由以外の拒否の理由の場合は、相互主義でもって、同じ理由で韓国から入国する人を拒否するということも対抗手段として考えていただけますでしょうか。

松本国務大臣 少なくとも、現段階で、韓国側が法に基づかない措置をとったというふうに説明をしているという背景もありませんので、予断を持ってお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

稲田委員 ただ、冒頭、大臣も、私たちが韓国の中でそのような危険な行動をとる人たちだとは認識をしていないということをおっしゃったわけですから、韓国側が提示をいたしております条項に当たらないと大臣も認識をいただいていることだと思います。また、それについて今、政府から回答を求めておりますので、その結果いかんにおいては対抗手段もぜひ検討いただきたいと思います。

 さて大臣、竹島はどこの国の領有でしょうか。

松本国務大臣 我が国固有の領土であるというふうに申し上げております。

 なお、先ほどの件で念のため申し上げれば、私は、もちろん我が国の国会議員が危険人物であるとは考えておりませんけれども、韓国側が韓国側の入国管理法をどのように解釈するかについては回答を待ちたいということを申し上げたことを、念のため申し添えたいと思います。

稲田委員 もちろん、そのとおりです。ただ、私が今申し上げております相互主義の規定は、我が国にある入国管理法の規定でございますから、これは、外務大臣として、適用して対抗手段を講じるということは我が国の法の解釈としてできるということも申し添えさせていただきます。

 では大臣、竹島は、韓国が現在、事実上支配をいたしておりますが、これは不法占拠ですか。

松本国務大臣 法的根拠なく支配をされているというふうに申し上げております。

稲田委員 法的根拠がなく占拠しているということを不法占拠というんですけれども、不法占拠ということで間違いないでしょうか。

松本国務大臣 外務省の立場の法的評価を何ら変えたことはありませんが、御答弁で申し上げる言葉は、その時々に応じて適切な表現ということで、ただいまは、法的根拠なく支配をされているというふうに申し上げているところでございます。

稲田委員 かつて自民党政権下で、麻生大臣が平成十九年六月七日の参議院外交防衛委員会において、「竹島が韓国によって占拠をされているという状況につきましては、これは国際法上何ら根拠がないままにその状態が続いているという、いわゆる不法占拠ということになろうと思っております。」と答弁をしております。

 ただいま大臣は、そのときそのときで表現を適切なものを使うとおっしゃいましたが、現時点で不法占拠という言葉を使うことは適切ではないんですか。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、法的評価を変えたわけではないということは、これまでも申し上げたとおりであります。不適切ということではなくて、そのとき最も適切だと思われる表現をとっているというふうな趣旨で申し上げさせていただきました。

稲田委員 なぜ、韓国が竹島を不法占拠していると端的におっしゃらないんでしょうか。ぜひおっしゃっていただきたいと思います。もしおっしゃれないのであれば、言えない理由をお願いいたします。

松本国務大臣 長い時間をとるのも恐縮だと思いますが、このように申し上げるのが最も適切だと総合的に判断をいたして、そのように申し上げているということでございます。

稲田委員 今、竹島の問題が領土問題であるということも世界に向けて認識をされているときであります。そして大臣も、この竹島の領有問題について、解決に前向きだという発言もされているわけですから、こういったときだからこそ、韓国が不法占拠をしている、我が国固有の領土である竹島を韓国が不法占拠しているということを端的におっしゃるべきときだと思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 竹島が領土問題である、そして、この問題は我が国としてぜひ解決されなければいけない問題であるということについては、今の御指摘であるとすれば、認識を共有いたしているというふうに思いますが、そのことも含めて、判断として、繰り返したような表現を使わせていただいているということでございます。

稲田委員 そういう大臣の態度は、まさしくこの問題に対する姿勢につながると私は思います。

 私も今回、韓国で入国を拒否され、そして、窓から韓国の方々が抗議をされて、私たちの写真を掲げてデモをされているのも実際に見ましたし、韓国の報道の沸騰ぶりや、その抗議ぶりも目の当たりにしたわけですけれども、だからこそ、言うべきことはきちんと、大声を出すのではなくて、静かに我が国の立場を相手方に主張するということが重要であり、今のような大臣の、奥歯に物が挟まったような、うにゃうにゃ言っているようでは、この問題、とても前向きに解決できません。私は、そのことを申し上げたいと思います。

 さて大臣、きょうの報道では、この竹島問題を国際司法裁判所に付託することを政府として検討しているという報道があったんですけれども、その点はいかがでしょうか。

松本国務大臣 さまざまな報道が出ておりまして、報道一つ一つに、その正否なり適否を論評すべきかどうかということは、率直に申し上げて、迷うところがあるわけでありますけれども、この問題についてICJに提訴をするということを考えているのかどうか、こういう御質問であるというふうに考えますれば、御承知のとおり、過去に、口上書をもって、また外相会談において、既に四十年近く経過をいたしておりますけれども、提起をしたということの経緯があることは御案内のとおりであります。

 私としては、この竹島の問題をぜひとも解決するために、韓国側とどのような交渉を行うのか、話し合いを行うのか、あらゆる手だてを考えなければいけないということを申し上げてまいりましたが、ICJへの提訴を含めて、それぞれの手段について、今、行うかどうかということを私がここで回答することは差し控えさせていただきたいと思います。

稲田委員 またあいまいな答弁ですね。私は、これを国際司法裁判所に付託するということを、ぜひ考えていただきたいと思います。

 今まで、いつ、何回、国際司法裁判所に提訴をしたのか。また、国際司法裁判所において領土問題が解決されたという事案、ケースがどれほどあるのかについてお伺いをいたします。

松本国務大臣 提訴をされたというのは、我が国とかいうことではなくて……(稲田委員「我が国が提訴した」と呼ぶ)

 この竹島の件に関しては、一九五四年に口上書をもって、提訴をする旨韓国側に対して申し入れたというんでしょうか、そして六二年には、たしか当時、小坂外務大臣であったかと思いますけれども、ちょっと済みません、手元に正確なあれがありませんが、たしか六二年に日韓外相会談で提起をしたというふうに承知をしておりますが、委員よく御承知のとおり、両当事者がICJへの付託に合意をしなければICJの管轄権は設定をされませんので、韓国側に対して提起をしたというのがその二回だというふうに理解をいたしております。

 なお、ICJが出した領有権に関する最近の主な判例ということで申し上げると、何件かありますが、例えば一九九四年二月三日の判決では、リビアとチャドの間でありますけれども、判決が出ておりまして、リビアが問題となった地区をチャドに返還いたしておるところでございます。また、二〇〇二年にはカメルーンとナイジェリア間の境界画定事件、同じ年にはインドネシアとマレーシアの主権に関する事件などがあります。占拠した側が敗訴をした件もあれば、占拠をしている側が勝訴をした件もあるというふうに承知をしており、一概に、今、全体を、個別の例を見ずに何らかのことは申し上げがたいところはあろうかというふうに思います。

稲田委員 領土問題を解決したことがあるというふうな御答弁だと今認識をいたしましたので、ぜひ国際司法裁判所への付託を考えていただきたいと思います。

 さて大臣、七月に日韓外相会談をなさいました。また、それまでも、大臣になられてから韓国方の外相と会談をされているわけですけれども、韓国は、このところ、ヘリポートの建築ですとか住民の宿舎拡張工事、それから海洋科学基地の建設計画、防波堤事業など、矢継ぎ早に事実上の支配を強めておりますけれども、このことについて、韓国の外相に対してどのように抗議をされたのか。また、この竹島の問題について、会談の中で、どのように韓国の外相に対して申し入れをされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

松本国務大臣 竹島に対して何らかの事業を行うとか、建築、構築物を建てるなどを含めた韓国政府の一連の措置は、我が国の固有の領土である竹島に対するこのような一連の措置は、我が国政府として受け入れられないということを申し入れてきております。また、一連の措置、計画の中止を求めてきているところでございます。

稲田委員 大臣、確認をいたしますけれども、韓国の外相会談の中で、竹島が我が国固有の領土であり、今韓国が事実上いろいろな建築物を建てていることについて抗議をし、それを中止するように、外相に対して大臣みずから会談の中で本当に申し入れられておりますか。

松本国務大臣 すべて正確に申し上げなければいけないと思います。

 今、手元には七月二十三日の日韓の外相会談の簡単な記録がありますけれども、その際には、竹島に係る一連の措置は我が国政府として受け入れられず抗議する、一連の計画の中止を求めるというふうに申し入れているというふうに記録にも残っているところであるというふうに承知しております。

稲田委員 なぜ私がそういうことをお伺いするかというと、この場の大臣の弱腰とも見えるような、日本国内の国会の委員会の答弁の中で、韓国が不法占拠しているということすら言えない大臣が、本当に外相会談の中で韓国の外相に対して、我が国の立場、固有の領土であり、韓国が不法占拠していて事実上支配している、この計画を中止するように厳重に抗議するということを明確な言葉で述べられたかどうか、非常に疑問だからお伺いをいたしております。

 もう一度、記憶をもとに、どのように申し入れられたか、お伺いをいたします。

松本国務大臣 個別の表現については、外交上のやりとりということで表現を差し控えさせていただいていますが、先ほど申し上げたように、一連の措置は受け入れられないということ、一連の計画の中止を求めたことは先ほど御答弁を申し上げたとおりで、私も国会議員として責任を持って答弁を申し上げさせていただいておるところでございます。

稲田委員 では端的にお伺いをいたします。

 外相会談の中で、竹島は歴史上も国際法上も我が国固有の領土であるということを明確に述べられましたか。

松本国務大臣 竹島についての私どもの立場は、我が国の固有の領土であるということでありまして、私どもが私どもの立場を申し上げたということは、そのように申し上げたということでございます。

稲田委員 いや、明確に答えてください。竹島は我が国固有の領土であるということを外相会談の中で明確におっしゃいましたか。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、外相会談などを対外的に発表するときに、私どもは、我が国の立場を松本から申し上げた、外相会談で話したということを記載させていただきますが、そのように申し上げるということは、我が国の立場、すなわち我が国固有の領土であるということを申し上げたということを意味するというふうにお話をさせていただきました。

稲田委員 大臣、意味するじゃなくて、こんな簡単なことですよ。竹島は我が国固有の領土であると明確に韓国の外務大臣に言われましたかという、この簡単な問いについてお答えください。そういう意味のとかじゃなくて。

松本国務大臣 外交の責任をお預かりする者として、基本的には、外交の文書は、種、性格によりますけれども、三十年後に公開をさせていただいております。

 その意味で、私自身は、個別のどのような言葉を使ったかというのは基本的に申し上げないことにいたしておりますが、あえて委員のお尋ねでありましたので、対外的に我が国の立場を申し上げたということは、そのようなふうに申し上げたということを、御報告を今ここでしているというふうに御理解をいただきたいと思います。

稲田委員 そのようなふうにとか、そのような意味にとかじゃなくて、これは重要なことなんです。私は、我が党の政権下も、この問題を先送りしたという面もあると思っております。端的に竹島は我が国固有の領土であるということを、外務大臣が真っ正面からまず韓国の外務大臣に言うということからこの問題を解決していかなきゃいけないと思うので聞いているわけです。

 竹島は我が国固有の領土である、そして韓国が法的な根拠なく不法占拠している、だから厳重に抗議するという、その端的な言葉を言われたかどうか。ここは重要なので、もう一度答弁をお願いいたします。

松本国務大臣 我が国の立場を申し上げ、中止を求める、もしくは受け入れられないということを申し入れたというふうに対外的に発表させていただいていると思います。我が国の立場を申し上げたということは、我が国固有の領土であるということを申し上げたという意味であるというふうに申し上げたんです。

稲田委員 だから、そういうこともこの場でおっしゃればいいんですよ、本当におっしゃったのであれば。韓国の外務大臣に対し、竹島は歴史上も国際法上も我が国固有の領土である、この言葉をきちんと言うことがこの問題解決の一歩だと私は思いますので、大臣、今明確には答弁をなさいませんでしたけれども、この点はぜひお願いをいたしたい。そして、日本の国会の委員会の中で、韓国が不法占拠している、これを言うことができない。そのような姿勢で、この問題は解決はいたしません。

 政務官に来ていただいていますのでお伺いをいたしますが、ことしの五月に、韓国の国会議員が日本の許可を得ずに北方領土を訪問いたしました。また、韓国の女性家族大臣を初め複数の大臣が、日本の許可を得ずに竹島を訪問いたしております。これは日本の出入国管理法に違反すると思いますが、いかがでしょうか。

黒岩大臣政務官 まず、委員の御質問に一般論としてお答えしますと、外国人が上陸の許可等を受けずに本邦に上陸する目的で我が国の領域に立ち入ることは不法入国になり、そして、入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸することは不法上陸になります。

 ただ、これらは、上陸に関する入管法上の手続をとることができることを前提として、上陸の許可等を受けないことを問題とするものであり、今、残念ながら、北方領土及び竹島におきましては、そうした手続をとることができない地域であることを考えますと、その前提を欠くものと考えておるところであります。

稲田委員 これまたあいまいな答弁ですけれども、実際に処罰できるかどうかとか、罪を問えるかどうかということではなくて、不法入国であることには間違いがない、その点について確認をいたします。

小平委員長 稲田君、質問時間が終わりましたので。

 黒岩政務官、簡潔に答弁。

黒岩大臣政務官 今私が申し上げました入管法を考えるときに、その入管法の前提条件を欠いている状態だということでございます。

稲田委員 それは不法入国ということなんです。

 もう質疑時間が終わりましたけれども、本当の意味での友好というのは、やはり言うべきことはきちんと主張して、相手国の立場も聞くということだと思いますので、今回の私たちの行動が、そういう本当の意味での友好を築く一歩になれば幸いだと思います。

 また機会がありましたら質問させていただきます。ありがとうございます。

小平委員長 次に、河野太郎君。

河野委員 自由民主党の河野太郎でございます。

 まず、経産省の副大臣にお出かけをいただいておりますので、お伺いをしたいと思います。

 我が国は、これまで、使用済み核燃料をイギリス、フランスへ持っていって、イギリス、フランスで再処理をしてもらっております。そのイギリス、フランスの再処理工場で再処理をして取り出したプルトニウムの相当量は、まだイギリス、フランスに置いてあるわけでございます。

 このプルトニウムをイギリス、フランスに保管しておいてもらうために幾らコストがかかっているか、まずお尋ねをしたいと思います。

松下副大臣 おっしゃるとおり、イギリスとフランスにプルトニウムを置いてございます。

 日本の電気事業者がイギリスとフランスの再処理事業者に保管を委託しているプルトニウムの倉庫代、貯蔵代とも言っておりますけれども、これは、当該再処理事業者等の他の取引に影響を与えることが大きいということで、両者の契約において守秘義務の対象となっているということでございまして、公表できないということで、私どもも承知していないわけでございます。

河野委員 このプルトニウムの貯蔵代、倉庫代は電力の総括原価の中に含まれておりませんか。

松下副大臣 総括原価方式をとっているから倉庫代を把握しておかなくてよいのかということでございますけれども、プルトニウムを保管するための倉庫代については、再処理に必要なコストである場合には料金原価に含めて差し支えないというふうに考えています。

 ただし、平成十二年度以降に、電力料金の値下げ時には届け出制となっておりまして、料金原価の内容まで審査しておりません。値上げのときには審査するわけですけれども。そういうわけで、倉庫代については把握をしていないということでございます。

河野委員 そうすると、本来もっと値下げすべきなのに値下げされていないということに経産省は気づかないんじゃありませんか。

松下副大臣 電気料金は、企業等への大口電力需要家への価格と、それから一般家庭用の、これは規制部門の電気料金でございますけれども、これはワットが五十キロワットと非常に低いんですけれども、その二つが分かれておりまして、その部門の、大企業家、大事業家といいますか大口需要家への供給に要した費用と、それから規制部門の、小口の一般家庭用の需要家への供給に要した料金、これは区分しておりますので、大口需要家へのいろいろな値引きに関連するものが一般家庭用の需要家の原価に上乗せされるということはないわけでございまして、この辺は区分されているというふうに聞いております。

河野委員 お答えをいただいたのは、まだこれから質問をする質問の答えでございます。私が今伺いましたのは、もし、プルトニウムの倉庫代、貯蔵代を政府が把握していないならば、本来、電力会社はもっと電気代を下げなければいけないのに、それをそこまで下げないということがあっても気づかないということになるのではないですか。それは、政治家として、副大臣、プルトニウムの貯蔵代を政府が把握している必要があると思いませんか。

松下副大臣 大変微妙なところだ、そう思っています。

 電力事業者と外国の相手方との契約のやはり細部にわたるもの、いろいろな競争の中でやっていることでございましょうから、私どもは、そこまで深く入ることについては、守秘義務をやはりきちっと守るべきだなというふうには考えています。

河野委員 それは、相手方とはそれでいいですけれども、それでは、国内の消費者、それぞれ電気を買っている家庭と電力会社の関係はどうなるんですか。副大臣、そこはどうでもいいと思っていらっしゃるんですか。我々は、総括原価の上に利潤を乗せたものを、いや応なしに払えと言われているんです。総括原価の中身がわからなかったら、その総括原価は適正なものかどうか、だれもチェックしていないという話になるじゃありませんか。それはそれでいいんですか。

松下副大臣 先ほども申しましたけれども、電気料金の値下げのときには届け出制になっている、値上げのときには審査するという、その届け出制の中に、総括原価方式ということで、原価そして一定の利潤も含み、管理費も含んだ、そういう中で出てきておりまして、それは届け出として受けているというふうに聞いております。

河野委員 いや、だから、私が言っているのは、本来、百円下げるべきところを五十円しか下げていなくても、経産省は、その中身がわからなかったら、五十円で、はい、どうぞということになってしまうじゃないですか。本来、百円下げなきゃいけないんだったら百円下げるように中をチェックすべきじゃないですか。

松下副大臣 現在の法制度のもとで、届け出制ということでございますので、その中は審理しない。届け出を受けて、そして値下げのときにはそれで動いていくというふうに聞いておりますので、それに従ってやっているということでございます。

河野委員 いや、それは、市場がちゃんと競争のもとにあるなら、それでいいかもしれませんよ。だけれども、東京電力は地域独占でやっているわけじゃないですか。地域独占の中で、原価に適正利潤を足したものを消費者に払ってくださいというルール決めがあって、適正なコストかどうかをだれもチェックしていなかったら、電力会社、もうけ放題もうけられるじゃないですか。原価が下がっているにもかかわらず、料金がそこまで下がらなかったら、電力会社、もうけ放題もうけるじゃないですか。政治家として、それでいいと思っているんですか。

松下副大臣 議論すべき余地はあると思っています。ただ、現在の制度の中で、届け出制ということで、それを受けているという事実もございまして、これは政治家として、自分の考え方はこれでいいかどうかということは、自分の考えを持っていますけれども、一定の制度のもとで、現在それを実行しているということだと考えています。

河野委員 いや、だから、政治家としていいと思っているんですかと聞いているんです。

松下副大臣 現在の制度は制度として我々は実行しますけれども、将来、いろいろな過程の中で議論する余地はあると考えています。

河野委員 御自分の任期中にやるつもりは、どうもなさそうですね。

 イギリスはそろそろMOX燃料の工場を閉鎖するというふうに聞いておりますが、事実でしょうか。事実だとすると、いつごろ閉鎖する予定でしょうか。

松下副大臣 セラフィールドのMOX工場、SMPと言っていますけれども、その所有者である英国原子力廃止措置機構というのがございます。これはNDAと略称していますけれども、我が国の電気事業者に対しまして、八月一日に、このMOX工場、SMPの閉鎖方針について通知があったということでございまして、今後、閉鎖に向けた手続が行われるというふうに聞いております。

河野委員 いつごろ閉鎖される予定なんですかと聞いているんです。

松下副大臣 その日程については、まだ承知をしておりません。今後、閉鎖に向けた手続が行われるということで、いずれ近いうちに決まるんだろうと思っています。

河野委員 そうすると、我が国はMOX燃料をどこから買うようになるんでしょうか。

松下副大臣 現在、フランス、そしてイギリスもそうですけれども、フランスからも、そこにプルトニウムを保管してありますけれども、そこから購入することになるというふうに考えています。

河野委員 イギリスの倉庫に預かってもらっているプルトニウムは、どうなるんでしょうか。それをフランスに持っていって、フランスでMOX燃料にしてもらうんでしょうか。それとも、イギリスからはプルトニウムがそのまま戻ってくることになるんでしょうか。

松下副大臣 電気事業連合会からは、電気事業者がイギリスで保管しているプルトニウムの取り扱いにつきましては、同国のプルトニウム利用政策の動向を踏まえつつ、同国で議論されている新たなMOX燃料加工工場でのMOX燃料加工も視野に入れながら、今後、日英双方の関係者間で協議を進めていくというふうに聞いております。新しいMOX燃料工場でのMOX燃料加工も検討されているというふうにも聞いておりますので、その辺を見ながら日英双方で協議を進めていくということになるわけでございます。

河野委員 プルトニウムというのは、核兵器の材料にもなる物質でございます。これを電力会社が一事業者として向こうと交渉しますというのは、少しおかしくないですか。これは、日本政府がきちんとイギリス政府と交渉すべきものではありませんか。

松下副大臣 国策として進めている原子力政策ですから、いろいろな形で関与することはあると考えています。ただ、実際のいろいろな、プルトニウムの購入あるいは加工、賃加工のことですけれども、それについては、事業者間でしっかりと話し合っていただくということがいいと私は考えています。

河野委員 それは政府として、少し、核物質の保管に関していいかげん過ぎませんか。

 では、電気事業者が、プルトニウムを高く買ってくれるところがあったからといって、そこへ売りました、気がついたら、それはアルカイダの下部組織でした、そういうことが起こり得ないとも限らないじゃないですか。

 プルトニウムの保管あるいは利用に関しては、やはり政府がきちんと前面に出て、その指導のもとで電力会社がプルトニウムを動かすべきではないんでしょうか。そこは電気事業者のやることですといって政府が手を引くというのは、おかしくありませんか。

松下副大臣 MOX燃料の大事な原料ともなるプルトニウム、燃料棒ですから、それがウランとプルトニウムに分離されて、それで加工されてくるわけですけれども、その問題については、これはやはり政府が、国と国との間できっちりとした考え方で保管されるべきだというふうには思っています。実際は、事業者同士が相手としっかりと守秘義務を守りながら、しっかりと保管していくというふうであると聞いております。

河野委員 副大臣、政府がやるべきだとおっしゃっていながら、守秘義務がかかっているから、どこにあるかわかりません、幾ら払っているかもわかりません、政府はノーコントロールですというのが現状じゃないですか。その現状はおかしいと思いませんか。

松下副大臣 国が関与して、全く知らないということではないと考えています。

 セキュリティーもございますので、日本の場合を考えても、どこにどういう形で保管されているかは公表しておりません。どこにあるかということの見当はつくとしても、きちっとしたセキュリティーの問題もございますので、そこは十分判断した上で対応している。しかし、国がしっかりと関与しているということは間違いないことでございます。

河野委員 それならば、国が前面に入って、イギリス政府を入れた上で、一体全体プルトニウムの保管に幾ら費用がかかるのかを含め、国が関与しなければおかしいじゃないですか。

松下副大臣 十分検討する余地はあると思っていますけれども、長い原子力政策の中でMOX燃料の賃加工についてはそういう対応をしてきたということでございますから、これは一緒に議論しましょう。

 以上でございます。

河野委員 これは早急に改めるべきものだと思います。

 時間がありませんから、次の質問に行きます。

 七月、八月に、電力会社は消費者に対して電力使用を少し節約してくださいというお願いをしております。政府の方は節約令などを出しておりますが、電力会社と大口の消費者、大口の事業者の間には各種の需給調整契約が結ばれております。この需給調整契約が、何回、どれだけの電力量、何日間発動されたか、電力会社ごとに御報告いただきたいと思います。

松下副大臣 随時調整契約と申しておりますけれども、電力需給が逼迫したときに、一つは、事前通告して電気を切る、もう一つは、通告して直ちに電気を切る、こういう契約をしているわけでございますけれども、これにつきましては、管内の需要家との契約を結んでおりますけれども、ことしの七月、八月に発動した実績はございません。

河野委員 驚きですね。需給調整契約というのは、いざというときに、事前通告をして、あるいは通告と同時に電力の供給を抑制する、だから、ふだんは安い電気代でお売りしますよ、そういうことになっているわけですね。家庭を初め、この契約を結んでいないところは高い値段を払っているんです。それはなぜかというと、きちんと供給義務にのっとって電力を供給するからということになっています。

 安い電気代でずっと電気を買って、なぜ安いかというと、いざというときにそこを切りますよという条件があるから、ふだん安い電気代を払っている。しかし、七月、八月、東北電力なんかは九八%ですというような状況になってもまだ発動がされないというのは、そういう契約を結んだ事業者は、ぼろもうけになるじゃありませんか。それは、いざというときに抑制をするから安い値段で買うんですよという契約があるにもかかわらず、それを無視して、正規料金で買っている家庭を含め節約してくださいと言うのはおかしいと思いませんか。

松下副大臣 確かに、いろいろな見方は、議論はあると思います。

 この随時調整契約というのは、これはおっしゃったとおり、電力需給の逼迫、これが確実に見込まれる場合に限って、大口需要家等の需要抑制を図るために実施するものだということでございます。現在、各電力会社の管内では、電力会社間の相互融通もしております。それから、節電等の取り組みを徹底して行っております。

 基本的には、供給予備率、これは、分母は最大需要、分子が供給力ですけれども、この供給予備率を一定程度確保しているということでございまして、随時調整契約を発動するような状況に至っていないということでございまして、今、この随時の、供給予備率を一定程度というのが、最低限必要とされるのは三%程度ということでございますので、そこを維持しているということでございます。

河野委員 東北電力は三%を切っていますよね、九八%の使用量だと。当然、発動の対象になるんじゃありませんか。

松下副大臣 東京電力からの追加的な融通を行っているということで、三%を超える供給予備率を十分確保できるものというふうに判断しているわけでございまして、随時調整契約を発動しなかったというふうに東北電力からは聞いておるところでございます。

河野委員 そうすると、この需給調整契約というのは一体全体何なんですか。ふだん安い電気代を払っていて、節約するときは正規料金を払っている家庭まで含め、みんなで一斉に節約してくださいというんだったら、この契約、結んだ者勝ちじゃないですか。副大臣、おかしいと思いませんか。

松下副大臣 需給が本当に逼迫してきてどうにもならないというような状況のときに、この問題が発動されることであると聞いておりまして、やはりそういう状況を起こさないようにそれぞれの融通をしていく、あるいは需要と供給の関係で、需要の節約を徹底して行っていくということの努力も一方では大事だというふうに考えています。

河野委員 きょう副大臣は随時契約のみの話をされましたが、夏の間、つまり一番電力需給が逼迫する夏の間だけの契約もあります。それ以外のさまざまな契約があります。どれも発動されていない、そう考えてよろしゅうございますか。

横尾政府参考人 随時調整契約の中に計画調整契約というのがございまして、これはあらかじめ休日なりにシフトをする契約でございますが、これはもう織り込み済みでございます。

河野委員 それでは、どの契約がどれぐらい発動されたのかを一覧表にして、電力ごとにこの委員会に提出をしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

松下副大臣 事務方に指示して、作成させます。

河野委員 ありがとうございます。

 副大臣、どうもありがとうございました。結構でございます。

 伴野副大臣にお伺いをしたいと思います。

 いよいよ沖縄にオスプレーの導入が始まると思いますが、オスプレーの安全率がどのように推移しているのか、教えていただきたいと思います。また、その安全率は、現在海兵隊の使っているヘリコプターと比較して安全性はどうなんでしょうか。

伴野副大臣 河野委員にお答えいたします。

 安全率といいますか、事故率というのがございまして、事故率というのは、委員御案内かと思いますが、十万飛行時間当たりの死亡事故または損害額二百万ドル超えの事故の件数というのがございまして、過去十年間の数字を見てみますと、MV22オスプレーは一・二八であるのに対しまして、CH46は一・四六、海兵隊航空機平均は二・五六であると承知をしております。

河野委員 そのMV22というのは、オスプレーの海兵隊仕様のものでしょうか。

伴野副大臣 そのように承知しております。

河野委員 オスプレーには海兵隊仕様以外の仕様もあると思いますが、すべての事故率を合計すると、どのような数字になるんでしょうか。

伴野副大臣 現時点におきましては、アメリカからは、今そのような情報には接しておりません。

河野委員 それでは、その情報をアメリカから入手していただきたいと思います。それは当然、沖縄にオスプレーの導入が始まる前にそういう数字を入手して、きちっと公開をするのが条件になると思いますが、副大臣、よろしゅうございますか。

伴野副大臣 河野委員にお答えいたします。

 当委員会で河野委員からそういうお話もあり、私としても、そういった情報について、アメリカの方から情報提供をお願いしたいかと思っております。

河野委員 ありがとうございます。

 以前、松本大臣から、米軍の兵隊さんが日本国内で公務中に飲酒運転をした場合は公務扱いにはしない、そういうことでやっているという話がございましたが、それは明確なルール変更をされたでしょうか。それとも、それは運用でそうやっているということだけなんでしょうか。

伴野副大臣 河野委員にお答えいたします。

 もう既に委員は御案内かと思いますが、その案件は、一九五六年の公務の範囲に関する日米合同委員会合意におきまして、飲酒した上での通勤は原則として公務に含まれないとしつつも、例外として、出席を要求されている公の催し物等で飲酒した上での通勤は公務として取り扱われ得る余地を残した内容となっているという点について、今どうなっているかという御指摘だと思いますが、現実には、飲酒運転をして通勤した場合、公の催し物等で飲酒があったときを含め、公務として取り扱った事例は全く存在していないということにつきまして、アメリカから確認をしております。したがって、当該合意のさきに述べた部分について、事実上死文化している状況にあると承知をしております。

 そして、現在、本件日米合同委員会合意の当該部分を見直すための協議を、日米合同委員会刑事裁判管轄権分科委員会において行っているところでございまして、早期に結果が出せるよう、引き続き努力していきたいと考えております。

河野委員 死文化しているものならば、きちっと正しいルールに文言を直すべきだと思いますので、そこは引き続き外務省に御尽力をいただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

小平委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして順次質問させていただきますけれども、特に、北方領土の問題を初め外交上の諸課題についてということで順次させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、北方領土の問題のことでございますけれども、先般、八月三日、衆議院の沖縄北方特別委員会におきまして、参考人の皆さんにお越しになっていただいて、意見の表明、また質疑ということで行われました。この八月三日の特別委員会に参考人として出席をされました北海道の根室市長、長谷川市長さんから、実は大変大事な視点の意思表明がありました。

 既に報道等では承知かと思うんですけれども、簡潔に申し上げますと、戦後六十六年たっても、今なお北方領土の返還の道筋が見えない。特に、ロシアが北方領土の問題を認めた、いわゆる一九九三年の東京宣言、あれから既にもう十八年間たっている。その間、解決の糸口すら見えない中で、この北方領土の返還運動に携わった方々は、大変な御苦労と大変つらい思いをしてきている。そのいわば先頭に立っているのが根室の市長さんである。

 そのことを市長はおっしゃられた上で、この間、日ロの首脳会談が幾つか開催されましたけれども、例えば、大変有名な、双方受け入れ可能な解決策を見出すとか、あるいは新たな独創的なアプローチをとるとか、こういうようないわゆる決意表明みたいなものは順次出てきたんですけれども、しかし、一向に具体性がないということで市長は大変な失望を表明したということも言えると思います。

 その長谷川市長の失望の要因は何なのかということを考えていったときに、私は、日本政府が北方領土の問題の解決のために具体的な提案をロシアにしてきたのかどうか、このことが挙げられると思う。このことについては、市長さんも、具体的な提案をロシア側にしたのかどうか、これをしていないがためにこういう状況になっているのではないか、そういう意思表明をされました。

 そこでお伺いしますけれども、我が国政府がロシアに対して具体的な提案をしているというふうに大臣はお思いなのかどうか、この点からまずお伺いさせていただきたいと思います。

松本国務大臣 北方領土問題、残念ながら解決に至っていない。関係する地域の方々そして島民の方々の思いを、私どもは、その思いを推しはかるというか、思いを重ねるほかないわけでありますけれども、そのことを考えれば、何としてもという気持ちを持つ課題であるということは、委員も同じ思いだろうと思います、申し上げるまでもありません。

 その上で、交渉については、これは現民主党政権に限らず、これまで累次の政権は、その思いを持って、さまざまな知恵を絞ってロシアとの交渉を行ってきたというふうに承知をしております。そのいわば交渉の途上の経過として、合意があったり、文書があったりということがあります。その評価についてはさまざまあります。前進があったり、また必ずしも前進とは言えないような評価もあったりだろうというふうに思っておりますが、結果として、現段階でまだこの問題が解決するに至っていないわけであります。

 個別の交渉の状況であるとか過去にどのようなやりとりがあったかということを現段階で明らかにすることは、まさにまだ交渉中でありますので御容赦をいただきたいと思っておりますが、政府としては、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということが基本方針であります。四島の日本への帰属が確認されれば、実際の返還の時期、態様及び条件については柔軟に対応するという立場から、これまでロシア側との間で双方が受け入れ可能な解決策を模索してきたというふうに申し上げたいと思います。

 残念ながら、これまでのところ、双方の立場は大きくかけ離れている状況にあるという厳しい状況認識を持たざるを得ないと思っておりますが、引き続き、知恵を絞って努力をしてまいりたいと思っております。

稲津委員 現時点での基本的な政府の認識、これまでの経過についての御説明はいただいた。それはそうですけれども、私が質問したのは、これまで政府として具体的な北方領土の返還に向けての提案をしてきたのかどうかということを、どうお思いですかということをお聞きしたんです。随分丁寧な答弁であったかもしれませんけれども、正確には答えていただいていないと思います。

 後でこの問題については関連で触れますので、そこで質疑させていただきたいと思っていますけれども、いずれにしても、具体的な提案が結果としてなされていないという現実。それからもう一つは、長谷川市長がいみじくもこの委員会でおっしゃったように、あの北方領土と向き合って暮らしているそこの首長としては、具体的な提案はなされていない、こう思わざるを得ないということを明確におっしゃったんだと思います。このことは後でもう一回触れますので、そこで具体的に質疑をさせていただきたいと思います。

 次に行きます。

 次は、ビザなし交流のあり方についてなんですけれども、これも、ビザなし交流が始まってもう二十年ということで、大変な歴史を重ねてまいりました。北方領土に住んでいるロシア人との相互理解という意味では、私は、一定の評価、あるいはまた時々の大きな交流、前進があった、こう思っております。ただ、これが領土交渉を行うためのいわゆる環境整備みたいなものにつながってきたかどうかというところは、いろいろな解釈があるというふうに思っております。

 御案内のとおり、ロシア政府のいわゆるクリル発展計画がどんどん進められている中で、この発展計画が進めば進むほど、実はこのビザなし交流のことを考えていったときに、日本との距離が遠のいていっているんじゃないか、こういうことが、実際にビザなし交流で行ってきた団員の方々から口々に述べられているわけでございます。

 例えば、これはこれまで私も直接何回か聞いたことがありますけれども、北方領土に住んでいるロシア人側が、日本からの訪問団との対話集会の中で、領土問題のことを話すことを非常に嫌っている、あるいは対話集会そのものを拒否するといったような現実もあるということも聞いております。

 ここでぜひ大臣にお伺いしたいのは、このビザなし交流のことを考えていったときに、今後、このビザなし交流をさらに活性化するような、そういう方途がいよいよ政府としては必要じゃないかと私は思うんですけれども、この点、大臣、どうでしょうか。

松本国務大臣 ビザなし交流の意義については、今先生もお話をいただいたとおり、相互理解という意味で、私どもも共通の認識を持てるのではないかというふうに思っております。

 もちろん、向こう側のというか、私どもの北方領土における今のロシア側の計画によって、向こうの生活環境であるとか、そういったものが変わってくることによって、相互に交流をした際の感じ方であるとか考え方であるとか対応というのが変わってくる面があるという御指摘であるとすれば、それはそのとおりかもしれませんけれども、相互理解の必要性と意義というのは変わらないという意味では、ビザなし交流の活性化、さらなる拡充というのは必要ではあるという御指摘ではないかというふうに理解いたします。

 私どもとしても、規模であるとか内容であるとかといった拡充について、これまでも話し合いを行ってきた、求めてきたところでありますが、現段階でまだそれが、人員をふやすであるとか内容が拡充されるというような形で実っているわけではありませんけれども、引き続きこのビザなし交流を拡充させる努力というのは行ってまいりたい、このように思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 ぜひ、今御答弁いただきましたけれども、その活性化、拡充に向けて、予算も含めて鋭意御検討いただくことをまずお願いさせていただきたいと思います。

 次に、先ほど一番最初に少し触れさせていただいた具体的な提言等々についてのお話ですけれども、このことのテーマの一つとして、北方領土における日本とロシアの共同経済活動ということを挙げさせていただきたいというふうに思います。

 最近、報道を見ていますと、実は、このビザなし交流の枠組みをうまく活用して北方領土での経済活動を行うために日本とロシアが政府間で協議を開始した、このようにありました。

 これが本当に事実かどうかということがまず一つですね。事実であれば、具体的にどのような経済活動を想定して、そしてそれが領土問題に最終的には解決の方向につながっていくということが理想的だと思うんですけれども、この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 先月、七月二十七日の日ロ次官級協議におきまして、今御指摘の北方四島における共同経済活動についての議論が行われたところであります。

 これは、よく御案内のとおりでありますが、ことし二月の日ロ外相会談で日本側から提案をさせていただいたものであり、これについて、私どもから、七月の次官級協議でも議論を提起いたしたところであります。日本側からは、日本の法的立場を害さないことが確保される必要があるということを明確にしつつ、日本側の考えを示しました。その上で、どのような活動が可能かについて、引き続き日ロ間で検討をしていくことになったというふうに承知をしております。

 具体的なやりとりでありますので、これ以上の詳細についてここで御紹介をすることは差し控えさせていただけたら、このように思っているところでありますけれども、こういった共同経済活動について、日本の法的立場を害さない形でということが確保された上で実施されていけば、日ロ間の平和条約交渉のための環境にとってはやはりプラスになるのではないかというふうに考えているところでございます。

稲津委員 わかりました。

 そこで、一つ私の方からも提案をさせていただきたいんですけれども、これは、これまでも他に御提案があったかもしれません。そうであるならば重ねての提案になりますけれども、共同経済活動について、一つは、例えば、北方四島の周辺海域での安全操業の問題、こういったことが具体的にこの中に検討材料として入ってくれば、私は非常に画期的なことであろうと思うわけなんです。

 御案内のとおり、ロシアが実効支配しているこの北方四島の周辺海域で、何回も何回も日本漁船がロシアの当局に拿捕されたりしているという現実。そして、私は忘れることができませんけれども、二〇〇六年、第三十一吉進丸、歯舞群島でカニをとっていたということなんですけれども、ロシアの警備艇に銃撃をされて、そして残念ながら漁師の方が一人亡くなっています。私もそのときに、当時、北海道のロシアの総領事の方に申し入れをさせていただいたことを鮮明に覚えております。

 だから、こういった具体的な中身のところに入ってきたときに、提案としては、ぜひ安全操業の問題について、私はこの共同経済活動で触れていただきたいと思うわけなんです。そして、例えば、この共同経済活動が実現をした、そしてそれが一歩一歩さらに進んでいく中において、経済を通じた北方四島の日本化ということも可能性としては否定できないだろうと私は思うわけでございまして、一つ提言をさせていただきましたけれども、大臣におかれては、ぜひひとつ御検討いただければと思っていますので、よろしくお願いを申し上げます。

 北方領土の問題で、最後に二問させていただきたいと思いますけれども、一つは、高齢化した元島民の方々の、特に一世、二世に対する支援策ということをお伺いさせていただきたいと思うんです。

 御案内のとおり、元島民の方々の平均年齢も七十歳代の後半を超えているという現実があって、既にふるさとの北方領土のことを思いながら亡くなった方も大勢いらっしゃいます。例えば、居住権を奪われ、そして財産を失い、現在、なおかつそういう思いの中でも返還運動に頑張っておられる一世、二世の特に高齢者の方々、こうした方々に対して、私は今こそ日本政府が目に見える形での支援をぜひ提案していただきたいと思っているわけなんですけれども、外務大臣として、これまでもさまざまな支援策を行ってきたと思うんですけれども、さらにその上での御支援、そういった取り組みを考えておられないのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

伴野副大臣 委員にお答えいたします。

 内閣府の所掌ということでございますけれども、北方地域元居住者等に対する援護措置というのがございまして、これは、独立行政法人北方領土問題対策協会におきまして、事業または生活に必要な資金を低利で融資しているものでございます。また、平成二十三年度からは、北方地域元居住者等からの御要望におこたえする形で、そのうちの一部の資金につきまして貸付限度額を引き上げるなどの措置をとるということを内閣府から報告を聞いているところでございます。

 委員御指摘のように、元島民の方々というのは平均七十七歳というふうにも承知をしております。高齢化等々の事情を重く受けとめまして、北方領土問題を一日も早く解決いたしますよう、ロシア側との交渉に鋭意努力を傾けていきたいと考えております。

稲津委員 これは外務省にお答えしていただくというのはなかなか難しい問題だと思ってはいたんですけれども、ぜひこの機会と思って質問させていただきました。

 もう少し具体的に言わせていただきますと、私は、例えば、この一世、二世の高齢の元島民の方々に対する一時支援金とか、そういうこともあえて考えてもいいところに来ているんじゃないだろうかな、こう思っております。この点についての提案をさせていただきます。

 もう一つは、領土返還に向けた青写真を示していったらどうかということをこの北方領土問題の最後に質問させていただきたいと思います。

 北方領土の返還という運動を支えていくには、やはり若い世代の方々、次の世代にその運動を継承していくということが必要なんですけれども、そのためにはそうした方々への啓発ということが大事になってくると思います。

 先月国後島を訪問したある中学生なんですけれども、こういう感想を寄せました。島を返せといっても、この人たちが住めなくなったら解決にならない。この人たちというのは北方四島に住んでいるいわゆるロシア人のこと。どちらにとってもふるさとなんだ、こういう感想を寄せました。

 北方領土に住んでいるロシア人の中にも、もう既に三世に入っているということでして、そういう意味では、ロシアの本土を知らないで、北方領土だけしか知らない、そういうロシアの子供たちもふえているということです。

 私は、日本の中学生がこのような感想を持つということは、ある意味、政府の啓発努力、ここが十分なのかどうかということに対して少し疑問があります。

 その上で、私は、ぜひ政府として、この啓発事業の中で、四島が日本の領土になった暁にはこういう形にしますよ、その中でロシア人についてはこういう対応をしますよ、そういう共同社会をつくるような青写真を示すこともある意味では必要なのではないか、こう思っていますけれども、北方領土の質疑の最後にこのことをお伺いさせていただきたいと思います。

松本国務大臣 どのような形で、もちろんこの北方領土問題については、一義的には政府間で交渉を行っているわけでありますけれども、同時に、現在の島民と日本の島民との相互理解ということも、それぞれに理解をしていただくということも必要であるということで、さまざまな事業であるとか交流であるとかが行われているというふうに私自身は考えているところであります。

 そのような意味では、関係をする方々に御理解をいただくという意味で、将来のあるべき姿を想像するということは必要なことであるのかもしれないということを、今委員の話をお聞きしながら考えていたところでありますが、他方で、具体的にどのような青写真を政府として出すのかということが、まさに今交渉の中にある者としてどういう効果をもたらすのかということもあわせて考えなければいけないと思いつつ、お話を承っていたところであります。

 そのようなことも含めて、先ほども申し上げましたが、帰属の問題を解決することができれば、具体的な返還の態様であるとか時期ということは柔軟に考えたいということまでは申し上げてきているところだというふうに御理解をいただけたらと思います。

稲津委員 北方領土問題についていろいろな視点から質疑させていただきまして、非常に意を同じくするところもあれば、まだ質疑を十分させていただきたいなという面もありました。ただ、提案させていただいたことについて大臣は真摯に受けとめていただいたと思いますので、その点についての御検討をぜひしていただきたい、このことを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 次は、先ほど自民党の稲田委員からも質疑がありました竹島の領有権問題について触れさせていただきたいと思います。

 民主党政権になって二年間の間、韓国政府がどういう対応をとってきたかということを考えてみたときに、例えばヘリポートの強化ですとか、あるいは海洋科学基地の建設計画など、いわゆる竹島の支配を強める措置を次々ととってきたのではないか、このように思っております。

 それに対して、では日本の政府の対応がどうかというと、これは韓国から見ると、おとなしいと見るや、今度は大韓航空がデモフライトで竹島上空を飛んだり、それから、これも御案内のとおり、韓国の国会の特別委員会が八月十二日金曜日、竹島で委員会の開催を計画している、こういう状況です。

 先ほど質問されましたけれども、先週、自民党の三人の国会議員の皆さんが竹島に対する韓国の主張を調査するために鬱陵島を訪問しようとして入国を拒否された、こういう出来事があったわけですけれども、私は、日韓関係というのは、もちろん竹島問題だけではないというふうに思っております。とはいえ、この竹島問題が日韓の間に大きく横たわっているという現実を踏まえて、外務大臣は、今この時点で日韓関係というのがどういう状況にあるかということを、まず、ここから質問させていただきたいと思っておりますので、御答弁いただきたいと思います。

松本国務大臣 率直に申し上げて、事象としては、ここのところ竹島の問題が非常にクローズアップされてきているところでありますけれども、私自身も、七月の二十三日だったと思いますが、ASEAN関連外相会合のマージンで、日米韓の三カ国の外相会談を行いました。これは、地域情勢、この東南アジアを含む地域、特に日米韓にとっては北朝鮮の問題などについて真剣に議論をする機会があり、日米韓の緊密な連携というのが確認をされたというふうに思っております。

 その意味で、外交全体としては日韓の連携というのはとれている、このように考えておりますし、また、さらに連携を深めるために必要な議論というのも日韓の外交当局の間で行われてきております。具体的にまだ報告を申し上げる段階になっていない課題も多いわけでありまして、今ここで個別にはなかなか申し上げられませんけれども、その意味では、着実な前進が全体としてはある、このように考えておりますが、表面に出てくる問題として今竹島の問題が非常にクローズアップされてきているということは、認識としては持っているというふうに申し上げたいと思います。

稲津委員 日韓関係については前進しているんだ、いい方向に向かっているんだということを御答弁いただきましたけれども、竹島の問題が横たわっている、これは私も大臣も共通の認識だと思うんです。

 その上で、大韓航空機利用自粛のことについて触れさせていただきたいと思うんです。

 外務省の職員の公務出張に限って大韓航空機の利用を七月十八日から一カ月間自粛ということなんですけれども、私は、これは一体どの程度の効果や期待があるのか、ちょっと疑問なんです。これをまず大臣に一つ聞きたいということと、それともう一点は、先ほど触れさせていただいた、韓国の国会の特別委員会が竹島で委員会を開催する、これを中止させるように申し入れたというふうに承知していますけれども、見通しがいかがなのかどうかということです。

 仮に、例えば、中止要請にもかかわらず実際に開催された場合に、どういう対抗措置をとるのか。今回みたいに、大韓航空機の利用をまた自粛するとか、私はそんな程度の話にはならないと思うんですね。この点について、大臣、どうでしょうか。

松本国務大臣 まず、大韓航空機の利用自粛措置については、私どもが承知をする限り、大韓航空社が主体として竹島上空でデモフライトを行ったということでありましたので、大韓航空社に対して私どもが措置を行ったものであり、これによって、大韓航空社に対しては、日本の立場への理解と私どもの強い意思というのは伝わったというふうに考えているところであります。

 もう一件の、十二日の韓国の国会が竹島で委員会を開催するとの件でありますが、これについては、きょう十日でありますけれども、私どもの立場はこの開催の中止を求めているということは御案内のとおりでありまして、このことに向けて全力を挙げて取り組んでいるというところでございますので、中止を求めている立場から、もし強行された場合にといったような趣旨の質問であるとすると、現段階でお答えをすべきものではないというふうに考えているところでございます。

稲津委員 とはいえ、実際に、先ほど申し上げましたように、この航空機利用の自粛の措置をとったわけですから、この特別委員会の開催を中止要請したわけですから、それが結果的に開催ということになれば、私は、これはしっかり、こちら側の意思を伝える意味でも、さらなる対抗措置をぜひすべきだ、このことを主張させていただきたいと思います。

 そして、もう一つ聞かせていただきたいんですけれども、先ほど私は日韓関係は竹島問題だけではないということを触れさせていただいて、大臣の御見解も伺いました。その上でですけれども、しかし、この竹島に関して何か問題があると、韓国では政府も国民も一気に日本批判に沸騰するというか、そういう傾向が非常に強い。したがって、私は、日韓関係を友好的なものにするためには、この竹島の問題をやはり解決していかなければならないであろう、こう思っております。

 韓国政府は日本との間に領土問題は存在しないという立場を貫いていますけれども、日韓の政府間の会談や協議の場には、必ず竹島問題を持ち出していただきたい。むしろ、そうでなければ、こちら側の意思というのはきちんと伝わっていかないだろう、こう思っているわけです。その意味で、声を上げなければ、竹島はいつまでたっても返ってこない。

 それから、先ほどのお話ですけれども、自民党の議員の皆様が視察に行かれた。こういう問題になるかどうかということを予想していなかったかもしれませんけれども、私は、日本と韓国の間に現実に竹島という領土問題が存在しているということを世界にアピールした、我が国にとっては、言葉が適切かどうかわかりませんけれども、ある意味でよい副作用をもたらしたんじゃないだろうか、このようにも思うわけでございます。

 何を言いたいかというと、未来志向の日韓関係を築くためには、この竹島問題についてやはりどうしても避けて通れない。であるならば、今回のこの自民党の三人の皆様の視察訪問も含めて、こういったことを一つの足がかりにして、私は、韓国に対して新たな、積極的な、そういう姿勢で働きかけをしていくべき、このように思っております。

 時間が参りましたので、予定した質問をまだ幾つかできていませんけれども、最後にこのことをお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

小平委員長 何についての質問ですか。

稲津委員 ちょっと私の思いをしゃべり過ぎたので、何が質問だったか不明になったんですけれども、要するに、今回の自民党の三人の皆さんが視察ということで訪問なされた、こういったことをむしろ足がかりにして、今度は韓国との竹島問題についてももっと積極的に触れていったらどうですかという趣旨の質問でございます。

小平委員長 時間ですので、大臣、簡潔に。

松本国務大臣 立法府に所属される議員の方々の行動を私ども行政府が論評をする立場にありませんが、先ほどの委員のお話の中で、私自身も思いますのは、真の関係を築くためには問題から逃げてはいけないということについては、まさにそのとおりだろうと思っておりますし、そのように取り組んできた、至らないながらも取り組んできたつもりでございます。

稲津委員 終わります。

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣松本剛明君。

    ―――――――――――――

 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 ただいま議題となりました原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十二年六月以来、ヨルダンとの間でこの協定の交渉を行いました。その結果、同年九月十日にアンマンにおいて、我が方在ヨルダン臨時代理大使と先方ヨルダン原子力委員会委員長との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、原子力の平和的利用に関する我が国とヨルダンとの間の協力のための法的枠組みを提供するものであり、核物質等の平和的非爆発目的利用、国際原子力機関による保障措置の適用、核物質防護措置の実施等につき定めております。

 この協定の締結により、両国間で移転される原子力関連資機材等の平和的利用が法的に確保されるとともに、これら資機材等の長期間にわたる安定的な移転の確保に資することが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十二分散会


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