衆議院

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第2号 平成23年10月26日(水曜日)

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平成二十三年十月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 浅野 貴博君 理事 市村浩一郎君

   理事 菊田真紀子君 理事 長安  豊君

   理事 村越 祐民君 理事 河井 克行君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 赤松 正雄君

      阿久津幸彦君    相原 史乃君

      小川 淳也君    大泉ひろこ君

      勝又恒一郎君    阪口 直人君

      首藤 信彦君    中津川博郷君

      中野  譲君    萩原  仁君

      浜本  宏君    早川久美子君

      山尾志桜里君    山口  壯君

      稲田 朋美君    小野寺五典君

      金田 勝年君    後藤田正純君

      高村 正彦君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         玄葉光一郎君

   外務副大臣        山口  壯君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   防衛大臣政務官      神風 英男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石井 正文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           篠田 幸昌君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           奈良平博史君

   政府参考人

   (観光庁長官)      溝畑  宏君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     稲田 朋美君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     秋葉 賢也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官石井正文君、厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君、国土交通省大臣官房審議官奈良平博史君、観光庁長官溝畑宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。

河井委員 おはようございます。自由民主党の河井克行です。

 このたび、外務委員会、野党側の筆頭理事に選任をいただきました。国益に資する当委員会の審議ができるため、田中眞紀子委員長を初め、理事、委員の皆様からの御指導をよろしくお願い申し上げます。

 さて、野田内閣が発足して最初の臨時国会は九月十三日に召集されましたが、結局、各委員会における大臣の所信及びそれに対する質疑は行われませんでした。日本の外交について、今、国民は不安と失望のきわみに達している。その中で、国民に対する説明の機会を玄葉光一郎新大臣みずからが放棄したことであり、また、諸外国に対して、日本外交の新しい最高責任者が考えていることを発信する貴重な機会をみずからつぶしたことを意味しております。

 新外務大臣の所信への質疑が、就任日九月二日から数えて二カ月近くおくれてしまったことは極めて残念であり、その責任のすべては、国会答弁から逃げまくった現政権にあると私たちは考えております。よって、きょうの質疑では、自民党の同僚議員や他の野党議員の皆様に対する玄葉大臣の答弁に足らざるところがある場合は、前国会で質疑できなかった分も含めて、再度所信に対する質疑を要求することをまず初めに申し上げます。

 さて、あなたは、十月二十一日の当委員会での所信あいさつで、「私は、外交の目的は国益を最大化することであると考えます。そのためには、第一に我が国及び日本国民の安全を確保し、」とおっしゃった。

 そこで、きょうは、このあなたが第一にとおっしゃった国家国民の安全の確保についての質疑を中心に行います。

 初めに、普天間問題。

 日本の安全保障のかなめ、日米同盟の最大の焦点になっている普天間基地の辺野古移設について、あなたの所信あいさつでは、去年の五月とことし六月の日米合意に従って進めていく方針と明言をしましたが、鳩山由紀夫元総理のときに、最低でも県外と位置づけたことによって、今や沖縄県民は、一〇〇%、県内移設、日米合意案に反対をしている状況。

 こうした中で、きのうあなたは、米国のパネッタ国防長官と会談し、環境影響評価の年内提出方針を伝達しましたが、その後の展望がどうなっているのかについて、ぜひ教えていただきたい。

玄葉国務大臣 今、河井委員がおっしゃいましたように、この普天間移設の問題というのは、率直に申し上げると、総選挙のときに最低でも県外と言ったことが、やはりこの普天間問題について非常に問題を複雑化させたというのは率直なところではないかというふうに考えております。

 私も、河井委員のように、かつて外務委員会の野党の筆頭理事を三年くらいやっていましたので、沖縄に、特にそのときに頻繁に伺いました。今回は、外務大臣になって初めてお伺いをして、改めて歴史の重みというものをみずからにたたき込むということをしながら、私たちの政府の立場というものを説明させていただいた。

 もっと言えば、二つのおわびもいたしました。一つは、先ほど申し上げたように、期待値を高めて結果として回帰した、そのことに対するおわびでございます。そしてもう一つは、〇・六%の面積に米軍専用基地が七四%集中しているというこの現状について説明をさせていただいて、また、厳しい安保環境についても説明をさせていただいた。

 これは、何度も何度も、今週も知事にもお会いいたしますけれども、やはり安保環境の問題、あるいは日本全体で負担を分かち合うべきでありますけれども、残念ながら沖縄の地理的優位性あるいは地理的な特性からして簡単に代替できないということも含めて、誠実に対応していく、説明をさせていただく。さらには、可能な限りの沖縄の負担軽減、事件・事故、騒音、環境、こういった問題に対する対応をしていく。そのことに尽きるのではないか、そのことを誠意を持って行っていくということに尽きるのではないかというふうに考えております。

河井委員 私が質問したのは、そういったことではありません。沖縄の地理的な特性と今大臣はおっしゃったけれども、二年前のときと今と、沖縄は地理的に移動なんかしていませんよ。昔からずっと沖縄は今の場所にある。地理的特性なんということは、これは変わらない事実であります。

 私が聞きたかったのは、これから政府が評価書を提出しますね。そうしたら、九十日以内に知事は意見書を返送して、政府が評価書の補正を行って、公告縦覧、環境影響評価が完了する。その後、着工に向けて辺野古沿岸の公有水面の埋立承認を知事に申請するという段取りですけれども、その後の展望が開けているんですかということをお聞きしたいんですよ。

 なぜならば、県外移設を昨年の選挙公約として打ち出した仲井真弘多知事が、今の政府の承認申請を認める可能性は極めて薄い。この膠着状態をどうやって打ち破ろうとしているのか。誠意を持って何度も何度も行ったところで、すべてには原因があるわけですから。原因があって結果がある、それが因果ということですよ。結果があって原因があるんじゃないんです。

 その原因を取り除くことも含めて、民主党政権は、沖縄県知事が思いどおりにならないときは強制着工するんですか。強制着工した場合に、大規模な県全体を挙げた抗議デモが予想されるけれども、そのデモをどうやって排除するおつもりなのか。考え方をお示しください。

玄葉国務大臣 どうやってこれから物事を進めるのかというのが自分の質問だというお話がありました。

 ただ、その前に、二年前から沖縄の地理的な有利性は変わっていないということでありましたけれども、全くそのとおりであります。

 ですから、私は、最低でも県外ということに対して、最終的に、期待値を高めて回帰した、そのときの当時の鳩山総理の発言は、やはり海兵隊の抑止力、在沖米軍の抑止力という話になったわけであります。そのことについては率直に私からもおわびをしなければならないということを申し上げたということでございます。

 今後の展望ということでありますけれども、一つ一つやはり着実に積み重ねをしていく。基本的には、きのうもパネッタ国防長官に、環境影響評価書についてその提出を実務的に進めている、準備を進めているということを申し上げた次第でございます。

河井委員 質問に答えてください。

 それらのすべての事柄が実らなかった場合、民主党政権は強制着工をするのか。あるいは、公有水面埋め立てにかかわる知事の権限を政府に引っぱがすような特別措置法の制定をもくろんでいるのか。お答えをいただきたい。

玄葉国務大臣 そのことについて、現時点で政府全体として判断をしているわけではございません。

河井委員 今の御答弁では、いずれについても可能性を排除しないということでよろしいですね。

玄葉国務大臣 現時点で、政府全体として判断をしていない。今、一つ一つ着実に積み重ねをし、対話をしていくということに尽きると思っています。

河井委員 判断をしていないということは、判断をした段階で特別措置法の制定や強制着工なども可能性としてはあり得る、そういう趣旨の御答弁だったというふうに解釈をさせていただきます。

 大臣、自公政権のときにはぎりぎり可能だったこの普天間飛行場の辺野古移設は、今大臣はいろいろと答弁されたけれども、もはや不可能になったと言うべきであると私は考えております。

 なぜならば、大体、県知事に環境影響評価書を送りつける前に、本来だったら、政権の対外最大公約ですよ、普天間基地の移設の問題、この実現のために全力を挙げて汗をかかなくてはならないのは政権与党民主党の沖縄選出の国会議員の皆さん、その人たちが地元でどういう発言をしてきているか。

 引用しますと、ことしの六月二十三日付沖縄タイムス、菅内閣で日米の外務、防衛閣僚が自公政権時代の案を確認したことを受けて、ある議員はこうおっしゃった、計画を見直すことが日米政府の責務だ。責務と言ったんですよ。責任と任務だと言ったんですよ。八月三十日付の琉球新報で、民主党新代表に野田さんが選ばれたことを受けて、日米合意に固執すると問題は解決できない、新たな交渉を始めるべきだ。皆あなたたちの政権を構成している沖縄選出の民主党国会議員の言葉ですよ。

 一方ではそういうことをおっしゃっている。一方では、ぜひお願いします、お願いしますとあなたたちも何度も何度も繰り返し、押しかけ訪問する。

 そもそも、辺野古移設に賛成している議員は沖縄の民主党議員に、大臣、いるんでしょうか。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、沖縄県選出の国会議員あるいは沖縄県連、そういった方々に対して理解を求めていくということが非常に大切であるというのも私の認識でございます。

 この間、どこまでそういった働きかけがなされてきたのかということもいろいろと、外務大臣になってから聞いてきましたけれども、必ずしも、いわゆる条件つき辺野古容認派あるいは辺野古容認派の方々に対して働きかけを強めるという話がよくございますけれども、ある意味、おっしゃるように、身内というか、本来近いところにいる方々に対する説得をしていくということは非常に大切なことだというふうに思っております。

河井委員 大切なことだ、大変評論家的な、人ごとのようなおっしゃり方でありました。

 私の質問は、辺野古移設にそもそも賛成している民主党の国会議員は沖縄でいるのかどうかということをお聞きしたんです。

玄葉国務大臣 現時点で、賛成しているというふうには言いがたいと考えています。

 何も評論家ではなくて、自分自身、今回も沖縄を訪問する前に、国会議員、衆議院議員の方々と話をして行きましたし、終わってからも実は話をしています。私としては全力を尽くしたいというふうに考えています。

河井委員 来年の六月に沖縄の県議選がありますね。今大臣は、民主党の国会議員、県会議員、県連、みんな反対だということをおっしゃった。それまでに沖縄の民主党の方針が覆ることはあり得るんでしょうか。もし覆らなかったらどうしようとしているのか。

 あなたは積極的にこれから説得をしたいというふうにおっしゃるけれども、具体的にどういうふうなことをしようとしているのか、そして覆らなかったときのことも含めてお答えください。

玄葉国務大臣 これは一人一人しっかり説得をしていくということが大事で、それは率直に言えば、百八十度考え方が変わるかどうかというのは、私としてもまだ確信を持てるわけではありません。ただ、全くの反対から、少しでも理解してもらえるように、少しずつそういう溝を埋めていくということに対して全力を尽くしたいということでございます。

河井委員 私は、話をする順番が間違っていると思うんですよ。仲井真県知事とか、あるいは稲嶺進名護市長、名護市長が何と言っていますか。繰り返し繰り返し来られるけれども理解に苦しむ、あなたがわざわざ行ったにもかかわらず、そのようなことを言っている、相次いで関係閣僚が名護市を訪問する真意について理解に苦しむと。日本国の外務大臣が行きながら、そんな反応しか返ってきていない状態であります。

 まず身内の、民主党の沖縄の選出の国会議員や県会議員や県連をあなたが正面切って説得することから始めるんじゃないですか。いつからそれを始めますか。お答えください。

玄葉国務大臣 いや、ですから、今回の沖縄訪問の前の段階から私としてはそれを始めさせてもらっているということでございます。

河井委員 せんだっての首脳会談で、野田首相はオバマ大統領に日米合意の履行を約束した。ところが、十一月十二日、ホノルル・APEC首脳会談までは、やります、やります、頑張りますと、今あなたがちょうどおっしゃったような言葉で逃げられるとしても、その後、現実的な展望のない日米合意を追求してみても、空約束となるだけなんです。これでは、鳩山政権と全く同じ経過をたどることになるのは明らか。どうするかということを繰り返しお尋ねしているんだけれども、ただ、誠実に、誠実にということしかない。

 そもそもこの問題は、去年の一月二十四日、名護市長選挙が転機だった。辺野古移設絶対反対派の稲嶺進氏が当選したことから始まった。それまでは、名護の市長も市議会も、沖縄の県議会も県知事も、何とかかんとか、辛うじて、辺野古への移設をぎりぎり容認してくれていた。これまでの積み木細工をぶっ壊したこの名護の市長選挙で反対派の稲嶺氏を推薦したのは一体どこの政党でしょうか。

玄葉国務大臣 かつては選対委員長をやっていましたが、私自身、そのときに正式にどこがどういう支持状況だったかというのは明確にはわかりませんが、民主党はたしか推薦していたのではないかというふうに思っていますし、県連あるいは民主党の関係者が稲嶺さんを支援していたというふうに聞いています。

河井委員 今の答弁は極めて興味深い。民主党は推薦したんですよ、稲嶺さんを。その事実もあなたははっきりとわからないままに稲嶺市長に会いに行ったということですか。あなたたちの党が推薦したんですよ、稲嶺進氏は。移設絶対反対、市長選挙の最大の争点は、当時、普天間基地の辺野古移設を認めるかどうかであった。それが絶対反対の人、稲嶺さんが立候補した。それを推薦したのは民主党なんですよ。あなたたちの政党が行った、それがまたこうやって、ぐるぐるぐるぐる因果が回ってくるわけですよ。市長に会うときに、そのことも知らずに会ったということですね。

玄葉国務大臣 いやいや、ですから、先ほど申し上げたように、正確にそれぞれの……(河井委員「正確にじゃない、そんなのは」と呼ぶ)いやいや、政党の推薦状況すべては確かに確認はしていなかったですけれども、先ほど申し上げたように、民主党は推薦したというふうに思っています。同時に、その前の段階で、国会議員の、民主党の関係者に電話でどういう状況なのかということも改めて確認をしながらお会いをしたということでございます。

河井委員 私だったら、こういう難しい案件を抱えている現地に行くときはきちんと調べますよ。だから、さっきから言っているじゃないですか、人ごとだ、評論家だと。推薦したと思います、何ですか、それは。

 では、なぜ当時民主党は移設絶対反対派の候補者を推薦したんですか。辺野古への移設が最大の争点で推薦したということは、民主党も反対だというふうに候補者自身が考えて当然じゃないですか。お答えください。

玄葉国務大臣 一月のときに私自身がこの問題に深くコミットしていたわけじゃありませんから、そのときの状況についてはもう聞くしかないということでありますけれども、恐らく、今おっしゃったように、それは、そういう基地の立場も含めて、考えが一緒であるということだったんだというふうに私自身は認識をしております。

河井委員 その移設絶対反対の候補者が選挙に通って市長になって、辺野古移設に対する影響を考えなかったんでしょうか。私はもう全く理解ができない。

 加えて、去年の十一月の沖縄の県知事選挙では、当時、仲井真知事は、県内移設反対は明言していませんでした。その仲井真さんの再選を民主党は応援したんでしょうか。

玄葉国務大臣 ちなみに、その一月の選挙の後、まさに五月に、さまざまなことを検討した結果、当時の鳩山総理が、日米合意、今の考え方に至ったということだと思います。

 それと、十一月の段階は、私も政調会長をしていましたので、若干知り得る立場にありましたし、一定の働きかけもあったのでありますけれども、余り表立って申し上げるような話ではありませんが、仲井真知事を正式に応援したとか、そういうことではありませんけれども、側面的に支援をしていた方々はいらっしゃるというふうに私は考えています。

河井委員 側面的な支援とか個人的な支援というのは、それはお互い選挙をやっているからわかりますけれども、そういうことはどこでもあり得る話なんですよ。そうじゃないでしょう、これは。民主党政権の屋台骨を揺るがしかねないような辺野古移設についてが最大の争点である選挙だったんですよ。辛うじて、当時、仲井真さんは、県内移設反対ということはぎりぎり明言をしていなかった。党として、正式には、その人の再選も応援しない。そんな個人的な応援なんというものは関係ない、この際。

 あなた、さっきから話を聞いていましたら、私がその職にいたときだから辛うじて知識があるとか、いなかったから知識がないなんておっしゃるけれども、外務大臣というものは、外交の継続じゃないですか、それは。特に、民主党政権が二年前誕生してから、この普天間の問題は極めて重要な争点でしょう、政策課題でしょう。ありとあらゆる事柄を大臣みずから勉強するのは当然だと私は思いますよ。あのとき私はあの役にいなかったからよく把握していないとか、それは言いわけにすぎない。それは、政治家として私はきっちりと申し上げたいと思う。

 それで、さっきから言っているように、辺野古移設絶対反対派の主張をして当選した稲嶺進さんに、今度は基地の受け入れのお願いに行ったんでしょう、この前。やっていることがむちゃくちゃじゃないですか。あなたたちが推薦して当選してつくり上げた市長のところに、今度は基地受け入れのお願いに行っている。

 仲井真知事は、ついこの前、防衛大臣に対してこう言いました。一年半前の名護市長選挙で、民主党は辺野古移設に反対の候補者を応援した、この経緯について民主党として納得のいく説明をお願いしますと申し上げてきた、そうおっしゃったんです。これは全くの正論ですよ。この模様を聞いている国民はだれでもそう思う。でも、その場で防衛大臣から説明がなかったんですというふうに、先日、防衛省から自民党の外交合同部会で聞いた。

 仲井真さんの立場にもなってくださいよ、大臣。ぎりぎり容認で頑張っていたところを、民主党が総選挙の公約で最低でも県外と、何の現実的な展望もないのに暴走してしまった。しかも、地元の民主党議員は、国会議員も県会議員も県連も、みんな辺野古移設反対ばかり訴えているんですよ、毎日毎日。自分の身内の議員すら説得できないような民主党政権を信じることなんかできますか。やってらんねえよというのが仲井真さんの本心だと私は思う。

 この前まで、あなたは民主党の政策責任者でありました。あなたの口から明快な説明をしてくれませんか、仲井真さんが疑問を呈したことについて。なぜ、名護で絶対反対の候補を応援したんですか。その人が当選した後の影響を考えなかったんですか、党として。お答えください。

玄葉国務大臣 一月の名護の市長選挙の件について、率直に申し上げて、詳細に今この場で説明しろと言われると、なかなかそのときの状況については十二分に説明できません。ただ、先ほど申し上げたように、民主党が推薦した、関係者が応援していたということは事実でございます。

 それと、仲井真知事については、そういう意味では、五月の日米合意がありましたから、むしろこれは、私も選挙を何回もやっていますけれども、なかなか、政治家が今までの考え方を百八十度変えるというのは確かに大変なので、九十度ぐらい変えてもらいながら選挙に対する支援態勢をとっていくとか、そういうことというのはあるわけでありまして、確かに、胸を張って申し上げられるような話ではありません。

 ただ、日米合意を踏まえた県知事選挙の対応を一定程度したというふうには私は思っていますし、それは、内心は理解していただいている関係者の方々はかなりいらっしゃるというふうに私は思っています。

河井委員 内心理解している関係者の中に県知事や稲嶺市長も含まれるんですか。

玄葉国務大臣 これは信頼関係がございますから余り申し上げられませんけれども、さまざまなことをいろいろ考えてくれたんだなとか、くれているんだなとか、そういうことを思っている方は、特に県知事選挙に関してはいらっしゃるというふうに思います。

河井委員 当時のことはよくわからないと今また御答弁された。(玄葉国務大臣「一月のこと」と呼ぶ)いや、一月のことだろうと十月のことだろうと、そんなことは関係ないと言っているんです、さっきから。あなたは外務大臣の仕事として外務大臣のいすに座っているんだから、名護の市長選挙がどういう状況で行われたか、絶対移設反対派の人がどうして当選したのか、そういうことを詳しく詳しく調べて現地に赴くのが当然のことではないか。

 県知事が、説明をしてくれ、民主党として反対派の候補者を応援したことについて納得のいく説明をお願いしますと公の場で言ったことについて、防衛大臣にしてもあなたにしても、防衛大臣は直接その場で、あなたは今この場で説明することができない。十分知りませんと言う。では、そういうことを言ってください、仲井真さんに今度会ったときに。

玄葉国務大臣 そのことについて知事から私にはございませんでしたが、私から、今度知事にお会いしたときに、しっかりと調べて、それについては知事に対してお答えをしたい。もし、そういう質問があったんだけれども、私の方から、これはヒアリングするしかないので、しっかり聞いた上で説明をしたいというふうに思います。

河井委員 何の準備もしないでただただ現地を訪問したというまことに情けない姿がよくわかった。

 オバマ大統領からは、この前の首脳会談で、結果を求める時期に来ていると進展を強く求められ、アメリカ議会上院は、普天間移設で進展がなければ、これとパッケージになっているグアム移転関連予算措置を認めない、強硬な立場を打ち出された。困り果てた野田内閣は、齋藤勁官房副長官を皮切りに、沖縄担当大臣、前防衛大臣、現防衛大臣、そして玄葉外務大臣、官房副長官がもう一度、何とこの十日間で五人もの閣僚が沖縄に入った。沖縄県民の一般的な受けとめ方は、用事もないのに何度も何度も来るなということですよ。

 それで、一体、大臣、あなたが行ってどういう成果があったのか、お示しをください。

玄葉国務大臣 いろいろな意味で、訪問をして対話をしていかないと、物事はいずれにしても前進することはなかなか難しいというふうに思います。

 先般、私は、最初の日に、そのときは調整官そのものがいなかったので四軍調整官の代行でしたけれども、沖縄の負担軽減、特に事件・事故、騒音、特に騒音でありましたけれども、そういった問題について強く要請をしてきたところでありまして、そういったことに対して一つ一つ結果を出していくということは大変大切なことだというふうに思っていますし、対話を積み重ねる、そして現地を訪問するということはやはり非常に大事なことであるし、これからも引き続きそういった行為は行っていかなくてはいけないというふうに考えています。

河井委員 稲嶺市長は、あなたに会ったときにこう言った。市長選挙で掲げた、陸にも海にも米軍基地はつくらせないとの公約は最後まで貫く。これは間違いないですね。

玄葉国務大臣 稲嶺市長さんからは、そういう御発言はありました。

河井委員 成果が上がるどころか、逆に地元は警戒し始めているんじゃないか。

 稲嶺市長が齋藤勁官房副長官と九月二十七日に会ったときの言葉がすべてだと私は思っている。何と言ったか。県民と合意することなく進むわけがない。この言葉は大変重いと私は思いますよ。

 では、県知事や市長がどうやって県民と合意をつくっていくことができるのか。合意をつくっていく責任の所在は、県知事でもなければ市長でもないんですよ。それは、あなたたち民主党政府がその責任を負っている。そういう自覚を持って、では、どうやってこれから県知事や市長が県民と辺野古移設について合意をつくっていくことができるのか、大臣のお考えをお示しいただきたい。

玄葉国務大臣 ですから、ここは、県知事さん、市長さんのみならず、さまざまな沖縄県の関係者の皆さんと丁寧に、きめ細かに対話をしなきゃいけないし、もっと申し上げれば、やはり日本全体で負担を分かち合う。それは、抑止力を維持する形で日本全体で負担を分かち合う、そういうことが幾らかは当然可能であるだろうというふうに思われますから、そういったことについてしっかりと、これは日本全国でも申し上げていかなきゃいけないというふうに思っています。

河井委員 そんな日本全体でみたいな一般論の話を今しているんじゃないんですよ、大臣。

 大事なことは、今あなたがおっしゃった、県知事や市長だけでなく、県民とも合意をしなきゃいけない。まずそのしょっぱなは、一番初めは身内の民主党じゃないですか。

 繰り返すけれども、沖縄選出の国会議員や県会議員や県連、それすら説得できないで、どうやって沖縄県民を説得しようとするんですか。考え方を示してくださいよ。

玄葉国務大臣 それは、ですから、冒頭も申し上げましたけれども、本当に、知事さんや市長さんだけではなくて、さまざまな関係者の皆さんあるいは県民の皆さんに対して、特に、残念ながら、本当に心苦しいけれども、沖縄の代替性というのが限られているということを説明していく。そして、負担軽減、事件・事故、騒音、環境、こういった問題についてもしっかり説明をして、結果を出していく。

 同時に、いかに全体として沖縄の負担軽減につながるか。もともとは、言うまでもなく普天間の危険性の除去というのがスタートでありますから、これはパッケージでそれぞれ結びついている中で、もちろん可能な限り負担軽減についてはやっていきますけれども、パッケージとしてそれぞれ結びついている中で、全体として沖縄の負担が軽減されるということを丁寧に説明していくということに尽きると思っています。

河井委員 今も沖縄の代替性のなさということをおっしゃったけれども、それは一つは地理的な特性でしょう。繰り返し言っておりますけれども、千年前、二千年前から沖縄は今の場所にあるわけですよ。この二年間で大陸間移動か何かで移ったわけじゃない。こんなことはもうずっと厳然たる事実です。そういうことを今さら言い出すとは何事か。

 結局、この普天間問題の混乱と迷走は、冒頭に大臣がお答えになった、民主党代表だった鳩山由紀夫さんが那覇で行った、二〇〇九年七月十九日、その選挙応援で、移設先は最低でも県外にすると宣言したことに起因をする。

 では、この最低でも県外発言についての外務大臣の評価を聞きたい。今振り返ってみると、この発言は誤りだったと認めますか。

玄葉国務大臣 率直に申し上げますけれども、私は、選挙戦中にあの発言を聞いて、鳩山政権ができて、恐らくこの問題で終わるんじゃないかと、本当にあのとき思いました。現実のものになってしまったというのが率直なところだと思います。

河井委員 率直な気持ちの上で、あの発言は誤りだと、振り返って認めるかどうか、外交の責任者としてお答えください。

玄葉国務大臣 それは私は、あの時点でああいう発言をされたというのは、私の考え方としては、誤りだったというふうに思います。

河井委員 もう一つ。二〇〇八年七月に、民主党・沖縄ビジョン二〇〇八というものが策定された。この中で、普天間米軍基地返還アクションプログラムというものの策定を再び提唱するとともに、在沖縄海兵隊基地の県外への機能分散と、最終的には国外移転を求める考え方というのが盛り込まれておるんですよ。

 県外への機能分散とか、最終的には国外移転を求める、この民主党ビジョンへの大臣の評価はいかがでしょうか。

玄葉国務大臣 千年も二千年も地理的な位置は変わらないということでありましたけれども、ただ、安保環境というのはやはり変わると思うんですね。戦略環境も変わるというふうに思います。

 おっしゃったとおり、総選挙のときの安保環境というのは、もう既に今に近い。そして、さらに安保環境は厳しくなっているというふうに私は思っています。そういう意味では、私自身が安保環境を持ち出すのは、まさに今の文脈からである。

 では、二〇〇八年はどうだったかというと、まさにそれは、恐らく戦略環境がどこまで変わっていくかということによるのではないか。つまりは将来ですね。ちょっと私も、今手元にその文書がないものですから、どこまで正確に申し上げられるかということはありますけれども、ただ同時に、恐らく沖縄の負担軽減というものを当時の鳩山代表は考えて、先ほど申し上げたように、私自身はそれは誤りだったというふうに思っていますけれども、何とか県外移設の試み、検討というのをやろう、そういう意図だったんだろうというふうに、当然ですけれども、そういうふうに解釈をしています。

 ですから、二〇〇八年の話はできれば改めて、ちょっと文書をチェックさせていただいて、お答えをさせていただければというふうに思っています。

河井委員 政治家というものは、ましてや一国の最高指導者は、現実的な展望というものが当然大事である、政治家にとって言葉は命だというふうに私はずっとかねがね考えております。

 そういう意味で、今外務大臣が、この最低でも県外発言は誤りだというふうにお認めになった。ということは、民主党はそれで政権をとったわけですから、沖縄の選出の国会議員の皆さんもそれで当選をしてきた、さすれば、国民との約束をたがえたということになるので、政権の正統性が崩れてしまったということを自白したことになると私は考えます。

 この普天間問題には、民主党政権の、特に外交政策の害悪のすべてが凝縮されていると考える。国民に夢だけ与えて、後で絶望させる。得意なパターンじゃないですか。そして、中央と地元で二枚舌を使い分ける。普天間問題の挫折、行き詰まりで日米同盟が揺らいで、一体どこの国が一番喜んでいるのか、これは大臣もよくおわかりのとおりじゃないですか。

 民主党が国益を極めて毀損した今、残された道は私は一つしかないと思う。それは責任をとることです。政党が、政治家が責任をとるということは、すなわち衆議院を解散することが責任をとるということだというふうに私は考えます。大臣のお考えをお示しください。

玄葉国務大臣 私は、当時の鳩山総理自身も、あのときの発言はやはり間違えていたということをある意味認めたんだと思うんですね。ですから、いわゆる総理という地位をみずからおやめになられた。そういう意味で、鳩山総理御自身が責任をとるという形をとったというふうに私自身は理解をしています。

河井委員 問題は、鳩山由紀夫さん御自身、個人の、あるいは総理大臣自身の責任、そういう問題ではないんです。物事の本質はそうじゃない。それによって議席を得た、あるいは多数派を形成したということが厳然とあるわけですから、だからこそ、そのためには、責任をとるということは、私は、もう一度国民に考え方を仰ぐ、衆議院を解散することこそが責任をとることだということを重ねて申し上げたいと存じます。

 次に、原子力発電所の事故、その後、原子力発電のエネルギー供給、今後について、大臣の考えをお伺いしたい。特に、海外への輸出について、玄葉大臣がどのようなお考えなのかをお示しいただきたいと存じます。

 といいますのも、四月二十二日付の日本経済新聞夕刊によると、当時あなたは国家戦略大臣、党の政調会長も兼任ですが、玄葉光一郎大臣は、福島第一原子力発電所の事故を受け、従来の原発輸出戦略を見直す考えを表明した、原発輸出は一度とまらないといけないと報じられておりますけれども、外務大臣就任後もその考えにお変わりはありませんか。

玄葉国務大臣 確かに、国家戦略担当大臣時代にそういった発言をしているというふうに記憶しています。

 一言で言えば、基本ラインは変わっていません。つまりは、原子力の協力については、これまで協力関係で合意をしたとか、協力しようとずっと言ってきた、こういった合意済みの国に関しては、やはり今までの信頼関係がありますから、そういった信頼関係を損なわないようにして、きちっと原子力協力をしていくということがまず必要なことだというふうに思いますし、同時に、全く新規の案件については、やはり一回立ちどまって、しっかりともう一回事故の教訓、最終的な日本のエネルギー・環境戦略を踏まえた上で新規の案件については考えていくというのが私はいいというふうに思っています。

河井委員 つまり、三月の福島第一原発事故の前と後とで、原発輸出についての考え方、認識が変わったということで間違いないですね。

玄葉国務大臣 ここは正確に申し上げたいんですけれども、まさに、変わったというよりも、やはり一度、新規については立ちどまってきちっと議論しようよということでございまして、その上で得られた結論で今後の対応を考えていくということがいいと思っています。

河井委員 九月六日付の読売新聞によりますと、これは二日に就任されたときの就任の記者会見を引用して、原発輸出に積極的になれるかといえば、必ずしもなれないと消極な姿勢をお示しになった。加えて、十月十四日付の朝日新聞によると、マレーシアの外務大臣と会談した折、玄葉大臣は、日本がこれまで働きかけてきた原発輸出には触れなかったと報じられております。

 先ほどは戦略大臣の時代の報道でありましたけれども、外務大臣になってからもこういうふうな報道がされているということでありますので、確認ですけれども、大臣の考え方、認識をお示しください。

玄葉国務大臣 おっしゃるとおり確認なんですが、例えば、今、国会に提出しているヨルダンとかロシア、韓国、ベトナム、あるいは、協定交渉中、つまりは事実上合意済みの国も含むということで、例えばUAEとかインド、南ア、トルコ、ブラジル、メキシコ、こういったところは、やはり交渉の積み重ねとか国家間の信頼関係を損なわないようにということに十二分に留意する必要があると思うんです。

 今までマレーシアと、事細かにというか、そういう交渉の積み重ねというのはそんなにございませんので、あえて私の方から、まさに新規案件ですから、全体として議論した上でこの問題は触れるべきだろうということで触れなかったということは確かであります。

 むしろ、これから環境技術というものを日本は伸ばしていくべきでございますし、これはもう既存の技術に限らず、非連続型研究というのをどんどん政府として伸ばしていって、次の時代の環境技術というのを開発していくということが大切だと思っていますから、私は外務省の皆さんにも、これまでのように、とにかくただ原子力を売ればいいということよりも、むしろ、さらに大きな武器、武器というのは、環境技術という日本の売り込む商品というのが必ず出てくるから、そういったことを意識しながら、いわゆるパッケージ型のインフラ展開というのを展開しよう、こういうことを言っています。

河井委員 今、二国間の原子力協定の扱いにも言及をされました。まさにこの委員会でこれから審議をしていかなくちゃいけない案件でありまして、所管の外務大臣の御認識が、一度立ちどまる必要があるというふうな事柄の御答弁がありましたので、これについては、今後の原子力協定の扱いについて、いろいろと、さらに詳しく、さまざまな質疑を行う必要が出てきたな、今そのように考えております。

 続きまして、領土問題についてお尋ねをします。

 国家を構成する三要素は領土、主権、国民でありますね。さきの首脳会談で、日韓両国は基本的価値を共有している、外務省が配った紙にそう書いてありましたが、領土問題の存在と基本的価値の共有というこの認識は反することはないのでしょうか、お答えをください。

玄葉国務大臣 戦略的利益を共有するということを確かに私は申し上げています。ただ、一方で、領土問題が存在することも事実でございます。

 領土問題が存在するからといって、戦略的利益を共有できないかといえば、そうではないんだろうと。さまざまな大局的な観点から、特に私がいつも申し上げているのは、このアジア太平洋地域で、民主主義的な価値に支えられた豊かで安定した秩序をつくるということが非常に重要であるということを申し上げております。そういった観点で、やはり韓国とはまさしく戦略的な利益を共有しているということは強調してもよいというふうに思います。

河井委員 私の質問は、外相会談ではなくて首脳会談。首脳会談で、基本的価値を共有しているというふうに言っているんですよ。

 では、今外務大臣おっしゃったけれども、戦略的何とおっしゃいましたか。(玄葉国務大臣「戦略的価値」と呼ぶ)戦略的価値というものと基本的価値の違いは何でしょうか。

玄葉国務大臣 恐らく、基本的な価値というのは、自由であるとか民主主義であるとか基本的人権の問題であるとかということではないかというふうに思います。そして戦略的価値というのは、地政学的な意味も含めたより広い概念になってくるのではないかというふうに思います。

河井委員 大臣、この戦略的という言葉が持っている意味を、国際社会、外交の舞台ではどういう意味で使っているかということを御存じないんですかね、今の御答弁を聞いていると。そんな地政学的何とかというのは、それは一つ一つの条件にすぎない。戦略的ということは、第三国なんですよ、念頭にあるときは。第三国が念頭にあるときに戦略的という言葉を使う。

 だから、あなたが外相会談で戦略的価値を共有するというふうに言ったのは、まだわかる。ただ、首脳会談で、基本的価値を共有すると。領土問題でこれだけさまざまな形で激しくやり合っているときに、基本的価値を共有するというふうにおっしゃったということについて私はやや疑問に思ったからこういう質問をしたわけでありまして、今後、お願いですから、外交交渉とかいろいろな人と会うときに、戦略的という意味はそういう意味があるということを知っておいてくださいね。ぜひお願いしますよ。

 その領土問題で、北方領土と、今触れつつある竹島、この法的な扱い、外務省のホームページにはどのように書いてあるんでしょうか。

玄葉国務大臣 外務省のホームページには、たしか不法占拠と書いてあると思います。

河井委員 たしかじゃなくて、そういうふうにちゃんと明記してある。ところが、政権交代後、民主党政権の閣僚は、不法占拠という言葉を使わなくなったということは御存じですか。前原外務大臣、枝野官房長官、松本外務大臣、それぞれ衆議院の委員会でそういう御答弁をされている。あなたはどうかということも含めてお答えください。

玄葉国務大臣 法的根拠のない形で占拠されているということを、たしか岡田外務大臣のころからそういう答弁になっているというふうに承知をしていますし、私自身もそのように申し上げたいと思います。

河井委員 つまり、不法占拠という旗を玄葉大臣もおろしたということでいいですね。

玄葉国務大臣 いずれにしても、法的解釈というのは変わっていないというふうに思っています。

河井委員 いや、法的解釈は変わっていないといろいろな人が言うけれども、不法占拠と法的根拠のない占拠ということの違いを説明してください。

玄葉国務大臣 いずれにしても、総合的な観点で、法的根拠のない形で占拠されているというふうに岡田外務大臣のころから答弁をしている。私自身も、基本的にはそのようにしたいというふうに思っています。

河井委員 だから、自分自身がそのようにするその根拠をお示しくださいと言っているんですよ。不法占拠と法的根拠のない占拠の違いを説明してください。二度目の質問です。

玄葉国務大臣 基本的には、そのことについて、法的解釈に変わりはないというふうに思っています。

河井委員 変わりがないとすれば、どうして不法占拠という言葉を使わないんですか、大臣。

玄葉国務大臣 法的解釈に変わりはありませんけれども、総合的に判断してそのように言葉を使ったというふうに承知していますし、私もそれを踏襲したいと思っています。

河井委員 総合的な判断の根拠を例示してください。

玄葉国務大臣 それはまさに総合的な判断でございます。

河井委員 全く説明になりません。大臣、これは国民が見ている、しかも領土問題というのは、今極めて国民全般が関心を持っている重要事項ですよ。総合的、総合的と、そういう逃げの答弁じゃだめですよ。

 もう一度聞きます。不法占拠と法的根拠のない占拠の違いを説明してほしい。

 実は、両者は違うんです。不法占拠と法的根拠のない占拠というものは違う。不法占拠というのは違法なんです。法的根拠のない占拠というのは違法でない。日本の国内法の解釈ではそのようになっている。国際法も含めてさまざまな考え方があるのは承知しております。だからこそ、新大臣に認識を今お尋ねしているんです。

 総合的な、あなたが解釈した、判断した、ほかの大臣とか前大臣はどうでもいい、あなた自身のその解釈の根拠になった総合的ということの要素を例示してください。

玄葉国務大臣 いずれにしても、我が国の立場は一貫しているということを改めて申し上げたいと思います。(河井委員「だめ、だめだ、そんなんじゃ。全然だめですよ。だめだめ。一貫しているかどうかはこっちが判断するんだから」と呼ぶ)

 どのような場でどういう表現を使うかということについて、まさにそれぞれの政権のその時々の政策的な判断と。ただ、法的解釈に変わりはないというふうに認識しております。

河井委員 言っておきますけれども、一貫して変わりがないというのはあなたたちが言うことじゃないんですよ。判断するのは国民なんです。そして、国民の代表として、今私はこの場に立っている。だから、私が納得するように答弁してくれない限り、このことについては、それこそ旗をおろすことはできない。

 では、不法占拠というふうに外務省のホームページにはたしか書いてあるとあなたはおっしゃった、たしかなんというのは本当に主管大臣として情けない答弁だが。その不法占拠という表現をホームページから修正するわけですね。だって、法的な解釈は全然変わりがないと言うんだから。変わりがないんだったら、最近の外務大臣、あなたも含めて、あなたたちが答弁しているとおりに書くのが当然じゃないですか、論理的には。お答えください。

玄葉国務大臣 いずれにしても、法的解釈に変更はないということで、ホームページについては変更するつもりはありません。

河井委員 委員長、お聞きになっていて理解できますか。私は理解することができない。

 大臣、もう一度お答えをください。あなたのお答えは全く答弁になっていない。どこが一緒なのか。だって、言葉が違うのを使っているわけですよ。違う言葉を使っているわけですよ。それで一貫している、一貫していると言われても、それは納得することができない。納得できる御答弁をください。

玄葉国務大臣 まさに、何度も申し上げますが、法的な解釈に変更はない。どういう表現をその時々で使うかは、まさに鳩山政権のときにそういう判断をしたということで、私は、現時点でそれは変更するつもりはありません。(発言する者あり)

田中委員長 河井克行君、どうですか、質問は。

 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 玄葉大臣からもう一度説明をお願いいたします。

玄葉国務大臣 ここは、岡田外務大臣からずっと同じ答弁をしてきたという経緯があるというふうに承知しています。先ほど総合的判断というふうに言いましたけれども、まさに法的解釈は変わっていない。ホームページは不法占拠になっている。私は、それは変えない方がいいというふうに思っているんです。あとは、その時々の政権の一種の政策的判断が私はあったというふうに思っていますし、そういう意味で私は、それは言葉の表現ですよ、そういう意味で、そういうことも含めた総合的判断だというふうに思っています。

河井委員 変えるのなら変えなさいということなんですよ。不法占拠から法的根拠のない占拠に変えるのなら変えなさい、そしてその理由を国民に明らかにしなさいと言っているんですよ。

 昨年の九月の尖閣諸島日本領海侵犯事件、中国人船長、あのときの処置も結局、はっきりと指揮権を発動するのならする方がよかった、するべきだった。それを、見えないところで全部やるから、外交に対する、国民が今の政権に対して不信感を持っているんです。

 今、あなたは一種の政策的な判断で言葉遣いを変えたと言いましたね。さすれば、内閣としての統一見解を出していただきたい。だって、政権がかわったんだから。政権がかわったんだから、統一見解を出しなさい。

玄葉国務大臣 そこはこれまでと……(河井委員「そこはですねばかりじゃないか、あなた」と呼ぶ)いやいや、これまでと基本的には変わらないというふうに申し上げているわけでございます。

河井委員 もう一度言いますよ。内閣がかわったんだから、新しい内閣になったんですから、一種の政策的な判断と言うんだったら、その政策的な判断について、内閣の統一した見解をこの領土問題の言葉遣いについてお示しくださいと今言っているんです。

玄葉国務大臣 ですから、統一的な判断というよりは、まさにこれまでと変わっていない。もし、野田内閣として改めて何らかの形できちっと出しなさいということであれば、それはそれでもう一回整理をして申し上げたいというふうに思います。

河井委員 確認します。ですから、内閣として、この問題について統一的な判断を示すということで間違いないですね。

玄葉国務大臣 それは改めて整理いたしますが、基本的には、先ほど私自身が申し上げたということでありますが、改めて、御要請でございますから、それは整理をしたいというふうに思います。(河井委員「いやいや、ちょっと委員長、だから整理では」と呼ぶ)

田中委員長 挙手してから発言をしてください。どうぞ。

河井委員 整理じゃない。だから、内閣として、新内閣ができたんだから、この問題についての統一的な見解を示すべきだ。示すことができないんだったら、これ以上審議を続けることはできない。

玄葉国務大臣 そういう意味では、見解というのをもう一回出せということであれば、それは出させていただきたいと思います。

河井委員 いつまでに出すおつもりですか。

玄葉国務大臣 それは、整理し、また調整でき次第出させていただきたいと思います。

河井委員 でき次第、可及的速やかに出すということで答弁を聞いたわけであります。

 持ち時間が参りましたので、以上で質問を終了いたします。ありがとうございました。

田中委員長 次に、三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 外務委員会に久しぶりに戻ってまいりまして、野党になって初めて戻ってまいりました。

 きょうはまず、大臣の外交姿勢全般について若干お伺いしたいのと、その後、TPP、さらに普天間の問題も伺おうと思ったんですが、河井委員が相当突っ込んで聞かれましたので、若干はしょって伺いたい。最後に、ASEANといいますか東アジアの問題、南シナ海の問題、あるいは最近非常に急速に進展しておりますミャンマーの情勢等についてお伺いしたいなというふうに思っております。

 最初にまず、大臣の所信の中でも述べられておりますが、外交の目的は国益を最大化することだ、当たり前の話でありますけれども、もう少し具体的に、日本にとりまして、特に今の日本にとりまして、その国益というのは一体何だというふうにお考えでしょうか。

玄葉国務大臣 やはり、先ほども若干触れましたけれども、一番大事なことは、このアジア太平洋地域において、民主主義的な価値に支えられた豊かで安定した秩序をつくる、そして、不安定要因がございますから、そのリスクをできるだけ最小化する、その上で成長の機会を最大化する、そのことが大切だというふうに思います。

 特に、一億二千七百万あるいは八百万、ちょっと正確に申し上げられませんが、約八百万弱の人口が、このままいけば二〇四六年には一億人を切るという状況の中で、やはり成長の機会をきちっと最大化する、そういうための外交も必要だというふうに思っていますので、そういう意味で、そのためにどうしていくかということを、具体的に合理的な手段を組み合わせていくということだというふうに思っています。

三ッ矢委員 今大臣がおっしゃった国益の最大化、これはそのとおりだと思うんですが、今の日本の外交、あるいは、もっと言うと外務省と言ってもいいかもしれませんが、そのために十分機能しているとお考えでしょうか。

玄葉国務大臣 いや、これは機能させなきゃいけないということだと思います。

 先ほど、もう率直に私は申し上げましたけれども、結局、民主党政権になって、最初のときのあの発言で、やはり日米の揺らぎというのは一時的にあったということは、私は否めないと思っているんです。

 ですから、日米の基盤というのをやはり強固にする。これは安全保障だけではなくて、経済も文化もそうだと思うんです。さらに言うと、日本みずからが、よりできることがやはりあるはずだ、そういうこともあわせて考えなきゃいけないし、さらに、さまざまなパートナーの国々との関係をきちっと深化させる。

 そして、先ほど国益ということだけ言いましたけれども、実際は、国際社会全体の貢献のためには、いわゆる国益と国際公益の重ね合わせみたいなものも当然必要になってくると思うんですね。その上で国益にきちっと結びつけていく。国民の生活、豊かさの維持、特に子供たちや孫たちに豊かさを引き継ぐのが私は政治家の役割だというふうに思っていますので、そのために外交ででき得ることは最大限やっていきたいというふうに思っています。

三ッ矢委員 今の日本にとりまして、外交を進めていく上でのツールというのでしょうか、政策手段と言ってもいいかもしれませんが、日本は軍事力は対外的には使わないと。一部、PKOとか、これは軍事力というよりは、むしろ平和維持のための協力でありますけれども。それから、経済力に陰りが見えてきている、ODA予算も減らされてきている、そういう中で、日本外交にとって、これからそのツール、一体何があるんだと。

 実は、私は七月に、ちょっとプライベートでインドネシアに行ったんですが、そのときに民間企業の方、十数年、もう二十年近くインドネシアにおられる方と話をしていましたら、民間企業の方ですけれども、こんなことを言っていました。

 最近、別に民主党政権になってからということではないかもしれません、もう少し長いスパンかもしません、特にここ五年、十年という話だと思いますが、昔と比べて日本政府の影というのですか、非常に薄くなってきていると。このインドネシア、ジャカルタにおいても、日本政府の存在感が極めて薄いというようなことを言っておりました。

 インドネシアは特に、昔からODAの最大の受け取り国であったり、そういうこともあったからということもあるんでしょうけれども、また、インドネシア自身が経済発展もかなり進んできていますから、そういう面もあると思いますけれども、非常に政府の影が薄いということを、その民間の方が危惧しているんですね。

 ここで、大臣、この間インドネシアも行かれましたけれども、多分、外務省の人、大使館の人は何をやっているかというと、大臣のロジで走り回っているんです。何十人もかけて、ホテルの手配、空港への出迎え、車の手配、先方とのアレンジメントもあるでしょう、これを何十人もやっているんですよ。大臣についていかれた、東京から連れていかれた方が何人いたかは知りませんけれども、多分、インドネシアの大使館員ほとんど総出で、大臣一人のためにロジをやっているんです。幾ら使ったかは知りませんよ。終わったら、大臣が行っちゃったら、ああ、よかったよかった、無事に終わった、みんなで打ち上げをやろうじゃないかと。私は自分も経験があるからよくわかるんですよ。それが外交かということですね。

 私は、そこのところをしっかりと、大臣は外務省の職員の皆さんにも徹底させてほしい。日本の国益はこれなんだ、外務省はこれをやるんだ、そのために君たちは働いてほしいんだ、おれのロジなんかどうでもいいと。そういうことを大臣が言わないと徹底しませんよ、これは。

 私もワシントンに三年いましたけれども、総理が来るたびに何をやっているかというと、議員さんの世話に走り回っているわけですよ。そんなの外交じゃないですよ。本当の意味での外交をしっかりとやっていただきたい。

 それから、もう一つ伺いたいのは、民主党政権になって二年経過したわけですけれども、この間の、特に外交の、大きな話ですけれども、外交上、どういう得失点といいますか、あったのか、大臣の総括をお伺いしたいんです。私は、失点はたくさんあったけれども、得点はほとんど何もないと思っているんですけれども、この点についてはいかがですか。

玄葉国務大臣 三ッ矢委員の先ほどのいろいろなアドバイスについては、しっかり参考にさせていただいて、ロジに走り回り過ぎて本来の仕事を忘れないようにというのはそのとおりだというふうに思います。

 それと、やはり外交のバックグラウンドというのは、確かに、一番大きいのは国力そのもの、外交そのものももちろん国力の一つをなしているわけでありますけれども、国力、それは先ほど軍事力という話がありましたけれども、経済力、文化力、そういったことを含めてのトータルであります。

 そういう意味で、先ほど申し上げたように、人口減少時代に入ったとか、あるいは経済力に陰りが見えてきたというふうに見られていること自体が非常に外交をやりにくくしているという面は、私は一定程度あると思います。それをしっかりカバーしていかなきゃいけないということだと思うんです。

 同時に、いわゆる構想してルールをつくるということは、必ずしもお金はかからないということなので、やはりさまざまな構想をつくって、しかし、別に絵そら物語の空想をつくってもしようがないんですけれども、現実的ないろいろな提案をして、それを実現していくということは大切だと思います。

 二年間の総括という話でありますが、先ほど申し上げたように、率直に、私自身は、日米について一時的な揺らぎというのは否めない。ですから、そこの日米を強固にするというのはやはり非常に大事な課題で、あの後、総理、外務大臣とも努力をしてきたというふうに思いますし、そこをきちっと私は一層堅固にしたいという思いがあります。

 では、プラスは何だったのか、こういう話でありますが、一つは、密約文書を公開するというのは、それはそれで一つのよかった点だと私は思います。実は、岡田外務大臣がやめてから、その後、公開されていないということだったので、私自身もそれを指示して、急ピッチで作業を今させているということがあります。

 あとは、核の問題で、NPDIという、オーストラリアとイニシアチブをとって、より現実的な、ステップ・バイ・ステップで核の軍縮の問題というものを進めようじゃないかということで物事を進めている。残念ながら、まだ大幅に物事が前進したとは言い切れませんけれども、そういったイニシアチブをとり始めた。

 あとは、やはりアフガンにおける、これは資金の話になっちゃうんですけれども、あのコミットというのは、私は今後生きてくる可能性というのがかなりあるんじゃないかなというふうに思っています。

三ッ矢委員 得点の方が、密約文書の公開だとか、その程度の……(発言する者あり)それはウィキリークスの方がよっぽど立派なことをやっているのかもしれませんけれども、アフガンの話にしたって、インド洋の給油をやめちゃったわけですよね。私は、そっちのマイナスの方がずっと大きいと思いますよ。そんなことで得点だという方が私はおかしいと思いますけれども、この問題はこのぐらいにしておきます。

 日本は、要するにセックスアピールがなくなってきているんですよ。日本の外交でやれるとしたら、私はやはり日本の見識を示すことだと思っているんです。金はない、だんだん減ってきています、軍事力も使えません、だけれども、日本はこういう見識を持って世界の国とつき合っていきます、こういうことをやりますよと。それを示すのが外務省の役割ですよ。それが本当の日本の外交の礎になると私は思っています。それをぜひやっていただきたいと思うんですね。さっきから伺っていると、どうも見識がぐらぐらしているから、領土問題につきましても、なかなかちょっと頼りないなという気がして聞いていたんですけれども、これはこの辺にしておきます。

 では、TPPについて伺いたいと思います。

 ちょうど二十年ぐらい前に、私がワシントンにいましたときに日米構造協議というのがありまして、当時は、実はアメリカとの経済関係というのが非常に大変な時期でした。これは構造協議だけじゃなくて、自動車の問題ですとか建設の問題ですとか、あるいは通信等の分野でも非常にアメリカとぎくしゃくしまして、いろいろな要求をアメリカから突きつけられて、我々大使館にいた人間も非常に四苦八苦した覚えがあるわけですが、何となく、今度のこのTPPの問題というのは、若干それにダブる面を私自身は感じております。

 そもそも、TPPの話というのは、去年の横浜のAPECの場で多分初めて出てきたんだと思うんですね。それまで余り聞いたことがなかった、TPPというのは。私もアメリカ人の知り合いはたくさんいますけれども、TPPって何だとアメリカ人がみんな言っているんですね。今は知っているかもしれませんけれども、当時はTPPなんて知らない。これは多分、APECで目玉になるアジェンダがないから、恐らく外務省と経産省の小役人が入れ知恵をして、これを持ち出したらいいですよと言ったに決まっているんですよ。その程度の話だったのが、今や平成の開国だとか、そういう大きな話になってきてしまった。

 それで、九月の日米首脳会談でオバマ大統領から幾つか話をされたんだと思います。まずは普天間の話ですね。それからTPPと、牛肉の例の二十カ月、三十カ月の問題、それから国際結婚の子の親権に関するハーグ条約加盟の話とか、この四つ。プラス、こちらから例の武器輸出三原則緩和の話。これは向こうから持ち出したというよりも、多分こっちから言った話かもしれません、そこは私も推測ですからよくわかりませんが。恐らく、今度ハワイでオバマ大統領と総理が会われるときに、これらの問題について日本側としての見解を申し述べられるということになっているんだと思います。

 そこで、まずTPPの問題について伺いたいのは、一つは、世界全体の自由貿易の推進体制としてWTOというのがありますね。これはちょっと頓挫していますけれども、私も交渉に加わって、ウルグアイ・ラウンドのときに加わったことがあります。あるいは、もう一つ別の形でAPECという仕組みもある。それから、日本も二国間のEPA、FTAを、今度のこのTPPの中に参加している国の中とも幾つか既にバイでEPAを結んでいるし、今度、ペルーの話はこの国会でも議題になってくると思うんです。

 ちょっと、まずその整理をしておきたいと思うんですが、そういう多国間の枠組み、それから二国間の枠組みの中で、このTPPに関して、大臣はどういう位置づけでとらえておられますか。

玄葉国務大臣 基本的には、三ッ矢委員がおっしゃるように、まずWTOというのがあるわけですよね。だけれども、WTOが、残念ながら交渉がうまくいっていないという現状にあることが一つございます。それと、二国間のFTA、EPAについては、御存じのように、たしか二〇〇二年が最初だったと思いますけれども、シンガポールを皮切りに、今度はインド、ペルーとなって十三になるんでしょうか、結ばれる。ただ、残念ながらタリフラインが低いというのは御存じのとおりであります。

 そんな中で、高いレベルの経済連携としてTPPが出てきた。このTPPは、昨年の横浜というより、私が知る限りは、二〇〇九年の秋にオバマ大統領が来日されましたよね。私、サントリーホールに行ったんですけれども、あのサントリーホールで初めて、日本で言及されたのが最初じゃないかというふうに思うんです。ですから、二〇〇九年の、たしか十一月だったのではないかというふうに思います。

 そういう意味で、高いレベルで経済連携をしていくことになったときの一つの有力な手段ということになる。もともと、FTAAPということで、アジア太平洋全体で自由貿易圏をつくろう、その中のまさにTPPは重要な一里塚であるというふうに考えております。

三ッ矢委員 若干危惧されるのは、ブロック経済化なんですよね。そこまでいくのかどうかわかりません、もちろん、まだ日本も入ると決めているわけでもありませんから。

 よく経済界の、大臣も経団連の皆さんと、この間お会いになってお話をされたようですけれども、バスに乗りおくれるなとかいう話がありますが、例えば韓国と比べて、韓国は物すごく今工業製品、輸出がどんどん伸びていて、日本はどうも停滞しておる。これは、韓国がいろいろなところとFTAやEPAを結んで、それが効果が上がっているんだ、こういう話にどうもすりかえられていると私は思っているんですが、実はウォン安なんですよね。これが一番大きな要因なんですよ。

 今回、もし日本がTPPに入っても、では工業製品の関税率はどのぐらい下がるか、御存じですか。日本の工業輸出品が、関税がどのぐらい下がるか、御存じですか。TPPに入ったとしたらですよ。ゼロになるわけですけれども。

玄葉国務大臣 いや、それは交渉次第というか、今ある、日本のですか、日本国内の。日本国内の関税は……(三ッ矢委員「例えばアメリカとの関係で」と呼ぶ)アメリカに対して物を輸出するときに、どのぐらい関税がかかっているかということですか。

 例えば、ちょっと今手元にありませんけれども、トラックだったら二五%ぐらいかかっていて、乗用車だったら二・五%とか、液晶だったら五%とか、そんなレベルだったかと記憶をしていますけれども。そういうことですね、今の質問には。

三ッ矢委員 要するに、その程度なんですよ。ところが、円は今もう七十五円台になっていて、つい数カ月前までは八十五、六円ぐらいだったわけですね。これで、この七十五、六円という状況がいつまで続くのかわかりませんけれども、日本が今最も貿易に関してやるべきことというのは円高対策なんです。これをやらないといけないんです。

 TPPは、私はもっと慎重にやるべきだと思っています、後でちょっと理由は申し上げますが。どうも話をすりかえて、TPPが万能薬だ、これをやったら日本の工業製品もどんどん輸出がふえますよというようなことを、どうも幻想を抱かせている。前原さんがTPPお化けと農業のことを言いましたけれども、私は逆のTPPお化けだと思いますよ、これ。そういうことを言っているのは、だれが言っているのか私は知りませんけれども、逆に国民に対してちゃんと説明をしていない、資料も出していない。

 もう一つ言いますと、交渉に参加しないと情報がとれないんですとよく言われますね。これは、私は外務省の怠慢だと思いますよ。こんなもの、同盟国でありながら、アメリカから何で情報がとれないのか、あるいはオーストラリア、ニュージーランドから何でとれないんだ。教えてもらえません。では、そのためにこの交渉に入るんですかということですよ。実は国連の常任理事国に立候補するときも同じ議論があったんですね、情報がとれないんですと。情報をとりたいから常任理事国になるんですか。こんなばかな話はないんですよ。本末転倒だと思いますよ。

 だから、もし、情報がとれなくて困っているんです、だから交渉に参加しないといけないんですというんだったら、私は外務省なんか要らないと思いますよ。何のために毎日外交をやっているんですか。それで情報がとれないというんだったら、くどいようですけれども、やはり大臣が、職員に情報をとってこいと。毎日、任国の政府の人と飯を食っていろいろやっているわけですから、私もやりましたけれども、とれないはずがないんですよ。そこについて、どう思われますか。

玄葉国務大臣 三ッ矢委員が言われるように、為替の問題というのは、当然これは大事な問題で、為替は為替で別途対策をとらなきゃいけないし、ただ、これは長期レンジで見ると、いつどこでどうなるかというのは、まだだれも予測がつかないということがあるというふうに思います。それは別途の対策が必要であるということだと思うんです。

 情報収集については、もうおっしゃるように、私も外務省の関係者にはしっかり情報をとれということを言っています。同時に私自身も、例えばこの間、ASEANのシンガポールとかマレーシアが交渉に参加しているものですから、これはアメリカにも言いましたけれども、直接要請をしました。かなり情報収集はできています。その情報をきちっと出します。かなり出し始めていますよ。

 ただ、私が言った話をおっしゃったわけではないんでしょうけれども、情報収集のために入るかといったら、それはもう全く違うと思います。あくまで、それはできる限り事前の情報収集をして、ただし、入らないととれない情報だって当然ある。

 これはもう御存じのとおりで、例えばドラフト、ドラフトをもらえと私は言っているんですよ。もらえと言っているんです、ドラフトを。だけれども、途中段階じゃないですか、ドラフト自体は。変更がどんどんあるでしょう。だから、ドラフトをどうしてももらえないというわけです。やはり、そういうドラフトなんかで交換するみたいな話は、さすがに交渉に参加しないとなかなかできない、そういう意味で申し上げているので、そこはできる限りの情報収集をして、開示をするというふうにしたいと思っています。

三ッ矢委員 それなら、私は今まで、情報がとれないからという話も大分聞いてきたんですけれども、とれているんだけれども隠してきたということですよ。(玄葉国務大臣「いや、結構出していますよ、今は」と呼ぶ)出していないですよ。

 それはいいとして、こういう貿易、経済にかかわる話というのは、各国それぞれみんな国内事情を背負っているわけですね。玄葉大臣の御地元の福島県の県議会は反対の決議をしています。福島の市長会も、これは決議ではないけれども、意見書を出していますね。もちろん反対の方向でのことであります。

 くしくもきょう、全中主催のTPPの大反対集会が行われますけれども、実はこれは農業の問題だけじゃなくて、金融だとか保険だとか、あるいは医療だとか医薬品だとか、あるいはもっと言うと公共事業だとか、そういう全般にかかわってくる話でありますから、ここのところを、本当に各分野の皆さんに正確に、政府が今持っている情報を開示して、判断をしてもらわないと、軽々にそれなしでTPPに参加します、交渉に参加しますというのは、私は非常に危険だと思っている。

 それから、もう一つ申し上げますと、地元の方に対してどういうお話をされているのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。

 もう一つ、前原さんが、交渉に参加しても国益を害するような事態が起これば離脱すればいいんだと。大臣はどうも逆のことを、逆かどうかは知りませんが、私に言わせると、何か、要するに、入学する前に中退するかもしれませんよというようなことを言っていて、前原さんの言い方はですよ、あるいは官房長官のお話もそうかもしれませんが、この方がよっぽど私は国益を害すると思いますよ。一たん交渉に参加して、やはり途中でやめましたといったときのデメリットの方がすごく大きいと思う、最初から入らないより。

 カナダが交渉に参加できなかった理由は御存じだと思いますが、表向きの理由は、実は酪農製品を除外してくれと言ったら、そんなのだったらもう交渉なんかに入らないでくれと。これはオーストラリアやニュージーランドとの関係もあったし、アメリカとの関係もあったのかもしれません。

 それから、もう一つ申し上げますと、これも仄聞です、うわさにすぎないかもしれませんが、アメリカが今の交渉の中で砂糖を例外扱いといいますか、してもらえないかというような話をしているやに聞きます。

 二十年前に、実はWTOの話がいろいろあったときに、ワシントンで私の同僚だった農水省の人間が、例えば農業の問題で、アメリカは盛んに日本に米を輸入しろと言ったわけですね。そのときに、実は日本のミカンをTVオレンジといいまして、日本のミカンというのは非常に皮がむきやすい。アメリカのオレンジは皮が厚いですから、まあ、どうでもいい話なんですけれども、要するに、テレビを見ながらすぐ食べられるミカンというので結構人気があった。

 ところが、実はアメリカで、フロリダとかカリフォルニアとか、たしかテキサスもそうだったかもしれません、これは二十年前の話で、今はどうかわかりません、要するに、そのオレンジの産地あるいはグレープフルーツの産地の州では日本のミカンを入れていなかったんですね。そのことを、実はフェデラルガバメント、連邦政府に文句を言いに行きましたら、いや、それは州政府の問題ですと。ジ・エンドだったんですよ。アメリカというのはそういう国なんですね。

 だから、そこは我々もよく注意をしないといけないし、このTPPの中でどういう議論が行われるかわかりませんけれども、そういう使い分けといいますか、ダブルスタンダードと言ってもいいかもしれませんが、そういうことになる可能性もあるので、よっぽど私は慎重にやらないといけないと思っている。

 それで、質問としては、大臣の御地元に対してどういう説明をされているのか。それから、中退の話ですね、中退。前原さんと大臣で見解が違うのかどうか。そこをちょっとお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、長安委員長代理着席〕

玄葉国務大臣 私は、地元の皆さん、実は外務大臣になってからなかなか帰れないものですから直接お会いしていませんが、帰ったときも全く同じことを言うと思います。これまでも実はそう言ってきました。実は、外務大臣になる前は政調会長と国家戦略を兼ねてまとめ役だったものですから、余り自分の考え方を前面に出さずにいたというのが率直なところでありますけれども、今はまとめ役という立場ではありませんから、一定程度、自分の考え方を出しているというのが率直なところです。

 それで、一言で言えば、やはり、先ほど申し上げましたけれども、長期的に見て、人口がこれだけ減っていく状況の中で、どうやって豊かさを引き継ぐのかということを考えたときに、今、七十億の人口になってきたということでありますが、アジア、四十億人の内需を日本の内需というふうに考えていく、そういう考え方を基本にしていかないといけないのではないかということを申し上げていると同時に、おっしゃったとおり、私自身の選挙区は農業県であると同時に、実は福島県の中でも、郡山、浜通りは田中委員長がすごく御縁のあるところなんですが、いわきとか福島とか会津若松とか、そういう都市を含まない地域なんですよ。そういう地域であります。だけれども、同じことを言っています。それは、つまり、農業もやはりこの機をとらまえるしかないんじゃないかという思いは、私はかなりあります。

 ちなみに、農協からも私は推薦をいただいています。約三百人の民主党の衆議院議員、それで、推薦をもらっているのは私だけでございます。でも、農協の人たちにも同じことを言っていまして、やはり農業も、今、大事なんですよ。例えばGDPに占める割合は一%台であると。でも、EUだってアメリカだって同じなんですね、一%台なんです。だから、それはそれとして、例えば畜産、小麦などは直接支払いの仕組みをつくろうというふうにこの機に言っていますし、同時に、攻めの農業というものを本格的にやろうじゃないかと。農業の輸出は、御存じかもしれませんけれども、水産業を含めて四千五百億です。地域は全く違いますけれども、例えばドイツとかオランダは、たしか七、八兆あったのではないかというふうに思いますが、やはりこういうときに、そういった機をとらまえて農業もよい方向に変えていくということをしたらいいということでございます。

 これは説明し出したら切りがありませんので、要点を言うとそういうことであります。

 それと、交渉途中、中退という話は、私は一貫して申し上げていて、そんなに大きく乖離しているわけではないと思うんですけれども、論理的にはあり得る話ですというふうにまず言って、その上で、では本当に、先ほどおっしゃったように、途中で中退しますとか、あるいは途中で離脱しますといったときに損なう国益というものをやはりしっかり考えなきゃいけないから簡単な話じゃないよと。そのときに、離脱する国益と、そのまま交渉に残ってきちっと合意をしていく国益と、当然、最終的には政治判断なわけで、もっと言えば国会も含めた政治判断、国会で承認されなければ発効しないわけでありますから、最後はいずれにしても政治判断が入るということであるというふうに思います。

三ッ矢委員 農業のことに大臣が言及されましたので、攻めの農業と言っているんですが、民主党がとっている政策は戸別の所得補償とか、私は、あれは農業の自由化とセットであればわからぬでもないんですよ。もともとそうだったんだと思うんですけれども、途中でそっちの方の旗をおろしちゃっていますから、ただのばらまきになっちゃっているんですよね。小さい農家もそのままの規模で残しましょうという方向に行っちゃっているものですから。

 大臣が地元の農協の方から推薦をいただいているということであれば、まあこんなことはないと思いますけれども、心配するな、米以外も戸別所得補償してやるぞと。現に、いつか新聞にも出ていましたけれども、もしそんなことをやれば、今度はまたそのために何兆円という税金が使われるわけですよね。

 日本がTPPに入るために、そこまでやって農家の方を説得する。あるいは、もっと言うと、まず民主党の中ですよね、これはもうぐちゃぐちゃになっていますから。それを説得するために、いや、戸別所得補償をやりますよ、あるいは、入っても中退もできるんだから入るぐらいいいじゃないか、そういうことで言っているとしたら、私は大きな間違いだと思います。

 これは大臣も言われたように、一たん交渉に入ってしまうとなかなか抜けられないし、私は正直言いまして、日本の外務省の交渉力を疑っているんですよ。そんな力はないですよ。大勢に流されますよ。アメリカに言われたら、絶対だめなんだ。山口副大臣はよく知っているんだよ。その程度の話なんだと思いますよ。

 だから、一回入っちゃったら、このまま、とことんいっちゃうんですよ。そんなの、わかっているじゃないですか。抜けた方がよっぽど日本は信用されなくなりますよ、国際社会から、途中で抜けたら。そういう意味で、私は国益を損なうと思います、もし途中で抜けたら。だから、そこはぜひ心してやっていただきたいなと思うし、まずは前原さんとの調整をやってくださいよ。

 それから、例の二〇〇九年の民主党のマニフェストで、日米FTAの締結ということが、たしか書いてあったと思います。

 私は、本来ですと、こんなTPP、TPPといいましても九カ国ですよね。その九カ国の中に占めるアメリカのGDPの比率が八八%ぐらいだと思いますけれども、その九カ国の中では、ほとんど九割近くをアメリカが占めている。もし日本が加わって十カ国になると、アメリカと日本で九一%になっちゃうので、これはもうバスじゃなくて、乗り合いタクシーの中に一人のでぶが乗っているわけですよ。あと七人は非常にやせっぽちが乗っている。そういう状況の中で、これは本当にバスに乗りおくれるなんていうふうな議論になるのか。

 要するに、中国も入っていない。韓国は二国間のFTAをやると言っていますけれども、これは私は、あの条約が本当にうまくいくのかどうか、若干疑問なしとはしていないんですけれども。そんな要するに大きな国、それから、ASEANでもインドネシアですとかタイは入っていないわけですから、参加していないわけですから、その大どころが入っていないようなシステムに日本が入って、本当にどれだけの意味というかメリットがあるのか。そこのところもぜひよく考えないといけないし、その点も含めて、私は、本来は国会でしっかり議論をしてから交渉に参加するかどうかを決めるべきだと思っているんですよ。そうでないと、さっきも申しましたように、一たん交渉に参加しちゃうと途中で抜けられませんよ、あるいは、抜けた方のデメリットの方が大きいですよという話になってしまったときに、いや、政府が勝手に決めて、国会での議論もしないで入っちゃいましたということになったら、これは責任問題になりますよ。

 だから、そこも含めて国会でちゃんと議論をした上で、十一月の十二日にどういう話をされるのか知りませんけれども、余り時間もありませんけれども、私は、ぜひ政府の中できちんとした議論をした上で、交渉に参加するかどうか、これを判断していただきたいなというふうに思います。

 それと、さっき申し上げた日米の二国間のFTAについては、民主党のマニフェストはもう放棄したというふうに考えてよろしいんでしょうか。

    〔長安委員長代理退席、委員長着席〕

玄葉国務大臣 あのときのマニフェストは、確かに日米FTAをやる、簡単に言えばそう書いてあったと思います。

 それで、先ほど申し上げましたけれども、TPPはその後出てきたというのが実態であります。それと同時に、米国そのものについて言えば、日米関係は確かに大事でありますけれども、米国そのものは専らTPPに関心があるというのも事実としてあるという中であります。

 ただ同時に、おっしゃるとおりです、日本が入って九一%が日米になります。ただ、一つ言えることは、例えばベトナムにしてもマレーシアにしてもそうでありますけれども、今どんどん伸びていますよね。だから、そういったことをどう考えていくのかということと、必ずしも日本が入ってそれで終わりということではなくて、また他の参加国というのが出てくる可能性というのは私はあるんだろうというふうに思うんです。

 ですから、そういったことも含めて、先ほど申し上げたように、FTAAP、つまりアジア太平洋全体で自由貿易圏をつくるというのが最終的な目標でありますから、中国だって、率直に言うと、今はもちろん意思は全くないと思いますけれども、そもそも日中韓でやったって、あるいは韓中でやっていても、いわゆるタリフラインというレベルがすごく低いですから、とてもやれる状況にないというのが現状であります。まだ研究段階という状況でありますから。

 そういう意味では、日米は非常に大事でありますけれども、マルチで多国間であると。もっと言えば、例えばベトナムと日本のFTAを結んでいても、もう御存じだと思いますけれども、非常にタリフラインが低いものですから、例えば、たしか乗用車とかそういったものは八割とか、そのレベルでかかっていると思うんですね、関税が。二国間のEPA、FTAを結び直しましょうというと、現実には困難だと思います。だけれども、マルチでやります、多数国間で協議しますということになれば、私は、交渉はより容易になるということは言えるというふうに思いますので、そういう意味で、当然このTPPには攻めも守りも両方あるというふうに思います。そういうことも含めて、最終的な判断をしていくということだと思います。(三ッ矢委員「国会での議論はどうですか」と呼ぶ)

 国会での議論は、まさに、きょうこうして三ッ矢委員からもお話をいただいている。同時に、恐らく、本会議とか、これから予算委員会なども開かれるんだろうというふうに思います。ですから、この間も議論はしてきました。ただ、震災があって、TPPの議論というのは確かに一たんストップしたというところがありますけれども、また盛んになってきたわけでありまして、それはもう、でき得る限りの国会の議論というのは展開をした方がいいというふうに思います。

三ッ矢委員 今のお話ですと、例えばほかのアジアの国、中国にしても、あるいはインドネシアやタイにしても、後から入ってくる可能性もあるじゃないかと。日本も後から入ったらいいじゃないですか。どうしてだめなんですか。

玄葉国務大臣 ここは、もう御存じでおっしゃっていると思いますけれども、やはり、いかに日本に有利なルールをつくるか。ルールメーキングに参加して、日本の、まさに攻めと守りがある中で、かち取らなきゃいけないところをかち取り、センシティブ品目で守らなきゃいけないものは守るということをするためには、私は、遅い、ツーレートというのはよくないというふうに思っています。

三ッ矢委員 TPPは、関税に関して言えば例外なしですから、砂糖はどうなるか知りませんよ、アメリカが言ってどうなるか知りませんけれども、原則例外なしですから。それは、日本が何を主張するのか知りませんけれども、例えば米は今七七〇%の関税がかかっていますけれども、五十年かけてゼロにしていきますよというようなことを言うのか。そんなもの、だれものみませんわね。では、一挙に七七〇%の関税を下げられますか。下げられないですよ。そういうところに、日本が本当にルールメーキングで主導権を発揮できると大臣は本気でお考えですか。

玄葉国務大臣 例として、今、砂糖の話を挙げられました。確かにアメリカの場合、そういうことを行っている。現実に、二国間のFTAを、その中の除外品目、例外じゃないですよ、いわゆる除外品目などをそのまま適用しようというふうに主張している国々も、あるのはあるんです。ですから、そこは、我々は我々の交渉ポジションというのを持って、当然、交渉になったら強く言っていく、守るべきは守る、攻めるべきは攻めるということだと思います。

三ッ矢委員 ちょっと気をつけないといけないのは、余り中身の話に入るつもりもないんですけれども、御存じかもしれませんけれども、TPPはネガリスト方式ですから。WTOはポジリスト方式で、要するに、ネガリストに入っていないものは全部対象になっちゃうわけです、そこでかち取れなければ。だからそこは十分注意する必要があるというのが一つと、私は、せっかく民主党がアメリカとの二国間のFTAあるいはEPAを進めようということをマニフェストに書かれているのであれば、オバマ大統領にもう一回言ったらどうですか。TPPよりもバイでやりましょう、韓国と同じようにやりましょうよと。これはできないんですか。

玄葉国務大臣 少なくとも、ある時点まで一つの考え方だったというふうに思います。今は、私の分析では、議会が完全にFTAというよりもTPPになっているというのが私の分析であります、オバマさんというよりは。

三ッ矢委員 それはだから、オバマさんが議会で恐らく非常に苦しい立場にありますからね、選挙も近いし。だけれども、日本としての主張は私はやるべきだと思いますよ。日本は二国間のFTAは望んでいないんですか。

玄葉国務大臣 ですから、先ほど申し上げているように、日米FTAというのは一つの考え方だと思います。ただ、その後出てきたTPPと比較をして、まさにTPPでマルチの、複数国間の交渉をして、FTAAPの一里塚で、そして、今までの二国間のEPAも場合によっては上書きしていく。そういう道というのは、それはそれとして有力な選択肢であるということで、日米FTAよりもよいのではないかという、これはまだ結論を出しているわけじゃありませんけれども、そういう考え方というのは十二分にあり得るだろうというふうに思います。

三ッ矢委員 韓国ができて日本ができないという理由は私は何もないと思うし、アメリカが二国間のFTAは韓国とのものが最後だと言っているのかどうか知りませんけれども、私は、それだったら韓国もTPPに入ってもらえばいいので、どうもなかなか国際的な整合性というか、余り論理的な展開になっていないなというふうには思っているんです。

 いずれにしても、その二国間のFTAの話は御党の公約でもあるわけですから、日米のものは。放棄したというのなら別ですよ。それはやはり、私は、もう一回オバマ大統領に話をしてもらえばいいんじゃないかと思いますよ。

 それはともかくとして、ちょっと時間がなくなっちゃったので、いろいろ聞こうと思ったのですが、次はASEANのこと。

 ASEANというよりは南シナ海の問題について伺いたいんですが、ことしの七月にARF、リージョナルフォーラムがあって、松本前大臣が行かれたと思いますが、あのころからもう既に、ベトナム、フィリピン、中国、それからアメリカも加わって、例の油田の開発の問題も含めて、南シナ海の航行の自由の問題も含めて、いろいろ議論があったと思いますが、あの時点で松本大臣は日本の立場を、どういう立場で主張されたんでしょうか。

石井政府参考人 事実関係でございますので、私の方から簡単に御説明いたします。

 七月二十三日に行われましたARFの会合でございますが、これではまず、多くの参加国から、南シナ海に関する行動宣言についてのガイドライン、これが直前の二十一日に中国とASEAN間で合意されましたので、これを歓迎するという意見が表明されております。同時に、多くの参加国から、この問題の対応には国連海洋法条約を含む国際法の遵守、尊重が不可欠だという議論がなされております。

 こういう流れの中で、松本大臣からも、ガイドラインの合意を歓迎して、このガイドラインが今後着実に履行されることへの期待を表明して、また、この問題が国際法に従った主張をされる形で、国際法に従った形で解決されるということが重要だという発言をしております。

三ッ矢委員 実は行動規範までいかなかったわけですね。中国の楊外務大臣は、大変いい結果だったと喜んでいたらしいですけれども。

 それはともかくとして、次のEAS、十一月の十九ですか、そこでぜひ日本の立場を、もう少し鮮明に私は打ち出してほしいと思います。法的な問題を中心に話をしていただければいいと思うんですけれども、これをやらないと、東シナ海のガス田の問題だとか尖閣の問題だとか、あるいは、もっと言うと、中国が言っているところの第二列島線だとか沖ノ鳥島の問題だとか、これは全部関係してきますから、ぜひそこはしっかりと主張していただきたいなと思うんです。

 それで、最後にちょっとミャンマーの話。今の話は結構です。

 ミャンマーの話。最近、去年の十一月に文民政権ができて、急速に民主化の方向に動いていますが、先般、外務大臣が来られて、大臣とも会談されたと思います。

 どうも今まで中国の影響が非常に強くて、逆に言うと、我々、座してどうも中国の影響力を許してしまった、強化を許してしまったという面があったと思うんですが、今後、中国との例の共同開発のダムの建設もやめるとか言っていますし、我々として、このミャンマーに対して、日本国としてどういう対応をしていくのか。その点について最後にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

玄葉国務大臣 ミャンマーの外相との会談でも、私たちとしては、非常に地政学的にも重要な国でありますし、まさに菊田政務官がたしか行かれて、いわゆる欧米諸国に先駆けるような形で、一歩も二歩も踏み込む発言をし、行動をとるということを申し上げた。

 先般も、たしかバルーチャンといった水力発電所とか、あるいは人材センターのようなものからしっかり調査をし、あとは、民主化をきちっと後押ししながら、やはり本格的な支援というものを考えていくということが大切だと。おっしゃるとおりのところが多々あるというふうに思います。

三ッ矢委員 ミャンマーは地理的にも、私は、ASEANが今一生懸命力を入れているコネクティビティーですか、連結性の強化を進めていく上でも非常に重要な位置を占めていると思いますので、アンダマン海からインドシナ半島を通って陸路で物資を輸送するとか、そういうことも考えられるわけですから、ぜひこれは力を入れてやっていただきたいと本当に思うし、民間はもう物すごく動いていますよ。遅いのは外務省なんですよ。ぜひ皆さんのおしりをひっぱたいて、頑張ってやっていただきたいと思います。

 終わります。

田中委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。どうぞよろしくお願いいたします。

 冒頭、TPPについて改めてお伺いをいたします。

 先ほど来の質問の中で、もしこのTPPの交渉参加に入り、これが最終的に決裂し、日本がTPPに入らないという判断をした場合には、これは日米関係にとって大変ゆゆしき問題になる、大変大きな問題だというふうにお話をされていましたが、この見解についてはお変わりないでしょうか。

玄葉国務大臣 先ほど注意深く申し上げたつもりだったのでありますけれども、結局、途中離脱ということに仮になったときに損なわれる国益というのを考えなきゃいけない。ただ、同時に、これは最終的には、結果として、あくまで合意するんだということによって得られるメリット、デメリットがあるわけですから、そういったことを当然、最終的には政治判断になる。それは交渉事ですからね……(小野寺委員「私が聞いているのは、抜けたときの影響は大きいですかということです」と呼ぶ)抜けたときの影響というのは、それは一定程度、その信頼関係という面で大きいと思います。

 ただ、問題は、最終的にはやはり政治判断だということだと思います。それによって交渉ポジションがどうなるかということなども総合的に勘案しながら、いろいろと交渉していかないといけない、そう思っています。

小野寺委員 そうなんですよ。最終的には政治判断、そしてこれは国会の承認が必要になる。

 ということは、今の国会の雰囲気、きょうここに委員もいらっしゃいます。また、民主党内での今さまざま、離党を含めた大変な反対運動もある。公明党も含め、自民党も含め、これに対しては反対の議員が多い。

 大臣にお伺いしますが、これ、国会承認できるとお思いですか。

玄葉国務大臣 これは仮定の話ですから、もし交渉に参加をして、まさに交渉がどういう結果になるか、結実化するか、内容次第だというふうに思います。

小野寺委員 これは原則的には非課税ということになります、関税をゼロにするということになります、最終的には。

 それから、ちょっと大臣にお伺いしたいのは、アメリカ議会のこの問題に対する関心というのを、大臣は直接アメリカ議会の関係者から聞いたことはありますか。

玄葉国務大臣 直接議員に会って話を聞いたということはありません。

 ただ、当然ながら、米国の場合は議会の承認が要るということになっているので、米国の議会はどうなっているかということについて、それぞれ、関係の人というと抽象的ですけれども、外務省を初めいろいろなところから聞いております。

小野寺委員 大変無責任だと思います。

 私、このTPPの問題が出て、昨年秋、日本の国会議員で一番初めにUSTRに行って、内容を聞き、そして米国議会の皆さんの意見をずっと聞いてきました。

 そして大臣、九十日ルールというのは御存じですか。(玄葉国務大臣「もちろん」と呼ぶ)米国議会は、実は日本との交渉の前には議会に九十日前に通告をして承認を得なきゃいけないというルールがあります。

 アメリカ側から、議会から今どのような要求が来ているか、御存じですか。

玄葉国務大臣 TPPに関して、具体的にどうだこうだということではないと思います。つまりは、二国間の関係ではさまざま、それは常にそうでありますけれども、さまざまな要求があるということは承知しています。

小野寺委員 アメリカの場合は、今回の普天間の移設も含めて、議会の意向が大変大きい。だから、議会が何を要求しているかをよく知らないと、これからTPPに、交渉参加したときに、どんな球が出てくるかわからない、だから議会の話をちゃんと聞け、これは常識ですよ。それすらできていないで、TPPなんて議論をしてほしくない。

 そして、私が聞いた限りでは、農業の問題、これは一部の関心事ですよ。保険の問題、金融の問題、当然、混合診療の問題、サービス分野の問題、それからメディアの問題、メディア規制、資本参入、再販防止、すごく広いんですよ、範囲は。公共事業もそうじゃないですか。そして、こういうボールがどんどん議会から飛んできて、アメリカ政府はその議会からのボールを受けて、日本に交渉を迫ってくる。

 私が心配しているのは、これからもし交渉に入って、いろいろなことが全容出てきます。恐らく初めは、TPPは農業の問題だ、うちの地元には関係ないと思っている方々が、えっ、こんな問題、こんな問題、絶対出てくるんですよ。そうしたら、結果として、多くの議員、それは地元からさまざま意見が来ていますよ。ですから、ちょっと待てよ、これ、どうなんだろう、これ、どうなんだろうと。今現在、農業だけでも議論が二分しているじゃないですか。

 もう一度お伺いします。国会の承認を得ることができるとお考えですか。

玄葉国務大臣 それは、あくまでやはり交渉結果、内容次第だというふうに思います。

小野寺委員 私が何を一番心配しているかというと、そうやって交渉に入って、いろいろなことを聞いてくると、えっ、こんな問題、こんな問題と出てきて、これじゃ無理だなと。最終的に恐らく国会で、今ですらこれだけ、あなたの党ですらこれだけ反対の議論があるのに、表に出てくると、もっといっぱい反対になりますよ。そのときに、結局、これは国会で批准できないということになったら、結果として、参加したけれども途中で抜けますということを判断しなきゃいけない。

 何を言いたいかというと、勝手に交渉して抜けたら、これは大変なことになる。大臣もそうおっしゃっていました、政治的に判断しなきゃいけないと。では、本当に国会を通過させる見通しがあるのか。これがなければ、残念ながら、交渉に入った後に大変なことになるんじゃないか。これは、外交問題、日米関係に決定的なひびが入る問題なんですよ。だから、今のうちに国内で、逆に言えば与党内で、多数を持っている与党内でがっちりと固まって、何が出てきてもおれたちはしっかりこれを批准していくんだ、そういう見通しがなければ、結果として国益を損するんじゃないか。

 ですから、再度お伺いします。

 玄葉大臣は本当に、このTPP、交渉参加して、最終的に日本がこの条約に入るかどうかの批准のときに国会を通す自信はありますか。

玄葉国務大臣 それは、先ほど来から申し上げていますけれども、おっしゃる杞憂は全くわからないわけではないですよ。つまりは、最終的に交渉結果を踏まえて国会で承認を得ようとしたら得られなかった、そのときの損なわれる国益はどうなのか、こういうお話であるとすれば、そういう心配、懸念は、私は理解しますけれども。

 ですから、まさに交渉がどういうふうに具体的に結実していくのかということ次第だし、そこは、攻めは攻め、守りは守りとして交渉していくということに尽きると思います。

小野寺委員 玄葉大臣は二年前の選挙のときに、地元の後援会で、日本はTPPの交渉に参加しますということを皆さんに言って選挙運動をされましたか。

玄葉国務大臣 二年前の選挙のときは、TPPについては表面化していません、実際に、御案内のとおり。たしか、ブッシュ政権の終わりのころにちょっと話が出てきて、二〇〇九年の十一月のサントリーホールでオバマ大統領がこの問題について話したというのが最初ですから、それは総選挙後でありますので、そういうことは言っていません。

小野寺委員 結局、TPPについては言わずに、FTAの問題で、恐らくマニフェストも含めて玄葉大臣はお話をされたと思います。

 今回、これは今、福島県のJAの中央会からの要請でございます。玄葉大臣の地元。ここに交渉参加の反対を求める請願が来ております。そして、福島県の方も、十八万四千人の方が署名をしています。玄葉大臣の地元の方が一番多いと伺っております。

 その皆さんに、二年前に負託を受けて、今ここで大臣として活躍されている玄葉大臣、改めて全員の皆さんに、私は交渉参加をして、最終的にはTPPは締結したい、そうお考えとお伝えされる見込みでしょうか。

玄葉国務大臣 私は、JAからも推薦をいただいております。そういう皆さんにも、私がふだん申し上げている発言は一切変えるつもりはありません。

小野寺委員 推薦をもらったのは、TPPの話をしない前回の選挙の話でしょう。今回の選挙であなたが、恐らくJAから、これだけの方の要請を受けて、推薦を受けるかどうか、それは多分御地元の問題になると思います。

 なぜこんなちょっと嫌らしい質問をしているかというと、恐らくこの交渉は簡単には進まないでしょう。もしかしたら一年、二年かかるかもしれない。その交渉の過程で、また私たちは選挙がありますよ。そして、きょうここにいらっしゃる多くの議員も、その選挙の洗礼を受けることになる。

 そのときに、恐らく地元からさまざまな要望が来ます、TPPに参加してくれ、反対してくれと。でも、いろいろな意見がこれから出てくる中で、果たして、それぞれの議員がこの次の選挙のときに、民主党の方が全員明確に、TPPについては私たちは賛成ですと言って選挙していただけるんだったら、そしてそれで勝つんだったら、恐らく議席は皆さんが安定してとり、そして衆議院で国会批准ができるんでしょう、優先していますから。

 だけれども、今の雰囲気を見て、皆さんの党内で、このTPP交渉参加の、あるいは今後、TPPについて参加するというマニフェストを皆さんがまとめ切って、そして皆さんの仲間がそれだけ一緒に同意していけるかというと、毎日毎日、報道で聞く話、それから今、この時間にもJAの東北、北海道の反対集会がありますよ、民主党の議員、みんないるじゃないですか。みんなTPP反対の鉢巻き締めて、反対だ、反対だと言っているんですよ。

 皆さんがそうやって、何か、交渉参加は大丈夫だ。でも、後で抜けたら日米関係は決定的なことになる。こんな状況の中で、身内でこんな問題が起きている中で、この交渉を始めるというのは無責任だと思いませんか。やるのなら、まずは自分の党内をまとめて、絶対自分たちは次の国会では批准できるんだ、その見込みがあって交渉を始めるのならいいけれども、その見込みがないのに交渉に入って、国会で批准できませんでしたと。もっと日米関係、日本の国際関係で信頼を失うことにならないか、私はそれが心配なんです。

 もう一度お伺いします。本当に、党内をまとめて国会を通す、そういう自信がありますか。

玄葉国務大臣 党内は、それぞれの党で当然いろいろな意見はございます。それで、我々は我々で今まとめる……(小野寺委員「それは、あなたたちが与党だからそう言っているんですよ。何を言っているんですか。あなたが与党だから言っているんですよ」と呼ぶ)

田中委員長 質問者、静粛にしてください。

玄葉国務大臣 我々は我々で、民主党の中で今まとめる努力をしているわけです。まだ、もちろん民主党の中の結論は正式に出ているわけではありません。それは当然、私はまとめる努力をしていくということでございます。

小野寺委員 それでは、もしまとまらない場合はこの交渉には参加しないということでよろしいんでしょうか。

玄葉国務大臣 それはもう最終的に総理の判断、代表の判断になるんだろうというふうに思います。

小野寺委員 党内がまとまらず交渉に参加するということは、後で結局国会批准できないという非常に大きな危惧がある。だから、私は、与党なんですから、党内をまとめてからこの参加交渉に入ってくれということを言っているわけです。

 今、野田総理の政治判断だというお話をされましたが、ただ、外交を預かる外務大臣として、ぜひお願いしたいんです。総理の判断の中で、ちゃんと党内がまとまり、国会で批准できる見込みがない限りは交渉参加はすべきじゃない。だから、総理は、党内をまとめ、党内としての一つの決着をつけてから交渉をすべきである。これは、外務大臣として、責任だと思いますよ。そのような御進言をされるおつもりはありますか。

玄葉国務大臣 最終的に、私がさまざまなそういった努力をするのは当然のことだというふうに、私自身がですよ、そう思います。

 最終的には、国会で承認されるかどうかというのは、本当に内容次第というところはあるでしょう、率直に言って。それと、いつまとまるかというのは、確かにわかりませんよ。途中で選挙があるかもしれません。いや、あるでしょうと言ってもいいかもしれません。だから、そういった中での議席が変わるという可能性だってあるでしょう。

 ですから、そこで、国会で、今この場で、私自身が絶対にまとめる自信があるかと言われたら、それはあくまで内容次第だというふうに答えざるを得ないことも、それは御理解をいただきたいと思います。

小野寺委員 再度、水かけ論になりますが、明確にお話をしておきます。

 今回、交渉に参加して、これで途中で抜けることになったら、言ってみれば婚約破棄みたいなことになったら、日米関係は決定的な問題になります。そして今回、このTPPの問題は、日本が抜けると背骨が抜けたような問題になります。このTPP自体に大きな悪影響を及ぼす、そういう大きな問題である。

 だから、やるのであれば、きちっと日本が批准できるような、そういう見込みがあって話を進めていかなければ大変無責任だ。途中で適当に抜けられるから、とりあえずやっておいて、後で交渉過程でどうなるか、こういう無責任な外交はやっちゃいけないんだと思います。きちっと見込みがあって、見通しがあって初めてこういう交渉というのはしないと、相手の国に対して大変失礼になる。

 ですから、改めてきちっと党内をまとめていただいて、そしてこの批准ができるという見込みが立った、そういう段階でこの交渉に参加すべきではないか、私はそう思っております。

 そしてもう一点、同じようなことをずっと民主党は続けております。

 パネッタ国防長官ときのうお会いされたというふうに伺っております。報告についてはさまざま見ておりますが、一点、きょうは外務省、防衛省に来ていただいていますから、お伺いいたします。

 今回、評価書を出し、さまざまな今後の手続があるんですが、最終的にこの辺野古への移設ということ、あるいは辺野古の沖の埋め立てということ、これが、知事が許可をして進むというふうにお考えでしょうか。外務省と防衛省にお伺いいたします。

玄葉国務大臣 今は、一つ一つ着実に前に進めていく、そのために全力を尽くすということでございます。

神風大臣政務官 昨日、日米の防衛首脳会談を行ったところでありまして、それについて、着実に一歩ずつ前進をさせていくと確認をしたところでございます。

小野寺委員 もう一度確認をいたしますが、辺野古を埋め立てることができて、そこに基地移転ができるとお考えでしょうか。もう一度、イエスかノーかでお伺いいたします。

玄葉国務大臣 沖縄の声が厳しい、現時点での県知事の御見解、そして名護市長さんの御見解も承知をしているところでございます。

 とにかく今は、まず一つ一つ積み重ねをしていく、年内に環境影響評価書を出させていただく準備をしている、そのことでございます。

神風大臣政務官 今外務大臣の方から御答弁があったとおりでございます。

小野寺委員 では、言い方をかえて聞きます。

 沖縄の知事がこの埋め立てについて許可をする見込みがおありでしょうか。外務省と防衛省にお伺いします。イエスかノーかでお答えください。

玄葉国務大臣 いずれにしても、さまざまな方面からきめ細かく対話を重ねて、努力をしていくしかないというふうに思っています。

神風大臣政務官 御理解をいただけるよう努力を続けていく状況であります。

小野寺委員 結局、お二方の答弁は、見込みがないということなんです。そして、知事も何度も何度も明確に、あるいは、地元の市長も明確に反対だと言い続けている。見込みはないんですよ。できないんですよ。できないことなのに、皆さんは、やる、やる。でも、最終的な結論はできない。

 これは似ていませんか。今回のTPPでも、国内で、最終的に議会でさまざまな問題が出たときには、恐らくこれはいろいろな意見が出て、反対する方がたくさんいる。民主党内にもあれだけ反対の方がいる。そうすると、国会の承認を受ける見込みがない。今回の普天間の移設問題でも、沖縄の知事が埋め立てに対して同意をする見込みはない。すべてお先真っ暗、前が全く見えない。これで話を進めたふりをする、あるいは、アメリカに進めるというメッセージを送る。同じことの繰り返しじゃないですか。すごく無責任だと思いますよ。

 できるという見込みがあるから、やれるという見込みがあるから、初めてこういう話は交渉に結びつけていって、そして最終的にうまくいく、そういう根回しがあるのが普通じゃないですか。先が見えない、だけれども、とりあえずやっていく、アメリカには過大な期待を持たせる、これは日米関係がもっとひどいことになりませんか。お答えください。

玄葉国務大臣 TPPと普天間の問題は違うと思います。(小野寺委員「いや、本質は同じですよ、根っこは。皆さんの政治の本質は同じですよ」と呼ぶ)いやいや、私は違うと思います。

 普天間については、先ほども私自身がおわびを申し上げたように……(発言する者あり)

田中委員長 静粛にしてください。

玄葉国務大臣 やはり、選挙戦中の、最低は県外というのが問題だったと私自身も思います。ですから、そのことはおわびも申し上げています。ただ、おっしゃるとおり、おわびだけでは済みません。

 ただ、TPPの話は、全く国会承認の見込みが立たないから、まだ一〇〇%担保できないからTPPに入っちゃいけない、参加しちゃいけない、交渉に前向きではいけない、私は、これはまた次元は別の話だと思いますよ。

小野寺委員 今のお話を聞くと、沖縄はだめだけれども、TPPは可能性がある、そういうことなんでしょうか。今のお話だとそういうお話ですよ。

玄葉国務大臣 いや、つまり、やはり普天間の糸が非常に絡まったのは、まさに先ほど申し上げたような一つの発言があったからだということです。

 だけれども、TPPの話については、別に複雑な、糸が絡まっているとか、そういう話ではありませんから、まさに今、この場で、国会でも含めて議論をしている、党内もそうだと。その中で、まさに我が国の国益、あるいは将来の子供たちや孫たちの豊かさ、そういったものを考えて判断をするということだと思います。

小野寺委員 身内がみんな後ろを向いているのに、皆さんだけが前を向いている。

 例を挙げます。

 沖縄の民主党の国会議員で、この普天間の移設に賛成している議員はおりますか。もう一点、福島県の選出の民主党議員で、玄葉さん以外にTPP交渉参加に賛成している議員はいますか。

玄葉国務大臣 沖縄の国会議員に関しては、現時点で辺野古の移設に賛成しているとは言えないというふうに思います。

 TPPについては、ちょっと一人一人、福島県内でどうなのかといえば、それは私自身、調べたことはありません。ただ、それは私としては、福島県内の国会議員も説得する用意はあります。

小野寺委員 正直言って、皆さん聞いて、むちゃくちゃな話だと思いませんか。だって、沖縄の身内の民主党議員がみんな反対している、福島の玄葉さん以外の議員がみんな反対している、あなた一人で何かやろうとして後ろにだれもついてこない、そして最終的に国会の承認やさまざま地元の手続をするときに前にうまくいかない。

 一番損なうのは、日米関係。本当に日米関係を損なう外務省にあなたは今しようとしているんですよ。何で身内も固められない、先行きの見通しもない中で話だけどんどん進めていくんですか。本当だったら沖縄を説得して初めてアメリカと交渉に当たる、本当だったら自分の党を固めてからTPPの参加の交渉に当たる、これが筋でしょう。そこを全部飛ばしてやるから、また同じ繰り返しですよ。

 恐らく、いつか政権はまた戻ってきます。でも、申しわけないけれども、余りむちゃくちゃに、外交関係をぐちゃぐちゃにしないでほしい。どうせ戻すのなら早く戻してほしい。もうこれ以上むちゃくちゃにしないでほしい。答えがありますか。

玄葉国務大臣 沖縄の問題での国会議員あるいは県連関係とかについては、当然、私の方からも含めて説得をする努力が必要だというふうに思っています。

 TPPについて、私、一人一人、どういう立場でどういう発言をしているのか率直に言ってわかりませんけれども、ただ、本当に全面的に、では最終的に国会の承認について反対するか、仮に交渉が進展して結果が出て。それはもう全くわからない、これからの話でありますので。それは、場合によっては、次の総選挙のときも含めて、福島県選出の国会議員ときちっと話し合うという用意はありますよ。

小野寺委員 この話も、普天間の話もTPPも同じなんですが、結局、先の見通しがない中でどんどん交渉して、そしてアメリカにいろいろなことを約束していく、それが結果的には後で大きな外交問題になる、日米関係を本当に損なう。

 そういうことがあるから、申しわけないけれども、まずお願いしたいのは、沖縄の民主党議員がみんなこの辺野古案に賛成してもらう努力をまずしてくださいよ。それから、福島の同僚の議員、東北の同僚の議員がみんなTPPに、交渉参加賛成だという努力をあなたたちがしないと、結果として非常に無責任になる。そこをぜひ詰めていただきたい、そう思っております。

 さて、今回のTPP参加の中で、一つ心配なことがございます。

 昨年行ったときに、アメリカ側、議会からこういう発言がありました。来るに当たっては、アメリカ議会は何らかのお土産を用意してほしい。そのお土産の具体的な内容は米国産牛肉の輸入規制緩和、これを明確に去年のうちに言われました。

 国会でも、恐らく入場券として、入場券の前ですね、あいさつがわりとしてこれは差し出すことになるんだろうというお話をしましたが、今回一部、これはオバマ大統領と野田総理の会談の中でもこの問題に触れてあると伺っておりますが、この米国産牛肉の輸入規制の緩和、このことについての現在の状況について教えてください。

玄葉国務大臣 BSEについては、もう発生から十年たっているわけであります。アメリカから云々ということよりも、たしかほかの国々からも、この問題というのは何度も何度も提起されているわけであります。つまりは、カナダ、フランス、オランダ、これは御存じのとおりであります。ですから、対米ということではなくて、そもそも科学的な根拠でこの問題をどう考えていくのかということだと思います。BSEのそういう発症例も含めて、その後の経過をきちっと科学的に調べる。

 同時に、私自身が、今、各国の外務大臣との会談で、輸入規制、制限を緩和してほしいということをいつも言います、いろいろな外務大臣に対して。そのときに、当然、科学的な根拠でやらせてほしい、こういう言い方をするわけですね。ですから、科学的根拠というものをもう一回きちっとやはり評価していくということは私は大事なことではないかというふうに思っています。

小野寺委員 厚生省、来ていると思うので。

 科学的根拠、今お話ありましたが、既に日本としては輸入再開の条件は整ったと皆さんは考えていらっしゃいますか。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 食品安全規制、基本的な枠組みがございますけれども、食品安全基本法でございますとか、あるいはSPS協定というのが基本的な枠組みでございます。そちらでは、最新の科学的知見にのっとって対応しろ、こういう枠組みになってございます。

 今お話ありましたBSE対策、牛肉についてでございますけれども、現行の国内の枠組みが始まりましてから十年ということになっております。その間、国内の検査体制、あるいは輸入条件といった対策が講じられてきたわけでございますけれども、これにつきましては、最新の科学的知見というものがやはり必要でございますので、そちらに基づいて再評価が行われるべきものだというふうに考えております。(小野寺委員「再評価はいつから」と呼ぶ)

 手続的には、食品安全委員会への諮問ということがまた必要になってまいります。それから、私どもの持っております薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会でございますけれども、そちらの方で、経緯とか現状とか、そういったことを御説明し、学識経験者の方々から御意見をいただこうというふうに思っております。

小野寺委員 再度お伺いします。間もなくというふうに理解してよろしいんでしょうか。

篠田政府参考人 今申し上げました食品衛生分科会で御説明をし、御意見を聞くというのは、今月末を予定しております。もちろん、その一回だけで済むかどうかというのはまた別問題でございます。

小野寺委員 この問題についても、科学的知見というお話。そして、それを持つ厚生省の方では今月末からこれが始まると。恐らくそんなに時間を置かないでこの再開ということがもし行われるとすれば、あるいは、APECのタイミングに合わせてこれが日本から表明されるとすれば、やはりお土産というふうに思うのが普通だと思います。

 ODA五百億削減された部分、今回の三次補正ではなかなか復活しておりません。ぜひ復活をお願いしたいのと、最後に一言だけ聞いていただきたいことがあります。

 玄葉大臣も福島です。私も宮城です。ここ数日、地元の農家の方が上京して、こういうことを言っています。放射能で、津波で、震災で本当に痛めつけられて、今まだ、例えば宮城の農家は、七、八、九、十月、牛を出荷できないわけですよ。収入が全然ないわけです。補償も出てきていない。そして、その原因をつくった東京電力はボーナスも給料も出ている。おれたちは何の収入もない、こうやって悲鳴を上げて泣いているわけですよ。毎日食べる牛にえさをやりながら、赤字を自分たちで補いながら、子供の教育費もない中で、必死になってやっているわけですよ。そして、その人たちにまだ何の手当てもないのに、おい、今度はTPPかよ、鬼か、これが、被災地の農家の今私たちに浴びせている声です。あなたも同じです。ぜひその思いをしっかり受けとめていただきたいと思います。

 質問を終わります。

田中委員長 次に、稲田朋美さん。

稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。

 昨日、法務委員会で平岡大臣に質問をいたしました。平岡大臣の御地元に米軍の空母艦載機の移転について、平岡大臣は大臣就任後に御地元に入られまして、反対であると明確におっしゃいました。そのことについて、河井議員は予算委員会で、また昨日、私を含めまして同僚議員が質問いたしました。そうしましたら、平岡大臣は、個人的には自分としては反対だけれども、でも閣議があればそれに従うとおっしゃっているんです。

 何か普天間の移転、そして米軍の再編について、閣議が必要でしょうか。

玄葉国務大臣 在日米軍の再編と岩国の問題というのは関連しています。おっしゃるとおりであります。

 これは閣議云々というよりは、政府としての大方針として、私は平岡大臣は踏まえていただけるものというふうに信じております。

稲田委員 平成十八年にロードマップ、閣議決定をいたしまして、そして昨年の五月に、それを踏襲するということを民主党政権で閣議決定されております。それに従って、ことしの六月、2プラス2で確認もいたしております。したがいまして、もう政府の方針は決まっているんですよ。にもかかわらず、重要閣僚の一人である平岡大臣が、まだ決まってもいないかのように、自分は反対だけれども、賛成はしていないけれども、閣議があればそれに従いますと。予算委員会でもおっしゃいましたし、きのうもそうおっしゃっているんです。

 それは、私は、御地元に対する配慮なのか、自分の信念を曲げたことを批判されるのを恐れたのかわかりませんけれども、きちんともう閣議で決まっていて、政府の方針は決まっているのだから、そのような言いわけめいたごまかしの答弁を、予算委員会、法務委員会、国会の場でおっしゃることをやめるように御指導いただけますか。

玄葉国務大臣 確かに、五月二十八日の、平成二十二年の閣議決定のことをおっしゃっておられるのかもしれません。

 それで、それは私としても、平岡大臣に、やはり政府の大方針に対しては、ぜひそういう方向で考えていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

稲田委員 ごまかしの答弁が多いんです、閣議で決まったら従いますみたいな。

 だから、それは明確に、野田政権一体となって、この米軍再編のロードマップを実現するということを決められたわけですから、ぜひ平岡大臣にそのようにおっしゃっていただきたいと思います。

 それから、先ほど来、普天間の問題について大臣は、謝罪をし、おわびを申し上げているところですと御答弁なさったんですけれども、一体、何について、だれに謝罪をし、だれに対して何をおわびされているのか、お答えください。

玄葉国務大臣 稲田委員から、だれに対して、また何をというお話でありました。

 二つあって、一つは、やはり県外移設を期待している方々が、もともと潜在的にも顕在的にもいらっしゃった。選挙のときに、最低でも県外と当時の鳩山代表が言われて、結果として、昨年の五月、先ほどの閣議決定で辺野古に回帰したわけです。つまりは、期待値を高めて、しかし結果は回帰ということだったので、それはそういった方々に対して、私は、期待を裏切ったという意味で、やはりおわびをしなきゃいけないということが一つ。

 それと、やはりもう一つは、〇・六%の面積に米軍専用基地が七四%あるという、そのこと自体に対して、本来、できれば、もっともっと日本全体で負うべき負担であるにもかかわらず、沖縄に負担が集中しているということに対しては、やはりおわびを申し上げなきゃいけないと思って申し上げました。

稲田委員 今のような認識では、この厳しい国際情勢の中の日本の外交のトップとして、外交を担っていけませんよ。

 まず、この普天間、最低でも県外、国外、そして米軍の再編、これは政権交代のときの御党の公約だったわけですよ。そしてこの公約を破られた。これについてまず謝罪をなさるべきだと思います。そしてまた、沖縄の県民に対して、もちろん幾らおわびしても足りないぐらいおわびをされるべきで、今の点は大臣のおっしゃるとおりです。

 しかし、沖縄県民だけじゃないんですよ。日本国民に対して、この普天間の混乱で、いかにこの国を危うくしているか。この普天間の混乱によって日米関係に亀裂が入って、尖閣の問題の弱腰外交もそうです、ロシアの問題、竹島の問題もそうです。今、日本の置かれている厳しい状況の本当に大きな原因がこの普天間の混乱にあるということ、これを私は国民に対して謝罪をなさるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 いわゆる最低でも県外発言で、この普天間の問題が、いわば解決が非常に大変な状況になってきたということが、すなわち日米関係、そして結果としてさまざまな外交の問題に一定の影響を与えた、つまり一時的な揺らぎが日米に出た、これは私自身も否定できないというふうに思っています。だからこそ、日米について、きちっと強固にしていかなきゃいけないという強い思いを持っているということです。

 それと、沖縄の問題については、負担を沖縄の皆さんに本当にたくさん負っていただいていると思っています。ただ一方で、簡単に代替性がきかない現状、そしてこの厳しい安保環境ということについても、やはり丁寧に説明をしていく必要があるというふうに思っています。特に沖縄の地理的な有利性というか地政学上の位置、そういったことに対して、しっかりと説明をしていくということだと思います。

稲田委員 大臣、質問に答えてください。

 私が申し上げておりますのは、まず、政権交代のときの大きな公約の一つである普天間、国外、最低でも県外、米軍再編、これの公約の違反と、そしてまた、この普天間の混乱によって日本が大変厳しい国際状況の中に置かれてしまったというこの二点について、この場で国民に謝罪をしてくださいと申し上げているんです。

玄葉国務大臣 ですから、先ほど来から、最低でも県外と言って戻った、その結果生まれた外交的な問題について、私自身は、それはあったということを認めているわけでありまして、それをきちっと強固にしていくというのが我々の責任だというふうに思っています。

稲田委員 自覚が足りないんですよ。今の日本の厳しい状況にある最大の原因が、この普天間の混乱による日米関係にひびが入ったことだということの自覚がないんですよ。自覚がないから謝罪できないんですよ。私があなたの立場だったら謝罪しますよ。

 普天間に限らないんですよ、民主党のいいかげんな政策は。予算を組み替えて二十兆、四十兆。後期高齢者医療制度、廃止するといって法案を出していない。最低保障年金七万円、先ほど小野寺議員がおっしゃったTPP、何でもかんでも、普天間政治をいつまで続けているんですかということなんです。

 しかし、国内的ないいかげんなばらまきの政策は、私たちが政権を奪還してやめたらいいんです。でも、外交上の失敗は取り返しがつかないんですよ。そして、その外交上の失敗をあなた方はやっていらっしゃるんですよ。普天間の問題で日米関係をがたがたにして、先ほどの質問でも、全く見通しが立たないじゃないですか。そして尖閣の弱腰外交、それで世界から足元を見られているんですよ。そのことについて外務大臣がきちんと認識されない、だから謝罪されない。そんな姿勢で、この国の外交は担っていけないと私は思います。

 それで、私、一つ提案があるんですけれども、鳩山代表、こんな取り返しのつかない外交上の失敗をして国民を危うくしているのですから、議員辞職してもしかるべきだと思いますけれども、今のうのうと居座っておられます。それなら、本会議以外のときはずっと沖縄にいていただいて、おわびと理解を求める行脚をやっていただいたらどうですか。菅総理もそうですよ。四国にそんなお遍路に行っている暇があったら、沖縄を鳩山総理と菅前総理で行脚して回ったらいかがでしょうか。私は、それを外務大臣として、鳩山総理、菅総理に御指示していただきたいんです。いかがですか。

玄葉国務大臣 大先輩たちでございますし、まさにそれぞれ御自身の行動なので、御自身できちっと判断をされるだろうと。今のような、稲田委員のようなお話も含めて、ある意味、耳に入っていくんだろうというふうに思います。

稲田委員 大先輩も何にも関係ないんですよ。この国の置かれている状況を考えれば、それぐらいのことをやってもらわなきゃ困るんです。

 繰り返しますけれども、外交上の失敗は取り返しがつかないんです。そして、取り返しのつかないことをあなた方の政権はなさったんだという自覚を持ってやっていただきたいと思います。

 昨日、玄葉大臣は、米国のパネッタ国防長官にお会いになりました。その場で長官から、米軍が策定中のエアシーバトル構想について言及がありましたか。

玄葉国務大臣 詳細な内容については控えなきゃいけないというふうに思っております。

 これは、だんだん思い出してきましたけれども、ただ、詳細についてはやはり差し控えたいと思います。

稲田委員 もう一度お伺いします。これは大変重要な問題ですから。

 米軍が策定中のこのエアシーバトル構想、これが日本における米軍の再編に与える影響やロードマップに与える影響、日本の外務大臣だったら、これをきちんと認識しなきゃいけないんです。そのことについて言及があったのか、内容についてお伺いをいたします。

玄葉国務大臣 国防長官とはさまざまな意見交換を当然させていただいているということでございます。

 同時に、今おっしゃったエアシーバトルというのは非常に大事な話だというふうに思います。もともと動的防衛力の議論も、当然、米国のQDRなどを踏まえながらつくっていますし、今検討中のそのエアシーバトルというのは、まさにA2ADなども含めて、視野に入れながらさまざまな検討がなされているわけですから、当然そういったことも含めて、これからの日本の安全保障政策をつくり上げていくことが大切だというふうに思います。

稲田委員 この米軍の策定中のエアシーバトル構想が現実化した場合、その影響が、日米の今のこのロードマップ、そして日本の国土の中にある米軍の編成に影響があるとお考えかどうか、大臣の認識をお伺いいたします。

玄葉国務大臣 それは、まさに先ほど申し上げましたけれども、このエアシーバトルというのは、いわゆるアンチアクセスとかエリアデナイアルだとか、さまざまなことを含めて検討されている、いわゆるエアーとシーの統合上の運用ですから、そういったことに対して注視をして、緊密に連携しながら、当然、さまざまなそういった兵力構成についても、ある意味、影響を与えていくものというふうに考えています。

稲田委員 端的にお答えをいただきたいんですけれども、このエアシーバトル構想が現実化した場合、日本における米軍の部隊の展開に影響があると考えておられるのか、またロードマップについて影響があると考えておられるのか。それとも、たとえ現実化したとしても影響はないという御認識なのか。そのどちらなのかをお伺いいたしております。

玄葉国務大臣 例えば、エアシーバトルの内容あるいはさまざまな運用というのは、もう言うまでもないことですけれども、これは情報交換していても言うような話じゃないですよね、こういう場で。ですから、そういったことも緊密に連携をとりながら、それは影響を与える場合も与えない場合も、そのときの安保環境、戦略環境次第というところもあるでしょう。

 いずれにしても、そのエアシーバトルの構想について、どうなっていくかというその帰趨も含めて、緊密に連携をとりながら、私たちの安全保障体制、あるいは在日米軍の体制、在沖米軍の体制、こういったものを考えていく。緊密に連携をとりながら、そういった体制を考えていくということだと思います。

稲田委員 今の大臣のお答えは、場合によっては、このエアシーバトル構想がロードマップ、また日本における米軍の展開に影響を与えることもあり得る、そういう御認識ということでよろしいでしょうか。

玄葉国務大臣 現在のロードマップそのものには……(稲田委員「影響を与えない」と呼ぶ)うん、私はそう思うんです。影響を基本的には与えないと思うんです。だから、これから、安全保障環境というのは変わっていくし、さまざまな変化というのは生じ得ますから、そういう意味で緊密に連携していかなきゃいけない、こういうことです。

稲田委員 今、大臣から、現在のロードマップについては影響を与えないという認識をお答えいただきましたので、私も安心をいたしましたけれども、私はやはり、このエアシーバトル構想が現実化すると、米軍が日本から後退をしたりとか、そういうことになるのではないかという危惧を持っておりますので、その点はきちんとやっていただきたいと思います。

 次に、先ほど河井委員からも御質問がございました。また私、昨日、平岡大臣に、竹島の領有問題についてお伺いをいたしました。そうしますと、平岡大臣のお答えは、竹島は日本固有の領土である、しかし、韓国の占有について、それがどういうものであるかについての言及をする立場にはない、外務大臣に聞いてくださいと言われたんです。私は、そのお答え自体が、日本の閣僚としても、日本の政治家としても情けないと思いましたけれども、何度聞いても、外務大臣に聞いてくれとおっしゃいますので、お伺いをいたします。

玄葉国務大臣 竹島の問題、これは、我々の立場はもう言うまでもないことで一貫していて、我が国固有の領土で、先ほど申し上げたように、韓国の占拠は法的根拠のない形で占拠されているということでございます。

稲田委員 法的根拠がないというのは合法ではないんですか。

玄葉国務大臣 いずれにしても、法的根拠がないということでございます。これはもう繰り返し繰り返し、稲田委員も予算委員会等々で何度も質問されているのを私も聞いていますけれども、そこは先ほど河井委員との議論の中でも、もう一回整理をさせていただいて見解を出しますということを先ほど申し上げたところでございます。

稲田委員 平成十九年の六月七日の参議院外交防衛委員会で、当時の麻生太郎外務大臣は、「竹島が韓国によって占拠をされているという状況につきましては、これは国際法上何ら根拠がないままにその状態が続いているという、いわゆる不法占拠ということになろうと思っております。」そういう答弁をされております。この答弁でよろしいか。

玄葉国務大臣 先ほども聞いておられたかもしれませんけれども、まさに我々は、法的解釈は変わらないんですけれども、法的根拠のない形で占拠されているということを岡田外務大臣の時代からずっと申し上げて、まさに総合的な判断をしているというふうに申し上げたいと思います。

稲田委員 不法占拠と言えないこと自体が、私はもう情けないんです。

 では、北方領土はロシアが不法占拠しておりますか。

玄葉国務大臣 これも、法的根拠のない形で占拠されている、支配されている、そう思います。

稲田委員 これは麻生総理の時代の、平成二十一年三月二十七日の参議院の予算委員会の答弁ですけれども、「北方四島というこの島は、いまだかつて一度も外国の領土となったことがない我が国固有の領土、これは基本であります。戦後六十年以上たった今日も今ロシアによって不法占拠が続いているということが極めて遺憾」と答弁をされておりますが、この答弁でよろしいですか。

玄葉国務大臣 北方領土は、言うまでもなく、我が国固有の領土でございます。この四島の帰属の問題をとにかく解決する、そして平和条約を結ぶ。四島の帰属の問題について、きちっと日本側に帰属するということが確認されれば、その対応とか条件とかについては柔軟に対応するというのが日本国政府の方針であります。

稲田委員 前原大臣は沖縄北方担当大臣のころ、北方領土を視察されて、不法占拠と言い続けなければならないとおっしゃっていたんです。私もこのとおりだと思いますけれども、玄葉大臣はこの御意見についていかがですか。

玄葉国務大臣 本当に同じ答弁で申しわけないんですが、我が国固有の領土です。法的根拠のない形で占拠、支配されているということです。

稲田委員 北方領土も、ロシアの領有権主張に一片の正義でもありますか。大臣の認識をお伺いいたします。

玄葉国務大臣 それは当然、私たちの立場は、法と正義に基づいて、諸合意、諸文書を照らし合わせれば、一八五五年の条約から考えれば、当然、私たちは、北方四島は我が国固有の領土であるということでございます。

稲田委員 今のような御答弁だったら、委員長のお父さんは怒られますよ、本当に。

 ロシア、ソ連の領有権主張に一片の正義もないんですよ。ソ連は、さきの大戦の途中で、日ソ中立条約を一方的に破って我が国に攻めてきて、そしてポツダム宣言を受諾した後に、我が国の同胞を六十万人以上シベリアに強制連行して、六万人以上を死に至らしめて、そしてその上で北方領土を奪取したんですよ。一片の正義もないんです。なぜ不法占拠と言えないんですか。

玄葉国務大臣 これは、とにかく、法的根拠のない形で占拠、支配されているということでございます。

稲田委員 そのような姿勢だから、外務大臣として失格だと言っているんですよ。領土問題というのは国益の中核ですよ。中核中の中核がこの領土なんです。しかも、この領土問題というのは国民の矜持の問題でもあるんですよ。今言ったような、不法占拠ということも言えないような政府に我が国の領土は守れません。いかがですか。

玄葉国務大臣 しっかりと粘り強く取り組んで、北方四島の問題、帰属の問題をきちっと解決していくということだと思うというより、そういう強い思いを持っております。

稲田委員 強い思いが感じられないんですよ。外交なんて、国益をかけた背広を着た戦争ですよ。あなた方の外交を見ていたら、この間の日韓首脳会談、何ですか、あれは。何一つ我が国の国益に合致することはやらず、そして朝鮮儀軌だけを返して、土下座外交じゃないですか。日米関係でがたがたにして、そして、尖閣、ロシア、北方領土、竹島、その問題は土下座外交で絶対に解決できませんよ。そのことを申し上げておきます。

 最後に、TPPのことも少し触れたいと思います。

 TPPですけれども、一体、政府で交渉するかどうか、政府の中のどこで決めるんですか。どうやって決めるんですか。閣議決定でもするんですか。

玄葉国務大臣 これはちょっと、現時点で確たることを申し上げられませんが、そもそも関係閣僚会議というのがございます。そこでの議論が今中心になっておりまして、どういう形で決めるのか、それは閣議なのか、あるいはそうではないのかということは、まだ決まっていないというふうに私自身は認識をしています。

稲田委員 そんな時間的な余裕があるんですか、APECまでに。

 一体、政府の中で、交渉に入るかどうか、どうやって決めるか、どこで決めるかもまだ決まっていないんですか。もう一度答弁ください。

玄葉国務大臣 そこは、正式にと言われれば、まだ決まっていないと思います、どういう形をとるかというのは。

 ただ、例えば昨年十一月に包括的経済連携の基本方針というのがございました。それは閣議で決めたという経緯はございます。

稲田委員 ということは、閣議決定をされるということでよろしいですか。

玄葉国務大臣 ただ、これは、包括的経済連携の基本方針は閣議で決めました。今回どういう形で決めるか、今私がこの場で申し上げるというわけにはいきません。総理大臣とか官房長官とか関係閣僚とか、皆さんと相談して申し上げなきゃいけない立場だというふうに思っています。

稲田委員 閣議かどうかはわからないけれども、少なくともなし崩しということはないですね。

玄葉国務大臣 最終的には、当然、総理大臣が判断されるんだろうというふうに思います。

稲田委員 総理大臣が個人で判断するんですか。政府内のどこかの機関で意思決定しないんですか。また、菅さんの浜岡をとめたときやら朝鮮学校の無償化を決めたときみたいに、勝手な、何の民主的な手続もとらないで政治主導するんですか。今のを答弁、もう一度お願いします。

玄葉国務大臣 これはもう率直に言って、今この場で私に確たることを言いなさいと言われても、なかなか申し上げる立場というか状況にないということであります。

 でも、全く一人で決めるかといえば、そうではないと思うんですね。今、党内で議論して、それは、何らかの形で関係閣僚は当然関係ありますし、決め方については、ただ、恐らくいろいろな方法はあり得るんだろうなというふうに想像します。

稲田委員 今のお答えを聞いて、ますます不安になりました。こんな重要な、この国のあり方を決めるようなことについて、どこでどうやって決めるかも決まっていないということですよね。

 また、万が一、途中で参加をやめると言えるのかという問題について、大臣は言えないだろう、前原さんは言えるんだと。どっちなんですか。

玄葉国務大臣 これは、実は先ほども申し上げたんですけれども、最終的には政治判断になるわけです、国会の承認もありますから。ですから、実際に交渉していって、仮に中退します、中退というのは先ほどの三ッ矢議員の表現でありますけれども、そういうことであれば、そのときに損なわれる国益、そして、ずっと参加をして最後まできちっと合意をする国益、それをきちっと勘案して、それは最終的には政治判断だということです。

稲田委員 今のでも結論はわかりませんでしたけれども、では、途中でも退席できるということですね。

 この問題、参議院選のマニフェストにもなかったんです。昨年、菅さんの所信表明演説でいきなり出てきたことなんです。そして、それ以来、バスに乗りおくれるな、バスに乗りおくれるなと。大臣、バスは乗りおくれるかどうかじゃなくて、行き先が大事なんですよ、行き先が。一体、このTPPに入ってどうなるか。先ほどの質問でも、農業だけじゃないんです、医療も、保険も、金融も、公共事業も、弁護士もです。そういう行き先がわからないバスに国民を乗せないでいただきたい。

 しかも、このTPPは、アメリカのためにあるんです。オバマさんは一般教書演説の中で、自分は、輸出を拡大し、雇用を拡大する貿易協定にしか入らないとはっきりおっしゃっているわけですから。ですから、私は、日米関係ががたがたになった、ひびが入ったその見返りとして、埋め合わせとして国を売らないでほしい、そのことだけを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

田中委員長 次に、菊田真紀子さん。

菊田委員 民主党の菊田真紀子でございます。

 大臣、朝から大変厳しい質問が続きましたけれども、私からはまず、玄葉大臣、御就任をおめでとうございますと申し上げたいと思います。先般、力強い所信の表明をいただきました。野田政権のもとで安定した外交を樹立して、そして国際社会の期待におこたえをいただけますように御期待をしたいと思います。

 私は、昨年の九月からちょうど一年間、外務大臣政務官として、前原元大臣、そして松本前大臣、微力ではありましたけれども、お支えをさせていただいてまいりました。残念ながら、前原元大臣、そして松本前大臣ともに、在任期間が半年ということで退任をされたわけでありますが、米国の国務長官は四年の任期を全うされますし、先進諸国の外相の在任期間と比べましても、日本の外務大臣は在任期間が非常に短い。直近十年間では、川口順子さんが二年八カ月で最長だということでありますが、ぜひ安定した、継続性のある外交を実現するために、玄葉大臣には一日でも長く頑張っていただいて、成果を着実に一つ一つ積み上げていっていただきたいと思います。

 私は、今後、民主党の外務担当の政策調査会の副会長という立場でありますので、また党の側からしっかりと応援をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、大臣が所信で表明をされましたように、我が国外交の基軸は、日米安保体制を中核とする日米同盟であります。きのう大臣は、来日をされたパネッタ米国防長官と会談をされましたが、どのような話がなされたのか、簡単で結構ですが、御表明をいただければと思います。

玄葉国務大臣 改めて、日米の同盟というのがやはりアジア太平洋の公共財であるということ、そして、厳しい財政状況のもとで米軍のプレゼンスというものがやはり現状において不可欠であるという話をし、また同時に、いわゆる在日米軍再編にばかり焦点が当たりますけれども、それだけではなくて、いわゆる計画検討であるとか、それこそ宇宙、サイバー、ミサイルの問題、拡大抑止の問題、そういったことについても、もっと協力を進めていきましょうという話をいたしました。

 そして、先ほど、この場では余り申し上げられませんということを述べましたけれども、戦略的な話をいろいろさせていただいたということでございます。

菊田委員 今大臣がおっしゃいましたように、先ほどからも大変厳しい御指摘がありましたが、普天間の飛行場の移設問題の解決、これは極めて重要であることは言うまでもございませんが、日米安保協力はそれにとまるものではございません。

 ことし六月のいわゆる2プラス2におきまして、日米両政府は広範な戦略目標を設定し、日米安保協力の強化をうたったわけでございます。今後はこの合意を着実に実施して、日米同盟の強化につなげていくことが重要と考えますが、大臣の見解を確認させていただきます。

玄葉国務大臣 全くおっしゃったとおり、共通の戦略目標というのを2プラス2でつくっております。その成果を着実に出していくということだと思います。

 おっしゃったとおり、これはもう在日米軍の再編だけではなくて、さまざまな分野で進展をさせていくということが、菊田委員のおっしゃるとおり大事だというふうに考えています。

菊田委員 ありがとうございました。

 引き続いて、中国について質問をいたします。

 日本外交にとって最大の課題の一つが中国であることは言うまでもありません。南シナ海における中国の行動を見るとき、国際的な行動規範の遵守を促すことが重要であると考えますが、中国の海洋政策をどのように評価されているのか、海洋国家日本として中国の進出にどのように対応していくおつもりか、お伺いをいたします。

玄葉国務大臣 おっしゃるとおり、中国とはそもそもウイン・ウイン、戦略的互恵の関係を築いていかなきゃいけないんですが、菊田委員がおっしゃったとおり、いわゆる国防費が、二十一年連続だったと思いますが、二けたの伸びであるということで、内容が残念ながら透明性を欠くということと、海洋進出というのはやはり多くの国々が懸念材料として持っているということでありますので、そういったことに対して、やはり国際法規の遵守というもの、そして建設的な役割を、ステークホルダーとしてしっかり中国に果たしてもらうことが非常に大事だというふうに思っております。

菊田委員 ありがとうございます。

 時間の関係で、午前中の私の質問はこれで終わらせていただきまして、引き続き午後から質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。菊田真紀子さん。

菊田委員 午前中に引き続きまして、質問を続けさせていただきます。

 中国についてでございます。

 日本外交にとって最大の課題の一つが中国であることは言うまでもありません。南シナ海における中国の行動を見るとき、国際的な行動規範の遵守を促すことが大変重要であると考えますが、中国の海洋政策をどのように評価をされているのか、海洋国家日本として中国の進出にどのように対応していくおつもりか、お伺いをいたします。

玄葉国務大臣 先ほども若干申し上げましたけれども、菊田委員がおっしゃるとおり、本当に中国というのは、アジア太平洋、そして世界全体で見ても、私は日本にとって大事な国だと思うんですよ。ウイン・ウインの関係を築かなきゃいけないし、来年は国交正常化四十周年ですから、国民感情の改善を図っていく。ただ、やはり懸念材料として、多くの国々が海洋進出、そして国防費の不透明な形での拡大というのがある。

 これについてどう考えていくのか。私は、やはりここは中国にも理解をしてもらって、中国にも入ってもらって、やはり海洋は公共財でありますし、海洋のみならず、さまざまな分野で、開かれた形のアジア太平洋の中で、あるいはアジアの中でしっかりとネットワークを築き上げて、そのネットワークが、できれば多層的、重層的なものであって、それを強化していく。そしてそれ自身が、実は中国の信頼醸成あるいは環境醸成、そういったものにもつながっていく。そういうものにしていけば、私はウイン・ウインの関係というものができ上がってくるのではないかというふうに考えております。

菊田委員 私は、大臣政務官時代に、アフリカや太平洋島嶼国など、普通なかなか行けないところに出張してまいりました。そこで毎回驚いたのは、どこに行っても中国が巨大なプレゼンスを誇っていることです。中国は、スーダンの石油権益に巨額の投資をしていました。また、ミクロネシアの大統領就任式が行われたのは、中国の援助で建設をされた大学の体育館でした。

 中国の援助というのは借款が中心ですが、被援助国の債務持続性を度外視して行われていることが多くて、中長期的には途上国のためになっていない、そういう声も多く聞きました。

 他方、我が国の援助のやり方については、現地から非常に高く評価をされております。日本のせっかくの援助を無駄にしないためにも、今後、中国が国際ルールに従った援助を行うよう働きかけていくことが重要だと思いますが、大臣のお考えを伺います。

山口副大臣 中国の援助について菊田議員も詳しいわけですけれども、自分たちが先進国であったり途上国であったり、割と使い分けしているように思うんです。

 私たちは、OECDのDACルールというものにのっとって、グラントエレメントが二五%以上のものについてODAというふうに規定しているわけですけれども、中国は、自分たちはその場面では途上国だというふうに言って、このGE二五%云々というのを当てはめないわけですね。したがって、どういう援助をしているかというのがなかなかわからない。それから、出したときにも、どれぐらいの利率なのかということが必ずしもわからないんですね。資料的には、全体でどれだけ、何億元だということはあるんですけれども、それが国別にどれだけなのか、あるいはどういうふうな態様でやっているかというのは、正直言ってよくわからないんです。

 したがって、今、菊田議員おっしゃったように、国際ルールに従って援助をしてほしいなということは、しっかりこれからも働きかけなきゃいけないと思っています。外務大臣の会談のとき、あるいは首脳会談においても、いろいろそういう機会を見つけてやっていきたいと思います。

菊田委員 ちなみに、これまで我が国から中国への政府開発援助はどれくらいあったか。もし承知をされておられましたら、ここで述べていただけますでしょうか。

山口副大臣 累計ですけれども、円借款と無償と技協に分けて、円借款の場合には三兆三千百六十四億円、無償が千五百四十三億円、技術協力が千七百四億円になっています。

菊田委員 ありがとうございました。

 今や中国はアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国になったわけですけれども、中国に対して我が国はこれからどういう形で政府開発援助を行っていくつもりなのか、今後の見解についてお伺いをいたします。

山口副大臣 御指摘のように、確かに中国はもう経済的に世界第二位の経済大国と言えるわけですから、この対中ODAによる中国への支援というのも既に一定の役割を果たしたというふうに考えています。

 円借款については、既に新規の供与は終了しています。あとは無償と技術協力ということになります。どういう課題、どういう分野についてやるかということについては、我が国に関係するような話、例えば公害とか、あるいは黄砂の対策、あるいは感染症、こういう私たちにとって共通の課題について、無償あるいは技術協力を中心に考えていきたいと思っています。

菊田委員 最後に、TPPについて伺いたいと思います。

 玄葉大臣は、国連総会への出席に続きまして、初めての訪問国として韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシアを訪問されました。御案内のとおり、韓国は、TPPではなく米国との二国間交渉を重視して、米韓FTAが来年一月に発効する見込みです。シンガポールやマレーシアはTPPへの参加を表明して、既にラウンドが始まっています。インドネシアはTPPに参加していません。

 大臣は、各国の首相とお会いをされ、いろいろな課題について会談をされたと伺っておりますが、このTPPについてはどのような意見交換がなされたのか、お伺いをいたします。

玄葉国務大臣 これは話し出したら切りがないんですが、できるだけ端的に申し上げると、まず、TPPの交渉に参加している国々、そういった国々に対しては、私の方から直接、改めて情報収集のための協力について要請をしたところであります。それが一つであります。

 それと、シンガポールとかマレーシアについては交渉の状況、あるいは、例えばマレーシアなどはセンサティブ品目がやはりあるんですね、そういったことについてどういうふうにしているんだと。多国間と言いながら、実は二国間の交渉の積み重ねで多数国間の交渉をしているとか、いろいろな交渉の状況の模様あるいは見通し。先ほども議論が出ていましたけれども、例えばTPPはすぐにまとまるのかというと、やはり外務大臣によっては、いや、やはり来年は米国も大統領選挙もあるし、それは中断するんじゃないか、こういう議論だってあるという……(発言する者あり)いやいや、そういう見通しの話ですね。

 いろいろなそういう情報交換をしながら、今回、TPPについてはそうでありますし、例えばインドネシアなどは、率直に申し上げれば、人口がどんどんふえていて、内需が非常にこれから期待できます。ですから、余り外需そのものに頼っていく必要性を、恐らく強く感じていないんだろうというふうに思います。

 韓国については、御案内のとおり、もともと外需の国でありまして、外需の比率が非常に高いわけで、そこで生きていくしかないという覚悟を決めて、かなり高いレベルのEPAを始めていると。

 さて、日本はどうするかというのが今の状況で、日本の置かれた状況は、先ほど来から申し上げておりますけれども、私は、一番大きな問題の所在の一つは、やはりこれから、人口減少社会に本格的に入ってしまった、その状況の中で出生率を上げていく努力をする。現実に、一・二九から、たしか一・三七ぐらいまで上がりましたけれども、さはさりながら、人口統計はかなり正しく出ますので、このままいってしまったら、恐らく二〇四六年には一億人を切ると言われていますので、そういった状況の中でどうやって豊かさを引き継ぐかというのが大きなテーマなのではないかというふうに思っております。

菊田委員 現在、民主党としましても、経済連携プロジェクトチームが立ち上がりまして、毎日議論が続けられているところでございます。もちろん、賛成、あるいは反対、慎重、迷っておられる方も大勢いるわけでありますけれども、丁寧に、真摯に議論を重ねて結論を導き出していかなければならないというふうに考えているところでございます。

 TPPについて、非常に慎重あるいは反対という方の多くの意見が、TPPを主導するのがアメリカで、そのアメリカの圧力で日本の国益が損なわれてしまうのではないかという御心配、御懸念が非常に強いわけでありまして、それは国会だけでなく、国民の中にもそういう声があるということでありますので、私は、相手の国があることではありますけれども、外務省として、できるだけ正確な情報を出していただいて、そして議論をしっかりと行っていきたいと思っておりますので、今後とも御協力、御指導、よろしくお願いいたします。

玄葉国務大臣 日米関係は大事ではありますけれども、ただ、おっしゃったとおり、日本政府自身が日本の将来に向けてしっかり判断していく、そのための情報を隠すことは絶対にいたしません。しっかり出せるだけ出して、その上できちっと判断していくということだというふうに考えております。

 どうもありがとうございます。

菊田委員 終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。ありがとうございます。

 大臣は、この委員会のあいさつの中で、日米同盟は安全保障のみならず、経済、また文化・人的交流、三本柱で進めるんだ、そして日米同盟を深化、発展させていくということを述べられました。

 そんな中で、それを受けまして、私として、東日本大震災へのアメリカの支援ということに対しても、返礼となるような御提案を一点させていただきたい、このように思っています。

 これも大臣は御存じかもしれませんが、ワシントンDCのポトマック川の河畔にタイダル・ベイスンという場所がありまして、三月の終わりから四月、その周りに桜が咲き誇ります。桜祭りも行われます。私も二十年前、ワシントンDCに一年半ほど住んでおりましたので、二回ほど、このタイダル・ベイスンの桜を楽しみに見に行きました。日本と違ってお酒が飲めませんので、桜の木の下で酒盛りをするということはできなかったんですが、しかしながら、非常に多くの方々が桜並木の下を通りながら、咲き誇る桜を見ながら、本当に楽しんでいる姿を見てまいった次第であります。

 実は、その桜、贈られてから、来年二〇一二年が百年ということになります。今、お手元に資料をお配りしております。これは伊丹市がつくった資料でありまして、後ほどまた御説明申し上げますが、この中にも、読んでいただければ書いてあるんですけれども、これは、アメリカの方から求められて、ぜひとも日本の桜をワシントンのタイダル・ベイスンにということで、当時のタフト大統領の御夫人とかがかかわったということであります。また、日本人では高峰譲吉博士が大変御尽力いただいたということで、日本の桜がワシントンに渡ったということでございます。

 この資料にもありますけれども、最初に渡った桜は、残念ながら虫害で、虫がつきまして、結局、アメリカ大陸に揚げようとしたところで、残念ながら焼却処分になりました。そして、再チャレンジということで、ここは高峰譲吉博士が資金を全部出して、もう一回再チャレンジということで、しかし、そのときには、次は枯らしちゃならないということで大変工夫を凝らしたということであります。

 その工夫の中に、実は桜というのは、接ぎ木、もともと何か、どうも野生ではなかった植物らしいんですが、桜というのは、もともと野生ではなくて、接ぎ木で、いわゆる人工的な改良が加えられた上でできたという木らしいんですけれども、その接ぎ木をした際の土台となった桜の木は、何と私の地元である兵庫県伊丹市の、東野村の桜の台木でありました。そこに東京の荒川の堤の桜を接ぎ木して、そして虫に強い桜を日本でまず育てた上でアメリカに贈ったということがあります。

 それで大臣、私は、この三月十一日に発生しました東日本大震災の現地対策本部長代行として、発災の日から一カ月、宮城県庁を中心として現地にずっとおりました。そのときに、何にまた一つ感動したかといいますと、やはりアメリカ軍が大変大きな力を出していただいたということであります。

 特に仙台空港は、実は九月の終わりに復旧、もとどおりになっているわけであります。仙台空港は、アクセス鉄道も復旧し、ターミナルも開設され、国際線もまた飛んでいるということで、最初は、一年間はもう使えないと発災直後は言われていましたが、既にもう一カ月と二日で国内線は飛び、そして九月の終わりにはすべてがもとどおり、もしくは便数もふえているという状況になりました。

 そのときに、実はアメリカの皆さんが、特に米軍の皆さんが、本当に大きな力をかしていただきました。暖房なんかありません、本当に寒い中、ターミナルの二階に寝泊まりしながら、そして重機をみずから持ち込み、二百台以上の車を片づけ、そして道路もきれいにしてくれるということで、もちろん自衛隊も頑張りましたし、日本の建設会社も頑張ったわけでありますが、米軍の力なくしてはというのも事実だと思います。

 そうした中で、これは一般的にはトモダチ作戦の一環と言われていますが、私はぜひとも、このお礼ということではないんですが、ちょうど来年、桜が咲くのが三月の終わりであります。震災から一年が三月十一日でありまして、三月十一日前後には、日本ではまた慰霊のさまざまなことが行われるんだと思います。そして、そのときには、やはりアメリカだけじゃありません、もちろん諸外国、いろいろな国が、日本の東日本大震災の復旧復興方につきまして大きな大きなお力をかしていただいております。中でもアメリカに対しては、私はぜひとも、このワシントンDCの桜百周年という中で、いま一度、日本からお礼の意味の桜を贈れないか、こういう思いを持っております。

 そういう思いで、きょうはこの資料もお渡しし、御提案をさせていただきたいと思っておりますが、まず大臣の方から、この提案に対して、大臣はどうお受けとめになられるか、お聞かせいただけますでしょうか。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、日米関係は、安全保障だけではなくて、経済も文化も人的交流もということなんです。人的交流は、特に日本から米国への留学生がすごく減っているんですね。ですから、私はそれを危惧していまして、やはりこういったことに対して対策を打つべきだとまず思っています。そして、今、市村委員から御提案の話というのは、一つのありがたいお話だというふうに思います。

 先ほど話を聞いておりましたらば、百年になるポトマックの桜というのは米国から要請があったと。だからこそ、多分、植物の検疫の問題とか、いろいろな問題がクリアされたんじゃないかというふうに思うんですね。ですから、まず日米できちっと、こういうお話が実はあるんだけれどもということで話さないといけないなというふうに思うんですね。普通にやっていると、何か勝手に贈ってきたといって、また植物検疫か何かではねられてということになりかねませんので。

 いずれにしても、そういう御好意があるのであれば、米国側と、いかがなものですかと。ちょっと勝手に、これはやはり、苗木が行くなら、あるいは種子なりなんなり行くなら、行くなら生かさないといけないということがありますから、そこは話し合ってみないとという感じでございます。ただ、そういう志というのは何らかの形でやはり生かしていけないかなと思いながら、今聞いておりました。

市村委員 今大臣がおっしゃったように、いわゆる検疫の問題があるというのも私もお聞きしました。

 実は、一九六五年には約四千本、桜を追加的に寄贈しています。ということは、一九六五年までは桜を贈れていたわけでありますが、その後、どうやら何か問題があったようでありまして、いわゆる日本から桜を持っていくことはどうもだめだというふうになっているようであります。

 ただ、もちろん押しつけはだめですし、アメリカ側が嫌だというものをこちら側が幾らお礼だと言っても、受け取ってくれないものを持っていくということはまずできないわけでありますが、ここは、大臣初め副大臣、きょうは山口副大臣もいらっしゃっておりますが、ぜひともアメリカ側と、押しつけではなくて本当にお礼の気持ちで、また百周年に日本から桜を贈らせていただけないだろうかと。そのときには、またしっかりとした検疫を、大丈夫な、虫害にはならないようなものをしっかりとお届けしたいということで、伊丹の皆さんも実はそういう思いでいたらしいんですが、どうも受け取れないという話を聞いてがっかりされているところもあったようでありまして、また計画も持っておられるようでありますので、百年目、お礼ということも込めてこの桜を贈れるように、外務省、大臣、副大臣、山口副大臣、ぜひともよろしくお願いします。同じ兵庫でありますので、ぜひともお願いいたします。お力をいただきたいという思いでございます。

 ただ、桜の苗木はやはり二、三カ月かかるそうでありますので、三月まで時間が余りありません。ぜひともこの辺は、余り急ぐということもないんですが、また年内ぐらいにはお力をいただければという思いであります。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 では、山口副大臣から、ちょっと、お願いします。

山口副大臣 今、市村議員からおっしゃっていただいた伊丹市との連携、早速ぜひアメリカ側とも連絡をとらせていただいて、頑張らせていただきます。

市村委員 ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。

 次に、もう一点、今度は対中国に関して、ちょっとひとつ、また幾つか御提案をさせていただきたいことがあります。

 実は、政権交代以降、日本の航空行政は百八十度変わったと言ってもいいような状況に今なっております。例えばオープンスカイという言葉がありますが、もっと日本の空を開いていこうということで、国土交通省、私も政務官として担当でございましたが、それを推進してまいりました。

 ただ、そのときに、中国とのオープンスカイ交渉がなかなか進んでいないという現実があります。その辺について、ちょっと国交省の方から少し御説明いただけませんでしょうか。

奈良平政府参考人 今御指摘になられましたように、インバウンドの振興を初めとする観光立国の推進、あるいは国際交流の拡大などを実現していくために、航空分野における自由な枠組みの構築が重要であるというふうに考えております。

 こういう考え方を踏まえまして、今、オープンスカイ交渉を推進しているところでございまして、現在までに十の国・地域との間でオープンスカイの合意に至っているところであります。日本発着の全旅客数の約六割を占める国・地域との間でオープンスカイが合意されているところでございます。

 中国との関係におきましても、このような関係を築けるように、中国側にできる限り自由な枠組みというものを提案してきているところでございまして、残念ながらまだ実現に至ってはおりませんけれども、オープンスカイを初めとする日中航空関係の拡大に向けまして、引き続き最大限の努力をしていきたいと考えております。

市村委員 大臣、実は、航空需要というのはアジアを中心に伸びているんです。ところが、日本だけ下がっているんです。大変残念な状況でありました。しかし、これは政権交代で大きくかじを切っております。ですから、今後、特にLCCの導入、ローコストキャリアの導入があります。

 ですから、特に中国というのは、ある意味では大変お得意様なわけでございます。特に震災後、中国や韓国からの旅行客が大変減っているということでありまして、大変観光産業、例えば日本は二〇二〇年までに二千五百万人の方に来ていただこう、最終的には年間三千万人の方に日本を訪れていただきたいと、ビジット・ジャパンですね、エンドレス・ジャパンということでキャンペーンも打っておるところでありますが、残念ながら震災後減っていますし、中国とのオープンスカイはまだ成っていないということであります。

 ちょっとここで、観光庁長官もいらっしゃっていますが、震災後のお取り組みを御紹介いただけますでしょうか。

溝畑政府参考人 震災後、大変、特にインバウンドにつきましては、安心、安全のイメージが大変厳しい状況になりました。一刻も早くイメージ回復ということにつきまして、外務省さんを初め関係省庁と連携をとらせていただきまして、特に海外に向けての情報発信、そしてまた海外消費者の目線に立った正確な情報発信、メディアと旅行会社の招聘、さまざまな施策に取り組んでまいりました。

 特に、市村議員におかれましては、国土交通大臣政務官時代におきまして、航空政策と観光政策の連携という中で、大所高所から非常に示唆に富んだアドバイスをいただきまして、ありがとうございました。

 こういう多くの皆様のおかげをもちまして、特に中国につきましては、本年七月に外務省さんが沖縄のマルチビザの発給を開始し、そしてまた九月には個人ビザの発給要件の緩和、そしてまた観光庁におきましても、この十月からいよいよ本格的なキャンペーンの再開、こういったオール・ジャパンの取り組みで、今一刻も早い需要回復に努めるところでございます。

 訪日の中国人の数でございますが、本年四月には対前年比マイナス四九・五%の減でございましたが、おかげさまで九月には対前年比マイナス一八まで回復してまいりました。

 これからも皆様と力を合わせて、一刻も早く回復できるよう頑張っていきたいと思いますので、今後も御指導、御鞭撻、よろしくお願いしたいと思います。

市村委員 大臣、ぜひともこのオープンスカイ交渉が進むように、また外務省としてもお力をいただきたいと思う次第であります。ちょっと後ほど、またまとめて伺います。

 それで、もう一点、観光庁長官に私はお願いしたいといいますか、皆さんに知っていただきたいのは、実は日本の旅行代理店は中国で日本向けの旅行がまだ売れない状況であります、例外一つ除いては、一社を除いては。ぜひとも私は、もっとこれをオープンにしていくべきだというふうに思っております。日本の旅行代理店が中国国内で中国人向けに日本の旅行を売れないというのが今現状なんです。しかしそれを、ただ一社を除いてなんです、一社を除いて。ですから、それをもっと拡大すべきだというように思っています。ちょっとそこを、また観光庁長官の方から御説明ください。

溝畑政府参考人 中国におきますアウトバウンド営業の問題でございますが、議員御指摘のとおりでございまして、この五月に、日本のJTBの現地法人を含めまして三つの会社、日本とアメリカ、ヨーロッパ、三つの会社について試行展開ということで認められました。

 このことにつきましては、今後やはり我々は、本格的にこのインバウンドを軌道に乗せるためには、今、日系旅行会社が十一ございますが、一刻も早くすべての日系旅行会社に開放されるように、今後とも国家旅游局に対しまして、全力を挙げて働きかけをしていきたいというふうに考えております。

市村委員 今、大臣お聞きいただきましたように、まず一つは、オープンスカイの交渉をもっと進めていくべきだろうと、一点。それから、中国国内で日本の旅行代理店が日本向けの旅行を売れるように、もっと広範に売れるようにしていくのが一点と。

 あとは、それだけではなくて、やはり日本側も努力しなくちゃいけないということで、日本側も中国人向けにビザの発給をもっと緩和していくということ。今、沖縄に入れば後は自由だというふうになっておりますが、もちろん沖縄の振興という意味でも私は大変重要だと思いますが、沖縄のみならず、例えば北海道でも、ちょっと沖縄と北海道は離れていますので、北海道はもっと自由にするとか、いろいろアイデアはあると思います。

 そういった点を、今後もし中国の要人と何かお話しされる際に、こうした観点もまたその交渉の場に入れていただけると大変ありがたいのでありますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、中国は特に、中国も実は二〇一三年から、たしか労働力人口が減り始めるんですけれども、さはさりながら中間層がふえて、格差があるとはいえ、ふえてきています。ですから、当然、大変な需要、特に観光というものに対する需要というのは、我々にとっては大変魅力的であるというふうに思います。

 先ほど長官から話がありましたけれども、マイナス五〇%からマイナス一八%くらいになってきたという話であります。

 私もこれはヨウケツチ外務大臣にも言いましたけれども、あと、ほかの外務大臣にも言っているんですけれども、例えば、私の実家が第一原発から四十キロあって、線量がそんなに出ているわけじゃないんですけれども、私の両親も弟夫妻も子供たち三人も、普通に暮らしているといえば暮らしているんです。ただ、実際は除染とかいろいろ大変ですよ。ですから、例えば会津若松なんというのは百キロ離れているわけです、百二十キロ離れている。そういうところまで全く閑古鳥なんですね。ですから、いかに風評かという話を何度も何度もいろいろな方たちに申し上げているということでございます。

 先ほどの具体的な提言、いろいろございましたので、承って、オープンスカイの話、そしてあと、中国の中で日本のいわゆる旅行代理店がどれだけ中国人向けに活動できるか、営業できるかというのは確かに大事な話だな、具体的な提言だなと思いながら聞いておりましたので、受けとめていきたい。

 ビザも、これは政権がかわって緩和して、私、効果的だったと思います。これは一つの成果だと思います。新成長戦略全体を、私も国家戦略担当大臣で見ていた時期がありましたので、これは一つの成果だなと思いながら見ておりましたけれども、今、沖縄にやっている。沖縄は非常に効果を発揮している。次に、被災三県に対して、いわゆる短期のビザの手数料、料金を無料にできないかということで、今、我々としては考えている。

 さらに何ができるのかということを常にこの問題は考えていきたい。今みたいな具体的な提言をいろいろといただければ大変ありがたいと思います。

市村委員 終わります。

田中委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、朝から自由民主党の論客が、非常に鋭い質問を四人の方がされました。聞いていて、政権交代っていいなと思いました。今もうほとんど、自由民主党の人はみんな会合に行っちゃったのか、一人しかいませんが、やはり野党質問をもう二年、だんだんと磨き上げられてきて、非常に鋭い質問が連発された。大臣、笑っている場合じゃなくて、本当にしっかりしないといけない、そんなふうに思います。そんな評論家めいたことを言っちゃいけないんですが。

 まず冒頭、大臣に、先ほど、二年間の、民主党政権になってからの得失、プラスマイナスを三ッ矢議員が聞かれた。そのお答えの中に、いみじくもというか何というか、プラス部分は、岡田さんが外務大臣のとき、いわゆる核密約、核の問題、彼はなかなか熱心に取り組んでいた。それから三つ目がアフガン資金コミット、こういう三つを挙げられて、マイナスの方は、日米関係に一時的な揺らぎがあった、こういうふうに言われたんです。

 さて、私、冒頭で玄葉大臣にお聞きしたいのは、あなたがこれから長期にわたって外務大臣をされるか、あるいは前原、松本、この御両人のように、不本意にも非常に短い期間で、あえなく二人は、余り何も仕事をしないでと言ったらあれですけれども、し切れないまま消えてしまったというふうになるかどうかわかりませんが、まず何をしたいか。あれもこれもではなくて、これだけは一つやりたいというのは、玄葉光一郎外務大臣としては何だと。いや、あれこれあるのはわかりますよ、わかるんだけれども、あえて、後世、玄葉外交はこうだった、こう言われたいものは何か、これを聞きたいと思います。

玄葉国務大臣 体系立てて、自分自身が考えていることをある時期にきちっと申し上げたいというふうに思っていますが、一つ挙げろというふうに言われたら、具体でなくて申しわけないんですけれども、やはり私たちの国を取り巻く、この日本の、アジア太平洋地域のリスクをどれだけ下げられるか、そして、民主主義的な価値に支えられた豊かで安定した秩序を、先ほども質問に関連した部分が出ておりましたけれども、マネジメントも含めた形できちっとつくり上げることができるかというのが私は大事だというふうに最初から思って、さまざまな考えをめぐらせながら外交活動を展開させていただいているということだけはまず申し上げたいというふうに思います。

赤松(正)委員 なかなか今のは後になって採点するのが難しい言い方をされたんですが、ともあれ、頑張ってくださいと冒頭申し上げておきたいと思います。

 さて、きょうは、まず、先般大臣所信でお話をされたものの中で幾つかを取り上げてお話ししたい、お聞きしたいと思うんです。

 まず冒頭に、これは、玄葉光一郎という人が外務大臣になられたときに私が抱いた一つの大きな疑問というか思い、懸念があります。それは何か。玄葉光一郎は外務大臣をやっている場合なのかと思ったんです。

 要するに、福島という被災地出身の代議士で、どうもさっきから、午前中から先ほどにかけて、自分は福島第一原発のあの場所から四十キロ、近くもなく遠くもなくというふうなことが言外ににおい出ているというのは、どうも当事者感が薄いんじゃないのか。被災地福島、本当に、塗炭の苦しみという表現が余り適切じゃないかもしれませんが、あえいでおられる福島を代表する代議士としては、僕は、余り適切な表現がこの午前中から先ほどにかけてなかったとあえて言いたいと思います。

 私は玄葉さんという人を見ていて、先ほど来答弁にあって、私は、昭和四十年代から国会に新聞記者として来て、委員長のおやじさんなんかも近くで見たり聞いたりしたことを初めとして、今日まで数多くの政治家を見てまいりましたけれども、玄葉さんは、正直言って、私と当選回数が一緒かな、それはもう六回だから、自由民主党であったら大臣になっていい、過去のそういう十分な経歴だろうと思いますが、さっき聞いていると、外務委員会理事を三年やったことから始まって、民主党の政調会長、あるいは選挙対策委員長、そして政権のいわゆる国家戦略担当大臣、あと覚え切れないぐらいさまざまな役職を経験してきておられる。どうも、私の印象としては、私が過去に見てきた政治家たちよりもかなり、これは非常に失礼な言い方かもしれませんが、促成培養というか、短い期間に非常に大事な立場に次々とついてきた人だなという印象がぬぐい切れません。これは同時に、福島県を忘れているんじゃないのかということとセットになります。

 私、きょうこの場に立たせていただく前に、十分とは言えませんが、福島県で核になると思われる人物に取材をしました。玄葉光一郎、どういう評判かということを聞いてみました。それは十分じゃない、もう全然十分じゃないということは百も承知で言いますが、二つの点で私はここで玄葉さんに対して、大いなる、何というか、足元をしっかり見ろということを言いたいと思います。

 一つ目。原子力発電所の問題について、あなたは、この間のいわゆる大臣所信表明の中で、冒頭に近いところで、大変さりげなく、この福島第一原発については、「着実に収束に向かっています。」こういう表現でおっしゃられました。収束というのは何を意味しておっしゃったんでしょうか。

玄葉国務大臣 何をやりたいかという問いが一番最初にございましたけれども、あえてちょっと違う表現でもう一つ申し上げると、全体として申し上げると、内向きな思考に今なりがちになっているこの状況を変えたい、そういう思いもあるということをあえて申し上げたいというふうに思います。

 それで、着実に収束に向かっているというふうに述べたということでございます。確かに述べました。この原発の話は、収束に向かって冷温停止状態にする、そして同時に、その後の、県民初め放射能の汚染で苦しんでいる人たち、まさにおっしゃるように塗炭の苦しみなわけでありますけれども、そういった人たちのさまざまな懸念とか心配というのを取り除いていく。ですから、これは長い長いスパンの闘いです。

 先ほど赤松先生が、外務大臣をやっている場合なのか、被災地じゃないかという話がありました。率直に申し上げますけれども、私が総理から外務の担当をしてもらいたいと言われたときに、当然被災地のことが最初に頭によぎって、その話を総理といろいろとさせていただいたことは事実でございます。ただ、閣僚懇の中でさまざま福島の問題についてしっかりと発言してもらえればいいじゃないかというような話等々がございました。

 私は、赤松先生ともおつき合いは長いわけでありますけれども、本当に、福島県民、特に私の選挙区の方々とは、これまでも一人一人おつき合いをさせていただいてきました。そういった中で、今回、どういう苦しみにあるのか。三・一一自体が、私にとっては人生観や価値観が変わる出来事でございました。ですから、そういった塗炭の苦しみというのをそれはもう理解をして、率直に言うと理解とかという問題じゃないんですけれども、さまざまな思いを込めて今の職をさせていただいているというふうにこれは申し上げたいと思います。

赤松(正)委員 大臣、冷温停止ということを言われたけれども、そういう部分の話はきょうは避けます。

 要するに、福島県民にとっての収束というのは、もちろん途中にそういう技術的なこととしての冷温停止ということはあって、年内にそれを目指したい、目指す、こういうことが明記されたということもわかっておりますけれども、福島で、私の学生時代からの仲のいい友人がある新聞社の社長をしているので、聞きましたよ。聞いた。要するに、自分の部下の記者たちに言っているのは、冷温停止どうこうじゃない、今被災民が一番関心を持っているのは、いつ自分のうちに帰れるのかということだ、そこにすべての焦点を合わせて取材しろ、こう言っていると。

 残念ながら、公明党も含めて、今の福島で選出されている代議士は、もう公明党にはいないんですけれども、要するに、どいつもこいつも存在感がない、本当に被災民に対してこたえてくれる代議士がいない、こう断言していましたよ。おまえがそう言ったのを本人に言うよと言ったら、言ってくれと言っていましたけれども、そういう受けとめ方なんです。

 要するに、いつ帰れるか。いつ帰れるんですか。

玄葉国務大臣 野田総理が、福島の高校生の言葉を引用して、福島で生まれて、福島で育って、福島で結婚して、福島で子供を産んで、福島でお年寄りになってと言いましたかね、そして福島で孫を見て、こうずっと話をされました。私は、率直に言うと、それが本当に福島県民の思いだと私自身も思います。一番大事なことは、本当に平穏な生活を取り戻したいということなんです。

 いつ戻れるかというのは、それは率直に言えば、もう御存じで質問されていると思いますけれども、地域によって違います。それぞれの、どのくらいの線量が出ているかで違います。同じ計画的避難区域になっている場所の中でも違います。

 私も、最近確かに地元に帰れていないんです。帰れていなくて、八月十五日だったかと思いますけれども、お盆で帰って、私は、自分の選挙区じゃありませんでしたけれども、葛尾村という計画的避難区域になった場所の方々の仮設住宅を一軒一軒回りましたけれども、その方々も同じことを聞きます、いつ帰れるんですかと。それは断言できません。ただ、葛尾村だったらこのくらいで帰すんだ、飯舘村だったらこのくらいで帰すんだ、それぞれの目標を持って除染の計画をし、その除染について、具体的にそれぞれの地域の雇用と結びつけるということをする。

 あわせて、平穏な生活だけではなくて、やはり将来に希望のともしび、そういうものが見えないとだめなので、私自身が何回も訴えたことでもありますけれども、例えば再生可能エネルギーの政府の研究機関を福島県に移転すべきだとか、そういったさまざまなことを提案して、今、実現に向かって、そういう意味では、少しずつ前進をしている部分もあるというふうに申し上げたいと思います。

赤松(正)委員 先ほど、大臣は何をするのかといったことに対して、ある意味、非常に漠然とした答え方をされた。次の質問の答弁の冒頭につけ加えたのが、内向き思考である今のこの国の空気というのを上向きにしたいと。これは要するに、一事が万事で大変恐縮ですけれども、かなり情緒に過ぎる答弁をされる傾向がおありなんですね。それは総理大臣になってから言ってくださいよ。外務大臣という立場で、そういう漠とした言い方、あるいは何となくちょっと局外にいる人間が言う言い方ではなくて、明確に焦点を定めた言い方をしてもらいたいと思うんです。

 それで、この今の「着実に収束に向かっています。」というくだりで言えば、福島選出の外務大臣の所信表明だったら、やはり因由をつけて表現すべきだ。要するに、どこかから来た大臣だったら、着実に収束に向かっています、何か悪いと。現実に、大きい意味合いでは、それは収束に向かっていますよというふうに言う人がいておかしくない、確かにそういう状況だろうと思うんですが、福島県民を意識した、短い言葉でいいから、では、おまえ言ってみろ、そこまでは言いませんけれども、そういうものがあれば、大臣はやはり福島の出身で意識してくれているなということを思わせるような、そういう書きぶりが必要だと思うんですね。

 冒頭で、私、今の件ともう一つ、そういう大臣の政治姿勢というか、福島との絡みで気になっていることを申し上げます。

 それは、環太平洋経済連携協定、TPPなんていうと何となくあれなんで、日本語読みをしますとそうなる。それについて大臣は、やはり所信表明の中で、TPP、環太平洋経済連携協定への交渉参加について、「しっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出したい」。これは、表現は外務大臣としてこういう表現をせざるを得ないというふうに思うんですが、この「しっかりと議論し、」というのは、だれと議論をするということがこの中に含み込まれているんでしょうか。

玄葉国務大臣 これは、国民の代表者である国会議員の皆さん初め、当然、それぞれ国民の皆さんとできる限り議論するというか、対話をするということではないかというふうに思っています。

赤松(正)委員 国民と対話をする。いや、そうくるかという感じですね。

 大臣、私がここで言いたいのは、さっき福島の流れの中でこれを出しました。去る二十一日、福島県でTPP反対決起集会が地元の農協関係者主催でありました。私はそこに出た人に聞きました。玄葉さんの秘書さんが出ておられた、玄葉は来ないのかという声があちらこちらから聞こえてきた、そういう話であります。外務大臣になってからは行けないという話がありました。

 要するに、今福島県の人たちが言っているのは、国会議員、私たちも、私も含めて、チェルノブイリに行く、これはこれでいいでしょう。しかし、福島に、いろいろな形で散発的に来ているということはあっても、来て、それでその場でこの原発の状況をどうするんだということを議論する、そういうのを聞いたことがない。国会も移動して、ここで、福島で一回ぐらいどこかの委員会をやったらどうなんだ、そういう声もある。

 そういうこともあって、今ちょっと二つの話がごちゃまぜになっちゃいましたけれども、TPPについて、まず一点目、そういう議論の対象に福島の農業者は入っていないのかということであります、農業だけではなくて。まず第一義的に、外務大臣である前に、福島県選出の代議士として、さっき福島県選出の国会議員は極めて存在感がないという話をしましたよね。

 ちょっと話はまた飛んじゃいますけれども、一番最初の段階で、福島県のある首長が、要するに国も県もちゃんときちっとおれたちの言うことを聞いてくれないという話を町長さんがしていましたよ。その人にとって国というのは何か。国会議員ですよ。国というものを出してみろと言われたら、出せない。これは、具体には地元選出の国会議員だと思います。

 そういう点で、外務大臣だから忙しいということもある。既にもうさいは投げられたというか、ルビコンの橋を渡られて、もう大臣を選んじゃったんだから、なかなか地元には帰れないかもしれないけれども、ありとあらゆる手だてを尽くして、例えばTPPならTPPのことについて、まず地元の福島県民が、農業者たちを中心に、どういうふうに思っているのかということをしっかり取材する、聞く。聞いていますと多分言うだろうと思いますけれども、その姿勢が大事だ。これに対してはどうでしょうか。

玄葉国務大臣 それはもう、聞くというのは確かに大事だと思います。そして、私が、あれは震災前だったんですけれども、また震災後は違いますからね、確かに。だけれども、震災前は、仙台でいわゆる開国フォーラムというのをやったときに、私自身が基調講演をして、実際に質問されていた会場の方々は、ほとんどが福島県の農業関係者の方々でありまして、まさに一時間半から二時間ぐらいたしかやったんじゃなかったかなというふうに記憶します。

 今も、JAの組合長さん方がいらっしゃるというので、私も喜んでお会いしますという話をしています。ただ、実はもう月曜日からずっと委員会が朝から夕方まで入っているものですから、この間、ちょっとお会いできないんですけれども、全く閉ざすつもりはありませんし、私は本当に、選挙区に行ってもきちっと丁寧に話を聞き、また同時に私自身の考え方も丁寧に説明をするというふうにしたいと考えております。

赤松(正)委員 山口副大臣、山口副大臣とは文字どおり大変長いつき合い。

 玄葉大臣、山口さんという人は大変すごい人です。何がすごいか。この人は、いわゆる自民党王国と言われる河本敏夫さんの選挙基盤を、たった一人で全部回って、全部自分の組織をつくりかえちゃった。

 実は、私、かつて持っていた中選挙区時代の選挙区を真っ二つに割ると、片っ方の選挙区で、今の小選挙区で議席を占めているのが松本剛明、もう一つの選挙区を占めているのが山口壯、与野党を超えてこの二人はなかなか立派だと私は思っていますよ。

 とりわけこの人から何を学ぶかというのは、十数年かかって全荒野をひたぶるに歩いて、全部山口党に、全部とは言いませんけれども、かなりの部分を変えちゃったというのは、ちょっと褒め殺しに近いんだけれども、かなり大変なものだ。地に足がついている。だから、玄葉さんは、名前が玄葉なんだから、しっかり現場に足をおろして、現場第一主義でという声もあるんだから、そういうことで行っていただきたいと思うんです。

 山口副大臣、あなたは副大臣の立場で身を殺して大臣を支えるんでしょうけれども、要するに、玄葉、山口で何をやりたいの。

山口副大臣 赤松大先輩には、本当に長期間にわたっていろいろ御指導いただいて、本当にありがとうございます。

 私は、ずっと、今も時間を見つけて、タウンミーティングということで先週末も何回かやらせていただいたんですけれども、やはり経済をどうやって立て直すか、今の私の関心事はそれです。外交の中で経済を立て直すために、どういうふうに世界の人、物、金とつないでいくか、アジアの活力あるいはアジア太平洋の活力、これをどういうふうにつないでいくか。

 例えば円高にしても、私と玄葉大臣で、あるいはほかの政務三役、あるいは外務省のスタッフの人ともよく議論するわけですけれども、例えば円高・ドル安にしても、いろいろなプロジェクトが、民間の人のやっているプロジェクトもあるでしょう。そういうものに対して、JBICあるいはその他の公的資金を使って応援していく。そのことによって、物資を外に持っていくときにはドルを買うわけですから、それを、例えばJBICに四千億あるいは一兆円あります、そういうことをすることによって経済の立て直しを図っていく。

 その経済連携の中には、韓国とも中国ともこれからやっていきたいし、豪州ともやりたいし、来年はヨーロッパともやっていきたい。その最たる一つのアメリカとの関係がこのTPPだと思っています。

 そういう意味で、玄葉大臣と力を合わせて、経済連携の話を特に今集中的に思いを込めてやらせていただいているところです。

赤松(正)委員 何だか二人ともよく似ているなという感じがいたします。後になって採点するのがなかなか難しい、そういう答え方をされたなという印象を受けます。

 さて、そういうことを言っているうちに、持ち時間が短くなってまいりました。

 私がきょう言いたい核心の問題点は、要するに、今、広島、長崎という、核、世界で唯一の被爆国家としての日本、広島、長崎、核廃絶という問題をずっと、この戦後日本、私、生まれた年に広島、長崎に原爆が投下されたわけですけれども、以来今日まで、ある種日本の悲願としての核廃絶というテーマがあるわけです。

 そこに、今、ことしの三月十一日に福島で原子力発電所の大きな事故が起こった。幸いにして、核を使った、原子力発電所によって、即それが直結した死者というのはいなかったかもしれませんけれども、今、世界各国が見ているのは、日本を見る目というのは、広島、長崎がある日本というよりも福島が存在する日本ということで、要するに、原子力発電というものの平和利用、これがまさに揺らいでいる、そういうかなり厳しいまなざしというものがあって、今、日本は見られているという問題があります。

 そこで、二つのお話をきょうはお聞きしたいと思うんです。

 まず第一に、核廃絶に向けてのさまざまな試み、いろいろな行動が外務省によってもなされてきた、日本という国が国連を場にしていろいろやってきたと思いますけれども、今まさに、手詰まりというか、理想は理想なんだけれども、現実はなかなかというふうなことがまさに言えるような、核廃絶の問題についてはなかなかうまくいかない。さっき、大臣自身がプラスの中で言っておられた、岡田さん、なかなか一生懸命取り組まれたという部分があって、歩みは遅いけれども着実な一歩を記されたということがあると思うんですね。

 そういう点で、つい先日、私が顧問をしております公明党の核廃絶委員会で、外務省に対して、国連総会第一委員会の多国間の軍縮を前進させる共同提案に対する日本政府の賛成を求める申し入れ、極めて、具体的過ぎるというか、珍しい申し入れをさせていただきました。私は残念ながらその場に行けなかった。中野政務官が対応してくれたようですが、前向きに検討するというお答えだったんです。

 これは、具体的には、ジュネーブ軍縮会議に対して、二〇一一から二〇一二年の会期に実質的作業を開始するよう最大限の努力を求める、一項目め。二項目めは、もしジュネーブ軍縮会議が二〇一二年になっても実質的作業を開始する計画を採択できなかった場合には、国連総会において、核軍縮、消極的安全保証及び兵器用核分裂物質生産禁止条約、FMCT、この三つのテーマについて作業部会を設けること、こういう具体の提案であります。

 これに対して、日本の態度、私どもはぜひ賛成をするべきだと思いますけれども、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

玄葉国務大臣 おっしゃったとおりで、核のない世界、つくりたいけれども、残念ながら簡単に進まない。それで、前進させるために、私も今回も国連の場に行ったときに、オーストラリアのラッド外相とNPDI会合を開きましたけれども、あの試みというのは、私は一つのよいチャレンジだというふうに思っています。あそこで、まさに現実的に、着実に、一歩一歩前進させるという思いでおります。同時に、特にカットオフ条約について何とかならないかという思いがございます。

 今御提案の、ノルウェー、オーストリア、メキシコの提案のこの決議案というのは、率直に申し上げると、我々の考え方と共通しているというふうに考えていまして、そういう意味では、一つの前進になり得るのではないかということで、我が国の投票態度は、前向きなというか、投票態度としてはそういう方向で検討、前向きな方向で最終的な調整をしたいというふうに考えています。

赤松(正)委員 前向き、横向きとか後ろ向きじゃないので、前向きで賛成するというふうにここで断定はできないということで、限りなく、もし賛成しなかったらまたそのときに文句を言いますけれどもね。

 さて、それで、もう一つの問題は、原発イコール潜在的核抑止力論。

 原子力発電所というのは、日本がある種特殊な立場ですよね。世界には、核を保有している国家、そして、保有したいんだけれどもなかなか難しい潜在的核保有希望国家、それから全くそういう意思のない国家、こう大きく分けて三つあるんですが、その中でも、三つ目の、核を保有していない国家の中で、持ちたいとも思っていない国と一般的に思われている日本が、実はそうとは言えなくて、この原子力発電にまつわるさまざまな、生産物という表現が適切かどうかわかりませんが、原発にかかわるさまざまな核関連物質というものを取り扱うがゆえに、これは潜在的に核を持っている国と変わらない、こういう考え方を持っているメディアとか、あるいはまた、自由民主党の中の有力議員の中に明確にそういうことをおっしゃっている議員もいます。過去にもいました。

 それは、いわゆる右か左かといった場合に、右という位置づけをされる人たちもそういうことを公然と言っているし、今度は左と言われる大変多くの論者、識者たちが、そういうことを受けて、要するに原子力発電所というものが潜在的に核抑止力の役割を果たすんだということをそのまま理解している人たちがいます。

 それらの背景になっている一つの大きな文書のものとして、一九六九年に外務省の外交政策企画委員会の「わが国の外交政策大綱」、この中に、「核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持する」、こういうくだりがある。こういうことが大きな要因になって、要するに、さあ、こういうふうに書いているじゃないか、日本の外務省というのは本心はこういうところにあるんだというふうに論難をする根拠になっています。

 実は、それは、NHKが去年、「“核”を求めた日本」という報道の中でもそういう一連の文書というものを取り上げて、日本の外務省の姿勢、日本の姿勢というものが、世界に向かって、実は、心底の部分というか本音の部分で核を求めているんだというこの一連の報道のきっかけになっている、こういうことがあって、当時の前原外務大臣が外務省に調査をさせた、これは聞いています。

 そういうことを踏まえた上で、改めて、外務大臣、この原子力発電所イコール潜在的核抑止力論、こういうものについてどういうふうに考えるか、お聞かせ願いたいと思います。

玄葉国務大臣 いわゆる原発を保有すること、そのこと自体で潜在的核抑止力を有する、こういう議論が少なくともあるということは十分に承知をしております。先ほど赤松先生が言われたように、さまざまな方々がそういう考えを持っておられるということ自体も承知をしているところでございます。

 先ほどの文書について私も調べてみましたけれども、その一九六九年の外務省文書「わが国の外交政策大綱」というこの文書は、いわゆる公開を前提とせずに自由に行った議論を取りまとめている、外務省として決定した政策をあらわすものではない、これが一つの我々の外務省としての答弁でございます。

 ここで私が、その議論はさまざま承知をしている、その前提で申し上げますけれども、野田内閣として、非核三原則というものを堅持する、そういう方針に変わりはございません。

赤松(正)委員 回りくどい言い方をされるので、どういう結論になるのかと思ってはらはらしました。これは明確に否定しなくちゃいけない、そんなふうに思います。

 そこで、きょう午前中の同僚、自由民主党の委員の質問の中で、一つちょっとひっかかる答弁がありました。そこを確認しておきたいと思います。

 それは、原子力発電所の問題について、要するに、新規の分については立ちどまって、日本がそういう各国に対して、適切な表現かどうかあれですが、働きかけるというか、原子力発電所を含むそういうプラントを輸出するということについて、新規分については一度立ちどまってみようということを思ったとおっしゃいましたね。これは、新規というのはどこを指すんですか。

玄葉国務大臣 これはたしか河井委員との議論の中で出てきた話だと思いますが、先ほど申し上げた、国会で承認を求めている国々プラス、既にいわゆる交渉で合意をしたり、ずっと交渉を積み重ねてきた国を、たしかさっき具体的に挙げたというふうに思います。あえて申し上げます。UAEとかインド、南ア、トルコ、ブラジル、メキシコということで、これがいわば協定交渉中ということでございまして、新規案件については、ある意味、それ以外のところは新規案件であるというふうに思っています。

赤松(正)委員 そうしますと、今、後ろから紙を差し入れられたUAEだとか南アとかトルコとか、この一連の国々というのは、要するに今もう既に交渉をしている国々だからこれはそのままいくのであって、それ以外の国が新規だ、こういう受けとめ方でよろしいんですね。

玄葉国務大臣 基本的には、まず進め方として、ちょっと回りくどいと言われるかもしれませんけれども、先ほど申し上げた国々は、これまでの積み重ねとか信頼関係を損なわないようにやはり気をつけながら、最終的にその協定についての態度をきちっと決めなきゃいけない。新規については、一回きちっと立ちどまって、考え方をもう一回取りまとめて、しっかり、原発を輸出するかどうかという話なので、そっちについては改めてきちっと政府全体で結論を導きたいというふうに考えています。

赤松(正)委員 この小野寺委員に対する答弁書の中でいわゆる政府としての考え方を出していますけれども、それが今、開いて言えば今のようなことになるんだと思いますが。これは、実際じっと読むと極めて腰の落ちつかない、例えば真ん中に「国際的な原子力協力の在り方については、」一行分省略しますが「できるだけ早い時期に、我が国としての考え方を取りまとめる。」と。要するに、まだ今は考えが定まっていないということなんです。なおかつ、新規については立ちどまって考える。そういうふうなことを言っている国と、今やっている相手国がまともに聞く気になるのかなという感じを受けます。

 そういうことを申し上げまして、きょうの第一回目のお手合わせは終わりたいと思います。

 以上です。

田中委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、けさほど来議論になっておりますTPP交渉参加への問題について伺っていきたいと思います。

 農林水産省は、地方自治体の議会の、この問題に関する、TPPに関する意見書の状況について集約をし、数字をまとめていらっしゃると思います。

 そこで、筒井副大臣にお越しいただきましたので、昨年の十月から最近、直近までで結構ですが、四十七都道府県のうち、都道府県レベルでは幾つの意見書がこの問題で上がっているか。そして、内訳がわかればなんですが、うち、参加すべきではないとか、あるいは慎重に検討すべきという趣旨の意見書はどれぐらいありますでしょうか。さらに、全国の、それ以外の地方議会の意見書採択状況は全体としてはどうなっているか。数字を御紹介いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

田中委員長 筒井農林水産副大臣。答弁漏れがないように、しっかりとお答えください。

筒井副大臣 先生の御質問、先生おっしゃるとおり、農林水産大臣あてのものが農林水産省に来ますので、それをすべて集計しております。そして、これも先生のおっしゃるとおり、昨年の十月から本年の九月までの集計でございます。

 都道府県からは四十九件来ております。四十九件というのは、四十四都道府県ですが、中には二件あるいは三件を出されているところがあるものですから、四十九件でございます。そのうち、参加すべきではないというものが十四件でございます。それから、慎重に検討すべきが二十八件でございます。それ以外にも申し上げますか。(笠井委員「それでいいです」と呼ぶ)それでいいですね。

 それから、市町村議会の方の件数は一千四百二十五件でございます。うち、参加すべきでないが一千五十六件、慎重に検討すべきが三百二件。

 以上でございます。

笠井委員 今答弁いただきましたように、四十四の道府県議会がTPP参加に反対、慎重などの意見書を農水大臣あてに上げている。市町村議会の意見書に至っては、来ているもののうちの反対が全体の約八割と、今の数字を計算するとなると思いますが、慎重を入れると九五%を占めるということになります。

 そこで玄葉大臣に伺いたいと思うんですが、なぜこれだけの地方議会がTPP参加に反対あるいは慎重という意見表明をしているというふうに大臣はお考え、受けとめていらっしゃるでしょうか。

玄葉国務大臣 議会の皆様がなぜそういう意見書を出されているかというと、もちろん、それぞれ県議会の議員お一人お一人の御判断ということもあるでしょうし、県民の代表ですから、それぞれ支援者の方、あるいは団体として推していただいている、そういった方々の働きかけなどもあってそういう形になっているのではないかというふうに推測いたします。

笠井委員 なぜという中身についてはなかなかお触れにならないんですが、最近の意見書を見ますと、日本のTPP参加は、農業分野に与える影響とともに、大地震の災害復興への努力をくじいて国民生活と経済を一変させる、国のあり方を変えてしまうという形がかなり共通して力説されているわけです。これは決して国民あるいは県民が誤解した結果ではないということだと私も思うんです。

 例えば、けさもありました、今月二十日に大臣の地元の福島県議会が採択した意見書というのは、これは中身が、本当に私感動いたしましたが、若干紹介しますと、「東日本大震災、さらに原子力災害とそれに伴う風評被害等により農林水産業が受けた被害は計り知れず、今後の再生産に向けた経営の維持等、生産者・団体・行政が一体となって取り組んでいる最中、TPPの参加によって本県の農林水産業はもとより、地方そのものが崩壊するものと懸念される。 また、TPPは貿易だけでなく、金融や知的財産、労働、医療分野なども幅広く含まれるため、第一次産業のみならず、多くの産業が危機にさらされ、日本人の雇用も不安定になる危険性をはらんでいる。」と。「よって」ということで、「拙速にTPPに参加することは、福島県の復興の足かせになるものであり、TPP交渉参加に反対することを決議する。」と。本当に広範囲にわたる問題点を指摘されながら、本当にいろいろな思いを込めて、被災地あるいは原発事故の地元ならではということで、明確な意見書だと私は受けとめました。

 玄葉大臣、こうした重大な懸念が、福島はもとより全国各地、国民の中にあるということはお認めになりますね。

玄葉国務大臣 もちろん、いろいろな方がこの帰趨について注目をし、心配をされておられる方々がおられるということは承知をしていますし、一方、期待をしているという方々も当然いらっしゃるだろうというふうに思います。

笠井委員 圧倒的には懸念、心配、反対という状況が、先ほど来御紹介があったとおりなんです。

 それでは伺いたいと思いますが、最近、外務省がこの問題をめぐっていろいろな資料も出されて、提出した資料の中に、「TPP協定交渉の分野別状況」という資料がございます。この中には、分野別の状況について書かれながら、日本側の慎重な検討を要する懸念点ということもるる述べられているところであります。

 ページをめくってすぐ出てくるのが物品市場アクセスという問題だと思うんですけれども、ページは同じだと思いますが、五ページのところにこうあります。「我が国にとり慎重な検討を要する可能性がある主な点」ということで、「TPP協定交渉においては、上記二(一)のとおり、」というのがありますが、「高い水準の自由化が目標とされているため、従来我が国が締結してきたEPAにおいて、常に「除外」または「再協議」の対応をしてきた農林水産品(コメ、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産品等)を含む九百四十品目について、関税撤廃を求められる。」というふうに明示をして、懸念点として挙げているわけであります、慎重な検討が必要と。

 そこで、筒井副大臣に伺いたいんですけれども、当委員会でのEPA協定の審議の際に、農水省は、私も質問したときにもそうでしたが、守るべきものは守りますということはいつも言われて、答弁されてきたわけですが、実際には、すべてのEPAでと言っていいと思うんですが、さまざまな譲許を繰り返してきたと思います。

 今回、このTPPの交渉に参加ということになれば、そうした、これまで農水省が答弁してきたような、守るべきものは守りますという原則をもあっさりと、そういう意味では投げ捨てるということになってしまうのではないか、こういう懸念が当然出てくると思うんですが、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

筒井副大臣 今先生が言われましたセンシティブ品目七品目、これらを中心に、今まで関税をきちんと維持してきたわけでございます。しかし、これも先ほどの際に先生が言われましたように、今度のTPPは原則として関税をすべてゼロにする、こういう方向性を出しているわけでございますから、そのTPPに参加したとすれば、これらの関税はゼロになってしまう、こういう結果になる可能性が極めて強いというふうに考えております。

笠井委員 まさに、そういう点では、日本も一たん交渉のテーブルに着きますと、これは交渉に参加するという前提条件が二つありますから、今副大臣も言われた点が大事な点だと思うんですが、米の関税というのはゼロ、要するに関税はすべてゼロですから、そういうことになります。そして、そういう中で、もう一つの原則というのは、非関税障壁という点では、それも撤廃が原則になります。

 その中で、関税でいえば、米は関税がゼロになりますし、食料自給率も一三%に落ちて、国民生活のあらゆる分野で国の形を変えてしまうというのが、TPP参加という問題になってくると思うんです。これは極めて重大な問題だと言わなきゃいけない。

 では、政府調達分野はどうかという問題でありますが、この外務省の資料では、二十四ページからこのことが書かれておりますが、我が国の考慮すべき点ということで、二十五ページのところに、「我が国にとり慎重な検討を要する可能性がある主な点」ということで、三つの分野、三つのことについて場合が書かれております。

 一つは、「調達基準額の引き下げを求められる場合」ということであります。二つ目は、「調達対象となる物品、サービスの範囲が広がる場合」。そしてさらに、地方機関の調達対象がさらに拡大する場合ということで、三つの場合を挙げながら、特にその三点目について言うと、「特に小規模な地方公共団体においては、」ということまで書かれながら、我が国にとって慎重な検討を要する可能性があるというふうに書かれているわけであります。

 外務省がこの資料で列挙された三点の懸念について、要するにこれは、具体的に言いますと、こういうことが実施されるならば、日本の政府調達分野と建設業界にどういう悪影響を与えるおそれがあるというふうに基本的に認識されているのか、具体的な問題としてはどんな懸念が出てくるということが、この中で、検討ということを要するという点で言われているのか、考えられるのかについて伺いたいんですか、これはいかがでしょうか。

玄葉国務大臣 ちょっと一般論で申しわけないんですけれども、基本的に、まず最初に、御指摘の物品市場アクセス、これは二十一作業分野、二十四ですけれども、実質二十一なので。その中の物品市場アクセスについて、関税はどうなのかということでありますが、正確に申し上げると、長期間の段階的関税撤廃というアプローチをとる国が多い。一方、先ほども申し上げましたけれども、各国の状況によって個別の対応を考える必要性があるということを示す国もございます。そのことは、現時点の情報収集状況として改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、私もちょっと手元に今のお答えを正式に持っているわけではありませんけれども、政府調達については、確かにここに、正直に外務省としても書いているんです、私も全部出せというふうに言っていますので。「慎重な検討を要する可能性がある」ということで、(ア)と(イ)と(ウ)、今御指摘のように、ここについては、実際の交渉上、あるいは交渉に入るときも含めて、大事な判断材料にしなさいよということです。

 ただ一方、上の、「確保したい主なルール」のところもごらんになっていただきたいんですけれども、例えば、マレーシアとかベトナムなどはこれからどんどん伸びていくわけです。そして政府の支出も伸びていくわけでありますけれども、そういったところの政府が発注する事業について日本の企業が獲得をするということも、これはチャンスとして、攻めの部分としてあり得る。そういったことをトータルで判断していかなきゃいけないんだろう。

 調達額の引き下げのところは、ちょっともう一回きちっと調べてお知らせをしたいというふうに思っておりますけれども、既存のTPP協定交渉参加国間が、それぞれ二国間でFTAを結んでいる。そのFTAを調べると、地方自治体の調達を対象としていないFTAもある。また、地方自治体を対象としている場合も、我が国のように政令指定都市レベルの調達まで対象としているものは、少なくとも既存のFTAについてはないということはわかっております。

笠井委員 各国によって個別の対応というのがあるんですが、このTPPの枠組みというのは、本来、もう前提条件がありますから、関税ゼロだ、それから非関税障壁もなくすということが前提に立っての交渉をやるわけですので、そこが枠がかかっているという問題と、攻めがあるというふうなのが、一方ではそういう可能性もあるじゃないかと言われるけれども、実際、懸念が言われているように、日本の国内で何が起こるかという問題ですよね。

 それで、これまで政府調達分野が余り議論になってこなかったということなんですけれども、でも、日本が入れば必ずこの問題は出てくるわけです。だって、ほかはそんなに大きな問題がないところでも、今、政令指定都市何とかと言われましたが、日本みたいなところがここに入った場合には当然そこが議題になって問題になるわけですから、そこは一般論じゃなくて、具体的にどういう懸念があってどういうことが起こるのかというのをわかりやすく国民に言わなければ、これは心配ばかりが広がって、到底納得できないというのは当然だと思うんですね。

 では、もう一つ伺いますが、「越境サービス貿易」というのがありますが……(玄葉国務大臣「何ページ」と呼ぶ)これは四十三ページ。済みません、本当は委員会で皆さんに資料を配っちゃった方がよかったかもしれませんが、四十二ページからのものですが、TPPのもとにあるP4の協定でいえば、国家資格相互承認について対話促進の規定があるわけですけれども、外務省の資料では、この問題で、「我が国として慎重な検討を要する可能性がある主な点」ということで、こう書かれています。「これまで我が国のEPAにおいて自由化を留保してきた措置・分野について変更が求められるような場合に、国内法の改正が必要となったり、あるいは将来的にとりうる国内措置の範囲が制限される可能性がある。」「仮に、個別の資格・免許の相互承認が求められる場合には、これを行うか否かについて、我が国の国家資格制度の趣旨を踏まえ、検討する必要がある。」ということです。

 読むとなかなか難しい話で、私自身もすぐ、何を言いたいのかということになるわけですけれども、ならば、こういう懸念事項を書かれる以上、国家資格にかかわってということで言ったりすることについて、どういう分野の国家資格制度の相互承認が求められてくる可能性があるというふうに想定されているのか。その際に、どんなふうなことが起こって、国内法をどういうふうにいじらなきゃいけないかとか、どこで制限を受けるかとか、そういう問題が出てくるのかというのは、これまた、そういう懸念がある以上、具体的に国民や国会に明らかにしなければ、当然これは理解を得るといったってわからないよね、そういう可能性があるというんだったら心配だよねと、当然なりますよね。これについてはどのように想定されているんでしょうか。どんな問題について。

玄葉国務大臣 この国家資格というのもさまざまございますよね。余り、今私が詳細に調べないで、ここで具体的な国家資格のことを言うと、また混乱が生じるといけませんので、ざくっと申し上げますけれども、基本的には、TPPの協定交渉の越境サービス分野等の市場アクセスに関しては、今現在、自由化の対象としないサービスを掲載したリストの内容を確認する作業が行われている、そういう状況だと。

 それで、ちなみにですが、完全自由化というのはそもそも目標になっていない、このことはわかっているということでございます。

 なお、仮に交渉に参加し、参加国の関心を踏まえ、我が国が自由化に留保してきた個別のサービス分野等について自由化を求められることはないとは言えない、あり得るけれども、そのようなときは我が国の制度等を踏まえて適切に対応していきたいというふうに考えております。

笠井委員 実際で言うと、EPA交渉の中では、インドは医師、歯科医師、看護師、会計士、建築士の国家資格相互承認を要求してきて、韓国は国家技術資格の相互承認を要求してきたわけで、一たん交渉に参加すれば、そういう要求が当然この関係国から出てくるわけで、そういう可能性があるから懸念事項というふうに書いているんだと思うんですね。

 繰り返しますが、やはり交渉参加の前提条件というのが、すべての関税はゼロ、非関税障壁も、言われたら原則撤廃、TPPだからこういうことになるわけだと思うんです。こういう問題を、やはり一個一個ちゃんとやらなきゃだめだと思うんです。

 玄葉大臣は、けさ方から、大きな政治判断が必要になってくると言われるわけですが、問題は、国民の立場に立ってどういう判断をするかということだと思うんです。きょうも、日比谷野外音楽堂ではJA全中がTPP反対の大きな集会を開催して、私も、始まる前ですが、昼休みに駆けつけてまいりましたけれども、衆参両院議員の約半分に当たる三百五十六人が、一千百六十六万人の請願の紹介議員となっている。地方自治体や、あるいは医療福祉団関係や、各界からも大きな反対の声が上がっているわけです。

 要は、民主党の中も割れている、各党もまだ決まっていないところがあるという議論がありました。同時に、一番の問題は、国民にとって説明が十分ないとわからない。さっき開国フォーラムと言われましたが、あれも評判が、いろいろ問題があると言われていましたが、震災、原発事故で中断しちゃったわけですよ。それで今来ちゃって、もう時間がないからということで、来月の頭に交渉参加を決めるなんていうことを、大臣は本当に、国民との関係で、本気でできるというふうにお考えですか。

玄葉国務大臣 正式に申し上げられるのは、それはできる限りしっかりと議論して、できるだけ早い時期に結論を出すということが、政府としての今の正式の見解でございます。

笠井委員 国民の立場から判断するのが政治の責任でありますので、今は、やはり大震災の復興がようやくというときに、着手できるかというときに、参加検討をやめるという大きな政治決断こそ必要ということを求めておきたいと思います。

 もう一点、残った時間で、普天間基地の移設問題についてでありますけれども、昨日午後に大臣はパネッタ米国防長官と会談をして、辺野古基地建設のアセス評価書を年内に提出する方針を伝達して、長官は大変評価するというふうに応じました。これは沖縄県民の大きな怒りを買っておりますが、大臣は日本国の外務大臣ですから、米国政府に対して、この問題では御自身が沖縄を訪れて直接知事からも言われたように、県内移設反対が県民の総意だということも、昨日の国防長官との会談では、沖縄の状況としてはきちんと伝えなきゃいけなかった。そういうはずだと思うんですが、長官に対しては、そのことも明確に、沖縄の総意はこうであるということを説明されましたか。

玄葉国務大臣 沖縄の状況について、そして現時点の県知事、市長さん初め皆さんの声については紹介をいたしました。率直に、厳しいということも含めて言いました。あわせて、やはり沖縄の負担軽減というのをきちっと図っていく必要があるということも言いました。

笠井委員 厳しいということに対して、長官の答えは、その反応は、どういう発言でしたか。

玄葉国務大臣 厳しいけれども、お互い日米とも、実は御存じのように、米国も議会の状況でさまざまな厳しさがあるという状況でありますけれども、日米双方とも日米合意に従って一つ一つ積み重ねて全力を尽くしていこうということでございます。

笠井委員 私は、やはり日本国の外務大臣であり、アメリカに対してきちっと言うのなら、厳しいということだけじゃなくて、沖縄の現状、県民の気持ちからすればこれは難しい、できないということをきちっと言わなきゃいけないと思うんですね。やはり沖縄の状況を本当にそこまで率直に伝えないことは、アメリカにも判断を誤らせることになってしまう。それは本当に、本当の意味での日米関係にもならないと私は強く言っておきたいと思います。

 最後、一点ですが、この問題で大臣は、ひたすら沖縄の皆様に対して誠実に説明して御理解を求めていくというふうに言われますけれども、そこで、北澤前防衛大臣が五月に沖縄に行って説明された「在日米軍・海兵隊の意義及び役割」というパンフレットがございます。これについて沖縄県から六月一日付で質問書というのが出されていて、大臣は出されていることは御承知だと思うんですが、五カ月たってもまだこれは回答がない。(玄葉国務大臣「防衛省ですか」と呼ぶ)ええ、防衛省に対して出しているんです。直接所管じゃないとおっしゃるかもしれませんが、そういう経過があって、この意義、役割というのが出て、そして防衛省からは五カ月返事がないということでありますけれども、そういう政府の対応で、誠実に説明して御理解を求めるということになっているかどうか、そこはいかがでしょうか。

玄葉国務大臣 そこはしっかりと海兵隊の役割について説明をしていかなければならないし、今のような要請があったとすれば、しっかりと回答していくことが必要だというふうに考えます。

笠井委員 そこで、最後の質問ですが、このパンフレットを見ますと、海兵隊が沖縄に存在する必要性についていろいろ書かれています。島嶼の多い我が国の防衛においては在沖海兵隊の上陸作戦能力は不可欠、沖縄に海兵隊が駐留していることは島嶼防衛や民間人の救出等の観点からも極めて重要、あらゆる事態に迅速に対応するために海兵隊が沖縄に存在していることは極めて重要という説明があるんです。

 ところが、それに対して沖縄県が質問をいっぱい出していまして、海兵隊が沖縄に駐留しなかった場合にどういう能力の低下や障害を招くことになるのか、島嶼防衛や民間人の救出等の観点から問題がどういうふうに生じるのか。三十項目も出しているんですよ。出しているのに、五カ月もたって返事が来ないと、この間、沖縄の公室長がNHKでもそのことを言われていました。

 そこで、大臣に、これは中身で伺いたいんですが、というのも、大臣は野党時代、先ほども外務委員会をやられていたとおっしゃったが、沖縄に海兵隊が存在する意義について、私は会議録を読ませていただきました。大臣の質問、野党の質問ですよ。(玄葉国務大臣「野党の時代」と呼ぶ)はい。平成九年、平成十二年、平成十六年と外務委員会、予算委員会で質問されていまして、例えば、沖縄にいる海兵隊がグアムとかハワイに後方配備されても軍事的な能力あるいは抑止力が低下しないということであれば十分検討し得るんじゃないか、第三海兵師団は後方配備というのが可能ではないか、直接的に軍事的な能力あるいは抑止力を低下させるものではないのではないかなどなど、まさに防衛省が今説明しているパンフレットに対して沖縄が出している質問と同じ問題意識で、大臣はさんざん質問されてきたわけです。

 そこで、今、大臣は政府・与党で、政府の外務大臣ですから、ぜひ、沖縄県民の理解と納得とおっしゃるんだったら、なぜ海兵隊が沖縄でなければならないかということについて自問自答していただきたいんです。かつての問いに御自身で答えてもらいたいんです。

玄葉国務大臣 私の議事録を読んでいただいて、確かに私は何度か質問したと思います。

 つまり、多分、読んでいただければお気づきになったと思いますけれども、どうやったら抑止力を維持しながらこの海兵隊を後方に配備できるか、沖縄以外のところに移動できるかということを、いわば、ある意味それこそ自問自答しながら、挑戦をいろいろしたというのは事実でございます。

 一つは、やはり、まずその時々の安保環境がどうなっているかというのが一つあると思うんです。私は、今の安保環境というのは基本的に厳しさを増しているというふうに、まず情勢認識としてそう思います。

 その上で、海兵隊の問題は、やはりその機動性、即応性だということだと思うんですね。その機動性、即応性を考えるときにも、また同時に訓練も考えなきゃいけない。非常に問題なのは、沖縄そのものは、シーレーンの近接性であるとか、太平洋を結ぶ、東シナ海、南シナ海を結ぶ地理的な優位性、あるいは東アジアの、潜在的紛争地域と申し上げていいのかどうか、そういった東アジアのさまざまな地域にほぼ等しく近いという地理的な優位性を持っている。そういう中に海兵隊がある。即応性、機動性が特徴である。その海兵隊の訓練をするに当たって、普天間の危険性除去がスタートですから、やはり何とかできないかという試みを私なりに実はずっとしてきたということであります。

 やはり一番問題なのは、結局、地上と航空と後方支援というのが海兵隊にもある。そのある中で、普天間はヘリ部隊ですよね。ヘリ部隊だけ遠くにやるということになると、本当に訓練ができるのかという問題があるのではないかというふうに思います。そうなると、マリン全体をどうするかという問題がある。

 私は、実はそのときの質問は生きたと思っているんです、ちょっと生意気かもしれませんけれども。結局、今回、グアム移転に八千人、そして家族を入れて九千人というのは、たしか、私はそのとき歩兵の話をしているんじゃないかと思いますけれども、このぐらいの移転というのは抑止力を減じないんじゃないかという議論をたしかしているんじゃないか、そして武器の輸送船みたいな話もしていて、私なりの努力をこれまでもしてきたつもりです。ある意味、そのうちの一つの帰結が、この間の全体のパッケージでもあるんだろうと。鳩山元総理は、それをさらに何とかならないかという試みをされて、率直に言えば、それができずに回帰したということでございます。

 私も、沖縄の負担軽減を、この厳しい安保環境の中で抑止力を減じずにできるということであれば、それはいろいろな選択肢を考えてもいい。ただ、残念ながら、なかなか違う選択肢が生まれないというのが現状だということでございます。

笠井委員 もう時間が来たので終わりますが、なぜ海兵隊でなければならないかという問いに対しては十分お答えになっていないと思うんですよ。つまり、米軍の存在、抑止力という問題と、では、なぜ海兵隊が沖縄なのかということについて言うと、沖縄の質問には今のはお答えになっていないと私は思います。

 そういう点でいうと、やはりそういうことでも、防衛省が答えればいいけれども答えていないという問題もありますし、そこの点をなしに、こんなことだけ進めるということはあってはならない。日米合意はやはり撤回をして、無条件撤去しかないんだということでしっかりとアメリカと交渉する、これが必要だということを改めて申し上げて、質問を終わります。

田中委員長 次に、服部良一君。

服部委員 皆さん、お疲れさんでございます。最後の質問になりますので、よろしくお願い申し上げます。

 山口副大臣とは震災の会議で何度か御一緒させていただいたんですけれども、玄葉大臣とは今まで接点がなくて、ほとんど初めましての状態なんですけれども、改めまして、初めまして、よろしくお願い申し上げます。

 二年間外務委員会におりまして、岡田大臣、前原大臣、松本大臣、そして玄葉大臣と四人目。普天間問題をきょう質問させていただきますけれども、いつも同じような質問ばかりしているような気にもなるんですけれども、やはり大臣がかわるときちっと確認もさせていただかなければいけないので、また質問をさせていただくわけです。

 十月の十九日に沖縄に大臣は行かれました。単に表敬訪問で行かれたわけではないというふうに思うわけですけれども、名護市長との話の中で、報道から私が知る限りでは、名護市長はこういうことを玄葉大臣におっしゃっているわけですね。

 相次いで関係閣僚が訪問する真意は理解に苦しむ。政府が沖縄の県民世論や政治環境の変化などをしんしゃくすることの責任をみずから放棄し、米国に追随していると沖縄県民に言わしめる現状を政府みずから招いている。辺野古の海にも陸にも新しい基地はつくらせないという市民との約束を、どんなことがあろうとも、最後まで信念を貫く決意である。そして、辺野古移設を白紙に戻す、日米合意見直しをぜひ米国に進言してほしいということを稲嶺名護市長は直接大臣に言われたというふうに、マスコミから拾ったわけなんです。

 今回の沖縄訪問の成果、成功だったのか失敗だったのか、成果があったのか、どう評価されていますか。

玄葉国務大臣 一言で申し上げると、一回行って何とかなるとか、そういう話ではやはりないというふうに思います。

 とにかく、今回は外務大臣になって初めての訪問ということで、日本では初めての地上戦、いわゆる唯一の地上戦だった沖縄戦、あるいは、その後の一九七二年五月十五日までの米国の施政も含めて、歴史の重みにきちっと自分自身改めて向き合うということが一つありましたし、あと同時に、それぞれ、沖縄の負担軽減、事件・事故、環境、騒音ですね、こういった問題について、やはり四軍調整官などにきちっと私の口から要請するということも大切だというふうに思いました。

 また同時に、いずれにしても、対話をしたり、お邪魔したり、お伺いをするというところからしか何も生まれないというふうに思いますので、私は、今回の訪問で何か大きく物事が前進するという状況でなかったことは確かでありますけれども、とにかく一つ一つ積み重ねていくということだと考えております。

服部委員 一言で言えば成果はなかったと。

 市長が玄葉大臣との話の後に記者に対して言われた言葉、話し合いの余地はないということを言われているんですね。ですから、ただ単に表敬訪問で行かれたのか説得に行かれたのかちょっとよくわからないんですけれども、現地の受けとめは非常に厳しいということなんです。

 実は、きょうの朝の河井議員との議論を聞かせていただく中で、非常に気になる点がありましたので、ちょっと改めて御質問するわけですけれども、年内には環境影響の評価書を防衛省が出すよと。でも、アメリカは、ことしの六月の2プラス2の終了後の会見で、ゲーツ前国防大臣が、向こう一年間で具体的な進展が得られることが重要であるということを言ったということがあるわけです。これは私はこの委員会でも質問をさせていただいたわけですけれども、この具体的な進展は何かといえば、要は、県知事が公有水面の埋め立ての許可を出して、具体的な工事が進展することというふうにアメリカの議会関係者は受けとめているわけですね。

 そこで質問なんですけれども、先ほど自民党の河井委員の方から、強制着工はするのか、あるいは、デモに対して、強制と言われたかどうか忘れましたけれども、排除をするのか、あるいは、公有水面の埋め立てについて特措法の制定をするのかと。そのことについて、今、大臣はまだ判断をしていない、判断をしていないというふうに先ほど御回答になったわけですけれども、そういうことなんですか。判断はされていないということなんでしょうか。

玄葉国務大臣 沖縄県あるいは県民の皆さんとしっかり対話をしていくということだということです。そして、環境影響評価書については、年内に提出する準備を進めている、そこまで決まっているということでございます。

服部委員 もう一度ちょっとお聞きしますけれども、公有水面の埋め立ての申請を政府がする……(玄葉国務大臣「まだ決まっていない、正式には」と呼ぶ)決まっていない。ということは、要するに、例えば公有水面の埋め立ても、その許認可の権限は県知事が持っておられますよね。それに対して、その県知事の権限を奪うがごとき特措法も選択の範囲だ、そういうことをするかしないかということも含めて判断がまだできていない、そういうふうに私は午前中の議論を聞いたんですけれども、ちょっと正確にお願いいたします。

玄葉国務大臣 いずれにしても、丁寧に話し合っていくことが大切だということでございます。

服部委員 ちょっと答弁になっていないですね。

 だから、そういう強行をしてまで基地をつくるのか。それは、強行しますとはなかなか言いがたいかもしれませんけれども、しかし、そういった選択肢も含めて考えているのか。いや、そんな強行は絶対にいたしません、特措法はつくりませんと、では言ってください。

玄葉国務大臣 とにかく今は話し合って、そういうことがそもそもあるべきではないわけですから、まず、とにかく話し合っていく、一つ一つ積み重ねていく、今はもうそれだけでございます。

服部委員 それをはっきり否定されないということは、これは河井議員も言われたわけなんですけれども、可能性は排除しないということかということになるわけですよ。ここは非常に重要なことなんです。ここは非常に神経質なことなんですよ、実は。明確に、いや、特措法、そんなことは考えていません、そんな強行はしません、ただひたすら沖縄の皆さんに理解を求めたいということなのか。

 玄葉大臣のさっきの話は、ただ理解を求めます、その後のことは知りませんみたいな。しかし、午前中の議論はそうじゃなかったですよ、少なくとも。それは判断をしていませんというふうにおっしゃったというふうに私は思うんですね。判断をしないということと、しないということとは物すごく大きな違いがあるんです。私はそういうふうに受けとめていますので、それをちょっときちんと御答弁いただきたいと思います。

玄葉国務大臣 それは今は、私の頭の中は、ひたすら理解を求める、そのことしかないということです。

服部委員 去年の十月の予算委員会で、我が党の照屋寛徳委員がこう聞いているわけです。「沖縄県知事が辺野古の海を埋め立てることに反対した場合、特別措置法を制定して、県知事から公有水面埋め立ての許認可権を奪って強硬に辺野古新基地建設を進める意思をお持ちでしょうか。」と。それで北澤防衛大臣が、「これは昨日の予算委員会で総理自身もはっきりと言われましたが、菅内閣とすれば、そういう手法はとらないということであります。」こうおっしゃっているわけですね。明確に否定をされておる。

 では、菅総理はどう言われたかといいますと、前日の予算委員会、沖縄の皆さんにも説明をし、しかし、決して沖縄の皆さんの声を無視した形で、特措法という言葉も出ましたけれども、そういった形で強硬なやり方をするということは念頭に全くありませんとおっしゃっているんです。これは違うんですよ。

 だから、野田政権で方針転換したということですか。あるいは、野田政権の沖縄関係閣僚会議の中でこれはグレーにしておこうということを決められたんですか。どうなんですか。そこをはっきり答弁ください。

玄葉国務大臣 いや、ですから、関係閣僚会議でそういう議論を本当にしていません。ですから、私自身、頭の中で、ひたすら理解を求めるということしかないということをさっきから申し上げているわけです。(発言する者あり)

田中委員長 服部良一君。

 ちょっと、発言をもう一回してもらってから。どうぞ。

服部委員 では、ちょっと待ちます。

田中委員長 では、いいですか、留保で。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 玄葉大臣。

玄葉国務大臣 先ほども触れましたけれども、結局、そういうこと自体が私自身の頭の中にありませんから、ですから、ひたすら今理解を求めるということを申し上げているわけです。

服部委員 それでは、菅総理、前の総理ですけれども、あるいは北澤前の防衛大臣が明確に否定をされていますよね、予算委員会で、そういうことは考えておりませんと。では、そのことに対する見解はどうですか。

玄葉国務大臣 これは総理と防衛大臣ですよね。

 いや、私自身、本当に頭にないんです、今。ですから、そのことは、私自身は先ほど繰り返し答弁したとおりであります。ですから、それについて率直に言って考えていないということでございますので、別に変わるとか変わらないとか、そういうことではないと思います。

服部委員 外務大臣というのは、この沖縄関係閣僚、大臣の一角だと私は思っているわけですね。(玄葉国務大臣「頭の中に考えていない」と呼ぶ)いやいや、考えていないで済まないじゃないですか。考えていないでは、やはり答弁にはならないと思いますよ。

 現実に、こういう総理とか北澤大臣の前政権での明確な発言があるわけですから。しかも、今まさに環境影響評価の評価書を出し、そしてその後何が来るかといえば、それは当然、公有水面の埋立申請でしょう。新聞なんかでも、それは来年の六月ぐらいに出すのか、いや、六月は慰霊の日があるからまずいとか、そんな論調までいろいろ出てきているわけですよ。当然、政権としては、先に来るものは全部読み切って、こういったこともアクションを起こされているというふうに私は思うわけですよ。

 もう一回御答弁ください。特措法を適用するということは考えておりませんということを明確におっしゃってくださいよ。

玄葉国務大臣 ですから、先ほどから申し上げているように、今頭の中にないということです。

服部委員 それは、マスコミがあすどう書くのか、まあ書くのか書かないのか知りませんけれども。

 やはり含みを持たせた答弁ということになりませんか、否定できないということは。否定もしない。否定されないわけですから、否定されないということは、やはり選択肢としてどこかにあるということじゃないんですか。

 ここは非常に重要な問題ですので、これはまた引き続き議論をさせていただきます。

 きょうは、ちょっと先ほども出ましたけれども、防衛省に来ていただいていますが、沖縄県知事が六月一日に防衛相あてに出した「在日米軍・海兵隊の意義及び役割」というパンフレットに対する質問書、これを六月一日に出しているわけですけれども、この回答は防衛省としてはいつ出されるんでしょうか。

神風大臣政務官 先生御指摘の「在日米軍・海兵隊の意義及び役割」のパンフレットについてでありますが、普天間飛行場の移設先が辺野古に戻った理由について沖縄県民が納得のいく説明をしてほしいとの仲井真知事からの御要請に応じて作成し、北澤前大臣から仲井真知事に手交したものでございます。

 このパンフレットにつきましては、仲井真知事から質問書をいただいているところでありまして、現在、回答を作成中でございます。準備ができ次第、速やかに回答をしたいと思っております。

服部委員 準備はいつ終わるんですか。いつ出されるんでしょうか。

神風大臣政務官 準備ができ次第、速やかに回答したいと思っております。

服部委員 何かもう参ったな、きょうは。

 来年ですか、年末ですか。もっと何か、例えばこの一カ月以内とか、何かおっしゃっていただかないと。

神風大臣政務官 なるべく早く準備を進めていきたいと思っております。

田中委員長 ちょっといいですか、質疑。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 それでは、速記を起こしてください。

 どうぞ、質問を続行してください。

服部委員 委員長、どうもありがとうございます。

 これは本当に……

田中委員長 いや、あなたを助けたわけじゃありません。

服部委員 はい、失礼しました。

 これは沖縄県民にしてみたら本当に神経質な問題、一字一句を、何を玄葉大臣がおっしゃりたいか、本当に注目して聞いている、そういう性格の問題だということをよくよく認識していただきたいんですよ。

 それで、この民主党政権、総理はかわったとはいえ、同じ民主党政権の中で、前総理、防衛大臣がおっしゃっていることについて、きょう外務大臣として明確な返事をされないということは、私は非常におかしいというふうに思います。

 実はいろいろ質問を準備しておったんですけれども、ちょっと展開が思わぬ方向になってしまったので、時間も若干協力もさせていただきたいので、きょうはちょっと私はここで質問は終わりにさせていただいて、引き続きいろいろ議論をさせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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