衆議院

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第5号 平成24年8月29日(水曜日)

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平成二十四年八月二十九日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 菊田真紀子君 理事 長安  豊君

   理事 村越 祐民君 理事 山尾志桜里君

      市村浩一郎君    小川 淳也君

      大泉ひろこ君    勝又恒一郎君

      工藤 仁美君    後藤 祐一君

      阪口 直人君    首藤 信彦君

      浜本  宏君    早川久美子君

      松本 大輔君    松本 剛明君

      三浦のぼる君    笠井  亮君

      浅野 貴博君

    …………………………………

   外務大臣         玄葉光一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       平松 賢司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 五嶋 賢二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 福島  章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐藤  地君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月六日

 辞任         補欠選任

  遠山 清彦君     赤松 正雄君

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  中野  譲君     松本 大輔君

  山口  壯君     松本 剛明君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 大輔君     工藤 仁美君

  松本 剛明君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 仁美君     中野  譲君

  後藤 祐一君     山口  壯君

同日

 理事遠山清彦君同月六日委員辞任につき、その補欠として赤松正雄君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

八月二十八日

 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第八号)(参議院送付)

 偽造品の取引の防止に関する協定の締結について承認を求めるの件(条約第九号)(参議院送付)

 二千六年の海上の労働に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)(参議院送付)

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)

同月二十九日

 普天間基地の無条件返還を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五〇三号)

 普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五〇四号)

 原子力空母の横須賀母港をやめることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二五二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第八号)(参議院送付)

 偽造品の取引の防止に関する協定の締結について承認を求めるの件(条約第九号)(参議院送付)

 二千六年の海上の労働に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)(参議院送付)

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時二分休憩

     ――――◇―――――

    午前九時二十五分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に赤松正雄君を指名いたします。

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件、偽造品の取引の防止に関する協定の締結について承認を求めるの件、二千六年の海上の労働に関する条約の締結について承認を求めるの件及び千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣玄葉光一郎君。

    ―――――――――――――

 欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件

 偽造品の取引の防止に関する協定の締結について承認を求めるの件

 二千六年の海上の労働に関する条約の締結について承認を求めるの件

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

玄葉国務大臣 おはようございます。

 ただいま議題となりました欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この改正は、平成二十三年九月に欧州復興開発銀行の総務会において承認されたものであります。

 この改正は、欧州復興開発銀行の業務の地理的範囲を地中海の南部及び東部の諸国に拡大すること等について定めるものであります。

 我が国がこの改正を受諾することは、民主化及び市場指向型経済への移行を進める地中海の南部及び東部の諸国に対する国際協力を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。

 次に、偽造品の取引の防止に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十年六月以来、この協定の交渉を行ってまいりました。その結果、平成二十三年十月一日に東京において、私を初め関係国の代表により、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、知的財産権を侵害する物品の拡散を防止するため、知的財産権に関する効果的な執行の枠組み等について定めるものであります。

 我が国がこの協定を締結することは、知的財産権に関する執行について、国内でより効果的に実施するとともに、国際協力の強化に寄与するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、二千六年の海上の労働に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この条約は、平成十八年二月にジュネーブで開催された国際労働機関の総会において採択されたものであります。

 この条約は、国際労働機関において採択された船員に関する既存の条約等を統合し、国際的に広く受け入れられるべき労働基準を設定するとともに、その実効性を高めるため、寄港国検査等の措置について定めるものであります。

 我が国がこの条約を締結することは、国際海運の分野において平等な競争条件を確保しつつ船員の労働環境を改善することに資するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この確認書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に含まれている我が国の譲許表に関し、医薬品関連の関税撤廃の対象産品の見直しに伴う修正及び訂正を確認するためのものであります。

 我が国がこの確認書を締結することは、国際貿易を促進するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この確認書の締結について御承認を求める次第であります。

 以上四件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認をいただきますようにお願いいたします。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官平松賢司君、大臣官房審議官五嶋賢二君、大臣官房審議官福島章君及び大臣官房審議官佐藤地君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。大泉ひろこさん。

大泉委員 おはようございます。民主党、大泉ひろこでございます。

 玄葉大臣におかれましては、竹島、尖閣列島そして本日の政局と、心を悩まされ、頭をめぐらせていらっしゃることと存じます。お疲れなきよう御活躍くださいませ。

 早速でございますが、今委員長からお話のございました、参議院から送付されました四条約について、淡々と質問をさせていただきたいと思います。

 まず第一番目に、欧州復興開発銀行についてでございますけれども、この業務を、地中海の東部、南部というと、いわゆるアラブ諸国までに拡大するということでございますが、アラブ諸国の民主的発展に欧州復興開発銀行のお金が使われていくということは、とても私は好ましいことだというふうに思っております。日本はこの銀行の第二位の出資国であると聞いておりますし、エネルギー依存度も中東に非常に依存している国日本というのを考えましたときに、日本の国益にも非常に合致するんじゃないかというふうに思っております。

 具体的に事務方の審議官にお聞きしたいのでございますけれども、ちょっと二つまとめて質問させていただきます。

 いわゆるアラブ諸国、地中海南部、東部の諸国が受益国としてどんな支援を求めてくると想定していらっしゃるかという点と、もう一つ、日本はアメリカと並んで欧州の外にある国でございますけれども、そのときに日本はどういうノウハウを提供できるか、この二点を教えていただけますでしょうか。

福島政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるアラブの春というものを受けまして、エジプトを初めとする地中海南部及び東部の諸国は、民主化を進める中で、若年層の高失業率あるいは民間セクターの未成熟といったような困難に直面しております。

 EBRDは、これまで中東欧諸国において、民間セクターの開発でありますとか、地方のインフラ基盤整備、雇用創出等の課題に取り組んで、その点について豊富な経験を蓄積してきております。地中海南部及び東部の諸国としましても、みずからが抱える今申し上げたような困難の課題に対処していくために、こうしたEBRDの豊富な経験が生かされる支援を求めるものと考えられます。

 EBRDによる具体的な支援の内容につきましては今後決定されていくことになると思いますが、仮に、日本企業が支援対象の事業に参画することになりますと、日本企業の有する技術や経営ノウハウといったものが現地での事業に生かされるということが期待されております。

大泉委員 御丁寧にありがとうございました。確信が持てましたので、ありがとうございます。

 欧州復興開発銀行という言葉を聞きますと、思い出すのが、いわゆるブレトンウッズ体制でできた世界銀行、IMFですけれども、この世界銀行、IMFというのはアメリカの産物というのでしょうか、片や欧州復興開発銀行の方はフランスが主導して、欧州の産物ということでございます。

 欧州、ヨーロッパというのは、私は、こういう銀行を持っていることもうらやましいし、EUなんてできっこないと言っていたのに実現したし、そして、この銀行は近隣諸国の民主的発展までに寄与していく、こういう枠組みを持つというのは大変うらやましいと思うんです。日本のことを翻って考えますと、一九九七年のアジア経済危機のときに、日本はアジア版のIMFをつくろうとして、当時、宮沢イニシアチブとか言いましたけれども、つくろうと思ったところをアメリカが反対し、中国が反対し、できなかったというような過去がございます。

 その結果がどうか。最近の新聞報道なんか見ると、日本円の国際決済が非常に減っているということや、あるいは、ミャンマーの投資も日本は出おくれているというように新聞などで報道されているわけでございますけれども、日本は、こうした欧州復興開発銀行のようなものを学んで、それをどうやってつくったかとか何をやっているかということを学んで、地域の民主的発展に寄与できる新たな仕組みをつくっていくということは、いかがでしょうか、ちょっとこれは大きな質問になりますので、アジアの中の日本の役割というように言いかえてもよろしいわけでございますが、これは玄葉大臣に伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 まず、大泉委員が、国会議員になる前に副知事をお務めになられて、また厚労省にもいらっしゃって、社会保障そして地方自治のいわばプロフェッショナルなんですけれども、こうして外交の分野にまで地平を広げておられることに敬意を表したいというふうに思います。

 その上で、かなり大きな話でありまして、ADBはたしか一九六〇年代にできて、このEBRDは一九九〇年代にできたかというふうに思います。

 おっしゃるように、このEBRDは、結果として民主化などに大いに役立ってきたというふうに私も評価しています。米国に次ぐ、日本自身が第二の出資国である。今度は、エジプトなど、アラブの春の影響を受けて今民主化のプロセスを踏んでいる国々に対して支援をしていこう。EBRD、欧州ということではありますけれども、しかしやはり日本が出資国第二位である、これ自身にきちっと直接的に関与しているということが一つあります。

 その上で、アジアは、アジア太平洋で日本はルールづくり、秩序づくりの主導をしなければならない、先導役を務めなければならない、そう思っています。

 そのために、海洋の秩序もそうなんですが、例えばミャンマーなども、私は、G8の外相会合などでもそうだったんですが、日本がいわば風穴をあけたというか、主導したと思っています。若干投資がおくれているという報道がありますけれども、でも、この間も、延滞債務問題などで野田総理とテイン・セイン大統領が一致をするなど、率直に言えば、欧米諸国を日本がリードして制裁解除に向かわせてきたというふうに自負しています。

 ですから、そういう意味で、ADBをどういうふうに絡ませるかということはともかくとして、このアジア太平洋の民主化の後押しをするためのさまざまな手段というものは、今後ともしっかりと検討していきたいというふうに思います。

大泉委員 ありがとうございます。大変力強い御発言でございました。

 次に、いわゆるACTAでございますね。偽造品の取引防止の協定について伺いたいと思います。

 このACTAについては、欧州議会が批准を否決したということを聞いているわけでございますが、日本でも、情報が多分行き渡っていないせいじゃないかなと思うんですけれども、反対を表明している人も出てきているわけでございます。まずはこの状況を丁寧に教えていただきたいと思います。

 ちょっと質問時間が足りないので、もう一つ重ねてお聞きしたいのですけれども、ACTAは小泉総理大臣時代に日本がイニシアチブをとった協定なんです。その当時、中国を頭に置いていたということなんですけれども、将来中国はこの協定に参加するかどうかもあわせて、お聞きしたいと思います。

玄葉国務大臣 大事な協定なので、私から申し上げます。

 おっしゃるとおり、欧州は、EUのACTA批准に関する動議が反対多数で否決されたということなんです。否決後、欧州委員会は、EUの域内法制とACTAとの関係について、欧州の司法裁判所の判断を求めつつ、さらに検討していきたいというのが今の状況なんです。

 他方、ACTAは六カ国が締結すれば発効する。小泉首相時代に始まったんですが、ちょうど私が外相になって署名をいたしました。私自身、署名をいたしました。

 これは、もちろん、欧州の影響というのは無視はできません。ただ、おっしゃるように、中国を初めとするアジアの、特にいわゆる模倣品、偽造品の防止というのは、日本の経済を考えていく上でとても大事なこと。そういう意味では、中国には実は今、丁寧に説明をしています。それで、共同で研究の場を設けているということがございますので、まずは発効させていく、これは発効できますから。しかも、日本はリーダーシップをとってきたので、発効できます。発効して働きかけをしていく、そのことが大事だと思います。

 若干時間オーバーになって恐縮なんですが、せっかくなので、最近、ネット業界などからの反対論が一部あるというふうに聞いておりますので、あえて私から申し上げたいというふうに思います。

 ACTAでは、表現の自由、公正な手続、プライバシーその他の基本原則を各国がそれぞれの法令に従って維持することが繰り返し述べられています。正当なインターネット利用を制限したり、インターネットアクセスを遮断したり、インターネットサービスプロバイダーによる監視を義務づけるような規定は含まれておりません。

 四点申し上げたいと思いますが、さらに二点目は、ACTAは著作権の非親告罪化を義務づけるものではありません。また、いわゆる違法ダウンロードの刑事罰化はACTAに規定されているものではありません。

 三点目は、ACTAは商標権を侵害する物品については国境措置の対象としていますけれども、ACTAのために、真正の商標を付して輸出入される正規のジェネリック医薬品の国際的流通が妨げられることはありません。また、ACTAは特許権を国境措置の対象から除外しています。

 最後、四点目。ACTAを締結するために必要な我が国の国内法の変更は、技術的保護手段の範囲の拡大のみで、これはもう既に実は手当てをされています。したがって、ACTA締結のために国内法令を変更する必要はございません。

 そういう状況でございますので、ACTAを、まず日本がリーダーシップをとってまとめましたので、これを発効させて働きかけをしていく。中国とも、今、よい話し合いが始まっていますので、まずアジアでしっかり、アジア太平洋を中心に普及させていくということが、日本にとって国益にもかなうというふうに考えております。

大泉委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わります。

田中委員長 これより自由民主党・無所属の会の質疑時間に入ります。

 これにて自由民主党・無所属の会の質疑時間は終了いたしました。

 これより国民の生活が第一・きづなの質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、菊田委員長代理着席〕

    〔菊田委員長代理退席、委員長着席〕

田中委員長 これにて国民の生活が第一・きづなの質疑時間は終了いたしました。

 午前十一時五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時五分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。

 これより公明党の質疑時間に入ります。

 これにて公明党の質疑時間は終了いたしました。

 これより日本共産党の質疑時間に入ります。笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。(拍手)拍手はいいです。

 本日の委員会の持ち方について、二点にわたって、我が党の立場を明確に表明しておきたいと思います。

 まず一つは、本日の委員会が、極めて遺憾ながら、与野党の合意なしに強行されたこと、これに強く抗議したいと思います。

 けさ、冒頭に田中委員長から、共産党も含めて各党に呼びかけたけれども出席が得られないのでというお話もありましたが、確かに、民主党の理事の方、私どもの党の国対には来られたようでありますが、直接私には呼びかけはなかったです。

 そして、長安筆頭は、この委員会開会に至る経過で、おととい、私が地方にいたときにも携帯で直接電話をされてきたので、幾らでも呼びかけの機会があったし、筆頭が忙しければ、分担して私の電話にかけていただければよかった。ところが、それがなかったということについては、まず申し上げておきたいと思っております。

 そして、私、こういう場面で、こういう状況の委員会室でこの場に立つというのは、去年の十二月九日を改めて思い出すわけであります。あのときにも不正常な状態というもとで委員会が進められ、強行されて、そして、田中委員長自身も極めて遺憾の事態だとおっしゃって、しかし、にもかかわらず、以来、外務委員会が、外交課題はたくさんあるのに、この通常国会、極めてまれにしか開かれないという状況になってきたわけで、またこれが繰り返されるのかということを、思いを強くいたします。

 昨日の理事懇でも私は述べましたが、委員会でいえば、在外公館法などを採決した後、次は一般質疑、しかも総理ということで、これは与野党共通の課題として議論が進んでいたわけで、その後、条約という順番で検討が、理事懇では、少なくとも与野党各会派がいるもとで協議があったわけであります。

 しかも、昨日の場合は、議会制民主主義の土台にかかわる問題を与党だけで強行した後、自民党が欠席し、そろっていないところで、先議四件をやる、しかも、それを、趣旨説明と質疑、採決まで一気通貫でやるというのが突然提案が出される。そろっていないところで、そういう違う提案が出てきたわけであります。

 そういう中で、出席した野党側からは、円満にやれる状況をつくるように努力をして、日をあけて、しかも、そのうちの一本については、さまざまな意見があるので切り離して審議する提案もあったわけですけれども、あくまで民主党が本日の設定を強行した。こういうやり方は許されないということを強く指摘したいと思います。

 第二に申し上げたいのは、こういうやり方で、しかも、本日の四本の案件でありますけれども、野党委員の多くが欠席している状況で質疑を行い、採決までやるというようなことは、絶対あってはならないということを申し上げたいと思います。

 特に、ACTAでありますけれども、偽造品の取引の防止に関する協定については、国民の中からさまざまな意見が寄せられております。委員各位のところにも、委員長のところにも、いろいろな意見が来ていると思うんです。私のところにも来ております。

 条約と国内法との関係、国内措置との関係、先般成立をいたしました著作権法の一部を改正する法律の実施にかかわるこの条約との関係での問題点などについて、危惧や懸念、いろいろな意見が、実際、表明されているところであります。それを四本まとめて、きょうも私、強行されたもとで十分間という話なので、これはとてもきちんとした質疑はできないなということであります。

 この件については、昨日の理事懇でも、とりわけ十分かつ慎重な審議をすべきことを野党側は提案いたしましたが、国民の意見やあるいは疑問に答えるためにも、各会派がきちんと出席をし、落ちついた審議が必要だと思います。そういう努力を田中委員長並びに与党理事に強く求めておきたいと思います。そして、そういう中で、具体的質疑については、そういう場で改めて私もさせていただきたい、したいと思っております。

 以上できょうは終わっておきます。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 これより社会民主党・市民連合の質疑時間に入ります。

 これにて社会民主党・市民連合の質疑時間は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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