衆議院

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第3号 平成25年11月6日(水曜日)

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平成二十五年十一月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 原田 義昭君 理事 松本 剛明君

   理事 小熊 慎司君 理事 上田  勇君

      あべ 俊子君    石原 宏高君

      小田原 潔君    河井 克行君

      木原 誠二君    黄川田仁志君

      小林 鷹之君    河野 太郎君

      島田 佳和君    渡海紀三朗君

      東郷 哲也君    藤井比早之君

      星野 剛士君    武藤 貴也君

      山田 賢司君    小川 淳也君

      玄葉光一郎君    長島 昭久君

      阪口 直人君    西岡  新君

      村上 政俊君    岡本 三成君

      杉本かずみ君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   外務副大臣        三ッ矢憲生君

   防衛副大臣        武田 良太君

   外務大臣政務官      石原 宏高君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    小松 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  磯野 正義君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  林   肇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 柳  秀直君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 福島  章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山崎 和之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 丸山 則夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 河野  章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 森  健良君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 南   博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省中南米局長)   山田  彰君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    片上 慶一君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    上村  司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局交通管制部長)         重田 雅史君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    岸本 邦夫君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     藤井比早之君

  村上 政俊君     西岡  新君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     山田 賢司君

  西岡  新君     村上 政俊君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 賢司君     小田原 潔君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     あべ 俊子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 投資の促進及び保護に関する日本国政府とパプアニューギニア独立国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とコロンビア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とクウェート国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 投資の促進、円滑化及び保護に関する日本国政府、大韓民国政府及び中華人民共和国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とイラク共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 社会保障に関する日本国とインド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 この際、木原外務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。木原外務大臣政務官。

木原(誠)大臣政務官 外務大臣政務官を拝命いたしました木原誠二でございます。

 先日の委員会を公務出張により欠席させていただいたため、本日、御挨拶申し上げる次第です。皆様の御理解に感謝を申し上げます。

 外交課題が山積する中、強い外交の実現、そのための外務省の機能強化を目指し、全力投球する所存でございます。

 特に、アジア大洋州、南部アジア諸国との関係強化に努めるとともに、経済外交を推進してまいります。また、ODAの戦略的、効果的実施や地球規模の課題の解決にも積極的に取り組んでまいります。

 鈴木委員長を初め、理事、委員各位の御指導、御鞭撻を心よりお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

鈴木委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官柳秀直君、大臣官房審議官福島章君、大臣官房参事官山崎和之君、大臣官房参事官丸山則夫君、大臣官房参事官河野章君、大臣官房参事官森健良君、大臣官房参事官南博君、大臣官房参事官山田滝雄君、中南米局長山田彰君、経済局長片上慶一君、領事局長上村司君、内閣官房内閣審議官北崎秀一君、内閣参事官磯野正義君、内閣審議官林肇君、内閣審議官能化正樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、国土交通省航空局交通管制部長重田雅史君、海上保安庁次長岸本邦夫君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、運用企画局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 岸田外務大臣とは連日お顔を合わせていると思いますが、本当に早朝から御苦労さまでございます。

 最初の質問は、岸田外務大臣が最も熱心に取り組まれておられますアジェンダの一つである核軍縮の問題でございます。

 私も、実は、御縁がありまして、外務省の国連大使も務められた佐藤行雄さんにお誘いをいただいて、グローバル・ゼロという取り組みに参加をさせていただいております。

 このグローバル・ゼロというのは、冷戦期、米ソ冷戦の時代に、まさに核軍縮・管理交渉で火花を散らした米ソの政治家たちが、もうこれ以上核をふやすわけにいかない、核の維持管理は危険も伴うしコストも高い、もう使えない兵器だから、これは世界的に、グローバルベースで減らしていこうじゃないかと。アメリカのレーガン政権のときの国務長官だったシュルツさん、あるいはあのときの軍縮交渉担当官だったカンペルマンさん、そういった方々、ちょっとロシア側は名前を失念してしまったんですけれども、当時のソ連のカウンターパートの方々、一緒になって、これはヨーロッパ・オリエンテッドなんですけれども、そういう会議をずっと続けてきています。

 私たちも、アジアからの参加ということで、これは、核問題は米ロだけではなくて、我が国の周辺にも核を保有している大国、小国がありますので、まさにグローバルベースで、この核軍縮というものに具体的な道筋をつけて、実行可能な、現実的な方策で減らしていこうじゃないか、こういう運動をさせていただいているんですけれども、そういう意味で、岸田外務大臣が先頭に立って日本の声を国連を通じて世界に発信しておられること、非常に感銘を受けております。

 その上で、きょうは伺いたいんですが、皆様のお手元に資料を三ページつけさせていただきました。最近、日本が参加をいたしました核兵器の人道的結末に関する共同ステートメント、参加国数百十五カ国、ニュージーランドがスポンサーをしているわけですけれども、日本も参加をした、こういうことであります。

 まず外務大臣にお伺いしたいんですけれども、このステートメントはこれが四回目というふうに認識をしておりますけれども、過去三回は日本はこれに参加をしなかった、今回初めて岸田外務大臣のイニシアチブで参加をした、こういう報道があるわけです。私も非常に関心を持っておりました。たしか、NSC特別委員会で岩屋議員が質問をし、それからこの外務委員会でも、前回、公明党の委員から質問がありました。

 改めて、あえて今回、四回目のこのステートメントに日本が参加をすることにした意義を御説明いただけるでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のステートメントですが、今委員からお話がありましたように、同様のステートメントは過去三回発出されておりますが、我が国は賛同いたしませんでした。

 こうした過去のステートメントに関しましては、核兵器の人道的影響に係る認識、すなわち、核兵器が使用された際に、使用された世代のみならず、将来の世代にも人道的な影響を及ぼす、また、健康のみならず、経済や社会にも大きな影響を及ぼす、こうした人道的影響に関する認識、この認識の部分につきましては、従来からこうしたステートメントの認識と我が国は一致をしておりました。

 しかしながら、我が国をめぐる厳しい安全保障環境の中で、このステートメントの表現ぶりと我が国の安全保障政策の整合性をいかに確保するのか、こういった議論が続いてきた次第です。

 そして、今回、私も、この取りまとめ役でありますニュージーランドの外務大臣、また主要国でありますマレーシアの外務大臣など、関係国の外相に直接我が国の認識そして考え方を説明し、協力を要請いたしました。また、他の国々にも事務レベルで働きかけを行いました。結果として、このステートメント、修文が行われた次第です。

 せっかくお手元に資料を配っていただきましたので、指摘させていただきますと、この資料の四の部分に、一番下の行、「核軍縮に向けたすべてのアプローチ及び努力」という部分があります。要は、このステートメントにおいて、さまざまなアプローチが認められるという部分であります。そして、二枚目の六の、これまた最後の行ですが、「今日、本共同ステートメントは、人道的焦点に対する政治的支持の高まりを示すものである。」こういった修文が行われました。

 要は、この共同ステートメントは、大きな目標、理想を掲げたものであり、その理想、目的に向けてさまざまなアプローチが認められる、こういった内容が加えられた次第であります。

 こういった点を勘案し、そして内容につきましてもしっかり関係国と意思疎通を図った上で、本ステートメントへの参加、これは、我が国の安全保障政策、あるいは我が国の核軍縮のアプローチ、こういったものと整合的な内容であるということを確認した上で、今回参加を決定したということであります。

 そして、意義ということでありますが、今回こうした共同ステートメントに参加するということにつきましては、唯一の戦争被爆国として国際世論をリードしていかなければならない我が国としまして、国際世論をリードする上で、こうした共同ステートメントに賛同するということ、これは大変大きな意義があったと認識をしております。

長島(昭)委員 私も、一カ所を除けば、このステートメント、何の問題もないといいますか、非常にすばらしいステートメントで、日本が参加する意義は非常に大きいと思っています。

 特に、冒頭にあるように、「我々の国々は、核兵器のもたらす壊滅的な人道的結末について深く懸念している。」これはまさに共有しておりますし、四段目の、核兵器による壊滅的な結末は政府だけではなくて人類全体に及ぶんだ、こういう趣旨については私も大賛成でありますが、少し具体的に申し上げますと、これまでもひっかかっていた文言がまだ残っているんですね。

 七段目、二ページ目ですけれども、「いかなる状況においても、核兵器が二度と使用されないことが人類の生存そのものにとって利益である。」「いかなる状況においても、」エニー・サーカムスタンシーズですね、この文言が残りました。過去三回は、この文言が、日本政府として日本がこれまで有してきた核抑止政策ですね、アメリカ側からいえば拡大抑止の政策ですね、この政策との整合性がいま一つはっきりしないということで、ステートメント全体の趣旨、今まさに大臣がおっしゃった理想的なこのステートメントの趣旨には賛同し、唯一の戦争被爆国としての日本の使命にも鑑みて、歴代の外務大臣も、恐らく、こういうステートメントに日本も参加したい、参加すべきだ、そう思っておられたと思うんです。しかし、この文言を残しながら、今、岸田大臣が御説明なさったように、これに参加をする。

 四段目の最後のところ、「核軍縮に向けたすべてのアプローチ及び努力を支えなければならないことを確信する。」という文言が修文として入ったからといって、本当に、いかなる状況においても核兵器を使用しないということが日本の核抑止政策と整合性があるものなのか、私はいま一つはっきりしないんですけれども、もう少し詳しく御説明いただけますか。

岸田国務大臣 このステートメント、先ほどちょっと指摘させていただきました六段目の最後ですが、本共同ステートメントそのものが政治的な支持の高まりを示す、こうした文言をつけ加えさせていただきました。要は、この共同ステートメントそのものが大きな理想であり目的であるということであります。

 そもそも我が国は、米国も同じでありますが、核兵器のない世界を目指す大きな目標を掲げています。この目標、そして共同ステートメントの目指す目標、こうしたものを目指して各国が努力をしていかなければならない。しかし、その中にあって、我が国は、厳しい安全保障環境の中で、冷静な認識のもとに政策を進めていかなければいけない、現実的、漸進的に核軍縮を進めていかなければいけない、こういった対応をとっています。

 こうした我が国の政策と、今申し上げましたような修文等によって、整合性を確保できると我々は判断をいたした次第であります。

長島(昭)委員 日本は修文を求めた、ニュージーランドとかマレーシアの外務大臣と協議をしてこの声明に参加することを決めたと。

 お伺いしたいんですけれども、日本が努力して、今外務大臣がおっしゃった修文をかち取って、これまでは参加しなかったけれども、今回、日本と一緒に初めて参加を決めた、そういう国はあるんでしょうか。

岸田国務大臣 そのふえた数等、ちょっと詳細を今確認いたしますが、最終的に賛同した国は百二十五に上ったと承知しております。これは過去と比較して最大の数であるということは承知しております。

長島(昭)委員 それでも、核保有国である五大国は参加をしていない。それから、我が国周辺の核保有国も参加をしていない。これは実効性が問われる問題だと私は思っております。

 しかも、非核、核を保有していない主要国であるドイツ、韓国、それからオーストラリアも参加していないんですね。こういう国々は恐らく我が国と同じような核抑止政策を持っているんだろうと思うんですけれども、そういう国々への働きかけ、そういう国々からの打ち返しみたいなものはあったんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、今回の共同ステートメントに我が国がどういった態度を表明するかにつきましては、先ほど申し上げましたように、この共同ステートメント発出の中心になって活動してきた国々と我が国は、特によく意思疎通を図り、修文の相談等をしてまいりました。そしてあわせて、米国には、当然のことながら、こうした我が国の対応についてしっかりと説明をし、意思疎通を図ってまいりました。

 その結果として今回賛同したわけですが、それ以外の国々に対して、今申し上げましたような文言等、詳細に十分説明し切れたかという点につきましては、今後引き続き、我が国の態度を説明する中で、説明をし続けていきたいと考えております。

長島(昭)委員 私がこだわるのは、やはり核抑止政策は大事だと思っているんです。日本の一億二千万人の国民の生命を預かっておられるわけですから、ここは非常に大事なポイントだと思っているんです。

 ここで伺いたいんですけれども、アンダー・エニー・サーカムスタンシーズが残った、つまりは、いかなる状況においても核兵器が二度と使用されないことが人類の生存そのものにとって利益だと、こういうコミットをしているわけですね。

 では伺いたいんですが、仮に日本がある国から核攻撃を受けた、あるいは受けそうになっている、そういう場合に、当然のことながら、アメリカの核の傘に頼らざるを得ないわけですね。アンダー・エニー・サーカムスタンシーズで核兵器の使用を禁ずるということであれば、報復のための、つまり、我々が攻撃を受けた、それに対する報復のための、つまり、報復の権利を放棄しないということが全体として抑止力になるわけですよね。こことの整合性は本当にきちんととれているとお考えですか。

岸田国務大臣 まず、結論から申しますと、拡大抑止を含めた我が国の安全保障政策に変更は全くありません。そして、この整合性ということにつきまして、先ほど申し上げましたように、いかなる状況においても核兵器が使用されないという、この部分も含めて、この共同ステートメントそのものが、政治的支持の高まり、要は大きな目標、理想を掲げているという位置づけになっています。

 そもそも、日本、そしてアメリカも含めて、核兵器のない世界を目指すという大きな目標を掲げているということにおいては一致をしております。核兵器のない世界、いかなる状況においても核兵器が使われないという目標、これは共通するものがあると思います。我々は、やはりその大きな目標に向けて努力をする。そして、具体的なアプローチを日本はしているわけですが、そうしたアプローチも、これを認めるという内容になっている。そういったことを確認した上で賛同したということであります。

長島(昭)委員 その大きな目標は、私も当然のことながら共有しているんです。

 核の人道的な結末、影響に対する問題であるならば、ことしの三月にノルウェーのオスロで、ノルウェー政府主催で、核兵器の人道的影響に関する国際会議というのが開催されていますね。日本も主力メンバーとして参加をしています。長崎の原爆病院の院長さん、それから日本原水爆被害者団体協議会の事務局長さんを伴って、我が国の外務省からも吉田軍備管理軍縮課長が政府代表団として参加して、こういうところでも活躍して、日本はリーダーシップをとっているんですよ。

 特に、きのうの夕刊に出ておりましたけれども、国連の核軍縮決議案、これは、今話題にしている共同ステートメントとは格の違う、まさに国連決議として、日本が毎年、スポンサー、提案国として提案をして、今外務大臣がおっしゃった、このステートメントの方は百二十何カ国ですけれども、この核軍縮決議案というのは、賛成百六十四、反対は北朝鮮だけ、棄権は中国を含めて十四ですけれども、圧倒的多数で、日本がスポンサーになって核軍縮をリードしている。この姿勢は、私は、毎年日本として世界に十分示し得ていると思うんですね。

 それに加えて、アンダー・エニー・サーカムスタンシーズが残っている、いかなる状況でも核兵器を二度と使用しないということに日本がコミットするような形の共同声明にあえて踏み込む必要があったのかというのは、私、多少疑問が残っているんです。

 それでは、防衛副大臣、きょうはお見えですから、国防の観点から、日本の核抑止政策を含めて、このステートメントについて、防衛省の立場からどういう見解をお持ちでしょうか。

武田副大臣 基本的に外務大臣が述べられたとおりだと私は思っております。

 拡大抑止を含む我が国の安全保障政策に矛盾というものは感じていないわけでありますが、長島先生が常に御指摘の日米同盟の重要性、この維持強化に努めていくこと、これが重要であるというふうに考えております。

長島(昭)委員 ここで閣内不一致を露呈するわけにいきませんからね。ただ、私、国防の観点からは多少問題があると思っているんです。

 外務大臣に伺いたいんですけれども、この声明に参加をする前に防衛省と協議をなさいましたか。

岸田国務大臣 まず、同種のステートメントに対する態度としては、従来から、一義的に外務省が判断するという対応をとってきました。

 そして、今回の判断に当たりましては、総理官邸と綿密に連絡をとり、総理から直接の指示も仰ぎながら判断をしたということであります。防衛省とも事務的に連絡をとり合いながら対応させていただきました。

長島(昭)委員 大臣、防衛省と外務省は事前にやりとりしていないんですよ、私が調べた限りでは。

 そこは、今まで反対してきた、反対というか参加してこなかった。それには、我が国の核抑止政策との整合性というところが問われて、参加したいんだけれども、このステートメントの趣旨はすばらしいですから、それは誰でも参加したいと思うんですよ。しかし、そこは思いとどまったんです、歴代外務大臣、外務省は。そこをあえて岸田大臣が踏み込まれた。

 そのときは、踏み込まれる意思がおありだったら、もちろん、官邸と意思疎通するのは大事ですよ。しかし、もう一方の、日本の国防、防衛政策を預かる防衛省と、やはり綿密なコンサルテーションが必要じゃないでしょうか。

 私は、これはまさに、これからいよいよ創設されようとしているNSCマターだと思いますよ。NSCがもしできれば、恐らく四大臣会合で総理を中心にこういったことを、これは単なるステートメントですけれども、やはり日本全体、日本の核抑止政策、防衛政策全体の整合性が問われる問題だと思うんですね。

 そういうときに、官邸で機動的にNSCを通じてこういう協議ができて、それを受けて、もちろん一義的には外務省が世界に向けて発信するわけですから、外務省に任されるわけですけれども、そこはぜひ、外務大臣、防衛省との緊密な協議というものを念頭に置いて、今後こういった課題について、外務大臣の思いはよくわかりますので、しっかりやっていただきたいというふうに思います。

岸田国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 お話を伺って、一言だけ申し上げさせていただきたいと思いますのは、今回の共同ステートメントへの賛同については、まず基本的に、修文が行われたという点、この点はぜひ御考慮いただきたいと存じます。

 実際、この四月の段階で出された共同ステートメント、その段階でも、私自身、外務大臣でありました。そして、その段階でも修文等の議論は行われましたが、結局、時間切れとなり、発出されてしまったものですから、我々は賛同できなかったということがありました。そして、その後、実際に修文が行われた。それを判断した上での決定だったということだけは御理解いただきたいと存じます。

 防衛省との意思疎通の重要性、これは御指摘のとおりだと思います。

長島(昭)委員 それでは、次の問題に移りたいと思います。尖閣問題であります。

 尖閣諸島につきましては、魚釣島、北小島、南小島、この三つの島を、昨年九月十一日に民間の所有者から所有権の移転を行って、政府が購入いたしました。その後の日中関係の混乱といいますか、厳しい情勢は、皆さん御案内のとおりであります。

 まず一点伺いたいのは、私たちも、当時、外務大臣は玄葉外務大臣でありましたけれども、昨年の尖閣諸島の政府購入の決断をする際に非常に感じたのは、これまでの日本政府の説明、領土問題存在せずと。この説明、紋切り型とあえて申し上げますけれども、この説明だけでは、もちろん紛れもない事実なんですよ、領有権を争う問題はないんです。これはもう紛れもなく、国際法上も、歴史的にも、日本固有の領土であることは明らかなんです。しかし、国際社会から見て、中国側の反応もあり、中国側のいろいろな働きかけも世界じゅうで行われておりますけれども、そういう中で、尖閣に限らず、竹島もそうですし、北方領土もそうですけれども、日本の領土問題に対する発信力というものがいま一つだなということを痛感したんです。

 特に尖閣についても、購入した当初は、例えばニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストとか、アメリカの大変メジャーなメディアでも、著名なコラムニストでさえ、中国側の言い分に分があるみたいな、そういうコメントを寄せていたりして、そこで、私たちは、八月二十四日に野田総理が緊急の記者会見をして、領土、主権に対する、それに特化したステートメントを内外にあえて発表させていただいたわけです。

 外務大臣として引き継がれて、この対外発信について、特に国際広報の強化、それから、いろいろな外相同士の会談がございますよね、そういう際に、尖閣の日本の領有権についてどういう説明をされているか、少し私たちとシェアさせていただければありがたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、我が国の領土、領海に対する考え方を対外的に発信することの重要性、私も痛感しております。

 そうしたことから、今の内閣において、こうした対外発信のための予算、こうした予算の確保にも努めているわけでありますし、また、外務省としましても、昨今話題になりましたが、外務省のホームページで、フライヤーですとかパンフレットですとか動画、こういったものを領土問題に関しまして作成してアップをする、こういった努力を続けています。

 言語につきましても、日本語のみならず、他に十カ国語の言語を用意するべく作業を進めています。第一弾として、英語につきまして、早速海外から反応があったのは報道されているとおりであります。

 そして、私自身も、外務大臣として、海外の外務大臣を初め関係者と議論する際にありまして、アジア太平洋地域の厳しい戦略環境につきましては、地域情勢の意見交換として必ずさせていただいているわけですが、その中にありまして、我が国の尖閣をめぐる考え方、立場、そして中国を初め各国に対してどのような態度で臨んでいるのか、こういったことにつきましては必ず丁寧に説明をさせていただいている、こういった努力を続けさせていただいております。

 いずれにしましても、政府一丸となって、我が国の領土、領海、領空、こうした問題に関する考え方を対外的に発信すること、しっかりと努力をしていかなければならない、このように思っております。

長島(昭)委員 これは外務大臣に政治家として伺いたいんですけれども、尖閣問題の持つインプリケーションといいますか、もちろん主権と領土の問題であることは間違いないわけですが、今、日本国の外務大臣として、この尖閣問題というものの持つインプリケーション、国際政治におけるインプリケーションというのをどのように捉えておられますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、尖閣諸島は、国際法上も歴史的にも間違いなく我が国固有の領土であり、我が国が有効支配していると考えています。

 そして、中国公船によりますたび重なる領海侵入、これは極めて遺憾なことであります。こうした力を背景とする現状変更の試みに対して、我が国は、断固として領土、領海、領空を守っていく、こうした決意のもとに毅然と冷静に対応していかなければならないと考えています。

 そして、こうした尖閣等に見られる、中国の周辺海域に対する海洋活動の活発化という問題は、東シナ海のみにおける問題ではないと思っています。南シナ海においても同様に積極的な海洋活動が見られる。こういったことを考えますと、中国の積極的な海洋活動は、我が国を含む地域、国際社会共通の懸念事項と捉えなければならないのではないか、このように認識をしています。

長島(昭)委員 ありがとうございます。全く同感であります。

 今少しお触れになった、地域秩序に対する挑戦、それから既存の国際ルールに対する挑戦でもあり、安全保障上の懸念もはらんでいる、ここは私も全く同感であります。

 もう一つ私がつけ加えたいのは、戦後秩序。

 これは、特にアジア太平洋地域の戦後秩序というのはサンフランシスコ平和条約で規定されたと言っても過言ではないというふうに思うんですけれども、このサンフランシスコ平和条約にきちんと日本の領域というものは明記をされているわけであります。実は、それに対する中国側の挑戦が続いている、こういうことでありますから、私は、現在の地域における秩序に対する挑戦であると同時に、歴史的に積み重ねられてきた戦後の秩序そのものに対する中国の挑戦だ、そういう意味で非常に深刻だと思っているんです。

 中国は中国で、カイロ宣言なんかを持ち出してきて、日本こそ戦後秩序に挑戦しているじゃないか、こういう言い方をしておりますので、この点は、外務大臣、いま一度、サンフランシスコ平和条約からぜひひもといていただいて、こういうわけで戦後秩序というものを日本はきちっと守っていかなきゃいけないという御説明をいただけないでしょうか。

岸田国務大臣 まず、御指摘のサンフランシスコ平和条約ですが、この条約におきまして、尖閣諸島は、同条第二条に基づいて日本が放棄した領土には含まれておりません。そして、同条約第三条に基づいて、南西諸島の一部としてアメリカの施政下に置かれたという経緯があります。そして、一九七二年発効の沖縄返還協定によって日本に施政権が返還された地域に含まれている、こうした経緯をたどっています。

 こうした考え方につきましては、他の関係国、特にアメリカに対しまして確認を続けているところであります。私も、クリントン前国務長官、そしてケリー現国務長官と会談した際には、まずそれを確認させていただきましたし、また、先日の日米2プラス2におきましても、こうした考え方は確認をされております。米国政府は、尖閣諸島に関する我が国の立場を十分理解し、そして、尖閣諸島に関しましては、日本の施政下にあり、日米安保条約第五条の適用範囲であるという点について確認をさせていただいております。

 こういった経緯をしっかりと確認した上で、今後ともしっかりと対外発信をしていきたいと思っております。

長島(昭)委員 今、外務大臣がお触れになったサンフランシスコ平和条約の第三条はこう書いてあります。「日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島」。尖閣諸島は北緯二十五度四十三分から五十六分に位置しておりますので、これは紛れもなく二十九度以南ということになるわけです。それが、米国を唯一の施政権者とする信託統治制度のもとに置くことを、日本国が、領有権を持っている日本国が同意した、これが第三条であります。

 ここまではっきり、アメリカが主導してサンフランシスコ平和条約をつくったわけですよね。もちろん、中華人民共和国は入っていないです、まだ建国したばかりでありますから。

 そういう意味でいうと、今、外務大臣が米側にも働きかけているというお話をされましたけれども、アメリカは、原則として二国間の領土紛争には介入しない、こういう原則を持っていると私も認識しておりますが、例えば北方領土ではアメリカの態度はいかがですか、北方領土に関するアメリカの姿勢。

岸田国務大臣 北方領土に関しましては、米国は日本の立場を支持していただいていると認識をしております。

長島(昭)委員 北方領土については、日本の領有権について明確にアメリカ側は支持をしていると。

 しかし、尖閣については、これは玄葉大臣も大変御努力いただきました。日本の施政下にある尖閣諸島については、日米安全保障条約第五条を適用すると。ここまでは、昔は大使レベルだったんですが、当時はクリントン国務長官でしたけれども、国務長官、あるいはヘーゲル国防長官もそうです、閣僚レベルできちっとコミットメントがあります。ありますが、日本の領有権についてのアメリカの明白な公の支持というものはまだなされていない。

 ここは外務大臣としてどうお考えでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、尖閣諸島の領有権につきましてはアメリカは明確な表明はなされていないということ、私も承知をしております。

 現状において、アメリカの尖閣諸島に対する立場、我が国として、アメリカの態度として、どうしても必要な施政権そして安保条約との関係、こういったところについては確認をさせていただき、その点につきましては、再三アメリカも表明をしている、これが現状だと認識をしています。

長島(昭)委員 これは与党も野党もありませんので、私たちも、野党ではありますけれども、この問題で米国のもっと明白なコミットメントを、今後も引き続き努力をして求めていきたいと思いますので、外務大臣もぜひそこは頑張っていただきたいというふうに思います。

 もう一つの安全保障上の問題。

 これは、さっき外務大臣が、中国の海洋活動の活発化に大変懸念を持っている、こういうお話でありましたが、皆さんのお手元の資料、四ページ目、五ページ目、六ページ目。

 これは、四ページ目は海上保安庁さんの資料でありますが、昨年九月十一日以降の領海に侵入した中国公船の数字であります。侵入隻数延べ二百二十六隻、一度に最大で入ってきた隻数は八隻、ことしの八月八日でありますが、最長領海侵入時間、ずっと徘回をしていた時間が、実に、日付をまたいで二十八時間十五分、これが公の船の動向であります。

 次のページをめくっていただきまして、中国海軍の動向でありますが、これは、平成二十四年、二十五年、去年とことしだけしか、もうデータが一枚の地図におさまり切れないわけであります。

 ここで見ていただいてわかるように、宮古海峡、沖縄本島と宮古島との間、ここが太平洋に進出する中国の一番広い国際海峡、出入り口でありまして、ここを頻繁に通過するんですが、ちょうど私たちが政権についたばかりの二〇一〇年、一一年のころは、大体年に一回か二回、ようやく三隻、四隻、五隻という艦隊行動でこの宮古海峡を通峡したという事例が、まさに散見された。しかし、去年、ことしで、これだけの隻数の活動が頻繁に行われている、ほぼ常態化している。

 しかも、次のページをめくっていただけばわかるように、今度は航空機。早期警戒機、偵察機のみならず、爆撃機もこの宮古海峡の上空を行き来するようになった。

 さて、防衛副大臣、活発化する中国の海洋進出、この意図、目的を防衛省としてどう分析されていますか。

武田副大臣 中国の意図、目的というものを明確に我々が言及するものではないと思っておりますけれども、我々としては、注視していかなければならない非常に重要な問題であろうかと思っております。

 長島先生御指摘のように、頻度というものが大変多くなってきておることに対する我々の対策としましては、AWACSそしてまたE2C等々、その機動力を発揮して情報収集に努めて、対応可能な状態というものを常につくり上げていくということでありますけれども、とにかくこれは、隣国でありますし、我々は冷静な対応というものを常に求められているんだということを忘れることなく職務に励んでいかなければならない、こういうふうに思っております。

長島(昭)委員 意図はなかなかはかりがたい、こういうことでありますが、今まで中国自身は、一つは、みずからの主権、領土というものを守る。それから、海上交通路を守る、どんどんどんどん権益が拡大しておりますから、それにつれて活動が拡大している、こういう言い方。それからもう一つは、台湾の独立を阻止する。この三つぐらいを中国は念頭に置いていると私たちも分析してきましたし、中国側もそういうことを言ってきた。

 しかし、今申し上げた活動の活発化というのは、どうもそれだけでは説明し切れない段階に来ているんじゃないか。特にきょう御紹介申し上げたいのは、この海上活動の一番最後、五ページ目の一番最後、十月二十三日、二十九日に、五隻、二隻、三隻と、こういう艦隊行動をやっているわけです。それから、次のページの航空機の航跡でありますが、これも、十月二十五日、二十六日、二十七日、ほぼ同時期に起こっているんですね。

 何かと思って、中国側の発表を見てみたら、中国海軍ネットというところが、最近は、こそこそやらないで、自分たちのやったことをばんと報道するんですね。こういうことなんです。

 「海軍の年度軍事訓練計画に基づき、海軍は西太平洋海域」、つまり、第一列島線と言われているラインを越えて西太平洋まで進出をして、「「機動―五号」と呼称される外洋実動対抗演習を昨日から開始した。演習に参加する三大艦隊」、これは北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊でありますが、「三大艦隊の兵力はそれぞれ西太平洋の訓練予定海域へ向け進出予定であり、紅軍及び藍軍から成る二つのバトルグループを編成し、連続的に対抗形式の」、つまり敵味方に分かれた、「対抗形式の実動演習を実施する。「機動―五号」演習は十月十八日から十一月初旬まで」、つまり、この移動を防衛省が捉えた時期と全く重なるわけですが、「継続され、演習では海軍の一部の艦艇、潜水艦、航空機及び沿岸ミサイル兵力が対抗訓練に参加する。」

 武田副大臣、「艦艇、潜水艦、航空機及び沿岸ミサイル兵力」、沿岸ミサイルというのは、つまり中国の沿岸のミサイル部隊も参加している。この大演習、どう防衛省として分析されますか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、先般、中国の海軍ネットに、今先生御指摘のような報道が出ておりました。

 ただ、これにつきましては、防衛省といたしましては、まさに他国の演習に関することでございますので、それについて逐一コメントをすることは差し控えさせていただいております。

長島(昭)委員 ちょっと今の答弁はひどいね。今の答弁だったら、副大臣だってできるじゃないですか。何で、防衛政策局長が出てきて、お答えできませんなんて、ちょっとばかにするのもいいかげんにしろという話ですよ。

 これだけの演習をやって、防衛省はこれだけの艦艇の動き、航空機の動きを見ているわけでしょう。日本国としてどういうインプリケーションがあるかということぐらい、この国会の場で答えられなかったらどうするんですか。

徳地政府参考人 この演習そのものが我が方にとってどういう意味を持っているかということにつきましては、そのものについてお答えすることはなかなか難しいかとは思いますけれども、先生も先ほどお触れになられましたように、一般論として言えば、中国の海軍その他の海洋における活動というものは、当然、中国の領土、領海の防衛ということもあるでしょうし、台湾の独立の阻止というようなこともあるでしょうし、それから、海洋権益の確保なり、あるいは航路帯の確保といったようなこと等がさまざま考えられるわけではございますけれども、具体的には、こうした活動が常態化しているということについて、引き続き注視を続けてまいりたいと考えております。

長島(昭)委員 私、別にここで事を荒立てようというつもりは全くないんですが、よくA2ADといいますね、接近拒否、領域拒否。いよいよ台湾の独立を阻止するとか、中国の持っている海洋権益を守るためとかというよりは、この第一列島線をはるかに越えて西太平洋のかなり深くまでこれだけの兵力を持ち込んで、敵味方に分かれて訓練をするということですから、これは当然のことながら、日本だけではなくて、アメリカが接近してくる、それを阻止するための訓練をやっていると考えるのが適当なんですよ。それぐらい安全保障上は厳しい環境になってきている、深刻な状況になってきている。

 こういうことを、今うなずいていただいていますので、武田副大臣、御理解いただいていると思います。最後にその点だけ伺いたいと思います。

武田副大臣 その脅威については我々も十分認識しておりますし、これもまた長島先生が常に重要視されている問題でありますけれども、西太平洋での日米のプレゼンスというのを高めていく、このことに私は尽きると思います。そのことを通じてしっかりと抑止力向上に努めていくことが我々の責任である、こういうふうに考えております。

長島(昭)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

鈴木委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。

 大臣初め三役の皆様には、大変な激務への御精励かと存じます。心より敬意を表したいと思います。

 ただいまの長島先輩の質疑をお聞きしながら、やはり極めて現実的な対処、専門的な対処が改めてこの外交政策に関しては重要だということを感じましたし、一方、高い理想を掲げて、そこに積極的にコミットしていくという姿勢も、日本国の価値を高めるという意味で極めて重要だというふうに感じながら、今お聞きをしておりました。

 非常に、安倍政権全体、調子いいと思います。私どもも学ぶべきところは多いというふうにつくづく最近感じています。

 しかし、与党三年三カ月の経験の中で、やはり現実とのすり合わせ、その苦悩、懊悩にほとんどのエネルギーがとられるということをつくづく感じましたし、一方、野党ですから、改めて筋道を立て、長期的な展望を持ち、理想論に立って議論をするということをもって、みずからを鍛え直したいという気持ちでおります。

 その意味で、大臣の所信演説に関連をして、少し胸をおかりしながら議論をさせていただきたいと思います。

 まず、大臣は、所信表明の中で、三本の外交政策の基本の柱を立てられました。日米同盟の強化、近隣諸国との協力関係、そして経済外交。この三本の柱、日米同盟は後ほどお聞きしたいと思いますが、非常に調子よいように見える安倍政権にとって最大のアキレス腱の一つが、この近隣諸国との関係ではないかというふうにお見受けしております。

 政権発足から間もなく一年でありますが、いまだに日中、日韓、首脳同士の対話が行われていない。私、改めて事務当局にお聞きしました。過去、第一次安倍政権からさかのぼって八内閣、ほとんど数カ月以内ですよね、日中、日韓の首脳会談が行われている。

 この状況を、大臣、どう受けとめていますか。どう責任を感じているか、今後どう取り組むか、それはなぜこのような事態に至っているのか、ちょっと基本的な所見をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘の三本柱のうちの近隣諸国との外交推進ですが、近隣諸国の中で、ロシアとは半年で四回首脳会談が行われる、また、ASEAN諸国とは、日・ASEAN四十周年というこの節目の年、来月には日・ASEAN特別首脳会談を東京で開催するなど、さまざまな動きがありますが、その中にあって、御指摘の日中、日韓、この二つの国の関係につきましては、首脳会談等対話が行われない、こういった状況が続いています。

 日中、日韓とも、我が国にとりまして大切な二国間関係のうちの二つでありますし、そして、こうした国々との関係を発展させる、安定させるということは、地域や国際社会にも大きな影響があるわけですから、我が国を含めて、中国も韓国も地域や国際社会に対して大きな責任を担っていると考えています。そういった中にあって、我が国としては、個別の問題があったとしても、二国間関係全体に影響を及ぼさないようにしっかりとコントロールしていかなければいけない、このように考えております。

 そういったことから、さまざまな具体的な課題あるいはさまざまな具体的なレベルにおいて対話の積み重ねは続けているところであります。しかし、やはり、高い政治のレベルでの対話、これが重要だということは強く感じております。首脳レベルあるいは外相レベルでの意思疎通が十分行われていないということ、首脳レベルにおいては全く行われていないということ、こういったことにつきましてはしっかりと受けとめて、そして、対話の実現に向けて努力をしていかなければならない、このように感じております。

 個別の問題があったとしても、個別の問題があるからこそ政治のレベルでの対話が重要だということ、こうしたことを我が国としても今後ともしっかり訴えていきたいと考えております。

小川委員 まず、誠意ある御答弁をいただいたことには感謝申し上げたいと思いますが、大臣、同じく所信の中で、北朝鮮に関連をして、拉致の問題、核の問題、さまざまございますが、これは関係国との緊密な連携が鍵だと御自身が述べたんですね。

 そして、特に中国との関係ですが、現在大変厳しい状況だとお認めになった上で、今も答弁の中で触れられましたが、個別の問題があっても全体に影響を及ぼさない、こんなことは可能ですか。個別の問題とは何ですか。個別の問題が全体に影響を及ぼすんじゃないですか。いかがですか。

    〔委員長退席、原田(義)委員長代理着席〕

岸田国務大臣 個別の問題があったとしても全体の関係に影響を及ぼさないということは、日中、日韓以外の二国間関係においては多く見られることだと思っています。

 ロシアとの間にも北方領土問題は存在いたしますが、首脳会談を半年で四回行う等、さまざまな意思疎通を図っております。

 ほかの国々においても、個別の問題、さまざまな問題が存在いたしますが、その二国間関係において、トップはしっかりと意思疎通を図り、そして議論をしていく、こういった関係はほかの国においてはたくさん見ることができる例ではないかと思っています。

小川委員 大臣、お言葉ですが、今の御答弁は、私は、日本国の外務大臣として、もう少し見識を感じさせていただく答弁を期待していました。

 全体状況というのは個別の課題の積み上げですよ、積み重ねです。そして、ロシアとの関係は確かにいろいろと波はあると思いますが、根っこに北方領土問題が刺さっていることは間違いない。大変重要な、喉仏に刺さったとげですよ。こういう認識が前提になりませんと、むしろ個別の問題に対して正対する、正面から向き合うということを抜きにしては、全体の最適な関係づくりにはとても及ばないと思いますよ。

 大臣、具体的に御答弁がなかったので、ちょっと個別にこちらから指摘します。個別の問題とは尖閣問題と靖国参拝問題ではありませんか。

 二つお聞きします。

 きょう、官房副長官、お忙しい中、ありがとうございます。

 これは、自民党さんの掲げている、いや、私どもも人のことを言えた義理じゃない面もあるんですよ。やはり苦心しました、この尖閣問題は。そこから学んだこともあるし、反省すべきこともある。しかし、その上でお尋ねします。

 自民党さんの掲げている、尖閣への公務員の常駐の旗はおろさないんですか。これは引き続きそういうことなのか。

 もう一つ。靖国参拝に対して、岸田大臣は、どういう姿勢、どういう評価、外務大臣として、政治家として、日本国の国会議員として、どういうお立場をおとりになるのか。

 日中韓に最も深刻なとげとなっていると思われるこの二つの問題について、それぞれの立場から答弁を求めたいと思います。

    〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕

加藤内閣官房副長官 小川委員の御指摘のように、自民党のJ―ファイル二〇一三、総合政策集においても、尖閣諸島に関して、「島を守るための公務員の常駐や周辺漁業環境の整備や支援策を検討し、島及び海域の安定的な維持管理に努めます。」こういうことを書いているところであります。

 尖閣諸島及び周辺海域を安定的に維持管理するためのまさに具体的な方策については、さまざまな選択肢があるわけでありますけれども、今の公務員の常駐も含めて、実際にどういう状況の中でこれを検討していくのかという、このこと自体も非常に戦略的な観点から判断すべきもの、こういうふうに考えております。

 いずれにしても、御承知のように、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土でありますし、我が国はこれを有効に支配しております。また、海上保安庁におかれても二十四時間体制で対応しているところでありまして、今後とも、自国の領土、領海、領空を守るという、確固たる、断固たる決意を持ってこれに対処していきたい、こういうふうに考えております。

岸田国務大臣 靖国参拝についてですが、まず、国の内外を問わず、国のためにとうとい命を犠牲にされた方々に対し、手を合わせ、そして御冥福をお祈りし、そして尊崇の念を表するということ、これは大変重要なことだと思っています。

 そして、靖国の参拝につきまして、閣僚の参拝につきましては、それぞれ私人の立場での行動だと認識をしております。そして、私自身は、安倍内閣の外務大臣として、適切に対応していきたいと考えております。

小川委員 冒頭申し上げた、とにかく今は異常事態ですよ。内閣発足後、一年たとうとして、日中の首脳会談、外相会談すら行われていない。これは、せっかく三役の皆さんが控えておられますから、こういうとき、三役の皆さんはどう動くんですか。

 聞いたところ、この一年、日中関係で、局長会談も課長会談もないという。これは、三役の皆さん、御担当がどなたになるんですかね。せっかくですから、待機していただいているので、ちょっと考えを述べてください。

三ッ矢副大臣 アジア大洋州地域を担当させていただいております三ッ矢でございます。

 先ほど大臣もお答え申し上げたとおり、やはり、日中、日韓というのは非常に重要な二国間関係でございます。それはもう論をまたないところでございますが、委員御指摘のとおり、安倍政権発足以来、首脳会談も行われていない。我々も非常に残念だというふうに思っております。

 ただ、これまで大臣からもるる答弁があったと思いますけれども、常に我々としては対話のドアはオープンにしておるということでございまして、それと、先ほど大臣がお答え申し上げましたが、個別の問題があっても全体に影響のないような関係を構築していきたい、この思いで、いろいろ問題はございますけれども、我々としては、この両国との関係が円滑に進むように、いろいろなレベルで努力を重ねていきたいなというふうに思っておるところでございます。

小川委員 ありがとうございました。

 残念だと思っているということは、もう少し当事者意識を持った、責任を負った立場にある政府の幹部、外務省の幹部としての御発言をもう少し期待したいと思いますし、これは、閣僚そして総理が動けないときこそ、公式、非公式、いろいろな場はあると思いますよ、三役の主導的な御活躍をぜひ期待したい。あわせて要請申し上げたいと思います。

 それで、岸田大臣の御答弁の中で、靖国参拝は、閣僚の参拝が私人の立場だと理解しているとおっしゃった。まさにとげになっているのはそこじゃありませんか。彼らに、あるいは大臣もそうかもしれない、私人の立場として、公の行動ですよ、新聞記者もいるだろう、テレビカメラも回っているでしょう、そういうことがそもそも許されないんだという、自制のきいた、統制のきいた姿勢がそもそもあれば、問題はここまでこじれていないんじゃないかと私は思います。

 大臣にここまで申し上げる以上、私自身も、少し政治的な立場、一人の国会議員ですよ、野党の国会議員ではありますけれども、明らかにしたいと思います。

 私は、祖母の弟、大おじが海軍の航空隊におりました。現在、靖国神社そして遊就館に、遺影入りで、遺影を伴って祭っていただいております。そういう立場であります。ですから、心の中では常に手を合わせているつもりでありますし、広く言えば、遺族の一人としての敬けんな気持ちを持っております。

 しかし、もちろん個人的に、全く私服で、誰も知らないところで靖国神社に参拝したことはありますが、国会議員として、公にそうした行動をとったことはありませんし、とるつもりはありません。

 理由の一つは、仮にも外交問題に常に発展しているこの課題を刺激するその一因になりたくないから。理由のもう一つは、やはりA級戦犯の合祀ということそのものに対して、私なりに自分の中の決着がついていないからであります。

 岸田大臣に私はあえて期待したいから、こういうお尋ねをしました。

 週末、ちょっと縁がありまして、用事がありまして、香川県内の大平正芳記念館に足を運んだんですね。郷土の偉大な政治家としての先輩であります。私、選挙区はちょっと重ならないんですが、偉大な先輩であります。

 総理大臣でいらっしゃったころ、私はたしか記憶では小学生でした。ある意味では滑舌がいいとは決して言えない先輩でしたが、永田町に来てみると、非常に尊敬を集めている政治家の一人であるということを肌身に感じ、郷土の人間の一人として非常に誇りに思っております、これは党派を超えて。

 そして、その思想、これは経済政策、外交政策に具体的にあらわれる思想です。対外的にも寛容を旨とし、そして国内の多様性にも一定の尊重の姿勢をとうとび、そして軽軍備、経済重視、そして分配の適正化、公正な社会、大まかに勝手ながら定義すればそのようなイメージかと思いますが、その伝統、流れをくむ、いわゆる宏池会ですか、大臣は一定の思想信条をともにする方々を率いておられる立場にある。

 しかし、これはたまたまですが、この週末、十一月二日土曜日、朝日新聞の天声人語です。特定秘密保護法案、原発、改憲、金融緩和、経済、株等々、これは抜粋でありますが、「景気のいい安倍政権に自民党のリベラル派は蒸発してしまったかのようだ。」という評がある。一つの報道ですよ。一つの評価、一つの切り口。

 しかし、今笑っておられる方がいらっしゃるが、こういう空気なり皮膚感覚というのは、私は、多くの心ある国民、自民党を支持しておられる方々の中にもあると思うんですよね。

 それに対して、私は、岸田大臣は、外交問題の責任者であるという立場はもとよりでありますが、こうした流れをくむ政治家の大先輩として、主要な役割を政権内において果たすべきだと思うし、そして、先週、私は公明党の岡本委員の御質疑をお聞きしながら、集団的自衛権の行使に対するやや抑制的な、慎重な立場からの御意見、そして国連改革に対してのさまざまな御提言、非常に共感するところ大だと思いながらお聞きをしておりました。こうした自民党内の一定の勢力、そして公明党さんの役割というのは、現在の安倍政権においては極めて重要だと思う、野党の立場ながら。

 その点に対して、岸田大臣、より外務大臣ということを、少しのりを越えるかもしれませんが、一人の責任ある政治家、大先輩として、この点に関する見識、ひとつ述べていただきたいと思います。

岸田国務大臣 ただいまの委員の御質問の中で、大平総理あるいは宏池会について触れていただきました。

 私自身、こうした諸先輩方の系譜につながる、こうした立場にあることについては誇りに思っておりますし、こうした歴史を振り返りながら、政治信条等において大切な部分は今後もしっかり大切にしていきたい、このように思っています。

 そして、そうした思いを持ちながら、現実の政治に向き合うときにさまざまな課題があります。我が国の厳しい安全保障環境の中で、我が国の安全保障政策をどうするかという問題。さらには、他国との関係で歴史認識についてどう考えるかという問題。その歴史認識の中においても、歴史的な事実もあれば、国による歴史もあれば、歴史教育もあります。こうした歴史認識の問題があり、さらに言うと、憲法改正の問題もありますし、また民法改正等、こうしたさまざまな議論の中で、国民の自由とか権利、こういったものについてどう考えるか、こういった議論もあります。

 そういったさまざまな課題の中で、どういった立場にあっても、国民の生命財産を守る、この厳しい安全保障環境の中で我が国の安全保障政策としてやるべきことをやらなければならない、この点については違いはないと考えております。

 この部分につきましては、政治信条にかかわらず、冷静な認識、判断のもとに、しっかり対応して政策を進めていかなければいけないと外務大臣としては考えているところであります。

 他のさまざまな課題においては、それぞれ具体的な中身をしっかりと確認しながら、政治家としてしっかり判断をしていきたい、このように思っております。

小川委員 ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。

 ただ、大臣、もっと私は苦悩する姿を見たいんですよね。

 冒頭申し上げたとおり、やはり、政権を担当するということは、目の前の課題に対処するというのが八割ですよ。それはやはり重かった。大変なことだと思います。しかし、やはりこれだけの御見識と御経歴を持った方ですから、今回の核使用に関する人道的な国連の意見表明ですか、それに対する指導力、私は評価する立場であります、そういったことにもあらわれているんでしょうけれども、もっともっと苦悩する姿を拝見したいなと希望として申し上げたいと思います。

 靖国に関連して、ちょっと日米関係をお聞きしたいんですが、先日、2プラス2を開催され、大臣のお立場からいえば、一定の成果につなげられたんだろうと思います。

 そのときに、私は興味深いと思って拝見しているのは、十月三日、ケリー国務長官とヘーゲル国防長官がそろって千鳥ケ淵の戦没者霊園に参拝をされ、献花をされたというのは、極めて私は注目しております、非常に示唆に富んだアメリカなりの行動だろうと。

 時間があればちょっとこの点もひとつ議論したいところですけれども、注目に値すると、日本政府としての受けとめ方、あるいは今後の日中、日韓。アメリカは日中、日韓の平和と安定を望んでいるんだと思いますよね。緊張は望んでいない。これに対して、別にアメリカのためではありませんが、日本政府としてどう対処していくかというときに、一つのヒントを投げかけてきていると私は理解し、解釈したいと思いますし、あえて触れておきたいと思います。

 そして、間もなくですか、キャロライン・ケネディ次期駐日大使が着任するというふうに聞いております。彼女は七八年に大臣のふるさとである広島を訪問している。そして、報道によればですけれども、そのときに大変心を揺さぶられた、そのこともあって、上院での公聴会で、日本ほど私が尽くしたいと思う国はないとまで明言されたそうであります。

 先ほどの核使用に関する意見表明にもかかわりますが、大臣に、ここもひとつ政治家としての見識をお聞きしたい。

 大臣は、広島での生まれ育ちではないとお聞きしていますが、実際に広島とのどういうかかわりをお持ちなのか。そして、今回、国連のステートメントに対する指導力を発揮されるに至った恐らく背景だと思いますが、核使用について、もっとずばり申し上げます、アメリカが終戦間際に原爆を投下した事実に対して、どう歴史的に評価しておられるか、この点をずばりお聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 幾つか御質問がありましたが、まず、私と広島のかかわりについて御質問があったと存じます。

 私の家は代々広島でありまして、広島にルーツがあるわけですが、私自身は、生まれたときに、私の父が公務員だったものですから、成人するまでは広島以外で過ごすことが多うございました。しかしその後、広島に拠点を戻し、そしてその後、広島で選挙に出るようになり、人生の半分以上は広島で生活をしております。家族も今、広島で生活をしております。

 もともとルーツがあり、私自身、本籍地でもあり、そして人生の半分以上を過ごし、家族が生活している場所、そういう意味で、ふるさとと感じておりますし、大変強い愛着を感じている土地でございます。

 そして、御質問としまして、核兵器廃絶、軍縮・不拡散に対する思いの中で、アメリカの原爆投下をどう評価するかということでありますが、核兵器の非人道性を考えた場合に、核兵器の使用ということは、これは許してはならないことであると私は認識をしております。

 ぜひ、未来に向けて核兵器のない世界という大きな目標を実現するために、現実的、漸進的に努力をしていきたい、このように思っております。

小川委員 ありがとうございました。言い切っていただいて、大変歓迎申し上げたいと思います。

 平時においては人を殺すことは最も悪です。しかし、やはり戦争ですから、いかに人を殺し合うかを競争するのが戦争ですから、いろいろなことで異常事態が発生するのはそうだと思います。しかし、そこにあってもなお、大臣がおっしゃったとおり、私も、これだけ無差別に大量破壊をもたらし、そして多大な犠牲を強いる、後々の後遺症たるやもう筆舌に尽くしがたい、これはやはり私は、戦時においてなお許されない行為だ、本当にそう思います。断言すべきだし、明言すべきだ。

 アメリカも、時間はかかるでしょうが、一定、ケネディ大使の着任、そして、これも報道ですけれども、オバマ大統領の広島訪問なども検討されているというふうに報じられております。こういうことに対しては、ぜひ日本政府として期待感を表明すべきだと思いますし、大臣の方からも、ぜひ広島に一度来てくれ、実情あるいは歴史を見てほしいという態度で臨まれるのが一番大臣ならではの、大臣をおいてほかにはそれをできないというぐらい大変大きな重い使命ではないかと思いますので、提言申し上げたいと思います。

 その日米関係です。もう残念ながら、ちょっと時間の経過により、また次回以降申し上げたいと思いますが、私は、ガイドラインの見直し、そして、大臣の所信で日米関係は一番に出てくるんですが、軍事面のことしか触れていないのはちょっと残念だなと思っています。同盟強化なり、米軍再編なり、軍事面のことにしか触れていない。これは、日米関係全般をごらんになる立場からすれば、非常に残念だというふうに感じておりますが、私の問題意識は、ちょっとまた時間を改めて詳細をさせてください。

 この間、債務の上限引き上げをめぐる問題で、危うく世界を混乱に陥れかねない大変な事態を招きました。辛うじて一時的には場をしのいだようでありますが、世界的に大変なリスクであった、アメリカ発のリスクであったというふうに感じます。

 そして、シリア情勢ですが、これは、大臣、どう評価されているか私もお聞きしたいところなんです。まず拳を振り上げたわけですね。当然、シリアのアサド政権の化学兵器の使用というのは許されないと思います。しかし、それに対して攻撃を示唆し、拳を振り上げた。

 しかし、イギリス議会の否決により、最大の同盟国であるイギリスが事実上撤退し、その後、オバマ大統領は議会に諮ると言い出した。そして、議会での可決、通過の見通しを持てない状況の中で、もちろん鋭意努力はされたんだと思いますが、ロシアから助け船、事実上の助け船だと思いますが、それが出され、平和裏の中に、国際的な管理のもとで、このシリア問題から、解決に導くような、まだこれは途上だと思いますけれども、そういう道筋に流れた。

 これは、結論から言うと、平和裏のうちに解決を目指した国際社会の姿は正しいと思います。大臣も歓迎のステートメントを発行しておられますね。しかし、事アメリカの威信という意味でいうと、一旦振り上げた拳をこういう形で振りおろしたこと、振りおろさざるを得なかったことについては、一定程度傷つけた、それは国内外ともにです。私は、このシリア問題をそういうふうに受けとめています。

 そして、もう一つ深刻だと思うのは、メルケル首相を初めとした同盟国を含めた各国に対する盗聴疑惑。あるいは、電子メールやインターネット接続を含めれば、海底ケーブルに接続していると言われていますから、もうほぼ全部筒抜けというふうに思う必要があるんじゃないかと思います。

 この点、きょうは重ねて加藤副長官にお尋ねしますが、十月二十四日の菅官房長官の会見の中で、日本に対する盗聴は心配していない、安倍総理の携帯電話は大丈夫だというふうに答弁されたようであります。この事実関係と、それはどうやって確認したのか、あるいは確認する必要があるのかないのか。私は、九九・九%そういう可能性のもとに置かれているという前提を置く必要があると思う。それを、なぜ容易に心配ありませんと言い切るのか。アメリカに確認したのかどうか、その点ちょっとお聞きします。

加藤内閣官房副長官 二十四日の記者会見で、記者の方から、安倍総理の携帯電話は大丈夫ですかと聞かれたのに対して、菅官房長官から、全く問題ないと思っています、こういうふうにお答えをしたところであります。

 米国の国家安全保障局、いわゆるNSAによる通信記録の収集問題については、これまでも日米間でいろいろ意思疎通を図ってきておりますし、また、今回の一連のさまざまな報道等の状況も踏まえて、さらに一層そのコミュニケーションを図っているところでございます。

 また、我が国において、常日ごろ、総理の携帯電話も含めて、情報保全については対策に万全を期しているところでありまして、そうした我が国における情報保全体制、また米国との意思疎通、具体的にどこがどうかということは、事柄の性質上、申し上げることができませんけれども、そうしたことを踏まえて菅官房長官が記者会見でそのような話をされた、こういうことでございます。

小川委員 これは加藤副長官もお気をつけになるべきだと思います。気をつけるといっても限界がありますけれどもね、こればかりは。

 岸田大臣もそうだと思いますよ。お聞きしたところ、私用携帯電話と公務用携帯電話と二つを併用しておられるというふうに事務的にお聞きしました。それにどういう安全措置が講じられているのかは機密上言えないということでありました。それは是といたしますが、少なくともこれはアメリカに確認するとか、同盟国に対して、こういうことは大変信頼を裏切る行為だし、失礼だ、私どもの国益を害する行為だとはっきり言える日本じゃないとだめだと思いますよ。

 つまり、申し上げたいのはこういうことなんです。債務の上限問題というアメリカの財政問題、そして、シリア情勢に対する姿勢の変遷という外交、軍事姿勢の問題、プレゼンスの問題、そして情報統制、情報収集・管理の問題、いずれも、かつては世界において圧倒的なパワーだと思われたアメリカが、各方面によって、少しほころびといいますか、少し陰りといいますか、リスクを抱えつつあることを世界に対して示す大変大きな転機を迎える潜在的な可能性がある。私は、これらの一連の事件をそういうふうに受けとめています。

 そこで、もうちょっと事実に即して問題提起したいんですが、いわゆる学術上、パクス・アメリカーナ、第一次大戦後だと思います。今ちょうど、第一次大戦の終結から百年です。その前にはパクス・ブリタニカと言われる時代がありました。大英帝国の覇権の時代。安定の時代。これも、十九世紀初頭から中盤、二十世紀初頭にかけてと言われていますから、最長で見て百年です。

 アメリカの経済力、GDPが世界に占める割合なんですが、六〇年代は、ほぼ四割、世界のGDPの四割がアメリカでした。現在、それは二割まで低下しています。日本のGDPも、バブル期前後には世界の二割を占めていました。現在、一割を切り、七、八%にまで低下しています。

 そして、アメリカの世界に占める経済規模のウエートが半減した、この傾向は、恐らくこれからも変わらない。日本の低下傾向もこれからも変わりません。日本の推計によれば、世界のGDPの、最盛期は二割、やがて二、三%になるということが想定されています。恐らくアメリカもそうでしょう。二、三%とは言いません。しかし、かつて四割、現在二割、やがて一割前後というようなこともあり得る。

 けさの報道で、ヘーゲル国防長官は、アメリカの世界における経済的、軍事的プレゼンスを維持することには一定の限界が見えつつあるということを、これも初めてだと思いますよ、公に表明された。

 となると、きょうは残念ながら時間の問題で、中は立ち入りません。機会を改めてさせていただきます。大臣の目指しておられる日米ガイドラインの改定作業、そして積極的平和主義の実践のあり方、もっと言えば、日米同盟における地位協定、私は米独協定に大変興味がある。そして、ホスト・ネーション・サポート、いわゆる従来で言う思いやり予算も、ドイツ政府がどうしているかに大変興味がある。しかし、事務的に外務省に聞いても、知らないと言う。研究させるべきだと思いますよ、同じ敗戦国として。そして、加えて、もちろん沖縄の基地負担の軽減。

 こうした課題に、今申し上げたような世界的なベクトル、スペクトルの中でどう組み立てていくかを考えなければならない時期に差しかかっている。そのことは、とりもなおさず、日中、日韓、朝鮮半島情勢を含めて、どう自前で平和裏のうちに友好で安定的な関係を築けるかにかかってくるという歴史観のもとに置く必要があると思う。

 それを指摘し、最後に、きょう、あえて国土交通省からお越しいただきました。私は日米関係について三つ指摘しました。地位協定、そして思いやり予算、沖縄の負担軽減、そして最後に四つ目、私は、横田の空域管制を一つ大きな課題だというふうに認識しています。

 これだけ首都圏近郊の、新潟から三浦半島、伊豆半島に至る巨大な空域を外国軍隊が管制しているという例は、事務的に聞いても、わかりませんという答えでしたが、恐らくないと思う。ドイツにおいても、冷戦終結後、ほとんどの空域、全ての空域が返還されていると聞きます。猪瀬知事、また石原前知事は、横田の軍民共用化を一つの都としての希望としておっしゃっている。こういうこともある。

 私は高松ですから、大臣も広島からの往復のときよく経験されると思いますが、大幅に南回りで、伊豆大島上空から房総半島を大幅に旋回し、羽田に向かいますよね。これは恐らく数分のロスだと思います。しかし、時間的あるいは燃料コストはばかにならない、これだけの便数が飛んでいますから。

 私は、嘉手納の空域返還が二十二年ですか、実現した、これに引き続いて横田の空域返還も、ぜひ返還に向けて積極的に取り組んでいただくべきだと思いますが、この点、せっかくお越しいただいたので、国交省の政務官からお聞きをして、質問を終わりたいと思います。

坂井大臣政務官 横田の空域に関しましては、まず、平成十八年十月に、削減で日米間で合意をしておりまして、それに基づいて、平成二十年九月から、削減空域の管制権限が日本側に一部移管をされております。そのことによりまして、羽田空港の出発機に対する管制容量の拡大と飛行経路の短縮化が図られてはおります。

 その結果、来年、平成二十六年度中に、一応七十五万回ということで、成田、羽田の発着量ですけれども、これを実現するために必要な当面の交通容量は処理することができるようになったというのが今までの現状でございまして、その現状を踏まえ、七十五万回以上、この羽田空港の容量拡大を図るためには、横田空域を新たに通過する航空路の設定を検討するということが当然必要になってきまして、しかし、そこには、羽田空港の出発機と到着機相互間及び横田空域内の横田、入間等の基地を発着する航空機等の安全確保、並びに、安全確保だけではなく環境問題等、技術的課題への対応が必要と考えております。

 米軍が管制業務をしておりますこの空域の返還に関しては、従来より、日米合同委員会民間航空分科委員会において要請をしておりますので、こういう状況を鑑みながら、引き続き要請を続けてまいります。

 また、技術的問題に関しましても専門家で委員会を立ち上げまして、一方では要請をしながら、一方では拡大に必要な技術的課題は年度中に結論を出すようにということで、今お願いをしているところでございます。

小川委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いし、最後に、重ねて岸田大臣に、自民党リベラル派の支柱としての積極的な御貢献、御活躍を要請、祈念申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。日本維新の会、小熊慎司でございます。

 きょう十一月六日というのは、明治元年に、あのときは旧暦でありましたから、旧暦に直すと明治元年九月二十二日、これは会津戊辰戦争終結の日であります。まさにこうした日に会津人の私が御質問に立たせていただく。大臣の所信にもありました、世界の平和と繁栄に貢献をしていくという、そうしたまさに崇高なる志、目標に向かって日本の外交をしっかりとやっていくという点におきましては、大臣と志を同じくするものでありますので、そうした世界平和に向けての日本の外交のあり方といった基本を踏まえつつ、質問に入らせていただきます。

 一五年の五月に行われる島サミットが、これは前政権下の、委員でおられますけれども、玄葉前大臣のときにも、私、参議院議員として、島サミットの福島での開催はどうだという質問をさせていただいたときに、しっかりと検討しますということから始まり、そして、政権がかわった後でもこれはしっかり引き継がれて、過日、福島での開催を決定していただいたことは、大変喜ばしいところでもあります。福島は本州ではありますけれども、名前に島がつきますから、島サミットになると思います。大臣は広島ですが、福島に譲っていただいたということは、大変ありがたいなというふうに思っております。

 そういう意味では、今回の島サミット決定は、私は、東京オリンピック開催決定も大変喜ばしいことではありましたけれども、福島県にとっては、この島サミットの開催決定、そしてそのときにおける世界への情報発信といったものがこの福島からなされるということは、大変いいことだなというふうに思っております。

 そこで、この二〇一五年開催の島サミットについて、こうした福島からの情報発信といった目的もあわせて、取り組みについてお伺いをいたします。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げます。

 先生御承知のとおり、島サミットは三年に一度開催されておるわけでございまして、次回は二〇一五年に第七回が開かれることになったわけでございます。

 私も参加いたしましたが、十月二十六日に第二回の島サミット中間閣僚会議というものが開かれまして、これは実は、仙台でも夕食会をやって、その前に、午前中は大臣主宰で閣僚会合を開かせていただいたわけでございますが、太平洋諸国との協力の進捗状況を共有する、あるいは、海洋問題や貿易・投資に関する新たな協力の方策や国際社会における重要課題について議論を行い、一層関係を深めることができました。

 また、仙台での夕食会も非常に和気あいあいと和やかに行われまして、翌日は松島の方にも震災の跡を見に行っていただきまして、閣僚の方々は大変喜んでお帰りいただいたというふうに思っております。

 第七回の島サミット、これは福島県いわき市で開催させていただくわけでございますが、我々としては、確かに島ではございませんけれども、福島で開催させていただくということに大きな意義があるというふうに思っておりまして、震災の跡も見ていただいて、復興の状況も見ていただきながら、また、東北の皆さんにもぜひ元気を出していただけるように、この会合を通じて太平洋の島の国の方々と一層の連携、連帯を深めていただくという大きな意義があるのではないかなというふうに思っておるところでございます。

小熊委員 そつのない答弁ではありましたが、それでは足りていないんですよね。

 オリンピックの招致にかかわっても、この間、私、予算委員会でちょっと事実と違うことを言ってしまいましたけれども、例えば、竹田理事長の、福島から二百五十キロ離れているという言葉ですよね。これも福島を追いやるような形ですよね。原発から二百五十キロが事実ですから。総理自身は、私は言っていませんと。でも、総理には、そういう言葉はやはりよくないよというコメントも欲しかったし、総理自身も、東京にダメージを与えないと言ったんですね。それは東京で開催するから当たり前のことなんですけれども、日本全体にダメージを与えないんだ、福島にだってダメージを与えないんだと本当は言っていかなきゃいけないんです。

 だから、今の副大臣の答弁は、福島に元気をじゃないんです。今、福島県は、復興に関しては、福島から始めようなんですよ。上から目線で福島に何かしてあげますよじゃなくて、福島からどう情報を発信していくか、そういう取り組みはどうですかという質問なんですよ。

 我々、東京オリンピックをやって、福島を囲われたようなイメージも実はあったんですよ、本当は。いろいろな招致委員会の方々が努力はしていましたけれども、これはもうしようがないです、招致するためには。

 これをいいきっかけとして、福島からどう情報を発信していくのか。福島に元気をじゃないんですよ。福島の元気をどう世界に訴えていくのか。福島が大丈夫であれば、東京は大丈夫と言う前に、もう全体が大丈夫とわかるのですから。そういうきっかけにしたい狙いもあって選んでいただいたんですよね、大臣。

 そういうところ、安全性も含めて、元気も含めて、福島からどう情報を発信していくか、これはどうでしょうかという話です。

三ッ矢副大臣 若干言葉足らずの面があったかもしれませんが、私が申し上げたのは、東北の方にももちろん元気になっていただきたいし、現地を見ていただくことで、東北がこれだけ復興してきているんだということを世界の皆さんに見ていただく、そういう意味も込めて、福島で開催させていただくということの一つの理由になったということを申し上げたかったわけでございます。

小熊委員 しっかりと福島の安全性や福島の元気を発信できる、島サミットの一義的な目的は島嶼国の発展ではありますけれども、あわせて、福島の正しい情報と、そして元気、情報発信をしっかりとしていただくような会議に、サミットにしていただきたいというふうに思いますので、今後の取り組みの中で、そうした観点をしっかり、福島に元気をじゃないですよ、福島の元気をどう発信するかということを意識していただきたいというふうに思っております。

 そういった中で、御承知のとおり、あすになると、第三回になりますけれども、いわき沖での試験操業が行われるんですね。これは地元のお店を通じて今までも販売してきましたけれども、一方で、近いところでいえば、韓国が日本の水産物に関して禁輸措置をとりました。これはいろいろ背景があるのは承知ではありますけれども、政府としても、科学的根拠のないこういう措置については抗議をされているということも承知をしているところであります。一方で、オリンピックも決まった、島サミットも福島になるといいながら、国内においてもそうですけれども、国外においても、こうした根拠のない措置、いわゆる国際的な風評被害が、収束するどころか逆に拡大していっているわけですよ。

 これについて、政府は、一例ですけれども、韓国には科学的根拠に乏しい措置は抗議をされたというふうには聞いておりますけれども、これまでも、そうした禁輸措置をとっている国々に対しての申し入れということは提言はされているんですが、結果として出ていないんですね。結果として改善していないんですよ。今までの努力が結果を生んでいないんですね。

 この現状を踏まえて、では、それを検証して、結果の出るような努力というのは今後どうしますかということをお伺いいたします。

岸田国務大臣 この禁輸措置につきましては、外務省としまして、しっかり情報収集をするとともに、我が国の情報をしっかりと伝達し、そして粘り強く働きかける、こういった対応をとってまいりました。そしてその中で、結果としまして、十二カ国が禁輸措置を解除する、さらには、EU諸国は禁輸措置を緩和する、規制を緩和する、こういった対応をとってきております。

 しかしながら、御指摘のように、まだまだこれは努力をしていかなければなりません。引き続きまして今申し上げましたような努力も続けていかなければなりませんが、あわせて、やはり、世界をそれぞれ地域ごとにグループ分けするような考え方のもとに、その地域における基軸となる国に特に働きかけることによって、その態度を変更させ、そして周りの国々に影響を及ぼしていくなど、働きかけにつきましても工夫をしていくことが重要なのではないか、このような認識を持っております。

 ぜひ、そうしたさまざまな工夫を積み重ねながら、結果を出すべく努力をしていきたいと考えています。

小熊委員 これは、韓国の場合も、政府は多分、科学的根拠はちゃんと把握はしていると思うんですけれども、やはり、韓国国内の消費者たちのいわゆる大きな意識ということを背景にして、こういう措置をとったというふうに思っています。

 そういう意味では、内政干渉にならない形で、海外のいろいろな国々の、政府ではなくて、その国の人々に対するいわゆるリスクコミュニケーション、情報発信ということもこれから意識をしていかなければいけないというふうに思っています。

 これは国内の風評被害もあわせて言えることですが、前回の通常国会のときにも、私は、日本の安全性、福島の安全性を、しっかり今データとして科学的根拠を示すだけでは払拭はできないんだと。福島が何ベクレルですということではなくて、皆さんのところはこの放射線量ですよと、こういう相対評価でやる。普通の人たちは、科学的根拠とか放射線に対する知識は、私も含めて、学者さんほどあるわけではないわけですよ。そうすると、幾ら何ベクレルで大丈夫ですと言っても、なかなかそれは信用たり得ない。もう比べていくしかない。あなたの国のここはこうです、あなたの地域はこうですということで、やっとこの福島の、また福島の近隣の県の、こうしたものに対する科学的に根拠が乏しい判断というものを払拭できるということで、放射線量の相対的な情報発信をやっていってくださいと言ったとき、当時の政務官のあべさんが、検討に値しますということを言っていただいていたので、これも、きょうは突っ込みませんけれども、ぜひ相対的な情報発信ですよ。

 実際、今、私の地元の学校給食というのは、百じゃなくて十ベクレルで食材を納入しているんですけれども、県内のものだけじゃなくて、県外のもの、遠く離れた四国や九州のものでさえ、十ベクレルといったら使えないんですよ。では海外のものを使おうと思ったら、海外のものも十ベクレルなんて超えているんですよ。

 福島が安全かどうか、あと、世界的なもの、ほかの地域のもの、そうした意味で、冷静なリスクコミュニケーションをとらなきゃいけないんです。実際、そうやって比べてもらって、やっと、ああそうかとなるというふうに思いますから、福島の数字だけじゃなくて、いや、おたくの国の魚だってこうでしょうと。

 ある意味、それをちゃんとやらないと新たな風評被害を生みますから、慎重にやらなければいけませんけれども、こうした相対評価によって、日本の、また被災地の安全性といったものを訴えていくという方向も、本当に、検討すると言ったんですけれども、今後ちょっと具体的にやっていっていただきたいというふうに思っています。

 そうした中で、先ほどの島サミットとあわせて、この禁輸措置に関しても、やはりPRしていくという意味では、そうした国際会議、大臣も福島のお米を食べていますかね、総理は食べていると言いましたが。試験操業をやったいわきの魚も食って世界にアピールしていただきたいなというふうに思っていますので、飯倉公館でやるレセプションなんかでは被災地の食材を使ってもらっていますけれども、そういったことを含めて、今後もどんどん正しい情報発信に努めていただきたいということと、観点を変えたこうした相対的な情報発信、情報の公開の仕方というのもあわせて、具体的にいよいよ検討していただきたいなというふうに思っているところであります。

 次の質問に移ります。

 先ほど小川委員も大平先生の話を出されましたけれども、やはり私の地元には、大平さんとまさに夫婦のような関係だった伊東正義先生、まさに宏池会の重鎮でありますけれども、その伊東先生が外務大臣のときに、紅顔まれなる玄葉大臣が二十代後半の県会議員のときに、外交こそ国益という手紙を伊東先生に送って、これは今、ちゃんと会津にも残っています。

 そうした中で、先週の岡本議員の日中間の話、きょうの小川委員の日中間の話。大臣御承知のとおり、ことしの八月十二日は日中平和友好条約の締結三十五周年という記念の年でありましたが、そのときには、いろいろな政府間での記念行事は一切行われませんでした。

 ただ、超党派の議員団で、私も副団長として、公明党の遠山団長を先頭に、本当は岡本さんも一緒に行っていただきたかったんですけれども、八月十二日に北京を訪問して、中国政府の関係者と交流をしてまいりました。とにかくこの状況は改善しなきゃいけないという思いは一致をしたところであります。

 しかしながら、やはり一致点を見出せなかったのは、尖閣諸島に関する認識の違い。我々は、領土問題は存在しないと。

 そのときの我々の訪問団の公明党の遠山団長が、領土問題は存在しないけれども、外交上解決すべき問題はあるという言葉まで使ったんですけれども、とにかく棚上げ論を認めろ、そこのところになると一辺倒だったんですね。いろいろな関係者と会いましたけれども、お互いに、日中間、友好を深めなければいけない、経済的にも連携を深めていかなければいけないという認識は持ちつつも、これはやはり、なかなかかたいなというふうに思いました。

 この点について、日中の改善、先ほどの靖国の問題とかもあるんでしょうけれども、やはり中国が言ってきたのもこの一点に尽きましたね。ここはもう議論の余地がないぐらい、いろいろなセクションの方々と面会しても、ここだけはみんな一致して、なかなかこの状況を打開するのは大変だなと思いました。

 中国の言っている棚上げ論について、日本としては認められませんけれども、こう主張している以上、これに対する対処、これを乗り越えてどう日中友好をしっかりやっていくのか、お聞きをいたします。

岸田国務大臣 先ほど申し上げましたように、日中関係は我が国にとって大切な二国間関係でありますし、地域に大きな責任を両国は担っております。ぜひ、大局的な見地から、戦略的互恵関係の原点に戻って、しっかりと両国関係をマネージしていきたいと考えております。

 その中にありまして、御指摘の尖閣問題ですが、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、我が国が有効支配し、領土問題は存在しない、この我が国の立場、この立場を譲ることは決してありません。よって、この問題については、大変粘り強い取り組みが必要だと認識をしております。

 しかしながら、こうした問題があるから高い政治のレベルの対話をしないという態度については、いかがかということを申し上げています。こうした個別の問題があるからこそ、高い政治のレベルの対話が必要なのではないか、対話をすることによって、個別の問題をどうするか、トップ同士がしっかりと汗をかく、知恵を出す、こういった態度が大事なのではないか、こういったことを再三中国側にも申し上げておりますし、また、周辺国、あるいは米国を初めとする関係国に対しましても、我が国のこうした考え方をしっかり説明してきております。

 ぜひ、中国側からもこうした働きかけに応じていただけるよう、期待をしたいと考えています。

小熊委員 八月十二日、条約締結の日は過ぎましたが、三十五周年を記念して、ことしじゅうに民間レベルも含めてさまざまな記念行事も実施されるということを聞いていますので、こうした地道な努力をしながら、こういう表現がいいのかどうかわかりませんが、いわゆる中国の棚上げ論は我々は認められない、大臣もそのとおりだと言っていただいたので、中国の棚上げ論を棚上げしてもらって、ほかのものをしっかり進めていくということをいろいろな折を含めて言ってみたらどうかなと。そうしないと全然進みませんから、ぜひそうした努力をお願いしたいなというふうに思っております。

 また、大臣の所信の中で、気候変動を含む環境問題といったことにも積極的に貢献しますという話をされていました。これまでこの委員会の中でも、南太平洋地域のいわゆるSPREPについて、日本はオブザーバー参加していますけれども、この件について再三質疑をしてまいりました。

 ここで、気候変動センター、PCCCというのを日本政府に設立を要請しておりますけれども、なかなかこれは話が進んでいません。一部には、これはサモアにつくられるんですけれども、ODA的には、サモアのODAの予算の優先順位としては、港の整備やそうしたことをやった方がいいという判断があるんですけれども、このPCCCは、サモア一カ国の利益ではなくて、今回、SPREPの加盟国から正式に、全体の利益としてPCCCが必要だという文書が、退任されましたけれども、城内前政務官のところにも届いているわけであります。

 ですから、サモアだけのことを考えればODAは違う優先順位になりますが、加盟国全体が、これは全体の利益になるからつくってくれと言っているわけですから、そうした観点から、設置に関する日本の支援といったものを具体的に検討しなければいけないんじゃないかなというふうに思いますが、大臣、どうでしょう。

岸田国務大臣 SPREPにおけるPCCC設立の要請ですが、こうした気候変動及び環境対策を含めた我が国の太平洋島嶼国・地域に対する支援、島嶼国側からは高く評価をいただいており、先般のSPREP総会におきましても、我が国の貢献について言及があったところであります。

 そして、御指摘のPCCCですが、サモア政府から我が国に要請があったものであります。サモア政府における他の無償資金協力案件との優先順位、これはまず考えなければならないとは思いますが、御指摘のように、地域の気候変動対策、地域全体へどういう貢献をするのか、この度合いについてもぜひ考慮の材料にしっかり入れた上で検討させてみたいと思います。

小熊委員 サモアの支援ではなくて、そうじゃないと加盟国も言っているわけですから、ですから、その観点でぜひ検討していただきたい。これは早くやらないと、正式な話ではありませんが、いろいろな関係者とお話をしていると、多分、日本が支援していただけなければほかの国に要請をかけるというところまで行っていますので、ぜひ早急な対応、あと結論を出していただきたいというふうに思っています。

 そうしたさなか、これは太平洋地域だけではありませんけれども、小島嶼開発途上国、いわゆるSIDSの国際会議が、これは持ち回りでやっていますけれども、来年のSIDS、小さい島々の開発会議が、太平洋地域、サモアかフィジーで行われるというふうにも聞いていますから、こうした時宜にかなったときにそうした結論を出していかなきゃいけないと思いますので、早急な対応をお願いいたします。

 次に、時間がなくなりましたが、八月の十九日から二十七日までの間に、この外務委員会の委員として、河井前委員長を団長として、海外の調査をしてまいりました。ブータン、インド、ミャンマー、タイと回ってきましたが、朝四時起き、五時起きという大変厳しい日程の中でも、しっかり調査ができたのではないかなというふうに思っております。

 そのときには、ちょうど我々が行っていて、ブータンでしたけれども、すばらしい国でありましたが、大使館がなくて、JICAの事務所が半分その役割を担っていた。行っているさなかで、河井委員長も、これはぜひつくるべきだという強い意見表明がすぐ届いたようで、八月中に外務省がブータンを初め六カ国の大使館設置の予算要求をしたというところであります。

 やはり、今、日本と関係を結んでいる国々というのは百九十を超えている中で、大使館の設置は百四十もいっていない状況でもあります。在外公館の職員数も、五千数百名、五千八百名ぐらいですかね。これは他の先進国から比べれば非常に少ない人員であると言わざるを得ません。

 積極的な外交、しっかりとした外交を打ち立てていく上では、これはやはり、大使館数も、質もしっかりしながら、もっとふやしていかなければいけませんし、人員もあと二千名、三千名ぐらい増員をしなければ、箱はあるけれども人員が足りていないということでは意味がありません。

 今回のこのブータンを初め六カ国の予算要求もあわせて、今後のこうした外交力強化のために、在外公館の設置と定員の増員について格段の努力が必要だというふうに思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

岸田国務大臣 我が国の外交実施体制ですが、大使館数を見ても、また人数を見ても、主要国と比較して十分とは言えないということ、強く認識をしております。

 そういった中で、平成二十六年度の概算要求におきまして、御指摘のように、ブータン、マーシャル、バルバドス、アルメニア、トルクメニスタン、そしてナミビア、この六カ国の大使館を新設するように今要求中でございます。

 今後とも、さまざまな外交課題に対応するために、人的体制においても、また大使館を初めとする物的体制においても、しっかりと整備を進めて、総合的な外交力を強化していかなければならないと考えております。ぜひ、そういった思いで全力で取り組みたいと考えておりますので、委員各位を初め関係の皆様方のお力添えを心からお願い申し上げます。

小熊委員 大臣も重々承知かと思いますが、その六カ国全て大事ではありますが、とりわけブータンにおいては、インドと中国という大国に挟まれながら、御承知のとおり、国連の安保理常任理事国の、大国の大使館は置かないという方針の中で、日本の大使館の設置が決まれば、日本一カ国、ブータンとの関係だけではなくて、本当に深い意味が、設置によって、効果、またその影響力というものが出てくるというふうに思いますので、それぞれ六カ国の予算獲得、頑張っていただきたいと同時に、ブータンについては、そうした背景がある中ですから、しっかりとした大使館が設置できるようにぜひ取り組んでいただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 本日は、この五月に続きまして、トルコへの原発の輸出について岸田外務大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 五月というタイミングは、安倍総理がトルコを訪問されて、日本に排他的交渉権を付与するという、その直後でございました。そして、先日、安倍総理は再びトルコに行かれまして、商業契約の交渉が終了し、合意に至った、そういった状況であると認識をしております。ところが、この内容について、私も、外務省また経産省の方々にお尋ねをしてまいりましたが、まだ十分に決まっていないという点が多々あると思います。

 私は、日本という国が、福島の悲劇を経て、海外に原発を輸出する、これはまさに十字架を背負っている。地球環境を破壊し、そして今なお世界に対して不安を与えてしまっている日本として、日本には当面建設できないであろう原発を、とりわけ地震多発国であるトルコに売っていく。このことは、万が一再び事故が起こったときに、日本の国際的信用は地に落ちる可能性がある。そういった中で、いかに世界に対して安全と安心を提供できるか、このような大変な苦悩の中で、恐らく岸田大臣もこの案件に当たられているのだと思います。

 玄葉大臣、今、席を外されておりますが、ヨルダンに対する原子力協定を締結する局面では、ふだん大変に颯爽としていらっしゃる玄葉大臣、まさに崩れそうになるような風情でこの案件に対する答弁をされていました。

 先ほど小川委員から、大臣の苦悩する顔が見たいという、本当に私の心にも大変響く質疑がございましたが、特にこの問題については、我々は、与党、野党、そして日本国民全体が十字架を背負っているという認識のもとで取り組んでいくべきことだと思っています。

 この点について、岸田大臣の個人としての考え、自民党リベラル派であり、さらに広島御出身の一人の人間としての思いをまずはお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 先ほど、核兵器の使用につきましては、核兵器のない世界を目指すという大きな目標に向けて努力したいという思いを申し上げさせていただきました。

 そして、核の平和利用という部分につきましては、現在、工業のみならず、医療ですとか、さまざまな分野で活用されています。

 核の平和利用につきましては、我が国は、福島第一原発の事故という大変悲惨な経験をいたしました。この経験と教訓をもとに、核の平和利用における安全性に向けて、我が国の高い技術あるいは知見をしっかり提供し、国際的に貢献していく、こうした大きな責務があると考えております。国際社会、そして相手国の意向も確認しながら、ぜひ、我が国のこうした知見や技術を国際的な貢献に使っていかなければいけないと考えています。

阪口委員 まず、この問題について、日本が提供できる価値とは何なのかということを見詰め直さなければいけないと思っています。

 やはり日本としては、環境や、また人道的配慮に立った計画を立てること、そしてサービスや保守、修理に至るまでパッケージで提供してこそ、例えばロシアや中国よりも、より大きな安心が提供できる、このように考えております。

 したがって、世界最高水準の安全と安心を提供するということであれば、私は、まず、いかに責任から逃れるかではなくて、いかに責任を負うべきか、そういった視点が必要だと思っています。

 まず確認したいことなんですが、基本的に、メーカーとして原発の施設を提供するだけであれば、ハードを提供するだけであれば、原子力賠償のルールを定めたパリ条約で定められた、事業運営会社と当該国の政府に責任が集中するという賠償責任が適用されません。しかし、原発の事業の運営にかかわっていくということであれば、これは日本政府ともども責任を負うという立場になってまいります。

 このトルコに対する、そして今後の世界に対する原子力事業に関して、基本的に日本の立場というのはどちらなんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 先生、済みません、どちらかという御質問でしたが、そのどちらかがちょっとはっきりしなかったので、申しわけありません、もう一度お願いいたします。

阪口委員 済みません、私の質問が明確ではなかったんだと思いますが、基本的に、ハードとしての原発の施設を提供すること、そこにとどめて、事故が起こったときの責任を負うことを避けていく、そういった方針なのか、あるいは、事業の運営に積極的にかかわっていくことで、事故の賠償も負うことで国家としての責任をしっかり果たしていく、どちらなのか。特にトルコにおいての基本的な日本政府の考えを教えていただきたいと思います。

岸田国務大臣 失礼しました。

 まず、御指摘のように、責任の問題ですが、原子力損害賠償に関する国際条約、三系統ございます。御指摘のパリ条約、ウィーン条約、そしてCSCですか、三系統が存在いたしますが、こうした三系統とも、原子力発電施設において万が一事故が発生した際の損害賠償の責任は、当該施設の運営者、要するに原子力事業者が負うということが原則になっております。

 そして、要は、運営者になるのか、その前でとどめるのかという御質問かと存じますが、これは、相手国の事情、さまざまな経緯等によるものだと思っております。相手国の要求ですとか、今日までのさまざまなかかわり方によりまして、どういったかかわり方になってくるのかが決まってくると考えます。

阪口委員 ここがまさに苦悩する点であると思いますが、世界最高水準の安全性を提供することで世界の原子力安全の向上を図るということであれば、ハードとしての原発施設を提供して、そこから先は知りませんということでは済まないと思うんですね。ですから、原発を売るということは、まさにその後の事故処理、さらに賠償も含めた責任を負っていく、その中でトータルで世界最高水準の安心を提供するということでなければ、私は無責任だと思うんですね。

 ですから、確かに相手国政府の日本に対するさまざまな期待、要望はあると思いますが、しかし、一つお聞きしたいんですけれども、例えば重大事故がトルコにおいて起こりました。そして、トルコの力だけでは修理、収束できない場合、今回、フランスのアレバと組んで受注することになった三菱重工としては、どのような責任を果たし得るのか。このままほっておけば、もう本当に甚大な影響が世界に及ぶかもしれない。しかし、あくまでもメーカーであるから、そこまでの、それを収束するために命がけでかかわっていく責任はありませんよというような立場をとり得るのか。また、その際に日本政府としてどのような責任を負うのか。

 ここのところも大変大きな問題になってくると思うんですが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 日本企業が原子力発電所の機器を輸出する場合、あるいは海外の原子力発電事業に参入する場合でございますけれども、その場合の原子力損害の賠償責任におきましては、個々の契約の内容、あるいは当該国の法制度によってその範囲が規定されるということだというふうに考えてございます。

阪口委員 最初に私、我々は十字架を背負っているという、ある意味情緒的な言葉を申し上げましたが、これは、大変に大きな道義的責任を負っているということでもあると思います。

 日本が提供した原子力施設、原発が重大な事故を起こして、そしてその原発が設置されたトルコが自身で修復、修理ができない場合、どのような契約になっていたとしても、日本としてそれを解決する責任があるんじゃないかと思うんですけれども、その点について、大臣のお考え、どのように思われるでしょうか。

岸田国務大臣 我が国として、核の利用についての安全に関しまして国際社会にしっかりと貢献するという意味からは、こうした原発施設を設置するのとあわせて、人材育成ですとか、あるいは現地の国の法整備ですとか、さまざまなシステムの構築ですとか、こういった部分についてもしっかりと協力をしていく、こういった姿勢はあり得るというふうに思います。

 そして、現実にどうかということは、あくまでもやはり相手国の意向というのが尊重されなければならないと存じます。意向に基づいて、核の平和利用について最大限貢献する、そして、万が一事故が起こった、対応についてももちろん契約によるわけでありますが、我が国としてでき得る限りの協力はしていく、こういった姿勢は大事にしていかなければいけないのではないか、このように思います。

阪口委員 これから原発を導入しようとしているトルコの方からすれば、私は、心もとない答弁であったのかなというふうに思わざるを得ないと思います。

 今から二年前に、同じこの外務委員会で、ヨルダンに対する原発の輸出を定める原子力協定について議論をしました。私も、砂漠国であるヨルダンに原発を売る、これはもう大変なリスクがあるのではないかという考えのもと、実は、現地ヨルダンのアンマン郊外のマジダルというところに行って、建設予定地を見てまいりました。また、原子力委員長のトゥーカンさん、MITで原子力の博士号を取ったという、大変に原発については詳しい方ですが、トゥーカンさんともいろいろお話をする中で、日本の原子力技術に対する大変に高い信頼というものを感じました。

 ところが、まさに数日前なんですが、その時点では圧倒的に日本が有利であろうと思われていたヨルダンの原発、これが、ロシアに対して排他的な交渉権を付与する、このような記事に接しまして、私も、日本政府としてこの事態をどのように捉えているのか、きょうはぜひ聞かなければいけないと思っているんです。

 まず、このロシアにとられたということに対しての大臣のお考え、そして、なぜ日本が負けたのかという分析、できていればお話をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、ヨルダン政府が原子力発電所建設、運営に係る排他的交渉権をロシア企業に付与したということは、承知をしております。

 本件決定に当たり、ヨルダン政府は、ファイナンス、他国での実績、安全性の観点に言及していますが、本件は民間企業の商活動であり、ヨルダン政府と各企業の交渉の詳細については我が国としても承知しておりませんので、コメントすることは難しいのですが、政府としても、安全面を含めた原子力協定が日・ヨルダン両国で進展することを期待しており、ヨルダン側には、日本として、ヨルダン原子力建設計画に貢献できる立場を伝えさせていただきました。そして、私も七月にヨルダンを訪問させていただきましたので、こうした貢献ができるということを申し上げてきました。

 結果として日仏合弁企業のアトメア社が排他的交渉権を獲得できなかったこと、残念ではありますが、今回の決定は、排他的交渉権の付与の段階であります。最終的な受注先の決定は先にあるわけですので、当面、ヨルダン政府とロシア企業の今後の交渉の推移を見守っていきたいと考えております。

阪口委員 岸田外務大臣がヨルダンに行かれたということではありますが、まさに、ロシアに対して排他的交渉権を付与する、この決定がなされた時期というのは、安倍総理が二度目のトルコ訪問をされていた時期とも重なるわけですね。そういう意味では、私は、トップセールスということで、原発を本当に国家戦略の中心に据えて輸出を行っていくということであれば、安倍総理はトルコに行っている場合ではなかったのかなという気もいたします。

 どちらにしても、先ほど最初に私が問題提起したことともつながっているんですが、ロシアは、本当に、トルコにおいても、建設、運転、保守、廃炉措置、そして使用済み燃料、放射性廃棄物の管理、損害賠償に至るまで責任を負う、まさにトータルで安心を提供する、そういう姿勢であります。

 日本に関しては、先ほどの大臣の答弁、相手国のさまざまな都合も考慮してということではありますが、私は、基本的に、まさにこれほどの事故を起こした日本が、本気で安全性をもって世界最高レベルの安心を提供する姿勢が問われているのではないか、このように思わざるを得ないんですね。

 この点について、何度もお聞きしているようではありますが、やはり、大臣として、どうあるべきなのかということをもう一度お伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたが、我が国としましては、核の平和利用について、福島第一原発における貴重な経験、知見、これを国際社会としっかり共有して、国際的な核の安全に貢献していかなければいけないと考えております。

 その意味でも、トルコとの関係におきましても、我が国としてしっかり貢献するすべを具体的に考えていかなければならないと考えております。今後のトルコとの関係につきまして、そういった思いでしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

阪口委員 この原発輸出は成長戦略の柱の一つだという位置づけではありますが、しかし、実際に経済性が伴うものなのかということについても私は疑念を持っております。

 今申し上げたように、ロシアまた中国などは、まさにパッケージでサービスを提供する、こういった方針に今後なってくると思います。

 トルコに関しては、私が調べた限りでは、二百二十億ドルに上る総事業費のうち、出資以外を国際協力銀行や民間金融機関からの借り入れで賄うと聞いておりますが、トルコ国営電力会社と売電契約を結んで、要は、日本の力で設置した原発施設の設置費用を、売電契約を結んで電力を売ることで回収していくということだと思います。

 ところが、今、世界各国の原発の建設についていろいろ事例を見ていると、例えばフィンランドのオルキルオト原発、これは、二〇〇五年に建設が開始されてから、五年程度で完成する予定だったにもかかわらず、工事は遅延に次ぐ遅延で、建設コストは当初の五倍にはね上がっているということでございます。

 日本の公共事業においても、小さく産んで大きく育てるという思いを持って取り組んでいらっしゃる方も多いように聞いておりますが、これは海外であり、さまざまな反発があり、さらに、技術的に大変大きなチャレンジであるということを考えると、当初の建設費用が何倍にも膨らんで、そして本当に電力を売ることでその費用が回収できるのか否か、大変に厳しい状況になるのではないかと私は危惧をしております。

 この点について、本当に原発を売ることが日本の経済にとってプラスになるのか、大臣、どのようにお考えでしょうか。

高橋政府参考人 お答えさせていただきます。事業の経済性について御答弁させていただきます。

 一般的に、原子力発電所の事業の経済性につきましては、さまざまなリスクを考えながら、各事業主体において、契約の内容等を精査しつつ判断をしていくということだろうと考えてございます。もちろん、そのリスクとベネフィットを考えながら、企業としてやっていけるかどうかという判断のもとに進められていくことだと承知しております。

阪口委員 この商業契約の中で、トルコ政府の電力の買い取り保証というのは担保されているんでしょうか。また、ロシアに対しては、私が調べた限りでは、十二・三五アメリカ・セント・パー・キロワットアワー、そういった買い取り価格になっているようですが、日本の買い取り価格は設定されているんでしょうか。あるいは、設定されているとすれば、その価格は幾らなんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 これは企業の契約の内容にかかわることでございまして、また交渉中でございますので、私どもとしてお答えできる立場にございません。

阪口委員 これは確かに民間企業の契約ではありますが、しかし、最初に問題提起したように、事業の運営にもかかわっていくということであれば、事故が起こったときの賠償等も日本政府が負うことになるわけでございます。ですから、この商業契約がどのように結ばれていくのかということについては、私は、日本政府も大きな責任を負っていると考えております。

 私も先日来、外務省また経産省の方々にこの商業契約の内容について質問をしているんですが、なかなか、交渉中であるとか、民間であるから把握していないという答えが続いていて、大変にフラストレーションを感じるんですが、日本国のプロジェクトである、これは安倍総理がトップセールスをしているわけですから、誰が見てもそういうふうに思うわけであります。ぜひ政府としての責任のある対応を強くお願いしたいと思います。

 そして、このトルコなんですが、大変な地震国でございます。今から約二年前でありますが、トルコにおいて地震が起こって、そして、救援活動に当たっていた日本のNGOの方々、難民を助ける会のボランティアの方々ですね、救援活動中に泊まっていたホテルが崩壊をし、そして一人の青年がお亡くなりになりました。また、若い女性、この方も、五時間余り瓦れきの中に閉じ込められて、何とか現地の方々の努力で救出をされたという事故がございました。マグニチュード五・六で鉄筋コンクリートのホテルが崩壊をしたということでございます。

 一方で、原発が建設予定のシノップ、黒海沿岸の大変美しい町と聞いておりますが、ここは、いわゆる北アナトリア断層が、トルコ北部、黒海に極めて近い部分を千二百キロにわたって通っている、恐らくその少し北の部分にあると思われます。

 政府は、日本原子力発電株式会社に委託してシノップの地層調査を行っていると聞いております。ところが、この日本原子力発電株式会社は、原子力規制委員会が活断層と認定をした敦賀原発下の断層を活断層ではないと主張を続けている組織でもございまして、要は、最初に申し上げました、二度事故を起こすことになれば、まさに日本の信用は地に落ちる。その中で、本当にこのシノップという場所が原発を設置するのにふさわしい場所なのか、そして、万が一地震が起こったときに、仮にこの原発施設は頑丈につくられたとしても、さまざまな救援活動、また、この状況を改善するための活動をする際に、周辺のインフラの不備により食いとめることができない、そういった可能性があるのではないかと思います。

 マグニチュード五・六でホテルが倒壊してしまう、そういった国でもありますから、このあたりを考えると、もうとにかく、万々が一にも事故を起こせない状況なのかという点について大変に私は憂慮をしているんですが、この点についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございましたFS調査でございますけれども、我が国の技術を導入する際に、安全性の向上のために貢献していこうということで、日本原子力発電に委託をして、関連する陸域及び海域の敷地周辺の地質調査を行っているものでございます。こうした調査を踏まえまして、最終的には、トルコ政府においてこのプロジェクトの実現可能性について判断していくんだろうというふうに承知をしてございます。

阪口委員 今の答弁の中で、最終的にはトルコ政府が実施、実現をしていくのであろうというような、大変に官僚的な答弁であったと私は受けとめたんですが、この原発の輸出、特にトルコに対する輸出、まさに、福島のあの悲劇があって最初の原発の海外展開でございます。万が一つにも失敗は許されない、そういう認識をしっかり持った対応をする状況、そして覚悟があるのか、これが問われていると思います。そして、この覚悟がなければ、私は、日本で設置できない、建設できない原発を海外に売っていく資格はない、このように思っています。

 この点については今後もぜひ私は質問してまいりたいと思いますが、世界に対する責任をいかに果たしていくのか、これは、原発を設置する、しないという大きな判断も含めて、我々全員が問われていく問題だと思いますので、そういった認識をぜひ共有させていただきたいと思います。

 最後に、この点、大臣のお考えを伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、我が国として、原発に関する国際的な安全のために何ができるのか、これをしっかり考えた上で、具体的な案件につきまして対応を考えていかなければならない。原発の安全というのは、第一に考えなければいけない重たい課題だということ、これをしっかり頭に置きながら、今後の対応について考えていきたいと思います。

阪口委員 終わります。

鈴木委員長 次に、村上政俊君。

村上(政)委員 日本維新の会の村上政俊です。

 私にとって、今国会、外務委員会での初めての質疑となります。今国会においても、鈴木委員長を初め各委員の先生方、そして岸田大臣を初めとする政務三役、そして外務省の先輩方の御指導、御鞭撻を賜りまして頑張りたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、最初に、尖閣に関する質問をしたいと思います。

 私の質問は、尖閣諸島をめぐる問題に関してのアメリカの立場ということですので、先ほどの長島委員の質疑と大いに関連する部分だと思います。

 十一月一日のアメリカのウォールストリート・ジャーナル紙に、尖閣諸島の主権をめぐるアメリカ政府の立場をもっと明確にすべきであるというふうな社説が掲載されました。

 内容といたしましては、米国は、尖閣諸島を七〇年代初頭に日本に返還し、主権問題を米国の目的に沿って効率的に決着させた。そして、続く部分は、委員各位のお手元に配付した資料の下線部分でありますけれども、オバマ政権が尖閣諸島は日本のものであるともっと明確に表明すれば、中国は引き下がる公算が大きくなるというふうな内容となっております。

 先ほど岸田大臣から御答弁もありましたように、アメリカ政府の立場というのは、尖閣諸島に対して我が国の施政権が及んでいる、したがって、日米安保条約五条の適用範囲内になるというふうなコミットメントであります。これは、アメリカ政府が我が国に対して防衛義務を果たすということですので、大変心強いものであるというふうに私自身も承知いたしておりますし、岸田大臣も、例えば、先般東京で開かれました日米2プラス2の場においてもこういった点を累次確認されておられるところと思いますので、そうした政府の努力は私としても大変高く評価したいと思います。

 他方、主権の問題に関しては、アメリカ政府は中立の立場であるというふうな立場をとっております。

 ですので、この十一月一日のまさにアメリカのウォールストリート・ジャーナル紙が社説で書いたような点というのは、我が国が国際世論に対して訴えかけていく、あるいは我が国の抑止力を大きくしていくという点でも、非常に中身の濃いものとなっておるというふうに考えますが、我が国政府としての受けとめはいかがでしょうか、大臣。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げます。

 初の質問にお答えさせていただくのを大変光栄に思っております。

 報道のことでございますので、私もこの報道を読みました。政府としてのコメントは、報道に関することなので、ちょっと差し控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、委員も先ほど御指摘いただきましたように、アメリカ政府の立場は、以前から、尖閣の領有権について、特定の立場はとらないけれども、日本の施政下にあって、したがって、日米安保条約第五条の適用範囲であるということを累次表明してきてもらっているわけであります。

 政府としては、尖閣諸島が歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土であり、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在しないという日本の立場はアメリカ政府も十分理解しているものというふうに承知をしておるところでございます。

村上(政)委員 副大臣の御答弁の中でありましたとおり、尖閣諸島をめぐる主権の問題というのは存在しない、解決すべき問題は存在しないというのは、私も全く同じ立場であります。

 しかしながら、こうした主権の問題について、アメリカ政府が明確な立場をとらないのがかえって中国の行動を助長しているというのが今回の記事の趣旨であるというふうに私は考えます。

 アメリカ政府に対して、この問題に関して、もっと立場を明確にするように働きかけていくというようなお考えはありませんでしょうか。

三ッ矢副大臣 今お答え申し上げたとおり、アメリカ政府は十分日本の立場を理解していただいているものというふうに我々は考えておりまして、それに対してどういう対応をとるかというのは、これまたアメリカ側の考え方があろうかと思いますので、いろいろな場でこの件に関して引き続きアメリカ政府とも協議を重ねていきたい、こういうふうに思っております。

村上(政)委員 同じ問題に関して、ほかの方の発言というものを私から紹介して、少し議論を深めたいというふうに考えます。

 大臣もお会いになられたマケイン上院議員、これはアメリカの議会においても大変有力な重鎮の議員であるというふうに承知いたしておりますけれども、八月の二十一日に、大臣御自身も外務省でマケイン議員と会談されているというふうに承知いたしております。外務省のホームページから概要を拝見いたしましたが、岸田大臣からは、マケイン上院議員は日米同盟の力強い支持者であるというふうに御発言なさっていると承知いたしております。

 他方、同じ日の新聞紙上においては、例えば日経新聞が、マケイン氏は、尖閣は日本の領土であるというふうに、アメリカ政府よりもより踏み込んだ立場を、大臣との会談の後に、記者団に対して表明したというふうな記事も出ております。

 また、私自身、中国語を使うものですから、同じ時期の人民日報系の各種メディアを見ましたが、このマケイン議員の発言に対しては、中国側も非常に神経質になって反応いたしておりました。

 アメリカ政府よりもさらに踏み込んだ立場を表明したということで、中国側の警戒も非常に大きなものでしたので、マケイン議員はもちろん政府の方ではありませんが、例えばこうした議会の有力な方がこういった発言をするというのは、我が国にとっても大きなプラスの材料であるというふうに考えます。

 岸田大臣は、マケイン議員との間では、尖閣についてはどのようなやりとりをなさったのでしょうか。

岸田国務大臣 今、手元に資料がありませんので、記憶をたどりながら申し上げますが、マケイン議員との間においても、我が国の尖閣をめぐる基本的な立場はしっかり説明させていただいたと記憶をしております。そうした説明を受けての反応であったのかと想像いたします。

村上(政)委員 大臣とマケイン議員のやりとりの中で、マケイン議員は、尖閣は日本の主権のもとにある、尖閣は日本の領土であるというふうな発言はあったのでしょうか。

岸田国務大臣 ちょっと今、手元に記録がありませんが、私の方からはしっかり説明をし、その私の説明に理解を示す反応があったと記憶しております。

村上(政)委員 この尖閣の問題というのは、我が国の安全保障環境において極めて重要な問題ですし、この問題に対して、言い方は少しあれになるかもしれないですけれども、アメリカ政府をどのように使って抑止力を高めていくかというのは、我が国の外交にとって非常に重要な問題であると思いますので、引き続きの努力をお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、集団的自衛権についてお伺いしていきたいと思います。

 この問題は、我が国を取り巻く安全保障環境が日に日に厳しさを増す、例えば、今取り上げました尖閣の問題にしてもそうですし、あるいは北朝鮮問題についてもそうですし、我が国を取り巻く安全保障環境が日に日に厳しさを増す中においては、憲法解釈を変更して集団的自衛権を行使できるようにする、我が国がこのような道をとるというのが私は妥当であるというふうに考えております。そうした立場からの質問をさせていただきたいと思います。

 これは、きょうは、私にとっては外務省の大先輩でもあられますが、小松内閣法制局長官にもおいでいただきまして、憲法解釈の変更がどのような場合にできるのかということについてお伺いしていきたいというふうに思っております。

 この問題については、我が党の同僚の山田議員からも、NSCの特別委員会においても取り上げたというふうに承知しておりますが、どのような状況下において我が国は憲法解釈を変更することができるのでしょうか。これについてお伺いしたいと思います。

小松政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 まず、御質問ありがとうございました。と申しますのは、今委員から御指摘ございましたように、十一月一日の衆議院国家安全保障に関する特別委員会において、山田議員の同様の御質問がございまして、私、御答弁申し上げたわけでございますが、後日の報道で、二つの新聞において、全く同じ答弁について反対のニュアンスで報道されておりますので、正確を期して、もう一度答弁をさせていただきたいと思います。

 平成十六年の六月に、民主党の島聡衆議院議員が御提出になりました質問主意書に対する政府答弁書がございまして、関係の部分を正確に読み上げたいと思います。

  憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。

  このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えられるが、いずれにせよ、その当否については、個別的、具体的に検討されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。

以上でございます。

村上(政)委員 長官、御答弁ありがとうございました。

 私の手元にも同じ主意書がございますので、私も内容は承知いたしておるところでございます。

 こうした状況の中で、過去に憲法解釈が変更された事例があるのかないのか、あるのであればどういう事例であるのかということについて、続いて御答弁願いたいと思います。

小松政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 この点につきましても、山田議員の御質問に一応答弁をさせていただいたわけでございますけれども、時間がそのときに非常に残り少なくなっておりましたので、やや舌足らずになった嫌いがございます。この点についても、非常に重要な点でございますので、同じ島衆議院議員に対する政府答弁書で次のとおりお答えしているところでございます。

  御指摘の「憲法の解釈・運用の変更」に当たり得るものを挙げれば、憲法第六十六条第二項に規定する「文民」と自衛官との関係に関する見解がある。すなわち、同項は、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と定めているが、ここにいう「文民」については、その言葉の意味からすれば「武人」に対する語であって、「国の武力組織に職業上の地位を有しない者」を指すものと解されるところ、自衛隊が警察予備隊の後身である保安隊を改めて設けられたものであり、それまで、警察予備隊及び保安隊は警察機能を担う組織であって国の武力組織には当たらず、その隊員は文民に当たると解してきていたこと、現行憲法の下において認められる自衛隊は旧陸海軍の組織とは性格を異にすることなどから、当初は、自衛官は文民に当たると解していた。その後、自衛隊制度がある程度定着した状況の下で、憲法で認められる範囲内にあるものとはいえ、自衛隊も国の武力組織である以上、自衛官がその地位を有したままで国務大臣になるというのは、国政がいわゆる武断政治に陥ることを防ぐという憲法の精神からみて、好ましくないのではないかとの考え方に立って、昭和四十年に、自衛官は文民に当たらないという見解を示したものである。

以上でございます。

村上(政)委員 憲法の解釈が変更された事例というのは、この一例だけというふうな御認識でしょうか。ほかにも事例があるということでしょうか。

小松政府特別補佐人 ただいまの文民の解釈につきましても、憲法の解釈を変更したものか、または、法規範、つまり、シビリアンコントロールの観点から、武力組織の方は閣僚になることができない、こういう論理に自衛隊の性格の変遷というものを当てはめて、その当てはめの結果であるというような考え方もございまして、そこのところは議論があるところでございます。

 そのような例がほかにあるのかということにつきましても、今、私も直ちには思いつかないわけでございますけれども、非常に細かいものはないわけではないのではないかと思っております。

村上(政)委員 ちょっと、済みません、はっきりとしない御答弁でしたので、重ねてお伺いしたいと思うんです。

 例えば、憲法の九条二項の戦力についての定義というのは、最初、吉田内閣のときには、近代戦争を遂行する能力、あるいは近代戦争を遂行するに足りる装備編成ということであったというふうに理解しますが、その後、自衛のための必要な最小限度を超えるものというふうに変更されたと私は理解しておりますが、これは憲法解釈が変更された事例に当たるでしょうか、当たりませんでしょうか。

小松政府特別補佐人 ただいま御答弁申し上げたとおりでございまして、憲法の規範、基本的な考え方というものがあって、それに客観的な事態を当てはめましてこういう結論が出てくるということは当然あり得るわけでございまして、客観的な事情が変更すると、その当てはめの問題というのはあるわけでございます。

 ただいまの御摘示になりました戦力の問題につきましても、解釈を変更したのか、客観的な要素というものを当てはめました結果、最初に、かなり昔に、吉田内閣のときに言っていたことと表現が違っているということはあり得るわけでございまして、これを憲法解釈の変更と言うべきかどうかということについては御議論があるところだと思いますので、ちょっと断定はできないのかなと考えます。

村上(政)委員 私の立場は、この集団的自衛権の質問をする最初に申し上げたとおり、憲法の解釈を変更して集団的自衛権を行使できるようにすべきであるというふうな立場です。

 報道によれば、小松長官も、同じような理由で安倍総理によって今のポストに任命されて、パリからわざわざ帰朝されたというふうに私は理解しております。長官と私は同じ立場ですので、事例についてこのようにはっきりとおっしゃっていただく方が、むしろ我が国の国益のためにはなるのかなというふうに考えます。

 もう一度伺います。今の戦力の問題というのは、憲法解釈の変更に当たるのでしょうか。私の理解では、戦力の意味が明らかに違っておりますので、憲法の解釈は変更されたというふうに理解できるのですが、いかがでしょうか。

小松政府特別補佐人 この問題につきましては、長々と申し上げませんけれども、安倍内閣の現在の立場というのは、集団的自衛権をめぐる憲法解釈については、現時点では従来どおりである。

 その上で、現在、安保法制懇において、安全保障の法的基盤を再構築するという議論が行われているので、その結論を待って改めて検討するというのが現内閣の立場でございます。

 それで、従来申し上げてきておりましたことは、憲法九条の解釈、戦力の問題も含めまして、憲法制定当時の、直後あたりの吉田内閣がおっしゃってきたことと、それからその後、いろいろ揺らぎがあるではないかという御指摘はあるけれども、基本的に政府の解釈は一貫してきているというのが現在の立場でございます。

村上(政)委員 憲法の解釈については、揺らぎが生じるのはむしろ私は当然じゃないかなというふうに考えます。例えば、この主意書においても、「諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮」で変更できるというふうにも答弁されていらっしゃいますし、時代状況が変わっていくのであれば、むしろ憲法の解釈が変わっていくというふうに考える方が自然ではないかなというふうに考えます。

 ですので、どういった場合において憲法解釈を変更できるのかということについて、もう少しお伺いしたいと思います。

 例えば、この主意書を読めば、先ほど私が申し上げたように、諸情勢の変化やそれから生まれる新たな要請というものがあれば憲法の解釈が変更できるのではないか、あるいは、憲法解釈というものはそもそも「論理的な追求の結果として示されてきたもの」というふうに主意書に書かれていますので、そもそも今まで政府が提示してきた論理というものが破綻しているということが明らかになれば、自動的に憲法解釈を変更できるのではないかというふうに私は考えますが、いかがでしょうか、長官。

小松政府特別補佐人 再度、繰り返しになって大変恐縮なわけでございますけれども、安倍内閣の立場というのは、現時点において、集団的自衛権をめぐる憲法解釈は従前どおりである、そういうことでございます。

 その上で、憲法解釈の変更というものはおよそあり得ないものであるのかということについては冒頭お答えしたとおりでございまして、今先生おっしゃいましたように、完全にその可能性を否定しているわけではないわけでございます。そういうことがおよそ許されないものではないと言っているわけでございます。

 他方、憲法規範の解釈によって立ってきている基本的な論理、こういうものを外れて、およそ合理性のない解釈の変更というのはできないであろうということをこの質問主意書で答えているというふうに考えております。

村上(政)委員 私も、何というか、野党として追及しようという立場の質問ではございませんので、非常に難しい立場からの質問ということで御理解いただければと思います。

 済みません、ちょっと角度を変えてお伺いしたいと思います。

 先ほど長官もお読みになられたこの主意書において、「仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。」というふうに書かれておりまして、政府が憲法解釈を便宜的にあるいは意図的に変更するということを抑止しようというふうな解釈というか、答弁になっているというふうに私は読みます。

 ここにおいて、最終的に政府が憲法解釈を便宜的にあるいは意図的に変更したかどうかということを判断するのは誰になるんでしょうか。

小松政府特別補佐人 それはまず、憲法上、国民の代表であり、国の唯一の立法機関であり、国の最高機関である国会に対して内閣が連帯して責任を負うわけでございますから、全く仮の問題でございますけれども、憲法解釈の変更をするというようなことがございましたら、これは国会で十分に御説明をして、御納得がいただけるように誠意を尽くして説明をするというのは当然求められると思うわけでございます。

 その上で、憲法解釈の最終的な権限を持っているのはどこであるかというと、これは裁判所であるわけでございます。

 したがって、具体的な法律的な争訟があって、訴訟になるという要件が整うという条件はございますけれども、最終的な憲法判断はどこが権限を有しているのかというと、日本国憲法のもとでは、それは裁判所である、最終的に、最高裁判所を頂点とする裁判所であるというお答えになろうかと思います。

村上(政)委員 長官の御答弁によって、我々がこれから憲法解釈を変更しようとする場合に、どういうふうなプロセスをたどっていくかということがクリアに、明らかになったんじゃないかなというふうに考えます。

 私の理解では、まず政府が憲法解釈をするというふうな判断を下す、そしてそれを国会の場において十全に説明する、そして最終的には司法の手に委ねられる。これが、その政府の憲法解釈が便宜的かあるいは恣意的ではないかという点を含めて、それが妥当なものかどうかというのを司法の判断に委ねる。これは、もちろん我が国は憲法裁判所というものはございませんので、個別の事案あるいは個別の裁判の中でこうした適否が判断されるという、憲法解釈のプロセスがこういうふうなものになっていくというふうに私は長官の御答弁で理解いたしましたが、この理解で間違いありませんでしょうか。

小松政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 基本的には委員のおっしゃったとおりだと思いますけれども、最後の裁判の部分につきましては、それは必ず裁判になるというものではございませんで、委員も御指摘になりましたように、日本の憲法上、ヨーロッパにございますような憲法裁判所というものがあるわけではございませんので、問題を抽象的に設定して憲法判断を裁判所に求めるという制度になっておりませんので、あくまでも、個別具体的な法律上の争訟があった場合に、そういう場合には裁判所が憲法上の判断を行う権限を有しているということを申し上げたつもりでございます。

村上(政)委員 私自身もほっといたしました。長官とのやりとりの中で、我が国が、政府が憲法解釈を変更する場合にどういうふうな道筋をたどっていけばいいかというふうなものがクリアになったということは、我が国の外交・安全保障政策の中においても非常に意義深いことではないかと考えます。

 このプロセスの中において、内閣法制局はどういうふうな位置づけ、あるいは役割ということになるんでしょうか。

小松政府特別補佐人 内閣法制局も内閣に属する一行政機関でございますので、それは法律に基づいて仕事をするわけでございまして、具体的には内閣法制局設置法に基づいて仕事をするということだと思います。

 さらに具体的に申しますと、この内閣法制局設置法のいわゆる所掌事務のところに、今この問題に関して申し上げれば、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること。」ということが所掌事務になっておりますので、内閣として法律問題を検討するに当たっては、内閣法制局として、プロフェッショナルな立場から意見を申し上げるというのが私どもの役割ではないかと思っております。

村上(政)委員 時間が参りましたので、最後の質問にしたいと思います。

 憲法解釈の変更というプロセスの中において内閣法制局が果たすべき役割というのは、内閣法制局設置法の中で読めるという理解でよろしいでしょうか。

小松政府特別補佐人 おっしゃるとおりでございまして、設置法に書いてあること以上のことはできないわけでございますから、何か、時として誤解があるようでございますけれども、内閣法制局が勝手に解釈を行うとか、そういうことはできないわけでございまして、それはあくまでも内閣が決定をする。これは総理、官房長官も繰り返しおっしゃっているところだと理解しております。

村上(政)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 昨年十月、沖縄に十二機配備されましたMV22オスプレイは、去る九月には、倍の二十四機という体制で配備をされております。オール沖縄、そして国民多数の反対を無視して、学校や病院、人口密集地上空での傍若無人な訓練強行ということで、民主主義の国で断じて許されないという怒りを呼んでおります。

 そこで、岸田大臣に伺いたいんですが、このオスプレイの安全性をめぐって、この間、米国防総省の監査官室が整備記録を調査した結果、ここにありますが、概要というのがウエブサイトにも掲載をされておりますけれども、こうした調査結果が出ていることについては大臣は御承知でしょうか。

岸田国務大臣 まず、報告書については承知しております。

笠井委員 二〇〇八年十月から一一年九月までの三年間、六つの飛行隊を対象にオスプレイの整備記録の監査を実施したというものであります。

 その結果、調査対象二百件のうち百六十七件、八三・五%に記録ミスがあり、監査官室が検証した九百七回の作業指示のうち百十二回、一二・三%が不十分だったというふうに指摘をされております。部隊の運用担当者が、二百六十五回の報告中百九十九回で、装備品の状態について不完全または不正確な情報提供を行っていたということであります。

 この監査報告の結果については、任務遂行が可能な状態にあるオスプレイの比率は信頼できない、国防総省や海兵隊の高官は任務遂行の準備ができていないオスプレイ部隊を配備したおそれがあるとこの文書では指摘をしておりますが、この報告を大臣はどのように受けとめられるでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の報告書ですが、その内容は、MV22オスプレイに関しまして、整備状況の書類の不備を指摘したものだと承知しております。こうした記録の不備が指摘をされているわけですが、ただ、この報告書におきまして、普天間飛行場に配備されたMV22オスプレイ、これは評価の対象にはなっていないと承知をしております。

 普天間飛行場に配備されたMV22の整備、運用につきましては、昨年九月に行われました日米合同委員会の合意に従って適切に実施されていなければならないわけでありますし、米側からは、整備自体に問題はないという説明を我々は受けております。

笠井委員 この報告を見ますと、任務遂行が可能な状態にある比率は信頼できないということまで言っているわけでありまして、監査官室は、海兵隊に改善を求めて、妥当性を証明するように要求しているということがあります。

 沖縄配備されたオスプレイの運用をめぐっては、夜間飛行を含めて、昨年の日米合意に違反している実態が沖縄県当局を初めとして関係自治体からも指摘されてきたわけでありまして、それでなくても、これまでも、機体構造上の危険性が指摘をされ続けて、現実に多くの事故が起きている。その上、整備不良のまま配備、飛行訓練をしていたとしたら、これは危険きわまりないことになります。

 大臣言われました今回の監査対象期間には、確かに、オスプレイ部隊が沖縄に配備された時期、二〇一二年の十月以降は含まれておりませんが、しかし、現実にアメリカで国防総省の監査官室からそういう指摘があって、改善まで求められているということでありますので、これが出たのが、十月二十三日付で出たものであります。ことしです。そういう点でいえば、日本政府として、米側に対して、沖縄配備のオスプレイについて、整備記録の調査と結果の公表、これぐらい求めるというのは当然じゃないでしょうか。それもやらないんですか。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、報告書の中においては、米国の、他の地域に配備されたMV22オスプレイの状況について指摘がされているわけでありまして、普天間に配備されましたMV22オスプレイに関しましては、日米合同委員会の合意に基づいてしっかりと運用、整備をされなければいけない、これが基本的な考え方であります。

 そして、そうした運用あるいは整備につきましては、地元からさまざまな不安の声がある、あるいは合意に違反しているのではないかという指摘があるということは十分承知をしていますが、しかし、こうした合意の実施に向けて、平素から我が国は、米国にしっかりと働きかけを行い、意思疎通を図っておりますし、米国においても、この合意を守るべくしっかり努力する、こうした回答を得ております。

 今後とも、日米合同委員会等を通じまして米国側としっかり意思疎通を図り、日米合同委員会の合意がしっかりと実施されるべく努力をしていきたいと考えています。

笠井委員 二〇〇八年から一一年の九月までの間ということで、その点でのことについては、他国に配備されたものについてはこういう結果が出ている。ただ、大臣おっしゃったみたいに、普天間についていうと出ていないわけですよね。

 だから、不安があるというふうにもおっしゃるんだったら、整備記録の調査と結果の公表についても、その後の期間だけれども、どうなっているのか、それは出して、大丈夫なら大丈夫といって示せばいいわけで、そこもやらないんですか。

岸田国務大臣 米国側とは、日米合同委員会等を通じまして平素から意思疎通を図っておりますし、今後とも、意思疎通を図りながら、MV22オスプレイの運用あるいは整備状況につきましては、しっかりと情報提供を受け、そして地元の皆様方の安心につなげていかなければならないと思っています。引き続き意思疎通を図っていきたいと考えています。

笠井委員 意思疎通という問題と、事実を調査、公表するというのは別なので、それはもう広く国民あるいは世界に対して明らかにする問題なので、整備情報について意思疎通を図っていて、アメリカ側が大丈夫だと言っているということで、それをうのみにするんじゃなくて、きちっとした裏づけとなる整備記録の調査と結果の公表を求めるぐらいはなぜやらないのかと私は思います。そういう姿勢だからこそ、オール沖縄の猛反発を食らうんだ。そこはぜひ考えてもらいたいと思います。

 そこで、岸田大臣に伺いますが、十月三日に開催されましたいわゆる2プラス2の共同発表では、「日本本土を含め沖縄県外における訓練を増加させる」というふうにありまして、航空機訓練移転を初めとして、二国間、三国間及び多国間の訓練、さらにオスプレイの日本本土及び地域におけるさまざまな運用への参加など、具体的な訓練まで明示をしております。

 これは、日本語版でいきますと、共同発表の六ページのところにありますけれども、大臣、なぜこういう合意をすることになったんでしょうか。

岸田国務大臣 今回の2プラス2におきましては、日米間の安全保障問題をめぐりましてさまざまな意見交換を行い、そしてさまざまな一致点を見出した次第であります。

 さまざまな課題の中に、やはり沖縄の負担軽減というのは大きな課題として取り上げられました。そして、この2プラス2におきまして、日米両政府は、MV22オスプレイの沖縄県外での飛行訓練を増加させる、こういった点で一致を見た次第であります。例えば、本土における訓練にMV22オスプレイが使用されることで、同機の沖縄での駐留及び訓練の時間が削減されることにより、沖縄の負担を軽減するものになると考えておるところです。

 政府としましては、十月に陸上自衛隊饗庭野演習場における日米共同訓練においてMV22オスプレイの使用が実現したことを第一歩としまして、引き続きまして、沖縄の負担軽減のために、沖縄県外での飛行訓練を行う可能性をしっかりと検討していきたいと考えています。

笠井委員 今大臣の答弁があったんですけれども、そうしますと、日本政府として沖縄の負担軽減のための対策ということで米側に要望した、その結果、合意がなされた、そしてこれを進めるために今後具体的な協議を進めていく、そういう合意だと理解してよろしいんでしょうか。

岸田国務大臣 沖縄の負担軽減の見地から日米で議論を行い、この負担軽減につきまして、県外での飛行訓練を増加させる、こういった一致を見たわけでございます。そして、その第一弾として、十月に饗庭野演習場での訓練におけるMV22オスプレイの使用が実現した次第でございます。

笠井委員 沖縄の負担軽減を日本側から要望して、米側も、そうだねと合意したということでよろしいんですか。

岸田国務大臣 もちろん日本側も、重大な問題として問題提起をさせていただきました。

笠井委員 日本側から重大な問題として問題提起して、こういう形になったと。

 この共同発表の今のページ、日本語版でいきますと六ページになりますが、二段落目のところで「共同訓練・演習」というのがございます。その中に「閣僚は、在沖縄米軍の沖縄県外の場所における訓練」というふうにありますけれども、この「沖縄県外の場所」というのはどこのことでしょうか。

若宮大臣政務官 アメリカ側の航空機の運用に関します具体的な情報を公開しないということにいたしておりまして、御質問のMV22オスプレイの場所につきましては、こういった形では、どこになるかということは、具体的にはまだ決定していないところでございます。

笠井委員 沖縄県外というのは、全てということになるんでしょうか。その範囲という点ではどういうことですか。

若宮大臣政務官 先ほど岸田外務大臣からも御答弁申し上げましたが、先月、滋賀県の饗庭野でも実際に訓練を行わせていただきました。また、同じく先月、予定はいたしてございましたのですが、高知の方でも救難という目的でやろうといたしましたのですが、あいにく台風と重なってしまいまして、そういったことが実施できない、中止ということになりました。こういったことを含めまして、随時これから政府内で検討していきたいということでございます。

笠井委員 具体的には言えないけれども沖縄県以外の場所だということ。県以外というのは、すごく広いわけですね。

 では、さらにその下方に、この共同文書の発表の中で、MV22オスプレイの「日本本土及び地域における様々な運用への参加。」というふうにありますが、この「地域」というのは何を指すんでしょうか。

岸田国務大臣 この「日本本土及び地域」ですが、要は、アジア太平洋地域を指すものと理解しております。

笠井委員 そうしますと、「沖縄県外の場所」というのと「日本本土及び地域」というのは違うのですか。「沖縄県外」というのはもっと広いということになるのか、その辺はどういうふうに見たらいいんでしょう。

岸田国務大臣 御指摘のように、「日本本土及び地域」の方が地域の概念としては広いというふうに認識をいたします。

笠井委員 アジア太平洋とおっしゃいましたが、そのアジア太平洋というのはどこまで入るんですか。どういう意味になりますか。

岸田国務大臣 済みません、私も厳密にどこで線を引くのかということは確認したことはありませんが、通常、アジア太平洋地域といえば、太平洋をめぐる周辺地域だと認識をしております。

笠井委員 アジア太平洋周辺地域というと、これは、前、ガイドラインのときも相当議論になりました、私も参議院も含めていろいろ議論しましたけれども、これ自体が本当に大変な問題になるわけですよね。大臣も署名されているわけですよね。これは合意された文書ですよね。そういう理解でされていると、これはなかなか大変なことになるなと思って私聞きましたが。

 では、オスプレイの「様々な運用への参加。」というのがありますが、どんな運用への参加ということでしょうか、「様々な運用」というのは。

岸田国務大臣 「様々な運用」ですが、例えば、日米二国間、アジア太平洋地域におけるパートナー国との三カ国間及び多国間における訓練ですとか、航空機訓練移転プログラムによる飛行訓練、こういったものを念頭に置いてこうした用語を使っております。

笠井委員 そうしますと、場所の範囲も地域の範囲も非常に曖昧だ。しかも、「様々な運用への参加。」ということも、今もさまざまということを具体的におっしゃっただけなので、これは、協議次第、無限定ということになるんじゃないか。

 明記しているのは、この後にありますが、「このような訓練」というのは、さまざまなというのだから、これ自体がはっきりしないんですが、それに「加えて、」というので、ここで、「例えば、」というので、閣僚は、フォレスト・ライト訓練への参加や低空飛行訓練、空中給油訓練、後方支援訓練といった飛行訓練というふうにある。ここはえらく具体的なんですが、これはつまり、「様々な運用」以外の問題なんですよね、「加えて、」ですから。

 まさに、ここに書いてあるのは、抑止力どころか侵略力の訓練じゃないかということでいうと、非常にこれは曖昧な、しかも、いろいろなことがある。米軍運用次第という話になってきます。

 共同発表にあるように、沖縄県外における訓練を増加させるということになれば、そこで当然、追加的な経費が問題となってまいります。これまでも米側は、沖縄の負担軽減ということで、訓練移転経費の負担を要求してまいりました。今回の合意に基づいて、沖縄県外における訓練を増加させるために、米側が追加的な経費の負担を要求してきた場合、それに応じるということになるでしょうか。

若宮大臣政務官 笠井委員の今の御質問でございますが、追加的な伴う経費というのは、日本側では負担していく予定はございません。

笠井委員 県外でこれから訓練を増加させるということになりますが、そこで追加的経費ということは問題にならないということですね。

若宮大臣政務官 例えばでございますが、厚木基地の艦載機の夜間発着訓練の硫黄島への移転ですとか、あるいは沖縄県道一〇四号線越えの実弾射撃訓練など、私ども日本側の要請に基づきアメリカ側が訓練場所を移転した場合、こういった場合はあれでございますが、アメリカ側が必要となる経費を負担する、これはアメリカが負担するのは当然でございますので、それに伴うものについては日本側では原則として負担しないという解釈でございます。

笠井委員 これは、沖縄の負担軽減ということでそういうことを要求してこれまでもやってきたし、そういうことでいうと、負担軽減と先ほど大臣も言われて、そして日本側がそれを要請したということも言われたわけですから、そうなった場合については当然、追加的経費の負担というのはあるんじゃないですか。

 これは、四月二十六日の外務委員会で私が大臣に質問したときに、大臣も、航空機訓練移転について、日本側が訓練移転を要請する以上、移転に伴う追加的な経費を負担することは適当だと認識していると答弁されていると思うんですが、日本側が要請したものについてそういうことが出てくるということは、可能性はあるということですよね。あのとき答弁されましたよね。

岸田国務大臣 その状況や案件にもよりますが、今御指摘がありましたように、日本側から申し入れて負担をするということはあり得ると思っております。

笠井委員 防衛省に伺いますが、昨年十月に沖縄にオスプレイが配備されて以降、本年九月末までに沖縄県外で実施した訓練回数とその内容について、訓練名とオスプレイの参加機数、何機参加したか、報告してください。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 MV22オスプレイの沖縄配備以降に沖縄で実際に実施した訓練回数、参加機数につきましては、米軍の運用の詳細に係る事項でございますため、私どもでは承知をいたしてございません。

笠井委員 防衛省に私どもが資料要求したときには、そういうことについて言うと、そういうことについて前提とした上で、出された文書がここにありますけれども、「沖縄へ配備されたオスプレイの平成二十五年九月末までの訓練状況について」ということで文書を出してくれたんじゃないですか。これも、出してないとか言わないという話になるんですか。ここにはちゃんと前提が書いてありますね、もちろん。「訓練の回数等は米軍の運用の詳細に係る事項であり承知していないが、米側より日本政府に通知された訓練情報として承知しているものは以下のとおり。」ということで、そういう形で出しているでしょう。これについて言ってくださいよ。

若宮大臣政務官 訓練内容につきまして、米側から日本側に対して通知があったもの、あるいは対外的に公表されたものといたしましては認識をいたしてございます。

 先生資料で御指摘のとおり、例えばグアムへの訓練移転の支援ですとか、あるいはフィリピンとの共同訓練ですとか、そのほか、韓国あるいはオーストラリア等々との、あるいはアメリカとの共同軍事演習等、もう御存じのところだと思いますが、そういった形では実際に公表されていると存じます。

笠井委員 その中でオスプレイは何機参加しているというふうに承知していますか。

若宮大臣政務官 まことに恐縮でございますが、具体的な訓練回数それから参加機数については、私どもでは承知をいたしてございません。

笠井委員 私ども資料をいただきまして、詳細には述べてくれなかったんですけれども、日本国内で一回、日本以外では八回。そして十月には、先ほど大臣おっしゃいましたが、滋賀県の饗庭野の訓練にも沖縄配備のオスプレイが参加しております。

 その中で、昨年十一月から十二月にグアムで実施された米軍機の訓練では、オスプレイを含めた米軍機の訓練移転費を日本側が負担していると思うんですが、幾ら負担していますか。

若宮大臣政務官 委員御指摘の昨年十一月二十九日から同年十二月十八日に実施したグアムへの移転訓練でございますが、オスプレイ三機の飛行経費につきまして、全体としては二千百万円と算出されてございます。また、米軍再編に係る訓練移転の経費分担ということで、経費の約四分の三を日本が負担するということになってございます。これによりまして、日本側の負担というのは、約二千百万円の七五%ということで、約一千六百万円ということになります。

笠井委員 米国領域以外、グアム以外では、先ほどの防衛省からいただいた資料でいきますと、フィリピン、コブラゴールド、タイ、それから韓国、豪州などにオスプレイが派遣されておりますけれども、防衛省の説明によれば、その経費については日本側が負担していないということでありますが、なぜでしょうか。

若宮大臣政務官 委員御指摘のとおり、確かに日本側では一切負担してございません。

 これは先ほどもちょっと申し上げましたのですが、私ども日本側の要請に基づきましてアメリカ側が訓練場所を移転した、そういったような場合を除くということになってございますので、私どもの方では負担いたしていないということでございます。米軍の判断でなさっておられるということでございます。

笠井委員 では、今後そうした枠組みをするような協議はないということでよろしいですね。

若宮大臣政務官 昨年九月の日米合同委員会の合意に基づきまして、まずは、沖縄負担の軽減という観点からさまざまな案件を検討いたしているところでございます。日本側による支援のあり方も含めて米側とは検討させていただいておりますが、この内容につきましては、米側との関係もあり、お答えを差し控えさせていただければと存じます。

笠井委員 時間が来たので終わりますけれども、去る四月二十六日の当委員会で私の質問に防衛省が認めたように、既に、航空機の訓練移転では、追加的費用を日本が四分の三負担して、そして訓練の移転先を米国の施政のもとにある地域にまで広げているわけですね。その結果、日本の負担額というのは、二〇一一年度に比べて予算額で五倍、実績額で約五倍になっております。さらには、オスプレイ配備に伴って、米国領域外でもいろいろなことが行われる。そして、先ほど地域を伺っても、どこだというのがはっきりしないし、それから沖縄以外というのも、どこか、どんな運用かということもわからない状況の中で、いろいろな形で、結局、負担軽減を口実にして米側がまた要求してくれば、これも際限なくというふうになります。

 まさにそういう点でいいますと、オスプレイは、海兵隊だけじゃなくて、CVで今度、横田も含めた配備計画などが報じられているわけです。大臣が抑止力の維持というのを繰り返されるわけですけれども、今回の2プラス2合意自体が、米軍のそういった地球的規模での展開のために一層の日本の負担を受け入れるというものになっている。まさにそういう点でいうと、オスプレイの配備、訓練というのが、海外への殴り込み任務を遂行するための侵略力を高めるのが目的で、現にそういう訓練を海外でやっている。

 そういう点でいうと、また引き続きやりますが、オスプレイの低空飛行訓練の中止と配備撤回こそ必要だということを強く求めて、きょうは終わっておきます。

鈴木委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 外務委員会初登板をさせていただきます、みんなの党の杉本かずみと申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、きょうのテーマは国際情勢に関する件ということで、いろいろたくさん質問を用意した関係もあって、恐らく全部質問できないと思いますので、次の一般質疑にまた回る部分もあると思いますし、私の方からは、どなたに答弁をしていただいても結構だということの中で、非常に多くの政府参考人の方にお運びいただいているという状況でございます。

 ある意味で、外務大臣をサポートしたいという思いでいらっしゃるかと思いますが、一方で、国会は国権の最高機関であるので、来ていただいて大変ありがたく存じますが、業務に支障があってもならないという思いもありますので、答弁をされる方についてはよく御吟味いただいて、余りたくさん来ていただくのは決して私の本意ではないということをこの場で申し上げておきたいと思います。

 それでは、小川代議士初め、外務大臣がリベラルの中心的な方であるというようなお話がございましたが、あえて私はちょっとさかのぼって、大平正芳先生や鈴木善幸先生、あるいは宮沢先生、古賀先生、丹羽先生、今もいらっしゃいますけれども、そういった流れの方々は保守本流と言われてきた方々だと私は認識をさせていただいておりますので、そういった意味からは、リベラルと保守本流という言葉が混在するような昨今でもあるとは思うんです。

 英国では、リベラルという表現はまさしく、それこそチャーチルさんであったりというような方々がリベラルと称されるリベラルであって、アメリカで言うリベラルという意味とは違うという点から、私は、あえてこの保守本流ということの意味の方が、岸田大臣のお立場あるいは委員長のお立場がそのあたりでいらっしゃるのではないかという思いを持って、今の国政全体の動きの中で本当に存在感を示していただきたいと心からお願いを申し上げます。

 そんな中で、まず、中東、アフリカの問題等から入らせていただきたいと思います。

 ちょっと昔の話で恐縮なんですが、一九九〇年前後、ベルリンの壁崩壊のころに欧州にいさせていただいたことがあるんですけれども、当時、タイムズだとかガーディアンだとかインディペンデントだとか、もろもろ新聞があっても、やはり日本の記事というのはほんの小さな記事でしか書いていただけていなくて、むしろアフリカという、地理的にも近いし、あるいは政治的にも近いという国々をヨーロッパは非常に近く感じているという状況を、九〇年代あたり、私はこの肌で感じてきた次第であります。

 一方で、当時、なかなか日本側がアフリカについて、いろいろ考えてくださっている方もいらっしゃったと思いますが、逆に中国がスーダンあたりに鉄道を敷くとか、そんなことももっと昔にあったようなことで、日本がアフリカに注目を始めたというのは本当に最近なのかなという感じがしてなりません。

 そんな中で、直近の報道によりますと、安倍総理が来年一月ごろにアフリカ三カ国、南アフリカ、モザンビーク、コートジボワールを訪問されるというような記事がございましたけれども、なぜこの三国が選ばれているのか、そして、この三カ国に行かれる目的、狙いあたりは、外務省として、あるいは外務大臣としてどういう御認識でいらっしゃるかを教えていただきたいと思います。

石原大臣政務官 杉本先生にお答えいたします。

 報道がされているんですけれども、今のところ、安倍総理のアフリカ訪問については決まっていないという状況でございます。

 ただ、六月のTICAD5において、安倍総理はアフリカ訪問をしたいという強い意向を示されておりますので、今、外務省の方で検討しているところであります。

杉本委員 ありがとうございます。

 まだ未確定ということでありましたが、今申し上げた三カ国ということで情報が来ておりますが、やはりその目的、狙いあたりをできるだけ明確にしていただいて、そして、やはりルック・アフリカということ、あるいはアフリカでなくて南米なのかもしれませんが、我々はアジアに注目しがちでありますけれども、地球は丸く広いということでもありますので、ぜひとも外務大臣初め皆様に、アフリカにも大いに、活動いただいていると思いますが、引き続き大いに御活動をお願いしたいと申し上げます。

 次に、先般、安全保障委員会で自衛隊法の改正の審議があって、衆議院を通過したということがございました。アルジェリアの人質事件を契機に、我が国の車両が主権のある国のところで活動してもよろしいのではないかというような中身の法案であったわけでありますけれども、そんな我が国の法改正が行われているさなか、アフリカのマリでフランス人の記者二名が武装した男性らに連れ去られ、殺害されたということがあったようでございます。

 この点を考えると、今、外務省の組織図を見ますと、中東アフリカ局、そこから横棒が出てアフリカ部という組織体制になっているかと思います。どちらかというと地理的に、中のセクションを見ると、中東一課がアルジェリアを担当し、マリはアフリカ一課が担当されているということで、今は分掌がなされていると理解させていただいています。

 今回のテロなんかでも、国という単位とか地理的な問題というよりは、やはり言語の問題、フランス語圏ということの中で、アルジェリアの我が国が被害を受けた事案もですし、今後のテロの脅威に対する備えという意味で、共通言語、旧宗主国の関係が非常にアフリカの場合あると思いますけれども、そんな関係からして、今組織を変えてくださいとかそういうお願いをするのはなかなか時宜を得ていないとも思いますので、そういった意味からすると、やはり組織運営あるいはソフトのあり方みたいなところがむしろ、このマリの殺害事件あるいは我が国が被害を受けたアルジェリアの事案、こういったところを考えると、共通言語の中でタスクフォースを組むとか、あるいは定期的な会議を持つとかいうような情報共有、情報蓄積が、我が国の、あるいは我が国民の安全、安心を担保するためにも必要かと思います。

 現在、そういった情報共有のあり方だとか、あるいはタスクフォースを今後つくっていこうという意向があったりとか、このあたりはどうなっておられるかを教えていただきたいですし、防衛武官を、駐在させる人数をふやすというような動きがある中で、防衛省との連携は今どうあって、今後さらにどう深まっていくのか、このあたりを教えていただきたいと思います。

石原大臣政務官 テロ情勢を含む地域事情については、外務省内において、関係する地域及び分野を所管する部局等を横断して必要に応じ会議を行う等、不断に情報共有、蓄積を行っているところであります。

 また、防衛省を含む関係省庁とも、情報共有等の連携を必要に応じて行っているところであります。

 今御指摘のありましたマリでありますけれども、例えば、北アフリカ、サヘル地域のテロ情勢、サヘルというのは周辺ということのようですけれども、テロ情勢については、大臣官房、中東アフリカ局アフリカ部、領事局、国際情報統括官組織の関係者による情報共有、意見交換のための会議を月一、二回、随時開催しているところであります。

杉本委員 随時あるいは月に一回、頻度をもって、組織の壁というのはどういうところにもできてくるというふうに感じておりますので、そういった意味からは、ぜひ引き続きそういった運用をお願いさせていただきます。

 次に、似たような観点ではあるんですけれども、真の外交のプロというのは、外交官の方々が人事ローテーションで異動せざるを得ないみたいな部分もあるかと思いますが、やはり語学力を持った専門家という専門的な職員の方に我が国の在外公館に勤務いただいて、それを長く蓄積することによって本当の意味での人脈をつくっていっていただく必要があると思っています。

 そういった意味から、最近の人事ローテーション等から鑑みて、もう少し在外の勤務期間を長くしてもいいのではないかと考えておりますけれども、現状どのくらいの長さで回っておられて、今後、そういった長期化させて専門家を養っていく、先ほど人数のお話があって、小熊代議士からだと思いますが、もっと人数をふやしてという、私も賛意を示したいと思いますが、一方で、その中でのノウハウの蓄積という点で、この在外勤務期間の長期化といったことについては、どんな状況であって、どういう方向感をお持ちでしょうか、教えてください。

石原大臣政務官 我が国外交の幅が拡大していることを鑑み、語学、地域、分野ごとの専門家の育成は重要であるというふうに認識しております。従来より、研修の充実を図るとともに、専門性を考慮した人事配置を実施しているところであります。

 特に外務省専門職員採用試験の合格者については、地域、分野ごとの専門家として採用、育成してきており、例えば二、三年の在外研修の後、原則として三年から五年の間、在外公館に配置し、外交の現場で現地語を用いた勤務を経験させることとしているところであります。

 また、特に専門職職員等の中でも高度の専門性を有する職員については、専門官として認定する制度を設け、専門性に配慮した人事配置をとることにしているところであります。

 他方、よき外交官となるためには、外国における十分な経験に加え、我が国の国内にも一定期間勤務し、我が国国内の情勢、政策について理解を深めることも必要であり、今後とも、語学等の専門性の強化と国内での経験のバランスに配慮しつつ、適切な人材の育成を図ってまいりたいというふうに考えております。

杉本委員 今、二、三年、三、五年と。足しても五年、八年、こういう長さだと思うのですが、本当に、ある意味で、情報をとってきてくださるというような人脈を持てる人というのは十年、十五年選手だと認識しておりますので、そういった方もぜひ養成して、その国の、その地域のプロといった方々を我が国としても確保していくようにお願いを申し上げます。

 次に、北方領土等の問題について質問をさせていただきますが、さきの常会で、沖縄北方委員会で私は質問に立たせていただいて、岸田外務大臣にもあるいは山本一太大臣にも、ぜひ北方領土に行っていただきたいということで、具体的な日にちはありませんでしたが、いつかは行きたいというお言葉を外務大臣から言っていただいた記憶がございます。山本一太大臣におかれましては、実際に、国後と択捉だったか、行っていただいたかと思いますので、感謝を申し上げ、引き続き御尽力を賜りたいと思います。

 そのロシアのことについて、直近、私も八月の上旬に二度目の北方領土、色丹に行かせていただきました。国後経由というか、入域チェックを国後で受けつつ、色丹にまた入ったんですが、国後は、前メドベージェフ大統領のときに国後に行かれたというか、来られたと言った方がいいかもしれないんですが、ということの中で、その準備のために、港であったり、あるいは空港の整備というのは、国後はかなり進んでいるという実態を見てまいりました。

 一方で、色丹島については、二〇一〇年ですね、私が行ったときには、色丹島の船着き場の桟橋は、ぷかぷか木で浮いているようなものでしかなかったわけでございます。しかし、ことしの八月に二度目の色丹島入りをさせていただいたときは、その前年にコンクリートを打った形で、いわゆる岸壁がしっかりと色丹島にでき上がっている。あるいは、色丹島の中に上陸すると、総合病院を建設中である。あるいは、帰りの日に入ってきた情報ですけれども、総合グラウンドの整備をしたり、プールの整備もするという約束を地域の担当の重鎮から話をもらった、こういう村長からの話があったりしました。

 そんな意味から、北方領土、クリル発展計画の中で随分お金をロシア側が投下して開発を進めているというのが、国後にかかわらず、色丹についてもいよいよ始まってしまっているということで、余り時間がなくなってきたのではないかなという思いをして私は帰ってまいりました。

 そんな状況で、ロシアとの北方領土問題に関係することとして、ロシアの国境問題というのは、バルト三国のエストニアや中国の河川を隔てての領土問題というのが解決されたやに聞いておりますけれども、それらの事実関係をまずちょっと確認させていただきたいと思います。今、どんな状況でございますか。

石原大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、エストニアとロシアとの間では、一九九一年のエストニアの独立以降、一九四〇年八月のソ連編入前の国境線を主張するエストニアと、ソ連時代の境界線を主張するロシアが交渉を断続的に行ってきた結果、本年、二〇一三年の五月に、ロシアの主張に従う形で交渉が妥結したというふうに承知をしております。

 また、中ロ間の国境問題に関しては、一九六〇年代に中ソ間で武力衝突にまで発展をいたしましたけれども、一九八〇年代後半から、両国は、河川の主要水路を国境とすることで島の帰属を決めるとの立場で交渉を再開いたしまして、その後、十五年余りの交渉を経て、二〇〇四年の十月のプーチン大統領の訪中の際に、中ロ間の国境の最終的な画定について合意に至った。具体的な国境の画定の詳細は、現在は公表されていないというところでございます。

杉本委員 重ねて伺いますけれども、現在、ロシアが抱えている国境問題というのは北方領土問題だけというような認識でいいのかどうか。この点、外務省はどういう御認識でしょうか。

石原大臣政務官 日本政府として正確にお答えする立場にはないと考えますけれども、ロシアが抱える主要な領土問題としては、事実上、北方領土問題のみとなっているという認識を持っております。

杉本委員 次に、岸田外務大臣は、プーチン大統領が、野田前総理にだったかと思いますが、引き分けという表現を使われたといったことに関して、引き分けということに対して賛意を示されたやの情報がありましたけれども、その賛意を示されたのが事実かどうかという点と、それが示されたのであるという事実の上でお伺いしたいんですが、賛意を示されたのであればその真意、あるいは具体的な方策等をお持ちであれば、開陳できる範囲で教えていただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、プーチン大統領の引き分け発言ですが、これにつきましては、本年二月に森元総理が訪ロした際に、プーチン大統領に対しまして直接、その意味、趣旨につきまして質問をしておられます。そして、それに対しまして、プーチン大統領からは、勝ち負けなしの解決、すなわち双方受け入れ可能な解決、こうしたことを意味するんだという発言がありました。

 そして、その後、四月に、我が安倍総理が訪ロされました。その際に、共同声明が採択されておりますが、その声明の中で、両国首脳は、平和条約の双方に受け入れ可能な解決策を作成する交渉を加速することで一致をしております。

 したがって、引き分けとは、双方に受け入れ可能な解決策を目指すということであり、そして、そのために具体的な解決策を、今後、両国の交渉により見出すべきであると考えております。

 こうした具体的な解決策をしっかりと両国でつくっていこうというこの対応につきましては、私はそうあるべきだというふうに思い、この引き分け発言について触れさせていただいた次第であります。

杉本委員 ありがとうございます。

 大変重たい賛意を示していただいた姿勢だと感じさせていただいております。

 そこでなんですが、勝ち負けなし、双方受け入れ可能、具体的な解決策をという中で、両国が2プラス2を日米だけではなくて日ロという形で開いていこうという流れになって、直近もそれが東京で開かれたということでございます。

 外務大臣におかれては、来年モスクワにという御招待があったやに聞いておるんですが、まず、これは事実かどうか確認させてください。

岸田国務大臣 十一月一日に行われました日ロ外相会談、ですから、十一月二日の日ロ2プラス2の前日の夜に開催されました日ロ外相会談の際に、ラブロフ外相からモスクワ訪問の招待があったことを受けまして、来年春をめどに私が訪ロさせていただきまして、外相会談を行う方向で調整することで一致をしたということでございます。

杉本委員 来年春をめどということで、経緯まで御説明いただいてありがとうございます。

 その場合、モスクワにというお話のようなんですが、やはり、我が国が北方領土を返していただいて、そして平和条約を結んでいくという流れの中で、経済交流といったものを深めていかなければならないわけで、安倍総理と随行した方々がそういった動きをされたのも記憶に新しいわけでございます。

 そんな意味からすると、過去のロシアと我が国首脳との面談というか会談というような場所は、ウラジオストクであったりイルクーツクであったりと、もろもろあったわけでございまして、ぜひとも極東、シベリアあるいは我が国の北海道といったものを少し意識していただいて、そんな中で、今回はモスクワで当然結構かと思いますけれども、今後の、多分頻度を増していかれるであろうし、スピードアップされていかれるであろう面談の場所の設営についても、ぜひ柔軟に考えていただきたいと思っております。

 極論すると、国後の古釜布でもいいのではないかというぐらいのこともお願いしたいと思いますが、この点についてはどうお考えでいらっしゃるでしょうか。

岸田国務大臣 一般論で申し上げるならば、首脳会談あるいは外相会談につきましては、その開催地は、そのときの状況等を総合的に勘案して、最も適した場所を選ぶものであります。よって、御提案がありましたロシア極東ですとか北海道ですとか、こういった地で開催する可能性、これは全く排除されるものではないと認識をしております。

杉本委員 ありがとうございます。

 前向きな御答弁というふうに受け取らせていただいて、そういった形で、ぜひとも北方領土問題解決に向けた方向感を強めていただきたいと思います。

 それで、2プラス2の前後で、安倍総理は、ロシアのラブロフ外相、ショイグ国防相と会談した際に、北方領土問題解決に向けた平和条約締結に強い意欲を示されてくださっておりますけれども、ちょっと改めての基本的な確認なんでございますが、北方領土問題の解決と平和条約の締結、この順序はどういう順序で考えておられるのか、あるいは同時決着というようなことも考え得るのかどうか。

 あとは、相手のあることなので何とも言えないわけでありますけれども、今後の、希望的観測とは言わず、ぜひそうしていただきたいと思いますけれども、スケジュール感などもお話しいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、我が国の北方領土問題に関する基本方針ですが、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するというものであります。この方針は全く変わっておりません。よって、北方四島の帰属の問題の解決なくして平和条約を締結することはないと考えております。

 そして、スケジュール感につきましては、先日の日ロ外相会談の場で、次官級協議を来年一月末から二月初めに行う、こういったことを確認させていただき、また、私自身の訪ロも来年春をめどに行う、こういったことで一致をしたわけではありますが、それ以外の具体的なスケジュールについては、まだ今の段階で明言することはなかなか難しいと考えています。

杉本委員 今おっしゃっていただいた次官級協議が一月、二月で、春には外務大臣も行かれるということでございますが、やはり、北方領土問題の冒頭に申し上げたように、色丹島でも開発がかなり進んでいるという実態、十分御存じでいらっしゃると思いますけれども、そういった意味から、時間をかけていると一種相手のペースのような気もしてならないわけであります。交渉事は相手があるわけで、長い協議や話し合いが大切であることもわかるんですけれども、一方で、やはり政治のリーダーシップというものが問われていると思っております。

 安倍総理、岸田外務大臣におかれては、次官級協議、事務方という側面も大切にしていただきつつも、時としては英断をしなければいけないというときも近づいていると感じておりますので、勇み足はいろいろな波紋を呼んでしまうと思いますし、外務大臣におかれてはそういうことのない方だというふうに私は拝察しておりますが、そういう慎重な部分も含めつつ、大いに御活躍をいただいて、御英断をするタイミングを、あるいは総理の御英断かもしれないんですが、それに導く役回りを、ぜひ御活躍をいただきたいとお願いを申し上げます。

 あと、次に、スパイ活動等の問題についてちょっと話を移させていただきます。

 十月二十五日の記者会見で、外務大臣は、一般論として、通信の自由、秘密を保障している外交関係に関するウィーン条約の観点から問題があるということを、米国の諜報活動等について認識を示されたということを聞いておりますが、この問題について、今も外務大臣におかれてはその御認識は変わっていないのかどうかを教えてください。

岸田国務大臣 さきの記者会見における私の発言ですが、在外公館等の通信の自由あるいは秘密を侵す形で情報収集活動をするということにつきましては、外交関係に関するウィーン条約に違反するということを、あくまで一般論として申し上げた次第でございます。

杉本委員 米国情報機関による通信傍受への批判が高まっておりますけれども、アメリカ政府当局、NSAだったかと思うんですが、NHKの取材に対して、いわゆるファイブ・アイズと言われるイギリス及びオーストラリア初め英連邦国、そういった国々の五カ国以外、日本などの同盟国も諜報活動の対象になっているというようなことを、NHKの取材によって情報がもたらされておりますが、事実のほどは定かではないかとも思います。

 我が国サイドとして、実際に重要な情報を、今もお持ちでいらっしゃるかもしれませんが、当然そうなわけでございますけれども、総理や外務大臣の携帯電話、あるいは官邸での会議の中身、こういったものが傍受されない防備、運用といったものを工夫していただいているのか、あるいは、いや、ここはこれからだよということなのか、このあたりを教えていただければと思います。

能化政府参考人 情報保全につきまして御質問いただきました。

 常日ごろより、総理の携帯電話や官邸の会議を含めまして、総理に係る情報の保全については対策に万全を期しているところでございます。

 ただ、その具体的な対策の内容につきましては、詳細を明らかにすることによりまして今後の情報保全に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

杉本委員 大丈夫ですよというお言葉かとはお聞きしましたけれども、やはり、情報をとろうという方の熱意というのはかなりのものだと思いますので、念には念をということで、引き続き鋭意努力をしていただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、アメリカとドイツがスパイ禁止協定を締結する方向で合意したという、これもまた報道で恐縮ですが、ございます。

 我が国において、そのようなスパイ活動を禁止する協定を他国と結ぶ検討はされておられるかどうか、その必要があるかどうかを確認させてください。

岸田国務大臣 まず、米国とドイツのスパイ禁止協定でありますが、それにつきましての報道があったことは承知をしております。

 ただ、これは三国間のやりとりですので、私の立場からそれについてコメントは差し控えたいとは思いますが、我が国としましては、情報の防護につきまして万全を期していかなければならないと考えています。我が国にとって、どういった形で情報を防護するのが最も適切なのか、さまざまな検討、検証を加えて、最適な方法をしっかり選んでいきたいと考えています。

杉本委員 質問の流れからして、残余の質問については次回に持ち越しをさせていただき、ちょっと切りがいいので、以上をもって質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 本日の外務委員会での質問のラストバッターでございます。九番センター、玉城デニーです。よろしくお願いいたします。

 きょうは、2プラス2とそれからAPECについて質問させていただきたいと思います。

 十月三日、日本側が外務、防衛両大臣、アメリカ側からは国務長官、国防長官の出席を得て、日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2が東京で開催されました。

 共同発表では、アジア太平洋地域において変化する安全保障環境について意見を交換し、指針の見直し、防衛協力の拡大、在日米軍の再編を支える新たな措置の承認などを確認し、地域及び国際社会におけるパートナーとの多国間協力の重要性についても強調したとされています。

 以下、その共同発表から抜粋して質問をさせていただきたいと思います。

 まず、二国間の安全保障及び防衛協力の項からお願いします。

 施設の共同使用についてですが、この項目では、日本の南西諸島を含む地域における自衛隊態勢の強化に関して、日本及び米国の施設・区域の共同使用の実現と進展は、「地元とのより堅固な関係を構築しつつ、同盟の抑止力を強化する。」というふうにあります。

 地元での賛否の意思、特に与那国島などの南西諸島地域では、自衛隊についても、強行配備反対が、ある程度、一定程度明白な事実となっています。その賛否はそれぞれいろいろ拮抗しているようですが、しかし、現状に鑑みると、このような、情勢が拮抗しているというその状況にあって、堅固な関係と抑止力の強化というのは一体何をあらわすのか、ぜひお答えください。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 自衛隊及びアメリカ軍がそれぞれの施設・区域を共同使用するといいますことは、日米共同訓練の多様性また効率性を高める、そして警戒監視活動等の範囲や活動量をふやすことを通じまして、日米同盟の抑止力の強化や相互の運用性の向上に資すると考えてございます。

 特に、委員御指摘の、共同使用のために、自衛隊が在日米軍の施設・区域内及びその周辺において活動を行いますことは、在日米軍と地元のコミュニティーとの円滑なコミュニケーションの促進、また地域社会の活性化、あるいは災害時におきます御地元の皆様方の安全の確保などにも資する面があると考えております。

 こうした点から、私ども防衛省といたしましては、南西諸島を含みます地域における自衛隊の態勢を強化するために、御地元の皆様方の関係を踏まえつつ、引き続き、幅広く共同使用について検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

玉城委員 確かに、自衛隊における急患搬送など、宮古、石垣島では、自衛隊の皆さんの大変な献身的な御協力によって、急患輸送、あるいは沖縄本島全体でも、毎週のように不発弾の処理が行われております。そういう状況を鑑みると、その努力に関してはひとしく県民は理解を示しているものというふうに思います。

 一方で、米軍との施設の共同使用ということに踏み込んでいくとなると、米軍のさまざまな問題が山積している地域においては、たとえそれが米軍基地の少ないと言われている南西諸島地域、宮古、石垣、あるいは与那国あたりであっても、そこからまた、きな臭い、いわゆるそういう米軍との関係が緊張感を高めるのではないかというふうな懸念があるということも御承知おきいただきたいと思います。

 さて、二国間の計画検討作業という点についてお聞きいたします。

 変化する安全保障環境において、日米同盟が日本を一層効果的に防衛し、地域のさまざまな課題に一層効果的に対処することができるよう取り組む、このことと、この一層効果的に対処することができる取り組みの鍵になる要素として、やはり、平時及び危機における二国間のメカニズム強化と、さらには自衛隊及び米軍による日本国内施設への緊急時のアクセスを改善するとあります。

 平時と緊急時という言葉がここで出てくるんですが、では、それを少し押しなべてといいますか理解する意味で質問したいと思います。

 平時における米軍による施設へのアクセスというのはどのような想定なんでしょうか。また、日本国内施設への緊急時のアクセスとは、具体的に例えばどの施設、どのエリアなどを想定して書かれているものなのか、お聞かせください。

岸田国務大臣 日米両政府は、一九九七年の日米防衛協力のための指針に基づいて、従来から、日本に対する武力攻撃や周辺事態に効果的に対応できるよう、日本に対する武力攻撃に際しての共同作戦計画についての検討、あるいは周辺事態に際しての相互協力計画についての検討を含む日米共同作業を行ってきております。

 今回の共同発表は、これまでの日米2プラス2共同発表と同様、安全保障環境の変化を十分に踏まえた上で、より具体的な計画検討作業の持続的な進展の重要性を強調したものであります。

 また、日本国内の施設への緊急時のアクセスの改善とは、二〇一一年の2プラス2共同発表同様、空港及び港湾を含む日本の施設の緊急時の使用が重要であり、この点について、今後も日米双方が努力し、改善を重ねていく、こういったことを一般的な意味で確認したものであります。

 本件作業の具体的な内容あるいは進捗状況については、これは緊急事態における対応ぶりともかかわりますので、具体的なことにつきましては控えさせていただきたいと存じます。

玉城委員 ありがとうございます。

 この緊急時の対応については、いわゆる有事という意味での緊急事態よりも、災害発生における、その場合の緊急事態ということの方が、想定としては、県民にとっても地域の皆さんにとっても想像はかたくないというふうに思います。

 しかし、その一方で、防衛装備・技術協力の点でちょっとお伺いいたしますが、この緊急時にいろいろな施設にアクセスすることができるというものが、どういう機材、機体であれ、船体であれ、車体であれ、どういうものであるかということはやはり今お答えできないということではあると思うんですが、日米装備あるいは技術の定期協議における二国間の議論、役割、任務、能力に関する対話と新たな連携に関してはこのようになっています。日本が武器輸出三原則等についての検討と、それからF35の製造への日本企業による参画といったことが記されています。

 このように、ますます日米間の関係が強化されてくる段階で、この共同発表で言う、いわゆる武器輸出三原則等についての検討、あるいはF35の製造への日本企業による参画という部分は、どのような根拠から確認されていることなのか、お聞かせください。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 武器輸出三原則等につきましては、これまで個別の案件ごとに措置を講じてきましたほか、平成二十三年の末には、防衛装備品等の海外移転に関する基準によりまして、一定の類型については、厳格な管理を行うなどを前提といたしまして、同原則等によらないことといたしてございます。

 また、委員御指摘のとおり、本年三月には、F35の製造等に係る国内企業の参画についても例外化措置が講じられたところでございます。

 こうしたところで、武器輸出管理をめぐる状況や近年の安全保障環境といったさまざまな要素を踏まえまして、本年七月に公表いたしました防衛力の在り方検討に関する中間報告に、武器輸出三原則の運用等の現状については検証いたしているところでございます。

 先月の2プラス2の共同発表につきましては、今後の日米間の防衛装備・技術協力を、既に公表、実施されているこれらの施策、取り組みを背景といたしまして、深化をさせていくべきである旨を述べたものでございます。

 以上でございます。

玉城委員 続いて、今まさに今国会の一番肝の部分であります情報保全についてお聞かせいただきたいと思います。

 情報保全の強化により、二国間の信頼関係の強化、死活的な役割の確認、情報保全に関する政策、慣行、手続の強化について相当な進展を想起したというふうに文言で表現されています。特に、法的枠組みの構築における日本の真剣な取り組みを歓迎し、より緊密な連携の重要性を強調したとされています。

 ここで言う法的枠組みの構築、まさにこの部分ですね、この法的枠組みの構築における日本の真剣な取り組みということは、現在国会で審議が進んでいる日本版NSC設置法案や、現段階ではまだ審議に入っていませんが、特定秘密の保護に関する法案などを念頭に置いて確認されたものなのか、お聞かせください。

    〔委員長退席、原田(義)委員長代理着席〕

岸田国務大臣 まず、日米両政府は、情報保全体制に対する共通の信頼を増進することを目的として、二〇一〇年三月ですが、情報保全についての日米協議、BISCを設置しております。

 当該協議を通じまして、日米両政府は、政府横断的なセキュリティークリアランスの導入、あるいはカウンターインテリジェンスに関する措置の向上、こうしたものを含む情報保全のさらなる改善に向けた方策について意見交換を実施しており、相当の進展という言葉は、こうした取り組みを踏まえた記述であります。

 そして、御質問の、法的枠組みの構築における日本の真剣な取り組み、これは、政府内で検討が行われていた特定秘密保護法案の策定に向けた我が国政府の取り組みを指すものであります。

    〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕

玉城委員 特定秘密保護に関する法案については、また改めてもろもろ深く質問をさせていただきたいと思いますが、こういうふうに日ごろからの情報保全のための取り組みがあるということは今確認ができた次第です。

 続いて、共同訓練・演習についてなんですが、今後、情報がますます共有化され、地域間での連携が進んでくるということについては、自衛隊及び米軍の運用の実効性、相互運用性、即応性、機動性及び持続性を強化、向上し、日米同盟の抑止力を強化するというふうになっております。

 その場合に、在沖米軍の沖縄県外の場所における訓練継続の重要な取り組みを認識し、同盟の抑止力を維持しつつ、日本本土を含め沖縄県外における訓練を増加させるための機会を活用するとして幾つか挙げられ、MV22オスプレイの日本本土及び地域におけるさまざまな運用への訓練参加、低空飛行訓練、空中給油訓練、後方支援訓練なども挙げられています。

 このような米軍の共同訓練に連動した運用による実態というものは、いわゆる日本政府がよくおっしゃっている負担軽減につながらないどころか、これは全国への危険の分散と地域への新たな負担の増加であることははっきりしています。このことについての見解はいかがでしょうか。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のMV22オスプレイにつきまして、沖縄の負担を軽減いたしまして本土に分散させる、そうした観点からも、昨年九月の日米合同委員会の合意に従いまして、沖縄以外の場所での飛行訓練を行う可能性を検討してまいっているところでございます。

 その上で、先月三日の2プラス2共同発表に、MV22の沖縄における駐留及び訓練の時間を削減する、日本本土及び地域におけるさまざまな運用への参加について盛り込み、本土におけるMV22の訓練についてさまざまな機会を活用することを決定した旨を発表させていただいております。

 先ほどの答弁でもちょっと申し上げましたが、先般の滋賀の饗庭野の訓練、あるいは、台風のために中止となりました、地震が発生するということを仮定いたしました高知での訓練等々ございますが、沖縄または近傍でなく、本土において実施するものであり、我々も確実に沖縄の負担軽減になるものと考えているところでございます。

玉城委員 新聞報道で恐縮ですが、一点、県知事のコメントを紹介しておきたいと思います。

 これは十月四日の朝日新聞に載っているコメントですが、2プラス2の共同発表を受け、仲井真県知事は、普天間飛行場の辺野古移設について、実現は事実上不可能で、県外移設を求める考えに変わりはないと厳しい立場を崩していないということです。

 ですから、訓練を二、三日移す、あるいは二、三カ所に持っていくといっても、負担軽減にはならないどころか、そこの地域への新たな危険の持ち込みになるということが、沖縄県側からはそのことも含めて懸念が示されているわけでございます。そのことをお含みおきいただきたいと思います。

 さて、もう時間がありませんので、APECについての質問を一つ、二つさせていただければと思います。

 APECでは、東アジア地域の経済連携について、我々の地域が世界成長の主要なエンジンであることを認識し、地域経済統合の強化、深化及び域内国際貿易と投資の障壁撤廃に向けた共同のコミットが確認されています。APECにおける我が国のイニシアチブは非常に有意義な方向にあることが推測されています。

 さて、協議の実態が不透明で、国益の是非が見通せず、貿易総額では既にアメリカとアジア地域とが逆転しているアメリカ主軸のTPPの交渉よりも、はるかに国益にかなうRCEPなどの東アジア地域の経済連携協議へと進めることの方が、このAPEC首脳会合の宣言からもうかがえると思います。このことについて見解をお聞かせください。

岸田国務大臣 我が国は、TPP交渉を進めると同時に、御指摘のRCEPを初め、アジア太平洋地域、東アジア地域、あるいは欧州などとの間でも高いレベルの経済連携交渉を今積極的に進めているところであります。

 こうしたさまざまな取り組みが互いに刺激し合って、そしてその全てが活性化するというダイナミズムが働いていくこと、こうしたことを期待しています。

 ぜひ、そういった意味から、それぞれの取り組みをしっかり進めていきたいと考えています。

玉城委員 APECではまた、自然及び人的災害が及ぼす重大な経済的影響への対策として、APECエコノミーに永続的な食料安全保障を提供するための食料安全保障ロードマップの実施、貧困撲滅、伝統的な文化・知識の保全、生物多様性の保護、持続可能な投資と新技術の開発を確保し、官民連携を通じたクリーンで再生可能なエネルギー開発の取り組みの活性化など、実にさまざまな分野におけるアジア太平洋の経済発展の見通しへの信頼を掲げています。

 これらの経済連携の効果は、日本の目指す自由貿易体制と成長型経済連携への確実なステップになり、東アジア地域における安全保障政策への平和的、人道的なイニシアチブの高いレベルの実現への役割も、ますますその可能性が強くなっていくのではないかと思われます。

 この地域の成長への積極的な参画こそが大きな成果を呼び込むのではないかと思いますが、この件について、できれば大臣の見解を最後にお聞かせください。

岸田国務大臣 御指摘ありました食料安全保障ですとか、生物多様性保護、エネルギー、こうしたグローバルな課題に取り組むに際しましては、やはり国家レベルの取り組みのみでは限界があります。人間一人一人に着目した人間の安全保障のアプローチとして今言ったような課題に取り組んでいくことは大変重要だと存じます。

 経済の発展あるいは経済連携につきましても、こうした地域と連携しながら、活力を我が国に取り込んでいく、あるいは我が国の活力をこの地域に与えていく、こうした取り組みが重要でありますが、今挙げましたグローバルな課題につきましても、ぜひ我が国は、地域においてリーダーシップを発揮していきたいと考えています。

玉城委員 終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、投資の促進及び保護に関する日本国政府とパプアニューギニア独立国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とコロンビア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とクウェート国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進、円滑化及び保護に関する日本国政府、大韓民国政府及び中華人民共和国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とイラク共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国とインド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 投資の促進及び保護に関する日本国政府とパプアニューギニア独立国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とコロンビア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 投資の促進及び保護に関する日本国とクウェート国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 投資の促進、円滑化及び保護に関する日本国政府、大韓民国政府及び中華人民共和国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件

 投資の促進及び保護に関する日本国とイラク共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 社会保障に関する日本国とインド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました投資の促進及び保護に関する日本国政府とパプアニューギニア独立国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十二年九月以来、パプアニューギニア政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十三年四月に東京において、我が方外務大臣と先方外務貿易移民大臣との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、主に、投資の許可後の投資家及び投資財産の保護を定めております。

 この協定の締結は、我が国とパプアニューギニアとの間の投資の増大及び経済関係のさらなる緊密化に大いに資するものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とコロンビア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十一年四月以来、コロンビア政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十三年九月に東京において、我が方外務大臣と先方商工観光大臣との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、投資の許可後の投資家及び投資財産の保護に加え、投資の許可段階の内国民待遇等についても定めております。

 この協定の締結は、我が国とコロンビアとの間の投資の増大及び経済関係のさらなる緊密化に大いに資するものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とクウェート国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十二年四月以来、クウェート政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十四年三月に東京において、我が方外務副大臣と先方外務次官との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、先ほど御説明したコロンビアとの間の協定と同様、投資の許可後の投資家及び投資財産の保護に加え、投資の許可段階の内国民待遇等についても定めております。

 この協定の締結は、我が国とクウェートとの間の投資の増大及び経済関係のさらなる緊密化に大いに資するものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、投資の促進、円滑化及び保護に関する日本国政府、大韓民国政府及び中華人民共和国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成十九年三月以来、韓国政府及び中国政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十四年五月に北京において、我が方外務副大臣が、経済産業大臣の連署とともに、韓国側外交通商部通商交渉本部長及び中国側商務部長との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、先ほど御説明したパプアニューギニアとの間の協定と同様、主に、投資の許可後の投資家及び投資財産の保護を定めております。

 この協定の締結は、我が国、韓国及び中国の間の投資の増大及び経済関係のさらなる緊密化に大いに資するものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とイラク共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十三年九月以来、イラク政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十四年六月にバグダッドにおいて、我が方在イラク大使と先方国家投資委員会委員長との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、先ほど御説明したパプアニューギニアとの間の協定並びに韓国及び中国との間の協定と同様、主に、投資の許可後の投資家及び投資財産の保護を定めております。

 この協定の締結は、我が国とイラクとの間の投資の増大及び経済関係のさらなる緊密化に大いに資するものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、社会保障に関する日本国とインド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十三年七月以来、インド政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十四年十一月に東京において、我が方外務大臣と先方駐日インド大使との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、我が国とインドとの間で年金制度に関する法令の適用について調整を行うこと及び両国の年金制度の加入期間を通算することによって年金の受給権を確立すること等を定めております。

 この協定の締結により、両国間の人的交流が円滑化し、ひいては経済交流を含む両国間の関係がより一層緊密化することが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上六件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 各件につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、投資の促進及び保護に関する日本国政府とパプアニューギニア独立国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とコロンビア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とクウェート国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の促進、円滑化及び保護に関する日本国政府、大韓民国政府及び中華人民共和国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とイラク共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、社会保障に関する日本国とインド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十一分散会


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