衆議院

メインへスキップ



第7号 平成25年11月27日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十一月二十七日(水曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 原田 義昭君 理事 松本 剛明君

   理事 上田  勇君

      小田原 潔君    河井 克行君

      木原 誠二君    黄川田仁志君

      小林 鷹之君    河野 太郎君

      島田 佳和君    田畑  毅君

      渡海紀三朗君    東郷 哲也君

      星野 剛士君    牧島かれん君

      宮崎 政久君    武藤 貴也君

      小川 淳也君    長島 昭久君

      岡本 三成君    杉本かずみ君

      山内 康一君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        三ッ矢憲生君

   防衛副大臣        武田 良太君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  林   肇君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           山本 茂樹君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 杵渕 正巳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新美  潤君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 柳  秀直君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 五嶋 賢二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相星 孝一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            宮川眞喜雄君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       加藤 久喜君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           高橋 和弘君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    岸本 邦夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  星野 一昭君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     宮崎 政久君

  石原 宏高君     田畑  毅君

  小林 鷹之君     牧島かれん君

  杉本かずみ君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     石原 宏高君

  牧島かれん君     小田原 潔君

  宮崎 政久君     あべ 俊子君

  山内 康一君     杉本かずみ君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     小林 鷹之君

    ―――――――――――――

十一月二十一日

 非核法の早期制定を求めることに関する請願(吉川元君紹介)(第三九号)

 普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一二号)

 米軍輸送機オスプレイの配備撤回・低空飛行訓練の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一一六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)(参議院送付)

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)(参議院送付)

 政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)

 国際情勢に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官新美潤君、大臣官房審議官柳秀直君、大臣官房審議官五嶋賢二君、大臣官房審議官相星孝一君、大臣官房参事官水嶋光一君、北米局長冨田浩司君、中東アフリカ局長宮川眞喜雄君、国際法局長石井正文君、内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣審議官林肇君、内閣法制局第一部長近藤正春君、内閣府北方対策本部審議官山本茂樹君、法務省大臣官房審議官杵渕正巳君、国土交通省水管理・国土保全局次長加藤久喜君、航空局安全部長高橋和弘君、海上保安庁次長岸本邦夫君、環境省自然環境局長星野一昭君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、運用企画局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 前回に引き続きまして、尖閣の問題について大臣とまた議論をしたいというふうに思います。

 もう二十日も前でございますので、覚えておられる方もおられないかもしれませんが、尖閣周辺の海空域における厳しい現実というものを概観させていただきまして、中国によるこのような行動というものが国際関係、国際政治に及ぼす影響といったものについて大臣と議論させていただきました。

 その中で、私、国際秩序へのチャレンジ、これが非常に深刻だというお話をさせていただきましたけれども、その懸念をさらに増幅させるような事態がまた起こりました。先週の土曜日であります。中国が突如、防空識別圏を設定する、こういうことでありまして、我が国も当然のことながら防空識別圏を持っているわけで、これは各国が独自に設定できるという建前になっておりますが、今回の中国の異常なところは、中国領空に接近する航空機だけではなくて、その空域を飛行する、民間も含めて全ての航空機を対象としているということ、それから、設定空域を航行する航空機には飛行計画の事前の届け出を要求している、そして、その識別、いろいろな種類の識別でありますけれども、識別に協力をしない、あるいはそういう指示を拒否した、そういう航空機に対しては中国軍が防御的緊急措置を行う、こういう警告を行っているわけで、あたかも中国が恣意的に決めたルールというものを他国に強要する、そういうことであります。

 我が国としては決して容認することはできない、こう考えておりますが、この点について、まず外務省、外務大臣で結構でございますが、日本政府の対応を簡単に要約して御答弁いただきたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、中国がこうした空域を設定し、そして自国の規則に従うことを義務づけるということについては、東シナ海の現状を一方的に変更し、そして事態をエスカレートさせる、また、現場の海空域におきましては不測の事態も招きかねない非常に危険なものであり、まず強く懸念を表明させていただいております。

 加えて、これは、国際法上の一般原則であります、公海上空における飛行の自由原則を不当に侵害するものでもあるということで、撤回を強く求めております。

 そして、それに加えて、この中国側が設定した空域、これは我が国固有の領土である尖閣諸島の領空があたかも中国の領空であるかのごとき表示をしており、我が国としては全く受け入れることができない。

 こういった立場につきまして、二十四日、外務大臣談話を発出させていただきましたし、また、二十五日、齋木外務次官から程永華駐日大使へ抗議するなど、懸念を伝え、厳重に抗議し、そして関連措置の撤回を求めている、これが我が国の立場であります。

長島(昭)委員 防衛省はいかがですか。

武田副大臣 政府としての対応は今御説明があったとおりだと思いますけれども、公表を受けまして、すぐさま防衛省内においては、大臣のもと、情報共有及び今後の対応についての協議を行いました。

 つきましては、大臣からは、省内関係者に対しまして、尖閣周辺を含めた我が国周辺の海空域における警戒監視活動及び対領空侵犯措置に引き続き万全を期すよう、改めて強い指示を出していただいたところであります。

長島(昭)委員 中国側に防衛省の方から何か声明というか注文をつけていないんでしょうか。

武田副大臣 具体的に注文はつけておりません。

長島(昭)委員 これは、外務省がそれを中国側に政府を代表して伝える、こういうたてつけになっているんでしょうか。

岸田国務大臣 外務省としまして、我が国の立場、二十三日、この措置が公表された直後、まずは迅速に、我が国の遺憾の意、そして抗議を伝えなければならないということで、アジア大洋州局長から在京中国大公使に対し、そして現地の我が方大使館から外交部に対して、しっかり抗議を行い、そしてその翌日、二十四日に外務大臣談話を発出し、そして二十五日に、抗議のレベルを上げて、先ほど申し上げました、次官から程永華大使に遺憾の意を伝え、抗議を行い、そして撤回を求めたということで、政府としての対応は、外務省が中心になってしっかり伝えさせていただいております。

長島(昭)委員 防空識別圏は、やはり防衛省、特に空幕というか、航空自衛隊のスクランブル発進に直結するような、そのエリアがダブっているということは、これは本当に一触即発の可能性のある事案でもありますので、私は、防衛省から何かあってもいいというふうに個人的には思います。

 アメリカの対応は、そういう意味では、重層的といいますか、かなりバラエティーに富んでいる気がするんですが、アメリカ政府の対応について説明をいただけますか。

岸田国務大臣 米国政府の対応ですが、米国政府は、二十三日、これは米国時間ですが、国務そして国防両長官から声明を発出し、その中で、中国による本件発表について深い懸念を表明し、米軍の運用の態様をいかなる形でも変えるものではないこと、また、我が国を含む同盟国及びパートナーと緊密に協議をすることなどを明確に表明しております。

 また、米国政府は、これらの声明にあるとおり、中国側へ申し入れ等を行っていると承知をしております。

長島(昭)委員 私がちょっと指摘したかったのは、アメリカ政府は、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官、そしてホワイトハウスと、三つの機関からそれぞれ、内容はダブっているところもありますけれども、それぞれの長官の言葉で、中国側に対する警告も含めた抗議あるいは懸念の表明というのがなされているというふうに承知しております。

 日本政府も、やはりそれぐらいの、もちろん外務省が代表して対外的に発信していただくのも重要ですけれども、やはり防衛省も防衛省なりに、防衛省の観点、国防という観点からそういう懸念の表明というのはあってしかるべきだというふうに思っております。その点ぜひ、今後のこともございますので、しっかりとした対応を求めておきたいというふうに思います。

 また、けさほどですが、米軍のB52爆撃機が、アンアームドというふうに言っておりましたので、武装しないで約一時間余りこの空域を事前通告なしに飛行した、こういうニュースも入ってきておりますが、その米国の行動について、今回の防空識別圏の一方的な設定との関係を含めて、日本政府としてどういう受けとめをしているか、御答弁いただけますか。

岸田国務大臣 御指摘のB52の飛行につきましては、報道等で承知をしております。

 米国の意図について私から申し上げる立場にはありませんが、米国との間においては、緊密に意思疎通、連携を図っております。二十五日にも私からケネディ駐日大使に対しまして電話をかけさせていただきまして、日米で緊密に連携することを確認しておりますし、昨晩、二十六日夜にも日米外相電話会談を行いまして、ケリー国務長官より、日本の冷静かつ毅然とした対応を評価しており、日本の立場を引き続き支持する旨の発言がありました。

 こうした連携を行い、そして、先ほど米国からは、国防長官、国務長官、両長官からも声明が発出されております。こうした米国の立場に基づいて、さまざまな働きかけ、行動を米国としても行っているというふうに認識をしております。

長島(昭)委員 当然、緊密な協議あるいは情報交換をしているんだろうと思います。

 そういう中で、少なくともこういう形で長距離爆撃機をこの空域に飛行させるという行動を米国がとっているわけですから、それについて、米国の意図を推しはかる立場にないという御答弁では、私は不十分ではないかと思うんですね。当然、こういうことをやるよ、こういう意図を持っているよ、こういう行動だよということは事前あるいは事後に米側から伝えられていると私は思うんですけれども、こういう場では、そういうことについて、大臣からこの国会の委員会の場でお話しできないということでしょうか。

岸田国務大臣 米国の具体的な行動について日米でどのような意思疎通を図っているのか、こういったことについてこの委員会の場で具体的に申し上げることは控えさせていただきたいとは存じますが、米国は、先ほど申し上げましたヘーゲル国防長官声明の中でも、中国による本発表は米国の地域における軍事行動の態様をいかなる形でも変えるものではない、このように声明の中で明記をしております。こうした立場に基づいての行動ではないかと認識をしております。

長島(昭)委員 米国が、こういうことを隠さないで、わざと公にして行動しているわけですから、これはある意味でいうと抑止力全体にかかわる問題であるというふうに私は思うんですね。これ以上中国が変なことをするなよというシグナルでもありますので、これはやはり、日米共同、共有して国際社会に向かって発信をする必要があると私は思いましたので、あえて聞かせていただきました。

 また、防衛省に伺いたいんですけれども、これは前から予定されていたものであるというふうに思いますが、ちょうど防空識別圏の空域を設定したその下の海域で、日米の共同訓練がきのうから始まって、もう始まっているのか、始まりつつあるのかわかりませんが、これも私は中国に対する大変大きなシグナルになると思いますが、どういった日米の共同演習なのか、御説明いただけますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の演習は、日本の海上自衛隊と米海軍との共同演習でございまして、これは事前に公表しているものでございます。

長島(昭)委員 あっさりとした御答弁だったんですが、これは、こういうタイミングで粛々とやるところがまさに、さっきのヘーゲル国防長官の声明にあるとおり、我々の行動は一切変えないんだという、国家としての、あるいは日米同盟としての意思、これは、地域全体に対して、あるいは中国に対してもそうですけれども、意思を示す大変大事な演習だと私は思っています。

 前から、計画どおりにやっていますと、確かにあっさりとしたお答えだったんですけれども、だけれども、それは国として意識を持ってやっていただきたいし、それは、外務委員会の、こういう国会の場ですから、やはりこういう委員の皆さんと政府が共有する大変大事な、この委員会を通じて中国に対しても私たちの毅然とした姿勢を示すことになると思いますので、副大臣、ぜひここはしっかりと発信をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、この尖閣の問題なんですけれども、けさの産経新聞の「正論」に、前の防衛大臣の森本先生が、この防空識別圏の設定の目的の一つには、尖閣諸島の領有権主張を強める狙いもあるのではないか、こういった論評をされております。

 私は、きょうは少し踏み込んで、この尖閣周辺で起こっていること、そして今後起こる可能性があることについて、日本政府がどこまで準備を整えているかということについて少しやりとりをさせていただきたいというふうに思っております。

 私は、うがち過ぎかもしれませんが、今回の防空識別圏の一方的な設定というのと、今から約六十年前の李承晩ライン、韓国政府、韓国の李承晩大統領が海洋主権宣言という宣言を一方的にやった、一九五二年の一月十八日でありますが、あの李承晩ラインの設定と何となく重なるんですね。この後起こることを少し想像力をたくましくしていきますと、竹島で起こったことはどういうことかというと、この後、不法上陸があって、不法占拠ということになり、あたかも我々の施政権が喪失したような状況になっているわけですね。

 今現在、竹島というのは我が国固有の領土であることは間違いありませんが、日本の施政権は竹島に有効に及んでいるんでしょうか。

岸田国務大臣 竹島は、おっしゃるように、我が国固有の領土であり、我が国が施政権を有しておりますが、現在の竹島は、現実に我が国が施政を行い得ない状態にあると認識をしております。

長島(昭)委員 これは本当に大きな問題なんですよ。これを尖閣に当てはめて考えていくと、我々がこれからやらなきゃならないことが浮き彫りにされるんじゃないかというふうに私は思っています。

 それで、まず、アメリカは、日米安全保障条約の規定に基づいて、仮に尖閣に対して武力攻撃が行われた場合は、安保条約第五条が適用されると。これは、現オバマ政権でも、前のヒラリー・クリントン国務長官が認めて以来、今のケリー国務長官も、そしてヘーゲル国防長官も、大統領はまださすがに明言されたという記憶はありませんけれども、この二人の長官から具体的なコミットメントの表明がございます。

 ただ、この安保条約第五条の適用というのは、少なくとも二つ、適用されるためには条件があると思っています。一つは、そこが日本の施政下であるということですね。急迫不正の侵害を受けた場所が日本の施政下にあるということ、コントロールのもとにあるということ。それからもう一つは、武力攻撃というものが構成される形で急迫不正の侵害が行われた場合。

 こういう理解でよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、安保条約第五条は、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」と記しております。御指摘のとおりだと考えます。

長島(昭)委員 そういうことは、当然のことながら中国もよくわかっているわけですよね。中国側が尖閣の領有権を主張していることは間違いないし、我が国の有効支配に対して執拗にチャレンジしてきていることもまた事実だというふうに思います。

 それは、単にハラスメントというか嫌がらせでやっているというよりは、この間の中国側の言動、公式な発言、こういったものを総合的に判断するに、本気で尖閣諸島に対してこれをコントロール下に置こうという努力をし続けていると考えるのが普通の見方だと思うんです。

 その考え方は外務大臣として共有していただけますでしょうか。

岸田国務大臣 中国としては、積極的な海洋進出を進め、さまざまな動きを見せております。そうした動きに対しまして、我が国としましては、一方的な現状変更を決して認めてはならない、このように考えます。基本的には委員のおっしゃる認識と一致していると考えます。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 そこで、仮に私が中国の指導者であるとすれば、先ほど言った安保条約第五条の文言、あるいはそこから生じる米国側の義務ということから考えれば、あからさまな武力攻撃をして米国をこの問題に巻き込んで、そして場合によっては米国と直接戦火を交えるような、そんな無謀なことを考えたりするはずがないわけでありまして、そうなりますと、一番あり得るシナリオは、まさに竹島で六十年前に起こったシナリオ、すなわち、戦火を交えることなく、つまり武力攻撃に至らない範囲で、尖閣に対して、上陸し、占拠をする、こういった方法に出る可能性が私は極めて高いんだろうというふうに思っております。

 これは聞くまでもないかもしれませんが、仮に、中国が武力攻撃を起こさないように周到に計算した上で尖閣を不法占拠した場合、安保条約第五条の適用はあるんでしょうか。

岸田国務大臣 日米安全保障条約第五条に言う「日本国の施政の下にある領域」とは、我が国の領域、すなわち領土、領海、領空から、現実に我が国が施政を行い得ない状態にある領域を除いた領域であると認識をしております。そして、まず、現状、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しており、そして現実に我が国の施政下にあります。

 そして、御質問は、仮に御指摘のような形で我が国の施政を行い得ない状態にあった場合どうなのかという御質問かと思いますが、まず、そうした仮定の質問に対して、私の立場からここで何か申し上げるのは適切ではないと思います。

 ただし、申し上げるならば、そういった状況になる前の段階というのが存在いたします。その段階におきまして、我が国は、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意で冷静かつ毅然に対応していく、そこに全力を注ぐ、こうした態度をしっかり守っていかなければならないと考えています。

長島(昭)委員 そのことは、私も一点の疑いも持っておりません。日本政府が全力を挙げて、前線の海上保安庁も含めて、政府を挙げて取り組んでおられることは全く疑っておりません。

 ただし、今、施政下でなくなった場合という仮定でおっしゃいましたけれども、もう一つ条件として、武力攻撃が行われない形でこの島を占拠されたケース、このケースでは日米安保条約の適用はどうなると考えればよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のような事態が起こり、その結果に対してどうかということについては、今、私から仮定の話として申し上げるのは控えなければならないと思っています。その前の段階において、日米安保条約五条に基づいて日米同盟の抑止力をしっかりと活用して、我が国としても我が国の領土を断固として守り抜く決意でしっかり対応していく、このことが何よりも大事だと考えています。

長島(昭)委員 断固として対応していただきたいということでございます。

 その上で、今、外務大臣がおっしゃった、断固として対応する、そしてそういうことが起こらないように努力をしていくという御答弁は、私も多としたいと思いますが、事はそんなに単純ではないということは、竹島の六十年前の状況を思い起こせば実は明らかであります。

 この点、もう六十年前のことですから、この中で生まれておられる方もそんなにいないと思うんですが、六十年前、五二年の一月に李承晩ラインの設定が行われ、私が調べたところによると、五四年、二年後の六月十七日に、韓国は、沿岸警備隊の駐留部隊を竹島に派遣したというふうに発表するわけです。派遣をしたと発表するまでの間に、実は竹島は、韓国の警察、官憲を中心とした人々によって占拠されることになったわけでありまして、李承晩ラインが設定されてから、言ってみれば、気がついたときにはもう竹島が占拠されていて、日本政府としては手も足も出なくなってしまったというそのプロセスについて、外務省から簡潔に当時の経緯というものを説明していただけますか。

柳政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、一九五二年一月に、当時の李承晩韓国大統領は、いわゆる李承晩ラインを国際法に反して一方的に設定して、そのラインの中に竹島を取り込みました。

 その後、一九五三年の七月、竹島周辺で不法漁業に従事している韓国漁民に対し、これに立ち退くように要求した我が方の海上保安庁巡視船が、韓国漁民を援護していた韓国官憲によって銃撃されるという事件が起きております。

 その後、先生御指摘のとおり、一九五四年の六月に、韓国は、韓国沿岸警備隊を竹島に派遣したことを発表しております。そして、同年八月には、竹島周辺を航行中の海上保安庁巡視船に対し、同島から銃撃を行ったということでございます。

 その後、韓国側がずっと竹島の不法占拠を続けているという状況でございます。

長島(昭)委員 改めてお伺いしたいんですけれども、竹島を韓国が不法占拠する過程で武力攻撃は行われましたか。

柳政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げましたように、その当時起きたことは、先方の官憲による銃撃が中心でございまして、これを武力攻撃という定義で申し上げるかどうか、私にもちょっとよくわかりませんけれども、韓国軍がいわゆる大規模な攻撃を行ったということではございません。

長島(昭)委員 韓国軍が大規模な攻撃を行ったわけではない。そういう事態に対して、日本は自衛権を行使することはできたんでしょうか。仮に、例えば別の場所でこれから行われた場合は、自衛権を行使する対象になるんでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 仮定の話でもございますし、しばらく前の話でもございますので、確定的に申し上げるのはなかなか難しいと思いますが、一般論で申し上げますと、その事態が武力攻撃に当たるかどうかということは、どういう人が入っているか、どういう主体が行っているか、どういう手段を用いているか、どういう規模であるかというふうなものを、個別具体的、それを全体として判断する必要があると思いますので、個別個別の判断だと思います。したがって、李承晩ラインが引かれたときに起こったことが、今、武力攻撃かどうかということを判断するのはなかなか難しい状況でございます。

 ただ、一つ申し上げられますのは、武力攻撃かどうかということについてだけ一般論で申し上げれば、軍隊でなければ武力攻撃にならないということは事実でございます。主体だけではなくて、ほかのものも含めて考える必要があるということでございます。

長島(昭)委員 軍隊でなければ武力攻撃を構成するものではないというお答えだというふうに認識をしました。(石井政府参考人「ではない」と呼ぶ)軍隊でなければ武力攻撃に当たらないというわけではない、そういう御理解でしょうか。

石井政府参考人 不明確な答弁で失礼をいたしました。

 軍隊でなければ武力攻撃にならないということではないということでございます。

長島(昭)委員 二重否定だったわけですね。わかりました。

 そうしますと、もちろん形態によるということであるわけですが、逆に言うと、こういった形での他国の領土への不法侵入、不法占拠というものがすべからく武力攻撃を構成するものでもないと言えるんでしょうか。

石井政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、個別個別の事例で、具体的ないろいろな要素を考慮して検討すべきものでございますので、もちろん、その意味では、全てが武力攻撃だというふうに申し上げるつもりはございません。

長島(昭)委員 ですから、必ずこれが武力攻撃であると認定することはなかなか難しいんですね、そのときそのときの形態にもよる、こういうことでありますから。

 そうしますと、まさに当時の政府の答弁を見ると、こういうのがあるんですね。

 武力攻撃というのはまさに侵略ということだと思いますが、政府は、侵略とは、相当の地域、しかも、竹島のような無人島ではなく、都市や工場のあるところである。侵略に対しては安全保障条約なり相互援助条約なりの適用の問題が発生するが、竹島等においてたとえ不幸にして撃ち合いが起こっても、直ちにこれをもって侵略であるとして条約の援用をするという段階までには相当の距離がある。

 こういう政府の答弁があるぐらい、実はかなり複雑な様相を呈していた。

 しかし、結論を言うと、一九五四年の半ばぐらいの段階で振り返ってみると、この竹島の状況というのは、完全に韓国によって占拠されてしまった、こういうことであります。

 ここから何が言えるか。もうあと残り少ない時間でありますけれども、当時、確かに海上保安庁の皆さんというのは、まだ創設したばかりという段階で、当時の政府の答弁も残っていますが、海上保安庁の現在の装備等は準備の段階であり、韓国側の海上警察隊の力に対応するには力が弱いなどという答弁があったように、なかなか厳しい状況であったと思うんですが、海上保安庁として、まず一つは日本の漁民を守るために、そしてもう一つ、日本の領土、領域を保全するという任務にあったわけですけれども、当時、海上保安庁として、この竹島という紛れもない日本固有の領土を保全するために、どういう努力をされたわけでしょうか。

岸本政府参考人 海上保安庁では、竹島周辺海域で操業する我が国漁船の安全を確保するなどの観点から、巡視船を哨戒させ、我が国の漁業者のいわゆる被拿捕の防止指導、情報提供等を当時行っておりました。また、その後も、哨戒体制に若干変遷はございますが、同様の漁業者被拿捕の防止指導、情報提供を継続しておるところでございます。

長島(昭)委員 今の被拿捕というのは、拿捕から守るという意味ですね、初めて聞いた言葉ですけれども。そういうことでよろしいですか。

 確かに、日本の漁民を守ることは大事だと思います。しかし同時に、当時、海上保安庁は、日本の領海を保全する、そういう任務も与えられていたと思います。こういった、韓国側が、夜陰に乗じてかどうかわかりませんけれども、徐々に徐々に漁民をふやし、あるいはそれを守るための官憲をふやしていって、最終的には警備隊みたいなものを置く、その過程で海上保安庁はどんな行動をしたんでしょうか。そこをぜひ明らかにしていただきたいと思います。そういう記録は残っているはずだと思いますが。

岸本政府参考人 当庁の任務としては、海上の安全の確保というものがございまして、主として我が国漁船の安全を確保する等の観点から当該海域に巡視船を哨戒させておりました。また、当時の記録として残っているものとしては、いわゆる竹島周辺海域で特別の巡視をしたというような記録も残っております。

長島(昭)委員 今の説明を伺っていると、六十年前の話であり、戦後間もなくでありますから、かなり混乱していたのかもしれませんが、失礼ながら、何か竹島あるいはその領海を守り抜くというような、あるいは守るための手段を適切に講じたという形跡が見てとれないんです、体を張ってやっておられたというふうに思うんですが。

 これは海上保安庁だけの責任ではなくて、日本政府として、このとき、竹島を日本固有の領土として守り抜くという、さっきまさに尖閣で外務大臣がおっしゃったような、もちろんそういう意思はあったんだろうと思いますが、それを支える実力であるとか、あるいは具体的な行動であるとか、我々が納得できるような説明をできる方はいらっしゃいますか。

柳政府参考人 お答えいたします。

 必ずしも先生がおっしゃるような実力を伴うものではございませんけれども、一九五二年四月二十八日、サンフランシスコ平和条約の発効以前は連合国の総司令部に対して善処を申し入れておりましたが、同平和条約発効後は、拿捕事件が発生するたびに、韓国側に対し直接抗議を行うとともに、船体、乗組員の返還、釈放を要求し、再発防止のため、あらゆる有効適切な措置を講ずることを事件のたびに要求はしておりました。

 以上でございます。

長島(昭)委員 そういうことなんですよね。今回の防空識別圏でも、撤回を要求する、あるいは懸念を表明する。外務省はこのときも、口上書を何回も発出して、竹島の問題のときも韓国側に相当抗議をしているんですけれども、言ってみればカエルの面に何とやらですよ。それは全く効果がなく、今日に至っているというのが現実ですよね。

 これはすごく大事なことだと思うんです。これから我々が尖閣に対してきちっとした対応をしていくという観点からすると、この竹島の故事といいますか先例というのは、大変重要な手がかりを示しているというふうに私は思っているんですね。

 今日、海上保安庁は、装備も大きくなりましたし、士気も旺盛であり、今まさに尖閣周辺の海域、最前線で頑張っていただいていることは私はよく認識をしておりますし、せんだって可決、成立をした海上保安庁法の改正によって、不法侵入してきた船から島に上陸をしたときも追っかけていって取り締まりができるように、そういう法改正も行われてきたわけでありますので、ここは政府として万全を期していただきたいというふうに思うんです。

 さて、尖閣諸島に対して、今も毎日のように、政府公船、海警、中国側の政府の船ですね、公船が領海侵犯を繰り返している。そういう中で、仮に上陸を試みるというような挙に出た場合に、海上保安庁の現場としてどういう対応をもってこれを阻止するようになっているんでしょうか。

岸本政府参考人 公船を前提に回答させていただきますが、海上保安庁では、領海に接近した外国公船に対し領海に侵入しないように警告するとともに、領海に侵入した場合には退去要求あるいは進路規制を行い、領海外に退去させているところでございます。

 さらに、これ以上の具体的な対処の方法につきましては、国際法上許容される範囲で必要な措置をとり得るよう、政府全体で検討し、適切に対応してまいりたいと考えております。

長島(昭)委員 済みません、これから検討ですか。国際法の許容する範囲でもう手だては講じられているんじゃないんですか。ここは大事なところですから、ぜひお答えください。

岸本政府参考人 いわゆる公船というのは、条約上、拿捕ですとか、そういうことができない取り扱いになっております。したがって、さまざまな状況が考えられると思いますけれども、私どもとしては、我が国の主権を守るために、事態に応じてとるべき措置について関係省庁と緊密に連携して、その対応に万全を期してまいりたいと考えております。

長島(昭)委員 法制局が来ておられますから伺いたいんですけれども、これは国内法上、武力攻撃が起きているわけではない。さっきから申し上げているように、武力攻撃ではないんですね、この事態は。武力攻撃未満の事態なんですね。いわゆるグレーゾーンです。グレーゾーンの事態で、相手が政府の公船だ、それが上陸を試みる。

 我が国の法制度の中で、この上陸を武器を使用して阻止する、そういう権限は海上保安庁に与えられているんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 あくまでも一般論ということでございますが、我が国に対する武力攻撃とまで認められないような不法上陸事案ということを今先生お話しされましたけれども、そういう案件については、私どもは、我が国国内法令に基づき、警察権によって対処することになるというふうに思います。

 お尋ねの、相手方が警察機関というようなお話もございましたけれども、そういうケースであっても、我が国の領域において我が国の統治権として警察権を行使するということは排除されないというふうに考えております。

長島(昭)委員 警察権を行使するというのは、いわゆる警職法に従って武器使用が許されるということでしょうか。すなわち、正当防衛、緊急避難以上のことはできないという理解でしょうか。

近藤政府参考人 実際の武器使用については、発生した事態の具体的な状況に応じて関係当局で適切に判断されるものだというふうに思いますけれども、海上保安官の武器使用については、海上保安庁法第二十条第一項で準用する、警察官職務執行法第七条の定めるところによるというふうに法制度としては考えております。

長島(昭)委員 すなわち、領土が侵される蓋然性が高い事案であって、さっき海上保安庁次長から説明があったように、進路規制をしたり、あるいは退去要求をする、それも振り切って上陸を試みるような事案があった場合に、それを阻止するための武器使用、正当防衛や緊急避難以外に、我が国の領土を保全する、そういう法益を守るための武器使用はできない、こういう理解ですか。

近藤政府参考人 今お話ございましたような根拠、警察官職務執行法上の武器使用、警察権に基づく武器使用でございますので、あくまでもそこに規定されています要件、例えば自己に対する防護であるとか、公務執行に対する抵抗の抑止とか、そういうような要件に当たり、かつ、その事態に応じて合理的に必要とされる判断の限度において行使ができる、あくまでも法律にのっとった対応になると考えております。

長島(昭)委員 これが今の憲法上の大きな穴だというふうに私は思っています。現行の日本の法制度では、領土保全という、この大事な大事な法益を守るための武器使用は認められていないんですね、相手が公船の場合。政府の、つまり国の場合ですね。国または国に準ずる者の話にまたなってしまうんですけれども、こういう理解なんですよ。そこが私は決定的に欠けていると。

 今現に、安保法制懇で集団的自衛権の問題にばかりスポットが当たっていますが、実は今、日本の安全保障基盤を再構築するという目的のもとで、まさにこの問題、グレーゾーンにおける領土保全を十全たらしめるための武器使用、これは別に、自衛隊が出てきて武力行使するという話ではもちろんないんですよ。武力攻撃未満の事態で領土保全を十分にするための武器使用が許されていないんですよ。これで海上保安庁に尖閣を守れと言っても、これは無理な話ですよ。そういう状況であることをぜひ皆さんと共有しておきたいと思います。

 安保法制懇、これは政府がお考えになることでありますけれども、何か、連立のパートナーの公明党さんが余り早くやるべきでないというようなことで、報道によれば、来年の四月以降に先送り、そういうことも言われておりますけれども、外務大臣、これは、相当真剣に、私は火急の課題だというふうに認識しています。私の認識が間違っていたら指摘していただきたいと思いますけれども。

 集団的自衛権の前に、我が国の領土を保全するための、そのための措置、言ってみれば、私は議員ですから、立法府の一員ですから、議員立法で、領域保全のための領域警備法といったようなものをつくっていく必要があると個人的には感じていますし、野党三党で今勉強会を立ち上げましたので、そういうところでしっかり議論していきたいと思います。

 大臣、今の答弁、やりとりを聞いていただいて、領土保全のための、こういった法益を守るための武器使用というものをきちっと認めていかなければ、これは、体当たりしてやるとかそういう世界に陥ってしまう可能性があると思うんですが、この認識だけ最後にお伺いできるでしょうか。

岸田国務大臣 先ほど来議論を聞かせていただきまして、まず、我が国の領土を守るために、我が国として、装備ですとか制度ですとか、こういったものにつきましてもしっかりと拡充し、そして整理をし、議論をしていく、これは大変重要なことだと存じます。

 あわせて、先ほど来の議論を聞いておりまして感じましたのは、そもそもそういった事態を発生させない、こういった外交努力も大変重要なのではないか、このように感じました。

 一九五二年、李承晩ラインが設定された、また、サンフランシスコ平和条約が発効した。その前後の国際情勢を考えましても、やはり、国際社会としっかり連携することによって、個別の国にそうしたおかしな行動をさせない、こういった努力が外交には求められるのではないか、このように感じます。

 我が日本外交においても、公益財たる海洋の自由を守る、あるいは、一方的な現状変更ではなくして、法の支配に基づいた秩序が重要である、こういった基本的な考え方を国際社会と共有するべく努力をしています。

 こうした考え方のもとに、国際社会と連携をし、想定しておられるような不測の事態を招かないような環境をつくっていく、外交当局にはそういった努力が大事なのではないか。先ほど来のやりとりを聞いておりまして感じた次第です。

長島(昭)委員 この問題は与党も野党もないと思いますので、もし法制度の欠陥があるとすれば、これはしっかり協力をして穴埋めをしていかなきゃいかぬというふうに思っております。そのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 松本剛明でございます。

 理事も務めさせていただいておりますので、改めて、委員長を初め、特に与党の理事各位に、この外務委員会が適切に運営されるように格別の御尽力をいただきたいということをあえて申し上げておきたいと思います。

 その上で、質問に入りたいと思います。

 御通告を申し上げておりますが、せっかく今、長島委員と実のある議論が展開をされておったように思いますので、日中の関係の問題から先に入らせていただきたいと思っております。

 不肖私も外務省に勤務をさせていただいたときに思いました。先ほど長島さんが質問をされたところ、特に最後の部分が幾つか気になったわけであります。

 非常にわかりやすい言葉で言えば、私も外交を担当させていただきまして、いわば、よからぬ事態が起きないように努力をするのが外交の要諦であるということであると思いますが、同時に、安全保障は、よからぬ事態が起きる、もしくは起きてしまった場合にどうするかということになるのではないかというふうに思います。

 その点で申し上げると、私も答弁をする側をさせていただいたことがあるのでわかりますが、よからぬ事態が起きないように努力をしているので、一つ間違えると、そこから先の、よからぬ事態のことは考えないということになりかねないわけで、やはりそのことはぜひ避けていただきたい。そのことを今、長島委員からも指摘をさせていただいたというふうに思っております。

 やはりこういったところを、一つステップを前へ行くためには、まさに政治のリーダーシップが必要だろうというふうに思いますし、きょう参議院でNSCの法案も可決、成立をしたというふうに理解をいたしております。四大臣会合という形で、岸田大臣もNSCの重要なメンバーということになれば、外交と安全保障、両面を見ていただくことになるわけでありますので、よからぬ事態が起きぬように御努力をいただくことはもちろんでありますが、何らかの事態に対してどう対処するかということも、ぜひ御尽力をいただきたいと思います。

 さて、今回の中国の防空識別圏の設定について、まず最初に、私も、また私の同僚も、一方的な現状の変更につながる今回の中国の行動というのは認められないということ。そして、我が国の固有の領土である尖閣諸島の上空にまで識別圏を設定し、あたかも中国の領土であるかのような要求をするということは認められない。外務大臣の談話でおっしゃっておられることは全く共有をさせていただくという大前提のもとで、何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 私の方は、きょうは国土交通省の坂井政務官にもおいでをいただいております。

 ちょっとお手元の資料をごらんいただきたいというふうに思います。

 一番上の表でありますが、これは実はインターネットでも見ていただくことのできる、どこを航空機が飛んでいるかという表でございます。これを見ていただくと、これは飛行機のマークしかついておりませんけれども、実は、インターネットでこれをクリックすると、JALの何便、ANAの何便、UAの何便といって、全部ここに出てきます。そこに、私どもの事務所で、今回の識別圏の設定の線を引かせていただきました。

 これはきのうの段階で、ある一時期の時間をとらせていただいた資料でありますけれども、見ていただくとわかるように、多数の民間航空機が飛んでおります。こういう形で、一方的でありますけれども、空域を設定して、この空域に入ったら中国側の規則に従うように、そして従わない場合は云々といったような宣言をされているというふうに承知をいたしております。

 そこで、最初の、認められないという大前提の上で、当然、我々としても民間航空機の安全はしっかり守っていかなければいけないということになると思います。

 まず、確認でありますが、我が国の航空会社も、やむを得ずかもしれませんが、中国側の宣言に従って飛行計画を出していたものを、国の方が指導されたのか、今後出さないことになったというふうに承知をしておりますが、この事実はそういう理解でよろしいんでしょうか。

坂井大臣政務官 航空会社に対しまして、飛行計画を中国当局に提出しないよう、協力要請を行ったところでございます。

松本(剛)委員 その結果、今は提出をしなくなったという理解でよろしいでしょうか。

坂井大臣政務官 そのとおりでございます。

松本(剛)委員 そもそも、飛行計画というのは、この識別圏というよりは、管制のルールに従って、該当する管制機関に出すべきものだというふうに理解をしておりますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

坂井大臣政務官 そのとおりでございます。

松本(剛)委員 とすれば、お手元の表をごらんいただきたいと思いますが、ちょうど新たに設定をされた空域を飛んでいる飛行機は、今までは中国側に特に飛行計画を出す必要がなかった。しかし、今回は、一時期出していたが、指導した結果、また出さなくなった、こういう理解でよろしいでしょうか。

坂井大臣政務官 今までは出しておりませんでしたけれども、飛行計画を出すということで中国側が措置をそこに入れてきたものですから、出したということでございます。

松本(剛)委員 ということは、これは防空識別圏の設定という形をしております。この防空識別圏の設定の国際法上の位置づけについても時間があれば議論していかなければいけないと思いますが、民間航空機が世界の空を、公海上の空を飛ぶに当たって、管制については国際的に既に確立されたやり方があった、今もある。これを一方的に、今回は中国側が、防空識別圏の設定という名のもとに、違うルールを強要してきたという理解でよろしいでしょうか。

坂井大臣政務官 私はそのように考えております。

松本(剛)委員 私もそのように思っております。

 防空識別圏という名前だけが出てまいりますと、何か防衛上の問題の方ばかりが強調されますけれども、今回の措置というのは、一般の人々にもかかわる、一般的な民間の航空のルールを明らかに変えようと、しかも一方的に変えようとしてきているものだということを、やはりぜひ、民間航空機の安全にかかわる国土交通省からも、広く我が国内、そして世界にも訴えるべきではないかというふうに思っております。

 他方で、民間の航空機の皆さんが、一時的にせよ、飛行計画を、言われたらしようがないから出そうと思ったのも、もちろん、国として何らかの、もし従わない場合は云々といったようなおどしにも似た文句に屈するべきではないと思いますが、他方では、乗客の安全を預かる民間航空機としては、安全に万全を期したい、こういう思いで何らかできることはしよう、こういうことでされた面もないわけではないと思います。

 今後、先ほどの中国側の一方的な行為を認めないという大前提の上で、しかし、民間の航空機の安全を担保しなければいけない国土交通省として、政府として、どのような対応策、そして民間航空会社との連携をとっておられるのか、お示しをいただきたいと思います。

坂井大臣政務官 今委員が御指摘ありましたように、今回の中国の防空識別圏の設定に関しては、それに措置というものが、飛行計画を出してくれ、こういう措置が入っておりまして、これは極めて不当な義務を課すような措置であると同時に、イレギュラーであると考えております。

 これに関して、先日、齋木事務次官が中国側の程大使に対しまして、今回の措置は特定国を対象としたものではなく、民間航空機を含め、飛行の自由を妨げるものではないとの回答を得ておりまして、それらを含めて総合的に判断をして、航空機が安全に航行できるということを判断したということで、今回の協力要請を行ったということになっております。

 今後とも、政府全体で連携をしながら、中国側に対し、公海上の飛行の自由を妨げるような措置を撤回することを求めていくということでございます。

松本(剛)委員 先ほど長島委員の方からも、米国は国防長官、ホワイトハウスの声明もというお話がありましたが、今あえて坂井政務官にもおいでいただいたのも、国際的に、このアジアの地域、これはクリックしていただくとわかるんですけれども、ここではできないからあれですけれども、日本だけじゃないんですよね。あらゆる国の、米国の航空機も含めて、東南アジア、アジアの国々の航空旅客会社も含めて、多くの飛行機がここを飛んでいるわけであります。

 申し上げたかったことは、今、外交レベルでも、外務省としても、もちろん御努力をいただいているというふうに私も理解をいたしますけれども、国土交通省としても、国際的な航空行政の連携の中で、こういった一方的な措置は極めて問題があるということを、国際交通社会というのがあるかどうかわかりませんけれども、いわば交通の面での国際社会の中で、こういうことが行われているということをぜひしっかり広く訴えてみていただきたい。

 防空識別圏の言葉だけでいきますと、また少し、それぞれ各国、思惑は違ってくると思いますが、航空の話になってくれば必ずそういう話になってくると思いますので、ぜひこれは、もちろん外務省もですけれども、国土交通省とも連携してこの問題を取り上げていただきたいと思っております。

 この問題には、もちろんもう一つ、尖閣諸島の上空という問題がありますが、この点については、先ほど長島委員からも取り上げさせていただいたので、重複を避けたいというふうに思っております。

 その上で、今回、見方によるのかもしれませんが、先ほど、安全保障というのは、いわばよからぬ事態を想定してということをお話しさせていただきました。こういう防空識別圏の設定、もしくは一方的な規則の押しつけ、我が国固有の領土である尖閣の領海、領土、もしくはその上空に対する何らかの措置、いろいろなパターンがあるんだろうと思いますが、少なくとも、米国のトップクラスの反応の速さを考えると、こういった場合にはこういうことをしなければいけないということは、ある程度、幾つかのシミュレーションの中のパターンの一つとして明確なメッセージの発信があったのではないか、そんな感じがいたします。

 我が国も、ぜひ、安全保障という面からすれば、そういったシナリオを想定するとか、そういったことが何らかの情報を総合して考えられるとか、そういう御準備をしていただくべきだったのではないかというふうに思いますが、防空識別圏の設定という形をとるかどうかは別にして、こういった行動の想定ということについてはどうお考えだったのか、お伺いをしたいと思います。

武藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、政府としては、平素よりさまざまな事態を想定いたしまして、関係機関が連携をして各種シミュレーションや訓練を行っているところでございます。

 今般の中国国防部による東シナ海防空識別区設定の発表に際しましては、発表後、速やかに内閣危機管理監のもとで関係省庁の局長級会議を開催いたしまして、情報の集約や今後の対応について協議を行ったところでございまして、その後も、外務省によって直ちに中国側に厳重に抗議を行うとともに、外務大臣談話を発出するなど、政府として迅速かつ的確な対応をとれたものと考えてございます。

松本(剛)委員 私どもが与党のときに、当時の野党の皆さんには、一つ一つ、何時何分にどう対応したのかと厳しく追及をされた経験があり、それに答えられる内容で対処をしてきたつもりでありますが、今ここでそんなことを一つ一つお聞きをしようとは思っておりません。

 今お聞きをしたことは、私が一番期待をした答えは、インテリジェンスにかかわることであるから申し上げられないことがある、そのぐらいの、堂々と、しかし、我が国内から見ても他国から見ても、行動は素早いなと思わせるような対応をぜひしていただきたいということに尽きるわけであります。

 武藤審議官にはいろいろお仕事いただいて御苦労でありますが、これ以上、御用意した御答弁をずっと聞かせていただいても、時間も限られてきておりますので、先ほど長島委員もいろいろ申し上げさせていただきました、今後も、あらゆるケースを想定して、政府としての準備、そして、法制度も含めて制度が必要であれば、その制度の準備、やはりぜひそれに早急に取りかかっていただきたい。

 繰り返しになりますが、安全保障は、残念ながら、我が国にとってよからぬ事態を想定しなければいけません。出方がわからない場合には、あらゆる場合を想定しなければいけないし、いつ起こるかわからないということもあると思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 今後の対応についてもお聞きをしようと思いましたが、先ほど長島委員の方から、竹島を例にとって、同じことを繰り返してはいけないということを強く申し上げさせていただいたというふうに私も理解をいたしております。

 もちろん、国際社会に訴えることも、声明を出していくことも必要でありますが、ぜひ、実効支配をしている尖閣をしっかり確保して、そして、これ以上一方的な行為が行われないような外交努力をしつつ、あらゆる事態を想定した対応をしていただきたい。そのことを申し上げて、これについては、まだ議論の余地が多々ありますけれども、終わらせていただきたいと思います。

 委員長の御許可があれば、坂井政務官は、どうぞ、この件については終わらせていただきたいと思います。

鈴木委員長 政務官、どうぞ退席してください。

松本(剛)委員 何点かぜひお伺いをしたいことがありますので、質問の通告をさせていただいたことを少しまとめてお聞きをしてまいりたいと思っております。

 イランについて合意がなされました。大変ホットな時期に大臣もイランに行かれたという状況ではなかろうかというふうに思います。

 この合意そのものの評価、そして今後のあり方、これも大変大きな課題であると思いますが、私自身は、このイランについて、何よりもぜひ大臣にお伺いをし、お願いをしたかったのは、イランと我が国との関係というのは、米国とイランとの関係とも少し異なる関係を、いわばポジションをずっと我が国は維持してきたという、ある意味で大きな財産があるのではないかというふうに思っております。

 そういう意味では、我が国は今回の合意の当事者にはなっておりませんけれども、大きな役割を果たすチャンスがあったと思われますし、これからもあると思われます。そしてまた、そういったものをしっかり生かして我が国が役割を果たすことは、大きな意味での我が国の外交力を極めて高める、もちろんこのイランそのものの問題を解決することも大変大きな意義がありますが、同時に、ここで大きな役割を果たすことが我が国の外交力を大変高めることにもなる、こう理解をしている中で、この点についてお聞きをさせていただきたいと思っております。

 少しまとめてということで、この合意の評価と今後の歩み、それから我が国の果たす役割、この点について大臣のお考え方をお示しいただけたらというふうに思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、我が国はイランとの間において伝統的な友好関係を持っております。そうした立場から、我が国としましては、本年八月のロウハニ政権誕生直後から、高村総理特使のイラン派遣ですとか、あるいは国連総会での首脳会談、また外相会談、そして先般の私のイラン訪問まで、EU3プラス3側とも協議をしつつ、一貫して、イラン側が柔軟性を発揮すべきということを促してまいりました。こうした取り組みも、今回の合意に至る上で一助になったのではないかと考えております。

 また、先ほど、昨日の夜、ケリー国務長官と、まず中国の防空識別圏設定の話題について電話会談を行ったというふうに申し上げましたが、その際に、イラン問題についても意見交換を行いました。ちょうどジュネーブから帰国した直後ということでありまして、イラン問題についても意見交換を行いましたが、その際に、長官から、日本はこの問題の重要なパートナーであると、日本の取り組みに感謝する旨の発言があった、こういったこともございました。

 先般、私がイランを訪問させていただきましたときにも、具体的な提案、IAEAの追加議定書の批准ですとか、CTBTの早期批准ですとか、こうした働きかけを行わせていただきましたが、今回のジュネーブにおけるEU3プラス3とイランとの合意においても、とりあえず第一段階、六カ月間の合意ができたことは大きな評価に値すると思いますし、歓迎したいと思いますが、これが実際、実現できるのか、実際の行動として実を結ぶのかどうか、これが何よりも重要だと思っています。

 こうした第一段階の合意が実際に行われるためにも、我が国として、伝統的な友好関係をしっかり活用して、イラン側にも働きかけていかなければいけないと思いますし、そしてEU3プラス3側ともしっかり意思疎通を図って、結果を出すように、我が国独自の立場から取り組んでいくことが重要だと考えています。

松本(剛)委員 ぜひいろいろな面で力を発揮していただきたいと思っております。

 私自身が担当しているときに、規模、構図、規模は必ずしも一緒とは言えませんが、ちょうどミャンマー政権がやはり曲がり角に来ている時期だった。これを加速させる必要があるということで、全てはまだ申し上げられない面もありますが、いわば陰ながらさせていただきました。こういったことは後々の我が国の財産になると、それは対ミャンマーだけではなくて、確信をして活動してまいりました。

 また、既に報道に出ているので、これはお話をすることができると思うんですが、フィリピンの大統領とイスラム勢力との日本での会談というのを極秘にセットさせていただくということも、その当時させていただきました。

 やはり、多くの国をサポートする形で日本の外交力を発揮していただくことが後々の財産になってくると思います。

 詳しい中身は、ぜひ、六十年ではなくて、遅くとも三十年以内に私は発表すべきだというふうに思っておりますし、もっと早くできるものは、最前線にいるときはなかなか話をしにくいというふうに思いましたが、他方では、やはりできるだけ、本当にぎりぎりまでは話をして、日本の外交が努力をしていることを国民にも外国にもうまく伝わる形ということについては、さらに意を用いていただきたい、そのことを申し上げたいと思っております。

 イランも多々お聞きをしたいことがあるんですが、あと二つほどどうしてもお伺いしたいので、大項目に従って、大きな一問ずつで進めたいと思います。

 資料の二枚目以降は、福島にとどまらず、福島がどうしても中心になっておりますが、第一原子力発電所事故に伴ってということになりますが、風評被害の輸入規制や証明書等の一覧表を記載させていただきました。これは実は農水省のホームページであります。

 お願いをしたいのは、外務省でも、少なくとも毎月ぐらいには全部局を集めて、この状況を再認識して、最前線にいる部署、大使館ともに、まだこれだけさまざまな規制が残っている、これを何とかしなきゃいけないという認識をぜひ共有していただきたい、こう思っているんですが、これは副大臣でしょうか。

三ッ矢副大臣 大変重要な御指摘だというふうに思っております。

 外務省の中では、まず経済局が中心になりまして、関係の部局とも連携をとりながら、随時情報のバージョンアップといいますか、更新をやっておるところでございますし、それから、いろいろな場面で、海外からの要人もたくさん来られますけれども、特にこのリストの中に載っているような国に対しては、我々の立場、それぞれの立場で、風評被害に基づく規制じゃなくて、もう少し科学的根拠に基づいてきちんと対応してほしいというようなことをるる説明、また要請をしてきておるところでございます。

松本(剛)委員 個々の首脳会談とか外相会談の行われた後のメモ等、私も逐次拝見をしている中では、当該国の中で言及はいただいているケースも少なくないということは承知をいたしております。

 しかし、今まさにおっしゃったように、また、三ッ矢副大臣は役所におられたからよく御案内だと思いますが、経済局の仕事だと言った瞬間にほかの局の温度はやはり下がるというところは、事実としてないわけではないと思うんですね。やはり、大臣の仕事にしていただかないと、全ての皆さんが、本当にこのことは決して忘れてはいけない、そして逐次努力をしなきゃいけない。

 そして、現実には、例えば大臣との会談でこの話に言及したときには、一方的に言う場合もあるでしょうけれども、本当はここでもうリセットできるというような会談にしていただきたいわけで、その準備は、結局、大使館であるとか日ごろ接していただいている現場の皆さんの御努力をもう一度奮起しなければいけないと思っております。

 もちろん、この中には、我が国の出荷制限にかなり合わせていただいているとかいうものもいろいろあると思います。しかし、被災地の皆さんがもう一度元気を出すためにも、我が国自身の国際的な立場のためにも、これによって我が国自身の中で相当いろいろな努力をしてきているわけですから、ぜひ我が国の努力を信じていただいて、こういった規制は外していただきたいということを常に働きかけ続ける。

 そして、今副大臣に御答弁いただいたので副大臣、大臣も聞いていただいていますから、あわせてお願いをしておきますが、ぜひ一度、省を全部集めて、この状況をもう一度再点検して、そして逐次点検をするというやり方を進めていただきたい。お願いをしたいと思いますが、御検討ください。

三ッ矢副大臣 心して取り組みたいと思います。

松本(剛)委員 震災時の大臣としては、このことは申し上げ続けなければいけないと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 残された時間で、経済外交の推進についてお聞きをしたいと思います。

 総理の外遊、外国出張のときが特に多かったと思いますが、企業団を連れていかれたケースがあったと思います。ほかの国の企業団が行くと、行った先で幾ら成約があったとかそういうニュースが流れてきたりするんです。

 我が国の場合は簡単にそういかない背景もよくわかりますが、この後、具体的な成果が何かあったか把握されておられますでしょうか。

木原(誠)大臣政務官 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、我が国では成長戦略の一環として国際展開戦略ということをやらせていただいているわけでございます。具体的にどういう成果があったのか、こういうことでございます。

 基本的には、相手国政府、企業との間の協力関係の基盤となる覚書の締結、さらに一歩進んで、個別の案件の受注といったような具体的な成果が出ていると承知しております。

 幾つか具体例を申し上げたいというふうに思います。

 まず、四月のロシア訪問に際しましては、同行した三井物産が、ロスネフチ社との間で極東石油化学コンプレックスの共同事業化検証に関する覚書を締結し、事業化に向けた取り組みを進めているところでございます。

 また、五月のアラブ首長国連邦の訪問に際しましては、同行した東芝が、アブダビに新設する医療センターに重粒子線装置を設置するためのフィージビリティースタディーを実施するための現地企業との間での覚書を締結したというふうに承知をしております。

 あと、五月のトルコ訪問では、もうよく委員御案内のとおりだというふうに思いますが、原発建設について日本の排他的交渉権を獲得できたといったような具体的成果が上がっていると承知をしておるところであります。

松本(剛)委員 私も経済外交の推進を進めてきたつもりであります。そのときに感じて、まだ課題として残っているということがあるのではないかということで今も伺わせていただきました。

 今、幾つか御成果を挙げていただきましたが、ぜひ、もっともっと、特に外務省と民間の最前線の企業との連携をとっていただきたいと思っております。

 この場で申し上げるのが適切かどうかわかりませんけれども、先日、日本航空がエアバスを購入するというニュースに接することがございました。我が国は今EUとEPA、FTA交渉をしておりますが、エアバスの購入というのはヨーロッパにとっては大変重要な関心事であると思います。このあたりも、これはもうお聞きしません、感想を申し上げれば、連携がとれているようには見えませんでした。これだけの購入を、我が国の企業がお金を使うのに、本当に連携がとれていなければいけないところがとれていたのか。

 時間が参りましたので、最後に大臣に、私のときも試みながらそこにまで至りませんでしたけれども、ぜひ、外務大臣のもとに、民間の主要企業なのか、国際的な進出をしている企業なのか、定期的に懇談をする場をきちっとつくっていただいて、その上で、戦略的に、どこの国にどういう課題があるので、どういう訪問をするのか、どういう形のメンバーと連携をするのか。

 これがやはり、外国出張が決まりました、ついては、ついてくるところはどこですか、こういうことでやるのではなくて、ぜひ、戦略的にやるためにも、外務大臣のもとに、きょうは、副大臣、政務官もおいでですが、チームとしてでも結構ですし、連携をとれるような場を構築することを御検討を願いたいと思います。

 率直に申し上げれば、そういう民間の企業は全て我が国の国内には所管の省庁がございますので、そことの調整が必要になってくる課題ではありますが、やはりぜひそういう形を御検討いただきたい。

 これは、経団連とかそういう経済団体も一つの方法かもしれませんが、もう少し踏み込んだ形もぜひ考えていただく必要があるのではないかと思っておりますので、御提案を申し上げ、もしコメントをいただけるのであればいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘の経済外交ですが、今委員の御発言の中にもありましたように、我が国としまして、外務省としても、また政府全体としても、ぜひしっかり戦略的に進めていかなければならないと思っておりますし、また、官民連携、大変重要だと認識をしております。

 委員も外務大臣時代に大変御努力をされたと聞いておりますが、ぜひ、今後とも、この官民連携にしましても、私も、経団連に新たに設置されました経済外交委員会に出席をさせていただき外交について説明させていただくなど、さまざまな努力をしてはおりますが、より一層、充実した体制づくりのために努力をしていきたいと考えます。

松本(剛)委員 終わりますが、大臣の私的な懇談会でも結構ですから、突っ込んだ話ができる場をつくっていただく方が我が国の国益にかなうと思いますので、よろしくお願いします。

鈴木委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 きょうは、杉本委員の代理で質問に立たせていただきます。久しぶりの質問ということで、よろしくお願いいたします。

 きょうは、どちらかというと、大所高所の議論はやらずに、枝葉末節的なミクロの、しかし確実に改善につなげていただきたいと思う質問を中心に用意をしてまいりました。

 まず最初に、資料をお配りしていただいていますでしょうか。これは外務省の担当部署につくっていただいた資料です。これは、ちょっと白黒で見にくいんですけれども、外国からの要人の招聘に対する予算のペーパーです。

 安倍総理になられてから海外に非常に積極的に出張されている、このことは私は日本の国益にとって非常に大事なことだと思います。大臣、総理大臣が積極的に外に出ていく、日本の外交のプレゼンスを高めるために非常に重要だと思います。

 他方で、行ってばかりではよくなくて、やはり相互訪問というか、安倍総理もことし二回もトルコに行きましたので、そろそろトルコの大統領に来ていただく順番じゃないかなと思います。

 そういう外国からの要人をお招きするときの予算について外務省に説明を求めたところ、担当部署がこの紙をつくって見せてくれまして、別に悪気はないと思うんですが、私から見るとびっくりするぐらい少なかったんですね。

 見ていただくと、平成二十五年度の予算額、約二億二千五百万円。国賓、公賓、公式実務訪問賓客、実務訪問賓客、それから外務省賓客、いろいろなカテゴリーがありますが、外国の王様とか大統領、あるいは首相、こういった方々が来られたときの予算がトータルで二億二千五百万円、これは率直に少ないんじゃないかなと思いました。

 僕が何かの週刊誌で読んだ情報によると、どれぐらい確かかわかりませんが、安倍総理が一回トルコに行くと、全部含めて二億ぐらいかかるんじゃないかというふうに書いてありました。

 確かに、政府専用機の運航費だけでも結構な額、何千万だと思います。それから、外務省の関係者の渡航の費用、ホテル代は言うに及ばず、いろいろなことを考えると、恐らく総理の外遊一回当たり一億は絶対かかるんじゃないかな、そういう印象を受けます。

 そういった意味では、出ていく方の予算は恐らくそれなりに確保されているんでしょうけれども、向こうから来ていただいたときの予算が本当に十分だろうかなというふうに、この平成二十五年度二億二千五百万円を見てちょっと思いました。

 例えば、国賓というと、年間二組、二組というのは奥さんを入れてということですね、二件しか予算はとっていないんですね。

 この前、フランスのオランド大統領がお見えになったりとか、あるいは、去年だったか、ブータンの国王御夫妻がお見えになりました。ああいうことは日本にとっても相手国にとっても非常にいいことだと思います。そういう国賓が年に二件だけ、あるいは公賓になると一件。トータルでいうとやはり少ないなという印象を受けます。

 あるいは、東南アジアの偉い方、大臣とか首相なんかは、よく成田空港で一泊とか二泊される方も結構多いと聞いています。そういうときのアテンドなんかも含めて、迎え入れる側の予算というのが本当にこんな二億二千五百万でいいんだろうか、私はそういう問題意識を持ちました。

 これを見て、大臣、例えばどういう御感想をお持ちでしょうか。

木原(誠)大臣政務官 まず、私からお答えをさせていただきます。

 委員御指摘いただきましたように、外交政策の実現、あるいはまた二国間関係を充実発展させるという意味では、要人の往来というのが、行き来、双方ともに重要であるということでございまして、山内委員から安倍総理の積極外交については御評価いただいたということで、感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 他方で、こちらに来る側がなかなか十分ではないのではないかという御指摘でございます。もう既に資料をお配りいただいておりますので、二億二千五百万円という予算だと。

 この御評価については、今大変財政事情が厳しい状況でもございますので、私からは、とにかくこの予算を効果的に、そして有効に使わせていただいて、往来というものがしっかりできるようにこれからも取り組んでまいりたい、こんなふうに思っております。

 また、ぜひ委員には、この予算が少しでもふえることができるように、いろいろな意味で御支援をいただければ大変ありがたいな、こう思いますので、その点もお願いを申し上げたいというふうに思います。

山内委員 さすが大蔵省出身の木原政務官、財政の制約の中で効果的にという点は全く同感でございます。

 ただ、私もやはりこの分野はふやす必要があると思います。確かに国賓は、外務省の担当部署に聞くと、天皇陛下の御日程とかを考えると、そんなに一気にはふやせないということも聞いています。他方で、少なくとも、予算があれば、国賓じゃなくても、例えば外務省の賓客、こういったものはもっと機動的に活用できるので、ふやす余地もあると思います。

 とにかく、私は日本というのは一度来てみると好きになる人が非常に多い国だと思います。それは、よその国の悪口は言わない方がいいから言うのはやめますが、アジアの近隣の、非常に外国の賓客を大勢呼んでいる国よりは、日本の方がよほど、一度来たら必ず好きになって帰ってもらえる、そういう国だと思っていますので、この予算、やはり二億二千五百万円、これはちょっと余りに少ないと思いますので、まだ間に合うかどうかわかりませんが、ぜひ来年度予算に反映できるように、ふやしていっていただきたいと思います。

 あわせて、今度は、要人以外の外国からのお客様の招聘事業について聞いていきたいと思います。

 ここにいる国会議員の先生方、よその国の政府の招きで海外を訪問された機会も多いと思います。私、木原さんと一緒に中国に行った覚えがありますが、そういった国会議員を招聘する事業というのは日本にとっても非常に重要だと思います。

 その予算についてもちょっと外務省に聞いたところ、この外務省資料によると、閣僚級招聘事業、平成二十五年度予算六千五百万円、それから戦略的実務者招聘予算は二億八千万円、これは、政財官、いろいろな分野の指導的地位の人を招く、そういうスキームを外務省はお持ちなんですけれども、ただ、人数が余り多くない印象を受けました。

 例えばアメリカの国務省なんというのは、国会議員は言うに及ばず、県会議員とか地方議員の方も含めて、かなりの人数、毎年招いていると思います。

 そういう若いころに、まだ売り出し中の若手議員だった人を招いていたら、後で偉くなったというケースは結構多いわけです。たしか、プーチンさんも副市長か何かのとき、外務省の予算で一週間か二週間、日本に来たと何かの本で読んだ覚えがありますが、将来偉くなる、非常に意思決定の枢要な地位につくようなそういう人たちを早いうちから唾をつけるというか、この人は伸びると思った人を大使館でしっかりマークして、そういう人を一週間でも二週間でも日本に、忙しい人ですから一週間来てもらえれば上等だと思いますが、そういう事業というのは非常に価値があると思います。

 こういった事業について、外務省の予算、今お話しした金額、こんなもので本当にいいんでしょうか。大臣、もし御感想があれば、一言お願いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、先ほど来委員の御質問を聞いておりまして、外国賓客の招聘というもの、これは我が国の外交力強化の一環として大変重要だと認識をしております。

 そして、御指摘の予算ですが、この資料に挙げていただきました数字ですが、これは、確認しましたところ、外国賓客が日本に滞在している間の費用だけということであります。よって、総理等が海外に行く際の費用とはちょっと物差しが違いますので、金額が少ないというイメージを持ってしまうのではないか。この点もありますが、それでもやはりこうした予算はもっと充実させなければいけない、努力をしていかなければいけない、このように感じております。

 そして、御指摘の閣僚級招聘、そして戦略的実務者招聘、戦略的に招聘を行っていかなければいけない、こういった御指摘についても、私も同感であります。

 閣僚級招聘、平成二十五年度予算六千五百三十九万円、平成二十四年度は三十一人という実績でありますし、戦略的実務者招聘、平成二十五年度予算二億八千三百九十一万円、そして二十四年度二百八十四人という実績でありますが、ぜひ、こうした招聘については、御指摘のような戦略的な観点から、有効に、効果的に行っていかなければいけない。

 御指摘はしっかり受けとめさせていただきたいと存じます。

山内委員 この問題に関しては、担当の政府委員の方でも結構ですが、招聘で招かれてきた人たちが具体的にどういうことを日本でやって、どういう効果が具体的にあらわれているか、そういう例などがあればちょっと説明をしていただきたいと思います。

 私の手元にある資料だと、一週間ぐらいのケースだと、関係省庁と意見交換とか与野党幹部と意見交換とか、いろいろなプログラムがあるんですけれども、これが実際はどういうふうにうまくいって、あるいはうまくいかなくてという、評価、そういったものをどのようになさっているんでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 大体、招聘をいたしますと、日本に着きましてから、東京におきまして、外務省の方で担当部局によるブリーフィング、あるいは、閣僚級であれば政務レベルでの面会、そういったことをやらせていただいております。そのほか、関係省庁との意見交換、国会議員の方々との懇談、企業の幹部との懇談、あるいは視察、そういったようなプログラムを組ませていただいております。

 また、東京以外に、地方の魅力もしっかり認識していただきたいということで、大体、地方の視察というプログラムを二日ぐらいは入れさせていただいております。

 それから、フォローアップでございますけれども、もちろん、それぞれの国に戻られた後、大使館の方で、今回の招聘の効果について評価をしっかりと聴取するとともに、その後も連絡をとりつつフォローアップをしていっております。

 そういった形で、それぞれ本国に戻った後の、日本の印象あるいは好印象を発信していただく、そういったことをフォローアップしてございます。

山内委員 一回来てくれた人のフォローアップというのは非常に大事だと思います。

 私もJICAの職員であったんですけれども、大体、研修員が一回来てほっぽらかしにしているよりは、その後、OB会とか、せめてニューズレターを年に二回ぐらいちゃんと送るとか、あるいは、JETプログラムもそうですけれども、そういうOB会みたいなものをちゃんとつくって大使館がきちんとフォローしていると、かなり親日的になってくれたりとか、そういう効果が得られます。

 ただやりっ放しにせずに、きちんとデータベースをつくったり、あるいは、呼んだ人がその後ちゃんと偉くなっているかどうかをフォローした上で、もしきちんとどんどん順調に出世をされるようであれば、二回目、三回目があってもいいと思うんです。ぜひリピーターとして、一回来てくれた人に、十年後にもう一回、あるいは十五年後にもう一回、そういう形で、ぜひ、やりっ放しにせずに、長期的な視点に立って、日本に対するいい感情を持ってくれる、そういう政策決定者をつくるために頑張っていただきたいと思います。

 そういったフォローも含めて、しっかりと予算と手間をかけていただきたいというふうに思います。

 次に、フィリピンの台風被害、きょうは資料も配っていただきましたが、これについて質問させていただきたいと思います。

 実は私は、学生時代、フィリピンの大学に留学をしておりまして、レイテ島と同じくフィリピンの中部の、ビサヤ諸島と言われるところにしばらく住んでいたことがあるんですけれども、非常に台風が多い、それから地すべりが多い。ですから、日本のODAもかなりの程度、砂防とかそういった分野で長年日本の技術協力をやってきた国でもあります。

 実際に、このレイテ島、かつても地すべりで何十人死ぬみたいな事件があって、その後、緊急支援もやったし、インフラ整備でも、日本のたしか無償資金協力だったと思いますが、かなりレイテ島にはお金も手間もかけているはずです。

 多分、日本の援助でちゃんと工事をしている箇所は災害が相当減っていると思うんですが、その他のところでやはり大勢死者が出てしまっているということを考えると、これは緊急援助だけやればいいということではなくて、長い目に立った、その後の復興プラス防災計画、そういった長期的な災害対策の援助をこういうレイテ島みたいなところはやってほしいと思います。

 レイテ島、この二十年ぐらいで何度も、何十人単位の死者が出る災害に見舞われていますので、目の前の緊急援助の一カ月、二カ月ということではなくて、息の長い援助をしていただきたいと思います。

 そういった意味で、今、日本がやっている現状について、政府委員の方でも結構ですし、大臣、副大臣、政務官、どなたか、現状の援助の状況について御説明いただきたいと思います。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げます。

 多分、委員の方がよく御存じだと思いますけれども、特にレイテ島におきましては、我が方で一九九八年に、無償資金協力でオルモック市洪水制御事業計画というものを協力いたしました。これは過去に、一九九一年にこの地域の河川で大氾濫がありまして、八千人の死者が出たというような大災害があったわけでございますが、この事業の結果、砂防ダムの建設やあるいは河川改修等の対策を行いまして、過去の台風被害においては相当程度人的被害の防止に効果があったというふうに認識しております。

 今回の台風三十号との関係はまだちょっとはっきりしておりませんけれども、我々は、これも一定程度の効果が、役割を果たしたというふうに認識をしております。

 それから、もう少し長期的な観点で申し上げますと、対フィリピン援助の重点分野として、脆弱性の克服と生活・生産基盤の安定ということを柱にしておりまして、近年では、洪水対策としての河川改修、あるいは火山周辺の避難所や気象レーダーの整備、それから洪水予警報能力や地震火山監視能力の強化等、いろいろな分野で協力を積み重ねてきております。

 円借款、無償技術協力、さまざまな形態がございますけれども、トータルで災害防止に取り組んできておるところでございます。

山内委員 防災インフラを援助でやると、効果が実は見えにくいんだと思うんですよ、死ななかった人というのはニュースにならないので。亡くなった人はニュースになりますけれども、日本の砂防ダムが守ってくれた命というのは恐らくほとんどニュースにならないので知られないと思うんです、ほっておくと。

 ですから、こういうときこそきちんと、レイテ島のオルモックのあたり、ちょっと金額は忘れましたけれども、かなりの額、日本のODAで援助しているはずですから、恐らく、その日本のODAが入っている地域は死者とかもがくんと減っているんだと思うんです。そういったところをきちんと専門家が評価をした上で、それをフィリピン国内で広報していく、あるいは日本国内でも広報していく。

 災害というと、予防、防災がうまくいった例というのは余り知られることがないので、こういうときこそきちんと検証した上で、日本国内でもフィリピン国内でもきっちり広報していくことが、これまでに使った税金を生かしていく方法だと思うんです。

 そういったことを今実際、外務省、大使館でやられているんでしょうか。もしまだであるとすれば、ぜひ、過去につくったきちんとした防災施設がどれだけ役に立ったかというのを報告して、それも、もしなかったらこれぐらい亡くなっていただろうけれども、これぐらい経済的には少なくできた、そういう観点から検証していくことも必要だと思いますが、それについて外務省の見解をお聞きします。

三ッ矢副大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 先ほど申し上げたオルモックの関係で申し上げますと、できてから、その後、同じ程度の洪水といいますか、雨が降ったケースがございましたが、九一年に八千人と申し上げましたけれども、実は同じ程度の洪水があったにもかかわらず、死者はほとんど出ておりませんでした。

 これから、しっかりそういった我が方の援助の効果といいますか評価も含めて広報に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

山内委員 実は、私も副大臣の今おっしゃったのと同じ印象を受けました。レイテ島の援助リストをずらっと見て、あれ、オルモックの死者が大分減っているなという印象を受けたんです。

 ただ、それはずっと定点観測している人にはわかるんですけれども、そうじゃない人には多分わからないと思いますから、恐らく物すごく効果のある援助をやっていると思うんです、それをただの印象論ではなくて、きちんと専門家が評価をして、それをODAの白書でも外交青書でも何でもいいですけれども、ODAというとすぐ税金の無駄遣いと言われがちですけれども、ちゃんと役に立っているんだということを、日本の納税者に対しても、あるいはフィリピンの国民に対しても広報していくことが非常に重要だと思いますので、さっきの外国の賓客のフォローアップもそうですけれども、こういうのはやりっ放しにせず、ずっとフォローしていくことが大事だと思います。

 それから、一九九八年につくった施設であると、もしかしたら、そろそろ改修とか何らかの、メンテナンスがうまくいっているか、そういうチェックも必要だと思いますので、ODAの箱物、インフラ、こういったものは、五年とか十年とか十五年たったときに、きちんきちんと節目でチェックをしておかないと無駄になってしまうと思いますし、チェックをしておくと今までの投資が生きてくると思いますので、そういったフォローアップもぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 もし、政府の方から何かあれば。

三ッ矢副大臣 大変貴重なサジェスチョンをいただきましたので、できる限りの対応をしてまいりたいと考えております。

山内委員 次に、外務省だけじゃなくてちょっと法務省にも関係することですが、難民の受け入れ政策について質問をします。

 二〇一一年十一月に、難民の保護と難民問題の解決策への継続的な取り組みに関する決議というのを、衆議院と参議院、それぞれで決議をいたしました。自民党の逢沢一郎先生がUNHCR議連の会長として非常に積極的にこの決議のために骨を折られたんですけれども、こういった国会決議をやりました。

 その後、その決議を踏まえて、外務省の取り組みについてお尋ねをしたいと思います。

木原(誠)大臣政務官 お答え申し上げます。

 今委員御指摘をいただきました二〇一一年十一月のこの決議でございます。難民条約の採択から六十周年、また日本の加入から三十周年という節目の年に出された決議ということでございまして、我が国として、難民問題に対する決意を示す大変重要なものであると考えております。

 この御決議の中では、三つの点、国内における包括的な庇護制度の確立、それから、第三国定住プログラムのさらなる充実に向けて邁進する、最後に、我が国の外交政策方針にのっとった難民、避難民への支援を行うということを求められてございます。

 まず、その二点目の、第三国定住による難民の受け入れということでございますが、平成二十二年度からパイロットケースとして開始をしてございまして、タイの難民キャンプにいるミャンマー難民を受け入れております。その対象キャンプを、当初一カ所でございましたが、五カ所に拡大するなど努力をしているところでございますが、引き続きこの事業の実施に全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。

 また、三点目の、我が国の外交政策方針にのっとった難民、避難民への支援という点でございますが、我が国では、今御指摘いただきましたUNHCR、国連難民高等弁務官事務所などとも協力をしながら、サヘル地域などのアフリカにおける人道危機や、とりわけ昨今では、シリア情勢悪化に伴うシリア及び周辺国における難民、避難民のための支援を行ってきてございまして、今後とも、こうした国際機関と連携、協調しながら継続をしてまいりたい、このように考えてございます。

山内委員 ありがとうございます。

 特に第三国定住はアジアで初めての試みでして、いろいろ難しい問題もありますが、ぜひ、パイロット事業のパイロットを外して、恒久的な事業としてきっちりとやっていただきたいと思います。

 それに関連した質問ですが、これはちょっと法務省になるかもしれませんが、一応難民として認定されたり、あるいは人道配慮で在留が認められている者が家族の呼び寄せをする場合、以前に比べて許可が難しくなっているというふうに聞いています。この背景についてお聞きしたいと思います。

 特に、不許可の理由が、経済的な理由で不許可になるケースが多いということなんですけれども、大体、難民というのは、言葉も文化も違う日本にやってきて苦労しているわけで、経済的に豊かな難民というのは余りいないと思います。だから、そういう貧しい難民に対して、経済的理由で家族呼び寄せはだめだと言い出したら、本当に人道的に問題だと思います。

 しかも、難民というのは、大体、特定の国名は出しませんが、本国で非常に政治的に迫害を受けているから難民になっているケースが多いわけですから、そういうところから家族を呼び出したい、あるいは、難民というのは正式には政治的庇護を求めてきた亡命者みたいな立場ですから、そういう人が日本にいることがわかると家族が何らかの迫害を受ける可能性があるわけですから、なるべく家族呼び寄せというのは認める必要があると思います。

 なぜこの家族呼び寄せの基準が難しくなったのか、それについて法務省の御見解をお聞きしたいと思います。

杵渕政府参考人 お答え申し上げます。

 難民として認定された方は、定住者の在留資格を許可され、または、難民とは認定されなかったものの、人道上配慮されて在留を認められた方は、定住者または特定活動の在留資格を許可されて在留することになります。

 このようにして、我が国で在留を認められた外国人が配偶者や子供を呼び寄せる場合において、我が国における生活費支弁の目途は考慮する要素ではありますが、個別に事情を見て、人道上配慮すべき事情があると認められる場合には上陸を許可するなど、申請人の立場に十分配慮した取り扱いを行うこととしております。

 難民として認定された方や人道配慮により在留を認められた方が本国から家族を呼び寄せようとする場合に、その許可を受けるのが難しくなっているとの先生の御指摘でございますが、そのような場合の審査の基準について近時変更したという事実はなく、従来どおり、入管法の規定やそれを受けて定められた基準に基づいて審査し、入国を認めるか否かを決定しているところでございます。

山内委員 ああ、そうですかとはなかなか受け入れられない御答弁でしたが。

 人道的な理由があるということですから、従来どおりとおっしゃいますが、従来ももともと日本は厳しいんです、先進国の中で最も厳しい部類だと思います、そういった意味では、人道的配慮をきちんとできるような仕組みをつくっていかないと、日本は国際社会の中で恥ずかしいと思いますし、国会でもきちんと決議を出しているわけですから、その決議の趣旨をぜひ酌み取っていただいて、そういう不満が出ないような仕組みをつくっていただきたいというふうに思います。

 最後に、外務省の職員の夫婦で在外赴任、勤務をする場合の規定についてちょっとお尋ねします。

 今回の国会では、国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案というのが、たしか全会一致で通りました。要するに、配偶者が休業して、海外に赴任する旦那さんなり奥さんについていける、そういう法律が通ったんですけれども、外務省の場合は、もういっそのこと夫婦で同じ国に赴任させてあげた方が、家族の平和のためにも、恐らく住居手当も半分でいいわけですよ。半分とは極論かもしれませんが、少なくとも相当程度、一緒の国に赴任をしていれば、住居手当、結構高いですから、半分で済む。

 あるいは、国によってはハニートラップなんという国がありますけれども、そういうわなにもはまりにくくなるわけですね。JICA時代、特定不健全地という言葉があって、男性が一人で単身赴任すると問題を起こす国というのが幾つかあったわけですね、どこの国とは言いませんが。

 そういう意味でも、ぜひ夫婦で一緒に赴任するというのは、少子化対策の意味でも、家庭の平和のためにも、それから税金の無駄遣いを減らすためにも大事だと思うんですよ。

 この前、私、東京で某国の同じ国の公使二人と名刺交換をしたら、あれ、名前が一緒だと思って、よく見ると夫婦だったんですね。経済担当公使が旦那で、奥さんが政治担当公使。二人でずっといるのも大変だろうなと思う一方で、いろいろなメリットがあると思うんです。

 夫婦で一緒の国に赴任する、例えばパリだったらOECDと大使館、あるいはニューヨークだったら国連代表部と領事館、いろいろなケースで同じ国に赴任するというのはメリットがたくさんあって、余りデメリットは、あるとすると人事配置が難しくなるということがあるかと思いますが、ぜひ、特に子供が小さい世代の夫婦は同じ国に赴任させてあげるとか、そういう配慮を外務省の人事課もやるべきではないかと思います。そういった観点で質問します。

 それを大臣官房に聞くと、こういう規定があるそうです。ちょっと読ませていただきます。当省としては、外務省職員が夫婦である場合には、これら職員が当省勤務中に、可能な限り一回は夫婦で同一の勤務地となるように人事運用上の努力を行っている。ですから、例えば三十年間外務省で働くとすると、そのうち一回ぐらいは夫婦で赴任できるように努力していますというのが方針だと聞きました。

 少なくとも一回は努力しているのは一定の評価をできると思いますが、できれば、一回と言わずに、なるべく夫婦で仲よく平和に赴任できるように人事上の配慮をしてもいいんじゃないかと思います。その点について外務省のお考えをお聞きします。

岸田国務大臣 御指摘のように、外務省におきましては、職員が夫婦である場合には、これら職員が当省勤務中に、可能な限り一回は夫婦で同一または近隣の勤務地となるよう、人事運用上の努力を行っております。

 委員御指摘のように、夫婦で同一または近隣の勤務地に赴任するということのメリットはあるとは存じますが、実際を申し上げますと、出向者を除いて外務省の職員は四千五百名いるわけですが、その中で、夫婦である職員は約百五十組、三百人存在いたします。対象者は決して少なくありません。

 そして、現実、こうした夫婦を赴任させるということになりますと、夫婦によって、年次ですとか職種、あるいは専門語学の問題で、同一時期に同一公館に配置することが困難であるという場合があります。特に小規模の公館においては、ポスト数自体が限られておりますので、同一公館に夫婦を配置することはなかなか容易ではありません。

 こういった現実がありますが、外務省としましては、できるだけ夫婦で同一または近隣の勤務地となるよう、今後も人事運用上の努力はしっかり続けていきたいと考えております。

山内委員 外務省の中のカップルもそうですし、大使館に行くと各省の出向のアタッシェの人がいっぱいいるわけですから、他省庁の、旦那さんが外務省で奥さんが農水省みたいな組み合わせもあると思いますが、そういった人も含めて、なるべく配慮をしていただいた方がいいんじゃないかなと思います。

 そういった柔軟な運用を期待して、時間になりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 冒頭、昨日の衆議院本会議での秘密保護法案の採決強行に、大きな憤りを持って、強く抗議いたします。とりわけ、日本国憲法の国民主権、基本的人権、平和主義に反して、特に外交を扱う当委員会にも直接かかわる希代の悪法は、廃案にする以外にないことを改めて強く主張するものであります。

 同時に、こうした中で、本日の委員会が、各党間の協議が調わないまま、合意がなく、委員長の職権で開催されましたが、このような事態が決して繰り返されてはならないと強く申し上げたいと思います。

 そこで、きょうは、去る十一月八日に続きまして、原発輸出問題について質問いたします。

 安倍総理は、先月末、トルコのエルドアン首相との共同会見で、原発事故の経験と教訓を共有することで世界の原子力安全の向上を図ることは日本の責務だと述べられて、改めて原発輸出を推進する姿勢を強調されました。

 そこで、岸田大臣に冒頭伺います。

 トルコは、申し上げるまでもなく、世界でも有数の地震国であります。過去半世紀の間に、千人以上の死者が出た大地震が七回も発生をし、そして、一九九九年八月に北西部で起きた地震では約一万七千人が死亡した。そのために、翌年七月、当時のエジェビット首相がアックユ原発の計画を白紙撤回したこともございます。東京電力の福島第一原発事故の直後には、ギリシャの当時のパパンドレウ首相が、エルドアン首相にトルコの原発計画を中止するように要請したこともありました。

 こういう結果は当然御存じですね。

岸田国務大臣 トルコの原子力協力を進めるに当たっては、トルコで地震が発生する可能性、これについては考慮しなければならないと考えております。

 こうした観点を踏まえまして、トルコとの原子力協定におきましては、原子力安全に関する協議を定期的に実施するための規定、こういったものを設けております。他の協定との違いが盛り込まれております。

 我が国としましては、一昨年の原発事故の原因調査の状況、あるいは原子力安全への取り組み等について、最新の状況をトルコ側に対し丁寧に説明するとともに、原子力安全が確保されるよう協力していかなければならないと考えます。

笠井委員 問題は、今大臣が言われた日本政府の原子力安全に対する姿勢だと思うんです。

 そこで、経済産業省、田中政務官にお越しいただいております。

 原発輸出に関する政府の安全確認制度について伺いたいんですが、この制度は、原発輸出に際して、国際協力銀行、JBICや、それから日本貿易保険といった公的信用機関から融資を受ける条件とされているものであります。

 その内容は大きく三つあると思うんですけれども、一つは、相手国・地域が安全規制を適切に行える体制を整備しているか、二つ目に、安全確保等の国際ルールを遵守しているか、そして三つ目に、日本メーカーが輸出機器等の品質確保や保守、補修を適切に行えるか、この三項目について経済産業省が審査をするというものでありましたが、昨年九月の原子力規制委員会の発足以降、この安全確認制度は今どうなっているでしょうか。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 まず、大前提といたしまして、原発の安全確保であります。これは、当該発電所が立地するその国が行うということが国際的にも確立した考え方であります。

 一方におきまして、原発関連資機材の輸出に対しまして公的信用を供与する場合には、OECDの定めた公的信用に関するガイドラインに基づきまして、輸出信用を供与する判断の一環として、輸出先国の安全確保等への配慮が必要であると考えるものであります。その上で、我が国の公的金融機関からの照会を受ける形で、経済産業省が相手国における安全確保等に関する配慮の確認を行ってまいりました。

 そして、規制委員会設置後でありますけれども、安全配慮の確認が必要となる案件が現実においてはなかったため、経産省としては安全配慮の確認を現実には実施しておりません。

 現在、当省におきまして、原子力規制委員会設置後の確認のあり方について鋭意検討を進めているところでございます。

笠井委員 そうしますと、確認したいんですが、この安全確認制度のうち、相手国・地域の原子力安全規制などの項目、さっき私が言った一番目と二番目ですけれども、これは、これまで経済産業省、旧原子力安全・保安院が担っていたと思うんですけれども、その部分は、つまり、そういう案件があったかどうかは別として、今どこが担当するということになっているんですか。

田中大臣政務官 この件でありますけれども、やはり経済産業省が中心となって確認するということになります。その内容に関しては、今現在検討中であるということであります。

笠井委員 三項目のうち、旧保安院が担当したけれども、今、体制上の整備が必要になっているということなんじゃないですか。

 ちゃんとはっきり経済産業省が今担当していると明言できますか。

田中大臣政務官 今現在、申し上げたように、これは経済産業省が中心となって確認するという意思であります。ただ、内規、内容に関して現在は検討を進めているということであります。

笠井委員 中心となってというのと内規というのはどういうふうな関係なんですか。今までは経済産業省が担当していた。今、中心となってと内規、運用、何がどう変わったんですか。

田中大臣政務官 今現在でありますけれども、過去は、原子力規制委員会ができる前は経産省の保安院の方で進めていたということであります。ところが、規制委員会が発足した後は、そちらの方では、規制する方と推進する方と、やはりこれが一緒になることはできないということであります。

 よって、この件に関しては、経済産業省が所管としてそうしたものに関して確認するということであります。それに関して、省の中で、今、どのように内規を進めていくかということに関して検討しているということであります。

笠井委員 要は、原子力規制委員会ができてから、はっきりした体制になっていないということですね。内規もその他も、中心となってと言うけれども、なっていない、宙に浮いているという話じゃないですか。

 では、これはいつまでにそういうことをちゃんと整備するんですか。

田中大臣政務官 この期限でありますけれども、これはもう、とにかく一日も早く決定できるように鋭意検討を進めていきたいと思っております。

笠井委員 早急に整備すると言われました。一刻も早くということですが、案件があった場合に、では、そういうことも、今ちゃんとした体制がない、いつまでに整備するのかも決まっていないという話もあきれた話であります。

 一部で有識者らによる体制などを検討中とも聞きますけれども、原発輸出推進の立場の経産省がこれまでどおり安全確認の実務を担うならば、審査の透明性が担保できるのか、こういう問題が出てくる。まさに、さっき政務官がおっしゃった規制と推進の問題にかかわってくる、だから困っているんだという話だと思うんです。

 岸田大臣、原発輸出に際して政府が行う相手国側への安全審査といえば、安全確認と言ってもいいんですけれども、この確認制度くらいでありますが、今、そういう点では、では、案件があった場合にどうするかということについては、まだきちっとした体制がない、内規もないということですけれども、そういう状況で輸出だけはどんどん進めてきたという話ですね、総理を先頭に。

 こんな状態で、どうして世界一安全な原発を提供できると言えるんでしょうか。これは無責任ということになりませんか。

岸田国務大臣 まず、原子力規制委員会設置後の安全確認のあり方については、ただいま答弁にありましたように、現在、経済産業省において検討しているということであります。ぜひ、その検討の結果を待って、しっかり体制をつくり、その結論を持ってこの事業は進めていくべきだと考えております。

 それも含めて、我が国としましては、原発事故を経験した国として、経験と教訓を国際社会と共有する、我が国の原子力安全における高水準の技術をしっかり国際社会と共有して貢献していく、こうした責任を果たしていくべきだと考えております。

笠井委員 今大臣いみじくも言われたんですが、安全確認のあり方は検討中だ、引き続きこれをやっていくという話なのに、それは検討中なのに、売り込む話だけはどんどん進めてやっているわけですね。協定まで結んでやっている。これは本当に国際的に見たら無責任だというふうに言われる、こういうことだと思います。

 問題は、この安全確認制度の問題だけではありません。

 経産省、政務官に引き続き伺いますが、政府は、トルコの原発建設予定地のシノップで断層調査を行っていますが、その事業名と、それから委託金額、委託先の企業名はどこになっているでしょうか。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 事業名は、平成二十五年度原子力海外建設人材育成委託事業であります。その委託金額、これは十一億二千万、委託先企業名は日本原子力発電株式会社であります。

笠井委員 今政務官が言われたこの原子力海外建設人材育成委託事業というのは、目的はどういう目的でしょうか。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 これは、海外の建設機会、これを活用した我が国の人材の育成、我が国技術の導入国の安全向上に向けた技術的貢献等の観点より、地震動評価等を実施していくということであります。

笠井委員 この経産省が提出した委託契約書によりますと、今言われました日本原電一社と契約を締結いたしております。

 企画競争ということで随意契約の一種によるものでありますけれども、この募集要領を見ますと、委託先企業の選定に当たっては、第三者の有識者で構成される委員会で審査を行い決定するというふうにありますが、この委員会は何回開催されましたか。また、委員会の構成メンバーは何名で、その氏名、役職はどうなっているでしょうか。

田中大臣政務官 この委員会の開催数でありますけれども、それは一回であります。この委託先の選定、これは、先ほどから委員がおっしゃるように、外部の有識者による評価を踏まえて選定されているというものであります。この外部有識者の人数でありますが、四名であります。

 また、氏名、役職等の情報についてでありますけれども、これは、特定の個人、これを識別することができるものであります。また、この採択の理由等については、公正であるべき公募手続に係る意思決定の中立性ということが不当に損なわれるおそれがあるということで、答えに関しては差し控えさせていただきたいと思っております。

笠井委員 氏名、役職含めて、なぜ隠すのか。日本原電を選んだ委員の氏名や役職など最低限の情報すら開示しないのでは、この企業選定が本当に、今政務官が言われた、公正中立にやられたかどうかというのは確認しようがないんじゃないですか。どうですか。

田中大臣政務官 今も申し上げましたが、氏名ですとか役職に対する情報については、やはりこれは、特定の個人、これを識別できるものであります。

 いずれにしましても、政府が保有する情報については、情報公開法に従いまして、関係企業の競争上の地位その他正当な利益、これを害するおそれがないか、こういうものを踏まえながら適切に開示はしているものであります。

笠井委員 では、伺いますけれども、この委員というのは、どのような基準や方法で、誰が選び、任命したんでしょうか。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 経済産業省におきましては、平成十八年度の財務省通達があります。「公共調達の適正化について」というものを踏まえまして、企画競争の提案、こういうものに関しましては、原則、外部有識者だけで審査をするということになっております。

 この外部有識者の選定に関しては、そういった基準をもとに経産省の方で選定をしているということであります。

笠井委員 この支出計画書というのを見ますと、日本原電は、委託額十一億二千万円のうち約九億円、実に八〇%を三つの企業に再委託しております。受注業務の大半をいわば丸投げしている、そういう疑いもある。

 再委託先の企業名と、それから契約金額はそれぞれ幾らになっていますか。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 日本原電がどのような再委託を行っているかにつきましては、公にすることによりまして、当該法人の権利ですとか競争上の地位その他正当な利益、これを害するおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 なぜ公表できないのかと思うんですけれども、経産省が提出した日本原電の企画提案書の別添の四というのがここにありますけれども、実施体制のページを見ますと、大半が黒塗りにされておりますが、その中で三社のうち一社は、トルコで原発を受注予定の三菱重工業のグループ企業、ダイヤコンサルタントとここに書いてあります。こう書いてあるんじゃないですか。違いますか。これは、経産省の文書で、もらいましたけれども。

田中大臣政務官 その件についてはまた改めて確認をさせていただきたいと思います。

笠井委員 いや、これは経産省からもらったので、ちょっと確認してもらえますか。

田中大臣政務官 はい、そのとおりであります。

笠井委員 あるということですね。

 では、それ以外の二社についてはどうですか。

田中大臣政務官 済みません、今ちょっと手元にないもので、確認、お答えすることができません。

笠井委員 経産省の別の文書で、行政事業レビューシートというのがありますが、例えばベトナムと原子力協定がありますが、これに関する実行可能性調査などでは、資金の流れとして、再委託先の企業名や契約金額、契約方式をおおよそこういうふうに公表しているわけですね。企業名も書いてあります。

 なぜトルコの場合はこれは言えないというふうに隠すんでしょうか。おかしいんじゃないかと思うんですが、どうですか。

田中大臣政務官 レビューに関してなんですけれども、それはこれから実際に実施する事業であるからということであります。

笠井委員 レビューはやったけれども、これからやるものは言えないということですか。

田中大臣政務官 今委員がおっしゃっておりますトルコのシノップ原発事業でありますけれども、これは平成二十五年度委託事業ということであります。まだ事業自体が進んでいないということで、レビューの方はいまだに出ていないということであります。

笠井委員 でも、それでもおかしいんですよね。だって、三社あると書いてあって、一つは株式会社ダイヤコンサルタントと書いてあるんです。これは黒塗りを外して出ているんですよ。二つは何で隠すのかというのが私は理解できないんですけれども。

 ダイヤコンサルタントはよくて、ほかは隠さなきゃいけないという理由はあるんですか。

田中大臣政務官 その点に関しましては、今ちょっと手元に資料がないもので、また改めて確認をさせていただきたいと思います。

笠井委員 この問題をきょうは質問すると、通告で、この問題について具体的に伺いますということで、政務官、経産省を通じて、きのうも、大体、委員会が決まったのが遅かったので、深夜になりましたけれども、お伝えしてあるので、確認できないとかという話でなく、基本的な話なんですよね。わからないんですか。

田中大臣政務官 何度も申し上げますけれども、今手元に資料がなくて確認することができません。今お答えすることができません。改めて確認をさせていただきたいと思います。

笠井委員 これは、いつまでに、どう確認して、答えていただけますか。

田中大臣政務官 取り急ぎ今週中にでも全て確認をさせていただきたいと思います。

笠井委員 この日本原電といえば、原子力規制委員会が活断層と認定した敦賀の原発直下の活断層を、これは活断層ではないと主張し続けているようなところであります。

 そこに結局、事実上の随意契約という形でやって、そこから三社に再委託しているという形でやっていて、三社のうち一社は三菱重工の関連企業だ、もう二社については黒く塗ったままという状況でありますが、岸田大臣、これはちょっと本当に不透明というか、私もわからないんですよね。

 そういうような企業に事実上随意契約、企画競争ということであたかも競争性があるかのように言っていますけれども、そういう形で断層調査を委託している。にもかかわらず、その選定に対する最低限の情報も公開しない。これでは、安全とか信頼とか、こういうことを内外に確保できないんじゃないですか。

 これは、大臣、聞いていらっしゃって、いかがお考えでしょうか。

岸田国務大臣 まず、御指摘の契約の中身につきましては、今やりとりの中でありましたように、経産省の方からまた、一度確認をして、報告されるものと存じます。

 ただ、一つ基本的に思うこととして、シノップ原発のプロジェクトについては、安全性につきましては、一義的にはトルコ政府の責任において判断する事項だと考えております。

 そして、シノップ原発については、地震について、トルコ政府は、みずからの国内の地震の危険度を五つのカテゴリーに分類しているわけですが、シノップ地域のうち、原発建設が計画されている黒海沿岸、これは危険度の低い方から数えて二番目に属するというふうに判断しておりますし、津波につきましても、シノップ地域の面する黒海沿岸で津波が発生した記録はないということのようであります。

 そして、あわせて、さまざまな規則がトルコの国内において整備をされており、IAEAの安全基準等も考慮をされている。また、トルコ政府は、EUと同じ方式のストレステストを行っている。こうした努力をされておられます。

 我が国としましては、こうしたトルコの判断、そして要請に基づいて、我が国の持つ世界最高水準の安全性を有する技術をしっかり提供していきたいと思っておりますし、あわせて、人材育成ですとかあるいは制度構築、こうした基盤整備についてもしっかりと支援をしていくことが重要だと考えております。

 こうした考えに基づいて協力をしていくのが、我が国の原子力安全に貢献する立場だと考えております。

笠井委員 今大臣が言われたんですが、安全確認をやるのは大臣じゃないので、大臣も言われたみたいに、原子力安全条約でも、原発の安全確保というのは当該原発が立地する国の責任とされて、その前提のもとで、冒頭ただしたみたいに、昨年九月までは経産省で安全確認をやったけれども、今それが、体制が整備中という話であり、なおかつ、契約の内容がわからない、不透明、公開されていないという問題がある。

 問題だというわけで、そういうことで、トルコへの原発輸出なんかを進めるということは絶対あってはならない。直ちにやめるべきだと思います。

 最後に、委員長にお願いですが、トルコの原発建設予定地に係る経産省の活断層調査業務で、日本原電を選定した第三者の有識者で構成される委員会の氏名や役職、再委託先の企業と請負金額に関する資料の提出を求めたいと思います。理事会で協議をお願いします。

鈴木委員長 申し出については、理事会で協議したいと思います。

笠井委員 終わります。

鈴木委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうは、北方領土問題や普天間飛行場代替施設建設事業などについてお尋ねしたいと思います。

 まず、北方領土問題についてお伺いいたします。

 内閣府が調査いたしました北方領土問題に関する特別世論調査について、まずお伺いいたします。

 これは、平成二十五年十一月七日に内閣府政府広報室から公表されているものですが、調査対象が、全国二十歳以上の日本国籍を有する者三千人、調査時期は、平成二十五年九月二十六日から十月六日まで、有効回収数が千八百四十八人、回収率は六一・六%、そして、調査員による個別面接でアンケートを聴取したということになっておりますね。目的は、北方領土問題に関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とするということになっております。

 まず、この調査について、内容の概要及びその結果について、また、それらの結果から注目する点などについて、初めに伺いたいと思います。

山本政府参考人 私どもといたしましては、北方領土問題に関する特別世論調査の概要ということで、今お話ありましたように、前回の調査から既に五年を経過しましたので、経過観測の観点、北方領土問題に関する啓発の効果の確認の意味で、今回調査を行ったところでございます。

 それで、主な特徴的なところと、先生がおっしゃるように、方向性とか留意点について、考えているところを申し上げさせていただきます。

 まず、北方領土問題があることを御存じの方ということにつきましては、九七・六%ということで、比較的高い数値が出ております。また、北方領土問題の内容を知っている、ある程度知っているというのを合わせますと、要するに北方領土問題の内容を理解している方が八一・五%ということで、この辺は大変高い数値にはなっておりますので、今まで行ってきたさまざまな広報啓発活動というのは一定の成果はあるのかなというふうには考えております。

 ただ一方で、返還要求運動の取り組みの内容の認知度というような問いになりますと、五一・三%ということで、比較的低い数字になります。また、返還要求運動への参加意欲ということを聞きますと、残念ながら、参加意欲のない者が六割近い、五九・五%というような数字もございます。ただ一方では、全体の三分の一、三三%の方が、機会があれば参加したい、こういう答えもございますので、これらを考えながら今後の取り組みに生かしてまいりたいということを考えております。

 また、今回の調査の中では、北方領土問題を何で知ったのかということも聞いております。テレビ、ラジオというのが九一・三%、新聞が七〇・七%ということですから、日常生活の中でそういう目に触れやすい媒体で認知した方が多いということですから、その辺も踏まえて今後取り組んでいく必要があると考えております。

 また、若い世代を運動に取り込んでいくことが大きな課題なのでございますけれども、若い世代の運動への参加促進の取り組みに何が必要かということを複数回答で聞いております。

 それによりますと、北方領土問題に関する学校教育の充実というのが五七・八%、テレビ番組や新聞報道などの充実というのが五二・四%、インターネットなどの若い世代向けの媒体を用いた広報啓発の充実というのが四五%、それから、今回新設した項目ですが、SNSを用いた広報啓発というのも三二%というような数字になっておりまして、北方領土教育の充実、そして若者世代のコミュニケーションツールを活用した効果的な啓発の充実化とか多様化、こういうことを今後やらなきゃいけないのかなというふうに考えているところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 さまざまな調査によって、できれば毎年やって、調査をやっていること自体も広報することによって、認知度はさらに広がっていくのではないかということも考えられるわけですね。

 大臣、所見についてお伺いしたいと思います。

 今の調査について、いろいろ、いい数字があったり、あるいはもう少し頑張らねばならないという数字があったりするんですが、この調査を受けての国の施策について、今後どのように取り組んでいくべきかということについてぜひお答えいただければと思います。

岸田国務大臣 北方領土に関する世論調査につきましては、こうした結果をしっかり受けとめ、しっかりと分析し、そして今後の施策の参考にさせていただかなければならないと思います。

 外交を進めるに当たって、国民の理解というものは大変重要だと認識をいたします。こうした理解を得ながら外交の結果を出していく、こうした姿勢は重要だと考えております。ぜひ、こうした国民の理解を得ながら、この北方領土問題、平和条約締結問題に向けて具体的な結果を出すべく努力をしていきたいと考えます。

玉城委員 北方領土の問題、調査からいろいろな方向が出てきて、それがまた国の施策に反映されるということが、我々も、その努力を惜しまずに取り組まねばならないということに関しては一致すると思います。

 先般、実は、北方領土返還要求北海道・東北国民大会の大会決議と要請を国会内でお受け取りいたしました。決議は八月二十三日の大会決議ですが、強制的に北方四島から追い出された約一万七千名余の元島民は、帰ることのできないふるさとを思いながら、約一万名以上の方々がもうお亡くなりになっていらっしゃいます、また、生存者の平均年齢も既に七十九歳、焦りと不安を募らせているというふうに述べていらっしゃいます。

 その大会決議の中で、北方領土返還要求運動の源であり、国民一人一人の領土返還を求める思いが込められた返還要求署名が八千五百万人を超えているというふうな御報告もいただいています。

 その大会決議の中に、北方四島の一括返還の実現、それから国内世論の高揚と結集、国際世論の喚起促進、さらには北方四島交流事業の円滑な推進や、北方四島周辺水域における安全操業を確保することということがある中に、先ほども調査結果のところでも述べられておりましたけれども、「北方領土教育の拡充強化と青少年に対する啓発活動の促進を図ること。」というのが実は大会決議に織り込まれています。

 先ほども、その啓蒙、啓発については取り組んでいるという現況についていろいろとお伺いをしたわけですが、こういうふうに大会の要望にも挙げられておりますし、また、先ほどの北方領土問題に関する世論調査の中では、北方領土問題に対する正しい理解と認識を持たせるための、特に学校教育の充実ということは、平成二十年十月の調査の五五・八%から平成二十五年十月は五七・八%と、約二%上昇しているんですね。

 ということは、やはり、学校教育の中において丁寧に、子供たちそれぞれの年代、年齢に応じた教育にしっかり取り組んでいくことが、子供たちの北方領土問題に関する本質的な学級での話し合いが行われたり、あるいは国際社会の中で日本の外交にどういうふうなことが求められるかというふうなことも、広く子供たちの成長に資するものが大変大きいと思います。

 そこで、この要望の中にあります教育の拡充と啓発活動の促進について、その取り組みについて見解をお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども内閣府としては、今、玉城先生の御指摘の要望事項は大変重要だと思っておりまして、引き続きその点に重点を置いて取り組みたいと考えております。

 内閣府におきましては、独立行政法人北方領土問題対策協会、各都道府県に設置されている都道府県民会議等と連携しまして、全国の中学、高校生、社会科担当教諭対象の研修ですとか、教育関係者、青少年による北方地域の根室の訪問、四島訪問事業、あるいは教育関係者による教育者会議の設置というようなものへの支援なども行っています。

 また、その一環で、平成十九年度からは、北方領土問題対策協会等が実施する教員とか生徒対象の事業につきましては、文部科学省さんから各都道府県の教育委員会にも協力依頼を出していただくなどということもしております。

 また、根室市などの隣接地域への修学旅行の誘致、協力支援、商業施設など親しみやすい場所での北方領土問題啓発イベントの開催、あるいは、北方地域に生息しているというエトピリカという鳥がおりまして、これのキャラクターでエリカちゃんというのを展開したり、あるいはフェイスブック、ツイッター、それから民間企業と共同した啓発イベント、こういったことで、できるだけ若い世代の方がより取り組みやすい形での啓発、広報に取り組んできておりますが、引き続き、関係省庁や民間団体さんともよく相談しながら、連携して工夫して取り組んでまいりたいと思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 領土問題については、言うまでもありませんが、例えば竹島の問題、尖閣の問題等々、私は、日本の歴史教育の中では、割と昔のことはよく勉強するんですけれども、近世代の流れについて、もう少し丁寧に学校教育の中でも、これはもう外務省さんのみならず、各省庁が横断的に、その国民教育についてはしっかりと取り組んでいただきたいなという思いを日ごろから持っておりますので、ぜひ、この調査の成果、それから国民大会の要望などもしっかりと踏まえていただければということで、教育に関して質問させていただきました。

 さて、大臣、日ロ首脳会談などについてぜひお聞かせいただきたいと思います。

 せんだって十一月は、日ロ初の2プラス2も開催され、安保の協力強化でも一致したというふうなこともありますし、本当に、近年やや冷え込んでいる日中関係と比較するのは少し問題があるのかもしれないんですが、やはりロシアとの関係は、エネルギー交渉等々を含めて、北方領土問題だけではなく、その成果は大きいものがあると思います。

 そこで、お伺いいたします。

 この日ロ会談の内容、及びその中でも重点になるようなこと、それはどのようなことが挙げられますでしょうか、ぜひ見解をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

岸田国務大臣 日ロ両国の関係ですが、四月にまず安倍総理がロシアを訪問しました。それから半年間の間に四回首脳会談が開催されるなど、テンポよく首脳間の政治対話が進んでいると認識をしております。

 そして、四月の首脳会談ですが、その際に、安倍総理とプーチン大統領との間で、平和条約締結問題、安全保障、経済、人的交流など幅広い分野で議論を行い、そして共同声明も採択いたしました。この四月の訪問は、今後の日ロ関係に新たな弾みと長期的方向性を与えることになったと認識をしています。

 そして、この首脳会談後、G8ロックアーン・サミット、そしてG20サンクトペテルブルク・サミット及びバリにおけるAPEC首脳会議、こうした際に首脳会談を行ってきました。四月のこの会談の成果を踏まえて、フォローアップする形で幅広い分野での議論を積み重ねてきた、こういった内容、次第であります。

玉城委員 この間、やはり、北方領土問題にかかわらず、平和条約など、さまざまな広い対話の促進というものが求められるということは、国民にとっては大変明るい話題といいますか、明るいニュースになると思います。

 そこで、通告は出していないんですが、2プラス2の大臣の印象といいますか見解についても一言ぜひお伺いしたいと思います。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

岸田国務大臣 今月、十一月の初めですが、日ロの2プラス2、外務、防衛閣僚の会談ですが、歴史上初めて日ロの間で開催されました。外交、安全保障分野における両国の信頼関係を高める、意思疎通を図るという意味で、大変意義ある会議だったと認識をしております。

 先ほど申し上げましたように、四月の首脳会談におきましても、平和条約締結問題ももちろん重要な課題でありましたが、それ以外にも、経済ですとか人的交流、幅広い分野で両国間の関係をレベルアップしていこう、こういった点で一致をしたわけであります。この幅広い分野の大切な分野の一つとして、安全保障の分野、外交の分野があると認識をしております。この幅広い分野における両国間の関係推進という中にあって、大変重要な分野、外交、安全保障の分野においても、2プラス2を通じて両国間の関係が進展したと認識をしております。

玉城委員 通告はしておりませんでしたが、ありがとうございます。岸田大臣ならではの、丁寧かつ重層的といいますか、いろいろな方面での交流も交えた外交にぜひ取り組んでいただけますようお願いを申し上げたいと思います。

 では、続いて普天間飛行場の代替建設事業についてお伺いいたします。

 実は、先般、沖縄県名護市長から十一月二十二日付で沖縄県に提出された公有水面埋立承認申請書に関する名護市長の意見というのが、全二十三ページにわたって県の方に届けられています。

 市長の思いといいますか、多くの市民の声に応えるような形で取り組んだものなんですが、その市長の思いの中には、市民生活への影響について行政組織として調査するとともに、市民の声を直接聴取した、そしてこれらを総合的に判断した結果、新たな負担を強いる基地の建設を認めるわけにはいかないということを確信したというふうに述べています。

 「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立について、事業者である国は「環境保全への配慮は適正であり、環境保全の基準又は目標との整合性も図られていると判断した」としていますが、環境保全に重大な問題があり、沖縄県知事意見における指摘のとおり、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能であると考え、本事業の実施については強く反対いたします。」という大変厳しい意見がここに述べられているわけなんですね。

 そこで、この市長、市民からの意見について、まずこの所感と、今後の取り組みへの見解についてお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、普天間飛行場につきましては、固定化は絶対に避けなければならないと考えています。普天間飛行場の移設を含む在日米軍再編を現行の日米合意に従って進めつつ、沖縄の負担軽減を図っていくというのが政府の立場であります。

 そして、この問題について、沖縄においてさまざまな意見があるということは十分承知しておりますが、政府としましては、引き続き、沖縄の皆様に政府の考え方を丁寧に説明し、理解を求めていきたいと考えております。

 そして、御指摘の名護市長の意見書については、これから沖縄県に対して正式に回答がされるものであると承知をしております。そして、名護市からまだ直接お話を伺っているものではありませんが、ただ、御指摘の自然環境につきましては、十分に配慮していく必要がある大切な課題だというふうに認識をしております。

 ぜひ、引き続きまして、丁寧な説明を行い、理解を求めるべく、政府としては努力をしていきたいと考えています。

玉城委員 では、続いて国交省にお伺いしたいと思います。

 この意見書では、公有水面埋め立てにおける根拠法の四条に抵触するなどの意見が付されております。それに加えて、十一月二十一日の沖縄タイムスに沖縄大学の桜井国俊教授のコメントが載っております。先生は環境学の専門でもいらっしゃいますが、「公有水面埋立法は、その第四条において、埋め立て申請が、一、国土利用上適正かつ合理的でない場合、二、環境保全および災害防止に十分配慮していない場合、三、土地利用や環境保全に関する国・県・市の法に基づく諸計画にそむく場合―、そのいずれの場合であっても知事は免許を与えてはならない」とされているんですね。

 当然、この中には、二十三ページにわたって、先ほど大臣からもありましたとおり、環境の問題等々いろいろあるんですが、根拠法に照らしても、この埋め立てに関しては、免許を与えてはならない要件に合致するというふうに言われております。

 これについて国交省としてはどのように取り扱うことになるのかについて、見解をお聞かせください。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 公有水面埋め立ての免許の権限は、国の所有に属する水面を埋め立てるものであり、本来国の権限でございますけれども、地方の事務に精通しているということにより、都道府県知事に法定受託事務として行わせているものでございます。したがいまして、同法に基づき、都道府県知事が承認の可否を判断するというふうに考えております。

玉城委員 では、続いて環境省にお伺いいたします。

 環境省に関する部分も、当然ですが、この海域、区域は、本当に、沖縄の中でも生物多様性の宝庫と言われているところです。

 自然環境保全への影響については、海草藻場について、ジュゴンの生息環境の保全措置について、サンゴ類の生息環境の保全措置について、それからウミガメの生息環境の保全措置についてなどなど、幅広くその問題が指摘されています。そして、ここには、生物多様性国家戦略において、二〇一二年から二〇二〇年までの目標や望ましいイメージとして、沿岸地域においてはさまざまな生物が生息しているということが挙げられているんですね。

 そういうことについて、環境省にお伺いいたしますが、アセスの不備の指摘もこの意見書の中では取り上げられています。そして、環境への懸念についても、当然のごとく、さまざまな問題点が列記されています。このことについての環境省の見解をお聞かせください。

星野政府参考人 生物多様性の保全は重要であり、事業地周辺海域において事業が実施される場合には、環境影響評価書に基づきまして、十分な環境保全上の配慮がなされるものと考えております。

玉城委員 当然、アセスメントが行われて、それによって事業が認可されていくということは、これまでいわゆる行政手続は進められてきているんですね。ところが、行政手続が進められている中に不備があるから、名護市長は、市民の意見を聞いて調査をし、こういうふうに意見にまとめて沖縄県知事に届けたということですから、その中に、やはりアセスの不備があるということは多くの専門調査の方々が指摘をしているということが述べられています。そのことを念を押しておきたいと思います。

 さて、この名護市の意見書における、米国と日本政府との代替施設建設事業の協議に関する内容について、防衛省にお伺いしたいと思います。

 今回市長から県へ提出された意見に関して、事業所管官庁としてはどのように扱っていくことになるのでしょうか、見解をお聞かせください。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましても、宜野湾市の中心部に位置いたします普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないと考えております。また、その移設につきましては、先般の2プラス2の共同発表でも確認をされておりますとおり、日米両政府において、普天間飛行場をキャンプ・シュワブに移設するということが普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であるということは、累次確認をされてきております。また、この移設を実現するため、本年三月二十二日から、公有水面埋立法に従った埋め立ての承認に係る手続を進めてきております。

 御指摘の名護市長の御意見につきましては、埋め立て承認手続において沖縄県に対して回答されるものであって、防衛省として名護市から直接お話を伺っているものではありませんが、いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、先月の2プラス2の共同発表において決定された方針に従いまして、抑止力の維持、それから沖縄の負担軽減を図りながら、普天間飛行場のキャンプ・シュワブへの移設も含めた沖縄における米軍再編事業を進めるべく、米側との調整を進めてまいることとしておるところでございます。

玉城委員 時間が来ましたのでもう終わらせていただきますが、国はもっと国民に対して向き合うべきであるというのが私の理念です。ですから、こういう意見書は、丁寧にくまなく精査をして、しっかりと応えるという姿勢を持って臨んでいただくことをお願いして、質問を終わらせていただきます。ニフェーデービタン。

鈴木委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件及び政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。岸田外務大臣。

    ―――――――――――――

 万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件

 政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約は、平成二十四年九月から十月までドーハで開催された万国郵便連合の大会議において作成されたものであります。

 万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約は、万国郵便連合の運営等及び国際郵便業務に関する事項についての所要の変更を加えるため、現行の万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約を更新するものであります。

 これらの文書は平成二十六年一月一日に発効し、これに伴い現行の文書は失効することになっています。

 これらの文書を年内に締結できない場合、国際郵便業務を実施する法的根拠が失われてしまうため、我が国がこれらの文書を本年中に締結することは、極めて重要であります。

 よって、ここに、これらの文書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この約定は、先ほど御説明した万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約と同様、平成二十四年九月から十月までドーハで開催された万国郵便連合の大会議において作成されたものであります。

 この約定は、郵便送金業務に関する事項についての所要の変更を加えるため、現行の郵便送金業務に関する約定を更新するものであります。

 この約定も、先ほど御説明した万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約と同様、平成二十六年一月一日に発効し、これに伴い現行の文書は失効するため、年内に締結できない場合は国際郵便送金業務を実施する法的根拠が失われてしまいます。

 したがって、我が国がこの約定を本年中に締結することは、極めて重要であります。

 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この議定書は、平成二十四年三月にジュネーブにおいて採択されたものであります。

 この議定書は、政府調達に関する協定の適用を受ける機関及びサービスの拡大、開発途上国の同協定への加入に関する特別な取り扱い、調達における電子的手段の利用等について定めるものであります。

 我が国がこの議定書を締結することは、我が国の供給者等が参入できる他国の政府調達の範囲が拡大するとともに、我が国自身の調達をより効率的かつ機動的に行うことが可能となるとの見地から重要であります。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件の条約の締結につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.