衆議院

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第5号 平成26年3月14日(金曜日)

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平成二十六年三月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 渡辺  周君 理事 小熊 慎司君

   理事 上田  勇君

      あべ 俊子君    石原 宏高君

      大野敬太郎君    木原 誠二君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    島田 佳和君

      渡海紀三朗君    東郷 哲也君

      星野 剛士君    武藤 貴也君

      玄葉光一郎君    郡  和子君

      津村 啓介君    松本 剛明君

      阪口 直人君    村上 政俊君

      岡本 三成君    青柳陽一郎君

      笠井  亮君    玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        三ッ矢憲生君

   外務大臣政務官      石原 宏高君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 和之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   越川 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 五嶋 賢二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    三好 真理君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           島村  淳君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     大野敬太郎君

  小川 淳也君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     河井 克行君

  郡  和子君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     小川 淳也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長越川和彦君、大臣官房審議官五嶋賢二君、大臣官房参事官水嶋光一君、大臣官房参事官下川眞樹太君、大臣官房参事官大菅岳史君、領事局長三好真理君、内閣官房内閣審議官山崎和之君、内閣審議官前田哲君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、国土交通省航空局安全部長島村淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。民主党の渡辺でございます。

 まず最初にお尋ねをしますけれども、三月十二日に齋木外務事務次官が訪韓をされました。その上で、趙太庸外交部第一次官と三時間ほどの話し合いを持たれたということで、しかし、その晩、夕食をともにするはずだったのが、いろいろな事情があって帰国をしたということでございます。

 韓国中央日報の日本語版のサイトを見ますと、韓日次官級協議で「手ぶらで首脳会談をねだった日本」と書いてあるわけですね。結果的には、河野談話の継承のほかには特別なメッセージを持ってきていなかった、これを多分、手ぶらということでこの中央日報は報じているんだろうと思います。

 大臣に伺いますけれども、日韓の事務方の首脳によるこの会談、この点でどういうやりとりがあったのかということについてまずお尋ねをしたいと思います。

岸田国務大臣 十二日の齋木次官の訪韓に際して、趙太庸外交部第一次官との間で会談が行われたわけですが、その際に、まずは、日韓両国における現状、そして今後の両国関係の取り進め方について意見交換を行い、また、日韓間における幾つかの懸案事項についても意見交換を行いました。そして、あわせて北朝鮮情勢についても意見交換を行い、この点については日韓で連携していくことの重要性で一致をした、こういったことでありました。

 我が国として、日韓間におけるさまざまな問題について議論をさせていただき、そして、我が国の立場、問題意識、考え方、こういったことを説明する場となりました。

渡辺(周)委員 そこでお尋ねしたいんですけれども、そもそもこれは日本側からの呼びかけだったのか、あるいは韓国側から、会いたい、あるいは来てほしいという話だったのか、そもそもどちらからの要請でこの次官級協議が行われたのかということが一点。

 それから、韓国のメディア、あるいは我々が今直面している課題については、必ず言われるのが、誠意ある対応が必要だ、これは韓国側が常に言うんです、歴史問題について誠意ある対応が必要だと。この誠意ある対応ということについて具体的に韓国側から何らかの言及があったのか。

 つまり、これがなければ何回次官級協議をやっても、あるいは、今後の日米韓の、核安全保障サミットにおける韓日、あるいはアメリカも入れた上での首脳会談なのか、何らかの形での首脳会談を我々が考えても、その点については、韓国が言う誠意ある対応というものがなければまさにこの努力が水泡に帰してしまうのではないかと懸念するわけですが、韓国側の言う誠意ある対応というのは具体的にはどういうことだというふうに突きつけられていますか。

岸田国務大臣 まず、この会談について、どちらが働きかけたのかという御質問ですが、もともと我が国は、日韓関係は大変重要だと考え、さまざまな実務的な協力、あるいはさまざまなレベルの意思疎通、協議を積み重ねていくことが大事だということを訴えてきました。よって、従来からも、次官級あるいは局長級、さまざまなレベルで意思疎通を図ってきました。

 今回の齋木次官の訪韓に関しましては、我が国から訪韓を提案したわけでありますが、従来から我が国が主張している実務的あるいはさまざまなレベルにおける意思疎通の一環だと認識をしております。

 そして、誠意ある対応について御質問がありました。

 我が国としましては、従来の我が国の立場、そして今日までの経緯ですとか今後の考え方について、しっかり説明をさせていただきました。それが誠意ある対応なのかどうか。御指摘は韓国のマスコミの報道でありますので、その評価についてここで何かコメントするのは控えたいとは存じますが、いずれにしろ、我が国のこうした立場や考え方をしっかり説明することは重要であると考えておりますし、これについての理解を求めるべく、引き続き努力はしていきたいと考えています。

渡辺(周)委員 私は、メディアの言ったことに対してどうお考えかと言っているのではなくて、これは韓国のメディアですから、というか、どの国のメディアも、自国のことを取り上げるときには当然その国のサイドに立って書くわけですけれども、たまたま見た中央日報の日本語版の中には、かぎ括弧で、つまり発言として、誠意ある対応が必要だという韓国側の言い分を取り上げている部分がある。

 そしてまた、これまでも、今回に限らず、韓国側の主要な政治家を初めとする政府関係者の発言には、誠意ある対応が必要だというんですが、我々は、もう随分、従軍慰安婦問題、いわゆる慰安婦問題が世に出てから今日に至るまで、これは河野談話もそうですし、その後のアジア女性基金もそうですけれども、さまざまなことをやってきた。そのことについては、もうどこかで区切りをつけたいという思いの一つが河野談話だったと思いますし、その後のアジア女性基金によるさまざまな支援活動だったと思うんですが、今またここに来て、世界じゅうに慰安婦の像というものをつくろうという計画が持ち上がって、アメリカの各地につくられている。

 そして、この問題が世界に大きく発信をされることによって、我が国の名誉というものが、この後の質問で申し上げたいと思いますけれども、我が国の歴史問題ということについて、我が国は歴史問題にしっかり向かい合わない日本であるというイメージをあちこちで植えつけられるような運動が起きている中で、まださらに誠意ある対応が必要だというんですが、この誠意ある対応というのは、具体的に何か言及されているんですか、韓国側から。こうしたらこれが誠意ある対応だということを向こうが認める、のむということは、この誠意ある対応というのは一体何だと突きつけられているんですか。これが何なのかわからない限りは、何回会ったって、結果的に、歴史に向き合っていないではないか、誠意ある対応を日本はしていないではないかと延々とされるわけです。

 一体、我々はいつまでこのことをずっと突きつけられて、このような議論をどうして国内でずっとしなければいけないのか。その点については、この誠意ある対応というのは、何をしたら誠意ある対応と韓国は理解するんですか。その点については何だとお思いですか、大臣。

岸田国務大臣 まず、今回の次官級協議においては、日韓間における懸案事項について議論を行いました。当然、この歴史問題についても議論が行われた次第です。

 そして、誠意ある対応とは何かという御質問ですが、慰安婦の問題につきましては、今日まで我が国として、一九六五年の日韓請求権協定から始まり、その後、河野談話、またアジア女性基金への取り組みなど、さまざまな取り組みを行い、そして我が国の思いを訴えてきました。こうした取り組みそして経緯を、丁寧に、謙虚に説明していく、これこそ誠意ある対応であるということで、韓国に理解を求めてきたわけです。

 こうした経緯につきましては、アメリカを初め関係国にも説明をしてきているところですが、何よりも、韓国自体に今日までの我が国の取り組みについて理解をしてもらわなければなりません。引き続き、こうした取り組みについて理解が得られるよう、しっかりと説明をしていきたいと考えています。

 今回の次官級協議においても、こうした我が国の立場について説明をした、それについて議論が行われた、こういったことであります。

渡辺(周)委員 日本は今まで、先般の、当時の石原副長官の予算委員会での発言にもありました、裏づけはとれていないけれども、日韓関係を前に進めるためには、正直、検証をしっかりとしない形で、ある意味では当時の韓国側の意向に沿った形であのような談話の形となって発出をされた、そしてそれが我々の善意であったということが、しかし、今もまだ尾を引いているというよりも、まだ蒸し返され続けているわけですよ。

 これを、いつまでも日本の立場、つまり、歴史に向き合わない日本だということで、この問題については今もまた再燃をしている。そしてそれが、二国間の問題のみならず、今度はアメリカの各地に像をつくられて、そして今後はオーストラリアであるとかいろいろなところにまたつくろうという動きが組織的に計画をされていく中で、もうこの点について、私たちは誠意ある対応というのはしてきたし、そして国際社会に向けて発信をしなければいけない。

 これは、当事国というよりも、もうほかの国々に対して、アジアのこの二国間の間に横たわる問題については、ほかの国に行ったら、西欧で知っている方はそんなにいないですよ。我々が、では、よその国の深い歴史を知っているかといったら、残念ながらそんなに知っているわけでもない。だとすれば、声の大きい方が、あるいは運動を続けている方が、さもそっちの方が正しいのかなと、その方が運動としては大変強力なアピール力を持つわけであります。それだけに、私たちは外交力の中でどう発信をするか。

 ということで、次の質問をしたいんですが、今回の法案の一つのテーマとして、日本の在外公館の活動について、やはり我々、残念ながらなかなか国内では理解し切れていない部分がある。というよりも、本当にしているのかしていないのかということも含めて、この点についてなんですけれども、まず一つ。

 そもそも、在外公館で、こうした日本に対する他国からのネガティブな情報戦といいましょうか、こういうものに対抗するために、どのような形で大使館が取り組んでいるのか、あるいは一人一人の外交官が取り組んでいるのかということをぜひお尋ねをしたいと思います。

 この問題について、例えばですが、先般の予算委員会における石原副長官の国会での参考人発言、こういうものは、私が外務省のホームページを見たところでは、歴史問題QアンドAの中にはつけ加えられていないわけでありますけれども、こういうことをして対外的に発信をして、多分ほかの国からなかなか理解されない。どうして、裏づけのとれていないものをあえて認めた形で謝罪をして、そして基金までつくってやったのか。これは多分、この日本型の解決の仕方ということはなかなか理解されないことではないかと思うんです。

 にもかかわらずしたという、この日本の、ある意味では善なる部分といいましょうか、美徳と日本では考えてきた部分、これが実は、ある意味では理解されずに、やはりそこを認めたということは、だって、実際あったということでしょう、後から何を言っているんですかと大方の世界じゅうの方がとるとなれば、理解されないかもしれないけれども、日本型の解決の仕方というものを模索した結果、こういうことになった。

 しかし、これで日本の国はいまだ苦しんでいるということを、もしかしたらこれは自分の身から出たことだと言われればそれまでかもしれませんが、しかし、あのときには、外交案件を解決するためにこういう手段をとったんだということは、私どもは、やはり各国のメディアに対して、関心を持っている国々に対して、有識者なりメディアなりに対して発信をし続けることが大事だと思います。

 また、こういうQアンドAの中にも、その日本型の解決の仕方をしたということはやるべきであるし、しかし、それが歴史的にどうであったかということについては、直近の国会の中で当事者がこのように発言したということは、やはりつけ加えるなり更新するなりすべきだと思いますけれども、それはいかがですか。今、外務省でそういうことを全省的に取り組んでいるでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の、歴史認識、あるいは我が国の立場についてしっかりと発信していかなければいけない、これは当然のことだと認識をしています。

 こうした慰安婦の問題等、具体的な課題につきましても、全世界の在外公館、大使等を中心としまして、現地のメディア、有識者に対しまして働きかけを行っているわけですし、私自身も、外国訪問の際には、地元メディアとの対面インタビューあるいは書面インタビュー等を通じまして我が国の立場を発信する、こういった努力をしております。

 そして、従来のこういったやり方をより充実させるために、ホームページですとか、あるいはさまざまな印刷物、そしてビデオ等の映像、こういったものも拡充してきているところですが、こういった課題に対しましては、やはり国際世論にいかに具体的に現実的に影響を与えるかということでありますので、平成二十六年度の予算の中にも、こうした広報予算としまして、世界各国の世論に影響を持つ有識者の横のネットワークをつくっていこうということで、世界各国の有識者の連携、日本の立場や考え方に対する理解を深めていただく、こういった仕掛けをつくるために、日本がプラットホームをつくる、そういった予算も平成二十六年度の予算の中に盛り込ませていただきました。

 従来の取り組みの拡充とあわせて、新たな取り組み等を通じまして、ぜひ効果的な広報を行っていきたいと考えています。

渡辺(周)委員 今、有識者というのが出ましたけれども、これはどういう方々ですか。これはやはり、日本だけじゃなくて、いろいろな、アジアのことを研究されている方や、あるいはアメリカの方々や、さまざまな国、第三国の、フェアな目で見られる、ジャーナリスティックな目で見ることができる人も入れていくべきだと思うんです。

 それから、今のホームページについては、歴史問題QアンドAという中で、結果的に事実が淡々と書かれているわけでございます。しかし、一九九三年八月四日のいわゆる河野談話、参考としてつけられていますけれども、ここのところまでなんですよ。今の取り組みですとか、あれは何だったかということについて、書き直す予定、あるいはつけ加える予定はないですか、そういうことを今お尋ねしましたが、そこについてはいかがですか。つまり、広報予算をつけるということは存じていますが、中身です。中身をどうするかということについてはいかがなんですか。

岸田国務大臣 おっしゃるように、中身が大事であります。

 河野談話につきましても、今現在、政府としましては、国民に対する説明責任を果たすということで、この作成過程を検証するということ、さらには、河野談話そのものについては見直しは考えていないこと、これは累次、官房長官も会見等で説明をさせていただいているところでありますが、こういった実情につきまして的確に広報していく、これは重要な視点だと考えております。

渡辺(周)委員 この検証はどれぐらいの時間がかかるんでしょうか。

 それから、見直しということでございました。

 当時の談話は見直さないということは、もう官房長官も発表されています。ただ、その後、この問題が出てから、河野談話の検証をいろいろな方々が官民の中でやっています。歴史学者の中でも名立たる方もやっています。そのためのいろいろな議論があることも、これはもう大臣御存じだと思います。そしてその後、世に出てから、今までこの二十年を超える歳月の中で出てきたことについて、今、現時点では、その後こうなったということについて、加えることはないですか。

 つまり、その当時の談話を見直すことはしないけれども、その後として、今、二十年以上たってこういう新たな事実が出てきた、あるいは、当事者が今になって初めて口を開いた、先ほどの石原副長官のような、当時のことについて出てきたということが公に出ているわけですから、この点について、見直しではないけれども、新たな見解を出すということについてはいかがなんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、河野談話そのものにつきましては、二月二十日に石原元官房副長官が参考人として出席をし、河野談話の作成過程で韓国側との意見のすり合わせがあった可能性があるという旨、さらには、河野談話の発表により一旦決着した日韓間の過去の問題が、最近になり再び韓国政府から提起される状況を見て、当時の日本政府の善意が生かされておらず、非常に残念である旨、証言をされました。

 これを受けて、官房長官として、河野談話の作成過程で韓国側との意見のすり合わせがあった可能性については、国民に対する説明責任の観点から、当時の実態について解明する必要があり、政府の中に極秘の検討チームをつくり、事態を把握した上で、その取り扱いについて検討していきたい、また、元慰安婦からの聞き取り調査は非公開を前提として実施されたものであるので、日本政府は、約束を守る国として、機密を保持する中で政府として確認したい旨、述べております。

 要は、河野談話そのものは見直さない、一方、国民に対する説明責任を果たすという意味で、作成過程について検証する、こういった対応を表明しているわけです。

 その後のさまざまに明らかになった事実についてどうかということですが、こうしたことにつきましては、歴史家、専門家において研究が進められていくものだと思いますし、そういったものが広く共有されることは、当然あるべきことだと考えています。

渡辺(周)委員 ちょっとはっきりしないんですね。

 国民に対する説明ということはもちろんですが、このことについては、日本人はもう大体理解をしましたよ。その上でいろいろな御意見があることも承知ですが、問題は、知らないでいる国際社会に向かって、まさにこの情報戦の中にどう飛び込むか。政治というのは言葉の戦争であるということを言った著名な政治評論家の方もいらっしゃいました。まさにそのことによって、我々が、国外にいる同胞が、非常に今肩身の狭い思いをさせられているという事実は、もう御存じのとおりだと思うんです、前回も私はあるところで取り上げましたけれども。

 何より、日本政府の主張しないものを、外国にあったら誰もかわってやってくれないわけですね。我が国のことは我が国がやらなかったら、ほかの国は肩がわりしてくれませんから、我が国が主体的にやるしかない。

 そこで、やはり最前線に立つ在外公館の方々が、定期的に現地のメディアの人間なりと人間関係をつくって、情報を提供して、そしてこれが、一方的などこかの国から言われていることではなく、我々の国としての検証した結果はこうであった、そして当時の関係者はこのような発言を最近国会ではしているということを現地の言葉でニュースリリースして、広報活動をやるべきだと思います。そういうことはやっていますか。

岸田国務大臣 当然のことながら、我が国の立場や取り組みについては丁寧に説明しなければならないと考えますし、各国において有識者あるいは有力メディアに対してそうした説明をしっかりやっていく、当然重要なことだと思います。

 今日までも取り組んできましたが、ぜひ、この内容も含めて、しっかりとした広報活動は続けていきたいと考えます。

渡辺(周)委員 ぜひそれを担保していただきたいと思うんです。

 これはどうですか。例えば、各国の在外公館に向けて、一カ月の間に誰と会ってどんなことを伝えたか、どういうものを現地のメディアなりに、例えば、それなりの立場で物を書く人もいるでしょう、著名なメディアの、編集委員クラスというのか論説委員クラスというのか、こういう方々にやはりアポをとって会って、こういう問題があるということについてはしっかりと説明すべきだと思うんです。

 そういうことを義務づける、あるいはちゃんとやったことを報告させる。やっています、やっていますと言って、指示だけ出して、本当にやっているかどうかわからない、外務省で把握をしているかどうかといったら、実はきのうまでに聞いたら、余り把握をしていないんですね。これはやはりやるべきだと思いますけれども、いかがですか。そういうことをしっかりと指示するお考えはありますか。

岸田国務大臣 例えば、ことし初め、世界各国で反日的な意見記事が掲げられる等の動きが広がりました。それに対しましては、逐次、我が国大使を中心としまして、それぞれの国の地元メディア等を通じましてしっかりと反論をする、こういった方針を確認し、反論を続けてきました。そうした状況につきましては、しっかりと報告を受け、そして今後の対応の参考にさせていただいているわけですが、これ以外にも、さまざまな課題について、我が国の広報の実態については把握しなければならないと考えます。

 今後とも、こうした我が国の広報戦略の中でどのような対応をしたかにつきましては、実態をしっかり把握した上で、しっかりと取り組んでいきたいと考えます。

渡辺(周)委員 これはまた、我々議会の中でも、本当にどういうことが行われているかということを政府のこういう場を通して伺いたいと思います。

 もう時間がなくなりましたので、ちょっと最後に一言言っておきます。

 なぜこういうことを言うかといいますと、昨年のゴールデンウイークに、私は、古屋拉致問題担当大臣と、ワシントンとニューヨークへ一緒に行きました。拉致のシンポジウムで同席をしました。お答えは結構です。その際に、正直言ってびっくりしました。その後、アメリカのメディア、海外メディアで、この拉致のシンポジウム、随分予算もかけて人手もかけてやった割には、どういう成果だったのかと聞いたら、ほとんど報じられていませんでした。というより、ほとんどが、どことは言いません、ネットの上で紹介されていただけでございました。ふだん何をしているんだろうかと、正直愕然としたんです。

 確かに来ていました。取材をした、インタビューをした、ニュースになったのは、日本の特派員の方々ばかり、日本のメディアばかりでございました。だったら別にアメリカやワシントンでやった意味はなかったんじゃないか。やはりこれは、国際社会に向かって発信をするからこそ、ニューヨークやワシントンでやったわけでございまして、ふだんから、こういうロビー活動といいますか、やはりやっていないと、こうしたことは世界に報じられない。

 拉致被害者は日本だけでなく各国にいるからこそ、海外でやって、国際的な世論を形成していくための一つのアピールの場だったと私は思いますけれども、そういうことで正直愕然としましたので、こういうことを、本当に在外公館は日本のために仕事をしているのかどうかということについてはしっかりと把握をして、やっていないところに対しては指示を出す、そういう姿勢が必要だと思います。

 もう一つ質問、これは内閣官房と国土交通省に来ていただいていますので、やります。

 先般の松本剛明議員の質問でもありました。あの北朝鮮がミサイルを発射した日に、なぜ関係者に連絡をしなかったのか。

 これは当然のことですよ。何も知らないでお客さんを乗せて飛んでいた飛行機にしてみると、ついさっきここでミサイルが発射されたんだと知っていて飛ぶのと、知らないで飛ぶのと、これは大変、知らせなかった不作為ではないかと私は思います。知っていたのに知らせなかったということなのか、それとも、実は知らせてあった、どっちなんですか。

 先般の答弁では、無用な混乱を引き起こさないようにということがありましたけれども、無用なというのは一体どういう意味なんですか。既にこういうことがあったけれども、日本政府の持っている対外的な情報からも、もうこの後は大丈夫なんだ、だから連絡しなかったという理由があれば少しでも救いになりますが、そういうことがわかっていてしたのか、しなかったのか。そのことについて再度の答弁を求めます。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 三日のミサイルの件につきましては、先般も御答弁を申し上げましたが、発射後、第一報を受けまして、被害が出ていないということを確認いたしております。

 ノータム等を出すということになりますと、その実効性等々について……(渡辺(周)委員「だから、出す必要がなかったのなら、なぜそれを判断したかということを答えてください」と呼ぶ)はい。

 そこは、その後の発射の蓋然性でありますとか、国民あるいは事業者の皆さんに与える影響等々、総合的に勘案してやったわけでございますが、先般、当委員会で御質疑もいただきました。やはり国民の皆さんにきちんと情報発信していくというのは大変重要なことでございます。今回さまざまな経緯がございましたけれども、さまざまな教訓を踏まえまして今後ともしっかり対応していきたい、かように思っております。(渡辺(周)委員「無用なというのはどういう意味なの。取り消せよ、あの言葉を」と呼ぶ)

 一般的な航行警報やノータムを発することは困難な面があったということを申し上げたかったわけでございます。

島村政府参考人 国土交通省の対応についてお答えいたします。

 航空局では、当日九時半ごろ、北朝鮮がミサイルを発射した旨の報道を受けまして、直ちに、北朝鮮からまずノータムが発出されていないことを確認しました。その上で、我が国が管轄する飛行情報区内を航行する航空機に特段の支障のないことを確認しております。

 また、その後、北朝鮮によるミサイル発射の事実関係等を政府として発表したことを踏まえて、航空局としては、改めて航空会社に対して、航空機の運航への影響を確認した上で、北朝鮮のミサイル発射に関し、注意喚起をいたしました。また、航空機への影響がある場合は速やかに報告するよう指示したところでございます。

渡辺(周)委員 時間が来たのでこれで終わりますが、ぜひお願いしたいんですが、今の航空局の答弁の中で、九時半ごろ報道があったと言いますが、九時半に報道されたということについては、今新しいことが出てきました。

 たしか、韓国政府が発表したことと、そして日本の政府が公式に見解した、報道されたのが九時半だったかどうか、ちょっと確認をしますけれども、ぜひ、その時系列的な、国土交通省として情報を入手して、どのような形で航空各社に連絡をしたのかということは、時系列にして、ぜひ当委員会に資料として出していただきたい。

 このことを、委員会でも提起しますが、ぜひ、委員長、そのような形で資料の提出を求めたいと思いますので、お計らいをよろしくお願いします。

鈴木委員長 理事会で協議いたします。

渡辺(周)委員 終わります。

鈴木委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 まず初めに、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律についておただしをいたします。

 過日、我が党でも党内手続をとったときにいろいろ議論が出ました。逆に、我が党は、在勤手当とかこういう話よりも、外交活動の経費をもっと増額すべきだという意見が多数出まして、それは国によって、また内容によってしっかり精査をしなければなりませんし、ある意味、透明性も確保しなければいけない、また、機密費みたいに透明性とは相反するような経費もあるということもありながら、日本の外交力強化のためには、在外公館の強化、これは喫緊の課題であろうという前向きな議論が出たところであります。

 また一方で、給与や手当に関しましては、いろいろな整合性はあるところではあるんですけれども、やはり一見、これは外務省出身の職員なんかも本を書いちゃったり、あと、我が党も外務省出身の村上議員がいますし、また他省庁出身の議員もいるんですけれども、霞が関の中でも、外務省のこうした給与、手当に関してはやっかみの対象になってしまっている。ちゃんと説明をすればそれは理解に変わっていくんでしょうけれども、この金額をたださらっと見ちゃうと、国民も含めて、やはりみんなびっくりするというところがあるわけであります。

 ただ、在外公館を強化していくということに関しては、しっかりとそうした誤解も理解に変えていかなければならない点でありますので、このことについては、透明性、またその額の正当性について、どのようにこれを確保していって説明をしていくのか、まずお聞きをいたします。

石原大臣政務官 小熊委員にお答え申し上げます。

 まず、正当性の説明になりますけれども、ちょっと長くなりますが、在外公館名称位置給与法において、在勤手当は、在外職員が在外公館において勤務するのに必要な経費に充当するために支給されるものというふうに定義されております。在外職員がその体面を維持し、職務と責任に応じて能率を発揮することができるように在外公館所在地における物価、為替相場及び生活水準を勘案して定めなければならないというふうに規定されているところであります。

 この法の趣旨を実現すべく、外務人事審議会の勧告を踏まえ、本邦勤務時と同じレベルの生活水準を維持するための経費を、国家公務員として支給される給与、いわゆる本俸、国内で支払われる分でありますけれども、と在勤基本手当で賄うことを基本とする購買力補償方式を平成二十三年度より導入しております。

 この方式は、正当性の部分になってきますけれども、諸外国の外交官、国際機関職員、民間企業の海外駐在員の給与決定方法として広く採用されているものであり、我が国の在外職員の手当額の計算方式として妥当なもの、正当性があるものというふうに考えております。

 さらに、この方式による在勤基本手当額の算出の基礎となる在外公館所在地における生計費については、外務人事審議会の勧告を受け、民間調査会社の調査結果を活用することとしており、そのことによって透明性の向上を図っているところであります。

小熊委員 今言われたとおりであって、かつては民間調査機関も活用されていなかったので、今度は審議会でも活用するようになったということと、あと、民間と比べましょうという意見もあるんですが、やはりこれは、外務公務員と民間との仕事の内容、立場が違うということで、比べようがないというのもあります。

 ただ一方で、他国との比較といっても、他国の手当のあり方、給与体系というのも、それぞれ制度が違うんですよね。だから、一見、同じ国の他国の在外公館と比べると、日本はOECDの中では低い方です。額は本当に低い方なんですが、その背景となる制度は国によってばらばらで、国際スタンダードというのは私はないと思っているんですね。ですから、そこもきちっと説明をしなきゃいけないと思うんですよ。

 他国と比較する場合に、同じような給与のあり方、給与の法律でやっているなら額を比べてもいいんですよ、高い低いで。ところが、外務公務員の給与の法律というのは国によって違いますよね。そこの正当性というか、あり方、ある意味、意味合いが違うわけですよ、同じ外務公務員でも。そこはどういうふうに説明されますか。

石原大臣政務官 小熊先生にお答え申し上げます。

 先生言われるように、外務省の方で、実は在ワシントンのケースで他国との比較をしております。その中では、先生が言われるように、他のOECD諸国と比べて日本のワシントンの外交官の給与は、あるレベルでありますけれども、低いということがわかりますが、確かに制度が各国違うわけでありますので、そういうことをしっかりと、詳細を反映して、透明性を図ってまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 そういう意味で、先ほど渡辺委員が質問していた、逆に一生懸命在外公館はやっているんですが、私も海外に行かせてもらって、それぞれの在外公館の方にお世話になりますけれども、ほとんど優秀な方ばかりなんですが、残念ながら、一番重要な、外務公務員に必要なコミュニケーション能力という意味では、真面目なんだけれども全然おもしろくないというか、はっきり言って、人とのかかわりが下手で、これは日本の国をしっかりセールスしていくセールスマンでもあるわけですから、では、日本に戻ってきて車を売らせたり保険を売らせたりしたら、一カ月全然売れないだろうなと思われる人もいるんですよ。

 そういう意味では、先ほど渡辺委員が言った、情報発信力もない、机の前に座らせて事務処理をやらせれば非常に真面目、でも、人とのつき合いができない。これは外交官試験はありますけれども、はっきり言って、内容はあれなんですけれども、金額的には血税を使っているわけですから、成果を上げなければいけない。それは車を売ったり保険を売ったりするような、目に見えた成果というのはないんですけれども。

 でも、私の個人的な経験でいっても、ちょっと、日本の売り込み、日本の外交力強化という意味では、私は予算もつけてあげたいんですけれども、この人につけてあげても日本はどうかなという人たちも多いというか、体験的にいるんですよ。そういう意味では、給与また手当に関しては、人事評価もあわせてやっていかないと国民的理解は得られないというふうに思うんですよ。

 本当にひどい外交官がいましたよ。何のホストもしない。我々も行って、現地の人も来て、公館でパーティーをやったときに、何のホストもしない外務公務員がいたんですよ。紹介もしない、我々に声もかけない。かえって、現地採用の人たちの方が人間的にも魅力的ですばらしい人がいた。

 これは人事評価も含めて、ちょっと考えていかなきゃいけないんじゃないですか。先ほどの渡辺委員の在外公館の機能強化、情報発信力というのも、実は、外務公務員がしっかりしていれば、やっていて当然のことなんですよ、外交官として。本省から指示を出せという意見もありましたけれども、指示されるまでもなくやっていて当たり前のことが行われていないという実態ですよ。

 こういう部分に関してはどうですか。人事評価、また外務公務員としてのあり方ですね。しっかり外交力を発揮するという部分がちょっと劣っているように思うんですが、そういうことがしっかりしていないと、幾ら手当をこうですよといっても、理解は得られないわけです。

岸田国務大臣 御指摘のように、我が国の外交力を考えた場合、大切なものはたくさんありますが、その中でもやはり人、そしてその人の人脈、そしてそれを通じて得る情報、こういったものの重要性、これは最も大切なものではないかと考えます。よって、その人のありようは大変重要だと考えます。

 そういったことから、外務省としましては、人材育成、研修等の制度があるわけですが、しかし、現実、さまざまな人材がいます。それに対して評価をするべきだという考え方、これも当然の考え方だと存じます。実際問題、基本給ですとかボーナスの部分においては、これは人事評価が加味をされています。こうした考え方は取り入れられているわけですが、その中に、より効果的な制度とする、こういった検討は不断に行っていかなければならないのではないかと存じます。

 基本的な考え方について、そして、何が重要かということについての委員の考え方には全く同感であります。

小熊委員 本当に政治家の皆さんはノミニケーション能力が高い人たちが多いんですけれども、外務省の人たちは真面目なので、なかなかそういう人が、まあ、いるんですよ、本当にすばらしいなと思う人もいるんですが、やはり私は、外交力強化という意味では、在外公館の外交活動、これは経費も含めてしっかり強化をしていかなければいけないというふうに思っていますが、それを担う外務公務員のスキルアップというのは、これは単なるペーパーエリートではなくて、まさに人間力、コミュニケーション能力といったものがしっかりとしていなければいけない。

 そういう意味では、冗談の一つも言えない、こういうのではやはり人とのつき合いはできませんから、みんな宴会芸が得意になればいいという話ではないんですけれども、情報発信力、コミュニケーション能力を高めていただくこともしっかりやっていただく、そのために経費を我々はつけましょう、強化をしていきましょうという立場であります。

 ぜひ、外務公務員の能力向上といったものもあわせて打ち出していくことが、これは国民的な理解を得ていくということにもなってきますし、給与や手当の正当性にもつながってくる、担保されるものだというふうに思っていますので、より一層、ここは努力をしていただいて、その上で、私も、在外公館のさまざまな経費についても強化されるように、今後、提言をしてまいりたいというふうに思っています。

 次の質問に移らせていただきます。

 在外公館の強化の部分のほかにも、日本の外交力強化、これは余り打ち出すと、ODAのあり方についてはいろいろ言われますので、基本的には被援助国が自立していくということが大事なんですが、一方で、私は選択と集中と拡大とこの六十周年を契機にやっていくべきだということを言っていますけれども、GNI比で日本は非常に低いわけです。これは〇・七%を達成しなきゃいけないとOECDのDACにおいて指摘をされているところであります。

 この目標達成について、道筋はやはりつけていかなきゃいけないと思うんですよ。単に、努力しています、ふやしたところで〇・何%、為替のあれをやっちゃうと逆に減っていたみたいな話では仕方ないので、このGNI比〇・七%目標についての御見解、また、これの達成に向けての取り組みについてお伺いいたします。

岸田国務大臣 ODAは、言うまでもなく、我が国外交にとって大変有力な手段であり、従来から委員には、選択と集中と拡大という言葉を使っていただき、前向きに応援していただいておりますことを本当に心から感謝申し上げたいと存じます。

 そして、その上で、ODAのGNI比〇・七%目標という、この目標について御質問いただきました。

 この目標については、一九七〇年に国連総会で合意されてから後、我が国を含む国際社会、累次にわたって繰り返しコミットしてきた目標です。しかしながら、現在の我が国のODAの対GNI比は〇・一七%にとどまっている、これが現実であります。

 この目標につきましては、国際社会が抱えるさまざまな課題において、関係各国が足並みをそろえていく、こういったことを考えましても、こうした目標を掲げるということは大変重要なことだと思いますし、このGNI比〇・七%目標の達成に向けては、引き続き我が国もしっかり努力をしていかなければいけないと考えています。

 ただ、現実を見ますと、我が国のみならず世界各国とも大変な苦労をしているようでありまして、我が国は〇・一七%ですが、例えば米国は〇・一九%、ほぼ同水準ということでありますし、そもそもこのGNI比〇・七%目標、たしか二〇一二年の資料だったと思いますが、達成している国自体が、ルクセンブルク、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、そしてオランダ、こういった五カ国だけというのが国際社会の現実であります。

 なかなか現実においては厳しい状況にありますが、こうした目標自体は、先ほど申し上げましたように、国際社会が足並みをそろえてこうした国際的な課題に取り組むということを考えますと、大変重要だと考えておりますので、ぜひこうした目標は引き続き掲げ続けたいと思いますし、そのためにも、まずはODAに対する国民の理解が重要だと思います。

 そういった努力も続けながら、ODAの必要な水準の確保に向けて努力をしていきたいと考えています。あわせて、効果的、戦略的なODAの実施も行う、こういった取り組みを引き続き続けていきたいと考えています。

小熊委員 大臣が言っているように、実態はそうなんです、〇・七を達成している国は少ないというのは、実態はそうですけれども、しかも、国際社会、日本も含めて、目標を掲げているわけですから。例えば、山を登るのであれば、この辺の一合目でちょろちょろしていて、なかなか厳しいよねとアメリカと一緒に言っていてもしようがないんですよ。日本はそのトップに立っていかなければいけません。

 それから、海洋国家日本、貿易立国日本、また、戦後復興をいろいろな国のお世話になって達成した日本でありますから、これは人生でもそうですよ、生かし生かされているというところがあるわけです。国もそうです。いろいろな世界のつながりの中で日本は繁栄しているわけであります。日本が一国だけの努力でここまで来ているわけではありませんので、これはやはり、いろいろな世界の国とつながっている、ほかの国が発展することが日本の国の発展にもなる、非常に大事なことですよ。

 国民的理解が足りていないのもそのとおりです、国民はチャリティーだと思っていますから。それは外務省の広報が足りていないんです、説明が足りていないんです。だから、このままそんなふうにいったら、縮んでいく国になっちゃうんですよ。これはしっかりやっていかなければいけないというふうに思います。

 また、実態でいえば、このODAに関しては一府十二省庁にまたがっているんですね。ムカデ競争でいえば、ばらばらですよ。これはやはり一元化していかなければいけない。

 はっきり言えば、このODA六十周年を契機に、ODA省まではいかなくてもODA庁ぐらいつくって、しっかり日本の国の国家戦略として、世界とどうかかわっていくか、多省庁にまたがってばらばらにやっているんじゃなくて、一元化していく、足並みをそろえる、効果的にそれを実施していくことも必要だと思うんですけれども、この一元化についてはどう努力していきますか。

三ッ矢副大臣 御質問ありがとうございます。

 ODA、国として対応していくのに各省庁ばらばらでやっているんじゃないか、こういう御指摘だろうと思います。

 私も実は三十数年前に、今の国協局、その当時の経済協力局にいたことがあるんですが、当時は、正直言いまして、やはり張り合っていた感じがありまして、ただ、もう今は日本はそういうことを言っていられる状況ではありませんので、これはODAはもちろんでありますけれども、その他の民間の経済協力とか、あるいは民間の投資についても、やはり全省が一丸となって取り組まないといけない時期に来ているんだと思います。

 そういう意味で、外務省がODAの取りまとめ、中枢機関として、各省と十分連携をとってやっていくということが我々としては非常に重要だというふうに考えております。

 具体的には、先生御承知かもしれませんが、経協インフラ会議というのがございまして、これは官房長官主宰でございますけれども、そのもとに、インフラ関係、外務省はもちろん入っておりますけれども、そのほか、インフラ整備に関係しておる各省庁の大臣クラスが入って、定期的に会合を行っておりまして、これまで既にもう九回やってきておるような状況でございます。

 御指摘の点、非常に私も重要だと思っていまして、日本も、ばらばらで、あるいは各省が張り合って無駄なことをやっている時間もないというふうに思っておりますので、今後とも、全省一丸となって、国を挙げてこの問題に取り組んでいくように努力してまいりたいと思っております。

小熊委員 ODA六十周年ですから、この知見と経験、この六十周年を契機に、今言われたことをしっかりと努力していただいて、また、それもしっかり国民にも発信していくということが大事ですから、やっていただきたいというふうに思います。

 ただ、このODAに関して、また新たな状況変化が起きています。

 OECDの開発援助委員会、いわゆるDACの中で、リストから外れていく、もちろん、その国が自立して開発国から中所得国とかになっていくということは、そういう狙いですから、自立してもらって発展してもらうということが大事なことではあるんですけれども、一方で、ちっちゃい国は、国民の所得が上がっているけれども、ちっちゃい国であるがゆえに経済規模がちっちゃい、その後、自立しようにもできないという実態もあります。

 小さな島国なんかはそうです。太平洋諸国はまだその対象ですけれども、例えばカリブ海の方、これはなかなか、所得が上がっているんですけれども、国の経済規模を見ると非常に脆弱である、自立もできない。では、民間投資があるのかといえば、経済規模がちっちゃいがゆえに、民間の開発も入っていけない。

 しかしながら、非常に重要な国々がカリブには集まっていますし、かのケネディ大統領もジャマイカに新婚旅行に行って、私もそれに憧れてジャマイカに新婚旅行に行ったんですけれども、どうでもいい話ですが、そのジャマイカ、日本との外交関係を樹立して五十周年になっているわけでもあります。

 こうした一定の基準で見ると、国民の一人一人の所得で見るとリストから外れてしまうんですけれども、実態、その国全体を見ていると、全然自立につながっていないし、援助をやめてしまえばまたいろいろな問題が起きてくるという国がこのカリブには数多くあるわけであります。

 そうした中で、欧米はリストから外れていても援助しているという実績があります。日本も、これは何でもかんでもというわけにはいきませんけれども、国民一人当たりの所得が上がったからやめましょうということではなくて、また違った基準を持ってしっかり援助していく仕組みをつくっていくべきだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

三ッ矢副大臣 大変重要な御指摘だというふうに思っております。

 DACの基準から外れて三年たちますと援助の対象にならないということでありますけれども、特に湾岸諸国等、これは非常に所得水準が高いわけでありますけれども、先生今御指摘いただいたように、我々としても、やはり外交戦略の観点、それから、その国の自立ですね、数字だけ見て、本当にその国が自立しているのかどうか、ここはよく考えないといけないところだというふうに思っております。

 そういう意味で、例えば湾岸諸国ですと、コストシェア技術協力といいまして、言ってみれば、相当程度の、大部分のお金は向こうに負担してもらうんですが、日本はそのプロジェクトに対して技術協力をしていきましょう、ここは一定の負担を日本もしていきましょうということで、そういう新しいタイプの、コストシェア技術協力というようなこともやろうとしておるところでございます。

 それから、ブラジルとかトルコとか、所得水準が非常に高くなってきておりまして、DACの基準で、さっき申し上げた湾岸諸国なんかは一万二千ドルを超えているようなところでありますけれども、もう少し、若干下でありますけれども、七千ドルとか、そういう水準まで達しておるところ、これに対しては、それぞれの国の置かれた状況等をちょっと具体的に見ながら、効果的な支援をやっていくべきじゃないかというふうに考えております。

 中進国を超える所得水準の国に対しても、今申し上げたように、戦略的意義が認められる場合には円借款を供与できるようにしたところでございます。

 それから、最後のカテゴリーといいますか、先生おっしゃったカリブ海の諸国等のような例でありますけれども、例えばバルバドスとかトリニダードトバゴ、これは一人当たりのGNIを見ますと結構高い水準にあるんですが、経済規模は小さいわけですね。

 そういう意味で、言ってみれば、脆弱性をまだ抱えておるというような国でありますから、そういう国に対しての協力も非常に重要だと考えておりまして、これに対しても、いろいろな工夫をしながらODAを供与できるように考えていこうというふうに思っております。

 いずれにしましても、外交戦略上あるいは外交政策として非常に重要なツールでございますので、いろいろなカテゴリーの国に対して、それぞれの実情に応じたような適切な支援を引き続き考えてまいりたい、このように思っております。

小熊委員 適切な支援、あと工夫をされていくという前向きな答弁もありましたけれども、でも、これは、すごい最貧国から比べれば、まあまあ発展はしているのも事実ではありますから、これまでの援助のあり方とかではなくて、過日の委員会でもお話しさせていただきましたけれども、やはり日本人というのが最大の武器だというふうに私は思っていますから、そういう意味では、いろいろなインフラ整備とかそういう大規模な援助ではなくても、技術者とか専門家とか、また青年海外協力隊とかといったものはしっかり残していく、そこでかかわりを持っていく、支えていく、人としての協力ですね。これは、いろいろなインフラ整備から比べれば、金額的にもそんなに大きな金額にはならないというふうに思いますし、借款に関しても、ちっちゃい国ですから、金を借りても返すのは大変なんですよ。

 であれば、その受ける国に対しても、まさに人材の協力、それは、ある意味では、日本との人事交流といった意味にもなって、日本のためにもなりますから、そういう意味では、人的支援といったことをしっかり考えていくべきだというふうに思うんですね。工夫というのはそういうことだと思うんです。

 こうした人的な協力という点についての工夫のあり方、これはどう思いますか。

三ッ矢副大臣 御指摘のとおりだと思います。

 今の先生の御意見も参考にさせていただきながら、心して取り組んでまいりたいと思っています。

小熊委員 引き続き、日本の外交力強化、在外公館の強化、ODAの選択と集中と拡大のために、大臣初め努力していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速でございますが、在外公館名称位置給与法の改正について質問をさせていただきたいと思います。

 今回の在外公館名称位置給与法については、我が党は賛成の立場ではありますが、我が国の財政状況が大変厳しい中でもあり、この改正について、目的についてきちんと伺いたいと思います。

 提出されている法案は、在外公館に勤務する外務公務員の基本手当の基準額の改定と外務公務員の研修員手当の支給額の改定の二本でありますけれども、この在勤基本手当の基準額改定については、為替を初めとする国際情勢の変化に対応するということで、ふえている部分と減っている部分がありまして、こうしたことについては率直に、素直に理解できるんですけれども、研修員手当の改定、すなわち、研修員手当の支給額の全額負担となる改定については、なぜ今なのか、なぜ今回やるのか、明確な理由を伺いたいと思います。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 私も昔、人事院の研修で留学していたことがございまして、人事院の場合は学費は全額出してくれる、そこはちょっとまた違うということをまず申し上げておきたいと思いますが、例えば、アメリカで研修を受けるということになりますと、アメリカの私立の大学で大学院、グラデュエートスクールに行きますと、今ですと、恐らく授業料は年間五万ドルぐらいかかるわけでございます。日本円にして、大ざっぱに年間五百万円ということになろうかと思います。

 今、外務省では、これは別にアメリカだけで研修をしているわけではございませんで、専門職の方も含めて、実はいろいろな言葉の国に行くわけでございます。そういう意味で、世界各国で研修を受ける人たちがどの程度の費用がかかるだろうかということを、途上国と先進国で額は相当異なるわけですけれども、全ての国に共通する最低限必要な基準研修費、これは二十六年度では月額約三万六千円でございますけれども、これを支給しております。

 今申し上げた、例えばアメリカの例ですと、年間五百万円の授業料がかかるとして、月額三万六千円でございますから、年間に直しまして四十数万円になろうかと思いますけれども、その差額は四百数十万円。今までの制度ですと、その八割までは負担しようということでございますけれども、二割部分は自己負担になってしまうわけですね。

 そうすると、多い人では月数万円が自己負担ということになってしまうものですから、これは国によりますけれども、そういう自己負担が大きくなる国で研修を受けている方に対して、外交力強化という観点から、余りお金のことを心配しなくても、勉強をしっかりやってこいという意味で、この研修制度を一層充実していきたいと考えておりまして、今回、学費につきましては全額負担をさせていただきたいということでお願いをしているところでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 今の御説明、大変詳しく説明していただいたんですが、必ずしも、なぜ今回なのかということについては明確ではないと思います。それは以前からそういう状況であるということですから、なぜ今なのかということを明確にしたかったんです。

 そこで、先ほど来答弁にもあるんですが、外務人事審議会について伺いたいと思いますが、この外務人事審議会の目的と役割と開催頻度についてお伺いさせてください。

越川政府参考人 お答え申し上げます。

 外務人事審議会は、外務公務員法及び外務省組織令により設置されておる審議会でございます。

 この外務人事審議会は、原則として月一回会合を開催しております。名誉総領事の任命に際し外務大臣に意見を述べること、在勤手当改訂額の外務大臣への勧告、外務省令の制定または改廃に関する審議といった事項を議論しております。

青柳委員 ありがとうございます。

 月一回開催していて、在勤手当の改定に関する勧告を行うということですが、今回の研修員手当支給額の改定について、外務人事審議会は今回勧告を行ったんでしょうか。

越川政府参考人 御質問の、研修費の官費負担を八割から十割に引き上げるという改定につきましては、外務人事審議会からそういう形で具体的な勧告を受けたものではございません。

青柳委員 ということなんですね。つまり、先ほど来聞いている、なぜ今回やらなきゃいけないのか、我が国の財政が大変厳しい状況の中で、なおかつ、外務人事審議会という組織、審議会がありながら勧告も行わず、研修費を実質全額負担にするというのは、国民の目から見て、どういうふうに映るのかということは、若干留意しなきゃいけないなと私は思います。

 法案には賛成しますけれども、なぜ今回なのか。外務人事審議会という組織がありながら、これを使わずに研修員手当を増額するということについて、外務大臣の御所見を最後に伺いたいと思います。

 外務人事審議会が今回のこの場面で勧告なり何も出していないのであれば、そもそも要らないんじゃないかと思うんです。要るのであれば勧告に従うべきですし、今回のこの場面で勧告を出していないのであればそもそも必要ないんじゃないかと思うんですけれども、どのようにお考えになりますでしょうか。

岸田国務大臣 外務人事審議会につきましては、先ほど来答弁させていただきますように、在外公館名称位置給与法八条において、「たえず在勤手当の額を検討し、その改訂の必要があると認める場合には、適当と認める額を外務大臣に勧告することができる。」とされております。在勤手当について審議し、必要な場合に勧告を行うこと、これは外務人事審議会の主要な役割の一つです。

 そして、今回、勧告を受けていないのに十割に引き上げた、なぜ今なのか、こういった御質問でございますが、御指摘のように、今回の研修員手当の改正に際しましては、今回、明示的に外務人事審議会の勧告を受けたものではありませんが、ただ、外務人事審議会の今日までの勧告を見ますと、平成十六年以降、外交実施体制の強化のためには在外職員の能力向上が不可欠であり、特に語学能力は在外職員の勤務の基礎をなしている、こうした勧告を審議会の方から受けております。

 こうした今までの勧告の趣旨を考えますときに、今回、学費が高額となっている現実に鑑みまして、研修員の負担軽減を図るということ、これは、今日までの勧告の積み上げを考えますときに、外務人事審議会の意向には沿うものであると我々は考えております。

 こうした勧告の趣旨を踏まえ、そして、今現在、研修員が置かれている現実との兼ね合いにおいて、今回引き上げを決定したということでございます。

青柳委員 時間が来ましたので終わりますけれども、今の答弁は若干苦しいなと思いました。月一回開かれているので、せっかくあるんですから、きちんとワークさせたらいいと思います。

 そういうことで、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 在外公館法改正案について、我が党は賛成であります。

 そこで、海外に居住する在外被爆者、戦時に広島、長崎にいて被爆した方々への援護策に関連して質問いたします。

 まず厚労省に伺いますが、在外被爆者の数ですが、現在、国別に何名おられるでしょうか。

高島政府参考人 お答えいたします。

 都道府県、それから広島市、長崎市から報告を受けておりまして、平成二十五年三月現在では、韓国に約三千六十名、アメリカに約九百九十名、ブラジルに約百五十名、その他の国に約二百五十名ということで、合わせて総計約四千四百五十名と承知しております。

笠井委員 外務省に伺いますが、在外公館では、在外被爆者が日本に来なくても各種の申請手続を行える措置を講じておりますが、どんな手続を行っているか、端的にお答えください。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 在外公館におきましては、国外に居住する被爆者からの各種手続を行っております。

 具体的には、健康管理手当等の各種手当及び葬祭料の申請の受け付け、被爆者健康手帳交付申請の受け付け及び交付、原爆症認定申請の受け付け、そして健康診断受診者証交付申請の受け付け及び交付を行っております。

笠井委員 在外被爆者が来日しなくても被爆者健康手帳や各種手当の申請ができるようにすることは、当事者が切実に求めて、日本被団協など被爆者団体、市民団体が支援をし、我が党を含む超党派でかねてから要求し、法改正によって実現したものであります。

 それでは、在外公館を通じた各種の申請は主にどんな流れで行われているのか、厚労省、お答えください。

高島政府参考人 まず、在外被爆者におけます被爆者健康手帳の申請でございますが、これにつきましては、在外公館で受け付けをしていただいて、外務省を経由して、広島県それから広島市、それから長崎県・市、こちらにおきまして受理、審査をされまして、これまた在外公館を通じて交付されております。

 それから、原爆症の認定申請につきましては、これも在外公館で受け付けていただきまして、都道府県などを通じまして厚生労働省に参りまして、こちらで受理、審査をいたします。その結果につきましては、都道府県から直接申請者に対して認定の通知がされております。この情報につきましては、外務省の方にお渡ししております。

 それから、各種手当の申請につきましては、在外公館を経由して都道府県で受理、審査され、これまた同じように、都道府県から決定の通知がなされております。

笠井委員 外務省に伺いますが、在外公館において、被爆者健康手帳、原爆症認定、それから健康管理手当や保健手当などの各種手当の申請を扱った件数でありますけれども、直近で結構ですが、平成二十四年度、二〇一二年度でそれぞれ何件になっているでしょうか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 在外被爆者に係る平成二十四年度の申請受理件数でございますが、まず、被爆者健康手帳の交付申請、これは八十一件となっております。原爆症の認定申請は五十一件となっております。健康管理手当や保健手当などの各種手当、葬祭料の申請は百七十九件となっております。

笠井委員 被爆者援護法の改正によって、在外公館では、各種手当の申請は二〇〇五年から、被爆者健康手帳の申請については二〇〇八年から実施をしております。また、同法施行令の改正によって、原爆症認定の申請は二〇一〇年から行っているわけですが、外務省や厚労省では、申請などの実施状況について系統的に把握しているということになっていますか。

高島政府参考人 交付の申請それから交付の審査等の結果につきましては、状況を把握しております。

笠井委員 外務省はいかがでしょうか。

三好政府参考人 外務省におきましても、公館別で把握しております。

笠井委員 把握していると言われるんですけれども、私も質問に先立っていろいろと問い合わせをしますと、集計しないとだめなんですという話が出てくるんですね。いずれも被爆者援護法に基づく事業でありまして、実施状況について、やはり政府として系統的にきちっと把握をするというのはやらなきゃいけないと思うんです。言われて慌てて集計という話では、これはまずいんだと思うんです。

 そこで、外務省に伺いますが、在外被爆者が実際に被爆者健康手帳の交付を受けるまでの期間なんですけれども、韓国と米国の場合で結構ですが、それぞれ申請からどれぐらいの日数がかかるというふうになっているでしょうか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度でございますが、平均日数は、韓国が百九十一日、米国が百二十八日になっております。

笠井委員 韓国では六カ月以上、米国の場合は四カ月以上ということであります。実際は、在外被爆者の手元に届くまでにもっと時間がかかることになります。広島市に問い合わせたところ、平成二十四年度でいうと、届くまでに平均六・九カ月かかっているということであります。

 そこで、最後に大臣に伺いたいんですが、在外公館を通じた各種申請手続は、被爆者援護法に基づく事業であります。被爆者はどこにいても被爆者でありますが、先日、第二次大戦中に長崎市の俘虜収容所に収容されて被爆した現在九十三歳のオランダ人男性に、同国日本大使館を通じて被爆者健康手帳が交付をされました。

 政府として、もう高齢になっているという被爆者の皆さんの現状を考慮するならば、事業の内容の周知徹底、広報体制の充実はもちろんですけれども、より一層速やかな審査、そして事業の実施状況の把握などが必要だと思うんですが、ぜひこの点では、関係府省あるいは関係自治体と連携をして、在外被爆者の実情に即した迅速な対応ができるように、大臣、ぜひ役割を発揮していただきたい、求めたいと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 先ほど領事局長の答弁の中にもありましたように、被爆者健康手帳の交付申請、在外公館において申請を受理した日から外務本省に地方公共団体からの審査結果が届くまでに要した平均日数、韓国で百九十一日、米国で百二十八日ということでありました。また、委員の方からは、実際はもっと日数を要しているのではないかという御指摘がありました。

 こういった実態は、被爆者の高齢化を考えますと、これは軽く見てはならない、このように認識をいたします。ぜひ、外務省としましても、引き続き、まずは実態把握に努め、手続の迅速化に向けて、厚生労働省あるいは地方自治体、こうした関係者と密接に連携、そして共同してまいりたいと考えます。

笠井委員 今も大臣がおっしゃったとおりだと思うんです。地元は広島でいらっしゃる。私も広島の被爆二世でありますが、高齢になられた被爆者の方々にとっては、まさに何週間とか何カ月という問題じゃなくて、一日、一分、一秒という問題になってくるわけでありまして、とりわけ在外の方々にとっては、距離が離れている、遠隔地だけに、気持ちの上でも非常に切実な問題だと思います。その思いと実情に即して、心の通った迅速な対応を強く求めていきたいと思います。

 終わります。

鈴木委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 在外公館の名称、位置、勤務する公務員の給与に関する改正案について質問をさせていただきます。

 本員は、特に外国で勤務をしていらっしゃる公務員、職員の皆さんの健康に関して、日ごろから関心があると言うと、とりわけ何かその辺で詳しいのかというふうに聞かれそうですが、日本で生活をしていると、思わぬところで実は満ち足りているということを感じることがあります。

 例えば、まず言葉が、日本語あるいは英語など、どこに行っても、方言、地域の言語はありますけれども、言葉が通じるということ。そして、食べるものが、自分の好みに応じて、いつでもその好みのものがほぼ手に入れやすいということ。ひいてはまた、例えば仕事で地方に出張などをした場合でも、ちょっと風邪を引いたな、ぐあいが悪いな、あるいは、ちょっと体が凝っているなという場合でも、すぐ医療機関あるいはそういう診療所あるいはマッサージなどを気軽に受けることができる。そういうことを考えますと、日本で生活をしている職員の方々、我々も含めてそうですが、不安のない仕事の状態にあるというふうに言えると思います。

 一方、外国で生活をしている公務員の方々は、その点から考えますと、医療、衛生などの問題、言語の問題、あるいは気候風土ですね、気候風土が違うと、勤務をしている状態でも、心身ともに疲れている状態であるにもかかわらず、ややもするとそれを押して勤務をしないといけないという状態があるかもしれません。そういうことを考えると、やはり、万全な態勢で勤務をしていただくということを考えますと、特に健康面、心身のサポートは欠かせないものだというふうに考えるものであります。

 さて、外務人事審議会の平成二十五年七月の勧告があります。在外公館職員等の健康管理に関する勧告というのがありますが、在外公館の職員及びその家族の心身の健康を適切に管理できるよう、必要な予算措置も含め、制度の改善に取り組んでいただきたいということであります。

 特に、この在外公館職員の健康に関する改善で、医務官制度について特立てがありますけれども、生活習慣が厳しく、衛生、医療事情の悪い地域の在外公館へ医務官を配置するという制度の活用を含めて、いろいろとお伺いしたいと思います。

 まず、この医務官の配置されている在外公館数及びそれに係る予算の推移等、できれば三年程度の推移をぜひ聞かせていただきたいと思います。

越川政府参考人 まず、玉城先生、ありがとうございます。私も直近までアフリカのアンゴラに三年勤務しておって、医療面で最も重要な点だと思っております。

 御質問につきましては、医務官の配置公館数、過去三年間の推移でございます。平成二十三年度九十四公館、平成二十四年度九十五公館、平成二十五年度九十六公館に配置しております。

 予算につきましては、平成二十三年度一億六千五百万、二十四年度一億五千九百万、二十五年度一億六千二百万でございます。

 昨年七月に、外務人事審議会の方から医務官制度についての勧告が出されました。定員の増員、メンタルヘルスケア専門医の出張旅費の増額、医療事情のよい国にあり医務官が配置されていない在外公館職員の健康管理のため、近隣諸国の配置されている医務官の出張旅費の新規要求等を予算に計上させていただいております。

玉城委員 九十四、九十五、九十六ということで、少しずつではありますけれども、配置する数が上がってきている。しかし、在外公館の数からすると、まだまだ私は足りないというふうに感じる次第であります。

 さて、職員の皆さんの生活面、精神面をサポートするために御家族も赴任先へ御一緒されるということがあるわけですが、在外公館に勤務していらっしゃる職員のほか、この御家族の皆さんの健康管理についてはどのように対応していらっしゃいますでしょうか。

越川政府参考人 御質問にありました、職員、その家族につきましては、現地または医療先進地の病院にて検診または治療を行っております。あと、病気予防の観点から、年に一回、定期健康診断を行っております。指定の外国医療機関または日本の医療機関で人間ドックを受診した場合は、経費の一部の助成を行っております。あるいは、急病、事故等緊急事態が発生し、現地での治療が困難な場合には、最寄りの医療先進地あるいは日本の病院への緊急移送を行っております。

 人事審議会の勧告を受けまして、風土病など現地特有の病気に関する検査の実施、緊急移送体制を充実させる、このために予算の増額を今計上しているところでございます。

 また、生活環境が厳しい任地で勤務する在外職員及びその家族でございます扶養家族につきましては、健康で勤務、生活できるよう、健康診断を受診する目的で定期的に、年次休暇の範囲内でございますけれども、健康管理休暇制度というものも持っております。

玉城委員 御家族の皆さんの健康管理についても、やはり、働いている職員の方々もそうですが、御家族の皆さんも、言葉も違う、食べ物も違う、気候も風土も違うということであれば、そこもしっかりサポートしていただきたいというふうに思うわけですね。

 さて、先ほど、九十六公館に配置されているということで、医務官の配置についての数字を聞かせていただきましたが、私は先ほども、まだまだ足りていないというふうに率直な感想を述べさせていただきました。医務官が派遣されていない地域における健康管理についてはどのようになっていますでしょうか、お聞かせください。

越川政府参考人 医務官が配置されていない在外公館のうち、医療事情のよくない地域にあります八十九公館につきましては、指定の近隣公館の医務官が年四回、巡回検診を行っております。また、医療事情が悪くない地域にある五十一公館につきましては、指定の近隣公館の医務官が電話あるいはメールなどで健康相談に応じるシステムをとっております。

 人事審議会の勧告を受けまして、これまで医務官が巡回検診を行っていなかった在外公館に対する巡回の実施を含め、巡回検診体制の充実を図るべく、旅費等の予算の計上をさせていただいております。

玉城委員 ありがとうございます。

 派遣されていない地域においては年四回の巡回検診、あるいはその地域でのいろいろな健康相談といいますか、メールや電話などでもとっていらっしゃるということではありますけれども、この場合、やはりどうしても懸念されるのは、緊急的な場合のさまざまないわゆるファーストエード、救急医療ですね、そういう対応ですとか、あるいは、考えまするに、例えば地域統合で医務官が集中して対応できるようなケアシステムですとか、そういうことをこれからしっかりととっていくべきではないかということで、審議会からも、そういう勧告、今回は健康面に関する、医療面に関するサポートの勧告が出されているものというふうに思います。

 さて、そういうことを総合的に勘案してみますと、最後に外務大臣にお伺いいたしますが、この医務官制度のさらなる強化、あるいは職員、家族の方々の健康管理の強化に努めていかなければいけないということを考えますと、国内のさまざまな機関との連携の強化がさらに求められるというふうに思います。その連携等について、最後に大臣から見解をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、医務官制度を強化するためにも、また、在外公館で勤務する職員あるいは家族の健康管理のためにも、国内におけるさまざまな機関との連携、大変重要だと認識をしております。

 例えば、日本での治療や検査が必要になって緊急帰国する在外公館の職員あるいは家族は、国内のさまざまな医療機関と連携し、受け入れをお願いしています。また、医務官制度の強化のために、医務官の専門性の向上を図らなければならないわけですが、その際に、大学や病院の協力を得て医務官を各種研修に参加させるなど、優秀な人材確保のため、医療関係機関、医学界との連携も強化をしています。

 このように、日本外交を健康面で支える医務官制度を強化するためにも、引き続き、国内のさまざまな関係機関と連携する、さらには人的交流を行う、こうした努力は続けていきたいと考えています。

玉城委員 ぜひしっかりサポートしてまいりましょう。

 終わります。ニフェーデービタン。

鈴木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十四分散会


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