衆議院

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第12号 平成26年4月16日(水曜日)

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平成二十六年四月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺  周君

   理事 小熊 慎司君 理事 上田  勇君

      あべ 俊子君    石原 宏高君

      岩田 和親君    河井 克行君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    島田 佳和君

      渡海紀三朗君    東郷 哲也君

      星野 剛士君    武藤 貴也君

      八木 哲也君    小川 淳也君

      玄葉光一郎君    近藤 洋介君

      松本 剛明君    阪口 直人君

      村上 政俊君    岡本 三成君

      青柳陽一郎君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   総務副大臣        上川 陽子君

   防衛副大臣        武田 良太君

   外務大臣政務官      石原 宏高君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   経済産業大臣政務官    磯崎 仁彦君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    小松 一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   越川 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       香川 剛広君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    片上 慶一君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  長谷 成人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           谷  明人君

   政府参考人

   (特許庁長官)      羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    中尾 泰久君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 真部  朗君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     八木 哲也君

  木原 誠二君     岩田 和親君

  松本 剛明君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     木原 誠二君

  八木 哲也君     あべ 俊子君

  近藤 洋介君     松本 剛明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件、千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件、南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件、二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件及び視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長越川和彦君、大臣官房地球規模課題審議官香川剛広君、大臣官房審議官山上信吾君、大臣官房参事官水嶋光一君、大臣官房参事官山田滝雄君、北米局長冨田浩司君、中東アフリカ局長上村司君、経済局長片上慶一君、水産庁増殖推進部長長谷成人君、経済産業省大臣官房審議官谷明人君、特許庁長官羽藤秀雄君、総務部長中尾泰久君、防衛省防衛政策局次長真部朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。

小川委員 おはようございます。民主党の小川淳也でございます。

 それでは、国際社会における知的財産権の問題等について御質問をさせていただきたいと思います。

 ただ、大臣、ちょっとその前に、私、今回この五本の条約、協定が一括で審議されるということに若干違和感を感じておりまして、知的財産権関連の三条約と、それから漁業協定とか船舶のバラスト水の処理に関する協定、これは理事会でいろいろ議論があったのかもしれませんが、若干その点をお述べいただきたいと思います。

岸田国務大臣 本日は、外務委員会におきまして五本の案件を御審議いただきます。知的財産権に関する案件三件と漁業等に関する案件二件をお願いしているわけでございます。これは、経済分野におきましてそれぞれ大変意義ある条約、案件であると認識をしておりまして、ぜひ精力的に御審議いただきますよう、外務省としましては心からお願い申し上げるところです。

 知的財産権三件と漁業等二件の組み合わせにつきましては、これはあくまでも国会、委員会の持ち運びの問題でありますので、委員長を初め理事の先生方の御判断に委ねるしかないわけでございます。これはその検討の結果の御判断だと受けとめておりますので、我々の方からは、ぜひひとつよろしくお願い申し上げる次第でございます。

小川委員 理事会で御決定いただくことだという前提ですが、恐らくその背景には、外務省から、こういうことでお願いしたいという依頼があったんだろうと思います。

 もちろん、政府ですから、法案にせよ条約にせよ、一刻も早く国会での審議なり採決を進めていきたいということはよくわかるわけですが、一方、国会の立場としては、きちんとまとまりのある案件、それぞれ関連性の深いと思われる案件、もちろん、経済関係ということで一定理解いたしますが、今後のこともありますので、こうした少し違和感を感じるような取りまとめの仕方については、ここでちょっと一言指摘をさせていただきたいと思います。

 その上で、知的財産権に関して、まだまだ国際社会の取り組みは、道半ばといいますか、相当おくれているのではないかなという気がいたします。特に、余り名指しで言うのはどうかと思いますが、よくテレビなんかでも、非常に痩せ細ったドラえもんが遊園地で出迎えているとか、あるいはにせブランド品も大変出回っているというような状況もございます。

 今回の、特に意匠、いわゆるデザインだというふうにお聞きしておりますが、これに関する協定、条約の締結は、こうした国際社会に蔓延する知的財産権の侵害あるいはそれに対する脅威に対して真に有効打となるのかどうか、その点、大臣の御認識をお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 我が国が国際社会の中で活力ある活動を続ける、日本企業がその中で大いに力を発揮する、こういったことを考えますときに、知的財産権をめぐるさまざまな環境を整えることは大変重要な課題だと認識をしております。日本の企業の活動に付加価値を与え、そして国際競争力を確保する上で、こうした環境整備の重要性は言うまでもありません。

 こうした認識のもとに、さまざまな国際的な取り組みですとか環境整備に努めているわけでありますが、今回、三本の知的財産権に関する条約をお願いしているわけでありますが、それぞれ、環境整備あるいはこうした知的財産権の保護、こういった点におきまして重要な条約であると認識をしております。

 こうした一つ一つの積み上げによりまして、それぞれの権利が守られ、日本企業の活動がしっかりと促進され、そして日本の活力につながることを大いに期待したいと考えています。

小川委員 関連して一つ。

 地元の案件で恐縮なんですが、私の選挙区香川県は、讃岐うどんのメッカであります。今から六年前だったと思いますが、二〇〇八年ごろ、香川県の関連の業者の方が台湾におきまして讃岐うどん店を開店いたしました。ところが、その数年前に台湾の会社が讃岐うどんの讃岐という言葉を商標登録していたという事件がありまして、これは後に訴訟に発展する。これはまさに、今回はデザインを中心とした意匠に関する協定がメーンでありますので直接の関連ではありませんが、広い意味で知的財産権あるいは商標登録等といった国際問題、国際社会における一つの争訟事件に発展した事例があります。

 これについて、その後、近年になって一定の解決を見たというふうにお聞きしていますが、事件の概要なりその経過、少し御報告をいただきたいと思います。

石原大臣政務官 小川委員にお答え申し上げます。

 御指摘の事案は、台湾において、今委員が言われたように、台湾企業の南僑グループが出願登録した讃岐等の商標の有効性が争われた案件でございまして、二〇一三年にこれらの商標の無効が確定した事案と承知しております。

 問題の発生は、二〇〇七年に、今お話がありましたように、台湾でうどん店を営む日本人経営者が讃岐の二文字を看板に用いていたところ、南僑グループより、登録された商標に基づき、讃岐の二文字を看板から外すように要求されました。これに対して、日本人経営者は、台湾関係当局に対し、これらの商標の無効確認の訴えを提起いたしました。

 一部は最高裁まで争われた結果、二〇一三年に、同商標は、商品または役務の性質、品質または産地について公衆に誤認、誤信を生じさせるおそれがあるものに該当すると判断されて、無効が確定したところであります。

小川委員 当時、事件が争われているときは、私もいろいろと御相談を受けたり、しかしながら、残念ながらできることは限られているという中で、恐らく側面、背面から外務省さんのいろいろな手助けもあったんじゃないかなというふうに想像いたしております。先ほど御報告いただいたように、ひとまずこの事件については決着ということだと思いますが、国際社会におけるこの手の問題の基盤整備というのは、まだまだこれからなんだろうと思います。

 ちなみに、商標に関する条約には台湾はまだ加盟していないというふうに事務的にお聞きをしておりますし、きょうの主要なテーマであります意匠、デザイン関連の国際協定も、まだ加盟国はわずかに四十六カ国というふうにお聞きしています。特に、日本企業、日本経済にとっても大変大きなウエートを占めるアメリカ、中国の超二大国がこの条約に加盟していない、この点は、条約に加盟することの実効性を担保する、実効性を上げていくという観点からいえば甚だ課題の多い状況だという気がいたします。

 この点について、日本国の加盟はもとよりでありますが、特にアメリカ、中国、こうした国際社会の主要なプレーヤーが参加をしていただくというこの方向感について、大臣、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 先ほども申し上げさせていただきましたが、こうした知的財産権をめぐる環境整備を行うということは、我が国の経済の活力にとっても大変重要でありますが、国際社会におきましてこうした活力ある経済活動が行われるための環境整備という点につきましても、大変重要なことだと認識をいたします。そういった点から、御指摘のように、現在の国際社会において経済における大きなプレーヤーであります米国あるいは中国、こうした動向が大変大きな意味があるという御指摘はそのとおりだと考えております。

 今回御審議をお願いしている条約につきましても、意匠の国際登録ジュネーブ改正協定につきましては、米国は、二〇一二年十二月、協定の義務を履行するための国内法改正案に大統領が署名を行ったところであります。したがって、米国は近い将来協定を締結するものと見られます。また、中国も協定の締結に高い関心を有していると承知をしております。

 そして、意匠国際分類ロカルノ協定につきましては、米国は未締結の理由を明らかにしてはおりません。他方、米国は、協定で定める専門家委員会にオブザーバーとして参加しており、かねてから国際分類についての議論に積極的に参加している、こうした現状にあります。また、中国は一九九六年に既に締結をしております。

 そして、もう一本の視聴覚的実演北京条約については、二〇一二年六月に採択されたものであり、採択後まだ間もないものであります。米国は締結に向けた検討を行っている状況であり、また中国は、条約の締結に必要な改正を含む著作権法の改正案を検討していると承知をしております。

 米国、中国につきまして、御審議いただくこの三条約に関しての状況は今申し上げたとおりでありますが、ぜひ、こうした国の状況についてはしっかり関心を持っていきたいと思いますし、何よりも環境整備ということに関しましてはこうした大きな国の動向が大変重要であるという認識のもとに、我が国として、できる限りの働きかけ等、環境整備に努めていかなければならないと考えています。

小川委員 ありがとうございます。

 日本国が加盟することに関して大きな議論はないんだと思いますが、しかし、申し上げた実効性を上げていくという観点からいえば、国際社会共通のインフラづくりというのは非常に大事なんだろうと思います。

 その観点で、先ほどの讃岐うどんの事例に少し絡むんですが、ちょっと突っ込んで提案なり問題意識をお聞きしたいことがございます。

 今回の協定は、実効性を上げていくという意味では、主要国が入っていないことと、それから、手続を簡便にするという効果はありますが、実態面に入り込もうとすると、最後は二国間関係にならざるを得ないんだろうと思います。各国で登録がうまくいくのかどうか、あるいは先立って不正な登録が行われているのかいないのか。

 お尋ねしたいのは、先ほどの讃岐うどん、台湾の事例に戻りますが、これは、今回の条約でいえば、新たなデザイン、あるいは新たな商標、新たな特許、新たな著作権を第三国で認めてもらうというのが主眼だと思いますが、さきの事例では、不適切な登録が先行して他国で行われていたことによって不便をこうむったという事案であります。

 昨日、ちょっと事務的に通告いたしましたが、これから国際社会における知的財産権のインフラを整えていくためには、何か登録をしていくということも大事だと思いますが、先に不正な登録で占拠されてしまう、本来あいているべき陣地が先取りされてしまっているということを防いでいくことも一つのあり方ではないかと思います。

 ちょっと事例になるかどうかわかりませんが、例えば、インターネットのホームページが普及していく段階で、早々と有名会社の呼称をアドレスで登録した人たちがいました。それは後に不適切だということで売却されたり、あるいは明け渡されたりという事例があったと思いますが、これに近い事例かもしれません。

 悪意があるのか、故意であるのかはわかりませんが、独占、占有することが不適切と思われる名称あるいはデザイン、いろいろなものが先取りになって登録されているという事態を事前に防ぐということも含めて、今後、国際社会の中では考えていく必要があると思いますが、この点について御見識をお聞かせいただきたいと思います。

磯崎大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 讃岐うどんの商標について、うどん県出身の小川委員が質問されて、うどん県出身の私が答えるというのは、非常に縁を感じるところでございます。

 外国において出願、登録をされた日本の商標が無関係の第三者によって先に外国で登録をされて、そのことによって正当な権利者がいろいろな意味で害されるということにつきましては、防いでいかなければいけないというふうに思っております。

 そういった意味では、経産省としましては、まず、台湾におきましては、正当な権利者がきちんと相談できるような窓口を設けているということとともに、もし侵害があった場合にはそれに対してどう対応していったらいいのかというマニュアルをきちんと整備しまして、正当な権利者に配付するという対応をとっております。

 今回の讃岐うどんの商標の件につきましては、登録の取り消しを求める日本の工商会の台湾当局に対する活動を私どもも支援してまいりましたし、また、台湾当局に対しまして地名等のリストを提出するということによりまして、先ほど外務省から話がありましたように、今回の登録商標につきましては取り消しがなされたということでございます。

 そして、委員御提案のように、これから、先に登録された商標に対して、正当な管理者、権利者がどう防いでいくかということにつきましては、これはやはり、そのこと自体、まずきちんと登録されないように何かできないのかということがあろうかと思います。

 これにつきましては、特に漢字文化圏につきましては、中国、台湾という国があるわけでございまして、こういった国につきましては、例えば、漢字の讃岐でありますとか都道府県の名前、あるいは地域団体商標等につきまして、事前に、こういうリストに入っているものについては登録を差し控えてもらいたいという、審議に当たって十分に考慮していただくような、そういったやりとりをお互いの国同士でやっていくということを、今現実、中国と韓国については行っておりますし、台湾につきましては日本工商会の方から提出をしておりましたけれども、これを政府間でできるのかどうかということにつきましては、可能性を検討していきたいというふうに思っております。

 また、ローマ字等につきましても可能性としてはある話でございますので、その可能性についてもこれから検討してまいりたいというふうに思っております。

小川委員 ありがとうございました。

 最終的に二国間関係に置けば置くほど、手間もかかるし、コストもかかるし、それだけ損害も大きいということだろうと思います。こういう多国間条約をいかに実効あらしめるかという意味では、先ほどの予防的な観点の議論もぜひ頭の片隅に置いていただきたい。

 最後に、ちょっと逆の観点からお尋ねします。

 今回、俳優さんのパフォーマンス、演技等について、二次利用されない、そういう意味での知的財産権を守るという協定も含むわけでありますが、逆の観点からお尋ねします。

 最近、これだけ日韓関係が難しくなっているにもかかわらず、依然テレビドラマでは、いわゆる韓流ドラマが、言葉は悪いですが、本当に垂れ流し状態とも言えるぐらい大変な露出の中にあります。一方、データをいただいたところですと、日本のテレビドラマ、なかなか見応えのあるいいコンテンツが多いと思いますが、海外で受け入れられている、あるいは放映されているのはその半分にも満たないと言われています。ここには、俳優さんの肖像権等を含めた知的財産権の扱いが異なると言われています。

 お尋ねします。

 俳優さんの知的財産権も大事でしょう。しかし、国策として、こうした日本のソフト、コンテンツを積極的に海外に展開していくということもこれまた大事であります。この辺の、契約慣行、商慣行を含めて、推進する立場からの議論が必要だと思いますが、この点の御答弁をいただいて、質問を終えたいと思います。

上川副大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、放送コンテンツの海外展開を促進するに当たりまして、放送コンテンツの二次利用に係る権利処理の円滑化が極めて重要であるということでございまして、総務省としましても、具体的な取り組みを進めているところでございます。

 まず、二次利用に係る実演家、パフォーマーの権利処理手続ということでありますが、これまで、窓口が大変複雑で、実演家ごとに所属団体を調べて申請するという必要があったと同時に、申請手続そのものも電子化されていないということがありまして、極めて煩雑、また時間を要していたということでございます。

 平成二十一年度にaRmaという映像コンテンツの権利処理機構を設立いたしまして、順次この窓口機能の集約化を図ってきたところでございまして、この成果は着実に上がっているところでございます。

 また、近年、アジア各国で番組を販売する際には、日本での放送直後に海外で放送できるような形態での販売が大変ニーズがございまして、これに対しては、放送局あるいは権利者と調整の上、放送後に海外での販売に係る権利処理というのをするのではなくて、初めから海外での販売を想定した暫定的な権利処理ルールを定め、そしてそれにのっとって、試行的な取り組みをことしから始めたところでございます。

 こうした取り組みを通じて権利処理の手続を一層促進しまして、放送コンテンツの海外展開を一層進めてまいりたいというふうに考えております。

小川委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介であります。

 私、議席を預かってことしで十一年目になるんですが、外務委員会は初めての質疑となります。ふだんは、現在、内閣委員会の理事をさせていただいて、あと、専ら経済産業委員会等々で質疑をさせていただいておるんですけれども、格式ある、伝統ある外務委員会で、多少緊張をしております。どうぞよろしくお願いします。質問の機会をいただき、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。

 外務大臣に伺う機会はなかなかないので、きょうのマルチの条約の質疑に入る前に、ちょっと一点お伺いをしたいと思います。

 現在、日本の外交上も極めて重要な交渉、TPP交渉が山場を迎えておるわけであります。その中で、TPPも含めた広い意味での通商交渉の中で、日本とオーストラリアの経済連携協定、日豪EPAが大筋で合意いたしました。TPPの主要参加国でもある豪州、オーストラリアと日本が経済連携協定で合意をした。この合意自体は、内容はともかく、連携をしたということ自体は私も評価をしたいと思います。とりわけ、七年越しの交渉であり、また、オーストラリアは日本の貿易相手国としても極めて大きな国でありますから、合意をしたということは大変よかったと受けとめるわけであります。

 お伺いしたいのは、日豪EPAの合意について、我が国にとっていろいろなメリットがあると思いますが、外務大臣として、どういったメリットがあるというふうにお受けとめになっているのかということが一点。

 あともう一点、オバマ大統領来日を控えて現在山場を迎えているTPP交渉にこの日豪の経済連携の合意が我が国にとって有利に働く、こういうふうにおっしゃる政府高官及び与党の幹部の方が、TPP交渉を我が国に有利に進めるためにも日豪EPAを合意したのだという御発言が報道等で見られます。また、私も、そうした与党幹部の御発言を直接伺いました。誰とは申し上げませんが、伺いました。果たしてそういうことなのか、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、我が国にとりまして、経済の再生等を考えましたときに、自由貿易の推進は、極めて重要な課題であり、我が国の対外通商政策の柱であると認識をしております。力強い経済を達成するためにも、自由貿易体制をこれまで以上にしっかりと強化して諸外国の活力をしっかり取り込んでいく、こうした努力をしていかなければならないと考えています。

 そして、その中にあって今回の日豪EPAですが、これは、我が国がこれまで締結してきたEPAの中で最大の貿易相手国とのEPA締結ということになります。日本とオーストラリアとの二国間関係の重要性を考えましても、今回の日豪EPAの締結はまことに大きな意義があるとまず認識をしております。

 あわせて、TPPとの関係についても御質問をいただきました。

 我が国は今、TPPにつきましては、早期妥結に向けて引き続き精力的に協議を続けています。お許しをいただければ、きょうにもまた甘利担当大臣が訪米いたしまして、フロマン通商代表との協議を続けることにしておりますが、TPP以外にも、日豪EPAを含めて、今、我が国は九つの経済連携交渉を続けています。まずは、こうしたさまざまな経済連携がお互いに刺激し合い、そしてダイナミズムが働いていく、こういった全体の構図を考えていかなければならないと思っています。そういった意味で、まずは、今回の日豪EPAの締結は、TPPに対してもこれは間違いなく刺激を与えることになると思いますし、お互いにダイナミズムが働く、こういった意味があると考えています。

 日豪EPA自体は、TPPで取り上げられていないエネルギーですとか資源ですとか、あるいは食料、こういった分野も扱うことになっていますので、それはそれで大変意義があると思いますが、この地域全体において経済のルールをつくっていく、こういった面においては、間違いなく日豪EPAはTPPに対して刺激を与えていくと考えています。

 そして、日豪EPAがTPPに対して影響を与える、日本にとって有利になるのではないかという発言があった、こういった御指摘もありましたが、この点につきましては、それこそTPP交渉においてアメリカがどう受けとめるか、相手の受けとめ方もあるわけですから、具体的にどこがどうだということは我が方からは控えなければならないと思いますが、こうしたいい意味での刺激をTPPにも与える結果につながれば、これは評価すべきことではないかとは考えております。

近藤(洋)委員 大臣の御答弁で、TPPについていい刺激になれば、こういうお話でございました。まさに私もそう願いたいと思いますが、現実、果たしてどうなのかなとも思うんですね。悪い刺激にならなければいいなとも思うんです。

 一つは、牛肉について日豪で一定の合意がなされました。この合意は、それなりに工夫をされた合意だなと、私も牛肉の産地の選出、山形県でございますから、思うわけであります。一定の工夫はされたなと思うんですが、気がかりなのは、TPPは二国間の協定よりもさらに上のレベルの合意を目指す、高いレベルの自由化を目指すということだとするならば、日本とオーストラリアの合意内容よりもさらに厳しいものに傾向としてならざるを得ないわけでありまして、そうだとすると、日本はより譲歩を迫られるのではないかという見方もするわけであります。

 かつ、もう一つは、自動車について日本と豪州については撤廃ということになったんですが、では、自動車について、米国との関係で果たして撤廃となるのかというと、それはまた逆の話でして、米国は非常に厳しいことを言っているわけでありますから、逆に言うと、日本だけが譲る形になりはしないかということも私は危惧するわけであります。

 TPPについてプラスになるのかマイナスになるのかは簡単に言えない、こう思うわけでありますし、いずれにしろ、甘利大臣が行かれる、そして、二十二、二十三、二十四日に向けて、日米首脳会談に向けての山場ということでございますから、その結果を踏まえてしっかり議論させていただきたいとも思いますし、この場では、甘利大臣及び岸田外務大臣が小村寿太郎にならないことをぜひお祈りしたい、こう思います。きのうは自民党本部で甘利大臣の壮行会が大変にぎにぎしく行われたということを聞いておりますけれども、果たしてどうなるのか、注視をしたいと思います。

 本論に移ります。

 今回の案件は、知的財産にかかわるもの、また漁業に関するものでありますが、私は、知的財産の関連についてお伺いしたいと思います。

 知的財産に関係して、知財立国を目指すということを我が国はずっと言ってきたわけであります。天然資源のない我が国において、外貨を稼ぐ力の源というのは技術力でありますし、広い意味での知の力だ、こう思うわけですね。特許、意匠、商標、著作権をめぐる制度を国際的に整えるということは私も極めて重要だと思いますし、政府におったときも、経済産業省の政務官、副大臣としてこの分野にかかわってまいりました。

 経済的な意味合いだけでなくても、日本発の製品、技術、コンテンツ等々を広げることはソフトパワーでもあろうかと思うわけであります。先ほど小川議員からもコンテンツの件でお話がございましたけれども、例えば、かつては、ハリウッドの映画が世界に広がって、皆アメリカに憧れた。アメリカの製品がいいな、ハリウッドの映画を見ていいなと思った。そして、例えばフランスに憧れた。かつては、今もそうですが、フランスの製品はすばらしい、技術はすばらしいと思ってフランスに憧れた。それぞれ、米仏、大国は、そういう特許なり意匠なり、今風でいうコンテンツを広げることでソフトパワーを外交の力にもしてきたんだろう、こう思うわけであります。

 まず冒頭、知的財産を活用し、その環境を整えることは外交戦略上極めて重要であろうと思いますが、外務大臣としてその必要性についてどうお考えか、まずお答えいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 我が国にとりまして、知的財産を守る制度を国際的に整え、そして知的財産の活用を行っていくことは、極めて重要な課題であります。

 昨年取りまとめました日本再興戦略、これは閣議決定した戦略でありますが、これにおきましても知的財産戦略の強化は明記されておりますし、我が国企業や権利者が海外で知的財産の権利を確立し活用するための環境を整えることは、我が国の経済外交、特に日本企業の海外展開を後押しする上で重要な課題であると認識をしております。

 こうした知的財産あるいはコンテンツをめぐるさまざまな戦略、今、アメリカあるいはフランスの例を挙げられましたが、先ほど来出ておりました韓国初め各国とも、こうした知的財産、コンテンツといった分野に関しまして、国家的な戦略としてしっかり取り組んでいる、こういった動きを随分と見ることができます。

 我が国におきましても、この分野におきまして、さまざまな法整備がここ十年余りの間に進んできたわけでありますが、国内整備とあわせて、国際的な環境づくりにおいても精力的に取り組んでいくべき重要な課題だと認識をしております。

近藤(洋)委員 同じ思いだということを確認できました。全く大臣のおっしゃるとおりなんだろう、こう思うわけであります。

 そこで、これは非常に大事な話なわけでありますが、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、この大事な知的財産が、日本の技術力が高まるにつれて、コインの裏返しとして、模造品、模倣品の侵害もふえているということであります。

 まず、知的財産権の侵害被害は非常に高水準で推移をしている、こういうふうに認識しておるわけでありますけれども、とりわけ、どこが侵害をしているかという相手国でありますけれども、この棒グラフで、二〇一二年度、大体六〇%を超えるものが中国による侵害であるということであります。そして、先ほどお話のあった台湾、韓国。中国も、国を挙げて、自国の知的財産を広げていこう、コンテンツに限らずソフトパワーを広げようという攻めの戦略があるのと同時に、逆に一方で、アジア各国が日本の知財を侵害しているという事例が見てとれるかと思います。

 きょうは特許庁長官に来ていただいていますが、日本の知財の侵害状況について端的にお答えいただけますでしょうか。

羽藤政府参考人 特許庁におきましては、我が国企業等が海外などで模倣被害に遭っておることについてのアンケート調査を実施しております。

 二〇一三年度調査報告書として公表いたしましたところでは、被害があったと答えられた企業が、総回答の中で九百四十四社、模倣被害率で二一・八%に及んでおる。

 また、委員御指摘のとおり、我が国企業が海外で模倣被害を受けた国、地域として、中国における被害を答えられている方が六割を超えている。台湾や韓国においても被害を受けたという企業が二割を超えておる。アジア地域での被害が多い実情になっております。

 さらに、模倣被害を受けた権利といたしましては、商標の被害を受けたとの回答が約六割と最も多く、次いで意匠、特許・実用新案の順で被害が多い実情となっております。

近藤(洋)委員 ということなんですね。

 そこで、今回の条約でもある意匠なのですけれども、意匠、デザインですね。デザインについては、登録の制度が国によって違う。日本の場合、特許庁にデザインの登録をすると、事前に似たようなデザインの登録がないかどうかチェックをした上で、ないですね、新規性がありますねというものは意匠権が発生するように登録される、こういう仕組みでありますが、他方、中国は、まず審査がなくて、登録さえすればそれが認められてしまう、こういうことなわけです。したがって、登録した者勝ち。国によって審査の基準が違う、仕方が違う、こういうことなわけですね。

 特許、発明であればある程度きちっとした審査があるわけでありますが、デザインについては、日本はちゃんと審査をするけれども、中国においては、勝手に登録をしてしまって、それですぐ認められてしまうということなわけです。認められて、これはおかしいじゃないかというふうに訴訟が起きて、初めてそこで審査が行われる。要するに、裁判沙汰になってしまうということなわけであります。

 知的財産の世界では、先ほど小川委員からもお話があったように、何でもいいからまずとってしまう、とってしまって、そして権利だけ獲得してしまって、そして、実際は使わないのに獲得してしまうというのは、これはパテントトロール、要するに投網のようにかけてしまう、こういうことを言うわけでありますが、まさに中国においては、意匠においてそういうことが行われるわけであります。

 そこで、特許庁長官にお伺いしたいんですが、国内の登録手続を、やはり中国にも事前審査してもらう、そういう形にしていただいた方が、我が国の企業の利益を守る上からは極めて大事だ、こう考えますが、特許庁、経済産業省の認識はいかがですか。

羽藤政府参考人 意匠制度につきまして、確かに今委員御指摘のとおり、世界的には、我が国やアメリカ、韓国のように、出願を受けてから当局が審査を行った後に権利が登録をされる、権利行使が可能となる、こういう審査国と、欧州や中国のように、無審査で登録をされて、権利侵害などの紛争発生があったときに初めて権利の有効性判断が行われる無審査国とに大別されている、こういう制度の実情にございます。

 意匠制度につきまして、無審査国であります中国では、確かに、審査を経ていない大量の権利が最近発生をしておる、訴訟もふえておる、こういう状況は極めて深刻な状況であるというふうにまず認識をしております。

 その上で、我が国の企業が登録をしております意匠と他の意匠、中国などでの意匠権との抵触については、その有無を判断しやすくするように、まず、中国の登録意匠を含めた既存のデザインとの類似状況について、我が国の審査過程で参考とする情報を広くユーザー、制度の関係者に提供しておくということがまず必要だろうというふうに思っております。

 なお、この制度自身についてでありますけれども、我が国といたしましては、今回、ハーグ協定加入を機に、事前審査によって安定的に企業活動が行われるという、こういう審査国のメリットがございますので、このメリットを各国に対してアピールしていく、強化をしていく、そして中長期的に審査国の増加を目指す、これが基本的な考え方だろうと考えております。

近藤(洋)委員 今御答弁あったように、やはり審査国をふやしていくということは大事だ、こういうお話だと思うんですね。

 そこで、外務大臣にお伺いをしたいんですけれども、この資料の二枚目をごらんいただいてもおわかりいただくとおり、知的財産の被害のうち、やはり意匠、デザインというのは三六%を占めているわけです、ちょっと見にくい表で恐縮ですけれども。一番多いのは実は商標なんですね、五割ぐらいの被害。知財の中でも商標、意匠というのは非常に侵害率が高いんです。

 先ほどの讃岐うどんのケースもありましたが、商標でいうと、私の地元の米沢牛、これが中国で登録されてしまいました。大変なことで、中国で米沢牛ってどういうことだということで、これも裁判を起こして何とか解決したわけですけれども、これは容易じゃありません。鈴木委員長の岩手の前沢牛はどうか知りませんけれども、中国ではもう大変なことになっているんですね、この商標。

 意匠も同様な形で被害が拡大しているわけでありまして、そういう意味では、意匠の分野において、いわゆる意匠法条約、各国の手続を統一しようというこの意匠法条約をやはり推進すべき立場だと思うんですね、我が国としては。

 そこは現在どうなのか、大臣のお考え、そして我が国は、推進すべき立場だとすれば、それに向けてどういう役割を果たすのか、お答えいただきたいのですが。

岸田国務大臣 御指摘の意匠法条約ですが、この条約は、各国の意匠法の手続の調和及び簡素化、こういったものを目的とする条約であります。

 意匠法条約が採択され、発効いたしますと、きょうお諮りしております意匠国際登録ジュネーブ改正協定を締結していない国においても、一定程度、意匠出願手続の利便性が向上する、こういったことも期待されます。また、意匠権がいまだ十分に保護されていない開発途上国においても、意匠保護のための国内法制の整備につながる効果も期待されます。

 我が国は、この意匠法条約の早期採択に向けて、世界知的所有権機関、WIPOにおける議論に積極的に参加してきたところであり、引き続きこの議論にはしっかりと貢献していきたいと考えております。

近藤(洋)委員 ぜひこれは、外務省と経済産業省が連携して、この意匠法条約がきちっと形になるように、今、国際機関で議論中ということでありますが、進めていただきたいと思うわけであります。

 あわせてお伺いします。

 同様に、特許の制度を国際的に統一しようという条約、特許法条約というものがあるということであります。二〇〇五年に発効して、現在、米国、英国、フランスなど三十六カ国が締結を、既にこれは条約として形になって、各国がもう締結をしている条約であります。知財立国を目指すのであれば、日本は当然締結をしていいわけでありますが、いまだしておりません。

 これは、外務省としてこの条約締結の必要性はないと認識をされているのか、どういうことなのか、お答えいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の特許法条約ですが、まず、基本的な認識としまして、特許の出願手続を国際的に統一化及び簡素化する条約であり、我が国の企業の海外での特許権取得を促進する上で効果的なものであると認識をしております。

 この特許法条約については、我が国も締結を検討してきておるところですが、この条約の規定を実施する際に、内容として、例えば、出願時の明細書をいかなる言語でも可能とすることですとか、あるいは特許庁により指定された手続期間の満了後でも当該期間の延長を可能とするなどの規定がありますが、こうした規定に対応するための国内法の検討、整備に時間を要しているというのが現状だと認識をしております。

 ぜひ、こうした国内法の整備も含めて、この締結に向けて我が国としましても検討は進めていきたいと考えております。

近藤(洋)委員 大臣、ありがとうございます。

 進めていきたいという話でございました。そこで、今御答弁あったように、国内法の整備が必要だということなんですね。

 そこで、特許庁にお伺いしたいんですが、急ぐべきだと思うんですね。やはり、特許法の制度を世界的に統一する。今回の条約は、意匠について、一つに申請すれば各国で登録がなされるような条約であります。これはこれで大事なことだと思いますけれども、まず制度を各国同様にするということが大事で、そういう仲間をふやしていくということが、企業の権利を守り、かつ、企業だけではなくてその国の知的財産を守ることにつながるわけでありますから、特許についてこの条約を我が国も締結すべきであろうし、かつ、それの国内法の整備を急ぐべきだと思うんです。なぜしていないのか。

 現在、特許庁において、特許システム、これは巨大なシステムなんです、全銀協と並ぶぐらいの巨大システムの、今、再構築をしております。このシステムをめぐっては、残念ながら不幸なことがありまして、入札において問題があった、また受けた企業ができなかった等々の問題があり、開発がおくれております。

 このシステム上の問題があったので国内法の整備がおくれたと私は余り考えたくはないんですが、そういうことでもあったのかどうか、でなければ、どういう理由でおくれているのか、特許庁長官、国内法の整備について御答弁いただけますか。

羽藤政府参考人 特許法条約への加入との関係でございますけれども、先ほど外務大臣から御答弁がございましたとおり、この加入、実際に運用していくということになりますれば、国内法制度の改正あるいは運用などの改革などが必要になることに加えまして、確かに委員御指摘のとおり、情報システムにおいても、これをサポートするための必要な改善が必要となるというふうに考えております。

 ただ、御指摘のとおり、特許庁の情報システム開発につきましては、旧開発計画を一旦中止いたしまして、今、新しい開発計画のもとで、これまでのおくれを取り戻すべく鋭意取り組んでおりますけれども、このシステム開発自身が特許法条約加入のネックになっておるということではございませんで、むしろ、内容面としまして、例えば、手続期間を徒過したことによって一旦消滅した特許権や出願といったものの救済を、出願人や第三者の権利関係との関係でどのように考えていくか、こういった内容面での検討において慎重に対処してきたというのがこれまでの実情でございます。

 一方、昨年の十二月でございますけれども、アメリカが特許法条約に加盟をいたしました。国際的な状況が変化をしつつあることも十分認識をしておりますので、改めて、我が国としての今後の方針について、外務省ともよく連携をとりながら検討してまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 今長官の御答弁にあったとおり、米国が大きく変わったわけですね。特許において、先発明主義、先願主義、これを米国は日本と同様の制度に変えた。これは大変大きな変化なわけであります。このことを受けて米国が変わった。だとするなら、日本もやはりこの特許法条約締結に向けてかじを切るべきだと思いますし、御検討を進めていただきたいと思うわけであります。

 続いて、資料の三枚目、偽造品の取引に関する協定についてお伺いしたい、こう思います。

 知的財産を守るためのさまざまな協定の中で、偽造品の取引防止に関する協定、ACTAというんでしょうか、こちらは、二〇〇五年のG8グレンイーグルズ・サミットにおいて日本が提唱した協定なんですね。当時の内閣総理大臣は小泉総理でありましたが、私は、この取り組み、この資料に書いているとおり、模倣品、海賊版の被害がふえていることに対して各国で協調していこう、さまざまなレベルの輸出の取り締まりを強化しよう、民法上の執行を強化しよう、刑法上の執行を強化しようという、水際対策等々も含めたパッケージであります。私は、これは非常に大事なことだ、こう思うわけであります。

 残念ながら、率直に言って、この二〇〇五年からもう既に九年たって、日本が提唱したものでありますけれども、取り組みが若干おくれているというか、まだ滞っている感がないわけではないのですが、今後どのようにこの協定についてお進めになる考えなのか、大臣、お答えいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の偽造品取引防止協定、ACTAですが、平成十七年のG8グレンイーグルズ・サミットにおける我が国の提唱を受けて交渉が行われ、平成二十三年十月に署名に至ったものです。現時点におきまして、我が国のほか、オーストラリア、カナダ、EU及びEU加盟国二十二カ国、そして韓国、メキシコ、モロッコ、ニュージーランド、シンガポール、米国、こういった国が署名済みであります。我が国は、平成二十四年十月にACTAの最初の締約国となりました。今後も引き続き関係各国の動向を見守るとともに、協定の早期発効に向け適切に取り組んでいきたいと存じます。

 私も、このACTAに関しまして、記憶に残っているだけで、モロッコですとかメキシコですとか、こういった外務大臣に直接働きかけを行った記憶があります。それ以外もさまざまなレベルでACTAの早期発効に向けて働きかけを行っているところであります。ぜひ、こうした取り組みを続けることによりまして、早期発効に向けて努力を続けていきたいと考えております。

近藤(洋)委員 ぜひこれも進めていただきたいと思うわけであります。

 あわせて、今度は二国間の話で、この模造品についてはやはり中国なんですね。中国の国内法をどう整備するか、体制をどう整えるか。これは二国間で、別に日本の制度を押しつける必要はないと思うんですが、理解を深め、かつ、中国政府に対しても、知的財産を守ることは結果として自国の国益にかなうんだという理解を深めてもらうこと、これが大事なんだろうと思うわけであります。特に、官民で一緒になって、中国側とそういうお互いの理解を深め、制度の環境を整えてもらうことが大事だと思うわけであります。

 何年か前に、私も、万博の際に訪中した際に、中国政府がやった見本市に伺ったんですね。見本市、大展示会でありますけれども、そこで、日本の有名な化粧品メーカー、中国で大変人気のある、日本でも大手の化粧品メーカーのブースがありまして、そのブースを訪ねました。ところが、何と三百メーターぐらい先に、そのブースと同じようなブースが、上海という名前である。さらにその二百メーター先に、北京S社という店が出ている。日本のメーカーは全然関係ないんです。自分は出しているつもりはないんです。何と、政府関係が出している見本市に模造品の店が出ているという事態まで数年前はありました。ちょっと驚きで帰ってきたんですが、要するにそういう実態。今は随分改善されたとは思いますけれども、こういうことが大事だと思うんですね。

 そこで、特許庁には、これは要請だけしておきます。日中間での官民対話、昨年は行われなかったと聞いておりますが、ことしはぜひその官民対話を再開してもらいたいということをお願いしたいということでございます。

 あともう一点、時間も迫ってまいりましたので、今度は守りの話じゃなくて攻めの話を伺いたいと思うんです。

 クール・ジャパンという名前で現政府は取り組まれている。我々も民主党政権時代、こうした取り組みを進めてまいりましたけれども、そのクール・ジャパン、広い意味でやはり知的財産も含まれていると思うわけでありますが、知的財産権も含めたクール・ジャパンを、日本のすぐれものを海外に展開していこう、こういうことだろうと思います。

 その中で、大臣、和食、日本食が、海外展開でクール・ジャパンを考えられる大事なことだろうと私は思うわけです。先般、和食文化が世界遺産に登録されたということについて、大臣はどう思われるか。また、その和食の中で、とりわけ国産酒、国酒の輸出が、和食を世界展開する上で、ちょっと片仮名言葉で恐縮ですが、キラーコンテンツというんでしょうか、中核になり得ると私は思うわけですが、外務大臣はどうお考えか。

 なぜ特に外務大臣にこの件を伺うかといえば、資料にも、六ページ目、和食を広げる意味において、私は、在外公館というのはその拠点になり得ると思っているんですね。その中で特に、在外公館において国産酒をもっと活用すべきではないか。外務省の資料によると、それなりに日本の日本酒、ワインを買われているということでありますけれども、私は、もっとやられたらいいのではないかと。

 ここが、在外公館が和食文化を広げる拠点であり、とりわけその中で、日本酒、国産酒、焼酎でも結構です、国産ワインでも結構です、広げる拠点となるべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、我が国が誇る和食がユネスコの無形文化遺産の代表一覧表に記載されたことは、大変喜ばしく、高く評価しておりますし、そして大いに歓迎すべきことであると認識をしております。

 こうしたユネスコ無形文化遺産代表一覧表に記載されたことの意義は、資料を見ますと、正月行事を典型とする自然の尊重という日本人の精神を体現した社会的慣習たる食文化として評価されたということであります。和食が文化として高く評価された、こういった意味でも大変意義あることだと考えています。

 こうした和食の魅力をさらに世界に広げていきたい、これは当然のことでありますが、その中にありまして、御指摘の国産酒、国産酒類の魅力、こうしたものを伝えるために、現在までも、在外公館長の公邸における会食、レセプションといった場で日本酒あるいは日本産ワインといったものを提供する、さらには、外務省が行いますさまざまな行事におきまして日本酒で乾杯することを奨励する、こうした取り組みを行い、積極的なアピールを続けてきているところであります。

 在外公館におきましても、日本酒の試飲会等のPRイベント、あるいは説明会を実施しておりますし、特に東日本大震災後は、被災地産の国産酒類に対する風評被害払拭のため、国産酒類を含む日本産品の安全性を直接知ってもらうために、被災地産品を提供する機会といったものを設けているところであります。

 ぜひ、今後とも外務省として、海外での国産酒類のPRにしっかりと努めていきたいと考えております。

近藤(洋)委員 大臣、日本酒、国産酒を在外公館で積極活用するのは、私は大変意味があると思っているんですね。

 大臣は広島であられますから、大変お酒のおいしいところでございます。歴代外務大臣は酒どころが多いわけで、松本大臣の兵庫も大変な酒どころでございます。玄葉大臣は御実家が酒屋さんでございます、福島の酒どころ。私の山形県も酒どころでございます。

 要するに、日本はあらゆるところが酒どころでございまして、これを広げていく。外務省において、日本酒部門で一定の評価をされたものを出します、ワインコンクールで出した基準で出します、これはいい取り組みだと思うんです。評価したいと思うんです。

 大臣、ただ、昨晩も事務方に幾らの予算ですかと聞いたら、年間二千万円とかいう話だったんですね、国産酒。送料でかかって三千万円ということでありました。別にどんどんお金があればいいというわけじゃございませんが、PRするには、その費用対効果を考えると、もっと大きな効果があると私は思います。

 国酒輸出プロジェクトを広げる上で、ぜひこれは、大使館で、在外公館で、何もフランスのワインが飲みたければ大使館に行く必要はないわけでございまして、日本酒を飲むということでも私はいいのではないか、こうも思うわけであります。

 四ページ目をごらんください。これは、農林水産省がつくられた、二〇二〇年までに一兆円の輸出規模へ拡大するというポンチ絵でございますが、はっきり申し上げて相当中身の詰まっていない計画だと私は思います。この場はこれを議論する場ではございませんが、ただ、その中で、米・米加工品百三十億円をあと六年間で六百億円に輸出拡大する、この中に日本酒が入っているんですね。

 次の五ページ目、日本酒の輸出額というのは徐々に伸びつつありますが、まだまだ伸びしろはございます。

 もし日本の食品産業を輸出産業に育てたいというのであれば、別に日本酒に限らず焼酎でも結構ですけれども、私は、この国産酒を大輸出産業にするというのは非常に大きな道だと確信をいたしますので、大臣、ここは、先ほど通商交渉の話も伺いましたが、もしこのとおり本当に一兆円にしたいというのであれば、年間二、三千万円ぐらいの予算ではとてもPRできないでしょうし、ここは、外務省の予算を使いなさいと私は言うつもりもございません、政府を挙げて、在外公館を活用し、または外務省主催のさまざまな行事を活用して、国産酒を輸出産業に育てるというプランをさらに大臣のリーダーシップでされたらいいと思いますが、もう一度御答弁いただけませんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、基本的に、委員の御指摘は大変重要であると思いますし、国産酒類のPRのために外務省としてもしっかりと取り組まなければならないと考えます。

 御指摘の予算につきましても、国産酒類購入費二千万という予算、不十分ではないかという御指摘もありましたが、国産酒類の場合、品質を保つために、船便ではなくして、やはり航空便で空輸しなければならない、こういったこともありますので、輸送のために別途三千万を用意するなど、やはりこの国産酒類の重要性に鑑みて、さまざまな工夫をしているところであります。

 ぜひこうした予算の拡充にも努めたいと思いますし、また、御指摘のように、こうした国産酒類のPRに当たっては、外務省として、在外公館を活用する、あるいはさまざまな行事、イベントを活用する、これはもちろん重要ですが、農林水産省を初め各省とも連携しながら、政府全体としてより効果的なPRも考えていかなければならないと存じます。予算においても、また取り組みの内容におきましても、ぜひ今後も工夫して、日本酒類のPRに向けて政府全体として取り組んでいきたいと考えます。

近藤(洋)委員 ぜひさらに前に進めていただきたい、こう思います。

 お酒にこだわったのは、要は、これは一つの文化の輸出にもなるということを申し上げたかったからです。あわせて、地域を元気にする、それぞれの地場産業でもあるからであります。フランスなりヨーロッパの例を見ても、酒蔵ツアーということを考えておられ、観光にもつながる、非常に幅の広い、奥の深いものにつながる、こう思うからでありまして、ひいてはそれが日本のソフトパワーにつながるということであると思ったから申し上げました。

 ぜひ、あわせて、政府を挙げてそういう知財を守り、そして知財を活用して攻めることを進めていただきたいということを申し上げて、時間ですので質問を終わります。

鈴木委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 きょうは、まず最初に、日台漁業取り決めから質問をさせていただきたいと思います。

 実は、先日、二月に沖縄北方特別委員会において、石垣島の漁業者に対するヒアリングを行った、その結果に基づいて、日台漁業取り決めによって新たに台湾側とともにクロマグロ等の漁業をする地域で起こっている問題について、幾つか質問をさせていただきました。

 今回、沖縄の石垣島の漁業者だけではなくて、台湾の漁業者及び台湾の政府関係者の声もしっかりと理解しなければいけない、そういった考えに基づいて、三月三十日、三十一日と、現地に行きましてヒアリングをしてまいりました。そこでの問題意識に基づいて質問させていただきたいと思います。

 まず、大変長い間、十七年間に及ぶ交渉の結果、昨年、取り決めが締結をされました。ただ、明確なルールが決められないままに操業したことによって、さまざまなトラブルが生じたということでございます。詳細は前回質問しましたので、ここでは触れません。

 一方で、この一月に、双方が守るべき詳細なルールが決定をされて、この四月から漁業のシーズンを迎えるということで、それに先立って、台湾側に日本側の声をしっかり伝えるとともに、台湾側の言い分といいますか、彼らの思いをしっかりと理解することが今回の目的であったわけでございます。

 その中で、私が感じたのは、台湾側もルールを守るということに関しては、かなり高い意識を持って取り組もうとしているということでございます。その中で、ルールを守れる船、そういった実績のある船にのみ許可を与える措置を現在検討しているんだ、そのことによってこの地域の漁業資源の永続的な管理を行っていく、こういった彼らの説明がありました。

 この点についての認識というのは、日本政府は共有しているんでしょうか。まず御質問をさせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 日本政府が共有しているかというのは、今委員の方から紹介がありました、台湾側のそうした取り組みについて認識しているのかという御質問かと思いますが、日台間の操業ルール、あるいは今後の持ち運びにつきましては、日台漁業委員会におきまして今後ともさまざまな議論を行っていく、こういった取り決めになっていると承知をしております。

 この日台漁業委員会の場を通じまして、ルールの徹底ですとか、それぞれの取り組みにつきまして意思疎通を図っていっていると認識をしております。恐らく、御指摘の点につきましても情報共有しているものだと考えております。

阪口委員 日本側の船が大体十五隻ぐらいであるのに対して、台湾側の説明では、今回聞いたところでは、恐らく二百隻ぐらい、はるかに大きな船が操業しているということでございます。沖縄で聞いたときは、もっと多くの数の台湾船が出航しているということでしたけれども。

 どちらにしても、今回決められた、決して広いとは言えない海域において、数十キロにも及ぶはえ縄を展開して漁を行うには、ある程度数の制限が必要で、そして、特に、しっかりルールを守れる船、その海域の環境の保全、また漁業資源の保全にしっかりと意識を持って取り組める船であることが必要だと思うんですね。

 ですから、この点、台湾側が厳格なルールを設定して、ルールを守れる船にのみ許可を与える、こういったモラルを示そうとしているわけですから、この意識を共有していただいて、しっかりとその履行を求めていく、これは日本側にとって私は必要な姿勢であると思っております。

 同時に、台湾側からの要望としては、いわゆる決められた海域、操業が許されている海域で漁をしていても、海流だったり風の関係で流されていってしまう、その中で、結果として、日本側に取り締まられるたびに相当な額の負担が生じている、こういった声もありました。ですから、海においてはなかなか厳密にルールを守るということが非常に難しい面もあるので、そういう意味では、バッファーゾーンを設けて負担を減らしてほしい、こういった要望もありました。

 しっかり守るということと、海の上であるということの特殊性を理解した上での対応を先方は私どもに表明したということですが、このバッファーゾーンを設けるという点についてはどのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 委員自身、台湾に出かけられまして、さまざまな関係者から大変貴重な情報を得られたものと思います。そうした情報に基づいての御質問だと受けとめておりますが、操業ルール、先ほども御指摘がありましたように、一月、日台におきまして一致を見たところであります。そして、その操業ルールの遵守は大変重要な課題であり、先ほど申し上げましたように、日台漁業委員会等の場を通じまして徹底を図っていくことになります。

 そして、バッファーゾーンについて御質問をいただきましたが、これは、ルールが一月に一致を見て、そして、これから具体的にこのルールに基づいて操業が行われていくことになるわけですが、やはり、まずは一月に一致を見たこのルールに基づいて操業が行われる、この状況をまず確認した上で、さらなる工夫が必要なのかどうか、これをしっかり考えていく、これがあるべき姿なのではないかと存じます。

 まずは、現状のルールにおいて操業がしっかり行われる、ルールが遵守されているかどうか、この辺につきまして、監視活動等も含めてしっかり確認をした上で今後のことを考えていきたいと考えます。

阪口委員 この監視活動というのが大変に難しいと思うんですね。日本側の監視、そして、一方、台湾側にも厳格な監視を求めていく必要があると思いますが、このあたり、しっかりとそのルールが守られるようにするための監視のあり方、これはどのようになっているんでしょうか。

岸田国務大臣 取り決められた操業ルールを遵守するために、監視という活動は大変重要だと認識をしております。

 監視活動については、現場の状況に応じて適切に対応していかなければならないと思いますが、そして、監視した結果をどのように生かしていくかという点も大変重要かと存じます。監視によって得られた状況に基づいて、必要であれば交流協会を通じた台湾当局への申し入れを行う、こういったことも考えていかなければならないと思いますし、監視そして申し入れ、こういったものを通じまして操業ルールの定着に向けて努力をしていきたいと考えております。

阪口委員 具体的にはどのような体制で監視を行っているんでしょうか。

岸田国務大臣 現場における実務について詳細まで私も把握しているものではありませんが、例えば、さまざまなルール、取り決めがあります。

 八重山北方の三角水域、この水域におきましては、日台双方の漁業者に対して、みずからの関係法令が相手側に適用されないようにしている水域であることからして、台湾漁船に対する取り締まりが行われることはないわけですが、しかしながら、監視活動を適切に実施し、台湾漁船による操業ルールに違反する行為が確認された場合には、当該漁船に対し注意を促すとともに、必要に応じ、交流協会を通じ台湾当局に違反防止について申し入れる、こういったことになると承知をしております。

 また、特別協力水域においては、法令が適用されているものの、友好と互恵協力に基づいて日台双方の漁船の操業が最大限尊重されることとされていることから、まずは、操業ルールの徹底指導を行い、日台双方の漁船に操業ルールが定着するように努力をしていく方針で臨んでおります。

 このように、具体的な水域の指定あるいはルールに基づいて、さまざまな具体的な工夫が行われている、これが現状であると認識をしております。

阪口委員 今御説明を聞いていて、本当に沖縄の漁民が求めている台湾側の漁民によるルールの遵守が果たされるのかどうかということについては、私は心もとないものを感じざるを得ませんでした。

 一方、台湾側は、例えば、漁船にGPSを装着させて、衛星によってしっかりと場所を把握すること、またクロマグロ一匹一匹にタグをつけて、しっかりと漁獲量についても管理させるというような、ルールを守るためのさまざまな考えを表明してくれました。

 日本側としては、やはり大変に貴重な漁業資源が存在する海域でもありますし、十七年間にわたって協議を続けてきた中で決まった取り決めでありますから、これが双方の友好を損ねることがないように、また大変に貴重な漁業資源を損ねることがないようなルールの遵守、これをもう徹底的に求めていくという姿勢を私は大臣に強く求めたいと思います。

 一方で、今回、南インド洋漁業協定が議論されているわけですけれども、日本として、この海域でキンメダイをとるということで、総漁獲可能量をしっかりと設定するということでございます。

 一方で、我々日本がこの総漁獲可能量をしっかりと守っているということを示すには、やはりしっかりとした我々の取り組みについての説明が必要だと思いますけれども、この南インド洋の漁業協定の内容をしっかり守るということをしっかりと世界にアピールする上で、どのような手だてを、監視体制も含めて、とっているのか、この点、御説明をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 各国の漁獲量割り当てなど具体的な保存管理措置については、今後の締約国会議において決定されることになっております。

 その上で申し上げれば、本協定上、保存管理措置の遵守を確保するために、締約国会議において、漁獲活動の監視、そして規制及び監督に関する規則、手続を作成することとなっております。また、締約国は、締約国会議に対して漁業資源に関するデータを適時に提供する、こういったことにもなっております。

 まずは、締約国間でこうした仕組みをしっかり構築することによって、本協定のもとで監視の体制を整えていくことになるわけですが、こうした手順によってぜひしっかりとした体制をつくっていくことが重要であると認識をしております。

 我が国としましても、これを念頭にこれからも努力を続けていきたいと考えています。

阪口委員 台湾側に対してルールをしっかり守るように要望する、ルールを守る前提としてのさまざまな体制の構築を要望する、これはやはり日本側が世界に対してしっかりと模範を示せるような体制があってのことだと思います。

 ぜひ、日本のモラルは本当に世界に誇り得るものだということをこういった協定の中でもしっかりと構築をして、その上で、この日台漁業取り決めにおいても台湾側のルール遵守を求めていく、こういった形で進めていっていただきたいと思います。

 一方で、南極海における調査捕鯨の問題なんですが、先日、国際司法裁判所で判決が出て、調査捕鯨を禁止するという、大変日本にとっては厳しい結果になりました。

 何でこれはこういう結果になってしまったのか、日本側としての分析、敗因分析を簡潔に大臣からお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、国際司法裁判所が、第二期南極海鯨類捕獲調査はICRWの第八条1の規定の範囲におさまらないと判示したことは、大変残念なことであり、深く失望しております。しかしながら、日本は、国際社会の基礎である国際法秩序及び法の支配を重視する国家として、判決に従う所存であります。

 判決におきまして、裁判所は、第二期南極海鯨類捕獲調査は国際捕鯨取締条約第八条一項の規定の範囲におさまらないと結論づけているわけですが、その理由として、我が国による第二期南極海鯨類捕獲調査の計画及び実施が、表明された科学的な目的を達成するために合理的であることを証明していない、こういった指摘をしております。

 日本としましては、政府、関係機関が一体となり、また、内外の有力な専門家の全面的な協力を得て、ICJの裁判に誠実かつ真摯な姿勢で臨み、日本の立場と考えを全力を尽くして明確に主張してきたつもりでありますが、我が国の主張が十分認められなかったこと、このことにつきましては大変残念に思っております。

阪口委員 私が聞きたかったのは、この裁判に臨む上での日本の戦略が、どこが足りなかったのか、どこが間違っていたのかということに対する分析と、今後、北西太平洋やさまざまな沿岸調査捕鯨に関して、場合によっては本当に中止を求められるような、国際司法裁判所における闘いがあるかもしれない、そういった危機感に基づいた分析を聞きたかったんですが、この点、もう一度お聞かせをいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、判決につきましては、まず一つは、先ほど申し上げました、この調査自体が科学的な目的を達成するために合理的であることを証明していないという指摘を受けています。こうした調査に対する科学的な面における説明、あるいは、我が国のこうした説明に対する説得力不足、こういった点が今回の判決における我が国の敗因の一つではないか、このように認識をしております。こうした点をめぐりまして、十二分に我が国として説得の実を上げることができなかった、これが大きな敗因ではないかと考えております。

 今回の判決を今後にどう生かすかということでありますが、まずは、現状においては、判決の内容について今慎重に精査しているところであります。その上で、具体的な今後の対応につきましてもしっかりと判断をしていかなければならないと考えます。

 現状、我が国としましては、そういった方針で今後について考えております。

阪口委員 調査捕鯨の関係者の方々の話をじっくり聞く機会があったんですが、今回の判決を受けて沿岸調査捕鯨を延期しようとしている、このことについて大変にショックを受けていらっしゃいます。今回の判決は、あくまでも南極における捕鯨に関するものであったにもかかわらず、例えば北西太平洋あるいはその沿岸の捕鯨を自粛するというのは、これは余りにも拡大解釈ではないかと私も思います。

 一方で、新たな国からこの調査捕鯨の是非について訴えられる可能性がある、そういう情報があるのであれば、この点はしっかりと踏まえて対応する必要があると思いますけれども、この点については、今後、どのような対応を日本政府としてしていくのか、ぜひ今の方向性についてお聞かせをいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、本件訴訟における紛争の主題は第二期南極海鯨類捕獲調査であると認識をしております。しかしながら、この判決文の内容を見ますと、判決文の中で、国際捕鯨取締条約第八条1のもとでのいかなる将来的な許可を与える可能性を検討する際にも、日本は、本判決に含まれる理由づけ及び結論を考慮することが期待される、こういった判決文があります。

 この点を含めて、我が国としては、しっかり判決文を精査しなければならないと思っています。この部分等を精査した上で、今後の対応について決定をしなければならないと考えております。

 現状、今こうした精査、検討を行っている段階であります。

阪口委員 漁業者の方々、捕鯨関係者の方々は、四月二十二日にも沿岸調査捕鯨を再開するということで、着々と準備をされている、このように聞いています。

 今回、調査捕鯨ができないと、伝統の継承、また、伝統的な技術の継承という点についても大きな問題が生じる可能性がある、こういった漁業者の大変に切実な声もしっかり踏まえた上で、日本としてベストの対応ができるように、ぜひお願いをしたいと思います。

 最後に、アフガニスタンの地方警察についてお尋ねをしたいと思います。

 武装解除、動員解除、そして元兵士の社会への再統合というのは、これは平和構築のプロセスにおいて大変に重要であると私は思っています。私自身、カンボジアにおいて、DDR、特に除隊兵士をいかに地域社会に統合させるか、こういった事業に五年ほどかかわってきたことがありまして、日本政府がアフガニスタンにおいて、二〇〇三年から六年にかけて一億ドル以上を拠出し、また六万人以上を武装解除し、二十七万丁を超える武器を回収した、これは非常に大きな成果であったと思います。

 一方で、アメリカが主導でいわゆる地方警察を創設して、村の長老が選んだ村人に武器や給与を供与して、タリバンに対抗させる自衛的な組織をつくっているということで、内務省によると、現在三万人がこういった自警団の中で銃を持って活動しているということであります。

 ところが、これはアフガニスタンについての国連の年次報告書なんですが、さまざまな問題が起こっている、このことによって逆にタリバンの攻撃の対象になっていて、市民の巻き添えが前年に比べて倍程度にふえている、そういった報告も書かれております。

 私自身、実は銃撃を受けたという経験が何度かございます。この理由というのが、まさに、紛争後の社会において銃が氾濫している、ところが、それをしっかり管理できずに、一方で、仕事や未来に対する希望がない、本当に銃を持って力の行使をすることが生きていく手段になってしまう、こういう状況の中で、私自身もそうですけれども、大変に危険な状況で現地の人々が生活をしているということがございます。

 私の質問なんですが、日本が武装解除をする、こういった事業に取り組み、その中で一定の成果を上げたにもかかわらず、また地方に、人々に武器を配るということで、私は本当にアフガニスタンの状況が極めて憂慮すべき事態になってしまう可能性があると思っているんですね。

 まず、この点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、我が国は、アフガニスタンにおけるDDRの実施に積極的に支援をし、二〇〇三年から二〇〇六年にかけまして、約六万人の元兵士の武装解除、動員解除あるいは社会復帰の実現に貢献をいたしました。

 そして、米国が訓練や維持費用を支援しているアフガンの地方警察については、その導入により、多くの地域で治安が改善する一方、一部構成員によって、市民の殺傷を含む人権侵害が発生していると報告をされています。

 我が国としましては、米国によるアフガン地方警察に対する訓練や対応や武器の供与について、その詳細を承知しているわけではありませんが、しかしながら、一般論として、地方警察の一部構成員による人権侵害が報告されていることに対しては、我が国としても懸念を有しております。

 我が国としては、今後のアフガンの政治、治安情勢を注視しつつ、米国を含む国際社会と協調し、引き続きアフガンの自立と安定に向けて支援を行っていく考えであります。

阪口委員 今詳細を承知していないという答弁がありましたけれども、日本はアフガンの復興に対して五十億ドルを拠出している。その後も、それだけではなくて、引き続き支援をしているわけであります。

 また、DDRという最も難しい任務を日本は行って、一定の成果を上げているにもかかわらず、再びその武器がアフガン社会を大変に厳しい状況に追いやる可能性があるにもかかわらず、これを把握していないというのは、私は大変に無責任だと思わざるを得ないんですね。

 なぜこれを把握することができていないのか、なぜ、米国に対して、このことがもたらす負の側面についてしっかりと説明を求めないのか、私は理解できないんですけれども、大臣、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 アフガンにおきましては、タリバンなどの活動により、各地で治安が極度に悪化をしております。治安の維持、大変深刻な、重要な課題であります。

 詳細について承知しているわけではないと申し上げましたが、実際、アフガニスタンの各地、そして都市部から離れた地方においてどんな実態があるのか、これを十二分に把握できないというのは、我が国だけの事情ではないと認識をしております。それだけ、アフガニスタンにおける治安の状況は深刻であるということだと思っております。

 そして、その中にあって、アフガニスタンの治安の維持は大変重要な課題であり、どういった支援が効果的であるかということを考えていかなければなりません。

 アフガニスタンの治安ということになりますと、軍があり、あるいは国家警察があり、そして地方警察があるんだと思いますが、それぞれがどのような役割を果たしていくのか、どのようなそれぞれに対する支援が重要なのか、こういった点をしっかり見ていかなければなりません。

 ぜひ、御指摘のような、さまざまな人権侵害の発生、このことについてはしっかり懸念を持ちながら、大切なアフガニスタンにおける治安維持のために効果的な支援がどうなのかということについて、我が国としましても、真剣に各国と連携をしながら努力をしていきたいと考えています。

阪口委員 この年次報告書の中にも、さまざまな人権侵害、これまではみんなが武器を持っていたわけですけれども、一般の人たちから武器を回収した上で、一部の人たちが武器を持っているということは、彼らはいわば特権的な存在になるわけですよね。ですから、銃を使って村人をおどしたり、要は強盗になったり、村におけるさまざまな問題解決に銃を使うという事例も報告をされております。

 今、本当に把握するのが難しいという説明がありました。私はこれは事実だと思います。しかし、米国も含めて誰も把握できないようなところに、そして管理できないようなところに銃をさらに配っていく、これは大変に危険だと思うんですね。

 このDDR、自分がやっていて、やはり未来との交換であるということが納得できなければ、彼らは銃を決して差し出すことはありませんし、その中で強制的に銃を回収しようとすると、その回収しようとした人に銃を向けるというのが私は現実だと思います。

 ですから、一旦回収したにもかかわらず、タリバンに対抗させるという理由で、また地域社会における銃をふやしていくこと、このことの危険性をぜひぜひ日本政府としても深刻に捉えていただいた上で、アメリカに対して、国際社会に対して、DDRを実施した側として申し入れを行っていただきたい。切にお願いをいたしまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、村上政俊君。

村上(政)委員 おはようございます。日本維新の会の村上政俊です。きょうも質問させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 さて、岸田大臣におかれましては、御地元の広島でNPDIの議長として会合を主宰されまして、大変大きな成果をおさめられて、またメディアでも大きく取り上げられたこと、まずは心からお喜び申し上げたいと思います。

 最初に、条約について一点お伺いしたいと思います。意匠国際登録ジュネーブ改正協定に関連してです。

 この協定なんですが、模倣品被害対策の観点から見た場合、中国で製造された模倣品が多く流入している周辺アジア諸国における意匠権の取得を進め、中国からの模倣品の流入を防止することは有効な模倣品対策の一つと考えられます。

 我が国企業の模倣品対策に資すると考えられるアジア諸国による本協定の締結に向けて、今後、政府はどのように対応していくお考えでしょうか。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、アジア諸国の締結の現状でございますけれども、韓国は、今月、このジュネーブ改正協定を締結、七月から発効でございます。中国も非常に高い関心を有しているというふうに承知しております。また、ASEAN諸国、これはASEAN知財行動計画に基づきまして、二〇一五年までにジュネーブ改正協定の加入を検討するということになっております。なお、ASEAN諸国のうちシンガポール、ブルネイは既に加入しているところでございます。

 こうしたアジア諸国がジュネーブ改正協定を締結すれば、まさに委員御指摘のとおり、我が国企業のこれらの国での権利確保が促進されることになり、その結果、模倣品被害対策にも資することが期待されているところでございます。

 したがって、政府といたしましては、二国間協議の場などを含め、このジュネーブ改正協定の早期締結に向けて働きかけを行っていく考えでございます。

村上(政)委員 政府としてもしっかりとした対策をお願いしたいと思います。

 さて、きょうは小松長官にせっかくおいでいただきましたので、砂川事件判決についてお伺いしていきたいと思います。

 砂川事件判決とそれから個別的自衛権の関係について伺いたいんですが、まず、個別的自衛権、これは、集団的自衛権ではなくて個別的自衛権というのは、国際法上は国連憲章の五十一条ということになると思うんですけれども、国内法上の根拠というのはどういったところに見出されますでしょうか。

小松政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 個別的自衛権の国内的根拠という御質問の趣旨を、私、十分理解できたかどうか自信はございませんが、繰り返し御答弁申し上げていましたとおり、自衛権は国際法上の概念でございまして、憲法には自衛権についての明文の規定はございません。

 政府が申し上げておりますことは、従来から、憲法第九条の文言を一見すると、武力の行使をあらゆる場合に禁止しているかのように見えるが、いわゆる自衛権発動の三要件を充足する場合には例外的に武力の行使を行うことも許容されると解釈しているということでございます。この三要件については詳しく申し上げません。

 この従来からの政府解釈のよって立つ考え方でございますが、これは、憲法前文で確認している日本国民の平和的生存権や憲法第十三条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を国政上尊重すべきこととしている趣旨を踏まえて考えると、憲法第九条は、外国からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合、これがいわゆる自衛権の三要件の第一要件でございますが、こういうような場合に、これを排除するために必要最小限度の範囲で実力を行使することまでは禁じていないと解されるという考え方でございます。

村上(政)委員 平成十六年六月十八日の質問主意書と同じような趣旨なんだと思います。

 個別的自衛権というのは国際法上の概念、これは国連憲章から導かれるものだということで考えられる。また、憲法九条というのは自衛権の発動というのを禁止はしていない。憲法の前文あるいは十三条の幸福追求権といった趣旨を踏まえれば、我が国が個別的自衛権を行使するのは妨げられないというような趣旨だと理解しますが、今のような趣旨でよろしいでしょうか、長官。

小松政府特別補佐人 私が理解いたしますところ、おおよそ仰せのとおりかと存じます。

村上(政)委員 ということであれば、個別的自衛権とそれから砂川事件判決というのはどのような関係に立つのでしょうか。

 個別的自衛権にとって砂川事件判決というのは根拠なのか、あるいは、個別的自衛権について認めているということを、同じような趣旨を述べているにすぎない補強材料なのか、これはどちらでしょうか。

小松政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 いわゆる砂川事件判決でございますが、これは、旧日米安保条約行政協定に基づく刑事特別法の合憲性が争われた事案でございます。

 立川基地が拡張した、在日米軍施設・区域でございますけれども、これが拡張したことに伴って、いわゆる刑事特別法に基づいて立入禁止区域とされている区域が広がったわけでございますけれども、これに対し、反対派の方々がその中に立ち入ったということで、刑事特別法違反で立件されたという事件でございまして、この刑事特別法は軽犯罪法が定めておりますよりもかなり重い法定刑を定めておりますところ、ここの合憲性が争われたというのが砂川事件であるわけでございます。

 この砂川事件にかかわります最高裁判決の結論を一言で申し上げれば、旧安保条約が一見極めて明白に違憲無効であるとは言えない以上、刑事特別法も違憲ではないというものでございます。

 以上が砂川判決の結論でございまして、なお、その結論を導き出す判決文の中に、いろいろなことをもちろん言っておられるわけでございますが、我が国が主権国家として持つ固有の自衛権と憲法第九条との関係について、我が国が、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことであるという考え方が示されてございます。

 この考え方は、先ほど私が申し述べました憲法九条の従来の憲法解釈、従来からの政府見解の基盤にある基本的な考え方と軌を一にするものであると考えております。

村上(政)委員 ということは、砂川事件判決というのは、直接的には刑事特別法の合憲性を争ったものである。判決の中では、先ほど長官の御答弁の中にあったように、自国の平和と安全を維持して、またその存立を全うするために必要な自衛の措置をとる、そういうことができるというようなことを述べている。御答弁の最後にあったように、最初の個別的自衛権と憲法の関係についての御答弁と、それから砂川事件判決というのは軌を一にするものである。すなわち、同じ趣旨のものを述べている。

 ただ、直接的に砂川事件判決から個別的自衛権というものを読み解いている、あるいは根拠として用いているということではないということでしょうか。そういう理解でよろしいでしょうか。

小松政府特別補佐人 大変申しわけございませんけれども、砂川事件についての内閣法制局の解釈はどういうことかという御質問ですと、今お答えしたことをそのままお答えする以外にないわけでございまして、いずれにしましても、砂川事件判決は刑事特別法の合憲性が争われた判決でございまして、これは違憲ではないという結論になったわけでございます。

 それで、その結論を導くに当たって、もちろん、いろいろ判決が述べておられるわけでございますけれども、その一々の文言がどういう意味であるのかということについては、これは裁判所、さらに、非常に正確に申し上げれば、その裁判の判決を出した法廷、これは大法廷であったというふうに記憶しておりますけれども、そのときにこの大法廷を構成しておられた裁判官の方々が、法廷のみが行うことのできることであって、ここでこう述べているのはこういう意味である、ああいう意味であるということを行政府の立場でそんたくするというか、解釈をすると申しますか、いろいろなことを申し上げる立場に全くないわけでございます。

村上(政)委員 その前の御答弁に戻れば、砂川事件判決のその中で述べていることというのは、我が国の個別的自衛権に対する理解と同じような趣旨を述べている、軌を一にするものであるということは御答弁で確認されたわけだと思います。

 翻って、集団的自衛権と砂川事件判決の関係性がいろいろと議論されていると思います。

 今長官と質疑させていただいて明らかなように、我が国にとって砂川事件判決というのは、自衛権を行使できるということを裁判所が述べたということにおいては非常に重要な判決だと思います。我が国の自衛権をめぐる論議にかなりの補強材料を最高裁として、司法として与えたということは間違いないんだと思うんですが、砂川事件判決を直接的に根拠にして個別的自衛権を導いたり、あるいは集団的自衛権を導くということは、これはなかなか難しいんじゃないかと思います。

 そういう認識については、長官はいかがでしょうか。

小松政府特別補佐人 繰り返しの御答弁になって恐縮でございますが、砂川事件最高裁判決については、繰り返し申し述べたとおりでございまして、これが集団的自衛権の行使を認めるものか否かを含め、内閣法制局として、同判決を解釈して何かを述べるという立場にございません。

村上(政)委員 集団的自衛権の行使を容認する場合の根拠について、私から一つ、こういうふうにした方がいいんじゃないかなということを申し上げれば、これは個別的自衛権と同じように、そもそも国際法において、国連憲章第五十一条において認められているものである。それを国内の中でどう担保していくか、憲法との関係でどう整理していくかといえば、やはり、さっき個別的自衛権について長官が答弁されたように、九条で直接的に禁止しているものではない、また、前文あるいは十三条の幸福追求権という趣旨を踏まえれば、個別的自衛権というものが認められるんだと。

 集団的自衛権も、同じような理屈で、憲法から直接読んでいけばいいんじゃないかなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 ただいま集団的自衛権につきまして、委員のお考えを聞かせていただきました。委員の見識に基づいての御発言だと受けとめさせていただきました。

 いずれにしましても、今後、安保法制懇での最終報告書が出た後、政府・与党としましてもしっかり議論を行い、そして、政府の方針を確定した上で国会の議論に臨まなければなりません。こうした過程の中で、さまざまな意見、考え方がそれぞれの見識に基づいて示されるものと思います。

 ぜひ、こうした自由闊達な議論に基づいて、政府としましてもしっかりと結論を出していきたいと考えています。

村上(政)委員 個別的自衛権とそれから砂川事件判決については、どのような関係だと大臣は思われますでしょうか。

岸田国務大臣 政府としての考え方は、先ほど小松法制局長官から答弁がありました。

 政府としては、一体として、そうした判断に基づいて対応しているところでございます。

村上(政)委員 次に、TPPの話に移りたいと思います。

 先日の委員会の質疑で、大臣からも、昨年の二月に安倍総理と一緒に訪米されて、日米首脳会談が行われて、その際、日米共同声明というのが出されたと。その際に、さまざまに、三段落にわたって、我が国とアメリカ政府との間で共同声明を出したわけですが、私が思うに、今のTPPの交渉がなかなか難しい局面を迎えているというのは、やはり、この二月の時点で譲り過ぎたんじゃないかなと思います。この二月の時点で、そもそも、TPPの交渉に入るためにいっぱい譲ってしまった。

 そういう足かせの中で今政府の事務方もそれから閣僚も交渉していて、足かせがはめられた中での交渉というのは、それは困難をきわめたり、なかなかアメリカからとってくるべきものをとってこられないのは当たり前であって、そもそもの出発点というのが間違っていたんじゃないかなと思います。

 具体的に申し上げると、一つは、この昨年二月の日米の共同声明、第三段落において、「両政府は、TPP参加への日本のあり得べき関心についての二国間協議を継続する。これらの協議は進展を見せているが、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、」となっています。

 そもそも、我が国における自動車部門や保険部門に関する問題というのは、我々にとっては全然懸念事項じゃないはずです。アメリカからすると、日本市場の中で保険の話とか自動車の話をとりたいというのはあるのかもしれませんが、我々にとってはそれは知ったことではないというか、アメリカの思惑はあるかもしれませんが、我々にとってはそれは守るべきものですし、また、譲る必要もないことだと思います。しかしながら、両政府はこれについて懸案事項として対処しと、我々が別に対処する必要もないことについて対処しなければいけない。

 一方、我々の懸念事項であるアメリカ市場における自動車関税の問題については何も書いていない、あるいは、我々が守るべき農産品の問題についてもきちっとしたものは書いていないということで、そもそも出発点がアメリカに非常に有利であって、また、TPPの交渉に参加するために、払わなくてもいい入場料を払わされた上で、土台が違ってしまったところから交渉が始まっているんじゃないかなと思うんですけれども、特に今申し上げた第三段落の問題を中心に、大臣はどのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 まず、昨年二月の日米首脳会談において確認されたことのポイントは、一つは、日本には一定の農産品、米国には一定の工業品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティーが存在すること、二つ目として、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであること、そして三つ目として、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税の撤廃をすることをあらかじめ約束することは求められるものではないこと、この三点を確認したというのが重要なポイントであると認識をしております。

 自動車部門、保険部門、これはアメリカの関心事ではないかという御指摘がありましたが、こうしたさまざまな課題についてこれから作業をするということを述べたのみでありまして、この時点で何ら一方的に譲歩した、譲ったという御指摘は当たらないのではないかと考えています。

    〔委員長退席、原田(義)委員長代理着席〕

村上(政)委員 もちろん、最初から完全に譲るということを約束したわけではないんですが、そういったアジェンダなり懸案事項というものが羅列されている、我々にとって必要のないものが羅列されていて、我々にとっては必要なものが書いていないというのが問題じゃないか、そして、これが今の日米の協議の難しさを引き起こしているんじゃないかということをお話しさせていただいたわけです。

 今大臣の御答弁の中にあった、第二段落の、「両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する。」というふうになっていて、これは当たり前のことじゃないかと。

 交渉の中で決めていくということを述べたにすぎないのであって、聖域なき関税撤廃がない、我々として農産物の例外を認めてもらったということを述べているのではないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 この時点で、さまざまな選挙、あるいは国会決議等を通じまして、要は、問題になっていたのは、聖域なき関税撤廃というものがあるのかないのか、こういった点でありました。

 そして、この二月の段階で、こうした、一方的に全ての関税撤廃をすることをあらかじめ約束することが求められるものではない、これを確認することによって、我が国としては交渉参加を決断する、こういった道筋につながったと承知をしております。

 この点を首脳間で、そして文書において明らかに確認をしたというのは、今申し上げた意味で大変重要な点であったと我々は認識をしております。

村上(政)委員 政府として、TPPについては、アジア太平洋における非常に野心的な取り組みである、高いレベルのものを目指していくということは再三おっしゃっているわけであります。その中で、我が国の立ち位置を考えれば、そもそも、こんな入場料を払わなくても、我々としてはTPP交渉に参加できて、そして主導権をとれたんじゃないか、アメリカに対して譲り過ぎなんじゃないかなということを申し上げているわけです。

 今取り上げさせていただいたこの二月の共同声明に基づいて、四月に日米協議があったわけですが、その中でも、自動車の関税について、これは我々にとって、とってくるべき分野の中では一番必要なものですし、また、きっちりと交渉の中で確保しなければならないもののはずですが、既にこれについて、この成果について枠組みがはめ込まれてしまっていて、読み上げると、「米国の自動車関税がTPP交渉における最も長い段階的な引下げ期間によって撤廃され、かつ、最大限に後ろ倒しされること、及び、この扱いは米韓FTAにおける米国の自動車関税の取り扱いを実質的に上回るものとなることを確認。」するというふうになっていて、これを読むと、そもそも期間についても、最も長い期間、それから、最大限後ろ倒し、そして、米韓FTAとの関係においても枠組みがはめ込まれてしまっている。

 我々がとってくるべき成果の範囲において、そもそも頭打ちのようなラインを埋め込まれてしまっている、こういった中で、まともな交渉がなかなかできないんじゃないかなと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

    〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕

岸田国務大臣 御指摘の点につきましても、日本と韓国では置かれている立場が違います。日本の場合はもともと関税ゼロでありますので、そういった中での交渉であるということを考えていかなければなりません。

 そして、いずれにしましても、日米間の並行交渉につきましても、最終的にはTPP本体に組み込まれることになるわけですので、協議は今、依然続いております。国益を守るべく、最大限努力を続けなければならないと認識をしています。

村上(政)委員 次に、集団的自衛権とそれから地理的な範囲についてお聞きしたいと思います。

 そもそも、集団的自衛権の定義の中で、密接な関係にある国ということで、密接なの定義については、先日、松本先生がいろいろと質疑をされたというふうに承知しています。

 その密接な関係国という中に、アメリカは含まれるのでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 集団的自衛権の定義につきましては、国際法上、御指摘のように、密接な関係にある国に対する武力行使が行われ、みずからの国に対する武力行使でないにもかかわらず、それに対して対応する権利、こういった定義がされていると承知をしております。

 そして、密接な関係にある国につきましては、要請あるいは同意等が求められるという理解であると承知をしていますが、必ずしも同盟関係にあるものではないという解釈であるということであります。

 そして、日本にとってアメリカがその密接な関係にある国にあるのかどうかという質問ですが、そもそも集団的自衛権について我々は今議論しているわけでありまして、集団的自衛権として、我が国として認めるか認めないか、どの範囲で認めるか、どういった内容にするのか、これが今議論されているわけですから、具体的に日本とアメリカの関係について、それに当てはめて申し上げるのは適切ではないと考えます。

村上(政)委員 アメリカが入らないということは考えられないと思うんですけれども。

 次に、日米安保条約、我が国とアメリカの安保条約の六条の中で極東という言葉が出てきます。この極東の範囲というのは、昭和三十五年二月二十六日、政府統一見解がありまして、「大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であつて、韓国及び」台湾、読みかえますが、「の支配下にある地域もこれに含まれている。」ということで、日米安保条約においては、地理的な範囲、この極東の範囲というのが政府の統一見解において確固としたものがあるわけであります。フィリピン以北、韓国そして台湾の支配下も含まれる。

 集団的自衛権の行使をする場合、一緒に行使する相手というのは、当然にアメリカが想定されると思うんですが、そうであるならば、集団的自衛権の行使をできる地理的範囲というのは、どのような制約を設けるのか、あるいは全く制約を設けないのかという点にかかわらず、少なくとも日米安保条約の六条で言うところの極東の範囲というものが含まれると考えるんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 日米安全保障条約上の極東の範囲の定義については今御紹介をいただきました。

 そして、集団的自衛権の議論については、今段階で私の方から、その地理的範囲等々を含めて確たるものを申し上げるのは、これは不適切ではないかと考えます。ぜひ、今後の議論を踏まえて、政府としてのしっかりとした方針が固まった後にお答えするべき御質問ではないかと考えます。

村上(政)委員 小松長官は、今お聞きした密接な関係という国にアメリカは含まれるのか、そして、日米安保条約六条で言うところの極東の範囲が、我が国が集団的自衛権を行使する場合に地理的範囲として少なくとも含まれるのかという点については、どのようにお考えでしょうか。

小松政府特別補佐人 これは何度かお答えを申し上げておりますけれども、集団的自衛権を含め、自衛権は国際法上の概念である。それで、密接な国ということは、一般に国際法上の集団的自衛権の定義に関連して言われていることであるということでございますので、密接な国の範囲はどうかということは純粋に国際法上の問題でございまして、内閣法制局の所管ではないわけでございます。

 それから、仮に集団的自衛権の行使を容認するという政府の方針になった場合に、それに基づいて行動する地域に限定を加えるのかという御質問でございますけれども、何度も申し上げておりますように、そもそも、総理が、安保法制懇の報告書を待って、内閣法制局の意見も聞き、与党とも調整した結果、内閣として立場を固める、こうおっしゃっているわけでございまして、そのときに、内閣法制局の役割というのは、全く政策的な観点からではなく、純粋に法的な観点から、設置法に基づいて意見を申し上げるわけでございまして、今の、おっしゃる地域限定というところにつきまして私がお答えをする立場にはないと考えております。

村上(政)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、マルチ五条約についての質疑の機会を二十分いただきました。ありがとうございます。通告した内容がまた少し重なるんですが、よろしくお願いしたいと思います。

 具体的な質問に入る前に、先ほど小川議員からもありましたけれども、今回、このように五条約を一括して審議するという条約審議のあり方について、こうした事例は過去にもあったことなのか、今回、なぜマルチというだけで五本もくくっているのかについて、合理的な説明をいただきたいと思います。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から答弁がございましたように、政府として国会に提出をいたしました条約のうち、どの条約を一括して御審議いただくかという問題でございますが、この問題は、まさに国会において御判断いただくものと承知しております。

 その上で申し上げれば、本日御審議いただいている五本の条約でございますが、これはいずれも、先ほど大臣からもありましたように、経済関係の多数国間条約に該当するものでございます。これらの条約は、それぞれの分野におきます国際的な取り組みを促進するとともに、日本の企業あるいはそれらの分野の関係者の海外展開、権益確保の後押しとなるものと考えております。

 最後に、複数の多数国間条約を一括して御審議いただいた例があるかどうかということでございますれば、最近の例であれば、例えば、昨年の臨時国会におきまして三本の条約を御審議いただきましたし、また、平成二十四年の通常国会におきましては四本の多数国間条約をそれぞれ一括して御審議いただいております。さらに、もっとさかのぼりますると、六本の多数国間条約を一括して御審議いただいた例もあると承知しております。

青柳委員 ありがとうございました。

 時間の関係もありますので、次に行きたいと思います。

 まずは、意匠国際登録ジュネーブ改正協定について伺いたいと思います。

 言うまでもなく、知財は我が国の貴重な財産であり、知財戦略は重要な政策であります。本協定は、現在、各国ごとに出願手続が必要な意匠国際出願と国際登録を、一回の国際出願手続で複数国への出願が可能になるという説明をいただいております。

 それでは、なぜ今回このタイミングで協定に入るのか、そして、先ほども質問がありましたが、この協定に入るための国内の制度との調整は終わっているのか、さらに、出願人に対する具体的なメリットというのはどのようなものがあるのか、この三点について伺いたいと思います。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、メリットでございますが、このジュネーブ改正協定を締結して意匠の国際登録制度に参加することによって、我が国の企業が意匠権を国際的に取得、管理する際の事務、費用、これが軽減されます。

 また、我が国の意匠が国際的に周知され、かつ保護されることによって、我が国企業の国際競争力の強化も期待されると考えております。

 なぜこのタイミングという点でございますが、このジュネーブ改正協定、発効後しばらくの間は締約国数が伸びず、国内で特に加入を求める強い要望もなかったのが実態でございます。

 しかし、二〇〇八年にEUが加入し、また、本年四月には韓国が加入しておりますし、数字で見ても、二〇〇三年十カ国だったのが、二〇〇九年には三十六カ国、二〇一二年は四十五カ国と締約国数もふえている。意匠権を取得する主要な対象国であるアメリカ、中国、ASEAN諸国、こういった国々もこの協定の加入の検討を進めているところでございます。

 そういう意味で、このように、協定に基づく意匠の国際出願の体制が近年急速に拡大しつつあるところ、この協定を締結しない場合、我が国企業等が国際競争において不利な立場に置かれるおそれがある、こういった観点を踏まえて、今回、このジュネーブ改正協定を締結することとした次第でございます。

 最後に、国内制度、国内手続でございます。

 なお、この協定の締結に当たっては、手続が中心でございますが、我が国の企業などが特許庁を通じて行う国際出願手続に関する規定の整備、それから、外国企業などが行う出願について特許庁が審査などを行うための所要の規定の整備が必要になり、そのため、意匠法の一部を改正する必要がございます。この改正を含む特許法等の一部を改正する法律案を、今次国会に提出しているところでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 今説明のありましたとおり、具体的なメリットもあるということですし、経済界からも強い要望が実際にあったと承知しておりますが、経済界の中でも、中小企業やベンチャー企業も関心のある今回の協定の加盟だと思いますので、協定締約後、発効後は、ぜひ、今のように、ユーザー視点からの、具体的なメリットはどういうことがあるのか、手続はこうなりますよという周知や告知をしっかりやっていただきたいと思いますが、どのように周知や告知をしていくのかも伺いたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、この協定への加入によりまして、手続面それから費用面で中小企業にも大きなメリットがあると考えておりまして、私どもとしては、中小企業の皆様方に積極的に御活用いただくようにということで、例えば、中小企業庁の経営支援ポータルサイト、ミラサポなどを活用いたしますとか、あるいは、各地の商工会議所、商工会との連携、それから日本弁理士会などの御協力もいただきまして、全国各地での説明会の開催、パンフレットの配布など、周知を広く進めてまいります。

 また、私ども特許庁では、全国五十七カ所に知財総合支援窓口という相談センターを設けておりまして、ここで、弁理士の先生方、弁護士の先生方のお力もおかりしまして、中小企業が今回の枠組みを利用して国際的な意匠出願に積極的に出てまいれるようにということで、支援してまいりたいと存じます。

青柳委員 しっかりやっていただければと思います。

 特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書というのがあるそうでございますが、そのアンケートによると、本協定未加盟国のうち、我が国企業が加盟を希望する国として、先ほど来いろいろ答弁にも出ておりますが、中国、台湾、インド、インドネシア、タイ、ベトナム、マレーシアなど、アジアの国々がベストテンの中に多く入っているという結果になっています。

 政府として、こうしたアジアの国々への加盟の働きかけを、答弁していただいておりますが、改めて、どのように働きかけを行っていくか、働きかけを行う用意があるかについて伺いたいと思います。

石原大臣政務官 お答え申し上げます。

 繰り返しになる部分もありますけれども、韓国は、今月、ジュネーブ改正協定を締結いたしたところであります。中国も、先ほどからも答弁させていただいていますけれども、高い関心を有していると承知しております。また、ASEAN諸国は、ASEAN知財行動計画二〇一一―二〇一五に基づき、二〇一五年までにジュネーブ改正協定への加入を検討することになっているというふうに承知しております。既に、ASEAN諸国の中でも、シンガポールとブルネイが加入しているところであります。

 こうしたアジアの諸国がジュネーブ改正協定を締結すれば、我が国企業のこれらの国での権利確立が促進することから、政府としては、二国間協議の場等を含め、ジュネーブ改正協定の早期締結について引き続き働きかけていく考えであります。

青柳委員 企業側からの要望の本丸といいますか、先ほど小川議員からもありました実効性については、やはり模倣品の被害対策、これにあると思いますが、本協定に加盟することで一定の効果はあるかもしれませんが、具体的な模倣品対策になるのかということについては一概に言いがたいのではないかと思います。

 政府として、この模倣品対策の取り組み、どうやって実効性を上げていくのかについての御説明を求めたいと思います。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、このジュネーブ改正協定そのもので全て模倣品対策が片づくわけではないんですが、他方、一定の効果があるというのは御指摘のとおりだと思います。

 政府としては、知的財産政策に関する基本方針、あるいは知的財産政策ビジョン、これらを踏まえて、正規品の流通と一体となった侵害対策の推進、国内取り締まりの強化、ACTAの推進など、こういったことを通じて模倣品、海賊版対策を推進しているところでございます。

 外務省においても、ほぼ全ての我が国在外公館において知的財産担当官を任命しております。国内の政府模倣品・海賊版総合窓口その他の関係部局と緊密に連携しつつ、模倣品、海賊版対策を初めとする知財関連問題について、海外における日本企業に対する支援を行っているところでございます。また、必要に応じて、経済問題に関する二国間協議等の場で問題を提起することも行っているところでございます。

青柳委員 次に、意匠国際分類ロカルノ協定について伺います。

 これも、一九六八年採択、一九七一年発効と歴史ある協定ですが、我が国が今回このタイミングで加盟する理由と、どのようなメリットがあるかについてお伺いしたいと思います。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 今国会に、ロカルノ協定とともに、先ほど御議論いただきました意匠国際登録ジュネーブ改正協定、これを締結しますと、我が国においても、我が国を指定する国内外からの国際意匠出願を審査することになります。

 その結果として、審査において、ロカルノ協定が定める国際分類を利用する機会がふえることが想定されます。また、国際出願をする我が国企業などが事前の権利調査を行う場合にもこの国際分類を活用する機会もふえることになるというふうに考えております。

 国際分類については、協定に基づいて設置された専門家委員会の場において、随時、改定作業が行われているところでございます。国際分類の内容次第では利便性が大きく左右されるため、我が国の意見を国際分類の改定作業にぜひ反映していく必要があると思っております。また、これは、国際的に事業展開をする我が国企業にとっても有益であると考えております。

 御案内のとおり、メリットということでいえば、現在の国際分類では、例えば、テレビ、ラジオ、携帯電話機、これらが全て一つの通信機器という分類になっております。非常に分類が粗いために、企業が事前にその権利調査を行う際に効率的な調査を行えない、そういった不便がございます。

 こういったこともあり、民間企業、経済団体からも、ロカルノ協定を締結して、専門家委員会に参加して、国際分類に我が国の意見を反映していくことについて強い要請、要望を受けている、これが実態でございます。

青柳委員 我が国の分類はとても精緻で、国際分類はとても粗いということで、ロカルノ協定に入って、専門家委員会でその分類を我が国の基準に合わせていくような取り組みを本気でやっていくとなると相当大変な作業になると思いますが、本当にやるつもりがあるのかなということと、今御説明がありましたとおり、ジュネーブ改正協定に入るタイミングでロカルノにも入るという説明もありましたが、お伺いしますと、アメリカは特にロカルノ協定には入っていない、でも、ジュネーブ改正協定には入る検討をされているとか、必ずしもジュネーブ改正協定に入るからロカルノに入るということでもないと思うんですが、そういう点も含めて、本気でその専門家委員会で分類を精緻にしていくのかということについても、もう一度お伺いしておきたいと思います。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の、本気でこの専門家委員会でということでございますけれども、我が国も既にこの専門家委員会、ここ数年、オブザーバー参加しております。アメリカ、EU、そういった国も参加しているところでございます。

 そういった中での議論を聞きますと、国際的にも、やはりこの国際分類は粗い、細分化していく必要性があるだろうという認識は一致してございます。したがって、そういう中で、日本としてこの協定に入って、専門家委員会で本気できっちりと議論していくことは十分できると思いますし、やっていきたいと思っております。

 確かに、ジュネーブ、ロカルノ協定、直接のリンケージというのは御指摘のとおりでございますけれども、先ほど申し上げましたように、日本の企業の利便性という観点、特に、最近になってやはり日本の海外への出願も、例えば二〇〇〇年に比べれば、二〇一二年、約二倍にふえているとか、そういった実態がございますので、このロカルノ協定に入って、先ほど申し上げた、国際分類をより精緻化していくということは非常に重要なのではないかというふうに考えている次第でございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間の関係もありますので、次に行きます。

 視聴覚的実演に関する北京条約についても伺いたいと思います。

 本条約では、音や映像のパフォーマンスについての実演家の権利を保護することに資する条約だと思いますが、一九九六年の音による実演家の権利に比べて、映像の実演家の権利がようやくといいますか、大分おくれて今回の取り組みになっているんだと思いますが、映像による実演家の権利がおくれている理由の分析と、あわせて、今回の条約に加盟して発効することによって、実演家の権利が本当にきちんと保護されるのかという説明を求めたいと思います。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一九九六年、レコード条約採択との関連でございます。

 九六年にこの条約が採択された後、視聴覚的実演に関する保護についての検討は継続されてまいりました。ただ、その間、やはり実演家の権利が、DVD、そういった視聴覚的な固定物の製作者に移転されることを条約上の義務とするかどうかということでかなり厳しい対立があって、なかなか合意に至らなかった。

 他方、その後、やはりインターネット上の海賊版の被害の増加、こういったことを受けて再度検討が再開されて、その懸案となった今申し上げた点については、各締約国の国内法の規定に委ねるということで関係国間で合意が成立して、今回、この北京条約ができるに至った経緯がございます。

 いかなるメリット、権利が守られるのかという点でございますが、この北京条約を締結することによって、これまでの著作隣接権関連の条約では認められていなかった視聴覚的実演を行う実演家の人格権、あるいはそのような実演家の許諾を得ずに視聴覚的実演をアップロードする行為を差しとめる権利、こういった保護について国際的な規範が確立されることになります。

 また同時に、視聴覚的実演について講じられているコピープロテクションといった技術的手段の回避、あるいは電子透かし等によって付加された権利管理情報の改変、こういったものも国際的に規制され、権利侵害への対応が強化されるというふうになると考えております。

青柳委員 時間の関係で最後になると思いますが、南インド洋漁業協定についても質問させていただきます。

 政府はこれまで、本協定について、政府間交渉にかかわってきたということでありますが、二〇〇六年七月に採択されている本協定を、今になって締結するということについての説明を求めます。

 これは、南インド洋で、来年採択されるという予定の保存管理措置に関する協議に参加するんだということが一つの意味合いですという説明はいただいていますが、もう既に締約国会議というのは一回、昨年の十月に開催されているわけでございまして、さらに来年の三月にはもう採択するということで、このタイミングで入って、我が国が保存管理措置に関する会議に参加できたとして、有効な主張がそもそもできるのか。

 このタイミングになった理由と、本当に保存管理措置に対して有効な主張ができるのかという点について、最後にお伺いしたいと思います。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この協定、二〇〇六年に採択されましたけれども、その当時は、協定対象水域、我が国の漁船による操業実績がほとんどなかったということで、今後の我が国の漁船の操業の動向を見きわめていた状況でございます。その後、二〇〇九年、我が国の遠洋底びき網漁船が対象地域での本格的な操業を開始した。そういう中で、二〇一二年六月にこの協定が発効した。

 それで、日本は、先ほどございました第一回締約国会議には、二〇一三年十月でございますが、オブザーバーとして参加したところでございます。この第一回締約国会合で、まさに委員御指摘の二〇一五年三月の第二回締約国会議において具体的な保存管理措置の議論、採択を目標にしようということが合意されています。

 ある意味では、締約国間の議論はこれから本格化されるというふうに承知しておりますので、私どもとしては、この国会で御審議を経て御承認をいただければ、早期に加入して、保存管理措置を含めて、まさに日本の立場というものを適切に反映させていきたいと思っておりますし、できるというふうに考えております。

青柳委員 できるという御答弁をいただきましたので、私の質問もこれで終えたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、バラスト水規制管理条約に関連して端的に伺います。

 水産庁、お越しいただいていると思いますが、我が国における赤潮被害の状況と対策、これを手短に、端的で結構ですが、お答えください。

長谷政府参考人 お答えします。

 主な赤潮発生海域である瀬戸内海と九州海域における近年の赤潮発生状況につきましては、両海域とも年間百件程度で推移しておりまして、年によってばらつきはございますけれども、年間数億円から数十億円の被害が報告されております。

 被害防止対策につきましては、可能な限り養殖生けすを事前に避難させるなどのために、プランクトンや栄養塩類などをモニタリングいたしまして、この情報を漁業者に提供しており、また、赤潮の発生メカニズムの解明や予測技術の開発も行っているところでございます。

笠井委員 そういう状況があるわけですけれども、貨物船のバラスト水の排水に紛れ込んで、別の海に生息している、例えば貝とか、あるいは水中生物、これが持ち込まれた場合には、赤潮の原因となるプランクトンも一緒にやってきて被害をもたらす可能性があるということになると思うんですが、今回の条約によって、こうした問題を含めて、バラスト水を起因とするようなそういう被害をどうやって防ぐことができるか、お答えいただきたいと思います。

石原大臣政務官 バラスト水に含まれる水生生物や病原菌が本来の生息地でない場所に移入、繁殖することを防ぐためにこの条約を結ぶわけでありますけれども、我が国においても、これまで、バラスト水が原因と考えられる外来種の移入事例が報告されているところであります。ムラサキイガイとか、そんなケースがございます。

 この条約により、船舶は、バラスト水について、その中に含まれる貝のような水生生物や病原菌が条約に定める基準以下になるように処理した上で排出することが求められております。ろ過というか、水生生物はそういうので取って、それから薬を入れて菌とかを殺して水に流すわけでありますけれども、そのことによって、我が国の港湾を含む近海において、バラスト水の排出に伴う外来種の移入、繁殖を防止する上で大きなメリットがあるというふうに考えております。

笠井委員 次に、海洋の問題、あるいは知的財産権、きょうもいろいろ話題になりましたけれども、それに関連して伺いたいと思うんです。

 防衛省技術研究本部が三月二十七日に、文部科学省所管の独立行政法人海洋研究開発機構と、海洋分野における研究協力に関する協定を締結いたしました。その際に、自律型水中無人探査機と無人航走体の二つの研究協力の附属書というのも結んでおります。

 防衛省若宮政務官に伺いたいんですが、これは一体何を研究するものなんでしょうか。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員ただいま御指摘の、平成二十六年三月二十七日に、私ども防衛省の技術研究本部と独立行政法人海洋研究開発機構との間で、海洋分野におけます研究協力に関する協定を締結いたしました。

 この協定では、個別具体的な研究内容といたしまして、自律型の水中無人探査機のシステム化技術の研究協力、そしてもう一つ、無人航走体及び水中音響に係る研究協力ということを行うものといたしております。

 これらの研究協力では、それぞれ研究に関連いたします技術の情報交換や意見交換、また、おのおのが主催する会議への研究担当者の相互参加などを行うものといたしているところでございます。

 防衛省といたしましては、このような研究協力を実施することによりまして、海洋における無人システムなどの研究開発の質の向上が図られるものと考えているところでございます。

笠井委員 確認なんですが、今回の研究というのは、防衛省が行ってきたUUVと呼ばれる自律航走が可能な無人水中航走体システムの技術研究の一つというふうに理解してよろしいんですね。そういうことでよろしいかどうか。

若宮大臣政務官 委員御指摘のとおり、本研究におきましては、起伏があります海底面でも一定高度を保ったまま自律航行を可能とする自律制御技術、あるいは、船首と船尾に取りつけられましたかじによりまして姿勢を水平に保ったまま自律航行を可能とする航行制御技術など、自律型水中無人探査機をシステム化するために必要な技術について意見交換や情報交換を行う、そういったものでございます。

笠井委員 今、防衛省のUUVシステムの研究では、対潜水艦戦や対機雷戦などを想定しているということでしょうか。

若宮大臣政務官 基本的には海中の警戒監視が主目的でございまして、委員御指摘のとおり、確かに機雷等がございますと危険でございますので、そういったものに関するものについても警戒監視ということでございます。

笠井委員 防衛省の経理装備局の平成十九年、二〇〇七年度の政策評価書を見ますと、「自律航走可能な無人水中航走体(UUV)及び無人水上航走体(USV)を統合し、偵察・警戒監視、ゲリラや特殊部隊への対処、対潜水艦戦、対機雷戦等の各ミッションに適用可能な多用途無人航走体システムに関する研究を行う。」と、その時点で九億円という金をつけているわけですね。

 このUUVの技術では、攻撃能力を備えるということも含まれるわけですか。

若宮大臣政務官 攻撃という能力は含まれてございません。

笠井委員 防衛省の技術研究本部の平成十九年、二〇〇七年四月の中長期技術見積りを見ますと、UUV技術というのは、「港湾・沿岸のゲリラ・特殊部隊の侵入監視及び攻撃予防等を安全かつ効率的に実施するため、水中を自律で行動し、各種搭載センサーによる周辺の知覚や目標の識別、判断、通信、攻撃等を可能とし、他のUUVを含む各種プラットフォームとのネットワーク化による能力の飛躍的向上を可能とする」UUVを実現すると、攻撃を可能にすると書いてあるわけですよね、防衛省自身。

 それで、文科省に伺いたいんですが、海洋研究開発機構の設立根拠、独立行政法人海洋研究開発機構法の目的を定めた第四条でありますが、この中では、「平和と福祉の理念に基づき、海洋に関する基盤的研究開発、海洋に関する学術研究に関する協力等の業務を総合的に行うことにより、海洋科学技術の水準の向上を図るとともに、学術研究の発展に資することを目的とする。」こう書いてあると思うんですが、間違いありませんか。

冨岡大臣政務官 間違いございません。

笠井委員 そうしますと、平和と福祉の理念に基づくとする海洋研究開発機構法の第四条の目的に照らせば、今回の防衛省技術研究本部との研究協力というのは、これに明らかに反するということになりませんか。

冨岡大臣政務官 そのようには考えておりません。

 つまり、今回の協定に基づく研究協力は、両研究機関が合意した課題に限り行うものでありまして、個別技術情報の取り扱いについては、協定上設置される技術連絡会において今後検討される予定になっております。したがいまして、その際、独立行政法人海洋研究開発機構法に明記された、委員御指摘の平和と福祉の理念を十分念頭に置いて課題を選択しながら、協力を行っていく予定でございます。

笠井委員 今政務官が言われたんですが、では、防衛省が先ほど言ったような目的を既に評価書その他で言っていることは承知しておりますか。

冨岡大臣政務官 事案ごとに検討していきたいと思っております。

笠井委員 相手の防衛省の目的がわかっていて、一緒に技術研究の情報交換をやること自体が私は問題だと思うんですね。

 では伺いますが、将来的にそれが研究開発機構に対する受託につながる可能性はないと断言できますか。

冨岡大臣政務官 その都度検討していくことになるかと思っております。

笠井委員 否定はしないわけですね。その都度検討すると。

 海洋研究開発機構の前身というのは海洋科学技術センターでありますけれども、その根拠法である海洋科学技術センター法、その法案の審議ではどんな議論があったか。私も改めて会議録を振り返ってみました。

 一九七一年、昭和四十六年の三月二十四日に、衆議院の科学技術振興対策特別委員会で、我が党の山原健二郎議員が、当初の法案に平和目的がないことをただして、平和利用の目的のみに限ることを明記すべきだと求めました。これに対して当時の西田信一科学技術庁長官が、軍事目的のための研究開発ということは全く考えておりません、あえて平和利用ということを書く必要はなかろうと思いますと答弁したんですが、その後、平和と福祉の理念を追加するという修正案が出されて、全会一致で採択された経緯があります。

 海洋研究開発機構法は、この当時の海洋科学技術センター法を引き継いで、目的に、先ほど冨岡政務官も言われたみたいに、平和と福祉の理念を掲げたわけであります。

 岸田大臣、今、質疑を聞いていらっしゃったと思うんです。先ほどの答弁でも明らかになったと思うんですが、防衛省自身、海洋研究開発機構とともに行う無人航走体の研究協力というのは、将来の装備システムとしての技術開発を目的としている。今、冨岡政務官自身も、今後は個々にどうするか検討するということで、そういう形で、受託したり、あるいは軍事研究をやることはないんだとはっきり言われないんですね。

 そうなると、そういう軍事目的を持っていることについて機構がやることになれば、明らかに目的に反することになるし、やはり平和目的あるいは福祉の理念と言っていることに対して反するようなことを今政府自身が進めているということになると思うんですけれども、こんな研究協力はやめさせるべきだと外務大臣としては思われませんか。いかがですか。

岸田国務大臣 協定の中身あるいは協定に対する考え方、取り組みにつきましては、ただいま防衛省あるいは文科省から御説明があったとおりでございます。

 こうした協定を結ぶことによって研究協力が進む、そして、海洋分野ということを考えましたときに、海洋分野において研究開発が推進されていく、こうした成果につながることは歓迎すべきことではないかと考えます。

笠井委員 しかし、それが軍事目的になるということではいけないというのはいかがですか。

岸田国務大臣 それぞれの法人そして組織の目的の範囲内でそれぞれ研究開発協力を行うということは、これは当然認められていることだと存じます。

 ぜひ、海洋分野における研究開発が推進される、こうした具体的な成果につながることを期待したいと思います。

笠井委員 その成果が軍事目的となると、今、憲法があるわけです。そして、先ほどの設置目的にあった機構にしたって、平和と福祉の理念といって、軍事はやらないんだということまでやってきたわけですから、明らかにその結果がそうなるということになったら大変なことだと私は強く言いたいと思います。

 さて、この間質疑してきた関係で若干確認したいんですが、四月九日の当委員会の私の質問に関連して、十一日のこの外務委員会の理事会で、石原外務政務官が、在日米海兵隊の実員数について、昨年十二月三十一日時点でということで、約二万一千人ということで説明がありました。

 それが何に基づくデータなのか、そして実際どういう数になっているか、算定の根拠あるいは確認の根拠について答弁をいただきたいと思います。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 御質問の在日米海兵隊の実員数でございますけれども、私どもが在日米軍司令部から入手いたしました数字は、二〇一三年十二月三十一日時点で二万七百六十六人だというふうに聞いております。

笠井委員 その内数、沖縄と本土についても言ってください。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 内訳でございますけれども、沖縄に一万八千七十人、本土に二千六百九十六人だという説明を受けております。

笠井委員 今、在日米軍に確認したと言われたんですが、米国防省傘下のディフェンス・マンパワー・データ・センターが発表した在日米海兵隊の人数を見ますと、昨年十二月三十一日現在で一万五千九百八十三人というふうになっているわけであります。しかも、この一万五千九百八十三人という数字は、このデータセンターが言っているだけじゃなくて、外務省自身がことしの予算委員会の提出資料で、ここに鏡があります、平成二十六年二月外務省ということで、我が党の要求に対して要求資料ということで回答した中に、まさに一万五千九百八十三人という形で、外務省としても提出資料の中でそういう数字を言っていると思うんです。それと同じものだと思うんですけれども、それを改めて確認したら、実は違って、今回言われた二万七百六十六名だった、こういうことになるんですか。その辺の関係はどうなっているんですか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど御答弁申し上げた在日米軍司令部から提供のあった数値と、先生今御指摘がございました国防人員データ・センター、DMDCが公表している数値との違いについて御質問がございました。

 この点につきましてワシントンの我が方の大使館からアメリカ国防省に確認を行いましたところ、次のとおりの説明があったところでございます。

 まず、国防人員データ・センター、DMDCはアメリカ国防省の人事当局の下部組織であって、各基地に割り振られた給与や手当をもとに各基地の人員数を把握していることから、一時的な部隊の移動まで逐一確認することができていない、時として両者の数値に違いが生じる場合があり得るということでございます。

 その上で、今回の昨年末の数字でございますけれども、まさにこうした事情により、DMDCが公表している数値と私どもが在日米軍司令部から入手した数字が結果的に異なっているという状況でございます。

 今回のケースについては、在日米軍司令部から提供のあったデータの方が現状をより反映した数値であるということを国防省の方からも説明を受けているところでございます。

笠井委員 二月の時点で正式に予算委員会提出資料で要求した、外務省として言っていた数字が、いろいろやっていたら違うというのが今ごろになって出るわけですよ。その数字はこういう根拠でしたみたいな話になる。

 では、改めて確認しますが、最新の時点での在沖縄の米軍人軍属、家族の実員総数、それから陸軍、海軍、空軍、海兵隊のそれぞれの内訳がどうなっているというふうに今確認できていますか。

冨田政府参考人 お答えいたします前に、先ほど委員から御指摘のあった外務省から提出した資料でございますけれども、確かに、提出させていただいた資料は、DMDCに基づくという出典を明記してお出ししております。その上で、その中に注といたしまして、この数値の性格を踏まえまして、我が国に駐留する米軍人数は短期的に常に変動しており、また算定の方法も種々ある由であり、あくまで一つの目安に過ぎないものと承知しているという注を付記させていただいているところでございます。

 そこで、在沖縄米軍の軍種ごとの実員数についてお尋ねがございました。

 軍種ごとの実員数につきましては、陸軍につきましては千五百二十五人、海軍につきましては二千三十四人、空軍につきましては六千六百三十六人、海兵隊につきましては一万八千七十人、計二万八千二百六十五人という数字を在日米軍司令部から説明を受けているところでございます。

 また、軍属、家族の人数についてもお尋ねがございました。

 これについても在日米軍司令部から確認した数字を御答弁申し上げますと、二〇一三年十二月三十一日の時点で、軍属については二千二百六十三人、そして家族の人数については一万九千五百四人という説明を受けているところでございます。

笠井委員 いや、今、それは合計ですね。それぞれ言ってくださいよ。

冨田政府参考人 在日米軍から入手した資料につきましては、軍属それから家族の数字につきましては、軍種ごとの区別は説明を受けておりません。したがって、今、まとめた数字を御答弁申し上げた次第でございます。

笠井委員 その数字は、グアム移転家族が何人とかそういう話もあるわけですから、前提の話なので、これはちゃんと出していただきたい。これは理事会で協議をお願いしたい。後で委員長に一言お願いします。

 もう時間になりましたので、最後に大臣に一言伺いたいんです。

 結局、こういう数字というのはもともとベーシックな話なんですよね。あれこれ言うけれども、国会で質問しないとなかなか出てこない。要求したって、注がありますとかいって違う数字を出しておいて、またさらっと違う数字、確認してこうでしたと。いろいろな数字が出てくるわけですけれども、在日米軍がどうなっているのかというのは議論の前提ですよね。なのに、政府が主体的に数字をつかんでいなくて、確認もしていなくて、共産党がというか我々が質問したら、国会で質問されたら、それを確認して、こうでした、ああでしたと言うのはおかしいんじゃないですか。

 基本的なことをどうして政府、外務省がつかんでいないのか、常に確認していないのか、現時点でいったらそうですと言わないのか。問われたらすぐ答えられて当たり前でしょう、軍人軍属だって。

 大臣、どうですか、こうした点については。

岸田国務大臣 過去の委員会の審議につきましてDMDCの資料を出させていただいたことについては、先ほど北米局長から御説明をさせていただいた次第でございます。そして、今回改めて御指摘を受けまして、我が国としまして、基本的な数字、データにつきまして米国国防省に対しまして確認をさせていただきました。

 今後、こうした議論のベースになります数字につきましてはしっかりと確認をし、委員会での審議の促進に資するようしっかりと対応していきたいと考えます。

笠井委員 終わりますが、委員長、陸、海、空、海兵隊の軍人軍属の内訳、きちっと出していただきたいので、理事会で協議をお願いします。

鈴木委員長 笠井君の資料要求につきましては、理事会で後日取り扱います。

笠井委員 終わります。

鈴木委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうは、提案されております五つの協定、条約についての審議をさせていただきますが、その前に確認をさせていただきたいと思います。

 四月十一日の外務委員会における武田防衛副大臣の発言に関する確認についてですが、先般、十一日の外務委員会質疑において、普天間基地の辺野古移設について、辺野古沿岸が唯一の解決策であると政府が閣議決定した件について、その閣議決定の根拠となった調査及び検討に付した調査報告書の発注、執行及び管理、保管等、その責任の所在について質問したところ、武田防衛副大臣から報告書の存在はないという答弁がありました。

 これは、この唯一の解決策であるとする報告書の存在ではないというふうにまず認識をするといたしますと、普天間基地の移設に関する調査及び調査に関する報告書は、唯一の解決策であるとするその答弁についての報告書は存在しないという意味でしょうか、確認いたします。

武田副大臣 十一日、委員より質問がありました。そのときにお答えしたとおり、報告書は作成いたしておりません。

玉城委員 この唯一の解決策という表現は、平成二十四年四月、民主党政権下における2プラス2で初めて表現として出てきたというふうに答弁していらっしゃいます。これも相違ありませんか。

武田副大臣 今おっしゃられたとおり、二十四年四月の2プラス2共同発表において、現在の計画がこれまでに特定された唯一の有効な解決策であるということが初めて記載をされております。

玉城委員 そうなんです。

 平成二十四年の2プラス2では、共同発表で、普天間飛行場を辺野古に移設する現在の計画が引き続き唯一の有効な解決策であるとの認識を再確認というふうに文書にも残っております。一方、平成二十五年の2プラス2では、この共同発表で、普天間飛行場の代替施設を辺野古に建設することが同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であるとの認識を再確認とあります。唯一の解決策、二十四年のときには唯一の有効な解決策であるというふうな表現、この表現が若干変わってきております。

 武田副大臣は、この件について、長年にわたり、日米、沖縄も含めて、普天間の固定化はあってはならないこと、継続使用ということは避けなければならないことなどの中で、抑止力を維持しながら、安全性、運用所要、環境面等々、ありとあらゆる角度から協議を重ねて、一番適切なのは辺野古沖であるという結論に至ったものと思われているというふうにお答えになっていらっしゃいます。

 固定化はならない、継続使用を避ける、そして抑止力の維持、安全性、運用所要、環境面等々、そのほかにも、県民が求めていますのは危険性の除去と負担軽減というふうなこと、こういうふうにあらゆる角度から協議が行われていることについて、それぞれの所要会議に付したものと思われる現地調査の資料、あるいは会議等における意見の資料、米国と協議した際に米国側から提出されたのではないかと思われる図書、図面、設計図などの資料については、前の民主党政権及びその前の自民党政権から継続して保管されているのかについてお答えいただきたいと思います。

武田副大臣 先ほど先生が申されましたように、日米間で、環境、安全、そして運用所要等々、あらゆる角度から協議を重ねてきたわけでありますけれども、公文書等の管理に関する法律に規定する行政文書として防衛省に適切に保有されておりますけれども、アメリカ側との関係もありまして、その内容を全て示せということに関しましては、ちょっと無理があるかなということが私の考えであります。

玉城委員 では、その資料は存在する、保管されているという認識で間違いありませんか。

武田副大臣 法律にのっとりまして適切に保有しております。

玉城委員 ありがとうございました。

 ここまでは、確認ということで副大臣に御答弁をいただきました。お引き取りいただいて結構でございます。ありがとうございます。

 このように、委員会の中での質疑、先ほどの笠井委員からもありましたが、在沖海兵隊の実数の変遷等について統一した内容がないというところから生じてしまう疑義、あるいは今、武田副大臣からありましたとおり、その報告書はない、存在しないということが、実はこれまでの協議の中での文書は保管されているというふうな形での確認ができたということについては、一定、この外務委員会でのしっかりした質疑に適するものというふうに本員は思います。これからも引き続き、その各所管省庁の責任においては、しっかりとただしてまいりたいというふうに確認をさせていただきました。ありがとうございました。

 では、協定、条約について質問をさせていただきます。

 意匠国際登録ジュネーブ改正協定についてまずお伺いいたします。

 我が国意匠の国際的周知、保護の促進、我が国企業の国際競争力強化という締結の意義がここでうたわれておりますが、国際的な広がりにおける我が国の文化創造力、及びそれらがぬきんでるための競争力にとって、この協定の具体的なメリットは何か、お聞かせください。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 ジュネーブ協定が定める意匠の国際登録制度は、国際事務局への一回の出願によって複数の国への出願を可能とするということでございます。したがって、この協定を締結してこの制度に参加することによって、我が国企業が意匠権を国際的に取得する際の事務、あるいは費用負担の軽減、登録に関する管理コストの削減、こういったことが可能になります。我が国の意匠の国際的な周知や保護が促進され、さらには我が国企業の国際競争力が強化される効果、こういったものが期待されると考えております。

玉城委員 意匠に関する問題については、違法なコピー製品の製造及び販売の禁止について、さまざまな問題があるというふうに認識をするものであります。その違法行為を働いた企業等に対して、この協定ではどのような対応措置がとれるものであるか、お聞かせください。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 権利侵害等の違法行為に対抗するに当たっては、その国において意匠権を有している、これが前提条件となりますけれども、ジュネーブ改正協定自体は、海外の個別の侵害事案の対応に関するものではありません。

 他方、この協定に定める意匠の国際登録制度を利用することによって、我が国企業などによる外国での意匠権の取得はこれまでよりも容易になります。

 したがって、我が国企業などがジュネーブ改正協定に定める手続に従って外国で権利を取得し、その国で権利を行使する、このことによって、仮に侵害等があった場合には、その国の国内法の規定に基づき、これを排除し、救済を求めることが可能となるということだと考えております。

玉城委員 では、伺います。

 それぞれの国の法にのっとって対処するということですが、例えば違反企業がモグラたたきのように続発するというふうな国や地域などがあった場合、我が国政府から働きかけることができる最大の対処方法としてはどのようなものがありますでしょうか、お答えください。

岸田国務大臣 意匠権侵害の多い国についても、まずは、このジュネーブ改正協定に定める国際出願により我が国企業等が有する意匠についての現地での権利を確立し、権利の行使や侵害の排除を行うための条件を整えること、これが対応の第一歩となります。他方、ただいま経済局長からも答弁させていただきましたように、協定自体は海外の個別の侵害事案への対応に関するものではないということであります。

 意匠を含む知的財産権に関しましては、現在、ほぼ全ての我が国在外公館において知的財産担当官が任命され、模倣品、海賊品対策を初めとする問題について現地の日本企業に対する支援を行う体制をとっております。また、侵害の多発する国においては、必要に応じて、経済問題に関する二国間協議等の場で相手国政府当局に対し問題提起を行う、こういった取り組みも行っております。

 我が国がこのジュネーブ改正協定を締結した後は、意匠権の侵害が多いと思われる国に対しても二国間協議の場等を通じて同協定の締結を働きかけ、意匠の国際出願の体制をぜひ広げていきたいと考えております。

玉城委員 では、続いて視覚的実演に関する北京条約についてお伺いいたします。

 従来の音による実演のみの権利保護から、音や映像のパフォーマンスを含めた実演家の権利保護へと拡大されることの意義は非常に大きいものというふうに思料いたします。

 そこで、お尋ねいたします。

 一九九六年十二月の実演・レコード条約から二〇一二年に本条約が採択された経緯について、その時間を要した点、あるいはなぜそのような時間をかけたのか、その理由などがありましたらお聞かせください。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の一九九六年、いわゆるレコード条約が採択されました。その後、視聴覚的実演、この北京条約が対象とするものでございますけれども、この保護について検討は継続されてきました。他方、実演家の権利がDVD等のいわゆる視聴覚的な固定物の製作者に移転されることを条約上の義務とするかどうか、この点についてなかなか合意に至らなかったという経緯がございます。

 しかしながら、その後、インターネット上の海賊版被害の増加といったことを受けて、検討が再開されました。先ほど申し上げた懸案となっていた事項につきましては、各締約国の国内法の規定に委ねるということで関係国が合意に至りました。その結果として、今委員御指摘のとおり、二〇一二年の外交会議において本条約が採択された次第でございます。

玉城委員 では、続けてお伺いいたします。

 この条約は三十カ国の批准、加入で発行するというふうになっております。そのめどをどのように想定していらっしゃいますでしょうか。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一四年四月現在、シリア、それからボツワナがこの北京条約を締結しています。また、アメリカ、中国、そのほか、英国、フランス、ドイツ、イタリア、EU、こういった国々においても締結に向けて具体的な動きがあると承知しております。

 委員御質問の具体的な発効時期の見通しというと明らかではございませんが、このように、少なくとも、多くの国において締結に向けた検討が行われている状況だというふうに承知しております。

玉城委員 では、本条約に対する罰則等ですね、これに違反した場合にどのような罰則等が設けられているのかについて御説明をお願いします。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 北京条約には、条約上の義務に違反した場合の罰則の定めといったものはございません。条約で定める実演家の権利が侵害された場合には、各締約国の国内法の定めに基づいて罰則等が科されることになります。

 他方、北京条約には、そういった枠組みのもとで実演家の権利が実効的に保護されるよう、種々の規定が設けられています。例えば二十条、締約国は、権利の侵害行為に対して効果的な措置がとられることを可能にするための手続を国内法令に基づいて確保されることというふうにされています。また、十五条、十六条では、締約国は、コピープロテクション等の技術的手段の回避、電磁的な権利管理情報の改変、こういうものを防止するために効果的な法的救済といったことを定めるというふうに定められております。

 そういう意味で、これらの規定に基づいて、各締約国の国内法において罰則等に関する規定が整備されることになるということでございます。

玉城委員 それぞれの国内法がきちんと整備されていること、それが権利を守る最大のかなめであるというふうに思います。

 では、この条約を批准しない国等に対する効力はどのようになりますでしょうか。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 北京条約に基づく義務を負うのは、あくまでも北京条約の締約国であります。したがって、北京条約を締結しない国に対して、この条約に基づく保護を我が国の実演家に与えるように求め、あるいはこの条約上の義務違反を問うことはできません。

 他方、我が国としては、みずから率先して北京条約を締結するとともに、北京条約を締結していない国に対して、二国間協議等の場を含めて、こうした北京条約締結のメリットを説明して、その早期締結を働きかけていくというふうに考えております。

玉城委員 パフォーマンスあるいはさまざまな作品は、デジタル時代ですから、あっという間にコピーが伝搬するということを考えると、やはり国際間のある一定の取り決めについては必要性を感じるものであります。

 では、残り時間を南インド洋の漁業協定についてお伺いいたします。

 まず、本協定における保存管理措置について、採択以降、我が国におけるメリットとして、大臣、どのようになりますでしょうか、お聞かせください。

岸田国務大臣 本協定の対象水域は、キンメダイ等の我が国の公海底魚漁業にとって重要な漁場であります。また、今後、操業拡大の可能性が想定され得る、ほとんど唯一とも言える水域であります。このため、我が国がこの協定を締結することは、これまでの実績レベルの操業を今後とも確保しつつ、対象資源の状況等に応じて操業機会の拡大を図る上で極めて重要であると認識をしております。

 本協定は既に発効済みであり、今後、締約国会議において、総漁獲可能量を含む保存管理措置が採択される予定ですが、これらの措置を通じまして、他国による乱獲が防止され、対象水域における漁業資源の適切な保存管理及び持続可能な利用が確保されることが期待されます。このことは、対象水域を重要な漁場とする我が国にとっても大きなメリットとなります。

 したがって、本協定を早期に締結し、保存管理措置等に関する議論に締約国として参加し、我が国の立場を適切に反映させることは、極めて重要であると認識をしております。

玉城委員 資料によりますと、二〇一四年二月現在、締約国は、隣接するオーストラリア、あるいはフランス、モーリシャス、クック、セーシェルにEUなど、それに韓国も締結を検討中、そしてさらに我が国が入るということであります。

 この協定の対象水域は、大変広大な水域となっております。今大臣の方からも、日本がそこに参加をして、保存管理措置、漁業資源の安定供給についての貢献を果たす役割は大きいというふうなことをお答えいただきました。

 では、この南インド洋漁業協定締約国以外の諸外国について、特に対象水域等に隣接する国々との協議は今後どのように進展するものか、我が国としてはぜひそれをリードする立場になっていきたいという思いではありますが、どのように進展するものであるか、お答えいただきたいと思います。

石原大臣政務官 本条約上、締約国は、保存管理措置の適用を確保するために、非締約国に対して、その実施に協力するよう要請することが求められております。したがって、本協定の適切な実施のために、締約国は非締約国とも協力することを想定しております。

 我が国としては、責任ある漁業国として、今後とも漁業資源の保全管理に係る国際的な秩序を維持発展させていく方針であり、この立場から、本協定の対象水域に隣接する諸国も含めた非締約国とも協力しつつ、本協定の対象水域における漁業資源の適切な保存管理及び持続可能な利用を確保することを主導していきたいというふうに考えております。

 ちなみに、しっかりした商業的な漁業をやっている他の隣接国は見当たらないというのが現状であります。

玉城委員 ありがとうございました。

 しっかりと我が国のポジションを活用していただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ニフェーデービタン。

鈴木委員長 次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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