衆議院

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第14号 平成26年4月25日(金曜日)

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平成二十六年四月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺  周君

   理事 小熊 慎司君 理事 上田  勇君

      石原 宏高君    河井 克行君

      菅家 一郎君    木原 誠二君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    島田 佳和君

      武部  新君    渡海紀三朗君

      東郷 哲也君    星野 剛士君

      武藤 貴也君    小川 淳也君

      玄葉光一郎君    松本 剛明君

      阪口 直人君    村上 政俊君

      岡本 三成君    青柳陽一郎君

      笠井  亮君    小宮山泰子君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務大臣政務官      石原 宏高君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  佐々木裕介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 広瀬 行成君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 金杉 憲治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 正木  靖君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 上羅  豪君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     菅家 一郎君

  小林 鷹之君     武部  新君

  玉城デニー君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     木原 誠二君

  武部  新君     小林 鷹之君

  小宮山泰子君     玉城デニー君

    ―――――――――――――

四月二十四日

 核物質の防護に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第三号)

 刑を言い渡された者の移送に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 核物質の防護に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第三号)

 刑を言い渡された者の移送に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官広瀬行成君、大臣官房審議官金杉憲治君、大臣官房参事官正木靖君、大臣官房参事官大菅岳史君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣参事官佐々木裕介君、国税庁長官官房審議官上羅豪君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玄葉光一郎君。

玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。

 外務大臣、御苦労さまでございますが、日米首脳会談が昨日行われました。外務大臣も同席をされておられたというふうに思いますので、この日米首脳会談でテーマになった点を中心に議論させていただきたいというふうに思っています。

 まず冒頭、共同声明がまだ発出をされていないということでございます。この共同声明発出の状況、まさか出ないということはないのではないかというふうに思いますけれども、その点について、また、澁谷審議官、首脳会談後もTPPの交渉が今なお続いているという報道でありましたけれども、その状況について御説明いただけますか。

岸田国務大臣 今回のオバマ大統領の訪日、米国大統領の国賓としての訪日は十八年ぶりということで、改めて今回のオバマ大統領の訪日、そして日米首脳会談、大きな期待が寄せられていたわけですが、それに見合う大きな成果が上がったと認識をしております。

 そして、共同声明についてですが、今現在最終調整中だと委員会に入る前に報告を受けておりました。この最終調整を経て発出されることを期待しております。

澁谷政府参考人 TPPにつきまして御説明いたします。

 昨日の日米首脳会談の前に、先々週から東京、ワシントンと、甘利大臣とフロマンUSTR代表との間で既に四十時間近く協議を行っているわけでございますが、昨日の首脳会談で、さらに閣僚間で精力的かつ真摯な交渉を継続するよう指示があったため、昨日の午後、再度閣僚同士で協議を行いました。また、昨晩は、けさの明け方まで事務方同士での作業が続けられたところでございます。

 首脳会談と閣僚同士の協議を通じまして、日米間の重要な懸案について道筋を確認したというところでございます。

 今後、日米が協力してTPPを早期妥結に導くことが重要であり、他の参加国との協議を日米が連携して加速化していくということについて両国で確認をしたということでございます。

玄葉委員 まず、最終調整中の共同声明ですけれども、恐らく、岸田外務大臣が今回の大きな成果だとおっしゃったその理由は、いわゆる尖閣を含めた日本の施政にある領域に関する五条適用というのを大統領自身が明言されたということだと思いますが、このことも最終調整中の共同声明にしっかりと書き込まれるというふうに考えてよいかどうかということが一つ。

 あと、澁谷さんには、現実のところ、我々報道でしかわからないのですけれども、何がどこまで詰まっているのか、そもそも議題になっているのはどの分野なのか、少なくとも車と農産物ということはオバマ大統領自身が会見でおっしゃっているわけでありますが、その点について説明ください。

岸田国務大臣 今最終調整が行われている共同声明について、日米安全保障条約五条が尖閣を含む地域に適用されるという点について盛り込まれるかということでありますが、まだ最終調整中ですので、私から内容について明らかにするのはちょっと控えなければならないと思いますが、当然のことながら、昨日の共同記者会見におきましても、オバマ大統領みずから、御指摘の点については明言をされております。それを踏まえた共同宣言が出されるものと考えております。

澁谷政府参考人 日米で議論の中心となっておりますのは、いわゆる農産物の重要五品目と自動車ということでございます。

 論点としては、それぞれについてかなりの論点にわたるわけでございますが、間合いは確実に縮まってはきておりますけれども、正直、行ったり来たりのところもございます。一つとして完全にセットされたものはない状況でございます。

 よく大筋合意であるとかいろいろ言われますけれども、そういう形のものではなくて、むしろ間合いを縮めながら、事務方で整理すべきもの、閣僚できちんと判断をしていくべきものということの整理もあわせて続けているということで、先ほど道筋について確認したというのはそういう趣旨でございます。

玄葉委員 せっかくなので、澁谷審議官。

 一つとして完全にセットされたものはないのだというお話でありました。

 例えば、報道であれば、米とか麦とか砂糖の関税は少なくとも大枠維持されるのだ、そういう報道があるわけです。特に焦点になっているのは肉で、牛肉、豚肉の関税の率、下げる率であるとか、あるいは差額関税制度そのものであるとか、あるいは自動車では安全基準であるとかという報道なわけでありますけれども、行きつ戻りつしながらそういったことについて議論しているというのは、大体そう考えてよろしいんですね。

澁谷政府参考人 交渉事は全てパッケージでございますので、交渉の仕方として、このテーマについては合意をして、ピンどめをして、次に移ろうという交渉の仕方もあるかと思いますが、日米の交渉の実態を申し上げれば、全体をパッケージとして議論していくという中で、そういう意味では、特定の項目について俗に言うピンどめをしているとか、そういう状況にはなっておりません。

玄葉委員 その点はわかりました。ピンどめができている状況ではないのだ、全体をパッケージなので、ここは大体セットできそうかなと思ったら、ほかのテーマが出てきて、それもまた御破算になって議論を蒸し返される、こういう状況が続いている、こういうふうに考えてよろしいですね、確認ですけれども。

澁谷政府参考人 御指摘のとおりでございますが、行ったり来たりの振幅がだんだん狭まってきているという趣旨でございます。

玄葉委員 はい、わかりました。

 それで、日米首脳会談に戻りたいというふうに思いますけれども、今回の日米首脳会談全体の評価について、改めて外務大臣にお伺いをしたいと思います。

岸田国務大臣 今回の日米首脳会談におきましては、まず、両国首脳間におきまして、日本の積極的平和主義、そして米国のアジア太平洋重視政策、こうした政策が地域の平和と繁栄に資するものであるとして、相互に評価し、歓迎をした上で、今後とも、平和で繁栄するアジア太平洋地域を実現するために日米同盟が主導的な役割を果たしていく、こういったことを確認することができました。

 両国首脳間におきまして、安全保障あるいは経済等、二国間関係につきましてもしっかり意見交換をすると同時に、アジア太平洋地域の地域情勢についても意見交換を行い、さらには、グローバルな課題におきましても日米で協力をしていく、こういった点も確認をすることができました。

 こういったことによりまして、日米同盟が強靱なものである、揺るぎないものであるということを内外にしっかりと示すことができた、これが今回の首脳会談におきまして大きな成果だと認識をしております。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

玄葉委員 私も、まだ共同声明文も読んでおりませんし、きのうの共同記者会見をテレビで拝見しただけということでございます。

 その中での印象を私自身申し上げると、日米が結束を確認できたという点は一定の成果だというふうに思います。ただ、やはり、靖国神社への参拝を契機とした日米のぎくしゃく感というのは、私が見た印象では、まだ残っているなというのが率直なところでありました。

 先ほど岸田外務大臣が評価された、また私自身も評価したところは、日米安保五条の尖閣への適用を大統領御自身が共同会見で御自身の発言として世界に発信をしたというところであります。これは確かに、一つは、大統領は軍の最高司令官だということがまずあります。これまでも、国務長官も国防長官も言及をされていましたけれども、今回は大統領みずから言及をしたということは、素直に私は評価してよいというふうに思うんです。

 特に、私もこの間心配だったことは、オバマ政権も第二期になったわけですけれども、外交、安全保障を支える方々が結構かわったんですよね。ホワイトハウスから発信される発言というのが正直弱いなというふうに感じていた面もあったんです。

 個人名を挙げてしまってよいのかどうかということはありますが、私の言葉じゃなくて、ある識者の言葉をかりてあえて言えば、例えば、ライス補佐官が大学で講演をされた、そのときに、いわゆる米中の新しい大国関係のモデルをつくるのだというふうに、いわば中国側からの要望をそのまま受ける形で応えるということがあったわけです。

 これは、今までのパターンでいくと、中国は、そうあったときには、当然、そうであれば、お互いのいわゆる核心的利益を尊重し合おうではないかという話に大体なる。その核心的利益に例えば尖閣を含めようみたいな話をしてくる可能性があるわけです。ですから、私は、ホワイトハウスからたまに出てくる発言に対して、大丈夫かなという気持ちを少々持っていたわけです。

 でも、今回、大統領みずからがしっかりこういう形で発言されたということで、私はその点は、先ほど申し上げましたが、評価をしたいというふうに考えているわけです。

 ただ、同時に、きのう、共同会見を見ておりましたらば、あえて、オバマ大統領は、アメリカは中国とも緊密な関係を保っているのだという発言をされました。また、あわせて、領有権に対する立場は示さない、こういう発言をたしかしたと思います。

 あえてこういう言葉もオバマ大統領が共同会見の場で発言をされたということについて、岸田外務大臣はどのようにお考えになられますか。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

岸田国務大臣 御指摘のオバマ大統領の発言、まず、日米安全保障条約第五条は日本国の施政のもとにある領域に適用されるものであり、米国政府は、尖閣諸島が日本国の施政のもとにあり、日米安全保障条約第五条の適用範囲にあるとの米国の立場ですが、今までも、米国国務長官あるいは米国国防長官等関係者から発言されていた内容と一致するものであります。

 しかしながら、御指摘のように、今回、米国の最高責任者である大統領から、直接みずからの言葉としてこういった考えが表明されたこと、これは大変大きな発言であったと考えております。

 そして、領土の問題についての考え方について御指摘がありましたが、その点につきましても、これは従来の米国が示してきた考え方と一致している、変わらないというふうに認識をしております。

 そして、中国は、言うまでもなく、現在、世界第二の経済大国であります。こうした中国が平和裏に発展すること自体は、我が国としても、あるいは国際社会としても歓迎すべきことであると考えております。中国が、今後とも、国際法を初めとする法の支配に基づいて、国際社会と協調する形で平和裏に発展するということを期待することは、米国にとっても、また我が国にとってもあるべき姿勢ではないかと考えています。

 まずは、日米同盟の強靱さを今回改めてしっかり示すことができたわけでありますが、日米同盟を中心に、アジア太平洋地域の平和とそして繁栄のためにしっかり努力をするべく、これからも政策を進めていきたいと考えております。

玄葉委員 私、先ほど、一定の成果はあったんですけれども、ぎくしゃく感が残っているなというふうに思ったというのは、何となく、会見での息が合う合わないという問題もありますし、結局、中国の問題も、領有権の立場は示さないと大統領御自身があの場であえて言う必要はないのではないか、考え方は変わっていないんですよ、だけれども、あの場で言う必要はないのではないかという思いもあるし、TPPで政治決断を首脳同士されなかったということもあります。

 また、ウクライナの問題でのメッセージ、少なくとも共通のメッセージが非常に弱いということもあったので、私から見ると、会見しか私は見ていないので、少なくとも会見を見ていてそのように感じたというのが私の感想です。

 さて、その上で、中国との関係改善を、ある意味、あの場で求められたようなところがあると思うんですけれども、中国との関係改善についてはどのようにしていきますか。

岸田国務大臣 我が国にとりまして、日中関係は、言うまでもなく、最も大切な二国間関係のうちの一つであり、日本と中国は世界第二の経済大国、第三の経済大国でありますので、やはり、この二国間関係を安定させることは地域や国際社会の平和や安定にも、そして繁栄にもつながる、こういった意味で、二つの国は大きな責任を担っていると考えます。

 ですから、我が国としましても、戦略的互恵関係の原点に戻って、大局的な見地からこの二国間関係をしっかりとコントロールしていかなければならないと従来から思い、そしてそういった考え方を示してきています。

 そして、実際、今、日中関係は難しい局面の中にあるわけですが、難しい局面にあるからこそ、さまざまな対話、特に高い政治のレベルでの対話が重要であるということを申し上げてきました。

 残念ながら、現在のところ、二国間においては政治の高いレベルの対話が実現していないというのが現実だと思いますが、幸い、日中間には、民間レベル、地方自治体レベル、あるいは文化を初めさまざまなレベルにおいて、長い交流の歴史が存在いたします。こうしたさまざまな分野、そしてさまざまなレベルでの意思疎通を積み上げることによって、ぜひ高い政治のレベルでの対話を実現したいと考えております。

 ぜひ、中国側にも我々のこうした考え方をしっかり受けとめていただきたいと考えています。

玄葉委員 昨年末、訪中しました。外務大臣にも事前に申し上げたと思います。中曽根元総理の平和研の依頼を受けて、シンポジウムに出席をするために訪中をしました。

 そのときに、私のときのカウンターパートであったヨウケツチさんが、元外相が今は国務委員ということで、中国の場合は出世ということだと思いますけれども、国務委員になられていて、彼と三、四十分ぐらいですかね、話をしました。多分、記録を残しておきましたので、読まれたかもしれません。

 簡単に申し上げると、ADIZのことがあったので相当の応酬になったわけですけれども、ただ、明確だなと思ったのは、政治と経済、文化、自治体交流というものを完全に分けて話をしていたということが大変印象的でありました。政治は簡単には譲歩しない、だけれども、やはりお互いの国益を考えたら、経済、文化、自治体交流をやろうと。これは明確でした。

 だから、何とかきっかけはつかめるかなと、記録を読まれたかもしれませんけれども、私自身、いろいろあっても、外相同士、首脳同士、話をしないとだめだという話を何度か彼にも言いました。これは、党派を超えて、国益の観点で彼に伝えたところであります。

 私は、きっかけをつかめる可能性があるなと思っていたんですけれども、ただ、その後、総理大臣の靖国参拝がありまして、また何か御破算に戻ったみたいな、そういう感じなんですね。

 だから、この間も外務大臣に申し上げたんですけれども、首相の靖国参拝については、外務大臣はやはりもっと強く進言すべきだし、これからもそうあるべきだというふうに私は思います。この間も申し上げましたけれども、小泉さんのときは、ある意味、もっと丁寧な配慮をすべきだったと表で外務大臣はおっしゃっているんですね。

 その点については、外務大臣は当時と考えが変わったんでしょうか。変わらないという中で、今、外務大臣として総理大臣と向き合っているというふうに考えてよいのでしょうか。

岸田国務大臣 靖国参拝につきましては、日本国内においてもさまざまな意見があります。

 そして、そういった中にあって、政府としましては、総理が靖国を参拝された、このことについて、まずは、この対応について、政府としてしっかりと考え方を整理しなければいけない、これは当然のことでありますし、そして、その上で、総理の靖国参拝の真意について、しっかり国の内外に説明をしてきている、これが政府としての対応であります。

 こうした説明、そして考え方につきまして、丁寧に確認をし、作業を行わなければいけない、こういった意味では、従来と全く変わっていないと存じます。

 ぜひ、こうした問題につきましては、今後とも、総理自身もこれからしっかりと説明努力を続けていきたいと表明をされております、政府としましても丁寧に説明責任を果たしていきたいと考えています。

玄葉委員 ちょっと確認したいんですけれども、平成十八年だったかと思いますけれども、岸田外務大臣は、小泉総理大臣の靖国参拝については、もっと丁寧な配慮をすべきだった、結果としてそうだ、政治問題化、外交問題化してしまったというふうに述べていますけれども、このことについての考え方は変わっていないというふうに考えてよろしいですか。

岸田国務大臣 御指摘の平成十八年の時点で、私が、小泉総理の靖国参拝が政治問題化した、外交問題化したと申し上げたかどうかはちょっと記憶は定かではありませんが、丁寧な対応が重要であると言ったことについては記憶をしております。

 こうした、日本の国の中においてもさまざまな議論がある問題については、やはり国の外に対しましても丁寧に説明をし、そして対応していかなければいけないという基本的な考え方については同じだと考えております。

玄葉委員 話題をかえます。

 きのう日米首脳会談に同席をされておられたわけでありますけれども、この中で、例えばガイドラインの見直しなどについての議論というものはあったのでしょうか。

岸田国務大臣 昨日の日米首脳会談の中にあって、改めて、安全保障分野においても日米同盟の重要性そして強靱性、こういったものが確認をされたわけでありますが、その議論の中で、今後ともしっかりとした日米同盟に基づいて協力を進めていかなければならない、こういった議論が行われ、その中にガイドラインの見直しも項目として挙がっていたと記憶しております。

玄葉委員 当然、アジア太平洋のパワーバランスが変わっているので、このガイドラインの見直しについては、我々の政権のときにも、当時は防衛大臣は森本大臣でありましたけれども、ともに進めていこうということを考えていたわけです。

 特に私が気になっているのは、集団的自衛権の問題よりも、いわゆるグレーゾーン事態への対処なんですね。余り特定の事態を明確に議論し合うというのはいかがかという議論もそれこそあるのでありますが、いわゆる有事未満だけれども平時以上である、そういう事態というのは十分あり得るわけです。

 現実に、私も担当していたころに、今だから申し上げますが、やはり非常に気になったのは、いわゆる偽装漁民などが大量に上陸をするなどという事態に対してどう対応するのかということについてはその一つだったわけですけれども、これに対応するとなると、今のままで十分なのかということが一つ、関連して、自衛隊法の改正が必要だというふうに考えるのかということ、もう一つは、その際の、いわゆるグレーゾーン事態における米軍の役割というものも求めていくのか、それぞれについて外務大臣はどうお考えですか。

岸田国務大臣 御指摘のグレーゾーンの議論、今例として挙げられました、偽装漁民が我が国の離島に上陸した際にどう対応するか、その際に、シームレスに我が国としてしっかり対応できる体制ができているかどうか、こういった指摘、これは大変重要な指摘であり、我が国としまして、現状を考えますときに、改めてこの体制を検討し、そして十分かどうかを考えていかなければいけない大切な、重要な課題だと考えています。

 それだからこそ、今、安保法制懇の議論、集団的自衛権と憲法の関係ばかりが強く焦点が当たっていますが、この安保法制懇の議論においては、集団的自衛権の議論のみならず、集団的安全保障の議論ですとか、PKOの駆けつけ警護の議論ですとか、あるいは邦人保護の議論等も行われ、そして、あわせて、御指摘のこうしたグレーゾーンに対する対応につきましても議論が行われていると承知をしております。

 ぜひ、この部分につきましても、有識者会議の議論の成果をしっかりと確認した上で、政府としましてどう対応するのか、これを考えていかなければいけない、こうした課題だと考えています。

玄葉委員 ここで、確かにシームレスな対応が求められると思いますので、私もこのことは非常に大事な課題だというふうに認識をしていますので、できるだけスピーディーに対応していかねばならないというふうに思います。

 きのう、共同会見を聞いていて、盛んにオバマ大統領から、紛争の平和的な解決、法と規範、あるいは国際法という話が出ておりました。安倍総理からも、法をたっとぶ地域であるとか、法の支配であるとかという言葉が繰り返し述べられていたわけであります。

 これは、私は以前も申し上げましたが、法の支配におけるチャンピオンに日本はなるくらいの気概でこの分野を頑張るべきだ、ルール形成力を養うべきだというふうにこの場でも申し上げてきたわけでありますけれども、有識者の一部に、あるいは国際社会の一部にですけれども、私の考えとはちょっと違うんですけれども、こういう考え方をする人がいるんですね。

 尖閣の問題について、国際司法裁判所、ICJで解決をしていくのがよいのではないか、そういうことを言う方がいるのでありますが、その点について、現在の政権の立場を説明していただきたいと思います。

岸田国務大臣 国際法を遵守する、法の支配という価値観を大切にしていく、こうした考え方は、ウクライナにおける動きですとか、あるいは東シナ海、南シナ海における動きにおいても、改めてこの重要性を感じるところです。ですから、こうした国際法の遵守ですとか法の支配という考え方の重視というのは、国際社会全体として大変重要な考え方であると思っております。

 そして、その中にあって、尖閣において、ICJへの提訴との関係においてどう考えているかということでありますが、この尖閣をめぐる状況に対する我が国の立場ですけれども、尖閣諸島は歴史的にもあるいは国際法上も我が国固有の領土であり、我が国は有効に支配しているからして、そもそも尖閣をめぐっては領有権の問題は存在しないというのがまず基本的な我が国の立場であります。

 ですから、ICJへ付託するか否かという問題は、我が国が言い出す話ではないというのがまず基本的な立場であります。

 もし、ICJへの付託等を考えるとしたならば、我が国のこうした有効支配に挑戦しようとしている国、中国において考えるべき問題であるというのが我が国の基本的な考え方です。

玄葉委員 その立場は私も変わりません。

 もし、中国側からICJで解決しようという呼びかけがあった場合は、どうされますか。

岸田国務大臣 中国がICJに付託しようとするという動きにつきましては、今のところ、私は全く承知をしておりません。

 ですので、仮定の話を私の方から申し上げるというのは、またさまざまな影響を発生させることになるので、控えたいとは思います。

 もし、そうした質問を発するとしたならば、中国側に対して向けられる質問ではないかと考えております。

玄葉委員 あえてもうこれ以上言いません、これは。

 力による現状変更に明確に反対だということを、私もそうですけれども、それは安倍総理も、きのう、会見で何回もおっしゃっていました。そして、国際法重視ということを強調していたわけです。

 当然、中国向けにそういうことを強調するわけですけれども、同時に、明らかな国際法違反であるというふうに安倍首相自身が断言をするロシアのクリミア併合、あるいはウクライナへの行為に対して、どうも、そういういわゆる言葉を言っているだけで、結局のところ、実効性のある制裁というのはほとんど何もやっていないんじゃないかという意見が当然出てくるわけですけれども、きのう、オバマ大統領は、この問題についてもっと踏み込んだ共同歩調というものを求めたのでありましょうか。

岸田国務大臣 昨日の首脳会談におきましては、まず、安倍総理の方から、ウクライナ問題をめぐる米国の強いイニシアチブ、これを評価するということを申し述べました。そして、総理は、力による現状変更は許されないということ、そして、これは一地域の問題ではなくして国際社会全体の問題であるということを述べました。

 そして、あわせて、安倍総理の方からは、先日の四者協議によるジュネーブ宣言、これは平和解決、あるいは外交的解決に向けた第一歩であるという評価を行い、こうした宣言がぜひ着実、そして円滑に実施される、これが重要であるということをオバマ大統領に申し上げました。こうした我が国の姿勢については、米国側も理解を示していただいたと感じております。

 この問題につきましては、ぜひロシアに対してしっかりとしたメッセージを伝えていかなければならないわけですが、その際に、我が国としても、米国を初めG7諸国との連携をしっかりと重視していく、こういった姿勢は確認できたと考えております。

 ただ、我が国あるいはG7関係各国、それぞれの立場があります。ロシアに対しまして、自制した責任ある行動を求めていく、平和的、外交的手段によって問題を解決していくために責任ある行動を求めなければなりませんが、その際に、それぞれの立場においてそれぞれの働きかけを行っていく、こうした努力は重要なのではないかと考えています。

玄葉委員 それでは、もっと踏み込んだ共同歩調というのを求められたというわけでもないというふうに考えてよいのかどうか。

 また、きのう、共同会見では、盛んに欧米の記者から、オバマ大統領に対して、いわゆるロシアへの追加制裁の話が何度も何度も質問されていましたね。オバマ大統領の頭の中もかなりそちらの問題が占めているんじゃないかと私は想像するんですけれども、追加制裁をアメリカが行うような事態になってしまったとすれば、日本も一定のレベルでおつき合いをする、こういうことですか。

岸田国務大臣 我が国としましては、まずは、米国を初めG7各国、さらには関係国との連携をしながら、この問題を平和裏に解決するためにどうしたらいいのかしっかり努力をしていく、これは大変重要な姿勢であると考えております。

 そして、ウクライナ情勢、今後とも流動的であります。五月二十五日には大統領選挙が予定されている。また、今現在も、憲法を初めさまざまな議論がウクライナ国内で行われています。そして、今後も、OSCEの国際監視団がウクライナに派遣される。この監視団に対しましても我が国はしっかりと支援をしていくことをきょう閣議決定したわけでありますが、こういった動きもあります。

 こうした動きを注視しながら、最も適切な対応をG7各国等としっかりと連携しながら考えていく、これが我が国の基本的な考え方であると思っております。

玄葉委員 多分これはいろいろな考え方があって、ロシア、せっかく仲よくなったのに、またすき間風が吹いちゃうと、むしろ、中国の問題を考えたって、中ロが接近しちゃうんじゃないかとか、ただ一方で、何か有効な制裁が打てないと、中国は逆に息を凝らして見ていて、こういう力わざをやったって国際社会はその程度なのね、こういうふうに考える可能性もあるんですよね、この問題というのは。だから、私、よく考えて手を打っていかないといけないということだけ申し上げておきたいと思います。

 北朝鮮に対して、拉致、核、ミサイルへの共同対処を日米首脳会談で確認できたと思いますし、拉致被害者の皆様との大統領の面談もかないました。あわせて、日米韓、そして中国との連携が大事だということも確認をしたというふうに共同会見からは見受けられました。

 二〇一二年十一月に、私ちょうど担当しておりましたけれども、日朝の局長級協議が行われたわけであります。そのころのことを、守秘義務がありますから、私も余り申し上げるわけにはいかないのでありますが、ただ、今回、それ以来の局長級協議が行われたわけでありますけれども、これは、いわゆる当面の成果目標については、二〇〇八年八月に約束された、全ての拉致被害者についての再調査を行うということを当面の成果目標にしている、こういうふうに考えてよろしいですか。

岸田国務大臣 先日行われました日朝政府間協議ですが、一年四カ月ぶりに再開をされました。そして、二日間にわたって議論が行われたわけですが、先般の協議におきましては、双方が関心を有する幅広い諸懸案について率直かつ真摯な協議が行われたということでありますが、今後とも協議を続けていく、こういったことで一致をしております。よって、まだ次回の日程は確定していませんが、協議は続くことになります。

 現時点で、具体的な目標ですとか協議の中身について申し上げるのは、協議が続くことになりますので、具体的なことを申し上げるのは控えたいとは思いますが、ぜひ、引き続きまして、協議を行うことによりまして、我が国としまして、具体的な、真摯な態度を北朝鮮に求めていきたいと考えております。

 いずれにしましても、我が国の北朝鮮に対する基本的な方針、対話と圧力のもとに、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイル、この諸懸案を包括的に解決していく、こういった方針には変わりないと考えています。

玄葉委員 核実験あるいはミサイル発射の兆候が取り沙汰されているのでありますが、その点について、特に今回の局長級協議との関係で、どのようにお考えですか。

岸田国務大臣 まず、北朝鮮の核開発あるいはミサイル開発につきましては、我が国としまして、情報収集、情報分析、こういったものに引き続きしっかりと努めていかなければならないと思いますし、努めているところであります。

 現時点での状況については、インテリジェンスとの関係もありますので、明らかにするのは控えたいと存じますが、引き続きましてしっかりと注視をしていきたいと存じます。

 そして、そうした動きに対して、日朝政府間協議との関係でどうかという御質問をいただきましたが、これは実際の状況をしっかり確認した上で、我が国として、先ほど申し上げました諸懸案を包括的に解決する上において最も適切な方法は、対応は何なのか、こういった観点から具体的に考えていく課題だと考えます。

玄葉委員 当然、協議の中では、我々が求めるところと北朝鮮が求めるところとあるわけでありますけれども、例えば制裁の解除について取り沙汰されていて、古屋担当大臣は、拉致被害者全員が戻ってこなければ、制裁解除はおろか、一円の支援もしない、こういう発言をされておられるわけでありますけれども、制裁解除と拉致、核、ミサイルの解決の問題、どういうふうにリンケージを考えておられますか。

岸田国務大臣 こうした北朝鮮に対する措置のあり方につきましては、政府内で不断の検討を行っているところでありますが、現時点では何も決まったものはありません。引き続きまして諸懸案解決のために最も効果的な方法を考えていく、最も効果的な方針をとっていく、こういった考え方は従来から変わっておりません。

 ぜひ、今後の状況をしっかり見きわめた上で、最も効果的な対応を検討していきたいと考えています。

玄葉委員 日韓関係を時間をかけてやりたかったんですが、何か残り五分になってしまっているので、またいずれのときかにしたいと思います。

 ただ、ちなみに、韓国のことは日米首脳会談では出ましたか。

岸田国務大臣 日米首脳会談におきましては、アジア太平洋地域の情勢についてもさまざまな意見交換が行われました。その中においても、当然、韓国の話題は議論になりましたし、そして、地域情勢に対する考え方として、日米韓の連携が重要である、こういった議論も行われておりました。

 こうした形で、韓国につきましても首脳会談の中で取り上げられておりました。

玄葉委員 残り五分、TPPにまた戻りたいと思うのですが、正木さんに来ていただいていますけれども、アメリカにおける大統領貿易促進権限法案、いわゆるTPA法案についての審議状況及び、その内容がホームページで公開されています、その内容について説明をいただきたいのですが、特に、TPA法案の議会及び議員への情報アクセス部分の内容について説明をしてほしいと思います。

 議員のテキストへのアクセス及び交渉プロセスへの参加などについてお願いをしたいと思います。

正木政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のTPA法案につきましては、御案内のとおり、本年一月九日に米国議会に提出されまして、一月十六日に上院の財政委員会で公聴会が行われたと承知しておりますが、その後、審議が行われたというふうには聞いておりません。

 この法案の中身は、審議もこれからでございますので、日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、御質問の、現在の法案の中に議員に対する情報提供に関してどのような規定があるかという点については、私どもとしては次のような内容があると承知しております。

 一つは、交渉の過程におきまして、米国の通商代表は、連邦議会の議員から要求があった場合には、交渉目標や交渉の進捗状況などについて、当該議員と会合しなければならず、秘密のものも含め、交渉関連の適切な文書へのアクセスを提供しなければならないという点が一つと、もう一つは、また、米国通商代表は、下院の歳入委、上院の財政委などの所管の委員会等と交渉について緊密かつ適時に協議し、十分に知らせなければならないという内容があるというふうに承知しております。

玄葉委員 私は、このTPA法案の情報アクセスの部分は、正直、わからなかったんです。二、三カ月前に、ある方から聞いて、ああ、そういう内容になっているのかと。議員が、恐らく守秘義務を前提だと思うんですけれども、そういう形で、それぞれが情報にそこまでアクセスを保障させる法案だなどというのは、私は少々驚いたのであります。

 ただ、実は日本でも、農林水産委員会などで、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」こう書いてあるわけであります。果たして、それができているのかといえば、私は、不十分というふうに申し上げざるを得ないのかなというふうに思っています。

 そこで、我々として、これは他党とも協力をしながらでありますが、TPPなどの情報開示法案を提出するということを考えております。それは、通商交渉における政府による情報提供を義務化するものでありますが、ただし、その際は、一つの方法として、議院運営委員会の申し合わせなどによって国会議員の守秘義務をきちっと担保するという前提であります。

 そういった情報開示法案をこれから速やかに提出したいというふうに考えておりますけれども、その点、岸田外務大臣、いかがお考えですか。

岸田国務大臣 具体的な法案、恐らく議員立法という形になるかと思いますが、こうした法案につきましては、議会の皆様方に取り扱い、中身についてはお任せするしかありませんが、基本的な考え方として、我が国として国益に資する外交交渉、通商交渉をしっかり進めなければならないという課題と、一方で、政府として、議会あるいは国民に対してしっかり説明責任を果たさなければいけないという課題と、これはともに大切な課題であります。

 この二つの課題を両立させるためにはどうするべきなのか、こうしたことについてしっかりと議論をしていくことは大変重要なことではないかと考えます。

玄葉委員 もう時間が来ましたので終わりますが、最後に、TPP、このままいくとモメンタムが失われるおそれが出てきたというふうに申し上げてもよいところがあると思います。

 つまり、日米がまとまらないので全体がおくれているという状況が生まれているわけでありますけれども、これは外務大臣として、やはりこのことについてどういうふうに具体的に加速させていくのか、柔軟性をお互いが発揮すべきだ、こう時々おっしゃっておられますけれども、どう具体的に発揮されるべきなのか、そのことを含めて、最後にお願いをしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、TPP交渉につきましては、アジア太平洋地域に新たな経済ルールをつくるという意味からも、さらには、この地域の戦略的な環境を考えましても、大変重要な意味があると考えています。

 こうした大切なTPP交渉につきましては、我が国としましては、まず、早期の妥結に向けて引き続き努力をしていかなければならないと思っていますが、今回の日米首脳会談の際に、一つの節目として、協議が精力的に行われました。その結果として、日米間の重要な懸案について道筋を確認できたということは前進であったと評価をしています。

 この大切なTPP交渉、多国間交渉でもあり、そして、パッケージとして交渉していかなければなりません。その中にあって、日米両国は大変大きな責任を担っていると存じます。

 ぜひ、しっかりと、早期妥結に向けて我が国も貢献をしていきたいと考えています。

玄葉委員 終わります。どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 委員長、ありがとうございます。

 さて、今もずっと話題になっておりますオバマ大統領と安倍総理の共同記者会見であります。本来であるなら、この時期にこの外務委員会が開かれるということであるならば、共同記者会見ではなく、発表のそういったことをさせていただけたらよかったんだろうなと思いますが、この具体的な内容については、出てからということになるかと思います。

 ただ、私自身、共同記者会見を拝見させていただいたところで、率直な感想といたしましては、あらゆる課題に対して米国とともに対処を行っていく、米国の価値観や視点に沿ってともに実行していきますというのが安倍総理の目指す日本の姿勢なのかなというふうに感じる部分もございました。

 もちろん日米関係というのは大変重要でもありますし、それだけ重要であるからこそ国賓になられたというふうにも感じているところでありますが、その一方で、世界の多くの国々とともに協力していくということも日本には大きく課せられていることでもあります。

 また、日本国憲法前文にございますように、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有すること」、この基本的な理念、やはりこれが日本が世界から認められることであり、この憲法というものが平和憲法と言われるゆえんであり、その点に関しまして、その視点に立って、日本が先頭に立ってリーダー的な役割を担うということも多くの国から求められているんだと思っております。

 国連中心というよりも、米国中心といったような色合いを強く感じた会見でございます。この点に関しまして、オバマ大統領、安倍首相の共同記者会見を経て、日本の外交姿勢として、国連か米国かというような中でのバランス感について、岸田大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 今の政権が発足してから、私自身、外務大臣として、外交の三本柱と申し上げ、日米同盟の強化、近隣諸国との関係推進、そして経済外交の推進、この三つの柱を中心に、国益の増進あるいは国益を守る、こういったことに努めてきたわけであります。よって、今回、日米首脳会談を通じまして、大切な日米同盟の強靱さを改めて内外に示すことができた、これは大変重要な成果であったと考えています。

 しかし、これも従来から申し上げているところですが、我が国としましては、先ほど申し上げました外交の三本柱を中心に我が国の国益の増進に努めなければならないのは当然ですが、それだけにとどまってはならないということで、あわせて、グローバルな課題について日本外交はしっかり汗をかくことが重要だとずっと申し上げてきました。外交の三本柱を中心に我が国の国益の増進を図るのとあわせて、グローバルな課題、環境であったり、あるいは女性であったり、防災であったり、軍縮・不拡散であったり、中東和平であったり、こういった課題にしっかりと汗をかくことによって我が国の外交の存在感を示すことになる、こういったことを申し上げてきたわけであります。

 今申し上げたグローバルな課題への取り組みという部分におきまして、やはり御指摘の国連との関係が重要になってきます。ぜひ、こうした国連を通じた外交等によりまして、世界全体の利益の増進に我が国としても努めていく、こういったことによって存在感を示していきたいということになります。

 よって、今申し上げたように、外交の三本柱とグローバルな課題、両方を大事にするということを従来から申し上げてきたわけでありますが、結果として、日米同盟と国連との関係、両方とも重要になってくる、これが我が国の外交の基本的な姿勢であると考えております。

小宮山委員 世界全体の利益というのは大変重要なキーワードかと思います。

 大臣におきまして、何回か、国益を守るという言葉が出ましたけれども、残念ながら、日本ではまだこの国益というものが、政府のきちんとした定義がなされていないかと思います。アメリカ等ではあるかと思います。国民の生命財産そして働く場を守るという定義を私自身はさせていただいておりますが、さまざまな観点の中で、これが、働く場まで守られるのか。そういった意味においては、非常に難しい交渉というものがさまざま起きている、その一つがTPPであると考えております。

 また、今の大臣の答弁の中で、汗をかくとおっしゃいました。何で汗をかくのか、これによって、先ほど言った世界全体の利益に本当につながるのか否かというところもあると思いますので、これはまたいずれお聞かせいただければと思います。

 さて、TPPの問題におきましては、ふだん私は議運におりますので、こちらの場では特別委員会の設置を長年求めていっております。

 今回の来日に合わせ、また、甘利大臣のフロマン代表との交渉が続いている中で、さまざまな報道がされております。今回も、オバマ大統領は会見の際に、農業分野そして自動車の分野でまだ課題が残っている旨おっしゃられています。これだけの材料があってこれだけ報道されているにもかかわらず、国会での答弁、審議といったものがまだなされていない。もう一年ではなく二年近くになってくる特別委員会設置も、自民党、与党側からは、まだ応えることができないのでということで、時期尚早というのが続いているのも事実であります。

 そこで、委員長にぜひお願いしたいと思います。

 この外務委員会におきましても、やはりTPPに関しては、日本のこと、そして海外との関係、特にアメリカとの関係、さまざま貿易に関して、特に関税を撤廃するという問題は、これは独立国としては大変大きな問題かと思っております。ぜひ集中審議をこの外務委員会でもしていただくことをお願いいたします。

鈴木委員長 委員会の運びにつきましては、理事会で協議いたします。

小宮山委員 ありがとうございます。ぜひ御協議いただきたいと思います。

 それでは、今回、ニュース速報を見ていまして、世界の利益ということで、ウクライナ情勢がこれだけ不安定な中で、安倍総理が、御地元の酒ではありますが、昨年プーチン大統領にお渡しされた獺祭を、またオバマ大統領にも同じものを出されたということ、何か深い意味があるのかなと少々思わないでもないんです。

 その前に、水循環基本法が先日成立いたしました。世界の利益ということにおいては、この問題は大変大きなことにつながっていく。原発を海外に売り込むよりも、水に関するそういった機能や設備というものを世界に広めることの方が、よほど日本にとっては大きな利益につながると考えております。

 そこで、横浜で開催されましたIPCC気候変動に関する政府間パネルの会議で、第五次評価報告書が、十月ごろに報告書が出されるということで作業が進んでいると伺っております。

 そこで、二〇一五年までのミレニアム開発目標では八つのゴールと二十一のターゲット項目を挙げられている中で、日本政府としては、水と地球環境を考えた政策実現への取り組みについて、また、ポスト二〇一五年の開発目標の議論にどのような姿勢で取り組んでいくのか、外務大臣の御姿勢をお聞かせください。

岸田国務大臣 まず、御指摘の水循環基本法ですが、議員立法として提出され、三月に成立をいたしました。水は生命の源とうたい、国際的な連携の確保及び国際協力の推進、こうしたものを掲げておられます。

 まず、水分野における取り組みですが、これは、ミレニアム開発目標、MDGsの達成にとっても重要な要素であります。我が国は、水分野のトップドナーとして、この分野を国際協力においても重視しておりますし、これからも貢献をしていきたいと存じます。

 そして、今度は、ポスト二〇一五年開発アジェンダ、ポストMDGsの方ですが、これはことしの九月から議論が本格的に行われて、来年九月には国連において採択される予定になっています。この議論において、水分野の課題も含めて、我が国としましてはぜひしっかりと議論をリードしていきたいと考えております。

 そして、あわせて御指摘いただきましたIPCC第五次評価報告書、これは気候変動問題の今後を考える上で大変重要な報告書であります。この報告書につきましてもしっかりと参考にさせていただきながら、今申し上げましたポストMDGsの議論をしっかりリードしていきたいと考えております。

小宮山委員 水の分野におきましては、ぜひ、日本がなければ成り立たないというぐらい、何かわからないことや心配があったら日本に聞けと言われるくらいの、そのような牽引役になっていただきたいというふうに考えております。特に水源の問題については、土地の買い上げということでは外国資本などが入ってきているのが日本の現状でもございます。また、海外においても同じような問題が起きていると伺っておりますので、この点に関しましては大臣に期待をしたいと思います。

 さて、オバマ大統領が日本に来られて、一番に「すきやばし次郎」に行かれたようであります。これはドキュメンタリー映画にもなったということで、こういった日本の職人の生きる姿勢というものが和食にはあらわれたのではないかと思っております。

 私自身も、予算委員会を初めさまざまなところで日本の伝統文化について質問させていただいております。文化がシンクロすることによって海外とのさまざまな交流というものも深まるでしょうし、日本に対する理解そしてシンパシーなど、さまざまな分野で、また経済的な分野でも大きな産業につながっていくんだと確信をしています。

 現在、日本では、在外公館として、大使館は百三十六、領事館は六十、国際機関の政府代表部は八など、合計二百二十七カ所が設置されております。職員におきましては、現地職員も含めまして五千百九十一人、職員は三千四百八十八人と、大変大きな人数が海外でも頑張っています。これらの大使館などは、まさしく日本文化を紹介していくための重要な拠点になるかと思います。

 しかし、その職員が伝統文化をきちんと踏まえていなければ、今、文科省の方の、二〇二〇年に向けて日本を文化の国とされるような施策の中でも、実際にはきちんとした文化が伝えられないということになりかねません。サブカルチャーやポップカルチャーなども、きちんとした基礎があってこそだと思っております。

 この点に関しまして、外務省としてどのように取り組んでいらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、日本文化の紹介は、外務省としましても、日本外交にとっても、大変重要な課題だと認識をしております。全世界の在外公館におきましても、我が国の文化の重要な発信拠点として位置づけなければならないと思っていますし、そうした考え方に基づいて、日本の伝統文化の紹介事業は、さまざまな取り組みの中にあっても大切な事業だと位置づけて発信を行っているわけですが、今後とも発信については努力を続けていきたいと考えます。

 そして、その中にあって、外務省職員の知識ですとか見識といったものが重要だという御指摘、これも大変重要な御指摘であります。外務省職員の育成において、例えば在外赴任前に行う研修の機会を捉えて、広報文化に関する講義ですとか、あるいは茶道、華道といった日本文化に関する知識ですとか、さまざまな内容の研修を行うことによってこうした資質の向上に努めております。

 今後とも、外務省職員に求められる能力というのは変化もしますし、多様化していきます。ぜひ時代の要請に応えられる研修を考えていかなければならないと思っておりますので、研修制度の充実につきましては、絶えず検討を加えていきたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 既に大臣におきましては、各大使館等で日本酒での乾杯であったり、推進をしていただけるということであります。また、衆議院におきましても、伊吹議長の御発案によって日本酒「衆議院」の販売が始まっております。大変好評のようでありますし、これは三・一一のあの日に発売開始ということで、福島の蔵元の支援ということも兼ねていると思います。

 国酒、日本酒の販売については、さらに産業として大きな成果が見込まれると思いますが、この点に関しまして、簡潔にではありますけれども、どのようにされていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

上羅政府参考人 お答え申し上げます。

 海外におけます日本酒に対する関心が高まるとともに、日本再興戦略におきまして日本産酒類の輸出環境整備が盛り込まれるなど、日本産酒類の輸出促進に対しましては、近年になく強い追い風が吹いているものと承知しております。酒類業を所管しております国税庁といたしましても、さらなる輸出の拡大のための施策を実施してまいりたいと考えております。

 具体的な取り組みといたしまして、例えば、国際的なイベント等におきます日本産酒類の提供に際し、国税庁から専門的知識を備えた職員を派遣する、また、ジェトロ等と共同で輸出ハンドブックを作成しまして、輸出セミナーを各地におきまして開催するといった取り組みに加えまして、外国人の酒類専門家に対する日本産酒類の品質や安全面等に関する情報のインプットも有効な施策であることから、今般、海外の酒類教育機関において日本酒類講座が開講されることになったことを受けまして、外国人の日本酒講師の育成に対して協力する等の取り組みを実施したところでございます。

 国税庁といたしましては、官民の役割分担のもと、これらの取り組みにより、日本酒を初めとする日本産酒類がワインやビールに匹敵する酒類として海外でもさらに認知されますよう、今後とも、関係省庁と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

小宮山委員 ぜひ、今の十倍規模の市場にするぐらいの勢いを持っていただきたいということをお訴えいたしまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、河野太郎君。

河野(太)委員 自由民主党の河野太郎でございます。

 先日、外務大臣の地元の広島で開催されましたNPDI外相会議に並行して行われたNGOの会議に行ってまいりましたが、広島出身の外務大臣に対する期待は非常に高いものがございます。

 まず、核の傘とは現実的にどういうことを指すのか、外務大臣の具体的な御認識をお伺いします。

岸田国務大臣 核の傘につきまして明確な定義があるとは承知しておりませんが、一般的には、ある国の有する核抑止力が他国の安全保障のために提供されることであると承知をしております。

河野(太)委員 日米間の核の傘といったときに、米国の保有する戦術核もその中に含まれると認識してよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 米国の保有する核抑止力全体が含まれると認識をしております。

河野(太)委員 日米間の核の傘といった場合、これはテロリスト集団に対しても有効だというふうに外務大臣は認識をされておりますか。

岸田国務大臣 今の質問につきまして私自身確認したことはありませんが、少なくとも、米国の核政策そのものについて具体的な点について確認しなければ、今の御質問に答えることはできないと思っております。私自身、今の御質問についてはちょっと確認しておりません。

河野(太)委員 ぜひ、確認して、外務委員会の理事会にお答えを頂戴したいと思います。

 日米間で核の傘といった場合に、この核の傘が発動されるのは、核兵器に対して発動されるのか、あるいは、核兵器以外の兵器についてもこの核の傘が発動されることがあり得るのか、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 個別具体的な事態に即して米国が高度の政策的判断を行う事項であると承知をしておりますが、米国の方針については、以下のように承知をしております。

 米国の核兵器の基本的な役割は、米国及び同盟国、パートナーに対する核攻撃を抑止することであり、米国は引き続き、米国または同盟国、パートナーへの核攻撃の抑止を米国の核兵器の唯一の目的とすることを目標として、非核の攻撃を抑止するに当たり、通常攻撃能力を強化し、また核兵器の役割を低減させていくとしております。その上で、米国または同盟国、パートナーの死活的利益を防衛すべき極限の状況下においてのみ核兵器の使用を検討する。

 こうした方針が二〇一〇年の米国国防省「核態勢の見直し」の中に明記をされております。こうした方針であるということを承知しております。

河野(太)委員 要約すると、究極的には核兵器に対して核の傘を提供することを目標とするが、現状ではそうではない、つまり、核兵器以外の兵器が使用されたときに米軍が核兵器でそれを抑止しようとするということでよろしゅうございますか。

岸田国務大臣 御指摘のように、この文書を見ますと、目標とすると書いておりますので、そうした目標に向けて努力をするというのが現状だと認識をしております。

河野(太)委員 米国から提供される核の傘について、我が国がそれに対して決定に関与する。決定にも二段階あると思います。一つは、我が国として、核兵器以外の兵器については核の傘以外で対応したいというような要望をすることがあるのか。あるいは、もう一つは、実際に核の傘、米側が核兵器を使うときに、その決定に我が国が関与することができるのか。外務大臣の認識をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 そうした具体的な対応については、日米間で核の拡大抑止の協議が続けられております。こうした日米間の協議において、そうした対応について考えられていくものだと承知をしております。

河野(太)委員 では、防衛省にお伺いをします。

 現在の日本の国防戦略の中で、このアメリカの核の傘について日本側が何か要求を出しておりますか。つまり、核兵器以外の兵器についても核の傘の提供を求めているのか、あるいは、広島、長崎を経験した国として、核兵器以外の兵器の使用について核の傘の提供を断ったりしているのか、防衛省、どうでしょうか。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今委員の御指摘の件でございますが、まずもって、抑止力の維持と核廃絶に向けました取り組みが両立していくということが重要であるというふうに考えております。そうした意味では、ある意味では、核の先制不使用については、全ての核兵器国が検証可能な形で同時に行わなければ有意義ではなく、これを達成するためにはまだしばらく時間を要するものではないかなというふうに考えております。

 もう御存じのとおり、我が国の周辺におきましては、核兵器を含みます大規模なる軍事力が依然として存在をしております。また、北朝鮮による核・ミサイル開発にも見られますように、我が国を取り巻く安全保障環境というのは非常に厳しさを増しているところでもございます。

 このような状況のもと、核兵器を保有しないことといたしております我が日本では、安全保障を全うしていくためには、みずからの防衛力整備に努めるとともに、核抑止力を中心といたします米国の拡大抑止が不可欠であると考えているところでございます。

 具体的には、核の脅威に対しまして、米国の拡大抑止の信頼性の維持、強化のために米国と緊密に協力をしていくとともに、あわせて、弾道ミサイルからの防衛それから国民保護など、我が国自身の取り組みにも適切に対応していくというつもりでおります。

河野(太)委員 答えていません。きちっと答えさせてください。

 米国の核の傘は核兵器のときだけに限定されるのか、あるいはそうでないときにも使われるのか、きちっと端的に答えさせてください。

若宮大臣政務官 いかに日米同盟の抑止力を確保していくかという点につきましては、率直な意見交換を行うなど、拡大抑止の信頼性の維持、強化のために緊密に協力をしているところではございます。

 具体的な内容についてはお答えを差し控えさせていただければと思っております。

河野(太)委員 委員長、質問通告をしています。答えさせてください。

若宮大臣政務官 たびたびで恐縮でございますが、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただければと思っております。

河野(太)委員 外務大臣にお伺いをします。

 これまで日本政府は、アメリカに対して、核以外の攻撃に対して核の傘の提供を断ったことがありますか。

岸田国務大臣 具体的なケースについてお答えするのは控えなければなりませんが、先ほど来の質問の中でまずお答えしなければいけないのは、米国または同盟国、パートナーの死活的利益を防衛すべき極限の状況下においてのみ核兵器を使用するということを米国は検討しているわけですが、これは我が国の考え方と一致をしていると思っております。

 米国はNPT締約国であります。よって、自国の核不拡散義務を遵守している非核兵器国に対して、核兵器を使用せず、また使用の威嚇をしない、こうした消極的安全保証の強化をする用意がある、こういった姿勢をとっております。

 ですから、核攻撃以外の攻撃についても、米国としまして、強化された消極的安全保証を与えるに当たりまして、米国は、米国または同盟国、パートナーに対して生物化学兵器を使用する国については、その資格を有しているとしても、通常兵器による破壊的な軍事的反撃をこうむることになる、また、米国の核兵器は、この保証の対象とならない国、すなわち、核兵器国及び自国の核不拡散義務の非遵守国による通常兵器または生物化学兵器による攻撃を抑止する役割を依然として担う可能性は残っている、これが米国の方針であると認識をしております。

河野(太)委員 要約すると、核兵器以外に、生物兵器、化学兵器が使われた場合にのみ核の傘を提供する用意がある、そう考えてよろしゅうございますか。

岸田国務大臣 まず、米国または同盟国、パートナーの死活的利益を防衛すべき極限の状況下においてのみ核兵器を使用することを検討している、これが米国の方針であり、生物化学兵器の攻撃に対して、米国は可能性を将来にわたって否定しているとは承知はしておりません。

河野(太)委員 そうすると、我が国の戦略として、アメリカの核の傘は戦術核を含めて提供され得る状況にあり、核の傘が使われる状況というのは、核攻撃だけでなく、生物化学兵器にも使われる可能性があり、また、通常兵器による攻撃も、究極的、死活的な状況になった場合には核の傘が提供され得る、そう考えてよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 米国の核の使用については、極限の状況下においてのみ使用されるものだと承知をしております。そして、生物化学兵器による攻撃に対して核兵器を使用する可能性を将来にわたって否定しているとは承知しておりません。

河野(太)委員 それでは、アメリカの核の傘が発動される段階において、日本がその発動に対する決定に関与することはできますか。

岸田国務大臣 米国は、日米安全保障条約に基づいて米国の役割を果たすものだと承知をしております。

河野(太)委員 そうすると、それは米国が決めるのであって、我が国は決定に関与することができないというのが今の大臣の答弁ですね。

岸田国務大臣 日米安全保障条約第五条は、我が国の施政のもとにある領域における、日米いずれか一方に対する武力攻撃が生じた場合に、日米両国が自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するよう行動する旨定めております。こうした規定に基づいて具体的な対応が決定されるものだと承知をしております。

河野(太)委員 核が使われるかどうかというのは、先ほどの大臣の答弁にもありましたように、究極的、死活的な状況になった場合に核が使われるわけでございますが、そのときに我が国が、核が使われるかどうか、決定に関与できないという今の大臣の御答弁であるならば、それはいざというときに何らかの担保が必要になるのではないかと思いますが、我が国として究極的、死活的な状況下で核の傘が提供される究極の担保というのは何になるんでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の点につきましては、一般論として、我が国は、有事に際し日米安全保障条約に基づく日米両国の効果的対応が確実にとられるよう平素から不断に協力していくということであり、政府としましては、そうした取り組みを行っております。そうした取り組みの中で御指摘の点についても決まっていくものだと思っております。

河野(太)委員 尖閣諸島に安保が適用されるかどうかも、随分長い年月を経て、ようやく今回、オバマ大統領が、適用されるんだという御発言をされました。しかし、いざというときに核兵器を使うかどうかというのを何年もかけて議論していたら、核の傘というのは単なるぼろ傘になってしまうんだろうと思います。

 そうすると、例えば、いざというときにアメリカが核兵器を使おうとしても、日本に対する脅威となっている国が、アメリカ本土あるいはハワイその他米国の領土内に核兵器を到達させるだけの能力があった場合に、ではロサンゼルスを犠牲にしてまでアメリカが守ってくれるのかといえば、恐らく答えはノーなんだろうと思います。

 これからは、北朝鮮ですらだんだん長距離ミサイルを手に入れているときに、北朝鮮ですらアメリカのどこかに対してその能力が到達する可能性があるときに、どうやって核の傘というものが現実的に機能するんだということを担保するんでしょうか。

岸田国務大臣 特定の状況について御質問をいただいて、具体的にお答えするのは難しいとは思いますが、ただ、基本的に、日米間においては、累次の機会に、核戦力を含む米国の軍事力により我が国防衛についての日米安保条約上の義務を果たす旨確認をしております。昨年十月の2プラス2を初め、累次にわたって、日米間においてこうした対応を確認しているところであります。両国間のこうした確認をしっかり信頼した上で、我が国としてもしっかり責任を果たし、そして米国の抑止力向上と相まって、安全保障あるいは防衛協力を着実に推進していく、これが我が国の基本的な方針だと思っています。

河野(太)委員 この核の傘の問題は中身がないんですね。これまで歴代の外務大臣は、まともな御答弁をされてきたことがありません。

 一体全体どういう状況のときにどういうふうに対応するのか、それに、日本がどういう意思決定に加わるのか、あるいは、アメリカの犠牲の上に成り立つこの核の傘、本当にアメリカがその犠牲を甘受するのかどうか、そういう検証が何も行われていないまま今日に至っているわけで、果たしてこれがいざというときに発動されるのか。雨が降ったときに傘を差そうと思って開いたら、ぼろ傘で穴があいていましたというのが今の日本の核の傘と呼ばれているものの現実なんだろうと思います。

 それを、どれだけ破れているのか、どこに穴があるのか、そういうことを傘を開いて検証もせずに、ずっと核の傘、核の傘と言ってきて、中身がないにもかかわらず、先制不使用も宣言をしない、化学兵器、生物兵器に対しても使うんだと言い張る。広島、長崎の経験を忘れるな、あの日には必ず日本政府はそう言って、過ちは繰り返しませんと言いつつも、日本政府として、唯一の被爆国として、この核の重要性を下げるようなことを何一つやってきていないのではないでしょうか。

 広島出身の外務大臣として、今、外務大臣に対する期待があるのは、広島を背負ってこられた外務大臣として、日本の核戦略というものをもう少しきちんと見直して、必要なところは必要なところで、そこに対する実効性を高めていく、しかし、必要のないところは、ここは要らないんだといってしっかりと切り落としてほかの対応を考えるということを具体的にテーブルの上にのせて議論しなければ、核の傘という言葉はあるけれども、その裏には何もないわけです。だから、日本政府として何もやることができない。アメリカが言っていることを、そのまま後ろをついていくだけで、それでは、あの広島、長崎で亡くなった方に対して一体全体我々は何をやってきたのかということなんだと思います。

 今、広島出身の外務大臣に期待があるのは、広島から来られた外務大臣だからこそ、この核の問題に真面目に向き合って、今までの国会答弁を読み返したら、歴代の外務大臣はまともな答弁なんかしていませんよ。全部、答弁を差し控えたり、全部、答弁をずらしたり、何だかわけのわからぬ文章をずらずらと読み上げて時間切れになって、結局、この核の傘というのは一体全体何なんだ、それがどう担保されているのか、実効性があるのか、そうしたことは何も議論が深まらないままずっと来て、では、いざとなったらどうするんですかという問いには誰も答えていません。

 アメリカが自国を犠牲にしてまで核の提供をするというならば、少なくとも、ミサイル防衛の機能が強化されてアメリカが犠牲を払わなくて済むようになれば、この核の傘というのはもっともっと使いやすくなる、そういうふうに考えてよろしいですか。

岸田国務大臣 まず、先ほど来委員の質問を聞いておりまして、我が国が唯一の戦争被爆国として核軍縮・不拡散にどう臨むかという部分につきましては、我が国としましては、唯一の戦争被爆国として、核兵器使用における世代にわたる大変な被害に対する正確な認識を持つのとあわせて、我が国が置かれている厳しい安全保障環境の中で国民の生命財産を守るためにどうするべきであるか、こうした冷静な認識、この二つの認識のバランスの上に現実的、具体的な政策を考えていかなければならない、このように思っています。

 その中で、先ほど来、米国の方針として、極限の状況においてのみ核兵器の使用を検討するということを申し上げましたが、この点につきましては、一月に、私は、長崎大学でこの核軍縮・不拡散について講演をさせていただきました。世界の中には、核兵器の使用につきまして広くその目的をとっている国がある、こうした目的を少しでも狭めていく、こういった具体的な対応から核軍縮に向けて前進をさせなければいけない、こういった考え方を申し上げましたが、こういった考え方に一致をする考え方であると思っています。こうした基本的な考え方に基づいて現実を見ていかなければならないと考えております。

 それで、済みません、委員の最後の質問の部分をちょっと失念いたしました。ちょっともう一回確認のためにお願いできますか。

河野(太)委員 広島選出の外務大臣に今期待があるのは、広島を背負ってこられて、もう少し真面目にこの核の傘の問題を考えていただく外務大臣というのがやはり必要なんだろうと思います。大臣のお話もきちっと文書で読みました。それならば、我が国がまず、核兵器の数を減らせと言っても、こっちは持っていませんから、同盟国に対して数を減らせと言うのか、あるいは使われないようにする、重要性を減らしていく、そういうことを日本として真面目にやってくれる外務大臣が必要なんだと思います。そこはぜひ、外務大臣に取り組んでいただきたいと思います。そこはやっていただけると思いますから、答弁は結構でございます。

 防衛政務官にお伺いをしたいのは、防衛省の中で核の傘に関する研究というのが真面目にきちんと行われているのかどうか、そこをお聞かせいただきたいと思います。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 核の傘ということで、大変重要な委員の御指摘だと思っております。

 防衛省といたしましては、日米防衛協力の一環といたしまして、協議は十分にいたしております。また、先ほども申し上げましたように、昨今の近隣環境、さまざまな点で非常に厳しい安全保障環境になってございます。率直な意見交換など、拡大抑止のいろいろな意味での意見交換をさせていただいておるところではございますが、具体的な内容につきましては、まことに恐縮でございますが、お答えを差し控えさせていただければと思っております。恐縮でございます。

河野(太)委員 ぜひ防衛政務官にお願いをしたいのは、防衛省も外務省と全く同じで、ろくな答えをいたしません。真面目に答弁をした防衛省の関係者はいないんだと思います。

 防衛研究所に、核戦略の研究についてどれぐらいやっているのかということを何年か前に伺ったことがありますけれども、真面目な議論、研究というのが余り行われていないようでございます。それで本当にいいんだろうか。

 これは、政治がリーダーシップをとって、防衛省の研究所の中でやはりきちっと議論をしてもらわないといかぬと思いますので、そこはぜひ、政務官がリーダーシップをとっていただいて、別に公開でやる必要はないと思いますが、核兵器を日本としてどういうふうに使うのかという核戦略の研究だけは、それは自分の核じゃありませんから難しいと思いますが、しっかり研究をやらせていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので、もう一つ、GHITについてお伺いをしたいと思います。

 このGHITに対する資金供与というのが実は相当いいかげんに行われて、本来、GHITに対して直接お金を出せば、その分全額GHITに行くはずであったのが、UNDPを経由したために、二五・七五%というテラ銭を支払うことになりました。

 これについて、なぜUNDP経由で支払わなければならないか、どういう説明を外務大臣が外務省内で受けたかということをまず教えていただきたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘の事業につきましては、開発途上国向けの医薬品の研究開発をしっかり支援するということと、そしてその供給準備、供給支援を行う、こうしたことを目的にしていると報告を受けております。

 おっしゃるように、研究開発支援ということであるならば、GHITにお金を支援するということで目的を果たせるのかとは思いますが、あわせて、この供給準備あるいは供給支援といったことを考えますと、やはり、世界に百三十の事務所を持ち、百七十七カ国・地域で活動しているUNDPの協力が必要となってくる。こういったことから、この事業にUNDPに加わってもらうという判断をしたと報告を受けております。

河野(太)委員 外務省の官僚が外務大臣をだましていたことがよくわかりました。

 つまり、UNDPがデリバリーをやらなきゃいかぬというのはそのとおりだと思います。それなら、UNDPに、何をやるから幾ら必要だというプロジェクトを上げてもらって、UNDPにはその分を払い、GHITにはGHITに必要な分のお金を払えばいいんだと思います。

 しかし、二五%のテラ銭と、七五%の、UNDPからGHITに送金をするだけのことで、その一%、つまり二五・七五%をUNDPがとっていきましたけれども、UNDPが何をやるのかというのは全くはっきりしていません。つまり、二五%というのは、UNDPが何かをやるから必要な金額がたまたま二五%になったのではなくて、頭から二五%、UNDPにとられてしまった、UNDPはその枠の中で勝手に何をやるかを決める、もちろん最後は日本政府が承認をするんでしょうけれども。

 これは、本来なら、UNDPとGHITに分けてお金を支払えばきちっと必要額が行ったにもかかわらず、外務省及び厚労省が手間を惜しんで、UNDPに一括お金を支払い、そこからGHITに金を回すということになったために、税金がUNDPにとられてしまったわけでございます。

 これについては、時間がありませんから、きょうここではやりませんが、引き続きこの問題についてはきちっと追いたいと思います。UNDPに対する任意拠出金をその分削減するということができますので、外務大臣にはきちっとした御対応をお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 きょうの質疑でもこれまでもされてきましたけれども、改めて、日米首脳会談の成果と、今、日本を取り巻く、また太平洋地域のみならず国際的な情勢を考えれば、日米首脳会談で話し合わなければならない課題というのは数多くあったわけですけれども、限られた時間でもありましたので、その成果と、逆に積み残してしまった課題についてお伺いをいたします。

岸田国務大臣 今回の日米首脳会談におきまして、改めて、日米同盟がアジア太平洋地域の平和と繁栄を主導している、こうした役割について確認をすることができました。

 日米間の安全保障あるいは経済を初めとする二国間関係とあわせて、アジア太平洋地域の地域情勢、さらには日米におけるグローバルな課題での協力など、こうしたさまざまな分野で率直な意見交換を行い、結果として、内外に対しまして、日米同盟が強靱なものである、揺るぎないものである、これをしっかり示すことができた、これが最も大きな成果だと考えております。

 その中で、経済分野におきましては、エネルギー問題を初めさまざまな議論が行われました。その中でTPPにつきましては、今回、重要な懸案につきまして道筋を確認できたという評価になっているわけですが、さまざまな議論を行い、前進を図ることができたと受けとめています。

 こういった課題については引き続きまた議論を行い、TPPにつきましては、早期妥結に向けて努力をしていかなければならないと考えています。

小熊委員 TPP、道筋というのは具体的にどういうことなんですか。

岸田国務大臣 具体的な中身については、まだ協議が続いておりますので、現時点で申し上げるのは控えなければなりません。

 先ほど来の答弁の中にもありましたように、これはパッケージで議論する話でありますので、引き続き議論が続けられます。こうした議論の幅がだんだん収束してきたというような説明が先ほどもありましたが、そういった意味で前進が図られたと受けとめております。

小熊委員 非常に苦しい表現だったというふうには思いますが、我が党もTPPは推進をする立場でありますので、早期妥結に向けて、しっかりと国益を確保するという前提で努力をしていただきたい。

 日米同盟がしっかりと確認されたということであって、大統領から、尖閣諸島も安全保障の範囲内ということが出たのは大きいとは思うんですけれども、これは、マスコミを含めて、政府も含めて、少し盛り過ぎかなというふうに思っています。昨年にはアメリカの国防長官はこれにも言及しているわけでありますし、アメリカの上院、下院でも、国防権限法の中において、これが範囲内だということを公文書でしっかりと明記されていて、はっきり言えば、山で九合目以上登っているところに大統領が一つ言ってくれたというぐらいの感でもありますから、大統領が言うということの重さと、世界にしっかりと情報発信したということにおいては、それはもちろん一定の成果ではあるんですけれども、ゼロから一〇〇になったという話ではなくて、既にそれは確認されていたことでありますので、今回の日米首脳会談のホームランみたいな言い方を報道上されているというのは、少し過剰な反応かなというふうには思っています。

 そういう意味では、ほかの部分の成果として、これからも継続していかなければいけないんですけれども、北朝鮮の核の問題であるとか、緊迫しているクリミアの問題とか、こうしたことを、もう少し日米でしっかりと共同歩調がとられて、どう具体的に対応していくのかということが首脳会談で宣言されるということを私なりには期待していたところであるんですけれども、こうしたクリミアとか北朝鮮の核とか、また沖縄の負担軽減といった問題については、今まで以上に進展したものはありますか。

岸田国務大臣 今回の日米首脳会談におきましては、ただいま御指摘がありました北朝鮮問題あるいはウクライナ問題等、重要な課題につきまして議論が行われました。そうした議論が行われ、全体として日米同盟が強靱なものであるということをしっかり確認できたと考えております。

 ですから、先ほどの日米安全保障条約第五条適用の話も、おっしゃるように、従来からアメリカの国務長官、国防長官からは表明が行われてきたわけですが、今回、米国の最高責任者である大統領がこれを明言したということは、今回の日米首脳会談全体で日米同盟の強靱さを内外にしっかり示すことができた、それを一つ象徴する発言ではなかったかと考えております。御指摘のようなさまざまな課題について日米間での協力を確認できたということにおいても、大変大きな意義があったと考えております。

小熊委員 先ほど来も出ていますけれども、力による現状変更は認めないという、そうした観点がありましたけれども、それはクリミアにおいても同じことでありますから、これは引き続き関係国としっかりと共同歩調をとって、日本はロシアとの二国間関係もありますけれども、価値観を共有するということがやはり一番の主眼であるというふうに思いますので、日ロの関係性が大事だというのをもちろん否定するものではありませんけれども、より高いレベルで大事なことは、そうした価値観を共有するということであり、また、力による現状変更を認めないということがやはり第一義に来なければいけないと思いますので、引き続きそこはしっかりとした対応を求めたいというふうに思っております。

 次に移ります。

 これまでの委員会でも質疑をさせていただいていましたけれども、外務大臣も、日本が防災分野でも国際的にしっかりと寄与していくんだということを所信でも述べられておりますし、また、この数年来、そのように取り組んできているところでもあります。

 ずっと私も質問してきましたいわゆるSPREP、南太平洋地域環境計画の中で今検討されている太平洋気候変動センター、PCCCの取り組みについて提言をさせていただいてまいりましたけれども、今月、外務省の職員とJICAの職員が現地に調査に行かれたということでありますので、その経過と今後の取り組みについて確認をさせてください。

大菅政府参考人 御説明申し上げます。

 委員御存じのとおり、今月、SPREP、南太平洋地域環境計画が計画しております太平洋気候変動センターの建設計画につきまして、本委員会においての委員からの御指摘も踏まえまして、今後の協力の可能性についてSPREP側と協議をさせるため、外務省の担当者等調査チームを今月上旬に派遣いたしました。

 この調査チームは、四月八日にSPREP側との間で本件計画の実現に向けての意見交換を行いまして、今後の方針といたしまして、我が国の技術協力を活用しつつ、現地の要望も踏まえつつ、より効果的なプロジェクトになるよう、案件形成を協力して進めていくということで一致いたしました。

 今回の協議の結果を踏まえまして、この計画の実現に向けまして、今後具体的な検討を進めてまいりたいと思います。

小熊委員 その今後の具体的な検討の中で専門家を派遣するということを聞いているんですが、それについて、いつごろ、どういうふうに派遣するのか、確認させてください。

大菅政府参考人 先ほど技術協力を活用しつつと申しましたが、基本的には、現地に専門家を派遣し、案件形成を一緒になってしていくということでございます。

 タイミングにつきましては、これから専門家の募集をかけて探すということになりますので、まだ具体的なめどを申し上げるのは難しい状況ではございますが、できるだけ早く派遣できるようにいたしたいと思います。

小熊委員 いろいろな準備もありますから、年度内ということでよろしいですかね。年度内になれば、何も障害がなければ来年の夏ぐらいには閣議決定まで進んでいくのかなというふうに私は思っているんですけれども、そのような受け取り方でよろしいですか。

大菅政府参考人 お答え申し上げます。

 適任者を探すということが何よりも重要という意味では、具体的な時期について、いつまでに専門家を派遣できるという見通しは立ちませんけれども、目標としましては、年末までには人選をして派遣できるということを目標としたいと考えております。

小熊委員 年末までという具体的な時期が出ました。

 これは、城内前政務官から石原政務官に引き継いでいただいて、しっかりと取り組んでいただいているところであります。これは気候変動センターなんですが、聞くところによれば、日本の思いとしては、やはりここに防災というものをしっかり入れていくべきだということをSPREP側に伝えているということであります。それは非常にいいことであるというふうに思いますし、とりわけ南太平洋地域も、台風の発生するところで、いろいろな災害が起きていますし、また、数年前には、今建設予定地のサモアでは地震が起きて津波も起きているということもありますので、こうした防災のことをしっかり入れるように日本はやっていくということの確認でよろしいですか。

大菅政府参考人 お答え申し上げます。

 気候変動分野におきまして、特に太平洋島嶼国、小島嶼国におきましては、排出をしているわけではなくて、気候変動の悪影響を受ける、まさにそういう立場に置かれているというふうに理解しております。そういった観点からは、気候変動分野で太平洋島嶼国に支援を行うに際しては、防災をしっかりと位置づけるということで考えております。

小熊委員 これはちょっと先取りした話になるかもしれませんけれども、ODAの中で予算化するとき、取り組みを始めた二年前ぐらいは、サモアの個別の案件として外務省も捉えていたんですね。でも、サモアの個別の案件でいえば、港の整備とか、その国の優先順位は違っていて、SPREPのこのPCCCは、サモア一国のことを考えれば優先順位は低いんですよね。

 でも、これは前に進んでいるんですが、過日、この委員会以外でちょっと個別に石原政務官と議論させてもらいましたけれども、これはサモアの枠としてやるのではなくて、広域的な取り組みの施設ですから、利益も広域的に得られるわけですし、情報といった意味では日本にとっても大きな利益になるところがあるわけです。そういう意味では、これはサモアのODAという枠ではなくて、広域的な予算のつけ方をしなければいけないというふうに思うんですね。

 ODAは国対象でやっているのがほとんどですけれども、過去に広域的なものとしてODAを出したということもゼロではないというふうにお聞きしていますので、これをやる場合もそういう予算づけでやるべきだというふうに私は思いますが、それは政務官に聞いた方がいいのかな。

石原大臣政務官 気候変動センターの建設支援要請がSPREP加盟国の総意に基づくものであるということを承知しております。加盟国を含む大洋州地域全体の気候変動対策に貢献できるような広域案件として検討を進めていきたいというふうに考えております。

小熊委員 ありがとうございます。

 本当に、二年前はそういう考えは外務省になかったんですよね。これは大きな前進だと思いますし、ODA六十周年ということで、選択と集中と拡大の年にしなければなりません。

 外務大臣にお聞きしますけれども、いろいろなODAの対象国も、一カ国だけではなくて、やはりそのエリアで問題解決に当たらなければならないという問題も結構山積していますし、グローバル化する社会の中で途上国もそういう広域的な課題を抱えていますから、今後、やはりこういう広域的なODAの予算のつけ方というものをもう一度しっかりと据えて、個別だけではなくて、広域的な予算のつけ方がレアケースではなくて、もっとこれをふやしていくことによって、まさにODAの目的達成になってくるというふうに思いますし、ODAの予算の選択と集中と拡大につながってくるというふうに思いますので、広域案件についてもう一度見直していく。各国だけにフォーカスしたODAのあり方ではなくて、広域の課題について予算をどうつけていこうか、ODAをどうやって対処していこうかという検討、再検討をこの六十周年を機にやるべきだというふうに思うんです。それがなかったからこのSPREPの話もなかなか進んでこなかったんです、何とか進みましたけれども。そういう考えが最初からあれば、もっと早く取り組めたと思うんですね。

 そういう視点をしっかりと選択肢の中に位置づけていくということに関しては、外務大臣、どうでしょうか。

岸田国務大臣 具体的な案件を評価するに当たって、直接的な効果について確認することももちろん大事ですが、御指摘のように、その具体的な案件が、地域全体にどういった影響があるか、あるいは気候変動を初めとする大きな分野においてどういった影響があるのか、こういった視点からも評価した上で、具体的な案件についてどのように予算をつけ、対応していくのかということも考えていくなど、こういった視点は重要だと考えます。

小熊委員 城内政務官から石原政務官に至るまで、そういう視点でやっていただいた今回の成果ではあるんですけれども、最初はやはり外務省の中ではちょっとかたかったというふうに私は体験的に思いますので、そこは、今大臣がおっしゃった方向性で今後ODAにしっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思っています。

 次に移ります。

 防災ということなんですが、震災から三年が過ぎました。震災のときに、アメリカ軍のトモダチ作戦というのがありました。福島県内では実は余り展開していなかったんですけれども、これは、先ほどの日米同盟の一つのまた深化というのはそのときにあったというふうに思います。

 それの発展形というか、フィリピンでのこの間の災害のときに、国際緊急援助活動、自衛隊が派遣されてやっているときも、そのときは、アメリカだけではなくてほかの国々とも連携をして、現地でのコードネームはオペレーション・サンカイというふうに、レイテ島あたりで使われている言葉で友達という意味らしいんですけれども、まさにトモダチ作戦のバージョンアップした形が展開されたというふうに聞いております。

 まさに防災の分野でも日本は国際貢献をしていくんだと表明しております。今回のフィリピンでの活動の成果について、まずお伺いをいたします。

金杉政府参考人 お答えいたします。

 先生御承知のとおり、今回のフィリピンにおける災害におきましては、フィリピンの重要性、それから日本とフィリピンが戦略的パートナーであるという観点から、日本としてできる限りの支援を行ってまいりました。その中では、緊急援助隊の派遣、緊急物資、それから国際機関を通じた緊急無償資金協力などなどを行いました。

 具体的には、例えば、医療チームと自衛隊の部隊約六千人が派遣されて、約六千人の方を現地で診察いたしましたし、一万二千人の方に対して予防接種を行う、それから、困難な時期にフィリピンに対して最大限の支援を行うことができた、そういう効果があったと思います。

 さらに申し上げれば、今先生御指摘のありましたとおり、例えば、日本とアメリカ、それからオーストラリアとの間で、派遣された部隊あるいは人員の間でさまざまな連携ができましたし、日本とオーストラリアとの間で申し上げますと、例えば、日豪の物品役務協定、ACSAに基づいてさまざまな燃料、物品のやりとりをして、お互いより効率的な活動ができた、そういったような成果もあったと思っております。

 以上でございます。

小熊委員 年間、自然災害で被害に遭われる方は世界じゅうでたくさんいらっしゃいます。今、集団的自衛権の議論も進んでいますし、また、アジア太平洋地域の安全保障のあり方というのもますます重要性を発揮していますから、日米のみならず、今御答弁であったとおり、オーストラリアとの連携とか、また関係各国との連携というのは、非常に必要な部分になってくると思います。不幸にして起きてしまった災害を通してではありますけれども、しっかりとそこは対応してきていますし、深化もしてきているところであります。

 自衛隊にとっていえば、災害対応ということは、通常の安全保障の活動ということではない、非伝統的な安全保障の活動になるわけでありますけれども、やはりこういう分野も日常的に起きていることでありますから、こうした災害対応のあり方というのは年々やはり深化をさせていかなければいけないというふうに思いますので、防衛力の強化といった意味合いとはまた別に、災害を通した日米同盟の深化、また関係友好国との協力強化というのはどんどんやっていかなければいけないというふうに思います。

 先ほど来再三述べさせてもらっているとおり、大臣も防災分野について国際貢献をしていくんだと言っていますから、まさに知見をしっかりと生かしていく、さらに深化をさせていく、さらには、もっと広く関係国を巻き込んで、防災分野での活動の範囲をしっかりと広めていただきたいというふうに思いますので、今回のフィリピンの例は非常にいい対応であるし、経験もしたというふうに思っています。ある意味では、私は現地に行っていませんけれども、トモダチ作戦以上の成果があったというふうに思いますので、こういうのをしっかりと外務省としても強力に推進していく、支えていくということに今後とも取り組んでいくことをお願い申し上げて、次の質問に移ります。

 先ほども質問で出ておりましたけれども、MDGs、これは先日、人間の安全保障の議連で、ジョン・アッシュ国連総会議長が訪日されて、その勉強会に私も参加をさせていただきました。

 そこで、二〇一五年の期限の中で、いわばしっかりと課題を解決してきた問題、また積み残された問題もある。さらに、新しい課題解決に向けて、二〇一五年以降の開発アジェンダをどうしていくのかというのは、これまで日本の取り組みについては、このポスト開発アジェンダについては、安倍総理も外務大臣も、いろいろなところで、人間の安全保障を基軸にしてやっていくんだとか、先ほど来お話しさせていただいている防災分野でも、しっかりこういうのも打ち立てていくんだということを表明されているところでありますけれども、このMDGs、その後の計画の策定に向けて、改めて日本の取り組みをお伺いいたします。

大菅政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ポストMDGs、ポスト二〇一五年開発アジェンダの策定は、今後の国際協力のあり方に大きな影響を与える課題だと認識しております。我が国としましても、その策定に向けた国際的な議論に積極的に参加して貢献していくという方針でございます。

 若干中身に入りますが、我が国は、御指摘の人間の安全保障を指導理念としたポスト二〇一五年開発アジェンダの策定を目指しております。その観点から、より具体的に申し上げますと、今後の各国のODAがリードすべき課題として、格差の是正といったものを重視していくという方針でございます。

 さらに、分野といたしましては、新たな開発アジェンダの中で重視すべきものとして、女性、国際保健、防災、こういったものを重視しております。さらに、開発の土台として重要な平和と安定と安全、それから、実施における、民間を含むさまざまな主体との連携、こういった課題の重要性といったものも国際的に訴えていきたいと考えております。

 年内をめどに、ODA大綱の改定の作業を始めております。先般、そのために岸田大臣のもとに有識者懇談会を設置いたしまして、既に二回議論を行ったところでございます。

 ポスト二〇一五年開発アジェンダに関する政府間での交渉は、本年秋以降、国連総会の場で始まることになりますが、そういった場におきましても、我が国国内での議論も踏まえながら国際的な議論に貢献していく、そういった方針でございます。

小熊委員 これは、いろいろ見てみると、一カ国の数値を見るとマクロ的には中所得国であるということであります。今ほど言った国内での格差の問題ですね。世界の貧困層の四分の三が中所得国に存在していて、ですから、国全体を見ると中所得国だから、まあまあ貧困から脱却したよねみたいなことになるんですけれども、まさに人間の安全保障というのは一人一人を見るということですから、これをミクロ的に見ると、国内における貧困が存在をしていて、格差がある、これを解消しなきゃいけない、これがまた新たな取り組みの目標になってくるというふうには思うんです。

 そこで、一人一人に視点を当てながらも、そこでやはり重要なのは、その国の統治能力を向上させていくということが必要で、都市部において貧困層がいなくて、地方とか都市の周辺部に貧困層がいて、そこに我々が関与していくということも、緊急的な課題があればそれは重要なんですけれども、根本的な解決にはならないと思うんですね。その国としてある程度国力がついて、マクロ的には中所得国まで行っているわけですから、やはりその国の力をもっと伸ばしてあげるということが世界の貧困の本当の根本解決につながってくるというふうに思っています。

 問題の視点をフォーカスするという意味で、一人一人に焦点を当てる人間の安全保障の考え方は非常に重要です。その解決のためには、援助でよく使われる言葉で、魚を与えるのではなくて魚の釣り方を教えるんだ、これが本当の援助だ、こういう言葉もあります。緊急的な場合は上げるしかないんですけれども、やはりこの新しいアジェンダに関しては、そうした、まさにその国の国力、統治能力、政治の安定といったものにどうしっかりとコミットしていけるか、援助していけるかという視点が貧困の根本解決につながると思うんです。

 そうした視点において策定に加わるべきだというふうに思いますが、どうですか。

大菅政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、我が国の援助の基本的な指導理念の一つとして、従来より、各国、途上国の自助努力を支援していくということを一つの指導理念としてまいりました。この部分は、国際的にはオーナーシップというような言葉で、数十年来、我が国の取り組みを踏襲する形で国際的にも主流化してきている考え方だと思いますが、この各国のオーナーシップ、それを支援するためのパートナーシップ、こういった整理でこれまでも日本の援助を実施してきておりますし、ポスト二〇一五年の開発アジェンダの策定の中でも強く主張してまいりたいと考えております。

小熊委員 その新しいアジェンダに関して、それに見合った予算化もしていかなければなりませんから、そういう意味では、選択と集中というだけではこの新しいアジェンダに対応できないというふうに思いますので、その策定に当たっては、しっかりとした財政的な措置、大臣に頑張っていただいて、予算化もあわせた、単なる目標で言葉だけを掲げるのではなくて、実行を伴うということはお金のかかることですから、そういう意味でも選択と集中と拡大というテーマで当たっていただきたいなというふうに思っております。

 次の質問に移ります。

 先日開かれた第三回の核安全保障サミットでハーグ・コミュニケが採択されましたが、この質問は、ざっくり言うと、日本はプルトニウムをちょっと持ち過ぎているんじゃないんですかという国際的な指摘を受けております。もちろん、日本はしっかりとIAEAの査察のもとで適正に管理をして、また、核物質の最小化には努力をしているということは、私は否定するものではありませんけれども、改めてこれに対する取り組みをお伺いいたします。

広瀬政府参考人 委員御指摘のとおり、三月二十四、二十五日の両日、オランダのハーグにおきまして核セキュリティーサミットが開催されました。その中で、核物質の最小化と適正管理について、日本の取り組みの成果とコミット、これを安倍総理の方からステートメントの形で発表いたしました。

 核物質の最小化と適正管理につきましては、日本原子力研究開発機構、JAEAにございます高速炉臨界実験装置、FCAと申しますけれども、そこにある高濃縮ウランとプルトニウムの全量を撤去し処分、これを含みます日米首脳の共同声明を紹介いたしました。それとともに、今御指摘のございましたプルトニウムにつきましては、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を堅持するということを改めて表明したところでございます。

 今後とも引き続きまして、我が国といたしましては、核物質の最小化及びプルトニウムの適正な管理に取り組んでまいる考えでございます。

小熊委員 必要のないということでありますけれども、この間閣議決定されたエネルギー基本計画を見ると、核燃料サイクルの部分と不必要なものというのが実態としてはなかなか連動してこない。だから、やはり国際的に、持ち過ぎだと。使う当てのないものを動かしたって、それ以上のものを持っているわけですよ、現時点でも。そういうのを国際的に指摘されるわけですよね。

 今後、日米原子力協定が三十年の効力を失って、また改定しなければなりません。先ほど河野委員の核の傘の問題もありましたけれども、アメリカが原子力協定を結んでいる国で、安保理の国以外で、アメリカの同意なしに再処理できる国というのは日本だけです。ある意味では、つくれるのにつくらない、言葉をかえて言えば準核保有国、いろいろな安全保障上のパワーバランスでいうと、そういう位置に日本はあるというふうに捉えられてもいます。

 原子力協定の改定も数年後に迫っている。また、アメリカと原子力協定を結んでいる国からすれば、例えば韓国なんかも、同じ同盟国なのに日本だけ特別扱いかということもアメリカに指摘しているわけです、同じくさせろと。

 これは非常に複雑な様相を呈しているんですけれども、外務省に言ってもこれは答えが出ませんが、エネルギー基本計画を見る段階では、やはりプルトニウムを持ち過ぎというふうに国際的に言われてしまうのも仕方がない状況になっているというふうに思います。

 そういう意味では、これはこの委員会でやるべきではないんですが、ほかの委員会でやっていきますけれども、そういう状況の中で、外務省としては、国際的な理解を求めていく、国際的に説明を果たしていく。情報は公開していますよ。でも、それはちゃんと説得し切れていないわけですから。それは今の日本の状況があるからです。

 なおかつ、世界に対する説明責任と、それの日本国内のエネルギー基本計画との連動性をしっかり見ていかなければならないということと、あと、改定が迫っているこの原子力協定をどう整理していくのかという問題と、非常に重要な問題だというふうに思っています。

 そういう複雑な背景の中で、これの最小化にコミットしていくというのは、よっぽどのことをしていかないと、国際的にも評価を得られないというふうに思います。

 これはこれからもずっと議論させていただきますけれども、外務大臣、そんな日本の国内状況ですよ。本当は、私の立場からいえば、あのエネルギー基本計画をもとにすれば、余っているという状況じゃありませんなどということは言えないというふうに私は今の段階では判断せざるを得ませんし、また、そういう状況の中で、最小化にコミットしていますと言っても、国際的に、本当にそうなのかと疑われても仕方がない状況にあるというふうに思います。

 この状況の中で日本がハーグ・コミュニケにどうしっかりと寄与していけるかというのは、本当に、外務大臣だけじゃなく内閣全体で真剣に考えてほしいですよ。非常に重要な問題です。まさに、唯一の被爆国として本当にどういうスタンスをとっていくのか。今後の、三年後の原子力協定の改定も含めて、これは短期的に解決のできる問題でもありませんから、それを捉えて、外務大臣としてもう一回エネルギー基本計画をよく読み込んでください。あれを見た上で、余っていませんなんて言えるような計画にはなっていませんから。

 ぜひそこは引き続きしっかりと取り組んでいくことをお願い申し上げて、次の質問に移ります。

 ちょっと質問の順序を変えます。

 ゴールデンウイークを控えて、各議員が海外に渡航されます。個人であったりグループであったり、また議連を通してであったり、行くというふうになっていますけれども、私、地方議員時代には海外の出張はしなかったんですね。地方議員としては、姉妹都市みたいなところだったら別ですけれども、公費を使って行く上ではそれは意味がないというふうに思っていて。

 国会議員はやはり、政府の一員でなくても、各国との連携という意味では、議員外交というのはどんどん活発にしていった方がいいというふうに私は思いますし、それなりの効果があるというふうにも思っています。総合的に重要であるというふうに考えるんですけれども、政府として、個別の、例えば議連とかがやっている議員活動の意義とか評価についてはどのように捉えておられるのか、お聞きをいたします。

石原大臣政務官 グローバル化の進展等により、我が国が直面する外交上の課題が多様化する中で、我が国の国益を引き続き増進していくために、行政府、立法府を含めたオール・ジャパンの体制で外交を展開する必要があるというふうに政府は考えています。その中で、我が国の外交の一翼を担う議員外交が果たす役割は一層高まっているというふうに認識をしております。

小熊委員 そういう中で、国会会期中は国会の了解を得て行かなければいけないんですけれども、それは、審議に影響しないということで許可があって、どの国に行っていいとか悪いとかという判断をすべきではないというふうに思っています。今回、我が党の有志が北朝鮮への渡航を断念いたしましたけれども、一部報道によれば、政府もそれに難色を示したと。

 憲法にも海外渡航の自由を保障していて、まして、国会の中で承認を得るというのは審議に支障がないという一点のみであって、その国ならいい、その国なら悪いということを言う権限もないし、政府がそれを国会側に伝えるということも僣越な話だというふうに思うんですが、政府が難色を示したという一部報道は間違いですか。それを明言してください。

金杉政府参考人 先生おっしゃいますとおり、日本国憲法の第二十二条だったと思いますけれども、移動の自由というのが保障されているのは事実でございます。

 片や、今先生御指摘になりました北朝鮮ということについて申し上げますと、平成十八年だったと思いますけれども、ミサイルの発射を受けて、国会議員を含む国家公務員に対して渡航の自粛というのをお願いしている。ただ、これはあくまでもお願いということでありまして、最終的にはもちろん憲法上の移動の自由が保障されているということを、求めがあれば、政府の立場として御説明をしたという事実はございます。

 以上でございます。

小熊委員 今言われたように自粛ですから、強制力はないわけでありますし、国会の仕組みでいえば、先ほど言っているとおり、審議に影響があるかどうかだけで判断すべきであって、その国がどうかというのはまた別問題だということを我々は主張させていただきました。自主的に断念したわけでありますけれども、国会が閉会すれば行きますというふうに有志たちも言っているんですが。

 これは、今後、どういう国に行くかというのは、場合場合によっていろいろなケースが出てきますけれども、あえてこれを質問したのは、もちろん国会の、本当は議運とかでやる話なんですが、一応、渡航の自由ということがあるということを確認させていただきたかったということと、また、議員外交をやはりしっかりやっていかなければいけません。

 そういう中でいうと、これは大臣ではないんですが、委員長にあえて言っておきたいんですけれども、外務委員会が二年に一遍の海外調査というのは、私は非常によろしくないなというふうに思っています。

 参議院にいたときにODAの特別委員会に入っていましたけれども、それは毎年行っているわけですよ。昨年、河井委員長のもとで南アジアに行かせてもらいましたけれども、行った先々でいろいろな報道がなされることによって日本のプレゼンスも上がってくるし、日本のODAがどうだというのが本当の現地を見てわかるわけであります。

 ほかの委員会の批判をするわけではないんですが、何のために行くのかということが大事です、旅行ではないですから。そうすると、あえて海外に行かなくても十分じゃないのかといった委員会も二年に一回行く、こういうふうに機械的になっちゃっているんですね。これは国費を使って行くわけですから、何のために行くかというのが大事。

 そういう意味では、外務委員会は、毎年行く、ある意味ではもう一年に二回も三回も班を分けて行くぐらいのことが本当は理想だというふうに思いますし、先ほどの議員外交の効果もしっかりと御指摘をいただいたので、これは委員長のもとで、ぜひとも外務委員会は毎年海外視察が実現できるように努力をしていただきたいというふうに思いますし、私も理事の一人としてそれは御支援を申し上げたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次の質問に移ります。

 この間の委員会でも、青年海外協力隊の職種のことについて、応募数が足りていないとか、いろいろ指摘をさせていただきましたけれども、さらにちょっと深掘りをしていくと、そもそも、その職種、その国にはこういう隊員が必要ですというのは、その国からオーダーがかかっているわけではなくて、現地の調整員が、この国にはこういうのがいいですよというのを出してくるというふうに私は認識しているんですけれども、各国そういった仕組みで職種が決まってくるということでよろしいですか。

大菅政府参考人 お答え申し上げます。

 協力隊員派遣の職種の決定の手続についてのお尋ねでございますが、まず、それぞれの対象国におきまして、日本大使館それからJICAの在外事務所、そこに所属しております調整員を含めてですが、そこが相手国政府、関係機関との間で意見交換、協議をいたしまして、現地の開発のニーズを踏まえながら、派遣隊員の職種等について、相談しながら案件形成を行うということになります。その上で、相手国政府から日本政府に対して、こういった職種の派遣を望むという形での正式要請が行われるということになっております。

小熊委員 今回これは問題提起させていただきたいんですけれども、実際に行った隊員たちに聞くと、きょうはちょっと用意していませんが、この間配った職種の一覧を見ると、開発国ですから、実際、農業分野とかがもっと出てきていいはずなのに、これがないというのは、うがった見方かもしれませんけれども、もともと、農業分野は集まらないだろうなといってそれを落としちゃっているんじゃないか、しっかりとその国のマッチングがなされていないのかなというふうに思います。

 今、これだけの飢餓があったり、貧困とかいう問題、また、村落の開発をしなきゃいけないというときに、あの職種の応募数で見ると農業分野が非常に少ないというのは、その国がオーダーを出していないということではなくて、やはりどこかそこにバイアスがかかってしまっているんじゃないかなというふうに思うんです。

 もちろん、希望職種があるからといって、この間も理科の先生なんかが全然足りていないみたいなのもありましたから、ちゃんとその国のオーダーも聞いてやっているんだとは思いますけれども、もっとしっかりその国の状況を把握して派遣していくということが重要ですし、日本で人材が集まらないのであれば、この間の委員会でもお話しさせていただいたとおり、人材育成をしていく。いないからこの職種は落としていくということではなくて、その職種をきちっと聞いて、足りていなくてもしっかりそれを打ち出して、逆に、人材育成をしなきゃいけないですねという問題提起をしていかなきゃいけないというふうに思うんです。

 そうすると、よもや、集まらないからもともと職種を落としてしまうということはないですね、現場ではわかりませんけれども。

大菅政府参考人 JICAの協力隊事務局と個別具体的な話をしたわけではございませんので、確定的なことは申し上げられませんけれども、先般の委員会での委員の御指摘のとおり、要請があっても集まらないという状況がある。御指摘のとおり、養殖ですとか家畜飼育といった分野は、募集に対して応募者がかなり少ないという現状がございます。

 他方、職種決定の基本については、あくまでも相手国におけるニーズを踏まえる形で現地で調整を行うというプロセスは踏んでいると聞いておりますので、この職種は応募がないだろうということで事前に落としてしまうということではないと理解しております。

 先ほど申し上げたとおり、各国において、ニーズを踏まえて各国政府から要請があったものを、あくまで本部において取りまとめた上で、年二回募集を行うということですので、現場レベルで落としてしまうということではないと理解しております。

小熊委員 それはもう一回しっかりチェックをしてくださいね。多分、その会議の中では、国によってだと思いますけれども、オーダーがあるけれども、日本は人材がいないから、それは出さないでくれとかというのもあるかもしれないし、やはり素直にそのオーダーを見て、足りないのであれば人材育成という方向でしっかりと対応していかなければいけないことになってきますから、もう一度さらっと、さらっとというかしっかり、各国のオーダーの原案というのがどういうものか、また後で御指導いただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 残り時間がないんですけれども、今週、我が委員会で、外務省の職員研修センターに行かせていただきました。

 松阪市と会津若松市というのは交流があるので、そこの市長さんの記事がある雑誌に載っていて、十数年前に外務省を受けて、面接のときに、アフリカの開発、貧困の問題にかかわりたいんですと言ったら、外交というのは大国間のことであって、アフリカみたいなことをやるのではないんだよと言われた、その一言がショックで、結果が出る前にほかの道に進んでしまったというふうに松阪の市長が雑誌で述べているんです。

 それがあるのかないのかは別にあれですけれども、面接のあり方とかも、この間、研修センターに行って思いましたけれども、やはり有為な人材を確保していくという意味では、民間のやり方、リクルートの仕方とか人材育成の仕方というのを、そういう知見を入れていかなきゃいけないなというふうに思いましたし、人を選ぶ段階でも、松阪の市長みたいに、そういう面接官がいて、せっかく志を持った人間がそこで夢破れてしまうなんということがあってはならないので、民間の知恵また経験といったものを生かして、人材の採用また研修にも取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 この委員会で、城内前政務官、また我が党の村上委員も研修を体験して、やはりその問題点も指摘をされていましたので、非常に重要なことでありますから、もう時間がないのでこれで終わりますけれども、ぜひそうした外部のいろいろな知恵を生かしていくということの御検討をお願いし、提言を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、質問の機会を十五分いただきました。

 まずは、日中関係について伺いたいと思います。

 政府の対中国基本方針は、日中関係については、最も重要な二国間関係の一つであるということ、戦略的互恵関係を基本とすること、大局的観点から協力と交流を推進するということでありますが、本当に幾つもの懸案、課題があるというのが実態であります。

 具体的には、尖閣諸島をめぐる問題、防空識別区の設定の問題、海外での対日批判キャンペーン、不透明な国防費の増加と存在感を増している中国海軍の動向、さらには、最近判明したのでは、排他的経済水域での中国の海洋調査船の活動の問題など、課題を挙げれば切りがないというのが現状であります。

 それに加えて、今般発生した、商船三井の船舶差し押さえ問題。これは、一昨日、商船三井側が和解金四十億円を中国側に支払って差し押さえを解除したということでありますが、本件は、一民間企業の問題ではありますが、その問題にとどまらない可能性を含んだ事例でありまして、政府として積極的かつ迅速にもっと介入するべきではなかったかというふうに思われます。

 中国側は政府と司法が計画的にしかけてきているとの報道もあります。それに比較して、日本側は、民間企業の問題だということで、若干政府として引いている対応ではなかったか、あるいは、商船三井は日本政府を頼っていなかったのではないかということも、危惧というか、指摘されているところであります。

 これでは、今後、中国国内で同様の訴訟が多発する可能性もあります。実際に、中国人労働者強制連行の問題、さらには、これが韓国に波及するという可能性も含んでいるところでありまして、今回のこうした解決というのはあしき前例になってしまったのではないかというふうに思います。

 今回の問題、政府として、この商船三井の問題にしっかり対応されたのか、商船三井と連携しながら取り組んでこられたのか、外交ルートでの抗議だけでなく、例えばISD条項の発動、国際司法裁判所への付託など、あらゆる手段を検討されたのか、こういうことについて、まず大臣に、そもそも日中関係の現状の認識と、今回の商船三井船舶の差し押さえ問題での取り組みについて、そして、こういう四十億円の和解金を支払って解決したということについて、どういう御認識でおられるのか、お伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、日中関係に対する現状認識ですが、大変難しい局面の中にあると認識をしております。

 そういった中ですので、やはり政治の高いレベルでの対話が重要だということを改めて感じます。さまざまな問題があるからこそ、戦略的互恵関係に基づいて、大局的な観点から二国間関係をコントロールしていかなければならない。その際の政治の役割は大変重たいと考えております。

 そして、御指摘のこの案件について政府としてどう対応してきたのかということでありますが、商船三井をめぐり中国国内で提起された訴訟については、従来から、商船三井から外務省を含む関係省庁に対して連絡があり、そして相談に応じてきた、こういった経緯がありました。商船三井が原告との間に和解の可能性を探っていたとき、外務省におきましても側面支援は行った次第であります。

 こうした商船三井を含む関係者の問題解決に向けた努力が行われていたさなか、同社の船舶が突然差し押さえを受けたこと、このことについては大変遺憾に思っております。

 政府としましても、外交ルートを通じまして、突然の差し押さえに対して強い遺憾の意を伝えつつ、商船三井とも連絡をとり合いながら、差し押さえが速やかに解除されるよう中国側に繰り返し求めてきた、こうした対応をした次第でございます。

 本件につきましては、差し押さえが解除になり、同船は出港したということでありますが、国交正常化してから四十年以上の月日がたっています。また、日中間の経済的な相互依存が深まっているにもかかわらず、七十年以上前の事案に起因する事柄で突然日本企業の資産が差し押さえられる、こういったことにつきましては、中国でビジネスを展開する日本企業全般に対し萎縮効果を生むことになりかねない、こういった認識を持っております。

 今後とも、日本企業が中国において安心してビジネスを展開できるような環境を整備するために中国側に強く働きかけていく、こうしたことはしっかりとやっていかなければならないと考えております。

青柳委員 今の大臣の御答弁はそのとおりだと思うんですが、であれば、私の質問は、今回四十億円を支払って解決したということについて、まさにあしき前例になったのではないかと思いますが、大臣、どういう御認識でしょうか。

岸田国務大臣 まず、本件につきましては、具体的な経緯を振り返りますと、用船契約が結ばれたのが一九三六年ということであり、盧溝橋事件以前の段階で用船契約が結ばれている等の経緯を振り返りますときに、戦争との関係について断定的に述べることは難しい案件であるとは考えております。

 しかし、こういった措置が日中国交正常化から四十年以上たった時点で突然行われるということは、日中関係を正常化させるという日中共同声明の精神に反するという受けとめをしております。そして、あわせて、先ほど申し上げました、日本企業の経済活動を萎縮させる、こうしたことについても憂慮しているところであります。

 こうした具体的な事案に対する対応はもちろん重要でありますが、日中関係における基本的な精神、これを損なうことがないように、ぜひ政府としましても対応をしていかなければならないと考えております。

青柳委員 よくわからなかったわけでありますが、参考までに、昨日の朝、我が党の外交部会で外務省から本件についての事情聴取を行ったところ、四十億円の和解金を支払って解決したという事実は、きのうの朝の時点ではもう既に行われていたにもかかわらず、外務省はそのことを承知しておりませんでしたので、一応指摘させていただきたいと思います。

 次に、日韓関係について伺います。

 日韓局長級協議、これが四月十六日にソウルで開催されました。外務省に本件の成果を聞いたところ、協議の継続ということと議論を続けていくということに大きな意味があるというお話をいただきました。そのこと自体、私も異論はないんですけれども、今回の内容に少し問題があるんじゃないかと思います。

 今回の日韓局長級協議の議題は、慰安婦問題がメーンだったということであります。もう御案内のとおり、一九六五年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みであるというのが我が国の慰安婦問題の立場であるにもかかわらず、この慰安婦問題で協議を続けていくということに何の意味があるのか。誤ったメッセージを逆に発信してしまっているのではないか。

 もう御案内のとおり、河野談話やアジア女性基金が結果として何の解決にもつながっていない。今、韓国の日本大使館前や米国のグレンデール市で慰安婦像が設置されているということで、むしろ状況は悪化しているのではないかと思います。

 日韓局長級協議でこうした間違ったメッセージにならないよう改めて申し上げておきたいと思いますが、大臣の御認識というか御見解を伺っておきたいと思います。

岸田国務大臣 慰安婦問題につきましての我が国の立場、あるいは今日までの努力につきましては、韓国側に対し累次にわたって説明はしてきております。

 こうした考え方をしっかりと韓国側にも受けとめてもらわなければならないと思っておりますが、この問題につきまして、要は第三国において、我が国のかかわらないところにおいて、我が国の立場と異なるさまざまな動きが存在する、あるいは説明が行われている、こういったことについては大変残念なことであり、こうしたことは決して建設的なことではないと思います。

 やはり、我が国の立場についても直接韓国側に説明し、その理解を求める、そして、韓国側からも、この問題についてどう考えているのか、直接我が国に対して説明を行う、こうした直接のやりとり、これが何よりも大事ではないかと考えております。

 今回、日韓間で局長級協議が行われました。そして、今後も引き続き協議を行うということにおいて一致をしているわけですが、この慰安婦問題を初めさまざまな課題において、直接考え方を説明し、意思疎通を図ることの大切さを考えますときに、ぜひこういった協議はこれからも大切にしていかなければならないのではないかと考えております。

青柳委員 最後に、時間の関係もあるんですが、それでは一問だけ質問させていただいて、終わりたいと思います。

 オバマ大統領の訪日の際に拉致被害者の家族との面談が実現したということは大変大きな成果だったと思いますし、拉致問題でも日米で連携していくんだということで、これは新たな圧力になると思いますし、そういう面でも大きな意味があったと思います。私も、外務委員会で本件を取り上げてきた関係で、本当にうれしかったと思います。

 この面談の成果について最後にお伺いして、終わりたいと思います。

岸田国務大臣 昨日二十四日、オバマ大統領は、拉致被害者御家族の飯塚家族会代表及び横田御夫妻と懇談し、拉致問題について意見交換を行いました。私も同席をさせていただきましたが、オバマ大統領からは、まず、被害者家族の方々に共感を示していただき、また、安倍総理の拉致問題に対する立場を支持するという発言があり、そして、日本政府と緊密に連携していきたい、こうした発言がありました。

 それに先立って行われました日米首脳会談におきましても、拉致問題に関して、オバマ大統領の引き続きの理解と協力を期待するということを安倍総理から申し上げ、オバマ大統領から支持の表明がありました。

 こうした面談あるいは首脳会談でのやりとりは、拉致問題の解決に向けて日米の協力関係をしっかりと確認できたという意味で、大変意義ある会議であり面談であったと認識をしております。

青柳委員 ありがとうございました。

 終わります。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、岸田大臣に伺いたいと思いますが、昨日の日米首脳会談において、尖閣諸島問題について、オバマ米大統領は、日本の施政下にあり、日米安保条約第五条の適用範囲だと述べました。

 我が党は日米安保条約については反対でありますが、この条約に照らすならば、日本の施政下の領域に条約を適用するというのは、ある意味、当然の条約上の義務ということになりまして、大統領自身が繰り返し述べていたように、何か特に新しいことではないというふうに思いますが、同時に、大臣に伺いたいんですが、大統領が、その中で、この問題について、対話を通じて平和的解決を目指すべきだ、エスカレートし続けるのは正しくない、信頼醸成措置を講じるべきだと強調していたことは、私は注目したんですけれども、この点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 まず、米国政府は、尖閣諸島が日本国の施政のもとにあり、日米安保条約第五条の適用範囲にあるという米国の立場、今日までも累次にわたって表明はしてきました。しかし、今回、米国の最高責任者である大統領が直接この点について言及をしたということは、日米同盟が大変強靱なものであるということを内外に示すという意味で、これは大変重要な発言であったと受けとめています。

 そして一方、日中関係において、我が国としましては、従来から、戦略的互恵関係に基づいて、大局的な見地からしっかりコントロールしていかなければならない、対話に基づいて平和裏に、冷静に対応するということは再三申し上げてきたところであります。

 ぜひ、こうした日中関係につきましても、対話を通じてコントロールをしていく、こういった我が国の姿勢はこれからも変わらないと思いますし、我が国の冷静な対応ぶりについても米国側は理解を示してくれているものだと理解しております。

笠井委員 領土に関する紛争問題は、あくまでも国際法と歴史的事実に基づいて、冷静な外交交渉によって解決が図られるべきことを重ねて強調しておきたいと思います。

 さて、今回の日米首脳会談では、日米同盟の強化が強調されて、沖縄の新基地建設の推進、日米ガイドラインの見直しが合意されましたが、そこで、防衛省若宮政務官、お越しいただいているので伺いたいんですが、沖縄防衛局は普天間飛行場代替施設の建設事業に係る各種業務を発注しておりますけれども、ことし一月以降に契約を締結した埋立設計や環境調査などの建設コンサルタント業務が計何件で、その契約総額は幾らか、個別の業務名とか金額は結構ですから、合計の件数と契約総額について端的に数字をお答えください。

若宮大臣政務官 笠井委員にお答えさせていただきます。

 普天間飛行場代替施設建設事業にかかわります、本年一月一日以降に契約を締結いたしました業務の契約件数は七件でございます。

 当該契約金額の合計額は約十三億五千万円でございます。

笠井委員 計七件の契約業務のうち、一般競争入札で業者を決めたものが何件あって、また、プロポーザル方式で業者を選定したものは何件か、件数だけで結構ですが、お願いします。

若宮大臣政務官 七件のうち、一般競争入札によりますものが一件、それからプロポーザル方式によりますものが六件でございます。

笠井委員 七件中六件の契約業務が、業者から提出された技術提案書を審査して業者を選ぶプロポーザル方式であります。わずか一件の一般競争入札も、実際は、入札者が示す価格と技術提案書を審査する総合評価方式で業者を選んでおります。

 沖縄防衛局では、その七件の業務で、契約業者を選ぶに当たって、防衛局内に設けられた競争参加資格等審査委員会で審査を行っていると思います。

 私の手元に、その設置要領を定めた防衛局長名の通達がございますが、この通達では、審査委員会の委員長と委員の構成について、どの役職の職員を充てると書いているでしょうか、紹介してください。

若宮大臣政務官 今委員御指摘の役職でございます。

 沖縄防衛局におきます競争参加資格等審査委員会は、建設及び建設コンサルタント業務等に関しまして、競争参加資格の設定、確認等を確実に行うとともに、競争参加者等の選定の公正を期するために設置されたものでございます。

 その構成員は、同局長を委員長といたしまして、同局次長、総務部長、総務課長、会計課長、契約課長、地方調整課長、調達計画課長及び業務課長を委員として構成をいたしているところでございます。

笠井委員 沖縄防衛局内には、発注する建設工事や建設コンサルタント業務で談合情報や談合疑惑が生じた場合に、より的確な対応を行うためとして、建設工事公正入札調査委員会なるものが置かれております。

 私の手元に、その設置要領を定めた局長名の通達がございますが、この調査委員会の構成メンバーを見ますと、今政務官が紹介された審査委員会と同様、委員長には局長、委員には、局次長、総務部長、総務課長、会計課長、契約課長、地方調整課長、調達計画課長、業務課長、各課長を充てるというふうにしているんですね。

 そうしますと、業者が提出した技術提案書を審査して、そして契約業者を選ぶ者が、局長ら全て発注者の防衛局の職員で構成されて、それが談合なのか問題ないのか、公正かどうかを、不正をただす調査委員会も全く同じメンバーで構成されている。これはどうやって公正中立が保たれるのか、本当に大いなる問題だと私は思います。

 そして、こういう業者選定システムのもとで、沖縄防衛局は、三月二十七日に、辺野古沿岸部の海底地質を調べるボーリングの調査業務の入札を公告いたしました。この履行期限というのは十一月三十日までで、五月十三日に開札をして、その後、業者選定を行うということでありますが、そのボーリング調査業務に関して、防衛局が業者向けに作成した特記仕様書というのがございます。ここにありますけれども、その中に、本業務の現地作業で見込む警戒船とありますけれども、何隻が必要だと見込んでいると書かれているでしょうか。

若宮大臣政務官 海上での調査実施に当たりまして、調査実施海域を航行する船舶等の安全を確保する目的で、警戒船を配置することといたしてございます。

 通常考えられます配置を念頭に、必要な隻数を計上いたしているところでございますが、本業務にかかわります調査業務委託特記仕様書においては、業務履行期間中に延べ千百隻の警戒船を計上いたしております。

笠井委員 延べ千百隻、すごい数ですけれども、なぜ千百隻も必要なんでしょうか。

若宮大臣政務官 お答えいたします。

 特に、特記仕様書で計上いたしました千百隻の警戒船の実際に必要な内容ということで、海上ボーリング調査では二十一地点の調査がございます。この一地点に当たりまして、十一日間作業期間がございますが、一日当たり二隻を配置する予定でございます。これで約四百六十二隻が必要となってまいります。

 また、磁気探査につきまして、これも、船舶を用いました探査では、延べ約四十日間作業期間を想定いたしてございますが、ここでもやはり一日当たり二隻を配置すると予定いたしておりまして、ここで延べ約八十隻ということになってまいるかと思います。

 さらに、磁気探査のうち、潜水にかかわります探査につきましては、約百四十日間作業期間を想定いたしてございまして、これらは一日当たり約四隻、これは四パーティーございますものですから、ここで約五百六十隻を想定いたしてございます。

 これを全部トータルで足しますと、約千百隻という数字になってまいります。

笠井委員 これは何を警戒するんですか。

若宮大臣政務官 この警戒船の配置ということにつきましては、海上保安庁の方で発出をいたしております、海上におけます工事作業等の警戒船の配備等に関する指針、これを踏まえまして、本調査業務におけます警戒船の必要性を検討するとともに、隻数を出したものでございます。

 基本的には安全確保が目的ということで、警戒船を配置する予定でございます。

笠井委員 安全確保を妨げる何を警戒するということを聞いているんですけれども。

若宮大臣政務官 工事が順調に安全に行われるということを確保するために警戒等をするということでございます。

笠井委員 だから、それが順調に安全にいかないために、何が問題になるんですか。

若宮大臣政務官 実際の工事作業等の施工業者が次に掲げる工事作業等を行う場合はということで、関係船舶及び実施海域付近を航行いたします船舶の安全を確保する、こういった観点から警戒船を配備するということといたしております。

笠井委員 何かよくわからないんですけれども。

 では、もう一つ聞きますが、このボーリング調査業務のほかに、同じく十一月三十日までの期間で、サンゴ類の分布、保全策に関する調査業務で百隻、ジュゴンへの影響調査業務で五十隻ということで、それぞれの仕様書に記載をされておりますので、ボーリング調査業務の千百隻と合わせて、延べ千二百五十隻の警戒船が十一月三十日までの期間に辺野古の海に配置されるということになる、これは間違いないですか。

若宮大臣政務官 はい、今委員御指摘のとおり、サンゴ類の分布等の状況及び保全措置に関する調査検討を行いますシュワブ平成二十五年水域生物等調査検討(その一)で、延べ約百日の作業期間でございます。これが一日当たり一隻ということでございますので百隻。

 それからまた、もう一件、本事業におけます底生生物等の移動に関する検討等を行うシュワブ平成二十五年水域生物等調査検討(その二)、これは五十日を予定いたしてございまして、一日当たり一隻でございますので延べ五十隻ということでございますので、トータル約千二百五十ということでございます。

笠井委員 政務官、繰り返し伺っても、千二百五十隻も配置しながら、何が妨げになるかと具体的に言われないんですけれども、大臣、これ、二〇〇四年から二〇〇五年に辺野古で実施されたボーリング調査のときに、新基地建設に反対する市民の皆さんの抗議行動で中止に追い込まれるという事態があった。そして、現在まで辺野古の海にはくいの一本も打たれていない状況で、それだけ住民の反対が強いことを政府は認識すべきだと思うんですけれども、にもかかわらず、警戒船を配置して、千二百五十隻ですよ。

 そうやって、住民の反対の声に耳を傾けようとしないばかりか、そんなにたくさん配置をしながら、反対運動の封じ込めに躍起となっているということになるんじゃないか。沖縄では実際そう思っているんです、みんな。重大だと思うんですけれども、大臣、いかがですか、こういうことを聞かれて。

岸田国務大臣 まず、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対あってはならないという認識、このことは、政府においても、また地元の皆様方の中においても共通の認識としてあると思っております。昨日の日米首脳会談におきましても、在日米軍再編の着実な進行について改めて確認がされています。

 こういった考え方に基づいて、防衛省においても、調査あるいは設計に速やかに着手するなど、一日も早い普天間飛行場の返還実現に向けた取り組みが行われていると考えております。

 そして、その際に、公正ですとか中立ですとか安全ですとか、こういった点にしっかり留意するということが大事だということは言うまでもないと考えています。

笠井委員 普天間の固定化があってはならないのは当然なんです。それから、安全ということを考えるんだったら工事をやめればいいので、そっちの調査をやめればいいので、何からの安全かという問題なんですよ。

 日米首脳会談では、普天間飛行場の移設を含めて、米軍再編を着実に進めていくことを確認し合ったというふうに大臣も言われましたけれども、地元の反対運動を力でねじ伏せて建設を強行するんじゃなくて、オール沖縄の声に真摯に耳を傾けて、新基地建設そのものを断念すべきだ、そういう方向できちっと政府は対応すべきだということを強く指摘して、きょうは終わります。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、核物質の防護に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件、刑を言い渡された者の移送に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 核物質の防護に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件

 刑を言い渡された者の移送に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました核物質の防護に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この改正は、平成十七年七月に国際原子力機関において開催された核物質の防護に関する条約の改正案の審議のための会議において採択されたものであります。

 この改正は、平和的目的のために使用される核物質及び原子力施設の効果的な防護を世界的規模で達成するため、国際輸送中の核物質を防護することに加え、締約国の管轄下にある核物質及び原子力施設の防護の制度を確立すること等について定めるものであります。

 我が国がこの改正を受諾し、その早期発効に寄与することは、核物質及び原子力施設の防護に関する国際協力を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。

 次に、刑を言い渡された者の移送に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十四年七月に、ブラジルとの間でこの条約の交渉を開始しました。交渉の結果、平成二十六年一月二十四日に東京において、私と先方駐日大使との間で、この条約の署名が行われた次第であります。

 この条約は、我が国とブラジルとの間で、相手国の裁判所が拘禁刑を言い渡した自国民受刑者等について、両締約国及び受刑者の同意があること等、一定の条件を満たす場合にその本国に移送する手続等を定めております。

 この条約の締結により、両国の受刑者の更生及び社会復帰が促進されるとともに、刑事分野における二国間協力の進展に貢献することが期待されます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、アメリカ合衆国政府との間でこの協定の交渉を行い、その結果、平成二十六年二月七日に東京において、我が方外務副大臣及び国家公安委員会委員長と先方駐日大使との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、重大な犯罪の防止、探知及び捜査を目的として、必要な指紋情報等を交換する枠組み等について定めております。

 この協定の締結により、日米両国間において、査証を免除するそれぞれの制度のもとで安全な国際的な渡航を一層容易にしつつ、両国の国民の安全を強化することに資することが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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