衆議院

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第8号 平成27年4月24日(金曜日)

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平成二十七年四月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土屋 品子君

   理事 秋葉 賢也君 理事 大野敬太郎君

   理事 島田 佳和君 理事 辻  清人君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 寺田  学君

   理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君

      小渕 優子君    大塚 高司君

      河井 克行君    小林 鷹之君

      佐々木 紀君    鈴木 隼人君

      薗浦健太郎君    土井  亨君

      渡海紀三朗君    中根 一幸君

      星野 剛士君    松島みどり君

      武藤 貴也君    緒方林太郎君

      篠原  孝君    鈴木 貴子君

      長島 昭久君    青柳陽一郎君

      木内 孝胤君    岡本 三成君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   外務大臣政務官      薗浦健太郎君

   外務大臣政務官      中根 一幸君

   防衛大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    石川 博崇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福井 仁史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  平光 信隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  小澤  仁君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐藤 達夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            伊原 純一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 藤井 健志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           佐野  太君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     土井  亨君

  吉良 州司君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  土井  亨君     大塚 高司君

  篠原  孝君     吉良 州司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水銀に関する水俣条約の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

土屋委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官佐藤達夫君、大臣官房参事官滝崎成樹君、アジア大洋州局長伊原純一君、内閣官房内閣審議官福井仁史君、内閣参事官平光信隆君、内閣参事官小澤仁君、財務省大臣官房審議官藤井健志君、文部科学省大臣官房審議官佐野太君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本三成君。

岡本(三)委員 おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。朝一、トップバッターですので、爽やかにやらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、今週、バンドン会議から六十周年ということで、総理御出席のもと、総理が初日にスピーチもされましたし、その後に習近平主席とも五カ月ぶりの首脳会談をされたわけですけれども、外務大臣として、全体的にどのように今回の総理のスピーチ並びに首脳会談を御評価されているかということをまず初めに伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のバンドン会議六十周年を記念する記念首脳会議ですが、今や世界の成長センターとして発展するアジアと、躍動する大陸と言われるアフリカの各国首脳が一堂に会する十年ぶりの機会となりました。アジア、アフリカの国々とともに、世界の平和や繁栄について議論をする、協力のあり方について議論をする貴重な機会であったと受けとめています。

 そして、安倍総理からは、我が国のこれまでのアジア・アフリカ協力の実績、今後の取り組みについて訴えつつ、六十年前のバンドン精神を想起しつつ、アジア、アフリカの国々がともに生き、ともに立ち向かい、ともに豊かになる、そのためにアジア、アフリカが結束するということ、また、日本は、六十年前にバンドンで確認された原則を、さきの大戦の深い反省の上に、いかなるときでも守り抜く国であろうということを誓い、そして、アジア、アフリカの成長を牽引するための人材育成としまして、今後五年で三十五万人の人材育成の支援を行うこと、こうした発言をし、日本の姿勢をアピールすることができた有意義な機会であったと受けとめています。

 そして、あわせて、日中首脳会談を開催いたしました。この日中首脳会談におきましては、安倍総理と習近平主席は、日中関係が改善の方向に向かっているという認識で一致し、そして、対話と交流を積み重ねてこの改善の流れを確かなものにしていきたい、こうした意思を確認いたしました。また、日中関係の発展は両国国民の利益であり、そして、地域や世界の安定と繁栄のために貢献していく必要性について一致をした、こういった会議でありました。

 今後、ぜひ、国際会議等の機会を利用しながら、両国の首脳間で話し合いを持つ、こういった機会を設け、日中関係のさらなる発展につなげていきたい、このように考えております。

岡本(三)委員 大臣、このアジア、アフリカ諸国は、冷戦の後に著しい発展を遂げられた一方で、残念ながら、民族間の対立ですとか宗教対立、またはテロ、貧困、さまざまな問題がまだまだ山積しています。

 その中で、今回、総理のスピーチの中でも、積極的平和主義という言葉を実際お使いになって、日本の世界に対する、また、とりわけこの地域に対する貢献ということをお約束されたわけですけれども、残念ながら、この積極的平和主義の理念というのがまだ明確に伝わっていないし、日本の国内においても十分に御説明ができていないのではないかなと思っているんですね。この委員会の場でも、一部の方々に関しては、これは軍事的な貢献を意味することであって、であるがゆえに、より戦争に巻き込まれる危険性が高いのが積極的平和主義だと思っていらっしゃる方々がいらっしゃいます。

 ただ、私もそうですけれども、一方、一部の方は、軍事力的な貢献をすることが抑止力につながって、結果的に戦争が起こりにくい世界を構築するための貢献だというふうに思っている。どっちにしても、軍事力の側面に物すごく光が当たっていることが強いと思うんです。

 しかしながら、積極的平和主義という本来の理念ということを考えますと、必ずしも軍事力の貢献ということに光が当たったことではないというふうに私は思っているんですけれども、岸田大臣の積極的平和主義に対する理念、どういうふうにお考えかということを初めにお伺いし、きょうの質問は、その全てにおいて、積極的平和主義という理念のもとに、日本が世界に対する貢献で具体的に何ができるかということをお伺いしたいと思いますので、大臣の積極的平和主義に対する理念を初めにお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 積極的平和主義とは何かということですが、今、国際社会における安全保障環境はますます厳しいものがあります。また、テロの脅威ですとか、あるいはサイバーを初めとする新しい脅威の登場もあります。

 こうした国際情勢の変化の中にあって、どの国であっても一国のみではみずからの平和や安定を守ることができない、これが国際社会の常識になりつつあります。やはり、みずからの平和とそして安全を守るためにも、地域ですとか国際社会の平和や安定を確保していくことが必要になってきている、こうした認識に基づいて、我が国としましても、地域や世界の平和や安定、さらには繁栄に向けて、これまで以上に積極的に貢献していく、こうした考え方を国際協調主義に基づく積極的平和主義とし、そしてこれが我が国の外交、安全保障の基本理念であると思っています。

 そして、積極的平和主義を実現するに当たっては、まずは外交を通じてしっかりとした好ましい国際関係をつくっていく、こういった努力をしなければならないと思います。そして、その上で、万が一に備えて防衛面等においても切れ目のない対応を準備していく、こういったことを考えていくべきであると考えます。

 積極的平和主義を実現するに当たって、外交的な手法によって努力をするということは大変重要な取り組みであると認識をしております。

岡本(三)委員 大臣がよくおっしゃる言葉で、私も完全に同意いたしますけれども、今の国際環境の中では一国だけで自国を守ることが難しい状況であるがゆえに、価値観を共有する国とともに協力をして平和を維持していこうという考え方、大賛成なんです。まさしくチームワークだと思うんです。

 チームワークを考えたときに、私はずっと野球をやっていたんですけれども、全員がピッチャーであっても試合というのは勝てないんですね。キャッチャーも必要だし、ファーストも必要ですし、全員が四番バッター松井である必要はなくて、イチローが価値がないかというと全然そんなことはなくて、一番バッターも出塁をして次の塁を狙っていく。

 つまり、自分が得意な分野でそのチームに貢献をして、チームの目的を達成することこそがチームワークですし、それがまさしく、大臣が常におっしゃっている、一国のみでは日本も世界も平和の秩序を維持することができないので、貢献をしていくことだと思うんです。であれば、チームの中、価値を共有する諸外国の中で、日本が得意な守備範囲、分野に極力注力をしながら、そのことが諸外国にも評価をされるということなんだと思います。

 テロが活発化いたしました二〇〇一年の九月十一日、米国多発テロ、私は、あのとき、あの現場で働いておりました。そして、二機目の飛行機は、私の目の前で突っ込んでいったんですね。物すごい砂が飛び交う中で、そして火花が飛び交う中で逃げていくような映像が日本でも流れましたけれども、私、あの中の一人でして、あの場所にいました。

 あの後、米国で何が起こったかというと、暴力に対して、怒りとともに暴力で対抗しようということで、ブッシュ政権はかなり強引な、軍事的な手法を使って、いわゆるハードパワーの抗戦をしようとしたわけですけれども、その後、その反省に立ちまして、よりソフトパワーを重視しながら、相手に対しても反撃をする一方で、世界平和を確立していこうという流れができまして、しばらくソフトパワーということが議論されました。

 ただ、その後に、やはりある程度、最低水準の軍事的な手法であったり抑止力は必要で、その上で、ソフトパワーも駆使しながら平和を確立していこうという、ハードパワーとソフトパワー両方とも利用したスマートパワーということが議論されて、今それが中心となっています。

 スマートパワーには、軍事力は最低限必要なんです。今、与党で主に議論をしております、今後、国会で議論されます安保法制についても、最低限の抑止力のための水準の向上というのは必要だと思うんですけれども、それ以上に、このソフトパワーの部分をどのように向上させていくかということが今世界の潮流となっており、私はすごく重要だと思っているんです。

 そして、日本のチームワークにおける貢献のレベルとしては、ソフトパワーの部分にこそ、日本の経験、そして技術力等々を考えたときに、より国際的に貢献できるような潜在力が秘められているのではないかと思います。例えば、それは民族間の対立の緩和であったり、難民の支援であったり、教育、文化の向上、医療水準の支援等々、さまざま、できることが山積しているというふうに思うんです。

 大臣、このソフトパワーにより重きを置いた積極的平和主義、スマートパワーの実現、どのようにお感じになりますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、冒頭で委員の方からお話がありましたチームワークの話ですが、積極的平和主義に基づいて、地域や国際社会の平和や安定に貢献するに当たって、それぞれの得意分野においてしっかり貢献をしていくという考え方、これは大変重要な考え方だと思います。

 そして、ハードとソフトの関係で申し上げるならば、防衛力の整備、あるいは法執行機関の能力強化、あるいは海洋監視能力の強化といったハード面の施策だけでなく、ソフト面の施策も重要であるということ、おっしゃるとおりだと思います。ハード、ソフト両面の施策を課題や相手国に応じて最適な形で組み合わせて最大限の効果をもたらす、こうした取り組みが重要だと認識をいたします。

 そして、ソフト面の具体的な取り組みとして、難民支援を初めとする人道支援などによる人間の安全保障の推進ですとか、教育を初めとする開発協力、また法の支配の強化、女性の権利を含む人権の擁護、さらには防災、こうした多様な施策が含まれることになります。

 積極的平和主義の立場から、国際社会の一員として、こうした責務をぜひ我が国としても果たしていきたいと考えます。

岡本(三)委員 大臣から、積極的平和主義におけるソフトパワーの重要性を今御答弁いただきましたので、具体的に何点か、そのソフトパワーを駆使できる分野について質問をさせていただきたいと思うんです。

 例えば、先週、ミャンマーのアウン・ミン大統領府大臣が来日されました。そして、その中で、半世紀以上、ミャンマーでは国内の少数民族との内戦が続いてきたわけですけれども、この停戦協定が三月に合意をされまして、具体的にその草案を五月中に調印できるというふうに言及された後、ぜひ日本に今後の政治対話にオブザーバーとして参加をしていただいて関与を強めてほしい、そして和平プロセスに積極的に日本に関与していただきたいというふうな御発言をされていらっしゃいます。

 このように、諸外国の紛争が解決に向かう中で、先方の御依頼もあって、日本がそのプロセスに関与をし、その地域の和平の構築に参画をしていく。非常に重要な積極的平和主義の拡大、確立、実現だと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

岸田国務大臣 ミャンマーにおける政府と少数民族との和平プロセスですが、これまで、我が国としましては、笹川陽平ミャンマー国民和解担当日本政府代表とともに、ミャンマー政府と少数民族との国内和平に向けたプロセスをさまざまな形で支援してまいりました。昨年一月には五年間で百億円の支援を発表し、少数民族地域における民生向上に努めております。

 委員の方から御指摘がありましたように、先般、少数民族との和平交渉を担当しているアウン・ミン・ミャンマー大統領府付大臣が来日をされました。日本の支援に対する謝意と継続的支援への期待が表明されたわけですが、三月末に停戦合意文書草案に関する基本的合意に至ったところであり、その合意の直後、私の方からも外務大臣談話を発表させていただきましたが、引き続き、我が国として、和平の早期達成に向け最大限の支援を行っていかなければならないと考えます。

岡本(三)委員 ミャンマーに関しては、これまでも日本は定住難民の受け入れの支援をしてきたわけですけれども、六次にわたって、一年に三十人ずつ家族単位で迎え入れようということで努力してまいりましたが、残念なことに余り成功しているとは言えないように私は思っています。

 実際に、受け入れに対してほとんど自治体に丸投げしているような側面もありまして、一度は日本にいらっしゃったんだけれども、やはり母国に帰るというふうに決断をされたような御家族もいらっしゃるように聞いております。

 これまでの定住難民の受け入れについて、どのように現状を外務省の方は評価していらっしゃるか、御答弁いただければと思います。

平光政府参考人 今お尋ねの第三国定住による難民の受け入れ事業につきましては、難民の自発的帰還、第一次庇護国への定住と並ぶ難民問題の恒久的解決策の一つとして位置づけられておりまして、難民問題に関する負担を国際社会において適正に分担するという観点からも重視されているという認識のもと、平成二十二年度から、パイロットケースとして、我が国の国際貢献及び人道支援を進める見地から開始されております。

 現行の定住支援体制等につきましては、受け入れた第三国定住難民が我が国に円滑に定着できるよう随時改善を行ってきておりまして、一定の評価はできるものというふうに承知しております。

 他方、御指摘のように、現行の定住支援体制等について、まだ確固たる枠組みが構築されたというには至っておりませんので、これまでの受け入れ経験ですとか、難民対策連絡調整会議のもとに設置された有識者会議の報告書における提言、検討課題等を踏まえ、今後も必要な見直しを図ってまいりたいというふうに考えております。

岡本(三)委員 私、しばしば国連難民高等弁務官事務所の方々にお目にかかる機会がありますけれども、先進国の中で、とりわけ日本においては、難民受け入れの体制がもう少し向上していただけるとありがたいというお話をよく伺います。

 歴史的、文化的なものを考えたときに、物すごく拡大ができるような環境ではまだ全然ないと思っておりますし、慎重にやらなければいけないと思っているんですけれども、ただ、一方で、今まさしく答弁にもありましたように、基本的な枠組みというのが国内にないがゆえに、しっかりとした国際社会に対するアピールもできませんし、その結果、積極的平和主義の名のもとの実際の貢献というのも水準が低いんだと思っています。

 その意味で、これを機に、ぜひ難民支援推進基本法のような基本法をまず打ち立てて、それをもとに、今後、適切なタイミングで適切な方々を受け入れていくというようなことをアピールするいい機会ではないかなと思いますが、基本法の制定についてどのようにお考えでしょうか。

平光政府参考人 これまで、第三国定住制度における難民受け入れにつきましては、先ほど申しました有識者会議におきましても、アジアの一員である我が国が、アジアで発生している難民問題に関し、主体的かつ積極的に取り組むことが国際社会から期待されているという御提言をいただいておりまして、これまで受け入れました第三国定住難民が我が国に円滑に定着できるよう、随時、改善、適切な受け入れに努めているところであります。

 具体的に申しますと、外務省におきましては定住支援施設の確保、地域定住支援員による生活支援、厚生労働省では職業相談、職業紹介、文化庁におきましては日本語教育、学習支援など、関係省庁においてそれぞれ対応しておりまして、内閣官房でも、難民対策連絡調整会議を設け、政府内での所要の調整を図っているところであります。

 今御指摘のありました基本法も含めまして、今後の受け入れ体制につきましては、国際情勢や我が国における第三国定住難民の受け入れ状況等を踏まえつつ、関係省庁、関係機関の御意見を受けるなどして、必要な調整を今後も図ってまいりたいというふうに考えております。

岡本(三)委員 私は海外に住んでいましたときに常に思っていたんですが、日本は結構いいことをやっているんですね。やっているんですが、宣伝下手だなといつも思っていまして、損していると思っていました。

 いろいろなことをやっていらっしゃるのはわかります。そのことも一歩一歩前進しているのはわかるんですけれども、積極的平和主義と言葉で言っても、国際社会に評価してもらわなければ意味がありませんから、アピール上手にならなきゃいけないと思うんです。

 その意味で、今の御答弁、理解はできますけれども、例えば、難民支援の基本法をつくりました、これをもとに今後やっていきますというそのアピールこそが、世界に対する日本への評価を高めることになりますので、一歩先に進んだ議論、御検討をぜひお願いしたいと思います。

 その上で、難民、特に中東・アフリカ地域に多いわけですけれども、全世界に今五千万人いらっしゃるというふうに言われています。

 私は、二月四日の予算委員会で、岸田外務大臣もいらっしゃる前で安倍総理に質問をさせていただいて、御提案させていただいたことがあります。

 それは、日本らしい積極的平和主義に対する貢献の仕方ということで、例えば、今、難民で何が一番問題になっているかというと、難民として避難をされた方々と、その難民受け入れ国、ここも主には途上国なんですね、ここの方々が、生活水準がまだまだ低いがゆえに、この受け入れ国の方々と難民の方の間で、ある意味対立が起こっている。難民全体が低年齢化していまして、青年層の難民が多く、一時的な難民でいずれは母国に帰っていただくことを期待しながらも、実は、難民である期間もすごく長くなっています。

 であるがゆえに、例えば、日本が、資金も提供し、建物も建て、JICAとともに人も送りながら、その受け入れ国の方々の青年と、難民として避難された方々とをともに教育をし、技術を教えて、そして知的水準を上げて、その方々が自分で生活の基盤をつくっていけるように、そういう機会を提供してはどうでしょうか。そうしたら、その受け入れ国の青年も、避難してきた人も、学ぶ中で交流ができ、ある意味そのコミュニティーで共存をしていけるような、そういう日本らしい支援はいかがでしょうかというふうに申し上げましたら、総理は答弁の中で、それはすばらしい提案だと思います、日本独自のやり方としてぜひ真剣に検討してまいりたいと思いますというふうにおっしゃったんですけれども、あれから二カ月半たちました。

 二カ月半でこういう大きな構想が動くとは思わないんですけれども、今私が申し上げて、総理がそのように御答弁いただいたことに対しまして、大臣、どういうふうにお感じになって、今後、どういうスタンスでお取り組みいただけるのか、いただけないのか、御答弁いただければと思います。

岸田国務大臣 国際社会においては多くの難民が発生をし、そして、こうした難民の方々の状況を見ますと、難民の方々自身も大きな苦難を背負われておられるわけですが、同時に、難民受け入れ国にも大きな負担が生じている。さらに、今委員から御指摘がありましたように、受け入れ地域の住民と難民の方々の間において摩擦が生じている、こういったケースもあります。

 こういった状況に対して我が国としてどう対応するかということですが、難民の自立を助ける生計向上のための支援はもちろん重要であります。これは、将来、難民の帰還後の生活立ち上げにも貢献すると思いますが、あわせて、難民を受け入れる地域や国に対する支援も重要です。

 そして、こういった考え方に基づいて、我が国としてさまざまな取り組みは行っているわけですが、今委員の方から御提案いただきました点、総理も高く評価させていただきました。ぜひ、そうした提案もしっかりと踏まえながら、難民支援を含む人道支援について、しっかりと我が国として取り組んでいかなければならないと考えます。

 この御提案につきまして、まだ具体的な動き、結果は出してはおりませんが、ぜひしっかりと検討の俎上に上げさせていただきたいと考えます。

岡本(三)委員 あと何問か質問を用意しているんですけれども、トップバッターですので、時間よりも早目に終わるということを挑戦したいと思いますので、済みません、最後の質問をさせてください。

 一昨日、アメリカの国防省が、サイバーセキュリティーの強化ということを発表いたしまして、シリコンバレーに、民間企業とともに新しい拠点を建設することを発表されました。何と、来年までに、これからたったの一年間で、現行の三倍の六千二百人に軍のサイバー部隊を増強されるそうであります。それぐらい真剣な取り組みが必要なほど、サイバーの世界における防御というのは重要になってきているというふうに思うんです。

 大臣、アメリカではやっているテレビドラマで、「24」というのをごらんになったことはありますでしょうか。私は大好きで初回から見ているんですけれども、非常に問題提起を多く含んでいるドラマでして、私、何をびっくりしたかというと、第一回を見たときに、アメリカの大統領がアフリカ系アメリカ人だったんですね、その瞬間にびっくりしました。そんなことは起こらないだろうと思っていたんです。数年したら、オバマ大統領が誕生いたしました。しばらくいたしますと、テロリストが原子力発電所を制御して狙うようなところが起きまして、それも、その後、今では大きな防御の対象となっています。

 最新のものが年末に出ているんですけれども、最新のものは何かというと、無人戦闘機グローバルホーク、これをアメリカがヨーロッパで飛ばしているときに、テロリストが乗っ取ります。それは、インターネット上で乗っ取って、アメリカがコントロールしているのを上からかぶせて、そしてそのグローバルホークがロンドンを攻撃する。

 最近の官邸のドローンとかぶさるぐらいの恐ろしい、つまり、インターネットがいろいろなものを結んで、そして、こちらがコントロールしているつもりで、防御をしているつもりでも、仮に、よりスキルの高いテロリストが、それを上書きするような形でそのことを悪の手段として使えば、平和を維持するための手段が悪の手段になってしまうぐらいの危険性をはらんだような世界になっているということを示唆しておりまして、その結果、アメリカ政府のみならず世界じゅうが、サイバーセキュリティーに対する防御というのを物すごい勢いで拡大しています。

 日本も、今やっていらっしゃることに関しては、内閣府からも説明を受けましたし、各省庁も。ただ、圧倒的に違うのは、日本のサイバーセキュリティーは、外からの攻撃に対してどういうふうに防御をするかということにとどまっているんです。

 ただ、諸外国が国際社会の中で貢献してほしいというふうに思っていることは、例えばテロリストは、宣伝もほとんどインターネットでやっています、資金集めもインターネットでやっておりますし、テロの指示に関してもネットでやっているというふうに言われています。

 つまり、日本の技術力、そして人材力があれば、大変大きなサイバーセキュリティーのチームをつくったとして、日本らしい国際貢献の中で、情報を守るだけではなくて、世界じゅうに情報をとりに行って、それを分析して、そして国際社会と協調をしながらテロリストの行動を未然に防ぐというようなことができると思いますし、望まれていると思うんですね。

 これに関して、今、実際に、まだ全く取り組みは行われておりませんし、大臣に御答弁をお願いするのも申しわけないんですけれども、要は、きょう一貫して申し上げたかったのは、日本が得意な分野があるはずです。それは、必ずしも軍事の側面ではないと思います。その上で、世界が評価をするもの、相手が好まないものをやっても全く評価されないわけですから、世界が評価するような日本の貢献ということについて、サイバーセキュリティーにおける拡大というのもぜひ御検討いただきたいと思いますけれども、もし何か一言いただければありがたいと思います。

岸田国務大臣 サイバー攻撃に対してどう対応するかというのは、国家の安全保障あるいは危機管理の面から大変重要な課題ですし、昨今の現実の動きを見ておりますと、こうした対応の強化、ますます必要性が高まっていると認識をしています。

 今月、オランダで、サイバー空間に関するハーグ会議も開催されました。我が国から中山外務副大臣が出席をしたところですが、これまで外務省としましては、この問題に対しまして、外務省の立場から、例えば、国際的なルールづくりに貢献するとか、不測の事態に発展させないための信頼醸成の促進ですとか、あるいは、こうしたサイバーセキュリティーの世界、この国際的な世界の中に穴があっては対応が不十分ということになりますので、途上国のセキュリティー上の弱点にしっかりとこの能力構築支援等を行う、こういった取り組みを行っているわけです。

 今、人材とか技術の面において日本はもっとやるべきことがある、こういった御指摘がありました。その点はおっしゃるとおりだと思います。この分野の重要性がますます高まる、こういった認識を持ち、日本として、さらにやるべきこと、できること、貢献が期待されること、しっかり検討していきたいと考えます。

岡本(三)委員 結果的に時間どおりになってしまいまして、申しわけありませんでした。

 以上で終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。

 水曜に続きまして、質問させていただきます。

 きょうは、質問通告の順番を少し変えまして、ODAを活用した地方自治体の国際協力について、最初にお伺いをいたしたいと思います。

 二〇一三年度から、地方自治体が国際協力をさまざまやっているわけでありますが、そういったことについて、ODAでこれをサポートしていこうという動きが始まり、一三年度、一四年度、そしてことしも行われているわけでありますが、まず、薗浦大臣政務官にお伺いしたいと思います。このODAを活用した地方自治体の国際協力の目的、意義について、どうお考えでしょうか。

薗浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘の自治体による国際協力の枠組みでございますけれども、特に、途上国において近年急速に都市化、経済発展が進んでおります。そんな中で、水、エネルギー、また廃棄物処理といった分野において、こうした都市問題に対応するニーズというのが非常に出てきておりまして、これは、現在、いわゆる大都市圏だけではなくて、途上国の地方都市においてもこのような問題が発生をしてきているというふうに認識をしております。

 そうした中で、水、それからエネルギー、今申し上げましたけれども、加えて、廃棄物処理とか防災等の分野で、さまざまな知見を我が国の地方自治体は蓄積をしてきておりますので、こうした途上国のニーズに地方自治体のノウハウを提供するというのは非常に有益であると考えております。

 また、我が国の自治体にとりましても、国際協力の担い手の拡大、またそれぞれの都市におけるグローバル人材の育成、加えまして、それぞれの自治体の地元の企業の国際展開、海外展開を後押しすることになるというふうに認識をしておりまして、今後ともこのODAを活用した地方自治体の海外展開というものを積極的に支援してまいりたいと考えております。

緒方委員 ありがとうございました。

 なぜこの問題を取り上げたかというと、まさに私の地元であります福岡県北九州市が一生懸命に取り組んでいるものでありまして、あと神奈川県の横浜市、最近は宮古島の方でもやっているというふうにお伺いをいたしました。

 これまで行ってきた北九州市や横浜市等の取り組みについての評価、さらには、今後こういった自治体がさらにふえていくことというのは私は望ましいことだというふうに思いますけれども、いかがでございますでしょうか、大臣政務官。

薗浦大臣政務官 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきました横浜それから北九州の件でございますけれども、横浜さんの場合は、インドのバンガロール市において、いわゆる廃棄物の処理の技術、ノウハウ、そしてこれはいわゆる分別のノウハウ等を提供して、導入が今検討されておるところでございます。また、北九州市さんは、市で国内特許をお持ちの浄水の方式、これを検証されておられまして、この実証実験を行っております。今、北九州市さんの場合は、ベトナムにおける浄水場の整備に係る無償資金の形成に寄与していただいておりまして、これは現在進行形で進み始めております。

 こうしたODAを活用しての地方自治体の海外展開というのは、極めて高く評価をしております。政府としましても、昨年から、地方自治体による国際協力の知識それから経験を共有するセミナーを開催させていただいております。こうした自治体が裾野が広くなっていくことというのは非常に大事なことだと思っておりますので、こうした展開支援というものをこれからも続けてまいりたいというふうに考えております。

緒方委員 ありがとうございました。

 現在、先ほど御紹介ありましたとおり、我が市の方もベトナムそしてカンボジアといったところで水道や環境協力の支援、国際協力を行っているわけでありますが、ここで私が思いましたのが、今は無償資金協力ということで、技術協力等々も含めてでありますけれども、行っているんですが、いずれ、将来像として、ビジネスベースに乗っていくということがとても大事なのではないかなというふうに思います。

 いつまでも無償でやり続けることというのは、十年、二十年、三十年とやり続けることはできないわけでありまして、国のそういう資金的な関与ということでいうと、最初に進出していくときには手厚く、そして、それからもしかしたら次には有償資金が来るかもしれないし、最終的にはビジネスベースに、例えば貿易保険を付加するとか、そういったところまで来た上で、ビジネスとして立ち上がっていくということがとても重要だと思います。

 今回、無償とかで行われておりますけれども、これが今後どういうふうに発展していくことを理想型としておられるか、外務大臣政務官、お願い申し上げます。

薗浦大臣政務官 御指摘いただきましたとおり、いつまでも無償というのは確かに考えづらいと思っております。

 したがって、民間の部門がビジネスを自立的に展開できるように我々として後押しをしていくという考え方、これは非常に、委員御指摘のとおり、大事でございますし、結果として、それが我が国の経済の活性化にもつながるというふうに考えています。

 したがって、このODAというのは、さまざまな開発に資する活動の中核として、多様な、さまざまな資金母体それから主体と連携をしながら、いわゆる触媒のような役割を果たすというのがODAであるというふうに考えておりまして、例えばある民間企業さんが無償資金協力に携わることでこの企業自体が国際舞台で経験を積む、加えて、国際競争力とは何ぞやということを理解して、それを高める努力をされる、それが結果的に、それぞれの企業が自立的に海外でビジネスをするということにつながっていくというふうに考えております。

 今後とも、ODAの触媒機能というものを重視しながら、官民連携を推進して、より効果的な事業のあり方というものを模索していきたいと考えております。

緒方委員 本件の最後に、外務大臣に一般論としてお伺いをいたしたいと思います。

 この件、今、案件としては、ODAを活用した自治体の国際協力に対して、これはまだ端緒についたばかりでありまして、現在行っている自治体は一生懸命頑張っています、我が町も含めて。

 ぜひお願いいたしたいのは、いい案件があれば積極的に採択するものであり、若干地元エゴかもしれませんけれども、頑張ってほしいとエールを送っていただければと思いますのと、今後の決意について御答弁いただければと思います、大臣。

岸田国務大臣 御指摘のように、全国の地方自治体はさまざまな能力を持ち、そして可能性を持っています。そして、海外から見た場合に、大変魅力的な能力をたくさん持っています。

 こうした地方自治体が国際社会においてしっかりと活躍できる環境を外務省としてもしっかりつくっていかなければなりません。ぜひ、外務省として、地方自治体のこうした取り組みを応援するべく、さまざまな取り組みを検討していかなければならないと思います。

 在外公館においても、また本国におきましても、さまざまな取り組みが考えられます。外務省としても、最近、地方創生という切り口から、飯倉公館を使いながら地方自治体を紹介する、そして、各国の在京の大使百数十人にお集まりいただいて、そうした魅力に接していただく、こういった取り組みも進めていますが、こういったものも含めて、ぜひ、外務省として、地方自治体の国際社会における活躍をしっかり支援していきたいと考えます。

緒方委員 最後の飯倉公館を使ってというのは、京都市そして福島県、二回行われたと理解しております。とてもいいプロジェクトだと思いました。発想の着眼に拍手喝采を送らせていただければと思います。

 それでは、テーマをかえまして、いつもどおり、村山談話、河野談話についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 バンドン会議でも、安倍総理の方から、全体としてこれまでの政府見解を引き継いでいくということがありました。全体としてという言葉が新しくついてきているわけでありますけれども、その言葉の意味について、メディアや我々も含めて、それが何を意味しているのかということについてよくわからないということがございます。

 私なりにいろいろ調べてみようと思いまして、では法令用語でどうなっているだろうかということを考えてみました。法令用語で全体としてと検索機能に入れてみますと、そんなにたくさんは出てこないんですが、幾つか出てまいりました。

 その中で、わかりやすいものとして、全然分野の違うことでありますけれども、税制改革法第四条第二項においてこういう規定がございます。「今次の税制改革は、全体として税負担の軽減を図るとともに、国及び地方公共団体の財政運営に基本的に影響を与えることのないよう配慮して行われるものとする。」という規定がございます。

 ここにおける「全体として税負担の軽減を図る」というのは、税制改革法の中でいろいろな税項目があるわけであります、全部の税項目において負担が下がるということではなく、上がるものもあり、下がるものもあるけれども、だけれども、それを全体として見たときに税負担の軽減が、下がる、そういうふうに読むべきものだと思いますけれども、財務省、いかがでございますでしょうか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 税制改革法につきましては、昭和六十三年六月十五日の税制調査会の答申の趣旨にのっとって行われた税制の抜本的な改革の基本理念や方針などを明らかにいたしますとともに、所得税、法人税、相続税及び贈与税の税率等の見直しによる負担の軽減及び合理化、消費税の創設、酒税等の税率の見直しなど、改革の全体像を簡潔に示したものでございます。

 委員御指摘の税制改革法第四条第二項の「全体として」につきまして、国会の場で解釈がなされたことはないと承知しておりますが、字義どおりに読めば、この税制の抜本的な改革の全体としてとの意味であり、各税目に係る見直しは負担の増減を伴うものであることを前提に、見直しによる増減収額を足し合わせたときにネット減税となる改革を行うという方針を明らかにするため、「全体として税負担の軽減を図る」との規定がなされているものと承知しております。

緒方委員 そうなんですね。増減をする、まさに、書いてあることは、全体としては負担の軽減が行われます、ただ、その中には上がるものも下がるものもある。

 これとのアナロジーで見たときに、全体として引き継ぐというときに、引き継ぐものもあるけれども、引き継がないものもある、だけれども、全体として見たときに引き継ぐのだというふうに、まあ、法令用語で使われるときにそういうふうに解釈されるわけであります。

 そうであるのであれば、普通に考えれば、引き継がないものがあり、引き継ぐものがあり、けれども、全体の流れとして、ベクトルの方向が引き継ぐというふうに向いているというふうに読むのが素直な読み方なのではないかというふうに思いますが、これはどちらですかね。外務大臣、では、お願いいたします。

岸田国務大臣 法令用語について御指摘がありました。

 ただ、全体としてという言葉について、数値化可能な税負担の増減の合計を示す全体としてという説明を歴史認識の説明に当てはめるということは難しいのではないかと考えます。やはり、同じ言葉であっても、案件によって、その趣旨まで全く同じだということではないと考えます。

 歴史認識、村山談話、河野談話を初めとする歴代内閣の立場を全体として引き継いでいるという際には、こうした歴史認識に関する歴代内閣の立場について、その全体を指すものだと思っておりますし、これは再三私の方から答弁させていただいておりますように、この部分を引き継ぎ、この部分は引き継がないということではない、全体を引き継ぐんだという説明をさせていただいております。

緒方委員 数量化されている税制の問題と、こういった、定量的なものと定性的なものでは、必ずしも同一視することができないということでありましたが、例えば、村山談話、河野談話というのがある方向性を向いていて、数量化というよりも、方向性だけ、何らかの方向に向かって動いているとすると、全体としてというときに、その一つ一つのパーツについて、その方向性と逆のものを向いているものが出ることは普通考えられるんじゃないかなと。

 これは定量的なというよりも、物事の性質として、村山談話、河野談話が向かっている方向性と違う、つまり、受け入れないものが出る、そういうことは、別に数量とか金額とかに関係なくあり得るのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

岸田国務大臣 全体の方向性と異なる部分があり得るのではないかという御指摘、ちょっと済みません、私自身、十分に理解できていないのかもしれませんが、いずれにしましても、村山談話、さらには河野談話、小泉談話を初め歴史認識に関する歴代内閣の立場があります。これについて、全体として引き継いでいるということについては、その一部分のパーツだけ、これは引き継いでいないというようなことではない、こういった考え方を全体としてという言葉に込めていると私は認識をしています。

緒方委員 大臣も非常におつらいんだろうなというふうに拝察をいたします。

 では、少し質問をかえまして、かねてから私、質問主意書でも出して、そしてこの外務委員会の場でも何度もお伺いをいたしております、村山談話、河野談話の骨子というのはいかなるものですかということをこれまで聞いてまいりました。

 質問主意書に対する答弁では、基本的には経緯論が書いてあって、先般の外務委員会でも、大臣の方から、もう少し踏み込んで、経緯プラス項目立てぐらいのところまでお答えをいただいたということであって、何とかならないかなと思って、いろいろな議事録をめくっておりましたら、きょう資料でお配りをさせていただきました、平成十八年十月六日、衆議院予算委員会の議事録におきまして、これは第一次安倍政権のときの国会答弁でありますが、安倍総理大臣の答弁として、「この河野談話の骨子としては、慰安所の設置や慰安婦の募集に国の関与があったということと、慰安婦に対し政府がおわびと反省の気持ちを表明、そして三番目に、どのようにおわびと反省の気持ちを表するか今後検討する、こういうことでございます。」と、非常に骨子として簡潔にまとめていただいております。

 お伺いをいたします。これは現在も引き継がれている考え方でよろしゅうございますか。

岸田国務大臣 まず、村山談話、河野談話、こうした談話の骨子についてですが、こうした談話につきましては、当時の内閣がさまざまな要素を総合的に勘案し、そして練りに練った上で現在の文言にまとめたものであり、全体として理解するべきであると申し上げております。よって、骨子といっても、それらの一部だけ引くことによって誤解を与えることがあってはならないと考えております。

 そして、その上で、これは先日答弁をさせていただきましたが、私の方から、この河野談話につきましては、一つは、日本政府が行った調査結果を述べ、そして二つ目として、政府としての認識を述べ、そして三つ目として、今後の対応を述べている、こうした答弁をさせていただきました。私のその答弁と、御指摘の安倍総理のこの答弁、これは両者の間に矛盾はないと考えております。

 そして、この答弁はしっかり残るのかということでありますが、これは国会の議事録にしっかり残っているわけですから、総理の答弁として、これからもしっかり記録されるものだと思っております。

緒方委員 今、寺田理事の方からもありましたが、上手な答弁だなというふうに思いました。

 ただ、先ほど申し上げた、そして今配っています、この安倍総理大臣、第一次政権のときの見解というのは、別に、ここに価値判断も何もないわけでありまして、これ自体は、単に河野談話と言われるものを、本当に、それこそ要約をして、安倍総理大臣そのものが言っておられるように、骨子であります。

 では、これは内閣官房の方にお伺いをいたしたいと思います。これは河野談話の骨子というふうに理解をしてよろしゅうございますでしょうか、内閣官房。

小澤政府参考人 河野談話の骨子かどうかということでございますけれども、河野談話は、今、岸田外務大臣からも御答弁しましたとおり、当時の内閣がいろいろな要素を総合的に勘案して、練りに練った上で現在の文言にまとめたものでございます。分量的にも、A4で一枚の紙におさめられており、その中で、さらにその一部分を取り出すとかいうことは、逆に、場合によっては国民に対して誤解を招くことにもなりかねないと思っていまして、このような観点から、河野談話はあくまでも全体として理解されるべき、そのように考えております。

緒方委員 では、お伺いいたします。

 この議事録にあります河野談話の骨子というのは、練りに練ったものを、その一部を取り出して誤解を与えかねないものだというふうに思いますか、内閣官房。

小澤政府参考人 骨子をつくるかと言われた場合には今のような答弁だったと思うんですけれども、確かに、総理が述べられたことは、先ほど外務大臣の方からも御説明しましたとおり、日本政府が行った調査結果、政府としての認識、今後の対応ということを、要するに、具体的に説明する場合にはそういうようなこともあり得るということで、四月一日の答弁で外務大臣がお答えしたとおりであって、その立場と当時の総理の答弁というのは全く矛盾しないと思います。

緒方委員 矛盾しないということは、これはこれで現政権の立場であるというふうに言っていただけますね、大臣。

岸田国務大臣 御指摘の議事録の部分につきましては、安倍総理の発言でございます。総理として、河野談話について、誤解が生じないように、しっかり検討した上で発言されたものだと思います。

緒方委員 それは現安倍政権でも、引き継ぐという言葉がいいかどうかわかりませんけれども、安倍政権としても同様のまとめをするということでよろしゅうございますでしょうか。

岸田国務大臣 この発言の内容が安倍政権としての立場であるということを確認したことはありませんが、安倍総理が委員会においてこうした発言をされたということは、しっかり記録されております。これはしっかり我々も受けとめなければならないと思っています。

緒方委員 これは河野談話の骨子ということでありますが、同じ作業を村山談話についてやっていただけますでしょうか、岸田外務大臣。

 済みません、言葉足らずでした。

 安倍総理が、こういった形で、河野談話の骨子ということで、文章にして七行ぐらいですけれども、そうやってまとめられて、骨子ということでやってこられたわけでありますが、同じ作業を村山談話でもやっていただけますでしょうか、外務大臣。

岸田国務大臣 まず、村山談話につきましても、先ほど申し上げましたように練りに練った上でまとめられた文書である、この認識をしております。一部だけ取り上げることによって誤解を招いてはならないと考えます。

 同じような作業ということについては、ちょっと、どう理解していいか難しい部分もありますが、誤解のないような取り扱いをしなければならないということについては変わらないと思います。

緒方委員 先ほどから、全体としてというのはどれかを引き継ぎ、どれかを引き継がないということではないということでありましたが、たしか一回目のときも申し上げましたが、骨子という言葉は、広辞苑等々で引いてみますと、全体を構成する上で重要な部分というふうに書いてございます。

 少なくとも、安倍総理が骨子としてまとめた、一つ目、二つ目、三つ目と分かれておりますが、この部分については、間違いなく引き継いでいるということでよろしゅうございますでしょうか、外務大臣。

岸田国務大臣 済みません、こちらの河野談話の方ですか。(緒方委員「河野談話です、済みません」と呼ぶ)

 河野談話につきましては、総理がこのように発言されたというのは国会の議事録に記録をされております。これは間違いないところだと思います。

緒方委員 間違いないところだと思いますということがございました。ということで、少し前進があったのかなというふうに思っております。

 この件、なかなか、懸念をいたしておりますのは、戦後七十年談話、いろいろ検討が進んでおりますが、やはりみんな、全体としてと。恐らく、英語で訳すとアズ・ア・ホールと書いてあるんだと思いますけれども、そこの中がどうなっているかがよくわからないから、実は、何か逃げようとしているのではないか、どこかに受け入れないものがあるのではないかという危惧を起こしている。

 実際に、これから七十年談話が出て、いろいろな、総理自身の発言であったり、それに対する国内外からの反応というものもございます。外交に非常に影響が大きいものだというふうに思っておりまして、くれぐれも八月十五日に、この談話を出したときに、変な形で国内外に悪影響が及ぶようなことがないようにすべきだというふうに思いますが、最後、岸田大臣に答弁を求めます。

岸田国務大臣 ことし発出されると言われている戦後七十年に当たっての総理談話ですが、まず、歴代内閣の歴史認識を全体として引き継いでいく、これは大前提としてつくられるものだと承知をしています。

 そして、これは総理も、また官房長官もたびたび発言していますが、その談話の中に、まずは、さきの大戦における反省を述べ、そして、戦後七十年、平和国家として歩んできた我が国の歩みを述べ、そして、これから未来に向けて日本が国際社会の平和や繁栄に貢献していくということ、戦後八十年、九十年、百年に向けてどんな国をつくっていくのか、こういった内容を盛り込むとされています。そして、その上で、今、有識者会議において議論が行われている次第です。こうしたものを踏まえて発出されるものだと認識をしています。

 総理談話ですので、これは総理の責任で発出することになるとは思いますが、今申し上げた点につきましては、内閣として確認をしているところだと思っております。

緒方委員 終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田学です。

 三回目の質疑になります。初めて、法案、条約審議ではなく、一般質疑ですので、長年思っていた専守防衛についての解釈のあり方と、前回の委員会でも質問しましたけれども、イラク派遣に対する検証ということを中心に議論したいと思います。

 ただ、一般質疑ですので、少しやぼな質問になりますが、ちょっと問題意識を持って聞きたいんですけれども、自民党の総裁選についての大臣のお考え方を聞きたいんです。やぼな質問だとは思っていますけれども、あえてお伺いします。

 今度の九月、総裁選が行われるというふうに報道をされておりますが、まず、どのような総裁選になるべきかというようなことを一所属議員としてお考えになられているのか、御答弁いただけたらと思います。

岸田国務大臣 自民党の総裁選挙ですが、自民党は昭和三十年に結党して、ことしで六十年を迎えることになります。この六十年間において、今の安倍総理で二十五代目の自民党総裁であります。この二十五人の総裁、さまざまな形で選ばれてきました。

 自民党は、結党以来、国民政党を目指し、そして多くの時期、政権を担ってきました。そうしたことから、自民党という政党は、考え方においても、人材においても大変幅広い政党だと思っています。その中にあって、自民党の総裁選挙は、総裁選挙を通じて、こうした幅広い政党であります自民党を結束させる上で、大変重要な役割を担ってきたと考えています。

 安倍総理の総裁任期、三年の任期がことしの九月に切れる、これはそのとおりであります。総裁選挙が行われることも予想されます。ぜひ、自民党が、こうした難しい国際環境の中で、また政治状況の中で、しっかり結束してこうした課題に立ち向かえる一つの材料になる総裁選挙にしたいものだと思っております。

寺田(学)委員 激動の時代ですから、その年その年でいろいろなことが変化をしていくことは当然でありますが、今の政治状況、そして政治課題、政権が掲げている主要政策を考えますと、私自身、議員になって十年ちょっとになりますけれども、もう本当に、その十年の中においても最大の日本の転換点にあるなというふうに思っています。

 人口減少問題や財政の問題、持続可能な日本をどうやって保つかということは以前から話されながらも、やはり、これからの国会で最大の焦点になるのは外交・安全保障問題ですけれども、この分野においての大きな転換点に私たちは今立っているんだなということを、それは一議員としても一国民としても思っています。

 もう一問質問しますけれども、九月の総裁選において外交、安全保障については十分議論されるべきだというふうに思われていますか。

岸田国務大臣 外交、安全保障につきましては、我々自民党の党内におきまして、平素からさまざまな議論を積み重ねてきております。野党の時代も、また政権に復帰してから後も、党内におきまして熱心に議論を続けてきたところであります。

 そして、昨今の外交、安全保障をめぐるさまざまな新たな議論、昨年の七月一日の閣議決定を初めさまざまな課題、議論に当たりましても、時間をかけてしっかり議論を積み重ねてきたところであります。

 総裁選挙においては、どんな総裁選挙が行われるのか、今の段階では具体的に予断はできませんが、こうした議論の積み重ねの上に立って必要な議論が行われるものではないかと想像いたします。

寺田(学)委員 最後にしますけれども、まあ、ひとり言に近いですが。

 他党の人間とはいえ、一国民でもありまして、そして議院内閣制をしいているこの国においては、与党第一党の総裁、党首が総理大臣となり、国を運営していく、大きな方向性を打ち出していくということは、制度上担保されている問題だと思います。ですので、私自身、今の安倍政権が提唱している、特に安全保障の考え方にも賛同できませんし、それを説明するあり方に関しても、非常に謙虚ではない、誠実ではないと思っています。

 一番最初の質問のときに、第一問目で大臣にお伺いした、保守本流とは何かという問いをさせていただきました。大臣も御自身のフェイスブックのページでそういう答弁をしたということをアップされていましたけれども。私は、そのときに大臣がお話をされた保守本流のときの自民党を強く支持しています。

 党は違いますけれども、大臣がそのとき述べられた、言論であり表現の自由を大事にするんだということ、そして、歴代内閣の中で、寛容と忍耐、信頼と合意、そして何よりリアリズムを大事にし、権力に対しては謙虚であるというのが保守本流であると。私は、そういう政治をどの党であっても行ってほしいというふうに願う一人であります。

 本当にやぼな提言になりますけれども、岸田大臣として、総裁選に臨むに当たってのさまざまな時間軸があるのかもしれませんが、このような歴史的な転換点にあるからこそ、立候補されて、ぜひとも、この国の方向性に対して御自身の保守本流の考え方を述べていただくことを私自身としては望んでいるということを述べた上で、何か一言あるとしたら、御答弁いただけますか。

岸田国務大臣 今現在、我が国において、外交や安全保障をめぐって大変大きな議論が行われているのは事実だと思います。

 そして、今委員の方から、十分国民に説明できていないのではないか、こういった御指摘等があったことについては、これは絶えず謙虚に受けとめ、みずからを振り返っていかなければならないと思います。ぜひ、さまざまな場を通じて、自民党のあり方、そして考え方、また外交、安全保障の議論について、説明責任を果たすべく努力をしていかなければならないと思います。

 総裁選挙につきましては、これから秋に向けて、どんな議論が行われ、そしてどんな動きがあるのか、これによって総裁選挙のありようも変わってくるのではないかと思います。ぜひ、自民党の一員として、自民党がしっかり結束し、そして国民から理解される、こうした取り組みを続けていきたいと思いますし、その中にあっても、総裁選挙がしっかり役割を果たしてくれることを期待しております。

寺田(学)委員 それでは、先ほど申し上げたとおり、専守防衛についての議論をしたいと思います。

 あらかじめ申し上げておくと、今回の閣議決定、去年の閣議決定による新しい安保法制の中身の是非ではなく、自衛隊の活動の範囲が広がるわけですけれども、そういう活動内容の変更に対して、どのように国民に説明をするのかという、その説明のあり方に対する質疑をしたいというふうに思っています。

 まず、基本的なことですが、専守防衛とはどのような考え方でしょうか。では、内閣府、よろしくお願いします。

石川大臣政務官 お答え申し上げます。

 累次国会等でも政府より答弁させていただいております専守防衛の定義でございますけれども、専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものでございまして、我が国の防衛の基本的な方針でございます。

寺田(学)委員 今御答弁いただいた中の定義、相手から云々とあります。その中の、相手から武力攻撃を受けたときというのは、どのようなときを指しているんですか。御答弁いただけますか。

石川大臣政務官 お答え申し上げます。

 相手から武力攻撃を受けたとき、これは、これまでの憲法九条のもとでの自衛権の発動の要件でございました、我が国に対する武力攻撃が発生したとき、これを指しているものと思います。

寺田(学)委員 我が国に限定してよろしいんですね。

石川大臣政務官 ここで言うところの、専守防衛の定義によります、相手から武力攻撃を受けたときというものにつきましては、先般の閣議決定におきましても、憲法第九条のもとで許容されるのは、あくまでも国民の命と幸せな暮らしを守るため、必要最小限度の自衛の措置としての武力行使が認められるのみとさせていただいております。

 したがいまして、我が国または我が国と密接な関係にある他国への武力攻撃の発生が大前提でございまして、他国を防衛すること自体を目的とするものではないというのが昨年の七月一日の閣議決定の内容でございます。

 専守防衛とは、先ほど申し上げましたとおり、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものでございますが、政府として、我が国の防衛の基本的な方針であります専守防衛を維持することには変わりはございません。

寺田(学)委員 答弁が変わっています。

 一番最初にお答えになられたときには、自国が攻撃を受けたときと言われました。御答弁を変えるんですか。最初の答弁を変えるのであれば、まずそれを訂正すると言ってから、違う答弁をしてください。

 今回の、相手から武力攻撃を受けたときというのは、当初の御答弁どおり、自国が攻撃を受けたときでよろしいですか。

石川大臣政務官 先ほど申し上げましたのは、我が国に対する、九条のもとで自衛の措置がとれるこれまでの要件ということについて述べさせていただいたものでございます。

寺田(学)委員 何を言っているか全然わかりません。もう一度ちゃんと答弁してください。

 一番最初に、私が、相手から武力行使を受けたときというのはどういうときですかと質問したときには、自国が攻撃を受けたときですとお話をされました。その答弁は間違っているんですか、それともそのとおりでよろしいんですか、どちらですか。

石川大臣政務官 誤解をお招きしたとしたらおわびを申し上げたいと思いますが、私が申し上げましたのは、憲法九条のもとで自衛の措置がとれることについての解釈についての武力攻撃というものについてお答え申し上げたものでございます。

寺田(学)委員 質問に対して答えていないんです。

 では、もう少し見方を変えて言いますが、この定義、相手から武力行使を受けたときの中に、他国が攻撃を受けたときも入るんですか、入らないんですか、どちらですか。

石川大臣政務官 専守防衛とは、先ほども申し上げましたが、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るというものでございます。

寺田(学)委員 委員長、答えていないです。質問を続けられないですよ。すごく基本的な問題です。

土屋委員長 しっかり答えてください。

石川大臣政務官 お答え申し上げます。

 専守防衛におきましては、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使するというのは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない場合に、必要最小限度の実力を行使することを満たす場合を含むことと考えております。

 いずれにいたしましても、他国への武力攻撃の発生が大前提でございまして、他国を防衛すること自体を目的とするものではございません。

寺田(学)委員 端的に答えてください。

 今お認めになられましたけれども、他国が攻撃されたことも、この歴代内閣が答弁してきた武力行使を受けたときに入るという解釈でよろしいですね。

石川大臣政務官 あくまでも、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使するというのは、新三要件にあります、我が国に対する武力攻撃はもちろんでございますが、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合も含むものでございます。

寺田(学)委員 他国が含まれるという解釈になったんですね。

 これはいつから変わったんですか。

石川大臣政務官 我が国の防衛の基本的な方針として、専守防衛を維持することは変わっておりません。

 この専守防衛の定義にあります、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する、この相手から武力攻撃を受けたときというものは、新三要件、すなわち、先ほど申し上げましたが、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合、これを満たす場合も含むというふうに認識しております。

寺田(学)委員 答えていないです。いつから変わったんですかと聞いているんです。

 従前からそうだったんですか、それともいつか変わったんですか、どちらですか。

石川大臣政務官 昨年の七月一日の閣議決定において、政府として、憲法九条のもとでとり得る自衛の措置の新たな三要件というものを示させていただいたところでございます。

寺田(学)委員 手元に、当時の、七月一日の閣議決定がありますが、どこにも書いていません。

 どこに書いているんですか。どこに書いているから閣議決定で変わったと言えるんですか。御答弁に責任を持ってください。

石川大臣政務官 お答え申し上げます。

 昨年の閣議決定でございますが、憲法九条のもとで許容される自衛の措置という段落のところにおきまして、「この自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認されるものであり、そのための必要最小限度の「武力の行使」は許容される。」というふうに規定させていただいております。

寺田(学)委員 それは新三要件を生み出す意味での閣議決定の文章で、専守防衛の解釈が変わったことを証明している話ではないでしょう。憲法から導き出される防衛の基本的な理念なんでしょう、これは。もし変えているんだったら、その場で書かなきゃいけないじゃないですか。書いていないんですよ。だから、いつから変わったんですかと聞いているんです。

 この閣議決定で変わったというなら、どこに書いているんですか、書いていないけれども変わったと誰が決めたんですか。

石川大臣政務官 繰り返しになりまして大変恐縮でございますが、専守防衛の精神、我が国の防衛の基本的な方針であります専守防衛を維持することに変わりはございません。

寺田(学)委員 岸田大臣にお伺いします。

 政府の一員たる防衛政務官が、七月一日の閣議決定で、専守防衛の定義の中にある武力行使を受けたときには他国が入るという変更がなされたと答弁していますが、外務大臣、そのとおりでよろしいですか。

岸田国務大臣 今のやりとりを聞いていまして、ちょっといま一度確認はしたいとは思いますが、私自身は、専守防衛につきましては、武力行使を受けた上での受け身の対応であり、必要最小限の備えを持つ、そういった定義であったということで、これは従来から変わっていないと認識をしております。

 そして、その武力行使を受けた場合ということについて、先ほど防衛政務官からありましたように、七月一日の閣議決定において、国民の命や暮らし、幸福追求の権利を守るために必要なものとして、限定的な集団的自衛権を認める必要があるのではないか、こういった議論をさせていただいているわけですが、その過程の中において、武力行使を受けたという部分において、他国への攻撃も含まれることになった、このように認識をしております。

寺田(学)委員 政府でちょっと答弁が違います。

土屋委員長 少し時間をとめまして、石川政務官、整理していただいて、きちっと答弁していただければと思います。

 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

土屋委員長 では、速記を起こしてください。

 石川政務官。

石川大臣政務官 お答え申し上げます。

 確認をさせていただきました。

 専守防衛の定義そのものは全く変わってございません。相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、そして、その防衛力も自衛のための必要最小限度に限るという、この防衛戦略の基本的な姿勢、受動的なものであるということは全く変わっておりません。

寺田(学)委員 では、聞きます。では、他国は入らないんですね。

石川大臣政務官 今回、閣議決定で規定させていただきました、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使するとは、新三要件を満たす場合に限るとさせていただいております。すなわち、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生する、こうした場合も含むものでございます。

寺田(学)委員 新三要件を前提にするからには、新とつけている以上、変わっているじゃないですか。答弁が一貫していないですよ。他国は入らないんですよね。入らないなら入らないと言わなきゃいけないし、新三要件を持ち出したら、それは他国が入っているじゃないですか。

 私が申し上げたいのは、新三要件の中身云々、冒頭申し上げたとおり、そこを議論していないんです。誠実に国民に説明するなら、自国を守るために今までの専守防衛の考え方を変えると言わなきゃいけないものを、変わっていないと言いながら変えているのが私は不誠実だと言っているんです。

 他国は入るんですか、入らないんですか。

石川大臣政務官 お答え申し上げます。

 あくまでも、今回の新三要件で、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したときも、憲法九条のもとでの自衛の措置が行えると政府で閣議決定をさせていただきましたけれども、これは他国を防衛すること自体を目的とするものではございません。

 先ほど申しましたとおり、我が国が防衛戦略の基本的な姿勢として掲げてきました専守防衛、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使するという姿勢は全く変わってございません。

寺田(学)委員 わかってやっていると思いますけれども、自国を守るのか他国を守るかの議論じゃないんです。政務官が御答弁された専守防衛の定義は、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、このときの、武力行使を受けたときに、自国を守るためであろうとも他国を守るためであろうとも、受けたときというときには、自国以外の他国も攻撃を受けたときは入るんですかと聞いているんです。御答弁ください。

 大臣、答えられますか。では、入るのか入らないか、御答弁ください。

岸田国務大臣 我々の説明が不十分だったので、ちょっと整理いたします。

 要するに、専守防衛について議論する際に、政府としてよく説明させていただく形は、要は、七月一日の閣議決定によって、新三要件に該当するものについては我が国としての武力行使が認められる、こういった説明をしているわけですが、その中に限定的な集団的自衛権の行使も含まれる、このように説明をさせていただいております。

 そして、限定的な集団的自衛権も、こうした我が国の行える措置の中に含まれるとしても、これは、そもそも専守防衛の定義が武力行使を受けた上で対応するということでありますので、閣議決定が行われ、今申し上げましたような変化があったとしても、他国に対しても自国に対しても、いずれにせよ、武力行使が行われてから対応するという意味では変わりはありませんので、専守防衛の原則は全く変わりませんということを説明させていただきます。

 そういう説明をさせていただいているわけですが、結果として、御指摘のように、専守防衛の、武力行使が行われてから対応するこの武力行使は、我が国に対する場合と密接な関係にある他国に対する場合と両方含まれるということになると認識をいたします。

寺田(学)委員 両方含まれると従前から解釈されていたんですか。それとも、新三要件が決められたときに変わったんですか。どちらですか。

岸田国務大臣 専守防衛の定義は全く変わっておりません。よって、七月一日の閣議決定によって限定的な集団的自衛権を認めたとしても、専守防衛は全く変わらない、こう説明をさせていただいております。

寺田(学)委員 上手に答弁されていますけれども、逃げていますよ。

 だから、受けたときの対象が自国以外の他国にも及ぶということは、従前から、それも変わらず解釈されてきたんですか。わざわざ憲法は解釈改憲をやりましたよね。最初から、従前から、田中角栄が大臣のときからですけれども、そのときから御答弁されているこの定義の中の解釈、自国以外にも、他国が攻撃された場合も自国を守るために専守防衛なんだという解釈で今までも御答弁されてきたのか、七月一日に変わったのか、どちらなんですか。もともと含まれているんですか、他国が攻撃されたことまで。

岸田国務大臣 もともと、専守防衛というものの定義につきましては、相手から武力攻撃を受けたときという定義、これは全く従来から変わっておりません。

 そして、その際に、七月一日の閣議決定以前においては、よく引用されます昭和四十七年の政府見解に基づく考え方においては、これは、自国に対する攻撃しか念頭になかったかと思いますが、相手からの武力攻撃ということにつきまして、七月一日の閣議決定において、限定的な集団的自衛権を認めるということであるならば、密接な関係にある他国に対する武力攻撃も当然含まれることになると思います。

 しかし、いずれにしましても、専守防衛の原則は全く変わらないということであると説明をさせていただいております。

寺田(学)委員 大臣、一外務委員会の御答弁ではありながら、今まで積み上げてきた、それこそ自民党政権の中で積み上げた議論を、たかだか答弁一つで、今、変えていますよ。

 念頭になかったという言い方をしていますが、もともと、この中には、他国が攻められることまで想定されていたわけではない、ただ読めていたんだと。許されていたんだけれども念頭になかったんだということなんですか。

 冒頭の質問に戻りますけれども、こういう権力の拡大に関しての謙虚さがかけらもないですよ。ちゃんと説明したらいいじゃないですか。少なくとも今までの自民党は、額賀先生とかもやられていますけれども、自国を守るために専守防衛の考え方を変えるべきだとちゃんと議論されていますよ。議論した上で、防衛政策を組み立てていこうとしています。誠実ですよ。

 今の政権がやっていることは、自分たちの武力を拡大したいということで法律をつくりながら、国民に対する説明は、今のようなわけのわからない説明で、専守防衛は守っています、もともと他国が攻撃されたことまで含めているんだ、そういう詭弁を言うから、私は信用できないんです。

 これは次の機会も質問しますけれども、この専守防衛に係る定義の中の、武力行使を受けたときに他国が入るのか入らないのか、そして、入るということが決まったのはいつからなのか、それをちゃんと今後御答弁いただけるように政府で調整しておいてください。

 以上で質問を終わります。

土屋委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 格調高い質問の後に恐縮ですが、一時間ほどやります。盛りだくさんですが、数が多いので答弁も端的にお願いをしたいと思います。

 先ほど岡本委員も、サイバーテロ、ドローンの話が出ていました。また、昨日の本会議でもこの質問が出ていましたけれども、四月二十二日に総理官邸の屋上でドローンが発見されました。その概要と今後の防止対策、これは既に官房長官の方から規制について言及がなされ、取り組みが始まっているところでありますけれども、その点についてお伺いをいたします。

福井政府参考人 失礼いたします。内閣官房でございます。

 お尋ねいただきました、一昨日になりますけれども、総理大臣官邸の屋上でドローンが発見されました事案について、概要を御説明させていただきます。

 一昨日、四月二十二日になりますが、午前十時二十七分、官邸の屋上にドローンと思われるものがあるのを職員が発見いたしまして、十時四十分に警察に対して通報を行ったものでございます。

 事件の概要につきましては、現在、警察機関において捜査中でございますけれども、警察庁の方の現状の調べによりますと、遺留物でありますドローン様のものにつきましては、プロペラが四枚ついていた、装着物件として、カメラ様のもの、プラスチック様の容器、発煙筒様のものが装着されていた、このうちプラスチック様の容器の直近から微量の放射線を検出したということでございます。事実関係としては、現状、以上でございます。

 もう一つ、今後の防止対策につきまして御質問がございました。お答えさせていただきます。

 ドローンを初めといたします小型無人機につきましては、既に、航空法を所管する国土交通省において運用ルールの策定の検討を進めていたところでございますが、今回の事案を受けまして、関係行政機関相互の緊密な連携を確保していこう、そして総合的かつ効果的な取り組みを推進しようということで、本日午後に、小型無人機に関する関係府省庁の連絡会議を開催することとしております。

 政府としましては、この会議を中心にして、首相官邸を含む重要施設の警備体制の不断の検証と見直し、それから小型無人機の運用ルールの策定、制度の見直しなどにつきまして、早急に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小熊委員 ドローン様のもの、あれはドローンなんですけれどもね。カメラ様のもの、あれもカメラなんですけれども、まあ、それはいいんですが。

 一方で、政府の方でも、特区で、秋田県の仙北市で、これの利活用に向けて今取り組んでいるところでありますし、諸外国なんかでも、この可能性について、どう利活用していくかということが大変盛んに議論されているところでもあります。

 実は、私も三台ほど持っていまして、三台ちゃんと保管していますから、あれは私のではないんですが。何で持っているかというと、やはり、これがいろいろな成長可能性分野であるということと、やはり今の過疎化対策であるとか、いろいろな流通の形態を変えるものであるとか、あと、多分、昨年の広島での土砂災害のときも、これはいろいろな現地を把握するのに利活用されたというのも私は報道で見て、なるほどなと。

 今後、これは規制の一方で、やはりどう活用していくか、また日本の成長戦略にどう組み込んでいくかということが重要だと思います。そうした意味で、今、政府の方も取り組んで、仙北市を特区にして実験段階に入っているということでもありますから、こうした事件がもう二度とあってはならないんですけれども、一方で、では、規制ばかりで、結局、利活用の方がおざなりになるということはあってはならないというふうに思っています。

 そうした法整備に関しては、この規制、防止策だけではなくて、まさに成長戦略に組み込んでいくような、利活用といった部分もしっかりと取り組んでいくべきだと思いますが、御答弁をお願いします。

福井政府参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、ドローンあるいは小型無人機につきましては、その利活用についても十分検討の対象となるべきものと考えております。一方的な規制ということではなくて、きちんとした運用ルールを策定していくということで、今後、検討に取り組んでまいりたいと考えております。

小熊委員 きのう質問通告したときも、どこの省庁が答えるかですごく右往左往しているので、そういう状況は非常に危惧されますから、しっかりとどこが所管するかを決めて、リーダーシップを発揮してやっていただきたいというふうに思いますし、その際に、これは残念ながら、やはり外国の方がいろいろな意味で議論も進んでいるし、法整備の検討も、もう既に入っている国、なされている国というのがあります。

 これは外務省の方にお聞きしますけれども、諸外国でのそうした事案、このドローンを使ったテロ等の発生状況とか、そうした状況を把握しているのか、お伺いいたします。

薗浦大臣政務官 現時点で、全ての国における全てのこうしたものを網羅的に把握しているわけではございませんけれども、私どもとして承知しておるものとして、まず、フランスにおいて、昨年十月でございますけれども、原子力発電所の上空において飛行が目撃をされております。また、ことし二月には、エッフェル塔を含みますパリの観光名所、またアメリカ大使館の上空を飛行するところを確認されたというふうに承知をしております。また、二月の二十五日にフランスの捜査当局が、このドローン、無人機を無許可で飛行させたということで、アルジャジーラの記者三人を拘束しております。

 また、米国においては、ことし一月、ホワイトハウスの敷地内に娯楽目的で飛ばしていたものが墜落したという事案については承知をしております。

小熊委員 既に海外ではこうしたいろいろな事案がある中で、やはり日本はちょっと取り組みがおくれていたなというふうに思いますし、利活用の分野もですよ。私の地元の経済人が、アメリカのいろいろな技術の見本市に行ったら、ほとんどがドローンのブースだった、びっくりしたと言っていましたけれども、両方の部分で進んでいるんですね。

 それがわかっていながら、日本はやはりちょっとおざなりになっていたということですから、これを巻き返すべく、これからの取り組みをしっかりやっていただくことをお願いしたいと思います。政府機関だけではなくて、おっこちて個人がけがしたときどうするんだとか、また、いろいろな盗撮とかということも、これも防止していかなければいけませんから、政府の重要施設、公的な施設だけではなくて、そうした個人の権利を守っていくという部分も確保しながら、対策に早急に取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、次に移ります。答弁者はもう結構です。

 TPPについてですけれども、本日、民主党と我が維新の党が共同提案で、このTPPの情報公開に関する法案を提出する予定となっておりますが、この間の日米閣僚協議のこれまでの成果について、改めてお伺いいたします。

西村(康)副大臣 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、十九日夜から二十一日未明にかけて、甘利大臣とアメリカのフロマン通商代表との間で、日米の残された課題について、閣僚間で、激しい、厳しいやりとり、協議が行われたところでございます。

 両大臣の夜を徹した努力によりまして、二国間の距離は相当縮まってきたというところでありますけれども、依然、米を含む農産品それから自動車について、まだ解決すべき課題が残っているということで、合意までには引き続きの努力を要するということで、両大臣から両チームの事務方に、引き続き残された課題について協議を継続するようにということで指示が出ているところでございます。

 いずれにしましても、最終局面に来ているということでありまして、国益を最大限に実現すべく、粘り強く交渉を続けてまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 今副大臣の答弁のとおり、相当詰まってきた、最終段階に入りつつあるということでありますが、アメリカ側の通商代表部のフロマンさんは年内の交渉妥結について言及していますが、そのことに対しての見解をお伺いしたいと思います。

西村(康)副大臣 御指摘の点でありますけれども、フロマン通商代表は、一月に行われました米国議会の公聴会におきまして、今後数カ月以内の短期間で妥結させるという趣旨の発言をされたということは承知をいたしております。

 私どもが考えているのは、TPPが十二カ国で交渉しておりますけれども、ここで妥結をするには、一つには、アメリカのいわゆるTPA法案、これが成立をすること、それからもう一つは、日米の協議がほぼ大筋合意、こうしたものが見えてくること、この二つが重要だと考えております。

 前者の点につきましては、参加各国は、TPAがなければアメリカ議会からまた再交渉を求められるという可能性が出てくるわけでありますので、それぞれの国にとってみれば、いわゆる最後のいろいろなカードをまだ切れないという状況にありますので、そういう意味で、このTPA法案が重要だ、交渉妥結の前提になるということだと思います。

 それから、後者の点、日米協議でありますけれども、これは十二カ国の中で日米が約八割のGDPの規模を占める二大大国でありますので、やはり日米がまとまらずしてほかの国はまとまらないという認識を各国共通に持っているんだろうと思います。

 そういう意味で、今回の日米協議で一定の前進、かなりの前進が見られたということ、それから、TPA法案も、二十二日に上院の財政委員会で可決されて、それから二十三日、昨日でありますけれども、下院の歳入委員会でも可決されたということで、成立に向けて大きく動き出したということでありますので、いずれにしましても最終局面で、早期妥結に向けて、私どももしっかりと粘り強く交渉を続けていきたいというふうに考えております。

小熊委員 先日、緒方委員と城内副大臣とのやりとりでも、情報の公開のあり方について議論がありました。きょう、我々も法案を提出するわけでありますが、もちろん交渉中のものですから全てを出せというわけでもないですし、また、アメリカの議会と日本の議会の仕組みも違うわけでありますけれども、やはり我々も、しっかりと国益に資するものとなるかどうかということは、今の情報の段階だけでは、何とも、議論が深まっていかない、国益に資することが我々もできないということです。

 しっかりと、交渉の過程とはいえ、国会を挙げて国益に資するような情報の開示の仕方を、我々は法案を提出しますけれども、政府の側でもやはりこれを考えていただきたいなというふうに思っています。我々もこれを前向きに捉えて、しっかり日本の成長戦略に捉えていかなきゃいけないというふうに思っていますから。今の段階で何も、ブラックボックスの状態で待っているしかない、それは国民も同じです。国民も同じでありますから、ひとつ御検討をお願いしたいというふうに思います。

 あわせて、これに先立って、我が党は昨年できた政党ですが、その前身の日本維新の会では賛成はしませんでしたが、衆議院の農水委員会において、環太平洋パートナーシップ協定交渉参加に関する件の決議がなされています。ここでは、マスコミ上は五項目と言っていますが、いわゆる五品目の堅持に言及しているわけでありますが、この農水委員会の決議についての御見解をお伺いいたします。

西村(康)副大臣 前段の情報提供につきましても、しっかりとこれまでもやってきているつもりでございますけれども、もう最終局面でもあるということも含めて、さらに情報提供、しっかり努力をしていきたいというふうに思います。

 その上で、決議についてのお話でございますが、もう御案内のとおり、最終的には、交渉を妥結したとしても我が国では国会で承認をいただかないとこれは批准できませんので、そういう意味で、決議というものをしっかりと私ども踏まえて、これの範囲内で合意をしなければならない、そういう思いで交渉を続けているところでございます。何とかこの範囲内であるという評価をいただけるように、妥結に向けて交渉を続けてまいりたい、攻めるべきは攻め、守るべきは守るという視点で最後まで最善の道を追求していきたいというふうに考えております。

小熊委員 これは国民もちょっと誤解している部分があって、確認しますけれども、わかりやすく五項目、品目にすると五百八十六品目とかも言われていますけれども、五項目、それぞれパッケージで押し引きしているのではなくて、その品目ごとにやっているわけですね、報道ベースでも。同じ米の中でも加工のものをどうするかとかなんとかということで、米全部、米とかかわるものは全部だめだとかということでもなくて、牛の中でもこれでだめだということじゃなくて、その中の品目によっていろいろ押し引きをやっている。

 個別具体例で押し引きしているということは言わなくても結構ですけれども、細かく品目ごとにいろいろな駆け引き、交渉をしているという認識でよろしいですか。

西村(康)副大臣 交渉の細かな内容は申し上げられませんけれども、一定のタリフラインというもので品目がありますので、我々、決議を踏まえながら、それぞれの品目についていろいろな交渉がなされているということでございます。

小熊委員 私、地元にいると、これは決議しただろうと。我々の党は、前身の党はまざっていなかったんですけれども、決議しただろうと言われるんですけれども、私の地元の、多分多くの国民の皆さんがそうだと思うんですが、五項目そのものなんですよ、フルパッケージで守れるというのが決議されたというふうに思っているんです。

 私が地元で説明するのは、今副大臣がおっしゃったとおり、そのものではなくて品目ごとにいろいろやっているはずですよと言っているんです。そうですよね。五項目、フルパッケージでやっているわけじゃないですよね。その中、品目ごとにいろいろあるわけですよね、押し引きが。どっちが正しいんですか、この決議文の認識。

西村(康)副大臣 細かい交渉内容を申し上げるわけにはいきませんが、ここに書いてございます決議、「重要品目について、引き続き再生産可能となるよう」云々、こう続いておりますので、この範囲で、国会でお認めいただけるようにということで交渉を続けているところでございます。

小熊委員 米全部じゃないんですよね、例えば米の中でもいろいろあるんですよね。品目でやっているんですよね。項目で五枚のカードしかないということじゃないです、五項目のカードだけじゃないわけですよね。何百品目のカードで押し引きしているということですよね。質問はわかりますか。

西村(康)副大臣 細かい交渉の内容を申し上げるわけにはいきませんけれども、もちろん、繰り返しになりますが、それぞれの品目にタリフラインがありますので、そのタリフラインでいろいろな品目についての交渉を行っているということでございます。

小熊委員 これは選挙の際もやられたんだけれども、五項目を堅持しますとやっているわけですよ、政府・与党の皆さん。やらない人も多分、副大臣なんかはやらないで、正々堂々、TPP賛成でやっていたと思いますけれども。

 国民の側も誤解しているんですね、この決議文の内容を。そういう部分も、これから、交渉妥結に至る過程の中でしっかり情報開示をして、妥結をしたらしたなりにしっかり説明をしなきゃいけないという意味では、ここは誤解がある、この決議文については誤解の認識があるということを踏まえてやっていただきたいと思います。

 政府としても、しっかりTPPに真剣に向き合っているのであれば、ぜひ御党内でも、そうした間違った、ミスリードするような国民への説明ではなくて、五項目の中にもそれぞれ、いろいろ細かくは押し引きがありますよ、一〇〇パーでもないんですよという話をしていただくようにしないと、これは国民に対して失礼な話になってきますから。ぜひ、そうした的確な説明責任、そして主張していくということが真摯な態度であろうかと思いますし、そうでなければやはり政治の信頼を失いますから、そうした表現、また情報公開のあり方をしっかりと捉えていただくようにお願いを申し上げて、次の質問に移ります。

 日中関係についてですが、これは重なる部分もありますけれども、二十二日にインドネシアで開催されたアジア・アフリカ会議六十周年記念首脳会議に合わせて日中会談が行われましたけれども、この概要と評価についてお願いします。

岸田国務大臣 二十二日に行われました日中首脳会談におきましては、安倍総理と習近平国家主席との間で、まずは、日中関係が改善の方向に向かっているという認識で一致をしました。そして、今後さまざまなレベルで対話と交流を積み重ね、関係改善の流れを確かなものにしていきたい、こういった意思を確認いたしました。そして、日中関係の発展は両国国民の利益であり、戦略的互恵関係の推進により、地域や世界の安定と繁栄のために貢献していくことの必要性について、両首脳で一致をいたしました。

 こうした意義ある会談であったと受けとめております。

 そして、今後、国際会議等の機会を利用し、今回同様に首脳同士が率直に話し合う機会を設けることによって、日中関係のさらなる発展にしっかり取り組んでいきたいと考えています。

小熊委員 その会談の際に、AIIBについてのことで、参加を促されたということはありましたか。

薗浦大臣政務官 首脳会談の中において、中国側から、AIIBについて、主席より、一帯一路構想とともに、中国が提唱しているアイデアとして紹介がございました。

 その発言の中でございますけれども、今委員が御指摘されたような、日本の参加を直接に要請するような発言はございませんでした。

小熊委員 日本は慎重なスタンスであるということは、これまでのさまざまな質疑、また政府の閣僚の方々のコメントを見れば明らかではありますけれども、透明性をしっかり確保してくれということを日本政府としても打ち出していますし、アメリカなんかは、入りはしないけれども、世銀を通じての共同の事業もやろうかという発言が見られているわけであります。

 日本も、アジア開発銀行を通じてAIIBと連携するということも、可能性として別に否定するものではないんですけれども、このAIIBがやる投資事業の中で、北朝鮮に投資をするということも出てくると思います。そうした場合のことは想定していますか。

 もし、今は別に入るか入らないか決めていない、入らないという慎重な意見も財務大臣はしていますが、仮定の話ということではなくて、今後、連携していくにしても、何もしないにしても、それはこの中で行われてくるわけですから、このAIIBのスタンスとして、北朝鮮に対する投資が行われるということに関してはどのように検証をされているか、お伺いいたします。

薗浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員からもありましたように、今まさに設立協定の交渉中ということで、この場で、私、政府側から、将来起こり得べき案件について、予断を持って申し上げることは控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしても、アジアの膨大なインフラ需要にどう応えるかというのは重要な課題ではありますけれども、このAIIBというものが、恣意的な運用がなされ、既存の国際金融秩序に混乱を招くようなことがあってはならないという立場は変わりませんので、我が国としては、こうした観点を踏まえて、関係国と連携しながら、このAIIBというものが国際金融機関にふさわしい組織、基準を満たすように働きかけを続けてまいりたいと思っております。

小熊委員 今政務官が言った、透明性が確保されて、恣意的な運用がなされない場合で、北朝鮮の事案が採択されたということも、出てくる可能性はありますから。だから、AIIBに対するいろいろな見方の一つの指標として、物差しとして、北朝鮮にやる場合は日本はどういうスタンスをとるかということも考えておかないといけないと思うんですよ。

 入るときも、もしアジア開発銀行と共同の事業をやるということを話し合いをするという場合も、北朝鮮に投資をされるというようなことも踏まえてシミュレーションをしていくべきだというふうに思いますので、透明性とか恣意的じゃないという運用の部分だけではなくて、運用の結果、北朝鮮に投資をされるというときの日本の判断はしっかり検討しておかなきゃいけないと思いますので、ぜひ、そのことについてはよろしくお願いをいたします。

 また、たびたびこの委員会の質疑でもやっていますが、日中関係の中で、福島県を初め近県の輸入規制措置、努力をしてはいるんですが、過日、衆議院の議院運営委員会が対応して、全人代の方々と交流する機会がありました。

 私も代理で出させていただいて、震災復興の件についてコメントもさせていただいたところ、全人代の方から、中国は科学的な根拠でやっているんだということを正々堂々言っていましたし、また、超党派の若手の日中関係の議連で劉建超さんと朝食をとった機会があったんですけれども、そのときもこの話をしたら、やはり、科学的にちゃんと検証しているんですという言い方をしているんですね。

 私としては、科学的に検証した結果でこんな規制措置があるとは到底思えないということでありますし、例えば、日本の食品の百ベクレルなんというのは中国より全然厳しいわけですよ。事実関係としてはそういうことなのに、中国側の正論としては、科学的根拠に基づいていますと言っているんですね。

 そういう状況の中で、どうやってこの誤解を解いて、しっかりとした関係構築をなすのかというのは、非常に難しいかなというふうに、逆に、政治的にこれはやられているなと私は思っているんです。科学的にと言いながら、実は、政治的にいじられているなというふうに思っています。

 今後の対応についてお伺いをいたします。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 中国向けの日本産食品の輸出に関しましては、委員がおっしゃるとおり、平成二十三年三月の東日本大震災に伴うこの問題によりまして、現在、福島県など十都県からのものが全面的に停止されているところでございまして、それ以外の道府県からのものが条件つきで認められているところでございます。

 しかしながら、条件つきで輸出が認められている道府県でございましても、特に青果物、お茶などに関しての農産物に関しましては、先ほど委員がおっしゃっていらした科学的根拠としての放射性物質検査証明書の様式、これがいまだに合意できていないところでございます。当方から何度も何度も要請しているのでございますが、政府間の協議の場を設けることもできない困難な状況にございまして、中国は日本産食品の重要な輸出先の一つでございますし、一刻も早くこの様式の協議に応じることを要請を続けているところでございます。

 また、放射性物質にかかわる輸入規制を解除することができるよう、引き続き、二国間の場のみならず、WTO、またSPSの委員会のマルチの場も利用しながら、あらゆる機会で中国側に粘り強く働きかけてまいりたいと思います。

 特に、委員のところには大変おいしいものもございまして、かなり前でございますが、いただきました、おいしいトマトジュースを一箱、肩に背負って持ってきていただきまして、ああいうおいしいトマトジュースがしっかりといろいろな方々に楽しんでいただけるよう、私どもとしても頑張ってまいります。

小熊委員 宣伝していただいたので、また届けなきゃいけないのかなと思っていますけれども。

 しっかり努力はしているんですけれども、正面突破はいかないので、私の認識では、科学的根拠と中国も言っているんですけれども、裏には、やはり政治的なものだと思いますから、いろいろな形で政治力を使ってやっていくしかないのかなというふうに思いますので、これは外務省がしっかりやらなきゃいけないというふうに思いますよ。

 あわせて、日韓の方に行きますけれども、日韓においてもこの輸入規制があるわけですね、ここも。韓国の輸入規制についてはどうですか。

あべ副大臣 お答え申し上げます。

 韓国におきましては、日本国内で出荷制限の措置がとられた品目及び福島県を含む八県の水産物の輸入停止措置がとられているところでございます。

 この八県は、福島、茨城、群馬、宮城、岩手、栃木と千葉と青森でございますが、韓国による輸入規制に関しまして、これまで、食品モニタリングなどの科学的データの説明を通じまして、二国間での働きかけ、WTO、SPS委員会などにおきまして特定の貿易上の懸念の表明など、あらゆる機会を捉えて、粘り強く、緩和、撤廃に向けて働きかけを行ってきたところでございます。

 韓国では、昨年九月に、有識者、消費者団体及び政府関係省庁から成る専門家委員会を立ち上げておりまして、規制措置の見直しの検討を行っております。昨年十二月及び本年一月には、韓国の専門家委員会のメンバーが来日いたしまして、福島も含めた現地調査が実施されたところでございます。

 我が国といたしましては、これらの調査などを通じまして、我が国の食品について食品モニタリング検査などの安全対策が講じられていることに対して、正確な理解が深まるよう努めてきたところでもございまして、科学的データを根拠として、輸入規制が早期に解除されるよう、引き続き働きかけを行ってまいります。

 食べて福島を応援していく、しっかりと頑張ってまいります。

小熊委員 心意気はよしですし、これまでの努力も別に否定するものではないんですけれども、それで結果が出ていないので、やはり、これは違う形で、手法を変えていかなきゃいけないと思います。

 韓国においても多分に、科学的根拠ではなくて、これもやはり政治的ないろいろな背景があるというふうに推察をされますので、これはやはり高度な交渉の中でいろいろな外交力を発揮してやっていかなければいけませんし、農水省においても、攻めの農業と言っていながら、はめられている県は競争に参加できないわけですよ。これをしっかり捉えて、どうしていくのか。もう一回今までのことの検証をして、今までで結果が出ていないわけですから、残念ながら。

 これはまた違う取り組みをしていかなきゃいけないということで、新しい取り組み、新しい手法、新しい攻め方というものの検討をぜひ、特に外務省はお願いしたいと思いますし、農水省においては、攻めの農業と言っていながら、我々はハンディを負っているわけです。このハンディ戦をどう戦うかという支援策は検討すると大臣も予算委員会の中で言っていただいたので、ぜひそこも御検討を早急にお願いしまして、次の質問に移ります。

 農水副大臣はもう大丈夫です。西村さんももういいです。ありがとうございました。

土屋委員長 あべ副大臣、どうぞ御退室ください。西村副大臣もどうぞ。ありがとうございました。

小熊委員 同じ日韓関係であります。

 ことしの六月二十二日で日韓基本条約の締結から五十年となりますけれども、日中は首脳会談が行われました。安倍総理と朴大統領との日韓首脳会談は開かれないままですが、この日韓首脳会談の見通しについてお伺いをいたします。

岸田国務大臣 韓国は最も重要な隣国であります。日韓関係においては難しい問題が存在いたしますが、難しい問題があるからこそ前提条件をつけずに話し合うべきである、こうした考えに基づいて、日韓関係に取り組んできております。

 そして、御指摘の日韓首脳会談ですが、現時点で決まっていることはありませんが、ただ、先月、三月二十一日ですが、日中韓三カ国の外相会談とあわせて日韓外相会談も行いました。その外相会談におきまして、適切な環境のもとで、早期に首脳会談についても開催できるよう努力を続けていく、こういった点で認識を共有したところであります。

 あわせて、同外相会談におきましては、尹炳世長官の訪日も、私から招請させていただきました。そして、適切な時期に訪日することにおいても一致をいたしました。

 こうした取り組みを続けることによって、ぜひ、首脳会談の開催に早期につなげていきたいと考えております。

 日韓国交正常化五十周年という節目の年を意義ある年にするべく、首脳会談の開催等、二国間の関係をしっかり構築していくべく、粘り強く努力していきたいと考えます。

小熊委員 朴大統領も国内でいろいろ大変な状況ですから、相手のあることですから、なかなか難しい部分もありますし、寺田委員じゃないですけれども、岸田大臣にエールを送れば、岸田大臣が総理であったらこれはもっと早く実現しているんだろうなというふうに思います。

 やはり、外交というのは抑制的でなければならないし、真摯にやっていくということが重要でありますから、ぜひ、真摯的で抑制的な大臣のこれからの努力によって、早期に会談が行われることを御期待申し上げます。

 日韓関係について、次に、伊原大洋州局長にお聞きいたします。

 日韓両国の局長協議が昨年四月から大体二カ月に一回行われていますが、そういった中でも日韓関係は冷え込んでいるというふうにも言われています。これまでの協議の中でどういった部分が進展をして、今後どういった部分でこれをしっかり続けていかなきゃいけないかということについてお伺いをいたします。

伊原政府参考人 日韓の局長協議でございますけれども、先方は、韓国の外交部の李相徳東北アジア局長でございまして、今委員御指摘のとおり、昨年四月以来、ほぼ一、二カ月に一度の割合で協議をしてきております。

 協議において、日本側からは、さまざまな問題、特に、旧民間人徴用工をめぐる裁判の問題とか、あるいは、先ほども御議論になりました日本産水産物の輸入規制強化の問題、そういったことを取り上げてきております。また、この場で、慰安婦の問題についても議論を行ってきております。

 実務レベルの外交上のやりとりでもございますので、協議の詳細についてお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、先方の李相徳局長との間では、相当率直な、厳しいやりとりをいつもやっておりまして、その結果として、やはり、お互いの立場についての理解は深まりつつあるというふうに認識をしております。

 先ほど大臣が言及いたしました三月の日韓外相会談におきましても、協力関係強化の一環として、さまざまなレベルでの意思疎通が重要だということで、両外相間で確認をされておりますので、この局長間の協議につきましても、引き続き誠心誠意取り組んでいきたいというふうに考えております。

小熊委員 そうした局長レベルの積み重ねが首脳会談ということに、トップの会談に結びついていくと思いますので、しっかりとこれは取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 次に、日朝関係に移ります。

 北朝鮮への独自制裁、一部解除はしていますが、北朝鮮の特別調査委員会の設置から、もうことし七月で一年になります。今のところ、残念ながら、北朝鮮からは誠意ある対応が見られていないという状況にありますから、解除した制裁の復活ということも検討する余地があるというふうに思いますが、御所見をお伺いいたします。

岸田国務大臣 北朝鮮との間にある諸課題ですが、特に拉致問題は安倍政権の最重要課題です。これまでも、対話と圧力、行動対行動の原則に基づいて取り組んできましたが、圧力につきましては、国連安保理決議に基づく制裁に加えて、我が国独自の対北朝鮮措置を実施してきており、三月三十一日には、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置及び北朝鮮との輸出入禁止措置の二年間延長を決定したところです。そして、対話につきまして、昨年、一年四カ月ぶりに対話を再開し、特別調査委員会の調査を開始したということであります。

 残念ながら、今の段階でまだこの調査結果の通報がない、大変遺憾に思っておりますが、昨年九月には、北朝鮮側から、調査は全体で一年程度を目標としている旨、北朝鮮側からもこうした連絡がありました。これを念頭に、引き続き北朝鮮側に、速やかに正直に結果を通報するように強く求めてまいります。

 そして、今後の対応につきましては、北朝鮮側から諸懸案解決に向けた前向きな、具体的な行動を引き出す上で何が最も効果的なのか、こういった観点から不断に検討を行ってまいりたいと存じます。

小熊委員 抽象的な表現でしたが、制裁強化も入るということで、私は受けとめさせていただきます。

 報道によれば、ことしの二月二十八、三月一日に、中国の大連で伊原局長と北朝鮮側とが非公式に協議したということが報道にありましたけれども、この事実関係について局長にお伺いいたします。

伊原政府参考人 そういった報道の一つ一つにコメントをすることは、差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、いずれにいたしましても、今大臣からも御発言があったとおり、政府としては、引き続き北朝鮮に対して、迅速に調査を行って速やかに正直に結果を日本に通報するように強く求めてきておりますし、今後とも求めていきたいというふうに考えております。

小熊委員 内容のコメントを差し控えるというのはいたし方ないというふうに思いますが、これは税金を使っていることでもありますから、接触の有無ぐらいは言った方がいいんじゃないですかね、局長。

伊原政府参考人 まことに申しわけありませんけれども、さまざま報道がございますけれども、その一つ一つにコメントすることはしないという方針で来ておりますので、御理解をいただきたいと思います。

小熊委員 結果を引き出すということの、結果責任もありますし、説明責任もある、これは公金を使っているわけですから。これは、交渉の内容を明らかにしろと言っているわけではなくて、その事実関係を認めるか認めないかということでありますから、今の答弁では私は納得がいかないんですけれども、多分水かけ論になりますから。

 そうした点も踏まえて、譲歩のあり方、結果をしっかり出すということに全力を挙げていただきたいというふうに思います。

 五月二十八日には、六カ国協議の担当者や学者たちが集まる学術会議、北東アジア協力対話が九年ぶりに東京で開催をされると聞いていますが、今の調整状況について、局長、どうなっていますか。

伊原政府参考人 今委員御指摘の北東アジア協力対話につきましては、これは、米国の民間研究機関が一九九三年以来ほぼ毎年実施している会合でございまして、次回につきましては日本で開催するということで、今現在、その民間研究機関が関係者と調整中というふうに聞いております。

 したがって、今の時点では、この調整の結果を受けて、私どもとしても、誰が参加するかといったことも含めて検討したいというふうに考えております。

小熊委員 今、検討中ということですが、この会議とあわせて非公式会合みたいなものが開かれて、北朝鮮側が何らかの関係者が出席するということはどうですか。

伊原政府参考人 私たちも主催者の団体とは連絡はとり合っておりますけれども、まだ調整中ということで、参加者につきましても、今、政府としてお答えできる段階ではございません。

 したがいまして、この機会を使ってどのような会合を持つかといった政府としての具体的な対応は、まだ決める段階にはないというふうに考えております。

小熊委員 今まだ詳細が決まっていないということですから、そういうコメントになるんでしょうけれども、こういう機会もしっかり活用して、拉致家族を含め、北朝鮮の積み上がっている課題についての解決、どんな機会でも捉えてやっていかなきゃいけませんし、そういうことが行われたなら、やはり国民に対する説明責任もありますから、あわせてそこは対応をお願いいたしたいと思います。

 次に、日ロ関係に行きます。

 来月九日、モスクワで対ドイツ戦戦勝式典が行われますけれども、日本政府はこの参加態度がまだ明らかになっていませんが、政府首脳の出席というのは検討されているのか、お伺いいたします。

岸田国務大臣 五月九日の式典ですが、まず、安倍総理は、プーチン大統領から五月九日の式典の招待状を受領しております。しかしながら、日本政府としての対応は、今現在、何ら決まっておりません。

小熊委員 これはあと二週間ぐらいのことで、今決まっていないというのはどういうことですか。あともう二週間ぐらいですよね。いつこれは決めるんですか。行かないなら行かない、行くなら行く、行く行かないのデッドラインというのはどこですか。

岸田国務大臣 この式典をめぐりましては、式典の性格ですとか他の国々の対応ですとかさまざまな国際情勢など、さまざまな要素が考えられます。そうした中で、今現在、我が国としては、何ら対応は決まっておりません。

小熊委員 日ロ関係の友好とか、あと、一方で、ウクライナの問題もあるわけですよ。逆に、何もしないということは、かえってそれは後ろ向きで、いい結果を生まないというふうに思います。

 しっかり日本政府、もう二週間後ですから、早く態度を決めて、そして、その中で、この国際社会の中でしっかりとどう連携していくか、ウクライナ問題を解決していくかという一つの契機になるはずですから、これは高度な政治判断の中で早急に出席の判断をしていただくようお願いを申し上げたいというふうに思っています。

 この式典に、先ほどの北朝鮮の金正恩第一書記が訪問するのではないかというふうに言われていますが、その情報についてはどう把握されていますか。

伊原政府参考人 今委員御指摘の金正恩第一書記のこの式典への参加につきましては、この点も含めて、私ども、ロシアと今の北朝鮮との関係、これについての動きについて注視をし、鋭意情報収集をしているところでございます。

 事柄の性質上、その情報収集の詳細についてお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにしましても、政府としては、関係国とも緊密に連携をしながら、北朝鮮関連の情報を収集し、これに適切に対応していきたいというふうに考えております。

小熊委員 適切に対応するということは、行った場合どうするかということだと思いますので、これはしっかりそれも踏まえて、いい対応、国益にかなう対応をお願いしたいというふうに思います。

 ただ、二週間前で決まっていないということがちょっと信じがたいんですが、早急な決断をお願いいたします。

 もし行かれなくても、プーチン大統領が四月十六日に、ロシアの国営テレビの討論番組の出演後、記者団に対して、日ロ領土の交渉については、対話は日本側の理由で事実上とまっているというふうに述べたんですけれども、これは私は事実ではないというふうに思います。日本の事情ではないと思っています。であるならば、こうしたプーチン大統領の発言に対して、日本政府としては抗議すべきだというふうに思いますが、そうした対応はとったんでしょうか。

薗浦大臣政務官 委員御指摘のとおり、日本側が平和条約の締結交渉をとめているという事実がないということは、官房長官また外務大臣も記者会見の場で申し上げているとおりでございまして、我が方としては、メディアを通じた公開論争みたいな形ではなくて、建設的な対話を望んでいる形でございます。

 そうした対話を通じて解決策を作成すべく、粘り強く取り組んでいきたいと考えておりますし、この発言も含めて、平和条約締結交渉の進め方全般についての話の中で、日本側の考え方をロシア側に伝えているということで御理解を賜りたいと思います。

小熊委員 そうして前向きにやっていくということであれば、何回も言いますけれども、五月九日のものは政府としてしっかり対応しなきゃいけないと思いますよ。行った際に、そうしたことも含め話し合いの進展がなされるように、絶えず不断の努力が必要ですから、ぜひ近々に、近々にと言ってももう二週間しかないんですけれども、出席をするという表明がなされることを御期待申し上げて、次の質問に移ります。

 ちょっと順序を変えますけれども、「原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察」という報告書、一九八四年に、外務省が委託をしてこの報告書を作成しておりますけれども、この作成の経緯と、あわせて、これは公表がなされていませんでした。二〇一一年の新聞報道、またことしも新聞報道がありましたけれども、それで明らかになったというところでありますけれども、この作成の経緯と公表に至らなかった経緯について、あわせてお伺いをいたします。

薗浦大臣政務官 御指摘の資料は、当時我が国が提案をしておりました、IAEA、国際原子力機関の保障措置の適用を受ける平和的目的の原子力施設を攻撃の対象としないための国際的な取り組みを論拠づけるための執務の参考資料として、その影響、つまり大型の原子力施設が攻撃された場合の影響というものを研究させていただいたものでございまして、一九八四年、当時の国連局の軍縮課が、日本国際問題研究所、国問研に委託をし、作成をさせたものでございます。

 作成の経緯も含めまして、これは政府内部の検討用として作成したものであったため、当時は公開することを想定しておりませんでしたけれども、その後、二〇一一年、情報公開開示請求に基づいて開示をされまして、その後も、請求に応じて累次にわたりまして開示をされておるところでございます。

小熊委員 この報告書ができた二年後にはチェルノブイリの事故も起きていて、これはまさに電源喪失のことが報告書の中に言ってあって、深刻の場合は八十キロぐらいだめになっちゃうよということも書いてあって、まさに三・一一のことが、報告書をしっかり利活用していれば、これはイフの話になるんですけれども、福島の事故というのも変わっていたんじゃないかということが想定されます。

 これが公表されなかった経緯も、一部関係者によると、やはり国民がパニックを起こすと。まさに逆ですよね。エリートパニックです。権力者側のエリートパニックによってこれが公表されなかった。

 これをしっかり公表して、いろいろな検証をして生かしていれば、時計の針は戻せないんですけれども、本当にこれは残念なことだったというふうに思います。

 そこで、規制委員会の方にお聞きしますけれども、これは今もう情報公開されているという今政務官の答弁のとおりで、もう世の中に出ておりますから、これを踏まえて、今後、規制委員会としてはどういった対応をしていくのか、お伺いいたします。

山田政府参考人 御指摘をいただいております外務省の委託研究報告書でございますけれども、必ずしも原子力を専門としていない法人で、しかも、約三十年前という当時の知見に基づいて原子力発電所に対する攻撃のシナリオですとか被害推定を行ったものであるというふうに認識をしてございます。

 原子力規制委員会におきましては、福島の事故を踏まえまして、最新の科学技術的知見を踏まえて新しく規制基準を制定してございます。そちらの中では、全交流電源喪失といったいわゆるシビアアクシデント対策ですとか、意図的な航空機衝突といったテロリズムへの対策、こういったようなものも導入するなど、原子力発電所の安全性の向上を図ってきているところでございます。

 したがいまして、現時点でこの報告書につきまして活用するということは考えていないところでございます。

小熊委員 さはさりながら、三十年前のでもいろいろなシナリオが報告書の中でされていて、この福島の事故に似たような状況もこの報告書に書いてあるわけですから、まあ新しい知見に基づいて新しい規制、また避難計画のあり方も含め、それをやっていかなきゃいけないんですけれども、単純に、これは古いものだから、大した専門家、まあ大した専門家じゃないとは言っていませんが、ということではないと思いますよ。

 もう一回しっかりこれを見直すべきだと思いますし、外務省においても、三十年前はこういう発想でやっていますが、原発攻撃も、先ほどの岡本委員の話でもあったとおり、ドローンによる攻撃とかも想定すれば、もちろん、だから、この三十年前の知見ではなくて、まさに今の知見において、外務省としてもまたこうした調査報告書というのをつくるべきだと思いますよ。こういう検討をしていいんじゃないんですか。

 まして、三十年前よりも、先ほど来出ているドローン、いろいろな形態が、技術が革新をされていて、いろいろな攻撃の可能性が多様に広がっているわけですよ。だから、防止策だけではなくて、もし一朝事あったらどうするのかというのは、この当時の原点に立ち返って、こうした調査報告書をもう一度練り直す。今言われたとおり、この報告書はもう古くて、当時の知見でということですから、新たな知見のもとに、またこうした検証、考察をすべきではないですか。

 これからの新しい対応についてお伺いいたします。

薗浦大臣政務官 今委員御指摘のとおり、ドローンのようなものが、新しい脅威なのか便利なものなのかはおいておきまして、出てきている。また、原子力に関する知見も変化してきているという流れの中で、我々として何をしなければならないかということを、御指摘を踏まえて早急に検討させていただきたいと思います。

小熊委員 テロの脅威も、三十年前より日本の場合は格段に高まっているというふうに思っていますし、これからの安全保障のあり方においてでも、その対応いかんによってはまさにそうした可能性が高まってきますから、ぜひ、外務省として新たな報告書作成について、検証についてお願いをしたいと思います。

 最後にちょっと明るい話題で終わりたいなと思うんですが、ことし、青年海外協力隊も五十周年。まだ私は見ていないんですけれども、「風に立つライオン」という、まさに協力隊を描いた映画がやっています。大臣はまだ見ていない、見る暇もないかもしれませんが、ぜひ見ていただきたいなというふうに思います。

 これは草の根外交官とも言われていて、本当にいろいろな日本外交に、国益に資しているところがあるんです。しかしながら、国民側においてはなかなかそれが伝わっていないというのが私は現状だというふうに思っています。

 御承知のように私の妻もOGで、今度の島サミットもいろいろボランティア活動をさせていただきますけれども、いろいろな出前講座とかをやって、記録によれば、ここ三年間の中でも、全国で大体二千件程度、こうした国際理解教育の講座が開かれて、二十万人ぐらいの方が受講されています。

 協力隊の目的の一つに、国際的視野の涵養とボランティア経験の社会還元というのがあるんですが、これがまだまだ充実していないというふうに思っています。

 私は参議院時代から、これをしっかり検証して後追い調査をしたらどうですかと言っているんですが、結局、OB、OGの人たちのその後のことというのは、公務員なんかは追っかけるんですけれども、民間企業はなかなか追っかけにくいということで、どういうふうに再就職をして、どういうふうに社会の中でこうしたものを還元しているかという調査をしていないんですよ。

 これはしっかり目的としてうたっているわけですから、協力隊の経験者たちが、本当に、日本社会にどう還元しているのか、また一方で、還元を促進するために取り組むにはどうしたらいいのかということをやっていかなきゃいけないというふうに思うんです。

 まず初めに、隊員たちの帰ってきてからの活動の把握というのはしっかりしていく、その中で、本当に社会還元されているのかという効果を見出していく、さらに、社会還元がされるように、どういう事業をしていかなきゃいけない、対策をしていかなきゃいけないかということを考えていくということを、この五十年という節目を契機にやっていくべきだと思うんですけれども、御見解をお伺いいたします。

岸田国務大臣 青年海外協力隊派遣開始から五十年になります。これまで累計で約四万人がアフリカやアジア地域を中心とする八十八の途上国に派遣され、国の内外から高い評価を得ています。そして、青年海外協力隊は、開発途上国の経済、社会の発展、我が国との友好親善や相互理解の深化とあわせて、今委員が御指摘のように、国際的視野の涵養と経験の社会還元に寄与してきたと評価をされているところです。

 社会還元につきまして、まだまだ不十分なのではないかという御指摘ですが、こうした社会還元は大変重要であり、大きな期待が寄せられるところであります。外務省としましても、隊員の帰国後の就職を支援するとともに、所属元に在籍したまま協力隊に参加する現職参加制度の普及や、企業の人材育成にも資する民間連携ボランティアの創設など、社会還元の視点からも事業の拡充に努めているところであります。

 ぜひ、引き続き、環境の整備にしっかり取り組んでいきたいと考えます。

小熊委員 その際に、帰国者の実態把握というのはしっかりなされていませんから、そこから始めなければいけないと思いますので、そのスタートとして、充実化をしていく。

 先ほど言ったとおり、青年海外協力隊員だけじゃなくて、シニアボランティアも含め、まさに草の根外交官として、本当に日本の国益にかなっている活動をしているところであります。

 私も、政治家をやっていますけれども、支援者のおかげでさせていただいていますけれども、日々反省をして、こんなことをしているんだったら、シニアボランティアでもなって行った方が、国のためになるんじゃないかということもちらっと考えたりもしているものですから、ぜひ、この充実化に向けて、そしてさらなる発展に向けて、この五十周年を契機に取り組んでいかれるようお願いを申し上げ、あと、時間をつくって、大臣も「風に立つライオン」を見ていただきますようお願いを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 きょうは、TPP問題について外務大臣と議論したいと思います。

 四月十九日、二十日の日米TPP閣僚交渉について、安倍総理は、九合目まで来たと評価しています。四月末に予定されている日米首脳会談を直前に控え、そして十二カ国会議へと進む、交渉妥結へ向けた重大な段階に来ています。

 そこで、私は、米国の超党派議員が米国議会に提出したTPA、政府は貿易促進権限法案と呼んでいるようですけれども、これについて政府の基本的な認識を聞きたいと思います。

 甘利担当大臣は、四月十日の記者会見で、TPPの妥結にとってTPA法案の成立は必須条件である、TPA法案はオバマ大統領が精力的に取り組んでいただいているし、説得工作もしているということは大いに歓迎したいと思っています、このように述べています。

 聞きますが、TPA法案提出を日本政府がなぜ歓迎するのか、岸田外務大臣の認識についてお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のTPA法案ですが、米国時間の四月十六日に米国議会に提出されました。既に上院の財政委員会を通過し、そして、日本時間で二十四日朝、つい先ほどの時間に、下院の歳入委員会も通過したという情報に接しております。

 我が国としてこのTPA法案についてどう考えるかということですが、TPA法案が提出される、そして成立に向けて努力をする、こういったことは、TPP交渉の早期妥結に向けた米国内の前向きな動きを示すものであると認識をいたします。そういった意味から、我が国として歓迎をしたいと考えます。

 引き続き、同法案の動向を注視していきたいと考えます。

穀田委員 先ほど私もニュースへ接しまして、二十三日に下院が、委員会において、本会議ではなくて、可決をしたということが報じられていることも承知しています。

 我が党がなぜこの貿易促進権限法案を問題にするのかということなんです。日本がTPPに参加表明をした場合、アメリカ政府が米議会と調整、協議をした結果を踏まえて日本政府へ正式通知する、こういう関係にあるということに着目していました。

 アメリカは、もともと通商権限が議会にあり、TPA法で政府に授権する経緯があるので、これが、TPP交渉における米議会の対日要求が強くなる仕組みとなること、これを、二〇一一年当時から、日本共産党の笠井亮議員が提起した、そういう関係がありまして、ずっと私どもはこの問題を重視してきました。

 先ほど言いましたように、甘利大臣は、TPA法案の名称を貿易促進権限法案と呼んでいます。外務省にお聞きしますが、この法案の英語の名称を日本語へ直訳するとどうなるのか、まず聞いておきたいと思います。

佐藤政府参考人 先般、米国議会、上院、下院に提出されましたTPA法案の名称でございますが、二〇一五年超党派議会貿易優先事項及び説明責任法案であると承知しております。

穀田委員 超党派議会貿易優先項目・説明責任法、なかなか通商というのを言いたくないようですけれども、まあ、いろいろあるんでしょう。

 私は、きょうは、そのために現物を、もう少しでかいですけれども、持ってまいりました。

 これは、超党派議会通商優先項目の条文をいろいろ読み進めてみると、条約交渉権があるアメリカ議会が政府に交渉権を委ねても、超党派議会でTPP交渉に臨んでくる内容と仕掛けを私は危惧せざるを得ないと思うんですね。

 そこで、この法案の条文の規定ぶりを聞いておきたいと思います。

 法案四ページ十三行目から五ページ七行目まであるんですけれども、このセクション2の(b)主要な貿易交渉諸目的、(1)物品貿易、(A)と(B)の条文を紹介していただきますよう、お願いします。

佐藤政府参考人 TPA法案のセクション2は、通商交渉の目標を規定してございまして、そのうち、(b)は十八項目の主要な通商交渉目標を規定し、その(1)といたしまして物品貿易が規定されているものと承知してございます。

 その中で、(A)としてですが、グローバルなバリューチェーンの活用も含め、米国の輸出品の競争的な市場機会を拡大し、より公平で開放的な交易条件を獲得するため、米国の輸出品に対する市場機会を減少させたり、米国の貿易をゆがめたりするような貿易に直接関係する外国政府の関税及び非関税障壁を削減または撤廃させるとの目標が規定されていると承知してございます。

 また、(B)といたしまして、ウルグアイ・ラウンド協定法がカバーする関税カテゴリーに関するものも含め、関税及び非関税障壁の互恵的な撤廃に関する協定を締結するとの目標が規定されているものと承知してございます。

穀田委員 合衆国の貿易をゆがめたりということで、関税、非関税障壁、諸政策というのを削減ないし撤廃ということが書かれてあるということですよね。

 それで、これは今報告があったように、アメリカが何を考えているかといいますと、米国が貿易を歪曲する、ゆがめるという認定をすれば、日本を含む相手国に対して、貿易開放の諸条件、つまり、関税、非関税措置の撤廃を要求しよう、かち取ろうというものだと言ってよいと思うんですね。

 既に日本は、日米安全保障条約の経済条項によって、米国の政治的、経済的要求を従順に受け入れてきて、今日に至っています。仮に、略して通商法案とでも言いましょうか、この法案が成立するならば、TPP交渉で、非関税措置完全撤廃など、米国のストレートな政治的、経済的要求がますます日本に押しつけられてくるんじゃないかと私は思うんですね。だから、歓迎するどころか、とんでもないものだと言わざるを得ないと思っています。

 そこで、米国の農産物貿易の獲得目標を規定する条文、セクション2の(b)(3)農産物貿易、法案七ページ十九行目から二十五行目、(B)と(1)の条文を紹介してほしいと思います。

佐藤政府参考人 二〇一五年TPA法案のセクション2(b)(3)は、主要な交渉目標の一つといたしまして、農業貿易について規定してございます。具体的には、外国産品が米国市場で与えられている競争機会と実質的に同等の競争機会を外国市場において米国産農産品が獲得することを目標として規定してございます。

 その中で、御指摘のセクション2(b)の(3)の(B)が、これは米国産農産品の輸出機会を減じている関税等の削減または撤廃に関し、主要な生産国による著しく高水準の関税や補助金が適用されている農産品を優先することや、米国にとってセンシティブな農産品について関税削減交渉を開始する前に議会と密接に協議し、適正な調整期間を設けることを規定していると承知しております。

穀田委員 今わかったように、農産物の話も含めてそこで出て、主要な生産諸国においてということで議論を彼らはしている、しかも、補助金体制の問題も言っているということなんですね。

 この法案は、続けて八ページの(C)で、交渉相手国の関税を合衆国の当該産品と同じか、それより低い水準まで削減すると明記しています。したがって、この法案が成立すれば、今委員会ですけれども、我が国の米を含む重要品目の関税等が米国の要求でますます狙い撃ちされる可能性がある内容と私は思うんですね。大臣はそういう見解に立ちませんか。

    〔委員長退席、三ッ矢委員長代理着席〕

岸田国務大臣 御指摘のTPA法案の中身については、他国の法案でありますので、政府として評価することは控えなければなりませんが、その上で申し上げるとすれば、二〇一五年TPA法案は、主要な通商交渉目標の一つとして、農業貿易について、外国市場の関税を米国と同等以下に削減することを初め、農産品についてより公正で、そして開放的な貿易条件を獲得すること、こうしたことを規定している法案であると承知をしております。

穀田委員 ですから、今言ったように、アメリカ側の要求ですよね。開放的にしろとか言っているわけでして、今大臣は、他国の法案だから、こう言っていますけれども、TPPにかかわる極めて重要な農産物の問題を初めとして彼らは明確に言っている、そういうことについて狙い撃ちされることになるじゃないか、それをどう思うか、こう聞いているわけですやんか。だから、何も、条文の話の解釈はお互いにわかっているわけで、それについて、他国の法だからというわけにはいかぬのと違いますか。

岸田国務大臣 米国における政府と議会の関係を規定する法案について何か申し上げることは控えたいとは存じます。

 いずれにしましても、こうしたTPA法案が成立するということであるならば、TPP交渉の早期妥結に向けた米国内の前向きな動きを示すものであると受けとめています。

 TPP交渉につきましては、しっかりと我が国として国益を守りながら、高いレベルの経済連携の成立に努力をしていきたいと考えています。

穀田委員 こういう質問をしますと、相手国のある話だ、それから、あと言うのは、国益を守る立場で、大体このフレーズなんですよ。

 それでは、先ほどありましたように、わざわざ大臣は、議会とそれから政府との関係を規定したものであるということを言っているわけですから、その仕掛けが、どちらかといえば、私どもが二〇一一年から問題にしていますように、この関係というのはよく見ておかないと、ただ加速していればいいとか、それから、一層の進展が見られるからいいというような話にはならぬということを我々は言っているわけですよね。

 そこで聞きますけれども、さきの日米閣僚交渉の記者会見で、日本の米の扱いについて甘利大臣が言及しています。米の輸入量、関税率の取り扱いについて、国民に対してきちんと説明をすべきではないんでしょうか。その辺はどう考えますか。

西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。

 日米協議、先般、夜を徹して行われまして、一定の前進があったわけですけれども、全体として、パッケージでいろいろ議論をしておりますので、まだ何かが決着したということではございませんので、これは米の問題を含めて、あるいは自動車も含めて、依然、課題が残っているということでございます。

 いずれにしましても、私ども、農産品に関する国会の決議も踏まえながら、粘り強く交渉していきたいと思いますし、今後、最終的には国会で御承認いただかねばいけませんので、できる限りの情報開示はしていきたいというふうに考えております。

穀田委員 大体、西村副大臣の答弁というのは、そのパターンで来ているんですよね。どこへ行っても、パッケージだということと国会決議だということ、それから、できる限り情報開示をというので、大臣でもありますように、国益、大体、四つか五つくらいのキーワードを使ってしゃべっているだけで、結局何も国民には知らされないという現実ですよね。私は、こんな重大な内容が言えないというのは、これはまずいと思うんですね。

 甘利大臣は、一月九日の記者会見では、TPPの日米事務レベル交渉について、日本側としては相当譲歩してきたという思いはあります、妥協点、我々はできることはほぼ全てやり尽くしたと私個人は思っておりますというふうに発言しています。

 秘密保持を持ち出すけれども、もともと、日本のTPP参加表明自体が、日本側の相当譲歩が前提だったことがはっきりするから言えないんじゃないかと思うんですね。私は、その意味でも、TPP交渉をやめたらええやないか、それから、真剣に考えるべきときだということを求めたいと思うんです。

 そこで、さらに進んで、先ほどの法案との関係で少し言っておきたいんですが、下院歳入委員会と上院財政委員会が作成した法案の内容を一覧できるオーバービューによりますと、提出法案の新しい点として、協定がTPA、つまり貿易促進権限の要求を満たしていないと下院または上院が判断した場合、貿易協定のための迅速手続を拒否するための新たなメカニズムを設けていると書いてあります。

 聞きますが、この超党派議会通商法案のどこにこの新たなメカニズムを設けているのか、お答えいただきたいと思います。

    〔三ッ矢委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤政府参考人 御指摘のとおり、二〇一五年提出のTPA法案では、セクションの6(b)の(3)及び(4)におきまして、上院財政委員会または下院歳入委員会のいずれかが迅速な審議手続を実施法案の審議に適用しない旨の決議をし、同決議がなされた院の本会議において採択された場合、その院における審議に迅速な審議の手続が適用されないこととなる旨の規定が新設されたと承知してございます。

穀田委員 だから、今の大事な点は、わかりやすく言いますと、米国の法案は、下院あるいは上院がTPPの合意内容に不満の場合は、米国政府に一任した権限を撤回、剥奪することが盛り込まれている。今お話のあった迅速手続というのは、議会が協定を一括して承認か否認かだけを判断する手続のことなんですね。

 それが除去されますと、議会が協定の修正や再交渉を求めることができることになる。だから、よりストレートな要求をすることになって、それは、今、米国政府によってやられている約束が守られる保証はなくなるということになると思うんですね。だから、この条文の意味は、米国議会が政府に対してTPP協定条文の修正、再交渉を要求する、いわゆるちゃぶ台返しの根拠にもなり得るものだと思うんですね。

 したがって、私は、簡単に言うと、現在の日本の対米約束がほごになる可能性もはらむ条文だと。したがって、甘利大臣が言うような歓迎などというのはとんでもないことだと言わざるを得ません。

 さらに指摘すれば、この法案は、例えば十九ページの(7)規制の実施において、合衆国の交渉獲得目標を、(D)で諸基準のグローバル性の追求、(F)で管理価格、参照価格制度の撤廃を掲げています。米国のスタンダードを非関税措置の隅々まで及ぼし、医薬品をターゲットとして自由価格制度を徹底させる、こういう意図だということが見てとれます。

 私は、大臣に聞きたいんです。日本の国民生活の安全、安心、安定を支える、必要な非関税措置まで交渉のターゲットになり得るもので、この点を危惧するわけですね。大臣はそういうふうに思わはりませんか。

岸田国務大臣 ちょっと、御指摘の点につきまして、詳細な法案の中身を把握しておりませんが、いずれにしましても、こうした米国の政府と議会の関係を律する法律につきましては、直接コメントすることは控えたいと思います。

 我が国にとりまして何よりも大切なのは、米国政府との間において、TPP交渉、そして日米並行交渉、こうした交渉においていかなる結果を導き出すか、成果を上げるかということであります。その際に、国会の決議等を踏まえながら、国益を守るべく最大限努力をしていかなければならないと考えます。しっかりした結果を出した上で、あとは、米国内での議会と政府との間におきましても、しっかりとした調整を期待いたします。

穀田委員 私が言っているのは、政府の交渉をやっているときに、そういう議会の一定の権限、もともとあるわけですやんか。そういう議会が新しいメカニズムをつくって、文句を言えば修正やそういうこともできるという話をしてきているという関係を言っているわけですやんか。

 だから、そういうときに、米国政府との間でといったって、米国政府に一定のいちゃもんつけて、ちゃぶ台返しできるような、そういう体制ができているという問題が客観的に起きていることにどうですかと聞いているわけですやんか。

 だから、自民党は聖域なき関税撤廃というのは断固反対だと言っていたわけで、そういうことになりかねないのじゃないかということを私は聞いているわけですよ、結果として。力関係については今後見守るとしても、そういう法案を通してきている、新しいメカニズムをつくってきている、こういうもとで大丈夫かということを提起しているんですよ。

 だから、詳細な事態は知らないけれどもという、それはお互い全部知っているわけでないわけで、だけれども、そういうことを決めてきている、その内容の中心はこういうことじゃないかと言ったら、大体そうやと言っているわけで、だから、そこを聞いているわけですよ。

 では、最後に、TPPの条文テキストの練り上げ状況について聞きたいと思います。

 甘利大臣は、二〇一三年七月二十五日の会見によると、二十一分野の交渉官が交渉テキストの精査をしていると述べました。それ以降、テキストの交渉の状況について、質問以外で政府から説明がありません。

 ことし四月二日付、マレーシアの通産省はそういうものを発表しているわけですけれども、この資料によりますと、条文二十九章のうち、これですね、計十章が完成、他十章がおおむね完成、他は要作業中との区分を示していますが、これは事実ですか。

西村(康)副大臣 当初、二十一とか言われておりましたけれども、細部、幾つか分かれたりしているものですから、今二十九章になっておりまして、現在のところ、その二十九章のうち、そのテキストの交渉が実質的に終了しているものは十章というふうに認識をいたしております。

 私ども、それぞれの項目について、会合の都度、ブリーフィングもしておりますし、あるいは記者との質疑のやりとり等、細かくホームページに全て掲載しておりますので、見ていただければ、それぞれがどういうふうな進捗状況にあるかということは見ていただけるというふうに思います。

穀田委員 それはないんじゃないですかね。そんなふうに、国民は、では、そのホームページを見て、今どんな交渉があって、どういう内容がまとまって、どこが問題点だなんて知っていると思いますか。今、そんな話をしてはったけれども。

 西村さんは、何か、そういうホームページに出しているさかいにええというようなことを言っているけれども、今の現実、相手もこう言ってきている、さっき言いましたように、事態がいろいろ変化がある、そのことを含めて、きのうは農水委員会で澁谷審議官が、今の米の問題を含めていろいろなことについて、若干、少し言い出し始めているようだけれども。

 では、西村副大臣にお聞きしますけれども、あなた方が当時言っていた、国民に対して理解を求める必要がある、そういう情報公開をする必要があるという現実に、今あなた方がやっている情報公開はそれに資していると思いますか。

西村(康)副大臣 御案内のとおり、秘密保持とそれから情報開示、そのバランスに各国は苦労しながら対応してきているところでありまして、私どもとしても、今申し上げたように、ホームページで全て、記者とのやりとりも含めて公開すると同時に、いろいろな形、いろいろな場で説明会等も開いておりますし、こうした委員会の場でもできる限りの説明をしているところでございます。

穀田委員 だから、それは、同じことを言うてはるにすぎないじゃないですか。国民はそれでわかったと思うかと聞いているんですよ。

西村(康)副大臣 多くの国民が関心を持っていることも承知をしておりますし、いろいろな機会で、私どもも質問を受けたり説明会をしておりますので、できる限り私どもは情報開示に努めているところでありますけれども、最終的には、御案内のとおり国会で御承認をいただかねばいけませんので、しっかりと、さらに、もちろん、全ての合意の後は開示をして、国民の皆さんにも理解を得ながら、国会で承認いただくべく努力をしていきたいというふうに思います。

穀田委員 私は、二つの点で違っていると思いますね。

 かつて、自民党は、そういう交渉をするに当たって、開示をして、国民の理解を得ながらやっていくんだということを、必要だということを野党の時代に言っていたんですよ。これをやっていないということと、現実は、少なくともそういう理解は国民はしていないということを言わなければならないと思います。

 そこで、何かと言うと、秘密保持とそれからバランス、こうきますよね。だけれども、この間ずっと議論しているように、アメリカは、さっき言いましたように、議会が本来の権限を持っていますから、そういうことで明らかにしているというのは、それはあるでしょう。

 だけれども、TPAについて、やはりアメリカなどでは、全議員とスタッフに交渉の文書を開示しているわけですよね。それから、アメリカ側は、単に日本とTPPの問題について議論しているだけじゃないんです。EUとの関係でいいますと、環大西洋貿易投資連携協定、TTIPということなんですけれども、それを交渉していて、欧州委員会は、EU側の提示文書は全て公開しているわけですよ。だから、それに比べても、およそひどい。

 先ほど述べましたように、ことしのマレーシアの話を言ったら、ようやく今ごろになって言うという程度ですやんか。ですから、およそ、他国が公表したことも隠しているという現実は、全くナンセンスと言わなければなりません。

 だから、きのう、新聞報道も言及していますけれども、やはり論争の中心点、それから論点、交渉内容、これらについて洗いざらい明らかにすべきだ。それは国民の理解を得て進むということが大事だと私は思うんですよね。この点は、自民も民主も、政権をとっているときは別だけれども、野党に入っているときは大体同じことを言っているんですよね。だから、その意味からいっても、本当に情けないと言わざるを得ないと私は思います。

 今回取り上げたアメリカのそういう法案は、米国の民主、共和党の与野党超党派議員が、アメリカの産業界や議員選出地域の要求をTPP交渉へ反映させて貫徹するということを、政府やオバマ大統領に対して、再交渉や修正も辞さずということを求める法案とも言えるわけですね。

 したがって、先ほど西村副大臣はTPPの秘密保持の契約の存在を言っていましたけれども、それは、政府が私どもの参議院議員の紙智子議員の質問主意書に対して初めて認めたわけですけれども、そういうふうになっていると仮にしても、我が党の他の委員会での質問で明らかになったことは、結局のところ、TPP交渉全体を知る方は安倍総理と甘利担当大臣らの一握りであるということだと思うんですね。

 政府は、交渉の具体的内容の説明を、一方では、秘密とバランスとかなんとかいって拒否し、他方では、間合いが詰まってきた、霧が晴れた、相当譲歩した等々抽象的な言葉を並べ、もう九合目だというふうな話をしているんですね。

 こういうやり方は、先ほど私が言いましたように、先ほど西村副大臣も国民が関心を持っていると言っていましたよね、そうなんですよ、では、その関心に応えたかというと、相変わらず言を左右にして、応えないわけですけれども、やはり国民はわからないという方が多数なんです。こういうことで何で国益が守られるのかということについて、根拠がないと私は言わざるを得ません。

 したがって、私は、改めて、TPP交渉から一日も早い撤退を求めて、きょうは質問を終わります。

     ――――◇―――――

土屋委員長 次に、水銀に関する水俣条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 水銀に関する水俣条約の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました水銀に関する水俣条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この条約は、平成二十五年十月に熊本で開催された外交会議において採択されたものであります。

 この条約は、水銀及び水銀化合物の人為的な排出及び放出から人の健康及び環境を保護することを目的として、水銀及び水銀化合物の規制等について定めるものであります。

 我が国がこの条約を締結し、その早期発効に寄与することは、水銀及び水銀化合物から人の健康及び環境を保護するための国際的な取り組みの推進に積極的に貢献するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

土屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る五月八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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