衆議院

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第4号 平成28年3月16日(水曜日)

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平成二十八年三月十六日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 島田 佳和君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 橋本  岳君 理事 篠原  豪君

   理事 武正 公一君 理事 岡本 三成君

      小渕 優子君    尾身 朝子君

      大西 英男君    大野敬太郎君

      菅家 一郎君    城内  実君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      佐々木 紀君    笹川 博義君

      鈴木 隼人君    薗浦健太郎君

      谷川 とむ君    辻  清人君

      細田 健一君    三ッ矢憲生君

      山田 美樹君    大島  敦君

      吉良 州司君    後藤 祐一君

      寺田  学君    長島 昭久君

      浜地 雅一君    笠井  亮君

      丸山 穂高君    小熊 慎司君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         中谷  元君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   外務副大臣        木原 誠二君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   外務大臣政務官      浜地 雅一君

   外務大臣政務官      山田 美樹君

   防衛大臣政務官      熊田 裕通君

   防衛大臣政務官      藤丸  敏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (外務省国際情報統括官) 鈴木  哲君

   政府参考人

   (海上保安庁海洋情報部長)            春日  茂君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 谷井 淳志君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     笹川 博義君

  松島みどり君     菅家 一郎君

  大島  敦君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     尾身 朝子君

  笹川 博義君     小林 鷹之君

  後藤 祐一君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     細田 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     谷川 とむ君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     大西 英男君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     松島みどり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官水嶋光一君、大臣官房審議官大菅岳史君、大臣官房審議官相木俊宏君、大臣官房参事官宇山智哉君、北米局長森健良君、国際情報統括官鈴木哲君、海上保安庁海洋情報部長春日茂君、防衛省大臣官房審議官西田安範君、防衛政策局次長鈴木敦夫君、整備計画局長真部朗君、地方協力局次長谷井淳志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 おはようございます。民主党の長島昭久です。

 早朝から、大臣、大変お疲れさまでございます。

 この質疑は、いわゆる思いやり予算に係る特別協定の審査ということでありますが、たしか前原外務大臣のときから、思いやり予算という言い方はやめて、ホスト・ネーション・サポートというように呼び方を変えたように記憶しているんですが、岸田大臣はどういう呼び方をされていますか。

岸田国務大臣 私も、ホスト・ネーション・サポート、あるいは略してHNS、こういった呼び方を使っております。

長島(昭)委員 これは一九七八年に、当時の金丸防衛庁長官がアメリカのブラウン国防長官に対して、当時はいろいろ、経済摩擦が非常に激しくなり始めたころで、安保ただ乗り論というのがアメリカで相当台頭してきて、それに対して、アメリカの兵士に守ってもらっているんだから、少し思いやりを持って金を出そうや、簡単に言うと、そういう発想から特別協定の締結に至ったわけですが、もう、そういう思いやりとかいう時代でもないということで、私も、岸田大臣がホスト・ネーション・サポート、そういうふうに呼んでいただいていることを確認して安心をいたしました。

 きょうは、いわゆる思いやり予算と呼ばれてきた、今やホスト・ネーション・サポートと正しく言われるようになった特別協定の中身の詳細というよりは、その大もとになっている、もう少し根本的な日米安保体制、日米同盟のあり方について、まず前半、岸田外務大臣と議論をさせていただきたい、このように思っております。

 まず最初に、禅問答のようで恐縮なんですが、日米同盟の意義、特に、日本から見た意義、アメリカから見た意義、両方あると思うんですけれども、外務大臣として、日米同盟の意義、メリット、何のために存在するか、ここのところをどう捉えておられるか、御所見をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 日米同盟の意義ですが、まず、我が国の平和、安全のために大変重要な意義を有しています。我が国の外交、安全保障における基軸であると考えます。

 そして、あわせて、日米同盟の存在は、アジア太平洋地域、こうした地域の平和と安全にとっても大変重要な存在であると考えますし、また、日米がともにグローバルな課題において協力するということにおいても、これは礎になると考えています。

 アメリカ側からの意味ということを申し上げるならば、アジアや世界における日米共通の利益、あるいは普遍的な価値を促進するという意味で、ともに協力すべき重要な関係であると考えます。

長島(昭)委員 アメリカの国際政治学者、リアリズムの大家に、ハンス・モーゲンソーという人がいるんですけれども、このハンス・モーゲンソーという学者が、同盟は必然的にその土台として利害の一致を必要とする、こういうふうに述べているんですけれども、今まさに大臣がおっしゃっていただいたように、日本の平和と安全にとって極めて重要な役割を果たしているのが、アメリカ側の日本の平和と安全に対するコミットメントを基盤とする日米同盟である、これが第一点だと思います。

 それからもう一つ、日本側からいうとすれば、これも大臣がお触れになりましたけれども、日本の安全の基盤であるアジア太平洋地域の安定を保障するもの、これが日米同盟のまさに土台であるというふうに思います。

 私は、利害の一致ということから考えれば、アメリカ側から見た日米同盟の意義、メリットというのは、大臣がお触れになったグローバルな課題に日米共通で取り組んでいく、これは一つ大きい大事な問題だと思いますし、アメリカがまさに覇権国として国際政治に向き合っていくときに、ヨーロッパだけではなくて、アジアの同盟国からの支持というのは極めて重要だというふうに思います。

 もう一つ忘れてはならないのが、アメリカが国際情勢に対応する、グローバルな脅威というものに対処するために、日本におけるアメリカの基地、施設の存在というのは、これは極めて大きなものがあると思います。

 例えば、第七艦隊は、西太平洋からインド洋、そしてアフリカの喜望峰まで、かなり広いエリアを分担していますね。その第七艦隊の空母の、いわゆる母港、完全な母港ではないですけれども、主要な寄港地として横須賀があるわけです。それから、アメリカの海兵隊を乗せていく水陸両用艦隊のまさに母港ともいうべきものが佐世保にあるわけです。

 日本の政治の安定と、経済力と技術力、それから、米軍をメンテナンスしていく、あるいはサポートしていくその力というものがなければ、アメリカのパワープロジェクション能力が中東にまで及ぶということはほぼ不可能に近いというふうに私は思うんですね。

 そういう意味で、日本の基地、施設というものを一つの基盤とした日米同盟というものは、アメリカの世界戦略にとって極めて重要。日本の平和と安全にとって重要、アメリカの世界戦略にとって重要、この二つが一つになって日米同盟の土台をつくっているというふうに私は思っています。

 そういう意味では、利害が完全に一致していますから盤石のように見えるんですけれども、私は、その土台の上につくられた構造物というものを考えたときに、必ずしも盤石でないというか、逆に言うと、脆弱性というものを内包しているように常々感じてまいりました。

 岸田大臣、日米同盟の基本構造というものをどう捉えておられますでしょうか。

岸田国務大臣 日米同盟の基本的な構造をどう考えているのか。ちょっと済みません、御質問の趣旨を十分理解しているかどうかわかりませんが。

 日米同盟というものは、一九五一年に署名され、五二年に発効し、そして六〇年に改定され、今日に至っております。

 そして、この日米安全保障条約と並行して、ガイドラインというものを策定してきました。一九七八年、一九九七年、そして昨年と、三回にわたってガイドラインを策定してきました。こうしたガイドラインを策定することによって、安保条約の実効性を高めていく。さらには、ガイドラインの中にはグローバルな課題への取り組みも含まれておりますので、幅広い日米協力を推進してきた。こういった歴史があります。

 日米安全保障条約、そして新ガイドライン、こうしたそれぞれの役割のもとに日米同盟を充実してきたわけですが、今、安全保障環境は一層厳しくなっています。今申し上げた一九五一年以降、今日までの歴史を振り返っても安全保障環境が大きく変化していますが、これからも、さらに大きな変化も想定していかなければならないと考えます。

 今申し上げたような体制で、日米同盟、日米安全保障条約は活用されてきたわけでありますが、こうした変化する安全保障体制に対しては、引き続きこの体制を緊密なものにしていかなければなりませんし、充実したものにしていかなければなりません。我が国の積極的平和主義、そして米国のリバランス政策、こうしたものを通じて緊密化を図っていきたいと考えます。

長島(昭)委員 今大臣がお述べになったことはいずれも大事なことだと思いますが、私が伺いたかったのはもう少し基礎的な構造部分というか。

 皆さんのお手元に資料をお配りさせていただきましたが、日米安保条約の第五条と第六条を読んでいただくと、かなり鮮明にこの基本構造というものが浮かび上がってくると私は思っているんですけれども。

 まず五条で、「各締約国は、」つまり日米は、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」と。エリアが限定されているんですね。しかも、日米という締約国にもかかわらず、この条約の射程は、日本国の施政のもとにある領域に限定されている、ここに対する武力攻撃に共同で対処する、こう書かれているのが第五条であります。

 これをアメリカ側から見ると、どう感じるか。これは、最近、共和党のフロントランナーと言われているドナルド・トランプ候補、大統領選挙に出ている候補が、演説のたびに盛んに、日米同盟というのはアメリカにとって不公平だ、日本が襲われたらアメリカが助けるけれども、アメリカが襲われても日本は何もしない、こんなのでいいのかといって、大喝采を浴びているんですね。一度や二度じゃない。演説会のたびに彼はやって、大喝采を浴びている。これは、アメリカ人からすれば実は極めて素朴な疑問だと思うんですね。

 もう一枚めくっていただくと、アメリカとの同盟を結んでいる他の締約国、他の同盟条約ですね、これを列挙させていただきました。

 まず、NATO。NATO条約の五条で、締約国は、ヨーロッパまたは北アメリカにおける、これはかなり広いエリアですね、一つまたは二つ以上の締約国に対する武力攻撃、これは全締約国に対する攻撃とみなして共同で対処すると書かれているわけです。アメリカだけが襲われたらとかヨーロッパだけが襲われたらという話ではないんですね。

 では、アジアの同盟国はどうか。

 まず、米韓。米韓の相互防衛条約の第三条、これは二行目の後ろから見ていただけますように、いずれかの締約国に対する太平洋地域における武力攻撃、これに対して共同で対処するとうたっているわけです。韓国だけでもない、アメリカだけでもない。太平洋地域におけるいずれかに対する武力攻撃。

 では、フィリピン。フィリピンなんというのはほとんど自衛の努力もおぼつかないような国ですよ、言い方はちょっと悪いですけれども。この米比条約の第四条ですら、各締約国は、アメリカとフィリピンは、太平洋地域におけるいずれか一方の締約国に対する武力攻撃、これに共同対処すると書いてある。

 ANZUS、今ちょっとニュージーランドが外れていますけれども、オーストラリアとアメリカとの防衛条約も同じであります。太平洋地域におけるいずれかの。

 つまりは、日本とアメリカとの同盟条約だけが、安保条約だけが、日本の施政のもとにおけるエリアだけに両国の共同行動のエリアが限定されている。私はここに、さっきのトランプさんの発言ではありませんけれども、米側から見た一つの脆弱性というものが隠されていると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、日米安全保障条約の条文の中身ということから申し上げるならば、御指摘の五条と六条を見ましても、五条において、我が国への武力攻撃に対して日米で共同して対処するということを定め、一方、六条におきまして、我が国は施設・区域を使用することを認める、こうした中身になっています。義務の中身は異なりますが、日米間での義務のバランスはとれているというふうに理解をしております。

 そして、区域が限られているのではないか、日本国の施政下にある領域ということで区域が限られているのではないかということですが、こうした区域における平和と安定、こうした地域の安定というものは、これは米国にとりましても共通の利益ではないかと考えます。

 あわせて、日米関係全体を考えるならば、日本とアメリカは、外交、安全保障のみならず、経済を初め文化などさまざまな分野において大きな共通の利益を有する二国間関係であると考えます。こうしたもの全体を考えた中で、日米同盟について、あるいは日米安全保障条約についても考えるべきだと思います。

長島(昭)委員 今大臣がおっしゃっていただいたように、必ずしも片務的ではないんです。お互いに、性格は違うけれども、義務は果たしているわけですね。

 さっきドナルド・トランプ候補の発言を引用させていただきましたけれども、米側から見て、五条だけだったら、ほかの同盟条約に比べてアメリカ側の持ち出しが大きいじゃないか、こういう批判が当たると思うんですが、それをカバーしているのが第六条なんですね、第六条。

 この第六条で、アメリカ合衆国に対して、極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために、米側に対して基地と施設の提供を日本がする、こういう形になって、私流に言うと、有事のリスクをアメリカがより多くとるようになっているんですが、それを、平時のコストを日本がより多くとることによって何とか双務性のバランスをとっているというのが、私は日米同盟の基本構造だというふうに思うんです。

 これは、実を言うと、今私が最初に申し上げたように、日米同盟の土台はしっかりしているんだけれども、構造物に多少脆弱性があるのではないかというところのポイントがあるんです。それは何かというと、どうしても基地施設の提供の方に、有事のリスクは日本は憲法上の制約もあってなかなか負い切れないということで、平時のコストにかなりウエートがかかってくるんですよ。これが基地施設の提供であり、地位協定上のさまざまな問題であり、それが一番先鋭的に出ているのが沖縄の基地問題だと言うことができるんだろうと私は思うんです。

 この平時のコストと有事のリスクの微妙なバランスの中で何とか構造物を維持してきたというのがこれまでの日米同盟の歴史であって、先ほどちょっと大臣説明されていましたけれども、そこにガイドラインを三回にわたってつけたり、あるいは、中曽根政権時代には、それまでバードンシェアリングと言われていた、つまりお金を出して何とか済ませてきた、バランスをとってきたやり方から、もう少し日本が、一千海里のシーレーンも防衛するとか、あるいは三海峡を場合によっては封鎖するという、そういう日本の軍事的な能力も付加しながら、有事のリスクもだんだんとりながら、平時のコストをアメリカと交渉してなるべく下げていくような、そういう深化の過程が日米同盟にはあったというふうに思うんです。

 この基本構造を早くから見抜いて、これをもっと直接的に是正しようというアプローチをとったのが、実を言うと、これは岸総理の前です。一九六〇年の安保を改定する前、まだ日本民主党、鳩山一郎さんが総理大臣、重光葵さんが外務大臣。私はこの重光葵という人を物すごく政治家として尊敬しておりますけれども、一九五五年の八月ですよ、まだ保守合同をする前の話、この重光葵が、当時のダレス国務長官に対して、日本も西太平洋地域において、さっきの他の同盟条約のように、他の同盟条約は太平洋地域ということになっていますけれども、西太平洋地域においてアメリカと相互防衛するような役割を負うから旧安保を改定しようということをダレスに直接提案するんです。それに対してダレスは、君、何言ってるんだ、そんなことを君たちの憲法の解釈でやれるのか、こうやって切り返されて、結局は断念せざるを得なくなってしまったんです。

 ちょうどその重光とダレスの会談に陪席していたのが、当時日本民主党幹事長だった岸信介さんだったわけです。その後、彼は、そのとき重光と一緒に非常に悔しい思いをしたというのが原点にあって、安保改定に踏み切っていくわけなんですね。

 そのときも、しかし、岸さんは、西太平洋、あるいは太平洋地域というエリアにまで射程を広げる努力をかなりしたということを、研究者の研究などで私読んだことがあるんですけれども。結局、当時一九六〇年の、まだ戦後十五年しかたっていない、自衛隊もまだまだ、当時は二千億にも満たないような、そんな予算規模だったと思います。今や五兆円ですよ。三十倍以上になっているわけであります。

 当時、重光外相あるいは後の岸首相が果たせなかった、有事のリスクと平時のコストをバランスよく、お互いに日本とアメリカが適正に分担し合うような、あるエリアですよ、太平洋地域なら太平洋地域、西太平洋地域なら西太平洋地域で、まさに相互防衛努力を行えるようなそういう環境を、これから安保法制も整備され、限定的とはいえ集団的自衛権の行使に踏み切る、こういう決断を、それは野党の中にも相当批判はありますよ、国民の間にも不安はあると思います、しかし、それは何のためにやるかといえば、一つは地域の安定のため。地域の安定の一番の基盤は何かといったら、日米同盟の安定でしょう。それは外務大臣も異論はないと思うんですね。

 そういう日米同盟の安定のために、今ある基本構造の脆弱性というものを、日本側が有事のリスクをとり、そしてアメリカ側に平時のコストをさらに削減してもらう形で、両国民が納得できるような、あるいは信頼できるような、支持できるような、そういう形につくりかえていくというような将来構想のようなものを外務大臣はお持ちでしょうか。

岸田国務大臣 まず、基本的には、先ほど申し上げたように、日米安全保障条約は日米間で、それぞれの義務の形は違ってもバランスはとれているという認識、これは変わりはありません。

 そして、平和安全法制の議論につきましては、あくまでも我が国の国民の命や暮らしを守るために、我が国の体制が切れ目ない、十分なものであるかどうか、こうした議論に基づいてさまざまな点検が行われ、法律がつくられ、そして国会において議論をされ、成立したものであると考えております。

 日米安全保障条約につきましては、先ほど申し上げましたガイドラインというものが三回にわたって策定をされました。このガイドラインの中には、日米安全保障条約及び関連法令に直接基づくものと直接基づかないものが含まれています。グローバルな協力の部分は、安保条約そのものには根拠を置かないというものであり、それに基づいて、ハイチ地震への対応ですとかアデン湾における海賊対策、こんなものも行われてきたということであります。

 これからも日米安全保障条約は我が国の外交、安全保障の基礎ではありますが、一方、日米でグローバルな課題に対する協力というようなことは、引き続き考えていくべき課題ではないかとも考えます。

長島(昭)委員 平時のコストについて、地位協定絡みで少し御質問をしたいと思うんです。

 今の地位協定のあり方、これまで一度も改定はされていません。いろいろな事件、事故が起こるたびに、運用の改善でずっとこれの足らざるところを補ってきたという認識を私は持っています。

 大臣御自身が、今外務大臣として、日米同盟の維持強化に努めている、そして国民の理解を得るための努力をなさってこられたと思うんですけれども、そういうこれまでの仕事を通じて、今の地位協定のもし課題があるとすれば、どういうところに課題があるというふうにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 日米地位協定につきましては、協定そのものももちろんですが、さまざまな合意を含む大変大きな法体系であると言えます。

 そして、日米地位協定についてはさまざまな意見があるのは事実でありますが、我が国としましては運用の改善を通して機敏に対応していく、こうしたことが合理的でもありそして効果的でもある、こういった判断に基づいて取り組みを行ってきました。要は、運用の改善ということによってよりよいものにしていく、こういった努力を今日まで続けてきました。

 協定そのものの中身、これももちろん大事ですけれども、運用の結果どのような成果につながるか、こういったことは大変重要であると思います。

 我が国としましては、運用の改善によってよりよいものにしていこう、こういった取り組みを行うことによって、例えば、刑事分野につきましても、起訴前の拘禁の日本側への移転を可能にする、これは、他の国においてここまで結果として行える協定はないと認識をしております。

 協定そのものはもちろん大事でありますが、運用の改善部分も含めてどのような成果が上がっているか、こういった視点で、それぞれ各国における協定との比較をし、そして我が国の協定を評価しなければならないと考えています。

 そして、これからの課題ということを申し上げるならば、先日ようやく、環境につきましては、日米地位協定の中に環境に関する条文、内容が従来は存在しませんでしたので、補足協定という形をとって、初めて法的拘束力のある国際約束という形で規定を設ける、こうした取り組みを行いました。

 環境分野も含めて、今後とも、騒音などさまざまな課題についてよりよいものにしていかなければならない、さまざまな努力を続けていかなければならない、こんな問題意識は感じております。

長島(昭)委員 今、刑事裁判手続の話と環境の問題と、二つ非常に大きな課題を挙げていただきました。

 私も環境は防衛政務官のときに、今から五年近く前でありますけれども、当時は普天間の移設の問題でかなりごたごたしてしまったので、環境条項を付加しようという努力をさせていただいたときに、最初の米側の反応は非常によかったんですけれども、普天間移設問題が不調に終わったために、そのときに、環境条項の加筆というのがなかなか難しかったんです。

 これは、ドイツでは九五年にできていますし、あるいは韓国では二〇〇〇年代の初めにできていましたので、日本としては極めておくれてしまった。それでも今回実現することができたというのは、私たちは手がけ始めた立場からして本当によかったと思いますし、公務中の事故についての被疑者の拘禁の引き渡しも、これも改善としてはこれまでやってきている。

 もう一つ、もう時間がないんですけれども、私、きょう防衛副大臣にお見えいただいたので、基地の管理権について少し考えていただきたいと思っているんです。

 イタリアなどは、全ての在イタリア米軍基地の管理権はイタリア政府、イタリアの軍隊が握っているということなんですが、日本の場合は現状どうなっているでしょうか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 在日米軍に提供いたしております専用の施設・区域の中で、日米地位協定の第二条四項の(a)に基づきます共同使用をいたしております施設・区域につきましては、自衛隊が使用している施設として、例えば演習場につきましてはキャンプ・ハンセン、これは沖縄でございます。また、飛行場の施設につきましては三沢、これは青森でございます。それから、港湾施設につきましては佐世保、委員も御指摘ありました長崎でございますが、ございます。

 また、同協定第二条四項の(b)にございますが、米軍が一定の期間を限って使用している施設・区域といたしましては、主に自衛隊の演習場や飛行場がございまして、例えば矢臼別の北海道の演習場、山梨の富士演習場、あるいはやはり北海道の千歳演習場、千歳飛行場、石川の小松飛行場、それからまた宮崎の新田原などがございます。

長島(昭)委員 大臣、さっきイタリアの例を挙げました。何で日本の土地なのに米側が排他的に使用するエリアがまだ残っているんでしょうか。

 これはアメリカと交渉して、大変なことだと思いますよ、大変なことだと思いますが、さっきの五条、六条の関係からいってもかなり難しい交渉だとは思いますけれども、外務大臣として日本の主権ということを考えて、米軍基地については日本側が全て管理をし、米側がそれを利用する、こういう形にするのは、私は日本の国民から見ても極めて健全な形だというふうに思うんですが、そういうふうにアメリカと交渉するおつもりはございますか。

岸田国務大臣 これは、施設・区域の共同使用ということでお答えすればいいんでしょうか。

 共同使用ということで考えるならば、例えば2プラス2の議論の中においても、自衛隊及び米軍の相互運用性の拡大あるいは柔軟性及び抗堪性の向上のため、施設・区域の共同使用における協力の強化が必要であるという認識で日米は一致をしている、こういった内容が盛り込まれております。

 施設・区域の管理権ということで考えた場合に、この管理権が日本側に移った場合に十分に日米同盟が機能するかどうか、こういった点についていま一度慎重に検討していくことはしなければならないと思います。その上で、今の課題についても検討を進めていくべき課題であると思います。

長島(昭)委員 おっしゃるように、一朝一夕では難しいと思います。少しお触れになったように、共同使用というものをどんどん拡大していくというのがまず先決だと思います。

 しかし、管理権が日本に移ったから日米同盟が機能不全に陥る可能性があるというのは、これは認識としては、正直申し上げて、誤っているというふうに思いますよ。日米同盟の信頼性というのはそんなやわなものではないと思いますし、日本の技術、日本の政治の安定性、経済力、こういうことを考えたら十分、日本が管理をし、アメリカに利用させ、いざとなったら、有事のときはアメリカが利用することは当然のことでありますけれども、平時の管理権ぐらいはまず日本に返還を求めるというのが、私は政治の意思として筋だというふうに思いますので、その点、申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、時間がもう残り少なくなったんですが、日米同盟というものを地域の安定のために生かすとすれば、これは、中国との関係をどうしていくかというのが私はすごく大事だというふうに思っております。

 基本的には、私は、エンゲージメント、中国をどう地域の秩序の中に組み込んでいくか、このことの我々の役割が、あるいは責任が求められているんだというふうに思いますし、エンゲージメントといっても、ただ中国を一つの単体として見るのではなくて、今、中国も相当多様なアクターが出てきていますよ。

 私、先日、バーリンホウと呼ばれている、八〇年代の、改革・開放後に生まれたすごく若い女性の研究者、今ハーバード大学で研究している方にお会いをしましたけれども、本当に聡明だし、正直言って、中国共産党のことは全く信頼していないんですね。しかし、自分は中国に戻って中国の将来に貢献したい、こういうふうに考えている。そういう層も大分実は育ってきているんです。

 あるいは、中国が国際社会に出れば出るほど国際的協調も重んじていかなければならない、考えていかねばならないと言う経済界の人々も出てきていますし、外交部など、国際協調を重視しているアクターも当然あるんですね。

 もちろん、軍を中心とした、強硬な、力によって現状変更をもいとわない、そういうアクターもいますので、それぞれのアクターに見合ったエンゲージメントの仕方が私はあると思います。この強硬な人々に対しては、やはりある程度、バランス・オブ・パワー、力というものを示しながら地域秩序の安定性というものを担保していく必要がある。そういう意味で、日米同盟の共同の抑止力というのは極めて大事だ、こういうふうに思っているんです。

 今南シナ海で起こっていることが一番我々にとっては厄介な出来事だというふうに思うんです。この二年足らずであれだけの人工島が造成されてしまった。これは、よくサラミスライス戦術と。一枚一枚のサラミは薄っぺらいもので大したことはないんだけれども、それが積もり積もって重なっていくと、現状を根底から覆すような、地域秩序を根底から覆してしまうような、そういう事態に陥ってしまう。まさに、今南シナ海で起こっていることはそういうことだというふうに思うんです。

 外務大臣、先日、西沙諸島ウッディー島、ウッディーアイランドにレーダーが設置されたとか、あるいは戦闘機が訓練飛来したとか、こういう報道がなされました。南シナ海でも滑走路の造成が着々と進められている。

 一方で、去年の九月二十五日に、米中首脳会談がワシントンで行われました。そのときに、オバマ大統領は習近平主席に対して、係争地域の土地の埋め立て、これは南シナ海のことですね、建設及び軍事化をめぐる重大な懸念を伝えたと、共同記者会見で述べました。それに対して、習近平主席は、南シナ海の諸島は古代から中国の領土である云々と言った後、南沙諸島で中国が行っている関連の建設行動は、特定の国を対象にしたり影響を与えるものではなく、中国が軍事化を追求する意図はないと。

 最近盛んに西沙諸島などで言われている軍事化の事実と、習近平主席の、軍事化する意図はないというそごについて、外務大臣としてどうお考えでしょうか。

岸田国務大臣 まず、大規模な急速な埋め立て、拠点構築そして軍事目的の利用、こうした一方的な現状変更を行う試み、これは、国際社会共通の懸念であり、我が国としても深刻に懸念をしなければならない問題であると思います。そして、その際に、我が国の対応としましては、法の支配が尊重されていることをしっかり重視し、そういった観点からも、米国の航行の自由作戦を我が国としても支持をしているということであります。

 国際社会と緊密に連携をしていかなければならないと思いますが、その中で、習近平国家主席の軍事化する意図はないという発言との関係についてどう考えるかということですが、御指摘の米中首脳会談は九月だったと思いますが、十一月に、東アジア首脳会議、EASにおきまして、安倍総理がこの点について触れています。南シナ海で軍事化する意図はないとの発言には具体的な行動が伴わなければならない、こういったことであると思います。

 そして、我が国は、軍事化以前の問題として、一方的な現状変更の既成事実化、これ自体は認められない、こういった主張を行ってきました。軍事化以前の問題として既成事実化を認めない、この方針をしっかりと我が国の主張として伝えるべきであると考えます。

長島(昭)委員 それで、安倍総理が、現状変更は許されないんだ、軍事化をしないということについては行動を伴わなければならないんだとおっしゃった。

 外務大臣は、今、一連の報道を見て、軍事化しているという判断をされているんでしょうか、されていないんでしょうか。

岸田国務大臣 軍事化している、していないを判断する前に、一方的な現状変更、既成事実化することを認めないというのが我が国の立場であると思います。軍事化していようがいまいが、その以前の問題として、既成事実化を、法の支配との関係において我が国としては認めないということをしっかり訴えるべきだと思います。

長島(昭)委員 ちょっと、大臣、以前も南シナ海の中国の主張について大臣にお伺いしたとき、つまりは、人工島をつくっている、オリジナルステートはどうだったのか、つまり、今はもう原状がわからないぐらい人工島で埋め立てをやっちゃって、それが岩だったのか暗礁だったのか低潮高地なのか、もう判別がつかないような状況になっちゃいましたよね。もともとはどういう地形だったのか、大臣は日本政府として把握しているのかというふうに以前私が尋ねたときに、いや、それは正確には把握できないんだと。

 つまり、国際社会が今、中国の主張に対して、まさに大臣がおっしゃった法の支配を貫徹するために、だめなものはだめだと言わなきゃいけないんですね。軍事化しないと習主席が言っているのに、軍事化が進められているのはおかしいじゃないかと、はっきり言わなきゃいけない。それから、領海だ、領土だと主張しているけれども、しかし、人工島をつくる前は低潮高地だったじゃないかということをはっきり中国に突きつけて、中国の行動を抑制していかなければならないと思うんですけれども、その点について改めて伺いたいと思います。

 日本は、政府として、南シナ海、特に南沙諸島におけるもともとの地形をきちんと把握して、ここは中国が主張している領海ではない、ここはEEZも発生しない、ここは大陸棚の延長を認められない、つまり、ここからここは領海で、ここからここは公海だ、そういう区別をきちんとして、それで中国側の主張と向き合っているんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、先ほどの軍事化の話で申し上げるならば、軍事化していなければいいというものではないということを申し上げております。軍事化していたらけしからぬ、軍事化していなければいいんだというのではなくして、それ以前の問題として、一方的な現状変更を認めるわけにはいかない、このように申し上げております。

 そして、南シナ海の状況について、我が国としてしっかり状況を把握しているのかということ、それに基づいて主張をしているのかということですが、我が国としまして、情報に関しましてはしっかりと収集をしています。ただ、現在のこの南シナ海の状況を考えますと、我が国として、確定的な状況を確認することはできない、こういった状況にあるのは御理解いただけると思います。

 そして、その上で、今裁判で争っているこの状況において、我が国として、これはどちらかという確定的な判断をすることはさまざまな大きな影響を及ぼすことになります。こうした公の場で、我が国がどちらなのかという判断をするということは適切ではないと考えます。

長島(昭)委員 これは別に、いいか悪いかの判断を求めているのではなくて、事実はどうだったのかということの認定は、私は少なくともできると思うんですね。

 きょうは海上保安庁に来ていただいているんですが、実は、大日本帝国があそこを全部占領していたわけです、一時期。帝国海軍が、水路部というところが全部地形を調べているんですよ、戦時中に。その地図、海図を海上保安庁が引き継いでいるんですよ。

 きょうは海洋情報部長さんにお見えいただきましたが、今その海図がちゃんとあるかどうかを確認しますので、大臣、ちょっと聞いていてください。

春日政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、海軍水路部が過去に刊行した海図を保有しており、その中には、南シナ海の島や礁が記載された海図が含まれております。

岸委員長 長島君、時間が来ていますから簡潔に。

長島(昭)委員 最後にします。

 大臣、日本政府の中にあるんです、情報は。しっかりそれを把握して、その上で中国と。ただ拳を振り上げろと言っているわけではありません。事実認定に基づいて、どこが領海でどこが公海なのかということを日本政府でまず把握して、そしてこれから国際場裏で中国とやりとりをしていただきたい、このことを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪です。

 先週の代表質問に続いて質問をさせていただきます。

 先日も同様の趣旨で申し上げましたけれども、我々は、日米同盟が、日本外交及び日本の安全保障にとって、先ほどもおっしゃっていましたけれども、基軸であって、一層厳しくなっている我が国を取り巻く安全保障環境を考えれば、日本における米軍のプレゼンスを確保することが我が国の防衛に必須であると考えています。

 我が国の防衛予算が、対GDP比一%を下回る水準でずっと来ているのも、これは米軍の存在が大きな抑止力になっている側面だというふうにも考えております。

 さらに、我が国の自衛隊と米軍、これは盾と矛の関係についてということでお伺いもしましたけれども、憲法との関係において、たとえ自衛のために必須な行動であっても、自衛隊が他国領域内で武力行使を目的とした軍事作戦を展開することをできる限り避けていくことが従来の政府方針であるということを考えれば、米軍の駐留経費をある程度、一定の負担をするということには正当性があるんだろうというふうに考えています。

 先日の本会議の場でも御指摘させていただきましたが、問題はやはり在日米軍駐留経費の負担の割合だというふうに考えております。

 思いやり予算の支出根拠となる特別協定が今月末に期限を迎えるために、日本政府は、昨年の外務、防衛当局者協議で改定に向けた交渉に入って、そして、当初、ホスト・ネーション・サポートと呼ばれる在日米軍駐留経費、この日本側負担の減額を行っていく調整に入ったというふうに報じられてきているところであります。

 そこで、まず初めに、大臣に、日本政府は今回の改定交渉にどのような基本方針で臨んだのか、お伺いをいたします。

岸田国務大臣 日米安全保障条約を基礎とする日米同盟の中で、在日米軍の存在というのは大変大きなものがあると考えます。そして、その在日米軍の運用を円滑かつ効果的にしていく、そのために、ホスト・ネーション・サポート、これは引き続き重要であると認識をしています。

 この認識のもとに我が国は交渉を行ったわけですが、その交渉に当たっては、まずは今申し上げましたホスト・ネーション・サポートの意義をしっかりと踏まえながら、我が国の厳しい財政状況等をしっかり念頭に置き、我が国として主張すべきことは主張する、こうした方針に基づいて米側と協議を行いました。そして、協議の結果、米側と合意ができた内容が、今回のお示ししている内容ということであります。

篠原(豪)委員 基本的にそういう方針で臨んだというのはわかるんですけれども、やはり気になるのが、その中でも、改定交渉に対して、アメリカの側に減額を納得させようとしていたのかどうかというところだと思っています。

 この点について、減額についてどのような交渉をしてきたのかということについて改めて伺わせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 ただいま申し上げたような方針に基づいて米側と協議をしてまいりました。そして、減額ということについて申し上げるならば、我が国からは、我が国の厳しい財政状況等、これを踏まえて、例えば福利厚生施設で働く労働者の労務費の日本側負担を削減するなど、めり張りのきいた内容を目指すべく交渉を行いました。国民の理解の得られるホスト・ネーション・サポートとはどうあるべきなのか、こうした観点から主張を行った次第であります。

篠原(豪)委員 いろいろとあるんだと思います。その中で、本当に多種多様なものがあって、どこまでチェックしてこれまで見てきていて、どういうことを削っていくべきかというのは、後ほど伺いたいと思いますけれども、交渉の過程というものがなかなか見えづらいということは、見えていいものであるのであれば、それは見せていただいて、なるべく伝えていただいた方が、我が国は民主主義国家でありますので、それはやはり国民の皆さんにとって丁寧な説明だというふうに思いますし、そういったことを心がけていただきたいと思います。またそれは伺ってまいります。

 その中で、この特別協定、二〇二一年三月三十一日まで効力を有するということになっています。今回の協定でも、承認を通知する交換公文が交換された日より五年を期限としているというふうになっています。

 まず、五年という期間の妥当性、これについてどういうふうに判断をしておられるのか。そして、この五年というのをどういうふうに判断して、具体的にどういうふうに決めたのかということを伺いたいと思います。

岸田国務大臣 ホスト・ネーション・サポートに係る特別協定につきましては、例外は存在いたしますが、これまでも基本的にはその期間を五年としてきました。

 この五年の意味ですが、特別協定は在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支える意味で大変重要であると申し上げましたが、あわせて、安定的にしっかり支えていかなければなりません。そうした観点を踏まえて、総合的に勘案し、有効期間を今回も五年とさせていただいた次第であります。我が国を取り巻く諸情勢を初め、さまざまな観点を勘案した結果として、今回も期間を五年にさせていただいたと御理解をいただきたいと存じます。

篠原(豪)委員 ちなみに、他国の場合、同じような諸外国の事例というのはどのようになっているかというのがあれば、具体的にお聞かせいただきたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国以外の国における米軍の駐留経費負担については、当該国と米国との間の協定の内容を含め、我が国としてその逐一を把握し、お答えをすることは困難な状況でございます。

 ただし、今承知している範囲で申し上げますと、例えば米国と韓国との間で締結しております特別協定は、二〇一四年から二〇一八年までの五年間であると承知しております。

篠原(豪)委員 韓国しか把握していないということでしょうか。

森政府参考人 今、この時点では、手元には韓国のみございます。

篠原(豪)委員 正直、その程度しか把握していないのかという話でありまして、韓国が何年間特別な協定を結んでいるとしか日本は理解していない、こういうことを政府が、果たして本当にそうなのかということは、極めて疑わしいと思うんですが。

 大臣、今の答弁、いかがですか。

岸田国務大臣 特別協定のありようを考えるに当たって、他国の情勢についても把握しておく、これは大事なことだとは思います。ただ、特別協定のありようについては、各国とも置かれている安全保障環境も違いますし、そのさまざまな経緯ですとか条件も異なっていると思います。

 我が国として適切な有効期間はどうあるべきなのか、これをまずしっかり考えるべきだと思います。

 円滑かつ効果的な運用を図ること、大変重要でありますが、一方で、安定的に運用を行う、一定の予見可能性をしっかり確保する、こういった観点から、有効期間は何年が適切なのか、これを真剣に検討し、そして協議をした上で結論を出していくべきであると考えます。

 我が国としては、今回、今置かれている安全保障環境等もしっかり検討した上で、総合的な観点から五年と判断したと考えます。

篠原(豪)委員 私が伺ったのは、我が国の考え方として、我が国が五年というものを適切と考えるといった考え方は、それは一定程度わかるんです、それは先ほども伺いましたし。しかし、我が国が韓国しか把握していないということに対して、観察をする単位が、ではほかの同盟関係があるところでそれをいろいろ見ながら考えなきゃいけないときに、今のような話があって、これは真面目に本当にやっているのかという話ですので。

 いや、本当に知らないのかどうかこれはわかりませんけれども、今のお話だと、それはちょっとどうかなと。国民の皆さんが、他の外国と日本を比べた場合に、日本政府はどう考えているんですか、例えば期間においてはどうなんですか、契約の形はどうなっているんですかといったときに、期間そのものも韓国しか把握していませんというのは、これはなかなか厳しいというふうに思いますよ。

 ですので、私はそんなに長くないので、まだ一般的な感覚を持っていると思いますけれども、中では、どうしても、ほかの国があって、例えばドイツがどうとかこれからお話ししますけれども、韓国の話もしますけれども、お金が何%でという話とかは全部出ているわけですよ。では期間が何年かというのが出ていないなんという話はないと思いますので、これはもう少ししっかりとした御対応をいただきたいと思います。

 従来、特別協定の有効期限はおおむね五年でしたというお話がありました。しかし、おおむね五年ということで、二〇〇六年協定、二〇〇八年協定は、協定締結当時、在日米軍再編の最終的な経費の全体像が見えなかったことや、在日米軍駐留経費の包括的な見直しを行う等の事情があって、それぞれ二年と三年の有効期限としてきました。

 そして、最近の国際情勢の目まぐるしい変化や、これは後ほどお伺いしますけれども、我が国の安全保障法制の成立に伴い拡大するであろう支援のあり方の変容、そして在日米軍の駐留に今後の性質とあり方の変化が見込まれる中で、例えば、五年という話が今ありましたけれども、先ほど長島委員の質問にもありましたけれども、これだけ劇的に国際情勢が変わっていって、周辺の状況が変わっていく。

 さっきもスプラトリー、南沙諸島の話がありましたけれども、三年であっという間に、それこそ岩礁だったと言われていたものが、例えば、ここには漁船の避難小屋を建てるんですよと始まったものが、いつの間にか、こうやって見てみれば、なぜか知らないけれども、滑走路があって、私も写真を見せていただいたんですけれども、どの島を見たって、そもそもの小屋はこれでしたみたいなものが点みたいになっておりまして、こういったことは非常にまずいんじゃないかというふうに僕も思っています。

 例えば、先ほど長島委員の方からもありましたけれども、海上保安庁の方々が向こうに行かれて、船をフィリピンなんかにお渡しするということも去年決まったと思いますけれども、これも訓練も含めてしっかりとやらなきゃいけないと僕は思っています。それをやっていく中でも、向こうに行ってお話を伺いますと、最初はいいんですよ、最初はちゃんとやるんですけれども、どうも、教えてくれる方々がいなくなってくると、何かゆっくりになってくる。

 それをある例えで言った人がいるんです。これは例えの言い方がいいかわかりませんけれども、例えばあるゲーム、昔よくはやったロールプレーイングゲームでいうと、相手にレベルというのがありまして、自分のレベルというのもあるんですけれども、日本がレベル四十だとすると、かなり初歩的なレベルなので、そこから上げていくというのはなかなか大変なんですよと。よく勉強させたと思います。

 ですが、私が伺いたいのは、こういった状況がある中で本当に五年でいいのかというところで、これはやはり機動的な運用も含めて、別にそれはやめるという話じゃなくて、やはり合わせていかなきゃいけないということがありますので、仮に五年に一回になると次は二〇二一年です。そうすると、この三年間を見ても、次の五年後というのはどうなっているかわからないようなことが現に起きたということで理解しています。

 ですので、そういったことを踏まえますと、本来であれば、もう少し短期的な運用というものも、交渉する方々は大変だと思います、アメリカもそれは嫌がるかもしれない、ですが、我が国と本当に日米同盟をきちっとする中で、お互いの利益でもって、パワープロジェクション機能というか、ほかの地域でやっていくということもあるのであれば、これはやはり短くしてやるべきじゃないかということも考えたらいかがかと思うんですが、いかがでございましょうか。

岸田国務大臣 委員御指摘のように、過去の例としては、二年あるいは三年、特別な事情のもとにそういった期間を設けた例が存在いたします。

 今回は、まさに今の安全保障環境等、さまざまな観点を検討し、一方で、安定性や予見可能性とのバランスの中で五年という判断をしたわけですが、ただ、これは特別協定ですので、毎回毎回しっかりと検討していかなければならないと思います。有効期間においても、毎回こうした協定を結ぶに当たって、真剣に検討をし、間違っても自動的に五年と定めるものであってはならないと考えます。

篠原(豪)委員 今回はこの案で出てきていますので、審議はこの内容だということになると思うんですけれども、今からいろいろ考えていただく中で、これからどんどん劇的に展開していきますから、特に、何もアジア周辺地域だけじゃなくて、世界じゅうがいろいろな状態が変わってきているところで、今までの国家対国家で想定できなかったいろいろなことが、そういったことももしかしたら対応しなきゃいけないときが来るかもしれない。

 そういうときに、対応の仕方はありますよ、憲法を守るとか、いろいろとあります。予見可能性で五年間とおっしゃっている中で、しかし、予見不可能性を現にはらみつつある、こういう地球の中の安全保障の状況が起きているというのもあると思いますので、ぜひその点もしっかりお願いできればと思います。

 今の質問に関連するかどうかですけれども、もう一つ、片務性の解消という観点からお伺いいたします。

 今申し上げましたけれども、我々は立憲主義の否定として強く反対してきましたけれども、政府は、強行採決の末、自衛隊の集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法制を成立させた。その是非はともかく、結果的に、日本の国防を一方的にアメリカに頼る、この日米安全保障体制の片務性というのはかなり今後緩和されていくんだろうというふうに考えています。

 その中で、在日米軍の存在によってこれまでは日本の軽装備が可能となって、防衛予算も低く抑えられてきたので、さっき申し上げましたけれども、GDP水準一%のところでずっと抑えてこられた。先進国を見れば、日本は今や世界第七位の防衛関係経費ですけれども、防衛費を二倍に上げればそれが第三位にはね上がる、軍事大国化していくというところだと思うんですけれども。やるかやらないかではなくて。

 しかし、そういった中で低く抑えられてきたのであるからホスト・ネーション・サポートは多くなって当然だろうということは、アメリカも考えてきただろうし、受ける我々にもそういうある程度の必要性というのはあった。

 しかし、日本の自己努力でこれから米軍の負担を将来的に軽減していくのであれば、その分ホスト・ネーション・サポートを減額していただいてもよろしいんじゃないですかというのを米側は拒めないんだろうというふうに思っています。

 我々はその交渉の過程がわからないので、その辺について、今後、我々の片務性を解消して、我々の役割も大きくなってくればアメリカが拒めないと考えているんですが、外務大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 我が国の平和と安定を考えた場合に、当然、我が国自身が防衛力を強化していく、あるいはしっかりとした体制をつくっていく、これは大変重要なことであります。

 しかし、今の国際情勢、大量破壊兵器の拡散等、こうした現実を見るときに、やはり引き続き、我が国にとりまして、日米安全保障条約を堅持し、抑止力をしっかりと維持強化していく、こういった観点は重要だと思います。

 国際的に見ても、今や常識として、どの国であっても一国のみではみずからの安全や安定を守ることができない、こういった考え方が主流となっています。

 こういった状況ですので、なおさら、我が国としまして、我が国自身の防衛力の強化あるいは体制の強化とあわせて、日米安全保障条約に基づく抑止力をしっかりと維持強化していかなければならないと思います。

 そして、そもそも、安全保障環境そのものが一層今厳しさを増しています。我が国の努力と米国の抑止力、ともに重要ですが、それぞれ充実していくことによって、より一層厳しくなっている安全保障環境に備えていかなければならない、これが現実であると考えます。

 それぞれのバランス、もちろん大事でありますが、その対応すべき安全保障環境も変化している、こういった点もしっかり念頭に置きながら、それぞれのありようを考えていくべきであると考えます。

篠原(豪)委員 私がお伺いしたのは、我々の役割がふえて、その分を交渉の過程において減額するように、今までは頼るところも大きかったけれども、その辺が変わってきているので、そういう交渉が実際の経過としてあったのかという話だったんです。

 そうだとすると、今御説明を聞いていますと、これから、ホスト・ネーション・サポート、いずれにせよどうするのか、今後、日米の役割をどう分担し、優先順位をどこに置いて、安全保障の将来像をどう描くかということと表裏一体であるということをおっしゃったんです。

 ということであれば、こうした根幹の議論は、具体的に、この交渉の中で、この五年間はどういうふうにやっていきましょうよ、この五年でどういうふうに将来像を組んでいきましょうよ、こういった交渉をやはりやっているんでしょうか。というのは、今までずっと継続的なものもあるし、多少変わってきているというのも、後で少しお話ししますけれども、あったのかどうか。

 その上で、では、その全体の将来像を見ながらやっていくということであれば、将来的な日米同盟のあり方については、これをどのように考えているかというところ、ここは少し丁寧に、先ほどの委員からも、日米同盟の将来的なあり方像というものを、今この時点で大臣はどういうふうに思っていらっしゃるのかということを伺います。

岸田国務大臣 ホスト・ネーション・サポートの米側との交渉の中にあっても、今後の日米同盟がどうあるべきなのかという観点は大変重要な観点であり、交渉においてもしっかりそういった観点も念頭に置きながら交渉をした、これは当然のことであると思っています。

 ですから、今回の中身を見ましても、できるだけ、日本の厳しい財政状況に勘案して、福利厚生で働く労働者の日本側負担の上限数を削減する、こういった努力を行ったと先ほど申し上げましたが、あわせて、今の安全保障環境に対応するため、米側としても、最新鋭の装備を用意しなければなりません。この最新鋭の装備に対応、維持するための人員、これはしっかりと充実させなければならないということで、こうした労働者、MLC労働者と呼ばれていますが、こうした労働者の日本側負担上限数は増加する、こういったことも行っています。

 このように、めり張りをつける内容となっているわけですが、これは、もちろん財政上の問題はありますが、日米の安全保障体制を今後どうしていくのか、どう充実していくのか、これもしっかり念頭に置きながら、めり張りをつけたということであります。

 そして、この交渉の中身においても、こういった点はしっかりと勘案しながら交渉を行ったわけですが、御質問は、私自身が日米同盟について今後どう考えているかということでありますが、これは、先ほど申し上げました我が国の努力とあわせて、日米同盟による抑止力は引き続き重要であると考えますし、それぞれの中身につきましては、全体の安全保障環境の中で具体的に考えていかなければならないと考えます。

 いずれにしましても、我が国の積極的平和主義と米国のリバランス政策、それぞれの政策のもとに両国の連携を深めていかなければならないと考えます。

篠原(豪)委員 今、リバランスの話がありました。アメリカは、外交、安全保障上、これまでの中東からアジア太平洋に移してくる、リバランス政策をとる。その一環としてイージス艦のお話をされたんだと思うんです。新鋭のイージス艦の追加配備ですね。

 恐らく外交当局としては、今のお話を聞いていると、減額して日米関係を悪化させるよりは、減額というのを守らなくても、少々の負担増なら相手の意を酌んでやった方が、日米関係が安定し、結果的に成功であると判断しても不思議がないのかなと思います。午後にも質問の時間がありますので、また続けさせていただきたいと思うんですが。

 その前に一つ、思いやり予算について。時間の関係で最後にお伺いするんですけれども。これは防衛予算の有効活用という点で、例えば、思いやり予算を削ることができれば、そのお金を、喫緊の課題である沖縄の基地負担の軽減とか島嶼防衛力の強化に振り向けることも可能になるのではないかと思っています。

 そのためには、やはり限られた防衛予算を有効活用するためにも、米軍が、重要性と新しくこれが必要ですというのはわかるんですが、実際に、これまで渡してきている中で、今年度でも昨年度でもいいですけれども、ずっとその使っているところを様子を見て、無駄遣いがあるのかどうかということ、効率的にやっているかということを、日本がしっかりと確かめているのかどうかということが大事だと思うんですね。でないと交渉の次の段階に行きませんから、実態を見ないといけないという話ですので。お金に限りがあって、我が国も、うちはうちでやりたいことがありますから、今言ったように、お金をほかに回せるのであれば、島嶼防衛とか基地の負担軽減、沖縄の基地をどうするかという問題もあります。

 このことについて、政府は、具体的にどうチェックをしているのかということを聞いた上で、無駄が見つかれば、日本はどういうふうにアメリカ側に、それを是正するなり、変えていただくなり、あるいは交渉の結果の中で減額させるなりということをやっているのか、それを伺って、とりあえず午前中の質問とさせていただきます。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 無駄なく効率的な経費とするためには、まず節約に努めることが重要だというふうに思っております。そして、現行の特別協定の四条には、米側の節約努力について規定されております。防衛省といたしましては、これに基づき、米側からエネルギー節約報告書の提出を受けています。

 その報告書によれば、節約努力に係る取り組みとして、エネルギー効率のよい暖房、換気、空調設備への交換、あるいは太陽光発電パネルの設置、こういったことが報告されております。

 光熱水料につきましては、これらの節約努力もあって、米側による調達量は全体的に近年減少傾向にございます。

 また、労務費につきましても、米側における業務の効率化や見直し等により、適切な人員配置を進めることにより、節約に係る取り組みを実施しています。

 さらに申し上げれば、提供施設整備がございますけれども、これにつきましても、米側の要望事案について、その必要性、緊急性について十分精査した上で採択するとともに、事業の内容、規模、工事期間、金額等についても精査の上、効率的な事業の実施に努めております。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、米側が実施する経費の節約に係る取り組みを含め、さらにどのような節約が可能かについて引き続き米側と協議してまいりたいというふうに考えております。

岸田国務大臣 基本的には今防衛省からお答えしたとおりであります。

 我が国としましても、しっかり、さまざまな形でチェックをしていかなければなりません。それをチェックした上で、米側に適切な運用を求めていく、これは当然のことであると考えます。

篠原(豪)委員 ありがとうございました。

岸委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 吉良州司でございます。

 長島議員、そして篠原議員の議論を引き継ぎながら、ホスト・ネーション・サポートという認識を持った上で、言葉遣いとしては思いやり予算ということで議論をさせていただきたいというふうに思っています。

 私のこの時間のテーマは、日米同盟と自主防衛路線、大きくはこのテーマであります。

 実は、ちょうど十年前になりますけれども、麻生当時外務大臣だったころに、やはりこの思いやり予算の関連で私質問に立たせていただきました。まだ二期生、それも二年たった二期生の時代でありましたけれども、麻生総理の胸をかりて質問をしたことがあります。

 実はそのときにどういう話を冒頭したかと申し上げますと、この思いやり予算、義務的経費だとか直接支援だとか狭義の思いやり予算だとか全部入れたときに、当時の金額でいうと六千二百十六億円だったんですね。私自身が自分で調べた、当時、在日米軍が所有するもろもろの装備、空母機動部隊の装備を除くと、ざっと三兆二千億円ぐらいの規模の装備を持っていたというふうに思います。ということは、六千二百億円を五年間、日本が自分の装備のために費やしていけば、在日米軍が持っている装備をみずからの装備として備えることができると。

 例として出したのは、世間一般人は、例えば、家を借りている、月々二十万円の家賃を払っています。ところがこれを、ローンを組んで自分のものにする、所有する、月々返済が同じように二十万円だとなれば、多くの一般人はローンに組みかえて、賃貸ではなくて自分のものにしていくでしょうと。五年たてば、在日米軍が持つ装備を全部自分のものにできるんですよ、それを自分の自主防衛の装備として使えるんですよ、そういう話をさせていただきました。

 もちろん、その前提というのは、もうこれは今の話を聞いただけでここにいらっしゃる多くの人が感じているように、国そのものが持つ、国力が持つ抑止力と装備とはまた別であります。

 日本は、現時点では残念ながら逆立ちしてもあれだけの国力を持つ米国の抑止力というのを持ちようがありません。幾ら日本が装備を備えても、日本はアメリカにかわりようがない。けれども、今言いましたように、これだけの思いやり予算を毎年払い続けるのであれば、日本の装備も充実することができるし、ひいては、先ほど言いましたように在日米軍が持つような装備を自分のものにすることができる、こういう話を実はさせてもらったわけであります。

 実はそのときの背景として私自身が一言申し上げたのは、自民党という政党は、もともとは自主憲法の制定と自主防衛路線を党是とした政党ではなかったですかと。ところが、その当時もそうですし今もそうですけれども、アメリカとさえきちっとやっていればいいんだということになりがちで、本来、自分の国は自分で守るという自主防衛路線についての議論がほとんど聞こえてこない、こういうことに対して大きな問題意識を持った上で今申し上げたような発言をした、質問をした、こういう経緯があります。

 そこで、先ほど言いました、先ほど言いましたというか、私自身は、日米同盟と自主防衛路線ということできょう議論をさせていただきたいんです。

 先ほど篠原議員とのやりとりの中で岸田大臣は、現在の日本を取り巻く安全保障環境についての話をされました。そして、どの国といえども単独で防衛することはもう無理な時代になってきている、共同防衛が必要なんだという認識を示されました。私も全くそのとおりだと思っています。現在の安全保障環境、それに対応するその対応の仕方については全く問題意識を共有します。

 けれども、今後の我が国、今後の東アジア、もうちょっと言えば今後の中国がどうなっていくのか、そして今後のアメリカがどうなっていくのか、ロシアがどうなっていくのか。十年、十五年の単位では岸田大臣のおっしゃったとおりです。けれども、これを三十年、五十年、百年という単位で見たらどうなっていくのか。

 まず、日本を取り巻く安全保障の将来的な環境変化、もうちょっと言います、リスクという意味では、三十年というようなタームで見たときにはどういうリスクがあると大臣は考えておられますか。

岸田国務大臣 まず、先ほど申し上げましたように、現在、国際社会においては、どの国であっても一国のみでみずからの安全を守ることができない、これが常識になっています。

 そういった中にあって、自国の意思と力によってみずからの安全そして独立を確保しようということになりますと、今日の厳しい安全保障環境を考えますと、核兵器の使用を含むさまざまな脅威あるいは軍事力による威嚇など、あらゆる事態に我が国は対応していかなければならない、こういったことでありますので、これは現実的ではないと考えます。我が国として、いわゆる自主防衛体制を保持する、こうしたことは現在全く検討はしておりません。

 そして、これからにつきましても、厳しい安全保障環境そして大量破壊兵器のありようについては楽観は許されないと考えます。こういった状況の中であります。

 引き続き、我が国としては、みずからの防衛力の充実、これは当然努力しなければいけませんが、日米同盟を基盤とする抑止力の維持につきましては、今後とも重要性は変わらないと認識をいたします。

吉良委員 断っておきますけれども、私自身も、自主防衛だけでこの厳しい環境の中で日本が生き抜いていけると思っていません。そういう意味で、日米同盟は極めて重要だということは全く認識は同じだということを改めて確認させていただきたいというふうに思っています。

 一方で、装備を備えていく、これには十年、二十年、場合によっては三十年かかっていくという現実があります。

 そして、今、私たちはどういう時代を生きているのか。中国が最も強い時代、まだ強くなっている時代に生きている。だけれども、この先もずっとそうなのか。

 日米同盟の将来的リスクはないのか。先ほど長島議員からも言及がありましたけれども、トランプ現象のようなことも出てきている。民主主義の国ですから、そうだそうだとなって、そういう大統領が出てきて、日米同盟見直しだとなってきたら、そうなるリスクはあるわけですよね。

 もう一度、お聞きします。長期で見たときの日米同盟のリスクというのはどういうものがあると考えられますか。

岸田国務大臣 長期で見た日米同盟のリスクについて、今この時点で、この場で具体的なものを申し上げるのは適切ではないと思いますが、今後、米国においてどのような大統領が登場し、そしてどんな政権ができたとしても、我が国の今の現状を考えますときに、日米同盟は外交・安全保障政策の基軸であるという認識は変わらないと思います。この認識のもとに米国との関係をしっかり構築していく努力を続けなければならない、これは今後とも変わることはないという認識のもとに取り組んでいかなければならないと考えます。

吉良委員 その認識そのものには異存はありません。けれども、国を預かる以上、それでも将来起こり得るいろいろなリスクに対しては備えをしておかなければいけない。

 繰り返しますけれども、装備を充実させて新たな防衛体制をつくるのには二十年、三十年かかるからこそ、そういう問題意識が必要なんだろうというふうに思っているんですね。

 先ほど言いました。私たちは今、中国が最も強い時代に、その隣で生きている国です。

 中国がこの先、今の状況、要は経済成長も含め、またその経済成長に合わせて軍事力を強大化させる、近代化させる、これがずっと続いていくのか。それとも、中国も中進国のわな、ある意味ではそこに陥りながら今のような国力というのは維持できなくなるのか。はたまた、場合によっては、今のような時代、ネットが普及して、かつ、中国の経済も、今徐々に傷み始めていますけれども、この状態が高じていって、結果的に、場合によっては中国の体制崩壊、体制変革というようなことがあり得るのか。

 民主化になった場合に、中国がですよ、この前も私は言いましたけれども、価値観を同じくするところとより仲よくしたいという意思を岸田大臣は持っておられましたけれども、中国が今後、場合によってはいわゆる民主化され共通の価値観を持ってきたときに、アメリカがどう変わってくるのか、対応していくのか、そういうことも将来的には頭に入れておかなければいけない問題だろうと私自身は思っているんですね。

 先ほど長島議員が、有事のリスクと平時の負担のバランスという中で、日米同盟の、バランスというんですか、きちっと保たれているという話がありました。そういう中で、共同使用という話も出てまいりました。

 日米同盟の将来的なあり方、そして在日米軍基地のあり方の将来像について岸田大臣がどう考えておられるか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 日米同盟、先ほど来申し上げておりますように、我が国安全保障の基軸であります。安全保障環境が厳しさを増す中にあって、我が国として防衛力を適切に整備することとあわせて、日米安全保障体制のもとでの米軍のプレゼンスを確保する、これは大変重要なことであると認識をいたします。

 日米安全保障条約上、先ほども第五条と第六条の関係が出ておりましたが、それぞれ義務があり、義務のバランスはとれていると認識をしています。

 その上で、施設・区域の共同使用を初め、米軍のありようについての議論ですが、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、日米2プラス2の中でもこうした議論が行われ、自衛隊及び米軍の相互運用性の拡大あるいは柔軟性及び抗堪性の向上、こうしたもののために、施設・区域の共同使用における協力の強化は必要であるということ、これはもう日米で一致をしております。

 この認識のもとに今後を考えていくわけですが、その際に、先ほども問題意識として管理権の問題を挙げさせていただきました、この管理権をどちらが持つかということが機能にどう影響するかということについてしっかり検討をする必要があるのではないか、そうした検討も行った上で、先ほど申し上げましたような、共同使用における協力の強化を模索していくべきであると考えます。

吉良委員 先ほど、長島議員とのやりとりの中でも、今と多少違って、先ほどは、管理権が日本に移ったときに日米同盟が十分に機能していくのかと、多少クエスチョンマークを持たれた発言を大臣はされていたというふうに思っております。

 お聞きしたいところですが、私の方から持論を展開させていただきます。

 私自身は、現実的な抑止力また対処能力を日米で持ち続けるためには、例えば、百の抑止力が必要、百の対処能力が必要とします、仮の話ですけれども。今、その百の内訳を見たときに、国力もあり、例えば米軍がそのうちの七割を担っている、例えば日本が三割だと。私は、これを将来的に、徐々に日本のポーションをふやしていかなければいけないんだろうというふうに思っているんです。

 もうちょっと言うと、将来的には、日米同盟は大事なんだけれども、できれば、在日米軍基地を自衛隊基地にして、そこの自衛隊基地の中に在日米軍にいてもらうというあり方が、日本の真の独立にとって重要なんだろうと。私は、これはずっと思い続けていることです。繰り返しますけれども、日米同盟を否定するものではありません。

 その際に、今言ったような問題意識を持っていますから、そういう意味では、その第一歩としての共同使用というのが非常に重要なんですね。かつ、そのときに、自衛隊自身がその管理能力を持っていく。そして、自衛隊基地の中に米軍が同居していても、さっき言った、今までと同じような対処能力を持つ、抑止力を持っていく、これが非常に重要なんだろうというふうに思っているんですね。

 それに加えて、先ほど言いました、装備を備えていくためには二十年、三十年かかるんだと。これだけ長期的な時間が必要な中で、米国は残念ながら相対的にですけれども国力が低下してきている。米軍予算も年々削られている中で、今まで米軍がやっていた中で、同盟国が担ってもらえるものについてはできるだけ同盟国に担ってほしいというのが現在の米国の立場ですね。これに、先ほど来大臣が言っているように、どこも一国では守れないんだから共同で防衛していきましょう、この認識が重なって、今のような状況があるわけです。

 我が国は、法律上は策源地攻撃が許されると思っています。けれども、自衛隊はその能力を持っていませんね。今、持とうともしていません。けれども、先ほど言いました、日米共同で百の抑止力を持つ、日米共同で百の対処能力を持つ、その内訳を変えていくことは可能だというふうに思っているんです。

 その際に、日本も、専守防衛という大事な基本理念を維持しながら、米軍が持つ対処能力、盾と矛でいうならば、相手を侵略するような、矛というのは絶対許されるものではありませんけれども、自分を守るための盾、その延長線としての矛、その能力を持つことは許されるかもしれない。そういうことも含めて将来構想をしていかなければならないというふうに思っているんですね。

 聞きたいことを私が先に言ってしまいましたので、私の今の持論に対する岸田大臣の見解をお聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 委員のお話を聞いておりまして、基本的に、我が国の防衛力をしっかりと整備していくことの大切さ、一方で、日米安全保障条約に基づく抑止力が重要であるという基本的な構造は同じであると思っております。そして、それぞれのありようについては、引き続き、安全保障環境を初めさまざまな条件に基づいてしっかりと議論をしていかなければならない課題だと思います。

 ただ、私の立場から今お話をしていただいたことについて申し上げるならば、その大前提としまして、我が国の外交・安全保障政策の基本は、外交を通じて我が国にとって好ましい安全保障環境をつくる、それがまず第一であると思っています。これは我が国の国家安全保障戦略の中にも明記されているところであります。

 ぜひ、外交を通じた好ましい環境をしっかりとつくることに私の立場から努めた上で、我が国の安全保障について、今申し上げましたような基本的な構造をどう充実していくのか、しっかり考えていかなければならない、このように考えます。

吉良委員 ありがとうございます。

 基本認識は全く変わりませんし、外交によるよりよい安全保障環境をつくっていくというのも、これも当然のことだというふうに思っております。

 ただ、その上で、私はよく、多くの人も使うと思いますけれども、左手にはしっかりと剣を用意しながら、でも、剣は絶対使わないぞという覚悟の中で、右手で力強い握手を求めていくというのが外交の基本だというふうに思っておりますので、そういう意味で、今、岸田大臣は右手を強調されて、私もそれはもう大賛成です。だからこそ、前回も言いました、余り価値観外交というようなことを全面に出さない方がいいと私は思っています。

 残された時間の中で、今の望ましい外交という中で、前回、質問通告をしていながら残念ながらやりとりをしなかったことが一つありまして、それは、日本外交の中で、言い方は極端ですけれども、一番弱い、足りないと思われることは何でしょうかという質問なんです。ちょっと漠とし過ぎていると思いますけれども、日本外交の中で一番足りないことは何でしょうか。

岸田国務大臣 どの国の外交にとりましても、みずからの国益を図り、国益を増進する、これは大変重要な課題だと思います。

 私も、外務大臣に就任しましてから、日本外交の三本柱として、日米同盟の強化、近隣諸国との関係推進、経済外交の推進、この三つを掲げて、我が国の国益の増進を図るべく努力をしなければならない、こういったことを申し上げてきました。

 しかし、それだけでは日本の国の外交は不十分だということも申し上げてきました。この三本柱を中心に国益を増進することとあわせて、日本としてはさまざまなグローバルな課題にしっかりと汗をかく、中東問題ですとか環境ですとか、あるいは感染症ですとか軍縮・不拡散ですとか、ストレートに国益につながるものではないように見えるグローバルな課題についても、しっかり汗をかくことが、国際社会において我が国の存在感や発言力を高めることになり、そのことが、ひいては我が国の国益にもつながってくるという考え方のもとに、グローバルな課題についてしっかりと汗をかく、これは大変重要なポイントだと思っています。

 ただ、弱いところと言えるかどうか、グローバルな課題についても、我が国は戦後七十年間しっかり努力をしてきました。それなりの評価は得ていると思いますが、外交においてグローバルな課題に取り組むという視点、これを忘れてはならないということはこれからも肝に銘じていきたいと考えます。

吉良委員 今大臣がおっしゃられたことには全く異存はありません。

 ただ、私の質問の趣旨を、あえて解答めいたことを言わせていただくと、買うことなんです、買う。他国から他国が買ってほしいものを買うという意識が圧倒的に不足しているんです、日本は。資源がない、食料も足りない、常に貿易黒字、経常収支の黒字を出していかなければ生きていけないという観念が強過ぎて、貢献も、例えば日本の技術を輸出するだとか日本のインフラを輸出するだとか、常に何かを売ること、出すことで貢献しようという意識が余りにも強くて、買うという意識が圧倒的に少ないんです。これがあえて言えば不足していることなんですね。

 もうちょっと言うと、中国。余計な話かもしれませんけれども、AIIBに何であれだけすぐさまヨーロッパの国々がなびいてきたのか。習近平主席が二年前にヨーロッパを訪問して、エアバス二兆円ぽんと買いますとか、ちょっと今、資料はありますけれども細かくは言いません、大盤振る舞いのようにヨーロッパが買ってほしいものを買うというコミットをしてきています。

 そういう意味で、日本は売ることには熱心だけれども、相手が一番喜ぶ買うということについての意識が本当に足りないんですね。

 またいずれやらせてもらいたいと思いますけれども、ODAについても、今は、先ほど言いましたいろいろな技術の提供だとかノウハウの提供だとか、これはすばらしいことを書いています。この前できたODA大綱、これは完璧なぐらいすばらしいものができているというふうに思っています。だけれども、そこでも足りないことは、途上国が日本に買ってほしいものを何とかしていく、その発想がないということなんですね。

 もう時間がなくなりましたので、これはまた続けてやっていきたいと思いますけれども、買うという、インドネシア、フィリピンの看護師、介護士含めて、相手がぜひ日本にこうやって受け入れてほしいということをより多く受け入れていくということは大事な外交ツールだということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 日米の特別協定に入る前に、若宮副大臣にお越しいただいています。私は、先週九日の当委員会で、政府が自衛隊への新たな任務の付与を検討している南スーダンPKOに防衛大臣直轄の中央即応集団の所属部隊が参加しているのではないかということをただしまして、参加部隊の名前、参加隊名の公表を求めました。その結果について説明を求めたいと思います。

若宮副大臣 先般、笠井委員から御質問いただきました件でございます。お答え申し上げます。

 これまで、中央即応集団の隷下部隊でございます司令部及び司令部付隊、第一ヘリコプター団、中央特殊武器防護隊、国際活動教育隊、中央即応連隊それから対特殊武器衛生隊、以上の要員を南スーダンの派遣施設隊に派遣してございます。

笠井委員 中央即応集団の隷下にある特殊作戦群についてはどうですか。

若宮副大臣 今御指摘のありました特殊作戦群の件でございますが、この運用につきましては、こちらを明らかにいたしますと私どもの部隊の運用に支障を及ぼすおそれがありますことから、お答えを差し控えさせていただければと存じます。

笠井委員 この特殊作戦群について、差し控えるということで言われたんですが、派遣していないなら派遣していないと言えばいいだけの話で、なぜ明確にそこは否定できないわけですか。

若宮副大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、自衛隊の部隊の運用に支障を及ぼすおそれがあるということでございますものですから、お答えを差し控えさせていただければと存じます。

笠井委員 二〇〇六年の四月二十一日の衆議院の安全保障委員会で、当時の防衛庁の大古防衛局長が、中央即応集団は、ヘリ団、空挺団のような機動運用部隊と特殊作戦群なりの専門能力を持った部隊を組み合わせ、事態の起きた場所に即応して対応して行くというふうに答弁をしております。

 つまり、組み合わせて対応して行くというわけですから、先ほど副大臣おっしゃったような隷下の部隊が行くときに、組み合わせて特殊作戦群も対応している、特殊作戦群も南スーダンに派遣されているというのが当然の流れになるんじゃないですか。

若宮副大臣 今の御指摘の、笠井委員のおっしゃるとおりであればそういった文脈になろうかと思いますが、いかんせん、こちらの、今の特殊作戦群につきましては、運用上の支障を及ぼすおそれがあるという観点から、お答えは差し控えさせていただければと存じます。

笠井委員 大古局長の流れからいえばそういうことになるかもしれないというふうに言われたわけですが、当時の大古局長も、輸送能力と専門的な戦闘能力、こういうのを編成上平素から組み合わせて訓練も一緒にやるということによって、効率的な対処ができるというふうに答弁しているわけであります。

 運用上ということで差し控えるというわけですが、否定はできないということは、実際は特殊作戦群も派遣されていることを暗に認められたのかというふうに私は思います。要は、第一空挺団を除く全ての所属部隊が南スーダンに派遣されているということになります。

 そこで、ヘリ団、空挺団のような機動運用部隊と特殊作戦群なりの専門能力を持った部隊を組み合わせ、事態の起きた場所に即応して対応して行く、そういう特性を持つということで、大古局長もその問題を国会でも答弁されているわけですが、そういう特性を持つ中央即応集団の所属部隊が南スーダンでどんな任務に当たっているということになるんでしょうか。

若宮副大臣 今委員が御質問になりました点でございますが、例えば、一例を申し上げさせていただきますと、司令部及び司令部付隊から派遣されました要員につきましては、国連やUNMISS等との連絡調整業務、また、国際活動教育隊から派遣をされました要員につきましては、大使館ですとかあるいは国際機関等の連絡調整業務、また、対特殊武器衛生隊から派遣をされました要員につきましては、これは主に隊員の健康管理等になりますが、衛生業務を行っているほか、また、第一ヘリコプター団からは、この要員は物資の調達業務、それから、中央特殊武器防護隊から派遣されました要員につきましては、人事業務ということを行っております。

笠井委員 それぞれこういうことをやっているという話があったわけですが、安保法制に基づいて南スーダンPKOで新たな任務が付与されれば、施設隊の活動に必要な要員として派遣されている中央即応集団の所属部隊が駆けつけ警護などの危険な任務も担うということになるのではないか。その点はいかがですか。とにかく、特別の役割を持っているということで対応するというのが中央即応集団だということを防衛省自身が言ってきたわけですから、その点ではどうか。

若宮副大臣 今の御指摘でございますが、中央即応集団に限らず、こういったものに対しましては、必要な人員を派遣しているということでございまして、安保法制にかかわるものにつきましては、もちろん、まだ施行前でございますので、一切そういったことはございません。

笠井委員 施行前ということで言われましたけれども、中央即応集団のホームページによれば、南スーダンの派遣施設隊は中央即応集団の所属部隊の一部に組み込まれていると思うんですが、違いますか。

若宮副大臣 御指摘のとおり、組み込まれてございます。

笠井委員 そういう意味でいうと、結局、中央即応集団の所属部隊が駆けつけ警護といった危険な任務を担う可能性が極めて大だということになると思います。今、施行前と言われましたが、施行されるとそういうことになってくる。

 話を次に進めたいと思います。

 先日、防衛省から二つの内部文書が提出をされました。一つは、陸上自衛隊の研究本部が二〇一四年六月に作成した、南スーダン派遣部隊、展開から地域拡大任務準備までに係る教訓要報という文書であります。それからもう一つは、同じく陸自の研究本部が同年十一月に作成をした、南スーダン派遣施設隊第五次要員に係る教訓要報の二つであります。

 そこで、若宮副大臣に伺いますが、秘密区分注意指定ということで、提出されたんですが、横線を引いてありますが、この二つの内部文書の性格について説明をいただきたいと思います。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりました南スーダン派遣施設隊第五次要員に係る教訓要報は、陸上自衛隊研究本部が、陸上自衛隊の運用、防衛力の整備、研究開発、教育訓練等の進展に寄与するということを目的といたしまして取りまとめた文書でございます。

 この文書につきましては、PKO活動時の業務内容や教育事項につきましてまとめられたものでございまして、専ら実務者レベルでの共有を目的に研究本部において作成をされた文書でございます。

 この文書につきましては、今申し上げたように実務者レベルでの共有が目的でございますので、陸上自衛隊の一機関である研究本部としての評価をあらわしたものという位置づけでございます。

笠井委員 南スーダンの情勢をめぐっては、二〇一三年の十二月十五日に発生した大統領派と前副大統領派の武力衝突を契機にして内戦状態になる、そして治安が急激に悪化したという状況でありました。その事態を受けて、国連のUNMISSの任務がいわば国づくりから住民保護に切りかわったということはよく知られております。

 この文書には、こうした状況下で、二〇一三年の十一月から半年間、南スーダンに派遣された第五次要員の活動上の教訓が記されているわけでありますけれども、その中に、いろいろなことがあるんですが、特に看過できない記述がございます。

 若宮副大臣に伺いますが、十一月の南スーダン派遣施設隊第五次要員に係る教訓要報についてという文書の中で、第九の運用というところで、不測事態対処、緊急撤収計画の作成というところにある、状況ということで幾つか述べられておりますが、これでいうと十九ページになりますか、五項目あるうちの一項目めと二項目めはどのように書かれているか、紹介いただきたいと思います。

若宮副大臣 今、笠井委員が御指摘いただきました部分、読み上げてほしいということでございますので、文章そのままを読み上げさせていただきます。

 一、平成二十五年十二月の十五日、首都ジュバにおいて、SPLA対SPLA/ioの武力衝突事案が発生。南スーダン全土に混乱が拡大し、軍人、民間人の死傷者及びIDPが発生した。南スーダン情勢の悪化に伴い、UNMISSは活動の重点を人道支援(POC)に移すこととなり、日本隊の活動内容についてもIDP対応及びUN施設強化へと変化した。

 それから、二番でございますが、南スーダン情勢が混沌とした状態となり、従来の施設活動への復帰の見通しが全く立たない中、派遣施設隊長は同月二十四日のCRF司令官とのテレビ会議において、緊急撤収計画の具体化を進めるよう示唆された。このため、派遣施設隊長は、隊本部幕僚に対して第四次要員が作成した緊急撤収計画の見直しを指示し、平成二十六年一月八日、緊急撤収計画を決裁した。

 これが原文でございます。

笠井委員 この十二月十五日の当時の武力衝突を契機にして戦闘が全土に拡大したことを受けて、現地の派遣施設隊長は、同月二十四日に中央即応集団司令官から緊急撤収計画の見直しを示唆されて、隊本部幕僚に計画の見直しを指示し、翌年一月八日に緊急撤収計画を決裁したというふうに書かれている、今紹介をされました。

 この記述は事実ということですね。

若宮副大臣 今申し上げた文書につきましては、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、専ら実務者レベルでの共有を目的に、研究本部におきまして作成をされた文書でございます。陸上自衛隊の一機関であります研究本部としての評価をあらわしているものでございまして、特に防衛省全体としての評価をあらわしているというものではないということを御理解いただければと思っております。

笠井委員 そういうことが行われたということは事実かということを聞いているんです。

若宮副大臣 緊急撤収計画の内容につきましては、これまた明らかにした場合には自衛隊の部隊の運用の支障に、影響が及ぼすということがございますものですから、お答えは差し控えさせていただければと思っております。

笠井委員 内容についてはもちろん出してもらったらいけないと私も思っているんですが、私が伺ったのは、今副大臣読み上げられた一項目め、二項目めの中で、現地の派遣施設隊長が中央即応集団司令官から緊急撤収計画の見直しを示唆されて、隊本部幕僚に計画の見直しを指示して、そして、翌年一月八日に緊急撤収計画を決裁したということについては事実かどうかということです。つまり、実務的に共有するかどうかという話じゃなくて、そういうことがあったんですねと、その事実を確認しているんです。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりましたように、部隊をさまざまな場所に派遣しているということが現状ございますと、万が一という情勢もございます。この万が一の情勢の悪化の場合に備えまして、やはり部隊の撤収に要する期間ですとかあるいは撤収の要領等につきまして、それぞれ部隊で検討、作成をするということは、これはあり得ることかと思っております。

笠井委員 万が一に備えてということですが、いずれにしても、陸自の研究本部長が陸上幕僚長に報告をして、各方面総監、中央即応集団司令官などに通報したとこの紙に書いてあります。

 まさにそういう点では、事実でないことを報告を上げるとは考えがたいわけで、今副大臣もそういうことをやったということは認められたということだと思います。

 岸田大臣に伺いますが、ここに当時の会見録がございます。要旨なんですけれども、大臣は、二〇一三年十二月二十六日の記者会見で、南スーダン情勢につきましては、政府として現在、UNMISSからの撤収を検討しているという事実は全くありませんと全否定をされたわけであります。

 しかし、この防衛省の文書を見ますと、事態を受けて、現場では少なくとも緊急撤収計画を見直した。つまり、第四次で送っていたその当時の、万が一ということをさっき言ったけれども、そういうようなことについても撤収計画があったのを、やはり事態が深刻になったということを受けて見直しして、そして緊急撤収計画を決裁したというふうに言っているわけですね。

 そうすると、より具体的に検討していたということだと思うんですが、一切ありませんというふうに大臣が言われたこととの関係というのはどういうふうになるんですか。

岸田国務大臣 その計画の扱いについては、先ほど防衛副大臣から答弁があったとおりだと思います。万が一の場合に備えてということだと認識をしております。

 そして、私の立場から申し上げさせていただくならば、スーダン情勢、二〇一三年の十二月十五日に衝突が発生してから後、合意文書を署名し、そしてその合意内容を履行するために合同監視評価委員会が設立されるなど、南スーダン情勢については平和的解決に向けてさまざまな努力が続けられてきました。こうした大きな流れを捉えて、引き続き我が国としてこうした取り組みをしっかりと支援しなければならない、こうした認識に基づいて発言をさせていただきました。

 大きな流れとしては、引き続き、合意された内容について、履行するべき関係者の努力が続いていると私は認識をしております。

笠井委員 大きな流れは、その後も含めてばっと今言われたわけですけれども、当時でいうと、非常に深刻な事態だということで、とにかく、現場でいうとそうした緊急の撤収計画を見直して、よりバージョンアップしなきゃいけないという情勢にあった。

 先ほど副大臣が読み上げられたところでいいますと、平成二十五年十二月十五日に首都ジュバにおいて武力衝突が発生して、全土に混乱が拡大する、軍人、民間人の死傷者及びIDPが発生するという事態の悪化ということで、結局、UNMISSの任務も変わってくる、日本の隊員についてもそういう形でいろいろなことがあるということが言われたわけですね。そこまで現場では起こっているという中で、とにかく、一切検討していない、大きな流れでは合意の方を見ているという話なんだけれども。

 では、防衛省の文書でこういうことを現場では決裁した、四次計画を見直したということについては、岸田大臣、そういう文書があることは当時御存じだったんでしょうか、そういうことが現場でやられていることについては。

岸田国務大臣 まず、御指摘の計画につきましては、先ほど来防衛副大臣から答弁がありましたように、万が一に備えての対応であると承知をしております。そして、当時、現場において万が一に備えて対応をした、そうした個別の動きについて、外務大臣の私として具体的に承知をしてはいなかったと考えます。

 いずれにしましても、外務省としては、南スーダン情勢全体を見た上で、平和的解決に向けて努力が続けられている、こういった努力をしっかりと支えるべく、しっかりと外交努力を続けなければならない、このように考えて発言をし、対応した次第であります。

笠井委員 岸田大臣は、十二月二十六日、当時の記者会見で、現在、撤収を検討している事実は全くないというふうに全否定をされたわけです。ところが、防衛省の文書でいうと、それとは正反対に、派遣施設隊長は隊本部幕僚に対して第四次要員が作成した緊急撤収計画の見直しを指示したと書かれているわけです。

 しかも、当時、岸田大臣ばかりか菅官房長官も、十二月二十五日の記者会見で政府としては南スーダンのPKOから撤収を検討しているという事実はありませんと、口をそろえて否定をされていました。

 私は、これは看過できない問題だと思うんです。現場でどうなっているかということを抜きに、結局、政府のところでは、そういう検討もしていないという話になってくるのかと。

 そこで委員長にお願いしたいんですが、この防衛省の内部文書にある、二〇一三年十二月二十四日に中央即応集団司令官とのテレビ会議を受けて派遣施設隊長が緊急撤収計画見直しを指示したという文書、それと、先ほど副大臣が言われましたが、翌二〇一四年一月八日に決裁された緊急撤収計画そのものについて、本委員会への提出を求めたいと思います。この問題の議論を深めていく上で必要だと思いますので、委員長にお願いしたいんですが、理事会で協議をよろしくお願いします。

岸委員長 ちょっと待って。

 その前に、防衛省若宮副大臣。

若宮副大臣 今の岸田大臣の御答弁にまたちょっとつけ加えさせていただければと思っておりますが、先ほど私の方から、部隊を派遣している以上、万が一の不測の事態ということもあります、あるいは、情勢が悪化した場合に備えて、部隊の撤収に要する期間や撤収の要領について検討、作成を行うということは、これはいかなる場合においても当然であるということで申し上げましたが、緊急撤収計画というのは、これは政府としての方針ではございませんで、派遣されている部隊が万々が一ということに備えて検討、作成しておくというものでございます。ですから、岸田大臣からも御答弁ございましたように、政府といたしましては、UNMISSからの撤収を検討していたという事実はございません。

 また、今委員が御指摘になりました官房長官会見も含めまして、大統領警護隊同士の衝突というものは確かにあったにせよ、南スーダンに関しましては、国連安保理の方で、南スーダン共和国ミッションの要員を増強する安全保障理事会、全会一致で採択してございます。これは二〇一三年十二月二十四日でございます。国際社会としてしっかり取り組んでいく決意が表明されたばかりであったということもございまして、私どもといたしましても、要員の安全の確保に細心の注意を払うことはもちろん当然でございますけれども、自衛隊の活動に関しましては継続する方針ということを確認したところでございます。

 ですから、部隊の撤収に関することに関しましては、一切、検討していたということは全くございません。

笠井委員 いずれにしても、撤収を決めるのは部隊じゃなくて政府ですよね。しかも、安保理が増強するということ自体が、深刻になってきたということであのときやったと思うんです。

 そういうことも含めてきちっとした議論が必要だと思いますので、先ほどの二つの資料、これを当委員会に提出をということで、理事会で協議をお願いしたい。

 委員長、よろしくお願いします。

岸委員長 取り扱いについて、後刻理事会で協議いたします。

笠井委員 次に、思いやり予算、そして在日米軍の駐留経費負担特別協定について質問したいと思います。

 岸田大臣に伺います。

 今回の協定を結ぶに当たって、昨年十一月の財政制度等審議会の建議で、厳しい財政状況のもと、財政健全化を進める中で、在日米軍駐留経費負担についても聖域視することなく見直しを行い、その縮減を図る必要があるというふうに指摘をされていました。

 ところが、実際に合意した特別協定では、日本が負担する基地従業員数を過去最高に引き上げて、五年間のHNSの経費総額というのが百三十三億円もふえて総額九千四百六十五億円、年平均千八百九十三億円となりました。

 今回の協定交渉で、実際に米側からどのような要求があって、それに対して日本側がどのように主張した結果このような数字になったのか、答弁をお願いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘の数字ですが、HNSの規模の評価に当たって、試算を行うベースをやはり賃金水準が同じである今年度の予算と比較することが重要であると考えます。それが適切であると考えます。

 今般の特別協定でのHNSの規模、これは協定期間の最終年度である平成三十二年度で一千八百九十九億円でありますので、この試算ベースを今年度、平成二十七年度の予算額と比較した場合には、おおむね同じ水準であると認識をしております。

 ただ、水準としてはほぼ同水準ですが、内容におきましては、厳しい財政状況を踏まえ、そして国民の理解を得なければならない、そういった点から、主張すべきことは主張し、その上でめり張りのある内容にしたと考えております。

 米側とのやりとりの中にあっても、福利厚生施設で働く労働者の日本側負担上限数を削減する、あるいは、駐留軍等労働者に対する格差給等に係る経過措置も段階的に廃止をする、あるいは、光熱水料等の日本側負担割合も七二%から六一%に引き下げる、こういった削減努力も行い、一方で、最新鋭の装備を維持、整備するための人員に関しては増加する、こういっためり張りをきかせた次第であります。

 こういったやりとりの結果として、おおむね今年度の予算額と同水準の数字におさまったというのが、交渉、協議の経過であります。

笠井委員 大臣は、今、協定五年間の最終年度ではおおむね同水準というふうに言われましたが、五年間の総額にしますと、九千三百三十二億円から九千四百六十五億円に百三十三億円もふえるわけであります。

 我が国として主張すべきは主張し、米側と協議した結果、日米で意見の一致を見たということで今言われたわけですけれども、例えば日本側が負担する基地従業員数について、米側からどういう増員要求があって、日本側からどういう主張をした結果、結局、一致を見たのか、そのことを伺っているんですが、例えばそういうことでどうでしょうか。相手の要求とこちらの主張の結果、どうなったのか。

岸田国務大臣 米側との交渉の経緯、そして内容について明らかにするのは適切ではないと思います。

 先ほど申し上げましたように、項目としてどういった項目が議論になり、そして結果としてどういう結果になったか、こういったことについて御説明をさせていただきました。やりとり一々について申し上げませんが、先ほど申し上げました論点につきまして、厳しい財政状況あるいは国民の理解、こういった点を念頭にしながら、ぎりぎりのやりとりを行ったということであります。

 こうしたやりとりは大変重要であり、結果としてめり張りのある経費負担になったと考えております。

笠井委員 今回の交渉の結果、例えば労務費について、日本側の上限労働者数が五百五十三人ふえて二万三千百七十八人になった、その内訳は、先ほど大臣が言われた、福利厚生施設で働く労働者を段階的に五百十五人減らす一方で、装備品の維持、整備、事務等に従事する労働者を段階的に千六十八人ふやすというわけであります。

 大臣自身が、最新鋭の装備の維持、整備のためにそういう要員が必要だということで、労働者のことについて言われましたが、去る三月十日の日に衆議院本会議で、HNSは米軍の最新鋭の装備の維持、整備を含めて、その活動を支える役割を果たしていると言われたわけです。

 結果的に、でき上がった今回の協定で、この装備品の維持、整備に従事する労働者をふやして支えることになったというわけでありますが、その支えるべき相手の米軍の最新鋭の装備というのは一体どんな装備で、おのおのに何人を充てるということになったんでしょうか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 今、笠井委員が御指摘になりました内容でございますが、笠井委員ももう御存じのとおり、昨今の北朝鮮情勢、もう報道でもされておりますし、また中国の動向等、非常に厳しい安全保障環境下にあるかと思います。

 アメリカのリバランス政策に基づきまして、アジア太平洋地域への最新鋭の装備の配備を今進めておるところでございます。この装備について、どういった内容のものかということでございますけれども、やはり在日米軍の活動をある程度こちらの方としても支援していくということが極めて重要であろうかと思っております。

 そして、具体的に申し上げさせていただきますと、二〇二〇年までに海空軍の約六〇%をアジア太平洋地域にまずは配備をするということになっております。

 私どもの、我が国の関係におきましても、F35、P8哨戒機、オスプレイの新規の配備、それからまたXバンドレーダーやBMDの能力搭載のイージス艦の追加の配備、またグローバルホーク、これはもう御存じのとおり無人の偵察機でございますが、F22のローテーションの展開など、最新鋭かつ高度な能力を有する機材等々でございますので、こうした状況を鑑みまして、こうした新規のものにつきましては、相当なる能力、技能を持っている者でなければ米軍の機能維持ということは難しゅうございますので、支える存在である人員に関しましてはふやすということになったわけでございます。

笠井委員 今答弁がありました、アメリカのオバマ政権は、アジア太平洋地域に戦略の重心を置くということで、リバランス、再配置に伴う在日米軍の増強を進めているわけです。そのもとで、今挙げられたような新しい装備ということで具体化をされてきている。

 今回の基地従業員の増員というのは、そうした米軍の最新鋭の装備を維持、整備することを含めて、その活動を支える役割を一層果たすという旨の話があったと思うんですが、では、そういう装備にそれぞれ何人充てるというような形になるかとなるといかがですか。

若宮副大臣 今、随時申し上げましたが、まず、具体的に申し上げますと、横須賀基地及び佐世保基地の艦船の修理廠におけます整備や修理などに係る要員に約四百六十人ほど、それから、岩国基地及び横田基地におきまして航空機の運用や契約、調達等の手続等に係る要員に約三百八十名ほど、それから、先ほど申し上げました最新鋭の装備の配備に対応するために各軍の施設整備を担当する要員に約二百三十名ということで、日本側の上限の負担数につきましては、先ほど委員も御指摘になりましたように、一千六十八人分引き上げるということになったものでございます。

笠井委員 オバマ政権は、昨年二月の国家安全保障戦略で、我々の核心的利益に対しては一方的に行動する、我々の永続的な利益が求める場合、必要なら一方的に軍事力を行使すると述べるなど、先制攻撃を辞さない立場の継続を表明いたしております。そうした米国の要求をのんで基地従業員数の増員などHNSを増額するということは、結局のところ、東アジアの軍事的対抗関係を一層激しくする逆行にほかならないと私は強く言いたいと思います。

 もう一点、政府が思いやりと称して在日米軍駐留経費負担を始めて四十年近く、そして、最初の特別協定から三十年にもう間もなくなろうとしている問題であります。

 そもそも、日米地位協定第二十四条は、米軍の維持経費は日本国に負担をかけずに合衆国が負担すると定めており、日本に負担義務はないわけであります。にもかかわらず、政府は、一九七八年に基地従業員の福利費などの負担に踏み切った。これを皮切りにして、一九八七年には、地位協定の解釈からも説明のつかない特別協定を締結いたしました。以来、今日まで、暫定的、特例的、限定的な措置としながら、HNSの経費負担は、隊舎や家族住宅等の施設整備、給与本体、光熱水料、それから訓練移転費などと拡大をされていって、一九七八年以降の負担総額というのが実に七兆円に達しようとしている状況だと思います。

 そこで、岸田大臣に伺いますが、この時点で改めて特別協定を締結してHNSの負担を続けることは、暫定的でも特例的でも限定的でもなく、事実上の恒久化というふうにこれまでの経緯を見るとなっていくのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 特別協定につきましては、従来から、日米両国を取り巻く諸情勢を総合的に勘案し、日米地位協定第二十四条に定める経費負担の原則、この原則は原則として維持しつつ、暫定的、限定的、特例的な措置としてその都度締結してきている、このように考えております。

 ですので、今回も、改めて、北朝鮮あるいは中国の動向等我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している、こういった状況をしっかり勘案し、在日米軍の存在が引き続き不可欠である、こういった点を考慮する必要があったと考えます。

 そして、それも含めてさまざまな要素を総合的に勘案し、改めて今回も、暫定的、限定的、特例的な措置として特別協定を締結する、これが適当であるという判断に基づいて締結が行われたと認識をしております。

 こうした特別協定ですので、これは毎回毎回、協議に当たって、その時々の安全保障環境やさまざまな条件をしっかりと検討した上で判断していく、その協議ごとにそうした判断をしっかりやっていく、こういった姿勢で臨むべき課題であると考えます。

笠井委員 安全保障環境で北朝鮮、中国という問題が言われました。どう対応するかというのはこれは本当に大きな問題でありますが、しかし、それに対して軍事対軍事の対抗でいいのかという大問題がある。

 そもそもそういう問題がありますが、結局のところ、そういういろいろな条件があるということをあれこれ言われながらも、あくまでも暫定的、限定的、特例的な措置として特別協定を締結するのが妥当だとまた繰り返されているわけであります。

 しかし、この特別協定、思いやり予算ということが先ほどの質疑の中でありました。金丸当時防衛庁長官がということで、思いやりというような意味で始まったということがあったわけですが、そもそもそういう問題がある上に、一九八七年に特別協定ということであえてまたそういうことをやったときに、最初の特別協定を締結したとき政府は何と言って国会で答弁していたか。

 私も調べてみましたが、ここに会議録がありますけれども、外務省の当時の藤井北米局長や柳井条約局長はこう言っておりました。これ以上は地位協定の解釈上は不可能であるので、特例、一時的な、暫定的な措置として新たな御負担をお願いしている、それから、最近の経済情勢の変化、労務費の急激な逼迫等に鑑みまして、暫定的、特例的、また時間的にも五年間に限るというふうに答弁していた。

 さらに、五年ということに限ってお願いしている、その後、一つ明瞭なことは、この特例の条約というのは廃止になる、つまり五年たったら廃止になる、いずれにしてもこの条約はなくなるということは明確ということまで強調して、特別協定で今回は、その次からはなくなりますよ、こう国会で政府は答弁してこの協定を承認させたわけであります。

 そうなんじゃないですか。

岸田国務大臣 特別協定については、先ほど申し上げました協議、毎回毎回、協議に当たって、さまざまな観点を総合的に判断し、そして締結を決めていく、こうした努力を続けてきました。

 毎回毎回、さまざまな状況に合わせて協議を行うということから、例えばこのHNSの予算案につきましても、平成十一年度は二千七百五十六億円で最も多かったわけですが、過去十数年にわたりまして相当程度減額しており、本年度はピーク時と比較しまして三〇%減、こうした数字になっております。

 このように、特別協定というものを毎回毎回、自動的に更新しているというものではなくして、改めてその都度都度、さまざまな状況をしっかりと勘案した上でどうあるべきなのか、真剣な議論を積み重ねてきた次第であります。

 今回につきましても、しっかりとこの議論を行い、あくまでも暫定的、限定的、特例的な措置であるという基本に基づいて検討を行い、結論を得た次第であります。

笠井委員 額の問題じゃないんですね。そもそも、特別協定は特別だということで、今回限りということで、五年たったら廃止しますというふうに政府が言って国会に対して求めて、国会が承認したという形になっている、私たちは反対しましたけれども。だから、額の問題じゃないんですね。

 つまり、こういう形で、当初は一回限りですよということで言っていたものを、あれこれと、今、その時々の状況に応じて、自動的じゃなくて、交渉しながら、協議してやっているんだと言われるけれども、結果を見ると、さまざま理由を挙げながら、五年間で廃止になるどころか、特別協定は三十年近くも続いてきたというのが現実ではないかということなんですよ、政府と国会、国民との関係。

 あくまで暫定的、限定的、特例的と幾ら繰り返しても、これは方便にすぎないということになるんじゃないですか、現実がこうなっているんだから。

岸田国務大臣 この特別協定につきましては、あくまでも、先ほど申し上げましたように、暫定的、限定的、特例的な措置として議論を行い、そして結論を得てきました。

 それにつきましては、国会においてもしっかり御議論をいただき、そして御承認をいただき、結論を得てきた次第であります。その時々の状況につきましてしっかり説明をさせていただき、さまざまな観点から御議論もいただき、総合的な御判断をいただき、御了承いただいたものであると考えております。

 こうした措置につきまして、毎回毎回そうした丁寧な作業を続けることによって国民の理解を得ながらこの特別協定問題について考えていく、こういった姿勢はこれからも大事だと考えます。

笠井委員 状況があれこれあるので、あくまで暫定的、限定的、特例的、こう言っていればまた続けられるという話というのは、本当に便利な言葉というか、都合がいい話だなと思います。

 そもそもの出発点で、五年たったら廃止にすると言ってきたこと、そしてこの協定の性格から踏まえてみれば、そういう政府の対応に対して、国会は承認すべきでないという答えを出すべきだと私は思います。

 いずれにしても、特別協定は、地位協定上できないにもかかわらず、日本が負担するためのものであり、特別協定による負担がHNS全体に占める割合というのは、一九八七年度の一五%から、来年度以降は七五%にも達することになります。このような理不尽な負担を続けるために国民の税金を投入し続けることは許されないと思います。

 そこで、最後に一問ですが、HNS交渉では、隊舎や家族住宅等の提供施設整備についても、積算根拠を求めてもそれを示さずに、各年度二百六億円を下回らないというふうに合意をして、今後も予算規模が拡大することは必至だと思います。

 これまでも、寝室四つ、浴室三つ、五十四平米の居間や三十一平米の食堂など、二百三十四平米の超デラックスな司令官住宅とか、日本の平均的な保育園の三、四倍の育児所とか、体育館は国立大学の三倍以上とか、プール、エアロビクス室、ゲームセンター、バーまで完備した総工費六十二億円のレクリエーションセンターなど、こんなものにも使うのかとさまざま国民の批判を浴びてきたのが、こういう思いやり予算であります。

 今回の交渉の結果、提供施設整備費、労務費、福利費、さらに基本給と光熱水料、そして訓練移転費、NLPなど、それぞれの内訳というのをしっかりと国会、国民に提出して示すべきだと思うんですが、そういうことについては、大臣、いかがでしょうか。

若宮副大臣 今、笠井委員お述べになりました点でございますけれども、まず前提として申し上げたいのは、この協定期間の最終年度であります平成三十二年度で千八百九十九億円ということになってございまして、これは現行の特別協定の最終年度であります今年度の予算とおおむね同水準であるということをまず御理解いただきたいと思っております。

 また、今御指摘になりましたように、我が国の厳しい財政状況というのはもちろん踏まえつつ、ただ、それにも増してといいますか、笠井委員も重々御承知のとおりだと思いますが、我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさを増してきております。一月にも核実験を北朝鮮は行いました。また、ミサイルを二月にも実際発射をいたしまして、そのための対応もさせていただいておりますし、昨今も、また何かをやるかもしれないというような報道も多々出ておる状況でございます。

 そうした中で、在日米軍の役割というのはさまざまな意味でやはり増大してきております。この在日米軍の円滑かつ効率的な運用を支えるホスト・ネーション・サポートにつきましては引き続き重要であるという認識のもと、各経費の項目については適切に見直したところでございます。

 労務費につきましては、いわゆる能力発揮に直結するMLC労働者の日本側の負担の上限数を千六十八人確かにふやしましたが、一方で、福利厚生等で働く労働者の日本側の上限数は五百十五人削減をしてございます。また、格差給等に関する経過措置も段階的に廃止をしてまいる予定でございます。

 また、笠井委員も御指摘になりましたが、光熱水料等の日本側負担も七二%から六一%に引き下げるということも今回盛り込まれてございます。

 また、先ほど、格別に広いとかお風呂が何個もあるとか、あるいは保育園のお話もなさいましたが、これもなかなか、先般もちょっと私申し上げたかと思うんですが、どうしても、アメリカのいわゆるライフスタイルですとか生活習慣とそれから私ども日本人の生活習慣とは、やはり異なる部分がございます。私も家はお風呂一個でございますけれども、外国の方は大体一人が一個のお風呂、トイレというのが一般的でございますし、そういったライフスタイルの違いというものも御考慮をいただければと考えているところでございます。

笠井委員 私の問いには答えていただけないんですが、結局、総額が五年間でふえるということは先ほど申し上げました。

 それから、北朝鮮のミサイル開発、核実験、けしからぬですよ。だけれども、どう対処するかといったら、大臣だって外交の力は大事だと言われて、そういう点で大いにやるべきであるわけであります。アメリカに提供した施設について、今副大臣も言われましたけれども、結局、ライフスタイルの問題とか、あるいは、前回、国会答弁の中ではアメリカ人は体が大きいからみたいな話も言われていましたけれども、そんなことじゃないんですよ。

 そういう点で、私は、今問うたのは、どういうものにどれだけ使っているかという中身をちゃんと示してほしいと言ったわけでありまして、そのことについては答えがありませんでした。国民の理解が得られるようにめり張りある見直しを行ったと言われますが、まずは、何をどこまで負担することになったのか、その全容を国会と国民に明らかにするのが当然の前提だと思います。

 そこで、委員長、この点でも、先ほどただした、今回の協定で維持、整備に従事する労働者の問題は言ったわけですが、あわせて、今回のHNSでどの分野でどういう負担をすることになったのか、その全容を資料として当委員会に提出するように、理事会で協議をお願いします。

若宮副大臣 さらにつけ加えさせていただければと思っております。

 先ほど申し上げましたいずれの経費につきましても、アメリカ側より提出された資料を私どもでも確認して精査の上、私どもの方の負担額を確定した上で、きちっと支払いを行っております。

 また、提供施設整備につきましても、アメリカ側の要望事項につきましてその必要性とか緊急性とかも十分精査をした上で採択するとともに、内容とか中身、規模、工事期間、金額につきましても効率的な事業の実施に努めているところでございます。

 いずれにいたしましても、委員おっしゃるとおり、やはり厳しい財政情勢の中でございますので、米側が実施する経費の節約に係る取り組みも踏まえまして、さらにどのような節約が可能か、引き続きアメリカ側ともしっかりと交渉してまいりたいというふうに思っております。

岸委員長 時間が来ております。

笠井委員 時間になりましたので終わりますが、精査の結果、どういう負担が、どういう分野で、どういうものを出すことになったのかを出してくれと私は言ったので、そのことの協議をお願いしたいと思います。

岸委員長 その点については、質疑を通じてまたただしていただければというふうに思います。

笠井委員 終わります。

岸委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 改革結集の会の小熊慎司です。

 きょうは、協定について、ホスト・ネーション・サポートについて審議をする委員会ではあるんですが、その前にちょっと、先週、報道等でもありました、共同通信の配信ですから各新聞にも掲載されていますが、資料としてお配りしております。

 アフリカのエチオピアにおいて、昨年、JICAボランティアが東日本大震災の展示、東京電力福島第一原発の事故の展示をしようとしたところ、中止になってしまったということがありました。

 まずは、この中止に至った経緯と、外務省としての見解をお聞きいたします。

木原副大臣 お答えをいたします。

 今資料を拝見させていただきました。まず経緯から御説明をさせていただきたいと思います。

 昨年十月三十一日、エチオピアにおきまして、日本文化紹介事業でございますジャパン・フェスティバルが、在エチオピア日本大使館、JICAエチオピア事務所そして日本人会の共催で開催をされたということでございます。そして、本事業の企画の過程で、一部のJICAボランティアの方々から、東京電力福島第一原子力発電所における事故をテーマとして展示を行いたいという意向が示された。

 これに対しまして、本件事業は、まず、おもてなしをテーマとする日本文化紹介事業であって、また、政府として海外における風評被害の払拭に懸命に取り組んでいるということから、いたずらに原発事故を強調することは適切でない、こう判断をして、在エチオピア大使館より、展示の内容を再検討できない限り共催は難しい旨他の共催者に伝えたということであります。

 これを受けまして、JICA事務所内部で検討した結果、本件事業の趣旨に照らし、原発事故の展示を含めないことが適当であると判断したと承知をしております。これが経緯でございます。

 そして、見解ということでございましたが、まさに被災地に寄り添いながら被災地の復興に全力で取り組んでいく、こういう中にあって、やはり東日本大震災の教訓を世界と共有をし、また福島を含めた現状を知っていただくということは極めて重要なことでありまして、より丁寧な対応ができたのではないか、このように認識をしております。

 今回のことを教訓にしながら、今後、より丁寧に、また関係者との協議をより密接にしながら取り組んでまいりたい、このように考えております。

小熊委員 丁寧にやらなきゃいけなかったという反省も今お聞きしたんですが。

 これは大使館側から、復興に取り組んでいるときにマイナスイメージになるというんですけれども、これは中止になったことが、逆にマイナスイメージなんですよ。だから、これは慎重にやらなきゃいけない、誤解を受けるような情報発信はしちゃいけないんです。でも、過去においてこういうイベントをやっていることもあって、何で今回こんなふうになったのかというのは、やはりちょっと慎重になり過ぎ、丁寧じゃなかったということですよ。

 客観的な、こうなればこれはよくないとかという基準もないわけでしょう、こういう展示の仕方はよくないですとか。そうすると、その大使館員、大使館の担当者、大使なのか担当者のレベルだったのかわかりませんが、その人の胸先三寸で、これはいいね悪いねとなっちゃうじゃないですか。この客観的な基準というのはないんですね。

木原副大臣 お答え申し上げます。

 まさに、先ほど申し上げたように、今回の事業は文化紹介事業という中でやらせていただいたということでございまして、この文化紹介事業という内容、趣旨はそれぞれのケースによって多種多様でございますので、その共催の可否につきましては、個々の事業に照らして、ケース・バイ・ケースで判断していくということをさせていただいております。

 そして、今回のケースについて申し上げれば、委員まさに福島の出身でございましてこの復興に全力を挙げていただいております、そういう中で申し上げますと、やはり関係者との協議が十分でなかったという面は否めないところがございますし、また、やはり、先ほど私が申し上げたように、福島を含めて被災地の現状をしっかり知っていただくということは何よりも重要なことでありますから、やはり開催ができるように、展示できる方向でどう協議をしていくかということに、より注意を払うべきであった、このように思っております。

小熊委員 まさにそのとおりで、中止に持っていくんじゃなくて、開催するためにはどうすべきだったかというのをやるべきであって、今後そういうふうにしていくということですから、これはしっかりやっていただかなきゃいけないのと同時に、この中止になったということがマイナスイメージになっている、マイナスイメージを引き起こしたということの自覚も持ってもらわなきゃいけないんですよ、これは。今後ちゃんとしていきますではなくて、今回のことで、もうマイナスイメージの情報発信になっているんです、中止したということは。

 人はいろいろな想像をしますから、ああ、やはりよっぽどひどいのかとか、どういうふうに思うかは人それぞれですけれども、中止にしてしまった。中止の要請はしていないと言っているけれども、共催できない、こんなんだったら共催はできませんよと言っているのは、ちょっと冷たい言い方ですよ。共催のためにこういうふうにしましょう、こういうふうに展示していく。

 この原子力災害の事故と原爆の展示と、もう過去にもやっていて、何で今回なんだということであれば、担当者によって違うのか。客観的な基準がない。ケース・バイ・ケース、それはそうです。被災者に寄り添うと言うけれども、寄り添っていないんですよ、これは。大臣、これは小さなことではないんですね。

 今、風評被害に取り組んでいますよと。取り組んできました、外務省も、あと関係のほかの省庁も。だけれども、積極的に開催に向かっていかないのがあったわけです、今回。そんなことでは、被災地のためにとか、また科学的根拠のない禁輸措置解除のために頑張っていますといっても、これじゃだめですよ、外務省。これは小さな問題じゃないですよ、大臣。大臣、どうですか、これは。

岸田国務大臣 まず、今回の件において、関係者の方々の中に不満が残っているということを考えますときに、意思疎通という観点において十分ではなかったという御指摘はそのとおりだと思います。まず、意思疎通の点においてしっかり努力をすべきであるということは御指摘のとおりだと思います。

 そして一方、この事業につきまして、この文化紹介事業というものが具体的にどんなテーマでどういう形で進めようとしていたのか、それから具体的な展示がどんなものであったのか、私は詳細まで把握しておりませんので、それ以上詳しく申し上げることはできませんが、ただ、先ほども副大臣からありましたように、東日本大震災の教訓を世界と共有する、あるいは世界に発信をする、こういった目的は大変重要な取り組みであると考えます。

 そういった観点から取り組みを進める上において何ができるのか、そういった前向きな方向で関係者が協力をしていく、こういった姿勢は重要ではないかと考えます。

小熊委員 今、副大臣の方がもっと踏み込んだ答弁で、大臣のはまだちょっと官僚的な答弁でしたけれども。

 開催に向けてやはり努力すべきだったんですよ、情報発信をしなきゃいけない立場なんですから。なおのこと、外務省ですよ、大使館ですよ。人とのコミュニケーション能力がとりわけなきゃいけないところですよ。私も詳細はわかりません、エチオピアに行っているわけじゃないから。何回かやりとりしてこんなになっちゃうというのは、もう交渉能力、コミュニケーション能力がないということで、外務省の職員として適当なのかな、もう一回研修をやり直してほしいぐらいですよ。

 これは、福島のこと、原発事故のことということだけではなくて、まさに外務省の基本的なあり方、職員の資質として、この報道だけ見れば、問題があるという一つの例ですよ。今後このようなことのないようにと副大臣も言われましたけれども、職員としてのそもそものあり方としても見直さなきゃいけないと思います。

 過去にこの委員会でも研修施設へ行きました。語学のことを一生懸命やるというのがありましたが、コミュニケーション能力、人とどう話し合いをして、しっかりとしたいいもの、成果を出していくかという点においては、よりによって外務省がこんなことでは、本当に残念ですよ。だったら各国とだって渡り合えないですよ。

 職員の資質という点においても、コミュニケーション不足だった、やりとりが不足していた。これは人的育成という観点からももう一回見直さなきゃいけないんじゃないですか。その一つのあらわれですよ、今回の件は。その点についてはどうですか。

岸田国務大臣 今回の件につきましては、先ほども申し上げましたように、文化事業そして展示の具体的なものについて、私自身、今たちまち承知しておりませんので、具体的にこうあるべきだったと言うことは控えますが、ただ、委員御指摘のように、外交官としてコミュニケーション能力の重要性、これはそのとおりであります。対外的にも、また邦人の方々との間においても、コミュニケーション能力をしっかりと磨きながら、外交努力、そのみずからの職務をしっかり果たしていく、これは大変重要な点だと考えます。

小熊委員 大臣は広島ですから、では、想像してみてくださいよ。例えば、原爆の展示が、詳細がわからなくても、極端なものだったから中止にしたというイベントがあったとしたら、広島出身として、何だそれはという、詳細がわからなくても、中止そのものですよ、やらなかったという事実にやはりすごい怒りとか思いが湧き起こってくると思いますよ。

 私も詳細はわかりませんが、中止になったという事実をもってして、これはよくないことですよ。開催に持っていくためにどう努力したか。汗をかいていないんですよ。共有しなきゃいけない、それはそのとおりだけれども、それがちゃんと実行に移されていないということですから。

 これは今後ちゃんとするというのと同時に、エチオピアに関しても、あと、ほかの国でもこういうことがなかったかというのをきちっと調べていただきたい。これはたまたまエチオピアで起きたことが報道になっていますが、そうした、何だかそんたくするような、今、安倍政権は原発大推進ですから原発事故に触れない方が、そういうそんたくをしているのかもしれないですよ、大使館によって。

 これは、今回を契機に今後ちゃんとするということですが、過去にほかの国でもそうしたことがなかったか、この際調べていただきたいと思います。

岸田国務大臣 委員の問題意識は理解いたします。過去、それから他の国においてそういったことがなかったかどうか、たちまち、どう調べるか、ちょっと検討してみたいと思いますが、御指摘を受けて、検討したいと思います。

小熊委員 あと、あわせて。ほかの国でもこれはやっているんですね。過去においても、原発の事故と広島の原爆のものも一緒の展示ブースでやっていたという過去の事例があるわけですよ。

 中止に追い込まれたケースで調べにくいのであれば、では、震災以降これまで、こうしたものがジャパン・フェスティバルでどのぐらいの件数やっていて、やったことは事実として調べられますね、なおかつ、その内容がどうで、今回エチオピアの最初の原案とどう違ったのか、これを検証してもらわなければいけませんから、その調査をお願いしたいというふうに思いますが、もう一度お願いします。

岸田国務大臣 先ほど申し上げましたように、たちまち、どう調査するか、ちょっとそこからまず検討した上で、確認をさせていただきたいと思います。

小熊委員 大臣、福島のことを共有していかなきゃいけない、世界と共有していかなきゃいけない、では何をやっているんだという一つの事例ですから、それは把握していなきゃだめですよ。福島のことを共有しますと言っていながら、では外務省は具体的に何をやっているんですかといったら、何カ国でこういう展示が行われましたと言わなきゃいけないわけですよ。共有します、共有しますって、言葉は何ぼでも言えますよ。では、具体的には外務省で共有する事業としてこれだけやりましたということがなきゃいけないわけでしょう。

 だから、それはきっちり調べてください。どういうふうに情報発信してきたのか。

岸田国務大臣 調査し、確認いたします。

小熊委員 ありがとうございます。

 これは冒頭の、木原副大臣が今後このようなことのないようにということですから、ぜひ今後はその言葉どおり、大臣が言われた共有していくという意味をしっかりと実行に移していくということと、今回のケースの詳細をしっかりと大臣としてもつかんでいただいて、改善すべきものをしっかりと打ち出していただきたいと思いますし、先ほど言ったそもそも論、外交官としてどうなのかという意味でも見直して、外交力の向上のために人的な資質向上というのも、また改めて今回を機に反省をし、取り組んでいただきたいということを指摘させていただいて、次に移ります。

 この協定についてでありますけれども、これまでも議論がされてきましたが、いろいろな日本を取り巻く環境、また世界の情勢というのも刻々変化をしているわけでありますし、五年前と今現時点でもこれもまた環境が変わってきているわけであります。

 また、賛成反対という立場は別にしても、安全保障関連の法律も変わった。アメリカのリバランス政策という変化もある。また、とりわけ東アジア地域における安全保障の状況というのも刻々変化をしているという中で、今回の協定そのものということではなくて、現実的な判断でのこの協定のことですが、将来的にももっと変化をしていかなければならない部分というのもまだ積み残されているというふうに思います。

 今回は今回ですが、今後に向けて、そうしたその時代時代というか、局面局面に応じた対応も、この協定にはしっかり柔軟に対応していくことが必要だと思いますので、これでまた数年間の対応ができたということではなくて、この協定のあり方は常に不断の努力で見直していかなきゃいけないというふうに思いますので、今後の方向性としても、今回積み残された課題、また新たに出てくる課題に柔軟に対応するためにも、将来的な方向性について、まずお伺いをいたします。

岸田国務大臣 まず、我が国の安全保障を考えた場合に、我が国の防衛力を適切に整備することと、安全保障条約に基づいて抑止力を確保していく、この両方が大変重要であると認識をいたします。

 そして、日米安全保障条約に基づいて抑止力を確保する上において在日米軍の存在は重要であり、その在日米軍を円滑に、そして効率的に運用していくためにホスト・ネーション・サポートの重要性があると考えます。

 こうした考え方に基づいて今後を考えていかなければなりませんが、しかしこれは特別協定が含まれているわけですから、この特別協定については、これはあくまでもその時々のさまざまな条件を総合的に勘案して判断すべきものであります。

 自動的に延長されるものではない、しっかりと状況を判断した上で、毎回毎回、協議において真剣にあるべき姿を追求し、国民の理解を得ていく、こういった態度が重要であると考えます。

小熊委員 それであるならば、予算ということではないんですけれども、いわゆる協定の十七条ですね。これは、安倍政権も法の支配、価値観を共有していくと言っている、日本だって法治国家ですよ、それで何で、米軍の兵士が不祥事、何か罪を犯したときに、我々は法治国家でありながら、それを裁けないのか。これはやはり見直していかなきゃいけないし、アメリカと同盟国である韓国だってドイツだって、日本とまた違うわけです、ここの部分が。日本と差があるわけですよ。

 まさに十七条の改定というのをしていかないと、沖縄の基地負担軽減という大きな方向性の中でも、これは直接の基地の負担ということではありませんが、そうした沖縄の人たちの思い、また過去にあった事件などを考えてみても、これはやはり、日本の法律で裁けないというのは、法治国家としても大変不名誉なことであるというふうに思いますので、この十七条の部分についてはどうですか。

岸田国務大臣 日米地位協定の第十七条についての御指摘ですが、まず、日米地位協定につきましては、協定本体のみならず、さまざまな合意を含む大変大きな法体系であると考えています。そして、この協定をしっかりと運営し、そして国民が理解する、国民から理解していただける、そうした結論に導くために、我が国としましては、さまざまな合意を積み重ねることによって適切な結果を導いていく、これが最も効果的で効率的である、こういった考えに基づいて取り組んできました。

 各国との比較についても触れられましたが、これは、協定そのものを比較するのではなくして、どういった結果が出ているかということにおいて比較をしなければならないと思います。

 協定本体のみならず、先ほど申し上げました、我が国としましては、さまざまな合意等を積み重ねることによって改善を図ってきました。

 御指摘の刑事分野における取り組みにつきましても、我が国は、一九九五年の日米合同委員会合意の枠組みに基づいて、起訴前の拘禁の移転が行われています。これは、我が国と米国との間におけるもの以外にそうした協定はないと、我々は認識をしております。

 ドイツとの間におきますボン補足協定につきましても、移転は判決の執行時とされています。米韓においても、これは、もともとは執行時とされていたものが、十二種類の犯罪に限って起訴時とされたというふうに承知をしております。

 このように、我が国の地位協定につきましては、運用等を活用することによって、他国と比べて不利になっているという状況にはないと考えております。

 しかし、いずれにしましても、これは国民の理解をしっかり得ていかなければなりません。不断の検討は続けていくべき課題であると考えます。

小熊委員 これは、だから、今大臣言われたとおり、結果としてよくない状態が続いているというふうに思いますので、改定に向けた努力をしていただきたいというふうに思います。

 政府間同士ではそういう言葉は出てこないんでしょうけれども、アメリカの関係者としゃべったら、日本は取り調べのときに可視化していないからな、だから後進国だみたいな言われ方をされたんですよ。そんなことを言われないように、合意したことでの十七条ですけれども、でも、それで起きている今の現実を見れば、これは改善をしなきゃいけない点でありますから、しっかりとそこは改善に向けて努力をしていただきたいということを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 きょうは在日米軍駐留経費負担に係る特別協定の審査ですが、まず、三月十三日に発生した米海軍一等水兵による事件についてから政府の見解を求めていきたいと思います。

 沖縄県那覇署は、十三日、面識のない観光客の女性が寝ているのに乗じて性的暴行を加えたとして、準強姦容疑でキャンプ・シュワブ所属の米海軍一等水兵二十四歳を逮捕いたしました。

 報道によりますと、この容疑者の逮捕容疑は、十三日の午前一時十四分ごろから同四時五分ごろまでの間に、那覇市内のビジネスホテルで、観光客の四十代女性が熟睡して抵抗できないことに乗じて性的な暴行を加えた疑いで逮捕されています。

 この女性と容疑者との間に面識はないとのことですが、女性は、ともに沖縄を訪れた知人二人と自分の部屋にいたんですが、途中で飲み物を買いに部屋を出ました。戻った際に、部屋の中の知人が眠っていたため締め出された格好になり、知人の電話を鳴らすなどしたのですが、結局、廊下で寝込んでしまった。容疑者は、廊下で寝ていた女性を自室に連れ込み、その女性の知人が女性の悲鳴を午前四時ごろ自室で聞き、容疑者の部屋のドアをたたくと、容疑者と女性が室内にいたということです。

 この容疑者ですが、事件前にホテル周辺で酒を飲んでおり、このホテルに泊まっていたほかの兵士は容疑者とは別々にホテルに帰っていた、そういう状況が報告されています。

 このように、たび重なる、女性の人権をじゅうりんするような事件が起こるということには、本当に、沖縄県民のみならず、この報道に接した多くの国民は怒りに達している、憤りはやり場のない怒りになっているのではないかというふうに思います。

 私も子供が四人おりまして、そのうちの二人は娘ですが、基地と隣り合わせに住む、特に近隣の住民にとっては、日ごろからの、平時における事件、事故に遭遇するという危険性をやはり絶対に忘れることはできないということを改めて思わされた事件です。

 政府にお伺いいたします。

 この事件が発生した後、どのような抗議及び申し入れを行ったのかを確認させてください。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 まず外務省におきましては、三月十三日即日、本件に関する報告を受けて、直ちに、私、外務省北米局長の森でございますけれども、私からハイランド駐日米国臨時代理大使、また、山田北米局参事官からワイズ在日米軍副司令官、そして、水上沖縄担当大使からニコルソン在沖縄米軍四軍調整官に対し、本件は極めて遺憾であるとして、それぞれ綱紀粛正及び再発防止を強く申し入れました。

 また、防衛省におきましては、同じ三月十三日、井上沖縄防衛局長からニコルソン在沖縄米軍四軍調整官に、そして、三月十五日に中島地方協力局長からドーラン在日米軍司令官に申し入れを行ったものと承知しております。

玉城委員 沖縄に楽しみで旅行に来ていたその女性が、ふだんの感覚では、例えばお酒に酔っぱらってホテルの廊下で寝込んだとしても、そこで事件、事故に遭うということは想定していないはずです。ましてや、そんなことがあってはいけないというのがホテルの安全管理ではないかと思うんですね。

 しかし、どういうふうな偶発的な事件に遭遇するかは誰にも予測できません。ですから、私は先ほど想定という言葉を使いましたけれども、誰もそんなことは考えていないところで起こってしまった事件だということを、私は強く申し上げているわけです。

 沖縄県内での米兵の事故について、このような報道があります。

 沖縄県警によりますと、一九七二年から二〇一四年にかけて、米軍人や軍属らの刑法犯は五千八百六十二件発生しています。直近の二年間では、二〇一四年に、殺人、放火、強盗などと並列した、凶悪犯に当たる強姦事件が一件発生し、粗暴犯などを含めると、刑法犯罪総数は二十九件。二〇一五年は、強姦事件はないものの、強盗が三件、刑法犯全体の総数も、前年から五件増の三十四件です。内訳を見ると、軍人の摘発件数が二十一件と、ほぼ倍増しているということです。

 このように、事件、事故がたび重なり、住民が危険にさらされるという事態、この事件、事故が発生する要因、起因は一体何であるかについて、これは大臣に見解をお伺いできますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、米軍人等による事件、事故ですが、これはまことに遺憾なことであり、あってはならないことであると考えます。そして、強固な日米同盟を維持していくためには、国民の支持を得ていくことは不可欠であり、こうした、日本国民の米軍人に対する、あるいは米軍に対する信頼を損ねるような事態は生じてはならない、このようにも感じます。

 そして、その原因、要因は何かという御質問ですが、個別の事件についてはさまざまな要素が複雑に絡んでおりますので、要因について一言で申し上げるのは難しいと思いますが、少なくとも、こうした事件、事故を防止する際に、米側の努力が最も重要であると私は考えております。

 行動規範につきましても、リバティー制度等があるわけですが、日本政府としましても、米軍あるいは沖縄県、関係市町村などから成る米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム、こうした枠組みを開催して、日米間で協議を行い、安心、安全の確保に努めているわけです。こうした枠組みを通じまして、米側にさらなる努力を求めていかなければならないと思いますし、関係者のこうした地道な努力、これはこれからもしっかりと続けていかなければならないと考えております。

 ぜひ、こうした取り組みを続けることによりまして、あってはならない事件、事故を防止していかなければならないと考えます。

玉城委員 今、大臣から、リバティー制度という話が出されました。実は、二〇一二年十月、本島中部で発生した、二人の米兵による集団女性暴行致傷事件を受け、沖縄を含む在日米軍全兵士の深夜外出禁止を実施したのがこのリバティー制度です。

 一三年二月には、一定の階級以上の兵士の夜間外出を認めたが、飲酒は全面禁止にしていました。一三年五月からは、午後六時から十時まで、レストランなどで缶ビール二本程度の飲酒を認めていたんですが、二年前の二〇一四年の十一月に、リバティー制度を一部解除するということを発表しています。それは、まず、午前零時から午前五時を除き、基地の外での飲酒を認める。それから、飲酒の本数の制限を解除する、幾ら飲んでもいいということです。

 それから三つ目には、これが今回の事件の、リバティー制度の欠陥ではないかと思われるところは、午後十時から午前五時までの、E5、これは軍曹階級相当、E5以下の兵士や沖縄に派遣される兵士の外出は、上司などの同伴を求めるということがここで決められているんですが、今回の事件を起こした容疑者はE3、一等水兵ですので、E5以下なんです。つまり、上司に外出の同伴を求めなければならないというふうに決められているわけですね。

 しかも、最近、ここ数年、いわゆるキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブなど本島北部に居住する兵士、特に若い独身兵士は連れ立って、例えばタクシーで那覇に向かい、那覇で飲酒をし、ホテルに泊まって、翌朝、基地間移動のバスに乗ってベースに戻る、そういうふうないわゆる飲み方をしながら遊興しているという話を聞いています。

 そういう実態があるかどうかはまた別の機会にしっかりとただすことにいたしますが、このリバティー制度そのものも、現状では非常に欠陥だらけではないかと思うんですね。そのことについてどのような見解なのかをお伺いしたいと思います。

木原副大臣 お答えを申し上げます。

 まず、今回の本事件の事実関係については、まさに現在捜査中であると承知をしておりますので、外務省として、この被疑者とリバティー制度との関係といった個別の状況について、断定的に申し上げることは差し控えたいと思います。

 その上で申し上げますと、今まさに委員の方から、るる編成についても御説明いただきましたが、在日米軍は、平成二十四年十二月以降、実質的な措置として、勤務時間外行動の指針、つまりリバティー制度として、米軍人に対して施設区域外の公共の場における飲酒制限、外出時間の制限、また外出中の同伴者義務づけ等を求めているというふうに承知をしております。

 まさに、こういう制度がある中での本事件の発生でございます。極めて遺憾でありますし、あってはならないものと考えております。

 外務省といたしましては、局長から冒頭答弁させていただきましたとおり、米側に対して、本事件の発生は極めて遺憾であると同時に、綱紀粛正及び再発防止を強く申し入れたところでありまして、このリバティー制度は、米側の実質的な制度、取り組みではありますが、政府としても、引き続き米側に対して綱紀粛正等の働きかけをしっかり行っていきたいというふうに考えております。

玉城委員 では、別の観点からちょっとお伺いしたいと思います。

 先ほど、大臣からも、この事件、事故の防止に関する合同チームなどの発言がありましたが、基本的に、日本における基地の運用に関する取り決めは日米合同委員会できっちりと議論をされるという形が、いわゆる一般的な協議の場だというふうに思うわけですね。

 私も、この間、衆議院議員に当選させていただいて以来、この日米合同委員会のいろいろな欠点もしくは欠陥があるのではないかということを指摘させていただいております。

 今手元に私が持っておりますのは、日米合同委員会の平成二十四年二月現在の組織図です。いろいろありますけれども、日本側の代表は外務省の北米局長、以下、代表代理には法務省、農林水産省、防衛省、財務省などがあります。アメリカ側は、在日米軍司令部副司令官がアメリカ側の代表で、その代表代理には在日米大使館公使、司令部第五部長、陸軍司令部などなど四軍の司令部からの代表が参加するということになり、さらに細かい分科会では、またそれぞれの担当官がこの中に配置されていて、専門的な議論をしていると思います。

 しかし、この中には、私が今まで聞いた中では、いわゆる地元の自治体でありますとか渉外知事会などから、この委員がここに参加をしているという議論、あるいはまた、そこで話し合われたことの報告について、日米合同委員会での正式な招聘を受けての議論などはないやに聞いておりますが、この日米合同委員会における基地関係地方自治体の参加の必要性について、どのようにお考えでしょうか。お聞かせください。

木原副大臣 お答えを申し上げます。

 日米安保条約及び日米地位協定を実施するに当たって、今まさに委員から御指摘いただいたように、関係地方公共団体の御理解とまた御協力を得ることは不可欠でありますし、また関係地方公共団体の御意見が重要であることは論をまたないわけでございます。

 他方で、この日米安保体制の運用ということにつきましては、我が国の外交、防衛に責任を有する日本政府が米国政府と協議するということを基本とすべきものであると考えてございます。

 そして、日米地位協定第二十五条により設置が規定されておりますこの日米合同委員会は、まさに日米地位協定の実施に関して日米間の協議を必要とする全ての事項に関する両政府間の協議機関であるということでございます。

 政府としては、関係地方公共団体の負担軽減を図りながら、日米安保体制の円滑な運用を確保していくことは極めて重要であるという考え方に立ちながら、引き続き、関係地方公共団体の御意見も踏まえながら、地元の要望に可能な限り応えられるように努力をしてまいりたい、協議をしてまいりたいというふうに考えております。

玉城委員 沖縄国際大学の前泊博盛教授が今回の米兵の事件について、米軍の抑止力の前に、米兵犯罪の抑止、基地被害の抑止を強く要求することになるのではないかというふうに論評しています。有事に日本を守るとされるが、平時における犯罪被害、爆音被害、演習被害の除去と抑止を訴える県民の願いはなぜ無視されるのか、日米安保や米軍基地は一体何から何を守っているのか、安保の本質が再び問われると、厳しく述べられています。

 そして、きょうは長島委員からもこの発言がありましたが、それは何かというと、有事のリスクと平時のコストです。平時におけるコストが人権じゅうりんを伴う事件、事故の発生ということはよもや考えてはいらっしゃらないと思うんですが、有事の際の場合のことだけを前面に立て、例えば尖閣の問題が惹起したら、我々は今厳しい安保環境にあるという傍らで常に米軍基地が運用されているというその地元の実態は、日米合同委員会での協議は、そこで直接議論することなく、ただその意見をそこに反映させたいというのみにとどまっています。

 ですから、根本的に、平時におけるコストについて、コストとリスクということを並立に考えるのであれば、この日米地位協定の抜本的な改定はもちろんですが、事件、事故の根本的解決に向けて、例えば、軍隊の規則における厳罰的な綱紀の粛正をしっかりと米兵に課すということとあわせて、現実的に、基地の負担軽減、物理的な、基地の面積や兵隊の人数を減らしていくこと、日本国内から減らすことということにほかならないのではないかと思うんですね。

 ですから、この日米安保が何から何を守るために誰が犠牲になっているのかということが、事件、事故が引き起こされるたびに、そのことについての迷宮に、またその入り口に立ってしまっているというのが、ほかならぬ沖縄県民の本当に憂慮している思いではないかというふうに思います。

 このことについて、いま一度見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 今、平時のコストということについて御指摘がありました。そのコストにおいて人権がじゅうりんされるようなこと、これは当然あってはならないことであります。

 こうした米軍人の事故、事件に対する対応ですが、日米地位協定上さまざまな改善を行い、他国に例のない、こうした内容を実現してきたわけですが、その中にありまして、軍紀による罰則について御指摘がありました。

 日米地位協定第十七条8は、日本の当局により裁判を受けた犯罪を構成した作為または不作為から生ずる軍紀違反について、米軍当局が米軍人等を裁判することを妨げるものではない旨定めています。

 したがって、日本側が裁判権を行使した被疑者が有罪となった後も、当該被疑者の犯した軍紀違反について米軍当局が懲戒権を行使して懲戒罰を科することは可能であり、我が国における米軍関係者の犯罪について米軍政府が罰則を科す余地がないわけではない、このように認識をしております。

 こういった実情も念頭に置きながら、政府としまして、あってはならないこうした事件、事故につきまして米側としっかりと協議をし、そして、目に見える成果に向けて取り組みを進めていかなければならないと考えます。

玉城委員 あくまでも、アメリカ側の、米軍側の裁量におもねたようなそういう形ではなく、しっかりと厳罰に処すべしというふうなことも言わなければならないという意思を示すべきであるというふうに私は思うわけですね。そうしろということではなく、意思を示すだけで、より深く米軍は、日本における駐留の責任及び法令を遵守する義務というものを、各兵士、各部隊で共有できるものと思います。そのことを強く申し入れることを重ねてお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、駐留経費の協定について、幾つか質問をさせていただきます。

 まず、今回の特別協定の改定で、実は、これまでの現協定における労働者の人数から、駐留軍労働者のうち福利厚生施設で働く労働者を五百十五人削減する一方で、装備品の維持管理、事務等に従事する労働者を千六十八人ふやすことから、結果として、協定の最終年度である二〇二〇年、平成三十二年度には、二万三千百七十八人まで段階的に五百五十三人増加するということになっています。

 この本協定における労働者数増加の理由及び背景についてお伺いいたします。

若宮副大臣 今、玉城委員御質問いただきました件でございますが、アメリカ政府はアジア太平洋地域へのリバランス政策を着実に進めている、これはもう御承知のとおりだと思います。

 具体的には、二〇二〇年までに海空軍の六〇%をアジア太平洋地域に配備することといたしているほか、我が国との関係におきましても、F35、P8、オスプレイの新規の配備、それからまたXバンドレーダー、それからBMD能力搭載のイージス艦の追加の配備、またグローバルホークやF22のローテーションの展開など、最新鋭かつ高度な能力を配備しつつあるところでございます。

 こうした状況を踏まえた上で、いわゆるMLC労働者のうち、やはり、装備の維持や整備、また司令部等におけます各種事務に従事する労働者につきましては、米軍の機能発揮を直接支える存在であるということも勘案をいたしまして、日本側が負担いたします上限を一万八千二百十七人から一万九千二百八十五人に、プラス千六十八人でございますが、させることといたしたところでございます。

玉城委員 このMLC、基本労務契約労働者をふやし、IHA、諸機関労務契約労働者を削減する本協定における考え方をお伺いしたいと思います。

 在日米軍施設で、駐留軍等労働者数について、諸機関労務契約、IHAにより福利厚生施設等で働く労働者数は五千七百三十五名という報告が出ておりますが、このMLCの労働者をふやし、IHAの労務者を削減する意図はどういうところにあるんでしょうか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 日本側がこのIHAの労働者を負担するということは、いわゆる在日米軍の施設それからまた区域におけます福利厚生施設の経営基盤ですとか、この安定やサービスの向上を通じまして、アメリカ軍人の福祉や士気の維持に寄与するという点におきまして、効果的な活動の確保という特別協定の目的に合致するということから開始した経緯がございます。

 他方、私、この国会審議等でも、御指摘を踏まえまして、既に、五年前の現行特別協定に関する協議の結果、やはり、クラブですとかあるいはゴルフ、あるいはボウリング場等の娯楽性の高い施設に関しましては、勤務するIHAの労働者に関しての日本側の負担というのは全て削減をしていこうということで、これは八百五十九人マイナスということでございますが、こうなってきております。

 その上で、今般の特別協定に係る協議におきまして、何よりも、私ども、我が国の厳しい財政状況を踏まえまして、このIHA労働者の労務費と係る日本側負担につきましては、さらなる減少をさせていくとの考え方に基づき、アメリカ側と交渉、協議を行いまして、日本側が負担する上限額を四千四百八人から三千八百九十三人、マイナス五百十五人ということにしたところでございます。

玉城委員 質問時間が参りましたので、最後に簡単にお答えいただければと思います。

 基本労務契約と諸機関労務契約は、日本側が雇用し米側が使用者というふうになっておりますが、このIHA、諸機関労務契約に関しては、外資系などの歳出外機関が雇用をできるというふうな形もとられておりますので、実は、IHAで採用して米側が使っている労務者、従業員の方々と、AAFES側が採用した従業員の方々とで、その待遇に差が出ているのではないか。つまり、IHAで都合よく採用しておきながら、実はこのコストについて非常に重たい責任というか労使関係に置かれているのではないかというふうに思います。

 例えば雇用の実態の悪化の有無、それらに関する日米並びに組合等との協議が行われているかどうかについて、簡潔にお答えいただければと思います。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

若宮副大臣 今、玉城委員の御指摘の点でございますけれども、確かに、IHA労働者は実際に五百十五人削減されると私は表現させていただきましたが、実際にすぐに首を切るという人員整理ということではございませんで、雇用の安定が守られているということは日米間では確認をされているところでございます。

 また、その上で、労務の需要に応じまして、アメリカ側が直接雇用することを否定するものではございませんものですから、直接雇用につきましては、アメリカ側の個々の業務の必要性等を判断して雇用されているということで、私どもとしてはその実態を把握しているところではございません。

 ただ、アメリカ側の直接雇用によって、今御指摘の駐留軍の雇用状況が影響を受ける事態が発生する場合におきましては、アメリカ側あるいは組合側とも協議をしてまいりたいと考えているところでございます。

 また、最後でございますが、新たにこの特別協定によります協議におきましては、アメリカ側にも確認をしており、また書簡を取り交わしておるところでございますし、また、今御指摘いただきました労働組合にも御説明をいたしまして、御了解をいただいているところでございます。

玉城委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。ニフェーデービタン。

新藤委員長代理 次に、丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。私からも、本特別協定についてお話、質疑をさせていただきたいと思います。

 前回、所信表明に対する質疑のときに、初めての外務委員会でございましたので、いろいろ大臣からお話をお伺いしたいなと思っていたんですが、残念ながら、女子差別撤廃委員会の件が起きました。これはちょっといかぬなということで、そのことを中心にお話を伺う中でいろいろお伺いできなかったので、また、ちょっと通告の順番も前回ずれてしまったので、きょうはきちんと通告させていただいたとおり。また、きょうは午前中最後のバッターでございますので重なるところもありますけれども、しかし、何分大臣とは根本的な部分の議論をまださせていただいておりませんので、その意味も含めまして、重ねてお伺いさせていただきたいと思います。

 今回の思いやり予算、思いやりと言ったら長島先生が怒りますね、むしろHNS、ホスト・ネーション・サポートの今回の特別協定についてですけれども、根本の部分に、日米同盟がいかに大事かという部分がすごくあると思います、政府の答弁を聞いていますと。常に、日米安全保障体制を中核とする日米同盟は日本外交の基軸だ、基軸ということは間違いないという形の御答弁をされています。

 このあたり、いつも形どおりの答弁もされるんですけれども、一方で、もう少し大臣なりのお言葉で、このあたりの意義についてお答えいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 日米同盟ですが、まず、日米同盟の基軸、中心として日米安全保障条約が存在します。一九五一年に署名され、五二年に発効し、一九六〇年に改正され、今日に至っていますが、この日米安全保障条約をより実効的なものにするために、ガイドラインというものが三回にわたって策定されてきた、こうした体制で、日米安全保障体制ができ上がっています。

 この日米安全保障条約に基づく日米安全保障体制、そして、それを中核とする日米同盟、これは、先ほど委員からも御指摘がありました、我が国の外交安全保障の基軸として不可欠なものであると認識をしています。日米関係は、こうした安全保障の分野だけではなくして、経済や文化、スポーツを初め、我が日本国民にとりまして、これは大変身近であり、そして重要なものであると認識をしております。

 こうした日米関係は、これからもしっかりと重視をしていかなければなりません。その中にあって、安全保障の分野は一層厳しさが増していく、こういったことが想定されます。日米においてしっかりとした信頼関係を築いていかなければならないと思いますし、日米同盟を安定的に維持するためには、国民の理解というものが大変重要であると認識をいたします。

 ぜひ、国民の理解も得ながら、こうした大切な日米同盟体制を維持していくべく、努力をしていきたいと考えます。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

丸山委員 非常に丁寧にお答えいただいて、ありがとうございます。

 日本外交の基軸であるというのは間違いないと私も思いますし、そもそも、私としては、根本の部分には、万が一のときには、自国の防衛というのはある程度自国でも守れるようにしたいというのが正直な部分、政治家として思うところですけれども、しかし、コストの問題だとか、また歴史的な背景もありますし、例えば、現実的な極東の情勢の地政学的な状況等々を踏まえても、現時点で、日米同盟が基軸であって、そしてこれをしっかりと維持そして発展させていかなければいけないというのは誰もが同意するところだというふうに思うんです。

 一方で、アメリカの選挙戦を見ていますと、一部候補者、少し前はそんなに有力じゃないというふうに言われていたような方々が、トランプさんとかですね、日米安保条約を含めて日米同盟の関係について表現される中で、片務性の部分について特に述べられていると思います。具体的には、アメリカに何かあったときに日本が助けてくれるのかみたいな表現をされているんですけれども。しかし、この片務性の中において、駐留経費を負担しているという部分がある程度あるんじゃないかな。

 この駐留経費をなぜ負担しているのかという部分について、改めて、外務省として、大臣としてお答えいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、日米安全保障条約の条文そのものを考えました際に、先ほども議論が出ておりましたが、五条と六条を見る限り、義務の内容は異なっておりますが、義務を果たすということのバランスにおいてはしっかりバランスがとれていると認識をしています。

 そして、日米安全保障条約に基づいて、日米安全保障体制をしっかりしたものにする、そして、日米同盟をしっかり維持していく、結果として、地域の平和や安定も維持することにつながっていく、こうしたことは、日本のみならず米国にとりましても共通の利益であると考えます。

 ぜひ、こうした地域の平和と安定においても重要な日米同盟をしっかり維持していきたいと思いますし、また、こうした日米間の協力は、グローバルな課題において日米がしっかり貢献していくということにもつながっていくと思います。そうした意味も考えながら、ぜひ、この大切な日米同盟を維持していきたいと考えます。

丸山委員 今、国民の理解が大事だという、前の答弁でありまして、そういった意味で、米国における理解も私は大事だと思うんです。そういった意味で、大統領選になると少しエッジのきいた御発言をされる候補も多いので、それを切り取って言うのは適切ではないと思いますので、述べるだけにとどめておきますけれども、恐らく、そういう方々がもし政権におられたら、その点は理解されてもちろん協力関係をつくっていかれることだと思いますけれども、改めてその点をお伺いして、私自身も安心したところでございます。

 今回、二〇一一年に続いて一六年ということで改定されたんですけれども、今回の協議に臨むに当たっての方針について、外務省はどのような成果を望んで、もしくは、どういう方針で今回の交渉に当たられたのか、その部分をお伺いできますか。

岸田国務大臣 今回の交渉に当たっての方針、考え方ですが、まずは、在日米軍を円滑かつ効果的に運用する上において、HNSは引き続き重要であるという認識をまずしっかり持った上で、我が国の厳しい財政状況をしっかり踏まえ、そして、何よりも国民から理解される内容でなければならない、こういった点をしっかり念頭に置きながら、主張すべきことは主張し、そして米側と協議を行い、結論を得たということであります。

 そして、その際に大切なことは、量ももちろん大切ですが、質も大事だということであります。

 この予算の規模といたしましては、今回の特別協定におけるHNSの規模、これは現状とおおむね同水準となっておりますが、その内容につきましては、福利厚生施設にかかわる人件費の日本負担を軽減する、一方で、今の厳しい安全保障環境に対応するべく、最新鋭の整備を維持するための人員については増員をするなど、現実に即した、必要なめり張りをしっかりつけたということも今回の協議のありようであります。

 かくのごとく、量、質とも国民から理解されるものを目指して協議に臨んだという次第であります。

丸山委員 この特別協定なんですけれども、一番最初が八七年ということで、もうすぐ三十年近くなるものでございます。

 ただ、毎回、これは特別協定で、期間はいろいろ区切りをされて、しかも、それは延長の規定もなく協定を結ばれている。そして、国会も、今回も少しどたばた感があると私は思うんですけれども、やはりしっかりした審議をしなければいけない中で、どうしても毎回日切れ扱いで、この三月のぎりぎりのタイミングでこの話を議論していかなければならないという、毎回毎回、どうしてかなという部分は気になるんです。

 このあたり、期限を区切っていて、延長の規定もなくて、そして、ちょっとそれとは論点が少し変わりますけれども、国会への提出のタイミングについて、どういうふうに政府はお考えになっていらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、特別協定につきましては、御指摘のように延長規定もありません。これは特別協定ですから、その都度都度、暫定的、限定的、特例的な措置であるということで協議を行ってきたということであります。その時々の安全保障環境あるいは財政状況など、さまざまな観点を総合的に判断して、その都度、真剣に協議を行い、結論を得てきた、これが今日までのありようであります。

 そして、国会への提出につきましては、これは予算との関係もありますので、やはり予算審議の日程とも合わせながら国会の承認をいただいていかなければなりません。国会における承認が遅滞するということになりますと、米国の日本に対する信頼を損ねる、こういったことにもなりますし、また、経費負担が滞ることによって在日米軍の運用に支障を来しかねない、こういったことも考えておかなければなりません。

 ぜひ、この年度末までにしっかり国会の承認をいただいて、本来のHNSの役割を果たしていけるように努力をしていきたいと考えます。

丸山委員 外交交渉のお話ですので、難しいところはあるというのは重々承知した上での質疑なんですけれども。

 毎回期限がわかっているわけで、今回も、この三月末で切れるというのがまずわかっていて、その中で結局、もちろん交渉が難しいというのはわかります、しかし、一月二十二日に署名されて、出てきたのもこのタイミングで、そして恐らく、日切れを考えればというよりも、実質的にほとんど議論が、きょう、あす、この一週間ぐらいでこの衆議院でも終わってしまうという現状は、突発的に出たなら別なんですけれども、毎回あることを考えれば、我々の、国権の最高機関たる国会の責務を果たすのにこの時間で十分なのかなというのはすごく思うところです。

 難しいのはわかります。私も申し上げていて、そういうきちんとした回答は来ないだろうなというのはわかっているんですけれども、しかし、御意見は申し上げておきたいと思いますし、しっかりと鋭意国会でも議論できるようなタイミングというのは、政府としても御考慮いただけるようにお願い申し上げます。

 そうしましたら、大きな方針につきまして大臣にお伺いできましたので、あとは細かい部分について、今回の特別協定、お伺いしていきたいと思います。事務方の方で構いませんので、お伺いしていきたいと思います。

 まず、先ほど玉城委員からも御指摘あった労働者数。労務費における上限労働者数の設定が今回段階的にふえています。そして、最終年度、過去最高数になるということでございますけれども、まず、この理由、先ほど少し玉城委員のところで触れられていたので、重ねてお伺いしていきたいんです。

 今回のこの特別協定によると、先ほどの御答弁を聞いていますと、米軍の機能を発揮するのに一番フォローできるのが特に装備品維持整備、事務に従事する労働者で、これを段階的にふやす必要があるから今回ふえているんだという御答弁だと、今のを聞いていて理解したんですけれども、そういう理解でよろしいのかどうか、もう一度で構いませんので、お伺いできますか。

鈴木(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどるる御説明申し上げておりますとおり、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるHNSは引き続き重要という認識のもとで、我が国の厳しい財政事情も踏まえつつ、国民の理解を得られる内容とする観点から協議を重ねてきました。

 そうしたことから、福利厚生施設に勤務するIHA労働者の日本側負担につきましては、我が国の厳しい財政事情等を踏まえて、五百十五人削減ということでいたしました。

 他方、昨今の北朝鮮や中国の動向など、現下の厳しい安全保障環境のもと、アメリカがリバランス政策に基づいて、アジア太平洋地域へ最新鋭の装備を配備しているということで、我が国との関係でも、先ほどのF35、P8、オスプレイ等々、新規配備を重ねておるというようなところでございますので、そうしたものの状況の中で、これらの米軍の装備の維持、整備等を初め、米軍の活動を支援していくことが極めて重要だというところがございます。この米軍の能力発揮に資する装備品の維持、整備に従事するMLCという労働者については、日本側の負担を千六十八人分増加させることとしました。

 そうしますと、IHA労働者とMLC労働者も合わせた駐留軍の労働者の日本側の上限負担数につきましては、二万二千六百二十五から二万三千百七十八という形で、五百五十三人増加することになりましたが、めり張りをつけながら増加をさせているというところでございます。

丸山委員 娯楽に従事する従業員の方がどうこうという議論はよくあるんですけれども、しかし、日本の防衛にもつながるいわゆるMLCの方々をふやすニーズがあると要望があって、交渉の中で必要だという御判断だと思います。

 今聞いた形では、ぱっと聞きますと、最新鋭の防衛の設備が入れば人が減るのかなと思ったんですけれども、逆で、極東アジアに最新鋭のを入れることで、それに対する人をふやす必要があるという御回答でございますので、お聞きする限りは腹に落ちているところなんですけれども。ただ、とはいえ、全体でどう圧縮していくか、節制していくかというのは非常に大事な視点でございますので、次の協議も含めてしっかりと協議していただきたいというふうに思います。

 もう一つ、人件費の次に、光熱水道費についてお伺いしたいんですけれども。

 今回、負担割合を七二から六一に引き下げられております。これは経費を節減するというお話だと思うんですけれども、一方で、上限が二百四十九億円という上限そのままで、そして、過去を見てみますと、大体この上限額いっぱいまで結局負担していることから、せっかく七二を六一に下げられたんですけれども、結局これは余り意味ないんじゃないかなというのが、普通見て思うところだと思うんですけれども、これについてどうお答えになりますか。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 現行の特別協定有効期間におきましては、東日本大震災後のエネルギー単価の上昇があって、負担割合に基づく日本側負担が上限額である二百四十九億円を超える状況が続いておりました。そのため、毎年度、上限額の二百四十九億円を負担してきたところでございます。

 新たな特別協定におきましては、この日本側負担を七二%から六一%に下げたことによって、日本側負担への影響は、光熱水料の調達単価や調達費用により変動するものですから、現時点で具体的な負担の増減を予断することは難しいのでございますけれども、一般論として、石油価格の下落等によって光熱水料の調達単価が下がった場合には、これに伴って日本側の負担も軽減されるということになります。

 また、近年、米側の調達量自体も漸減傾向にあることを鑑みれば、六一%という割合は、上限額である二百四十九億円を下回り、日本側負担額の減少につながる可能性があり得るというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、日本側といたしましては、支払い実績額を減少させて日本側負担額の削減につながるよう、引き続き米側に節約努力を払うよう申し入れていきたいというふうに考えております。

丸山委員 二百四十九億円という上限を今払っているわけで、これを下回る可能性があり得るということなんですけれども、過去、ちなみに、この上限より下回ったということはあるんですか。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 これまでは下回ったことはございません。

丸山委員 これまで下回ったことがない状況で、どう考えても厳しいんじゃないかなというのが通常考えるところでございますけれども。

 そもそも上限を設けているわけで、そして、しかもこの割合を二重でやっているところに対して少しどういう理由があるのかというのが気になるところなんですが、これについてはどうお答えになりますか。

鈴木(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 光熱水料の負担については、これを継続するということが米軍の円滑かつ効果的な運用をさせる上で必要であるということで、光熱水料の一部について負担を継続してきているということでございます。

 これにつきましては、現行協定、現行協定というのは今の、新しくお願いしているものの前のものでございますが、これにつきましても一定の限度額と負担割合という形でやらせていただいているということでございまして、まさに絶対額だけではなくて、つまり、今回、先ほどお話し申し上げましたが、負担割合を示すことによって、節減でき得る余地、大幅な光熱水料の変動等があった場合に対応できるというようなところの余地をきっちり残しておく、そこにおいて節減できるものがあれば節減するというような方針のもとに、絶対額プラスこうした負担割合というものの二重の形で設定をさせていただいているというところでございます。

丸山委員 しかし、負担割合ができてきたのは一一年協定からですね。そちらの方がもしかすると上限を下回って負担額が減る可能性があるからパーセントの方を決めたけれども、残念ながら、これまでそういった事態には至っていないという理解でよろしいですか。

鈴木(敦)政府参考人 こういう意味では、先ほどもお話ございましたが、負担割合という形で、それが上限になっているということではございませんけれども、今後の光熱水料の変動、こうしたものを考えたときに、両方の形で担保させていただいているという形でございます。

丸山委員 必要なものはお支払いしなければいけないというふうに趣旨上は思うんですけれども、しかし、どこまで節約していくかというのは負担する側としては非常に大事な視点だというのは、もちろんお忘れになっておりませんし、だからこそ二重でやられて、何とかならないかというのをやられているということだと思うんです。

 しかし、実質的には上限額をずっとお支払いしているわけで、その辺というのは、今後、油価とかの影響によって変わるので一概に言えないという御回答でしたけれども、できる限り下がっていくような工夫と交渉をしていただくようにお願いするとしか言えないので、しっかりそこはお願いしていきたいと思うんです。

 とはいえ、もう一つ、今般、私はもともと経済畑なので、経済産業省の関連で電力の自由化を進めてきているところでございますけれども、これは四月から始まります。そうした意味で、電力価格というもの、供給自体も大きく日本の国の中で変わっていくわけで、米軍基地も日本国内にあるわけですから、電力供給という意味では大きく環境が変わるというふうに考えます。

 そうした中で、電力自由化による米軍基地の受ける影響はどういったものがあるのか。そういった、自由化された業者から電力供給を受けるみたいな可能性というのはあり得るのかどうか。そして、それによって例えば電力の料金が低減されるみたいな事態もあり得るのかどうか。その辺はどのように理解したらよろしいですか。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 電力の小売を行う電力会社を、各地域の電力会社、例えば東京電力でございますけれども、それ以外からも自由に選択できる電力小売自由化につきましては、本年四月から対象となるのは一般家庭や商店等の小口の消費者の方々でございます。一方、在日米軍施設・区域につきましては、大半が大口の消費者でございまして、これは平成十二年三月以降、もう既に各地域の電力会社以外の会社からも購入できるということになっております。

 そういう中で、米側におきましても、これまで、電力の小売自由化に合わせて、各地域の電力会社以外の会社から電力を購入することができるかという検討を行っております。その結果でございますけれども、米側といたしましては、そもそも施設が緊急時に対応する必要があるという特性を持っておりますものですから、電力の安定的供給の確保が不可欠であるということで、現時点で各地域の電力会社以外の会社と契約には至っていないというのが実情でございます。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、電力を含む光熱水料等に係る日本側の負担を軽減させるため、米側に対し、節約努力について引き続き働きかけてまいりたいというふうに思います。

丸山委員 もちろん、基地は緊急電源もお持ちだと思います。とはいえ、私、逆でもあると思っていまして、何かあったときに、この辺だったら東電、関西だったら関電だけから買うことの方が私は逆にリスクもあると思っていて、リスクを分散するという意味では、そういう選択肢もおいおいあり得るのかなと。ただ、それは最後は基地側が判断されることだと思いますので。

 いずれにしろ、こちらから提案していくのもありだと思いますし、いろいろな軍事的な要素もありますので安易にはできないと思いますけれども、交渉をしっかりとしていただく中で、負担は減らしていくという観点を忘れずに、よろしくお願いします。

 おおさか維新の会としましても、私としましても、この特別協定、何ら反対するものでもありませんし、むしろ、しっかりと米国と手を結んでいくことが、極東の安定と、そして何より日本の防衛に、今、東アジアで、中国や北朝鮮や韓国やロシアやいろいろな国がある中での、我が国の防衛の環境が変わっている中で、非常に大事な点だと思いますので、しっかり外務省さんも、そして外務大臣も前に進めていただきますようお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

岸委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

岸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大野敬太郎君。

大野委員 自由民主党の大野敬太郎でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。また、大臣、副大臣、政務官、御多用中のところ御対応賜りましたこと、心から感謝を申し上げるとともに、皆様、お疲れさまでございます。

 きょうはホスト・ネーション・サポートの議論でございますけれども、このホスト・ネーション・サポート、やはり、米国の関与をいかに確保していくのか、日本の安全保障、防衛力の強化、これらをいかに強化していくのか、そして、国民の理解をどうやって確保していくのか、この三つのバランスをどうやってとっていくのかというのが一番重要なことだと思いますので、きょうは、そのポイントで、質問を通じて明らかにしていきたいな、そのように思います。

 まず冒頭でありますけれども、この協定、大臣、ことしの一月二十二日に、ケネディ大使と署名を行った、そんなことでございますので、まずはそのときの率直な感想を含めて、ホスト・ネーション・サポートの意義についてお伺いをさせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 ホスト・ネーション・サポートの意義ですが、我が国の外交、安全保障にとりまして、日米安全保障条約に基づく日米安全保障体制、日米同盟ということで、大変重要な意味があります。その中にあって、在日米軍の存在は大変重要でありますが、この在日米軍の運用を円滑かつ効率的に行うために、ホスト・ネーション・サポートというのは大変重要であると認識をしております。

 一月の署名式について触れていただきましたが、この重要なホスト・ネーション・サポートについて、米国側と精力的に協議を行ってきました。国民の理解を得るという観点からも、言うべきことは言う、主張すべきことは主張しながら協議を行ってまいりましたが、ようやく署名にこぎつけることができた。署名式においては、それが率直な感想でありました。

 ぜひ、今後、国会の御了解をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

大野委員 ありがとうございます。

 まずは日本あるいは地域の安全保障をどうやって確保していくのか、それは本当に重要な課題でありますし、一番大切なのは、リアリズム、プラグマティズムを持ってそれを見ていくということでございますので、やはりどうしても米国の関与というのが必要になってくる、そういうことであると思います。

 そういった意味では、次に気になってくるのが、果たして、この日本や周辺地域の安全保障について、どれだけアメリカがコミットをしてくれるのか、例えば今回の合意でコミットメントを確認されているのかということについて、お伺いをさせていただきたいと思います。

木原副大臣 北朝鮮や中国の動向など、我が国を取り巻く安全保障環境が今一層厳しさを増す中で、我が国の平和と安全を確保するために、我が国の防衛力を適切に維持、運用するとともに、日米安保体制のもとで、米軍の前方展開を維持して、そして日米同盟の抑止力を不断に強化していく、つまり、大臣もお話しいただいた関与ということが非常に大切であるということであります。

 その上で、今委員から御指摘をいただきましたコミットメントということにつきましては、日米安保条約のもとでの米国のコミットメントについて、首脳会談あるいはいわゆる2プラス2の会合を初めとする累次の機会にわたりまして米国との間で確認をしてきているところでありまして、日本政府として、米国が同条約上の義務を果たすことについて信頼を置いているという状況にございます。

 そして、加えて、今、我が国及び地域のというお話でございましたけれども、日米同盟は、アジア太平洋の平和と繁栄の礎でありまして、昨年四月の安倍総理訪米の際にも、オバマ大統領との間で、アジア太平洋や世界の平和と繁栄に主導的な役割を果たしていくということを確認しております。

 今回のHNS交渉におきましても、こうした累次の機会にわたって確認を重ねてきた盤石な日米同盟の関係を前提に協議を重ねてきたということでございます。

大野委員 コミットメントをしっかり確認するというのは、非常に重要なことだと思います。できるだけ詳細に、緻密にコミットメントを確認していく、これが一番重要なんだと思います。

 アメリカのリバランス政策、これを着実に実行していくんだとアメリカも言っておりますし、実際に、二〇一四年からQDR、そして次のNSS、これでもしっかりと書かれているわけでありますので、恐らくそういう意思というのはあるんだろう、そういうことはわかるわけであります。

 一方で、その意思があっても実際にやってくれるのかどうかというのはよくわからないわけでありますので、コミットメントというのが非常に重要である、そういった思いでありますので、これからも引き続きどうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 ちなみに、せっかく副大臣がお越しですのでちょっとお聞きをさせていただきたいんですが、実は、本委員会の冒頭で、いらっしゃらないですけれども、長島委員が名前について、これはつまり、いわゆる思いやり予算ということがよく言われています。

 これは、我々この国会にいる人間としては、大多数が、そんな意味合いでこのホスト・ネーション・サポートを思っている人間はいないし、このフィールドにいる人間としては、そんなことを思っているわけでもないのに、やはりまだまだ使われている部分があるんですね。

 なので、そういった思いやり予算という言葉、はね返すというわけではないですけれども、こちらから何か言葉を提案して、例えば在日米軍駐留経費負担、これを三回言えと言われたら、私も多分舌をかみますよ、なので、何か簡単な言葉を、国民に何となく、ああ、なるほどそういうことかとわかりやすいような言葉を発明するのもいいのかなと思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。

木原副大臣 突然の御質問で、なかなかちょっと、申しわけありませんが。

 思いやり予算という言葉がある程度、方々で定着をしてきているという中にあって、ホスト・ネーション・サポートという本来持つ言葉の意味をどう日本語にしていくか、今、言いにくいと言いながらも一つ御提案をいただいたというふうに思いますので、そんなことも含めながら、私なりにまたちょっと考えてみたいと思います。

 大変申しわけありません。今の時点ですぐに思いつきませんで、大変恐縮であります。

大野委員 きょう、長島委員がその話に触れましたけれども、実は先日、長島委員から本をいただきまして、その名前が「活米」という本でございます。

 私は、実はまだ読んでいないのでいらっしゃらなくてよかったなと思うんですけれども、まだ読んでおりませんけれども、ワーディングとしての活米というのも、なかなか理解しやすいなと思うところもあるんですね。だから、活米予算とかあるいは同盟予算とか、それは私が提案をする話でもございませんが、ぜひまた今後とも検討をいただければな、そんなことを思っておりますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 それでは続きまして、ちょっと視点を国内に移したいんですけれども、自衛隊についてであります。当然、米国も大切でありますけれども、つまり、先ほど触れましたが、自国の防衛の強化というのも非常に重要なわけであります。

 昨年、平和安全法が成立をいたしました。あるいは、防衛大綱、中期防、こういった中で、自衛隊の役割、任務は拡大していくんだということがうたわれているわけでございます。

 そういった意味で、バランスをどこかでとっていかなくちゃいけないんだ、それは財政的にも限界がありますので、幾らでもお金があるんだったら両方やっていくぞということは大切なんですけれども、そのバランス、もちろんどちらも大切なんですけれども、現時点でどういうポリシーをとられているのか、あるいは、今回の合意の中で、そういったことがある種どこかで書かれているのか、そこら辺についてお伺いをさせていただきたいと思います。

木原副大臣 先ほど来大臣からもお話をいただいたように、我が国の平和と安全を守る、確保するという上で、我が国の防衛力を適切に維持、運用する、同時に、日米安保条約のもとで、米軍の前方展開をしっかり維持して、そして日米同盟の抑止力を不断に強化していくということが、両面大切であろうというふうに思います。

 今御指摘いただいたように、我が国の中にあっては、防衛大綱及び中期防に基づいて、実効性の高い総合的な防衛力を効率的に整備することとしております。

 一方で、今御指摘いただいたように、米国はまさにリバランス政策に基づいて取り組みを進めている、こういう中でありますので、日米両政府は、新ガイドラインを踏まえた幅広い分野において各種の協力を進めて、日米同盟の抑止力及び対処力を強化していくということであります。

 今回、どちらに重点があるのかということでは必ずしもなくて、まさに両者の努力が相まって、日本とそして地域の平和と安定に資していく、そして、その中でまたHNSがその両者の面にしっかり貢献をしていくということで協議をさせていただいたということであります。

大野委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、両方大切だと思います。ですから、大変な作業だと思いますけども、ぜひ御尽力をよろしくお願いしたいと思います。

 ちなみに、米軍再編との絡みについてお伺いをさせていただきたいんです。

 例えば、在沖縄海兵隊、グアム移転ということが決まっておりますけれども、これは今回の合意に含まれる話なのか、あるいは、もし含まれるとしたら一体どういうプロセスなのか、そして一体そこがホスト・ネーション・サポートという意味でどうなっていくのか、そんな点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

木原副大臣 お答えいたします。

 今まさに御指摘いただいたとおり、在沖縄海兵隊のグアム移転を含む在日米軍再編につきましては、一般論として申し上げて、将来的に在日米軍駐留経費負担、つまり、HNSについて検討する際の考慮すべき要素の一つとなるというふうに考えてございます。

 ただ、在日米軍再編の主要な事業であります在沖縄海兵隊のグアム等への移転や嘉手納以南の主な土地の返還というものは、いずれも二〇二〇年代に開始あるいは実施をされるという予定でございますので、現時点でこれらの取り組みがHNSにどういう具体的な影響を与えるかについて見通しを立てることは非常に困難である。そういうことでいいますと、今回、そこまでのものに含まれていないということであります。

 他方で、今後、御指摘の点を含めながら、さまざまな事情をしっかりと踏まえて、HNSが適切な水準、内容となるように、将来的に対応してまいりたいと考えております。

大野委員 ありがとうございます。

 沖縄というのは、日本全体にとっても、安全保障という環境においても、非常に重要な問題であると認識しております。沖縄の皆さんの心もしっかりと受けとめて、そして政治として進めていかなくちゃいけない問題だと思います。ここも大変な重要な、そして困難な作業だと思いますけれども、また御尽力を賜れればと思います。

 きょうは森北米局長にお越しいただいておりますが、ちょっと出番がなくて恐縮でございました。これから防衛省の方に質問をさせていただきたいと思いますが、これは具体的に中身の話でございます。

 まずは、ホスト・ネーション・サポート、一体何がどうなったのか、これはもうある程度皆さん御質問になったので明らかになりつつありますので、ちょっと繰り返しになってしまうかもしれませんが、この中で、特に国民の理解を得るということがうたわれておりますけれども、そういうキーワードでぜひまた御答弁を賜れればと思います。

藤丸大臣政務官 例えば、労務費につきましては、米軍の能力発揮に直結する装備品の維持、整備に従事する労働者の日本側負担上限数は増加することになります。

 そして、福利厚生施設で働く労働者の日本側負担上限数をさらに、これは削減をします。また、駐留軍等労働者に対する格差給などに係る経過措置を段階的に廃止いたします。光熱水料等の日本側負担割合も七二%から六一%に引き下げることとしております。

大野委員 ありがとうございます。

 つまり、できるところは徹底的に削っていったんだということであると思います。そういった観点は非常に重要だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 一方で、装備品の維持やそれから整備、こういった労働者に対する労務費の負担、こういうようなものはふえていくんだと。これは、恐らく、先ほど触れましたリバランスの政策で、いろいろなアセットが日本に配備される、だからここは大変なんだ、ふえていくんだということだと思うんですけれども、一方で、米国も財政負担というのは結構ある話でありますので、ここが大変苦しいバランスだなと思うんです。

 それでは、リバランスによって日本に配備されるようなものというのは、一体、何があって、どうなっていくんだというところについて、ちょっとお触れをいただければと思います。

鈴木(敦)政府参考人 御指摘ございましたように、米国政府は、アジア太平洋地域へのリバランス政策を着実に進めていくということを明確にいたしまして、関連の取り組みを推進しております。

 我が国の関係におきましても、F35戦闘機、P8哨戒機、オスプレイの新規配備、それからXバンドレーダー、BMD能力搭載型のイージス艦の追加配置、そして、グローバルホークやF22戦闘機のローテーション展開などの、最新鋭かつ高度な能力を配備しつつあるところでございます。

大野委員 ありがとうございます。

 一方で、福利厚生の方の労務者の負担という話であります。

 私は、福利厚生というものが必ずしも全部無駄なんだということは全く思いませんで、私も民間の企業におりましたけれども、福利厚生というのは非常に重視をしておりました。そういう理解がございました。むちゃくちゃやったらそれはまずいでしょうけれども、ある程度、一定度は必要なんだろう、こんな思いであります。

 そういった意味では、いかに無駄を米軍みずからが排除していくか、あるいは、自主努力をしていただけるのか、PDCAが回せるようなものがメカニズムとしてあるのか、こういった観点の方が重要なのではないかと思うんですけれども、いわゆるそういった観点についての政府の米軍に対する取り組みについて、お伺いをさせていただきたいと思います。

藤丸大臣政務官 国会審議等での指摘を踏まえまして、現行特別協定の有効期間中、在日米軍施設・区域内におけるクラブとかゴルフ場とかボウリング場などの娯楽性の高い施設に勤務するIHA、インダイレクト・ハイヤー・アグリーメント労働者の日本側負担全てを削減、八百五十九人削減してきました。

 さらに、先般の協議においては、国民の理解を得られるよう、在日米軍施設・区域内における飲食店や売店の福利厚生施設に勤務するIHA労働者のうち、日本側が負担する上限数を四千四百八人から三千八百九十三人に削減しております。五百十五人削減することといたしております。

 IHA労働者の労務費について、一定の日本側負担を継続することは、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支える上で必要であると判断し、引き続きこれを継続してまいります。

 そして、最後に。大野先生の父君も防衛庁長官をなされておりましたので、御指導のほどを何とぞよろしくお願い申し上げます。

大野委員 ありがとうございます。おやじに触れていただいて恐縮でございます。

 引き続き、政府としては、米軍になるべく無駄の排除を継続して求めていくんだ、こういう話でございました。これもある種のメカニズムだと思うんですけれども、一方で、米軍の中でそういったものをしっかりとつくっていただくという観点は非常に重要だと私は思うんですね。

 これは何もIHAのみならず、MLCの方も当然そうなると思うんです。日本政府も当然無駄については懸命に取り組んでおりますし、そういうメカニズムをしっかりとビルトインさせているので、そういったものをしっかりと求めていただければと思いますので、またよろしくお願いをしたいと思います。

 もうぼちぼち質問の時間が参りましたので、ちょっと一瞬だけでありますけれども。

 先ほど大臣に署名のときの御感想ということでお伺いさせていただきましたけれども、この協定が効力を有するのは二〇二一年までということでございます。二〇二一年というと、例えば、中国の防衛費が恐らく日本の一人当たりの防衛費をはるかに抜いていく時期、あるいは一方で、米軍の、アメリカの国防予算の半分ぐらいに匹敵するような、そういう時代になってくるんだと思います。

 そういった意味では、安全保障環境、見える景色というのは随分変わって見えるんだろうな、そう思うんです。そういった意味で、長いスパンの感覚を持って、この協定だけじゃなくて、先ほど申し上げましたコミットメント、それから無駄の排除とか、そういったものをロングスパンでぜひ取り組んでいただければということを申し上げさせていただきまして、私の質問とさせていただきます。

 本日はありがとうございました。

岸委員長 次に、中山泰秀君。

中山(泰)委員 外務委員会において質問をさせていただきたいと思います。

 時間がないので、早速、私の意見も含みながらいろいろと質問を申し上げていきたいと思います。

 午前中の質疑の中で、質疑者から、金丸信防衛庁長官が、ホスト・ネーション・サポートのことをかつてはいわゆる思いやり予算という表現方法を使用していたと話をされていました。これは、一九七八年度予算で、米国の財政赤字などを理由に、在日米軍基地の労働者の福利費、こういったものを負担したのが始まりで、当時の金丸信防衛庁長官が、思いやりを持って対処せよという発言をしたために、思いやり予算というふうに呼ばれるようになったというふうに記憶をしております。

 しかし、本当は、今、大野さんからも指摘がありましたけれども、新たなホスト・ネーション・サポートもしくは違う造語をつくるべきじゃないかという提案もありましたが、私は、本当は、アメリカに対する思いやり予算というよりも、アメリカ合衆国政府から日本側が逆に思いやられていたんじゃないか、それが実情だったんじゃないかというふうに考えられるとも思います。

 要するに、海の外から見た日本と、国内、中から見た日本、これは日本人の勘違いがもしかするとこの言葉を生み出すことになり、ある意味の平和ぼけの象徴のような言葉にも思えてこないわけでもないわけです。当時の国会に議席を有していた元議員に私自身もインタビューしました。そうすると、そんな話が聞こえてきたのも事実でありました。

 当時は、アメリカとソビエトの冷戦構造下の中にありました。特に、地政学的に考えても日本のリスクは相当のものであったということは、これはもう地球を俯瞰する外交と言うからには、地球儀を見れば一発でわかるわけであります。

 ある意味、自由主義それから資本主義、民主主義の最前線のとりでというのが日本そのものの地政学的に置かれた位置であり、この最前線に日本があって、その日本が、自分自身の力で自分自身の身を守ることが一〇〇%可能かといえば、それは正直難しいかもしれない。ソビエト連邦の核の傘に近接していた日本をアメリカの核の傘で守ることが戦後の日本の経済成長にまで実はつながっていること、すなわち、サラリーマンがアタッシュケース一つで、南米に行こうがヨーロッパへ行こうがアフリカへ行こうが北米に行こうが、どこへ行っても安心して日本ですと言ってビジネス展開ができて、それこそ、宏池会の大先輩、私たちの自民党の大先輩であります池田勇人総裁時代に所得倍増計画といった高度成長期を支えていたのは、まさにこの日米安全保障条約というものが背景に、政治的に見えていた、それがあったから、日本に変なことで手を出すとアメリカが後ろについているぞというものが、ある意味の日本に対する、経済まで余力を与えてくれたということも、実はこの日米安全保障条約の別の意味での成果であり、歴史であるというふうに私は考えています。

 さて、そんな日本の目の前には、一九八九年、ベルリンの壁の崩壊によって、当時私は学生時代でしたけれども、本屋さんに行くと平積みで、もうこれからはイデオロギーは右でもない左でもない、中道だみたいなそんな話の本がいっぱい出ていました。ベルリンの壁が崩壊したことによって、政治的なイデオロギー闘争、何が右で何が左か、東西冷戦構造は崩壊したなんというのが当時言われていました。

 でも、果たしてそうかなというのを政治家の勘として私は、鈍らせてはいけない、勘を研ぎ澄ませなきゃいかぬなと余計に、当時学生ですけれども思いました。

 民主化したはずのロシアもありますけれども、しかし、例えば、中国も同じだと思います。九七年、九九年、香港、マカオの返還というのがありました。中華人民共和国は、当時、一国二制度というものを唱えていましたけれども、天安門事件なんかも見ていて、本当に今の中国というのが一国二制度たり得るのかな、有言実行しているのかというのが、今現在の中国を見ていても本当に疑わしく思えるときが実はあります。

 もしこういった政治の変化というものを疑わずに見ている政治家がいるのだとしたならば、イデオロギーとは何なのかというのを私たち政治家自身が自分たちに問いただすということが、一つ必要なんじゃないかなというふうに逆に思います。

 例えば、中国で、これはCNNの報道ですけれども、香港の書店関係者五名、相次ぎ失踪、中国批判が影響かという記事が先日出ていました。これはことしの年頭の報道でした。

 ちょっと読みますけれども、香港で中国政府に批判的な本を取り扱う書店の関係者が相次いで行方不明になり、警察が捜査に乗り出している、一部で中国当局に拘束されたとの見方が出ており、抗議デモも起きているということです。

 こういった本、何を販売しようとしていたかというと、香港で民主派の政治家として活動するアルバート・ホー氏はCNNに対し、上記の出版社が中国の習近平、シー・チンピン国家主席の過去の女性関係に関する書籍の出版を計画していたと説明、今回失踪した男性は強制的に中国本土に連れ去られたのではないかとの見方を示すと。

 日本で昨今いろいろ週刊誌報道を見ていると、これは中国だったら大変なことになるな、マスコミも恐ろしくて出版もできないなというそんな気もいたします。

 産経等々もいっぱい出ています。特に、失踪した五人のうちの一人は英国国籍、一人はスウェーデン国籍を所有していることも判明して、当時訪中したハモンド英外相が中国政府に対して情報提供を求めるなど、事態は外交問題に発展しつつあると。

 最近報道は見ませんけれども、そういった状況を見ていると、お隣の国の人権状況等々もどうなっているのか、不思議だと思わざるを得ません。

 きょうはホスト・ネーション・サポートの質疑でありますので、ここからはちょっと国内と、今申し上げたロシア、中国の関係に話を移していきたいと思います。

 要は、ついせんだって、東日本大震災五周年追悼式典がございました。ここにいるほとんどの議員の皆さんが参列されて、みたまに対して哀悼の誠をささげられたというふうに思います。

 しかし、忘れちゃいけないのは、この三・一一の五年前の震災直後に、例えば中国軍がどんな動向をしていたかということであります。

 二〇一一年、震災から三カ月後、震災の爪跡がまだ深く残っていたとき、六月ですけれども、中国国籍の艦艇が八隻、沖縄本島、宮古島を通過して太平洋に進出、これは八日です。それから、中国艦艇三隻が沖縄本島、宮古島間を通過して太平洋に進出、九日です。中国海軍が南シナ海の海南島周辺海域において国家海洋局所属公船などとの共同訓練を実施、そんなことをやっていました。

 ロシアはどうか。ロシア軍は、二〇一一年三月の十七日、震災からたった六日後です、それから二十一日、二十九日、IL20電子偵察機という偵察機が三度にわたって日本海を飛行するという事案等々、三月だけでももう一回、ICBMトーポリM、SS27の多弾頭型と見られるRS24の部隊配備を開始したり、そしてまた、五月にはイワノフ副首相当時が、国後島及び択捉島を訪問と。

 それ以外にも物すごく活動を活発化させている実情というのがありますし、過日も、約十七時間ほどかけて戦略型爆撃機ですか、これがずっと日本列島の周りを回るような報道もあったり、要するに、不気味なことがたくさん起きているという事実があるわけであります。

 他方で、では、今回、ホスト・ネーション・サポートをしっかりと、私たちがこうやって審議をする対象になっている米軍、これは、沖縄にいる米軍は、東日本大震災のとき、トモダチ作戦と称して実はたくさんのオペレーションを行ってくださいました。

 例えば、米軍の捜索救助支援及び救援物資支援においては、ロナルド・レーガン等が米艦やヘリによる捜索、援助支援を実施、十名の被災者を救助。米軍ヘリが岩手沿岸を捜索活動中、小学校グラウンドにSOS表記を発見し、付近の野球場に着陸し、救難員の捜索により二名の被災者を発見、救助した。それから、米海軍P3哨戒機オライオンが捜索活動を実施、支援を求める地上のサインを自衛隊に通報する等の活動を実施した。自衛隊及び米軍等による行方不明者の沿岸部集中捜索を実施。

 それからあと、食料約二百四十六トン、水約八千百三十一トン及び燃料約百二十トンを提供、輸送。それから、米海兵隊揚陸艦エセックス等による救援物資の輸送を実施、三月二十七日、エセックス部隊は大島、気仙沼市への電源車や燃料の輸送を支援。米揚陸艦トーテュガが北海道の陸自隊員約二百四十名及び車両約百両を被災地へ輸送。米空母ロナルド・レーガンの乗員がコート七百着、靴百足、生活必需品を寄附。

 その他、言っていたら切りがないぐらい、これは防衛省の資料ですけれども、たくさんの復興支援、被災地のインフラの復興支援。

 何よりも仙台空港。私、あの後、ボランティアで、ちょうど浪人していた最中でした。そのとき、亀岡偉民君という現地の人たちと、奪還の会という会をつくって、バッジのない浪人の国会議員みんなで行ってボランティア活動をやっていて、仙台空港におり立ったとき、壁に折り鶴がいっぱいかかっていて、誰々さん、天国でまたいつか会えるよなんていう寄せ書きが壁に書かれている姿を見て涙しました。大阪市も当時、飛行場でお客さんを輸送するのに市バスを持っていったりすること、雪の降る中でしたけれども、忘れ得ぬ思い出となっています。

 しかし、そういったこと、そしてまた同時に、福島原発に対しても、原子炉の冷却支援、消防車の東京電力への車両提供二両、消火ポンプ五台の貸与、それから放射能防護服なんかを百着、そういったものをどんどん、情報分析も含めて、米軍はやってくれているわけですね。

 そして同時に、トモダチ作戦というのはこれに終わらず、当時、被災して両親を亡くして、言うなれば、父親、母親を亡くして、一人で生きていけない子供たちを米軍の人たちが救助してくれて、そして今その子たちがだんだん大きくなってきて、その大きくなった子たちを、沖縄の米軍の兵隊の官舎、みずからの自宅を開放してその子たちにホームステイさせて、中にはそのファンドから、逆に言うとアメリカ留学の資金を米兵たちがボランタリーに集めて、いろいろな支援をやってくれている。

 私、さっきから申し上げていますけれども、中国、ロシアが震災後にとった行動と、私たちの同盟国であるアメリカ合衆国政府の軍人たちがとってくれた行動、これを比較するに、私たちは、どちらがしっかりと信頼できる政府であり、軍人そして軍属、そういったものであるのかというのを、私たちが正々堂々とここできちっと議論して、意見していかなきゃいけない。そして、同時に、ホスト・ネーション・サポートというものは当たり前であるということを逆に申し上げなければならないと思います。

 午前中の審議で、米兵が女性を強姦したという事件がありました。これはこれで、信賞必罰、犯罪は犯罪としてきちっと裁かれればいいわけであります。今まで日米のこの条約下の中で犯人の引き渡しというのもなかなか行われない時代もありましたけれども、今はきちっとそれを話し合いで解決してきているという政府間の努力もあるわけですから、こういったものをきちっと私たちは考えていかなければならないというふうに思います。

 そして同時に、今申し上げたような国対国の戦いということもありますけれども、これからは新たな闘いというものを我が国に対して挑んできている人たちもいます。

 これはもう、昨年一月、言わずもがな、言わずと知れた、シリアにおける邦人人質事件というものが起こりました。これは、とうとい二人の日本人の命がテロリストの無慈悲な行為、残忍、残虐、卑劣な行為によって奪われたわけであります。

 また、邦人人質の解放に必死の努力を重ねてくださり、自国民の命と日本人の命を平等に取り扱ってくださったヨルダン政府、そのヨルダン空軍に所属する勇敢なパイロットであったムアーズ・アル・カサスベ中尉、殉職後、昇進して大尉になられましたけれども、その方も同じくとうとい命を奪われました。

 また、ダーイシュと呼ばれる、いわゆるISILは、日本人人質とサジダ・アル・リシャウィ死刑囚との人質交換が起こり得るとのデマ情報を流出させて、ヨルダン政府が自国民であるムアーズ中尉を助けずに日本人の命を助けようとしている、ムアーズ中尉はどうでもよいのだ、日本政府とのつき合いの方がムアーズ中尉の命を助けることよりもヨルダン政府にとっては重きを置いていることなんだとのうそのプロパガンダを逆にダーイシュたちは行って、テロとの闘いに挑むヨルダン国家の転覆を、メディア等を間接的にコントロールすること、外部からの情報戦、宣伝戦等により、ヨルダン国民の心に対し動揺するような働きかけを行い、扇動し、政府に対し革命勢力的な動きを、火種を起こそうとヨルダン内政に介入を試みるといった巧みな戦略、戦術に出ていたことは特筆すべきことであったと思います。

 大臣、かつての戦争は国家対国家の戦いでありました。しかし、二十一世紀、現在における戦争は、新たな形式の戦争が加わったと私は考えるべきだと思います。これからの戦争は、国家対国家じゃなくて、一人の技術を持ったテロリストが一つの国家に対して闘いを挑んでくる、まさに伝統的な意義とは全く違う新しい戦争の形態が始まった、残念ながらそういうことだと思います。

 そしてまた、同時に、テロリズムとハイテクの出会いというのは私たちが最も恐れるシナリオであって、警戒すべきコラボレーションだと考えています。二〇〇一年にニューヨークで起こった九・一一テロ、ビンラディン型テロと比較するに、国際的なテロは私たちの想像以上に進化を遂げてきているということを事実として重く受けとめなければならない。

 現代技術と市場経済体制により変わりつつある戦争は、戦争らしくない戦争のスタイルで、今後は加速度がつく形で展開されていくことを想定しておかなければならないと思います。私は、間違いなく準戦争というか類似戦争、第二種戦争、そういった新たな形態が誕生したという認識をしっかりとしておくべきだと強く思います。

 軍事的暴力が相対的に減少する一方で、政治的暴力、経済的暴力、技術的暴力が増大していく可能性も政府は想定しているとは思いますが、いかなる形の暴力であれ、戦争は戦争という事実を解釈して理解すること、現実を認識することの重要性、必要性を感じますけれども、今後は政府もそのような認識を持つ必要があると考えますが、政府の御見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、テロについて申し上げる前に、中山委員には、昨年のシリア邦人殺害事件におきまして、現地対策本部において本部長として御努力をいただきました。改めて心から感謝を申し上げます。

 そして、その上で、テロのありようにつきましては、昨今、さまざまな新しい形のテロが発生をしています。フランスやトルコにおきましても連続して事件が発生する、あるいは、ハイテク等との関連も指摘をされています。こうした時代の変化はしっかり受けとめなければなりません。

 我が国としましては、本省、在外公館を問わず、さまざまなルートを通じましてこうした情報収集をまずしっかりと行わなければならない、そして、継続した情報収集が重要であるということでこれまでも取り組んできました。

 しかし、昨今のテロのありようを考えますときに、テロ情報を専門に情報収集を行わなければならないということで、国際テロ情報収集ユニットという新しい組織を外務省の中に立ち上げて国際テロ対策に万全を期していきたい、こういった取り組みを行っているところであります。

 こうした新しい形のテロ等に対応するべく情報収集はどうあるべきなのか、これからもしっかりと考えていかなければなりませんし、テロ対策という意味では政府全体で取り組むべき課題であると考えます。

中山(泰)委員 大臣、ありがとうございます。

 私が大臣にお仕えしている一年間の間に五名の日本人のとうとい命を失わせてしまいました。湯川遥菜さん、後藤健二さん、そして、きょうが十六日で、十八日が一周忌になりますチュニジアの成沢万知代さん、宮崎チエミさん、遥さん、その方々の御冥福を改めてお祈り申し上げ、大臣が今おっしゃった言葉をぜひ私どもも一政治家として実現させるために頑張ってまいりたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

岸委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 こんにちは。公明党の岡本三成です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは三月十六日であります。実は、多くの小中高で卒業式が行われるのがこのシーズンでありまして、私の長女もきょう、まさしくこの時間帯に高校を卒業しております。

 実は私たち政治家の責任というのは、こういう未来を担う日本の宝である若者が安心して学べる、安心して働ける、そして安心して人生を謳歌できるような環境をつくることこそ私たちの責任だと思いますので、その意味で、本日議論になりますホスト・ネーション・サポートの特別協定もそのことを実現するための一つの手段だというふうに思っておりますので、より強固な、そして若者の未来の安心、安全を確保するための協定となるようにという思いで、きょうは内容につきまして何点か質問させていただきます。

 きょうの午前中の質疑で、ある委員の方が大臣に、今回の協定に関しまして、その基本的な方針はどのような思いで臨まれましたかという質問に対して、大臣は、量とともに質が重要です、ですから、今回は内容、質を充実させてめり張りをつけた協定の内容になりましたというふうに御答弁をされました。

 ファクトベースを幾つか確認したいんですけれども、今回の協定では福祉施設の従業員の上限数を五百十五人削減、一方で、装備品の維持、整備などの基地従業員の数を一千六十八人増員、ネットで五百五十三人増員されているわけですけれども、この千六十八人のうち、横須賀と佐世保の艦船関連で四百六十人、岩国と横田の航空関連で三百八十人、そしてずっと話題になっております最新鋭の装備維持、整備に従事する方が二百三十名であります。

 きょうの午前中の議論でもこの二百三十名に光を当てまして、例えばF35、22、Xバンドレーダー、オスプレイ、グローバルホーク等々、ハイテク装備の維持、整備のための人員を確保しましたというふうにおっしゃってはいらっしゃいますが、実際は、そんなハイテク装備を整備できるようなプロが何百人単位ですぐ採用できるということはありません。

 当然、米軍の中にそういうプロがいらっしゃって、今回新しく従業員として働かれる方々はその周りのさまざまなサポートをされる基本的な業務につかれるわけであります。ですから、大切な協定だと思いますけれども、政府がおっしゃっていることは、私は若干過大広告に聞こえてならないんですね。

 ただ、今回、さまざま、相手方があって協定の交渉をされているわけですから、ここまで内容を変えたことも実は物すごく大きな成果であったのではないかというふうな思いもあります。

 したがいまして、今回の基本方針をもとに実際交渉されてここに至っているわけですけれども、内容としては実はこれはすごい前進なんだ、ここまでかち取ったんだということをぜひ納得させていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 今回の交渉ですが、基本的な方針は従来の協定の場合と変わってはおりません。しかし、その基本的な方針としましても、HNSの重要性を勘案し、日本の厳しい財政状況をしっかり念頭に置き、国民の理解を得るために主張すべきことは主張する、米側と全力で交渉する、こういったことであり、この点においては従来と変わりはないと思います。

 ただ、そのめり張りのつけ方等、内容においては、委員御指摘のように、さまざまな現代における要素、安全保障環境ですとか、米軍の装備のありようですとか、そして国民の意識ですとか、そういったものを総合的に勘案していかなければなりません。

 そういった観点から、今の現実をしっかり踏まえた上で、より現実的に、そしてしっかりと交渉に当たったというところが、先ほど御紹介いただきました人数ですとか数字にあらわれてきていると考えています。

 相手のあることであり、そして厳しい条件の中ではありますが、国民の理解を得るべく、最大限努力をいたしました。結果、質におきましては、しっかりめり張りをつけることができたと思っておりますし、量ということにつきましても、おおよそ従来の規模と同様というところに落ちつくことができました。

 ぜひ、国会におきましても、御承認いただきたいと心から思っております。

岡本(三)委員 今回の協定の中で支出されるお金の原資は国民の皆様の血税でありますので、その数字につきましてもちょっと確認させていただきたいんです。

 基地従業員の方の数、この十年、二十年とっても、着実にふえております。ただ、ふえ方の割合というのが例えば駐留米軍の方の人数のふえ方の割合に比べてどうなのかという視点は一つ重要なんだと思うんですね。

 防衛力全体を考えたときに、駐留米軍の方の人数だけでははかれずに、その他の装備品等を含めた総合的なものが防衛力の質にかかわってくると思うんですけれども、事実として、駐留米軍の方の人数と基地で働く従業員の方の割合の推移、どういう相関関係になっているんでしょうか。

若宮副大臣 岡本委員におかれましては、いろいろ海外の経験も豊富でいらっしゃいますし、いろいろ研究されていらっしゃることと思いますので、大変お詳しいかと思います。

 今、駐留米軍の人数とそれからスタッフとの関係ということでございますが、実は、毎年の在日米軍の人数につきましては、米国防省が公表をいたしてございます。しかしながら、二〇一二年、平成二十四年以降ですが、これは、在日米軍の人員として計上されておりませんでした海軍の洋上人員が実は含まれてございます。

 こういったことから、通常、単純に、一概に全てを比較するということがなかなか困難な状況でございまして、全体的な傾向といいますか、トレンドというところで申し上げれば、冷戦終結以後、緩やかに減少傾向ではございましたが、委員も御指摘のとおり、近年の現状、昨今の安全保障環境の厳しさに鑑みまして、近年は現状維持、もしくは微増の傾向にあるということは申し上げられるかと思います。

岡本(三)委員 その中で、駐留米軍の方の数とそこで働く従業員の割合なんですけれども、一概に他国と我が国を比較するのは適切ではないと思うんですが、我が国の場合は、駐留米軍の方百人に対して日本人スタッフは七十七名、一方、他国はどうかというと、ドイツは、駐留米軍百人に対してドイツ人スタッフ三十二名、イタリアは四十四名、韓国は五十一名なんです。

 このように日本だけ基地従業員が突出して多いのは、何か役割の違い等があるんでしょうか。その背景を御説明いただければと思います。

木原副大臣 お答え申し上げます。

 米軍駐留経費負担の規模、あるいはまた、今御指摘をいただきました駐留軍労働者の数あるいはその労働者が駐留米軍の中に占める割合といったことにつきましては、各国の安全保障環境やまた防衛費等の種々の要因によっているものでございますので、なかなか、単純な比較あるいは評価というのは困難であるということをまず申し上げさせていただいた上で、その上で申し上げますと、在日米軍に対する駐留軍等労働者の労務の提供というものは、例えば米国がリバランス政策を着実に進めていっている中、まさに米軍がその機能を発揮するためにいかなる業務が必要か、その必要な個々の業務の需要に応じて、防衛省が当該労働者と雇用契約を結んだ上で行われるものであります。

 その結果、現在の駐留軍等労働者の人数になっているということでございます。

岡本(三)委員 わかりました。

 基地で働いていただいている方にも、その仕事に誇りを持って働いていただきたいという気持ちもありますので、十二分な給料を受け取っていただきたいという気持ちはある一方で、その給料の出どころが税金であるということを考えると、若干お話を伺いたいところがございます。

 それは、この従業員の方々に、格差給、語学手当というものが歴史上払われておりました。もともと、この仕組みができたときには、時代情勢から考えましても、米軍基地で働くということのストレスもあったと思いますし、英語に堪能ということそれ自体に価値もあったと思いますけれども、二〇〇八年に、時代の情勢から考えて、廃止が決定されています。

 ただ、いきなりその手当がゼロになってしまうということであれば、働く方々の生活に影響が及ぼされてもいけないということで、激変緩和措置がとられているんですね。これまで八年間とられ続けてまいりました。その間に支払われた手当は三百七十三億円です。そして、今回の協定におきまして防衛省と組合は交渉で合意をしておりまして、これからさらに九年間、この激変緩和措置を使うということを合意されています。これは合計十七年になるわけですね。

 民間の感覚からいうと、さまざまな手当が変わっていくことはあります、激変を緩和することも当然ありますけれども、緩和措置がとられるのはせいぜい数年であるわけですが、大変長きにわたって激変緩和措置をとられているその理由というのをお伺いしたいんです。

 加えてもう一つ、これはお願いであり質問でもあるんですが、実は、今回の激変緩和措置を防衛省と組合の方が合意をされています。もう、一回合意をされていますから、組合の方の生活もありますので、ちゃぶ台をひっくり返すようなことはできないわけですけれども、私、議員にしていただいて三年四カ月たちますけれども、大体、こういう協定を結んだり、そこにいろいろな資金の支払いがあるときには、政府の方から事前にそのときの与党、例えば自民党であったり公明党であったりに説明があり、そしてそのことの内容も合意し、ある程度根回しをしながら、最終的にそれが覆らないようにというふうに準備をするのが当然だと思うんですね。いろいろな法案もそうだと思います。

 しかしながら、この激変緩和の手当等につきましては、私たちにも自民党さんにも一言も相談もなく合意をされています。合意をしたということは、相手方に、いやいや、この協定は通りませんでした、そこだけ修正がかかりましたので払えませんなんて、もう言えないわけです。今までもそうだったそうです。

 私は、これが自公政権だからじゃなくて、今後もし政権がかわったとしても、こういう、最終的に、相手方があって、先方に最後できませんでしたと言えないようなものに関しては、合意の前にそのときの与党に説明をしながらしっかりと合意形成をつくっていくというふうなやり方というのが今後必要なんじゃないかなと思っているんですけれども、それに関しましてもコメントいただければと思います。

若宮副大臣 今、岡本委員の質問にございましたが、私ども防衛省といたしましては、もちろん与党側に対しましても、それから事前に御説明ということでございますが、口頭等では御説明をさせていただいているというふうに聞いております。

 最初の方のお話でございますが、格差給に関しましては、この経過措置につきましてでございますけれども、平成二十年の格差給自体の廃止決定後も、やはり駐留軍の労働者の方々への生活の影響が余りに大きいのではないかという観点から、岡本委員におかれましては民間の企業で長年お勤めでございますので、民間の考え方となかなかちょっと相入れない部分もあろうかと思いますけれども、日本側として負担を継続してきたところでもございます。

 あと、ちょっと説明がなかったんじゃないかというようなお話し向きなんですが、これは、口頭では御説明申し上げておりましたが、まだ十分でないという御指摘もございますので、今後さまざまな機会におきましてきちっと丁寧に、事前に御説明申し上げたいと思っておりますので、御了解いただければと思います。

岡本(三)委員 前者につきましては、さまざまな、民間と公的な契約の違いみたいなものもあると思いますので、おっしゃっていることもよく理解をいたしますけれども、一方で、納税者の方からすれば、やはりかなり長いんじゃないかなと思っている方がいらっしゃると思いますので、ここはさらに御検討を今後いただければと思います。

 後者のところにつきましては、これは役所の方ともいろいろお話しいただきましたけれども、一切説明しておりませんというふうに私は事前に承っておりまして、要は、事前に聞いていないからどうだということでは、そういう趣旨ではなくて、一回お約束をしたからには、組合の方にもちゃんとそのことは実行できるような信頼関係というのは今後も重要だと思いますので、まかり間違っても、実際、国会の中でひっくり返るようなことがあってはいけないので、そのための体制づくりを政府・与党で一丸となって事前にやることが重要なのではないか、そういう御提案ですので、今後御参考にしていただければと思います。

 最後の質問になりますけれども、今回の協定交渉におきまして、実は、日米地位協定の環境補足協定も締結をされております。

 私は、これは非常に重要だと思っておりまして、もともとは、多大な御負担をいただいております沖縄県の皆様から地位協定見直しの議論の中で強く求められてきたものであります。実際、このことが協定として締結をされましたことで、最終的に基地が返還をされる前にそこに立入調査できるわけですから、さまざまな意味でその意義は大きいというふうに思っております。

 このことに関しまして、もともとその要望をいただいていた沖縄の皆さんがどういうふうに評価をされているかということをお伺いしたいと思います。

 加えまして、仮にですけれども、今後、その環境調査をした後に、返還の時点に、例えば土壌汚染等が見つかったときに、原状復帰をするためにその汚染除去等をするときには費用はどちらの負担になるかということは合意されているのかということをお伺いできればと思います。

岸田国務大臣 まず、環境補足協定に対する評価ですが、例えば沖縄県知事も構成員であります渉外知事会は、「日米地位協定の締結から五十年以上が経つ中で、今回の協定締結は、運用とは異なる初めての成果であり、評価できる。」こうしたコメントを発しておられます。

 また、浦添市長は、地位協定を補足する初めての協定で歴史的な意義は大きい、一歩前進であり、浦添市としても歓迎すべき、こうしたコメントを発出しておられます。

 翁長知事は、十分とは言えない部分もあるとしつつも、沖縄県及び渉外知事会等が求めてきた環境補足協定が締結されたことについて評価したい、このようなコメントを出しておられます。

 沖縄のメディアに関してはさまざまな意見がございますが、本協定は、従来より地元から要望されていた米軍施設・区域への立ち入り、そして、日米の環境基準のうち、より厳しい基準の運用を法的拘束力のある国際約束という形式で規定したものであり、日米地位協定の締結後五十五年間の歴史において大きな意義を有するものである、このように受けとめております。

 そして、土壌汚染が明らかになった原状回復の話ですが、日米地位協定におきましては、米側は、これを提供時の状態に回復し、またはその回復のかわりに我が国に対し補償する義務を負わない、このように規定されています。また、米側に原状回復の義務がないかわりに、日本側においても、残される建物、工作物等について米側へ補償する義務は負わない、このようになっております。

 こうしたバランスにつきましては、環境補足協定においても変わっておりません。同じ構造をとっておるわけであります。原状回復のための措置が必要であれば日本政府が責任を負う、このような構造になっております。

岡本(三)委員 私は、ホスト・ネーション・サポート協定は税金の使い道として費用対効果の物すごく高い支出だというふうに思っておりますので、これを活用しながら、さらなる日米同盟の強化を政府としてお取り組みいただければと思います。

 ありがとうございました。以上です。

岸委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 きょう、まず在日米軍駐留経費負担に係る労務費負担に関して、特に雇用の安定との関係について確認を幾つかしたいと思います。

 五年前の前回の特別協定の改定の際は四百三十人削減ということになりましたが、残念ながら、その後、パートタイム勤務が強制されたり、あるいは沖縄でストライキにまで発展したりといった、非常によろしくないことがいろいろと起きております。今回、五百十五人削減ということになるわけでありますけれども、こういったことが二度と起きないように、雇用の安定については日米間で相当な議論をしていただいたというふうに伺っております。

 配付資料の二枚目、これは、防衛省に、日米間で雇用の安定に関して確認したことを文字にしていただけませんかということで、アメリカ側にも確認していただいた上で私に提示されたものだというふうに伺っております。

 ちょっと読み上げますが、「新たな特別協定において、日米間で雇用の安定について確認された具体的な内容は、以下のとおり。」として、「駐留軍等労働者の安定的な雇用を継続。(フルタイムであった者がパートタイムに切り替えられないことを含む。)」。二つ目として、「定年以前にフルタイムであったすべての高齢従業員について、二〇一六年四月一日以降に再雇用される際はフルタイムに戻すこと。」。三つ目として、「現在AAFES本部と労働時間を戻す計画の調整を実施中。」という内容について、日米間で合意したというふうに伺っておりますが、これが正式な日米間の合意内容であるということを確認させていただけますでしょうか。岸田外務大臣、お願いします。

 失礼しました。これは防衛省ですね。

若宮副大臣 私の方で御答弁させていただきます。

 今、後藤委員に御指摘いただきました、雇用の安定が確保される前提で五百十五人の削減ということになったものでございますが、これは、人員整理を行わないということ、雇用の安定が守られるということを、きちっと日本とアメリカとの間で確認をされてございます。

 また、私どもといたしましては、今後とも、在日米軍と緊密に連携をしながら、駐留軍等労働者の雇用の安定的な確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

 また、今ちょうど御指摘をいただきましたが、新たな特別協定によります協議におきましてこれも米側には確認をしておりますが、また、協議後、私ども防衛省と在日米軍との間で書簡を取り交わしてございまして、改めて確認をしているところでございます。

後藤(祐)委員 この配付資料の紙は防衛省が作成した紙ですが、結論として、これは日米間の合意事項ということでよろしいでしょうか。

若宮副大臣 はい。今おっしゃったとおりでございまして、具体的には、こういった形で今最終的な協議をしているところでございます。

後藤(祐)委員 これをきちっと日米間で合意したことの意味は大きいというふうに思います。その尽力に改めて敬意を表したいというふうに思います。

 その上で、「フルタイムであった者がパートタイムに切り替えられないことを含む。」と書いてあるので、もうこれは当然のことだと思いますが、この安定的な雇用の継続という言葉に、当然、解雇はしないということは含まれるということでよろしいでしょうか。解雇はしないということでよろしいでしょうか。

若宮副大臣 はい。おっしゃるとおり、解雇はしないという前提でございます。

後藤(祐)委員 これは大変大きな宣言だと思います。ありがとうございます。

 続きまして、配付資料の一枚目に戻っていただきまして、特別協定協議において合意された事項として、一から七までございます。

 格差給の段階的削減ですとか、祝日の追加ですとか、こういった幾つかの内容が合意されたというふうに伺っておりますけれども、まず、この合意された事項というのは、これは防衛省の、私に示していただいた紙なんですが、日米合意された内容であって、日本国の公式見解であるというふうに理解してよろしいでしょうか。確認させていただけますか。

若宮副大臣 今御指摘いただきました項目につきましては、日米間で合意をしたところでございます。

 これらの合意事項につきまして、正式な改正に向けまして鋭意協議を行ってきたところでございますけれども、現時点で、全て合意事項について改正するところまではまだ至っておりません。全ての合意事項につきまして、新年度、この四月の一日からということになりますが、合意が履行されるよう、引き続き協議を続けてまいるつもりでございます。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 この中で、一、三、七は、既に三つの労務協定、基本労務契約、MLC、諸機関労務協約、IHA、船員契約、MC、この契約の中で既に改定された形で盛り込まれていることを確認しております。

 四の褒賞については、これは予算書の中で既に掲載されているということで担保されている、予算が通ればこれが担保されたという形になるというふうに理解しております。

 二と六は、内容的には合意されていますが、まだ、先ほど副大臣からお話がありましたけれども、最終的な改定文の詰めを行っている状況だというふうに伺っております。これは当然、間違いなく盛り込まれる内容だというふうに理解しておりますけれども、間違いなく盛り込まれるという理解でよろしいんでしょうか、二と六についても。

若宮副大臣 今おっしゃったとおり、盛り込むつもりで協議を続けているところでございます。

後藤(祐)委員 よろしくお願いいたします。

 あと、五のパート化問題の解決については、ここには日にちは書いていないんですけれども、ことし四月一日より実施の方向で、実際、御本人の意思確認等をしなきゃいけないということもあって、今最終的な詰めをされておるというふうに伺っております。このAAFES高齢従業員のパート化問題の解決をして、ことし四月一日からこれが実施される、フルタイム化されるということでやっていただけると考えてよろしいんでしょうか。

若宮副大臣 今御指摘いただきました点につきましても、アメリカ側との協議の結果、現行協定期間におきましてパートタイム化されたAAFESの高齢従業員につきましてフルタイムに戻されるということで、今アメリカ側と確認をしているところでございます。また、フルタイムに戻される時期につきましては、本年の四月一日から実施する予定であるという説明を受けております。

 私どもといたしましては、アメリカ側の取り組みの実効性をきちっと注視してまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 迅速な対応をありがとうございます。ぜひ四月一日実施をしていただけるようお願いしたいと思います。

 そうしますと、あとは、この五年間で五百十五人削減するということを、今お約束いただいた、雇用不安を与えないという条件のもとで、どのように実現するのかということが今後の課題になってくるんだと思います。一年間で百三人ずつ削減していかなきゃいけなくなるわけでございます。

 米軍の中の福利厚生施設については売り上げが当然あるわけでございまして、この売り上げが上がった分、ある意味、必要な額というのが浮いてくる。これはアメリカ本国に持ち帰ってはならないという運用でなされているというふうに伺っております。この浮いたお金というのを何とか多額に確保したいという思いがアメリカ側にはある程度あるんだと思いますが、余りにそれを硬直的に運用してしまうと、先ほどお約束いただいた雇用の安定という面で苦しくなってしまう場合があると思うんです。

 つまり、解雇はしない、パート化はしない、こういったお約束いただいた雇用の安定の条件を満たす範囲でやっていって、そのためには当然人件費にお金がかかるわけですから、その一連の人件費をお支払いして浮いた分、収入があるわけですから、浮いた分が何らかの形でプールされる。その是非については私はきょうはとやかく申し上げませんが、そういった運用でやっていただければ雇用の安定というのは図られると思うんですけれども、この資金を積んでおくのを、ことしは幾ら積むというのを先に決めてしまうと、むしろ雇用の方にしわ寄せが来てしまうというおそれがあるんじゃないかなということを懸念いたします。

 ぜひ、人件費をきちっと、雇用の安定の確保という約束を履行する形で確保した上で、その浮いた分を引き算で考える、そういった考え方で運用していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

若宮副大臣 今、後藤委員がお話しになられた点、なかなか難しい面もあろうかと思いますが、私どもの側といたしましても、新たな特別協定におきまして、日本側が労務費を負担するIHAの労働者の上限数というのは、雇用の安定が確保される前提で五百十五人の削減ということになったものでございまして、このIHAの労働者が勤務する福利厚生施設の収益のいかんにかかわらず雇用の安定が守られるということは、日本とアメリカの間で確認をされているところでございます。

 また、この福利厚生施設におきまして、今委員がおっしゃられましたように、仮に収益が得られた場合につきましては、当該施設全体におけます運営の資金、あるいは施設、資材の改善等に充当され、また、米軍人あるいは軍属等のための福利厚生事業に還元されているものということは承知をいたしているところでございます。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、今後とも、在日米軍と緊密に連携しながら、駐留軍労働者の雇用の安定の確保には、確実なものとなるように万全を期してまいりたいというふうに思っているところでございます。

後藤(祐)委員 収益のいかんにかかわらずというところに意思を感じましたので、ぜひ、米軍に対してその方向で運営していただけるよう、防衛省としても、きちっと米軍との関係で言うべきことは言っていっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 続きまして、地位協定との関連で、立ち入り権に若干関連するんですが、昨年八月二十四日に相模原の総合補給廠で爆発事故が起きました。これに関連して、二点ほどちょっと確認をしていきたいと思います。

 これについては二度ほど私どももヒアリングをさせていただきましたけれども、酸素バルブの爆発が原因ではないかというような、まだ推定の状態であって、事故原因の特定には至っていないというふうに伺っておりますけれども、まだ最終報告が出ていない状況ですね。

 ただ、実際にバルブが爆発したんだとすれば、その爆発したバルブの写真を見せていただけませんかというようなことを我々からも申し入れているんですが、これについては、米軍側から日本側にも示されていないと十二月の段階では言われておりますし、その後、示されたという話も、直近でも伺っておりません。

 事故原因の特定をこれから最終報告に向けてしていくんだと思いますが、バルブの爆発が原因なんだとすれば、せめて、これですというものを見せていただいた上で、日本側としても、事故原因がなるほどという納得感があって最終報告という形にならなきゃいけないと思いますが、これについての防衛省としての対応、我々の方からは、事故原因の特定、特に、そのバルブが特定されるのであれば、その写真も含めた対応について、若宮防衛副大臣の御見解をいただきたいと思います。

若宮副大臣 ちょうど後藤委員の御地元であろうかと思いますので、この相模原の補給廠の昨年の八月の火災の件に関しましては、御地元の皆様方に大変な不安を与えてしまったものということで、極めて遺憾であるというふうに考えているところでございます。

 この火災につきまして、今御指摘いただきましたように、昨年の十二月にアメリカ側から報告のあった調査状況につきまして、防衛省及び外務省から、関係の自治体、これは相模原市及び神奈川県に対して御説明申し上げたところでもございます。

 アメリカ側からの報告では、在日米陸軍等の調査機関による調査の結果、確実な火災原因というのがまだ特定されるには至っていないものの、今、後藤委員も御指摘になりましたけれども、酸素ボンベの一つに、欠陥のあるガスケットか、あるいは機能不全のバルブがあったことがこの火災の原因ではないか、これが最も可能性が高いのではないかという旨の説明を受けているところではございます。

 いずれにいたしましても、この相模総合補給廠内の全ての倉庫の消火設備の点検を実施するなど、再発防止を講じているというところは説明を受けているところでございます。

 また、引き続き、この火災の原因究明の調査についても実施をいたしているところでございますけれども、私どもといたしましても、米側に対しまして、この原因については速やかなる情報提供を求め、また、得られた情報につきましては、できるだけ早く関係自治体に御提示してまいりたいと思っております。

 また、最終的には、その原因を特定するような情報が得られた場合につきましては、私ども、また後藤委員も含めまして、情報を提供するという説明を受けておりますので、アメリカ側に対してはできるだけ早い調査結果の提供というのを引き続き追及してまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 あと、再発防止に関しては、当日、地元の消防隊が出動しまして、発災後八分ぐらいで現場に駆けつけているんですが、結局、米軍側の放水許可が出ず、六時間以上火が燃え続けたということが現実には起きております。自然鎮火したという説明を受けておりますけれども、今後同じような事故が起きたときに、確かに、どこの建物に何が入っているかということがわからない中でいきなり水をかけちゃいけないというのはあるのでしょうが、もう少しこの改善を図る必要があるのではないか。この建物には何が入っているからかけていい、あるいはかけちゃいけないという判断を、もう少し早い段階でする必要があるということは、今後の再発防止の上で大変重要だというふうに考えます。

 この建物については放水していいですよというような判断を迅速に行うための体制整備、これについては再発防止の中で大変重要だと考えますが、今後、最終報告書をつくっていく上に当たって、防衛省からぜひそのことも含めてアメリカ側に申し入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

若宮副大臣 今御説明くださいましたように、本件の火災の発生後、相模原市の消防本部がアメリカからの要請を受けまして直ちに消防隊を出動させましたんですが、委員今御指摘のとおり、保管物がちょっと不明であったりしたもので、水をかけて逆に爆発したりとか、さまざまな事象が考えられるということで、燃焼中は放水しなく、鎮火することになったということは確認をいたしているところではございますが、御指摘のとおり、確かに、どの倉庫に何が入っているのか、あるいはどういったぐあいに、火災が発生した場合にはどういう対処をすべきなのかというのは、もっともだと思っております。

 私ども、議員からの御指摘も踏まえまして、もちろん、相模原市とも協力しつつ、迅速な消防活動が行えるようにアメリカ側にはきちっと働きかけてまいりたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 ぜひ最終報告の中に、今おっしゃっていただいたようなことが盛り込まれるように、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、地位協定の運用の面も含めた改善について、残りの時間でお伺いしたいと思います。

 きょう、午前中の長島昭久議員の質問の中でこの地位協定のお話があって、岸田大臣から、今回、環境補足協定が結ばれたということに関連して、今後は騒音などをテーマにできればと考えているという御答弁がありました。

 私の選挙区は厚木基地の騒音が大変なところでございまして、これについては裁判でも、ある程度、問題ではないかということが認められてきているところでございますが、今後、ジェット機の騒音も含めた騒音についての何らかの協定、この締結に向けた検討というものを行っていただけないでしょうか。これはちょっと通告をしていませんが、午前中少しそういった御発言があったものですから、ぜひ御検討いただきたいということで御質問をさせていただきます。

岸田国務大臣 日米地位協定につきましては、まず基本的に、これは大きな法体系ですので、合意等による運用の見直しという形で取り組むことが合理的であり、そして効果的である、こういった考えを午前中も申し上げさせていただきました。

 そして、刑事分野等においてそうした取り組みが続けられているわけですが、環境補足協定については、この日米地位協定そのものに環境に関する条項がなかったものですから、別途、環境補足協定という形で取り組んだ、こういったことであります。

 いずれにしましても、基本的には、日米地位協定につきましては運用の見直しという形で対応するのが迅速であり、そして現実的であるというふうに考えておりますので、引き続き、他の課題、騒音等につきましても日米合同委員会等において議論をし、住民の方々の不安につながらないような対応を求めていく、こういった努力は続けていかなければならないと考えます。

後藤(祐)委員 環境の次はぜひ、環境の深掘りというのもあるのかもしれませんが、騒音については大変具体的かつ深刻な問題になっておりますので、ぜひ大臣も一度あの音を聞いていただきたいと思います。私は子供のころから、飛行機が通ると一分間ぐらいテレビが見られない、会話も聞こえないという中で暮らしておりますので、ぜひ聞いていただいた上で、取り組んでいっていただきたいと思います。

 続きまして、先ほど地位協定の関連で、裁判権、刑事裁判関連の話がありましたけれども、きょう、配付資料の中で、幾つかこれについてのものを配っております。

 三ページ目に、今の地位協定の第十七条の5の(c)というところがございますが、この話というのは、一九九五年の沖縄での少女暴行事件がありまして、この十七条5の(c)というところでは、上にありますけれども、日本が起訴するまではアメリカ側が拘禁するというのが原則だったわけですけれども、この少女暴行事件を受けて運用改善がなされました。それがその下、三ページ目の下の部分で、殺人、強姦という凶悪な犯罪については被疑者の起訴前の拘禁の移転について好意的な考慮を払うという運用改善がなされたわけであります。ただ、殺人、強姦以外のその他の特定な場合については十分に考慮するというふうに、ちょっと段階に差が設けられているわけであります。

 この後、六件ほど、運用改善の規定に基づいて実際に日本に対して被疑者の拘禁の移転を要請し、五件は移転をされましたけれども、二〇〇二年の婦女暴行未遂事件では、要請したにもかかわらず、米国側に拒否をされております。つまり、この運用改善で全て問題がクリアになったというわけではないということが示されているわけであります。

 若干二〇〇二年の事件とは前後しますが、これまでこういった運用改善については、この部分に限定したわけではないと思いますが、一九九九年の十二月には閣議決定で「地位協定の運用改善について、誠意をもって取り組み、必要な改善に努める。」というふうにしていたところ、要は改正はしないということですね、運用改善しか触れていなかったんですね、二〇〇一年七月二十三日の、我が党におられた斎藤勁議員の質問主意書に対する答弁で、運用改善での対応が十分効果的でない場合には、我が国のみで決定し得ることではないが、日米地位協定の改正も視野に入れていくことになると考えているという政府の正式な見解が示され、その次の日、二〇〇一年の七月二十四日、当時小泉総理が、パウエル・アメリカ国務長官との会談がありまして、その場で小泉総理は、地位協定の運用改善に努力することとなっているが、もしこれが効果的でなければ協定の改正も視野に入れていくことになるというふうに述べておられます。

 なかなか改正は難しいということはわからなくはないんですが、実際に運用改善で、少なくとも一件は改善されていない事例が発生しているわけであります。改正も含めて、ここの状況改善のためにこの後どのような交渉をこれまで行ってきていて、あるいは、ほかの国での状況なんかも当然見なきゃいけないわけでありますし、後ほどちょっと質問しますが、韓国の話なんかもあるかもしれません。

 これまでのアメリカ側に求めてきた内容あるいはその交渉について、話せる範囲で御答弁いただけますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、御指摘の運用改善、この合意によりまして、凶悪な犯罪あるいは特定な事案については、我が国が起訴の前に被疑者の拘禁の移転を米側に求めた場合には、米国として我が国の要請に対してできるだけ応じる方向で検討するということであり、例外的に特別な事情がある場合を除いて右移転がなされることが期待される、このように解されております。

 そして、合わせて六件要請が行われて、委員御指摘のように一件引き渡しが行われなかった、こういった経緯があるわけですが、その引き渡しの可否については、これは個別具体的に判断されるものであると思っています。

 この五件の資料を見ますと、例えば、引き渡しが行われた事件は、最終結果として無期懲役であったり、あるいは懲役十三年であったり、大変重たい刑が処されています。そして、引き渡しが行われなかった案件につきましては、懲役一年、執行猶予三年という結果であります。これは明らかに両者の間に違いを感ずるわけでありますが、いずれにしましても、これは内容において個別具体的に判断されるものであると思っています。

 そして、そもそもこの協定について、あるいはこの合意について、改善を求めているのか、求めているのであるならばどのような状況にあるかという御質問であります。この合意に基づいて、起訴の前に拘禁の移転が行われるという制度でありますが、これは他国の地位協定と比較しましても、結果的に我が国における取り扱いは、決して、我が国が劣後する、不利になる、こういった内容ではないと考えています。他国との比較等を考えましても、今現状においてこの合意について改善を求める状況にあるとは考えていない次第であります。

 引き続きまして、この合意に基づいて、米国側から前向きな対応をしっかりと引き出すべく、求めていきたいと考えます。

後藤(祐)委員 劣後するものではないということについて、これが本当にそうなのかどうかちょっと確認させていただきたいんですが、二〇一二年五月二十三日、これは韓国ですが、米韓合同委員会は、米韓地位協定の運用改善で合意しました。この中で、犯罪を犯した在韓米兵の容疑者の身柄引き渡しについては、それまでは、韓国司法当局は、引き渡し後二十四時間以内に起訴しなければ釈放しなければならないという規定があったんですが、この規定が削除されて、起訴前に身柄を確保して捜査を行えるようになりましたと報道されています。

 ただ、この対象がどこまでなのかちょっとよくわからないんですが、これが全面的に可能になったんだとすれば、起訴前の引き渡しが、日本のように殺人、強姦に限らず、かなり幅広に可能になっている可能性があるわけで、場合によっては、米韓の間における運用の方が、日米地位協定よりも、接受国側、受け入れ国側に有利になっている可能性があり得ると思うんです。

 まず、この二〇一二年五月二十三日に米韓の間で合意された、被疑者の身柄引き渡しに関する運用改善の内容を把握しておられますでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の二〇一二年五月二十三日の韓国側の発表ですが、運用改善で合意され、起訴前の身柄引き渡しの際の二十四時間以内起訴義務の義務条項が削除され、検察捜査の段階から米側被疑者の身柄を確保して捜査を進める手続が設けられた、このように発表されたことは承知しています。

 この内容をそのまま受け取った場合に、我が国の対応と比較して、我が国と同様に起訴前の拘禁の移転が可能になる可能性はあるとは理解をしています。ただ、これ以上韓国側から詳しい発表が行われていません。なおかつ、この見直しに基づいて、実際の事件において運用の改善が図られて何か結果が出たという情報にも我々は接していないものですから、この発表が本当の意味でどこまで改善が行われているか、これをちょっと確認することができていない、これが現状であります。

 いずれにしましても、我が国として、我が国の多くの国民の皆さんに理解を得られる運用のあり方について、引き続き努力をしていかなければならない、この点については変わらないと思っています。

後藤(祐)委員 通商の世界では、最恵国待遇というのがございます。まさにこれも最恵国待遇的な対応を求めるべきだと思うんですね。

 先ほどの答弁で、可能性はあるという御答弁でありました。つまり、韓国の方が有利になっている可能性がある以上、資料の四ページ目に線を引いてありますけれども、「日米地位協定の規定は、NATO地位協定と並んで受け入れ国にとって最も有利なものとなっています。」と。断定するのはまずいんじゃないでしょうか。可能性がある以上は、そこの内容をきちっと韓国から確認をさせていただけるだけいただいて、同じものを米軍に求めていく、米国側に求めていくということをすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 先ほど答弁させていただきましたのは、韓国の発表だけ見る限り、我が国と同等の効果がある可能性があるということでありまして、韓国が我が国より先を行くということを申し上げたというつもりはございません。

 この発表だけ見る限り、我が国と同等の対応が可能になる可能性はあると思いながらも、実際問題、さまざまな結果、事件への適用等において具体的に何か成果が上がったということも承知していないということであります。

 引き続きまして、関心を持ってこうした状況についても注視をしていきたいと思いますが、まずは我が国のありようにつきまして真剣に検討を続けていきたいと考えます。

後藤(祐)委員 その前の年、韓国とは、お互い情報を交換しようねということでも合意しています。ぜひ韓国と情報交換をしていただいて、韓国とぴったり同レベルは少なくとも確保をするよう、これからも尽力していただきたいということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田です。よろしくお願いします。

 ホスト・ネーション・サポート、特別協定について審議ということで、バッターに立たせていただきました。

 これは毎年あるものではないので、前回のもの、そして前々回のものも議事録をちょっと拝読させていただきました。

 率直に申し上げると、野党時代の民主党が厳しく厳しく、国民の理解を得る意味でも細かく議論をして追及をし、片や今度与党になった民主党が自民党の皆さんから、あのときおまえらが指摘していたのにそれはどうなったんだというところをかなり厳しく言われたというような議事の流れだったなと思います。それでまた今回、五年たって、質疑に立たせていただきます。

 結構厳しい審議をしていました、皆さん御存じのとおり。バナナボートを引っ張ったりケーキの飾り職人に給料を出すのは何でだとか、宴会係のマネジャー、マッサージ師、スロットマシン修理工、こういう人たちに出すというのはどうなんだろうと、当時は議論をしていました。

 それを、民主党政権のもう一回の審議のときには、それを改定できていないときに、改定できていないことをもって、民主党が野党のときに極めて無責任な質問をしていた、そして、嫌がらせのように反対したんですねということを河野太郎さんに言われております。

 もちろん、指摘したことをみずからが政権担当したときにできなかったことは、まさしく責任を問われる部分はあると思うんですけれども、これぐらいの大きな予算を国民の皆さんの御負担を求めながら拠出することであるならば、できる限りの国民の皆さんの理解を求めるということは議会にとって必要だと思いますし、交渉事ですから、今までの議論をちょっと拝聴しながら思うんですが、議会が余りにも理解を示し過ぎることは、今度の交渉に臨むに当たっても、やはり、いや、うちの議会が厳しいんですよということがなければ交渉事も厳しいんじゃないかなということをもって、また今度政権を担ったときにいろいろ言われるのかもしれませんけれども、今回、そこに臆することなく御答弁を求めていきたいというふうに思っております。それが前提です。

 それで、毎度毎度、特別の協定だというようなことでやっていますので、今回の協定自体の趣旨、捉え方という基本的なところから御質問したいと思うんですが、大臣にお伺いしたいんです。

 これは、本来は払わなくてもいい、そういう予算と、まずは基本的には捉えてよろしいですか。

岸田国務大臣 本来は払わなくていいという意味について、どう受けとめたらいいかわかりませんが。

 要は、まずは、基本的には、日米地位協定第二十四条において経費の支払いの分担というのが定められているわけですが、その原則は原則としながらも、特別協定をつくることによって、米側に負担義務がある経費の一部を日本側が負担する、こういった定めを設けている。こうした定めを設けて、それぞれの分担を明らかにしている、こういった仕組みになっていると理解をしています。

寺田(学)委員 言葉をかえます。

 払う義務が生じている予算なんですか。

岸田国務大臣 もちろん、日米地位協定における原則は原則としながら、特別協定を新たに結んで支払いをするわけですので、その協定上の義務は負うことになると考えます。

寺田(学)委員 もう少し説明をしてください。

 協定上の義務の協定というのは何を指しているんですか。特別協定のことですか。もう一度御答弁ください。

岸田国務大臣 特別協定であります。日米地位協定第二十四条が原則であります。

 ただ、この原則があるわけですが、その原則の中で、米側が払うべきものの一部を日本側が払うという特別協定、これを設けて、それぞれの支払いを定めている、こうした構造になっています。

寺田(学)委員 特別協定を結べば、結んだ協定によって義務が発生するのは、当然、それは論理的にはわかりますけれども。

 そこで、最初の質問に戻るんですが、ちゃんと御説明していただきたいんです。

 国民の皆さんも、それこそ今、御存じかどうかわかりませんが、米国の方が、タイトル名までは正確じゃないですが、思いやり予算についての映画をつくられています。「ザ・思いやり」というタイトルだったかな。アメリカ人の方が、なぜ日本人は米国の軍隊のためにここまで予算を使っているんでしょうというドキュメンタリー映画をつくられていました。

 私は全編を見たわけではないですが、トレーラーとかを少し拝見しました。被災地に行きながら、今皆さんのお金はこうやってアメリカの駐留されている方々のために使われているんですよ、どう思いますかというようなことを、米国のジャーナリストの方が映画をつくりながら、福島の方、避難されている方に問いかけて、いいな、私なんて隣の部屋のくしゃみの音が聞こえるのにというような言葉が投げかけられるような映画でした。

 私は、そもそもとして、このような特別の協定を結んで負担をすることが直ちにおかしいと言うつもりはないですけれども、冒頭申し上げたとおり、このこと自体は、なぜ私たち国民は負担しなければならないのかということをしっかりと政府の責任者が説明しなければならないと思うんです。その上で、普通の方々の感覚で、素朴な質問として聞いているんです。

 まずは、本来として、先ほど二十四条のお話をされていますが、二十四条にのっとれば払わなくてもいい、払う義務のないことを、新たに特別として負担されているんですよね。いかがですか。

岸田国務大臣 まず、基本的には、委員おっしゃるとおりだと思います。

 それでまず、ホスト・ネーション・サポート、これは、日米安全保障体制の中で重要である在日米軍の運用を円滑かつ効果的に行うために重要なものであると認識をしております。

 そして、このホスト・ネーション・サポートですが、具体的には日米地位協定第二十四条で、日本側が施設・区域の提供とそれに関する経費を負担する一方、米側は、これらの経費を除き、日本に合衆国軍隊を維持することに伴う全ての経費を負担する、このように定められています。それが二十四条です。

 その上で、さらに、その後、在日米軍の運用を円滑かつ効果的にするために特別協定を結んで、日米地位協定の規定によって米側に負担義務がある経費の一部、すなわち駐留軍等の労働者の基本給等の労務費あるいは光熱水料等及び訓練移転費、こういったものを日本側が負担する、これを特別協定において定めているということであります。

寺田(学)委員 おっしゃるとおりとお話しいただきましたが、どの部分がおっしゃるとおりなのかということを確認しますけれども、原則は二十四条で定められた部分で、私たちは負担の義務はないけれども特別に今回こういうような形で協定を結んで支出をするということはおっしゃるとおりということでよろしいんですか。

岸田国務大臣 このホスト・ネーション・サポートは、当初は日米地位協定二十四条に基づいて分担をしていました。その後、昭和六十二年から、今御説明させていただきました特別協定を結ぶことによって、新たな負担の割合を定めたということであります。そういった意味で、そのとおりと申し上げました。

寺田(学)委員 なぜ私たちは特別に負担をしなければならないんですか。

岸田国務大臣 このホスト・ネーション・サポート、一番最初は昭和五十三年だったと記憶していますが、それ以後、今申し上げたような形で負担をしてきました。

 その間、日米安全保障体制における在日米軍の重要性、そしてそれを円滑かつ効果的に運用することの重要性に鑑みてどうあるべきなのか、こういった議論が行われてきました。在日米軍をより円滑、効果的に運用するために負担の割合をどうするべきなのか、こういった議論の結果が、先ほど申し上げました、負担の割合を定める特別協定につながったと理解をしています。

寺田(学)委員 今、経緯の御説明がありました。私、意地悪な質問でもやみくもに反対しようとしているわけでもないということを冒頭申し上げたとおりなんですが、この国会中継、議事録をごらんになられる方がどれぐらいるかどうかわかりませんが、大臣よく説明責任を果たすということを言われていますけれども、普通の、政治に特に強い関心や知識がない方でも、なぜ私たちは負担しなければならないのかということを、しっかりと大臣の口から説明していただきたいんです。

 もう一度、経緯ではなく、なぜ私たちは特別に負担をしなければならないんですか。

岸田国務大臣 なぜということについて、基本的なところから申し上げるならば、我が国の外交、安全保障にとって、日米安全保障条約に基づく日米安全保障体制、これが重要であるという基本的な考え方から説明をしなければならないと思います。

 我が国の外交、安全保障にとって大切な体制の中で、在日米軍の存在が重要であり、その円滑かつ効果的な運用が重要であるという観点からHNSが存在し、そのHNSをより現実に合い効果的な負担割合を考える中で、今申し上げました、さまざまな努力が行われてきたと認識をしています。

寺田(学)委員 日米安全保障条約が日本の防衛にとって大事であることは、私は別に疑問は全く持っていません。そういうところ、日本の安全保障にとって米軍は大事だからということを私は議論するつもりはないです。まさしくこの予算自体がそのことに関してどのような関係にあるんですかということは聞かなきゃいけないと私は思っているんです。

 言い方をかえますけれども、このホスト・ネーション・サポートとして特別に支出することは、日本の防衛にとって必要不可欠ですか。

岸田国務大臣 日本の安全保障にとりまして、まずは我が国自身が防衛力を適切に整備すること、これは大変重要なことであります。

 しかし、その中にあって、国際社会においては、どの国であっても一国でみずからの安全を守ることができない、これが常識になる昨今の安全保障環境の中にあって、特に大量破壊兵器の拡散等の動きがある中にあって、我が国は、自身の防衛力を適切に整備することとあわせて、日米安全保障体制に基づく抑止力をしっかりと維持していかなければならない、このように考えます。我が国の安全保障にとって、みずからの防衛力の適切な整備と日米安全保障体制に基づく抑止力の充実、この両方が必要だと思います。

 そして、この抑止力の維持のために在日米軍が重要であり、その運用を円滑かつ効果的にするためにホスト・ネーション・サポートが重要であると考えます。

 こういった形で国民の皆様に御理解をいただかなければならないと考えます。

寺田(学)委員 大臣、正面から行きましょうよ。必要不可欠かと聞いているんです。日米安保条約が必要不可欠かじゃないですよ。それを結びながら日本の防衛をしていく上で、当該ホスト・ネーション・サポートは必要不可欠ですかということを聞いているんです、まずは。

岸田国務大臣 日米の安全保障体制を維持するためには、米国としっかりと意思疎通を図り、信頼感を持ち、協力をしていかなければなりません。その際に、お互いの努力が求められます。日本側の努力の一環として、ホスト・ネーション・サポートの日本側の負担も重要な要素であると思います。不可欠であると考えます。

寺田(学)委員 ホスト・ネーション・サポート、その負担は不可欠であるというような御答弁をいただきました。

 なぜ特別なんでしょう、毎回。

岸田国務大臣 御質問の趣旨は、なぜ特別なんでしょうか毎回とおっしゃいましたが、毎回特別協定でなぜやるかという御質問でしょうか。(寺田(学)委員「不可欠なんですよね」と呼ぶ)不可欠であります。

 ホスト・ネーション・サポートについては、これは不可欠だと認識をしています。しかし、その内容につきましては国民の理解をしっかり得なければなりません。日本の厳しい財政状況等、さまざまな観点からしっかりと検討した上で内容を決めていかなければなりません。

 ですから、基本は日米地位協定第二十四条でありますが、特別協定の部分につきましては、毎回毎回しっかり吟味をした上で内容を確定し、特別協定という形で合意を結び、実行していく、こういった対応をとっていると理解をしています。

寺田(学)委員 ホスト・ネーション・サポートは、中身はさまざま改良の余地、改良といいますか、変える余地はある、そういう工夫の余地はあるけれども、ホスト・ネーション・サポートは必要不可欠であるというような御答弁がありました。

 今までは、政府としては、このホスト・ネーション・サポートに関して、もちろん、直近の民主党政権、その前の自民党政権もそうですが、一時的な、暫定的、限定的かつ特例的な措置と御答弁されていましたが、御変更なさったということでよろしいですか。

岸田国務大臣 変更はしていないと考えています。日米地位協定第二十四条の原則、これは原則として、これまでもそして今回もしっかり維持をしています。その上で、特別協定の部分につきましては、これは暫定的、限定的あるいは特例的と表現しておりますが、協定でありますので、しっかり吟味をし、内容を確定している、こういったことであります。

寺田(学)委員 当該支出に対して議論をしている中で、この支出が必要不可欠だとお話をされました。御答弁を変えられるなら撤回されてください。ただ、御答弁をされましたので、それに基づいて議論をしています。

 今まではその支出に関して、一時的な、暫定的、限定的かつ特例的な措置と言っていました。一時的ではなくて、まあ一時的かどうか、暫定的でもなく、限定的でもなく、特例的でもない、必要不可欠なものだということですか。

岸田国務大臣 原則はしっかり守った上で特別協定を結んでいく、こういった方針は従来と変わっておりません。特別協定の中身について、先ほど申し上げました労働者の基本給等の労務費、光熱水料及び訓練移転費ですが、こういったものについてはしっかりと議論をし、あくまでも暫定的、限定的、特例的な措置として特別協定を結んでいる、こうした考え方は、従来もそして今回も変わってはおりません。

寺田(学)委員 今回も、もというのはおかしいですかね、この瞬間、こういう議論をしているわけですから、締結に関しての議論をしているわけですから。この議論の締結に関しては、必要不可欠な予算措置であるというような整合性でよろしいですか。その一時的なもの、暫定的なものとの関係ですけれども、必要不可欠なものというものと。いかがですか。

岸田国務大臣 おっしゃるように、特別協定の部分を含めて、今現在においてはこの予算は必要不可欠なものであると認識をし、国会に御承認をお願いしております。

寺田(学)委員 それでは、将来的なことは当然お伺いしなきゃいけないですが、あくまでもこれは現時点において必要不可欠な特別な支出であって、将来的にはそこの変更があり得るというようなことで国民の皆さんは理解した方がよろしいんですか。

岸田国務大臣 特別協定を結んでそして内容を確定した部分については、そのとおりであります。あくまでも暫定的な措置であり、これは毎回毎回、その時点でのさまざまな要素を勘案し、総合的に判断した上で決定すべきことであると考えます。

寺田(学)委員 本当に適切に必要な範囲で使われているのかどうかということを当然さかのぼって議論しなければならないとは思うんですね。そこは、私自身、詳しくない部分もありますので、ぜひとも参考人の方でも御説明いただきたいんですが。

 しっかりと、これはどのように使われたのかという決算のあり方なんですけれども、決算というものを、必要な形で使われたのかどうかということを、どのように私たちは確認すればよろしいんでしょうか。その仕組みに関しても、参考人の方でも構いませんので、御答弁ください。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 HNSの各項目の決算の流れについて御説明いたしますが、二十六年度の実績について申し上げれば、労務費の基本給でございますけれども、まず、米側より、毎月、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構に対し、前月分の駐留軍等労働者の就業記録書を提出しています。その後、同機構において給与を計算し、当該月の労務費負担額を確定した上で、毎月、各地方防衛局より労働者に給与が支払われることになっております。これが労務費の基本給の流れでございます。

 また、光熱水料あるいは訓練経費につきましては、防衛省より各四半期の当初、米側作成の執行計画に基づく交付予定額を概算交付した後、米側において支払いを行い、当該支払いに係る関係書類を防衛省に対して提出があります。これを受け、防衛省においては、当該書類を確認、精査の上、我が国の負担額を確定し、精算することとなります。

 また、提供施設整備費でございますけれども、これは防衛省から提供施設整備に係る予算を地方防衛局等に示達した後、各地方防衛局において会計法令に基づき契約を締結し、受注者が工事を行います。受注者が工事を完了した後、完成検査を行い、受注者に対してその請負金額を支払う、こういう流れになっておるわけでございます。

寺田(学)委員 大臣、細かいことまでお伺いするつもりはありませんけれども、決算自体がどのようになっているかということは、大臣自身、何かしら御関心を持ちながら、御感想をお持ちになったときがありますか。大臣、いかがですか。細かいことまで聞いてやろうと思っているわけじゃないんです。

岸田国務大臣 ホスト・ネーション・サポートについては、先ほど申し上げましたように、重要な予算であると思っていますが、これが支出された後、有効に使われているかどうか、これは大きな関心を持って見なければいけない、これは当然のことであります。

 そしてその前提として、そもそも我が国としてチェックをする仕組みがあるのかどうか、これに関心を持ち、どうチェックをしているんだということを確認したことはあります。

 その中身は、今防衛省から説明があったような形であります。労務費等、それぞれの項目において、それぞれの仕組みの中で、日本側として、どのような支出が行われたか、内容についてもチェックする仕組みがあるということであります。

 そういった仕組みを通じまして、しっかり、我が国としても支払いの現状、使用の現状について把握することは重要であると認識をいたします。

寺田(学)委員 日本の防衛のためにこの支出が必要だ、必要不可欠だというようなお話、ホスト・ネーション・サポート、当該特別の協定による支出が必要不可欠だというお話がありました。

 そこの部分、では、どのように積算されているのかということはよく議論になるんですが、本当に決算自体が十分な形であったのかどうかということは、もちろん他の、決算の委員会でもいいですし、会計検査院でもいいと思いますけれども、もちろんこの協定を結ぶに当たって議論されている方々も十分承知していただきたいですし、その責任者の一人である大臣にもしっかりと持っていただきたいというふうに思っています。

 時間が中途半端になってあれですけれども、節約はどのようにしているのか。特別協定の中に文言は入っておりまして、アメリカ側が義務を持っているというような形になっていますが、事前のレクの段階で、どのような形の無駄遣いをしない、節約のための仕組みをしているかということを、具体的な列挙を受けました。

 拝見するに、私まで含めてと言うとちょっと語弊があるのであれですけれども、一般の国民の方々の皆さんが節約をしましょうと心がけているものの中に親和性があるものはないのか。例えばソーラーパネルをつけましたとか。節約のためにソーラーパネルをつけるというのは余り、多分、一般の方々にとっては理解しがたい部分があるかもしれません。

 いずれにせよ、冒頭申し上げたとおり、殊さら、むやみに、この予算の支出に関してはだめだということを頭ごなしに言うつもりはありませんが、本当に財政的に厳しい厳しい中で、保育士さんの問題とか今話題になっていますけれども、税金の使われ方がより一層問われる中において、自国の防衛のためという大きな大きな目的のためとはいえ、このような支出をされることをもっともっと国民の皆さんに明らかにし、少しでも多くの方の理解を得る努力は政府はしなければいけないですし、先ほど申し上げたとおり、交渉するに当たって議会側はもう少し厳しく踏み込んで、政府に対して、このような予算は必要なのかということを問い続け、今後の交渉の際に当たっては、議会の意見というものが交渉の材料にしっかりなっていくような仕組みをつくるべきだと私は思っています。

 そういうことを申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

岸委員長 これより防衛大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 防衛大臣も御出席をいただきまして、ありがとうございます。一時間という限られた時間ですが、外務大臣、防衛大臣、またそれぞれ、皆様よろしくお願いいたします。

 お手元の方に資料を用意させていただきました。これは防衛省作成資料でございます。

 これはもう朝からの質疑で何名もの同僚委員が取り上げていることでありまして、一枚目にありますように、今回の特別協定により、今度の協定が承認され、そして実行されれば、この労務費については、上限労働者として過去最大になるというのがこの一枚目の表でございます。二万三千百七十八人にふえるということでございます。

 それから二枚目、在日米軍駐留経費負担の推移につきましても、二十六年度までこうした推移を、横ばいという形でしていましたが、二十七年度から上昇に転じているということでございます。

 また、三枚目、これはFMS、フォーリン・ミリタリー・セールス調達に係る各年度の予算総額でありますが、平成十九年度からこのような推移でありましたが、二十四年度から上昇に転じ、二十五年度は若干減りましたが、二十六、特に二十七、二十八と大幅な増を見せている。

 また、もう一ページあわせますと、未納入金額、これもかねてより指摘がありましたが、二〇一二年度まで減額をしてきたのが、二〇一三年度から上昇に転じている。これはFMSに伴う未納入金額でございます。

 まず、今回、このような日本側負担経費に係る上限労働者数が過去最大になったことを防衛大臣に伺うんですが、先ほど来も防衛副大臣が何度となく御答弁いただいております。千人ほどのMLCの増員、IHAは五百人減っている、ただ、その増員分のうち二百名がグローバルホークやF35などに伴う対応であるといったことも既に質疑の中で明らかになっておりますが、その上で、この上限労働者を過去最大に今回特別協定でした、財政審などの指摘もあり、日本の財政事情もありながらということでの、防衛大臣としての御所見を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 新たな特別協定において、日本側が負担する駐留軍等の労働者上限数、二万二千六百二十五人から二万三千百七十八人へと段階的に五百五十三人増加をさせるということでございますが、御指摘のとおり、能力発揮に直結する装備品の維持、整備等に従事する労働者の日本側の負担上限数を増加させ、一方で、福利厚生施設で働く労働者の日本側負担上限を削減するということでございます。

 これにつきましては、やはりリバランスということで、アメリカが我が国の安全保障上必要な装備を我が国在日米軍に配備等いたしておりまして、そういった新たな装備などに伴う労働者関係につきましては必要である、ただし、福利厚生等で働く労働者の方は節減ができないかというようなことで話し合いをいたしまして決まったということでございます。

武正委員 この特別協定の経緯も、先ほど来、質疑で、同僚委員からも指摘があり、やりとりがあり、政府は、五年たてばこれは廃止をする、五年限りのものであるということでスタートした経緯も既にこの中でやりとりをさせていただいております。

 今、リバランスということを理由にされましたが、この間、地位協定による負担、そしてまた特別協定による負担、こういったことを国会として継続的に審議をしてきておりますので、過去からの経緯といったことから、今ここに、にわかに、リバランスだけで過去最大になるんだということではやはり政府として説明が不十分であるということを重ねて申し上げたいと思います。

 そこで、先ほど触れましたが、在日米軍駐留経費の負担もこのようにふえております。これについての理由、これについては今のことも含めて、御所見を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 新たな協定のもとで、HNSの規模が、平成三十二年度、最終年度で千八百九十九億円でございますが、これは現行の特別協定の最終年度である今年度の予算額とおおむね同じ水準でございまして、こういった額におきましてほぼ同じ水準であるということを申し上げたいと思っております。

武正委員 これもこの質疑でやっておりますが、これからの五年間を考えれば、増額をしていくといったことはもう既に答弁をいただいておりますので、こうした増額をするといったことも踏まえて、質問をさせていただいたところでございます。

 そこで、次、FMSについての資料をお配りしておりますが、二十七、二十八年度、なぜこのようにFMSが増額をするのかについて、防衛大臣から御説明をいただきたいというふうに思います。

中谷国務大臣 FMS調達につきましては、平成二十七年度予算におきまして約四千七百五億円となっておりますが、平成二十八年度予算案におきましては約四千八百五十八億円となっております。約百五十三億円の増加ということですが、主に、SM2、これは、艦対空誘導弾、標準ミサイル三カ年分をまとめ買いしたということで五百六十億円、そして、KC46Aという新空中給油輸送機、これの取得経費として約二百三十一億円の増、そして、E2D、これは新早期警戒機、ヘリコプターでございますけれども、これは約六百三十八億円ということで、これは平成二十八年度においては計上していないことの要因によりまして減となっておりまして、全体で百五十三億円の増加となったということでございます。

    〔委員長退席、土屋(品)委員長代理着席〕

武正委員 私は、二十七年度から急激に増額をした理由についても伺ったわけでありますが、事前に聞いておりますと、F35を初めとする、それぞれ、新型のそうしたアメリカから購入をする兵器につきましては、やはり高度化、最新鋭化に伴う価格の増、そしてまた、ティルトローター機などは、やはり本体価格と別途諸経費、諸経費の中には訓練経費なんかも含まれるんですね、こういったものが全てFMSということによる増額という説明を受けておりますが、こういった考え方、リバランスということで説明がありました。

 このFMSそのものについても、次ページにありますような、未納入金額等あるいはまた利払い、利子が随分ニューヨークの口座にため込まれていた件などもかねてより指摘をされ、是正をされてきたわけですが、こうした未納入金額の増ということで、以前のような形でチェック機能がまた働かないということにならないようにお願いをしたいというふうに思います。

 そこで、次のページですが、五ページ、FMS対象経費の二十七年度、二十八年度があるんですが、今言われたような、さまざま、アメリカから購入をしなければならない、また政府から購入をしなければならない、これがフォーリン・ミリタリー・セールスということなんですが、その対象経費で、一番上の水陸両用車、これは二十七年度はFMS対象だったんですが、二十八年度は外れております。この理由について伺いたいと思います。

中谷国務大臣 防衛省では、島嶼防衛に万全を期するために、中期防に、水陸両用車を五十二両整備するといたしておりまして、まず、この車両の各種検証のために、参考品の取得段階において、早期に取得すべく、取得方法を米国政府に確認をいたしました。

 米国政府と調整をした結果、防衛省が平成二十五年度に取得を考えていた参考品四両につきましてはFMSによって提供されるとしていましたが、その後、量産品の取得段階におきまして、平成二十六年十二月に、防衛省で車両をAAV7に決定をいたしました。そして、取得方法を再度確認したところ、平成二十七年五月に、FMS、一般輸入、双方ともに可能という回答がありました。

 防衛省としては、改修の容易性等の観点から、一般輸入による新品の車両の取得を選択したということで、量産品五十二両につきましては一般輸入により取得をするということで、平成二十七年度に取得した三十両に続きまして、平成二十八年度予算案に計上する十一両についても、同様に一般輸入で取得をしたということでございます。

武正委員 この一般輸入というのは、直接メーカーもしくは代理店から輸入ということでよろしいでしょうか。

中谷国務大臣 一般輸入ということで、そのとおりでございます。

武正委員 このFMSはフォーリン・ミリタリー・セールスということでありますが、これは、防衛大臣、日本語で何と訳しますか。

中谷国務大臣 有償援助調達と呼称しております。

    〔土屋(品)委員長代理退席、委員長着席〕

武正委員 フォーリン・ミリタリー・セールスですから、普通に訳すと海外武器売買というような感じなんですけれども、私が聞いているのは、セールスを援助と訳しているんですけれども、これは日本の税金を使って購入をしているわけで、また、今みたく一般購入も可能ということの対象でもありますので、やはりこの日本語訳については誤解を与えるんじゃないかというふうに思いますが、改善のお考えはありますか。

中谷国務大臣 そもそもこれはFMSのことでありまして、このFMSというのは、単に経済的な利益を目的とした装備品の販売ではなくて、米国の安全保障政策の一環として、米国の国内法である武器輸出管理法に基づいて、同盟諸国及び友好諸国など武器輸出適格国に対して装備品の提供を有償で実施するということで、米国政府が認める武器輸出適格国のみが、一般では調達できない軍事機密性の高い装備品等を米国政府から調達できるという意味で、一般的な売買とは異なる性質ということで、有償援助調達と呼称しているわけでございます。

武正委員 外務大臣、ここまでお聞きになって、そうはいっても、FMSから、一般調達も可能な、先ほどの水陸両用車なんかもあるわけですから、もちろん、今のそういった枠組みがあるのは承知しておりますが、やはり国民の皆さんに、しかも四千億以上の売買をしているわけで、その説明の責任などもありますので、こういった表現なども工夫の余地が、改善の余地があるんじゃないかと思いますが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のFMSですが、国民の理解を得ながらこうした制度を運用していかなければいけない、これは御指摘のとおりだと思います。

 そして、国民の理解を得る上において、御指摘の呼称を初め、さまざまな点について工夫の余地がないか、こういった視点でFMSについて考えていく、こういった態度は重要であると考えます。

武正委員 最後に、一番最後のページ、光熱水料等についての具体的な節約努力、これは防衛省から出していただきましたが、具体的に、かねてより求めておりました各隊舎の建物におけるメーターの設置ができているのか、それからまた、これもかねてより、冷房の温度が適格温度みたいなものがないという話がありましたが、これが設けられたのかどうか、以上二点について防衛大臣に伺いたいと思います。

中谷国務大臣 米国の防衛施設内における電力の調達につきましては、施設とか区域ごとに一括調達をしているということ、そして、実際には、計測メーターを設置するに当たっては、計測メーターの設置費用、維持管理、また検針の問題等につきまして十分考慮する必要がありまして、建物ごとには計測メーターを設置しておりません。

 一方、新たな特別協定におきまして、現行協定と同様に、日本側負担額に上限を設けつつ、日本側の負担割合を七二%から六一%に削減するということで、これまで以上に米側の節約に対するインセンティブを高めることができると考えているわけでございます。

武正委員 冷房温度の設定についてはいかがでしょうか。

中谷国務大臣 これも、一括で電気等につきまして調達をしているということでございまして、考え方としましては、割合を七二%から六一%に削減するということで、こういった中に節減をしていただくということで要望いたしております。

 温度等につきましては、例えば厚木海軍飛行場におきましては、家庭、職場における取り組みといたしまして、夏場の空調設定温度を二十七度に設定するように要望しております。

武正委員 二十七度になった、今まではそういう温度の設定もなかったというふうな説明を受けておりますので、まだまだこうした節約努力、条文にありますので、しっかりと日本側からも求め、そしてチェック体制が大事だということを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 午前中に引き続き質疑させていただきます。よろしくお願いします。

 午前中は、日本が特別協定でどのぐらいの割合で負担をする、どういう根拠があって、その意義は将来的にどんなものであって、日米同盟に対してどういうふうに関係してくるのかといったことについて聞いてまいりました。

 結局の問題は、実質的にふえ続ける米軍に対する支援額の問題だというふうに考えていまして、実は、在日米軍駐留関係経費には、先ほどからお話にある地位協定第二十四条第二項で支払われる義務的な経費とホスト・ネーション・サポートとは別に、SACO関係経費、そして沖縄の米海兵隊のグアム移転などを含む再編関連経費、これが全部あるんだろうと思っております。

 その再編関連経費は、二〇一五年度、千四百二十六億円、そして、二〇一六年度には大幅にふえる見込みで、思いやり予算とほぼ同額になって、全て合わせた在日米軍経費全体は七千六百億円を超える過去最高水準になる見込みです。

 話がくっついていますので、ちょっと通告どおりになっていないんですけれども、よろしくお願いします。

 政府はこれまで、限られた財源の中で適切に判断しと常々言われています。それでも限度があるので、一方で、実態を見ると、米軍に支払う経費が全体で増加しているということであります。その中で、午後は防衛大臣にいらしていただいていますので、そのあたりからお伺いをしたいと思っております。

 こういったところがある中で、一つ、まずお伺いしたいのが、近年、アメリカが、米軍の受け入れの国側の金銭的な負担だけを問題とすることを避ける意味で、バードンシェアリングと言わずに、レスポンシビリティーシェアリングと言っている。このバードンシェアリングとレスポンシビリティーシェアリングというのはそれぞれ何であるのか、これを、安保法制が成立した今、どう米側に評価してもらうのかといったことについてお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 御指摘のように、近年、アメリカは、安全保障の課題において、単にみずからの努力のみならず、同盟国やパートナー国との協力を重視していると認識しておりまして、こういう考えにおいて、米国におきましては、同盟国の役割やリスクについて議論をする際に、HNSといった相互の安全保障への貢献の一側面を示す負担の共有、これを、バードンシェアリングという用語ではなくて、HNSのみならず、防衛予算、同盟上のコミットメント、また平和維持への貢献など、安全保障、国際的にこういった幅広い貢献を意味する責任の共有、これが、レスポンシビリティーシェアリングという用語を使う傾向にあると承知をいたしております。

 これにつきましての評価でありますけれども、我が国も努力をいたしまして、近年、平和安全法制等の法律を成立させたということ等につきまして、米側からは、平和安全法制と新ガイドライン、これは日米の能力を向上させて日米間の連携が向上したと述べておりまして、重要な同盟を強化するものということでございまして、こういったHNSを負担するということと相まって、米側から同盟関係の強化につながるという評価をいただいているわけでございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 次に、もう一つ、来年度の概算要求、これによれば、新型輸送機オスプレイやF35A戦闘機、滞空型無人機グローバルホーク、そして新早期警戒機E2Dなど、米国製兵器の、今、武正委員からもフォーリン・ミリタリー・セールスの話がありましたけれども、これがメジロ押しで、その維持費や修理費も含めると相当な額に上る、実は、こうした予算も実質的には隠れた米軍の支援経費と言えるのではないかと思っています。

 このことについて、防衛大臣、どう思われているのかと同時に、こういった隠れた経費についても交渉のカードにいろいろと使える素材になるんじゃないかというふうに考えているんですが、その点について、防衛大臣としてはどういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いいたします。

中谷国務大臣 二十八年度の防衛関係費におきましても、オスプレイとかF35A、またグローバルホーク、滞空の無人機、E2Dという新早期警戒機など、必要な経費を計上いたしております。

 これらの装備品はFMSによって米国政府から取得するということでありますが、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、あくまでも我が国の防衛を全うするために必要不可欠な装備品であるということで、我が国が主体的に判断をして整備をするといったものでございます。

 これにつきまして交渉のカードとして利用すべきだという御指摘でございますけれども、このHNSの議論等につきましては、こういった厳しさを増す中で、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支える費用であるということでございまして、我が国は厳しい財政状況にあるということも主張いたしておりまして、総合的に勘案をいたしまして、意見の一致を見たということでございます。

 したがいまして、このやりとり等につきまして、米側から、先ほど申し上げましたけれども、リバランス、これの政策を進めてきている、そして最新鋭の装備を配備している、またMLC労働者の重要性が高まっているという説明に対しまして、我が国からは、財政状況、これを踏まえて、厚生施設で働く労働者の労務費の負担軽減、削減ということで主張等をいたしまして、合意をいたしました結果であると認識しております。

篠原(豪)委員 もう一つ、この点についても言っておきたいと思うんですけれども、米軍再編関係経費で、我が国の領域外、具体的には、先ほども少し申し上げましたけれども、米領グアムに駐留する米軍の関係経費までを負担するということになっています。

 そこで、外務大臣にお伺いをいたしたいんですが、政府は、午前中も少し申し上げましたけれども、それ以外にも、今申し上げたようなレスポンシビリティーシェアリングとしての日本の役割、そして、このような隠れた米軍支援経費が実は実態的にあるんじゃないかと。

 それは見解はあるかもしれませんけれども、そうはいっても、何らかの財政的な支出の寄与、あるいは、実際に一緒に訓練をやったりするときにも新たな兵器でやっていくということで、当然、日本の役割というのは、先ほど午前中も申し上げましたけれども、これまでは必要最低限の武器でもってやっていただいている中で、このHNSがあることによって、GDP比、GNP比一%台で来ているかもしれないといった中で、日本の役割がこれからいろいろと大きくなっていくのであれば、今の米領グアムに駐留する米軍の経費などもありますので、全体的に見れば、やはり、これを全体できちっと把握して、そして今後どうしていくのかということを考慮しなければいけないと思っています。

 ですので、午前中のものに足して、今防衛大臣がおっしゃいましたけれども、私も申し上げた、いわゆるHNS以外のところでいろいろな見方をしたとき、全体の在留米軍に係る経費、再編の費用も含めてあったときに、これに対して、今回、これを通すに当たってもそういった話があったのかどうか。

 そして、いわゆるレスポンシビリティーシェアリングとかグアムの移転費であるとか、あるいは新しい兵器を、いろいろと、隠れた米軍の支援費に当たるかもしれないというようなところも含め、全体を見た中で交渉をしてきたのかということを伺いたいというふうに思っています。

岸田国務大臣 我が国の安全保障を考えた場合に、我が国独自の防衛力を適切に整備することとあわせて、日米安全保障体制のもと抑止力を維持していく、これは大変重要であります。

 そして、日米安全保障体制の中核であります在日米軍に対して、円滑かつ効果的な運用を保障するためのHNS、これは大変重要な予算であると考えております。

 そして、その予算、そのHNSを協議するに当たりましては、先ほど来申し上げておりますように、HNSの重要性だけではなくして、国民の理解あるいは日本の厳しい財政状況など、さまざまな要素を勘案しなければなりません。その際に、さまざまな安全保障環境について考慮に入れながら議論をするということも重要なことなのではないかと考えます。

 ぜひ、そうした点を総合的に判断した結果だということについて、国会においても御理解をいただき、御承認をいただきたいと考えております。

篠原(豪)委員 なかなか、短い時間の中で質問するのも、お答えをいただくのも、いろいろと難しいところがあると思うんですけれども、お答えいただくことに対してですね。

 そうはいっても、二〇一二年末に第二次安倍政権が発足してから防衛予算は毎年ふえ続けていて、来年度予算案の防衛費も過去最高を更新して、初めて五兆円を超えます。安保法制の成立を受けて自衛隊の活動が拡大していけば、その額がふえることはあっても、減る可能性は低い。さらに、普天間飛行場の辺野古移設についても、もし日本政府が本格着工に踏み切れば、経費は大きくふえていくんだろうと思います。

 既に指摘させていただいたように、いろいろな観点があって、防衛費というのは、米軍に対する思いやり予算を含めて、ふえている一方であるということであります、今度の五年間も実際にふえているわけですから。そういった中で、防衛予算とは別枠で計上されていても、実際の防衛関係経費はさらに高額だということになります。

 その中で、防衛費のあり方についてどのような歯どめが必要かということについて、防衛大臣にお聞かせいただければと思います。

中谷国務大臣 普天間の移設等の米軍の再編経費、これを含めた防衛関係費につきまして、これは、政府全体で経済・財政再生計画が定められておりまして、一般歳出の水準の目安の範囲内ということで歳出改革に取り組むということにいたしております。

 また、防衛力の整備につきましては、大綱、中期防がありますので、中期防で定める予算の総額が、平成二十五年度価格でおおむね二十三兆九千七百億円程度の範囲内で行うということにされておりまして、このような枠組みの中で、政府として防衛関係費がコントロールされているというふうに認識いたしております。

岸委員長 篠原君、時間が来ております。

篠原(豪)委員 はい。ありがとうございました。

 時間ですので終わりますけれども、先ほどAAV7の話もありましたが、一つ一つの調達をとっても、経費削減というのはできるし、適切なものというのもあると思いますので、しっかりとやっていただければと思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 午前中の質疑を踏まえて質問するというふうに通告をしてありますので、まず、中谷防衛大臣に端的に確認したいと思います。

 午前で取り上げました陸上自衛隊研究本部の文書には、南スーダン第五次派遣施設隊長が二〇一三年十二月二十四日、中央即応集団、CRFの司令官と行ったテレビ会議で、緊急撤収計画の具体化が示唆されたこと、派遣施設隊長は隊本部幕僚に対し第四次要員が作成した緊急撤収計画の見直しを指示したことが明記をされておりますが、そういったことがやられた、事実かどうか、確認をお願いします。

中谷国務大臣 これは、平成二十五年の十二月十五日当時のことでございますが、政権与党内の衝突によって発生した事案というのは認識をいたしておりますけれども、政府といたしまして、UNMISSから撤収を検討したという事実もないということでございます。

笠井委員 そのことを聞いているんじゃなくて、テレビ会議でそういう具体化が示唆されたということ、そして、派遣施設隊長が隊本部の幕僚に対して第四次要員が作成した緊急撤収計画の見直しを指示したということが書いてあるわけですね。それが事実かどうかを聞いているんです。

 つまり、事実があったかなかったか。第五次施設隊長とCRFの司令官の間で、二〇一三年十二月二十四日にテレビ会議はあったのかなかったのか、どうですか。その事実です。

中谷国務大臣 これにつきましては、南スーダンの情勢が混沌となった状態となりまして、従来の施設活動への復帰の見通しが全く立たない中、派遣施設隊長が、テレビ会議におきまして緊急撤収計画の具体化を進めるよう示唆された、このため、派遣施設隊長は隊本部幕僚に対して第四次要員が作成した緊急撤収計画の見直しを指示し、平成二十六年一月八日に緊急撤収計画を決裁したという文書が存在しているということは認識はいたしております。

笠井委員 だから、そういうテレビ会議をやったのは事実かどうかを聞いているんですよ。やったかどうか。

中谷国務大臣 常時、現場とはテレビ会議等で連絡調整、指示などをしておりますので、そういうことはあったのではないかと思っております。

笠井委員 あったのではないかではなくて、あったんでしょう。そこはどうなんですか。ちゃんとはっきり。

中谷国務大臣 そういう記載がございます。あったと認識しております。

笠井委員 このCRFの司令官は、テレビ会議で、派遣施設隊長になぜ緊急撤収計画の具体化を進めるように示唆したというふうになっているんですか。

中谷国務大臣 これは午前中も副大臣がお答えしたように、万々が一の備えという意味もございますが、自衛隊はいろいろな計画を立てて行動、対処いたしておりまして、そういった計画においても、撤収計画、これも平時から計画を立てて、実際に行動を実施するということでございますので、いろいろな計画等があるというのは事実でございます。

 状況に即しまして、そういった計画を見直したり、準備をするということもあり得ると考えております。

笠井委員 どういう状況に即して計画の見直しを示唆されたというふうになっているんですか。

中谷国務大臣 これは、常に現場における隊員の安全等も考えて作業や行動もいたしておりまして、そういう事態、不測の事態等もございますけれども、あらゆる事態に対応できるように計画は立てているわけでございますので、そういった計画において、本当に大丈夫であるのかという点において、見直しをするということもあり得るのではないかと思います。

笠井委員 本当に大丈夫であるかどうか、問題になったというわけであります。

 当時の小野寺防衛大臣は、同じ二〇一三年の十二月二十四日午前の記者会見で、南スーダンの現地の状況を十分把握することが大切だ、なるべく近いうちに現地の隊長とテレビ会議等を行い、直接現地の状況について把握をしていきたいというふうに述べております。こうした大臣の発言からも、防衛省は、CRFの司令官と派遣施設隊長との間におかれたテレビ会議、やったということを認められましたけれども、その会議でどんなやりとり、意見交換が行われたのか、把握しているのではありませんか。

中谷国務大臣 常に現場の部隊とCRFも交えた、また統合幕僚監部、こういったものも、実際のオペレーション上、常に現場とは連絡をとっております。事実、私も昨日、このテレビ会議システムをもちまして現場のPKO派遣部隊長と会話をいたしまして、安全を確認したわけでございますが、このような形で派遣部隊と意思疎通、また状況報告を受けているということはあり得ると認識しております。

笠井委員 CRFの司令官は、派遣施設隊長にどんなことを示唆、指示したのか、当時、防衛省にちゃんと報告していたんじゃないですか。

中谷国務大臣 まず、この緊急撤収計画というものは、実際に事態が急変した際の撤収にかかる期間とか要領について定めたものでありまして、このCRFの司令官の指揮、指示のもとに作成されて、必要に応じて、派遣部隊においてさらに具体化をされるということでございます。

 当時、こういった情勢等につきましても、中央として情勢を把握し、また指示をしながら隊員の安全を図るというようなことで、このような認識であったというふうに考えておりますけれども、この中身等につきましては、自衛隊の部隊の運用に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 この大臣会見は、前日十二月二十三日の南スーダン情勢等を議題とした国家安全保障会議の四大臣会合及び九大臣会合の翌日のものであります。このときに、CRF司令官が、現地部隊から得た情報、把握した現地の状況については、その次に開かれた十二月二十五日の四大臣会合で、防衛省はどのように報告したんですか。具体的な問題です。

中谷国務大臣 NSCは定期的にも開かれておりますし、また臨時にも開催されるものでございますが、この中身につきましては明らかにできないということでございます。

笠井委員 このとき頻繁に開かれているんですね、二十三日、二十五日という形で。

 中谷大臣に質問します。

 現地に派遣されている自衛隊員からすれば、住民とともに、みずからの命のかかった問題です。あえて私は申し上げます。その現地から、南スーダン情勢が混沌とした状態になり、従来の施設活動への復帰の見通しが全く立たないと悲鳴が上がっているにもかかわらず、それがどういうふうにちゃんと扱われて、報告が上がったのかどうかも言えないという話ですよね。

 結局のところ、握り潰して、現地の情勢は平穏などと言って、あくまで派遣の継続の政治判断をしたということじゃないんですか。こんなことでいいんでしょうか。

中谷国務大臣 これは、常に隊員の安全を把握するという意味で、中央と現場が連絡をいたしまして、CRFの司令官も、万が一の場合に備えて、現場レベルでさらに必要な検討を進めるように、当時、施設隊長に指示を行っていたと考えます。

 結果的に、それは当然のことでもございますし、私もその後、南スーダンのジュバに参りましたけれども、隊員は安全を確保しながら整々と任務を遂行しておりましたので、適時適切な指示がされたものであるというふうに認識いたしております。

笠井委員 時間が来ましたから終わりますが、当時そういう悲鳴が上がったことに対して、どう扱われたかということについても、きちっと言えない。これは本当に重大だと思います。

 こんなことで、本当にこんな派遣の継続を続けられるのかという問題を改めて申し上げて、終わりたいと思います。

岸委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 午前中に引き続き、外務委員会では二回目で、きょうは四回目でございますけれども、質疑に立たせていただきたく存じます。

 十分しかございません。防衛大臣とは、去年、安全法制の議論で非常に大事な議論をさせていただきまして、ありがとうございました。

 そういった意味で、細かい法案の議論は実は午前中に、防衛省の職員の方、役所の方と細かいところ、労務費の話とかをさせていただいたので、もう少し大きい議論を、十分しかございませんので、させていただきたく存じます。去年もなかなか、法案のテクニカルな話も多くて、大きな話ができなかったので、させていただきたいんですけれども。

 午前中、外務大臣にもお伺いした話なんですが、もちろん、日米同盟というのは、日本の外交の基軸であって、そもそもこれが一番大事な防衛上の根本の部分にあるというのは、私も疑いはないと思っていますし、大臣も御同意されると思います。それは外務大臣もそのようにお答えになっておりました。

 しかし、自国の防衛を自国でできるようになるべき、自国で守れるようにするべきかどうかという議論というのが、ずっとこの戦後の中で、日米安保の関係、そして戦後の歴史の関係の中で揺れ動いてきたのがこの国の防衛であって、一方で、それが現実として、いろいろな理由で、それはコストの問題もあります、今申し上げた歴史的な背景もありますし、何よりも現実的な極東の今の軍事情勢を見てみれば、残念ながら、我が国一国でという難しい地政学的な状況もあるから、いろいろな理由もあるだろうというのが私自身も考えるところなんです。

 こうした中で、難しいというのはもちろんわかっています。しかし、自国のことは自国で守れるようにしていくんだという考え方、防衛のあり方というのは、国として基本の部分にあるべきものだというふうに私は考えるんですけれども、このことも含めて率直に、もちろん日米安保をないがしろにしろと言っているわけじゃ絶対ありません、基本的でございますし大事なところでございます。しかし、その根本の部分に自国防衛というのをどのようにお考えになるのか、防衛大臣、率直なお考えをお聞かせいただけますか。

中谷国務大臣 日本の防衛におきまして、戦後は、日本の憲法をもとに日本の国を守るということがずっと考えられました。そして、主権を回復しまして、自衛隊ができて、ちょうど昭和三十二年ごろに国防の基本方針という政府の方針が発表されました。

 これによりますと、まず、日本の国の安全。これは民生の安定ということで、国民生活をしっかりすることによって、しっかりまず内政を安定させる。そして外交。外交によってしっかりと国と国との関係をよくしていこう。そして自衛隊。自衛隊を持ちまして、我が国の防衛の組織力、これを充実させて整備していこう。そして、本来でしたら国連が機能すればいいのにもかかわらず、国連が機能できていないということで、日米安全保障条約を結んで、日米同盟によって日本の安全を確保するというような方針がなされております。

 現在もこういった方針によって日本の国をしっかり守っていくわけでございますが、やはり、直接侵略、間接侵略、こういうことがございますので、脅威が及ぶ場合におきましては、これをしっかり排除できる、そういう意思と能力を持ちながら、自衛隊もいろいろな場面で、陸海空、それぞれの場面をもって、しかるべき機能を発揮して国の防衛をしているというふうに認識しております。

丸山委員 御回答ありがとうございます。

 残念ながら、国連が、常任理事国に拒否権がある関係で、有事のときに必ずしも機能するかどうかわからないというものが、現状の日本が囲われている状況でございます。

 そうした中で、歴史を見ても、一番近いものだと、かつての戦争のときに、日ソ不可侵の条約が急遽破られて北方領土に侵攻してきたとか、同盟をいかに結んでいても、国際情勢の中であっと驚くような動きがあることも十分想定して国益を考えていかなければなりません。

 根本の部分で、日米同盟を深化させていく、手を握っていくのは揺るぎないものだというのは根本にあります。しかし、やはりあらゆることを国としても考えていく必要があると思うんですが、防衛省として、有事の際、例えば武力攻撃事態に陥ったときに、政治情勢などによって万が一米軍の助力が得られない、例えば軍が来られない、そういった場合の想定というのはされているものなんでしょうか。お伺いできますか。

中谷国務大臣 先ほど申し上げましたように、我が国の安全保障は、日米安全保障条約と自衛隊の組織力をもって対応しているわけであります。

 米国との関係は、やはり民主主義という価値観を共有いたしておりますし、また、強大な軍事力を有する米国でありますので、この同盟関係を維持していくということは、抑止力が維持をされるということ、そして、我が国が適切な防衛力を保持することによって、すき間のない体制が構築できるということでございます。この日米同盟というのは我が国の安全保障にとって不可欠な存在でございますので、こういった日米同盟の抑止力と対処力、こういうものを持ちまして、それを強化することによって日本の安全保障を確固たるものにしていこうという方針に変わるものはございません。

丸山委員 十分理解しているんですが、抑止力としてそもそも日米同盟がある、しかし、有事の際に万が一米軍が出てこられない、そんな状況も想定されているのかどうかというのはどうですか。

中谷国務大臣 そのような想定やシミュレーション、そういうものは実施しておりません。基本的に、自主防衛をもって対するというようなことは検討しておらず、やはり、どの国も一国のみで守ることはできない時代でございますので、我が国の安全保障の基軸というのは日米同盟、日米安保条約、これを基軸として考えております。

丸山委員 重ねて、今有事の話をお伺いしたんですけれども、平時の際に、もし仮に、日米同盟がなかった、もしくは日本のみで守る場合は軍事費が膨大になるという議論をよくされるところなんですけれども、有事ではない平素の場合に、自国のみで防衛するようなシミュレーションとか、予算規模を算定したようなこともないということでよろしいんですか。それとも、平素のはあるんでしょうか。

中谷国務大臣 平時の防衛と申しますけれども、これはやはり有事を念頭にそういった事態に備えるということで平時の防衛が成り立っているわけでございまして、そういうもので申し上げますと、自主防衛体制を目指して米軍が有するような装備を全て日本が保有をする、そういったことになりましたら、やはり防衛費が著しく増加するということは目に見えているわけでございますし、また、一般的な国際情勢を見ましても、日本単独で防衛をするということは、必ずしも現状よりいい結果が出ることではないというふうに予見をいたしております。

丸山委員 事実ベースとしてお伺いしたかったので、しっかり御回答いただけたと思います。現時点では、平時においても有事においても、基本、米軍なしに日本を守るということは想定していないということでございます。現状を考えて、米軍が来ない、米軍と日米同盟がないという状況は考えられないと思います。

 そういった意味であれですけれども、しかし、将来にわたってこれが必ずずっと続くのかというのは、誰も未来を読めるものではありませんし、そして根本の意識のところに、やはり自国は自国で守れるようにというのはあるというお話が最初にありましたので、そういった意味で、シミュレーションを何が何でもしちゃいけないというわけじゃないと私は思いますので、しっかりと省内でやっていただいて、将来に向けてこの国がいやさかに、国民の生命財産をきちんと守れる防衛力を持つということをしっかりやっていただくようお願い申し上げまして、私の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 改革結集の会の小熊慎司です。

 午前中もいろいろ議論をさせていただいてまいりましたけれども、この日米同盟の強化ということは、これは党派を超えて、必要だというのは、これまでの質疑の間でも出てきた意見でもあります。

 今の丸山議員のも、なるほどなと思いました、自国は自国で守るという。でも、日本は今、アメリカの核の傘の下にあるということでもありますから、核ということを考えれば、またいろいろ慎重な議論をしていかなければ、間違った国際的なイメージを出してしまうところもあります。

 この日米同盟の深化、そしてまたこの日本の防衛、また周辺地域の安全といったものも取り組んでいながら、そこには、これまで戦後の中で、沖縄の基地の負担というのはやはり大きなものがあって、負担を沖縄は一身に背負っている部分もあります。

 今回の協定についても、これはまた細かな点は別ですけれども、日本の防衛、また日米同盟の深化といったものを進めていく上においてもやはり外せないのは、沖縄の負担軽減ということを進めていかなければ、沖縄はもとより日本全体の防衛に対する国民的理解というものが高まっていかないというふうに思います。

 今回の協定の件について、改めて、今後、こうした中で沖縄の負担軽減といったものにどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

中谷国務大臣 沖縄の基地負担軽減、これは、政府として、今まで、できることは全て行うということで、目に見える形を残そうということで取り組んでまいりました。例えば、統合計画をつくりまして、特に嘉手納以南の基地返還等につきましても、西普天間、またインダストリアル・コリドーの道路など、実現ができたものもございますし、飛行機を移転させるなどいたしております。

 こういう、目に見える形で取り組んできておりますが、今回の特別協定に関しましては、訓練の負担を軽減することを目的としまして、一〇四号線越えの実弾射撃訓練の分散実施、また嘉手納飛行場等からの飛行機の訓練移転などを実施しておりますが、これらの施策は、特別協定の第三条に基づいて、訓練移転の追加に必要となる経費を負担してきておりまして、沖縄の負担軽減に十分資するものであるというふうに考えております。

小熊委員 時間がないので最後に指摘させていただきますけれども、この後質問するデニーさんとも常々お話をするんですが、福島も国策でつくった原発で事故が起きて、今大変な状況になっていますけれども、こういうときも、安全と安心というのは違うという話題があります。

 そういう意味で、沖縄の人たちも理解と納得というのがやはり別に存在していると思うんです。いろいろな理屈、正論というのもあるとは思うんですけれども、やはり、心に納得感が出るような接し方、対応の仕方をしないと、単に理路整然とやったところで、それは沖縄の人の納得というのは得られないというふうに思いますので、これはしっかりと、沖縄の方の心に配慮するというようなアプローチの仕方も、今後、より一層やっていかなければいけないというふうに思いますので、その点を指摘しまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 防衛大臣に伺います。

 三月十三日に、この間長く辺野古のヘリ基地に反対するヘリ基地反対協議会が声明文を発表しています。「辺野古代執行訴訟「和解」に際し、新基地建設問題の真の解決に向けた声明」です。

 一部読み上げます。

  三月四日、安倍政権が沖縄県知事を訴えていた辺野古代執行訴訟で「和解」が成立した。

  しかしながら安倍首相は、「和解」受け入れの発表と同時に「辺野古が唯一の解決策」との姿勢を改めて強調。わずか三日後の七日、国土交通大臣は是正措置を指示した。協議も始まらないうちの強権発動は、政府の言う「和解」が、県民の声に真摯に耳を傾けることではなく、代執行訴訟における政府の敗訴を避け、今後の訴訟を有利に運んで新基地建設を促進させるための方便であることを明らかにした。

  政府と県が「円満解決に向け協議する」ためには、最低でも次のことが前提となると私たちは考える。

 一 東京警視庁機動隊、海上保安庁、海・陸における民間警備会社の撤退

 二 キャンプ・シュワブ作業ゲート前の警備車両および波型鉄板の撤去

 三 辺野古・大浦湾の臨時制限区域の撤廃

 四 フロート、オイルフェンスおよびトンブロックの撤去と作業台船の撤退

 五 陸上におけるすべての新基地建設関連工事の中止

  政府が以上を真摯に実行することを私たちは要求する。それなくして「和解」も「円満解決」もあり得ないことを安倍政権は認識すべきである。

 大臣から、この声明に対する現況の説明と今後の予定を伺います。

中谷国務大臣 三月十三日にヘリ基地反対協議会の声明につきまして発表されまして、その内容は拝見をいたしております。

 政府の姿勢でございますけれども、今回和解をいたしましたので、和解条項にのっとって誠実に対応してまいる所存でございます。

 是正措置につきましても、これは和解条項に書かれておりますが、そのほかにも、第二項で、国は埋立工事を直ちに中止するとありまして、防衛省といたしましては、埋立工事を直ちに中止することといたしております。その他、ボーリングの調査、キャンプ・シュワブ陸上部における工事など、各種の現場の作業も現時点では中止をしている状況でございます。

 今後の対応につきましては、和解当事者間の認識に異なることがないように和解条項の内容をよく確認した上で、適切に対応してまいる考えでございます。

 また、沖縄県との協議につきましては、沖縄、政府との間で政府・沖縄協議会の枠組みがございます。事務方による協議、知事と閣僚との協議、これを適時実施することとなっておりまして、こういったものを通じまして、沖縄県の皆様方と率直に意見の交換もいたしまして、政府という立場におきましては、改めて丁寧に説明をしながら、理解をいただけるように粘り強く取り組んでまいる次第でございます。

玉城委員 あくまでも、基地建設のための工事。フロート、それからオイルフェンス、トンブロックは仮設のものです。工事がとまっている以上、それを全て撤去して、工事が行われていないということを明確に示すべきではないかと思います。

 その点について、改めて大臣には申し入れておきたいと思います。

 さて、三月十二日の日本経済新聞に、一日の午後、谷内正太郎国家安全保障局長がライス大統領補佐官と面談していることが記事に載っています。いろいろな話をした中に普天間の問題がありました。

 和解勧告を受け入れた総理は、三月四日、官邸に中谷元防衛大臣や岸田文雄外務大臣ら関係閣僚を集めて話をしていますが、首相がこだわった言葉は不可逆性だというふうに言われています。不可逆性、言いにくいんですが、不可逆性を担保できるならそれでいこうということは、つまり、後戻りしない、普天間が唯一の解決策であるということを前提に和解案を受け入れたということにほかならないのではないかと思います。これでは和解になりません。

 和解の意味は、争いをやめること、それから、解決に到達することで法的闘争を終わりにすること、合意に達すること、仲直りをすること、心からの関係を再構築する、そして相違を解消することとあります。

 和解の意味を踏まえて、この不可逆性の持っている意味、大臣もその立場にいるということになりますでしょうか。

中谷国務大臣 まず、報道の内容が正確であるかどうか、それを前提とした御質問にお答えすることは困難でありますが、その上であえて申し上げるとすれば、国と沖縄県が延々と訴訟合戦を繰り広げるような関係のままで、結果として膠着状態が続きまして、普天間の基地がさらに長く長く固定化をされているということにつきましては政府としても耐えがたいことでございまして、国としては、一刻も早く普天間飛行場の危険性の除去が実現できるように考えております。

 そこで、今回、和解という決定を踏まえまして、総理のリーダーシップのもとに沖縄県との間で和解の手続に従ってこれから対応していくということで、和解条項八項におきましても円満解決に向けて協議を行う旨が示されております。政府・沖縄県協議会の枠組みを利用しつつ、適時協議を実施いたしまして、御理解がいただけるように強く取り組んでまいりたいと考えております。

岸委員長 玉城君、時間が来ております。

玉城委員 時間が来ましたので質問を終わらせていただきますが、できることは全てやるというのが安倍総理の言葉ですので、五年以内の運用停止、まずそれはすぐできることですから、そのことに向けて努力をしていただくよう申し上げまして、質問を終わります。

 ニフェーデービタン。ありがとうございました。

岸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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