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第13号 平成28年5月11日(水曜日)

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平成二十八年五月十一日(水曜日)

    午後三時十五分開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 島田 佳和君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 橋本  岳君 理事 小熊 慎司君

   理事 武正 公一君 理事 岡本 三成君

      井上 貴博君    小渕 優子君

      大野敬太郎君    城内  実君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      佐々木 紀君    鈴木 隼人君

      辻  清人君    松島みどり君

      三ッ矢憲生君    山田 美樹君

      大島  敦君    吉良 州司君

      篠原  豪君    寺田  学君

      長島 昭久君    笠井  亮君

      丸山 穂高君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   外務大臣政務官      山田 美樹君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   相川 一俊君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (財務省主税局参事官)  田中 琢二君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    川嶋  真君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 吉野 恭司君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  薗浦健太郎君     井上 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     薗浦健太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長相川一俊君、北米局長森健良君、財務省主税局参事官田中琢二君、国税庁課税部長川嶋真君、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官吉野恭司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。小熊慎司君。

小熊委員 民進党の小熊慎司です。

 アメリカのオバマ大統領の広島訪問が正式に決定したということは大変喜ばしいことだというふうに思いますし、これも岸田大臣初め外務省のこれまでの努力のたまものかなというふうに思います。それも、外務省が先月発表した外交に関する世論調査によると、岸田大臣の外交活動について、評価する、どちらかといえば評価すると回答した人が八七%を超えるという、安倍総理の支持率よりもめちゃくちゃ高いという、次期総理も決まったのかなと思うぐらいの、外務省自前の調査ですからお手盛り感もあるという指摘もありながら、さはさりながら、これは、党派を超えて外交をしっかり見てみると、そうした努力のまた一つが今回のオバマ大統領の訪問決定ということだというふうに思います。

 アメリカとしては、これは謝罪をするという機会はないというふうにも言っているところではありますけれども、改めて、オバマ大統領の広島訪問の意義についてお伺いをいたします。

岸田国務大臣 今回のオバマ大統領の広島訪問ですが、まずは犠牲者を追悼するとともに、核兵器のない世界を目指すという国際的な機運を盛り上げるという意味で、極めて重要で、歴史的な訪問になると受けとめています。日本政府としても歓迎させていただいています。

 昨年のNPT運用検討会議、五年に一度の核軍縮・不拡散における大変重要な国際会議においても、核兵器国と非核兵器国が鋭く対立をして、成果文書も採択できなかった、こういった残念な思いもいたしました。

 国際的に、核兵器のない世界を目指すという機運がしぼんでいると言われている中にあって、ぜひ今回の訪問を、再び国際的な機運を盛り上げる、反転攻勢に転じるよい機会にできればと、心から期待をしております。

小熊委員 過日の委員会でも、核不拡散、どうやって世界的な世論をリードしていくんだというお話もさせていただきましたけれども、まさに今回のオバマ大統領の訪問がそういったものに加速をしていくことになるように、ぜひ成功に終わっていただきたいというふうに思います。

 また一方で、さはさりながら、歴史的な背景というのも、やはりこれは、いろいろな国内外からも焦点が当たるというふうに思います。歴史上初めての訪問というふうになるわけでありますし、そもそも、民間レベルでは、これは早く実現すべきだと提案されていた方が多数いらっしゃいました。例えば、そのときは、日本の首相がハワイのアリゾナ記念館に献花をして、それで相互的な役割を果たすというような提案もされていたところでありますけれども。

 一応確認ですが、今回の広島訪問と、いずれの日か日本の首相がハワイに行って献花をするということは、バーターというか、そういうことは話し合われたということはないという確認をさせていただきたいんですけれども。

岸田国務大臣 今回のオバマ大統領の広島訪問は、被害者の方々を追悼するとともに、核兵器のない世界を目指すという強いメッセージを発することになると考えています。多くの被爆者の方々の思いも、こうした被爆の惨禍を二度と繰り返さないというところに強くあると認識をしております。

 未来に向けて二度とこうした惨禍が繰り返されない、そして、未来に向けて核兵器のない世界を実現しようというこの高い理想に向けて、日本もアメリカも多くの国々とともに努力をしていく、こういった思いを示す、これが今回の訪問で最も重要な点であると考えます。

 それ以外に何かいろいろ御指摘がありましたが、今申し上げたことが最大の目的であると認識をしております。それが最も大事なことだと考えます。

小熊委員 広島のところに石碑があって、二度とこうした過ちは起こさないというのが、主語がはっきりしていないわけでありますけれども、それはまさに、全世界として、全世界の人々がそれを共有する、二度とああいう過ちを起こさないというのを共有するために特定の主語がなかったんじゃないかなと私は受けとめているわけでありますけれども、今回のオバマ大統領の訪問は、そういう共有をできるようなきっかけにしていただきたいと思います。

 ただ、今、被爆者またその遺族たちのことも言及されましたけれども、そういった方々の心情をおもんぱかれば、やはり、歴史的なものもどうだったのかということもあわせて、本来は考えなければいけないというふうに思います。

 残念ながら、アメリカにおいては、多くのアメリカの国民は、あの原爆を落としたから戦争が終了したんだ、それ以上戦う気が日本がなくなったからあれは必要なことだったんだ、そういうふうに解釈をしているアメリカ国民が多いという、アメリカ国内での世論調査のデータもあるわけであります。決してそういうことではないというふうに私は思いますし、事実としてそういうことは日本のいろいろな資料からも確認はできない。原爆が落とされようと落とされまいと、終戦に向けての努力はそれぞれそのときしていたわけでありますから、そうした間違った歴史観というのも正していくきっかけにも、少し努力をしていただきたいなというふうに思いますし、やはり、そういう積み重ねが国際社会の中での共通の歴史認識の積み上げになってくるというふうに思います。

 なかなか、歴史認識というのを正すのには大変な時間もかかりますし、一朝一夕にはいきません。私の地元会津も委員長のところの長州も、いまだに和解はしていないわけでありますよ。だけれども、例えば萩の市長が会津若松市にお越しになったときに白虎隊の墓にお参りをする、そういうのを重ねていただくということで、またいろいろな歴史的な友好が図られるという、地道な努力が必要で、我々の歴史、戊辰戦争の歴史はまだ百四十八年。

 戦後七十一年ですから、まだまだそうした、まさに努力のスタートであるというふうに、そのスタートを切っていただくオバマ大統領の広島訪問が実現したということは本当にいいきっかけになるというふうに思いますので、いろいろな、核不拡散だけではなくて、そうした歴史的なものの課題も解決する一つのきっかけとして捉えて、成功に導いていただきたいということをお願い申し上げ、次の質問に移ります。

 いわゆるパナマ文書についてでありますけれども、これは世界に激震が走りました。ある意味では史上最大の内部告発と言っても、歴史上類を見ない膨大な量で、しかも同時発信をされたということを考えれば、世界的な大きな問題だというふうに思います。

 タックスヘイブンについては、これまでも、各国でもいろいろな問題として挙げられていながら、しっかり対応してきたのかといえば、努力はしていたんでしょうけれども、なかなか結果が追いついていなかったというふうに思います。

 まず初めに、タックスヘイブンについて、租税回避についてのこれまでの取り組みと、また、今回のパナマ文書をきっかけに課題が浮き彫りになりましたから、今後さらにどうしていかなきゃいけないのかという点をお伺いいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるパナマ文書に関連しました国際的な課税逃れが事実であるとすれば、課税の公平性を損ない、納税者の信頼を揺るがす大きな問題であると、まずは認識しております。

 外国子会社を利用しました課税逃れを含めまして、国際的租税回避や脱税の防止につきましては、これまでBEPSプロジェクトにおける対策、さらには非居住者に係る金融口座情報の税務当局間の自動的情報交換に関する国際基準の策定等、国際的な連携をとってきているところでございます。

 先月ワシントンで行われましたG20、財務大臣・中央銀行総裁会議におきましても、いわゆるパナマ文書に関連いたしまして、課税逃れや不正資金の流れへの対抗策につきまして議論が行われまして、G20が推進してきましたBEPSや非居住者の金融口座の自動的情報交換を、より多くの国が着実に実施することの重要性が確認されたところでございます。

 また、日本におきましても、外国子会社合算税制等につきまして、これまで必要に応じて適切に改正を行ってきたというふうに認識しております。

 今後とも、BEPSプロジェクトにおける対策等の租税回避や脱税の防止に向けた国際的な連携も踏まえつつ、適正かつ公平な課税の実現に向けて検討を行ってまいりたいというふうに存じております。

小熊委員 これは、情報公開されたのがまだ時間がそうたっておりませんので、膨大な量ですし、しっかり精査をしなければなりません。

 ただ、これは世界的に大きな騒ぎ、問題になっていますけれども、とどのつまりは、金持ちばかりが得をして真面目な納税者が損するのじゃないかと。結局、本来納めていただくべき税金が納まらなくて、税収が足らないから増税をする、真面目な人ほど負担感が募る。そうじゃないという部分もあるかもしれないけれども、不信感、不満といったものがすごく増大したと思うんですね、各国において。

 まずやるべきことは、しっかりこれを調査することです。この膨大な量の中で、日本は二百近くある国と地域の中でいうと、件数は五十番目にも入っていないです。今回のパナマ文書の中では、先進国の中では日本は件数が比較的、日本人じゃないか、日本の法人じゃないかと言われているものをカウントすると四百数件しかありませんから、国際的には数としては少ない国になっていますけれども、それでも、今さまざまなメディアの報道の中でいうと、やはり普通の国民の人たちは、どうなっているんだ、何かうまいことやっている人がいるんじゃないかという疑念を持っています。

 ですから、まずはしっかりこれを調査しなければいけないというふうに思います。その中に不正な租税回避があったのかどうか、なかったとしても、しっかりそれも説明しなきゃいけないと思うんです。まず、どういうふうに調査をして対応していくのか、お伺いいたします。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるパナマ文書につきましては、国際情報ジャーナリスト連合が五月十日に、その内容のうち、いわゆるタックスヘイブンに設立されました法人に関連する個人や企業の名称等を公表したものと承知しておりまして、国税庁としても関心を持っているところでございます。

 ただ、先生からどのように調査をするのかというお尋ねでございましたけれども、いわゆるパナマ文書に記載されました個別の納税者に関しまして、税務調査等、税務当局として具体的な対応をお答えすることにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。

 また、一般論として、国税庁におきまして国際的な租税回避についてどう対応しているかについて申し上げますと、国際的な租税回避事案への対応を専門に担当する部署を設置するなど、調査体制の充実を図りますとともに、租税条約等に基づく情報交換や国外送金等調書等の資料情報を積極的に活用するなど、あらゆる機会を通じて情報収集を図り、税法に照らし、問題がある取引が認められれば、税務調査を通じまして事実関係を的確に把握した上で、適正、公平な課税の実現に努めているところであり、今後とも努めてまいる所存でございます。

小熊委員 関心を持っているということを、おかたい国税庁にしてはちょっと踏み込んだ発言かなと思いますけれども、しっかりこれは調査をしていただきたいと思います。

 冒頭述べましたように、タックスヘイブンによる租税回避というのは、別にパナマ文書だけではないわけですね。今回これが内部告発で明らかになりましたが、でも、この際、ほかのタックスヘイブンによる租税回避がなされているのかどうかということも、今現時点で調べられる材料、情報で、ほかのところもこれは調査すべきじゃないですかね。パナマ文書だけじゃないわけですよ、実際の租税回避が行われているのは。パナマ文書以外のところに対する関心の度合いというのは、国税庁、どうですか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、諸外国を利用した租税回避というものについてどう対応していくかということでございますけれども、租税条約等に基づきます情報交換、あるいは国外送金等調書、さらには国外財産調書というものも導入されましたので、そういったものを使いまして情報収集を図りまして、税法に照らして問題がある取引等が把握されれば、適正、公平な課税の実現に努めるということでございます。

 それから、今後、自動的情報交換ということで、金融口座の情報交換という制度が始まりますが、そういった新たな制度というものを使って、より、そういった租税回避的なもので問題のある事案についての適正、公平な課税の実現というのに努めていきたいというふうに考えております。

小熊委員 今回、この問題に関しては我が党も特別チームを立ち上げて、昨日も来ていただきましたけれども、その中の説明をちょっとお聞きしていて、少し認識が、ちょっともう少し厳しく持っていただきたいなと思ったのは、これは適法か違法かという、これは違法であればちゃんと取り締まっていただくんですが、適法だからオーケーだということではないと思うんですね。今回の租税回避、適法であったとしても、先ほど冒頭申し上げましたように、金持ち、大企業だけがうまいことやって、ほかの人たち、普通の人たちは損をするというか、ばかを見るみたいな、そういう構図になっているわけですよ。

 だから、このパナマ文書に関して、オバマ大統領も、今回のこれは大きな問題ですと。大きな問題というのは、ほとんどのこのケースが違法ではなくて適法なんだ、適法のようにこういう租税回避が行われているというのは大きな問題だという認識なんですね。そういう認識に立つのか。単に、法律上オーケーであれば租税回避もしようがないですねというところでとどまるのか。そこで大きな違いが出てくるんです。

 質問いたしますけれども、今回、とにかくこのパナマ文書で納税者の意識をかなり低下させました。これを払拭して、納税の意識を高めていくための努力というのをこれからしていかなきゃいけないんです。

 では、どういうふうにそれを、納税感が低下したところを払拭していくというところのスタートラインに立つのは、適法か違法かということで単純に割り切るのではなくて、適法であってもこれは問題だよねという意識に立つのか立たないのかで、この先が変わるわけです。そうした意識をどう持っていますか。適法であっても、大きな問題として捉えるのか捉えないのか、法的にはそれは問題がないというのは、それはそうでしょう。だけれども、適法なんだけれども、租税回避という問題は解決しなければいけない課題なのかどうかという問題意識を持っているかどうかです。そこは重要な点ですよ。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 租税回避行為につきましては、非常に重大な問題だというふうに認識しておりまして、それがBEPSプロジェクトがスタートしたきっかけでございます。

 BEPSプロジェクトは、和訳いたしますと、税源侵食と利益移転ということでございまして、これは、今までの法制度のもとでは合法だけれども、意図的な、行き過ぎた租税回避行為に対しては、やはりこれは制度の問題があるだろうということで、当局側が協力をして、しっかりと国際的な制度の調和を図ろうというふうに努力をしてきたものでございます。

 したがいまして、今委員御指摘の、租税回避行為を問題と考えているのか考えていないのかということにつきましては、国際的に一致して、これは問題であるというふうに考えて、このBEPSプロジェクトを推進してきたところでございます。

 一方で、また、富裕層等が海外の金融機関に預けている金融資産を把握できるために、自動的情報交換という制度を、これは何年もかけまして、ようやく二〇一七年、一八年から情報交換がスタートできる、日本の場合は二〇一八年からですが、そういう法的な手当てをしてまいったところでございます。

 したがいまして、BEPSプロジェクト及び自動的情報交換におけます対応等を適切に実施することは、委員御指摘の御懸念に応えるものというふうに考えておりまして、租税回避や脱税の防止に向けた国際的な連携を踏まえまして、適正かつ公平な課税の実現に向けた検討、実施を行ってまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 ですから、ここは外務省も努力をしていただきたいところです。

 富裕層がこうやって税金逃れをしていく、その後、中小企業や一般国民の皆さんにしわ寄せが寄っていく、国家財政が細っていく。法の秩序が崩れていくわけです。積極的平和外交、法の秩序、そういったものも価値観を共有していくという立場でやっているわけでありますから、今回のこのパナマ文書の問題を契機に、これは各国でも問題になっているわけですから、そういったものを加速させていかなければいけませんし、今回、違法かどうかだけではなくて、この仕組み、構図の実態解明をしっかりとした上で、そうした租税回避の問題解決の努力をしていく。

 また、これは過去にも提言されたりいろいろしていますけれども、租税回避を何とか抑止をしていくといっても、一〇〇%できるというのも現実難しい部分もあります。今、いろいろな多国籍な企業もふえてきている、民間レベルでもいろいろな経済交流が行われているということを考えれば、租税回避ということに対する一つの抑止策というか、しっかり税金を、納めるものを納めていただくという手段の一つとして、国際的な連帯税を各国に呼びかけて導入していこうという、まさに今回のパナマ文書を、ピンチをチャンスに変える一つのきっかけとして、議論を高めていって取り組んでいくべきだというふうに思います。

 ここは、外務大臣どうでしょうか。

岸田国務大臣 まず、先ほど来の議論を聞いておりまして、納税のシステム、国レベルだけではなくして国際的にも調和をとらなければならない、こういった大きな考え方があるということを改めて感じました。

 そして、その具体的な方策として国際連帯税というものもあるのではないか、こういった御指摘ですが、国際連帯税については、日本国内においても大変大きな議論が行われてきました。ただ、今現在、まだ結論にまでは至っていない、議論が続いているテーマであると認識をしています。

 ぜひ、こうした議論の意義や重みもしっかり感じながら、議論の行方をしっかりと注視していきたいと思いますし、その議論の方向性の中で、外務省としましても適切に対応していかなければならないと考えます。

小熊委員 国によって税制が違うというのは、どこかすき間ができてしまうと思います。そのすき間を埋めるには、やはり国際的な連帯税という選択肢が、まあ魔法のつえではありませんけれども、やはりそのすき間をカバーする一つの政策だというふうに思いますので、ぜひ今回、この事件を契機に、より具体的に検討していただきますようお願い申し上げます。

 まずは、とにかく実態解明を徹底的にやっていくということです。これは正直者がばかを見るような事件、事象の一つでした。これは許されざるべきことなんです、合法であったとしても。まずはこれを、今、世の中でも、マスコミの皆さんでも我々もいろいろ調べていますけれども、まだ実態解明がなされていません。これはぜひ、財務省も国税庁もしっかりと実態解明をしていく。その上で、それもしっかり情報公開していただいて、制度を変えていくということにつなげていく。

 まだこれはスタートしたばかりです。日本だけが努力しても仕方ない問題でありますから、外務大臣初め外務省におかれましても、こうした、正直者がばかを見るようなことのない世界をつくっていく。これを放置しておけば、結局は、我が国の財政も破綻をしていく。法秩序も崩壊していく。アリの一穴になりかねません。ぜひ積極的に取り組んでいただきますようお願いをして、次の質問に移ります。

 先日、プルトニウムの件についても、ちょっとこの委員会で質問しましたけれども、二〇一八年、二年後に、日米原子力協定が満期を迎えます。もちろん、この協定は自動延長手続もありますから、別に書きかえをしなくても、事務的な手続をとればそのままいくわけでありますけれども、やはりこれは、締結された三十年前と今とでは背景が変わっています。御承知のとおり、五年前の東京電力の原子力事故もありましたし、またこのプルトニウムの部分も背景が大分変わりました。再処理についても期待されていたものがなされていない、ただ単に積み上がってきてしまっているということもあります。

 ですから、やはりこれは単なる自動延長ではなくて、ただでさえ国際的にプルトニウムを持ち過ぎというふうに指摘を受けているところでもあるわけでありますから、二年後に向けて核燃料サイクルの見直しもしなければいけない。その中で、この日米原子力協定をどう取り扱っていくのか。このまま自動延長、自然に自動延長なんですということでは、私はいけないと思うんです。

 この満期を迎える原子力協定について、今、現時点でどういうような検討がなされているのか、お伺いいたします。

相川政府参考人 お答え申し上げます。

 一九八八年に発効いたしました現行の日米原子力協定の当初の有効期限というのは、先生御指摘のとおり三十年ということでございますので、二〇一八年七月十六日までということになっております。その後は、自動的に失効するということではなくて、日米いずれかが終了通告を行わない限り、そのまま存続するということでございます。

 日米原子力協定につきましては、我が国の原子力活動の基盤の一つをなすものであって、政府として極めて重要であると考えておりまして、政府といたしましては、こうした協定の今後のあり方、それから不拡散の観点、こうした日米原子力協定に関するさまざまな課題について、アメリカとの間で緊密に連携しておりますし、これからも緊密に連携していく考えでございます。

小熊委員 ここは、ぴしっとプルトニウムの問題をやらないと、韓国はアメリカと、同じ同盟国でありながら、米韓原子力協定には、プルトニウムを再処理できないようになっているわけですよね。そうすると、日本とアメリカとの関係だけではなくて、国際的な中で、プルトニウムの再処理をどうするのかというのを改めて仕切り直してこの原子力協定を捉えなければ、国際的な理解は得られませんから。

 あと二年はあるわけでありますけれども、ぜひ、今言った答弁よりもっと踏み込んで、もう三十年前と核燃料サイクルの政策の背景は変わっていますから、それを踏まえた上で取り組んでいかなければ、国際的な理解も国民の理解も得られないというふうに思います。核不拡散の話も今出しましたけれども、そればかりではだめなわけですよ。このプルトニウム問題も解決しなければならない。

 ぜひ、岸田大臣、岸田外交八七%も評価されているわけでありますから、ぜひその期待を裏切らないように、核不拡散だけではなくて、このプルトニウムの問題も積極的に解決できるように取り組んでいただくことを御期待申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

岸委員長 次回は、来る十三日金曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十五分散会


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