衆議院

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第9号 平成13年4月10日(火曜日)

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平成十三年四月十日(火曜日)

    午後二時三十一分開議

 出席委員

   委員長 堀込 征雄君

   理事 木村 太郎君 理事 岸本 光造君

   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君

   理事 小平 忠正君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君

      相沢 英之君    岩倉 博文君

      岩崎 忠夫君    金田 英行君

      上川 陽子君    北村 誠吾君

      倉田 雅年君    栗原 博久君

      七条  明君    園田 博之君

      高木  毅君    谷田 武彦君

      西田  司君    浜田 靖一君

      林 省之介君    福井  照君

      古賀 一成君    佐藤謙一郎君

      鮫島 宗明君    津川 祥吾君

      筒井 信隆君    永田 寿康君

      楢崎 欣弥君    三村 申吾君

      江田 康幸君    高橋 嘉信君

      中林よし子君    松本 善明君

      菅野 哲雄君    山口わか子君

      金子 恭之君    藤波 孝生君

    …………………………………

   農林水産大臣       谷津 義男君

   農林水産副大臣      松岡 利勝君

   農林水産大臣政務官    金田 英行君

   政府参考人

   (水産庁長官)      渡辺 好明君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  小島 敏男君     林 省之介君

  後藤田正純君     倉田 雅年君

  高木  毅君     谷田 武彦君

  後藤 茂之君     鮫島 宗明君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     後藤田正純君

  谷田 武彦君     高木  毅君

  林 省之介君     小島 敏男君

  鮫島 宗明君     後藤 茂之君

    ―――――――――――――

四月五日

 水産基本法案(内閣提出第七五号)

同月九日

 漁業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七六号)

 海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)

同月五日

 激増する輸入野菜に対する緊急輸入制限措置の発動に関する請願(中林よし子君紹介)(第一一三二号)

 国民の食糧と地域農業を守るための緊急対策に関する請願(中林よし子君紹介)(第一一三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水産基本法案(内閣提出第七五号)

 漁業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七六号)

 海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)




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     ――――◇―――――

堀込委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、水産基本法案、漁業法等の一部を改正する法律案及び海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣谷津義男君。

    ―――――――――――――

 水産基本法案

 漁業法等の一部を改正する法律案

 海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷津国務大臣 水産基本法案それから漁業法等の一部を改正する法律案及び海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明をさせていただきます。

 水産基本法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の水産政策は、これまで、昭和三十八年に制定された沿岸漁業等振興法に示された方向に沿って、他産業と比べて立ちおくれていた沿岸漁業及び中小漁業の発展とその従事者の地位の向上を図ることを目標として展開され、関係者の多大な努力もあり、漁業の近代化、生産の効率化等に一定の成果を上げてきたところであります。

 しかしながら、我が国経済社会の変化や国際化の進展等の中で、我が国水産をめぐる状況も、国連海洋法条約の締結や日韓及び日中の漁業協定の発効等による本格的な二百海里体制への移行、周辺水域の資源状態の悪化等による我が国漁業生産の減少、漁業の担い手の減少と高齢化の進行等、大きく変化しております。

 水産業や漁村に対しては、こうした諸情勢の変化に的確に対応し、国民に対する水産物の安定供給を初め、豊かな国民生活の基盤を支えるものとして、その役割を十分に果たしていくことへの期待が高まっており、その期待に的確にこたえていくためには、沿岸漁業等振興法を初め水産政策全般を総合的に見直し、早急に今後の水産政策に関する基本理念の明確化と政策の再構築が行われなければなりません。

 このような新たな政策体系を確立することにより、水産業や漁村が我が国の経済社会において果たす役割を明確にすることができ、漁業者を初め水産関係者が自信と誇りを持つことができるものと考えております。

 また、新たな海洋秩序のもとで、水産資源の適切な管理により水産資源を持続的に利用する新たな政策の枠組みを示すことは、国民の食生活に安全と安心をもたらすとともに、国際的にも我が国が真の水産大国であることを示すことになります。

 さらに、水産資源が適切に管理されなければ枯渇する有限天然資源であることを国民全体で再認識することは、人間と自然、生産者と消費者、都市と漁村の共生にも結びつくものであると確信しております。

 本法案は、このような基本的な考え方のもとに、水産に関する施策についての基本理念と、これに基づく基本的な施策の枠組みを国民的合意とすべく、提案したものであります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、水産に関する施策についての基本理念を明らかにすることであります。

 水産物の安定供給の確保と水産業の健全な発展という二つの基本理念と、国及び地方公共団体の責務等を定めております。

 第二に、基本計画を策定することであります。

 水産に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、水産基本計画を定めて、施策についての基本的な方針、水産物の自給率の目標、総合的かつ計画的に講ずべき施策を国民の前に示すこととしております。

 第三に、水産に関する施策の基本方向を明らかにすることであります。

 まず、水産物の安定供給の確保に関する施策として、水産資源の適切な保存及び管理、水産動植物の増殖及び養殖の推進、水産動植物の生育環境の保全及び改善等の基本的なものを定めることとしております。

 また、水産業の健全な発展に関する施策として、効率的かつ安定的な漁業経営の育成、水産加工業及び水産流通業の健全な発展、漁村の総合的な振興、多面的機能に関する施策の充実等の基本的なものを定めることとしております。

 第四に、国に水産政策審議会を設置すること等について定めることであります。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 続きまして、漁業法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国水産業は、戦後から高度経済成長期にかけて、沿岸、沖合から遠洋への漁場の拡大と技術の進歩により発展し、国民の重要なたんぱく源である水産物の安定供給の役割を着実に果たしてまいりました。

 しかしながら、現在、本格的な二百海里時代の到来や公海及び外国の排他的経済水域における漁場の制約により、重要性を増している我が国周辺水域における水産資源について、資源状態が悪化しており、また、水産物価格、資源状態等漁業を取り巻く環境が厳しい中で漁業経営が悪化する等、厳しい状況に直面しているところであります。

 このような状況を踏まえ、資源管理の強化、効率的かつ安定的な漁業経営体の育成、漁業権管理の適正化の観点から、所要の措置を講じることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、特定区画漁業権の内容たる区画漁業の見直しについてであります。

 特定区画漁業権の内容たる区画漁業として、新たに垂下式養殖業を規定することとしております。

 第二に、定置漁業等の免許の優先順位における法人形態の追加についてであります。

 定置漁業の免許について、優先順位が第一順位または第二順位とされる法人として、定款に株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定めがある株式会社を追加することとしております。

 第三に、漁業権の分割等における組合員の同意制度についてであります。

 漁業協同組合等は、その有する特定区画漁業権または第一種共同漁業権について分割等をしようとするときは、総会の議決前に、その組合員のうち、当該漁業権の内容たる漁業を営む者であって、当該漁業権に係る地元地区または関係地区の区域内に住所を有するものの三分の二以上の同意を得なければならないものとすることとしております。

 第四に、指定漁業の許可等の特例の見直しについてであります。

 指定漁業の許可を受けた者から、その許可の有効期間中に許可を受けた船舶を使用する権利を取得して当該指定漁業を営もうとする者が、当該船舶について指定漁業の許可等を申請した場合は、当該申請の内容が従前の許可等と同一であるときは、指定漁業の許可等をしなければならないこととすることとしております。

 第五に、広域漁業調整委員会の設置についてであります。

 瀬戸内海連合海区漁業調整委員会、玄海連合海区漁業調整委員会及び有明海連合海区漁業調整委員会を廃止し、新たに、太平洋に太平洋広域漁業調整委員会を、日本海・九州西海域に日本海・九州西広域漁業調整委員会を、瀬戸内海に瀬戸内海広域漁業調整委員会を置くものとしております。

 第六に、漁業協同組合の総会の部会制度についてであります。

 漁業協同組合は、組合管理漁業権である特定区画漁業権または共同漁業権を有しているときは、総会の議決を経て、その地元地区または関係地区ごとに総会の部会を設け、当該漁業権に関し、漁業権行使規則の制定、変更及び廃止等についての総会の権限をその部会に行わせることができるものとしております。

 第七に、経過規定の廃止についてであります。

 定置漁業の免許の優先順位に関する規定の適用について、法人以外の社団を法人とみなす規定を削除することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 続きまして、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 現在、我が国周辺水域における主要魚種四十二魚種八十系群のうち三十三魚種五十三系群について、資源状態が悪化しており、食料の安定供給、水産業の持続的発展のために、資源回復を計画的、総合的に進めることが急務となっております。

 このような状況に適切に対処するため、現行の漁獲量の総量管理制度のほか、悪化している水産資源のように、資源変動が大きい水産資源を早急に回復させるために、新たに漁獲努力量の総量管理制度を創設する等の所要の措置を講じることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、漁獲努力量管理制度の創設についてであります。

 その第一点は、基本計画についてであります。

 農林水産大臣が定める基本計画においては、新たに、漁獲努力量管理の対象となる海洋生物資源ごとに、その動向、対象となる採捕の種類、海域及び期間、漁獲努力可能量、実施すべき施策等を定めることとしております。

 第二点は、都道府県計画についてであります。

 都道府県知事が定める都道府県計画においては、新たに、都道府県別の漁獲努力可能量、実施すべき施策等を定めることとしております。

 また、都道府県知事は、独自に条例で定められた海洋生物資源について、都道府県計画において都道府県漁獲努力限度量等を定めることにより、その保存及び管理を行うことができることとしております。

 第三点は、漁獲努力可能量等を管理するための措置についてであります。

 農林水産大臣または都道府県知事は、漁獲努力量を漁獲努力可能量等の範囲内に管理するため、漁獲可能量等の管理と同様に、漁獲努力量等の公表、助言、指導もしくは勧告、採捕の停止等または停泊命令の措置を講ずることとしております。

 第四点は、協定についてであります。

 漁獲努力可能量等の対象となっている海洋生物資源について、漁獲可能量等の対象となっている海洋生物資源と同様の協定制度を設けることとしております。

 第五点は、漁獲努力量等の報告についてであります。

 漁獲努力量管理の対象となっている海洋生物資源の採捕を行う者は、対象となる漁獲努力量に係る漁労作業を行ったときは、漁獲努力量等を農林水産大臣または都道府県知事に報告しなければならないこととしております。

 第二に、暦年による漁獲量の管理の見直しについてであります。

 現在、一律に暦年方式となっている漁獲可能量について、海洋生物資源の種類ごとにその漁業時期を考慮した方式に改めることとしております。

 以上が、これら三法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

 以上であります。(拍手)

堀込委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として水産庁長官渡辺好明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀込委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田靖一君。

浜田委員 自由民主党の浜田靖一でございます。

 本日は、水産基本法案など水産関係三法案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 これらの法律案につきましては、我が自由民主党内でも長い時間をかけて真剣な議論を重ね、そしてまた関係水産団体や学識経験者とも何回も意見交換をし、ようやく提出に至ったものであります。

 これらの法律案の目的とするところは、水産関係者が自信と誇りを持てるように、水産業をめぐる厳しい現状を乗り越えることのできる水産政策を再構築しようとするものでありまして、一時的には漁業関係者の痛みを伴うことを選択肢の一つとして想定をしておるわけでございます。

 したがいまして、政府におかれましては、法律の効果が早急にあらわれるよう、真剣な取り組みを冒頭お願いをして、質問に入らせていただきます。

 初めに、昭和三十八年に制定された沿岸漁業等振興法が果たしてきた役割と、その後の漁業環境の変化についてお尋ねをいたします。

 沿振法は、日本経済が高度成長を遂げる中にあって、他産業と沿岸、中小企業従事者の所得の均衡を目的として制定され、漁業の近代化を促進してまいりました。これによって漁業者の所得は向上し、漁村の暮らしが豊かになったことは確かであります。

 しかしながら、最近、水産資源の荒廃や漁村の高齢化、過疎化が進み、また輸入の増大によりまして魚価は低迷し、水産物の自給率は低下を続けております。このまま放置しておきますと水産業は衰退をし、漁村が崩壊するおそれもあるわけであります。

 このため、私どもは水産政策の抜本的な改革を行おうとしているところでありますけれども、大きく変化した水産環境の現状に対する認識とともに、沿振法に基づく水産政策ではどのあたりに限界が出てきたとお考えになるのか、まずお答えをいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 御指摘の沿振法でありますけれども、やはり一番大きな変化は資源状態であろうと思います。

 昭和三十八年ごろの日本の沿岸というものは、世界三大漁場と言われるように、豊かな海でありまして、この海からとにかく一生懸命効率よく魚をとれば、その魚が売れて、それによって漁業者の生活水準も上がっていくという前提に立っておりました。

 この結果、漁獲量は、昭和三十五年ぐらいには六百万トン台、これが五十九年には一千三百万トン、それから所得の水準も、勤労者世帯と比べますと、三十五年当時八五%ぐらいであったものが、これは昭和四十八年ですが一三〇%、それなりの効果を上げたわけでございます。

 ただ、やはり一番違ってまいりましたのが資源状態であります。昭和五十二年に二百海里が初めて引かれまして、資源状態は総じて悪化の傾向にあるわけでございます。こういう中で、漁獲高も、それから所得の水準も大きく低下をしてまいりました。これからは資源を適切に保存し管理をする、あるいはふやしていくという時代になっております。

 それから、国民自体も、食生活も含めました豊かな生活を、ゆとりとやすらぎの中で求めております。漁港や漁村に対する期待も違ってきております。

 つまり、沿振法が想定をいたしました発展の方向と現実の間に大きなギャップが生じているということと、それと同時に、これから国民が期待していることに対してこたえられるだけの手法を沿振法では持ち得ていないというのが大きな点であろうと思います。

 こういうことを踏まえまして、この際、総合的に沿振法を見直し、水産の政策を大きく転換するということにさせていただきたいと考えているところでございます。

浜田委員 そこで、新しい基本法の制定の意図と目的についてお伺いをしたいと思います。

 沿振法は、沿岸漁業と中小企業についての基本法的な役割を持っていたと思うわけでございますが、今回の水産基本法は、漁業全般にとどまらずに、加工業を含め、さらには消費者にも言及をするという、法律が対象とする範囲はかなり広くなっているところでございます。

 では、まず、その意図するところ、そしてまた沿振法と新しい水産基本法との具体的な相違点、さらにこの水産基本法に対しどのような役割を期待されているのかについて、お考えを伺いたいと思います。

金田大臣政務官 浜田先生の御指摘のとおりでございます。

 三十八年の沿振法のときの法律の目的というのは、水産業固有の問題として、水産業に従事している方々の他産業従事者並みの地位の向上、経済の安定を図ろうということを唯一の目的としていたわけでございますけれども、今回の水産基本法につきましては、流通、加工、そして消費者のニーズ、そういったものも踏まえながら水産業全体をしっかり振興していこうという趣旨でございます。

 その基本的な目的とするところは、二条ないし三条に書いてありますとおり、「水産物の安定供給の確保」、それと、三条に書いてあります「水産業の健全な発展」、この二つを大きな基本理念として位置づけさせていただいてございます。

 沿振法で漁業者の他産業並みの所得の確保というような点につきましては、この三条に書いております「水産業の健全な発展」という理念のもとで実現させてまいりたいと思っておりますし、今日的にも重要な課題だというふうに考えているわけでございます。

 そのために、基本法におきましては、新法におきましては、資源管理をしていくということで漁家の経営に著しい影響を与えたというような場合のその緩和施策、十三条二項でございます。それから、漁業者の創意工夫を生かした漁業経営のための経営基盤の強化に向けた条件の整備、あるいは漁業共済等で水産物価格の激しい変動について緩和するとか、そういった施策を踏まえながら漁家の経営安定にもしっかり取り組むということでございまして、漁家の皆さん方の生活安定という理念はこの理念のもとで実現してまいりたいというふうに考えているところでございます。

浜田委員 目的とその理念までお話をしていただいて、ありがとうございます。

 それでは、その基本理念のうちの「水産物の安定供給の確保」に関連してお尋ねをしたいと思います。

 新基本法の第二条第二項にありますように、安定供給の確保のためには水産資源の適切な保存と管理が最も重要であります。しかし、この基本理念を現場に徹底するためには多くの問題を克服しなければならないと考えております。

 私が冒頭に申しました漁業者の痛みを伴うというのはこのことでありまして、資源を持続的に利用するためには、現在の漁業体制全体を見直して、どのような漁法でとることが資源や経営を考えるときに一番適切であるのか、そしてまた、不適切な漁業、漁法をどのように整理していくか、生業的な沿岸漁業と効率のよい企業的な沖合漁業とはどう調整していくのか、また、多過ぎる漁業はどのような仕組みで休業あるいは削減をするのかといった困難で多くの問題を解決しなければならないと思うのであります。

 私は、漁業関係者は当然のことでありますけれども、行政も一体となって、それぞれが身を削るような決意を持って臨まなければ、現在のような資源枯渇を招く漁業構造からは抜け出せないのではないかと思っております。

 また、この方向に進むためには財源の確保ができなければ絵にかいたもちでありまして、だれがその費用を負担するのか、そして、どのようにして、どんな名目や理由で徴収をして、また、それを確保するのか、早急にその仕組みの全体像をつくる必要があると思うわけであります。

 そこで、先般水産庁が公表いたしました水産基本政策改革プログラムでは来年の通常国会に漁業再建整備特別措置法を提出することとしておりますけれども、沿岸漁業の再構築も含めて、関係者の合意のもとでこの仕組みをつくることが前提であると思うわけでありますが、これらの問題について現段階でどのようなお考えをお持ちなのか、基本的考え方をお答えいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 今御指摘がありましたように、今回の基本法の最大の特徴は資源の適切な管理でございます。

 資源を管理していくということになりますと、当然、資源の量に見合って、あるいは資源をふやすために、当面減船をしたり休漁をしたりしなければならないわけでございます。この減船、休漁するときに、納得ずくで、わかって参加をしていただいてそれが実施に移せるかどうか、それから、その際にその負担をどうするかということが大きな問題になります。

 この最初の部分の納得をして参加をしていただくという点は、資源回復計画の策定ということになりますが、十三年度中にこの作業に取りかかりたいと思っております。そして、十四年度からは資源回復計画を動かしたいというふうに思っております。

 負担の問題につきましては、考え方からすれば、我慢をしていれば後でいいことが来るんだから、それはその人たちがいずれ享受をするのであるから国が負担をする必要はないという考えもございましょうけれども、やはり、幅広い負担を国も含めて求めていくというふうな方向で検討すべきではないかという声が強いわけでございます。

 その場合、申し上げましたように、その漁法による減船をした人たちが、その残った部分の人たちが負担をするというやり方ではなくて、漁法を超えて魚種横断的に負担をするというやり方、あるいは一定の時期が来て資源が回復をしてそこで所得が出るようになったらそれを支払っていくというふうな時期をずらすというふうなやり方、こういうものについて基本政策の大綱で議論をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、今指摘がございましたように、痛みの問題について、漁業経営について十分考慮の上、資源回復の効果と調和したものになるように今後具体的な仕組みを検討し、十四年度から実施ができるように急ぎたいと考えております。

浜田委員 ありがとうございました。

 そこで、今のお話ですと、従来は、ついつい漁協の組合長さん方に説明をして、なかなか末端の漁業者まで意外と理解が得られていないという状況が常にあるわけでございますので、ぜひとも説明の時間というのを十二分にとって議論をしていただければと思う次第でございます。

 とかくそういう部分で、組合長だけが理解をしていて、漁業者自体はその部分に関しては全く無関心であったというようなことがありますと、当然、今回のこの法案をやっていきますと、この今の危機的な資源状況を克服するには、本当に水産界全体が一体となってその問題の大きさということを考えてもらわなければいけないので、その意味では時間をかけてしっかりとした説明をしていただきたいと思うわけでございます。

 次に、水産物の安定供給には、ただいま申し上げました資源管理とともに、積極的に資源を増大させる施策が必要であると思うわけでございます。このために、養殖業の沖合化や種苗放流の拡大が重要であると思うわけでありますけれども、栽培漁業をさらに進展させるためには幾つかの課題があると思っております。

 その一つは、マダイなどの広域回遊魚のふ化放流に必要な経費負担問題であります。これは稚魚を放流した人ととる人が違うというところからくる問題でありますけれども、この経費負担の仕組みをつくらないと栽培漁業の飛躍的な発展はなかなか期待できないんではないか、私はこのように思うわけでございます。

 また、放流した稚魚をすぐその前で一網打尽でとっていくというような実態もあり、加えて、アワビなどは密漁の横行が大変今見聞きしておるところでございますので、その意味では、実効の上がる育成管理の仕組みが必要であると思います。

 こういう状況でございますので、種苗を放流したら直ちにその魚が、だれが放流したのかということが、いなくなっちゃうわけですね、その主体になる方が。だから、その放流した者の権利をも認めてほしいという意見もあるわけでございます。

 この件に関しまして、ひとつ御見解を伺いたいと思います。

渡辺政府参考人 現在、放流と経費負担の問題については、およそ三つぐらいのポイントでやっております。

 一つは、どのような魚種かということ。これは、定着性であればそこで確実に採捕できるわけでございますので、放流者と漁獲者が一致をする。それから、遊泳性のものであるとそこら辺にずれが生じます。それから、放流の成果と技術開発のステージによって、国が乗り出すべきものと、県や公社、さらには漁協だけというふうなものとございます。最後に、ハード事業、社会資本に類するようなものについては、国が助成金を出してそれを支援していくということになります。

 この場合、今先生が指摘をされました、放流者と採捕者、とりわけ非漁業者による漁獲、非漁業者による採捕について、これを何らかの形で制度化できないかということでございます。

 現在、試行的な形で、例えばライセンスを与えることに伴って協力金を取るというふうなことが、各地域の漁業調整委員会なり都道府県の条例なりでやられておりますけれども、これは今後の問題として、やはりきちんと仕分けをして制度化する必要があるだろうというふうに考えております。

 今般は間に合いませんでしたけれども、基本法の中に、非漁業者による協力といいますか、役割といいますか、そういうふうなものも位置づけておりますので、次の機会を目指しまして、今年度いっぱいかけてきちんとした整理をし、放流資源の管理についての総合的なあり方を検討いたしたいと思っております。

浜田委員 ぜひその体制づくりをしていただきたいと思います。

 それにあわせて、今度は遊漁の問題でございます。

 この問題も、なかなかこれは無視できない状況になってきておりまして、東京湾などでは、漁業者による水揚げよりも遊漁者のとる量の方が多いのではないかというような状況にあります。

 それはなぜかというと、これは遊漁者の方が性能的に、いわゆる魚探と言われるものをつけておったり、釣れるところに、魚のいるところへ行って垂らすわけでございますので、なかなか中小の漁業者では、そういう魚探までは設備として持っていないというようなこともございますので、その意味では、これは量が多くとれてしまう。

 東京湾の、休みの日に見ていただければわかるように、白い帆を張った船がいっぱい出ていますが、あれは休みの日はほとんど遊漁の船でございますので、その意味では、この問題、ちょっと見過ごせない問題がございます。

 しかしながら、これで漁業者の側から、遊漁を敵対視するようなことがあってはいけないと思うのですね。逆に、漁業者のルールのもとで遊漁を秩序化して、国民の健全なレクリエーションとしての受け入れを、漁村の収益につなげることが賢明な選択ではないかなと私は思っておるのです。

 ですから、遊漁との関係というのは、必ずしも戦う相手ではなくて、同じ土俵の中で、ルールの中で、やはりお互いに共存していくということを模索していく方が、より漁村にとってもプラスになるのではないかなと私は思いますが、その点について、遊漁と漁業のあり方について、基本的なお考え方を教えていただけたらと思います。

谷津国務大臣 先生御指摘のとおり、遊漁につきまして、最近遊漁は、一方ではスポーツというふうにみなされている面もあるわけでありますけれども、海域や魚種によっては資源の管理上無視できないものとなっておりまして、管理を強化していく必要があると思います。

 先ほど先生が御指摘されましたけれども、例えばマダイなんかは、漁獲量に対しまして、遊漁の採捕量といいましょうか、釣り上げる魚の数は何か八三%ぐらいに達している。あるいは、イサキ等におきましては、むしろ遊漁の採捕量の方が多いというふうに言われておるわけであります。

 一方で、健全なレクリエーションとして、国民の豊かな生活の実現とともに、また、今御指摘ありました漁業への理解の増進や漁村の活性化に資するものでもございますから、秩序ある振興への期待が高まっているものと考えております。

 今回の水産基本法におきましても、水産資源の適切な保存あるいは管理のための施策について、遊漁も含めることを念頭に置きまして規定をしているところでもございます。

 特に、遊漁者を想定しまして、水産動植物の採捕者の水産施策への協力義務を規定させてもらっておるところであります。

 これは、先ほど先生もおっしゃっておりましたけれども、いわゆる魚種を放流しまして、そういうものを釣り上げちゃうわけでありますから、そういった面には、場合によっては応分の負担も必要かなというふうにも考えているところでありますし、また都市と漁村との交流に関しまして、遊漁船業の適正化についても規定をしていきたいというふうに考えております。

 遊漁を水産施策の対象として位置づけておりまして、漁業と遊漁とのバランスを考慮しながら、共存共栄をしていけるような、そういう施策を展開していきたいというふうに考えているところであります。

浜田委員 ありがとうございます。

 次に、水産業及び漁村の多面的機能についてお聞きをしたいと思います。

 このことにつきましては、党内でも最後まで議論をしたところでありますけれども、漁村が都会から遠いこと、そしてまた漁業者側の宣伝下手というか、理解を求める努力というか、それも足りないところもございまして、水産業及び漁村の持つ多面的機能について、なかなか国民一般に十分な理解が得られていないのが実情であります。

 したがいまして、政府としても、その重要な機能を十分に認識されることをお願いしたいと思いますし、またその機能がさらに発揮されるように、他分野におくれることのないように各般の施策を展開していただきたいと考えます。

 また、漁港の整備につきましては、漁獲量の減少とともに、その必要がないのではないかといったような、漁村の実態を知らないというか、そういう議論がございます。

 漁港は、単に水産物の生産や流通の拠点としての役割ではなくて、都市部から離れた離島や半島などの漁村では、住民生活の中心として欠かすことのできない重要な機能を果たしておるわけでございます。

 漁港につきましては、今後重点化を図り、そしてまた漁場や漁村の整備との関連性も強めてさらに整備を促進する必要があると思いますし、またそのための法整備も今後必要であろうということを私どもは考えておるわけでございますが、この点につきまして、基本的な認識を教えていただければと思う次第であります。

谷津国務大臣 水産業や漁村は、水産物の供給以外にも、漁村に暮らす人々の活動を通しまして、健全なレクリエーションの場の提供、あるいは沿岸地域の環境保全、それから海難救助への貢献、あるいは防災、そして国境の監視、また海の持ついろいろな伝統文化等もございまして、多面にわたる機能を有しております。こうした機能については、今後、豊かで安心できる国民生活の実現に向けまして、その重要性が増大しているところであります。

 私は、実はこの件につきまして、COP3の京都会議があったときに、今非常に思っておるのでありますが、実は島嶼国の代表が海の持つ多面的機能ということについて大変訴えたのが記憶にあるわけであります。

 それは、森林があのとき、シンクの問題が出たときでありましたけれども、海にもその機能があるのだぞということから、いろいろと海の持つ、それからその周辺の持つ地域環境に対する機能というのは非常に大きなものがあるということで、一つ一つ挙げられて訴えたのですが、私も非常に共鳴するところがありました。まさにそういった面、その重要性というのは私は大きなものがあるというふうに思っております。

 このために、今回の水産基本法案におきましても、水産業や漁村が多面的な機能を有することを明確に規定するとともに、こうした機能が国民生活や国民経済の安定に果たす役割等に関しまして、国民の理解と関心を深めることが重要であることから、まずは情報提供を行う必要がある。そしてまた、国民の理解と支持を得つつ多面的機能に関する施策を充実させていくとの施策の方向を明らかにしているところであります。

 今後、この基本法案の示す方向に沿いまして、国民合意のもとに施策の充実を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。

浜田委員 水産庁にもお願いしておきますけれども、大変宣伝下手なのは、これは水産庁もそうでございますので、ぜひともこの点に関しては、十分な説明とそしてまた広報活動をしていただければと思う次第であります。

 最後の質問にさせていただきたいと思いますが、これは一番資源管理の上で、見過ごしちゃいけないものが一つございます。それは、人間よりも大変漁のうまい哺乳類がおるわけですね。それは鯨の問題でございます。

 この点につきましては、水産庁、大変な御努力をいただいて、常にIWCでも我々の主張というのを長年にわたって主張していただいているところでございますけれども、いかにも、今、我々の積み上げてきた科学的根拠というのが余りにも正確であり、そして他の国々に追随を許さないだけの、それだけの資料を持っておるわけでございますので、近ごろは感情的な反対、論点というのが大変多くなってまいりまして、このごろでは、そういう科学的根拠があったからといってとっていいというものじゃないだろうというようなお話もございます。

 だんだんこの構図というのが広がってまいりまして、昨年のオーストラリアのIWCの会合では、その意味では大きな混乱もなく済んだわけでございますが、ことしはイギリスの方でIWCが開かれるわけでございますけれども、これは、昨年のこともございますので、ことしは大変厳しいのではないか。そして、来年には下関でこのIWCの会合を開くということでございます。

 我々は資源を要するに持続的に利用していくんだ、そしてまた資源管理をしていくんだという立場に立てば、一つの種をこれは聖域扱いしてとらないということでは自然の中の生態系というものが崩れるのではないか。

 実際に、このところの鯨の状況を見ますと、アメリカの西海岸においてコククジラが三百頭も海岸に打ち上げられて、その腹の中をさばいてみたらほとんど中は空っぽであったということもございまして、その意味では、その地域における鯨のえさというものが足りなくなっているのではないか。

 そしてまた、今回の米国から制裁措置がおろされたような捕鯨に関しては、特に今回はニタリ、マッコウもとらせていただいたわけでありますけれども、その調査の内容というのは科学的には大変評価の高いものもございますし、腹の中をさばいてみたらカタクチイワシがいっぱい入っていたとかというものを見るならば、この今の資源の枯渇の状況を見ると、鯨の影響というものも決して見逃すわけにはいかないような状況にあると思うわけでございます。

 そしてまた、国際環境が大変厳しくなっている中で、この間は米国からも制裁措置が下されたわけでありますけれども、我々とすればこれは条約上の権利でありますので、その意味では、世界の食料問題の観点から見ても重要な調査でありますから、これからも引き続き毅然として調査をしていくべきだ、私はこう思っておる次第でございます。

 また、我が国と同じ考えで捕鯨問題に取り組んでいるノルウェーが、自国でとった、商業捕鯨で捕獲した鯨製品を輸出したいという意向を示しておられるわけでございますけれども、水産資源の持続的な利用の面からも、WTO条約上何ら問題もないわけでありますので、我が国とすれば、鯨肉のDNA鑑定を実施するなどによって鯨製品の身元を本当に明確にした上で、密漁品など、そしてまた肉の安全性も含めて、やはりしっかりとした仕組みをつくって積極的に対応する必要があると考えておるところでございますけれども、その点についてのお考えをお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

谷津国務大臣 先生、捕鯨問題につきましては日ごろ大変な御努力をいただいておりまして、心から感謝を申し上げているところでございます。

 我が国とノルウェーはともにワシントン条約におきますミンククジラの附属書1掲載を留保しております。そして、商業目的の取引も可能な附属書2掲載種として扱っているために、先生御指摘のように、国際法上は両国間のミンククジラの製品の輸出入は問題はないというふうに考えておるところでございます。

 他方、鯨製品の貿易再開につきましては、国際的な関心が非常に高く、注目を浴びるところでもございますから、簡潔かつ信頼性と透明性の高い貿易の枠組みが必要であるというふうに考えておるところであります。

 これがために、まず日本とノルウェー双方に共通のDNA登録制度の確立など、実務的な、あるいは技術的及び科学的な検討を行いまして、透明性の高い枠組みの構築について、日本とノルウェーとの間の実務的なレベルにおいて協議を重ねていく必要があるだろうというふうに考えておるところでございます。

浜田委員 終わります。

堀込委員長 次に、福井照君。

福井委員 自由民主党の福井照でございます。

 浜田先生に引き続きまして、何点か御質問させていただきたいというふうに思います。

 今回、我が国初の水産基本法が制定されるということにつきましては、水産業や漁村の果たす役割について、改めて国全体、国民全体でお互いに議論する、考える契機になるものであると思います。単に政策の方向づけを行うということのみならず、それ以上の大きな意義を有するものであるというふうに考えております。こうした意義への期待を込めましてこれから御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず大臣に、なぜ今水産基本法を制定しようとするのか、その歴史認識、基本認識を伺いたいというふうに思います。

 基本法とは、政策の基本理念を定めるものでございます。したがって、水産政策に関する新たな基本法を制定するということは、従来の政策を単純に今までの延長線上に置くものではない、新たな政策に転換するということを意味するものでございます。内容としてもそうあるべきであるというふうに私自身も考えております。

 水産業なり水産政策は、歴史の大転換点に立っているのではないかというふうに思いますが、農林水産省が今回の基本法の制定について、どのような背景、歴史認識、基本認識のもとに、どのような政策転換の必要性があって行おうとするものなのか、その歴史的必然性を明らかにしていただきたいというふうに思います。

 そもそも、日本の立法技術上、法律の第一条には、その目的が書いてあるわけでございますけれども、その目的に至るまでの理念、理想、ビジョン、哲学というものにつきましては、我が国の立法技術上、法律には書き込みづらい体系に今なっております。

 例えば、フランスの教育基本法におきましては、その第一条におきまして、フランスにおいては教育を国民的最優先課題とする、あるいは、学生や生徒を基本とする、そういうことが書き込んでございます。

 あるいは、例えばカナダの多文化主義、多くの文化が共存する、共生をするという主義に関する法律につきましては、前文で延々と、カナダの憲法とこの法律との関係について述べる形で、理念を、あるいは理想、ビジョンを規定しているわけであります。

 そういう書き込みについて、我が国の立法技術上難しい、限界があるということが今般の政治不信にもひょっとしてつながっているのではないかというふうに私自身も考えております。

 しかし、この基本法の前提となるその哲学こそ、今、本来国民にアピールしなければならないものだというふうに考えております。大臣の哲学、理念、理想は議事録で明らかにしていただくしか私たちには道がございません。そういう意味で、ぜひ後世に残る御答弁をこの議事録という形で残していただきたいというふうに思います。

 改めてこの水産基本法の歴史認識、基本認識を大臣にお伺いしたいというふうに思います。

谷津国務大臣 我が国の水産政策につきましては、これまで昭和三十八年に制定されました沿岸漁業等振興法に示された方向に沿いまして、他産業と比べて立ちおくれていた沿岸漁業等の発展と、またその従事者の地位向上を図ることを目標として展開してきたところでございます。

 しかしながら、我が国をめぐる水産状況は、国連海洋法条約の締結や、それから、日韓及び日中の漁業協定の発効等によりまして、本格的な二百海里体制へ移行をいたしました。そして、周辺水域の資源状況の悪化等によりまして、我が国漁業生産量の減少というのも見られるようになりました。

 また一方、漁業の担い手の減少と高齢化の進行等、そういうものがあって内外の諸情勢が大きく変化しておりまして、早急に政策の抜本的な見直しを行う必要があるというふうに求められてきたところであります。

 そういうことから、水産基本法の制定は、諸情勢の変化を踏まえて、我が国の水産が歴史的な転換点にあるとの認識のもとに、沿岸漁業等振興法の制定からほぼ四十年ぶりに新たな政策の理念を明確にいたしまして、政策の再構築を行おうとするものでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。

福井委員 ありがとうございました。

 ちょうど二〇〇五年あるいは六年ぐらいから、日本の人口が総体として、国全体として減り始めるということが言われております。日本の歴史上、今まで三回人口の減少を経験しております。縄文時代の後期、平安時代の後期、そして江戸時代の最後の二百年間。日本の歴史で今回が四回目になっております。それぞれ文明の爛熟期でありますが、その次の時代をもうすぐ迎えるという時代予感的に人口が減っているということを私たちは経験しております。

 平安時代から鎌倉時代には公家社会から武家社会へ、そして江戸時代から明治時代ということで、封建時代から資本主義の時代。そして、資本主義から新たなもっと気持ちのいい時代に今行こうとしているのではないかというふうに思っております。

 つまり、二十一世紀の扉をあけたばかりでありますけれども、百年に一回の大転換点というよりは、むしろ千年単位の大転換期であろうかというふうに思っております。そういう意味で、今後とも、谷津大臣の大リーダーシップでよろしく御指導いただきますように、心からお願い申し上げたいというふうに思います。

 次に、具体的な地域の課題につきまして、幾つか御質問申し上げたいというふうに思います。

 私も土木屋でございまして、現場で起こっていることだけが真実であるというふうに思っておりますが、水産政策も現場に密着したものでございます。

 したがって、政策の方向づけを行うに当たっても、現実の地域、そして浜の実態を正しくとらえ、現実課題に的確に対応できるものになっている必要がございます。

 そうした観点から、水産業及び漁村が抱える個別の課題に関しまして、何点か御質問を申し上げたいというふうに思います。

 選挙区も高知県ということもございまして、高知県の課題をちょっと松岡副大臣にお伺いしたいというふうに思います。

 まず、カツオ・マグロの問題でございます。カツオ・マグロ漁業及びその加工業の関連産業につきましては、高知県の水産業におきましても重要な地位を占めてきておりました。国際的な操業規制が強化される中で、減船を余儀なくされるなど、近年は厳しい情勢にございます。

 地域の問題の裏を返せば国際問題であるというのが水産施策の特色の一つかもしれません。それだけに、地域にとっては水産政策への期待も非常に高いものとなってございます。

 そこで、松岡副大臣に、カツオ・マグロ漁業及びその関連産業の将来、水産庁はどのように考え、今後、特に松岡副大臣のリーダーシップ、外交も含め、どのように施策を講じていくお考えなのか、お伺いしたいというふうに思います。

松岡副大臣 今、福井先生が御指摘になりました現場主義といいますか、やはり事実関係に即して、どういうまた具体的な対策、政策がとられ、そしてまた、それによって現場が問題の解決をしていくか。私も全くそのとおりだと思っております。

 常日ごろから、現場サイドといいますか、そういった観点での政策の構築というのが大変重要なわけでありまして、そういうことを基本にいたしまして、今先生が問われました、まさに高知県にとってカツオ・マグロ、これはもう大変重要な産業であると同時に、今大変な難題、問題を抱えておる。こういった中で、今後どのようにそのことを見通し、対処していくのか、こういう点でございます。

 農林水産省、水産庁といたしましても、カツオ・マグロ漁業というのは、もう漁船漁業の中でも特に多くの漁船隻数を有する漁業種類の一つであって、加工業等の関連産業も含めて、国民への水産物の安定供給、そしてまた地域経済の維持、こういうことで大変大きな分野である、こういうふうに認識をいたしております。したがって、その健全な発展を図るということは、極めてこれは重要でございます。

 一方また、国際規制が強化になり、外国漁船との競合の激化、そういったことから、先生御指摘のように極めて厳しい環境に置かれておる。そして、年々厳しさを増しておる、こういうようなことでございますが、やはり資源管理を行う国際漁業管理機関への主体的な、積極的な参加、これは当然といたしまして、公海等における水産資源の適切な保存、さらにまたその管理が一層図られるよう取り組んでいるというのが現在の方針でございます。

 そしてまた、二国間及び多国間の積極的な漁業交渉、それから漁業協力、そういったことを積極的に行いまして、海外漁場の維持確保を図っていく。さらにまた、我が国カツオ・マグロ漁業の操業の確保、これがどうしても必要かつ重要な問題でございます。

 そういったことをしっかりとやりながら、さらに、これらの施策を通じてカツオ・マグロの安定供給を実現する。そして、先生が一番問題とされておられます現場のカツオ・マグロ漁業を安定させ、それに対する関連の産業も発展させる。

 こういったことを、今回の基本法をもとに、具体的な施策を通じて、積極的に進めてまいりたい、このように、基本的考え方として思っております。

福井委員 ありがとうございました。今後ともよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 ちょっと論点を変えまして、ソフト施策について水産庁長官からお伺いをしたいというふうに思います。

 これまでの水産政策におきましては、漁村の振興、活性化という面は弱い感じがしておりました。今度の水産基本法においては、漁村の振興ということが政策分野として大きく取り上げられるようになったのは、非常にいいことだと心強く思っております。

 その際、地域政策は行政ばかりでできることではございません。例えば、室戸岬の漁港では、マグロの減船等によって地域の活力が低下することに地域全体としても危機感をお持ちになって、住民とNPOが、そして行政が一体となって、漁港を変え、地域を変える運動を始めております。

 このNPOにつきましては、うまくいっているという声が半分、うまくいっていないという声が半分、こもごもでございますけれども、漁港サイドが従来のハード整備だけではなくて、こうしたソフト面にも力を入れていくということにつきましては、望ましい政策方向であると思いますけれども、水産庁として、こうした活動をどのように評価され、そして今後どういうふうに展開されようとされているのか、水産庁長官からお伺いしたいというふうに思います。

渡辺政府参考人 水産基本法案の七条には、施策推進の手法として、上から下ではなくて、関係者が自主的な努力をする、それを国や地方公共団体は支援をするということがうたわれております。

 今御指摘がございました室戸岬漁港での取り組み、つまり、NPOも参加をして地域と行政と関係者が協働作業をする、漁港が変わる、地域が変えるというふうな取り組みは、私は理想に近いものだというふうに思っております。こういうやり方を進めていく上で、やはりソフト事業というものが重視をされるべきものと思います。

 漁村、広い意味での漁村というのは、生産活動の場であると同時に、生活の場であります。そして都市との交流の場でありますので、これを総合的に振興するということは、今後の水産政策の基幹であります。

 その中で、みずから漁港や漁村の将来像をかいて、これを実現する方向に力を注いでいくという活動が重要でございます。水産庁といたしましても、こういった点で、これまでのハード中心のものからハードとソフトを組み合わせる、あるいはソフトだけというふうなことも大いに考えたいと思っております。

 例えば、元気な漁村づくり推進事業、これはソフト事業でございます。それから、ふれあい漁港漁村整備事業、これはソフトとハードを組み合わせたものでございます。こういう多様な手法を活用して、自分たちが描いた漁港、漁村の姿が実現をされていくというふうな方向に持っていきたいと思います。

福井委員 ありがとうございました。

 次に、さらにまた観点を変えまして、縦割り行政の打破という観点から御質問させていただきたいというふうに思います。

 多分、タコ部屋をおつくりになって、タコ部屋に、他省庁から山のように質問書や削除意見やら出てきたというふうに思っております。

 他省庁の立場から考えれば、おれの縄張りだからさわるな、削除しろというふうな御意見だったのではないかというふうに推察されます。そうはいっても、守っていただいている分野が必ずしもうまくいっているというわけではないわけでございます。

 今回、行政改革の時代を迎えて、政府全体として縦割り行政の弊害の打破ということにつきまして、リーダーシップの方をぜひよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 そこで、海洋深層水のテーマで、縦割り行政の打破の事例を御紹介していただければというふうに思っております。

 近年、海洋深層水が注目を集めまして、さまざまな分野で利用されるようになってございます。また室戸市でございますけれども、高知県室戸市でもいち早く海洋深層水の利用に取り組んでございます。これが地域の活性化の起爆剤になるというふうに期待しておりましたが、必ずしもそれが爆発的にうまくいっているということではございません。現場ではいろいろ苦しんでおるようでございます。

 しかし、海洋深層水は新たな分野であり、国全体としてもその対応方針を定め切れていないのかもしれませんけれども、省庁の縦割りの弊害が叫ばれている折、ぜひこういう新しい課題で連携をとった対応をお願い申し上げたいというふうに思う次第でございます。

 特に、水産基本法は基本法でございます。水産庁のみならず、政府全体が講ずるべき施策のあり方を定めるものではないかというふうに考えられるわけであります。

 したがって、今回の水産基本法の制定を一つの契機として、関係省庁が連携して新たな施策を打ち出すことができれば、縦割り行政の克服という意味でも非常に意味があるというふうに考えてございます。

 そういう願いを込めながら、水産分野への海洋深層水の利用について、どのような将来性を見込み、どのような課題が現在あり、地元への支援を含めどのような施策を講じようとしているのか、ちょっと前置きが長くなりましたが、金田政務官から御紹介をいただければというふうに思います。

金田大臣政務官 福井委員御指摘の海洋深層水でございますけれども、海洋深層水というものに着眼して、科学技術庁でも、海洋の基礎調査のために海洋深層水の動き、そういったものを研究しておりますし、またエネルギー庁の方でも、温度差発電等々について、海洋深層水を利用した形で発電できないかというような研究が進められているわけでございます。

 水産庁としては、海洋深層水の特性と申しますか、海面二百メートル以下のところにある水ということで光が全く当たらない、一千年単位でゆったりと回流しているというこの水がいろいろな特徴を持っておるということでございます。

 例えば富山県の深層水についていいますと、燐につきましては表層の水の十八倍から四十倍の燐酸を含んでいる、それから窒素なんかでも八十七倍も余計含んでいる、あるいは珪酸については四・二倍から十倍、そういった栄養がより富んでいるという点でございます。

 それからまた、有機物等々の濃度が相当低い。例えば菌につきましては普通の水の千分の一とか一万分の一というような、本当にきれいな清浄な水であるというようなことから、いろいろな水産分野で深層水をもっと利用できないかという形で研究が進められております。

 水産庁としても、水産加工への利用を進めさせていただいておりますし、また、これからのつくり育てる漁業のための深層水の利用、それから種苗生産、そういったものにしっかりと取り組んでまいりたい、そしてまた、深層水の利用分野というのをもっと開拓してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 水産庁としては、今まで、福井先生の地元の高知県あるいは静岡県、富山県等々で、それぞれ、三十億からあるいは十五億、九億等々の、深い水を取水する施設等々をつくらせていただきまして、しっかりと取り組ませていただいているところでございます。

 十三年度につきましては、北海道の熊石とか岩内等々で新しい取水施設をつくりながら、深層水の利用の分野を開拓し、将来の新しい産業に育ててまいりたいというふうに考えております。一生懸命頑張ります。

福井委員 ありがとうございました。

 今政務官から御紹介いただきましたように、北極で二千年前に沈み込んだ水が海溝をずっと伝わってきて今浮かび上がっているのが深層水だということでありますけれども、いま一歩、科学技術的に効果が検証されていないというところで売り上げが伸びていないというようなことも伺いますので、ぜひそういう面でもよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、試験研究の重要性とその推進という観点から御質問申し上げたいというふうに思います。

 高知県は、私の両親やその家族、チリメンジャコしか食べていないという時代がずっと続いておったわけですけれども、最近このチリメンジャコがめっきりとれなくなりました。それは、鯨が回遊するせいだとか言う人もいらっしゃいますし、あるいは海流が少し変わったんだ、そのせいだというふうにおっしゃる方もいらっしゃいますし、この主要な食べ物がなぜ減ったかすらわからない。そんな現況を踏まえて、御質問申し上げたいというふうに思います。

 水産基本法では、水産資源の適切な保存管理や持続的利用を政策の基本に据えることとされております。それ自体は非常に重要な政策転換であり、評価させていただきたいというふうに思っておりますが、しかし、資源管理をきちんとやっていくためには、そのための調査研究、基礎資料をしっかりとつくっていかなければならないというふうに思っております。

 特に、水産資源については、海の中の問題であってまだまだ解明されていないような分野の調査研究課題もあることから、なおのこと最先端の科学技術を駆使して、かつ産官学の総力を結集して対応することが必要だというふうに思っております。

 総じて言うと、フィールド、分野として、よその分野に比べるとまだまだそのレベルが決して高くないという感がございます。本当に本格的にてこ入れをしていただかなければ、この分野が育たないというふうな実感を持っております。

 そこで、水産庁長官に、資源管理のための調査研究について、産官学の連携も含め、現在どのような取り組みを行っていらっしゃるのか御紹介いただきながら、今後の展望、そして対応方針について御紹介いただきたいというふうに思います。

渡辺政府参考人 今御指摘がありましたように、漁業資源というのは大きく変動いたします。

 イワシの例でいいますと、ひところは四百万トン以上とれておりましたのが、今は七十万トンちょっとというふうな状況でございます。常に調査研究をきちんとしておくということが大事でありまして、新しい基本法の中では、十五条で調査研究という項目を挙げております。

 国には、水産研究所として九カ所、地区別あるいは機能別の研究所がございました。これをこの四月から、総合研究センターという形で独立行政法人として統合いたしました。これまで以上に効率的に、機動的に、関係のところと連携をして調査研究をする必要がございます。

 現在のところ、魚種でいいますと四十種八十系統群について調査研究を行っておりますし、そのほか、国際的な管理のもとにありますマグロとかサケ・マスにつきまして資源の状態を調査しているわけでございますが、その際、一番重要なのは、漁業者の方々の最近の漁獲がどうなっているかということを実感を持って聞くことでございます。

 それから同時に、各都道府県それぞれ水産試験場を持っておりますので、そこと連携をする。それから、大学その他の研究機関と連携をいたしまして分析するというふうなことを行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、これからは、これまでの漁獲可能量という厳密な資源管理と同時に、漁獲努力量ということで、地域のそういったものも含めまして進めていかなければなりませんので、対象魚種の追加の問題や、より一層の緊密な連携ということに意を用いたいと考えております。

福井委員 もう一問、水産庁長官から教えていただきたいと思っております。

 また縦割り行政に戻りますが、ちょうど阪神・淡路大震災の後、復興事業を当時担当させていただいておりまして、淡路島である漁村がございました。

 そこで道路を計画し、そして面的な土地区画整理事業という都市基盤整備事業を計画させていただいたわけでございますけれども、およそその漁村の伝統、歴史、文化と合わないというような計画だったものですから、その事業がうまく進捗していないというふうに伺っております。

 ちょうど町づくりが国土交通省所管であるということ、漁村、そしてこの水産振興が農水省所管であるということで、この縦割り行政排除という面で、政府全体として、国土交通省も漁村、漁港整備を通じて水産業の進展に当然寄与するべきだと思いますけれども、農水省としても、水産庁としても知恵と工夫をいかに出していくかということが大事だと思いますが、その基本的考え方、そして対処方針をお伺いしたいというふうに思います。

渡辺政府参考人 縦割りの排除、連携の強化という点につきましては、私自身はここ数年相当大きく変わってきていると思います。

 海岸事業についていえば、昔の省庁ベースで四省庁連絡会議というのを常に持っておりまして、一つの海岸計画の中に各省庁が海岸の一番機動的な設計をする、それから港湾工事をしたときに出てくるしゅんせつの砂を今度は漁場造成の方に持っていく、さらには道路についても、漁港区域内の道路と漁港区域外の国土交通省の道路との接続について工夫をするといったように、大きく変わってきております。

 いずれにしても、漁村地域はまだまだ集落排水あるいは道の問題につきましても環境の改善が必要でございますので、その際には府省間の協力、連携の問題も含めまして、柔軟かつ効率的な実施を図っていきたいと思っておりますし、それこそが今回の中央省庁の再編の主眼であると考えております。

福井委員 最後に大臣から、また基本的なポリシーについてお伺いをしたいというふうに思っております。

 日々大臣は生産者と消費者のはざまに立ってお苦しみいただいているというふうに思っております。大事なことは生産者と消費者のバランスだという時代を迎えております。

 これまでの水産政策は、生産重視の余り消費者の視点に欠けるところが多々あったのではないかというふうに推察しております。これは反省すべきであって、国民の求めるものを供給することにこそ、食料供給産業である水産業の発展の基盤があるのではないかというふうに思います。

 国民全体に水産についての関心を高めてもらうためにも、適切な表示の推進など、安全で良質な水産物を求める消費者ニーズに的確に対応できる政策を展開すべきであると思いますけれども、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

谷津国務大臣 ただいま先生御指摘のとおり、農林水産省としてはどちらかというと生産者の方に少し比重が高かったんじゃないかという御指摘がございましたが、私もそういう感じを持っております一人であります。

 ですから、私は、大臣就任に当たりましたときにも、生産者と消費者、特に消費者対策というものは非常に重要な農林水産省の施策の重点項目であるというふうに考えておりまして、生産者と消費者は共生するものだということを申し上げておるところであります。

 そういうところから、食品の安全性あるいは食品の品質等には消費者は非常に高い関心をお持ちでございまして、安全で良質な水産物の提供は水産施策を展開するにおいて重要なポイントであるというふうに考えているところであります。

 こういうことから、水産物の生産から流通、加工の各分野におけるHACCPの方式によるところの管理、推進を図っているところでありまして、その安全性を確保するということには最も意を用いているところでもございます。

 また、JAS法によりまして、表示のルール、これは四月一日からきちっと今やっておるところでありますけれども、その徹底を図ることが大事だということで、そういう方向で今いろいろと指導もし、またそれに重点的に努めているところでもございます。

 そういうことから、今後ともこれらの施策を推進して、安全でしかも良質な水産物を供給することが極めて重要であるというふうに考えておりますので、先生御指摘のとおり、意を用いていきたいというふうに思っておりますので、これからもよろしく御指導のほどお願いを申し上げます。

福井委員 ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。

堀込委員長 次に、白保台一君。

白保委員 大変、県の漁連の皆さん方も、六年前の漁港大会以来の悲願であるから早く成立をさせていただきたい、こういうような要請をいただいております水産基本法の三法ですが、一括して質問申し上げますが、特に基本法を中心にお伺いをしていきたい、このように思います。

 我が国の水産業は、昭和三十八年に制定された沿岸漁業等振興法のもとで、その施策が展開されてきたことは御案内のとおりでございます。この沿岸漁業等振興法は、沿岸漁業及び中小漁業の基本法ともいうべきものでありまして、これまでの水産政策の基本的方向を示してきた、これはもうそのとおりだと思います。

 しかしながら、漁業政策を展開したわけですから、一定の成果を上げつつも、やはり環境の悪化がございます。そういった意味から、このたびは基本法として抜本的に新たな展開の方向を示さなければならない、そういう状況に至ったというように認識します。

 それで、初めにお伺いしたいと思いますが、現行の沿振法の果たしてきた役割、その評価と認識、これについて大臣はどのように考えておられるのか、まずこのことをお聞きいたします。

谷津国務大臣 ただいま先生、六年前の漁港大会のお話をされました。実は当時、私は政務次官としてその大会に出席をしておりまして、そのときにこういったことについての決議がなされたのを記憶しているわけでございます。

 我が国の水産政策につきましては、これまで、昭和三十八年に制定されました沿岸漁業等振興法に示された方向に沿いまして、他産業と比べて立ちおくれていた沿岸漁業等の発展と、その従事者の地位の向上を図ることを目的といたしまして展開されてきたものでございます。その結果、漁業の生産性の向上、漁業者の所得向上等が実現いたしまして、一定の成果を上げたというふうに考えているところであります。

 しかしながら、沿振法制定後約四十年が経過する中で、本格的な二百海里体制への移行あるいは周辺水域の資源状態の悪化等による漁業生産の減少など、沿振法制定時には予測し得なかったような情勢の変化が生じてきております。

 また、国民から水産物の安定供給や品質あるいは安全性等に強い関心が寄せられるようになっていること等から、沿振法に示した政策方向だけでは現実の課題に的確に対処しにくくなっていることを考えまして、このため、水産施策全般を総合的に見直しさせていただきまして、今後の水産政策に関する基本理念の明確化と政策の再構築を行う必要があるということから、今回基本法の提出ということになったわけでございます。

 よろしく御理解のほどお願い申し上げます。

白保委員 そこで、世界が今、一九六〇年代から七〇年代、八〇年代、漁業の生産量が大変急増の一途をたどっています。そういう中で、世界の漁業生産の現況が今どのようになっているのか。

 あるいはまた、それに合わせて、日本の現況が逆比例するような形でもって非常に少なくなってきている。新聞の表現によると、じり貧というような表現もしておりますが、そういった状況。そしてまた、特に、減っていく状況の中で対策というのがどのように打たれてきたのかという問題もあります。

 同時に、中国が今非常に勢いよく伸びてきているような状況でございますので、こういったあたりについて、あわせて御答弁をいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 確かに、御指摘がございましたように、世界の漁業生産量は急速に増加をいたしております。これはFAOの統計でありますけれども、一九六〇年に四千万トン台、一九八八年、昭和六十三年に一億トンを超えまして、平成十年、一九九八年には一億三千万トンというレベルにございます。

 一方、我が国の場合には、漁業生産量は、一九六〇年、昭和三十五年の六百二十万トンから、一時、漁場の外延的な拡大、イワシ資源の増大等によりまして、昭和五十九年に約一千三百万トンを記録いたしましたが、その後、イワシ資源の減少、それから二百海里等、国際的な漁業規制の中で、現況はピーク時の半分、六百六十三万トンに達しているわけでございます。

 こういう中で、漁業従事者につきましても、一九六三年、昭和三十八年の六十三万人から二十七万人ということで、約四割水準にまでなっておりますし、六十歳以上の方々の、いわゆる高齢化比率も四四%に達しているところでございます。養殖業等につきましても同じような事情がございます。

 こういう中で、新しい漁場を開発する、それから増養殖を推進することによって、日本の二百海里をもう少しうまくマネージしていこうではないかということが、現在、私どもの一番力を注いでいるところでございます。

白保委員 長官、この十年間で減ってきています。これに対する対策は漁場の拡大だけですか。

渡辺政府参考人 一つは増養殖の推進ということで、つくり育てる漁業、これは先ほど来の御質問にもございましたけれども、かなりの量の放流と、それが成果物として上がっております。

 それから、世界の公海、つまり、よその国の二百海里ではございません公海の中にも、資源状態がまだ未開発のところがございます。そういったところにつきましては、海洋水産資源開発センター等によりまして、新しいイカの資源その他を求めております。

 それから、これは量としては小さいのですけれども、陸上養殖というふうな形で、魚の生産が陸に上がって、高い付加価値を持った魚が生産される。

 どうしてもやむを得ざるものにつきましては、減船をすることによって規模を縮小し、一漁業体当たりの漁業生産量を維持していくというふうな対策をとってきております。

白保委員 二百海里時代に入った背景とその影響についてもお伺いしたいと思いますが、これは簡潔に伺いたいと思います。

 マグロやスケトウダラなどの回遊魚の利害が対立する、そういった問題があるわけですけれども、資源保存措置としての枠組みというものをどういったふうにしてやっておられるのか。あるいはまた、多国間漁業条約等の取り決めの当事国と参加していない国との格差の問題があるだろう。この辺の対策について、簡潔にお願いします。

渡辺政府参考人 かつて日本の漁獲量の三分の一は遠洋でございました。それが二百海里時代の中で次第に狭められて、海外の二百海里で漁獲をするものはもう非常にわずかになってきております。一方、国連海洋法条約が締結、発効いたしまして、資源の管理というのが関係国の義務になっております。

 こういう中で、各地域に、高度回遊性魚類あるいはストラドリング資源につきまして機関が設けられております。日本はそこに積極的に参加をしております。例えば、大西洋まぐろ類保存委員会、ICCAT、それからミナミマグロ保存委員会、CCSBT、こういうところに参加をしてきておりますが、先生から御指摘がありましたように、非加盟国の問題がございます。

 非加盟国に対しましては、各機関によって取り扱いは違いますが、相当強い措置をとっているところもございます。ラベリングをして、そこから以外は買わないというふうなこともやっております。

 あるいは、私ども、今問題になっておりますマグロの便宜置籍船。これにつきましても、便宜置籍船を受け入れている国に対して、外交ルートその他を通じて、便宜置籍船を受け入れないように、便宜置籍船からという証明がなされたものにつきましては不買運動の対象にするというふうな措置をとりまして、各地域の協定、条約の実効性を高める努力をしております。

白保委員 質問を変えますが、安定供給と自給率の問題、これはこの法の予定する非常に大事な問題であろう、そういうふうに思うわけですね。

 そこで、一つは水産物と農産物の自給率の考え方、これはおのずから変わってくるだろうと思うのです。限られた農地と比べて、資源水域は世界三大漁場の一つでありますし、EZ面積も世界第七位であります。

 したがって、漁業と農業を同じ土俵の上で論じることはできないだろうと思いますし、水産物では、資源量や漁場への来遊量によって変動するため、生産量を予測するのは大変難しいのではないか。

 この辺の水産物と農産物の自給率の問題、この考え方、これについていかがでしょうか。

渡辺政府参考人 日本は四百五十万平方キロメートルという世界有数の二百海里水域を持っております。そこで相当程度の水産物の供給が可能でございます。

 したがって、国内生産の増大を図ることが、とりもなおさず、水産物の自給率の向上につながるわけでありますが、いっときの自給率の向上を極端に求めて資源を採取いたしますと、その結果、その後の自給率が下がるというところが水産物の世界の特徴でございます。

 あくまでも、サステーナブルユースといいますか、持続的な漁業が可能な状態、それの最高のところをねらうというのが水産物の自給率の維持向上のポイントでございまして、資源を管理し安定的な漁業生産を維持していくというところが、自給率を外側から規定をするラインであろうと思います。

白保委員 今のお話はわかりました。

 そこで、自給率がこの十年間ずっと下がってきているわけです。その下がってきた原因、そしてその対策、それについてはどのように講じられたのか、伺いたいと思います。

渡辺政府参考人 自給率が下がってきた原因は幾つか考えられます。

 一つは、やはり日本近海の、日本のフラッグの船がとる漁獲量が下がってきているという資源の問題と、漁場の制約の問題でございます。

 それから、やはり食生活の多様化の中で、輸入の水産物がふえているという問題がございます。今、国内生産二兆円、輸入水産物一兆七千億円という状況でございますので、やはりどうしても欲しいものについては海外から買わざるを得ないという点がございますので、そういったところが自給率をこれまで低下をさせてきた。

 もちろん、この近年では、一番大きいのは、四百万トンとれていたマイワシが大きな影響を持っていると思いますけれども、そういった複合要因によって自給率が低下をしてきたというふうに考えております。

白保委員 自給率を回復させていかなきゃならない、そういうことだと思います。

 この回復をするために、皆さんは、生産及び消費の両面にわたる関係者一体となった取り組みを進める必要があるというふうに言っておられるわけですが、具体的にはどういうことをやるのでしょうか。

金田大臣政務官 白保先生の御指摘のとおりでございまして、何とかこの自給率を回復させなきゃならない。

 日本の独占的な排他的な漁業水域をいかに豊かな海につくり上げていくか。中国船も来ない、そして韓国船も来ない、この海を何とかもっと豊かなものにして、漁獲資源の回復、そういったものにしっかりとこれから取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

白保委員 水産物の持続的な利用について伺いたいと思いますが、時間が余りありませんので、簡潔にお願いしたいと思います。一つは、過剰漁獲の要因と反省の問題があります。もう一つは、先ほども議論があったかと思いますが、調査対象の拡大の問題がございます。

 これは、二百数十種、水産資源の主なものがあると思いますが、先ほども答弁にございました、四十種類程度の資源評価が行われている。私どもの方も、若干下の方へ行くと、今までなかったような食料資源としてのイカが突然出てきたとか、そういった開拓、開発というのは極めて重要なんだろうと思います。

 したがって、調査を拡大し、資源評価をしっかりと大きくしていくということは大変重要なことである、こう思いますので、こういった辺の拡大というものを行うべきであろう。

 同時にまた、正確な評価を行っていく上においてはどのくらいの年数を要するのかな、こういうふうにも思いますし、どのような方法で行うのか、まとめて、簡潔にひとつお願いします。

金田大臣政務官 御審議いただいております新水産基本法の十一条に、基本計画を政府としてつくって、これから自給率の目標も掲げてやっていこうというようなことにしておるわけでございます。

 さきの食料・農業基本法の中でも、食料ということで、水産物について、現在自給率が六〇%のものを六六に上げていこうというようなことも、参考の表として基本計画に掲げてございますが、そういったものとも調和をとりながら、基本計画の中で、これからつくるわけでございますが、しっかりと目標を定めてまいりたいというふうに思っております。

 また、この目標を達成するために我々がとらなければならない資源回復計画というものをつくることにしてございます。その資源回復計画に沿って、もし漁獲能力が過剰である場合には、それなりに減船も必要でございますし、また休漁も必要でございますでしょう。

 そういった……(白保委員「補償も必要でしょう」と呼ぶ)それのいろいろな、将来的には、資源が回復すれば漁民のところに利益が戻っていくんでしょうけれども、短期的な目で見ると相当、痛手、血が出るわけでございまして、それの緩和措置をどうやっていくかということについて、これから、十四年度以降検討してまいりたい、今年度も含めて検討してまいることにしております。

渡辺政府参考人 三つ御指摘がございました。

 まず、第一点目の過剰漁獲を背景とする漁業生産の低迷でありますけれども、この点につきましては、基本的には、漁業規制を超える技術の向上と競争があったということに尽きるだろうと思います。

 魚種別の規制というよりは、漁業法では漁法別の規制になっているわけでございますので、その漁法をどんどん乗り越えて資源を過剰に漁獲する、まあ、親のかたきと魚は目の前にいるときにとれというふうな精神がやはり残っているんだろうというふうに思います。これは、今回の漁獲努力量の方できちんとコントロールをしていきたいと思っております。

 それから、調査の問題でありますが、おっしゃられましたように四十種八十系群の資源調査をいたしておりますが、これからは、先ほどの漁獲可能量に加えまして漁獲努力量というところにも網を広げていかなければいけませんので、そういった点から、その対象魚種の入れかえなりあるいは追加なりといったことも含めまして、センターを通じてやりたいと思っております。

 それから、資源回復、これは、漁を休んでいるときに代替魚が出てくるという問題もございますし、漁場づくりというやり方もございますし、新漁場の開発という問題もございます。いろいろなやり方で、浮き魚であれば早い期間に回復をいたします。

 以上でございます。

白保委員 時間がありませんので、最後に一つだけお聞きしたいと思います。

 大臣、漁業経営の自立の問題について、意欲と能力のある経営体、こういったことも出てきているわけです。そこで、一番最後に申し上げたいことは、意欲と能力のある漁業者への施策の集中というふうな言葉がございますが、どのようなことを指して集中というふうに言うのでしょうか。

谷津国務大臣 次代の漁業の担い手となる漁業就業者の確保それから育成を図っていくことは、極めて重要な課題であるというふうに考えております。将来の地域漁業の中核となる青年漁業者の育成等を支援しているところでもございます。

 また、さらに本年度からは、都道府県等と連携を図りながら、青年漁業者を中心としたグループが行う漁業経営改善のための創造的な取り組みを支援していきたいというふうに考えておりますし、特にこれらのグループに対しましては、沿岸漁業改善資金の融資対象となる小型漁船の範囲を拡大したいというふうに思っているところであります。

 また、漁業経営を開始するための必要な無利子貸し付け等の貸付限度額をもっと広げていきたいというふうに思っておりまして、そうした対策を新たに講じていきたいというふうに考えているところであります。

白保委員 終わります。

堀込委員長 次に、金子恭之君。

金子(恭)委員 21世紀クラブの金子恭之でございます。

 今回の水産基本法の制定につきましては、二十一世紀の水産業の方向を定めるものとして大変重要なものと認識しております。私は、漁場の環境問題について質問させていただきます。

 先般から、有明海において未曾有のノリの色落ち、不作被害が発生して、社会問題化しているところでございます。これは、さまざまな要因により有明海の漁場の環境が劣化したことが原因であると考えております。

 漁業白書の中に、漁業と環境のかかわりについて、次のように書いてあります。「漁業は、海洋及び内水面の生態系を構成する生物の一部を利用する産業であり、環境及び生態系を良好な状態に保全していくことは、漁業の健全かつ持続的な発展を図り、安全な水産物の生産と供給を行っていく上で極めて重要な課題である。」

 すなわち、漁場の環境と生態系の保全は、健全な漁業の存立の前提ともなるべきものであります。今後、二十一世紀の水産を持続的かつ健全に育成するためには、漁場の環境問題に十分配慮して施策を推進することが重要であると考えます。

 そこで、大臣にお伺いいたします。この基本法の中で、「水産物の安定供給の確保に関する施策」の中に「水産動植物の生育環境の保全及び改善」と書いてありますが、漁場環境及び生態系の保全の重要性、役割をしっかりと位置づけることが大切だと考えております。

 そこで、森林、川、海を通じた川上から川下までを念頭に置いた漁場環境保全の取り組みについての大臣の御見解をお伺いいたします。

谷津国務大臣 森は海の恋人という言葉がありますように、漁業は自然環境に大きく依存した産業でございます。そういった面から、良好な漁場環境を確保するためには、国民全体の理解と協力を得ることが大事だというふうに考えております。

 森や川、海を通じた川上から川下に至る幅広い環境保全の取り組みを推進していかなければならないというふうに思っているところでございます。

 このために、本年度からは、漁場環境を保全するための森づくりの活動に対しまして支援を行っているところでもございます。

 水産基本法案におきましても、漁場環境及び生態系の保全の重要性という認識に立ちまして、水産動植物の生育環境の保全と同時にその改善について規定しているところでございまして、今後とも、森、川、海を通じた幅広い環境保全の取り組みについて、関係省庁とも十分に連携をとりながら、これを図っていきたいというふうに考えているところでございます。

金子(恭)委員 今、大臣より力強い御答弁がございました。ぜひそのお気持ちで水産行政を引っ張っていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、水産庁長官にお尋ねします。

 漁場環境の悪化につきましては、有明海のみの問題ではなくて、有明海と同じような閉鎖的というか閉鎖系の海域には、これまでもありましたし、そしてこれからも同じような問題が起こり得るおそれがあるというふうに思っております。

 有明海に隣接した私の地元八代海におきましても、有明と同時期にノリの色落ちの問題がございましたし、また昨年、八代海におきましては赤潮の発生もございました。そして、魚類養殖を中心に大規模な漁業被害が生じたところでございます。

 この基本法の中に、水産動植物の増殖及び養殖の推進ということが掲げられております。このような海域では、養殖業が非常に盛んな地域が多うございます。これまで一生懸命御苦労されて養殖をされてきた魚や貝や海藻、ノリなどが一瞬にして死んでしまう落胆は非常に大きいものがございます。

 そういう意味で、漁業者が安心して生活できるよう、赤潮の発生の監視、またノリの色落ちなどの漁場環境に関する調査を強化、実施する必要があると考えておりますが、政府の御見解をお伺いいたします。

渡辺政府参考人 まことに残念ながら、陸域からの負荷は相変わらずであります。赤潮の発生回数も、瀬戸内ではかなり改善されましたが、特に九州地域ではやはりかなりの発生の状況にございます。

 監視を十分怠りなくやる、そして警報を発する、加えて、対策ということでありますけれども、対策は、当面の対策のほかに、根本的な対策も講ずる必要があると思っております。

 その対策を講ずるに当たりましては、基本的な調査が必要でございます。有明海はこれから二年間かけて全体調査を徹底的に行いますが、八代海につきましても、国土交通省と連携をして、かなりの長期にわたる調査を陸域に当たる部分につきましても行うことにいたしております。そういう中から、基本的な対策が出てくるものと考えられます。

金子(恭)委員 ありがとうございました。ぜひその調査の方、よろしくお願いいたします。

 そこで、沿岸漁業者の経営の安定化を図るために、今長官の方から答弁されました調査をこれからやっていただくわけでありますが、その調査に基づいて漁場環境改善などの振興対策を推進する必要があると考えております。

 長官の方から御見解をお伺いいたします。

渡辺政府参考人 水産基盤整備事業などを通じまして、相当な事業規模でこれにこたえる準備がございます。

 地元の要望を踏まえまして、魚類の生息の場でございます漁場の整備、例えば貝類であれば覆砂をする、そういったことで復活も可能でございますし、もう少し積極的な点でいえば放流などを行う、そしてさらには生息の場である魚礁を設置する、そういったことを進めてまいりたいと思っております。

 八代海につきましても、地元の要望を踏まえて、つくり育てる漁業の振興の一環として、例えば、マダイ、ヒラメの放流実証試験あるいは海面養殖業高度化推進対策事業といったようなことで取り組みの助成を行っておりますし、今後ともそういった点で充実していきたいと考えております。

金子(恭)委員 ありがとうございました。

 今、対策のお話をいただいたわけでありますが、実際、昨年、赤潮によって大きな被害があったわけであります。その対策といいますか、被害が起きてからは、緊急な融資制度、そして漁業共済制度があるというふうに認識しております。

 そういう意味で、その対策の一つである漁業共済制度の中で、昨年の赤潮による養殖被害が発生した際に、漁業共済への加入率が低いことが問題となりました。

 そこで、漁業共済制度のより一層の活用を図るために、具体的にどのように加入促進を図っていくべきか、御見解をお伺いいたします。

渡辺政府参考人 率直に申し上げまして、漁業共済制度につきましては、最近、やや悪循環の方に入ってきているのではないかなという印象を持っております。

 といいますのは、漁獲量が減少する、魚価が下がるということの中で漁獲共済の発動率も高くなる。それから、そういう中で、漁業者の方々も、掛金が支払われない、加入率が低くなる、母集団が小さくなるという傾向にございます。

 そういう状況の中で、加入しやすい共済制度というものをどう持っていくか。これは十四年度を目指して実施をしたいと思っております。

 例えば、各種の損害保険などでやっております特約制度のようなものをもう少し多様にできないかというふうなことも含めまして、再び漁業共済が漁業者の真の意味でのニーズに合致することができるように検討いたしたい、制度設計をしていきたいというふうに思っております。

金子(恭)委員 この水産基本法をもとに、漁業者が将来にわたって安心して水産業を営めるよう水産施策を講じていただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

堀込委員長 次回は、明十一日水曜日午前十一時五十分理事会、正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会




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