衆議院

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第20号 平成13年6月19日(火曜日)

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平成十三年六月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 堀込 征雄君

   理事 木村 太郎君 理事 岸本 光造君

   理事 滝   実君 理事 二田 孝治君

   理事 小平 忠正君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君

      相沢 英之君    岩倉 博文君

      岩崎 忠夫君    岩永 峯一君

      金田 英行君    上川 陽子君

      北村 誠吾君    後藤田正純君

      七条  明君    園田 博之君

      高木  毅君    西川 京子君

      浜田 靖一君    菱田 嘉明君

     吉田六左エ門君    石井 紘基君

      古賀 一成君    後藤 茂之君

      佐藤謙一郎君    城島 正光君

      津川 祥吾君    筒井 信隆君

      永田 寿康君    楢崎 欣弥君

      江田 康幸君    高橋 嘉信君

      中林よし子君    松本 善明君

      菅野 哲雄君    山口わか子君

      金子 恭之君    

    …………………………………

   農林水産大臣       武部  勤君

   農林水産副大臣      遠藤 武彦君

   農林水産大臣政務官    岩永 峯一君

   会計検査院事務総局第四局

   長            有川  博君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   津田 廣喜君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 田原 文夫君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長

   )            木下 寛之君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  佐藤謙一郎君     石井 紘基君

同日

 辞任         補欠選任

  石井 紘基君     佐藤謙一郎君

    ―――――――――――――

六月十九日

 漁船法の一部を改正する法律案(内閣提出第八六号)(参議院送付)

同月十八日

 奄美群島周辺水域における大中まき網漁業の操業禁止区域の拡大に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第二九六三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)(参議院送付)




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     ――――◇―――――

堀込委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長田原文夫君、農林水産省農村振興局長木下寛之君及び財務省主計局次長津田廣喜君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長有川博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀込委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩倉博文君。

岩倉委員 おはようございます。自由民主党の岩倉博文でございます。

 まず、武部大臣には、御就任以来、大変大事なこの節目に、大変な激務の中、農林水産行政の新しいフレームづくりのために日々御尽力をいただいているわけでありますが、私も同じ北海道出身、同じ道産子の一人として、ぜひ大臣に頑張ってくださいと心から申し上げておきたいと思います。

 さて、限られた、与えられた時間、短い時間でありますので、早速、基本的な事項につきまして御質問をさせていただきます。

 時代は二十一世紀、我が国の次なる発展、成長を目指して、社会のさまざまな分野でシステムのつくりかえが必要なそんな節目に今日我々はいるのではないかと感じる昨今であります。農政におきましても、自給率の向上という目標の達成、あるいは多面的機能への国民的な理解をより深めていかなければならない、そんな新しい局面を迎えて、この節目からしっかりとした芽を出して、そしてすばらしい実を育てていかなければならない、そんな認識に私自身も立っております。

 このような流れの中で、新基本法制定以降、具体的な手だてを推進するための法整備の一環として、今回の土地改良法の一部を改正する法律案があるのではないかというふうに思いますが、いわゆる土地改良事業が今日まで果たしてきた役割をどのように総括し、そして当面、これからの位置づけ、役割について大臣自身がどのようにとらえておられるのか、お伺いしておきたいと思います。

武部国務大臣 岩倉先生からの温かい御激励にまず心から感謝申し上げたいと思います。

 先生も私も北海道出身ということでありますが、東京から北海道へ帰るたびに、上空から見おろす北海道の大地を見て、本当に感慨ひとしおのものが感じられます。というのは、私どもの子供のころの記憶は、本当に大原野でした。作物も何もとれない泥炭地帯、また、カバしか生えない原野、それが今はもう緑の大地に生まれ変わっているんですね。大きな圃場、そして農家も、いろいろ厳しいといいながら、すばらしい変貌ぶりだ、私はかように思います。

 そういう意味では、土地改良事業というのは、時代のニーズに的確に対応してきたということを誇りに思っていいのではないか、かように思います。農地の整備水準の向上、農業水利施設の整備、農地造成等を通じて、食料安定供給という非常に高邁な使命に向けて、生産性向上等が図られてきた、これに貢献してきた、かように思います。また、農地の大区画化と一体的に担い手への農地の利用集積ということも徐々に図られて、構造政策の進展に寄与しているということは紛れもない事実であります。

 問題は、今後でありまして、食料・農業・農村基本法の基本理念の実現や食料自給率の目標達成、さらには、農山漁村の新しい可能性をどのように開いていくかということに向けて重点的にこれから努力してまいりたいと思いますし、特に、水田の汎用化、畑地かんがい施設の整備、基幹的水利施設の整備、更新などについては、今後、環境との調和に配慮しつつ推進していくということが新しい時代の要請ではないか、かように認識いたしております。

岩倉委員 ありがとうございました。環境との調和という、今回の一つのポイントではないかというふうに私自身も考えます。

 もう一点、昨今、いわゆる混住化が進んでいる現状の中で、地域社会との密接かつ良好な関係の構築が改めて求められているのではないかというふうに思います。地域社会、そして国民各層から理解を得るために、農業生産にとっては普遍的な基本条件としての生産基盤の強化あるいは生産基盤の高度化というテーマを今後積極的に発信していくことが国民各層からの理解を深めることにつながっていくものというふうに思います。この点も極めて大きなポイントではないかと思いますが、大臣、具体的なそのイメージがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

木下政府参考人 お答えしたいと思います。

 私ども、これからの農業農村整備事業を的確に推進していくためには、基本的には、地域社会や国民各層からの理解と支援が不可欠だというふうに考えております。したがいまして、このような観点から、私ども、一つは、都市住民を対象にいたしましたパンフレットの作成、それからイベントの後援あるいはホームページの開設、また地域住民とか有識者の参画によります整備計画の策定、また地域住民、都市住民の参加によります水路それから棚田等の生産基盤の維持保全活動、あるいはこれを活用いたしました農業体験活動など多様な手段、あるいは機会があるごとにPRを行っていきたいというふうに思っておりまして、今後とも、一層このような取り組みを強化していきたいというふうに考えております。

岩倉委員 次の時代を担う子供たちへの教育の問題も含めて大変重要な問題だと思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 さらにはまた、それぞれの地域で農業経営あるいは生産形態が異なっている現状でありますけれども、それぞれの地域の特性に合致した土地改良事業の推進が、そういったコンセプトがますます必要になっている時代ではないかというふうに思います。そして、そのようなコンセプトが、事業の効率性あるいは事業評価という意味で、昨今話題になっておりますけれども、非常に大きなポイントになってきているというふうに思います。

 今日までの土地改良に関する事業推進に当たっての基本的なスタンスと、それから二十一世紀初頭、当面する土地改良事業の基本的なスタンスとの違いについて、もし何か御所見がありましたらお伺いしておきたいと思います。

木下政府参考人 土地改良事業でございますけれども、これまでも時代のニーズに対応しながら、一つは、大型機械の導入、あるいは水田の畑作利用を促進するなど水田の大区画化あるいは汎用化を進めてきたところでございます。また、産地の形成を図る観点から、畑地のかんがい施設あるいは農道等の整備、また用排水条件の改善、農業生産の安定のための基幹的水利施設の整備を進めてきたところでございます。

 今後の事業の推進方向でございますけれども、基本的には、平成二十二年の食料自給率達成に向けまして、麦、大豆などの生産振興を図るための水田の汎用化の一層の促進、それから畑地帯でございますけれども、土地利用型でございますとか、あるいは果樹地帯、あるいは施設園芸地帯、それぞれニーズが違います。それぞれのニーズに即しましたきめ細かな整備を進めていく必要があるだろうというふうに考えておりますし、また、地域の農業者、地域の営農、実は相当変わってきているというような実態でございます。したがいまして、どちらかといいますと、これまでのような全国画一的な整備から、地域なり農業者のニーズを的確に踏まえた弾力的な整備が必要だというふうに思っております。

 また、もう一方で、これまで半世紀かけまして整備をしてまいりました取水堰とか農業水路の相当なストックがたまってきているという点でございます。今後は、これらの農業水利施設の多面的機能を図るという観点から、計画的な整備、更新が必要だろうというふうに考えております。

岩倉委員 時代のニーズに合ったフレキシブルな対応が今必要だというふうに思いますので、ぜひきめ細かな政策発信をしていただきたいということもあわせてお願いをしておきたいと思います。

 私の持ち時間最後になりますけれども、遠藤副大臣に一つ御質問をさせていただきます。

 昨今、報道などで土地改良区のあり方が問われているわけでありますけれども、土地改良区はこれまで農業水利施設の管理を通じて地域資産の保全等に寄与してきており、今後も期待される役割は大変大きなものがある、私自身もそう思います。したがって、土地改良区の指導と組織強化を図っていく必要があるのではないかと思いますけれども、農水省のお考え方を副大臣からひとつお聞かせいただきたいと思います。

遠藤(武)副大臣 土地改良区の現状と今後のあり方については、先ほど来大臣が御答弁なさっていることと大筋は私も変わっておりません。ただ、今まで生産に重点を置いて土地基盤整備をやってきたわけですが、大臣が先ほど申されたように、環境との調和、あるいは混住化社会の中での住民の皆様方との合意の形成という新たな一面が土地改良区事業には加わってまいったと思っております。

 生産に重点を置いてきた場合には、比較的少人数の小規模の土地改良区でも、組合員、構成員の合意がなされるためには小規模でも十分だったと思います。しかしこれからは、維持管理や環境との調和、あるいは住民の皆さんとの合意の形成という意味では、合併を促進して大規模化し、かつ組合の事務処理能力を高めていくということが非常に大事になってくるのではなかろうか。

 そういう意味で、現在七千二百二十九組合ある中でもまだ五千六百台に合併がとどまっておるわけで、残されたあと二年の期間で、県とも協力をしながら合併の促進を図り、かつまた農業の基盤そのものの強化につながるような形でやってまいりたい、このようにとらえておるところでございますので、先生がただいままでおっしゃられたことに即しまして行政を進めてまいりたい、このように思っております。

岩倉委員 ありがとうございました。

 今、国際的にもあるいは国内的にも、農政、農業のあり方が大変重要な課題の一つではないかというふうに思います。新基本法にもありますように、食料自給率の向上、目標を達成するという軸をぜひしっかり持って、それを国民各界各層に伝えていく。目標は何なのかという軸をしっかりと一人一人の国民が持っていくことが、当面、農政を考える場合に極めて必要なのではないかというふうに思いますので、ぜひ大臣初め、当面する農政の課題に積極的に取り組んでいただきまして、一日も早く目標達成していただきますように心からお願いを申し上げまして私の質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

堀込委員長 次に、吉田六左エ門君。

吉田(六)委員 おはようございます。委員長並びに委員の皆さんのおかげをもちまして、十五分の質問時間を授かりました。心から感謝をして、謹んで質問をさせていただきます。

 今ほど先陣を頑張っていただいた岩倉委員から、農政全般にわたって、そして我が日本国土のこれからという広い見地に立って、直面します土地改良事業、この一部改正、これにかかわる質問をしていただきました。そして、その後陣を承って、もう少しこれを、ピントを詰めて御質問させていただきたい、このように思います。

 ここのところ、林業の話でありますとか、あるいは山の話でありますとか中山間地でありますとか、とかくWTOの農業の、農地の持つ多目的機能という観点から、どちらかというと、農業にかかわる、あるいは国土にかかわるウエストより上、上流部に話題が集中したかに思われます。そうした状況を見せていただいておって、都市と混然とする都市近郊の農業、農地、あるいは私どもが常に触れます海抜より低い、マイナス一メートル七、八十センチという農地を土地改良事業によって優良な農地として、そして水を始終日本海にかえながら米つくりをしてきたという地域、これらの地域の土地改良事業のこれから、こんなことについて御意見を申し上げ御質問させていただきたい、このように思います。

 どんどんと農地に向かって都市化が進みます。こうした中で、いろいろな問題が生じてきていますけれども、土地の利用などもその一つの大きな問題ですが、きょうは、農業にかかわってきた農業用排水、これと、土地がどんどんとアスファルト化します。結果として、雨水がほとんど地中に吸収されることなく、その多くが流れ出して、そしてすぐ直近の農業用水あるいは農業用の川などに集約される。

 こうしたときに、相変わらずその水の最終的な始末は農林水産で行っているわけですね。今後の土地改良法の改正におきましても、いつまで、どこまで、だれのものかわからない水を農業予算で上げ続ける、このエネルギーはもちろんのこと、施設が全部老朽化します。そして摩滅します。このまたメンテナンスも含めて、いつか仕切りをしなければならないものなのではないかなと、それらの傷みぐあいを見、またその予算化に向けて汗をかかせていただきながら感じていますが、この辺について御意見をお聞かせいただきたいと思います。

武部国務大臣 吉田先生の現場での悩み、また、現場を通じてのあるべき姿についての御意見を拝聴させていただきまして、なるほどという意を強くさせていただきました。

 御案内のとおり、時代とともに農村地域も変わってまいりました。都市住民との混住化が進み、本来農業のための施設が他の人々、住民のためにもこれが生かされているということなどを考えますと、今後、こういった利益を受けている地域住民等からも何らかの費用を負担していただくというようなことも必要になってくるのではないか。いずれにいたしましても、土地改良区の維持管理を行う排水路等につきましては、やはり公益性の高い一定の施設の管理について、新法に基づいて今後とも施設管理施策を強化していきたい、かように思います。

 平成十三年度には管理作業への住民参加の促進対策を講じている次第でありますが、先生のお考え、御発言の意を体してさらに努力をしていかなきゃならぬ、かように考える次第でございます。

吉田(六)委員 ありがとうございます。

 その延長上に、いわゆる農業用水の悪化という問題が出てまいります。先ほど遠藤副大臣から、土地改良区を合併していかなきゃならぬ、こういうお話がありまして、まさにそのとおりだと思うんですが、私ども新潟市周辺には亀田郷土地改良とか西蒲土地改良とか、日本一とも言われるばかでっかい土地改良区がございます。

 その中央には、とても岩永政務官の琵琶湖には比べるべくもありませんけれども、やはりその百分の一ぐらいの、あるいは二百分の一ぐらいの湖水が残ります。ここが大事な一時期の農業用水のプールにもなるわけですけれども、そこがまた、先ほど申し上げた都市排水の簡易処理後の受け場にもなる。ここの水質がどんどんと悪化していく。水質については大先進県の滋賀県でございます。私も守山市でかつて仕事をしたことがありますが、ここの排水の条件に合わない排水は蒸発処理しなさいなどという厳しい目に遭ってきたことがあります。

 そんな観点から、農業用水の悪化、都市排水が混入したりしての悪化、これに対して何か御意見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

岩永大臣政務官 盟友である吉田先生から御質問を受けて光栄でございます。

 先ほどの武部大臣の御答弁とちょっと重複するんですが、私は、都市と農村の格差というのは、今余り感じない生活形態ができてきた。これはやはり、農村と言われる、地方と言われるところに対して農水省が入れてきた力、そして、農業を地域全体にかんがみてやってきた農水省の努力というのは本当に今まで高く評価しているし、感謝しているわけです。

 そういうような意味を含めて、先生の話でございますが、確かに農作物の生育障害、それからアオコだとか悪臭だとか、蚊とかハエの発生などの生活環境の悪化、こういうことで大変困っておるのが現状でございます。

 しかし、農業集落排水事業とそれから水質保全事業、約一千万の目標に対してもう二五%できている。二五%では遅いということで、集落排水事業をやっている。そして、水質保全事業なんかもう昭和四十六年からずっとやって、用水路と排水路とを別々にしている。滋賀県あたりでは、一番最後にひとつため池をつくって、そしてもう一回それを上流に持っていって、農業排水は循環して使おうじゃないか、そして、琵琶湖に最終的に流さないというような形態をつくろうということで、今その取り組みを始めたところでございます。

 先生ともども田舎に住む者として、やはり田舎の環境浄化のために一緒に頑張っていきたい、このように思っております。

吉田(六)委員 ありがとうございました。

 武部大臣、そして遠藤副大臣、平場で、私は、これからの農業に向けて生産調整、これがために大豆や麦に耕作地を変えていかなきゃならぬ、このことを随分と議論させていただき、教育も受け、まさにそういう時代なんだな、こんなふうに考えたわけですけれども、思いも今いたしていますが。

 しかし、新潟のところへ帰りますと、ほんの、僕のおじいちゃんの時代まで首までつかって田植えをしていた場所を、やっとひざかぶぐらいにして田んぼにして今うまくいっているわけですね。ここをこれからまた、汎用化するために手入れをして、そして水を絞って、そして麦あるいは大豆にしていく、こうしたことなものですから、土地改良事業、ここらで大変なまた負担があるのかな、こんなふうに思っています。

 本格的な振興を図る場合には、今の状況ですと、何か長雨があっても、三十センチや四十センチの淡水は稲は頑張れるんですよ、首まで水がつかっても息しますから。ですけれども、これを大豆なんかにしていたとしたならば、もうその年、一作パアになっちゃうんですね。百姓は泣かなきゃならぬなる。

 欲得で、七万円の補助金がつくからといって、おまえが判断してやったんじゃないかといいますけれども、こうしたところはもっともっと、ドライにするための設備投資、あるいは最終的に言えば、これは農林水産と若干趣を超えますけれども、その先の、川の整備なんかも含めて考えていかなきゃならぬと思うんですが、国家的方針と、それに伴うためにはベーシックな部分の手入れと、ここの関係をどんなふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

武部国務大臣 本当に我々のところも、米しかつくれないところがあります。適地適作という意味では、このことをもう一度思い返してみる必要があるんじゃないか、かように思いますし、同時に、今度の食料・農業・農村基本法というのは、自給率の達成目標というものを明らかにしているわけでございます。大豆とか飼料作物とか小麦が極めて自給率が低い。小麦、大豆は一〇%に満たない状態でありますので、自給率向上ということになると、こういったところにどうしても重点を置いていかなきゃならぬ。

 したがいまして、先生御指摘のとおり、米の生産調整等に対応可能な土地改良事業の推進ということが非常に重要な課題になるわけでありますし、お説のとおり、圃場の大区画化による生産性の向上に加えて、耕地利用率の向上に資するよう、排水条件の整備等を通じた水田の汎用化の推進が必要だ、かように思いまして、特に水田における麦、大豆作物等の本格的な生産を図るための努力をさらに農林水産省としてもしてまいりたい。

 全国平均からいたしますと、新潟は非常に努力いただいている。大豆の転作が二二%にもなっているということは、新潟における生産者の皆さん方のまじめな努力というものに敬意を表したいと思いますし、まじめに努力している者が報われるようなそういう政策展開を忘れてはならないということを肝に銘じて政策の重視をやってまいりたい、かように考えております。

吉田(六)委員 血の通ったありがたい御答弁をいただいて、心から感謝をします。

 終わります。ありがとうございました。

堀込委員長 次に、古賀一成君。

古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。今回も質問に立たせていただきます。

 きょうは土地改良法改正案ということで、私の地元におきましても、本当に長年にわたりまして土地改良が進んでおります。大変悩みも多い、あるいは矛盾も多い、いろいろな課題を抱えた事業であろうと私は思っております。

 そこで、きょうはそれに関して質問しようと思っておるわけでございますが、その前に一つ、きょうの新聞に、各紙載っておりますけれども、いわゆるセーフガードの問題でございます。きょうの新聞に載るとは夢にも思いませんからこれは質問通告しておりませんけれども、きょう各紙の一面に、中国が日本に対抗措置を講ずる、携帯電話、自動車、空調機、この三品目について特別関税をかける、こういう記事が各紙大きく載っております。これは当然予想されたことではございます。

 この前も質問に立ちましたときに、韓国、中国の関係で、ニンニクに対してセーフガードを韓国がかけた、携帯電話について対抗措置を講じたという例を引き合いに出しながら、セーフガードを発動した場合に、携帯電話なんかは多分対抗措置を講じてくるだろうと思っておったのですが、案の定そういうことで、携帯、自動車、空調機、こうなっております。

 これについては、関係省庁は外務省あるいは財務あるいは経済産業とあるわけでございますが、何といっても、この生シイタケ、イグサ、ネギ、いずれも農林省の管轄する非常に重要な品目でございまして、今後、こういう記事が出ますと、国内の方で、いやあ、シイタケ、イグサ、ネギの対抗措置で、えらい値段の高い自動車、空調機、こんなものに対抗措置が講じられてということで、また国内的にもいろいろな論議が出ると思うのですね。

 そういうことで、予想された中国の対抗措置が表に出てきた。それに当たって、農林省が、農林大臣が中国と、再度ふんどしを締めて、日本の国内の事情を、やはりしっかりと相手を説得しなきゃならぬと私は思うのです。

 この前、私は農林委員会で、実は中国の関係者と近々のうちにいろいろ話をするんだという話をやったときに、ほんのこの前でございますが、二つのグループと話をしました。私もしっかり、同じアジアにおける、そして日本の文化にもかかわる、日本の農村の存亡にもかかわることだ、お互いの秩序というものをしっかり考えようじゃないかというふうに、一個人ではありますけれども、お話をしました。

 本件に関して、中国の対応がこう出ましたけれども、改めまして、農林水産大臣の本問題への積極的な対応、決意というものを、もう一度この段階で御表明いただければと思います。

武部国務大臣 ただいま先生御指摘の問題については、現在、外交ルートを通じて事実関係を確認しているところでございます。正式な確認をまだいたしておりません。

 中国はWTO未加盟国とはいいましても、セーフガード協定上、暫定措置に対する対抗措置は講ずることができない、私はかように理解しております。

 我が国がセーフガード協定にのっとって発動している暫定措置に対しまして今回中国側が対抗措置を決定したとすれば、まことに遺憾である、極めて遺憾である、かようにしか申し上げることが現時点ではできません。

 いずれにいたしましても、今後、政府部内で協議の上対応を検討していかなければならない、かように思っておりますが、このことで農林水産省として何ら、本件について考えが変わったとか対応が変わっていくというものでないことを明確に申し上げておきたいと思います。

古賀(一)委員 私は、自由貿易体系をつくっていく、とりわけアメリカなんかの意向が強いと思うのですが、やはり日中の関係、アジアの関係というのは、完全な市場主義というだけではない、もっと高度なアプローチはあると思います。

 この前も、名前は申し上げませんが、中国の要人がお見えになったときに、もう中国の半分、懇談会ですからもちろんお酒も入っておりましたけれども、むしろ中国の人たちがちゃんと畳に寝るような、そういう高度な文化にと言いましたら、この前、本当に展示会に畳が展示してあったというのですね、まあそれは半分冗談ですが。

 そういうお互いの、セーフガードあるいはWTOの枠組みでぎくしゃくというだけではなくて、やはり共存共栄というところで強く言っていけばある程度わかってくれる問題だと私は思います。

 今後、外務省が窓口という話でございましたけれども、あそこは今がたがたしておりまして、イグサのつくり方がどうだとか生シイタケがどこでできるなんというのは余り関心のない役所であります。私もかつておりましたからよくわかります。ひとつ農林省が本当にリーダーシップ、イニシアチブをとって、先ほど言ったような姿勢でしっかりと中国と交渉をしていただきたいと思います。

 それでは、本題に入ります。

 私は、土地改良法の質問、いろいろ改正点がございますが、土地改良事業については最近いろいろな事件もございました。一つが、自民党の党費立てかえ問題というのがございました。そしてもう一つは、この土地改良法に基づいて行われました例の諫早湾干拓事業、これに伴う有明海の問題、これもるる質問をしてまいりました。

 そして、きょうは時間があれば言えると思うのですが、過去の話になりますけれども、国営土地改良事業の特別型というのがかつて創設をされました。昭和五十一年であります。これは、本当は一般会計予算でずっとやってきたものを、事業箇所は減らしたくない、事業費もふやしたいけれどもオイルショックで伸びない。そうなると、どうしようかということで、財投資金を入れて、つまり金利つきの財投資金を入れて事業量を確保し、結局そのツケが、余り詳しく知らなかったと言ってもいいと私は思うのですが、農家の、受益者の負担金としてかぶってきた、こういうこともございました。

 そこで共通して言えるのは、農家とか農村とか、あるいは農業そのものとか、そういう配慮よりも、やはりまず土地改良事業ありき、土地改良事業の予算を確保して事業を進めればいい、何かそういうところが非常に前面に出て、結果、現場オリエンテッドというか、農村、農家、この生産現場をどうよくするか、あるいは土地改良事業を通じてこの地域というものに新たな環境であるとか、そういうものを生み出していくという発想がむしろ薄かったように私は思うのですね。そういうところに、先ほど言いました三つの問題、自民党の党費立てかえ問題、あるいは諫早湾干拓事業のああいう、環境破壊とも言っていい部分はあります、こういう問題、あるいは受益者負担の思わぬ増嵩、こういうのもあったように思うのですね。

 そこで、今回、この土地改良法の改正によって幾つかの改正が行われました。私は非常に注目をしております。法文だけ変えた、しかし精神は変わらない、実体は変わらないということじゃなしに、まさに今度の、こういう激動期におけるこの法改正でございますから、本当にこの法改正を機に、今から申し上げるような新たな土地改良事業に発展をしてもらいたい、僕はこういう思いを込めまして質問をしたいと思うのです。

 第一点は、いわゆる環境との調和への配慮という規定が第一条に盛り込まれたことであります。

 これは、この農林水産委員会でもいろいろな法律にわたって議論がございました。これは大変いいことだと私は思っております。しかし問題は、この前、林業基本法でも申し上げましたけれども、法律には書いたけれども実際これはどういうふうに動いていくんだ、都道府県あるいは団体の場合も、ああ、こういうふうにすればいいんだという環境への配慮というのが具体化してくるイメージがまだないんですね。

 これまでの土地改良事業、別に今度この法律に環境との調和への配慮というのを書かなくたって、食料・農業・農村基本法ではもう既に二年前に同じ規定が盛り込まれている。しかし、土地改良事業で何か環境を創造していくような、環境を改善していくような、そういう事業のイメージはまだ出ていないように思うのです。

 そこで、お聞きしますけれども、この環境調和、環境再生、環境創造型の土地改良事業というものは大変可能性があると私は思っておりますけれども、今回の法改正で第一条にこれを盛り込んだことによって具体的にどういうふうな施策を講じようとしているのか、ひとつ局長に御説明をお願いしたいと思います。

木下政府参考人 今回、土地改良法の改正案を今御審議いただいているわけでございますけれども、私ども、今回の改正案に盛り込みました環境との調和に配慮するということにつきまして、土地改良事業全体の事業実施の原則にしたいというふうに考えております。したがいまして、直轄事業あるいは補助事業を含めまして、すべての土地改良事業に適用されるということになろうかというふうに考えております。

 具体的に、環境に与える影響を軽減あるいは回避するため、個々の事業計画の中で環境との調和への適切な配慮について審議をし、計画に反映させることが重要だというふうに考えております。

 したがいまして、私ども、食料の安定供給等事業本来の目的達成に支障を及ぼさない範囲内でございますけれども、地域の実情に即しまして、自然と共生する環境の創造等の環境との調和に配慮した事業計画の策定がなされますよう、一つは、国としてガイドライン、それからまた設計の基本的な考え方を今検討中でございます。国民の意見も聞きながら、できるだけ早く成案をまとめたいというふうに考えているところでございます。

 また、具体的な適用に当たりましては、事業実施計画作成の際に、それぞれの個別の事業計画がまさに環境に配慮しているかどうかという点につきましても、専門家の皆様方から成ります委員会で調査審議をしていただくということも考えているところでございます。

古賀(一)委員 今、国の方でガイドラインをつくるというようなお話がございましたけれども、国がガイドラインをつくる、今までだってつくろうと思えばつくれたわけですよね。

 私は何度もこの委員会の場で申し上げておりますけれども、むしろ、各地域の地勢、文化、いろいろな地域特性に応じてやはり環境創造というのはあると思うんですね。環境との調和というのもあると思うのです。沖縄から北海道まで、雪国もある、南の国もある、あるいは都市部を控えた農村地帯、いろいろなバリエーションがあるわけであります。

 国のガイドラインももちろんあっていいと思うんですが、むしろ国民のあるいは地域の、市町村長のそういう意見を出させる。そしてそれを、いいものを、いい知恵を出した土地改良事業には、ひとつこれを表彰というか、PRをする。こういういいものができるんだと一つの事例を紹介するとか、そういう地域現場をまず主体に置いた知恵というものをもっと尊重するという姿勢を示したときに、各地域、いろいろな知恵を出してくると私は思うんですね。

 今までの土地改良事業で言いますと、いわゆる本省が設計をする、そして、余り奇抜なアイデアを出すと何かしかられそうだ、今までどおりやっておけばいいという流れがずっとあると思うんですね。そこら辺、いわゆる市町村長の意見聴取が今度は市町村長との協議ということになっておりますけれども、こういうものを通じてやはり地域の声をもっと積極的に聞いていく、知恵をそこから引っ張り出していく、そういう思想というか基本的なスタンスがあるのかどうか、あってほしいと思うんですが、この点、ひとつお答えをいただきたいと思います。

木下政府参考人 私ども、今回の土地改良法の改正、具体的にそれを現場に適用する際に、まさに委員御指摘のとおり、それぞれの地域に即応した、あるいは地域に即した形での環境との調和が必要だというふうに考えております。

 したがいまして、事業を実施する際には、それぞれの地域でどのような観点から環境の調和を行っていくのかというようなマスタープランづくりが必要だというふうに考えておりまして、そのような現場現場の実情に即した事業が行われるよう私ども努めていきたいというふうに考えております。

古賀(一)委員 これは言葉でやりとりしてもどこまで進むかわかりませんので、私は一つ御紹介をしたい映画があるのです。

 大分前になりますけれども、当時の九州農政局長と酒を酌み交わしたことがありまして、彼は水利という問題に大変情熱を燃やしておった局長さんでございまして、本も書かれました。

 そのときに、酒を飲みながら私が紹介した映画があるんですが、実は、私の地元、柳川でございまして、柳川は北原白秋でもございますけれども、水郷で有名。そこに、「柳川掘割物語」というドキュメンタリー映画を、例の「風の谷のナウシカ」などをつくりました宮崎駿さん、高畑勲さん、あのグループがつくったんですね。それは大臣もぜひ見ていただくと、これはキネマ大賞の教育賞をとりました。

 本当に古き日本人が、縄文時代からあの水利を生み出し、洪水と戦い、農業用水を生み出していくため、しかも、軟弱土壌というのをいかに改善していくかということであのクリーク体系をつくり、江戸時代に至っては、いわゆる水争いをしてこれだけ水を大切にし、争いながらでも農村をつくってきたという映画なんですね。これはドキュメンタリーでもあるのです。

 それを私は一回、十年前ぐらいにですけれども、東京の関係者を集めて八百人ぐらいで映写会をやったことがありまして、そのとき、環境庁、建設省河川局、あるいはあのときは農林省の皆さんにもお声をかけましたでしょうか、いわゆる当時の水利土木あるいは河川土木のプロの人たちが、昔の、ちょうど四百年前ですから、一六〇〇年代にあの柳川の掘り割りを、水利、治水あるいは都市、人、水、そういう総合的な技術なんですね。

 私は、昔の、ブルドーザーも何もないあの時代の、しかも、もちろん農林省も何もない時代の、まさに地域の殿様が、田中吉政公というんですけれども、彼が総合技術、総合的な知恵を出してあれだけのシステムをつくったという映画でございまして、詳しくは述べられませんけれども、本当に私は、地域の知恵、何とすごいんだ、それは専門家もみんな驚かれたんですね。やはりそういうことが可能なんです。

 したがいまして、これは要望になりますけれども、土地改良事業、国が技術基準を決める、法文ではこう書いたというにとどまらない、地域の農村が知恵を出す、そして本当にすばらしい土地改良事業、付加価値の高い土地改良事業が地域の人からも見える、いいものができたじゃないか、私は、ぜひそういう土地改良事業に今後進んでもらいたいと思うんですね。

 この前も申し上げましたけれども、例えば、国営土地改良をやる、幹線水路が立派にできる、そこに、では、この幹線水路の、ここの幅十メーターぐらいのところは、市長さん、町長さん、ひとつあなたたちで付加価値の高い何かを考えたらどうか。例えば釣り堀公園、現に私は要望を受けておるんですから、そういったこととか、この前も申し上げましたけれども、私の久留米近辺の田畑には昔からはぜ並木というのがずっと農村風景であった。それを今一生懸命保存している。そういうのを土地改良事業とあわせて、ではこの区間数百メートルはそういうのもひとつやってみようじゃないか、そうしたときに、土地改良事業が農村らしい新しい環境資産を残したということになると思うんですね。

 だから私は、ぜひそういう地域の知恵というものを呼び起こし、エンカレッジして出させる、そしていい資産が残っていく、ぜひこの法律の改正を機に、そういうふうに戦略思想というものをぜひ高めていただきたい、かように思います。

 それで、その次にお聞きしたいことがございます。

 例の諫早湾干拓事業でございますが、これは土地改良法にも根拠を置いてつくられた。ここに、先ほど言いましたように、環境との調和への配慮というのが第一条に高らかに掲げられた。ところが現場においては、諫早湾干拓事業、環境への調和、違うだろう、環境の破壊じゃないかというのが依然強く残っております。

 この前の日曜日、おとといでございますけれども、漁連の方々がたくさん出ておる結婚式に私出ました。相変わらず、ことしのノリはどうだ、タイラギは途中まで育ったけれども、どうもあれはみんな今死につつあるとか、そんな現場の話をしょっちゅう聞かされております。

 私は、諫早湾干拓事業、当然、環境についての問題がこれだけ出たわけでありますから、しかも今回、土地改良法について環境との調和というものが高らかに掲げられた、この法改正の趣旨というものは、もう事業実施中でございますけれども、諫早湾干拓事業にどういう影響を及ぼすのか。つまり、この法律の改正に伴って、諫早湾干拓事業について新たな展開というものがあってしかるべきだと思うのでありますが、この点について、この法律改正を機に、諫早湾についてどう新たに取り組まれようとしておられるのか、ひとつ大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。

武部国務大臣 本事業は、環境影響評価の実施により十分評価した上で事業に着手したものというふうに理解しております。また、事業着手後においても、環境モニタリングの実施、調整池の水質保全のための対策の実施など、既に環境にも十分配慮しつつ事業を進めているわけでありますが、先生の御質問にございましたように、今回の土地改良法改正の趣旨を踏まえてどうなるんだということについてお答えいたしますと、河川水の礫間浄化や水生植物の植栽等の水質浄化対策も行いたい、かように考えておりますし、環境にも十分配慮しつつしっかり対応してまいりたい、かように存じます。

古賀(一)委員 時間ももうあっという間にたつもので驚いておりますけれども、それでは、次に移りたいと思います。

 せっかくの機会でございますから、環境についてでありますけれども、農村自然環境整備事業、ビオトープ型という事業がかつてございまして、今、農業農村整備事業に統合された、こういう形になっておりますけれども、これからやはり土地改良事業が国民の支持を得ながら本当に発展していくためには、環境的にすぐれた、環境創造機能というか再生機能というか、どうしてもそういうものを持たないと国民のいわゆる理解は得られない、土地改良事業もなかなか進んでいかないと私は思うんです。

 そういう面で、ここは工夫のしどころ、ちょうどいい転換点だと思うんですが、かつて公共事業に五%の文化的価値の事業を付加しようという話がございまして、最近はこういう議論は吹っ飛んでおりますけれども、土地改良事業というのは、環境創造というのは大変やりやすい事業だと思うんですね、わかりやすく。

 今後、一定の数量を、土地改良事業をやる場合には、その事業費の一〇%ぐらいは、皆さん、農村の環境の向上、あるいは環境創生、そういうものに使っていくという一つのガイドラインというか数値を挙げることは、各農業団体であるとかあるいは市町村であるとか、あるいはもちろん農林省もそうでありますけれども、ああ環境に我々は知恵を出さぬといかぬという面で、起爆剤とまで言いませんけれども、コンセンサスを得る一つの非常にいい手だてになると私は思うんです。

 一定の目標数値を、例えば一〇%、我々は土地改良事業においてそういう環境再生、環境配慮型の事業というものを付加する、そういう目標というものを今回掲げたらどうかと私は思うのでありますけれども、この点について、大臣、ひとつ前向きの御答弁を。

武部国務大臣 食料・農業・農村基本法の基本理念や食料自給率目標の達成に向けて、環境との調和に配慮しつつ事業を推進するということは極めて重要でありまして、我々はその方向に大きく前進していくわけであります。

 地域住民と都市住民が求める美しいふるさとの整備ということも、農山漁村の新しい可能性を切り開くという意味で今後重要性を増してくる、かように思いますが、循環型社会の構築や自然との共生に寄与する事業に改革していくということは、これはおっしゃるとおりだ、かように思います。

 しかし、地域の実情あるいは個々の地域におけるそういった案件について、一律の基準設定というのは困難だろうと思いますし、むしろ一律でない方が、やはりケース・バイ・ケースということがあるんじゃないかと思いますね。事業によっては、もっと高い水準で環境に配慮しなければならぬ、そういうところも出てくるかと思いますが、考え方としてはわかりますが、一律という今先生の提案についてはいかがか、かように存じます。

古賀(一)委員 確かに目標値を、パーセンテージを挙げるというのはひとつ単純過ぎるかもしれませんけれども、そのくらいのことを言って、本当は新たなそういう土地改良事業というものを目指していく時代だろうと私は思います。

 時間もありませんので、もう一点ですが、私は、もともと建設省という役所におったんですが、道路局が長かったんですけれども、当時から私も省内でいろいろ言っておった。そのときから言っておったことは、大体役所は、法律職、経済職、行政職、そして農林省でいうと農業土木、土木工学系ですね、そういう人たちが大体政策をつくり、企画をやり執行してきた。私は、もう少し役所そのものが多様な価値観を持った人間の集団であっていいんじゃないか、こう思うんですね。

 それで、環境工学とか、あるいは例えば東京芸大のデザイン科を出た人が農林水産省に三年に一遍ぐらい入ってくるとか、それは国土交通省も同じことなんです。やはり私は、モノカルチャー、もう法律のセンス、土木工学のセンス、そういうことだけではなくて、マンパワーの面においてももっと多彩な、多様な人材を本省のそういう政策企画スタッフに、毎年一人とは言いません、でも本当に二年に一遍、三年に一遍ぐらいあっていい時代じゃないかと思うんですね。

 そこで、これは人事にかかわることなので、ひとつそういった新しい発想でやってみようというお気持ちが、土地改良法のこの改正もありましたし、どの法律も多面的機能だ、環境へ配慮だ、こう言っておるわけで、こういう時代に、ひとつそういう人事政策というか、そういうものを言い出すお気持ちはございませんでしょうか。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 事実だけを申し上げますと、平成十三年度採用者二十名のうち、少なくとも八名が環境関連分野を専攻しています。林学区分採用者については、平成十三年度採用者全十五名のうち、少なくとも四名が環境関連分野を専攻しております。それから造園区分については、平成十三年度二名採用をしております。デザインについては、建築区分の受験者からデザインを履修した者を採用することは可能だというふうになっております。

 しかし、先生御案内のとおり、私は、入省してから勉強しても遅くはないと思いますよ。いろいろな現場、いろいろな場面に遭遇して、どんどん省内の人材を、多岐にわたった研修なり教育をしていくということでなければならないと思います。

 我々政治家も、私なんか、商工委員長をやったり法務委員長をやったり、全く場違いなところで経験を積んで、また新たなるものを得ている、こう思っておりますので、人事だとか採用の問題について、先生の御指摘は、これはもう言うまでもないこととして、これから農林水産省として努力してまいりたいと思います。

古賀(一)委員 もう質問ではございませんが、それでは、今の大臣の答弁、それも前提としまして、今回の環境への配慮、そして、きょうは詳しく質問できませんでしたけれども、市町村長との協議というところでステップアップしたわけでありまして、その精神を生かして、本当に地域の声、各界の意見を素直に広く取り入れていく、そういう度量を持って、土地改良事業を二十一世紀らしい、新しい、付加価値の高いものに進めていただきたいとお願いを申し上げまして質問を終わります。

 以上でございます。

堀込委員長 次に、石井紘基君。

石井(紘)委員 古賀委員に続きまして、土地改良区の問題について質問をいたします。

 先般、全国的に、土地改良区において自民党の党費がその会計の中から支払われておったという事件が明らかになったわけですが、これはもう随分、十年、二十年という長きにわたってずっとこういうことが行われてきたわけですね。

 そこで、農水省の調査の結果をまず伺いたいと思うのですが、直近の五年間において、幾つの土地改良区が自民党の党費を立てかえていたのか、それから自民党の党費を立てかえた分というのは幾らであったのか、また党員の数は何名であったのか、こういうことをちょっとお伺いしたいと思います。

木下政府参考人 今回の栃木県の事案を発端といたしまして、私ども、土地改良区に対して、特定の政党なり政治団体の会費の立てかえの有無につきまして調査を行ったところでございます。五月三十日に公表いたしましたけれども、過去五年間に土地改良区が立てかえた党費あるいは政治団体の会費の総額は九千三百万円でございます。

 具体的な内容でございますけれども、十二年度の例でございますと、党費等の支出があった土地改良区は全体の五・七%ということでございますし、また、政治団体の会費の支出があった土地改良区は全体の九・三%というような数字でございます。

 具体的な土地改良区の数でございますけれども、全体の中で、例えば平成十二年度を見てみますと、政党費の立てかえを行ったのが四百九の土地改良区、それから政治団体の会費の立てかえを行ったのが、同じく平成十二年度で六百七十五というような土地改良区でございます。

 最後のお尋ねでございますけれども、立てかえた人数でございますけれども、平成十二年でございますと、政党の分が二千七百十四人分、また政治団体が一万六百五十七人分というような結果でございます。

石井(紘)委員 今、平成何年分と言ったかな。この五年間ずっと各年度ごとに農水省は発表されていると思うのですが、これは年度ごとに、全部延べで足すとえらい数字になるのですが、相当重複しているんだと思うのですね。だからこれは、今の年度の分だけしか出ないのですか、それとも、もし出せたら言ってください。わからなかったらわからないと言ってください。

木下政府参考人 先ほど申し上げましたのが平成十二年度の数字でございますけれども、立てかえを行った人数でございますが、平成十一年度、政党が三千百一人、政治団体が一万二千百二十一人……(石井(紘)委員「実数ですよ」と呼ぶ)実数でございます。平成十年度が、政党につきまして二千四百二十八人分……(石井(紘)委員「だから、年度ごとは出ているんだから言わないでいいんだよ」と呼ぶ)

 私ども、それは合計をいたしておりませんけれども、大体、年間二千七百から三千人、それから政治団体が一万人程度ということでございますので、過去五年間というふうにいたしますと、累計では、政治団体が五万人強、それから政党が一万人を超えるという数字だと思います。(「金額は」と呼ぶ者あり)

 金額は、先ほど申し上げましたけれども、五年間の政党費、政治団体会費全体で九千三百万ということでございます。

石井(紘)委員 五年間で九千三百万と言うんだけれども、では、それは年度ごとに出るのですか。それから、党員の数で割ったら、党費というのは幾らですか。

木下政府参考人 先ほども申し上げましたように、五年間で九千三百万というふうに申し上げましたけれども、それぞれの年度ごとで申し上げますと、政党費で申し上げますと、平成八年度が九百七十万、平成九年度が一千四十八万、平成十年度が九百四十八万、平成十一年度が九百八十一万、それから平成十二年度が八百八十三万。また、政治団体の会費でございますが、平成八年度が八百七十七万、平成九年度が九百三十一万、平成十年度が八百九十八万、平成十一年度が八百九十九万、それから平成十二年度は七百九十一万というような数字でございます。

 私ども、先ほど申し上げました数字で割りますと、一人頭、政党の立てかえ費が大体二千円程度というふうに理解をいたしております。

石井(紘)委員 自民党の党費というのは四千円じゃないんですか。

木下政府参考人 私ども、自民党の党費が幾らかということについては承知いたしておりません。

石井(紘)委員 大臣、自民党の党費というのは幾らですか。

武部国務大臣 いろいろあると思います。地域党員は四千円と承知しております。

石井(紘)委員 これは、ほかのいろいろな団体が党費を、立てかえ払いというのでしょうかね、立てかえじゃないですね、肩がわりでいろいろな団体が払っているのですね。改良区の場合も肩がわりで払ったということを後で申し上げますけれども、いろいろな団体の資料を見ても、党費は四千円なんですよ。その四千円のうちの二千円は本人が払いなさいよ、二千円はこっちが出しますよという形でやったんです。改良区のそういう調査をされましたか。そういう事実はつかんでいないんですか。

木下政府参考人 私ども、そういう事実は承知をいたしておりません。

石井(紘)委員 それでは聞きますけれども、立てかえたということの証拠を、これは前から言っているんだから出してくださいよ。お金を立てかえる場合には、これは立てかえたと、借用書なり等々の書類を必ず取り交わさなきゃいけないんだ。しかも、土地改良区というのは社会的な公益団体ですから、そういう書類がなきゃいけないんです。そういうものがありましたか。

木下政府参考人 今回の事案が明るみになった時点で、私ども、指導通達を発出したところでございます。中身につきましては、土地改良区が、党員である理事等本来支払うべき者から返還を求めるよう、都道府県を通じ指導を行っているところでございます。

 現在まで既に党費の立てかえが明らかになった三十一道府県のうち、十五道府県におきましては全額、党員である理事の皆様方から土地改良区に立てかえ金の返還が終了しているという状況でございますし、また、その他の府県におきましても、まだ終了いたしておりませんけれども、既に返還しつつあるというふうに考えております。

石井(紘)委員 ちょっと、質問に答えてもらわなきゃ困るんだよね、時間を決めて質問をやっているんだから。質問に答えてくださいよ。時間稼ぎをやっちゃだめだよ。

木下政府参考人 先ほどから申し上げましたように、実質的に個人が支払うべきものを立てかえたということで、今回の指導を通じて、現に党員である理事の皆様方から返還が行われているという状況でございます。

 また、私ども、このような立てかえにおきまして、一般的に借用書なるものが用いられるということはないというふうに承知をいたしております。

石井(紘)委員 あなた、ちょっとすごいことを言うね。金を借りたりする場合は、一般的にそういうものは用いられないというの、借用書や何かは。

 大臣、普通、お金を借りたりする場合は、やはり借用書を使うでしょう、出すでしょう。出さないでやるんですか。公的な団体でもそうですか。それが一般的ですか。

武部国務大臣 自民党の党の組織や党費のあり方というのは、先生御存じないということでそういうお話になるんだろうと思うんですけれども、四千円というのは地域支部に所属する党員の党費です。それで、地域支部の場合には、地域に還元されることになっていますから、党本部に上げる金額は四千円じゃありません。

 そういうようなことになっておりますので、例えば職域支部などは、職域支部においては、職域支部の党費は取らないというようなところもあるんだろうと思いますね。したがいまして、四千円のうち二千円というのは、先生は何とおっしゃいましたか、立てかえじゃなくて、そういうことになっていまして、いやいや、笑うけれどもそうなっているんですよ。民主党の総裁選挙も、千円出せば投票できるとか、それはそれぞれ融通無碍なところが各党あるんだろうと私は思うんですよね。ですから、そういう意味で、その職域支部は職域支部のルールでやっているわけです。地域支部、それから家族党員というのもありまして、これはこれでまた党費は違うわけですから。

 しかし、そのことを私はいいことだと思っていません。やはり、党員というのは全額党費を党本部に上げるものだろうと思うんです。そして、党から支部の活動費というのは別途配分されるべきものだと思いまして、今、我が党におきましても、そういったことを徹底究明し、改革をしようということでありまして、ちょっとこれは、農村振興局長にそういう細かいところまで御質問されても正確な答弁は、私も具体的には、それは、それぞれの支部でいろいろなやり方をやっているということがこれまでありましたものですから、私も私の支部のことはわかりますけれども、職域支部についてはいろいろなところがあるんだろうということを御理解いただきたいと思います。

石井(紘)委員 土地改良区というのは公益的団体、公益性の非常に強い、法律に定められた団体でありまして、農水省も言っているように、「土地改良区が政党の党費や政治団体の会費を支出することは、土地改良法において認められている事業以外への支出であり、土地改良法に違反した不適法な支出である。」農水省が文書で出しているわけなんですが、この中から目的外の自民党の党費というものを出したわけですよ。

 出したんだけれども、それは、党費は今実際に自民党の党員である大臣がおっしゃるわけですから、それで私も了解いたしますが、そうだとすると、立てかえじゃなくて、これはもう肩がわりしてやった、あるいは、だれが党員だかわからないんだけれども、その人数分を土地改良区の金から払った、このような話じゃないですか。大臣、これはどう思いますか。

武部国務大臣 私は、おっしゃるとおり、問題があるということで返還を求めているわけですから、それはそのとおりだと思いますけれども、きちっと払っているところもたくさんあるんですね。これは、そういう立てかえというところは少ないんですよ。全部が全部、土地改良区がみんなそういうことをやっているというんじゃないんですよね。(発言する者あり)いや、少なけりゃいいというんじゃなくて、だから今の石井先生のお話に答えているわけですよ。

 少ないからいいとか悪いとかという話じゃないんです。少なくたって悪いものは悪いんです。悪いものについては返還を求めているんですよ、悪いから。だけれども、土地改良区のすべてがそういう立てかえをやっているというんじゃない。まじめにきちっと党費を払っている人たちに対してはそういうことは非常に失礼な話になるから、あえて私はそのことを申し上げているわけであります。

石井(紘)委員 どうも大臣、答弁が、私が聞いていることと違うんだけれどもね。

 私が聞いているのは、立てかえたと言うんだったら、立てかえたについての何らかの取り交わした書類があるはずなんです。ところが、そんなものはあるわけがないんです。というと、立てかえたんじゃなくて、改良区の会計の中から出しちゃった、そういう話なんでしょう。それをはっきり言いなさいよ、はっきり。だから、その後の話は後の話ですよ、戻させるとかなんとかというのは。また後でやりますが。

 これは立てかえたんじゃなくて肩がわりして出しちゃったんでしょう。ちょっと大臣、それをどう思いますか。大臣、せっかくいらっしゃるんだから。

武部国務大臣 立てかえたというふうに私は認識しておりますよ。

石井(紘)委員 大臣、調査の結果、その立てかえたという書類がどこにもないというんですよ。

 では、会計検査院にちょっと来てもらっているので聞きますけれども、会計検査院というのもこれを検査しなくちゃいけないんだよね、土地改良区の補助金で行っているわけだから。こういう党費を立てかえたというような書類がどこかにあったことはありますか。会計検査院、ちょっと言ってください。

有川会計検査院当局者 土地改良区の経理につきまして委員御指摘の点、またこの委員会での御議論につきまして、私ども今後、十分念頭に置きまして、個々の土地改良区が事業主体となって実施しております補助事業の検査に当たりたいと考えております。

 検査に当たりましては、補助事業に係る経理のほかに、補助事業の検査に必要な範囲で土地改良区の関連する経理も見ていくことになると考えております。

石井(紘)委員 そうすると、当然、土地改良区の会計というのは一つなわけだから、土地改良事業の事業経費に関連する経費も検査する、こういうことでしょうが、過去五年間ずっと毎年やっていたんですね。これは五年間しか調べていないからそうなんだけれども、調べればもっと、十年も二十年もずっとやっていたんだ。会計検査院、これは気がつかなかったのですか。それで検査院は、もし――今気がつかなかったのかというのが一つですよ、いいですか、覚えておいてください。

 それからもし、土地改良区の会計の中から支出したんだけれども、これを今大臣は立てかえたと言っている。立てかえた場合には、立てかえたという書類が通常必要ですか、どうですか。その二つ、答えてください。

有川会計検査院当局者 私ども、土地改良関係の事業につきましては、検査対象が数千万から数億単位のオーダーの検査対象がかなりあるということでありまして、今回問題になっております土地改良区が事業主体となっております事業は、老朽化施設の改修事業がほとんどでありまして、一件当たりの金額が数百万円というオーダーでありましたので、これまで余り検査してこなかったというのが実態でございます。したがいまして、今回の御議論、御指摘を踏まえまして、もう一度改めてこういった分野についても検査をしたいと考えております。

 それから二点目でありますけれども、私どもが与えられております職責は、土地改良区が事業主体となって実施しております補助事業の適否でありますので、その補助事業が適切に行われたかどうか、そういう面から検査をしてまいりたいと考えております。

石井(紘)委員 あなた、ちょっと質問に答えなきゃだめだよ。

 土地改良区の事業が適切に行われたかどうかということを検査するためには、土地改良区の会計を当然見なきゃいかぬでしょう。あなたがさっき言ったように、事業の予算だけじゃなくて、それについて関連費がどうだったとか、会計は一つになっているわけだから、こっちのお金だけ見たって、全体の中での使われ方を見なきゃこっちのお金がわからぬわけだから。

 だからそういう意味で、不法な、違法な支出が行われたと農水省は言っているわけだから、この違法な支出が行われるについて、どういう形で行われたのか。立てかえという形で行われたとすれば、その立てかえた書類が必要だということを言っているわけですから、はっきり答えてください。

有川会計検査院当局者 私どもの検査で、補助事業が適切にあるいは適正に使われたかどうかという範囲で、今委員御指摘のように、立てかえられたのかどうか、そういった問題も、当然、その補助事業の使途が適当であったのかどうかを認定するために必要な事実認定であればそこまで及ぶかと思いますけれども、その辺はちょっと、今後検査をしていく過程で私どもの職責の範囲内でどこまでやれるかということを御理解いただければと思います。

石井(紘)委員 あなた、職責の範囲内でと言って、あなたたち、権限が要するにないということを言いたいの。何を言いたいの。職責の範囲内なんて意味がわからないじゃないか。

 私は具体的に聞いているんだよ、土地改良区の会計の中から目的外の支出があったと。その支出はどういう支出だということを土地改良区の検査に当たって解明しなければ、土地改良区の検査にならないでしょう。もう一回言うから、はっきり答えなさいよ。それから、検査院はぐずぐずしていてだめだから、財務省にもちょっとそれを聞きますから、先に検査院ちょっと答弁してください。

有川会計検査院当局者 委員の御要望のような答えになっていないかもしれませんけれども、私どもの検査は、補助金を違法に使ったり、目的どおりの使途ではなくて、それがどこへ使われたかというものまで究明するのが目的ではなくて、補助事業が適切に執行されたかどうかというところが一番の確認すべき、あるいは与えられている仕事だと思います。

 ただ、委員言われますとおり……

石井(紘)委員 もうなくてもいい、要らない、会計検査院は要らない。

 財務省、どうですか。

津田政府参考人 補助金の執行ということに関しましては、その補助金を所管する各省各庁の責任と判断でこれは行うことになっております。

 したがって、私どもが一義的にお答えするのはいかがかと思っておりますが、いずれにいたしましても、これは、今回の土地改良区の問題でございますから、まずは農林水産省の調査あるいは執行の問題としてとらえたいと考えております。

石井(紘)委員 財務省にちょっと重ねて伺いますが、土地改良事業というのは、これは補助金の事業です。国と都道府県から補助金が行って、受益者負担等もあって、それで行われるのが土地改良事業ですね。そうすると、土地改良事業の会計というものは当然一つの形であると思うのです。

 そうすると、その会計の中のどの金を出したか。農水省は、補助金は出していないんじゃないかなんて、はずだとか言っているわけですが、しかし、この会計というのは一体である以上、お金に色はついていないわけですから、補助金で行われている事業の会計というものは、やはりこれは一体のものとして見るのが会計法、財政法の解釈になると思うのですが、いかがですか。

津田政府参考人 適正なお答えになっているかどうかわかりませんけれども、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律によりますと、特に補助事業者の方で、今の場合は土地改良区でございますが、区分して経理すべきであるというふうな規定はなされておりません。おりませんけれども、補助金等の目的とかあるいは内容に従いまして適正に執行する責務を負っていると考えております。

石井(紘)委員 そういうことになりますと、農水大臣、これはただ単に土地改良法違反というだけではなしに、会計法の問題あるいは補助金等適正化法の問題になってくるわけですね。

 農水大臣、補助金が不正に使われたということになりますと、これは農水省としては、ただ悪いことをしたから謝って、今後しません、返してもらいますと。返してもらえばいいという問題だけでは済まなくなるのですね。土地改良法には罰則規定というようなものがない。罰則規定がなくたって、法律があるんだから、それは、悪いことをしても返してもらえばいいというようなものじゃ本来ないんですけれどもね。しかし、土地改良法違反だけじゃなくて、補助金の法律にも抵触すると思いませんか。

武部国務大臣 補助金の交付に当たっては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき適正な執行が確保されていると認識しております。これまで補助金の流用があったとは承知しておりませんで、このような支出は、土地改良区が組合員から徴収した事務運営費から支出されているものとの認識でございます。

石井(紘)委員 そうしますと、先ほど挙げられた相当の数がありますね、自民党の党費を払った土地改良区というのは。この土地改良区は、すべて農民の皆さんの賦課金から党費を出したんだと。さっきは財務省は、補助金が出ていっている会計というものは分けられないという答弁なんですね。

 あなたの、大臣の答弁は、これを分けて、補助金の方は使っておりませんよ、だけれども、補助金以外のところの部分がちょっとありますからそっちから出したんですよと、こういうようなことを言っている。しかし、会計は一つなんですよ。それだったら、大臣、これ、きちっと証拠を出してもらわなきゃいけない。補助金が一切使われていないというのは、その根拠は何ですか。会計が分かれているんですか、どうなんですか。その根拠をはっきり言ってください。あなたじゃない、今大臣に聞いているんだから。

木下政府参考人 お答えしたいと思います。

 大臣から先ほど御答弁申し上げましたとおり、個々の補助金の交付に当たりましては、補助金の適化法に基づきまして、一つは、補助金の交付申請に係ります書類の審査におきまして収支予算書を提出させておるということが一つでございます。第二点目は、補助事業の遂行の状況に関する報告徴収を行っております。第三点目は、このような補助事業が終了いたした段階で、実績報告の際にも収支精算書というのを添付を義務づけておりまして、その内容を審査しておるところでございます。

 先ほど申しましたように、このように補助金の交付決定から実績報告の収支精算書に至るまで厳密に講じられているというところでございまして、適正な執行が確保されているというふうに認識をいたしております。

石井(紘)委員 では、時間が来ましたから、大臣、最後に、先ほど来の答弁、私は随分矛盾に満ちた答弁だと思うし、いいかげんだと思いますよ、これは。だって、会計は一つなのに補助金は使っていない、そういうようなことは証拠がなければ言えないはずですよ。

 それでは、大臣は、土地改良区からの自民党党費の支出というものは、この土地改良法には違反しているけれども、返せばいいんだ、そういうふうにお考えですか。それで、これについての農水省の、あるいは大臣の責任というのは、これは農水省はちゃんと文書を出しているわけですから、農水省だって責任があるからこういう文書を出しているんでしょう。こういうことについての責任というものはどういう立場なんですか、農水省及び大臣は。

武部国務大臣 今後も適法に執行していくように努力するということで責任を果たしていきたい、かように存じます。

石井(紘)委員 時間が参りましたので、どうも普通のやりとりとは思えない答弁ばかりで、まあ、さっぱりこれ、空中で飛行機がすれ違っているようなやりとりでございましたけれども、これも後々のためにやはり残っていくことになると思いますので、きょうは以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

堀込委員長 次に、永田寿康君。

永田委員 どうもお疲れさまでございます。

 私も、土地改良法についていろいろ、あるいは土地改良区からの自民党に対する違法な党費立てかえ問題、こうしたことについて御質問させていただきたいと思いますが、何しろ土地改良法あるいは土地改良事業というものは大変事業規模が大きい、予算の面から見ても非常に事業規模が大きいので、果たしてこれがちゃんとした効果を上げているのかどうかということをやはり検証しなきゃいけないと思います。

 そうした過去に行ってきた政策の中で、農水省が行ってきた農業関係の政策の中では、土地改良事業というのは大変大きなウエートを占めておるというふうに私は認識しておりますが、果たしてここまで大きな事業規模でやっていく価値があるのか、もっとほかにやるべきことがあるのではないか、そういうような観点から、ぜひ、小泉政権の農業政策に関する構造改革、こういったものの意味合いを教えていただきたいと思います。

 そこで、まず第一に、ぜひ大臣にお話しをいただきたいのは、現在農業が抱える主要な問題として、解決すべき問題としてどのようなものがあるというふうに御認識なされていらっしゃいますか。

武部国務大臣 数々あると思います。

 我が国の食料、農業、農村については、まず食料の自給率が低下しているということが非常に大きな問題だ、かように認識しております。昭和から平成にかわるころは五〇%あったんですね。現在は四〇%を割っていると思います。このままの趨勢でいきますと、十年後には三八%ぐらいになる、こう言われているわけでありますので、私どもは新しい基本法に基づいて、この食料自給率を十年間に四五%にまで維持したい、そういう目標を持って臨もうとしているわけであります。この食料自給率の問題が一つ大きな問題であります。

 自給率四五%でもどうにもならぬじゃないかという議論がありますが、これは輸出国との協力関係ということも大事でありまして、私は食料の分野にありましても、集団的な食料の安全保障政策というものも将来的に構築するような考え方を持たなきゃならぬ、かように思っております。

 もう一つの問題は、農村における高齢化ということと、若い方々もかなり農村を離れる、その結果、農地が減少したり耕作放棄地が増加している、そういう問題が二つ目にはあると思います。

 三つ目には、今も申し上げましたが、農村社会というものが高齢化とともに過疎化という問題で非常に活力が乏しくなっている、そういう問題があると思います。したがって、地域社会の維持、共同生活の維持が困難になっている、集落も相当数もう成り立たないような状況になっているということから、私どもは新しい農山漁村の可能性というものを真剣に考えていかなければならない。

 それで、農村における集落の再編、それから同時に、都市居住者の皆さん方からすれば、自然に帰りたいといいますか、人と自然との共生ということについての願望がある、こう思いますので、都市居住者の皆さん方のための新しいコミュニティーづくりというようなことも考えていくべきだという認識で今取り組んでおるわけでございます。

永田委員 今の御答弁であれば、私も農林水産委員会に入ってから一年近くになるわけですから、大臣、今の質問に対しては、自給率、高齢化等の問題、若年層の流出の問題、それから農村社会が崩壊しかかっている、このようにお答えいただければほとんど一分で済む答弁なので、その調子で簡潔にお願いします。非常に貴重な時間なので、国民の税金を使って我々この会議を開き、そして議員活動をしているわけですから、ぜひ簡潔にお願いをしたいと思います。

 さて、では今挙げられた三点か四点か、組み方によって違うと思いますが、そうした認識されている問題は、土地改良事業を計画どおりに行っていくと解消するんですか。

武部国務大臣 土地改良事業だけじゃありませんね。土地改良事業のみならず、食生活の見直しや意欲ある担い手の育成、優良農地の確保と流動化、技術の開発普及、総合的な農村振興といった諸施策を着実に推進していくことが重要だ。このことについてはもう少し私の考えを詳しく述べたいのでありますが、短くということですから以上で答弁といたします。

永田委員 では、今挙げられた、食生活の見直しとか優良農地の確保、担い手の育成、こういった政策オプションは、数々、農林水産委員会でも大臣が説明してこられた。あるいは予算委員会でも、予算の面からどういうような施策を考えているというメニューが挙げられています。

 これらを全部実施すると、先ほど大臣が挙げられた、農業、農村の抱えている問題というのは解消するんですか。

武部国務大臣 永田先生のように私は頭の中の構造がすぐれておりませんので、簡単にこのことについて一言でお答えすることは難しいと思いますけれども、今申し上げましたように、農業政策というのは多岐多様にわたるものがありますので、土地改良といいますか、耕地面積をどうするか、どういうふうに耕地を確保していくか、これを利用していくかということや、あるいはまた、細かく言えば、今農地の集積ということがかなり進んではおりますけれども、これもまだ十分じゃありませんで、そういったことなど多様な問題を抱えているということで、それをどのようにトータルで解決していくかということが今後の農林水産省の使命だ、かように認識しております。

永田委員 数々の施策を打てば大臣が御認識だった農業の問題は解決するのかという質問をした結果、解消するという答弁がなかったので、これは、解消しない、解消するとは限らない、このような答弁だというふうに受け取らせていただきます。

 違うのであれば、解消するというふうにもう一度おっしゃっていただきたいと思います。

武部国務大臣 あなたはあなたの主観で判断されるのでありましょうが、私どもはそういった問題を解決するために農林水産省の仕事を使命としてやっているわけでありますから、私も、そんなことは解消できないというような考え方で農林大臣をやっているわけじゃありませんで、それは少し失礼な言い方じゃないかと思いますが。

 我々は解消させようということで努力しているわけでありますし、しかも、農林水産省の仕事というのは、土地改良の問題も含めまして、都市と農村の混住化の問題、これは先ほどもどなたかの質問にありましたけれども。農林水産省というのは少し親切過ぎるところがあるという認識を私は持っているんです、これは本来農林水産省のやる仕事かと。しかし、そこに人が住んでいる以上は、そこに住んでいる人々のさまざまな問題解決、ニーズにこたえなきゃならないという要請もあるわけなんですね。しかし、それがスムーズに進まない。

 しかし、農林水産省の事業で、あるいは土地改良の事業でそういった問題解決にこたえられるならば、最大限こたえる努力をしていこうというようなことでやってきているわけでありまして、我々は、この前提として、永田先生を初めとする国民各界各層の理解と協力、合意が今後非常に大事になってくる、こういう認識を持って努力をしていきたいと思っております。

永田委員 去年の九月ぐらいですか、概算要求が終わった直後、農林水産省の局長以下審議官、皆さん民主党の方に御説明に来られて、平成十三年度の予算について、これこれこういうことをするために必要だからこういう予算をつけるんだ、あるいは、こういう予算はこれこれのために必要なんだ、そういうお話をしていきました。

 私は思ったんですね。国民が聞きたいのは必要だという言葉じゃないんですよ。必要だ、必要だといって予算をつぎ込み、そして政策を打ち続けて、結果、十分でなければそれはむだになっちゃうんですよ。努力というのは結果があるから初めて意味があるんであって、どんなに努力したって結果が十分でなければ、その努力は、美しいことではあるかもしれないけれども、事政治の世界ではそれはむだと言うんですよ。だから、こういうような効果を出すために努力しているんだというのは、はっきり言って政府が国民に対して吐く言葉としてはこれまた失礼な話ですね。ですから、これで十分だという声が聞きたいんですけれども、大臣、改めてお伺いします。

 今農水省が掲げているプランを全部計画どおりに実行したら、農水省があるいは農林大臣が認識している農業、農村に関する問題、これは解消するために十分なんですか。

武部国務大臣 常に世の中は理想と現実というのはありますよね。農林水産省として予算の面で農業の構造改革といえば、予算の削減かと、すぐマスコミ報道はそういうとらえ方をします。国民の間にもそういう風潮がなきにしもあらず。

 しかし、農業の重要性、農山漁村の重要性ということを国民の皆さん方に御理解をいただくならば、特に私どもの目指すところは、食料の安定供給と美しい国づくり、森と海は命のふるさとと、こう位置づけているわけですよ。今後の社会は人と自然が共生できる循環型社会の実現を目指していこう、都市の皆さん方からすれば、居住者からすれば、おいしい水、きれいな空気、美しい自然、新鮮で安全な食べ物、こういったものを求めているんだろうと思うんです。しかし、都市ではそれができない。

 だから、我々としては、おせっかいといえばおせっかいかもしれませんが、都市居住者の皆さん方のそういう願望にもこたえるような努力をしていこう、それにあわせて環境を守っていこう、そして地球温暖化という問題にみずから少しでもこたえていこう、こう考えているわけでありますから、そういうようなことを実現するためには到底今の予算では足りませんよ。私はそういう認識なんです。

 国民から見れば、どの国民を指して言うかわかりませんが、私は、やはりあくまでもそういう理想を目指して努力していくという過程にある、こう思いますよ。そんな、十分だと言うんだったら、私、大臣就任一年間で全部理想にできるというような予算じゃありませんからね。

 そういうことをもう少し考えて、農林水産委員としてあなたも非常に見識のある御発言をたび重ねておられるわけでありますから、ぜひこれからも経験を積まれて、そういう広い範囲でもう少し農林水産省の仕事を御理解いただけばありがたい、このようにお願いしたいと思います。

永田委員 そのお願いは恐らく受け入れることができないと思います。

 では、切り口を変えましょう。

 目標がある、問題認識があってその問題を解決するための目標がある、それを実現するために努力をする、政策を打つ、法律をつくる、予算を執行する。目標を達成できないかもしれない。達成できるとは限らないと今おっしゃった。

 僕が先ほど質問したのは、実は、今農水省が計画をしている政策をすべて、大臣が今、一年とは限らないと。何年かかってもいいんです。これから先、ずっと続いていく政策を全部実行したら問題は解決するんですかというふうにお伺いしたのであって、別に大臣の任期に限らない話なんですけれども。

 しかし、それでもなおかつ問題がすべて解決するとは限らない、でも努力をしていくことは大切だというふうにおっしゃるならば、では、逆の切り口からいきましょう。今掲げているプランの政策を全部実行したら何が起こるんですか。何が起こると考えてやっているんですか。

武部国務大臣 食料の安定供給と美しい国づくりができる、こう確信しています。

永田委員 食料の安定供給と美しい国づくりができる、今のプランを全部実行すれば。できるんだったらもう十分じゃないですか。そういうのを十分条件というんですよ。

 では、いいですか、今プランとして挙がっている、計画されている政策が全部実行されたら、食料の安定供給と美しい国づくりができる、今大臣そうおっしゃいましたよね。だったら、もうこれ以上の政策は必要ありませんね。つまり、今やっていることだけやっていれば十分だという話なんですよ。僕は、どういう効果が生まれるんですかと聞いたら、あなたは今そうおっしゃったんだから、もうこれ以上必要ないですよね。確認したいんですけれども、必要ないですよね。

武部国務大臣 あなたの頭の中身は少し狭いですね。私の頭も私の心も限りなく発展しているんですよ。一つの理想実現ができたらまた次なる理想と、そういうふうに次から次と広がっていくわけでありますし、今のプランについて、私のどのプランを指して言っているのかわかりませんが、この間お示ししたものは、私の私案を指して言っておられるとすれば、まだまだこれは一部の一部ですよ、万分の一と言って過言でないわけでありまして、ですから、我々の努力は果てしなく続く、日本の将来とともに果てしなく続く、こういうふうに、御理解いただけないかもしれませんが、私はこのように申し上げたいと思います。

永田委員 大臣、失礼を承知で申し上げれば、どうも答弁が不謹慎ですよね。そういう行け行けどんどんの体質というのがいけないんじゃないかと私前回の質問でも申し上げたとおりだと思いますが、そういう行け行けどんどんの拡大主義がこの財政破綻を招いているわけですよ。大きな政府をつくってそれで御満足かもしれませんけれども、果てしなく広がる大臣の夢を、それを実現するために、国民の血税を使ったり、国の予算でもっている農水省を使ったりするのはやめていただきたいんですよね。

 はっきり言って、私は、先ほど申したとおり、まず最初の質問は、大臣は農業が抱える問題はどのようなものだと認識していますかと言ったら、これこれの三点、四点ですとおっしゃった。その後に、今農水省が出している政策プランを計画どおりに全部実行したら何が起こるんですかというふうに申し上げたら、食料の安定供給と美しい国づくりができるんだという話になった。

 はっきり言って、大臣、最初の問題意識の質問では、大臣、自給率の問題を最初に挙げられましたよね。事農業部門に限っては、国民が農水省に期待しているのは、食料安全保障、これはもう第一なんですよ。もちろん農村が、高齢化が進んで社会が崩壊しかかっているというのは、僕も十分厳しい問題だと思って認識していますけれども、だけれども、農業がちゃんと食料の安定供給という機能を果たしていれば、農村の崩壊の話というのは、これはまた別の政策で、別に農水省がやる話じゃないんですよ。先ほど大臣もおっしゃった。これは幾ら何でも農水省がやるべき問題ではないんじゃないかというようなものも含まれているとおっしゃった。

 確かにそうです。どこの地域であっても、日本じゅうどこの地域、農村も漁村も都市も、地域が崩壊するという話であれば、それは、それぞれ個別の産業を所管している官庁がやるのではなくて、地域の、社会の問題として、別のやり方でやるべきだというふうに私は思っているわけですね。

 ですから、農業に関しては、農水省に期待されている役割というのは、これは食料自給率の問題です。それが、先ほど大臣がおっしゃった、今農林水産省が掲げているプランを実行すれば食料の安定供給は実現するんだというふうにおっしゃるのであれば、それ以上大臣がどんなに見果てぬ夢を見ても、それは国民の目から見て、やめていただきたいと思うのがやはり普通の感情だと思うんですけれども。だから、答弁がちぐはぐなんですよね。もう少し緊張感を持って答弁をしていただきたい。

 さて、では翻って、今農林水産省が掲げている政策のプラン、これを全部実行すれば食料自給率が、ちゃんと安定的に食料が確保できるように自給率は上がるんだというふうにさっきおっしゃった、大臣、そう答弁なさった。

 その中で、実は、そうはいっても、むだなものもあったんじゃないか、政策の中に。そういうような意識というのはあるわけですね。つまり、必要条件はちゃんと満たしている。今の政策プランをやればうまくいくかもしれない。だけれども、一部削っても食料自給率はちゃんと上がるんじゃないかというような思いもあるわけですよ。

 今までやったものの中で、何かむだだなと思えるものはありますか。

武部国務大臣 結果としてむだだったということも、ないわけではありませんね。

 しかし、自給率の問題についても、永田先生御承知のとおり、米は、主食については、ほぼ一〇〇%自給できる体制になっています。もう少し米の消費がふえても、さらに増田すれば、増田といいますか、生産調整を緩和すればいいわけですからね。

 ただ、問題は、小麦だとか大豆だとかというものは一〇%未満なんですね。それから、飼料作物は二〇%程度。今、食料の安全保障の話をしましたけれども、中国からどんどん入ってきています。そういう、中国から安いものを買った方がいいんじゃないかという議論をするところもあります。

 しかし、魚について言うと、高級魚はこれまで、中国の船がとった魚が日本に輸出されたものが、中国自身の人々の生活水準が上がるとまた消費が変わってくるわけですね、消費志向が。それで、今入ってこないという問題も出ているわけでありますから、これは絶えず動くと思いますよ。中国が将来ともに食料輸出国として成り立っていくか、十二億、十三億の民が。

 そういうことを考えると、我々が目指しているのは、一〇〇%の食料の自給を目指しているわけじゃありませんで、残念ながら、十年間で四五%にしようということですらこれは容易でないという思いでありますから、私の食料供給、安定供給というのは一〇〇%じゃないということを申し上げたいと思う。

 質問に答えていないとおっしゃるかもしれませんが、大事なところですのでそのことを申し上げたいと思いますが、今、関連あるからお話ししたんですけれども、例えば、こんなに日本人が米を食べなくなる、そういう予測ができなかったということは、これはある意味では農林水産省として見通しを誤ったと言われれば、それまで。

 魚も、あなたのこの間の、エビだとかマグロはみんな外国から入ってきているじゃないか、そんなもの、どうやって自給するんだと。これも、やはり消費者や国民の皆さん方の魚介類に対する嗜好が変わってきた。これは動くんですね。日本のような自由経済体制といいますか、非常に国民の一人一人の嗜好というものを大事にする、そういう国は、食料の自給率も絶えず変わってくる心配があるわけであります。

 常にそれに対応した政策を施していかなきゃならないというところが我々の苦しいところでありまして、結果として増田をし過ぎたというようなことは一つ反省しなきゃならないところはあるかもしれません。しかし、それは結果としてであって、当初そこまで予測できたかどうかということを考えると、これはまた酷な話ということになるのかな。

 したがって、現実を踏まえた上で、今後どのように改善していくか、改革していくかという視点で我々は行政を進めていかなきゃならぬ、そういう認識で努力しているわけですよ。そのことを御理解いただきたいと思いますが、永田先生の厳しい御鞭撻はあえて謙虚に受けとめて、今後、さまざま反省の念も含めて努力してまいりたいと思います。

永田委員 私もどうも役人臭いのか、役人臭さが抜けないのか、言葉遣いには、非常に厳しく使っているつもりなんですけれども。

 僕は今、政策のむだという話をしたんですよね。今大臣がおっしゃったのは、政策の失敗なんですよ。外的要因が変化したから、ねらったとおりの効果が上げられなかった、これは失敗というのですよね。むだというのは、目立った外的要因の変化がないのに、当初ねらった政策効果が発揮できなかったというものをむだというのですよ。

 ですから、むだというものは過去にあったのか、あったとすれば、具体的には例えばこんなものがありましたというものがあれば挙げてください。

武部国務大臣 人のいなくなったところに道路をつくったというのは、これはむだだったと思いますね。しかし、当時、そこに集落があって人が住んでいた、学校も閉校しなきゃならなくなって、学校もなくなってしまった、子供が学校に就学できなくなった、自分たちもそこを離れざるを得ないといって町におりていく。残った道路は、そういう道路をつくったことはむだと言うべきなのかどうかということは、私は、その辺のところの政策評価というのは厳しく今後やっていかなきゃならないと思いますよ、先を見越して。

 ですから、そこに人が住んでいるから道路をつくるというやり方は、むだにつながる、あるいは失敗につながる考え方だということで、私は非常に抵抗があるんですね、集落の再編とか、新しい農村コミュニティーというものをつくっていくんだと。

 しかし、むだなどということが指摘されないように、ただ農村集落だけの再編ではなくて、せっかく新しい集落を構築していくとするならば、やはりインターネットの利用も完璧に可能な、都市機能も備えたそういうコミュニティーにしていかなきゃならぬだろうという構想を持っているわけです。そこから通うということ、あるいは生産施設も団地化するというようなことも、今のうちからしっかり、今後十年、二十年を展望して、どういうふうな政策を構築していくかというやり方が、将来むだと言われないような政治や政策につながるんじゃないか、こう思っております。

 今何がむだだったかといえば、人のいなくなったところに道路をつくったということはむだなんでしょうね。しかし、人が住んで、その時点ではむだと思ってやっていないわけですよ。ですから、それはなかなか、何がむだか、間違いだったかという判断は非常に難しいんじゃないかと思いますが、今後できるだけ科学的に分析してやっていかなきゃならない。

 しかし、民主主義の国ですから、やはり住んでいる人々や国民の理解と協力ということがあるんですね。そのこと、国民の協力なしに、農林水産省の、あるいは大臣の恣意的な考え方、それが将来にすばらしい計画であったと言われることかもしれないけれども、残念ながら、現実には立法府の御理解も協力もいただかなきゃなりませんし、地域の人々の理解と協力も得られなきゃなりませんし、国民の判断もあるだろうということでありまして、ぜひそのことを御理解いただいて、御協力願いたいと思います。

永田委員 結局この質問は、一連の流れというのは、今後農林水産省あるいは小泉内閣はどのような農業の構造改革を進める、そのために農業政策をどのように転換し、変換していくのか、こういうようなことをお伺いするために今までの流れ、ストーリーをつくってきたわけです。

 はっきり言って、農業予算にも少なからずむだが見られる、あるいは失敗も見られるということは今大臣お認めになったとおりです。人間というのは失敗から学ぶ生き物ですから、何かやったときに、成功したら、ああよかったなで終わりなんですよ。失敗したときに、悔しいな、何があったんだろう、そこで反省することによって初めて人間というのは学ぶんですよ。

 だから、過去の失敗に立って、失敗の反省に立って、どのような反省をして、今後それをどういうふうに生かしていくのか、国民に説明できる、小泉内閣は国民に説明する言葉というものをとても大切にする内閣だと思っています。ですから大臣、総理や田中眞紀子外務大臣に負けないように、ぜひはっきりした歯切れのいい言葉で、どのような反省に立って、今後どういうふうに今までになかったような考え方をこういうふうに取り入れていくんだということを表明していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

武部国務大臣 総理や田中さんと私はかなり性格も違いますので、私の方がいずれ主流になるだろう、こう確信はしておりますが、一言で申し上げますと、なかなか難しいと思います。

 だから、国会で農林水産省の仕事はこういう仕事だと決めていただければむだはなくなるんですよ。しかし私どもは、先ほど来申し上げておりますように、食料の安定供給と美しい国づくりに向けて人と自然の共生社会というものを実現していこう、それには食料の自給率の向上と循環社会の構築ということに重点化していこう。そして、農林水産業の構造改革、今までのような総花的な予算の投資や政策展開をやめていこう、産業政策として食料の自給率ということにチャレンジしていこう。

 しかし、生きがい健康型の農業や資源維持管理型の農業、あるいは観光レクリエーション型の農業もあっていいだろう。しかし、そういったことについての配分については、十分国民の理解を得ながら考えていこう。それから、新しい村づくりといいますか、そういうようなことも、これも農業や農山漁村だけのものではありませんで、東京に住んでいる都市の皆さん方だって自然を求めているわけですから、そういったものにもこたえていこう。

 しかし、それは農林水産省、そこまでやらなくていいよ、都市に住んでいる人たちが、環境はどうなってもいい、山と海は命のふるさとと我々は申し上げておりますけれども、何を言っているんだ、山も海も関係ない、食料の自給率だけしっかりやってくれれば、農林水産省はそれでお役目は十分だというのであればそういう範疇でやろうと思っていますが、私どもはそういう考えじゃありませんので、森と海は命のふるさとだ、こう思っているわけですから。

 だから、そう簡単に一言では言えない。小泉さんや田中さんのような言いぶりは私にはできない。私は人間が幅広いですからね。非常に心の政治家でありますので、そのことを御理解いただきたいと思います。

永田委員 総理や外務大臣が幅の狭い人間で、しかも心の狭い人間だというふうにおっしゃる農林大臣の勇気には大変敬服をいたす次第でございます。

 さて、今の答弁の中で一点だけ僕が気になったところがあります。過去の反省に立って総花的な予算配分はやめよう、そして産業政策に徹して農業というものをとらえていきたい、そのようにおっしゃった。大変すばらしいことだと思います。毎年毎年出てくる予算の何と総花的なことか。今年はしようがないにしても、来年以降、これはきっちりと改められて、重点をはっきりした、まさにむだのない、失敗のしようのないことに国民の税金がつぎ込まれていくことを切に切に期待をしております。

 また最後にこの問題について、農政全般についての質問で最後に三分ほどとりたいんですが、今、産業政策として農業をとらえるというお話があった。僕は常々思っているんですけれども、農家の保護と農業の保護というのは必ずしも同一ではないということを僕は最近感じています。

 端的な例は、最近のセーフガードの発動なんですね。日本の農業というものは参入障壁を極めて高くしてきました。既存の農家が保護されるように、新しい参入が極めて高く強く規制されてきた。その結果何が起こったかというと、国内でもうこれ以上農業をやりたくてもできないという法人が海外へ出ていって、中国でネギやシイタケをつくって、開発輸入をして国内農家にダメージを与える、そういう結果になりました。

 果たして、国内農家を保護するための参入障壁を設定するということは、これは農家を保護することになっているんでしょうかどうか、御答弁いただきたいと思います。

武部国務大臣 誤解のないように申し上げておきますけれども、私は、農林水産省の仕事は、一つは、食料自給率の向上ということについて言うならば、経済政策、産業政策として市場原理、競争政策というものを導入していかなければならない、したがって、能力もある、意欲もある農業経営体というものを育てていこう、そうなると、専業農家でありますとか法人ですね、法人化ということ、あるいは集落営農とかということに気を使っていかなきゃならない、こう思っております。

 民間の企業の農業への参入ということも、現在でもそれは可能なわけです。特に、今農家の話がありましたけれども、農家の個人経営ということがどれほど農家の主婦に負担を与えているかということを考えますと、やはりこれからは法人化ということがその主流になってくるんだろうと思います。

 また同時に、農業というのはやはりマーケティングということをしっかり考えなきゃいけないと思うんですね。種をまいて作物を育ててそれを収穫して売るだけでは余りにも能がない、こう思うんです。やはり生産、加工、流通。外食産業などを見ますと八十兆円以上ですね。しかし、農業の売り上げというのは十兆円未満なんですね。こういうことを考えると、経営の安定対策、所得政策ということも、そういったことも入れていかなきゃならぬな、こう思っているわけです。

 しかし、もう一つは、資源を管理する、環境を守っていく、そういう担い手であるという一面が農家や農村の役割として非常に大きい面があるということも忘れてはならないと思うんですね。ヨーロッパでも、フランス、ドイツあたりは環境重視のデカップリング、直接補償もしているぐらいであります。

 しかも、農林水産省というのは、山も海も我々の仕事なんですね。有明海をどう再生さすかということも我々の仕事なんですよ。それから、山が荒れて、そしてシカだとか猿だとかイノシシだとか、そういったものが里になぜおりてくるかということは、山の管理が十分じゃないということなんですね。間伐も行き届いていない。こういう、環境を守っていくといいますか、望ましい姿に維持していくということ、あるいは修復していくということも言えるかもしれません。改良していくということもあるでしょう。

 そういったことを考えますと、非常に幅広いものがありまして、したがって、産業政策プラス地域政策プラス資源管理政策といいますか、そういった三つの面があるんじゃないか、私はこう思っております。

 御質問の趣旨に十分答えていないかもしれませんけれども、私は小さな政府論者でありますので、永田先生の主張はよくよくわかるんですよ。わかるんでありますけれども、森林の多面的な機能だとか公益的な機能だとか、少し長くなりますけれども、今一年間に五百万ヘクタール、日本の全耕地面積に匹敵するだけの砂漠化現象が起こっているんです。一分間に日比谷公園の半分以上が砂漠化しているんですね。そして、二十一世紀は水の世紀だ、私はこのように思うんです。

 そういうふうなことを考えますと、もっともっと我々も努力しなきゃなりません。国民の皆さん方の理解と協力を求め、国民合意の上で今後の農林水産行政というものをしっかりやっていきたいということでありますので、御理解をお願いしたいと思います。

永田委員 聞けば聞くほど総花的なことになってしまうのではないかと不安を覚えますけれども、ぜひ抵抗勢力に負けないように改革をしっかり進めて、本当に重点的な政策に絞って、大臣のお考えになっている小さな政府は、実は世の中では結構大きな政府です。ですから、もっと小さな政府でいっていただきたいなというふうに思います。

 さて、残った時間は土地改良問題、土地改良区の自民党党費立てかえ問題、これにやはり入らなければなりません。

 石井先輩も大変な御努力をなさって質問されてきましたが、まず第一の切り口は、自民党は、立てかえられていた党費を土地改良区の公共法人に返還するということはないんですか。自民党が返すということはないんですか。

武部国務大臣 これはあくまでも個人が払うべき党費ですから、個人が返すのが当たり前だと。党としても、そういう通達を出して、一刻も早く正常な形に返還するようにということを督励しているわけです。

永田委員 先ほど石井紘基議員の質問にあった中で、私がちょっと気になっていたんですけれども、それぞれの政治団体が土地改良区の公共法人に対して領収書を切っているはずですよね、党費を受け取るときに。これはあて名は何になっているんですか。わかれば教えてください。あて名は、当然土地改良区の公共法人になっていないとおかしいですよね。そうじゃないと、立てかえられていたということはわからないと思うんですけれども、領収書はどういうふうになっていたかわかりますか。わかれば教えてください。

木下政府参考人 私ども、その詳細について承知をいたしておりません。

永田委員 では、ちょっと話の経緯を教えてほしいんですけれども、これはどうやって立てかえが発生していたということが発覚したんですか。

木下政府参考人 経緯を申し上げますと、栃木県の事案でございますけれども、栃木県の事案の中で、具体的に、土地改良区が特定の政党あるいは政治団体の、それぞれの理事者が立てかえ払いをしているというような話が個別の事案としてあったというふうに聞いて、それが発端で栃木県として全体の調査を開始したということだろうというふうに理解をいたしております。

永田委員 私もその栃木県のニュースはいろいろ調べさせていただいたんですが、その中で、過去にさかのぼって、もちろん先ほど石井紘基議員の質問に対する答弁にもあったとおり、平成八年度以降の立てかえ額が詳細に出てきていますよね。これはどうやって調べたんですか。領収書を調べたんですか、それとも決算書類かなんかで調べたんですか。

木下政府参考人 農林水産省といたしましては、土地改良区に対する監督は各都道府県の自治事務だということでございまして、各都道府県に調査を依頼したというところでございますけれども、各県ではそれぞれの土地改良区の決算書類に基づいて調査をしたというふうに承知をいたしております。

永田委員 では、決算書類の中に、その支出の項目で、それぞれの政治団体の会費ないしは党費というような項目があったというふうに推察して恐らく間違いありませんね。

木下政府参考人 先ほど御説明いたしましたように、私ども、都道府県を通じて今回の調査を実施したわけでございますけれども、都道府県の調査する過程でそのようなことを確認したというふうに承知をいたしております。

永田委員 では、そういう決算書類があるのであれば、これは党費ないしは会費というものが支出をされたのか、それとも土地改良区の組合員の個人的な借入金であるのかというのは、決算書類を見れば、借り入れと党費などの支出というのは違いますから、それは過去の決算書類を見ればわかるわけですね。

 ですから、それは今都道府県に調査を依頼しているからその実態はわからないというお話はあるんでしょうけれども、この問題は、これが本当に立てかえだったのか、それとも肩がわりをして本当に支出をするつもりだったのかという証拠をそこに求めることができる大変重要なテーマだと思うので、委員長あるいは各委員におかれましては、今後その問題を議論するために、できたら集中審議の場を設けていただきたいなというような希望をここで一つ述べさせていただきたいと思います。

 そして、これはやはり土地改良区の、恐らく一般組合員だけではないでしょう、役員の方も人数的には相当かかわった立てかえないしは肩がわり問題であったと思います。これ、普通の商法ないしは刑法に照らし合わせれば背任ないしは横領に当たると思いますが、これは刑事告発はしないんですか、農水省は。

堀込委員長 永田寿康君の前段の質問については、後ほど理事会で協議をさせていただきます。

 後段の質問、木下局長。

木下政府参考人 今回の事案は、先ほど来御説明申し上げているとおり、土地改良区の理事者、これは土地改良法に基づきまして、法令あるいは規約等々に基づいて善良なる管理者の注意義務をもって業務を遂行しなければならないという規定がございます。今回の事案はまさにそのような理事者の善管注意義務違反というふうに私ども理解をいたしているところでございまして、このような善管注意義務違反につきましては、それぞれの団体自治の中で要すれば損害賠償等々、今回の場合でございますと、それぞれの理事者が返還をしているということで解消されるというふうに理解をいたしております。

永田委員 ですから、注意義務違反にも当たるでしょうし、また背任または横領に当たる、両方同時にこれは該当すると私は思うんですけれども、なぜこれは刑事告発をしないんですか。

木下政府参考人 私が先ほど申し上げたとおり、今回の事案は善管注意義務違反、それにつきまして、土地改良法の中で、善管注意義務違反に対する対抗措置として、理事者に対する損害賠償義務が課せられているという点でございます。

 まずは、今回の事案を見ますと、このような事案が明らかになった段階で各都道府県が是正措置を実施しているわけでございます。その中で、先ほど来御説明をいたしておりますように、三十一道府県の中で十五道府県が既に完済をし、その他の府県におきましてもその途中であるというふうに理解をいたしております。

永田委員 だから、そうじゃなくて、これは刑事罰でしょうというお話をしているんですよ。注意義務違反に該当したら商法、刑法の適用は除外されるんですか。

木下政府参考人 先ほど来申し上げているとおり、まさに善管注意義務違反ということで私ども理解をいたしておりまして、それぞれが具体的にどういう刑事罰に当たるかどうかについては答弁を差し控えたいというふうに考えております。

永田委員 何度お話をしてもお答えいただけないようですけれども、もう一回だけ御質問します。

 注意義務違反に該当したら刑事罰ないしは刑法、商法の適用は除外されるんですか。なぜ刑法、商法の適用の観点から刑事告発をしないんですか。答弁を差し控えるならば、なぜ答弁を差し控える必要があるのか、それが許されるのか、理由を示してください。

木下政府参考人 私ども、今回の事案は、先ほど申し上げましたように、土地改良法違反の事案というふうに理解をいたしておりますけれども、それぞれそれが刑法なりそれぞれの法律に当たるかどうかにつきましては、それぞれの権限ある当局の判断にまずは一義的にゆだねるべきというふうに考えております。

永田委員 御存じのとおり、国家公務員は、その職務上、不法行為を発見した場合には告発する義務があります。その後、これが本当に犯罪に該当するものなのかどうか、それは警察と司法当局が考えればいいんですよ。とりあえず、これは刑法、商法に照らし合わせれば背任または横領に当たる可能性が極めて高い、絶対に当たらないんだという証拠がない以上、これは刑事告発をする義務があるんですよ、国家公務員には。あなた、国家公務員法違反になりますよ。いいんですか、それで。

木下政府参考人 今回の事案につきまして、都道府県がまずは是正指導を行っているわけでございます。土地改良法に基づきますと、そのような指導に基づきまして土地改良区が是正を行わない場合には、土地改良法の規定に基づきます是正命令がございます。そのようなまずは土地改良法に基づきます是正命令、あるいはこのような措置を行わない場合、土地改良法に基づきます検査というような規定がございます。

 まず、私ども、土地改良法に基づきます手続を進めるのが第一義だというふうに理解をいたしております。

永田委員 そういう甘ちゃんなことをやっているからなめられるんですよ。

 いいですか。普通の法人で役員なり社員なりが会社の金を勝手に使って党費を払ってごらんなさいよ。どうなるか。これはもう明らかに、内部で是正命令を出すとか、内部で調査して是正命令に従ってお金を返還するなんというものじゃ済まないんですよ。当然これは刑事告発の対象になるんです。

 なぜ土地改良区の公共法人だけが刑事告発の対象にならないのか、その合理的な理由をちゃんとお示しいただかなければ、私、これ以上の質問、差し控えさせていただきますので、ちゃんと国民が納得するような合理的な答弁をしてくださいね。

木下政府参考人 今回の事案に関連いたしまして、実際に監督権限を有している各都道府県が是正措置の指導を行っているわけでございます。その中で、既に十五道府県におきましてはそのような違法状態が解消されたということが一点、それから、その他の府県におきましてもその途上であるということでございまして、まずはそれを待つべきだろうというふうに思っております。

永田委員 こんな間違った答弁、許しちゃいけませんよね。

 いいですか。お金を返したら違法状態が解消されたと今おっしゃいましたね。泥棒して金を返したら違法状態が解消するというんですか。そんな間違った認識の答弁をしているようじゃ委員会は進められませんからね。背任、横領に当たるでしょう。

木下政府参考人 今回の、理事者が特定の政党あるいは政治団体に行ったのは立てかえだというふうに私ども理解をいたしておりまして、そのような立てかえにつきまして既に是正措置が始まっておるということでございます。

永田委員 立てかえの証拠もないのにこれは立てかえだったと言い張り、そして先ほど来お話をしているとおり、刑法、商法の告発対象にならないというような合理的な説明がなされていないので、私はもうこれ以上質問できない。答弁者が間違っている、これは明らかに。

 委員長と理事の皆さんの御判断をもって、今のお話、大変問題のある委員会運営であったということをちょっと御判断いただきたいのですけれども。私はもうこれ以上、とてもとてもこんな認識の人に質問しているあれはないし、大体、国会をばかにしている、こんなのは。

堀込委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

堀込委員長 速記を起こしてください。

 委員長から申し上げます。

 永田寿康君から、刑事告発の理由あるいは今後の可否についての質問がございました。木下振興局長、答弁をお願いいたします。

木下政府参考人 私ども、今回の事案につきましては、あくまでも理事者が払うべきものを立てかえたというふうに理解をいたしておりまして、刑事告発の対象にならないというふうに理解をいたしております。

永田委員 この問題、とても、今短い時間の中で取り上げるのはこれ以上ちょっと難しいと思うので、改めてこの問題についてきちんとした証拠を、なぜこれが立てかえと言えるのか、そして刑事告発にしないその理由として十分なものが、本当に合理的なものがあるのか国会に説明する義務があると思うので、これは国家公務員法違反になりますからね。ですから、そこのところをしっかり準備していただいた上で、改めて集中審議、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 それからもう一つ、土地改良区の組合員ないしは役員が実は自民党の選挙を一生懸命やっているという話は幾らでもあるんですよ。私のところにも内部告発がいっぱい来ています。これは一体どういうことなんですかね。大体、党費の立てかえをしたというけれども、何でこれ、全部自民党なんですかね。偶然だという答弁だったら僕は怒りますからね。(発言する者あり)

武部国務大臣 今ちょっと横の方からも聞こえましたけれども、個人の資格で政治活動をやるのは自由じゃないですか。しかも、自民党全部が土地改良区の関係者から応援してもらっている、そういうお話でありましたけれども、必ずしもそうだとは私は思えませんね。そうでない人もいるはずですし、これはやはり専ら個人の自由に当たることだ、こう思います。私を応援してくれないからといってこれは抗議はできませんね。

永田委員 ここに翔武会収支報告書という、これは武部勤農林水産大臣の政治団体の政治資金収支報告書なんですけれども、確かに土地改良区からの献金はありませんね。ですから、全員が応援してもらっているわけでないというのは、私はそう認識していますし、別に僕はそんなことを聞いていないので、質問に答えないのは困ったことですけれども、質問されていないことに答えるのもこれまた困ったことなので、注意をしてください。

 個人の自由だとおっしゃいますけれども、違うんですよ。いいですか。この土地改良区というのは大変な補助金が出ている、そういう事業なんですよ。さらに、その土地改良区のいわゆる賦課金、後で本人負担で農家の皆さんが返しているお金、これは税金の次に徴収する順位が高い極めて公的なお金なんですね。それを徴収し、税金を使ってつくった施設を管理するということになれば、これは極めて公的な団体であるというふうに言っていいと私は思うんですよ。普通の、ただの集まりじゃないんですよ。それが政治活動をばんばんしている。

 そして、土地改良区の人が、実は選挙の直前になると土地改良区事務所の近くにマンションを借りて、そこで名簿の整理を、自民党の議員のあるいは自民党の……(発言する者あり)やっているんですよ。自民党の議員の名簿の整理とかあるいはあて名書きなんかをずっとやっている。そこに出ていって……(発言する者あり)内部告発があるんです。そこに出ていって、それで、あなた、何やっているんですかと言ったら、きょうは事務所は休んでいますからと、こういう話になる。

 しかしその人は、自分の身分を名乗るときに土地改良区の事務所の役員何々という名前の名刺を使うというんですよ、休みの日でも。一体、休んでいるからといってそういう活動をしていいのかという問題、やはりあるわけですよ。きょうは私は、土地改良区、休んでいますから一般人ですというようなことが通るのか。そして、土地改良区の政治連盟の肩書きを持った人から、私は土地改良区の何々政治連盟の者です、ついては自民党議員何がしの後援会に入ってくださいという依頼があった、こういう内部告発もある。これは一体どういうことなんですかね、認識を。

 だから、そういうようなことは、税金を使って、法的な根拠を持って行われている事業としては極めて不適切ではないかという指摘なんです。これが適切だと認識されていますか。

武部国務大臣 土地改良区そのものがやっているというのであれば問題だと思いますけれども、政治連盟が政治活動をやるということについては問題ないんじゃないかと私は思います。これは、労働組合も同じようなことが多々ありますね。だけれども、ちゃんと休みをとってきているんだ、そういう話をされれば、そうかな、こういうのが世間の常識になっているのではないか、こう思いますし、それがまた法に触れるということには当たらないのではないか、かように思います。

永田委員 では、例えば僕の古巣の財務省の事務次官が、きょうは会社をお休みします、ついてはどこどこの、財務省じゃつまらないか、金融庁にしましょうかね、金融庁の次長がお休みをして銀行に電話して、いやあ、きょう僕休みなんだけどね、ひとつ自民党に献金してくれないかね、こういう話をしたら、聞いている方はどう思いますか。あなたが言っている、これは個人の自由な政治活動で法に触れていないと言えるのですか。

武部国務大臣 個別のそういった事例について、私はとやかく言う立場にはないと思います。

永田委員 だから、そういう内部告発がたくさんあって、土地改良区の公共法人の役員が、きょうはお休みだと言って、それで自民党の政治活動をばんばんしている。そして特定の議員の後援会への入会も勧められる。このような実態は、税金を使って行われている、法的な根拠を持って行われている事業の受け皿の法人として適切か否かということを僕はお伺いしているのですが、いかがですか。

武部国務大臣 強制されて言っているんですかね。みずからが個人の自由に基づいて、個人の意思で政治活動をやるということについては、私は何ら問題はないと思います。

永田委員 では、一つ提案をしたいのですけれども、やはりこれは公的な、法律の根拠を持ってやる事業である、しかも補助金もばんばん入っている、そして賦課金は税金に次ぐ強制徴収の順位になっている。ということは、これはもう役員は、少なくとも土地改良区の公共法人の役員はみなし公務員の規定をかけるのが適切だと僕は思うのですけれども。こうすれば当然政治活動も制限されますから非常に健全化されると思うのですけれども、この提案について大臣御本人はどう思われますか。(発言する者あり)

木下政府参考人 土地改良区につきまして、まさに土地改良事業を実施しようとする場合に、十五人以上の発議者をベースにして土地改良区ができるということでございまして、まさに土地改良区、土地改良事業その他附帯する事業しかできないという中身でございます。あくまでも民間の発意によりまして実施している、あるいは設立されるというような特別の法人でございますので、委員御指摘のようにみなし公務員制度を適用するというのは、法律上、非常に問題が多いというふうに理解をいたしております。

永田委員 ただ、例えば税務署の職員が税金を取りに行って、そこでその徴税業務を妨害された場合には、これは公務執行妨害になるわけですよ。こういうふうに、賦課金も税に次ぐ強制徴収権があるのであれば、それはやはりみなし公務員をかけて、公務執行妨害の観点から、この徴収行為を保護してあげるということもとても大切なことだなというふうに私は思うわけで、ぜひ提案をさせていただきたいのですね。

 しかも先ほど、どこかの天の声、官公労も全部かけろというお話がありましたが、別に労働組合というのは、これは労働者の権利を守るための組合活動をしているわけであって、そこには法的な権限もなければ税金もつぎ込まれておりません。ですから、こういうものが勝手に……(発言する者あり)事業をやるための税金もつぎ込まれていないので、それは組合活動を保護しているということはありますけれども、別にそれは、労働者が権利を守っているだけであって、特定の事業に対して補助金をつけてもらってがんがんやれというような話じゃないので。ですから、そういうことからすると全く違うんですね。

 ですから、ぜひこれはみなし公務員の規定をかけてこの徴収行為を保護するとともに、政治活動も一定の制限を、少なくとも役員に関してはかけてあげる、その方がより健全だと思うのです。何しろ、とにかくこういう国家権力を背景にした自民党の政治活動、目に余る。ひきょうだ。

 こういうものが国を大変誤った方向に導いているということをぜひ認識をしていただいて、ぜひ集中審議の場も持っていただきたいと改めてお願いをして、私の質問、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

堀込委員長 次に、高橋嘉信君。

高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。

 私は、我が国の農業に係る土地改良事業のあり方、これは大変重要な役割を担ってきたと思いますが、今日の農業を取り巻く諸情勢を考えた場合、果たしてこのままの進め方でいいものかどうか、疑問が残っております。

 本日はこれらの点を、どうぞ冷静になっていただきまして、大臣にお伺いをいたします。主に水田整備、かん排事業に絞って行いたいと思います。

 今後の水田基盤整備、土地改良の展開についてでありますが、どれぐらいの規模にまですれば整備目標の達成と言えるのかをお伺いしたいと思います。

 つまり、私がお尋ねしているのは、大区画と言われる五反歩や一町歩、こういった水田ができ上がればそれでよしとするのか、またさらに二町歩、五町歩と、償還金を払い終わったらまた基盤整備、そういう話になっていくのかどうか。その辺の適正規模をどのようにとらえていられるのか、お伺いをいたします。

木下政府参考人 圃場整備の適正規模はどの程度かというようなお尋ねだと思います。

 私ども、確かに、圃場整備する際に無理、むだをなくすべきという点につきましては、委員御指摘のとおりだろうというふうに思っております。

 ただ、具体的に圃場整備の目標をどうするかという際には、その時々の農業情勢なりあるいはそのときの営農技術、機械化体系、それから施工技術に応じてそれぞれ変わってくるのじゃないのかなというふうに思っております。ただ、それにつきましては、あくまでも効率的な実施という観点を十分踏まえながら決定していく必要があるだろうというふうに考えております。

高橋(嘉)委員 私の申し上げている趣旨は、農家負担を含めた問題と、あるいは食料の安定供給という見地に立った中で、今の農業情勢もまた踏まえた中で、今度は大臣にお伺いしたいのですが、大体どれぐらいの規模をもってすれば、地域性もあると思います、それは十分理解しておりますが、どれぐらいの規模、また十年、十五年したら、大区画は今度は三町歩ですよということでやろうとしているのか否か、その辺のところをお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、鉢呂委員長代理着席〕

武部国務大臣 専門的なことは局長に答弁させたいと思いますが、先生御指摘のように、農業技術も含めて機械の性能、そういったことも時代とともに変わってきていると思います。また北海道から沖縄までさまざまな農業形態があると思いますし、当該農家の農地の形状、そういったものもあると思いますから、私は、一概にはどの程度の規模というようなことはなかなか断定は難しいのではないか、こう思いますけれども、効率のいい農地造成ということになりますれば、今日的にはかなり大規模な区画化ということも可能になっている、このように思います。

 しかし、生産性だけを考えるわけにもいかないと思いますし、農村の形成、集落等のあり方というようなものも考えた上で、どのように計画化していくかというのは、まずは第一義的には当事者である農家の皆さん方や地域の皆さん方の考えというものが重視されるのじゃないか。技術的には、相当広大な区画化が現時点においては可能になってきているんじゃないのかな、私はかように思います。

高橋(嘉)委員 食料・農業・農村基本法の中の農業経営の展望の中で、たしか、平成二十二年をもって、家族経営では十町歩から二十町歩、生産組織では三十五町歩から五十町歩という試算が出ております。昨年の作付面積、百七十六万ヘクタール余り、これは単純計算した場合ですが、水稲経営を主業とする農家は、十町歩をその目安、目標とするとすれば十七万六千戸、それ以上の規模拡大を目指すでしょうし、生産法人もありますから、十万戸もあればという御認識なんでしょうか。

武部国務大臣 農家戸数で考えるのはいかがかと思いますね。

 今、基本法に基づく目安が一つありましょうし、農家が共同で、あるいは法人化してやる場合の経営体の数とか、そういったものは今後いろいろ検討されなければならないと思いますが、私の頭には、今先生のお話しされたようなことを念頭にはしておりません。

高橋(嘉)委員 先ほど大臣も、生産性だけの問題じゃなくて、農村集落の云々と申されました。

 では、農家全体で見た場合ですけれども、平成十一年には、総農家、三百二十四万戸ありました。十二年には三百十二万戸。そして、平成二十二年の見通しを見ると、二百三十万から二百七十万戸という見通しが農業構造の展望の中で述べられておりますけれども、この規模と農家数が達成されたとした場合、現在の農村社会を大きく変容させていると思いますが、いかがでしょうか。歴史あるいは文化、伝統といったものはどのようになっていくか。想像されている形で結構でございますので、大臣からお答え願います。

武部国務大臣 先ほど来、ほかの委員の方との議論でも申し上げましたけれども、食料の自給率達成に向けて今後どういう経営体を考えていくかという場合には、やはり意欲と能力のある専業農家など、あるいは個々の農家が共同してやる集落営農とかあるいは法人化というようなことなどを考えてまいりますと、一概には言えないと思いますけれども、食料自給率達成に向けての生産者といいますか経営体ということになると、かなり絞られてくるんだろう、かように思います。これは、経済政策上、産業政策上、国際競争力のある足腰の強い農業ということを考えた場合にはそうせざるを得ませんし、私はそのことが非常に大事だ、かように思っております。

 ただ、今農村に根づいている歴史的な背景にある伝統文化だとかあるいは伝承文化だとか、そういったものをどう考えていくかということは非常に重要でありまして、先ほど私が資源管理の政策上のお話もしましたのは、資源管理というのは、単にこれはそこに育っている植生だけじゃありませんで、文化の面も当然考えていかなければならないと思います。

 同時に、農村振興という地域政策という観点から考えますと、既に過疎化あるいは高齢化というものが限界に来ていると思いますので、やはり共同生活が成り立つような集落の再編ということは不可欠だろう、かように思います。

 そうなりますと、今十四万集落ぐらいあるんだそうでありますが、そこにお住まいになるのは自由として、都市の居住者の皆さん方にセカンドハウスとかセカンドコミュニティーということがありますように、農村においても、やはりナショナルミニマムといいますか、一定水準以上の生活、特にその場合には情報インフラというのが非常に大事になってくるんじゃないかと思います。同時に、そういう伝承文化等を守っていくということになれば、集落によっていろいろ違うと思いますね。

 私も、この間、テレビで廃県置藩というようなことを見まして、どういう意味だろうなと思って、先般、岩手県のタウンミーティングに参りまして、八戸と盛岡は南部藩だと。なるほどな、むしろ昔の藩に戻して、あとは道州制にした方がいいのかなと。しかし、市町村合併だとかそういったようなことの前提に、やはり一定水準以上のコミュニティーというものは不可欠なんだろうと思います。

 そこのところは大変悩ましいと思いますね。伝承文化だとか農村に根づいている文化、政、そういったものを考慮に入れながら、どうして新しい農村コミュニティーをつくっていくべきなのかということはこれからの課題だとは思いますが、先生御指摘のようなことも十分踏まえながら、しかし、自給率の向上ということを考えることがどうしても不可欠になってくるんじゃないのかな。その際に、やはり産業政策上は思い切った効率のいい農業経営体というものを想定していかなくちゃならぬ、かように考えます。

高橋(嘉)委員 アメリカのように四百町歩やそれぐらいの規模にするというのならわかるんですけれども、日本の場合、土地の流動化政策、集約化を国策として進めるにも限度があると私は思っております。その辺の指標があるものと思ってそのような話を聞いたわけでありますけれども、この農業構造の展望で述べているのがつまり指標なのかな、私はそう思ったからお伺いしたまでであります。

    〔鉢呂委員長代理退席、委員長着席〕

 いずれ、離農の増大、耕作放棄地の増大、そして、今大臣そのようにおっしゃいましたが、集落機能は明らかに低下をしていると私は認識しております。また、高齢化、核家族化も進んでいると私は思っております。集落営農のリーダーはまして高齢者、このような実態で魅力ある農業なり地域づくりができるのでしょうか。私は、その点非常に疑問を持っております。やはり一度、集落営農のリーダーの人たちにも、現状で後継者が残ると思うか、育つと思うか、お尋ねになった方がよいのではないでしょうか。

 実際は既に把握していると思いますが、把握している中でもなおかつエンドレスに土地改良を行う、どんどん基盤整備をするというのであれば、将来的には、今集落営農的な話をされましたけれども、その方が高齢者である、そしてリーダー以外は兼業農家の人たちが名前を連ねているだけだ、そのような実態であれば、企業あるいは株式会社が経営する農業ということに将来は、それも視点としてもう考えざるを得ないという御見解なのでしょうか、その辺のところをお伺いいたします。

武部国務大臣 私は、そういう方向にならざるを得ないのではないかと思います。特に個人経営というので一番しわ寄せを受けているのは農家の主婦ですよね。こういった方々も、二度とない人生、二つとない命ですから、いろいろな考えを発露したいと先日のタウンミーティングで、盛岡・滝沢の会場でもそういう発言をしておりました。また、青森におきましても、所得がだんだん低下している、我々が、女性が起業家をするということについて支援してもらいたい、そういうお話がありました。

 数年前は、私どもが法人化などということ、あるいは株式会社なんということを持ち出すと相当な抵抗があったんですけれども、もう今日は、今先生御指摘のように、集落機能が低下している、高齢化している、過疎化している、しかも、一方において農地も荒廃している、環境も悪くなっている、どうするかというときに、やはりそこで新しい村づくりというものは必要になってくる。同時に、生産体制、システムということについても思い切った改革が必要だということは、一つの方向性としての法人化ということが避けて通れないのではないか。

 また、法人化も二つ意味があると思います。一つは、経営体としての法人化と同時に、自分一人では一から十まではできないけれども、だれかがサポートしてくれるならばもっとやれるというようなことがあると思うんです。現に、もうコントラクターでありますとか、酪農家にはヘルパーというものが導入されているわけですね。そういうような少し公的な色彩のある法人化、これは農地をどうするかということにもかかわりがありますが、そういったことも私は検討していくべき時期に来ているんじゃないか、かように思います。

高橋(嘉)委員 私は、大臣と見解を異にしておりますけれども、専業農家を生かすには生かすやり方があるであろうし、いろいろな雇用条件、経済的環境あるいは土地に対する執着心、兼業農家を否定すると言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、兼業農家の人たちにおやめいただくような方策をとるのだけが農業政策あるいは生産体制の整備ということにはつながらないと思っております。国民の食料の確保、安定供給はまさに言わずもがな、国家の基本でありますけれども、その辺のところ、もう少しやり方があるのではないかなと私は思っております。

 農林省の見解では、六十五歳以上でも意欲さえあれば農業の担い手という認識をされておりましたが、このような点が僕は問題ではないかなとだから思っているわけであります。

 新規学卒就農者、平成十年は二千二百人、十一年は二千人。まさに、お医者さんになるより少ない。こういった中で、大臣には、後継者育成という視点に立ったお考えあるいは具体策、以前はあったわけですけれども、その辺のところ、先ほどの話からすると、後継者対策ということについては考える余地がないということでございますか。その辺、お伺いします。

武部国務大臣 私が申し上げているのは、基本的には、家族経営ということは非常に重要だと思います。実態からして相当数二種兼農家も含めているわけですね。それから、やはり個人経営で、家族経営で相当力を持ってやっている人もいます。しかし、この人たちも既に有限会社だとか生産法人という形で個人経営をしている、そういう実情もあることを先生は御承知だと思います。

 後継者の問題でありますが、今一番問題なのは、農場の後を継ぐ者がいないということが一番大きな問題だと思うのです。であればこそ、二種兼農家の方々でも、二種兼農家というのは外へ行って働いて自分でやっているわけですね。しかし、この人たちも高齢化してくると、やはり助けが欲しいんじゃないでしょうか、ヘルパーだとかですね。

 私どもが言う法人化というのは、一つの経営体としての法人化だけを言っているのじゃありませんで、個人経営として、家族経営としてやっていきたい人が、高齢化したりさまざまな条件下で、一人では一から十まではできない、一方においては経営の規模拡大というようなことも、それはとてもできないというときにヘルパーを、酪農の場合であれば、ヘルパーを派遣してくれればできる。あるいは耕作だとか収穫だとか、そういったことについて大きい機械を入れて、近代的な機械を入れてやる、経済的な負担には耐えられない。しかし、そういったものが、法人が受託して、アウトソース法人にできるというような組み合わせがあれば、まだまだ私は、農村で農業をやることは個人経営としても成り立つ、こう思っているわけであります。

 後継者の問題は、むしろそういった法人から入っていく、そういったところから農業の世界に入っていく。今ある農家のところに、後継ぎがいないからそこにしゃにむに若い人を招き寄せるというようなことは、なかなかリスクが大き過ぎるんじゃないか。

 そういう意味で私は、後継者対策という観点からも、先ほど申し上げましたような二つのタイプの法人というものが必要になってくるんじゃないのかなということを申し上げているわけです。

高橋(嘉)委員 では、他方、新規就農者を見た場合ですけれども、土地利用型農業の展開とか土地の集積、規模拡大を望む方向にあるかどうか、あるいは、それで手がけた人がいらっしゃるのであれば、その方々は継続しているのかどうか、その辺のところをお伺いしたいのでありますが。

木下政府参考人 新規就農者でございますけれども、三十九歳未満で、十二年度はもう一万人を超えたという実績でございます。

 私ども、新規就農対策、毎年毎年充実をしてきておるわけでございますけれども、先生御承知のとおり、その中でどの程度の人が定着をしているのかという点につきましても、たしか全国農業会議所の調査があったというふうに思いますけれども、私ども理解している限りによりますと、新規就農対策でされた方々、相当程度定着率が高いというふうに記憶をいたしております。

高橋(嘉)委員 でも、土地利用型農業の展開とか規模の拡大というのは趣味的な部分が多いんじゃないですか。その辺、傾向だけでも結構でございますけれども。

木下政府参考人 新規就農で見てみますと、どちらかといいますと、土地によらないような施設園芸あるいは花卉等々に相当程度ウエートが多いというのは先生御指摘のとおりだというふうに理解をいたしております。

高橋(嘉)委員 では次に、大臣にお伺いしたいのであります。

 いろいろお考えのところは少しずつわかってまいりましたけれども、生産性の向上を目指した土地改良事業が農家所得の安定あるいは向上に結びついていない現状をどのようにお考えでしょうか。その辺をお伺いいたします。

武部国務大臣 済みません、ちょっと正確に御質問の趣旨を理解していなかったものですから、今後ろに聞きまして改めてお答えしたいと思います。

 従来から、土地改良事業は、農家の経営形態などを踏まえて、農業生産性の向上による農業所得の拡大を目指した営農計画を作成した上で実施するということが重要であると認識しておりまして、このため、営農計画は、地域のモデル経営類型を設定し、代表農家からの聞き取りによる営農実態調査等により農家経営実態を適切に把握した上で、受益農家及び市町村、農協等の地元関係機関から成る営農検討組織において検討した上で作成しているところでございます。

 今後とも、営農経営実態を踏まえまして、受益農家の意向を反映させた営農計画による事業の実施に努めてまいりたいと思います。

高橋(嘉)委員 いずれ事業を進めるに当たって、農家経営の実態の把握、見通しの辺がちょっとはっきりしていないんじゃないかなと思っております。

 要は、負債農家がふえる、ですから離農するわけであります。そういった中に新たな基盤整備をやっていくと、農家負担はもうふえる一方なわけでありまして、僕は、その辺のところを見通しを立ててのことかと。国家戦略的な部分は、よく、基盤をつくっておけばいいんだ、その部分はわかりますけれども、その辺がどうも何か両輪うまく歩んでいないような気がしてならないのであります。

 では次に、今回の改正で市町村長との協議の前に二十日以上の公告縦覧期間がございますが、農家に対してのアプローチがこれだけでは少し弱いのではないかという意見もありますが、この点について大臣はいかがお考えでしょうか。

木下政府参考人 土地改良事業の事業の進め方につきまして、まず私の方から事務的な御説明を申し上げたいというふうに思っております。

 従来、土地改良事業を実施する際には、十五人以上の発議者、農家がまず要るわけでございまして、その方が事業計画をつくるわけでございます。この中で、具体的にそれぞれのやろうとしている地区の、あるいは事業の、どういうふうになるか、経済効果はどうなるかという点につきまして十分御説明をし、賛同者を募るということになるわけでございます。

 先生御指摘の点でございますけれども、今回私どもが御提案申し上げておりますのは、そのような事業計画の段階におきまして、そのような農家以外の方につきましても十分な理解を得る必要があるだろうという点につきまして、今回そのような規定を設けているわけでございまして、先生御指摘のように、事業を実施する際には、あくまでも、地区内の農家の皆さん方に十分御説明をするということが大事だろうというふうに思っております。

高橋(嘉)委員 では、例えばですけれども、事業実施に際して設計基準が受益農家に示された場合、実態との乖離も指摘されるという話も聞いておりますが、こういった場合についてはどうなんでしょうか。

木下政府参考人 私ども、これからの土地改良事業、農業農村整備事業を考える際に、全国的な一律的な基準ではなくて、あくまでも地域あるいは現場に即した整備水準が必要だというふうに理解をいたしております。したがいまして、今後私どもが目指していくべき方向といたしましては、それぞれの地域の実態、ニーズを踏まえた整備水準なり整備のやり方が重要だというふうに思っておりまして、そういう方向で改革していきたいというふうに考えております。

高橋(嘉)委員 ぜひそのようにお願いを申し上げます。

 では、さらに、今改正で住民の意見を聞くことが盛り込まれておりますが、これらの意見を事業計画にどのように反映させていくのか。また、これらの意見及び取り扱いについて公表するなど、もう少し対話あるいは透明性を高める必要があると思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。

木下政府参考人 申請人がつくりました事業計画の概要でございます。この中で、いわば地域外の人たちにつきましても、そのような事業計画の概要を閲覧し、いろいろな案について意見をいただく、その中で、申請人のサイドで取り入れることが可能なものにつきましては、事業計画概要の変更というふうなことになろうかと思っております。

 私ども、そのようないろいろな方々から意見を寄せられるというふうに推測いたしておりますけれども、そのようないろいろな方々からの意見につきまして、事業計画にどのように反映されたのか、あるいはされなかったのかということにつきましては、国ないし県の方で取りまとめて公表していくということが適当だろうというふうに考えております。

高橋(嘉)委員 わかりました。

 今回の法改正で環境との調和への配慮とございますが、いろいろ具体的にもお伺いしたかったんですが、前の委員が聞かれてもなかなか具体性が見られなかったんですけれども、環境との調和への配慮によって新たな農家負担がある、あるいはそういった心配はないか、その辺のところを農林省からで結構でございます。

木下政府参考人 今回の改正案の中で、土地改良事業の原則の中に環境との調和というのを盛り込みたいということで今御提案申し上げているわけでございます。したがいまして、このような法律が通りますと、土地改良事業につきまして、すべて、環境への調和がちゃんとなされているかどうかということにつきまして、事業計画の段階で審査を受けるというふうになろうかと思います。

 このような環境との調和でございますけれども、このような配慮によります便益、農家のみならず地域、広く住民が享受するというふうに理解をいたしております。したがいまして、今後、このようなことにかんがみまして、事業実施に係る負担も含めて、地域全体で議論していただくことが必要だというふうに考えております。

 したがいまして、今回の提案の中でも、市町村長の位置づけを、従来の意見の聴取から協議の対象ということで関与を強めたということも、このような観点からの改正でございます。

高橋(嘉)委員 事業実施に当たっての負担を含めということは、僕はこれから申し上げたかったんですけれども、例えば土地改良区が管理しているかん排施設は、農家のみならず非農家の方々、こういった混住社会、山の方あるいは平野部、そして都市部、町部となってくるわけですけれども、いずれ、親水公園とか魚釣り場とか子供の水遊び場、水辺環境等々整備をされています。しかし実態としては、こういった潤いのある環境、空間を地域住民がみんな享受している中にもかかわらないのに、維持管理は農家負担にあるわけです。

 ましてや、新たな新規整備をしたり、維持管理、更新、整備をしなきゃいけない時期に来ているわけでありますけれども、こういったものも農家負担になっていくのでは、ある意味では土地改良区が管理しているわけでありますから、農家負担が増大する一方と僕は思っているわけでありまして、この辺のところ、今お話しのように事業実施に当たっての負担を含めて考えたいということは、要は、排水路あるいは用排水路等々の実施に当たっても農家負担を少なくさせる方向で、地域住民のコストだというような考え方で持っていきたいというお考えなのでしょうか。再度お伺いします。

武部国務大臣 直接個々の農家の利益につながる事業であるという性格上、受益者たる農家に一定の負担を求めることは、これは従来どおりでありますが、なお、防災的観点から国営事業で実施する施設の負担については、国と地方公共団体で行っているところでございます。維持管理については、公共公益性の高い一定の施設の管理について、国、地方公共団体が実施しております。

 なお、委員御指摘の公共性の高い施設については、ただいまお話がありましたように、防災的観点から国営事業で実施する大規模な用排水施設の整備に係る負担は国と地方公共団体で行っておりますし、また、一般交通の利用が多い基幹的農道については、その公共性にかんがみ、実態上、地方公共団体の負担にとどめているケースが多いということでございます。ただ、これは私の私見でありますけれども、今先生御指摘のことは非常に大事なことだ、このように思っております。

 これから農村社会におけるライフスタイルといいますか、そういったこともあるいは変わってくるんじゃないか。私どもが申し上げております都市と農山漁村の共生、対流というようなこともこれから目指すべき姿だ、こう思っておりまして、その際に、環境の問題その他、あるいは、農林水産省だけでやり得ることではありませんので、国土交通省とか総務省とかそういった関係府省と相当協力関係を高めていかなきゃならない、かように考えております。基本は、やはり地方自治体だろうと思います。

高橋(嘉)委員 いずれ、防火用水のみならず生活雑排水なども、要は、排水路を使ってみんな流しているわけであります。ほとんど、そこで地域住民、町部の人たちに賦課金を徴収しようとしても一割強とか二割に満たない、あとは黙ってみんな捨てちゃっているという実態にあるわけであります、排水路については特にですけれども。この辺のところを僕はよく考えていただきたいということであります。

 それで、時間もありませんので、土地改良関係についてはもう一点だけ。

 土地改良区は農家負担によって運営されておりますが、事業が終了し役割を終えた土地改良区の解散あるいは合併化、また経営の合理化を考えていくときと思っておりますが、その辺の取り組み状況はいかがになっていますでしょうか。

木下政府参考人 土地改良区でございますけれども、零細、小規模なものが数多く存在をしている、また、農家戸数の減少なり都市化、混住化等を考えますと、やはり土地改良区の事業運営基盤の強化を図ることが重要だというふうに考えております。

 したがいまして、私ども、従来から、土地改良区の合併、あるいは役割を終えた土地改良区の解散の促進を通じた統合整備を行ってきたところでございます。

 ちなみに、平成十一年でございますけれども、百一の土地改良区を合併いたしまして二十五の新しい土地改良区に統合したり、また、役割を終えた土地改良区につきましては、十一年でございますけれども、百十九解散をさせるというような措置も講じたところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、そのような統合整備を通じまして、土地改良区の事務運営基盤の強化に努めていきたいというふうに考えております。

高橋(嘉)委員 国際備蓄構想について、前にもお伺いしたんですが、大臣にお伺いします。

 国際備蓄構想の記事が何かこの間の農業新聞に出ておりましたけれども、既存の機関を強化してやっていくというような話でありますが、この辺のところ、その後、WTO前の提案として各国に働きかけているようでありますけれども、どのように推移しているか。この場合、提案するにはそれなりの腹づもりを持ってやっていることでしょうし、我が国の対象品目は例えば米か否か、その辺のところをちょっとお伺いしたいのであります。

武部国務大臣 昨年十二月のWTO農業交渉日本提案において、開発途上国への配慮の観点から、既存の二国間や多国間の援助を補完する意味で国際備蓄の仕組みを検討するよう提案したところでありますことは、先生御指摘のとおりであります。

 このような背景のもとで、備蓄の規模、備蓄対象品目等の具体的な国際備蓄の仕組みについては、先般、国際備蓄構想研究会を設置し、関係国のニーズ、これまでの取り組みの問題点等について御議論をいただき、国際ルールとの整合性、財政負担等に配慮しながら今現在検討しているところでございます。

高橋(嘉)委員 この間から答えが進んでいないように思いますけれども、いずれなるとすれば、日本の場合、状況を見てみても、大臣の私見でも結構です、米しかないんじゃないかなと僕は思うのですが、もう一度お伺いします。いかがでしょうか。

武部国務大臣 先般も、FAOのディウフ事務局長ともこの構想について話し合いを行い、非常に共感を得た、かように思っているわけでございますけれども、開発途上国への配慮として、飢餓や栄養不足問題を抱える開発途上国の食料安全保障のための支援スキームを強化することがねらいでありまして、これは我が国の国内事情から出たものではないというふうに私は考えております。

 ただ、今後、食料の自給率四五%達成ということだけでは食料の安定供給という責めを果たすことにはなり得ませんで、地球温暖化あるいは砂漠化というような問題等を考慮に入れまして、多国間の食料の安全保障機構といいますか体制というものをやはり今後考えていく必要があると思いますので、この点につきましては、もう少し幅広く、弾力的な考え方のもとに検討を進めていく必要があるのではないか、私はかように思っておりますが、いずれにいたしましても、WTO交渉の議論の進捗状況を考慮しつつ、適切なタイミングをとらえて、交渉の場において積極的な提案をしてまいりたい、かように存じます。

高橋(嘉)委員 いずれ、きっちりと進めていただきたいですし、当然、幅広く、そして他国との、進捗状況、交渉の過程においてというのはそのとおりでありますが、私は、米なら米、生産調整を進めながら基盤整備をする、そしてどんどん減反がふえるという状況の中での一つの対案であるというのなら、それはそれでもいいと思っているのであります。いずれにせよ、その辺のところ、もう少し積極的に進めていただきたい。

 それと、時間もありませんので、最後に一点、お伺いいたします。

 今日の我が国の穀物の自給率及び備蓄状況を考えた場合、このように国際備蓄の構想を提唱するのもいいのですが、国内備蓄にももう少し検討を加える必要があると思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

武部国務大臣 非常に難しい問題だと思いますね。

 これは、御案内のとおり、市場原理を導入することによって農家の経営の安定対策や所得の向上というようなことを考えました際に、やはり需給の動向がどうなるかということが非常に重要であろう、かように思います。また、当然のことながら財政負担ということもございますが、やはり国民の理解と協力のもとに、今お話ありましたような食料の安全保障と食料の備蓄の問題というのは検討されていかなければならない、かように存じます。

高橋(嘉)委員 土地改良のあり方についてでありますが、いずれ、国家的にあるいは国土的に、地域的にやるべきところは、きっちりやるべきところは集中的にやるとか、めり張りをつけて、一町歩からまた今度五町歩だ、六町歩だという話じゃなくて、要は、その辺の国家戦略的な部分、それと実際の生産者の側に立った部分、生産体制の構築という部分、これらの部分が何か二の次にされているように思えてなりません。

 この辺のところ、上手に両輪が回ってこそ、本当の生産体制の構築と国民に対する食料の安定的な供給が確保できる、私はそう考えております。このことを強く申し上げ私の質問を終わります。

堀込委員長 次回は、明二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会




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