衆議院

メインへスキップ



第21号 平成13年6月20日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年六月二十日(水曜日)

    午前九時八分開議

 出席委員

   委員長 堀込 征雄君

   理事 木村 太郎君 理事 岸本 光造君

   理事 滝   実君 理事 二田 孝治君

   理事 小平 忠正君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君

      相沢 英之君    岩倉 博文君

      岩崎 忠夫君    岩永 峯一君

      金田 英行君    上川 陽子君

      北村 誠吾君    後藤田正純君

      左藤  章君    七条  明君

      園田 博之君    高木  毅君

      西川 京子君    浜田 靖一君

      菱田 嘉明君    増原 義剛君

     吉田六左エ門君    古賀 一成君

      後藤 茂之君    佐藤謙一郎君

      津川 祥吾君    筒井 信隆君

      中津川博郷君    永田 寿康君

      楢崎 欣弥君    江田 康幸君

      高橋 嘉信君    中林よし子君

      松本 善明君    菅野 哲雄君

      山口わか子君    金子 恭之君

      藤波 孝生君

    …………………………………

   参議院議員        郡司  彰君

   農林水産大臣       武部  勤君

   農林水産副大臣      遠藤 武彦君

   農林水産大臣政務官    岩永 峯一君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長

   )            木下 寛之君

   政府参考人

   (水産庁長官)      渡辺 好明君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     左藤  章君

  吉田六左エ門君    増原 義剛君

  城島 正光君     中津川博郷君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     上川 陽子君

  増原 義剛君     吉田六左エ門君

  中津川博郷君     城島 正光君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)(参議院送付)

 農業協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八四号)(参議院送付)

 農林中央金庫法案(内閣提出第八五号)(参議院送付)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

堀込委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省経営局長須賀田菊仁君及び農林水産省農村振興局長木下寛之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀込委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。

 きょうは、土地改良区、土地改良法の改正問題についてお聞きをします。

 最初に、土地改良区が自民党に協力をして、自民党の党費を違法に支出していた、この問題についてお聞きをいたします。

 これは、自民党にとってもきちんと追及すべき問題だと思います。このような、自民党に違法に協力することによって補助金をたくさんもらうという行動に出る、これはやはり政策決定をゆがめますし、大体、土地改良区の側でも政策判断によるいろいろな政治行動もできなくなる。今、小泉さんが改革しなければいけないと言っている政官業の癒着構造、それによって政府の政策決定がゆがめられる、この既得権益を守る、こういうふうな、まさに典型的な事案の一つだろうというふうに思っています。

 私たちも、単に追及するというだけではなくて、こういうことを今後全部なくさなければいけない、自民党もぜひそういうふうな姿勢で臨んでいただきたいというふうに思うわけでございますが、そういう姿勢に関しては、まず大臣、どうでしょうか。

武部国務大臣 全く筒井先生と同じ考えでございます。

 私どもも、かようなことが二度とあってはならない、これは党のためにも決していいことではない、まことに遺憾にたえない次第でありまして、このことについては、強い憤りとともに、今後厳正に対応すべく努力していきたい、かように思います。

筒井委員 そういう正しい姿勢を前提にして答弁を願いたいと思います。

 まず、これは、判明したのがことしの三月十九日地元新聞の報道によって、地元新聞というのは栃木県鹿沼市の地元新聞の報道によって判明した。その判明した直後に農林省は農村振興局長名で全国の都道府県に実態調査と再発防止を求める指導文書を送った、こういうふうにお聞きしているのですが、まずその事実関係はそれでよろしいですね。

木下政府参考人 委員御指摘のとおり、今回の事案の発端が、本年三月、栃木県の一部土地改良区におきまして、監事の指摘によりまして、理事長等自民党員の党費が土地改良区の会計から支出された旨の事実が判明し、このことについて新聞報道がなされたわけでございます。

 私ども、この報道を受けまして、事実関係を県を通じ確認すると同時に、農村振興局長通達を発出したところでございます。

筒井委員 その指導文書を出したのも三月十九日でいいのかどうかという点、三月十九日なのかという点。それともう一点は、その指導文書の中に、違法支出した部分を各理事等の党員が返還するようにという指導も入っているのかどうかという点が二点目。それから三点目としては、実態調査は五年間に限って、五年間の調査をしろ、こういう中身になっているのかどうか、この三点についてお聞きをします。

木下政府参考人 まず第一点でございますけれども、今回、三月十九日に都道府県に対し、報道されたような事実の有無について調査依頼を行ったところでございます。また、かかる行為が再び繰り返されることのないよう指導文書を発出いたしました。三月十九日付でございます。

 調査の内容でございますけれども、過去五年間に土地改良区で立てかえた有無について調査を依頼したところでございます。

筒井委員 今の答弁に一つ欠けているのは、そのときにその違法支出した部分を理事等の自民党員が返還せよ、そういう指示もその中に入っているのかどうかの質問は今答弁がなかったので、その点を答えてください。まずそれから答えてください。

堀込委員長 委員長から申し上げますが、質問事項について的確にお答えください。

木下政府参考人 先ほど申し上げましたように、今回の指導通達を発出いたしましたのは、一つは調査の依頼、それからもう一点は、このような行為が再び繰り返されることのないよう指導文書を出したところでございまして、返還については、三月十九日付の文書でそのような指導はいたしておりません。

筒井委員 その点をまず確認しますが、返還せよという指示は、いつの時点でどういう形で出しましたか。

木下政府参考人 それぞれの県で、過去五年間にわたりましての調査をお願いいたしましたところでございますけれども、その調査結果が判明した時点で、立てかえた経費につきまして返還するよう、県を通じて指導したところでございます。

堀込委員長 いつという質問をしていますから、それを答えてください。

木下政府参考人 私どもその調査を依頼したところでございまして、各県によりましてそれぞれ調査結果の判明した時点が違いますけれども、そのような調査結果が判明した時点で、それぞれの県を通じてお願いしているところでございます。

筒井委員 では、いつからいつまでの間ですか。一番最初はいつですか。それで一番最後の指示はいつですか。

木下政府参考人 具体的な日付については私記憶をいたしておりませんけれども、それぞれの県で調査が行われております。結果が判明した県でそのような指導を行うよう依頼しているところでございます。

筒井委員 そうすると、いつ出したかわからないということは、大体その指示にすぐ従ったのか、それとも現在も、何日間ぐらいあるいは何カ月ぐらい従っていないのか、全然それはわからないということですね。その点だけ確認します。

木下政府参考人 三十一道府県で違反の事例が判明したわけでございますけれども、既に十五の道府県で……(筒井委員「そんなのはわかっているのです。そんなのは聞いていない」と呼ぶ)それで、かつ残りの分につきましても、現在返済するよう指導しているところでございます。

筒井委員 そういう質問ではないので。

 農林省として監督権限を持っているのですよね、各土地改良区に。その農林省の指示がどのくらい徹底されているのか、何カ月間ももうそのまま放置されているのか。こんなの返そうと思えば一日で返せるわけですよ。だけれども、もう既に三月十九日に発覚してから三カ月ぐらいたっているのだけれども、まだ半分しかその指示に従っていないわけでしょう。

 だから、その指示をいつ出して、それにすぐ従ったのか、あるいは三カ月間もそのままほうっておかれたのか。その点を確かめたいから私は日付を聞いているので、どのくらいの期間ほうっておかれていたのか、農林省としてはそれはわからないということですね、今の答弁は。

木下政府参考人 各県の具体的な文書の発出状況でございますけれども、事案の発端でございます栃木県が三月十三日、それから各県によってありますけれども、一番遅い県で、長崎の例でございますけれども六月十九日でございます。

筒井委員 三月十三日というと、発覚する前ですか。一週間も前ですか。

木下政府参考人 栃木県の事案でございますけれども、三月八日にこの事案が明るみに出たわけでございまして、栃木県におかれては、私どもの指導通達の前に、県として、先ほど申し上げた三月十三日に指導文書を出しております。

筒井委員 正確に答えてくださいね。

 先ほど一番最初に、私は、三月十九日に地元新聞で報道されて発覚したのかと、それを確認して質問をしたでしょう。そうだというふうに答えられたでしょう。ちゃんと厳密に答弁してほしいと思うのですね。

 それで、三月八日に発覚したというふうに今言われましたね。では、これは地元新聞の報道前ですか。とすれば、どういう形で発覚したのですか。

木下政府参考人 報道でございますけれども、一番早い報道は三月の八日でございます。

筒井委員 では、一番早い三月十三日に栃木県に関しては返還せよという指示を出した。これは何日後に全額返還されましたか。

木下政府参考人 栃木県は、非常に数が多いという状況でございまして、現在なお完済まで至っておりません。

筒井委員 三月十三日に出して、現在六月をもう大分過ぎていますが、では三カ月間も農林省の指示は無視されている、こういう状況ですね。

 土地改良区が公共組合である、まさに地方自治体と同じような性格を持っている。しかし、地方自治体と違うところは、農林省の監督下にある。その監督権に基づく指示が三カ月間も、三カ月以上も無視されている。こんなのはやろうと思えば、何千万という金じゃないんだから、大した金じゃないんだから、指示に従おうと思えば一日か二日で返せるわけですよ。それが、今に至ってもまだ指示が無視されている、まだ履行されていない。これについて、大臣、どう思いますか。

武部国務大臣 まことに遺憾にたえない次第でございまして、私も、今先生と局長のやりとりを聞いておりまして、いささか憤慨にたえないものを感じます。そういう責任を私自身も感じますが、しかし、相手のあることといいますか、これを強権的にやるわけにいかないという事情も御理解願いたいと思いますが、一日も早く是正措置が行われるべきでありまして、府県を通じて七月末を目途に返還するように私から徹底指示したい、かように思います。

筒井委員 強権とか何かではなくて、違法支出なんだから、違法な支出に対してもとに戻せという指示が三カ月以上も、現在まだ無視されている。監督権限があるだけではなくて、違反措置に対する是正措置を命ずる権限も農林省にあるでしょう。どうですか、振興局長。

武部国務大臣 強権的ということについて誤解があるようであれば、これは訂正します。私が申し上げたのは、こういうことについてやはり丁寧に、真剣に対応しなければならないということでございまして、違法は違法です。これはもう許されることではない。

 しかし、一人一人に話をして返還を求めるわけでございます。それには多少の時間がかかるであろう。なぜすぐ返還できないんだ、そういうようなことを強く言うやり方ではなくて丁寧に、違法なんだから、しかもこれは府県を通じて指導をやるということでございますので、そういう背景を御理解いただきたい。

 しかし、限界がいずれにしてもあるはずでございます。そのことは認識しておりまして、私は、あと一月ぐらいの間にきちっと県に対して返還がなされるように、このことについては責任を持ってやらなきゃならない、そういう認識であることを申し上げた次第でございます。

筒井委員 そうすると、三月十三日に指示を出して今まで履行されていないわけですが、今までその指示をちゃんと履行するようにという措置は何らかの形でとりましたか、それとも一切とっていなくて、ほうっておいたんですか、どちらですか。

木下政府参考人 私ども、三月十九日に振興局長通達を出し、調査の依頼と、かかることが再度起こらないようという指導をしたところでございます。また、違反が判明した時点におきまして、できるだけ早く是正措置が行われるよう、各県を通じて指導しているところでございます。

筒井委員 そういう一般的なことはさっき聞いたので、今私は三月十三日に指示を出した栃木県のことについて聞いているんです。その後、今も履行されていない。今までそれを早く履行するように何らかの措置をとったか、それとも一切とっていなくて放置していたのか、とったとすればどういう措置をとったのか、それを具体的に答えてください。

木下政府参考人 栃木県の事例でございますけれども、現在、県から指導をし、返済が行われている途上でございます。まだ全部返されていないという状況でございます。

 それからもう一点、指導でございますけれども、私ども、できるだけ早く返すようにということで、それぞれの事案に対しまして農政局あるいは本省から直接各県に指導をいたしております。

筒井委員 だから、三月十三日に指導をした後、具体的に何らかの行動をとったか、とったとすればその具体的な行動の中身を答弁してください。もうさっきのような一般的な答えだったら、私は要りませんから。

木下政府参考人 先ほど来申し上げているとおり、私ども、今回の是正措置が早く行われるよう、府県を通じ、七月末を目途に返還を了するよう求めることとしております。この結果、是正が的確に行われないというような場合につきましては、土地改良法……(筒井委員「そんなことを聞いているんじゃないの。これからのことを聞いているんじゃないの」と呼ぶ)第百三十二条に基づく報告徴収を求めていきたいと思っております。

筒井委員 何回も同じことを言うようだけれども、あなた同じように答えているから、時間がかかるだけですよ。

 三月十三日に返せという指示を出した。その後現在まで、栃木県に対して早くやれという指示、行動を具体的に何らかの形でとったかどうか、とったとすればその具体的な中身を聞いているんです。

木下政府参考人 私ども、栃木県に対し、繰り返し繰り返し早く是正措置が行われるよう指導いたしております。

筒井委員 とすれば、さっきからそう言って答えればいいんです。三月十三日の後に何らかの措置をとったかどうかを聞いているんだ。今の答えだと、とったということですね。具体的にはどういう形でとったんですか。口頭なのか、口頭だったらいつ、文書だったらいつ、どういう中身の文書か、それをちょっと答えてください。

木下政府参考人 栃木県に対する指示は電話を通じて行っております。

筒井委員 電話で何回かというのはあるんだけれども、まあいいわ、またどうせそういうふうな答えの繰り返しだから。

 それと、この実態調査を五年間に限った理由をお聞きします。というのは、栃木県の問題となっている鹿沼市の南摩土地改良区、これが最初に新聞報道で表に出たわけですが、その土地改良区の矢野理事長は、自民党費の肩がわりは七五年ごろから始まった、つまり二十五年前から始まったというふうにどうも証言しているようですね。五年間に限った理由は何でしょうか。

木下政府参考人 今回の調査で過去五年間にさかのぼって調査を依頼したわけでございますけれども、今回の調査は対象が非常に多いということで、早急かつ的確にその実態を把握するため、先ほど申し上げたように、調査対象期間を五年間というふうにしたところでございます。

筒井委員 理由としてわからないな。だって二十五年前からやっているという証言があるんですよ。違法支出を本当に悪いものとして、絶対今後再発をしない、全部実態を明らかにする、こういう意思が本当にあるなら、全部明らかにすべきでしょう。何でそれを五年間に限ったんですか。そのことを聞いているんです。

木下政府参考人 今回、対象が七千というような多数に上りますし、できるだけ早くまず実態を把握し、そのような把握に基づきまして具体的な措置を講ずる必要があるというふうに判断したところによります。

筒井委員 そんなのは五年間に限った理由になりません。各土地改良区に帳簿が残っている限りは、それを全部出すことだって簡単にできるんだから。帳簿がないところは、別に五年たっていなくたって、三年以前のものだってわからないんですよ。本当に再発防止のために実態を明らかにする意思があるなら、帳簿がある限り、調べられる限り全部調べろと言うべきでしょう。そのことによって時間がそんなに延びるわけじゃないんですよ。

 今の答弁でも五年間に限った理由は全然説明されていない。もう一回答えてください。

木下政府参考人 私ども、先ほど来申し上げているとおり、今回、このようなことが二度と起こらないようにするという前提のもとで、どのような実態があるかということについて調査をしようという趣旨でございます。

 したがいまして、繰り返しになりますけれども、実態について早急かつ的確に把握する。それぞれの県あるいは土地改良区によりまして、それぞれいろいろな文書の保存期間等々で区々であるというふうに理解をいたしております。あくまでも、全国の状況について過去五年間につきまして、一定の期間を定めまして実態把握をしたいということでございます。

筒井委員 そういう質問じゃないんだよね。

 帳簿が残っていなければ仕方ないんですよ。残っていようが残っていまいが、五年間に限定して調べろという指示が私はわからないというんですよ。結果として五年以前の帳簿が残っていなかったらわからない、それならいいです。農林省が初めから五年間に限定して調査せよと指示したことの理由がわからない。

 帳簿がある限り全部実態を明らかにすべきじゃないですか。もう一回だけ聞きます。

木下政府参考人 私ども、今回の調査につきましても、全国的にかつ一定の期間につきまして、まず調査をすることが大事だということと、それにつきましてできるだけ早期に現状把握したいという理由で、先ほど来申し上げたとおり五年間にしたところでございます。

筒井委員 そんな、さっきと同じような答えで、何の意味もない答えだ。

 では、この五年間に関しては帳簿が残っていて調べることができた、こういう結果になりますね。

木下政府参考人 各県でそれぞれ調査が行われておりますけれども、私どもも具体的にそういうような会計帳簿に基づいて調査をしたというふうに理解いたしております。

筒井委員 会計帳簿上、自民党費として支払った部分は、どういう項目に、どういう理由で記載されていたんですか。

木下政府参考人 立てかえられた金の支出状況でございますけれども、土地改良区の一般会計の中の交際費、需用費あるいは雑費等々から支出をされております。

筒井委員 今、交際費、事業費、雑費等と言われましたが、項目としてはその三つですか、それ以外にもありますか。

木下政府参考人 先ほど私が、交際費、需用費……(筒井委員「需用費」と呼ぶ)需給の需ということでございます。それから雑費等々でございまして、いずれも、この会計区分につきましては、それぞれの土地改良区によりましていろいろな名称があろうかと思いますけれども、基本的には、交際費あるいは需用費、雑費、そのような会計区分から出されているというふうに思っております。

筒井委員 私の今の質問は、項目としてはそれ以外にもありますかということなんです。それとも、それ以外はなかったんですか。

木下政府参考人 私ども把握をいたしておりませんけれども、名称からいいますと、交際費、需用費、雑費以外の、他の区分からもあったというふうに理解をいたしております。(筒井委員「他の区分からもあった、今の答弁じゃわからない」と呼ぶ)

 それぞれの土地改良区ではいろいろな名目がついているわけでございまして、例えばある土地改良区では交際費等々あろうかと思いますけれども、交際費、需用費あるいは雑費などから支出されているというふうに理解をいたしております。(筒井委員「私の質問に答えてくださいよ」と呼ぶ)

堀込委員長 委員長から申し上げます。

 局長、その三項目以外の、他の項目支出はありましたかという質問です。

木下政府参考人 三項目以外からの支出があったというふうに認識をいたしております。

筒井委員 三項目以外にあったとすれば、その項目の名前を挙げてください。

木下政府参考人 私ども、全県から、全部聞いているというわけじゃございませんので、先ほど申し上げましたように、具体的なその他の項目について今申し上げられるような準備をいたしておりません。

堀込委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

堀込委員長 速記を起こしてください。

 木下振興局長。

木下政府参考人 私ども、先ほど申し上げた三つの費目以外の具体的費目の名前については承知いたしておりませんので、わかっておりません。

筒井委員 そうしますと、わからないということは、事業費という項目でも出ていたかもしれないし、あるいは補助金とか何かの項目から出ていたかもしれないし、それはわからないということですね。

木下政府参考人 私ども、補助金の関連で申し上げますと、補助金の交付の申請に当たりましては、補助金の適化法に基づきまして、交付申請に係る書類の審査を行っております。これが補助金を交付する前の段階。それから補助事業の遂行についての調査。それから第三点目でございますけれども、補助事業を実施した場合には実績報告を徴収するわけでございますけれども、その際に収支精算書の添付を義務づけております。したがいまして、私どもは補助金から出されたというふうには認識をいたしておりません。

筒井委員 そんな質問をしているんじゃないの。どの項目から出されたか、今の三項目以外もあるんだけれども、しかしその項目の名前はわからないという答えでしょう。そうしたら事業費という項目から出たかどうかもわからないということでしょうが。あなたの答弁は矛盾しているじゃない。

 わからないということでしょう。私、今補助金から出たかどうかということを問題にしているんじゃないんです。項目がどういう項目かわからないとあなたが答えられたから、項目として事業費だとかから出ているかもしれないということでしょう。それはわからないということでしょう。もう一回確認します。

木下政府参考人 私ども、判明しているのは先ほど申し上げたような費目でございますけれども、その他の費目、どのような費目から出されるかについては把握をいたしておりません。

筒井委員 だから、重要だから確認しているんですが、事業費という項目で出たかどうかもわからないということですね。もう一度その点だけ。正直に、わからなきゃわからないと言えばいいんですよ。そうしたら次の質問に移れる。

木下政府参考人 把握をしておりません。

筒井委員 そうしますと、今わかっているのが交際費、雑費、需用費、こういう項目だったと。その項目の内訳としては、自民党費とか政治団体会費とかいう項目は記載されていたんですか、それともいないんですか。

木下政府参考人 私どもが聞くところによりますと、それぞれの会計帳簿の中に、例えば党費だとか政治連盟何人分というふうに記載をされていたというふうに承知をいたしております。

筒井委員 そうしますと、今の少なくとも三項目あるいはそれ以外の項目から支出されている。しかし、その項目の中での具体的な名称が自民党費あるいは政治団体会費、こういうもので公然と文書に、会計帳簿上書かれていた。全くある意味で罪の意識がなかったんじゃないかと思うんですよね。隠そうともしなかった。こんなのは全然違法ではないというふうな認識をしていたんじゃないか。ある意味で当然のこととしてされてきた。千ぐらいの土地改良区であったというんですから。こんな違法支出が、しかも、政、業、私はこれからも聞きますが、官も癒着していたと思うんだけれども、こんな癒着構造が公然と正式な会計帳簿に書かれて、隠そうともされていなかった。こういう実態について、大臣、どう思いますか。

武部国務大臣 まことに遺憾にたえない次第でありますし、やはり常識的に感覚のずれがあったというふうに認識せざるを得ない、私はかように思います。そういうことが二度とないようにということを、改めて憤りを込めて申し上げたいと思います。

 今局長と筒井先生のやりとりを聞いておりましても、役所の方も、もう少し事の重大性をきちっと認識して、速やかな対応をしなければならなかった。このことについては私の監督責任にも及ぶ、かように思っておりまして、一日も早く返還が速やかになされるように、先ほど申し上げましたように、また私はあえて申し上げますけれども、一人一人のことでありますからそう簡単には返還が完納されるというふうには思いませんけれども、しかし、この一月、少なくとも七月末ぐらいまでにはきちっと徹底させなければならない、そういう責任を私は痛感している次第でございます。

筒井委員 大臣、それで、一緒に。

 五年間に限って調査しただけで、五年以前のものは初めから調査しようともしないで官僚は、官僚と言ったら悪いけれども、農林省はやっていた。しかし、帳簿が残ってはっきりする限り、五年よりもっと先のものも含めて調査して、やはりその部分は返させる、これが本来の政府としてやることではないですか。

武部国務大臣 一刻も早く事実関係というものを確かめるということを考えますと、私は、五年間というのが長いとか短いとかというふうには思いません。これは、善意にひとつ理解してあげてもらいたいと思います。

 今度、該当者といいますか、それがはっきりしてきたわけでありますから、そういったところについては今後どのようなことができるかどうか、そのことについてはこれからのことでありますけれども、さらに精査する必要があるかどうか、検討したいと思います。

筒井委員 それともう一つ、大臣。

 さっき、三つの項目以外はわからなかったということなんですが、これは、やはり事業費の項目で出されているかどうか、補助金の項目から支出されているかどうか。これは全部農林省が確認しなければいかぬのじゃないですか。

武部国務大臣 私は、事業費とか補助金とか、そういうようなことはないというふうに信じたいと思います。しかし、今御指摘ございましたので、どういうことができるかどうか、もう少し実態を正確に把握する必要がある、そのことは私もさように思いますので、今後検討させてもらいたいと思います。

筒井委員 それで、先ほど申し上げたように、農林省は、公共組合としての土地改良区に対して監督権限がある。定期検査をやっている。実際に、土地改良法で報告徴収の権限とか検査の権限が農林省、農林大臣に与えられておりまして、定期検査をやっている。土地改良区検査規程という規程もある。

 この定期検査は、どのくらいの頻度で今までやってこられましたか。

木下政府参考人 土地改良区につきましては都道府県、それから二県をまたがるような土地改良区等々につきましては農林水産大臣が検査を行っているわけでございますけれども、おおむね三年に一回検査を実施しております。

筒井委員 その検査は、会計帳簿も含んで、しかも事務所での帳簿とか書類の照合、計算、こういうものをやってきたわけでしょう。

木下政府参考人 検査は、土地改良区の事業が適正に実施をされているかどうかということを含めまして、会計帳簿を含めて検査をしているというふうに理解をしております。

筒井委員 だから、会計帳簿を含めて検査をしているはずなんですね。いやいや、しているんだ、実際に。

 とすれば、先ほど言った、自民党費とかあるいは政治団体費とかというのが項目上明確に書かれていた。これがわかっていて、ずっと長年の間そのままほうってきたということじゃないですか。

木下政府参考人 土地改良区に対する都道府県の検査あるいは農林水産省の検査でございますけれども、土地改良区の事業が適正に行われているかどうか等々に重点が置かれ、結果として会計帳簿の細部にわたるまで行き届かなかったということは、私どもとしても反省をしているところでございます。

筒井委員 会計帳簿の照合、これを検査してきたんでしょう。さっきもそういうふうに答えたでしょう。今の話だと何かあいまいになってきたから。会計帳簿の照合、計算、この検査をやってきた、先ほどそう答弁されたでしょう。もう一回確認してください。

木下政府参考人 土地改良区の検査でございますけれども、一つは、組合員の資格交代等……(筒井委員「そんな一般的なことを聞いているんじゃない、もう会計帳簿に関してだけ」と呼ぶ)そういうような、事業が行われているかどうかを主眼として実施をし、そのような会計簿を含めて検査をしているというふうに理解をいたしております。

筒井委員 含めてとか、何か物すごく低くしようとしているけれども、土地改良法の規定では、業務及び会計の検査と書いてあるのですよ。業務及び会計の検査、それからそれに関する報告を徴する権限がある。権限があるというのは、監督する義務があるということですよ。

 会計帳簿に関する検査をやってきた。それで、先ほどからの答弁によると千ぐらいの土地改良区で自民党費だとか政治団体加盟費だとか、ちゃんと会計帳簿上載っていた。これも、過去五年間どころか、場合によっては二十五年前から載っていた。明確に書いてあるわけですよ。それを、検査をやってきたのに、わからないはずがないでしょう。わかっていて、ずっとほうってきたんじゃないですか。それ以外考えられないじゃないですか。

木下政府参考人 これまでの都道府県の検査あるいは農林水産省の検査の中で、先ほど来指摘されたことにつきまして、十分把握できなかったということにつきましては、私どもも反省をしているところでございます。

 このような反省に立ちまして、私ども、土地改良事業実施要領の見直しだとか、あるいは人事交流によります検査職員の資質の向上等々につきまして、今後対応していきたいというふうに思っております。

筒井委員 そんな軽いことじゃない。何ですか、十分把握できなかった。だって会計帳簿をちゃんと照合して検査しているでしょう。していると、さっきも言った。定期検査もやっているわけですよ。しかも、先ほどからの答弁ではっきり、自民党費だとか政治団体加盟費だとか、違法支出が書かれていたわけですよ。それはわからないはずがないでしょう。だから、わかっていてもほうってきたんでしょう。それ以外考えられないでしょう。

木下政府参考人 まことに遺憾でございますけれども、これまでの検査の中で、御指摘いただいているような事案につきまして判明できなかったということにつきましては、私ども十分な検査が行われていなかったというふうに反省をいたしております。

筒井委員 そうしたら、帳簿を見たと言いながら、中身は全部そのままで、まさにめくら判と一般的に言われる形をやっていたのですか。そういう形か、そうでなかったら、ちゃんと帳簿を見てわかっていてほうっていたか、どっちかしかないでしょう。そのどちらですか。

 これは重要な問題なんだよね。定期検査をずうっとすごい、やってきたんだよ、三年に一度それを、ただ不十分で反省しているというだけで済まされるような問題じゃないでしょう。中身を見ないでめくら判を押していた、それで定期検査と言っていた、土地改良法に基づく検査をちゃんとやっていると言っていた。それか、わかっていて認めていた。どちらかしかないでしょう。どっちですか。

木下政府参考人 これまでの土地改良区の検査の中で、そのような会計経理につきまして判明できなかったという点は、私ども反省をいたしております。

筒井委員 判明できなかったという理由は、では一体何ですか。判明できなかった理由ですよ。素人から見たってわかるでしょう。だって、はっきり交際費だとか雑費の中に自民党費だと書いてあるんでしょう。だれだって見ればわかるでしょう。栃木県の何とかという監事さんも、まさに見て、これは何だというふうに初めて問題にしたわけでしょう。何でそれが、農林省が判明できなかったのですか。判明できないはずがないでしょう。判明できなかった理由を言ってください。

木下政府参考人 土地改良区に対します検査は、どちらかといいますと、全体的な業務面を中心に行われていた。もちろん会計処理につきましても検査をするということになっておりますけれども、業務面を中心に行われていたということがありまして、結果として、先ほど来問題になっておりますような会計経理につきまして判明できなかったということがあるというふうに認識をいたしております。

筒井委員 これは重要なので私もしつこく聞くけれども、業務面のものが中心だとかなんか関係ないでしょう。会計帳簿の検査をしたのだから。それをする権限があって、義務があるのだから。その会計帳簿に明確に書いてあることが判明できなかったと言っている、その理由は何ですかと聞いているのですよ。だから、めくら判だったのですかと。中身を全然よく見もしないで、これでいいといったことか、わかっていて、何回も言うようですが、それを黙認していた、あるいは明示で承認していたか、どっちかしかないでしょう、どっちかということを聞いているのです。

木下政府参考人 土地改良区についての検査でございますけれども、私ども、そのような違反事例が見つかってもそれを放置していたということはないと思います。

筒井委員 では、これは今後の検査もずっと影響するので言いますが、はっきり確認もしつこくさせますが、わかっていて黙認していることはないとすれば、会計帳簿の検査と言いながら、中身はよく調べなかった、めくら判を押していた、こういうことですね。

木下政府参考人 会計経理の詳細についてまで検査が行き渡らなかったという点につきましては、私ども反省をいたしております。

筒井委員 これからも同じ検査をするのですか、それとも、これからは検査の方法を変えるのですか。

木下政府参考人 私ども、土地改良事業の検査、今回の反省に立ちまして、より一層的確かつ厳格に実施をしたいというふうに考えております。

 したがいまして、検査の実施要領の見直し、あるいは検査官あるいは検査員の資質の向上、それから経費につきましても、一層の明確化を図るような指導をしたいというふうに考えております。

筒井委員 これから変えるというのですから、それ以上は追及しないことにしましょう。

 厳密にそれはやっていただきたいし、今までの反省点は、農林省のそういう、いいかげんと言わせていただくけれども、いいかげんな検査が、十年とか二十五年とかこういう違法支出をずっと続けさせてしまった、そのまさに最大の原因になっているわけですよ。

 もちろん違法支出をやった主体が悪いのですよ。悪いのだけれども、農林省がちゃんと規定どおりに会計検査をやっていれば、規定どおりどころか実際に会計検査をやっていたのだから、それをちゃんとやっていればこんなことはずっと続かなかったのですよ。まさに農林省がそれをずっと続けさせてきた、こう言っても言い過ぎではない。言い過ぎどころか、それが事実だ。大臣、その点についてどうですか。

武部国務大臣 筒井先生指摘されるように、やはり国民の目線で、常識でしっかり対応しなければならぬということを私も痛切に感じております。

 恐らくは、事業とか補助金が正しく使われているかというようなことをある程度抜き取り的に検査したという結果が、今日こういう甘いと言われるような検査体制になっているのだろう、かように思いますので、今後厳正に対応できるように内部でもさらに検討させていただきたい、かように思います。

筒井委員 それから、これは報道等によりますと、あるいは国会での答弁によりますと、一時的立てかえにすぎないみたいな、こんな見方あるいは答弁もあるようですが、五年だとか二十五年だとかこれがこのまま肩がわりされて、肩がわりの状態をそのままほうってきたのですから、これは一時的な立てかえではないことははっきりしていますね。大臣、どうですか。

武部国務大臣 いろいろなケースがあるのだろうと思いますね。一時的な立てかえという認識でやっていても、それがいつの間にか、その後請求がないからそのままになっていたということもあるでしょう。しかしまた、ちゃんとやって、個人で党費を納めている、そういったところもあるわけでありますので、一概にこういうことだということは言えないと思いますが、しかし、国民の目で見る限りにおいては、とても納得できるような姿ではなかったというふうに私も思います。

筒井委員 いや、そういうことではないと思うのですね。

 これは、肩がわりした後、今度農林省が返還を指示する前に自主的に返還された例は一つでもあるのですか。

木下政府参考人 私ども、そのような事例について承知をいたしておりません。

筒井委員 ないのは当たり前なので、今度農林省が返還せよというような指示を出しても、まだしかし今でもそれを履行していないところがある。一時的立てかえというのは、一時今立てかえてもらって、後で実際に党員が払う場合のことを言っているので、二十五年とか五年とかそのままずっと来たのだから、一時的立てかえじゃないことははっきりしているでしょう。そんな言いわけはきかないと私は思いますよ。

武部国務大臣 私は言いわけを言っているわけじゃありませんで、実態として、その時点では、個々党員として入党した人が払うべきもの、こう認識していても、時間がたつにつれ、それがそのままになっていたというケースがあったのではないか、こういうことを言っているわけで、結果としてはそのままになっていたというふうに言わざるを得ない。

 一時的ということはそういう意味で申し上げているわけでありまして、結果としては、そのままになっているということは一時的ではないということですね。

筒井委員 そして、これは大体、自分が自民党員になって、その自民党員の党費を立てかえて払ってもらったんだという意識はあるのですか。

武部国務大臣 意識があるから、幹事長通達で、返せ、こういう指示をしているものと理解しております。

 それから、聞きますと、土地改良区に所属する党員は九万人いるんだそうです。ですから、そういう意味で、土地改良区の本件の問題で、善意で入党している、きちっと自分で党費を払っている人たちも同じように見られるということについては、これは遺憾な話だろう、かように思いまして、これは全部じゃありませんので、そのために、名誉のために私は申し上げているわけです。

筒井委員 それは、全然こっちはそんなことは言っていないので、自分の意識で自民党に入る人は、それで自分で党費を払っている、これは全然正当なので、何にも批判されるいわれはないです。

 私が言っているのは、そうじゃなくて、この党費を肩がわりされた党員というのは、自分が党員になったという意識さえない場合がほとんどではないか。つまり、そういう点でKSDの場合と一緒ではないかということを確認しているのです。その点の調査はされたのですか。

武部国務大臣 党員という自覚がないというふうに私は思いませんね。

筒井委員 それは自民党員としてはそう思いたいのは当然だと思うし、ある意味で私もそう思いたいのだけれども、その点の調査はされましたかという質問なんです。

武部国務大臣 それは農林水産省がやるべきことではないので、政党、つまり自由民主党がきちっと正すべきであって、そういう意味で幹事長通達が出ているのだろう、私はこう理解しております。

筒井委員 それは必ずしもそうとも言えないので、党員の意思がなかった場合には、自民党がその党費を返すべきなんですよ。これは不当利得なんだから、自民党員になったという意識がない場合は。その場合に本人に返せと言うのは、農林省が今指示しているのはおかしいことになるのです。

 だから、返せと言うならば、それは自民党員になった、入党手続をとった人に対して言うべきなんですよ。その意思がない場合、党員になる手続をとったことがない人に対してそんなことを言うのは、農林省の方も越権なんですよ。だから、そういう点で、今度の指示に関係するから、農林省が調査したかということを聞いているのです。

武部国務大臣 今回の件で、党費を納めたかどうかということについて、本人の意思を確認したかどうか、先生はそういうことをお話しされているのですか。

筒井委員 要するに、入党の意思があったのかなかったのか、ないのに肩がわりしたのか。

武部国務大臣 それはわかりませんね。それはわからないし、それは農林水産省がそのことを個々に調査をするという立場にはないと思います。

 これは、問題が起こって、やはり自由民主党、政党がそのことを厳しく受けとめて、意思のない者の入党を団体等を通じて進めるというようなことはまずいということでありますから、そのことについて、幹事長通達も出ているわけでありますので、今後は厳正な対応になるだろう、かように思っております。

筒井委員 わからないという答えは、それが正しいのだと思うんですが、しかし、わからなければ、入党の意思も、手続もとっていない人に、おまえは自民党費を払えということを今度は農林省が指示を出したことになるのですよ。これはまさにおかしいのじゃないですか。

武部国務大臣 農林水産省としては、そこまで確認しなきゃならない問題とは思えませんね。きちっと入党手続はされている、その入党に対しての、党費を立てかえたということについての問題でありまして、正式に入党手続をして、出しているという人に、あなたは意思があったかどうかということを確認するのは農林水産省の責任じゃない、私はかように思います。

筒井委員 答弁を微妙に変更しないでください。さっき、わからないと言ったでしょう、入党の意思があって、入党手続を本人がとったのかどうかわからないと。だから、私は前提として、わからないのに、おまえは党費をちゃんと払えという指示を農林省が出すのはおかしいじゃないかという質問なんです。

武部国務大臣 いやいや、一人一人のことはわからない、こういうふうに申し上げたのですよ。しかし、入党手続をしている方々は入党の意思があって入党しているのだろうということで、それを、推測を持って、そこまで農林水産省が確かめるということはできませんね。

 これは、正式な手続は踏んでいるわけですよ。しかし、手続を踏んでいる以上は、返還を求めるなら、個々の党員が自分は意思がなかったからと言って党に対してそういうことを申し出るべきではないのかなと思いまして、農林水産省がそこまで一人一人の意思を確認するということは困難だ、私は、かように思うし、そういう必要はないのではないかということを申し上げているのです。

筒井委員 そうしますと、本人は入党の意思がなかったこと、本人は入党の手続をとっていなかったこと、これが判明した時点では、その人に関しては、党費を払えという農林省の指示はその人には適用されないことになりますね。

武部国務大臣 入党手続はしているわけですから、それはどういう理由であれ、入党手続をとっているということについては返還を求めるべきじゃないですか。

筒井委員 いや、第三者が勝手にその人の名前で入党手続をとっている場合のことを言っているのですよ。本人は入党の意思がなかったのに、また本人は入党手続をとっていないのに、そういう手続がとられた。これが判明した場合には、その党員だと言われている人に関しては党費を支払えという農林省の指示は適用されませんね。

武部国務大臣 入党手続をとっているわけですから、返還を求めるのは当然じゃないですか。しかし、その人が自分の意思で進んで入党したかどうかということについて、個々調べるということはこれは不可能だろうということを申し上げているのです。

筒井委員 調べろとか、それもあるんだけれども、私が今言っているのは、本人は入党の意思がなかったのに党員として手続をとられていた、それが判明した場合には、その人に関しては農林省の指示文書は適用されませんねという質問なんです。

武部国務大臣 それは、入党しているのですから、手続を経ているということは、いずれにしても、強制されたか本人の意思かは別にいたしまして、入党しているという事実に照らして返還を求めるのは当然だと思いますよ。

筒井委員 すごいことを言われるので、では、その点だけちょっと確認しておきますが、本人は入党の意思がなかった、第三者が入党の手続をとった、その場合でも、そのことが判明した場合でも、その人は党費を払う義務がある、こういうことですね。

武部国務大臣 そういうことは推定の話であって、一人一人がわからないということを私は申し上げているのですよ。どういう意思で入ったか、勧められて入ったか、あるいは自分が進んで入ったか、あるいはみんなが入ると言うんだから入っておこうか、いろいろなケースがあるんだろうと思いますけれども、本件の場合は入党手続をきちっととっているわけですから、そのことについては返還を求めるのは当然だ、私はこういうことを申し上げているのです。

筒井委員 時間がないので、私はもう一つ本当は聞きたい点が、いや、もう一つどころかいっぱいあるんだけれども、今の点でもう一点だけ確認したいのです。

 結局、農林省は、党費を党員に払わせる、これで全部今回のことは済ませようとしている。しかし、この前、永田さんですか、横領あるいは背任の可能性があると質問されましたが、少なくとも土地改良法上の二十万円以下の過料の対象になる行為ではありませんか。

木下政府参考人 委員御指摘の土地改良法百四十三条一号の違反に当たるかということだと思いますが、私ども、今回の事案でございます土地改良法十五条に規定する事業以外の支出行為であるということはそのとおりだと思いますけれども、事業とは、一定の目的を持ってなされる同種の行為の反復継続的な遂行を言う、また事業を営んだときは、個別の行為を指すものでなく、経営を指すものであると考えるところでございまして、あくまでも継続的あるいは計画的に事業を遂行するというふうに考えております。したがいまして、党費を立てかえるということが事業を営んだときに該当するとは解せないというふうに理解をいたしております。

筒井委員 まさに、これは二十五年間にわたって同種の行為を反復継続して計画的に繰り返してきた、その行為じゃないですか。これは土地改良法で認められている本来の土地改良事業、それに附帯する事業、それ以外は一切やってはいかぬ、この規定に違反することになるでしょう。公共的組合でいろいろな優遇措置があるから、だからそのかわりに、その土地改良事業とそれに附帯する事業以外は一切やってはいかぬ、また、それをやったら過料の対象にしますよというのがこの土地改良法の規定ですよ。

 今度は、自民党への協力という行為ですよね。これは、例えば土地改良区連合の場合には、ほかの土地改良区に対する協力、これもやっていいという事業の中に入っている。土地改良区連合がほかの土地改良区に対するいろいろな協力行為をする、これはやっていいことになっている。しかし、今回の自民党への協力行為、これはまさにやってはいけないことで、その認められた事業以外のことをやった、だから二十万円以下の過料の対象になることははっきりしているでしょう。

木下政府参考人 土地改良区が土地改良法十五条に規定する事業以外の事業を営んだときが、まさに委員御指摘のとおり、違反に該当するというふうに私ども理解いたしておりますけれども、今回の党費の立てかえでございますけれども、継続的あるいは計画的にかつ反復継続して行われたというふうには理解をいたしておりません。

筒井委員 計画的、反復継続、まさにそれでしょう。これが反復的なものでない、継続的なものでない、計画的なものでないなんて、一体どういうところから言えるのですか。

 最後にその点だけ、もう一回質問して、もっと追及したかったのだけれども、きょうは時間が来たので終わりますが、その点だけ答えてください。

木下政府参考人 理事者が党費の立てかえを行うというのは、先ほど来申し上げているとおり、継続的あるいは計画的に行う事業じゃなくて、あるいはそれぞれの行為の積み重ねであろうというふうに理解をいたしております。

筒井委員 まさに行為の積み重ねが事業そのものであって、今の言いわけは何の理由づけにもなっていないのですが、時間が来ましたので、以上で終わります。

堀込委員長 次に、中林よし子君。

中林委員 私も、今続いて、土地改良区における政党等への党費立てかえ問題について、まず質問をしたいというふうに思います。

 最初に確認をさせていただきます。農水省の説明を受けましたけれども、党費はすべて自民党費、政治団体会費はほとんどが土地改良政治連盟の会費、ただし、宮崎、鹿児島の両県については農業農村建設政治連盟の会費であったとお伺いしていますけれども、この事実、間違いありませんか。

木下政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

中林委員 土地改良法の百三十二条に基づいて、先ほどから問題になっております定期検査ですけれども、県は三年に一回、それから国営の大きなものや二県にまたがるものについては農水省が検査をされています。今回発表された立てかえの中にも、先ほどから問題になっていますけれども、農水省自身が検査していた土地改良区のものが含まれております。これも農水省の説明ですけれども、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、三重、佐賀、鹿児島の八県、農水省が直接の検査に当たるということなんですが、これらの土地改良区の名前、それから立てかえの金額、これを明らかにしていただきたい。

木下政府参考人 今回の調査によりまして、平成八年度から平成十二年度までの五年間の政党費あるいは政治団体の会費の立てかえでございますけれども、全体で十四の土地改良区でございます。その立てかえ額の総額は、二百五万七千五百円ということでございます。

 また、それぞれの該当の土地改良区名でございますけれども、私ども、情報公開法の趣旨に照らしまして、個人情報の保護の観点から行われる意見聴取等、適切な手続を経た上で公表したいというふうに考えております。

中林委員 私は、今回のような大問題、しかも農水省が直接検査をした、そこについての、金額は今公表されましたけれども、土地改良区の名前についてはされませんでした。すべてを明らかにするということが、二度とこういうことが起こらない、そのための第一歩だというふうに思います。私は、ぜひこの土地改良区の名前も明らかにすべきだ、それを求めたいと思います。

 先ほどから、この検査が極めていいかげんなものであったことが明らかになりました。本来ならば、会計帳簿を調査しているわけですから、発覚して当然のことです。農水省の責任は極めて重いというふうに思いますけれども、大臣、どのように受けとめていらっしゃるんでしょうか。

武部国務大臣 極めて遺憾なことであり、憤りを込めて、今後厳正に対処していくように徹底させたいと思います。

中林委員 極めて決まり切ったお言葉で不十分。

 というのは、先ほどから随分問題になっているのは、私は、大臣にやはり踏み込んだ御答弁を求めたかったんです。というのは、なぜ五年間に限ったのかとか、今言ったように、改良区の名前を明かされないとか、それから、検査の方法も非常にずさんであったけれども、具体的にどのようにずさんだったかということも明らかにはされておりません。だから、そういうことも含めてですけれども、すべて明らかにして二度とこういうことが起きないようにする、こういうぐらいの大臣の決意をお聞きしたかったというふうに思います。

 大体、土地改良事業というのは、農家の賦課金あるいは減歩、国、地方自治体の補助金で施行される公共事業ですから、目的外支出は厳にかたく禁じております。しかしながら、今回調査をした、集計したもの、これは各県の調査の集計になっているわけですけれども、各県がどのような調査をしたのか問い合わせてみました。これは日本共産党の議員団として各県に一々全部問い合わせをいたしました。

 本来、虚偽報告等に罰則がある土地改良法第百三十二条に基づく調査、これを一体どのくらいな県がおやりになっているのかお聞きしたところ、わずか九県しかなかったわけです。先ほどから局長が、どのような検査をしているのかわからないとか知らないとかおっしゃるのは、そういうことだったのではないかというふうに思います。まさにほかは任意の調査であって、会計帳簿検査を行ったのはこの任意調査を含めてもわずか九県ということなんですね。

 ですから、今回の発表で、去る五月十六日付のプレスリリース資料の埼玉県、三重県、福岡県、大分県のデータ、これが訂正されております。だから、こういう厳密な調査をしなかったのですから、新たな立てかえ事例や訂正がないとはとても言い切れないだろうというふうに思うんですね。

 私は、先ほどからお伺いしていると、今度の立てかえ問題が、交際費、需用費あるいは雑費等であって、それ以外にあったのかなかったのかもわからない、こういう局長の答弁があるわけですので、当然百三十二条に基づく会計帳簿類の検査を改めて全県でやるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

木下政府参考人 今回の調査でございますけれども、まさに土地改良区に対する指導が都道府県の自治事務であるというような点を踏まえまして、各都道府県におきまして最も的確な方法により調査をお願いする旨依頼したところでございます。

 各県ごとの事情を見ますと、土地改良区が非常に多い、あるいは土地改良区規模の大小、また、これまでの日常的な指導の状況等々大きく異なっているところでございます。そのように、それぞれの置かれた状況のもとで、都道府県ごとに一番的確な調査方法を選択して実施していただいたというふうに理解をしております。

中林委員 今の局長の答弁は答弁じゃないですよ。各県が自主的に一番いい方法でなどとおっしゃっている。それはとても生ぬるいんじゃないですか。目的外使用をしてはならないと土地改良法でかたく禁じているものが、目的外使用の疑いがあった、それを農水省として調査したわけですよ。それで、一番いい方法でなどということでは、会計帳簿を見なかったということも当然起こり得るわけですよ。だから、先ほど言ったように、交際費、需用費、雑費、これから立てかえが出ているというお話でしたけれども、それ以外になかったのですかという質問に答えられなかった、そういう問題が生じているじゃないですか。

 だから、これは、農民の賦課金だとかあるいは県、国、これらの補助金だとか、まさに今農民が大変な農業経営の中で、賦課金を納める、減歩に応ずる、あるいは国民の税金が使われる、これが適正にその事業目的に使われていたのかどうかということは、ちゃんと会計帳簿を見て、そして調査をしなければ正確なものは出てこないのは当然のことではないですか。私は、ちゃんと百三十二条に基づいて調査をやり直すべきだと思います。大臣、いかがですか。

武部国務大臣 先生の申されていることはよくわかりますが、今後そういうことの起こらないように徹底するということが今一番重要な私どもの責任だ、かように思います。

 先ほども申し上げましたが、もっと国民の目線に立った責任の自覚といいますか、厳しさの自覚ということを持って対応する必要がある、私は今後そういう姿勢で努力していきたい、かように思います。

中林委員 今後の対応については、それはそれなりに今度のさまざまな事例から前向きの姿勢を示されているんですけれども、それを出していくためにも各県の調査、これを各県が一番いい方法でと局長はおっしゃいましたけれども、しかし、私たちが問いただしてみたところ、会計帳簿を見てちゃんとやったところというのが三十一県の中で極めて少ない、こういうことでございますから、私は、これは幾ら言ってもやりますと大臣お答えにならないんでしょうけれども、そういうことも含めてちゃんと今後の方向を出す上でも検討いただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

武部国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、もっと厳しさを認識して今後しっかり対応するように徹底させたいと思います。

中林委員 私は、やはりこの認識について、大臣初め農水省全体がもう少し厳しい対応をしていただかないと、とても今の農業経営の中から農民は納得できないというふうに思います。

 特に、今回の問題で、土地改良区が自民党の私物化になっているのではないか、こういう指摘も農民の間から出てきております。そこで、党費立てかえの問題だけではなくして、大変重要な問題、これをぜひ大臣に聞きたいと思うんです。

 これは、香川県三木町土地改良区の「後援会の加入について」という総代、役員あての改良区の文書、ここにございます。これは昨年の十二月十八日に出たものです。あて先が「木田郡三木町土地改良区総代、役員殿」、差し出しが「木田郡三木町土地改良区」、「後援会の加入について」。

 「初冬の候、貴殿には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。 平素は、木田郡三木町土地改良区事業につきましては格別なるご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。 さて、標記の件について香川県土地改良事業団体連合会より加入依頼がありましたので、加入をよろしくお願いします。 なお、役員には四枚(二十名)総代には三枚(十五名)送付しますので加入後(記入後)同封の封筒にて平成十三年一月九日までに返送してくださるようお願いします。」こういう指示が出されております。

 この後援会とは、元中四国農政局長の自由民主党段本幸男氏のパンフレットと、それから自由民主党段本幸男後援会の加入申し込み、これは五名連記なんですね、こういうものが入っております。わざわざ返信の封筒までちゃんと御丁寧に入っております。

 こうした行為は、党費立てかえも土地改良法違反なんですけれども、こういう丸ごと、ぐるみ選挙、これも法律違反だというふうに思うわけです。大臣、これについての御見解をお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 全く遺憾にたえない、信じられないことでございます。そういう特定の者の後援会の加入促進を依頼した事実があったとの報告を受けておりますが、なお、農林水産省として香川県を通じて指導した結果、その後このような行為は行われていないもの、かように聞いております。

中林委員 今大臣が答弁されたように、三月二十四日に開かれた三木町の土地改良区の総代会で理事長が、ぐるみ選挙は以後はやらない、こう表明をされたようです。しかしながら、この依頼文書では「香川県土地改良事業団体連合会より加入依頼がありましたので、」こう明記されております。だから、こういうことはここだけじゃない。これはたまたま告発があったから全部明らかになったんですけれども、全国的に展開されている、そういうおそれは十分にあるし、私どもも耳に入ってきております。

 大臣、こういうぐるみ選挙の実態を調査する必要があると思います。そして厳しく指導しなければならないと思うわけですけれども、いかがでしょうか。

武部国務大臣 今どきこういうやり方では選挙に有利には戦えないのが常識ですよ。本当にそういう意味で私は信じられないということで、こういうことが全国的に行われているというふうには、今日の有権者の、あるいは後援会のあり方からして信じたくはありませんけれどもね。私からすれば、こんなやり方は本当に信じられないやり方だ、かように思います。

 いずれにしても、土地改良区は極めて公共性の強い団体でございまして、研修等を通じた土地改良区役職員の意識改革を強く求めてまいりたいと思いますし、土地改良区検査の充実、農林水産省及び各都道府県の検査担当職員の資質の向上に向けて、今回の事案を題材にとったブロック検討会の実施などによりさらなる指導の徹底を図ってまいりたいと存じます。

中林委員 こんなことをやってむしろマイナスだという大臣の認識のようですけれども、マイナスのようなことをやるわけないじゃないですか。たくさんのお金を使ってそれぞれ送りつけて、返信用の封筒までちゃんと入って。だから、これはここに限ったことではない。本当にこういうぐるみ選挙をやめさせる、そういう決意があるならば、実態がどうなっているかということをすべての土地改良区で調べるのは当たり前のことじゃないですか。

 現に、五月二十四日に茨城県の土地改良区に茨城県の農民連の方が訪れたら、役員室にはこの段本氏のポスターがばあっと張ってあった。まあ、張るのはよろしいかもわかりません、だれかの許可を得たならね。そこには、ここに写真が写っているので、非常に見にくいと思いますけれども、自民党旗が役員室に飾られているんですよ。自民党旗、ここへ大きい自民党旗ですね、結構大きいのがあるんだなと思って見ましたけれども、そういうのが役員室に段本氏のポスターとともにあるんですよ。これは茨城県ですよ、三木町の話じゃないですよ。だから、私はこれは一つの土地改良区の話じゃないでしょうと。全国展開して土地改良区を自民党の私物化にしているんじゃないですか。

 しかも、今まで参議院には構造改善局から候補者が出ていく、こういうことはだれの目にもはっきりしているじゃないですか。順送りになっている。それを見て、これはまさに自民党としても、あるいは農水省としても農民の皆さんに対して申し開きが立たないということならば、全国調査をし、こういうことが二度と起こらないようにする、こういうことは当然やられてしかるべきではないかというふうに私は思います。大臣、いかがですか。

武部国務大臣 農林水産省という役所が政党やあるいは個々人の政治活動あるいは選挙活動にとやかく介入しては断じてならない、かように思っております。そういうような意味でも、我々が今の案件についてとやかく言う立場にはありませんが、先ほども申し上げましたように、もしそういうようなことがあるとすれば極めて遺憾な話でもありますし、私どもの感覚からいたしますと、今言うようなことが全国的に行えるとは思えませんね。そういうやり方で選挙をやる時代ではありませんから。そういうことは私どもも、もう十二分に認識しておりますので、それは少し思い過ごしではないのかなと。

 いずれにしましても、農林水産省としてとるべき行政指導ということについては、府県を通じて徹底してまいりたいと思います。ある意味では意識改革をしっかり求めてまいりたい、かように考えます。

中林委員 大臣の認識は、随分全国の本当の実情とはかけ離れている。再三この委員会でもそんなことはないという指摘がありました。事例を挙げれば切りがないぐらい癒着の構図はあるということを指摘しておきたいと思います。

 むだな公共事業が随分問題になっているのですけれども、私は、やはり農水省と土地改良区あるいは自民党、ゼネコンとの癒着があるというふうに思うのです。

 日本共産党は、平成八年十二月十一日の参議院予算委員会で、全国農業土木技術者名簿に基づいて、農水省から大手ゼネコン十社に百二人も天下りして、その九割以上が営業部門に配置されている実態を明らかにいたしました。

 つまり、農水省の予算を受注しやすくするために技官が営業部門に天下りしているわけです。当時は橋本龍太郎さんが総理大臣のときでした。当時の橋本総理が、今御指摘になりましたような実態、幾ら何でも度が過ぎているという思いがいたします、そういう答弁をされております。

 私は、ここに指摘をされているように、発注する農水省の予算枠維持と受注する農業土木会社の利益維持が、むだな公共事業、そういうものの推進役になっているのではないか、それは当然断ち切るべきだというふうに思うのです。

 だから、天下り、それからぐるみ選挙、こういう癒着は断じてあってはならないというふうに思うのですけれども、大臣の見解そして決意をお聞きしたいと思います。

武部国務大臣 今、小泉内閣におきましても公務員制度の改革に取り組んでいるところでございます。先生御指摘のような天下りの問題についても真剣な論議を続けているところでございまして、そうした結果を踏まえて、適切な対処が今後必要だろう、かように思います。しかし、先生がお話しになるようなぐるみ選挙ということとこの問題とは関係がないのではないのかな、私はかように認識いたしております。

中林委員 大臣、ぐるみ選挙はいけないわけでしょう。それだけは確認させてください。

武部国務大臣 選挙というのは、やはり個々人の意思によって行われるべきでありまして、もはや団体のトップが号令をかけたからといって、それで人々が、有権者が動く時代ではありません。

 小泉内閣の支持率が高いという背景を見ても、これはもう自民党に限らず、全政党支持者の間から小泉さんに対するあのような高い支持があるわけであります。ですから、私はぐるみ選挙なんということは今後なくなるだろうと思いますが、もしあるとすれば、そういうようなことは私の方からどうしろこうしろという話ではありませんが、そんなことはなくなるだろう、かように認識しております。

中林委員 大臣、答弁されていないですよ。税金が使われているような土地改良区、それを一つの政党、一人の人が私物化してやるぐるみ選挙、これはいいのですか。

武部国務大臣 だから、そんな、土地改良区だとか団体ぐるみでやるような時代にはなっていない、そういう時代ではなくなっているという認識を申し上げたのであって、しかも政治連盟だとか何とかでやることと同一に見るべきではないと思います。

 私は、ぐるみ選挙、もしそういうことがあるとすればいけないことだということは、もう先ほどから申し上げているわけでありますから。もうそんなような時代ではありませんよ。

中林委員 時代でないのをやっているのがある政党だということだと思います。ぐるみ選挙はいけないとおっしゃったことだけは確認をさせていただきました。

 さて、本来、土地改良事業というのは、現地農民からの自発的申請に基づいて積み上げ方式で実施される、これが建前になっております。しかし、実際にはむだな公共事業とその膨大な資金負担を現地農民に押しつけている事例が多く見られております。一例として、岡山県南部地区国営かんがい排水事業、これについてお聞きをしたいと思います。

 くしくもこの計画が持ち上がった段階は、先ほど申し上げました段本氏が中四国農政局長の時代だ、こういうことも非常に不思議な縁だということも申し添えておきたいと思います。

 この事業は、総事業費二百八十億円、自然の河川をも利用した平安時代からの独特のかんがい用水路として、総社市、岡山市、倉敷市など三市二村の田畑を潤してきた十二ケ郷用水を改修して、湛井堰から下流の足守川に沿う八・二キロメートルにパイプラインを設置し、足守川への用水の流入をカットして、足守川の五つの堰のうち四つを廃止するものです。

 六十年に一度の大干ばつがあった一九九四年にも足守川からの取水方式で対処されております。しかし、今後パイプライン化になるとこれが不可能になってしまいます。パイプの耐用年数は五十年で、取りかえなければならない。これには膨大な費用がかかるほか、事故だとか地震だとか、パイプ破損時に長期の断水となる上、これまた修理に膨大な費用がかかります。老朽化した堰や用水路の改修は当然必要です。

 しかし地元の農家の方々は、パイプラインは百害あって一利なしではないか、こういうことでこの事業の中止を求めております。これについての農水省の見解を伺いたいと思います。

木下政府参考人 国営岡山南部土地改良事業でございます。委員御指摘のとおり、平成十年度から着手をしているものでございます。この事業のねらいは、老朽化の進んでいる頭首工や上流部開水路の改修、それからもう一つ大きな重要点は、下流部のパイプライン化などによりまして、用水不足が生じております全体の地区につきまして、限られた水資源を公平かつ効率的に供給することを通じて最適な用水配分を行おうという事業でございます。

 これまでも岡山南部地区国営かんがい排水事業推進協議会におきまして事業の推進決議がなされるなど、本事業の早急な実施が強く要請されているところでございます。関係機関や関係者とも十分調整を図りながら、着実な本事業の推進に努めていくというのが私どもの基本的な考え方でございます。

中林委員 手続上はこの事業について受益者八千六百七十五人のうち九五・六%の同意を得て申請した、こう言うわけですけれども、しかし、この同意の得られ方といいましょうか、それについて大変地元の人たちは、ちゃんと説明されて同意したものではないということを言っております。

 平成十年十一月の事業決定に対して、翌年平成十一年一月に三千七百八十二名の異議申し立てが行われました。この異議申し立てにその中身が書いてあるわけですが、申請人は、代表者以下全員、申請書の内容をほとんど知っている人はなく、全く見たこともないという人もあった。それから、日畑地区においては、計画反対署名と偽り同意書に署名させられた。反対だと言ったのに賛成だった。こういうとんでもないことが行われました。

 それから、庄土地改良区の理事として同意徴集に奔走した千田協氏は、事業推進の立場で今まで努力してきたけれども、国のずさんな計画、不誠意な態度に我慢ならない。当初の説明資料の事業概要の中で、足守川は天井川なる表現があり、これは一般住民を説得する大きな要因になった。ところが、その後の調査の結果、これは岡山県の資料によるものですけれども、足守川は天井川ではないことが判明した。このことは、ほかの資料についても信用できないことだと。

 それからまた千田氏は、平成十年四月に同意書をとる段階で、国は確約書なるものを提示してきた。以後二年半を経過し、再三交渉するも、一向に協定書の締結に進む気配すら認められない。こういう理由を挙げていらっしゃいます。

 私もその確約書だとかをずっと見させていただきました。この確約書の中で、非常に不思議なものが出てまいりました。この確約書の第一項めに、「パイプライン化による足守川の水質及びパイプライン化による足守川の流量については、従前の水質並びに流量を維持します。」こう約束をされているんです。ところが、平成六年十二月、農政局が出した「倉敷市説明資料」という資料には、この事業の三つのメリットが書いてあると同時に、デメリットとして、「パイプライン化に伴い中小渇水時においても足守川に表流水がなくなる。(河川景観、生物環境の悪化に問題がある)」というふうに記述をされております。

 一体、これは矛盾するんじゃないですか。どう説明されますか。

木下政府参考人 事業構想段階で、委員御指摘の平成六年十二月でございますけれども、事業構想案の説明資料ということで、委員御指摘のような内容が触れられていることは、私どもも承知をいたしております。

 これにつきましては、まさに既設開水路のパイプライン化によりまして、農業用水が前川に直接注水されなくなるため、事業構想段階で当該事業に対します理解を得るため、懸念される事柄を前広に地元に周知したというふうに理解をいたしております。

 その後の経過でございますけれども、河川の現況調査の結果から、実態的には湛井十二ケ郷用水路から支線あるいは派線の小水路を流下した農業用水が、その下流にございます前川へ還元されること、第二点は、砂川及び足守川にあります既設の堰から取水する必要がなくなることなどから、足守川の流量は現況とほぼ同程度になるというふうに見込まれるようになったというふうに承知をいたしております。

中林委員 以後調べてみたら大丈夫だった、こういう局長の答弁ですけれども、同意書をとるときにはそこまで言っていないんですよ。同意書をとるときはこの説明書でやっている。デメリットのところは、本当に気がつかないとわからないぐらいのデメリット。メリットは前面に出ているんだけれども、デメリットは小さい。

 農水省に何でこんなことをしたかと言ったら、そんなこそくなことはやった覚えはありませんとおっしゃるんだけれども、農水省が言われるように、こそくなやり方で同意を取りつけたんじゃないですか。農民をだましたと言っても過言ではないというふうに私は思います。

 そこで、少なくともこの確約書に基づいて、「以上の回答を基に、倉敷市庄土地改良区と協議を行いながら、速やかに協定書の締結を行います。」こう確約書に書いてあるわけですから、この協定書が結ばれない限り事業は進むべきでないと思いますけれども、それは確認できますか。

木下政府参考人 今回の国営岡山南部土地改良事業でございますけれども、事業の着手に当たりまして、事業の円滑な推進を図るという観点から、御指摘の庄土地改良区との間で確約書が締結されております。本確約書の内容を尊重しながら、現時点では、パイプラインの施工を見合わせるという状況でございます。

 また一方で、足守川の流量あるいは水質を維持するため、各種調査を行いながら、合意が得られている箇所につきまして工事を実施しているという段階でございます。

 今後とも、土地改良区との協定書の締結に向け引き続き私ども精力的に調整を行いたいというふうに考えておりますけれども、岡山南部地区国営かんがい排水事業推進協議会などから、本事業の早急な実施が強く要請されております。関係機関及び関係者とも十分調整を図りながら、本確約書の内容を十分尊重し、着実な事業推進に努めていきたいというのが私どもの考え方でございます。

中林委員 同意したものについては着工していくということですから、同意されない、協定が結ばれないものについては進めないという確認をとらせていただきました。

 これは、平成十一年三月五日に異議申し立てが棄却されました。したがって、流域関係農民七十一人が原告団を結成して、平成十一年六月三日に、岡山地裁に異議申し立て棄却決定の取り消しを求めて提訴をしております。平成十二年十二月には、受益者二百二十五人が同意を白紙撤回する、こういう表明もされております。ですから、本当に地元が望まないような膨大な税金を使うこの事業は、この裁判の決定を待つまでもなく、私は中止すべきだということを強く要望しておきます。

 そこで、最後ですけれども、国営土地改良事業の計画変更について、去年十一月七日、この委員会で、私は、事業費が一〇%以上増加したにもかかわらず、計画変更なしに事業を終了させた二つの事業について、土地改良法違反ではないか、こうただしたことに対して、当時、渡辺構造改善局長だったわけですけれども、答弁に、一〇%を上回る変動を生じましたのは計画の最終年度であり、ここでとめますと、国営事業の常として、工期の延伸によって建設利息を生じます。後から返還をいたしますので、これはかえって農家にとって利息の増嵩をもたらすものであるというふうに考えますと、本件は、法律の趣旨からやむを得ない事由によるものである、したがって、違反ではないというふうに認識しております、こういう違反ではないという答弁をされました。

 しかし、土地改良法には、最終年度だから計画変更の同意は必要ではないとか、事業計画変更の同意をとる時間がかかって農民負担がふえる場合は同意をとる必要がない、こういう項目でもあるのでしょうか。一体どこの記述に違反ではないというものがあるのですか。これは勝手な解釈として違反ではない、こう言えるのですか。私は言えないと思います。

 だから、この十一月の私の質問に対する当時の渡辺局長の答弁は取り消していただきたいと思います。

木下政府参考人 昨年十一月七日の前構造改善局長の答弁でございます。

 答弁を申し上げた趣旨でございますけれども、まさに事業完了年度におきまして、地すべりなど予期せぬ事態の発生、あるいは地元からの安全管理の要望等が生じ、結果として事業費の一〇%を上回る変動が生じているというケースにつきまして、計画変更手続がとられていないというわけでございます。

 私ども、御指摘の二地区につきましては、まず一つは、委員の御指摘にございましたように、工期延伸により建設利息の増嵩を招くものであった、また第二点といたしましては、地元の関係機関、県なり市町村それから土地改良区におきまして事業費の増加等につきまして説明、了解を得ていたこと、またさらには、受益農家の負担が伴わないことから受益農家の不利益は生じない等々を踏まえ、法律の趣旨に違背していないというふうに申し上げたと理解をいたしております。

中林委員 法律は厳密にやらないと。そういう農水省の勝手な解釈で、これは違反に当たらないなどと言い切ること自体が私は大変間違いだと思いますよ。農水省がこういう姿勢だから、農道整備事業では、平成九年度から十一年度まででも、事業終了地域のうち、計画に対する事業費の増加割合が一〇%以上でかつ計画変更手続が未実施地域が広域農道で四件、一般農道で二十件、農免農道で三十一件、計五十五件にも上っているじゃないですか。当然これは、当時の局長答弁は撤回すべきだというふうに思います。

 大臣がいらっしゃらないので、副大臣、法律は守らなきゃいけないでしょう。それを勝手な解釈、勝手な運用で、法違反にならないなどというようなことをこの委員会で答弁すること自体間違いですよ、いかがですか。

遠藤(武)副大臣 突然の御指名でございますが、昨年来委員が御指摘なされてきた前局長とのやりとりについては、私は承知しておりません。しかし、土地改良事業というのは最近非常に難しくなっていると思っています。

 というのは、これまでは地権者の同意を得られれば事業を推進してきた。混住化社会になりまして、周りに一般の住民の方々もいらっしゃいますので、先生がおっしゃるように、合意の形成というのはもっと幅広く考えていかなきゃならないんじゃなかろうか、こういうふうに考えておりますし、今回の土地改良法は、まさに住民との同意、合意、そして市町村長の意見を聞くというふうな形にしておるわけですから、その辺を御理解いただきたいと思います。

中林委員 時間が参りましたので終わりますけれども、そういうことを言っているわけじゃないんです。合意は当然の話ですよ。そうじゃなくて、農水省自身が計画変更手続をしなければならないにもかかわらず、いろいろな理由をつけてやらなかったのが二件もあったんですよ。そういうことは厳に慎まなければならないと質問したのに、それは違反ではありませんというような答弁をされているわけですから、大臣がいらっしゃらないので副大臣に政治判断を求めたんです。これは今後も重ねて要求を続けてまいりたいというふうに思います。

 以上で終わります。

堀込委員長 次に、江田康幸君。

江田委員 公明党の江田康幸でございます。質問をさせていただきます。

 食料・農業・農村基本法の基本理念でございます食料の安定供給の確保、二点目は農業の持続的発展、そして多面的機能の発揮、それから農村の振興、この実現のために、土地改良事業としても、今、的確な対応が求められているところであるかと思います。食料・農業・農村基本法のもとでの土地改良事業の位置づけと今後の土地改良法の改正の必要性については、私、十分承知した上で今からの質問をさせていただこうと思っております。

 まず、今後の農業政策の基本的な施策の中で、基盤整備と経営政策についてお考えを伺いたいと思っております。

 まず、効率的な、かつ安定的な農業経営を育成する施策の一つとしまして、農業生産設備の整備の推進が掲げられているところでございます。望ましい農業構造の確立のためには農業生産設備による生産性の向上が必要であるとされております。また、経営政策と土地改良事業は密接なかかわり合いを持つとされるところであろうかと思います。しかし、一方では、食料・農業・農村基本計画におきまして、育成すべき農業経営を経営全体としてとらえ、その経営の安定を図る観点から、農産物の価格変動に伴う農業収入または所得の変動を緩和する仕組み等につき検討することとされているところでございます。

 新たな農業経営政策を確立するに際しまして土地改良事業はどのように位置づけられているのか、副大臣のお考えをお聞きしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

遠藤(武)副大臣 委員御指摘のように、これからは生産基盤の整備というのはますます高まるばかりではなかろうか、このように思っています。

 ただ、これまでの土地基盤整備事業に限っていえば、やや生産者側に軸足を置き過ぎてきた、そういう傾向があるんじゃなかろうか。今後、全体的な流通や消費というふうな一面もとらえた上で、また混住化社会というふうな現実をとらえた上で土地基盤整備を行っていく。特に私どもが想定していますのは、先生がちらっとおっしゃったように、経営政策の面からいえば、農地を集約し団地化していくという方向での土地基盤整備というのが必要になってくる。ある意味では、集落営農と言ってもいいでありましょう。そうしますと、これから多くの地域住民の合意を得ながら、環境とも調和した土地基盤整備を行わなきゃならぬ。そのことによって、集約して団地化することによってまた今まで以上に生産性を高め、そして需要に応じた作物の生産というふうなことへ転換可能な農業へ、大きな変化が遂げられるんじゃなかろうか、このように考えているところでございます。

江田委員 私、今の質問では、現在の食料・農業・農村基本計画におきまして、これから農業基盤整備に限らず、農家の経営それ自体を支援していく、そういう方向でいくことが必要である、そううたわれている中で、土地改良事業というのがどう位置づけられるかということをお聞きしたわけでございます。これを具体的に、私どもの考えを示しながら、さらにちょっとお聞きしたいと思っております。

 我が国の農業というのは、担い手の高齢化、それから後継者不足、農産物輸入の増大、都市化、混住化の進行などの課題に直面しております。これまで、経営規模拡大等の構造政策も思うように進まず、ほとんどの農家は農業収入によって生計を立てることが困難になっている、そういう状況もあるのではないか。その結果、担い手の意欲が減退して耕作放棄地の増大につながり、また国内生産の低迷などの問題が生じて、農業者のみならず、国民全体の食料安全保障への不安、国土環境保全に対する不安が広がっているのが現状ではないかなと私は思います。

 このような中で、公明党は、五月三十日に、農業経営の安定と所得の向上を目指し、農家が将来に希望の持てる活力のある日本農業を築くための政策提言を行いました。これはすなわち、現在の農政を抜本的に見直して、農家を直接支援する施策に重点を置く農政が重要であると指摘しておりまして、農業予算についても、生産基盤整備等の公共事業への配分を抑制して、構造政策の推進、意欲のある担い手の育成、安定的な所得の確保などの施策の推進に重点的に配分していくことが重要なのではないか、そのような内容でございます。

 具体的に申しますと、幾つかございます。一つは、直接所得補償制度の新設でございます。もう一つは、農業収入の安定を保障する総合的な制度の新設、こういうものを考えたらどうかという提言でございます。

 すなわち、直接所得補償制度の導入でございますが、この際には、特に食料自給率の向上につながる麦とか大豆とか飼料作物等の畑作の振興、こういうところに制度設計をしていく。また、中山間、離島等の条件不利地域への配慮、それから、有機農法等の環境への負荷の少ない営農の推進、こういった政策目標を推進できるように制度設計を行って、直接所得補償制度を導入したらいかがかというものが一つの提言でございます。

 もう一つは、天候とか需給状況等によって大幅な価格変動、それから収量の変動がございますが、農業経営を安定化させるために、当面は作物ごとの経営安定化対策等の適切、機動的な運用に努めるとともに、制度の拡充を行う必要があるのではないか。将来的には、農業災害補償制度も含めて、さまざまな事態に対して農業収入を安定的に保障する保険制度等総合的な所得安定制度も新たに導入して、農業経営の安定化を図ったらどうか。その際には、特に専業農家、農業に専ら従事して、収入の大部分を農業に依存する、こういう専業農家、担い手に対しては特別な配慮を行う。

 そういうような趣旨で、この直接所得補償制度と、そういう総合的な制度の新設を図って農家の経営を支援する、そういうものを今後は考えていったらどうかということを提言させていただいたのですが、これに関する副大臣の御所見を伺えればと思います。

遠藤(武)副大臣 江田委員御指摘のとおり、目下、農業経営の所得政策をどのようにするか、実は経営政策委員会というものを立ち上げておりまして、前後八回ほど検討を進めております。御指摘のとおり、農業災害補償制度やその他の価格安定制度があるわけでございます。それらとの整合性を図りながら、あるいは改廃も含め、でき得るだけ早く結論を出したいと、作業を進めているところでございまして、委員おっしゃるような方向で所得政策が加味されるような形になっていくのではなかろうかと考えております。

 前段におっしゃられました公共事業につきましては、富の偏在と格差の是正という観点から公共事業を進めてきたわけでありまして、これからは公共事業のありようもいささか考え直していかなければならない面も確かにあると存じます。いわゆる削減という方向よりも、在来のような手法の公共事業でいいのかという観点から見直しを図るべきだ。

 例えば、集落営農といった場合には、農地の集約化、団地化ということが当然課せられるわけですから、その方向に沿った新たなる公共事業の展開ということが考えられるのではなかろうかと思います。

 また、農家自身の所得を高めるのは、あくまでも基本的には農家自身であります。ただ、その場合、政策として申し上げる場合には、いわゆる役所が選別するというか、そういう方式ではなくて、そういうやり方があるなら私もやってみようという、農業者自身が選択し、自分の農業を創造していく。そして、その創造された農業者の農業の経営のあり方に対して、補助金というか、奨励措置という形で国の方で逆に投資をしていくという考え方が今度の所得政策には必要なのではなかろうかな、こんなふうに考えているところでございます。

江田委員 きょうはそれほど多くの時間がございませんので、現状を直視すれば、農家の経営を支援していく、その方向に農業の基本的な施策がシフトしていく、そういうときではなかろうか。ですから、この土地改良事業も非常に重要なのでございますが、その位置づけをより明確にされながら進めていくことが重要であると指摘しまして、きょうは、この件についてはこれまでということにしておきます。

 本法改正について、あと少し時間がございますので、具体的な質問をさせていただきます。

 まず、公共事業。先ほど言われましたが、公共事業を実施するに当たりまして、その透明性と効率性というのが求められているのは、多くの方がおっしゃられているところでございます。その観点から、今回の改正案というのはその的を得ていると私は思うのでございますが、地域住民の意見を聴取することによって具体的にどんな効果をねらっているのか、簡単で結構ですので、教えていただけますでしょうか。

木下政府参考人 今回の改正案の中で、広く地域の住民の皆さん方から、事業計画の概要の段階で意見を聞くこととしております。このようにしている理由としましては、最近、農村地域の都市化、混住化が非常に進んでおります。そのために、事業の円滑な実施ということには、従来のように農家だけで事業計画をつくるというよりは、その段階で非農家の方を含めた地域住民の皆さん方の事業実施への理解が不可欠だというふうに思っております。そういう観点から、地域のいろいろな方々から出された意見を、計画、構想の段階でよりよい事業計画に練り上げていく、そういうふうに活用したいというふうに考えております。したがいまして、地域住民が出される意見の中で、対応可能なものにつきましては、事業計画の中に反映させていくというふうにしていきたいと考えております。

江田委員 では次に、環境との調和への配慮ということでお聞きさせていただきます。

 環境と一言で言っても、さまざまな概念がございまして、地域の特性や個人による価値観、イメージも全く異なっているのが実情でございます。このため、環境との調和に配慮するといっても、個別の事業実施地区でどの程度の取り組みが行われるか、ここら辺が不透明であると考えます。

 今出ているさまざまな御意見なんかも、そういうところの不安から出ていることだとは思いますが、まず環境との調和の環境というのはどのような範囲を想定しておられるか。また、一緒でよろしいですが、環境との調和への配慮というものに関して、具体的にどのような手法で取り組んでいくというお考えか、お聞きしたい。

木下政府参考人 まず、お尋ねの第一点でございますけれども、環境の範囲でございますけれども、私ども、土地改良事業が農村地域の土地や水を大切にするということでございますので、配慮の対象は、当然のことながら、大部分は自然の環境だろうというふうに理解をいたしております。

 今回の改正案の中で、事業実施の原則に環境との調和に配慮をするというふうにしているわけでございまして、今後すべての土地改良事業が、まさに環境との調和に配慮されたかどうかということについて審査されるということになろうかと思います。

 委員御指摘のとおり、具体的には、まさに各地域ごとに様子が相当異なってくるというふうに思っております。したがいまして、今後事業を実施する際には、それぞれの地域の中でマスタープランづくりをまず事業実施の前提としてお願いをしたいというふうに思っておりますけれども、このようなマスタープランの中で、具体的に地域地域の実態に即して、この地域はこのようにしようとか、この地域はこういうふうに保全しようとかというふうに議論をしていただく、その中で具体的な構想が練られていくものというふうに考えております。

江田委員 ほとんど時間がございませんので、最後の質問に参りますが、環境においては、その配慮の基準とかいうようなものも明示されていく必要もあるかなと思うのですが、そこら辺もちょっとお考えいただければと思うのです。

 最後に、廃止手続についてなんですけれども、土地改良事業は三条資格者の三分の二以上の同意があれば実施できますが、実際の運用に当たっては、高い同意率のもとで実施されていると聞いております。

 一方、事業の廃止や事業規模の縮小を内容とする土地改良事業計画の変更につきましては、三条資格者の同意徴集にかかわる要件を緩和すべきとの意見も一方でございます。

 事業を廃止する場合の三条資格者の同意率について、どのような基準が妥当と考えられるか、これは三分の二の同意率の根拠というものについて教えていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。

木下政府参考人 土地改良事業でございますけれども、土地のつながり、あるいは水のつながりをベースにいたしまして、一定地域の中の農地を対象として事業を実施しないとなかなかその効果は上がらないという点でございます。また、対象といたします農地は、それぞれ農家のまさに私有財産が対象ということでございます。

 したがいまして、事業を開始するに当たりましては地域全体としての総意が必要だ、あるいは一方で、少数の反対によって事業の円滑な運営が不可能にならないことということを勘案いたしまして、全体として三分の二以上の同意がございましたら反対している人も含めまして事業を実施できるというふうな仕組みにしたところでございます。

 したがいまして、事業を廃止する際にも同じように、この事業につきまして事業を継続したいというような御希望の方もおられるというふうに思いますけれども、そういうようなことを加味しまして、事業を実施する際と同じような要件を廃止する際にも設けたというところでございます。

江田委員 ほとんど時間が終わってまいりました。

 今の件はよくわかりました。本法の改正は私も望むところで、早い成立を望むものでございます。

 最後に、基本的な農業施策として、私、最初に副大臣に申し上げましたが、やはり現状を考えて、生産基盤整備のハード面だけでなくて、公共事業の評価なんかも徹底してやることでむだをなくしていく中で、農家の経営を直接補償する、そういう直接所得補償制度、ソフト面ですね、こういうハード面、ソフト面の両面を備えていくというか、両輪を備えていくような施策を本当に今後考えていく必要があるのではないかということで確認をさせていただきました。この件に関しては、今後も与党の中でも、また、政府ともじっくりと御相談していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 きょうは以上で終わります。ありがとうございました。

堀込委員長 次に、金子恭之君。

金子(恭)委員 21世紀クラブの金子恭之でございます。

 農業の多面的機能につきましては、今後の農政を進めていく上で大きな柱になっていくわけでありますが、農業の生産性の向上とか効率的な農業を営む上で、土地改良事業のこれまで果たしてきた役割というのは非常に大きいものがあったというふうに思っておりますし、今回の改正案の中においても、現状に即応した事業実施に当たっての環境との調和への配慮とか、地域の意向を踏まえた事業計画の策定、諸手続の改正等々、よりよい改正が行われているんではなかろうかなというふうに思っているわけであります。

 まず、土地改良事業の多面的機能の評価について質問をさせていただきます。

 土地改良事業の効果については、地下水の涵養とか災害緊急時の都市への支援とか、水資源の効率的な利用、渇水時の都市部への支援等々、大きな効果というのがあるわけでありますが、これらの効果は、目には見えない部分が大きくて、農村部だけではなくて都市部にも及んでいると考えられているわけであります。

 今、いろいろな議論の中で、都市対地方とか、都市部重視、地方軽視、そう思われてもおかしくないような議論が行われているということにつきましては、私どもの地元でも非常に憤慨をしている部分もあるわけであります。ある意味では地方があってこその都市部だというふうに考えているわけであります。

 そういう意味で、都市と農村の共生のために、それらの目に見えない効果をどう評価し、国民の共通認識としていくのか、その点についてお答えをお願いしたいと思います。

遠藤(武)副大臣 金子委員御指摘のとおり、いわゆる人間が生きていく上で環境との共生、調和というのは大変大事なことであります。そこで農業、農山漁村の果たす役割もまた非常に大きいと思っております。ただ、おっしゃるように、それが目に見えた形で示されないと、ああそうだったのかというようなことにはなかなかいかない。特に都市部では多忙さ、時間との戦いのような生活の中で、ともすればそういったことの重要性が忘れられているということも多かろうと思います。

 そこで、近年において、農業の多面的機能ということが挙げられるようになりました。ただ、これを計量的に明定するためにもやはり学術的なさまざまなデータが必要でございますので、今、我が国が提案したこの多面的機能が世界的な基準になるように懸命な努力をしているところでございます。

 大臣が常々申し上げておるように、対流ということは、いわば都市と農村が豊かさを分かち合いながら、都市の方々は農村のいいところを、農山漁村の方々は都市の利便性を互いに認識しつつ、その豊かさを分かち合おうという趣旨であろうと考えておりますので、今後とも農山漁村の持つ役割というものを大きく人々に知っていただくような努力をしなきゃならぬ。

 例えば、関東農政局、東京農林新聞というものがございまして、これは言ってみれば都市住民に向けたホームページ、非常にわかりやすく、都市の住民になるほどなと思わせるような中身のものでございまして、一度のぞいていただいたらと思っておるのですが、そうした努力を今後とも続けてまいりまして、農山漁村の方々にも自信と誇りを持って、我々はこういう形で環境の保全や調和、あるいは都市住民のいやしの場としての役割を担っているんだということを、誇りと自信を持って認識していただけるような形で努力してまいりたい、こういうふうに思っています。

金子(恭)委員 ありがとうございました。

 続きまして、土地改良施設の管理のための国の支援についてお聞きしたいと思います。

 先ほど来、議論の中で、都市化、混住化が進む地域というような話が行われているわけであります。都市からの転入等により、農業集落に居住する農家以外の割合というのが九割にも達しているというふうに聞いているわけであります。そういう意味では、農業用用排水路や農道などというのは、その集落で九割を占める非農家をも含むすべての居住者の生活環境基盤としての役割を発揮しているわけであります。

 そういう意味で、その一割の農家の方が、それ以外の、集落全体の負担をも強いられているというような現状というのは非常に厳しい状況だというふうに思っておりますし、また山間部、中山間地域においても高齢化が進み、後継者がいない中で、農家の方々が少なくなっていく中で、そういう施設を管理するというのは非常に難しくなっておりますし、そういう山間部の地域こそ、ある意味では多面的機能を十分発揮すべきところではないかなというふうに思っているわけであります。その中で、農家だけの施設管理というのが限界に来ているのではないかなというふうに考えるわけであります。

 その中で、農林省として、各市町村にそれは任せてあると言われればそれまでかもしれませんが、多面的な機能を十分に発揮させるには、その地域地域で、小さい観点から見るのじゃなくて、もっと総合的に、大きな観点から見ていかなければいけないのではないかなというふうに思うわけであります。

 そういう意味で、国として積極的に、そういう地域の一部の農家の負担が多くなるにつれて、そのものについての支援をすべきではないかなというふうに考えるわけであります。それについての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

木下政府参考人 委員御指摘のとおり、農村集落の都市化がますます進んでいくという中で、このような農業関係の施設の維持管理の問題が非常に重要な課題になってきているというふうに私どもも認識をいたしております。従来からも、規模の大きな施設につきましては、補修等々につきまして助成を行ってきたところでございます。

 特に、本年度でございますけれども、都市化なり混住化が進む地域を対象といたしまして、土地改良区の負担軽減を図り、適切な管理を実現するというための一つの方策といたしまして、水路の草刈りあるいは泥上げ等の管理作業に地域住民の参加を促進するための助成対策も始めたところでございます。

 また、今回の法改正の中で、そのような地域用排水について、地域外の皆さん方からできるだけ円滑に経費を徴収できるというような観点からの改正も御提案をしているところでございます。

 今後とも、このような維持管理が非常に難しくなってきているという状況を踏まえながら、地域の取り組みにつきましても強化するよう検討していきたいというふうに考えております。

金子(恭)委員 最後の質問をさせていただきます。

 遠藤副大臣に今後の土地改良事業の役割についてお聞かせいただきたいというふうに思います。

 土地改良事業については、既存の施設の更新などを除きまして、その役割は終わったのではないかというような人が多くいらっしゃるわけであります。しかし、私の地元でも、水があれば、もっと生産性が上がって、自分がつくりたい農産物の幅も広がる、多様な作物をつくることができるし、収入も上がるし、それによって後継者も残るであろう、そういう大きな期待を持っていらっしゃる方が多いわけであります。そういう意味で、食料の安定供給の確保などの政策目標の実現のためには、まだまだ基盤整備は必要と考えております。

 これらの中で、どのような事業展開をこれから図っていくべきというふうにお考えか、副大臣から明確にお答えをお願いしたいと思います。

遠藤(武)副大臣 二十一世紀は、ある意味では食料の世紀であり、もっと根本的に言うならば水の世紀であります。そういう意味で、水の管理といいますか、コントロールというとおかしいのですが、直接かかわりを持っておる農業基盤整備は、今後とも、その役割の重要性については、不変であるどころか、もっともっとその役割の重大さを問われてくるのではなかろうか、このように思っております。

 と同時に、今回の土地改良法で御提示申し上げているような改正の内容によれば、地域住民の方々の合意の形成の上に立った土地基盤整備、あるいは首長さんの御意見もお聞きするという非常に幅広い対応を求められているわけであります。

 そうなると、やはり田園空間の整備であるとか、あるいは安全、防災といったヒューマンセキュリティーという面からの土地基盤整備を考えた場合、私は新たな可能性がこの土地基盤整備には出てくるのではないかと期待をしているところでございます。

金子(恭)委員 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

堀込委員長 午前十一時三十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時三十五分開議

堀込委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山口わか子君。

山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。

 いつも一番最後ということで質問をさせていただきますが、最後ですからまとめの質問ということで、いい答弁をいただきたいというふうに思います。

 まず初めに、土地改良事業の役割はもう終わったのではないか、今さら土地改良事業でもないと理解したり思っている国民の皆様は多いと思いますし、私自身もそんな感じがしております。しかも、諫早干拓事業あるいは川辺川ダム建設事業などが典型的な例ですけれども、環境問題の視点から、そして事業自体の必要性からも、土地改良事業への批判、特に地域の皆様方の批判というのがますます強くなっているというふうに思います。

 そこで、これまで土地改良事業が果たしてきた役割をどう認識されていらっしゃるのか、そして、これからの方向性、土地改良事業の果たしていく役割をどこに置いておられるのか、その辺、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。なかなかこの土地改良事業に対する国民の理解というのは大変だと思いますので、この辺を踏まえて御意見をいただきたいと思います。

武部国務大臣 山口先生が最後ということでございますが、いつも最後をしっかり締めていただいておりまして、まず冒頭、敬意を表し、感謝申し上げたいと思います。

 土地改良事業につきましては、我々、今繁栄を謳歌しておりますけれども、戦後のあの食料難の時代、どういうことであったかということをやはり振り返ってみるべきだ、かように思います。

 食料増産、昭和三十六年制定の農業基本法に基づく農業生産性の向上や農業生産の選択的拡大、さらには構造政策の推進など、時代のニーズに対応した事業の実施に努力してきたということを評価していただきたい、かように思います。

 せっかくですから具体的に少しお話ししたいと思いますが、水田の大区画化や汎用化による大型機械の導入や水田の畑作利用の促進を通じた高生産性農業の実現、そして、畑地かんがい施設や農道等の整備による野菜、果樹等の産地の形成、農道は都市中心部と農村部の間の通勤にも使われるようになりました。農業以外にもいろいろな効果を生んでいると思います。

 また、農業水利施設の整備による用排水条件の改善と農業生産の安定、私どもの地域でも、とても畑にならないところ、湿地帯、ここが今や青々として生産現場になっているということも評価されるべきことだろうと思います。

 農地造成による規模拡大や食料生産の基礎である農地の確保など、時代の要請に応じた農政の政策課題の実現に重要な役割を果たしてきた、かように存じます。

 また、今後の展開方向についてでありますが、食料・農業・農村基本法の四つの基本理念の実現や、基本計画に基づく食料自給率目標の達成、さらには農山漁村の新しい可能性を切り開く観点から、事業の重点化を図ることといたしておりますが、特に、地域の特性に応じて、麦、大豆等の生産振興に資する水田の汎用化、畑作地域の産地形成に資する畑地かんがい施設等の整備、食料供給の基盤である基幹的水利施設の整備、更新などについて、環境との調和に配慮しつつ推進する所存であります。

山口(わ)委員 なかなか高邁な御答弁、ありがとうございます。

 新しい基本法になりまして理念が変わったというお話で、この理念に沿ってこれから土地改良事業も進めていかなきゃいけないということなんですが、土地改良法の目的自体を見直すことは今回行われていないわけですけれども、そのことについては、このままの土地改良法の目的で、今言った新基本法の理念に基づいて土地改良事業を進めていくことで特に問題はないのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

木下政府参考人 今回の土地改良法改正案の中で、私ども、環境との調和を図って事業を実施していきたいというふうに言っておりますけれども、さらに、従来の第一条、生産性の向上あるいは農業生産性の増大等々と並んで、環境との調和に配慮するということを入れさせていただいております。

山口(わ)委員 これまで数々の土地改良事業を行ってきていますが、二十二兆円にも上る資産が形成されてきたわけです。そこで、農林水産省としましては、この資産をどのように維持管理をしていこうとされているのか、そして古くなった場合はどのように更新されていくのか、お伺いしたいと思います。

木下政府参考人 委員御指摘のとおり、農業用水の安定的な供給あるいは農地の排水改良など、農業生産基盤となります農業水利施設、古くから水田農業を中心に発達してまいりました我が国において、約二十二兆円の水利資産が蓄積されております。我が国の食料の安定供給あるいは多面的機能の発揮を図る上で、このような国民的資産とも言える農業水利施設を今後とも適切に維持保全しつつ、良好な状態で次の世代へ引き継いでいきたいというふうに考えております。

 この中で、農業水利施設でございますけれども、ダム、頭首工あるいは幹線用排水路、そのような基幹的な水路もございます。従来は、一定のまとまりのある地区全体を一括して整備をするという手法でございました。ところが、先ほど申し上げましたように、ダムなり頭首工、幹線用排水路、それぞれ耐用年数が相当違うというところで、本来であれば修理、修繕あるいは新たにつくり直すべきところを一括して整備をするというために、どちらかというと手薄になってきた面がございます。

 私ども、平成十一年度からでございますけれども、先ほど申し上げましたように、地域内のそれぞれ更新時期が来ております施設ごとに、早期に更新が必要な施設からそれぞれ施設単位ごとに整備をするというふうに手法を転換してきたところでございます。今後とも、地域の実態に即し、このような水利施設が良好な状態で維持管理されるよう適切な整備、更新に努めていきたいというふうに考えております。

山口(わ)委員 施設を維持管理していくというのは非常に大事なことだというふうに思っているんですが、今までは、施設をつくれば大体つくりっ放し。毎年きちっと維持管理をしていけばいいものがほとんどされないで、後になっていろいろな問題を非常に起こしているということがあると思います。

 長野県でもそういう例があるわけです。ダムがほとんどダムの役割を果たせなくなって、もう水面まで砂で埋まってしまったというダムもあるわけで、これを維持管理するということは並大抵のことではないというふうに思うんです。聞くところによりますと、そのダムはもうやめて、その上にもう一つダムをつくるという計画があるというふうに聞いているんですが、一たんつくってしまいますと、もう後の管理は、ともかくお金がないという理由でやらないのか、あるいは人件費がかかって大変なのかよくわかりませんけれども、これからそういう問題がたくさん起こってくるのではないかというふうに思うんです。

 ですから、今までむだと言われていた部分がそういうところだと思いますので、つくった施設はやはりきちっと毎年管理をしていく、そして長もちさせていく、それで地域の皆様に水利やいろいろな面できちんと活用できるようにしていくということが大変大事だというふうに思っているんですが、この維持管理に対する、農林水産省として、土地改良の面での維持管理費というのは年々どのくらいの予算を使っていらっしゃるんでしょうか。

木下政府参考人 私どもの維持管理費でございます。

 基本的な考え方を申し上げますと、このような水利関係の維持に当たりましても、基本的にはやはり受益者の皆さん方で、その受益の限度の範囲内で負担をしていただくというのが原則かと思います。そうはいいましても、土地改良施設の中で非常に公共性の高い施設につきましては、従来から、国による管理あるいは地方公共団体による管理に対する助成を行っております。また、土地改良区などが管理いたします施設につきましても、施設の整備、補修という面につきまして助成を行っているところでございます。

 また、十三年度でございますけれども、最近におきます都市化、混住化によりまして、現場の土地改良区の用排水路の管理が非常に難しくなってきておるというような面も考慮いたしまして、地域全体でそのような維持管理に取り組む場合の助成措置も講じてきておるところでございます。

 先生お尋ねの、現在の施設管理につきましてどの程度の予算を計上しているのかということでございますけれども、私、今手元で合計をいたしておりませんけれども、総額百億以上は上回るという額を計上しているというふうに考えております。

山口(わ)委員 大変長い期間施設を使うわけですが、施設の利用の目的というのがやはり毎年年を追うごとに変わってくると思いますし、また、施設の管理が大変重要になってくる場面もあると思いますので、これからは、やはりその辺は地域の実情に応じて、臨機応変に国としての管理の責任をぜひ果たしていただきたいというふうに要望したいと思います。

 これまでは、土地改良事業によって恩恵を受ける農業従事者の皆さんに受益者負担の原則から負担を求めてきたわけですが、最近やはり農家所得がだんだん減少してきているわけです。この減少してきている中で負担を継続していくのは大変無理があるのではないかというふうに思われるわけですが、この負担を軽減していく必要性と、それから負担を軽減していくための方策があるのか、お伺いしたいと思います。

木下政府参考人 土地改良事業の受益者負担の問題でございます。

 基本的には受益の範囲内で負担をしていただくというのが原則でございますけれども、最近におきます農業を取り巻く諸情勢の変化に対応しながら、私どもその軽減にこれまで取り組んできたところでございます。

 どのような方策かと申し上げますと、一つは負担金対策でございます。償還金に係ります利子を助成する事業、あるいは償還金の償還そのものを繰り延べるというやり方を通じまして、このような制度の活用によりまして、対象地区平均で見ますと、大体ピーク時の、年償還額で四割程度、また、総償還額で約一五%程度の軽減ができているというふうに考えております。

 また、このような償還対策のほかに、そもそも土地改良事業そのものにつきましてコストを安くするということが非常に重要だというふうに考えております。これまでも土地改良事業全体につきましてコストの低減に取り組んできたところでございますけれども、今後一層コストの低減に取り組むほか、全国一律の整備じゃなくて、あくまでもやはり地域の実態に即しながら、それぞれのニーズに応じた整備を行うことによりまして、全体としてこのような土地改良事業にかかります経費の削減に取り組んでいきたいというふうに考えております。

山口(わ)委員 今、地域の実情に即しながら事業も考えていきたい、そして負担金も軽減をしていきたいというお話でした。

 実は、私は長野県なんですけれども、長野県というところは大変山間地が多いわけですね。そして、国からの一律な計画が画一的にそこに押しつけられてきますと、基盤整備というのは山間地の場合は一向に進んでいかないわけです。

 実は、私のところの例をちょっと申し上げたいと思うのですが、長野県と新潟県の境に栄村という大変山の僻地があるわけです。長野県には栄村ばかりじゃなくて、山深い山間地がたくさんあるわけですけれども、農業の規模を拡大し、あるいは大規模化、合理化のもとで農業をするなんということはとてもできないわけです。大規模経営が奨励される農業基本法のもとでは、こうした山間地の農業というのはもともと基盤整備の対象にならないという矛盾をそれぞれの地域で感じているわけです。

 ちょっと栄村の例を申し上げますと、栄村では、一九七三年から七九年まで圃場整備事業をやったわけですが、結果として、十アール当たりの事業費は平均で五十四万五千円だったわけです。ところが、村と農家の負担は九五%にもなりまして、十五年から二十年間に年利五から六%で償還をしますと、十アール当たり百万円を超えてしまう、こういうことがありまして、村と農家が折半しましても、農家の負担は五十万円を超えてしまうということがありました。そして、一九七〇年から、お米の生産過剰ということで減反政策が始まるわけですが、そうなりますとますます農家の負担がふえてくるわけです。

 一九八〇年代に入りましてますますこの事業費が高騰いたしまして、十アール当たりの平均事業費は込みで百九万六千円にはね上がってしまったわけです。当然、村と農家の負担は前よりもふえてしまった。十アール当たり五十七万円にもなりまして、長期返済の利子を加えると大変なことになるということになりまして、村じゅう大騒ぎになっちゃった、こういうわけです。そこで、農家の負担を軽減しまして、棚田まで含めて整備するために、国の基盤整備事業の補助を使わないで独自に作業を進めてまいりました。

 一九八九年から実施いたしました当時の農水省の基準は、一枚三十アール。しかも棚田ですからそんな規模の大きなものはできませんから、もしそれを棚田でつくるとなると大量の土壌を動かさなければならない、そういうことがありまして、十アール当たりの事業費を村では四十万円に抑えると決めて事業をしたわけです。費用は、村と農家が折半、農家は一年据え置いて五年間で償還するということで、もちろん無利子ということで、そうしますと年間に四万円農家は返せばいいわけです。十アール当たり六十キロで、この辺ですと新潟のコシヒカリに匹敵するコシヒカリがとれるわけですが、大体八俵から十俵とれます。そうしますと、二俵分の返済で済むわけです。

 これが、国の補助事業でやりますと百八十万円ぐらいかかってしまうわけです。国は五割で、そして県が一割、村と合わせて七割ですから、農家の負担は三割、つまり五十四万円ぐらいかかってしまうわけです。村の独自の整備事業ですと今でも農家は二十万円で済むわけですから、三十万円という開きが出るわけです。

 こういう実態を見ますと、国はどうしても補助基準がありましたりメニューが一律になっていますから、こういう特殊な村はなかなか、この補助基準でやりますと農家の負担がふえてしまってとても整備ができない。そうかといいまして、やはり整備をしませんと農機具も入りませんから十分な農作業ができない、そういうこともありますのでやらざるを得ないということで、今言ったような方法で国の補助に頼らずにやったわけですね。つまり、国民の税金で行っているこの土地改良事業の恩恵には全く浴していない、そういう状況になるわけです。

 作業の方法はどんな方法でやったかといいますと、村で熟練のオペレーターを土木機械ごとリースするわけです。そして、そのオペレーターと農家は村を交えて実施計画を話し合いまして、オペレーターから作業に要する時間が出されますと予定の事業が決まるということで、もちろんその時点で農家が同意をすれば作業が始まるわけです。公共事業ですと、例えば設計基準があるとか、あるいは地形や必要に応じて作業や材料を選ぶというようなことができないわけですね。ですから、もちろん農家の皆さんは自分の農地ですからどんな農地かよくわかっていますし、オペレーターと二人でお話をすれば全く安上がりで安全な圃場整備ができるわけです。

 こういう農家の実態があるということをぜひお考えいただきたいと思いますし、お米の代金で工事費を全然払えないというのが今の圃場整備の現状ですから、これではやはり、借金を返すために、とてもじゃないけれども圃場整備事業は行えないという問題が出てくるわけです。

 しかも、こういう山間地ですと農業しかほかに職業がないわけですね。農業で生きていくしかないわけです。しかも、この村ではお米が減反でもう半分もつくれなくなっていますから、野菜とかいろいろな多角経営をしながら山の中で生きていくことを考えて、大変元気が出ている、いろいろな経営をしながら地場産業を育ててきています。こういうところは恐らく栄村だけでなくてたくさんのところにあるのではないかというふうに思っているのです。

 やはり今、公共事業はばらまきと言われていますし、コストが高過ぎる、効果がなかなか国民から見てわからないという部分がありまして、農水省でもいろいろな公共事業に対するチェックはしていると思うのですが、私は、むしろ一定の基準で、要するに、国のメニューでなければ事業ができないというのではなくて、その自治体独自の方法で事業をやった場合にもきちっと一定の国の補助が出せるようなことをこれからは考えていかないと、私は、土地改良事業というのは進んでいかないというふうに思いますし、むしろ山間地は切り捨てられていくというふうに思っているわけです。

 ですから、先ほどこの土地、それぞれのところに応じた基盤整備、土地改良事業を行っていくという御答弁がありましたが、ぜひこの辺は、一定の基準にはめるのではなくて、それぞれの地域から出た申請に基づいて事業の補助が受けられるようなことをできないものかどうかお考えいただきたいと思います。

木下政府参考人 委員御指摘のとおり、中山間地帯では、地形が急峻であるとかあるいは棚田であるとか等々の問題で、なかなか全国一律の基準では事業実施が難しい、あるいはかえって単価が高くなるというような状況があろうかと思います。

 私ども、中山間総合整備事業でございますけれども、従来からできるだけ実態に即するよう、例えば区画につきましても、三十アールだとかそういうように決めずに、地域の実態に即したような区画にするよう指導してきたところでございます。

 今後とも、やはり基本的には公共事業全体、負担を考えますと、工期の厳守あるいは地域の特殊性、ニーズに応じた弾力的な整備というのがますます必要だというふうに認識をいたしております。今後ともこういう方向で、私ども、農村、農業の整備事業を改善の方向で検討していきたいというふうに考えております。

山口(わ)委員 検討というお話でしたけれども、もう既にあらゆるところでこの整備事業は行われていますし、国の補助に頼らない独自の方法でやられているわけですので、来年度、今年度はちょっと無理かと思いますが、来年度からはそういう村の申請に基づいて補助が受けられるような方向でやっていただけるのかどうか。確かに検討かもしれませんが、検討というとやらない部分もあって、やる部分も両方とも検討ですから、そこのところを積極的に御答弁いただきますと、長野県でもほかの県でも山間地の市町村長は大変喜ぶのじゃないかと思うのですが、もうちょっと積極的なお答えをいただけないでしょうか。

木下政府参考人 中山間の総合整備事業でございますけれども、先ほど来答弁いたしましたように、これまでも地域の状況に応じた整備に努めてきているところでございます。今後とも、中山間の対策につきまして、さらに一層現場のニーズに応じた施行ができますよう、できましたら来年度からでも実施をしていきたいという方向で検討していきたいと考えております。

山口(わ)委員 ありがとうございました。

 多分この次の質問にも関連してくると思いますが、土地改良事業というのは長期計画が立てられていると思うんですが、その長期計画の中でまだまだ進んでいないというふうに私は思うわけです。五八%ぐらいの進捗率ですから、これからこの事業を平成十八年度まで進めていくということは、かなりやはり弾力的な方向を見出していかない限り、多分残ったところは、そういういろいろな問題がありましてなかなか整備が進まなかったというふうに思います。

 そういった意味では、これからこの長期計画につきましても、中にはやはり廃止すべきだという声も出ていますし、それは、環境が破壊されるだけであるという部分も出てきていると思います。何のメリットもないというのがその根拠だというふうに思いますが、一方では、やはり食料の自給率を向上させていく、とりわけ自給率の低い麦や大豆、飼料作物の生産向上を、自給率を向上させる意味からも長期計画は必要ではあるというお考えも出てくるかというふうに思います。

 あと、残りの農村整備事業、土地改良事業を含めまして、今後この長期計画をどういうふうに農水省としては進めていかれるのか。この長期計画はあくまでも固執する、すべて完了するまでこの長期計画に基づいて固執する、その理由がございますかどうかお伺いいたしたいと思います。

木下政府参考人 まず、私の方から現在の第四次土地改良長期計画の推進状況について御説明させていただきたいと思います。

 私ども、御指摘のとおり、平成十八年度末をベースにして現在着実に進めてきているところでございますけれども、例えば水田の標準区画三十アールでございますけれども、平成十八年度末七五%という目標に対しまして、平成十二年度の実績は五八%でございます。相当程度の整備が現在進んできているというような状況と認識をいたしております。

武部国務大臣 山口先生から前向きな答弁をという先ほどのお話がございましたが、今御議論いただいていることは非常に大事なことなんですね。私も今、御質問を伺いながらいろいろ考えているのでありますが、ちょうど新しい食料・農業・農村基本法を制定して、今後、食料の自給率をこの十年間で四五%にしようということでございます。こういう前提に立ちますと、やはり今日的な、麦だとか大豆だとか飼料作物、先生御指摘のようなこういったものの生産増大などを進めていかなければなりません。

 国民の期待にこたえていくためにも、今までの第四次土地改良長期計画というものは平成五年度から平成十八年度までが計画期間ということになっておりますが、現行計画で計画期間を残しておりますけれども、今国会での土地改良法の審議や公共事業全体の見直し、事業実施の改革の方向性を踏まえまして、新たな長期計画の策定についても検討すべきでないか、私はこのように考えております。

 このことは農林水産省としても非常に重大な局面に立って決断をしようということでございまして、これらにつきましても、今国会のさまざまな議論を踏まえて、そんな考えを持っているということを率直に表明させていただきたいと思います。

山口(わ)委員 ありがとうございました。

 今非常に環境問題が盛んになっている中で、やはり農水省としても、公共事業についての見直しも含めて、今後どういうふうな長期計画で進まれていくのかということ、今大臣のお考えで、柔軟に住民の要望を踏まえながら進めていくというふうに受けとめております。

 ただ、今全国各地には、たくさん公共事業が行われている中で住民から非常に反対の声もあります。そして、農水省でも御検討されて中止していくような場面が出てくるというふうに思いますが、それでもまだまだ、もうこの事業はこれから要らないのではないか、中止した方がいいのではないか、そういう議論が全国各地で出されてきているわけです。その中でもまだ農水省としてはやはり推進の立場で進めていこうというふうに考えている事業もあろうかと思いますし、恐らく、かなりの住民の反対の中で、この問題をどういうふうにとらえていくのかということもこれからは非常に大きな課題となります。

 私もいろいろなところで経験をしてきましたけれども、やはり今は何といっても住民の合意が得られないというところは非常に大きな問題となっていますし、先ほどからも私の方から申し上げましたように、どうしても国が一たん決める国営の事業になりますとコストが高いわけですね。そして、なかなかその効果があらわれないという部分が、国民には見えにくいというところもあるわけです。

 例えば長野県の場合に、国営事業ですと大体国が事業を決めまして、そして業者も決めて、だんだん下へおりてきて地域へ来ますと、三つか四つの業者をどんどんたどって、孫請かその孫請くらいになってようやく地元に事業が実施されるということになるわけですが、地元の業者に聞きますと、とてもじゃないけれども受けられない金額だと言うのです。これだけの予算でこれだけの仕事をしろと言われても、今とても大変だから実はこの間断ったところだなんという、排水事業のところでそんな話が出まして、この辺はやはり何とか変えていかないといけないのじゃないかというふうに思うわけですね。

 ですから、たとえ国営の事業であろうと県営の事業であろうと、その地域で実際に計画をし、地域で業者も選び、そして事業を進めていくことも必要なことではないかというふうに思っています。ですから、長期計画も含めて見直す中で、やはり公共事業の進め方についても今後考え直していかなければいけないというふうに思うんですが、御意見を聞かせてください。

武部国務大臣 見直しについて留意すべきことはいろいろあると思うんです。今先生からお話がありましたように、それぞれの地域によって、北海道から沖縄までいろいろな条件がありますし、平らなところと湿地帯と中山間地域、もろもろございます。ですから、そういった地域の主体性を尊重するということが一つあると思いますね。

 そのためには、今後さまざまな補助制度も、県がやる事業に国が支援する、国がやる事業に県が負担するとか市町村が負担する、受益者が負担する、そういう考え方でなくて、その地域で計画を立てる、その計画がいい計画であるということについて国が応援する、こういうような考え方が一つあると思いますね。

 それから同時に、今先生は地元でやった方が安くて国の方が高いというお話ですけれども、それは全くそういうことが当たらないということが多々あります。例えば草地造成なんか、草地更新なんか、生産者はみずからやるんですね。言ってみれば素人がやるわけですよ。それから建設業でも、そんなことは何も大きいところに頼まなくても我々ができると言ってやったところが、大雨が降って土砂が隣の畑に流れていったり、それから草地更新は五年、七年と考えているものが、結局中まで深く掘らないものですから草地更新をまた早くしなくちゃならぬ。その損得勘定といいますか、どっちがメリットがあるのかというと、私の今までの経験では、やはりちゃんとやってもらった方がよかったというような話も多々ございます。

 ですから、国がやるべき事業というものについては、国でなければできないものというようなことが中心になっていくんじゃないか、そういったことが見直しの方向性の一つなんじゃないかな、かように思います。しかし、国がやる場合でも、先生御指摘のとおり、地元の事情ということをよく聞いた上で、地元の皆さん方の合意ということが大前提になるんだろうと思います。

 それから、環境に配慮をするということは言うまでもありません。こうなりますと、今後の公共工事というのは、環境の修復、改良、創造、そういったことも含めてケース・バイ・ケースでやっていくとなると、かなりコストも高くなってくるということなども国民の皆さん方の理解と協力を得なきゃならない、かように思います。

 私も専門家ではありませんので、感じている政治家としての考えを今申し上げた次第でございますが、今先生から御指摘があったことについて私の意見を述べよということであればこんなことになるのかな、かように思いますが、いずれにいたしましても、種々いろいろなことを検討の上、長期計画も見直すということで検討してまいりたい、かように思います。

山口(わ)委員 今、何といってもこの農林水産行政というのは非常に国民の基幹的な大切な産業でもありますし、このことがなくなってしまったら本当に日本の国は終わりになってしまうというふうに思うくらい大切なことですが、なかなかこの農水関係がスポットを浴びるということが少ない。小泉総理のお話を聞いても、なかなか農水の問題については触れられないというようなことで、今武部大臣を挙げて、農水をきちっと確立していくということがとても大事だというふうに思っています。

 地方にとっても、やはり本当に農業しかないところがたくさんあるわけですから、そういうところは、農業で生きていかれるような政策がない限り、幾ら構造改革だ何だのといっても、なかなかそれは生きていかれない状況が出てきます。ましてや農業の切り捨てになってしまうようなことがあっては大変だというふうに思っています。

 そういった意味でも、山間地でも生きていかれるような、そして、そのことを自治体は真剣に考えているわけですから、それを応援するような国の施策を心から望みたいと思いますし、むだな公共事業でなくて、本当に必要な農業生産基盤の整備をぜひ行っていただきたいということを最後にお願いしまして、おなかがすいてまいりましたので、一分ばかり早いですが、終わりにさせていただきます。

堀込委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 この際、本案に対し、小平忠正君外一名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。津川祥吾君。

    ―――――――――――――

 土地改良法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

津川委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、土地改良法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。

 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。

 その趣旨について御説明申し上げます。

 二十一世紀は環境の時代とも言われております。農業生産の基盤の整備は、自然環境に人為的に作用を加えるため、その事業にかかわる区域や周囲の環境に対して一定の負荷を与える可能性があります。このため、政府案の環境との調和では、一定の環境基準を設けて環境を良好な状態に保つ環境の保全と異なり、土地改良事業のあり方そのものを環境に合わせようとするだけであります。そこで、土地改良事業の施行に当たっての原則に環境の保全に配慮すべきことを明確に位置づけることが必要であります。

 また、土地改良事業の実施に当たっては、非農家を含む地域住民の理解を得ることが重要であることから、政府案よりも地域の意向が的確に反映できるようにする必要があります。

 さらに、国、県営土地改良事業の廃止等の手続として、政府案には盛り込まれていない農家発意を認めるとともに、廃止等がより容易に行えるようにする必要があります。

 次に、修正案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、環境の保全であります。

 土地改良事業の施行に当たって配慮すべき事項の、環境との調和を環境の保全とすることとしております。

 第二に、地方公共団体の意向の反映の強化であります。

 新たに施行しようとする土地改良事業の事業計画の概要について市町村長と行われる協議には、同意を要することとしております。そして、この場合、市町村長は、協議をしようとするときは、あらかじめ、公聴会を開き、利害関係人及び学識経験者の意見を聞かなければならないこととしております。

 第三に、意見書の提出に対する応答であります。

 国営または都道府県営の土地改良事業について提出された意見書に関し、その意見を採用しないときは、意見書の提出を受けた者は、その意見の提出者に対し、採用しない旨及び理由を通知しなければならないこととしております。

 第四に、国営及び都道府県営土地改良事業の廃止等の手続及び要件であります。

 国営または都道府県営の土地改良事業の廃止またはその事業計画の変更は、事業の申請者の申し立てまたは第三条資格者の四分の一以上の申し立てによっても行われることとしております。

 また、国営または都道府県営の土地改良事業の廃止またはその事業規模の縮小を内容とする事業計画の変更について、同意者数が要件とされている場合には、その同意者数を、第三条資格者の三分の二以上から二分の一以上に引き下げることとしております。

 以上が、本修正案の提案の理由及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

堀込委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、土地改良法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、小平忠正君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀込委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀込委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀込委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

堀込委員長 次に、内閣提出、参議院送付、農業協同組合法等の一部を改正する法律案及び農林中央金庫法案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。

 なお、農業協同組合法等の一部を改正する法律案につきましては、参議院で修正議決の上送付されたものでありますので、まず政府から趣旨の説明を聴取し、引き続き参議院における修正部分の趣旨について説明を聴取いたします。農林水産大臣武部勤君。

    ―――――――――――――

 農業協同組合法等の一部を改正する法律案

 農林中央金庫法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

武部国務大臣 農業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 農協系統は、農業者の協同組織として、組合員に対して営農及び生活に関するサービスを総合的に提供してきたところでありますが、食料・農業・農村基本法の制定を踏まえて、農業者の協同組織としての原点に立ち返って、地域農業の振興等に従来以上に積極的な役割を果たしていくことが求められております。

 また、平成十四年四月のペイオフの解禁に向けて金融情勢が急激に変化する中で、今後とも農家組合員が安心して貯金することのできる、破綻することのない農協系統信用事業を確立していくことが急務となっております。

 このような状況を踏まえて、農協系統の改革に向けた自主的な努力を支援するため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、農業協同組合法の改正であります。

 農業協同組合が、担い手のニーズに対応しつつ地域農業の振興に重点を置いた事業展開を図るため、農業を営むすべての法人に正組合員資格を与えるほか、営農指導を農業協同組合が行う事業の第一番目に位置づけることとしております。

 また、農業協同組合の業務執行体制の強化を図るため、信用事業を行う農業協同組合における複数常勤理事の設置、常勤理事等の兼職、兼業規制の強化、信用農業協同組合連合会を初めとする連合会への経営管理委員会の設置の義務づけ等の措置を講じることとしております。

 さらに、農協系統の自己責任体制の確立を図るため、農業協同組合の模範定款例を中央会が定めることができることとするとともに、中央会監査の対象の拡大等を行うこととしております。

 第二に、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の改正であります。

 農家組合員が安心して貯金できる、破綻することのない農協系統信用事業を確立するため、JAグループの総合力を結集し、農業協同組合、信用農業協同組合連合会及び農林中央金庫が全体として一つの金融機関として機能するような、新たな農協金融システムを構築することとしております。

 このため、法律の題名を農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律に改めるとともに、農林中央金庫が、会員である信用農業協同組合連合会及び農業協同組合の意向を踏まえて、農協系統信用事業の再編及び強化に関する自主ルールである基本方針を定め、これに即して、信用事業を行う農業協同組合等に対して経営改善や組織統合の指導を行うこととしております。

 また、こうした経営改善や組織統合を農協系統の自主的な積立財源によって支援するため、指定支援法人制度を設けることとしております。

 これに関連して、農水産業協同組合貯金保険機構から指定支援法人に対して資金援助を行うことができるよう、農水産業協同組合貯金保険法の改正を行うこととしております。

 続きまして、農林中央金庫法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 農林中央金庫は、大正十二年に特殊法人たる産業組合中央金庫として設立されて以来、昭和六十一年の民間法人化を経て、今日まで、農林水産業の発展に寄与し、国民経済の発展に貢献してきたところであります。

 現在、我が国の金融をめぐる情勢は、平成十四年四月のペイオフの解禁に向けて急激に変化しており、農協系統信用事業がこれに十分に対応していくためには、農家組合員が安心して貯金することのできる、破綻することのない信用事業体制を確立していくことが急務であり、特に農林中央金庫が適切な役割を果たしていくことが必要不可欠であります。

 このため、農林中央金庫の業務執行体制の強化、業務範囲の拡大等を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。

 第一に、目的規定を新設し、農林中央金庫は、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関であることを明確にすることとしております。

 第二に、農林中央金庫の協同組織性を踏まえて、会員である農業協同組合の代表者等から成る経営管理委員会を設置するとともに、高度な金融業務を的確に行えるよう、金融専門家から成る理事会を設置することとしております。

 第三に、農林中央金庫の貸出先業種については、これまで法律上限定列挙されておりましたが、農協系統信用事業全体の発展に資するよう、主務大臣の認可のもとに業種限定のない貸し出しを認めることとしております。

 その他、現行法の法文は片仮名まじりの文語体の古い文体となっておりますが、法文の表記を口語化して平易化することとし、農林中央金庫法の全部を改正することとしております。

 以上がこれら二法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

堀込委員長 参議院農林水産委員長代理者理事郡司彰君。

    ―――――――――――――

 農業協同組合法等の一部を改正する法律案の参議院修正

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

郡司参議院議員 農業協同組合法等の一部を改正する法律案に対する参議院の修正部分について、その趣旨を御説明申し上げます。

 近年、我が国の農業及び金融をめぐる情勢は急激に変化しており、農協系統組織の体制整備、体質強化を行うことが重要な課題となっております。

 このため、本法律案におきましては、組合員の多様なニーズに対応した事業運営が確保されるよう、組合の業務執行体制を強化するための各種の改正が行われております。

 しかしながら、今回の改正が真に農業者の利益の増進につながっているのかどうか、一定の期間が経過した後に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとする必要があります。

 修正の内容は、法律案の附則に、「政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の規定の実施状況等を勘案し、組合員である農業者の利益の増進を図る観点から、組合の役員に関する制度の在り方、組合の事業運営の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」との検討条項を追加することであります。

 何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

堀込委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十六分開議

堀込委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、農業協同組合法等の一部を改正する法律案及び農林中央金庫法案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省経営局長須賀田菊仁君、農林水産省農村振興局長木下寛之君、水産庁長官渡辺好明君及び国税庁課税部長村上喜堂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀込委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。楢崎欣弥君。

楢崎委員 民主党の楢崎です。

 私は、本日午前、趣旨説明を受けました農協改革関連二法案について質問をいたします。一時間三十分の長丁場ですけれども、私の質問よりおもしろいクエスチョンタイムが後に控えておりますので、簡略明快な御答弁をお願いいたします。

 冒頭お伺いしたいのは、昨年十一月、部落大衆の悲願の一つでありました人権教育・啓発推進法が、共産党を除く各党の御努力で成立をいたしました。解放の父と言われました松本治一郎元参議院副議長が亡くなられたのは昭和四十一年でした。私自身、昭和三十七年からその松本治一郎先生の書生を務めた者として、感無量の思いがありました。

 今後の問題は、この法律をいかに実効ならしめるかが問われていくことになると思います。そのために、解放同盟各都道府県連と自治体との折衝も始まっています。私の地元福岡でも一連の折衝が行われていますが、その中で、解放同盟県連と福岡県農政部との協議の中で、農協職員に部落問題が周知徹底されていないこと、そのための研修と啓発の必要性が課題として提起をされました。

 これは、一福岡だけの問題ではありません。農水省としてこの問題にどのように取り組んでおられるのか、また取り組まれるのか。部落問題に対する大臣の基本的な認識もあわせてお聞かせいただきたいと思います。

武部国務大臣 これまで政府は、同和問題への対応として、昭和四十四年以来、同和問題解決のための特別措置法に基づく特別対策を中心に、関係諸施策を積極的に推進してきたところでございます。

 この結果、国、地方公共団体の長年の取り組みにより、生活環境を初めさまざまな面で存在していた落差は改善されたものと認識しております。

 このように、同和地区を取り巻く状況が大きく変化したこと等を踏まえ、「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」等に即し、平成九年度以降は同和地区、同和関係者に対象を限定して、補助率等において特段の配慮を実施している補助事業等は平成十三年度までに終了することを目指しております。

 いずれにいたしましても、同和問題は、憲法の保障する基本的人権にかかわる重要な問題であると私は認識しております。また、農林水産省としては、農協系統に対して、十一年七月に「人権問題に関する啓発推進の取組みの強化について」の通知を発出し、人権問題の啓発推進に積極的に取り組むよう指導しております。

 また、農協等関係団体の職員を対象とした研修を行う補助事業、人権問題啓発推進事業を活用して、各県において人権問題に関する啓発研修会が行われているところでありまして、十一年度では全国で千百四十二農協、六千七百二十六人が研修に参加している、かように承知いたしております。

 農協系統の指導機関であります全国農業協同中央会におきましても、農林水産省からの通知を受けて、農協系統の人権問題に関する取り組みの徹底を図っているところでありまして、毎年、定期的にJAグループ全国機関人権・同和対策連絡会議を開催しております。また、人権・同和対策担当者研修会の開催もいたしております。さらに、人権啓発パンフレット等の作成、配布などの具体的な取り組みを行ってきていると承知しているところでございます。

 農協の同和問題につきましては、農協みずからがその重要性を深く認識し自主的に取り組んでいくことが基本ではありますが、農林水産省としても、今後とも農協系統がこうした人権問題に積極的に取り組むよう引き続き指導してまいりたいと存じます。

楢崎委員 改善の進捗については大臣と認識の差があるんですけれども、とりわけ農協中央会に同和対策推進連絡会の取り組み強化、指導をお願いしたいと思います。

 あわせて、地対財特法も今年度をもって失効いたします。同和行政の窓口も来年度以降は各省庁担当課が個別に対応するという政府の考えに対して、私たち民主党はやはり政府、内閣全体で取り組む機構が必要ではないかということを訴えているところです。

 まだ同和問題が解消したわけじゃありません。小規模零細農家の生活基盤が確立したわけでもありません。来年度以降の一般施策の推進に対して、同和行政の視点をしっかりと位置づけるべきだと考えますけれども、見解をお伺いします。

武部国務大臣 小規模零細な農林漁家についての農業生産基盤及び近代化施設の整備のために補助事業において特段の配慮を行ってきたところでありますが、平成十四年度以降については、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限が平成十三年度末に到来するということは先生御指摘のとおりでございまして、「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」に基づいて、同和地域に限定した対策は終了するということになるわけでありますけれども、同和地域における農林水産業の振興は極めて重要と認識しておりまして、農林水産業の振興のための各種一般施策を活用してしっかり対処してまいりたいと考えております。

 なお、同和問題に対する国民の差別意識は解消に向けて進んでいるものの、依然として根深く存在している、かように認識しております。その解消に向けた教育及び啓発を農林水産省としても引き続き積極的に推進していきたいと考えております。

楢崎委員 この問題は引き続きまた別の機会に取り上げていきたいと思います。

 本論に入ります。

 私は、今農協系統の改革を語るときに、過去、あの住専に過剰融資を続けて莫大な不良債権を生み出した住専処理問題、これを避けて通ることはできません。そのしっかりとした反省、そして総括がなされてこの改革法案が出てきたのか、若干当時にさかのぼって検証したいと思います。

 本来、米と金融、この二つが農協を支えてきた原動力であったと思います。しかしその米は、新食糧法で農協の独占にピリオドが打たれた。一方、金融は、莫大な不良債権を抱えて組織存亡の瀬戸際にある。それもこれも、自己改革を怠ってきたツケが回ってきたのにだれも責任をとろうとはしない、この無責任体質を一掃することが改革の原点であろうと思います。

 そこで、住専処理策に関して、当時の大原一三農水大臣や、現在農林中金理事長をしておられます、当時事務次官でありました上野博史さんが、経営を悪化させた結果責任がある、相応の責任を考えていただくと発言されたやに聞いております。農協系のトップで責任をとられた方はいるんですか。

須賀田政府参考人 平成八年の住専問題でございます。大変な問題でございまして、私どもが把握している限りにおきましては、平成八年に各県連が一連の総会を行ったわけでございます。この中で、九つの中央会、十三の信連を含む四十の連合会で会長の交代が行われたと承知をしております。

 この会長の交代がどういうふうな理由で行われたかということにつきましてはつまびらかに承知をしているわけではございませんけれども、会員に対する負託を負って業務執行をしているのが役員であり、その最高責任者が会長でございますので、住専問題を含めましたさまざまな観点が反映された結果ではないかというふうに承知をしております。

楢崎委員 当時、上野事務次官の念頭にあったのは、いわゆる農協系のトップ、全中、農林中金、全共連、全信連のトップの方々だったのではないかと思うんですね。その中で責任をとられた方はありますか。

須賀田政府参考人 はっきりした記憶はないわけでございますけれども、たしか平成八年の全中の総会におきまして全中の会長の交代が行われたというふうに記憶をしておりますけれども、残りの農林中金、全共連につきましては、その年は理事長の交代はなかったように記憶をしております。

楢崎委員 ちょっと違うんですよね。全中の会長がやめられたのは、自分が栃木県の信連会長をしておったから、全中の会長を兼職するのはいかがかとやめられたんですね。それも、住専処理策の国会が終わった後ですよ。何も住専の責任をとってではないんですね。

 結局、農協系統から見れば、どうせ与党も農水省も身内という、そういう甘えがあって無視されたんじゃないですか。言いかえれば、政治、行政、農協系統、この三者もたれ合いの体質が責任の所在をうやむやにしていったのじゃないですか。どうですか。

須賀田政府参考人 当時の住専問題をめぐる、いわゆる責任問題でございます。

 先生も御承知のように、住専といいますのは、母体行が、リテールでございますみずからの住宅ローンというものを専門に行わせるために出資をし、経営人も送り込んで始めたものでございまして、そういう設立の経緯に系統は全く関与しておりませんし、それから、その後、その母体行たる都市銀行等が、そのリテールたる住宅ローンを自分の業務としたために、やむを得ず住専は、不動産でございますとかそのほかの宅地開発でございますとかに追いやられて、それが破綻の原因になったわけでございまして、この破綻の原因についても系統は責任がないということでございます。

 そのときに言われましたのは、それでは全く責任がないのかということにつきましては、やはり貸し手として、住専に貸した金融機関として果たして十全であったか、その面の責任が問われまして、平成七年の政府・与党の住専処理にかかわります政府・与党合意の中では、系統に対しましては、リストラを大胆に行うべきであって、内部の再編や制度のあり方を含めて真剣な検討が必要であるということが指摘をされて、これに基づきまして、平成八年の年末でございましたか、国会に農協改革法をお出しをし、組織二段化の道筋等をつけたわけでございます。

楢崎委員 私の質問の答えになっていないのですよ。

 当時、住専処理に伴う一次損失分、これは大蔵省が農協系に示したのは一兆二千百億円の損失負担、その後、どういう経過があったか定かではありませんけれども、そのうち六千八百億円に出資金五十億円を加えたところの六千八百五十億円に国民の批判を浴びた公的資金を導入することになったわけですね。残りの五千三百億円は住専処理機構に贈与という形で処理をされた。

 なぜ贈与という形をとったのか。実は、その農業協同組合法第三十三条の二に「理事がその任務を怠つたときは、その理事は、組合に対して連帯して損害賠償の責めに任ずる。」とあるのですね。その責任逃れのために贈与という形がとられたのじゃないですか。

須賀田政府参考人 ただいまも御答弁申し上げましたけれども、住専の設立の経緯でございますとかその性格、あるいは住専が破綻に至りましたその原因、それから当時、たしか二回、再建計画があったわけでございますけれども、そのときには、母体行が責任を持って再建するからということで、系統機関は貸し金を引き揚げなかった等あるいは金利減免に協力した等の経緯がございます。そういうことで、住専の経営には全く関与してこなかった農協系統が、住専の経営責任という問題についてはこれを問うことはできないという考え方があったわけでございます。

 しかしながら、農協系統といえども、我が国の金融システムの重大な一翼を担っておりますし、住専にお金を貸していたというのも事実でございまして、金融システムの安定確保という観点から農協系統が協力をしたということが、他の金融機関が債権放棄であるのに対しまして、農協系統は贈与という協力の形態をとったものでございます。

楢崎委員 系統独自の判断で贈与という形がとられたのですか。

須賀田政府参考人 平成七年の夏ごろから、この問題については、まず母体行サイドと農林系統サイドで話し合いが持たれまして、当事者間の解決が模索されてきたわけです。たしか五回ほどの話し合いが行われました。それでも責任の問題について結論が出なかったということで、与党政策調整会議というのが十二月の初めにガイドラインを示しまして、それに基づきまして、再度、農林水産大臣あるいは大蔵大臣、両大臣が協議をいたしまして、我が方は系統とぎりぎりの調整を行いまして、農協系統としてぎりぎり協力できるラインといたしまして五千三百億円の拠出というものが決まったものでございます。

楢崎委員 行政指導がなされたのじゃないですか。

須賀田政府参考人 金融機関が住専のロスの穴埋めのために幾ら出せるかということでございますので、話し合いは行いましたけれども、最終的には農協系統の判断で拠出額は決まったものでございます。

楢崎委員 公式にも贈与と言っている以上、税務当局は贈与税をかけるべきであったと思うんですが、なぜ課税の対象にならなかったのですか。

村上政府参考人 一般論でお答えさせていただきたいと思います。

 法人税法上、法人が資金の贈与や債権放棄、これはいずれも資産の減少でありますから同じ法律効果でありますが、そういったことを行った場合における経済的利益の供与につきましては、経済的合理性がない場合には、その法人におきまして寄附金課税の対象となりますが、経済的利益の供与につきまして、経済的合理性がある場合には、損金算入されると解されております。

 例えば、法人が子会社や取引先等を整理するために資金の贈与をした場合におきまして、そうしなければ、今後より大きな損失をこうむることが社会通念上明らかであると認められる場合など、その資金贈与をしたことにつきまして、経済的合理性がある場合には、これは寄附金課税の対象にならず損金算入されると解されます。

楢崎委員 そげな理屈は国民はわからぬですよ。当時、国民は、農協系は税の秩序をもひっくり返す、こういうことを言っていたことを頭の片隅にでも置いておいてくださいよ。村上部長、ありがとうございました。もういいです。

 そこで、農協系統は大体どのくらいの不良債権を抱えているのですか。

須賀田政府参考人 不良債権についてのお尋ねでございます。

 農協、信連、農林中金の十一事業年度末のリスク管理債権の総額でございますが、二兆八千五百一億円でございまして、前年度に比べまして三千三百九十五億円増加をしております。

 これがどの程度かということを他の金融機関、他業態と比較をいたしますと、この二兆八千五百一億円、リスク管理債権の総資産に占める割合でございますけれども、農協が一・四%、信連・農林中金が一・七%ということでございまして、全国銀行の総資産に占める割合が三・九%でございますので、これよりは低い水準にあるということでございます。

 そして、このリスク管理債権に対応いたします貸倒引当金の残高でございますが、農協が四千六百億円、信連・農林中金が八千五百九十億円ございまして、いずれも前年度より増加傾向にございますけれども、リスク管理債権に対する引き当て率というものを見てみますと、農協が四一・二%、信連・農林中金が四九・六%ということでございまして、全国銀行の四〇・三%を超える水準ということになっているところでございます。

楢崎委員 農協のペイオフ対策が成功するか否かはこの不良債権処理にかかっていると思うんですね。これまでどのような処理策が講じられてきたのか、また、今後どのような責任ある処理策が講じられるのか、考えを聞かせていただきたいと思います。

須賀田政府参考人 これまで問題のある農協が発覚をいたしました場合には、まず、その農協独自で処理できるか否かというのを検証いたしまして、農協独自で処理できないという場合には、県下一円の支援体制をとる。県内でも救済ができないという場合には、全国相互援助制度、相援制度がございますので、それに基づきまして全国からの援助制度をとるということでございまして、その場合には、基本的には県内で全体の処理額の三分の二までは持てというような系統独自の水準で来たわけでございます。

 しかしながら、来年四月からペイオフ解禁ということになっておりまして、系統信用事業の健全化ということが何よりも大事であるということでございまして、農協系統におきましては、経営困難な農協を来年の四月までに解消しようということを決定いたしまして、積極的に取り組むということにしているところでございます。

 従前との違いにつきましては、まず第一に、不良債権の最終処理を行うために、農協等の不良債権の買い取り・回収を専門的に行います系統サービサー、系統債権管理回収機関でございますけれども、これを設立いたしまして八月から営業を開始するということになっております。

 また、不良債権等によって経営困難になっている農協の処理に対するこれまでの基準を改めまして、全国相援制度の発動要件、これは地元負担が、先ほど申しました原則三分の二ということになっておったわけでございますけれども、これを原則二分の一、あるいは二分の一未満でも、県内の信用事業再構築を前提に体力に応じた負担をする場合には全国相援制度の発動が可能なようにするというふうに改めたのが一つでございますし、いわゆる貯保、農水産業協同組合貯金保険機構でございますけれども、ここも問題農協に資金援助を積極的に行う、こういうことで、系統が来年の四月までに問題農協の解消というものに努めるということにしているところでございます。

楢崎委員 現在、貯金保険機構の準備金は幾らぐらいありますか。

須賀田政府参考人 貯金保険機構は、農協、漁協等から徴収した保険料を財源として運営されておりますけれども、そのストックであります責任準備金は、十三年の三月末現在で千九百八十六億円、約二千億円となっております。

 これを一般の金融機関の預金保険機構と比べますと、預保の責任準備金がたしか十二年の三月末でマイナスの一兆八千九百六十八億円、借り入れをしておるということでございますけれども、そういう状況になっておりまして、これに比べるのがいいのか悪いのか、これに比べますと、貯金保険機構は健全な運営をしているということでございます。

 このほかに、先ほど申しました自主的な積立制度として全国相互援助制度というのがございまして、全国レベルでことしの三月末でたしか三百五十億円の基金がございまして、これをたしか五百億円に引き上げる予定と聞いております。

 これで十分かということでございますけれども、これから問題農協を全中、農林中金とともに発見をして早期に是正をしていくということでございまして、確定的なことを申し上げるわけにはいきませんけれども、これだけの責任準備金を用意し、いざとなれば借り入れもできるということでございますので、対応は可能というふうに考えております。

楢崎委員 私、準備金がどのくらいあるか聞いただけであって、それは次の質問でしょうが。まあいいでしょう、次の質問まで答えられたから。

 不良債権を抱えた農協は、やはりみずからの努力で処理するか減資するかの努力をしなければ清算の対象になるという強い姿勢で指導しなければいけないと思うんですね。そういう意味において、農林中金の指導力強化は大切な問題であろうと思います。

 しかし、出資者である信連、信連への出資者である農協、これらに対して強い指導が行われるかどうか疑問に思うのですが、どうでしょうか。

須賀田政府参考人 率直に申し上げまして、先生がおっしゃるとおり、中金と例えば会員の信連の力関係を見ますと、やはり信連の方が強いというようなことが見られます。

 こういうような状況のもとで、信連あるいは単協への強力な指導ができるかということについて確かに危惧もございましたことから、今回の法改正の中で創設をしようとしております新たな農協金融システムの中で、農林中金の会員でございます農協あるいは信連の意向を踏まえて、問題農協を早期に発見するための自主ルール、基本方針というものをつくるということにしておりまして、このつくられた自主ルールに従いまして農林中金が末端の農協に対して指導をする。最初はいろいろ混乱もあろうかと思いますので、全中等の協力も得ながら末端の農協に対して指導をしていく。そのもとになる自主ルールは会員の意向が反映されたものでございますので、何とかこれで強力な指導ができるのではないかというふうに思っている次第でございます。

 そして、この指導に従わないような場合には、先ほど申し上げましたような全国相互援助制度、今度法律の中で、全国相援の基金を造成する法人を指定支援法人として指定をするということにしておるわけでございますけれども、農林中金の指導に従わない場合にはそういう支援が受けられないということとなりますので、農林中金の指導についてはこれまでにはない強力な担保ができるのではないかというふうに考えている次第でございます。

楢崎委員 私はやはり、この法案で今答弁されたことが担保されているのかどうかということについて疑問に思うんですね。さらなる法整備が必要ではないかと考えていることを申し述べておきます。

 そこで、さきに述べましたように、八九年から九〇年のバブル末期、農協系統が戦略のないままにバブルにのめり込んで、多額の不良債権を抱えると同時に体力、信用力もがた落ちしました。この改正案でもってバブル期からの決別ができると自信を持って言えますか。

須賀田政府参考人 おっしゃられますように、バブル期におきまして、典型的には住専問題があったわけでございますが、農協系統だけではなくて、全金融機関の体力でございますとか信用力に大きな影響があったわけでございます。

 一般的に申し上げますと、農協系統金融機関は、一般金融機関に比べますと貯貸率が低かったこともございまして、結果的には、不良債権による傷というのは一般金融機関に比べればそれほど大きくはなかったわけでございます。

 しかしながら、今後のことを考えていきますと、今後の厳しい金融情勢の中で十分な競争力を確保していけるだけの体制が整っているかどうかにつきましては、やはり心配な面があるわけでございます。特に、これまでやはり、農協、信連、中金がそれぞれ独立して業務を行ってきたということでございまして、せっかく系統という名がついておりますのに、系統機関全体としての総合力が十分に生かされていなかったという面があるわけでございます。

 そこで、今回法律を改正いたしまして、先ほど来申し上げておりますように、問題のある農協、信連を早期に発見するようなルールとそれに基づいた指導、そしてその指導に基づきます資金援助、この三つを組み合わせました事後救済制度をつくるというのが今回の法律改正の一つの柱でございます。

 また、その事後救済ではなくて、個々の業務運営に当たりましても、JAバンクシステムというような一つのネットワークシステムを単協から農林中金に至ります間において完備をいたしまして、貸付審査体制と申しますか、そういう融資体制を整えるということにしております。あと、系統自体の努力と相まちまして、何とか一人前の金融機関になってほしいというふうに思っている次第でございます。

楢崎委員 やはり原点に戻って徹底した経営責任の追及、そしてリストラを含む自己改革をやらないと、信頼、信用は回復しないと思います。

 先ほど、土地改良区による自民党費の立てかえが問題になりましたけれども、まさか農協はそんなことないですよね。

須賀田政府参考人 今までのところ、そういう事例は伺っておりません。

 土地改良区との違いでございますけれども、裁判所の判例等によりますれば、土地改良区は強制加入で脱退が許されないというようなことがあって、脱退の自由がないのですが、憲法の保障いたします思想、信条の自由からいたしまして、そういう立てかえというような行為は許されないということになっているわけでございまして、農協の場合は加入、脱退が自由でございますので、その仕組みの違いはあるとは思いますけれども。

 いずれにいたしましても、現在までのところ、そういう事例は私ども承知をしておりません。

楢崎委員 まあ、形を変えて行われているんでしょう。

 言うまでもなく、農協系統金融機関は、農協、信連、農林中金、この三段階のピラミッド型になっておるわけです。農協は、組合員から集めた貯金を組合員に貸し出した後、残った余裕金の三分の二を信連に預ける。定款では三分の二条項となっていますけれども。

 熊本県のある農協では、この三分の二条項を定款から撤廃したんですね。つまり、信連以外の金融機関にも運用できる道を開いた。言いかえれば、その農協は、トップから平まで専門家集団である銀行を信頼したんですね。さらに裏を返せば、信連を信頼できない、金融に対して素人の方に資金の運用を任せられない、そういうことのあらわれであろうと思いますけれども、こういう事例はどう思われますか。

須賀田政府参考人 私どもがこれまでつくっておりました模範定款例によりますと、先生言われるように余裕金の合計の三分の二以上を上部機関に預けるようにというような規定がございました。この模範定款例はあくまでも模範定款例でございますので、必ずしも拘束力はないわけでございまして、私どもも、具体的に農協が定款で三分の二という数字を定めていない事例を承知しております。

 これが信連に対する不信のあらわれかどうかということについては私どもも推測できないわけでございますけれども、いずれにしても、今回の改正で信連の金融業務体制を完備するということが必要というふうに思っておりまして、信連につきましては、経営管理委員会というものを導入する、日常の業務、理事にはその専門家が当たるというような体制を整えることにしておるところでございます。

 そしてまた、今後は、やはり農協系統の自己責任ということが重要なことになろうかと思っておりまして、この模範定款例も中央会が今後は定めるということにしておりまして、三分の二云々にこだわらず、自己責任で運用をしていただきたいというふうに考えている次第でございます。

楢崎委員 農協は組合員に対して、営農貸し越し口座、これを導入しているんですね。これは組合員の保有農地の時価によって貸出枠が決まる。ところが、貸出枠が満杯になっても、それを長期貸し付けに切りかえて新たに貸出枠を与える、借りる方はまだ借りられるのかと思って借りる、これが一つの不良債権になっていくわけです。後のことを深く考えないで借りる方も借りる方ですけれども、このような貸し方、これは言葉は悪いかもしれませんが、営農貸し越し口座制度を悪用しているんじゃないかという気がするんですが、いかがですか。

須賀田政府参考人 お話しの営農貸し越し口座制度でございます。

 これは、もともとは農家の収入、出来秋にしか収入が得られないということで、農家の資金繰りの利便性を確保するために設けられたものでございます。年度当初にその農家の経営状況等を把握いたしまして、極度額、貸し越しの限度額を定めまして、その範囲内で必要な資金の貸し越しを行いまして、出来秋の販売代金で処理をする、清算をする、こういう、本来は農家の資金繰りのための制度だったわけでございます。

 こういうことを利用して、先生言われたように、販売代金で清算されなかった場合に、証書貸し付けにかえておいて、再びまた極度額利用の営農貸し越しをして、農家がふと気づいたときには負債がたまっているという事例、これはもう随分前から、北海道等を中心に、我々にも何とかしろという要請がございました。

 農協は、本来、組合員に対していろいろな面のサービスをする組織でございまして、やはり営農状況に応じた指導というのが基本にならないといけないというふうに思っておりますし、いやしくも、どういう状況にありましても返済不能な負債というものが発生しないようにすることが重要であるというふうに考えておりまして、このことについて系統ともども適切な指導を行っていきたいというふうに考えております。

楢崎委員 個々に不良債権は幾らぐらいあるんですか。

須賀田政府参考人 申しわけございませんが、販売代金で清算されずに、さらに証書貸し付けに振りかえられずにこの営農貸し越し口座に滞留する不良債権がどのぐらいあるかということは把握をしておりません。

楢崎委員 私、農協にも見込み違いがあったと思うのですね。一つは、農地価格が下がったこと。もう一つは、やはり新食糧法の導入で米の価格が下がったことであろうと思います。それと、農協の貸出金利が高かったということはありませんか。

須賀田政府参考人 営農貸し越し口座は、先ほども申し上げましたように、出来秋の販売代金で清算するという仕組みではございますけれども、一般の貸出金に比べますと担保の徴求といったものも厳格には行われておりませんし、その資金の使途についても、営農だけではなくて、生活あるいは事業といったような面の資金についても対象としているケースが多いわけでございます。こういうふうに、資金使途の制約がないとか、あるいは担保の徴求も厳格に行われないというようなことがありまして、一般の農協貸出資金に比べますと高目の金利設定がなされているケースが多いというふうに私ども聞いております。

 私どもは、この営農のための運転資金といたしましては、認定農業者に対する制度資金としてスーパーSというのを用意しておりまして、農協系統独自にも全国統一ローンの営農ローン等ございますので、できれば金利面で有利なこれらの資金の活用を進めていくことも重要なのではないかというふうに考えている次第でございます。

楢崎委員 九五年当時の金利は六%なんですね。それに比べて、当時の市中銀行の貸出金利が長期の固定金利で三・二%、変動金利で二・八%、これに比べてやはり高いですよね。やはり結果として、ここにも、組合員を守るべき農協が組合員を泣かせている、その実態の一つがあると思いますよ。

 次に、農協の経済事業ですが、当然農家の購買未収金等があると思います。そういう経済事業未収金を安易に、先ほども言われましたけれども、証書貸し付け等でもって事実上支払い繰り延べしている、これがまた一つの不良債権の原因となっているのではありませんか。

須賀田政府参考人 購買未収金、すなわち農家に販売をいたしました飼料だとか肥料だとか農機具でございますとかその他の生産資材の代金が予定をされております清算期に返済されないといった場合には、その購買未収金を融資に切りかえるというようなケースも私ども承知をしております。

 いわゆる不良債権というのは、初めから農家向けに貸し出された融資のほかに、こうした購買未収金から端を発したものもあるとは思われますけれども、私どもそれを数量的に把握しているわけではございませんで、先ほど来申し上げておりますように、やはり農協自体が組合員農家の営農の状況、生活の状況を把握できる立場にあるわけでございますので、いろいろなケースを含めて、返済不能な状況にならないよう適切に指導するということがやはり原点ではないかというふうに考えている次第でございます。

楢崎委員 信用事業から始まって、いろいろな部門での不良債権全体として、大枠だけでもつかんでおられないのですか。

須賀田政府参考人 ディスクロージャーとかそういう制度が整っておるのが金融関係でございまして、金融関係以外の負債の状況というのは、申しわけないのですけれども、把握をしていないわけでございます。

楢崎委員 調査すれば出てくるのですか、その数字は。

須賀田政府参考人 突然のお尋ねでございますけれども、恐らく経済事業は、金融のようにちゃんとした条件で、こういうふうに貸していて、それが六カ月ほど延滞しているだとか、あるいは相手の財務状況を見ると破綻の懸念があるだとか、そういうような峻別が技術的に非常に難しい。そういうこともございますし、金融業務のように、ちゃんと我々が検査に入ってほじくり出してという、検査をするというのもなかなか難しいのじゃないかと思われまして、研究はしてみますけれども、なかなか難しいんじゃないかというのが第一感でございます。

楢崎委員 事実というか、その実数がわからぬと改革のための作業なんてできぬじゃなかですか。

 それで、今研究するということですので、委員長、その研究の結果を委員会に提出していただけるように協議していただけませんか。

堀込委員長 後ほど理事会で取り上げさせていただきます。

楢崎委員 共済事業についてお伺いします。

 今、民間生保では利率の引き下げということも検討の範疇に入っている、そのように聞くのですけれども、農済の方は下げる意思はないのですか。

須賀田政府参考人 私どもも、新聞情報を含めまして、保険事業をめぐる状況が非常に厳しい、その健全性の確保ということが非常な懸案になっているということは承知をしております。

 この農協の共済でございますが、特にほかの生損保と同じように低金利が長期化をしているということで、過去の高金利時代に契約した共済契約というものに逆ざやが生じておるという状況にあるわけでございますけれども、状況を見てみますと、他の事業剰余でこの逆ざやを補てんいたしまして、責任準備金というものが積み立てられている状況にございます。

 具体的数値で申し上げますと、十一年度決算で三千五百三十四億円を契約者に割り戻し金として、これは普通の会社でいえば配当金に当たるわけでございますけれども、別途計上をしている状況にございますし、いわゆるソルベンシーマージン比率を見ますと七二七%ということで、他の保険会社に比べまして遜色がないということで、当面その健全性は大丈夫だとは思いますけれども、この逆ざや問題というのは、共済事業におきましても経営上の重要な問題というふうに認識をしておりまして、今後、その健全性の確保あるいは契約者の保護という観点が非常に重要になってくるというふうに思われます。現在の保険関係における検討状況を見ながら、法制度のあり方についても真摯に検討をしていきたいというふうに考えております。

楢崎委員 県共連との統合によって、資金運用規模も大きくなったと思います。それがゆえの健全性の確保といいますか、監査はどうしているのですか。

須賀田政府参考人 昨年の四月に四十七県共済連と全国共済連、全共連が統合をいたしまして、総資産額が三十五兆円ということでございまして、大手の生命保険会社並みの規模になったところでございます。

 監査のお尋ねでございまして、昨年の四月の統合に合わせまして、監事を四人から六人に増員した、特に常勤の学経監事についても一名から二名に増員をするということで、内部の監査体制を強化した。さらに、今回の改正におきまして、全共連を中央会監査の対象連合会というふうにしたところでございまして、公認会計士を帯同いたしました中央会による外部監査が行われるということでございまして、監査の強化を図ったところでございます。

楢崎委員 その全共連の資産運用状況、それから経営状況を聞かせていただけますか。

須賀田政府参考人 全共連の資金運用でございます。

 対象が約三十年に及びます長期間の支払いを約束しているわけでございまして、そういう特性に配慮をして資金運用が行われるべきというふうに考えているところでございます。そして、長期安定的な利息配当収益を目的とした国債、地方債、社債による運用が全体の六割を占めておりまして、貸付金が一割ということでございます。今ちまたでうわさになっている株式でございますけれども、これは二%ということでございまして、ほかの生命保険会社に比べますと株式がけた違いに小さいということでございます。

 こういうことで、運用の状況ということを数字で見ますと、十一年度決算は、経常収益四千百四十六億円、そして、先ほど申しました、翌年度に契約者に割り戻し金として、配当でございますけれども、支払う三千五百三十四億円等を控除した当期剰余が五百億円というふうになっているわけでございます。

 なお、保険会社の健全性をあらわす指標、先ほどのソルベンシーマージン比率は七二七%ということでございまして、大手生保並みの水準にあるということでございます。

楢崎委員 共済金が一億円以上の人たちを億友会という名前のもとに組織しているということを聞いたんですが、その実態は把握してありますか。

須賀田政府参考人 農協の中には、一億円と限らず、高額の共済契約者によりまして共済億友会、友の会といった任意の集まりを組織いたしまして、会員相互の親睦でございますとか、共済に関する情報提供を行っているんだという事例があることは承知をしておりますけれども、詳細については承知をしておりません。

楢崎委員 いずれにしましても、無理な共済加入の促進が行われているのではないかと心配します。

 次に、農協役員の兼職、兼業の禁止について伺います。

 まず、本法案の禁止規定を設けるその理由についてお聞かせください。

須賀田政府参考人 兼職、兼業の規制でございます。

 これは、経緯がございまして、先ほど御説明申し上げました住専問題に際します農協改革法、平成八年の改革でございまして、このときに兼業、兼職の規制というものを入れたわけでございます。

 この際には、信用事業を行う組合の代表と常勤理事等について、他の法人の常務に、常勤でございますけれども、従事することを原則として禁止するということにして、行政庁の認可を受けた場合には例外的に兼職、兼業ができるというふうにしたわけでございます。

 しかしながら、農家組合員からは、こうした規制ではなかなか組合員メリットが出るように常勤役員が真剣に職務に取り組まないのではないかという批判がございまして、今回、兼業、兼職規制をさらに強化するということとしたことでございます。

 具体的には三点ございまして、一つは、信用事業を行う常勤役員というのが現行規定でございますけれども、信用事業を行っていない組合の常勤役員も対象にするということが一点でございます。

 それから、禁止対象となります兼業先を、他の法人の常務、常勤から職務というふうに変更いたしまして、非常勤の職務につくことも原則として禁止するということでございます。

 そして三点目といたしまして、例外の認可制というのを廃止いたしまして、許容される兼業先の職務は省令で限定列挙するというふうにいたしまして基準の明確化を図り、そこで限定列挙されたもの以外には一切兼職できないというふうに変えたわけでございます。

 これによりまして、責任ある業務執行体制が確立されるものというふうに考えております。

楢崎委員 本法案の第三十一条の二に該当しますが、「ただし、」以降、では、全面禁止とはしないで省令による例外規定を設けたのはなぜなんですか。

須賀田政府参考人 こういう厳しい業務環境の中で、組合員メリットをできるだけ大きくするということのためには責任ある業務執行体制というものが必要でございまして、そのためには、日常的な業務執行に当たる役員はその職務に専念するということが重要でございまして、この観点からは、他との兼職はできるだけ禁止するということが望ましいわけでございます。したがいまして、例えば、単協と連合会の両方の日常的業務執行を行う役員を兼ねるというようなことは禁止をするというふうにしているわけでございます。

 一方、連合会というのも協同組織でございまして、会員でございます単協の意思を反映するような業務執行体制、あくまでも自主的協同組織でございますので、会員の意向を反映した業務執行体制というようなものも重要でございますので、例えば、連合会の日常的な業務執行をしない経営管理委員、こういうものには単協の常勤役員等が兼職するようなこともできるのではないか、支障がないのではないかというふうに考えたわけでございます。

 今法律上例示いたしましたのは、連合会の経営管理委員との兼職は可能、その他省令で定めるということにしておりますけれども、その基準といたしましては、やはり常勤についておりますその職務の専念に支障を与えないということが一つ、二つ目には、その兼職先がJAあるいは農業界にとって必要かつやむを得ないものである、その二つの基準で選んでいきたいというふうに考えているわけでございます。

 ただ、今後ますます厳しさが増すということで、この兼業問題というのは重要な問題であるというふうに受けとめておりまして、情勢の変化に応じまして今後そのあり方を真摯に検討していきたいというふうに考えている次第でございます。

楢崎委員 最初の答弁と理念の矛盾を感じるんですよね。現場の声を聞けば、例外規定を設けてくれというのは取るに足らぬ理由なんですよ。私は、例外規定を設ける根拠は薄いと思います。むしろ全面禁止の方がすっきりすると考えるんですけれども、どうですか。

須賀田政府参考人 例えば単協の職務の専念ということだけを考えれば、先生の言われるように、兼職を一切禁止するというような考え方もあろうかと思うわけでございますけれども、具体的に、例えば連合会の会長が何か問題が生じた場合に一定の指導を行うという際には、やはり自分の出身農協が率先垂範してそういう指導に即した行動を行っているんだというようなことをしないと、なかなかほかの系統の方々が従ってくれないというのが実態でございます。

 そういうような実態も踏まえまして、先ほど言いましたように、一つは職務専念に支障を与えない、二つ目にはJAあるいは農業界の振興に資する、こういう基準で例外を認めるということは現時点ではやむを得ないのではないかということでございまして、具体的には、中央会の理事でございますとか、農業委員とかあるいは審議会の委員でございますとか、こういうものについては例外にする方向で検討をしているところでございます。

 ただ、先ほども申し上げましたように、これは固定というのではなくて、今後の情勢変化に応じましてあり方について不断に検討を加えていく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。

楢崎委員 理由にならぬですよ。私は納得できません。

 本法案では系統内の禁止規定にとどまっていますけれども、農協のトップに首長または地方議員がなっている、またはなっていたという事例はありますか。

須賀田政府参考人 ちょっと古い資料で恐縮でございますけれども、全中の調査によりますと、平成十一年の四月一日現在で、地方公共団体の議員についている農協の組合長でございますが、都道府県議会議員が十八人、市町村議会議員が八十五人、合わせて百三人となっております。

 また、市町村長で、兼職についての行政庁の認可を受けている農協の組合長は、各県からの報告によりますと、三名ということになっておるところでございます。

楢崎委員 一九九八年の九月に石川県のある市長が、その市が発注した公共工事をめぐる収賄事件で逮捕されるという事件が起こったんですけれども、この方は、農協組合長等々多くの公職を兼職すると同時に、政府の審議会委員でもあったと聞くんですけれども、補助金を出す方が一方では受け取る方のトップというのはどう考えてもおかしいですよ。

 この首長、地方議員の兼職についてもそれなりの配慮が必要だと思われますけれども、どう考えられますか。

須賀田政府参考人 先ほど申し上げましたように、これまでは、兼業規制は他の法人の常務、常勤としてつくことが禁止ということで、地方議会議員の場合は、常勤ではない、非常勤ということで兼職が認められてきたわけでございます。また、首長も例外的な認可ということで兼職を認めてきたわけでございます。

 今回は兼職規制の対象を、先ほど申し上げましたように、常務から職務というふうに変えます。地方議員のような非常勤の職務につくことも原則禁止ということにするわけでございます。例外の認可制も省令で基準の明確化を図るということにしておりますので、今後は、首長でございますとか地方議員との兼職は一切できないということにすることとしております。

楢崎委員 次に、経営管理委員会の設置の義務化についてお尋ねします。

 経営管理委員会の存在は理事会に屋上屋を重ねるものではないかという議論もあるんですけれども、この設置の趣旨についてまずお聞かせください。

須賀田政府参考人 一般論でもございますけれども、高度で専門的な業務を行う業務執行体制というものを考えますと、やはり意思決定をする役員と業務執行に当たる役員が相互に牽制をしながら行っていくというのが、農協のみならず一般の企業活動における原則のようなものになっているわけでございます。

 そういう状況を踏まえまして、今回経営管理委員会の設置を義務づけるわけでございますけれども、まず、組合員代表の経営委員が重要な意思決定をいたしまして、経営管理委員会が選任をいたします理事が日常的な業務執行をする、こういう体制で、他業態との競争の激化、業務が高度化、複雑化をしている状況への対応をいたしまして、組合員メリットができるだけ大きくなるような業務執行を行っていこうというのが今回経営管理委員会を連合会に義務づける理由でございます。

楢崎委員 本法案では、単協は経営管理委員会を置くことができる、このようにされているわけですね。私は、趣旨からすれば、一定規模、これは三十七条の二にある、政令で定める規模、つまり貯金高五百億円以上ですか、この一定規模の農協にもこの制度を義務づけるべきであると考えるんですけれども、そうしないのは何か理由があるんですか。

須賀田政府参考人 信連でございますとか全国連は、まず一つは、業務執行が非常に高度かつ複雑であるということがございます。そして、その会員でございます多くの農協あるいは連合会のために事業を行っておりまして、一たんその経営が破綻をいたしますと、傘下の農協、連合会等に影響が及ぶということでございます。それから、現実に連合会の理事の多くが農協の組合長を兼ねておりますけれども、農協の日常的業務執行を行いながら連合会の日常的業務執行を行うというのは実際には不可能でございます。こういうことで、信連あるいは全国連におきまして経営管理委員会の設置を必置というふうにしたわけでございます。

 農協の場合、単協の場合でございますけれども、業務の性質が高度かつ複雑云々、そういう特別の事情がないわけでございますし、それから、農協は農協で、信用事業を行う農協については、信用事業の専任理事一人以上を含めまして常勤理事を三人以上置くということを義務づけておるわけでございます。単協はいろいろな事業をしているわけでございまして、経営管理委員会を設置するかどうかということは、このような事情を踏まえて、農協の規模、事業内容を踏まえて各農協が決定できるようにという法制度にしたわけでございます。

 したがって、現時点では、経営管理委員会を農協に義務づけるということは考えておりませんけれども、先ほど来申しましたように、今後のあり方といたしまして、農協に関する業務あるいは組織等の状況の変化等があれば、その時点でこの問題についても検討をしていきたいというふうに考えている次第でございます。

楢崎委員 ぜひ今後の検討課題にしてください。

 本法案三十条の二の第三項にある経営管理委員の四分の一までは正組合員以外の者でもよい、一歩前進だとは思いますけれども、しかし、委員になれたとしても正組合員ではない、つまり正組合員と対等ではないわけです。そうであれば、正組合員の意見が優先されるということにはならないですか。

須賀田政府参考人 今回、経営管理委員の四分の一を正組合員以外の者でもよいというふうにいたしましたねらいでございます。

 現行の制度では、経営管理委員がすべて正組合員でなければならないというふうになっているわけでございますけれども、実情を見ますと、実際は、農業の担い手でございますけれども正組合員ではない青年農業者でございますとか女性の方々が経営管理委員になれない、その声が業務執行に届かないというような批判がございました。こういうような要望を踏まえて、こういう青年後継者、女性、正組合員でない方々が経営管理委員になれるように、四分の一までは員外でも構わないというふうにしたわけでございます。

 お話しのように、この規定で員外の意思に乗っ取られるおそれがあるかどうかでございますけれども、定数の四分の一以内ということにしておるわけでございまして、経営管理委員会の定足数が定数の過半ということを踏まえましても、員外の意向に支配されるということはないというふうに承知をしているところでございます。

楢崎委員 私は、農業経営の担い手である青年部、女性部の代表者にすっきりと正組合員の資格を与えて参画できるように、一戸複数組合員制の普及に努めるべきだと考えるのですけれども、見解を求めます。

須賀田政府参考人 理想的には、先生おっしゃるように一戸から複数の組合員を出すということが理想ではございます。ただ、現実の問題を考えますと、やはりその世帯の中で正組合員になっている者がいる場合には、青年後継者ですとか女性は、正組合員になるためには出資が要るわけでございますので、実態問題なかなか正組合員になれないという状況がございますので、今回、四分の一までは経営管理委員に正組合員以外の者がなれるというふうにしたわけでございます。

 私はやはり、先生が言われる一戸複数組合員制の普及と目的は一緒でございますので、両々相まって、青年農業者とか女性の声が農協の業務執行に反映されるように努めていくのが本筋ではないかというふうに考えているところでございます。

楢崎委員 農協合併に関する件で質問をいたします。

 合併によって貯金量が六千五百億円というマンモス農協も誕生したわけです。これだけ大きくなりますと、第二地銀の下位銀行に匹敵しますし、農協本来の営農活動よりも地域金融機関としての色合いがどうしても強くなるのですね。そしてまた、農家は組合員というよりも金融機関の顧客という位置づけになってきている感じがいたします。

 その農家の総所得構成に占める純然たる農業所得は二〇%にも満たない。現実的に農協信用事業を支えているのはもう農業所得ではないのですね。兼業先の給与、家賃などの農外所得、あるいは年金、あるいは農地売却代金なんですね。貸し付けもまた、農業向け貸し付けは二割、あとは非農業資金となっている。要するに原資、貸し付けとも、もう農業離れを起こしていると思うのです。

 今日まで農協職員の中には、営農で失敗しても信用事業がある、信用事業が失敗しても国が何とかしてくれる、このような甘えがあったと思います。またそういう信用事業への依存の強さが農協をおかしくしてきた、このように思います。

 この際、農協の体質の健全化を図るためにも、もうそろそろ信用事業を農協業務から分離することも検討の視野に入れる時期に来ているのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。

須賀田政府参考人 農協から信用事業を分離せよという御意見、前々からあるわけでございます。一つは、金融機関として専門性を有するのならば、総合事業体よりも金融機関として単独の組織体であった方がいいのではないかという観点、もう一つの観点は、先生今言われたように、営農指導だとかそういうものをおろそかにして信用事業に特化しているのではないかという観点、ということで、農協から信用事業を分離せよという御意見があるわけでございます。

 そういう視点からだけ考えれば確かにそういう御意見もうなずけるところがあるわけでございますけれども、一方、現実に農協というものが農家組合員に対してその欲する便益を総合的に供与する組織体である。それは、欲するところは経済事業であったり共済であったり信用であったりするわけでございます。そういう、農家が欲するところのサービスを総合的に供与する組織体であるという性格、そして考えてみますと、同じ組合の組織が金融、経済、何とかというふうにできても非効率であるわけです。税金一つとっても非効率であるわけでございます。

 そういうことで、やはり形態としては総合事業体という協同組織体を維持しながら、その中で金融業務としての健全性、それから農協の原点である営農指導の充実、そういうものを図っていくということが現実のあるべき政策ではないかというふうに思料をしているところでございます。

楢崎委員 私は思うのですよ。優良農協と赤字農協との違い。これは営農にまじめに取り組んでいるかどうかでも差が出ているのですね。その実態も承知しているところです。とにかく農協は農家のために存在する、この初心、農協本来の姿に戻るためにも、私はやはり信用事業を分離していく必要があるのではないかと考えています。

 そこで、貯金高が大きな農協がふえてきているのですけれども、そういう貯金高も含めた会計の監査体制といいますかチェック体制はどうなっていますか。

須賀田政府参考人 平成八年の農協法改正におきまして、他の金融機関と同等の健全性の確保が必要であるということで、信連と、一定の貯金量、このときは一千億円でございますけれども、一定の貯金量以上の農協に系統内の外部監査でございます中央会の決算監査が義務づけられたところでございます。

 そして今回、ペイオフ解禁が直近に迫っているというような情勢等を踏まえまして、農協事業の一層の健全性を確保するという観点から、本年の四月から、中央会による決算監査が義務づけられている農協について、その適用基準を貯金量一千億円から五百億円に引き下げたということで、対象農協の拡大を図ったところでございます。

 さらに、今回の法改正におきまして、信用事業を行わない連合会についても、一定規模以上のものについては中央会の決算監査を義務づける等の措置を講じたところでございます。

楢崎委員 都道府県の農協検査は、もともと信連会長とか農協組合長とかいうのは、地方政界の重鎮といいますか、もしくはその重鎮につながる方々が多いですから、政治的に骨抜きにされるおそれがあるのですね。一方、農協中央会の監査は、これは身内の監査ですから、信頼性に乏しい。私はそういう検査、監査のチェック体制の甘さが不良債権の被害を大きくした一面もあると思っています。

 そこで、本当にそういう監査機能を強めるのであれば、そしてまた組合員の信頼を得るためにも、外部監査、例えば公認会計士とか監査法人とかを委託して監査証明をとるとか、そういう外部監査の導入が必要だと考えるのですけれども、それはどう考えられますか。

須賀田政府参考人 中央会の監査でございますけれども、沿革をたどりますと、昭和十三年の産業組合自治監査法、たしかそういう名前だったと思いましたけれども、それ以来、系統の中では中央会の監査は外部監査というふうに位置づけられてきたわけでございます。

 ただ、この中央会の監査を、先生言われたように、公認会計士監査と同等のレベルにする必要があるということで、平成八年の農協法改正におきまして、中央会に公認会計士を置くことを義務づけたわけでございます。

 この結果、県中そして全中において公認会計士または監査法人との契約が締結をされているということでございまして、監査結果の審査会には公認会計士の参加を求めて監査精度の向上を図っているということでございます。

 今回、さらに、この公認会計士の活用を行っていくために、農協系統におきましては、まず、全国連の監査については監査法人を全面的に活用する、信連の監査については公認会計士を必ず帯同する、大規模なJAの監査については公認会計士を可能な限り帯同するということで、公認会計士の積極活用を行っていくということにしたわけでございまして、公認会計士と同等レベル以上の監査精度が確保されるというふうに考えているところでございます。

楢崎委員 この外部監査導入、つまり監査の強化体制については今後も強く要求していきたいと思います。

 そこで、農協の合併問題ですけれども、目標よりおくれている。一つは、合併の方式といいますか基準が確立されていないことに問題があるのではないかと思うのですね。

 つまり、不良債権を抱えた農協を救うために優良農協と合併させるケースが多い。これは、赤字農協も健全農協も平等主義による対等合併が原則となっていることに問題があるのではないかと私は思うのですよ。

 やはり過去において合併無効訴訟が起こったのですね。これは、赤字農協と合併させられた農協が、健全農協の組合員複数名が訴えられたのですけれども、問題提起は三つありました。一つは、赤字農協側が正確な決算資料を提出しない。二点目は、公認会計士を入れて経営内容をチェックしようとしたが、農協中央会が反対した。三点目は、合併の是非を問う十分な討議も行われなかった。ゆえに合併決議は無効だという訴訟だったのですけれども、結局、結果からいいますと、この健全農協の資産は食われてしまったのですね。

 このように、経営が苦しくなると合併を繰り返して、合併相手の資産で生き延びるような農協も出てくる。これは平等主義による合併に問題があるのではないかと思うのですが、どう考えられますか。

須賀田政府参考人 合併そのものは、規模拡大による事業基盤の強化、あるいは能力のある役員の活用による運営体制の強化等種々のメリットがやはりあるわけでございますが、先生今言われましたように、十全の調整なしに救済的な合併をしたところで、先生言われたような事態が起こるというようなことも私ども十分仄聞をしておるところでございます。

 ということで、やはり合併の支障になるような不良債権といったものを処理した後に合併をしていくということが重要ではないかというふうに考えておりまして、今回の法律改正の中で、先ほど来申し上げておりますように、問題のある農協というものを早期に発見して不良債権を処理する、その後に合併を進めるというふうなことを一つの方向として見出そうとしているわけでございます。

 そのほかにも、ともかく合併をしようじゃないか、ための合併をしようじゃないかという合併の自己目的化みたいな結果、やはり事前の財務調整とか組合員の意思疎通が十分に行われていなかったということで問題が発生しているところもございまして、やはりそこは中央会を中心にいたしまして、事前の財務調整あるいは財務検査、そして合併後の事業方針の徹底、それから組合員への説明、そういう手順を踏んだ合併というものが必要ではないかというふうに考えておりまして、農協系統におきましても、その方向で今後は合併を進めていくという方針を出しているところでございます。

楢崎委員 とにかく双方に不信感が残らないような適正規模の合併基準というか方式をつくるべきだと私は思います。

 質疑時間が終わりましたけれども、最後に、農協が組織存亡の瀬戸際にありながら、今日まで農協幹部に切迫感、危機感が感じられなかったのは、最初にも申し上げましたように、やはり長年政治と行政と農協がもたれ合いの関係を続けてきた。だから、最後は国が助けてくれるという甘ったれ根性からも脱却ができなかった。このような癒着型共存共栄にピリオドを打たないと本当の改革はできない、そのことを申し述べて質問を終わります。

堀込委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時四十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三分開議

堀込委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。津川祥吾君。

津川委員 民主党の津川祥吾でございます。休憩前に引き続きまして、農協改革関連二法案について私も質問をさせていただきます。

 まず、現在の農協の改革の必要性でありますが、私も、今農協の改革というのは確かに必要性が高いなというのを実感をいたしているところでございますが、きょうの午前中でしたか、大臣のお話の中で、まず農業基本法が新しく変わった、それから、来年の四月にペイオフの解禁があるというような状況の変化に伴って農協の改革も必要だというようなお話があったかと思います。

 そもそも、では、そういった外的な要因、例えば基本法が変わらない、あるいはペイオフの解禁がないというような場合は今の農協の改革は必要がないのかというと、やはりそういうことではないであろうかと思います。

 そこで、まず一番最初に大臣にお伺いしたいのが、農協の現在の経営状況についてどのように認識をされているか、先ほどの私どもの楢崎委員からの一時間半の質問の中で大臣は多分一言も答弁されていなかったと思いますので、お座り疲れと思いますので、まず冒頭、答弁いただければと思います。

武部国務大臣 農協は、信用事業や共済事業、購買、販売事業等の事業を総合的に実施しているのでありますが、信用事業及び共済事業は黒字となる一方、購買事業や販売事業は赤字となっており、かつ赤字幅が拡大している、かように承知しております。

 この結果、農協全体の平成十一事業年度の事業利益は五百五十六億円、経常利益は一千四百十四億円となっていると承知しております。五年前の平成六事業年度に比べますと、事業利益が三分の一、経常利益が約二分の一となっておりまして、大変厳しい状況にある、かように認識しております。

津川委員 そういった中で、今回の法改正で、農協の原点は何か、原点に立ち返るというお話の中で、営農指導がやはり第一義的な役割であろうというお話かと思います。

 ただ、今のお話の中でいきますと、農協の事業、三つ分けた中で、経済事業と共済事業、信用事業、こういう分け方をした場合は、経済事業が赤字だ、残りの二つが黒字だ、しかし、その赤字のものが原点だという今の大臣のお話だと思います。

 ただ、営農指導というお話で一ついきますが、営農指導が原点だとすると、その営農指導の具体的な内容を少し御説明をいただきたいと思います。これまでしてきたもの、これまでどういった営農指導をしてきたか。恐らくこの内容についても改革が必要であろうかと思いますが、今後新たに取り入れるべき営農指導、こういったスタイルがあるんじゃないかというものがあれば御紹介いただければと思います。

須賀田政府参考人 農協の行います営農指導、目的とするところは、組合員農家が生産いたします農産物をできるだけ有利に販売をいたしまして、組合員の所得の向上に資するという目的で実施をしているところでございます。

 これまで、主要な活動といたしましては、まず、販売を有利に扱うためにマーケティングということを行いまして、その観点からどういう作物を作付すべきかの指導を行う、それから、生産コストをできるだけ低減するという観点から、農業生産の共同化あるいは組織化、団地化というようなことを指導をしている。あと、個別に経営面、技術面の指導をするということでございまして、技術指導の面では、普及等と連携をいたしまして、既に確立されております農業技術を徹底する、経営指導の面では、販売にかかわります出荷規格を統一する等々取り組んできたところでございます。

 そして、それが十全であったかというふうな観点から申し上げますと、これは営農指導だけの問題ではないというふうに考えておりますけれども、やはり担い手から見ますと、そういう点は物足りない。もう営農指導員の持っている技術をはるかに凌駕する技術を農協組合員が持っている、それから、もう合併で大きくなったものですから、組合員との関係が希薄化をして、なかなか実のある営農指導をしてもらえない、それから、営農指導員の数を、これは実は賦課金で営農指導というのはやっておりますものですから、減らしてしまっている等々の批判がございまして、今回、法律としては営農指導を第一の事業に位置づけたわけでございますけれども、農協系統が行います地域農業戦略を樹立する、担い手農家とネットワーク化をして質の高い指導を行う、最終的には有利な農産物販売に結びつけていく、そのために生産資材コストの低減を図っていく等々の購買事業とも結びついた総合的な対策を今後はとっていくという方針を立てておりますので、そういう観点から営農指導という問題を指導をしていきたいというふうに考えているところでございます。

津川委員 今の局長のお話ですと、問題点の認識は正しいのかなと思うんですが、対応策が全然だめじゃないかなと。指導員の数が少ない、あるいはその技術が組合員よりも低い、それを何とかしない限り営農指導なんかやりようがないんじゃないですか。

 何でそれが今まで、ある意味ではおろそかになってきてしまったか。一つには、赤字というお話もありましたが、営農指導というものの性質上、もうかる事業じゃないんですね。もうからないから、だからおろそかになったんじゃないかな、これは私の考え方ですけれども。そのもうからない事業を本業にして他の事業で多くの利益を上げなければならないというのは、組織として非常にアンバランスだと思います。

 民間企業の例を挙げると、これが適当な例かどうかわかりませんが、例えば、一つの企業の中で総務部門というのがあったり、あるいは経理という部門があったりします。会社の中で利益を上げる部署が現業でそれぞれあったとしても、総務とか経理というのは利益を上げないと一般的に言われています。

 ただ、民間企業の中で、新聞報道もあったので御存じかもしれませんが、すべての部門で利益を上げるようにという会社がありまして、総務ですとか経理というところも切り離されて、独自に利益を上げなさいと言われて、彼らが何をしたか。外部の会社の総務の仕事あるいは経理といった仕事をほかの会社がアウトソーシングしたものを引き受けて、それで利益を上げる総務部門ができた。

 だから、確かにその企業の中では絶対必要な部署ではありますが、だからといって利益が全く上がらなくてもいいというものではない。そして、上げることができないと最初から決めつけていていいものでもないんだろうなというふうに思います。

 特に、営農指導というものがむしろ現場から必要とされている、しかも、それが本業であるということであれば、安易にそれ以外の事業で利益を大幅に上げて何とか本業の部分を補おうというのは、必ずしも正しい方向ではないのではないかなというふうに思います。特に、それが本業であるということに限れば、なおさらそれ自体で利益を上げる工夫というものを求めるべきではないかと思いますが、その点について、難しいかもしれませんが、大臣、御見解があればお願いします。

武部国務大臣 おっしゃることは全く同感なんです。特に、営農指導が重要であるということは論をまたないんですけれども、今も局長から説明ありましたように、人材が偏っているといいますか、簡単に言うと少ないということなんですね。しかし、農協によっては、あそこの農協にはすばらしい人材がいるぞと。ところが、道路なんか随分立派になって、五分、十分で移動してその人材の話を聞いたり指導を受けたりすることができるはずなのに、今日、農協の合併が進んでいないというようなことから、なかなか思うようにいかないのが実態だ、かように思います。

 ですから私は、私見を述べれば、今後、農協のあり方として、営農指導でありますとか地域政策にかかわる問題、こういった分野は地方の自治体と一緒になっていくべきじゃないのかな、こういうふうに思います。市町村合併ということもいろいろ視野に入ってくる、かように思いますし、農協の広域合併ということも進んでくるということになりますと、なおさらのことそういうことが言えるのではないか、かように思います。

 したがいまして、経済部門といいますか産業政策部門というものはむしろ、農協の中から株式会社にでもして、合併というのはそう簡単にいきませんけれども、広域的な農協がそれぞれ新しい会社をつくって、経済行為、産業政策の分野でどんどんいろいろな事業をやっていくというようなことは、私は、農協自体の構造改革といいますか経営の合理化にもつながる。

 例えば、現在ですと、麦や米の麦乾センターをつくるというのは各単協ごとにやっているのがほとんどだろうと思うんです。これは、私どもの地元のでん粉工場などもそうですね。ところが、これを今のような、地域の道路事情その他を考えたときに、農協単位でやる必要はない、むしろ五つ、六つ、七つ、八つぐらいの農協が一緒に広域的に事業着手すれば、かなり効率のいい、能力のある、しかも最近は環境問題というのは非常に重要になってまいりますから、環境対策も完全に完備した、そういった施設づくりができるんじゃないのか。

 そういったことを通じて、生産者、組合員の一人当たりの負担も軽くなる。しかも、性能がいい施設であれば手数料も下がってくる。そういったことで、実態として、生産者や組合員の負担軽減につながるような、あるいは農協の経営の合理化につながるような、そういう努力を一方にしていかなくちゃいけない、私はこう思います。合併も大事でありますけれども、むしろそれを超えた広域的な事業というものをどんどん進めるべきであって、しかし一方において、きめ細かくやらなきゃならない営農指導でありますとか、あるいは農村も高齢化していますから、かなり福祉に関連するようなサービス部門というものも重要になってくる。しかし、これは農協だけでやれるものではありませんので、将来的には自治体とそういった分野は連携をしていくというような方向づけが必要ではないか、かように考えているのでございます。

津川委員 大臣、いろいろお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 要するに、経済事業に関してもいろいろ工夫をして、組合員のメリットになるような工夫をどんどんするべきだ、信用事業ですとかあるいは共済事業の黒字が出ているからといって、安易にそれに頼るべきではないということであろうかと思います。

 そこで、私は、組合員の方といいましょうか農家の方と直接お話をさせていただくときに、農協に対して何を求めているかというお話を前に伺ったことがあります。ちょっと意外だったのが、技術指導であります。その方はよくわかっていると御自身ではおっしゃっていましたが、周りのほかの農家の方を見ると、必ずしも、例えば農薬なり肥料の使い方が余り適切に行われていない、もっとうまくやればもっとうまくできるのに、そういった指導を彼らが受けていない、あるいは農協の営農指導が不十分という、どちらの話かわかりませんが、いずれにしても、もっと技術指導をしてもらいたいというお話がありました。

 一方で、もう一つあったのが、ほっといてくれ、自由にやらせてほしいという意見も随分たくさんあります。大臣も、恐らくそういった話を伺うことがあるんじゃないかと思います。農水省は親切過ぎる、よく言えばですが、そういうような言い方があります。

 いずれにしても、農協を改革する段に、組合員の方あるいは現場の方々が何を求めているのか、それをまず踏まえない限り適切な改革なんかはありようがないはずであろうかと思いますが、組合員の方々、現場の方々が何を農協なりあるいは国に求めているというふうに御認識か、大臣の御認識をお願いします。

武部国務大臣 まず第一に情報ですね。的確な情報を知りたい、しかし農協から知らされる情報というものは余り新しくない、利用できない、むしろインターネットを使って自分で情報を収集した方がいい、そういうような若い経営者というのはたくさんおります。

 同時に、篤農家でありますとか法人経営あるいは先駆的経営をやっている農業者の方々は、やはり、もっとプロならプロらしい営農指導をやってくれよ、そういうような意識があると思います。ただ、ここのところは農村の悩みでして、いろいろな人たちがいるということなんですね。

 ですから、基本的には、余計なおせっかいをやかないでやれる人たちは、どんどん自由に、さまざまな規制から解除された形で先駆的な農業にチャレンジできるようなそういう方向づけを農協もやっていかなきゃならぬと思うんです。そうじゃない人たちもかなりおりますから、そういった人たちに対するサポート、ヘルパーでありますとかコントラクターでありますとかそういったものも要請されておりますから、むしろ農協の職員も、制服を着るんじゃなくて、洋服を着るんじゃなくて、むしろそういった一緒に生産者と生産に取り組むというようなことをしてほしいという願望があるんじゃないかと思います。それは農協でなくてもいいと思いますがね。

 それともう一つは、やはりどうも、農協を通じて生産資材を買うと何でこんなに高いんだ。大量の取引をしているものも、そうでないものも、民間だったら随分サービスもしてくれるはずなのに、そういった生産資材等についてどうしてみんな同じなんだ。メリットがない。今回はそういったことも視野に入れながら、生産資材についても二〇%ぐらい削減していこう、そういうことで改革も行おうとしているわけでございます。

津川委員 組合員の方、農家の方と農協の関係として、例えば一つのお店だとか、一つの何かこう指導してくれる指導者というふうに考えれば、指導してくれない人ならほかの人に指導してもらえばいいし、高いならほかで買えばいいんですよ。だけれども、組合員と組合という関係は、まさに組合員が主体的にその組合というのをつくっているはずなんですよね。だから、そういうことになっていないという現状がどこかあるんじゃないかと思うのです。

 これは組合員の話じゃないですけれども、今回の法改正の根拠の一つとして、基本法が新しく変わりましたという話がありました。その新しい農基法において農協がどういうように位置づけられているのか、旧基本法と比較してどのように変わったか、お答えいただきたいと思います。

須賀田政府参考人 旧基本法、背景がちょうど昭和三十六年前後でございまして、三ちゃん農業ということで、農業の曲がり角という状況があったということ。それから、消費生活の洋風化、高度化というのでしょうか、米一辺倒から、選択的拡大が必要だというような状況にあったこと。それから、政府全体としては所得倍増計画というのが示されまして、その中で、産業の二重構造の是正、農業でいえば農工間格差の是正ということがうたわれていたわけでございました。それを背景といたしまして、特に農業と他産業との生産性の格差の是正、こういうものをうたったわけでございます。そして、生産、価格流通、構造、この三本柱の対策を中心に政策を講ずるということとしたところでございました。

 その中で、農協は二つの面、一つは農産物あるいは農業資材の流通、加工の合理化、こういう面での役割を求められるとともに、生産の面におきましては農業生産の協業化、こういうものの助長を図る、こういう二つの面を果たしていくべきことが重要な役割として規定をされたわけでございます。そして、そういう事業を、ここからですけれども、国が必要な政策を講じて発達、改善を図るんだ、国が必要な政策を講じてそういう農協の役割を発揮させていくんだというふうなのが旧農業基本法だったわけでございます。

 一方、新基本法は、もう既に先生御存じのとおり、食料の安定供給、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興という四つの基本理念の実現を図っていくということが全体の目的になっているわけでございますけれども、この中で農協は、農業団体は、基本法理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとするということで、自己責任を持って主体的にこういう基本理念の実現に取り組めというふうな規定になっているわけでございます。

 やはりこういう基本理念を図る上で、農業者の協同組織として農家組合員の営農指導を支援したりする農協系統の役割は非常に重要であるわけでございますけれども、それに農協系統は主体的に取り組むということが規定をされているわけでございます。

津川委員 そこが非常に重要なところで、まさに農協が主体的にならなければいけない。農協が主体的というのは、まさにその構成員である組合員、農業者の方々が主体的にこの基本理念の実現を目指して努力しなきゃいけないということであろうかと思いますが、現在の農政の中で、農業者あるいは農協の主体性というものが現状発揮されているとお感じでしょうか、大臣。それとも、今はされていないけれども、これからはされていくべきだというふうにお考えでしょうか。

武部国務大臣 主体性を持ち過ぎるのじゃないか、私はこのように思っているのですね、今の農協は。あれもこれも何でも農協が手を出していく、口を出していく。主体性を発揮しようとし過ぎるのじゃないかと思うのですね。しかし、農協の経営者というのは、実際に農業をやっている人がどの程度いるのかな。若い人にしてみれば、若い担い手といいますか経営者にしてみれば、その程度のことはもう十二分に承知の上ですよ、こういうようなことになって、少しおせっかいをやいているというふうに言われる。また、農協の職員の中でも、私は相当勉強している若い職員がいると思いますよ。

 ですから、そういった農協が主体性を発揮しているつもりかもしれないけれども、一人一人の職員、高い給料を払っている職員の主体性を引き出すということが本当の農協の主体性発揮だ、こう思うのですけれども、そういう意味では、主体性を発揮しようとせんがために実際にそれが機能しないということが多々あるんじゃないか、このように思います。

 ただ、農協間では、もうここ数年、物すごい変化が起こっているということは私は言えるのじゃないかと思います。そういったことが今回のような農協改革法、これも新しい基本法の制定以後相当な勢いで変わってきているということが言える、かように思います。

津川委員 今の大臣のお話の中にも若干触れられていたかと思うのですが、私は、意見が若干違うのが、農協の主体性というのは、農協の職員の主体性ではなくて、組合員の主体性をどれだけ代弁するかだと思うのですよ。私がすごく感じるのは、あるいは農協のトップと言っていいかもしれませんが、農協の中心の方々とそれぞれの組合員の方、それぞれの農業者の方々との間にどうも意識の開きがあり過ぎるのじゃないかということは随分感じます。

 先ほど楢崎委員のお話の中からでも、例えば金利が高い、だれのための農協なのかというようなところ。そのほかも、例えば自分の家の納屋に夜帰ってきたら、納屋の中に肥料がどんどんと積んであった。これはだれが持ってきたのかなと思ってしばらくしたら、自分の農協の口座からお金が引かれていたと。何かある意味、押し売りに近いような形でどんどんやらされて、農業者の主体性というものがどこかに行ってしまって、何かいつの間にか農協だけが動いているような、そういうような雰囲気が感じられるというのが私が伺った農業者の方の意見なんです。

 それで、今大臣も、現場の方等ではなくて農協がちょっと主体性を出し過ぎているという話をされましたが、私は、農協が農業者の方々の意見を代弁する形で、大臣ですとかあるいは農水省の方に対して主体性を発揮して、我々はこうやりたいんだというのであるならば、大いにその主体性は発揮するべきだと思うのです。ただ、そうではなくて、組合員の方々の意見も必ずしも反映していない、どちらかというと、私は農水省の意見を反映しているのじゃないかというイメージを持っているのです。

 違うのであるならばちょっと教えていただきたいのですが、例えば、ちょっといろいろな複雑な問題を含みますが、減反の話を一つ挙げますと、多くの農家の方は基本的に反対をされているということだと思います。減反の是非について農協が主体的に判断しているのか。例えば、国はこう言うけれども、私どもは、この地域は本当はこうしたいんだというようなことを組合員の意見をくみ上げた形で農水省の方に言ってきたことがあるのか。あるいは現場での折衝はあるかもしれませんが、農協の組合員の方々とお話をすると、むしろ、農協が農水省から話を言われてきて、その話を我々に押しつけている、どっちを向いているのだというようなお話を伺いますが、その点、どうでしょうかね。農協が農水省に対して、減反こうしろああしろというような意見を主体的に言ってきたことはあるでしょうか。

武部国務大臣 主体的な話に戻りますけれども、そこのところがおかしいのですよ。若い方々が、今は自由に、濶達に意見を言えますからね。自分たちが主体性を持って、農協の一組合員である、自分たちが支えているんだ、自分たちのための農協だと思ったら、農協から何と言ってこようとすぐ抗議すれば、返せばいいじゃないですか。なぜ、それができないか。農林省から言ってきた、だれから言ってきた、そういうようなことは私はちょっと弁解に聞こえるんです。

 ただ、農林水産省としては、生産者のために、例えば生産調整、これがうまくいかなければ結果的に、昔と違いますから全量政府が買い上げるわけじゃありません、市場原理を導入して、民間流通という世界で、生産者が汗水流してつくったものをより有利になおかつ完璧に販売に乗せるというようなことを考えるときに、やはりトータルで全体を考えて、全中なり団体とも相談しながら調整していかなきゃならない。その調整役はやはり農林水産省が中心になってやらなければならないんだろうと思うんです。

 そういう意味では、私は、行政も出過ぎてはいけないと思います。実際に、自主自立といいますか、本当の主体性を生産者に持ってもらうという意味で、余りおせっかいをやかない方がいいんですよ。自分の怠慢でだめなのはしようがないですからね。

 これから国際競争力をつけていこうということである限りは、あれもこれも微に入り細にわたりおんぶにだっこというような、そんなような農業後継者、担い手というのは我々は望んでおりません。みずからチャレンジしていく、そういう生産者であり農業経営者を求めているのでありまして、その辺のところの意識改革というものが必要だという前提で今回の法改革になっているということを御理解いただきたいと思います。

津川委員 生産調整ですが、確かに、現場の方々に自由につくっていいですよといって弊害が出る可能性がある、あるいは過去にもうそういったものは何度も出ている、だからこそ生産調整が必要だった、その調整を農水省が中心になってやってきたという話ですが、例えば生産調整をしたことによって米の値段が下がらないようになったかというと、そうじゃないですよね。やはり下がっていますよね。

 そういう意味では、例えば、農家の方は木は見るけれども、農水省は木も見て森も見られるから、農水省の言うことにだまされたと思ってついてきなさいと。組合員の方の農業者の方々がだまされたと思ってついていったらだまされていなかった、ああ、農水省の言うとおり、こういうふうに生産調整をやったらお米の値段が安定してよかったよかったという話になればいいんですけれども、なっていないわけですよ。

 つまり、農水省の生産調整も必ずしもうまくいっていないわけです。うまくいけばいいです。うまくいかないんです。現状うまくいかないのはいろいろな理由があるでしょうから、だからやめてしまえと私は言っているわけではありませんけれども、いずれにしても、それはやはり農業者の方々は不信感を抱いているわけですよ。

 それに対して、主体的にという話をされましたけれども、では、主体的に何をつくる、かにをつくる、あるいは彼ら自身が、あるいは農協自身でもいいです、そのレベルでもいいですが、自分たちで生産調整をするようになれば、それこそまさに自主性だと私は思うんです。

 担い手確保の話をされましたが、何でもかんでもやってくれというような担い手になってもらいたくないというのは確かにそうかもしれませんが、その現場の裁量権というものが多く認められている、あるいは保障されている、それであれば当然責任も多く負わなきゃいけない、失敗するときには大変大きな痛手もこうむるかもしれませんが、そうでない限り、新しい担い手というのは農業に魅力を感じないんじゃないかと思うんですよ。大臣、今そういうふうにどんどんチャレンジしてくれる方をという話をされましたから、まさに組合員の方々が主体性を持って農業に取り組めると。

 農協というのは、やはり地域の中で調整をする役割だと思いますから、今残念ながらそうなっていない、そこがやはり非常に重要な問題だと思うんですね。そこで必ずしも、組合員と農協がそういった形の意思の疎通がうまくいっていない。代表者になり得ていない。自分の意見を言うのが自分勝手だ、そういう話をもちろん言うわけじゃなくて、本当に現場の声を積み上げていって、それをいかに地域なりあるいは国全体でどういった政策にしていくのかということをちゃんと代弁できる、現場の声を代弁できる農協にしていかなきゃいけない。今回の法律の改正でそこまでいくかどうか、非常に私は疑わしいなと思っている部分があります。

 例えば、経営管理委員会というものが実際にありますけれども、今のところはほとんどまだ機能していないというような現状も伺っております。そういったことから考えると、これからどんどんそういったものをいろいろなところで実際につくっていったとしても、果たして本当に農協というものが新しく生まれ変わることができるのか、あるいは本当にもとの原点に戻ることができるのかというのは非常に疑わしいなというのが正直ございます。改革の方向性としては正しいかもしれませんが、これだけで本当に十分なのかなというのが私の率直な疑問点であります。

 経営管理委員会ですとか、あるいは役員の兼職、兼業の問題につきましても、先ほど楢崎委員からの質問がありましたけれども、その点について問題なしというような見解のようですが、私は問題が大いにあるのではないかなというふうに思っております。

 次に、信用事業の立て直しの話に移らせていただきます。

 まず信用事業ですが、まさに来年四月の大きな改革を前にして、非常に時間のない中で抜本的な改革をしなければならない、立て直しをしなければならないという状況です。

 不良債権の現状について先ほど質問がありまして、それに答弁をいただきました。その中で、平成十一事業年度の中で「農協系統金融機関のリスク管理債権の状況」という表を、先ほどもこの表でお答えになったかなと思ったんですが、この表で、農協あるいは信連、農林中金の総資産分のリスク管理債権の比率、これが信組ですとか信金あるいは地銀、都市銀なんかに比べると非常に少ないというデータが出ています。

 私は、あるいは民主党としては、都市銀なんかの不良債権やなんかもこんな金額じゃないんじゃないですかというようなことを指摘させていただいておりますが、さらに気になるのが、怒られるかもしれませんが、この表の下に書いてあることです。「資料 農協は、農林水産省調べ。その他は、金融庁調べ。」この数字が違うのは調べたところが違うからじゃないかな、農水省が調べたからこんな数字になるんじゃないですか、そう思わざるを得ない部分がございます。本当にそうならいいんです。本当にこの金額ならそんなに危なくないじゃないですかという話になっちゃいますよ。多分、そうじゃないんですよ。

 大臣、この数字だけで何とも言えないと思いますが、先ほどの未収金を不良債権として見るかどうかという問題もそうです、その金額がまだわからないというお話でしたが、事業全体の、不良債権という言葉は適当じゃないかもしれませんが、問題債権あるいはリスク管理債権と言われるようなもの、全体がどのくらいになるのかしっかり把握をしないとやはり十分な改革はできないだろうし、でも本当に時間がないわけですから、いざ来年の四月を過ぎてこんなにありましたということになってもどうにもならないわけですから、ぜひそれを早い段階で出していただきたい。

 それで、大臣にお伺いしたいんですが、そもそも今のこの数字を見て、私はむしろ逆に思うんですが、信用事業の改革の必要性というのは何なんでしょうか。

武部国務大臣 農協系統金融機関は、これまでのところ、それなりに安定した事業運営を行ってきているわけでありますが、都市銀行の再編、他業態からの新規参入、IT革命の進行、ペイオフ解禁の接近といった金融情勢の劇的変化のもとで、今後十分な競争力を確保していけるだけの体制が整備されているとは言いがたい状況にある。

 すなわち、各農協、各信連、農林中金がそれぞれ独立して金融業務を行っているという色彩が強いわけでありまして、農協系統金融機関全体としての総合力が十分に発揮されていない状況にある、かように考えます。

 破綻の未然防止についても、各農協、各信連、それぞれの経営努力に依存しているだけであり、能力を超えたり、体制が整わないまま資金運用を行った結果、多額の欠損金を抱えたり、破綻したりするケースが依然として見られるというわけでありまして、こうした場合に、従来のように農協系統金融機関内で多大な資金援助を続けていけば、農協系統金融機関全体としての体力も信用力も低下してしまうおそれがある。

 こうした激変する金融情勢のもとで、農協系統金融機関が今後とも他の金融機関と対等に競争していくためには、全農協系統金融機関の総合力を最大限に発揮していくことが必要である。そこで、新たな農協金融システム、JAバンクシステムを早急に構築していくことが必要であり、このため、今回の法案を提出したものでございます。

 その最大のポイントは、まず第一に、問題のある農協、信連を発見し、資金運用制限等の経営改善や組織統合といった的確な措置を講ずるための農協系統金融機関の自主ルールづくり、二つ目には、ルールに則して農林中金が指導を行うことにより、体制や能力を超えた資金運用が行われないようにするということであろうと思います。

津川委員 個々の改善点は当然必要な改善だろうなというふうには思います。

 ただ、今大臣のお話の中にもありましたが、金融情勢が非常に厳しくなってきた。この競争の中で、他の金融機関と対等に競争できるような農協系統金融機関というものを一つの金融機関としてつくるというお話。ただ、もし本当にそうするんだとしたら、赤字事業なんか持っていてはだめじゃないですか。金融事業だけで、ほかの銀行なりなんなりというものは必死になってやっているわけですよ。それが、農協は、そういうものもあるけれども、変な言い方をすれば赤字のお荷物の部分もあるわけですね。それで今の金融ビッグバンを乗り切れるかというと、それだけの視点だと非常に難しいと思うのです。

 ですから、そうではなくて、もし本当にこの農協の金融機関を一つのものとして今後も残すとするならば、例えば、地域金融ですとか、ほかではかわることのできない特殊性を何らかの形で表に出してこない限り、普通の一つの全国ネット金融機関ですといったら、これはほかのことなんかやっていられないですよ、赤字の部分なんてまず真っ先に切らないと。

 私は、多分そういうものに進めるべきだというふうに言っているのじゃないと思うのです、この法律は。そうじゃないのであるならば、そうではない方針を出さなければいけないのですけれども、この中では、この金融ビッグバンで恐らく負けてしまうか、ほかの農業、経済事業の部分を分離して信用事業だけでやっていく、いわゆる普通の銀行になってしまうか、そのどっちかしか道は余りない。むしろ、どちらかというと私は前者の方で、もうどこもかしこも共倒れという危険性の方が高いのじゃないかと思っています。これは、現場の方もそのようなことをおっしゃるぐらいですから、そうなんじゃないかなという危機感を持っているのです。もちろん、金融機関に対して危ない危ないなんと言うことは余りよくないのかもしれませんが。

 例えば、全国ネットの農協系統金融機関が、今大臣がおっしゃったように改革が進んだ場合、ベストの状況になったとして、その中で、私、ちょっとびっくりしたのですが、「農家組合員が安心して貯金できる、破綻することのない農協系統信用事業を確立するため、」云々と。安心して貯金できるのはいいのですが、破綻することのない農協系統信用事業というのはあり得るんですか。これは破綻しないと思いますか、大臣。

須賀田政府参考人 大変難しい問題でございます。農協系統が他の機関と違う点というのは、やはり単協レベルがあり、信連のレベルがあり、中金のレベルがあるという系統三段階で一体的に運用できるという点と、そして、その頂点にございます農林中金が対外経済との接点に立って、他の信連でございますとか農協よりも広い業務範囲で運営をし、これを還元していける体制があるということが他の金融機関との違いでございまして、この総合力を何とか維持し、そして質を高め、その結果、破綻することのない系統三段階の体制を整えていこう、これがそこで言う、安心して貯金ができ、破綻することのない系統の金融体制ということでございます。

 そして、先生冒頭おっしゃられましたように、農協が総合事業体であるということで、経済事業、それから共済事業、信用事業とあって、経済事業の赤を補てんしてやる体質というのはおかしいじゃないか、まさにおっしゃるとおりでございます。

 平成八年の住専問題が生じたときも同じような強い批判を受けまして、部門別の収益というのを明らかにして、それぞれの部門で独立採算というようなものをしていこうじゃないかという、平成八年の農協改革でそういうような体制をしたわけでございますけれども、まだ一向に経済事業の赤字体制が改まらない。その原因が、担い手等による農協離れがずっと進んでいる点にあるわけでございまして、ここを今度は何とかしたい。

 そして、やはり理念型としては、それは金融機関として独立するにこしたことはないわけでございますけれども、そうなると、農家組合員に対する総合的サービスの供与である組織体としていいのかという問題もございまして、そういう組織体は維持しながら、中のそういう一つ一つの事業の赤字体質を改善していこうという方向を今回は向いたわけでございます。

津川委員 目指すのはいいのですが、できるのでしょうかという話なんです。大臣、いいですか、破綻することのない農協系統信用事業確立が、これでできると思いますか、答えてください。

武部国務大臣 そうしなければならない、このように思います。

 とにかく、ここ数年農村が大きく変わってきているということは事実です。それは一つの危機感からでもあり、その風潮の中で農協の理事を初め農協本体も変わってきている、かように思います。

 ですから、私が農林水産業の構造改革と農山漁村の新しい可能性を切り開くということで私案を出しても、これは相当吹き上げられるのかな、こう思いましたけれども、意外と言っても過言ではないほど、もうこういう方向に行かざるを得ないというようなそういう認識が、農業団体の皆様方にもあるのかなと。

 我々、家族経営に固執するものではありませんで、どんどん法人化していく、場合によっては民間企業の参入の可能性も拡大していこうと。これは、政府としては四五%の自給率達成に向けてそういう体制づくり、システムづくりをしていかなければなりませんので、その過程で、生産だけではない、生産、加工、流通、いわゆるマーケティングということを重視した今後の農業経営ということになるだろうと。

 そういうようなことも視野に入れて、それを支援するために、この金融信用事業についても新たな視点で考えて、体制を整えようということでございますので、破綻させてはならない、かように思いますし、それは大丈夫だろう、こういう決意を持って臨みたいと思います。

津川委員 残念ながら、大臣が幾らかたい決意で破綻することはないと言っても、することはあるわけです。

 例えば、大臣は北海道、斜里町でいらっしゃいましたかと思いますが、十年前に拓銀がつぶれると思いましたか。私も、昔、北海道にいましたけれども、まず拓銀がつぶれるなんて思いませんでしたよ。多分皆さんそう思っていた。それは、もちろん当時の大蔵省の方針とかいろいろありましたから、経済の状況から見れば、ある意味破産があって当然なのかなというのは、後で考えればそうなのですが、やはり万が一であれ千が一であれ億が一であれ、破綻する可能性、危険性というのは常にあるし、その危機管理はしなきゃいけないと思うのです。

 それで、特に、ペイオフ解禁が三年後、四年後、五年後ぐらいならまだいいかもしれませんが、来年の四月ですから、本当に時間がないなと思うわけです。

 特に、農協が破綻したときの受け皿ですけれども、事前に防止する策があったりいろいろありますが、経営が悪くなったら隣と救済的な合併をするというような話もいろいろあるようですが、例えば一県一JAぐらいになってしまったときに、そこが破綻したらどこが受け皿になるのですか。

須賀田政府参考人 一県一JAになったという前提だと、恐らく信連は中金に統合されているのだろうというふうに思うわけでございます。

 そうした場合に、JAが破綻をしたと仮にいたしますと、その信用部門は中金に譲渡という形で処理がされるというふうになろうかというふうに思っております。

津川委員 大きければ破綻しないというのは完全な幻想ですから、あえて聞きたいのですが、中金が破綻した場合どうなるのですか。

須賀田政府参考人 なかなか仮定の御質問には答えにくいところがあるわけでございますけれども、確かに、先生言われたように、かつては都銀は破綻させないという方針があったわけでございますけれども、拓銀が破綻したというようなことを前提とすれば、中金だって破綻しないことがないということは言えないわけでございますが、私どもとしては、中金が仮に破綻するようなことがあれば、全国のJAはすべて破綻かそれに近い状況になるのではないかというふうに認識をしておりまして、中金だけはというのはちょっと言い過ぎでございますけれども、融資体制、貸し出し体制をきちんとやっていただいて、それから、できる限り安定的な債券運用等にも努めていただいて、全国JAの金融機関であるという自覚のもとに、ちゃんとした運営をしていただきたいというふうに思っているわけでございます。

津川委員 例えば、不採算部門を思い切って切っていくという判断もできるならば、それもあるいは可能なのかもしれませんが、だめになったものをどんどんどんどん抱えていくわけではないですか。それだったら、中金だってどうなるかわからないと言われてもしようがないと思うのです。

 それは、ならないかもしれません。なるなると言っているのではなくて、私がお伺いしたいのは、最後は国が何とかしてくれるのだろう、どうもそういう感覚がまだあるのではないかなという気がするのです。それはないというふうに言い切っていただけるならそれで構わないのですが、大臣、いただけますか。

武部国務大臣 だから、今回の法改正を求めているわけですね。絶対ということは世の中にはないのだろうと思います。しかし、強い決意で各単協も全体も臨む、そういう強い姿勢が私は芽生えていると思います。

津川委員 ありがとうございます。

 もちろん状況がありますから、絶対ということは今ここでどうこうということもないかもしれませんが、とにかく、最後は国が何とかしてくれるのだろうということではない、農協は農協で、まさに自主性で、みずからの組織はみずからがしっかり守るのだ、それは農業者が明らかに主体的になって、彼らがみずからそこを構築していくということをもう少し明記をしていただければわかりやすかったかなという感じが私はいたしております。

 時間がなくなってしまうのですが、次に行かせていただきますが、合併あるいは統合の状況であります。

 現在、つい最近までなかなか進んでいなかったのが、一気に進んだという情報だけいただきました。合併、統合がなかなか進まなかったけれども、ここ最近、平成十三年に入って大分進んだというお話でございますが、ちょっと予告したのは飛ばしまして、その中で、ただ、そうでありながら、信用事業の合併はまだ必ずしも進んでいないというか、むしろおくれていると言っていいかと思いますが、なぜおくれてしまっているのか、その分析はどのようにされているでしょうか。大臣の御見解をお願いします。

須賀田政府参考人 信用事業、信連と農林中金の合併でございますが、おっしゃるとおりに、まだ一つも実現をしていないということでございます。

 平成八年に住専問題が生じましたときに、農協系統は大幅にリストラをし、組織の再編をしろと言ったのはまさにこの金融部門でございまして、この金融部門が一つも組織二段化が進んでいないということは、我々にとってもまことに遺憾なことであるというふうに思っておる次第でございます。

 そして、なぜこれは進まないのかということでございますけれども、農林中金と信連の統合の条件というのを中金サイドが出しているわけでございます。その条件が、例えば県内のJA合併構想がほぼ実現することとか、あるいは県内すべてのJAが信用事業担当学経常勤理事を設置しろ等々、大変信連側にとってはハードルの高い条件を出しているわけでございます。実体的なこの条件をクリアするところがないということで、なかなか統合が進まないという実態にあるわけでございます。

 我々としては、そういうような状況では今後の金融情勢を乗り切れないのじゃないかということを大変危惧しておりまして、こういうことをいつまでもやるよりも、ちゃんとした統合に向けて、この法律改正を機会に双方が話し合うようこれから進めるつもりでございます。

津川委員 まさしく、状況はいろいろあるのでしょうけれども、全然進んでいない。期日は本当に迫っておりまして、これからこの法案改正を機に話し合いを進めても間に合うのかどうか、本当に間に合うと思っているのでしょうかと思ってしまうのですが、まあ間に合う部分と間に合わない部分があろうかと思います。四月一日で、もうそれまでにすべて整えなきゃいけないというものでもないでしょうから、とにかくおくれてでも早い段階にそういったものを進めていただきたい、また、それを強力にやっていただきたいと思います。

 ただ、合併あるいは統合の話の中で、経済事業、共済事業、信用事業、それぞれの適正な規模というのは事業ごとによって本来違うと思うのですね。確かに、販売だろうが購買だろうが、ある程度大きくした方がメリットがあるというようなこともあるでしょう。でも、信用事業で全国一律にするというのとまた全然違う話でありまして、大きければいいということでは全然ないはずです。

 農協自体が巨大化をして、大型化して、効率をどんどん追求すれば、やはり不採算店舗を廃止するですとかそういう話が出てくるかなと思うのです。そうすると、私が先ほど申し上げましたが、農協が持っていたもともとの、私は一番のメリットというか強みだと思うのですけれども、地域農業とのつながり、それに非常に大きな悪影響が出てしまうのではないかと思うのです。

 ですから、信用事業に関してはこれだけ大きくしなきゃいけない、しかし、経済事業に関しては必ずしもそこまでしなくてもいい、そういったことを考えると、先ほど楢崎委員からもお話がありましたが、一緒に同じ大きさ、どのくらいの大きさにするというのは若干無理があるのじゃないか。完全に二つに分けるのがベストかどうかわかりませんが、やはりそういう議論ももう少し真剣にしないと、これは共倒れになるか、あるいはどちらかが大きなマイナスをこうむることになるのじゃないかと思うのですが、局長、いかがですか。

須賀田政府参考人 ただいまの先生の御指摘は、恐らく今の協同組織形態の中でも、部門部門を区分して勘定を行うことによって、大部分対応が可能なことではないかとは思うわけでございます。

 ただ、冒頭申されました不採算店舗の切り捨ての問題でございます。

 確かに、経営を効率化するためには、赤字部門、店舗、施設、これを解消するということが必要なことではございますけれども、これが進まない原因の一つに、農家組合員からの、そういう赤字店舗の解消についての抵抗がある。農協は農家組合員の協同組織でございまして、農家組合員へのサービスの供与が使命でございますので、そういう面からいたしまして、その農家組合員から抵抗のある店舗というのがなかなか解消できない、それで赤字が続いていくという面もこれは否定し切れません。

 そうしたら、今後はどうすればいいのかという話でございますけれども、やはり赤字の経営状況について、ちゃんと組合員に情報を通知する、開示をする、そして理解を求めていくという努力と、それから、できるだけ、例えばATMの設置等によりまして、そういう工夫を行いながらコストダウンを進めていく、難しいことではございますけれども、こういうような工夫をしながら、全体として経営の改善を図っていくという努力が必要なのではないかというふうに考えているところでございます。

津川委員 会計を別にするという話じゃなくて、その経営方針なり戦略というものはそれぞれ別だから、それを一緒にやったらナンセンスじゃないですかというお話です。

 それで、今回の改正の中で、信用事業の農林中金への譲渡というものが規定をされておりますよね。二条の第五項ですか「事業譲渡」で、その一号で、信用事業の全部または一部を農林中央金庫に譲り渡すというところがあります。だから、これは今やろうと思えばできるわけですね。これは一つの布石といいましょうか、今後やるぞという意思表示なのかなというふうに私は見たわけですけれども、いつやるかは、ちょっとこれは今はもう時間がないので、またぜひ検討していただきたいと思います。

 前回の改正時に、この合併についてですが、広域合併の推進に当たって、農家と農協の関係が希薄化することのないよう、その運営につき適切な指導を行うこと、と附帯決議がありますけれども、具体的にどのような指導を行ってきたかをちょっと教えていただきたいということと、もう一つ、最後になりますが、農業の主体というのは農業者であろう、当然な話でありますが。その集まりが農協であるという原点に立ち返れば、あくまでも農業者のための改革でなければならない。合併についても農業者のための合併でなければならない。仮に金融ビッグバンに耐え得る農協になっても、農業者に冷たい金融機関になってしまっては農協である意義がないのですね、普通の銀行と一緒なわけですから。

 そこで、経済事業においてもやはり同じようなことが言えるかと思います。使ってくださいとか、安くしますから使ってくださいじゃなくて、それは安い方がいいというのであればほかの方で買えばいいわけですから、そうじゃなくて、本当に農業者のための事業であるかどうかということ、それを本当に原点に立ち返って、その上で有効で効果的な改革を進めていかなければならないだろうなというふうに思います。

 当然、そういう改革、その主体性を求めれば、相応の責任というものを農業者自体に担っていただくというところはあるかと思いますが、将来的にはやはりその方向に進めていかなければならないというふうに思います。

 減反の話などもさせていただきましたが、やはり重要なものは、農業者の主体的な意見というものが、結果的であれ、今まで反映されにくいシステムであった。やはりこれからはそういったものを、まず保護ありきではなくて、農業者が主体的であるという点、そこを強く認識した上で、それぞれの政策について議論をしていくべきであろうというふうに思います。

 今もちろん、農家の方、自由にやってくださいと言って、すべてほうり投げると言っているわけでは全然ありませんが、例えばこれまでの農政の失敗を、いきなり君たちの責任だとか、君たちが主体者だからと言って、すぐに責任を転嫁するようなことを、結果的にですが、そういったことは絶対にしてはいけないと思います。

 ただ、まず保護ありきでは、残念ながら、いつまでたっても展望というものは開けないと思います。農協と組合員で意見の対立が目立つというのは、農協がやはり国の方を向いている、組合員の方を向いていなかった結果ではないかなと、今いろいろな現場でのごたごたはやはりそういうふうに私は感じざるを得ないと思います。

 そういう意味での農協改革を進めていかなければならないというふうに感じるわけですが、その点につきまして、この主体性ということを、また最後になりますけれども、大臣にお伺いをしたいと思います。

武部国務大臣 主体性ということは極めて大事なことでありまして、それはもう生産者も農協も一体だ、かように思います。

 主体性が間違った形で出てまいりますと、それはわがままとかエゴにつながる心配もあるわけです。それだけに、一番大事なのはやはり正しい、正確な情報だ、このように思いますね。そういうことをしっかり踏まえて、農協が本当にこれからも成り立っていくか、生きていくか、あるいは生産者と一体になってやっているかどうかということは、これは法律だけではどうにもならぬ話でありまして、さような意味で、我々農林水産省といたしましては、先生の御指摘を踏まえて、真剣に対応してまいりたい、かように思います。

津川委員 ありがとうございました。終わります。

堀込委員長 次に、一川保夫君。

一川委員 どうも御苦労さまでございます。

 本題に入る前に、ちょっと話題を変えて、気分転換したいと思いますけれども、大臣、きょうの新聞を見たら、サンマの問題で、韓国漁船が北方四島周辺水域で操業することについて、ロシアはそれを認めた。そのことについて、政府としては、韓国船が三陸沖で操業することについて、日本政府はそれは認めることはできないというような趣旨の報道がなされておりました。

 この問題は非常にいろいろな、多方面にかかわる大事な話題だというふうに私は思います。外交問題にも当然影響する話でございますし、また北方領土返還という問題にもいろいろと関係する話題でございます。

 農林水産大臣としても当然見解をお持ちだと思いますけれども、現時点でのお考えをお聞かせ願いたいと思います。

武部国務大臣 本件は、本年から韓国サンマ漁船が韓国とロシアの政府間合意に基づいて、北方四島周辺水域を含む水域で操業を行う予定であることが確認されたわけですね。これは、これまでは、商業ベースでは入札でありますとかいろいろございましたが、今回の特徴は政府間の合意であるということでございます。このように、我が国に無断で、韓国がロシアの一方的な許可を得て、この水域で操業を行うことは、我が国排他的経済水域での主権的権利を損なうものでございまして、韓ロ両国政府に対し抗議をしているというのが現状でございます。

 本件は、現象的には漁業問題ではありますが、本質は領土問題という国の最高主権にかかわるものでありまして、外交当局の高いレベルから、さらに強く抗議を行うべきであるというのが私どもの考えであります。

 同時に、六月六日に、四島周辺水域で操業すると考えられる韓国サンマ漁船から、日韓漁業協定に基づき、三陸沖での操業許可申請が届いているわけであります。これは通常二週間以内に結論を出さなくてはいけません。そこで、四島周辺水域は韓国サンマ漁船の操業区域外でありまして、我が国法令上違法であるということから、三陸沖での操業許可は留保するということが、昨日、私が記者会見で申し述べたことでございます。

一川委員 この問題は、これ以上、この場でやるつもりはございませんけれども、大臣御自身は北方領土に近いところに位置する場所での国会議員でございますし、またある面では非常に、先ほど言いましたように、広範囲にいろいろな面で関心を持たれる話題でございますので、やはり国民にわかりやすい姿で方針が決められていくということと、それから、当然ながら水産にかかわる関係の皆さん方も大変な関心事だと思いますし、私自身は日本海に位置しておりますけれども、今回、日本海側の排他的水域に対してもいろいろな面で影響があるかもしれないということからすれば、ぜひ関係大臣とよく連携をとられて、わかりやすい裁きをぜひよろしくお願いをしておきたい、そのように思っております。

 さて、農協に関する今回のこの話題について、大臣を初め農水省の所見をお伺いしたいわけです。

 大臣もお聞きになったと思いますけれども、我々も大分前からこういうことをちょっと聞きましたけれども、農協栄えて農家滅ぶというようなことが言われた時期がございました。そういうことも踏まえて、農協自身もいろいろな反省の中で、できるだけ組合員のニーズに対応できるようなそれなりの努力はされてきたとは思います。しかし今回、こういうように農協改革法案と称して、しかも、農協という組織をつくり上げた、その原点に立ち返ってもう一回しっかりとした農協の運営をやっていこうというようなこともうたわれているわけでございます。

 そういう面で、大臣も当然ながら、農協というものに対するいろいろな見識をお持ちだと思いますし、この審議を通じてそういったところが、相当大臣からも強い表明があったと思いますけれども、農協自身も余りにも経営主義に走り過ぎたということで、本来の営農指導的なもの、経済事業という問題についても若干手薄になってきたという嫌いは当然あろうかと思うんですね。

 私たちの地域でのいろいろな農協を見ておりましても、高度成長期の時期は、もう農協自体が商社化したんではないかとか、あるいは銀行化したんじゃないかとか、保険会社化したんじゃないかということぐらい言われたし、スーパーマーケットと競争しているんじゃないかということすら言われましたけれども、そんなことも最近だんだん話題にならなくなってきて、非常にありがたいとは思います。しかし、なかなか農業全体が厳しいという中で、対応し切れていない。むしろ、専業農家とかそういう大規模農家が農協離れをしているんではないかということが指摘されるようになってまいりまして、これまた大変なことだなというふうに思うわけです。

 大臣、いかがですか。今まで農協の果たしてきたいろいろな役割は、今さらここでいろいろおっしゃる必要もないと思いますので、これからの農協というのは、本来どういう役割を担っていくべきだというふうに大臣はお考えですか。そのあたりの基本的なお考えをお聞かせ願いたいと思います。

武部国務大臣 今現在、農村は非常に困惑していると思います。

 一つは、先ほども御議論ありましたように、生産調整が余儀なくされる、減反されればなおさらのこと、一生懸命限られた面積の中でたくさんつくろうというような努力をする、だからなおさらまた米が余ってしまう、そういう悪循環といいますか、これは努力すればするほど何か身が細るような状況の中で、農協の組合員なり生産農家からすれば、一体農協は何をやっているんだというようなストレスといいますか、いらいらが高じていると思います。もちろん、政治家の我々に対しても、それ以上の厳しい視線が寄せられているという認識にございます。

 したがいまして、こういった状況の中で、やはり農協が本来の、農業あるいは農村に対して大きな支えになるというような姿勢といいますか、姿というものを実際につくっていかなきゃいけない、かように思います。

 信用事業は切り離した方がいいという津川さんの御議論もございました。しかし、今信用事業を切り離して、だれがどの程度、今頑張っている生産農家を支えてくれるでしょう。結局は、やはり農協なり政府がバックアップしてやる、そういう姿勢というものが必要なんだろうと思います。それは、他の産業と違って、やはり食料の自給率向上という大きな目標、あるいは資源を維持管理していくというような次元からも大事なんだろう、かように思います。

 さような意味では、今回の農協改革というのは、社会経済情勢の大きな変化の中で、従来の農協系統の事業、組織では、農協系統の内外からの期待に十分こたえられないということから、農業者の協同組織としての原点に立ち返って、組合員に対するメリットを最大限に発揮するためにその事業、組織について抜本的な改革を進めていくということが必要なんだろうと思います。

 とりわけ、担い手を中心とする農業者の営農支援や農産物の有利販売、生産資材の低コストでの供給に全力を挙げることが何よりも重要だと思いますけれども、その前に、やはり農林水産業の構造改革ということがなければならない、かように考える次第でございます。

一川委員 今、世の中全体が、官から民へとか、中央から地方へと、それから自立型社会というような言い方がされていますように、やはりこの農協という組織も当然ながら農業者の自主的な意思で組織されたものでありますから、私は、これからは、こういった農業協同組合という組織はもっと地域のいろいろな実情というものをしっかりととらまえて、自主的に物事を判断し、行動していくような組織として、活力あるものに切りかえていく。今大臣もおっしゃったように、本当に組合員、農家の支えになるような組織として脱皮すべきであるというふうに私も思います。

 そういう中で幾つかお聞きするわけですけれども、先ほどもちょっと話題に出ましたけれども、経営管理委員会というものは平成八年の改正で導入をされてきた制度でございます。今、どうなんですか、この経営管理委員会というのはこれは余り定着していないというふうに聞いておりますけれども、今現状どうなっていますか。

須賀田政府参考人 平成八年の農協改革で経営管理委員会制度というのを導入したわけでございます。選択的に採用してもいいという形で導入をしたわけでございますけれども、現在、これを採用しているのは一農協六連合会の七組織にとどまっているのが現状でございます。

一川委員 今、七組織しか経営管理委員会が設けられていないということは、この制度そのものに何か問題点をはらんでいるんじゃないかという感じがするわけです。これは、本当にこれから農協系統をしっかりと立て直していくということがもっともっと皆さん方に理解していただけるならば、私はこういうものじゃなくて、もっともっとこういうものが普及し、定着しているはずだというふうに思うわけですけれども、局長、どうですか、ここは何が問題になっているんですか。

須賀田政府参考人 もともと、なぜ経営管理委員会を導入したかということでございます。

 実は、五年前の住専問題の際に、先ほど津川先生からも御指摘がありましたように、ありていに申し上げますと、農家組合員の代表で果たして金融業務をこれからやっていけるのかということが指摘を受けまして、そして、我々は、フランスでございますとかドイツでございますとかの制度を見に行きましたところ、組合員の代表は意思決定をするいわゆる経営管理委員会の組織におり、日常のそういう金融業務を初めとする業務執行は外から連れてきた専門家が行う、こういう体制になっておりまして、今後の厳しい金融業務という情勢というようなことを考えますと、これをもう入れるしかないなというふうな判断のもとに入れたわけでございます。

 しかし、現実には七組織にとどまっておるというのがございまして、当初言われましたのは、多分に感情的な問題、要するによそから来た人に支配されたくない、こういうような状況が感情的な問題としてあったということ。そして、経営管理委員会というのは権限がないんじゃないか、何を決めるんだ、権限は全部理事会の方にとられるんじゃないかというような話。それから、若手からは、先ほど来言っております青年後継者ですとか女性が、私たちは経営管理委員になれないじゃないかという不満もあるというようなことでございまして、そういうようなことが原因で七組織にとどまっておるということではないかというふうに思っています。

 私ども、先ほど来御指摘がございました、規制緩和とかそういうことが進んで、ますます農協の行います事業の環境というものが厳しさを増すというふうに思われます。そういうものに立ち向かっていくのは、やはり経営管理委員会制度を導入して対抗するしかないのではないかというふうに認識をしているところでございます。

一川委員 そういう経営管理委員会というものが、ちょっと感情的だとかいろいろな情緒的なところがあってなかなか受け入れがたいみたいなところがあるようなことをおっしゃったわけですけれども、我々も、地方の方でこういうことについての話題に対しては、田舎の人たちというのは割と昔の名前にこだわっているというのも確かにあるんです。経営管理委員会よりも理事会の方が格好いいだとか、何かそっちの肩書の方が偉く見えるとか、そういうことが何となくやはりあるような気がするんです。現実問題、経営管理委員会を設けなくても特段のペナルティーがあるというわけでもないわけですので。

 ただ、確かに、こういう組織をしながらしっかりと新しい近代的な組織に脱皮すべきだという問題意識を持っている方も当然いるわけですけれども、何かその踏ん切りがつかないという面では、私は、この制度の、施策のもうちょっと足りない面があるのではないかなという感じもいたします。そこのところは、今回の法改正の中でも一部、連合会等についてですか、義務づけていくというようなところがございましたけれども、こういったところをやはりこういった農協組織にかかわっている方、組合員の方も含めてもっと受け入れやすいようなことをもっと真剣にもう一回考えたらどうかなという感じもいたすわけでございまして、そのあたり、またこれからの課題として御検討を願いたいと思います。

 それから、先ほどもちょっと話題が出ましたけれども、農協の常勤役員等の兼職の問題なんです。

 この問題も、今の経営管理委員会に割と近いような、何となく感情的、情緒的な判断みたいなものが現場にありまして、端的に言えば、単協の組合長が、当然そういった地域の農業の実情に最も責任ある、詳しい立場にある人間がリーダーシップを持って、例えば県レベルの連合会の会長に就任するというようなことは、私は個人的には、農協という組織からすると、むしろその方がリーダーシップをとりやすいという面があるような気がするわけですね。

 そこのところが、兼職禁止というようなことがいろいろなことで広がっておりまして、要するに、そういう役職は一切兼職したらだめなんだということで、全国におけるいろいろな指導も何となく対応がまちまちみたいなところも見受けられるわけです。

 もうちょっとわかりやすくちゃんと指導されないと、本当に今、役員改正みたいなものがいろいろと行われていたり、これから行われるところもあろうかと思いますけれども、そのあたりに対する指導が、どうも今までは例外的に行政庁が、認可するんですかそういうこととか、今回の改正でも何か省令でそのあたりをちゃんと書きましたというふうには言っておりますけれども、こういった農協組織というものは、現実にはやはり我が国の農業をある面では支えている大事な組織であるわけでございますので、そこの責任者といいますか、リーダーの皆さん方が何か変な不信感に陥っては私はまずいと思うし、やはり自分の地域の農業というものに責任を持ってしっかりとリーダーシップを発揮するという面では、この兼職、兼業禁止という問題についてしっかりわかりやすい指導を私はすべきだと思う。

 私は個人的にも、先ほど言いましたように、農協の単協の理事長はその県連の会長を兼務したとしてもよろしいのではないかなというふうに思うわけですけれども、どうですか、大臣の見解なり、どなたでもいいです。

武部国務大臣 私は全く同感だと思いますよ。これまでの農協合併や破綻農協の処理のケースを見ましても、単協の組合長として地元にも足場のある役員が地元で率先して取り組むことによって強いリーダーシップを発揮してきた、こういったことも事実でありまして、現時点で単協の組合長と中央会理事との兼務を一律に禁止してしまうということは適当ではない、私はこう考えております。

 したがいまして、今後のあり方については、農協系統の事業、組織の動向を見きわめながら検討してまいりたいと思いますが、私自身は、今先生御指摘のことは全く同感でございます。

一川委員 私は、兼職問題で、例えば市町村長とかあるいは市町村議会議員とか、そういう方々が例えば組合長を兼務するとか、そういうことを私は認めたらだめだと思うんですね。(武部国務大臣「組合長を認めたらだめだということですか」と呼ぶ)そうです。市町村長ですよ。市町村長が、要するに農協の組合長を兼務するというようなことを私は認めたらだめだと思う。ただ、農協という一つの組織の系列の中で、専業的に単協の組合長をやっている人が例えば県連の会長についたとしても、私は、それはむしろ責任を発揮するためには兼務されてもいいんじゃないか、そう言っておるわけですよ。

 もう一回、どうですか、大臣。

武部国務大臣 ですから、私が申し上げたのは、単協の組合長として中央会の理事を兼務するということのメリットの方があると。ですから、一律に禁止してしまうということは適当ではない、このようにお答えしているんです。

 今後のあり方については、農協系統の事業、組織の動向を見きわめながら検討してまいりたい、先生の言っていることに同感だ、こう言っているわけです。先生の言っていることと私の言っていることと違えば、同感ということにはならないですよ。

一川委員 まあ、その答弁の限りでは私も同じなんですけれども。

 ではもう一点、ちょっと話題を変えます。これは大臣になるのか局長になるのかわかりませんけれども、今回の法改正の中でもう一つ、要するに信用事業を一本化していくということがうたわれていますね。このところが私は、農水省の今までの考え方とのちょっと、今回の改正と、どうなっていくかというところがわからないものですから質問するわけです。

 これまで、各JAなり各信連なり、それから農林中金なりがお互いに連携をとり合って、お互いに役割分担をしながらこういう信用事業はちゃんと対応していくんだということで、農林省もそういうことをこういった公式の場所でずっとおっしゃってきたと思うのですね。それが、今回こういうことに法律改正をして、農協のこういう金融関係を一本化していくような方向での法改正なわけです。

 従来の指導というかやり方が間違っていたということにもとられかねないところもあるわけですけれども、いや、今、時代の背景がだんだん変わってきたからこうせざるを得ないのだということにもなるのかもしれませんけれども、どうも農水省のこれまでのいろいろな答弁されている見解と、今回信用事業を一本化していくということとが、どういう整合性が図られていくのかということについて、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

武部国務大臣 これまでは、農中、信連、農協が独立して資金運用を行っているという色彩が強いわけでございます。農協系統金融機関が一つの金融機関として総合力を発揮することにより、破綻を未然に防止し、健全な運営を期してまいりたい、かような考え方で臨みたい、かように存じます。

一川委員 私は、実は明日も質問を予定していますので、きょうはこの程度で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

堀込委員長 次に、北村誠吾君。

北村(誠)委員 大臣以下、お疲れと思います。また、委員の皆さん方もお疲れと思いますが、二十分間おつき合いをいただきます。よろしくお願いします。

 農協改革二法のことについてお尋ねをします。

 まず、武部農水大臣には五月二十六日、大変多忙な中、佐賀、長崎両県をお訪ねいただきまして、有明海全体、また諫早湾の干拓事業につきまして視察をいただき、またそれぞれのところで関係者の生の声をお聞きいただきました。本当にありがとうございました。諫早湾の干拓事業関係のことにつきましても後で少し質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 農協の本来の役割は、農業生産力の増進、また農民の経済的、社会的地位の向上ということが言われております。平成十一年には食料・農業・農村基本法が制定され、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的発展及び農村の振興という基本理念が示されております。これに基づいて各種の施策を推進していく上で、農協系統、これも新基本法の理念の実現のために主体的に取り組むことが必要であるということが、もう既にきょうの議論の中でも示されております。

 このような中で、近年の農協系統の経営状況は、これまでも話が出ましたとおり、概して信用事業と共済事業では黒字、しかし、経済事業、すなわち購買、販売の部門では不振であるというふうな状況になっております。信用、共済の利益で販売、購買の欠損の分を補っているというふうな状況であると言えると思います。

 このため、今回の法案では、営農指導事業を農業協同組合の第一番目の事業に位置づけております。肝心なことは、この改正を受けてそれぞれの農協が真剣に営農指導に取り組んでいく、そして取り組むことが可能になる仕組みをつくり上げるということが大事だというふうに思います。

 これは、本来農協に聞かなければならぬ部分もありますけれども、農協が、こうした地域農業の振興や、担い手の期待にこたえて営農支援をどのように強化していくべきであるかということを、まず大臣にお訪ねいたします。

武部国務大臣 営農指導については、技術指導水準が低く、篤農家や法人経営、先駆的青年農業者のレベルにはるかに及ばない、あるいは、肥料、農薬等の生産資材の売り込みや農協を通じた出荷の拡大等に専心し、農家の知りたい栽培技術等を十分身につけていない、合併により広域化するにつれ、営農指導がなおざりにされがちであり、少なくとも組合員とのつながりが希薄化している、主として組合員の賦課金により賄われていることを理由にして営農指導員の数をふやさない等々の批判が寄せられているわけでありますが、今後、担い手の育成、食料自給率の向上等を図るための構造改革を進めることが急務となっていると存じます。

 営農指導を農協の第一の事業として明記したのは、かような背景があるわけでありまして、このような考え方のもとで、地域農業改良普及センター等と連携を図りながらその実現を図る、法人経営、大規模家族経営等とのネットワーク化を図り、指導の重点化を図る、試験場、肥料、農薬等のメーカー、地域農業改良普及センター等の協力を得て、営農指導員の資質の向上を図る、農産物の有利販売の観点からの対応を戦略的に実施する、かようなこと等によりまして、生産から農産物販売までをカバーすることを旨として、営農指導の質の向上を図ることが重要と認識しております。

北村(誠)委員 営農支援につきましては、都道府県の改良普及センターの普及員、これらが技術指導などを中心に行っています。そこで今度、農協の営農指導事業と都道府県の普及センターが行う普及事業と、この役割の分担、どのように考えておられるのか。

 また、農協改革を進めて、農協の営農指導を強化する上で両者の連携が非常に大事だとこれまでも言われてきました。しかし、せっかく今度営農指導を大事にということでこの法律改正をいたすわけですから、どんなふうに連携をしていくのか。

 さらに、農業改良助長法という法律がございます。この法律によれば、国と都道府県が連携をして協同農業普及事業というのを展開するのだというふうになっております。このことも頭に置いて、経営局長、この営農指導を第一に据えた法律の改正、この際どのように取り組もうとしておるのか。私は、後で諫早湾干拓事業のことについて営農の面でお尋ねをしたいと思っていますが、このことを頭に置いて、まず今のくだり、御答弁をいただきたい。

須賀田政府参考人 農協の行う営農指導事業と地域農業改良普及センターの行う普及事業でございます。ありていに申し上げまして、農家から見ますと、技術レベルというのは普及の方が高うございますが、農協の方は、営農指導に生産資材の供給でございますとか農産物の販売ですとかの事業がついておるということがございます。

 したがいまして、技術指導の面では、既に確立された技術の徹底というのは農協が行いまして、新たに開発された高度な技術の導入等は普及が担当するというふうに分担をしたいと思っておりますし、経営指導の面では、ただいま申し上げました販売事業にかかわるような出荷規格の統一、こういうような面は農協が担当いたしまして、経営体の経営発展のための高度な経営分析でございますとか、診断でございますとかは普及の方が実施するという役割分担のもとに行うようにしたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、営農指導員の資質の向上というのが求められております。試験場、普及等の力をかりまして研修等に努めながら、その資質の向上の面では普及の力をかりたいというふうに考えております。

 具体的には、農協の営農センターが事務局になりまして設立をすることとしております地域農業戦略協議会というものの中に普及を入れて、その連携が図られるようにしたいというふうに考えております。

北村(誠)委員 今の答弁はそれなりに納得できるわけですが、もう少し具体的に私の地域の状況に基づいて局長にお尋ねします。

 営農指導を農協がやるだけの人の確保と、確かにおっしゃるように、営農指導員の資質の向上ということをおっしゃられました。ぜひ資質の高い営農指導員を農協にも確保できるように、確かに、合併をしたりいろいろな大きなスケールになって優秀な人手を確保することができるというふうな状況になることを目指して今合併を推進しております。そういう中で、農協が根本的なところで、そういう優秀な人を確保するあるいは営農指導員の資質を向上させるための研修なり教育なりをするというふうなそういう余力、余裕というものが、農協自体の財政的な面になかった。

 だから、今度の法律の改正について期待をしておる農家の声あるいは担い手の声は、ぜひ仕組みの中で、農協がこの営農指導のために割く人それから金というものを確保できるようなそういう状況にしてほしいんだという気持ちがあるわけです。そこら辺について、ちょっと私の気持ちを酌んで答弁をいただきたい。

須賀田政府参考人 農協の行います一般的な営農指導、これは農協の本来の業務でございますので、それについて支援をするというのはなかなか難しゅうございます。

 しかしながら、国として、望ましいような地域農業の再編でございますとか生産対策でございますとか、そういう事業につきましてはいろいろな形で対策事業を組んでおるわけでございまして、その中にはハード事業と並びましてソフト事業もあるわけでございます。このソフト事業は、集めますと相当なお金になるわけでございまして、そういうようないろいろな事業の中から、農協の方が自分に適した事業を選んでいただきまして予算を活用していただくという仕組みで、今後活用を願いたいというふうに考えている次第でございます。

北村(誠)委員 先ほど質問の中で申し上げましたが、協同農業普及事業というのを農業改良助長法によって、国と都道府県が連携をして、そしてじきじき、真っすぐ現場に入っていくというふうなこともできることになっておるということを、これはまだこれから勉強しなければいけませんけれども、そこら辺もぜひ応用していただいて使いこなせるようにやっていただきたいということを、これは要望とさせていただきます。

 それから、諫早湾の干拓のことについて、ちょっと私、お尋ねをさせていただきたいと思います。

 最初に、調整池の水質の問題です。十八日にもこの調整池の水質に関する委員会が開かれまして、これまでも長崎県サイド、あるいは九州農政局サイドあるいは連携をして、いろいろな形で、この諫早湾防災干拓事業を推進してくる中では、ずっと環境問題について、水質の問題について十分高い意識を持って取り組んできたということを私は承知しております。そういう中で、水質が非常に悪い、あるいは汚れている、極端な人は腐っているという表現まで、とんでもないことでありますけれども、なさった。

 この際、はっきり申し上げて、また国、政府、大臣としてのお答えもいただきたいと思うんです。特段にあの調整池の水が汚れておる、まして腐っておると言われるような状況にはないと私は認識しております。調整池の水質についてどのように認識しておられますか、現状を説明していただきたい。

木下政府参考人 調整池の水質についての御質問でございますけれども、私ども、調整池の水質は、基本的には調整池に入っております本明川などの河川から流入する負荷によって形成されているということで考えております。

 具体的な水準でございますけれども、季節やあるいは雨が降った後等々によって変動がございますけれども、COD、化学的酸素要求量で見ますと一リットル当たり六ミリグラム前後、また全窒素は一リットル当たり一・五ミリグラム前後、また全燐は一リットル当たり〇・二ミリグラム前後で推移をしております。

 この水準でございますけれども、例えば霞ケ浦よりも低く、諏訪湖とほぼ同じレベル、また有明海奥に流入しております六角川等々の河川水質とほぼ同じようなレベルにあるというふうに考えております。

 また、水質に関連いたしまして、色についてもいろいろな御指摘がございます。私ども、成分分析を行いましたけれども、底の泥に近い組成ということでございまして、調整池の水深が浅いということもあり、諫早湾に元来ございます潟土が巻き上げられているというふうに理解をいたしております。

北村(誠)委員 一番最後のくだりに、潟の泥が巻き上げられておると。これは深いところ、浅いところ、ずっと変化があるわけですから、池みたいな、湖みたいなところでありますから、風で波が立てば当然巻き上げが起こる。ですから、そういうところにアシとかヨシとかを植えたい、そういう対策もしたいということで、関係の漁業者に対して、農水省がごく最近、わざわざ説明にも出向いておるということも聞いております。

 ですから、そういう努力は着実に積み上げていただく。相手方がどのような態度で臨まれるかは別として、誠実にこちらは、そういうふうな事柄について努力をしておる、また対策も打っておるということをきちんきちんと説明していくということが、実際の行動の積み重ねをしていくということが非常に大事ではないかというふうに思います。

 もう一点、有明海のノリの不作と関連をいたしまして、もう昭和五十三年ごろから普及しておる、ノリの養殖に使うクエン酸とか酢酸とかいう酸処理剤、これが二十年余り有明海のノリ養殖場では使われておる。これを使うことによってアオノリがノリひびに、網につかないようにというふうなことなどで、非常に有効な方法であるということで酸処理剤を二十年余り使ってきた。この使用の実績、またこれを使うことによって貝類の生産量、これらがどういう推移になっておるか、この辺の説明をいただければお願いしたいと思います。

渡辺政府参考人 御指摘がありましたように、酸処理は高品質のノリの安定供給に欠かせない技術であります。平成十一年度の酸処理剤の販売量は全国で六千トン、有明海では二千九百トンということになっております。これらはpH二程度でございますけれども、五分間程度網を浸します。そして、その後海中に戻しますと、海水の強い緩衝作用によりましてpH八程度に戻りますので、貝類等への影響は軽微であるというふうに言われております。

 いずれにいたしましても、県や漁連等と連携をいたしまして、酸処理剤が適正に使用され、残液が回収されることを徹底するように指導しているところでございます。

 なお、今五十三年からとおっしゃいましたが、この指導を徹底いたしましたのは五十九年からでございます。五十三年ごろに使われておりました酸処理剤と五十九年以降の有機酸の酸処理剤、ちょっとそこで境目がございます。

北村(誠)委員 よくわかりました。

 それで、酸処理剤を使うことによって、貝類への影響は軽微だという説明を長官なさいましたけれども、貝類に悪影響を与えて貝類が死んでおるのではないかという疑いを持つ、それを研究している学者、科学者もおられますから、ここら辺の事柄についても十分注意をして、適切な使用、そして汚染、公害と言われることのないようなものに持っていかなければいけない。ですから、これは第三者委員会の中でまた当然に議論をなされて、これらのものについても水産庁もさらによく見守っていただきたいというふうに思います。

 最後に、干拓地の営農について、農林大臣にお話を聞かせていただきたいと思います。

 大臣は、現地をごらんになり、また現地の農家の代表の方ともお話をされて、農家の方が六百年前からずっとつくってきた干拓地が、新しい干拓の後背地ということで、あの堤防ができたことによって非常に安全に、しかも自分たちが望む営農の仕事ができておる。

 特に、大臣も感じられたと思いますが、旧干拓地の部分の用水路、排水路、これに水をためて、そしてそれを自分たちの畑作等に使っておる。まさにこの用排水路にたまった水を使って干拓地では営農を続けてきた。この大きなもの、今日的なものとして、まさに調整池の水を、真水を営農に使うんだというふうなことでやってきておるわけです。

 ですから、農家が、安全が最も大事であると言われる食料、農産物をつくるのに、腐った水とか、あるいはいろいろ心配があるような水を使って耕作、営農をするというふうなことはまず考えられないです。そして、県もそういうふうなことで国とよく連携をとりながらやってきたところです。

 ですから、ぜひ、環境保全型、あるいは自然と共生をする農業、これを実現していくんだということを、もう大臣就任以来力説しておられます。そういう観点から、諫早の干拓地にできた農地、これは国が事業主であります。県の意見や関係農家の意見、希望というものも大事だけれども、やはり国が事業主体であるということも考えたときに、営農の形というものについてはひとつ国がリードするような形で、自然と共生というふうなこと、有明海が今度きちっと再生していくというふうなことにつながるような諫早湾の干拓、営農というものに結びつくようなことでやっていただきたい、そこら辺の所見があればお聞かせを願いたいと思います。

武部国務大臣 諫早湾の干拓事業につきましては、現地を見させていただきまして、実際に見た者でないとわからないという感慨を感じた次第でございます。

 私ども、オホーツク海に流氷が必ず参ります。漁師が、氷の来ない海が欲しいという思いをみんな持ち続けて養殖事業に取り組んでまいりました。したがいまして、あそこに住んでいる皆さん方が干拓事業にかけるその熱意というものは痛いほどわかったような気がいたします。

 今後の営農のあり方につきましては、二十一世紀のモデルともいうべきそれにふさわしい自然との共生を第一に考えたそういうプランができないものか、関係機関一体となって構想してみたいな、かように存じます。

北村(誠)委員 どうもありがとうございました。終わります。

堀込委員長 次に、白保台一君。

白保委員 長時間にわたって大変御苦労さまでございます。間もなく終わりますので、しばらくの間おつき合いをお願いいたします。

 この法案を審議するに当たって、幾つも関心を持っているわけであります。自給率の問題や、あるいはまた組合員の資格の問題、そして収益構造の改善の問題とか、あるいはゾーニング規制の問題、業務執行体制の強化は先ほども議論がありました、監査機能の強化の問題、さまざまに関心を持っているわけでございますが、総論としての質問になろうかと思いますが、お答えをいただきたい、こういうふうに思います。

 まず、今回の改正に当たりまして、激変する社会ですし、あるいはまたグローバル化された中で、この時代にそぐわなくなってきた、こういうこともあろうかと思います。また、組合が果たしてきた役割といったものは一定の役割を果たしてきたんだろう、こう思いますし、多くの役割等も果たしてきたと思いますが、それが現在の社会情勢の変化によって十分にこたえることができなくなってきた、そういうことなのかな、こういうふうに思います。

 そこで、この改革をやっていかなきゃならないという、タイミングの問題なんですね。タイミングの問題を、なぜ今改革なのかというこの辺の背景といいますか、そういったもの、そしてまた、具体的にこの改革で何を期そうとされるのか、このことをまず総論としてお伺いをしていきたいと思います。大臣。

武部国務大臣 これまでの改革が進まなかったのは、制度に強制力がなく、かつ系統の改革への取り組みが不十分だったことによる、このように言われております。

 今回は、法制度上、可能な限り強制力を持たせるとともに、農協系統でも実施プログラム策定と定期的な点検を行うことで改革が着実に実施されることを期待しているのでありますが、こういった状況の中で、先生御案内のとおり、食料・農業・農村基本法が平成十一年七月に制定されました。農協系統は地域農業の振興や担い手の支援に全力を挙げていくことが強く期待されているわけでございます。また、平成十四年四月のペイオフ解禁を控えて金融情勢が激変している中で、農協系統金融についても抜本的な見直しを早急に行う必要に迫られております。

 こういったようなことから、昨年四月から農協系統の事業、組織の抜本的な見直しについて検討を進め、今国会に農協改革二法案を提出したものでございます。かようなことを背景にして、私どももしっかり対応してまいりたいと存じます。

白保委員 では、自給率の向上に向けての問題について伺っておきたい、こう思います。

 この委員会でも私も何度か自給率について議論をさせていただきました。先ほども大臣がお話ありましたように、食料・農業・農村基本法と、また昨年、食料・農業・農村基本計画が定められて、生産、消費両面で国民全体がよく理解した上で、可能な限り自給率四五%の実現に向けて取り組むということになっておるわけでございます。

 そこで、JAグループでも、自給率向上と農業、農村の振興を図るため、作物別の生産努力目標達成や日本型食生活の推進、地産地消などの消費拡大に取り組むことを決意していますが、特に水田農業経営確立対策のもとでの麦、大豆などの生産拡大と販売促進、担い手の育成などの取り組みについて言っておるわけでございまして、そのことについても伺いたいと思います。

 先ほど経営局長は、担い手の農協離れが進んでいる、このような答弁もございましたが、そういった中で、JAが地域農業振興の司令塔の役割として、向こう五年間の生産、販売計画や担い手育成、農用地利用調整などの目標を盛り込んだ地域農業戦略の策定とその実践を言っておるわけであります。そのことについての成果、そういったものの見通し、確信等を伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

須賀田政府参考人 食料自給率につきましては、本委員会で何回も御議論をいただきましたように、国内の農業生産だけではなくて、国民の食料消費のあり方によっても左右されるということでございまして、生産者と食品産業関係者、消費者の関係者が一体となった取り組みが不可欠であるということでございます。

 そして、農協は今後どういう役割を果たすかということでございます。

 やはり、消費者ニーズというものと生産を結びつける、かけ橋になる役割、これが第一の役割でございますし、従来、ややもすれば、担い手が産直とかそういう自分で販売をする場合、農協が邪魔をしていたというような批判もございます。今後は、そういう担い手の販売行動についても、規格の統一その他を通じて、支援をしていく、そういうようなことを含めまして、担い手をネットワーク化をいたしまして、生産資材の低コストでの供給でございますとか、そういう地域農業を戦略的に振興していくという役目をこれから重要な任務として取り組んでいきたいというふうなことを決めたわけでございます。

 この見通しを今ちょっと推測することはできないわけでございますけれども、こういう努力が実を結ぶことを期待をしているところでございます。

白保委員 先ほどの答弁でも、担い手の農協離れなどということをおっしゃるものですから、そうしますと、まさにこれからやっていこうという中で見通しが立たないというようなことになりかねない。したがって、そういった問題についてもしっかりと取り組んでいかないと、見通しも立てられないし、また計画を推進することはできない、こういうふうに思います。

 最後になると思いますが、関連しまして、地域農業振興の司令塔としての重要な役割と使命として、JAですよ、従来の技術指導から産地ブランドの確立、販路開拓など、販売活動の強化とかコスト削減や有利販売につながる情報提供の充実などの促進をどのように考えておられるのか、そのことを最後にお聞きしたいと思います。

須賀田政府参考人 今後の農業に対する取り組みということで、まず、営農指導を第一の事業にしたということが今回の改正の第一の意義でございまして、これを受けて、今、農協系統が地域農業の振興に取り組むということにしているわけでございます。その基本となるべきことは、先ほど申し上げました地域農業戦略ということで、担い手、大規模農家、法人経営、全部入れて地域農業の司令塔となるということが第一でございます。

 そしてそれに、先生今言われました情報化を促進するということでIT等に取り組みまして、まず農家への情報化というものを推進していくという取り組み、そして生産資材の、目標としては担い手に対して二〇%ダウンをした供給をする、そして、有利な農産物販売に取り組む等々、総合的な取り組みによりまして自給率の向上を目指すということでございますので、私どももこれへの支援ということの観点から指導をしていきたいというふうに思っておる次第でございます。

白保委員 終わります。

堀込委員長 次回は、明二十一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.