衆議院

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第2号 平成13年9月26日(水曜日)

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平成十三年九月二十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 堀込 征雄君

   理事 木村 太郎君 理事 岸本 光造君

   理事 滝   実君 理事 二田 孝治君

   理事 小平 忠正君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君

      相沢 英之君    岩倉 博文君

      岩崎 忠夫君    岩永 峯一君

      金田 英行君    上川 陽子君

      北村 誠吾君    後藤田正純君

      七条  明君    園田 博之君

      高木  毅君    西川 京子君

      浜田 靖一君    菱田 嘉明君

      増原 義剛君    古賀 一成君

      後藤 茂之君    佐藤謙一郎君

      城島 正光君    津川 祥吾君

      筒井 信隆君    永田 寿康君

      楢崎 欣弥君    江田 康幸君

      高橋 嘉信君    中林よし子君

      松本 善明君    菅野 哲雄君

      中川 智子君    金子 恭之君

      藤波 孝生君

    …………………………………

   農林水産大臣       武部  勤君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   農林水産副大臣      遠藤 武彦君

   農林水産大臣政務官    岩永 峯一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           鶴田 康則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  小林 芳雄君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十六日

 辞任         補欠選任

 吉田六左エ門君     増原 義剛君

  山口わか子君     中川 智子君

同日

 辞任         補欠選任

  増原 義剛君    吉田六左エ門君

  中川 智子君     山口わか子君

    ―――――――――――――

八月九日

 一、農業経営再建特別措置法案(小平忠正君外二名提出、第百五十一国会衆法第二〇号)

 二、農林水産関係の基本施策に関する件

 三、食料の安定供給に関する件

 四、農林水産業の発展に関する件

 五、農林漁業者の福祉に関する件

 六、農山漁村の振興に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(牛海綿状脳症問題)




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     ――――◇―――――

堀込委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長小林芳雄君、厚生労働省大臣官房審議官鶴田康則君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀込委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀込委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤田正純君。

後藤田委員 このたびのBSEの発生に伴いまして、消費者の皆様、そしてまた各生産段階におきましてのさまざまな関係者に対しまして、大変な被害があったというふうに私自身認識しておりますが、まず農林水産大臣、そして厚生省の方もきょう来ていらっしゃっておりますが、基本認識につきまして、国の行政責任としてどのような御認識がおありになるか、お答えをいただきたいと思います。

武部国務大臣 このたびのBSE発生に伴いまして、消費者の皆さん方はもとより、流通、生産各段階のあらゆる関係者の皆様方に大変な御迷惑をおかけし、実際にも相当な被害に瀕しているという認識でありまして、強い責任を感じております。

 問題の発端は、屠畜検査体制は厚生労働省、家畜衛生の問題については農林水産省、つまり、屠畜検査体制ということは、食肉等の安全性、人の健康に影響を与えるかどうかという問題性、そういったものが外に出ないようにするための検査は厚生労働省ということでありますし、家畜の衛生、保健ということについては農林水産省にあるという一つの縦割り行政の問題というものがあると思います。このことにつきましては、今後、厚生労働省と連携をしっかりとっていかなければならない、かように考えております。

 ただ、一言申し上げますと、現時点では、諸般の対策によって、食用の肉等もまたえさ用のものも屠畜場から外に出ないという体制にシステムが確立されたということをお知りおきいただきたいということを申し上げます。

桝屋副大臣 お答えを申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、かねてからBSEの人への感染性というものが指摘されておりましたことから、ずっと、その時々の科学的な知見等に基づきまして、必要な対策を今日までも取り組んできたところでございます。

 具体的には、既に発表されておりますけれども、御案内のとおりでありますが、輸入食品等につきましては、平成八年三月から英国産の牛肉あるいは加工品等の輸入自粛を指導いたしまして、その後EU等でBSEの急増がありましたので、BSEの我が国への侵入防止対策をより確実なものにするという観点から、本年二月からEU諸国からの輸入を食品衛生法に基づき禁止をした、こういう取り組みをしてまいりました。あるいは、国産食肉等につきましても、平成八年にと畜場法施行規則を改正いたしまして、屠畜検査の対象にBSEを加える、あるいは、本年五月からサーベイランス体制を整備して、神経症状を呈する牛に対する異常プリオンの有無の検査を開始したところであります。

 こうした対策に鋭意努めてきたところでありますけれども、今般、BSEに罹患をした牛が発見されたということについては、まことに残念であるというふうに思っております。

 先般、当面の緊急対策として、食肉処理時の検査について、現在実施しております生後二十四カ月齢以上の神経症状を呈する牛、これに加えまして、新たに生後三十カ月齢以上の健康な牛についても全頭検査をする方針を決定したところでございます。

 今後、さらに農林水産省と連携を図りながら、今申し上げた体制の整備を一日も早くするという努力をしてまいりたい、そして、食肉処理時の検査や国民に対する情報提供等に万全を期してまいりたい、このように決意をいたしているところでございます。

後藤田委員 ただいま農林大臣も指摘されたとおり、縦割り行政の問題が、これは消費者のみならず、学会、そしてまた多くの方々が指摘するところでございます。

 このたびのケース、千葉県でまず八月六日に、いわゆる食肉処理場で、疑似患畜として狂牛病の疑いがあるものが発見された。食肉処理場というのは、これは厚生省の管轄でありますね。にもかかわらず、なぜ厚生省に一報が行かなかったのか。厚生省に一報が行っていれば、すぐに廃棄処分のはずだったわけです。それが何ゆえに、どのような権限で、まず県の農政部に行って、それから農林省の方に報告があって、そこから九月十日、一カ月おくれて厚生省に報告があったやに聞いております。

 そのことの事実関係と同時に、そしてまた、厚生省にすぐ報告が行かずに、レンダリング業者に物が移動した。このレンダリング業者にしてみればいい迷惑でございまして、その点につきましての御見解をお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 かなり誤解が国民の皆さん方にあることを我々は反省しておりますけれども、具体的な御質問ですからあえて申し上げますが、屠畜場で、食肉衛生上の検査はと畜検査員が行うわけです。このと畜検査員の診断は敗血症ということで、BSEを疑っておりません。ここでBSEを疑いますと、解体後検査ということに回しまして、BSEサーベイ、焼却、頭を品川研究班という方に回していくわけでありますが、この屠畜場の屠畜検査までは、あるいは診断はと畜検査員がやるということになっていまして、農林水産省は、そこからサーベイランスに適する脳材料があるとの連絡を受けてとりに行った。そして、家畜保健衛生所で検査し、焼却したということになっているわけです。

 ですから、最初の屠畜検査で食肉としては不適当ということで、レンダリングに回すのはと畜検査員の判断で出てしまったというわけで、新聞には一部、厚生労働省が農林水産省から知らされていないという書きぶりでありますが、それはむしろ逆でありまして、私どもが、頭、サーベイランスに適する脳材料があるとの連絡を受けてとりに行ったということでございまして、ここのところが大きな問題になっているわけでございます。

 これがサーベイランス要領に基づいて、BSEを疑って検査するということで回ってきていれば、これは間違いなく、一〇〇%焼却処分になっているものでございまして、そういうような背景から、農林水産省の畜産部長は、焼却処分にした、こういう発表をしていると思います。

 今、先生の御認識はどういうことでお話しなさっているか不明確な部分もありますので、私の方から先にお答えさせていただきましたが、そういうところに問題があったというふうに理解しております。

尾嵜政府参考人 事実関係につきましては今農林水産大臣の方からお話がございましたとおりでございますが、そういった屠畜場の方の検査では、敗血症ということでBSEを疑わなかったというのは事実でございます。

 そういった中で、一方で家畜保健衛生所の方で検査をされておる、そこのところは十分なお互いの情報交換をした上でこちらの方が結果を待って保管をするというふうなところを意思の疎通を図っておればよかったわけでございますが、結果的にはそこの連携が十分でなかったというのはそのとおりでございます。そういったことがないように、今後は同じようなことが起こらないように、それぞれで、農林水産省、私どもの方あわせまして、体制を整えるように通知をしたところでございます。

後藤田委員 今、いみじくも厚生省の方から連携不足であったという指摘がなされました。

 もう一つ申し上げたいのは、これは輸入の肉骨粉の件でございますが、一九八六年にイギリスで狂牛病が発生していたにもかかわらず、そしてそれを厚生省は認識をしていた。しかし、それを農林水産省の皆様と協議をしていれば、その当時に輸入禁止等の措置をとれたのではないかなという点につきましても、やはり縦割り行政の問題点を指摘せざるを得ないというふうに思っております。

 これは私の提案なんですが、デンマークでは、テーブルからステーブルへ、いわゆる食卓から畜舎、生産現場というすべての流通段階、そして口に入るまで、これを一つの部局で管理をしているわけですね。これはデンマークで九六年に、過去のさまざまな問題があったおかげでそれを実施しようということになりました。O157の事件もそうです。これも横の連携がなかった。今回も、問題の性質は異なりますが、本来的な原因はそこにあるのではないかなと私自身思っております。

 そして、今後の体制整備について農林水産大臣そして厚生労働省にお伺いしたいのと同時に、もう一点、時間がちょっとありませんので、最後に一点つけ加えさせていただきますと、今回は畜産関係において事件が発生しました。しかし、いわゆる戦後五十年の長い歴史の中で、いわゆる食品衛生というものと生産段階における管理というものがやはり問題があるんじゃないか。これを全部、この際、消費者、国民の皆様の信頼を得るために全部検査をしていただきたい。

 いわゆる農産物の輸入品についてもそうです。水産物についてもそうです。これについてもしもう一度こういうことがあれば、政府に対しての信用は全くなくなります。狂牛病という、その牛の問題もそうですが、怖いのは人の行いなんですね。人の行いこそ怖いということを、政府の皆様がその認識をしていただいて、国民の皆様に明確にこの場でその今後の対策、再発防止を御訴えいただきたいと思います。

武部国務大臣 委員御指摘のように、国民の安全、安心で良質な農産物に対する要求にこたえるためには、やはり生産、流通、加工各段階ごとの安全性の確保が不可欠でありますし、消費者の信頼確保を図っていくためにはやはり、食品等のトレーサビリティーシステムというふうに言うんだそうでありますけれども、そのことに向けて厚生労働省との連携のもとに具体的なシステム開発を行ってきたつもりでありますけれども、さらに今御指摘のように非常に大きな問題が発生したわけでありますので、厚生労働省としっかり連携をとって、さらなる強化に努めてまいりたいと思います。

後藤田委員 今回も緊急対策において、厚生労働省と連絡を密にしてというまくら言葉があるんですね。これは何十年とこの言葉が使われてきて、O157もそうですが今回の事件もそうです、これはやはり組織の問題である。これを明確に変えるべく早急に動いていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

 以上です。

堀込委員長 次に、鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。

 今回の狂牛病問題は、既に十日余りで牛肉の消費も、きょうの新聞等でも、価格が下落をして、小売のスーパー等でもお客さんが非常に牛肉から遠ざかっておる、これはもう歴然として示されておりますし、生産地においても、北海道の佐呂間町あたりは牛の引き取りが大変大きく損なわれるという形でありまして、大変大きな問題になっておるわけであります。

 私は、迅速な対応が今求められておるということで、一つは狂牛病の安全性、牛肉の安全性ということについて速やかな措置をとること、また、その発生源になっておるさまざまな問題についてもやはり迅速な問題解決と、そして国民に対する正確な情報の伝達ということが求められておるというふうに思っております。

 以下、具体的に、この四十分という限られた時間でありますので、質問をいたしますので、答弁もできるだけ簡潔にお願いをいたしたいと思います。

 まず最初に、牛肉等の安全性の問題です。これは厚生労働省にお伺いしますけれども、現在この牛肉等の危険部位ということで除去しておる部位について、端的にお伺いをいたしたいと思います。

桝屋副大臣 狂牛病に感染した牛の危険部位についてのお尋ねでございます。

 動物の疾病等に関する国際的な基準の設定等を行っておりますOIE、いわゆる国際獣疫事務局でございますが、ここが定めました基準では、牛については、脳、脊髄、目、それから回腸遠位部、小腸の最後の部分でございますが、以上が危険部位として指定をされておるというふうに理解をいたしております。

鉢呂委員 問題は、屠畜場で今言われた脳、脊髄、目、これを除去しておるのかどうか。いわゆる頭蓋を、牛体の頭蓋、頭の部分ですね、これを除去しておるのかどうか、簡潔に答えてください。

尾嵜政府参考人 危険部位のうち、脳それから脊髄につきまして、特に脳、頭の方につきましては、一般に出回らずに焼却なりそういった処理をしているというのが一般的でございます。脊髄につきましては、解体をした後に業者がそういったものを取り扱っているというふうに理解をしております。腸につきましては、全体、内臓というものの区分けをする中で、小腸の遠位部というところも含めて、そういったものについては全体、内臓の業者の方が引き取って使用するというのが現状でございます。

鉢呂委員 今一般的という話をされましたけれども、必ずしも、今言われたことが全屠畜場で禁止をされておるんですか。はっきり早く答えてくださいね、時間がありませんので。

尾嵜政府参考人 現在は、屠畜場の方では、御指摘の部位についての取り扱い、禁止をしているということはございません。ただし、私どもとしましては、それについてどう考えるかというのを今検討しているところでございます。

鉢呂委員 ヨーロッパでは、生後十二カ月以上の、脳と眼球を含む頭蓋の部分、それから脊髄、回腸の除去というものを、扁桃という、こののどの部分でしょうか、扁桃を禁止しておるということでありますから、やはり厚生労働省として速やかな措置をとっていただきたい。今お話があったように、禁止措置にはなっておりません。

 各東京都の屠畜場では、頭蓋の部分を禁止をする、入れないというようなことを最近発表しておりますけれども、厚生労働省として、この部分について、それが感染のおそれがあるとかないとかにかかわらず、禁止をするならするということを明確にここで発言をしていただきたい。副大臣、お願いいたします。

桝屋副大臣 現在の状況については、先ほど事務方からお答えを申し上げました。

 今委員から御指摘をいただいたようなことも含めまして、ただいま、これからどうするかということについて、技術的な問題も含めて早急な検討をするということで取り組みをさせていただいております。

鉢呂委員 速やかな対応ということでありますから、例えばヨーロッパにおいても、先ほど言ったような形、イギリスはもっと厳しい設定ですね。脾臓ですとか胸腺ですとか腸全体、それらを禁止するということでやっておるわけですから、そういう方向で今速やかに取り組むという姿勢をもう一度御答弁願いたい。

桝屋副大臣 屠畜場におきます処理につきましては、これは基本的には都道府県知事が権限を持っておるものでございます。

 私どもとしては、都道府県に対しまして、早急に検討いたしまして、今委員の御指摘のような方向で処理ができるように指導していきたいと考えているところでございますが、具体的な内容については、今早急な検討をいたしているところでございます。

鉢呂委員 そこで、私ちょっと、牛体の解体の写真を皆さんにお回しをしたわけでありますけれども、私先週、私の地元の食肉屠畜場に参りまして、その工場長から、鉢呂さん、実は牛体の解体は背骨の部分を真っ二つに縦から割るという、いわゆる脊髄を中の髄液をはみ出すような形で、背割りという解体をしておるんだという話を聞いてびっくりしたわけであります。ここに、真ん中の写真でありますけれども、こういう電動のこぎりで脊髄をちょうど中心から割るような形で、この脊髄の付近の肉は日本では非常に高価だという形で解体仕事がされておる。

 イギリスでは九五年にこういう方法を禁止されて、いわゆる機械的内臓摘出の方法について、これは東大の小野寺教授から教えていただいたんですけれども、解体後、脊髄の一部が牛肉に付着している様子がしばしば見られて、これは四例ほどあったんでありますけれども、九五年の十二月の十五日にこのような脊髄を傷つける方法が禁止をされたということでありますけれども、日本ではこのことが行われているのかどうか。

 そして、これを速やかにやはり禁止をする。やる方法は、脊髄の中の部分だけを抜き出す方法と、それから、この脊髄の両面を、両面は肉の部分を損傷しますから、大事な肉ということもありますから、両面があるのでありますけれども、早急にこれも厚生労働省として結論を下していただきたい、検討会とかなんとかというような方法でないと思います。御答弁をお願いします。

桝屋副大臣 今、資料をお示しいただきましてお尋ねいただきましたけれども、御案内のとおり、私も委員と同じく、この背割りの処理方法について実は驚いた一人であります。今委員からお話がありましたように、BSEが多発しておりますイギリスとかヨーロッパ、EU等については、順次危険部位を除いて食肉処理を行う方法に移行したというふうに伺っております。

 厚生労働省といたしましても、EUと同様の処理方法を義務づけることが必要かどうかということについて、これは各国の対応も、今委員からもお話がありました、その処理方法についてはいろいろな方法があるようでありますし、処理方法、それから消毒の方法も含めて技術的な検討を早急に行いまして、適切に対処したいというふうに考えております。

鉢呂委員 こういう公開の場で私が質問しているんですから、これがまた牛肉に対する不安感になるという形では、私の質問がまさに意味をなさない。今まさに責任ある副大臣が、これは禁止しますと。今、三十カ月以上は十月下旬の屠畜検査まで自粛をするということになっているちょうどいいチャンスでありますから、やはりいろいろな技術的な問題はあろうと思いますけれども、禁止をする、危険性のある部位、それからこの脊髄を背割りする方法については禁止をするという明言をしていただきたい、このように思います。

桝屋副大臣 これはずっとこの二、三日、各方面から御指摘をいただいていることでございます。可及的速やかに検討して処理をしたい、このように考えております。

鉢呂委員 だめですよ、そういう答弁では。

 こういう形で終われば、今もお話、繰り返しになりますけれども、逆に消費者の不安感をかき立てる。私は、何もおもしろおかしく言っているわけでもありません。私が、先週、問題意識を持ったときに、新聞にも二紙だけ出ました、この問題については、脊髄の背割りの問題については。ですから、あれからもう四、五日はたっておるわけですから、きちんとした結論を今出してもらわなかったら、むしろ風評被害をもたらすという意味で、結論を言っていただきたいと思います。

桝屋副大臣 ここで私が明確にお答えをするその準備が今できていないわけでありまして、先ほど申し上げましたように、可及的に速やかに検討を進め処理をしたい、こう申し上げたわけであります。その方向で進めていきたいと考えております。

武部国務大臣 私がお答えする立場にあるかどうかわかりませんが、今回のBSE感染牛の発生に伴いまして、検査体制に非常に大きい問題があった。これは縦割り行政の問題でもあるということで、検査体制を抜本的に見直すという措置をとったわけです。

 まず一つは、BSEサーベイランス要領では、疑いを否定できない牛とそれから中枢神経症状のあるものと分けておりましたが、これもすべて検査して、焼却処分にするということにしました。これはもう二十日の日に通達を出しました。

 もう一点は、生後三十カ月以上のものは延髄をとって、そして検査してから処理する、そして食肉にするものは食肉にするということになったわけです。首をとって、そして延髄をとって、そして検査して出すということですから、これにはエライザ法という新しい方式をとるんで五時間ぐらいでできる……(鉢呂委員「大臣、時間がないので」と呼ぶ)これは大事なところですからね。五時間ぐらいでその検査ができるということになっているわけですね。

 それから、これは中旬ぐらいまでにできるので、それまでの間は牛を屠畜場に出荷するのを繰り延べてもらうというような措置をとっておりますから、私も専門家でないからわかりませんが、検査してから解体するという、そういうことになるのではないか。こういうことになれば、今委員御指摘のような問題というものが解消されるのかどうかというようなことですから、私は、そういったことをどうやってやられるかもきちっと検討して答えを出すべきじゃないのかなと。

 委員とのやりとりを聞いて、そういう印象を受けた次第ですので、あえて申し上げます。

鉢呂委員 イギリスの例を見ますと、やはり狂牛病が感染することがあり得る事態について、すべて完全に除去する、そういう姿勢に立たなかったら、人間の生命にかかわることでありますから、そういう点で、大臣のきのうの記者会見の御発言も、私注意深く見させていただきました。いわゆる肉骨粉の国内製造、使用、鶏等の給与の問題についても、いろいろな各方面の課題が数多くある。いわゆる廃棄物処理にするにしても、果たして処理ができるのかとかいう問題。根底に、大臣は、屠畜検査をして、そういう疑いのあるものあるいは感染したものが肉骨粉に入らないということを前提にして話をしているから、ここで、水際でとめられるんだということを盛んに言っております。

 そこで、副大臣に聞きます。そういう方法でよろしいんでしょうか。そういう方法だけでよろしいんでしょうか。

 私は、二重三重のチェックが必要だ。検体が屠畜場に入るのは最終段階でありますから、例えば、肉骨粉というものが、そういうおそれのあるものが、牛に食べさせることがないということを、完全にシャットアウトするというところのものの二重三重のチェックがこの狂牛病問題にはあるのではないかということについて、どうでしょうか。全部、屠畜場の検査によって信頼性がそこで保たれるということについて、私は、厚生労働省はそうは思っていない、担当幹部の皆さんに聞いても二重三重のチェックをすべきだという発言が見られております。

 そういう点で、一つの屠畜場における検査だけでいいのかどうか、そこだけちょっと答弁してください。

桝屋副大臣 屠畜場における検査、スクリーニング、そして検査、これだけで足りるかどうか、こういうお話でございますが、これは、今の状況、どの時点でお答えすればいいか、私も先ほど、悩みながらお尋ねを聞いているわけでありますが、もちろん、一般論で申し上げますれば、ありとあらゆる場面で対応していくということが求められると思います。

 特に、屠畜場においては、当分の間は農水省と協力をして入らないように努力を、流通規制をしていただくというふうにお願いしているところでありますが、これについてはそれをどうするかという問題もありますし、それから、屠畜場を出て危険部位についてどう処理をするかということについても検討しなければ、早急に検討しなければいけない課題はあるというふうに理解をいたしております。

鉢呂委員 そういうことでは、人間の命にかかわる問題も含んでおりますから、私は、二重三重のチェック、そして完全に牛に肉骨粉が入らないということを国民にきちんと示すことがこの問題のいわゆる風評被害の解決になっていく。イギリスでも、九五年に肉骨粉をとめてからようやく狂牛病が下火になってきたということであります。

 そういう意味で、今のいわゆるこの背割りの問題についても、この場でそういう検討という形で済まされることについては、私自身がそういうことを、風評被害のもとになるような形でありますから、やるべきものについてはこの場で決着をしてもらわなかったら前に進めないというふうに思います。

桝屋副大臣 御指摘の、肉骨粉の牛への、牛に肉骨粉が行かないということを二重三重でやっていきなさい、特にその中で、屠畜場における処理方法について、先ほどから厳しい御指摘をいただいているところであります。

 この委員会で、このようにいたしますというふうにお答えできることが望ましいのはよくわかっておりますけれども、この事態を踏まえて、私どももさまざまな角度から、全国二百四十一カ所の屠畜場において本当に実施できる体制を考える必要があるわけでありまして、先ほどから、委員、可及的速やかにと申し上げているのは、まさに私どもの決意でありまして、どうぞ御理解をいただきたいと思います。

堀込委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

堀込委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの鉢呂委員からの質問に関する厚生労働省の答弁につきましては、大変重要な問題だというふうに認識をいたします。

 したがいまして、本日の議論を踏まえまして、本委員会としては、委員長にお預かりをいただきまして、理事会において、この委員会としての適切な、安全措置について適切な措置をとる、こういうことで理事会で協議をさせていただきたい、あるいは対応させていただきたい、こういう扱いにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

鉢呂委員 それでは、農水大臣にお聞きをいたします。

 肉骨粉の飼料への全面使用禁止の問題です。

 先ほども一部お話をしましたけれども、さまざまな課題がある。大臣は、いわゆる屠畜場での牛における検査での、水際での措置というのがなされるということであります。

 しかし、私は、今回も行政通達という中でありますけれども、牛に相当数鶏のえさを使っておるとかいう形であります。今回、法的に禁止しましたけれども、やはり故意とか過失によって牛がそれらのえさを、肉骨粉入りの豚とか鶏のえさを食べる場合もある。その事の重大さというものを認識したときに、イギリスやヨーロッパがとっているように、それは当面の措置でもよろしいですけれども、やはりこれは全面禁止をするのが妥当ではないか、そのことを抜きにして今回の安全性についての信頼感を取り戻すのはやはり難しい、そのことはいわゆる生産者にとっても信頼性を回復していくことになる。

 つらいことでありますけれども、残滓物の処理についてのさまざまな問題はありますけれども、肉骨粉の飼料全面禁止措置というのは、これも速やかに行うべき問題である。その検討会をつくって、第三者的に検討して、年度内、来年の三月までに結論を出すというような問題ではない。

 やはり狂牛病の発生源というものが含まれる可能性を否定できないということであれば、これを、一時的でもいいですけれども、ストップをかける、このことが大切であると思いますけれども、御答弁願います。

武部国務大臣 もう既に、輸入の飼料、肉骨粉については全面的に禁止すべく今各省と協議しています。それから、今委員御指摘のような、とにかく国内のものも全部豚、鶏に使用しないように、停止すべきだという意見もあります。しかしこれは、私には私の考えはありますが、前向きだ後ろ向きだという考えではありませんで、中立的にさまざまな検証をしなきゃならないというふうに思うんです。

 今委員御指摘のように、屠畜場において畜産の副産物が処理できずに、牛のみならず豚や鶏もやめろ、こういう話になってくると思うんですね。そうしますと、屠畜場にも影響が生じる。大体、年間百六十万トンだそうですね、屠畜場にそういう処理すべき家畜の副産物等も含めますと。それから、これを一般廃棄物として処理するということになるんだろうと思いますね。では、これは、それだけの焼却力があるのかどうか。

 御案内のとおり、家畜の疫病というのはBSEだけじゃありません。これは、レンダリングに回して、そして肉骨粉にしてから、それからそれをためておいて焼却する、そういう方法をとったらどうだというような、そういう話もあります。しかし、ヨーロッパあたりでもこういったものが野積みされて、周囲の皆さん方がこれに対して反対をしているというようなそういう話も聞いておりますし、周辺に与える環境、処理コストの負担関係、配合飼料の代替原料の手当ての可能性、病患畜の処理の問題等幅広い検証が必要なんじゃないかと思います。

 ですから、これらを整理して、専門家を初め各関係の皆さん方の意見も伺いながら、遠藤副大臣、本部長は、BSE問題検討会のようなものを設けて、そこでBSEの問題、他の問題も含めてさまざま議論いただいて検討する、こういう意向を表明しているわけでありますが、私は、今直ちにこれを全面的にすべて禁止するというようなことができるのかどうかということについても、これは本当に検証しなきゃならぬことがあり過ぎるんじゃないのかな、こう思っておりまして、これはやはり慎重に検討して、どういうふうに方向づけるかということが必要なんじゃないか、このように思います。

 EUも、私もきのういろいろデータを調べましたけれども、当面一月から六月までという禁止措置を、そういうふうにしていたようでありますが、さまざまな問題が生じて、今後どう取り扱うかというようなことを今検討中だそうです。

 政治的には、今委員お話しのとおり、そのことによって国民の安心感を大きくするということはあるかもしれませんが、やはり科学的な根拠というようなことも、これもしっかり検証しなきゃならない、私はこのように思いまして……(発言する者あり)私はあなたの質問に答えているんじゃない。黙って、今答弁しているんだから、しっかり聞いてください。(発言する者あり)おかしな答弁だったら再質問すればいいじゃないですか。

 そういう考えであることを申し上げておきます。

鉢呂委員 科学的な根拠は、感染源は唯一と思われるぐらい、いわゆる肉骨粉に含まれるプリオンを牛が口から食べて伝わるということですから、まさにその肉骨粉が、牛に使用しないようにということを大前提でいくわけであります。

 したがって、そのことを完全に遮断をするには何をすべきかという点で、この行政通達においても、結局のところ、二千頭以上が今現在食べておった、継続して食べておったというようなことが伝えられておるわけでありますから、調査されておるわけでありますから、今の時点で何が必要か、完全にシャットアウトするには何が必要かという視点で、国産の肉骨粉についてもすべての飼料から禁止をするという措置を当面であってもとるべきである、このことを主張させていただきたいと思います。

 それでは、発生源をきちんと特定しなければこの狂牛病問題は解決がつかないというふうに思います。さまざまな今調査がされておりますけれども、私、一つ重大な調査の欠陥は、肉骨粉の輸入業者なり肉骨粉の販売業者、販売ルート、このことが農水省も非常に消極的です。

 私は、四十万トンとも言われておる、輸入のこの骨粉は十八万トン程度、この肉骨粉の輸入、国内製造業の販売ルートをきちんと洗い出すことが第一の条件だと思う。それが北海道の佐呂間町や千葉県の配合飼料の原料としてどのように使われたということがわかるわけでありますから、そのことが第一番目にやらなければならないことだ。伝えられるところ、イギリスは九六年まで三百三十三トンを日本に輸出しておる。日本は、いやいや、それはえさ用には使っておりませんというけれども、しかし、どこでえさ用に回ったかもわかりません。そのあたりの解明をする必要がある。

 この対象の汚染牛は、九六年の三月に生まれております。イギリスの調査によれば、生後六カ月ぐらいで感染する度合いが高いということであれば、この九六年前後の輸入骨粉、これについて輸入業者をきちんと洗い出す、帳簿を突合して洗い出す、単なる聞き取りじゃなくて、洗い出すということが今必要でないか。このことを大臣はやる決意があるかどうか、お聞きいたします。

武部国務大臣 輸入肉骨粉の輸入販売の実態調査も今着手しております。

鉢呂委員 それは具体的にどういう状態で、どのような形でなされているのか、ほとんど私どもにはそういう情報はありません。輸入肉骨粉業者も、その販売ルートをどういう手法で、どういった形で、今現在どういう段階で解明されておるのか。毎日のように、配合飼料業者のものは異常なし、肉骨粉については飼料サンプルもとっていますという報告がありますけれども、輸入肉骨粉業者の販売ルートの洗い出しを始めたということでありますから、どういう状態になっておるのか、いつまで行うのか、御答弁願います。

小林政府参考人 今の先生の御指摘の中で一つ、イギリスの九〇年代前半、そのときに三百トン強の輸入があったんじゃないか、これはいわゆるEUの方がそういったことを言っておるわけでございます。私どもの方の貿易統計なりにはそういったものはない。これにつきまして、今そういった実態が私どもの方のデータになく、入っていないはずなのに、EUがどうしてそうなっているか、それにつきましては、今調査員を派遣してやっております。

 それから国内の輸入の関係につきましても、今各メーカーにつきまして、どういったルートで、いろいろな輸入商社から流れてくる肉骨粉が記録されておったか、いろいろ配合飼料、肥料、養魚飼料、ペットフード等ございますので、そういったところの洗い出し、これを今確認し始めているところでございます。

 いつまでかというのは、とにかくこういった実態をよく調べながら、それの対応を進めていきたい、そういうふうに考えております。

鉢呂委員 狂牛病の感染が、いわゆる肉骨粉というか、そこが主たるものであるということでありますから、今回の患畜牛が確定をしたわけでありますから、これは最後まで、どこから感染したのか、いつその肉骨粉が入ってきたのか、これがなければ、いわゆる生産者も消費者も最終的な安心感、いわゆる安全宣言は出ないと思いますから、これは是が非でも不明確な形で終わらすことのないようにしていただきたいと思います。

 そこで、先ほどもお話ししましたけれども、きのう現在で七道県、四十戸、二千頭以上が肉骨粉を何らかの形で給与しておったという報告が来ております。この実態、まず、今現在どういう形になっておるのか、御答弁願います。

小林政府参考人 同居牛関係の実態というお尋ねでございますが、今回……(鉢呂委員「同居牛じゃなくて肉骨粉」と呼ぶ)失礼しました。

 ことしの九月十二日から三十日までの間に実施しております牛の緊急全国調査、この関係の中で、一部の農家が牛からつくられた肉骨粉、これを牛に給与していた事例があったということでございまして、これはまことに残念な事態でございます。

 これにつきましては、こういった事態が生じないように、改めて、牛を飼養する農家に対しまして、各都道府県の普及部局等を通じまして、今肉骨粉を絶対に牛に与えないように一斉に指導を行っているところでございますが、いわゆる農家の実態としましては、九月二十四日現在確認されたところですけれども、七道県で三十九戸、こういった実態になっているところでございます。今一生懸命指導を進めている最中でございます。

鉢呂委員 それと同時に、いわゆる北海道並びに千葉県で狂牛病として確定をした牛を飼っていた農場の同居牛の実態であります。この食肉に供された頭数は何頭というふうに確認をし、また、まだ行き先が不明だというのは何頭か、この二つを答えていただきたい。

小林政府参考人 まず、北海道の関係でございます。

 九月二十四日までの連絡によりますと、この牛が生産された農場におきまして、この牛が生まれてから、この農場は廃業されたわけですけれども、それまでの間に飼養された牛が七十一頭でございます。この中で、食肉に処理されたものが四十一頭、それから肉骨粉に処理されたものが八頭、埋却処理が一頭となっております。なお、二十五日以降、詳細調査中でありますけれども、さらに七頭がこの農場で飼育されたということが確認されたとの報告を受けているところでございます。

 千葉県の方でございます。

 千葉県の農場におきましては、現在までに廃用されたと判明している牛はこれまで十二頭でありますが、その内訳としまして、食肉に処理されたものが十頭、肉骨粉に処理されたものが二頭となっておるところでございます。

 いずれにしましても、こういった食肉あるいは肉骨粉処理された、合計六十頭になりますか、この牛につきましては、と畜検査員の診断書等から、その生前に神経症状を示していなかったということが関係道県からの報告により確認されているところでございます。

鉢呂委員 厚生労働省にお聞きいたしますけれども、九月十一日のこの発生直後の、これは報道なんですけれども、厚生労働省は、患畜牛が飼育された農場の牛の食肉や内臓の流通経路を調査することを明らかにしておりますけれども、これは、そういう形で同居牛の食肉等の流通について調査をしておるのかどうか、お答えを願いたいと思います。

尾嵜政府参考人 御指摘のように、私どもの方から千葉県の方に食肉販売ルートについての調査をするようにという指示をしておりますが、現在のところ、なかなか相手に聴取をするということが難しいという状況のようでございます。そういうことで、御指摘のような中身について、具体的な内容についての報告はまだ千葉県からはいただいておらないという状況でございます。

鉢呂委員 これは、厚生労働省としても、この同居牛、特に食肉に供された部分については調査をするという考えで、今後も引き続き行うということでよろしいんですか。

尾嵜政府参考人 そういう考えでおります。

鉢呂委員 それと、当時、厚生労働大臣は、十一日でありますけれども、発生によっては人への感染の可能性なり人への対応というものを考えなければならないというふうに、新聞報道でありますけれども、記者会見等で述べたというふうに言われておりますけれども、この考えについては今の現在時点ではどういうふうに考えておるか、お答え願いたいと思います。

尾嵜政府参考人 今の時点で大臣がどういうお考えかというのは、私、直接まだその点に関してお聞きをしたことはございませんが、御発言があった時点と今の時点でのお考えはそんなに大きく変わっておらないんではないかなというふうに、ほかの件でお話しするときにはそういう印象を受けておりますが、私どもとしましては、当面、国民の方々に、消費者の方々に安心していただくために何をしなきゃいけないかと、御指摘の点も含めて、早急なサーベイランスの体制とか、そういった危険部位の取り扱いとか、種々検討をしているわけでございまして、そういった指示も大臣からされておるというところでございます。

鉢呂委員 大臣もこの冒頭の御発言で、この間の農水省の対応の不手際といいますか、厚生労働省との関係等について御答弁がございました。

 食料・農業・農村基本法では、食品の安全性について法的に農水省の所管としてやっていかなければならないということで、第二条の「食料の安定供給の確保」というところでも、食料は、人間の命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生活の基礎として重要なものであることにかんがみ、将来にわたり、良質な食料が供給されなければならない。そして同時に、第十六条に、このことを踏まえて、食料の消費に関する施策の充実は、国として、食料の安全性の確保を図るため、食品の衛生管理等の必要な施策を講ずる必要がある、こういうふうにも述べておるわけであります。

 したがって、やはり具体的に厚生労働省との縦割り行政の弊害というものをきちんと直す必要がある。小平筆頭理事もヨーロッパを訪問した際に、例えばイギリスですとかデンマークですとかさまざまな国で、この狂牛病を踏まえて、いわゆる先ほどもお話がありました、食卓から畜舎までというような形でその一本化が図られておる、法律もきちっと、十何本もあった法律を一本化するというようなことが言われておるわけでありまして、まず、行政の縦割りを具体的にどのように直していくのか、このことについてお聞きをいたします。

武部国務大臣 今は厚生労働省と逐次協議をしながら進めております。

 まず、縦割り行政の排除ということについて農林水産省として反省しなきゃならないのは、農林水産省は、生産者と消費者の、その間に立っているんだ、中間にあるんだ、そういう認識のもとに仕事をしていくということが大事だ、かように思います。

 なお、今後のBSE問題の対策については、厚生労働省と農林水産省と一体となって、検討委員会ももし設置するとすれば、このことについてはやはり両者が一緒に責任を持ってやるというような、そういうシステムにしなくちゃいけない、このように考えております。

 いずれにしましても、政府全体の問題として、食品の安全行政というものは極めて大事だ、かように考えておりまして、私どもも、職員には報告、連絡、相談、点検と確認ということを徹底させて努力していきたい、かように考えております。

鉢呂委員 私は、今回、非常に残念なのは、二十一日付で二人の副大臣と政務官が交代をいたしました。この非常に農水省として危機管理を持って今具体的な施策を講じなければならないときに、何か定期異動のような形で交代をする。これはもう大臣としても、問題意識、その対処の方法について、やはり国民から見たらちょっと首をかしげるような状態でありました。今なさなければならないのは、役所は、役所の職員は全力を挙げてやっておると思います。しかし、それを統括する対策本部をつくって遠藤副大臣が就任をしておるわけですから、やはり一体となって、水も漏らさぬ体制ですべてのことをやり切るということが大事であります。

 冒頭にもお話ししましたように、今やらなければならないのは、本当に食の安全性を、牛肉の安全性を確保するためには二重三重のチェック、これだけやれば絶対大丈夫だということをきちんと示す。そしてそのための、先ほど言った狂牛病の感染源ははっきりしているわけですから、発生原因をきちんと具体的に突きとめる。そして、そのことを正確に国民の皆さんにお知らせをする。

 そして同時に、過剰な風評被害というものを除去するために、イギリスでもさまざまなコマーシャルベースで政府がその安全なところをきちっとPRするということの大切さが私はあると思いますから、ぜひ大臣、大臣が先頭になって頑張っていただきたい、このように考えています。

 最後に決意だけ、三十秒で、私もお話ししましたから、三十秒でお答え願いたいと思います。時間が経過しております。

武部国務大臣 鉢呂先生は北海道で農政通でもあり、産地のさまざまな事情もよく御理解の上で激励を賜ったと思います。

 また、副大臣の交代等について、いろいろありますが、本部長の遠藤副大臣が中心になってやっておりますし、私も先頭に立って、厚生労働大臣とも逐次連絡をとりながらしっかりやってまいることをここでお誓いしたいと思います。

鉢呂委員 終わります。

堀込委員長 次に、楢崎欣弥君。

楢崎委員 民主党の楢崎です。

 一頭の乳牛が狂牛病と断定されたことによって、残念ながら我が国は欧州以外で初の狂牛病汚染国のスタンプが押されました。主食の安全を揺るがす重大事態の発生と言わざるを得ません。そこで、消費者の立場に立って、二、三お聞きしたいと思います。

 イギリスでは、八九年に牛の頭その他内臓などの食用が禁止されました。今我が国では、ヘルシーな食べ物として人気が出てきたもつ鍋、それから焼き肉にもメニューとして使われていますけれども、牛の内臓を使ったホルモン料理、これは安全なんですか。

尾嵜政府参考人 先ほど来御議論ございましたように、特定危険部位というふうにされておりますのは、脳、脊髄、目、回腸遠位部というふうになっておるわけでございます。そのうち、今御指摘のございました、牛のもつなりホルモンというふうなお話がございましたが、そういった中に含まれる可能性のあるのは、私どもは、小腸の遠位部というのが可能性としては部分的に部位としてはあり得るというふうには考えております。

 ただし、現在の、今回残念ながら一頭BSEがございましたが、サーベイランスの状況なりを勘案しますと、今現在流通しておるそういった部位がBSEに汚染されているということは考えられないというふうに思っております。

楢崎委員 市販されているだし類、いわゆるスープのもとといいますか、原材料名のところにはビーフブイヨンとかそれから肉エキスとかが書いてありますけれども、これはどの部分を使ってつくってあるんでしょうか、そしてまた安全なんでしょうか。

尾嵜政府参考人 御指摘のスープなりエキスというものにつきましては、原料は肉を使っておるというふうに理解しておりまして、先ほど申し上げました特定危険部位というものをそういったエキスなりブイヨンというものについて使っているということはないと承知しております。

楢崎委員 どうも消費者を安心させる説得力というものを感じないんですよね。これは風評の一つかもしれませんけれども、例えば肉骨粉がカルシウムの補強として健康食品に使われているとか、または化粧品に使われているとか、またはセメントの補強剤として使われているとか、そういうことはありませんか。

尾嵜政府参考人 肉骨粉そのものが食品の方に使われているということはない、飼料の方には使われておりますが、食品の方には使われていることはないと承知しております。

 御指摘の、カルシウムを補強するということで骨自体を使うということはございますが、そういったものについても、高熱で処理するなり、そういったものの処理をしながら焼成カルシウムとして使われておるというのはございますが、御指摘のような危険部位が使われておるというふうなものではございません。

楢崎委員 安全の根拠というのが希薄なんですよね。御承知のように、牛肉の相場も下落しました。それに反して、ブロイラーの先物取引は今急上昇中。これも風評による現象の一つであろうと思います。せめて、牛のどの部分が安全なのか、例えばWHOでも、このBSEの感染危険度、高感染性、中感染性、ちゃんと分類していますよね。厚労省として、消費者の人たちにそういう情報を提供すべきではないですか、牛の部分はこの辺は安全ですよとか。どうですか。

尾嵜政府参考人 BSEに関しましていろいろな御不安があり、私どもの方にお問い合わせもたくさんございます。

 そういった中で、私ども、従来からホームページを使いまして、そういった御質問にQアンドAの形で整理をさせていただいております。その中に、どういう部位が危険かというのを、今申し上げたような形で整理しておるというところでございます。

 ただし、そういった以外にも、今、農林水産省とも御相談しながら、わかりやすいパンフレットの作成とかそういったことを検討しておりまして、できるだけ御指摘のような正確な情報を流したいというふうに考えているところでございます。

楢崎委員 とにかく情報を提供することが風評拡大を防ぐことにもなる。早急にお願いします。

 それから、いわゆる潜伏期間ですけれども、BSEの場合は五年から八年。人に感染して発症する、新ヤコブ病ですか、この場合は十数年以上と言われています。

 農水省は今度のBSEが限定的なものであるがごとく言ってあるようですけれども、いずれにしても、農水省が今日まで主張されてきた、国内は安全という神話は崩れてしまった。

 今回、BSEとして認定された牛は、今のところ、九六年以前に輸入をされた肉骨粉から感染した可能性が高いと指摘されておるわけですけれども、当然、同じ飼料で成長した牛もいるわけですよね。まだ発症はしていないけれども、感染牛が存在することも否定できないのではないですか。

小林政府参考人 今、患畜の感染経路の解明ということで、患畜を飼育した千葉あるいは北海道の農場におきまして、その患畜の経歴とかそれから同居した牛の追跡、健康状態、こういった確認を行っておるところであります。現在まで、同居牛にBSEを疑う牛は見つかっておりません。

 また一方で、農場で使用しておりますえさ、飼料の品名、原材料名あるいは給与の実態調査をしておりますけれども、こちらでも、BSEの主たる感染源とされている肉骨粉の使用は確認されていないという状況でございます。

 そういうことの中でございますので、これまでのそういった調査の結果から、感染経路はいまだ解明できていないということなわけでございますが、これからさらに、患畜の同居牛についての病性鑑定、それによる感染の有無の確認でありますとか、補助飼料の内容の検査による肉骨粉の使用の有無の確認ということに全力を挙げていきまして、感染源の究明を進めたいというふうに考えておるところでございます。

楢崎委員 大体、農水省は肉骨粉をBSEの原因と見ているんですか、見ていないんですか。

小林政府参考人 感染源は、今言ったような状況ですので、さらにこれを追求しなければいけませんが、これまでの諸外国でのBSEの発生経緯等から見て、この肉骨粉が原因として非常に確度が高いということは認識しております。ただ、本件についての感染源というのは、さらに究明を急ぎたいと思っております。

楢崎委員 イギリスが飼料から肉骨粉を完全に排除して感染数が減った事実というのは、無視し得ないんじゃないですか。どうですか。

小林政府参考人 イギリスの方あるいはEUの方のそういった今までの肉骨粉に対する規制の状況は承知しております。私ども、今までそういった諸外国の発生状況を見ながら、肉骨粉の輸入あるいは使用の規制というようなことを、その状況に応じて講じてきたところでございます。

楢崎委員 どうも何か中途半端な姿勢のような気がしまして、だから対応が甘いと言われるんですよ。

 イギリスでは、鶏それから豚用の飼料を牛に転用することによって、そういう業者が出てきて被害が拡大したと言われているわけですね。EUは、既にこれを全面的に使うことを禁止しています。先ほども出ましたけれども、やはり肉骨粉そのものの使用を禁止しないと確実な対策にはならない、このように思いますよ。どうですか。

武部国務大臣 先生はもう既に御承知のことですからあえて必要のないことかもしれませんが、イギリスは、長い歴史の中で十八万頭の発生がありまして、その中でいろいろな対策の知恵といいますか措置がなされていると私は思います。また、EUは二千頭余の発生がありまして、これもいろいろ今、全面的に禁止するとかさまざまなことをやっております。

 私どもは、一頭しか発生していないから甘い対応などとは考えておりませんで、これまでに、えさ用にも食用にも屠畜場からは出ていかないという、少なくともそういうシステム、体制はとった、このように思っております。したがって、これから二度とこういうことが起こらないようにどうするのかということに留意していかなければなりません。

 そのためには、先ほど来御指摘されておりますように、同居牛の経路、それからえさの経路、補助的なえさとして使った事実はないかどうかというようなことも徹底的に調査しなければなりません。その徹底的に調査する一環として、四百五十万頭の全飼養頭数、それから十四万二千戸と言われている全飼養農家を今検査しているわけです。そして、先ほど生産局長から説明のようないろいろな事実が出てきているわけですね。この事実は、私どもは、予想されることだ、こういう認識でありまして、今月いっぱいで終わる予定でありますが、これ以上は出てくるのか出てこないのか、あるいは出てくるのかな、そういう心配もしております。

 その上で、今も、まずやることは、我が国の水準を、三十カ月以上はEUと同じように全部検査してから外に出すということを決めたわけですから、それから、二十四カ月以上のものも、中枢神経症状等あるものは全部屠殺して検査して、そして焼却処分にするというふうに決めましたし、いろいろと二重三重のブロックはしております。

 その上で、今、最後の段階で、これまでやれば一〇〇%だろうと言われているのが、全部肉骨粉を豚にも鶏にも一切禁ずることをやればいいじゃないか、こういう御意見もあるわけです。私どもも、なるほどそういう考えも一つだなと思うけれども、それではどういう問題がそのことによって発生してくるのかということも考えませんと、EUあたりでも環境問題で相当な騒ぎにもなっているということも聞いております。つまり、どんどん野積みされている、それから、焼却するとどんどん煙も出ていくというようなこと、廃棄物処理として処理し切れるのかどうか、そういうことまで行政を預かる者としては幅広く検証しなければならない。

 そのことについては、厚生省と一体となってBSE問題検討会を設置して検討しようということになっているわけでありまして、絶対とか完璧とかというようなことは私はなかなか断言できません、しかし、いつも起こり得ることが起こるんだという前提で仕事をしようということで体制をとっていこうと思っておりまして、今とり得る限りのことはやっているということを御理解いただきたいと思います。

楢崎委員 では大臣、農水省は、原因となる異常プリオンが、鶏、豚、それから宇和島で使用されたかもしれない魚、これに感染するおそれはないと言っているんですよ。ではその根拠は何ですか。

小林政府参考人 まず、豚、鶏でございます。

 WHOの報告におきまして、BSEに感染した牛の脳材料、これは豚、鶏に給与した結果でございますが、BSEの感染が確認されなかった、こういったことがございます。また、豚、鶏におきまして、プリオン病、こういった病気が確認されたとの報告もございません。

 こういったことを受けまして、国際獣疫事務局、OIEでございますが、そこの国際動物衛生規約に規定されております輸入禁止対象となる危険部位、ここには豚や鶏の肉とか臓器が全く含まれていないということでございまして、仮にBSEの病原体に汚染された肉骨粉を豚、鶏が食べたとしても、その豚、鶏はプリオン病に感染することはないというふうに考えております。

 また、魚でございます。こちらにつきましては、フランスの原子力エネルギー委員会、科学開発も担当しておりますが、そちらの研究で、魚はプリオンを持たないか、持っていても哺乳類のものとは形が違うということで、プリオン病に感染することはないということで、こちらの魚の方も感染することはないというふうに考えているところでございます。

楢崎委員 だから、そういう論法でいけば、肉骨粉を完全に飼料から排除して感染数が減った、この事実も無視できないと私は思いますよ。

 そこで、農水省は、肉骨粉の使用は厳密に区別されていると、どのように区別されているか僕はわかりませんが。表示は区別されていても、いわゆる原材料は同じじゃないんですか。既に我が国でも、山形県では鶏用を牛に転用していたことがわかっているわけですから、区別していても、原材料、中身は同じなんでしょう。

小林政府参考人 特に配合飼料の製造過程で、牛、豚あるいは鶏といったその原材料の区分、これは混入防止という意味もありましてきちんとしなくちゃいけないというふうに考えておりまして、この点につきましては、ことしの六月からガイドラインを定めて指導しております。

 この中では、肉骨粉なんか収納いたします原料タンク、これを専用化するとか、それから製造工程におきましても専用化あるいはクリーニングを徹底するとか、調整保管のタンクにつきましても専用化、クリーニングの徹底、それから製品の袋詰め、積み込み、こういった出荷工程につきましても同様に専用化、クリーニング、あるいは運搬車につきましてもという形で、こういったいわばきめ細かいガイドラインということを定めまして、飼料工場の方に対しましてはこういった遵守を求め、また飼料安全法に基づく立入検査というようなことも進めておるところでございます。

楢崎委員 では、イギリス産の肉骨粉、これは新ヤコブ病が発生しました九六年にイギリスからの輸入を禁止したわけですけれども、それまで我が国はどのくらい輸入しておったのですか。

小林政府参考人 我が国の貿易統計によりますと、九六年より前の十年間、大体毎年二十万トン強ぐらいの輸入実績になっております。

 この間の国別で見てみますと、主な輸出国といたしましては、BSEの発生していないアルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、こういったところが大宗で、この三カ国で輸入量全体の八割を占めておるという状況でございます。

 また、EU諸国からの輸入につきましては、これはベルギー、ドイツ、イタリアの三カ国から、一九九六年より前の十年間ということで見ますと、約七百五十トン、全体の輸入量の中では非常に小さい量が入っておるところでございます。

 また、この期間、イギリスからの輸入は行われておりません。

 こういった状況でございます。

楢崎委員 これははっきり把握しないと、感染ルートの究明にも支障を来しますよ。

 質問時間がなくなったんですけれども、この問題が酪農家、畜産農家そして消費者に与える影響を考えたときに、やはりこのBSE問題を対岸の火事と見ていたそういう危機意識の不足、それから認識の甘さ、そういうものが見られる農水省の責任は極めて重たいものがあると言わざるを得ません。この上は、厚生労働省と協力して、感染ルートの解明、そして消費者への情報開示、検査体制の強化など、万全の対策を講じていただきたいと思います。

 終わります。

堀込委員長 次に、江田康幸君。

江田委員 公明党の江田康幸でございます。

 心配されていたことが現実になりました。欧州以外で自国産牛に狂牛病が確認されたのは初めてでございます。

 狂牛病発生国は日本を加えて十六カ国、農産物の多くを輸入に頼る日本での発生を懸念する声は以前からあったと思いますが、農水省は日本の牛は安全と強調してこられました。この点、危機意識が欠如していたのではないかと思います。一頭の牛が狂牛病だったことは、ほかにも感染牛がいる可能性を示しております。最悪の事態を想定して事に当たるのは危機管理の基本と考えます。とりわけ、国民の命や健康に直結する食の安全に関してはこの姿勢が強く求められると思うわけでございます。

 今後の最重要課題は、一つには感染の水際防止と原因究明であり、二点目は徹底した感染防止体制の確立、そして最後に風評被害への的確な対応であると考えております。これらの観点から、今回質問をさせていただきたいと思います。

 まず、感染の水際防止と原因究明という点でございますが、先ほどから数々質問、答弁があっておりますので、再度、最重要でございますのでこの点質問させていただきますが、感染源とされる肉骨粉についてでございます。

 問題は、感染源とされる肉骨粉がどの段階でまざったかでございます。北海道、千葉県のそれぞれの酪農家に供給した飼料メーカーは、いずれも銘柄を示した上で、肉骨粉はまぜていないとしております。北海道は、補助飼料まで追跡してそれを否定しております。いつ、どんな方法で肉骨粉が与えられたかは依然不明でございます。しかし、狂牛病の原因は汚染肉骨粉としか報告はされておりません。狂牛病の肉骨粉がまじったえさを食べない限り狂牛病は発症しないのが世界の定説でございます。今回も肉骨粉が必ず与えられているはずだと私は思います。

 真相が究明されなければ再発の危険性は続いていくことになりますが、迷宮入りということはこの点に関してはどうしても許されません。海外産の肉骨粉を使用していなかったかなど、今後の原因究明への具体的対策について、具体的なお考えについて大臣の見解をお聞きできればと思います。よろしくお願いします。

武部国務大臣 さまざま、先生御指摘の問題意識というのは我々も同様に持ち合わせて、今厚生労働省と真剣に、断固迷宮入りなどということのないように追求しているところでございます。

 患畜の感染経路を解明するために、患畜を飼育していた千葉の飼育農場及び患畜を出荷した北海道の生産農場において患畜の経歴、患畜と同居した牛の追跡と健康状態の確認を行ったところでありますが、現在までは同居牛にBSEを疑う牛は見つかっていないという報告でありますが、当該農場での使用が確認された飼料の品名、原料、材料名、給与実態を調査もし、BSEの主たる感染源とされている肉骨粉の使用も確認されておりません。

 さらに、患畜に投与された動物用医薬品の原料調査もいたしましたが、牛などの反すう動物からつくられた物質の使用は確認されていないということでございます。そこで、これまでの調査結果からは、感染経路がいまだ解明できていないというのが現状でございます。

 そこで、患畜の同居牛についても、殺処分によるBSE検査を早急に進め、感染の有無の確認ということがまず必要だと思います。これを今やり始めております。できるだけそれぞれの生産者の協力をいただいて、これはもう強権発動ではできませんので、丁寧に協力をいただいてやっているわけでございます。補助的に使用された飼料の内容の検査による肉骨粉の使用の有無の確認ということにも、それぞれ同居牛についても徹底的に感染源の究明を進めていかなければならない、このように考えております。

 しかも、これからは、さまざまな御意見がありますので、今までは農林水産省と厚生労働省で協議しながら、あるいは各都道府県とも連絡をとりながらやってまいりましたが、先ほども申し上げましたように、BSE問題検討会というような、専門家やいろいろな各方面の皆さん方にもこの検討委員会に入っていただきまして、少し幅広く、腰を据えた対策といいますか、究明ということも必要になっている、こう思いまして、その設置も決めた次第でございます。

江田委員 私も、CJDとかBSE、そしてプリオンの研究を多少なりとやってきた、そういうサイエンティストとしての立場から申しますと、やはり原因はどこかに必ずあるわけでございまして、今は定説として汚染肉骨粉としかこれが報告されておりません。どの立場に立つかということが非常に大事でありまして、肉骨粉が感染源であるという強いやはり決意を持たれて、そうした上で原因究明をなされていくかどうか、ここが非常に大事な分かれ道だと思いますので、どうぞ大臣、よろしく指揮をとっていただくようにお願い申し上げます。

 時間がございませんので、二点目でございますが、今後の感染防止体制の確立ということでございます。いろいろ質問等においても出てきておりますので、私は一点、この点を確認させていただきたいと思います。

 先ほど後藤田委員の方からもございましたが、検査中であるにもかかわらず疑似患畜の牛が肉骨粉にされていた問題は、これはもう両省の信頼を地に落として、風評被害をさらに拡大したという結果となったことは非常に残念であり、これは言語道断と、反省していただきたいし、反省しておられると思います。

 しかし、これは同時に、先ほど申されましたが、両省の意思の疎通のまずさというのは当然、当然というか、あってはならぬことですが、それはあったと。しかし同時に、縦割り行政が生んだ法律体系の不備、ここがあるかと思っております。すなわち、一般の病気にかかった牛は、屠畜場では人間の食用への利用が制限されておりますが、家畜の飼料や農作物の肥料、魚のえさなどへの再利用は制限されておりません。これがと畜場法でございます。

 一方、家畜伝染病予防法の規定では、狂牛病の疑いが濃厚になった時点で焼却処分が義務づけられて、飼料へも一切再利用できないことになっております。これが家畜伝染病予防法でございます。家畜伝染病予防法は農水省の所管でございますね。一般の病気とされる牛の処理は厚生省所管、この厚生省所管の法律はと畜場法、それから食品衛生法、化製場法で規制されております。

 しかし、後で狂牛病と判断される牛でも、胴体部分の保管義務はどの法律にも明記されておらず、落とし穴になっているとの指摘もございます。これが検査体制の不統一性を招いて今回の事態につながったのではないか。今後、二頭目、三頭目の疑似患畜が出てくる可能性がありますが、二度と同じ失敗を繰り返せば、これは感染拡大の致命傷になりかねないと思います。

 そこで、これらの法体制の不備に対する両省の対応について、武部農林水産大臣、また桝屋厚生労働副大臣にお願いしたいと思います。

武部国務大臣 先生、数々御指摘いただきましたが、全くそのとおりなんですね。

 それで、まず私ども、事務方に厳しく問題を指摘して、改めたのは、BSEサーベイランス要領の取り扱いです。

 ここには、一種の診断書みたいなのがありまして、と畜検査員が、敗血症と書いて、そこに、BSEサーベイランス要領のところに、疑いを否定できないものと中枢神経症状のものとあるのですけれども、正直に申し上げますが、どっちにも丸をつけなきゃならぬのに、どっちにも丸がついていないのです。なぜどっちにも丸、印がついていないのかということで、どっちにも丸がついていませんから、単なる敗血症という今までの取り扱い、中枢神経症状に対する取り扱いで、レンダリング加工に回ったということですね。

 ですから、二度とこういうことのないように、中枢神経症状のものも全頭屠殺して、延髄をとってそして検査する、それで後は全部焼却処分にするという通達をこの二十日に出したわけであります。法律といいますか、そういう法的といいますか、規制といいますか、そういうことに近いものをこのたびそういうことでとらせていただきました。

 今後、この問題を契機に、家畜伝染病予防法でありますとか、と畜場法でありますとか、どこをどのように直す必要があるのかどうかということも、厚生労働省としっかりさまざまな問題を全部洗い出して検討してまいらなければならない、このことが大事な問題だ、かように考えております。

桝屋副大臣 ただいま農水大臣からお話がありましたとおりでありまして、今委員の方からも、特に今回の狂牛病に罹患をした牛の発見の経緯といいますか、そうした行き違い、情報のそごがあったという観点から厳しい御指摘をいただいたわけでありますけれども、私どもとしましても、できるだけ早く新しいスクリーニングの体制をつくり上げるということで今鋭意努力をしておりますが、それができますれば、今のと畜場法とそれから家畜伝染病予防法、この連携については、委員が御指摘のように、そのはざまで漏れてしまうということがないように、ここは本当に連携をしっかりとっていくということが大事であろうと思います。そのように努めてまいりたい、このように思っております。

江田委員 時間がございませんので、最後の質問ですが、感染被害及び風評被害への適切な対応というのがもう一つ非常に大事なことでございます。幾つも質問したいのですが、二つ。

 今副大臣が申されましたが、農水省は、厚生労働省の検査が始まる十月下旬まで検査対象となる牛は食肉処理場に出荷しないように生産者に申し入れをされていると聞いておりますが、対象は八万頭とか十万頭とか、そういう数だと思います。これは収入に影響が出る酪農家や卸売業者に対しては緊急支援しなければならぬと思いますが、具体的な支援策を、これは農林水産大臣に、武部大臣にお聞きしたいところでございます。

 それともう一つ、今回の風評被害に対して、さまざま出ております。千葉県では、白井市からの牛乳の受け入れを乳業メーカーが拒否される、また牛乳を給食に出すことを県下の自治体が拒否する、さらに、千葉県下の豚や鶏の受け入れを拒否するとか、スーパーも拒否するとか、各県下でそういうようなことが出てきておりますが、こうした風評被害に対する今後の対策、支援策、これについてあわせて武部大臣にお伺いしたいと思います。

遠藤(武)副大臣 まず、去る二十一日深夜になりまして、英国獣医研究所から、BSEに、検体がクロだ、こういう判定が下ったことを知らされまして、深刻に受けとめております。

 日本は世界で十九番目の発症国となったわけでありまして、国民の皆様方に大変な不安感を与えました。と同時に、消費者、生産者ともに大変苦境と不安にさいなまれているわけでございますから、これの払拭に努めること、何よりもまず感染源、そして第二に感染の経路を明らかにしていかなくちゃならぬ。調査の調査をし、チェックを重ねていきたいと思っています。

 そうした中で、消費者のいわば風評被害に対しまして、厚生省とも連携をとりながら、どのようなところにどのようなポイントで狂牛病の実態というものを知らせたらいいかということを今協議しまして、パンフレットその他の文書あるいは周知徹底のやり方といったものを今研究いたしております。十億を超える予算を財政当局に要求しておるところでございまして、新聞の全紙広告であるとかいろいろなことが考えられますから、やってまいりたい。

 また、生産者に対しましては、業者に対してでもございます、レンダリングの業者あるいは配合飼料の工場、そして生産者が、いわば、一カ月ぐらいの期間がかかるわけでありますね、そんなわけで、一・六%の金利で五百二十七億の枠をとっております、金融枠は。それから、生産者に対しましては、肥育牛で一頭当たり二万円、また子牛の価格の下落を生じた場合、一万円を緊急に支援したい。しかし、これは事業団等による指定助成という道もございますから、それで不足というふうなことがあれば、さらにまた考えてまいりたい、このように思っております。

 いずれにせよ、消費者や生産者の不安を払拭することに全力を傾けてまいりたい、このように思っておるところでございます。

江田委員 これで質問を終了いたします。よろしくお願いいたします。

堀込委員長 次に、一川保夫君。

一川委員 自由党の一川でございます。

 もうこれまでに、この狂牛病に関する質疑を聞いておりまして、大体問題点は出尽くしたような感じでございますけれども、ただいま聞けば聞くほど何か何となく不信感が募ってくるというようなところもございまして、そういう面では非常に残念な思いをいたしているわけでして、恐らく大臣は我々と同等に歯がゆい思いというか残念な思いだと思いますけれども、それを承知でお聞きするわけです。今までの質疑に若干ダブる点もあろうかと思いますけれども、私なりにまたできるだけダブらないようにしてお聞きしたいと思うのです。

 今回、この問題がマスコミに発表された直後に、御案内のとおりアメリカでの同時多発テロが発生しまして、あらゆるマスコミがその同時多発テロの報道で埋め尽くされておるというのが毎日の現状でございますけれども、私は、恐らく、このテロというものがもしなければ、マスコミの一面、新聞の一面とかテレビの報道では、相当この狂牛病の扱いが大きく報道されていたはずではないかな、そういう感じを持っているわけですね。

 そういう面では、テロも大変難しい、厳しい問題でございますけれども、それと同等に、やはり我々が毎日食べているこういった食品の安全性に関する問題というのは、ある面では非常に国民の関心の強い大切な課題でもございますので、その問題意識をしっかりと持っていただきたいなというふうに思っております。

 そこで、まず、この問題が出た直後に全国の牛の飼育農家に対して全面的に立入検査を農水省が指導されてやってこられたというふうに聞いておりまして、その結果がまだ全部出そろっていないというふうには聞いておりますけれども、今現状で、その検査の結果どういう状況にあるのか、何か特別変わったことがあったのかなかったのか。

 それから、その後これが狂牛病だというふうに断定されたわけでございますけれども、断定されたこの状況におきまして、先ほど来のように、国民なり生産者、消費者に対するますますの不安感が募っているわけですけれども、こういった全国一斉に行っている立入検査に何かこれから追加をして、もっと徹底した検査をやりたいという項目があるのかないのか。そのあたりの御説明をお願いしたいと思います。

小林政府参考人 今お話ございましたように、九月の十二日から、国内のすべての牛の飼養農場、そういったところの立入検査を実施している最中でございます。九月の二十四日までに、乳用牛につきましては全体の九五%に当たります百六十三万頭、肉用牛につきましては全体の七九%に当たります二百二十一万頭、乳用牛と肉用牛の合計では全体の八五%に当たる三百八十四万頭、この検査が終了しているところでございます。この検査の結果、これまでBSEを疑う異常牛は確認されておらないところでございます。

 また、あわせまして、先般、厚生労働省の方で、三十カ月齢以上のすべての牛についてBSE検査を実施する、その方向を出しまして、今、それに向けてのいわば出荷自粛、こういったことも要請等ございますが、そういう中で、農林水産省の方におきましても、これは厚生労働省と連携をとりながら、BSEに感染した牛の肉が屠畜場から食用にも飼料用にも出回ることのないようという意味で、検査体制を整えて、今、両省で連携を図りながら検査体制のチェックもしている、そういった状況でございます。

一川委員 ちょっと生産局長にもう一回確認のためにお尋ねするわけですけれども、先ほど来のこのやりとりの中で、今回のこういった狂牛病だというふうに断定された原因というのは、マスコミの報道によると、欧州から輸入した肉骨粉を含んだ飼料を食べた牛が要するに狂牛病として断定されたんだというふうに報道されていますけれども、先ほどの話だと、まだそこまで断定するわけにいかないみたいなちょっと言い方があったと思うんですけれども、まだそこまで断定されていないといいますか、輸入された肉骨粉が、それだけじゃないというような答弁があったと思うんですけれども、今、現段階ではこれは正確には何が正しいんですか、その原因としては。

小林政府参考人 先ほどの答弁といいますかお答えの中で、今、感染経路の解明に努めておりますが、同居牛の状況でありますとか、それから使っていたえさのいろいろな内容でございますとか、そういうことをチェックしている限り、現段階で、例えばえさについて肉骨粉の使用が確認されていないといったような状況でございますので、本件患畜につきまして、この牛についてのいわば具体的な感染ルートというのはまだ解明されていないという意味で申し上げているところでございます。

 それで、いわゆる今までの諸外国の状況を見ましても、こういったBSEがうつるというのは、例えばイギリスなんかにおきまして肉骨粉と言われていることはこれは事実でございまして、それは認識しておりますものの、本件についての解明が、まだ完全に解明されるに至っていない、引き続きその調査を進めている、そういう状況でございます。

一川委員 そのあたりの新聞等の報道がちょっと誤解を招きやすい点もあるような気がしますけれども、これからマスコミに対する対応方、正確にお願いしたいと思うのです。

 それから、大臣にまずちょっとお伺いしたいのは、私が、この問題が起こってから、自分の出身の県の担当者の方にいろいろなお話を聞かせていただいたときに、要するにマスコミに報道されてから初めてわかったようなことが、都道府県の担当者レベルとか市町村、市町村までいっていないのかもしれませんけれども、都道府県の段階で、新聞を見て初めてわかったとか、そういうことが物によってはあったと。いろいろな消費者だとかあるいは生産者を含めた関係者から県に問い合わせがあっても正確に答えられないようなときがあるということを言っておりました。

 私は、これはこういう緊急の事態ですから、もう事前に徹底して各都道府県にいろいろな正確な情報を流すというのは非常に困難な面があろうかと思いますけれども、行政の末端の方でそういういろいろな問い合わせに正確に答えられなかったということが、今回のいろいろな問題をこじらせてきた一つの原因でもないかなというふうに思うわけです。

 私はやはり、農水省としましては、初期の段階はもちろんでございますけれども、やはり正確な情報というものを各行政の窓口の方にしっかりと徹底しておく。それをしておかないと、いや、新聞に出て問い合わせがあったけれども答えられなかったというみっともない格好にならないようにそれは絶対にしてほしいと思うのですけれども、大臣、いかがですか、そのあたり。

武部国務大臣 私ども、今回の対応については、事実を事実として一刻も早く国民の皆さん方の前に明らかにするということを徹底させておりますので、未明に発表するというようなことが多々ございました。しかし、未明に発表したものは朝刊に出るわけですね。そのことによって現場、各都道府県の皆さん方は新聞を見て、テレビを見てわかったというようなことがしばしばあり得た、あり得ることだ、こう思います。

 なお、いろいろ混乱をした、そういう印象で私ども批判を受けておりますが、その批判は甘んじて受けますが、このことにつきましても、役人はきちっと確認した上で発表したいのです。政治家である私は、確認は後でいいから、とにかく事実は事実として発表しろ、こういうことで指示しているのです。ですから、都道府県に伝えるときには、やはりきちっと農林水産省としての確認をした上で、確かめた上で都道府県に伝えなきゃならないというようなことが多かったと思います。

 逆にまた、北海道が発表しているのに何で農林水産省は発表しないんだというようなことはプレスからいろいろ言われるわけです。北海道は、北海道から道外に何頭出たということで発表できるのです。しかし、私どもは、北海道からどこの県とどこの県に出たというようなことを聞いて、そのとおり発表はできません。それをまた各県に尋ねて確認して、それからでないと発表できないというような、そういう事情もございました。

 このことは、一川先生の御指摘はもっともでありますし、私どもが一刻も早く事実は事実として発表するようにというようなことで努力してまいりましたので、逆にそのことが都道府県でまだ伝わってこないというもどかしさがあったでありましょうし、あるいはプレスなり国民から見れば、テレビの会見などを見ていましても、しどろもどろ、こういうふうに映った面があると思うのです。しかし、私は、今も私どもの方針は間違っていなかった、事実は事実として、夜の十一時であろうが夜中の二時であろうが発表するということが本件については大事だ、こう思ってやってまいりましたので、今後は、諸般の対策は少し腰を据えてしっかりやらなきゃならぬ段階に来ているんじゃないか、このように認識しております。

一川委員 それでは、生産局長にもう一回確認のためお聞きするわけですけれども、先ほど、今回のこの問題について、感染経路の解明がまだ完全になされていないというお話がございました。

 家畜が生きている間は農水省、死んでしまうと厚生省、それから、家畜に食べさせるえさは農水省の指導でやっておるわけだし、人間の食べるえさというか人間の食料は厚生省がいろいろとやっているわけですけれども、そのあたりの縦割り行政の弊害が今回も出てきたということは大臣もおっしゃっていましたけれども、これは我々も含めて重要な課題でございます。今、感染経路が解明されていない面があるというのは、具体的に何がまだ解明されていないのか、そこは何ですか。

小林政府参考人 これまで牛のいわば同居牛でありますとか、それから現在わかっている範囲でのえさの給与状況とか、こういうところをつぶしてきているわけですが、そこまでの中では、例えば肉骨粉の使用が確認されていない、そういった段階でございまして、引き続き現在進めておりますのが、例えば患畜の同居牛についての病性鑑定、これでさらに感染の有無の確認、これから進めていくわけであります。また、補助飼料、こういったものがその内容の検査によりまして、肉骨粉があるかどうかというようなことも引き続き確認をしようということで、全力を挙げて究明に努めている、そういった段階でございます。

一川委員 では、いろいろと重複をした問題も多いので、最後に大臣に二点ほどお聞きしたいんです。

 一つは、今回のこの問題とも関係あると言えば関係あると思うんですけれども、従来からこういった畜産関係の深刻な課題の中に環境問題というのがあるわけですね。これはイメージとして、例えばああいうテレビなんかでいろいろな画面に報道されますと、まあ今回の狂牛病にかかったような家畜の映像がばあんと映ってみたり、いろいろなことが映るわけですけれども、実際にこういった、特に牛、豚、それから養鶏関係は、特に養鶏とか豚なんというのは、本当に気の毒なぐらい周りの方々から迷惑がられながら我慢して仕事をやっているわけです。

 しかし、その人たちがそういう仕事をやらない限り、また我々もちゃんとした食料が手に入らないわけでございまして、こういった家畜の環境問題というのは、今回の問題も含めてイメージをアップするためにも、農水省も従来もいろいろとやっているとは思いますけれども、何か本腰を入れて、こういう人たちが本当に自信と誇りを持って、またなおかつ周りの、周辺の地域の方々から変なそういうことを言われないでやれるような状況にしていくことが非常に大事ではないかなというふうに思うわけですけれども、大臣の見解をお聞かせください。

武部国務大臣 全く同感でありまして、私は地元が酪農、畑作地帯でありますので、十分現地のことを承知しているつもりであります。

 今、酪農、畜産経営農家は、環境の問題というのは非常に深刻であります。このことでどう対応していくか。経営を安定させるためには多頭飼育が必要である。多頭飼育をすれば、奥さんの負担やさまざまな負担がかかる。とりわけその中でも排せつ物、大動物ですから、それこそ冬になりますと、農家が家畜の排せつ物の山の下にいるような、そういう光景もありました。

 それを農林水産省としては、きちっとした対策を講じようということでさまざま対策を講じておりますけれども、莫大な経費がかかるわけでございます。そういうふうなことを消費者の皆様方にも国民の皆様方にも御理解いただいた上で、こういった環境問題に対する、負荷に対する社会的コストの負担ということも考えていただきたいと思いますし、輸入の問題ということについても、今度のことでかなり国民の皆さん方の間にも認識が新たになったんだろう、かように思います。

 我が国における限られた条件下で、安全なおいしいものをどのように供給していくかということについても、この機会に私ども真剣に考えてまいりたいと思いますし、最前申し上げましたように、農林水産省としても、単なる生産者の立場じゃなくて消費者と生産者の間に立って、厚生労働省と連携してしっかりやる必要がある、かように考えるところでございます。

    〔委員長退席、小平委員長代理着席〕

一川委員 こういった畜産関係というのは、実際にそれを経営されている御本人はそれを覚悟でやっていらっしゃるわけですけれども、家族の方で、特に子供さんが地域の子供さんから変にいじめを受けるとか、そういうお話を私は聞いたことがあるんですけれども、それがだんだん重荷になって、もうそういう家畜業から足を洗ったというお話も聞きました。そういうお話を聞きますと、やはりそういう人たちが大事な仕事をやっている割には、その地域からいろいろな面で阻害されているということは非常に深刻な問題でございますので、今ほど大臣がおっしゃったように、多少そのことでコストがかかったとしても、私は国民の理解は、説明すればわかっていただけるというふうに思いますので、ぜひよろしく対策をお願い申し上げたいと思います。

 それで、もう一つ大臣にお伺いしたいのは、今我々のところはもう大体米の刈り取りは終わりましたけれども、我が国の水田農業というものも、今後どうすべきかということも、農政の中で重要な課題であることは御案内のとおりです。

 今回の問題だけじゃなくて、昨年の口蹄疫ですか、ああいう問題も含めて、あのときは稲わらの問題とかいろいろなことが議論になりましたけれども、私自身も農家なんですけれども、小さいころは、稲わらを刻んで牛に与えたこともありましたけれども、要するに、水田という農地をもっともっとしっかりと利用することによって、我が国の農業の中で飼料作物というものをもっとしっかりと位置づけをしながら、場合によっては財政的にそれをしっかりとサポートしていくということは、今回のことも含めていろいろな面で、私は、先ほどの話じゃないですけれども、国民の皆さん方に説明をすればわかっていただける問題ではないかなと。

 より安全なものを自分たちの国内で生産をし、それを家畜に食べさせたり、あるいはいろいろな面で活用していくということは、ある面では、今米が過剰ぎみの中で転作物を何をつくるかということで悩んでいる時代でもございますので、水田農業というものの政策を場合によっては大胆に見直す中で、こういったことも含めて、武部大臣の折にしっかりとした路線を引いていただきたいと思いますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 昨年三月の口蹄疫の発生を契機にしまして、国産麦わらを収集、調製し、畜産農家に供給する事業や、水田を活用し、稲発酵粗飼料の生産を推進する事業を今実施しているところでございますが、先生御指摘のことは非常に大事なことだ、このように思っておりまして、畜産と水田農業との一層の連携、あるいは畜産も、私は、生産施設の団地化というようなことを奨励しているんですけれども、私どももいろいろ構想や考えがありますので、先生の御支援もいただきまして、これらの事業の積極的な取り組みに努力してまいりたいと存じます。

一川委員 終わります。ありがとうございました。

小平委員長代理 次に、中林よし子君。

中林委員 今回、イギリスの獣医研究所の最終検査の結果、日本で狂牛病が発生したことが確認されました。このことは、日本の畜産、酪農、そして消費者へ与える影響というのは、はかり知れないものがあるというふうに思います。改めて私は、狂牛病の日本への侵入を許した政府の責任、これを指摘したいというふうに思います。この点で大臣がどのように受けとめておられるか、まずお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 まず、行政のあり方ということからいたしますと、こんなことが起こり得るはずがないという甘い認識が私は一番大きな問題だ、このように思っておりまして、対策本部設置の際にも、予期し得ないことが起こり得るという前提で仕事をしようという訓示をしたところであります。

 さような意味で、まず第一に、これは農林水産省だけではない、かように思いますが、今度の、なぜ問題が発生したということについては、先ほど来御議論がありますように、縦割り行政の問題、屠畜検査については厚生労働省、家畜衛生の問題等については農林水産省、そういう問題もございました。こういった発生を国内で許してしまったということについてはまことに遺憾にたえない次第でありまして、その責任を感じておりますけれども、今後こういうことのないように、今輸入骨粉、輸入の飼料についても、一時的にでも全面的に停止しようということについて各省と協議しております。

 早急にこの結論を出したい、かように存じますが、その後、サーベイランスの強化によりまして、水際では、もう食用にもえさ用にも、屠畜場から危ない牛が外に出る心配ということは一応なくなったということだけは確かでありまして、今後さらなる対策に万全を期してまいりたい、かように考えております。

    〔小平委員長代理退席、委員長着席〕

中林委員 今後の方向性を出す上でも、どういうことに政府は責任を負わなければならなかったのか、この点を明らかにしたいと思います。

 今回の狂牛病に感染した乳用牛は五歳牛です。狂牛病というのは幼獣のころ汚染された肉骨粉を摂取したとき感染しやすいとされていることから考えると、九六年に感染したと想定されます。

 当時はどういう状況だったのかということを振り返ると、九六年には英国の海綿状脳症諮問委員会が、英国での八十八名もの新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者が発生したのは、狂牛病に感染した牛の内臓を食べたことに関連があると発表したわけです。この報告の後、英国ではパニック的な牛肉の買い控えが始まり、EU諸国も英国からの牛肉輸入をストップし、自国への波及の防止に懸命になりました。

 九六年四月に世界保健機構、WHOが、WHO加盟国に対して、すべての国は反すう動物の飼料への反すう動物の組織の使用を禁止すべきであることを勧告しました。これは、狂牛病の感染牛を肉骨粉にしたものが感染源であって、それを断たなければ狂牛病の広がりが防げないとWHOが明らかにしたものです。このときに徹底的な国内対応をしていれば、日本への狂牛病の侵入を防ぐことができたはずだというふうに思うのですね。

 しかしながら、このWHOの勧告を受けて日本政府がしたことは、ここにありますけれども、農水省の流通飼料課長の一片の通知、これだけなんです。ここにどういうことが書かれているかというと、「反すう動物の組織を用いた飼料原料(肉骨粉等)については、反すう動物に給与する飼料とすることのないよう、貴傘下会員に対し周知を図られたい。」といったもので、これは去年、二〇〇〇年の十二月までこの調子で行われておりました。その後、ことしの六月に示されたガイドラインで明らかにしたように、肉骨粉の混入防止措置などもここには触れられておらなかったわけです。

 この九六年のWHOの勧告を受けて、肉骨粉の混入防止策を含む全面的な対応、それも法的なレベルまで引き上げて行っていれば、狂牛病の侵入を防げたはずだというふうに思うのですね。だから、全面的な対応をとらず狂牛病の侵入を許したこの時点でのやはり政府の責任というのは非常に重大だというふうに思うのですけれども、大臣、WHO勧告を受けた初動の対応、これについて不備があったというふうにお考えではないのでしょうか。

武部国務大臣 委員は一片の通知、こういうことでございますが、私ども一片の通知というふうには思っておりません。しかも、私も多少酪農地帯のことを承知している者といたしまして、牛というものは大変な対価のあるものであります。これはもう、牛一頭が事故を起こして倒れたり死んだりするということは、その経営にどれだけ影響を与えるかというようなことについては、一人一人の酪農家が経験上肝に銘じているはずでございます。

 それは都道府県もあるいは農業団体も、それから各般の専門家の皆さん方も、獣医師を初め、獣医師もこれを一片の通知と受けとめるということ自体、私は非常に甘い認識と言わざるを得ません。したがいまして、徹底すべきということについてはおっしゃるとおり私は否定するものではありませんで、でありますから今までの行政指導を法的規制に改めたわけでございます。

 そして今回、今までも定期的な調査をやっておりましたけれども、今回四百五十万頭、十四万二千戸の農家を全部調査しているわけでありまして、今現在たしか私の記憶では十県、六十九戸で肉骨粉が牛に使用されていたというような事実も判明してまいりました。あるいはまた出るかもしれませんが、このことはあってはならないことで、まことに残念でありますけれども、このことは今委員は政府の責任、こうおっしゃいましたけれども、これはみんながそれぞれ――失礼しました、十道県、百十三戸で給餌してはならない肉骨粉を牛に給餌しているという事実が出てまいりましたけれども、またふえるかもしれません。

 今後さらに改めまして、再度、十四万二千戸、四百五十万頭に対して、九月二十五日から十月一日にかけて、全都道府県の畜産部局及び普及部局を通じて、一斉にもう一度指導を徹底しようという体制をとった次第でございます。

中林委員 今、こういった狂牛病の発生を許してしまったというところの入り口のところで、やはり九六年という年、これはイギリスでのあの大量的な狂牛病の発生の事実など知られておりましたし、WHOもこういう勧告をした。それを受けとめて、これでよかったのかという検証はやはり必要なのではないかという指摘をしているわけです。それで、農水省の一片だけということじゃなくてとおっしゃるのですけれども、具体的な、政府として、では、狂牛病についてこういう注意が必要だというようなことは何も出てきてはおりません。

 それならば、もう一つ問題を提起したいというふうに思うのですけれども、ことしの一月二十五日に国連食糧農業機関、FAOが、狂牛病は東欧、アジア、中東などEU以外の地域に既に拡大している可能性が極めて高い、こういう見解を明らかにして、EUが六月に日本で狂牛病発生の可能性があるとの報告書をまとめているのを知りながら、政府は日本は安全だ、こう慢心して、ずさんな国内対応に終始したというふうに思います。

 八月六日に千葉で起立不能を呈していた乳用牛が屠畜場で見つかったわけなんですけれども、この起立不能というのは法定伝染病である狂牛病の症例でもあって、本来ならば、「海外伝染病の鑑定及び取扱い」に基づいて、海外伝染病の取り扱いは、国内で発生を見ている伝染病とは異なり、当該疾病を疑う症例を発見した場合は、原則として県段階における病性鑑定を実施せずに速やかに検査材料を家畜衛生試験場に送付しなければならないはずだ。

 それも、検査材料は、「海外伝染病の鑑定及び取扱い」、ここでちゃんと決められているわけですね。一つは脳幹部を含む脳、これは病理標本用、それからもう一つは凍結した脳、ウエスタンブロット用、この二つを送付しなければならなかったはずなんです。ところが、送付したものは脳の一部の延髄だけで、病理標本用の脳が送られませんでした。病理標本用の脳が送られなかったために、動物衛生研究所はプリオニクステストしかしなかった。病理検査をここでは行われなかったわけですね。たまたまプリオニクステストが陰性だったため、今回の乳用牛が狂牛病の疑いがある、そういうことが、千葉県の病性鑑定検査の結果が出るまでの約一カ月間、時間がかかったということなんです。だから、ここにある「海外伝染病の鑑定及び取扱い」、これでしっかりと対応していれば今回の事態にはならなかったというふうに思います。

 今回、起立不能を呈していた乳用牛を敗血症として焼却処分もせず、肉骨粉として処理して、国内流通も許してしまった、こういう経緯があるわけです。それも、農水省は焼却処分をしたものと思い込んで、確認もしないまま、九月十三日までその事実を知らなかった、こういうずさんな対応に終始しました。

 農水省は、九月二十日になってやっと、BSEの臨床症状を確認し、これを疑う場合は、中枢神経症状を呈した牛を発見した場合は、疑似患畜として家畜伝染病予防法に基づきBSEについての病性鑑定を行うこととする、該当する病性鑑定を行った屠体については必ず焼却するものとするとの課長通知が出されました。こういうずさんな政府の国内対応の結果、国民にはその間やはり大きな不安を招いて、畜産農家や酪農農家に深刻な今打撃を与え続けているわけですね。

 だから、今大臣はこの通知一片だけではなかったんだというふうにおっしゃるんですけれども、現実はそういう形にはならなかったということが、あの九六年、ここの初動のところをちゃんとやっていただいていればこういう事態にはならなかったし、ましてや、今回の千葉で発見されたその扱いについても、「海外伝染病の鑑定及び取扱い」、これに基づいてやっていればこういう事態にならなかったのではないか。この点についてお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、認識の甘さということがさまざまな問題を喚起しているということは否定し得ないことでありますので、私は毎日記者会見等でも陳謝しているわけでありますが、もう一度メカニズムを言いますと、この患畜、BSEに感染した牛は、屠畜場に回ってと畜検査員が敗血症という診断をしたんですね。私は、ここのところが一つ問題だと思うんです、正直言って。これがBSEを疑えば、家畜保健衛生所には出てこないんです。これは、解体後検査いたしまして、焼却、頭はBSE検査に行くわけですね。そういうことができてなかったということは、もうそのとおりなんです。そして頭だけ、サーベイランスに適する脳材料があるという連絡を受けて、初めて検査、家畜保健衛生所がとりに行ったわけですね。(中林委員「だから、その経緯は全部知っています」と呼ぶ)わかりました。委員の話は、何か全部農林水産省が一から十まで責任を負っているような、そういうお話ですから。政府全体としてはそのとおりですよ。そのとおりです。私は否定していないのですよ。

 ですから、その後をどうするかということについて、今申し上げましたように一九九六年に行政指導はやっているわけですから、それでも現に出てきているわけですから、それで今度は法的規制にしたわけですから。それで、今言いましたように、今度の問題が出て、二十日から中枢神経症状のものを全部やることにしたわけですね。(中林委員「だから、それは知っているからさっき紹介したじゃないですか」と呼ぶ)だから、そういうことを……(発言する者あり)いや、当たり前じゃないかとそちらの方でおっしゃいますけれども、当たり前のことができてなかったから問題なわけですから、だから、私どもは今当たり前のことをちゃんとやるようにということでやっているわけで、ですから、あなたは今責任責任とおっしゃるから、責任を感じているから逐次こういう対策を今講じているということを申し上げているんですよ。

中林委員 経緯については私どももよく承知しております。私が指摘したかったのは、九六年のときにやはりまだ危機感を持っていなかったという反省がある、その中身としてどこが甘かったのかという点をやはり大臣にもちゃんと認識していただきたい。

 例えば、屠畜場に行ったときの獣医の判断が間違っていたというようなことをおっしゃるんですけれども、それを担当した獣医の責任にしたらそれはだめだと思うんですね。獣医もちゃんと記者会見して、あの当時、国内の獣医で一〇〇%の人が、狂牛病は起きない、こういうふうに思っていたとおっしゃっているわけですね。だから、国内では起きない、こういうことが、やはり慢心をしていた、その危機感のなさ、ここはやはりきっちり把握していただきたいというふうに思います。

 それから、先ほどから問題になっている今回の原因究明のことで、発症した牛はその肉骨粉は食べていないというのは双方で明らかになっているのですけれども、それならば、どこかで入ってきたのだろうと思えるわけですね。だから、えさの、飼料製造ライン、これが豚や鶏、そこと同じ製造ラインを使わないようにしたり、あるいは配送車をきっちり分けないと、配送車を幾ら清掃しても三十キロは中に肉骨粉が残る、こういうふうに関係者も話しておりますので、もしそれがきっちり分けられないならば、輸入肉骨粉は禁止すべきだというふうに思います。

 これは大臣が、それは含めて考えているとおっしゃっているので、先ほどの答弁で私は答弁いただいたものとして、もう一つ質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今後の対応の問題なんですけれども、やっとEU並みに月齢三十カ月以上の牛の全頭調査を屠畜場で行うことを決めました。そして、調査体制が整うまで、農家に対して出荷抑制を指導することになっております。

 政府は、出荷抑制の期間のえさ代補助をするというわけですけれども、畜産農家などは牛の売却で生活費の多くを賄っている例も多く、支援措置、これはえさ代補助に限らないで、今緊急融資なども対策としてとられているのは私も承知しております。しかし、融資では返さなきゃいけないということがあるわけですから、これは当然、EU並みの所得補償や価格暴落対策などの措置、これを当然、私は、やはり政府の対応の甘さ、そこに今回発生した一つの原因があるわけですから、これは政府が責任を持って支援策を検討すべきだというふうに思います。

 それから、風評被害の問題ですが、牛乳の売り上げが減少して経営面で大変苦しんでいる中小乳業メーカーもあります。これらのメーカーに対する支援もきちんと行うべきだというふうに思いますので、この点についての御回答、そして、厚生労働省に対して、狂牛病が発生した以上、危険部位、これは消費者の口に入らないよう、先ほどの答弁を聞いていると今検討中ということなんですけれども、やはり検討中では、私は、生ぬるい、焼却処分すべきだというふうに思うのですけれども、最後にその点をお伺いしたいというふうに思います。

武部国務大臣 もう何度も申し上げておりますが、起こり得る。起こり得ないと思っていることが起こる、予期せぬことが起こるという前提で仕事をするようにということを、もう口を酸っぱくして言っている次第でして、政府の責任を再三問われましたが、そのことを甘んじて受けますので、申し上げていることもどうぞ御理解いただきたいと思います。

 また、生産者を初め、大変な風評被害を受けていることに対しまして、どんな手を打つか。この風評被害というものも、もう一度申し上げますが、今の時点で食用にもえさ用にも危ない牛が屠畜場から出ていくことはなくなっている、このことだけは御理解いただきたいと思います。

 その上に立って、出荷繰り延べに対する牛ですね、これは融資じゃありません。先ほど遠藤副大臣が答弁申し上げましたように、肥育牛は二万、廃用牛は八千円、肉専用……(中林委員「だから、それは要りません」と呼ぶ)いいんですか。これはいいんですね。(中林委員「そういう支援策をやると」と呼ぶ)そういう支援策……(中林委員「融資じゃなくて、全面的にやる」と呼ぶ)これはやるんです。やるんです。それはもうやるんです。

 これで、いろいろな状況の変化がありますから、その際には、指定助成という農畜産事業団の金もありますので、必要なことはやりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。それでよろしゅうございますか。

桝屋副大臣 消費者の方々により安心をしていただくために、きょうもこの委員会で厳しく御指摘をいただきました食肉処理時の危険部位の廃棄等につきまして、早急に技術的な検討を進めまして、おしかりを受けましたが、可及的に速やかに対処したい、このように考えております。

中林委員 時間が参りましたので終わりますけれども、事は、やはり国民の命にかかわる問題、そして畜産業などに関係する重大問題ですから、本当に厳しく対応し、今申し上げたことを実現していただきたい、このことを申し上げて終わりたいと思います。

堀込委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党・市民連合の菅野哲雄でございます。数点にわたって御質問いたします。

 ただ、最後になりましたけれども、今いろいろな形で質疑が交わされております。聞けば聞くほど今回の問題、わからないところだらけという状況にあるというふうに思うんですね。

 それで、まず最初に、今も中林委員から質疑がございましたけれども、八月六日に乳用牛一頭が食肉処理場で屠殺されて、農水省として狂牛病の疑いがあるということを対外発表したのが九月十日ですから、この間に約一カ月、四十日ほど経過しているんですけれども、なぜこの対応がこんなにもおくれたのか。

 といいますのは、私も中林委員と同じなんですが、狂牛病に対する国内の危機管理状態というものがなかったからこの対応のおくれというものがあったんではないのか。大臣も、認識の甘さという部分をおっしゃっておりますけれども、全体的に甘さが蔓延していたということを、農林水産省として、これをしっかりと今後に結びつけていく必要があるというふうに私は思うんですけれども、なぜおくれたのかについて、再度答弁をお願いしたいと思います。

武部国務大臣 先生御指摘のとおりでございます。

 私どもも、本当に何でこういう経過になっているのか、今一つ一つ検証しているんですけれども、先ほどから申し上げておりますように、一番大事なことは、屠畜場に入ってきたときに、牛を診断する際に、認識を厳しく持っていれば、BSEの疑いがあるという牛かもしれない、そういう気持ちを持っていれば、これが肉骨粉などに、加工場に回っていくわけがないんです。そこでもうきちっと、組織はできているんですね、BSEのサーベイランスの要領はできている。できているのにそのとおりいっていないというのは、もう一にかかって認識の甘さということでございます。日本は清浄国だ、大丈夫だ、起こるはずがない、そういうところにあったんじゃないか。

 ですから、この意識改革ということが今後私は非常に大事だ。そして、これを契機に、役所だけじゃなくて、国民の皆さん方に対してもそういう認識を持っていただきたいと思います。

 同時に、風評被害が非常に大きくなってきております。これも、正しい情報、正しい知識というものをやはりしっかり持ってもらいたい。現時点で、現在、食用にもえさ用にも、屠畜場から危ない牛は出ていかない体制になっているんですよ、テールスープでもニラレバいためでも食べていただいて大丈夫ですよということも、大臣の言っているあの顔を見ればどうもますます信用できないと言われれば本当に残念なんですけれども、そういうことじゃありませんで、科学的にもそういうことでございますので、ぜひひとつ、ここはテレビでもしっかり報道をいただきたい。食用にもえさ用にも、現時点では、屠畜場から外に、我が国においては出てまいりませんので、そのことも御理解ください。

菅野委員 もう一つ、対応がおくれた理由に非常に重要な問題が潜んでいるというふうに思っています。

 八月十五日にプリオニクステストを実施し、そしてその結果陰性を確認した、マイナスだったということで、そのままストレートに流れていったということなんですが、このプリオニクステストというのは、ほぼ一〇〇%結果が出るんだというふうに言われていたテスト方法だったと言われています。この部分がなぜ、九月の十日に「免疫組織化学的検査を実施したところ、BSE感染を示唆する結果を得た。」というふうになっていますけれども、八月の十五日の段階でこれがプラスであれば、すぐ対応はとれたというふうに思えるんですね。

 それで、このプリオニクステストの実施という部分が、今非常にメーカーともトラブルを起こしているというふうに聞いて、新聞報道されていますけれども、この結果の陰性と、結果として今日的にはプラスになったということ、このプリオニクステストの結果というものをどう認識しているのか、この点をお聞きしておきたいと思います。

武部国務大臣 私はこのこともいろいろ事務方にただしました。そうすると、エライザ法というのは反応が非常にいいんだそうです。これは今度採用するものでありますが、しかしいろいろなほかのものまで反応する。こういう問題があると言うから、ほかのものが反応しようが、BSEということであるかないかがわかれば、それで疑いがあれば、もう屠殺して焼却処分すればいいではないか、私はこう申し上げたわけであります。

 私も、プリオニクス社のことをとやかく言うわけではありませんけれども、より早く検査する、そしてより正確に検査するというには、何をどのように使ったらいいかということで考えればよかったのではないのかな、このように思いますが、専門的なことは、必要があれば事務方に答弁させます。

菅野委員 私は、なぜこの問題をここで取り上げているのかといったときに、今後の検査体制がしっかりしているということを国民の前に示す必要があるというふうに思うのですね。大臣が、今屠殺場に入っていっているのは一切問題ないと言うのですが、実際にプリオニクステストでマイナスになったものがプラスになっている。こんな状況がずっと続いていたのでは、検査体制を疑い得るということです。

 そういう意味の反省の上に立って、エライザという部分を導入したからいいという問題ではなくて、最後にももう一つ、もう一回質問しますけれども、検査体制の強化、その組織というものをしっかりとつくっていただきたい、冒頭にお願い申し上げておきたいと思うのです。

 それで、今大臣が質問を先取りして答弁していますけれども、やはり風評被害も含めて、マスコミ等はこの部分は大丈夫なんですよというふうに言ってはいるものの、すべての牛肉が危ない危ないということで牛肉から遠ざかっていくというのが今日の状況だというふうに思っています。どういうルートを使って、どういう方法でもって国民の理解を得ていくのかなというところが大事だというふうに思うのですね。

 それと同時に、先ほど中林委員も言っていましたけれども、今回の狂牛病発生によって、畜産農家あるいは消費動向への影響をどうとらえているのか。国民に理解を得ていく前に、どういう状況になっているのか、そして今後、畜産農家等あるいは流通関連業者等も含めて、どう具体的に対処なさっていくのか。この辺を二点お聞きしておきたいというふうに思います。

武部国務大臣 とにかく、牛の枝肉卸価格も現時点では低下傾向にありますし、子牛の取引価格も下がっているという状態ですし、主要量販店においては、牛肉の売り上げが一割から三割減少している例も見られるということでございまして、牛肉消費の減少が非常に懸念されております。そのことによる影響というものが畜産農家に出てきている、あるいは卸売業者にも出てきているかもしれません。

 これらに対しては、緊急融資のほかに、先ほど中林委員にもお答えしましたが、それぞれの牛に助成をする、そういう措置をとります。肉牛については二万円、廃用については八千円、そのほか子牛ですとか、そういったことについて、これはきちっと現金で助成するということでありますので、このことについてはしっかりやりたい、このように思っております。

 風評被害のことでありますけれども、私はそう簡単なものではないと思います。したがいまして、これからマスメディア等を通じた安全性のPRでありますとか、一つ一つ、しかし、緊急に対策も打ちましたので、先ほど来何度も言っておりますように、食用、えさ用にも危ない牛は出なくなったと、きょうのこの議論を踏まえてかなりの皆さん方に御理解いただけるんじゃないか、かように思って、一生懸命これからもさらに努力したい、このように思っておりますが、なお、二十八日には消費者、食品製造・流通業者、生産者団体等に呼びかけてお集まりいただいて、さらなる二回目の説明会もやらせていただきます。

 それから、最初に御質問のありました検査体制でありますが、エライザ法をやる場合に、厚生労働省は、これは厚生労働省から御答弁いただいた方がいいのかもしれませんが、およそ一カ月かかる、エライザ法でやるには。そういう、五時間できちっと検査してから外に出すという体制をとるわけです。それには一カ月かかるということですから、それまでの一カ月間は私ども農林水産省が、繰り延べしてもらうように、その分は、かかったえさ代等は補償しますということでお願いしようというような体制になっているわけでございます。どうぞ御理解をお願いしたいと思います。

菅野委員 風評被害をできるだけ少なくするということが農水省に求められていると思いますから、しっかりとした対策を練っていただきたいというふうに思っています。

 そして、ずっと今までの質疑を聞いていまして、肉骨粉の問題ですね。これは、これからのことも含めて大きな課題であるというふうに思っています、どうしていくのか。これを全面的に流通から排除していけという論もありますけれども、それじゃ、この動物残渣をどうしていくのかの問題も含めて大変な問題だというふうに思うんです。

 それじゃ、具体的にこの肉骨粉の流通経路がどうなっているのか、国民はなかなかそのことは理解を示していないんですね。わからないんです。私自身もわからないんです。ぜひ、この肉骨粉の流通がどうなっているのか、そして、その場合に、先ほどから質疑の中では狂牛病にかかった牛が食べた形跡がないと言っていますけれども、流通経路が全然わからないとそこが本当なのかと疑い得るんですね。これはどうなっているんですか、説明していただきたいと思います。

小林政府参考人 輸入肉骨粉の経路というような形でいきますと、商社から入ってきて配合飼料会社、またそれがいろいろな用途、えさもありますし、また魚用とかいろいろございますが、そういったように流れていく。そういう流通過程はあるわけでございます。そういったところでどういった形で使用されているかということにつきましては、また、飼料工場関係のいろいろな検査等を通じてさらに実態を把握していきたいと思っております。

 それから、今お話ございました当該患畜についても感染経路を調べておるところでございますが、こちらの方は、現実にその農場で使っていたえさがどういうえさで、それがどこから仕入れたか、これまたそちらの方からこういうふうにさかのぼる形でチェックしていきたいということで、両方あわせながらこれからさらに実態の解明を進めていきたいと思っているところでございます。

菅野委員 私の言っているのは、BSEに感染するおそれのある肉骨粉ということを言っているんじゃないんですね。肉骨粉全体がどういう経路をたどって流通しているのかということを全体的に聞いているんです。

 そして、なぜこのことを聞くのかというときに、要するに牛に食べさせてはいけないよという部分があると思うんです。このBSEに感染していようがしていまいが、肉骨粉を反すう動物に食べさせることによって狂牛病に結びついていくという状況があるというふうに思うものですから、全体の流通がどうなっているのか、ここをしっかりと説明していただきたいと思います。

小林政府参考人 肉骨粉の流れでございますが、全体の流通の形として申し上げますと、大体国内生産で約四十万トン、レンダリング工場で生産されます。それから、この中で三十万トンがえさ用という形で流通しております。それから、一方輸入でございますが、こちらは大体十七万トン、オーストラリア、ニュージーランドなどから輸入されておりますが、その中の十二万トンが配合飼料という形で、ですから、国内と輸入物、三十、十二、合わせまして四十二万トンが配合飼料工場を通じて飼料として使われている、大宗の流れはこういう形でございます。

菅野委員 そうすると、やはりここが私は大きな、肉骨粉の問題がこれから大変議論していかないといけないという、農水大臣はこの部分をやめるわけにはいかないということでずっと言っていますけれども、四十二万トンが日本国内に出回っていっているんですね、飼料として。それが、牛が絶対食べないという条件をつくるという、今までは、一九九六年以降はつくってきたはずなんですが、それが守られていない、こういう実態を考えたときに、やはりこの肉骨粉の問題を、私は、いろいろな問題があると思うんですけれども、流通からなくしていく努力というのは早急にとるべきだというふうに思うんです。

 大臣、その点に対しての考えを示していただきたいというふうに思います。

武部国務大臣 先生御指摘のような考え方は、私ども理解しているんです。

 しかし、先ほど問題提起がありましたように、さまざまな分野からきちっと検証しなきゃならない、このように思っているわけで、私は後ろ向きのことを言っているんじゃありません。やはり、前向きでも後ろ向きでもなく、中立性の立場で、行政としてはさまざまな皆さん方の意見やいろいろな相関関係やそういったものを全部検証していく必要があるだろうと。したがって、この問題はBSE問題検討委員会のようなものを設置して、いろいろな方々に入ってもらって、そういったところで御検討いただくということが必要じゃないかということを申し上げているわけでございます。

 以上でございます。

菅野委員 わかりました。

 狂牛病が牛一頭発生したということは、もう非常に大きな意味を持っているというふうに思っています。今後、人的被害も、ヨーロッパ、EU諸国と同じように、日本においても発生する可能性が生じたということだというふうに思います。新クロイツフェルト・ヤコブ病、新ヤコブ病が日本においても発生する可能性が生じたということだと思うんですね。

 厚生労働省に、こういう状況を受けて、この人的被害にどう対応していこうと今日的段階で考えておられるのか、お聞きしておきたいというふうに思います。

尾嵜政府参考人 お話しのように、今回一件のBSEの牛が出たわけでございますが、人への被害というものについては、当然私ども、こういった狂牛病そのものが広がらないように、農林水産省、厚生労働省、それぞれ手当てを打つ、対策を打つという形でやっておりまして、当然のことながら、人についての感染というのは我が国ではないわけでございます。そのもとを断つ、そちらの方の対策をまず重点的にきちっと対応するということが必要ではないかというふうに考えておるところでございます。

菅野委員 時間が終了しましたということなので終わりますけれども、そうじゃないというふうに思うんですね。イギリスやヨーロッパで新ヤコブ病に感染した、そういう実態をつぶさに把握して、日本における人的被害の検査体制というものを強化する必要があるというふうに思うんですね。それは、狂牛病の、BSEの発生源を断つということは厚生省としても必要だと思うんですけれども、九六年、過去に流通したものがすべて安全だったと言い切れなくなった今日の状況だというふうに思うんですね。

 そのことを踏まえて、私は、この数年間あるいは十年間ぐらいの検査体制というものを、病院も含めて強化すべきだというふうに思うということを申し上げながら、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。

堀込委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十一分散会




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