第2号 平成13年10月17日(水曜日)
平成十三年十月十七日(水曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 鉢呂 吉雄君
理事 木村 太郎君 理事 岸本 光造君
理事 滝 実君 理事 二田 孝治君
理事 小平 忠正君 理事 鮫島 宗明君
理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君
相沢 英之君 岩倉 博文君
岩崎 忠夫君 岩永 峯一君
金田 英行君 上川 陽子君
北村 誠吾君 後藤田正純君
七条 明君 園田 博之君
高木 毅君 西川 京子君
浜田 靖一君 菱田 嘉明君
吉田六左エ門君 後藤 茂之君
後藤 斎君 今田 保典君
佐藤謙一郎君 楢崎 欣弥君
堀込 征雄君 山内 功君
赤羽 一嘉君 江田 康幸君
高橋 嘉信君 山田 正彦君
中林よし子君 松本 善明君
菅野 哲雄君 山口わか子君
金子 恭之君 藤波 孝生君
…………………………………
農林水産大臣 武部 勤君
厚生労働副大臣 桝屋 敬悟君
農林水産副大臣 遠藤 武彦君
農林水産副大臣 野間 赳君
農林水産大臣政務官 岩永 峯一君
農林水産大臣政務官 岩永 浩美君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 香山 充弘君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青
少年局長) 遠藤純一郎君
政府参考人
(厚生労働省健康局長) 下田 智久君
政府参考人
(厚生労働省医薬局食品保
健部監視安全課長) 高谷 幸君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 小林 芳雄君
政府参考人
(中小企業庁次長) 小脇 一朗君
政府参考人
(環境省大臣官房廃棄物・
リサイクル対策部廃棄物対
策課長) 飯島 孝君
農林水産委員会専門員 和田 一郎君
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委員の異動
十月十七日
辞任 補欠選任
江田 康幸君 赤羽 一嘉君
高橋 嘉信君 山田 正彦君
同日
辞任 補欠選任
赤羽 一嘉君 江田 康幸君
山田 正彦君 高橋 嘉信君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
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○鉢呂委員長 これより会議を開きます。
この際、新たに就任されました農林水産副大臣及び農林水産大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。農林水産副大臣野間赳君。
○野間副大臣 農林水産副大臣を拝命いたしました野間赳であります。
武部大臣を補佐いたしまして、遠藤副大臣、岩永政務官、岩永浩美大臣政務官、両政務官と力を合わせて、今後、農林水産行政推進のために頑張ってまいりたいと思っております。
委員長さん初め委員の先生方のよろしく御指導をいただきますようにお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)
○鉢呂委員長 次に、農林水産大臣政務官岩永浩美君。
○岩永(浩)大臣政務官 おはようございます。
このたび農林水産大臣政務官を拝命いたしました佐賀県選挙区の岩永浩美でございます。
同じ岩永政務官、二人おりますが、私の方が佐賀県選挙区の政務官でございますので、今後、武部農林水産大臣のもと、遠藤、野間副大臣の御指導をいただきながら、岩永政務官と一緒に精いっぱい努めてまいりますので、委員長さん初め委員各位の御指導を心からお願いを申し上げて、ごあいさつにかえます。よろしくお願いいたします。(拍手)
○鉢呂委員長 ありがとうございました。よろしく今後ともお願い申し上げます。
――――◇―――――
○鉢呂委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長小林芳雄君、総務省自治財政局長香山充弘君、文部科学省スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君、厚生労働省健康局長下田智久君、厚生労働省医薬局食品保健部監視安全課長高谷幸君、中小企業庁次長小脇一朗君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長飯島孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○鉢呂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二田孝治君。
○二田委員 おはようございます。
九月の十日には狂牛病、そして九月の十一日は同時多発テロ、我が国にとりまして大変危機感を覚える二つの大きな出来事があったわけでございます。そしてまた、同時多発テロに対する我が国の対応は、昨日委員会で特措法が可決されました。まことに結構なことだ、こう思っております。でも、じわじわとこの狂牛病の恐怖というものが国民の間に浸透しつつある、大変な事態である、私も重く取り上げていかなければならない、こう思っておるわけでございます。
ところで、この問題に対しましては、各党各人が真剣に今特別委員会を各党内の中につくって頑張っておるわけでございます。ちょうど今月の十二日でございましたでしょうか、私どもは、狂牛病特別対策委員会におきまして、農政関係、ここに金田部会長もおるわけでございますけれども、一生懸命真剣に討議をしておりました。
それは、いつ国民に安心感を与えればいいのかということが大前提で、安全宣言の問題を熱心に討議しておったわけでございます。そこでは、我が党では安全宣言を一日も早くするべきだというような決議を上げておりました。遠藤副大臣もそこにおりました。桝屋副大臣もおりました。お互いに真剣に討議を交わして、朝早くからでございました。外に出まして、ちょうど十時三十分ごろでございましたでしょうか、インターネットや携帯電話の通信の中で、実は、東京都芝浦屠畜市場におきまして、狂牛病の陽性の結果、疑似陽性でございますけれども、公表された。これが東京都に十一日の夜に、十時ごろに連絡されたというようなことがぱあっとニュースで流れましたのは、当局並びに議員の皆様方も御承知のことだと思います。
私は、実を申しますと、このニュースを見まして、これは何だいな、議員や、そしてそれに携わる、真剣に考えている方々をこけにしているんじゃないか、こんな感じを強く持ったわけでございます。そしてまた、二元行政の弊害というのはここに出てくる、縦割り行政の弊害というものはこういうものじゃないかな、こう思ったわけでございます。厚生省は知っているんだけれども、農水省は知らない、こんなばかなことというのはあり得ることでございましょうか。私はやはり、大変危機管理の面におきましても、厚生省と農水省の連携におきましても、一体になって当たらなければならないこのBSEの問題、これに対してどういう対応であったのかということを、与党なるがゆえに重大な危機感を持ったというわけでございます。
私は思うのでございます。武部農水大臣も遠藤副大臣も私どもとずっと一緒にやってまいりました。同じテーブルに着きながら熱心に日本の農政のこと、そして国の将来のことをずっと議論をしてきた仲間でございます。決して私は甘い人間だとは思っておりません。どちらかというと、たけしく、きつく、そして国民のためにはもろ肌を脱いで頑張る御両者なのでございます。この政府の要職について、武部大臣も少しく飼いならされたんじゃないかな、こんな感じを持ったわけでございます。大臣なり副大臣がこういうときには怒り心頭に発して、厚生省に対して抗議を申すべきが至当である、私はこういう電話を遠藤副大臣に直ちにいたしたわけでございます。大臣はいなかったわけでございます。
そのほかに、各要路のこの担当の方々に全部電話をいたしましたけれども、だれも対応してくれる人がいない、だれもいない、こういうことで果たしてこの重大な危機に対して私どもは対処できるのかという危殆感を持ったわけでございます。
桝屋副大臣、あなたは厚生省の一つの責任者として、あの会議の場をどう考えたのか。どういう気持ちで、あなた知っていたわけでしょう。知っていてほおかぶりをしていた、これで一体的な与党との一つの形成というものができるのかどうか、明確な答弁をお願い申し上げたい。
○桝屋副大臣 ただいま二田先生の方から、十二日の一連の動きについて厳しい御指摘をいただきました。
私自身のことを申し上げる前に、まずは整理をさせていただきたいと思うのでありますが、私ども厚生労働省としても、あの事態は大変に予期をしなかった事態ということ、言いわけにはなりませんけれども、今回の事例につきましては、私ども厚生労働省が実施をしておりますBSEのスクリーニング検査の技術研修におきまして、東京都中央卸売市場から供与されましたサンプルを用いて、十月の十日の日にエライザ法による検査の実施を行っていた。その中で、二十五検体のうち二検体、これが疑陽性と判定をされた、先生おっしゃるとおりであります。
したがいまして、これを受けて、翌日に直ちに二回目のエライザ法による検査を行った結果、二検体のうち一検体についてはなお一回目の検査と同様の結果を得たというわけでありまして、このため、横浜検疫所輸入食品・検疫検査センターにおきまして帯広畜産大学の品川教授及び動物衛生研究所の横山主任研究員にお願いをいたしまして、より正確なウエスタンブロット法による確認検査を行い、その結果、十二日に幸いに陰性と判定をされたというものでございます。
今委員から御指摘をいただきました、十二日、確かに御指摘のとおり、自民党の皆さん方のBSE対策本部、私どもも呼ばれて出席をいたしておりました。八時四十五分からの会合だったと思います。私もそのときには知っておったか、こう問われたわけでありますが、その会議が終わってから実は私も聞かされたわけでありまして、大臣も、実は当日、テロ対策特別委員会、この席に出ているところでメモが入って大臣も知ったということでございます。その処理について、十月の十日からでございますから、事の起こりは、なぜそれほど連絡が遅かったのかということについては、これはもう反省せざるを得ません。
しかしながら、どうぞ御理解いただきたいのは、きょうも一日この委員会でもさまざまに議論されると思いますが、今回のエライザ法、そして最終確定検査を行うウエスタンブロットの方法、これはあくまでも一体となって検査結果が出るものでありまして、恐らく、現場においては予期せぬ研修の事態に、疑陽性と先生おっしゃいましたけれども、そうしたものが出たということで、ともかくも、その対応、最終確定へ向けて確定診断を行うための準備、その一環、途中でありましたから、その作業を続けた、継続をしたというものであろうと思います。
その報告が私どもにおくれたということについては、省内、次官を初め大臣の方から、連絡、報告を迅速にということを改めて反省をした上で通達をしたわけであります。深く反省をして、今後こうしたことがないように、明日からいよいよ全国の検査体制が体制整備がされるわけであります。改めて、今回の十月の十日、十一日、十二日、一連の出来事を教訓といたしまして明日に備えていきたい、このように考えているところでございます。
○二田委員 副大臣、あなたの話の中で、あの時点で知らなかったというお言葉がございました。これは私は大変な問題だと逆に思います。そういうことをひとつ言わないでください。言うと、私はまたこの問題を蒸し返さなきゃいけなくなりますから。
知らないなんということは、あなた、労働厚生行政、国民の健康を預かっているんですよ。預かっている中において、知らなかったで済みますか、あなた。これは大変な問題を惹起する問題でございますから、これ以上はお話し申し上げませんけれども。よく、まず……(発言する者あり)いやいや、知らなかったじゃ、あなた、済まないよ。(発言する者あり)まあ、いいから、おれが質問しているんだから黙ってくれや。
だから、もう一回答弁してください。
○桝屋副大臣 先ほども申し上げましたように、十月の十日から十一日、十二日の一連の出来事については、私どもも深く反省をして、それを教訓に明日からの取り組みに全力を挙げたい、このように考えております。
あの一連の出来事の中で、まさに先ほど申し上げましたように、検査技術研修の中で供与された検体の中から出たということでございまして、一連の検査を進めたということでございまして、連絡、報告がおくれたということは反省をしなきゃならぬ、このように思っております。
○二田委員 今後、今までの教訓を生かしながら、しっかりと頑張っていただかなきゃいけないということでございます。
ところで、武部大臣、あなたはこういうことに対しては怒り心頭を発する男なんですよ、元来。さっきから言いましたように、政府に入ってきばを抜かれたとしたならば、日本農政にとって大変な損失になりますから、その辺の考えと今後の抱負をひとつ述べてみてください。
○武部国務大臣 厳しい御叱正を賜りましたが、私自身も、深く肝に銘じて、今後かようなことのないように先頭に立って頑張りたい、かように思っております。
そもそも、今回、行政の不手際、世間様から後手後手と言われておりますけれども、後手後手じゃなくて、初期の段階で大きな問題があったわけなんです。それは、焼却処分にしたといって、そうでなかった。じゃ、なぜ焼却処分にしていなかったのか。それは、敗血症というと畜検査員の診断の結果、BSEを疑わなかった。もう危機意識が余りにも欠けているということと、やはり構造的にも、私は、縦割り行政の問題を含めて徹底した調査検討が必要だ、こういうふうに考えておりまして、きばを抜かれたわけではありません。
心の中で、腹の中で、二田委員、私の生活のすべてを御承知の上で申しておられると思いますので、その思いというものを、これからの対応にすべてをかけて発揮していきたい、こう思っている次第でございますので、今後ともの御鞭撻をお願いしたいと思います。
○二田委員 今回の一つの現象を契機にいたしまして、農水、厚生両省でもちまして、いかに連係プレーを図っていくかということが大事かということの証左であった、こう思うわけでございます。
そこで、今後、この連携に対しまする、そしてまた協力に対しまする一つの抱負やいろいろな施策がございましたら、大臣でも副大臣でも結構ですから述べていただきたい。
○遠藤(武)副大臣 先ほど来、厳しい御叱正を賜り、大変恐縮に存じます。また、アジアで初めてのBSE発症国となりましたことを非常に重く、深刻に受けとめて対応しているところでございます。
もちろん、そうした対応に適切を欠いたという一面もありました。初期対応のおくれがいろいろな面で響いてきたなと思っています。それがゆえに、ただいま委員おっしゃるような関係省庁との連絡あるいは部門、機能の連携といったことが非常に重要になってまいるものと思っております。
そこで、この問題も、しばしば定例的な副大臣会議で話題になりますものですから、その都度報告はいたしておりますが、関係七省庁による副大臣会議をプロジェクトチームとして発足させていただいて、いろいろ御示唆をいただいたところでございます。
また、さらに、特段、今週に入りましてからは、私と桝屋厚生労働副大臣との間にホットラインを引きまして、いつどこにおっても連絡がとれるように、そういう意味で、東京市場で発生してからのさまざまな連絡や情報の交換は非常に密に行えていたかな、むしろ、意見の交換、互いに示唆し合いながらやってこれたかな、こんなふうに考えているところでございます。
しかしながら、先ほど大臣が申し上げたように、報告、相談、連絡、点検、確認、確かにこれは必要でありますが、私もふと思わないわけでもありません。一流の大学を出てキャリアとも呼ばれるような一人前の大人に、報告、連絡、相談なんというようなことを一々教えなきゃならぬのかと、本当にそういうふうに思っております。
私も久しぶりに政府部内に入らせていただきましたが、政治学者で哲学者であるガルブレイスは、こういうことを言っています。ソ連、東欧の崩壊はコミュニズムの問題ではない、官僚制の肥大化の問題である、こういうふうに言うております。日本の官僚制も、成熟期から爛熟期そして衰退期に来ているのかな、官僚制度のシステムそのものが海綿状になってしまっているんじゃなかろうか、こんなふうな思いにとらわれておりました。
そうしたことを思うにつけ、今後とも、根本的にこのシステムを洗い直しながらやっていくことも私の務めの一つかな、このように考えておることでございますので、今後とも、御叱正、御指導を賜りますようお願いを申し上げる次第であります。
○二田委員 連携強化ということは、今後の対応において大変大事な問題になると思いますので、よろしくひとつ強化のほどをお願い申し上げたいと思います。
次に、風評被害について少しく質問したいと思います。時間がなくなってきましたので、答弁は簡単で結構でございます。
私は、急遽質疑をすることになりまして、実は、ゆうべからかけて、出て回ってきております全部の週刊誌に目を通しました。そうすると、物すごい記事ばかりですね。牛肉を食べると今にも変型ヤコブ病になるような記事、そしてまた、その病状等を書いておるというような記事があふれておるんです。中づりを見ましても、非常に刺激的な中づり広告が出ている。
こういう問題に対処していくのは大変大事な問題でございますけれども、ただ、一つ、女性週刊誌が一番そうなんですけれども、女性セブン、これはめったに私は見ることはありません、これを見てみましたら、こういうことがあるんですね。
実は、今年一月時点で、日本での狂牛病の発生の可能性に言及、対策を訴えていた専門家がいる。これは、福島雅典さん、京都大学大学院医学研究科教授だそうです。この方がこういう勧告を配達証明つきで農水省に出した。手紙を出した。出したけれども、何にもない、ナシのつぶてだ。ただ、厚生労働省からはちゃんとした返答がありました、こう書いてあるんですよ。
そして、こういうものははっきり否定してもらわなきゃいけないわけでございますけれども、「すでに狂牛病にかかった肉が過去に出回り、それを食べた人が感染している可能性は否定できない」、こんなことを書いているんですから。私は、大食漢で、また肉が大好きですから、たくさん食べております。内臓もたくさん食べております。したがいまして、いつ出てくるかわかりませんけれども、半分出ているかもしれません、そんなような不安なことが堂々と公衆、大衆が目にする週刊誌に載っているというのはどういうことだ。私は、そんなことが国民に大きな不安感を与えていくなということを強く感ずるわけでございます。
したがいまして、この安全対策というものについての広報、これは大臣が肉を食べて見せただけでは足りないんです。大臣は特別うまい肉を食べていた、逆にこう言われますからね。二田孝治も大臣にあずかっていい肉を食べてきたんじゃないか、地元でこう言われました。でございますから、その対策というものを真剣に考えていかなければいけない。しかも、安全宣言、これを一日も早く出すということが非常に大事である、またその対策も大事である、こう思いますけれども、いかがでございましょうか。
○武部国務大臣 今の週刊誌のことにつきましても、私、最近知りまして、農林水産省を厳しくしかりました。こういうことが多々あったということにつきましては、これは心からおわびをしなければならない、このように思っております。
先ほども構造的なものがあるのではないかというようなことを申し上げましたけれども、こうした問題の解決には、内部調査だけじゃなくて、しっかりした調査委員会を設けて、今後の縦割り行政の弊害をどういうふうにして取り除いていくのか、生産から消費に至るまでの一元的な行政ということをどのように構築していくのかというようなことにつきましても、私は、今後、調査委員会のようなものを設けて徹底究明する必要がある、このように思っております。政治主導ということで、私ども今、大臣、副大臣、政務官体制をとっているわけでありますけれども、そういう意味でも、このことを今検討していかなきゃならないということをまず申し上げたいと思います。
それから、風評被害のことにつきましては、週刊誌、テレビ等も、私も驚くべきこと、多々あります。
例えば、佐呂間を視察して当該農家の奥さんと会いましたら、とにかく朝玄関をあけるとテレビカメラ、マスコミの方々がいる。外にも出られない。あそこの奥さんは脳腫瘍で、一番ストレスをたまるようなことをしないように、神経にさわることをしないように、そういう注意を受けているにもかかわらず、夜も眠られない。まさに人権侵害そのものですね。
私は、テレビも何度も出ているんですけれども、出ないと逃げると言われますから出ていますが、私が話している間は、牛がころんころんひっくり返る映像が背中に映るんですね。そういうようなことも含めて、私は、報道関係の皆さん方にも、何が正しくて何が問題なのかという情報を的確に伝えていただきたい、このように思うんです。
特に、九月十九日には、厚生労働省と協議した上で、三十カ月齢以上の牛は屠畜場から、全頭、三十カ月齢以上の牛は出荷もさせない、そして屠場に入れないという、危ない牛が屠畜場から出回らない体制はもうしいているわけです。それを説明しても、きちっとした報道がなされないということもあります。
今後、風評被害対策ということについて、この鎮静化が一番大事でありますので、農林水産省、厚生労働省一体になって、挙げて打って出て、国民の皆さん方の正しい御理解を求めるように努力したいと思っております。
なお、御案内のとおり、十八日には全頭検査ということに相なります。これは、EUをはるかに超える、世界で一番の高い水準と言って過言ではありません。こういったこともしっかりやりたい、こう思っている次第でございます。
以上です。
○二田委員 それだけの熱意を持ってやっていただきたい、こういう意味で質問をしております。
以下は、私も簡単に聞きますから、ひとつ簡単な答弁をお願い申し上げたい、こう思いますので、よろしくお願い申し上げます。
まず一つは、先ほどの風評被害をもたらさないためには、BSE検査結果は確定診断をもって公表するということがよろしいと思いますけれども、桝屋副大臣、いかがでしょうか。
○桝屋副大臣 これからの、明日以降の全国的な検査体制が整備された上での結果の公表でありますが、昨日も発表させていただきましたが、厚生労働省といたしましては、BSEに関するこの新しい検査体制のもとで、不安の防止あるいは無用の混乱をもたらすことがないように、各方面の御意見を伺いながら、確定診断の結果が出た段階で公表するというふうにいたしたところでございます。
なお、この方針に沿った取り扱いを各自治体にも取り扱っていただきますように要請をし、自治体の理解を得ることとしたいと考えております。ただし、最終的には自治体の主体性ということも尊重しなければならぬのではないかというふうに思っているところでございます。
○二田委員 次に、新検査体制がスタートするわけでございます。前に処理された牛肉、これを隔離した方がいい、私はそう思います。相当の費用というものもかかる、また大変な作業だと思いますけれども、これを隔離する気持ちがあるのかどうなのか、その一言だけでひとつ簡単にお願いします。
○武部国務大臣 調整保管というような方法で今検討している次第でございます。与党からもいろいろ言われていることを前向きに検討している次第です。
○二田委員 運び屋と言われます肉骨粉の処理でございますけれども、これに対しましては、熱焼却処理に要する経費は膨大にかかる、こういうふうに試算がされております。地財措置を講ずるというふうに聞いておりますけれども、全額国庫で負担すべきが至当だと思いますけれども、いかがでございますか。
○武部国務大臣 今までは行政指導という形でございまして、これは国も地方も一体でということでございましたが、地域にとっても重要な意義を有する問題でありますので、必要な経費については国と地方公共団体が応分の負担をということが適当と考えておりましたけれども、法的規制ということに十五日から相なりましたので、全額国庫補助すべきとの御意見に対しましては、これらを踏まえて今早急に対応を決定してまいりたい、かように考えております。
○二田委員 今度は非常に大事な問題でございますけれども、今後、こういうような事態から、肉の出回り、それから価格の低下が大変懸念されると思います。価格の低下というのは、肥育農家、畜産農家に直接また被害をもたらしていく、こういうことになるわけでございますけれども、経営安定対策を従来以上に強化していかなければ、畜産農家、肥育農家というものの苦境が大変なものである、これはもう明らかでございます。
でございますので、やはり相当な費用、お金はかかるわけでございますけれども、これへのかかり方というものはいかに考えているのか、ひとつお示しいただきたい。
○武部国務大臣 肉用牛肥育経営安定対策事業、いわゆるマル緊事業というのがありますが、これは家族労働費との差額の八割まで補てんするという仕組みでございますけれども、しかしながら、現在は、家族労働費のみならず物財費も賄えない水準になっていると見込まれているわけでありまして、農林水産省としては、肉用牛肥育経営の安定を図るために、現行のマル緊事業では対応できない大幅な収益性の悪化に対して、今機動的に補てんする仕組みを措置したい、委員の御提案を踏まえてそういう考えで対応したいというふうに考えます。
○二田委員 一言申しておきますけれども、これは単なる融資金だけでは済む問題でございませんから、融資金というのはまた返さなきゃいけないですから、返すだけの力というのはここ数年間出てまいりません。そういう意味を考慮しながら、この対策に取り組んでいただきたい。当局に対しては強くこの点を申し入れておく次第でございます。
最後になりますけれども、文部省にお尋ねいたします。
いち早く学校給食に対するいろいろな措置というものが講じられてまいりました。これがまた危険度それから不安感、こういうものを大変助長してきた、私はそう思います。
そういう意味におきまして、文部科学省は今後どのような指導を行っていくのか、お示しいただきたい。
○遠藤政府参考人 文部科学省といたしましては、市町村や学校に対しまして的確に情報を提供しまして、冷静な対応をとってもらうということが重要である、こう考えております。
その趣旨から、牛乳・乳製品及び特定危険部位を除く牛肉の安全性を含めまして、農林水産省、厚生労働省と連携をしまして、都道府県教育委員会を通じまして速やかに随時必要な情報の提供を行っているところでございます。
今後、安全宣言というようなことが言われておりますが、そういうものが出ましたら、必要な措置をとってまいりたい、こう考えております。
○二田委員 時間が参りましたので、これで、大変誠意ある答弁、ありがとうございました。心から感謝申し上げます。今申したことが着実に遂行されますことをこいねがいながら、質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○鉢呂委員長 次に、鮫島宗明君。
○鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。
三月二十八日にこの委員会で私、質問に立ったときに、WTO体制という新しい体制のもとではさまざまな食材が瞬時に世界を飛び交う、そういう体制にどうも日本の食品安全行政が対応できていないのではないか、あるいは農林水産行政の国際化という意味で不十分なのではないかということを指摘させていただきました。そのときから、東からは問題になったトウモロコシのスターリンクという品種、あるいは西からは口蹄疫、プリオンが日本上陸をねらっていますよ、よほど気をつけないと大変なことになるということを私は指摘させていただきました。
この委員会にお集まりの先生方、皆さん、日本の農業が大変難しい情勢にあることは御認識だと思います。とても価格面ではなかなか国際競争力を持ち得ない。しかし、日本の消費者の方々は、品質がよくて大変安全であるということで日本の国産品を愛用しているわけで、多少価格が高くても安全ということに価値を置いているのが日本の消費者の消費行動のモチーフだと思いますけれども、私は、今度の狂牛病の騒ぎは、この五、六年の、O157から始まってスターリンク、口蹄疫、次々と食品の世界を不安がらせる事件の中で、消費者のモチーフに大きな打撃を与える大事件だろうというふうに思います。
つまり、日本が島国という隔離された環境にあって、それゆえに保たれていた日本の農業、畜産、あるいは食品の流通まで含めた清浄さ、きれいさというものが絶大な信頼を得ていたわけですけれども、今度ついに狂牛病が発生したということで、この信頼が崩れたことが大変大きいことだと私は思いますし、これから対策を打っていっても、潜伏期間を考えれば八年間は要注意、つまり日本は八年間は汚染国という汚名を返上することができないわけでして、日本の消費者が最も信頼していた清潔で安全だというところが崩されたことは、私は大変深刻に受けとめなければいけないんだろうと思います。
御承知のように、消費者の方々、さまざまな意味で大変不安がっておりまして、先ほどの週刊誌の件もありましたけれども、スーパーで売られているさまざまなものについても、一体これは安全なのか、これは子供に食べさせていいんだろうかということは、多分、ほかの委員の先生方のところにも有権者からさまざま問い合わせがあるんだと思います。
農水省の方にお聞きしますけれども、ヨーロッパの国々で、例えばフランス、オランダ、ドイツ、イタリア、この四カ国は狂牛病が発生している汚染国というふうに、発生国というふうにリストアップされているんでしょうか。どのリストに載っているかだけで結構ですから。
○小林政府参考人 今の先生から御指摘ございましたフランス、ドイツ、こういったところはBSEが発生した国でございます。
○鮫島委員 厚生労働省にお伺いしますけれども、例えば、スーパーで売られているインスタントラーメンなどに入っている肉エキス、これは安全だということでよろしいんでしょうか。
○高谷政府参考人 BSEに罹患いたしました牛において感染性を有するとされている特定危険部位につきましては、先生御承知のように、九月二十七日、食肉処理時に除去、焼却するよう都道府県等を通じて屠畜場の設置者等を指導しまして、さらに、十月十八日以降、これらの措置を法令上義務化することとしたところであります。これらの部位が今後食用として流通しないよう措置をしたところであります。
先生御質問の、健康食品を含めた加工食品については、十月の五日に製造加工業者に対して、牛由来原材料を使用する食品、当然インスタントラーメンの中に入っておりますスープ等も入るわけでありますが、自主点検を行いまして、特定危険部位を使用し、またはその可能性がある食品については、原材料の変更であるとか販売の自粛、自主回収等を指導するよう通知したところでございます。
この点検結果につきましては、中間報告を十月の十六日までに、最終報告を十月の二十六日までに、各自治体を通じて厚生労働省に提出することを求めているところであります。これらの報告につきましては、インターネット等を通じまして広く国民の皆様方に周知するよう努力をしていきたいと思っております。
一方、私ども厚生労働省といたしましては、現在流通されているものについてはそれほどの危険性はないという認識は持っておりますけれども、週刊誌等でこのようなことが言われておりますので、その不安を解消するという意味から、今回、十月五日の通知に至ったところであります。
○鮫島委員 消費者の方にわかるように返事をしていただきたいと思います。私は、消費者である主に主婦の感覚を代弁してお伺いしているわけですから。
例えば、肉エキスは、二〇〇〇年の貿易統計で、毎年二百トンずつ、先ほど狂牛病の発生国であるフランスから肉エキスとして輸入されている。それから、健康食品の材料になっている血粉といいますか、牛の血粉ですね、それから牛骨、肉骨粉、これらはみんな健康食品の素材として輸入されていますけれども、先ほど狂牛病の発生国と言ったドイツ、オランダ、イタリアからかなりの量が、例えばオランダから、一九九九年でいいますと三万六千二百九十二トン、健康食品用の素材として輸入されている。そういう、つい最近まで、つまり二〇〇〇年の統計でも、今のようなヨーロッパの国々から大量に食品用の素材が輸入されているわけです。
こういう現実を背景にして、もう一度お伺いしますけれども、牛肉のエキス、健康食品、歯磨き粉、ゼラチン、今スーパーで売っているものは全部安全だというふうに厚生省として宣言していただきたいのですけれども、いかがですか。消費者に向かって回答してください。
○高谷政府参考人 現在流通しておりますゼラチン等を使用したもの、または血粉等を使用したものでございますが、基本的にBSEに罹患した牛の特定危険部位というのは、先ほども御説明申し上げましたが、先生も御承知のように、脳、脊髄、目、回腸遠位部、この四部位が特定危険部位というふうにOIEの方では定められておりまして、これ以外のところは、自然にBSEに感染した罹患牛については感染の危険性はないというふうに言われておりまして、私どももこれに基づいた対応をしておるところでございます。
したがいまして、血粉等については、感染性がないということから安全性は確認されておるというふうに理解をしておりますし、またゼラチン等につきましても、ゼラチン等のつくり方が骨からとる、または皮からつくるということが行われておりますが、これにつきましても、ゼラチンにつきましては異常プリオンの不活化をする方法で処理をされているのが通常でございまして、こういう食材を使って健康食品等、加工食品等の原材料にしても特段の問題は生じないというふうに考えておるところでございます。
○鮫島委員 多分そういう御答弁では、今聞いていた消費者の方々は、そうか、安全なのかというふうに得心はしないんだろうと思います。そういうことが今全体の消費の落ち込みにつながっているということをぜひ御認識いただきたいと思います。
先ほど、感染牛の結果の公表について確定診断後行うということでしたが、もしその公表を怠った場合に、これはどういう法律によってどこの役所が罪を負うことになりますか。
○高谷政府参考人 先生お尋ねの、BSE感染牛を発見した場合に報告の義務はありやなしや、それについては報告しない場合の罰則は、義務はということでございますが、私どもは、このBSE問題については大変重大な問題だというふうに認識をしておりまして、BSEの罹患牛を発見した場合には、報告の責務はあるものというふうに厚生労働省は思っております。
○鮫島委員 食品衛生法上の公表義務はないということでしょうか。
○高谷政府参考人 食品衛生法上という限定をさせていただきますと、公表の義務ということは、条文上どこにも書かれておりません。
○鮫島委員 今まで世界で狂牛病が発生した国がたくさんありますけれども、一頭だけしか発生しなかった国というのは、途中経過ではありましたけれども、今ほとんどそういう国はないと思います。
本当に厚生労働省が真実を発表するのかどうかということについて、ある意味では国民的な、疑念と言いますとやや語弊があるかもしれませんが、不安が持たれていまして、むしろ、先日東京都で疑惑牛が出たということは、ある意味では、一頭だけで、ゼロというような不自然な状況と比べれば、まだ正直だなという意味では安心させる面もあったと思います。
その意味では、確定診断後、感染牛が出た場合、もし公表を一たん政治的配慮で隠して後でわかるようなことになったら、それこそ致命的、二度と立ち上がれないと思いますので、そこは法的な縛りはなくても、ぜひ公僕の規律として、厚生労働省として誤りのなきようにしていただきたいと思います。
そのことに関連して、あしたから恐らくこの牛肉の世界、新しいときを迎えるんだろうと思います。つまり、屠殺場における全頭検査体制が一応あしたをもって整う。私は、まだ検査技術の習熟度という意味ではやや不安を感じますけれども、一応あしたからそういう検査体制が整う。しかし、消費者の方から見てみると、あした以後出てくる肉と、きょうまで保管、貯蔵されていく肉とが具体的なマーケットに出てきたときに区別がつくのかどうかという不安が大変あると思いますが、その区別のつけ方をどうするのか。あるいは、先ほど、これまでの肉については調整保管という御発言も農水大臣の方からありましたが、要するに、きょうまでの肉とあしたからの肉の扱いというのをどういうふうに消費者にわかるように変えていくつもりかを御説明いただきたいと思います。
○武部国務大臣 厚生労働省からお答えすべきかもしれませんが、きょうまでの牛が危ない、そういう認識は私ども持っておりません。九月十九日以降は、三十カ月齢以上の牛は出荷しないということにしております。それまでは、農林水産省としては、えさ代等を補給するという措置をとっておりますし、また厚生労働省も、三十カ月齢以上の牛を持ってきても検査しないという通達を出しております。
英国の例ですが、三十カ月齢以上というのはどういうことだということですが、これは、九九・九五%、三十カ月齢以上の牛においてBSEの発生がある、そういうデータによりまして、ただ、〇・〇五%、三十カ月未満の牛もその可能性があるということが残っているわけでありますので、私ども、厚生労働省に全頭検査ということを要請したわけでございます。
なおかつ、二十四カ月齢以上の牛については、中枢神経症状のある牛、あるいはそれに似た類似の牛などはすべて検査して、そして焼却処分にするというような措置をとっているわけであります。
また、十二カ月齢以上の牛については、目、脳、脊髄、それから回腸遠位部といういわゆるOIEが示す危険部位というものは除去して、そして焼却処分にしているということからして、今までの牛は危ない、そういう認識にありません。
なおかつ、先ほどいろいろやりとりがありましたけれども、私が承知しているのは、英国は、一九八六年に発生して、九二年から九三年ごろ一番大発生した、そういう統計がありますけれども、これはある学者の著書でありますが、そういう時期においても、人がいわゆる新型クロイツフェルト・ヤコブ病にかかるのは五百万人に一人、そういうことであります。ちなみに、インフルエンザにかかって死ぬというその確率は五千分の一。そういうこともありますので、私どもは、念には念を入れてといいますか、いわゆる風評被害を鎮静化するといいますか、消費者の皆さん方に、国民の皆さん方に、十八日から全頭検査、EUをはるかに超える世界一の水準の検査体制になりましたから御安心くださいということであって、だからといって今までのは心配ですよという認識にありません。
したがって、それまでの牛も安全性に問題があるとは思っておりませんし、ただ、売れるか売れないかという問題は残ると思いますよ、これは消費者心理からして。売れるか売れないかという問題がありますから、調整保管というようなことで、とめ置くということはやむを得ない、これも風評被害を鎮静化させるためにやむを得ない一つの方法かな、こう思って今検討しているということでございます。
○鮫島委員 今度のこの狂牛病の問題、とにかくマーケットの落ち込みがひどいわけでして、武部農林水産大臣は、都会の消費者の側から見ると、生産者の方にばかり目がいっていて、肝心の消費者の方に目がいっていないんじゃないか。今私がお伺いしたのは、消費者側から見て、きょうまでの肉と十八日以降の肉が、普通の奥さんがスーパーに買いに行って区別がつくんですかと。今のお答えはつかないということだと思います。ですから、そうすると、安全宣言というのは、後ほどお伺いしますけれども、安全宣言の意味というのをまた後ほどもう一度お伺いしたいと思います。
今の狂牛病で消費者が不安に思っているもう一つの大変大きな事実は、いまだに感染経路が明らかになっていないということですが、農林水産省、厚生労働省、それぞれ役所として感染経路を明らかにする義務があるという自覚をお持ちなのか、もしその自覚をお持ちだったら、その自覚はどういう法律的な背景からきているのか、そのことについて御答弁いただきたいと思います。
○武部国務大臣 事務的なことは後で生産局長に答弁させますが、今、鮫島委員がきのうの牛ときょうの牛の区別、消費者が見てどう思うかと。(鮫島委員「肉」と呼ぶ)肉ですね。肉にどう思うかということについて、私どもは何度も、牛肉、牛乳・乳製品については、これは先ほど来説明しておりますように、OIEも危険部位と認めていないんです。これは、英国のマウス接種試験でそういう感染者は認められぬという結果が出ておるわけでありますから、これはもともと、牛肉、牛乳・乳製品については一〇〇%安全ですということは言い続けてきているんですよ。ですから、そういう努力をしていくということが一つです。
それから、危険部位はもう取り除いてその後の対策でやっているということでありますから、きのうの肉ときょうの肉ということは、全く安全性においては問題ないんですよということを、我々は消費者の皆さん方にわかりやすく説明する必要があると思うんです。
ただ、今お話しのとおり、だからといって消費者が買うか買わないかという、その消費者心理というものは当然あります。安全なものであっても、したがって、調整保管等で、売れないものは対応しなきゃならないのではないかということで検討しているということでありまして、これは、誤解のないように何度も申し上げますけれども、食肉、牛乳・乳製品は大丈夫なんです。学校給食の話も先ほどありましたけれども、食肉をやめているところは一万校以上ありますけれども、牛乳をやめた学校は一校もない、これは本当に不思議なことなんですがね。
そういったさまざまな事実、我々が検証してきたことをこれから徹底していけば、すぐはそうならないかもしれません、すぐは。消費者心理として、十八日とその前とで、十八日の方を欲しいわということになるでしょうから、その場合に、十八日以前のものは調整保管しておいて、そして、国民の皆さん方、消費者の皆さん方に理解が深まった段階でどうなるかということを今後検討していかなきゃならないということなんです。
これは、十八日の前の肉を国が買い上げて焼却するとかなんとかとやれば、やはり危なかったんですかというような、そういう消費者の皆さん方の心理も働くんじゃないかと思うんですよ。全く心配ないものなんですから。
ですから、その辺のことは、売れるか売れないかというマーケットの問題もあるし、消費者心理の問題もあるし、そこは調整保管等で一時的に、国民の理解が深まるまでは保管しておかなければならないのかもしれないということで、今検討中だと申し上げているわけでございます。
あとのことは、事務方に説明させます。
○小林政府参考人 今、先生から感染経路の特定についての法的位置づけといいますか、そのお尋ねがございました。
国内のこういった伝染病疾病が発生したときに、その感染源、これを特定していくことは、これからのまさに伝染病予防上の基本でありますから、法律の趣旨として、そういった感染経路の特定についてきちんと対応し、努力しなくちゃいかぬ、それは前提だと思います。
ただ、法律上の規定といたしましては、それをやっていく上での手段といいますか手法としまして、例えば、いろいろな関係場所への立入検査といったようなことが、法律上の一つの手法として定められている、そういった体系になっているところでございます。
私どもとしては、いずれにしましても、この実態調査をさらに進めて、この感染経路の特定にさらに努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
○高谷政府参考人 今回千葉で発生いたしましたBSEの感染経路の解明の件でございますが、この件につきましては、農林水産省及びその関係自治体の農林部局によって、導入経路であるとか、飼料の給与状況であるとか、疫学調査等を行われているものと私どもも理解をしております。
食品の安全性を確保する所管をする厚生労働省といたしましては、感染経路の究明は直接行ってはいないところでありますが、今後とも、屠畜場の検査結果等の提供を通じて、農林水産省及び自治体の農林部局の調査に積極的に協力をしてまいりたいというふうに思っております。
○鮫島委員 この狂牛病をめぐる問題、行政の対応について、さまざまな場面で、厚生労働省に責任があるのか農林水産省に責任があるのかわからないという場面が多々あります。この問題もそうでして、千葉で発生した狂牛病にかかった牛の感染経路の特定、今の御答弁ですと、それは農林水産省に解明義務がある、主たる責任を持つ官庁は農林水産省だということでよろしいんでしょうか。確認の意味で。
○小林政府参考人 このBSEの発生につきまして、今まで、諸外国等の経緯から、この原因は、いわゆるえさですね、肉骨粉とかそういったものに原因があるというふうに、主なものとして言われているわけでございまして、そういったもののトレースなり究明は、農林水産省の立場で今原因究明を一生懸命やっているところでございます。
○鮫島委員 今のようなお考えから、十月一日から肉骨粉に対する強い規制がかけられたんだと思いますけれども、まだ肉骨粉だということが、千葉の農家も北海道の育成農家も、育成、飼育の途中で肉骨粉を与えた事実はないという答えをして、そのことを農水省も正しいというふうに追認しておられるわけですから、実は、まだ感染牛が肉骨粉由来かどうか、我が国の場合は特定されていない。しかし、ヨーロッパの事例から見て、ほぼ肉骨粉と思って間違いないだろうということで、今回の強い規制がかけられたんだと思いますが、そういうことでよろしいんでしょうか。
○武部国務大臣 これまでも予算委員会等でも議論ありましたし、私自身も専門家でありませんので、本当に肉骨粉が原因なのかということを再三再四、役所の専門分野の担当の者に詰問をし続けてきております。そこで、動物用の医薬品の話も聞かされました。しかしそれは、今度の当該牛については、過去の診療経緯からそういうことはないということであります。
したがいまして、今後、恐らく輸入肉骨粉であろう、そういうことを主にいたしますけれども、私は、あらゆる角度で究明をしなきゃならぬ、そのことが大事だ、もうこれしかないというようなそういう範疇で考えてはいけない、かように私どもの農林水産省の部課にはそのことを申し上げておりますし、このことについては、厚生労働省とも、私からそういう強い指示があるということを伝えて、一体的に究明に全力を挙げるように、そういう姿勢で臨んでいる次第であります。
○鮫島委員 ヨーロッパの事例を見ても、やはり肉骨粉というのが一番感染物質として可能性が強い。したがって、今度の場合も、どこの過程かはわかりませんが、あるいはどういう形態をとっているかはわからないけれども、何らかの形で経口的に肉骨粉が入ったんだろうという推定のもとで一連の規制を行っているんだと思います。そこまで肉骨粉というものが、ある意味では異常プリオンを運ぶ担体として危険性が多いということを御認識だったら、なぜ八八年から九六年までイギリスから肉骨粉が入っていることを正確に把握していなかったのか。
それからそれと関係して、EU委員会のステータス評価というかリスク評価で、日本が危険度の高い方から上から二番目、レベルスリーという評価を受けたときに、そんなことはないというのをわずか四カ月前のことしの六月ですけれども、農林水産省がEU委員会に対して反対した理由。この二つのことについてお返事をいただきたい。
つまり一点目は、英国からの肉骨粉の輸入状況、八八年から九六年四月までの輸入状況をなぜ正確に把握していなかったのか。それから、それを把握していなかったから、EU委員会が、日本には英国から肉骨粉がたくさん入っているからかなり危険ですよと言ったにもかかわらず、いや、そんな事実はないから危険じゃないんだと言って、EU委員会が報告することを阻止した。これはどういう根拠でそういう行動をおとりになったのか。
貿易統計を見れば、肉骨粉あるいは骨粉、骨その他みたいな形で貿易統計に全部出ているわけでして、それを見ればイギリスから、肉骨粉は入っていないですけれども、骨粉ですね、つまり肉よりも骨の比率が多い粉という意味での骨粉ということで貿易統計に数値が挙がっているわけですが、どうしてこういう数値があるにもかかわらず、この前の委員会でも大臣の御答弁はまことに不思議な答弁がありまして、フェザーミールが百六十六トンというような答えがありましたけれども、財務省の貿易統計には、イギリスからはそういうものが入ったという記録はない。
ですから、普通に財務省がまとめている貿易統計を見れば、イギリスから骨粉として、日本で言う肉骨粉が入っているのは明らかなわけでして、なぜこういう財務省の貿易統計と農水省の認識とがずれるのか。そのずれとEU委員会の報告に反対したこととが私は連動していると思いますが、その辺の一連の経緯について御説明いただきたいと思います。
○小林政府参考人 まず、EU委員会のステータス評価の経緯につきまして御説明申し上げたいと思います。
EUでは、今でもBSE、これが発生しておるわけでございますけれども、第三国からEUへのBSEの再侵入、これを防止しなくちゃいかぬということで、それでステータス評価を一九九七年から各国について始めたところでございます。我が国といたしましても、EUの関係で化粧品、医薬品の輸出がある、そういうところもありまして、このEU側のステータス評価を受けるということであったわけでございます。
そういった中で、いろいろな議論を重ねてきたわけですが、EUの方のBSEの評価手法、そのステータス基準としましての評価手法でありますが、それが一つは、各国の発生状況なりサーベイランス体制、こういったことが考慮されていない、そういった問題点が一つと、それからその評価基準につきましては、国際基準、OIEの規約がございますが、それとも大きくかけ離れている、こういった点がございました。そういう意味で、その点を我が国はEUに主張してきたところでございます。それから、EU自身としましても、今申し上げましたような基準にかえまして、ことしの七月には、OIE規約、これはことしの五月に決定されたんですけれども、それを踏まえた新しい基準をEU自体も採択しております。
こういった流れの中で、我が国としましては、先ほど申し述べたような議論を踏まえまして、国際基準との整合性のない基準による評価を行うことは適当ではないと考えております。それをEUの方にも申し上げ、EUも、従前の基準での評価を行うことについては問題があるとしまして、EU側との協議の結果、EU側による我が国に対するBSE評価は行わないということになったところでございまして、そういう意味では、まさに評価基準をどういった形で使っていくのが適切かということについての論議が行われたということでございます。
それから、イギリスからの肉骨粉、それから骨粉輸入状況でございますが、そういった中で、一つは、三百三十三トン、イギリスの方から九〇年代に入っていたんじゃないか、そういう指摘があったわけでございますが、これにつきましては、これまで担当官を英国に派遣いたしまして、そういった協議を向こうでやっております。その結果、その三百三十三トンというのは、いわば向こう側の資料のいろいろなミス等がございまして、数字が百六十六トンということと、それからフェザーミールで入ってきている可能性が高い。こういったことは、私どもの担当官が行ってそういった説明を受け、またファクス等でもらっているところでございまして、これは近々、公式な形でイギリス側からの回答を得たいというふうに考えているところでございます。
それから、そのほかイギリスからの一九八〇年以降の肉骨粉の輸入につきましては、貿易統計なり動物検疫統計ということによりますと、ともに輸入実績はないということでございます。また、骨粉の輸入につきましては、貿易統計の方では、一九八八年以降九六年までは毎年百トン前後の輸入、それから動物検疫統計では、八八年六十九トン、八九年九十一トンの輸入が計上されている、こういった状況でございます。
○鮫島委員 肉骨粉は入っていないと。財務省の貿易統計で言う骨粉というのは、肉に比べて骨の粉の方が多いものを骨粉というふうに、これはコード番号〇五〇六・九〇―〇一〇というところで位置づけていまして、これが毎年約百トン前後、九六年まで入っていましたということだと思います。
先ほど、ヨーロッパのサーベイランス委員会等の、ステータス評価等の話でしたが、では、農水省は農水省で、独自基準で、御自分たちのスタンダードに基づいて、あの六月時点で、日本の危険度というのをこの国際基準で言うレベル幾つというふうに自己評価していたんでしょうか、六月段階で。
○小林政府参考人 EUとのやりとりの中で、先ほども申しましたEU側の基準で評価したときに、いわゆる三分類といいますか、そういったものはEU側から示唆されたことがございます。ただ、日本側としては、そういった基準づくりということはまだ始まったところでございまして、我が国として、日本そのものの評価ということをその時点ではやっておりません。
○鮫島委員 まだ日本独自の基準すらも決まっていない。どういう基準をつくろうかと、まさに六月段階で議論していたときに、もう千葉の牛はかなり足がとられて直立歩行ができないというような状況の中で、まだ日本のスタンダードすらも決まっていないというぐらい、あれだけヨーロッパで騒ぎになっていながら、認識が甘かったんだろうというふうに思います。
その認識の甘さというのがいろいろな意味で出ていまして、九六年以後、行政指導で肉骨粉を反すう動物に上げてはいけない、反すう動物由来の肉骨粉を牛に上げてはいけないと言っていたにもかかわらず、その後の調査で、実は九六年以降も豚、鶏、あるいは魚の養殖用のえさのために流通されていた肉骨粉が、二千頭以上の牛に与えられていたということが判明したわけですけれども、これはなぜこれほど、いわば横流しによって牛に行政指導後も与えられたというふうに認識しておられるんでしょうか。つまり、行政指導の限界というのをどういうふうに考えておられるかということですけれども。
○小林政府参考人 九六年の当時の状況でございます。四月には、WHOの専門家会議で、反すう動物の組織を用いた飼料原料については反すう動物に給与すべきではない、こういった報告も出されたところでございます。これを受けまして、今先生もお話ありました、直ちにその旨の指導通知を飼料の製造販売業者団体あるいは農業団体、都道府県等に発出したという経過でございます。
この行政指導通知を徹底するという意味で、その手法といたしましては、一つは、飼料工場に対しまして、肥飼料検査所という機関がございますけれども、飼料安全法に基づきます立入検査、これをやっております。また、牛用飼料に牛からつくられた肉骨粉等が使用されていないことを飼料工場において確認する、こういった実質的な立入検査等によりまして、その実効性をチェックしてきたということが一点でございます。
また、都道府県におきまして、地区講習会でいわば流通飼料対策をいろいろやっておりますが、そういう中での啓発指導とか、あるいは畜産農家巡回指導を実施している中でそういった啓蒙普及に努めるということでございまして、いわばその根拠が指導でございますけれども、それの実効性のためにさまざまな措置を講じてきたわけでございますが、その当時は、そういった行政指導通知の実効を確保するという判断でやってきたところでございます。
そういう中で、今回BSEの発生に伴いまして全戸全頭検査をしたわけでございますけれども、一部の農家で肉骨粉を牛に給与した事例が発見されたということは事実ございまして、これはまことに私ども大変残念なことと受けとめているところでございます。そういう意味で、この十月四日からは、輸入一時停止とともに、国内におきます肉骨粉などの製造、出荷の一時停止、こういった措置を逐次進めておるところでございます。
○鮫島委員 結局、結果的には、一部の農家とおっしゃいましたけれども、禁止されているにもかかわらず、二千頭以上の牛に肉骨粉が与えられていた。ことしの三月に農林水産省の方で想定問答集、QアンドAを公表しておられますけれども、そのときに、日本で狂牛病の発生の心配はないんですか、あるいは牛に肉骨粉が与えられているんではないんですかという質問に対して、日本では行政指導がきちっと守られているから決してあり得ませんということを三月二十四日に発表した農水省のQアンドA集に書いてある。まさに、そういう現実と役所の中でこうあってほしいと思っていることがごっちゃになって、結局現実の姿が見えなくなっていたことが今日のような状況を生んだんだろうというふうに思います。
どっちにしろ、その結果責任を免れることはできないわけでして、私が最初に申し上げましたように、せっかく日本の消費者が持っていた安全で清潔な国ということが、この農水省のさまざまな認識の甘さ、行政指導の緩さというようなことでこういう事態を招いたということは、大変私は重大な事件だろうというふうに思います。
もう一度繰り返しになりますけれども、肉骨粉が犯人だ、肉骨粉が原因だということで一連の行政指導、規制が行われているわけですけれども、しかし、いまだに感染経路は特定できていない。肉骨粉以外の可能性、例えばさまざまなカルシウム剤としてカキ殻の粉末とかホタテガイの粉末とか、あるいはそのほかに普通の植物系の大豆かすだとかトウモロコシの粉だとか、十五、六種類のえさが与えられていると思いますけれども、肉骨粉以外は絶対大丈夫なんだ、それ以外に感染源になるようなものはないんだということは、自信を持って言えるんでしょうか。
○小林政府参考人 BSEの今までの海外の発生国での知見等から見まして、感染した牛等の反すう動物からつくられた肉骨粉を経口的に摂取することによって感染する、これが主な原因と言われておるところは御承知のとおりでございます。
ただ、これが主原因と言われていますが、そのほかの原因としましても、動物用医薬品あるいは補助飼料ということも考えられるわけでございますが、この千葉の関係の当該発生農家あるいは関連農家ということで、いろいろな調査をしてまいりました。その中では、使用された配合飼料の品名、原材料名、給与実態を調査したところ、今の段階ではBSEの主たる感染源とされている肉骨粉の使用は確認されていないということと、また、患畜に投与された動物用医薬品、こちらの調査もしております。こちらも、現在まで、問題となる反すう動物由来物質の使用は確認されておりません。また、補助飼料を含めて、その農場で使用されたあらゆるタイプの飼料についての肉骨粉の使用の有無の確認なんかにおきましても、現在まで、問題となる飼料は確認されていない、そういう状況でございます。
いずれにしましても、これから、我が国への肉骨粉の主要輸出国へ担当官を今派遣しておりますとか、そういったさまざまの調査をさらに追求しまして、全力を挙げて感染源の究明を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○鮫島委員 もう二カ月近くかかって、しかも感染源は肉骨粉以外には考えにくいという状況の中で、二カ月かかっていまだにどの段階でどういう形で与えたのかわからないということは何を意味しているかといいますと、身内の検査では明らかになりませんよ、農林水産省と各都道府県の農林行政の担当者と農林水産団体と農家というのはある意味では一蓮託生で縦につながっているわけでして、そういう身内の世界の中で、犯人捜し、つまり、犯人というか、人のことじゃなくて実際に感染源となったものを捜そうと思っても、難しいんではないかと私は思います。
それは、エイズ事件の教訓からも明らかなように、こういう難しい感染経路を特定しようとする場合は、非利害関係者、第三者の真相究明委員会によって明らかにする以外に道はないと私は思いますし、それが明らかにならないままに、まあ肉骨粉だろうと決めつけてさまざまな規制を行ってもそれはぴったりこないところがありますし、あした安全宣言を出すのかどうか知りませんが、感染経路もわからないままに、あるいはきょうまでの肉とあしたからの肉が消費者から見たら見分けがつかないような環境の中で安全宣言を出してみても、そんなものは消費の回復につながる根拠は何もないというふうに思います。
私は、利害関係者以外の第三者で感染経路を特定すべきだと思いますが、そういう委員会をおつくりになる気はないでしょうか。これは農林水産大臣から。
○武部国務大臣 BSEの問題につきましては、既にBSE技術検討委員会というものも設けているわけでございます。また、このたび、消費者の皆さん方や、さまざまな角度から委員になっていただいて、BSE対策委員会というものも設置しております。ここでもさまざまな意見をちょうだいし助言をいただいて今後の対応を決めていくということでございまして、既に私ども、今委員指摘のように、役所の中だけではだめだという認識は以前からも持っているわけでございます。
なお、先ほど二田委員の質問に答えまして、私は、安全宣言のことについて言及がありましたからあえて申し上げますけれども、もともと牛肉、牛乳・乳製品は一〇〇%安全なものなんですよ。それを、そうでない、そうでないと言わんばかりのそういう論調があるわけでありますね。
それからさらに、今度の対応策で一番大きい問題は検査体制だったんです。それははっきりしているんです。焼却処分でなかったものが焼却処分だという発表も、屠畜場では敗血症という診断で、BSEを疑わずに外に出てしまったというようなことが問題だったわけですから、まず、私どもは、人の健康に影響を与えないという体制を一日も早くつくるということで、危険部位を除去して焼却するとか、検査体制も、農場段階でも中枢神経症状のものは検査するということにして、もう既に九頭、全部陰性でありましたけれども、出ているわけですね。ですから、そういう検査体制が一番大きい問題だったので、そこのところに万全を期すということで、屠畜場からは食肉としては心配なものは出回らないという体制をとったわけであります。
今後、今、いわゆる徹底究明をどうするかという問題でありますとか、さまざまな対策、対応を考えていかなきゃならぬと思いますよ。そのことについては、今いろいろな責任問題の言及もありましたけれども、私どもは、調査委員会というものをつくる必要がある、このように思っているわけです。これは、今後の行政の縦割りをどういうふうに解消していくか、こういう問題を二度となくするためにはどうしていったらいいか。今委員御提案のありましたような、原因究明のことまでその調査委員会がやるかどうかは今後検討しなきゃならぬことだと思いますけれども。
そういうことで、あえて申し上げますけれども、今後の問題と、今日、十八日確定する対応とはやはり切り離して今後考えていく必要があるのじゃないか、私はそういう認識でございます。
○鮫島委員 時間がありませんので、なるべく質問にストレートにお答えいただきたいと思います。
私、先ほどからの大臣のおっしゃり方は大変気になるところがありまして、食肉、牛乳・乳製品はもう一〇〇%安全だということがわかっているのに、なかなか消費者が理解しないで、また週刊誌もいろいろなことを書くし、マスコミも危ないような報道をするのはけしからぬと言いたげな口ぶりですが、それは、幾ら、食肉、牛乳・乳製品は一〇〇%安全なんです、ヨーロッパでもそうなっているのですと言っても、これはやはり、農業だって畜産業だって一つの業でして、マーケットで受け入れられない限りは業として成り立たない。
日本の消費者は大変賢明ですから、情報量も多いし、ごまかしが通用しないということもありまして、私は、日本の消費者がためらっているというのは、それはそれで一つの日本の消費者の賢明な態度だと思います。狂牛病が発生して、その経路もわからない、それからまだ全頭検査の体制も整わない中で、消費をためらって一体どこがいけないのか。まるで肉と牛乳と乳製品について消費をためらうのがおかしいというような大臣の言い方は、これからの消費と生産との信頼関係をつくっていく上で、私は、実は大きなマイナスになっているのではないかという気がします。
それから、検査体制のことをおっしゃいましたけれども、農林水産省も検査体制についてはそう胸を張れた義理ではない。
つまり、日本で一番レベルが高いと言われている筑波の動物衛生研究所、そこに初めて検体が持ち込まれたとき、何をやったのか。初めて使うプリオニクスというキットだったかもしれないけれども、一度も扱ったことがなかった。つまり、そんな検体を使うと思っていなかったので、まことに初歩的なミスで最初の検査を失敗してしまった。そういう事実もあって、つまり、研究現場でも、狂牛病が上陸するという危機感が大変弱かった、冷蔵庫にキットは入っていたけれども、それまで使ったことがなかったというようなことです。その人たちが今研修の講師をやっているわけですから、これであしたから本当に大丈夫なのかということはあります。
東京都で疑陽性が見つかって、その後、精密検査というか、ウエスタンブロットでもう一回やり直して、それもシロだったから大丈夫だという話でしたけれども、千葉で見つかったときは、最初にやはりエライザでやったら、これはシロでした。これは、筑波の研究所で、料理でいえば塩と砂糖を間違えるような初歩的なミスがあったからしようがないのですけれども、ところが、千葉の方の動物検査所の方で、組織化学的検査、つまり顕微鏡の検査によって脳の組織に穴があいているというのがわかって、それでウエスタンブロットでもう一回やり直したら、クロだった。
ところが、今度の東京都の場合、この千葉のときに決め手になった組織化学的検査をやっていないのですけれども、なぜ、今回の場合それが抜けているのでしょうか。
○高谷政府参考人 お問い合わせの件につきましては、厚生労働省が十月二日より、横浜検疫所輸入食品・検疫検査センターで、全国のと畜検査員を対象にBSEスクリーニング検査技術研修を行っていた際に、一人の研修生が行った十月十日の検査結果から、疑陽性といいますか、表現自体は余りよくはないのですが、カットオフ値マイナス一〇%に入る値のものが出たということでございます。陽性、陰性を区別するラインがあるわけですけれども、それの下の値ではあったと……
○鉢呂委員長 簡潔に答えてください。質問に簡潔に。
○鮫島委員 顕微鏡検査をしなかったのはなぜですかと言っているのです。
○高谷政府参考人 この研修は、エライザ法を用いたスクリーニングの検査の技術を習得する目的で開催したものでありまして、特に病理検査の研修を目的としていなかったために、病理検査用の検体を保存していなかったために病理検査はしなかったということであります。
○鮫島委員 つまり、簡単に言えば、これは、そういう抗原抗体反応を習熟させるための、簡易検定がエライザ法で、精密検定がウエスタンブロットということだと思いますが、抗原抗体反応の技術に習熟するための研修だったから、そのサンプルとしてとった脳の組織については、特に形態観察用には残しておかなかったということだと思いますが、そういうことがそもそも出るはずない、つまり、研修の機会だろうと、そこで見つかれば大変それは大きな意味があるわけでして、そういうところの認識が私は大変やはり甘いのではないか。
研修中とはいえ、このキットはそれぞれ大変丁寧に、Aという薬を一に、Bという薬を二でまぜなさい、五分置いてどうしなさいと、これはだれでもわかるようにできているわけですから、その意味では、研修期間中といえども、マニュアルどおりにやればきちっとした結果が出るわけですから、せっかくの機会をそういう、聞くところによると、かんぬき部分という一番検出するのにいい部分を全部すりつぶしちゃったので、結局組織観察ができなかったという話ですが、そういうところにも認識の甘さがあるのではないかと思います。
感染経路も特定できていない、それから、検査体制についてもやっと技術の習熟が始まったばかり、また、きょうまでの肉とあしたからの肉の区別も、消費者段階で、つまりカットされた肉としてはなかなか見分けがたいというような環境の中で、本当に安全宣言をあした出す予定なんでしょうか。厚生省と農林水産省にそれぞれお伺いしたいのです。
○武部国務大臣 委員に誤解のないように申し上げますけれども、私は、大臣就任以来、消費者と生産者の間に立って農林水産行政を進めていく、こういうことを私の基本姿勢として徹底させようとしているわけでありまして、私どもは、生産者の立場で物を言っているわけじゃありません。消費者の皆さん方に歓迎されないものを生産してもこれは成り立たないことは、もう今、生産者も我々も十二分に承知の上でいるわけです。そして、今度の対策も、でありますから、まず、何が安全で、何が問題かということをきちっと伝えるということが一番大事だということを申し上げてきているわけです。
先ほど来申し上げておりますように、牛肉、牛乳・乳製品についてはもともと一〇〇%安全だ、こういうことは国際機関から、数々の知見からそういうことになっているわけですから、ですから、そのことはそのこととして、これを受け入れるかどうかは別ですが、そのことは事実として、正しい事実として伝えていくということが一つです。
それからもう一つは、今度どうしてこういう問題が起こったのかというのは、最前から申し上げておりますように、検査体制ということが非常に大きな問題なんです。そういう意味で、この検査体制を完璧なものにしていく、そして、屠畜場からは安全な食肉等以外は出回らないようにする体制ということで準備をしてきたわけでございます。十九日から、三十カ月齢以上のものが出回らない体制になっておりましたけれども、しかし、一〇〇%じゃありません。九九・九五%が三十カ月齢以上からと言われておりますけれども、一〇〇%でないので、私どもは、厚生省に全頭検査を要請して、そういう体制になったわけでございます。
技術的な習熟の問題その他あるかもしれません。ですから、一遍には消費者の皆さん方や国民の皆さん方に理解が得られるとも我々は安易に考えておりません。しかし、十八日からは全頭検査体制になりました。これはEUよりも水準の高い検査体制ですよ、まず、そういう事実を事実として伝えて、国民の皆さん方や消費者の皆さん方の理解を得る努力をしていこう。それは、いろいろな角度からやっていかなきゃいけません。それは、農林水産省も挙げてそういう努力をしてまいりますし、もう一つは、やはり不信として残るのは、いわゆる感染牛の解明ですよね。これは本当に肉骨粉なのかどうか、肉骨粉だとすれば、どういう経路でどこから輸入されたのか、イタリアやデンマーク等にも職員を派遣して今調査させております。
そういったことはこれから徹底していかなきゃいけない、私は、迷宮入りにさせてはならないという、そういう決意で臨んでいるわけでありまして、そういう意味で、国民の皆さん方や消費者の皆さん方に、全頭検査体制は十八日から実行することになりました、そういう宣言が、そういうことが、国民の皆さん方に今までよりも一歩進んだ御理解がいただける一つの区切りと思って、また次なる対策を推進していかなきゃいけないというふうに我々は考えているわけでございます。
○桝屋副大臣 時間もありませんから、簡潔にお答えいたします。
十月の十八日の前の肉については、今農水大臣おっしゃったとおりであります。十月十八日以降、明日以降でありますけれども、今大臣おっしゃったようにBSEの全頭検査を実施するということが一点。それから、食肉処理時の特定危険部位の除去、焼却を法令上義務化いたしましたから、そのこと。それから、既に牛の特定危険部位を含む可能性のある加工食品の製造加工業者等に対する、先ほど言いました自主点検及び販売の自粛などの措置を講じたということをるる申し上げた上で、十月十八日以降はBSEに罹患した牛由来の食肉等が流通することはないということを明日、その趣旨を大臣がコメントとして、メッセージとして、国民の皆さんに発表させていただくということになると思います。
○鮫島委員 私も、今おっしゃったような、こういう体制が整いました、きょうからこういう条件が整いましたということを一つ一つ国民の前に公開していくのが一番いいんだろうと私は思います。逆に、行政側の安全宣言を出してみたところで、私どもの考えでは、学校給食に牛肉が戻った日が、ある意味では国民的な安全宣言の日ではないかというふうに思いますので、余り行政側から押しつけた安全宣言というような態度はとらないでいただきたいと思います。
このことは、今度の狂牛病のことは非常に大きな教訓を与えまして、私最初に、日本の最大のメリットである安心、日本はきれいな国だということが失われたことは、金額にしたら幾らになるかわからないぐらいの大損害だと思います。ヨーロッパの国々は、この狂牛病の発生を教訓として、食品安全行政の一体化ということを、イギリス、フランスもドイツもデンマークもいたしましたし、私は、日本としても、時間がないので一方的に言いますけれども、厚生労働省と農林水産省でばらばらになっている食品安全行政をぜひ一体化していただきたいと思いますし、農林水産省に関しては、やはりWTO体制に合わせて農林水産業の国際化というのを図っていただきたいと思います。
つまり、ヨーロッパでは、農場から食卓まで、あるいは牧場から食卓まで、一貫して安全を監視する行政をどうつくるかということに皆知恵を絞っています。日本の場合は、特に農場、牧場が海外にあるわけですから、少なくとも千二百万ヘクタールの農地が日本人の食生活を支えるために使われていると言われている中で、千二百万ヘクタールでどんな農業、どんな畜産業が行われているのか、これについて全く無関心というようなことでは、とても消費者の皆様方に安心していただける安全行政が確立したとは言えないのではないかと思います。行政改革というと外郭団体の整理ばかりに話が行きがちですが、私はぜひ、厚生労働省と農林水産省の行政改革を、これを教訓としてなし遂げていただきたいというふうに思います。
最後に一点だけ。実は狂牛病類似の人畜共通感染症というのが虎視たんたんと上陸をねらっている、幾つも危険視されているのがありますが、その中の一つに、マレーシアのフルーツコウモリという野生のコウモリが豚にかみついて、豚にウイルスがうつって、ニパウイルスという病気がありますが、そのことによってマレーシアの豚の世界に大量にこのウイルスが感染して、しかも豚を扱っていた方々を中心に人間にそれがうつり、二百六十六人中半分の方が亡くなった。マレーシアは百万頭の豚をこのニパウイルス撲滅のために焼却処分せざるを得なかった。
ヨーロッパと違って目と鼻の先の話ですので、こういう例えばニパウイルスの侵入を防ぐ体制が現在どうできているのか。人畜共通感染症なので厚生労働省の所管だと思いますが、今ニパウイルスの防除体制がどんなふうにできているのかを教えていただければと思います。
○鉢呂委員長 簡潔に御答弁願います。
○下田政府参考人 ただいま先生御指摘のニパウイルス感染症についてでございますが、一九九九年に病原体が初めて確認されました新興感染症の一つというふうに位置づけてございます。
ニパウイルスは、御指摘のように、現在のところコウモリが自然宿主というふうに考えられておりますので、厚生労働省といたしましては、ニパウイルスを初めとするコウモリに由来をいたします動物由来感染症ということで研究班を設置をいたしまして、それの調査研究を進めているところでございます。今後、その成果を踏まえまして所要の措置をとってまいりたいと考えております。
○鮫島委員 まだ調査研究ということで、実際にはマレーシアを中心に大変問題になっているわけで、ぜひ水際検査体制をしっかりしていただきたいというふうに思います。
農林水産委員会も、本当は私は、そろそろ食料・農業・農村委員会になるべき時期に来ているのではないかと思います。
これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
○鉢呂委員長 次に、楢崎欣弥君。
○楢崎委員 民主党の楢崎です。
私は、九月二十六日の当委員会における集中審議において、肉骨粉の全面使用中止、そして食品加工品の安全性をただしました。その際の答弁は納得のいくものではありませんでしたけれども、間を置かずに、肉骨粉の製造中止、そして加工品の全面規制が発表されました。その点においては、大臣、副大臣の決断と政治力、ここに敬意を表したいと思います。
十月三日、私は、民主党のBSE対策委員会の一員として千葉を視察いたしました。一夜にして天下の大悪人ごとき立場に立たされました酪農業者の訴えは、身につまされる思いがいたしました。それでもなおかつ酪農の振興を訴えられる言葉に説得力がありましたし、一種の感動すら覚えました。同日、大臣も視察されたと聞きましたけれども、私が驚いたのは、この酪農業者にしても白井市の担当職員にしても、この事件が起こる前までは、この肉骨粉なるものの名称、そして存在すら御存じなかったことです。いかに行政指導が甘かったか、下部まで徹底されていなかったかを証明することであろうと思います。この事実一つを見ても、私は、農水省、特に事務方幹部の責任について問わざるを得ません。
幾つか事例を申しますけれども、やはり最初のポイントは九六年であったと思うのです。九六年は、イギリスが、BSEが人に感染することを公式に認定した、認めた年であって、既に十人の発症が確認されていました。この年、農水省はイギリスからの肉骨粉の輸入禁止を関係業界に通達を出されたのですね。通達者は当時の畜産局長、現事務次官ですね。この通達一本で水際対策が十分と考えた甘さ。さらに、その対象はイギリスだけで、EU諸国を対象としなかったリスク管理の甘さが指摘されると思います。これが一つ。
同時に、肉骨粉を牛に与えないようにという行政指導が、ところによっては県酪連などの上部団体でとまっていた可能性が強い。つまり、下部まで徹底されなかったことは、今話しました千葉での事実でも証明されると思います。これが一つ。
次に、畜産部長は、ことしの五月十九日付の日本農業新聞に、客観的データに基づかない安全宣言をしてあります。いわく、評価方法の算式により推定した輸入により、過去八年間に我が国で生じた可能性のあるリスク肉骨粉の重量は十キログラムに満たない。汚染肉骨粉で数十キロから百キロ以下は、国内侵入の危険性が限りなくゼロに近いということ。汚染肉骨粉量十トンから百トンというEUの水準と比べれば、けた違いに低い。このようにした上で、これを論拠に、国内で狂牛病発生は一〇〇%あり得ないと言い切っておられます。
この畜産部長が示されました算定根拠や、それから推定した数字が、今回のBSEの発生によって机上の空論にすぎなかったことが証明された事実、これも一つ。
問題の乳牛が疑似患畜と判定された当初には、全国調査の必要さえ否定される、その危機感のなさ、認識のなさ、これも一つ。
さらに、この乳牛が焼却処分ではなくて、先ほども大臣言われましたけれども、肉骨粉にされていたことは、これはもうお粗末の一言です。これも一つ。
そして、やはりきわめつけは、ことしの四月、EUからのBSE発生の可能性の警告があったのに、結果的にそれを無視した。そして、そのことが明らかになったことしの六月、事務次官は、EU基準よりも我が国の評価基準の方が整合性がある、むしろ、EUの採用している危険度評価の手法は不適切と異議を唱えられている。その上に、EUからの調査協力も断られている。そういう、聞く耳を持たないという、唯我独尊ですか、独善的な官僚の姿勢、役所の姿勢が、結果的に水際対策につまずいたのではないですか。その責任は極めて重大だと思います。
大臣、私はその責任が厳しく問われなければいけないと思うのですが、どうですか。
○武部国務大臣 率直に申し上げまして、役所といいますか、関係者の認識の甘さということについては、我々も驚いている次第でございます。率直に言って、法令主義、経験主義、技術指導主義、こんなことは起こるはずがない、そういう認識というのは今度の問題を非常に大きくしている、このように思っておりまして、私自身も農林水産省の最高責任者としての責任を感じている次第でございます。
しかし、これまで振り返って、行政指導ではだめだったのではないか、甘かったのではないか、その責任が問われるべきでないのかということについて私見を申し上げますと、行政指導も何もやっていなかった、あるいは立入検査等も何もやっていなかったということであれば、私は重大な責任は問われると思います。
しかし、私も北海道ですから、酪農地帯のことはよく知っております。酪農家にしてみれば、自分の家畜というのは、自分たちの生活を支える、あるいは自分たちの将来を託する財産ですよ。これは一人一人が、国も都道府県も、あるいは農業団体も生産者みずからも、やはり英国やEUであれだけの数多くの狂牛病が大発生したということについては、しっかりした認識を持つべきでないのかな、かように思います。
今後の対応については、先ほども申し上げましたように、私どもは、これまでの対策は、まず人の健康に影響を与えない体制を早くつくろう、その一番大事なところは検査体制だということでやってまいりました。これからは、当該牛の徹底解明とともに、残されたさまざまな問題について、これからさらに調査を進めていかなきゃならないし、対応を考えていかなきゃならないということで、先ほど申し上げましたように、今後、いわゆる縦割り行政等の弊害をどうやって排除していくか。鮫島委員からの御提案もございましたので、そういったものを含めて、調査委員会を設置して検討してまいりたい、このように考えている次第であります。
○楢崎委員 大臣の思いはよく伝わるのですけれども、ちょっと時間がないものですから、簡略にお願いします。
私は、農水省の対応に、国民は今不信を持っていると思うのですよ。その責任の所在が明確にされなければいけないのではないですかと聞いたつもりなんです。どうですか。
○武部国務大臣 ただいま申し上げましたように、それらのことも含めて調査委員会を設置して、これはどういう形で設置すべきかということは検討中でありますけれども、その中できちっと責任問題もしていかなきゃならない、このように認識しております。
○楢崎委員 消費者の皆さんが大きな不安を抱いたり、風評被害で苦しんでおられる関係者の姿を見たときに、果たしてそれでいいのかと思うのですよ。ここはひとつ大臣が、それこそ政治的決断をすべきことではないですか。どうですか。
○武部国務大臣 私がどういう判断をするかということにつきましても、やはりきちっとした調査の裏づけが必要だ、このように考えております。
○楢崎委員 どうも納得がいかないのですね。
私は、新たな人材でBSE対策に当たらないと、農水省に対する不信感というものは払拭されない、このように思います。そして、それこそ大臣が政治的決断を求められることではないか、このように思います。
次に移りますけれども、ちょっと一点だけ聞いておきたいのですが、さきの集中審議で現農水委員長であります鉢呂議員が訴えられました解体の背割りの中止については、どのような対応がとられていますか。
○桝屋副大臣 今お尋ねがございました屠畜解体の方法でありますが、仰せのように、現委員長から、私もこの委員会で厳しく御叱責をいただきました。その後、当時の委員長からも大臣にお申し込みをいただきました。
あのときに、可及的速やかに検討いたします、そして処理をいたします、このように御報告させていただきましたが、その後、屠畜解体の方法について、欧州における状況等を参考にいたしまして、十月の十一日でありましたけれども、牛海綿状脳症に関する研究班会議で、専門家の皆さんにこの問題を集中的に議論をしていただきました。そして、屠畜場の関係者も交えて、実際に実施可能かどうかということもありますから、検討を行ったところであります。
この結果、欧州においても、イギリスも含めて今なお背割りが行われているというところもあるわけでありまして、そうした地域における今の背割りのやり方、枝肉の汚染防止措置というものもされているわけでありますから、それを参考に整理をしていただきまして、一つは背割り時ののこくずの回収、そしてこれを焼却する、そして二点目には背割りののこの一頭ごとの洗浄、消毒を行う、さらには高圧水による枝肉の洗浄、そして脊髄の除去の徹底というもの、これは場合によっては除去できるわけでありますから、熟練した技術を有する方であれば脊髄を避けて切断するということも、現に私も芝浦で見てまいりました。ほとんどのケースはそうされているということも確認をしているわけであります。
実は、そうした安全確保のために必要な対策を講じていただきたいという専門家会議の御意見をいただきまして、こうしたことを含めた対策、明日から全国的に体制が始まるわけでありまして、食肉処理における特定危険部位管理要領を本日まとめて、通知をさせていただいたところでございます。
以上であります。
○楢崎委員 よそがやっているからうちもやるということではないと思います。
私ども民主党は、背割り前の脊髄除去の徹底を安全宣言を出す際の条件の一つとするように今討議を進めているところですけれども、いずれにしましても、安全な方法を採用していただくことを強く要望しておきたいと思います。
あわせて、そういうことに違反した場合は、食品衛生法第四条の適用といいますか、第四条違反として規定していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○桝屋副大臣 今、食品衛生法第四条違反として取り扱うべきではないかという御指摘もいただいたところであります。
なお、背割りの話が続いているんだろうと思いますが、どういうふうに処理するかは、先ほど危険部位管理要領を本日付で通知をしたということでございまして、こうしたことがきちっと行われれば人の健康を損なう状況が生じることはないというふうに考えております。なお、やはり民主党の皆さんも御心配をされている点でありまして、今後、先ほど申し上げました研究班会議におきまして、さらに検討を進めていただきます。
実は、私どもつかんでいる情報でも、フランスにおきましては来年一月から吸引をするということを義務づける、来年からのようでありますが、そうした状況も聞いているわけであります。実は、フランスの牛と日本の牛は随分形も違う、大きさも違うわけでありまして、そうしたことも十分参考にしながら、今後、吸引ということも含めて、その有効性も検討しまして、さらに安全対策を検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
○楢崎委員 検査体制ですが、まず、家畜衛生保健所とか屠畜場、いわゆる現場レベルの早期発見体制は確立されたのですか。あわせて、そこに検査キットが常備がなされているか、お聞きします。
○高谷政府参考人 私ども、このたびの検査に使います検査キットにつきましては、十分なほど配慮をして輸入をして都道府県の検査をする場所には配付したいというふうに思っておりまして、現在、既に十八日から始まる分については十五日時点で検査キットの配付を終えたところでございます。
○小林政府参考人 農場段階のサーベイランスの体制でございます。
これまでは二十四カ月齢以上で中枢神経症状を示す牛を中心に検査をやってまいりましたけれども、十月十八日からは屠畜場で全頭の検査が実施されるということも踏まえまして、これから農家段階で中枢神経症状を示す牛のほかに、事故などによりまして死亡した牛につきましても重点的にBSE検査を実施するという体制でございます。これから生産現場におきますBSE検査におきましては、都道府県の家畜保健衛生所、こちらの方が、屠畜場における検査と同様にエライザ検査、こういったものを採用いたしまして、疑わしい結果が得られた際には動物衛生研究所に検体を送付して確定診断を行う、こういった体制の整備を図っているところでございます。
○楢崎委員 BSE乳牛は当初地元の食肉センターの獣医さんに敗血症と診断されたのですね。BSEの検査キットを持たない現場の獣医さんですから、敗血症と診断するしかなかったと思うんですね。だから聞いたんですけれども、本来敗血症はサーベイランスの対象とならない。今回はあくまでも現場の機転から発見に至ったことを考えたときに、見逃された感染牛の存在というものは否定できないんじゃないですか。
本来敗血症というのはサーベイランスの対象にはならないと私は思っているんです。これはあくまでも現場の機転で回されて発見されたわけですね。そういうことを考えたときに、要するに現場で見逃された感染牛の存在というものは否定できないんじゃないですか。
○武部国務大臣 私が答えて正しい答えになるかどうか、先生の御指摘に答えられるかどうかわかりませんが、私も今先生のお話しになったようなことは非常に大事だと思いまして、九月二十日付で農場段階における中枢神経症状の牛、これを類似の中枢神経症状とはっきりわからなくても、立てない、起立不能の牛などは徹底検査すべきだという通達を出しまして、既に九頭出てきました。そして九頭すべてが陰性という、これはエライザ法と病理組織と両方の検査で九頭陰性になりましたけれども、それはすべて九頭とも焼却処分した。
今、既に農場段階でも、九月二十日以降はそういう体制になっているわけでございます。
○楢崎委員 敗血症と診断されたのは八月六日ですよね。それで、私は今回の場合はあくまでも現場の機転で発見されたと思うんです。ですから、そういう意味では、千葉県は確かにBSEが発生した県でありますけれども、ある意味ではBSEを発見した県でもある、そのことを千葉県の名誉のために言っておきたいと思います。私は福岡県ですけれどもね。
厚労省は、十八日からの全頭検査で疑陽性と判定されても自治体レベルでの公表はしないようにとしていたのですけれども、坂口大臣の指導で公表するようになったんですね。ところが、今度は自民党からの突き上げでまた公表しないようになった。これはどうなっているんですか。
○桝屋副大臣 今、十月の十二日の夜、あの二頭目が疑われた案件の中で、随分国民の皆さんに、あれは検証をやっているときに、エライザでプラスプラスが出て、最終的に確定診断の方に回したわけでありますが、そしてマイナスになったということで、随分と国民の皆さんに御心配をおかけした、お騒がせをしたということもあの時点ではありまして、できるだけ早く公表すべきだな、今回の一連の検査の実態というものをまずよく理解をしていただきながら、できるだけ情報は早くお届けした方がいい、こういう大臣の判断もあったわけであります。その後、やはりこうしたことは中途半端な、まさに灰色とよく言われるんですが、そうした情報が出回るということも、これはかえって人心の混乱を招くということで、やはり確定診断を得た後にぜひとも発表してもらいたいという業界の皆さんからも強いお声をいただいて、そこは農林水産省とも十分協議をして、昨日決定をさせていただいた次第でございます。
○楢崎委員 私はおかしいと思いますよ。大臣の積極的な開示姿勢とも矛盾しますし、そういう姿勢が不信感を招くし、また、情報を操作すると疑われる。私は、今、過敏に反応していいと思うんですよ。むしろすべきだと思うんですよ。疑わしきものはすぐに公表する、それが不信感を払拭することにつながると思いますよ。
納得はいきませんけれども、時間がありませんから次に移りますけれども、肉骨粉の流通ルートですけれども、私は、やはりイギリスの通関で記録されている三百三十三トンのこの肉骨粉の行方、これがどうしても気になるんですよ。具体的なんですよね。答弁を聞いていましてもよくわからないんですが、肉骨粉で輸出されたものが輸入時点では肉骨粉ではなかったということですか。どういうことですか。
○小林政府参考人 私どもの方で貿易統計なり検疫統計、それから先方の方ではまたイギリスの統計がございますが、それぞれの数字が違ったことにつきまして、今般現地に担当官を派遣して、向こうの担当官との間で突き合わせをしてもらったわけでございます。その結果、イギリスの方の通関統計、これは向こうの担当が精査してくれました。
そのときの一つのあれとしまして、やはり精査した結果、一つは三百三十三トン、これが百六十六トン。そういった意味では、統計上の再精査ということでそういった間違いが正されたというところもございますし、それから、輸出品の中身もチェックしてもらいまして、フェザーミール、これは羽毛粉でございますが、その可能性が高いということになりまして、いわばそれぞれの統計の差というのがあるわけでございますが、やはり実態として、調査をした結果、その違いが明らかになっているということでございます。
なお、この英国の担当部局の方からは、公式の、いわばこちらの方に通知をもらうことにしておりまして、近々それが届くということになっております。
○楢崎委員 何度聞いてもよくわからないんですけれども。
大臣は、予算委員会で、輸入業者への立入検査を検討すると言っておりました。私もやはりそれが大事だと思います。
羊のBSEと言われるスクレーピーについてお伺いしたいんですが、今日まで何頭発生しているんでしょうか。簡単に数字だけ。
○武部国務大臣 私は、北海道ですから、北海道で発生したときの記憶では五十七頭、今度筑波大農学部で一頭発生しましたから、五十八頭ではないか、かように承知しております。
○楢崎委員 では、五十八頭のうちの五十七頭が北海道ですね。その……
○武部国務大臣 今間違った。茨城大学です、筑波大学ではありません。失礼しました。
○楢崎委員 そのスクレーピーが肉骨粉の原料となったことはありませんか。
○小林政府参考人 スクレーピーと牛海綿状脳症の関係でございますが、BSEを起こすプリオン、これは今までスクレーピーの方で分離されましたプリオンのタイプといずれも違っているということでございまして、したがって、BSEとスクレーピー、これは異なる疾病であるというふうに判断されております。
○楢崎委員 肉骨粉の原料となったことはないですかと聞いているんですが。
○小林政府参考人 我が国でこれまで発生しましたスクレーピーにつきましては、すべて肉骨粉に回らない形で処理されております。
○楢崎委員 感染源の問題ですけれども、BSE乳牛の出荷元、飼育元、それから飼料の製造メーカーも肉骨粉は使用していないと言われている。それに、さらに北海道、千葉の同居牛七十頭もシロと判定が出たことによって、感染源の特定が難しくなったと思うんですね。しかし、やはりどこかで多分肉骨粉で感染してBSEになったわけですから、その解明がしっかりなされないと安全宣言は出せないと思います。
この安全宣言について、遠藤副大臣はきょうおっていないですけれども、十月一日の記者会見で、BSEそのものの解明がなされないと未来永劫安全宣言は出せないと言われているんですね。
○鉢呂委員長 遠藤副大臣、いらっしゃいます。
○楢崎委員 おられました。済みません。どうも済みません。
では、遠藤副大臣、今もその考えは変わっていませんか。
○遠藤(武)副大臣 まず申し上げますが、先ほど来御議論なさっているように、厚生省との連携によりまして、牛肉及び牛乳・乳製品については十八日から、あすから全頭検査に入るわけですから、これは安全であるということは御承知おきいただけると思います。ただ、もともとまた安全ではあったわけでありますが、さらに一層安全性が高められたということだと思います。
ただ、よく経済や学術研究のグローバリゼーションだけじゃなくて、食のグローバリゼーションというのもあると思いますね。輸入輸出によってそれなりのリスクを背負うわけであります。ですから、病原菌や病原体が確定できない、特定できないというふうなものはやはり注意をしてウオッチングしていかなくちゃならぬ。今回の狂牛病、いわば肉骨粉が異常プリオンの運び屋じゃないかということがほぼ国際的な共有認識になっておられるわけであります。
我々は、我が省は、全国十四万農家、四百六十万頭を個体検査いたしました。そして、あわせて、どのような飼料、えさを食わせておったかということも調べました。まことに残念でありますが、一部に肉骨粉をえさとして供していたものがありました。非常に残念なことだと思っています。ただ、血粉や骨炭といったものもありまして、肉骨粉だけ単体で食わせておったというのは少ないようでありますが、それでも肉骨粉、血粉、骨炭、合わせて十五日現在で二百十九戸、九千五百九十頭が確認をされております。
こういう肉由来の、しかも牛由来のものを牛に食わせるなんということは、通常、常識的に考えられない。牛が牛を食うみたいなものですから考えられないわけですが、あったということはもう残念なわけです。そういういわば運び屋と言われる肉骨粉を給餌しておる牛がある以上は、その生産の分野での安全宣言はできぬのじゃないだろうか、食の安全とはまたこれは別ではなかろうか、こういうふうに考えて申し上げたところでありまして、御理解いただければありがたいと思います。
○楢崎委員 時間が来ましたので、あと一問だけ。
きょうの日本農業新聞ですか、農水大臣があした安全宣言という文字が躍っていますけれども、政府が安全宣言を出されるときの条件といいますか、根拠は何でしょうか。それを聞いて終わります。
○武部国務大臣 先ほど来何度も申し上げておりますように、もう既に牛肉、牛乳・乳製品については国際的な知見によっても安全であるとされているわけです。しかし、今回一頭、BSE感染牛が発生いたしまして、国民の皆さん方の間に大変な不信を拡大しているわけでございます。もともと牛肉、牛乳・乳製品は大丈夫だと何度言っても、今までのさまざまな問題からして、それが理解はなかなか得られない。これは私はやむを得ない実態だ、このように思っております。
そこで、一番大きい問題は何だったのかということは、検査体制だった。屠畜場に入ってからは、これは厚生省所管の食肉衛生検査所でやるわけです。ここで、先ほど来御指摘ありますように、敗血症という形でレンダリングに回っていた。ここでBSEを疑っていれば、当然マニュアルでは頭も個体も焼却処分ということになっていたはずであります。
なおまた、農林水産省の畜産部長が全部廃棄ということを、焼却処分のはずだ、こう言ってしまった、しかし実際にはそうでなかったという、行政のたびたびの不手際ということが今日の問題を引き起こしているわけでありますから。
したがって、国際的には、科学的な根拠を超える、豚、鶏にも一切与えない、輸入骨粉もストップ、国産もすべて製造、出荷停止という体制をとったわけでありますから、これからは正常な牛がBSEに感染するという体制はなくなった、こう私どもは考えております。
しかし、今まで既に悪い肉骨粉を食べてしまっている牛もいるかもしれません。ですから、今後BSEというのは発生しないというふうには考えておりません。
しかし、屠畜場で、農場でも、中枢神経症状の牛などは全部検査する体制をとったわけですし、一番問題の、屠畜場で検査してから出荷するということをとったわけでありますので、今までもう既に、脳とか目とか脊髄とか回腸遠位部だとか、こういったところはもう除去して焼却処分していますから大丈夫なんですけれども、しかし、全頭検査体制というものを実施するのは十八日からということでございますので、私どもは、我々がとってきたそういう事実を一つ一つわかりやすく説明していく。
そういう意味では、十八日が一つの区切りだ、こう思っておりまして、何も我々は、ラッパを吹いて、安全宣言だ、さあ食べてくれ、そういうような仰々しい考え方を持っているわけじゃありません。一つの区切りとして、そこに向けて、十八日に向けて厚生労働省と農林水産省は一体になって体制を整えてきた、それがいよいよ十八日から実施できることになったということを、国民の皆さん方にいま一度改めて明らかにしようという考えで臨みたい、このように思っているわけでございます。
○楢崎委員 終わります。
○鉢呂委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十二分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○鉢呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
与えられた時間が三十分でございます。端的に狂牛病問題につきまして御質問させていただきたいと思いますので、ぜひ端的にお答えを願えればというふうに思います。
まず、私の地元は神戸市でございまして、神戸市はもう言うまでもなく神戸ビーフ、兵庫県においては、三田牛、但馬牛、そして淡路島も、大変日本が誇る国産和牛の大生産地であります。また、それに関連して、ハム、ソーセージメーカー、伊藤ハムとか、あと、こてっちゃんで有名になりました、今はエスフーズというスタミナ食品、こういった製造業も有しておりまして、私、実は、この問題が起こってから地元で丹念に一軒一軒回っております。そうしますと、これはやはり想像を絶する風評被害を受けております。小売店ではほとんど二割から三割になっている。最初聞いたときは、二割、三割減ですかと。いや、そうじゃない、七割、八割減だと。これはあと製造業も一緒でして、工場を一つ閉鎖しようとか、そういったことを視野に入れている製造業もかなりある。
きょうの朝日新聞の世論調査を見ていましても、六割の人が牛肉を食べないようにしていると。これは大変な状況で、半ば冗談のようにでありますが、狂牛病問題で何人被害を受けるかわからない、これは不謹慎な発言かもしれませんが、しかし、それ以前にこの風評被害でもう自殺をしている人もいるし、狂牛病問題の被害者よりもこの風評被害で首をつらなければいけない人間の方が多くなるだろう、こういうことをまじめにお訴えされている方がたくさんであります。
そして、今回、そもそもあの問題となった一頭は、五歳以上、乳牛である。しかし、食肉というのは、ほとんど世の中の人は知らないと思いますが、大臣はお知りでしょうけれども、二歳半というか、加齢二十八カ月から三十三カ月の間の肉用牛であって、食肉関連の人から言わせれば、本当は自分たちの話じゃないはずだった。だから、乳牛だからといって、彼らも牛乳がどうのこうのと言っているわけじゃありませんが、食用の肉用牛じゃないのに何で一身にこの風評被害を全面的に受けなければいけないのかという物すごい憤りと、同時に、あした以後どうやって生きていくのかということを本当に深刻に考えていると。
今回の風評被害、私はO157のときも思いました。O157は大変な被害も出て、そしてそれの風評被害というのも出た。しかし、今回はまだ一頭の、発生はクロだったわけですけれども、その調査段階、こういった中で、世の中の六割以上の人が牛肉を食べなくなったとか、九割以上の人が牛肉のことについて心配しているとか、大変な、異常な状況であるというふうに私は思うんですね。
このときに、いろいろな原因があると思うんです。本当は厳しくここで追及したかったんですが、午前中のやりとり、私も院内テレビを見ていまして、大臣自体も認められておりました。いろいろな点があったと思います、検査体制の不備とか、いろいろなことがありますが、しかし、やはりまず、ここで言わなければいけないのは、やはり行政当局の対処の不手際によっての、これは今回始まったことではないのかもしれませんが、国民から見た行政当局に対する不信感、この不手際による不信感というのがやはり最大の要因の一つではないかというふうに私は思っておるんです。
そこの点だけ大臣の御所見、午前中御答弁もありましたが、繰り返しになります、恐縮でございますが、御答弁をお願いしたいと思います。
○武部国務大臣 委員御指摘のとおり、大変な風評被害で大変多くの皆さん方に、御迷惑どころか生活権にかかわる大問題を引き起こしているわけでありまして、実は、先日新聞に出た遠軽での食品メーカーの社長の自殺は、その社長は私の長年の友人であります。
私自身も本当に深刻に受けとめているわけでありますが、これが初期段階の行政の不手際が一番大きな要因であるということは、これは否定できませんし、また同時に、何でこういうことになったのかというのは、BSEに対する、また食品の安全という問題に対する行政当局の認識の甘さ、起こり得るはずがない、そういう思いというものがこういう問題を引き起こしている、このように認識しております。
ただ、私も、テレビ局から出演以来があって、出なければ、逃げた、こう言われますし、ですから、積極的に時間の許す限り出ているんですけれども、先日もビデオを見てわかったんですが、私がいろいろ説明している後ろの背景には英国の狂牛病の牛がころんころん転がっている、そういう光景になっているんです。キャスターが話しているのは、いわゆる消費者の皆さん方が背景に映っているんですね。
私は、報道関係の皆さん方に、報道の自由と知る権利ということにしっかりこたえていただきたいということと同時に、これまでとってきた対策、これらも逐一報道していただければ、九月の十九日段階で三十カ月齢以上の牛が屠畜場から出てこないということになっているわけですし、食肉、牛乳・乳製品はもともと国際機関が安全と言っていただいているわけで、証明しているわけでありますから。
今後、まあ検査体制に問題があったということからして、十八日から全頭検査。EUでも三十カ月齢以上です。豪州、アメリカもそうですね。そういうEUをはるかに超える水準の検査体制になりましたので、これを機に、消費者の皆さん方や国民の皆さん方に、省を挙げて、政府を挙げて、オーバーなことを言いません、事実を事実として知っていただく、そういう努力を続けて、少しでも早く風評被害が鎮静化するように頑張りたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○赤羽委員 今大臣がお認めになっていただいたように、やはり今回のこの大きな問題の解決の第一歩に、まずみずからの行政当局の認識の甘さと不手際な処理、こういったことが認識されたというのは大変大事なことだというふうに思っております。
今、図らずも大臣の御答弁にもありましたが、マスコミの影響力の大きさというのは、私の地元の皆さんを回っていて、皆さんが全員言っておりました。何を言っていたかというと、やはりあのイギリスの十数年前のよたよたとした牛の歩くシーン、あれはもうやめてほしい、あれを見るだけで、今回の事件が、そのもの、日本の牛がみんなああなっているような錯覚に陥ってしまっている、これは、風評被害、ここをとめない限り決しておさまることはないだろう、こう言われておりました。
確かにマスコミの、日本は言論の自由は保障されるべきだというふうに私も思いますし、あのビデオ自体がうそだということを言うつもりは全くございませんが、さはさりながら、アメリカで、今回同時多発テロ事件でハイジャックされた飛行機が世界貿易センタービルに突っ込んだシーン、あれはもう今アメリカでは流さないようにしよう、マスコミの自主規制だと思いますが、政府からお願いをし、流されていない。こういったことは当然あるべきではないか。
あの事実を隠ぺいするという意味合いではなく、やはり大臣として、ぜひ、あのマスコミの過剰なまでのというか、その線を引くのは難しいかもしれませんが、ああいった報道についてぜひ、規制をかけるのではなくて、マスコミの皆さんに自粛をしていただくようなお願いをするべきではないかと私は思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○武部国務大臣 ここ数日来のマスコミ、あるいは特にテレビの報道ぶりは、私は大分変わってきた、こう思っております。狂牛病ってどういう病気、人間にはうつるの、うつらないの、それから十八日から全頭検査ということだけれども、それは具体的にどういうことですか、そういう非常に冷静な対応に変わってきている、このように思っております。
報道の自由あるいは知る権利、これは言うまでもないことでありますが、同時に公共の福祉ということがございます。今ちょっと思い出したのは、所沢のホウレンソウの問題で一部マスコミでも陳謝した、そういう場面も思い出すのでありますけれども。
私どもも、オピニオンリーダーの皆さん方、新聞等の論説を初めいろいろな方々に正しい情報を伝える、そういうことを怠ってはならないと思いまして、そういったことも準備いたしまして、いろいろな方々に正しい情報を的確に伝える努力をしていきたいと思いますし、今委員御指摘のようなことにつきましても、私、出向いてでも御協力をお願い申し上げたい。何も間違ったことをお願いするわけじゃありませんで、正しいことは正しいこと、問題は何かと。行政の問題について厳しい御指摘も結構。しかし、消費者にとってこういう供給体制になったということの事実も、十八日からは全頭検査体制になりますので、そういったことも的確な報道をいただけるであろう、こう信じておりますし、そのような御協力を懇切にお願いしてまいりたい、このように存じます。
○赤羽委員 それでは、全頭一斉検査について少しお伺いしたいと思います。
これは、今回検査方法、いわゆるエライザ法を採用して、ウエスタンブロット法を採用しなかった、この理由はいろいろあると思います。時間のかかることとか、それに要する人員とか設備のことの負担とか。ただその一方で、エライザ法の特徴というのがまだまだ正確に伝わっていないんではないかと。
私が聞くところによると、エライザ法のすぐれた点というのは、異常プリオンは必ず読み取る。しかし同時に正常なプリオンも感知してしまう、読み取ってしまう。ここに疑義が挟まるのかどうかというところが非常に、きのうの発表、疑似陽性については無用な風評被害を生まないために公表しないという御決断の記者会見がされたわけですけれども、その一方で、今回の疑似陽性の情報を行政当局が独占してそれを工作するんじゃないかみたいな、疑惑が持たれるみたいなコメントが出ている報道も実は同時にある。ここについて、そういったことはないんだということをするために、このエライザ法の特性というのを幅広く徹底して告知するべきだというふうに思うのですね。
今私言いました、異常プリオンは必ず読み取るんだ、同時に正常プリオンも読み取ってしまうという検査法なのかどうかという確認と、検査官が熟練していないと、誤差値というのですか、二%から三%はあると言われておりますが、この誤差値はやはり出てしまうものなのかどうか、その検査法の特性について、この二点についてお答えをいただければと思います。
○桝屋副大臣 お答えをいたします。
私も専門家ではありませんから、なお疑念がありましたら事務方から答弁をさせますけれども。
今委員御指摘がありましたエライザ法でありますが、委員から、今回の最初にやるスクリーニング検査のエライザ法、これをしっかり国民の皆さんに理解をしてもらわなければならぬ、こういう御指摘をいただきました。そのとおりだというふうに認識をしております。
委員からも御指摘がありましたように、私も専門の品川先生にお話を伺いましたけれども、委員が言われるように、熟練しているかどうかという熟度、それからまさに正常なたんぱくまで、プリオンまで反応するということもある。したがって、大臣も、疑いはすべて出すんだ、こういう検査だと。しかし、これは逆に言うと、検出感度は非常に高いということになるわけでありますし、さらには、簡便で、短時間でできる、施設整備も必要ないということからすると、全国一斉に行う大量な数のこのスクリーニング検査としては適しているのではないか。
だから、委員御指摘のように、そのことをしっかりと国民の皆さんに御理解をいただいて、たとえエライザで陽性になっても、十月の十二日のように、確定検査あるいは確定診断においてマイナスになる、陰性になるということもあり得るということを、十分この検査全体の姿をしっかりPRしていきたい。御指摘を踏まえて頑張りたいと思います。
○赤羽委員 それと関連してですけれども、今回の決定は、必ずしも全国都道府県すべてが足並みをそろえるとは限らない、各都道府県では疑似陽性も公表する、こういうことになるのだろうと思いますが、そうなるのかどうかということと、そういったことが考えられると、これはやはり今お答えもいただきましたが、エライザ法の特性を徹底すると同時に、これは二回検査をするのですね、エライザ法。そこで陽性になったものは焼却するんだ、ここを、工程、プロセスを明確にする、漏れはないんですよということをわかりやすく周知徹底することも同時に大事だというふうに私は思うのですが、その点についてお答えをいただけますか。
○桝屋副大臣 再び大事な二点について御指摘をいただきました。
一つは、昨日、今回の全国一斉の検査の結果の公表については、確定診断を経た上で私どもは公表するというふうに決定をさせていただきましたけれども、その背景には、委員から御指摘がありましたように、全国の都道府県の中には、既に一次のエライザ法で発表するというふうにお考えを表明されているところもあれば、逆に、いやいや、そうではない、最終確定診断を経て発表するんだということもあって、これはやはり相当混乱を招くだろうと。したがって、風評被害という御指摘もありました、最終確定診断を経て発表するということにしたわけであります。
実は、その方針は昨日中に各都道府県にお伝えをいたしまして、できれば、できるだけこの方針に従っていただきたいというお願いをしてございます。今、この昼もある都道府県と話をしておりましたが、厚生労働省の昨日の決定を経てもう一回検討する、こうおっしゃっていただいております。できるだけそうなるように、理解をしていただくように努めていきたいというふうに思っております。どうぞその点は御理解いただきたいと思います。
それからもう一点、今回の一連の検査において、最終的に確定診断が出た段階で発表いたしますが、それまでの間、たとえ情報が出なくても、例えば陽性になるものは、一次を経てウエスタンブロットに回ったものについては現場の屠畜場でとめられるんだ、肉は出ないということも、委員御指摘のように、しっかり国民の皆さんに理解していただくように努めていきたいと思っております。
○赤羽委員 この検査体制を実施するに当たって、十月二日から十日間、横浜で一斉の研修が行われたと聞きますが、現実は、全員が全員参加しているわけではないですね。各検査所からの代表選手が来てそれを学んで帰る。私は、やはりエライザ法というのは、若干熟練度によって誤差値が出る、先ほど御答弁がありました。そうすると、直接研修を受けた人と、その又聞きじゃないけれども、今回来なかった人たちの間でやはり若干差が出てくるんではないか。
私たち神戸市のところでは、神戸市の保健所から専門官が三名、今回助っ人で行くわけですよ。応援体制をとっている。しかし、地方自治体によっては、その応援体制ができないところもあると思うのですね。要するに、十八日一斉に始めるということでありますが、現状、なかなか各所において状況はまちまちなのじゃないかな、こういうちょっと懸念があるのです。
そのこともちょっと踏まえて、時間が迫ったので、安全宣言を同時にするという、今そういうプロセスになっていますが、私は、安全宣言とかこういう言葉は非常に慎重に使っていただきたいなと。そういう体制づくりを始めるんだという宣言をやっていただきたい。全国まちまちであるなら、十八日というのにこだわらなくても私はいいんじゃないかと。
丁寧に、何か一般の消費者が聞くと、十八日から検査を始めるのに何で安全宣言ができるんだ、こうぱっと思っちゃうわけですよ。当局の方は、そうじゃないんだ、検査体制をしくから漏れがないんだ、怪しいのが市場に出ないんだという安全宣言を言っているつもりでも、消費者の方からすると、何でそんな始めたばかりに安全宣言なんかが出されるんだ、こういう誤解をもう既に生んでいると思うのですよ。
ですから、私はちょっと言葉遣いというのは、今回なぜこういうことを言うかというと、きょうの午前中でも質問されていたけれども、牛肉という言葉は、肉用牛と乳牛というのを区別して使われていないんですよ。肉骨粉だって、英語で言うと、ミート・ボーン・ミールとチキンミールというのを全く一緒になって使われているんですよ。もうその段階で実は風評被害というのができていて、言葉というのは物すごく大事だ。
安全を証明されているわけじゃないわけですよ。安全な体制をしいたということを宣言するわけだから、その辺は物すごく、消費者の側でどう考えるかということをぜひ感知、考えていただいて、僕は、決して焦らないでやっていただきたい。スタートするといっても、やはり屠場からの出荷頭数も相当制限しながらやるんだと思うので、ある意味では試運転だと思いますよ、その体制の。物の試運転というのは、やはりちょっとやってみて、いろいろミスが出たりとかノウハウが出たりとかして、初めて軌道に乗るというのが事の常だと思うので、私は、十八日から始めるということは告知してもいいけれども、それを即安全宣言とつなげるのはちょっといかがなものかという意見がありますので、それだけ言っておきます。答弁は要りません。
同時に、その安全宣言の出し方なんですけれども、大臣も厚生労働大臣も、この前、テレビの前へ何回も出ていただいたり、牛肉を食べていただいたりとかしますが、あれは余り、今の消費者にとってなかなか効果は低い。大臣みずから言われていたところもありますが、その努力については、私は敬意を表しますが。
私は、十八日から始める、やはりある程度のデータがそろったと、これは消費者の側の方ですよ、食する側の立場に立った安全宣言は、少し満を持して、慎重を期して出した方がいいと思う。二段階でやるべきだと思いますよ。厚生労働省の検査体制の宣言はするべきだと思うけれども、それを受けて農水省として、さあいよいよこれから本当に日本の肉は安全だ、こういうことを高らかにやはり宣言するべきだ。そのときには、同時に学校給食もぜひ解除させる。
そのときには、やはり国民的スター、英雄、スターを、テレビを使って政府広報でどんどんやるべきです。悪いけれども、こういうビラじゃ、これはやはり、努力も、すごいいいビラだと思うけれども、なかなか国民には徹底されませんわ。だから、国民的英雄、高橋尚子さんとか、千葉県のことだから長嶋茂雄さんとか、ちょっと読売に絡んでいるから使えるかどうかわからないけれども、だれもが、影響力のあるスターを、やはり、テレビ、政府広報で絶対使うべきだと思う。これは、僕はぜひ、党としてもずっと農水省にお願いをしているんですけれども、テレビをうまく、うまくというより有用に使う、ツールとして利用するべきだ、活用するべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○武部国務大臣 貴重な御提案だと思いまして、そのことを参考にして対応してまいりたい、かように思います。
私がテレビに出れば出るほど、何か風評被害が広がるんじゃないかな、こんなふうに自分自身を責めなきゃならぬような最近の心境です。
それから、私も牛肉を食べているところをテレビに撮ってもらおうなどというパフォーマンスをやろうと思っていません。パフォーマンスでそんなもの解決するなんて思っていないんですけれども、せっかく北海道の国会議員と千葉の国会議員が牛肉を食べる会をやっていただいたので、御案内いただいて行って、行きましたら、カメラマンが、大臣、もう一度食べてください、大きな口で食べてください、安全だと言ってください。私はサービス精神旺盛ですから、坂口大臣と一生懸命食べましたが、後で考えてみると三百グラムぐらい食べたんじゃないかな、こう思うほどにたくさんいただきましたけれども、おっしゃるとおり、そういうパフォーマンスじゃなくて、やはり着実に一つ一つの事実というものを知っていただく努力、それが非常に大事だと思います。
試運転といえば、今現在が試運転だと思うんですね。もともと、牛肉、牛乳・乳製品は大丈夫なわけですし、また、今は危ない牛はもう全く外に出ていかない、脳とか目とか脊髄とか回腸遠位部というのは、除去して焼却してしまっているわけでありますから。ですから、そういう意味では、十八日というのは、坂口労働大臣ともよく相談しますが、全頭検査体制、これははっきり言って、EUもそれほどまでやっておらない高い水準の体制で検査が始まります。そして、消費者の皆さん方には、絶対心配な食肉等は出回らない体制をつくり上げましたというようなことを申し上げる場だ、このように思っております。
○赤羽委員 学校給食においても、今は非常に抑制的になっているので、それを解除するような、各都道府県教育委員会に働きかけていただくようにお願いしたい、文部省に一言答弁をいただければと思います。
加えて、経済的な側面のバックアップというのは大変必要だというふうに思います。中小企業庁を初め農水省も、今回のつなぎ融資ということでは随分御尽力もいただいておりますが、現状、県の信用保証協会なんかは、窓口担当者ぐらいになりますと、やはりちょっと、今までの流れの中で通常どおり考えている、セーフティーネットとしての債務保証のプラスアルファという感覚がまだまだ徹底が薄いという市民相談も随分いただいていたりしておりますので、これは、当然中小企業庁から全国にもう指示が出ていると思いますが、そういった実例があるので、ぜひ、改めてきょうの機会を機に御徹底いただきたい。
文部省と中小企業庁から、短く端的にお願いします。
○遠藤政府参考人 関係省庁からアピールあるいはいわゆる安全宣言といったようなものが出された段階におきまして、各都道府県教育委員会を通じまして、学校や市町村教育委員会に速やかに必要な措置をとってまいりたい、こう思っております。
○小脇政府参考人 お答えいたします。
私ども中小企業庁といたしましては、食肉小売店等々の関連中小企業者の方々につきまして、資金繰りの悪化等の問題が懸念されるというところから、去る十一日に、これら関連中小企業者の金融機関からの借り入れに対しまして、通常の信用保証の別枠等を設けるセーフティーネット保証の適用を告示し、先月の二十一日にさかのぼって適用いたしたところでございます。
本告示につきましては、同じく十一日付で、私ども、全国信用保証協会連合会を通じまして、各都道府県の信用保証協会への通知を行ったところでございます。
また、農林水産省が新たに創設した低利融資制度に関します民間金融機関等の融資につきましても、信用保証の申し込みがあった場合には適切に対応するよう、信用保証協会に対しまして、同制度の趣旨あるいは具体的内容について周知徹底を図ってきているところでございます。
今後とも、これらの制度の一層の周知徹底を通じまして、関連中小企業者に対する円滑な資金供給を確保してまいりたい、このように考えているところでございます。
○赤羽委員 さらなる徹底をお願いしたい。
それに加えまして、牛肉の流通在庫についての補償の問題とか、また、販売促進をやると思うんですよ、食肉店は。そのときに、販促キャンペーンに対する助成金なりなんなりを、ぜひ農水省としても知恵を使ってやっていただきたいと思います。
本当は、ちょっと、時間があれば御答弁もいただきたいんですが、残された時間で、もうほとんどないんですが、肉骨粉の問題について簡単に聞きたいと思うんですが、私、肉骨粉、今回犯人というふうな推定でされておるんですね。ここは、正式にクロになったわけじゃない、かなりクロに近いグレーだということで話が出ている。しかし、よく考えてみれば、この前、大臣答弁にもありましたが、問題は輸入の牛の肉骨粉であって、鶏や豚を原料とした、その残滓を原料とした肉骨粉は科学的には問題はない、こういうふうにされている。
こんな中で、今、混合していることを回避させるために、いわゆるレンダラーには販売禁止している、しかし、製造させて焼却をするんだ、こういうスキームで、十月四日からそういう指示が出ているわけですけれども、現状は、各都道府県、粉状のものを処理できませんよ、だから一般廃棄物としてとても焼却場では受けられませんよ、こんな話が出ている。レンダラーとしても、肉骨粉をつくって、それの処理は、焼却はできなくなっている。現状、二つ問題がある。
総務省にもお答えいただければと思うんだけれども、三分の二は国費で、三分の一は地方交付税で、こういうような話であった。地方自治体の負担でという話ですが、そこについては、本当に、各都道府県の知事が反対だなんて言っているので、そこを担保をとれているのかどうかが一つと、もう一つ、これは提案でもあり彼らの声でもあるんですが、焼却までこういった状況の中で各レンダラーにさせるというのはちょっと私は無理があるんじゃないか、製造させた場合、近くの倉庫に納め込め、そこから先は行政の責任でやる、これは、やはり責任ある態度じゃないかというふうに思うんですが、この二点について、ぜひお答えをいただきたいと思っています。
○武部国務大臣 けさほど二田委員からも同じような御指摘がありましたが、今度は法的規制になりました。つまり、国が責任を持って肉骨粉の製造、出荷を停止させるわけであります。そういう意味では国の責任は重い、かように思います。
しかし、こういった問題をなくしていくということについては、地方自治体と一体になってやっていかなきゃならないということで、地方自治体にも三分の一持ってもらって、それについての特別交付税等には総務省の御理解もいただいてお願いするということをしておりましたが、今、きょうじゅうには結論を出したい、こんなふうに思っておりますが、全額国が負担する、そういう努力をしてみようということになっております。今それを詰めさせております。
それから、レンダリングの問題でございますが、委員御指摘のようなことは、多々、数々あります。したがいまして、これは我々も丁寧な対応をしてまいりたいと思っておりますが、しかし、いずれにいたしましても、レンダリング業界の皆さん方の協力なしにはやれないということでございますので、協力をいただく場合にはそれなりの対応も当然国としてしなきゃいけませんし、御提案を踏まえて検討してまいりたいと思います。
○赤羽委員 今の提案は実は短期的な提案でして、それにさらに加えて最後に一点だけ御提案したいんですが、牛を原料とするミート・ボーン・ミールについては、豚とか鶏を原料とするミート・ボーン・ミールについて、これはもう別のものだと。それは屠場では別々のラインとして出てくるわけですから、レンダラーのところにもツーライン、施設設置しろ、そういうことで混入は絶対避ける。こういったことを三カ月なり半年間かけて、レンダラーの業界にも協力をいただいて、そしてその暁には、今飼料安全法の省令改正の中で、実は豚と鶏の肉骨粉全部含めて禁止になっていますが、そのときは速やかに、豚と鶏の肉骨粉については正常時に戻す、こういった措置をとられるように、その視野を入れてぜひお願いしたい。
その際には、融資額が今四千万の枠で特例つなぎ融資ができていますけれども、ラインをもうワンラインつくるとなるとかなり額としては大きなものになるので、その点も踏まえてぜひ特段の措置をとっていただきたいと思います。
○武部国務大臣 私どもとしては、補正予算でも措置すべく要求しようということに相なっておりますし、専用のラインでレンダリング処理を行った場合の肉骨粉の飼料としての利用のあり方等を含めて検討したい、かように思っておりますが、厚生労働省と共同で主宰しておりますBSE対策検討会、こういったところでも御意見をいただいて、助言をいただいて対応してまいりたい、かように存じます。
○赤羽委員 ありがとうございました。
○鉢呂委員長 次に、山田正彦君。
○山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
大臣、副大臣、いずれでも結構ですが、私は、若いころから十数年、牛だけで四百頭、豚だけで年間八千頭を出荷しておりましたので、いわゆる畜産を実際にやっていた者でございます。そういう中で、今の現況というのは、もう何度もいろいろな質問もあって、現況は大臣もよくおわかりだと思います。どうしてこうなっていったのか。ひとつ大臣に、虚心坦懐にお答えいただきたいと思います。
まず私の質問は、一九九六年イギリスで、狂牛病が人間にも変種のヤコブ病として感染するんだ、そういうことがほぼ明らかになった時点で、一体それまで肉骨粉というもの、これを日本はいわゆるイギリス初めEU諸国からどれくらい輸入しておったのか、輸入していなかったのか。まず、それについてお聞きしたいと思います。
○武部国務大臣 財務省の貿易統計によれば、一九八六年から一九九五年までにEUから我が国への肉骨粉の輸入量は、イタリア、ドイツ、ベルギーの三カ国から計七百九十四トンとなっております。
その後、一九九六年から二〇〇〇年までについては、デンマーク、イタリア、オーストリアの三カ国から、国際基準、湿熱百三十三度、二十分、三気圧に沿って加熱処理したものが輸入されており、五年間の累計で、デンマーク三万一千トン、イタリア五万五千トン、オーストリア四百八トンの計八万六千トンとなっております。
二〇〇一年以降は、EUからの肉骨粉の輸入は停止され、輸入実績はございません。
今、英国の話がございましたが、これは当初、三百三十三トン輸入されていた、そういう議論がさまざまな委員会での指摘もございました。私ども、英国に九月二十七日に職員を派遣いたしまして調査いたしましたところ、これはフェザーミール百六十六トンである、他については入力のミスだ、こういうような英国側の担当者の説明でありまして、これはファクスはもう来ておりますけれども、正式に文書で、もう向こうは一週間ほど前に送ったという連絡を受けておりますから、近々それが正式に回答としてあるだろう、かように考えております。
○山田(正)委員 私がこうして調べたところによりますと、一九九六年に百五トン、イタリアから入れておりますが、その前九五年には二十一トン。九四年にはEU諸国からゼロ。そういったように、九六年までEU諸国からは、これは推計で合わせると十年の間に何百トンかなりますが、ほとんど肉骨粉を入れていなかった。ところが、一九九六年以降、著しくいわゆる輸入量がふえてきている。例えば、一九九九年、イタリアから約二万トン、一万九千百九十二トン。さらに昨年は、デンマーク、EU諸国から二万五千七百トンというこれだけの輸入が激増しているわけです。
大臣にお聞きしたいんですが、一九九六年当時、EU諸国では、この肉骨粉、例えばイギリスを初めどういう規制がなされておったか。それを通告しておったんですが、お答えいただければと思います。
○武部国務大臣 EU、英国では、一九八八年、反すう動物由来の肉骨粉の反すう動物への給与禁止。一九九六年、哺乳動物由来の肉骨粉の反すう動物への給与禁止。二〇〇一年、肉骨粉のすべての家畜への給与禁止。フランス、ドイツ等は、一九九四年、哺乳動物由来の肉骨粉の反すう動物への給与禁止。二〇〇一年、肉骨粉のすべての家畜への給与禁止。こういうことだそうであります。
○山田(正)委員 お聞きしたいのは、いわゆる行政指導で、肉骨粉を反すう動物に食べさせてはいけないという行政指導、例えば日本がやっている単なる行政指導なのか。例えば罰則、イギリスにおいては、一九九六年、既に農場での所持まで罰則をもって禁止している。そうすると、そういう意味での法的規制、刑罰を処している。それをEU諸国は、いつからどのようにやっているのか、それを詳しくお教え願いたい。
○鉢呂委員長 政府参考人の指名はありませんので……。
○山田(正)委員 大臣、副大臣以外の答弁はだめです。
○武部国務大臣 禁止はすべて罰則規定があるということです。
○山田(正)委員 例えばイタリアにおいて、フランスにおいて、デンマークにおいて、何年からその法的規制、罰則を定めて肉骨粉の使用を禁止されておったか。質問通告してあるはずです。千九百九十何年からか。
○武部国務大臣 今話をいたしましたように、英国では、一九八八年、反すう動物由来の肉骨粉の反すう動物への給与禁止。一九九六年、哺乳動物由来の肉骨粉の反すう動物への給与禁止。二〇〇一年、肉骨粉のすべての家畜への給与禁止。フランス、ドイツ等は、一九九四年、哺乳動物由来の肉骨粉の反すう動物への給与禁止。二〇〇一年、肉骨粉のすべての家畜への給与禁止です。
○山田(正)委員 となると、一九九四年から、例えばフランスとかイタリアとかEU諸国においては、既に肉骨粉はいわゆる使用を禁止されておった。そう確認してよろしいのかどうか。
○武部国務大臣 今、答弁したとおりでございます。
○山田(正)委員 であったら、それ以後、一九九九年、また一九九八年、特に一九九八年、物すごい量の肉骨粉が輸入されておりますが、これについては、いわゆるEU諸国では既に禁止になって刑罰まで処せられたものを、何で日本においては、農水省においてはその輸入を認めたのか。
○武部国務大臣 それは、加熱処理条件が、これは英国、アイルランドは、湿熱百三十六度、三十分、三気圧以上。スイス、フランスは、湿熱百三十六度、三十分、三気圧以上。デンマークは、湿熱百三十六度、三十分、三気圧以上、一九九八年七月一日条件変更いたしまして、湿熱百三十三度、二十分、三気圧。ドイツは、湿熱百三十六度、三十分、三気圧以上、一九九八年七月一日条件変更で、湿熱百三十三度、二十分、三気圧。イタリアは、湿熱百三十六度、三十分、三気圧以上。英国は、これは一九九六年三月二十七日から輸入停止です。オランダ、ベルギーは、湿熱百三十三度、二十分、三気圧、こういうことですね。
つまり、湿熱、いわゆる加熱処理条件を国際基準に照らして、それに合わせて輸入しておるということであります。
○山田(正)委員 今現在、この狂牛病については、実際に正確に肉骨粉によるものかどうか、まだ未知な部分が非常に多い。それを、三気圧、例えば百二十度Cで二十分以上加熱したら大丈夫だとはっきり言えるものでもない。諸外国においては、例えばアメリカとかオーストラリアにおいてはそういった肉骨粉を輸入しているのか輸入していないのか、そういう気圧でもって。みんな各国とも法律で規制しているのではないのか。その辺について、大臣、どうお答えになりますか。
○武部国務大臣 豪州、アメリカは輸入していないということです。
○山田(正)委員 では、豪州、アメリカは何年からそういう肉骨粉についての輸入を法的規制し、刑罰を定めて輸入もやっていなかったのか。
○武部国務大臣 一九九七年から、米国が哺乳動物由来のたんぱく質の反すう動物への給与禁止、米国が欧州全域からの反すう動物及びその肉の輸入禁止、これは十二月からです。それから、二〇〇一年、豪州、ニュージーランド、韓国等がEU諸国等からの肉骨粉等の輸入禁止。ちなみに、我が国も二〇〇一年から、反すう動物由来のたんぱく質の反すう動物への給与禁止、国内での肉骨粉の――そういうことです。
○山田(正)委員 アメリカにおいてもオーストラリア等においても、いわゆる国内での法的規制は一九九七年から始めているようですが、また、輸入においてもかなり禁止してやっているようですが、それについて、日本は、いわば三気圧、そして百二十度Cで二十分加熱すれば大丈夫だとか、そういう形で輸入したことについて、いわば各国とも大変厳しい規制をしているときに、それを、それくらいなら大丈夫であろうという考えでやったということに対しての、農水省そのものは、いわゆる任務懈怠というか、十分安全に注意しなければならなかったのにそれを怠ったのではないか、そういう懸念は、大臣、ありませんか。
○武部国務大臣 何度も申し上げておりますように、認識の甘さということは、これはもう今度の問題の一番大きな原因だ、このように思っております。
ただ、委員に申し上げますけれども、英国は、一九八六年に初めて発生して、十八万頭余になっている。イギリスはこれだけ大発生したというのも、初期段階の対応の甘さということではないかな、私はこう理解しております。それから、EUは、一九九一年にフランスで初めて発生して、その後二千二百頭余りになっておりまして、すべての家畜に肉骨粉を禁止したのはことしであります。
したがって、そういったことを考えますと、私は、認識の甘さということは否定できませんが、一九九六年の段階で我が国が法的規制をしなかったとか輸入を全面停止しなかったとかということが、これはもう行政責任としてどの程度問われるのかということについては、これは厳しく受けとめなきゃなりませんが、それでは、行政指導が法規制と比較して許せない措置だったのかということになれば、これも先ほど来お答えしておりますけれども、行政指導を徹底していなかったということは、これは言えると思うんです。しかし、行政指導で立入検査も飼料工場等やっておるわけですね。それから、巡回指導もやっているわけです。
山田委員も牛や豚をお飼いになっているとおっしゃっていますけれども、私も、身近なところで酪農家等の友人もたくさんおります。私の知る限りでは、彼らは、自分の飼っている家畜は、自分たちの生活を支える、自分たちの将来にかかわる大事な財産だということですから、私は、これは原理原則に戻る話になってくると思いますよ。
そういうようなことも考え合わせて今後の対応をしっかりやっていかなくちゃいけないな、このように思っています。
○山田(正)委員 これを幾ら言ってももうこれ以上しようがありませんが、イタリアでは既に一九九四年の十月に、輸入牛ですが、狂牛病が発生し、デンマークでは九二年の八月には発生している。そして、国内牛で発生したのが、デンマークは二〇〇〇年の二月二十八日。ところが、デンマークから二〇〇〇年に二万五千七百六十八トンの肉骨粉を輸入している。こんなばかなことを許しているということは通常考えられないことであって、これは本当に農水省の責任は免れない、そう思っておりますが、次に質問いたします。
これらの肉骨粉は、一体どの業者がどれだけ、どれくらいの価格で輸入したものか。
○武部国務大臣 輸入肉骨粉を徹底解明する必要がある、私はかように思っておりまして、個人情報保護法ができて、商社の名前については公表することはできないとされているところではありますが、私は、やはりそこまで追求していく必要がある、こう思っております。公表できないとはいいながら、輸入肉骨粉がどこの国からどういう経路をたどってどういう商社が輸入したか、そしてそれがどのような販売ルートで販売されていったか、どのように使われたかというようなことはきちっとしなきゃならぬという認識は持っております。
金額なんかは言わなくてよろしいですか。
○山田(正)委員 私が聞いているのは、どの商社がまずどれだけ入れているか、質問通告してあったので、それを今この場で明らかにしてほしいと言っているわけです。
○武部国務大臣 それは明らかにできないというのは、商社の名前については個人情報に該当することから公表することができないとされておりますので、できないということを申し上げているのです。
○山田(正)委員 個人情報だから発表できないということですが、それは法律の何に基づいているわけですか。
○武部国務大臣 個人情報保護法ではないです。失礼しました。情報公開法では、法人等に関する情報について、公にすることにより、当該法人等または当該個人の権利、競争上の地位、財産権その他正当な利益を害するおそれがあるものは公開できない。ただし、同法において、人の生命、健康等を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報は公開しなければならないとしている。
外国から肉骨粉を輸入した業者は、家畜伝染病予防法に基づく動物検疫を受け、豚、鶏等の飼料、肥料等に利用することを目的として肉骨粉を輸入したものであり、輸入した肉骨粉を牛への給与、牛の飼料原料等に利用することを目的としたものではないことから、肉骨粉の輸入をもって人の生命、健康を害すると認められるものではないと考えられる。したがって、輸入業者等の権利、競争上の地位、財産権その他正当な利益を保護する観点から、輸入業者の名称は公開できない、かようなことでございます。
○山田(正)委員 今、大臣が読み上げた中に、国民の生命、身体、財産、それにかかわる重要なことであって、それについて情報公開をせずに、個人の情報だからということは許されない。
実際に、千葉で起きた狂牛病については、どこのえさを、どういう飼料を、どこの業者がしたかということは、実際、私の手持ちの資料でも、これは農水省ははっきり明らかにしているじゃありませんか。日本農産加工とか、業者の名前も書いて。それなのに、個人の情報、個人の云々だからということで、輸入した商社の名前も明らかにできない、こんなばかなことはあり得ない。
大臣、それに、私の持ち時間がないのでちょっと急ぎますが、私は、輸入の際の証明書を手に入れましたが、この中に業者の名前が、輸入の際に、いいですか、大臣の手元にあるはずです、私も手に入れたので。その中に、輸入業者は記載されております。ところが、私が国政調査権でもって持ってきていただきたいと言った、いわば検疫のときの輸出証明書については、業者のところをいわゆるマジックで黒く消している。これはとんでもない話なんだ。
大臣、それを今、私が質問通告しておったので、業者の名前を明らかにしないというのはおかしい。委員長、それははっきりと釈明していただきたい、大臣に。
○武部国務大臣 私は、輸入商社等も追求しなきゃだめだ、こう思って、申し上げているとおりです。しかし、これは法によって公表することができない、こういうことですから、公にできないということを申し上げているわけです。
○山田(正)委員 法律では、国民の生命、身体、財産にかかわる重要なことであって、これを公表できないということはあり得ないことであります。
委員長、そのような答弁では私はこれ以上質問できない。はっきりさせてもらいたい。
○鉢呂委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○鉢呂委員長 それでは、速記を起こしてください。
ただいまの山田委員の御質問の件、肉骨粉の輸入業者名あるいは輸入数量等については、後刻理事会で協議をさせていただきまして結論を得たい、このように考えますので、御了解をいただきたいと思います。
山田正彦君。
○山田(正)委員 では、農水大臣にお聞きしたいのですが、いわゆる輸入肉骨粉はトン当たりどれくらいしているのか、質問通告してあったはずです。そして、実際国内の肉骨粉は、今トン当たり、相場、どれくらいか。
○武部国務大臣 まず最初に、私が十二分に知識を持っていないものですから、委員会審議に御迷惑をかけたことを申しわけなく思います。
同時に、私ども、先ほども言っておりますように、徹底究明しようということですから、商社などを隠匿しようと思っておりませんから、このことを御理解いただきたい。
それから、今の御質問ですが、財務省貿易統計によると、EU諸国産肉骨粉のうちイタリア産肉骨粉の価格は、一九九六年ではトン当たり約四万三千円、二〇〇〇年ではトン当たり約二万七千円、デンマーク産肉骨粉については、一九九九年がトン当たり二万円、二〇〇〇年はトン当たり約二万五千円となっております。
一方、EU諸国以外であるオーストラリア産肉骨粉は、一九九六年ではトン当たり約四万円、二〇〇〇年ではトン当たり約二万七千円でありまして、EU諸国産の肉骨粉の価格は、EU諸国以外の肉骨粉の価格と比較して極端に安価ということではないのではないかということでございます。
○山田(正)委員 EU諸国からの肉骨粉ですが、これは一説には、いわゆる英国の肉骨粉、英国とかEU諸国では一九九四年から禁止されていますから、そのものを日本向けに、例えば英国のものはイタリアに、あるいはデンマークに流されて、いわゆる横流しされて日本が輸入したんじゃないかと。いわゆる私は、輸出証明書、先ほど手に入れたんですが、その中に、いわゆる原産地表示がない。いわゆる直接輸出した国だけの表示しかない。となれば、十分イギリスからの肉骨粉の、横流しと言ったら言葉は悪いのですが、いわゆる三国貿易でもって、一たんEU内をデンマーク、イタリアに入ってきて、それを日本が入れた。原産地表示がないのですから、そうなるんじゃないのか。大臣、お答え願いたい。
○武部国務大臣 原産地証明は、義務づけはありませんが、検査証明書により確認可能な場合もあるということであります。BSE発生国由来の肉骨粉は、国際基準に沿った加熱処理が施され、輸出国政府により証明されているもののみ輸入されているということについては先ほどお話ししたとおりでございますが、そういった懸念も当然、私ども考えて、イタリアにもデンマークにも、職員を派遣して今調査させているところでございます。
もう少し詳しく申し上げますと、デンマーク、イタリアからの……(山田(正)委員「時間がありませんので簡潔に、もういいです」と呼ぶ)いいですか。
○山田(正)委員 今大臣は、確かに原産地表示がないものもあるので、そういうおそれがあるということを認められました。だから、それはそれで、今度は輸入した商社、輸入した商社が国内のレンダリング業者に、いわゆるそのまま肉骨粉を販売した、そういうおそれはないかどうか、それを答弁いただきたい。それは質問通告してあったので、それがあるかないか、それをはっきり答弁いただきたい。私は、レンダリング業者に直接当たって調べております。
○武部国務大臣 現在、輸入業者ごとの肉骨粉の輸入量、販売先等について調査をするため、十月上旬から独立行政法人肥飼料検査所が立入検査を実施しているところであります。
これまで、九五年以降、イタリアとデンマークから肉骨粉を輸入した輸入業者八社、全体では十九社ということでありますが、八社について調査しているところでありますが、その販売先は、飼料会社、仲卸会社等がほとんどでありまして、現在のところレンダリング業者の名前は見当たらないという報告でございます。今後、順次輸入肉骨粉の国内での流通経路について徹底調査してまいりたいと思います。
○山田(正)委員 現在のところレンダリング業者は見当たらないと微妙な答弁をいたしましたが、私が質問通告しておったのは、レンダリング業者に商社を通じて出しているか出していないか、その有無をはっきりしろと言っていることであって、それについて答弁できない、何かあいまいな答弁では、私はこれ以上質問できない。
○武部国務大臣 あいまいな答弁じゃないですよ。現在のところ見当たらないと言っているのですよ。私の問題意識は委員と同じですよ。私は、農林水産大臣としてもう前々から皆さん方に答弁しているけれども、輸入業者も徹底究明しようということで、あいまいなことは言っておりません。現在のところ見当たらない、こう申し上げているわけですから、これ以上のことは言えません。現在見当たらないというのは、見当たらないということですよ。
○山田(正)委員 今、狂牛病が発生して、今までにどれくらいの、一月から二月ぐらいかかっているわけで、その間に、いまだに輸入した肉骨粉、問題の肉骨粉だと思われる輸入骨粉がどこに売られたかわからない、はっきりしない、そんなばかなことが、行政の責任者として、農水大臣として今言えるのかどうか。私は許されないと思う、これは。
私がレンダリング業者から直接当たって聞いた話では、レンダリング業者が輸入した商社からそれを購入して、そして国内の肉骨粉がトン当たり四万以上するので、豚とか鶏の肉骨粉に、いわゆる国外から入れた、EU諸国から入れた輸入の肉骨粉をまぜて使った。そして、それを配合飼料会社に売った。(発言する者あり)だから、そういう話がある、私はそれはあえてここでは言わない。しかし、ぜひそれを調べて明らかにしてほしい。もしそれが事実であると、だから当然農水省としては、いまだに一月、二月もたっていて、その調べもできていないということはおかしい。あり得ないことだ。国民に対して無責任だ。それは私は最後に、それを徹底して調べていただかなければいけないということ、農水省は今回の問題に対しては大変な責任がある。国民に対して、生産者に対して、流通業者に対して、消費者に対して。
私の質問時間が、きょう、残念ながらわずかしかなかったので、まだまだいろいろ準備しておったのですが、これ以上質問できないのを非常に残念に思って、ここで終わります。
○鉢呂委員長 次に、中林よし子君。
○中林委員 先ほどから、各委員から農水省並びに政府の責任問題が厳しく言われているわけですけれども、前回、私の質問でも、この責任問題をただしてまいりました。国民の信頼を取り戻すためには、この責任問題はあいまいにはできない、そういうことだというふうに思います。
ここに、日経の十月十三日付の社説があります。この社説で、
現在の状況を招いた責任の所在を明確にすることを避けては通れない。原因の究明と責任の追及なくして、この人災を解決する道はない。責任をあいまいにした弥縫策は、問題を複雑にして長引かせるだけである。人心と体制を一新して出直さなければ、国民の信頼は戻ってこない。
中略ですけれども、
九六年からは牛には肉骨粉を与えないように農水省は「行政指導」したが空振りで、一万頭近くの牛が肉骨粉を食べ続けていた。
八八年、九六年と具体的な危険性が明示されたにもかかわらず、有効な策を講じられなかった当時の農水省幹部の「不作為」の罪は厳しく問われなければならない。不手際を重ねた現幹部の責任も重い。事務方のトップである熊沢英昭事務次官は九六年当時の畜産局長でもある。肉骨粉になっていた疑惑牛を焼却したとした永村武美畜産部長の発言は、国民の行政不信を深めた。
と、具体的固有名詞まで挙げて、このように厳しく指摘をされております。
九六年四月のWHO勧告に基づいて万全の対策をとっていれば、少なくとも今日のような状況を発生させることは防げたというふうに思います。さらに、狂牛病の疑いがあった牛を焼却せずに肉骨粉として流通させた、その後の政府の対応の不手際、これが政府に対する不信、不安を一層招いて、混乱を広げたというふうに思います。
今、私いろいろ歩いているのですけれども、消費者の不信はひとえに政府に向けられているというふうに思います。事実の解明がおくれているのも大変不信を招いているわけですけれども、それは当然やる必要があります。同時に、政府の責任を明確にして、この日経でも指摘をされているように、体制を一新すること、これが形の上で、責任をこのようにとっているのだということを、国民、消費者に向けて発することだ。信頼を回復する上ではこれは必要だというふうに思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武部国務大臣 とにかく、BSE感染牛が出てしまった。そして、そのことに対しての認識の甘さが一番大きな原因であろうということ。さらにはまた、疑いのある牛が発生して、そしてそれが敗血症というようなことで、外に出てしまったということ。もろもろ、極めて遺憾にたえないことがございました。
しかし、私どもは、一番最初に全力を尽くさなきゃならないと思ったことは、やはり検査体制ということが一番大きな問題だということが明らかになったわけでありますから、この検査体制というものにまず第一に全力を尽くす。それから、風評被害、国民の皆さん方の不信を買ってしまったということについて、科学的な根拠では、肉骨粉を鶏、豚に使ってはならないというようなことではありませんけれども、しかし、輸入も、国産の製造、また出荷も一時的に全面停止するということ等の措置をとった次第でございます。そして、十八日、明日からは全頭検査体制というものがスタートするわけであります。
しかし、先ほど来議論がありますように、まだ当該牛がどういう経路で感染したかということの究明がなされておりません。これは、本当に安心していただけるような、我が国の食肉の安全あるいは畜産経営の安定ということを考えたら、どんなことがあっても究明しなきゃならぬと思っております。
同時に、やはりもう一つの問題は、縦割り行政ということが指摘されているわけであります。今までの体制でいいのかどうか。先ほども鮫島委員からも、やはり生産から消費まで一元的な体制をとるように、WTOのどの国もやっているような体制をしくべきだというような御提案もございました。
こういったことも含めて、今後、調査委員会を立ち上げて徹底的に検討していかなきゃならない、こう思っておりますし、そういった検査体制、従来の検査体制といいますか、行政上の問題というものを究明していくと、当然のことながら、今後、どういう新しい体制を構築しなきゃならぬかというようなことも具体化されるであろう、こう思っておりまして、そのような考え方で私どもは取り組んでいきたい、かように考えている次第でございます。
○中林委員 調査委員会を立ち上げて、責任問題も明確にする、こういうことですね。
○武部国務大臣 すべてであります。
○中林委員 そこで、一番国民、消費者の信頼を取り戻す、本当に安心を得られるということは、安全宣言をするとかどうとかというよりも、中身の問題だというふうに私は思います。ここのところが得られなかったら、どんなことをやっても、いつまでも狂牛病問題というのは続いていくだろうというふうに思います。
だから、そのために必要なことは、危険なものは流通させない、食肉、食肉製品、食肉関連商品、これらが安全だと確保されなければ流通させないという、この万全の対応をとらなければならない。そうしなければ、国民はどんなことをやったって安心はできないというふうに思うのです。農水省、厚生省、それぞれ大臣、副大臣、御答弁をお願いします。
○武部国務大臣 危ないものは流通させない、その体制づくりのために今日まで全力を尽くしてまいりました。その考えは今後も同じであります。
○桝屋副大臣 今のこの状況、本当に国民の皆さんに安心をしていただくためには、まさに委員御指摘のように、疑わしいものが市場に流通をしないように万全を期するということが大事だと思います。
先ほどから農水大臣もおっしゃっておられますが、まずは明日、今までも、委員も御案内のとおり、九月二十七日以降、私どもも、例えば三十カ月齢以上の牛は出さないとか、あるいは危険部位を除去、焼却するというような可能な限りの対応をとってまいりましたけれども、いわゆる検査体制ということ、これが明日から全国一斉に動き出すわけであります。この体制の中で、私はまさに安全な肉しか流通をしないということを国民の皆さんに理解いただけるのではないか、こういうふうに思っております。
なお、委員の方から、食肉関連製品も御指摘をいただきました。これもきょうはずっと議論されておりますが、これについても、私どもは十月五日、食品の製造または加工者に対して自主点検をお願いしておりまして、報告をいただくようになっております。近々これが整理されますので、これもしっかりと公表して国民の皆さんに明らかにしていきたい、このように思っておるところでございます。
○中林委員 公表することは当然の、最低の義務だというふうに思うのですけれども、この自主点検、自主回収、なかなかこれで本当に安心だろうかということで、ここにもやはり私は厚生労働省としての規制はかけなければいけないのじゃないかということを申し上げておきたいと思います。
そこで、先ほどから、農水大臣からもあるいは厚生労働副大臣からも、検査体制、あすから全頭検査を行うのだから万全の体制だ、このように言われるのですけれども、その問題の検査体制、私はここに大変不安要因を抱かざるを得ないというふうに思っております。
それは人員体制の問題なんですね。牛の年間処理数、これは九九年ベースなんですけれども、年間百三十四万頭ということで、研修を終えた人数が二百五十人だと。それで、これまで全国で二百六十カ所屠畜場があるわけです。牛をやっているのはそのうち百八十カ所ぐらいだというふうにお伺いしています。そうすれば、人数は何となく足りそうだなとは思えるんです。
しかし、一つの屠畜場で二人とか一人とかそういう人数では到底足らない、これはもう明らかなんです。しかも、これまでずっと出荷をしてきていませんでした、十八日からどっと出荷をしてくるということでは、やはり検査員の方々の労働強化になりかねない。あるいは休みのときもあるでしょうから、そういうときどのようにカバーしていくのかということでは、さらなる研修。
その二百五十人の人が各県に散らばってそこでさらに教えていくんだということでは、やはり専門的な研修ですから、厳正な検査が必要なところで、私は、厚生労働省が責任を持ってさらに研修員をふやしていくんだ、こういうことを早急にやらなければならない。お伺いすると、全国にと畜検査員は二千三百人いらっしゃるわけで、この方々、随時やはり研修対象にして検査員の数がふえていくということは当然必要だというふうに思います。
同時に、検査の結果が出るまで屠体を屠畜場にとめ置きすることになるわけですけれども、施行状況がどういうふうになっているのか。これも厳重に検査をして、その結果は公表すべきだ、このように思いますけれども、厚生労働副大臣、いかがでしょうか。
○桝屋副大臣 明日からの体制について本当に御心配をいただきまして、ありがとうございます。
私どもも、実は、できるだけ急いでという思いと、それから委員が御指摘になったように、やる以上は本当に国民の皆さんに安心をしていただける体制をつくらなければならぬということで、本日まで大変な苦労を各都道府県の皆さんと連携をしながら取り組んできたところであります。
委員からお話がありましたように、十月の二日から今日までで二百五十名のと畜検査員の研修を終えております。これについては、大丈夫かという御指摘もありましたけれども、ともかくも十月の十八日からやるということを、一定の方向を決めて、本当に今まで準備をしてきたわけでありまして、全国の検査を実施いたします。いわゆるエライザ法でスクリーニング検査をいたします。すべての食肉衛生検査所等から少なくとも一人は参加していただくということで実施したものが、この十月二日から十六日まで行いました二百五十名の方々でございます。
今委員からそれだけで大丈夫かというお話もありましたが、十八日からの体制はまずはこれでさせていただいて、もちろん帯広畜産大学の品川先生からもじかに研修を受けたそのお一人お一人が、さらにまたみずからの屠畜場においてグループで研修をするというようなことをさせていただいて、なおかつ詳細な検査マニュアルあるいはCD―ROM等を配付いたしまして、完全な体制ということをきょうまでやってきたわけでありまして、とりあえず全国一斉の検査体制は整ったというように私は考えているわけであります。
なおこれから、十八日以降、全体の流れがどうなるか、これは予断を持ってただいまこの場で論ずることはできませんけれども、もちろんその後の動向を見ながら、委員の御指摘も踏まえて、必要なものはもちろん重ねて研修もするし重点化を図っていかなければならぬというふうには思っているところでありますが、まずは十月十八日、明日から全国一斉の検査体制は整ったということはどうぞ御理解をいただきたいと思います。(中林委員「もう一つ質問あります。検査を厳重にすることと公表。とめ置きして……」と呼ぶ)はい、わかりました。御心配いただいて済みません。
それで、今回のエライザからウエスタンブロットの検査に行くまで、どこで公表するかということでありますが、先ほどから申し上げておりますように、最終確定診断がされた段階で公表する。それまでは、もちろん、エライザで陽性になって確定診断に送る、確認検査を行う、その段階では屠畜場においてそれは、肉等は保留をされるということでありますから、食肉が出回ることはないというふうに考えております。
○中林委員 私は、本当に全部国民の前に明らかにして信頼を得るということが必要だと思うのですね。だから、第一次分じゃなくて確定してというふうに方針が変えられましたけれども、最初は、厚生労働大臣が第一次分でも発表する、ああ非常にいいなというふうに思っていたんですよ。そのくらいの覚悟で、本当に洗いざらい国民の皆さんに出して、そして安全なんだ、安心なんだよというところをかち取っていく必要があるということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。
今回、研修中に疑似患畜が出て、検査の結果陰性だったので、本当に私もよかったというふうに思っているんですが、しかしこの問題でも消費者に大変不信を投げかけたというふうに思います。検査していた牛がどこのものなのかわからなかった、わかった時点では既に枝肉だとか内臓は流通していた、こういう問題があるわけですから、そういう意味で非常に屠畜場の中の厳正な検査だとか公表というのは必要だというふうに思うんです。
そこで、ここは農水省にお伺いしたいというふうに思うのですけれども、一頭ずつの牛について、どんなえさを、いつ、どのくらい、どんな方法で与えたかなど、個体管理のデータがすぐわかるような一頭ごとの履歴を管理する牛の個体識別システム、この早期導入が強く求められているわけです。これは牛の流通を透明化することによって消費者の信頼を確保する上でもどうしても必要だというふうに思うのですけれども、ぜひやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○小林政府参考人 今のお話でございます。農林水産省といたしましても、こういった伝染病発生時の迅速な個体の追跡の一つで、これは非常に重要でございまして、牛についての移動履歴を把握できる体制の整備ということを進めております。
これは一頭の牛に生涯唯一の番号をつける、耳標でございますが、それがありまして、そこで生年月日、所在地、移動情報、こういった情報を一元的に管理する家畜個体識別システムということでありまして、実は平成九年度にモデル事業を進めております。今年度からはこれを全国的に本格実施するというための事業を開始しておりまして、このシステムの開発なり具体的な実施計画の作成を進めているところであります。
今回、BSEの患畜確認ということがありまして、これを受けましてこの構築にさらに一層努力していく、そういった体制を進めているところでございます。
○中林委員 今農家の皆さんが、畜産あるいは酪農を続けられるかどうかという瀬戸際のところに立っております。これまで私もずっと言ってきましたけれども、国民には、いわんや農家には何の責任もない。
農水省が第一次BSE関連緊急対策というのを出されました。これを出されたのを受けて、日本共産党国会議員団は、全国で農家の皆さんの声などを聞いてまいりました。
私の地元の島根県に、真ん中の辺に三瓶山というところがあります。この三瓶のふもとに戦後開拓をして畜産や酪農を営んで、二世が今そこで経営をやっております。この方々の意見を聞いたら、災害に遭って、土砂崩れの下敷きになっているのに救援隊が来ないような状況だ、こういうことをおっしゃって、この年が越せるかどうか大変心配しているというふうにおっしゃいました。
兵庫県、但馬牛の産地では、競りは十一月がもっと厳しくなるのではないかと心配している、国の対策を求める、我々も生きるのが必死だ、こういうことをおっしゃっております。
岩手県、前沢牛の産地胆沢で、安全になるまで何カ月かかるかわからない、牛舎にロープをかけなければならないかもしれない、こういう声が寄せられました。大臣、ロープとは何か。これは自殺用のロープという意味なんですね。この前沢牛の岩手県の胆沢地域というのは、牛肉・オレンジの輸入自由化のときに、牛肉の自由化に体を張って抗議すると遺書を残して自殺された地域でもございます。まさにそのときに匹敵する打撃を今農家の方々が受けている。
本当に日本の畜産、酪農、これを頑張って続けてほしいというためでは、第一次分、これではやはりだめだよと皆さん、農家の方がおっしゃるわけです。そこを踏み越えてさらなる対策がどうしても必要だというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○武部国務大臣 けさほど二田委員からも同様のお話がございました。
私ども、今大変大勢のさまざまな方々、生産者はもとより卸売業者、あるいは外食産業、その他中小企業の皆さん方、そして一番お困りなのは消費者の皆さん方だろう、このように思っておりますが、特に、今お話ありました生産者サイドにおける第一次対策に加えて、調整保管による市場隔離の検討についても現在準備しております。
これは、あすから全頭検査開始ということになりますと、やはり十八日からの牛は大丈夫だけれども、今までの牛はというのは当然、これは安全な牛でありますけれども、安全な食肉でありますけれども、消費者心理という問題があろうか、こう思うんです。したがいまして、一時的に調整保管というような形で保管して、そして、我々も一生懸命努力しますし、少しずつ、消費者の理解や国民の理解が得られる段階で、こういったものも市場に出せるのではないか、このように思っているわけでございます。
そういったことも検討しておりますし、なおかつ現行のマル緊事業では対応できない物財費も賄えるような、そういう収益の悪化に対して機動的に補てんする仕組みも措置するというふうに考えていることもけさほど二田委員の質問にお答えしたところでございます。
それから、まだこれは質問はないかもしれませんが……(中林委員「後で具体的にしますので」と呼ぶ)そうですか、それじゃひとつ。
○中林委員 そこで、畜産事業団による調整保管というのは、価格下落対策としてはこれまでもとられてきた対策なんですね。今、実際肉がどのくらい下がっているかというと、三割から五割価格下落になっている。こういう中では、私は、当然この調整保管というのは生産者団体の申請に基づいてやるわけですから、そこまで待たないで、今政府の責任で直ちに買い上げというやり方、これに踏み切るべきだというふうに思うんです。
畜産物の価格安定等に関する法律第七条二項、ここには「事業団は、中央卸売市場において、指定食肉を買い入れることができる。」こういう規定がございます。過去、この規定に基づいて買い入れをしたのは、豚肉に対して、一九六二年に十一万トン、一九六六年に八十八万トン余ですね。これを事業団が買い入れを行った実績。その当時も大変だったんですけれども、しかし、買い入れによって価格が回復しているんですね。今回もやはりちょっといつまで続くかわからないということはあるんですけれども、それ以上の打撃を畜産、酪農家は受けているということですから、法律がある以上、やはり政府の買い入れ、これを要求したい。
それから、調整保管、やる考えだとおっしゃったんですけれども、その際の政府の助成、ぜひやりやすくしていただくためにやっていただきたいというふうに思います。まずこの点、いかがですか。
○武部国務大臣 先ほど機動的に対応するように検討したいと申し上げましたのは、ただいま委員御指摘のような事業団による買い入れも必要に応じて検討してまいりたいということでございます。
○中林委員 もう一つ具体的にお伺いします。
この買い入れの問題と同時に、価格制度として唯一あるのが、先ほど言われたマル緊、肉用牛肥育経営安定制度、これがあるわけですけれども、これについては増額も考えるとおっしゃっているわけですね。その増額が必要だと私が思うのは、これは保険的なものですから、農家も掛けなければならない。一頭当たり大体八千円ぐらいというわけですね。
それで、補てん金も家族労働費の範囲内でということで八割の補てんということになっているんですけれども、これは今頭数で六割、農家では二割程度の加入と聞いております。そうすると、この際、緊急に加入したいという農家が出たときに、政府は立てかえていただけて、そして安定するまでそれを返すのを待っていただけないか。それから、今一対三の割合なんですね、これが。だから、政府の拠出金の方を増額していただきたい。
それから、支払いが三カ月に一回ということで、今、年が越せるかどうかというときに、一カ月ごとに支払ってほしい、こういうことになっているわけですけれども、大変具体的な要求で、前向きの回答をいただきたいと思います。
○小林政府参考人 先ほど大臣からお答え申しましたように、今ありますいわゆるマル緊事業だけでは対応し切れない、そういった状況が出てくるという、それに向けまして機動的な措置を講じていきたい、そういう考え方でございます。
それで、今のマル緊事業、これは今あるものですね、今のマル緊事業は、御承知のように、家族労働費の差額の八割補てん、これはまさに農家の自主的判断で加入していただいて、その経営状況に応じて支払っていく、こんな仕組みですから、これはこれで今の、まさにうまく運用されているということだと思います。
ただ、それを超える部分、それをさらに超えた大きな影響が出たときに、そこをいわばマル緊の、さらにそれを補完するような新しい措置でやっていきたい。その仕組みにつきましては、まさにこれから、現在今検討しているところでございます。
どういった対象かということになりますれば、今のマル緊は、先ほど申しましたように、農家の自主的判断の加入ということでございますけれども、この新しい機動的に補てんする仕組みということにつきましては、BSEの影響を受ける肥育農家全体、そういったことを含めて検討したいというふうに考えております。
○中林委員 農家の皆さんからいっぱい要望を聞きました。残り時間がわずかになりましたので、三点具体的にお答えいただきたいと思います。
酪農家にとって初生牛、ぬれ子ですね、この価格の下落が今大問題になっていて、緊急に肉用子牛生産者補給金制度、これにはぬれ子が入っていないので、ぜひ対象にしてほしいというのが一点。
それからもう一点は、二歳以上の牛一頭当たり被害補償ということで五万円、この補償を考えていただけないかという点です。
それからもう一つ、大家畜経営維持資金、これは一・六%出ていましたけれども、やはりもうこの一・六%の利息も重いよと、大変借金抱えているわけですから、当然無利子、これが要求となっております。
手短に御回答いただきたいと思います。
○小林政府参考人 今、ぬれ子についてまずお話が一つございました。
BSEの発生の中で、まさにこの検査体制が整備されるまでの間、肥育牛の出荷繰り延べ、そういう経緯もありまして、子牛の出荷の停滞の影響が出ているということでございます。
ぬれ子に関しましては、まさにあした以降の検査体制の確立の中で、肥育牛それから子牛の出荷が進展する、そういう中で乳用牛育成経営のぬれ子導入意欲も促進されるということをまず期待しております。それから、酪農家に対しましては、みずからがぬれ子の哺育育成を行う際にはそれの対象になります。
いずれにしましても、今後、ぬれ子につきましては、乳肉複合経営体質強化事業というようなもので、おおむね一カ月哺育すれば七千円、六カ月で一万四千円、こういった奨励金でもありまして、こういったもので対応しているところでございます。
それから二つ目の、出荷抑制のための飼料代の関係で、二歳以上の牛一頭につき、いろいろなまた対策を打とうかというお話がございましたけれども、こちらにつきましては、先ほどのマル緊事業、これがまさに肥育経営の、いわばそういった経営の悪化に対する対策ということにつけておりまして、その対策の充実ということで対応していきたいというふうに考えております。
それからもう一点、貸付金利の問題がございました。
大家畜経営維持資金でございますが、一・六%でございます。これに対しまして、国の方の一・六にさらに都道府県の方で上乗せ利子補給を行っていただいて貸付金利を引き下げるということで、現に北海道、熊本、宮崎といった県の方で無利子化に取り組んでいただいております。
引き続き、こういった地方レベルでの支援協力が得られるように、私ども協力を呼びかけていきたいというふうに考えております。
○中林委員 五万円という被害補償を唐突に私が出したというふうに大臣ひょっとして受けとめていらっしゃるかもわかりませんけれども、但馬牛のところでは、町を挙げて五万円の根拠も出しているわけですね。
だから、これは今回、私は、そのぐらいは政府は思い切った対応をしないと農家は納得しないんじゃないかというふうに思いますので、最後、ちょっと駆け足で要望しました点、前向きに今後の検討の中に加えていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○鉢呂委員長 次に、山口わか子君。
○山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。
けさからずっと狂牛病の問題を出されていまして、ほとんど御答弁されていると思います。最後ですので、ちょっと違った角度から御質問をさせていただきたいと思います。
狂牛病の確定診断がされてから一カ月が過ぎたわけです。今のところ、ずっとけさから御質問の答弁を聞いていましても、なぜ狂牛病が日本で発生したのか、感染源は何なのか、ほかにも感染している牛がいるのか、今までに食用に回された牛の中には発病を疑う牛が全くいなかったのか、今までに狂牛病伝染の危険性についてどんな対策がとられたのか。今のところ、ずっと御質問を伺っていますけれども、どうもはっきりしないと私は思っています。
私も実は保健婦ですから、特に病気に関しては、一番大事なのは、原因は何かを探らない限り対策も立たないし治療もできないということがはっきりしているわけです。特に、昨年から、雪印問題、口蹄疫問題、たくさんございました。特に雪印問題では、安全宣言が出されてから実際にははっきりした原因がわかったということもございまして、感染源、発生の原因を突きとめるということが非常に大事なことに私はなると思います。それがない限り、なかなか、もちろん対策も立ちませんし、これから国民やそして農家の皆さんを納得させることもできないというふうに思うんです。
そこで、原因の徹底究明について、現在どこまでなされているのかお伺いしたいと思うんですが、肉骨粉については先ほどからずっとお伺いしていました。何かわかったような気もするんですが、わからない部分もあるような気もしますけれども。
実は、肉骨粉だけが本当に原因なのかというところが非常に私は疑問に思うわけです。なぜかといいますと、イギリスでもそうですが、肉骨粉、いわゆる濃厚飼料が禁止された後も狂牛病が発生しているわけですね。そして、しかも若い牛も発生しているわけです。例えば、発症した母親からもう既に五百頭もの狂牛病が生まれているというイギリスのデータもあるわけです。つまり、そうなりますと、母親からも感染したということになるわけです。もう一つは、何の症状も出ていない母親牛から四頭もの子牛が、しかも感染した子牛が生まれているわけですね。
こういう事実を見ましても、肉骨粉だけが、口から食べることだけが感染源であるということは、何か何一つ言えないんじゃないかなというような気もしています。
この感染源につきまして、現在のところどの辺まで解明されているのか、そこをちょっとお答えいただきたいと思います。
○武部国務大臣 おっしゃることはよくわかります。肉骨粉だけが原因かどうかということで、今度、BSEに感染した牛についても、過去の診断、診療の経過、全部徹底して調べさせています。しかし、今回の場合は、やはり非常に大きな確率として、外国から輸入した肉骨粉が原因ではないか、こういうことでその対策をとっているわけです。
ですから、これから、これは二年から八年間の潜伏期間があると言われているわけですから、私どもは、これからBSEの感染牛が絶対出ないとは言い切れないと思いますし、まだあり得る、このように思っております。したがって、今後の対策として、消費者の皆さん方や国民の皆さん方に何を一番安心していただける対策かということで、とにかく屠畜場から安全な牛しか出回らない体制をとろう、そのためには検査体制を徹底しようということで全頭検査体制をしいたわけであります。
それから、それだけじゃない。屠畜場で最終的な判断をしなきゃならぬということではまだ心配じゃないかということで、農場においても、中枢神経症状のあるような牛、それに類似した牛、これも検査して、今まで実は九頭も出ていまして、そして、これは全部陰性でしたが焼却処分にしております。こういうことから、屠畜場から心配な牛が食用にもえさ用にも出ないという体制になったということ。
それから、次はどういうことか。今正常な牛がBSEに感染しないようにということで、輸入肉骨粉も、国産の製造、出荷も一時停止するということにしたわけです。これは、豚だとか鶏は、科学的な根拠はないといいながら、EU等と同じように全部ストップいたしました。また、肥料用だとか、それからペットフード用、これまでも一時停止したのでございます。こういうふうなことで、どこまで追求できたんだということでいえば、そこまでいったと。
ですから、これから、今委員御指摘のように、それじゃ、なぜ当該牛が、今度感染した牛がどこでどのようにうつったのかということを徹底究明しなきゃなりませんので、それは肉骨粉であるとするならば、しかもそれは輸入肉骨粉であるとするならば、どこの国からどのような経路で輸入されて、商社はどこだったのかというようなことも含めて、今徹底究明していこうということで調査しているわけでございます。
そこまでは体制が整ったけれども、今後もう一つの問題は、やはり行政の仕組みです。焼却処分にしなかったという問題がありましたけれども、では、なぜ焼却処分にしなかったのかということが、厚生労働省と農林水産省の縦割り行政の弊害、やはり生産から消費までという一元的な体制をどうつくるかということなども含めて、調査委員会を設置して、先ほど責任問題のお話もございましたが、あらゆる問題を究明すべくしっかりやっていこうということでございます。
○山口(わ)委員 随分しっかり御説明をいただきました。
私が心配しますのは、今感染してない陰性の牛だから、これから感染して例えば発病するということがないという保証はないと思うんですね。陰性の牛からも将来的に狂牛病が出ることも、今までそういう例もあったわけですから。今回、多分十八日からずっと一斉に調査をなさると思うんですが、これは、一つの牛に対して一回だけ調査をなさるんでしょうか。それとも、これから経過を追って調査をしていくんでしょうか。
○桝屋副大臣 明日から全国一斉に行う検査については、いわゆる屠畜場に搬入されたものについて検査をするということでありますから、一頭についてずっと追っかけてやるということではなくて、食肉へ至る前の、あるいは食肉以外のレンダリング業者へ行くこともあるでしょうが、その段階できちっとスクリーニング検査をし、危ないものは全部取り除くということでありますから、一頭をずっと追っかけて検査をするという仕組みではございません。
○山口(わ)委員 私は、やはり一回だけの検査で本当に安心かということが心配になると思うんですね、国民もそうですし。狂牛病というのはいろいろな意味で、どの段階でどういうふうに感染していくのかということがわかってないわけですね。さっきも言われたように、感染経路もわかってない、感染源もわかってない、そういう中で検査をしていくわけですから、どういうところまできちっと検査すればいいかということも含めて、やはりこれからもっともっと検討、研究していかなきゃいけないというふうに思うんです。
ですから、もちろん、殺された牛を検査するわけですから一回で終わるとは思いますけれども、いろいろな可能性を考えてこれからも対処していかなきゃいけないということで、その辺はぜひお願いしたいと思います。答えは結構です。
それから、先ほどから肉骨粉の輸入についてはいろいろなところで御質問されていますので、私はあえて質問はいたしませんけれども、一九九六年から輸入をしている肉骨粉については、当初は禁止の要請はされたと思うんですけれども、なぜずっと国内に出回ってきたのか、再度ちょっと御答弁をいただけますか。
○武部国務大臣 これはちょっと誤解のないように申し上げますが、輸入肉骨粉を牛に使ってはだめだという行政指導をしていたわけですね。しかし、豚、鶏は世界保健機構でも問題ないということから、OIEもこれを認めているわけなんです。実は、科学的な根拠からいいますと、豚、鶏は使っていいということなものですから、輸入肉骨粉もそういったことに使われているわけです。
しかし、問題になったのは、今度の一件で、誤って使ったり、あるいは流用したりという事実が、全頭四百五十九万頭、それから十三万六千戸の全農家を調べたら、パーセンテージは〇・一六%とか〇・一五%とか数は少ないんですけれども、そういう事実が判明したわけなんです。そこで、皆さん方からおしかりを受けているわけです。行政指導といったって全然徹底してないじゃないかということでありまして、我々はこれを法規制にしたわけです。法律で、三十万円以下の罰金あるいは三年以下の懲役というようなことにしたわけでございます。
しかし、今度さらに四日から、輸入肉骨粉も、国産の製造、出荷も全部停止して、もうペットフード用や肥料用にも一時的にストップしようということにして、一度きれいにしてしまおうというような措置をとったわけであります。
したがって、潜伏している牛は別ですけれども、今正常な牛は今後は感染するということのない体制になった、このように思っているわけでありますが、みんながみんな法律をしっかり守るとか、そういうようなことでないというのが世の常でありますので、私どもは、絶対にないということは言えない、絶対ないと思わないで仕事をしよう、起こり得ないと思うことが起こり得るというのが最近の世の常だということで対処していこうということをみんなに徹底させている次第でございます。
○山口(わ)委員 事のついでにちょっとお伺いしますけれども、今肉骨粉の話を伺いました。日本でもそうかもしれませんが、例えばイギリスでは、乳牛で年をとった牛の場合は、大概、ハムとかソーセージとかハンバーガーとかエキスとか、食肉以外の加工品に使われているわけですね。その加工品が原因で例えば人にヤコブを起こすということもあるわけですが、このハムとかソーセージとかハンバーガーとかエキスとか、こういうものはイギリスからは輸入を禁止しているんでしょうか。いつから禁止しているか、ちょっと教えてください。
○高谷政府参考人 現在、イギリスからの牛由来の製品については、ハム、ソーセージも含めてでありますけれども、輸入の禁止の措置をとっております。
○鉢呂委員長 いつからですか。
○高谷政府参考人 法的には二月十五日からでございますけれども、一九九六年の時点から指導でとめておりまして、現在、ことしの二月十五日から法的に、食品衛生法の施行規則を改正いたしまして、輸入の禁止をいたしております。
○山口(わ)委員 ことしの二月十五日から禁止しているのでしょうか。九六年の二月からですか。
○高谷政府参考人 一九九六年からは行政指導でとめておりました。現在、ことしの二月の十五日からは法的に禁止をしております。
○山口(わ)委員 そうしますと、禁止した以降、在庫は全くないのでしょうか、あるのでしょうか。
○高谷政府参考人 先ほども御説明申し上げましたように、一九九六年からは行政指導でとめておりまして、その時点からの輸入はございません。
○山口(わ)委員 輸入はないということなんですね。(高谷政府参考人「はい」と呼ぶ)ちょっとよくわかりませんけれども。
それでは、例えば、今言ったハムやソーセージ以外に、牛を解体した場合には、恐らく使える部分というのはすべて一〇〇%使われるんじゃないかというふうに思うんですね。リサイクルしているんだと思いますけれども、その現状、例えば日本の今の現状で、牛はどのようにリサイクルされていて、全く捨てる部分がないのか、捨てる部分があった場合はどうされているのかをお答えください。
○小林政府参考人 牛の場合には、解体された後に大きく枝肉と副産物に分けられます。副産物につきましては、可食内臓、原皮、皮ですね、骨、それから不可食内臓、こういったものに分けられておりまして、可食内臓は当然食用に供されますが、皮はなめされて衣料とか靴等の革製品の原料になります。また、骨と不可食内臓が、いわゆるレンダリングという形で処理されまして、肉骨粉などになりまして飼料ないし肥料の原料に使われているということで、牛につきましては、食用に供される肉、可食内臓以外の畜産副産物も含めまして、相当有効利用されているといったところが実態でございます。
○山口(わ)委員 プリオンというのは、非常に耐性が強いと言われていまして、なかなか死なないと言われているわけです。感染力も強いというふうに言われていますので、今まで、これからは多分いろいろな危機意識があって大丈夫かなというふうに思うんですけれども、今まで処分されたものでほかに使われてきたもの、あるいは、埋め立てなんということはないと思いますけれども、もしそういうことが行われた場合には感染力は依然として残るわけですから、この辺はやはりきちっと点検をしていただいて、もうこれ以上プリオンが出ないような処置もとっていただきたいというふうに思います。
特に、潜伏期間が長いわけですから、仮に人間に感染したとしましても、二十年ということも言われているわけです。現に、イギリスでは、人間に感染しているという報告例がたくさん出されていまして、狂牛病が非常にふえたときは、それの以前に比べて何倍もヤコブが発症しているということも報告されているわけですが、ヤコブに対するこれからの取り組みというのは大変重要になってくると思います。今は狂牛病に頭がいっぱいかもしれませんけれども、これからヤコブに対して、やはり危機意識を特に強めていただく中で、どういう対応をされていくのかということも非常に心配になるわけです。
現に、日本にもヤコブ病がございますが、これは医原的なものだというふうに言われているんですが、もし狂牛病から発症するというようなことがありますと、ないという保証は全くないわけですから、それに対してこれからどういうふうに取り組みをなさっていくのか。例えば人間に発症した場合の国の保障制度をこれからどう考えていくのかをお答えいただきたいと思います。
○武部国務大臣 厚生労働省の方からも御答弁いただくと思いますが、狂牛病、BSEというのは、もう先生御存じのとおり、異常プリオンを含む肉骨粉を牛が摂取して初めて牛が感染するわけでございます。この牛も、一番大発生した英国の九二年、九三年ごろは、同じ牛舎で同居していた牛で、同じえさを食べていた牛で感染した確率は三%。大体、酪農家で一軒に二頭平均、こういうことでございます。
その当時、英国で、これはちょっと著者はど忘れしましたけれども、英国は脳を食べたりする習慣があるんだそうです。危険な部位というのは脳、目、脊髄、回腸遠位部ということはもう何度も申し上げましたから、先生も耳にたこができたんじゃないかと思いますけれども、そういうものを食する習慣のある英国で五百万人に一人だ、こういう専門家の著書があります。
ちなみに、当時、英国では、インフルエンザで死亡する確率は五千人に一人だ、こういうふうに言われているわけでございます。
ですから、日本の場合には、脳を食べたりするような食習慣は余りないと思いますし、これから全頭検査によって、危ない牛が外に出ていく、流通する、そういう可能性はなくなりましたし、そういった牛から人が感染するという英国の事例からいたしましても、私は極めて少ないというふうに思います。
しかし、極めて少ないということは、絶対かということにはならないわけでありまして、この点については、厚生労働省の方から、万が一の場合についてのお話がいただけると思います。
○桝屋副大臣 委員は看護婦さんですから、万が一にということもお考えになっているのでありましょうが、今私どもにそれを聞かれると非常に苦しいわけでありますけれども、そうしたことがないように、今農水大臣がおっしゃられたように、まずは食肉等の安全対策に最善を尽くしていきたいというのが私どもの思いであります。
その上で、クロイツフェルト・ヤコブ病、新変異型というものが万が一もし発生した場合は、こういうお尋ねでありますが、委員もお話がありましたように、既に我が国は家族性なり孤発性のCJDも例はあるわけでありまして、そうした場合はいわゆる特定疾患として、医療面では拠点病院とか協力病院のネットワーク等の確保もできておりますし、もちろん医療費についても公費で行われているという状況が既にあるわけであります。さらに、国立病院や療養所において患者の最終的な受け入れ体制づくりも行っているわけであります。
委員の方から補償までお話がありましたけれども、新変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病がまだ報告をされていない今の時点で補償まで議論することは、ちょっとお答えできないなと思っているのでありますが、最初に申し上げましたように、まずは食肉等の安全対策に全力を尽くしていきたいと考えております。
○山口(わ)委員 大変数が少ないということでインフルエンザと比較をされておるようですけれども、インフルエンザというのは、特別狂牛病の対策がいけなくて発病したとか、何か原因が政府側の対策が悪くて発病したということはほとんどないわけでして、これは個人の感染の問題で発病するわけです。しかも、ほとんどは助かるわけですから。ただ、ヤコブという病気は、かかったら絶対助からないわけです。すべて、一〇〇%死亡するという大変恐ろしい病気なわけですから。
このことが、外からの原因で、みずからの原因でなくて外からの原因で発病したということは、これは大問題だというふうに思うんですね。今でも、医原性のヤコブについては、硬膜の移植によって起こるという、全くこれは個人の原因ではないことで起こっているわけで、このことすらも今国に訴訟を起こしているという段階で、非常に深刻な問題で、家族にとっては大変な問題なわけですから。
何で国民の皆様がこんなに狂牛病を怖がるかというと、やはり人にうつったらヤコブという病気になるんだということがあるから非常に怖いわけですよね。このことがきちっと解決されないと、なかなか狂牛病だけの問題で解決はできない。これからもそういう対策をとっていかないと私たちはますます心配で、農家の補償も大事、そしてやはりきちっとした対応もしていかなきゃいけないんですが、人間は後から考えればいいということではないと私は思うんですね。
いつもそうなんですけれども、何年かたって、例えばヤコブになったときに、あの何年か前に対策をちゃんとしておかなかったからいけなかったんだという、常にそういうふうに前の対策が責められるわけですから、やはり可能性というのは常に私たちの頭に置いておかないといけないと私は思うんですね。
特に伝染病という病気は、これは伝染病の一種です、もちろん細菌やビールスではないですけれども、プリオンで感染するわけですから。そのことを考えた上でも、やはりきちっとこれからの対応をとっていかなければいけないというふうに思っています。ですから、人が発病した場合の国の保障制度も含めて、これからはぜひ検討していただきたいというふうに思います。
先ほど中林議員の方から、生産者とか流通業者への被害の補償や生活支援についてかなりしっかり御質問されていましたので、それは私も同じように要望しておきたいと思います。
けさの新聞で、在庫の牛肉を全量買い上げるという農水省の、これは費用が百数十億円かかるという新聞報道が出ていましたが、これは実際にそういうことをこれから実施なさるんでしょうか、なさるとしたら予算は補正でなさるんでしょうか、ちょっと教えてください。
○武部国務大臣 技術的なことは生産局長に答弁させますけれども、国が買い上げるということではありません。調整保管といって、保管料等を払って保管する。これは心配な牛肉じゃありませんので。ただ、消費者心理として、十八日から全頭検査だ、全頭検査になれば心配ない肉が出てくるな、さあ食べよう、こういうふうになってくれればいいと思っておりますけれども。それでは、今まで出荷された牛、今保管されている牛はどうなるんだということですが、これも、九月十九日以降は三十カ月齢以上の牛は出荷しないことになっております。
なぜ三十カ月齢以上かということを、あえて釈迦に説法ですけれども申し上げますと、英国の場合に、三十カ月齢以上で感染するのが九九・九五%なんです。しかし、〇・〇五%の確率があるんだなと。それではやはり消費者は安心できないから、一〇〇%にせいといって、全頭検査になったわけでございます。
したがいまして、一時的に調整保管というような形で、消費者の皆様方により安心していただくような、そういう努力、システムにしようということでございまして、もちろんこれには予算が必要でございます。この点については生産局長から答弁させます。
○小林政府参考人 今大臣が申し上げた仕組みで検討しております。
具体的な、いわば保管料とか金利とか、そういう問題が出てきますので、それについてはこれから検討して、必要な予算はまた、例えば補正なんかも含めて、これから検討していきたいと考えております。
○山口(わ)委員 先ほどの検査の実施は、死んだ牛について検査するということなんですけれども、生きている牛についてもこれからはやはりその環境とか農場の実態とか、牛が本当に生きているうちに検査が可能かどうかというような研究もこれからなさるというふうに思うのですね。亡くなった牛だけじゃなくて、やはり生きている牛についても検討していかなきゃいけないことがたくさんあると思います。
今までも、イギリスの例でも言いましたように、未発症、要するに発病していない牛で感染している場合がなかなか検査が十分にできないようですので、この辺もこれからぜひ検討していただいて、研究していただいて、やはり絶対狂牛病を出さない、そういうような検査体制も確立してほしいというふうに思いますし、何といってもまだ感染源がはっきりしていないわけですから、それをやはり早急にこれから感染源の究明にはぜひ当たっていただきたいというふうに思います。
それがない限り、やはり安全宣言というのは非常に心配ですし、安全宣言をもし出すとしても、どういう根拠で安全宣言を出すかということを国民に明らかにしないと、これは非常に心配な種をますます振りまくことになりますので、その辺はぜひお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○武部国務大臣 おっしゃることはよくわかります。
ただ、農場においても、既に中枢神経症状のある牛やそれに類似した牛は検査して、これは九月二十日からやっています、結果、もうこれまで一月くらいの間に九頭もそういう中枢神経症状のある牛、あるいは起立不能の牛がいました。全部検査して全部陰性でした。ほっとしています。そして、それは全部、BSEを疑わなくても焼却処分にしています。これは先生、全部今からやっております。
それから、狂牛病のことですが、先生はもう何か人間がかかるような、そういうようなことを前提にお話しになっておりますけれども、これの確率は最前お話ししているとおりでございますので、まず安心な牛しか市場に出ません、あしたから。そういうふうにお考えいただきたいと思います。
なお、そのほかの先生から御指摘ございましたことにつきましては、私ども、感染牛の徹底究明、感染牛が何を食べたか、その原因は何か、その徹底究明が、今後本当に我が国がきれいな清浄国になるための最も大事な要件でございますので、努力をしてまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○山口(わ)委員 どうもありがとうございました。
○鉢呂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時十四分散会