衆議院

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第3号 平成13年10月31日(水曜日)

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平成十三年十月三十一日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 鉢呂 吉雄君

   理事 木村 太郎君 理事 岸本 光造君

   理事 滝   実君 理事 二田 孝治君

   理事 小平 忠正君 理事 鮫島 宗明君

   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君

      相沢 英之君    岩倉 博文君

      岩崎 忠夫君    金田 英行君

      上川 陽子君    川崎 二郎君

      後藤田正純君    左藤  章君

      佐藤  勉君    七条  明君

      園田 博之君    高木  毅君

      西川 京子君    浜田 靖一君

      菱田 嘉明君    増原 義剛君

      松島みどり君    吉野 正芳君

      井上 和雄君    江崎洋一郎君

      後藤 茂之君    津川 祥吾君

      筒井 信隆君    楢崎 欣弥君

      伴野  豊君    堀込 征雄君

      山内  功君    山田 敏雅君

      江田 康幸君    高橋 嘉信君

      中林よし子君    松本 善明君

      重野 安正君    山口わか子君

      金子 恭之君

    …………………………………

   農林水産大臣       武部  勤君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   農林水産副大臣      遠藤 武彦君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議

   官)           上原  哲君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長

   )            西藤 久三君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  小林 芳雄君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局

   長)           岩元 睦夫君

   政府参考人

   (食糧庁長官)      石原  葵君

   政府参考人

   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  相沢 英之君     吉野 正芳君

  岩永 峯一君     左藤  章君

  北村 誠吾君     松島みどり君

  園田 博之君     佐藤  勉君

 吉田六左エ門君     増原 義剛君

  後藤  斎君     伴野  豊君

  今田 保典君     津川 祥吾君

  佐藤謙一郎君     井上 和雄君

  菅野 哲雄君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     岩永 峯一君

  佐藤  勉君     川崎 二郎君

  増原 義剛君    吉田六左エ門君

  松島みどり君     北村 誠吾君

  吉野 正芳君     相沢 英之君

  井上 和雄君     江崎洋一郎君

  津川 祥吾君     今田 保典君

  伴野  豊君     山田 敏雅君

  重野 安正君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎 二郎君     園田 博之君

  江崎洋一郎君     佐藤謙一郎君

  山田 敏雅君     後藤  斎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件

 野菜等三品目の輸入に対する一般セーフガード措置の本格発動に関する件




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     ――――◇―――――

鉢呂委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長小林芳雄君、農林水産技術会議事務局長岩元睦夫君、食糧庁長官石原葵君、林野庁長官加藤鐵夫君、外務省欧州局長齋藤泰雄君、文部科学省大臣官房審議官上原哲君、厚生労働省健康局長下田智久君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鉢呂委員長 この際、去る十七日の当委員会における山田正彦君の質疑に関し、政府から発言を求められておりますので、これを許可いたします。農林水産省小林生産局長。

小林政府参考人 去る十月十七日の農林水産委員会で山田正彦委員から御質問のありました肉骨粉の輸入業者名の件に関して、お答えいたします。

 平成十二年におきまして、飼料用及び肥料用として我が国に肉骨粉を輸入した業者の数は二十九社であり、このうち、業者名を公表することについて同意したものの数は二十三社となっております。

 具体的な輸入業者名でございますが、飼料用の肉骨粉の輸入業者が、株式会社カーギル・ジャパン、大丸興業株式会社、伊藤忠商事株式会社、兼松株式会社、喜多組商事株式会社、丸紅株式会社、三菱商事株式会社、ミツワ商事株式会社、ニチメン株式会社、住友商事株式会社、テイーエムシー株式会社、株式会社トーメン、トミクラ産業株式会社、株式会社東食、株式会社豊田通商の合計十五社となっております。

 また、肥料用の肉骨粉の輸入業者が、株式会社エフワイシー、兼松株式会社、久栄物産株式会社、九州交易株式会社、丸紅株式会社、ミツワ商事株式会社、中原物産株式会社、日本オーガニック株式会社、大平良、住友商事株式会社、トミクラ産業株式会社、広商株式会社、株式会社中村商会の合計十三社となっております。

 これらのうち、飼料用、肥料用の両方の輸入業者が五社となっております。

 以上、御報告申し上げます。

    ―――――――――――――

鉢呂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。木村太郎君。

木村(太)委員 皆さん、おはようございます。

 仁徳と政策通の鉢呂新委員長のもとで初めて質問できる機会をいただきましたことは、大変ありがたいことでありまして、新委員長の御活躍を委員の皆さんとともに御期待を申し上げたいと思います。

 まず、早速でありますが、セーフガードについて御質問してまいりたいと思います。

 暫定発動の期限、十一月の八日ということになっておりますが、日中協議を、つまり、話し合い決着を目指すことで武部大臣初め政府の方針が先週半ばに確認された、こう聞いております。それから約一週間がたちまして、そして、その十一月の八日まであと一週間というきょうの時点におきまして、今どういう状況になっているのか、努力の姿勢がどこまで進んでいるのか、まずお尋ねしたいと思います。

武部国務大臣 委員御案内のとおり、十月二十五日に、私のほか官房長官、外務大臣、財務大臣及び経済産業大臣が集まりまして、ネギ等三品目に関するセーフガード問題について、今後の政府の対応ぶりについて意見交換を行ったところであります。その結果、出席者の間では、先般十月二十一日の小泉総理と江沢民国家主席との合意を踏まえまして、中国側との協議を早期に再開し、本件の話し合いによる解決を粘り強く追求していくということで一致したところでございます。これを受けまして、十一月一日、明日に北京において局長クラスの協議を開催することとなりました。

 一方、暫定措置実施期間の終了期限が近づいていることを控えまして、確定措置の発動を検討するための政府調査の取りまとめを急いでいるところでありまして、政府調査の主要指標の概要を本日中にも公表する予定でございます。

木村(太)委員 あした、日中の協議の場があるということでありますが、もちろん、テーブルに着いて、相手があることですから、どういうやりとりになるのか、その場においての日本側の主張が大変大事だと思っておりますが、基本的にどういう姿勢で日本の考え方をもう一度伝えるのか。

 また今、大臣、既に次の質問の答弁がありましたけれども、本発動に必要な政府調査というものがどこまで進んでいるのか。今の御答弁ですと、きょうじゅうにはということでありますが、実は、きのうの農業新聞にも、そしてきょうの農業新聞の一面にも具体的な数字がもう載っているわけであります。できれば、その調査の中身というものをこの委員会の場で明らかにしていただきたいと思います。

西藤政府参考人 まず、中国との関係でございますが、私ども農林水産省としましては、ネギ等三品目について構造改革に全力を挙げて取り組んでいる状況で、国内農家に悪影響を及ぼすことがないよう、暫定措置実施期間の終了後においても秩序ある輸入を確保することが必要だというふうに思っております。そういう点では、あすの協議においても、三品目の秩序ある輸入を確保するための方策について精力的に協議を進めたいというふうに思っております。

 一方、政府調査の状況でございますが、御案内のとおり、四月二十三日に二百日の暫定措置を発動し、その後、実態のさらなる把握、利害関係者等からの意見、再意見の収集、構造調整対策の策定等を順次進めてきております。現在、それの最終的な整理、取りまとめを急いでいるところでございまして、大臣の今の御答弁にありましたように、本日中にも公表できるように現在手続を進めている状況でございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

木村(太)委員 協議の場でありますが、先ほども言ったとおり、相手があることでありますので、仮にあしたの協議が双方歩み寄りがなされないとしたならば、あと一週間という中で、さらに引き続き協議の場を継続するよう、そういった姿勢を最後までとるつもりなのか、その点もう一回確認させていただきたいと思います。

 それから、今局長からお話がありましたが、でも、けさの新聞には具体的に、きょうの農業新聞を持ってきましたが、具体的な数字がもう載っているんですね。これは、我々この委員会という場にきちっと、速やかに、具体的な数字をもってやはり明らかにすべきではないかな、こう思います。

鉢呂委員長 公表できるのであれば明確に答弁してください。

西藤政府参考人 先ほども申しましたように、現在、公表の手続の最終局面でございます。委員からの御指摘でございます、私ども公表できる状況になりましたら、速やかに委員の先生方にもお届けさせていただきたいというふうに思っております。

武部国務大臣 私もまだ正確なことは聞いておりませんで、本日の夕方ごろには公表できるようにということで、今最終的な調整をしているところでございますので御理解をいただきたい、かように思います。

 なお、引き続き委員に対する答弁をさせていただきたいと思いますけれども、農林水産省としては、暫定措置実施期間の終了期限に近づいていることを踏まえまして、中国との話し合いによる解決に全力を挙げる所存でございます。また、確定措置の発動を検討するための政府調査の主要指標の概要につきましては、ただいま申し上げたことでございますので御理解をいただきたいと思います。

 現時点において、十一月九日以降の取り扱いについて断定的なことを申し上げることができないことも御理解をいただきたい、かように存じます。

木村(太)委員 あしたの協議いかんでありますけれども、仮にあしたの場で平行線だとしたならば、しかし、引き続き最後まで話し合いの決着を目指すように努力をしていただきたいと思います。

 同時に、今大臣から答弁ありましたけれども、世界的に過去の暫定発動をした例を見ますと、暫定期間中に解決が図られた以外は、期限が切れたと同時に本格発動に至っております。つまり空白期間というのがない、過去の例から見てもこういうことになっております。これは、もちろんWTO協定にのっとった正当な、国際的なルールに基づいたものであります。

 ただ、正確には、本格的発動の権利が、今回の場合でいいますと十一月の九日から十二月の二十二日まで保留されることにもなっているようでありますが、私ども自由民主党としては、十一月八日まで仮に話し合いの決着がなされなかったとするならば、直ちに粛々と本格発動すべきだ、こういう意思で一致しておりますし、既に政府サイドにもその思いを伝えているところであります。

 きのうも、我が党の有志の議員によりまして、総理あるいは平沼大臣、あるいは塩川財務大臣の方にもその思いをお伝えしまして、その場に私もいましたけれども、感触としては十二分我々の思いが関係大臣に伝わっているもの、こう思っているところでありますが、武部大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

武部国務大臣 御案内のとおり、十月二十一日、小泉総理と中国の江沢民国家主席との間で話し合いで解決を図ろうという合意のもとに、私どもは一刻も早い中国側との協議再開を求めてきたところでございます。そのことが明日行われるということが決まったわけでございまして、今後の中国との協議の進捗状況については予断を持つことはできません。したがいまして、現時点において、十一月九日以降の取り扱いについてはここで断定的なことを申し上げることができないことを御理解いただきたいと思います。

 あくまでも仮の話でありますが、両国間での話し合いの最中に、ネギ等三品目について中国から大量の輸入があった場合には、それは日中間の信頼関係が大きく損なわれることになるわけでありまして、農林水産省としては毅然とした態度で臨む方針であるということを申し上げたいと思います。このことで御理解をいただきたいと思います。

木村(太)委員 参議院の方において、本格発動を十一月八日までの協議が決裂した場合にはすべきだという採択がされておりますけれども、可決されておりますけれども、きょう、私ども衆議院の農林水産委員会でも、委員会の後半に、もし八日までの話し合い決着がなされなかったとするならば速やかに本格発動すべきではないかというふうな決議案が提出、採決される予定になっております。しかも、参議院以上に強く迫った内容になる見通しでありまして、我々国民の代表である国会、国権の最高機関であるこの国会の意思というものはこの上ない重いものだと思いますが、もう一度大臣の御認識をいただきたいと思います。

武部国務大臣 言うまでもなく、農林水産委員会の決議につきましては、その御決議の趣旨を尊重して、今後最善の努力をしてまいりたいというのが私の決意でございます。

木村(太)委員 私にとっての、農林水産業においては大変尊敬する政治家としての武部大臣の姿を私も感じておりますので、ぜひ、話し合いはもちろん大事でありますが、やはり日本の農業あるいは林業、水産業に思いをいたしまして、やはり場面場面において農林水産大臣としてのリーダーシップをぜひお願いしたい、こう思います。

 なおもう一つ、ネギ、シイタケ、畳表の今回のこの三品目以外で、これまで注視をしてきたその他の農林水産物についての昨今の状況がどうなっているのか、お知らせいただきたいと思います。

西藤政府参考人 ネギ等三品目以外の品目についての検討状況についてのお尋ねでございます。

 輸入の増加により国内の農林水産業に影響を及ぼすおそれがあり、監視していく必要があると認められている品目につきまして、セーフガードの検討に必要な情報を常時収集、把握していく体制を私ども整備してきておりまして、現在、暫定措置を発動している三品目に加え、合計十五品目を対象にして情報収集をいたしております。

 この体制のもとで、当該三品の輸入動向や価格動向等を監視しているところでございますが、これに基づき、輸入の増加による国内産業の重大な損害等について、政府調査を開始するに足る十分な証拠があると認められた品目については、セーフガードに係る政府調査を行うよう関係省庁に要請していくという方針で臨んでおりますが、現在のところ、各品目についてはそういう情報収集の状況でございまして、まだそういう政府調査を行うという状況にはないというふうに認識をいたしております。

木村(太)委員 しかし、今後とも、三品目以外におきましても、調査あるいは情報収集というものをきちっと持続して農林水産省としての対応をお願いしたい、こう思います。

 セーフガードについては以上といたしまして、次に移りたいと思いますが、サンマ漁についてお聞きしたいと思います。

 きのうの衆議院の本会議でもありましたけれども、我が国の固有の領土であります北方領土周辺におきましての韓国漁船によるサンマ漁をめぐる日韓の協議、これが先週行われましたけれども、中身的には前進がなかった、こう伝わっております。今後の対応をどう考えているのか。

 また、この問題というのは、韓国側から見た場合には漁船の操業利益にかかわるものという立場をとっているようでありますが、我が国日本にとっては、やはりそのことのみならず、極めて崇高で、また高次元な、領土の主権という外交問題ととらえるべきだと思っておりますが、その点、外務省の対韓国、対ロシアへの今後の対応ということもお聞きしたいと思います。

武部国務大臣 それでは、外務省のお答えをいただく前に、農林水産大臣としてお答えいたしたいと思います。

 本件は、委員ただいまお話をいただきましたように、現象的には漁業問題であろうと思います。しかし、本質的には領土主権にかかわる大事な問題であります。

 したがいまして、私どもといたしましては、北方領土問題に関する我が国の法的立場を害さないこと、また、代替漁場は提供しないこと、さらに、日本の漁民に新たな負担を強いることはしないことを基本原則といたしまして対応することが必要である、かように考えているところであります。

 この前提に立って、現在、ロシア、韓国との間で交渉を行っているところでありますが、ロシアに対しては、プーチン大統領あてに八月二十日に総理親書を発出いたしました。これに基づきまして、本問題の解決につきロシアの関係機関と協議を進めてきているところでございます。また、韓国との間では、十月十五日の日韓首脳会談の結果を受けまして、高級実務者協議を行っているところでございます。

 なお、一昨日、韓ロ間で閣僚級の協議が行われたというふうに承知しておりますので、その結果をも踏まえて今後対応していくことが必要であろう、かように考えております。

齋藤政府参考人 政府といたしましては、北方四島周辺水域におきます第三国漁船の操業問題は、御指摘のとおり、我が国の領土主権にかかわります重要な問題であると認識しております。総理、外務大臣を初めといたします、あらゆるレベルで関係国等に対しまして抗議を行いますとともに、ロシア側に対して誠意ある対応を求めてまいりました。

 九月十日、十一日の日ロ協議におきまして、双方はこの問題につきまして、相互に受け入れ可能な解決策を早急に見出すことで一致しております。また、十月九日の次官級協議を経まして、先般の上海での小泉・プーチン首脳会談におきまして、双方は、解決策を模索するための話し合いが続けられていることを歓迎した次第でございます。

 また、本件につきましては、今月二度にわたって行われました日韓首脳会談の結果を踏まえ、日韓間でもハイレベルの実務者間協議を行っているところでございます。

 政府といたしましては、この問題を早急に解決するために、関係国と引き続き真剣に協議を行ってまいる所存でございます。

木村(太)委員 今、サンマ漁のことをお聞きしましたが、実は私、最近も、そのほかにおいても同じような事例で大変気になるようなことがあります。

 その一つを言いますと、竹島周辺での暫定水域で、いわゆるカニ紛争というものがありますが、この韓国との紛争をめぐる協議が、これも先週、民間レベルでの協議が行われたということであります。

 これは結果的には合意をされたようでありますが、ただ、この報道を伝える地元の新聞を取り寄せてみましたところ、例えば地元関係者のコメントとしてこういうことが載っております。一歩前進と思うが、本来は政府が前面に出て解決を図るべき問題だとか、あるいは、政府が責任を持って調整を図る問題だと。また、民間ばかりに協議をゆだねられていること自体疑問だ、こういった疑問視をするコメントが関係者の声として載っております。

 また、これは私の地元にかかわることでありますが、リンゴについてなんですが、アメリカが日本へリンゴの輸出拡大を目指しまして、火傷病という病害虫に対しての植物検疫の緩和というものを求めてきておりまして、二十五日にハワイで日本とアメリカとの協議が行われたというふうに聞いております。このこと自体、技術的な協議の場であるということを私も内々聞いておりますけれども、ただ、生産地から見た場合に、そのテーブルに着くこと自体大変な不安を持っておりまして、コドリンガ問題というのがかつてありましたが、これに続いて次は火傷病かという声があります。

 リンゴについても生産農家の意欲を見た場合に、仮に火傷病について結果的にアメリカ側の要求が通ったならば、もうリンゴの生産の意欲もがけから転げ落ちるように低下していくのではないかな、こう思っております。

 最近の気になった点、二つ言いましたけれども、この点についての御見解をいただきたいと思います。

武部国務大臣 日韓カニ問題につきましては私から答弁いたしますが、リンゴ火傷病の問題につきましては生産局長から答弁させたいと思います。

 まず、日韓間には竹島問題が存在することもありまして、新しい日韓漁業協定において暫定水域が設けられたわけであります。この水域における資源管理の問題は、日韓の漁業者同士が現場の知恵を出し合うことが問題解決のため有効でありまして、両国政府による日韓漁業共同委員会の合意に基づきまして、昨年より十回にわたりまして民間漁業者団体間で協議されてまいりました。政府としても、民間漁業者団体間協議の進展を図るために、早期開催に関する韓国政府への働きかけ、会議への政府職員のオブザーバー派遣等を通じて、積極的に支援しているところであります。

 ズワイガニ漁業につきましては、十月二十二日にソウルで開催された民間漁業者団体間協議で、漁期と漁場の分割につき合意されました。したがいまして、一応の決着を見たという次第であります。

 しかし、政府といたしましても、合意事項の確実な遵守について指導力を発揮するよう韓国政府に強く要請してまいりたいと思います。

小林政府参考人 リンゴの火傷病の件でございます。

 アメリカの方から、アメリカ産のリンゴ生果実を日本へ輸出する際の我が国の方で条件として定めている事項がございますが、これについての見直しを要請してきております。

 具体的には、緩衝地区の幅、これを縮減してはどうかということ、それから園地検査の回数、これも減らしてはどうか、それから無病地区の条件の緩和、こういったことがございますが、これは、その要請の科学的正当性を検証するという意味で、特に緩衝地区の幅の縮減につきまして、平成十二年に日米両国専門家による共同試験を実施しておりますが、その結果を踏まえまして火傷病の検疫措置の取り扱いを検討するということで、先般十月二十五日にホノルルで、日米両国の植物検疫専門家による協議が行われたところでございます。

 アメリカ側は、この緩衝地区につきまして十メートルまで縮減が可能であるということを申しまして、それでアメリカ側提案の科学的根拠が十分得られたということで、措置の変更の要求を主張しているわけでございます。

 一方、我が国としましては、こういった検疫措置を変更するためには、なお技術的なデータ、こういったものをきちんと追加して検証が必要と主張しております。

 この協議、こういった形で立場が違っておりまして、アメリカ側は、科学的根拠が十分であるということから技術的論議は尽くしたといたしまして、本件の解決を今後WTOの紛争手続に移すよう勧告したい、そういった意向がございます。

 我が方、農林水産省といたしましては、今後とも、アメリカが提案しております措置の変更につきましては、アメリカ側から十分な科学的根拠の提供を受けて検討する必要があるということで、こういった旨の主張を継続していくという所存でございます。

木村(太)委員 冒頭から言いましたが、セーフガードの件、サンマ漁の件、竹島でのカニ紛争、リンゴに関する検疫制度の緩和の件、日本の農林水産物をめぐる取り組みというのが大変弱いのではないかなと、貿易的に、外交的に見た場合に。こういった声を私も地元に帰りますと聞きます。これは、食料自給率向上を目指して農業、林業、水産基本法をつくりましても、幾ら国内で努力して、大臣を初めみんなで努力しましても、貿易、外交的に何か責められっ放しでありまして、これを何とか日本としてきちっとした対応をしなければ、もう本当に日本の農林水産業という分野がなくなってしまうのではないかな、こう危惧するわけであります。よって、日本の農林水産物をめぐる貿易、外交について、大臣のリーダーシップを期待しまして、その体制を関係省庁と一緒に政府一体の中で具体的に強化をすべきではないかな、こう思います。

 あわせて聞きますが、総理の諮問機関である経済財政諮問会議、これが先般、改革先行プログラムというのをまとめました。この中身を見たら、直接農林水産業にかかわる項目が三つしかありませんでした。小泉改革、あるいは改革先行プログラムの中で、農林水産大臣としてどうかかわっていくのかお聞きして、終わります。

武部国務大臣 激励をいただいたもの、こう受けとめましてお答えいたしますが、農産物セーフガード問題については、制度所管省庁である経済産業省、財務省のほか、外務省と連携をとって日中協議に臨んでいるところであります。今後とも関係省庁とさらに密接な連携のもとに、農産物貿易問題に対しましては、農林水産省としての主体性をしっかり堅持しながら取り組んでまいりたい、かように存じております。

 改革先行プログラムでございますけれども、私は、委員御指摘のような懸念はない、このように確信しているところでございます。特に、改革先行プログラムの内容を盛り込んだ改革工程表全体の中では、「農業構造改革を通じた食料システムの構築」「都市と農山漁村の「人・もの・情報」の共生・対流」「新たな森林・林業政策、水産政策への転換」等が盛り込まれているところでありまして、改革断行内閣の一員として、この工程表に沿って農林水産業の構造改革にさらに真剣に取り組んでまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。

木村(太)委員 終わります。

鉢呂委員長 次に、鮫島宗明君。

鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。

 狂牛病問題に絞って集中的に質問したいと思いますが、時間が限られていますので、お願いですけれども、大臣並びに政府参考人の方々、簡潔にお答えをいただきたい。前回の委員会の議事録を見ましたら、大臣は随分所信表明的発言が多くて、十分ぐらい時間をとられた感じがありますし、政府参考人の方は、我々がとうに知っていることをとうとうと背景説明的になさって、ここでもやはり十分ぐらい時間がとられているということがありますので、ひとつ、質問そのものに簡潔にお答えいただきたいと思います。委員長の許可を得て、一枚だけ、貿易統計の表を全員に配らせていただきます。

 初めに、厚生労働省に幾つかお尋ねをいたします。

 今週もさまざまな週刊誌が発売されて、前回のときも二田筆頭理事が、女性セブン、余りふだんお読みになっていないと思いますが、それを取り上げて質問していましたが、今週も幾つかの週刊誌に、我が国で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、いわゆる牛異常プリオン由来のヤコブ病の発生があたかも起こっているかのような記事がかなり週刊誌に多く出ている。三人ほど日本で既に狂牛病の患者が発生しているというような記事が出ていますが、このような報道について厚生労働省はどういう対応をしているのか。

 もしこれが事実無根だったら、厚生労働省の方で毅然とした態度をとらないと、幾ら牛の方で安全な対策をとったとしても、こういう風説がどんどん流されるようではいつになっても消費者の不安は消えないと思いますが、厚生省はこういう報道に対して、我が国であたかも狂牛病の患者が発生しているような報道に対してどういう対処をされているのか、御答弁をお願いしたいんですけれども。

下田政府参考人 お答えを申し上げます。

 十月二十五日でございますけれども、厚生労働省に遅発性ウイルス感染に関する調査研究班というのがございます。その中にクロイツフェルト・ヤコブにつきましてのサーベイランス委員会というものが設けられておりますが、この委員会が開催されまして、十六名の専門医からいろいろ御審議をいただいておりまして、今回疑われました変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、この症例三例についていろいろ御検討をいただきました。いずれもそうではないということでございまして、現在まで国内で変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病を発症した症例はないというふうに承知をいたしております。

 厚生労働省では、このサーベイランス委員会を開催しました後、記者発表を行いました。報道関係者に対しまして正確な情報の提供を行ったところでございます。今後とも厚生労働省では、患者のプライバシーにも十分配慮をしながら適宜正確な情報を提供してまいりたい、このように考えておるところでございます。

鮫島委員 週刊誌の中づり広告がとにかく電車の中にわっと出て、そこに大きい見出しで、日本でついに狂牛病の患者発生みたいなものが、非常に発信力が強い、それからテレビのワイドショーでも取り上げる。それに対して厚生省がおとなしく記者会見だけやっても、ほとんどそれを打ち消す効果はないと思います。

 農林水産省は、牛肉は安全ですというポスターを聞くところによると一千万枚近く配ったそうですが、厚生省もこういう時期ですから、電車の中づり広告にでも、厚生労働省の名前で日本で狂牛病の患者の発生はありませんというのを出すぐらいのつもりで打ち消していただきたいということをお願いしておきます。また、ちなみにほかの週刊誌の報道では、厚生労働大臣が牛肉の安全宣言を出した数日後から厚生労働省の食堂から牛肉が消えたというおかしなこともありますので、そういうことも注意していただきたいというふうに思います。

 あと関連で、現在すべての牛について、危険四部位については屠殺段階で焼却処理ということになっていると思いますが、一頭の牛から約五キロ危険部位が出ると言われておりますが、これがすべての牛から出てくるわけですから、これの処理がなかなか大変ではないかと思いますが、現状でこの処理が順調にいっているのかどうか。

 十月二十七日付の読売新聞の記事によりますと、群馬県では、冷蔵庫にこれがたまっちゃっていて、あと二、三日分しか余裕がない、それから、高知市の食肉センターでも、もうあと一週間ぐらいで冷蔵庫が満杯になっちゃうというような危惧が述べられていますが、現状はどうなっておるのか、順調に処理が行われているかどうか、説明いただきたいと思います。

尾嵜政府参考人 御質問ございました特定危険部位の焼却状況について、先週の二十六日に私ども調査をさせていただいております。

 その結果を申し上げますと、八割ちょっとのところの屠畜場におきましては、屠畜場内あるいは屠畜場外の処理場におきまして焼却処分が行われているという状況でございます。残りの約二割を若干切るぐらいでございますが、そこについては現在保管をしておるということでございまして、今先生から御指摘ございましたように、群馬、高知の例もございますが、私ども、個別にそれぞれの内容を今聞きながら、環境省等とも相談しながら適切に処理されるように支援をしていきたいというふうに考えております。

 一つは、処理の中身として、焼却場はあるわけでございますが、それについて焼却場の方が焼却の受け入れを拒否しているというふうな状況があるようでございます。そういったところにつきましては、これについて、取り扱いについては適正にやっていただければ問題ないということで、できるだけ関係の省とも協力をしながら、各個別のところで処理が進むように努力をいたしたいというふうに考えている状況でございます。

鮫島委員 多分一般の方は、この危険四部位の焼却処理は厚生省が管轄して、従来から肉骨粉の素材とされていた屠殺かすについては、これは農水省が管轄しているというようなことは一般の方は知らないと思いますが、今の危険四部位の処理が詰まると、これがまた横のどこかおかしな方に流れていく危険性がないとも限らない。その横の方に流れていった場合は、これは厚生労働省なのか農林水産省の所管なのかわからないようなおかしな世界にまた入っていく危険性もあると思いますので、ぜひ厳重な監視をお続けいただきたいというふうに思います。

 今、危険四部位についてはすべての牛について焼却処理ということになっていますが、この処理はいつまでお続けになる予定なんでしょうか。

尾嵜政府参考人 先生の御質問の御趣旨は、恐らく、我が国で、清浄国といいますか、牛の狂牛病、BSEが発生しないような状況を確認するということとの関連で御質問をいただいているのではないかというふうに思っていますが、私ども現在、十八日から今の特定四部位についての焼却を義務づけしたわけでございますけれども、今後のBSEの牛の発生状況がどうであるかというのが、一つこういったものの措置を今後どうするかということとかかわってくるというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、国内で牛が発生した場合に、清浄国であるかどうかというのはいろいろな条件がございますけれども、少なくとも八年間発生しないというふうなことが基本的にはOIEの方で示されておる内容としては言われておりまして、そういうことから考えれば、我が国では、すぐこういったものを、特定危険部位の除去、焼却をやめるというふうな考えを私どもとれないんではないかというふうに考えているところでございます。

鮫島委員 ちょっと時間が長い割にはわかりにくいんですが、少なくとも八年は続けるということでよろしいんでしょうか。あるいは、多分、正確に言うと、狂牛病を発症した牛が最終出てから八年という、今のところは、八月ですから、ことしの八月からだと八年後の八月までは少なくとも続けますということでしょうか。

尾嵜政府参考人 特定危険部位の除去というのは、危険がないというふうな判断が立たない限り私ども続ける必要があるんだろうと思っておりまして、先ほど申し上げましたように、我が国で、それじゃ、危険がないというふうに判断される時期がいつかというのは、一つの目安は、私が申し上げましたOIEの基準というものに沿った形で整理する必要があるんではないか。そうすれば、一つの目安としては八年という数字があるんではないか。

 ただ、それまでの状況は、逐次、検査状況でございますとか、本当にそれ以降発生しないのかどうかというところを見きわめた上での判断をしなければいけないというふうに考えているところでございます。

鮫島委員 いや、本当はそういう意味ではなくて、最低八年はかかりますねということを確認したかっただけ、まあいいです。

 それで、あと、農水省の方も同じように、従来化製工場に回っていた屠殺かす、これが正しい用語かどうかわかりませんが、非可食部分といいますか、それを肉骨粉化し焼却するという措置が今とられていると思いますが、これはいつまでお続けになるつもりでしょうか。

武部国務大臣 肉骨粉の今後の取り扱いにつきましては、生産者、関係事業者、飼料関係業者、消費者及び学識経験者などから成るBSE対策検討会の御意見を伺いながら検討しているところでありますが、十月十九日の第二回会合においては、WHOやOIEの見解を踏まえ、鶏を原料とするフェザーミール等の豚、鶏用飼料、ペットフードへの利用、それから豚、鶏を原料とする肉骨粉の肥料としての利用等につき一時停止措置を解除することが適当であるとの御意見をいただいたところであります。その方向で検討を進めているところでございます。

 また、豚、鶏の副産物と牛の副産物とを原料段階から区分してレンダリング処理できる体制の整備を進めてまいりたい、かように考えておりますが、畜産副産物の適切なリサイクルに努めていく必要があるというふうにも考えております。

 以上のような対策を進めていく中で、現在進められている肉骨粉の焼却のあり方についても十分に検討していくこととしております。

鮫島委員 次の質問に対する答えとまぜて御答弁いただいたようですが、少なくとも、ことしの十月四日に正式に農水省から罰則規定が出されるまでは日本で肉骨粉が牛に給与されていた危険性がある。それから考えれば、最低八年間は今後同様の処理を続けなければいけないんだと思います。これをはっきりさせないと、こういう処理の体制についても、じゃどこまできちんとした整備をするのか、予算措置をとるのか、どういう体制をしくのか。これが、専門家の意見を聞きながら、いつまでやるのかわからないというようなことでは、私はきちっとした体制がしけないのではないかというふうに思います。

 まだ感染経路すら明らかになっていない、極めて狂牛病の発生国の中でも特異と言えるこの日本の状況の中で、最低これからやはり八年間はこの処理を続ける必要がある、そのつもりで体制を組んでいく必要があるのではないかという意味で私は質問させてもらいました。

 今、大臣の御答弁にもありましたように、牛肉についてはそういう慎重な処理をします。ただ、豚や鶏の肉骨粉については、これは多分果樹農家からの強い要望もあって、今、秋口に燐酸分の多い肥料をやらないと果実の甘みが乗ってこないというようなこともあって、要請が強いと思います。

 したがって、豚や鶏の肉骨粉は肥料に使えるように、あるいはペットフードの材料に使えるようにということだと思いますが、現段階で、牛由来の肉骨粉と鶏、豚由来の肉骨粉が識別できるのかどうか。多分これは、私も専門の業者に聞きましたが、まず識別不能でございますということですので、もし識別できないとすると、こういう一方の間口を開くことによって、あり得てはならないことですが、また牛の肉骨粉がそちらのルートに流れ込んでこないとも言えない。

 したがって、一目でわかるように、牛由来の肉骨粉については製造過程で着色を義務づける等の措置が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

小林政府参考人 今先生御指摘ございましたように、この肉骨粉、十月四日停止して以降、これからの対応につきましては、BSE対策検討会の御意見も踏まえながら、例えば鶏、豚のフェザーミール等のそういったものの扱いをどうするかというようなことを今検討いただいております。

 その際に、やはり牛のものとそれから鶏、豚のもの、これが原料段階とかそれから肉骨粉段階、あるいは肥料とか飼料になった段階、各段階がありますが、恐らくその各段階でそれがまざったときに識別は困難であろう、それはそういうことでございまして、したがいまして、原料段階からそういったものが分別されているとか、それから使い道、これが確実に、肥料なら肥料というふうな形でやっていけるとか、そういうところの確実性、安全性を今の検討会なんかでもお進めし、そういったことでやっていけるんであればいいんじゃないかというような、そういう検討もいただいています。

 ただ、そういったことで進める中で、今先生の御指摘ございました、例えば識別のためにそういった色素の活用ができるのかどうか。これはちょっとまだ私ども、技術的といいますか実務的な観点、まだ持っておりませんので、具体的に今どうこうという感じになっておりませんが、今後そういった点も含めて、具体的なやり方として、こういう分離、識別というのがきちんとできるやり方があるかどうか含めてさらに検討し、また、BSE対策検討会の御意見も踏まえながら対応していきたいというふうに考えております。

鮫島委員 技術的には、私はそんなに難しくないと思いますよ。

 かつて私がいた筑波の研究学園都市は、国の研究機関が五十五あって、六千人ぐらいの研究者が働いている。あらゆる分野の研究資源がありますから、例えばコンペ方式で五千万でどうかといえば、たちどころに十や二十のアイデアと素材が出てくると私は思います。

 補正予算幾ら組んでいるか知りませんが、製造段階で牛由来の肉骨粉に色素で色をつけるというのは、技術的には知恵を絞ればそんなに難しくないと思います。せっかく国の機関として、最近は独立行政法人という名前でしょうが、それだけの研究資源があるわけですから、ぜひそういう頭脳を有効にお使いいただくことを期待いたします。

 きょうは技術会議の局長さんもお見えで、後ほどこの問題についての感想も述べていただきますが、ぜひ、農水省の通達というのは余り末端まで効き目がないぞということはこれまでの経緯でばれちゃっているわけですし、まさに牛の肉骨粉が裏で横流しされたりする、細かい現場まで霞が関の役人が全部目が届くはずがない。それはやはり、そういう期待可能性に依存するのではなくて、科学的に識別できるような、わかりやすい措置をとっていただきたいと思います。

 もう二度と失敗はできないということをぜひ強く自覚してもらいたいと思います。せっかく少しずつ安全認識が高まってきている中でもう一度失敗したら、多分致命的なことになりますので、ぜひそこは、通達出したから末端までそれに従っているはずだというような従来型の考えはお捨ていただきたい、少なくともこの狂牛病に関しては。そういう姿勢で臨んでいただきたいというふうに思います。

 遠藤副大臣が、狂牛病問題の関係副大臣会議ですか、関係副大臣プロジェクトチームの主査をなさっていると思いますが、総務省、財務省、文部省、厚生労働省、農水省、経済産業省、環境省を束ねた副大臣グループの主査ということですが、現在のところ、感染経路の特定はどの程度進んでいるのでしょうか。

遠藤(武)副大臣 いわゆる発生農家を起点とする川下、それから肉骨粉などを輸入する川上、両方から今経路をたどっているところでございますが、発生農家につきましては、家畜防疫員を派遣いたしましてつぶさに調査いたしましたが、肉骨粉などを使用したということはなかったことが確認されています。

 また、肉骨粉については、我が国に輸入実績のある英国初めEU各国へ調査員を派遣いたしまして、先々週末に帰ってまいりまして、きょう、この委員会終了後、その報告を私自身が聞くことにいたしております。詳細がわかり次第、何らかの形で公知をしたい、こういうふうに思っております。

鮫島委員 今、飼育段階で肉骨粉の使用はないという御説明でしたが、先日来問題になっている、イギリスのロイター電が、我が国にはイギリスから肉骨粉が三百三十三トン、一九九〇年以降入っていますよという報道に対して、農水省の側はそんな事実はないというので、イギリス側とやりとりしたところ、ロイター電の報道が間違いだ、あれは百六十六トンのフェザーミールの可能性が高い。それで、イギリスにまでどなたか担当の方が行って、この事実を証明するものをとってくるというお話でしたが、三百三十三トンの肉骨粉輸出というのは間違いで、百六十六トンのフェザーミールでしたということを証明する書類がとれたんでしょうか。

遠藤(武)副大臣 係員を英国へ派遣いたしまして、先方の担当者と話し合いをし、多分ということですが、百六十六トンはフェザーミールじゃないだろうかということでした。

 そこで、文書でその旨を私どもの方へちょうだいしたいというふうなことを申し入れて、文書で届いたのでありますが、文書自体が非常にあいまいなものである。しかし、百六十六トンというところまでは確認できたが、その他は、いわゆる入力ミスであるとか、ただ輸出許可証だけを与えたものではないか、こういうあいまいなものでありますので、さらに厳しく厳正な対応を求めているところであります。

鮫島委員 農林水産大臣にお伺いしたいんですけれども、財務省がとっている貿易統計というのは正しい統計というふうに思っておられるでしょうか、ちょっとこれは質問通告と違いますが。

武部国務大臣 私は正しいと信じて対応しております。

鮫島委員 従来から肉骨粉という言い方が定着してきておりますが、肉骨粉は肉粉と骨粉のまざったもの、肉粉と骨粉のどちらに異常プリオンが含まれている可能性が高いというふうにお考えでしょうか。

小林政府参考人 肉粉、今お話ございましたように、広い意味では主に肉、内臓等からできておりまして、また、骨粉は主に骨から成るミール類、そういう考え方で整理されております。

 それで、こういったものがそれぞれBSEの病原体のプリオンをどの程度含む可能性、おそれがあるかということにつきましては、これは結局、原料となりました動物との関係ですね、牛であるか否か、またその牛がBSEにかかっていたのかどうか。それから、あるいは脳、目、脊髄といった特定危険部位の除去がされていたとか、あるいは加熱処理条件、これはまさに国際基準でございますが、そういったものの製造過程、そういうことに左右されるということでございまして、一概にどことならないと思います。

 ただ、骨粉につきましては、その製造過程におきまして、八百度から一千度Cの高温で処理される焼成骨粉というのがございます。こういったものとか、それから、今申し上げましたOIEの加熱処理基準、いわゆる百三十三度C、三十分、三気圧、こういったような形のもとで処理がなされた蒸製骨粉につきましては、BSEの感染力というものがないというふうに考えたところでございます。

鮫島委員 背景説明は結構ですので、今、やはりイギリスから肉骨粉が輸入されたかどうかということが大変問題になっているわけで、その関連で、私、皆さんにお配りしましたけれども、先ほど農林水産大臣が信頼に足るとおっしゃいました財務省の貿易統計、これでやや怪しげなものを拾いますと、肉骨粉の貿易統計を出してくれというと、この表の真ん中にありますようにゼロで、出てきません。

 ところが、骨粉で探すと、一九九〇年以降五百六十六トン入っています。この中には、先ほどおっしゃった焼成骨粉、いわゆる骨炭と呼ばれているものではなくて、ここには骨髄も混入している可能性が極めて高い。それから内臓の部分、腸、膀胱または胃の全部及び断片というのが七百八十トン入っています。ここには危険四部位と言われている回腸の、小腸の末端の部分も入っている危険性が十分ある。それから、上にあるソーセージのケーシング用の腸、ここにも回腸が入っていないとは言えない。

 こういうふうに分類別に見ますと、イギリスから異常プリオンを含んでいる危険性のある素材がかなり実は入っている。肉骨粉で調べたら出てこないけれども、骨粉だとか内臓とかその関連で調べれば、こうやって出てくるわけです。

 ところが、農水省は一貫してイギリスから危ない素材は入っていないと言っているわけですが、この表をごらんになって、こういう部分に異常プリオンが混入している可能性があるというふうにお考えなのか、それとも、こういうものがいろいろ入っているけれども、別に異常プリオンがこの中には含まれていないはずだというふうにおっしゃるのか、どっちでしょうか。

小林政府参考人 貿易統計で、今先生から御指摘がございましたような、そういった分類でさまざまなものが入ってくるわけでございますが、私ども、一方で、動物検疫ということで、いわゆる動物の検疫上、いろいろな伝染病の防止とか侵入防止といったような観点でチェックをしているわけでございます。したがいまして、こういった骨粉でありますとか、そういったものの中でも、例えば畜産のそういった用途ではなくて、例えばいろいろな加工品でありますとか健康食品でありますとか、そういったものが入っておりますので、そういった用途に向けられるものは、この動物検疫という形では入ってきていないということをまず御理解いただきたいと思うわけでございます。

 それで、御指摘がございました、そういった骨粉というもので入ってきたものはどうでありますとか、そういうものにつきましても、私ども、できるだけチェックしたいということでいろいろ調査をしている段階でございます。

 それで、イギリスからの骨粉の輸入につきまして、貿易統計、九〇年から九六年まで、今ございました、年間数十トンから百トン余りの実績がございます。一方、この間、動物検疫の方では、骨粉に分類されるものの輸入実績がないというふうになっておりまして、そういたしますと、貿易統計に計上されている骨粉は、動物検疫の対象外としての食用の蒸製骨粉であった可能性が高いというふうに見られるわけでございまして、もちろんその蒸製骨粉は、先ほども触れました、高温高圧で処理したというものがありまして、健康食品なんかに用いられることが考えられるわけでございますが、お話ございますように、今そういった点も含めて、英国政府にも確認し、また関税局の方ともそういったことについてのチェックをしているところでございます。

 それから、貿易統計上、同様に、一九九五年から二〇〇〇年に年間百数十トンから二千五百トンの骨粉以外の骨類が輸入されております。これは動物検疫所の方でもそういった数字に相当するものがございまして、検疫所の方の調査によりますと、この場合にはそのほとんどが豚の骨といったことも確認されておりまして、その大宗は食用という形であったというふうに考えるところでございます。

鮫島委員 ちょっと局長の答弁は長いんですよね。

 この表の中にあらわれているものに異常プリオンが含まれている可能性はありますか、ありませんかと。こういう数字があるけれども、この数字があるからといって、イギリスから異常プリオンが入ったとは思えない、入ってないはずだというふうに言えるんでしょうか。イエスかノーかで言ってください。

鉢呂委員長 生産局長、端的に答えてください。

小林政府参考人 今申しました、例えば牛由来でなくて豚でありますとか、それから焼成骨粉というような形で相当な処理がされているような牛の場合であっても、プリオンとかたんぱく質というのはついておりませんので、そういったものが確認されれば、そういった心配はないということに、そういったものがそうだと思っていますけれども、あわせまして英国の方にも調査をしている、そういった状況でございます。

鮫島委員 一貫して農水省は、先ほどの副大臣の御答弁にもありましたが、少なくとも生産段階、北海道の佐呂間町の農家も千葉の農家も、肉骨粉は一グラムたりとも与えていませんと。それから、イギリスから入っているんじゃないかというロイター電も間違いですと。それから、私がこうやって示したような貿易統計の数字からいって、イギリスから異常プリオンが入ってきた形跡はないということをずっと御主張されているわけですが、それでしたら、なぜ肉骨粉に対して集中的な規制行政を行うのか。

 日本にはイギリスから異常プリオンは入っていないということでしたら、別に、日本の中は安全だしきれいなわけだから、何もそんなお金かけておかしな措置をする必要がない。ところが、肉骨粉に絞って、牛の肉骨粉は全部焼却しなさい、危険四部位も焼却しなさいと、多大な手間とお金をかけてやっているんですけれども、その根拠は何だということになるんですか。

遠藤(武)副大臣 肉骨粉の輸入と製造、出荷を停止している理由は、プリオンの運び屋が肉骨粉であるという世界共有的な認識から、まず感染源を断とうと。これは、去る十八日に実施する全頭検査に向け感染源を断とうということが、最大の根拠でございます。

鮫島委員 ちょっと別の聞き方をしますけれども、この間、一九八九年以降、正しくは一九九〇年の六月以降かもしれませんが、イギリスから異常プリオンを含むと思われるような肉骨粉等の輸入は一切ありませんと。それから、千葉の農家も北海道の農家も、一グラムたりとも肉骨粉をやっていないと。

 じゃ、日本の狂牛病はどういう原因で発生したのか。肉骨粉じゃないとすると、かなり大変な問題になりまして、じゃ、それ以外の飼料の成分、大豆のかすとかトウモロコシの粉だとかカキ殻の粉末だとか、いろいろなものが入っていると思いますが、じゃ、そっちに狂牛病の原因となるような要素が入っているかということを対策チームでは調査しているんでしょうか。

遠藤(武)副大臣 肉骨粉については、血粉及び骨炭などもございます。そこで、単品として肉骨粉を与えていた牛、五千百九十二頭と確定をいたしまして、これを今押さえておりますというかウオッチングを厳密にしております。と同時に、その他、動物性の飼料のみならず、いわゆる鉱物性といいますか、化学合成といいますか、そういう飼料も可能性はないのかどうか、今調査をさせているところでございます。

鮫島委員 これは大臣にお伺いしたいんですけれども、十月十八日に、消費者に対しては、これからは日本の肉は安全ですという安全宣言を行ったところですが、生産サイドの方の安全宣言、これについては、感染経路が特定できないと、とても生産農家の方は安心して牛の飼育あるいはえさをやることができない。どういうえさを買っていいのかわからない。先ほどからのお話ですと、イギリスからの肉骨粉が問題の牛に与えられた形跡はない。そうするとほかのものかもしれないという不安が、いまだに生産現場にはあるわけです。

 そうすると、生産サイドに対して安全宣言を出すためには、感染経路が特定されていることが絶対必要条件だと思うんですけれども、大臣は、この生産サイドの方への安全宣言を行える条件というのは、どういう条件がそろったときに生産サイドに安全宣言が出せるとお考えなんでしょうか。

武部国務大臣 生産者の皆様に安心して畜産経営を続けていただくためには、今般のBSEの発生原因を究明することが重要であるということは、委員指摘のとおりであります。したがいまして、現在、農林水産省としては、発生農家を起点とする川下からの調査及び輸入を起点とする川上からの調査の双方に全力を挙げているところであります。

 なお、BSEの主な感染源とされている肉骨粉については、十月四日から、その輸入と国内製造、出荷を一時停止するとともに、この一時停止措置の実効性をより確実にするために、十月十五日に飼料安全法に基づく省令改正を行ったわけであります。肉骨粉を含むすべての家畜用飼料の製造販売、家畜への給与を法的に禁止したところであります。これらにより、BSEの感染を遮断する体制が確立された、かように考えておりまして、今後新たに肉骨粉を給与されることによりBSEに感染する牛が、現在正常な牛が発生することにはならない、そういう体制になった、かように認識しております。

 今回確認された一頭以外に既にBSEに感染している牛がいないとは断定できません。しかしながら、仮に新たなBSEが疑われる牛が発生したとしても、屠畜場から食用としても飼料原料としても出回ることはない体制になったということは御理解いただきたいと思います。

鮫島委員 農林水産大臣も、ちょっと一人になったときによくお考えいただきたいと思うんですが、ずっと一貫して農水省は、異常プリオンを含むような肉骨粉は海外から入っていないはずだと。それから、生産農家も肉骨粉は一グラムたりとも与えていないということを証明しようとして躍起になっているわけですね。ところが、狂牛病の牛が厳然として一頭発生しているわけです。

 そうすると、これが、今農水省がずっとやっていることは、肉骨粉以外の原因で発生したということを証明しようとして努力しているのと同じ。つまり、だって、イギリスからは肉骨粉は全然日本には入っていません。それから、千葉の農家も北海道の農家も一グラムたりとも肉骨粉は上げていません。ところが、肉骨粉はやらなくても発症しちゃったんですということを一生懸命言っているにふさわしいわけです。(武部国務大臣「全然違う」と呼ぶ)

 では、どういうことで、どこで、肉骨粉で狂牛病が発生したということは言えるんですか。

武部国務大臣 私は、絶対ということを言わないことにしているんですよ。肉骨粉ということが今回の場合の原因であろうというその確率は高いだろうということで、この感染源というものを究明するために川下、川上両面からやろうとして、今調査中なんですね。

 さらには、それ以外に原因はないのかということも含めて、動物の医薬品の問題なども私ども究明する必要があるということで、事務当局にはその問題はないのかということなども申し上げているわけであります。そのほかにもないのかとあらゆる角度から感染源を究明しようという努力をしているわけでありまして、肉骨粉が原因でないなんということのあかしを立てようなんというような、そんなような考えは毛頭ありませんので、そのことは御理解いただきたいと思います。

 それから、私は政府の貿易統計を信頼しておりますよ。所管大臣が、これは正しいと思わないとか信じていないとかというようなことを言うことは、それはできるわけがありませんで、それは信頼しておりますが、しかし、いろいろな、さまざまな御意見、そういったものも含めて徹底究明させようということで、英国に限らず、イタリア、デンマークや香港やタイやあるいはその他の国々についても調をさせよう、そういう努力をしているわけでありますので、その点は御理解いただきたいと思います。

鮫島委員 いや、その農水省の言っていることとこの貿易統計が余りにも違い過ぎるので私は指摘したまででして、フェザーミールがイギリスから百六十六トン入っている、その証明を取りつけに今担当者をイギリスにまで派遣しているとおっしゃいましたが、この貿易統計にはフェザーミールなんてイギリスから全然入っていないことになっているわけです。だから、そういうふうにいろいろな、同じ政府の中でばらつきがあるので私は指摘させていただいている。

 それから、肉骨粉についても、イギリスから直接輸入はないかもしれないけれども、第三国経由でイギリスの汚染された肉骨粉が入った可能性というのもあろうと思います。

 それから、千葉、北海道、どちらかわかりませんが、問題の牛の育成途中で、本人が、飼育者が意識していなくても何らかの形で肉骨粉が給与された可能性がある、肉骨粉以外には恐らくないだろうという体系の中で調査をされて、そういう発言をされているんならわかるんですが、普通に聞いている限りは、しっかり農水省が監視していますから、今の動物検疫の立場もあって、イギリスからそんな危険なものは入っているはずがない、厳密な聞き取り調査をやったら、生産農家の方も一切上げていない、そういうことを繰り返し繰り返しおっしゃっているから、では肉骨粉以外じゃないかという話に話の流れとしては自然となっちゃうわけですよ。

 確かに、全く肉骨粉以外の可能性がないとは言えないと思います。それは、きょう、技術会議の岩元局長さんも来ておられますが、研究的に考えれば、場合によったらあの千葉の牛の、どの系統かはわかりませんが、突然変異ということもあるかもしれない、孤発性の牛のクロイツフェルト・ヤコブ病ということもあるかもしれない。そういう研究サイドの方から見て、肉骨粉以外の可能性というのはどんなふうな見解でしょうか。

 先ほどの着色のことについても何かお考えありましたら、牛由来の肉骨粉について製造過程で着色するということについても何かやれそうな話がありましたら、御答弁をお願いします。

岩元政府参考人 お答えをいたします。

 BSEの発生原因といたしましては、約十八万頭の発生が見られました英国におきましても、BSEのプリオンたんぱくの変異型というものが出現していない、すなわち、遺伝子型の異なりますマウスへの接種試験におきましても単一の発症パターンしか示さないというようなことから、現在のところ、肉骨粉供与以外の可能性というものは非常に低いというのが定説になっているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、我が国といたしましては、英国から輸入いたしましたBSEの材料、研究用の試料を用いまして、これまで羊スクレーピーに関しましての研究を大分やってきております。そういった研究の中から開発をいたしました抗体であるとかあるいは高感度検出法を牛に適用するというような研究を行うとともに、BSE研究の先進国であります英国との共同研究により、生育中の牛を対象にいたしまして、これまで開発しました高感度検出法等を用いて異常プリオンの体内の蓄積部位を明らかにするとともに、これに基づきます生前診断法の開発について検討することが最重要の研究課題であると考えているわけでございまして、今後とも、BSEの研究に関しましては、内外の最新の研究情報を含め、先生のおっしゃいました点につきましても鋭意的確に対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

鮫島委員 ぜひ先ほど言った着色についても御検討いただきたいと思います。答弁はいいですけれども。

 実は、日本でついに恐れていた狂牛病が発生しました。このことによって、生産、流通、消費の段階にどの程度の損害が発生しているのか。多大な損害がこのことによって発生している。これは、ある意味では予防行政の失敗とも言えると思いますが、この多大な損害が日本で狂牛病が発生したことによって生じているという御認識は当然大臣はお持ちだと思いますが、お持ちですよね。(武部国務大臣「はい」と呼ぶ)

 では、どのぐらい、総額でこのことによる経済的なマイナスが出たのか。私は、農水省あるいは関係の省庁にも、それを見積もったらどうか、全体の被害総額がどのぐらいかと。ところが、皆さんなかなか、縦割り行政の問題もあって、おやりにならない。

 私どもの民主党の狂牛病対策プロジェクトチームの方でさまざまな調査をして、概算ですが、大体私どもが見積もったところでは、外食産業の段階で八百三十億円。

 それから、きのう、総務省の勤労者世帯の所得、消費構造の調査結果が出ていましたが、九月の消費構造で見ると、牛肉の購買が一六・六%減りました、去年の九月と比べて。多分、十月はもっと減っていると思います。小売の関係の方々に聞いたところ、今のところ、去年に比べて約五割減だと。まあ、それはやや大げさとしても、五カ月間この二割減の状態が続くとすると、これで六百六十億円の損害。

 それから、生産段階で、これは多分農水省の方もある程度見積もっていると思いますが、大ざっぱに言って五百億円程度。

 そうすると、総額約二千億円程度の損害がこの予防行政の失敗によって生じていると私は思いますが、このことについて、行政のサイドの方から責任を自覚する声は今まで一度も聞かれたことがない。あるいは、農林大臣は、肉は一〇〇%安全だ、これから肉を食べてくださいということは何度も国民にも発信していますが、ついに日本で狂牛病を発生させてしまって二千億円近い損害を出してしまったことに、一度でもテレビを通じて国民に謝ったことがあるでしょうか。どういう、この損害を発生せしめたということに対しての責任感と自覚をお持ちかどうか、お答えいただきたいと思います。

武部国務大臣 私は、テレビに出るたびにおわびをしておりますよ。それから新聞は、当初は、農林水産大臣謝罪、陳謝、行政の責任を認める、そういうことの連日だった、私はこのように考えております。そのことについては、今も全く変わりません。

 当初の段階で、私どもが、予期せぬ出来事が起こり得る、そういう前提で仕事をするようにということを厳しく申し上げておきながら、対応に混乱が当初段階で生じた。このことによって国民の行政に対する不信を招いた、また、生産者あるいは小売段階、卸売業、さまざまな分野で多大な被害といいますか損害が発生しているということも事実でありまして、このことについては、報告、連絡、相談、点検と確認ということを徹底すべく、私も厳しく厳重なる注意を促した次第でございまして、今後、こうした国民の不信に対して、一日も早くその信頼回復に向けて今全省を挙げて努力をしているところでございまして、御理解をいただきたいと思います。

鮫島委員 ただいま大臣の方から、ある意味では反省も含めたコメントが述べられましたけれども、普通、それだけの被害を与えたら、農水省の責任で、厚生労働省も責任の一端はあると私は思いますが、その比率はともかく、やはり何らかの形で弁償するのが世間の常識。

 ところが、つい最近農林水産省は、BSE関連対策の概要で約千五百億円の補正予算の要求をしている。これはまさに盗人に追い銭みたいな話で、自分たちが失敗して大損害を与えておきながら、そのツケをまた国民の税金の方に回そうとしている。私たちは、絶対こんな補正予算を認めることはできない。

 少なくとも、この中でさらに、消費者に安心してもらうためにBSEの清浄化あるいは検査等々をしっかりやりましょうという部分についてはいいですけれども、小売業に大きな損害を与えました、あるいは生産段階に大きな損害を与えました、これを補てんするのに、もう一回消費者といいますか都市住民の税金をよこせ、こんな話が通るわけはないので、これは当初配分の予算の節約でぜひ対応していただきたい。

 これは、いずれ予算委員会等々の場でも、私どもの党からの要求として大変強く打ち出しながら闘っていこうと思います。

 以上で私の質問を終わります。

鉢呂委員長 次に、楢崎欣弥君。

楢崎委員 当委員会は今、セーフガード問題、それから有明海の再生問題等、山積する課題を抱えておりますけれども、私も当面する課題であるBSEに絞って質問をさせていただきたいと思いますが、冒頭、セーフガードの暫定発動の期限が迫りました、政府の今後の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。

武部国務大臣 先ほど来お答えいたしておりますように、十月二十一日に小泉総理と江沢民中国国家主席との間で、ネギ等三品目については話し合いで解決をしよう、そういうことで合意をしたわけであります。

 そのことに基づきまして、私どもは、十一月八日、暫定措置の期限までに、何とか精力的な、中国側との協議再開に向けて申し入れをしてまいりました。結果、一日、明日、局長級の協議が行われるということでございます。刻一刻と十一月八日が迫ってまいっております。したがいまして、政府調査につきましても、本日夕刻までに公表できるような準備を着々進めてきているという次第でございます。

 仮にということを申し上げますが、我々の意図するような、そういう結果が得られないというようなことの場合には農林水産省としては毅然とした姿勢で対処してまいりたい、かように存じます。

楢崎委員 そのことを期待したいと思います。

 そこで、私は、十月十七日、当委員会におきまして、農水省事務方の幹部の責任問題を取り上げました。そのとき大臣は、調査委員会を立ち上げてそこで責任問題も検討するということでしたけれども、その人選、それから設置時期等は決まったんですか。

武部国務大臣 今回のようなことが二度と起きないように、当省の幹部を初め職員に対しては、先ほども申し上げましたように厳重に注意をいたしているところでございますが、今回のBSE問題に関する行政対応上の問題等についてはこれまでのさまざまな検証をしてまいらなければならない、かように考えておりまして、第三者による調査委員会を設けたい、かように考えておりまして、現在、厚生労働省との調整を進めているところでございます。委員の人選等諸般の準備が整い次第立ち上げたい、かように考えております。

 この調査委員会では、行政対応上の問題の議論を行う際に、BSE問題に関して過去にさかのぼって事実関係の検証も行うこととなりますが、このような検証を踏まえて、国民の不信を招くようなこうした事態が二度と起こらないように、今後の行政のあり方について率直な御提言をいただくということが当該委員会の重要な役割と考えております。

 なお、人事権者ではない第三者の集まりである当該委員会の場において、行政対応を行った者の責任を議論するのは適当ではない、このように考えております。

楢崎委員 ちょっとゆっくりし過ぎていますね。

 それで、私は、六つの事例を挙げて前回ただしたんですね。その一つ一つに、事務方幹部、あえて言えば、事務次官、それから畜産部長に重大な責任があると私は思うんですね。

 私に言わせれば、前回も言いましたけれども、危機意識の欠如、それと独善的な姿勢が水際対策に失敗した、その結果、消費者を初め各界に多大の損害を与えた。その上に、補正の二百六十五億円を含む千五百五十四億円という国税をつぎ込まなければならない。先ほどもありましたように、結局ツケは国民に回されたんですね。結果がどうなるかわからない調査委員会任せじゃなくて、責任の所在を明確にする、私はやはり大臣の早急な政治的決断が求められると思います。いかがですか。

武部国務大臣 人事権者は私でありますので、行政責任の問題については私が判断することとなりますが、その際には、やはり当該委員会における検証の結果も踏まえて行うということが大事だ、私はこのように考えております。

楢崎委員 どうも納得いかないのですね。せめて人心一新でBSE対策に当たることが農水省に対する信頼回復の第一歩になると思いますよ。ぜひ大臣の決断を要望したいと思います。

 こうして大臣と話していますと、人間ですから情はわいてきますけれども、しかし、大臣自身の責任、これはどうお考えですか。

武部国務大臣 私は、農林水産省の最高責任者でありますので、今度のBSE発生に至る経緯等についてはいろいろな経緯があったと思います。それから、私どもは、当初段階での行政の不手際に対して極めて厳重なる注意を促しました。しかし、とにかく一番大事なことは、一日も早く、何が問題で、その問題解決のために全力を挙げて、そして十月十八日から、EUをはるかにしのぐ全頭検査体制というところまで至ったわけであります。

 なお、これから感染源に対する徹底究明もしていかなければなりません。さらには、さまざまな損害を受けて、生産者はもとより、卸、小売段階でも経営上非常に苦しんでいる皆さん方もおられます。こういった方々に対する対応策というものも、今もう間断置かず、精力的に真剣に取り組んでいかなければならないという立場にあります。今の時点で私はそのことに全力を挙げるべきだ、そのことが私自身の責任を果たす現時点における最も大事な要諦だ、このように心得て陣頭指揮している所存であります。

 今、先生から人心一新のお話等もございました。しかし、今の時点ではまだその余裕はありません。職員に、挙げて、とにかく信頼回復のためにすべてをかけてみよう、自分の人生のすべてをかけてみようじゃないかということで今努力させている次第でございますので、その成果といいますか、そういったものが出た段階で少し考えてみなければならないことだ、このように心得ております。

楢崎委員 農水省の最高責任者としてのけじめというものを考えておいていただきたいと思います。

 それから、十月十八日から始まりました全頭検査ですけれども、出荷頭数の調整が続いているということで、生産者から検査体制の強化というものが求められているのですけれども、今の段階では、検査員がその検査になれるという、このことを待つしか方法はないんでしょうか。

尾嵜政府参考人 お答えいたします。

 十八日から全頭検査を開始したわけでございますが、現在までの状況はおおよそ、平常ベースで屠畜場で処理いたします頭数と比較いたしますと、大体五割から六割程度、平年ベースで申し上げますとそういった状況でございます。

 これは一つは、今先生から御指摘ございましたように、この検査自体が全く新しい検査ということで、現場の方々、技術研修はしていただきましたが、やはり実際的に取り扱う中身になれていただくというふうなことも必要ではあろうというふうに思っているわけでございます。十八日から、全体で昨日の六時現在で二万二千頭を超える検査をやりまして、すべて陰性でございましたが、だんだん現場ではなれてきていただいているというふうに考えております。

 また、これから少しずつ、関係団体とも相談しながら受け入れの頭数を計画的に進めていただこうというふうに考えておりますが、その中で、検査のための人員につきましても、保健所の職員に啓蒙いただくとか、そういった応援体制も含めて各自治体ごとに御検討いただきたいというふうに考えているところでございます。

 ただ、余り拙速に従来ベースの頭数を引き受ける、処理するというのは、私どももう少し慎重に考えた方がいいのではないかというふうに考えているところでございます。

楢崎委員 年末に向けて牛肉の需要もふえてくると希望しますし、福岡県では、出荷を待つ間に死んだ牛もおるということなんです。研修を続けるなどして、検査体制の強化、これは一応図っていただきたいと思います。

 大臣、同日発表されました政府の安全宣言ですけれども、残念ながら、あるアンケートでは、まだ六割の方々が食べる気にならないと答えているんですね。その理由は、安全を連発すること自体がうそっぽいとか、子供への影響が心配とか等々なんですけれども、やはり一度失った信頼というのは簡単に取り戻せないことをあらわすものであろうと思います。また、消費者の不安が根強いこともうかがえるわけですけれども、大臣はどのように思われますか。

武部国務大臣 安全を連発といいますけれども、私どもは、科学的な根拠、合理的な根拠ということを一生懸命正確に迅速に国民の皆さん方に伝える責任、義務があります。したがいまして、国際評価では、牛肉、牛乳・乳製品は安全です、一〇〇%大丈夫です、こういうふうに言っているわけでありまして、このことは、うそっぽいと言われても、これは事実は事実として申し上げなければなりません。

 また、十八日も、私どもは安全宣言したという認識をしておりません。これは、坂口厚生労働大臣ともともに共通の認識は、全頭検査体制、これはEUは全頭じゃありませんですからね、EUをしのぐ世界一の水準の検査体制になりましたということです。ですから、今後は安全な牛以外に市場に食肉等が流通することはありませんということを申し上げたわけでありまして、しかしそれは事実でありますから、事実は事実として伝える必要がある、このように考えているわけであります。

 しかし、今委員御指摘のように、いろいろな方がおりますし、報道、テレビなどでもいろいろな報道ぶりがございます。しかし、全国紙の紙面一面を使っての広告などは、私どものところにもメールが急にふえてきています、こういうことをなぜ早く言わなかったんだと。私は言っているんですよ、委員会でもどこでも。ただ、それを新聞が書いてくれないだけの話でありまして、これでわかったというようなメールが随分来ています。したがいまして、これからもそういったことについて、BSEを疑われる牛肉が屠畜場から出ていくことのないシステムが確立されたということについて積極的にPRを行っていく必要があると思います。これからも正しい情報を国民の皆様にお伝えし、不安の解消と国産牛肉に対する信頼の回復を図るために、風評の鎮静化と国産牛肉の消費の回復に努めてまいりたいと思います。

 なお、十月十八日以降の牛肉の出荷状況を見ますと、屠畜頭数は、出荷自粛等により減少しておりましたが、BSE全頭検査実施以降回復傾向にあります。また、枝肉卸売価格は、BSEの発生後低迷を続けておりましたが、十月十八日の屠畜場におけるBSE全頭検査実施後は、一時回復してまた下がって、再び安定基準価格を下回る状況に推移いたしましたが、二十六日に牛肉の調整保管を実施いたしましたところ、二十九日以降は安定基準価格を上回っているという状況になってきております。

 当初の世論調査等では、牛肉を食べている人は三割ぐらいしかおりませんでした。まさに委員御指摘のようにまだ六割は食べていないということは、一割食べるようになったというふうに我々は前向きに受けとめて、これからさらなる努力をしてまいりたい、かように考えておりますので、委員におかれましてもぜひ御協力のほどをお願いしたいと思います。

楢崎委員 やはり感染源それから流通ルートが解明されることが先決ですね。

 そこで、その十八日以前に解体された在庫食肉の扱いですけれども、結局、今は調整保管なんですか、隔離保管なんですか、どっちでしょう。

小林政府参考人 十七日以前に屠畜された国産の牛肉在庫、これは市場隔離するという形で対策を進めております。

 具体的な仕組みですが、全国的な団体におきまして、その会員の皆さんなんかが所有しております十七日以前に屠畜された国産牛肉在庫、これを買い上げ、冷凍保管しています。それを冷蔵庫から搬出させないという形で進めておりまして、この市場隔離を進めて、その最終処分につきましてはこれから検討することとしておりますけれども、さまざまな選択肢を検討することによりまして、消費者に不安を与えることのないように、国の責任におきまして万全を期していきたいということでございます。

楢崎委員 政府は、全頭検査以前でも食肉は安全だと言ってきたわけですね。ですから、生協とかコープとかいうところは業界全体で牛肉の安全性というものをアピールしてきた。ここは今困っていますよ。当初から食肉は安全と言ってきたわけですよ。その発言との整合性はどうなるのですか。

小林政府参考人 十七日以前の牛肉も安全でございます。それは前からそもそも牛肉は安全だと言っているとおりでございまして、今回の十七日以前のを隔離したということでございますが、国民の皆さんから見ますと、十八日から全頭検査が始まりました。そうしますと、検査したものとその前のもの、この見方として、やはり消費者の皆さんの見方が違ってまいりますので、そういった国民の皆さんの不安に対して、念には念を入れて払拭したいということと、それから、実態上、流通段階で在庫という形で十七日以前のものも出てまいるわけでございます。この流通の円滑化を進めたいということで今回の対策をとったものでございまして、安全性についての考え方、これは全く従来と同じでございます。

楢崎委員 私に言わせれば、方針がころっと変わるところに不信感を招いているのですよ。

 それから、検査結果の公表がちょっとやはり自治体でばらばらというところが気になります。何度も言いますけれども、国民の信頼を回復する手だて、これの重要なポイントは情報公開の徹底にあると思いますから、国は自治体と公表のあり方を詰めるべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

尾嵜政府参考人 十八日から全頭検査を始めるに当たりまして、どういった時期に検査結果を公表するかということで、大臣もいろいろお考えになったわけでございます。それと、各方面から、どの時期で発表すべきかということで、非常に両様の御意見があったわけでございます。消費者の方々もそうでございますし、生産者の方々もそうでございますが、そういった中で、最終的に大臣の御判断として、確定診断の結果をもって発表するということで御決断をいただいたわけでございますが、厚生労働省としては、そういう形での公表を現在まで十八日以降させていただいておるということでございます。

 ただ、各自治体には、基本的には厚生労働省はこういう考えであるということを御連絡はさせていただきました。ただ、実際には、今お話ございましたように、二十を超える自治体が一次スクリーニングの検査の結果を公表なさっていらっしゃいます。これも、全頭検査が始まる前からスクリーニングの段階で発表するというふうにはっきりと公表された知事もいらっしゃいますし、逆に、確定診断の結果をもって公表するというふうな御発表をなさった知事もいらっしゃいます。

 そこのところは、私ども全部の自治体について強制的にこうしなさいと言うことはやはり無理ではないかと。そこのところは各自治体の御判断を尊重すべきであろうということで、御指摘のように若干混乱はあるかもしれませんけれども、そういう状況に今あるということでございます。

楢崎委員 レンダリングについて、これは質問というよりも問題提起なんですが、私は、畜産レンダリングが果たしてきた役割、これはもう高く評価しているのです。リサイクル社会の一翼を担ってきたことも事実ですし、レンダリングがあって畜産業界も発展してきたと思います。また、肥料としても農業分野でも多大の貢献をしてきた、このように思います。

 そこで、一つの提案ですけれども、今後もBSEが起き得ることを前提とした危機管理システムの構築が必要であろうと思うのですね。その一環として、国内百四十一ある工場のうち、牛の残渣のみを処理する工場を全国ブロック別に選択して、それを行政が管理する、こういうことも考えられると思うのです。そうすれば、鶏、豚、ほかのレンダリング業者が今までどおり処理できますし、リサイクル製品として安心して市場にも回せると思うのですけれども、いかがでしょうか。

遠藤(武)副大臣 委員御認識のとおり、レンダリング業界というのは食肉、食品のリサイクルに大きな役割を果たしているわけであります。そんなわけで、私どもも、今委員御指摘のようなことも実は考慮に入れておりまして、検討もしておりますが、現場段階、屠畜場段階で牛だけをあるいは豚だけをというふうなことを分け得るかどうか。また、レンダリング工場でもラインを別にしていくという必要も生じてくるわけでありまして、国としては莫大な税金を使った助成措置とか支援措置というものを考えなきゃならぬということで、検討のテーブルにはのっていると。

 なお、BSE対策検討会にも、業界の方々、詳しい方々いらっしゃいますので、そういった話を持ちかけておるところでございます。先ほどの鮫島委員がおっしゃられました着色の問題も含めて、さまざまなことを視野に入れてレンダリング業のジャンルを考えておるところでございますので、今後とも御示唆いただければありがたいと思います。

楢崎委員 牛、豚、鶏の肉骨粉を同じ工場で製造している中小業者の人たちが、やはり分別できれば安心して飼料会社に回せる、飼料会社も安心する、しかし、そのラインを分ける資金がないと言っておられるのですね。ぜひ、このことは検討していただきたいと思います。

 それから、農水省は十月四日から肉骨粉の輸入停止に踏み切っているわけですけれども、実はそれ以前に輸出国を離れていた肉骨粉及び骨粉、これが十月四日以降日本に到着しているのですね。今通関できずに到着港の保税区域に滞留されているのですけれども、今はどの程度の量が滞留状態になっているのでしょうか。

小林政府参考人 十月四日の輸入の全面停止がございまして、それ以降、通関できずに保税地域に滞留している肉骨粉等、これは動物検疫所の調べで八千トン余り存在する、そういった報告を受けております。

楢崎委員 輸出国がどこなのかも心配なんですけれども、この滞留物は今後どうなるのでしょうか。

小林政府参考人 こういった輸入停止という措置を講じた場合に、その時点の前後におきましてどうしても、既に契約が済んでいるとか、それから船で運んでいるとかという形で通関前のそういった在庫が生ずるわけでございまして、こういった場合につきましては、それぞれの輸入される皆さんの判断によっていろいろな、返送とかあるいは第三国への転送、こういったことをしていただいている状況でございます。

楢崎委員 肥料用については、停止解除が検討されてもいいのではないかと思うのですけれども。

 これまで問題になりましたイギリスからの輸入肉骨粉三百三十三トンですけれども、もう一度聞きますけれども、十月二十二日の発表では、現地調査の結果として、数量が百六十六トン、そのうち「百三十二トンについては、フェザーミールであると信じられる」となっていますね。この数量変更の要因の一つに、「ほ乳類の肉骨粉以外のものであることを明らかに示す書類が見つかったこと」とありますけれども、その書類は提出していただけますか。報告していただけますか。

小林政府参考人 今先生御指摘の点は、先般、イギリスの当局から私どもの方に公式文書として、三百三十三トンの経緯について報告した文書が参りました。

 その中で、三百三十三トンとこの百六十六トンの差につきまして、そのデータの差異について先方の公的機関の方が、「ほ乳類の肉骨粉以外のものであることを明らかに示す書類が見つかったこと」という形で書いております。

 この書類につきまして、今、提出することができるかどうかということでございますので、先方の方と、どういった形でこの書類が扱われたか至急チェックいたしまして、その上でまたお答えをいたしたいと思います。

楢崎委員 そうしたら、このほかに、原データの中に輸出業者の記入ミスや入力ミスによる「誤った品目コードを含むものが見つかったこと」とありますね。これも出してください。

 それともう一つ、「原データにおける仕向け先国のコードが間違っていた」とありますけれども、どこの国と間違っていたのですか。

小林政府参考人 これも、イギリスの方の当局において原データをチェックしてもらいましたところ、日本となっておった仕向け先の国のコードが、別のところだと思いますが、では、これもどこの国のコードだったかということは確認させて、またお答えしたいと思います。

楢崎委員 確認事項が多過ぎますけれども、早急にそれはお願いします。

 それから人への感染問題ですけれども、実は、九六年の七月、三重県のある病院で、六十代の男性なんですけれども、自分のぼけ症状がおかしいと言って診察を受けられたのですね。この手の病を自分から自覚症状を訴えられること自体珍しいのですけれども、この患者さんは、九月に入院されて翌年の一月に亡くなられました。

 それで、九六年というのは例のBSEが人に感染するということが発表された年でもありますし、担当の医師の方は、CJD、それも従来型でなくて変異型ではなかったのかなと述べておられるのですけれども、脳を解剖すると担当者がプリオンに触れる危険性があるから、その病理組織を調べることができなかったとも述べておられます。

 私自身は、CJDであったとしても、年齢的なもの、それから最初の診察を受けられて七カ月で亡くなっておられるということで、孤発性ではなかったかと思うのですけれども、この事例は承知してありますか。

下田政府参考人 クロイツフェルト・ヤコブにつきましては、年間大体百例程度、毎年発生をいたしております。

 このヤコブにつきましては、感染症予防法に基づきまして、いわゆる四類感染症ということで届け出義務がございます。ただ、今先生御指摘の三重県の事例について、その報告の中にあったかどうか、今承知はいたしておりません。

楢崎委員 もし必要でしたら、病院名それから担当医師名を理事会に報告しておきますので、一度事情を聞かれたらいいと思います。

 それから、首都圏の総合病院に入院しておられた十八歳の女性ですけれども、CJDサーベイランス委員会が二十五日に、変異型を含めてCJDである可能性は低いと結論を出されているようですけれども、では、どういう病気であったのか、ちょっと人権とも絡むのですけれども、病名は報告できるのですか。

下田政府参考人 委員御指摘のように、その患者さんにつきましては、サーベイランス委員会におきまして、クロイツフェルト・ヤコブ病である可能性は現在のところ低いという結論に至ってございます。

 ただ、クロイツフェルト・ヤコブ病につきましては、罹患期間が変異型の場合は非常に長うございます。平均で十八カ月、最長のものは三年を超すというようなケースもございますので、相当期間観察をする必要があるだろうということで、脳波あるいは必要に応じた検査を実施しながら見ていきたい。その場合に、その病名が確定すればまた御報告をする、そういうことになっているところでございます。

楢崎委員 可能性があるとされたケースが、最終的に確実と診断されるのは非常に少ないと聞いております。ただ、厚労省の方は、ほぼ確実とされた場合でも、異常プリオンが見つからなければ変異型とは認めないと聞いておりますけれども、これは事実ですか。

下田政府参考人 先ほど言いましたように、四類の感染症として届け出義務を課してございますが、変異型につきましては、なかなか診たことがない、本省でも発症例がないわけでございますので、知見のあるお医者さんが少ないといったことで、疑いを持ちつつもその診断がつきかねる、そういったケースがあるわけでございます。

 そういった場合には、先ほど申し上げましたサーベイランス委員会等に御報告をいただきまして、そこにおきまして専門医と一緒に患者を診ていただき、場合によっては経過を観察しながら確定的な診断を下しておる、こういった状況でございます。

楢崎委員 次に、流通ルートですが、大臣が言っておられました輸入業者への立入検査、これは今実施されているのですか。

小林政府参考人 肉骨粉の流通ルートの解明という意味で、いろいろな調査をやっております。その中で、引き続き立入検査をやっておるところでございます。

 まず、欧州のBSE発生国の中で、九五年以降肉骨粉の輸入実績のある国は、デンマーク、イタリアの二カ国でございます。そういった意味で、両国からの二〇〇〇年の輸入量、それぞれ二万六千トン、二万九千トンとなっておりましたが、その実態については、九月中旬に輸入商社等から聞き取り調査を行っております。また、引き続きまして、現在、九五年以降、デンマーク、イタリアから肉骨粉を輸入した業者ごとの輸入量、販売先等につきまして調査するという意味で、十月上旬から肥飼料検査所が立入検査を引き続き実施しているところでございます。順次、こういった国内での流通経路について、さらに調査を徹底してまいりたいと考えております。

楢崎委員 私個人的には、ヨーロッパから輸入された肉骨粉が怪しいと思っているんですけれどもね。

 これは肉骨粉を輸入したことのある大手商社関係者の話ですけれども、関税局に届ける書類、飼料製造用原料品による製造終了届というのがあるらしいんですが、これをチェックすれば流れはわかるというんですね。これは、飼料原料の輸入については、これを製品化した後に、一緒に加えた成分の配合量まで細かく明記して、船の着いた場所の税関に届けるらしいんですけれども、こういう書類のチェックも必要ではないかと思うんですけれども、やっておられますか。

小林政府参考人 今御指摘がありました飼料製造用原料品による製造終了届、これは関税定率法の規定に基づいておりますが、実は、この場合の製造用原料品といいますのは関税が軽減ないしは免税を受けた原料品ということで、そういった仕組みが設けられておりまして、飼料でいきますと、例えばコウリャンその他のグレーンソルガムでありますとかトウモロコシ、こういったものが政令で決められております。

 そういったものと肉骨粉は違いまして、こちらは無税ということでございますので、この制度の対象としての政令の指定品目にはなっておりませんので、この終了届を通じた、そういった運用の対象になっていないということでございます。

楢崎委員 質問時間が終わりますけれども、あらゆる手段を講じて、流通ルートの解明に全力を挙げていただきたいと思います。

 最後に、宮城県の畜産農家が国に狂牛病の被害補償を求める農家の会を結成するという報道がなされました。このような問題を含めてBSEが各界に与えた影響を考えたときに、結局は、こういう事態を招いた責任所在の明確さが求められると思うんですね。責任問題について早急に結論を出していただくように要望して、質問を終わります。

鉢呂委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

鉢呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。白保台一君。

白保委員 午前中に引き続きまして一般質疑でございますが、私の方からはセーフガードに関連して何点かお聞きをしていきたい、こう思います。

 中国産の三品目、ネギ、生シイタケ、畳表に対するセーフガードに関しては、四月二十三日に暫定発動をいたしました。十一月八日、間もなく、あと一週間後には二百日という期間を迎えるわけでございますが、それに関して、今発動しているこの暫定措置、これに対してどのような効果があったのか、まず効果をお聞きしたいと思います。

小林政府参考人 三品目のうち、ネギと畳表につきまして御説明申し上げます。

 セーフガードの暫定措置発動後の輸入の状況を特に見てみますと、ネギの場合ですが、五月から九月の輸入量が五千十三トン、前年の三六%ということでございまして、こういった意味で、関税割り当て数量に基づく計画的輸入が行われているところでございます。

 また、国内の価格も、発動前の一―三月までは下落傾向でありましたけれども、発動前には平年比七〇%まで下落しました。発動後は総じて平年並み程度に回復しております。

 それから、畳表の関係でございますが、同様に発動後の輸入状況について見ますと、五月から九月分の輸入量は六千二百七十八トン、前年の五五%でございます。

 また、国内価格につきましても、発動前の一―三月は低迷しておりましたけれども、発動後は平年並みないし二割高程度に回復しております。

 そういった状況でございます。

加藤政府参考人 生シイタケの関係でございますが、生シイタケにつきましては五月―九月の輸入量は三千二百八十八トンでございまして、十二年同期比では四九%というふうになっております。関税割り当て数量に基づき、秩序ある輸入が行われているものというふうに考えております。

 それから、価格の方でございますが、発動前の一月―三月までは一貫して下落傾向にあったわけでございますが、発動後は総じて平年並みの水準に推移しているというふうに思っております。

白保委員 今、効果はありましたか、こういう話を聞いたのですが、あったというふうに答えるのかどうかと思っていましたら、具体的な内容まで全部答えていただいて、内容が大体そういうことだったのかなと思います。したがって、そういった面で、効果ありということはやはり大変大事な措置であったな、こういうふうに思うわけですね。

 そこで、問題は、その暫定適用期間中に対処された、いわゆる構造改革の問題ですが、構造改革がしっかりと進んでいかなければ国際競争力というものはついてこないわけでありますし、そういう面で、暫定措置の期間中に対処された構造改革、このことが今どのようになっているのか、進捗状況等、そのことをお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 ただいまの暫定措置とあわせまして、まさに国内の構造改革をどう進めていくかという観点で、ネギ、畳表につきましてもさまざまな対策の方向を検討してまいりました。特に概算要求期に合わせまして、八月末に対策を策定したところでございます。

 ネギで申しますれば、ネギを含めました、こういった輸入急増のもとでの野菜の体制強化という意味で、産地レベルでの産地改革計画をつくっていただく、それに対して政府としても重点的な支援を続けていくというふうな、今そういった方向を出しておりまして、現在、産地で具体化を進めておるところでございます。

加藤政府参考人 生シイタケにつきましても、構造対策につきまして八月末に取りまとめを行いまして、現在、産地ごとに都道府県と一体となった構造改革計画づくりに取り組んでいるところでございます。今の段階で成果を評価するということはなかなかできがたいわけでございますが、今後これらの計画に基づきまして構造改革を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

白保委員 この構造改革というのは極めて重要なことでございまして、お聞きしますと、それぞれの地域の生産者が自立していく、国際競争の中で勝ち抜いていく、そういうためにどうすればいいかということをそれぞれに工夫をされながら、そして計画を立てて、また農水省と相談をされながら進めているということです。

 したがって、この措置をやっている間に、しっかりとした自立できる方向性というのが一番望ましいわけですけれども、そう簡単にいくものではありませんし、そういう面で、展望としてどれぐらいやっていけば国際競争にたえられるかということをお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。

小林政府参考人 今御指摘ございましたように、まさに産地の構造改革、こういった国際の中で国際競争にも対応できる産地を育成していく、これが基本だと思っております。

 そういった意味で、これもネギの場合をちょっと例にして申し上げたいと思いますが、今、輸入品と国産品の価格の差が約二倍と言われております。そういった中で国産品の小売価格、消費者の皆さんからすれば三割高ぐらいというのが一つの目安だと言われておりまして、ではそういったところの水準まで持っていくために今どういったことをすればいいのか。これは当然、生産、流通コストを含めたコストダウンとの関係が一つございます。

 また、川下、需要サイドの皆さんとは、産地の方に対しまして定量、定価格での供給を求める、そういった実需者側のニーズがあるわけでございまして、一種の契約取引でございますが、こういったものの推進。

 また、さらには有機栽培などによりまして、まさに産地の付加価値といいますか、それをどんどんつけていく。いろいろなタイプがあるわけでございまして、今私ども、構造改革の方向として、そういったモデルをお示ししております。

 それは、各産地で、どれが一番その産地に合っているのか、また、競争力をつけるためにどういった目安が出てくるのかということを評価してもらいまして、その産地の計画をつくってもらう、それに対して支援をしていく、そんな取り組みをしているところでございます。

加藤政府参考人 生シイタケの関係につきましても、やはり生産から流通、それから消費という対策を打っていくことが必要だというふうに考えておりまして、生産対策としては、新たな栽培方法の導入による生産規模の拡大や作業の共同化あるいは自動機械の導入による生産コストの大幅な削減を図りたいというふうに考えているところでございます。

 また、流通対策といたしまして、ITの活用だとか規格の簡素化というようなことで流通コストの削減を図っていきたいというふうに思っておりますし、また、消費対策として、新鮮なものが求められているわけでございまして、そういった情報提供等に努力をしていくというようなことでやってまいりたいというふうに考えているところでございます。

白保委員 さて大臣、このセーフガードを、暫定措置を発動してから中国が報復措置をとってきた。これは、法的根拠、あるいはまた妥当性という問題で極めて問題があると思います。そういう面で、農林水産大臣として、この問題に対して、中国の報復措置に対してどのような御認識を持って当たっておられるか、まずお聞きしたいと思います。

武部国務大臣 中国政府は、我が国のネギ等三品目について発動したセーフガード暫定措置に対する対抗措置として、今委員御指摘のように、六月二十二日から、日本製の自動車、携帯・車載電話、エアコンの三品目に対して、現行の輸入関税に加えて一律に税率一〇〇%の輸入特別関税の徴収を行っているところでございます。このような措置は、WTO協定から見ても、日中貿易協定から見ても、正当化し得ないものでありまして、直ちに撤回すべきものと考えております。

 そもそも、我が国がWTOセーフガード協定に基づき実施した合法的な暫定措置に対して、中国側がこのような違法な対抗措置をとったことは極めて遺憾でありまして、引き続きその撤回を求めていく考えであります。

白保委員 けさほどの御答弁にもありましたように、総理と江沢民国家主席、引き続き話し合いで解決を目指していく、こういう御答弁もございました。報道でもそういうことがございました。そういう中で、こういうルール違反をやっています、また、あしたから局長級の協議が始まる、こういうことでありますけれども、私は、この際、中国の加盟が今言われている状況の中で、交渉の前提となるものは、まさに国際ルールにのっとった、WTOのルールにのっとった、そういう交渉でなければいけない、そういうふうに思うんです。そのことについてはいかがでしょうか。

武部国務大臣 小泉総理と江沢民国家主席の間で話し合い解決という合意を得ましたものでありますから、これに基づいて協議を再開するということに相なりました。しかし、建前は、委員御指摘のとおり、正当化できないものは正当化できないものというふうに私どもは考えております。

 しかし、話し合い解決ということを粘り強く進めるために、予断を持って交渉に当たるということはいかがかなという感じもいたしまして、あす局長級のレベルでそういう協議が行われるわけでありますから、今までの、堂々めぐりといいますか、お互いの主張の繰り返しではだめだ、しかし、私どもとしては、我が国が正当化し得ないものは当然のことながら正当化し得ない話でありますし、やはり原理原則は大事にしなきゃならない、かように考えております。

白保委員 そこで、今大臣大変大事な答弁をされておるんですが、私は、先般の朝日新聞の夕刊にも出ておりましたが、二十五日に開かれたセーフガード、緊急輸入制限措置に関する関係閣僚会議、ここでこういった話が出ましたねということが新聞に出たわけですね。例えば、一つは「十一月八日までに日中協議を開き、十一月九日から、すぐには正式発動しない」、二番目に「セーフガードの政府調査期間(十二月二十一日まで)中に合意をめざす。合意しなければ発動する」、「政府調査は概要のみ近く公表し、万一の正式発動に備える」など、こういったことで合意されたというふうに新聞に出ておりましたが、そのことは、確認ですがいかがでしょうか。

武部国務大臣 おおむね新聞に出ているようなことと言って間違いないと思います。

白保委員 そうしますと、大臣先ほど、これはもう全部ずっと話し合いをしていきますよというお話ですよ。

武部国務大臣 今ちょっと、新聞のとおり、こう申し上げましたけれども、私どもは、この新聞を詳しく読んでおってちょっと気がついたのでありますが、まず、話し合い解決ということに基づいて、十一月八日までに我々としてはその話し合い決着を望むというのが基本でございます。しかし、そのために中国側との協議再開を求めてそれが行われるわけでありまして、相手もあるわけでございますので、具体的な考え方ということについては、基本的な考え方というのは先ほど申し上げたとおりでありますけれども、現時点で余り予断を持って臨むこともできない、この辺のところは少し幅があってしかるべきではないか、かように考えております。

白保委員 まさにカードが先に出てきてこういうふうにやりますよということであっては、しっかりとした交渉はなかなか難しいのだろう、こういうふうに思います。先ほど申し上げましたように、WTO加盟のことが言われている相手方ですから、そのことを前提にしたしっかりとした議論をしていかなければ、ルール違反を許したままでの議論ではこれは決していけない、こういうふうに思います。したがいまして、大臣おっしゃるように、予断を許さず、八日に切れましたら直ちにやっていける、そういったものは持っていなければいけないだろう、こういうふうに思います。

 そこで、仮に次の措置までの間の空白期間が出てくるようになった場合に、これは非常に大変な問題で、三品目の輸入の急増の可能性が出てくるんじゃないか、あるいは輸入が急増した場合、三品目に重大な損害を与える可能性があるんではないか、そして、発生した場合政府はどのような責任を負うのか、こういう三つの大きな課題が残るだろう、こういうふうに思います。したがって、そのことについてきっちりとした見通し、そしてまたその対策、こういうことも今からしっかりとした形でもって考えておく必要もあろうかな、こういうふうに思いますが、この辺についてお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 私どもは、ただいま申し上げましたように、暫定措置実施期間の終了期限が近づいていることを踏まえまして、農林水産省としては、中国との話し合いによる解決を目指しながら全力を挙げて協議に臨んでいく所存でありますが、一方、確定措置の発動を検討するための政府調査の取りまとめを急いでいるところでありまして、この政府調査の主要指標の概要は、今夕にも公表したいというふうに予定しているところでございます。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のような、輸入が急増し、国内農家に重大な損害を生じることがないような最大限の努力をしていかなければならない、かように考えている次第でございます。

白保委員 大臣の答弁、わかります。わかりますが、現実の問題として空白期間ができたらどういう結果になるのか、そういった見通しについてはお持ちですか。

武部国務大臣 ただいま申し上げられることは、農林水産省としては中国との協議に全力を挙げて取り組む、確定措置の発動を可能とするための準備も的確に進めていく、このことは今申し上げた次第でございまして、いわゆる空白期間を発生した場合にはどうなるんだということでございますけれども、委員は、具体的には空白期間が生じた場合には輸入が急増する、そして国内の農家に重大な損害を与えるんじゃないかというような御懸念の上にそういうお話をされている、かように思います。

 私どもとしましては、前段申し上げましたように、我々の意図するような方向にならない場合、つまり、話し合い解決が難しいというような、そういう事態に至るような場合には毅然とした態度で臨む、こう申し上げている次第でございます。同時に、八日以降空白ができたらということについては、現時点では断定的なことを申し上げられる状況にないということも御理解いただきたいと思います。

白保委員 時間が来ましたので、最後に申し上げておきたいと思いますが、日本がとっている措置は当然の権利であり、日本の農家が健全に発展していく、同時にまた国家安全保障の上からも大変に重要な問題でもあります。したがいまして、このことについては毅然たる態度で臨んでいただきたいし、またそうでなければ国民を守ることはできない。そういう姿勢で頑張っていただきたい、こういうことを申し上げて質問を終わります。

鉢呂委員長 次に、高橋嘉信君。

高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。

 私は、まず、WTO新ラウンドの立ち上げに向けて、今度カタールにおいて閣僚宣言が予定されておりますけれども、まさに大枠を決めようという段階でありますが、ここの中でケアンズ・グループ、米国は農工一体論を展開しようとしているやに聞いておりますし、非貿易的な関心事項についてはまさに耳を傾けていないという現状。それに対して我が国の立場は、農業交渉の結果が宣言によって先取りされないように、また、農業分野だけではなくて、多面的機能、食料安全保障という点を強調しているようでありますが、政府の見通しとこれに対する基本姿勢をまずもってお伺いいたします。

武部国務大臣 カタール閣僚宣言案の農業部分については、十月八日に当初案がハービンソン一般理事会議長より各国に配付されたところでございますが、当初案自体は非公開扱いでございますために、その詳細な内容について言及することはできませんが、主な内容としては、農工一体論の記述はございません。市場アクセス、国内支持及び輸出補助金の三分野につき、交渉結果の具体的到達水準の記述とはなっておりません。また、非貿易的関心事項について明記されているものとなっております。

 なお、十月二十八日に当初案の改訂版がハービンソン一般理事会議長より各国に配付されたところでありますが、農業部分については当初案から変更されてはおりません。

 一方、今次宣言案に対しては、ケアンズ諸国より、引き続き農工一体論や交渉結果の具体的到達水準、非貿易的関心事項を実現するための政策についての限定要件の明記などを強く求める主張がなされております。予断を許さない状況であると認識しております。

 いずれにいたしましても、我が国としては、農業協定第二十条の実質を変えるようなことは記述すべきではない、交渉の結果の予断、先取りをするようなことは記述すべきではないとの基本的方針のもと、今後の農業交渉において日本提案の内容を主張し得るような交渉の枠組みが確保されるように、今後とも最大限努力してまいりたいと思います。

高橋(嘉)委員 七月の四日に国際会議、非貿易的関心事項への理解を深めるためにいろいろ農林省も頑張っているようでありますけれども、着実にこの考え方は浸透してきているという認識に立ってよろしいんでしょうか。

武部国務大臣 日本提案の多様な農業の共存実現のため、非貿易的関心事項に関心の高い国と連携をしていかなきゃならないと思っております。我が国、EU、韓国、ノルウェー、スイス、モーリシャスとの共催によりまして、昨年七月と本年五月に非貿易的関心事項に関する会議を開催し、四十数カ国の参加を得て、非貿易的関心事項を達成する政策手段と手法について自由な意見交換を行った次第でございます。今後とも、非貿易的関心事項に関心の高い国との連携を推進してまいりたいと考えております。

高橋(嘉)委員 そこで、我が国の主張のもう一方の柱であります食料安全保障についてであります。

 食料安全保障ということを語る場合においては、安定供給の確保、これは輸入であれ自国の生産であれ、それと同時に、備蓄という問題も大きなウエートを占めると思うんですが、現在の自給率の状態なり備蓄状態。今度また、食糧庁の今お考えになられているところでは、米の在庫水準も引き下げようという、そのような話が出ているようでありますけれども、これも財政負担を圧迫しているという理由だけでの備蓄概念でありますけれども、本当に食料安全保障の堅持を主張するならば、備蓄という概念を変える必要があるのではありませんか。その点、いかがでしょうか。

武部国務大臣 食料は人間の生命の維持に欠くことのできない基礎的なものであることから、不測の要因により需給が逼迫するような場合においても国民への安定的な供給を確保していくことは国の基本的な責務である、かように認識しております。

 このため、我が国では、主食である米と供給の多くを輸入に依存している小麦、食品用大豆や飼料穀物について、需給動向やこれまでの国内外での不作や輸出国における輸送問題の発生の例等を考慮して、必要な水準の備蓄を行っているところでありまして、今後とも、これらの備蓄の適切かつ効率的な運用に努め、国民への安定的な供給の確保に努めてまいりたい、かように存じます。

高橋(嘉)委員 いや、私がお聞きしているのは、例えば備蓄、百五十万トンプラマイ五十というのを、百万トンプラマイ五十に引き下げようとしている、そういった備蓄概念ではいかがなものかということをお尋ねしているのでありますけれども。

武部国務大臣 備蓄水準につきましては、現行の備蓄水準が平成五年の未曾有の不作と過去の不作の経験を踏まえまして、平均的な不作が二年連続しても円滑な供給が行えるよう百五十万トンとしておりますが、最近の需要動向、また過去の作況変動をもとに、翌年の増産可能量も考慮して幾つかの事態を想定して試算すれば、百万程度が必要、こういうふうなことではないか、かように考えているわけであります。

高橋(嘉)委員 議論がかみ合わないと思いますが、いずれ、そのようなことを言いながら、冷害のときには海外から輸入しているわけでありますから。

 先に進みます。現在、八億の人たちが飢えに苦しんでいる。アジア五億人の人たち、ハンガーマップというものが、赤く塗られている国が二十七カ国と言われておりますけれども。

 僕は前にも質問いたしましたけれども、国際備蓄の提案をされております。これは通告していなかったんでありますが、前にもお聞きしていますので、大臣の所見を伺えばいいわけでありますが、国際備蓄の提案に本腰で取り組む気がおありなのかどうか。そして、例えば、先ほど大臣が申し上げた四十数カ国が集まった会議においては、この点については提案したのか、また、理解が深まってきているのか。この辺のところをお伺いしたいのであります。

武部国務大臣 我が国は、昨年十二月のWTO農業交渉日本提案において、開発途上国への配慮の観点から、既存の二国間や多国間の援助を補完する国際備蓄の仕組みを検討するよう提案しております。

 国際備蓄構想の具体化の一環として、四月に国際備蓄構想研究会を設置して、国際備蓄のあり方等について幅広く議論をいただき、今般その取りまとめが行われたところでございまして、農林水産省としては、国際備蓄の実現に向けた具体的な取り組みの第一歩として、ASEANとの間で食料安全保障の強化に向けた東アジアの米備蓄システムに関する検討を開始することとしたところであります。本研究会報告もこのような検討の場で活用してまいりたい、かように考えます。

 なおまた、FAOのディウフ事務局長来日の際にも、私と遠藤副大臣も同席させていただきましたが、このことについて強く御提案申し上げ、ディウフ事務局長の賛意を得たところでございます。

高橋(嘉)委員 いずれ、規模とかいろいろな詳しい点についてお伺いしたいんですけれども、この点については本気で頑張っていただきたいとお願い申し上げます。

 次に、先ほどからお話ございましたセーフガードについて、対中国問題でありますが、お伺いいたします。

 先ほど大臣は、中国の報復措置はまことに遺憾であるというお話をされました。WTO加盟を前提としていた中国が、なぜこのような全く信じられないような報復措置をとるに至っているのか、その辺の分析はどのようになされていますか。

武部国務大臣 中国政府が日本製の自動車、携帯・車載電話、エアコンの三品目に対して一律に税率一〇〇%輸入特別関税の徴収を行っているということは、委員御指摘のとおり、WTO協定から見ても、また日中貿易協定から見ても正当化し得ないものでありまして、私どもは、直ちに撤回すべき、このように主張してまいりました。

 我が国がWTOセーフガード協定に基づき実施した合法的な暫定措置に対して、中国側がこのような違法な対抗措置をとったということはまことに遺憾にたえない、かように存ずる次第でございますが、小泉総理と江沢民国家主席の間で、話し合いで解決をしようという、そのことの合意というものは一つの大きな局面展開でもある、私どもはかように考えまして、中国との協議再開に全力を挙げて、粘り強く話し合い解決を目指している現状でございます。このことを御理解いただきたいと思います。

高橋(嘉)委員 粘り強く協議をするのはわかります、それは至当な判断であろうと思いますけれども。

 それは十二月二十一日を期限としてのことでございますか。再度お伺いします。

武部国務大臣 十月二十一日からということでございますが、私どもは以前からも、話し合いで解決できればこの上ないということで、話し合い協議を何度も持ちかけてまいりました。なぜ中国がこういった対抗措置をとるのかということについては非常に理解に苦しむところでございまして、中国自身もWTO加盟を前提にあるわけでありますので、私どもといたしましては、遺憾にたえない、こう申し上げる以外にないわけでありますけれども、今、局面が大きく変わったということを踏まえて、我々は、この時点で予断を持って臨むのではなくて、話し合い解決のために全力を尽くすというのが現在の一番あり得べき姿だ、かように思っております。

 しかし、話し合いで解決できる、そういうものでない場合もあり得るわけでありますから、政府調査も、我々としては今夕に向けて着々その公表の準備をしてまいりましたし、また、場合によっては毅然たる姿勢で臨んでまいりたいということを改めて申し上げたい、かように存じます。

高橋(嘉)委員 申しわけありません、簡潔にお答え願いたいんですが。十二月二十一日の調査期間のタイムリミットを過ぎる場合もあるというお考えなのか、中国の報復措置の取り下げを前提という報道がございましたが、それは変わらないのか、その点をお伺いします。

武部国務大臣 私どもは、十一月八日までの決着を目標に、今再開に入ろうとしているわけでございまして、十二月二十一日のお話、ちょっと私誤解していましたけれども、そのような、それを過ぎるような考えは毛頭考えておりません。

高橋(嘉)委員 報復措置の取り下げが前提というのは。

武部国務大臣 それは交渉の過程で、そのことは我が国の当然の主張であろうと思います。

高橋(嘉)委員 それでは次に、米政策の抜本的な見直しということを今お考えのようでありますが、この点についてお伺いします。

 さて、この理由は何か。稲作の主業農家の粗生産額が他分野に比して著しく低い、稲作所得の激減だ、生産調整政策の限界だとか、いろいろ食糧庁が説明して、この間お話をお伺いしました。また、水田利用の質的なものが低下していると。いろいろなお話ございますけれども、三十年以上の減反をして、今ここに来て何をかいわんやという気持ちを禁じ得ないのでありますけれども、おまけに数量調整に変えるという、本格的に青刈りという話であろうと思いますけれども、この点非常に、要は、農政の基本的な方針が全然見えない、やる気を起こさせることができない、起きない、そういう何年間にもわたる農政の失敗であったと私は思っております。

 そこで、三点お伺いいたします。

 稲作経営安定対策について、副業的な農家を対象とするとかどうかとの報道がございますが、どのように副業的農家について検討されているのか、状況をお知らせください。

武部国務大臣 稲作所得は、この五年間で毎年二千億円減少しております。このことが、特に農業に依存する主業農家に大きな影響を与えていることは、委員御承知のことだと思います。

 稲作経営安定対策について、担い手により焦点を当てた見直しが必要ではないかという問題提起をしたところでございます。十月上旬には、この見直しを含めた米政策の総合的、抜本的な見直しについて、全国八カ所で意見交換会を開催して、各界各層からの御意見をいただいたところであります。

 現在、これらの御意見を踏まえつつ、内部で検討を進めているところでありますが、現状を申し上げますと、稲作経営安定対策についての対象農家の扱いは、いわゆる副業的農家の政策的位置づけといった、まさに農政の根幹にかかわる問題でございまして、私は、さらに議論が必要な状況にある、かように認識しております。

 いずれにいたしましても、農業の現場に混乱を生ずることのないよう配慮しつつ、水田農業の構造改革を推進するという立場から各方面との議論を深めて、十一月中には取りまとめを行っていきたい、かように考えております。

高橋(嘉)委員 それでは、ちょっと大臣にお伺いしますが、減反政策が行われてから三十年ですけれども、要は、粗生産額が低い、生産性を上げるんだ、いろいろずっと農林省はお話をされていますけれども、日本型の農業の場合、水田の整備の、圃場整備の最終的な適正な面積、一反歩から三反歩になって、三反歩から五反歩になって、次に一町歩になって、また償還金、大体土地改良が終わって返還し終わったあたりには今度は三町歩になるんですか。その辺の、日本型農業の中で、かくあれば日本の農業は生きるという土地改良の適正規模、面積、何反歩、何町歩なのか。

 その辺のところ、余り、十町歩の田んぼをつくったからといって生産性、収量が上がるわけじゃありませんから、その辺の指針がしっかりなければ、どうせまたそうなるんだという意識になるわけですし、ましてや、副業的農家の政策的位置づけといいますけれども、今土地改良しているもの、これから土地改良をしようとする計画途上にあるもの、また、今償還途中にあるもの、だれのために土地改良をやったんだか、基盤整備をやったんだか、わけがわからない、そういう意見はありませんでしたか。

 また、農林省が考える日本型農業の適正規模、面積、それをお話しください。

武部国務大臣 適正の規模、面積というのは、一概に言うことは難しいと思います。それはやはりケース・バイ・ケースだろう、かように思いますが、水田の整備は、その時々の目指すべき稲作農業の姿、営農技術、機械化体系及び施工技術に応じて実施しております。現在は、第四次土地改良長期計画に基づいて、三十アール程度以上を基本としつつ、地域の特性に応じた大区画圃場の整備を推進しているのでございます。

 一方、平成十二年三月に定められた食料・農業・農村基本計画においては、麦、大豆の生産振興に資する水田の汎用化等の推進が明示され、また、本年六月に成立した改正土地改良法においては、事業実施に際して、環境との調和への配慮が位置づけられたところでございます。

 このような状況を踏まえて、現行の土地改良長期計画を平成十四年度で打ち切り、十五年度を初年度とする新たな土地改良長期計画を策定することとしたところでありますが、その際、経済財政諮問会議の基本方針に示されたアウトカム、成果の指標の設定など、国民にわかりやすい目標について検討してまいりたい、かように考えております。

高橋(嘉)委員 いろいろ申し上げたいんですが、僕はBSEの話もお聞きしたいので。

 いずれ、これから後、僕は、時間があれば大臣あるいは農林省の方から、目標達成時、平成二十二年に置いているようでありますけれども、そのときの農村社会の青写真を漠然とでも提示してほしい。農業の労働力はどうなるのか、核家族化は進まないのか、いろいろな問題が出てくると思います。農業依存度だけで農村集落は語れないと僕は思っておりますので、いずれ、農業の持つ多面的機能についてもいろいろな多様性が必要だろうと。実態は、そのようなことでは、農村社会、文化伝統あるいは社会教育、いろいろなことをいかにお話ししようとも、コミュニティーは守れないし、そういった中では農村集落は崩壊していく、私はそう思っております。いずれその点のところにも視点を当てて御検討を賜りたいと思っております。

 次に、BSEでありますけれども、きのう、農水大臣に、我が党、自由党として申し入れをいたしましたが、遠藤副大臣の方に申し入れをしたんでありますが、大臣はごらんいただけましたでしょうか。

武部国務大臣 遠藤副大臣は農林水産省のBSE対策本部長でございまして、まだ詳しく見ておりませんが、副大臣のお話ですと、自由党からの要請事項については、大体順調にといいますか、意を体して今検討中であるという報告は聞いております。

高橋(嘉)委員 じゃ、全然食い違っているので、またお話しいたします。

 いずれにしても、うちの方で申し入れたのは、特定された牛の感染源と感染経路を早急に解明せよと。そして、BSEの発生を未然に防止できなかった責任と今回のBSE被害の責任を明確にすること。これがまず第一項目めであります。

 九月十日に千葉で発見、導入元は北海道佐呂間。日本ではBSEと即断できずに、英国に検査を依頼しました。これは、技術的な問題か慎重を期したのかはわかりません。BSEの主原因は肉骨粉であると世界的に認められているのにもかかわらず、早々と、九月十三日、その次の次の日には、肉骨粉は使用されていなかったと発表しました。僕は、今回の風評被害の根本原因はこのあたりにあると思っておりますので、口頭だけの調査だったのか、本当にそのときに、本当に与えていないということで発表したのか。

 そして、それから二日後、十五日には、このBSE感染牛が、焼却処分ではなくて、実際は肉骨粉となっていたことがわかった。それも、検査結果の出る前の八月六日に解体され、流通段階に入っていた。こういうことでは、消費者も生産者も信用できるはずはないのであります。

 また、再三、この委員会での申し入れにもかかわりませず、十月一日に、肉骨粉の輸入、国産物の使用を停止すると大臣は発表しました。それも、一時的という表現にとどまった。まあ、いろいろ理由はわかります。わかりますけれども、このような後手後手の対応。また、これはもう何回もお話しになっていますけれども、FAOからもEUからももう危険度が高いよと注意をされていた、警告されていたにもかかわらず、どんどん入ってきていた。

 当時の責任もさることながら、今はもうはっきり申し上げて、全頭検査も始まったわけでありますから、そろそろ責任をとるタイミング、責任の所在というものをはっきりする、これだけの失態をしでかしてきているわけでありますから。今は全頭検査しているから、出ているのは大丈夫だよ、安全だよ、それはわかります。そのことだけではなくて、やはりこれだけの被害を拡大させた責任は極めて重大と言わざるを得ません。いつごろにこの責任問題が浮上してくるのか、これが一点。

 また、全容解明についての中間報告なり最終報告なり、中間報告だけでも結構です、いつごろ予定しているのか。この辺、明確にお答えください。

武部国務大臣 BSE発生牛が、疑いの牛が出たということで、私ども、十日の日に対策本部を遠藤副大臣のもとに設置して、その後、その日の記者会見で当該牛は焼却処分されていたということを申し上げながら、そうでなかったということ、そして、それが判明したのが十四日の夜でございました。それまでの間の初期対応ということについては、委員御指摘のとおりの不手際がございました。このことは言語道断のことでありまして、弁解の余地はございません。

 しかし、私どもは、その後の対応について、今委員、後手後手と言われましたけれども、厚生労働省と一体になりまして、一番大事なのは何なんだということに焦点を絞って、とにかく検査体制だと。つまり、なぜ焼却処分されていなかったのかということの方が、私は問題だと思ったんですよ。当初のBSEを疑うマニュアルでは、屠場でこれは検査して、品川教授のもとで最終検査をしたならば、頭も個体も焼却することになっているんですね。私は、焼却していないということの方が非常に大きな問題だったと。なぜこうなったんだ、これはもう認識の甘さだ、検査体制がしっかりしていなかったということで、検査体制に万全を期すべく、手を打ってまいりました。

 後手後手とおっしゃられますけれども、九月十九日には、もう三十カ月齢以上のものは屠畜場に入らない体制をしいたわけです。二十日には、農場におけるサーベイランスもやることにしたわけです。そして、厚生労働省が十八日には諸般の準備ができるということで、十八日に向けて、一体になってその体制を整えてきたという次第でございまして、最後に、責任はどうなんだというお話がございましたけれども、内部的には、私は厳重な注意を促しております。そして、とにかく間断なく対策を立てなきゃなりませんでした。本当にみんなもう徹夜の毎日であります。これは弁解にならないかもしれませんが、とにかくやることはやらなきゃならぬ、やることをきちっとやった上でどうするかというようなことは、それは今後の大事な一つの問題だという認識をしているわけです。

高橋(嘉)委員 全頭検査以前の在庫の、今市場隔離されている肉についてですが、後手後手という表現に、何かおもしろくないようでありますけれども。

 ここで、例えば十月の二十日に、大臣、ちょっとお聞きになってください、大臣が全頭検査以前の肉について「市場に戻さず処分することは「考えていない」とした。」と。これは武部農相が十九日の閣議後の記者会見で言っています。

 そうしたら、二十七日のこっちの農業新聞の方では、

  武部農相は二十六日の閣議後会見で、自民党がBSE全頭検査以前にと畜した牛の肉の隔離後の処分を求めていることに、「基本的にはまったく同じ考え方だ」と述べ、隔離後も市場に放出しない姿勢を示した。

 どっちが本当なんでしょうか。(武部国務大臣「最初、何ですか。一番最初は」と呼ぶ)

 一番最初は、二十日に、

  対象は産地段階と卸売り段階の在庫で、一万トン程度を想定していることも明らかにした。隔離期間は「(安全性について)国民、消費者の理解を得られるまで」と述べるにとどめた。市場に戻さず処分することは「考えていない」とした。

武部国務大臣 市場に戻すことは考えていない、これは安全な牛ですから、肉ですからね。ですから、私は、調整保管という言葉は使いましたけれども、市場隔離ということを当初から明言しているんです。

 そして、そのことについては、将来流通するのか、そういう記者の質問に対して、安全なものだから、それは今回八カ月の予算を組んでいるわけですから、ですから、安全なものだからそれは将来流通するかもしれない、それは、しかし前提は、消費者や国民の理解が前提だ、こういうことを申し上げているわけでありまして、そのことが誤解を生む文言だという指摘もあります。

 とにかく、それは同じことかもしれないけれども、国民が理解するようになったら市場に出すことはあり得るということは、国民が理解するまでは断じて市場から出さないということなんだから、そういうふうに明確に言った方が消費者は安心するということで、私はそういう言い方に変えています。変えていますが、考え方は全く同じですからね。市場隔離ということはそういうことなんです。

 したがって、それをどうするかということは、今後、国の責任で万全の措置を講じなきゃならないと思っておりますが、国の責任で万全の措置を講ずるということは焼却処分なのか、すぐそういうふうに飛躍的な話も出てきます。しかし、これはいろいろな選択肢があるでしょう。これは、そういったことも当然視野に入るかもしれないけれども、これは少し時間をかけて、腰を据えて、どうしたらいいかということはもう少し時間をかけて考えていいのではないか、こう申し上げているわけでありまして、最初と今も考え方は同じでございます。

高橋(嘉)委員 大臣のお話はお聞きしました。しかし、牛肉を食べるのを来年の夏まで待とうとか、こういうふうな話が、どんどんそういう話で出てくるわけでありまして、僕はその辺のことをはっきりすべきだと思っております。

 きのうの申し入れの中にも、全頭検査以前の肉は焼却処分せよ、すべきということを我が党は申し上げております。また、生産農家も早く焼却処分してくれ、安全だとわかっていても焼却処分してくれということを言っておりませんか。私は、本当にそのような声しか届いてきません。

 いずれその辺の御決断を促したいと思いますし、質疑時間が終了いたしましたので、最後に、輸入肉骨粉の販売ルートの解明、商社の名前は、輸入業者の名前は聞きましたけれども、それからどこに行き、そして農家に行っているか、その辺のところの全容を解明していただきたい。

 まさに、ほんの一部でもレンダリング業者に渡って、安価な肉骨粉だったわけですから、それが行っていたという、飼料として与えられていたというような事実はないと。もしあったのなら公表していただきたいですし、いずれ、お答えは要りませんけれども、消費者も生産者も安心できる体制、九月十日以前に一刻も早く戻していただきますようにお願いを申し上げ、また、生産者の経営安定対策にももう少し手厚い施策を講じていただきますよう御要請を申し上げ、質問を終わります。

鉢呂委員長 答弁していただきます。

武部国務大臣 まず、前段、完全な市場隔離ということで、国民の理解のないまま市場に出回ることは断じてさせません。その対応については、国の責任において万全を期してまいりたい、かように考えておりますので御理解いただきたいと思います。

 それから今、輸入肉骨粉の販売ルートの解明についてでございますが、一九九五年以降、デンマーク、イタリアから肉骨粉を輸入した業者ごとの肉骨粉の輸入量、販売先等について調査をするため、十月上旬から肥飼料検査所が立入調査を実施しておるところであります。しっかりやらせていただきます。

 これまで九社について調査しているところでありますが、これら九社からさらに三十六の飼料会社、仲卸会社等に販売されたことも明らかになっております。この中にはレンダリング業者も含まれていることが判明したところであります。現在、これらの販売先に対して調査に着手したところでありまして、レンダリング業者も含め、国内での流通経路について調査を進めてまいりたい、かように存じます。

高橋(嘉)委員 終わります。

鉢呂委員長 次に、松本善明君。

松本(善)委員 まず、農水大臣にセーフガードの問題から伺いたいのでありますが、各委員からの質問がありまして、その答弁を全部聞いておりますので、それを前提として、どうも最後のお話になると、農産物の正式発動は、九日以降すぐには発動しない、十二月の二十一日までに合意がなければ発動する、これが関係閣僚会議の合意なんですか。そうじゃないんですか。さっきから聞いていると、はっきりしないものですから。

武部国務大臣 関係閣僚会議におきましての合意事項は、小泉総理、江沢民国家主席との合意を踏まえて、中国側との協議を早期に再開し、本件の話し合いによる解決を追求していくということで一致したところでございまして、これを受けて、十一月一日に北京において局長クラスの協議を開催することとしているわけでございます。

 一方、暫定措置実施期間の終了時期が近づいていることを踏まえまして、確定措置の発動を検討するための政府調査の取りまとめを急いでいるところでありまして、今夕にも政府調査の主要指標の概要を公表する予定でございます。

 今後の中国との協議の進捗状況については、今予断を持つことはできないということから、現時点において十一月九日以降の取り扱いについては断定的なことを申し上げることができないということを御理解いただきたいと思います。

松本(善)委員 すると、この十月二十五日の朝日新聞の報道は間違いだということですか。さっき言ったのは、違うと言いましたね。これははっきり、先ほども他の委員が言われましたけれども、十二月二十一日までに合意を目指す、合意ができなければ発動すると。

武部国務大臣 とにかく、私どもは十一月八日までに話し合い解決ができるように全力を尽くすということで臨んでいるわけでございます。

松本(善)委員 そうすると、この問題についての大臣の認識をきちっとただしておく必要があるかなと私は思うんです。

 暫定措置の適用期限である十一月八日以降、引き続き実効性のある輸入制限措置が講じられなければ、再び輸入が急増し、価格が急落する事態となり、構造改革が困難となるのみならず、産地の崩壊が危惧される。だから、十一月八日以降、同じ実効性のある輸入制限措置がとられなければ産地の崩壊が危惧される。私も全くそのとおりだと思いますが、その認識は共通ですか。

武部国務大臣 全く同じ認識であります。

松本(善)委員 そうすると、十一月八日以降に輸入が急増して価格が暴落するというようなことがもし起こったらば、これはもう直ちに本格発動ですか。

 といいますのは、大臣は、空白期間ができたら、断定的なことは言えない、先ほど来の答弁もそうでしょう。そうすると、心配があるわけですよ。だから、そういう心配はないのか、そこをはっきりしてほしい。

武部国務大臣 そういうことにならないように最大限努力するということでございまして、あくまで仮の話でありますが、両国間での話し合いの最中にネギ等三品目について中国からの大量の輸入があった場合には、それは日中間の信頼関係が大きく損なわれるわけでありますので、農林水産省としては毅然とした態度で臨む方針であるということも先ほどから申し上げているわけでございます。

松本(善)委員 気になりますのは、農林水産省としては毅然たる態度、政府としてはということが言われないんですね。私は、もし本格発動までの間に空白期間があって、そこで輸入が急増するとかいろいろなことがあると、それは大変な事態になると思うんです。そうすると、やはり私は農水大臣の決意を伺いたいんですけれども、職を賭してでもそういうことは起こさないという決意で臨まれますか。

武部国務大臣 そういうことにならないように、政府と一体となって最大限努力をしようということでございます。

松本(善)委員 そうならないようにと言うけれども、やはり農水大臣の決意いかんですよ、それは。そんなことになっても、私は閣内で少数意見で、結局政府はそうなりましたといったら、それは生産農家は崩壊しますよ、産地は崩壊しますよ。そんなことは絶対させない、私が職を賭してやられますかということを聞いているのは、そういうことなんですよ。どうなんでしょう。その決意ですよ。

武部国務大臣 仮に、八日を過ぎて急激に中国からの輸入が増大するようなときには、中国との信頼関係が損なわれることを意味するわけでありますので、そのときには農林水産省としては毅然たる態度で臨むということをもって御理解をいただきたいと思います。

松本(善)委員 私がこのことにこだわって申しますのは、やはりこれは今後の問題に大きな影響、三品目だけじゃないですよ、ウナギもワカメも求められていますね。それから、タオルとか伝統工芸品とか、そういうものもいろいろ言われている。農水関係以外でも言われております。

 それから、既に平成十三年度議決分で、このセーフガード発動については、十七道県、八百六十市町村、合計八百七十七の地方議会から意見書が提出されていますし、十日以降も、青森県、滋賀県、島根県、高知県など、議会が可決しています。青森県の請願では、ニンニク、トマトなどの発動も求めています。

 ネギや生シイタケはもう十一月から出荷ですから、これはいいかげんなことでいくと、それは産地は本当に崩壊するわけですよ。そして、イグサも、擬装の畳表、敷物みたいな形で畳表に転用するものがどんどん輸入がふえているというようなことですから、単に三品目の問題ではないわけですよ。

 こういうことはもともと二国間の問題じゃなくて、本来WTO協定で、国内産業が危機に瀕すれば当然の権利としてやれるわけなんだから、それは先ほども御答弁されていますからそれはいいですが、そうなりますと、やはりここで本当に毅然としたということが、絶対にやらせない、このセーフガードの問題の日本の権利はどんなことがあっても守り抜くということでないと、農水大臣は職を賭すというぐらいのことでないと、私は不安だし、私が不安なだけではなくて、生産農家はみんな不安ですよ、これは。そして、日本の産業が崩壊、空洞化していくということになりかねないんですよ。だから、強い決意を求めているわけです。

 一九九三年の輸入の自主規制のようなことになったらとんでもない。あのときはニンニクとショウガ、一九九三年から二〇〇〇年の七年間に輸入は一・八倍になっています。

 そういうような形だったら絶対にだめだ、もし合意ができるとしても、本格発動とほとんど同じものでないと、全く同じものでないと、そういう合意でなければ、日本の生産農家は崩壊すると思うんですよ。そういう決意で臨むのかどうかということを重ねて聞きたいと思います。

武部国務大臣 何度も申し上げておりますように、本件は、小泉総理と江沢民国家主席の間の話し合いによる解決という合意に基づいて、早期に中国と協議を再開し、そして私の立場からいたしますと、八日が近づいております、その以前に決着できることを願っているわけであります。

 しかし今、いよいよあすから協議再開、そういうことに相なりました。したがいまして、この時点で予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、しかし本格発動に向けての準備は着々進めているわけでございます。そして、話し合い解決ということに向けて粘り強く協議を行う、それが今始まろうとしているわけでありますから、我々はそれをかたずをのんで見守っているという状況にあるのが現時点ではないか、かように考える次第でございます。

 しかし、話し合いによる解決ができない、今委員御指摘のように、仮に八日を過ぎて急激に中国からの輸入が増大するというようなことは、これは中国との間の信頼関係が損なわれたということを意味するわけでございますので、そのときには毅然たる態度で対処する、こういうことを申し上げている次第でございまして、このことでぜひ御理解をいただきたいと思います。

松本(善)委員 もう一点、確かめておきたいと思いますが、合意というのは、本格発動と変わらないような内容ということでなければ合意しない、そういう構えでいるかどうか、聞きたいと思います。

武部国務大臣 そのことを、今ここであらかじめ私の考えを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

松本(善)委員 報復措置の問題は先ほど議論がされましたけれども、これは不当なんですね。本来、二国間の問題ではないわけですよ。大臣も撤回を求めると言われましたけれども、私は、筋の通らない解決をするようだったら、それは交渉決裂するよりしようがない、その決意で臨まなければ絶対ならないということを強く要求して、次の質問をしたいと思います。

 いわゆるBSEの問題、これも各委員から質問がございました。北海道東北地方知事会議も緊急提言をしていますし、私どもの党も、全国各地で各議員が生産農民の方々やその他関係者の意見もずっと聞いて回っておりまして、大臣にも申し入れをしましたし、副大臣にも私は東北関係の問題を直接聞いてもらいました。

 そういうことを踏まえてお聞きをしたいのでありますが、まず文部科学省に聞きます。

 BSEが発生してから給食に牛肉を使わない学校が多数に上ったわけです。文部科学省は、都道府県の教育委員会などに対して、農水省、厚生労働省のいわゆる安全宣言を受けて、牛肉の使用を自粛している学校については従前の取り扱いに戻すなど適切な対応を求める通知を出しました。

 通知を出す前にどのぐらいの学校で牛肉使用を自粛していたのか、また、通知を出して以降どれだけの学校が牛肉使用を再開したのか、答弁をお願いします。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、十月十八日に通知が出たわけでございますが、私どもが調査した段階は九月二十八日の時点でございまして、公立学校が、完全給食学校が約三万一千校あったわけでございますが、そのうちの約一万一千校、三六%に該当します一万一千校が一部自粛したというふうに承知しております。それから、それ以降十八日までの間については私ども調査してございませんし、それ以降、十八日以降の調査も現在のところ実施いたしておりませんので、数字を持ち合わせてございません。

 以上でございます。

松本(善)委員 文部科学省、十八日以降のことは調査していないということなんですが、どうも減っているという、では牛肉使用を始めたというような報道に接することはありませんね。私は、やはりこれは、農水省や厚生労働省の安全宣言にもかかわらず、信頼されていない。先ほども、信頼がないという問題が同僚の委員から指摘をされました。

 大臣は、三十日の枝肉が上がっているという話、確かに上がっていますね。だけれども、二十九日はぐっと下がっていますよ、二十九日までは。それから、頭数はやはり戻っていないわけです。二百頭ぐらい。これは三百七十頭以上出ていたのが二百頭ぐらいですから、やはり一時的に値段が戻ったといっても、それで安心できるというような性質のものではないだろうと思います。

 それで、私は、やはりこの問題の背景には農水省に対する信頼の問題がどうしてもあるんだと思うのです。事実は事実として言っているんだ、それが責任なんだと大臣は言っていられますけれども、やはり給食の状況を見ましても、枝肉は今申しましたようなことでありますが、市場の牛肉は、農水省の二十九日の発表でも、主要量販店の牛肉の売り上げは前年同期比で四割から七割減少している。だから、これは信頼されていないのですよ、率直に言って。

 私どもが生産農民やその他から聞いている話では、そう言っては耳に痛いかもしれませんが、農水大臣と厚生労働大臣がテレビに出てきて謝ったりなんかする、そういうものをやめてくれ、逆効果ばかりだという声もあるんですよ。笑っていられるけれども、本当にそうなんですよ。それは、やはり私は深刻な問題として、農水大臣、受けとめないといけない。今、事実を言っても信頼されない、そういうことはあり得るんですよ。

 大臣は、ことしの一月の十日に、ドイツの二閣僚がこの問題の対策のおくれで引責辞任をしていることを御存じかどうか。私は、やはり風評被害があることは確かですけれども、その原因が農水省や政府にあるんじゃないか、ここをやはり考える必要はないか。さっき、後手後手に回ったということを言われて弁解していられましたけれども、これは武部農水大臣が就任する前から、肉骨粉の輸入をし続けたことだとか、それから防疫対策の問題、それから感染牛の肉骨粉の処理の失態、こういうようなことが並んでいるものですから、やはり信頼がない、風評被害の原因をなしているんじゃないか。

 責任の問題は先ほどから何回か議論されていますけれども、私はやはり、信頼を回復するためにも、大臣が責任をとられるということが必要になってきてはせぬだろうか。この点は、大臣、どのようにお考えですか。

武部国務大臣 私の責任は、何と言われようと、全頭検査体制に向けて省を挙げて、厚生労働省と一体となってそこに向けて全力を挙げていくことだ、こういうふうに考えて努力してきた所存でありますし、今、テレビに出ない方がいいというお話がございましたが、出たくて出ているんじゃありません。これは、各テレビ局から、出なかったら出ないでまたいろいろ言われるんですよ。だから、大体平等に全テレビ局出たんです。それから、幾ら記者会見で話をしても、個別に話をしても、そのとおりは書いてくれませんし、報道してくれない。ですから、私自身が出て本当のことをお話しするということが適当だろう、こう思って、率先垂範して私は打って出ていったという次第でございます。

 いろいろな御批判は御批判として、私どもも厳しく受けとめております。責任をとればすべて解決するならそれもその方法かもしれませんけれども、しかし、今まだこれから、感染源の究明でありますとか、まさに今委員御指摘のように、生産者段階から消費者に至るまで、さまざま間断なく手を打っていかなければならない課題が山積しておるわけであります。

 今いろいろ学校給食の話もありましたけれども、私どもも、地方農政局長に指示いたしまして、全市町村、農政局の幹部が個別に回っていろいろ理解と協力をお願いしております。その中で、十一月のメニューはもうできてしまっているので、十二月以降牛肉を入れるというところなどがかなり多く出てきております。既に牛肉の自粛をやめたところもかなり出てきていると私は承知しております。

 それから、枝肉価格についても、三十日だけじゃありませんで、きょうの数字も省令価格は上がっておりまして、これはまだまだ容易なことじゃないと思いますね。容易なことじゃないと思いますが、今一番大事なことは、こういったことに対して信頼を回復するために全力を尽くすということが私どもの責任だ、かように思って全力を挙げたい、かように思います。

松本(善)委員 何と言われようとやるんだと言われるけれども、やはり信頼というのはあるんですよ。それは、農水大臣、今の事態にテレビに出ないというわけにいきませんけれども、それはかわってくれという要望があるということを率直にお伝えしているんです、大臣がどういうふうに受けとめられるかは別として。私は、実際問題として、信頼が非常に落ちているということが風評被害の一つの原因をなしていることは事実だと思います。

 それで、特に責任を感じておわびをしているということを再々強調されました。そうしたら、私はやはり、生産農家その他の損害を補償するという態度をとるべきじゃないか。過去三年間の平均価格を基準にして、枝肉、子牛、ぬれ子の価格を全額補償すべきじゃないか、買い手がつかない牛肉は国が買い上げるべきじゃないか。本当に確かに申しわけないというふうに思うならそういうふうにすれば、なるほど誠意があるということになりますよ。だけれども、口先だけじゃないか、こういうふうに思われているんですよ。そうすると、やはり生産農家やその他にもちゃんと補償するという態度をとらなきゃならぬのじゃないですか。大臣、いかがでしょう。

武部国務大臣 委員のところにはどなたがどのようにお話しされているかわかりませんが、私どもは、生産者団体の皆さん方も、いろいろな方とも話をしながら、極力、できることは可能な限りの対策を打とうということで努力をしているわけでありまして、我が国における農家経営の安定、BSE新検査体制のもとでの食肉処理、流通体制の整備等を推進する観点から、十月二十四日にBSE関連対策の大枠を取りまとめたわけであります。

 さらに、二十六日には、BSE関連緊急対策について、個別事業ごとの概要も公表させていただきました。

 その内容は、これまでに公表した肉牛農家、食肉関係事業者への緊急融資等の対策に加えまして、現行の肉用牛肥育農家の経営安定対策事業、いわゆるマル緊事業では対応できない大幅な収益性の悪化に対し機動的に補てんする事業、このことについては、生産者団体は中身については御承知いただいているものと理解しております。

 また、子牛価格の低下に対応するための子牛生産拡大奨励事業の特例措置のほか、枝肉価格が安定基準価格を下回った場合の調整保管、牛肉流通の円滑化を図るための十月十七日以前に屠畜された牛に係る滞留在庫の市場隔離などを講じているわけでございます。

 今後、これらの対策により、生産者に対する対応についてはさらに万全を期してまいりたい、かように考えている次第でございまして、御理解をいただきたいと思います。

松本(善)委員 政府の対策でもやはり私どもは不十分だと思うので、その点を指摘して、その点の答弁を聞きたいと思います。

 マル緊事業のうちで、家族労働費の補てん率をこれまでの八割から十割に引き上げること。それから、今度の特別支援、物財費相当分の赤字補てんですね、一カ月ごとに補てんするので、この家族労働費の補てん支給も現行の四半期ごとから一カ月ごとに改めるべきではないか。また、ぬれ子対策のために、ぬれ子をマル緊事業の対象にすべきではないか。

 また、融資の問題です。これはえさ代の経費がかかって、それはもう資金繰りに困っているわけですね。この点については、大家畜経営維持資金、BSEのつなぎ資金ともいいます、この金利が一・六%で、償還期間も一年以内で借りづらい、なぜ無利子にしないのだと。制度資金がもし一・六%が限界というのならば、法律をつくってでも無利子にしてほしいという要望があります。実際に、青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法に基づく就農支援金は無利子ですし、農業改良資金助成法に基づく諸資金も無利子であります。これはどうなんだと。また、一年間期限つきの国の利子補給制度の期限延長を求める声もあります。これらについてどう考えるか、伺いたいと思います。

 特に、今国がそういうふうになっていないものですから、例えば岩手県の水沢市にある岩手ふるさと農協では、関係市町村が利子補給して、無利子で償還期間五年の融資を創設しています。それから長崎県は経営支援のために、一頭当たり、肉用牛で三万円、乳用牛で二万円の価格補償対策を行うことを決めたし、宮崎県の都城も価格補償を決めたということでございます。これは、本来国がやるべきことだと思うのです。

 私が今提起をいたしました数点についての御答弁をいただきたいと思います。

遠藤(武)副大臣 松本委員から五、六点の御指摘、御提言をいただいたわけですが、そのほとんどについて、できるだけ対応をするようにしております。

 と同時に、一方において、この間、二十四日に発表した我々の対応策は余りにも生産者ばかり向いているじゃないか、こういう批判に耐えながらも、できる限り今回で被害をこうむった生産者が経営の再建に乗り出せるような体制をとっておるところであります。

 利子補給の面については、一部都府県において独自に農協とタイアップして補給しているところもございます。そういう状況ですから、何もかもすべて、金融のルールもすべてチャラだというわけにはなかなかいかない問題ではなかろうか、金融のルールはルールとして、でき得る限りの金融支援及び助成支援というものを行っていくべきだ、こう考えてやらせていただいております。

松本(善)委員 やはり、これは長期にかかる、回復するのは非常に困難な状況ですから、今提起したような問題点についても、すぐにはいかないかもしれませんけれども検討して、被害全体が補償されるようにやはりすべきだと思います。

 もう一点伺いたいのは、厚生労働省、検査体制の問題です。

 十八日から全頭検査が始まったのですが、さっき東京市場も、まだBSE問題が起こるまでのような出荷状況になっていませんが、仙台市を調べましたところが、検査員が二人で、一人二十四頭までしか対応できない、そのために出荷がおくれて価格にも影響していると。仙台市では、従来の平均入荷百五十頭の検査が可能な体制にするために、食肉市場の整備等検査室や検査機器の整備、検査職員も七人程度増員が必要だということで約四億円を緊急に予算措置することにしました。

 北海道東北知事会議の緊急提言でも、スクリーニング検査に要する経費負担について、検査職員の配置、施設及び機器の整備など、地方負担が生じないように国において措置するよう求めております。

 厚生労働省、検査体制の整備と検査員の増員が緊急の課題だと思うのです。これについて、やはり地方任せではいかぬのじゃないか、予算の面でも人の面でも国がちゃんとやるべきではないかと思いますが、どういうことになっているでしょうか。

桝屋副大臣 お答えをいたします。

 今委員の方からBSEの全頭検査、この全国的な実施に伴います体制の御指摘をいただきました。

 今まで厚生労働省、懸命に十月十八日からの全国的な実施に全力を挙げてきたわけでありますが、今委員からお話がありましたように、各都道府県において、宮城の事例をお挙げいただきましたけれども、業務量が増大をしているわけでありますから、それぞれ職員の確保ということで、検査員の確保等について、さまざまに各自治体においてお取り組みをいただいているというふうに理解をしております。

 委員から言われたように、十月の二十六日にも全国知事会からも、今の検査員の確保でありますとか検査機器の整備、こうしたことについて国の支援というものを特段に求めるという陳情もいただいているわけであります。

 したがいまして、今私どもとして、実際に現場でどういう体制で検査体制をつくっておられるのか、今の体制で足りるのか足りないのか。もちろん現実の話、十月十八日より前の体制まで実際に数はこなし切れていない、これが実情であります。

 これはいろいろ議論はありますが、焦ってやるよりも、国民の皆さんはより確実な、こういうニーズもあるわけでありますから、私どもは出荷調整等も連携をしながらできる体制で今やっているわけでありますが、委員の御指摘もあったように、これから通常のレベルに戻すにはどういう体制を組めばいいのかということについて各自治体それぞれ御検討されておられるようであります。今その状況を調査いたしておりまして、その上で皆さんの各自治体の御希望も踏まえて、これから補正予算の審議等もあります。できる限りの体制を国としても組んでいきたい、このように考えているところでございます。

松本(善)委員 時間なので終わろうと思いますが、体制が整わないと、出荷適齢期のおくれから肉質の低下それから価格も、被害も拡大しますから、やはりそれは早急に、着実にということだけでは済まないんですね、予算を組むなんということはすぐできることですから。

 私は、農水大臣にも厚生労働副大臣にも要望しておきたいと思いますのは、やはりこれは、本当に被害を回復する、国の責任、国による人災だということまで言われているわけです。それを回復するためには、やはり予算は相当かかりますよ。そのためにはやはり予算の仕組みを、構造といいますか、どこへ金を使うかということについて大きく内閣としても考え直さないと、この問題は小手先では解決をしない、やはり金をきちっと出さないとそれは解決しない性質のものだ、そのことを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。

鉢呂委員長 次に、山口わか子君。

山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。

 狂牛病問題、朝からずっと御質問が出ていると思いますけれども、まだこの問題は、多分延々と続くだろうというふうに思っています。なぜなら、まだ感染経路がはっきり解明されていません。

 社民党も、昨日、武部農林水産大臣にお会いしまして、要望書を出してまいりましたけれども、とにかく今一番大事なことは、どういう感染経路で日本に入ったのか、その感染原因は何か、このことをやはりきちんと究明しない限り、どこが一体安全なのか、食べ物は大丈夫なのか、いろいろなことが多分国民の皆様の不安になってくるだろうというふうに思います。

 なぜこんなに狂牛病が大騒ぎになっているか、それはもう言うまでもないことですけれども、とにかく感染してから発病するまでの期間が長過ぎるということで、本当に安全かということが今証明されていないということがたくさんあると思います。

 例えば、一九九六年に肉骨粉を輸入しないということを決めたのだろうと思いますけれども、それすらも、では、それまでに入ってきた肉骨粉が、一体どういうふうに日本じゅうに使われていて、そして牛が飼われている、あるいは豚や鶏が飼われているかもしれない、そういう中で、本当に、何が安全で何が心配なのかということがわかっていない段階ではないかというふうに思っています。ですから、あらゆる危険因子をたとえどんなに少なくてもきちっと解明するまでは、やはり危険因子というのは排除していきませんと、国民の皆様の安心を買うことはできないというふうに思っています。

 そこで、一生懸命農林水産省も、大臣挙げてこの狂牛病の感染経路、原因について究明していらっしゃることだというふうに思いますけれども、どこまでこの原因が究明できているのか。そして、その原因がわからない中で、何が安全であるということでこれからいろいろな行政の中で進めていくのかというところを、ちょっと全体で総論的な質問ですが、お答えいただきたいと思います。

武部国務大臣 委員御指摘のとおり、国民の皆さん方には、何が安全で何が危険かということがまだ明確にわかっておられないから不安が流れるのだろう、こう思うのですね。

 私ども、最初から牛肉、牛乳・乳製品は一〇〇%安全なんですよと。なぜですかと言われるから、これはOIEの基準でもそうなっておりますし、そのもとは英国におけるマウス接種試験で、脳、目、脊髄、回腸の遠位部以外は感染性が認められませんでした。ですから、仮に狂牛病の牛であっても、その四つの危険な部位を取り除けば大丈夫なんだ、OIEはこういう評価をしているのだというようなことなども申し上げました。

 いずれにいたしましても、一番心配なことは人の健康に影響を与えることでありますから、屠畜場から安全な牛以外は出回らない体制、そのための検査体制というものを、今回、万全を期して十八日から全頭検査ということになったわけでありますから、これは御安心いただきたいと思うのは、十八日以後の牛は本当に安全なものしか市場に出回らないんですよ、ですから消費者の皆さん方、国民の皆さん方は食肉等を召し上がっていただいても大丈夫です、このことははっきり申し上げられるわけでございます。

 しかし、では、今後BSEが発生しないのかということになりますれば、今委員御案内のとおり、二年から八年間の潜伏期間がある。したがって、その原因が輸入の肉骨粉であるとするならば、その輸入の肉骨粉が、いつ、どのような経路で、どうして日本に入ってきて、どのように給餌されたのかというようなことの徹底究明をしなくてはいけません。

 私は、今後もBSEに感染する牛は出てくるだろう、このように考えた方がいいと思っているわけです。その上に立って、農場段階で九月二十日からは起立不能の牛などの検査をやっておるわけです。二十八頭おりました。これは屠殺して検査するわけですから、牛がかわいそうですね。しかし検査した後は、全部陰性でしたけれども、これは全部焼却処分にしているのです。それから、屠畜場に入ってきた牛は全頭、そこで検査しているわけであります。三回にわたる検査ですね、一次、二次、三次、これは御案内のとおりでございます。

 ですから、BSEが発生する可能性はあったとしても、人に影響を与える心配はありません。しかし、これからBSEの牛が出ないようにするためにはどうしたらいいかということで、輸入の肉骨粉もストップ、国産の製造、出荷もストップということにしたわけです。

 豚、鶏については大丈夫だということで、これは科学的な根拠では、ない、EUもそう言っておりますが、これもストップしたわけです。日本の場合には、肥料用、ペットフード用も一時ストップするというところまでやりました。ですから、今正常な牛がBSEに感染するようなことのない体制にもうなったということは事実でございます。

 いずれにいたしましても、感染源の究明というものは非常に大事だ、こう思っておりまして、川下からと川上の調査の双方を今実施しているわけでございまして、このことについても先ほどからいろいろ御答弁申し上げている次第でございますので、御理解をいただきたいと思います。

 これらの調査結果、その内容の分析や補完的なデータの収集、確認、さらに国内に入ってからの流通ルート等の調査につきましても、諸外国に派遣しておりますから、今そういったものを究明して、全力を挙げてまいりたいということで、御理解いただきたいと思います。

山口(わ)委員 詳しく御説明をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、やはり一番不安なのは、消費者ももちろんですけれども、生産者も非常に不安だというふうに思うのですね。例えば肉骨粉を原料としている飼料もそうですし、肥料もそうだと思うのですが、今までそういうものを使ってきたわけです。

 今大臣が、豚や鶏は大丈夫だというふうにおっしゃいますけれども、その肉骨粉自体も本当に鶏や豚だけなのかということも、なかなかこれは確認が難しいというふうに思っていますし、生産者の皆様は、やはり飼料に使うにしても本当に使って大丈夫なのか、もし使ってうちの牛がBSEになってしまったらどうしようかという心配も多分あると思うのですね。

 それで、私は、原因がきちんと究明されるまでは、やはり豚や鶏の飼料も当面凍結した方がいいというふうに思っています。今はもちろん凍結していると思いますが、究明するまで、はっきり原因がわかるまではこれは凍結するべきではないかというふうに思っています。

 肥料、畑にまく肥料ですけれども、これは今のところ豚と鶏については解禁なさるのでしょうか、それとも原因がはっきりするまではとめるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。

小林政府参考人 肉骨粉の肥料、飼料の扱いにつきましては、今大臣から御答弁がありましたように、例えば反すう動物以外の家畜、鶏、豚には、そもそもこれは科学的に大丈夫なのですけれども、とにかく一たん全部とめる。とめた上で、今、BSE対策検討会、こちらに幅広い皆さんに集まっていただいております。これは生産者、関連事業者の方、それから消費者の皆さん、そういった皆さんに、肉骨粉が一体どういうふうに使われていて、これをどういうふうに使えば安全なのかとか、それから、とめてあるのですけれども、そもそもこれは安全なのですというようなことを十分公開で御説明しております。

 そういった上で、これから、一たんとめたものをどういう形で解除していくかということで今検討しているわけでございまして、今の飼料、えさの方の関係ですけれども、十月十九日、第二回目のBSE対策検討会を行いました。そこで国際的な、WHOでありますとかOIE、そういったところの見解も御紹介いたしまして、鶏のみに由来するチキンミール、こういったものがございますが、そういうものは例えば豚、鶏用飼料へ利用する、こういうものを、今一時停止していますけれども解除していくということが適当だろう、こういう御意見もいただいているところでございます。

 それから、こういった意見とあわせまして、実際の混入防止ですね。そのものが安全だということと、それから、おっしゃるとおり、ほかのものと混入しない、それをどういうふうに進めていくんだということをあわせて御説明いたしまして、その上で一時停止措置を解除するという方向で検討しているところでございます。

 それから、肥料につきましても、これもお尋ねがございました。やはり同じように検討会で現状の御説明をした上で、幅広い皆さんの意見を伺いながら検討しているところであります。

 これも十月十九日の第二回の検討会でお話ししておりますが、肥料につきましても、新しい原料の調達ということになりますと、これはやはり鶏、豚由来の肉骨粉の利用、これに限定していった方がいいだろうということでございます。

 それから、あと、OIEのところ、プリオンの不活性化条件という条件がございます、百三十度Cとか。そういったもので要するにちゃんと処理されている、しかも厳しい条件で処理されている、そういういわば蒸製骨粉というものがございますが、こういったものを複合肥料、要するに、例えて言いますれば、単体ですと肥料とはいってもえさみたいになっちゃうかもしれない、だけれども、複合肥料で対応しますとそういった給与の心配もないわけでして、いわゆる混合しないような、そういうふうにちゃんと対応できる条件としまして、そういうものを肥料に使っていってもいいじゃないかというような御意見もいただいているところでございます。

 いずれにしましても、私ども、こういった検討会での幅広い意見の中で、えさへの誤用、流用防止対策ということをきちんとやった上で、この御意見を踏まえながら一時停止の解除を進めていくということで検討しているところでございます。

山口(わ)委員 今御答弁いただきましたけれども、肥料につきましても、今言った混合ということもありますし、例えば、BSEでなくてほかの動物に海綿状脳症が感染、発病する危険性というのはあるわけなんですね。絶対ないとは言えないわけでして、あらゆる動物に、何か犬だけはないみたいですけれども、猫ももちろん、豚も鶏も、動物園の動物も出ているということもあります。

 ですから、一番心配なのは、例えば有機農家の皆さんは、本当にこれを使って大丈夫なんだろうか、肥料を使っても心配ないだろうかという不安がいつもつきまとうわけです。もちろん、有機農産物を食べていらっしゃる消費者の皆さんも大変これは心配していますので、当分は、はっきりしない間はやはりこの肥料は使うべきではないというふうに私は思っていますので、これはぜひ検討会の中でもそういうことを反映していただければというふうに思っています。

 それから、これから私たちが例えば牛や家畜を育てる場合に大事なことは、やはり草食動物は草食動物なんですね。草食動物に共食いをさせるということ自体がやはり間違っているというふうに思うんですが、そういうふうにきちっと草食で、そういうえさで飼育している方も、日本には数は少ないですが出てきています。その人たちは、もちろん牧草地で飼っていますし、それから、例えばえさには、スイートコーンだとか、でん粉の粉だとか、地域の副産物なんかを使いながら育てている人たちもいるんですが、これは圧倒的に飼料の量が少ないわけですね。今全部飼料をとめていますから、恐らく日本の国内の飼育農家の皆さんはすごくえさがなくて大変じゃないかというふうに思っているんですが、これからやはり草食動物に共食いをさせないような飼育の方法で、えさをどういうふうにコントロール、つまり十分な補給をしていくのか、その辺にもしお考えがあったらお聞かせください。

小林政府参考人 今先生から御指摘がございましたそういったいろいろな心配の点につきまして、先ほどの検討会で十分御説明申し上げて、幅広い皆さんから、今私が申し上げたような方向でよろしいじゃないか、そういった御意見をいただいているところでございます。

 今例えばお話がございました植物の関係はどうかとか、確かにいろいろな心配点がございます。そういうのはすべて、動物と植物の関係ですから、そういった安全性の心配は全くない、そういうデータも十分出ておりますので、そういったところも関係の皆さんにもよく説明しているところでございます。

 それから、例えて言いますれば、草地のところにつきましては肥料という形で今のようなものは使わないとか、そういった運用上の徹底も十分これから図っていきますし、また、生産者の皆さんへの指導といいますか、それも今一生懸命やっているところでございます。

 そういった中で、また、これからの方向といたしましては、まさに今御指摘がございました自給飼料の増産とその振興というのは重要でございまして、そういう意味で、昨年からも、そういった自給飼料の増産のための方向、計画というものをつくりながら、いろいろな、水田での自給飼料でありますればいわゆるホールクロップサイレージもございますし、また従来からの草地での飼料作物の栽培もございます。そういったところを耕種農家と畜産農家を結びつけながら推進していくというようなことも重点事項として今取り組んでいるところでございます。

山口(わ)委員 有機を使って農産物をつくっている農家の皆さん、そして飼料を心配しながら飼育している飼育農家の皆さん、こんなことが起こりますとますます、もうやめちゃおうかなとか、本当に続けられないとかという思いがあると思うので、ぜひ支援をしていただきながら、こういう飼育農家の保護、保護といいますか、安全に食品として出せるようにきちっと保証をしていただきたいというふうに思いますし、ぜひ、私の方からの要望ですが、肥料は当分、はっきりわかるまでは使わないような取り組みをお願いしたいと思います。

 先ほどから私が御質問していますのは、やはり何といっても、日本の中で有機農業で頑張っている皆さんがいらっしゃるわけです。有機農業をこれから育てるということはとても大事なことだと思いますし、それは農林水産省も異議はないと思いますし、有機農家に対するいろいろな支援もしていらっしゃるんだろうというふうに思っていますが、今、有機農業の皆さんにとっていろいろ心配事が実はあるわけです。

 例えば、農薬の空中散布の問題をちょっと御質問したいんですけれども、私も、一体、この空中散布というのは、私も自治体にいましたから、何か随分昔からやっていて、もう農業も大分変わってきているのにまだやっているのかしらと実はびっくりしたんですが、調べましたら、昭和三十七年六月二十一日付で農林水産航空事業促進要綱というのがありまして、はや四十年もこの空中散布をやっているというので、実は非常にびっくりしたわけです。

 この空中散布というのは非常に問題がありまして、もちろん農産物に与える農薬についても非常な心配がありますし、この四十年間に非常に農地が変わってきていると思うんですね。例えば、住宅団地が混在するところも出てきましたし、特に、田んぼの中に学校を建てるところも出てきました。そういうふうに、空中散布につきましては、非常に住民の間から不安や不満が出てきていまして、もうやめるべきじゃないかという声が大分出ていると思うんですね。

 私は長野県ですが、長野県は早くからこの問題、やはりやらない方がいいということで、実は、全国でただ一県だけ空中散布をやめています。私の町もやめています。ですけれども、幾ら何でも四十年も続けているのはやはりこれはちょっとおかしいんじゃないかというふうに思っていますが、一体、これからまだ空中散布は続けるつもりがあるのかどうかということが一つ。

 それからもう一つは、これは航空協会というところがやっているようですが、空中散布が飛散しないようにしないと、例えば有機農産物をつくっているところも有機じゃなくなっちゃうわけですよね。そうすると売れなくなっちゃうという問題がありまして、本当はやるべきじゃないというのが最初の質問ですけれども、もしやるとしても、例えば有人ヘリの場合はどのくらい飛散距離があるのか、あるいは、今、有人ヘリをやめても無人ヘリで散布をしているわけですから、無人ヘリの場合はどのくらいの飛散距離があるのか。そのことを調査しているのかどうか、していたら、その結果がどうなっているのかをお聞かせいただきたいと思います。

小林政府参考人 まず、農薬の空中散布、航空防除の必要性といいますか、これにつきましてはもう委員も御案内のことでありますけれども、我が国の温暖湿潤な気候、この中で、いもち病等の、こういった発生したときに非常に大きな影響の出る、この防除をやっていく上でこの航空防除というものが求められるということがございます。

 また、もちろん経営体のいろいろな病害虫防除の効率的な実施とか、それから労力の関係等々ございまして、そういう環境の中で航空防除ということを進めておるところでございますが、ただ、一方では、お話ございましたように、非常に広範囲に農薬の散布を伴うものでありますことから、当然のこととして、その散布周辺地域の環境を十分勘案して適切に散布してもらうということでありますとか、それから実施体制の整備なり、あるいは安全な散布装置の開発とか、こういったいろいろな対策を講じているところでございます。また、行政としましても、今言ったような点につきましての指導、支援ということに努めておるところであります。

 それから、特に有機認証制度、もう始まりましたですね、そちらとの、生産者の皆さんとの関係が一つの課題になっておるところでございます。今申しましたように、従来からのいわば危被害防止対策ということを徹底しておるところでございますが、あわせまして、特に有機農産物の認証制度がことしの四月からスタートしたということもございまして、改めて、平成十三年度農林水産航空事業の推進方針というのを提示いたしまして、各現場で、この新しい制度に基づく認証を受けようとする皆さん、そういった農家の皆さんの立場に十分配慮していってほしいということの指導を行ってきております。

 具体的には、航空防除の事業の実施主体とそれから有機農産物の生産を希望する農家の皆さん、そういった関係者の間で十分連携強化をしていただきまして、散布区域なり、あるいは散布の除外区域ですね、どこを除外するかとか、それから方法等につきまして十分検討してもらう。それから、農薬の飛来による危被害防止措置を徹底する。それから、散布地図とか散布の作業記録、こういったものを整備してもらうというようなことを徹底して、その地域地域に合った形だと思いますけれども、そういう適切な空中散布が行われるように指導の徹底を図っているところでございます。

山口(わ)委員 答弁ないですけれども。空中ヘリ。空中ヘリの飛散距離。

小林政府参考人 その点はまた、ちょっと現場の状況を今確認いたしますので、その上でまた先生の方に御説明申し上げたいと思います。ちょっと現場の状況を今捕捉しておりませんので、改めて、整理した上でまた御説明申し上げます。

武部国務大臣 ただいま山口委員のお話を聞いていまして、空中散布について、私もなるほどなということを感じながら承っておりました。

 委員御指摘のように、航空機を用いた農薬の空中散布は、担い手農家等の大規模経営体の病害虫防除コストの低減、労働力の軽減、また、急激に蔓延する稲のいもち病等の病害虫を地域全体で一斉に防除するためには極めて有効な手段であろうということで始められたのでありますけれども、しかし、有機農業をやっている人々にとっては本当に迷惑なお話であろう、かように思います。

 散布周辺地域等の環境を勘案した適切な散布ということが、仮にやる場合でもこれはぜひ必要なことだと思いますし、実施体制の整備、安全な散布装置の開発等に対する指導、支援により、安全かつ効率的な航空防除に万全を期していくことが必要ではないか、かように感じて、今お話を聞かせていただいた次第でございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、この問題についてもう一度、どうあるべきかということも含めて検討させていただくと同時に、適切な空中散布を行うような指導ということもぜひ必要であろうというふうに感じた次第でございます。

山口(わ)委員 先ほど御質問申し上げました有人ヘリコプターと無人ヘリコプターの飛散距離については、ぜひ、調査をなさっているんだろうとは思うんですけれども、その結果を私の方へ資料として提出をしていただきたいと思います。

 それから、続きまして、これもやはり有機農業問題ですが、特別栽培農産物の表示問題につきましてですけれども、農水省では、特別栽培農産物表示手法検討委員会というのを設置されて、今、減農薬とか無農薬などの特別栽培農産物の表示基準を見直そうとしていらっしゃるというふうに聞いております。

 この減農薬とか無農薬というのがこれからどのように表示基準として改正されていくのか、このことは消費者も非常に心配ですし、有機農家の皆さんにとっても非常に心配なんですね。なぜかといいますと、無農薬といいますと、聞いただけで、ああ農薬は使っていないんだから安全なんだなというふうに思っちゃいますし、減農薬といえば、ああ、ではいつもより減っているんだなとしか今消費者はとらないわけですが、この減農薬にしてもいろいろ問題があると思うんです。

 例えば、慣行栽培によって、五割以下という基準になっていますけれども、一体絶対量がどのくらいで、その五割ということが、ではどういうふうに消費者にわかるかといえば、これはわからないわけですし、あるいは北海道と九州でも全然農薬の投入量が違ってくるという問題も、地域差もありますし、それから、減農薬に特に熱心に取り組んでいる地域であればあるほど、今まで減らしてきているわけですから、その五割ということになるとこれはまたちょっと大変になるということに、いろいろ問題がこれから出てくるだろうというふうに思っています。

 私の考えでは、減とか無というのはやはりこれからやめていくべきじゃないかと。やはり有機農業をどうやって進めていくかということの方が私は重要だというふうに思っています。

 このことの検討会が多分ことしから行われているというふうに思うんですが、この検討会に有機農業研究会が、まあ有機は関係がないといえばそういうふうにとらえられているのかもしれませんけれども、このメンバーの中に有機農業団体としてのメンバーが入っていないというふうに私は聞いています。やはりみんなで検討して、そして本当に、この特別栽培の表示がこれからどういうふうに動いていくのかということはみんなが注目していることですので、ぜひこのメンバーに入れてほしいということが一つ。やはり一緒に検討していかなきゃいけないというふうに思っています。

 そしてもう一つは、この会議の状況をやはりきちっと公表してほしいというふうに思っているんですね。どんなことが検討されているのかもよくわからないということがありますが、こういう、この研究会の運営のあり方についてどうされようとしているのか、お答えいただきたいと思います。

西藤政府参考人 特色のある生産方法、先生の御指摘にありましたように、農薬を減らして栽培したり、無農薬で栽培したりする特別栽培農産物の表示の問題につきましては、私ども平成四年からガイドラインということで措置してきているわけでございますが、先生の御指摘にもありましたように、一部にはガイドラインの表示方法によらない表示、というのは、ガイドラインでは、減農薬といった場合、ではどの程度使っているんだということを表示することを一緒に定めているんですが、実際は減農薬といいながらそこの部分の表示がない等の、そういう問題が見られますし、一方、御指摘があったように、減農薬というのはなかなか消費者の目からわかりにくいというような御指摘もございます。

 こういう中で、私ども、有機農産物の表示問題の議論のときに、あわせて特別栽培の表示について宿題としていただいておりまして、この十月から議論を再開いたしております。

 そのときの、先生の御指摘の中で、委員構成ですが、私ども、こういう有機なり特別栽培にかかわられる関係者の意見を広く承る、それでやはり決めていくべきだろうということで、生産、流通、消費の各段階から五名ずつ委員の方に入っていただいて、検討を始めているところでございます。その中で、表示の取り扱い、表示の信頼性確保にどうしていくのかということで、来年五月をめどに中間的な整理ができないかと思っております。

 そういう点で、先生御指摘の、委員が具体的にどの方をどうかというのは、私、直ちにはあれですけれども、関係者の方が入っていただく形で、研究会自体はもう発足しております。特定のどなたかということであれば、研究会の中で別途さらに御意見を承る、そういうような方法もあろうかと思いますが、そこは、取り扱い方は検討させていただきたいと思います。

 それと、資料の公開ですが、これは一回目の検討会が実は十月二十四日に開催されておりますが、検討会で、資料は委員会終了後、会議資料をすべて公開する、議事要旨はホームページにて公開する等の、いわば委員会としての公開のあり方が委員同士の話し合いの中で決定されたというふうに聞いております。自由な議論の確保の観点から、こういう形になったと思っております。

 資料の公開、議事要旨の公開により、私どもとしては、会議の透明性、公開性が確保されているのではないかというふうに思っております。

山口(わ)委員 時間が来ましたので終わりますが、ぜひ公開、傍聴、よろしくお願いしたいと思います。これがないと、なかなか目に見えにくいということもありますし、最後に、やはり有機農業をぜひ進めていただだくということが非常に大事なことだというふうに思いますので、重ねてお願いをしまして終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

鉢呂委員長 次に、金子恭之君。

金子(恭)委員 21世紀クラブの金子恭之でございます。

 本日は短い時間でございますので、本当は狂牛病等々いろいろ質問したいこともあったわけでございますが、きょうはセーフガードに絞って質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 先ほどからお話がありました十月二十五日の夕刊に「対中セーフガード 農産物、正式発動見送り 政治決着図る」というような記事が大きく載ったわけでありますが、私の地元でも、生産者の方に不安といいますか、驚きといいますか、非常に大きかったわけでございまして、そういう中で、きょうの審議の中で大臣からも、小泉総理、江沢民主席の合意のもとで話し合い決着を進めていくというお話がありました。

 その一方、話し合いが決裂等々の心配もあり、これまでのセーフガードの一連の流れの手続は進めていくというお話でございまして、安心したわけでございますが、そういう中で、セーフガードの一連の手続の中で、本日、調査結果の公表が予定されているということがございました。

 その一連の流れの中で、その後に関係審議会とか関係閣僚懇談会とか三大臣会合とか、それを経てWTOに通報というようなことになると思うのですが、きょう公表された後の動きについては、何か決まったことがございますでしょうか。わかった範囲で結構でございます。

西藤政府参考人 今回、政府調査で得られた事実関係等に関する主要指標を今夕にも公表したいということで作業を取り進めております。

 今後のことについてのお尋ねでございますが、今後、政府調査の最終的な取りまとめを行うということが必要になりますし、先生御指摘のありましたように、関係審議会の御意見を承ること、それと、仮に確定措置を発動するということになれば、当然、政令措置なりあるいはWTOへの通報の手続ということがございますが、先ほど来申し上げておりますように、現時点で個々の具体的な枠組みについて決定している状況にはございません。

金子(恭)委員 ぜひ、その辺のことはきちんとやっていただきたいというふうに思っております。

 それから、大臣にお願いといいますか、質問といいますか、したいと思うのですが、大臣、私の地元は全国の畳表の生産の九割を占めている大きな産地でございます。そういう中で、中国からの畳表の輸入の急増によりまして、平成九年度には四千六百十ヘクタールあったものが、昨年には千七百八十二ヘクタールに激減しております。また、農家戸数におきましても、平成九年には三千百十七戸あったのが、千三百三十戸というふうに減ってきておるわけでございます。これは本当に、外国産の畳表が入ってきたために価格が下落をして、失望感の中でこういうことになってきているわけでございます。

 そういう中で、ことし暫定発動がされたわけであります。先ほど生産局長の方からも御報告がありましたとおり、発動された後はおおむね五五%ということをさっき言われていたわけでありますが、輸入量も減って、価格も、最盛期までは及びませんが、過去五年間の平年並みには上がってきております。しかし、再生産といいますか、これから継続してやるには、まだまだ価格が下落している状況であるわけであります。

 そういう中で、さっき大臣からもたびたび御発言がありました、これから中国との二国間協議について全力を尽くす、十一月八日の暫定が切れるまで、できるだけそこに決着をつけるように頑張るというような御決意であったわけでございます。

 実はイグサの場合は、十一月の初旬から来年度の植えつけが始まるわけであります。そういう意味で、十一月の八日というのは、ただ暫定が切れるわけではなくて、皆さん方、暫定が切れたら本格発動にしていただけるだろうという中で非常に希望がわいてきているわけでありますね。その中で、生産者も県も関係市町村も農業団体も一体となって一生懸命に努力をしていこうという中で、その辺、非常に期待があったわけであります。

 実は昨年の作付面積を見ますと、その前の年から比べると三一・二%減ってしまっているのです。農家戸数については二七%減っているわけであります。そういう意味で、今回のセーフガード発動もしくは今二国間の協定の中で決着をつけていただくかどうかというのは、ある意味ではイグサ農家にとっては大きなことであります。ややもすると、二国間の協定になると妥協をして何か中途半端な結果に終わりやしないかとか、そういうことを考える方がいらっしゃるわけであります。

 そういう意味で、来年度の作付面積、また農家の方が今意欲を持っているときに、できれば大臣から生産者に向けて、変な妥協はしない、きちんと日本の主張をやっていく、頑張っていく、もしそれがだめであれば本格発動をする、そういうようなメッセージを送っていただければというふうに思うわけであります。よろしくお願いいたします。

武部国務大臣 金子委員の地元の実情を一番よくわかっておられる御発言、心にしっかり受けとめまして、小泉総理と江沢民国家主席の話し合いによる解決ということに向けて、早期の協議再開を我々要求してまいりましたが、いよいよあす、それが局長レベルで行われるわけでございます。

 今、イグサの作付の時期等を考えますと、生産者の方々の御心配というものは手にとるように理解できるのでありますが、したがいまして、私どもは、話し合いは話し合いといたしまして、しかし、生産者の方々が重大な損害をこうむることのないように、この話し合い、協議というものの成功に全力を挙げてまいりたいと思うと同時に、話し合いができなければ、うまくいかなければ、これは着々と私ども、確定措置の発動に向けて準備をしてきているところでございます。中国側が我々の意に反するような、そういうような輸入の急激なる増大などというようなことがあれば、これは信頼関係が損なわれたということを意味するわけでございますので、その際には農林水産大臣としては毅然たる態度で臨んでまいりたいということを明言させていただきまして、御理解をちょうだいしたいと思います。

金子(恭)委員 どうもありがとうございました。大臣、副大臣、また幹部の皆さん方におかれましては、農林水産行政、非常に厳しい中、頑張っていただいているわけでありますが、頑張っても、責められることはあっても褒められることがない。本当にお気の毒に思うわけでございますが、気力で今頑張っていらっしゃると思います。どうぞこれからも頑張っていただきますようにお願いいたします。

 続きまして、生産者に対する対策について質問させていただきます。

 経営安定のための対策など、イグサ生産農家が安心して生産に取り組むことができる施策の充実を図るべきだと考えます。そのことについてお答えしていただきますが、それと同時に、実は今問題になっているのが、畳表はセーフガードの対象品目になっておりますが、それ以外の敷物、ござとか上敷きとか、そういったものは対象外になっておるわけであります。

 そういう中で、抜け道といいますか、畳表に簡単な縁をつけまして中国から輸入をする、日本に来たらそれを簡単に取り外して畳表と同じように使っているというような、そういう不届き者がいるわけでございますが、これは水際で対処するしかないと思います。

 これは農林水産省の管轄じゃないと思いますが、財務省の税関等についてどういう対処をしていただいているのか、その点についてもあわせて御回答をいただければと思います。

小林政府参考人 畳表の生産の関係で、イグサの生産につきましても経営安定をどうやって図っていくか、その対策のお尋ねでございます。

 このセーフガード暫定措置の動きの中で、やはり構造改革を進めていただいて国際競争力のついた産地を形成していただく、これはやはりほかの品目と同様に基本というふうに考えておりまして、そういう意味で、これからの構造改革の計画をどういうふうにしていくかということは、各県なんかと相談しながら内容を詰めてきております。

 現在、そういう形のものを一つの方向として出しまして、今各産地の方でも具体的な方向づけをしていただいている。私ども、今概算要求でもこれに即した要求をしておりまして、この計画に即した産地の取り組みに対して重点的な支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 それから二点目でございますが、暫定措置発動後、畳表の輸入につきまして、今もお話ございました、容易にはがすことができる縁などをつけて上敷き等の敷物として通関する事例があった、これは私ども聞き及んでおります。こういった情報は税関を所管する財務省の方にもお伝えいたしまして、そういった情報を受けて、財務省といたしましても全国の税関に対しまして、縁の縫いつけが簡易なもの、あるいは仕上がりが雑であるものなどにつきまして、これは敷物としては認められないということで、その取り扱いの指導を徹底しているということでございます。

金子(恭)委員 その辺の徹底をよろしくお願い申し上げます。

 時間の関係で最後の質問になるわけでございますが、今生産局長の方からお話がございました構造改革対策というようなことがあるわけでありますが、地元でも、先ほどもお話ししましたように、生産、そして流通、消費へと各方面において御努力をいただいているわけであります。

 生産におきましては、優良品種のひのみどりというのがございますが、それの早急な普及、それから栽培加工技術の向上、生産性の向上。また、流通におきましては、よく言われているんですが、産地から畳屋さんまで余りにも多くの過程が入っているものですから、それにおける流通コストを削減することが急務だと言われていることでございます。それから、消費についても、需要の拡大等について今御努力をいただいているわけでございますが、生産につきましては、優良品種につきましては栽培技術がなかなか難しいということもありまして、爆発的にふえることはできない。また、流通におきましても、その流通に入っている方々がいらっしゃるわけで、一足飛びにそれができないというような状況の中で、農林水産省としてはこのことについて具体的にどのように構造改革を進めていくお考えなのか、お聞かせください。

小林政府参考人 今の御指摘の点がまさにこのイグサの生産のポイントだと思っております。高品質な畳表の生産ということでいきますと、やはり品種でございまして、その品種が新しく出ておりますが、それを普及するための苗の増殖圃の設置、こういった基礎的ですけれども重要な対策がございます。また、イグサ生産を効率化するためのいろいろな高性能移植機の整備といったことも必要でございまして、こういった点の生産体制の確立がございます。

 また、流通関係につきましては、やはり販路を開拓する、しかも産地からの直販ということを、こういったインターネットなんかの活用もしながら進めていただくということとか、それから、やはり効率化するためには産地市場の統合というものが急がれると思っております。このための施設整備。

 それから、さらには消費の関係でいきますれば、適正なJAS格付とか、それから国産品表示、こういったものの推進、あるいは現実に畳表を使っていただくユーザー、畳屋さんを含めたそういった皆さんとの連携。

 いろいろなことを含めまして、生産、流通、消費にわたります対策を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

金子(恭)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

鉢呂委員長 この際、滝実君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び21世紀クラブの七派共同提案による野菜等三品目の輸入に対する一般セーフガード措置の本格発動に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。滝実君。

滝委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び21世紀クラブを代表して、野菜等三品目の輸入に対する一般セーフガード措置の本格発動に関する件の趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    野菜等三品目の輸入に対する一般セーフガード措置の本格発動に関する件(案)

  政府においては、ネギ、生シイタケ、畳表の三品目について、一般セーフガード措置の発動に向けた政府調査を実施するとともに、四月二十三日から二〇〇日間の一般セーフガード暫定措置を発動しているところである。

  この間、産地においては、国際競争力のある生産体制を確立するための低コスト化、高付加価値化等の抜本的な構造改革に懸命に取り組んでいる。

  しかしながら、暫定措置の適用期限である十一月八日以降、引き続き実効性のある輸入制限措置が講じられなければ、再び輸入が急増し価格が急落する事態となり、構造改革が困難となるのみならず、産地の崩壊が危惧されるところである。

  よって政府は、早急に政府調査結果を公表するとともに、ネギ、生シイタケ、畳表の三品目の無秩序な輸入を抑制するため、中国政府との話し合いによる解決に向けて最大限の努力を尽くし、十一月八日までに合意が得られない場合には、速やかにWTO協定に基づく一般セーフガード措置を本格発動すべきである。

  右決議する。

 以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。

 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

鉢呂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鉢呂委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣武部勤君。

武部国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をしてまいる所存でございます。

鉢呂委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十九分散会




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