衆議院

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第5号 平成13年11月27日(火曜日)

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平成十三年十一月二十七日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鉢呂 吉雄君

   理事 木村 太郎君 理事 岸本 光造君

   理事 滝   実君 理事 二田 孝治君

   理事 小平 忠正君 理事 鮫島 宗明君

   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君

      岩倉 博文君    岩崎 忠夫君

      岩永 峯一君    金田 英行君

      上川 陽子君    北村 誠吾君

      小西  理君    後藤田正純君

      七条  明君    園田 博之君

      高木  毅君    西川 京子君

     吉田六左エ門君    後藤 茂之君

      後藤  斎君    今田 保典君

      佐藤謙一郎君    筒井 信隆君

      楢崎 欣弥君    堀込 征雄君

      山内  功君    井上 義久君

      江田 康幸君    高橋 嘉信君

      中林よし子君    松本 善明君

      菅野 哲雄君    山口わか子君

      金子 恭之君    藤波 孝生君

    …………………………………

   農林水産大臣       武部  勤君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   農林水産副大臣      遠藤 武彦君

   農林水産大臣政務官    岩永 峯一君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長

   )            西藤 久三君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  小林 芳雄君

   政府参考人

   (食糧庁次長)      中川  坦君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  江田 康幸君     井上 義久君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 義久君     江田 康幸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(平成十四年産米穀の政府買入価格等)




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     ――――◇―――――

鉢呂委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、平成十四年産米穀の政府買い入れ価格及び米穀の標準売り渡し価格の食料・農業・農村政策審議会への諮問について政府から説明を聴取いたします。農林水産副大臣遠藤武彦君。

遠藤(武)副大臣 平成十四年産米穀の政府買い入れ価格及び米穀の標準売り渡し価格の食料・農業・農村政策審議会への諮問につきまして御説明申し上げます。

 米穀の政府買い入れ価格につきましては、食糧法のもとで、自主流通米が米流通の主体となったことを踏まえ、自主流通米の価格動向を反映させるほか、生産コスト等を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨として定めることとされておりまして、平成七年十二月に米価審議会の意見を聞いて、現行の算定方式が設定されたところであります。

 平成十四年産米穀の政府買い入れ価格につきましては、米穀の需給動向、市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営が図られる現行の算定方式に基づき算定することといたしまして、本日の食料・農業・農村政策審議会に諮問を行い、御審議をいただくところであります。

 また、米穀の標準売り渡し価格につきましては、食糧法の趣旨を踏まえ、米穀の需給動向、財政の事情等を総合的に考慮することを内容とする諮問を行い、政府買い入れ価格とあわせて御審議いただくところでございます。

 以下、これらの諮問の概要につきまして御説明申し上げます。

 初めに、「諮問」を朗読させていただきます。資料番号1でございます。

     諮問

  平成十四年産米穀の政府買入価格については、米穀の需給動向・市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営を図るとの観点に立って算定を行い、この算定に基づき決定する必要があると考える。また、米穀の標準売渡価格については、米穀の需給動向、財政の事情等を総合的に考慮し、これを決定する必要があると考える。これらについて食料・農業・農村政策審議会の意見を求める。

  平成十三年十一月二十七日

         農林水産大臣 武部  勤

 次のページに「諮問の説明」がございます。これにつきましても朗読させていただきます。

     諮問の説明

  米穀については、生産調整について、過去三十年にわたり面積に基づき実施しているものの、需給均衡が十分に図られず、また、稲作収入は平成七年からの五年間で一兆円も減少している等の問題に直面しております。このような現下の状況を踏まえ、効果的な需給調整体制の構築、水田農業の構造改革、安全性に関する取組の強化と消費拡大の促進、備蓄運営の健全化、流通の効率化等を内容とする米政策の見直しについて、先般、取りまとめを行ったところであります。

  平成十四年産米穀の政府買入価格及び米穀の標準売渡価格につきましては、計画流通制度の一環として、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」の規定に基づき、適切に決定する必要があります。

  具体的には、平成十四年産米穀の政府買入価格については、引き続き、自主流通米の価格の変動率及び生産コスト等の変動率を基礎として、需給動向・市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営が図られる現行の方式により算定することとしてはどうかということであります。

  また、米穀の標準売渡価格については、備蓄運営を的確に行えることを旨とし、米穀の需給動向、財政の事情等を総合的に考慮して決定することとし、ミニマム・アクセス輸入米は、国内産米の価格体系との整合性も踏まえながら決定することとしてはどうかということであります。なお、実際の売却に当たっては、備蓄の適切な運営を図る観点から、標準売渡価格を基準としつつ、需給動向等に対応して弾力的に予定価格の設定を行う必要があります。

 次に、資料番号2の「平成十四年産米穀の政府買入価格の試算」という横長の資料について御説明申し上げます。

 一ページでございます。

 1に「政府買入米価の算定の考え方」を整理してございます。

 従来どおりの算定方式でございますが、まず、自主流通米価格形成センターにおいて形成されます自主流通米の入札価格の動向の比較により価格変動率を求めます。次に、生産費調査に基づく米販売農家の全算入生産費の動向の比較により生産コスト等の変動率を求めます。この二つの変動率を均等のウエートにより前年産政府買い入れ価格に乗じて算出することとしております。

 なお、政府買い入れ米価について、需給事情、市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営を図る観点から、自主流通米価格の変動率、生産コスト等の変動率を求めるに当たりましては、二ページにございますとおり、移動三カ年平均による比較を行うこととしております。

 以上、御説明申し上げました考え方に基づく平成十四年産米穀の政府買い入れ価格の具体的な算定要領は三ページ以下で説明しておりますが、その算定結果につきましては、二ページの「2 算定」に示しておりますとおり、六十キログラム当たり一万四千二百九十五円、前年産価格に対し四百十三円の引き下げ、率で申し上げますと二・八%の引き下げとなります。

 なお、この価格は、(注)として書いておりますように、ウルチ一―五類、一―二等平均、包装込み、生産者手取り予定価格でございます。

 三ページ以下、「算定要領」ということで、各算定要素について説明しております。

 時間の都合もございますので、簡潔に説明させていただきます。

 基準価格につきましては、先ほど御説明いたしましたように、前年産、すなわち平成十三年産米穀の政府買い入れ価格一万四千七百八円を用いております。

 次に、自主流通米価格の変動率につきましては、九六・三八%と算出され、三・六二%低下していることになります。

 生産コスト等の変動率につきましては、四ページにございますとおり、九八%と算出され、二%低下していることになります。

 以上が、平成十四年産米穀の政府買い入れ価格の試算についての説明でございます。

 次に、資料番号3の「米穀の標準売渡価格の改定内容(案)」について御説明申し上げます。

 まず、一ページ目の国内産米についてであります。

 国内産米の標準売り渡し価格の改定の基本的考え方でございます。食糧法のもとで政府米が備蓄運営の機能を有することを踏まえながら、米穀の需要及び供給の動向、家計費並びに物価その他の経済事情を参酌し、消費者の家計を安定させることを旨として定めることとされております。

 次に、標準売り渡し価格の改定に際して参酌すべき米穀をめぐる事情でございます。

 まず、(1)の「最近の需給動向」でございます。米穀の全体需給は、近年、大幅な緩和基調で推移してきており、本年十月末の国内産米の在庫は、政府米が百七十六万トン、自主流通米が三十七万トン、合計二百十三万トンとなっております。

 このような中で、効果的な需給調整体制の構築、水田農業の構造改革、安全性に関する取り組みの強化と消費拡大の促進、備蓄運営の健全化、流通の効率化等を内容とする米政策の見直しと当面の需給安定のための取り組みを取りまとめたところでございます。

 次に、(2)の「家計費及び物価の動向」でございます。

 最近における家計費及び物価の動向を見ますと、家計の消費支出は減少傾向にありますが、米穀の支出については増加傾向にあります。

 標準売り渡し価格の前回改定時である平成十三年一月と現時点との比較で見ますと、消費者物価指数は総合で〇・六%の下落、米類については〇・一%の上昇となっております。

 次に、(3)の「政府管理コスト」でございます。

 適正備蓄水準を超える備蓄保有、備蓄米の保管期間の長期化等により、保管経費は高水準で推移しております。

 (4)の「政府買入価格」は、先ほど御説明いたしましたとおりでございます。

 次に、二ページでございます。

 標準売り渡し価格の改定につきましては、ただいま申し上げましたような状況を踏まえつつ、政府買い入れ価格の引き下げ効果を消費者に適切に還元することとし、国内産米の標準売り渡し価格につきましては、次のとおり改定するということでございます。

 具体的には、平成十四年一月一日以降、水稲ウルチ玄米一―五類、一―二等平均、包装込み、六十キログラム当たりの消費税額を含まない標準売り渡し価格を百九十七円、率で申しますと一・二%引き下げ、一万六千百五十一円とするものであります。

 三ページは、ミニマムアクセス輸入米の標準売り渡し価格でございます。

 国内産米の価格水準との整合性を踏まえ、平成十四年一月一日以降、水稲ウルチ玄米M3、正味六十キログラム当たりの消費税額を含まない標準売り渡し価格を百四十六円、率にして一・二%引き下げ、一万一千九百三円とするというものであります。

 その他の配付資料につきましては、説明を割愛させていただきます。

 以上でございます。

鉢呂委員長 以上で説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鉢呂委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長小林芳雄君、食糧庁次長中川坦君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鉢呂委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。滝実君。

滝委員 自由民主党の滝実でございます。時間の制約された中で質問の時間を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 早速米価の問題について主としてお尋ねしたいと思うのでございますけれども、それに先立ちまして、牛の海綿状脳症の問題につきまして確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 残念ながら二頭目の感染牛が出たわけでございますけれども、現在、この二頭目の牛の飼料、えさと一頭目のえさとがどうも共通点があるんではなかろうかというような観点から農林水産省で調査をされているように報道されているわけでございます。その辺の事情をひとつ確認の意味で明確にしていただきたい。そして、仮に共通点が判明するとすれば、その共通するえさというのが原因として一番発生の引き金になっている、こういうようなことが予想されるわけでございますけれども、そういった共通のえさを与えられた牛についてはどうするのか、その辺のところをまず第一点目としてお尋ねしたいと思います。

 それから、続けて、このBSE対策、これにつきましては、各都道府県も市町村も次々といろいろな対応を実際問題としてやらざるを得ない、農水省もそういうことをお考えになっていると思うのでございますけれども、こういった費用に関しては全額国の負担でやるべきだ、こういう意向が各市町村からは強く上がってきているわけでございます。私もそのとおりだと思いますけれども、原則国の負担で対応する、こういうことの確認をひとつ明確にここで表明していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

遠藤(武)副大臣 まず、ある程度予測していたことではありますが、二頭目の発症を見ましたことは本当に残念でございまして、市場もやや上向き、消費もやや回復しつつあるかなという段階において二頭目を発症したことを特に残念だと思っております。しかし、二頭目が出たことによりまして、これを一つの助けとして、より一層、感染源の追求、感染経路というものが追求しやすくなったというふうにとらえて、厳粛に受けとめると同時に、究明のために全力を尽くしたいと思っています。

 また、そのことによりまして、佐呂間町で発生した患畜と共通した飼料が発見されたというか、それが判明をいたしております。具体的な飼料名は省略させていただきますが、ともあれ、共通した飼料を食べさせていたということがわかり、その製造元、流通経路というものをきちっと突きとめてたどってまいりたい、このように思っているところでございます。

 また、BSEに関してはすべて国費をという御指摘ではございますが、我々といたしましては、このようなことで国民の税金を費消することについてじくじたる思いをし、かつ、可能な限り畜産振興事業団等の資金を導入したりしておるわけですが、安全性の確保、今後の予防といったことを考えれば、ある程度国費の投入というものをお許しいただければ大変ありがたい、そして対策に万全を期したい、このように考えておるところでございますので、なお一層の御指導のほどをお願い申し上げる次第でございます。

滝委員 この問題は、今も副大臣が控え目におっしゃいましたけれども、国民としては、安心、安全な食料、牛肉の確保ということがやはり至上命題だと存じます。いろいろな知恵を絞って畜産振興事業団で当面の対策をおやりになっていたことは評価をさせていただきますけれども、やはり基本的には、最後は安全のために国費を投入する、これはもうやむを得ない、そういうふうに存じておりますので、この辺のところはよろしく御勘案をいただいた方がいいと思います。

 それから、共通する飼料が判明してきたということは、大変追求しやすくなっているということでもございます。どうぞ早急に、この問題についても、農林水産省として、最後まで確実な、速やかな対応をされますように御要望申し上げたいと存じます。

 次に、米の政府買い入れ価格のただいまお示しいただきました案、あるいは当面の米の生産調整等についてお尋ねをさせていただきたいと思うのです。

 今回のこの政府買い上げ案の数字そのものについては、これは従来からの方式でもございますし、私は、その結果については当然そうあるべきだろうというふうに思っているわけでございます。しかし、何とか米の価格、自主流通米の価格を下支えさせよう、こういうようなことで昨年もいろいろな御配慮をいただいたわけでございますけれども、やはりなかなか、その効果が完璧に出るまでにはまだ多少開きがある、こういうことだろうと思います。

 その中で、一つだけ御要望申し上げておきますと、今回も一万四千何がしかの数字を決定していただいているわけでございますけれども、基本的には、その最終的な決定額よりも、途中の、実際に農協が概算払いという格好で個々の生産者に渡すときに、かなり低目の額で渡しているのですよね。昨今でございますと、大体一万一千円ぐらいを概算払いとして渡している。その一万一千円がどうも生産者の脳裏にあるものですから、安い金額を提示されても、それによって、いわば計画外流通米というルートに乗っかっていく、こういうような問題もあるのじゃなかろうかな、こういうふうに思いますので、もう少し高い値段で概算払いができますように、これは実務的な、事務的なことでございますけれども、農林省御当局に御要望を申し上げておきたいと思います。

 そして次に、従来からの算式を見ますと、どうも生産者の努力がなかなか報われない、こういうような不満がございます。基本的に、算式は、自主流通米の実際の取引価格を中心として、同じウエートで生産コストの問題を挙げているわけでございますけれども、その生産コストというのは、本来は自主流通米の取引価格に当然反映されるべき問題だろうと思うのですね。だから、あえて二重の指標をもって決定しているわけでございます。

 農水省としてはいろいろ苦労されていることはわかるのでございますけれども、もう少し生産者の努力が何とか反映されるような格好にならないものだろうか。同じような指標、要するに流通価格そのものを前面に出すと少し下がり過ぎる、こういうことでいろいろな配慮をされているのだろうと思うのでございますけれども、その辺の算式の問題について、私は今後の問題として見直すべきじゃなかろうかと思いますので、御意見を承りたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の政府買い入れ価格を算定いたします算定方式でございますけれども、平成七年に、現行の食糧法が制定をされます際に、あわせまして、米価審議会での審議を経て決定されたものでございます。

 先生御案内のように、現行の算定方式によります買い入れ価格といいますのは、自主流通米の価格の変動率と、それから生産コストなどの変動率を均等にウエートとしてとりまして、それに前年産の価格を乗じて算定をいたしております。このうち、自主流通米の価格でございますけれども、その年の生産調整の達成状況あるいは作柄といった需給の動向全体を反映して市場で決まるものでございますので、必ずしも経年的に下がるというものでもない性格のものでございますし、生産コストにつきましても、必ずしも年々低下する、あらかじめそういうふうになっているというものでもございません。

 現行の算定方式によって算定されます政府買い入れ価格につきましても、先生がおっしゃっている、近年、実態としてそういう数字はありますけれども、算定方式自体としては、おっしゃっているような下がり続けるという算定方式にはなっていないものというふうに考えておるところでございます。

滝委員 時間が参りましたのでやめますけれども、基本的に、今の状況が大事なんですよね。要するに、右肩上がりの経済のときにはこの算定方式が意味をなした、しかし、右肩下がりのときはひたすら値下げの方向に向かってダブルできいてくる、こういう算定方式でございますので、今いいから、過去においていいときもあったからというのは、私は当たらないだろうと思いますので、改めてよろしくお願い申し上げまして、終わります。

鉢呂委員長 次に、小平忠正君。

小平委員 おはようございます。民主党の小平忠正です。

 きょうは、毎年恒例の米審の日に当たりまして、慣例上、米審をメーンにした農水委員会の質疑であるわけでありますが、今遠藤副大臣から報告ございましたが、米審も大分形骸化いたしておりまして、結論がもう出ておる、そこで、このようなことが何か茶番に見える、感じる、そう思います。これについても今後大いに検討する必要がある、私どもはこう思っておりますが、きょう、そういう中で委員会の開催となりました。

 本来ならば、米に関して質疑をするのでありますが、やはりどうしても、今目前、眼前に大きく立ちはだかっておりますのは狂牛病の問題であります。あわせて、WTOが先般ドーハで、新ラウンド、名称はラウンドという言葉を使わないそうでありますけれども、一応スタートいたしました。そして、先週は北京においてセーフガードの日中間の交渉もありました。こんなことがありますので、私の与えられた時間、何点か質問させていただきます。

 まず最初に、時間の関係もありまして、簡潔に、西藤局長、セーフガードについて。

 中国に行かれたのが先週のたしか二十二日ですか、局長間の協議がありまして、御苦労さんでした。しかし、その結果は、私どもが予想していたとおりと言ったら語弊がありますけれども、関係者から見ると期待薄の結果になった、そういう状況であります。せっかく行かれたのですから、私から見ると、なぜいつも北京、北京か。バイ交渉なれば、北京でやったら次は東京、これは私は外交の本来の姿だと思うのでありますが、一応北京でありました。それについて、概要を簡潔に御説明いただきたい。

 あわせて、先般のWTOで、中国が正式にWTO加盟が決まりました。そして、十二月の十一日ですか、正式に加盟する、こう相なりました。そうなりますと、WTOに加盟した以上は、セーフガードに対するあのような中国の報復措置は、これはいわゆる違反行為であります。したがって、今後、このセーフガードについては、紛争処理委員会等々を通しての協議が入ってくるのでありますが、その間、政府は、十二月の十一日という中国の正式加盟というものを一つの境にして、それ以前に決着を目指しているのか、また、それを越した場合、またいだ場合には、今の中国の自動車や携帯電話等々のああいう報復行為に対して毅然たる姿勢で臨むのか、それについてもあわせて御報告、御説明をいただきたいと思います。

西藤政府参考人 お尋ねの件にお答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、先週二十二日、北京で開催されました局長級の非公式協議、私も参加をしてまいりました。十一月十二日のドーハで行われました日中閣僚級会議の会談結果を踏まえまして、率直に掘り下げた意見交換を行ってまいりました。ただ、協議におきましては、依然として双方の立場に開きがあるというのが実情でございます。

 ただ、二国間での解決を目指して、さまざまなレベルで、頻度を上げて協議を集中的に開催して、具体的な解決方法を探求していくということで意見の一致を見ているところでございまして、現在、具体的な日程を外交ルートで調整している状況でございます。

 また、WTOとの関係でございますが、ネギ等三品目につきましては、私ども、WTOセーフガード協定等に基づいて、三品目を対象として対応してきているところでございますが、御案内のとおり、輸入の大部分が中国からのものであるという事情、そういうことを踏まえまして、情報提供を行う等、WTO加盟に準ずる扱いを従来から行ってきているところでございます。したがって、本年十二月十一日に中国はWTOの加盟国となる状況でございますが、三品目をめぐる状況については基本的に状況の変わるところはないというふうに思っております。

 さらに、御指摘の中国は、WTOに正式に加盟した後は、当然のことながらWTO加盟国としての権利義務が生じ、御指摘の紛争処理等の手続も実施することができる状況になります。しかしながら、私ども、ネギ等三品目のセーフガードにかかわる問題については、二国間の話し合いによる解決を図るということで現在対応しておりまして、今後もそういう対応を精力的に続けていきたいというふうに思っております。

小平委員 それは局長、当然なことで、当然ですよ。私が聞きたかったのは、中国が、言うなれば、今行っています報復措置ですね、報復行為。これは、今彼らはWTOに加盟していませんからあんなこともできるでしょうけれども、加盟した後に、依然として彼らはそれを継続しようとする、それについて我が国はどういう強い姿勢で臨んでいくかということを、それを聞きたかったのです。簡潔で結構ですから。

西藤政府参考人 先生御指摘のとおり、中国が、去る六月二十二日から自動車等三分野につきまして対抗措置を講じているのは御案内のとおりでございます。

 先ほど申しましたように、中国のこの行為はWTO協定に違反するし、日中貿易協定にも違反する不当なものだと私ども思っておりますが、この対抗措置、三品目の具体的な取り扱いについて農林水産省の立場から具体的な対応を申し上げるのは、現在そういう状況ではないというところを御理解いただきたいというふうに思います。

小平委員 そこが縦割り行政で、そちらは所管でないから答えられない、これが今回の狂牛病でも同じことが起きております。

 私は、そういうことを含めて、やはり国益にかかわる大事な問題、これは、そういう省庁間の壁も超えて大胆に発言をして、あなたの所管ではない、しかし、それを除外してはこの問題の解消にならないでしょう、セーフガードの交渉。そこを踏み込んで発言し、問題があったら、それは経済産業省、お互いにそこで政府間の協議をすればいいのであって、それを所管でないから逃げる、これは今回の狂牛病問題でも出ました、この問題、厚生労働省との関係において。もうそれ以上答弁できないでしょう。やはり、そこをしっかりやらなければ、私は前進がないと思いますよ。

 あわせて、この後時間の中で米問題もやりたいものですから、そこでこのWTOのMA米対策、これも時間があったら触れますので、ちょっと残っていてください。よろしいですね。時間があったら触れます。

 さあ大臣、狂牛病対策、当委員会でも二度ばかり集中審議もし、また連合審査もいたしました。我が党からも同僚議員が質問に立ちまして、特に専門とする我が党の同僚議員からもこれらについて事細かに、そして詳細に厳しく問題点を洗い出して質問いたしました。しかし、大臣の御答弁はどうも的を大分外れております。それは一つの答弁術かもしれませんけれども、私はそれを国民はきちんと理解されていないと思う。それがあるがゆえに、大臣の御発言がかえって国民に安心感をもたらさない、そういう結果になっていると私は非常に危惧いたしております。

 きょうは時間もありませんので、内容等についてはもう大分詳細やりましたので、そこの経緯、あれはどうなった、こうなった、これをやっていますと、また大臣の術中にはまってしまいますので、それは避けます。

 私は、端的に言って、今回のこの問題は、やはり責任のあり方をどうするか、物事にはいわゆる襟目、節目、けじめ、これをどうとるか、それを国民が注視いたしております。それによって物事は一歩前進し、新しい方向に向かって進んでいく、私はこのように感じております。それは国民各層の同じく意見をする、同じく思うことであると思います。

 そういう中において、正直申し上げて、大臣と私は同じ北海道であります。しかも、背景はあの北海道のいわゆる農村地帯。ですから、私も個人的には大臣にこのことを申し上げるには非常に心苦しい点がありますけれども、しかし避けては通れない。

 大臣、私は、今回の問題で幾つか質問がありましたけれども、大きく言って、今回の農水省、政府の大きな責任は、このような病気が英国で発生してから、その後EUに飛び火をして、そして日本にも入ってくるというそういう状況の中で、何が原因か、これは一〇〇%決断ができないかもしれないけれども、おおよその皆さんが一致する意見は肉骨粉である。こういう状況の中で、幾つかの大事な、いわゆるそれをしっかりと水際作戦、それを防止する、抑える何回かのチャンスがありました。

 それは、イギリスにおいてあの肉骨粉を禁止したあの時期、あるいは我が国がEUでのあの発生を見て肉骨粉を禁止した時期、それから、国内に向かってそれを指導した時期等々ありますが、大臣、その中で私は、まずやはりどうしても大きいのは、話は前後するでしょうけれども、この六月に、いわゆるEUサーベイランス委員会、お国は、このリスクからいって、もう間もなく起こるだろうレベルスリーですよ、こういう指摘があった。これについて、政府はそれを断った、平たんに言って。当時はそう判断したんでしょう。しかし、これは結果的に間違っていましたよね。そこは大臣、どう思われますか。

武部国務大臣 小平先生からいろいろ御指摘をいただきましたし、これまでのさまざまな国会、衆参両院の場で御指摘をいただきましたが、いずれにいたしましても、私どもは、何で我が国においてBSE感染牛が発生したのか、その一番大きな理由は、やはり危機管理意識に欠ける、したがって、検査体制というものについての認識の甘さということは最も反省しなければならないことだ、かように思います。

 なぜ危機管理意識に欠けていたかということで、さまざま御指摘がございましたが、私どもは、これまでに何もやってきていなかったわけでございませんで、今、EU側における我が国に対するBSEステータス評価の問題につきましても、これはまた答弁が長いといっておしかりを受けることになりますので、詳しく申し上げることは避けたいと思いますけれども、これはOIEの新たなる基準が総会において決められる、EUも、それに従って七月に、新たなOIE基準に照らした基準に変えたわけです。また、我が国も、当初はそれに対して、余りにもいろいろ、ステータス評価については国際基準にかけ離れているのではないかというような、そういう主張もさせていただきました。そんなようなことから、我が国は、OIEの基準に照らした新たな評価を受けたいというようなことが、これを行わなかった経緯でございます。

 また一方、我が国においては、BSEの侵入防止に万全を期すために、英国及びアイルランドからの肉骨粉については、一九九〇年以降、国際基準に沿った加熱処理を行われたもののみ輸入を認めてきていたところでありますし、さらに九六年三月に、肉骨粉の輸入の禁止を行ったところであります。

 また、EUにおいてBSEの発生が、これは昨年末でありますが、急増いたしました。それを踏まえて、本年一月一日以降、EU及びスイス、リヒテンシュタインからの輸入を全面的に停止する、本年六月には、チェコで発生を見たことから、同国の肉骨粉も輸入を禁止したというようなこと。これらの措置は、我が国の獣医学の権威から成る牛海綿状脳症に関する技術検討会を開催いたしまして、専門家の御意見も踏まえてやってきた措置でございます。

 このような中で、今回BSEの感染牛が確認されたことはまことに残念なことでありますが、現在、感染ルート、感染源の究明に全力を挙げているところでございまして、先生も御案内のとおりでございます。しかも、私どもは、今先生からさまざま御指摘がありました問題については、やはり客観的、科学的な知見というものが大事であろう。確かに、初期段階で行政上不手際があったということは言語道断なことでございまして、私ども、一人一人呼びつけて、厳重に注意を促したところであります。

 今後、畜産・食肉衛生の検査体制のあり方ということは非常に大きな問題として提起されておりますので、これまでの行政対応上の問題については、先日スタートいたしました、厚生労働大臣と農林水産大臣の私的諮問機関であるBSE問題に関する調査検討委員会においてさまざま検証いただこう。その上に立って、私ども、次なる万全の体制というものを構築していかなきゃならない、かように考えている次第でございます。

小平委員 私は、今我慢して大臣の答弁を聞いておりましたのは、昨日、政府から、私のところに質問取りに関係役人が来ました。そこでいろいろとやりとりがありまして、どういう想定答弁をつくるか、それを今聞いておったわけであります。まさしく役人、関係する人が苦労してつくった答弁で、経緯はそのとおりであります。そのとおりですよ、大臣。私、そんなことを言っているのではないのです。OIE、その基準が変わる。ですから、いわゆるレベルスリーのそういう指摘、勧告を待った。そのとおりであります。

 だけれども、問題は、その判断を間違ったのでしょう。それはそうだったらよかったのですよ。しかし、問題は結果ですよ。それをそこで間違ったことによってこういうことが生じた。そこが私は問題だと思うのですね。そのときに、今いろいろとるる説明された。そして、今後第三者委員会ですか、その検討結果を見てみたいとか、それでは余りにも何か傍観者にすぎませんか。

 この問題の最高責任者として、大臣御自身がどうされるのか、そこを私はお聞きしているのです。結果のことはもう結構ですから、時間がありませんので。

武部国務大臣 やはり私の立場というものは非常に重い立場だ、このように思っておりまして、過去の経緯、先生御指摘のとおり、そう言う方もおられますし、また、これまでの過去の行政指導等についても、国会両院の農水委員会の決議などもいただいておりますし、私は、さまざまなことを客観的に検討する、検証するということは不可欠だと思います。

 しかし、今責任問題をお話しなさっているのだろう、かように思いますね。しかし、このことについても、それはこの国会の場でも、いろいろな御意見など、御議論も賜りました。これも大きな材料といいますか、私どもがいろいろ今後の対応についての大きな参考意見だ、このように受けとめております。

 しかし、最終的には、私どもがどう判断していくかということなんだろうと思いますが、このことについては、やはりもっと客観的あるいは科学的な知見というものを得たいというのが率直な私の考えでありますし、また、どうするのだということにつきましては、これはBSEを疑う牛が発生してから初期段階、大変な不手際があったということはそのとおりでありますが、それだけに、私どもは間断なく、一日も早くさまざまな対策を立てていかなきゃならない、そういうことが一番大きな責任なんですね。

 私どもは、そういうことを一番大きな責任と思って、今日まで間断なく、全頭検査体制などを初めとした諸般の対策を樹立してきているわけでございます。これからも、さらにそういったやるべきことを、適切に、速やかにやっていかなきゃならぬ。このことを速やかに徹底して対応していくということが、今私ども農林水産省に課せられた一番大きな責任だ、責務だ、こう思って今努力している次第でございますので、御理解をいただきたいと思います。

小平委員 おれがやらぬでだれがやる、その気概で全政治生命をかけてぶつかると前もおっしゃいましたよね。それはもうそのとおりですよ。

 私は、はっきり言って、武部大臣あるいは遠藤副大臣、岩永政務官、本当に御迷惑な話ですよね、当時関係なかったのですから。そうでしょう。今大臣でなければ、その席にいなければ、もっと毎日平穏な日を送っておられるわけですよ。ところが、実際にあのときの立場だった人は、今の熊澤事務次官、当時の畜産局長。だから、実際にそのとき衝にあった人は違う人なんですよ。大臣も違っていた。

 だから、そういう意味でいうと、個人的な責任はないかもしれない。でも、あなたは選ばれて、我が国の小泉内閣における農林水産大臣に就任されたわけだ。ですから私は、武部という個人ではなくて、農林水産大臣としてこのことを申し上げているのです。そうなると、このことはあなたはやはり避けて通れない。

 だから、どうも話を聞いていると、調査をさせている、やるべきことはやってきました、何か人ごとに見えるのですよ。それは当たり前ですよ。それは当然やるんだ。しかし、残念ながら、大臣が何か言われると、逆に国民は不信感を持っていく。

 たまたまきょうの農業新聞におもしろい記事が出ていましたので持参したのですが、イギリスのBSEのことでの記事が出ているのです。

 かの国ではかつてこの問題が起きて大変な事件になったときに、こう書いていますよ、「英国では政府が安全というほどパニックが広がった」。まさしく日本と同じなんですよ。そして、いわゆる不手際あるいは対応のおくれ、判断の誤り等々によって、例えば、この記事によると、英国では百人以上がこの問題で自殺をした、これはいわゆる新型ヤコブ病で命を落とした人よりも多い、何かこう言われているそうであります。また、あわせて、離農した農家は昨年までで六万戸に上った、この問題で畜産農家は。ということは、五戸に一戸が離農している。大変な社会問題が、英国で既に発生したわけですよね。我が国も、これを放置すればこの二の舞になることは避けて通れないわけでしょう。

 大臣、私が心配しているのは、今この問題を、いわゆる風評被害を含めて、消費者に安心感を持たせてこれを抑えなければ、将来に向かってどういうことが起きるか。それは、今生産農家、流通業者あるいは焼き肉店のような小売店等々の皆さんは大変被害を受けている。消費者はおいしい牛肉を食べられない。こういう中で、一番の根幹の生産農家は、このまま続いたら、今回も二頭目が出ましたよね、あの農家の方も、まず牛は出荷できませんよ。もうこれで経営が成り立たない、早晩パンクしてしまう。

 そうなると言えることは、我が国では牛肉の国内生産、国内消費、いわゆる自給率は低いわけでしょう。これが、ますます牛肉の自給率が低下する。となると、国民は、牛肉を食べるために海外から牛肉を輸入する、この量が飛躍的にふえる。その意味するところは、本当に安心な牛肉が海外から今後入ってくるのか、あるいはえたいの知れない牛肉を食べるかもしれない。そういうことは、結果的には、今その関係者の切実な生活問題ですけれども、ひいては、将来的には我が国国民、消費者の安全という問題にかかわってくるんですよね。そのことでもっと早く終息宣言を。そのときに大事なことは、私は、やはりその責任の所在を明らかにして、そして前に進む。

 ですから、大臣、今第三者委員会の結論をもとに農水省の責任を明確にしたい、きのうも参議院の行政監視委員会でこう答弁されたそうでありますけれども、何か自主性がないのですね、自主性が。第三者委員会が何を言おうと、かを言おうと、だれがどう言おうとこう言おうと、そんなことは関係ない。大臣みずからがどうされるんだ。しかし私は、心の中では、武部さん気の毒だな、関係ないのにと思っていますよ。思っているけれども、私は、農林水産大臣としてこの問題は避けて通れない。いつおやめになるんですか。

武部国務大臣 今小平先生さまざま御指摘の問題は、私も同じように共有し、認識している問題なんですね。ですから私ども、むしろ、針のむしろに座らされているような、そういう思いで毎日毎日対策に終始しているわけであります。

 二頭目が発生して、これもまた北海道だということで、先生も北海道御出身でありますだけに、それは私の心情というものは御理解いただけると思うのであります。しかし、それであればこそ、全頭検査体制が整って、二頭目が、一見BSEを疑うような症状でなかったけれども、これがエライザ法、ウエスタンブロット法で陽性になったということは、私のところにも最初メールが来たのと、今のメールの内容とは全然違いますね。それは、全頭検査とはどういうことなのかよくわからなかったけれども、今度のことでよくわかった、そういう理解にもつながっているのじゃないか、このように思います。

 いずれにしましても、とにかく、最善の努力をし、最善の対策を速やかに打ち立てていくということが、私は今置かれている一番大事な責任だ、このように思っております。

 しかし、私どもは逃げはいたしませんですよ。それはきちっとした対応を行政上もやらなくちゃならぬと思っております。しかし、これは非常にしっかりした、客観的な科学的な、そういった根拠というものもなければいけないというふうに思っているわけでありますし、第三者委員会で検証してもらうということも、それが終わるまでというようなことを考えておりません、それも参考にさせていただく、議論はずっとやっていくわけですから。

 しかし私は、一つの対応策が、きちっと一つの区切りがつけば、きちっとしたこともしなきゃならない、そういう腹構えは持ってやっていく所存でございますので、御理解いただきたいと思います。

小平委員 経緯はもういいのですよ。とにかく、お聞きしたことを答えてくださいよ。

 では、視点を変えて申し上げます。

 確かにこの問題は、当初は、この問題が発生したときにおられた農林大臣も含めて、私はそこまでは上がっていないと思うんですよ。要は、その衝にあった局長や課長や、その役人の責任だと思うんですよ。そこが、対策がいわゆる不手際、まずかった、だんだんと大きくなってしまった。だから、大臣も心の中では、おまえら何やっているんだと役人に言いたいでしょう。ちゃんとやればこんなことはなかったのに、何でおれがそんな火の粉をかぶるんだ、そういうふうに思っているでしょう。私もそこのところは御同情申し上げます。

 しかし問題は、ここまで大きくなってしまったら、もう役人のレベルを超えちゃっているんですよ。もうこれは政治問題です。ですから、お気の毒ですけれども、その責任をとる必要があるんじゃないですか、そう言って、そこで襟目をつける、節目をつければ、では、この問題、安全でない牛肉は隔離しました、今市場に出てくるのは安全な牛肉ですと。では、新しい執行体制、大臣のもとでこの対策をしっかり講じて、今後我が国の牛肉の安全性は、世界に類を見ないいわゆる最高レベルのチェック体制のもとで国民にそれを提供しますと。そうすれば、国民は安心して、あしたから焼き肉店にもお客さんが殺到するでしょうし、そしてアメリカ産を初め外国産の牛肉なんかさておいて、まず国内の牛肉を皆さん喜んでほおばると思うんですよ。その節目になるのが大臣の去就だと思うんですね。

 違った観点からもう一つ申し上げたい。今この問題が発生して、どれだけの財政的な追加的な措置があったか、予算措置ですね。

 これは、政府からいただいた「牛海綿状脳症関連対策の概要」という資料によりますと、総額一千五百五十四億円、そのうち今次の補正予算分では二百六十五億円。これで幾つか細目が分かれております。一番最初が「我が国におけるBSEの清浄化」からずっと入って、五項目に分かれていますね。これだけの大変なお金をこれに投じている。この財源はどういうふうに捻出されたんですか。これについて、どなたか答えていただけますか。簡潔に、財源だけでいいですから。

遠藤(武)副大臣 今次、二頭目が発生したこと、本当に残念に思っております。先生からのたびたびの御指摘、本当に肝に銘じて深刻に受けとめております。

 今回の補正でお願いした額は二百六十五億円であります。この内閣は引き継いだ内閣ですから、当初予算で盛り込まれているのは五百十二億円。農畜産振興事業団からの拠出は七百七十億円でございます。合わせて一千五百五十四億円でございます。可能な限り補正は少なくさせていただきました。

小平委員 ということは、当初の予算措置が五百十二億円、またその他、今そうおっしゃいました。いずれにしても、ほかのところからお金を持ってきたんですよね。

 それだけの余裕が今農水省はあるんですか。農水省は、いや、ほかの省庁も含めて、こういう国家の歳入の欠陥がある時代において、今非常に圧縮を要求されている。いろいろな構造改革なんかも要求されている。そういう中で、何とか各部門が予算を切り詰めていこうという中において、今これだけのものがどんとこっちへ振り向けられた。そのあいた分を今後、例えば畜産振興事業団ですか、これも大変な負担ですよね。こういうことをしでかした責任、これはだれがとるんですか。

 いいですか、今お米だってもっと対策費を講じたい。セーフガード、ネギや生シイタケやイグサ、これだって皆さんいろいろな補償も受けたい。水産もしかり林業もしかり、もういろいろな分野がお金を欲しいんですよ。予算を回してほしいんですよ。では、ここでこんな問題が生じたら、政府が責任をしっかりとらないでこうやって予算を動かすんでしたら、ほかの分野にもそうやって予算、財源を回してもいいんでしょう。

 私は要求したいですよ、こうやってできるんだったら、早速、今米審をやっている、今度政府買い入れ米価も下げるんでしょう、ぜひそっちへ回していただきたい。セーフガードで困っている農家の皆さんにもお金を回していただきたい。こんなものできるでしょう。そこはどうなんですか、そこのところは。

遠藤(武)副大臣 委員御承知のとおり、農畜産事業団は法律に基づいてその行為が規定されております。したがいまして、御存じのとおり、ですから今回のBSEの問題については、農畜産事業団に大変な御負担をお願いしたということでございまして、これをよそへ投入するかどうかというのはまた別の問題になるのではなかろうかと思います。

小平委員 私が言っているのは、農畜産振興事業団のことじゃなくて、そういうやりくりができるんでしたらほかの分野でも、何か問題が起きて困ったときにはそうやって融通をしてやれないのかと言っているんですよ。

 前回、米が大凶作で緊急輸入した、そのときの財源措置、これは政府がいろいろな資産を集約するなり、いろいろな手を講じてそれに充てましたよね。海外からのいわゆる購入米に充てましたよね。それでしのいだ。ですから、何か見ていると、政府が、農水省が自分たちの立場が危うくなる、そういうときは、もう何に憶することなくお金をぐるぐる回ししてそれに充てていく。しかし一方で、国民が、農民が困っているときには、そこを融通性を持ってそういう財源に回すことはしない。これでは、政治の信頼は大きく損なわれます。

 私は、今そのことを申し上げて、そして、この畜産振興事業団がそうでしたら、では、補正予算で二百六十五億円、これを穴埋めするわけでしょう。このお金だけでもほかにしわ寄せが行くわけでしょう。一般の企業、民間の会社でしたら、何かやって、そして、損失金を出すとか大きな穴をあけたら、その立場にある人は、まず責任問題、左遷か首ですよ。それがけじめというものです。ましてや、農林水産省、これは国家権力です。権力を有する者は、民間企業以上にそこの責任の所在は明らかにしなきゃなりませんよ。それが国民に向かっての政治というものです。どう責任をとられますか。だれがとるんですか。

武部国務大臣 何か穴をあけた、穴をあけたということばかり強調されますけれども、今度のBSE対策というものは、今遠藤副大臣から説明いたしましたように、当初から既に措置しているものを除く一千四十二億円を新たに措置したわけでありますけれども、農場段階での監視体制の強化、今までやっていなかったこともさらにやろう、牛の個体識別システムの構築、食肉処理センター等における可食内臓等の区分管理の促進など、今いみじくも委員がお話しされておりますように、これまでにはとっていない体制であるけれども、消費者の皆様に安心して食べていただける畜産物を供給する体制整備、それらのために補正予算二百六十五億円を措置したわけであります。

 そして、その他、七百七十七億円については、今遠藤副大臣がお話ししましたように、農畜産事業団の資金を活用したわけでございまして、このことについては、肉用子牛の価格安定事業や食肉等に対する振興事業に充てるために、牛肉等関税財源を原資として、農畜産振興事業団に交付された交付金の未使用額等が調整資金として農畜産事業団に管理されているものでありまして、今回のような、特に機動的に対処する必要のある事業等に活用してきたところでございまして、我が国の国民生活及び畜産物の国内自給体制の根幹を揺るがしかねない事態であるということは認識しております。

 それに対する私どもの責任性ということについても強く感じながら、であればこそ、この際に、今委員御指摘のように、世界でもう日本が一番安全なんだ、水準が高いんだというような対策を構築していこうというようなことで努力しているわけでありまして、そのことをぜひ御理解いただきたいと思いますし、今後もこの対策の充実に着実に努力していきたいということが今私どもがとるべき一番大事な責任だ、このように認識しているわけでございます。

小平委員 要するに、大臣の御答弁は、何らおかしいところはない、この対策に堂々と予算措置をしているんだから、これは何も、正常なことであって、要するに穴埋めをすることじゃないんだ、そういうことですね。今の御答弁ですと、そう聞こえますよ。いや、イエスかノーかだけでいいです。要するに正常な行為ですね。

武部国務大臣 イエスかノーかだけで単純に答え得ないものですよ、これは。

 それは、小平先生のような厳しい御指摘も多々あります。しかし、いろいろな方々からこういう体制になったということの評価もございます。私どもは、これは我々のやっていることが是か非か、一生懸命努力しているかしていないか、責任を果たしているか果たしていないかということは、今直ちにどうこうするということはできないんだろうと思いますよ。

 そういう意味では、今私としてはベストを尽くして努力するということが私のとるべき責任だ、こう思って申し上げているわけであります。ですから、おれがやらなきゃだれがやる、今やらなきゃいつできるというこの私の座右の銘というものを大事にして今頑張っているということを御理解いただきたい、こういうふうに申し上げているわけです。

小平委員 私はあと十分しか時間がないので、とにかく今の御答弁は私は非常に問題だと思っています。何ら悪びれることなくこの予算措置をしたことは、もうこの対策で何らおかしいことはないと。もちろんこれは選挙がないからしたわけでしょう。当然ですよ。でも、こういうことになったことに対しての責任はどうですかと聞いているんですが、その御答弁はない。

 時間がないので私、ちょっと先に、これはまだ国会会期残っていますし、まだ農水委員会を再度開いてこれについていろいろとやる必要は私はあると思います。それは意見として申し上げておきます。

 私は、次に、せっかくきょう桝屋厚生副大臣にお見えいただいていますので、厚生労働省に対しての質問をさせていただきます。

 今政府の話を聞きますと、九月の六日ですか、敗血症と厚労省の千葉のあれでそういう診断があった。その後、農水省に、頭部をイギリスに送るなりして、結果的には狂牛病の診断が下された。しかし、厚生省はそれ以上のことはなぜされなかったんですか。敗血症と診断された、そしてその後、農水省がいろいろやってきた、それだけでいいんですかね。そこはどういうふうに御答弁されますか。

桝屋副大臣 お答えをいたします。

 今委員の方から九月六日と言われましたが、八月六日の屠畜場における敗血症の診断について御指摘をいただきました。

 先ほどから武部大臣の方から、イギリス、EUの動向を踏まえての我が国の取り組みのるる説明があったわけでありますが、今ちょっとだけ最初に言わせていただきますと、私ども厚生労働省も、御案内のとおり、平成八年以降、BSEとそれから人への感染性ということも言われたわけでありまして、御案内のとおり、と畜場法施行規則を改正いたしまして、検査対象疾病に牛海綿状脳症を含むというような追加をして、臨床的、病理学的な診断を行ってきた。さらには、昨年のEUの動向を踏まえて、ことしの五月からサーベイランス体制を整えて、神経症状を呈する牛に対する異常プリオンの有無の検査をやりまして、二百二件の検査を行ったものであります。

 それで、今委員がおっしゃった敗血症でありますけれども、この八月六日の敗血症は、我が国一頭目でありますけれども、牛舎内滑走を原因とする転倒、それから起立不能のため予後不良だという形で屠畜場へ搬入されてきたということであります。

 したがいまして、必ずしも神経症状は見られなかったということ、さらには屠畜場における解体後の検査では、肝炎あるいは内腸骨リンパ節の著しい腫脹、あるいは出血性の筋炎ということが認められたわけでありまして、と畜検査員によります敗血症という診断、このことは、私は屠畜検査の状況から敗血症と診断したことはやむを得ないことではなかったか、こう思っております。

 もちろん、その後においてはBSEのサーベイランスの対象に敗血症のような全身症状を呈するというものも追加したところでありまして、農水大臣がよくおっしゃいますが、BSEを疑わなかったというこの危機感の問題については、これは危機感が足りなかったということは反省をしなければなりませんが、現場の対応ということはそういうことではなかったのかというふうに思っております。

小平委員 桝屋副大臣、最後のそこのところが、私はやはり当時そういう判断をされた、診断された、そう思ったんでしょうね。

 しかし、昨日からの政府とのやりとりにおいても、当時はそういうBSEの検査体制にも厚生省はなっていなかったというような答えもあったんですね。ということは、それだけ甘かったわけなんですよね。それだけの体制がとれていなかった。まさしく今、副大臣、最後の答弁のことなんですよ。

 要するに、何も故意に悪意を持ってやったとは私は言っていませんよ。でも、結果的に誤診したわけですよ。要するに、併発症、敗血症だったでしょう。しかし、もう一つ大きな病気が隠されていた。それを見抜けなかった。その責任も私はあると思うんですね。そこをあいまいにして、ないがしろにして前に進んだんでは、厚生労働省、これから国民に信頼感を持たれて行政をやっていくことはできないと私は思います。

 そこの責任をどうされるのかということをお聞きしたかったんですが、時間があればやりたいんですが、その責任は感じられておるわけですね。まず、きょうはそこだけお聞きしておきます。そこまで調べなかったということについての責任は感じておられるんですか。

桝屋副大臣 先ほど言いましたように、我が国はBSEの非発生国であったという状況もこれは事実でありまして、私ども厚生労働省は、OIEの基準等に基づいて、それまでは適切な、先ほどからるる申し上げております、症状のあるものは検査をする、あるいは一定のスクリーニング検査をする、モニタリングの検査をするという取り扱いはやってきたということでございまして、もちろん、一頭目が出ましてから後は、世界で例を見ない全頭検査ということをやってきたわけでありますが、先ほどの屠畜場における敗血症という診断、私はこの経緯から見るとやむを得なかったと申し上げたわけであります。

 今のこの異常事態に対して、私どもは、完全な検査体制を整えて、これからもこの異常事態に対して対応を続けなきゃならぬ、このように思っておるところでございます。

小平委員 非常に答弁をはぐらかしているんですが、責任を感じておられるのかと聞いているんです。

 今の御答弁の中で、当時、我が国はBSEの未発生国だった、そこまで思いが至らなかった、そういう御答弁だったでしょう。でも、政府の話によると、九六年には、我が国に今BSEの危険性があるということで、何か農水省は末端の、要するに獣医さん等々、関係者に向かってはそういう指示を出しているそうですね。チェックをしなさいと。末端には出したわけでしょう。そうでしょう、大臣。うなずいておられる。

 そこまで、これは危険だからということで対策を講じていながら、一方、中央である厚生労働省本体がそれについて認識を持たずに、八月六日の状態においても、我が国はBSEの未発生国だからなんて、そんな甘い考えでいるなんというのは、一方で末端にまで話をおろしておいて、獣医までそのことを指示しておいて、厚生労働省の方はそんなことを知らないというのは、こんなふざけた話がありますか。

 当然、そのときには、もしかしたらこの牛は敗血症だけじゃなくてそういう危険な病気になっている、これをきちんと処理しなかったら国民に大変な迷惑をかける、そこまでするのが国民の大事な医療というか、いわゆる厚生福祉というものに携わっている厚生労働省の責任でしょう。そこが今の答弁からは全然感じ取れない。

 そのことを強く指摘して、もう一度この委員会、ぜひ皆さんやりましょう。やらなきゃだめですよ。はっきりと責任の所在を、エンドレスで責任の所在をはっきりする。

 時間がないので一点。米問題だけ、中川次長、一点だけお聞きします。時間で質問できませんので。

 今回、このいわゆる米審の前に、稲経のことで、食糧庁はいわゆる副業農家を除外するというような方向で出されましたよね。大臣もそんなことで発言された。

 このことについての私の考えは、我が国の戦後の農政というのは、いわゆる二種兼農業が我が国の特性でありますよ。したがって、その皆さんを大事にしながら、そして高度成長の中で、その労働力を工場なんかに向けながら我が国の戦後の発展を図ってきた。

 確かに、二種兼農家を大きく庇護するという、これは間違ってはいなかった。当時の歴史的な要請もあった。しかし、今WTOの時代になって、専業農業というか、国際競争力に伍していける、そういう国内農業の足腰を強くする。そういう意味からいって、この稲経を今軸にしながら、専業農業にもっと光を当てていこう、そこで、峻別しようと。

 私の持論も、我が国農政の欠陥は、専業農業と兼業農業を一律にしていくことである、それを峻別し、専業農業用の農政、兼業用の農政、極端に言うならば、専業用の稲経、副業用の稲経、そういうものをしっかりつくることによって予算が効果的に使われ、そして農家にもそれを期待を持って受けとめていただく、私はそういう思いでおりましたので、ある意味では一歩前進かと思って期待しておったんですが、何か、単に二種兼農家を切り捨てるという、そういうことの発言があったので、これはおかしくなりましたよね。これは白旗を掲げて退散ですか。

 何でこうなったかというそこのところの経緯をお聞きいたします。

中川政府参考人 最近の稲作農業の現状を見ますと、この五年間で稲作収入が一兆円減少してきている、そういう状況がございます。特にその影響が主業農家に及んでいる、そういうことがございましたので、稲作経営安定対策につきましても、担い手により焦点を当てた見直しが必要ではないかという問題提起をさせていただきました。

 しかしながら、いろいろと各地域で意見交換をしていく中で、稲経が生産調整の円滑な推進に役立っている、そういう問題指摘もありましたので、稲経におきます主業農家への重点化については、副業農家の扱いをどうするか、そういう農政の基本にかかわる問題だ、そういうものとして議論する必要があるということで、今回、十四年産についてはとりあえず見直しを行わないことというふうにいたしましたけれども、稲経につきます副業農家の位置づけにつきましては、今後、構造改革の推進の観点から、経営所得に係ります施策を検討していく中で引き続き検討していきたいというふうに思っております。

小平委員 いずれにしましても、農業という字は二文字ですけれども、地域によっていろいろと農業の状況、条件は違いますので、言うならば、いわゆる予算措置をして、有効にそれが使われることが大事なので、このことはひとつ食糧庁、大きく反省をしながら、二十一世紀における我が国の農業の発展に向かって努力をさらに続けていただきたい、そのことを申し上げて、少し時間を超過しましたが、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鉢呂委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 先週、大臣はWTO交渉にお出かけになられて、閣僚会議がとりあえずまとまり、これから本格的に農業交渉もスタートすると思います。

 今回、きょうは、提示をされています米政策の見直し、これが、WTO農業交渉の日本提案の中に、農業の多面的機能への配慮、食料の安全保障、そして消費者・市民社会の関心への配慮、この三点について関連をどうつけているのかというのを私はお尋ねしたいと思います。

 と申しますのは、これからWTOの本格交渉になると、いろいろな農林省のこれからの各施策はそれと関連をどうつけ、そして、日本提案をどうほかの国に対しても理解を求めるかということが今まで以上に重要になると思います。その観点から大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 昨年十二月にWTOに提案いたしました日本提案は、先生御指摘のように、多様な農業の共存を基本的な目標として、農業の多面的機能や食料の安定供給の確保等を追求する観点から、市場アクセスについては、品目ごとの事情を踏まえ、柔軟性を確保して適切に設定すること、それから二つ目には、国内支持については、農政改革を安定的に推進するために、現行の規律の基本的な枠組みを維持すること等を提案しているところでございます。

 今回の米政策の見直しは、現行のWTOの国内支持の枠組みを前提としつつ、市場価格支持のような削減対象の施策を用いずに、米の生産・流通システムを総合的、抜本的に見直すことにより我が国水田農業の足腰を強化し、食料自給率の向上、水田の多面的機能の維持発展に資することを目安としているわけでございまして、このように、両者は、目的、手法の双方において共通の考え方に立っているものと考えているわけでございます。

 なお、今回の閣僚宣言案につきましては、我々が多面的機能ということを重視して、非貿易的関心事項に配慮するという文言が明確になりました。また、ドーハがスタートであるというようなことで、交渉の結果を予断せずということも加えられまして、我々、これから農業交渉を通じて我が国の主張を強力に展開してまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 今回の米政策の見直し、ことしの九月に農林省が出されました米政策の総合的・抜本的見直しの大枠という中では、今回の一つの私は目玉であると思います地域水田農業再編緊急対策、いわゆる日本型CTEと呼ばれているものが、今回の取り組みでは、九月の時点では一番大きな柱で、見直しの冒頭に記述がございました。

 今回、よくよく読むと、一ページの二の(三)、何か非常に申しわけないような形で書いてあるんですが、私は、これと昨年度から対応されています中山間地等の直接支払い制度、この二つが相まって、これから本格的なフランス型のCTEを導入すべきだということを昨年の農水委員会でも発言をさせていただきました。当時はまだ農水省は、一顧だにもせずというかたくなな姿勢でございましたけれども、ここまでようやく来たという感じでございます。

 今回の米政策の見直しの中で、この地域水田農業再編緊急対策をどのように位置づけ、そして、中山間地の直接支払いの方はまだ達成率七割ということで、大変もがいているような感もいたしますけれども、その二つの関連も含めて、簡潔に御答弁をお願いします。

中川政府参考人 地域水田農業再編緊急対策でございますけれども、集落などの地域単位で水田農業の構造改革に関する計画をつくっていただきまして、そこで米の生産農家が担い手に生産を集約するといった前向きな取り組みをしていただく、そういう場合に、その取り組みに応じて交付金を交付するという事業として今予算要求をしているものでございます。

 一方、中山間地域等の直接支払い制度でございますけれども、こちらの方は、中山間地域等において耕作放棄を防止し多面的機能を確保するために集落協定を結びまして、それに基づきまして農業生産活動などを行う生産者に交付金を交付するという事業でございまして、両者は交付の目的それから対象等が異なっておりまして、競合するものではないというふうに考えております。

 そこで、今回の米政策の見直しの中で、特に、他作目と比べまして著しく立ちおくれております水田農業の構造改革が一つの柱というふうに位置づけております。この地域水田農業再編緊急対策は、構造改革のために、その中心的な施策として、平成十四年度から三カ年間をかけまして、その間集中的に実施をし、集落営農を含めました地域における農業構造の改革の取り組みを推進しよう、そういうものというふうに位置づけているところでございます。

後藤(斎)委員 私は、今の御答弁が、必ずしも大きなウエートを占めた対策であるというふうな熱意が正直言って感じられないような感じがいたします。本当に、今、米政策を大きく見直さなきゃいけない時期に来ているのは、まさにことし、この半年かけていろいろな御検討を農水省、食糧庁でやられて、九月以降の熱心な討議、いろいろな議論を拝見しても、その認識があったにもかかわらず、何か端に置かれて、大変かわいそうな制度になっているような感じもいたします。

 そこで、なぜ今この米政策というのが曲がり角というか、来ているのかというのは、もう三十年間続けたまさに減反政策が、一律方式の失敗、そして米の下落も含めた農家の手取りの減少、そして何よりも消費者のニーズというものをきちっと把握してこなかった結果だというふうに私は思っています。

 と申しますのは、先ほどBSEの話もありましたように、後でまたBSEの方はお話をしますが、私は十月の下旬から十一月の一日にかけて、英仏独をBSEも含めた調査に行ってまいりました。その中で、ヨーロッパの農業政策は今大きく転換をしております。新しい食料・農業・農村基本法の中でも、もちろん食の安全性、消費者対策の重要性については触れておりますが、まだまだ不十分であります。

 どの商品でも同じでありますが、消費者が選好する際には、消費者のニーズ、そこを踏まえた生産体系であり、そしてその中で、銘柄というよりももっと細かい基準になるかもしれませんが、商品を選択するというのが当たり前であります。この米政策の体系を見ても、大きな需給というものを重視する余り、まだ消費者のニーズというものをきちっと把握した対応になっていないような感じが私はいたします。

 そして、いろいろな形で、きょうの米価に関する資料もそうですが、たくさん分厚い資料で細かく統計的に整理をされております。米については、昭和六十年代には一世帯当たりの月の消費額というのは六千円を超す時期もありましたが、今は一世帯当たりの消費額というのは一カ月三千五百円、これを前後しているものであります。この何円、何十円の単位をどうするかという消費者の選択があるのかどうか。

 そして、新しい銘柄や新しい品質のものを消費者に提供することによって消費が上向いていくような努力を、従来の既存の銘柄を対象にした消費対策というものではなくて対応していくべき時期にもう来ている。そして、米政策という生産体系も消費者ニーズに対応したものにしていくべきだというふうに私は考えますが、大臣、御見解をお伺いいたします。

遠藤(武)副大臣 委員おっしゃるとおり、消費者ニーズにこたえていくということは非常に大事なことでありまして、かつては、いわゆる農家の使用人といいますか従業員、二俵半の手当、つまり百五十キロなんです。百五十キロ食べておったということです。現在、年間六十キロそこそこでありまして、一俵です。ですから、そういう需要の減退といいますか、これはある意味では消費者のニーズであります。この需給の関係、バランスをとるのに三十年来苦労して生産調整というものをやむなく続けているわけであります。

 私どもといたしましても、消費者ニーズを的確に把握するためにモニター制度を設けたり、生産者団体に対して、例えばお米ギャラリーであるとかそういうものを設置されてニーズの把握に努めておるのですが、それと政策としての需給バランスというのも、現実には非常に厳しいものがございます。角を矯めて牛を殺すといいますか、過酷な、ニーズに即刻適合した政策をとれば、これは大きな大きな生産調整を余儀なくされる、そのギャップに悩んでいるところでございます。

 しかし、それはそれとして、今後とも消費の拡大に向けて、生産者団体ともども、消費者の理解を得られるような努力を続けてまいりたいと考えているところでございます。

    〔委員長退席、鮫島委員長代理着席〕

後藤(斎)委員 今の副大臣のお答えは、私は、まだ既存の制度を続けていくベースが現状にあるということにしか聞こえないのです。

 と申しますのは、今、ここまで来たという認識は共通していると思うんです。それをどう打開していくかというときに、では、総合的な実態調査を農林省として、食糧庁としてやるおつもりがあるのかどうか。そしてその中で、消費者ニーズが何かという、既存の枠ではなくて、もう少し広げたものに対応しながら考えていかない限り、この悪循環から、新しい米政策の見直しを仮に実行しても、三年後に評価をしてやはりだめだったと。

 今までも五度、六度いろいろな転作を、名をかりていろいろな形で事業を講じてきました。その点を、生産対策だけではなくて、消費の部分にもきちっとメスを入れるというか見据えて対応する必要性があるのではないかということをお尋ねしているんです。いかがでしょうか。

遠藤(武)副大臣 お言葉を返すようなことで大変恐縮ですが、これまでの生産調整といったやり方で消費者の需要にこたえるということはかなり困難だ、そういう認識のもとに、面積による生産調整は限界に達しているのではなかろうかということで、量の生産調整ということを提案し、先ほど小平委員が触れられました、主業、副業農家というもののいわゆる取り扱い方といいますか、対応の仕方など、かなり今までとは違った方向を見出そうと努力はしているところであります。

 と同時に、大量生産、大量消費、大量投げ捨てといいますか、食生活そのものが非常に変わってきておりまして、この食生活の変容に伴った食生活の指針というものを出して、できるだけお米を食べていただくような形で消費者に御理解をいただいているところでございます。

後藤(斎)委員 その際に、これはもう、ちょっと時間も、幾つかまだ残っていますのでこれ以上触れませんが、ぜひ総合的な消費実態調査をやっていただきたいというお願いが一点です。

 そして、一千万トンの需要というものを既存のベースに置いて対応するのではなくて、これは今から触れますが、備蓄という制度が一方にございます。これは、百五十万トンから百万トンプラスマイナスという形で対応することになっています。それ自体はそういう方向性だと思いますが、そしてあわせて、特に、加工用等の需給見通しの中にありますように、援助用備蓄、今の国際水準であれば、日本の米が通常のコマーシャルベースで輸出されることはもちろん考えられません。

 私は、国内マーケットありきということではなく、援助も含めた輸出そして備蓄制度、この三本をきちっと位置づけしながら対応していただく必要があると思うんです。そうでなければ、もがき苦しみ、生産者からは、もうやめてくれという声ももちろんあります。消費者からは、もっと安全性の高いものを供給してくれという要望もあります。そこをうまくお見合いというか合わせることが行政の役割だと私は思うんですが、先ほどお話をした援助用備蓄、そして備蓄米のこれからの対応も含めて、食糧援助にこれからどういうふうに対応していくのか、簡潔にお答えを願います。

遠藤(武)副大臣 今委員三つのことをおっしゃいました。一つは需要量、それから備蓄の状況、それから援助米。

 我々は、今一千万トン程度と思いましたが、九百三十万トンから九百万トンに需給を下方修正しております。と同時に、在庫も、非常に財政負担が大きいというだけじゃなくて、過剰米を抱えること自体大変なことでございますので、今回、百万トンプラスマイナスという形にさせていただきました。

 それから、援助米についてでございますが、我が国の米はトン当たり二十二万円超でありまして、国際価格との差が余りにも大き過ぎるわけであります。したがいまして、これを、例えば従来やっておりました北朝鮮へ送るとしましても、五十万トン援助するに一千億円はかかるという大変な財政負担を要するわけでありまして、これをすぐ援助用米にというにはなかなか財政当局との協議は成り立たない、そういう事情があるということも御承知おき願いたいと思います。

後藤(斎)委員 今のお話は既にいろいろな資料でわかってはいますが、今まで平成六年産を備蓄で完売するまでに五年、平成七年で六年、ようやく、五年、六年かけて今八年産に移ろうとしております。通常の備蓄経費で、年間を通して、確かに昨年の北朝鮮の五十万トンという数字は過大であったと思いますが、この加工用等の需給見通しにありますように、既にきちっと四十万トン、MA米の残りという説明でしたが計上し、国内産も二十五万トン援助用備蓄として計上しているというものを、今度備蓄水準も引き下げますが、きちっと援助経費を金利、倉敷同様に対応しながら、このくらいであればほかの国から要請があれば常時対応ができるということを念頭に置きながら対応していただきたいというお願いです。

 これは今、一昨日、自衛隊が対テロ支援法に基づいてパキスタンに向けて、インド洋に向けて出発をしています。これからの私たちが考えなければいけないのは、そういうたくさんの国の方が実際飢餓や食料難に苦しんでいるという現状があるのをわかっていながら、中だけの議論をするのではなくて、外に向かっての議論もしながら、もちろん副大臣おっしゃられたように財政のコストもありますけれども、それをどううまく使うか。

 先ほど小平議員からも話がありましたように、確かにBSE対策で必要な予算計上は今しているという部分もたくさんあると思います。そうではなくて、仮に、基金的なもの、いろいろな運用も含めて形をつくっていけるのであれば、そういうものをしっかり制度的に仕組んで、今はこういう形でもう仕組んであるわけですから、そういうことも含めての対応をぜひお願いしたいということでございます。

 時間も余りありませんから、次に移らせていただきます。

 先ほど小平委員からもお話がありましたように、BSE発生から既に三カ月ほどが経過をしております。風評被害ということで、生産、流通、そして消費者の方ももちろん含めてですが、たくさんの経済的、そして精神的な苦痛を今味わっています。今農水省として、BSE発生によって経済的にどの程度の被害があったというふうに見られているのか、総額をお答え願います。

小林政府参考人 BSEに関しますさまざまな影響につきまして、金額的な形で的確にお答えするのはなかなか困難でございますが、発生以来、生産者あるいは関係業界に及ぼした影響ということで見てみますと、一つは、牛の枝肉の卸売価格が、九月では対前年比六%減、十月には同三一%減、そういった低落が見られますし、また、子牛の取引価格も同様に、BSE発生前と比較しますと一割強低下しております。また、十月中ごろの主要量販店の方の調査によりますれば、牛肉の売り上げが四から七割程度減少しているというのも見られまして、またさらに、焼き肉店の皆さんに対する調査によりますと、六月から八月と比べて売り上げが五〇%未満であった、そういった事業者の皆さんが四割強になる。そういう意味で、生産者、流通段階、小売、外食産業を通じまして大きな影響が生じてきているというふうに私ども認識しております。

 こういった事態を踏まえまして、十月十八日からの屠畜場でのBSE迅速検査に伴いまして安全な牛肉だけが店頭や食卓に届くシステムが確立されたということ、こういったことをテレビ、新聞広告等あらゆる媒体を通じて積極的なPRを行っております。

 また、先ほど来の総合的なBSE関連対策も講じているところでございまして、今後ともこういった対策の円滑な実施を通じまして、BSEによる影響の緩和、また風評被害が拡大しないよう、最大限の努力を傾注してまいりたいというふうに考えているところでございます。

後藤(斎)委員 きょうのちょうど読売新聞にも、今局長が御答弁になられた以上のことがあると思います。

 牛肉関連を産業連関表で回したことは農水省もないと思いますが、推定では、多分四兆から五兆円以上の産業規模になっているのではないかなと思います、焼き肉店も含めてですが。仮に一カ月四千億としても、半減をすれば二千億の経済損失、二カ月それが継続をすれば四千億の経済損失。これは、私が一カ月ほど前に行ったドイツでも全く同じような状況でございました。

 ドイツも、昨年のちょうど今ごろ、十一月の二十六日に、国産牛では初めてBSE感染牛が確認をされ、それ以降、大きな枠組みも含めた対策を講じております。

 一点目の大きな枠組みは、先ほど来お話がありますように、各BSE対策の制度的な対応であります。検査をする、そして、仮にかかっていたものは焼却をする等々の、今、日本国でも対応されているものであります。

 そしてもう一点、どうしても大きな課題としてありますのは、これからお話をします農業政策、食料政策の主目的の転換であります。新しい食料・農業・農村基本法、まだ二年しかたっておりませんが、目的は、国民生活の安定向上、国民経済の健全な発展ということであります。この主目的を変えていくことこそが、一つの大きな、今行政の対応するべきことだというふうに私は思っています。

 ドイツでは、消費者保護ということを重視し、従来から生産性という、ややもすれば、農家の側にシフトをしたと言うと言い過ぎかもしれませんが、生産側にウエートを置いた食料、農業政策を、品質や安全性という観点に農業の質的転換を図りました。

 そして、私たちのこの国でも、今何をしなければいけないかというのは、後でもう一点触れさせていただきますが、その質的転換をどう図っていくかということを国民、消費者の方に知らしめるべきかということだと思っています。その点について、大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。

武部国務大臣 委員御指摘のことは全く同感であります。私も農林水産大臣就任時に、農林水産省というのは、これから生産者と消費者の間に立って仕事をしようということを就任のときのあいさつの中で申し上げたわけでございます。

 国民に安全で良質な食料を安定的に供給するということが今後の農政にとって非常に重要な課題であるというふうに認識しておりまして、このため、現行の食料・農業・農村基本法の制定に当たりましても、消費者の視点を重視した食料政策の構築を農政改革の重要な柱の一つとして位置づけているわけでございます。食品の安全性、品質の確保や表示の適正化等、食料消費に関する施策の充実に努めてまいりたい、かように存じます。

 また、BSEに関連する問題でありますが、そういうような視点に立って、私どもは、消費者に信頼される行政の重要性というものを認識した上で、今度の場合も、行政の縦割りということが一つの大きな問題点として指摘されるわけでありまして、厚生労働大臣と私の私的諮問機関としてBSE問題に関する調査検討委員会を設置して、これまでの行政対応上の問題を検証して、今後の畜産・食品衛生行政のあり方について調査検討を行うこととしているわけでございます。

 今委員御指摘のことは、私どもも全く同じ考え方で努力していきたい、かように考えております。

後藤(斎)委員 であれば、行政の一元化ないし安全性対策を徹底してやるおつもりがあるのかどうか、そして、今の食料・農業・農村基本法の主目的を変えるおつもりがあるのか、簡潔にお答え願います。

武部国務大臣 そういうことを念頭に置いて、今度の調査検討委員会においても御議論いただくつもりでございます。お願いしております。

 また、私といたしましても、今委員御指摘のようなことを今後の農林水産業の構造改革、また農政改革の大きな柱として考えてまいりたい、かように思います。

後藤(斎)委員 制度が、とりあえずほぼEU並みないしそれ以上のものがあるということは、私も積極的に評価をしたいと思っています。

 もう一点の、行政、法律の主目的、ないし農政、食料政策の目的も、今回のBSEを踏まえたものに、第三者委員会の御意見も踏まえてかもしれませんが、積極的に対応なさる点については、今の大臣の御答弁は評価をしたいと思います。

 最後に、ドイツがこの一年をかけて、ようやく、私が行った時点でも、価格、消費数量ともどもふえてまいりました。そして、消費行動が若干変わり、従来スーパーにかなりウエートがあった牛肉の消費が、食肉専門小売店、対面で対応するところにウエートが若干移ったという話も聞いてまいりました。それは、まさに消費者の一番の関心は、原産国と言うと問題がありますが、どこでとれた牛肉なのか、そしてどんな部位なのかということもお店の御主人や奥様と話をしながら買っていくということだと思います。

 そして、ドイツがなぜこの一年かけてクリアになったかというのは、先ほど来話がありますように、当初ドイツも、BSEが発生する昨年の十一月の中ぐらいまでは、絶対ドイツには狂牛病は起こらないんだ、BSEには感染しないんだという一点で対応してきた。それがそうではなかったということで、今の日本の現状と全く同じ、数カ月間大パニック、連日の新聞報道はBSEの問題ばかりということです。

 制度はつくる、これは全く当たり前のことであります。そして、質的転換を食料政策で図っていった、これも当然であります。そして、何よりも必要なことは、今二頭目が我が国でも出て、信頼性が失われている、その信頼性を回復するには、先ほど小平議員からも話がありましたように、どうして行政の責任を果たしていくかということであります。

 大臣、もう既に何度もお話しになって、耳にたこができているかもしれませんが、ドイツでは、保健大臣そして農林大臣が辞任をし、新しい体制で、新しいフレームで対応した、その一つの要素が大きく国民の信頼感を回復した、これが現実であります。ドイツの国民、消費者の方、行政機関の方、そして在留邦人の方もお話を若干させていただきましたが、その点があります。

 先ほど来大臣は、おれがやらなきゃだれがやるというのが座右の銘であるそうですが、最後は、その部分ではなく、真に大臣が、大きな経済損失を受けている、そしてこれからも受けるであろう生産者や流通業者そして消費者の方に、きょうの朝日新聞でも、今全頭検査を信頼するのが四八%、しないも同数という世論調査の結果が載っております。今、拮抗しているのです。そして、この消費や価格の減退が続いていくのかどうか、それを防ぎとめるのが行政の責任であると思います。

 私は、武部大臣と五月に植樹祭でも一緒にさせていただきました。先ほど小平議員も話しましたように、個人的にどうこうというよりも、行政の長として、今からテーブルに出るもの、感染牛、多分これから確実にふえていくでありましょう。上限は何頭かわかりませんが、ドイツも、一年かけて百二十頭を超える数字になりました。これから出るであろうというものも想定をし、ただ、その中でも、全頭検査をして、テーブルに乗るものは完全に安全なんだというものを大臣の職をかけて国民に対するメッセージを出していかない限り、その風評は絶対終わらない。これは、私がヨーロッパ三カ国を駆け足で話をしてきた一番の収穫だというふうに思っています。

 大臣、いろいろなお立場はあると思います、そしていろいろなお考えはあると思います。ただ、その中でも、本当に大臣が、生産者の方や流通業者の方や消費者の方のことを踏まえてこれから新しい体制をつくっていく中で、国民にきちっとメッセージを発することしか残された信頼回復の手だてはない。二カ月弱で、信頼する、しないがよく半々になったというふうに思います。それは、そういう中で、大臣が責任をとるということよりも、メッセージを発信しながら、大丈夫なんだということは、大臣が責任をとっていただくことしかもうないという現実をぜひ御理解を賜って、そしてその行動にぜひ移っていただきたい。そうすれば、私は、今、信頼する、しないが半々に拮抗するものが……

鮫島委員長代理 時間です。

後藤(斎)委員 大臣が本当に対応するというメッセージを国民に発することをぜひ求めて、そのお考えを最後にお伺いしながら、私の質問を終わらせていただきます。

武部国務大臣 ドイツの大臣がどういう経緯でおやめになったかわかりませんが、私ども、今、新しい体制、新しいシステム、新しいフレームワークを真剣につくり上げつつあるわけでございます。

 今後も、職責をしっかり果たし、国民の皆様に安心していただくために全力を尽くす所存でありまして、もう一つ好きな言葉は、人事を尽くして天命を待つというのも、私の好きな言葉であることをあえて申し上げたいと思います。

鮫島委員長代理 次に、井上義久君。

井上(義)委員 初めに、水田農業の構造改革及び米政策の見直しについてお伺いしたいと思います。

 米価の急速な下落によりまして、先ほどもお話が出ていましたけれども、この五年間で一兆円に及ぶ稲作収入の減少があったということでございますけれども、いわゆる稲作依存度の高い主業的な農家に非常に厳しい打撃があるわけでございまして、このまま推移いたしますと、将来の担い手として最も期待されている農家の皆さんから崩壊をしていくんじゃないか、こういうおそれを抱いているわけでございます。

 このことはとりもなおさず、生産調整とか計画流通制度というものがやはり有効に機能していないというふうに言わざるを得ないわけでございまして、私は、供給、流通それから消費、それぞれの段階でやはり抜本的な改革が必要なんじゃないか、このように認識しているわけでございます。

 安定した水田農業を構築していくために、やはり、明確なこの構造改革の方向性を生産者の皆さんに示すことが必要だと思いますし、抜本的な米政策の見直しが必要だというふうに思いますけれども、この点について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 米につきましては、野菜、畜産の場合と異なりまして、主業農家の割合が低く、脆弱な生産構造になっているわけです。また、過去三十年間にわたりまして、面積による生産調整を実施してまいりましたが、米の需給均衡が図れていないという事実もございます。稲作収入が、また、平成七年から五年間で一兆円も減少している、特に担い手農家を中心に甚大な影響が出ているということなどの状況に直面しているわけでありまして、担い手の育成、需要に応じた米生産等を通じて、我が国水田農業の足腰を強くしていく必要がある、こういうことから、生産調整、水田農業の構造改革などに我々は、諸施策について総合的、抜本的な見直しを提案したわけでございます。

 十月には、全国八ブロックで現地意見交換会を開催いたしました。生産者団体、消費者団体、都道府県、市町村の農政担当者などの意見を伺うなど、検討を重ねてきたわけでありますが、十一月二十二日に「米政策の見直しと当面の需給安定のための取組について」ということで決定をしたところでございますが、私ども、この米政策の抜本見直しということについて、率直な考えを提案させていただいた次第でございますが、生産調整の手法の転換、稲作経営安定対策や備蓄の運営の健全化等、米政策の見直しについて道筋をつけることができた、かように思っております。一遍にはいかないけれども、その道筋はつけた、枠組みはつくった、こういうふうに自負しておりまして、これから本番でございます。

井上(義)委員 この米政策の見直しには、やはり、生産現場の理解と納得が私は極めて重要だと思いますので、その点に十分配慮しながら進めていっていただきたい、このように思います。

 まず、生産調整ですけれども、三十年間にわたって生産調整、いわゆる面積で管理をしてきたわけですけれども、今回これを生産数量の管理に移行する、いわゆるネガからポジに移行する、こういうことでございますけれども、具体的には、この研究会を設置して詳細を検討するということになっているわけです。

 このポジ配分、数量管理への移行そのものについては、チェック体制をどうするかとか、あるいは集落営農との関係で、各種の助成が面積単位で行われているという問題があって、なかなかそう簡単にはいかない問題だと思いますけれども、生産調整の現況から判断しますと、私は合理的な選択かな、このように考えているわけでございます。

 ただ、この移行に当たっては、一つは、ポジ数量の生産者間及び地域間の再配分を通じて、いわゆる適地適作、適作者、この実現を図るメカニズムをやはりこの機会にしっかりつくるということが私は一つは必要ではないか。

 それから二つ目は、やはり、生産者の自主的選択というものを大事にするような、制度はできているんですけれども、実態がなかなかそういっていないという面がありますから、この辺についてもきちっとしていかなければいけない。

 それから三つ目は、やはり、政府と生産者団体の役割分担について再整理しなきゃいけないんじゃないか。新しい食糧法ができる以前の食管制度は、食管制度を守るという意味で政府の責任が明確であったわけですけれども、ある意味で、もちろん主要食料の安定した供給を図るということもあるんですけれども、やはり、生産者の利益を守るという意味からいうと、これは生産者団体に非常に責任があるわけでございまして、この辺の再整理をきちっとしなければいけないんじゃないか。

 こういった観点を明確にしながら制度設計に取り組むことが大事じゃないか、このように思っているわけでございますけれども、この点についていかがでしょうか。

遠藤(武)副大臣 井上委員から大変御理解のあるお言葉をいただいて、意を強くしているところでありますが、正直なところ、もう面的な生産調整は限界感が生産者にあるだろう。そこで、つくっていい量というふうなものに転換できないものかという私ども提案をしているわけであります。

 その場合、御心配のように、やはり、主業農家、副業農家の両方に対してどう対応するか。御存じのとおり、いわゆる兼業農家というのがありまして、この三割もの過酷な減反を耐え抜いたのもやはり兼業農家の存在であり、と同時に、生産調整そのものが兼業農家を発生させたとも言えるかと思いまして、この辺に対する対応、それから、生産者及び米の流通の面でいろいろと公平性を欠くところが見受けられます。御指摘のように、その辺の是正を図るべく、平成十五年度をめどに、生産者及び地方団体との協議を経て、一定の道筋をつけていきたいな、このように考えておるところでございます。

井上(義)委員 私も、今、研究会を進めるに当たってぜひ留意していただきたいという点を三点申し上げましたので、その辺はぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから、今ちょっとお触れになりましたけれども、計画流通制度にかわる安定供給体制を整備するんだということで、これも研究会で検討するようになっているんですけれども、計画流通米に対する規制を緩和することは、これは計画外流通米との競争条件を整備するという意味で、私は合理的な是正というふうに考えますけれども、ただ、流通経路を特定し安定供給を図るというシステムですね、これを再構築しようというのは、私は余り現実的とは思えない。

 先ほど指摘があったように、不公平感も非常に募っているわけだし、計画外流通米がどんどんふえているという現状も考えますと、これだけで安定供給を確保するシステムを再構築するのは私は限度があるんじゃないか、こういうように思うわけでございまして、ただ、これはきちっとやりませんとまた再破綻してしまうということも否定できないわけで、この辺についての方向性、どういうふうに考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の食糧法のもとにおきましては、計画流通米が流通の大宗を占める、そういう前提のもとに計画流通米についてだけ必要な規制を課しまして、それによって全体の米の需給及び価格の安定を図るという仕組みになっておりますが、実態を見ますと、計画流通米のシェアが生産量に対しまして五一%というふうに最近では低下をいたしております。

 その一方で、計画外米だけを取り扱う業者の方、この方々は、現行の制度のもとでは登録の必要もありませんし、逆にまた、行政の方からもこういった無登録の業者に対して直接的な指導ができないということで、いろいろと銘柄の表示を偽ったりとか、そういった問題点も見られる状況でございます。このため、計画流通米につきましては、その流通を活性化するという観点から規制を緩和する。また一方で、無登録業者の人たちに対しましては、これに登録を課すということで規制をむしろ強化する。こういう両々相まって、現在の計画流通制度にかわります新たな供給安定の仕組みを構築できないかということで、今検討をいたしているところでございます。

井上(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

鮫島委員長代理 次に、高橋嘉信君。

高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。

 本日の主要食糧分科会でのお話、先ほどお伺いしましたが、十四年産米の政府買い入れ価格も下げる方向というお話でありました。さきに発表されたガイドライン、また百一万ヘクタールの生産調整目標面積といい、稲作経営は極めて厳しい状況にあります。また、BSE問題とダブルパンチ、こういったような状況でありまして、我が国農業は危機的な状態にあると言わざるを得ません。

 そこで本日は、まず米政策の基本的な考え方からお伺いしてまいりたいと存じます。お答えは大臣からのみで結構でございます。先に申し上げておきますが、今までの概念等を取り払っていただきましてお話を聞いていただきたいと思っております。

 現在、食糧庁が進めようとしている備蓄水準百万トンプラマイなし、百万トンというようなお話を聞いておりますけれども、まずこの根拠のお話をお願い申し上げます。

遠藤(武)副大臣 備蓄水準については、現行備蓄水準は、平成五年の、御指摘のように未曾有の大不作、その経験を踏まえて算出しておるわけであります。しかし、最近の需要の動向あるいは作況などを見ますと、適正水準をいささか超えているのではなかろうかということで百万トンにしたわけですが、その根拠は、十年に一度の不作に備えるための数量は百万トンから百十五万トンであります。通常程度の不作が二カ年連続して続いた場合、八十六万トンから百一万トン。さらに、七、八月の端境期に必要な量は百二十六万トンから百三十万トン程度。そういうことから百万トンという数字をはじき出しております。

高橋(嘉)委員 いずれも大臣からで結構でございますので、前に百五十万トンプラマイ五十万トンになって、そして何で百万トンプラマイがない状態なのか。いろいろお聞きしたいことはありますけれども、では、まず次に移ります。

 備蓄が米価の低下圧力となっているというのは、市場に米を出す、すなわち備蓄という概念とは違った在庫処理という概念の方が強く生きてきている、私はそう思って、そういったものが作用するからだと思っておりますが、国家備蓄とか政府備蓄というのは、危機管理体制と語源を同じくする概念でなければいけないのではないか、ましてや、そうあるべきではないか、私はそう思っております。百万トンじゃ、ほぼ日本人の一カ月半分の食料しかありません。

 いずれ、主要国中最低の自給率の我が国、四〇%、これはもう御案内のとおりでありますが、そういった状態の中で、平成五年には二百五十九万トンも緊急輸入しました。アメリカ、中国、タイからであります。このような自給が主要国中最低の我が国でありながら、諸外国、例えばスイスやフィンランド、ドイツなど、これらの国々の備蓄概念は同様の在庫という概念でしょうか。それとも、危機管理体制、そういう概念に基づいているものでしょうか。どのようにお考えでしょうか。お考えだけで結構でございます。

遠藤(武)副大臣 両方でございます。

高橋(嘉)委員 現在の政府備蓄には、不測の事態としての想定が欠けている、欠落していると思っております。それは、不作あるいは米ができなかった対策のみのお話をさっき根拠として話しておられましたけれども、もし例えば、他国からの侵略なり、未曾有の大災害なり、あるいは一方的な制裁措置なりを受ける事態に立ち至った場合のことを想定して百万トンという根拠、それは余りにも説得力に欠けるんじゃありませんか。

遠藤(武)副大臣 委員おっしゃるとおり、危機管理というか、外国の侵略というところまでいくかは別としまして、実は私は農水省のテロ対策本部長でございます。

 なぜそういうふうにしたかといいますと、同時多発テロによりまして一部港湾が閉鎖されました。これは、メキシコ湾岸の港湾及び西海岸の港湾に及びますと大変なことになりますね。我が国の食料自給率は四割そこそこであります。その残り六割を外国に仰いでいるわけで、その六割のうちの四割は、小麦、トウモロコシ、大豆、牛肉等々、アメリカであります。ですから私ども、十分危機意識を持ちながらも、通常考えられる備蓄というのは、先ほど申し上げました三つの算定基礎を勘案して百万トンプラスマイナス、こういうふうにさせていただいているということでございます。

高橋(嘉)委員 いや、私には理解に苦しみます。他国からの侵略、まさかというお話でありましたが、BSEも不測の事態だったんじゃないですか。いずれにせよ、国家国民の安寧を願って生命財産を守るというのが政治のまさに大基本であるとするならば、あるかどうかということで、現状の仕組みから考えるのが危機管理体制ではないと僕は思っております。

 そういった中で、一カ月半分しかないわけでありますから、そういうことが、根拠として幾らお話をいただいても私には理解に苦しみますし、しっかりとその辺のところを位置づけする、再構築をする、これが米の基本政策の一番最初の基本であると私は申し上げたいのであります。

 では、備蓄米というか、在庫米と言うべきかもしれませんけれども、これを現在量から百万トンに移行する時期、米価を下げる圧力として働くと思いますが、これに対する方策はどのようにお考えですか。

遠藤(武)副大臣 備蓄あるいは在庫米が余剰になればなるほど、むしろ米価に逆に反映していくわけでありまして、そうした在庫のコスト等も勘案して百万トンと想定しておるわけでありまして、むしろ、これ以上米価も下げない、財政負担も大きくならない、こういうふうなことではじき出したのが百万トンだということをひとつ御理解いただけたらありがたいと思います。

 また、先ほどまさか侵略という、逆に受け取られたようですが、そういうことも想定した上で、港湾の話、封鎖の話をしているわけでありますから、御理解いただきたいと思います。

高橋(嘉)委員 いや、私は、米価の低下圧力になる、わずかずつでもなるはずであります。それに対する方策もちゃんとお考えなのかというお話を聞いているだけでありますし、百万トンを、他国からの侵略も想定した中でという発言をされていますけれども、どうぞ冷静にお考えをいただきたい。私は、先に進みます。全然議論がかみ合わないと思っていますので……。

 では次に、数量調整に対する、これは大臣からお答えいただきたいのでありますが、八百七十五万トンを県別に配分しようとしている、この実施時期。来年は見送りそうな話もやや聞いておりますけれども、これは数量調整に関しての大臣の今後の農政に関して御見解を賜りたいと思います。

武部国務大臣 現行の面積管理による生産調整の方式では、面積目標を達成しても、収量の低い圃場から転作が行われることや、豊作等によりその効果が減殺されるなどの問題点があることから、生産者ごとに生産数量を配分し、米の生産数量を管理していく方式を提案したわけでございます。

 生産数量管理においては、配分された数量の範囲内で農地を自由に使用して、単収は低いが、しかし、需要のある有機米等、需要に応じた生産を工夫すること、生産者がどの程度生産オーバーしているか自覚しやすく、需要動向や生育状況に応じた収穫前調整や出荷調整を自発的に行うこと等が期待されるわけでありまして、産地の販売戦略や生産者の営農計画に即した農業生産の道を開くことにも資すると考えているわけでございまして、今回、十五年度実施に向けて研究会で検討していただくということになったわけでございます。

高橋(嘉)委員 いずれ、青刈りの拡大、これは農家意欲の減退につながりますし、二〇〇七年をピークに人口は減ります。どんどん米の消費を拡大するように努めるんだと幾らおっしゃられても、昭和三十七年以降、米の消費はもう下降線をたどる一方であります。そういった状態の中で、豊作の喜びを奪うものであるとしか言いようがありません。いずれ、こういった状態の中で、インセンティブ、農業をやろうとする意欲が本当に働いていくのかな、こういった状態を予想すると、減反をまた拡大していくんだろうな、私はそう思っております。

 本当に、昔やったように、集団営農をやりました。今度は集落営農という言葉になりました。規模の拡大、専業農家は専業農家として生かす道も必要ですけれども、兼業農家、副業的農家も生かす道も持っていかなければ、農村集落というのは成り立たない。

 私は、これは前にも申し上げましたが、もう一度御再考をお願いして、そこのところを両方相まってやっていけるような農村社会というものを、そういったものを、ですから青写真を示してほしい。三十年もずっと減反したままで、土地改良は相変わらず進めている状態の中で、土地改良の制限、要は、日本の農業のあるべき姿、何町歩なんだと何回もお聞きしている。技術的水準の話しかされませんでした。

 そういった中で、「農業構造の展望」の中で、平成二十二年、総農家が二百三十万戸ぐらいになる、現在より百万戸近く減る可能性があるというわけであります。労働力はどうなる、核家族はどうなる、進まないか、副業的農家はどうなる、集落戸数はどれぐらいの規模になるのか、経営形態はどうなる、所得はどうなる、農協はどうなる。どうぞ、青写真を示していただいて、本当に一生懸命農業をやる人たちの気持ちを沸き起こさせるような、そういう農政を展開していただきたい、私はそう思っております。

 では次に、時間があったら国際備蓄のことについて聞きますが、その次に移ります。これからは、これはもう副大臣は何回もさっきから御答弁いただいていますから、大臣からだけで結構でございます。武部大臣からだけで結構でございます。

 十月十七日以前の在庫肉の処理についての検討結果はどのようになっておりますか。

遠藤(武)副大臣 最初に申し上げておきますが、副大臣は認証官でありますから、大臣と地位、身分は同等でございます。また、この国会改革に当たりまして副大臣制を設置することに当たりましては、当時の自由党及び民主党さん、公明党さん、我が自由民主党、私がその国会改革の座長でございました。いわば同等の身分として、同等に答弁もし、同等に委員会にも出席する、こういう前提のもとに設置した副大臣制であるということをまず御了承願いたいと思います。

 それから、今申し上げました、先ほど井上議員の御質問にもお答え申し上げました、おっしゃるように、これからの日本の農業の枠組みというか、むしろ青写真というものは非常に大事だと思っています。

 我が国は、今さら申し上げるまでもなく、北は北海道から南は沖縄まで非常に細長く、脊梁山脈が通り、かつ、高温、多雨多湿であり、面積も狭い、分水嶺から海岸までの河川の距離も短く、非常に急峻であります。原則的に、こういういわばアジア・モンスーン地帯の中の日本のようなところは、大規模農業そのものがなかなか導入しにくいと見ております。つまり、多品種少量生産、家族経営、複合農業というものが本当は根本にあったんだろうと思います。

 それらを踏まえながら考えますと、生産調整というのは一体何だったのか。生産調整が三割もの過酷さに耐えられたのは、やはりおっしゃるように兼業農家の存在。と同時に、生産調整そのものが兼業農家を発生せしめ得たというふうに思っております。ですから、むしろ担い手に対する政策ということは、裏返しをすれば、小規模農業者をどのように集約し得るかどうかということにかかっていると思います。おっしゃられたような集団営農から集落営農へというのも、一つの考え方ではなかろうか。

 と同時に、そうした中で、主業、副業と分かれて格差が拡大する中で考えられたのが、やはり面積での生産調整はもはや限界だ、何とか量ということでまとまり得ないだろうかということを今私どもは投げかけている。そこから新たな農業の展開ができ得ないだろうかということを団体及び生産者、そして地方団体も含めて今投げかけておって、できるだけ早く結論をまとめ上げたいなと考えておるところでございます。

高橋(嘉)委員 十月十七日以前の在庫肉の処理についての検討結果は。

遠藤(武)副大臣 失礼しました。十月十七日以前の肉は、食品衛生上は安全とされておりますが、先生御指摘のようにさまざまな御意見がございまして、農林水産省としては、これを隔離することにいたしました。現在、一万二千八百九十トンが隔離をされておりますが、焼却を処分の方法の一つとして考えております。

高橋(嘉)委員 焼却処分を一つの方法としてお考えということでありますね。いずれその一万二千八百トンの在庫肉、これは全頭検査以前のものでありまして、安全なものとはいえ、二頭目が出た現在においては、肉だけだったら安全かもしれません、二頭目が出た現在においては、これは何回もここでお話ししていますけれども、消費者の不安感はぬぐい切れないのでありまして、焼くなら焼く、すぱっとやってほしいわけであります。

 そこのところをいつもどうして踏み切れないか、その理由を本当はもっと深く聞きたいところでありますけれども、焼却を一つのあれとしてお考えというのであれば、ぜひ早くやっていただきたい。やるのであれば、記者会見を先にしてもらって、タウンミーティングで話したりしないように、これはお願い申し上げます。

 それと、では次に、五千百二十九頭、肉骨粉が給与されていたという牛についてのこういう資料をきのうちょうだいしました。生産者の同意のもとに、搾乳終了後にBSE研究に充てると。

 では、同意のなかった場合においては、これはそのまま市場に出ていくということですか。

    〔鮫島委員長代理退席、委員長着席〕

遠藤(武)副大臣 先ほど失礼しましたが、焼却することを一つにと申し上げたのは、実は今の五千百二十九頭の分も含めて、焼く場所を確保するのに今本当に必死になっているのであります。焼く場所なんです、問題は。すぐにでもしたい、しかし一度にできないというところに問題がある。

 それから、五千百二十九頭についても全頭そのような形で処分いたしたい、こういうように思っています。

高橋(嘉)委員 いや、副大臣の方がはっきりお答えいただいて、非常にありがたいと思っています。

 それでは次に、へい死牛に対するサーベイランス結果と実態についてのお話をお伺いしますが、年間十六万頭というへい死牛の数でありますけれども、全頭検査以降のこの対象になった牛は六十頭だけのように思いますけれども、これを換算すると、大体一万二、三千頭ぐらいは、そのまま、無検査のままレンダリング業者に回っているんではないかと私は思います。

 このBSE感染の確率はへい死牛の方が高いはずでありまして、無検査のままその一万二、三千頭がレンダリング業者へ行って、肉骨粉になっている、肉骨粉を焼くのだなんて話を聞くのじゃなくて、無検査のまま回って、肉骨粉になっている状態にあるかどうか。これだけ簡潔にお答えください。

遠藤(武)副大臣 完全には払拭できないと思っております。

高橋(嘉)委員 いや、レンダリング業者に回って、肉骨粉になっているかどうかなんです。

遠藤(武)副大臣 ですから、その御心配を完全に払拭はできていないと思います。

高橋(嘉)委員 それでは、肉骨粉が放置状態にある。いや、おっしゃるのはわかるのですよ。焼くところも大変、なかなか焼けない、これはわかっているのですよ。でも、それは、説明不足だったり情報不足だというのも一つの原因ですよ。焼却炉を所有していても、みんな受け入れない。一日たった百十六トンぐらいしか焼けないでしょう。出てくる量は莫大な量です。

 そういった中で、野積みされているのまで、インターネットにも出ています、東京の話ですけれども。ましてや、もう肉骨粉は満杯状態にあります。焼けないのだ、焼けないのだだけじゃどうしようもないのでありまして、今後の方策、そしてその期間、これぐらいのうちにこうするという前向きなお考え、検討中の話でも結構ですが、お話しいただきたいと思うのです。

遠藤(武)副大臣 大量に、一気にという考え方から、実は、セメント業者に御相談を申し上げておりまして、前向きに考えてくださいまして、みずからヨーロッパ各地のそうした処理工場を御視察いただきました。今後、今その報告を取りまとめていると聞きましたので、それをお聞きして、セメント業者に強くお願いをする、できれば、かなり効率的、能率的に処理ができるのではないかと期待をいたしているところでございます。

高橋(嘉)委員 今月中、いつごろまでにですか。

遠藤(武)副大臣 作業を急がせまして、BSEの中間報告も今月中にまとめたいと私は実は思っているのです。そこで、業者の方々に、何とか結論を早く出してください、できれば今月中に何とかならぬかと、おっしゃるとおり持ちかけているところでございますので、しばらく御猶予いただければ大変ありがたいと思っています。

高橋(嘉)委員 BSEスクリーニング検査の円滑化対策事業、すなわち出荷繰り延べに対する助成でありますけれども、これは、二頭目が出たのに一頭二万円、これはいかがなものかと思っておりますけれども、検討課題として今後検討する余地があるのかどうか、この点をお伺いしたいと思っております。

 それと、要は、この実態は、検査員に過重な負担がかかって、もう牛を持っていっても、ちょっと待ってくれと繰り延べをさせられる、そういう規制をされる場合も多いと聞いております。

 こういった場合、現状も出荷頭数は前年比で八割くらいいっていると一生懸命お役人の方々は言っていますけども、回復していない現実があるわけでありまして、そういった中で、必要経費二カ月分の半分で算定して一頭二万円だというだけでは、二頭目が出た現状、しかも消費も回復していないこういう状態、そういった状態の中で、これは今後検討課題にすべきと思いますが、その点。

 もう一点、時間がないので続けてやりますが、各自治体が講じている対策費、例えば、大家畜経営維持資金に対する農家負担一・六%分を、県、農協、各市町村まで一生懸命補てんして、無利子として農家対策に充てておりますけれども、この辺のところを肩がわりする気はあるのかないのかを含めて、僕は、もう少し手厚い体制をとってやるべきであろうと考えておりますが、その点、あわせてお答えを願います。

遠藤(武)副大臣 前段の御質問ですが、自主的な出荷繰り延べといいますか、そういうものが長期間続くことは本当に好ましくないと思っております。一応の期限は一月末としておりますが、おっしゃるような状況でございますから、これまでの助成措置は適切だと考えたからこその助成措置でありますが、さらに、二頭目が出た段階における新たな展開としてとらえて、検討させていただきたいと思っております。

 もう一つは、各農協、各自治体によって、この一・六の利息を見るかどうかというのは、ばらばらであります。今、各自治体がどのような施策をとっておるか。三千三百二十三ですか、それを、例えば自治体が一、農協が〇・六と、全く無利子にしているところもございますので、それを今集計させたいと思っております。

高橋(嘉)委員 いずれ、もう少し実態に即したやり方、補償のあり方を検討していただきたい、ここは強くお願いを申し上げておきます。

 では最後に、お答えは結構でございますから、お話だけさせてもらいまして終わりたいと思います。

 今月中に何らかの、BSEの感染経路なり、報告を出す、今も副大臣おっしゃいました。いずれ、今までの、一九九六年前後の輸入肉骨粉の流通経路も含めた、まして二頭目も出たわけでありますから、この辺。

 先ほどから、大臣の責任問題、しかも不手際は、もういっぱい今まで指摘してきたとおりであります。責任の所在がはっきりしなければ、消費回復なり、BSE牛が発見された以前の状態へ戻すことは僕はかなり難しいと思っているわけであります。間断なく対策を打つことが責務だ、こういうことを言い続けられるのであれば、BSE問題が解決されなければ、それまでは責任をとらない、これは全く責任問題を回避していると言うしか言いようがないと私は考えております。

 きちっと腹を決めているというようなお話をされていましたが、僕は、この委員会でいろいろ御発言を聞いて、武部大臣は、農水問題、あるいは政治家としても非常にすばらしい方だと思っておりますが、どうもこの期に及んでという感をぬぐえない。

 この辺のところはきっちりと、降りかかった話だと言われようとも、これはとるべきはとって、そして、きちっと全頭検査体制にもなった、かかる状態を解決するために、消費者のマインドをどうしてもまた牛肉に向かわせるためにも、一定の責任として、最高責任者の私が責任をとりますという、これぐらいのことを言わないと、腹は決めている、何はどうのとは言いながら、今、間断なく対策を打つことのみという表現だけに終始する姿は、どうも私は感心できないのであります。

 いずれにせよ、この責任問題、避けては通れない問題であること、この点だけを御認識を新たにしていただきたい、かように申し上げまして、質問を終わります。

鉢呂委員長 次に、松本善明君。

松本(善)委員 冒頭に、遠藤副大臣から、米の価格の問題についての御報告がありました。これは、六年連続で米価を引き下げるということで、もう到底容認できない、こういうやり方が決まっていけば、日本の農業の根幹であります稲作が崩壊していくことになるという抗議の意思をまず表明した上で、BSE対策から農水大臣にお聞きをしようと思います。

 その前提で、生産局長、政府委員で結構ですが、二頭目のBSE感染牛が北海道で発生をして、今、感染経路の解明が非常に重要になって、政府の方でもおやりになっているようですが、飼料用の調製品は、十月四日以降は輸入禁止になりましたが、それまでは輸入をされていた。これは感染源の一つになり得ると思いますので、やはり徹底的に調査をすべきであると。これは農水省、やっているんだと思いますが、その点についての御報告をまず最初にお聞きしたいと思います。

小林政府参考人 今御指摘ございましたいわゆるビタミン調製品等を含みます飼料用調製品でございますが、これはさまざまなものがございますけれども、動物性の加工たんぱく質、こういうものを含んでおりますのが動物検疫の対象物品でございまして、今お話ありましたように十月四日からの輸入一時停止措置の対象となっております。

 その以前はどうだったかといいますと、輸入の停止措置までの間におきましては、この動物性加工たんぱく質を含みます飼料用調製品の輸入に当たりまして、いわゆる加熱処理、こういったことをやってもらうということで、検査証明書、成分表、加工工程表等そういう書類検査をやりながら確認して、こういう衛生条件のもとで輸入検疫証明書を交付した、こういう経緯がございます。

 しかしながら、今いろいろな調査を進めておりますが、仮にその飼料用調製品の中で加熱処理等が十分でないもの等があった場合には、その場合には、BSEの感染原因となる可能性が否定できないということもございますので、それらのものがあったかどうかも含めて、今、川下からの原因調査をやっておりますけれども、そういう調査の中で、そういうものがあった場合には対象としていきたいというふうに考えているところでございます。

松本(善)委員 徹底的な調査を求めておきたいと思います。

 農水大臣に伺いたいのでありますが、二頭目の発見ということは全頭検査が行われていたからできたと農水大臣も言われ、そういうことも言えると思います。しかし一方、全頭検査以前であれば、このような牛は市場に出ていたということになるわけですね。だから、そうなりますと、私ども前から要求しております全頭検査以前の政府保管のものは、やはりすべて焼却すべきではないか、そういうようなことをやっていくことによってだんだん消費者の信頼というのが回復されるんじゃないか、この点についてどうお考えか伺いたいと思います。

 ちょっと待ってください。私、遠藤副大臣が能力が大臣より劣るとか、そんなことはいささかも思いません。思いませんが、閣僚として、内閣として国会に責任を負うというのはやはり大臣なんです。大臣と副大臣、同じではないのです。同じことを答えられても、大臣の答えというのはそれなりの意味がありますので、大臣からお答えいただきます。

武部国務大臣 お答えをする前に申し上げますが、遠藤副大臣はBSE対策本部長でございます。このBSE問題についての専任の、認証官である副大臣だということで、委員会の審議の充実化を図るためにも遠藤副大臣の答弁をいただくことがいいのではないかということで、積極的な答弁をお願いしているわけでございますので、まず冒頭に申し上げたいと思います。

 それから、今の御質問でございますが、二頭目が、全頭検査体制の機能しているということが明らかであるということは委員もお認めいただいたわけでございますが、であるならば、前の体制であれば流通していたということもあり得るではないか、これはそういう可能性はございます。

 しかし、もともと、牛肉、牛乳・乳製品は、OIEの基準に照らして安全であるという大前提があるわけでありますし、十七日以前のものについても、そういう意味では、流通させてこれが人の健康に影響を与えるものではありません。しかし、流通の円滑化ということもございます。それから、消費者の皆さん方の不安というものは、いろいろな対応がよく理解いただくまでは、なかなかわかっていただけない。今度二頭目が出たことによって、かなり私は、理解が深まるもの、かように考えているわけでございます。

 そういう意味で、先ほど遠藤副大臣からも申し上げましたように、十七日以前に屠畜された国産牛肉はすべて政府の責任で完全に市場隔離する。それで、将来どうするんだということについては、焼却も視野に入れて検討してまいりたい。いずれにいたしましても、消費者に不安を与えることのないように万全を期してまいりたい、かように考えているわけでございます。

松本(善)委員 今やはり消費を回復するという上での信頼回復というのは、とても大事なんですよ。先ほど来、農水大臣の責任追及の質問が相次いでいましたけれども、それもその一つです。私もそうだと思います。農水大臣が責任もやはりとらなければならないというふうに思いますよ。

 といいますのは、今大臣は、二頭目が出たということはむしろ信頼回復になると言うと、逆のことも言えるのですよ。二頭目が出れば、三頭目、四頭目が出るということは、これはもう十分予想される。だから、この問題ではやはり長期的な対策が要るんだと思います。

 何よりも感染経路の調査が必要で、これは進めているようですが、EUでは、九七年三月に牛のパスポート制度というのができて、フランスでは、こういう問題が起きたときは二日間で牛の出生からすべてわかるということのようです。

 この一九九六年四月のWHO勧告をきちんと受けとめておれば、こういうこともできたと思いますが、何よりもこの肉骨粉の使用禁止措置をこの時期に完全にとっていれば、BSEの今のような騒ぎは防げたわけですよ。やはりこの責任を軽く見るわけには絶対にいかない。この混乱と被害の責任はすべて政府にあるということ、農水大臣もたびたび認めて謝罪をしておられます。

 ですけれども、二頭目、一頭目の被害者が新聞に語っている。おれたちが何を悪いことをしたんだ、本当に悲痛な叫びですよ。そして、莫大な被害を国民に与えているんです。これはだれも責任をとってない、おかしいじゃないか、農水省というのはそういうところか、これが不信の原因になっているのですよ。これを除かなければならない。

 私は、農水大臣は先ほどからやるべきことはやっていると言うけれども、やるべきことをやってないということの一つの例として、当時の畜産局長熊澤英昭氏を初め、この当時の農水省の幹部の責任というのは今なお追及されてない。熊澤氏は事務次官ですよ。

 先日、中林委員が、日経新聞の社説を引用しながらその責任をとらせるよう求めたのに対して、大臣は、調査委員会を立ち上げてからと言う。これはだれが見たって明白ですよ。社説で名前を挙げて責任追及をされているというのは珍しいことです。こういうことをやっているから農水省の言うことは信用されないんですよ。

 なぜ調査委員会を立ち上げてからでなければ責任をとらせることができないのですか。明々白々です。なぜ熊澤次官を更迭しないのか、理由を聞きたいと思います。

武部国務大臣 何もやってきてないという、そういう委員の指摘、評価が本当に適切なのかということは、これは客観的に検証する必要があるんですよ。

 一九九六年四月のWHOの専門家会合による勧告等を受けまして、専門家の意見を聞きながら、牛肉加工品及び肉骨粉等について英国からの輸入を禁止しております。また、反すう動物の組織を用いた飼料原料について、反すう動物に給与する飼料とすることのないよう指導を平成八年四月十六日にしているのです。英国産反すう動物を原料とする物質について、動物用医薬品等の製造原料として使用しないよう指導しているのです。政令により、伝染性海綿状脳症を家畜伝染病予防法の適用を受ける疾病に指定し、サーベイランス体制を構築しているのです。等々、当時として考えられる必要な対策を実施しているというふうに考えているわけであります。

 なお、今般、今委員御指摘のように、厚生労働大臣と私の私的諮問機関としてBSE問題に関する調査検討委員会を設置して、この委員会においてBSEに関するこれまでの行政上の問題の検証と今後の畜産・食品衛生行政のあり方について調査検討を行うこととしたところでありまして、この中で、平成八年当時の対応についても議論されることになると考えているわけであります。

 しかし今、私は、この第三者委員会の結論が出るまではこれを待つということを申し上げているのではないのです。これも参考にさせてもらいたい。当委員会の議論も参考にさせてもらいたいし、それから当時、衆参両院の農林水産委員会の決議などもあります。さまざまなものがあります。そういうデータを全部出して検討する。

 私は、今名前を挙げてお話しされましたから、一人の職員の責任問題を問うときに、やはり客観的な、あるいは科学的な根拠というものを慎重に検証するということも極めて大事だというのが私の考え方なんです。私の一つの執行姿勢であるということも御理解いただきたい、こう思うのでございます。

鉢呂委員長 委員長から一言申し上げておきますけれども、きょうの理事会でも、時間がない中で行うということで、質問者そして答弁者、適切な、簡潔な答弁をお願いしたいということで御協議を願っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

松本(善)委員 大臣、私も言っておきますが、私の聞いているのは、熊澤次官をなぜ更迭しないか、調査委員会を立ち上げなければ何でできないのかということだけ聞いたのです。あなたの触れているのは、終わりの方の四分の一程度ですよ。

 それで、また聞きますが、熊澤次官は記者会見でもノーコメントを繰り返しているわけですよ。今農水省というのは、やはりすべてのことを明らかにしなければ信頼回復できないのですよ。そういうことをやっている、これが農水省の信用を害し、風評被害も拡大しているのですよ。マスコミの社説でもこれが重ねて指摘をされています。これは次官として、このような記者会見での態度、そのことだけでも資格を欠くと私は思います。

 それで私は、もう一度言います。この二つの点で、いいですか、当時畜産局長をやっていた、これは明白です。それから、マスコミで聞かれてノーコメントを繰り返している。この二つは次官として適格でないと私は思いますが、適格だというならそれだけの答弁で結構です。詳しい、今までも何遍も何遍も聞いているような同じことを聞いてもしようがないのですよ。かみ合った答弁をしていただきたい。

武部国務大臣 これはイエスかノーかとか、適格か適格でないかということを単純に答えるということは、私は少し横暴ではないかと思いますよ。やはり、どういう仕事ぶりであったか、そういう事実関係というものをきちっと検証する必要があるのではないですか。

 事務次官は記者会見において、九六年四月のWHO専門家会合における勧告等を受けてとった我が国の輸入検疫上の措置や国内における防疫措置等について答弁した上で、さらにこれらの行政対応については、先日スタートした、厚生労働大臣と私の私的諮問機関であるBSE問題に関する調査検討委員会において検証していただくことになる、そういう答弁をしているのですね。そのようなやりとりがあった後で、記者からBSE問題に関する調査検討委員会の議論の内容に踏み込むような質問があったので、同様の答弁を繰り返すことを差し控えたというふうに私は聞いております。

 なお、一部新聞にはその部分のみが引用されたのではないか、かように私は理解しているわけでございます。

 やはり我々は、これまでのとってきた行政対応ということをきちっと客観的に検証するということが極めて大事なことだ、私はこう思っているのです。しかも、我々は決して責任回避をしているのではありません。行政上の問題についての認識については、これはもういろいろな場で申し上げているではないですか。そのことを御理解いただきたいと思います。

松本(善)委員 委員長に申し上げたいのですが、今大臣も言われたように、科学的に次官の畜産局長のときのいろいろなことも調べないかぬ、こういうお話で、私はそうだと思います。

 それで、熊澤次官を証人として本委員会に喚問していただきたい。そして、納得できるように、各委員から、一体責任があるのかないのか、こういうこともやらないというので農水大臣の責任も問われているのですよ。私は、そういうことにつながりますので、熊澤次官の証人喚問を理事会で協議していただきますようお願いいたします。

鉢呂委員長 後刻理事会で協議をさせていただきます。

松本(善)委員 これは、他の委員から出席をして次官として答弁するようにということを求められても、出席をしないという経過があったようであります。やはり、委員会としての責任を果たすべきだと思う。

 それから、次の問題で、セーフガードの問題でお聞きをします。

 報道によりますと、大臣が、十一月の二十日に閣議の後、小泉首相から、セーフガードについて中国との話し合い解決を改めて指示を受けたということが報道されております。これが事実かどうか。

 それから、大臣は二十日の記者会見で、細かい数字を準備するのはどうかなどと発言をした。輸入が一、二週間ふえても落ちつくことがあるということも発言をしておられることが報道されています。これは、輸入が急増してもセーフガードを発動しないということなのか、小泉首相の指示を受けてやっているのか、お答えいただきたい。

武部国務大臣 小泉首相から、平沼大臣と会った上で、話し合いで解決の努力をしてほしい、そういう指示があったことは事実です。

 それから、二十日付の日経新聞ですか、ネギ、生シイタケ及び畳表に係るセーフガードの問題について、二十一日に開催された日中首脳会談において、平沼経産大臣、石対外貿易経済合作部部長との会談において、双方粘り強く話し合いに向けて努力していこうという合意がございました。

 また、なお政府としては、先般の衆参両院農林水産委員会の御決議の趣旨も尊重しなければならない。これらの会談における両国間の意見の一致を踏まえたぎりぎりの判断として、十二月二十一日までのできるだけ早期に合意に達するように、中国との交渉に全力を挙げる方針であることを私は会見で申し上げたわけでございます。

 そのときに、輸入急増ということの考え方についてただされましたが、八日からの一週間の数値でこれが急増ということを直ちに判断できるかどうかということについては、もう少し推移を見守る必要があるのではないか、そういう趣旨のことを申したわけでございます。

松本(善)委員 財務省が十一月二十一日に、十一月の九日から十六日の輸入状況を発表いたしました。ネギと生シイタケの輸入量は輸入が急増した前年同期の水準に達し、畳表が前年同期と比較して二倍に急増しております。セーフガード暫定措置の関税割り当て数の基準となりました一九九七年から九九年十一月の平均輸入量の八日分と比べても、ネギが一・七倍、生シイタケが一・五倍、イグサは三倍になっております。これはもう、本発動するというような状況を考えないのですか、農水大臣。

武部国務大臣 私どもは、江沢民主席と小泉総理の合意による話し合い解決ということに全力を尽くすというのが第一義的に大事だ、こう思っているのです。その上で、しかし、この合意の信頼関係のもとをなすものは、暫定措置が切れた後輸入が急増すること、これが信頼関係を損なう一つの大きな原因になりますよということは、駐日大使を通じて申し上げているのです。これの信頼関係が崩れれば、協議を継続するということも困難になるのだということも申し上げているわけであります。

 その後、政府間協議、局長級レベルの協議が行われました。そして、このことを受けて、今週中にも、専門家レベルといいますか、また引き続き頻度を上げて協議を行う、そういう話し合いの経過にあるわけでございます。私どもは、そういう経過の中で、今委員御指摘の意見は、生産者団体、いろいろな、与党においても非常に強くそういう声が寄せられているところでございますけれども、今後さらに話し合いに向けて精力的な努力を急いでいかなきゃならない、かように考えている次第でございます。

松本(善)委員 先ほど農水大臣は、衆参両院の決議についても触れられました。私は、本委員会で決議ができる前に、決議がされるだろうということをある程度知っておりましたので、この決議の中身と同じことについて農水大臣に尋ねました。覚えておられるかどうかわかりませんが。暫定措置の適用期限である十一月八日以降、引き続き実効性のある輸入制限措置が講じられなければ、再び輸入は急増し、価格が急落する事態となり、産地の崩壊が危惧される、こう言っているのです。この決議に反することが行われれば、私は重大なことだと思います。

 農水大臣は、決議の中身について、総理大臣に言っているのかどうか。これは、私は、今財務省の報告でいえば、急増しているという事態だと思います。もし決議に反するというようなことだったら、絶対に許されないことだと思う。農水大臣は、前回も聞きましたが、職を賭してこの決議を守らせる、もし輸入が急増するような事態になれば正式発動するという決意でやるのかどうか、改めてお聞きしたいと思います。

武部国務大臣 私どもは、絶えず自分の職責というものに大きな責任を感じながら努力している所存でございます。

 セーフガードの問題についても、国会の決議は尊重しなければならないことも重々承知の上であります。しかし同時に、両国首脳の合意、そしてこれを受けて担当大臣同士がお互いにこの解決のために最善の努力をしていこう、そういう合意というものもあるわけであります。そして、今委員御指摘のような、八日以降の三品目の輸入実態というものも、今日までの経過については承知している所存でございます。その上で、このことは総理にも当然私どもは事前からもお話ししておりますし、また先般も話をしておりますし、いろいろな方々が総理に直接実態をお話ししているだろう、かように理解しております。

 私どもは、話し合い解決ということで今その過程にあるわけですから、ここは辛抱も必要ではないか、このように思って、全力を尽くしたい、かように存じます。

松本(善)委員 小泉内閣が衆参両院の決議に反するようなことがあれば、これは重大なことになるということを一言申し上げ、もう一つは、米の問題で最後にちょっと伺っておきたいのですが、今アフガニスタンは、冬を前に、難民の人たちが凍死、餓死で、数十万ないし数百万の規模で場合によっては死に直面をするということが言われております。

鉢呂委員長 簡潔にまとめてください。

松本(善)委員 はい。その餓死を救うために米で食糧援助をするということを考えないのか。現在でも在庫がたくさんありますし、生産過剰分を配合飼料に処理するというようなことも言われているのです。今こういうことを考えるべきではないかと思います。

 自由党の方でも内閣委員会で同じようなことを質問された方もありますし、自民党の県会議員で同じようなことを言っていらっしゃる方もたくさんあります。大臣の決断を求めたいと思います。

遠藤(武)副大臣 アフガンの現状を考えると、いろいろな面で支援、援助をしていきたいと私ども考えておりますが、食糧の支援に当たって、基本的には現地の食習慣という部分もございます。また米については、WFPからの今般の対アフガニスタンの緊急食糧支援の対象物資には含まれておらない、WFPの……(松本(善)委員「そんなものすればいいじゃないですか」と呼ぶ)そういうことで、今のところ適当ではないのか、難しいのではないかなと思っております。

松本(善)委員 それはやらなきゃ無理ですよ。

 では、終わります。

鉢呂委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 米価の諮問に当たって、数点お聞きしておきたいというふうに思っております。

 まず第一に、やはり何といっても生産調整を今後どうしていくのかという観点が、非常にこれからの状況において大事なことではないのかなというふうに思っています。ただ、食料・農業・農村基本法があって、基本計画がつくられてきて、突然ことしの九月に「米政策の総合的・抜本的見直しの大枠について」ということで、食糧庁から、農林水産省から発表になって、これまで鋭意この議論が行われてきたというふうに思っています。

 それが、今回の「米政策の見直しと当面の需給安定のための取組について」ということになったときに、この議論がこの一項目「生産調整」、生産数量管理云々という形にもうすっかり変わってしまっています。それで、今後研究会を設置してこれを検討していくという形にすりかわっておるというのが今日の状況だというふうに思うんですね。

 九月に発表した農林水産省の大枠について、これがどういう議論をたどってきたのか。私たちにとっては一つも見えないところで議論が積み重ねられてきて、そして農水委員会にも示されたわけではございません。そして今日、米価の諮問に当たってすりかわっているという状況は、どういう経過をたどっているのか、私は明確に示していただきたいというふうに思うのですが、答弁をお願いします。

中川政府参考人 九月の末に米政策の見直しについて、大枠という格好で、これは食糧庁の方でまとめたものでございます。

 この大枠につきまして、十月に入りましてから、日本全国八ブロックにわたりまして、私ども幹部も含めて現地に出向きまして、そこで生産者の方々を初め、地方公共団体の方、いろいろ関係者の方々と意見交換をさせていただきました。

 そういった意見交換も踏まえまして、今先生お話のありました生産調整について申し上げれば、十四年にいきなりそれを、面積の管理から生産数量の管理へというふうな格好でやるということは難しいということで、これは十五年度からの実施、導入に向けて、可能な限り検討して早めていくというふうな形で整理をさせたところでございます。

 このように、私どもの考え方を現場の方々にも十分御理解いただくようにという努力もした上での今回の見直しということになったわけでございます。

菅野委員 私は、先ほども自由党の委員の方が申し上げたのですが、こんな場当たり主義的な農政の展開で、地域の農業者から、国の農政の方向はしっかりしているからこれについていこうという信頼が本当に得られるんだろうか、このことが今問われているんではないでしょうか。

 そして、九月に発表したときの大枠についての中身においては、冒頭に「主業農家の粗生産額割合が他の分野に比べて著しく低く構造改革が極めて立ち遅れている。」これは小泉構造改革を意識した冒頭の引用じゃないでしょうか。日本の今日までの農業がどういう形で推移してきているのか、そして、その現状を無視してこれから進もうとしていく、主業農家に農地を集約していこうという方向性を農林水産省として示したから、地方から大きな反発が起こったのではないでしょうか。

 そして、後でも触れますけれども、兼業農家に対しても、平成十四年においては、稲経を継続していくという方向に切りかえました。私は当然のことだというふうに思っているんですね。

 そういう意味では、研究会を設けて、十五年までに一つの方向性をつけたいということなんですけれども、今日の日本における農業の姿を見て、この研究会をどういう方向で持っていこうとしているのか、この九月に発表した基本理念でもってこの研究会を継続して行っていったならば、また新たな、大きな政策不信というものに陥っていくのではないのかなというふうに思えてならないということなんですね。

 その点、どういう理念でもってこの研究会を運営していくのか、この辺をしっかりと答弁していただきたいというふうに思っています。

中川政府参考人 生産調整の手法につきまして、面積管理から数量管理に移行するに当たりまして、現場の方々との意見交換を終わったところでございますけれども、現場の皆さん方の意向といたしましては、やはり生産数量での管理というのは、これまでの三十年間の面積管理から大きく変わることになりますので、生産現場での十分な理解を得ることが何より大事でございますし、また、手続的な面にいたしましても、食糧法の改正というようなものも必要となってまいります。

 こういうことから、十四年度につきましては、現行の手法を継続しながら、生産者の方々の理解の浸透を図る、そうして可能な限り十五年産からの実施に向けて早急に結論を得る、そういう考え方にしているところでございます。

 研究会におきましては、今申し上げました新しい生産数量管理に移行するに当たりまして、具体的に、それでは数量管理を実施するに当たりまして、その数量の確認の手法をどういうふうにするかとか、あるいは新しい手法に切りかえることに伴いまして助成措置のあり方はどうあるべきか、あるいはまた種々議論のありました生産調整の参加者とそれから非参加者との間での負担の公平等々、もろもろの不公平感が現場にございます。

 こういった課題、問題につきまして、現場で実務をやっておられる方々、そういった方々に研究会の委員になっていただいて、そういった実情を踏まえた上で、具体的なあり方について、実効性が確保できるようにそういうことを検討していただきたい、そういうふうに思っているわけでございます。

菅野委員 地域農業を考えたときに、やはり日本の兼業農家の果たす役割というのは非常に大きいものがあるというふうに私は思っています。ここを全部専業化に持っていこうという方向性がある限り、地域ではやはり受け入れられていかないというところが、私は、九月からの議論が実らなかったという大きなところもあるし、食料・農業・農村基本法の中でもこのことが大きな議論になってきたし、基本計画の中でもそういう、これから行っていく農政の方向性というものはやはり日本の農業の姿を無視している形が見え隠れしますから、大きな議論がこの間展開されてきたというふうに思っております。

 そういう意味では、生産数量管理への移行という視点は、私はある程度これからの大きな課題ではあるというふうに思いながらも、それでは地域農業がどういう形であったらいいのかということを一方で示さない限り、私は受け入れられていかないというふうに思っております。そういう意味で、ぜひ研究会の方向性について、そういうところを踏まえた上でこの会を運営していただいて、より充実したものにつくり上げていただきたいというふうに思っています。

 二点目なんですが、計画流通制度にかわる安定供給体制を整備するというふうにあって、これも研究会の大きな課題に取り上げられております。

 この計画流通制度にかわる安定供給体制を整備する、言葉では簡単に一行で述べていますけれども、このことがこれからの日本の農業、米をめぐる状況に大きな影響を及ぼすことではないのかなというふうに思っております。

 食管制度が廃止されて以来今日まで、政府の自主流通米も含めて、政府が管理できる政府米は五一%という状況になっている中で、それでは今日的な豊作の状況においては、私は見過ごしている状況ですが、まだ米価が引き下げられている中で、今後本当に国が主食である米を国の責任において国民に安定的に供給できるというふうに現段階で思っているんでしょうか。

 一千万トン必要だという形で、約五百万トンを切っています、政府の管理する数量が。そういう中で、一千万トンを国の力でもって集めて、国民に供給する体制が今できているというふうに思っているんでしょうか。そして、安定的供給体制を整備するとあるが、この整備する理念というのは、今日段階においてどういうふうな理念を持ってこの研究会に臨もうとしているんでしょうか、このことを明確にしていただきたいと思います。

中川政府参考人 計画流通米の実態を見ますと、今先生がおっしゃいましたように、平成七年当時は六二%程度のものが、最近は五一%というふうに現にそのシェアが低下をしてきておるわけでありますけれども、その背景には、計画流通米についてはもろもろの規制がある、それに対しまして、計画外につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、それを取り扱う業者、専ら計画外米だけを取り扱っている業者に対しましては何ら規制がかからないということで、計画流通米と計画外流通米との間での競争条件が等しくないということで、そういったところから計画米のシェアというものも低下してきている要因になっているのではないかというふうに思っているわけでございます。

 したがいまして、今回の計画流通制度の見直しというものは、計画流通米につきましては、できるだけ規制緩和をして、米の取引が活性化をされるという方向での見直しをしたいというふうに思っておりますし、それから計画外流通米につきましては、その取扱業者の登録も含めまして、むしろ規制を強める方向で見直しを行いまして、全体として国民に対する米の安定供給が図られるように、そういう新たな安定供給の制度にしていきたいというのが私どもの見直しのねらいでございます。

菅野委員 食糧管理制度の撤廃から規制緩和という方向にずっと動いてきて、そして市場原理に米も任せていくというような状況がつくられてきて、これからも小泉構造改革の中においては、大臣がしょっちゅうおっしゃっているように、農政においても例外ではないという状況が今あるわけです。

 それに対して、主食を本当に市場経済にすっかり任せてしまって、そして万が一、それこそ凶作になったときに国が責任を持ってやれるだけの体制を今つくっておかなければ、体制としてつくっておかなければならないことだというふうに思っています。そういう意味においては、政府の主食の流通に果たす役割、責任というものが非常に重大になってきているというふうに思っています。

 このままずっとこの状況を続けていったならば、四〇%あるいは三〇%という形に、完全に市場原理そのものにゆだねてしまうような状況になったときに、政府がどうてこ入れできるんでしょうか。自主流通米を規制緩和する、そして、そこから外れた部分については規制を設けると言っていますけれども、今日の政府の方針の中で、どういう規制を設ければ全部管理できると考えているんですか。具体的に示してください。

中川政府参考人 一つの例で申し上げますと、計画外米を専ら扱っている業者の方々について、現行の食糧法のもとでは、そういった業者の方々が不正な行為、例えば表示を偽って米を売ったというような場合であっても何ら行政的な措置を加えることはできない状況になっております。

 そういった販売業者の方々に対しましては、登録義務を課して、そういうことによりまして、必要な場合には行政指導もできる、また、業者の方々に必要な帳票類を備えつけていただきまして、いろいろな、不正行為があれば立入検査もできる、そういうふうな仕組みにすることを考えているところでございます。

菅野委員 一年間になるか、あるいはそれ以上になるかわかりませんけれども、やはり、国が主食である米をどう責任を持って国民に流通させていくのか、この視点というのをしっかりと形づくっていただきたいというふうに思っております。

 市場に任せてしまって、最終的に、それこそ食料がなくて暴動が起きるような状況というものがあってはならないし、そして、ましてや、食料が不足したということによって価格が暴騰して、そして、生活の豊かな人だけが買えて、本当に米が買えないというような状況にまでなる可能性もあるわけですから、そういう意味での体制をしっかりつくっていただきたいというふうに思っています。

 国内体制は、そういう意味において、この体制整備が必要だというふうに思いますけれども、先ほども松本委員からもありましたように、国際的に、日本は米が余っている状況、そして減反もせざるを得ないという状況にある中で、国際的に見たときに、飢餓で飢え苦しんでいる人たちが一方でいるという実態ですね、大臣。

 先ほどもありましたけれども、アフガンだけじゃないんです。本当に食べられなくて、そして暴動に走る、テロ行為に走るという状況、飢餓等貧困に悩んで暴動に走るという状況が今日の状況を招いているというふうになったときに、私は、国際的に食料備蓄に対して日本の果たす役割というものが今日ほど大きくなっている時期はないというふうに思っております。

 これは、先ほど、朝鮮民主主義人民共和国への米の輸出のときに、遠藤副大臣が、五十万トンで一千億円という状況を言われましたけれども、今日、お金ではないという部分も一方ではあるというふうに思っております。

 そういう意味では、私ども、社会党時代に北東アジアにおける食料備蓄構想というものを発表させていただいて、十数年たっていますけれども、今日ほどそのことが重要な時期であるというふうに思うんですけれども、見解をお聞きしておきたいというふうに思います。

遠藤(武)副大臣 全く先生と同感ではございますが、さきにも大臣と一緒にFAOのディウフ事務局長とお会いしましたときに、世界の飢餓人口は、減らすように努力しているんだが、むしろふえる傾向にあるということを心配しておりました。また、二十一世紀は水不足の世紀であろうというふうにおっしゃっておられました。

 ですから、私どもも、飢餓救済のために相当の努力をしなきゃならぬことだけは承知しているつもりですが、食糧援助には国際的なルールが存在するわけでありまして、それの整合性を図るとともに、昨年十二月、WTOの農業交渉において、我が国から国際備蓄のシステムというものを提案しております。途上国はかなりの関心を示していただいておりますので、何とかこうしたことを形のあるようなものにしていけないだろうかというふうに途上国とさらに議論をし、検討を進めてまいりたいなと思っているところであります。

菅野委員 国際的ルールというのもわかっております。

 それで、私どもは、最終的に、世界の飢餓で苦しんでいる人ということが念頭にはありますけれども、当面、アジアの近隣諸国と一体となって、そして、日本が豊作のときに備蓄しておいて、そして、足りないところではそこから、不作のところはそこから食料を供給するような体制をやはり北東アジアでモデル的につくって、そしてそれを世界に広めていくという観点を持たないと、一気に世界的なルール、国際的なルールに乗ってという形じゃなくて、私は、当面、アジアの近隣諸国とそういうものを話し合いを通じて、二国間、多国間でもって話し合いを通じて、形をつくった上でそれで世界に広めていく、こういう段階を踏む必要があるのではないのかなというふうに思っております。

 今回においても、米消費拡大のために一大キャンペーンを張ります、一大国民運動を展開しますというふうに述べられておりますけれども、消費拡大を、幾ら国民運動を展開しても一気には膨れ上がっていかない。そういうときに、アジアにおける備蓄構想というものをしっかりと打ち立てる必要があるというふうに思っております。

 国際的なルールに飛ぶんじゃなくて、身近なところから一つ一つ着実に実施していくことが求められていると思うんですけれども、この構想について、再度御見解をお聞きしておきたいと思います。

武部国務大臣 先生の貴重な提案を交えての御発言でございますが、私どもも問題意識は共有しております。しかし、それが、ワーカブルといいますか、実際に実現性に向けてどういう問題があるのか、そういったことも踏まえてさらに努力してまいりたいと思います。

菅野委員 最後になりましたが、地域を回っていて、ある地域の首長さんが話していた話を申し上げておきたいというふうに思っています。

 減反政策がどんどんと、四〇%を押しつけられてきていて、そして、米の価格が二五%あるいは三〇%という価格低下をもたらしていて、そして、先ほどからもありましたけれども、国全体としては一兆円の米の減収になっているというんですが、人口七千人くらいの地域の社会において、米での収入が約三十億ぐらい地域社会にあった。それが半分に減って、十五億円が米で入ってこなくなった。地域経済に及ぼす影響というものがはかり知れないものがあるというふうな訴えをなさっていました。

 今回のこの米価の決定に当たっても、先ほども議論になっていましたけれども、七年度、上下二つ、一番上と一番下を切って五年間でもって基準価格を決めていく方向がとられましたけれども、これは、どんどん米の買い入れ価格を下げる要素にしか働かないという今日の状況を考えたときに、地域経済に及ぼす影響というのはどんどん重大な状況に直面していくというふうに思っております。

 そういう実情を踏まえて、真剣になって食料・農業・農村基本法に基づいた農業政策を展開していただきたい、こういうことをお願い申し上げて、終わりたいというふうに思っています。

鉢呂委員長 次に、金子恭之君。

金子(恭)委員 21世紀クラブの金子恭之でございます。

 本会議も間近に迫っておりますし、ほとんど時間がありませんので、手短に御答弁いただければというふうに思っております。

 私は、米の消費拡大について質問させていただきたいというふうに思っております。

 先ほど来需給についての議論がなされているわけでございますが、この需給調整については、かなりの部分が生産調整に頼らざるを得ないというのが現状だというふうに思っております。そういう意味で、この生産調整を少なくしていくには消費拡大をしていくしかないというふうに思っております。

 そういう中で、米の一人当たりの消費量、総需要量はどの程度か、また、その動向は過去最大の時期から比べてどの程度の水準に落ちているのか、御答弁をお願いいたします。

中川政府参考人 米の一人当たりの消費量でございますけれども、戦後一番消費量が多かったのは昭和三十七年でございまして、一人当たり年間百十八キロの消費でございました。それが、最近では約六十五キロというふうに、この間減少してきたわけでございます。

金子(恭)委員 半分近くに減ってしまっているわけでありますが、これも食生活の変化等々あったと思いますが、三十七年に近づけるのはちょっと無理かもしれませんが、その分析、検討をしていただいて、対策を講じていただきたいというふうに思っております。

 そういう中で、生産調整面積が百一万ヘクタールというふうに言われております。何か、イメージ的によくわからないわけでありますが、具体的に、国民一人一日当たり御飯を一杯余計に食べたとしました場合に、需要がどの程度増加をして、生産調整の面積はどの程度減少することができるのか、御答弁をお願いします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 お茶わん一杯の精米の重量は約五十グラムでございます。これに三百六十五日を掛け、さらに人口一億二千七百万を掛けますと、玄米ベースで約二百五十五万トンになります。この二百五十五万トンを、十アール当たりの平年収量というのが五百二十二キロでございますので、これで割りますと、約四十九万ヘクタールということになります。

金子(恭)委員 一日一人当たり一杯食べるだけで生産調整の面積が半分になってしまうということを聞いたときに、何か、ひょっとして、努力によっては生産調整面積がどんどん減らせるんじゃないかというような希望を持ったわけであります。

 女性の中には、朝、パン食になっている人がいるわけでありますから、二日に一回御飯を食べてもらうとか、一日三食したとして一ぜんを少しずつふやしていけば、何とかこの生産調整面積が減らしていける、そういうような期待を持ったわけであります。

 そういう中で、最後に大臣に、この消費拡大について今後どのように対策を講じていかれるつもりなのか、御決意をお願いいたします。

武部国務大臣 非常にわかりやすい、なるほどなと。小泉総理は米百俵の例えにしましたけれども、御飯一杯の運動というのは非常に大事なことだ、このように感じました。

 米の消費拡大につきましては、食料・農業・農村基本法に基づく食料自給率の向上や、食生活指針に即した健康な食生活の実現を図る上で、私は極めて重要であると考えているわけでございます。

 今後、これまでの取り組みを抜本的に見直す必要がある、わかりやすくやる必要がある。食生活指針の普及と連携しつつ、医師等専門家の裏づけを得た健康と御飯を最重要テーマとして、テレビ等の積極的活用によりまして、国民運動的な展開を図ることに私も全力を挙げたい、かように存じます。

金子(恭)委員 どうもありがとうございました。

鉢呂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十四分散会




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