衆議院

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第6号 平成13年12月5日(水曜日)

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平成十三年十二月五日(水曜日)

    午前九時十七分開議

 出席委員

   委員長 鉢呂 吉雄君

   理事 木村 太郎君 理事 岸本 光造君

   理事 滝   実君 理事 二田 孝治君

   理事 小平 忠正君 理事 鮫島 宗明君

   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君

      浅野 勝人君    岩倉 博文君

      岩崎 忠夫君    岩永 峯一君

      金子 恭之君    金田 英行君

      上川 陽子君    北村 誠吾君

      小西  理君    後藤田正純君

      七条  明君    園田 博之君

      高木  毅君    西川 京子君

      浜田 靖一君   吉田六左エ門君

      後藤 茂之君    後藤  斎君

      今田 保典君    佐藤謙一郎君

      筒井 信隆君    楢崎 欣弥君

      堀込 征雄君    山内  功君

      山田 敏雅君    江田 康幸君

      高橋 嘉信君    中林よし子君

      藤木 洋子君    菅野 哲雄君

      山口わか子君    藤波 孝生君

    …………………………………

   農林水産大臣       武部  勤君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   農林水産副大臣      遠藤 武彦君

   財務大臣政務官      中野  清君

   農林水産大臣政務官    岩永 峯一君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  阪田 雅裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           鶴田 康則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長

   )            西藤 久三君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  小林 芳雄君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長

   )            木下 寛之君

   政府参考人

   (食糧庁長官)      石原  葵君

   政府参考人

   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君

   政府参考人

   (水産庁長官)      渡辺 好明君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長

   )            久郷 達也君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  相沢 英之君     浅野 勝人君

  佐藤謙一郎君     山田 敏雅君

  松本 善明君     藤木 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  浅野 勝人君     相沢 英之君

  山田 敏雅君     佐藤謙一郎君

  藤木 洋子君     松本 善明君

    ―――――――――――――

十一月二十九日

 国民の食糧と地域農業を守るための緊急対策に関する請願(中林よし子君紹介)(第八一七号)

 同(松本善明君紹介)(第九一二号)

十二月三日

 農産物の輸入急増による価格低下への対応に関する請願(山内功君紹介)(第一四九一号)

 奄美群島周辺水域における大中まき網漁業の操業禁止区域の拡大に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第一七〇八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件

 牛海綿状脳症の発生に伴う緊急措置等に関する件




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     ――――◇―――――

鉢呂委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長小林芳雄君、農林水産省農村振興局長木下寛之君、食糧庁長官石原葵君、林野庁長官加藤鐵夫君、水産庁長官渡辺好明君、内閣法制局第一部長阪田雅裕君、厚生労働省大臣官房審議官鶴田康則君、厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君及び中小企業庁事業環境部長久郷達也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鉢呂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。

滝委員 自由民主党の滝実でございます。

 前回に引き続きまして、今回また少しばかり時間をいただきますことをお許しいただきたいと存じます。

 まず、BSEの問題でございますけれども、これにつきましては、大体、大筋として打つ手は全部打っていると思うんですね。打っていると思うんでございますけれども、どうもPRが周知徹底していないうらみもございますし、そして、現場の中になかなか浸透していない部分があるいはあるのかもしれません。

 そういう意味では、いろいろな報道がその都度その都度出てくるような点もございますので、私は、今大変、この問題を扱っているスタッフは、どうしたって数が限定されていると思うんですよ。やはり畜産関係というのは日本の場合にはそれほど大きなスタッフを持っているわけじゃありませんから、国もあるいは地方団体も、少ない人数でやっているという中では大変気の毒な点があると思うんです。

 そういう意味では、もう少し幅広くスタッフを動員する、あるいは民間から頼む。まあそれでも限界があると思いますけれども、そういう努力を農林水産省としてはおやりいただく。その中でできるだけ、今まで疲れ切っている職員のやはり慰労ということも考えながら、ひとつ遠藤副大臣、この問題のキャップでございますから、決意のほどをお願い申し上げたいと思います。

 それからあわせて、十月十八日の全頭検査以前の食肉については凍結しているはずでございますけれども、その辺の凍結の数量的な把握というものは現在どの程度なされているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。

遠藤(武)副大臣 まず、BSEが二頭目、そして三頭目と発生したこと、ある程度予期はしておりましたけれども、現実のものとなりますと、非常に残念に思っておるところでございます。

 また、担当しておる職員等に対する御配慮のある御意見を承りまして、大変うれしく思っておりますが、私自身もおおむね午前一時に、その日の屠畜された頭数及び陰性か陽性か、仮にそれがウエスタンブロットにかけられた場合には、早朝五時ごろ連絡を受ける。ということは、担当の者はその時間帯も仕事をしているということになるわけで、大変な重荷になっていることだけは確かでありますが、しかし、事は食品の衛生と健康にかかわる問題ですから、常に危機感を持って懸命にやってまいりたいと思っております。

 また、他の省庁とも連携を密にしながら、さらに一段と事態の解明に努力するつもりでございますので、格別の御指導をお願い申し上げる次第です。

 それから、隔離されているものは現在一万二千八百九十トンでございます。

滝委員 その辺のところもきちんと知れ渡るように、御配慮のほどをお願い申し上げたいと思います。何分にいたしましても、大変長期間にわたりまして担当職員が御苦労されていることを御慰労申し上げたいと存じます。

 次に、生産調整の問題について、食糧庁長官に、時間がありませんので御要望だけ申し上げておきますので、もし御意見があったら、少しばかりコメントしてください。

 私の地元のことを言って恐縮なんですけれども、奈良県の場合を例にとりますと、昭和四十五年の生産調整開始以来現在まで、実に四七%の転作率を数えているわけでございます。全国平均は三七%ぐらいございますから、かなり高率の転作率でございます。

 そうしますと、これ以上転作を進めますと、もう農業できない、こういうことになります。なぜかというと、今転作の奨励作物は大豆とか小麦が奨励されているのでございますけれども、奈良県のようなところはもともと小麦とか大豆になかなかうまく仕組まれていない、そういう土地柄でございます。転作は、どちらかというと小さな果樹とかあるいは野菜、そういうことになってまいりますと、転作するにいたしましても、二、三年でもっていや地が出てきます、野菜の場合には。あるいはイチゴなんかでもそうでございます。

 そうすると、転作した面積の半分はいつもあけてなければいかぬ、こういうことになりますから、転作した面積が丸々使えれば農業として成り立つのでございますけれども、もともと規模の小さい生産者の集まりでございますから、なかなか難しい。そこで、やはり転作率が全国に先駆けてやったところは少しは抑えるような御配慮をしていただきたい、こういうふうに思います。

 最初は、転作でも畑作転作の場合には十アール当たり五万円、あるいは永久作物になると五年間だけでございますけれども八万円とか、あるいは休耕田管理費が三万円とか、最初はそういうことでやったものですから、かなりお国のために一生懸命やってきた、その結果が今農業が成り立たないというところまで来ているということについての御配慮をお願い申し上げたい。

 それからさらに、今回、新たに生産量の割り当てというような問題が出てまいります。したがって、そういうときにはその辺のところも御考慮の上、お願いを申し上げたいと思います。

 これは御要望だけ申し上げておきますので、ひとつ食糧庁長官におかれましては十分にテークノートをしていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 やはり公平ということも大事でございます。最初はやはりお国のために一生懸命頑張ったところが、どうも後々転作奨励金も少ない、あるいは休耕田管理費も少ない、こういうことでは、やはりだまされた、そういうような思いが多少はするわけでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 それから次に、大臣に、今後の農政の問題で日ごろのうんちくをこの場でもって少しばかり展開をしていただきたいと思うんです。

 米価に先立ちまして、ことしの九月から、水田あるいは水田に関連する生産問題について、農林水産省の案らしき、まだ案までいかないんでしょうけれども、たたき台のような考え方が示されたわけでございます。

 それは、既に御案内のとおりでございますけれども、私どもとしては、やはり水田というのは、稲作というのは、稲作主業者だけではなくて、やはり副業的にいろいろなものを加味してやっている人たちによって支えられている部分が特に多うございます。そういうこともございますので、稲作を中心とする今後のあり方について、大臣の日ごろの考え方をお述べいただければありがたいと思います。

武部国務大臣 米の政策については、当面する問題というのは、稲作の収入がこの五年間で一兆円も落ち込んでいるということに加えて、その背景には、主業農家の割合が少ないし、基盤が極めて脆弱であるということから、思い切った米政策の構造改革というものを進めていかなければならない、このように考えております。

 先生御指摘のように、多面的な機能という重要性もありますし、また、この改革を進めていく上においては、生産現場の理解と納得を基礎として実施していかなければならないことも言うまでもございません。

 いずれにいたしましても、足腰の強い稲作農業を築いていくための構造政策の推進の観点とともに、生産調整の実施等に係る公平性の確保については今先生御指摘のことでございまして、生産者団体、行政等から構成される研究会において、この問題も含めて検討してまいる考えであります。

滝委員 大臣のお考えを聞いて、多少は安心するわけでございます。どうぞこの問題については、今の大臣の方針どおり、研究会を通じて、そして現場の生産者の意向が十分反映されるような格好で進められますことを改めてお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

鉢呂委員長 次に、高木毅君。

高木(毅)委員 おはようございます。自民党の高木毅でございます。きょうは、BSEについて質問をさせていただきます。

 まず、大臣にお伺いをいたしますが、十一月三十日に三頭目の感染牛が発見されたわけでございますが、このことについて大臣はどのようにおとりになっているか、御所見をお伺いしたいというふうに思います。

武部国務大臣 二頭目、三頭目が発生したということはまことに残念なことでございますが、これが食用として出回ることなく発見されたということは、十月十八日からのいわゆるBSE全頭検査体制というものが有効に機能しているということを示すものと考えております。

 農林水産省としては、厚生労働省や関係県と連携しつつ、関係法令等に則した対応を着実に実施するとともに、牛肉はもともと安全であること、全頭検査によりBSEが確実に摘発され、安全な牛肉以外は食用に一切出回らないシステムが有効に機能していること等について、テレビ、新聞広告等あらゆる媒体を通じて、わかりやすくかつ十分なPRを行い、国民の皆様に安心して牛肉を召し上がっていただけるような努力をさらに尽くしてまいりたい、かように思うわけでございます。

 二頭、三頭が出て、必ず私が言われるのは、武部さん、安全宣言をしたのにまた出たじゃないか、一体どうなっているんだ、そういう問いかけといいますか、お話をきのうもたびたび私聞かされるのでありますが、私は、これは発生する可能性は今後もあります、しかし、全頭検査体制というものは機能しているから、屠畜場から市場に安全証明の牛による食肉以外は流通しないんです、だから心配しないでくださいというような、きょうも新聞に私の発言について何紙か出ておりますけれども、そういうことを申し上げたわけでございますので、御理解いただきたいと思います。

高木(毅)委員 先ほど遠藤副大臣も、そしてまた武部大臣も、冒頭、やはり残念ではあるけれどもということはおっしゃいました。確かに残念ではありますけれども、今の大臣の御発言のとおり、一切とにかく市場には出回らないということでございまして、これからもずっとそういったような形で国民に強く訴えていただきたいというふうに思います。

 ただ、まだやはり国民の皆様には誤解があるようでございまして、武部大臣今おっしゃっていただきましたけれども、いわゆる一頭も市場に出回らないということと、それから一頭も発生しないということが、どうも国民の方々にはもう一つ十分理解できていないというようなことがございまして、今もおっしゃっていただきましたのでこれ以上はお聞きいたしませんけれども、そのあたり、国民に誤解のないように、そして消費者がしっかりと安心をして肉が食べられるように、ぜひこれからも御尽力賜りたいというふうに思います。

 そしてまた、私はいま一つ、食肉が安全である、そして市場にしっかりと出回って国民が安心して肉を食べられる、そのために、一つ大きな課題が、大事な課題があるのではないかなというようなことを御指摘したいというふうに思います。それは、いわゆる生産者、畜産農家の自覚といったものかというふうに思います。

 実は、先日テレビで、ある生産者の方がこのような発言をしておりましたので少し御紹介したいと思いますけれども、飼料についてはJAからの購入であるので自分たちに責任はない、また、政府は飼料について指導だけであって、飼料に問題があるのならそのときに法律で規制すればよかったのであり、自分たちは被害者であるというふうに発言している生産者がいらっしゃったわけでございます。確かに、牛肉の流通が中断されるということは畜産農家にとって生活を圧迫する事態ではあると思いますが、食品を供給する側の自覚、すなわち畜産家の自覚というものがやはり必要ではないかなというようなことを思っております。

 そうした中で、実はきのう、私、これはJA広島さんにお願いをいたしまして取り寄せたものでございます。セーフティーパスポートというふうに書かれておりまして、牛のパスポートでございます。

 これはコピーでございますので少し写りは悪いわけでございますけれども、ちょうど私たちの健康保険証のようなつづりになっておりまして、その中には、五枚つづりでありますけれども、「子牛生産履歴証明書」あるいはまた「出荷牛生産履歴証明書」「と畜証明及び牛海綿状脳症検査済証明」そしてまた「販売先証明書」「卸業者証明書」と、すなわち子牛が生まれてからお肉屋さんの店先に並ぶまで、ずっと子牛の履歴といいますか、パーソナルデータといったものがこれを見ると一目瞭然にわかるというような代物でございます。

 例えば、その中には給与飼料などもきちっと書くところもありますし、もう少し突っ込んで言えば、この給与飼料の中の成分なども書き込むとさらにいいのではないかな、今問題になっております代用乳についても、こういったものがあればすぐに解明できるんじゃないかなというようなことを思うわけであります。ぜひ私は、農水省の指導によって畜産農家がこういったようなことを進めていただくことを期待するわけであります。

 もちろん、こういったことをすることによりまして、畜産農家とすれば大きな作業にもなりますし、大変なことになろうかというふうに思いますけれども、何といってもやはり人の命を預かる食を生産するわけでありますから、それぐらいの自覚はしていただきたいし、何よりも生産者の方がみずからを守る大きな手だてになるんだというふうに思いますので、ぜひこうしたようなことを進めていただきたいというふうに思います。

 現在のところ、農水省として、こういったようなことに対する対応、あるいはまたこういったようなことを進めていただくお考えがありやなしやといったところ、そういったような御見解をぜひお聞きしたいと思いますが、遠藤副大臣、よろしゅうございますか、お願いいたします。

遠藤(武)副大臣 牛の個体識別に関しましては、これまで多くの方々から御指摘、御指導いただき、ただいま特に実例を挙げられて高木委員から御指摘いただいたわけであります。

 農水省としても、トレーサビリティーの確立というのは大変重要な問題である、こう考えておりまして、ただいまお願いを申し上げておる補正予算にも盛り込ませていただいて、来年度から完全に識別できるようにしたい、ことしじゅうにこの準備は終わりたいと思っております。

 また、我々は屠畜場までのことなんですが、しかしさらに一歩進んで、消費者まで飼料給与などの追跡確認ができるシステム、安心してまた購入できるためにも必要かなと思いまして、どういうやり方があるか、今検討させているところでございます。

高木(毅)委員 いわゆる牛の安全ということに関して、農水省そしてまた厚生労働省、途中で途切れるわけでありますけれども、特にこういったようなことをしていただくことによって一元化というものも期待できるのではないかと思いますが、よろしくお願いをしたいと思います。何といいましても、消費者の信頼をかち取るということが畜産農家の再生と経営安定にきっとつながるということを強く訴えておきたいというふうに思います。

 そしてまた、最後に、先ほども申し上げましたけれども、食品の安全性というのはまさに人の命に直接かかわっている問題でございます。食の安全性が脅かされていると国民が意識しているからこそ、市場において牛が問いかけられているということでございます。今後とも食品の安全性の確保に万全の対策を講じていただきますことを心より強く訴えまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

鉢呂委員長 次に、山内功君。

山内(功)委員 民主党の山内功でございます。

 ネギ等三品目のセーフガードの暫定期間の終了後、輸入が急増した昨年をさらに上回る輸入量となっておりますが、今、日中協議の状況、そして見通しについて伺いたいということと、十二月二十一日までに日中協議がまとまらなければ速やかに確定措置を発動すべきだと考えますが、大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 先生も御案内のとおり、中国の江沢民主席と日本の小泉総理の間で、ネギ等三品目については話し合いで解決をしようという合意がございました。それに基づいて協議が進められたのでございますが、なかなかお互い共通の認識に立つということが難しい状況でございましたが、たまたまドーハにおけるWTO閣僚会議の際に、中国の対外貿易経済合作部部長と私と平沼経済産業大臣との間で、さらに話し合い解決に向けて全力を尽くそうという合意がなされたわけでございます。

 そのことに基づきまして局長レベルの協議に引き継ぎまして、実務者協議も行われたわけでございます。さらに、この七日にも局長級の協議が行われる予定でございまして、しかし、この協議継続の前提というのは、八日、いわゆる暫定措置が切れた段階で中国からの輸入急増ということに相なれば、信頼関係が崩れる、協議を継続することは難しくなりますよということについても駐日中国大使を通じて申し上げているわけでございます。

 今回まで、この三品目につきましては、それぞれ直近のモニターを毎週やっているわけでございますが、この数字からして、急増の傾向にあるなと思われるところもございます。が、しかし、今協議継続中でございまして、私どもは、こういった状況も踏まえて、辛抱強く、できるだけ早い機会に話し合いで解決ができるように、今全力を尽くしているわけでございます。

 しかし、二十一日まで協議が調わないという場合には、私ども、国会の両院における農林水産委員会の決議もいただいておりまして、これも重く受けている次第でございまして、そのときには確定発動を、そういう決意を持って今協議を続けている、話し合い解決に全力を尽くしているという次第でございまして、御理解をいただきたいと存じます。

山内(功)委員 さて、狂牛病の問題ですが、大臣は、二頭目、三頭目が確認されたときの最初の言葉が、きちんと検査をしているからだということを言われました。しかし、国民が大臣に求めている言葉は、大変なことだ、申しわけない、責任を痛感する、そういう言葉じゃないんでしょうか。市場に出回らなくてよかったなというような意識があると私は思っています。

 二頭目のBSE発生農家からの出荷頭数が、十一月二十六日付の農水省の発表では二百十九頭、三十日付の発表では二百九十三頭と増加をしている。このことも、最初からきちんと計算をして、国民に本当のことを話そう、そういう決意が大臣の中にないのではないか、そう思っていますが、どうですか。

武部国務大臣 私どもは、一頭目のBSE感染牛が発生した際に、何よりもまず優先すべきは、人の健康に影響を与えない体制を一日も早く構築すること、こういう目標を持って全頭検査体制の実施に向けて取り組んでまいりました。しかし、さまざま国会でも御議論ございましたように、残念ながら、今後もBSE感染の牛が出るということは否定できません。したがいまして、一日も早く感染ルート、感染源というものを究明しなきゃならないということ。

 それに、やはり生産者段階から焼き肉店に至るまで、この牛肉の消費が落ち込んでいるということで非常に困難な状況にございます。こういった経営の安定対策等についてでき得る限りのことをしなければならないということで、今真剣に取り組んでいる次第でございまして、先ほども申し上げましたように、二頭目、三頭目が発生したということはまことに残念でありますが、屠畜場からは安全証明の牛以外は流通しないという体制になったということが機能しているんだということをぜひ御理解いただきたい、かように存じます。

山内(功)委員 どうしてこんなに増加したのかということです。

遠藤(武)副大臣 北海道のことですが、猿払の現場は北海道庁が検察、検疫をいたしております。したがいまして、私どもは北海道庁と緊密な連絡をとりまして、刻々とその報告を受けております。

 当初、二十六日の段階では二百十九頭という、現在確認されているという条件つきで発表されました。三十日になりまして、さらに精査した結果、出荷先等も調査の上、七十四頭出荷されておるということの報告を受けて、合わせて二百九十三頭というふうに発表した次第であります。

山内(功)委員 そういう態度がまさに問題だと思うのですよ。

 三頭目の宮城村での同居牛、最初、農水省の方で発表されたのは五十七頭と発表されたじゃないですか。ところが十二月一日には六十八頭にふえた。その理由が、子牛などを数え漏れをしておりましたというようなていたらくでしょう。

 大臣、時間がなくても、出荷伝票を自分でも見に行って数えてみる、それぐらいの誠実さが今大臣や副大臣に求められているんじゃないんですか。道が、道がと言われますが、大臣が真実をきちんと情報公開しようという姿勢が劣っているから、各機関ともぴりっとしないんだと私は思います。

 副大臣にお聞きしますけれども、副大臣は先日の委員会で、もっとたくさん出ると思っていましたというような答弁をされているが、最悪の場合に、では副大臣はどれぐらい今後出ると思っておられるのですか。

遠藤(武)副大臣 少なくとも、サーベイランス体制を強化すれば、しておった分だけいろいろな形で今後の感染牛というものが明らかにされてくるんじゃなかろうか。何頭出るかと言われれば、ちょっとお答えのしようもございません。

 それから、繰り返して申し上げるようですが、疑わしき牛は絶対に出ない体制だけは厚生労働省と連携してでき上がっておる、こういうふうに考えております。

 さらに、頭数の問題について、安閑として手をこまねいて見ていたわけじゃありません。我々も、群馬県庁、北海道庁等に責任ある職員を派遣し、かつまた道庁からの報告に対しては確認をしつつ、それではこれで発表してよろしいんですねということでプレスしている、そういういきさつを御理解いただきたいと思います。

山内(功)委員 理解できませんよ、何で何回も同じような数え間違いというミスが生じるのですか。

 現段階でも一千五百五十億円も費用を要します。今後、総額で一体幾ら対策費用がかかるのですか。それぐらいの概算は出しているのでしょうね。

遠藤(武)副大臣 来年度の予算については、今予算大綱が決まったばかりですから、それに沿って積算をしておるところでございます。

 さらに、これまでのプレスリリースは、現在のところ判明している頭数は幾ら幾ら、こういう発表の仕方をしておりますので、決してずさんにしているわけじゃなくて、現場に即応した報道をそのまま正直に伝えているということだけは繰り返し申し上げておきたいと思います。

山内(功)委員 二頭目、三頭目の患畜にBSEの症状が見られなかった、つまり、極端な神経症状もふらつきもなかった、空胞も余り見られなかった。もっと早くから屠畜場での全頭検査をしていれば、もっと多くの感染牛が摘発されたんじゃないんでしょうか。大臣、どうでしょうか。

武部国務大臣 今回のBSE発生を踏まえまして、農林水産省及び厚生労働省では、十月十八日から屠畜場における全頭検査を実施しているわけでございます。これにより、二例目、三例目のBSE感染牛が確認されたところでございますが、今先生御指摘のように、一見してBSEを疑うような症状はなかったという報告を受けております。これは、この全頭検査体制が機能しているということの証左だろう、かように思いますが、仮に全頭検査をもっと早い段階から実施していた場合には、BSE感染牛は摘発できたかどうかという点については、私は確定的なことを申し上げることはできないと思います。

 これまで、屠殺解体されたものの中でBSE感染牛の肉が出回っていた可能性はないとは言い切れるものではございませんが、御理解いただきたいのは、そもそも牛肉はOIEの基準でBSEの危険部位とされておらず、安全なものとされているものであることも御理解いただきたいと思います。

山内(功)委員 きょうの報道によれば、道に飼料業者として届け出をしていない複数の未登録業者が、さらに肉骨粉を三千頭食べさせていたという報道がございます。つまり、今まで明らかになっている五千頭と合わせれば、合計八千頭にもなります。

 この肉骨粉を与えた八千頭の牛について、検査の上、直ちに焼却をするという考えはないのかどうか、お伺いしたいと思います。

遠藤(武)副大臣 三千頭新たに発見したという報告は畜産部にはありません。私どもが九月十二日から三十日までの間、家畜防疫員を動員して把握した数は、五千百二十九頭であります。

 しかし最近、いろいろ考えてみて、農家が当該の牛に肉骨粉入りの飼料を食わせたかどうか、給餌したかどうかということよりも、それで返事を求めるということよりも、むしろ、どういう飼料を使っておったか、どのような経路で入手したのか、どのようなところで製造されたのか、そういうふうなさかのぼりをすることが感染源を突きとめるのには大事なことではないか。だから今、農家に、給与しているかどうか、していなかったかというような聞き方はすまい、こういうふうにやや変えてきております。飼料の追求に当たっております。

山内(功)委員 新たに三千頭の牛が肉骨粉を食べていたということは、そういう報道には接しておられるのでしょう。つまり、一頭目の発見から三カ月もたってもまだこんなニュースに出会うというのが、政府の危機管理のなさ、そして国民の政府に対する不安感をますます助長する、私はそう思っています。

 焼却を全部すべきじゃないかという点について、答弁をきちんとお願いします。

遠藤(武)副大臣 ホルスタイン種の場合は、乳を搾り出すわけですが、それらが乳廃用となる段階で我々は検体を得るために殺処分をしたい、このように考えております。

 もともと牛肉は安全であるとの知見を得ておりますので、それは生産者といいますか、畜主と話し合いをして、畜主の意向も尊重していかなければならない、このように考えております。

山内(功)委員 財務省から肉骨粉の国別輸入数量一覧表をいただいておりますが、香港では変異型ヤコブ病で一人死んでおります。イギリスからの輸入によるものでありましょう。

 その香港から大量に日本は肉骨粉を、過去何年間にもわたって輸入をしております。豚肉粉だったと香港が言っているから、そのとおりだろうというのではなくて、本当のところはどうなんだということまで調べる考えはありますか。

小林政府参考人 私どもは今、輸入肉骨粉についての調査を、各国に担当官を派遣いたしまして進めております。その中で、今お話ございました香港につきましても十月の半ばに担当官が行って、向こうの調査をしてまいりました。

 その中で、今の段階でわかっていることで申しますと、今お話にございましたように、香港から我が国へ、九五年以降、年間千百トンから五千五百トンぐらいの肉またはくず肉の粉等、こういった分類でございますが、輸出がされております。これらにつきまして向こうの調査をしたところ、今香港には肉骨粉の工場がなくて、一カ所の肉粉工場、そういった実態がございます。

 また、香港では豚の年間の処理頭数が非常に多くて、約二百三十万頭、牛の方は五万頭というようなことがございます。また、私どもの動物検疫所に保管されている香港政府発行の輸出証明書によりますと、九八年から二〇〇〇年まで百五十七件ございますが、これがすべて豚肉粉、こういった結果にかんがみまして、大宗が豚肉粉であるというふうに調査報告としてはまとめてございます。

 ただ、今申しましたように、九七年九月以前はどうかということになりますと、香港の中でも肉骨粉の工場が存在しておりました。また牛の屠畜も一部行われてございまして、そういう意味で、引き続き香港当局に対して照会をしております。

 したがいまして、今わかったことをベースにしながらも、さらにいろいろな点につきまして照会を進めている、そういった状況でございます。

山内(功)委員 イギリスから輸入されたとされる肉骨粉三百三十三トンは、その後、イギリス側から百六十六トンであったとの訂正がなされておりますが、その訂正も、コンピューターの入力ミスじゃないかというようなとんまな話も聞こえてきます。

 イギリスでは貿易上の管理は本当にきちんとなされているのか、製造された肉骨粉はどのように管理をされているのか。農水省は、イギリスの管理の実態について現地調査を行うなど、きちんとチェックすべきではないのか、この点について伺いたいと思います。

遠藤(武)副大臣 委員御指摘のとおりでございますから、私どもも、英国におけるBSEの発生状況また防疫状況については、英国政府、OIEなどの情報を利用しつつも、独自に情報収集に努めてきたところであります。

 英国においては、特定危険部位及び三十カ月齢以上の牛については、直接焼却するか、または肉骨粉にした上で焼却、埋却の処分を行うよう、一九九七年のSRM、これは特定危険部位のことですが、規則で定められており、九八年一月以降実施されているものと承知しております。肉骨粉の管理に係る規則はないという報告をいただいております。

 いずれにせよ、英国から我が国への肉骨粉の輸入については、九六年以降は停止措置を講じ、我が国への汚染肉骨粉の侵入の防止に努めてまいっております。

 そういうところでございます。

山内(功)委員 十二月六日号の週刊文春の記事によれば、肉骨粉をフェザーミールとして輸入をしていた、あるいはその輸入についてはノーチェックであったというような記事が出ております。めちゃくちゃな肉骨粉の輸入の実態であり、水際で汚染肉骨粉の輸入を食いとめられなかったのではないかと、国民はこの記事を読んでますます疑問に思っています。農林水産省の責任はどうでしょうか。

遠藤(武)副大臣 週刊文春の今月六日号の記事だと思いますが、元来、肉骨粉は家畜伝染病予防法による指定検疫物であることから、当該肉骨粉を輸入しようとする者は、同法四十条に基づいて、動物検疫所で輸入検疫検査を申請しなければなりません。

 さらに、万が一申請を怠ったり虚偽の申請を行うなど、検査を受けるに当たって不正行為をした者は、第六十三条の規定に基づいて、三年以下の懲役、百万円以下の罰金に処せられることになります。

 適正な輸入検疫の推進のため、従来から、最新の衛生条件の輸入業者等への周知などに努力してまいりました。また、違法な輸入の防止については、動物検疫所が税関などと密接な連携をとって当たっているところであります。

 今後とも財務省等関係省庁との連携を一層強化して、汚染肉骨粉の侵入防止に全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。

山内(功)委員 財務省、もしこの記事の内容を本当に否定されるのであれば、この記事は一層の風評被害をもたらしかねない内容を含んでいるわけですから、農水省がよくやられるようにホームページで反論をするとか、あるいは徹底してこの記事の訂正を求めていく姿勢をとられる必要があるのではないでしょうか。

中野大臣政務官 財務省の財務政務官の中野でございます。

 今、山内委員さんの御質問について、特に十二月六日の文春の記事についてのお考えと思いますので、これについて財務省としての考え方を申したいと思います。

 御承知と思いますけれども、税関というのは、輸入申告に際しまして、必要に応じて関係書類の審査のほか現品の検査を実施しておりまして、例えば申告内容と貨物が同一かどうか、いわゆる対査検査というもので確認を行っているということは委員も御承知と思います。

 また、肉骨粉を初めとして肥料とかフェザーミールのいずれも、家畜伝染病予防法に基づいて、輸入に際して、これは農林省等によるところの所要の手続がされている、これも委員が御承知と思いますけれども、そのとおりだと思っております。

 これらの関連手続を要する貨物につきましては、財務省として、税関におきまして、関税法の第七十条に基づきまして、この手続の終了が確認できた、そういうものだけの輸入を許可しているということをまず第一に前提として御理解を賜りたいと思うんです。

 お尋ねの、週刊文春の記事でございますけれども、主に船員の方の証言に基づくものが多い、こう思っておりますけれども、実際にいわゆる輸入通関の手続、これをやっておるのは、通常、通関業者が行っておりまして、したがって、一般の船員の方が輸入通関についてやっているわけではありません。

 ですから、そういう意味で、輸入の通関のいろいろな実情についてどれだけ熟知されているかは私もわかっておりませんので、その点については御配慮を願いたいと思っておるわけでございます。(発言する者あり)御配慮というのは、考え方を……(山内(功)委員「まあいいですから。先へ進めてください」と呼ぶ)そういう意味で考えてもらいたいと思うんですよ。

 それから、もう一つは、現実に通関抜きと委員さんが御心配になっているように、通関におきまして、例えば、船から取り回された貨物といいますか、そういうものは、まず保存地区の中にありますところの……(山内(功)委員「委員長」と呼ぶ)

鉢呂委員長 簡潔に答えてください。

中野大臣政務官 では、もう少しいいですか。(山内(功)委員「ちょっと、聞いたことだけ答えてもらえますか。記事の訂正を」と呼ぶ)記事の訂正についてですか。

 ですから、今私どもは、財務省の姿勢について申し上げたかったわけですよ。というのは、今言ったように、例えば船員の方がいろいろ御発言なさっている。しかし、現実にやっているのは通関業者がやっていて、船員の方が実際に通関業務というのはやっていないんだ。そういうときに、そのことについて、やはりそれはいろいろな風評があるかもしれないけれども、そういう意味で、きちっと我々としては姿勢として今申し上げたというわけです。

 それから、今通関の中身についても、後ほどもし御質問があれば申し上げますけれども、あくまでも、そういう意味で、通関として決して俗に風評されているようなことはないと思っておりますし、そういうことも確認した上で、もし事実ならばしかるべき対応も考えたいと思っております。

山内(功)委員 厚生労働省の桝屋先生にも来ていただいておりますが、桝屋副大臣、この三頭とも九六年生まれですよね。仮に潜伏期間が早くて二年だとしたら、九六年前後に感染した患畜は早ければ九八年には狂牛病となるわけで、それが神経症状を呈していないわけですから、普通に解体されて食肉としてマーケットに出た可能性はありますね。

桝屋副大臣 お答えをいたします。

 全頭検査以前にBSE感染牛由来の食肉等が屠畜場から流通した可能性にもなるわけでありますけれども、先生から今お話をいただいた九六年生まれ、少なくとも九八年にはというお話でございますが、可能性は否定はできないというふうに思っております。

 ただ、万に一つその可能性があったとしても、先ほどから話がありますように、食肉の安全、それから脳、脊髄などの特定危険部位、これを食用に供するということはほとんど我が国ではないわけでありますから、基本的には大きなリスクはないのではないかというふうに私は考えているところでございます。

山内(功)委員 エライザ法でもウエスタンブロット法でも病理学的検査の方法でも、一〇〇%狂牛病であることは間違いないという検査結果になるとは限りませんよね。だとしたら、エライザ法の一次検査の段階で疑陽性が出たら、あとの検査をしないでもうそれは焼却処分しちゃう、そういうような考えはございませんか。特に国民の不安を解消するためにはそのことも検討の余地があると思うんですが、どうでしょうか。

桝屋副大臣 ここは大事な点だと思っております。私どもは、十月の十八日以降、我が国のBSEのこの状況を考えたときに、本当に全頭検査という世界でもまれな検査体制をしいたわけでありまして、この検査方法については、委員から御指摘がありましたけれども、いろいろ検討させていただいて、スクリーニング検査、エライザ等、それから確認検査、この二つを組み合わせて実施をしているわけであります。

 この手法といいますか、これはやはりEU等でも広く定着をしておりますし、それから我が国の専門家会議でも、現時点においては最も信頼ができる方法ではないか、ベストな方法だという判断もいただいて実施をしているものでありまして、この一次、二次、この検査体制は私は現時点において最も信頼できる体制であるというふうに考えているところでございます。

山内(功)委員 十月十七日以前に屠畜した牛肉については、事業者が保存しているものはすべて国が買い取るべきではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。

武部国務大臣 十月十七日以前に屠畜解体された牛肉も安全であるということは、先生も御理解いただけると思うんですね。国民の不安を念には念を入れて払拭するということとともに、牛肉流通の円滑化を図るために、十七日以前に屠畜された国産牛肉在庫を市場隔離するということに十月二十六日から実施しているわけであります。

 具体的には、生産者団体等が、その会員等が所有する十七日以前に屠畜された国産牛肉在庫を買い上げまして、冷凍保管し、冷蔵庫から搬出させないというものでございまして、市場隔離後の最終処分については今後検討するということにしております。

 焼却ということも、当然私ども視野に入れて検討しております。現実問題、今、肉骨粉の焼却そのものもなかなか容易でないという状況にございます。こういうときに消費者に不安を与えることのないように、国の責任においてこの処理については万全を期すということを旨として今考えてまいりたい、こう思っておりますので、御理解いただきたいと思います。

山内(功)委員 私の方からちょっと提案なんですが、例えば六カ月かあるいは一年ごとに今生きている牛の全頭の健康診断をしていく、そして自然死した、屠畜場で死亡した牛でない牛も全頭検査をする、そしてこのことを公表する、これによって国民の不安を解消していくというのがいいのではないかと思うのですが、大臣、どうでしょうか。

遠藤(武)副大臣 全頭の病歴やあるいは薬品の投与歴を記録していくということは非常に重要なことでありますが、今度の十四年度から完全に実施するトレーサビリティー、いわゆる耳標ですね、これには十けたの、それぞれの項目が記録されることになっております。そうした中で、給与されたえさ、あるいはその番号に基づいた、万一病畜した場合の獣医師の診察、診療の中身などがすぐ照会できるという仕組みになるのではないかな、そんなふうに考えております。

 全国民に公表する、乳牛だけで百七十二万頭おりますから、考えてみようかなと思っています。

山内(功)委員 死亡牛ですね。自然死。(発言する者あり)

遠藤(武)副大臣 それは、いわゆる乳廃牛の廃用のことであると思いますが、そうですか。(山内(功)委員「いわゆるへい死牛」と呼ぶ)へい死牛。へい死牛は、全国に百八十三カ所の家保がございますし、二千六十六人の獣医師がございます。これらに徹底してへい死した牛も検査できる体制をつくれるかどうか、これをまず、どれだけの規模の施設、機器が必要かを今調査しておるところであります。と同時に、人員の配置の問題もございます。さらには、何カ月齢以上か。普通、潜伏期間二年と言われていますから、二十四カ月齢以上とするか。そうしたことを今検討しておりまして、いささか時間がかかるかなと思っておるところでございます。

山内(功)委員 全頭検査の点についてはイギリスやドイツのようになったかと思いますが、一つだけ違うのは、両国と決定的な違いは、大臣が引責辞任をしていることです。私は二十年、裁判の世界に身を置いてきました。裁判官も検事も弁護士も、利害関係があれば、公正さに少しでも疑いを持たれないようにみずから担当を辞する、そのことによって信頼を得るというルールがあります。

 大臣は、北海道が地元であること、それ以上に、狂牛病が発生した場所が自分の選挙区であること、それだけでも、みずから身を引くに十分な理由があると思います。大臣のいすや名誉などに拘泥することなく、どうか名前を大切にしていただきたいと思います。

 質問時間がなくなりましたので、これで終わります。ありがとうございました。

鉢呂委員長 次に、楢崎欣弥君。

楢崎委員 民主党の楢崎です。

 今、風評被害が問題となっています。質問をする私たちも、私たちの発する言葉が風評をあおるんではないかと気を使っているんです。しかし、国民の皆さんはもっと深いところで、実は傷ついてあるんではないでしょうか。それは、国が果たすべき食の安全確保への信頼が大きく揺らいでいることにあらわれていると思います。農水省が強調してきた安全に根拠がなかった。危険性を知りながら、対岸の火事として有効な手を打たず、対策も穴だらけで水際防止に失敗した。その責任は、あえて農水省にあると言わざるを得ません。

 私自身、まず、農水省事務方幹部の責任を何度も追及してまいりました。そして、それは武部大臣の政治決断によってなされるべきだと訴えてきました。大臣は、当初、新しく設置する調査委員会でこの責任問題も検討すると言われましたけれども、十一月六日の記者会見では、責任問題については人事権者の私が判断すると発言されたようです。

 ところが、先週、十一月二十六日のこの当委員会の答弁では、職員の責任を問うときには客観的な根拠が必要と言われたようですね。これはどういうことでしょうか。私は、これまで、その根拠を挙げて責任問題をただしてきたつもりなんですよ。もう一度言ってもいいですよ。どうでしょうか。

武部国務大臣 今回の事態の発生に際しまして、私どもは、省内及び省外との連絡体制が十分に機能しなかったということから初期段階で対応に混乱が見られたということは、国民の行政に対する不信を招いたことはまことに遺憾であります。

 私は、この委員会においても再三申し上げました。なぜこの一頭目が発生したか。これは、一言で言えば、本件に対する危機管理意識というものが極めて甘い、危機管理意識が甘いから、検査体制というものが不十分なものであっただけに、敗血症という診断によって当該牛がレンダリングに回っていたということから、私どもは、職員を一人一人呼びまして厳重に注意をいたしました。それは、一言で厳重に注意ということでその感触がおわかりにならないかもしれませんが、私ども、報告、連絡、相談、点検、確認というものの徹底を再三申し上げたわけでございます。

 そういうような、職員に対して厳重に注意を促し、とにかく今回の教訓を今後の行政に生かしていくためにはどうしたらいいかということを真剣に考えようと。二度とない人生、二つとない命だと。今までのことは、いずれこれはきちっとけじめをつけなきゃならない、そういうときもあろうかと思うけれども、とにかく今は、やらなきゃならぬことを間断なく徹底的に対応策を講じていくということが、今課せられた一番大きな責任だということで促してきたわけでございます。

 客観的なということを申し上げましたが、私は、当然私自身の政治家としての認識もございます。それから、当委員会を初め衆参両院における各委員会でいろいろ議論のあったことも、これもやはり客観的な有力な御意見だろう、私はこのように思います。

 その上で、やはり、一九九六年四月のWHO専門家会合による勧告等を受けまして海綿状脳症に関する検討会も開き、また農業資材審議会飼料部会も開いて、専門家の意見も伺って、答弁が長いと言われますから数々申し上げませんが、数々の対応をしてきているわけですね。

 そういったデータを、やはりさらに専門家の皆さん方にも客観的に検証してもらう必要があるんじゃないかということで、厚生労働大臣と私の諮問機関として調査検討委員会を立ち上げているわけです。そこでもこういったデータを全部出しまして、このときには、国会の決議もあることを先生御存じですね、国会の決議があることも御存じだと思います。ですから、そういったことも客観的に検証するということが必要だと、こう思っている、とも申し上げたわけでございます。

楢崎委員 動きが見えませんからね。感覚じゃわからぬですよ。それと、大臣の気持ちは伝わりますけれども、ちょっと長いですね。

 その注意されたのは、何人ぐらいされたんですか。

武部国務大臣 何人というか、それはもうかなりの人数を一人一人注意いたしました。何人ということを確定的に今申し上げることはできないと思います。全体に対してもやりましたし、それは一人一人呼んだことも事実ですし、このことで御理解をいただきたい。

楢崎委員 ずるずるこのままいけばいいとは思っておられないのでしょう。事務方幹部の責任問題もちゃんと考えてあるのでしょう。どうですか。

武部国務大臣 責任問題というのは、先生がどういうことを意味しているのか、私はわかりませんが、これまでの反省点に立ってしっかりやり直すということも責任のとり方ですね。それから、いろいろ客観的な事実関係、検証によっては、またそれぞれの責任問題というものも議論されてしかるべきだと思いますけれども、いろいろな責任のとり方があるのではないでしょうか。

楢崎委員 いろいろな課題を抱える農林水産業ですけれども、そういうときにBSE発生という大事件を抱えて、大臣は心の中で、悪い時期に大臣になったと嘆いておられるかもしれませんけれども、しかし、考えようによっては、ここは政治家武部、男武部の存在感を知らしめる機会だと思いますよ。それは、ひとえに大臣の決断が見えるかどうかにかかっていると思います。どうですか。

武部国務大臣 余り大言壮語はしたくありませんけれども、おれがやらなきゃだれがやる、今やらなきゃいつできるというのは、私の座右の銘なんです。

 小平先生も御存じであろうと思います、御尊父のライバルでもありました篠田弘作先生からいただいた揮毫の中にその言葉が記されておりまして、絶えず私は、おれがやらなきゃだれがやる、今やらなきゃいつできるという気概で仕事をやっていかなければならぬ、このように考えているわけでありまして、私はそういう決意でこれまでも一生懸命やってきた所存でありますし、今度大臣になったのは不運でなかったか、不幸でなかったかというような御指摘がありましたけれども、私はそんな考えはありません。

 やはり、今、小泉内閣の農林水産大臣として、こういう重大問題に直面している、このことに真っ向から挑戦して問題解決に努力していきたい、これは我々政治家に与えられた大変な試練だ、こう思って努力している所存でございます。

楢崎委員 こういう問題は決断のタイミングがあると思うのですよ。全頭検査も順調に進み出したですね。豚、鶏のレンダリングも再開されました。もうそろそろ責任の所在を明確にする時期に来ているのじゃないですか。

武部国務大臣 まだまだやらなければならぬ――学校給食の自粛は、二頭目が出ても三頭目が出ても、これは我々、ありがたいことに、どんどん自粛を解除していただいておりますが、まだまだ国民の皆さん方の間に信頼を取り戻しておりませんし、私は、ある意味では今が一番大事なときではないのかな、このように思っておりまして、この一番大事なときに全力を尽くすというのが今とるべき責任だ、こう思っております。

 しかし、先生が言わんとすることもわかります。わかりますが、わかった上でこう申し上げているわけでございまして、お互い政治家でございますので、そのところは御理解をいただければありがたい、かように存じます。

楢崎委員 では、ちょっと視点を変えましょうか。

 厚労省の桝屋副大臣、やはり、水際対策につまずいた農水省に、厚労省としても批判があるのじゃないですか。そのおかげで火の粉をかぶっているわけですからね。農水省の責任についてどう思われますか。

桝屋副大臣 難しいお尋ねをいただきました。

 BSE、そして私ども厚生省については、バリアントCJD、この関係が言われてから懸命に、その時々の知見に基づいて私どもは取り組みをしてまいりました。

 ただ、本当に残念なのは、我々、真摯に反省しなければいかぬのは、今回の我が国の最初の一頭目が発見をされましたときに、両省において連携が悪かった、これは真摯に反省をしなければならぬというふうに思っております。そういう意味で、厚生労働省、そして農林水産省、その後は連携をしながら、密接な連携のもと、対策を講じているわけでございます。

 そうした中で、二頭目、三頭目ということになっているわけでありまして、あえてお尋ねであれば、私は、今農林水産省で取り組まれておられる感染原因あるいは感染ルートの解明ということが、何よりも恐らく多くの国民の皆さんも注目をしておられると思います。そうしたことから、そうした取り組みが今懸命に進められているというふうに理解をしているわけであります。

 私どもも、両省しっかり連携をして、その作業をこれからも続けていきたい、このように考えております。

楢崎委員 何かぴんとこない答弁ですね。役所のかばい合いなんて感心しませんよ。だから厚労省の対応にも不信が持たれるのですよ。

 これまで私も、手をかえ品をかえ、いろいろ表現を変えて責任問題を追及してきました。武部大臣は、御自身の責任については、先ほども言われましたけれども、今後も対策の充実に努力していく、このことが一番の責任だと言われるわけですね。つまり、職務を果たすことがとるべき責任とおっしゃりたいのでしょうけれども、これは責任を問われる方の常套句なんですよね。これではいけないのです。

 先週、我が党の小平委員も言われました。国家権力の中心にいる閣僚は民間以上に責任を問われる立場にある。私もそう思いますよ。このままでは、国民は納得しないと思います。

 実は大臣、もう一度言いますけれども、やはり政治家武部、男武部として、現在の地位に恋々としてあるのではないのでしょう。御自身の責任についても重大にとらえてあると思いますけれども、いかがですか。

武部国務大臣 私の師匠は、三木武夫先生、中川一郎先生、渡辺美智雄先生、尊敬する三人の師匠がいるのですけれども、三人の先生も異口同音に、政治家にとって一番大事なことは、国民に対する政治家としての責任だ、こういうことを申されております。ですから私も、政治家としての責任のあり方ということについては重大に受けとめているわけでございます。そのことを考えればこそ、今先生もいみじくも申されました、やはり直面している問題解決に全力を尽くして職務を貫いていくことだ、かように考えているわけでございます。

 同時に、農林水産省、いろいろ改革しなければならぬことはたくさんあります。今度の問題を通じて、私も副大臣も二人で誓ったことは、これを機に農林水産省を大改革していこうじゃないかという誓いもあえて、再三先生からこの問題で御指摘をいただいておりますので私どもの心のうちといいますか、そういったことも申し上げさせていただいて、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。

楢崎委員 御自身の責任も含めて、決断と潔さを見せていただきたいと思います。強く要望しておきます。

 ちょっと次に入る前に、焼き肉業者への支援措置についてお伺いしたいんですが、今焼き肉屋さんは泣いていますよね。もちろん、政府が焼き肉業者に対する支援措置を講じてあることは承知しています。ところが、この措置のらち外に置かれている方々がおられるんですね。十一月十六日の連合審査会で我が党の中山議員がこの件を触れましたけれども、明確な答弁がありませんでしたので、再確認の意味を含めてお聞きします。

 中小企業基本法第二条、ここで中小企業の範囲が定められているんですが、外食産業は小売業、資本金五千万円以下、従業員五十名以下に分類されている。そのために、焼き肉チェーン店等を営んでおられる中堅業者の方は、この範囲に入らないんですね。つまり、支援措置の対象外になっています。中小企業だけに被害額も大きいんです。

 この際、同法を改正して、外食産業は調理もやるわけですから、製造業その他ということで、資本金三億円以下、従業員三千名以下とすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

久郷政府参考人 御説明をいたします。

 中小企業基本法におきます中小企業の範囲につきましては、法制定当時から、先生今御紹介があったとおり、製造業その他、あるいは卸売業、小売業、それからサービス業という業種ごとに、資本金の額と常時使用する従業員の数で定義をしてございます。

 それで、外食産業、飲食店につきましては、一般消費者に対しまして商品を販売するという業態から、小売業として取り扱っております。これは、調理を行っているじゃないかとか加工を行っているじゃないかとかいう議論はあると思いますけれども、例えば、店でお総菜を売るコロッケ屋さんとか、あるいは普通のお総菜屋さん、こういう製造小売も小売業というふうに取り扱っておりますし、あるいは食料品以外でも、町の洋服テーラー、これは生地を加工して洋服にして売っておるわけでございますが、これも小売業ということで取り扱っているわけでございます。

 いわゆる製造業と申しますと、やはり原材料を加工して、ある程度まとまった量で、例えば下請として製造メーカーに納入をするとか、あるいは卸売業者に納入をするとか、そういう業態でございますので、やはりそういう製造業の業の実態とはいろいろな面で異なっているのではないか、というより異なっております。

 ということで、御指摘の中小企業基本法を改正したらどうかというお話もございましたけれども、これは、全国五百万の業種業態、いろいろな全般的な中小企業を対象にして原則を定めている法律でございますので、個別の事情からそういう改正を行うというのは非常に困難であるというところは御理解を賜りたいと思います。

楢崎委員 理解はできません。BSE発生は国の責任ですからね。やはりこのBSEの対処というのは不況対策と違うんですから、単なる中小企業対策とは異なる施策が必要であると思いますね。救援措置をされるように強く要望しておきます。

 やはりと言うべきか、二頭目、三頭目の狂牛病が発生しました。私は、発生するかしないかというよりも、いつ発生するかということに注目しておったんですけれども、やはりこのことは、汚染が国内に広がっていること、そして、狂牛病との長期戦が始まったことを再認識すべきであろうと思います。

 ただ、やはり検査システムが機能している、このことが実証されたことはよかったと思います。災い転じて福となすとまではいかなくても、感染源の解明に向けた追求の手がかりになる、そういうプラス思考でとらえるべきだと思います。

 そこで、感染源の解明に向けてですけれども、三頭の共通項、これを徹底的に探すこともまた一つの重要なことであろうと思いますが、どういう共通項がありましたか、この三頭に。

小林政府参考人 お話ございました三頭の感染牛につきまして、一つは生年月日が極めて近いということでございます。一例目が八年三月二十六日、それから二例目が八年四月四日、三例目が八年三月二十六日ということでございます。

 また、いろいろな飼料等の調査もしておりますが、現段階では、同一銘柄ではありませんけれども類似した成分の複数の飼料が給与されていたこと、これも判明しているわけでございまして、こういった点を含めて、現在さらに調査を引き続き進めているところでございます。

 もちろん、三頭すべてに完全に共通した銘柄の飼料や肉骨粉の使用の事実は確認されていないところでございますが、いずれにいたしましても、同時期に生まれた牛が同時期に感染牛として摘発されたということは、疫学上非常に重要な情報でございまして、共通して感染原因となる物質を摂取した可能性、そういったことがあることも十分考慮いたしまして、今後、原因の徹底究明に努めてまいりたいと考えております。

楢崎委員 雌のホルスタイン種、それから高齢であるということも共通項目であろうと思います。

 そこで、飼料ですけれども、子牛のときに与えられた代用乳がクローズアップされてきたと思います。その代用乳の成分表に肉骨粉はないわけですよね。ですから、代用乳の原料となる獣脂、この製造過程の中で肉骨粉が紛れ込んだのではないかと思うんですが、農水省はどのように分析してありますでしょうか。

小林政府参考人 今までの調査におきまして、農家の聞き取り等からでございますが、第三番目の患畜の農家で使用されたとされております代用乳、これは第一番目、第二番目のものとは同一の銘柄でありませんけれども、今お話ございました共通の成分が含まれているということが判明しております。

 今この代用乳につきまして、肥飼料検査所の方で飼料工場に立入検査を行って、当時の製造記録でありますとか製造工程などを調査しまして、配合された成分などの調査を進めております。

 獣脂の関係でございますが、製造工程におきましては、一般に、遠心分離とか、それからろ過の工程が含まれておりますので、肉骨粉といったものが紛れ込む可能性は低いと考えております。

 いずれにしましても、今の調査の中で、引き続き肥飼料検査所において徹底的な調査を進めて、今お話ございましたような点も含めて、十分これから対応していきたいというふうに考えております。

楢崎委員 農協系統と飼料会社、そして商社、この関係について、きょうはそこまで踏み込むことはできませんけれども、農協がとにかく安く買いたたく、そのために安い肉骨粉を使わざるを得なかったという飼料会社の話も聞いたことがあるんです。

 今度の場合、一頭目と二頭目がホクレン系の同じ飼料会社の製品が使われていた。このあたりにも一つのかぎがあると思うんですね。ここでもまた肉骨粉が混入された可能性は強いと思いますので、徹底的に調査をしていただきたい、このように思います。

 そこで、心配なことが二つあるんですけれども、一つ目は、二頭目、三頭目の牛が発症前の感染牛ということで、全頭検査以前であったら出荷対象牛であったということですね。そのことを考えれば、もう既に感染牛が流通していた可能性、これは否定できませんよね。どうでしょうか。

尾嵜政府参考人 先ほど来同様の御質疑がございましたが、十月十八日の全頭検査以前に感染した牛が屠畜場から市場に出回ったかどうか、その可能性については全くないということは言えないというふうに考えておるところでございます。

楢崎委員 そうであったら、可能性は低くても人への感染も否定できませんね。

尾嵜政府参考人 御質問の、人への感染についてでございますけれども、感染をする危険部位というのが、もう先生御存じのとおり、OIEの方で指定されておるわけでございますが、そういったものを除いた食肉については、従来から御議論ございますように、安全であるということでございます。

 また、日本人の食生活、食習慣というものから、なかなか危険部位を食するということは少ないというふうに考えておりまして、私どもの方としましては、肉の方については安全であるというふうに考えているところでございます。

楢崎委員 ちょっと私の質問の答えになっていないと思いますね。感染牛が市場に流れた可能性は否定できないと言われたわけですよ。そうであれば、国民はそれを食べる可能性があるわけですから、だから人への感染も否定はできないはずですねと聞いているんですよ。どうですか。

尾嵜政府参考人 屠畜場からそういった牛が出た可能性については否定をしていないわけでございますが、出た場合に、食されるものというのは肉が中心だというふうに考えているわけでございまして、食肉については、従来から申し上げておりますように、危険性はないということになっておりまして、そういう意味から先ほどのような御答弁を申し上げたわけでございます。

楢崎委員 ちょっともう時間がありませんから。今の答えは納得できませんよ。

 そこで大臣にお伺いしますが、十一月十六日の連合審査で、死亡牛の全頭検査をする体制を整えつつあると。私どもは前向きの答弁と受けとめたんですが、十一月二十日の記者会見では、確実に、安全に処理するという意味では早く処理してしまった方がよいという現場の声もあると言っておられるわけですね。死亡牛の全頭検査をやるんですか、やらないんですか。

遠藤(武)副大臣 まず、先ほどの山内委員の御指摘にもその件があったわけですが、やや山内委員に対しましては舌足らずで、申しわけなかったなと思っております。

 現在は、家畜保健衛生所の検査機器などの整備に着手しておりますし、具体的なサーベイランスの実施方法は都道府県と今話を進めております。

 それから、とりあえずというとおかしいですが、当面は、二十四カ月齢以上のものは全部やろう、そういう体制をとれるかどうか、そういうふうなことを今協議しているところでございます。

楢崎委員 質問時間が終わりました。

 今、国民が求めているものの一つは、責任所在の明確化、それとそれに対する断固たる措置であろうと思います。毅然とした対応を求めると同時に、きょうはやれませんでしたけれども、有明海問題。十月三十一日に農水省が示しました見直し案というか検討案ですか、これは過去の経緯が全く生かされていない、到底納得いくものではありません。そのことを申し述べておきます。次にやりますからね。

 終わります。

鉢呂委員長 次に、筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。

 予定していた以外に、今の楢崎議員の質問に対する答えで、さらに確かめておきたい点がございます。

 十月十八日以前、感染牛が市場に出回った可能性は否定できない、しかし牛肉は安全だと断定されましたが、十月十八日以前とそれ以降と、屠殺の方法についても大幅な変更をいたしましたね。その前に、ワイヤを使用する、そのワイヤ使用について、本当は中止するのが望ましいということを言いながら、厚生省、それを今度は水できれいに洗浄するとかいろいろな大幅な変更を十月十八日以降にやった。

 だから、その以前は、感染牛が出たならば、感染牛であったならば、屠殺方法の変更前で、改善前ですから、牛肉も完全に安全だとは断定できないんじゃないんですか。それともう一点は、小腸に関しては、回腸遠位部に関してはそのまま出された可能性もあるんじゃないですか。この二点。

尾嵜政府参考人 一点目の屠殺解体の方法に関しての御質問でございますが、御指摘の……(筒井委員「そんな質問はしていないです、屠殺解体の方法はもう変更になったんだからいいんです。変更前のものはどうなんだという、だから安全とは言えないんだろうということです」と呼ぶ)変更前につきましても、基本的には洗浄等はされておったわけでございまして、そういった意味では、全体が改定前と一緒とは申し上げられませんけれども、枝肉そのものが汚染をされるというふうなことの心配は、私どもはないんではないかというふうに思っておるところでございます。

 それと、小腸の部位についての御質問につきましては、御指摘のとおり、小腸部位が出回るという可能性は、私ども否定はできないというふうには思っております。ただ、それを食するということによりまして人間が感染するような、量的な問題からいいますと、そういうリスクというものは非常に低いんではないかというふうな受けとめをしているところでございます。

筒井委員 それでまた、小腸の部分については感染牛の肉が、小腸部分が出回った可能性はあるけれども、それは率が少ないから大丈夫だという答えですか、今のは。ちょっとその点、数が少ないから、量が少ないから大丈夫だという趣旨ですか。

尾嵜政府参考人 御質問ありましたように、そういったものが、感染牛が市場に出回る可能性というのは否定はできないわけでございますが、そういった中で、小腸の部位が出回ったかどうか。以前は特定危険部位を除去しておらない状況でございましたから、そういった部分については出ている可能性は、それも否定できないと私自身は思っております。

 ただ、感染の可能性のある牛が我が国でどのぐらいいるかというのはわからないことでございますし、メカニズムの関係もございますし、そういった関係から、私ども、リスクとして考えれば低いものではないかという理解でございます。

筒井委員 小腸部分に関しては少なくとも危険な肉が出回っていた可能性がある、量は別にして、これは認められますね。

尾嵜政府参考人 可能性として全く否定することは私はできないというふうに考えております。

筒井委員 今までと大分違うんです。

 それから、さっきの屠殺の方法ですが、十月十八日以降から大幅な改善をしたと言っているんですよ、厚生省は。その以前は、ワイヤで殺すのも、これも本当は中止が望ましい、以前はそれをそのままやっていたのが、本当はやめた方が望ましいというところまでいって、大幅な改善をしたんですよ。だから、その前の屠殺方法については、やはりまだ十分じゃなかったということでしょう。だから大幅な改善したんでしょう。その点、どうですか。

尾嵜政府参考人 御指摘の点はそのとおりでございます。ワイヤについては原則使用しないようにということで、十八日以降についてはそういう指導をしたところでございます。

筒井委員 その点で、今の答えについては全く、だから今までの農林省や厚生省が言っていたことがいかに間違いだったかということを認めたことになろうかと思います。

 それで、日本が残念なことに、アジア太平洋地域で唯一発生国となってしまいました。しかし、今でもアメリカを初めとして発生していない国がたくさんございます。この発生した国と発生していない国と、どこで左右したのか、どこが違ったのか、どういう事情がその二つを分けたのか。この点、ちょっと厳密に確認したいと思うんです。

 輸入の肉骨粉があったかどうか。つまり、汚染の肉骨粉を輸入したかどうかがまず第一点。それを牛に給与したかどうか。この二つによって発生と未発生を左右した、こう断定してよろしいですね。今の結論だけ、そうなのかそうじゃないのか、農林省の方、お答えください。

武部国務大臣 今、アメリカとか諸外国との比較において申されたわけでございますが、私、詳しく……(筒井委員「説明はいいです。今の答え、今のについてそうなのかそうでないのかだけでいいです」と呼ぶ)ちょっとそれは、いろいろ検証してみなきゃならないんじゃないでしょうかね。

 どこがどのように違うのかというのは、肉骨粉の問題、輸入の問題もありましょう。それから、検査体制のこともあるのかもしれません。正直言って、私は、アメリカや豪州の実情、実態については詳しく承知しておりませんので、そのことについて適切な答弁をすることは難しいと思います。

筒井委員 大臣、何をおかしなことを言っているんですか。検証してみなきゃいかぬとか、発生したかどうかについて、検査体制の問題は別の問題ですよ。こういうことを言っているのは農林省自身でしょう。(武部国務大臣「委員長」と呼ぶ)今私が言いますから。農林省が言っているところの文章を読み上げますからね。

 「未発生国においては輸入による汚染肉骨粉発生の可能性及び牛への給与状況により今後の発生リスクは左右される」。このことを、まさにどこが左右するかというと、先ほど申し上げましたが、汚染肉骨粉を輸入しているかどうか、それを牛に給与しているかどうか、これが発生あるいは未発生を左右する、農林省自身が言っていることじゃないですか。だから、これを、私は農林省が言っていることをそれでいいのかどうかと確かめたんですよ。それを今何か大臣がおかしなこと言うじゃないですか。

武部国務大臣 私が申し上げたのは、未発生国と発生国の違いはどことどことどこが違うのか、こういうように今質問を受けとめたものですから、そういうふうに、詳しく検証をしないとわからないと言ったわけです。

 肉骨粉のことについて言えば、一九九六年三月、英国政府諮問機関がBSEの人への感染の可能性を発表するとともに、EU常設獣医委員会が、英国からの牛肉等を他の加盟国及び第三国へ輸出することを禁止すべき旨の提案を行ったことを受けまして、我が国へのBSE侵入防止対策のより一層の強化を図るとともに、牛肉消費への影響を防ぐため、緊急にBSE高発生国に分類される英国本島及び北アイルランドからの肉骨粉等の輸入停止をしたところでありまして……(筒井委員「委員長、ちょっと私の質問に答えてないから」と呼ぶ)いや、経過を申し上げているんですから、もうちょっと我慢して聞いてください。

 一方、英国以外のEU諸国においては、当時はBSEはまだ散発的な発生状態にあり、OIEの規約上、低発生国に分類されていたこれらの国からの肉骨粉輸入に当たっては加熱処理を要求すべきであるとされていたことから、我が国はこの国際規約に従い、輸入停止ではなく、加熱処理すべきとの輸入条件を求めたものでございます。

 さらに、これらの措置については、同年四月二日、三日の伝染性海綿状脳症の公衆衛生問題に関するWHO専門家会合の勧告の直後、四月八日に海綿状脳症に関する検討会を開催して専門家の御意見を伺ったところでありまして、このように、BSE専門家の御意見を踏まえつつ、必要な対策を講じたところであります。

 いずれにいたしましても、今後、厚生労働大臣と私の私的諮問機関として設置いたしましたBSE問題に関する調査検討委員会の中で、一九九六年当時の対応を含め、BSEに関する行政対応上の問題の検証等を幅広く議論していただき、御意見をいただきたいと考えているわけでございます。

筒井委員 こっちはとっくにわかっている経過を長々読み上げてもらったって、それで、しかもちゃんとしたこちらの質問に対しては答えていない。だけれども、私はこれはもう一回聞きますから。

 汚染肉骨粉の輸入、これを農林省は侵入のリスクというふうに表現されている。それから、それが牛への給与、これを暴露のリスクというふうに表現されている。この二つが発生させるか発生しないかを左右する原因である。これは農林省が言っているのでもう簡単に認めると思ったんだけれども。それはそれでよろしいですね。

遠藤(武)副大臣 冒頭、委員おっしゃっているとおりでございます。

筒井委員 そうしますと、この三頭が誕生したのが、いずれも九六年三月、四月ですが、その以前、遅くとも九五年にこの肉骨粉の全面的な輸入禁止、それから給与の禁止、これはことしになって農林省が実際やったんですが、これを九六年より以前に、まあ、農林省の言うことによると九五年からのようですが、に全面禁止していれば、この三頭の狂牛病は発生しませんでしたね。

武部国務大臣 発生していなかったかもしれません。私は、絶対的なことは言えないのではないか、かように思います。

筒井委員 またおかしいな、それは。全体的なことは言えない。私は全体的なことを聞いているんじゃないんです。三頭が発生したことについて聞いているんです。

 先ほど聞いたように、汚染肉骨粉の輸入、それから牛への給与、これを全面的にやめていたかどうか、これによって発生するか発生しないかが左右される。これは認められたわけですよ。

 それならば、この日本において農林省が九六年三月からようやく行政指導とかなんか始めたんですが、例えば、この九六年三月でもいいんですよ、三月で牛への給与を完全に、全面的に禁止して、それを徹底していれば、この三頭の牛は発生しませんでしたね。

武部国務大臣 今、感染源、感染ルートを究明中でございます。私は、このことについて断定的なことを予断を持って言うべき段階ではない、このように申し上げているわけです。

 恐らく、いわゆるBSEに感染した牛を材料とした肉骨粉が何らかの形で日本に輸入され、それが給与されたであろうという、そういうことは、そのように思います。思いますが、今委員が御指摘のように、輸入肉骨粉が入っていなければ三頭は絶対発生しなかったであろう、そういうふうに断定的におっしゃるから、私は、今、感染ルート、感染原因を究明中でありますから、これも本当にいろいろ言われているようなことが実際あったのかどうか、ヨーロッパ、英国やデンマーク、イタリア等にも職員を派遣し、それからアジア諸国についても迂回輸入があったのかどうかということもいろいろ指摘されておりますので、そういうことで、今、感染ルート、感染原因というものを川下、川上から、全体からずっと詰めていこうということで、その作業中ですね、その経過の中にあるわけでありますので、私は、今の時点で断定するべきではない、このように考えて、もう少し慎重にその検討作業を進めていく必要があるのではないか、このように申し上げているわけでございます。

筒井委員 大臣も、また今、農林省がやっていることと違うことを言っていますね。実際やっていることはそうじゃなくて、今の責任逃れのときにだけ断定できないと言っている。

 なぜかというと、今度の農林省の中間報告でも、はっきりそれを断定したことを前提に調査されているでしょう。

 今、川上、川下という表現がありましたが、発生農家を起点とする肉骨粉の混入調査、これが川下からの調査でしょう。それから、川上からの調査というのは、輸入肉骨粉を起点とする調査でしょう。要するに、肉骨粉等のえさはどうなんだ、これを前提にして調査されているじゃないですか。

 それで、こういう表現もあるんですよ、農林省の調査の報告書に。既発生国からの汚染肉骨粉がどのような経路で我が国に入り、これが我が国で確認された感染牛にどのように到達したかを究明する、これが今度の調査の目的でしょうが。そういうふうに文章にもはっきり言っているんですよ。今の大臣の言っていることと違うじゃないですか。

武部国務大臣 今も申し上げましたように、輸入肉骨粉が原因であろう、そういう前提で調査しているということはそのとおりです。しかし、委員は、この三頭はそれが原因だろう、こういうことを断定的に申されるから、今の時点で、調査が終わっていない段階で、それは予断を持って断定する、三頭について、そういうことは差し控えるべきでないかということを申し上げているのです。

筒井委員 ちょっと今のはおかしいので、輸入肉骨粉が前提であるということで調査しているということは認めているんでしょう。しかし、それを前提に断定したらおかしいというのは、そんな自己矛盾ない。はっきり、輸入肉骨粉がどういうふうな経路でこの汚染牛に到達したか、これを究明しているんですよ。そうしたら、はっきりそれが原因でしょう。

武部国務大臣 そういう前提で調査はしておりますが、それがすべてだということを断定的に考えて調査すべきではないと思って、ほかにもあるのかもしれない、そういうことを申し上げているので、それしかないということを、私は常に言っているのは、起こり得ないと思うことが起こり得るというのが現代の事象ですから、そういうことで申し上げているのです。

 委員が言わんとするのは、そのように受けとめていただいても結構だと思うのですけれども、この三頭は輸入肉骨粉が原因だな、それ以外の原因はないんだな、こういう言い方をされると、当時の状況からして、肉骨粉を反すう動物に与えない、そういう指導通知を発出しているわけでありますが、しかし、そうではなくして、何らかの形で国内に入って、そしてそれが給与されたのではないかという確率が非常に高いという前提で調査をしているわけでありまして、全面禁止していればどうであったかということについて断定はできない、下せない。

 BSEの発生源はまだ特定されておりませんので、そのための調査をしているので、それがすべてだということを決断する、断定することはできないということを申し上げているのです。

筒井委員 感染源の解明がない限り断定できないと。そうしたら、ずっと農林省が延ばしていけば、今の責任が明確にならないのですよ。

 そして、私が今言っているのは、では、今の大臣の言うことによれば、輸入肉骨粉であるということを前提とした調査を農林省は現在やっているということは認めているのですよ。だけれども、大臣の言うことだと、それ以外の原因があるかもしれないということになれば、今の農林省の調査は不十分だということじゃないですか。不十分な調査を今農林省はやっているんですか。

遠藤(武)副大臣 二頭の例があって、また今回三頭の例が出たものですから、輸入肉骨粉のみならず、その他鉱物性飼料といいますか、燐酸カルシウムだとか魚粉だとか、そういうものも考えられ、あるいはまたライン等の、あるいは運搬等の際に分離されていなかったかあるいは混入したか、そういう感染の仕方もあるなということで、輸入肉骨粉と焦点を絞り切った調査ではない、ほかの、飼料以外のものもあるんじゃないかという調査を今進めているところです。

筒井委員 混入の可能性、魚粉等に混入の可能性、それは確かに調べているんだけれども、これは結局、肉骨粉が混入したかどうかの問題でしょう。それは肉骨粉が原因であることが前提ですよ。

 それからもう一つ、今医薬品のことも言われたのかな。医薬品についても確かに調査したけれども、しかし、一例について医薬品ではないことが確認された、こういう結論を出していますね。医薬品ではありませんね。すると、あと何ですか、一体。

武部国務大臣 飼料以外のものであっても、今委員が医薬品の話もされましたけれども、何らかの形で牛が摂取する機会があり得るものについては、摂取した可能性や感染源となり得たか否かの調査を行う必要があるんです。このために、飼料を摂取した可能性について、当該農家が飼育していた動物の有無、その飼料及び飼育状況の調査、肉骨粉を含む飼料からの感染の可能性、当該農家が購入、使用していた肉骨粉を含む飼料を特定し、その飼料及び保管状況を調査したわけなんです。

 動物用の、今医薬品の話も出ましたから、そういったことからの感染の可能性についても、感染牛に投与された動物用医薬品を特定して、感染性のある反すう動物由来たんぱくの含有の有無等を調査するということでございますから、肉骨粉だけの調査をやっているわけじゃありませんので、肉骨粉の確率は高いというふうに見込んでやっていることは事実です、それはおっしゃるとおりです、しかし、私どもは、肉骨粉が一〇〇%だ、そういう考え方で今調査をしているわけではないということを御理解いただきたいと思います。

筒井委員 輸入の肉骨粉である確率が高いというところまでは、そんなの当たり前の話なんだけれども、それしかないと言われているのに、それが可能性高いというところまで認めているから、まずその点だけ確認しておきますが、そうしますと、農林省がもっと早くこの輸入肉骨粉の輸入禁止と給与禁止をやっていれば、発生しなかった、今度の三頭は発生しなかった確率が非常に高いということまではまず認められますね。

遠藤(武)副大臣 確率の問題をどうこう言うわけじゃございません。確率の問題は、しなかったかといえばそういうふうにも考えられるし、また、肉骨粉というふうにまだ特定したわけではございませんので、そういう全面給与禁止をしていれば発生しなかったのではないかと……(発言する者あり)いやいや、怒ってない。それは質問の趣旨がわからないのですが、要するに、全面給与していなかったならば発生しなかったかと先生おっしゃっているわけですね。全面給与を禁止しておれば発生はなかったのじゃないかとおっしゃっているわけです。(筒井委員「少なくともまず可能性は高いだろうということを言っている」と呼ぶ)そういう可能性はあると思いますね。

 ただ、我々は、先ほどから大臣が繰り返し申し上げておるような、WHOとOIEの基準に基づいたそういう肉骨粉飼料ならば、給与していたといって、反すう動物に反すう動物の食品を与えなきゃよいだろう、こういう知見に当時は基づいて給与していた、こういうふうな報告を受けております。

筒井委員 もう一度確認しますが、輸入肉骨粉によって今度の牛が感染した、この可能性はほとんど一〇〇%だと私思いますが、大体、異常プリオンの性質もヨーロッパのものと同じなんですから。三頭ともみんな一緒なんですから。

 これはもう輸入肉骨粉しか考えられないので断定できると思うのですが、その前にまず、その可能性が高いところまではそちらも認めているわけだから、今度の三頭は、農林省がきちんともっと早く輸入禁止と給与禁止の措置を徹底していれば発生しなかった可能性が高いということまでは認められますねと、この点だけなんですよ。

武部国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、断定はできませんがその可能性は高いということは私は先ほど来申し上げておるわけです。

 例えば、今度の三頭に共通しているのは、代用乳のことも注目されているのですね。そういうようなことなどもやはり新しい事実として出てきているわけです。ですから、輸入肉骨粉の確率が先生はほとんど一〇〇%だ、こう申されましたけれども、私どもはその辺のところ、確率は高いけれども、しかし、それ以外に原因というものはないのかどうかということも考えて調査をすることが大事なことだ、私はこう思ってやっているわけでございます。

 それからもう一つ、肉骨粉が、仮に今先生がおっしゃるように、一〇〇%肉骨粉が原因だと仮定いたします。私は絶対だとは思いません。しかしその場合でも、行政指導を怠った、使用禁止を徹底していなかった、だから発生したということかどうかについては、これが法的規制をしたからといって、絶対肉骨粉が給餌されないかどうかということについても、これも絶対言えないのではないでしょうか。私はそういう見解を持っているものでございます。

筒井委員 それで、先ほどから、原因として肉骨粉以外のものも考えられるということを、こういう責任の問題になるといつも強調するのだけれども、肉骨粉の中にはもちろん骨粉とか血粉とか、そういうのを含めて、えさとして私は今聞いているのですが、それ以外の可能性としては先ほど言った医薬品と母子感染、この二つですね。今度の調査では農林省もそういうふうに判断していますね。

小林政府参考人 感染原因としての可能性はありますので、そういう意味で、三頭につきまして、今の動物医薬品とかそういったものも調査しております。

筒井委員 私が聞いているのは、可能性のある感染源としては全部でその三つですね、そういうことを前提に農林省は調査していますね。そうかどうかだけ。

小林政府参考人 今までの知見等に見まして、今言った三点が主体になって私どもの調査対象になっております。

筒井委員 そのうち医薬品に関しては、先ほど私の方でも言ったように、一例目のところで、大体、医薬品の中には感染性のある原料は使用されていないことを農林省は確認したという調査結果を発表していますから、医薬品は外れましたね。

小林政府参考人 第一例目についての現段階での調査結果は、そのとおりであります。

筒井委員 それから母子感染について、これについては理論的にあり得る、可能性があるとの説があるけれども、母子感染の存在を示す証拠はないし、また、あったとしても発生率は極めて低い、発生率に有意な影響を及ぼさない、つまり無視しても構わない、こういう調査結果を出していますね。

小林政府参考人 母子感染につきましても、イギリスでありますとか、あるいはOIE、EUとかで、いろいろなところで知見がありますが、今の段階で母子感染についてどうかといえば、今先生のおっしゃったとおりの結論が出ております。

筒井委員 そうしますと、可能性のある感染源として三つ挙げられる、そのうちの二つがなくなった。あとは肉骨粉とえさしかないじゃないですか。どうしてそれを認められないのですか。

小林政府参考人 先ほどから大臣、副大臣が御答弁なさっておりますけれども、要するに、どういった事柄をこの調査対象として、一つの原因として考えていくべきか、そういう意味での考え方と、個々の三つの、患畜につきまして今個別に調査を進めておるわけですから、そういった結果として出てくる結論、そこがまだ、三例それからあとは全体の海外の調査等につきまして、まだ結論が出ていないわけでありまして、そういった意味で先ほどから、特定できるまでの結論に至っていないということを申し上げているところでございます。

筒井委員 それは、本件に関してどういうふうな経路で感染牛まで行ったか、これは特定できないとしても、もう農林省自身も事実上、この肉骨粉等のえさ以外考えられない、これを認めているわけですね。それを前提に、その肉骨粉等のえさがどういう経路でこの感染牛に具体的に到達したか、これを調べているわけでしょう。

武部国務大臣 またおしかりを受けるかもしれませんが、先生は、もう肉骨粉だと決めてやっている、こういうことですけれども、私どもはそうでないのです。

 一頭目は母子感染だとか医薬品のことについては調査した、こう申し上げていますが、二頭目、三頭目が出てきたわけです。このことについても北海道では、一頭目、二頭目との共通項について、こうではないかという大見出しで新聞記事が出るわけです。

 私は、こうしたことに対して職員にも言っているのは、そういう局部的なことに絞って、予断を持って調査をしてはならないのだ、全体を幅広く、調査対象を広げて、そして川下、川上から絞り込んでいく。これは、二頭目が出て新たな事実が出てきましたし、三頭目が出てまた新たな相関関係みたいなことも出てきましたし、私は、今委員が御指摘のような、断定的な判断に立って今後の作業を今の段階でやるということはできないのではないか、いかがか、こういう見解を持っているわけです。

筒井委員 断定的な判断は、断定的な農林省の責任につながるので、どうしても認めないと思いますが、しかし、農林省のこの不作為で発生した可能性が極めて高いということまでは認められたわけですから、それを前提にお聞きをします。

 その発生についての農林省の不作為責任の可能性は極めて高い。さらに、発生した後被害を増幅させた責任も農林省にはある。それは、本来焼却処分されるべき牛が肉骨粉に加工されて出回っていた、これが消費者の不安を大きく高めた。焼却処分したといううその発表もした、これも消費者の不安を大きく高めた。だからその結果、消費者の不安が高まったために牛肉の消費量は大幅に減退して、今も続いているわけです。流通業者や酪農家が大きな損害をこうむっているわけです。

 この損害の発生責任は農林省の今言った行為、うそを発表した、それから焼却処分されるべき牛を肉骨粉に加工して流通させていた、これも不作為責任ですが、これを原因として大きな損害が生じた、この事実は認められますね。

武部国務大臣 先生は弁護士で、法律家ですから、そのようにぎゅっぎゅっと攻めていくのかもしれませんけれども、私は、一九九六年四月のWHOの専門家会合による勧告を受けて、海綿状脳症に関する検討会も開いたのです。そこでいろいろな意見も聞きました。農業資材審議会飼料部会も開いて、専門家の意見も聞いたわけです。

 そして、またずっと並べて言うと怒られますから避けますけれども、英国からの肉骨粉等の輸入禁止措置。それから、反すう動物に給与する飼料とすることのないような指導、平成八年四月十六日。それから、動物用医薬品等の製造原料として使用しないような指導。そういったことを、当時として考えられる必要な対策を実施してきたところでございます。

 ですから、それを何か農林水産省のすべて責任、不作為責任というようなことを決めつける、断定できるのかな。まあ先生がそうお思いになるでしょうし、私どもも私どもなりの見解といいますか考え方がありますよ。

 しかし、やはりこういった問題は、先日スタートいたしました厚生労働大臣と私の私的諮問機関でありますBSE問題に関する調査検討委員会において、すべてのデータを出して、我々は逃げ隠れしませんから、全部洗いざらい出して検証していただくということが必要じゃないかということでやっているわけですから、御理解いただきたいと思います。

筒井委員 私が聞いているのは、限定して今聞いているんですよ。消費者の不安を大きくしたのは、焼却処分されるべき牛を肉骨粉として加工、流通していた、焼却処分したといううそをついた、これが消費者の不安を大きくしたということは、もう大臣自身も認めておられるし、それは認めているんでしょう。今は撤回するわけじゃないでしょう、それは。――いや、大臣に聞いているんだ、大臣に。

遠藤(武)副大臣 いや、その前に。

 九月十日にBSE対策本部を立ち上げました。そのときに発表したことが十四日になって覆され、焼いたと言ったのがうそじゃないか、こういうことで、その間の空白、私も本部長に就任して非常に残念に思いましたし、初期段階で混乱をし、消費者や国民に大変な不安と不信感を与えたということについては、本部長として大変責任を感じております。

筒井委員 今、だから認められたということですが、消費者の不安を大きくした、消費者の不安によって何が起こったかというと、消費量の大幅な減退でしょう。それが流通業者や酪農家に大きな損害を与えたわけですよ。だから、その酪農家や流通業者に大きな損害を与えた原因は、農林省の行為にあるな、不作為にあるなと、これを確認しているんですよ。

武部国務大臣 先生はやはり、局部的に犯人はだれかという、魔女狩りなんという言葉は私は使いませんが。そういうことを言いますと、それは、私どもも何度も言っておりますように、焼却処分をしたと言ってそうでなかったというのは、もう言語道断なことです。これはもう何度も申し上げております。

 しかし、これは、と畜場法では廃棄、全部廃棄になっているわけですね。(筒井委員「そういうことを聞いているんじゃない」と呼ぶ)よく聞いてください。これは、焼却または化製工場で処理する等衛生上の支障のない処理。しかし、BSEであると疑えば、BSEの場合であればマニュアルは焼却なんですよ。それは先生御存じですね。しかし、こういうことでありますから、BSEということがわかった、疑いの牛が出たということで焼却と言ったこと、これは言語道断です。弁解になりません。

 だけれども、私は、何でそれじゃ焼却されていなかったのか、何で焼却されていなかったのかということも、これは重要な問題ですよ。(筒井委員「別の問題ですよ、そんなのは」と呼ぶ)いや、別の問題じゃありません。だから、あなたは、農林省だけの責任だとこういうふうにおっしゃるから、これはやはり縦割り行政の問題ということもあるし、焼却処分と言ってそうではなかったということは、それが風評被害を拡大させたということはそのとおりですよ。それは認めますよ。しかし、それはすべて農林水産省の責任でしょうと言うから、これは、原因はどうだったのかということは、もう少し幅広く検証する必要があるということを申し上げているんです。

筒井委員 私の質問に答えてくださいね。委員長、制約してください。私の質問とは、今答えた問題は別の問題ですから。時間があれば別に聞きたいんですよ。

 今聞いているのは、焼却処分されるべき牛が肉骨粉に加工されてしまったこと、焼却処分したといううそをついたこと、これは農林省と、では厳密に言えば厚生労働省がやったことですね。だから、では、農林省と厚生労働省のその不作為あるいは行為が流通業者と酪農家の損害を発生させた原因ですね。それがそうなのかそうでないのか、答えてください。

武部国務大臣 それも一つの大きな原因だと思っております。

筒井委員 そうしますと、その責任を認められたわけですが、その上で聞くんですが、今度のこの流通業者あるいは消費者に発生した損害というのは、国家賠償の対象になるまさにまれな事案だというふうに思うんですが、国家賠償の前提として、公権力の行使に当たって故意過失により違法に他人に損害を与えた場合、損害賠償の対象になる。

 法制局の方を呼んでいるので聞きますが、行政指導は公権力の行使にまず入りますね。それから、不作為も公権力の行使としての職務上の行為の中に入りますね。この二つ、まず、そうかどうかだけ。

阪田政府参考人 国家賠償法の解釈に関するお尋ねでありますので、所管の法務省の方がより的確な御答弁ができるのかと思いますが、私どもの承知しているところで、あくまでも一般論としてお聞きいただきたいのですけれども、今御指摘のありました国賠法一条に規定する「公権力の行使」については、学説には、その範囲を、国等の権力的作用に限定するいわば狭義説ともいうべきものと、それから純然たる私経済的な作用等を除き原則として国等のすべての作用が含まれるとする、いわば広義説とでも言えばいいのでしょうか、説があるということでありますけれども、近年の判例、それから学界の通説は、広義説をとっているということでございます。

 お尋ねの行政指導につきましても、この広義説に立って、公権力の行使に含まれ得るとする裁判例が多数あるというふうに承知しております。

 それから第二点、不作為の話が必要ですよね。(筒井委員「簡単に言ってください。簡単でいいです」と呼ぶ)はい。今の不作為は多分行政庁の不作為という御趣旨だと思うんですが、その点につきましては、例えば、その権限の行使がいわゆる行政作用法において義務づけられているにもかかわらずこれを行使しなかった場合というような典型的な不作為から、組織法に基づく行政指導のようにその権限の根拠が作用法にはないという場合に、それを行わなかったというような場合に至るまで、非常にさまざまなケースがあるわけで、一口でイエス、ノーというようなことを申し上げることはなかなか難しいのでありますけれども、一般論といたしましては、その不作為が法的な作為義務に違反した違法なものであるという場合には、もちろん当該不作為とその損害の発生との間に因果関係があるといった他の要件も必要でありますけれども、そういった場合には、国賠法一条に基づき国等が賠償責任を負うということがあり得ると考えられます。

筒井委員 長々と、結論だけ聞ければいいんですよ、今のは。不作為と行政指導が入るということは、答えられました。それから、違法というのは、厳密な法規違反ではなくて、法律とか慣習とか健全な社会通念に照らして客観的に正当を欠くことを意味する、こういう判例があるし、それに矛盾した判例はありませんね。

 その点と、時間がないので、過失に関しては、予測される危険を防止しなければならないのに、甘い見通しに立って通常必要とされる注意義務を果たさなかった、こういう場合を過失といいますね。一般論でいいですから、結論だけ言ってください。

阪田政府参考人 まず、後の方の「過失」でありますけれども、判例等で用いられている表現で申し上げますと、違法に他人に損害を生ぜしめるという結果についての予見可能性があり、かつ回避可能性があるにもかかわらず、結果の回避のための行為義務を尽くさないことを意味するというようなことであるというふうに理解されているかと思います。

 それから、国賠法一条に規定します「違法に」ということに条理が含まれるかということですが、今、これはどの程度どのようなものが認められるかということについては、いろいろな説があるようでありますけれども、委員御指摘ありましたように、最高裁の判例の中に、条理上の作為義務に違反したとして損害賠償が認められた判例があるということは承知しております。

筒井委員 そうしますと、先ほど認められた発生の責任、狂牛病発生の責任について高い確率で認めるところまでいった。それから、消費減退を増幅させた責任に関しては、一つの大きな要因として責任があることを認められた。

 今説明を求めたように、国家賠償の対象になるほどの、まさにそういう極めて重要な問題を起こしたわけでして、農林省自身が。この責任について、先ほども農林大臣は、何か、おれがやらなきゃだれがやるかとか、それは別の場所で言ったのかな。

 要するに、職務を一生懸命やるということだけ言っていますが、農林大臣は、全力を挙げて職務遂行する義務が特別職の大臣を含めて国家公務員にあることは御存じだと思うんですね。国公法で、全力を挙げて職務遂行をしなければならない、この義務は大臣を含めて公務員にあるんですよ、もともと。そんなのは当たり前の話で、責任が、こういう問題を起こさなくたってあるんですよ。

 問題を起こしたときにその責任をどうとるのかという質問に対して、全力職務遂行義務、服務の根本基準を挙げているようでは、全然答えにならないんです。責任について、その全力職務遂行義務以外にどうとるのか、これを明確に答えてください。

武部国務大臣 大事なことですから、これは少し時間をちょうだいします。

 農林水産省としては、BSEの侵入防止を図るために、先生は、何もやっていなかった、責任がある、こうおっしゃいますが、しかし、肉骨粉の輸入停止措置、飼料の適正利用の推進、家畜伝染病予防法の改正によるBSEの家畜伝染病への指定とサーベイランスの実施等、リスクを最小限に抑えるための必要な措置を講じてきた、こう思うんです。

 しかも、これらの措置を講じるに当たっては、我が国の獣医学の権威から成る牛海綿状脳症に関する技術検討会を開催する等、専門家の御意見を踏まえながら、必要な措置を講じてきたわけです。

 また、今回の事態の発生に際しましては、申し上げましたように、初期段階で対応に混乱が見られたこと等、国民に行政に対する不信を招いたことは、これはまことに遺憾であります。言語道断だと言って過言でないと思います。その後は、厚生労働省と連携しつつ、BSE全頭検査により、安全な牛からのもののみが屠畜場から出回るシステムを構築いたしました。

 また、BSEの感染経路を遮断するために、肉骨粉等について、すべての国からの輸入及び国内における製造、出荷も一時停止するという措置を講じたんです。

 こういった必要な対策を私どもは講じてきた、かように自負しているわけでありまして、このため、故意または過失により違法に損害を与えたとして国家賠償法上の賠償責任を負うものとは考えていないのでございます。

 なお、生産者や流通業者に影響が出ていることにかんがみまして、その経営の安定、BSE全頭検査体制のもとでの食肉処理、流通体制の整備等を推進する観点から、十月二十六日にBSE関連対策の概要を公表したところであります。

 今後とも、これらの対策を着実に実施し、生産者や流通業者への対応に万全を期してまいりたい、そのことが、今私どもが省を挙げて、厚生労働省や都道府県とも連携して進めていかなきゃならない非常に大事な責任だ、こう思って、その責任遂行に全力を挙げているところでございます。

筒井委員 先ほどから言っているように、そんな、今まで全力を挙げて遂行するなんというのは、まさに当たり前の話なんですよ。国家公務員法にも規定されている職務遂行義務で、それはどっちにしたってやらなきゃいかぬのですよ。そんな当たり前の職務遂行義務を聞いているんじゃないんです。大臣としての責任をとるのかどうか、いつとるのか、そもそもとらないのか。

 これは、坂口厚生労働大臣は、KSDのときについて、私のときではないけれども責任をきちんととりました、今度だって、責任があるなら私は最高責任者としてとりますというふうに、この間連合審査のときに言明されているんですよ。これの方がずっと当たり前の話だと思うんです。私は職務遂行義務を聞いているんじゃないんです。責任について、とるのかとらないのか、これを答えてください。

武部国務大臣 もう何度も、新聞、テレビ等で陳謝とか謝罪とか、責任を認める、このように書き立てられました。私は、このことは否定しておりません。であればこそ、間断なくやらなきゃならない責務を、職責を果たしていくということが私のとるべき責任だ、私はそう確信して今努力しているということを御理解いただきたいと思います。

筒井委員 答えていないね。

 今までだって、例えば昔から言うと、昭和四十六年に全日空機と自衛隊機の衝突事故の責任をとって防衛庁長官が辞任したり、あるいは、科技庁が川崎市内で行ったがけ崩れ実験による事故の責任をとって科技庁長官が辞任したり、あるいは、みんな挙げたら切りがないのでやめますが、海上自衛隊の潜水艦と釣り船の衝突事故の責任をとって防衛庁長官が辞任したり、こういう例が幾つもあります。

 職務専念義務を私は聞いているんじゃないんですよ。今もそう答えていたけれども。そんなのは当たり前の話で、大臣、最高責任者としての、今度の狂牛病を発生させて甚大な被害を与えたことに対する責任をとるのかどうか、その結論を聞いているんですよ。職務専念義務をやりますなんて答えは答えになっていませんよ。また同じ答えなら、こんな質問は続けられないですよ。

武部国務大臣 またおしかりになるんでしょうけれども、私はやはり、人事を尽くして天命を待つ、そういう決意で職責を貫くことが私が考えている責任のとり方であることをもう一度申し上げます。

筒井委員 答えていないんです。先ほどから、職務専念義務、遂行義務、全力を挙げて遂行する、それについて言っているだけなんです。責任についてどうするのか。責任をとらないというのか、それともとるのか。どっちか答えてください。

武部国務大臣 私なりに、責任を今一生懸命とって、その責任を果たしている、こう申し上げているので、これ以上の答弁は同趣旨の答弁になりますので、私はぜひ御理解いただきたいと思うんですよ。私は小泉内閣の一員としてベストを尽くす、本件についても。今、セーフガードの問題もありますし、さまざまな問題を抱えて、間断なく仕事を果たしていくというのが私のとるべき本当に責任ある行動だ、こう思っているわけですから。

筒井委員 責任を事実上とらないと言いながらそう言わないんですよ。職務専念義務、遂行義務を言っているだけなんです。そんなの私は聞いていないんです。当たり前の話なんだから、それをやるのは。(武部国務大臣「どうしたらいいのか言ってください」と呼ぶ)だから、先ほどから言っているように、辞任するとか、例えば減給とか、いろいろな責任のとり方があるわけですよ。職務遂行義務じゃない責任、これをとるのかとらないのか、それを聞いているんですよ。

武部国務大臣 私の日本語はそれほど難しいと思わないんですけれども。やはり職務遂行の義務、責任、これが私のとるべき責任じゃないでしょうか。私は、やめるのかやめないのか、やめるということの答弁を期待しているんだと思いますけれども、もしそういう期待をお持ちであるならば、私は、農林水産大臣としての職責をこれからも貫いていく、そして、政治家として責任ある行動をとってまいりたいということを申し上げます。

筒井委員 では、確認しますが、今度の問題が起ころうがどうしようが全力を挙げて職務を遂行する、この義務がどっちにしたってあることは認められるんでしょう。

武部国務大臣 ただいま申し上げたとおりでございます。

筒井委員 どっちにしてもあるようなことをこれからもやると言ったって、そんなのは責任をとったことにならないんですよ。今度のこういう問題を起こした、これの責任を明確にとらなきゃいかぬのですよ。

 今までほかの大臣が、先ほど幾つかの例を挙げましたが、自分が直接かかわっていないものだって最高責任者として辞任しているんですよ、責任をとっているんですよ。それを責任と言うんです。仕事をそのままやるなんというのは、そんなのは、何にも私の質問に対する答えにならない。

武部国務大臣 私は、自分に関係ないけれども一生懸命やっているというような、そういう言い方はいたしません。やはり、農林水産省の最高責任者として何を今なすべきかということを私なりに真剣に考えて努力しているということでございまして、委員のお考えのとおりのことが言えないということは非常に申しわけありませんけれども、しかし、私も、愛と熱意と信念のあるところ必ず道は開かれるというのも私の座右の銘の一つなんでして、愛と熱意と信念のあるところ必ず道は開かれる、こう思って、今私なりのベストを尽くしている、このように思っておりますので、まことに申しわけありませんが、この答弁でひとつ御理解をいただきたいと思います。

筒井委員 それから、きょう、熊澤次官の政府参考人としての要請、要求をいたしましたが、農林省の方で拒否されました。先ほどの肉骨粉の輸入等、これが、九六年三月から四月に感染牛がいずれも集中して発生した、まさにその前後に熊澤さんが、次官が畜産局長だったわけです。

 それで、ことしに入って次官になりましたが、次官になってから、先ほど言ったようないろいろな失態を農林省はやったわけです。まさに熊澤次官に、だから九六年当時のことも直接担当局長として聞かなきゃいかぬ。それを拒否された、これは極めて不当だと思います。この委員会において明確に解明しようという気がないことを示す。

 それともう一つは、大臣の最高責任者としての責任と、職員の中ではまさに熊澤次官こそが最高責任、実際に自分で当時指導した責任、これがあるんじゃないですか。

武部国務大臣 熊澤次官を参考人として招致する、そういうことについては委員会でお決めになることではないか、かように思っております。

 あえて、熊澤次官の責任のお話でありますが、先ほども申し上げましたように、いろいろな海綿状脳症に関する検討会や農業資材審議会の飼料部会の専門家の意見なども聞いて、いろいろ我が国として対処してきているわけですね、農林水産省としても。また、国会における衆参両院の家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議もございます。衆議院では、今後とも、引き続き牛、綿羊等の肉骨粉等を牛、綿羊等の飼料原料として用いないよう指導するということ、参議院もそのような趣旨でございます。

 したがいまして、私どもは、逃げ隠れするわけじゃありませんで、あらゆる過去の問題については、全部データを第三者委員会、調査委員会に提出するんです。そこで私は、やはり客観的に科学的にいろいろ御議論をいただいて、そして御意見を伺うということが大事だと思っています。もちろん、委員を初め委員会における議論、これも、国権の最高機関であります国会での御議論ですから、こういったことにも私どもは耳を傾けるのも、これも当然のこと、このように思っております。

 内部におけるさまざまな調査も行っておりまして、そういったことを我々、決してサボタージュしているわけでも何でもありません。これは答弁を逃げようとしてあれこれ申し上げているわけじゃありませんで、先ほども言いましたように、この問題についての徹底究明ということに向けて全力を挙げてまいりたい、かように考えているわけでございます。

 厚生労働省や都道府県とも連携を密にして、今後の畜産・食肉衛生行政のあり方ということも、先般も、鮫島委員からもいろいろヨーロッパの例なども挙げて御発言もございましたから、そのことを真剣に取り組んでまいりたい、こう思っている次第でございまして、ぜひ意のあるところを御理解いただきたいとこれはお願い申し上げたいと思うのです。

筒井委員 別紙で「農水省・厚労省十七の責任」という書面を配付させていただいております。これについて聞く時間はなくなりましたが、これだけの責任があるわけですから、大臣と次官の直ちに辞任されること、これを強く要求して、私の質問を終わります。

鉢呂委員長 次に、江田康幸君。

江田委員 公明党の江田康幸でございます。

 先ほどからBSE問題について議論が続いておりますが、私もまず最初に、このBSEについて御質問をさせていただきたいと思っております。

 まずその第一に、この問題に関して私取り上げさせていただきたいのは、今被害を受けている外食産業の支援対策についてでございます。

 九月の十日に一頭目のBSE牛が発生してから後、経営上の影響を受けた家畜経営者や食肉処理販売事業者などに対しましては、各種特別融資制度や対策事業が実施されてきております。

 一方、いわば川下である外食産業、とりわけ焼き肉店やステーキレストラン等の客数、売り上げ数は、昨年同月比で平均五〇%減少という調査もあり、二頭目、三頭目のBSE感染牛の発見がこれに拍車をかけている状況であるかと思います。

 これらの焼き肉店などの外食産業の中で、中小企業、すなわち小売業の従業員五十人以下、資本金五千万円以下に対しては、セーフティーネット保証や低利融資などの対策が講じられてきておりますが、これに該当しない規模の比較的大きな焼き肉レストラン等につきましては、そのはざまにありまして、何の支援策もなく、その関係者は塗炭の苦しみにあえいでいるのが現状でございます。

 先ほどもこれに関して御質問等があっておりましたが、私はちょっと違った観点から、これまで長年にわたり牛肉の消費拡大に貢献されてこられた多くの外食企業関係者に対しまして、この年の瀬を乗り切ることが大事なわけでございまして、先ほどの定義の見直し、これも重要かとは思いますが、将来的な時間のかかる作業よりも、緊急融資など有効な支援策を早急に講ずる必要があると強く提案したいのでございます。

 この点について、農林水産省の御見解をお聞かせいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

武部国務大臣 先ほど楢崎委員からも、この中小企業、しかも規模の大きい、中小企業庁において、政府系金融機関によるセーフティーネット貸し付け及びセーフティーネット保証をされておりますが、これに該当しない業者、業界の皆様方についての、貸付対象についての御質問がございました。中小企業庁、先ほど担当者が来て答弁しておりましたけれども、私は、経済産業大臣と、今委員御指摘のようなことについて、先般、閣議の後、いろいろ話をしました。

 したがって、私どもは、全国焼肉協会加盟四百十五社のうちの四百八社、九八・三%が該当はすることになっておりますけれども、そのほかに、該当し得ないものについては、商工中央金庫によるあっせんなどについても努めてまいりますが、あるいは、日本政策投資銀行の融資などのあっせん等についても努力してまいりますが、今委員御指摘の問題については、経済産業大臣ともう一度相談してみたいと思います。

 なお、細かいことについては局長から答弁させたいと思います。

鉢呂委員長 簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

西藤政府参考人 焼き肉店の中小企業状況、大臣からの御答弁のとおりでございますし、私ども、今後のことを考えますと、これら事業のといいますか、焼き肉店の経営の安定ということは、需要回復という点で非常に重要だというふうに認識しております。

 今大臣の御答弁にありましたように、私ども、どのようなことができるか、可能か、検討してまいりたいというふうに思っております。

江田委員 この川下の外食産業を守らないと消費拡大もない、また、川上の生産農家、流通、そういうところにすべて影響が出てくることでございます。特に、外食産業というのは、パートとかアルバイトで、建設業の次に雇用が高いと言われる労働集約型の企業でございます。この雇用に貢献している外食産業がつぶれることになれば、重大な失業問題になることになります。

 今、緊急雇用対策で、雇用問題に対しては、補正予算等でその柱として重要な問題でございますが、この雇用対策としても本当に重要であり、喫緊の課題と思いますので、どうぞ、農林水産省また中小企業庁等におかれまして、早急に、外食産業に対する、このはざまに置かれている企業への支援策を講じられていっていただきますように、よろしくよろしくお願い申し上げます。

 次に、先ほどから議論されておりますこのBSEの感染経路の徹底究明というのが、消費者の方々の不安を払拭して消費を拡大するためにはどうしてもやはり必要なところでございますので、これについてまた質問をさせていただきたいと思っております。

 最初に発見されましたBSEの感染牛につきましては、その感染原因、経路、まだ解明されていない中で、この二頭目、三頭目が出てまいりました。それで、国民の不安、これはいろいろございますが、原因はどこにあるのかというところにあるかと思います。

 今調査が行われておりますが、生産農家からは、肉骨粉は与えていないという回答が寄せられております。とすれば、与えられた飼料に何らかの形で肉骨粉が混入していたのではないかということも当然科学的には考えられるわけでございます。

 そこで、現在行われている飼料の給与状況等の調査について確認したいのでございますが、新たに北海道で発見されたBSE感染牛と最初に発見されたBSE感染牛に対して、同じ銘柄の配合飼料と代用乳が与えられていたということが発表されております。

 このうち、配合飼料につきましては、工場において牛の肉骨粉が混入することがなかったかどうかについてお伺いします。

 飼料の配送中に牛用飼料に鶏、豚用飼料が混入した可能性があるということを飼料製造会社の親会社が認めているようでございますが、まざった鶏、豚用飼料に牛の肉骨粉が含まれていれば、これが感染源になるというおそれがございます。この点について、調査状況を御報告いただきますようにお願いします。

小林政府参考人 十一月三十日に、BSEの感染源、感染経路の調査概要、中間報告も報告したところでございますが、その中でも触れておりますが、今お話ございました、一例目、二例目それから三例目という中で、そのBSE感染牛に共通して給与されていた代用乳、その製造工場におきましては、原料として肉骨粉を購入、使用したことがないこと、それからその農家に販売した代用乳は袋詰めだった、こういったことがまず確認されております。

 それから、一方で、その一例目、二例目の感染牛に共通して給与されておりました配合飼料がございます。そちらの方の工場におきましては、肉骨粉を原料とした豚、鶏用飼料を製造しておりまして、その製造ラインが共用されていたということがございます。また、製品ごとの製造切りかえ時の洗浄が十分に行われていたことを確認できなかったということがございまして、そういう意味で、この牛用飼料への肉骨粉の混入の可能性は完全には否定できない、そういった事実がございます。また、この飼料の配送は袋詰めであったことがあわせて確認されております。

 こういう状況を受けまして、当該工場が購入しております肉骨粉の仕入れ先に立入検査をいたしました。肉骨粉の原料は、豪州ないしニュージーランド、これはBSE非発生国でありますが、そちらからの輸入マトン、ラムの食肉加工残渣、あるいは北海道内の屠畜場、食肉処理場から仕入れている鶏、豚、牛、馬等の残渣である、こういう回答がありますが、この点は調査内容をさらに分析しております。

 それから、三頭目の感染牛に給与されたえさにつきましては、現在群馬県で調査を進められております。製造業者あるいは使用原料等について確認作業を急いでおります。

 いずれにしましても、こういった各感染牛に給与されております飼料の製造業者が特定され次第、製造ライン、配送段階におきます肉骨粉の混入の可能性も含めまして、さらに徹底的な調査を行っていきたいと考えております。

江田委員 次にお聞きいたしますが、この肉骨粉について、BSEが発生した農家では使用されなかったということが言われておるんですが、二頭目の、また三頭目のBSE感染牛に与えられていた補助飼料類のうち一種類に、農水省の行政指導で使用禁止になっております牛の血漿が入っている可能性があることが北海道の調査でわかったと聞いております。

 このことについてお聞きしたいんですが、この補助飼料の原材料の血漿はアメリカから輸入されていたもの、またBSEが発見された両農家におきまして共通に使用されていた代用乳にも米国製の豚の血漿たんぱくが含まれていたとされております。

 こうした栄養補助飼料などの給与状況とBSE感染との関連についてどのように考え、また分析されているのか、これもまた明快に答弁をお願いいたします。

小林政府参考人 栄養補助飼料の関係でございます。

 これは、農家が独自に、栄養バランスを考えまして飼料を給与していくということであります。市販の配合飼料で不足しますカルシウムとかミネラル、こういったものを補給する観点から使用されているのが実態でございます。

 本件につきまして、現在までに、一例目と二例目の感染牛に給与されていた補助飼料に、先ほど申しましたように肉骨粉が使用されていない、これは確認しておるところでありますが、一方で、感染源を特定するに至っていないという状況の中でありますけれども、肉骨粉以外の飼料原料としての魚粉、燐酸カルシウム等につきましても、肉骨粉の混入の可能性ということも考えて仕入れ先を調査している、そういう状況でございます。

 したがいまして、御指摘ございましたそういった補助飼料等につきまして、現段階では、BSEとの関連につきまして一定の見解を出せる段階にまだ至っておりませんが、引き続き徹底した調査を進めていきたいと考えております。

江田委員 今検討中であるということで、まだ明確な結果が出ていないということでしょうが、これは同一の飼料が与えられておれば、その飼料が出回ったところに次の感染が起こり得るということが考えられるわけでございます。

 したがって、この配合飼料並びに補助飼料、先ほどから申されております医薬品等についても、徹底した原因究明がなされなければいけないと思うのであります。また、肉骨粉であれば、その肉骨粉の輸入先、その大もとになる輸入品ですか、ここもやはり突きとめなければならないわけでございます。

 先ほどから議論がいろいろあっておりますが、やはりこの原因の徹底究明ということは、これから起こる感染に対して防御をするための非常に重要な手段であると同時に、やはり、なぜこの感染が起こったかという原因を突きとめる重要な作業であるかと思います。

 ですから、この原因究明におきましては、これは、それこそ手抜かりなく、また政治的ないろいろ判断等があるかとも思いますが、それは抜きにして、徹底して科学的に、また徹底してその究明を急ぐ、またその結果については公明正大に国民にも報告する、そういうようなことが今信頼回復の上でも非常に重要であるかと思っております。信頼回復が出てくればまた消費も拡大するというこのサイクルにあることをよくよく理解していただきまして、原因の徹底究明に今後も励んでいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私の持ち時間が二十分でございますので、余りこれに時間を割くことができませんので、次に行きます。

 私は九州でございまして、有明に囲まれた四県が私のふるさとでございます。この有明海のノリ不作問題について、次にお伺いさせていただきます。

 これはもうもちろん皆さんも御存じのように、有明海というのは、魚介類の生産豊富なところで、宝の海とされてまいりました。養殖ノリは、全国の約四割を占めております。しかし、この養殖ノリにつきましては、平成十二年の漁期に、前年と比べて生産量で六割減少いたしております。約百四十億円の減収という過去に例を見ない不作となっております。

 有明海のノリ養殖漁業につきましては今年も引き続いて行われておりますが、当初は順調であったものの、本年は、やはりノリの色落ちが発生して、熊本県の荒尾市沖から宇土市沖にかけまして生産不能な状況に陥って、福岡、佐賀、長崎におきましても、一部地域で一時的に生産を見合わせている、そういう被害が発生しております。各県の養殖関係者の間には、昨年のような被害拡大を懸念する声がどうしても広がりつつあるのが現状です。したがって、現在の被害状況をまずはお聞きしたいと思います。

 そしてまた、政府は、こうした漁業者の窮状を救うために、融資等の経営対策をさらに拡充強化することはもちろん、漁業者に対して補償を行うといった思い切った政策を打ち出す必要があると私は強く要望いたします。

 政府は、今後どのように対応していくつもりか、その御見解をお伺いしたいと思います。

岩永(峯)大臣政務官 実は、大臣から、有明海の問題、そして諫早湾の問題については君が担当して解決に努力をせい、こういうような御指名をいただきまして、十月の十一日以来、約五回にわたって、五日間にわたって、諫早ないし有明、熊本、福岡、佐賀の漁場を見に行ったり、そして漁民の皆さん方の大変厳しい環境の視察はもとより、お話を聞きに行ったりして、精いっぱい努力しているところでございます。

 一つには、先生のおっしゃったように、確かに熊本の沖側の浮き流し漁場のほとんどが色落ちをいたしまして、一時生産中止になりました。しかし、十一月の二十九日に集中雨がありまして、約七十ミリの雨でこれが助かりまして、十二月の二日から生産を再開して、現在、色落ちが進行しておりましたけれども回復の途上にある、こういうことでございます。また、福岡、佐賀も、長崎もそうでしたが、一時心配しておりましたが、回復しつつございます。

 そんなことでございまして、私ども、毎日毎日その状況を聞いておりますので、本当に祈るような気持ちで、ことしは成功してもらいたい、こんなことでございますが、今のところ順調に回復しておりますし、冷凍網の問題もうまくいくような予測でございます。

 それから、特に対策でございますけれども、御承知のとおり、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金を約四十二億ほどお借りをいただいておりまして、二百万から五百万への引き上げをしながら、あわせて、地元と国とで無利子化の対応をいたしております。

 また、漁業共済につきましても、多くの皆さん方が御加入いただきまして、もう九九・八%ぐらいで、〇・二%ぐらいの未加入者しかないという状況でございますし、また、有明のためのセーフティーネットを特例的に用意した対策もしていきたい、こういうようなことで万全を期してまいりたい、このように思っております。

江田委員 今、少し持ち直しているということなんですけれども、今期も続けて不作になるというようなことがあった場合、現行の融資並びに補償、共済ですね、そういうのではもうやっていけませんという声がやはりございます。そういうところを配慮していただきまして、思い切った対策をよろしくお願いしたいと思っております。

 もう時間が来ましたので、最後にまとめますが、これに加えまして、将来にわたって漁業者の経営を安定させるためには、一刻も早くこの宝の海を再生することが非常に重要でございます。このためには、水質保全、回復のための措置、水産資源の回復等の漁業振興策など、総合的な対策が必要であると思っております。これらの対策につきましては、複数の省庁が関係することから、その実施のための体制を整備することも必要と思われますが、法制上の措置も含めて整備していく必要があると思っております。

 我が党も、有明海再生を実現するための有明海特別措置法、有明新法というものの制定と有明海総合研究センターなどの設置を早くから要望してまいりました。今後も、有明海再生に向けて、政府と一体となって、早期実現に全力を尽くしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしく御協力のほどお願い申し上げます。

武部国務大臣 ありがとうございました。ただいま江田委員から、有明海新法の問題についての御提言といいますか、これまで御努力された経過を踏まえての御発言がございました。

 有明海の総合対策については、関係府省に広くかかわる問題が存在します。環境改善措置、海域環境の修復、漁業振興、これらを三位一体となって図ることが必要でありまして、このような観点から関係府省の連携のもとに幅広く検討してまいりたいと思います。前向きに検討いたします。

江田委員 どうもありがとうございます。終わります。

鉢呂委員長 午後零時二十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十一分開議

鉢呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。一川保夫君。

一川委員 自由党の一川保夫でございます。この時間帯でこういう委員会を開くというのもちょっと異常ですけれども、委員の方の出席が大変少ないわけです。

 まず、今回このBSE問題でいろいろと話題になっておりますが、私も、その問題も若干触れながら質問させていただきますけれども、先ほどの筒井委員だったですかね、要するに、熊澤事務次官を要請したけれども答弁者として出席をしていただけなかったというお話がございました。実は、私の方からも政府参考人としての答弁要請をいたしましたけれども、残念ながら理事会の場で認めていただくことができませんでした。大臣も、これは農水省の判断じゃなくて委員会の判断だという答弁もございました。

 そこで、委員長に理事会でのやりとりの要点をここで説明していただいて、なぜ熊澤事務次官が委員会の政府参考人として出席できなかったのか、そのあたりのところを委員長の方からちょっと御説明をお願いしたいと思います。

鉢呂委員長 ただいまの一川委員の御質問でございますけれども、昨日の理事懇談会、そしてこの委員会開会前の理事会で、野党側から、熊澤事務次官の政府参考人としての招致の件についての御提案がございました。

 与党側からは、委員会の運営についての与野党の合意事項、すなわち、政府参考人招致については、理事間の協議に基づいて委員会で議決をして招致をするということでありますけれども、これまでの委員会の慣例上、事務次官の出席については、大臣と一体ということで、慣例として招致をされておらない、それから、九六年当時、熊澤事務次官が畜産局長ということで、これにかかわる質問もあるということでございますが、職責に基づいて行ってきたということで、現在の職務上の政府参考人に質問をすべきというようなお話がございまして、理事会では合意に至らないという状態でございました。

 以上でございます。

一川委員 農水大臣にも今の委員長の説明の中身を、またよく、何というんですか、状況がわかっていただけたと思いますけれども、私は、こういう政府委員制度を廃止し政治家同士の議論を活発にするという一つの制度改正のもとで、基本的には、政府参考人は極力抑制する、答弁は抑制する、しかし、事そのテーマについて詳しい方なり専門的、技術的に大臣、副大臣を補足できるような政府参考人は、委員会に出席して答弁をしていただきましょうというのがその当時のお互いの合意事項であったというふうに私は覚えておるわけです。

 そういう趣旨からしましても、今回、熊澤事務次官、外務省の事務次官と並んでいろいろと話題に出る方でございますけれども、やはりこのBSE問題というのは国民の今非常に関心の深い問題でもありますから、私は、こういう公の場所で堂々と御自身の当時の見解なり現段階での御意見を述べていただきたかったなというふうに思っております。これはまた、農水省の信用回復という面でも大変大事な問題だったというふうに思って私は要請したわけでございますけれども、残念ながらこういう結果になったということをまず冒頭に私の方から御報告をさせていただきます。

 それで、質問の中身に入らせていただきますけれども、いろいろなやりとりがありましたから、余り繰り返しはいたしません。

 そこで、まず大臣にお伺いしたいのは、今回のこの感染源とか感染経路の話題というのがよく出ますけれども、先ほど来も、これはまだ決まっていないということなんですけれども、もう相当時間も経過し、なおかつ、一頭、二頭、三頭というふうにそういうBSEに感染した牛が発覚したわけですけれども、大臣としては、どうですか、今、現時点で、この感染源、あるいは感染経路も含めて、どこが一番今ポイントになっているのか、ここを何とか解明できればわかるんではないかという、何かそのあたりのポイントめいたところをどういうふうに判断されていますか。それから、できたらいつごろまでに何とかしたいという何かめどはないんですか、どうですか。

武部国務大臣 御案内かと思いますけれども、十一月三十日に分析結果についての中間報告を行ったところでございます。飼料工場における肉骨粉の混入を否定できず、また、当該工場で使用された肉骨粉は国産またはBSE非発生国産とされているが、さらに調査を実施する必要があると思いますし、また、ヨーロッパ等に職員を派遣してわかったことの一つは、イタリアから九八年六月以前に輸入された肉骨粉は、湿熱百三十六度、三十分の加熱処理基準を満たしていない可能性がある、したがって、引き続き調査を実施する必要がある。

 今般、三頭目の発生が確認されたことを踏まえて、共通する事項というものがあるわけでございまして、こういったところについても重点的に調査する必要があるのではないか。別々の感染源の可能性ももちろんあると思います。したがって、予断を持たず、可能性のあるものすべてについて、先ほど来お答えしておりますように、外堀からだんだん埋めて取り組んでいくということだろうと思うんです。

 ただ、私も、迷宮入りにはさせないという強い決意のもとに職員を督励しております。しかし、もう一月もたったじゃないかというような、そういう御意見もございますが、英国において十八万頭発生して、それから英国を除くヨーロッパ諸国においても二千二百頭以上も発生しているわけでございます。しかし、いずれの国も感染源を特定できていない、そういう発生経験の歴史的にも長い、また、数の上でも非常に多い国でもそういう状況にあるということを考えますと、なかなか容易ではないんだろうなと。

 したがいまして、今委員御指摘のように、いつごろまでにできるんだ、その見通しはどうなんだというふうにお尋ねがございましたが、私は、現時点で予断を持って、いつごろまでにというようなことは容易に言える状況にはない、かように思います。

 ただ、この中間報告、これをきちっと整理してみますと、今後の対策とか、あるいはどういうことにこれから我々は反省点を求めて対応、対処していくべきかということなどは、かなりのものは明らかに、そういう対処方針、対応策についてはかなり具体的に明らかになっていくのではないか、かように思います。

 本委員会における与野党の御質疑等も参考に、感染源及び感染経路の究明はもとより、今後の対策に万全を期してまいりたい、かように存じます。

一川委員 今も話題に出ましたけれども、この三頭の牛に共通しておる点としまして、きょうの質疑の中でも、農水省の方から一部説明がありました、ほぼ同じような時期に生まれているという問題とか。私、こういう面にはそう詳しいわけでもないわけですけれども、基本的には、ホルスタインで、雌の牛であるということですよね。しかも、同時期に生まれている。要するに、俗に言う肉牛、和牛といいますか、そういうたぐいの牛はこの三頭の共通点には入っていないし、いろいろな専門家の話を聞いても、こういったホルスタインに感染牛が集中しているということからすると、もう少し絞り込んでもいいのじゃないかという御意見も中にはあるわけですね。

 だから、今、それぞれの皆さん、本当に一生懸命末端でそういう肉用牛を育成している方々からすると、もう我々まで皆疑われるのはたまらぬというような意見もあるわけですけれども、こういう共通点からして、大臣なり副大臣、何かそのあたりの所見はございませんか。

遠藤(武)副大臣 科学的、実証的に特定する作業をしておるわけですが、実は、これは非常に悩ましい問題を抱えておりまして、ホルスタイン、乳用牛と黒毛和種とは明確に区別するというふうな御意見も承っております。しかし、市場その他の動向を考えると、特定に至るまでの間は、そのように区分することはいささか難しいのではなかろうか、このように考えておるところでございます。

一川委員 肉骨粉が感染源だとはまだ特定されておりませんけれども、最もその可能性の高い飼料だというふうに言われておるわけですね。なぜそういうものを使い出したかというときの、もともとのいきさつというようなことからすると、やはり牛からたくさんおいしいお乳を出してもらおうという趣旨でそういうものが使われ出したというふうに私は聞いております。そういうことも含めて、予断を持たないで調査をするということですから、そういう予断を持つことはよろしくないですけれども、しかし、いつまでたっても幅広くやっているのも、いろいろな方々に大変な迷惑をかけるなという感じもしますので、専門的な見解も含めて、早急にそのあたりは整理していただきたいというふうに強く希望しておきたいと思います。

 それから、今回のいろいろな一連の解明に関する動きを見ておりまして、若干気になるのは、要するに、疑わしきものはすべて焼却処分する。これは、我々も、そういうことは申し入れもさせていただいておりますし、国民の不信感を払拭するためにも、少しでも疑いのあるものについては市場に出さない、それはそれでいいと思うのです。

 しかし、事この狂牛病にかかわるような問題を科学的にいろいろと分析し、これから解明し、対策を講じていくためには、そのデータをしっかり残しておくというのは、また一方で大事なんですね。

 ですから、少なくとも、例えば、この三頭と同居をしていた牛とか、それに著しく関係があるような牛については、政府が責任を持って管理下に置く、管理下に置いて、今潜伏期間が相当長いですけれども、それを長期間管理しながら、その因果関係を責任を持って調べていくということがあっていいというふうに思いますね。そこでしっかりとした科学的なデータも残せるわけですから。そのあたりに対する見解はいかがですか。

遠藤(武)副大臣 委員、全くおっしゃるとおりでありまして、そういう知見を蓄積していくことが疫学上大いに有意義であろうと思います。

 私自身も、実は、国の牧場、飼畜場等で潜伏期間内でも飼育したらどうだということを申し上げたのですが、各党、各団体からいろいろ要請行動を受けまして、同居牛をみんな屠殺しろ、焼却しろ、こういう大合唱でございまして、それには至らなかった。

 もう一つは、そのようなものを例えば飼うことができたとしても、家畜伝染病予防法上、あるいは周辺住民の合意をなかなか得られない、肉骨粉を焼却するに際しても、自治体の一般廃棄物施設では、焼くのは嫌だ、こういう状態であります。

 しかし、お説を尊重しながら、動物衛生に係る国際基準の認定機関というか策定機関であるOIEがあるわけです。そのマニュアルに基づいて、BSEの疑似患畜の解剖、検査を行うことができるわけです。それから、組織などを取り扱う際には、病原体の飛散を防止することが可能な隔離実験施設というものがございます。そういうものを必要とされておるわけですから、当面、そうした施設などを有する英国等の事例を参考にしながら、体制を整えられるかどうかを今事務方に検討をさせているところでございます。

一川委員 今、副大臣の御答弁でも、大変悩ましい問題だというお話でございます。私も、この問題、政府が責任を持って、しっかりとした管理のもとに置いて、今後二度とこういう問題を生じさせないためにも、やはりそこでしっかりと科学的に問題を追求していく、それで、しっかりとした対策もあわせて講じていくということは、またこれは政府、行政の責任でございますから、そういう面では、市場にもちろん絶対に流れていかないという条件のもとでございますけれども、そういうことも、この際、冷静に対応された方がよろしいのではないかということを問題提起しておきたいと思います。

 それから、今、野党の皆さん方を中心に、今回のこのBSE対策について、やはりしっかりと法的な措置を講じたらどうかというような考え方がいろいろとございます。私自身も、法的にいろいろな対策についてしっかりと措置をしていく、今、国民に対する影響の範囲が非常に広いわけでございますし、非常に関心も深いわけでございますので、そういうことも当然検討されていいというふうに思いますけれども、農水大臣としては、こういう動きに対してはどのようにお考えですか。

武部国務大臣 BSE発生という事態に対処するために、農林水産省としては、関係省と連携をしつつ、必要と考える対策を逐次実施してきているというふうに私は自負しているところでございまして、今後とも、BSE対策を着実に実施することによりまして、生産者や流通業者への対応に万全を期すということが必要だろう、かように考えているわけでございます。

 これまで、数々の対策は打ってまいりました。政府としては、各党とも、BSE対策について真剣に考えていただいていることを十分承知しております。私どもも、この委員会での議論というものを参考にさせていただいて、その上で対策を立ててまいったことも数々ございます。

 既存の法制度による対応及び補正予算措置を含めて、総額千五百五十四億円に及ぶBSE関連対策を講じているところでありまして、現時点で、あえて新たな特別立法措置を講じる必要があるのかどうかということについては、私は、やるべきことは法的な措置を講じなくてもこれからもできると。また、やらなきゃならぬことは思い切ってやっていかなきゃならぬ、こう思っている次第でございます。

 野党が今お考えになっている法案の中身については、詳しくは承知しておりませんけれども、その必要性については私は余りない、むしろ法の必要じゃなくて、具体的な対応策というものを適時適切にやっていくということが今必要ではないのかな、かように考えまして、各党の御理解を願いたい、かように存じます。

一川委員 今回、このBSE問題というのはいろいろな面でお互いに不信感がはびこってしまっておりますので、こういう中でのいろいろな議論というのは、やりづらいわけですけれども、私は、やはりいろいろな関係者が非常に広範囲に及んでいるということとか、あるいは今経済状況が非常に深刻な中でのこういう問題が起こったわけでございますし、また、今話題に出ましたように、感染源なり感染経路なりのものはまだまだはっきりしないという非常に不透明な中での動きでございますので、やはり法律にしっかりと根拠を置いた対応をした方がわかりやすいし、また安心できるのではないかという考え方もあるというふうに思いますので、また引き続き、我々は我々なりの、また運動を展開いたしたいと思いますけれども、御理解をお願い申し上げたいと思います。

 それから、次にちょっと話題を変えますけれども、WTOの話題が、それからセーフガードの問題というのが先ほどもちょっと出ましたけれども、大臣も平沼大臣等と現地に参加されて、十一月の半ばごろだったですか、十日前後だったですか、どうですか、この閣僚宣言が正式に採択になって、これからいよいよ本格的な交渉事が始まるわけですね。農水大臣としましては、これからの具体的な交渉に当たって基本的にはどういう考え方で交渉に臨んでいかれるのか、そのあたりを整理してちょっとお答え願いたいと思います。

武部国務大臣 国会のお許しをいただきまして、十一月九日から十四日までドーハで行われました第四回WTO閣僚会議に臨ませていただいたわけでございますが、幅広くバランスのとれた分野を交渉対象とする新ラウンドが立ち上げられた、かように評価したいと思います。既に農業交渉は開始されておりまして、新ラウンドの一部として、他の分野とともに一括して合意されるものとして位置づけられたわけでございます。

 閣僚宣言のうち農業関係については、ケアンズ諸国の主張であります農工一体論というものは盛り込まれませんでした。また、非貿易的関心事項にも配慮する、あるいは農業交渉の結果を予断すべきでないとの我が国の主張が取り入れられた、かように考えております。

 これによりまして、多様な農業の共存を基本的な目標としております、農業の多面的機能への配慮や食料安全保障の確保等を追求する日本提案の内容を主張し得る交渉の枠組みができた、このように考えておりまして、今後とも農業交渉において我が国の考えを強力に主張してまいりたい、かように考えている次第でございます。

一川委員 それでは大臣、今セーフガードで問題になっている中国が、今度新たにWTOに加盟してきたわけですね。しかし、そのWTOのいろいろなルールを平気で乱しているような国が今加盟してきたわけですけれども、今後我が国の農林水産業にとって、中国のWTOの加盟というのは、どういうような影響が出てくるというふうにお思いですか。そのあたりのお考えをお聞かせ願いたいのですけれども。

武部国務大臣 中国がWTOに加盟することによりまして、我が国の農林水産物貿易や農林水産業にどのような影響があるかということについては、両国国内の農林水産物の需給動向、国際市場の動向や天候による各国の生産量の変化など不確定要因もございます。現段階で見通すことは、したがって困難であると思いますが、いずれにしても、中国の動向については引き続き十分注視していかなければならない、かように考えております。

 なお、我が国は、既に中国に対しては、WTO加盟国に対するのと同様の最恵国待遇を供与しているわけであります。したがって、我が国が中国産品に適用している現行の関税等の国境措置については変更する必要はないわけでありまして、当面、中国のWTO加盟に伴いまして農林水産物貿易には変化はないのではないか、かように考えている次第でございます。

一川委員 そこで、先ほど山内委員のやりとりの中でも、今回の三品目の輸入動向のいかんによっては本格発動ということもあり得るという大臣のお答えがあったと思うのですね。現時点でのいろいろな調査結果からしましても、中国側が良識的に輸出抑制措置を講じてきているというふうな判断はできないような状況だというふうにお聞きしているわけだけれども、そのあたりは、そういう判断でよろしいですか。

武部国務大臣 暫定措置が終了した十一月九日以降の輸入動向につきましては、財務省が毎週モニターをすることになっているわけでありまして、これによれば、十一月九日から十一月三十日までの輸入量の総計は、ネギでは四千五百六十七トン、生シイタケでは四千九百十九トン、畳表では五千三百五十九トンと、昨年十一月における同期間の輸入量と比較した場合に、それぞれ一二九%、一〇二%、一八八%というふうになっているわけでございます。

 これをどのように見るかということでございますが、一、二、三週間の推移だけでこの輸入が急増したということを断定すべきなのかどうかという問題もございますし、両国首脳の間で合意して、話し合いで解決をするということで全力をお互いに尽くすことになっておりまして、既に政府協議が頻度を上げて再々行われているわけでございまして、私は、そういった経過を踏まえましても、もう少し推移を見る必要があるのではないか、このように考えております。

 しかし、いずれにいたしましても、できるだけ早期に合意が得られるように、場合によっては閣僚級の協議も外交ルートを通じて調整する必要があるのではないかと思っておりますが、この七日に局長級の協議を行うことになっておりますので、もうしばらく辛抱強く推移を見ながら話し合い解決に全力を尽くすというのが、今置かれている私どもの責務ではないか、このように考えております。

一川委員 この三品目、特に極端に日本に対する輸入攻撃がかけられたものについて暫定発動して、二百日間の期限も切れてきた、やはりこの品目というのは、農産物全体のウエートからすると、そう大きなものではないかもしれません。しかし、それぞれこういったものを生産している地域にとっては大変な特産物でありますし、また日本の農業というものをしっかりとこれから明るいものとして育てていくためにも、こういう作物をしっかりと支えていくということも一方では非常に大事なことでございますので、農水大臣、政府全体としての動きは、話し合いで解決ということは、一つの目指す方向としては私はいいと思いますけれども、やはり農水大臣としては毅然として、日本の農業というものを健全な姿で成長させていくという面では、ぜひ今後、そういう態度を明確にとっていただきたいというふうに希望したいと思うのです。

 特に暫定発動、暫定のセーフガードの発動の後、中国側は、WTOのルールに反するような報復措置を講じてきていますよね。こういうことをいろいろと見ておりますと、やはりWTOのルールに従って本格発動ということも、そういう道が開かれているわけですから、そういう面についても、日本政府としてもしっかりとした対応をぜひとっていただきたいということを私は強く希望しておきたい、そのように思っております。

 それから、次のテーマに入らせていただきます。

 最近政府の方で、米政策を転換したい、見直したいということで、この委員会でもいろいろと議論に出たこともありますけれども、当初農水省側が考えていたとおりのことはなかなかできないというふうに聞いております。

 現行の米政策、平成十二年ぐらいからスタートしたと思うのですけれども、その当時もこの委員会で米政策についてやりとりをしておりました。私も質問に出たこともございました。そのときの農水大臣の答弁では、日本の基幹的な主食である米政策については、そうころころと変えるものではないと。私も、少なくとも五年なら五年ぐらい一つの基本的な線は守って政策を動かさないと、生産農家はたまったものではないというお話をさせていただいたことがあって、その当時も大臣も、いや、そのとおりだというようなことを答弁しておられたと思います。

 どうも、そういう米政策の中長期ビジョンみたいなものを明確にしないままに、当座のことでこういう大事な施策を変えていこうとする姿勢がちょっと見えるわけですけれども、そのあたり、私は非常に不満に思っておりますし、今回の一部米政策の見直しという措置は、農水省のこういった中長期的なビジョンめいたものがあるかなしかはちょっとはっきりしないところもあるのですけれども、そういう線からするとどうなんですか、大臣としては、これでいいと思っておられるのですか。

武部国務大臣 米の問題については、委員御案内のとおり、野菜や畜産の場合と異なりまして主業農家の割合が低いということ、また、生産構造が非常に脆弱であるという実態にあるわけです。その結果、米の収入が五年間で一兆円も落ち込んでいるということに加えて、これまで面積による生産調整を実施してまいりましたが、なかなか米の需給均衡が図られていないという問題に直面しております。

 現下の状況に対応すべく、単なる小手先の政策ではなく、担い手の育成、需要に応じた米の生産等を通じて、我が国の水田農業の足腰を強くしていく必要があると考えるのであります。中長期的な観点に立ちつつ、効果的な需給調整体制の構築のための生産数量管理への円滑な移行、また、水田農業の構造改革の推進等を内容とする見直しについて取りまとめたところでございまして、このことを提案させていただいたわけでございます。

 なお、平成十一年に決定いたしました「水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱」、これにおいては、需要に応じた計画的生産の徹底と麦、大豆、飼料作物等の本格的生産の推進等、水田を中心とした土地利用型農業の活性化をうたっているわけでありまして、その中で、生産調整については、転作面積の配分から、米の生産数量、作付面積の配分への移行を掲げていることからいたしましても、今回の見直しというのは、その意味ではその延長線上にある、つまり、大綱の趣旨を踏まえたものであるというふうにお考えいただきたいと思うのであります。

一川委員 大綱の趣旨に即しているというお話ですけれども、私は、現場のいろいろな農業に従事している大規模な農家の方々、あるいは今で言う兼業農家の方々の御意見を聞いても、何か不満がいつも募っているというところでございまして、やはり本当にしっかりとした施策というのは、もう少し腰を据えて、それこそ骨太の政策を展開していただきたいというふうに思っております。

 ただ、基本的には、前から私が言わせていただいておりますように、やはり一生懸命努力して、たくさん農作物をとって、豊作が喜べるような農業にしていただきたいということです。そのことがまた、消費者にとっても非常にプラスになるというふうにも私は思いますので、そういう観点で農政というものをもう一回見直す時代に来ているなという感じもいたします。

 そこで、今回の中身をちょっと具体的に見ておりまして、水田農業の構造改革、稲作経営安定対策も含めて、地域水田農業再編緊急対策という、また対策ができたわけです。前にもちょっと、緊急対策というのは余り自慢たらしく言うものではない、もともとの基本的な政策がうまくいっていないから緊急対策で補完しているだけだからと。

 そういう面では、今回の地域水田農業再編緊急対策めいたものを三カ年間実施するということなんだけれども、どうもこういった対策を講じた三カ年後に、日本の農業、集落営農みたいなものが構造的にどういうふうに変わってくるのだというところがちょっと見えてこないのですよね。何か非常にしっかりとしたものにつくりかえていくという、その青写真もちょっとはっきりしておらないわけですし、そういう面では、単なるばらまきではないかという批判をまた受ける可能性があるわけです。

 また、こういったものに類似したような既存の農林省のいろいろな制度も幾つかあるような気がします。そういうものとの整合性がとれているのかどうか。最近スタートしたああいう中山間地域の直接支払い制度もそうでございますし、また、農地のいろいろな基盤整備にかかわるような施策も、最近、ソフト的な事業も含めて組み合わされております。

 そういうことを考えますと、何かそのあたりのしっかりとした整理ができていないのではないかなという感じを持つわけでございますけれども、このあたり、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

武部国務大臣 委員御指摘の問題点というのは私も同様に共有できる課題だ、このように思っておりまして、地域水田農業再編緊急対策は、今回の米政策の見直しの中心的な施策といたしまして、今お話ありましたとおり、平成十四年度から三カ年に集中的に実施する、そして、地域における構造改革の取り組みを推進していく、その推進力と考えているわけでございます。

 具体的には、水田農業を営む複数の者が、集落程度の広がりを持った地域で共同して水田農業の構造改革に関する計画を作成し、担い手への生産の集約、有機農業の導入等の取り組みを行う場合に、その取り組みに応じて交付金を交付する事業として予算要求をしているわけでございます。

 フランスにおけるCTEなどにも学ばせていただいているわけでございますが、現行の他の施策との整合性については、例えば中山間地域等直接支払い制度は、中山間地域等において耕作放棄を防止し、多面的機能を確保するために、傾斜農地等において、集落協定等に基づき農業生産活動等を行う農業者等に対して、生産条件の不利を補正するための交付金を交付する事業でございます。

 これは、オーストリア型のデカップリングというふうにも我々はこれをつくるときに聞いているわけでありますけれども、交付する対象や趣旨等が異なっているわけでございます。したがって競合するものではない、かように考えておりますが、最前申し上げましたように、委員御指摘のような問題が残らないようにさらに考えを進めていく必要がある、私はこのように考えております。

一川委員 私は、やはりこれからの農業に従事する方々が本当に意欲が持てるような農政にするというのは、かねてから大臣もそういうふうにおっしゃっていると思いますけれども、要するに、農水省なり末端の行政機関が集落、地域のいろいろな農業のやり方をいろいろ指図していくというやり方はよくないと思うのです。やはり地域の方々の創意工夫でもって、地域の特性を生かしながら、しっかりと農業に意欲を持って取り組めるような条件を整備してあげるということだと思うのですね。

 そういう面では、今回の緊急対策、ややもすると、やはり末端の機関で働いている役所の皆さん方がいろいろなことで指図してしまう、言うことを聞かないとこの補助金は出さないぞというようなことまで言う可能性というのは私はあると思うのです。だから、そこのところはしっかりとやはり点検をしていただかないと、逆に農業従事者がやる気をなくしてしまうという心配をはらんでいるのではないかなというふうに思っております。

 もう大体時間も来ましたので、ちょっと最後に。

 大臣になられてから今回の狂牛病の話題が出てきましたけれども、実は昨年、口蹄疫というこれまた家畜伝染病、九十二年ぶりに宮崎と北海道に発生したわけですね。あの当時も大変な、問題だ問題だということで、法律改正までして対応しようというような動きになっていったわけですけれども、なぜそんな問題が起こったかというのはどうもまだ特定されていないと思いますけれども、中国からの稲わらか麦わらか、何かそういうたぐいのものが大量に入ってきたがために、それが原因じゃないかというふうに疑われていたわけです。それで今回、狂牛病騒動というのは、これまた要するに飼料、えさにかかわった問題ですよね。

 基本的には海外に物事を依存し過ぎているということが、我が国にとっては大変なこういう問題を近年発生させているのじゃないか。私はやはり、日本の農地、冬場になれば水田はほとんど遊んでいますよね。こういうものを大いに活用するとか、あるいは中山間地域で耕作放棄地が目立ってきているということに対しても、もっと政府がしっかりと支えて、そういうところを耕作放棄が起こらない程度に有効に活用するような農政というのを、私はこの際真剣に考えたらどうかと。

 そこで、例えば今の飼料作物とか家畜用のいろいろな敷きわら的なものとか、そういうものも含めて、日本の農業の、栽培の仕方も含めたいろいろな指導があると思いますけれども、そういうものをしっかりとこの際反省をし、方向転換をするというぐらいの気構えで、武部大臣の時代にその方向づけをされたらどうかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

武部国務大臣 全く同感でございます。口蹄疫もそうですし、O157もそうですし、そして今度のBSEの発生を見て痛切に感ずるのは、まず食と農の問題というものをもっと一つとして距離を縮めていくということが行政的には大事だと思います。それからもう一つは、やはり食の安全ということを考えたときに、目に見えるところで生産がされまた飼育される、どんな環境で飼育されているのか、生産されているのかということは消費者にとって非常に重要な関心事だ、私はこのように痛感しております。

 飼料作物の生産振興を図るということは、我が国の飼料自給率の向上と国産粗飼料の利用による安全、安心というような畜産経営を確立する上で私は極めて重要だと思っておりまして、昨年、飼料増産推進計画を公表いたしました。

 関係者一体となって飼料増産運動を展開する、そういう運動を提唱しているわけでありますが、飼料作物の生産基盤や機械施設の整備に対する助成も実施しているわけでございまして、委員御指摘のようなことを踏まえて、今後とも飼料作物生産拡大や麦わら収集等、自給飼料増産対策の積極的な推進というものに取り組んでまいりたい、かように考えている次第でございます。

一川委員 大臣の見解をお聞きしましたけれども、私は、今農水省はあらゆる分野で一つのピンチの状況にあるというような感じすらするわけでございまして、農水省は、中央省庁再編の中では農水省という名前が変わらないまま残っておりますように、むしろ農水省の自助努力でもって国民の期待にこたえていく、そういう役所であってほしいというふうに私は思います。

 それで、今消費者の目から見て、また一般の経済界の目から見て、やはり依然として農政に対する一種の批判めいたものがございます。そういうものに対して、今しっかりと合意形成をする一つのチャンスでもあるわけですから、そこをやはり国民の皆さん方にしっかりと理解していただけるような農政をぜひ展開していただいて、全体の国民世論の背景のもとでしっかりと日本の農業を再興していただきたい、そのように心からお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。

鉢呂委員長 次に、中林よし子君。

中林委員 私は、先週の週末に、二頭目のBSEの感染牛が発症いたしました北海道の猿払村また近くの豊富町を訪問して、酪農関係者の皆さんそれから農協、村当局などと懇談をしてまいりました。

 そこで、本当に深刻な事態になっているということを改めて感じましたし、酪農家の皆さんの気持ちに沿った対応、これが切実に政府に対して求められているということも改めて感じてまいりました。さらに、政府の責任問題、これもやはり改めて強く思った次第でございます。

 今回の二頭目は九六年の四月四日生まれ、それから先日発症いたしました三頭目は、一頭目と同じ九六年の三月二十六日生まれ、こういうことを見ると、改めて九六年四月のWHOの勧告がどう政府に受けとめられていたのか、そこが明らかにしなければならない点だというふうに思っております。

 言うまでもなく、このWHOの勧告、これはその中心部分ですけれども、三の項目に、「各国は、BSE物質を含む可能性のある組織が、いかなる食物連鎖(ヒトおよび動物の)にも入らないようにする。」それから四として、「すべての国は、反芻動物の飼料に反芻動物の組織を使用することを禁止する。」こうしているわけですね。

 この勧告の意味は、三と四のパラグラフを統一的に見れば明らかなんですけれども、BSE物質を含む可能性のある組織がいかなる食物連鎖、人及び動物にも入らないようにすることが大前提の勧告になっております。

 BSE物質、すなわち異常プリオンを含む可能性のある組織には異常プリオンを含む可能性のある肉骨粉が当然含まれているのです。だから、異常プリオンを含む可能性のある肉骨粉が、どのような形であれ牛に取り込まれ、その結果牛に異常プリオンが蓄積し、その牛を人が食べるという食物連鎖があってはならない、そういう可能性を徹底的に排除すべきである、これが三の項目の趣旨ではありませんか。その前提に立って四の項目が生きてくるわけで、三の項目の趣旨を補強するために「反芻動物の飼料に反芻動物の組織を使用することを禁止する。」こういうふうにしているわけです。

 だから、この禁止措置というのは最低限の措置であって、それ以上の可能性の排除を前提としているわけですね。この点について、大臣、このWHOの勧告を政府としてどのような受けとめ方をされていたのか、明らかにされたいと思います。

武部国務大臣 一九九六年四月三日に、BSE物質を含む可能性のある組織がいかなる食物連鎖にも入らないようにすること、パラ三ですね。及び反すう動物の飼料に反すう動物の組織を使用することを禁止すべき、パラ四のWHOの勧告が示されたところでございますが、この勧告は、我が国におけるBSE及び羊のスクレーピーに係る防疫にとって重要な問題であると認識いたしまして、直ちに同年四月八日に海綿状脳症に関する検討会を開催いたしました。我が国におけるBSE対策のあり方について、ここで意見を伺い、その意見に基づいて、牛の肉骨粉を牛に給与しないよう、都道府県や全農、全酪連等の農業団体に対して指導通達を発出したところでございます。

 なお、具体的な給与規制の手法に関しては、当時、国内においてBSEの発生が見られなかった、発生の見られていた英国からの牛肉加工品や肉骨粉の輸入を禁止した、牛用飼料への肉骨粉の使用はほとんどなかったということなどから、法的規制によらず、行政指導で対処したものである、かように私は報告を受けているのでございます。

 また、一九九七年、平成九年の家伝法の一部改正案を農林水産委員会において可決された際の附帯決議は全会一致で、「また、今後とも、引き続き、牛、めん羊等の肉骨粉等を牛、めん羊等の飼料原料として用いないよう指導すること。」とされていたということも念のために申し上げたいと思います。

中林委員 その後の対応などを聞いているわけじゃない。この九六年のWHOの三の項目と四の項目、とりわけ三の項目ですよね。専門の検討会を立ち上げてその御意見を聞いたというのは当然のことだと思いますよ。思いますけれども、農水省が最終的な判断をして、その対応を迫られたわけですから、その判断として、要するに食物連鎖に入らないようにするというのが、異常プリオンを含んだものが牛にうつって、その牛の肉を人が食べればうつりますよ、そういう食物連鎖、そういうことが起こるようなことを排除すると言っているわけですよ、そういう受けとめ方がありましたか。

武部国務大臣 当時のことは、私、詳しくわかりませんけれども、平成八年に牛用飼料への肉骨粉の混入防止措置を検討しなかったのかということだと思うのでありますが……(中林委員「それは次に聞く話です」と呼ぶ)次に聞く話……(中林委員「そこは次に質問しますよ、だから、一連のパラグラフについてどう受けとめていたかということです」と呼ぶ)それは検討会等で種々意見を聞いて、先ほど申し上げましたような対応をしたということでございます。

中林委員 専門家を招いて検討会を開くというのは、それは当然でしょう。しかし、イギリスで既に発症してから十年たった時点ですよ。イギリスでも報告が出ている、そういうことを考えれば、食物連鎖というのは起こり得るということで、WHOはその加盟国の人の健康を守るという立場から、そういうことが起こらないようにしなきゃいけないよ、あらゆる措置を講じなきゃいけない、そのために四の措置として、異常プリオンを含んでいるようなものを牛に与えちゃいけないよ、こう言っているわけですよ。

 だから、私は当時のことはわからないと思わず大臣は言われましたね。そこが、この委員会でも問題になっている、当時の局長の出席を求めるゆえんですよ。私たちは、与党側から、次官よりも最高責任者である大臣が出席されるんだから、もうこれ以上のことはありません、こう説明を受けました、納得はしていませんけれども。それならば、当時のことはわからないなどということは言えないはずだというふうに思います。

 そこで、武部大臣が――ちゃんと聞いていてくださいね、次、答えようとされたことについて、ではお聞きしますよ。

 WHO勧告を受けてとられた措置として、二週間後に農林水産省畜産局流通飼料課長の名前で、「反すう動物の組織を用いた飼料原料の取扱いについて」という通知が都道府県及び関係団体に出されました。これは法的拘束力のない行政指導の文書であって、肉骨粉の配合飼料への混入防止措置には全く言及はされておりません。なぜ混入防止措置に言及しなかったのか、混入の可能性についてその当時検討しなかったのか、この点を明らかにしてください。

武部国務大臣 委員にお願い申し上げますが、当時の全体的な背景について私は経緯を詳しくは知らないということを申し上げているわけでありまして、細かいことについては、データがありますから、一々検討会での委員の発言要旨なども申し上げてもいいんですよ。

 それから、先ほど国会における両院の農林水産委員会の附帯決議は関係ないとおっしゃいましたけれども、関係なくありませんよ。それは、農林水産省が判断するのであったって、そういったことを十分踏まえて、農林水産大臣がその趣旨を尊重しますということでやっているわけでありますから、私が申し上げましたことについての御理解をお願いしたいと思うんです。

 それから、今の御質問でございますが、平成八年四月の牛由来の肉骨粉の牛用飼料への給与自粛の指導通達発出後、牛用飼料を製造する飼料工場に対して肥飼料検査所が飼料安全法に基づく立入検査を実施し、製造記録の確認、製造工程の検査等により、飼料の製造、出荷の適正化に努めてきたところであります。これにより、牛用飼料原料としての肉骨粉の使用はなかったものの、同一工場において鶏、豚用等の飼料が製造されている工場における混入防止対策は、本年六月にガイドラインを作成するまでは、企業の自主的な取り組みにゆだねられていたということも事実でございます。

 立入検査を行った結果、一部に、ガイドライン策定以前において製造ラインが共用されていたこと、各製品の切りかえ時に十分な洗浄が行われていなかったこと等から、牛用飼料への肉骨粉の混入の可能性は完全に否定できなかった工場もありました。こうした事態が生じていたことは、私は、まことに遺憾なことであります。

 なお、肉骨粉の流通関係者への指導のあり方を含め、BSEに関し、これまでの行政対応上の問題については、ですから私は、過去のことについてあらゆるデータを出して、そして、厚生労働大臣と私の私的諮問機関であるBSE問題に関する調査検討委員会で検証していただこう、さまざまなことをやはり検証しなきゃならぬから、こういうことで今お願いしているわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。

中林委員 時間は限られているし、きょうの理事会でも申し合わせました。もう後が切れているわけだから、答弁者もやはり質問に端的に答えていただきたいというふうに、私は順を踏んでやはり質問させていただいているわけですので、その点は大臣にも要請をしたいというふうに思います。

 そこで、やはり混入防止について、私は、検討を加えられなかったんだろうというふうに思いますね。加えられていたのなら、当然そういうことがやられていたはずなんですよ。だから、そのWHO勧告の三の項目の食物連鎖に入らないようにする措置の、いわば防げたところの検討がされていなかったということは、このWHOの勧告の受けとめ方、ここに私は農水省としてのやはり手抜かりがあったんじゃないかというふうに思います。

 それは、〇・一グラムの汚染された肉骨粉でも狂牛病に感染すると言われているわけですね。それだけではなくて、混入防止問題は、飼料メーカーでは、今大臣も言われましたように、牛向けの配合飼料と鶏や豚向けの肉骨粉の製造を同一ラインで行っていた、あるいは飼料の配送も同一の配送車で行っていた。私は、今回、北海道調査で飼料工場の方にも直接お話を聞きました。工場長は、同じ車を使っていたので、バルク積みの方は混載がなかったとは言い切れない、こう述べてもおられます。

 当時から肉骨粉の牛向け配合飼料への混入の危険性は極めて高かったわけですよ。現に、感染牛を幼獣のころ育てていた北海道の牧場に配合飼料を供給していた飼料メーカーでは、牛向けの配合飼料と肉骨粉の製造を同一ラインで製造していた。それから、今度群馬で発覚したのもそのように言われております。

 この危険性は農林水産省が気づいて、大臣も今言われましたけれども、肉骨粉混入防止のガイドラインを、勧告から五年たったことしの六月、やっと出した。このガイドラインを含めて、肉骨粉の反すう動物への給与を法律で禁止をしたのは狂牛病が発生した後の九月十八日。この措置は決定的にやはり手おくれだったというふうにはお考えにならないんでしょうか。

 そして、今回の狂牛病に感染した牛が五歳牛だったということを考えれば、牛が幼獣のときに給与された飼料が異常プリオンで汚染された、そういう肉骨粉を食べた確率が非常に高いと言われているわけですね。まさに感染牛が幼獣であった五年前の一九九六年の対応、これが決定的だったと私はやはり考えざるを得ないんです。

 だから、大臣、政府として、やはり遅過ぎた、手抜かりがあったなというふうにはお認めになりませんか。

武部国務大臣 委員は、農林水産省、農林水産省、こういうふうにおっしゃいますけれども、やはり民主的に、なおかつ科学的に、客観的にいろいろ御検討いただくということを踏まえて、九六年の指導通達を出したわけです。農業団体、都道府県に発出し、農家、農協等への指導通達を周知徹底するという努力もしてまいったことは先ほど御説明したとおりであります。

 確かに、法的な措置はより強い抑止力がある、私はかように思います。しかし、原因が特定されておらず、法的規制を講じていればどうであったかという判断は当時として困難ではなかったのかな、私はこう思います。

 また、BSE発生後、私が事務当局に指示をして、法的な措置をとるべきだ、いわば政治主導で、そう申し上げて、そういう措置をとったわけでございます。

 今段々お話にございましたが、当時としてそれが手おくれであったとか責任がどうだったかということについては、やはり検証する必要があるということで、先ほど来調査検討委員会で御論議いただいて、それで検証していただいた上で意見をいただいて、今後、行政としてどう対応するかということの参考にさせてもらいたい、こう思っているわけです。

中林委員 その検討会で論議をするのも一考でしょう。しかし、私たちは、いろいろな全国の人たちの声もお聞きし、これまでの経過も全部調べて、そして、やはりここに原因があったんじゃないかというふうに、もう何度も何度もこの委員会あるいは連合審査でお聞きし、そして、ただしているわけですよ。

 先ほどからの議論を通じても、その検討会の結果を見てとか、いろいろなことをおっしゃるんだけれども、もうこれだけ事実を積み重ねてみても、多分、大臣、内心はやはり遅過ぎたなとか、そういうふうに思われるでしょう、危機管理が欠如していたなとはおっしゃるわけですから。その危機管理の欠如の具体的な中身を私は今言っているんですよ。やはりこれをもっと早くやっていればなということを、率直なところ思われるでしょう。

武部国務大臣 率直に申し上げて、法的規制の方が強制力を持ったであろうということはそのとおり、私は、それはそのように思います。

 しかし、当時として、いろいろな識者の方々の意見を聞いて指導通達した、国会においても指導するようにという附帯決議もいただいているときに、農林水産省がすべて責任を負わなければならないことなのかどうかということについては、客観的な検証が要るからといって、私は、調査検討委員会でいろいろ御論議をいただこうということを申し上げていることも御理解いただきたいと思います。

中林委員 政府全体としての責任ということだとか、そういうのはあると思うんですけれども、農林水産省としての問題としては、やはり最高責任者である大臣がそこは答えていただかなければならないというふうに思います。

 そこで、大臣、このパンフレット、ごらんになりましたことありますか。これは、今、北海道が配っているものなんですね。つまり、これは十月に配られたというふうにお聞きしております。

 九六年以降、どのくらい肉骨粉を牛に与えたかという農水省の調査で、五千頭を超える牛に与えられていたということを考えるならば、いろいろ行政指導もやったし立ち入りもやった、飼料会社にも、抜き取り検査、立ち入り、そういうこともやってきたといろいろおっしゃるでしょう。しかし、やはり抜けていた。異常プリオンを含んだ肉骨粉が入ったがために狂牛病が発生したわけですよ。

 そうであるならば、こういうものが、これは非常にいいものだと私は思いました。これが九六年当時、農林水産省の名前で全国の畜産農家、関係者、そこに届いていたならば、こんな状況にはならなかったというふうに思います。いかがですか。

武部国務大臣 いや、私自身、農林水産大臣として当時のことを振り返って考えるならば、当時から今日に至るまで、反省しなければならないこと、こうあるべきであったと思うこと、なぜこうしなかったんだろうと疑問を感ずること、どうしてこんなに危機管理意識が欠けていたんだろう、そういう問題意識、検査体制がなぜこういうような形になっていたんだろう、そういう問題意識、もう数々ございます。

 でありますから、私ども、あれから二カ月半、これから三カ月に向かおうとしておりますが、この間に、相当思い切ったことを院の各党の御意見も踏まえながら全力を尽くしてやっているわけでございまして、私どもは、やはり反省の上に立って、将来に向かってどうすべきかということで仕事をしているということは申し上げるまでもないことでございます。

中林委員 次に、輸入検疫問題についてお伺いしたいというふうに思います。

 牛でも馬でもですけれども、輸入される際には、当然、輸出国側の家畜伝染病にかかっていないという証明が必要ですが、その証明書があったとしても、輸入の際に検査をする二重検疫がなされていますが、これが検疫の重要な原則だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

小林政府参考人 動物検疫につきましては、家畜の病原体の侵入の防止という観点で、特に家畜衛生に関します国際機関、国際獣疫事務局、OIEでございますが、そちらの方の定める基準に準拠して、それぞれの国の間で衛生条件を定める、輸出する方と輸入する方でそれぞれチェックするという仕組みになっているところでございます。

中林委員 そこで、今回発表になりました中間報告、これを見ました。ここで指摘されている肉骨粉のイタリアからの輸入問題、これは大変重要な問題を含んでいるというふうに思います。

 イタリアの輸入はすべて加熱条件を守っているとの証明書がついていたわけです。しかし、調べてみたら、加圧器を新設したのは九八年六月だった、それ以前は加熱条件が守られていない可能性がある、こういうふうに報告されております。だから、検疫のいわば基本が守られていなかったということがわかるんじゃないですか。

 二重検疫の立場から見れば、相手の国が証明書を出したとしても、それが守られていない可能性があることを前提として検疫する、また、証明書がきちんと保証されているかを点検する、これらは当たり前のことだというふうに思います。しかし、この輸入肉骨粉については、加熱証明書がついているから安全である、その前提に立ってすべてが処理されてきたんです。結果的には、この輸入肉骨粉を通じて国内に狂牛病が持ち込まれた可能性が非常に強い。

 二重検疫の立場で考えれば、仮に加熱証明があったとしても、加熱不十分で異常プリオンが持ち込まれる可能性がある、だったら、混入防止措置がどうしても必要だ、あるいは輸入禁止をするのが安全確保上どうしても必要だ、こういう結論が出てくると思うんですけれども、この点でも政府の責任は私は大きいと思いますけれども、いかがですか。

小林政府参考人 まず、中間報告の関係のイタリアの案件でございます。

 今、先生御指摘の点がございました。それで、今私ども、イタリア政府に対しまして、一九九八年六月以前の、湿熱の加熱がなされた、こういった回答が来ておりますので、その具体的な加熱処理方法等につきまして引き続き調査を進めている、まずこういった状況が一つでございます。

 それから、今の動物検疫の関係でございますが、これも、先ほど申しましたようないわば取り決めのもとで、それぞれお互いの国で衛生条件を決めます。その衛生条件に基づいて、それぞれの国のしかるべき当局が、輸出の場合には輸出証明を出す。それでもって、例えば今度の件ですと加熱条件とか、そういったものが担保される。

 そういうのがいわば国際的なルールでございまして、グローバル化の中でのいろいろな貿易につきまして、そういう国際ルールに基づいた各国のそれぞれの当局の間の一つの信頼関係といいますか、そういうルールに基づいてやっている。それが今の検疫としての一つの仕組みだということでございます。

中林委員 その信頼関係で、証明書がついているから、では一〇〇%あなた方はこれを信頼する、そういう処理をされたんですか。

小林政府参考人 相手国のしかるべき機関のそういった輸出に関する証明書、これは私ども信頼すべきものとして対応しております。

中林委員 しかし、二重検疫というのは、特に肉骨粉というのは目視だけではわからない、そういうことだと思いますし、科学的に解明する手段がまだ日本になければ、そこに異常プリオンを含んでいるものがある可能性をやはり予測しなきゃならなかったはずだ、そうなれば、輸入禁止措置あるいは混入防止措置、これが当然やられてしかるべきだ、それをやらなかったのは、この二重検疫のいわば国内措置の方を怠った、こういうことが断定できるというふうに私は思います。

 大臣、考えてください。WHOの受けとめ方、あるいは今度の中間報告で出た輸入肉骨粉の中で、イタリアはどうも、九八年、そのときにやっと加圧器の新設をした。それ以前のものはちょっと疑いがあるなということで、今派遣されて調べられている状況なんですよ。そう見れば、検疫体制の問題だとかあるいは勧告の受けとめ方だとか、そこをしっかりしているならば、今回の事態はやはり防げていたというふうに私は思うんです。

 責任問題を追及してもなかなかいい答弁が出てこないんですけれども、端的に、その辺はやはりちゃんとしておけばよかったな、こう反省をされているのかどうか、その点をお答えください。

武部国務大臣 反省しなきゃならぬことはたくさんあるんだと思うんですね。

 その上で、我が国において、他の主要国と同様に、輸出国政府が発行した検査証明書の添付を求め、我が国に到着した時点で検査証明書の内容の確認等の輸入検査を行っているわけであります。

 しかし、今委員御指摘のように、個別的に、これは反省すべきか、これは責任を認めるか、そういうようなことについては私どももいろいろの考えがあります。

 そこで、やはり、委員が先ほど申されましたように、客観的に、科学的に検証するということが必要なんじゃないか、私はこう思いまして、厚生労働大臣と私の私的諮問機関でありますBSE問題に関する調査検討委員会を設置して、その中でしっかり検証していただいた上で、今後の行政上の問題についてしっかりした対応を考えていかなければならないのではないか、私はかように考えているわけでございます。

中林委員 私、大臣にぜひ認識してほしいと思うんですけれども、安全の確保ということは、危険な事態の可能性を事前に予測して、危険性をすべて排除する、これは同意できると思うんです。

 そうすると、輸入肉骨粉、イタリアに限らずいろいろな国からされた、全部証明書はついてきたでしょう、ちゃんとやっていますよという証明書なんだけれども、しかし、一〇〇%ということはなかなか確認できない。となれば当然、混入防止措置をとる、あるいは輸入禁止措置をとる、こういうことがやられていたら水際で防げた、こういうことを私は申し上げているわけですよ。

 だから、大臣もうなずいておられるので、私は、今のような生産者、流通業者を含めて大変な被害をもたらされたその責任、すべては農水省じゃないとおっしゃるけれども、非常に大きな点々で農水省の責任は逃れるわけにはいかないということを重ねて申し上げておきます。

 そこで、猿払村での懇談で、現在、肉牛生産者、酪農家が置かれている深刻な状況が次々に話されました。多くの生産者が、次は自分の飼っている牛から出るのではないかと不安におののいておられて、牛を屠畜場に出さないまま、出せばということで、もう爆弾を抱えているようなものだ、こういう訴えもあって、牛舎に置いたままにしている。その不安感、大臣、おわかりですか。

武部国務大臣 私も酪農については決して素人だとは思っておりませんので、今当該農家がどういう状態に置かれているか、また、これを取り巻く酪農家が、もしかすると今度は自分の番ではないか、そういう懸念を持っていることは十二分に承知している次第でございます。

 そのことによって、本来廃用に回したい牛も出すに出せないという状態になっていく。そのことによって搾乳牛の更新ができないとなれば、これは今後の酪農業に重大な影響を来すわけでございまして、そういう意味からも、私ども、BSE感染牛をきちんと摘発することがまず消費者の信頼を回復する基本であるということを酪農家の皆様にも十分御理解を願えるような努力をしてまいりたいと思っております。

 乳廃牛の出荷が滞る状況が深刻化するということになれば、酪農経営に悪影響が及ぶ可能性があることは、ただいま申し上げたとおりでありますし、農家段階において死亡牛の頭数が増加し、酪農地域におけるこれらの処理に多大な負担が生ずる可能性があること等から、乳廃牛の出荷が円滑に行われるような方策について、今検討を指示しているところでございます。

中林委員 私は本当に、お一人お一人の切実な声を聞きながら、とても涙が出るような思いでお聞きしました。牛は家族だということもおっしゃっている中で、本当に、出荷しなきゃならない牛を抱えながら出せないというこの状況ですよ。それはどういうところから来ているかということなんですね。

 仮に感染牛が出た場合、同居牛は、一定の要件はありますけれども、疑似患畜として焼却処分とされますし、その補償は全額ではなくて八割補償、それも一体いつの牛の価格の八割なのかということがわからないとおっしゃるわけです。それも、いつ支給されるのかもわからない。そして、同居牛が処分されてしまって新たに牛を導入したとしても、すぐ乳が出るわけではない、経営が軌道に乗るまでは半年かかるとおっしゃっております。その間の資金をどうするのか、新たな牛の導入資金はどうなるのか、何も示されてはおりません。

 これで不安になるなと言われても、無理からぬ話だというふうに思うので、この酪農家の不安に具体的にどのようにこたえるのか。今検討中ということじゃなくて、少なくとも、八割補償のときの価格の問題ですね、それはやはりBSEが発覚する以前の価格で八割補償をすべきだというふうに思うんですけれども、具体的なものがあればぜひ示していただきたいと思います。

遠藤(武)副大臣 酪農家及び畜産農家の経営上の苦衷はよくわかるつもりであります。

 ただ、BSEが発見された以前の価格ということですが、現在、それぞれの地域の三人の方々が評価しております。それに従っておる、こういうことでございます。

中林委員 そうすると、確かに三人の体制で評価していくんだということをお聞きしているんですけれども、評価の基準、これは、では三人の身勝手なことでいいんですか、ではBSE前の、発覚の時点でやるよとか。やはり国が、この酪農あるいは畜産が今後も続けられていく、安心して続けていいよと言えるものをちゃんと示さなければ、不安感はやはり消えるわけではないですよ。ぜひそこははっきりさせてください。

遠藤(武)副大臣 家畜防疫員それから市町村の職員等でやっているわけですが、いわば法に基づく処分が実施された時点での地域における実際の取引価格ということを参考にしなさい、こういうことにしております。

 また、家畜共済に加入しているかどうかも一つの決め手になるかと思います。

中林委員 その取引価格が今物すごく下がってしまっている。この時点でやられたんじゃ、今三頭が発覚した、どなたもが、いや、四頭目、五頭目という話が出る、そのたびに下がっていったら、下がった価格の八割なんかということでは、もうとてもじゃないけれども、意欲を持ってもう一回やっていこうかという気持ちにはならないんですよ。これはぜひ前向きの答弁をいただきたい。本当に意欲が持てるような、そういう方針を具体的に検討していただきたい。もう一度答弁を求めます。

遠藤(武)副大臣 私どもは、ただ単に大家畜経営資金だけじゃなくて、子牛の取引価格や……(中林委員「いや、それは知っているんです、もうそれは全部知っているんです」と呼ぶ)ですから、いろいろな総合的な対策でもって対応するほかない。やはり、制度として固定しているもの、法の改正を伴うものは、あしたからやろうかというわけにはまいらないのは、委員御承知のとおりだと思います。

中林委員 私は、千葉で一頭目が発覚した農家の方の切実な思いとして、今はもう出ているのかどうかわかりませんけれども、十一月末の時点ではまだお金がおりておりませんでした。本当に、新しい牛も導入して搾乳を始めたやさきに二頭目が発覚したという状況で、一時はもうやけ酒を飲んでいたと聞いたんですよ。それを仲間の人たちに支えられてやっとやる気になったという状況ですよ。これが今全国の特に酪農家の方々の、ちゃんとしたものがあればなという思いですから、それはぜひ、大臣も受けとめているとおっしゃっているわけだから、受けとめて、具体的対策をしてください。

 そこで、具体的な対策として、海外悪性伝染病防疫互助事業というのがことしから始まっているんです。これは、自主的に淘汰した家畜の損失に対する補償、経営再開に向けた資金、死体処理費用が出されるので、これ自身は望ましい制度だと私は思います。しかし、この事業の対象に肝心なBSEが対象になっていないわけですよ。

 もちろん保険設計の問題もあると思うんです。しかし、技術的に難しいなどと言っている段階じゃない。現にBSEが出たわけですから、国の財政支援も含めて、国の責任で直ちにBSEを対象にする、そういう手を打つべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

小林政府参考人 今先生からも御指摘ございましたように、この今の事業の仕組みでございますが、豚コレラとか口蹄疫、こういった事業が対象になっております。

 いわばこの仕組みといたしまして……(中林委員「もう仕組みは聞かなくていいんです」と呼ぶ)要するに、そういうことで、今の仕組みで新しいBSEというものをそのまま適用するというふうになりますと、これは難しさがあります。そこも、おっしゃったとおりです。

 そういう意味で、既存の事業の枠組みのままでその対象疾病にBSEを追加する、こういうことは難点がありますので、では、これから、こういったことについて、既存の加入者の皆さんを含めて、そういった方法があるのかどうか、これからのBSEの検査のデータの蓄積だとか、それから事業参加者となるべき生産者の皆さんの意向、こういうものを踏まえながら研究していく必要があると考えています。

中林委員 研究期間は余り置かないで、もう既にみんな不安がっているわけですから、これがあればとおっしゃる地域もありましたので、今までの設計とは別枠でもいいですので、ぜひ検討していただきたいというふうに重ねて要望をいたします。

 大臣、さっき遠藤副大臣の方から、あらゆる総合的な施策をやっているので、そこから判断してくれという話があったんですけれども、しかし今、現状はそういうわけにはいかない。

 確かに、大家畜経営維持資金がありますよ、つなぎ資金として。かなり都道府県が利子補給して、無利子化している都道府県も出てきました。しかし、一年というのは、これだけ次々にBSEが出てきているわけですから、長期にわたるということになれば、一年たてば経営が安定的に戻るということではありません。

 鳥取県の東伯町という、牛が主な産業になっているところの農協からの要望なんですけれども、一年の償還期間ではとても借りられない、だから一年たったら五年償還程度の無利子資金にかえてほしい、こういうことになっているわけですけれども、そういう点だとか、それから、今借りている制度資金、その猶予も実は非常に強い要望としてありますけれども、この二点についていかがでしょうか。

遠藤(武)副大臣 ある意味では、農家の担保能力が非常になくなってきているわけで、おっしゃることはよくわかりますし、そういう点の御要望も多いことも承知しています。

 利子補給等については、現在、三十七道府県でやっておるわけです。それで、現在の制度でのとりあえずのつなぎ資金ですから、これの償還期限を延長するというわけにはまいらない、そういう制度でございますが、その制度を利用した上でのとりあえずのつなぎということであります。

 また、利子を無利子に国でするということは、一部にそうして手当てしている自治体や農協がある限り、全体的な整合性を図りたい、こう思っています。

 それから、既往の、いろいろ今までの借りているお金、これについては、およそ、融資機関等に対して、個別の経営事情においてよく理解をしてくれということで、現時点で三百六十二件の償還猶予措置済みであります、十一月十五日までで。

中林委員 今度の第二次の中で、そういう無利子の一・六%の一年というつなぎ資金が出たのは承知の上で、それでは借りられないという切実な声があって、やはり長く、どうせ長期になっていくんだから償還期間を延ばしてほしいというのが切実な声です。

 実は、連合審査のときも、卸売業者だとか飲食業者に対する損失補償の問題をただしました。なかなかいい回答をいただかなかったんですけれども、これは農林水産省の決意いかんだ、そうすれば中小企業庁も考えられる、こういうことがあるんですよ。

 今、焼き肉屋さんあるいは肉関係の小売店さんは、本当に、資金だけでは対応できない、自分たちの責任ではないんだから補償してほしいという要望が強いです。これについての前向きの答弁を求めたいと思います。

 それから前回、連合審査のときに、厚生労働大臣に対して、屠畜場の経営の問題でただしました。その後どうなったのか、今後援助を強めていくのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。

遠藤(武)副大臣 申し上げるまでもなく、経済産業省、それから一部厚生労働省、そして私どもと、セーフティーネット貸し付けや、これは経産省ですが、現在千四百四十七件、百二十一億ほど措置済みでありますが、いろいろ先生おっしゃるような御要望が非常に多いということも承知しております。

 そこで、これは他省庁にまたがる問題ですから、制度の上でも、あるいは中小企業の内容等についても、いろいろ考えなきゃならぬことがたくさんございますので、これから詰めなきゃならぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えているところでございます。

桝屋副大臣 今委員からお尋ねのように、十一月十六日の連合審査会で、屠畜場の経営の問題についてお尋ねをいただきました。大臣の方からは、都道府県の存在もありますので、よく相談をしていきたいというふうにお答えを申し上げたところでございます。

 現実に屠畜場の現状は、十月十八日から確かに大幅に数が減りましたけれども、ここ数日の状況を見ると、平均件数約五千四百件、昨年の九割程度まで何とか回復をしてきているところでございます。

 屠畜場の設置者において必要な人員等の確保に最大限努めていただいているというふうに思っておりますが、大臣もお答えしましたように、今日までも、屠畜場の運営等については、検査員の問題とか、各都道府県と十分情報交換をしながら、相談をしながら進めてまいりました。これからも適切に相談をしながら、対応を進めていきたいと考えております。

中林委員 最後に、御返事はいただかないので、検討をしていただきたい旨だけ申し上げたいと思うのです。

 それは、農家の人たちの非常に強い要望だったのですが、BSEについては、母子感染ルート以外は、肉骨粉以外には感染はあり得ないので、酪農家や肉牛生産農家は、それに対する十分な配慮がなされなければならないというふうに思うのです。

 現在は、家畜伝染病予防法、これで対応していて、予防法というのはあくまでも水平感染が前提でして、今回のような垂直感染の場合は余り前提とされていないということになると、なかなか気持ち的に、これでばさばさとやっていいのかという問題があるのです。

 もちろん消費者の安全問題がありますから、そう一概には言えないのですけれども、生産者のその気持ちが十分配慮されるような対応が求められている、その検討をぜひやっていただきたいということを要望して、質問を終わります。

鉢呂委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 委員長にお聞きします。

 今、農水委員会の理事が四人という状況です。そして、過半数にこの委員会が達していないというふうに思うのですけれども、私は、こういう中で質疑を続けるというわけにはいきません。委員長の見解をお聞きします。

鉢呂委員長 政務官も入れれば、ちょうど二十名おりますので、どうぞ。(菅野委員「二十名は過半数じゃないでしょう」と呼ぶ)半数以上ですので、続けてください。

菅野委員 何人ですか、今。

鉢呂委員長 二十名、私を入れて、おります。

菅野委員 委員長を入れて二十名ですから、成立していませんよね。過半数以上でしょう。過半数でしょう。

鉢呂委員長 国会法四十九条、「委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」

 どうぞ。菅野哲雄君。

菅野委員 わかりました。途中で過半数を割ったという状況になったら、即やめたいと思っています。

 というのは、これくらい重大な問題を農水委員会で質疑しているときに、私たちは関係ないという国会の姿そのものが問われなきゃならないんじゃないですか。私は、そういうふうな意味でもって訴えたつもりでございます。

 私は、この十二月一日、二日と、社民党の国会調査団として、党首を先頭にして、佐呂間町と猿払村、強行軍だったのですが、視察、国会調査に行ってまいりました。中林さんがその前日に猿払村に入って実情を視察しておりますけれども、今、畜産農家あるいは肉用牛農家の抱えている問題の重大さというものを本当に肌身で感じてきたから、私はこういうふうに申し上げるのです。

 国全体を挙げて、この日本の畜産業、酪農も含めて、今後の行く末をしっかりと育てていかなければならない重大な時期にあるというふうに思うし、そして、そのことを真剣になって、政府、国会挙げて取り組んでいかなきゃならない課題というのが山積しているんではないでしょうか。このことを冒頭申し上げておきたいというふうに思っています。

 そして、この国会調査の中で訴えられたことをお話ししたいというふうに思います。

 今、八十頭飼っている酪農家、三十八歳の人と懇談してきました。今、国や国会に望むことは何ですか、端的におっしゃってくださいと言われたときに、大臣、一日でも早く私の不安を解消していただきたいということです、それから、一日でも早くこのBSEの感染源を特定してください、それ以上のことはございませんと言われました。

 私は、この二日間の国会調査の中で、この不安解消というのは何なんだろうということを追求してきました。そうしたときに、不安というのは、先ほど中林さんもおっしゃっていましたけれども、八十頭飼っているこの畜舎からBSEが出たならば、その酪農家は生きがいを失うということなんです。八人です。ひいおじいさん、ひいおばあさん、それからおじいさん、おばあさん、そして息子さん夫婦、そして子供二人、この八人家族の生きがいがその瞬間から奪われてしまうということなんです。このことに対して毎日不安におののいていますということです。この不安を一日でも早く解消していただきたいという願いを訴えられました。

 猿払村でも同じ状況でした。どうしてと聞いたときに、家畜伝染病予防法にBSEが位置づけられているんですね。そして、家畜伝染病予防法においては、BSEが発生したときに、第十七条に書かれてあるのですけれども、「殺処分」ということで「都道府県知事は、家畜伝染病のまん延を防止するため必要があるときは、次に掲げる家畜の所有者に期限を定めて当該家畜を殺すべき旨を命ずることができる。」と言っています。疑似患畜も含めてですね。疑似患畜とやって、同居牛はすべて殺しなさいという命令を受けてしまうのですね。この命令を受けたときに、家族はどうなるんですか。

 そして、言っていました。全部殺して、畜産農家として再建していくだけに五年から十年はかかりますということです。新たな牛を買って子供をとって乳を搾り始めてそれを八十頭までふやすために何年かかると思いますか。こういう今の法律体系になっているということを知ったときに、これは何とか直さなきゃいけないという気持ちになりました、生産者の立場に立ったときに。私は、重大な問題がここにあるというふうに思っています。

 そして、これが三頭出ましたから、一頭目のときはそんなに問題にならなかったんですけれども、二頭、三頭と出たときに、この問題が非常に重要な意味を持つというふうに私は思えてならないわけです。大臣、この私の今の言ったことに対して、見解をお聞きしておきたいと思います。

武部国務大臣 佐呂間は私の選挙区でして、佐呂間の酪農家は長年おつき合いのある方です。あそこの奥さんは脳腫瘍を患っていまして、一番病気によくないのはストレスがたまることだと、私もお宅に行って直接話も聞いてきております。そして、一頭目が発生したときに、朝、外に出ればテレビのカメラが並んでいる、近所づき合いもままならない、本当に、私が何か重罪な犯罪を犯したかのような扱いを受けていると。泣いていましたよ。

 また、他の酪農家がなかなか近寄らない。ということはどういうことかというと、やはり、今度自分が二番目の発生者になりたくない、そういったことに対する不安、恐れ。私も、委員御視察いただいたことを聞いておりますけれども、恐らく猿払の皆さん方もさようであろうと思います。

 ですから、その深刻さは痛いほどわかるわけでありますが、しかし、当初一頭目が発生したときに、私、農林水産大臣が一番批判されたことは、農林水産省というのは生産者のための役所ですかと。そういう大合唱でした。私は、生産者と消費者の間に立って仕事をしているつもりだ、こう申し上げました。

 そして、輸入肉骨粉もとめました。国内の製造、出荷もとめました。今、家畜伝染病予防法についてお話ありましたけれども、私は、今後、大事なことは、やはり、科学的な知見ということに従って、冷静、適切な対応をこのBSEの問題に対してはしっかりやっていく必要があるんだろう、かように思います。

 肉骨粉のことについても、私は、至るところで、慎重に検討しなけりゃならぬ問題がある、急がなきゃならぬけれども慎重に検討したいと。それは何かといったら、焼却せい、焼却せいと言っても、本当に終末処理ができるのかどうかと。私は、九月二十七日に環境大臣に相談して、年間四千万トン処理できる、百六十万トンなら何とかなるでしょうということで踏み切ったんです。

 答弁が長くなりましたから、これ以上のことは申し上げませんが、今、家畜伝染病予防法上の伝染性疾病に該当しているという問題についても、私は、一日も早い風評被害を鎮静化させて消費の回復ということを考えたときに、やはり、この法律の趣旨にのっとった対応をしていかざるを得ない、このように認識しております。

 その上で、BSEを本法の対象とすることにより、家畜防疫員による検査等の家畜伝染病を予防するための措置や、今委員が指摘されましたような殺処分命令の措置、あるいは輸入禁止等の措置、適切な防疫措置を図ると同時に、本法に基づいた対応のほかにも、しっかりした経営安定対策、そういったことを考えていかなきゃならないということで、事務当局に指示をしている次第でございます。

 きょうも、これまでいろいろ議論ありましたけれども、そのことは私どもも真剣に考えて、一日も早く、一頭目の場合には、それぞれ今立ち上がろうとして平静さが戻りつつありますけれども、二頭目、三頭目についても、政府としてでき得る限りのことをやらなきゃならぬ、そういう認識でございます。

菅野委員 私は、生産者あるいは消費者という立場両方を考えていかなければならないというのは重々承知しています。ただ、日本の、酪農も含めて畜産経営が将来にわたって持続可能な産業にしていかなければならないということだというふうに思うんです。

 この三頭目が出たということは、四頭目、五頭目、現地に行って大臣はわかっていると思うんですが、佐呂間町長さんは獣医さんですよね、が言っていました。日本のBSEに関しては相当覚悟を決めなければならないと言っていました。百頭、二百頭、あるいはイギリス並みの十八万頭とはいかないまでも、数百頭あるいは数千頭覚悟しなきゃならないかもしれない、こういう状況に今立ち至ったと言っています。私もそう思わざるを得ないと思うんですね。

 そういうときに、この家畜伝染病予防法にのっとって、そして全部、疑似患畜牛を殺していくという状況になったときに、どういう状況が生まれてくるのかということだというふうに、いいですか、猿払村では酪農経営をやっている人が七十戸だそうです。大体平均百頭だから、五千頭です。ということは、同居牛も殺処分していったならば猿払村から牛はいなくなるんじゃないのか、こういう恐怖におののいているんです。

 この家畜伝染病予防法に基づく疑似患畜に、これは条件がありますけれども、厳格に適用していったならば、そういう事態に陥ってしまいます。一万頭あるいはそれ以上のものを殺さざるを得ないという状況に今なっているんじゃないでしょうか。

 そうしたときに、この家畜伝染病予防法というものの枠を超えて新たなBSEの対策法をつくらなければ、この状態は解消されていかないんじゃないのかなというふうに思うんですが、政府の見解をお聞きします。

小林政府参考人 ちょっとまず、先生に御理解いただきたい点があるんですが、このBSE、確かに経口感染でありまして、いわゆる口蹄疫のようなああいった空気伝染はないんですが、ただ、先ほど来議論ございますように、主に汚染された肉骨粉を含んだ飼料の摂取、これで感染するということでございまして、そういう意味で、ウイルスのように、同居したことにより感染するものではないことは確かでございます。

 ただ、OIEとかそういった国際基準でも定められておるんですが、発生農家段階で、隔離ですね、感染牛と同居したことのある牛とか、そういったことで、同じえさを食べて同じ病気にかかった疑いのあるもの、こういったものを疑似患畜として定めていこうということで、そういう意味では、疑似患畜の基準も国際的にございます。

 例えて言いますれば、その牛が一歳になるまでの間に患畜と同居したことがある、これは、一年間一緒にいて同じえさを食べていたという場合ですね。そういった形でいわば要件を決めて選んでいくというのが疑似患畜でございます。

 それで、これは先ほど申したような趣旨で、あくまでも同じえさを食べて、やはりかかっている疑いがあるということでやっておりますので、そういう意味では、非常に広く、空気感染するからずっと大きく輪をかけるというものとは違っているということをまず御理解いただきたいのが一つです。

 それから、これがとにかくヨーロッパを含みまして、国際獣疫事務局、OIEの基準でやっておりまして、国によっては相当広く、同居牛を含めてやっているところもございますが、我が国は、そういった客観的な基準で進めているということでございます。

 それから、今の、まさにBSEの感染をとめていくというこういった防疫上の観点、これをまず私どもきちんとやっていかなくちゃいけないということと、それから、先ほど来議論ございます、まさに、そういう中で、当該農家の経営、これをどうやって再建していくかということは、またこれは別途の対策としてもちろん考えるべきということで、とにかく家畜防疫をちゃんとやる。それでこのBSEの発生なり蔓延をとめていく、これがまず第一の目標としてやっていかなければいけない、そういう事柄だということを御理解いただきたいと思います。

菅野委員 農水省が発行している、今そういう回答が返ってくるというのを想定しているんですが、「牛海綿状脳症問題の経緯と対応について」という文章が、調査室でまとめたところに入っているんですね、BSEの一連の経過の資料集の中に。これは農水省が出しているんですが、「BSEは、まん延しにくい牛の病気です。」と書いてあるんです。「BSEは、まん延しにくい牛の病気です。」。ちなみに、英国での発生状況を見ても、BSE発生農場の同居牛、すなわち同じ環境のもとで同じ飼料を食べていた牛が次々に発症しているわけではなく、英国におけるBSE発生農場一戸当たり発生率は、一九九二年から九三年のピーク時でも約三%であり、二頭以下の発症が半数を占めています。こう書いているんですね。

 そうしたら、今、家畜伝染病予防法に疑似患畜という部分が同居牛を含めて指定していくという方針はおかしいんじゃないですか。一方では、蔓延防止のために農家をつぶしていって、一方では、消費者に向けては、もうBSEは蔓延しにくいんですからというふうなこの不統一、これがおかしいと言っているんです。

 そういう意味で、家畜伝染病予防法をすっかり見直して、あるいは新たに家畜伝染病予防法にかわるBSE対策法というものをつくっていかなければならないんじゃないのかな、これが農家の切実な訴えだということなんです。答弁願います。

小林政府参考人 今先生から御指摘ございました、水平感染という意味でのBSEの蔓延しにくさ、それと今までのイギリスでの発症率、こういったデータがそろっていると思います。そういった水平感染としての可能性といいますか、そういったものと、それから同じ農場で同じえさを一定期間、例えば非常にかかりやすい一年間とか、そういうときにやはり食べていた牛というのは、相当感染の確率が高いということで、そういう意味で国際基準で定められているわけでございます。

 ですから、そういった意味でも、いわば基準に基づく防疫上の見地で定められたそういった枠内でやっているということでございます。

菅野委員 そうすると、農林水産省が出した「BSEは、まん延しにくい牛の病気です。」というこれに対する見解はどうなんですか。これは事実なんですか。そうなんですか。これをはっきりしてください。

武部国務大臣 私は詳しくありませんけれども、それを私が説明させていただきますと、今申し上げたことは、これは今委員がおっしゃったことは、私も調べた範囲ではそのとおりです。同居牛であり、そして同じえさを食べて感染する確率は三%だということは私も調べました。また、委員がそういうことをおっしゃるのであれば、我々が、三十カ月齢以上の牛に感染する確率は九九・九五%ですね。だけれども、〇・〇五%の確率があるということで、全頭検査をやらなきゃならぬということでやっているわけですね。

 それから、今の家畜伝染病との関係ですけれども、やはりこれはOIEの基準においても、一定の同居歴等の条件を満たす同居牛については殺処分するということにしているわけでありますし、しかし、我が国においても、OIEの基準に準拠し、感染リスクの高い同居牛については疑似患畜、こういうふうにされているわけでありますから、我が国の今後のBSE対策を進める上で、やはりこれは家畜伝染病予防法にのっとって対応しなければならぬことだ、このように考えます。

 しかし、BSE対策を進める上で、そういったものは、ただ屠殺され淘汰されるというだけではないと思うんですね。これはやはりさまざまな貴重な知見ともなるわけでありますから、そういったことを踏まえて、私は、経営の安定対策といいますか、酪農経営が再起できるような、そういう手だてというものはやはり特別に考えていく、そういう考え方が私は必要になってくる、このように思っているんです。

 そういったことも今検討させておりますし、また、生産者の同意のもとに家畜衛生保健所において、例の疑似患畜でない牛、自営の場合、佐呂間や千葉でやったものは、それは家畜伝染病予防法とはちょっと範疇が違いますから、それは生産者、当事者と相談の上でやるべきことだろう、このように思っております。

菅野委員 今この問題で、大臣答弁と生産局長の答弁では食い違いがあるんですね。先ほど小林生産局長は、OIEの基準はあるけれども、この同居牛を全頭殺処分するというのは各国の対応だと言っている。議事録を調べてみてください、各国での対応だと。大臣は、これはOIEの基準でもってやっていますと。これは、矛盾があるんじゃないですか。各国での対応なのか、OIEの基準なのか。ここをはっきりさせてください。最初に小林局長がそう言ったんですから、その見解を示してください。

武部国務大臣 より詳しい生産局長に答弁させます。

小林政府参考人 言い方のあれかもしれませんが、要するに、OIE規約があります。そこでルールが決まっています。それを受けて、我が国でも日本のルールとして決めている。ですから、大臣がおっしゃっているまさにOIEの基準、それを受けて我が国なりにしているということと、私の言った、言い方は若干違うかもしれませんけれども、趣旨は同様でございます。

菅野委員 OIE基準に基づいて我が国は全頭殺処分していますと言いましたね。そして先ほどは、他の国々はそれぞれの実情に応じてという言葉を使いましたね。全世界でOIE基準によって疑似患畜牛を特定しているんですか。そこをはっきりさせてください。

小林政府参考人 ちょっと私の今までの答弁で食い違ったら恐縮なんですが、私が先ほど来委員に御説明申し上げたかったのは、OIEの基準というのがあって、それに基づいて枠組みをつくっているということ。それから、感染といいますか、空気感染なんかと違いますので、同居牛の中でも、例えば同じ一年の間、その牛と同じえさを食べていた牛だとか、そういったところにいわば限定してやっております。それから、例えばEUあたりではもっときつい基準でやっている国もございます。そういうことをちょっとるる申し上げたつもりでございます。

菅野委員 私は、そこがこの議論の重要なところだというふうに……。千葉で七十頭、第一号が出たときに、全部殺処分して検査しました。そして今度、今二頭目が出た猿払村で、このことに対して恐怖におののいているんですね。

 ここに私のところにファクスが送られてきているんですけれども、この十七条は、都道府県知事が命ずることができるとなっています。今度、猿払村の場合は、北海道がどういう決定をするのか、そして、きょうかあすかという状況に、今、猿払村の人たちは、どうなるんだろうと注目しています。一定の条件というものをしっかりと示して、そして、こういう条件であればということを都道府県に流す必要があるというふうに思うんですね。

 千葉の例は全頭殺処分ですね。そして焼却です。猿払も同じことをやられたらば、先ほど言ったように、生産者の不安というのは、生きがいを奪われることになるということです。今までずっと歴代かかって築き上げた酪農経営から、お金をもらってだって立て直すまでに五年かかると言っていました。軌道に乗るまで、同じような状況にするまで十年はかかるだろうなと言っていました。そういう体制を、私は、つくらなくてもいいんじゃないのかなと。

 というのは、出口は、十月十八日からしっかりとした体制がつくられたという、このことがなければこんなことを言いません。そして、この件に対しても見解をお聞きしておきたいというふうに思います。どうですか。

小林政府参考人 今の委員の、そういった一つのこちらの家畜伝染病予防法の仕組みないし考え方、こういったものをやはりきちんと明らかにして現場でもわかりやすく、そういった趣旨は非常に重要だと思います。私ども、今回こういったBSEが出たときにマニュアルを整備いたしまして、そういった中で、今申し上げました、どういった態様の同居牛が疑似患畜になる、そういったものを明らかにしておりますので、こういった趣旨を十分関係の皆さんにわかるようにしていきたいと思っております。

菅野委員 それでは、マニュアルに示している疑似患畜牛の条件を示していただきたいと思います。

小林政府参考人 マニュアルに疑似患畜の定義がございます。

 患畜との同居歴等から疫学的な関連性が高いと判断される次の牛については疑似患畜とする。三つございます。一つが、当該牛が一歳になるまでの間に患畜と同居したことがあり、患畜と同じ飼料を給与されていたことが否定できない牛。それから、二つ目が、患畜の生まれた農場ないしは牛群におきまして患畜が生まれた日の前後十二カ月の間に生まれ、患畜と同じ飼料を給与されていたことが否定できない牛。それから、三点目が、患畜が発病する前二年間以内及び発病後に患畜から生まれた産子。こういった内容でございます。

菅野委員 その条件が、やはり今、全頭殺処分という恐怖におののいているというのは、農家の不安だということです。私が言っているのは、そういう家畜伝染病予防法は予防法としておいても、農家が持続可能な条件に、酪農経営あるいは畜産経営ができるような条件というものをしっかりとつくっていただきたいということなんですね。十月十八日以前だったらば、大臣に、先ほど言ったように、疑いある牛はすべてということは申し上げたと思うんです。十月十八日以降は、やはり生産者というものをしっかりと見据えて対応していかなければ、私は、生産者が今後酪農経営を続けていくことはできないという恐怖に、危機感に陥っているということを申し上げておきたいというふうに思っています。

 それで、もう一つは、感染源をしっかりと特定していただきたいということですね。このことも強く訴えられました。ただ、先ほどからずっと議論がこの点に集中しているわけですけれども、私は、農水省が非常に安易に考えていたという部分があるんじゃないのかなというふうに思うんです。

 家畜伝染病予防法が平成九年ですかに改正になりました。そして、平成九年に、家畜伝染病予防法の中には伝染性海綿状脳症という部分が入ったんですね。そのときの議論を、議事録を私はつぶさに調べてみました。今、委員長をなさっている鉢呂委員が、この狂牛病に対して、平成九年の三月十九日の百四十国会で質問に立って、当時の畜産局長が答弁しているこの答弁内容を見てびっくりしたんですね。一九九七年の話です。そして、今、感染したと思われる時期は、先ほどから議論になっていましたけれども、一九九六年の話ですね。ぜひ、この時系列も含めて、しっかりと感染源の追求をしていただきたい。

 このときに、中須政府委員が答弁しているのが、肉骨粉について通達を出したから安全だ、そしてその後、さらに通達を出した後、「各メーカーに調べていただいているわけでございますが、使用実績は完全にゼロになっておりまして、現行の対策によって、この部門において、BSEの発生を予防するということの面において飼料の安全性は現段階で確保されている、こういう状況でございます。」これが平成九年三月十九日の農林省の見解なんですね。

 そして、感染したと思われるのは、こう国会で答弁している、大体一歳のときが一番感染確率が高いとこれまで言われていましたからね、この時期に感染しているということです、一九九六年三月生まれ、四月生まれの子牛ですから。ちょうど政府が国会で答弁している時期にBSEに感染していたということです、この三頭は。

 この国会答弁、一九九七年の国会答弁は何に基づいて行われたんですか、このことをはっきりさせてください。

小林政府参考人 今委員御指摘の委員会での答弁でございますが、これは、先ほど御指摘ございました、一九九六年四月十六日に、反すう動物の組織を用いた飼料原料について反すう動物に給与する飼料とすることのないよう指導通知を発出いたしました。それ以降、肥飼料検査所におきまして、延べ年約六百回の飼料工場への立入検査を行っております。その立入検査を行った結果、牛用の飼料に肉骨粉が使用されていないことを確認しておりまして、その飼料工場への立入検査ということの確認結果を前提に答弁したものでございます。

菅野委員 私は、これからこういうことを、今答弁をそういうふうに繰り返していったときに、今言ったように、事実として、この答弁をしている時期に感染した可能性が、肉骨粉であれば感染した可能性が非常に高いということを政府は認めますか、まず最初に。この平成九年三月十九日に農水省が答弁している時期に、もしかすると感染した可能性が一番高いんじゃないのかと言われていますけれども、このことは認めますか、大臣。

武部国務大臣 可能性としてはあると思いますが、断定することは困難だろう、かように思います。

 委員がいろいろ御指摘されることについては、私も同じような問題意識を共有しているのです。ですから、中には、第三者委員会、調査委員会を立ち上げるということについては、責任逃れのためにそういうものをつくろうとしたのじゃないかというような指摘も委員会等で受けました。しかし、私は、佐呂間で、自分の選挙区で出たわけです、これはもう大変なことが起こったという認識を持ちまして、やはり、何でこの日本でBSEの発生を防げなかったのかということに対しての問題意識、憤りというものは、人後に落ちないつもりなんです。

 したがいまして、もう洗いざらいのデータを提供してこの調査委員会で検討していただこうということは、私は、真っ向からその必要性を感じてそうした次第でありまして、そこでの客観的な、また科学的な御議論をいただいて、二度とこういうことが起こらないように、また、もう二頭、三頭と出ているわけです、また、さらに出るかもしれません、そういうようなことも頭に入れながら、今後の対策に全力を期していきたい、このように考えているわけでございます。

菅野委員 大臣、私は国会調査に行って、酪農農家も畜産農家も被害者である、流通業者もみんな被害者である、そして、消費者もある意味では被害者に陥っているのです。国全体がこの被害者で、では、加害者は……(発言する者あり)肉骨粉だと言いました。この加害者、やはり加害者責任というもの、これは、農水省はこの責任の所在を明らかにしてほしいというのが一方ではもう強く求められているのです。そして、政府の責任であるということはだれも否定しないのです。そして、責任は私たちにありますという中からこれから対策をどう練っていくのかということにならなければ、この日本からBSEはなくなっていかないのではないでしょうか。こういう危機感さえあります。

 イギリスは、資料を見れば、異常発生して、二〇〇一年において三百頭、ずうっと減ってきています。これが正常な姿だと思います。全部対策をとっていって、潜伏期間を含めて八年間はつき合わなきゃならないのですから、こういう状況になったときに、この責任の所在、私たちがさっき言ったように、対応がおくれて、この国会答弁をしている時期に感染していたなんというのはわかりませんでした、そして、これからは万全の体制をとっていきます、私たちがこれまでとってきた対応というのは間違っていました、そこから再出発しなければ、日本からBSEはなくならないのじゃないでしょうか。そして、BSEをなくするということは、持続可能な畜産経営、酪農経営ができていくというところに持っていくことではないでしょうか。このことを私は言っているのです。ぜひ検討していただきたい。

 それから、もう一つは、徹底して感染ルートを突き詰めていく、感染源を突き詰めていくことが非常に重要だというふうに思っています。そのためには、先ほど遠藤副大臣が答弁していますけれども、二十四カ月齢以上の死亡牛を検査して、そして、この死亡牛を検査することによって、また新たなBSEが発生して、その発生した牛がどういう経過をたどってきたかというのを調査することによって、また新たな感染源というものを追求することができるというふうに思うのですね。そして、そのことの持つ意味の重要性というのは今日高いというふうに私は思っています。早急に検査体制というものをつくり上げるべきだというふうに私は思っています。

 これは、先ほどの答弁では、都道府県と協議していますじゃなくて、国が先頭を切って、お金も出してその体制をつくりますということの決意をしなければいけないのじゃないのかなというふうに思うのですけれども、遠藤副大臣でいいですから、答弁願います。

遠藤(武)副大臣 あくまで全国百八十三カ所の家保を中心に、国、農水省、厚生省と共同して、主体的に進めるための準備をしているところであります。

菅野委員 先ほども同じ答弁ですけれども、いつからその体制を整えてやれるという状況に、今の段階での見通しはどうなっているのですか。

遠藤(武)副大臣 もともと、親元にP3という規格の、空気などがよく清浄されておるそういう施設をつくらなきゃなりません。そして、それは……(菅野委員「死亡牛ですよ」と呼ぶ)死亡牛。それは、来年度の予算の上でサーベイランスをしていくわけですから、来年度の予算の面でやはり対応していく、そういうつもりでおります。

菅野委員 今、屠畜場でしっかりとした検査体制ができました。死亡牛、十六万頭とも言われる牛を、今、あしたからでも検査すべきだというふうに私は思うのですね。そして、その結果として、全部マイナスであるという結果が出れば、それにこしたことはないのですが、そこからでもプラスという部分を引き出して、感染源の特定の一助にすべきだと私は思うのです。それをやらないでほおかむりしているから、みんな、どうなっているのだ、どうなっているのだというふうに思うのです。それは新年度予算の前取りでもいいですから、今年度予算を前取りしてでもやれる体制というのはつくるべきだというふうに思うのですけれども、ひとつ答弁をお願いします。

遠藤(武)副大臣 現在、年間、二十四カ月齢以上の死亡牛のうち、四千五百頭、BSE検査を既に開始はしております。それから、今後もサーベイランス対象外の死亡牛についても体制を強化していく、こういうつもりでおります。

菅野委員 いや、そういう悠長なことを言っているから、また何やっているのだというふうなことを言われて、全体に後手後手に回っているのじゃないか。さっき言ったように、三頭目が出ました。これがこれからどれだけ出るかというのは、私たちには予測できません。そして、死亡した牛の中にも、感染している部分というのはあるはずですから、そういう一連のものの調査、全体を調査する中から、感染源の特定、そして、農水行政の間違ってきたという点を率直に改めていくことこそ、今求められているのじゃないですか。そのことをしない限り、国民からの信頼回復はかち取り得ないというふうに私は思えてならないわけです。

 一つは、ぜひ酪農家の立場に立った行政をしっかりと進めていただいて、そして、酪農家が泣くようなことのないように、あるいは畜産農家が泣くようなことのないような体制をしっかりとつくっていただきたい。

 そして、最後にお願いなんですけれども、家畜伝染病予防法の十七条の適用に当たっては、本当に酪農家が持続可能に、生計が維持できるような体制でもって都道府県に指導していただきたいというふうに思って、私は要望して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 以上です。

武部国務大臣 貴重な御意見をありがとうございました。

 可能な限り速やかに、あらゆる努力を尽くしてまいりたいと思っております。二転三転、後手後手行政と言われておりますけれども、私ども、やるべきことをスピーディーに、トレーサビリティーもやるのです。死亡牛のことについても、今遠藤副大臣が答弁したとおりでありますから、しっかりやりますので、ぜひまた御鞭撻を賜りたいということを申し上げて、答弁を終わります。

     ――――◇―――――

鉢呂委員長 この際、二田孝治君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による牛海綿状脳症の発生に伴う緊急措置等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。鮫島宗明君。

鮫島委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、牛海綿状脳症の発生に伴う緊急措置等に関する件の趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    牛海綿状脳症の発生に伴う緊急措置等に関する件(案)

  本年九月、我が国で初の牛海綿状脳症感染牛が発見されて以来、今日までに三頭を数え、この先、さらに増加のおそれがある。感染牛の発生は畜産農家、関係事業者に深刻な被害をもたらしているのみならず、国民の食生活にも重大な不安を与えている。

  感染経路は未だ特定されていないものの、牛海綿状脳症の感染源とされる汚染肉骨粉が海外から運び込まれた疑いがあり、このことが国内の牛海綿状脳症の発生要因と考えられており、こうした事態が生じたことは極めて遺憾である。

  よって政府は、安全な牛肉の安定的な供給体制を確立するため、関係省庁間の連携を一層強化し、迅速かつ徹底した原因究明に努めるとともに、牛肉骨粉の焼却、牛海綿状脳症の検査体制及びと畜体制の確立等による伝染性海綿状脳症の予防措置、畜産農家及び関係事業者に対する支援、迅速かつ適切な情報の提供等により、国民の健康の保護並びに畜産農家の健全な育成及び関係事業者の健全な発展等に万全を期すべきである。

  右決議する。

 以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。

 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

鉢呂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鉢呂委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣武部勤君。

武部国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をしてまいる所存でございます。

鉢呂委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明六日木曜日午前十一時理事会、午前十一時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十三分散会




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