衆議院

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第8号 平成14年1月10日(木曜日)

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平成十四年一月十日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 鉢呂 吉雄君

   理事 二田 孝治君 理事 小平 忠正君

   理事 鮫島 宗明君 理事 白保 台一君

   理事 一川 保夫君

      岩倉 博文君    岩崎 忠夫君

      岩永 峯一君    金子 恭之君

      上川 陽子君    倉田 雅年君

      小西  理君    坂本 剛二君

      七条  明君    鈴木 恒夫君

      園田 博之君    高木  毅君

      浜田 靖一君    平井 卓也君

      宮腰 光寛君    後藤  斎君

      今田 保典君    佐藤謙一郎君

      筒井 信隆君    堀込 征雄君

      山内  功君    東  順治君

      高橋 嘉信君    山田 正彦君

      中林よし子君    松本 善明君

      菅野 哲雄君    山口わか子君

      藤波 孝生君

    …………………………………

   農林水産大臣       武部  勤君

   農林水産大臣政務官    宮腰 光寛君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月八日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     坂本 剛二君

  滝   実君     宮腰 光寛君

同月十日

 辞任         補欠選任

  相沢 英之君     鈴木 恒夫君

  後藤田正純君     倉田 雅年君

  西川 京子君     平井 卓也君

  江田 康幸君     東  順治君

  高橋 嘉信君     山田 正彦君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     後藤田正純君

  鈴木 恒夫君     相沢 英之君

  平井 卓也君     西川 京子君

  東  順治君     江田 康幸君

  山田 正彦君     高橋 嘉信君

    ―――――――――――――

平成十三年十二月七日

 一、農業経営再建特別措置法案(小平忠正君外二名提出、第百五十一回国会衆法第二〇号)

 二、農林水産関係の基本施策に関する件

 三、食料の安定供給に関する件

 四、農林水産業の発展に関する件

 五、農林漁業者の福祉に関する件

 六、農山漁村の振興に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件




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     ――――◇―――――

鉢呂委員長 これより会議を開きます。

 この際、新たに就任をされました農林水産大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣政務官宮腰光寛君。

宮腰大臣政務官 このたび農林水産大臣政務官を拝命いたしました宮腰光寛でございます。

 武部大臣のもと、遠藤、野間両副大臣の御指導をいただきながら、岩永政務官とともに、農林漁業者はもちろんでありますが、消費者の声にも真剣に耳を傾けながら、諸課題に全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

 鉢呂委員長を初め委員各位の皆さん方の御指導、御鞭撻を賜りますように心からお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)

鉢呂委員長 委員会としても宮腰政務官の御奮闘を御祈念申し上げます。

     ――――◇―――――

鉢呂委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長須賀田菊仁君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鉢呂委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。鮫島宗明君。

鮫島委員 民主党の鮫島宗明でございます。

 ことしも波乱の幕あけとなりまして、狂牛病の問題に限らず、諫早湾の問題でも今現場では大変大きな混乱が起こっていると承知しておりますけれども、諫早湾の問題についても、私もアセスメントの資料を見させていただきましたけれども、各種の専門家会議のアセスメント、いずれも、干拓工事をやっても、貝類あるいはノリその他の海産物について、少なくとも潮受け堤防の外では大きな影響は出ないという結論が全部出ていたと思いますが、実際工事をやって締め切ってみたら、タイラギは全滅しちゃうし、ノリについても予想をはるかに上回る被害が出ている。一体そういうアセスメントをやった専門家たちの責任はどうなんだということが、私は諫早の問題でも今問われていると思います。

 また、この一連の狂牛病をめぐる問題に関しても、さまざまな専門家の委員会や審議会が行われました。しかし、九六年当時、肉骨粉の牛への投与を法律で禁止すべきという意見も一部あったようですが、全体の専門家の判断としては、そこまでしなくてもいいんではないかと。

 それから、御承知のように、薬害エイズの問題でも、いろいろな分野で、専門家の集まりであるという審議会や検討会がかなり行政上の重要な判断を行っているということがあると思います。

 これは全部ある意味では共通した最近の問題でして、行政側は、非常に難しい専門的な判断あるいは行政に傷がつくかもしれないような判断については、専門家を集めた審議会に判断を仰いで、その審議会で専門家に検討してもらった結果だということで、それを行政が採用する。その結果、さまざまな失敗が起こっても、それは専門家で検討していただいたことに従ったわけですから、行政側に直接の責任はありませんと。じゃ、専門家に責任があるのかといえば、その人たちは、参考としての意見を求められたんだから自分たちには責任がないと。各種の重要な問題で全部責任の所在が不明確になる、そういう問題が、薬害エイズ以来、頻発しているのではないかというふうに思います。

 今、特に農林水産行政をめぐる情勢はまことに厳しくて、大きな環境の変化もある中で、これまでのような、難しい行政判断を専門家にゆだねる、その結果を踏まえて行政を行う、失敗しても責任の所在は明らかにならないという、こういう日本型のパターンを私はいかに脱却できるかがこの問題でも問われているんではないかと思います。

 そういう意味では根っこは同じでして、多分ことしは、また新たな問題として、私は食品の安全性や健全性が大きく問われる年になると思いますが、ぜひそういう問題でも、専門家に一方的に判断をゆだねるようなこれまでの行政のあり方についてはそろそろ克服していただきたい。はっきり行政の責任者が決めるなら、その人の責任のもとに判断をするように、ぜひ農林水産行政も形を変えていただきたいというふうに思います。

 きょう、私は、与えられた時間が五十五分ですし、大臣も御指摘のように、野党の議員でばかなものですから、通告していない質問をしたり、あるいは質問の順番が変わってしまうかもしれませんが、ひとつそこは利口の大臣に補完していただきたいというふうに思います。

 一月八日に熊澤事務次官が御退官されたようですが、あるいは生産局長もおかわりになったようですけれども、一連の幹部の異動は、やはり狂牛病問題における行政責任をとって引責辞任したという解釈でよろしいんでしょうか。

武部国務大臣 新年でございますので、この一年間もいろいろ御指導、御鞭撻、また御協力を賜りますように、まず冒頭、ごあいさつを申し上げたいと思います。

 一月八日の人事の刷新でございますが、農林水産省、昨年は、米政策の抜本見直し、またWTOの閣僚会議、セーフガードの決着の問題、あるいは予算の問題等々、年末にかけてさまざまな問題が集中してございました。

 私どもといたしましては、BSEの問題がとりわけ最大大きな問題、こう思いまして、真剣に取り組んできた所存でございます。当委員会でも、過去にさかのぼってのいろいろな議論がございました。私ども、当初から申し上げておりますように、農林水産省を初めとする危機管理意識の希薄さということに大変驚いたわけでございます。結果的には危機管理意識の甘さが検査体制の甘さにつながっていった。そして今、生産者はもとより消費者に至るまで、最大大きな問題として横たわっているわけでございます。

 一連の今申し上げましたような課題に一定の区切りがつけられたということに加えまして、これまでの過去のさまざまな問題については、第三者による調査検討委員会が設置されておりまして、そこであらゆる情報を提供して、客観的にあるいは科学的に検討をいただくということに相なっておりますが、委員御指摘のように、私どもといたしましても、客観的な検証というのは、当委員会を初めとする立法府における議論もやはり客観的な検証の一つだ、このように思っております。

 そういったことの御議論を踏まえて、我々、やはり主体性を持って問題解決に当たっていかなきゃならない、そういう責任を感じているわけでありますが、今回の人事は、一連の農林水産省の大きな課題が一定の区切りをつけられたということに加えまして、今度のBSEの問題につきましても新たな体制で取り組んでいく、そういう体制強化が必要だという認識のもとに、私ども、一つの人事の時期でもございましたので、人事の刷新を行った次第でございます。

鮫島委員 ちなみに、熊澤事務次官の退職金は幾らぐらいになるんでしょうか。ざっとでいいです。

須賀田政府参考人 ちょっと手元に資料がないものですから、直ちに調べまして、後刻御返答を申し上げます。

鮫島委員 済みません。ばかな議員なものですから、通告にないことを言いました。

 大臣は、かねてより私どもが、熊澤前事務次官が九六年当時の畜産局長だったことから、この委員会の場でも何度か参考人としての招致を要求いたしましたが、大臣の御認識としては、行政の責任者の職というのは、属人性で行うものではなくて、その後の局長なりしかるべきポジションの人に連綿として引き継がれていくものであって、ある種、機関、組織に責任というものはあるんだから、余り属人性にこだわって、当時の畜産局長だからどうこうということはしないでほしい、そういう考えではないというふうに私ども説明を受けた記憶がありますけれども、それは大臣の職についても同じようにお考えになる、つまり、例えば大臣の行政執行の責任は、在職時に行った行政判断にとどまらず、それ以前の大臣が行った行政判断も現在のいすに引き継がれているというようにお考えになるのか。それとも、あくまでもその在任時に行った行政判断について責任を持つというお考えなのか。そこはどちらなんでしょうか。

武部国務大臣 熊澤前事務次官の出席の話については、私ども理解しているのは、今職責にある者が答弁ができるということで申し上げたつもりでございます。

 また、私は現在生じている状況への対応の最高責任者であるという自覚をいたしておりますが、責任の問題ということにつきましては、かねてから申し上げておりますように、農林水産省全体が負うべきことだ、このように申し上げているわけでございまして、過去のことの責任を私自身がすべて負わなければならないということではないけれども、現在生じている状況への対応については、私が農林水産省のトップであるということは言うまでもないことだ、かように御理解いただきたいと思います。

鮫島委員 私冒頭に申し上げましたように、厚生省で出た薬害エイズの問題にしても、あるいは今問題になっている諫早湾の干拓事業の問題にしても、今度の狂牛病の発生の問題にしても、これはみんな長い間の行政判断の積み重ねで、結果的にある非常に極端な事象として発症するという意味では、今大臣がおっしゃったことは二通りのとらえ方ができますが、やはりこの連続的に行ってきている行政の判断の累積という意味では、今お座りになっている方がそういう累積判断の結果責任をとるというのが普通の考え方だと思いますが、もう一度確認していただきますが、そういうことでよろしいんでしょうか。

武部国務大臣 農林水産省の最高責任者は私でありますので、農林水産省の行政全般について私が責任を負っていることは言うまでもありません。

鮫島委員 わかりました。そういう前提で質問を続けさせていただきます。

 初めに、現状認識というか、狂牛病が発生したことによるさまざまな損害の推定なんですが、まず、昨年九月十日に発症してから現在まで、生産、流通、消費段階で生じた全損害額の推計値というのは農林水産省はお持ちなんでしょうか。

須賀田政府参考人 損害額ということでお尋ねでございますけれども、どういう影響がそれぞれの段階で出ているかということにつきまして、統計のカバーの範囲でございますとか、データの不足がございまして、それぞれの段階でどういう影響が生じているかを指標となる数値で申し上げますと、まず、枝肉の卸売価格の段階では、九月が対前年比六%、十月が三一%、十一月が三七%、十二月が六四%というふうにそれぞれ減をしております。

 それから、生産段階、子牛の取引価格でございますけれども、地域によって差がございますけれども、BSEの発生前に比べまして約一割低下でございます。

 それから、主要量販店におきます牛肉の売り上げでございます。推定でございますけれども、十月、十一月が四割から六、七割程度の減少、十二月が三割から五割程度の減少ということになっておりますし、焼き肉店に対する調査によりますと、十月中旬が五割程度の減少、十二月下旬は二割程度というふうに回復傾向にはあるのでございますけれども、それぞれの段階におきまして少なからぬ影響が出ているというふうに認識をしております。

鮫島委員 私、この数字については中小企業庁の方にも問い合わせたんですが、中小企業庁の方の回答では、牛肉のビジネスにかかわる問題については、生産から流通、消費、すべての段階の実情を把握する行政の責任主体は農林水産省だというような中小企業庁の見解でしたが、そういうことでこれからもよろしいんでしょうか。つまり、この牛肉ビジネスにかかわる分野については、外食産業を含めた末端消費まで農林水産省の所管であるという判断は、それでよろしいんでしょうか。

須賀田政府参考人 お答えが難しい問題ではございますけれども、一応生産から外食産業、食品産業までは我が省の所管でございますので、そういう所掌の範囲内でそういうことになろうかというふうに考えております。

鮫島委員 私どもが各種の団体にヒアリングを行って推計した累積の損害額、BSEが発生したことによって、生産、流通、消費の段階でどの程度の損害が発生したかということを私どもが聞き取り調査で推計したところ、約四千五百億という数字が累積で出てきました。つまり、それだけ大きな損害がこのBSEの発生によって生じたということをぜひ私は大臣にも自覚していただきたいというふうに思います。

 特に、生産段階との関係で、十、十一、十二の三カ月、通年に比べて屠殺頭数が著しく減少していると思いますが、どの程度減少していて、またその理由はどういうことだというふうに農林水産省の方ではお考えになっているんでしょうか。

須賀田政府参考人 昨年の十一月、十二月の一日当たりの屠畜頭数でございますが、日によって異なりますけれども、その前の年と比較いたしますと、おおむね二割程度の減少となっております。

 この理由でございます。

 私どもはやはり三つぐらい考えられるんじゃないかということで、一つは、やはり昨年の十月十八日に全頭検査体制がしかれたわけでございますけれども、当初、屠畜場の検査体制の整備の問題で、出荷を待ってもらったということが一つございます。

 それから二つ目は、何といいましても、市況が回復しつつあったわけでございますが、二頭目、三頭目と感染牛が発生をいたしまして、消費者の不安が増嵩したという消費不安というのが第二の理由ではないかというふうに思っております。

 それから、これも先生方からもよく指摘を受けるわけでございますけれども、BSEの患畜が三頭全部乳用種の廃用牛であったということで、その乳用種の廃用牛の屠畜が滞っている、この三つぐらいの理由が考えられているところでございます。

鮫島委員 これは、厚生省の方で出していただいた数字では、十、十一、十二、三カ月の屠畜頭数が約二十二万頭。前年、二〇〇〇年が約三十七万頭ですから三分の二、つまり三分の一が減っている。これはかなり無視できない。つまり、三十七万頭に対して二十二万頭、十五万頭この三カ月で去年は少なかった。これはやはり末端の消費の落ち込みもあるでしょうし、あるいは屠殺に持っていかないで出荷を控えているという農家の段階もあり、とにかく、でも現場では大変大きな影響が出ていることがこういう数字にもあらわれていると私は思います。

 ですから、対策的にはこういう分野もにらみながら打つ必要があると思いますが、消費者の安全を、安心を回復するという意味では、私は、大臣は嫌がるかもしれませんが、感染経路の特定というのはやはり欠かせない。これについてはしっかり取り組むということを常に大臣が御発言しないと、感染源になぜそれほどこだわるのか私には理解できないというような御発言があったやに聞いておりますが、家畜伝染病予防法では、こういう新しい伝染病が発生したときは、発生の予防、蔓延の防止に全力を尽くさなければいけない。このことは、ある意味では感染経路の特定に努力すべきということを言っているのと同じことだと思いますが、ひとつ大臣の感染経路解明への決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。

武部国務大臣 私は、国会においても絶えず申し上げているところでありますけれども、農林水産省としては、全力で感染経路の究明をするために、川上、川下の両面から調査を鋭意進めてきている次第でございます。農林水産省としてはこのことに大変なエネルギーを割いているんだということも、先般根室でも申し上げました。

 しかし、この感染経路の究明が牛肉の安全性の問題と直接つながるということではないのではないかということを申し上げたわけでありまして、感染経路の究明は、特に生産者、私も今回参りまして、大変な不安に陥っているわけです。その中で、一日も早くこれを究明しないと、なぜBSEが日本に侵入したのか、どのようなことが原因で三頭も発生しているのかということが解明できないと、今後の対策にもつながらないということを明確に申し上げました。

 これまでに、家畜伝染病予防法第五十一条に基づきまして、家畜防疫員による関係施設等への立入検査、報告の聴取及び検査のために必要なものの集取等に加えて、飼料安全法第二十一条に基づく調査などを進めているところでありまして、今後とも、感染源、感染ルートの究明には最大限全力を尽くして努力していきたい。このことは農林水産省が最も重視していることでございまして、これまで再三申し上げていることがそのとおりの私の考えでございますので、そのように御理解いただきたいと思います。

鮫島委員 今も感染源と安全性は別という暮れの毎日新聞の見出しと同じような趣旨の御答弁がありましたが、私はちょっと大臣にお考えいただきたいんです。

 例えば一般の消費者の方が、つまりこのBSEの発生というのは、口蹄疫や何かと違って空気伝染でもないし接触伝染でもない、あくまでもえさによる感染だという特徴があるとすると、どのえさか、あるいはどの補助飼料なのか、あるいはどの代用乳なのか、どういう原因なのかがわからないと、どの程度潜在的な広がりがあるのか、つまり、キャリアというか、感染牛がどういう形で潜伏しているのか、生産者の方もわからない、消費者の方もわからない。そういう意味で、感染源をはっきりしてくれないと安心はできない。幾ら屠畜段階で全頭検査をやっているんだから安心して食べてくださいと言っても、そういう潜在的な不安が生産者の側にも消費者の側にもある。口蹄疫や何かとは違うんだ、あくまでも、特定な汚染された肉骨粉を含むえさによる蔓延だというこの病気の特徴による不安だということを御理解した上で、さらに感染源と消費は別なんだというふうにおっしゃるのでしょうか。改めて伺います。

武部国務大臣 私は、全頭検査によって、屠畜場から出回る食肉等は安全なもの、証明したもの以外は出回らない体制になりました、そのことを消費者の皆さん方にもぜひ御理解いただきたい。また、政府としても、そのことのPRといいますか、そういった事実をできるだけ幅広く、このことにも力を入れて努力していこう、そうしてまいりますということを申し上げているわけであります。

 委員御指摘のように、確かに、安全の問題と安心の問題ということについては、私はやはり別な考え方が当然ある。感染源の究明がされたり、今やろうとしているさまざまな対応策、これが一つ一つ明らかになることによって、こういう体制になったなら、安全ということからさらに安心ということにつながっていくんだと。その安全だけじゃなくて、消費者の皆さん方に対しても、安心ということの保証は、これはやはり農林水産省としては全力を挙げてやっていかなきゃならない。そのことについては、これまでも申し上げているとおりでございます。

鮫島委員 まさに今大臣がおっしゃったように、今、安全よりもむしろ安心の方が求められている。そういう意味ではまさに情緒的な側面が大事なわけでして、給食で牛肉を食べないのは情緒的でけしからぬというような言い方をすると、ますます大きな反発を買うのではないかと思います。

 どうもこれまでも農林水産省はいろいろな不安を与えることが大変得意でして、去年の十一月に出されたQアンドAの中にも、BSEの原因は何ですかというような質問に関しては、異常プリオンが原因ですと。日本で発生した感染源は何でしょうかという質問、これは農水省が御自分でおつくりになっているわけですけれども、BSEの感染源としては異常プリオンが考えられるけれども、日本で発生した牛については肉骨粉は一切与えていないことが確認されています、こういうQアンドAになっていると、一般の人が読むと、じゃ何なんだ、日本の感染源は肉骨粉じゃないのかという不安を与えるようなQアンドAをわざわざお出しになっている。

 それから、九月に、つまりBSEの発見から後、全頭四百五十九万頭、飼育農家数十四万戸について、農林水産省が獣医師等を総動員して五千八百名で立入調査を実施して、九月三十日までに日本じゅうに飼われている牛については全部目視検査をいたしました、その結果、BSEを疑う牛は見つかっておりませんというのをやはりこのQアンドAで出しているわけですが、これを出した直後に二頭目が見つかり、三頭目が見つかったわけです。

 そうすると、一体何なんだ、農水省が組織を挙げて五千八百人を投入してやった検査というのは何なんだ。BSEを疑う牛は見つかっていません、こういうことを断言していると、二週間後には見つかっちゃうわけですから、またおかしなことを言っているなと。次々と、大臣の思いとは裏腹に、不安を拡大することに大変熱心なように見えるわけです。

 感染経路の特定の関係でいいますと、私はかねてから指摘しているように、ヨーロッパの事例を参考にすると、屠畜場などの検査はもとより、死亡牛、廃用牛の検査というのも大変大事だ。こちらでは発生頻度が三十倍というふうにヨーロッパでも言われておりますので、今全く無検査で、死亡、廃用、そのまま肉骨粉になっている牛についてなぜ検査をしないのか。フランスの例でいえば、屠畜場では三万頭に一頭ですけれども、死亡牛、廃用牛は千頭に一頭見つかるというような高頻度での発見が報告されている中で、どうして日本は、年間十六万五千頭と言われている死亡牛、廃用牛について全頭検査体制を整えないのか。

 このことを調べることによって、私は感染経路の解明が大きく進むと思いますが、前にも同じ質問を、私、二回も三回もしているんですが、準備します、準備しますと言いながら、一番直近のお答えは、遠藤副大臣からいただいたと思いますが、十一月の質問でそういう質問をさせていただきましたが、十分の人的資源もある、設備もあるということですが、なぜいまだに死亡牛の全頭検査をしないのか。つまり、最大限努力すると言いながら、一番感染経路を特定する上で有効だと思われる死亡牛、廃用牛の検査をなぜいまだに行わないのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

須賀田政府参考人 先生言われたように、私どもも、BSEの発生を早期に根絶するという観点から、死亡牛の検査体制を強化していくということは大変重要であるというふうに認識をしております。そして、EUが現在、二十四カ月齢以上の死亡牛については全頭検査するという体制にありますけれども、これと同様な体制をとるということを目途に検査体制の強化を図るという姿勢でおるのもまた事実でございます。

 ただ、具体的に、それではすぐできるかといいますと、やはり家畜保健衛生所の検査機材でございますとか、あるいは死亡牛の確認あるいは検査システム、こういうものに、いろいろな実施方法、どうしたらいいのかというようなサーベイランスの実施方法とか、検討する必要がございまして、二十四カ月齢以上の死亡牛全頭検査の目標は持っているわけでございますけれども、具体的になかなか検査機材が、すべて検査対象にできるようにそろうというのは、いま少し時間がかかるというふうに思っております。

鮫島委員 全力を挙げて取り組むと言いながら、もう二カ月以上たっても、まだ前向きに検討中という御答弁以上のものがなかなか聞かれないのですが、そういうことを言っていると、全力で取り組むと言っている大臣の言葉が本当なのかということがまた新たな疑義を招くということをぜひ自覚していただいて、少なくとも死亡牛、廃用牛については、獣医さんが検案書をつくる関係でワンタッチはしているはずですから、そこで延髄のサンプルを抜くということは、私は不可能ではないと思います。

 検査についても、屠畜場の検査体制等、ぜひ省庁の壁を超えて協力体制をとっていただいて、早急に死亡牛、廃用牛の検査を開始していただきたいと思います。消費者に安心を与えるためにも、感染経路の特定に結びつけていくためにも、この分野は私は不可欠な領域だというふうに思います。

 先に進みますけれども、先ほど大臣は、行政の最高責任者として、累積的な行政判断について、それは当然最高責任者がその重みはしょっているんだというような趣旨の御発言でしたが、さかのぼってみますと、日本の農林水産省が初めてBSE問題に対応したのは一九九〇年の七月でした。このときにイギリスからの牛の生体輸入を禁じ、肉骨粉の輸入条件については、滅菌の条件等を強化した条件をつけたわけですが、一九九〇年七月に初めてこういう措置をとったこの判断の根拠というのは何だったんでしょうか。

須賀田政府参考人 先生も御存じのように、まず、英国においては、一九八六年にBSEの発生が初めて確認されたわけでございます。そして、八八年の六月にBSEの届け出を義務化した。さらに、その八八年の七月に、反すう動物由来のたんぱく質がBSEの原因である可能性が高いということで、反すう動物由来のたんぱく質について、反すう動物の飼料としての販売等を禁止する措置をイギリスにおいてとったわけでございますけれども、その後、九〇年におきましてもBSEの発生件数が増加をしていたという状況が見られました。そういうことを背景に、英国におけるBSEの状況そしてその対策を検討するために担当官を英国に派遣して、先ほど先生言われたような措置をとるということにしたところでございます。

鮫島委員 確かに農水省はこの時期からBSE対策を始めているんですが、主に一九九六年までにとった措置は、発生した国からの肉製品の輸入禁止なりあるいは肉骨粉の輸入禁止、ほとんどそういう措置だけに限定されていて、それ以上の措置はとっていないんですが、実は、イギリスでBSEを人畜共通伝染病に指定したのは一九八八年の十一月でした。つまり、それから二年後、一九九〇年の七月に初めて農水省は措置をとったわけですが、お隣のフランスでは、一九九〇年の六月にBSEを家畜伝染病に指定しました。ドイツは、その次の年の一九九一年の五月にBSEを家畜伝染病に指定した。

 ところが、日本はなぜか、家畜伝染病予防法の指定病に加えたのは、実に、初めて措置をした一九九〇年から七年後、一九九七年の四月に初めて家畜伝染病予防法の指定病に加えたわけですが、ヨーロッパの国々が一九八八年から一九九〇年の初頭に相次いでBSEを家畜伝染病として指定しているのに、なぜ日本だけはこんなに遅くまで、つまり一九九七年の四月まで家畜伝染病予防法の指定病に加えなかったんでしょうか。この理由についてお聞かせいただきたいと思います。

須賀田政府参考人 経緯から申し上げますと、一九九〇年に、英国からの生きた牛の輸入停止でございますとか、あるいは国際基準に沿った一定の加熱処理条件を義務づけた骨粉の輸入でございますとか、こういう措置をとっていたわけでございます。

 その後、WHOの専門家会議の勧告というものが出ました。平成八年、一九九六年でございますけれども、その四月に、家畜伝染病予防法の適用を受ける疾病といたしまして、急いでおりましたので政令で指定したわけでございます。この政令の有効期間が一年しかなかったということで、翌年の一九九七年に法律を改正いたしまして、家畜伝染病予防法に基づく疾病というふうにしたわけでございます。

 私どもとしては、WHOにおいてBSEが人に感染するおそれがあるという指摘を受けた一九九六年に速やかな対策を講じたという認識で対応したものでございます。

鮫島委員 よく理由はわからない。つまり、一九九〇年の七月段階で、最初の危険を察知して予防行政を開始したのに、実際家伝法の指定病に加えたのは九七年の四月。なぜここにその七年のタイムラグがあるのか。私は、実はここにすべての日本の狂牛病発生の問題が集約されているというふうに思います。

 厚生労働省の方では、この狂牛病を人畜共通病として認識したのはいつなんでしょうか。

尾嵜政府参考人 御承知のとおり、平成八年三月に英国の海綿状脳症諮問委員会の方から、直接の証拠はないけれどもBSEが人へ伝達する可能性がある、そういう報告がなされたわけでございます。

 そういったものを受けまして、四月にと畜場法の施行規則を改正して、臨床症状等の検査の対象にBSEを加えたわけでございまして、そういった報告を受けた段階で、BSEというものについて人畜共通感染症として考える必要があるという認識を持ったものというふうに考えております。

鮫島委員 私は、もうちょっと厚生省の方が敏感なのかと思いましたら、薬害エイズから何も学んでいないような御答弁で大変驚きましたが、イギリスがなぜ一九八八年十一月、非常に早い時期に人畜共通伝染病に指定したかといえば、その一カ月前にマウスを使った実験で、狂牛病にかかった牛の脳の組織をマウスの脳に注入する実験で、うつることがわかった。

 つまり、今度発生した異常プリオンは、これまでの羊のスクレーピーの発生の原因だった異常プリオンと違って、種の壁を超える極めて危険なプリオンだということに基づいて、まだ人間にそれがうつるということは全く予見されていない、あるいはそういう患者も出ていなかった段階で、予防的に人畜共通伝染病に指定したわけです。これが一九八八年。

 それを追っかけるようにして、その一年おくれあるいは一年半おくれでフランスもドイツも、人間の患者の発生がない状況下でも、種の壁を超える異常プリオンが出たんだということを非常に重く受けとめて、人畜共通伝染病に指定し、家畜伝染病予防法の指定病にも加えていった。

 ところが、今の厚生省の御見解にもあったように、九六年の四月まではそういう考えをとらずに、つまり、人間で患者が出るまでは、このプリオンは非常に危険なプリオンなんだという認識がないままに放置したということは、私は大変大きな責任だろうというふうに思います。

 私は法律の専門家ではないのですが、後ほど専門家の筒井さんも質問するかもしれませんが、薬害エイズ事件の松村被告判決要旨というのをお読みだと思いますが、この薬害エイズの問題と同じようなことが、今のこの七年間の放置したこと、つまり、九〇年七月から、ヨーロッパでBSEが発生し始め、さまざまな手が打たれているにもかかわらず、日本の行政組織だけが、厚生労働省も農林水産省もこれを重大な問題と受けとめずに、家畜伝染病予防法の指定病に加えなかった。

 したがって、この指定病に加えておけば、化製工場の立入検査で肉骨粉の処理方法について具体的な条件を指導したり、あるいは飼料安全法も適用になり、さまざまな法律事項に基づく措置が可能だったわけですが、この家畜伝染病予防法の指定病に加えなかったために、全部が法律外の、行政指導の世界で終わってしまって、一切強制力のないままの予防行政が行われた。私は、このことが日本でついに狂牛病を発生させ、先ほど、私どもの推定でいえば四千五百億の損害を生ぜしめた、大変重大な、ある種の行政犯罪ではないかというふうに思います。

 薬害エイズの判決要旨の論旨に沿って言えば、既に一九九〇年の初頭から、健全牛に汚染肉骨粉を投与し、家畜に感染させ死亡させるおそれがあることは十分予見されていた。つまり、九〇年の初頭から予見可能性はあったはずだ。ところが、不要不急の肉骨粉の給餌を控えさせるような注意義務を怠った。そして、投与を漫然と放置した責任が農林水産省にはある。

 なぜこういうような、漫然と放置したかというと、狂牛病の発生が極めて深刻な影響を及ぼすこと、これは畜産農家の生産段階から流通、消費の末端まで極めて重大な影響を及ぼすという自覚が欠如していたために、このような緩んだ行政が行われていた。九六年の四月に一片の肉骨粉給与禁止の通達を出した以外、何らの強制的な措置もとろうとしなかったことは、国の行政責任者として欠けるところがあった、つまり、農林水産行政の最高責任者としての欠格条項に該当するということです。

 それから、もちろんこれは農林水産大臣ひとりの責任ではなくて、審議会に参加していた専門家にも大いに責任がある。審議会で家畜伝染病予防法の指定病にすべきだというような指摘をした専門家はいない、あるいは、えさの給与について法律で制限すべきだということを強く主張した専門家もいない。いずれも全体の空気に流されて、漫然と注意義務を怠って放置した。

 こういう状況があって、そういう専門家としての責任も、もちろんエイズにおける安部教授のような責任はあるわけですが、あるいは諫早湾における戸原教授という方も私は大変大きい責任があると思います。ところが、こういう専門家たちが判断をできない、審議会でめり張りのある結論が出ないときに、行政の最高責任者はむしろみずからのイニシアチブで行動を起こすことが求められていた、これが農林水産大臣に負わされる責任のはずであります。

 ところが、行政レベルで醸成された危険が、種々の過程を経て、ついに去年になってBSEの発生という現実化の方向へ進み、重大な損害を与えた。このことによって生じた被害はまことに悲惨で、重大であって、行政の最高責任者としての農林水産大臣の責任は極めて重大であるというのが、恐らくこの問題を司法の場に持ち上げたときの判決の趣旨ではないかというふうに思います。

 実際、これだけの被害が出て、しかも対策のおくれでいまだに消費が回復しないということで、私は、農林水産省は近々、あるいは農林水産大臣になるかもしれませんが、恐らく幾つかの団体から告発を受けるのではないかと思います。

 大臣は、今私が申し上げたような要旨に基づいてお白州の場に引き出されてきつい判決を受けるよりも、むしろ一人の政治家として、ここは今私が累々と申し上げた、一九九〇年から一九九七年まで、この七年間の無作為の責任を御自覚されて、私はむしろ政治責任をとって大臣がおやめになる時期が今来ているのではないかという気がいたします。

 新聞紙上でも報道されているように、かねてより大臣の座右の銘は、おれがやらなきゃだれがやるということが座右の銘だということが、十一月二十七日の委員会でも表明されましたが、私は、年が明けたことですし、大臣もそろそろ座右の銘を変えられて、おれがやめなきゃだれがやめるというふうに変えていただきたいと思いますが、ひとつ、今私が延々と申し上げた行政の不作為責任、そしてそのことによって生じた極めて深刻かつ重大な責任、そして畜産農家に悲惨な影響を与えたことをどういうふうに自覚されておられるのか、そのことについてどう責任をとろうとしているのかをもう一度お願いしたいと思います。

武部国務大臣 私は、かねてから今度のBSEの発生に際しまして、農林水産省を初めとする行政の危機管理意識の希薄さに驚いたという表現を使っております。

 世の中には私は絶対ということはないんだろう、このように思っておりますが、行政指導を法的規制にするということでリスクを小さくすることができる、それはそのとおりだと思います。さまざまなこれまでの検証を今調査検討委員会にすべてのデータを出して御議論いただいております。

 農林水産省あるいは厚生労働省も含めての行政のあり方ということについては、ここでの議論を待って、御提言を踏まえて、今後どう体制を改めていくかということはまたその時点で考えていかなければなりませんが、委員指摘の今の責任論でありますけれども、一般的には、行政には、その目的を達成するために、その置かれた情勢や環境の変化を的確に把握して、問題意識を持ってその変化に対応した判断を行い、適切な措置を行うことが要求されている、かように認識しております。行政は組織、人員を有しておりまして、それぞれの責任と任務の重要性に応じて大臣以下の職員が設置されている、かように私は認識いたしております。

 九〇年以降、その都度農林水産省が組織として行政判断を行い、措置を講じてきたものと理解しておりますが、結果として、今回我が国においてBSE感染が確認されたということは、まことに遺憾にたえない話でありますし、そのことは、危機管理意識の希薄さと、国民の皆さん方からさまざま御批判をいただいていることは当然として謙虚に受けとめなければならない、かように考えております。

 現在生じている状況への対応の最高の責任者は私である、かように認識いたしておりますが、現在、感染経路の究明、生産者や流通業者など影響を受けた方々に対する関連対策も取りまとめ、農林水産大臣としての職責を間断なく果たしつつ、これらの問題解決に努力をしていかなければならない。国民の皆様に安心していただくために全力を尽くすことが私にとっての現在の最大の責任である、かように考えております。

 なお、ただいまも申し上げましたが、過去における行政対応上の問題については、私と厚生労働大臣の私的諮問機関でありますBSE問題に関する調査検討委員会において幅広く検討していただいているところでございますので、ここでの議論、御提言を待って、行政として主体的な判断をしていかなければならない、かように考えております。

鮫島委員 いわゆる危機管理意識の希薄さが農林水産省にあった。これは最高責任者として、これを引きずって今の大臣にそのままこれまでの七年間、危機管理意識が希薄だったことの責任は、残念ながら、今のそのいすにまとわりついているわけですから、他人事のような言い方はできないはずです。

 それから、調査検討委員会にまた判断をゆだねるというのは、私が最初に申し上げましたように、諫早の問題でも薬害エイズの問題でも、もうそのような行政手法は古くなっている、あるいはその責任が果たせない形になっている。もちろん、そこから参考的な意見を聞くのはいいですが、むしろ主体的に、みずからのイニシアチブで行動を起こすことが今でも求められているということを、行政側の責任者としてちゃんと自覚していただかないと困るなというふうに私は思います。

 もう一度繰り返しますが、とにかく、一九九〇年の七月に汚染肉骨粉による感染についての予見可能性が十分あったのに、九七年の四月まで家伝法の指定病に加えなかったことによって、家畜伝染病予防法の例えば輸出入の検疫で、伝染病の病原体を含むものを輸入してはいけないとか、あるいは指定検疫物についてはちゃんと届けなければいけないとか、あるいは肉骨粉の製造についても通達、基準どおりの方法でやらなければいけませんとか、さまざまな法律が適用できたはずなのに、この伝染病予防法の指定病にしなかったことによって、私は、すべての行政の指導、通達があいまいになって、そして業務上の注意義務を怠って、汚染肉骨粉の投与を漫然と放置した責任というのは大変重大であることをもう一度最後に申し上げて、私の質問を終わります。

 以上です。

鉢呂委員長 次に、筒井信隆君。

筒井委員 引き続いてなので、もう答えが出たら、今鮫島議員が質問した事務次官の退職金、答えてください。

須賀田政府参考人 国家公務員指定職の十一号でございますので、八千八百七十四万円余の退職金でございます。

筒井委員 今、規定どおりで八千八百と言われましたっけ。一切の、何の減額もなしということですね。その点だけ確認。

須賀田政府参考人 指定職十一号俸の退職手当が八千八百七十四万七千百六十四円でございます。(筒井委員「減額ないかどうかも」と呼ぶ)

鉢呂委員長 質問に答えてください。

武部国務大臣 ただいま生産局長の答弁のとおりの数字だと理解しております。

筒井委員 先ほどから聞いているのは、満額支給であって、一切減額はなかったのかという確認なんですよ。こっちは、これは責任をとって引責辞任だと思っていますから、本来なら減額するべきですよ。だけれども、それが満額で、一切の減額はなかったのかということの確認を聞いているのです、さっきから。

武部国務大臣 ただいま生産局長が申し上げた数字は規定によるものでありますから、減額はないものと存じます。

筒井委員 大臣は、満額で減額一切なしということについて何の指示も出さなかったのですか。要するに、大臣はこの支給を承認したわけですね。その点と、減額を一切考えなかったのか、この二点、大臣、お答えください。

武部国務大臣 このたびの人事異動は、先ほども申し上げましたように、いわゆる定期異動でございます。

 これは先ほど来御説明いたしましたように、BSE問題、米政策の抜本見直し、あるいはWTO、セーフガード、農林水産省が抱えている大きな問題に一定の区切りをつけ得た、そういうことと、それからBSEの問題についてもさまざまな問題が議論されております。今後BSEに関する対策を、人事の刷新によりまして新たな機軸でやっていく、そのことが必要だということで、一定のけじめをつけて臨んでいこうということでこれを行ったわけでありまして、私は、そういう意味で、今、減額とか処分とか責任とかというお話がありましたが、人事ということは大臣がとり得る一つの手段でございます。

筒井委員 九六年当時の畜産局長として、まさにBSEを日本で発生させたその最大の責任者、それからその後、事務次官としてもいろいろな被害を拡大させた責任者、補正予算だけで千五百億円使っている、流通業者や酪農家の損害といったら物すごい額になる、こういう損害を与えたまさに事務方の張本人が、八千万円以上の退職金を規定どおりで何の減額もなく満額もらっていることについて、国民感情としては絶対許されないと思うのですが、そういう感情を国民が持つということについては、大臣、どう考えますか。

武部国務大臣 さまざまな議論もありましょうし、国民感情も、今委員指摘のようなそういう問題も当然あろうと思います。そのことも私は十分承知している所存でございますが、しかし、当時のことにつきましては、先ほど来お話ししておりますように、やはり客観的な検証ということも必要だろうと思います。本委員会における御議論も客観的な検証の一つでありましょう。そういったことを踏まえて、私どもは、どういう体制づくりをしていくかということが重要だ、こう思っているわけであります。

筒井委員 そういう国民感情は十分理解していると言われるなら減額して処分すべきでしょう。そういう国民感情は理解しているけれども、では無視したということになるじゃないですか。

 それと、今いろいろ検証している、第三者委員会とか何か先ほどから言っていますが、では検証の結果やはり責任があったということになったら、また改めて処分、さかのぼってできますか。できないでしょう。検証の結果、ではやはり責任があったということになったらどうするんですか。

武部国務大臣 これは、不祥事でありますとか刑事事件でありますとか、そういうものではないという認識でございます。そういうことを私どもは考えた上で、当時のことにつきましては、やはりさかのぼってさまざまな検証をしなければ、そのことによって今後どう将来に向かって畜産・食品衛生行政等のあり方というものを構築していくかということが、この委員会における一つの大きなテーマでもございますので、そういう趣旨で検証していただいているわけでございます。

 いろいろな御議論はあろうと思いますけれども、私どもは、いわゆる不祥事であるとか犯罪であるとか、そういうような問題ではない。熊澤前次官は次官なりに、当時さまざまな委員会、審議会等の議論、国会においても行政指導を徹底するようにという決議もいただいております。そういうことを考えますと、これは私はかなり厳しく厳重注意はいたしました、これは事務次官以下かなりいたしました。

 しかし、何度も申し上げておりますように、とにかく危機管理意識の希薄さということがこういう問題を引き起こしているんだから、これからはこの教訓に照らして、一日も早く新しい、国民の皆さん方に信頼される、そういう体制づくりのために全力を尽くすべきだ、こう申し上げてきているわけでありまして、それが、減額しなきゃならないとか、いわゆるそういう懲戒、訓告等の処分に当たる問題ではない、私はこのように理解しているわけであります。

 諸般の政策、農林水産省の課題の一定の区切りをつけた人事異動というふうに御理解いただきたいと思います。

筒井委員 いつもそうですが、大臣の答弁は、ものすごい広げて、長時間にわたって、質問時間をまさに意識的に減少させようとしている、そうとしか考えられない。質問に対してまさに端的に答えてください。

 それで、きょうのこの閉会中の審査が開かれた理由は、もちろんBSE問題が大問題だからなんですが、この時期に開かれた一つの理由としては、特に去年の年末の大臣の一連の発言があるわけですよ。無責任、ばかげた発言。まさにあんな発言をするものだから、与党の中でもあれはちょっとひどいという、あれはひどい大臣だという声が陰で聞こえてくるわけですよ。急遽この時期にやはりこの委員会を開かなきゃいかぬという一つの理由にもなったわけですよ。

 その発言について私は確認していきますが、まず一つ目は、十二月二十六日に、学校の二五%が給食への牛肉使用をやめたままだ、それなら牛乳もやめるべきで、こうした対応は非常に情緒的だ、こういう発言をしたようですが、確認したいのは、またあなた長々と答えるから、こうした対応は非常に情緒的だ、こういう表現はされたかされなかったか、この報道はうそかどうか、そのことだけ答えてください。

鉢呂委員長 委員長から一言申し上げますけれども、簡明に答えてください。

武部国務大臣 根室の酪農家の懇談会での発言ではないと思います。私の後援会の中で懇談した中の発言だろうと思いますが、学校給食が六〇%台から半分に自粛が減っている、これはありがたいけれどもまだ二五%が自粛している、しかし、牛肉は全頭検査によって安全が証明されたんだから、学校給食もそういう科学的な根拠に基づいて徹底してもらいたいという趣旨を申し上げたわけでございます。

筒井委員 長々と答えているけれども、私の質問には答えていないんですよ。私は、こうした対応は非常に情緒的だ、こう発言したそうですが、この表現、この発言はあったのかなかったのか、これだけ聞いているんですよ。

鉢呂委員長 イエスかノーで答えてください。

武部国務大臣 詳しいことまで私記憶しておりませんが、感覚的ということは使ったかもしれません、あるいは情緒的ということを言ったかもしれませんが、それに対して、科学的、論理的、そういうことも言ったんじゃないか、このように記憶しています。

筒井委員 すると、こうした対応は非常に情緒的だという発言をしたのかしないのか、よく覚えていないけれどもしたかもしれない、今の答えはそうですか。

武部国務大臣 ですから、それだけ答えろというと、また言葉じりをつかまえてあれこれ言われることになるので、やはりどういう趣旨で申し上げたかということを、これは申し上げさせてください、私にも説明責任がありますから。

 これは、学校給食が、消費が急に落ち込んでいった、総体的に落ち込んでいったんだ、今そのことについて農林水産省としても文部省にもお願いして、学校給食がもとに戻るようにいろいろ努力しているけれども、なお二五%ぐらいが自粛している。しかし、全頭検査体制で一頭一頭検査しているから、どんな牛が屠畜場に入ってきても、流通する牛肉は安全を証明されたものしかないんです。これがいわば、科学的にはそういうことなんですと。

 なぜ二五%の学校給食がまだ自粛しているのかというのは、それは情緒的とか感覚的とかそういうことであって、もっと科学的に論理的に判断して、ぜひ消費の拡大に、学校給食においてもそれが伸びていくように、自粛が解除されるようにということを私はひたすら願っているんだという趣旨のことを申し上げているんですよ。(発言する者あり)

筒井委員 発言は、質問しているのはこっちなんだよ。今だれだ、答えているのは。勝手に了解したって、こっちは了解していないんだから。

 こちらが聞いているのは、あなたの発言した趣旨を聞いているんじゃないんです。どういう発言かという、発言そのものを聞いているんですよ。大臣の発言というのはそれ自体が客観的な意味を持って広がりますから、その趣旨とか弁明はまた別に聞きますよ。どういう発言をしたかが大事なんですよ。趣旨や弁明を今聞いているんじゃないんです。

 それからもう一つが、やはり同じ二十六日、野党はばかだ、もっと攻めどころがある、大臣をやめるのが責任をとることか、この三フレーズの発言、したんですか、しなかったんですか。

武部国務大臣 私は野党を侮辱した覚えはありません。とにかく私は、これは後援会の、私どもの身近な人たちの席でありますので、随分委員会や国会で、やめろ、いつやめるんだ、そういうことをもう何十回も言われている、しかし、今BSEの問題は私がやめて済む話ではない、そういう趣旨のことを申し上げたんです。

 そして、野党の皆さん方にも、もっと廃用牛の問題であるとか牛の更新の問題であるとか、さまざまな建設的なそういう提言をいただけるならば、私どもはそういう努力をしていきたい、そういう趣旨の話をしているわけでありまして、そんな侮辱したようなことはありません。

筒井委員 侮辱したつもりではないとか、こういう趣旨だって、さっきから言っているように、そんなの聞いているんじゃないんです。野党はばかだ、こういう発言をしたのかどうか。それから、大臣をやめるのが責任をとることか、こういう発言をしたのかどうか。それだけを聞いているんですよ。したのかしていないのか、イエスかノーで答えてください。

武部国務大臣 そういうイエスかノーかという答えは非常に難しいと思います。それだけじゃない、そういうような趣旨のことは言っていない。私は、先ほども申し上げましたように、私はもう委員会で何度も、やめろ、いつやめるんだ、こう言われている、しかし、やめることが責任をとることではないと思って、これからも問題解決に全力を挙げます、そういう趣旨のことを申し上げているんです。

筒井委員 大臣自身のつい最近の発言、したのかしないのか、これを確認しているのに、それに対して答えられない、質問したこと以外を答えている。

 私の質問したことは、もう何回も言いますが、大臣の十二月二十六日の発言で、こういう発言があったのかなかったのか。これに答えない限り、質問できっこないじゃないですか。回答拒否ですか。もし質問に答えられないのなら、答えられないと言ってください。

武部国務大臣 野党を侮辱したようなことは言っていません。それは、一連の流れの言葉の中で、私もう詳しく記憶していませんよ、しかし、趣旨として申し上げているのは……(筒井委員「趣旨なんか聞いていないと何回も言っているでしょうが」と呼ぶ)いや、聞いていないと言っても、このことを私申し上げさせていただかなければ、国民の皆さん方に、どういう意味のことを言ったのかということを説明する義務があるんじゃないでしょうか。ですから、このことはぜひ聞いていただきたいと思うんです。(発言する者あり)

 私も随分いろんなところで……(筒井委員「発言した後初めてその趣旨を説明するんだよ」と呼ぶ)

鉢呂委員長 静粛に。

武部国務大臣 そういうような趣旨のことは言っておりません。

筒井委員 では、否定されるわけですね。そういう発言はなかったということですね。

武部国務大臣 私、はっきり反省として申し上げなきゃならないのは、説明力とか表現力とか、まあ多少というか、皆さん方からすれば非常にと言われるかもしれませんが、言葉が乱暴なところについては、これはもう謙虚に反省しなきゃならない、このように思っております。

 ですから、乱暴な言葉遣いというか表現というものは、それはなかったとは言いませんが、しかし、野党を侮辱してそういうようなことを言ったつもりは全くありませんで、やめろとかいつやめるんだと言われるようなことを、そういうことをもう何十回も受けている、しかし、もっと建設的な議論がいただければ、私は、野党の皆さん方とのコミュニケーションを大事にして、この委員会でもいろいろな議論があったこと、先生方から提案されたり指摘されたことは一生懸命やっているつもりなんです。しかし、これはそういう誤解を招いたと。

 後援会の、まあ五、六十人の席ですからね。後援会の席でも言葉は注意しなきゃなりません、注意しなきゃなりませんが、正直に申し上げて、私の言葉遣いに乱暴なところがあったり、表現に適切を欠いたり、説明力が不十分であったりというようなことについては、これは謙虚に反省しなきゃならない、このように思っておりますが、今委員が御指摘のように、野党を侮辱するような、そういう趣旨で申し上げたことはありません。

筒井委員 結局、その発言があったと認めるのか。認めるようでもあり、あるいは否定するようでもあり、まさに逃げている答弁で、全く答弁になっていない。

 さらに同じ日に、英国、EUでは十年、十五年かけても感染源の特定はできていない、感染源、感染ルートは酪農家の皆さんにとってそんなに大きな問題なのでしょうか、こういう発言もしたようですが、この、感染源、感染ルートについてそんなに大きな問題なのか、そういう発言をしたのかしないのか。これもはっきり答えてください。

鉢呂委員長 したのかしないのか、明瞭に答えてください。

武部国務大臣 これは、議事録のメモもあると思いますけれども、牛肉の安全性にとって大きな問題かということを組合長さんに尋ねたんです。そして、一人の組合長さんは、これは生産者にとっては大きな不安だと。それからもう一人の組合長さんは、牛肉と牛は分けて考えるべきだ、牛肉は安全なんだ、このことをもっと政府もPRしてほしい、そういうことでありまして、感染源の究明が大きな問題かということは言っておりません。

筒井委員 わかりました。

 確認しますが、では、感染源の問題はそんなに大きな問題なのかという発言はなかったという今の回答ですね。

武部国務大臣 それは、牛肉の安全性にとってそんな大きな問題なんですかという、私の、集まっている農協の組合長さんたちに対する質問です。それに対する答えもあるんです。その答えは、だから、感染源の究明が大きな問題かというふうには思ってもおりませんし、私は大きな問題だと思っていますよ。感染源の問題の究明は、そのときにも説明しておりますけれども、農林水産省が一番エネルギーを割いて努力していることですと。生産者にとっては非常に大変な問題だ、こういうことも言っている。

 だから、牛肉の安全性にとって大きな問題だと思いますかという、私の、農協の組合長さんに対する質問だと思います。それは、議事録といいますかメモがありますので。後で根室の枳穀組合長とそれから計根別組合長がそれぞれお答えになっていると思います。

筒井委員 そうすると、どうもあなたの答えははっきりしないんだけれども、感染源の問題がそんなに大きな問題かという発言は、意味は別にして、そういう発言自体はあったことはあったんですね。

武部国務大臣 感染源の問題が大きな問題かということは言っておりません。感染源の究明が安全性の問題にとってそんなに大きな問題なんですか、つまり生産者にとって消費者が――全頭検査で、その後いろいろ言っておりますし、私のあいさつも前段にしております。あいさつの前段では、一に全頭検査、人の健康に影響を与えない体制を一日も早くつくることに努力しました。二番目に、生産者はもとより、中小企業者に向けての経営安定対策、さまざま、このことについては審議官に説明させます。三つ目には、感染源の究明です。これは、三つの柱として、我々は取り組んでいるんです。

 ですから、感染源の究明が大きな問題かということは申し上げておりません。感染源の究明が牛肉の安全性にとってそんなに大きな問題だと組合長さんたちは思っているんですかという私の質問なんです。そういうことです。

筒井委員 それから、十二月二十八日になりますが、肉骨粉給与の禁止の行政指導が徹底されなかった、結局されなかったわけですが、このことについて大臣は、みんなの責任だと思っている、こういうふうに発言したと報道されていますが、これも事実ですか。

武部国務大臣 それはどこの、記者会見のときの話ですか。(筒井委員「いや、新聞で報道されたでしょう」と呼ぶ)これは、私はかねてから申し上げていることを言ったわけです。これから、生産者も政府も農業団体も、みんなが協力し合って解決していかなきゃならない問題だということを申し上げたんで、記者会見では、これは農民の責任かどうかというようなことがありましたから、そんなことはありません、こういうことを申し上げているわけでありまして、今後農業者自身も、何もかも国に求め、国に頼む、国の指示に従うということでなく自立していく必要がある、自立自存という、もっとプライドを持っていきましょうと。

 政府としては、危機管理意識が希薄だったという深い反省に立って、畜産行政について真剣に取り組んでいきたい、国に責任がないとか、農家に責任があるかないかという責任論の問題ではないという趣旨のお話をしてきているわけでございます。

筒井委員 その発言をしたかどうか確認した上で、その趣旨はまた別に聞きますから。発言した事実そのものがあるのかどうか、それを今確認しているだけですから、そんなに答弁に時間がかかるはずはないのですよ。

 もう一度確認しますが、しかも答弁が長いのに、全然あいまいではっきりしない。行政指導が徹底しなかったこと、これはまさに私は農林省の責任だと思いますよ、農林省の行政指導なんだから。だけれども、それをみんなの責任だと思っている、こういう発言をしたのかどうか、そういう報道がされていますからね。この、どっちかをはっきり答えてください。

武部国務大臣 私の申し上げているのは、自己責任原則というものが今後は農村社会にとっても必要だと。行政指導のことについて言っているのじゃないですよ。これは、私はもう農林水産省の危機管理の希薄さには驚いたということを申し上げているのですから。

 その上で、今後こうした問題が絶対起こらないとは言えないんだと。私は、リスクコミュニケーションというお話もそのときしたはずです。ですから、これは、リスクコミュニケーションということは、リスクを少しでも少なくしていくためには消費者、生産者あるいは政府、自治体、学識経験者、こういった方々が常に連携をとってやっていかなきゃならない、そういう意味で申し上げているわけでございます。

筒井委員 さっきからあれしているのは、表現を私は確定して、限定して聞いているのですよ。みんなの責任だと思っている、こういう発言があったのですか、なかったのですか。

武部国務大臣 それは、みんなの責任で問題を解決していかなきゃならない、そういうふうに述べているつもりです。

筒井委員 そういう意味で述べているつもりだということは、では、みんなの責任だと思っているという発言があったことは認めるのですね。

武部国務大臣 みんなの責任でこれからの問題解決に努力していこうというふうに述べているはずです。

筒井委員 そうしますと、行政指導が徹底しなかったことはみんなの責任だと思っているという発言はなかったのですね。

武部国務大臣 行政指導その他農林水産省の対応については、危機管理意識の希薄さ、これがさまざまな問題、今度のBSE発生の一番大きな原因だ、こう言っているのですよ。

 ですから、皆さん方も、集まった方々もわかっているはずですよ。一月二日に根室の酪農家の皆さん方が私の家に参りましたけれども、大臣の言っていることは正論だと。だけれども……(筒井委員「質問に答えてください。答えていないよ、全然」と呼ぶ)いや、だから質問にお答えすると、もう一度整理して言いますと、みんなの責任で問題解決をしていこう、そういう趣旨のことを申し上げたのです。

筒井委員 だから、みんなの責任で問題解決していこうというなら、これからのことですよ。だけれども、私、今報道で聞いているのは、行政指導が徹底されなかったでしょう、その責任がみんなの責任だと思っているという発言なんですよ。その発言があったかどうか聞いているのですよ。

鉢呂委員長 委員長から申し上げます。

 大臣、限られた時間でやっておりますので、質問に対する的確な答弁を。

武部国務大臣 済みません。

 私も一部始終詳しく覚えておりませんが、確かに、道の方も巡回指導をしているでしょうという言葉も使ったと思います。それから、農協もこういう問題について指導をしているんじゃないですかと。

 だから、私は、みんなの責任というのは、前にも申し上げましたが、そういう基本的な考えを持っておりまして、この行政指導についても、特定の人間の責任だとかそういうことではなくて、みんなが注意をしていかなきゃならない、そういう意味ではみんなの責任ということは私は言ったかと思います。そういう意味でみんなの責任という言葉は使ったかと思います。

筒井委員 これからみんなの責任でちゃんとやっていこうというのなら問題にならないのですよ。報道もされないのですよ。報道された趣旨は、行政指導が徹底されなかったことについて、つまり過去のことですよ、過去のことについて、みんなの責任だと思っている、こういう発言があったから報道されたので、その発言があったのかどうかという確認なんですよ。だから、本来なら単純に一分で終わることなんだ、あなたが正直なら。

武部国務大臣 いや、行政指導ということで言ったと思っていないのですね。そういったことをも含めて、みんなの責任という言葉は使ったかと思います。しかし、その言葉で、これが生産者だとかほかの人に責任転嫁したということではございません。

筒井委員 転嫁しているのですよ。そして、行政指導を知らなかったことは恥だ、こうも言っているようですが、そういう発言をしていますか。

武部国務大臣 それは、私の友人の生産者の方々が、そういうことを何人か言ってきておりまして、その言葉を引用して、当時あれだけのことが英国で発生している、EUで起こっているということについて、生産者にとっては、自分が飼養している牛は、きょう、あすの家計を支える大きな財産だ、いわば牛様だ、こういう言葉も使っているかもしれません。そういう意味で、やはり自分自身が、状況が起こっていることについて、しっかりした認識を持つということの必要性、そういうことを申し上げたと思います。

筒井委員 つまり、行政指導を徹底されなかった、行政指導を知らなかったという酪農家がいっぱいいる。その知らなかったことは恥だ、大臣自身がそう思っていて、そう発言されたわけですね。

武部国務大臣 それは、私のところに来る生産者の何人かがそういうことを言っている言葉を引用して、そういう恥だという、行政指導を否定していませんよ、私は。

 だから、そういう一つ一つの言葉で随分私ども迷惑しているのですよ、新聞でも。ですから、それは実際に生産者が、真剣に経営に当たっている者にとっては、みんな知っているんだということを私の友人は言ってくるから、その言葉を引用して申し上げたかと思います。

筒井委員 引用した人の言葉であって、大臣自身の言葉ではないということですか、今の趣旨は。そういう趣旨ですか。

武部国務大臣 私は同感だ、このように思って申し上げました。

 またこれも誤解されますから、それは、そういう生産者、この委員会の場でも、私、前に申し上げたと思います、そのことは。

 私の友人の酪農家は、あの当時のことは我々はよく承知しているんだ、だから、何を食べさせたらいけないか、何を食べさせるべきか、これは我々からすれば、牛というのは、家畜というのは自分たちにとってかけがえのない財産だ、もし万が一のことがあったら大変なことになる、だからこれはみんな神経を使ってやってきていると。

 もちろん、批判もありますよ。それなのに、政府の行政指導の徹底がないということはまことに遺憾であり、法規制などをきちっとやってもらいたかったという話も彼らはしております。しかし、我々自身も反省しなければならないんだ、その当時のことを考えれば、我々生産者もそういう認識を持って経営に当たらなければならぬということを言っているということを引用して、私も、みんながそういうふうに思ってもらうということはありがたい、それは、そういう考え方でやってもらうということについては同感だ、そういう趣旨のことは言っております。

筒井委員 大体、行政指導が徹底されなかったこと、これが各酪農家の恥だ、まさに責任転嫁ですよ。農林省の恥なんですよ。

 大体、当初の行政指導なんていうのは、各団体に、貴会員にこの趣旨を徹底されたいという書面を出しただけじゃないですか。そんなのが各酪農家に伝わるはずがないのですよ。知らなかったのは、農林省のやり方のまずさですよ。農林省の恥なんですよ。それを、酪農家の恥だ、同感だと今言われましたが、そういう感覚だから、あなたの今までの農林行政が国民から批判を受けるのですよ。

 それから今、引用だと言いましたが、引用だというのもうそでしょう。あなたの発言ではこう言っているんですよ。「よくタウンミーティングでもこんなことがあるんだよね。知らなかったというんですよ。行政指導を。知らなかったというのは、普通恥ずかしいと私だったら思いますよ。」と。引用でも何でもないじゃないですか。

 今私が読み上げた部分の発言、大臣自身の発言であることは認めますね。

武部国務大臣 それは私の発言であります。

 それから、今のことでまた誤解を招くといけませんので、あえて申し上げさせていただきますと、行政指導の徹底、行政指導が徹底していないことについて、私は、危機管理意識の希薄さに驚いたということで、行政指導のあり方、行政のあり方については自己批判しているんですよ。それは、行政には問題がない、生産者に問題があるんだ、そういうようなことを言っていないんですよ。それは誤解のないように、それはもう最初に私の大臣のあいさつで述べていることですから。

筒井委員 それで、今の発言は大臣の発言だと認められましたが、これは撤回する必要はない、今もこれは正しいというふうに判断されていますか。

武部国務大臣 私なら恥ずかしいと思うということは、これは先ほど、また引用という話だけれども、そういう生産者が数々いるということは、私は、非常にこれはこれからの農業にとって前向きに受けとめるべきだ、このように思っております。

筒井委員 全く回答が長いだけで、中身が全然ないんだ。恥ずかしい、行政指導を知らなかったことは恥ずかしい、あなた自身が思っている。まさに酪農家に責任転嫁ですよ。だけれども、この恥ずかしいという発言は、今の答えだと、撤回する必要はない。その結論だけ言ってくださいよ、そんな理由づけなんかいいですから。

武部国務大臣 私は先ほども申し上げましたように、たくさんのいろいろな酪農家や生産者の方々がその場におられました。私の親しい人たちもおりました。私の友人もおりました。したがって、わかってくれる、いつもつき合っている方々は、私の言わんとするところはわかっていただいているというふうに思います。

 また、二日の日に私の家に参りましたときにそのように言っていましたが、そのとき注意を受けたのは、みんな今本当に深刻な不安におののいているんだ、大変なときに、やはり大臣はもっと生産者に優しい言葉をかけてほしい、そういう話を受けまして、私は、そういう意味では、あの場の発言としてはやはり適切でなかったな、このように反省をしております。

筒井委員 そうすると、適切でなかったなと反省しているということは、この発言は撤回するということですか。

武部国務大臣 あの場で、いろいろな不特定多数の方々がいるところでそういうことを言えば、新聞に出るような誤解を招く、そういうおそれがあるわけであります。振り返ってみて、ああいう場ではそういう誤解を招くようなことを申し上げるべきでなかった、このように思っております。

 これは二、三人で、数人で話すときには、時間をかけて話すときには、私の申し上げている趣旨は伝わるでしょうけれども、不特定多数の皆さん方、生産者が、不安におののいている皆さん方があそこに集まっていて、その気持ちを逆なでするようなことになったかと思って、このことは反省しなきゃならないと思っております。

 そういう意味で、言葉遣い、表現力、説明力の話をしましたけれども、今後は十分注意して、言動に注意しなきゃならない、その場その場で適切な発言が必要だというふうに反省しておりますことを申し上げます。

筒井委員 結局、間違いの発言、あの場は、少なくともあなたの場合は条件つきなところがまだ問題なんだけれども。どこだってこんな発言をしちゃだめなんだけれども、ああいう場所でこういう発言をしたのは反省している、間違いだった、これは認められるわけですね。

武部国務大臣 あの場ではそういう発言をすべきでなかったと思っております。

筒井委員 まさにこんな発言をすべきじゃなかったんですよ、あなたがおっしゃるように。そういう発言をあなたは繰り返した。しかも、あなたの発言で一貫しているのは、みんなの責任だとか酪農家の恥だとか、人にみんな責任を転嫁するんですよ。農林行政あるいは行政の責任じゃなくて、人に責任を転嫁する、それで一貫しているんだ。(発言する者あり)ちょうちんやじをやめたらどう。あなたの目的はわかるけれども。

 あなたに以前、大臣にこの前聞きましたが、消費減退の理由も子供っぽい消費者心理だというふうな発言をされたことがありまして、私は前に連合委員会の審査のときにもそれを聞いたんですが、もう一回それを確認しますが、こういう発言を余り繰り返されるので。

 そのときに大臣は、子供っぽい消費者心理が原因、そういう記者会見をしたんですが、あなたの発言をそのまま読み上げますと、

 「安全だ、安全だ、もう大丈夫だ、さあ食べろ、食べろ」と言ったって消費者心理というのは言われれば言われるほどなかなか食べたくなくなるんですよ。私の孫なんかも「どうして残すの。どうして食べないの。食べなさい。」と言ったって食べないですよ。「じゃあ、大きいのをパパ食べちゃうよ。」と言うと、「いや。」と言って食べたりするしね。

まず、この発言があったことは認められますね。

武部国務大臣 それは委員会で、私の秘書がホームページへ書いた文章だ、こういう委員の発言がありましたから、そういうふうに言ったんでしょうと。しかし、転嫁させるわけじゃありませんよ。私はよく記憶しておりませんが、しかし、ホームページでそういうふうに書いてあるというんだからそれは事実でしょう、こう申し上げたわけです。

筒井委員 今、発言した事実は認めたということになると思うんですが、これはまさに、今の消費減退の理由は子供っぽい消費者心理が原因だ、こういう趣旨の発言になるでしょう。

武部国務大臣 全くそんなふうには思っておりません。それは先ほども、私のホームページにそういうふうに出ていたという委員の指摘ですから、私のホームページは私の秘書がつくっておりますので、秘書がつくったものは私の発言に基づいてつづったんだと思います。ですから、これはそのとおり肯定いたしました。

 しかし、今私は全くそんなふうには思っておりません。子供っぽい消費者心理などというふうに全く思っておりません。消費者あっての生産者だということを常々申し上げております。

筒井委員 そうしますと、今こんなことは思っていないと言われました。これはあなたの大臣としての正式な記者会見の場所での発言です。この発言は、では撤回されるわけですね。

武部国務大臣 そんなふうには全く思っておりません。それは大分前の委員会の委員の指摘でありまして、そのときは、私はそういうことを申し上げた記憶はないけれども、しかし、ホームページに出ているんだということであれば、それは私の秘書がつくっているものですから、それは否定できません、そのとおり認めますと。しかし、私の心の中には、あのときも今もそういう考えは全くありません。ですから、そういうことを否定するのかといえば、否定します。そんな考えはないんですから。あの当時からもないんですから。

筒井委員 めちゃくちゃなことを言っているね。あの当時もなくて、しかし、発言したことは認めていると。どういう関係なんですか、一体これは。めちゃくちゃな発言であることはあなたも自覚してくださいね。

 ただ、あなたは、こんな発言は否定する、事実上撤回ですから。こういうふうな発言が何回も繰り返されるから、消費者は農林行政に対する信頼をなくしちゃうんですよ。ますます消費が減退するんですよ。

 あなたがやめることが、やめなければ、消費者の行政に対する信頼は回復しないんですよ。やめただけでは確かに回復しないかもしれない。しかし、大臣がこういうふうな発言を繰り返していたら、大臣が何を言ったって、今度は消費者は信用しないんですよ。あなたがやめることが消費回復のための大前提条件ですよ。だから、先ほど鮫島議員が言った、おれがやめなきゃだれがやめるんだ、もうこれしかないんですよ、いわば。

 そして、その責任の問題について、先ほどやはり証言、この場でも鮫島議員の質問に対して訂正しましたが、当初、過去のことをすべて責任をとらなければならないとは思っていないと答弁した。その後、いや、すべて責任があるともとれる答弁をした。どっちなんですか。

武部国務大臣 それは、五年も十年も前のことについて今私が責任をとらなければならないということではない、しかし、現在の状況に対応している農林水産省の責任者は農林水産大臣の私です、そういうことを申し上げたわけでございます。

筒井委員 このBSE問題の、狂牛病の発生というのは、まさに九〇年ごろからにさかのぼったことが、その積み重ねが原因なんですよ。五年、六年しか責任がないとすれば、その前の責任をとらないということですか。まさにBSE問題に関しては、九〇年代からずっと積み重ねた結果発生したんですよ。五年、六年までぐらいしか責任をとらないという今趣旨ですか。

武部国務大臣 過去の問題について今の大臣がすべて責任をとらなければならないということではないと私は思います。しかし、現在、私が農林水産大臣ですから、現在の状況に対応することについての責任は私にあります。そういうことを申し上げたわけです。

筒井委員 あなた、野党はばかだと言っているけれども、あなた自身の発言がばかな回答ですよ。今の回答がいかにめちゃくちゃか、あなた自身も自覚ないんでしょう。

 五年、六年しか責任がないという、まず、五年、六年の根拠はなんですか。

武部国務大臣 五年、六年は訂正します。過去の問題について現在の大臣がすべて責任を負わなければならないということではない、私はかように思うんですね。

 しかし、行政は継続しているというのはおっしゃるとおりです。そして、過去から継続しているさまざまな問題について、私が今現状対応している最高責任者なんです。であればこそ、私は、BSEの問題についても過去の検証ということをしっかりしなくちゃいけないということで、第三者調査検討委員会を設置するということも、これは私の考えで、厚生労働大臣に申し上げて、今私的諮問機関としてやっているわけですね。

 ですから、そういった、過去のことは何も関係ないということを言っているんじゃないんです。過去の問題について、どうしてこうなってきたかという現状に至るまでの問題分析、そしてそれに対する解決。現状どう、今後はどう対応していくかということについては農林水産大臣の私が責任を負わなきゃならない、こういうふうに申し上げているので、御理解いただきたいと思います。

筒井委員 今は五年、六年というのは撤回されたということでよろしいんですね。この狂牛病の発生が九〇年来からの問題で、もう十年ぐらい前からのことなんですよ。これが農林行政の責任によって発生した、外国からのBSEの侵入を防ぐことができなかった、これは農林省の責任だ、もうこれははっきりしていると思うんですが、例えば検討委員会や何かでもそれらが明確になった段階で、じゃ、一体だれが責任とるんですか、それは。最高責任者は責任とらないんですか。

武部国務大臣 責任のとり方というのはいろいろあると思います。ですから、そういった第三者検討委員会でどういう御議論がなされ、どういう提言がなされるかというものをちょうだいして、今後の畜産・食肉衛生、食品衛生行政のあり方ということについて、私どもは主体的にしっかり体制を構築していかなきゃならぬ責任がある、このように思っております。

筒井委員 責任があるというのを認められたので、そうしますと、BSE問題については、過去の行政の失敗や何かの問題に関しても最高責任者として責任がある、こういう答弁ですね。

武部国務大臣 BSE問題対応の責任というものは、農林水産大臣が非常に重く受けとめなきゃならぬ問題として私は受けとめております。

筒井委員 では、訂正されたのでいいんですが、その責任のとり方ですが、とり方としては、大臣が一貫して、まさにばかの一つ覚えみたいに、おれがやらなきゃだれがやるという、これを繰り返しているけれども、それが一つ……(発言する者あり)ばかだと言う方がずっと失礼だよ。それが一つの責任のとり方かどうかは別にして、それがある。しかし、責任のとり方として引責辞任というとり方があることは、一般的には認められますね。

武部国務大臣 一般的にはあるのではないかと思います。

筒井委員 今まで、戦後、日本の内閣で閣僚が責任をとって辞任したのは、どうも調べてみたら八十四例ぐらいあって、その中には、前にもちょっと指摘したかもしれませんが、大臣が、直接自分の不祥事か何かでないものが非常にある。例えば、全日空機と自衛隊機の衝突事故の責任をとって当時の防衛庁長官が辞任をしたり、あるいは、海上自衛隊の潜水艦と釣り船の衝突事故の責任をとってやはり防衛庁長官が辞任したり、そういう引責辞任の例が物すごくたくさんあるわけですよ。

 それから、外国でも、今度の狂牛病問題でドイツの閣僚が二人引責辞任をしておりまして、この理由がまさに日本の場合と全く同じで、狂牛病においての甘い見通しに基づく対策のおくれ、まさに日本でもそれが当てはまるわけですが、これが理由で辞任しております。

 それから、坂口大臣自身が、やはりそういう責任のとり方もしなければいけないということを認めておられまして、特にKSDの問題に関しては、坂口大臣が就任の前の事件ですが、就任した後、減給ですか、という責任をとった。

 これらの事例、いずれも御存じだと思いますが、そういう責任のとり方があって、日本でも外国でもずっとそれで行われてきていたこと。そして、先ほど申し上げましたように、大臣の今までの発言とか行動によって消費者の不安が、大臣が安全だ安全だと言えばますます消費減退が続くんだから、まさに消費回復のためにもそっちの方の責任のとり方が正しい、こういうふうに思っております。それを早急にやはり大臣自身がはっきりしてほしい。ただ、まあこれは、答えていただいてもどうせ同じ答えですからいいです。

 それで、具体的なことをその関係で聞きたいんですが、一つは、EU委員会の評価、欧州委員会の評価について、時間がないので事実関係だけ確認したいんですが、EUによる第一次の報告書がカテゴリー3、つまり国産牛が感染している可能性が高いが確認されていない、こういう報告書を出した。それに対して農林省は、日本は未発生国だ、発生国と同列に扱うなということで猛烈に抗議した。こういう経過がありましたが、このEUの報告書がその後も同じ結論を出してきた。

 EUの報告書が正しくて農林省の対応は間違いであったんですね。まずその点の確認だけ。

武部国務大臣 このEUのステータス評価については、私は事務方から、化粧品、医療品等の輸出の関係でステータス評価を受ける必要がある、しかし、協議の過程でそれは対象ではなくなった、さらに、OIEが新たな基準を採択する、EUもそういう……(筒井委員「時間がないんだから」と呼ぶ)ちょっと待ってください、それをやろうとしている、したがって、OIEの評価を受けたいと。

 私は、それはそれで結構だろうということを申し上げましたが、後でいろいろなことを知るにつけ、委員会でも答弁申し上げています、何でEUのステータス評価を受けなかったのか、受けるべきだったということを私は申し上げているわけであります。

 こういうことが、危機管理意識の希薄さというのは、さまざまなことを、情報といいますか、すべて公にして、リスクを少しでも最小限にしていくというやり方をしていかなきゃならない、それをしていなかったということは、私は農林水産省として非常に問題があった、このように認識しております。

筒井委員 それで、正式に六月十五日に農水省が書簡で評価そのものを拒否しました。この二カ月ぐらい前に大臣は就任しておりまして、このEUの評価そのものを拒否した、このことについて大臣は当時知っていたんですか。もちろん知っていたと思うんだけれども、それとも全然知らなかった、蚊帳の外だったんですか。どっちだったんですか。

武部国務大臣 そのことは、EUに対して拒否したといいますか、断ったということは知っております。しかし、中身については承知しておりません。

鉢呂委員長 時間が経過しておりますので、最後の御質問にしてください。

筒井委員 はい、最後の質問にします。

 今の答えだとおかしいんで、拒否したことは知っているけれども中身については一切知らないと。こんな重要な問題について、中身の検討なく、じゃ、大臣はうんと言ったわけですか。もし、うんと言ったとすれば、その最高責任者としての責任は物すごい重いと思います。その答えだけ出してください。

武部国務大臣 先ほど申し上げましたように、なぜ我が国がEUのステータス評価を受けないことになるのかということについては、先ほど御説明したような趣旨でありましたので、それは結構であろうと、OIEのステータス評価をこれから受けると言うから、じゃ、そうした方がいい、そうすることが適切であろう、こう申し上げたわけでありますから、いわゆるEUの評価がどういうものであったかとかいうことについては詳しく私は承知しておりませんが、そういうことで、受けないことにしたことは承知しております。

筒井委員 以上、終わります。

 極めて、まだ二割しか聞いていないわ。八割は全然聞いていない。

鉢呂委員長 以上で筒井信隆君の質問は終わります。

 次に、山田正彦君。

山田(正)委員 自由党の山田正彦です。

 大臣にお聞きいたしますが、いわゆるEUの評価書、今、筒井議員も聞いておりましたが、このEUのステータス評価、評価書の案とはなっていますが、これを、その存在を知ったのは、大臣、いつですか。大臣に就任してすぐですか。

武部国務大臣 委員指摘のいわゆるコンフィデンシャルという機密文書の中身を知ったのは、新聞を見てからでございます、全文を知ったのは。

山田(正)委員 新聞を見るまでは知らなかった。

武部国務大臣 全文を知ったのは新聞を見てからでありますが、EUのステータス評価のレベル3というようなことは、事務方から説明は聞いておりました。詳しくは承知しておりません。

山田(正)委員 それじゃ、新聞を見てから全文を読まれた。いかがですか。

武部国務大臣 そのことについてレクチャーを受けました。

山田(正)委員 実は、連合審査の前、十一月だと思うんですが、私が質問通告の中で、新聞でやはりEUから警告しているというその報道を広くなされていましたから、その報告案、これがあるはずだから、これを出してほしい、そういう話をしましたら、それはありませんという回答でした。大臣、御承知か。

武部国務大臣 委員会で委員がそういう指摘をしていたことを記憶しておりますが、私は、これはいわゆる機密扱いとされているので、最終的に合意に至っていなかったことから、公表しないということと説明を受けましたが、必要な情報については提供していくように職員には指示したところです。

山田(正)委員 こういう大事な書類が、大臣も読んでおった、レクチャーを受けてあった。それで、あるかないかということに対して、ないと我々国会議員に対して農水省はそう答えた。これはまだEUとの間に機密扱いになっているから待ってほしいとか、これはしばらくの間、EUの了解を得るまで公表できないとか、そうじゃない。ないと言った。それについてはないと言った農水省の対応は、大臣、お認めになられるか。

武部国務大臣 ないというふうに言ったとは聞いておりません。事務方からはそういうふうには聞いておりません。しかし、結果的に第三者委員会に、これもEUの了解を得て提出することになったわけでございますので、私は農林水産省の対応は適切でなかったと思います。もう少し、いわゆる国権の最高機関である国会に対して、そういう要求があったときにはできるだけ出すような努力をすべきだった、このように思います。

山田(正)委員 ないと言ったとは聞いていないと今言いましたが……(武部国務大臣「委員長、訂正します。済みません。いいですか」と呼ぶ)

鉢呂委員長 はい、どうぞ。

武部国務大臣 EU委員会による我が国についてのBSEステータス評価の最終結果はない、こういうふうに答えたということだそうでございます。

山田(正)委員 最終結果はない、途中経過はあったということなんですか。私には、すべてないと。ということは、当時、大臣は既に報告書のレクチャーを受け、読んであって、その存在を知っておった。それでいて、大臣は農水省の責任者として、我々議員が大変大事なこの狂牛病問題についての審査をするとき、委員会質問するときに、その大事な書類を隠ぺいしておった。この責任を、大臣、どう考えられるか。明確に答えていただきたい。

武部国務大臣 ないとは言っていないという事務方の説明でありますが、私は、この問題はBSE発生の可能性ありということを示唆するものでありますので、これを積極的に明らかにするということが必要だった、このように思っております。このことにつきましては、私も強く、どうしてこういうことになるんだ、必要な情報はどんどん提供していくことが必要ではないかと、職員に対してそういう強い注意と指示をしたところでありまして、そのことについてはまことに遺憾なことだ、このように思っております。

山田(正)委員 私が聞きたいのは、そういう報告書案がありながら、我々国会に対して、議員に対して、それがない、いわゆる最終的な報告案はないという言い方をしましたが、いずれにしても、ないという形でそれを示さなかった。いわゆる隠ぺいした。それに対して、農水省の最高責任者たる大臣は責任をどう考えているか、その責任はどうとるつもりか。

武部国務大臣 これは、先ほども申し上げておりますように、EU委員会による我が国についてのBSEステータス評価は、最終結果とはなっていないものであるということが第一点であります。

 それから、日本のBSEリスクに関するEUの報告書案については、EUからコンフィデンシャル扱い、機密扱いとされておりまして、最終的には合意に至っていなかったことから、公表しないという扱いとしていたものでございます。

 しかし、第三者委員会には、EUの了解を得て、これを出していいということでありますので出しているわけでありますから、この扱いについてはできるだけ情報は提供していく、公にしていくということを私は職員に指示したということでございます。

山田(正)委員 公表しないと、存在があるかないかというのではこれは違う。ないと言った。いわゆる隠ぺいした。

 我々国会には、憲法六十二条、国政調査権がある。議員の国政調査権というのは大変重いものだ。それに対して大臣は、その存在を知りながら、ないと我々国会に、議員に対していわばうそを言った。この責任をどうとるのかと私は聞いているので、間違っておったなら間違っておった、それをはっきり言っていただければそれでいい。

武部国務大臣 私は、先ほども申し上げましたように、可能な限りの情報提供をすべきだということを、後でこういったことを知って、事務当局を叱正し、指示をしているわけでありますから、私は、このことはまことに遺憾なことだ、反省すべきことだ、このように思っております。

 もっといろいろやりようがあったのではないか。これを、こういう形で仮に最終報告案ではないとしても、公にするということが大事だった。そういう意味では、これはかえって農林水産省に対する不信を大きくしたと思っていまして、これは謙虚に反省しなければならないことだ、このように考えております。申しわけないことだと思います。

山田(正)委員 今まさに、大臣在任中、知りながらその存在を明らかにしなかった。毎日新聞がスクープしてその存在を明らかにして、私も驚いたのですが、その後、第三者委員会にもその報告書を提出することになった。

 もしあのときに新聞がそれをスクープしなかったら、そのままいわば隠ぺいしておったままで、永久にそのままで、そして一切その農水省の責任を問われないということになったのではないか。

 これは大変大きな問題で、しかも大臣在任中の、知っておってこういうことになったので、今確かに、申しわけなかった、そういう発言をしましたが、これはまさに大臣としての国民に対する責任、その意味では、当然、このこと一つとってみても、大臣はまさに引責辞任する気持ちはないのかどうか。

武部国務大臣 私は、このBSEの問題に限らず情報は徹底公開すべきだ、このように申し上げているわけです。

 この件について知っていたということについては、これはここのところが申しわけないという意味でありますが、私は、医療品や化粧品の輸出に関連して、EUのステータス評価を受けなければならない。しかし、それは協議中そうでないことがわかった。あわせて、OIEが新たな基準を採択した。EUも近くこれを受けることになる。そういうようなことで、受けないということを了としたということでございます。

 今委員が御指摘のいわゆるコンフィデンシャル、機密の文書の中身については新聞を見てから知ったということは、私としてもまことに反省しなきゃならぬことでもありますし、大臣にそういったことが事務方から上がっていない、そういう体制であったということについては、率直にその非を認めなきゃならない、このように思っておりまして、今後こういったことのないように努力をしていかなきゃいけないということと同時に、これは第三者調査検討委員会でいろいろ過去の問題について検討していただいておりますので、これからもそこで徹底的にいろいろなものを提出して御議論をいただく必要がある、このように思っております。

山田(正)委員 大臣は、責任問題では、私が問うたらせせら笑いましたが、大臣自身、そういう態度でまさに臨んでおられる。これは憂うべきことだ、我々国民にとってもそう考えます。

 それでは、このEUの報告書の中身、これは大臣もレクチャーを受け、読まれたということですからお聞きしますが、OIEの基準、いわゆる肉骨粉の輸入というのは、これは当然農水省が許可しなければ輸入できないわけで、これをEU、汚染国から輸入した場合の基準、それはどういう基準で、きちんと守られたのかどうか、大臣、お答え願いたい。

武部国務大臣 当該加熱条件については、BSEの病原体を効果的に不活化する方法として、EUにおける化製処置の基準として、一九九六年以降採用され、一九九七年以降OIEの基準としても採用されているということでございます。

 しかしながら、スクレーピーの最も抵抗性が強い株を用いた実験では、わずかに千分の一程度ということでございますが、不活化されずに病原性が残ったという報告がございまして、いずれにいたしましても、このOIEの基準により適切に加熱処理された肉骨粉によるBSEの侵入リスクは極めて低いものと考えられております。

 なお、EUでのBSEの発生拡大に伴いまして、念のため、昨年一月の船積み分からEU諸国等からの肉骨粉等の輸入を停止しているところであります。

山田(正)委員 大臣、私が聞いているのは、OIEの基準、いわゆる百三十三度、三気圧、二十分のそういう条件に基づいてすべて輸入したのか輸入していないのか、大臣はどう理解しておったか、そこをお聞きしたいわけです。イエスかノーでお答えいただきたい。

武部国務大臣 イタリアからの肉骨粉の輸入は、国際基準に沿った加熱処理のされたもののみ認めてきたところでありますが、現地調査を行った結果、九八年六月以前は、我が国が要求していた加熱処理条件を満たさない可能性があることが判明いたしました。イタリア政府は、我が国が要求していた加熱処理条件を満たしていたと回答、主張しております。しかし、加熱処理条件の詳細については不明な部分もあり、今問い合わせを継続中でございます。

山田(正)委員 この委員会で、EUからの肉骨粉の輸入の問題、当初から私は取り上げてきたんですが、その際に、いわゆるOIE基準、百三十三度、二十分、三気圧、これですべて加熱条件を満たしたものしか農水省は輸入を認めていない、そういうふうに私にも答え、そして、たしか委員会でもそのように答えられたと思うんですが、その点、このEUの報告書、今の大臣の話からすると間違っておったのではないのか。今までうそを農水省は言ってきたのかどうか。大臣、そこはどうなのか。

武部国務大臣 当初、きちっと確認されているということで対応をしてきているのでありますけれども、しかし、当委員会の山田委員の指摘もございますし、感染源の究明ということについては、農林水産省としても非常に大きな問題であるということで、そのために職員を海外に派遣して、もう一度徹底的に調査をしているということでございます。

山田(正)委員 OIE基準、それを満たしていなかった。ところが、OIE基準の加熱条件を満たしたものしか輸入していなかった、そう今まで農水省が言ってきたということは過ちであった、うそを言ってきた、大臣、それはどうなのか。

武部国務大臣 OIEの基準を満たしているという検査証明書のあるもののみ輸入しているということでございます。

山田(正)委員 OIEの検査基準のもののみ輸入しておったということには間違いありませんか。

武部国務大臣 間違いないと思います。

山田(正)委員 このEUの報告書の中に、これは二〇〇〇年十一月のものですが、「百三十三度C二十分三気圧基準と」――ちょっとその前に、「少なくとも百十五度C以上で一時間蒸気によって加熱処理したか、あるいは三時間百四十度Cで乾燥熱によって加熱処理した粗粉のみを輸入している。」これはいわゆるOIE「基準と同様の効果を持つとは考えられていない。むしろ、百四十度Cの乾燥熱はBSEの病原体を固定し、安定化することもありうる。」いわゆる百三十三度、二十分、三気圧の、今大臣が言った、大臣はそれによってのみしか輸入していないとはっきり今答えた。ところが、そうじゃない。このEUの報告ではそのように指摘されていること。

 さらにまた、「英国からの輸入については、もし実際にあったとすれば、加熱処理について証明されて」――ちょっと待って。ちょっと今の撤回します。「日本の資料によるとアイルランドから輸入された四百十五トンについては証明されていない。」いわゆるOIE基準についての証明がされていない等々の記載があるわけです、大臣。

 大臣は、どういうレクチャーを受け、このEUの大事な報告書をどのように読んだのか。そして、農水省は、今まで、百三十三度、二十分、三気圧で、それしか輸入は許していないと言いながら、でたらめな輸入をやってきたということは、このEUの報告書で明らかになっているではありませんか。大臣、どうお考えか。

武部国務大臣 山田委員には大変失礼なんですけれども、私も詳しいことまでは承知をしておりませんが、事務方の説明によれば、百十五度Cの蒸気による加熱処理というのは、これは発生国でない国についてそういう措置をとっているということでございます。

山田(正)委員 大臣は、事務方、事務方と言って、実際にこの報告書を責任ある立場で読まれたのかどうか。今私が聞いたのは、この報告書の中にあるBSE汚染国からの肉骨粉輸入の話なんだ。これが、百三十三度、二十分、三気圧でやっていなかった。それなのに、農水省、当時の熊澤畜産局長は輸入を許した。この責任はどうなるのだ。

武部国務大臣 今申し上げましたように、発生国については、百三十三度、二十分、三気圧というOIEの基準で輸入していたということでございます。

山田(正)委員 大臣は目はどこにあるのだ。何を読んでいるのだ。この報告書の中の汚染国からの輸入、その中に、アイルランドにしたってもそうじゃありませんか、いわゆるその加熱処理の条件を満たしていない輸入を畜産局長は認めた、熊澤次官はかつて。これは農水大臣として責任をどうとるかと今言っているわけなんだ。

武部国務大臣 これは申しわけないのですが、きょうは遠藤BSE対策本部長もおりませんし、私が一人で答えなきゃならないということは、答弁として適切な答弁が責任持ってできないのは申しわけないと思いますが、お許しいただきたいと思います。

 この二〇〇〇年十一月の、「肉骨粉及び肉骨粉を含む飼料が英国及びBSE汚染国からある程度輸入されている。しかし、日本国からの提供文書によれば、少なくとも百十五度C以上で一時間蒸気によって加熱処理したか、あるいは三時間百四十度Cで乾燥熱によって加熱処理した粗粉のみを輸入している。」ということについては、これはそうではないということで、その後、これを削除しているということでございます。

山田(正)委員 大臣、大臣は日本の農政を預かる大変大事な立場にある。私は、このことについてはきのうちゃんと質問通告しておった。それでいて、この実際の事実関係についても、あいまいでよくわからないような、いいかげんな答弁しかできない。

 よく読んでいただきたい、EU報告書案を。この中にはっきり書いているじゃない、いわゆる百四十度Cの乾燥熱によるBSEはかえって病原体を固定し、安定化することもあり得ると。そういう危険なものを輸入させた、それを認めるのか認めないのか。

武部国務大臣 今申し上げましたように、今委員指摘のことは、先方が誤解していたので、それは削除したということでございます。

山田(正)委員 どこを、何をどのように誤解して、どの部分を削除したのだ。これは議事録にも残るし、いいかげんなことを言ってもらったら農水大臣の責任問題だ。

鉢呂委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鉢呂委員長 速記を起こしてください。

 武部農林水産大臣。

武部国務大臣 今委員指摘の問題は、第一次案に記載されている記載項目、記載事実ですね。これは、EU側が誤解していたということで、二次案にはこれが削除されているということでございますので、こういう事実は我が国はないということをEUにも理解していただいたということでございます。

山田(正)委員 このEU報告書の中に、いわゆる二〇〇一年四月、三回目の報告書ですが、この中では、一九九八年には、百三十六度C、三十分の蒸熱処理からHT2(b)百三十三度C、三気圧、二十分の蒸熱処理に改正されたとありますが、ということは、一九九八年以前においては、いわゆるOIE基準以外の輸入、乾熱、蒸気圧とか云々でやっていた、三気圧、二十分、百三十三度C、その基準以外の加熱処理で輸入を安易に認めておった、そうなるのではないのか。いわゆる三回目の報告だ。

武部国務大臣 これは、専門的な技術的なことでございますが、その百三十六度、三十分の蒸熱処理の方が高い基準だということでございます。

山田(正)委員 これは議事録にとどめておいてください。じゃ、その高い基準から低い基準に切りかえた、改正されたということなのか。大臣は大変いいかげんなことを先ほどから何回も言っている。これは日本の農政を預かる大臣としては大変ゆゆしきことだ。一番大事な肉骨粉の輸入、しかもEUからの指摘、BSEに対する。大臣、明確に答えていただきたい。

鉢呂委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、一川委員長代理着席〕

    〔一川委員長代理退席、委員長着席〕

鉢呂委員長 速記を起こしてください。

 それでは、議事を再開いたします。武部農林水産大臣。

武部国務大臣 最初に、答弁に不手際がありまして時間をおかけしてしまったことをおわびしたいと思います。

 ただいま委員御指摘の問題について、休憩をいただいて答弁を整理させていただきました。

 まず、二〇〇〇年十一月に提示された第一案の加熱処理基準については、我が国からの反論によりまして、EU側が間違いであるということを認めたわけであります。第二案である二〇〇一年一月の提示案では、したがいまして、その項目が削除されているものでございます。

 次に、一九九八年に、百三十六度、三十分、蒸熱処理からOIEの基準に改正されたと記載されているが、これはそれまで不十分な加熱処理を適用していたということではないのかというお尋ねかと思うのでありますが、一九九七年にOIEの基準、百三十三度、三気圧、二十分が設定されたことから、九八年以降この基準に改正したということは事実でございます。

 しかし、百三十六度、三十分の蒸熱処理においても三気圧は確保されておる、つまり、三気圧という要件が百三十六度、三十分の蒸熱処理ということに相なりますので、OIEの基準を下回る不十分な加熱処理を適用していたという事実はない、こういうことでございます。

山田(正)委員 それでは、二〇〇〇年十一月のEUの指摘を削除したというのは、どの部分が間違いで削除したのか。

武部国務大臣 削除されたところは、「少なくとも百十五度C以上で一時間蒸気によって加熱処理したか、あるいは三時間百四十度Cで乾燥熱によって加熱処理した粗粉のみを輸入している。」という部分と、「百十五度Cの蒸気による加熱処理、あるいは百四十度Cの乾熱による加熱処理については、BSE不活化に関して、」云々という基準と、「百三十三度C二十分三気圧基準と同様の効果を持つとは考えられていない。むしろ、百四十度Cの乾燥熱はBSEの病原体を固定し、安定化することもありうる。」この部分を削除したということでございます。

山田(正)委員 百四十度C乾熱による処分は病原体を固定し、安定化することもあり得るというのは、EUの単なる間違いだったということ、それは間違いないのですね。では、そのように受けとめますが、では大臣……(武部国務大臣「ちょっと済みません、ちょっとごめんなさい」と呼ぶ)

鉢呂委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鉢呂委員長 速記を起こしてください。

 武部農水大臣。

武部国務大臣 たびたび済みません。

 一般論としては委員指摘のとおりだそうですが、日本は百四十度Cの乾熱加熱処理については適用していなかったということでございますので、その限りではない、そういう指摘――ちょっと済みませんね。ちょっと委員長、済みません、とめてください。

 これは山田先生にお願いですけれども、全く専門的なこと、技術的なことなので、専門家に答弁させるわけにいきませんか。もしあれであれば、私、本当にこれ、責任持って実際にそういう細かいところまで承知していないのですよね。だから、正確に答えるには……

山田(正)委員 承知していないって、大臣、僕はきのう質問通告しておって、大臣にお聞きしたいと、EUの内容について。

 私は、EUの報告書の内容について細かく、今の部分についても、この部分を聞きますということは大臣にちゃんと話しておった。しかも、これは大臣にお聞きしますという。当然、このEUの指摘というのは、農水大臣にとっても大変大事なことであって、私から一々質問通告される前に十分承知しておかなきゃならない問題。これが日本の農政を預かる者の責任者としての職務ではないのか。大臣、専門的なことでよく承知していなかったという問題ではない。

 特に、大臣、もう一つ、それでは大臣がなかなか、でははっきり言っておきたいのですが、今までOIE基準に従ったものしか輸入していなかったと農水省は言ってきた。ところが、いいですか、EUの指摘だとそうではなかったということが明らかになった。それについて、農水省は、今までそういう言い方をしてきたことは間違いであった、うそであったということを、大臣、認めるか認めないか。

武部国務大臣 私は、今までそれが正当であるとしてきたことももう一度徹底して検証する必要がある、そういう認識に立っておりますがゆえに、第三者による調査検討委員会の設置をいたしたわけでございます。したがって、ここではコンフィデンシャルでありますEUの報告書等もすべて出して、そこで御議論をいただいているわけでございます。

 今ここで断定的に私がお答えするのは不可能だ、不可能という言葉は適切じゃないかもしれませんが、より正確な検証が、科学的な検証、客観的な検証が必要じゃないか、そういう問題意識からこういう調査検討委員会を立ち上げているわけでありますので、そこで検討いただいて、新たな事実が出てくるかもしれませんし、今委員指摘のように、今まで農林水産省が対応していたことについて適切でないことが出てくるのかもしれませんし、あるいは適切であったという評価になるのかもしれませんし、そういうことを私自身問題意識を持っているから、そういったところでしっかりやってもらおうということでございますので、そのことで御理解をいただきたいと思うのです。

山田(正)委員 私が大臣にはっきり答えてほしいのは、いいですか、今まではいわゆるOIEの基準でしか輸入していなかったと農水省は言ってきた。それは間違いないのですか。まずそれだけ。

武部国務大臣 OIEに限らず、国際基準に照らしてやってきたということで……

山田(正)委員 いや、OIEと言ってきたんだけれども、それについてOIEの基準で輸入してきたと言ってきたことは間違いないか、それだけでいい。

武部国務大臣 一九九七年からOIEの基準ができたわけでありまして、それ以前は、WHO等国際基準に沿った加熱条件を課しまして、この条件に合わせて対応してきたということでございます。

山田(正)委員 九七年、OIEの基準ができてからはOIEの基準に従って進めて輸入をしてきた、それはイエスかノーか。

武部国務大臣 基本的にはそういうことです。

山田(正)委員 そうすると、今まで私が何度も農水省に聞いたときに、すべてOIEの基準どおりに輸入してきたので、畜産局が輸入許可を与えたことについては一切問題がない、そういうふうに私は今まで聞いてきたけれども、今の大臣の答弁と、同時に、実はこの十二月の日本農業新聞の中に、イタリアからの輸入肉骨粉に対しては、圧力をかけていない、いわゆる不完全な形での輸入がなされたおそれがある、その輸入量六百六トン、これについてのいきさつが書いてありますが、この中で、二社が最終用途が不明で、このうち一社がレンダリング業者に輸入肉骨粉を販売していたことがわかった。そして、そのレンダリング業者が輸入のものと国内の肉骨粉とをブレンドして取引しても不思議はないという農水省高官の説明が載っております。

 こういう記事等を見ると、まさに農水省が今まで言ってきたことと全く異なる事実関係があった、あり得た。それを農水大臣は、いわゆる日本の農業を預かる責任者として、このようなゆゆしき事態に対して責任は全く感じないのか。

武部国務大臣 先ほども申し上げましたように、さまざまな議論の中で、私はこの感染源の究明ということが不可欠であるということで、今徹底してこのことに農林水産省としては一番大きなエネルギーを割いていると言って過言でないと思います。それは、職員等派遣してやっているということは委員御承知のとおりでありますし、さらに今までやってきたことについて問題はなかったのかどうか、あったとすればどういうところだったのかということについては、やはり専門家等による第三者調査委員会で、農林水産省としてもありとあらゆるデータを出してそこで検討していただこうというようなことでありまして、その上でいろいろなことが逐次明らかになってくるであろう、このように思うわけでございます。

 私自身は、責任を感じておりますがゆえに、これまでの議論の経過の中から、やはり第三者による調査検討委員会というものをつくって、そこでやはり科学的な知見とか客観的な検証というものは不可欠だという思いで今やっていただいているわけでございまして、責任を感じているからそういうこともやっているということを御理解いただきたいと思うのでございます。

鉢呂委員長 最後にまとめてください。

山田(正)委員 時間がないのでこれで終わりますが、ぜひこの問題、EUからの指摘を正確に受けとめて、今までのように事実を隠ぺいして国民になお不信を増幅させることのないように、ぜひ大臣にきちんとした対応をお願いします。

 終わります。

鉢呂委員長 次に、中林よし子君。

中林委員 私は、十二月十七日の予算委員会の質問に引き続いてお伺いしたいと思います。

 予算委員会で、廃用牛の行き場がなくなっている問題を指摘して、農水省の周りで野良牛が出たらどうなりますか、こういう質問もさせていただきました。その後、この私の指摘どおりの事態が、埼玉県でも熊本県でも野良牛が発生して、熊本県ではその牛の胴体に抗議の文字が書かれていたほどで、それほど今、戦後酪農家あるいは畜産業を通じて大変な危機的事態にあるというふうに思います。

 農民連という組織がありますが、ここでBSE一一〇番を行っております。そこに寄せられている声も、このままでは秋田から牛が一頭もいなくなるとか、あるいは国は認識が足りない、現場は非常にせっぱ詰まっている、このままでは畜産農家が相当つぶれるなど悲鳴ともいえる声が寄せられております。

 このまま廃用牛の処理が進まなければ、日本の酪農はことしの六月には限界に達して、多くの酪農家が離農に追い込まれることになるでしょう。だから、私は廃用牛の政府の買い上げと牛の事業団買い上げを強く大臣に迫ってまいりました。

 これに対して農水省は、乳廃牛の出荷円滑化対策の検討の方向を年末に出しましたけれども、一時的集約施設の確保とえさ代や輸送費の補助にとどまっておって、それも具体的な予算もなされておりません。これでは生産者の苦境はとても救えない、打開できない、そういう事態ですし、また肥育農家が切望している牛肉の事業団買い上げについても実施する様子もないということなんですね。

 こういう、先ほど大臣は、建設的な提案をと、このように野党にも注文をつけられましたけれども、私はずっと建設的な提案をやってきている。しかし、今の事態では本当に大臣が酪農、畜産を守る気があるのかどうか疑わしいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

武部国務大臣 産地の皆さん方の不安、焦燥感、怒りといったことは、私も先般、根室、猿払、群馬の宮城村にも行ってまいりました。今委員が、本当に真剣に酪農、畜産を守る気があるのかという御質問でございますけれども、二十五日、予算が終わって、私、直ちに根室に向かったわけであります。

 そこで率直な御意見を伺ってまいりました。また、私も率直なことを申し上げてまいりましたし、今乳廃牛の問題についても、現地の酪農家は、乳廃牛と言わないでくれ、そういう具体的な注文もありまして、私はその後、高齢牛、こういうふうに言葉を使っておりますが、委員からも建設的な御提案をいただいております。

 今我が国は百七十二万頭の乳用牛がおりますが、毎年三十万頭が順次廃用となっているわけでございまして、屠畜場へ出荷され、すべてBSE検査を受けた後に食肉として流通することになるわけでありますが、これらの牛肉は安全なものであります。かつ、国産牛肉の約二割弱を占める貴重な牛肉資源でもありますので、国が買い上げて処分することは適切でない、また、BSE感染牛をきちんと摘発することが消費者の信頼を回復する基本であるということを酪農家の皆様にも十分御理解願えるような努力をしてまいったところでございます。

 その対策でありますが、やはり、私も今、この間も行ってまいりまして、高齢牛が滞留している、約四万四千頭ぐらい滞留しているということですが、これが一番深刻な問題だというふうに考えておりますので、屠畜場における乳廃牛の受け入れについて理解を求めていくとともに、乳廃牛の出荷が円滑に行われるための支援として、乳廃牛を農協施設等で集約管理する際の飼料費や必要となる簡易な施設改修費、農協等が乳廃牛を共同出荷する際の輸送費等の助成を行う、つまり生産者には一切こういった負担をかけない、予算措置も所要額約十一億円余の予算を今考えて対応しようとしているわけでございます。

中林委員 事業団買い上げ。

武部国務大臣 委員も前にも事業団買い入れを実施すべきではないかという御提案でございますが、今卸売価格は、九月十日のBSE発生後、国内消費の減退から低下し、安定基準価格を下回って推移いたしました。このような状況に対処して価格の安定を図るために、十月二十六日から調整保管を開始したところであります。

 牛肉の卸売価格は、調整保管の開始後、安定基準価格を上回って推移いたしましたが、屠畜頭数の回復に伴いまして、十一月十五日以降弱含みというふうになっておりまして、また、二頭目、三頭目のBSE患畜発生により、さらに卸売価格が低下したということでありますので、生産者団体等は調整保管による買い上げ規模を拡大して対応するとともに、農林水産省としても、消費者の不安を払拭し、牛肉需要を早期に回復させることが価格安定のかぎであるという観点から、マスメディアの活用やシンポジウムの開催等のPRを行っているところでありまして、十二月十四日には、十月十七日以前の市場隔離牛肉について焼却処分することとしたわけでございます。

 政府一丸となって、牛肉消費の回復を図ること、市場からの買い入れを通じて需給の適正化を図ることが基本でありまして、引き続き調整保管の機動的な実施により対応してまいりたい。

 委員の御指摘の事業団買い入れということではなくて、今団体等がやっている調整保管でやることが民間の活力を生かすことにもつながるんじゃないか、このように考えて、そういう実施により対応してまいりたいと思っております。

中林委員 私はあえて冒頭、昨年十二月十七日の予算委員会を踏まえて、さらに深刻な事態になっているということで、同じ答弁を言われても私は本当に納得できないんですよ。

 そして、乳廃牛の出荷の問題で一定の施策は出ました。しかし、これについて現場はどう言っているかということなんですよ。千葉北部農業協同組合長の梅原氏は、そんな施設があるとは思えない、現場を知らない役所の発想、それから、感染牛が出ても消費者が牛肉を買い控えをしないような環境づくりをしない限り、農家や処理場は廃用牛を安心して処分できない、牛舎はもうぱんぱんだ、廃用牛は検査し、国が全頭買い上げてほしい、こういう具体的な話です。

 だから、今一定のJAなどに隔離させてということで、農家負担はさせないとおっしゃいましたけれども、それには間違いないですね。えさ代の一定補助だとかそれだけじゃなくて、農家には一切負担をかけない、これは間違いありませんね。

武部国務大臣 農家には負担をかけない方策でやろうとしております。

中林委員 それから、事業団買い上げの問題ですけれども、調整保管でということをおっしゃるんですよ。しかし、今回のBSEの問題は今までにない事態が起こりました。法律でちゃんと買い入れができることになっているんですよ。それをやらない。今まで牛に調整保管はしたことないんだから、初めてのことをやっているんだからとおっしゃるんだけれども、これではとてもじゃないけれども値段が回復していない。つまり、国民が消費したと同じ事態を国がどうつくっていくか、ここにかかっているわけですよ。

 団体などが調整保管すること、それに援助をするのが民間の活力を引き出すなんというのは、そういう段階じゃないですよ。今国が日本の畜産、酪農を続けさせていくために何をするのか、ここが問われているわけですよ。そうすると、直接できるのは事業団買い入れじゃないですか。

 それで、今まで豚で二回やっております。豚のときは、昭和三十七年、このときは十一万八百九十二頭買い入れております。それから、二回目、同じように豚肉で、昭和四十一年三月から四十二年の七月まで一年四カ月にわたって、実に八十八万五千七百三十七・五頭買い入れている。このときは調整保管も同時にやっているんです。両方でやって効果を上げている、こういうことでしょう。では、その昭和三十七年だとか四十一年の豚の状況と今のBSEの状況、今の方が軽いと言うんですか、深刻な事態は。

武部国務大臣 調整保管の枠は八万頭余でございまして、現在一万三千頭ぐらいでございますので、まだ大きな枠があるわけでございます。

 いずれにいたしましても、生産者団体等は、調整保管による買い上げ規模を拡大して対応するとともに、牛肉需要を早期に回復させるためのPRを行ってほしい、そういう要望が強うございます。年末年始の牛肉卸売価格には回復の気配が見られているところでありまして、いずれにしても卸売価格の動向を注視しつつ、市場からの買い入れを通じて需給の適正化を図ることを基本として、引き続き調整保管の機動的な実施により対応してまいりたい、かように考えております。

 また、何ゆえ検討もしないのかということでありますが、BSE対策の総合的な実施によりまして、我が国肉用牛部門の再生産確保に最大限の努力を、さまざまな対策、肉用牛肥育経営安定対策事業や肉用子牛生産者補給金制度といった生産者への直接支援を初めとして実施しているわけでございます。

 したがいまして、さまざまな団体の皆さん方からもいろいろな要望をいただきながら、それにこたえる形で今一生懸命努力をしているということでございますので、我が国肉用牛部門の再生産確保に最大限努力してまいりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

中林委員 年が明けてから入札はありましたよ。どん底になったところから考えると若干値を戻したということで、それで今これでいいんだみたいな話だったら、絶対農家は納得しませんよ。

 言っているように、やっとこさ年を越した。今後本当に消費が戻らなければ、日本の畜産、酪農というのはもう限界を、今もう限界に来ている。そのときに政府がどうするかが問われているわけですよ。調整保管ではまだ効果が上がらない、だから、豚のときだって、調整保管もやるけれども同時に国も買い上げている、こういうことなんですよ。政府みずからがやるべきことを団体にやらせるということでは人任せなんですよ。政府がどうやるか。

 もちろん、今肥育農家に対する一定の補償があるというのは私も知っているけれども、それでは今の暴落からいったら本当にちょっとしたことでの援助にしかならないと農家の人たちは言って、必ず今どこに行っても自殺という言葉が私のところへ返ってくるんですよ。本当に、殺していいのかという話でしょう。

 だから、野良牛がうろうろするだけではないですよ。農家自体がもたない、こういう状況ですから、私は言っていると、少なくとも事業団の買い入れも、将来のといいますか、検討課題には入れるんだ、その決意は、大臣、見せてくださいよ。

武部国務大臣 先ほど調整保管の実施状況についてお話し申し上げましたが、まだ相当な枠があるということ。それから、やはり価格の安定ですね、価格が回復するということが一番大事なんじゃないか、かように思います。

 生産者の皆さん方からのいろいろな要望もございます。そういったことを踏まえてあらゆることを今やっているわけでありますので、そういう推移をしっかり見守った上で、さらにどうしてもやらなきゃならない問題として、委員指摘のような事業団買い入れなどということがどうしても必要だというようなことであれば、私どもはそういったものは絶対やらないということを言っているんじゃありませんで、調整保管でやることを生産者団体の皆さん方も望んでおられるであろう。

 そして、やはり価格の安定ということが一番大事だ、消費の回復をこれはもうみんなでやらなくちゃいけない、こういうことでございますので、私どもは、国会の皆さん方とのコミュニケーションを踏まえて、何が一番いいか、次はどういうことをやるべきかというようなことを、建設的な御意見を賜ればそれにこたえる、今までもこたえてきている所存でありますので、そのことはひとつ御理解をいただきたいと思います。

中林委員 また大臣の方からみんなでという言葉が出てきたんです。私どもも、もちろん、農家の皆さんと懇談のときには必ず消費者も来てくださいといってやって、消費者の皆さんも農家の苦労がわかって、これから牛肉食べます、こういう発言も会場からは出るような状況なんです。私たちも努力はしています。

 しかし、農家が自殺したり、あるいはもう牛舎を捨てて逃げなきゃいけないような事態も既に起きているわけですから、そうなったら日本の酪農、畜産はなくなりますよ。これでいいのか、これで大臣の責任が果たせるのかということです。先ほど事業団買い入れは否定はしてないとおっしゃいましたので、今の農家の苦境を救う国としてのやるべきことをぜひ検討していただきたいと思います。

 次に、きょうも、十二月二十六日の北海道での大臣の発言、あるいは二十八日の記者会見の発言が問題になっております。私は、本当にこれを読んでもう残念で残念で、一体、委員会や予算委員会などで議論したことを大臣はどう受けとめていらっしゃるのかという思いがしてなりませんでした。特に、さきの議員などが一つ一つ詰めましたので、言われてないことで、私が大臣が大臣としての適格性を本当に欠いているなと思うことをちょっと聞きたいと思うんですね。

 それは、九七年から肉骨粉の牛への給与を法的禁止をすると、全部法規制をすると社会主義の国になってしまう、こういう発言がありますよね。そうすると、九七年からアメリカは法的禁止していますよね。そうしたら、アメリカは社会主義の国なんですか。

武部国務大臣 その件は、行政指導のことと、肉骨粉を行政指導で禁ずることで言っているんじゃありませんで、当時の皆さん方に聞いていただければわかりますように、私は、トレーサビリティー、これを今やろうとしているということに関連して、何でもかんでも法規制にすることが本当にいいんでしょうかという、これも集まった方に対する問いかけなんです。

 私は、トレーサビリティーも法規制にすべきだ、そういう考え方を持っているものでありまして、そういう議論はしているけれども、やはり政府がやるべきことは大きな太い柱を立てて、あるいは都道府県なり自治体、さらには生産者団体、そういった方々がどこの分野をどのように役割を担って、そして全体としてどういう政策を展開していくか。一番いいのは、やはり生産者の方々が自分の発想で自分のやりたいという方法で進めていくのが一番いいのではないか、全部法律で縛ってしまうということがいいのではないのではないですかということを申し上げているのであります。

中林委員 どうも二十六日、二十八日の発言については、もう弁明これ努められる、説明が長いというふうに思います。

 私は、法規制をしていればというのは今回の肉骨粉の使用問題についてですよ、それについてしか私たちは今法規制の話はしてないわけですから、そういうことが出てくるわけがないというふうに思います。

 九月十八日、日本は法規制をいたしました。では、九月十八日から日本は社会主義の国になったのか、こういうことにならざるを得ないんですよ、あのフレーズを読むと。

 だから、もう答弁は要りませんけれども、そういう意味では、同じ資本主義国でも、九六年のWHO勧告を受けて、肉骨粉の使用禁止を法的に禁止した国と行政指導にとどめた国、こういうふうに分かれます。日本の場合は、行政指導にとどめた結果、狂牛病が発生しました。そのことをEUからさえ指摘されているわけですね。

 それから、九六年四月のWHO勧告を受けて、畜産局長が同席で開かれた当時のBSE問題の一級の専門家による海綿状脳症に関する検討会では、英国で一九九〇年以降に生まれたものに発症が認められる理由として、「八八年の反芻動物由来の蛋白質の飼料への禁止令が末端まで行き渡らなかったこと、」まで指摘をされております。「日本でも英国と同様動物性飼料の禁止令を出し、脳、リンパ節の流通を禁止した方がよいのではないか。」「防疫の問題については、疑わしきは禁止し、」「海外からの侵入防止と国内での発生防止が重要である。」「結局データはすべて英国が出しているデータであるので、他国の措置を見習わなければならない。」など、法的禁止措置を強く求めております。

 しかし、その後農水省がまとめた検討会での発言要旨では、だれ一人として発言していない、「国内の反すう動物の内臓等については、国内の反すう動物の飼料として利用されることがないよう指導することが重要である。」こう発言要旨となっております。まさに発言をねじ曲げたとしか言いようがないじゃないですか。なぜ、この検討会での一連の発言がねじ曲げられてしまったのか、禁止令を出したことを尊重しなかったのか、その点についてお伺いします。

武部国務大臣 私は、当時を振り返って、法規制にすべきだった、そういうふうに考えていることをこれまでも委員会等で述べておりますので、誤解がないように御理解をいただきたいと思います。

 九六年四月八日の検討会の議事メモによれば、一名の委員から、「日本でも英国と同様動物性飼料の禁止令を出し、」との発言がありました。しかしながら、他の委員からは、専門家がパニックに陥って、正確な情報が必要との指摘もあるなど、さまざまな意見が出されたと。

 また、発言要旨については、検討会終了後、事務局からの、発言を行った委員に対して文面の確認を行った上で、「指導する」と集約されたものであるということでございますが、私は、今にして思えば、やはりきちっとすべきでなかったのかなということは、あえてまた申し上げます。

 しかし、当時、国会においても、適切に指導するようにというような、そういう決議にもなっているわけでありまして、したがいまして、当時にさかのぼって客観的な検証が必要なんじゃないか、私はこのように思います。そういう検証を待って、今後どう対応していくべきかということを私ども真剣に考えたい、このように思っております。

中林委員 大臣は、当時、法的に禁止令を出していればよかったというふうにお認めになりました。

 しかし、今私が質問をいたしました九六年四月の専門家による検討会、これはだれも行政指導でよいなどという発言はどこにも出てきていないにもかかわらず、発言要旨では、行政指導すべしというふうなことになってしまったわけですね。

 それで、この検討会の議事メモというのも、ずっと、なくなった、なくなったということで、暮れになってやっと、やっと見つかりましたということで、私のもとに届いたようなものなんですね。

 そして、担当官に聞いたら、当時の委員の先生に聞いたら、当時、行政指導でいいというふうに言ったなどということを言われたというふうに、私の部屋に説明されました。

 これは、間違いありませんか。

須賀田政府参考人 九六年四月八日の検討会でございます。この議事メモ、年末になってやっとということでございますけれども、私ども、真剣に探していたわけでございまして、保管倉庫から担当課の書庫までずっと探しておってやっと見つかったわけでございます。

 その議事メモによりますと、禁止令を出せという意見を述べられた方は一人の委員の方でございました。その後、検討会終了に当たりまして、この委員も含めまして内容の取りまとめに当たりまして、「指導」ということで集約されたものでございます。

中林委員 ちょっと声が小さいので、非常にわかりにくいというふうに思うんですね。

 それで、私はあえて言いたいと思います。これは委員長に申し上げたいと思うんですけれども、非常にここのところが、なくなった、なくなった、なくなった、もしよかったら先生来て調べてくださいとまで言われたんですよ。なくなっているから、来て探してください、こんな言い方があるかというふうに思ったんですけれども、探していたら見つかったという話でしょう。

 それで、当時の禁止令を出した先生に聞いてみたら、こういう、指導でよろしいと言ったということは、しかもそれがわかったのは、当時の畜産局長、これは出席しているんですけれども、局長が一応おやめになるというのを発表した後なんですよ。だから極めて恣意的だというふうに思います。

 六年前のことが、例えば十月や十一月のことでさえ大臣も言ったか言わないかわからない世界であるにもかかわらず、六年前、行政指導でいいと言ったなどということが、言われたのかどうなのか。その委員はだれなんですか。

須賀田政府参考人 当時のこの検討委員会が非公開ということで行われておりまして、これは、重要な発言を担保して、委員会以外では発言責任を問われないようにということで非公開扱いということになっておるわけでございます。

 ただ、先生から昨日質問通告がございましたので、当の委員の先生に了承をいただいてお名前を公表してよろしいかということを問い合わせたわけでございますけれども、当時のその委員の方からは、当時そのような発言をした確かな記憶があるわけではないということと、検討会の発言に当たっても自分は法的な禁止か行政指導かを判断する立場ではなかったということを申されまして、発言内容に責任は持てないので氏名は出さないでほしいということでございました。

 個人に関する情報でございますので、何とぞそのことを御理解いただいて、氏名の公表は差し控えさせていただきたいというふうに思います。

中林委員 非常にあいまいじゃないですか。それを言明するようなことをおっしゃらないでいただきたい。

 ということで、私は、委員長、ぜひ当時の衛生課長青沼さん、それから今の衛生課長宮島さん、これを確かめたとおっしゃるのです。そのお二人の当委員会への証人喚問を要求したいというふうに思いますし、当時もしテープがあったら、この委員会に提出を求めたいと思います。

鉢呂委員長 ただいまの件は理事会で協議をさせていただきます。

中林委員 それから、時間がなくなりましたので、もう一つ。

 大臣は、ずっと専門家の意見を聞いて今まで対応してきたとおっしゃいましたよね。それで、四月二十四日に飼料部会の検討会がございます。このときも二人の委員が禁止を求めております。しかし、当時の横山流通課長は、「また五月にでもお集りいただいて結論を出していただこうかと思う。」こういうふうにおっしゃって、それ以来、五月には開かれない。いつ開かれたのか。五年たってから、去年の三月にやっと開かれた、こういう状況なんですね。なぜそういう事態になったんですか。

須賀田政府参考人 先生御指摘の一九九六年四月二十四日に開催された御指摘の審議会でございます。おっしゃられるように、十三名中二名の委員の方から、法的措置も必要だとか禁止してもよいとかいった意見が出されておりますけれども、全体の意見の集約としては、今おっしゃられましたように、WHOの勧告内容が正式に決定をされまして、その内容でございますとか各国の対応状況を踏まえた上で改めて審議しよう、そういうことになったのは事実でございます。

 そのWHOの勧告内容というのは、最終的にはその年の四月二十九日に外交ルートによって送付されておりますけれども、その後の各国の対応状況を把握するということで、九月十八日まで再開されなかったというふうに聞いております。

中林委員 これはまさに、五年間、何で開かなかったんですか。

須賀田政府参考人 一つには、一九九六年に指導通知をやっているわけでございますけれども、その通知後は、配合飼料工場において牛用飼料への肉骨粉が使用されていないということが確認をされてきたということ、それから二つ目には、イギリスからの肉骨粉の輸入が禁止されていたということ、さらには、国内でBSEの症状を呈する牛が発生していなかったということ、こういうことで、この指導通知が実効を確保されていたというふうに認識をされて審議が行われなかったというふうに推測をしております。

中林委員 そんなでたらめな答弁、私は納得できないですよ。

 なぜなら、その前に飼料部会が開かれて、このときの問題提起が、これは四月の十二日ぐらいだったですかね、最初、通知を出す前ですよ、通知を出す前に部会が開かれて、WHOの勧告を受けたと。飼料安全法第二条の二に基づく飼料における新たな基準の設定につきまして、要するに使用禁止とすべきかどうかにつきまして御審議をいただきたいということを提起して、それを受けて二十四日開かれた。しかし、わずか十分ですよ、十分この問題で審議を。もう時間系列、全部出ていますからね。十分やって、連休明けにWHOから最終報告が出るのでということで先送りになりました。しかし、最終報告は、基本は全然変わっていないのですよ。それなのに開かない。

 大臣、いいですか。大臣は専門家の意見を聞いてとおっしゃるけれども、無視したんでしょう。言っているのに、しかも、開きますと言って開かなかった。もうあのときの十分間の間で、意見を言っているのは、禁止の意見しか出てこないですよ。それを無視している。もう一片の通知で、これで行政指導を行っているからこれでよかったと。開いていればどういう事態になったかわかるでしょう。どうですか、大臣。

武部国務大臣 今にして思えば、きちっとやるべきだったと私はかように思います。行政指導でなくて、法的規制もきちっとやるべきだったと思います。しかし、当時の状況はどういう状況であったのかということについては、何度も申し上げますように、やはり客観的な検証というのが必要なんじゃないでしょうか。

 国会においても、行政指導、そういうようなことの決議もしているわけでありますから、そこで私どもは、あらゆるデータを出して、どういうことでそういうことになったのかということを調査検討委員会で議論していただくということをお願いしているわけでございまして、当時のことを振り返って、今私ならこうする、こうあるべきだということは言えますが、もう少しそのところについては客観的な検証が必要だというふうに思います。

中林委員 最初の専門家による検討会も、それから法律に基づく飼料部会の検討会も、本当に一級の人たちが出てこれだけのことを言っている。当時言っていたことを、大臣もお認めになったように、禁止をちゃんとやっていれば今日の事態はなかっただろう、こう言われる。しかしながら、今また第三者委員会を立ち上げて、そこでやっているのでと言われるのだけれども、しかし私は、専門家の意見を聞いてやったと大臣はおっしゃるけれども、聞いていない、ねじ曲げているということを指摘したいのですよ。

 そうなると、当時の局長の責任というのは極めて重大だというふうに思いますね。八千万円以上の退職金で退職されたようですけれども、とんでもないと言わざるを得ないのです。これは今後も追及したいと思いますので、厳しく抗議をしておきたいと思います。

 時間が来ましたので、最後に一点だけです。

 BSEの対策はことしの三月で終わりということになると、もう余りにも大変です。これは長期にわたります、潜伏期間が八年ですから。だから、将来も、ちゃんと農家の皆さんの気持ちを受けとめた、ちゃんとした対応をしていただきたい。大臣、決意を伺いたいと思います。

武部国務大臣 特に発生農家が疑似患畜をも殺処分して検査しなきゃならないというようなことは、精神的にも経済的にも大変なことだ、こう思っております。ただ優良牛を導入すればいいというものじゃない。やはり長年かけて牛群改良をやってきた農家でありますから、こういったことについては今何らかの対策をやればいいというものじゃない、私はこのように認識しておりまして、少し時間がかかるだろう、このように思っておりますし、諸般の対策についても、これからさらに必要なものは可能な限りのことをやる姿勢で私どもは努力してまいりたいと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。

中林委員 終わります。

鉢呂委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。

 大臣にまず冒頭お聞きしておきたいと思うのですが、一月の八日の記者会見の席で、BSE問題については一区切りついた、こう発言しているわけですね。これは、私もこの発言要旨をいただいて読んでいますけれども、BSE問題というのが一番最初に来て、そしてその後いろいろな問題が出てきているわけですけれども、主語述語の関係からいえば、BSE問題は一定の区切りをつけることができた。

 私はこの発言をどこで聞いたかというと、これが民放のテレビに、全国放送になっているわけですね。今、BSE問題で非常に苦しんでいる人たちを目の前にして、そしてこれからどうやっていったらいいのかということで苦しんでいる人の前で、一定の区切りがついたと発言したこの真意はどこにあるのですか、お聞きしておきたいと思います。

武部国務大臣 委員も、記者会見の、私の会見の中身は御案内と思います。一定の区切りというのは、先ほども申し上げましたように、WTOの閣僚会議、あるいはセーフガードの問題、米政策の見直し、それから予算、そして一番大きい問題はBSE、こういうふうに私は思っておりますので、一番最初にBSE問題ということを申し上げているわけであります。

 これら農林水産省として当面直面していたさまざまな大きい問題がそれぞれ一定の区切りがついたというこのところでやはり人事を刷新して、新しい体制で本来あるべき農林水産省の行政の改革に取り組んでまいりたい、こういうふうに申し上げたわけでありまして、BSE問題に一定の区切りがついたということではございませんので、このことは誤解のないようにお願いしたいと思います。

 BSEの問題についても、私は、全頭検査による牛肉の安全性の確保ということを最優先してやってまいりましたから、そのことは、十月十八日以降大丈夫だということになっているわけでありますし、それから、市場隔離している十七日以前の肉についても全頭焼却処分するという見通し等もつけました。また、十四年度に向けての予算措置等もやりました。

 しかし、これから、先ほどの各委員の御質問にもございましたように、やはり感染源の究明なくして本来的な問題解決にはつながりませんので、このことに全力を尽くしていきたいと思いますし、また、生産者はもとより中小企業の皆さん方にとりましても、牛肉の消費回復が進まないというようなことが一番大きな問題でございますので、こういったことに全力を尽くしていく、そういう一つの新たな重点項目といいますか重点目標というものを持ってBSEの問題についてもしっかりやっていこう、そういう決意を申し上げたわけでございます。

菅野委員 大臣の認識が、一定の区切りをつけた、ついているという認識が根底にあるから、私は、この委員会というものを、きょう一月十日、緊急に開かざるを得なかった状況が生まれてくるんだというふうに思っています。北海道での発言とか新聞報道されていますけれども、本当にしっかりとした農林水産行政をやっていこうとするならば、冒頭申し上げますけれども、農林水産省としてのこのBSE問題に対する責任を明らかに国民の前にしっかりと示して、そして新たな体制でこれから進んでいきますということだったらば、一定の区切りという表現を使ってもいいんだというふうに私は思っています。

 先ほどからずっと大臣の答弁を聞いていますと、第三者委員会に、検討委員会にゆだねていますから、その結論をもって判断していきたいというふうに言っていますけれども、そうじゃないと思うのですね。今、今日まで原因というものがはっきりしてきていますし、今日の置かれている農家の現状というものを大臣も見聞きしていますから、そういうけじめのつけ方ということが私は一番必要なのではないのかなと。この件について、大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。

武部国務大臣 もう何度も申し上げておりますように、BSE発生当初、いろいろな混乱がありました。私は、何でこうなったのかということで驚いたわけでございます。危機管理意識の希薄さということが最大の問題だということで、厳しく厳重に注意をしながら職員を促して、いろいろな対策に当たってまいった所存でございます。

 しかし、今けじめのお話がございましたけれども、人事の刷新ということは、これは行政上非常に大きなけじめだろう、私はこのように考えております。そういう意味で、これから新しい体制で国民の皆さん方の信頼回復に向けて最大限努力してまいりたい、かように考えております。

菅野委員 この問題については後でもう一回触れたいと思っていますから、後ほどの議論にさせていただきたいと思います。

 十二月の二十八日、武部農水大臣は群馬県の宮城村、三頭目が発生したその地域に行って、そして生産者と懇談してきたと新聞報道されておりますけれども、この宮城村に行った、生産者との懇談で、大臣、どのような状況だったか報告願いたいというふうに思っています。

武部国務大臣 宮城村に限らず、猿払村も行ってまいりました。発生農家でない根室にも行ってまいりまして、やはり深刻な問題は、また次は自分がその発生農家になるんじゃないか、そういう不安。また、発生農家にとっては、自分がその対象になったという衝撃、怒り、そういったぶつけどころのないものをみんな持っているということでございます。

 私は、そういうことでありますから、予算が終わって行ってまいりまして、どれだけ頑張ったかということを申し上げたくて言うわけじゃありませんけれども、二十六日、二十七日は一千キロ以上車で走っております。帰ってきてすぐ宮城村にも行きました。やはり、私も年内にきちっと現地の生の声というものを聞きたい、そして、新たな体制に向けてやる際に何を優先すべきかということを少しでも確かめたいということで、やはり廃用牛の停滞ということが非常に大きな問題だという認識です。

 酪農家にとりましても、出すに出せない。北海道の場合には屠畜場の事情で出せないということではないようなんですけれども、出したら自分が次の番になるんじゃないかという不安ですね。こういうことが非常に大きい問題だというふうに思いました。これが進まないと、酪農であれば、牛の更新が進まない限り、将来大変なことになるわけですね。ですから、これは何とかしなくちゃいけないという強い思いを感じまして、今その対策を事務当局に指示しているわけでございます。先ほどもお答えしたとおりでございます。

 もう一つは、発生農家の再建支援ということを思い切ってやらなくちゃいけないという認識でございます。ほかにもありますけれども、肥育農家と酪農家の間の違う問題意識も含めまして、現地は極めて深刻だということの認識を新たにした次第です。

菅野委員 私はあえて宮城村と限定したんですが、私も大臣より前に、十二月一日、二日、佐呂間町と猿払村に行って地元で懇談してきました。そして、十二月の二十一日に宮城村にも行って地元の対策本部の人たちと懇談してきましたし、飼育農家の実態もつぶさに見てまいりました。

 悲鳴を上げているんですね。畜産農家は、酪農農家はまだ乳を搾ってでも生活できます。ただ、飼育農家は、宮城村で二千頭飼っている飼育農家は、三カ月一頭も出荷できないでいます。そして、えさ代が一万から一万五千円かかるという状況ですから、二千頭に三カ月えさを与えたときにどういう状況になっているのか。廃用牛の問題じゃないんです。ホルスタインのF1種の問題、実態がそういう実態になっています。

 先ほど中林委員の質問に対して答弁がございましたけれども、本当にこのような農家に対して一切負担をかけないでやる対策を今後とっていくのかどうか。先ほど大臣の答弁の中では、こういう農家には一切負担をかけないでやる方向で取り組んでいくということですから、この宮城村の実態を見て、このことに対して具体的にどう取り組んでいくのか、ここで答弁願います。

武部国務大臣 今委員御指摘のことは、櫻井村長からも、肥育牛の出荷が滞っているというお話を伺ってまいりました。このことに関連しての御質問だと思うんですが、十二月二日に患畜が確認された直後、県外の食肉市場には出荷できない状況になってしまったんですね。しかし、和牛、交雑種については県内の食肉市場での処理に切りかえるとともに、乳用種についても、本年一月に入って、県外の食肉市場への出荷が再開されていると聞いております。

 農林水産省としては、屠畜場で円滑な処理がなされることが重要であると考えておりまして、これは、出荷されなければマル緊、特別マル緊等お金が入ってまいりませんので、そういったことを念頭に委員が御質問されていると思いますので、今後、厚生労働省とも連携をとりつつ、必要に応じて屠畜場を指導し、肥育牛の流通に影響を及ぼさないようなそういう対処に全力を挙げなきゃならぬな、かように思っております。

菅野委員 一つは、三カ月間出荷できなかった、このことに対する政府の対応をどうしていくのか、これが第一点だと思うんです。これは、先ほど大臣が答弁したように出荷できないんですから、値段がつかないんですよね。そして、丸々三カ月飼育しなければならない実態だった、このことに対してどう対処していくのか。生産局長でもいいですから、きちっと答弁してください。

須賀田政府参考人 宮城村で大変お気の毒な事態が生じているということは、私どもも承知をしております。

 基本的には、屠畜場で屠畜をされて、そして、大臣が先ほど申し上げましたようなBSE特別マル緊でございますとか、そういう施策の対象となるということが基本でございます。

 ただ、出荷ができないというそのつなぎの期間は、やはり融資措置で、私ども融資措置を講じておりますので、そこでつないでいただくということが基本ではないかというふうに考えております。

菅野委員 問題点の深刻さをとらえていないということなんです。いいですか、宮城村の飼育農家の実態をじゃ言いますけれども、畜舎をつくるために四億借り入れをやっています。そして、この狂牛病が出てから新たに一億借り入れしました。それで、どうしてその融資を返していくんでしょうか。どうやってその資金を返していくのか、ここで悩んでいるんです。

 それで、飼育農家の方々は、全頭、三カ月で三百頭出荷できたんですから、それが滞った、これを政府の責任で買い上げてもらう制度をつくらない限り、私たちは生きていけませんと言っているんですから。このことをどう考えていくのか。大臣、宮城村に行ってきたんでしょう。答弁願います。

須賀田政府参考人 やはり基本は、今、県内、県外の食肉市場に出荷できる体制が整っておりますので、そこで対応していただくというのを基本に考えていただきたいと思うわけでございます。

 そして、先ほど言いましたつなぎの資金のことでございます。私ども、肥育農家を初めとする畜産農家には既に負債が多いという事実を承知しておりまして、ただ、今回のつなぎ資金は、BSEの発生という問題で起こった特別の事情なので、負債が多くてもそれと切り離して融資を講ずるように、それから、無担保、無保証の機関保証というのも講ずるようにといって、できるだけの手は尽くしているつもりでございますので、何とか利用をしていただきたいというふうに思う次第でございます。

菅野委員 大臣、このBSE問題について一区切りがついたなんということをマスコミで全国報道されたときに、今このように苦しんでいる農家からすれば、これからどうしてくれるのだという、一つは政府の責任の明確化と、これからの畜産業、農家をどうしていくのかという重大な局面に今差しかかっているというふうに思っています。

 それで、さっき、農家には一切の負担をかけないでやっていく方向を今検討している、その方向で進んでいると大臣は言うのですが、今局長の答弁では、さっきの大臣の答弁と相反する答弁じゃないですか。融資というのは返さなきゃいけないのですから。

武部国務大臣 先ほどの御議論は、乳廃牛の議論のところで、乳廃牛の出荷のための輸送費だとか、農場に預かってもらう、今度は農場に預かった場合にはそこから屠畜場に運ぶとか、そういった費用負担をかけないということで申し上げているので、今の問題については、要するに出荷できない、屠畜場が受け入れてくれない、だから現金が入らない、したがって、その間どうするかと。生産局長が答弁申し上げているのは、その間はつなぎ資金でやって、そして、今私も申し上げましたように、県内で今動き始めております、そういったことは、農林水産省も、県とも連携をとりながら、それが円滑に出荷できるような、そういう環境づくりをしなきゃならぬと思っております。

 それから、やはり今後、つなぎ資金についても、一年じゃとても耐えられない、そういう議論も非常に多いところです。そういったことについても、実態に照らして、どういう方策を今後考えなければならぬのか等々について今検討を指示しているということでございまして、こだわるようですけれども、BSE問題が一区切りついたということではありませんので、これだけはまた、それだけ飛んでいきますとそういうふうに誤解されますので、私は、今申し上げましたことを、宮城村でも村長からも聞き、生産者からも聞いて、具体的にどうしたらいいのか、とにかく早く出荷できる体制をつくることだ、このように思っておるわけです。

菅野委員 この問題は、これからもBSEが発生しないとも限らない、逆に、私はずっと言っているのですけれども、発生するだろうと言われて、発生するのだというふうに政府は宣言すべきだと思うのですね。

 ただし、BSEが発生したその村、例えば宮城村というところは、その地区からのホルスタイン種は屠畜場ではほとんど受け入れないという体制に今なっているのです。このことをどう解決していくのか。実態はそうなんです。三か月間、どうして出荷できないのですか、屠畜場では受け取ってもらえないということなんです。それで、やむを得なくて、この三か月間もそのまま飼い続けているという実態ですね。

 このことは、いいですか、先ほど大臣は、廃用牛の問題、乳廃牛、私は廃用牛と言うのですが、廃用牛の処理で、それとは別個だと言うのですが、同じなんです。新たにBSEが発見されると、その屠畜場も物すごい取引で影響を受けますから、BSEが発生する可能性のある牛は一切取引の対象から外していくという体制に今なっているのじゃないですか。このことが廃用牛問題であり、BSEが発生した地区での飼育農家の問題であるということなんです。このことに政府として明確な方向づけをしない限り、この問題は解決しないというふうに思います。

 屠畜場に持っていって屠畜するのが一般的なルールです。その道が今途絶えているということの認識に立ってどうしていくのか、具体的に示していただきたいというふうに思うのです。

須賀田政府参考人 今先生言われたような状況が見られるということを私どもも承知しておりまして、厚生労働省とも連携をいたしまして、ありていに言いますと、例えば、乳廃牛専門の屠畜場をつくってそこへ引き受けていただくとか、そういう屠畜上の便宜を講ずるようにという指導を一般的にやっております。

 ただ、今先生言われた宮城村の例でございますけれども、乳用種、この一月四日から大阪市場に出せるようになったという連絡を受けておりまして、一月四日には二十六頭出荷したというふうに承知をしております。

菅野委員 私は、この廃用牛問題、それからもう一つ、宮城村の問題じゃなくて、これからBSEが発生した地域の牛は同じような状況に、三カ月、四カ月同じような状況をたどるというふうに思っているのですね。そのことに対する対応というものをしておかない限り、いいですか、二千頭飼っている飼育農家が、二十カ月飼育ですから、月百頭出荷しているのです。三カ月三百頭です。大体四十万にして幾らですか、一億二千万、これが入ってこないという今の実態なんです。そのことに対する、つなぎ融資でやっていくということじゃなくて、このことをしっかりと受けとめて対策を練っておかなきゃならないというふうな問題提起をしておきたいと思います。

 それから、廃用牛の問題です。このことは、大臣は先ほどから、対策を指示している、指示していると言うのですが、指示だけではだめだというふうに思っています。この廃用牛の問題では、今生産局長が言ったように、新たな流通経路をしっかりとつくった上で、廃用牛だけを特別に扱うような屠畜場をつくって、そしてその肉は食用に回らないという体制をつくらない限り、私はこの問題は解決しないというふうに思っているのですね。といいますのは、BSEが発生した屠畜場の食肉というのが物すごく嫌われるという体制になっていっているというのが今日の状況なんです。

 ぜひこのことに対する見解をお聞きしておきたいというふうに思っています。

武部国務大臣 宮城村でも猿払村でもそうなんですけれども、発生した農家あるいは地域というものは非常に大変です。ですから、県や村とも相談して、私どもも、総務大臣とも、いろいろこのことについても、その地域に対する対策をどうするかということを相談しております。総務省、農林水産省それぞれ担当部局で、今、地元とも相談しながら必要なことをやろうということで、前向きにやっているところでございます。

 また、今出荷の問題がありましたが、私は指示しているだけではありませんで、大阪市場まで運ぶというのはもう大変な輸送コストがかかるわけでございます。したがいまして、こういった輸送費などをどういうふうに効率的に考えていくかということになりますと、まず、農協等が農場に一定の廃用牛を集めて、そこで飼育して計画的に出荷していくというような、そのための費用の助成なども検討しております。そうやろうということでございます。

 そのほか、屠畜場のお話もございました。それも、宮城村の例でもそうですけれども、猿払もそうですけれども、後困るのですね。発生した後、もうみんな、三十頭なら三十頭、あと全部処分しなきゃならぬというような問題等もございます。そういう問題、きめ細かく今具体的な対応策を検討しておりますし、それはもう委員の御意見も踏まえてしっかり対応させたい、かように思っております。

 ただ、廃用牛を全部焼却したりしろというような、そういうことについては、廃用牛もこれは全部検査してやるわけでありますから、その肉は安全を証明されたものしか市場に出回らないわけでありますし、これは貴重な肉資源でもございますので、その辺のところは、私どもはこの資源を活用していくということが大事じゃないか、このように思っているわけです。

菅野委員 大臣、猿払村に行かれたということですから、私は、新たな廃用牛の問題ですね、大臣、そこまで言うことであれば、廃用牛からBSE感染牛が出た農家の、先ほど大臣も言っていましたけれども、もし私の牛舎からBSE患畜牛が出たらという不安を抱えていますから、廃用牛を出そうにも出せないという農家心理が働いているわけですね。このことにも一方、目を向けていかなきゃならないというふうに思っているのです。

 そうしたときに、私はどうしてもひっかかるのですけれども、家畜伝染病予防法というものが、この家畜伝染病予防法の中にBSEが位置づけられていることに対する不安だということなんですね。猿払村でも言われていましたし、農林水産省に対して、猿払村の生産農家からこのことに対する要望、強い要請も来ているというふうに思っています。

 私は、そういう意味で、新たな廃用牛対策というものと、それからBSEの発生した農家に対する考え方というのを、しっかりと新たな方向で農水省としてつくる必要があるというふうに思っているのですね。このことをどう考えるか、答弁していただきたいと思います。

須賀田政府参考人 ただいまの先生の御指摘は、家伝法に基づく疑似患畜の範囲の問題であるというふうに受けとめております。

 家伝法に基づくこの疑似患畜の範囲を小さくするというのは、これ自体がOIEの基準に基づく一定の条件の同居牛等については殺処分せよという基準になっておりますものですから、なかなか我が国だけ特別な扱いをするということは、逆にまた消費者といいますか、国民の不安をあおるということになりますので、なかなかそういうことはできないわけでございます。

 その家伝法に基づいて疑似患畜を殺処分したときには評価額の五分の四が出ますし、残りの五分の一は農業共済金からも出ますし、経済的には報われるという格好になっておりますし、その上に、疑似患畜を処分いたしまして新たに乳牛を導入するといった場合には、導入牛一頭当たり最大五万円助成するということになっているわけでございます。

 ただ、恐らく先生言われるのは、そういうのじゃなくて、将来に対する不安だとか周りの目だとかということだろうと思うわけでございますが、これはやはり、その生産に携わる方から消費に至る国民全体に持っていただきたいのですけれども、BSE感染牛をきちんと摘発して、残りの肉を供給するという体制が全体の信頼を回復する基本だということを、生産から消費に至る各層にそういう意識を持っていただきたいなというふうに切に望んでいるところでございます。

菅野委員 消費者の不安、生産者の不安、これをトータル的に取り除いていくということが今非常に求められていることで、このことを私は基本に据えて話しているつもりなんですけれども、どうしてもそういうふうに至ったときに先ほどの冒頭に戻るのですけれども、それじゃ信頼を回復する方法をどうこれから構築していくのですかというところに行かざるを得ないと思うのですね。そして、生産者の不安を解消するためには、このBSEの問題を広く国民に理解してもらっていかない限り、トータル的にいかないというふうに思うのです。ただ、国民はこれまでの一連のBSEに対する取り組みの中で、政府に対してだけは信頼を置いていないのですね。ここに私は問題があるというふうに思うのです。

 そういう意味では、私は、先ほどから言っているように、このBSE問題での政府の責任を農家の方々に言っても、この問題は農家の責任ではない、あくまでも政府、国の責任ですべてを対処してくれというのが強い要望なんです。その立場に立った施策をどう展開していくのかということが今求められていると思うのですね。

 大臣、まさかこの一月の八日の人事異動で、先ほどから大臣の答弁を見ますと、もう人事でけじめをつけたから新たな体制でもってやっていくんですという答弁ですね。この人事異動で政府の責任を済ませるつもりなんですか。明確に答弁してください。

武部国務大臣 さまざま御議論ありましたように、委員も猿払から宮城村もお出かけになって、どういう問題を抱えているかというのをつぶさに御承知いただいていると思います。私どもは、国の責任というものは、対策をしっかり打ち立てて、そしてその対策の実を上げるということが何よりも必要ではないか、このように考えておりまして、そのために全力を尽くしたい、このように考えているわけでございます。

 それから、先ほど生産局長が答弁いたしました疑似患畜の問題等々につきましても、委員が、新しい考え方を導入すべきでないのか、一年限りのつなぎ資金ではなくて、少し新たな、一年で解決するはずでもないものなんだから、そういったものも検討すべきでないのかというような御指摘などもございましたが、そういったことを含めて前向きな努力を今指示しているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。

菅野委員 きょう、緊急にこの委員会が閉会中審査をやっているという状況は、本来政府が国民の信頼をかち得て、そしてこれから生産農家も消費者も困らない方向でやっていこうというときに、大臣の北海道での発言、私が冒頭申し上げたように、一月の八日の誤解されるような発言を繰り返してきた、このことについては私は触れません。繰り返してきている、このことによってまたBSE問題というのが解決の方向が先送りされる、政府は全く信頼されていないという状況の中で、どうやって信頼を回復していくのでしょうか。

 私どもは、そういう意味においては、この一連の大臣発言というものが、武部農水大臣発言というものに非常に重要な意味があるというふうに思っております。十二月二十八日に緊急に、役所の御用納めのときです、そして野党四党がそろって内閣総理大臣に農水大臣の罷免を求めて、四野党が共同して行動した。この重要性というものを大臣はどう受けとめているのですか。一連の発言と、この四野党が十二月末で大臣の罷免を求めて総理大臣に申し入れに行っている、この実態、事実をどう受けとめているのですか。

武部国務大臣 野党の皆さん方のそういう要求に対しては、私ども、謙虚に反省しながら、対策の実を上げるべく、さらに全力を尽くして努力していかなければならない、このように受けとめております。

菅野委員 最後ですが、北海道での発言、誤解というふうに言っているのですが、私は違うと思うのです。

 今の原因究明の実態、国内で発生したBSEの原因究明の進捗状況はどこまで行っているのですか。最後に政府の答弁をお願いします。

須賀田政府参考人 原因究明は、従来より、農家を起点といたします川下からの調査と輸入肉骨粉を起点とする川上からの調査、両方を鋭意実施しておりまして、十一月三十日には中間報告ということをしたわけでございます。

 その後、二例目と三例目の発生を踏まえまして、感染源の解明ということで、一つは、二例目、三例目の農家に飼料を供給しておりました飼料工場を調査いたしました。これは六つ工場がございますが、調査をいたしました。このうち、一工場、豚、鶏用飼料に使われていた肉骨粉混入の可能性を完全に否定できない工場が新たに一つあったということが判明をいたしました。そして、肉骨粉の混入可能性を否定できないこの工場が使用していた肉骨粉は、一部が豪州、ニュージーランド産の羊肉であることを除きまして国産であるということが確認をされたところでございます。

 そうして、新聞にも取り上げられましたけれども、一例目から三例目までの農家において、同一の銘柄ではありませんけれども、いわゆる代用乳というのが使用をされておりました。その原料に動物性の油脂が使用されていたということで、これはオランダから輸入されているということでございまして、担当官をオランダに派遣して先月調査を行いまして、現在、分析を行っているということで、ありとあらゆる手段を尽くしまして、何とか原因の解明に到達したいというふうに考えているところでございます。

菅野委員 感染源の特定というものが非常に難しいというのはわかりますけれども、早期に特定することが国民の信頼を回復する多くの要素を持っていることだというふうに私は思っています。

 大臣は、全力を挙げてやっている、やっているということですから、私は、体制強化してまでも取り組んでほしい、このことを強く申し上げて、質問を終わらせていただきます。

鉢呂委員長 以上をもちまして、質疑を終了いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会




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