衆議院

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第2号 平成14年2月28日(木曜日)

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平成十四年二月二十八日(木曜日)
    午前八時開議
 出席委員
   委員長 鉢呂 吉雄君
   理事 岩永 峯一君 理事 大村 秀章君
   理事 金田 英行君 理事 原田 義昭君
   理事 佐藤謙一郎君 理事 鮫島 宗明君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    岩倉 博文君
      岩崎 忠夫君    梶山 弘志君
      金子 恭之君    上川 陽子君
      北村 誠吾君    熊谷 市雄君
      小西  理君    後藤田正純君
      七条  明君    高木  毅君
      西川 京子君    浜田 靖一君
      宮腰 光寛君   吉田六左エ門君
      川内 博史君    小平 忠正君
      後藤  斎君    津川 祥吾君
      筒井 信隆君    楢崎 欣弥君
      堀込 征雄君    山内  功君
      江田 康幸君    高橋 嘉信君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    山口わか子君
      藤波 孝生君
    …………………………………
   農林水産大臣       武部  勤君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   農林水産副大臣      遠藤 武彦君
   農林水産大臣政務官    宮腰 光寛君
   政府参考人
   (外務省欧州局審議官)  角崎 利夫君
   政府参考人
   (外務省経済局長)    北島 信一君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 藤原 啓司君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         尾嵜 新平君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房長) 田原 文夫君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (食糧庁長官)      石原  葵君
   政府参考人
   (水産庁長官)      木下 寛之君
   参考人
   (農畜産業振興事業団理事
   長)           山本  徹君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
鉢呂委員長 これより会議を開きます。
 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として農畜産業振興事業団理事長山本徹君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省大臣官房長田原文夫君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、食糧庁長官石原葵君、水産庁長官木下寛之君、外務省欧州局審議官角崎利夫君、外務省経済局長北島信一君、財務省大臣官房審議官藤原啓司君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
鉢呂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。筒井信隆君。
筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
 きょうは、最初に、ロシア水産物の密輸に対して日本の政府が事実上容認をしている、この問題についてお聞きをしたいと思います。
 まず最初に、ロシアの水産物について、日本の財務省の統計、これが、例えば一九九九年が二十二万トンでございました。しかし、ロシアの方の輸出の統計は三万トンでございました。金額についても大幅な、ほぼ九百億円近い差が出ているわけでございますが、こういう状況がこの十年間ほど続いていたこと、これは間違いないですね、水産庁。
木下政府参考人 私ども、日本の財務省の貿易統計、それからロシアの連邦国家統計委員会の資料でございますけれども、例えば一九九六年が、日本の輸入量が二十万トン、それからロシアの輸出量が五万トン、また九八年が、日本の輸入量が二十二万トン、それに対しましてロシアの輸出量が七万トン、また九九年は、先ほど御指摘のとおり、日本の輸入量二十二万トンに対しまして、ロシアの輸出統計では三万トンというふうになっておるところでございます。
筒井委員 今、私は、十年間ほどそういう大幅な違いが生じている、この傾向は間違いないですねというふうにお聞きしたんですが、今三年間ですか、挙げられましたが、これがもっと長期間続いておりますね。
木下政府参考人 九一年の数字を申し上げますと、日本の輸入実績を見ますと、現在の半分程度でございまして、十二万トンでございます。
筒井委員 ロシアは。
木下政府参考人 ロシアの輸出統計でございますけれども、一九九六年からしか数字はございません。
筒井委員 そうしますと、いずれにしろこれだけ大幅な違いが出ている。これは単なる統計の技術的な違いではなくて、明白にロシア水産物の不正の輸出、日本への密輸、差額は、この差の大きな理由はそれによるわけでございますね。
木下政府参考人 一般論といたしまして、輸出側の統計と輸入側の統計に差があるのは間々見られるところでございますけれども、本件の場合には大きな差がございます。ロシア側の不正な輸出によるところが大きい旨、日ロ間の協議でも先方が示唆しておりまして、私どももそのような可能性があるというふうに考えております。
筒井委員 不正な輸出、ロシア政府がそう指摘をして、日本政府も、その可能性が高いというふうに水産庁も考えている、こういう答弁でございましたが、それはまさに今の、日本政府は正式に認めた、財務省の統計に関して、その範囲内だけでも不正な輸出が物すごい膨大な量に上る、こういうことでございまして、日本政府はまさにその不正な輸出を認めている、こういうある意味でただならぬ事態でございます。
 これが、本来、日本の法律上は生じ得ない、そういう体制になっているはずでございまして、外国人漁業規制に関する法律によりますと、ロシア政府が発行するポートクリアランス、積み出し証明書がなければ日本では輸入を認めない、こういう建前になっているわけでございまして、この法律どおり正しい積み出し証明書、ポートクリアランスが発行されて、それを確認した上で日本政府が輸入を認めているならば、こういう違いは、これほど大きな違いは起こりませんね。
木下政府参考人 私どもは、ロシア漁船の輸入を認める際に、陸揚げに際しましてポートクリアランスを所持している場合につきまして寄港を認めているわけでございます。
 現在、我が国に水産物を陸揚げしているロシア漁船、すべてポートクリアランスを所持しているというふうに承知をいたしております。したがいまして、ロシアの輸出統計に計上されている三万トンの水産物につきましても、ポートクリアランスを所持している漁船が持ち込んでいるというふうに考えております。
筒井委員 ロシア政府が発行しているポートクリアランス、それが正しいものであったならば、こういう違いは出てこない。これほど大きな統計上の違いが出てくるのは、そのポートクリアランスの大部分が偽造である、こう断定せざるを得ないのではないですか。
木下政府参考人 先ほど来申し上げましたとおり、現在のロシア漁船が所持をいたしておりますポートクリアランス、ロシアの税関当局が外形上発行したものであるというふうに承知をいたしております。
筒井委員 だから、外観上はそういう形でつくられるんでしょう。だから偽造だと言っているので、その偽造の疑いがあるということは、水産庁自身がそういうふうにロシア政府に照会しているんじゃないですか。また、そういうふうにロシア政府に対して指摘をしているんじゃないですか。
木下政府参考人 九七年六月以来、私ども日本政府といたしましては、ロシア政府に対しまして、ポートクリアランス発行の有無、発行するとしたらどこの機関か、あるいはその手続等につきまして照会を行っているところでございます。
 これまでにロシア政府からの回答ございますけれども、私どもも中央政府はポートクリアランスを発行していないという回答を得ておるわけでございますけれども、一方で、地方政府が発行しているという情報もございます。そのことにつきまして、現在に至るまで明確な回答をいただいておりません。
筒井委員 今言われましたように、ロシア政府はポートクリアランスを発行していない、こういう回答があったわけですね。
 その回答が一番最初にあったのは九七年の九月だと思いますが、その時期の確認と、その際に、そういう照会を出したのは、偽造の疑いがあるからロシア政府に対して照会を出したんですね。この二点の確認。
木下政府参考人 まず第一点でございますけれども、ロシア政府から回答がございましたのは九七年九月でございます。
 また、私どもが九七年六月に照会いたしましたのは、一部報道によりましてそのような報道がございましたので、それを受けて照会をしたところでございます。
筒井委員 そして、今まで発行されていた積み出し証明書、ポートクリアランス、この発行主体がロシア中央政府の税関、まあ税関の名前が各地域に幾つかあったようですが、ロシア政府のもとにある政府機関である税関が発行元である、すべてそうであることは間違いないですね。
木下政府参考人 私ども、ロシアの極東水域の税関が発行しているというふうに聞いております。
筒井委員 私の質問に答えていただきたいんですが、税関というのはロシアの中央政府のもとにある政府機関ですね。地方の行政機関のもとにあるものではありませんね。
木下政府参考人 私どもは、ロシアの政府のもとにあるというふうに承知をいたしております。
筒井委員 それで、ロシア中央政府のもとにある機関が発行元である。ロシア中央政府に照会したところ、発行していないという回答があった。それでもまだ違法だと断定できない根拠は何ですか。
木下政府参考人 先ほど来申し上げているとおり、ロシア側の説明によりますと、税関は中央政府のもとにあるわけでございますけれども、地方政府の委任を受けてポートクリアランスを発行している可能性は排除されておりません。
 法務省などとも協議をしたところでございますけれども、外見上、税関が発行したとの形式が整っておりますポートクリアランスにつきまして、これが偽造であるか否かを判断するためには、この点について確認する必要があるとされたところでございます。したがいまして、ロシア政府からこれまで得た回答だけでは、ポートクリアランスが偽造であるとは断定できないというふうに考えております。
 ちなみに、日本におきましても、つい最近まで、国の機関でございます食糧事務所が都道府県の条例に基づく検査を行っている事例がございます。外国におきましても、類似の取り扱いが行われている可能性があるというふうに考えております。
筒井委員 今の回答は、中央政府は発行していないという回答だったけれども、地方の機関が委任しているのではないか、委任しているかもしれない、こういう可能性があるから聞いているということですが、では、地方行政機関に照会状を出しているんですか。それから、発行元の税関そのものに質問をしているんですか。そういうことは一切しないで、また中央政府に同じような質問を出しているんですか。その三者が考えられるんだけれども、どちらをやっているんですか。
木下政府参考人 私ども、これまでにロシア側に対しまして、中央政府に対し、先ほど来申し上げているように、ポートクリアランスの制度の有無、また、それにつきまして地方機関に委任しているかどうかという権限関係につきまして照会しているところでございます。
筒井委員 中央政府に対してまた照会しているだけで、地方行政機関にもそれから地方政府にも、要するに地方政府にもその発行元の主体である税関にも照会は出していないということですね。
木下政府参考人 私ども、外交チャネルを通じてモスクワ政府に照会をしているという段階でございます。
筒井委員 九七年九月に中央政府の回答があってからもう四年もたっておりますが、その間もずっとこういうふうな違法な輸出を日本政府は認めている、こういう状況が続いているわけなんです。そして、積み出し証明書についても、偽造の疑いがある、自分から照会をしながら、そして発行していないという中央政府の回答を得ながら、さっき言ったような手続をまだのんべんだらりと続けている。まさにこれは、きちんと規制をするつもりがない、その一つのあらわれだというふうに思います。
 さらに、その根拠としては、この積み出し証明書ですが、その都度水産物と一緒に日本に持ってきているわけですが、法律上はその水産物に添付をしなければならないとなっておりますが、ちゃんとその積み出し証明書は添付されて、それをこちらの方は受け取っているんですか。あるいは、コピーをとっているんですか。それとも、全くコピーも何もとらないで、ちょっと見ただけでそのまま返しちゃうんですか。その手続について、これは外務省の方なのかな、お答えください。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 ロシア漁船が入港してまいりますときにおきましては、先ほどお話にありましたように、外国人漁業の規制に関する法律によりまして、漁船の日本の港への寄港に際しまして積み出し証明書が必要とされておりまして、この法律を所管する水産庁から税関、海上保安庁等に、積み出し証明書といたしましてポートクリアランスの確認等について協力要請がなされているところでございます。
 税関は、この所管官庁であります水産庁からの協力要請に基づきまして、ポートクリアランスの確認を行っているところでございますが、明らかに外規法違反の疑いのある船舶につきましては、水産庁それから海上保安庁に通報しているところでございます。
 それから、コピーのお話でございましたけれども、先ほど申しましたように、水産庁からの協力要請に基づきましてポートクリアランスの確認を行っているところでございますけれども、これは、関税法上の入港手続で求められております必要書類ではございませんで、参考書類にとどまりますことから、確認後先方に返却しておりまして、それぞれのポートクリアランスにつきましては、コピーはとっておらないところでございます。
筒井委員 関税法上の義務であるかどうかは別にして、外規法上の書類であること、それから、それを添付しなければ、日本の方で輸入を認めてはならない、寄港を認めてはならない、こういう規定になっていることは間違いない法律的な文書でございまして、今の答えだと、まさに、関税法上の必要書類ではないから、コピーも一切とらないで、ちょっと見ただけでそのまま返すわけですね。こういう取り扱いについて、水産庁はどう思いますか。
 それで、これに関しても偽造ではないかというふうにみずから疑って、中央政府の方で発行していないという回答があって、統計上、先ほど言ったように、金額でいえば一千億円近くの差がある。偽造であることはほぼ間違いないと思うんですが、それについてコピーもとらない。全くこれについて取り締まる意思がないことの二つ目の証明じゃないですか。密輸をそのまま認める、事実上認める、こういう行政の対応のまさにあらわれじゃないですか。こういう取り扱いについて、水産庁長官、説明してください。
木下政府参考人 外規法におきましては、積み出し証明書を添付している漁獲物を陸揚げするための寄港につきましては、農林水産大臣の寄港許可を受ける必要はないというふうにされているところでございます。したがいまして、私ども、都道府県それから税関に対しまして協力要請いたしまして、積み出し証明書が添付されているかどうかの確認をお願いしているところでございます。
 私ども水産庁といたしましては、ロシア漁船が所持いたしますポートクリアランスにつきまして、偽造されたというような指摘もございます。今後につきましては、ポートクリアランスにつきまして、その写しを保存するように、税関当局に要請をしたいというふうに考えております。
筒井委員 では、今後コピーをすべてとるという今の答弁ですね。いつからですか、それは。そもそも漁獲物に添付するという法的な規定がある。これは当たり前の話で、今までの取り扱い方自体がおかしかったので、いつからそのコピーを全部とるように税関の方に協力要請する予定ですか。
木下政府参考人 私どもも、協力要請につきましては、直ちにそのような旨について税関当局に要請をしたいというふうに考えております。
筒井委員 木下長官は一月に水産庁長官になられたばかりですから、以前のものには直接の責任はないのかもしれませんが、このコピーもとらなかったという処置、見ただけで返しちゃって、多くは偽造だと疑われているその書類について、こういう取り扱いについてはどう思いますか。
木下政府参考人 私ども、ポートクリアランスにつきましては、先ほど来申し上げているとおり、ロシアの税関当局が外形上発行しているという点でございます。昨年の十一月からは、そのような指摘を受けまして、厳正に対処するようお願いをしているところでございます。
筒井委員 今のは答えになっていないのですが、少なくとも九七年には、もうロシア中央政府から発行していないという明確な回答があった。何年間も放置して、コピーもとらず。この状態について、木下さんに言っても、前任者への批判とかあるいは農林省への批判ということは言えないでしょうから。ただ、水産庁長官として、今までの取り扱いに対する反省の弁があっていいんじゃないのですか。それはどうですか。
木下政府参考人 先ほど来申し上げているとおり、これまでも累次にわたりまして、ロシアの政府当局に対しまして、私どもとしてはその事実関係につきまして照会をしてきたという段階でございます。昨年のロシア政府からの口上書によりまして、発行していないということでございますので、昨年十一月からは、ポートクリアランスの審査につきまして取り扱いを厳正にし、これまでも五件ばかりにつきまして既に否認をするというような実例も出てきているということを御理解いただきたいと思います。
筒井委員 十分な答弁ではありませんが、大体、ロシアに照会している照会していると言っていますが、ロシア政府が、北方領土近海といいますか北海、北の海における密輸、密漁について取り締まってくれ、こういう要請を日本政府に再三出しているでしょう。
 武部大臣にお聞きしますが、プーチン大統領自体が、こういう密輸、密漁について取り締まってほしいという要請を日本政府に出しておりますね。
武部国務大臣 プーチン大統領からは、密漁、密輸防止について協力要請がございます。
筒井委員 そういう要請が何回かなされていたし、またこの密輸、密漁問題について日ロ間で四回ほど協議がされているし、また外務大臣同士の覚書、あるいは大統領と首相の共同声明でもこの密輸、密漁問題が取り上げられていますね。その点、ちょっと確認してください。
角崎政府参考人 お答え申し上げます。
 日ロ間におきましては、御指摘のとおり、日ロ治安当局間会合、第二回会合でございますが、一九九八年以降、毎回水産物の密漁、密輸問題を取り上げていたしております。また、ことしの一月に、一月二十一日、二十二日でございますが、水産物の密漁、密輸問題に関する日ロ協議も実施いたしております。
 また、二〇〇〇年九月のプーチン大統領の公式訪日の際に、我が方の当時の河野外務大臣とロシア側イワノフ外務大臣との間で、覚書の署名が本件に関しまして行われております。
 以上でございます。
筒井委員 そして、ロシアに国家漁業委員会というのがありますが、この国家漁業委員会議長がこういうふうに発言していることを確認したいと思います。
 密輸のロシア水産物を日本の港に陸揚げ許可しないという我々の提案は、日本のパートナーが支持していない、この問題解決に対する日本側の建設的対応や、密輸市場での販売阻止する対応策を期待している、ロシア国家漁業委員会の議長が日本政府に関してこう発言していることを、外務省、この前予算委員会の方で私これは言ったので確認したいと思いますが、よろしいですか。
角崎政府参考人 お答え申し上げます。
 そういうことにつきましては、報道はされておりますが、公式ルートでは我々伺っておりません。
筒井委員 公式ルートでこういう発言をしたかという確認をしていないという趣旨で、ただ、国家漁業委員会議長がこういう発言をしたという報道は、それはどこから受けているんですか。
角崎政府参考人 お答え申し上げます。
 現在私の手元には正確な報道のコピーがございませんが、ロシアの報道機関がそのように報じていたというふうに承知いたしております。
筒井委員 こういうふうに、今までの両国間の交渉や何か、今確認してきましたが、ロシア政府が、密輸、密漁を明確に取り締まってほしい、こういう要請を出していることは間違いないわけですよ。そして、漁業委員会議長のこの発言によれば、日本政府がそれに対してちゃんと対応していない、ロシア政府のそういう取り締まりの提案に対して日本の方は支持していない、こういう状況なわけですよ。
 だからまた、さっき言った、偽造と疑われている書類をコピーもとらずにそのまま返した、七年間も、五年間以上もそのまま放置して、両者の財務統計上からでさえはっきり出てくる密輸を日本政府がずっと容認してきた、こういう状況が続いているわけでして、これは極端に言えば、国家的密輸、こう言わざるを得ない状況だと思います。
 しかも、それは金額が九百億円とか一千億円という極めて膨大な金額に上る。これは、ちゃんとした処置を、責任をとって、これからきちんとした対応をしてもらう、こうしなければならないことがはっきりしていると思います。
 そして、今後の対応ですが、ロシア政府は今こういう提案をしているんじゃないですか。ロシア政府の方から事前に業者名や船名それから限度数量、これらを日本政府に通告する、その通告が事前にあったものについてだけ日本政府は輸入を許可する、そして事後にその業者名、船名、品目、数量等をロシア政府に報告する、こういう対応をしてほしいというふうにロシア政府は今日本政府に提案しておりませんか。
角崎政府参考人 お答え申し上げます。
 この密漁、密輸問題につきましては、現在、ロシア側とどのような方法によって解決することができるかということにつきまして協議を重ねております。ロシア側よりも提案がございましたし、我が方よりも提案をいたしております。
 ただ、その提案の詳細につきましては、現在まだ交渉中でございますので、この場で詳細をお話しすることはできないことを御了解いただきたいと思います。
筒井委員 それもおかしいんだけれども、ただ、いずれにしろ中央政府が、ロシア政府が認可したあるいは許可した業者名、船名、品目と限度数量、これを事前に通告して、その通告のあったものだけ日本政府が輸入を認めて、それで事後にその輸入した数量やあるいは輸出元を通告する、こういう手続をとれば別に難しいことではない。こういう施策をとればこういう密輸問題は防ぐことができるんじゃないですか。これは水産庁でも税関でも外務省でもいいですが、お答えください。
木下政府参考人 お答えしたいと思います。
 私ども水産庁といたしましては、外国人漁業規制法の所管をしている立場から申し上げますと、外国漁船が寄港するに際し、まさにポートクリアランスが適正に発行されているかどうかという点につきまして行っているわけでございます。
筒井委員 全然今のは答えになっていない。
 ポートクリアランスが適正に発行されたかどうか。今までの手続では、もう十年間も続いているんですが、先ほどのお認めになったものだけでも、九七年からずっとおかしな状態が続いているわけですよ。偽造と疑いながら密輸を認めているわけですよ。コピーも今までとっていなかった。これからとるというふうにきょう答弁されましたが、もう違法輸入を完全に認めている状況。
 今の答えは、それを解決する方法として、私が今言ったこと、これは一部ロシア政府からの提案の中身ですが、外務省はそのことをさっき公表できないと言いましたが、事前に通告してもらって、事後にこちらの方から報告する、通告する、これでもう密輸は完全に防止することができるんじゃないですか。密輸防止の対策を具体的に私は聞いているんですよ。
木下政府参考人 私が先ほど来御答弁申し上げているのは、輸入するかどうか、輸入の行為と輸入の行為の前提でございます外国漁船の寄港を認めるか認めないかという点でございます。
 私どもの立場といたしましては、外国漁船が、一定の要件がございます場合には輸入を認めているわけでございます。そのための前提といたしまして、積み出し証明書を求めているわけでございます。その積み出し証明書につきましての具体的な取り締まりの前提といたしまして、ロシア政府内における取り扱いにつきまして明確な御答弁をお願いしているという段階でございます。
筒井委員 だから、それは今まで偽造の積み出し証明書がたくさんあったことはお認めになるわけでしょう。それについてもう何年間も、照会している、照会していると、全然解決になっていないわけでしょう。これからも何年間もその状態を続けていくつもりですか。今の状況から改善する方法は、何も別な方法は考えていないということですか。
木下政府参考人 私どもの水産庁としては、先ほど申し上げたとおり、照会をしているところでございまして、そのような疑問が出されている現在の制度につきまして、できるだけ早く解決したいというふうに考えております。
筒井委員 だから、その解決の方法として、今私が言ったような、これはロシア政府の提案でもあるわけですが、そういう方向性を具体的に検討しているかどうか聞きたいんだけれども、今の長官の答えですと、今までどおり積み出し証明書について照会を続けていく、これ以外の解決対策は考えていないということですか、少なくとも今のところ。
武部国務大臣 本件につきましては、私自身も極めて重要なことと認識しておりまして、早急な問題解決が重要、このように考えております。
 外国人漁業規制に関する法律の適正な運用については、法務省等の関係省庁とも早急にしっかりした協議をする必要がある、かように思っておりますし、その上で、ポートクリアランスが偽造か否か判断するために、ロシア側における地方行政機関からの委任を受けて税関がこれを発行しているという事実がないかどうかについての確認がやはり不可欠である、このように考えます。
 この確認が済んでいないことから、結局、外見上ロシアの公的機関が発行しているポートクリアランスを違法なものと断定して取り扱うことができない状態に今ある、これを所持するロシア漁船の寄港を認めざるを得ないということに相なっておる、このように思考するわけでございまして、いずれにいたしましても、ロシアの中央政府及びサハリン州等の地方政府がポートクリアランスを発行していないかということの確認を早急に行う必要がある、かように思います。
 適切な問題解決に向けて急ぎ努力をしてまいりたい、御指摘のようなことにつきましても、外務省と協議の上、検討してまいりたい、このように考えるわけでございます。外務省ほか関係省庁と協議をして詰めていかなきゃならない、検討してまいりたい、かように考えます。
筒井委員 そうしますと、今の照会手続を今後も続けていく、その照会手続が明確になるまでは、日本への寄港、輸入、これを認めざるを得ない、そういう今答弁でしたが、もう少なくとも五年間はそういう状況が続いているのですよ。その状況を、ロシア政府から回答がないとかなんとか言っていますが、四回も協議しているので、そんなの本当にこちらの方が直ちに対策をとるつもりでいればすぐできるわけですよ。ほかの、さっき言ったような、提案したような中身だって考えられるわけですよ。
 だけれども、そんなこと全然もう検討しないで、今の五年間続いている照会手続を今後も続けていく。それがはっきりするまでは、違法な輸出だと私は思いますし、もうほぼ認めていると思うのですが、それを今後も認めざるを得ない、今の答弁はそういう趣旨ですね。
武部国務大臣 寄港を認めないということは、これは刑事告発ということに相なろうと思いますね。したがいまして、その際の構成要件というものについて法務省等ともきちっと詰めなきゃならない、そういう事情がございまして、今のような状況の中では寄港を認めざるを得ないということでございます。
 したがって、ロシア側も、この密漁、密輸防止について協力をしてほしい、そういう要請もあるわけでございますので、私は、ロシアの中央政府及びサハリン州等の地方政府と、このポートクリアランスを発行していないかということの確認を早急にまず行う必要があると思いますし、また日ロ協議というものもこれも急いで開催いたしまして、適切な問題解決に向けて努力をしたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
 もちろん、これは水産庁だけの問題じゃありませんで、外交の窓口は外務省でありますし、税関の関係もありますし、法務省との協議も必要だ、こう思いまして、外務省ほか関係省庁と協議をして進めていくべきだろう、かように考えておりますので、そのように努力していきたいということでございます。
筒井委員 いずれにしろ、寄港を認めざるを得ないというのは二回も確認しましたから、そういう状況が、今政府あるいは農林省が言われている解決が何年先になるのかわかりませんけれども、当面今のところ、今の体制でこのまま続けていく、照会手続をとっていく、抽象的に適切な措置を早急にということで言いますが、そういう考えであることを確認しましたので、その点の質問はそれで、いや、それと違う答えがあれば答えてほしいのですが、同じような抽象的な答えだったら、それでもういいのですよ。(武部国務大臣「その事情をちょっと説明して」と呼ぶ)いやいや、事情もいいですわ。今のことで、結局は寄港を認めざるを得ないという、それであと抽象的な言葉が羅列されるだけですから、それはいいです。だから、違法な輸入を政府も行政としても今後も続けていく、そういう姿勢が明らかになっただけでいいですわ。
 次の質問に移ります。(武部国務大臣「委員長、ちょっと、違法かどうかのことについてちょっと水産庁長官から」と呼ぶ)それは後でまたそういう機会を、私も時間の関係もあるので、BSE問題を聞かなければいかぬ。(武部国務大臣「委員長、ちょっと水産庁長官、答弁してください」と呼ぶ)いや、先ほどから何回も聞いているので、同じ答えを何回ももらっているのでね。(発言する者あり)まあいいや、じゃ一回だけどうぞ。短時間にしてください。
木下政府参考人 私ども、先月の二十一日、二十二日の会議におきましても、密輸、密漁防止の有効な方策につきまして検討いたしました。
 いずれにいたしましても、ロシア側と協議をしながら、この方策につきまして、できるだけ早く合意点に達したいというふうに考えております。
筒井委員 合意点というのは何ですか。
木下政府参考人 この問題については、日本側のみならず、ロシア側との具体的な内容の詰めが大事でございます。
 私ども水産庁あるいは日本として、できる限りはやりますけれども、密漁問題につきましては、基本的にはロシア側の問題だというふうに考えておりますし、その問題につきまして私どもは可能な限り日本政府とロシア政府の間とで協議をしていきたいというふうに考えております。
筒井委員 今、密漁問題は基本的にロシア側の問題だと言われた。密輸問題についてではないですね。密輸問題は日本とロシアの双方の問題でしょう。それは明らかなので、いいですよ。
 次に、予算委員会のときもそうですが、BSEについて聞こうと思ったのが全然聞けなくなって、きょうももう時間が少なくなりましたが、幾つかの点だけ確認したいと思います。
 まず、熊澤次官の辞任問題です。
 大臣にお聞きをしますが、これは責任をとったわけではない、そういう答弁を繰り返している、引責辞任ではないと。しかし、国民の多くは、引責辞任である、こう感じているわけですよ。つまり、農林省は本音と建前が違う。本音は引責辞任だけれども、建前は一応、いろいろな問題が起こるから、定期の異動だと言っている。本音と建前が違うんだ、こういう省庁なんだという目から見られると、まさに信用性がなくなるんですよ、信頼性が。こういう従来型のやり方をやめるべきではないか。
 それと、まさにこの前農林省が発表した、去年の十二月までの間に二千億円の損害を国民に与えているわけですよ。税金も一千七百億円も使っているわけですよ。その最大の責任者の官僚側、事務方の最大の責任者に九千万円近くの退職金を払っている。これも象徴的な問題なのですよ。では、まさに何にも官というのは責任をとらないのか、その九千万という金額自体も問題なのですが、まさにそれが象徴的な問題になっているのですよ。だから、また農林省が何を言ったって、もう国民の信頼性は外れてしまったのですよ。やはりこの退職金の問題についてもきちんとしたけじめをつけるべきではないですか。
 この二つの点について、大臣、お答えください。
武部国務大臣 熊澤前次官は事務方のトップでありますので、トップとしての包括的な責任は当然あるわけでございます。
 しかし、BSE問題についての責任ということについて、私は、これは行政の構造的な問題というふうに受けとめておりまして、組織全体として正さなければならない、そういう認識で今、農林水産省改革に私は執念を持って取り組んでいる所存であります。
 熊澤前次官の退職については、やはりこの農林水産省改革の一環として、農林水産省を大きく変えていくのだ、大手術していくのだという認識のもとに、人事の刷新、組織の活性化ということを、私は一月八日に、人事刷新でその端緒としたいということで、熊澤次官にもやめていただくことに相なったわけでございます。
 また、その退職金の問題については、何度も申し上げておりますように、不祥事でありますとか刑事事件でありますとか、非違行為に当たらないということである以上は、法令に従ってあのような支給をしたという次第でございまして、御理解を賜りたいと思います。
筒井委員 一つは、まず構造的な問題である、それは確かに私もそう思いますよ、農林省全体の。しかし、その構造的な問題になっているのは各個人ですよ。構造的な問題で全体であれば、個人としては一切責任をとらないという今の答弁ですか。その点が一つ。
 それから、この熊澤次官に関して引責辞任ではないとすると、まさにだれ一人として今のところ農林省はこのBSE問題についての責任をとっておりませんね。これについてどう思うか。この二点、答えてください。
武部国務大臣 BSE発生後、私は、熊澤次官を初め、厳重に注意をいたしました。このことが私にとりましては極めて農林水産省に対する一つのけじめ、このように考えておりまして、同時に、組織全体としてこれは大きく変えなければならない、変わっていかなければならない、そういうことの端緒として人事の刷新を行ったわけでございます。そういうことで御理解をいただきたいと思います。
筒井委員 私の質問に答えてくださいね。
 二つ聞いたので、一つは、今までだれ一人として責任をとっていないが、それでいいのかという質問です。それに対しては、今、注意処分をしたということを答えられましたが、それが個人としてのけじめであるという趣旨なのかどうか。
 それから、さっき質問に答えていないのですが、農林省全体の構造的な問題である、それは私もそうだと思うのですが、構造的な問題である場合には、個人として責任をとる、けじめをつける、こういう必要性はないというさっきの答弁だったのですかという二つの質問に答えてください。
武部国務大臣 私は、行政の構造的な問題がある、そういう認識のもとに、過去の問題についても客観的な検証をきちっとしなければならない、また科学的な知見というものに基づく検証も必要だ、こういうようなことから、私は第三者によるBSE問題に関する調査検討委員会を設置いたしまして、厚生労働大臣との私的諮問機関、そこで今いろいろ御議論いただいているわけでございます。
 今、個人に対する責任の話がありましたけれども、私は、農林水産省一人一人が全体として責任を感じて反省をし、これからの行政対応に当たっていかなければならぬということをたびたび申し上げているわけでございまして、今回の場合に、個人の責任ということについて、懲戒だとかそういうようなことの必要性というものは私は当たらない、こう思って、人事の刷新ということを端緒にして農林省改革を進めていこう、こういうことで今取り組んでいるわけでございます。
筒井委員 今、一つ、今回の問題について、個人に対して懲戒等に当たらない、つまり、辞任、解任、懲戒処分、こういう問題ではない、そう答弁されましたね。個人として、大臣も含めて、あるいは役人、官僚、それらが懲戒処分の対象にならないという趣旨ですね。もう一回。
武部国務大臣 私は厳重注意ということで対処した次第でございますので、御理解いただきたいと思います。
筒井委員 厳重注意処分で、今回のけじめ、責任をとる、これは終わっている、こういう答弁ですね。
武部国務大臣 これは、個人的なことについては厳重注意で終わっている、こういう認識でございまして、同時に、人事の刷新ということも、これは組織全体ということにもかかわりますし、これは新たな体制をつくるために熊澤次官にもやめていただくことに相なったわけでありますから、そういうことで、我々は、農林水産省の改革、BSE問題に対しての新たなる取り組みを踏み出しているということで御理解いただきたいと思います。
筒井委員 熊澤次官は定期異動だとおっしゃる、異動だと。つまり、人事刷新。その問題とは違うけじめ、引責辞任、懲戒、こういうけじめをきちんとつけて初めて、今までの危機管理意識の希薄さに対する反省があったと国民は見るわけですよ。今の発言は、まさに厳重注意処分で全部それが終わっている。人事刷新とか一般的な定期異動なんて、これはそれとは全然別の問題ですよ。それでは、全然反省しているというふうに国民が見るはずがないじゃないですか。だけれども、きょうの答弁は、その程度にしか考えていない大臣の意識がはっきりしたので、その関連の質問に移ります。
 この熊澤次官は、二月一日付で社団法人日本食肉協議会、この嘱託に就任をいたしました。まさに天下りました。関連業界、自分が職務をしていた部門と関連した業界に二月一日に天下った。一月七日に次官を退任したんですから、すぐですよ。一カ月もたたないうちに天下った。これ自体が公務員法に言う趣旨に反する。国家公務員法では、離職前五年間の在職職務と密接な関係にある企業に転職することを禁止する。この場合は営利企業ですから、明確に条文に反するとは言えませんが、この趣旨にまさに反すると思うんですが、二月一日に嘱託として天下って、二月十三日に辞任をしております。二週間足らずで今度は辞任した。どうして二週間足らずで辞任したんですか。
田原政府参考人 お答えいたします。
 熊澤前次官の日食協への嘱託の就任の件ということでございますけれども、私どもが関係者から聴取したところによりますと、日食協側からその話が前次官に対して持ちかけられ、前次官が、内諾みたいな状態があったようでございますけれども、結局は、二月十三日ごろ、その嘱託の就任の申し入れを辞退されたということでございまして、嘱託に就任したという事実はないというふうなことで承知をいたしております。
筒井委員 今は、二月一日、嘱託に就任していないんですか。
田原政府参考人 嘱託ということでございまして、例えば、正式の書面をもってそういったことに就任をするとかいう行為にはまだ至っていなかったということでございまして、本人が……
筒井委員 そんなあいまいな言い方しないで。書類があったかどうかなんて聞いているんじゃないんですよ。嘱託に就任したのかしなかったのか。
田原政府参考人 したがいまして、就任してはいないというふうなことで関係当事者間から聞いております。
筒井委員 当初、就任したというふうに御本人も言っていたようですが、今はそれは変えた答弁になっておりまして、では、あなたのおっしゃることを前提に聞きますが、嘱託に二月一日付で内諾をした、これが二月十三日で辞退をした。二週間で辞退した理由、先ほどから聞いているのはそれです。
田原政府参考人 お答えいたします。
 本人からの聴取によりますと、そういったことが適切ではないということを判断し、内諾、就任の要請に対しましてお断りしたというふうに聞いております。
筒井委員 そういったことが適切でないのは、内諾した時点から同じでしょう。内諾した時点では適切だったけれども、その後、不適切になったんですか。
田原政府参考人 私どもが前次官から聴取したところによりますと、こうしたBSE問題、こういった中におきまして、食肉関係の団体に、嘱託の形とはいえと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、そういった形でやるのは適切でないというふうに思い改めたというふうなことで聞いております。
筒井委員 さっきからはぐらかさないで。そんなのは内諾した段階からだって不適切でしょうが。だけれども、二月一日時点では内諾して、二週間足らずの間に不適切になったんですか。初めから不適切でしょうが。
田原政府参考人 お答えいたします。
 私ども、旧上司でありますけれども、極めてそういった意味では不適切であったと私どもも感じております。
筒井委員 だから、当初から不適切であったのを、そういうふうに最初は応じて、途中で、二週間足らずで変わったのはなぜかと聞きたいんだけれども、もういいですよ、時間がないから。
 そして、この日本食肉協議会ですが、職員が七名なのに、理事が二十人以上いますね。そして、この日本食肉協議会の仕事というのは、日食協四季報とかを出す。これはたしかただで配る。食肉関係資料なんというのを時々やっているみたいですが、この日食協独自の事業で収入はあるんですか、ないんですか。
須賀田政府参考人 日本食肉協議会の事業、先生今言われました四季報でございますとか関係資料、無償配布でございますし、例えばO157の知識普及活動とか、この事業関係で収入はございません。
筒井委員 しかし、資産は二百億円あって、それで国債等を購入して、その金利収入で職員の給料はもちろん理事の報酬も支払っている。理事二十人も、常勤、非常勤を含めて就任をして、そのうち農林省の天下りが現時点でも七人いる。今言った事実の確認と、まさにこれは天下り用につくられて、天下り用に運営されている。その二百億円の資金の出どころはどこかというと、食肉業界団体じゃないですか。食肉業界から金を出してもらって、二百億円も資金がたまっていて、それによって、その金利収入でですよ、それは事業収入なんかないんだから。今度の雪印を含めて、十月十八日以前の肉を買い上げましたが、これの肉を買い上げた六団体はみんなここの構成団体ですね、食肉協議会の。今言った事実、確認します。
須賀田政府参考人 事実関係についてお答えをいたします。
 理事二十三名中七人が、農林水産省に在職したことのある役員でございます。
 それから、今回の牛肉の隔離事業等の実施主体でございます六団体、この会員でございます。
 それから基本財産でございますけれども、これは、牛肉の輸入自由化以前におきまして割り当てが行われておりまして、そのうちの民間貿易部分の割り当てを受けた者による自主的な積み立ての財源を基本財産として構成しているものでございます。(筒井委員「二百億円」と呼ぶ)約二百億円でございます。
筒井委員 結局、事業なんてほとんどやっていなくて、もちろん収入は事業からはなし。食肉業界団体からもらった金によって運営されていて、その金利収入、それでその役員の報酬を支払っている。まさに天下り先用につくられて、業界団体の費用で天下り先用に運営されている、こう言っていい実態ではないですか。その点、最後、確認します。
須賀田政府参考人 この団体、先ほど言いましたようないろいろな事業、四季報等の配布でございますとか需給関係の検討委員会の開催でございますとか行っておりまして、基本財産、最近では基金も取り崩しながら種々の事業を行っているということでございまして、例えば十二年度でございますと六億三千万程度の事業を行っているところでございます。
筒井委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
鉢呂委員長 これで筒井信隆君の質問を終わります。
 次に、楢崎欣弥君。
楢崎委員 民主党の楢崎です。
 当委員会の理事で、先般亡くなられました岸本光造先生は、私にとりましても、部落解放運動におけるよき先輩でありました。改めまして、御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 きょうは雪印問題に的を絞りたいと思いますが、ちょっと今の筒井質問に関連して一点だけお伺いいたします。
 一月二十四日の予算委員会で、小泉総理が、熊澤前事務次官の勧奨退職扱いになっていることについて「詳しく相談してみたい」と発言されていますね。これはやはり、熊澤さんの退職金が八千八百七十四万円、割り増しつきの満額支給ということに総理も首をかしげておられると思うんですよ。大臣、この件につきまして小泉総理から事情を聞かれましたか。
武部国務大臣 小泉総理には、事情をお話しいたしました。
楢崎委員 それで、結果はどうなるんですか。
武部国務大臣 これは、先ほどもお話し申し上げましたように、いわゆる非違行為に当たるものではない。しかし、今後公務員制度改革の中で検討していかなきゃならない課題だという御認識をお持ちだ、このように受けとめております。
楢崎委員 では、総理は納得されたということですね。
武部国務大臣 法令に従って支給したということについて、了としているところと承知しております。
楢崎委員 その件につきましては、今度は予算委員会の分科会でやりたいと思います。
 雪印問題についてお伺いします。
 雪印食品事件、これは悪質な犯罪ですし、断罪されなければいけない、また解散もやむを得ないと思います。しかし、考えてみれば、BSEが発生しなければこのような事件も起こらなかったんではなかろうかと思われますよね。その当事者である農水省がだれも責任をとろうとしない。責任の所在を明確にしない。そういう農水省の姿勢が雪印に、お上がお上なら、そういう安易な気持ちを根底に芽生えさせた。それもこの事件の背景の一つにあるのかなと私は思うんですが、大臣、どうですか。
武部国務大臣 BSE問題については、事態の初期段階で行政部内に、関係者間の連絡が不十分であったために対応の混乱が生じた。そのことによって国民の行政に対する不信を招いたということは、まことに申しわけない気持ちいっぱいでございます。でありますだけに、私は、危機管理意識の希薄さや縦割り行政の弊害等、行政上の構造的な問題があったことについて、政治主導でまさに今体質を正すことが私の使命と考えて、執念を持って取り組んでいる所存でございます。
 そのBSE対策の一環として、今回の市場隔離ということを行ったわけでございます。しかも、多額の血税を断腸の思いで使わせていただきました。このBSE対策を悪用して犯罪に及ぶということは、私は、言語道断、決して許すことのできない問題だ、このように考えておりまして、委員御指摘のように、BSE対策事業の制度を企業みずから意図して悪用したものでありまして、農林水産省の責任とは分けて考えるべき問題だ、このように考えております。
楢崎委員 相変わらず丁寧な御答弁をいただきまして。
 今、経営再建中の雪印乳業、これがどこと提携するか注目を集めておるところです。ただ、外野がうるさいようでしてね。
 それで、二月八日の日に、今月の八日の日に農水大臣が記者会見されまして、そのとき、「農水省生産局長が「外資との提携はだめだ」とおっしゃっていますが、大臣のご所感をお聞かせ下さい。」こういう記者さんの質問に対して、大臣はこのように答えてあるんです。「生産局長から聞いたところによりますと、雪印乳業の西社長から、「外資系との提携はやはりまずいですかね」という趣旨の照会を受けたのに対しまして、局長の方から「資本提携は雪印乳業の判断することではありますが、北海道の生産者からは外資系に経営権を握られると、不採算部門を切り捨てられるのではないかと、懸念する声がある」と、そういうふうにお話したと聞いております。」と大臣は答えてあるわけです。
 そこで、生産局長、「懸念する声」とありますけれども、これは北海道の生産者から直接聞かれたんですか。
須賀田政府参考人 事実関係をお答え申し上げます。
 事実、北海道では、外資系が経営をとることに対して生産者の間で非常な懸念があることは事実でございました。私はこれを、ホクレンだとか全中だとか、そういうところから聞いております。
楢崎委員 その辺、はっきりしてください。生産者ですか、農業団体ですか。
須賀田政府参考人 私が聞いておりますのは、先ほど言いましたように全中でございますとかホクレンでございまして、直接聞いたのは農業者団体でございますけれども、農業者団体は生産者で構成されておりますので、生産者の声を反映したものというふうに理解をしました。
楢崎委員 では、この外資との提携はまずいというのは、あくまでも西社長からの相談を受けた上でのことですか。
須賀田政府参考人 事実関係を申し上げます。
 いろいろな打ち合わせをしておりました。これは、雪印乳業が経営再建の記者会見をする二日前だったと思いました。いろいろな打ち合わせの中で、西社長の方から、資本の提携の相手方も探るというような記者会見もしたいんだというようなお話があって、そのときに西社長が、外資系というものはまずいんでしょうねというようなお話をされましたので、先ほど先生言われましたように、最終的には雪印乳業が御判断する事柄ではありますけれどもということで、生産者の声を率直にお伝えしたわけでございます。
楢崎委員 西社長が言われたところの、外資系との提携はやはりまずいですかね、これは文法的に言いますと前段があるんですよね。そういう示唆を受けている、だからこれは確認する言葉になっているんですよ。局長が言われたんじゃないですか。
須賀田政府参考人 雪印乳業も、先生御承知のように、主として北海道に基盤を置いて活動している乳業メーカーでございまして、また、その生い立ちから申し上げますと、大正十四年に農民による農民のための乳業メーカーとして設立をしておりますので、西社長自身もそういう自覚があったという前提でお聞きになったものというふうに推測をしております。
楢崎委員 西社長からそういう問いかけがあって答えられた言葉ですか、それとも外資系との提携はまずいよと局長が前段に言われているんですか。どっちですか。
須賀田政府参考人 何回も申し上げておりますけれども、西社長からの照会に対して率直にお答えしたものでございます。
楢崎委員 では、その西社長とのやりとりを局長は自民党の農林関係部会に報告されたということですが、これは事実ですか。
須賀田政府参考人 自民党の農林水産部会は非公開になっておりまして、余り詳しいことを申し上げるのもなにかと思いますけれども、いろいろな先生方から外資はよくないというような御発言がありまして、農林水産省はどうしているんだというようなことがございましたので、今のようなことを、経営の問題とは別ですけれども、生産者の声をお伝えしているという旨を私としてはお答えした覚えがございます。
楢崎委員 それはおかしいんじゃないですか。その農水省の口出しが自民党農林部会の声に配慮したというものであったら、これは例の外務省によるNGO排除問題、これと同根にあると思われても仕方ないんじゃないですか。どうですか。
須賀田政府参考人 私が雪印乳業の西社長とお話をいたしましたのは二月三日でございます。自民党の農林部会がございましたのは二月六日でございまして、特に自民党の農林関係の先生方の声をどうのこうのということではありませんで、その前に、照会に対して率直に生産者の声をお伝えしているという事実でございます。
楢崎委員 農水省の口出しで雪印のその選択肢が限られる、そのことによって再建がおくれたら、それの及ぼす影響、例えば、酪農家へのしわ寄せ、従業員の不安拡大とか、これから解雇が決まっている人たちに対する影響というのは大きいものがあるんじゃないですか。そういうことまで考えられていますか。
須賀田政府参考人 何回も申し上げておりますけれども、資本参加の問題は雪印乳業みずからが判断すべき問題ですよということをお断り申した上で、生産者の声を率直にお伝えしたということでございます。最終的には雪印乳業がみずから判断すべき問題であるというふうに私どもも考えております。
楢崎委員 自民党筋から、商社はだめという注文をつけているらしいですけれども、先般、雪印乳業と伊藤忠商事が三月に予定していました冷凍食品事業の統合時期、これが半年程度延期になったということですが、これはその影響が既に出ているんじゃないですか。
須賀田政府参考人 申しわけございませんが、その話は私ども存じ上げておりません。
楢崎委員 これは大きく報道されていますよ。
 要するに、雪印が犯した罪は罪として、民間の経営判断に行政やそういう政党が介入することはおかしいということを言いたいんです、私は。
 そこで……(発言する者あり)黙って聞いて。自民党は、いわゆる農協系統連合で再建を支援する、農水省は、乳業再編整備等対策事業、この補助金を活用して支援するという、これも報道ですけれども、これは事実ですか。
須賀田政府参考人 雪印乳業の問題、二つ大きな問題がございまして、一つは、先ほど来御指摘ございます雪印乳業本体の資本参加の問題、どこと資本提携するかという問題と、それから、雪印乳業自身は、赤字の大半を占めております市乳事業については抜本的な構造改革をしたい、市乳事業を再編したいということを申しておりまして、この問題と、二つの側面があるわけでございます。そして、この市乳事業の再編の方につきましては、我が国酪農の存立基盤の確保という問題、あるいは国民の健康な食生活の維持というような問題がございますので、私どもとしても多大の関心を有しているところでございます。
 今、どういう状況になっているかということでございます。関係者間での話し合い等が行われているようでございますけれども、その内容はつまびらかに私どもも承知をしておりませんし、先ほど先生言われたような事業の活用その他につきましては、再編の方向が煮詰まった段階でいろいろな検討をしていく必要があろうというふうに考えているところでございます。
楢崎委員 では、その可能性としてですけれども、国主導の雪印救済が動き出す可能性があるということですか。つまり、民間企業の不祥事の後始末に国費投入の可能性もあるということですか、どうですか。
須賀田政府参考人 二つの側面があるというふうに先ほど申し上げました。
 まず、資本参加の問題につきましては、雪印乳業がみずから判断される問題でございまして、行政が介入をすべき問題ではないというふうに考えておりまして、資本の参加の問題に関しまして、公的な資本を注入するということは考えておりません。
 もう一つの市乳事業の再編の問題、これに関しましては、関係者間の話し合いを前提といたしまして、その構想が具体的に煮詰まりまして、私ども、酪農の基盤の確保でございますとか、消費者に対する牛乳の安定的な供給という観点が最低限確保されるという観点から、要請がございますれば必要な支援を検討していきたい、そういう立場にあるわけでございます。
楢崎委員 どうも私には、政官業の癒着した姿が形を変えてあらわれていると見えるんですけれども、委員長にお願いがあります。
 雪印乳業の西社長ですけれども、二月五日の再建案発表の記者会見で、新しい力を入れて経営を変革する、こういう資本提携の重要性を強調されていたんですね。外資系も選択肢の一つだったと思います、この時点では。それもネスレグループと思われるのですけれども、この外資系提携との芽もつぶされたという感じを受けます。
 そこで、その辺の事情とともに、この再建方針の説明をぜひ西社長から受けたいと思いますので、西紘平社長の参考人招致をお願いしたいと思うのですが。
鉢呂委員長 ただいまの件は、理事会で協議をさせていただきます。
楢崎委員 この雪印事件が起こったときに、消費者の間には、ほかもやっているんじゃないかという疑心暗鬼が生まれたんですけれども、案の定、類似事件が起こっているわけです。きょうもスターゼンの偽装行為発覚が報道されておりました。そしてミニトマト、それからゴボウ、野菜の世界まで入ってきています。
 モラルの問題と言ってしまえばそれまでですけれども、とにかく、偽装行為が平然と行われていることに驚きを禁じ得ないわけですけれども、これ、抑止策はないんですかね。
西藤政府参考人 お答え申し上げます。
 雪印食品による牛肉の虚偽表示事件などによりまして、食品の表示に対する消費者の信頼が大きく揺らいでいるということは、私どもまことに遺憾であると思っております。
 このため、農林水産省に、食に関する消費者の信頼確保を図っていく、そういう観点から、二月八日に、大臣に総括本部長となっていただきまして、食品表示制度対策本部を設置いたしまして、検討を開始しているところでございます。
 この対策本部におきましては、現在の品質表示制度について、違反を監視するための体制の強化、制度の実効性確保措置の充実など、表示制度の改善、強化が必要との認識のもとで、具体的な方策を早急に検討することといたしておりますけれども、去る二月十五日からは、食品表示一一〇番を設置して、いろいろな情報提供をお願いしているほか、本日から食肉の表示の実態調査を行うということにいたしております。また、このことについては、各都道府県に対しても協力をお願いしている状況にございます。
 私ども、さらに消費者の方々や生産現場の皆様など、関係の方々の御意見をしっかり受けとめて、食品の表示に対する信頼性回復に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。
楢崎委員 JAS法がその機能を果たしていないと思うのですけれども、JAS法の改正は検討されているんですか。
西藤政府参考人 先ほどもお答え申し上げました食品表示制度対策本部におきまして、JAS法の改正の要否を含めまして、表示制度の実効確保措置の充実など、幅広い観点から検討を行っている状況にございます。
 今後、関係の方々の御意見をしっかり受けとめて、食品の表示に関する信頼性回復ということで全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。
楢崎委員 罰則の強化も入っているんですか。
西藤政府参考人 表示の実効性確保の充実という観点も含めて検討してまいりたいというふうに思っております。
楢崎委員 縦割り行政の弊害というのが今まで言われてきました。生産から流通、消費までの食品行政の一元化、これも今問題になっています。これは別の機会でやりますけれども、今申しましたように、食品全体の品質表示制度の根幹を揺るがす事態が今起きているんですね。この表示制度も、原産地や原材料表示は、これは農水省管轄ですね、JAS法。加工日、消費期限、添加物表示は厚労省所管の食品衛生法。品質表示の規制も省庁をまたがっている。
 今JAS法の改善の検討が言われましたけれども、これ、JAS法と食品衛生法の統合を目指す、こういう考えはありませんか。
西藤政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、JAS法に基づきます食品の表示は、消費者の適切な消費選択に資するという観点から、御指摘がありましたように、原材料名や原産地など、食品の品質に関する情報を提供するものでございます。
 一方、食品衛生法の表示は、衛生上の危害の防止の見地からなされているものでございまして、このように、異なる目的と体系を有する制度になっているというふうに理解をいたしております。
 今回の雪印食品の牛肉の虚偽表示事件などを契機に、食品の表示制度を見直し、例えばこれを一元化すべきという御指摘があることも私ども承知をいたしております。
 いずれにせよ、今後の食品表示制度のあり方につきましては、消費者等関係方面の御意見を伺いつつ、各法律の目的や体系の差異を踏まえて議論していく必要があるというふうに考えております。
楢崎委員 この統合については検討するというふうに受けとめます。表示内容と同様に、規制方法にも一貫性が求められると私は思います。
 それから、これは通告の中に入っていなかったんですが、この事件に伴う在庫肉の調査ですけれども、約九十二万箱ですか、一時期大臣は、このすべての調査も検討するというようなことでしたけれども、結局、抜き取り調査に変わったんですね。
 今月の十四日に、生活協同組合連合会グリーンコープ連合から、抜き取り方式では消費者の不安を解消できないとして、やはり全量調査するようにという農水省に対しての要請がなされていると思うのですけれども、これに対してどのように対応されているでしょうか。
須賀田政府参考人 雪印食品の事件が起こります前は、この事業に関するチェック体制、先生言われましたとおり、一部倉庫とロットを対象とした抜き取り検査ということでございました。
 しかし、この極めて悪質な事件が発生したことに伴いまして、従来の考え方というのは、適正な取引関係というものを信頼した取り組みであったわけでございますけれども、この信頼関係に基づいたチェック体制というのを抜本的に改める必要があるという大臣の御指示をいただきまして、全倉庫、全ロットを対象とした抽出検査方式、本当は全箱が望ましいんですけれども、それをやっておりますと、どうも計算いたしますと、長期日がかかるということがございまして、全ロットを対象とした抽出検査方式に変更し、この中で、少しでもそのロットの中で問題があるというものがあれば、そのロットは全箱開封して検査を行うという方式に改めました。
 そうして、最初の抽出率も信頼関係のあるものから厳しい方の基準に変えまして、多く抜き取るという方式に変えて対応をするということにしたところでございますし、その識別チームも大幅に増員をいたしまして、検品チームの強化も図ったところでございます。
楢崎委員 最後の質問になります。
 今月の五日、私ども野党提出の大臣不信任案は与党三党によって否決されたわけです。しかし、その後、その与党からも責任を問う声が上がっていますね。大臣辞任のXデーはいつかとも取りざたされていますけれども、最後に大臣の現在の御心境をお聞かせください。
武部国務大臣 いろいろ御心配をいただいておりますことに感謝したいと思いますが、いつも申し上げておりますように、BSE発生時、これは行政上の構造的な問題があると私は直観いたしまして、役人任せにはできない、政治主導でまさに大改革をやろう、そして今諸般の対策に取り組んでいるところでございます。
 責任のとり方というのはいろいろあろうかと思いますが、私は、今まさに大手術をしている真っ最中という認識で取り組んでいる次第でございまして、この手術を成功させるということが当面の私の大事な使命、こう思っておるわけでございます。
 ほかにも、農林水産行政、いろいろ課題がございます。真剣に頑張り抜いて職責を果たしてまいりたい、かように考えておりますので、今後ともの御鞭撻を賜りたいと存じます。
楢崎委員 終わります。
鉢呂委員長 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 BSE問題についてお聞きをしたいと思っておりますが、まず、副大臣にお聞きしたいと思いますが、肉骨粉の買い入れ、これはどのような基準で、どのようになされておられますか。
遠藤副大臣 買い入れの基準は、OIEの基準にのっとりまして、百三十三度、二十分、三気圧という表示に乗っているかどうかを基準にして、肉骨粉を買い入れています。(山田(正)委員「今現在」と呼ぶ)
鉢呂委員長 もう一度御質問ください。
山田(正)委員 私の質問、ちょっと勘違いしておったようですが、国内でレンダリング業者から肉骨粉を今買い入れておりますね。買い入れるときに、価格がまずありますが、価格で、トン当たり幾ら、重量で買っていると思うんですが、そのトン当たり幾らで買っているのか。
 実は、私がちょっと調べているところによりますと、政府がどんどん買い入れるわけですから、肉骨粉の中に天かすとかぬかとかいろいろなものをまぜたり、あるいは水を少し、水分を含んでおると重量が重くなる、そういったかなり不正なことが行われているんじゃないか。そういう事実関係はどうなのか、そういう聞き方に変えます。
遠藤副大臣 まず、買い入れ価格はキロ四十円でございますが、委員御心配のように、疑ってかかればいろいろ出てくるかもしれませんが、ともあれ、レンダリング過程において、肉骨粉というのは非常に重要なものでございますから、そのようなことはないものと考えて買い入れているところでございます。
山田(正)委員 千百十四円で隔離牛肉を買い入れした。そのときに、それこそキロ二百円ぐらいの単価の安いくず肉等々、すそ肉等々についても全部それで買い入れざるを得なかった。その中には、またいろいろな問題、いろいろ入っているようですが、考えれば、この肉骨粉の買い入れについても、副大臣はそういう心配はないという言い方をしておりますが、いろいろなうわさが飛び交っております。
 私も、つい一月ほど前から、農水省の職員には、そういううわさがあるので、買い入れについては農水省自体できちんと基準を決めなきゃいけないんじゃないかと。例えば乾燥度がどれくらいあるか、水分は本当に抜かれてあるのかどうか。
 最近は、肉骨粉をつくるに当たって十分な乾燥をしていないといううわさもある。そしてまた、いろいろな不純物をどんどんまぜてもわからない。天かすとかぬかとか、いろいろなものをまぜているという話も聞く。そういったものを検査して、基準に合った肉骨粉かどうかというのを検査して買い入れしているのかどうか、その点についてお答え願いたい。
遠藤副大臣 肉骨粉については水分含有量の基準は六%以下とし、血粉などの水分含有量についても一〇%以下とすることで、いわゆる社団法人畜産副産物協会にこれをその要領で完全に実施してほしいということをきちっと伝えております。
山田(正)委員 伝えているということと、買い入れに当たって検査しているかしていないか。ともかく検査しているかしていないのか。ただ黙って向こうの言いなり、副産物協会の言いなりに買っているのか。そこを聞きたいと言っているんです。
遠藤副大臣 副産物協会の方へお願いをしてやってもらっているということでございますから、農林省として検査をしているということではございません。お任せをしているということでございます。
山田(正)委員 検査をしていないということで、前回、隔離牛肉において雪印の不正というのもまさにそういう、買い入れ体制において、しっかりした基準でもって、しっかりと検査をしながら買っていくんだという、例えば隔離牛肉の場合だったら屠殺証明等々をつけなきゃいけないとか、そういう行政の、いわゆる農水省の買い入れの甘さ、それがああいう雪印の偽装牛肉を生み、そして結果として雪印のいわば倒産、そして全員解雇。これは、まさに農水省のそういう責任というか、そういう買い入れの行政の対応そのもののまずさにあるんじゃないか、そういう気がするわけですが、肉骨粉においても、検査もしないでそうしておれば、どんどんそういう、量だけふやして、これは肉骨粉ですと何だかわからないものまでまぜられて買わされているという可能性も十分あるんじゃないか。以後これはぜひ、国会で、委員会ではっきり申し上げておきますので、十分注意していただきたい、そう思っております。
 ところで、肉骨粉の焼却はどれくらい進んでおりますか。
武部国務大臣 ただいま委員の御指摘、しかと受けとめて、適正に、適切に肉骨粉の処理についても受け入れについてもやるように、最善の努力をするように指示したいと思います。
 現在、肉骨粉の焼却の進捗状況でありますが、都道府県において、畜産部局と環境部局の連携によりまして、一般廃棄物焼却施設の確保のための作業が行われているわけでございます。十月十八日の石川県を皮切りに、全国十八県、五十六のレンダリング工場の肉骨粉が焼却され、これまでには約二万五千トンが焼却されております。
 また、セメント工場での焼却については、肉骨粉の焼却に必要な環境省の認定の状況は、これまで全三十六工場のうち二十五工場から申請がございまして、十四工場が認定され、十一工場が審査中と聞いております。
 昨日、北海道のセメント工場で試験焼却が実施されまして、これまで三工場で試験焼却が実施されていると聞いております。
 現在、肉骨粉は十万八千トンの在庫がございます。一日当たりの焼却が必要な肉骨粉生産量は約九百トンでありまして、これに対して一日当たりの肉骨粉焼却量が約五百三十トンということでありますので、一日当たり三百七十トンの在庫が積み上がっていくという状況でありまして、今後も環境省や都道府県との連携をより密にいたしまして、一般焼却施設の確保、セメント工場での本格焼却の早期実施を図り、焼却量の拡大に努めてまいりたい、かように考えております。
山田(正)委員 一日約四百トン近い肉骨粉がたまっていっている、ふえ続けていっている。その肉骨粉のふえている一日当たり四百トンとは大変な量ですが、それをどのようにして保管しているのか、その保管料は農水省が負担しているのかどうか、その点はどうですか。
遠藤副大臣 大体が屋内の倉庫に保管してあるというふうに報告は受けております。
山田(正)委員 屋内で保管するのは当然でしょうが、その保管料はどうなっているのか、どういうところで保管しているのか。
遠藤副大臣 保管料そのものは国の助成対象となっております。
山田(正)委員 そうすると、国の助成でますます、国は焼却が進まずにどんどんふえていっている。毎日毎日ふえていっている。それを我々の税金で負担している。そうすると、その焼却、それを急がなければいけないのに、それを急がないというのは、急げないというのは、そこに何らかの事情、例えば、もうこれは一般廃棄物扱いになっていると思いますが、各市町村の焼却場がそれを受け入れないとか、そういう特別の事情があるのかどうか、それはどうですか。
遠藤副大臣 委員おっしゃるとおりでございまして、一般廃棄物としてお認めいただいたわけですが、自治体の中には、住民の賛意を得られないということで焼却を拒否しておられるところもございまして、大変私どもも困惑しているところでございます。
 そこで、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、セメント工場などの、今は試験焼却ですが、フル稼働になるように最大限の努力と支援をいたしておるところでございます。
山田(正)委員 大臣にもお聞きしたいと思いますが、既に肉骨粉を隔離、焼却するとなってから半年近くたっていると思いますが、それでいてまだまだセメントの試験焼却云々とかそういう言い方をして、どんどん我々の税金はそのための保管費に今使われていっている。そうして考えますと、これは各市町村の焼却場に対して、肉骨粉を焼却すべき焼却能力はあると思いますので、焼却すべく、法律上の義務づけをする必要があるのではないのか。いわゆるBSEの緊急措置法という法律をつくる必要があるのではないのか。それは大臣、いかがでしょうか。
遠藤副大臣 まさしくそのとおりでございまして、環境省に強くお願いはいたしておるところでございます。また、環境省とも、法的な面についても考えられることでございますが、あくまでこれは環境省を通してお願いしていることでございますから、委員御主張の趣については、環境省とちょっと話してみたいと思っています。
山田(正)委員 環境省に相談する、環境省と話してやってもらう、環境省にあるいは法的手段をとってもらうというのは、他人任せではありませんか。このBSE問題は農水省の責任、肉骨粉の焼却処理も農水省の責任。そうであれば、農水省みずからが、BSE緊急措置法なり法律でもって、焼却を早く、例えば三月末日までに焼却しなきゃいけないとか、義務づけを法律でやらなきゃいけないんじゃないですか。大臣、結構ですが、いかがですか。
武部国務大臣 今副大臣が答弁されましたように、私ども非常に大きな責任を感じております。しかし、窓口といいますか、行政の上では環境省が主役になるわけでございますので、私どもの必要性ということについてもしっかり環境省にお話をさせていただいた上で、どう対処するかということについて検討してまいりたい、かように思います。
山田(正)委員 検討してまいりたいということですが、これは環境省等の問題ではなく、まさに農水省としてどういうふうにしていくか早急に対策を打たなきゃいけない問題で、ぜひ早急な措置、あるいは私どもは、これは法律によっていろいろな意味でBSE問題は解決していかないといけないんじゃないか、そう考えておりますが、ぜひ御検討いただきたい、そう思います。
 隔離肉の検査についてお聞きいたしますが、先ほど生産局長がお答えしておったようですが、大臣か副大臣に答弁願いたいと思います。
 隔離肉の検査は、今どこがやっていますか。
遠藤副大臣 農畜産事業団を主体としまして、国の職員がサポートをしております。
山田(正)委員 畜産事業団がやっている、それでいいんでしょうか。――はい。
 そうすると、畜産事業団は、今回の隔離牛肉の買い入れをいわゆるハム・ソーセージ組合とか全肉連とかそういったところに委託して、いわゆる買い入れ側の当事者である。その当事者が、言ってみれば、本当に買い入れたそれだけのものが偽装されずにあるかどうかというのを検査するというのは少しおかしいのではないのかどうか。
遠藤副大臣 委託ではございませんで、農畜産振興事業団が助成主体なわけでございます。つまり、事業団が主体となっている事業、こういうふうにお考えいただいて差し支えないのではないかと思います。
山田(正)委員 今の副大臣の答弁、よくわからなかったのですが、事業団がいわゆる買い入れの主体である、買い入れた団体である、そういうことですね。その事業団が、いわゆる偽装のものがなかったかどうかというのを今検査しているということですか。間違いありませんか。
遠藤副大臣 改めて申し上げますが、もちろん国がやる事業でございますが、助成を行う団体が事業団、そして実施主体が六団体、こういうふうに受けとめていただけばよろしいかと思います。
山田(正)委員 では、六団体が買い入れして、そしてその買い入れした肉の所有権はどうなるのですか。六団体のものになるのですか。
遠藤副大臣 所有権といいますか、それは事業を実施した六団体に属することになります。
山田(正)委員 六団体にお金が払われているのではないのですか。それを幾ら聞いたって始まらないことで、それはもうこれでやめますが、事業団が検査するということは、身内の検査になっているのじゃないのか。そうすると、私の調べでもいろいろと出てまいっておりますが、検査前、いわゆる買い入れの際に、在庫管理の証明さえあればいいというので、それこそ雪印みたいに偽装牛肉、あるいはくず肉を高く売ったりとかというのは結構あったようですが、あるいは豚の脂とか豚の骨まで入れたという問屋さんの話もございました。実際に調べるとかなり不適切なものが出てくるのじゃないか、そう思いますが、今、実態、具体的にはどのような検査、どのように進んでいるか、その中身についてお伺いしたい。
遠藤副大臣 現在、全ロットを対象として検査をしているわけですが、これは二月八日から開始をいたしております。これまで、二百五十九倉庫のうち三十倉庫に立ち入りしまして、千二百四十八ロットについて検品を行っております。
 先生御心配のように、いわばいろいろな、品質期限切れとか、そういうおそれのあるものも今後も出てくるのではないか、こう思いますから、厳正な検査を行うように強く指示をいたしておるところでございます。
山田(正)委員 既に三十倉庫分ですか、終わったという検査の結果、それについて私は質問通告で、いわゆるその検査書、どのような検査か、その書類等もきょう出してもらうように言っておったのですが、私の手元にも届いておりませんし、ただ検査したというだけではきょうは納得いかない、そういうふうに通告しておったわけですが、その中身、実際どうであったか、それを具体的に知らせていただきたい。
遠藤副大臣 正式な数字はあす発表する予定でございますが、現在のところ、千八百八十六トンでございます。あすになると、若干それに上乗せされたりする可能性もありますが、現在、千八百八十六トンでございます。
山田(正)委員 我々議員に国政調査権があるわけですが、その中でどういう調査が、本当に厳正に行われているかどうか、私もこの質問に当たってそれについての資料を、当然、書面で、その結果があるはずだからそれを出していただきたい、そう言っておったわけです。きのう、きょう出していただきたいと言ったら、きのうの夕方電話があって、上の方の了解をもらわないといけないので届けられませんという電話があったのを覚えておるのですが、そういう上の方というのは大臣なのか副大臣なのか。
 それで、これは我々の国政調査権に対する侵害であって、まさにそういうものに対しては我々はその中身を、いわゆる検査書その他を見ながら質問するのが当然であるので、それについては、ぜひ今後そういうことのないように、今ここでとやかく、もう質問はできないとかなんとかいうことはありませんが、それについては大臣、これから先そういうことのないように、大臣がそういうことを許可しなかったのかどうかわかりませんが、ひとつお答え願いたい。
武部国務大臣 委員が疑問に思うのはよくわかります。
 私もこのことは詳しく承知しておりませんが、検品に問題があったのは、加工年月日が古く、品質保持期限が切れているおそれがあるものが主であるというようなことはちょっと聞いております。
 しかし、これらのロットについて、やはり私は、全箱開封による現地での現物確認、それから書類確認の報告をもとにして、その旨事業実施主体に連絡し、関係書類を求める等、当該箱の混入経緯等についてきちっとした調査をしなければならぬということを指示しているところでありまして、今、農畜産事業団において慎重に判定しているところだろう、こういうように思います。
 この検品の結果については、やはり一定期間ごとに、これは国民が非常に関心を持っていることであります。そして、今度の検品というのは、雪印食品のような、ああいうことがあり得べしということでやっているわけです。消費者保護第一ということでやっているわけでございますので、私どもは厳正にすべしと。
 先ほどもいろいろ御質問ありましたけれども、もう九十二万箱全部できないか、こういう指示をしたのですが、しかし、試算しましたところ、五百日かかるというようなことでございました。したがいまして、全ロット、その抜き取り調査も国際基準の一番厳しいもの、多分、私の記憶に間違いなければ十三万三千箱、二万二千ロットかな、十三万三千箱引き出すというふうに聞いております、記憶に間違いなければですね。そして、一ロットの中から一個でもおかしいと思うものは、そのロットの中は全部見る、全箱あけて見るということです。
 ちょっと長くなって済みません。そういう、我々は起こり得ないことが起こるのだという、最初は商道徳を前提にこの事業をやりましたけれども、今は違うのです。国民が監視している。国民の視点でこれを徹底的にやろう。それだけに、正確に公表しなくてはいけないということでございますので、ちょっと答弁が長くなりまして、きょう私に余り通告がないのは、私に質問をすると、答弁が長くなって時間がむだになると思ったのかもしれませんが、これは大事なところですので、検品の結果については一定期間ごとに取りまとめを行い、定期的に公表したい、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
山田(正)委員 詳しく検査させている、詳しく検査させていると言いながら、上の方の許可がないので、検査の結果についても、我々国会議員に対してその書類をお見せするわけにはいかない、そういうことでは、本当にその検査が厳格になされているのかどうか。大臣の、副大臣の意向はわかるけれども、実態において本当に厳しくやらなければこれは大変なことに、我々国民にとってはむだなことになってくる。
 先ほど、九十二万箱全部やるのに五百日かかるから全量検査できないというようなことを言っておりますが、それは検査の人員をふやせばいいのであって……(武部国務大臣「プロだから」と呼ぶ)それを例えばプロの第三者、プロの第三者というか民間に委託するということもできるはずであって、それは幾らでも方法があるはずなのに、全量検査しないというのはおかしいんじゃないのか。大臣、いかがですか。
武部国務大臣 五百日もかかる、それは人員を必要なだけ拡大できればいいと思います。しかし、やはりこれは国がやることが大事だと私は思うのです、国が関与しながら。そして、やはりしっかりした専門家が見ないとわからないと思うのですね。それから、これは早くやる必要があると思うのですよ。
 そういうようなことを考えますと、全ロット、最も国際標準の厳しい基準でやる、そして一個でもそのロットでおかしいものがあれば、そのロットの中身は全部あける。だから、全箱的な検品というふうに御理解いただけるのではないか、このように私は思います。
山田(正)委員 物理的に全量検査は十分可能である、そして、むしろ事業団、身内の者に検査させないでいわゆる民間に、第三者に委託して検査するという方法が最も合理的ではないかと思うんですが、いわゆる農水省としてそれがやれないということは、全量検査しないということは、どこかおかしいものがあって、それを隠さざるを得ないからという疑いが持たれてと思うんですが、どうですか。
武部国務大臣 いや、私は、本当に今度のことはもう大変な信頼を損なったわけですから、本当に全箱やりたいですよ、やり得るならば。しかし、早くやらなきゃならないということもあります。
 そういう意味で、我々は厳正にやります、やらせます。ですから、相当いろいろな問題が出てくるというように我々は想定してやっているわけですから、ぜひ今やっている体制についても御理解いただきたいと思いますが、委員御指摘のような気持ちが国民の皆さん方や消費者の間にあると思いますので、その考え、声を厳しく謙虚に受けとめて、しっかりやりたいと思います。
山田(正)委員 これ以上言ってもしようがありません。
 次に、畜産事業団についてちょっとお聞きしたいと思いますが、きょう、参考人で理事長を呼んでおります。
 畜産事業団というのは、一体その収入はどういうところから年にどれくらいあるんでしょうか。
山本参考人 事業団の収入でございますけれども、主なものは、政府からの政府交付金等の収入でございます。それから二番目には、これはWTOの協定あるいは法律等に基づきます指定乳製品等の売買事業を実施しておりますが、これに伴う収入が二番目でございます。それから三番目には、政府の出資金等の運用益収入等でございます。
山田(正)委員 それでは、財務省に出した平成十二年度行政コスト計算書、これでお聞きいたしますが、これによると、平成十二年度の収益、事業収入六百八十四億、これは何なんですか。
山本参考人 今先生御指摘の事業収入でございますけれども、WTO協定あるいは法律に基づきます指定乳製品等の売買事業等の実施に伴うものでございます。
山田(正)委員 そうすると、次の収入の主たるもの、千三百四十八億というのが、これは政府交付金となっていますが、一年に千三百四十八億の政府交付金、これは一体中身は何なんですか。
山本参考人 ただいま御指摘の政府交付金等収入につきましては、主なものが、まず第一に牛肉等の関税財源交付金が八百六十一億円、二番目に指定生乳生産者団体交付金が二百四十七億円、砂糖価格調整業務に係る交付金等が百三十九億円、生糸輸入調整等業務に係る交付金九億円でございます。
山田(正)委員 そうすると、本来関税として国庫に入るもの、いわゆる国の、財務省の収入になるべきもの、それの約二千億ぐらいが毎年畜産事業団に入っている、そう考えてよろしいですか。
山本参考人 交付金につきましては、一般会計から私ども交付を受けております。
山田(正)委員 それで、事業の中身は後で聞きますが、この畜産事業団の、正式名称は農畜産業振興事業団ですか、いわゆるバランスシート、資産についてお聞きいたしますが、今現在、資産のトータル、例えば現金・預金、有価証券。まず、現金・預金だけでどれくらいありますか。
山本参考人 現金・預金で、現在三千七百三十二億円でございます。
山田(正)委員 平成十二年度の行政コスト計算書、昨年九月財務省に出したこの書類でいくと、四千九百億、三千……(発言する者あり)そうですか、失礼いたしました。
 今現在幾らと言いましたっけ。済みません。
山本参考人 先生が御指摘の、昨年創設されました行政コスト計算書、これによりますと、流動資産全体で四千九百億余でございます。そのうちで、現金・預金が三千七百三十二億円余でございます。
山田(正)委員 現金・預金だけで約四千億近く、固定資産が千六百億ぐらいありますから、全体で六千五百億畜産事業団は現在資産がある、そういう形になるかと思いますが、一方、流動負債の方は、実際に事業団の性格からしてどういうものがあるのか、ひとつそれを簡単で結構ですから。
山本参考人 流動負債二千二百三十億のうち主なものは、まず交付金、これを流動負債に計上いたしておりますが、千六百三十二億円、それから短期借入金二百五十七億円、未払い金三百三十二億円でございます。
山田(正)委員 この交付金千六百三十二億というのは、もともとこれは入ってくる国からの交付金ですね。それを一時借り入れ、負債のところに計上しているということで、実際の負債は二百五十七億。いわゆる砂糖か何かの基金の支払いのための一時借り入れ立てかえ払いといったそれくらいで、事実上借金はない、債務はない、そう考えてよろしいんでしょうか、理事長。
山本参考人 先生御指摘のとおりでございます。
山田(正)委員 そうすると、時間も参りました。大臣にお話ししておきたいと思いますが、いわゆる畜産事業団、この畜産事業団の本来の畜産振興のためのお金、それが今現在、資産として六千五百億ざっとあるわけです。そうすると、今回、BSE関連でもって今本当に被害を負っているのは、恐らく農水省の今のざっとした調べでも三千億を超えるかと思いますが、そういったことを考えますと、この際、我々として、国会として、政治家として、ぜひこのBSEの問題において、そういう対策というものをきちんと法律をもってやっていただきたい、そう私の方で述べまして、質問を終わらせていただきます。
鉢呂委員長 次に、後藤斎君。
後藤(斎)委員 冒頭は大臣に、先般大臣からお話をいただきました所信表明に関して御質問をしたいと思います。
 所信表明、およそ二百行の所信表明を大臣は述べられております。その中で、今まさに、農政、食料行政の転換を求められている食の安全について、BSEの最後の後段を除きますと、わずか七行であります。そして、最後のBSEのくだりについても十四行、本当に一割弱という中での所信の述べ方であります。
 私は、これは昨年十一月の二十七日、本委員会で大臣に、いろいろな観点から、食料行政、農業行政のあり方をお尋ねし、その中で大臣も、「国民に安全で良質な食料を安定的に供給する」ということをきちっと答弁をいただき、また、「食品の安全性、品質の確保や表示の適正化等、食料消費に関する施策の充実に努めてまいりたい、」というふうに御答弁をいただいております。
 それから既に三カ月が経過をし、いろいろな施策、確かに充実している部分はあると思いますが、具体的にこの間、大臣、ポイントで結構ですから簡潔に、どんな形で十一月に御答弁いただいた以降対応していたか、御答弁をいただきたいと思います。
武部国務大臣 昨年十一月に御答弁いたしましたとおり、私は、食の安全の確保こそ農政の基本であると考えております。農林水産省の行政も、生産者サイドから消費者サイドに大きく軸足を移して対応しよう、生産者と消費者が相互に顔の見える関係の構築ということを強く訴えているところでございまして、BSE問題や雪印事件に関連いたしまして、食に関するさまざまな課題が顕在化している今こそ、農林水産省挙げて大きなかじ取りをしなくちゃいけない、国民、消費者の安心と信頼の回復に向けた農林水産省としての取り組みに全力を挙げてまいりたい、かように考え、行動している所存でございます。
 具体的には、BSE感染経路の究明、このことにつきましても、チームに専任の者を置き、人員もふやしました。また、消費者の安心を確保するための全頭に対する耳標の装着を昨年十二月に開始いたしまして、トレーサビリティーのシステム構築に向けて踏み出す、そういう諸対策を急がせているところでございます。
 二月八日には、表示に関する消費者の信頼を確保するために食品表示制度対策本部を設置いたしまして、あるいは食の安全の確保のために動植物検疫・輸入食品安全性対策本部を設置いたしまして、私が総括本部長として先頭に立って取り組んでいる所存でございます。具体的なことは、これまでの議論の中でお話しさせていただきましたとおりでございます。
 また、二月十七日には、食と農に対する消費者の信頼確保が喫緊の課題であるということを踏まえまして、消費者の皆さんと語り合う会を開催するなど、消費者に軸足を置いた新しい農林水産行政の展開に全力を挙げている所存でございます。
 二、三列挙させていただきましたが、大きくそういう軸足を置いた農政、農林水産省行政に私は変えていきたいというその意欲を御理解いただければありがたいと思います。
後藤(斎)委員 そして、所信表明の中では、起こり得ないことなどこの世に存在しないという危機管理の意識の徹底と、そのためのコミュニケーションの重要性を再確認したというふうに明確に述べられております。
 大臣、昨年十二月、中国で十万人の方が農薬の関係で死亡なさって、それ以降農水省としてどんな対応をしているか、まずその点だけ大臣に、その点が大臣に上がっているかどうかだけ、まず確認したいと思います。
宮腰大臣政務官 お答えいたします。
 野菜を含む輸入食品全般の安全性確認につきましては、食品衛生法に基づきまして、厚生労働省が残留農薬等の検査を行っているところでありますけれども、食の安全に対する消費者意識の高まりが見られる中で、農林水産省におきましては、先ごろ、遠藤副大臣を本部長といたします動植物検疫・輸入食品安全性対策本部を設置いたしまして、厚生労働省と緊密な連携のもと、輸入野菜の安全性確保のための対策を充実することといたしたところであります。
 この対策の一環といたしまして、農林水産消費技術センター、全国に八カ所あるわけでございますけれども、そこにおきまして、昨年末から緊急に中国、韓国及びタイ産の野菜輸入につきまして、残留農薬検査、おおむね三百検体でございますが、その検査を実施しているところであります。十四年度以降も計画的かつ重点的な検査を実施するべく、現在、検査対象国、品目、検体数等につきまして検討をいたしているところであります。
 以上であります。
後藤(斎)委員 そうではなくて、私が冒頭お尋ねしたかったのは、昨年十二月、中国紙に載っておりますけれども、年間で農薬汚染で中国で十万人の方が死亡して、その後、国家品質検査総局がサンプリングをして、中国産の国内野菜が、ほぼ五〇%近いものが残留農薬の安全性基準を超しているというこの事実をまず知っているかということをお尋ねしたんです。
武部国務大臣 詳しくは承知しておりませんが、そういう問題は聞いております。
宮路副大臣 今の後藤先生の御指摘でありますけれども、去年の暮れ、そういった報道が中国側で、現地の方でありまして、その後直ちに、厚生労働省としては、そうした報道が確かなものであるかどうかといったことを外務省を通じて中国当局に照会をいたしました。その結果、中国側から事実であるということを伝えてまいりまして、しかしながら、同時に中国側は、輸出用の野菜についてはしっかりとした厳格な管理、検査をやっているからこれは安全なんだ、そういう回答があったわけであります。
 しかしながら、厚生労働省としましては、一月を中国の野菜の検査強化月間というふうに設定いたしまして、そして、この期間、輸入の届け出のあるロットすべてについて検査を実施いたしたわけであります。通常の検査の場合ですと、ロットの五%の抽出ということで検査をやっているわけでありますが、これはすべてのロットについて一月は検査を実施いたしました。その結果、二千五百十五件中、オオバを初めとする九件について食品衛生法違反という事態が認められました。
後藤(斎)委員 今の大臣と厚生省の副大臣の御答弁にも明確にあらわれているように、この九月以降五カ月間、厚生労働省と農林水産省が連携をして対応していくということが何だったのかということが、今のお二人の御答弁で僕は明らかになったんだというふうに思っています。
 連携が十二分にできているのであれば、先ほど政務官がお答えになったように、国内だけではなく、農水省としても、少なくとも外交ルートを通じて、または専門家を派遣する、ないし厚生労働省も、私からいえば、外交ルートだけではなく、後でもう少し時間をとってやりますが、EUと同じように専門家チームを派遣するないししてきちっとした対応をしない限り、この問題は私は解決しないと思っています。これは地方公共団体との連携のまずさということにもなると思います。
 EUの話にちょっと入る前に、今東京都では、築地の市場を豊洲に移転させようという計画が上がって、都議会等々ではその議論がされているというふうにお伺いしています。そして、その豊洲の予定地というところは、旧来の地主さんがお持ちのところで、土壌汚染が大変深刻であるということで、基準値以上の土壌汚染がされている。
 これも、確かにまだ農林水産省が直接関与していないかもしれませんが、きちっとしたそういう情報提供があるのであれば、私は東京都ともきちっと連携をしながらやっていく必要があると思うのです。それは今の厚生労働省との、中央省庁間の連携のみならず、地方公共団体との連携というものもきちっとしない限り、その問題は解決しないというふうに思っておりますが、農林省はどうでしょうか。
遠藤副大臣 中央卸売市場の移転予定地区である土壌が汚染されているということは聞いておりますし、現在、東京都の指導のもとで浄化作業が進められているという報告を受けております。
 今後とも、その作業が進められ、土壌汚染というものが速やかに除去されんことを期待しているところでございます。
後藤(斎)委員 今の御答弁のように、関係法令をきちっとクリアしてその方針が決められることは当然であります。それが、今の準備段階で、そういう予定地に持っていくこと自体やはり反対だという方も多いという意見にきちっと耳を傾けていくことも、大臣がおっしゃっているコミュニケーションの重要性ということで、七度にわたるタウンミーティング御出席を大臣御自身がなさったことも含めての僕は考えと思うのです。ですから、ぜひその点は、農水省としてもきちっと都とも連携をしながら対応していただけるように要望したいと思います。
 大臣、もう一点なんですが、先ほどちょっと触れましたEUが、先ほどの中国の農薬の問題で年間十万人の方が亡くなっているというふうな記事が出た以降、その前からEUはかなり詳細な現地の調査も含めて対応しております。
 これは、この資料は、二月十三日に厚生労働省が、「EUの中国産畜・水産物の輸入禁止措置等について」という報告書を取りまとめています。この存在は、大臣、御存じですか。
武部国務大臣 聞いております。
 それから、先ほどの質問で一言追加答弁させてもらいたいんですが、農林水産省としては、中国の農村部に、一月二十四日だと思いますが、専門家を派遣しております。三月にもまた農村部に、坂野審議官になろうかと思いますが、派遣する準備をしております。
 動植物、輸入農産物の対策本部を設置しまして、今工程表をつくって、種々厚生労働省とも連携してやっていこうということで取り組んでいることをつけ加えさせていただきます。
後藤(斎)委員 この報告書の中には、EU決定の三段階についてまとめられております。一点は、EUは査察をきちっとする。これは専門家によるものですね。国境検査のチェックをきちっとする。そして、正当な理由がある場合は輸入停止措置をする、ないし輸入製品を特別な管理下に置くという決定をされています。
 今、現行法では、食品衛生法並びに飼料安全法という二つの法律がありますが、この決定に従って、昨年の九月の十九日に既にEU委員会では、クロラムフェニコールの検出についてかなり突っ込んだ議論をし、そして一定の防御措置を置いております。
 この点につきまして、まず厚生労働省に、クロラムフェニコールは、今、現行の食品衛生法の検査対象になっているんでしょうか、御確認を。
宮路副大臣 今御指摘のその物資は、食品衛生法上、検査対象となっておるところであります。
後藤(斎)委員 命令検査でしょうか、モニタリング調査でしょうか。
宮路副大臣 命令検査であるか、あるいは通常のモニタリング検査であるかということでありますけれども、食品衛生法は、通常は輸入される物資についてはモニタリング検査ということで行っておるわけでありまして、そのモニタリング検査の結果、違法な、今御指摘のようなそういった物資が輸入食品について認められた場合には、その結果を踏まえて命令検査に移行していく、あるいはモニタリング検査を強化するといったようなことで対応しておりまして、最初から命令検査というふうな、そういう手順を踏むようなシステムにはなっていないところであります。
後藤(斎)委員 では、今モニタリング検査は何%検査になっているんですか。
宮路副大臣 モニタリング検査は、通常ですと、先ほど申し上げましたけれども、ロットの五%の抽出ということでやっておりますが、そのモニタリング検査の結果、違反が見つかった場合には、モニタリング検査を強化する場合は、その五%の割合を高めていく、そして、それでなおかつ対応が十分でないなということになると命令検査に移行するというふうな段階を踏んでおります。
後藤(斎)委員 今のようなお話で、日本ではまだ検出をされていないという御趣旨だと思いますが、EUではクロラムフェニコールが検出をされ、一定の防御措置に入り、そして査察ミッションを含めて送って査察をした結果、管理体制も含めて重大な欠陥があるという特定をし、現在では、動物飼料用そして食用のすべての動物由来製品の輸入を禁止するという措置を一月三十日に決定しています。
 この決定というのは、六年前を思い出してください。そのときに十分な手当てが我が国でできなかった、農林水産省と厚生労働省がその権限を、きちっと責任を全うしなかったことが昨年九月以来のBSEにつながっているという御認識は副大臣おありでしょうか、厚生労働省。
宮路副大臣 BSEの問題は、これはこれまでも当委員会においても十分論議されてきておるところだと承知いたしておりますが、これはなおまだ感染ルートもしっかりと判明していないということでありますけれども、確かにそういった中で、両省の連携というものが必ずしも十分機能していなかったという御指摘はいただいていることは、私もよく承知をいたしておるところであります。
 これから、こういった中国野菜の問題あるいは中国の今エビの問題、その他水産物、畜産物の取り扱いにつきましては、そういったBSEの問題の対応における反省をも踏まえながら、きちっと両省連携して、遺憾のないようにしてまいりたい、このように思っておるところであります。
後藤(斎)委員 今、モニタリング検査で対応なさっているということで、EU並みにはまだできないということも含めての御答弁だったと思いますが、今、EUが既に輸入禁止措置をしている中国から日本に輸入されている畜産物、動物性飼料、動物性飼料は、二〇〇一年の速報では一万一千トン、二〇〇〇年、二年前は一万六千数百トンございます。そして、肉関係につきましては、中国から三十三万トン、ブロイラー等々が輸入をされています。
 この点につきまして、先ほど、モニタリング調査で違反があったら強化をしながら対応していくという宮路副大臣のお話でしたが、先ほども御答弁いただいたような中国野菜強化月間ということで対応していただいておりますが、平成十一年の検査率が八・三、平成十三年が一二・三、もちろん輸入数量も、昨年セーフガードを発動したということもこれあり、五割程度この二年間でふえておりますが、違反検査率は平成十一年の十一件から百二件に、平成十三年、十倍程度増加をしております。これはまさに検査率を、先ほども山田議員が、表示の問題も含めてロットの全量をやったらどうかというお話もありましたが、これは多分検査率を上げれば上げるほど違反率は高くなる。そして、EUがもう既に輸入禁止をしているこの部分も、いまだ食用も飼料用も何ら対応していないということであります。
 まず、EU並みにリスクコミュニケーションという観点をもし厚生労働省がお持ちであるんであれば、事前にきちっと中国当局ないしEUの情報をもっときちっと精査するないしして対応する、食品衛生法に基づいた輸入禁止をしていくようなおつもりはあるんでしょうか。
宮路副大臣 ただいまの御指摘の中国産の水産物等につきまして、EU側でことしの一月に欧州委員会としての輸入禁止を決定したこと、そのことは私どもも十分承知をいたしておるところであります。
 ただし、決定はしたけれども、その輸入禁止そのものに各国が踏み切ったかどうかということについては、まだその段階には至っていないというふうに承知をいたしておるところでありますが、その内容につきましてEU側に厚生労働省として、我が国として確認をいたしましたところ、中国産のエビから、EU等において使用が禁止されている、先ほど御指摘の抗生物質が検出されたということ、そして、EU側としては、中国における抗生物質等の管理体制に問題があったということのゆえに、先ほど申し上げた輸入禁止の決定を欧州委員会として、EU委員会として行った、そういう情報を得ておるところであります。
 そこで、当方といたしましても、中国産の水産物等の抗生物質等につきまして、その残留実態を緊急に把握したいということで、一月二十九日から、中国産のエビそれから養殖ウナギ、こういった魚介類のほか、ハチみつ、食肉等につきまして検査を大幅に強化いたしました。
 それで、どういうぐあいに強化をしたかということでありますが、エビ及びその加工品につきましては、モニタリングの検査の率を一〇〇%、つまりすべてのものについてモニタリング検査をする。すべてのロットについてですね。それから、養殖ウナギ及びウナギの加工品についても同様であります。それから、その他の、ウナギ、エビ以外の養殖水産物、例えばコイだとかドジョウでありますが、これについては五%通常のモニタリング検査を高めて一〇%にいたしております。また、ハチみつやウサギの肉、鶏肉等についても同様にいたしておるところであります。
 そういったことで、一月の二十九日から検査をやってきておるところでありますが、先週末現在で取りまとめたところでは、二百五十件の検査を行っておりますが、EUが指摘をしておりますような、そういった抗生物質の検出というものは現在のところ認められていないという状況にございます。
 これからも、当分の間は、検査体制を今申し上げたようなことで強化をして、そして、引き続き万全を期してまいりたい、このように思っておる次第であります。
後藤(斎)委員 その際にぜひ、強化月間の中で違反事例が出てきたものは、すべて命令検査ないし一〇〇%モニタリング検査なんです。この点はきちっと踏まえて、本当に水際でとめるしかないという現実、国内に入ってしまったら、本当にどこにどういうふうなルートで行くかどうかという追跡はできないわけですよね、発信器をつけるわけじゃありませんから。そして、その中で、ですからまだ輸入禁止までいかないということですよね。お考えにもちろんなっていない。
 じゃ、飼料安全法、飼料の方では輸入検査をとれるような措置は法律であるんでしょうか。
須賀田政府参考人 飼料安全法の仕組みの中に、輸入を全面的に禁止できるかどうかということにつきましては、輸入を全面的に停止できる措置はございます。現に肉骨粉はしているわけでございます。
 そして、この中国のクロラムフェニコール、いわゆるクロマイの問題でございます。
 厚生労働省と連携をとりながら対応していきたいというふうに思っておりますが、現在、動物性の飼料で中国から来ておりますのが肉骨粉と魚粉でございまして、肉骨粉の方は輸入停止をしておりますので、残りは魚粉ということになろうかと思います。一般的には、輸入の魚粉は、イワシ等の魚体をそのまま魚粉に加工するというのが主だというふうに考えておりまして、抗生物質を使用しているような養殖魚が原料になる可能性は低いと考えておりますが、冒頭申し上げましたように、EUとの情報収集をしながら、厚生労働省とも連携をとって、中国産の魚粉等の検査というものを早急に実施していきたいというふうに考えているところでございます。
後藤(斎)委員 厚生労働省にお尋ねを最後にしたいと思うんです。
 二百六十四人、水際の検査官の方がいらっしゃるというお話を聞いています。先ほどのようなお話で、私お話をしたように、命令検査ないし一〇〇%モニタリング調査をしない限り、確実な水際での検査というのはできないという、これはまた常識だと思うんです。例えば、この増員を含めて、水際の検査体制を強化するおつもりはあるんでしょうか、簡潔にお答え願います。大臣は最後に聞きます。
宮路副大臣 昨今の輸入食品の急増という事態を受けまして、その安全確保にしっかりと対応すべく、例えば、横浜及び神戸の検疫所に輸入食品・検疫検査センターを設置いたしまして、残留農薬等の高度な技術を要する分析検査業務を集中してそこで行ったり、あるいはまた届け出審査の電算化等による業務の合理化ということを積極的に進めておるところであります。
 また、要員の関係でありますが、これは、先ほど御指摘のように二百六十四人、現在配置をいたしておるわけでありますけれども、過去十年間で九十九名の増員を行っておりまして、そして、来年度においても四名という増員を行っております。数の上で必ずしも十分じゃないなというような、そういう感触で私の今の説明をお聞き取りいただいたんじゃないかと思いますが、今後とも皆様方のまた御支援をいただきながら、御指導を賜りながら、この検査体制の充実に一生懸命頑張ってまいりたい、こう思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
後藤(斎)委員 大臣、先ほどもちょっとお話をしましたように、やはり私、まだ、厚生労働省と農林水産省の事務当局も含め、そして大臣、副大臣同士も含め、十二分に連携ができていないというのがこのEUの問題提起ではなかったかというふうに思っています。
 確かに人的に、今進行中のBSEの問題を対応する中でのものでありますから、大変な面は、それは十二分にわかっています。ただ、そうはいっても、EUがこういう形で警告を発しているということをもっと謙虚に、そして予防行政ということは大臣も御理解をいただいていると思いますし、私たちは、常にその情報を、発信をきちっと消費者サイドに、そして国民に対して対応していかなければいけないということは何度となくお話をしてまいりました。
 最後に、大臣、食の安全行政、大切、大切だというふうに何度も大臣からもお聞きをしています。そして、その中にこの予防行政というものを、今回のEUの委員会決定、厚生労働省の方では、まだそれぞれの国が禁止しているかどうかは今のところわからないというお話もありましたが、それも含めて、どういうふうにこれから対応されていくのか、総括的にまとめて御答弁をお願いします。
武部国務大臣 起こり得ないことはこの世に存在しないという危機管理意識の徹底と、そのためのコミュニケーションの重要性ということを私は今回のBSEで痛感させられました。また、縦割り行政の弊害ということについても同様であります。
 食品の安全性の問題については、欧米では、委員御指摘のように、予防的な対応を含めまして、食品に由来する危害のリスクを最小化させようという取り組み、すなわちリスク分析ということについて力が注がれているということに学ばなければならないと思います。
 私としては、委員御指摘のような予防的な視点も踏まえ、リスク分析の考え方に基づいて、リスクコミュニケーションの徹底を図るというような考え方で、抜本的な食の安全と安心を確保するためのシステムづくりに真剣に取り組んでまいりたいと存じます。
後藤(斎)委員 よろしくお願い申し上げます。
鉢呂委員長 次に、中林よし子さん。
中林委員 まず初めに、BSE問題について質問をいたします。
 雪印食品の偽装工作、本当に多くの国民の怒りを買いました。これは氷山の一角だということは、多くの人たちが指摘をしていました。昨日、食肉卸第二位のスターゼン、食肉偽装が明らかになりました。本当に私は、今の農家の人たちの気持ちを思うと怒りでいっぱいです。大臣自身が、残念ながらこういうことがほかにもあり得ることを念頭に置かざるを得ない、このように発言もされております。
 二月八日から全頭検査前の買い上げ食肉の検品が行われました。先ほど、今の中間的な報告をしてほしい、このように言ったにもかかわらず、非常に、どのくらいの検品をしているぐらいな話で、中身に踏み込んだ御報告がございませんでした。今度の検品体制では、少しでも疑わしいものがあれば、当該ロットについては全部開封して検査する、こういう仕組みになっているわけですけれども、そういうことも含めて、今わかっている範囲で、一体どういうことになっているのか、明らかにしていただきたい。先ほどの答弁では不十分です、本当に。
 それと、スターゼンもこういう結果がわかったわけですね。そうすると、ほかにもやはりあるだろうと。大手の食肉関連の企業がこういうことになれば、日本の食肉業界というのは大変なダメージを受けるし、ひいては農家がダメージを受けていく。こういうことになるわけですから、そういうことを予測してといいましょうか、そこを踏まえて、農水省はどのように体制を整えていくのか、どういう構えでいくのか、その点についても大臣の答弁を求めます。
武部国務大臣 先ほどの答弁じゃ不十分だということですが、新たな検品体制による検品は二月八日から開始しまして、二月二十四日現在、全二百五十九倉庫中三十倉庫に対し検品のために立ち入りまして、千二百四十八ロットについて検品作業を実施したところでございます。
 今日までの検査結果については、厳正さを確保するため、現地での現物確認と書類確認の報告をもとに、必要に応じ関係書類を求める等、農畜産事業団において慎重に判定しているところでございます。
 現在までの抽出検査の結果、ごく一部に加工年月日が古く、品質保持期限が切れているおそれのあるロット等が見つかっておりまして、当該ロットについて、全箱を開封して、補助事業の対象としての適格性を慎重に判定しようとしているところでございます。
 この検品作業の結果については、国民の関心も高い、そもそも国民の信頼確保のためにこのような検品作業を実施しているわけでありますので、一定期間ごとに結果について取りまとめを行い、定期的に公表していくことにいたしたいと考えております。
 なお、食肉業者への対策等の検討状況でございますが、雪印事件や、その後発生いたしました食肉をめぐる不適正表示の事件について、消費者の食肉業界への信頼が大きく揺らいでいると認識しております。この原因は、事件を起こした企業に事業や表示に対する厳しい認識が欠けていたということにあると言わざるを得ません。
 しかし一方、食肉を扱う業界への消費者の不信は、BSEで消費が落ち込んでいる牛肉の消費回復にとって大きな問題となりかねないということも事実でございます。
 消費者の信頼回復は、食肉業界が姿勢を正すことによることが基本であると思いますが、私としては、その環境づくりとして、牛肉隔離事業については、厳正な検品とともに、業界における厳正な自主点検を求めることとしているところでございます。
中林委員 農水省の対応はと言っているんです。
武部国務大臣 農水省の対応は、まず、表示の適正化については、今、食品表示制度対策本部を設置いたしまして、食品の表示制度の改善について具体的方策の検討を行っております。
 さらに、本日から、全国的に食肉小売業者や食肉卸業者に対して調査を、いわば強化月間として調査を行い、適正な表示の徹底に努めることとしているわけでございまして、このような措置を契機に、食肉業界がその自主的努力によって一刻も早く消費者の信頼回復に努めるよう指導してまいりたい、かように考えております。
中林委員 私は、やはり、今そういうJAS法を含めた検討会などをやられているわけですけれども、本当に厳しい対応をしないと、表示についての信頼は失墜しているわけですからね。これは国が、政府がきちっと対応しなければ信頼は回復できない。当然、企業モラルを問う、自主的な検査をするとかいうのは当たり前のことだけれども、そこをかいくぐってこういう偽装が行われているということですから、もう少し厳しい対応を求めたいというふうに思います。
 これだけ偽装が続いていく、大手がやるということで、農家の人たちの気持ちをおもんぱかると、本当にいたたまれない、そういう思いがいたします。
 現に、それは市場にあらわれており、競りの値段、どんどん下がり続けていて、BSE発生以後、最安値をつけております。東京市場がそうですし、大阪市場もそうです。こうなれば、本当に日本の畜産の先行きというのは暗たんたる、光が見えてこない状況ではないか。
 そこへ光を見出す策とすれば、私は、事業団の買い入れ措置を当然やるべきだ。調整保管、調整保管ということでやってきておられるけれども、これでは値が戻っていない。ここで今必要なのは、事業団の法律に基づく買い入れ措置をちゃんとやるべきだというふうに思います。
 同時に、今年度末というのはもうすぐそこに来ている。BSE対策、さまざまやられたけれども、例えばBSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業、要するにBSE対応のマル緊対策ですけれども、こういうものも三月末で切れるということになっているわけですね。これではとてもじゃないけれども農家の人たちはやっていけない。
 だから、牛肉の価格の戻りと、それから今もう切れようとしている対策、これを延長させていくこと、この二つの点についての大臣の御答弁を求めます。
武部国務大臣 BSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業を措置して、牛肉卸売価格の低下が生産者に悪影響を及ぼさないように、調整保管の実施により、滞留牛の解消と需給調整による卸売価格の下支えを図っているところでございまして、牛肉需要を回復させることがお説のとおり価格回復のかぎである、かように存じまして、早期に需要を回復させるためのPRということをより重厚にしたい、このように考えております。
 仮に事業団という公的機関が買い入れ保管を行うということにした場合には、民間では輸入牛肉により需要を埋めることも考えられるわけでありまして、国産牛肉の消費拡大という観点からは、民間が自主的に行う現行の調整保管の方がより現実的ではないか、かように考えております。
 委員からたびたびこのことは指摘されておりますが、答弁が同じような趣旨でまことに申しわけありませんが、さように考えております。
 また、これまでも多岐にわたるBSE関連対策を実施してまいりました。一方において、牛肉の消費回復など、引き続き全力を挙げて取り組むべき重要な課題があることは今申し上げたとおりでございますが、今後とも、牛肉の消費対策、消費動向、畜産経営の状況などを踏まえまして、生産現場の皆様や消費者の方々の御意見をしっかり受けとめながら、牛肉消費の回復や経営対策など、BSEマル緊等も含めて既存対策の延長を含め、必要な対策に取り組んでまいりたい、このように前向きにお答えをさせていただきます。
中林委員 事業団買い入れの問題ですけれども、そんなことをやれば輸入肉に占領されるなどと言っているけれども、しかし、現実に値段が戻らない、売れないわけですから、そうなれば、やはり今のままではだめだということの反映なんですよ。そんなことは農家の人たちも百も承知です。
 だから、やはり、法律になければ私たちは言いませんけれども、ちゃんと事業団買い入れができると畜安法の七条で規定されているわけですよ。豚ではやって値が回復した、そういう経緯も持っているわけですから、これはぜひ検討課題には入れてくださいよ。
武部国務大臣 私ども、対策をどのように講じていくかということについては、ありとあらゆることを頭に入れて、これはだめ、あれはだめという考えは持っておりませんが、現時点における考え方としては、調整保管という形で下支えをしていくのが一番適切ではないか、かように思っているわけでございまして、御理解を賜りたいと思います。
中林委員 幾ら言ってもそれ以上の答弁が出ないようですので、本当に今農家の人たちは明るい兆しが全く見えないということで政府の対応というものを見守っておりますので、ぜひ前向きな御検討を願いたいというふうに思います。
 続いて、セーフガード問題で質問したいと思います。
 昨年十月、衆議院、参議院農林水産委員会、全会一致で野菜三品に係る一般セーフガード措置の本格発動に関する決議をいたしました。そのとき武部大臣は、「ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をしてまいる所存でございます。」と約束をされました。農水省も本格発動するための資料を用意しておりました。ところが、ついに見送ってしまいました。
 これは、大臣、やはり国会決議を無視したということで重大な責任があるというふうに思うわけですけれども、その点についてお答えいただきたいこと。
 さらには、実は、今の事態というのは生産者にとっては、一向、何ら変わりがないという状況になっております。熊本八代のイグサ農家の方々は、セーフガード暫定発動のときはバランスもとれて値もよかった、しかし発動見送りでまたもとに戻ってしまった、三月の借金返済前にサラ金には手を出すなよとお互いに言い合っているんだ、こういう声を出されておりますし、上物は中国産と競合して極端に値が下がった、中国産はどんどん入ってきている、こういうことを言っています。
 暫定発動が切れた後の十一月九日から十二月七日の間、畳表は三倍に輸入が膨れ上がりましたし、ことしに入っても増加を続けている、こういう状況です。
 大臣の、このイグサについてはどういうぐあいに対応するつもりなのか、責任問題とその点についての御答弁を求めたいと思います。
武部国務大臣 ネギ等三品目のセーフガード問題につきましては、昨年十二月二十一日に北京において、私と平沼経済産業大臣、石広生対外貿易合作部長が協議を行いまして、最終決着を図ったところでございます。
 このことについては厳しい御批判もありますが、中国の江沢民主席と小泉首相との間で、話し合いで決着をつけるという、この合意は非常に重いものと受けとめて対応した次第でございます。
 本問題の決着に当たりましては、長期的には、日中間の友好関係を促進するということとともに、日中経済のさらなる発展を図るという観点から、新たに開催された日中農産物貿易協議会を軸として、両国政府及び関係者が緊密に協力することにより、三品目の秩序ある貿易を促進することが適切であると政府全体としてぎりぎりの決断をした所存でございまして、御理解をいただきたいと思います。
 農林水産省としては、関係省庁の全面的な協力のもとに、農産物貿易協議会を最大限に活用いたしまして、ネギ等三品目の秩序ある貿易を長期的に維持するとともに、産地の構造改革が着実に進展するように全力を尽くす考えでございます。
 農産物貿易協議会において、ネギ等三品目の需要、品質、生産、価格等の情報を中国側と積極的に交換することを通じて、需給状況について両国間で共通の認識を醸成するということに努めることができるならば、これら品目について再びセーフガード措置を検討せざるを得ないという事態は未然に防止できるのではないか、そういう考え方で最大限努力してまいりたい、このように考えているわけでございまして、次回会合については、早急に開催するよう、外交ルートで検討しているわけでございます。
 畳表等についていろいろ御指摘がございました。輸入量は前年の九五%、五千七百八十二トンでございまして、対暫定措置基準比では一五〇%となっております。また、一枚当たり平均千二百四十一円で、対前年比では一一三%、対平年比較、五年間の平均でありますが、一〇六%となっているわけでございます。
 こうした中で、日中農産物協議会において、秩序ある貿易の実現を図るとともに、国際競争にもたえ得る体質の強い国内体制を確立していくということに全力を挙げたいと思いますし、具体的には、高品質な畳表の生産による輸入品との差別化を基本としつつ、生産、流通コストの削減等に努めて、構造改革を推進してまいりたい、このように考えて今取り組んでいる次第でございまして、御理解のほどを賜りたいと思います。
中林委員 大臣は、数字のいいところだけおとりになるわけですけれども、全体としてやはり畳表は相当輸入がふえている。ネギやそれから生シイタケの方も、実は輸入は、前年比に対して、ことしに入ってから減ってはいるものの、しかしながら値段は全く戻っておりません。そういう産地の悲鳴が相変わらず続いているわけです。私は、具体的な施策をやらなければ、日本から産地崩壊になるというあの衆参の委員会決議、そのとおりにならざるを得ないということを指摘しておきたいと思います。
 外務省に来ていただいております。WTO協定では、二国間交渉で自主規制を求めるのは違反だと思いますけれども、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
北島政府参考人 輸出規制、かつて灰色措置という言葉を使ったこともございますけれども、通常の状況のもとで灰色措置、輸出規制を求めることは、WTOの規則上は問題になります。
中林委員 武部大臣、今、日中農産物貿易協議会において協議しているんだ、これからもやるんだとおっしゃっているんですけれども、これは輸出規制を相手に求めているんじゃありませんか。民間協議というけれども、必ず農水省同席しておりますよね。まさに私は、WTO協定違反をおやりになっているんじゃないかと言わざるを得ないと思うのですね。そうでないということであれば、何を協議しているのか、それが問われるというふうに思います。
 同時に、これは民間のさまざまな組織が主体になってやっているんだということなんですけれども、その民間組織に入っていない、双方の国に、入っていない、例えば中国でも、その民間組織に入っていないところから日本に輸出がされるということになれば、この協議会からは漏れて幾らでも日本に入ってこられる、そういう抜け道もあるんじゃないかというふうに思えるわけですね。だから、今、本格発動はしなかったさまざまな、るるお話をされたけれども、私は、こういうことは農民だまし以外の何物でもないんじゃないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
武部国務大臣 今回の日中農産物貿易協議会には、我が国側では、従来関与しておりませんでした輸入商社の団体も組織しまして、これらも入っております。中国側においては、農業者もこの協議会に加わっております。
 先ほどから申し上げておりますように、積極的な意見交換、情報交換を行うことを通じて両国間で共通の認識を醸成していく。価格でありますとか需要でありますとか、品質、面積、そういったものが、お互いに話し合う過程で大体共通の認識というものが醸成されてくるのではないかということ、そのことが非常に重要でありまして、日本側としては一方的に数値目標を設定していくことは適切でない。
 今委員御指摘のように、政府間で貿易数量を取り決めることはWTOに抵触するということは言うまでもないことでございますので、この後、三月には次の会合をセットすべく、今外交ルートを通じて日程調整しておりますので、私は、この日中農産物貿易協議会というものが、両国の生産者も、あるいは輸入業者、輸出業者も十分に機能する形で形が整っていくのではないのかなということを期待しておりますし、両国政府も十二分に関与しつつ見守っているというところでございますので、御理解を賜りたい、かように思う次第でございます。
中林委員 情報の交換だったら、わざわざこんな協議会要らないんですよ。幾らでも情報はもうはんらんしているわけですから、幾らでもとれるということだというふうに思うのですね。それで、もう明らかに新聞報道でも、輸入抑制措置を相手に求めているんだ、こういうことになっているわけですからね。要するに、中国への自主規制を求める。これはWTO協定違反じゃないですか。
 それから、私は、そういう民間協議の組織に入らない、そういう者が幾らでも、これ千載一遇のチャンスとばかりに日本に輸出することだってあり得るわけでしょう。これは否定されませんね。
武部国務大臣 意見交換、情報交換というのは、今申し上げましたように、いろいろな民間団体が入って協議のテーブルに着いているわけでございます。例えば、中国の輸出が急激にふえるということになれば、我が国における価格が暴落するわけでございますから、そのことは中国にとっても利益に相なりません。ですから、需要でありますとか価格でありますとか品質でありますとか面積でありますとか、そういったことについての双方的確な相互理解のもとに情報交換をしていくことによって、適切な数量というものも民間の間で形づくられていくのじゃないか、私はこういうふうに考えている次第でございます。
中林委員 その民間協議から抜ける業者というのは当然出てきますね。
武部国務大臣 これは、中国側においても、アウトサイダーといいますか、適切な言葉はすぐ浮かんでまいりませんけれども、しっかりした輸出業者というものを選別していきたいといいますか、そういった方々、双方そういったものをなくしていこうというような、そういう考え方も当然ありまして、私は、そのためにもこの協議会というものは、適切な輸出業者でありますとか生産者でありますとか、そういった形が浮き彫りになっていくんだろう。つまり、悪質なといいますか、そういうような業者をある意味では排除することも可能になっていくのではないか、このように認識しているのでございます。
中林委員 ロシアとの魚のこともありました。だから、そういう意味では、いろいろな問題がやはりここには内在しているということを指摘せざるを得ません。
 外務省に聞きますけれども、中国は、昨年十二月十一日にWTOに正式に加盟をいたしました。中国の加盟後、経過的に、通常の加盟国とは異なる特別な扱いを中国のWTOの加盟議定書及び加盟作業部会報告書において定めました。それは、一般セーフガードとは異なる対中特別のセーフガードで、中国からの輸入についてのみセーフガード措置をすることが認められました。
 その対中セーフガード問題で聞くわけですけれども、発動要件など、一般セーフガードとどのような違いがあるのか、明らかにしてください。
北島政府参考人 従来のWTOのもとの一般セーフガードでございますけれども、輸入の増加による国内産業の重大な損害に対する措置であるということです。
 対中国経過的セーフガードですが、これは、中国産品の輸入の急増により市場が攪乱されることに対する措置であるということで、異なる対象に対する救済措置でございます。
 このために、中国のWTO加入議定書及び作業部会報告書によれば、対中国経過的セーフガードの具体的な発動要件は、例えば国内産業への実質的な損害が必要とされ、認定に当たっては、輸入の国内価格への影響を考慮する等、一般的セーフガードと異なるわけです。さらに、一般セーフガードと異なり、中国のみに対して差別的に措置をとり得るということで、これは中国がWTOに加入した後十二年間維持されることになっております。
 このように、対中国経過的セーフガードと一般セーフガードは異なる文脈で適用されるものであって、一概にこの二種類のセーフガードの要件を比較することは困難であるということがございます。
中林委員 外務省として、比較してどちらがどうと言うのは困難みたいな話をされたわけですけれども、しかし、順当にこの違いを読めば、私は発動要件はかなり緩和されているというふうに思います。
 つまり、今までのセーフガードの発動要件というのは、国内産業に重大な損害またはそのおそれが生じたときということになったわけですけれども、対中国セーフガードについては、国内産業に実質的な損害というふうになって、攪乱要件ということになっているわけですけれども、そういうことになれば、このセーフガードというのは中国に対してだけ発動できると。
 なぜ中国に対してだけこういう事態になったのかということを外務省に聞いたら、中国というのは潜在的に経済力が大きく、大量に低価格のものが日本に入ってきて公正な競争ができない、それをちゃんとするためにやるものだということなんですよ。私もそうだというふうに思います。
 そうであるならば、今さまざま問題になっている中国からの輸入に対して、こういう二国間の、WTOに抵触するおそれがある、そういう協議にゆだねるのじゃなくて、この対中セーフガードを積極的に私は活用すべきだというふうに思うのですね。そのためには、国内の関税暫定措置法など、成立すれば四月からこれは使えるという段取りになると思うのです。そのためにはやはり一定の農水省としての基準というかガイドライン、こういうときには調査をしてできるんだというものが必要だと思うのです。
 だから、積極的にやるためにも、四月までにはそれをおつくりになって活用する準備をされますね、大臣。
武部国務大臣 対中特別セーフガードは、中国のWTO加盟に際しての条件を定めた加入議定書等で規定されている仕組みであります。中国からの輸入の増加により国内産業に市場の攪乱が起きている場合、または起きるおそれがある場合、中国側の自主規制措置ないし……(中林委員「結論を言ってください」と呼ぶ)輸入国側の輸入制限措置を講じることが可能、こういうことでございます。
 今委員御指摘のように、財務金融委員会において審議されているところでございますが、農林水産省としては、加入議定書及び関係国内法令に基づいて適切に対処するというのが農林水産省の考えでありまして、対中特別セーフガードの実施に際しては、輸入の増加によって市場攪乱が起きているか否かを認定することが必要となるわけであります。この場合、一律に定量的な基準を設けることは現実的ではない。あくまでも個別事案ごとに調査を行い、検討する必要があるのではないか、かように考えているのでございます。
中林委員 ネギだとかシイタケだとか、輸入が急増してセーフガード発動を私たちが求めたときに、農水省はずっとガイドラインを持っていなかったのですよ、基準を。それが調査前一カ月にやっとその基準を設けて、そして調査に踏み切っていくという非常に遅い対応になったということです。
 私は、大臣が本格発動を見送ったのは本当にけしからぬというふうに思うわけですけれども、今、中国がWTOに加盟して、中国に対してだけセーフガードが発動できる、こういう要件ができたのを、農水省は、それはもちろん財務省だとか関係する省と連携しなきゃなりませんけれども、やはり四月から発動できる体制というのは農水省としてちゃんととる必要があるというふうに思うのです。それは対応されますね。
武部国務大臣 セーフガードは、品目実態に応じて調査を行い、要件を認定するものであります。
 したがいまして、一律に定量的な基準を設けることは困難だ、かように考えます。ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないのではないかと思いますが、市場攪乱をどのような指標で判断するかということにつきましては、具体的にわかりやすい形で示すことが必要だ、私もそのように考えますので、現在、関係各省と勉強しているというところでありますことを御理解いただきたいと思います。
中林委員 私は、農水省がもう日本で初めて本格セーフガードを発動するかという直前まで行って政治的な問題で発動しなかった。一つ私は壁を越えられたというふうに思っていたんですよ。だから、今回、対中セーフガードができるということになったら、そういうお決まりの答弁じゃなくて、本当に大臣の決意で、今産地は大変なんですから、それに対して積極的な対応をちゃんと準備してやる必要があるということを、どうですか、一言でいいです。
武部国務大臣 先ほどもお答えしましたように、今協議を続けつつある日中農産物貿易協議会においての議論というものをしっかり積み上げて、日中の秩序ある農産物貿易というものをつくり上げる。そのことによってこの対中セーフガードの発動をしなくてもいいような諸般の政策ということもしっかりやっていかなきゃならないのではないか、私はこのように思っているわけでございます。
中林委員 私が、外務省にわざわざ、二国間協議で自主規制を求めるのはWTOに抵触しますよという回答を求めたのは、大臣が、今日本政府と中国がやっていることは、もうそれに抵触するかどうかのすれすれのところをやっている。むしろ私たちは抵触していると言わざるを得ない。WTO協定上、本当に国内産業を守る規定はセーフガードしかないんですよ。よその国はやっている、日本は暫定まで行ったけれども本格発動に行かなかった。事態は一層深刻になっている。
 こういうときに、私は、せっかく中国がWTO協定に入った、潜在的な大変経済力がある国、それに対抗するためにできたこの特別なセーフガードを積極的に活用する。本来、国際的なルール、貿易のルール、それを守れと言っているわけですから、後退するような発言は、私はどうしても納得できません。
 そこで、きょうは厚生労働副大臣に来ていただいておりますので、先ほどから出ている中国野菜の輸入問題です。
 今の状況については、先ほどの答弁でも明らかになりました。大変、厚労省としても検査をしているんだというような発言だったのですけれども、オオバそれからニラとかパクチョイとかケールだとかブロッコリーだとかサイシンだとか、そういうのがあるわけですけれども、この中で、食品衛生法の基準値を超えるものが複数出たものについては命令検査をかけている、あとのものは一〇〇%モニタリング検査だ、こういう報告を受けているのですね。
 それで、モニタリング検査でいいのかという話なんですよ。先ほど、中国では死者まで出ている、それは確かだと事実もお認めになった。こういう残留農薬が基準値を超えているという疑いが濃厚な中国の野菜がたくさん入ってきているときに、なぜ命令検査がかけられないのか、すべてに対してですよ。これは、人員体制も要らないです。ふやさなくていいわけですよ、民間企業、事業者が自分でやるわけですから。
 ただ、モニタリングと違うところは、モニタリングは、もうわかったときにはみんな胃袋に入っちゃっている。だけれども、命令検査だったら、その検査がシロかクロか出るまでは入らないわけですから、本当に国民の食の安全を守るということであるならば、当然私は命令検査にすべきだというふうに思うのですけれども、いかがですか。
宮路副大臣 今、中国産の野菜はすべて命令検査に、今のようなそういう状況だったらやるべきじゃないかという中林先生の御指摘なのでありますが、私どもの食品衛生法、先ほど申し上げましたように、モニタリング検査があって、そしてしかる後に、違反の頻度の多いものについては命令検査を行う、そういうプロセスを経て命令検査というものをやっておる、そういうシステムに今の食品衛生法がなっておるわけであります。
 そして、これは統計学的ないろいろな知見とか、あるいはまた国際的なスタンダード、そういうものもしっかりと踏まえながらそういう体系を今つくっておるわけであります。したがって、そうした食品衛生法に基づく行政処分としての輸入検疫でありますから、すべてが一切合財、これは命令検査であるというふうなことはなかなか手順としてやれない、そういう限界がある、それが今の食品衛生法の法体系であるということだろうと思います。
 しかしながら、そういう中で、違反のありましたものについては命令検査をかけておるわけでありますし、違反のないものについてもモニタリングの抽出の頻度を上げて、そして今検査に取り組んでいるということでありますので、そういった厳正な対応を、さらにこれからも引き続き堅持して取り組んでまいりたい、このように思っております。
中林委員 私は、副大臣に、本当に食品衛生法をもう一回見ていただきたい。ないですよ、そんな、ここから先は命令で、ここから先はモニタリングで終わるなんという。運用上の問題ですよ。厚生労働省が決意さえすれば、命令検査なんてすぐできるのです。
 基準値を超えるのが、今モニタリングのところでも、四倍出ているものだとかあるのですよ。だけれども、それは一件だということでモニタリングで終わっている。食品衛生法上、基準値を超えているものがこれだけ出ているわけだから、命令検査をかければ業者がやるわけですよ。業者が自主的に検査機関に持っていって調べて、そんなに日にちはかからないですよ、今ごろのは。だから、生鮮食品だからと、きのうも事務方の人が言っていましたけれども、そんなことじゃない。一番大切なのは国民の安全を守る、こういう観点ですよ。
 ですから、これ以上の御答弁は出ないというふうに思いますけれども、食品衛生法上の問題ではない、運用上の問題。厚生労働省が本当に国民の命と安全を守る省なのかどうか、これが問われているのですよ。そのぐらいは私はおやりになった方がいいのじゃないか、予算もかからない、人手もかからない、いわばあなた方の判断一つでできるという問題です。検討されますか、それだけ。
鉢呂委員長 宮路副大臣、簡潔にお答えください。
宮路副大臣 はい。違反の蓋然性が、やはりかなりあるということが命令検査を実施する条件、要件になっておるわけであります。したがって、そこにはおのずと、違反の蓋然性ということでありますから、限界があるということをひとつ御理解を賜りたいというふうに思いますが、今後さらに、運用の強化という面で中林先生御指摘のようなそういう思いを込めて、これからも一生懸命頑張ってまいりたいことは、この際、私の気持ちとして申し上げておきたいと思います。
中林委員 終わります。
鉢呂委員長 次に、白保台一君。
白保委員 大臣、大変御苦労さまでございます。
 私は、所信に対する質問ですから、幅広く農政全般についてお話を伺いたいと思いましたが、所信の中でもBSEの問題について触れておられますし、当面する課題の中でも非常に大きな課題であろう、こうも思いますので、まずそのことについてお伺いをしておきたい。そしてまた、これは非常に重要な時期でありますが、おさらいをしながら、そして今後の展望をあわせてお聞きしておきたいな、こう思っております。
 まず最初に、二十六日、おとといの夜七時半ごろ、民放テレビだと思いますが、NHKでもこの書簡が流されたと聞いていますけれども、十二年前の一九九〇年二月十四日の日付で、イギリスからBSEに関する書簡が届いた、こういうふうな報道がなされているようです。その確認をまずやりたいと思いますが、いかがでしょうか。
須賀田政府参考人 一九九〇年二月十四日付で、英国政府から我が国にあてました書簡につきましては、一昨日開催された調査検討委員会に資料としてお出しをしたわけでございます。
白保委員 問題は、この報道がなされて改めてまたさまざまなところから、こういうのがあったにもかかわらず、これに対してどういう受けとめ方をしたのか、そしてどう対応してきたのか。やはりいろいろと隠したり、不手際があったり、こういうことで逆にまた、こういった問題が出てくることによって疑いが拡大していくという非常に残念な状況というか、私はなぜそういうことを申し上げるかというと、こういったことが改めてまた風評被害などという方向に展開していくのじゃないか。
 そういうことで、私はここでお聞きしておきたいことは、そういった経緯があった、それに対してどのように受けとめて、どう対応しようとしてきたのか、その時点でですよ。そのことについてまずお聞きしておかなければならないのじゃないか、こう思います。
須賀田政府参考人 この書簡は、我が国政府のみならず、イギリス政府から二十四カ国・地域にあてて発出されたものでございまして、その内容は、イギリスで当時発生いたしましたBSEについては、OIEには逐一報告している、それからBSEに関するいきさつの全容について、その原因を含め、日本が既に承知していることを確認したいとして、その発生状況でございますとか、推定される原因でございますとか、反すう動物の肉骨粉は、豚とか鶏などの非反すう動物には危険がないこと等が記載されているものでございます。
 我が国は、一九九〇年当時、こういう情報でございますとか、イギリスにおけるBSEの発生状況、こういうものを踏まえまして、六月に担当官を英国に派遣いたしまして、一九九〇年以降、英国及びアイルランドからの肉骨粉の輸入については、湿熱百三十六度、三十分以上といういわゆる加熱処理条件を課し、イギリスからは生きた牛の輸入停止、そういう措置を講じたのですけれども、その当時、OIEの基準が設定されていない、国際的な科学的根拠が不十分であったという事情はあるにしても、もう少し、いわゆる予防原則に基づいて対応していれば、その後の感染リスクというものも軽減されていたのではないかというふうに認識をしております。
白保委員 そこで、この書簡ですけれども、これは二十六日に行われたBSEの調査検討委員会、その場で出されたというふうに伺っていますが、それでよろしいのですか。
須賀田政府参考人 そのとおりでございます。
白保委員 今の調査検討委員会ですが、三月には結論を出されるだろうということなんですけれども、この運営の中で中間報告だとか、あるいは今運営されている中で協議されていることとか、そういったものが情報が開示されるようになっているのですか。
武部国務大臣 第三者委員会は、委員御承知のとおり、三千ページ以上の資料を全部出しておりまして、ただいまの英国からの一九九〇年の書簡も、お話しのとおり、こういうものがないと言って出てきたり、そういうことが風評被害につながるというのはおっしゃるとおりだと思います。しかし、よくよく探して出てきたということでありますので、私どもはありとあらゆるものを出すという考え方でやっているわけでございます。
 なお、この検討委員会は原則公開でございまして、皆さん、その部屋では聞けませんけれども、別室にきちっとセットして、そこでありとあらゆる会議の模様を聞くことができる。したがいまして、これまでの議論は、中間報告的なものはまとめて出ておりませんが、逐次委員会の模様は、議論の内容は報道関係にも公開されているということで、国民の皆さん方にも知っていただいた上でやっているということを御理解いただきたいと思います。
白保委員 それでは、私どもは、あくまで消費者からの信頼を回復して消費拡大をしていく、そうしていかなかったならば、これはもたない状況まで来ておるということは皆さん御存じのとおりですから、どうやって信頼回復をしていくのかという、このことが一番の課題だろう、こう思っております。
 ただ、最近、先ほどからも議論がありますように、雪印食品の偽装の表示問題、こういったことで、むしろ風評被害というのは拡大する一方で、非常に残念な状況にあることは御承知のとおりです。
 そこで、原因究明というのが非常に消費者から求められている問題だろうと思いますので、おさらい的にはなるかもしれませんが、それと同時に今後の問題としてお聞きをしておきたいと思います。
 魚粉の問題がありました、魚粉等の問題。三例に関する飼料工場、ここで使用された魚粉等の肉骨粉の混入、この問題について立入検査、再立入検査、こういったことがなされたようでありますが、その実施状況とその結論というのはどういうふうになるのか、それを伺いたいと思います。
須賀田政府参考人 先生御指摘の三工場の魚粉から哺乳動物のたんぱく質が検出されたということでございます。
 この立入検査の状況によりますと、その工場が飲食店とか水産加工所から回収された食品残渣を原料の一部として使っていたという事実がございます。それから、帳簿等の検査におきましては、九五年以降、肉骨粉を原料として使用した事実は確認されていないということでございまして、恐らくこの哺乳動物由来のたんぱく質はこういう食品残渣に由来するものではないかというふうに考えられますけれども、念のために、肥飼料検査所が当該工場に再度立入検査を実施しました。これは一月の二十八日から二月の八日にかけて実施をいたしまして、食品残渣の由来だとか製造工程等の確認を行っているところでございます。
 現在のところ、三工場が集めてきた収集先というのが極めて多数、これは数百カ所に及ぶわけでございます。それから、三工場のうち一工場はさらに別の魚粉工場から原料を調達しているというふうなことがございまして、確認に現在時間を少し要しているという状況でございます。
白保委員 結論が出るのはまだ先ですか、まだ先。(須賀田政府参考人「はい」と呼ぶ)そういうことですね。
 では次に、イタリア肉骨粉の問題がございました。その問題についての、簡単でいいんですけれども、まず経過を教えてください。
須賀田政府参考人 事実経過を申し上げます。
 一九九八年六月一日以前に輸入されたイタリア産の肉骨粉について、二月八日付のイタリア政府書簡によりまして、三気圧の加熱処理が行われていなかったという回答がございました。
 これについて、在京のイタリア大使館を通じまして、三気圧がかかっていない場合にはどのような加熱処理が行われていたか、あるいは検査証明、当時、イタリア政府が証明しておったわけですけれども、それはどういうことで証明していたのか等について照会を行っていたところでございます。
 先般、二月の十五日でございますけれども、イタリア政府から回答がございまして、百三十六度、三十分の湿熱処理を実施しているが、三気圧はかかっていなかった。その理由は、ECの決定によりそういう加熱処理をしなくてよい、そういう圧力処理の義務を規定していない血液、ゼラチン、骨等を原材料としたものであることというようなことが述べられていたわけでございます。
 これらについては、肉骨粉にはイタリア政府の回答で言う加圧が免除された原材料以外の原材料が含まれておるわけでございまして、また、湿熱処理の具体的な方法も不明であるわけでございまして、さらにこれらの点についてイタリア政府に今照会をしておりまして、その返答いかんによっては専門家をイタリアへ再度派遣して、より詳細な事項について調査をしていくという覚悟で取り組んでいるところでございます。
白保委員 そこで、問題は、今もお話がありましたように、場合によってはイタリアに派遣をして検査をする、調査をするということですが、今、国内的な規定の問題からいったときに問題はありませんか。
須賀田政府参考人 この一九九八年六月以前のイタリア産の肉骨粉の国内流通経路でございますけれども、一九九六年に三菱商事が輸入した百五トンのもの以外は、ペットフード及び養魚用の飼料原料として使用されたということが判明しております。
 この三菱商事の輸入いたしました百五トンについては、販売先の記録が保存されていないということでございまして、聞き取りに基づく当時の取引関係から推測するしかないわけでございます。大部分は養鶏用の飼料原料として使用された可能性が高いというふうに考えられますけれども、一部は他にも販売された可能性も否定できないわけでございまして、もう一度さらに徹底的にこれを調査する必要があるとの認識に立って取り組んでいきたいと考えております。
白保委員 オランダの油脂の問題もあります。これも代用乳が使用されていたということで担当官を派遣して調査をし、やっているわけですね。このことについても、どのような形で派遣をし調査を行って、その結果、その対策というのが非常に心配されているわけですから、このことについても、簡単でいいですが、答えてください。
須賀田政府参考人 いわゆる感染牛に給与されていた代用乳の原料として共通に使われていたのがオランダ産動物性油脂であったわけでございます。
 十二月に担当官を派遣したわけでございますけれども、オランダでの現地調査におきましては、当該動物性油脂の原料はBSEの感染性のない牛の脂身であるという回答を得まして、そのとき持ち帰った調査書類によりまして、そのことが確認できるかどうかも含めて分析を行っていたところでございます。
 三例の感染牛に関連があると思われます九六年五月以前に輸入された粉末油脂の原料である動物性油脂は一社で製造をされておる、その原料は牛の脂身、きれいな牛の脂身であるという可能性が高いということでございます。その原料、今も申し上げましたけれども、純度が高いものであったという可能性が高いということで、オランダ産油脂が感染源になった可能性は低いというふうに考えております。
 ただ、代用乳の三例に共通するのはこのオランダ産の油脂でございますので、さらに慎重に検討していきたいというふうに考えております。
白保委員 大臣、やはり原因究明というか、徹底的な経路の究明だとか、今一番消費者の不安というのは、どこでどうなったのかよくわからないと。何かよく、むにゃむにゃというような感じでわからない。また、表示も偽装される。こういうことで、我々は生身である以上何かを食しなければ生きていくことはできないわけで、そういう面では一番信頼しなきゃならないものが食であります。そういう中で不安があるということは、これはもう決して許される問題じゃありませんし、まずはその対応のまずさからそういったことになったということはみんなが認めるところであります。
 そういう面で、この徹底した究明、徹底した原因究明を行っていく、こういう面ではぜひ徹底したことをやっていただきたい。そしてまた、明確に、語尾がはっきりするような話をしていただかないと、これはもうみんな納得いたしませんので、大臣、いかがですか。
武部国務大臣 現時点で感染経路を解明するには至っておりません。その見通しについて明言することは困難でありますが、あり得ないことが起こるという前提で徹底的に再調査させているところであります。絶対に迷宮入りさせないとこれまでもたびたび申し上げてまいりましたが、引き続き、想定される原因に関する調査を全力を挙げて行ってまいる所存であります。
 なお、この原因究明のためのチームの強化も図っていかなきゃならぬということで、二月から、専任の室長を配置するとともに、人員を九名から十一名に強化いたしたところでありまして、さらに三月一日付で専任の専門家を一名増員することとしているわけでございます。
 私ども農林水産省としては、感染原因、感染経路の徹底究明、このことに今一番エネルギーを割いていかなければならない、かように決意を新たにしている次第でございます。
白保委員 では、昨年の十月以降、BSE関連対策としてほぼ二千億ですか。(武部国務大臣「二千五百億」と呼ぶ)二千五百億ですか。そういう対策が打たれてまいりました。これは、生産農家、そしてまた途中の流通、そしてまた川下の中小企業の、あるいは焼き肉店の方や、多くの人たちがこの発生によって非常に厳しい状況に追いやられたことはもう間違いないわけですね。したがって、対策を次から次からきちっと打って、それが十分に機能して、皆さん方がしっかりと仕事ができるような方法にしていかなきゃならないわけでありますが、これまでの打ってこられた対策が幾つありましたか。どういう形でしたか。
武部国務大臣 時間の関係もありますが、せっかく委員から、どんなことをやったんだ、こういう御質問でございますので。
 昨年十月に千五百五十四億円の関連対策を取りまとめる等必要な措置を講じてきた、かように考えておりまして、まず農家へのつなぎ資金は、二月二十五日現在で三百二十四億円の貸し付けを行っております。またBSEマル緊事業については、一月分として、肉専用種に対し十八万七千円の補てんを行うこと等を公表するなどいたしまして、着実にその推進を図っているところであります。今月初めから、生産者の間で最も心配されておりました廃用牛対策を国の責任で実施しております。
 廃用牛対策については、屠畜場の確保がまだ十分ではありません。また、肉骨粉の焼却についても、先ほど来御議論がございましたように焼却場の確保が十分ではありません。さらに工夫、努力すべき点もあると考えているところでございます。
 感染牛が確認された経営体が経営を再開、継続するための生産者による互助制度、一頭代替牛購入資金五十万、経営再開継続資金十万、六十万円を国の責任で支援することを明らかにしているところでございます。
 問題は、消費回復を図ることが最大の課題でございますし、食肉小売業や飲食業者等関係業者の方々の経営の維持支援を図っているところでありまして、さらに中堅事業者の運転資金の円滑化のために、農林水産省が、白保委員等の強い御意見等も踏まえまして新たな信用保証事業を検討し、その実現方に今最終の詰めをやっている次第でございます。
 このように、これまで多岐にわたるBSE関連対策をいろいろ講じてきているところでございますが、今後とも全力を挙げて取り組むべき重要な課題があることは十分認識しているところでございます。生産現場の皆様や消費者の方々の御意見等をしっかり受けとめながら、牛肉消費の回復や経営対策など、特にBSEマル緊を初めとする既存対策の延長、これを決断させていただきます。
 さような考え方で、必要な対策をさらに講じてまいりたい、このように考えている次第でございます。
白保委員 大臣も間もなくお出かけのようですから、質問の順番を変えましてもう一つだけお聞きしたいと思います。
 先般、私ども党としても官邸に申し入れをやりまして、総理ともお会いして我々の考え方を申し上げたんですが、組織の改革、組織の再編、こういったことも含めて大きな改革をしていって、まさに食品衛生に対する考え方、そしてまた、こういった問題については生まれ変わったぞといったことを示していくことが非常に大事じゃないか、そのことも含めて検討を、調査検討委員会の結論が出た後は考えていく必要がある、こういうことも申し上げたんですが、このことについて大臣の所見がございましたら、お聞きしたい。
武部国務大臣 BSE問題に関しましては、初期段階で行政部内に、関係者間の連絡不十分ということで対応に混乱が見られましたことを、深く反省しております。また、縦割り行政の弊害の問題もございました。このことが国民の食の安全と安心を守るということについて大きな支障になっていることを、これまた反省しなければなりません。
 そういったさまざまな問題が顕在化している今こそ、農林水産省を挙げて、国民、消費者の安心と信頼回復に向けて全力で取り組まなければならないと認識しております。二度とこうした事態を招かぬように、私は、農林水産省を大手術、大改革したい、このように考えて努力をさせていただいているわけでございますが、食の安全と安心の間にこれほどまで距離があるかということを、痛切に感じております。
 そうした反省のもとに、厚生労働大臣と私の諮問機関でございますBSE問題に関する調査検討委員会、もう大詰めであろうと思いますので、ここでの報告なども得て、畜産・食品衛生行政の一元的な改革を目指して、総合的な食品問題にかかわる行政組織のあり方を含めて、抜本的な食の安全と安心を確保するシステムづくりに全力を尽くしていきたい、このように考えている次第でございます。
白保委員 大臣、どうぞお引き取りください。
 まだ時間がありますので。順番が大分入れかわりましたので、体勢を立て直してもう一度改めて伺いますが、引き続きでございますから、先ほどの関連の対策等のことについて。
 先ほど大臣の方からも御答弁ございましたが、中堅外食事業者BSE関連資金融通円滑化事業の設置、非常にこのことが言われておりました。いわゆる資本金五千万円以上、そして従業員五十人以上、そういった人たちに対する対策が薄いのではないか、厳しいのではないかということで、私ども熱心にそのことも強く訴えてまいりましたが、この事業体制、拠出金や実施体制というのがもうでき上がったのでしょうか。進めることができたんでしょうか。この辺の体制はいかがでしょうか。
西藤政府参考人 お答え申し上げます。
 BSE発生によりまして経済的に大きな影響を受けております外食事業者で、先生今御指摘の中小企業者でない方々、具体的には資本金五千万円を超え従業員が五十人を超える事業者の信用保証事業について検討すべきだということ、先生からもたびたびその必要性を御指摘いただいていたところでございますが、私ども検討を進めておりまして、事業の大枠につきましては既に事業実施団体と合意いたしまして、現在、基金造成のための資金調達方法、審査体制等、事業実施に向け細部を緊急に詰めているところでございまして、できる限り早期に事業実施に取り組めるよう早急に細部を詰めたいという状況にございます。
白保委員 それで、これは三月から一年間、こういうようなことでございますが、三月は、あしたから三十一日まであります。その三月、どの時期で行うのかということが一つ。早急にというお話がございましたが、大変みんな待ち望んでいることですから、このことが一つ。
 もう一つは、こういう状況が続いていったときに、一年というふうに限定しておりますけれども、後に柔軟な対応も考えられるのか。
 この二つ、お聞きしたいと思います。
西藤政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、本事業実施を明確にすることが関係者にとっての一つの材料になりますので、私ども、一両日中には、いつから開始できるかということをはっきりさせたいというふうに思っております。
 また、本事業の保証受付期間、一年ということを想定いたしておりますが、その問題についてまた御指摘でございますが、今申し上げましたように、とりあえず当面、早期に立ち上げることに我々全力を尽くしたいと思っておりまして、期間の問題につきましては、今後の状況も踏まえていく必要があるというふうに考えております。
白保委員 もう一点、新たにBSEが発生した場合の酪農家への支援としての生産者による互助制度、このシステムづくり、酪農互助システム支援事業、こういったことが言われておりますが、それについての立ち上げですね、いつ立ち上げ、どのように運営していくのか、このことについて伺います。
須賀田政府参考人 お尋ねの酪農互助システム支援事業でございます。
 十四年度の助成事業として実施するということで、基本的には本年の四月一日からの事業実施が基本でございますけれども、仮に四月一日以前にBSEの発生があった場合には、その農家の経営再建の早期化ということを図る観点から、この事業の早期適用について関係方面と協議していきたいというふうに考えております。
 また、大臣からは、既に発生を見ている三軒の農家についても、いろいろ何かできないかということがございました。仕組み上、種々難しい問題はありますけれども、何らかの工夫ができないかということで、現在、事業実施主体でございます生産者団体と相談をしているところでございます。
白保委員 わかりました。
 そのほか、肉骨粉の処理状況と今後の課題等も含めてお伺いをしたいと思っておりましたが、時間も参りましたので、これで質問を終わります。
鉢呂委員長 次に、原田義昭君。
原田(義)委員 自民党の原田義昭でございます。
 まず、質問に入る前に、私、先ごろ亡くなられた岸本光造君のことについて一言触れたいと思います。
 一月二十三日、六十一歳をもって岸本君、生涯を閉じられたわけであります。その岸本君、御承知のように、この農林水産委員会に、彼は在籍三期八年余でございましたけれども、その間、ほとんどの期間、農林水産委員会に、あるいは委員として、また理事として参加し、本当に農林水産業こそが日本の国の基である、こういう情熱のもとに頑張ってこられたわけであります。
 過日の彼をしのぶ会の席で、実はこういう話を聞きました。十二月三十日、昨年の暮れですね、北海道に戻っておられた武部農林大臣に電話が来た。そして多少の会話があったのですけれども、最後に老廃牛問題、大臣もこれは何としてでもきちっと処理をしてください、こういうことを言われたそうであります。
 今にして思えば、昨年の大みそかといいますと、もうほとんどいまわの際だろうと思います。その中にあっても、なおこの問題、また農林水産業、また国の全体に対する思い、これを訴えようとした彼の思い、また責任感を知るにつけ、改めて涙が出てくるような思いでございます。好漢岸本君のその思い、情熱を、私たち残された者がしっかりと引き継いで頑張らなければいけないな、そんなことを感じた次第でございます。
 質問の前に、一言、彼をしのばせていただいたところでございます。
 さて、一昨日の大臣の所信表明、必ずしも長い言葉ではございませんでしたけれども、現下我が国が抱える、とりわけ農林水産業の問題点、その中で雄々しくこれに立ち向かっているんだ、こういうお話を聞かせていただいたところでございます。
 食料の自給率、さらには農業、農村の構造改革の問題、米政策、さらには後継者の問題、先ほどから議論がありますようにセーフガードとか、もちろんBSEの問題、WTOの問題並びに森林政策、漁業政策、いずれも本当に未曾有の、新しい世紀においては恐らくこういうのが一般的な課題になろうかと思いますけれども、いずれにしても、これだけ大きな課題に対して一つ一つこれに立ち向かうんだ、そういう決意を感じさせていただいたところでございます。
 きょうは、私もかなり早い段階で質問する予定でもありましたけれども、既に同僚議員から主なテーマは取り上げられました。多少ダブることがあるかと思いますけれども、しかし、これは各党各会派、また各議員がその立場で取り上げている。そのダブっているということは、とりもなおさず、私は、国民が本当に心からそのことを心配しているんだ、そういうことではないかなと思います。そういう意味では、できるだけ重複は避けますけれども、真摯な答弁、また回答をお願いしたいな、こう思っております。
 先ほどから表示の問題が出てきました。直接には雪印食品のああいう事件、これは農林行政と同時に、犯罪ですから、そういう意味ではちょっと違う側面もあろうかと思いますけれども、しかし、やはり根っこには、当然のことながら、農林水産行政に対する大きな問いかけにもなっていると思いますが、この虚偽表示の問題、またJAS法といいますか、この法律について、現状。
 この法律は、まずは正確な情報を消費者に与える、それを消費者が賢い目でもって選択をする、そういう法律であろうと思うのですね。しかし、そもそも正確な表示、そこの部分にこれだけの偽りやらよこしまな動機があるとすれば、それこそ国民は何を信じていいんだということになるわけであります。
 きっかけは牛肉でありましたけれども、ミニトマト、いろいろなミート、さらにはいろいろなものもこれから出てくるかもしれぬ。そういう意味で、この法律の現状、さらには、どこに欠陥があって改善の方向を求めているかということをお答えいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
西藤政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、JAS法は、消費者の適切な商品選択に資する、そういう観点から、原材料名なり、あるいは原産地なり、食品の品質に関する情報を消費者に提供していく、そのことによって、消費者の商品選択の材料だということでございます。そういう状況の中で、その必要性の中で、平成十一年のJAS法改正で、生鮮食料品について、すべて原産地等の表示を義務づけるという形で体制を整備してきたものでございます。
 今回、雪印食品による牛肉の虚偽表示事件等により、従来からの積み重ね、食品表示に関する消費者の信頼が大きく揺らいだということは、先生御指摘のとおり、まことに遺憾なことだと私どもも思っております。
 そのため、農林水産省におきましては、食に関する消費者の信頼確保という観点で、二月八日に武部農林水産大臣を総括本部長、野間副大臣を本部長とする食品表示制度対策本部を設置し、検討いたしております。
 そこでは、現在の品質表示制度について、違反を監視するための体制の強化、制度の実効性確保措置の充実など、表示制度の改善、強化が必要との認識のもとで具体的な方策について検討を急いでいるところでございますが、現在、そういう具体的な取り組みとしましては、二月十五日から農林水産本省、地方農政局、食糧事務所、それと消費技術センター等に食品表示一一〇番を設置して、情報を幅広く受け付けております。
 そのほか、平成十四年度からは、消費者の協力を得て食品の表示の適正化を図るという観点で、消費者の方に食品表示ウオッチャーになっていただきまして、今全国で七百名の方にお願いしたいというふうに思っておりますが、表示に対するモニタリングを実施している。
 さらにまた、本日からでございますが、特に食肉表示の緊急調査を、実は三月になってからと思っておりましたけれども、前倒しをいたしまして、本日から全国五百カ所程度を対象に実施をすることにいたしております。私どものこういう状況とあわせて、都道府県においても、各県にそういう調査の実施をお願いしておりますし、かなりの県で表示一一〇番も設置していただいている状況にございます。
 当面これらの対策を積極的に取り組むことによりまして、表示の適正化を図っていきたい、消費者の信頼を回復していきたいというふうに思っております。
原田(義)委員 こういう問題を踏まえて、制度の見直し、さらにはサンクションといいますか、監視の機能を上げていかなければいけない、これはそのとおりであると思います。しかし、考えてみれば、私はこの法律は、これは工業製品のJIS法とも類似するものでして、生産者の自主管理というか自主責任、これを極限まで推し進めた法律だろうと思っているんです。要するに、この法律の体系の中には、工場やら生産者をきちっとした形で認定して、このメーカーについては、生産者については、この人がつくるものはすべて安全なんだ、そのかわり、その根元はきちっと押さえるよ、こういう制度でできているんだと思うんです。
 ところが、今の課題というのは、その人が虚偽をする、その人がうそをつく。ですから、先ほどからも議論もありましたけれども、例えば、表示の義務を、罰則を強化しないかとか、その手続をもっと強めるんではないかというのは、これは今次的にはそのとおりだと思います。
 しかし、私の理解ではそんなことはもともとあり得ないので、正確に書くことは当たり前なんだ、そういうふうに私はできている法律じゃないかなと思うんだけれども、大変情けないことに、その人自身のそういう虚偽表示行為を次から次に追っかけ回さないかぬ、品目もふやさないかぬということではないかなと。これをもっと引き直せば、やはり日本人のモラルの、モラルハザードという言葉はもう最近すっかり一般化しましたけれども、そういう問題にぶち当たるんではないかな、そんな感じもいたします。
 ですから、もちろん、当然監視やら規制を、また罰則を、これからの議論の過程で強めていかなければいけないと思いますよ。そうしなければ国民も安心しない。しかし、やはりもう一回私たちは、日本人の心のありよう、こういうことを見直さなければいけないな、こういうふうに思っております。
 相当古い話ですけれども、十六世紀の中盤に日本にフランシスコ・ザビエルがキリスト教の布教に来たわけでありますけれども、ザビエルが本国にいろいろ報告書を送っている。
 その中で、日本人というのは何という国民だ、貧しいけれども、その倫理観、さらには労働をたっとぶそういう考え、これはすごいものがあるんだ、こういうことを綿々と書き送っておるというんですね。貧しいけれども、その倫理において、職業観、そして子供を大切にする、そういう国民感情、すごいものがある、こういうことを書き送っておるわけでありまして、よく言われますけれども、その気持ち、本来の日本人の伝統が今や失われつつあって、こういうところにもこの問題が出てきているのではないかな、そんな感じがするわけであります。
 新聞の見出しでしたけれども、二、三日前の何かの新聞に、台湾籍の金美齢さんという人が、日本精神は死んだというようなあれがありましたよ。僕は詳しくは読んでいないんだけれども。多分、彼女の話も直接聞いたことがあるけれども、そういうことではないかと。
 罰則を厳しくするから正確に書くなんというのは、こんなことは本来日本人の伝統にないんだ。生まれ育ってからずっと正しいもの、倫理観、人が見ていなくてもきちっとしたことをやる、そういうその姿勢にずっと貫かれてきたのに、もう今のあらゆる制度がそうですよ。これをやるから厳しくしろ、これをやるから厳しくしろ。そういう意味では、今回の一連のBSEも含めての案件は、そういうことをいろいろ考えさせることではないかな、こう思います。
 先ほどの表示の話になりますけれども、食糧事務所の話が出ました。四月から行財政改革の中で食糧事務所が統廃合されるという話のようでありますけれども、せっかくの人材がそこにおりますから、これは食品行政にも大分使えるのではないかな、こうも思いますけれども、この辺はいかがでしょうか。
石原政府参考人 お答え申し上げます。
 御案内のとおり、食糧事務所は、これまでJAS法に基づく米穀の品質表示に関する改善指導等のほか、食品流通改善巡回点検指導事業といたしまして、食品の価格、それから需給動向の調査、農薬の安全使用基準の遵守状況の確認、点検、こういう仕事をやってきておりました。
 しかし、先ほど総合食料局長から御答弁申し上げましたように、このたび農林水産省に食品表示制度対策本部が設置されまして、検査体制の強化、それから、その一環としての食品表示一一〇番の開設、こういうものが決まったわけでございます。それを食糧事務所もその中に的確に位置づけていただきまして、食糧事務所による検査体制の強化、それから食糧事務所に食品表示一一〇番を開設、このような行為をやったところでございます。
 何といいましても、食糧事務所は全国各地域に拠点を有しまして、生産者から消費者まで幅広い接点を持つという特性がございます。このような特性を最大限に生かしまして、生産から消費に至る食の安全と安心の確保、こういうものに努めていきたいと考えております。
 この三月三十一日から組織の合理化を図りますけれども、我々検査の民営化等も進めているところでございまして、食糧事務所の仕事を、よりこういう消費者との接点を求めるといいますか、こういう方向に振り向けていくような努力をしていきたいと考えております。
原田(義)委員 大臣の所信表明にも、まさにこれからの農林水産政策は食べ物と農、これをいかに一体として国民の信頼を回復するか、こういうことを言われたわけでありますけれども、特に食品表示の問題に絡んで生産者と消費者の間に立っていかに行政があるべきかということについて、副大臣、どういうような考えを持っておられますか。お聞きしたいと思っております。
遠藤副大臣 委員、前問でおっしゃっておられましたように、我が国の法律あるいは規制などには、人間の行う営みを善とするというか信頼をして、それを前提としておる法律なども結構あるわけでありますが、そうした中で食品の表示というのはその一例ではなかろうかと思うんですね。それが大きく今回揺らいだということは、本当に残念なことだと思っております。
 今後、食と農の一体化ということは、大臣初め我が省の一つの大きなテーゼでございますから、一番大事な問題であると認識しております。食に関するさまざまな問題が顕在化している中で、今こそ消費者に軸足を置いた新しい行政というものを展開していく必要がある、こう考えております。
 同時に、消費者にとって表示ということは生産者との接点になるわけでありまして、非常に大事なものであります。最終的にはおなかの中に入るわけですから、消費者が日々安心して商品としての食品を選択するためには、適切な表示ということが何よりも不可欠であろうと思います。
 今後、表示に対する信頼の回復に向けて、表示制度を見直し、かつ、制度の改善や強化を早急に図ってまいりたいと考えているところでございます。
原田(義)委員 表示の関係で、特にBSEの関連で、牛肉のトレーサビリティーというか、それの対策が今進められているというふうに聞いております。
 先ほども、我が自民党の代表者がEU諸国にもいろいろ視察にも行ってきました。金田理事もその一員でございます。また、農水省からも現地調査もされたやに聞いておりますが、向こうの報告も含めまして、我が国がどこまでやれるか、またこれからやらなければならないか、これについてお話しいただきたい、このように思います。
須賀田政府参考人 牛のトレーサビリティーでございます。食料品の生産、流通、消費と所掌している中で、やはり消費者ニーズに応じまして、より安全性の高い、より品質の高いものを供給するというのは私どもの責務であるというふうに心得ている次第でございます。
 ヨーロッパ諸国では、例えばフランスに見られますように、消費の段階から、その肉の生産段階での由来というものが追跡できるようになっているということでございます。
 私どもは、現在、牛の生産から屠畜場で解体されるまでの間の個体識別システムというのは、今年度中にも終了すべく、いわゆる牛に耳標をつけるということでございますけれども、こういう事業に取り組んでいるところでございますが、解体処理して以降、枝肉になり、部分肉になり、さらにそれが分割され、最終的には精肉でスライスされる、ちょっとヨーロッパとは違う形態で、多様化した流通システムになっておりますので、なかなか牛の個体表示された情報を、どのようにして最終消費者まで伝達をし、実証をしていくかというシステム開発、難しゅうございますけれども、避けて通れない課題というふうに受けとめまして、技術開発を含めまして、誠意を持って検討しているという状況にあるところでございます。
原田(義)委員 なかなか難しいというか、屠畜場までは、これは耳にこれをつけておけばそれなりにきちっと確認できると思いますけれども、肉になってしまうとこれは難しい面もあると思います。お聞きしますと、ヨーロッパの方では、ブロック肉として塊で大体流通するんだけれども、日本の場合は、早い段階で我々がよくスーパーで見るようなスライスになって、なかなか技術的に難しい面もあろうかと思いますけれども、いずれにしても、国民の信頼を回復する、維持する、そのためにしっかりとしたシステムを早目に確立していただきたい、こういうふうに思います。
 時間が限られておりますので、もう一件。先ほどから、中国野菜の残留農薬の問題が指摘されました。大体のやりとりはわかった次第でありますけれども、私も、他の同僚議員と同じように新聞報道、さらにはその後の報告も受けております。
 まず、多少偏見もあるのかもしれませんけれども、中国があれだけのショッキングな情報をみずから出すというのは、これは私は大変なことだと思っています。全野菜の四七%に残留農薬がある、しかも一年間に十万人の、さっきは死亡者とだれか言っておられたけれども、新聞による限り、中毒者と。いずれにしても、決して私は中国が閉鎖的とは今や余り思いませんで、それでも大体余り情報を出すところとは思わぬけれども、その国がこれだけのことを出しているというのは、恐らく、もっと根が深いんじゃないかなと少なくとも思います。
 それは別として、まず、その辺の検査、当然のことながら、我が国は、向こうから来る輸入品は、きちっとした基準内であればこれはもう文句言うことではないんだけれども、野菜の急激な輸入というのも、それ自体いろいろと農政で大きな問題を出しておるわけでありますけれども、そういうことから考えますと、先ほどから、水際ではかなりしっかりした検査をしておる。これは当然、厚生労働省、検疫の問題だろうと思います。
 まず、その辺の実態を、やや繰り返しになりますけれども、手短で結構ですから報告をしていただきたい、こういうふうに思います。
尾嵜政府参考人 中国野菜の残留農薬の関係につきまして、検疫の方で食品監視ということで検査をやっておりますが、その状況について御報告を申し上げます。
 昨年の十二月に、お話ございましたように、中国国内の市場に流通します野菜から基準値を超える農薬が検出されたという報道がございまして、その事実確認を外務省を通じまして照会したところ、そういった事実があるということでございました。
 輸出用の野菜につきましては厳格な管理をやっているので安全であるということも、あわせてそういった外務省の方からの報告の中にございましたが、私どもとしましては、そういった中国国内の状況というものによりまして、一月から中国産野菜の検査強化月間といたしまして、この期間の輸入届け出のありましたすべての野菜につきまして検査を実施したところでございます。
 結果につきましては、二千五百十五件の対象の中から、いわゆるシソの一種でありますオオバとか、あるいはチンゲンサイの一種でありますパクチョイとか、ニラとか、サイシン、ケール、ブロッコリー、こういったものから九件、ですから、全体に対します比率は〇・四%の、残留農薬の基準を超えるような食品衛生法違反の件数があったという状況でございます。
 二月十八日まで継続いたしまして全件の検査をやっておりましたが、その後、違反が認められた野菜につきましては、引き続き、命令検査をかけたり、あるいは一〇〇%のモニタリングをやっておるというふうなこととあわせまして、そのほかの野菜につきましても、モニタリングの実施率を高く設定して、現在、継続して監視を続けているという状況でございます。
原田(義)委員 先ほどの説明にもありましたけれども、中国の側は、日本向けにはまた特別なコースでつくり、かつ輸出しておるというような話を聞きましたけれども、私は、これだけの問題ですから、やはり日本の厚生労働省、農林水産省、また現地にも日本の大使館、領事館たくさんあるわけでありますから、やはり日本人の目でその辺を確かめておるんでしょうか。それともそういう動きがあるんでしょうかね。それじゃないと信用できないというわけじゃありませんけれども、やはり事は健康、安全に関するものですから、中国の側がそれだけの汚染が広がっているということについては、少なくとも日本人として、日本としてきちっとやはり確認しておくことが必要ではないかと思います。
須賀田政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、先ほど武部大臣よりお答え申し上げましたけれども、私ども、中国の状況を外交ルートで情報収集するのみならず、先般は、野菜と農薬のそれぞれの専門家を計二名中国に派遣をして実態の把握に努めておりまして、引き続き今後も担当官を派遣して情報の収集に努めたいというふうに思っております。
 また、我が省独自に、農林水産消費技術センターが、市販されております中国野菜等を検体といたしまして農薬の残留について検査をしているところでございまして、十四年度以降も計画的かつ重点的な検査を行っていきたいというふうに思っております。
 農林水産省遠藤副大臣を本部長とする対策本部を設置したところでございまして、厚生労働省と密接な連携のもと、輸入野菜の安全性確保のための対策を充実していきたいというふうに考えているところでございます。
原田(義)委員 大臣が来られましたので、最後にお聞きをしたいと思いますけれども、先ほど大臣の所信表明も一言私は触れたところであります。大変難しい時代、食料自給率をいかに確保するかということから始まりまして、大変難しい時代であります。
 大臣も着任されて十カ月過ぎたところであります。この難しい時代を本当に一つ一つ正面から物事に対処をしておられるということについては敬意を表すると同時に、しかし、確かにいろいろな問題も指摘されておるのは事実であります。ぜひともこの難局を、一つ一つの課題を処理することによって信頼を取り戻していただきたいな、そしてまた待ち受けるいろいろな課題を解決してほしいな、心からそう思いたいと思っております。
 二月の五日に衆議院の不信任決議案も立派にクリアして、また改めて信任を受けて、私は、頑張っていただいておるわけでありますから、これはだれがやっても難しい状況だと思いますけれども、改めて大臣のかたい決意をお聞きしたいと思っております。
武部国務大臣 激励をちょうだいしまして、まことにありがとうございます。
 一連の経緯につきましては、真摯に受けとめつつ、謙虚な気持ちで職務を遂行してまいりたい、かように存じている次第でございます。
 とりわけBSEの問題を契機に、国民の皆様、とりわけ消費者の皆様にとって食の安全、安心ということについてこれほど大きいものがあるのかというほど、私ども痛切に感じた次第でございますが、農林水産省といたしましても、生産者サイドに軸足を置いていたというのは否めないと思うのでありますが、これを大きく消費者サイドに軸足を移すということが、結果的に消費者が求めているものを生産者が供給していくということによって自給率も向上していくでありましょうし、また食の安全、また安心という問題解決にもそれが大前提になるんだろう、かように思う次第でございます。
 いずれにいたしましても、第三者委員会、厚生労働大臣と私の私的諮問機関でありますBSE問題に関する調査検討委員会、今大詰めの議論をいただいているわけでございますが、このことをお願いしました経緯も、私ども、やはり農林水産省の改革とともに畜産・食品衛生行政の一元的な改革が必要だ、食品安全問題についてもっともっと真剣に対応していかなければならない、行政組織をいかに考えていくかということも含めまして、厚生労働省や関係省庁、都道府県とも連絡を密にし、一体化して食と農の問題に取り組んでまいりたい、かように決意を新たにしている次第でございまして、今後ともの御鞭撻をお願い申し上げたいと思います。
原田(義)委員 終わります。
鉢呂委員長 次に、山口わか子さん。
山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。
 ただいま原田さんの御質問、大臣の所信表明について、私は実は全く違う感想を持っております。私は、この大臣所信表明演説を見まして、実は本当にがっかりしたのですね。いつも見ると何か通り一遍の書き方をしているんですが、私は、大臣の首が飛ぶほどのBSEの大問題がなぜ最初に書かれないのか。最初のところにやはりBSEに対する責任をきちっと認め謝罪する、そういう所信表明であったと思うのですが、全くそうではないということで、本当にがっかりしているんですね。
 何か見ますと、九ページなんという随分後の方に出てくるということで、多分これは大臣がお書きになったんじゃないというような気もちょっとしているわけですが、大臣だったら、ちゃんと最初に恐らく謝るべきじゃないか。そして、BSEに対する責任ある決意表明を本当は述べてほしかったと思うのですが、非常にこれはがっかりしていますので、その辺をぜひ御答弁いただければと思います。
 そして、ついでに、今、消費者の安全な食品ということをおっしゃいましたけれども、安全で安心な食品を提供するために一番大事なのは、生産者が安心して、そしてきちっと生産できる体制があるから、安全で安心な食品が提供できると私は思っているんです。消費者が安全であるためには、どう生産するのか、生産現場をどうやっていくのかということが一番大事だと私は思っているのですが、それも先ほどの大臣の御答弁は、ちょっと余り私は理解しかねます。この二つについてお答えください。
武部国務大臣 今回の私の大臣所信につきまして、体系的に述べた所存でございますが、BSEの問題については、農林水産委員会におきましてもいろいろな場で、私どもは、もう何度も責任を痛感していること、また、国民の皆さん方に大変御迷惑をおかけしていること、関係の皆様方がどんなに農林水産省や私どもに対して憤りを持っているかということ等については、何度も私はおわびをしたり、あるいは責任を新たにさせていただいたりしている次第でございまして、その気持ちは全く変わりません。
 委員の御指摘でございますので、国民の皆様方に改めてこの機会に、私ども、BSEを契機に、当初段階で大変な混乱を招いたということについて、申しわけなかったということと同時に、この問題解決に厚生労働省や都道府県ともしっかり連携をしてあるべき対策に全力を尽くしてまいりたい、かように存じておりますので、そのことを率直におわびを申し上げると同時に、決意の一端も申し上げたい、このように思うわけでございます。
 また、私は、この所信の中でも申し上げておりますように、食と農の一体化ということを強調させていただいております。その中で、消費者と生産者が顔の見える関係を構築するということが一番大事だということも強調しているわけでございます。今後、トレーサビリティーの整備でありますとか、感染経路の究明でありますとか、国民の皆様に対して正確な情報提供について努力していくことと同時に、今後の行政のあり方については政治主導で今こそ問題を正していくということが大事だ、かように考えておる次第でございます。
 そして、先ほども申し上げましたが、第三者委員会において、今もう大詰めの御議論をいただいているところでございますので、農林水産省全体の危機管理意識の甘さを改めて認識するとともに、危機管理意識の徹底と、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションというものの重要性について、今後どのように厚生労働省や農林水産省と食品の安全の問題についての行政組織、行政対応のシステムというものを考えていったらいいかということについて真剣に努力をしてまいりたい、かように存じている次第でございまして、御理解を賜りたいと存じます。
山口(わ)委員 本当に残念だと思いますが、やはり今大臣がおっしゃったように、消費者と生産者の顔が見える、そういう対策が必要だというふうにおっしゃっています。ただ、私は、生産者や消費者の立場から見ると、農水省の顔が見えないんじゃないかと思うんですね。本当に、農水省が何をしてくれるのか、この問題についてどう対応してくれるのかということがよく見えてこないというふうに私は思うんです。
 この見えてこないということの一つでお尋ねしたいんですが、先ほども御答弁がありましたけれども、昨年BSEが発見されましてから、ちょうど私も昨年質問をさせていただきましたときに、BSEの原因がわからないじゃないか、感染経路もわかっていないじゃないかという御質問をしたときに、これからきちっと原因を究明するというふうにおっしゃいました。もう既に五カ月がたっておるわけですけれども、先ほど、原因についてはまだわからないという御答弁でしたけれども、どこまで原因究明について調査をなさったのか、現状はどこまでわかっているのかをお答えいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 原因究明でございます。昨年の十一月三十日に中間発表をしたわけでございますが、それ以降も川上から川下からという調査を続けているわけでございます。
 この中で、一工場、鶏、豚用飼料に使われていた肉骨粉の混入の可能性を完全に否定できない工場があったということでございまして、調べてみたわけでございますけれども、この肉骨粉の混入の可能性を否定できない工場が使用していた肉骨粉の一部が豪州、ニュージーランド産の原料であることを除き、国産であるということが確認をされたところでございます。
 それから次に、魚粉の問題、先ほど来お答えをしておりますけれども、三例に関係する飼料工場で使用されていた魚粉等への肉骨粉の混入の可能性につきまして、エライザ法、PCR法、顕微鏡ということによる検査を行っているところでございます。
 今まで判明しているところでは、この三工場の魚粉から哺乳動物のたんぱく質が検出をされておりますけれども、恐らく飲食店からの食品残渣に由来するものではないかというふうに考えられておりますけれども、念のために、現在、再度立入検査をしているところでございます。
 ただ、この三工場の収集先、先ほども申し上げましたけれども、魚の市場でございますとか量販店でございますとか、極めて多数、数百カ所に上りますものですから、いましばらく確認に時間がかかるという状況になっております。
 また、イタリア肉骨粉の話につきましては、先ほど申し上げましたとおり、三気圧の加圧がなされていないという回答がございまして、いろいろ、こちらの照会に対しましてそごのある回答となっておりますので、現在さらに照会を行っているところでございます。
 それから、代用乳に含まれておりましたオランダ油脂の問題でございます。この三例の感染牛に関連があると思われる、九六年五月以前に輸入された粉末油脂の原料であります動物性油脂はオランダの一社で製造されていることが判明をいたしました。そして、その原料が牛の脂身であるという可能性が高いということが判明をいたしました。さらに、その原料は純度の高いものであった可能性が高いということで、オランダ産の油脂が感染原因になった可能性は低いというふうに考えられておりますけれども、さらに慎重を期して検討を加えているところでございます。
 現時点では以上の状況でございまして、感染経路を解明するには至っておりません。今後いつまでにという見通しについて明言をするということは正直言って困難ではございますけれども、引き続き想定される原因に関する調査を全力を挙げて行っていきたいというふうに考えているところでございます。
山口(わ)委員 この原因の解明ということは非常に大事ですし、これがわからないと、やはりこの問題は非常に不安な状況がいつまでも続くというふうに思います。まず第一に、この原因の究明には全力を挙げていただきたいというふうに思いますし、そうでないとこれから先どうなってしまうのかという心配がございますので、ぜひ、なるべく早く原因がわかるようにお願いしたいと思います。
 大臣は、昨年の十月十八日から肉をエライザ法で検査しまして、検査を実施した牛肉から市場へ出回るようにすると。ですから牛肉を食べてください、安全ですよというふうに大臣も一生懸命宣伝これに努めたというふうに思われるんですが、しかし、その後、この牛肉の消費が非常に低迷しているわけですね。牛肉の価格ももうどんどん下がってきていまして、十月十八日から決して上がることがない。下がりっ放しという状況になっているわけです。
 二月二十五日の新聞を見ますと、東京都の中央卸売市場食肉市場で、牛肉の枝肉の価格がA3等級一キロで七百五十六円ということで、もうBSE発生以来の最安値を更新したと言われています。もちろんほかの肉も、例えばB2、3等級は三百十八円というふうに、物すごく安くなったと言われているわけですね。
 大臣がおっしゃるとおり本当に安全であれば、需要は全くもとに戻らないにしても徐々にふえてきていいはずなんですが、なぜこんなに牛肉を買わなくなったのか。多分雪印の問題もあると思うんですけれども、この辺は農林水産省として調査をなさっているのではないかと思うんですね。何でこんなに下がってしまったのか。調査の方法とか結果がありましたら、お答えください。
須賀田政府参考人 御指摘のように、牛肉価格が下がっているということで、消費がいま一つ回復しないということで、私ども大変つらい思いでございます。
 この原因につきまして、財団法人の日本食肉消費総合センターが小中学生を持つ母親三百人にアンケート調査をいたしました。その中で、「食べなくなったり量を減らした理由」といたしまして、牛肉にはいまだに漠然とした不安感がある、牛肉は安全と理解しているけれども漠然とした不安感を持っている、こういうようなことが明らかになったところでございます。
 これは昨年の十一月末の調査でございまして、今後、消費者、関係者からの御意見を真摯に受けとめまして、各種リサーチ会社を通じて調査を行い、その結果を政策に反映させて、どういう対策がとり得るかというようなこと、積極的に消費の回復に取り組んでいきたいというふうに考えている次第でございます。
山口(わ)委員 アンケート調査した結果でも、漠然とした不安があるということですから、大臣がおっしゃるように本当に安全であれば、きちっと安全であることを情報公開しなければいけないんじゃないかと思うんですね。何かNHKのテレビで大変だ、不安だということはばんばん宣伝されて、そのことはぐっと頭に入っているんですが、安心ですよ、今度の牛肉は大丈夫ですよということがなかなか住民の耳に入ってこないというのは、やはり農林水産省としてのきちっとした情報公開と宣伝が私は非常に不足しているというふうに思うんです。
 テレビを使ってもいいですし、毎日こういう宣伝をするということも非常に大事だというふうに思うんですが、これから、そういう情報公開、消費者に安心を与えるようなPRはなさるおつもりでしょうか。
須賀田政府参考人 私ども、三つの観点からこの問題に取り組んでおりまして、一つは、先生まさに御指摘されましたけれども、BSEの全頭検査体制が整ったということで、屠畜場からは安全な牛肉以外は一切食卓の方には供給されないという仕組みが整ったんだということを消費者の方々に御理解をしていただくために、テレビのコマーシャルでございますとか、新聞の広告、チラシ、ポスター等の取り組みをしてきたところでございます。
 そしてもう一つは、食肉の関連業界が挙げて取り組みをしておられまして、食肉販売店が行います肉のギフト券の提供でございますとか、「ヤキニクまつり」でございますとか、こういうものへの支援ということもしてきたわけでございます。
 さらには、学校給食でございますけれども、一時、牛肉を給食に与えない自粛校が六割ぐらいあったわけでございますけれども、これを文部科学省と連携いたしまして、積極的に働きかけた結果、その自粛校が約二割まで減少をしておりまして、これがゼロになるまで最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。
 いずれにしても、今後とも、関係方面との連携を強化いたしまして、一刻も早い消費の回復を目指し、全力を挙げていきたいというふうに考えているところでございます。
山口(わ)委員 大分宣伝をしているようですけれども、それでも先ほど言ったように、どんどん牛肉の値段が下がっているわけですから、これでは不十分じゃないかと思いますし、学校給食に関しましても、私は長野県ですが、長野県でも七〇%はまだ使わない学校がありますから、そういう意味では、まだまだこれからではないかというふうに思っています。
 続きまして、今度は、肉牛の販売価格が下がるだけでなくて、各畜産農家では出荷できずに待機させられている牛がかなりたくさんいるというふうに聞いています。
 長野県でも、約六百頭は出荷調整といいますか、出荷できずに待機させられているわけですね。これは昨年の調査ですから、まだふえているのではないかというふうに思うんですけれども、この待機中の牛については何の補償もないわけですよね。ましてや、待機中に死亡する牛もふえているわけですから。この死亡する牛についても何の補償もないというふうに思うわけです。
 この牛につきましては、やはり飼料も与えなければいけませんし、ずっと農家で飼っていなきゃいけないわけですね。飼っていなきゃいけないけれども、もう出荷するときは肉としての価値が半分も、もっと落ちてしまうということがありまして、本当に農家の皆さんは物すごく不安で、大変な打撃を受けているわけです。
 マル緊事業があるわけですけれども、最近の価格にしましても、このマル緊事業で補てんしましても、まだなおかつ一頭につき約二十万近いお金が不足をするわけです。ですから、どんどん値段が下がってくる中で、この補てんも、十分に補てんされていないということで、非常に農家の皆さんは不安に思っているわけです。
 それから、廃用牛にしましても、今度廃用牛は国が責任を持って引き取るということにしたようですけれども、長野県の場合ですが、今私の地方では六十頭くらいの場所を確保しているんですけれども、実は、農家は出してこないんですね。出してこないということは、実際には困るわけです。廃用牛がいることで、とにかくほかの牛が買ってこられませんから、困るんですけれども、なぜ出てこないか。これはやはり、もしかしたらうちの農家からBSEが出たら困るという非常な不安があって、出してこないんじゃないかというふうに思うんですね。
 この辺は、やはり十分に農林水産省の方で農家にきちっと説明して、心配のないような手だてを講じませんと、もちろん廃用牛についての手当てもできませんし、農家は心配な余りノイローゼになってしまうということが起こるわけなんです。
 ですから、先ほど言った、肉牛にしましても、十分な補てんができていない、そして、補てんするためには出荷しなきゃいけないんですが、出荷ができない、こんな状況になっているのと廃用牛の問題について、一体どうされるのか。お考えをお聞きしたいと思います。
須賀田政府参考人 御指摘でございますけれども、私どもが一月現在で把握しております屠畜頭数でございます。
 全国でいきますと、対前年比で申し上げますけれども、成牛が九九%、和牛は一〇〇・八%、乳牛が九八%となっておりまして、やはり、乳牛のうちの乳雌、廃牛でございますけれども、乳廃用牛が六七・五%ということで、控えられている、滞留しているという状況が見てとれるわけでございます。
 先生の地元の長野県におきましても、和牛は一〇二・九%まで回復をしておりますけれども、乳牛につきましては、とりわけ経産牛が激減をしておりまして、やはり乳廃牛の問題がネックになっているのではないかというふうに思っております。
 この問題にはいろいろな側面がございまして、一つは、屠畜場側が受け入れないという問題を聞いております。このことにつきましては、ともかく、各県の屠畜場におきまして、屠畜日だとか受け入れる時間とかを指定いたしまして、何とか受け入れてほしいという要請を今やっているところでございます。
 もう一つは、先生まさに申されました農家の心理に起因する問題でございまして、自分の牛が感染牛になったときの不安といったようなものがあるというふうに聞いておりまして、このことにつきましては、一つは一頭四万円の買い上げ、それから保管経費もその間のえさ代も屠畜場に対する協力費もその事業の中で見るというふうな事業を一つ仕組みました。
 今般は、大臣の強い御指示によりまして、発生した農家に対して共補償といいますか、酪農家が互助して、新たな経営再建するときに、牛一頭導入するときの経費とか、あるいは休業補償というんでしょうか、経営を休む間の補償、こういうものを互助する場合の国の支援というようなものも決めておりまして、これによって何とかその酪農家に乳廃牛を出荷するという気持ちを固めてもらいたいというふうに切望をしているところでございます。
山口(わ)委員 農家の不安というのは非常に高いわけですし、今言ったように、本当に廃用牛の問題も、肉牛もそうですけれども、出荷調整に遭ってしまっているということでは、本当に農家はますます不安になるわけです。そして、肉の値段も安くなってしまうということで、せっかく国では補助事業をしているわけですが、それでもなおかつ何万という単位でお金が足りなくなるわけですから、もう先行きが真っ暗ということだと思うんですね。
 そういう意味では本当に早く対策をとっていただかなければいけないというふうに思っていますし、私のところでも聞いたんですが、十月十七日以前の肉もまだ処分が進んでいないそうです。そして、食肉センターの冷蔵庫の中にもまだ依然としていっぱい入っていまして、何か前に、冷蔵庫のはできるだけ早く買い取って、そして新しく肉を入れるように、屠殺ができるように、そういう対策をとるというふうに伺ったんですが、何か聞きますと、まだまだ現状はそこまで行っていないようですね。
 ですから、農水省のいろいろな施策と、現場での受けとめ方といいますか現場の実態というのは、かなり差があるというふうに思うんです。この辺はぜひ、現場がどうなっているのかはやはりきちっとチェックしていただくということが大事だと私は思うんですね。
 農水省ではこういうことをやっていますよと私も地方へ行って言うんですけれども、そんなになっていないです、現状はこうです、冷蔵庫はまだいっぱいで、なかなか屠殺ができませんというふうな感じで、なかなか現場がそうなっていないというところがたくさんありますので、その辺はぜひ農水省の方も、霞が関にいるのもいいですが、やはり現場に出ていっていただいて、一体現状はどうなっているのかというチェックをぜひしていただきたいというふうに思います。
 その辺では、今までどういう対策をなさっているんでしょうか。
須賀田政府参考人 大変驚いているわけでございますけれども、我々は今まで多岐にわたるBSE関連対策を講じてきたわけでございます。
 都道府県とか団体とか関係者を招集した会議でございますとかホームページでございますとか、あるいはプレスにリリースするというようなPR、あるいは農政局担当者による現地の説明会、いろいろ生産農家の方々への周知を図ってきたところでございますし、昨年暮れからことしの初めにかけて、関連対策の概要とその実績というものを簡単に一覧できるカラー刷りのパンフレットも作成をして広く配布をしているところでございます。
 今後も、あらゆる手段、媒体を通じまして、畜産農家への周知徹底というものを図っていきたいと思っております。情報がございましたら、どんどんお寄せいただきたいというふうに考えております。
山口(わ)委員 それから、これも農家の皆さんから聞いた話ですけれども、耳標を耳へ取りつける作業なんですが、これは本来行政がやる仕事ですよね。行政というか、農林水産省の出先機関がやるか、違うんですか。
 ところが、耳標をつけるのは、農家の皆さんがつけるんだそうです。農家の皆さんはただ耳標を渡されるだけで、つけるのは農家の皆さんがつけるんだそうですが、それが本当に正しいのか、私には、そこら辺のところははっきりお聞きしたいと思うんですが、現場での作業というのは、畜産農家の皆さんは高齢者になってきますから、なかなか、元気のいい牛に耳標をつけるということはかなりの重労働なわけです。一日に百二十頭の計画でやるんだそうですけれども、非常にこれは対応が大変ということなんですが、実際にはそういうことになっているんでしょうか、それとも行政がきちっとつけるのでしょうか。
須賀田政府参考人 耳標の装着、今年度内を目指して緊急に全頭一斉に装着を実施するということで、畜産農家の方に負担を強いるということのないように、家畜保健衛生所でございますとか市町村、農協等で構成する耳標装着チームを編成いたしまして、装着作業を行っているところでございます。我々が予算措置をいたしました家畜個体識別システム緊急整備事業の中にも、メニューといたしまして、家畜個体識別システム緊急定着推進ということで、こういう事業の支援をしているところでございます。
 十四年度以降は、新たに生まれる子牛については、農家の皆さんみずからが耳標を装着していただくことになっておりますけれども、現在やっておりますのは、こういうふうに耳標装着チームを編成して装着作業を行うことができる仕組みになっているところでございます。
山口(わ)委員 農林水産省でそういう御指導をなさっても、現場に行くと、なかなかそうならないという実態もあるわけですね。やはりこういうことをきちっとやりませんと、ただ耳標をつけるのも農家に任せておけばいいということになってしまいますと、どっちかというと非常にいいかげんなことになってしまうわけですので、もちろん、農家の皆さんも体力もございませんし、こういうきちっとした対応は、責任持って、末端まで届く、そして実態が確認できる、やはりそういう施策をきちっとやっていただきたいというふうに思います。
 それから、特定部位の焼却についてですけれども、現状は非常に焼却が困難な状況になっているわけですね。市町村の焼却場に任せているということなんですが、これはなかなか市町村の焼却場で焼却ができない、そういう現状もありまして、長野県の場合なんか特にそうですけれども、長野県内では焼却はできません。ですから、群馬県へ持っていって焼却をしてもらうというようなことで、非常にこの対応も大変な状況になっているわけです。
 そして、食肉処理場で、焼却施設をつくりたいというか、つくらなきゃいけないということもあるようですが、実際にはこの焼却施設というのは非常に難しいんですね。周辺住民の理解も得なきゃいけないし、それから、つくるには何億もかかるわけです。こういう高額な設備投資は実際には不可能ですが、これから先ずっとこういう対応でいくんでしょうか。お答えください。
須賀田政府参考人 特定危険部位、産業廃棄物でございますので産業廃棄物の処理場で処理はできるわけでございます。
 我々もこの問題、大変心を痛めておりまして、まず、昨年度といいますか十三年度の補正予算によりまして、二十九カ所の産地食肉センターを対象として焼却施設の整備を行うとか、厚生労働省においても、市町村営の屠畜場を対象といたしまして、特定危険部位の焼却施設の整備を行っているところでございます。
 十四年度以降は、環境省の事業の枠組みによりまして、死亡牛の焼却施設を全国八、九カ所で整備するということにしておりまして、この施設におきまして、特定危険部位もあわせて焼却できるということでございます。
 いずれにしても、こういう環境省、厚生労働省、農林水産省の連携によりまして、特定危険部位の焼却が早急に、円滑に進むよう努めていきたいというふうに考えている次第でございます。
山口(わ)委員 環境省と厚生労働省と農水省というふうに非常に多くの省が関係するわけですね。そうすると、責任はどこでとるかというような話にもなってきて、結局は、自分のところじゃないとどうでもいいやということになりかねないというふうに思うんです。
 やはりこの焼却問題というのは、非常に大きいことですし、農家の皆さんも困るわけですよね、置いておくわけですから、どうやったらいいのかということで大変困っているわけですので、この辺はもう早急に、とにかく責任持って、焼却できるように農水省としても対応していただきたいというふうに思います。
 それから、今度のBSE事件で、やはり日本の農業全体が非常に揺らいでいるといいますか、大変不安な状況になっていることも事実なんですね。大臣のおひざ元である北海道の農民連盟の皆さんからお話を聞きましたけれども、佐呂間町でも、牛肉ばかりでなくほかの農産物まで売れなくなってしまった、こういう状況で、本当に悲惨な思いをしているというお話を聞きました。
 人間というのはおかしなものでして、何か佐呂間町にはBSEがいるみたいなふうになってしまっていて、どんどんそこにある生産物まで売れなくなってしまうという問題があるわけですから、本当にこの原因を早く究明してこの問題を解決しないと、ほかの農家の皆さんも大変な状況になってくるというふうに思います。
 そういった意味でも、やはり大臣の決意と、それから北海道の皆さんに、安心して食べていただけるようなことを考えなきゃいけないというふうに思うのですが、どうでしょうか。
武部国務大臣 確かに、タマネギも芋も、ことしは特に出荷が滞っているという状態が続いております。私は、やはりこういった問題を解決していくということには、消費者の皆さん方に、食品の安全の問題ということについて、きちっと科学的に正確に、委員御指摘のように、情報を伝えていくということが大事だ、このように思っているのでございます。
 経済、景気、そういったことも反映しているのかもしれませんけれども、佐呂間の問題のみならず、私どもの地元北海道は農業が主でありますけれども、あらゆる農産物が需要が伸び悩んでいるという実態がございます。そういう意味で、私といたしましても、そういった農産物の需要回復のために、生産者と消費者の間の顔の見える関係というものをしっかり構築していくということが必要だ、こう思っておりますし、委員からもいろいろPRのこと等も御指摘がございました。
 これまでのBSE対策も、さまざまフォローアップしなきゃならぬ問題、たくさん残っていますけれども、先ほど局長が説明しましたように、廃用牛の対策、特に、どうして出荷できないかというのは、四頭目、自分のところで発生したらこれまた大変だ、もうとてもやっていけない、地域の中でも孤立するということで、具体的な金額を挙げますと、従来の対策のほかに、一頭五十万円の代替牛を購入するお金に、経営を再開、継続するための資金が一頭十万円、一頭六十万円、国が四分の三の補助で支援するという体制をつくったわけです。
 これは北海道の若い農家の方々の提案でした。しかも、牛が疑似患畜として全部処分されても、私は一週間以内と事務方に言っているんですけれども、遅くとも一月以内に搾乳牛が戻ってくる、牛舎に戻ってくるというシステムをつくっているのでございます。こういったことがまだよく知られていないんだろうと思います。
 私は、やはり厚生労働省や、今お話ありましたように、関係省庁とも連携をしっかりしなきゃならない、それから都道府県とも、あるいは市町村ともしっかり連携をしていかなくてはならぬ、もう一度総点検する必要があるな、このように思っておりまして、そういったことも指示いたしまして、しっかりやりたい、このように思っておりますので、今後とも御鞭撻を賜りたいと思います。
山口(わ)委員 一生懸命対策をなさっているようですが、どんどん安くなってしまって、農家の不安、ますます不安になっていくということで、本当にこれから先どうなるのかと私は心配なんです。その辺は、大臣としても、どうやったら責任がとれるのか、その辺はきちっとお考えいただきたいというふうに思うのです。
 実は、もう一つ心配なことがありまして、これは農家の皆さんに聞きますとそういうお話をするんですが、いろいろ外国から輸入されているものというのは、今までもいっぱいいろいろ問題があったわけですね。O157にしても口蹄疫にしても、BSEはもちろんそうですが、たくさんいろいろな問題があったわけですが、今は、欧州の肉はちょっと危険だからとアメリカとオーストラリアの肉を入れているそうですけれども、このアメリカの食肉も非常に心配なわけです。抗生物質耐性菌に汚染されているという情報もありまして、この耐性菌が人間に感染しますと大変なことになるわけです。
 その汚染原因というのは、家畜の飼料に抗生物質を多量に採用していることで、特に病気でもない、病気の牛に抗生物質を与えるのはこれはしようがないにしましても、病気でもない家畜の飼料にあらかじめ抗生物質がじゃんじゃん使われているということで、抗生物質が使われてきますと、人間もそうですが、耐性がついてしまうわけです。例えば、サルモネラとかそういう菌に耐性がついてしまいますと、本当にこれは大変なことになって、人間が感染すると、もう薬が効かなくなってしまうということなんですね。
 アメリカの二〇%の食肉が抗生物質耐性菌で汚染されているという衝撃的な論文もございますし、アメリカでは一万二千トンもの抗生物質が使われていると言われています。ですから、こういう耐性菌がどんどん入ってきますともう大変なことになるわけで、アメリカから輸入されている肉について、これは飼料に入っているわけですから、厚生労働省の管轄と言われるかもしれませんが、私は、一体牛にどんな飼料を与えているかくらいのチェックは、やはり農林水産省としてもする必要があると思うのですね。
 アメリカに行って、どういう飼料を与えているのか、どういう飼料を与えている肉が日本へ入ってくるのかというチェックはなさっているのでしょうか。
須賀田政府参考人 先生御指摘の問題、二つの側面があろうかと思います。一つは、日本へ来る飼料自身に抗生物質が含まれておることへのチェックの問題と、それから、外国で抗生物質入りの飼料を継続的に給与をして、家畜の体内で耐性菌が生じて、その食肉の摂取を通じて人に感染するおそれがあるという問題と、二つあろうかと思います。
 一つ目の、飼料への抗生物質の利用でございますけれども、確かに、飼料効率を高めるために抗生物質を使うということはあるわけでございます。ところが、現在我が国に輸入をされております飼料のほとんどは、単体の飼料原料、配合飼料の原料が単体で入ってきますので、これには抗生物質は含まれておりません。
 したがいまして、国内でこれらを原料として配合飼料を製造する製造業者に対して、私どもは、肥飼料検査所が立入検査を実施しまして、飼料安全法で認められていない抗生物質の混入の有無等につきましてチェックをするというふうにしているところでございます。
 もう一つの、向こうで抗生物質を継続的に給与した牛の食肉の問題でございます。
 これは、海外から輸入される食肉の抗生物質の残留だとか安全性の確認というのは、耐性菌による汚染の有無を含めまして、第一義的には厚生労働省が食品衛生法に基づいて行っているところでございます。
 しかしながら、食用動物への抗生物質の使用に伴う耐性菌の問題、近年、WHOでございますとかOIEなどの国際機関においても重要な課題として検討をされておりまして、農林水産省としても、こういう会議に参加することによりまして、抗生物質の使用やこの耐性菌問題に対する対応、情報収集を含めまして、対応を決めていきたいというふうに思っているところでございます。
山口(わ)委員 時間が来ました。後でしまったということにならないように、ぜひきちっとしたチェックをよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
鉢呂委員長 ありがとうございました。
 これですべて質疑を終わらせていただきます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時九分散会


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