衆議院

メインへスキップ



第9号 平成14年4月25日(木曜日)

会議録本文へ
平成十四年四月二十五日(木曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 鉢呂 吉雄君
   理事 岩永 峯一君 理事 大村 秀章君
   理事 金田 英行君 理事 原田 義昭君
   理事 佐藤謙一郎君 理事 鮫島 宗明君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    岩倉 博文君
      岩崎 忠夫君    金子 恭之君
      上川 陽子君    北村 誠吾君
      熊谷 市雄君    小西  理君
      後藤田正純君    高木  毅君
      西川 京子君    浜田 靖一君
      松宮  勲君    山本 明彦君
      渡辺 博道君    川内 博史君
      小平 忠正君    後藤  斎君
      津川 祥吾君    楢崎 欣弥君
      堀込 征雄君    松野 頼久君
      山内  功君    江田 康幸君
      高橋 嘉信君    中林よし子君
      松本 善明君    菅野 哲雄君
      山口わか子君    藤波 孝生君
    …………………………………
   農林水産大臣       武部  勤君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   農林水産副大臣      遠藤 武彦君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         尾嵜 新平君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十五日
 辞任         補欠選任
  梶山 弘志君     山本 明彦君
  七条  明君     渡辺 博道君
 吉田六左エ門君     松宮  勲君
  筒井 信隆君     松野 頼久君
同日
 辞任         補欠選任
  松宮  勲君    吉田六左エ門君
  山本 明彦君     梶山 弘志君
  渡辺 博道君     七条  明君
  松野 頼久君     筒井 信隆君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 BSE緊急措置法の成立に関する請願(菅野哲雄君紹介)(第二二九五号)
 同(五島正規君紹介)(第二二九六号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第二二九七号)
 同(鮫島宗明君紹介)(第二二九八号)
 同(城島正光君紹介)(第二二九九号)
 同(徳田虎雄君紹介)(第二三〇〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第二三〇一号)
 同(春名直章君紹介)(第二三〇二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二三〇三号)
 同(石毛えい子君紹介)(第二三四〇号)
 同(釘宮磐君紹介)(第二三四一号)
 同(玄葉光一郎君紹介)(第二三四二号)
 同(五島正規君紹介)(第二三四三号)
 同(今田保典君紹介)(第二三四四号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第二三四五号)
 同(重野安正君紹介)(第二三四六号)
 同(城島正光君紹介)(第二三四七号)
 同(仙谷由人君紹介)(第二三四八号)
 同(松本龍君紹介)(第二三四九号)
 同(山花郁夫君紹介)(第二三五〇号)
 同(大幡基夫君紹介)(第二三七七号)
 同(岡田克也君紹介)(第二三七八号)
 同(工藤堅太郎君紹介)(第二三七九号)
 同(玄葉光一郎君紹介)(第二三八〇号)
 同(五島正規君紹介)(第二三八一号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第二三八二号)
 同(重野安正君紹介)(第二三八三号)
 同(城島正光君紹介)(第二三八四号)
 同(仙谷由人君紹介)(第二三八五号)
 諫早湾干拓事業の工事中止と再見直しに関する請願(菅直人君紹介)(第二三〇四号)
 同(今川正美君紹介)(第二三五一号)
 同(植田至紀君紹介)(第二三八六号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二三八七号)
 同(大谷信盛君紹介)(第二三八八号)
 同(古賀一成君紹介)(第二三八九号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二三九〇号)
 同(中村哲治君紹介)(第二三九一号)
 同(永井英慈君紹介)(第二三九二号)
 同(楢崎欣弥君紹介)(第二三九三号)
 同(原陽子君紹介)(第二三九四号)
 同(春名直章君紹介)(第二三九五号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二三九六号)
 同(藤村修君紹介)(第二三九七号)
 同(前原誠司君紹介)(第二三九八号)
 同(山元勉君紹介)(第二三九九号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二四〇〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
鉢呂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長須賀田菊仁君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
鉢呂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。
後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。
 二月の二十八日に当委員会で御質問させていただいて以降、二カ月がたちました。幾つか、二月に御質問した中で確認をしながら、議題であります野菜関連法案について御質問申し上げたいと思います。
 まず初めに、厚生労働省にお尋ねをしたいと思います。
 二月のときに、ちょうど中国産野菜にいろいろな問題が起こって、中国産野菜検査強化月間ということで集中的な検査をして、九件の違反が出ております。そして、三十七トンの違反野菜について、その廃棄処分ないしをしております。
 それ以降、厚生労働省、のど元過ぎたらということではなく、厳しい検査を引き続きやられていると思うのですが、冒頭、それ以降どんな形で中国産野菜について検査を実施しているのか、そして結果がどうなっているのか、概略お尋ねをしたいと思います。
尾嵜政府参考人 今お話ございましたように、二月十八日まで検査の強化月間ということで、一〇〇%のモニタリング検査を実施いたしておりましたが、その後、強化月間の終了以降におきましても、中国産野菜につきましては、一つは、複数の違反が認められた野菜につきましては、検査命令を実施いたしておりまして、届け出の一〇〇%につきまして検査をするように命じております。
 二つ目が、その他の違反が認められました野菜につきましては、全届け出に対します一〇〇%のモニタリング検査を継続して実施をいたしておるというのが二つ目でございます。
 三点目は、違反が認められません野菜につきましても、モニタリング検査の実施率を通常よりも高く設定して、引き続き検査を強化しているというところでございます。
 その以降の結果でございますが、モニタリングの実施に伴いまして、四月二十二日までの数字でございますが、モニタリング検査の実施件数が四千八百七十三件ございまして、そのうち違反件数は十四件でございます。それと、命令検査をかけておりますが、命令検査の実施件数が千六件でございまして、そのうちの違反件数が十一件という状況でございます。
後藤(斎)委員 私がいただいておる中国産野菜のモニタリング検査、平成十四年の強化月間の一月四日から一月三十一日までが二千五百十五件、違反件数が九件、そしてそれ以降、二月一日から先週の四月の十六日までが二千百四十九件、三件の違反件数だというふうにお聞きをしておりますが、今部長がお答えになっていただいた数字が若干違反件数と検査対象が多いのですが、これはどういうふうな数字の差なんでしょうか。
尾嵜政府参考人 先生がおっしゃいました数字は、十六日ということで御説明をしたようでございますが、私が先ほど申し上げました十四件なりの数字は、二十二日の直近の数字で整理をさせていただいたものでございます。
後藤(斎)委員 そして、二十二日付で、食品保健部の監視安全課長から各検疫所の所長さんあてに、クロルピリホスが基準値を超えて中国産エリンギから検出をされた、そしてあわせて、中国産冷凍食品のホウレンソウから生鮮野菜の基準値を超えるパラチオンが検出されたということで、モニタリングの体制強化の公文書が発出をされております。
 これは、先ほど違反件数とされた中に入っていた数字を踏まえて対応を実施されているということで理解してよろしいでしょうか。
尾嵜政府参考人 そのとおりでございます。
後藤(斎)委員 そして、先ほどもお話ししたように、強化月間の違反件数が九件出たときに、三十七トンの野菜が輸入禁止をされております。
 これについて、昨今のいろいろな状況を見ますと、偽装表示であるとか、それをまた横流ししたであるとか、そういうふうなことがいろいろな形でやゆをされ、もしかしたらそれが本邦にいたずらに入って販売をされているんじゃないかという指摘も一部ございます。
 その点につきまして、食品衛生法第四条では輸入を禁止するという措置がありますが、禁止をされたものは具体的にどのように確認をして、どのような処分をなされておるのか、概略お尋ねしたいと思います。
尾嵜政府参考人 一つは、検査命令をかけているものがございます。それにつきましては、違反が判明したものにつきましては、廃棄の場合には、廃棄実施施設の証明書を添付した廃棄完了報告書を出していただくようにしております。積み戻しの場合には、税関の輸出許可証を添付した積み戻し完了報告書というものを輸入者より検疫所へ提出させまして、確実な廃棄の措置が行われたというものについて確認をしているというところでございます。
 それともう一つは、モニタリング検査に関しまして違反が判明した場合がございます。この場合、若干違っておりまして、モニタリングをした結果違反があったというものにつきましては、輸入者に対しまして輸入した食品の流通を速やかに停止するよう指示をしますが、同時に、当該食品の回収なり廃棄等の措置を指導しているところでございます。具体的には、廃棄等が完了した後、廃棄等の実施施設の証明書を添付した廃棄等完了報告書を輸入者より検疫所へ提出させる、そういうことで確認をしているところでございます。
 なお、モニタリング検査で違反が判明した時点で既に入っておるという状況がございます。そういった場合には、都道府県で回収なりをお願いしておりまして、それにつきましては、都道府県から回収等の報告を求め、その確認をしているというところでございます。
後藤(斎)委員 農水省の方で、それに関連しまして、本年の四月十二日、総合食料局のペーパーとしてプレスリリースをされております。国産及び輸入野菜の残留農薬に係る分析結果ということで、水際で検査をしたけれども中に入ってきてしまったというのが何点かあって、特に、件数は少ないですが、中国産野菜のサヤエンドウから食衛法に基づく残留農薬基準を超過する農薬、殺虫剤であるシペルメトリンが検出をされたと。農水省自体に食衛法の販売禁止ないしという権能はもちろん与えられておりませんが、独立行政法人農林水産消費技術センターが、市販の中国、韓国、タイ産の野菜を買い上げて実施をしております。
 その旨、農薬が検出されたと厚生労働省に連絡をしているというふうなことになっておりますが、それ以降、厚生労働省さんとしてはどのような対応をなさったんでしょうか。
尾嵜政府参考人 出回っております市販の中での違反品が出ました際には、私ども、関係の都道府県の方に、そういったものの検査なり確認をお願いすると同時に、そういう違反品につきましては、先ほどモニタリングのときに御説明申し上げましたように、その経路なりをたどっていただきまして、残っているものについては回収なり廃棄をしていただく、そういうふうなことをお願いしているところでございます。
後藤(斎)委員 今お尋ねをしたのは、この殺虫剤が検出された以降、どんな形で農水省と連絡調整をして対応なさったのかということでお尋ねをしたのですが、その点についてお答えを願います。
 あわせて、なぜお聞きをするかというと、ちょうど二月二十八日のとき、宮腰政務官から、動植物・輸入食品安全対策本部を設置して、厚生労働省と農林水産省連携をして、輸入野菜の安全確保のために充実するというふうにお答えをいただいておりまして、その点も含めてのお尋ねです。
尾嵜政府参考人 農水省が行われました検査結果については、御指摘のように、私どもも御報告をいただいていることは事実でございます。その具体的な内容については、今御指摘のございました農薬については、検査命令をかけている対象の農薬でございます。
 そういったことで、基本的には、その農薬につきまして検査命令をかけて、異常がなかったというケースで出回っている中に、そういった基準値を超えているものがあったんだというふうなことになったんだと思っておりますが、どうも私、詳細、今ちょっとお答えできないところがございますが、このケースにつきましては、農林水産省の方で検査をしたケースについて、都道府県等に回収をするようにというふうな具体的な指示をしたということはどうもなかったというのが事実のようでございます。
後藤(斎)委員 今、部長、これは大変重大な問題でありまして、二月に副大臣ともお話をしたときに、その点について命令検査をしているから、モニタリングを一〇〇%するから、基本的に水際では万全なんだということをお答えになっていただいています。
 今、宮路副大臣、部長のお答えになった中で、命令検査をかけているにもかかわらず本邦に入っていた、それは農水省の関係の独立行政法人がチェックをして、その数字が出てきた、その後回収しているかどうかも今のところもわからないというお答えですよね。それについて、副大臣、御感想で結構です。まず御感想をお聞きしたいと思います。
宮路副大臣 今私もその点、初めてお聞きをしたわけでありますが、命令検査を受けて、そしてそれをパスして輸入をされたものが市場に出回って、その市場に出回った段階で農林水産省の独立行政法人が検査、監視をしたところ、それが、基準値を超える農薬の残留性がそこに認められたというふうな、そういう御指摘だったかというふうに思うのですが、それについてのその後のフォローがどうも今のところ定かでない、こういう先ほどの私どもの部長からの答弁だったとすれば、そこはきちっとするように早急に対処したい、このように思います。
後藤(斎)委員 今まさに副大臣がお答えになっていただいたように、多分、二つあると思うのです。
 水際でたまたま、本当に件数が少ない中で国内に流通をされてしまった、ないしはセンターの検査の能力ということで、出たら、命令検査であれば、普通は水際でとまっているというものが入っていれば、さらに二重三重の検査を例えば厚生労働省が主体になってやるということは、これはBSEのときにも同じような、BSEが発生したときにも、まず九月の時点、八月、九月では本邦でなかなか確認ができなかった、それをイギリスまで空輸をして、それで初めてBSEが国内で発生していることがわかったという、同じようなことだと私は思うのです。
 だから、行政手続として、まさにその手順というのが、そのまま農水省がやって出たからおれらのところは知らぬというものでは絶対ないはずなんです。
 これは私、繰り返しこれからもこの委員会で、厚生労働省も含めて、確認やその検査の徹底ということをお願いしますが、なぜこんな問題が副大臣、起こったんですか。
 今お答えになったように、これからきちっと実態を調査して対応していただけるということであれば、どこに問題があって、どうして連携がまたとれなかったか、それも含めて、ぜひ次の委員会までに、副大臣から直接お答えをいただきますので、それでよろしいでしょうか。
宮路副大臣 今の御指摘に沿って、きちっと調査の上、そして、その辺の分析もいたしまして御回答申し上げたいと思います。
後藤(斎)委員 それでは、次に移ります。
 本邦の野菜関連法案にも関係をするのですが、今、野菜の加工品、これが急増しております。むしろ、量的にいえば、貿易統計が、野菜全体で二百三十五万トンの輸入、うち百三十八万トンは野菜加工品でございます。
 野菜加工品についてはなかなか基準が明確に定められておらず、水際の輸入検査時、ややもすればはしょられて対応しているということもあるというふうにお聞きをしておりますが、野菜加工品の輸入時検査について現在どう対応しておるのか、まずお答えいただき、そしてそれを踏まえて、今後、野菜加工品急増に伴いどんな検査体制を実施していくのか、お尋ねをしたいと思います。
尾嵜政府参考人 今御指摘の、野菜の加工品の輸入品に対します検査についてでございますが、これにつきましては、私どもでなしに、民間の検査施設が検査をした結果、中国産の冷凍野菜から残留農薬が検出されたという報道がございました。
 それを踏まえまして、私ども、三月二十日から、現時点で残留農薬検査が実施可能な十八品目でございますが、の加工品、特に下ゆでをしておる、これはブランチングというそうでございますが、下ゆでをしております野菜につきまして、十八品目の冷凍野菜につきましてモニタリング検査を開始いたしたところでございます。
 その結果、生鮮野菜の基準値を使っておりますが、中国産のホウレンソウ、これは加工品でございますが、パラチオンが検出されたということから、これにつきましては、四月二十二日から、今後輸入されます中国産のホウレンソウにつきましては、加工品でございますが、下ゆでされたものを含め、一〇〇%のモニタリング検査を実施するということにしたところでございます。
 今後とも、こういった下ゆでした野菜につきましても、生鮮野菜と同様に、輸入時の検査の結果やあるいは現地の情報等を踏まえまして、食品衛生法上の対応というものについて適切にやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
後藤(斎)委員 宮路副大臣、先ほどの件についても関連しますが、今輸入野菜が急増をしております。それで、昨年のセーフガード暫定発動をして、今回のいろいろな法律改正を含めた野菜の構造改革に、今農水省が主体的に対策を実施しようとしております。
 先ほどもお話ししたように、本当に安全なものであるか、水際で検査をして入れるというのは当たり前のことであります。二月の時点でも副大臣にお尋ねをして、平成十四年度、水際の検査官、四人増員をしたということであります。
 検査体制の充実というのは、水際だけではなく、この間も御指摘をしたように、もし問題があったら現地で確認をする。例えば、今部長からお答えをいただいた、中国産のホウレンソウからパラチオンが出たと。パラチオンというのは基本的には命令検査の対象ですよね。という中でパラチオンが出るということは、では、中国ないし海外の調査を基本的に実施をしながら常に予防的にいろいろな情報を集めて、出てからとめるというのももちろん一つのやり方だと私は思います。
 でも、出る前に、やはり外交ルートないしいろいろな意見交換を通じてその旨を徹底していく。これは、昨年一年間で中国で農薬中毒で十万人の方がお亡くなりになっているということを御指摘したときにもお尋ねをしたはずでございます。
 それ以降、いろいろな外交ルートを通じて、いろいろな意見交換やら、いろいろな実態を把握している努力というのはなさっているのでしょうか。検査体制の今後の充実とあわせて、副大臣にお尋ねをしたいと思います。
宮路副大臣 御指摘のように、最近の輸入野菜、特に中国からの輸入野菜が急増いたしておるわけでありますが、そういう中にあって、どういうぐあいな検査の体制をとっているかということにつきましては、まず一つは、昨年、新しく十五農薬につきましての残留農薬基準を設定したということが第一点であります。それから、そういった新しい農薬も出てきておりますので、それに対応して試験の分析方法を新しいものを開発し、そして試験方法を改定するといったことが二つ目であります。
 それから三つ目は、情報収集とも関連するわけでありますが、ことし一月には、中国の方へ担当者が参りまして、そして、ブロイラーについての先方の輸出管理の体制とあわせて農薬の使用状況等についても、その際、調査をやっております。また、ことしの四月からは、検疫に当たります担当職員の増員を、四名ということではありますが、やらせていただいたといったようなことをやっておるわけであります。
 今国会における論議やあるいは御指摘を踏まえました場合にも、最近の輸入野菜の急増、そしてまた、いろいろな違反事例が生じているといったことを考えますときに、もっともっと、私ども、この輸入食品に対する安全面での検査というものを抜本的に思い切って見直しをして強化をしていかなきゃならぬな、こういうふうに痛切に感じておるところであります。
 今おっしゃった情報の収集面も含めて、予防原則にのっとってしっかりと、野菜を初めとする食品に対する安全についての国民の信頼と申しましょうか、あるいは不安の解消といいましょうか、そういうことを目指して思い切って対策を講じていかなきゃならない、このように思っておる次第であります。
後藤(斎)委員 今、宮路副大臣がお答えいただいた中で、一月に専門官を派遣のとき、農薬の使用実態について調査をなさってきたというお答えがありましたが、実は私、きのう、おととい、厚生労働省さんにも、中国の農薬の使用実態、何か資料ありませんかというふうにお尋ねをしたら、ありませんというお答えでした。農水省から、中華人民共和国農薬管理条例というので、登録農薬数であるとか、輸入、国産に分けた許可の数字を一枚いただきました。
 もし、そういうものが、きちっと調査をしたものをできるだけ出していただく、そしてその中で、やはり私たちも委員会で大臣や副大臣と御議論をしたい。やはりこのベースのものがないというのは、私、この農水委員会に所属をしてもう半年近くになりますが、海外の情報というのはほとんど情報収集もされていない、そしてそれを活用されていない。
 これは、もう一点、宮路副大臣、最後にお尋ねをしますが、一月三十日に、EU指令で中国産水産物等の輸入禁止をしているということを御指摘し、厚生労働省もペーパーで出しております。
 二月二十八日のときには、宮路副大臣から、決定はしたけれども、その輸入禁止そのものに各国が踏み切ったかどうかということについては、まだその段階に至っていないというふうに承知をいたしているところでありますが、内容につきましてはEU側に厚生労働省としても云々ということがあります。
 その後、EUはどんな形で輸入禁止を続けているのか、それとも解除をしたのか。その各国の状況も含めて、先ほど御指摘をした、もしそういう実態が調査があるのであれば積極的にもっと情報開示していただきたい。それもあわせて、宮路副大臣、お答えをお願いします。
宮路副大臣 先般、後藤委員に御答弁申し上げたことは、EU委員会としては中国産の水産物等についての輸入禁止の決定を行ったけれども、各国の対応はまだ今のところ検討中であるということで答弁を申し上げたと思いますが、その後、駐日欧州委員会に確認をいたしました結果、EUでは、三月十四日までの間は、既に中国からEU各国に輸出された貨物については、検査の結果、基準に適合すれば輸入を認めたけれども、三月十五日以降は全面的に輸入を禁止したというふうに承知をいたしておるところであります。
後藤(斎)委員 EUはいつまで輸入禁止を続けるのか、副大臣でなくても部長でも結構ですから、お答えを願いたいと思います。
尾嵜政府参考人 私どもは、今の時点では、EUは期間をいつまでというふうに区切っておるというふうには聞いておりませんで、恐らくこういう状況の中で、また中国からの状況を調査したりということを踏まえて、解除する期間というものを検討していくんだろうというふうに思っておりまして、まだ私どもは、期間が決められておるというふうには聞いておらないところでございます。
後藤(斎)委員 副大臣、今お尋ねをしたようなことをやはり継続的にきちっとフォローをする、そして、それがどんな状況であるか、いろいろな各国とも意見交換をすることは、何度となく御指摘をしているように、先ほどもお話ししたように、やはり予防的な措置をどう講じるかというのが私は食の安全にかかわる問題を解決する第一歩だと思うんです。あってしまったら、また大きな、消費者の方から信頼を本当に失っていく。これはもうこの半年間、宮路副大臣、遠藤副大臣、武部大臣初め皆さん方が非常に御苦労なさったものが私はまだ十分生かされていないような感じがするのです。
 ぜひその点、最後に宮路副大臣、どういうふうな形で今後対応していくのかお答えいただいて、次に移りたいと思います。
宮路副大臣 私もまさに委員御指摘のとおりだというふうに思います。したがいまして、これまでの経過もよく検証させていただきながら、そして、御指摘のそういった線に沿って、農水省とも連携の上、きちっとした対応ができるように努力してまいりたいと思っております。
後藤(斎)委員 ぜひ厚生労働省としてもお願いをしたいと思います。
 続きまして、農水省の方にお尋ねをしたいと思います。
 冒頭、二月二十八日に大臣からお答えをいただいたのですが、やはりこの中国の残留農薬が大きな国民的な関心を持つときに、一月に中国に専門家を派遣し、三月には坂野審議官を派遣することを準備なさっているというようなお答えをいただいております。
 この点につきまして、どんな形の話し合いが行われ、その結果はどうだったのか、概略をまず御報告をお願いしたいと思います。
須賀田政府参考人 私どもの方から野菜と農薬の専門家を一月と三月に中国に派遣をいたしまして、一月の調査では、北京と上海の、向こう側の政府部局、三月の調査では、青島と香港の生産地で、それぞれ聞き取り調査をいたしまして、その結果については公表をさせていただいております。
 この両調査を通じまして、中国の担当者からは、日本向けの輸出用の野菜は、中国国内の野菜とは異なりまして、輸出先国の残留農薬基準等を満たすように農薬散布が実施をされているということ、それから、その輸出用の野菜は検査に合格しないと輸出できないということを理由といたしまして、中国産の野菜は安全であるという説明を受けたわけでございますけれども、担当官からの報告によりますと、その裏づけとなるデータ等は得られていないという状況でございました。
 一方、香港では、中国本土から移送をされます野菜を原因とする中毒事故が今でも、一けた台にはなっておりますけれども、発生をしているという状況でございました。
 以上のことから、引き続き調査が必要というふうに私どもも考えておりまして、五月にも再び専門家を派遣して調査をしたいというふうに考えている次第でございます。
後藤(斎)委員 先ほど宮路副大臣が最後にお答えいただいたように、この点については厚生労働省さんとも連携をとりながら、水際でまずとめる、その前にどんな実態であるかどうかきちっと対応していく、これは後で御指摘をする契約取引というのも関係をしてきますので、ぜひ徹底的な対応をお願いしたいと思います。
 続きまして、本論に移りたいと思います。
 今回の野菜関連法案の改正の問題ですが、昨年、この問題がなぜ起こったかといえば、八月に大臣が、農業構造改革推進のための経営政策というものが対応をされています。もちろん、その前段としては、セーフガードも含めて国際競争力が非常になくなっている、ネギ等に限定をされているけれども、このままでは我が国の野菜生産、立ち行かないということの中から改革が始まったというふうに思っております。
 ただ、そうであれば、私は非常に近視眼的な見方であるというふうな指摘もせざるを得ないと思います。本来であれば、食料・農業・農村基本法、それに基づく基本計画、これが総合的な施策であったはずです。もちろん、それを下支えする方策として、昨年八月の、先ほど御指摘した構造改革推進のための経営政策、いろいろなものが枝となって大きな幹をつくっていくと思いますが、この食料・農業・農村計画という基本法に基づく計画と、今回の一連の野菜の構造改革、これをどのように関連をつけて考えていけば、国民、生産者、消費者にとって一番わかりやすい考えなのか、まず大臣にお尋ねをしたいと思います。
武部国務大臣 食料・農業・農村基本法は、基本理念や施策の基本方向の具体化、その実現を食料・農業・農村基本計画に示して策定しているわけでございます。
 この計画は、「農業生産の努力目標」では、野菜については、課題として、担い手の生産規模の拡大、具体的には、露地野菜二倍程度、施設野菜一・五倍程度と示しているわけであります。また、二つ目には、機械化一貫体系の導入等によりまして、生産及び流通の省力化や低コスト化、そして三つ目には、消費者や食品産業との連携の強化、四つ目には、産地間の連携による周年供給の推進等が掲げられているわけでございます。
 また、これらの課題が解決された場合において実現可能な野菜の生産努力目標といたしましては、平成二十二年度において一千四百九十八万トン、これを踏まえた野菜の自給率の目標としては、平成二十二年度に八七%とすることを掲げているわけでございます。しかし、現実は、輸入野菜等の影響もございまして、この目標とは少しずつずれが生じているというのが現状でございます。
 そのために、野菜の構造改革対策ということは、これらの目標を踏まえて、これに向かうべく具体的な工程表を今つくって進めているわけでありますが、その第一歩として、低コストタイプ、契約取引タイプ、高付加価値化タイプの三つの戦略タイプを示して、その実現に向けた取り組みを推進するということにしているわけでございます。
 同時に、最近のBSE発生以後、食の安全、安心の確保というような観点から、私どもは消費者に軸足を大きく移して、農林水産省を変えるといった大胆な農林水産政策の見直しを行う、その一環として農業構造も大胆に変えていくということで、今回の法案の提出ということに相なっている次第でございます。
後藤(斎)委員 生産局長、今の大臣の御答弁にあったように、私も、農業・農村基本計画、このベースがあって、その目標をどう達成していくのか、二年前であれば、それがある意味では農業政策の憲法であったはずです。それが、昨年のBSEの発生以降は、大臣が最後にお答えをいただいたように、食の安全という観点が対応されている。
 ただ、実態を見ると、まだまだ私は、野菜の構造改革を、生産対策、流通対策、消費対策、そしてメーンできょうの本題であります野菜出荷安定法の価格安定制度、この四本を全体の野菜の構造改革と対応したとしても、私は、実際の経営所得を見ても、露地野菜の所得が一戸当たり二百十八万、施設野菜で平均で三百四十四万、そして経営者に至っては、六十歳以上の経営者が野菜生産では四二%、六十五歳以上の方でも三〇%と、急速な高齢化の進展を野菜の分野でもしています。
 そもそも野菜というのは、今まででいえば非常に収益性が高いと言われていた農業分野の一つだと私は思っておりました。ただ、実態は、今も御指摘をしたもの、実際に働く方がいなければ、幾ら構造改革というふうに農水省が旗を振っていっても、私は、実態として野菜生産というのは、この数年間はもしかして、セーフガードで大きな議論になっているように、輸入野菜との競合ということが一番の大きな課題なのかもしれませんが、むしろ今この構造改革の中で人的な担い手をどうこれからしていくのか、そして今別途検討しておる経営所得安定という大きな施策の転換とも私は関係をしてくると思っています。
 生産局長、まとめてで結構ですから、所得の問題そして経営者の高齢化の問題を含めて、どのようにこれから今回の野菜の構造改革を踏まえて展望を描いておられるのか、御答弁をお願いいたします。
須賀田政府参考人 まず、将来展望といたしましては、平成十二年の三月に農林水産省が公表をいたしました「農業構造の展望」というのがございまして、これは平成二十二年を目標といたしまして、担い手、「効率的かつ安定的な農業経営」という表現でございますけれども、その主たる従事者一人当たりの生涯所得が他産業従事者と遜色のない水準を確保し得る経営、これが農業生産の相当部分を担うような望ましい農業構造の姿というものを展望しているわけでございます。
 この中で、野菜につきましては、平成二十二年度におきまして、こういう経営に該当するものとして、露地野菜で二万戸、施設野菜で三万戸程度、これが全体のシェアの七割から九割を担うということを展望しているわけでございます。
 ただ、現実を申し上げますと、先生今お述べになりましたように、高齢農家が多い、それから中小の農家も存在する等々の問題がございます。
 そこで、こういう将来展望を遠くににらみまして、今般の野菜の構造改革につきましては、三つの戦略モデルということで、一つが低コスト化タイプということで、これは当面三割程度コストダウンを目標にして生産に努めようとするタイプ。
 二つ目が契約取引タイプといたしまして、継続的に定量、定価の野菜を供給し得るような直接取引ということによって輸入野菜との競争力を確保しようとするタイプ。
 それから三つ目が高付加価値化タイプということで、新鮮でおいしい特徴を生かした品質面の差別化で対抗しようとするタイプということで、三つのタイプを示して、この構造展望に近づけようということとしているところでございます。
 具体的な支援方策といたしましては、例えば低コスト化タイプでは、収穫とか調製作業の機械化によりまして労働時間が大幅に低減できるというようなことで、これによって生じた余力をさらに規模拡大だとか他作物の栽培につなげる等によって低コスト化と収益の拡大を上げまして、所得の向上を期待しようというようなこととしているところでございます。
 いずれにいたしましても、こういう政策を進める上で、野菜価格安定制度というものは、今回の法改正の目指すところを含めまして、こうした改革を目指す者への経営上のセーフティーネットとして機能するというふうに私どもは考えている次第でございます。
後藤(斎)委員 今お答えになっていただいた中で、最後に、農家にとってのセーフティーネット、これが野菜価格安定制度、もちろんそうだと思います。ただ一方で、大きく経営所得のあり方というのが、保険制度でやるのか積み立て制度でやるのか、その議論をなさる中で、私はこの野菜の問題も基本的には考えていかなければいけないというふうに思っています。
 例えば、生産、流通、消費、その価格安定ということで、三倍増の三百十億円の予算を平成十四年では支出をすることになっております。例えば十年間で、すぐではなくて結構ですが、もしわかったら教えてください、十年間で、野菜の構造改革、この今言った四点、今まで予算の支出というのは幾らありましたでしょうか。後で結構ですから、ちょっと調べてください。
 というのは、私は、もしこの三百十億、今回の野菜価格安定に係るものは百三十億であります。これで、今局長がお答えをいただいたように、あと三、四年後には野菜の生産コスト、これは流通コストの削減をしていけば小売価格ももちろん下がっていくことになりますが、三割減らすということになりますと、今、大体野菜が二兆一千億か二千億の粗生産額だと思います。それが三割減るということは、五千億か六千億の流通コスト、粗生産額も減っていくということにもつながるのかもしれませんが、僕は大改革だと思うんですね。
 それが全体の予算でも三百十億、そして、この価格安定、セーフティーネットの部分でやると百三十五億を投入すれば、その三割の差額ができてしまったと。これはセーフガードという非常に大きな、それに対抗していく輸入競争力云々ということはありますが、これは、米にとっても、果樹にとっても、ほかの畜産にとっても、僕は一つの大きな柱になっていくような感じがするんですよ。
 ですから、今までの、過去五年でも十年でも結構ですから、大体どのくらいお使いになったのか、お聞きをしたいのはその意味なんですが、じゃ、ちょっと次に移りますので、また資料がもしあるようでしたら御議論をしたいと思います。
 一方で、野菜の消費というのは、日本の場合は減少をしております。これは確かに、大根とかそういう重いものから軽い軟弱野菜に消費の主体が移ってきたということはもちろんあります。
 ただ、米国では、この十年、十五年のタームで見ますと、八五年くらいでは、日本が百十一キロ、野菜を一年間消費をしておりました。アメリカでは九十六キロ。ここで十五キロくらい多く野菜を日本では消費していました。その後、アメリカではテーク・ア・ファイブと称して、いろいろな野菜の消費の拡大の運動をしております。それで、九五年には日本とアメリカの野菜の一人当たり消費量が逆転、クロスをして、現在では、アメリカで百十六キロ、日本では百二キロというふうに大きく、むしろ八五年の水準の、日米が逆転したような消費になっております。
 消費対策といって、いろいろ農水省も従来から健康の観点、消費者理解の観点等々を通じて実施をしたことも理解はしております。例えば、アメリカが、テーク・ア・ファイブというのは、済みません、ファイブ・ア・デーでした。ファイブ・ア・デーというプログラムをつくって、健康増進のために、一日五サービング以上の野菜、果物を食べようと。
 これはいつから始まって、幾らくらいの予算を使ったかというのは、農水省の方では把握なさっていますでしょうか。というのは、農水省がこれからやろうとしている消費者対策のちょっと予算の比較をしたいと思うのですが、数字はございますか、今、局長。
須賀田政府参考人 ファイブ・ア・デーの予算の方はちょっと手元に資料がございませんけれども、開始年次は、九一年から全国キャンペーンをスタートさせたということでございまして、アメリカの国立がんセンターと健康増進青果財団、これは民間の財団でございますけれども、これが協力し合って合同委員会を設置して、店頭キャンペーンでございますとか、子供たちへの食育活動を中心に運動を展開されて、先生言われたような成果を上げたというふうに承知をしているところでございます。
後藤(斎)委員 それを例えば参考にするかどうかは別としても、日本でも、一方で、今、生産と消費の需給のバランスが、僕は、短期的には崩れている、ですから、価格が乱高下をしたりというのがあると思いますが、長期的には、先ほども御指摘したように、私は、担い手の部分から大変脆弱な今基盤に立たされているというふうに理解をしています。
 基本的には価格を決定するのは需給であります。もちろん、野菜は特に年次変化が大きい作物の一つでありますが、ただ、地域別に見ても、京浜地方、この東京を中心にした京浜地方を一〇〇としても、中国、九州では消費量が平均すると八〇、四国では七〇、地域別の格差も野菜は一方あるのも日本の現状であります。
 消費拡大という点について、生産対策と同時に、私は、とらまえて対応していく、要するに消費と生産というのは両輪である、当たり前のことでありますが、どのような対応をなさっていくのか、地域格差の面も含めてお答えを願いたいと思います。
武部国務大臣 米国におけるファイブ・ア・デーのお話について委員からいろいろ御意見がございましたが、米国の例ですと、最近十五年間で約二割消費量が増加しておるということでございまして、私は、近年、野菜消費が減少傾向にある我が国においても、これからの消費水準をどういうふうにして上げていくかということは、人の命や健康のことを考えましても非常に大事なことだ、このように思います。
 現在でも、平成十三年度から、医学界、栄養学界等の協力のもとに、がん予防等野菜の健康機能について、新聞、雑誌、ビデオ等のメディアを活用いたしまして、全国的な消費者啓発を実施しているわけでございますが、最近聞いた話では、学校給食で生野菜がなくなった、そういうようなゆゆしき話も耳にしているわけでございます。
 また、野菜の消費については地域差が見られるということも、今委員御指摘のとおりでございまして、本年度から、地域が取り組む学童生徒層に対する栽培、調理等の体験教育、野菜セミナー等の啓発運動、つまり、食育の促進の一環としてこれを支援することにしているわけでありますけれども、先般公表いたしました食と農の再生プランの中で、私は、食の安全、食を考える国民運動というものが必要なんだろう、このように思います。
 子供のころから食について考える習慣を身につけたり、消費者が食についてみずから考える、いわゆる食育の促進ということを食と農の再生プランの重要な柱にしているわけでありまして、私は、もう妊婦のときから、食の安全の問題を含めて、栄養等の重要性、野菜消費につきましても、わかりやすい手帳を渡すぐらいのことをやるべきではないか。
 そういう国民運動を、私は、交通安全運動が一つの目安になるんだろうと思うんですね、食の安全の問題、あるいは我々の健康の問題、そういったことを、交通安全運動のようなことをひとつ念頭に置いて、大々的に全国的なネットワークをつくっていきたい。
 そして、消費が上がったり下がったりするということも、これはやはり消費者に食に対する正しい情報というものを提供していないのではないか、裏を返せば、消費者が正しい認識を持っていないのではないか、このようなことも考えるのです。したがいまして、今、食の安全については、法整備、また行政組織も六月中ごろまでに検討してまとめようとしております。
 この中で、やはりリスク分析ということに基づいて、リスク評価、リスク管理、そして、リスクコミュニケーション、この食育の国民運動というのは、リスクコミュニケーションということにもつながるわけでございまして、委員御指摘のように、消費の拡大ということに結果的につながるように、食を考える国民的な運動の展開、これは農林水産省がすべてやり得ることでないかもしれません、むしろ、政府全体として取り組むべき大事な課題だ、このように思うのでございます。
後藤(斎)委員 ぜひ、大臣、今お答えになっていただいたように、積極的な対応をお願いしたいと思います。
 引き続きまして、野菜出荷安定法、このスキームの非常な重要な役割を果たす基金の問題であります。
 基金の問題については、価格安定制度、百三十五億円余りの予算を資金造成をしながら対応しておりますが、正直言って、この基金の業務、ここにも手引というのがあって、結構分厚いんですが、全体の事業、ないしそれにかかわる予算の全体像というのが必ずしも明確ではありません。
 局長、この業務は、主要で結構です、そして、それぞれの業務にかかわる予算、そしてトータルとしてこの基金というのがどういう存在なのか、予算との関係も含めて、事業内容も含めて、簡潔で結構ですから、御説明をお願いします。
須賀田政府参考人 野菜供給安定基金の、まず主要な業務でございます。
 四点ばかりございまして、一つが、指定野菜の著しい価格低落があった場合の生産者補給金の交付、これが一つでございます。それから二つ目に、指定野菜の買い入れ、保管、売り渡しでございます。それから三つ目が、野菜の保管施設の管理でございます。それから四つ目が、これは都道府県の公益法人が行っておりますけれども、特定野菜等の安定供給を図るための事業に対する助成。
 四つの主要業務があるわけでございますが、このうちの、二番目の指定野菜の買い入れ、保管、売り渡しの業務、それから、三番目の野菜の保管施設の管理の業務については、昨年末に決定されました特殊法人等整理合理化計画におきまして、平成十七年度までに廃止するということになっているわけでございます。
 これらの業務に対する補助でございますけれども、平成十四年度で例にとって申し上げますと、第一の業務の指定野菜に関する生産者補給金の業務に二十七億円、それから、都道府県の公益法人が行います特定野菜等の安定供給の事業に対する助成に八億円、そして、今回法律改正によりまして新たに創設いたします契約野菜安定供給事業に七十二億円の計百五十七億円の予算を措置しているところでございます。
後藤(斎)委員 ただ、資産というか基金全体としたら今の予算額だと思うのですが、トータルとして、資金造成の前の積立金みたいなのがございますね。そういうものを含めると、全体像はどうなるのでしょうか。予算は今のお話でわかりました。
須賀田政府参考人 先生御指摘のように、国と都道府県と生産者によって指定野菜の価格安定対策事業に必要な資金の造成がされているわけでございます。これら資金の造成総額は平成十三年度で九百八十七億円というふうになっておりまして、資金の健全性を確保するということで、前年度に交付された交付金に相当する部分について、毎年度積み戻す方式をこれまでとっておりまして、必要な資金造成額の維持というものを図っているところでございます。
 それから、ちょっと先ほどの、お許しをいただきまして、野菜に関する予算、平成九年度から十三年度までの五カ年の予算の積み上げでございますが、これが四百九十四億円でございます。年間約百億円でございまして、先生言われましたように、野菜の場合は粗生産額、二兆有余ございますけれども、その大半を主業農家が賄っている、粗生産額の八五%は主業農家が賄っているということで、担い手への集約化が進んでいる分野ということでございますし、この予算額と粗生産額を比較しても、費用対効果という面から見ても、農業の部門の中では進んでいる分野ではないかというふうに思っております。
 ただ、昨今大変厳しい環境にございまして、従来までは、産地の集団化を図って、そこから消費者へ安定供給を図るということに重点を置いた政策でございました。今後は、先生おっしゃるように、やはり、個である担い手をいかに育成していくかが課題になろうかと思っておりまして、今回の法改正におきましても、大規模生産者というものを位置づけるということをしております。
 これを皮切りに、担い手の問題ということに今後早急に取り組んでいく必要があろうというふうに私どもは認識をしているところでございます。
後藤(斎)委員 今回の改正に、契約野菜安定供給制度、これが新設をされます。先ほど御指摘をした基金がこの主な主体で運営が実施をされます。私は、ややもすれば、この契約野菜安定供給制度、これはきのうの参考人の方、一般質疑を通じて、モラルハザードの問題も指摘をされています。
 今回、出荷安定法の改正の対象にはなっておりませんが、五十九条で勧告の規定、六十条には必要に応じて報告を徴収する規定がございます。これは、過去に何らかの形で勧告や報告を徴収したことがあるのか。そして、冒頭御指摘をした、私は、この契約野菜出荷安定制度というのが実施をされると、勧告やら、必要に応じて報告を徴収するこの規定がかなり使われてこざるを得ないのかなというふうに思うのですが、この点につきまして、局長にお尋ねをしたいと思います。
須賀田政府参考人 野菜生産出荷安定法五十九条と六十条の規定に基づきます勧告、報告は、これまで実際には行われたことがございません。
 そして、今般創設をいたします契約取引制度、昨日以来御議論を賜っておりますけれども、やはり交付金の申請というものが自己申告ということでございますので、モラルハザードということを防止するということが大事な問題になろうかというふうに私どもも考えておるところでございます。
 このために、事業参加時、それから交付金の申請時、交付時等に入念なチェックをする。さらに、交付金の交付後も不正に補助金を取得していないかどうかにつきまして調査を行う等二重三重のチェックとペナルティー措置を講じることを考えているところでございます。
 こういうような状況下におきましては、新しいこういう制度を適正に実施する上で、野菜生産出荷安定法の五十九条あるいは六十条におきます勧告、報告についても、必要に応じて本格的活用を考えていきたいというふうに考えているところでございます。
後藤(斎)委員 今お答えをいただいたように、自己申告であります。自己申告というと、BSE対策のいろいろな問題がこの半年余りの間にたくさん起こりました。それはすべてが自己申告、そしていろいろなものが別の角度から圧力を受けたということも報道はされましたが、私はそうでないというふうに信じております。
 ぜひ今局長がお答えいただいたように、この制度が本当に生きて、国民の方から税金を百三十五億投入して活用がされる、その是非への二重三重のチェックということをお答えいただきましたが、その点について、きちっとした対応を、基金も含めて実施をするようにお願いをしたいと思います。
 そして、もう一つのねらいであります契約取引をもっともっと促進していこう、それは流通コストを削減することにもなるし、その中で生産コストも、思い切った機械化、規模拡大ができるということで大きく後押しをしようということになっております。
 今契約取引という契約実態、どのくらいあって、それを、ではどのくらいこの制度が実施をされたら見込んでいくのか。その点について見通しはあるのでしょうか。そして現在把握されているのかを含めて、数字をお答え願います。
須賀田政府参考人 まず、野菜の契約取引の現状でございます。
 卸売市場を経由するものが八割、それ以外が二割ということになっているわけでございますけれども、卸売市場経由でも相対取引がある、卸売市場外流通でも農家の直売等があるということで、しかも契約取引は口頭契約が多いために、正確なデータは把握しておりませんけれども、私どもの推定では、現在野菜流通量の約一割程度が契約取引をしているのではないかというふうに推定をしているところでございます。
 そして、契約取引をめぐるいろいろな問題が指摘をされておりまして、今回の法改正によりまして、そういう価格の高騰時あるいは低落時の支援策というものを講じるということにしておりますので、これらの施策を推進することによりまして、ここ数年で野菜流通量の二割程度まで契約取引を持っていきたいというふうに見込んでいるところでございます。
後藤(斎)委員 先ほども御指摘をしましたが、輸入野菜だけ急増をしております。そして、自給率というのが八〇%をもう切るか、切らないかほど。ですから、二割が輸入で今賄われております。ほとんどが市場を経由せず実需者が直接輸入している場合が多いというふうに言われておりますが、実態はどうなっているんでしょうか。私は、この契約取引、今回国内の生産農家の方と実需者の方を対応なさっているその先行的な事例だと思うのですが、輸入野菜について、実態はどうなのか教えていただきたいと思います。
須賀田政府参考人 我が方の統計情報部の調査によりますと、平成十二年の生鮮野菜の輸入量が九十三万トンでありまして、このうち、卸売市場を経由したものが四十二万トンということでございます。したがいまして、残りの五十一万トンは輸入された生鮮野菜が直接実需者に供給されたものということでございまして、その割合は五五%というふうに推定をしているところでございます。
後藤(斎)委員 まさに輸入野菜は、今回の契約取引のねらいの一番にあります低価格野菜の供給ということで、流通経路をまさに短縮をした、そしてその中で、小売の価格でかなりの部分を占める流通コストを削減する、この目的にかなり一致をしているのではないかなというふうに私は思っています。
 先ほど局長の方から、五年間で四百九十四億円、平成九年から十三年までに野菜全体の予算が計上されているというふうな話、それが、年間だと百億弱でありますが、先ほども御指摘をしましたように、粗生産額が二兆数千億、そして、例えばそれが小売段階になるとほぼ四倍くらいの多分ボリュームに、大体百円、手取り価格が百一円のネギで小売価格が四百二十八円ですから、大体二五%くらいが粗生産額の部分だとすると、四倍。ですから、八兆円くらいの野菜全体の小売売り上げが多分あるというふうに、アバウトですが、推定をされると思います。
 先ほども御指摘をしましたように、この契約取引を導入したことで、低価格野菜が供給をされ、野菜流通の省資源化が図られ、トレーサビリティーが向上する。三方一両損じゃありませんで、得になると思うのですが、本当に私は、この百三十五億、流通対策、全体で三百十億くらいで、このものを何でもっと早くしなかったのかと、大臣、思われませんか。何で今までこれができなかったのか。
 こんなに、三方一両得をするような形が、かなりこれはいろいろなテーマ、今まであったものをまとめて、集大成をしたものであることは評価したいと思います。何で今までこれができなかったのか、何でなんでしょうかね、局長。
須賀田政府参考人 何でと言われると困るわけでございますけれども、やはり正直に申し上げまして、昨年、中国からの生鮮野菜の輸入増という問題に直面した、そこでセーフガード問題が発生をした。このセーフガード自身は、国内の構造改革が進むまでの間の措置という位置づけであったということで、やはりこの問題を契機にいたしまして、国内の構造改革に真剣に取り組まなければならないという認識が醸成をし、実現をしていったというのが正直な経過ではないかというふうに認識をしているところでございます。
後藤(斎)委員 私は、要するに、がけっ縁に立たされた野菜生産であったという局長のお言葉を少し私なりに解釈をすると、多分そうだと思うのです。
 私は、今まさに、野菜だけでない、先ほども指摘したように、果物、果樹農家も、担い手の部分でいけば、粗収益は若干お米や麦よりも高いかもしれないけれども、平均年齢がもう六十五歳を超えている。その人たちがその生産の主体であることは、畜産にしても、お米にしても、大豆にしても、みんなそうだと思うのです。まさに今、全体ががけっ縁に立たされている農政の中で、この出荷安定法の改正、昨年からの構造改革の、いろいろな集大成をして実施しようとする、これは正しいやり方だと私は思います、正直申しまして。
 ですから、大臣、ばら流通の話もありますが、時間もありませんから大臣と最後にお話をしたいのですが、私は、これは一つの、基本法から始まった基本計画、そして構造改革のいろいろな政策の視点のいろいろな切りかえ、そして大臣が昨年出された武部私案も含めてそうですが、がけっ縁にそれぞれが立たされているという危機感、そして将来に対する具体的なビジョン、先ほども生産局長がお答えになったように、コストを三割下げるんだという明確な意思表示だと思うのです。
 ややもすれば、行政は今まで、数字についてはお答えをしない、想定には答えられない、これが多分ほとんどの答えだったと思います。でも、今必要なのは、明確な目標を持って、限られた予算であるかもしれませんが、それに本当に対応していくものだと思います。今回の野菜出荷安定法は、その一つの対応の仕方だと私は思います。
 先ほど、契約取引が一割から二割にふえていく、それはある意味では、今農水省の中でも議論されておりますが、卸売市場のあり方にもかかわってくる問題だと思います。ですから、市場法にもかかわる。そして今、一方で、あすですか、閣議決定をなさろうとしているJAS法の問題、表示の問題にもかかわっていく。食と農というのが、大臣がよくおっしゃっているように合わさっていく。
 そして、その視点が、今まで生産者だけだったものが、消費者の視点も大きくやっていく。そして、今すべての部分が、消費者の信頼性もまだがけっ縁だと私は思うのです。先ほど厚生労働省にいろいろなお尋ねをしましたが、私は、まだそれが生かされていない。ここで本当にもう一度信頼性を、例えば残留農薬の問題で信頼性を失ったら、もう取り返しがつかないというふうに私は思っています。
 ですから、私は、この出荷安定法という一つの法体系、ないし関連の構造改革という野菜全体の問題で一つの方向性を示した、野菜という分野でやることを示した、それが費用対効果から見れば大変大きなものになっている。
 その点を踏まえて、大臣、これからのこの問題、野菜だけではない、全体の農業それぞれの分野についてどのようにお考えになっているのか、最後にお考えをお尋ねして、御質問を終わりたいと思います。
武部国務大臣 なぜ今までできなかったのかという委員の御質問に、私は、やはり大胆に、一言で言えば、今までの農政というのは生産者サイドに軸足を置いていたといいますか、べったりだったと言っても過言でなかったのではないか、こう思います。
 やはり消費者に軸足を移して大胆な改革をしていくということが、結果的には消費者のためにもなり、また流通も合理化でき、そして何よりも生産者が成り立っていくというその裏づけにもなる、こう思っているわけであります。
 さような意味では、今後とも、食と農の再生プランにお示ししましたように、消費者保護を第一に考えて、食の安全と安心の確保に向けまして、消費と生産の距離を縮めていくといいますか、顔の見える、そういう関係をしっかり構築していくということが大事だと思っておりますし、食を支える農の構造改革を強力に推進していくことが必要だ、このように考えているわけでございます。
 具体的なことは、先ほど来いろいろ御議論がございましたが、今後の課題としては、顔の見える関係の構築ということで、私は、トレーサビリティーの導入が日本を変えると思っています。携帯電話で農場主に電話をする、今食べている牛肉、とてもおいしいけれども、何月何日に出荷したおたくの牛ですよね、そうですと。どんなところですか、いや、こんな牧場があるんですよ、一度行ってみたいですねと。
 そういう、都市に住んでいる人々と農村に住んでいる生産者とが、消費者と生産者が、ただ顔が見えるだけじゃなくて、会話が始まる、人間関係がそこで生まれる。そういう意味で、トレーサビリティーの向上や食育の一環としての政策の推進に全力を尽くしてまいりたい、このように思っているわけでございます。
後藤(斎)委員 以上で終わります。どうぞよろしくお願いします。
鉢呂委員長 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。
 次に、白保台一君。
白保委員 昨日も、参考人の方に出席をいただきまして、大変貴重な御意見をいただいたわけであります。
 まさに私たちの食の中での野菜というのは大変重要なものでございまして、重要なものではありますが、これは鮮度の問題だとか、あるいはまた保管がなかなかきかないとか、そういった中で、気候の変動や、あるいはそういった中で需給バランスが崩れて価格の安定性をなくす、そういうことがあって、やはり消費者のことを考えて、また、生産者は消費者があってまた生産者ですから、そういう面で安定したものにしていかなきゃならないということが本法の発足の考え方であっただろうということを思います。
 ただ、そういった中であっても、最近はまさに情勢が随分と変わってまいりまして、農業者の高齢化だとか、あるいは量販店、外食産業の伸長とか、さまざまな野菜の消費、生産、流通をめぐる情勢の変化というものは大きなものがありますし、適切に対応していかなきゃいけない、こういうことで、この必要性の高まりと同時に改正の必要というものが出てきたんだろうというふうにまず認識をしております。
 今回、野菜の輸入が増加する中で、自給率は低下していく、そして生産者の減少、高齢化が進行していく。この中で、将来にわたって我が国の国内の野菜供給力を確保していくために、国際競争に対応しながら、消費者、実需者に選好される品質、価格の野菜を供給できるように、産地において、生産、流通の両面から構造改革を進めていく、そういう必要も一方では出てまいりました。その一環として、野菜価格安定制度を見直して、野菜の契約取引を推進するために新たな制度の拡充の措置を講じよう、こういうことだというふうにまず認識をいたしております。
 そこで、野菜の構造改革の対策についてお伺いをしていきたいと思いますが、その中で、基本的な考えの中で、産地によってさまざまに異なる特性や状況を踏まえて、産地等が明確な目標を持った構造改革のための計画作成をする。国が提示した三つの戦略モデルを参考に、各産地は取り組むべき戦略、数値目標を明確にする。そして、国は、産地改革計画を策定した産地の取り組み、ネギ調製ロボット等の革新生産技術の導入等を集中的かつ計画的に支援する、こういったことが明記されていますね。
 その戦略モデルの三つの考え方について申し上げれば、低コスト化タイプは、輸入野菜にコスト面で対抗し得るよう、生産、流通コストの三割程度の削減を目標とする。そして、契約取引推進タイプは、低価格での供給に力点を置く場合は、生産、流通コストの三割以上の削減を目標とする。三つ目に、高付加価値タイプは、立地条件により大幅コスト削減が難しい産地や都市近郊産地等において、地域特産品を行い、例えばコストは現状以下を目標とする、こういう戦略モデルの考え方を提示しています。
 問題は、それをいかに実行し、実のあるものにしていくか、このことが大変大事なことであろう、こういうふうに思います。
 したがって、まず最初に、低コスト化タイプについて、生産、流通コストの三割程度の削減について、そしてまた、生産面では規模の拡大、共同化等による作業規模の拡大ということに対して、コスト削減、これについて具体的にお伺いをしていきたいと思います。
須賀田政府参考人 低コスト化タイプ、生産、流通コストをおおむね三割程度削減するということを目標にしているものでございます。これは、中国産のネギと比べますと国産のネギは今のところ二倍ぐらいあるわけでございますけれども、消費者が選好し得るのは、国産が中国産の二、三割高までであれば選好するというようなことがございますので、三割程度削減することを目標にしたわけでございます。
 具体的には、まず生産面におきましては、一番労働コストのかかります収穫あるいは調製のところへ高性能機械を導入していく、これによって飛躍的な労働生産性の向上を図る。それから、取引の面で、直接取引を推進することによって流通コストの大幅な削減を図る。それから、通い容器ということで、段ボールに比べますと四割程度、生産から小売に至るところでコストの削減ができる。こういうそれぞれの段階におきます取り組みによってこの目標の達成を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
白保委員 去年あたりから一生懸命、農水省は生産者にアンケートをとったり、また消費者にもアンケートをとって、どうすればコスト削減ができるかということでいろいろとやってきたようです。まさに今局長が答弁されたような、二、三割高ぐらいだったならばという消費者の考え方等もあるやに伺っております。
 そこでもう一つは、肥料だとか農薬等のコスト削減、こういったものが現実にあるわけですが、肥料とか農薬を削減することは、今度は生産性を低下させることになるんじゃないのか、低下していくという形になるんじゃないか。単収の向上に相反していかないかなというような気もするんですが、この辺はいかがでしょうか。
須賀田政府参考人 低コスト化タイプにおきましては、徹底した低コスト化を図るということで、生産面において農薬や肥料の経費の削減を行うということで、このためのモデルも示しているところでございまして、我々のモデルでは、三割程度、農薬、肥料の経費の削減を行おうというようなこととなっているところでございます。
 そして、具体的にはどういうふうなことで削減をしていくかということでございます。
 まずは、病害虫発生予察ということをきちっとやりまして農薬の使用量を削減する、あるいは、今までだらだら慣行的にやっておりました栽培体系を徹底的に見直しまして、安価な肥料へ転換したり、あるいは施肥量、施肥の回数、こういうものの削減ということで主としてこれを達成しようということでございまして、これによって単収の低下をもたらさないように指導をしたいというふうに考えているところでございます。
白保委員 お話としてはよくわかりますが、今の、具体例が幾つか出てまいりましたが、それで議論すればまた大変な大きな議論になりますけれども、今コストをどう削減するかという問題の話をしていますから、そのことについては今避けます。
 決して農薬をじゃんじゃん使いなさいという話をしているのではなくて、いろいろな環境面でも配慮しながらコスト削減をしていく、そして単収は落とさないという、この辺の非常に相反するような形の問題等をどうクリアしていくかという問題で、大変難しい問題ですから、この辺については、今おっしゃったような形でもってその辺の工夫をしていく必要があるということを申し上げて、先ほどもお話が出ましたように、流通面からのコスト削減。
 昨日も、参考人の方、特に消費者と一番接している流通の方のお話の中にも、通い容器というのは非常にいい、鮮度を保つには非常にいいと。だから、コスト削減という問題も一つあるけれども、通い容器というのは鮮度を保つために非常にいいというような話がございました。まさに両方いいわけでありまして、そういう面では大事な発想ですが、またこれはやっていかなきゃならない問題ですが、これによってどれほどのコストが削減されるのか、いかがでしょうか。
須賀田政府参考人 通い容器、現在実際に使われております段ボールにかわるものでございます。繰り返し利用できる、鮮度を保てる、環境負荷の面でもいい、コストの低減にもつながるということでございます。
 段ボールとの比較実証調査というものによりますれば、生産から小売まで、通い容器を一貫利用した場合、小売段階、卸段階、産地段階でそれぞれコスト削減効果は違うわけでございますけれども、全体で四割程度まで作業コストの削減が可能という調査結果が得られているところでございます。
白保委員 もう一つ、また、労働力の中で、最後の収穫、調製の問題が一番問題だ、そこで大変労力を要する、非常にコストが高くなるというお話もございました。
 そこで考え出されたのがネギ調製ロボット。ロボットだったらもう少しかわいい名前をつけられないのかな、こんなふうに思ったりもするんですけれども、そのロボットが非常に大きな役割を果たすのじゃないか、こういうふうに言われているんです。
 ネギの育苗から出荷までの全労働時間というのが四百四十二時間、こういうふうに言われている。そして、ネギ調製ロボットを使いますと二百五十三時間ぐらいじゃないか、こういうふうに言っているのです。私は、大体聞いてみますと、ちょっとこれは高過ぎるんじゃないか、もう少し安くしていかないと、ロボットを買って、ロボットに使われるような形になってしまうのじゃないか、このお金を返すために。そういう面があるものですから、もう少し安くしていく。
 これだけ労働時間を削減することができるのであるならば、コストを落とすことになると思いますが、この辺の工夫がなければ、意外や意外、使えないんじゃないか、こういうふうな気もするのですが、その辺のことについてはいかがでしょうか。
須賀田政府参考人 高性能なネギの調製機でございます。
 先生言われましたように、この調製部門の作業コストが半減できるということでございます。先生が言われました四百四十二時間が二百五十三時間になるというのは全体の作業でございまして、調製作業は、十アールを百二十六時間、それが六十五時間になるということでございます。
 確かに、このネギの調製機、先生言われましたように、全自動一連式ということで現在約五百五十万円かかりまして、耐用年数が八年というのが平均でございます。やはり、過剰投資にならないように、こういう機械を導入する場合には、経営の規模と所得というものとこの機械の価格、耐用年数、能力を比較しながら適正な導入を図るということが重要ではないかというふうに考えているところでございます。
 例えば、今のような価格の調製機でございましても、四戸で共同利用を図るというようなことになりますれば、一戸当たりの年間返済必要額が十万円程度で済むというような試算もございますけれども、そうでない場合には全自動じゃなくて半自動のものを選ぶとか、そういう工夫をすることが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
白保委員 契約取引について若干伺いたいと思いますが、実需者のニーズにこたえつつ安定した経営を確保するために、定量、定価、定時、定質による契約取引を継続して行う、そして低価格での供給に力点を置く場合に、例えば生産、流通コストの三割以上の削減を目標とするということです。
 さて、どう削減するのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 抽象的にならざるを得ないわけでございますけれども、野菜の契約取引のメリットが生かせるような仕方、すなわち契約取引になりますと中間経路が省略できるということで、これに伴いまして流通コストが削減できる。
 相手方の意向にもよりますけれども、きのうの参考人の方のお話を聞いておりますと、規格の簡素化、それからコンテナを利用したばら出荷でコストが一割ぐらいは削減できるわけでございます。それに、先ほど申し上げましたような収穫、調製作業における高性能機械の導入、こういうような一連の支援策といいますか対策でもって、契約取引のコストダウンというものを図っていきたいというふうに考えているところでございます。
白保委員 具体例をということで申し上げたのですが、今の段階で抽象的にならざるを得ないということですけれども、まさに流通の問題等がありますから非常に難しいんだろう、こう思います。
 しかし、細かく、これとこれとこれをこうやって削減していけばいけるという一つのマニュアルみたいなものを恐らく研究なさっておられて、それをいろいろと提示しながら少しずつでも削減していって、結果としてこれだけのものになるというふうにしていこうというお考えもあるんだろうと思います。したがって、これは、きっちりとしたものをつくり上げていかないと、やはり非常に変動が激しいものですから大変な問題であると思いますけれども、ぜひ御努力を強く要請をしておきたいと思います。
 そこで、契約取引の流れを見ていますと、大規模圃場も高性能収穫機などによって低コスト化していくしかないんだろう、こういうふうに思います。また、農協、経済連を通さなくても、実需者のニーズに対応した継続的な直接取引ができるようになるわけでございますけれども、その契約取引によって、生産者側のプラス、マイナスは何か、また農協などにどのような改革と指導がなされたのか、さらに加工、外食業者等の課題は何かということについてお伺いしたいと思います。
須賀田政府参考人 まず、契約取引のメリットでございます。
 私は、この契約取引の最大のメリットというのは、食と農と申しますか、生産者と消費者の顔の見える関係が構築できるということが最大のメリットではないか。そして、通い容器あるいはばら流通によりまして、段ボールを使用しないという省資源化というものが図られるということ、そして、先ほど来申し上げておりますけれども、中途段階の流通コストの削減というものが期待できる、これらがメリットではないかというふうに考えております。
 そして、デメリットと申しますか、昨日の参考人の方の意見を聞いておりますと、やはりその代金の回収に期間がかかるということが実態的な問題点というふうに認識をしている次第でございます。
 そして、この契約取引タイプを推進する場合の農協の役割でございます。
 私ども、産地の改革計画を策定する場合には、どうしても農協等が中心となって取り組まざるを得ないということと考えておりまして、契約取引に取り組む産地にあっても、産地改革計画に契約取引推進タイプというものを位置づけたいというふうに考えているわけでございます。
 この場合の農協は、生産者に対する指導、生産者の取りまとめを行う等の重要な役割を担っておりますので、この契約取引推進に当たりましても、コーディネーターとしての役割が期待をされるわけでございます。
 そして、実需者は契約取引の一方の当事者でございます。やはり私ども、昨日来御議論願っております、ちゃんとした契約価格が設定できるのかという点でございまして、この点については、いろいろ取引契約を審査させていただきながら、きちんとした契約価格が結べるように注視をしていきたいというふうに考えているところでございます。
白保委員 昨日も、参考人の特に野菜供給安定基金理事長の黒木さんにもお伺いしたんですが、交付金の不適切な受給という問題等で、モラルハザードの問題がある、先ほども質問にもございました。こういった防止対策、このことについても改めてお伺いをしておかなきゃいけないな、こう思っていますが、いかがでしょうか。
武部国務大臣 契約取引におきましては、委員御指摘のように、申請内容について十分なチェックを行う必要があると思います。
 野菜供給安定基金や県の野菜価格安定法人は、登録出荷団体等が事業に参加する際には、価格、契約数量や作付面積が適正であることを十分審査するということが必要でありますし、交付金の交付の際にも、生産者と実需者間での伝票等により、実際に申請どおり出荷がなされているかどうかということ等についてもチェックすることが必要だ、かように思います。このチェック体制をしっかり整備するということが基本であろうと思います。
 さらに、野菜供給安定基金は、登録出荷団体等及び実需者に対して、不正に補助金を取得していないかどうか適宜調査を行うとともに、不正行為があった場合には、これは厳しく不正者を公表する、また国の補助金の返還、本制度への再加入の禁止等のペナルティーというものをきちっと講じていくということが必要だと思います。
 今般の雪印事件等、偽装表示などで、私ども、JAS法については厳罰主義で臨むことになりました。こういったことがやはり逐次正しい取引を行うということの確保につながっていくのではないか。したがいまして、不正行為があった場合に対しては厳正に臨むというようなことで担保していきたい、このように考えているわけでございます。
白保委員 余り時間がありませんので、需要と供給の見通しについても、農林水産大臣の項で改正がありますので、これもお聞きしたいと思いましたが、ちょっと時間がありませんから。そしてまた、もう一つは、野菜の輸入関係について、あるいは消費拡大等についてもお聞きしたいと思っておりましたが、ちょっと後に回しまして、野菜づくりの担い手の育成について、この問題についてお伺いしておきたいと思います。
 食料・農業・農村基本法の基本理念の実現を図るために、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらが農業生産の相当部分を担う農業構造を確立することが重要な課題、こういうふうにされております。
 そしてまた、育成すべき農業経営という問題等も踏まえてお聞きしたいと思いますが、野菜づくりにおける担い手のあり方ということでありますけれども、本法案で、野菜の安定供給の担い手として大規模生産者が増加傾向にあることから、一定規模以上の生産者は、農協等の出荷団体を通さなくても対象取引ができると。
 この大規模生産者の要件というのが、野菜の安定供給を確保する観点から、指定野菜の作付面積が農林省令で定める面積に達しているものと規定されておりますし、露地野菜でおおむね十ヘクタール以上、施設野菜でおおむね四ヘクタール以上等というふうになっています。
 そこで伺いますが、大規模生産者の要件を満たしたものは農家全体の一%にとどまるおおむね十ヘクタール以上等とする基本理念、その理由をお聞きしたいと思います。
須賀田政府参考人 私ども、大規模生産者の規模要件、露地野菜でおおむね十ヘクタール以上、施設野菜でおおむね四ヘクタール以上という規模要件を設定した理由でございます。
 やはりある程度まとまったロットのものを実需者に対して安定的に供給するということを担っていただきたいということを前提といたしまして、現在の量販店一企業の一日当たりの店舗で取り扱う量を供給し得る規模として、露地野菜十ヘクタール以上、施設野菜おおむね四ヘクタール以上というのを設定したところでございます。
 今後、そういう要請というものも勘案しながら、できる限り柔軟に運用するという基本的考え方に立っておりまして、実施状況を見ながら、必要に応じてそのあり方というものは検討していきたいというふうに考えている次第でございます。
白保委員 後でそれを聞こうかと思っておりましたが、生産者の面積要件についてのあり方の見直し、これは柔軟に要件等の見直しをぜひやっていく必要も出てくるのではないか、その際には柔軟に対応していくべきだ、このことを申し上げようと思いましたが、そのとおりお答えになりましたので、それはそれとして次に進めていきたいと思いますが、時間がありませんので、最後に大臣にお伺いをしていきたいと思います。
 こういった中で、中小や兼業農家の位置づけ等、また担い手対策及び日本農業の産地の展望等についてお伺いいたしますと同時に、御存じのように、私どもの選挙区、一年間何でもできるんですが、ただ、今、どちらかというと糖業といいますかサトウキビに頼っている部分もあります。そういった中で、その亜熱帯地域を日本の農業の中でどのように位置づけをなされておるのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
武部国務大臣 食を支える農の構造改革をこれから強力に進めてまいりたいと思っておりますし、野菜農業の場合には大半が主業農家であるという現状から、担い手への集約化が進んでいくのではないか、このように考えております。
 また、大規模経営のみならず、品質面での差別化を図るというようなことで、中堅農家ということも今後大きく進展していく、このように考えているわけでございますが、担い手との役割分担を行いつつ、協同組織や法人の構成員として中小規模農家や兼業農家については活躍していく場が考えられるんじゃないか、私はこのように思っているわけでございます。
 食と農の再生プランの中でも、意欲ある経営体の躍進する構造改革、こううたっているわけでございますが、そういう意味では、経営の法人化ということによって、今後、加工、流通、販売といった面での経営の多角化や経営体としての安定性が図られていくのではないか、私はこのように思っております。
 また、先生のお地元でございます沖縄農業の位置づけにつきましては、今般、農林水産省といたしまして、本国会において成立いたしました沖縄振興特別措置法に基づきまして策定される沖縄農林水産業振興計画を踏まえまして、関係省庁とも連携しながら、沖縄農業振興のための施策を積極的に推進してまいりたい、かように考えております。
 特に、サトウキビなどの生産性の向上はもとよりでありますけれども、沖縄の気候条件の優位性を生かして、野菜、花卉、果樹、畜産の振興などを目指して、特色ある亜熱帯農業の確立を図ることが重要ではないか。
 私は、沖縄には非常に大きな可能性がある、こう確信しておりまして、今後、先生のまた御指導をいただいてしっかり対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。
白保委員 終わりますが、アメリカでは、リタイアしたら南部へ、こういうふうに言っているんです。リタイアしたら南部へ、そうすると長生きするのだそうです。私どもは気候と食で長寿の人が多くおりますので、食それから気候、そういったことを最後にコマーシャルを訴えまして、終わります。
鉢呂委員長 これにて白保台一君の質疑は終了いたしました。
 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 きのう、生産者、流通業者のいわゆる参考人質疑は大変有意義だったと思うんですが、中でも大臣にぜひ聞いていただきたかったのは、量販店において輸入野菜を二割ほど扱っている、その輸入の野菜が一般の需給関係よりもさらに生産地の価格を引き下げて、そして現在、一昨年の四月当時の野菜の価格より四割ほど下がってきているという現状、大変な状況にあるということ。
 だから、野菜価格の安定は、まずその輸入の、いわゆる中国向けの経過的セーフガードの適用を果敢に遅滞なくやるべきことじゃないか、それをぜひ肝に銘じていただいて、その上で、本題、今回の野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案についてきょうは質疑させていただきたいと思います。
 まず野菜供給安定基金なんですが、この基金は、今全体で年に一体どれくらい生産者から徴収され、そしてどれくらい年に積み立てられて、実際どれくらい今基金としてあるのか、そしてまた毎年どれくらい支払いが農家になされているか、それを大臣にお答えいただければと思います。
武部国務大臣 正直申し上げまして、私は細かいことまでつまびらかに承知しているわけではございませんが、先生の資料要求に基づきまして事務方から今急いで用意いたしました資料をいただきましたから、それに基づきまして答弁させていただきたいと思います。
 資金造成額につきましては、平成八年度には九百三十二億円、九年度には九百三十六億円、十年度には九百五十八億円、十一年度には九百八十三億円、十二年度には九百八十六億円、十三年度には九百八十七億円となっております。
 また、野菜供給安定基金の交付金額でありますが、平成八年度には百四十五億円、平成九年度には百十三億円、平成十年度には百四億円、平成十一年度には百四十八億円、平成十二年度には百六十六億円、平成十三年度には、これはかなり野菜の暴落等がございまして、二百六十億円程度ではないか、こうなっているわけでございます。
 また、国、県、生産者の負担金額でございますが、平成十三年度における負担金額は、国は四十億円、県は三十三億円、生産者三十三億円となっておりまして、合計百六億円となっているわけでございます。
 基金に参加している農家一戸当たりの負担額及び交付額についてでございますが、交付対象数量に対する負担金額及び交付金額を把握してはおりますが、一戸当たりの負担額と交付額については明確には把握しているものではございませんで、ただし、野菜農家一戸当たりの収穫面積、単収及び毎年度の交付金額から推定いたしますと、平均的な野菜農家、全国平均の収穫面積であります五十五アールを持つ農家ということになりますと、一戸当たりの指定野菜の販売金額は二百二十五万円でありまして、負担金額は毎年約三万円、交付金額は約十五万円と推定されるところでございます。
 次に、野菜供給安定基金における負担金額と交付金額に差額がありますが、この差額をどうやって充当しているのかということについて申し上げますと、平成十一年度の交付金額は百四十八億円、平成十二年度の負担金額は百億円となっております。この差額であります四十八億円については、野菜供給安定基金が基金の利息を有効に活用して充当しているということでございます。
山田(正)委員 この野菜供給安定基金では、今の大臣のお話ですと毎年九百億から約一千億近い収入があると今お聞きしたのですが、それでいいのでしょうか。
 その支出が、百四十五億、百十三億、百四億、百六十六億、一番多いときが平成十三年度ですか、これが私の手元の資料では二百四十一億ですが、今大臣、二百六十億ぐらいじゃないかというお話です。それはそれで結構なんですが、一千億ほど収入があって、実際に支払っているのが百億から二百億、二百四十億―六十億という昨年度もありますが、ということであったら、その差額はどうなっているんですか、積み立てられていっているんですか。
武部国務大臣 差額は基金で積んでいくわけでございます。
山田(正)委員 いわゆる野菜供給安定基金の民間企業仮定決算書、これによると、資産としては、固定資産が八百十六億七千七百万かな。この累計でずっと積み立てられたというのはこの資産の中には入ってきていないんですか、別途これは累計であるんでしょうか。ただ、積立金利益剰余金というのは別途、負債の部に計上されてはおりますが、その辺はどうなっていますか。
武部国務大臣 資金造成額は七百七十六億円、それから剰余金が二百七十億円、今委員がお示しされたとおりであります。
山田(正)委員 そうすると、資金造成は毎年七百七十六億はあると考えていいわけですか。そうであったら、百億か二百億しか出していないということは、基金を多く集めてその三分の一、四分の一しか出していないと考えていいんですか。
武部国務大臣 詳しいことは本当は事務当局に答弁させた方が正確なんだろうと思いますが、基金というのはそもそもそういうものじゃないでしょうか。毎年少しずつ積み立てて、そしていざというときにこれを使って所要の対策を講じていく、こういうものだと私は認識しております。
山田(正)委員 大臣にこれは質問通告しておったので、なぜ私がそれを聞くかというのは、いわゆるこの野菜の価格安定のための給付金、補給金、これがいわば集めているお金よりも、極端に言ったら少ないんじゃないか、それを聞きたかったわけで、よくわからなければわからないで結構です、それは。
 では、次に話を進めさせていただきます。
 その中で、実は、指定野菜、特定野菜、特認野菜がございますね。いわゆる指定野菜が十四種類、特定野菜が二十九種類、特認野菜が三種類あるわけですね。この野菜の中で、これを指定したり特定したりしないで、いわば野菜農家は野菜をその時々の需要、供給に合わせてつくる、それは別に指定しなくても、いわば資金造成に登録させてどんどん助成すべきじゃないのか、そう考えるのですが、例えばこの指定野菜、特定野菜、ここに入っていない野菜はあるんじゃないのか。
 大臣、よく見ていただきたいのですが、大臣の手元にも資料はあると思うのです。この事業の対象となる野菜の品目、その特定野菜の中にワケギとかシシトウガラシはありますが、オオバが入っていません。アサツキとかオオバが入っていない。これはなぜなのか。
武部国務大臣 そこまで細かく、私は正確な答弁ができるかどうかわかりませんが、先ほどのものは、使ったものはまた入れていく、こういう関係だと私は認識しております。
 今の場合、なぜなのかということでございますが、やはりこの特定野菜を決める場合に、どれだけの需要があるか、どれだけの生産があるか、そういったものを考慮して、今シシトウガラシ、ワケギ及びラッキョウの三品目が定められているんだろう、こういうふうに私は承知しております。
 特認野菜の選定基準はそういうことですね。ここに書いていますけれども、読みましょうか。(山田(正)委員「いや、もうそれは読まなくて結構です、時間がないから」と呼ぶ)よろしいでしょう。
 特認野菜の品目については、現時点でその全国的な流通量から見まして、新たに指定の対象となるものは見当たらない、こう考えられるのでございますが、しかし、今後、地域のニーズも聞きつつ、需給及び価格の状況等を踏まえまして、必要に応じて見直しを検討してまいりたい、このように思います。
山田(正)委員 大臣、もう一回聞きますが、特認野菜、特定野菜、指定野菜の中にも、オオバとかアサツキがなくて、シシトウガラシとかワケギとかはあるわけで、これは、大臣個人としてでも結構ですよ、おかしいと思いませんか。
武部国務大臣 私におかしいと思わないかと言われても、ちょっと答弁困難なんですよ。
 これはやはりその需要だとか生産だとかそういったことを勘案して、また地域のニーズもありましょうし、そういったことを見て指定するのだろうと思いますが、しかし、状況によって、また必要性があれば検討するということではないかと思います。
 また、一度決めたものをいつまでもずっとというようなことも、これも今後その実態に合わせたような検討はする必要があるのではないか、私はこう思いますね。
山田(正)委員 それでは、大臣、私が言いたいのは、時代に合わなくなってきている、その需要、供給によって。そうすると、こういうふうに野菜を指定したり特定したりしないで、農家がつくろうとする野菜を登録した場合においては、だれでもこの安定基金を利用する制度にもう規制緩和、一種の規制だと思うのですが、それをやるべきじゃないのかと。それは大臣、どう考えますか。大臣の考え方でいいんですよ。
武部国務大臣 基本的には、私は、この食と農の再生プランでも、消費者保護第一という考え方でフードシステムを構築していく、こういうふうに訴えているわけでありますが、その消費者の状況、そういったものに十二分に対応できる、消費者の保護に資するということと、それからもう一つは、生産する方も見通しがなかったらやはりなかなか、その辺のガイドラインというのはどこかできちっと出さなきゃならない。
 それは、先生の場合には、それは市場に任せろというようなことかもしれません。基本的には、私は、規制緩和の時代だと思いますが、やはり消費者保護、そして生産者の生産意欲というものをどう調整するかということは、農林水産省として責任があるんじゃないかと思うんですよ。もし違うなら、どこが違うか教えてください。
山田(正)委員 私の質問に端的に答えてもらえればいいので、もういろいろ理由はいいですから。
 では、次に、いわゆる指定産地。いわゆる指定消費地は、今回の法律でもってもう規制緩和してなくす、どこに出してもいいですよと、そういうことですよね。この指定産地の要件はそのまま残っているんじゃないですか、ここは。いわゆる面積要件、これは、露地が二十五ヘクタール、果菜類が十五ヘクタール、施設が十ヘクタール。
 平均した野菜農家が五十五アールだと、全国平均を調べたらそうなっておりますが、それからして、十倍から場合によっては二十五倍ぐらい、そういう広い面積、みんなでつくらなければ、いわゆるこの価格基金制度が利用できない、これは大臣、どう考えますか。大臣、個人的な考え方でいいんですよ。
武部国務大臣 いやいや、個人的な考え方と言われましても、今は農林水産大臣でございますので、農林水産省のトップとしての答弁になるわけでありますが。
 個人的には、私は、先生の考えていることはわかりますよ。わかるんですよ、わかる。それは、自由自在にやって安定的に消費者に資する、安定供給ができる、また生産者も、消費者の皆さん方が求めるような量でありますとか価格でありますとかそういったことを自動的に生産者一人一人の自己責任原則でやれるというならば、市場原理に任せていいのかもしれません。しかし、私は、農業生産というのはそういうものではないというふうに思います。
 そういう意味では、やはり指定消費地域に安定的に出荷する集団的産地として野菜指定産地と。消費地については大体いいでしょうけれども、産地については当分、当分といいますか当面は、やはりきちっとした、安定、安全、安心というようなキーワードに基づきまして、いつまでもということではないかもしれませんが、そういう確保は必要ではないか。これは消費者のためでもあり、生産者のためでもある、このように考えているわけです。
山田(正)委員 大臣、指定消費地は外してどこでもいいと。では、指定産地の制限、面積要件はそのまま残したというのは、消費地は外して産地は残すというのはどういう理由があるんですか。何かそれなりの合理的な理由、それを明確に答えていただきたい。
武部国務大臣 質問は明確ですけれども、答弁はそう簡単に紋切り型にはできないんです。
 やはり国産野菜については、消費者の求める安定的、効率的な供給ということが大事でありまして、そのためには、実需者に対して安定的な出荷を行うということが必然的に重要であります。したがって、産地として相当規模のまとまりが必要なんだろうと思います。
 これは、特に野菜の場合は、消費者が不安になっちゃったら価格が上がったり下がったりいろいろ、肉なんかだったら量によって価格がこんなに上がったり下がったりする影響度は少ないと聞いています、二割ぐらいだと聞いています。野菜の場合は、ちょっと足りないぞというと六割価格が上がったり下がったりする、こういうデータがあるそうであります。
 または、生産コストを削減するためには、産地として相当規模のまとまりを有することも大前提ではないか。そういうことから、今、一定の規模を有する集団産地を指定し育成していくという途上にあると考えまして、その必要性を私は認めているわけでございます。
山田(正)委員 大臣、大臣初め農水省の考え方としては、いわゆる企業型農業、いわゆる農業生産法人等を含めてこれから育成していこう、そういうことであれば、そういう企業型あるいはプロ型農家というか生産法人等々が、その地域で、施設園芸だったら例えば一ヘクタールでも大変なものです。そういったものをやろうとして、登録していざという場合の交付金を受けられないとなったら、これは大変なことだ。これはやはり、どう考えたって、農水省がこれからやろうとしている農家の育成、やろうとしている規制緩和の方向、それに反する、そう思いませんか。
武部国務大臣 例えば、大規模生産者の場合と個人経営の場合とを比較した場合に、個人の場合は、個々の小さな農家の場合には農協を通じて基金の交付は受けられるわけでございます。したがいまして、そういったことは担保されている、私はこのように思うわけでございます。
 制度の実施に当たりましては、大規模の場合にはまとまったロットの野菜の安定供給という要請があるわけでありまして、できる限り柔軟に運用するとともに、実施状況を見ながら必要に応じて今後の方向性というのは、今先生も御指摘しておりますように、まだ大規模生産者といっても数少ないです。私は、先ほども白保委員にお答えしましたけれども、今後やはり、経営の法人化による構造改革の加速化ということを考えておりますし、これはある意味では脱農協ということも私は大胆に申し上げていいと思うんです。
 しかし、やはり農協というのは、個々の組合員の農業振興でありますとか、営農指導でありますとか、小さなものが肩を寄せ合って力を合わせてやっていくという、一人は万人のために、万人は一人のためにという思想でありますし、それはそれで大事なことでありますが、方向性としては先生の言っていることは私は理解できますね。
山田(正)委員 大臣、なかなかはっきりできないところですが、共販要件というのがありますよね。これまでは、出荷量のうち農協が三分の二以上扱っていなければこの交付金をもらえないという。そして、今回その規定は外して、いわば大規模農家を残すわけですね。大規模農家の範囲というのが、施設の場合には四ヘクタールか露地の場合は十ヘクタール以上、そう言っているようですが、これもおかしいんじゃないのか。
 そういう規制、これも明らかに規制だと思うんですけれども、何のためにそれを残すのか。いわゆる農協、団体の御機嫌を損ねないために、ある程度の規模要件を残して、そして今回こういう安定制度の改正に持ってきたのじゃないのか。
 言ってみれば、本来ならば、意欲ある農家であったら、それこそどういう面積、あるいはどういう量、どういう規模であろうとも、自分たちもやはりいざというときに備えて基金に登録して基金を自分たちも出して、そして安定に寄与しようというのに当然門戸を開いて、それがあるべき農政の姿じゃないのか。大臣、どうお考えですか。お考えを聞きたいので、大臣としてこうだじゃなくて、個人としてでいいんですよ。
武部国務大臣 個人として考えれば先生のおっしゃるとおりだと思いますね、本当に。そういう方向性でやはり構造改革を進めていこうと私は思っているんです。
 しかし、小さな農家もたくさんあるわけです。一人の力ではどうにもならない人たちは、やはり、農協等を通じて指導もありましょうし、資金的なこともありましょうし、そして出荷の問題についても同様だ、こう思います。しかし、大きなものが、大きなものという言葉は私は適切じゃないと思うんですけれども、みずからの創意工夫によってどんどん貢献していこうという人たちがさまざまな規制によって伸びられないというのはまずいと思います。
 しかし、そういった方々も、野菜価格の安定あるいは供給の安定ということになりましたら、おれはおれでやっているんだから我ひとりで行かんということではやはり困るわけで、それはやはり、野菜政策全体の中で国の政策の恩恵を受けようとすれば、協力するものは協力する、義務は義務として負うというようなことが大事なんじゃないか、こう思います。
 ですけれども、個人的には、方向性としては一人一人の創意工夫、努力、そういうものが前向きに向かっていくという仕組みが大事じゃないか、その一つの過程で私は経営の法人化あるいは集落営農とか生産法人とか株式会社とかということを申し上げているわけでございまして、一度ぜひ先生とじっくり、こういう場じゃなくて、本当に個人として堂々と何でも言えるような場で御議論いただければより建設的になるんじゃないかと思いますので、よろしくお願いします。
山田(正)委員 大臣、個人的にはそうだと率直にお答えいただきましたが、基金はかなり金の余裕はある。そうすれば、生産地要件、いわゆる共販要件も外して、意欲ある生産農家を育てるという形にこれを直ちにもう一度改正していただきたい。これをぜひお願いしたいと思います。
 実は、私時間が終わってしまいました。宮路副大臣に残留農薬の話を詳しく聞きたかったんですが、また次の機会にさせていただきたいと思います。
 終わります。
鉢呂委員長 これにて山田正彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、中林よし子さん。
中林委員 きょうは、法案に沿って質問をさせていただきます。
 指定消費地の条件を取り払ったということは、指定消費地以外に出荷される野菜についても生産者の補給金の対象になるということで、これは望ましいというふうに思っております。それでも、制度のカバー率というのは五四%にしかならないでまだまだ不十分だということが言えると思います。
 今、地産地消ということが非常に強く言われており、私どももその方向がいいというふうに考えているわけです。できるだけ地産地消、その生産を進めていくということが大切だというふうに思いますけれども、野菜というのは地産地消の一番できる、そういう作物だというふうに思うんですね。この点まず大臣の認識、私と同じ考えなのか、ぜひ御披露いただきたいと思います。
武部国務大臣 これからは野菜に限らず、地産地消でありますとか、スローフードでありますとか、食文化でありますとか、そういった生産者と消費者の顔の見える関係というものをより積極的につくり上げていくというのが大事だと思います。
中林委員 そこで、先ほどの委員も主張しました指定産地の問題なんですね。これは、きのうの長野県のJAの柳澤参考人も言っていらっしゃったんですけれども、やはり条件緩和をしてほしいという話なんですね。一定のまとまりがなければ、大規模以外は指定野菜であってもその恩恵を受けることができないということになれば、野菜というのは、本当にできるだけ近くでとれて、目で見えてということを大臣もそのとおりだとおっしゃっているわけですからね。
 そうなると、野菜というのは、本当に近くでいろいろとれて、近くで消費できるということから考えれば、やはりこの指定産地というものをなくしていくというか、どこでもつくれれば指定野菜としての扱いができるというふうにする必要、そしてカバー率を引き上げる必要があるというふうに考えるわけですけれども、改めてそういう観点から考えても、指定産地を外すということを検討いただけないでしょうか、大臣。
武部国務大臣 今回の改正におきましては、野菜の全国への安定供給と流通の多様化に資する観点から、指定消費地域を廃止することとしたわけでございます。したがって、野菜指定産地の指定消費地域に対応する供給基地としての位置づけは変わることとなるわけでありますが、野菜の安定供給の確保という観点から考えますと、やはり消費者への野菜供給において大きな役割を担うようになっている。
 現実問題、スーパー等の量販店や加工、外食産業は大型化しておりまして、これらの実需者に対して安定的な出荷を行う、このためには、産地として相当規模のまとまりが必要なんだろう、かように思います。また、輸入野菜に対抗して合理的な価格で野菜の供給を行っていくということも必要でありますし、そのためには、機械化一貫体系の導入等が必要となるわけでありまして、そのためには、野菜作付の一定の面的広がりがこれまた必要になるだろう、かように思うわけでございます。
 そういったこと等から、一定の規模を有する集団産地を指定、育成していく必要性は依然として高い、私はこう考えるわけでございまして、野菜指定産地制度については、今後もやはり維持することが当面必要だ、こう思っております。
 しかし、今委員御指摘のように、多様な方々の努力というものも担保しなければなりません。しかし、それは農協というものがあるわけでありますので、そういったところでカバーできるのではないか、こう思っておるわけです。
 農協も、これは相当大胆な改革をこれから進めていかなきゃなりませんので、そういったことも私どもは促してまいりたい、こう思っておりまして、そういった地域における多様なさまざまな方々に対する対応についても、きめ細かくやっていく必要があると思っております。
 しかし、今後いろいろ検討していかなきゃならない問題点であることは言うまでもないことだ、かように思います。
中林委員 昨日の参考人として、野菜生産が非常に盛んな長野県のJAの幹部の方が、中小産地が外されるし、野菜は連作障害を乗り越えてやらなきゃいけないということから考えると、やはりそういう指定産地の条件緩和をしていただかなければそこができないんだということを訴えておられましたので、ぜひこれは検討を加えていただきたいというふうに思います。
 それから、生産者補給金に対する国の負担割合なんですけれども、指定野菜が六〇%、その指定野菜のうち、キャベツ、タマネギ、大根、白菜の重要野菜が六五%というふうになっているわけですけれども、やはりこの指定野菜の負担割合を重要野菜並みの六五%に引き上げるべきだというふうに考えます。その点についてのお考えを一点お伺いしたいということ。
 それから、指定野菜のうちの重要野菜でない野菜、その他、ピーマン、ナス、ネギ、トマト、キュウリ、里芋、バレイショ、ニンジン、レタス、ホウレンソウなど、これらはいずれも輸入野菜との競合で大打撃を受けている品目が多いわけですよ。セーフガードも発動されないということになると、国の負担割合をやはり引き上げていくということでなければ、本当に生産者をカバーできないというふうに思います。
 指定野菜でも、作付面積、全国で一万ヘクタールを超えるようなものはやはりつけ加えるべきじゃないかというふうに思うのですね。ゴボウ、カボチャは一万ヘクタールを超えております。それからカリフラワー、これはブロッコリーとも合わせると約一万ヘクタールということになっていて、これらも当然指定野菜につけ加えるべきだというふうに思いますけれども、国の負担を重要野菜並みに引き上げる点、そして指定野菜も枠を拡大する点、二点について端的にお答えいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 国の負担割合についてのお尋ねでございます。
 現在、指定野菜、先生言われますように、国費の負担割合が原則六〇%、それから指定野菜、地域におきます重要産業の振興だという観点から、都道府県が負担しておりますのが二〇%、合わせまして八割の公的助成ということで、生産者の負担割合が二割ということでございます。
 これは申し上げにくいんですけれども、ほかの価格安定対策と比較いたしましても、生産者負担の二割というのは決して高いというふうには言えませんし、今後、消費者、納税者の納得を得て政策を進めていくという観点からは、既に公的負担の水準が高率であるということで、引き上げるということはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
 それから、指定野菜、特定野菜等の問題でございます。
 指定野菜、もう先生も御存じのように、国民消費生活上、全国的に流通する、消費量が相対的に多い、そのために価格安定を図ることが極めて重要な野菜という位置づけでございます。
 一方、特定野菜というのは、指定野菜に比べれば生産、流通の規模とか消費量が多くないけれども、端境期等において重要な役割を持つ野菜だとか、地域特産的性格の強い野菜だとか、嗜好品的性格の強い野菜、そういう意味で、国民消費生活上、地域農業振興上重要な野菜ということでございます。
 現時点で、指定野菜の品目の拡大でございますけれども、消費面では、やはり消費量や家計消費に占める支出額の割合が多くて、周年的に供給される必要度合いが高いということ。一方、生産面でも、生産量や農業粗生産額が多くて、作付面積が多いということ。消費、生産両方の面で主要な品目ということでございまして、現在、指定野菜をそういう観点から指定しているわけでございます。
 将来的には、こういう生産とか消費の動向の変化を踏まえながら、必要に応じて見直しを行うこともあり得るというふうに考えているところでございます。
中林委員 いろいろな理屈を言って、もうこれ以外は絶対しないみたいな話で、先ほどの基金の話もありましたけれども、まだ余裕があるということで、今野菜生産が本当に輸入野菜の中で落ち込んでいる中で、せめて一万ヘクタールを超えるぐらいのところは指定野菜につけ加えて、十分カバーできて、本当に日本の自給率が高まっていく。もう野菜なんというのは一〇〇%で当たり前のところが、もう八〇%台になっているということ自体がゆゆしき事態だということを申し上げておきたいと思います。
 そして今、局長は特定野菜の問題をおっしゃいました。それで、都道府県が指定した一定の要件に合致する、そういう適合する産地で生産されたものが特定野菜ということになるわけで、今三十一種類ということなんですけれども、私は、これは本当に地産地消、そして地域特産の野菜生産を振興していく上で非常に大切なものだというふうに思います。
 そこで、国がその特定野菜を指定するのではなくして、都道府県の裁量でそういう野菜が指定できるように、そういうことをすべきだと思いますね。例えば、京野菜、こういうようなものだとか筑前野菜だとか、そういう非常に特徴を持っているものがこの特定野菜に、都道府県の側からできるようにすべきだというふうに思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
須賀田政府参考人 お話しの特定野菜の問題でございます。
 先生も御存じのように、この野菜政策というもの、消費者が求めるもの、消費者ニーズへ安定的に供給するという視点が色濃く出ている政策でございまして、国民消費生活上重要な野菜という観点を踏まえて全国的に二十八品目が定められ、また、農林水産大臣が、特にその供給の安定を図る必要がある野菜として特認野菜というのを三品目指定しているわけでございます。
 こういうふうに、特認野菜の品目については、全国的な流通量から見て一定の規模以上のものを指定している、これは、先ほど来言っておりますけれども、消費者ニーズというものに即した政策でございますのでこういうことにしているわけでございます。
 現時点で、では、これに新たに指定の対象となるものがあるかというと、今のところは見当たらないわけでございますけれども、将来このまま行くかというとそうでもなくて、需給だとか価格の状況を踏まえながら、必要に応じた見直しというのは検討されるべきではないかというふうに思っております。あくまでも消費者ニーズということが中心でございます。
中林委員 消費者ニーズなんですよ。地産地消、本当は、自分たちの近くでとれる特産野菜、それをやはり安定的に供給してほしいということのための特定野菜の指定というのを、全国流通の観点からいえば、大臣、聞いておってくださいね。さっき言ったように、地産地消からいうと、京野菜など地域でとれたものをなるべく地域で消費していく、全国流通ということよりも、なるべく近くで流通させて、そこで消費していくというものも安定的にやっていくためには、この対策の品目にしていく。
 だから、国がここ、ここというのではなくて、せめて都道府県が裁量で産地を指定して特定野菜にしたいと言えば、それは認めていくという方が、これが消費者のニーズに一番合致する方法だというふうに思います。いかがですか、大臣。
武部国務大臣 考え方として、私は、地産地消ということは大事ですし、やはり地域特産という考え方からすれば、都道府県がまずそういう考え方、政策を打ち立てるべきだと思います。それに対してやはり国としても野菜振興という立場から協力するという政策は、私は、当然今後も考えていかなきゃならぬ、検討に値することだ、このように思います。第一義的には、京都とか北海道とか、そういったところでおやりになる、そういう姿勢が非常に大事だと思いますね。
中林委員 次に、保証基準価格の問題について質問したいと思います。
 野菜生産者にとって、この保証基準価格が生産費を反映した水準になること、これが安心して野菜生産に取り組むためにどうしても必要です。今、保証基準価格の算定は、九カ年の野菜ごとの卸売市場価格の平均に〇・九を掛けて算出しているわけです。野菜の輸入が急増する中で価格は下落を続けておって、このままでは、安心して野菜生産に取り組むどころか、経営の継続さえ困難になりかねません。野菜価格が比較的安定していた九一年価格を基準にして、その後の生産費の動向を反映した、こういう水準に改めるべきだというふうに思います。
 昨日の参考人の方も、価格の趨勢だけで決められたのではどんどん下がっていく、ぜひ再生産のできる価格を確保してほしい、こういう要望も出ておりましたけれども、ぜひ改善をすべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
須賀田政府参考人 保証基準価格のとり方でございます。
 先生おっしゃるように、過去九年間の卸売市場価格の平均をもとに算出しております。
 これはどういう考え方に基づいているかと申し上げますと、過去九年そういう価格のもとで生産者の経営が続けられていたという実態をもとに平均的な価格として定めておりまして、その価格であれば、経営が継続され、一定の所得水準が確保されるのではないかという考え方に基づくものでございます。
 先生言われるような、例えば生産費といったようなものを基礎として、ほかの価格政策によくありますいわゆる再生産を確保し得る水準というような考え方も十分あり得るというふうに思いますが、事野菜に関して実態を申し上げますと、ほかの作物に比べて品種が多岐にわたっているということで、品種ごとの栽培方法の違いで生産コストの差が物すごく違うという実態がございます。
 また、機械の導入状況の個人差が大きいということで、経営規模とか形態によって生産の効率化の度合いがかなり異なるということで、生産費をもとにした価格算定というのは技術的にも大変困難というふうに考えております。
 現在、私ども、極端な高値とか安値の場合には統計的な修正を行う、それから、輸入品のシェアの高い品目については輸入品を除外するというようなことで工夫を凝らしておりまして、この方向をとることが現実的ではないかというふうに考えているところでございます。
中林委員 要望が非常に強くて、九カ年野菜づくりをしていたというのはほかの証明が幾らでもできるわけですので、ぜひこれも前向きの検討を重ねて要望しておきたいと思います。
 それから、ことしも既に野菜価格の下落で大変深刻になっているわけです。キャベツでも、多くの産地で産地廃棄をせざるを得ない、あるいはタマネギなどもそういうことになるわけですが、価格暴落に伴う産地廃棄あるいは災害で減収したということを、異常事態だということでの一定の補償を行う必要があるんじゃないかというふうに思います。これは大臣にぜひ検討していただきたいというふうに思います。
武部国務大臣 産地廃棄に伴う交付金の対象品目につきましては、私も、今後とも、各品目の需要と供給の状況を踏まえて、必要に応じて見直しを検討していくべきだ、こう思います。
 なお、災害等に対する救済措置といたしましては、本年度から、畑作物共済の対象品目に、輪作体系に組み込まれるタマネギ、カボチャ及びスイートコーンを追加したところでございますが、一般的に、野菜の価格は災害等があれば上昇するという傾向がございまして、特に廃棄に伴う支援措置を講ずる必要性は小さいのではないか、このように思います。
中林委員 災害があれば野菜が高騰するというのは、災害を受けた農家は全然高騰しないわけですよ。ダメージを受けるからそこへ補償という話ですから、全国的な話じゃなくて、災害を受けた野菜についてという話ですので、そこはぜひ誤解のないようにしていただきたいし、ぜひ検討いただきたいというふうに思います。
 そこで、野菜の安全性、宮路副大臣にお出かけいただいていて毎回同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、私は、中国野菜の問題、これはやはり大変な問題だというふうに思います。
 特に、冷凍の輸入野菜、これに対する残留農薬検査、やっと今始めたというふうに聞いているわけですけれども、この冷凍野菜について、厚労省として、今まで、三月二十日以前は残留農薬検査はしていなかったわけですね。なぜやらなかったのか、それで、なぜやるようになったのか、今後はどうやっていくのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
宮路副大臣 今御指摘の冷凍食品をも含めまして、加工食品に対する残留農薬の基準が、率直に申し上げて、実は今までないわけであります。
 それで、量的にも生鮮野菜の方が多いということもこれあり、御指摘のように、ついこの間まで冷凍食品に対する残留農薬の検査を実施してこなかったわけでありますが、先般、中国産の冷凍野菜から残留農薬が検出されたというような報道に接しまして、三月二十日から、現時点において残留農薬の検査が実施可能な下ゆでをしたホウレンソウあるいはブロッコリー等々の野菜につきまして、モニタリング検査を開始したというところであります。
 今後、これらのものにつきまして、今申し上げたように、現在のところ残留農薬の基準はないものであります。しかし、冷凍野菜についてそういう残留農薬が認められるということは、そのもととなった生鮮野菜についても残留農薬があったはずである、そういう前提のもとに今検査をやっておるわけでありますが、冷凍食品そのものについての残留農薬基準の設定を含めて、そこのところはこれから検討して、可能なものから基準の設定をやっていきたいといったように考えておるところであります。
中林委員 一部、野菜を加工したものの冷凍は除外されているわけですけれども、冷凍野菜そのものは計画輸入で、一年間フリーパスになるという、全くチェックできない状況が、やはりこういう残留農薬を野放しにしてきたんじゃないかと。
 モニタリングとおっしゃるけれども、しかし、命令検査にしないと、モニタリングでは、わかったときはもうみんな食べちゃっている。こういう状況だから、私は、少なくとも、今いろいろな面で、中国野菜、残留農薬を初め大変多くのものが出てきているわけですから、もうぜひ命令検査にすべきだ、そうしないとだめだというふうに思います。
 これ以上の御答弁は出ないのでしょうから、それはもう私は口を酸っぱくして、本当に、安全を確保することですから、そこはぜひ検討いただきたいというふうに申し上げておきます。
 以上で終わります。
宮路副大臣 御指摘の命令検査という方法にするか、あるいは、ヨーロッパあたりで、先ほども御議論の中でもありましたけれども、特定国の特定の農産物について輸入禁止を行うといったような方法をとるか、その辺も含めて、抜本的な食品衛生法の見直しを求められておるところでありますので、その一環としてそういったことを検討してまいりたいと思っております。
鉢呂委員長 これにて中林よし子さんの質疑は終了いたしました。
 次に、菅野哲雄君。
菅野委員 法案の審議に入る前に、大臣にちょっとお聞きしておきたいというふうに思っています。
 それは、BSEの廃用牛の問題、特飼牛の問題ですね。現在の状況、あるいは直近の状況でよろしいですから、どうなっておるのか。そして、この現状を踏まえて、今後どのようになさっていくおつもりなのか。私は、この問題は早急に解決しなきゃならない問題だということでずっと質問してきているわけですけれども、その点を踏まえて大臣の所見をお聞きしておきたいと思います。
武部国務大臣 老経産牛といいますか、先生方は特飼牛、こういうことにしているようでございますけれども、廃用牛、老経産牛については、農家のBSE陽性牛が発見された場合の同居牛処分への経営上の懸念、また、農家や生産者団体のBSE陽性牛が発見された場合の地域への影響の懸念、それから、屠畜場サイドの業務への悪影響への懸念等々の理由で、出荷や受け入れに消極的になる背景があるというふうに考えられておりましたし、委員からもたびたび御指摘をいただきました。
 私ども、これらの状況にかんがみまして、今どうなっているかということを申し上げますと、三月は滞留頭数ゼロになりました、三月一カ月だけでは。ですから、これまでの累計であります五万八千頭が残っているということでございますが、こういった一つの明るい兆しが見えてきた、このように思っております。
 これも、今までいろいろな御指摘もいただき、我々も努力いたしまして、まず、農家の経営上の懸念に対しましては、御案内のとおり、廃用牛流通緊急推進事業を二月から開始しておりますし、一番大きかったのは、私はやはり、万が一BSEが発生した場合に、BSE対策酪農互助システム支援事業ということを四月から実施しております。また、これまでの三頭についての農家に対しても特別な対策を講じたところでございます。
 これらによりまして、生産者の方々が出荷へ気持ちを固めてもらえるような状況になってきているんじゃないかと。北海道の方のお話ですと、もう屠畜場で待っているというような感じでございます。短くいたします。
 また、地域への影響につきましても、発生地対策を実施することにいたしましたことは先生も御案内だと思います。
 屠畜場における円滑な受け入れの推進につきましては、厚生労働省も都道府県に対して繰り返し求めているところでありますし、三月十八日から副大臣、政務官が各都道府県を回りまして、知事さんに強力に働きかけたところでございます。
 こうした取り組みの結果、今申し上げましたように、三月では滞留ゼロということ、対前年の頭数になったということでございまして、これから減少に転じるものと期待しているわけでございます。当初、五月か六月にはゼロになるんじゃないかと言っていたわけですけれども、今のところ、予想よりも早く円滑に流通するようになった、こういうふうに認識しております。
 しかし、やはり五万八千頭があるわけでございます。これらについては、都道府県ごとの廃用牛の受け入れ状況の調査を今進めております。取りまとめ次第、その状況について今後公表する考えです。
 農協が抑えているところ、屠畜場が抑えているところがありますね。それで、みんな、まじめに一生懸命やっているところとまだ抑えているところ、これを公表してしまおう、そして、こうした情報の提供を通じて積極的な受け入れをさらに進めてまいりたいと考えております。
菅野委員 三月がゼロという状況は理解しました。ただ、五万八千頭という数字はなお残っているわけです。地元の新聞等でも報道になって、副大臣、政務官が各都道府県に行って、屠畜場でぜひ受け入れるようにという働きかけをしているということもわかっています。
 ただ、本当にこの問題、屠畜場で一回発生すると、あるいは地域から発生するとその地域全体が何か影響を受ける、あるいは屠畜場の営業もままならなくなるという状況がありますから、この点をどう克服していくのかという明確な方針も示していかないと、私は、今少し落ちつきを取り戻している現状ですからいいとしても、これからも滞る状況というのはいつ起こるかわかりませんから、ぜひ対応していただきたいというふうに思っています。
 本題に入りますが、昨日、参考人の質疑を行って、私は野菜を取り巻く状況について非常に大きな問題提起を受けたというふうに思っております。それで、今回のこの法改正については、大きな評価を下しているものの、秩序ある輸入体制の確立が強く求められている、これは緊急の課題だということで、参考人の方々から強い要請を受けたというふうに私はとらえているのです。
 そういう意味で、きのうからもずっと議論になってきておりますけれども、この秩序ある輸入体制をどう確立していくのか。私は、武部農水大臣、去年の九月から今日までBSEの対策に追われてきたという面はわかるにしても、この時期に来たときに、本当に秩序ある国内野菜の安定的な生産、供給体制との調和した輸入のあり方というものを早急に国として確立していく必要があるのじゃないのかなというふうに思うのです。大臣のこれに向けた決意というものをお聞きしておきたいと思います。
武部国務大臣 確かにタマネギ、ニンジンなどは、近年、中国からの輸入が増加しておりますが、輸入量全体で見ますと、ここ数年、総じてほぼ横ばいで推移している、このように認識しております。また、いずれの品目も、本年に入りましてからは、中国産を含めまして大幅に減少していると言っていいのではないか、かように思います。
 したがいまして、現在いわゆる対中セーフガードを発動する状況にはない、このように考えておりますが、これまで二回にわたりまして日中農産物貿易協議会を開催いたしました。これまでの話し合いの中で、中国側は、ネギ及び生シイタケについては、日本の需給、価格の状況について産地を含む関係方面に周知することを約束しております。
 また、秩序ある貿易を実現するための措置として、中国側は優良輸出企業の推薦をしております。秩序ある貿易を阻害している委託販売、いわゆる丸投げの防止策等について実効性のある議論が行われてきている、かように考えます。
 また、タマネギにつきましては、他国からの輸入が減少する中で、中国の割合が急激に伸びているということから、第二回の協議会において、私どもの方から中国側に対して、このことについて指摘をいたしました。そして、次回の会合で、これは連休明けになると思いますが、中国側から輸入増加について説明したいとの回答をいただいているところでございます。
 このように、この日中農産物貿易協議会というのは、生産あるいは価格、需要、面積、品質、こういったもの、あるいは輸出業者、輸入業者、そういった問題を含めまして、いろいろ議論を通じてお互い共通の認識が醸成されつつあるのではないか、このように思います。
 今後、国内産業に影響を及ぼすおそれのある場合には、このような協議会の場等におきまして、問題点を提起して協議していくことが実効が上がる現実的な考え方ではないか、私はこのように認識しているわけでございます。
菅野委員 きのうからずっと質疑が、きのうの質疑等で大臣の見解は一向に変わっていません。きのうの参考人の、ふらの農協の組合長さん、本当に危機的な状況なんだと、農家が負債に耐え切れないで離農していく姿、その姿を思い起こして、そこに参考人で立ったときに絶句してしまって、言葉がつながらなかった。生産農家がそれくらい追い詰められているんだという状況でした。
 富良野は、タマネギやニンジンというこの構造改革によって、水田からタマネギやニンジンに構造改革してきた。これも、政府の指導のもとに行ってきた。そういう結果として、大規模化をしていきながら、負債を返し切れずに離農していく姿、これが日本の食料基地と言われた北海道の姿ではないですか。大臣の出身地の北海道の姿ではないですか。
 こういうところに目をつぶって、そして大臣として何ら具体的な方策を打ち出さないで、このまま推移しようという姿を私は許すことはできないというふうに思っています。
 例えば、きのうも議論になりましたけれども、タマネギは中国からの輸入がどれくらいふえているのですか。ニンジンについても同じです。タマネギでいえば十三倍にもなっている、ニンジンについては百七十倍にもふえている、この輸入という部分をどうしていくのか。
 それじゃ、セーフガードを発動しないというのであれば、この離農していく実態に対して政府としてどう支援策を提示していくのか。ここを大臣として考えて、そして事務方に命令する時期ではないかというふうに私は思っているから、ここで取り上げているのです。
 大臣、重大な決意を持って、私は、今の農業を取り巻く状況、特に野菜等も含めて取り巻く状況、そこに具体的にどういうふうな施策を展開していくのか、再度答弁をお願いします。
武部国務大臣 私も北見でありまして、私どものところも、たしか四万六千トンだと思いますが、タマネギを廃棄しております。それは先生に負けないぐらい、深刻な状況であることを私は承知しているつもりでありますので、であればこそ、どうしたらいいかということを今真剣に考えているわけです。
 いろいろ先生数字を挙げられましたけれども、タマネギについて言いますと、ことしに入りましてからは、一月―二月、マイナス一三%なんです。ニンジンはマイナス八三%なんですね。ですから、今セーフガードの発動と言ったけれども、これは農林水産省だけでできるわけでもありませんし、この数字、この状況でセーフガードを発動できるという、そういう根拠にはなり得ないんじゃないですか。私は、その辺のところはもう少し客観的に検証していただかなければならない、こう思うのです。
 しかし、であればこそ、我々は、日中農産物貿易協議会を通じて、現にことしに入りましてから七〇%前後に対前年比として水準は落ちているわけですね。私は、この日中農産物貿易協議会が機能してきている、このように思います。
 それから、それだけではありませんで、今般の野菜生産安定化法については、内容について先生もう熟知されておりますので申し上げませんが、そのためにこの法律を早期に可決して施行したいということでお願いしているわけでございまして、そのほか個別案件、いろいろありましょうが、私ども、真剣に野菜価格の安定対策を検討してまいりたい、こう思っている次第でございます。
菅野委員 ずっと平行線でございます。
 私は、単にことしがこういう状況になったから負債を抱えて離農していったということじゃないというふうに思うのです。ずっと政策の積み重ねというものが行われてきて、農林省主導のもとに、長い年月かかって今日の状況を招いているということだというふうに思います。
 そういう意味では、現実を直視して、大臣が、私一人ではできませんという表現を使いましたけれども、そうじゃなくて、農林水産大臣が一つの問題提起をしていかない限り、国全体が動いていかないということもはっきりしているというふうに思っています。
 そういう意味では、大臣がしっかりとした決意を持って、日本の農業の危機的な状況をいかに克服していくのかの方向性をしっかりとつけていただきたい、その一つとしてセーフガード問題があるというふうに私は思っています。そのセーフガードも発動し得ないで、このままずるずると行ったならば、私は、日本の農業が崩壊してしまうのじゃないのかなという危機的なものを持っていることを申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、今言ったように、今回提出した法律案、大臣がそのために法律を提出したんだ、野菜生産出荷安定法をそのために出したと言うんですが、きのうの参考人の質疑の中で、この法律案の抱えている問題点も明らかになったというふうに思っています。
 その一つは、先ほど中林委員が質問したように、保証基準価格の下落傾向の問題ですね。そういう意味では、この保証基準価格が毎年毎年下がっていくという問題を抱えている中で、九年平均ですから、そういう意味では大きな問題点を抱えているなというふうに思っています。
 それから、もう一つ大きいのは、潜在カバー率を二七%から五四%、倍にしようという今回の法律の中身になっていますけれども、カバー率が著しく増加することによって都道府県の負担もそこにはふえていく、そういう法律の中身になっています。
 きのうの参考人の意見陳述の中で、野菜生産に理解ある北海道でさえも、あるいは野菜生産に理解ある長野でさえも、都道府県の財政状況が厳しくなったということで、それで財政の制約を受けてしまうんだという参考人の意見陳述がございました。これをどうクリア、克服していくのかということがなければこの法律の実行なし得ないというふうに思っているんですが、政府として、このことをどう克服しようとしているのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
須賀田政府参考人 先生おっしゃるように、今般の野菜価格安定制度の拡充によりまして、交付対象数量は、十三年度の三百十万トンから十四年度には三百八十七万トンに増加するということになったわけでございます。十三年度三百十万トンから十四年度には三百八十七万トンと、交付対象数量が拡大をしたということでございます。
 私どもは、やはり野菜産地の振興、これは地域産業の振興につながりますので、都道府県にも負担をしていただくのが筋だというふうに思っているわけでございます。そして、今般の制度の拡充に当たりまして、拡充分についても地方交付税措置が受けられるよう総務省と協議した結果、この拡充分についても地方交付税措置の対象とするという結果になったわけでございます。
 これを受けまして、私ども、都道府県に対し、野菜の構造改革が非常に喫緊の重要課題であるということ、そして、都道府県の資金造成分は、今度の制度改正の拡充分を含めまして地方交付税措置の対象となっているということを十分説明いたしまして、都道府県内の出荷団体等の希望数量に対応した予算措置が講じられることとなるよう要請をしていきたいというふうに考えているところでございます。
菅野委員 地方交付税には資金の使用目的がついていないんですね。一括交付です。そういう意味では、今回の法律案の改正に伴って、地方と本当に連携をとっていくということが非常に大事な要素であるというふうに私は思っております。
 単に交付税措置をしましたといって、すんなりこのお金を地方が出すだけの、地方財政の厳しいという状況の中で、そういうふうにはなっていないということが、きのう参考人の意見陳述の中で明らかになっています。そこは、あらゆるルートを通じて、この法改正に伴って具体化するように、私は、農林水産省、全力を挙げて取り組んでいただきたい、このことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
鉢呂委員長 これにて菅野哲雄君の質疑は終了いたしました。
 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
鉢呂委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
鉢呂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
鉢呂委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、金田英行君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。中林よし子さん。
中林委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  野菜を取り巻く諸情勢の大きな変化に対応するため、消費者のニーズに即した国産野菜の安定供給体制の早期の整備が極めて重要な課題となっている。よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
      記
 一 輸入野菜の増大に伴い、その安全性等について多くの消費者が不安を抱いている現状にかんがみ、国産野菜の安定的な生産・供給体制と調和した秩序ある輸入体制の確立及び有害化学物質含有検査体制の強化等安全確保対策の拡充を図るとともに、野菜の消費拡大のため、「食生活指針」のより一層の普及・定着並びに適正な価格の形成に努めること。
 二 野菜供給体制の構造改革については、生産、流通の両面で施策の効果・実効性があがるように推進するとともに、今後の野菜価格安定制度のあり方については、経営所得安定対策の検討の推移を踏まえ、かつ、消費者の利益にも十分配慮し、必要な見直しを行うこと。併せて、指定産地及び指定品目について、生産、消費の実情に即し、適宜見直しを行うこと。
 三 契約取引制度の導入に当たっては、生産者、実需者等においてモラルハザードが発生することのないよう万全を期するとともに、野菜供給安定基金及び都道府県の野菜価格安定法人に対しては、契約の様式・内容の適格性審査を含め、新たな制度の円滑な推進のため適切な業務運営が確保されるよう指導すること。
 四 新たに生産者補給金制度の対象となる大規模生産者については、野菜の安定供給及び野菜農業の担い手育成に資するよう適正な基準を設定するとともに、その認定が公正かつ円滑に行われるよう努めること。また、各都道府県段階で需給調整機能が適切に発揮されるよう指導すること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
鉢呂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
鉢呂委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣武部勤君。
武部国務大臣 ただいまは法案を可決いただきましてありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
鉢呂委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
鉢呂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.