第12号 平成14年5月30日(木曜日)
平成十四年五月三十日(木曜日)午前八時二十分開議
出席委員
委員長 鉢呂 吉雄君
理事 岩永 峯一君 理事 大村 秀章君
理事 金田 英行君 理事 原田 義昭君
理事 佐藤謙一郎君 理事 鮫島 宗明君
理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
相沢 英之君 岩倉 博文君
岩崎 忠夫君 梶山 弘志君
金子 恭之君 上川 陽子君
北村 誠吾君 熊谷 市雄君
小西 理君 後藤田正純君
近藤 基彦君 七条 明君
高木 毅君 西川 京子君
浜田 靖一君 宮腰 光寛君
吉田六左エ門君 川内 博史君
小平 忠正君 後藤 斎君
津川 祥吾君 筒井 信隆君
楢崎 欣弥君 堀込 征雄君
山内 功君 赤羽 一嘉君
石井 啓一君 江田 康幸君
高橋 嘉信君 中林よし子君
松本 善明君 菅野 哲雄君
山口わか子君 藤波 孝生君
…………………………………
農林水産大臣 武部 勤君
農林水産副大臣 遠藤 武彦君
農林水産大臣政務官 宮腰 光寛君
政府参考人
(厚生労働省医薬局食品保
健部長) 尾嵜 新平君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 須賀田菊仁君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局
長) 岩元 睦夫君
政府参考人
(中小企業庁次長) 小脇 一朗君
政府参考人
(環境省大臣官房廃棄物・
リサイクル対策部長) 飯島 孝君
農林水産委員会専門員 和田 一郎君
―――――――――――――
委員の異動
五月三十日
辞任 補欠選任
金子 恭之君 近藤 基彦君
江田 康幸君 赤羽 一嘉君
同日
辞任 補欠選任
近藤 基彦君 金子 恭之君
赤羽 一嘉君 石井 啓一君
同日
辞任 補欠選任
石井 啓一君 江田 康幸君
―――――――――――――
五月三十日
漁業再建整備特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)(参議院送付)
水産業協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)(参議院送付)
漁業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)(参議院送付)
遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
牛海綿状脳症対策特別措置法案起草の件
――――◇―――――
○鉢呂委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長須賀田菊仁君、農林水産技術会議事務局長岩元睦夫君、厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君、中小企業庁次長小脇一朗君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○鉢呂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鮫島宗明君。
○鮫島委員 昨年の八月に我が国でBSEが発生してから九カ月近くたっているわけですけれども、何とかここに来てBSE対策の特別措置法案の成立間近という状況になったことは、我々野党議員の功績も大きいとは思いますが、農商務省が始まってから百二十年の歴史の中でも特筆すべき大事件だったんではないかと。
こういう大事件に対して九カ月という時間はたちましたが、特別措置法案の成立にこぎつけるに至ったことは、我が党の国対からは怒られるかもしれませんが、やはり農林水産大臣に武部勤氏がいらして、副大臣に遠藤武彦氏がいた、人を得て今日のような状況にこぎつけたということは、私は、農林水産大臣の不信任決議案の提案理由を述べさせていただきましたが、人間武部勤に関してはつゆほどの恨みがあるわけではなくて、公的なポジションとしての農林水産大臣に対して多々抗議を申し上げたわけで、そこだけは御理解いただきたいと思いますし、きょうもそういう意味では農林水産大臣という公的なポジションに対して多少きついことを言わざるを得ないことも御了解いただきたいと思います。
農林水産省、私は、まだまだ大変大きな問題を抱えていて、農林水産行政そのもの、三つぐらいのアキレス腱があるんではないかと思います。普通の人間は二つしかアキレス腱はありませんが、自民党の幹事長は三つアキレス腱があるのかもしれませんが。後でお考えいただきたいと思います。
後継者問題、特に中山間地域を含めて条件不利地域で農業を今後どうやって継続していくのかという大課題がありますし、それから、このBSE問題も関係ありますが、トレーサビリティーが本当に確保できるのかと。特に、国際的な、海外まで含めたトレーサビリティーをどうやって確保するのかという大課題も残っている。このBSE問題もそうですが、えさの原料まで含めたトレーサビリティーが、三角貿易をやられたときに今の体制では追跡できないという大きな欠点を抱えていると思います。
アメリカのミートインスペクター、食肉検査官という立場のポジションがありますが、その食肉検査官は、必ず、アメリカに肉類を輸出しようと思ったら、その人に来てもらって、どういう状態で牛、豚、鶏を育てているかというのをその人に見てもらって、その人の判こがないと出荷できないというのがミートインスペクターの仕事の骨格だと思います。
私が農林水産省にいた十年ぐらい前の話ですが、ミートインスペクターの話によると、日本の鶏肉はアメリカには輸出できませんよということを言われました。それは、飼い方を見ていると残留抗生物質の濃度が高過ぎる、えさ袋には、出荷二週間前からはこのえさは与えてはいけないと書いてあるのですが、どうもそれを守っている農家が少なくて、あるいはそれを守っている養鶏場が少なくて、かなり出荷の直近まで抗生物質入りのえさを与えているものですから、アメリカには出荷できない。そういう生産現場で何を与えてどうやっているのかというのを現場で見ない限りは確認できないというのが、あのアングロサクソンの考え方。
かつて、オーストラリアからアメリカに輸出された牛肉の中に成長ホルモンが入っているという事件がありましたが、あれも、オーストラリアでの牛の育て方を見ているインスペクターが事前に検疫に通報して、水際で成長ホルモンの微量検出を検査する体制を整えて待ち受けていた、それで初めてキャッチすることができた。
今、日本も中国の野菜の中の禁止されている農薬の問題なんかが話題になっていますが、農薬取締法があるから大丈夫ですという言い方を農林水産省はしますが、非農薬的化学物質、つまり、農薬として登録されていないような化学物質が使われたら、今の検査体制ではキャッチできない。
例えば、軍隊の方でもいろいろな薬を使っていまして、背中によく葉っぱをしょって野戦の訓練をしている映像がありますが、あの葉っぱがしおれたんでは空から見てすぐわかってしまうというので、あの背中にしょっている葉っぱを生きているように見せるような薬剤もある。これは多分農薬登録されていないでしょう。そういう薬が使われたら、農薬検査という体制で待ち受けていても、それはつかむことができない。それをキャッチできるのは、唯一生産現場で定点観測をしている人しか正確にはキャッチできないと思います。
こういうそのトレーサビリティーの問題は、なかなか大変だ。だけれども、大臣がいつもおっしゃるように、消費者サイドに軸足を置いた以上、そういう難しい課題にこれから取り組まなければいけないという課題が農林水産行政にあるということを御自覚いただきたいと思います。
もう一つ、三つ目のアキレス腱は、私は、バイオマスの利用を含めた農産物の非食用利用という場面が日本では全く弱い。アメリカは、アメリカの全エネルギー依存率の中でのバイオエネルギー依存率を九%にしますということをクリントン大統領がやめる前の八月にドクトリンで発表していましたが、これは物すごい量です、アメリカ全体のエネルギーの一割、九%をバイオエネルギーで置きかえますと。これは、トウモロコシがかなり余っていまして、コーンスターチからアルコールをつくって、それをガソリンに一部まぜるというようなことが中心になっているようです。
今、先進国の中での余剰農産物の処理で、ノンフードユーズという場面が大変大きく拡大しつつあって、これは地球温暖化対策にも関係しますが、バイオエネルギーあるいはバイオマテリアル、今随分物性的には遜色のないバイオプラスチック類もたくさんできていて、これは泥の中に埋めておけば二カ月ほどで腐るという生分解性のプラスチックというのも、国際的にはもうとっくの昔に実用化しています。
日本はこれは省庁の壁があって、バイオプラスチックの原料のでん粉は農林水産省だが、プラスチックは経済産業省です。エネルギーも同じで、私は遊休農地には、観光資源も兼ねて、捨てづくりでもいいからとにかく日本じゅうに菜種を植えて、それでバイオディーゼルにすればいいと思いますが、これも、燃料という話になると、これは経済産業省の方で扱いますという形で、どうもノンフードユーズの世界が縦割りの壁でうまく日本では発展しない。これも、私はこれからの農林水産行政が抱えている課題だと思います。
後継者問題、トレーサビリティーの確保、バイオマスの有効利用、この三つがこれからの課題だと思いますが、BSE問題で一定の締めができれば、こういう課題を、まだ会期ももしかしたらあるのかもしれませんので、そういう課題についてやらせていただきたいと思います。
本論に入りますが、初めに、五月二十四日金曜日の日本農業新聞、「くみあい配合飼料および代用乳は安全です」という一面全面広告が、農協系というか、JAのくみあい飼料や、問題となっている科学飼料研究所から出されています。ごらんになったと思いますが、一面の全面広告で、くみあい配合飼料、代用乳は安全ですと。
きのうの遠藤副大臣の御答弁、菅野委員からの質問にも、確かに四頭共通でこの科学飼料研究所の代用乳が与えられているが、まだ疫学的にいってもクロと決まったわけじゃない、余り予断と偏見を持って代用乳が悪いというのもいかがなものかという御発言がありましたが、もちろんクロと決まったわけではありません、しかし、シロと決まったわけでもない。
それなのに、BSE調査検討委員会の第二次中間報告のごく一部の文章だけを抜き取って、専門家も大丈夫ですと言っているから代用乳は安全ですというこの全面広告を、「酪農・肉牛生産者の皆様へ」という形で出す。この態度もかなり問題があるのではないかと私は思いますが、大臣は、当然これは見ていると思いますが、どんな感想を抱いておりますでしょうか。
○武部国務大臣 鮫島先生から冒頭激励をいただいて、大変感激を新たにしております。
鉢呂委員長を初め、与野党の当委員会の委員の皆さん方は、厳しくも真剣にBSE問題に取り組み、私どもも大変励まされた、御鞭撻をいただいたという思いを強くいたしておりまして、九カ月になろうとしておりますが、この機会に、御鞭撻をいただき、御指導いただいてまいりましたことに敬意と感謝を申し上げたいと思います。
また、ただいまの、まず、二十四日の日本農業新聞に掲載されましたくみあい配合飼料と代用乳に関する広告を見まして、私は、何だこれはという、そういう印象を持って、よくよく見てみましたが、BSE感染源、感染経路の究明について、現在も、四頭共通の飼料として、代用乳等に関し、国民全体の注視の中で、徹底調査の方針を固めて着手しているところでありますが、こういうような広告の掲載ということは、消費者のためにも畜産農家のためにも全くなり得ない、かえって不信感を拡大する、極めて腹立たしいもの、許されざることだという思いを強くいたしました。
この広告については、農林水産省が行ったBSEの感染源及び感染経路に関する調査報告を無断で引用しているということ、特に、当該報告において、今委員御指摘のように、当該代用乳が感染源となった可能性を完全には排除できない、こういうふうに結論づけているにもかかわらず、可能性が低いとの一部のみを引用して安全性の根拠としているということからして、これはもう言語道断なことでございます。
したがいまして、かかる行為に対しましては、全中、全農に対しまして、担当局長から強く抗議をいたしまして、訂正を求める、そういうことを指示いたしたところでございまして、本当に驚きにたえない広告だ、このように思います。
○鮫島委員 また別の全面広告で、代用乳は安全とは言えませんという広告を出させるのも大変だとは思いますが。
この科学飼料研究所の代用乳の原料として、牛由来の油脂及び血粉に肉骨粉が混入していた可能性があるというので、これは海外まで行かれて大変綿密な調査をなさったことだと思いますが、この血粉と油脂以外にも、代用乳の原料としてほかのたんぱく性の原料が使われていると思いますが、その辺の調査はどういう状況で行われているのでしょうか。
○須賀田政府参考人 先生御指摘のように、四例の感染牛に給与されていた代用乳でございます。
これは、成分を見ますと、動物性油脂、それから血漿たんぱく質以外に、脱脂粉乳でございますとかホエーでございますとか、七種類の動物性たんぱく質を含む原料を使用しているわけでございます。
これらの原料調査、これまでは、動物性油脂はオランダ産粉末油脂の調査というものをし、現在もこれは実施中でございます。それから、血漿たんぱくに関しましては、帳簿等によりアメリカ産の豚由来のものであるということを確認はいたしました。それから、フィッシュソリュブル吸着飼料、魚の煮汁を原料とするものでございます、これは帳簿等により製造工場等を確認いたしましたけれども、当該工場が既に倒産、廃業しているということで、細かな調査ができなかった状況にございます。
その他は乳製品でございますとか卵の製品、植物由来物質、乳酸菌等でございまして、それ自体は安全であるということで、これらの原料の製造工程の調査は行っておりませんでした。ただ、全体について、科学飼料研究所の立入調査によりまして、製造工程において肉骨粉が混入する可能性があるかどうかを調べまして、これまでのところでは、そういう混入の可能性がないということを確認しております。
そして、現在、四頭目が出まして、四頭に共通するものがこれであるということでございまして、初心に立ち返り、これまでの調査をうのみにすることなく、あり得ないと思っていたことがあり得る、大臣のお言葉でございますけれども、そういう視点に立ちまして、もう一度これらの原料について、成分構成の再確認でございますとか肉骨粉の混入の可能性といったものを含めまして、改めて点検、確認というものを、どこまでアプローチできるかということはございますけれども、点検、確認をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○鮫島委員 何人かの専門家が、小野寺さんや山内先生も、このBSEの問題、大変御熱心に研究なさってくださっていますが、山内先生なんかに言わせると、大変BSEは発症しにくい、幾ら実験動物の脳に異常プリオンを打ち込んでもなかなか発症してくれないので、こんなに発症しにくい病気は珍しいと。
唯一発症するのは、やはり非常に若い時期、むしろ赤ん坊の時期に脳に打ち込むと発症することがある。イギリスでもBSEの患者の最高齢は四十一歳ですから、やはり若い活発な脳じゃないと、異常プリオンが入っても、なかなかそれがふえることがない。そういう意味では、私も含めて大部分の人は、もうそんなに若い活発な脳じゃないから、恐れる必要はないという気がしますが。
そういう意味では、去年の十月の獣医学会のシンポジウムでも、もしあるとしたら代用乳だなというのは、専門家の間でもかなり最初から指摘されていましたので、やはりこの分野については、どうぞ引き続き徹底した検証をお願いしたいというふうに思います。
具体的な法案の内容に関する質問に入ります。
この法案は二重構造になっていまして、まず緊急対策的な内容は基本計画の中で定めます、それから恒久的な内容についてはそれ以外の条項で定めますという二重構造になっています。特にこの基本計画については、これは行政で定めることに、農林水産大臣と厚生労働大臣の責任のもとで定めることになっておりまして、ある意味では国会での協議事項ではない。
ただしかし、「基本計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県に通知するものとする。」というふうになっていますが、これは、例えば、この基本計画が定められたら直ちにこの委員会の場に公表してくださるし、多少その内容についてもこの国会の意見を聞く場も設けるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
○武部国務大臣 そのようなことは私はぜひ必要だ、このように考えております。
○鮫島委員 せっかく金田筆頭も持ち上げようと思ったんですが、あいにく欠席で……。
与党の理事の方々、農林水産政策に責任を持たれる方々が中心になって、この間、BSE関連対策が矢継ぎ早に打たれ、既に十七本の関連対策が打たれている。このことはほぼそのまま基本計画に引き継がれるというように考えてよろしいのでしょうか。中には期限が平成十五年三月末までとか非常に短期で切られている対応策もあるのですが、この辺の時期については改めて検討するとして、今まで打ってきた対策そのものはほぼトータルとして基本計画に含まれると考えてよろしいのでしょうか。
○武部国務大臣 BSE発生以降、予算措置により対策を機動的に打ってきた所存でございますが、今委員からも適切な対応であったというような評価もいただいたところでございますけれども、法律施行後も対策を着実に実施する所存でありますし、BSE発生時の対応の基本的指針であります基本計画に個別具体的な事項を掲げることはなじまないのではないか、かように思いますけれども、経営安定対策に関する事項その他、その基本的な考え方を盛り込むことが適切ではないか、このように考えております。
○鮫島委員 きのうもほかの委員からの質問もありましたが、今まで打ってきた対策で抜けている大きな対策あるいは非常に取り組みが弱い対策として、牛肉ビジネスにかかわる部分の特に川下部分、飲食店、焼き肉屋さんを含めた川下の部分についての手当てがどうなっているか。
本来だったら、消費者にも、小売の方々にも、生産者にも何の責任もない、いわば災害のような事故だから、そういう人たちに手厚い助成をすべきだという意見もありますが、百歩譲って、むしろ前向きの支援をしたいという大臣のかねてからの御発言ですが、町の声を聞くと、なかなか零細規模でやっている焼き肉屋さんや肉の小売の方々のところには前向きの応援の仕組みもうまく発動していない。
今用意されている中身を検討してみると、中小企業庁がやっている無担保無保証人の融資の制度があって、これは、担保も要りません、保証人も要りませんで、千二百五十万借りられることになっている。ただ、これが余り現場では知られていないことが一つと、もう一つは、直近の決算が黒字であることという条件がついているわけです。
今五月ですから、直近の決算というとことしの三月。しかし、ことしの三月の決算というのは、去年の九月からの半年の大打撃を受けて、多くの焼き肉屋さんや牛ビジネスの川下の方々は赤字決算がほとんどですから、この黒字でなければいけないという条件がついていたらだれも借りることはできない。
これについて中小企業庁としてはどんなふうにお考えになっているのか、あるいはこの条件を変えるおつもりがあるのかどうか、お伺いしたいんですが。
○小脇政府参考人 お答えを申し上げます。
私ども中小企業庁といたしましては、今先生御指摘の焼き肉店を初めといたしまして、BSE問題の影響を受ける中小企業の方々の資金調達の円滑化、これを図るために、昨年十月からいわゆるセーフティーネット保証制度を適用いたしてきております。別枠で運転資金等の借り入れに対しまして保証を実施いたしているというところでございまして、これまで、五月二十四日現在でございますけれども、保証承諾実績は、全体で五千六百件、六百五十億に上っているということで、多くの中小企業の方々に御利用いただいている、このように認識をいたしております。
その中で、今先生御指摘の特別小口保証制度でございます。これは、保証制度の一つとして運営しているものでございまして、小規模企業の方々を対象に、無担保無保証人、そしてまた経営者本人の保証もなしということで信用保証を行う特別な制度でございます。
この特別小口保証制度は、リスクが非常に高いということもございまして、持続可能な制度にして運営をして、他方、簡易な審査によりまして迅速に小規模企業の方々に資金供給ができるようにということで、今先生、直近の決算が黒字というお話をされましたけれども、正確には納税要件、具体的には保証申し込みの直前の年において納税を行っていること、こういった客観的、明確な要件を設けて対応しているところでございまして、こうした制度の趣旨から考えまして、この要件の緩和をすることは適当でないと考えております。
ただ、この特別小口保証は特別な制度でございますけれども、セーフティーネット保証の中では、別枠で無担保の保証を行う無担保保証制度、これを我々用意いたしております。
この無担保保証では、納税要件はございませんし、経営者本人の保証があれば無担保で八千万円まで保証を受けられる、そしてまたこの五千万円までは第三者保証人の徴求も必要でないということで、利用者の便宜をできる限り図っているところでございまして、このため、このBSE関連のセーフティーネット保証につきましても、保証承諾額の八割がこの無担保保証となっておりまして、大いに御活用いただいているもの、このように認識をいたしております。
さらに、セーフティーネット保証に関しましては、本年二月のデフレ対応策の中でいろいろ要件緩和をいたしました。一層の拡充強化に努めたところでございまして、例えば売上高要件、売上高の減少の見込みを一〇%減から五%減に緩和をいたしまして……(鮫島委員「パンフレットをもらっているから内容はわかっています」と呼ぶ)三月中旬から実施をしているところでございます。
今後とも、こうした措置を用いまして、農林水産省とも連携を密にして、BSE問題で影響を受けておられる関連中小企業の方々に対しまして一層きめ細かな対応を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
○鮫島委員 みんなパンフレットももらっているから内容はわかっているわけで、いいんですが。
別枠保険限度額というのが、普通保険二億、無担保保険八千万、特別小口保険千二百五十万、三種類のメニューがある。今、その無担保保険で八千万ありますと言ったけれども、これは保証人を必要とするわけで、これだけの八千万の負担に耐えられる保証人を連れてこいといっても、もちろん、なかなかこれはやはり難しい面があって、今私が聞いたのは、もっと零細の家族経営でやっておられる特別小口保険の千二百五十万。
これについては、直近の決算が黒字であること、別の言い方をすれば税金を払っていることということになるんでしょうが。しかも、これは十四年の六月三十日まで。あと一カ月しかないんですよね。この十四年六月三十日までというふうになっている期限を、例えば半年なり一年、このBSEの対策法案が通って、基本計画をつくるという状況を踏まえて、この時期についても柔軟に考えるおつもりがあるのか。
それから、千二百五十万の小口保険について、直近の決算というのを、BSEが発生する前の直近の決算、つまり去年の三月、この決算というふうに読みかえない限り、ほとんどもう、せっかくこの法案が通って、手厚い応援の措置をとりますといってもこれは有名無実で使えないんじゃないか、実質的に。この法案の成立を踏まえて、この特別小口保険については、今の条件、期限について柔軟に構えるおつもりがあるかどうかというのが私の質問ですから、それに直接答えてください。
○小脇政府参考人 お答え申し上げます。
まず、第一番目のセーフティーネット保証の適用期限の問題でございます。
これは、私ども、十三年度末までというふうにしておりましたのを、今回国内のBSEの関係で直接間接的に影響を受けられる中小企業の方、これについては六カ月延長いたしました。そしてまた、出荷、販売等が著しく減少している十五業種の方につきましては、三カ月延長したところでございますが、この期限につきましては、今後ともさらなる適用期限の延長を考えていきたい、このように考えております。
一方、特別小口保証でございますけれども、先ほど御答弁申し上げました無担保保証制度におきましても、五千万までは第三者保証人を徴求しないという運用をさせていただいております。
したがいまして……(鮫島委員「千二百五十万の話をしているんです」と呼ぶ)千二百五十万と異なりますのは、経営者本人の保証を付していただくかどうか、こういう差異があるわけでございます。
中小企業の方々、大変今いろいろ御苦労されておりますけれども、担保がない、あるいは第三保証人が立てられないというところに大変悩んでおられるわけでございまして、この無担保保証は利用者の便にかなったもの、このように考えているところでございます。
○鮫島委員 私は筒井委員と違って割合忍耐強い方なんですが、それでもちょっと今の答弁は。
単刀直入に農林水産大臣にお伺いします。
きのうから何人かの委員が、助成は無理でもぜひ前向きの応援をやっていただきたいと。それは、省庁の壁を超えて農林水産大臣の方から、例えば中小企業庁の今のようなことについても強い要請を出してほしいというのが現場の声でもあり、我々の要請でもあります。
今の特別小口保険千二百五十万というのは、大変これは零細の家族経営の方々にとって頼りにしている、名前は保険です、融資制度なんですが、これが今言ったように期限は平成十四年の六月三十日までで、あと一カ月しかない。それから、直近の決算で納税していることと。というと直近の決算はこの前の三月ですから、ここはせめてBSE発生前の直近の決算、期間も、この法案の成立で、私は、随分また世の中に対策の内容が認知されると思いますので、初めてこの制度を知る方もたくさんいると思いますので、ぜひ最低半年程度延長措置を大臣の方から中小企業庁に強い要請をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○武部国務大臣 これまでも中小企業庁に対して種々要請してまいりましたが、私は、条件の緩和や期間の延長を含めまして、本制度に係る改善措置について、さらに円滑化のための措置が必要と考えておりますので、中小企業庁に対し要請し、相談してまいりたい。また同時に、平沼大臣にも直接私から事情をお話しして協力をお願いしたい、かように考えております。
○鮫島委員 ぜひ農林水産大臣からも強い要請を行っていただきたいと思います。
法案の内容そのものに入りますが、第七条に今行われている屠畜場での全頭検査に関する条項がありますが、この条文の中に、議員立法でつくったんだから自分で答えろということもあるかもしれませんが、厚生労働省令で定める月齢以上の牛について検査しなさいというふうに書いてあります。
これは厚生労働省の方で現在は月齢ゼロというふうに決めて全頭検査になっているわけですが、この条文で見る限りは、この月齢を状況に応じてだんだん上げていく、OIE基準なりヨーロッパ並み基準の例えば二十四カ月齢以上にしていこうというような変更もだんだんデータが積み重なってくると十分あり得る話だと思います。
そのときにやはり不可欠なのは、日本の牛集団全体における発生状況の正確な把握ということが前提になるはずですし、その牛集団におけるBSE発生の正確な把握のためには、やはり今検査をしていない死亡牛の検査が不可欠だと思います。もし月齢を今のゼロから上げていく場合には、死亡牛の全頭検査が整い、そのデータが積み重なってから考慮すべき事項だと思いますが、それについて厚生労働省の方ではどうお考えでしょうか。
○尾嵜政府参考人 お話ございましたように、厚生省令で定めます月齢はゼロカ月以上ということで定める考えでございますが、それについての将来議論があるということについては、昨日も若干申し上げました。
その際には、今も先生から御指摘ございましたように、屠畜場におきますBSE検査の対象の見直しを検討する際には、現在実施しております全頭検査結果のほかに、御指摘の死亡牛の検査結果、さらには国内外の知見に基づき専門家の御検討をいただくとともに、最終的には各方面の御意見、御要請を踏まえた検討を要する、そういうふうに考えているところでございます。
○鮫島委員 聞くところによると、最近のWHOの会議で、どうも日本はBSEの実態調査について腰が引けているのではないか、非常に日本の実態調査について信頼性が低い、その最大の根拠は、やはり死亡牛について正確な検査をやっていないから日本の実態調査は国際的にも信用できないというコメントも出されたようです。
ずっとこのことが問題になっていますが、農林水産大臣は、この死亡牛検査の必要性というのを、なぜ必要だというふうにお考えなんでしょうか。きのう、先日、厚生労働省の方は、専門家からの指摘あるいはWHOでの国際的な指摘というのが非常に大きな必要性の根拠になっていると思いますが、大臣は、なぜ必要だというふうにお考えでしょうか。
○武部国務大臣 BSEの防疫に当たりましては、BSEの発生状況を正確に把握いたしまして、得られたデータを活用して、清浄性や防疫対策の実効性についての科学的なリスク分析とリスク管理等を実施する必要があるわけであります。
OIEの国際動物衛生規約においても、より適切なサーベイランスを実施するために、死亡牛についても検査を実施すべきであるというふうに示されているわけでございます。
EUにおいては、EU規則により二〇〇一年七月一日から二十四カ月齢以上の死亡牛を対象にBSE検査を行うこととしているわけであります。
こうした状況を踏まえまして、我が国においては、BSEの感染状況の正確な把握、これを踏まえた防疫対策の評価、感染経路の究明、こういう観点から二十四カ月齢以上の死亡牛の全頭検査の導入に向けて検査体制の整備を進めているということでございます。
○鮫島委員 厚生省にも同じ質問をしたいのですが、それに加えて、死亡牛全頭検査をすべきだということを厚生省の方から御提言されていますが、先日、厚生省の方でも、農水省からの要請があれば協力するつもりがある、特にエライザ検査については厚生省の方がもう既に技術的蓄積も豊富なことですので、そういう面でも協力できるという御発言がありましたが、そのことの再確認と、厚生省の方はなぜ全頭検査が必要と考えておられるか、それをお答えいただきたい。
○尾嵜政府参考人 今、農林水産大臣の方からお話がございましたように、私どもといたしましても、我が国のBSE罹患牛の実態の把握、あるいは感染経路の原因究明の観点から、死亡牛の検査というものは非常に重要であるというふうに考えておるところでございます。
それで、協力の中身としましては、今鮫島先生からお話がございましたように、また、先般の御質問で私の方からお答え申し上げましたように、全頭検査を始めて既に八カ月近くなっております。そういった体制が整っている中で、検査の面では、私どもも御要請があれば御協力できるのではないかというふうに考えているところでございます。
○鮫島委員 死亡牛の全頭検査は確かにつらいことかもしれません。大分感染牛が発見されるのではないかと思います。そうしますと、確かに自分のところで飼っていて死んだ牛が検査したらBSEだったということを知ることはつらいとは思いますが、でも、国際的な信用を得るためにもここはそのつらさを越えてやはり検査に踏み切るべきですし、そして、不幸にしてBSEの感染牛が発見された場合には、それに対して、再建の体制も含めていかに手厚い体制をとるかということがむしろ大事ではないかと思います。
私は、死亡牛検査の必要性をずっと訴えていますが、このことによって逆に、心配しなくてもいい範囲が非常にはっきりするのではないかという前向きな意味もあるのじゃないかと思います。
多分、肉の専用種については、死亡牛も含めて検査しても一頭も出ないということになると思いますし、乳牛についてもかなりこの範囲が限定されて、むしろ安全な範囲が確認できる、それが私はもう一つの死亡牛検査の意味だと思いますので、ぜひここは、怖がらずに、積極的に体制を組んでいただきたいというふうに思います。
死亡牛が全体で七万六千頭あって、そのうちの四万頭が北海道だと。ほかの地域と比べて、特に北海道で死亡牛検査の体制をとるのがなかなか大変だと言われていますが、七万六千頭のうち四万頭と言われている、その数字の根拠は何なんでしょうか。
○須賀田政府参考人 七万六千頭も推定数値でございます。北海道でそのうち二十四カ月齢以上の死亡牛がどの程度いるかということを、私どもは北海道での家畜共済における死亡牛の発生頭数から推定をしたわけでございまして、それによりますればやはり三万八千頭から四万頭というような推計でございまして、北海道庁の方もそのような推計をしているということでございます。
そして、今、北海道の家畜保健衛生所の処理能力といいましょうか、焼却の能力でございます。北海道には家畜保健衛生所が十四カ所ございますけれども、その焼却処理能力が、約一千八百頭程度ということでございまして……(鮫島委員「まだ、後で聞くから、それは」と呼ぶ)そうですか。
○鮫島委員 それは、まだ時間がありますので、ゆっくり聞きます。
七万六千頭のうち四万頭近くが北海道で発生している、これを検査して処理するのが大変だという御意見が出ていることはわかりました。ただ、今の話は、二十四カ月齢以上ということで計算した場合にそうなる。
EUの方では、三十カ月齢以上の死亡牛検査をしなさいというガイドラインがあって、ただ、実際の検査の現場では、もうちょっと念には念を入れて二十四カ月齢以上にしようということで、二〇〇一年の七月から行われているのが実態だと思います。
私のところにフランスのBSE発生のデータがありますが、これは、一九九一年から二〇〇二年まで、十一年間に五百八十四頭の感染牛が確認できている。そのうち死亡牛は百九十七頭ですが、屠畜場の検査で見つかったのが百九頭。一番多いのが、獣医さんが農場段階で発見、あるいは農家がどうもおかしいというので通報した、このグループから発見されたのが二百七十八頭。全体の約五割が、農家及び獣医さんが現場で発見している。
死亡牛が百九十七なんですが、感染牛の年齢、月齢を見てみると一番若いのが三・六歳、これが一頭だけ屠畜場の検査で発見されていて、一番のピークは、六歳及び七歳というところが一番多く出ていて、全体の五百八十四頭のうちの約半分の二百三十頭が六歳から七歳の間、つまり、六歳齢の牛から約半数の感染牛が発見されている。とにかく、三・六歳で一頭だけ発見された。
今、二十四カ月齢と言っているのは、そういう意味では、随分幅をとって、出そうもないところからも検査をしているということですが、これは屠畜場での検査も同じで、何か金田筆頭理事がEUに行かれて、日本ではすごいんだ、ゼロ月齢から検査をしているんだと胸を張ったら、何て非科学的なんだと向こうから言われたという話があるそうです。
この死亡牛検査についてもこれだけのヨーロッパの蓄積がありますので、二十四カ月齢以上にとると七万六千頭いて北海道で四万頭という数字になるかもしれませんが、これをそのEUのガイドラインに沿って、例えば三十カ月齢以上で切った場合、あるいはEUでの最若齢の発症、三・六歳で切った場合、計算がないかもしれませんが、どのぐらいこの数字は減ってくるんでしょうか。
○須賀田政府参考人 正確な数値は調べておりませんのでわかりかねますが、確かに、フランスの感染牛の数値は先生おっしゃったとおりでございます。
ただ、私どもが伺っておりますのは、EUでは、二〇〇〇年の決定によって、二〇〇一年一月一日から、三十カ月齢以上の死亡牛についてBSE検査を義務づけたんですけれども、二〇〇一年のEU規則によりまして、七月一日から、二十四カ月齢以上ということに対象年齢を引き下げておるわけでございます。
これは、私どもが文献で伺ったところによりますと、三十カ月齢未満、二十八カ月齢の牛二頭にBSEの発生があったということから対象年齢を引き下げたと伺っておりまして、こういう問題は、リスク分析といいますか予防原則、何と言うのかわかりませんけれども、やはり念には念を入れて、サーベイランスでございますので、二十四カ月齢以上とするのが適切ではないかというふうに考えているわけでございます。
○鮫島委員 もちろん、今、死亡牛検査の話で二十四カ月齢以上にした、そういう意味ではスタートはなるべく幅広く入っていって、データが積み上がって、それに応じて狭くしていくというのが原則だと思いますので、スタートを二十四カ月齢に強く反対する根拠は私も持ち合わせておりません。
ただ、それで計算すると、全国で七万六千頭いて、そのうち四万頭が北海道、それで大問題になっているわけですが、先日来、須賀田局長も、大臣も、副大臣も、とにかく燃すのが大変だ、腐っちゃうんだ、腐敗しやすいんだということで、全部燃さなくちゃいかぬということを前提にして体制を組もうとしているので大変だと。だけれども、きのう、農林水産大臣の御答弁で、腐乱防止のための冷蔵保管施設をまず設備しなくちゃいかぬと。これはそのとおりだと思います。腐乱防止のための冷蔵保管施設ですから、これを設備した以上は腐乱しないはずなんです。
ところが、焼却施設がなぜ必要かというと、全部腐っているからやらなくちゃいかぬと。これはどう考えても二重投資で、腐乱防止のための冷蔵保管施設を設備すれば、エライザ検査で二十四時間今までよりも余計に時間のかかるだけの話ですから、今までと同じような処理方法、レンダリングと埋却でいけるはずで、なぜ焼却設備がないといけないのか。これがまた、近隣から迷惑施設というような批判を浴びるとさらに時間がかかる。
したがって、全国で一律にスタートは切れないというのが最大の根拠だと思いますが、これは明らかに二重投資じゃないかという話と、私は、先ほど、なぜ全頭検査の必要性を感じているのかというふうにお聞きしたのは、早くやらなくちゃいかぬ、何とかしなくちゃいかぬということがあれば、少なくとも腐乱防止の冷蔵保管施設を設置したらそこから検査体制をしけるんじゃないかと。検査については厚生労働省の方の屠畜場の検査員も協力すると言っているわけですから、焼却施設、七万六千頭を焼却する施設が整わなければできませんという言い方はおかしいのじゃないかというのをずっと一貫して言っているのです。
いまだに私はここは納得できないのですが、大臣はいかがなんでしょうか。金田筆頭がうなずいておりますよ。二重投資ではないか。きのう、腐乱防止のための冷蔵保管施設と御答弁なさっているわけですから。
○武部国務大臣 鮫島先生のおっしゃっていることは極めて論理的だ、このように思います。
が、しかし、BSE検査の結果が判明するまでは、腐乱防止のための死体の保管の冷蔵施設が必要でありますし、この施設そのものがいわば迷惑施設と言われているものでありますし、検査結果が陰性であっても、化製場の立地等によっては死体引き受けが困難な場合も、そういうケースもあり得るということから、死体を直接処理する焼却施設が必要である、そういう要請も現に私のところに、北海道の農業団体の方でありますが、そんな事例もございます。
いずれにいたしましても、化製業者を含む関係団体にも参加していただきまして検討を進めているところでございまして、地域の発生状況、処理の現状等を踏まえまして、地域の実情に応じた効率的な検査体制の構築を図る。
そして、できる限り早急に二十四カ月齢以上の死亡牛全頭の検査が開始できるように国として支援していかなければならないというふうに認識をしているわけでありまして、先生のその御意見というのは論理的には全くそのとおりだな、私はこう思うのでありますけれども、やはり、実情、実態ということに照らして、そういう要請もあるというようなことも事実でございますので、その辺のところは関係者とよく検討をする必要があるのではないかと。
私のところには、現に、私の地元ですけれども、オホーツクで第一頭が出ましたから、もう本当にクリーンなんだ、そういう地域のオホーツクブランドをこれから構築していくためにもそういったものが欲しい、自分たちも金を出す、こういう話もありまして、税金のむだ遣いはしてはならないとは思いますけれども、その辺の実情、実態というものをもう少し、今検討中でありますので、それに従って支援をするという姿勢でいきたい、このように考えているところです。
○鮫島委員 まことに論理的だけれども、しかしというのがつくところがどうも不思議なところですが、ただ、きょうの答弁は今までの答弁と違う。つまり、七万六千頭全体を焼くような焼却施設が整わないとこれが発効できないというような話でしたが、今は特殊な条件にあるところについては焼却施設が必要だということで、それだとこれまでの御答弁よりは大分変わったなという気がします。
そのことを考慮して、この法案の中にも、第六条の二項で、地理的条件等により当該検査を行うことが困難である場合は特例がありますよという条項があるわけでして、主にこれは離島を想定しているんですが、まさか北海道全域をこの地理的条件により困難な地域というふうにお考えになるようなことは、よもやないでしょうね。大臣に確認しておきます。
○武部国務大臣 今御答弁申し上げましたように、実情、実態というものをもう少し詰めてみる必要があるだろうと思います。これは地理的な条件だけじゃなくて、腐乱ということにはならないかもしれませんが、北海道は極めて極寒の地でありまして、季節的なそういう事情もあるのではないかという、さまざまな、それも地理的な条件の一つだろうと思いますけれども、それはもう少し実情というものを把握する必要がある、このように考えております。
○鮫島委員 いや、別に、地理的条件等と言って、等がついていても、これは何かある種エリアを言っているわけでして、これは委員長提案ですから、本当は委員長に、この等の中にどこまで入るのかというのは、異例なことかもしれませんが、委員長からもぜひひとつ御発言をいただきたいと思います。
○鉢呂委員長 このBSE特別措置法案の経過については、与野党で協議をして、最終的にきょうに至ったわけであります。
死亡牛の取り扱いについては、野党側から、期限を区切ってということで、来年の四月一日、しかし離島の問題については施設等が整わないということもあり、再来年、十六年の四月一日というのが野党の要請であったというふうに承知をしております。
そういう中で、厚生労働省からは、死亡牛の全頭検査についての要請も農水省側にあったというふうに聞く中で、やはり死亡牛の検査の重要性について、与野党ともそれを認めて、来年四月からこれを実施する。しかし、施設等の準備が整えばそれも前倒しで行うということについても、書面でそういう取り交わしをしたわけであります。
したがいまして、この地理的条件等については、限定的に、あくまでも一定年齢以上の死亡牛の全頭検査をするという、そういう趣旨を十分生かす中で、例外措置が広がりを持たないように、限定的である、そのような形でこの法案が最終的なものとなったというふうに承知をしておりますので、そのような形で農水省側が死亡牛の全頭検査の体制を一日も早く整えて実行していく、このようにお願いをする次第でございます。
以上でございます。
○鮫島委員 ありがとうございました。委員長から御答弁をいただきました。
北海道は大変広い地域で、九州と四国を合わせたよりも北海道は大きいわけですから、限定的な地域と言った場合に、まさか北海道全体が入ることはないということを今の委員長の御答弁も含めて確認させていただきたいというふうに思います。
もう一点だけ、これも再確認なんですが、牛の肉骨粉の肥料利用、果樹農家からは早く使わせてくれという声が農水省の方にもかなり上がっていると思います。甘みを上げるためには蒸製骨粉ではやはりだめで、肉骨粉を使わないとという声があるとは思いますが、死亡牛の全頭検査体制が整うまでは、やはり汚染肉骨粉が混入する可能性があるわけですから、これの肥料利用は認めないということをもう一度大臣の口からお約束していただきたいのですが。
○武部国務大臣 そのように考えております。
○鮫島委員 最後に、遠藤副大臣、この間大臣を大変見事にお支えいただいたと私は思います。特に技術的、専門的な分野については大臣もよくお勉強をされてきたというふうに聞いていますが、筑波の動物衛生研究所で、BSE検査のための新しい実験施設をつくる予算が七十億近くついていると思いますが、この実験施設、研究施設を使ってどういうBSE研究をしようとしているのか、その骨格を御紹介いただきたい。
きのうの菅野委員からの発言もありましたが、感染牛が発見されると、同居牛のほとんどが疑似患畜扱いになって殺処分を受けてしまう。これは大変酪農家にとってはきつい話で、家族を失うのと同じぐらいつらい思いだということをこの前参考人の方も言っていましたが、せめてその同居牛の一部がこういう筑波の研究施設に移されて、そして世のため人のために生かされれば少しは救われる、世の牛のため人の牛のために我が牛が生かされればと言うのが正確かもしれませんが。
どんな研究計画をお持ちなのか、この感染牛と一緒にいた同居牛を、そういう施設で実験動物として今後導入するおつもりがあるかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
○遠藤副大臣 約七十一億の巨額の費用を投じて筑波にP3の実験施設をつくるわけですが、そこでは、いまだに明らかでない異常プリオンのいわば性状解析といいますか、また不活化の技術の開発等々、いろいろな課題があろうかと思います。
と申しますのも、日本がアジアで最初のBSE発生国となったことは本当に返す返すも残念でありますが、この不幸をばねにして、不明の点の多いBSEについて、むしろその解明に日本は貢献しなきゃならぬのじゃなかろうか、そういうふうに考えました。そこで、二次補正ではありましたけれども、七十一億という巨額の予算をお願いしたわけであります。
まず第一に、今までやってきた十数項目の、二十項目近い対策は、病気でいえば対症療法でありまして、根本的な対策というものは幾つかあろうと思います。
一つは、話題になっております死亡牛の検査、滞留する廃用牛の処理及びこれまた滞留しておる肉骨粉の処理。
そして、これはちょっと大変なことかと思いますが、隔離飼育というのは必要ではなかろうかと。いわゆる疑似患畜をすべて殺してしまう、これは家伝法上だと。随分私も事務方とやり合ったのでありますが、伝染病なのか、伝染病じゃないじゃないかと。これは、やはり生かしておいて研究材料にすべきだということを、声を荒げながらやり合って、ついに、行く行くは、そういう隔離飼育をして、不謹慎な言葉かもしれませんが、実験感染までさせなければならないと。
十八万頭もの検体を調べたイギリスとわずか四例の日本では、何だかんだ言えるような資格や能力もない。したがって、私どもは、BSE発生のメカニズムがどういうふうになっているのか、あるいは生前診断の方法というのはないのかどうか。それから、そういういろいろな問題を突き詰めるためには、皆殺してしまうというようなことではいかぬと。
筑波の研究施設では、P3という非常に性能の高い施設で、二十ないし三十頭を検査できるような施設にしてまいりたい。夏以降にイギリスの獣医学研究所に職員を二ないし三名派遣をして、検査技術等々を習得させてまいりたい。ことしじゅうに設計を完了して、来年には建設できるような運びにしたい。したがって、二度の繰越明許ということになるのかなと。しかし、これも特殊な事情だということで政府全体として御理解をいただこう、こんなふうに考えているところであります。
一応、動物衛生高度研究施設というふうな形で今進めさせていただいているというところでございます。
○鮫島委員 もう時間をオーバーしていますが、今副大臣がおっしゃった生前検査、今は、とにかく首ちょん切って延髄とらないと検査できない、それでシロでしたといったら、何のために殺したんだという話になりますので、この生前検査をもし日本が確立できれば、大変世界でも高い評価を受けると思いますので、ぜひこれを重要な研究課題にしていただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○鉢呂委員長 これにて鮫島宗明君の質疑は終了いたしました。
次に、赤羽一嘉君。
○赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。
きょうは、早朝からの委員会での熱心な御議論、本当に御苦労さまでございます。また、BSEの大変な、未曾有の、歴史上初めての問題を教訓として、今般、いろいろな御苦労の中で、与野党協力の中で新しいBSE対策特別措置法が成立される運びとなりましたことを、まず心から敬意を表する次第でございます。
私は、きょう、限られた三十分という時間でございますが、この法案が実際に施行されるときに当たって、実態の中で懸念される点についての確認と、また法案以外で現実にまだ残されているBSEに関連する問題について幾つか質問をさせていただきたいと思いますので、大変短時間でございますので、端的な御答弁をお願いしたいというふうに思っております。
まず、肉骨粉の焼却についてでございますが、現在、実に十二万トン近くの肉骨粉が焼却ができずにされていると。これを、毎日今のところ約九百トンの肉骨粉が生産される中で、その生産量を下回るだけの焼却しかできていないというのが現実でありますが、この保管の状況について、野積みの保管とか営業倉庫の保管とかいろいろあると思いますが、この保管状況についてまず御報告をいただきたいと思います。
○須賀田政府参考人 在庫が十二万三千六百トンございまして、この保管状況でございます。
営業倉庫を含めました屋内で九万九千六百トン、野外に二万四千トンが保管をされている状況でございます。
○赤羽委員 これは、営業倉庫というのは限りが多分あるわけでありまして、今後ふえていくのは恐らく野積み、そのまま放置される在庫の量がふえていくのではないか、こう思うわけでございます。
大臣、多分肉骨粉のにおいというのはよく御存じかと思いますが、これは、普通の状態でも大変な動物性たんぱく特有の異臭があるわけでございます。この夏に向けて、恐らくこの七月、八月、十二万トン、今私は十二万トン弱という質問をしましたが、答弁では、もう十二万三千六百トンですか、毎日のようにふえている在庫、特に野積みの在庫で、異臭騒ぎ、恐らく、これは夏になると虫も出てくるんですね。
この飼料原料というのはやはり虫がつく、跳びはねる虫ですか。それとか、自然発火なんかの問題も指摘されているところでございますが、こういったことについて、今後どういうふうな対策をとってこの夏をまず乗り切ろうとされているのか。その辺の具体的な対策についてお聞かせいただきたいと思います。
○須賀田政府参考人 私ども、レンダリングの業界の方から、先生言われましたように、におい、悪臭、それから虫の発生、自然発火というおそれを指摘されておりまして、現在、独立行政法人の消防研究所あるいは畜産草地研究所等と連携をして、原因と対応というものを検討しているところでございます。
まず、自然発火につきましては、肉骨粉が脂肪分を多く含んでいるということで、製造直後の温度が高いままで袋詰めされた場合等には油脂の酸化によって発熱が起こりやすいということで、徐々に熱が内部に蓄積され、発火するおそれがあるということでございますし、雨漏り等によりまして保管状態が悪いと微生物が増殖をしやすくて、悪臭等の発生の原因になるばかりか、その発酵熱によって発火が起こるおそれがあるということが解明をされました。
また、害虫の発生につきましても、肉骨粉が動物性たんぱく質に富むということで、乾燥食品等に発生する肉食性のカツオブシムシ等が発生をいたしまして、悪臭の発生だとか、袋に穴をあけて保存性の低下につながるといったおそれがございます。悪臭の発生につきましても、害虫の発生、雨漏り等の起こる場所での保管等が原因になっているというふうに考えられるという分析結果を得ました。
そこで、消防庁と連携をしながら、肉骨粉からの出火防止のためには、冷却後の袋詰めの実施、あるいはカツオブシムシ等の害虫の駆除等の情報の提供というものを進めていきたいということと、劣化の進んでいる可能性の高い、保管期間が長い肉骨粉あるいは高温多湿な場所で保管されていた肉骨粉から焼却をしていくというようなことについて周知徹底を図っていきたいということでございます。
発火につきましては、消防部局と連携して、万が一の対策についても検討を行っているところでございます。
○赤羽委員 今、十二万トン余りの在庫数量があるということですが、これは私の聞いているところでは、来年の夏ぐらいにようやく毎日の生産量と焼却量がスクエアになる、こういうふうに御報告いただいています。
これから、ことしの夏を越えて来年の夏、向こう一年間余りの中で在庫量がピークになるのはどのくらいというふうに計算されているのかという点が一つと、それに対して、今、やはり野積みの在庫状況では大変いろいろな危険があるという認識だったと思いますが、室内、営業倉庫でどのくらいカバーできるのかということの見通しを教えていただきたいと思います。
○須賀田政府参考人 来年の夏ごろにスクエアと先生おっしゃられましたけれども、この六月中には焼却量と生産量が均衡する、九百トン、九百トンになろうかということでございまして、現時点が恐らく在庫量のピークに近いものじゃないかというふうに私ども思っております。
そして六月を過ぎますれば、日量でいきますと、生産量九百に対して焼却量千百トンということになりまして、来年の夏までには現在保管されている肉骨粉の在庫解消というものに向かっていくというふうに見込んでいるところでございます。
○赤羽委員 わかりました。
それで、千百トンぐらいの焼却能力、実態の焼却量ができる。この計算は、恐らくそのうちの六割が一般焼却施設で、四割は恐らくセメント工場での焼却というのを想定されているのだと思うんですが、なかなか、セメント工場での最大焼却量、キャパの割に実態の焼却が進んでいない、難しいところもあるようにも伺っていますが、その辺の実態、現状について御報告をいただくとともに、どのような契約をしているのか。
私、セメント協会の人と話をしたときに、当初、農水省からは半年ぐらい頼む、こう言われていても、要するに半年だけだとラインを変えるわけにいかない、やはり商売ベースとして、ちゃんとした原料として認知するということ、半永久的に使えるものだったらラインを変えたりしてもいい、いろいろな意味で小袋の対応とかというのが難しいとも聞いていますので、そういったことはちゃんとしたオファーをしてもらいたい、こういうような要望もあったと思います。
今、現状、セメント工場とどういう取り決めでやっているのか、その点について御報告をお願いします。
○須賀田政府参考人 先生おっしゃるとおり、セメント協会の方から将来展望というのを求められました。確かにおっしゃるように、ラインを整備するのに追加の設備投資をしても、将来とも稼働が可能であろうかどうかというようなことで求められておりました。当分はそういう肉骨粉の焼却需要というものがあるということをお答えしたところでございます。
現在、三月六日、高知県を初めに十二工場で本格的な焼却が始まっておりまして、五月二十四日現在、日量百三十七トンの焼却量がございます。現在、環境省の認定をいただいておりますのが三十工場ということでございまして、セメント協会から報告していただいておりますのは、ピーク時で四百五十トンは可能という報告をいただいております。
そして、私ども考えますのに、やはりレンダリング工場が所在する地域に必ずしもセメント工場があるとは限らないということで、県域を超えた調整ということでございまして、地方農政局が中心となって県間調整を行っておりますし、やはりセメント工場周辺の住民の方の御理解というのもなかなか得られないところもございますので、農政局の職員等が説明会に出席する等をしているところでございます。
そして、契約関係でございます。
セメント工場とレンダリング工場との間で、まず契約は、焼却の見込み数量、単価、焼却期間というようなことを個別に契約いたしまして、そして焼却に要する経費については全額国庫負担ということで、社団法人の日本畜産副産物協会から直接セメント工場に払い込む、こういう関係になっているところでございます。
○赤羽委員 牛由来の肉骨粉は恐らく飼料用とか、多分、相当の期間、使う状況にはないと思いますので、セメント工場の中でも有力な熱エネルギーの原材料として前向きに使っていただけるような、また使いやすいような条件でセメント協会と取り組んでいただきたい、強く要望したいというふうに思っております。
ここでこの特別措置法ができ上がると、この法律の中、多分詳しく、つまびらかになっているわけじゃありませんが、牛由来の肉骨粉の、要するに販売の禁止とかということがかかると、これは牛由来の肉骨粉は一般廃棄物ではなくて産業廃棄物として認定するようになってしまうのではないか、こういう懸念があるわけです。
そうなると、今毎日六百五十トンぐらいですか、一般焼却施設で焼却していた部分が焼却できなくなる。産業廃棄物になると、今度は、ちょっとこれは私は詳しくないんですが、排出責任というのが問われるので、ここに補助金みたいなものを出しにくくなるんじゃないか。
こういったことについての見通しはどうお考えになっているのか。これは環境省なのか農林水産省なのか、どちらかお願いします。
○飯島政府参考人 先生御指摘のとおり、現在、肉骨粉については一般廃棄物の取り扱いをしておりまして、その理由は、これまで製品として流通していたものが一時的に廃棄物の状況になってしまったということで一般廃棄物の扱いをしております。
制度的に、これから必ず廃棄物になるものだという整理がなされますと、御指摘のとおり、これを産業廃棄物として政令で指定すべきという意見も出てくると思いますので、そこは慎重に検討させていただきたいと思っております。
○赤羽委員 慎重に検討した結果、産廃認定になってしまっては、今農水省がずっと答弁された焼却のスキーム、ことしの夏スクエアになって、来年の夏在庫がなくなるというのは全部吹っ飛んでしまうんですよ。ここについてどう考えるのかということをちょっと。
○飯島政府参考人 今お答え申し上げましたのは、一般廃棄物であるか産業廃棄物であるかという議論は当然していかなければいけないところでございまして、仮に産業廃棄物に指定した場合でございましても、これを産業廃棄物の焼却施設で焼却することは可能でございますし、また、市町村が持っている一般廃棄物焼却施設におきましても産業廃棄物を焼却することは可能でございます。
ある意味では、市町村が、一般廃棄物であるから、六百数十トン現在所有していて、産業廃棄物だとそれを断るような事態というのは考えられないことはございませんが、法的には、産業廃棄物であっても市町村の一般廃棄物焼却炉で焼却することは可能でございます。
○赤羽委員 補助金の問題なんかも含めて、大臣から、この件についてぜひ環境省とよく詰めていただきたいということを要望したいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武部国務大臣 環境省、環境大臣によく話をしたいと思います。
また、先ほど鮫島委員の質問の中でバイオマスのお話もございました。私ども、今後、農林水産政策の新しいコンセプトといたしまして、生物資源の総合的な活用というようなことを打ち出していきたい、このように思っているんです。そういう意味では、肉骨粉等の問題についても新たな視点で検討もできるんじゃないか、こう思っておりますが、それはまだこれからの話でありますので、当面は環境大臣によくお話をして、円滑にいくように最大限努力してまいりたいと思います。
○赤羽委員 ぜひこの夏、夏場になると大変な問題も発生することが予想されますので、手抜かりなきようよろしくお願いをしたいと思います。
続きまして、またこの夏、ちょっと違うことで夏を迎えることによって心配なのは、要するに今屠場で全頭検査をしている、そしてその検査の間、いわゆる肉だけじゃなくて、内臓とか骨とか皮とか、こういったものも屠場から持ち出せないようになっている。
まさに大臣のところにも届いていると思いますが、日本畜産副産物協会、要するに内臓を御商売にしている方、また皮やそういったものを商売にされている方、こういった人たちは、肉と違って内臓部分やそのほかというのは大変腐り方が速い、この夏そこで一日置かれることが大変商売にならない話になってしまう。ここについて大きな要請も農水大臣のもとに届いているというふうに思っております。
まず一つ、これは厚生労働大臣の管轄かもしれませんが、現在、全頭検査をされてきたわけですね、昨年の十月から。七十万頭ぐらい検査をされていると、それなりの検査結果のサンプリングができている、サンプリングというか検査の結果が出ていると思うんです。そうすると、これは、EU並みの加齢三十カ月以上の牛についての検査は義務づけて、三十カ月未満について科学的根拠をもとにそれを外していくような方向というのはまず考えられないのかどうか。これは厚生労働省の話かもしれませんが。
○尾嵜政府参考人 先ほど鮫島先生からもちょっと御質問がございましたが、今回の特別措置法の関係につきましては、施行に際しまして、厚生省令では現行と同様にゼロカ月ということで定めて、全頭検査を続けるという考え方でございます。
それで、将来的にはこの対象をどうするかという議論が必要であるという認識は持っておりますが、その際には、全頭検査の結果であるとか、あるいはその他専門家の御意見を聞いた上で、なおかつ関係者なり、あるいは今安心をしていただいている、国民がこの全頭検査によって非常に安心をなさっているという面もございます、そういったことも含めて、十分議論し検討する必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
○赤羽委員 この点についての厚生労働省の考えはよくわかりました。
それでは、全頭検査をしばらくの間続けると。その場合、そこに付随する内臓、血液、骨、皮、こういったものの保管というか、冷蔵保管の問題というのは残ると思いますし、この点についてちゃんとやってくれないとそういった商売が成り立たない、こういった強い声もあると思いますが、この点、全国の屠場の中で必ずしも冷蔵設備が十分だというような状況にはない、私はそのように考えているところでございますが、この点についてどのような認識であり、またどのような対策をとろうとされているのか、答弁を願いたいと思います。
○須賀田政府参考人 私ども、内臓等の畜産副生物、BSE検査の結果が判明するまで屠畜場外に搬出できないということで、その間品質が劣化するということで、冷蔵保管施設の整備に対する強い要請を受けているわけでございます。
それを受けまして、私どもの管轄しております産地食肉センターにおきます可食内臓の冷蔵保管施設については、BSE関連対策といたしましてその整備について予算措置をしておりまして、これまで三十カ所ほど整備をしております。
今後とも、こういう食肉センターにおける施設整備を通じまして副産物の流通の安定というものを図っていきたいというふうに考えているところでございます。
○尾嵜政府参考人 厚生労働省といたしましては、公営の屠畜場に対しまして冷蔵設備等の補助制度をつくっておりまして、それの補助対象としているところでございます。また、民営の屠畜場に対しましては、冷蔵設備等を対象として、固定資産税の軽減措置を講じているということでございます。
今赤羽先生からお話がございました、協会からの御要請があるというのは私どもも聞いておりまして、この二月に各都道府県等を通じまして、屠畜場の設置者に対しまして、特にお困りになっているのが牛の原皮の問題だということをお聞きしておりますが、屠畜場内におきます施塩と保管を可能にするなど、円滑な処理ができるように要請をしたところでございます。
それと、ちょっと長くなりますが、最近、屠畜場でのいろいろな状況について調査をしておりますが、その結果によりますと、これは五月十五日現在でございますが、内臓についてはほとんどの、ほぼ全施設で冷蔵庫なり冷蔵コンテナで保管をしているという状況でございますが、今申し上げました皮につきましては、塩蔵保管をしているのが百六十七施設のうちの五十二施設でございます。百施設を超えるところがまだそういう対応をしていないという状況でございまして、こういう結果を踏まえて、また改めて現場の状況を確認した上で、要請等を考えていきたいというふうに考えております。
○赤羽委員 全国の屠場、いろいろな種類があると思いますが、市町村営の屠場の場合、実際の運営をしているのは、中央荷受けとか、食肉業界の方たちが運営をしているケースが多いと思うのですね。そういったところで、現場としてやはり、その場でも皮とか骨とかということの施設はあっても使えるか使えないかというのはまた別の問題でありますので、そういった点まできめ細かい厚生労働省としての検査というかチェックをしていただくことを強くお願いしたいというふうに思っております。
それと、あと、今回の牛由来の肉骨粉の販売を禁止する、これは法制化されると、多分レンダリング業界は大変大きな再編がされるのではないか。所によっては、あなたのところは牛由来の肉骨粉だけつくりなさいよ、こっちは豚、鶏の肉骨粉をつくりなさいよ、こういったところも出てくると思うんですね。
そうしますと、牛由来の肉骨粉だけをつくれというと、これはまさに産業廃棄物をつくりなさいという話になると、今までの商品価値はなくなる。商品価値のないものを専属につくれということは、そこで商売をしている人たちは大変な状況で、ひょっとすると、もうこれ以上やるのはやめます、そんな商売にならないような話というのはとてもじゃないけれども続けられませんということが出てくることが予想されると思うのです。
この畜産業界というのは、もう言わずもがなですが、サイクル事業でして、どこかが詰まってもうまくいかない。そういった意味で、牛由来の肉骨粉の製造をしてもらう場所というのは確保されなければいけない、そう考えておりますが、そのために、今施されている補助金、この補助システムが、そういったことの新しいスキームができ上がるまでというか、新しいスキームが円滑になっていく、その中で国としての支援体制が続けられていくのかどうか、このことを農林水産省に御確認をしたいと思います。
○須賀田政府参考人 大変難しい問題でございます。牛の肉骨粉の生産自体は、先生おっしゃるように、屠畜解体に伴う残渣の処理の過程で不可避なものでございまして、これを処理する必要はあるわけでございます。
現在、チキンミール等の、豚、鶏用飼料等への解除でございますとか、肥料でございますとか、そういうのを専門家の意見を聞きながら解除をしてきているわけでございまして、いろいろな事業で、豚、鶏と牛の副産物を分けるということで助成措置もあるわけでございます。
まず一つ、レンダリング業界全体のいわゆる再編の問題につきましては、その施設の整備に当たりまして、役割分担等について、地方農政局ブロック単位で、レンダリング業界とともに将来のあり方について検討を進めているところでございます。
そして、現在講じておりますその支援策でございます。当分はこれを続ける必要があろうかというふうに思っておりますけれども、将来的な費用分担、やはり、この後の牛肉の消費の動向、十分ペイするかどうかというような価格の動向も踏まえながら、屠畜場、生産者、消費者というものを含めた関係者とともに、将来の負担のあり方ということが広く検討されるべきだろうし、そういう方向で我々も検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○赤羽委員 いつまでも補助金をずっと続けるというのは答えにくいと思いますが、肉骨粉の処理代が牛肉の価格に転嫁できるというのはなかなか複雑過ぎる話だと思いますし、そんなに簡単なことじゃないと思いますので、知恵を出して、新しいスキームをつくることにまず全力を挙げながら、その知恵が出尽くす前に補助金を安易に切るようなことがないように、ぜひ強くお願いをしたいというふうに思っています。
最後に、今回この法案の中でも言われるんでしょうけれども、要するに、経営が不安定になっている関連業者、特に、牛肉販売の事業を行う者、飲食店営業者等に対しても、その経営の安定を図るために必要な措置を講ずるものとするというのが、今回の特別措置法の一つの大きな目的だというふうに、そう理解をしております。
今回のBSE問題に関する調査検討委員会の報告でも、やはりもう少し川下にしっかり対策をとるべきではないか、こういった厳しい報告もあったようですし、大臣の御答弁でも、私の質問に対しても、私ども今財務省に向けて川上対策じゃなくて川下対策にももっと重点を置かなきゃならないんだということを言っているとか、問題は先ほど申し上げましたように消費の回復でございますといったことが繰り返し御答弁があったところでございます。
この点について、先ほど鮫島先生の質問で中小企業庁からるる答弁があったけれども、私は、根本的に間違いがあるということを指摘したいと思うんですよ。要するに、営業が、小売高というか商売の取引が下がった、売れなくなった、だから金を借りるという発想にはならないんですよ。金を借りるときというのは、設備投資をするとか、前向きなときにお金を借りて、そして前向きなことをやっているから返そうというのが商売人の発想ですよ。売り上げが七割も減している、八割も減している、大変だ、そこで金を借りるというのは、まさに自分の首を絞めることにつながるんだけれども、とりあえず今は自分の首が絞まることだけは避けたい、先送りしようということですよ。
だから、現場を歩いてみていただければわかると思うけれども、中小企業庁のセーフティーネットの保証は大変すばらしい制度であるけれども、それがフルに機能したかどうかというのは検証する必要があると思いますよ。金を借りられないような零細小売店をどうしていくのかといったことがやはり一番大事だというふうに私は思います。
BSE問題のこのポンチ絵でこの前も農水の質問をしたんだけれども、やはり、川上に対してはいろいろな知恵が出ているんですね。BSEマル緊事業ですか、私、こんなこと初めて聞きましたけれども、このBSE問題で。コストの部分に家族労働費を含めたなんというのを、だれの知恵だか、びっくりするような緊急事業対策費なんだけれども、こういったことはやはり川下にも考えていかないと、本当に救えないと思いますよ。
ですから、特例融資ができるからといって、それで済むというようなことではなくて、ぜひ、ここに、この新しい法案にそういったことを目的として掲げられる以上、やはり、物すごく苦しんでいる零細の小売店のところに実際に足を運んで、どういった対策が必要なのかといったことを真剣に議論をしていただきたい。
農水省の答弁は、こういう質問をしますと、二千円のフードクーポン券を五万人に配りましたなんという、総額一億円みたいなことを偉そうに答えるんだけれども、そんなの、効果があったのかないのかということも検証して、本来、こういう小売業の人たちがダメージを受けたときにとるべき対策というのは、ぜひ、今回新しい法律ができることを契機によくよく考えていただきたい。これは本当に食肉の小売店の人たちの切なる声だというふうに思いますが、最後に、大臣はもう御退席ですので、副大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。
○遠藤副大臣 確かに、委員おっしゃるとおり、生産現場に近い形での金融支援あるいは助成事業というのは際立っておるかと思います。とりわけ農業金融の世界において、無担保無保証の制度を導入したなんということは画期的なことだったなと思っております。
しかしながら、また、川下の精肉店あるいは焼き肉店、非常に経営上困難を来しておりまして、全体としてはやや回復基調にあるとはいうものの、受けたダメージは相当大きい。
私、先日、焼肉協会の総会に呼ばれまして、行ってまいったんですが、約二万店ありますが、協会加盟は四百ぐらいでありまして、その後、今度の事件をきっかけに会員をふやしたと。結局、我々がそういう川下対策でやるのは協会を通してでありますから、すると、加盟店にしか行き渡らないということになります。その点を話しましたら、今お話に出ましたクーポン券などは、全国の小売店に、焼き肉店などにPRをした、こうおっしゃるんであります。
しかし、この政策の浸透度合いというものを絶えず検証していかなきゃならぬし、八千万円の特別保証枠にしましても、この際だから既存の債務を借りかえできないだろうか、そういうふうな考え方の方も結構いらっしゃるわけでありまして、少し川下対策にきめ細かさが必要だということを痛切に感じておりますから、中小企業庁と一つ一つのケースを列挙しながら、行き届くような金融支援対策というものを講じてまいりたい、このように思っておるところであります。
○赤羽委員 どうか、対策をするには金が必要で、財布を持っている農林水産省がしっかり小売店対策もとっていただけるように強く要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○鉢呂委員長 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。
午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十時休憩
――――◇―――――
午後零時三十一分開議
○鉢呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、牛海綿状脳症対策特別措置法案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、委員会において御議論いただき、また理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。
昨年九月、千葉県内で飼育されていた乳用牛が我が国初の牛海綿状脳症、BSEと確認されて以来、現在までに計四頭の感染牛の発生が認められております。
この間、政府においては、BSE感染源の究明に努めるとともに、肉骨粉を含む飼料の製造、販売、給与等を全面的に禁止し、食肉用に処理されるすべての牛に対するBSE検査体制を確立しました。また、生産者や食肉関係事業者の経営の安定のための緊急特別支援や融資措置、BSEに関する情報の提供等の諸対策を実施してきたところであります。
しかしながら、BSEの発生は、行政における危機管理体制の欠落、農林水産省と厚生労働省の連携不足等もあり、生産者、関係事業者に大きな損害を与えたのみならず、食品の安全に対する消費者の信頼を損なうこととなったのであります。
こうした状況を踏まえ、本案は、BSEの発生の予防と蔓延の防止により安全な牛肉を安定供給する体制を確立し、国民の健康の保護と生産者及び関係事業者の健全な発展を図るために提案するものであります。
以下、その主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、国及び都道府県等は、BSEの発生が確認された場合またはその疑いがあると認められた場合には、基本計画に基づき、速やかに蔓延防止等のために必要な措置を講ずる責務を有することとしております。
第二に、農林水産大臣及び厚生労働大臣は、BSEの発生が確認された場合等において、国及び都道府県等が講ずべき措置に関する基本計画を定めなければならないこととしております。
第三に、牛の肉骨粉を原材料とする飼料の牛への使用を禁止するとともに、牛の肉骨粉を原材料とする牛を対象とする飼料及び牛に使用されるおそれがある飼料の販売、製造、輸入も禁止することとしております。
第四に、死亡牛を検案した獣医師等は、遅滞なく都道府県知事に届け出なければならないこととし、また、知事は、地理的条件等により検査を行うことが困難である場合を除き、死亡牛の所有者に対し家畜防疫員の検査を受けるべき旨を命ずるものとしております。
第五に、屠畜場内で解体された牛の肉、内臓等は、都道府県知事等の検査を経た後でなければ屠畜場外に持ち出してはならないものとし、また、屠畜場の設置者等は、牛の脳等の特定部位を焼却処理しなければならないこととしております。
第六に、国は、牛一頭ごとに生年月日、移動履歴等の情報を記録し、管理するための体制整備に関し必要な措置を講ずるものとしております。また、そのため、牛の所有者等は、牛一頭ごとに個体識別のための耳標をつけなければならないこととしております。
第七に、国は、基本計画に定められた期間において、経営が不安定になっている牛の生産者、牛肉に係る製造、加工、流通または販売事業者、飲食店営業者等に対し、その経営の安定を図るために必要な措置を講ずるものとしております。
このほか、国、地方公共団体、関係団体等に対する協力依頼、国民に対するBSEに関する正しい知識の普及及び調査研究体制の整備等について規定し、また、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律等関係法律の改正を行うとともに、食品の安全に関する行政の抜本的見直しにつき検討するものとしております。
なお、この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行することとし、ただし、死亡牛の所有者に対し家畜防疫員の検査を受けるべき旨を命ずる規定は、平成十五年四月一日から施行することとしております。
以上が、本案の提案の趣旨及び内容であります。
―――――――――――――
牛海綿状脳症対策特別措置法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○鉢呂委員長 お諮りいたします。
牛海綿状脳症対策特別措置法案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○鉢呂委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
この際、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣武部勤君。
○武部国務大臣 本法案の御提案に当たり、委員長及び委員各位の払われた御努力に深く敬意を表するものであります。
この法案が成立した暁には、農林水産省といたしましては、その内容を踏まえ、厚生労働省、都道府県初め関係機関と連携を図りながら、食肉等の安全の確保及び国内におけるBSEの清浄化に全力を尽くしてまいる所存であります。
委員長初め、委員各位の御指導、御協力を引き続きよろしくお願いいたします。
○鉢呂委員長 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十八分散会