衆議院

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第2号 平成14年10月30日(水曜日)

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平成十四年十月三十日(水曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 小平 忠正君
   理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
   理事 鮫島 宗明君 理事 楢崎 欣弥君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    青山  丘君
      石田 真敏君    岩倉 博文君
      岩崎 忠夫君    梶山 弘志君
      金子 恭之君    上川 陽子君
      北村 誠吾君    熊谷 市雄君
      小泉 龍司君    小西  理君
      左藤  章君    七条  明君
      実川 幸夫君    竹本 直一君
      西川 京子君    三ッ林隆志君
      宮腰 光寛君    宮澤 洋一君
      宮本 一三君    山本 明彦君
      川内 博史君    後藤  斎君
      佐藤謙一郎君    津川 祥吾君
      筒井 信隆君    鉢呂 吉雄君
      堀込 征雄君    山内  功君
      江田 康幸君    高橋 嘉信君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    山口わか子君
      藤波 孝生君
    …………………………………
   農林水産大臣       大島 理森君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   農林水産副大臣      太田 豊秋君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (農林水産省経営局長)  川村秀三郎君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長
   )            太田 信介君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局次
   長)           北原 悦男君
   政府参考人
   (農林水産技術会議事務局
   長)           岩元 睦夫君
   政府参考人
   (食糧庁長官)      石原  葵君
   政府参考人
   (水産庁長官)      木下 寛之君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月三十日
 辞任         補欠選任
  近藤 基彦君     左藤  章君
  高木  毅君     三ッ林隆志君
  宮本 一三君     実川 幸夫君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  章君     小西  理君
  実川 幸夫君     宮澤 洋一君
  三ッ林隆志君     山本 明彦君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     上川 陽子君
  宮澤 洋一君     竹本 直一君
  山本 明彦君     高木  毅君
同日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     近藤 基彦君
  竹本 直一君     宮本 一三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
小平委員長 これより会議を開きます。
 この際、太田農林水産副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産副大臣太田豊秋君。
太田副大臣 農林水産副大臣を拝命いたしました太田豊秋でございます。
 昨日は公務出張をいたしておりましたので、本日、一言ごあいさつを申し上げます。
 大島大臣を補佐いたしまして、北村副大臣、熊谷、渡辺両大臣政務官ともども、力を尽くして、農林水産行政の進展のために全力を挙げてまいる所存でございます。
 委員長を初め委員の皆様方の御支援を賜りますようよろしくお願いを申し上げまして、ごあいさつにいたします。お願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
小平委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、農林水産省経営局長川村秀三郎君、農林水産省農村振興局長太田信介君、農林水産省農村振興局次長北原悦男君、農林水産技術会議事務局長岩元睦夫君、食糧庁長官石原葵君、水産庁長官木下寛之君及び法務省刑事局長樋渡利秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
松下委員 自由民主党の松下忠洋であります。
 三十分時間を与えられましたので、よろしくお願いを申し上げます。大島大臣に政策のお話をお伺いしたい、こう思っております。
 一つは、日本の農業の将来の姿、そのあるべき絵をどのように描いておられるのか、これをお聞きしたいと思っておるんです。それを実現するために一番大事なのは、農業の構造、これは林業、水産業でも言えることですけれども、その構造をどういうふうにつくりかえていくのかということが一番大事だし、そのことをなおざりにしてきたこともあるんじゃないかというふうに思うんです。
 国際化に対応するいろいろな仕組み、それから、国の関与をどこまでやるのか、規制の緩和の問題、改革の問題、あるいは、それに関連する、企業の経営を持ち込むかどうかという問題、そして、もう一つの組織である農協の仕組みが十分機能しているかどうかということを含めて、地方の隅々にまで農業の構造をどうつくりかえていくのかが一番大事だと思っております。これは林業も水産業も同じであります。
 旧農業基本法、これでは、他産業との生産性の格差を是正する、それから、農業従事者の所得を増大していくということを目標にして、多くの政策をやってまいりました。それが、四十年を経て、時代に合わないということで、三年前から新しい農業基本法をつくりました。これは、食料・農業・農村基本法という法律につくりかえて出発したわけであります。
 その目標は、施策の総合的、計画的推進を行う、それから、食料自給率の目標を設定して、それに到達するための努力をしていくということでありました。そして、基本理念として、そのために食料の安定供給を行う、多面的機能の発揮を十分させなきゃいけないということ、そして、農業の持続的発展を図らなければいけないということ、そして、農村の振興が必要だ、この四つのことを掲げて、新農業基本法に取り組んでまいりました。今四年目に入っていると思います。
 そして、現在何が起こっているかといいますと、BSEに端を発する、食の安全、それから、いわゆる食肉のにせもの表示、偽装の問題が出てまいりまして、消費者の大きな怒りを買いましたし、生産者の怒りも買いました。こういうふうにして、消費者という食を受ける側の人たちへの配慮、関心というものをしっかりと刺激していかなきゃいけないということで、また新しい動きが出てきておりますし、農業を力強いものにするために、やはりそこに市場原理を入れて、消費者がどういう嗜好を持っているのか、どういうような食べ物を欲しがっているのか、どういうふうにそれを供給していけばいいのかということを生産者としても勉強していかなければいけないということを認識したと思います。
 その中で私は、四年前に農林水産政務次官に就任して、農業基本法をいろいろ勉強しているときに、大島大臣から一冊のペーパーをいただきました。これをここに持っているんですけれども、大島大臣が当選二回か三回生のころだと思いますけれども、平成元年の十月に、「総合的農村政策の展開」ということで、元気の出る農業にする、元気の出る農村の確立を目指していくということで研究会をつくって、立派なものを出されております。それを読み始めて、今度の内閣府で副大臣としていろいろな構造改革に当たっているときに、改めて読み返してみましたけれども、今驚くべきことがこの中に本当に示唆して書いてあるということで、改めて感銘したわけであります。
 基本的な認識として、総合的農村政策は、元気の出る農村づくりのために、地域政策として農村部全体の振興を図っていかなきゃいけない、元気の出る農業確立のためには、農業に市場原理を導入して、意欲的な農家が活躍する環境を整えなきゃいけない、こうおっしゃっておりますし、また、都市部の人々も魅了しなければいけない、そのための都市と農村部との交流が必要である、こう言っておられます。それから、国際化の視点と消費者の視点を持つことが大事であって、世界の市場へ積極的に進出を図る攻めの農業も必要だ、こういうふうに十四年前にしっかりと提言しておられます。そして、国際化は受難として受けとめるのではなくて、今後は、農業も国際化の恩恵を受け、そして、それで攻めていくということが大事なんだとしっかりと基本認識としてとらえておられます。
 そういう中で、やはり私は、極めてこの中に、今取り組んでいることが、既に大臣の中に、十四年前にこういう提言をしていただいているということに大変感動しながら読ませてもらったわけであります。
 そしてまた、アグリミニマムの策定をしていきたい、こう書いてありました。これは市場重視型の農政を展開していく、そういう勉強をしていかなきゃいけないけれども、食料安全保障の政策とか国土保全等の農山村それから農業の多面的機能の確保に必要な最小限の農山村、農業については断固として守る、そういう明確な政策を示していくことが必要であるとおっしゃっておられます。そして、企業的な経営に取り組んでいかないと、日本の農業は、耕作放棄地がふえていって、本当に美しい農山村から遠いものになっていくだろうと提言しておられました。この政策を実行していくべきだと十四年前に言っておられます。
 そして、今大変難しい時期に大臣に就任されました。今どのように、このことを振り返って、そして、今この農業の姿、どう描いて、農業あるいは林業、水産業も含めてですけれども、構造をどうつくりかえていこうとしているのか、そこをお聞きしたいと思います。
大島国務大臣 松下委員から、十四年前に私がちょうど二期生のときだったと思います。毎年米価問題で、自由民主党のみならず、大変なエネルギーを使って、そのことが本当に日本の農業の将来につなげるだろうか、生意気にも非常に疑問を持って、あのエネルギーを日本の農業の構造改革に向けたらどうであろうかという思いを持って、有志の人たちと約一年半ぐらい勉強した、そのペーパーがそれでございました。
 そのときには、当然にウルグアイ・ラウンドという波がひたひたと我が国にも来ておりまして、一方、農業、農村の姿を見ますと、一言で言いますと、農業政策を生産という視点だけで考えては、これはだめなんじゃないだろうか。もっと国民に、総合的に、なぜ農政が必要かということの理解をいただけるようなことが必要なのではないか。そのためには、米も含めて、市場というもの、もっと言うと、買ってくださる方々の思いというものを考えながらつくるシステムにしていかなきゃならぬのじゃないだろうか。
 一方、日本の農村は、農業者だけが住んでいるのでもございませんけれども、生産と一体となった生活の場である農村は、ある意味では日本の、今言う多面的機能を果たす、その農業人が中心となって生きているコミュニティーであるとするならば、そこをきっちりと押さえていくということも必要なんじゃないだろうかなんということを十四年前に勉強しながらそれをまとめて、それを今松下委員が取り上げてくだすったことを大変面映ゆく思いながら思い出しております。
 ただ、当時、それを農林部会の幹部の方々や農林水産省の、今も思い出しますが、もっと言うと、我々はこういう考え方をまとめましたと言っても、ちょっとドラスチック過ぎて、余り見向きもしてくれなかったような気はいたします。
 しかし、今日、おまえは一体日本の農業をどう考えておるかと問われましたときに、骨の髄にあるのは、そこのエキス部分は依然として、私自身の農政に対する哲学は生き続いていると私は思っております。
 一言で言いますと、まず、国民に理解を得られる農政をつくるということが大事だと思います。国民に理解を得られるという範囲の中に、今松下委員がおっしゃった消費者という視点は当然入るものと思います。ですから、ある意味では、米も含めて市場から生産ということを考えていかなければならない時代になったということで、食管法が変わったわけであろうかと思います。つまり、経済の大原則である市場原理というものがやはり生産物そのものにも大きく影響している。だとすれば、その市場原理の中でしっかりと頑張ってやれる人にある意味では生産の視点というものは集中していくことが大事なんじゃないだろうかというふうな思いでございます。
 一方、そういう基本に立ちながら、先ほど申し上げましたように、農村の果たす役割というのは、農家の人たちのためだけではなくて、日本全体にとっても農村というのは私は必要なゾーンだ、国民全体にとっても美しい農村をきちっと整備していくことが必要なことだ。これは決して農村のエゴでもなければ農民のエゴでもなくて、都市の人にとっても、都市でない人にとっても、農村の存在というものは、国家国民の利益だ、必要なものなんだという位置づけにしていくことが私は大事であろう、このように思います。
 一方、もう一つは、もう明らかに今松下委員がお話をされましたように、国際社会のルールというものを私どもは考えて国内政策を考えていかなければなりません。そういうふうな状況から、私は、農水省の中で職員と議論しているときに三つのことを申し上げているのです。
 農林水産省というのは、食の資源をきちっとつくるところだ、生きる資源をつくるところだ、まずそれが第一点だと。第二点は、循環ということ、まさに農業、林業、水産業を含めて、循環という仕事、循環という、そういうふうな役割をきちっと担うところだと。それは、環境でもあり、治水でもあり、治山でもあり。第三点目は、共生という、コミュニティーをつくることだ、それは美しい村づくりになるであろう。したがって、その循環と共生という世界は、ある意味では多面的機能と言っていいのではないか。
 この三つの視点について確固たる確信を持って私どもは農政に当たらなければならないし、やっていかなければならない、こういうことを常々申し上げて、また、その三つの視点に立った公共事業の見直しも、地方と国のあり方も、あるいはまた、すべての問題について考えていこう、このように思っております。
 さらに、昨年以来、食の安全と安心というものが問われました。このことについては、まさに国民の理解を得る、消費者の理解を得る、そういうふうな視点からも当然重要なことでございますが、私どもは、あの苦しいBSEの問題に対応した経験を忘れることなく、二十一世紀の農政の大きな柱として一層頑張っていかなければならない課題の一つであろう、このように思っております。
 いろいろ申し上げました。そういうことを考えながら、いずれにしても、生産、加工、流通、そして消費というものを一体と考える、そういう総合的な食料政策官庁であり、また、多面的機能をしっかり担う役所であり、そういうふうな政策に全力を尽くしてまいりたい、このように思っております。
松下委員 十四年前のこのペーパーに、新しい農業基本法を改正する方向ということで、国民の食料の安定を確保しなければいけないというのをまず挙げておられました。それから、農家の所得をしっかりと確保していくということを次に挙げておられます。それから、農村生活の質的側面での勤労者世帯、他産業との均衡をしっかりと図っていく、それをしなければいけない。それから、国際化、そして地域の実情に視点を置いた構造政策をつくっていかなければいかぬ。それから、国土保全機能、多面的機能という非経済的機能をしっかりと維持していく政策をとらなければいかぬ。
 このように提言しておられますけれども、新農業基本法の中にまさにそのものずばりこれが入っているということは、やはりそれだけの勉強をされ、きちっと定見を持っておられるということを今改めて読み直してみて思っているわけであります。
 その中で、新農業基本法が目指したもので、一つの食料自給率というものがございます。昭和三十五年の、旧農業基本法をつくる以前のときには七九%でありましたけれども、新農業基本法をつくるときには、四十年後には四〇%になっている、これを平成二十二年、十年後には四五%にしたいという目標を掲げて、米でありますとか野菜でありますとか食肉でありますとか、そういう各分野ごとに、たしか十七だと思いましたけれども、それぞれ達成すべき自給率を挙げて頑張っていくんだというふうにされました。その目標をどのようにして頑張ってやっていこうとしているのか。三年を過ぎていよいよ四年、五年と入っていくわけですけれども、それをどのように達成しようとしているのか、ぜひ聞きたいと思っているのであります。
 そのときに、私は今でも大事に持っておりますけれども、営農類型ごとの経営展望の概要というのを新農業基本法のときに基本計画としてつくったんです。北海道から沖縄まで、地産地消、地域農業を大事にしながら、そしてまた今まで培ってきた歴史と技術を大事にしながら、地域ごとにどういう農業をしていけばいいのか。
 水田は北海道ではどういうふうにするか、東北ではどうするのか、畑作は北海道や九州ではどうするのか、そういうことをずっと、三十四の類型にして、花も養豚も肉用牛も酪農も、そして果物のリンゴも類型化して、こういうふうに達成すべきだ、そのときの所得はこうあると。構造改革に切り込んでこれをつくったんです。
 そのときにつくった城君という総務審議官は、このために命を落としたというぐらいまで我々は思っておりますけれども、その類型の努力をその後どのようにフォローしてやっているのか。これは大変大事だと思うし、そのために農業者の意識を変えていく、そういうことも必要だし、地域の地産地消という大事な原則を貫いていくということが大事だと思っておりますけれども、それについてお伺いしたい。そして、そのための耕作放棄地といったようなものをどのようにこういう類型化の中で解消しようとしているのか、これを経営局長や農村振興局の次長にお伺いしたい、このように思います。
川村政府参考人 今、委員から経営展望についてのお尋ねがございました。
 これはまさに、新しい基本法の理念を達成するために力強い農業構造というものをつくっていく必要がありますが、そのための基礎となる農業経営の類型を示したものでございます。
 この類型につきましては、今後の技術水準の向上、また農業生産基盤の整備、また農地利用の集積の成果を反映してそれが実現されるという基本的な姿でございますが、実現するためには、全国で、さっき言われましたように、三十四、五をつくったわけでございますけれども、それに即しまして、各地域はそれぞれの特性がございますので、地域でこの農業展望をさらに具体化するためのものをつくっていただくということの作業をしております。
 また、この基本となります農地の問題につきましては、できるだけ担い手に集積をしていく。また、水田農業等につきましては集落を基礎とした取り組みが必要でございますので、集落営農の組織化、強化というものにまず取り組んでおります。それから、何といいましても、その基盤が確固たるものでないといけないということで、水田の汎用化でありますとか大区画圃場ということで、作業効率の向上をしております。また、この経営展望は新しい技術や新機械体系ということを十年後の姿として描いておりますので、この確立と普及ということにも力を入れております。
 まさにこういう基本的な施策につきまして、国、地方公共団体、また関係機関が一体となって支援していくということが必要であるということで、その取り組みをしております。特に、全国、都道府県、市町村の各段階に経営改善支援センターというものを設けたところでございますが、このセンターを通じまして、経営指導でありますとか補助、融資等、こういう支援が効率的に実施されるよう努めているところでございます。
北原政府参考人 お答え申し上げます。
 耕作放棄地の解消に向けての取り組みについて御説明をいたします。
 食料・農業・農村基本計画におきましては、食料自給率四五%を実現するために、平成二十二年に四百七十万ヘクタールの農地面積の確保が必要と見込んでいるところでございます。
 他方、耕作放棄地面積につきましては、農業センサスによりますと、平成十二年で全国で約二十一万ヘクタールとなっておりまして、耕作放棄地対策は優良農地を確保していく上での大きな課題であると認識をしております。
 耕作放棄地につきましては、まずその発生を抑制することが基本的に重要であるというふうに考えております。そのために、効率的かつ安定的な経営体の育成と農地の利用の集積、また基盤整備事業の着実な実施、さらに、中山間地域におきます農業の生産条件の不利を補正するための中山間地域等直接支払い制度の実施などを推進しているところでございます。
 また、耕作放棄されました農地の再活用を進めることが重要であり、地域における遊休農地の活用のための計画の策定や、その計画の具体化のための実践活動及び簡易な土地条件の整備などを進めているところであります。
 今後とも、耕作放棄の抑制と解消に向けまして、こうした各種の施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
松下委員 耕作放棄地の問題は、今度、構造改革特区の中で、株式会社制度を取り入れながら、農地は貸借契約と聞いていますけれども、その中で徹底的にその問題に取り組んでいこうという姿勢であるというふうにお伺いしておりますから、これは大いに期待していきたいというふうに考えておるところであります。
 米についてお伺いをいたします。
 米は、数年前までは粗生産額全体の十二兆円のうちのトップで、二兆六千億という粗生産額を誇っておりました。しかし、今は、野菜が第一位で二兆五千億円、それから畜産が二兆四千億円、これは正確でないかもしれませんけれども、そういうラウンドの数字だと思います。米は二兆円を切って一兆九千億円ぐらいまでになってきているというふうに聞いておりますし、あと果物が一兆円、花が八千億円ぐらいというふうに、農業の中の仕組みも変わってきております。
 そういう中で、この米の問題を、どのように大綱をつくり直そうとしているのか。十一月をめどに決断していくというふうに聞いていますし、自由民主党の中でも、松岡委員長のもとで農業基本政策小委員会で熱心な議論をしていると聞いております。この際思い切って、次の展望を開いていくための努力をここに見せるということが僕は大変大事だと考えております。そこの考え方をぜひお伺いしたい、このように思います。
石原政府参考人 お答え申し上げます。
 米政策につきましては、米の需要が大きく減少してきております。また、生産調整の限界感、今百一万ヘクタールの生産調整をやっておりますけれども、もうこれ以上は無理だという声が出ております。また、担い手が高齢化している、新規就業者が育っていない、こういうまさに閉塞状況にございまして、ただいま委員がお話しされましたように、米政策を大転換する時期に来ているというふうに思っております。
 このため、本年の一月から生産調整に関する研究会を開催いたしまして、米政策の見直しを行ってきているところでございます。去る十七日には、効率的かつ安定的な経営体が市場を通して需要を感じ取り、売れる米づくりを行う、米づくりの本来あるべき姿を実現するための改革ステップを研究会に示したところでございます。
 具体的には、平成二十二年度までに米づくりのあるべき姿を実現すべく四つの選択肢を示しておるところでございます。一つは、生産構造改革の実現に先立ちまして、十六年度に国による生産調整の配分を廃止して、農業者、農業者団体の自主的調整に移行する考え方でございます。
 二つ目には、生産構造改革を先行させ、自主的調整への移行の目標年次は明確にせず、生産構造の改革の状況を見ながら、国による生産調整の配分の廃止を判断する考え方でございます。
 三つ目には、自主的生産調整体制への移行の目標年次を例えば三年後と明確にいたしまして、需給調整システムの改革と生産構造の改革を並行して行う考え方でございます。この三つ目の考え方には、農業者の経営判断を重視するタイプと地域の主体性を重視するタイプの二つがございます。
 こういう四つのオプションを我々示したところでございます。
 今後、各方面の議論の状況を見ながら、この研究会における論議を積極的に進めていただきまして、十一月末には、生産調整、それから流通体制の構築等の米政策の抜本的な見直しについて成案を得たいと考えているところでございます。
松下委員 米には原則が三つあると私は考えております。一つは、食べるに必要な量をつくる、そして、それに必要な面積を確保しておく、それに若干の備蓄を、蓄えを持っておく。そして、それ以外の農地は、自給率の低いものや、あるいは地域が本当に必要としている地産地消に貢献する野菜とか、そういう農作物をつくっていくというふうに踏み込んでいかなきゃいけないと思っています。
 二つ目は、価格は市場の実勢に任せる、それが原理だと思っております。
 そして三つ目は、そのための生産者の、農家の所得は政治がきちっと確保してやる、あるいは守ってやるということを、三つをきちっとセットとして組み上げた上で示していかないと、これは成功しないと考えております。特に農家所得、これは政治できちっと確保していくということが大事ですから、この三つの原則はぜひやっていただきたい、私はそう考えております。
 北村副大臣、森林についてお伺いしたいと思います。
 二酸化炭素の問題、京都議定書でもう既に議論し尽くされました。今度の予算要求でも、森林の整備について大きな要求をしておられます。内容もよく私も勉強させてもらいましたけれども、大事なことは、ただ森林のために予算が欲しい、そのためにこれだけ欲しいんだということを要求して、その確保した予算が森林のどこにどう使われてしまったのか。北海道から沖縄まで薄められて使われてしまった、そして、結果としてやはりCO2の対策には貢献したというふうに言おうとしておられますけれども、私は、それではアピールが少ないと思っております。
 プロジェクトタイプにして、そして各森林管理局ごとにか県ごとに、ここは京都議定書を守るためのCO2対策としての森林として整備する森林ですよ、みんなに見えるようにして、そのための対策をきちっと見えるようにしていく、そのためのお金をつぎ込んでいってやっていくということが必要だと思います。やり方の工夫がやはりぜひ必要だと思っていますので、そのところの考え方をお聞きいたしたい。お願いいたします。
北村副大臣 松下議員のおっしゃったこと、大変重要で、かつ大事なことだというふうに認識をしております。特に、先ほど大島大臣がおっしゃったとおり、農も林も水も、基本的な考え方は先ほど大臣がおっしゃったことに尽きる、このように思っております。
 その中で、この森林の公益的機能が低下をしてきている。さらにまた、CO2の吸収源対策というものは大変重要である。そういう意味では、農林水産省の中の林野庁一庁だけで取り組むべき問題ではなくて、関係する省庁とよく連携をとりながら、本当に今委員がおっしゃった国民的な、国民運動的な、そういうことでなければ、京都議定書、特にこの三・九%の達成には及ばない問題である、このように考えておりますし、またそういう認識に立っております。
 そういう面では、この多面的機能の持続的な発揮を主体とした政策に今回の森林・林業基本法をつくったわけでありますので、それを土台としながら、多面的な機能を発揮するためには、一般に言われている広葉樹の導入だとかあるいは複層林化等々、コストをできるだけ縮減できる、そういう事業を織り込みながら、やはり何といっても国民の同意、そして国民へのわかりやすい情報を提供して、国民一体となった森林の吸収源目標三・九%の達成に努めてまいりたい、このように考えておりますので、なお一層のまた御指導をお願いしたい、このように思います。
松下委員 終わりますけれども、WTOがいよいよ大事な局面に入りました。就任早々大臣も、諸外国を回って情報収集と説得に当たっておられるようですけれども、腹を据えて、国益を踏まえてしっかりと当たっていただきたい、これをお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
小平委員長 次に、筒井信隆君。
筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
 きょうは、大島農水大臣の秘書の口きき疑惑問題、これに集中してお聞きをしたいと思います。
 特にそのうち、A企画のA社長、コンサルタント会社社長、このメモに基づく証言が大きく報道されております。ほぼ二十回にわたって五千万円を宮内秘書に渡した、こういう内容でございます。これが、私は事実と思いますが、事実であれば、大臣秘書官を辞任するどころか、秘書も辞任して、さらに私は、農水大臣自身が辞任すべきである、こういうことははっきりしていると思っております。
 しかし、それに対して、大臣も宮内秘書も、一切そういうことはない、あいさつ程度の紹介はしたことはあるけれども、しかし金銭を受領したことはない、一銭も受領していない、こういう主張をしております。
 この大臣と宮内秘書の主張が事実であれば、道義的にも法的にも何の問題もありませんね。その点、ちょっと答えてください。そういう主張ですね、今。
大島国務大臣 筒井委員から、私の前秘書官の問題についてお尋ねがございました。
 私は、週刊誌を中心にさまざまな報道があって以来、まさにそのことに対して説明をしていく、そしてそのことに対して厳しく彼から報告を受けて、調査を私もできるだけして、そしてその上に立って、そのことに対する事実、彼からの報告等を踏まえてお答えするのが責務と思って今日まで努力しております。
筒井委員 時間稼ぎをしないでくださいね。私が聞いているのは、今大臣と宮内さんが主張している、あいさつ程度の紹介はしたけれども金銭は一切受領していない、この主張を前提にするならば、道義的にも法律的にも何の問題もないということですね。
大島国務大臣 道義的にも何の責任もないのかという問いでございますが、報道されたこと自体に答えることがまさに私の道義的責任であろうと思って、今日まで努力しておるところでございます。
筒井委員 それは、報道されたことが私は事実と思うから、それに対してちゃんと答える、説明責任はあると思いますよ。しかし、大臣が今言っていることは、一切悪いことはしていない、法的にも道義的にも一切問題となるような行動はとっていない、こういう主張ですね。
大島国務大臣 一つ一つについて彼に問いただし、そして彼の報告の裏づけもとり、そういう中で、彼の報告としてある意味では私は皆さんにお答えしているということが今私のなすべきことだということでやっているつもりであります。
筒井委員 私は、答えなかったらしつこく聞きますから、ちゃんと答えるまで。逃げることができると思わないでください。
 私は、今そういうふうな、大臣が宮内秘書からいろいろ聞いた、そういうことはさらにこれから聞きますが、聞いた上で、今の大臣の主張は、あいさつ程度の紹介はしたけれども一切金銭は受領していないという主張なんですから、法的にも道義的にも全く問題のある行動はとっていないという結論ですね。
大島国務大臣 彼の報告の点においては、私はそのことを今までも御報告してまいりました。そのことが法的にどうであるかどうかというのは、私は私の判断を今申し上げるものではないと思いますが、いわゆる報道されたこと自体、そして私自身も知らなかった事実が報道されたときに、それを確かめて報告をする、彼にすれば、その紹介はしたけれどもそれによっての金銭は授受しないとの報告を受けて、そしてそのことを私自身の答えとしているところでございます。
筒井委員 だから、あいさつ程度の紹介はして、金銭は一切受領していない、こういう報告だったし、それを大臣も信用している、本当に一切問題のある行動はとっていない、現在そういう主張ですね。
大島国務大臣 報道されたことに一つ一つお答えをしてきたのですが、彼の報告からは、いわゆる紹介をしたのは事実であるけれども、それによって金銭を授受したことはないとの報告でございました。
筒井委員 だから、その報告は、道義的にも法律的にも何の問題もない、そういう行動だったということで、これは農水大臣も現時点では信用しているわけですね。
大島国務大臣 その報告を私は、ですから、特にそのことが、宮内氏の家を購入した資金源になったという報道が一貫しての流れでございます。その流れに対して予算委員会等で説明したことが、彼から本当に厳しく問いただした私の皆さんに対する答えでございました。
筒井委員 本当に、宮内秘書の行動で道義的、法的に問題があった部分があるんですか、それともそういうことはないんですか、どちらですか。
大島国務大臣 法的ということについては別にしまして、一連の報道の中で、私に対して調査をしている経過の中で報告がなかった等々はございます。そのことに対しては、私の思いもございますし、彼を叱責したこともございます。
筒井委員 あいさつ程度の紹介はしたけれども金銭は一切受領していない、これを前提にするなら大臣秘書官はやめさせる必要もないし、特に大臣秘書官については、報道された、疑惑を持たれたという責任をとってやめさせたと。秘書までやめさせて、今雇用関係は完全にないんでしょう。その必要性まではない、もし大臣の今言っていることを前提とすれば、というふうに思うんです。
 しかし、それについてもいろいろな今の言いわけをするでしょうから、具体的に聞いていきますが、大臣も秘書官も今そういうふうに主張している。しかし、A社長は、A氏は金を渡した。このA氏が言っていることが事実とすれば、まさにあの井上前参議院議長と同じように、入札妨害罪等の犯罪的行為に該当するわけです。
 大臣の方はほとんど問題がない行為だと主張しているのに対して、A氏は明確に犯罪的行為だと具体的な日付まで摘示をして、具体的事実を摘示して、宮内秘書は犯罪的行為を行ったというふうに言っている。これは宮内秘書と大臣に対する名誉毀損に当たらないんですか。
大島国務大臣 名誉毀損であるかどうかという判断は、まだ私はいたしておりません。
筒井委員 だから、それ自体がおかしいので、これは名誉毀損に当たるとすれば、国家公務員というのは、一般人は違いますが、国家公務員は告訴、告発の義務がある。告訴、告発の義務があるのに、今の場合、被害者が大臣と宮内さんですから告訴ですよ。告訴する義務が刑事訴訟法にはっきり規定されている。それに違反して告訴しなかった場合には、国家公務員の懲戒事由に当たる。
 これは内閣が、ある議員の質問状に対してそう答えているし、それははっきりしているんですが、公務員は告訴、告発の義務があって、それに違反した場合には国家公務員法上懲戒処分の対象になる。この事実に関してはどうなんですか。御存じですか。
大島国務大臣 いずれにしても、名誉毀損であるかどうかということについての判断は、まだ私はいたしておりませんし、宮内前秘書官については彼本人が判断することであろうと思います。ただ、筒井委員が今お話しされたそういう条項が定かに、明確に第何条の第何項によってこうなっているというところまでは、承知しておりませんでした。
筒井委員 では、名誉毀損罪に該当するかどうか、これは早急に調査して、毀損罪に該当する可能性があるならば告訴しますか。
大島国務大臣 まだ、さまざま報道もされております。予算委員会で、こういう点も調べなさい、こういう宿題も預けられております。今私のなすことはそのことにこたえることだ、こう思っております。
筒井委員 今の答え自体が大体疑惑を持たれるので、大体、大臣の主張では、一切そんな入札妨害罪等に該当するような行為はやっていないと言っているんですよ。それをA氏はやっていると言っているんですよ。本当にやっていなかったら、怒って名誉毀損だ、もうとっくに告訴していていいはずなんですよ。今は、今まで全く考えてもいない、これからもどうするかというのもはっきりしない。
 もう一度聞きますが、大臣の主張を前提にするならば、名誉毀損に該当することははっきりしていると思うんです。だけれども、大臣は今それはまだわからないと言っている。今までも調査していない。直ちに調査されて、それに該当するならば告訴しますかという質問なんです。
大島国務大臣 先ほど来から申し上げておりますように、きょうも週刊誌が報道しているようでございます。したがって、そういう一つ一つの問題に対して私自身が、宮内に対して厳しく質問をし、そしてその答えをもらい、足りない資料があれば取り寄せという、そういうことの責務を私がしていくことであって、今、全体的にそれが名誉毀損になったらどうしますかということには、答える段階ではないと思います。
筒井委員 私は、先ほど言いましたように、宮内秘書に対する名誉毀損でもあると同時に、これは大臣自身に対する名誉毀損ですよ。名誉毀損というのは、社会的地位や評価を下げることです。井上参議院議長が同じような案件で辞任せざるを得なかったように、大臣自身に対する名誉毀損なんですよ、大臣の主張が正しいとすれば、あるいは宮内さんの主張が正しいとすれば。それを本当に信じているとすれば、とっくにもう名誉毀損でもって告訴しなきゃいかぬのですよ。今人ごとのように言っていたけれども、大臣自身として名誉毀損で告訴する意思があるのかどうか。だけれども、本心は私もわかるんですよ。そんなの実際やったことなんだから、名誉毀損したらかえってばれてしまうんだから。
 もう一度大臣に聞きますが、自分の主張が正しいとするなら、調査の上それに該当する可能性があるならば名誉毀損として告訴する、こういうつもりがあるのかないのか、はっきり答えてください。
大島国務大臣 政治家はさまざまな批判やまたそういうものにさらされるものだと私は思っております。今、名誉毀損でおまえは訴えるのか訴えないのかという問題については、判断をしておりません。
筒井委員 だから、今判断していないというのはそれ自体もおかしいんだけれども、これからそれを調べて、該当する可能性があるならばこれから告訴しますかという質問なんです。それを答えてください。
大島国務大臣 恐縮至極でございますが、この週刊誌が報道されて以来、私も知らないことが報道されたりいたします。そういたしますと、そのことを私自身が本当に私のできる限りの中で彼に問いただし、そして答えを引き出させ、そうしていくことが今、私の考えている、頭がいっぱいのことでございまして、残念ながら、恐縮ですが、そうしたら告訴するのかと言われることに対しては、今の時点で答える状況ではございません。
筒井委員 逃げてばかりいるんだけれども、そして同時に、もう一つその関係で聞きますが、新日本空調という会社がこの八戸市民病院の工事で空調設備工事を受注した。そして、そのA氏に対して口きき料二千万円を預けた、これはもうプレスリリースでその会社自身が公然と認めている。経理処理の中身も明確に説明している。だからA氏に預けたわけですよ。それをもし大臣の主張、宮内氏の主張を前提にすれば、そっちに渡っていなければ、明確な横領罪になるわけですよ。ここでも犯罪があるわけです。だから、大臣の主張を前提にすれば、A氏は横領罪を、横領行為を行っていることになる、明確に。
 まず、この認識はありますか。そういう主張ですか、A氏が横領罪をしているんだという。
大島国務大臣 その言われた会社とA氏との関係は私は存じ上げませんし、そこでそういう報道があったことは承知いたしておりますが、そのことについてあれこれ申し上げる立場ではないと思います。
筒井委員 あなたは、先ほどもそうだけれども、今回の問題に関して、事実関係をきちっと調べることが私の責務だと言っているでしょう。今の事実関係、あなたが調べるべき事実関係の中に入っていないんですか、全く調べていないんですか。
大島国務大臣 私は、広い意味でも倫理的にも、この問題が報道されて以来、監督責任ということを問われております。だとすれば、それは、前秘書官たる彼に対してその事実を私が問いただし、聞くことが私の責務だ、私はこう思っております。
 したがって、筒井委員のお言葉でございますが、その会社とA氏の関係について云々ということについては私は立ち入るべきではありませんが、A氏からそういうお金が君に、つまり前秘書官に行ったのか、何月何日とあるけれども、それはどうなのか、そのことについては厳しく問いただしました。
筒井委員 だから、そのときに一切渡っていないと言われているんだから、そうしたらA氏の横領でしょう。宮内さんと大臣の主張を前提にすれば、A氏の横領でしょう。
大島国務大臣 筒井委員にお答えいたしますが、A氏とその某会社の関係でどういう具体的なやりとりがあってそういう結果になったのかは、私は、私の立場で調べるという立場にはない、このように思っておりますし、したがって、それが横領であるか横領でないかということについても評価する立場にはないと思っております。
筒井委員 評価する立場にないはずがないじゃないですか。大体、宮内さんに渡すということでA氏に渡されたんだから。それが事実とすれば、まさに宮内さんの問題であるし、大臣の問題でもあるんですよ。何で調べる立場にないんですか。それがもし本当に渡っていないなら、A氏の横領でしょう。その点をはっきりさせる、それもきちんと調査する事項の中に入っているんじゃないですか。
大島国務大臣 私は、先ほど来申し上げましたように、私の前の秘書官にかかわる案件が、そして、そのことによって彼が住宅資金の一部にされた、初めの報道は六千万という報道でした。だから、彼に対して厳しく問いただすことが私の責務でありまして、A氏とその会社との関係がどうであったかということを私が今立ち入って評価して判断する立場にはない、こう申し上げているところです。
筒井委員 全くそんなの関係ないことを答えていますが、A氏についても調査したい、こう予算委員会で約束されましたね。それは撤回されるんですか。
大島国務大臣 これは私の議事録、速記録を読んでいただければわかると思いますが、原口委員からこのような質問がございました。ここは大事なところでございますが、
  それから二点目は、大変つらい質問でございますが、このA氏とお兄様ですね、宮内さんのお兄様、ここに対するお調べ、聞き取りはおやりになるつもりなのか。いかがですか。
私から次のように答えております。
  私自身、秘書にかかわるお話でございましたので、秘書に対してやはりきちっと聞く、あるいはきつく聞く、あるいはその家庭の中まで入って聞く、こういうことが私の責務と考えております。
また、私の答弁でございますが、
  私といたしましては、週刊誌の報道等が、既にAさんという方から取材をされている、あるいは彼のお兄様からも取材されているということとすれば、やはり彼と彼の奥様、あるいはこのお二人を中心に私のできる限りのことを問いただし、
ということを申し上げておりますし、また今も答弁しております。
 したがって、やはり宮内前秘書官について、彼に問いただしていく、そして資料も提出させるということが、私の一貫して流れている答えでございます。
筒井委員 そうしたら、A氏については一切調査しない、そういう断定ですね、今の答えは。
大島国務大臣 A氏から発せられたさまざまな言葉が週刊誌等に既に載っております。また、新聞にも載っております。そういうことにおまえはどうなのだということをやる立場に私があると思うのです。ですから、A氏に対して調査をするということは、私はやる立場にはないと思っております。
筒井委員 大体、当事者は二人いる。証言が完全に対立している、宮内さんとAさんの。この一方だけを聞く。これは完全に、事実を全面的に調査する、きちっと調査する、そういう姿勢に反するんじゃないですか。本当に全面的に客観的な事実をはっきりさせるなら、両当事者に聞くのが当たり前の話じゃないですか。
大島国務大臣 A氏の主張、それからA氏がつけておられるという手帳みたいなものが週刊誌等にも報道されております。また、筒井委員もある意味ではA氏の主張を踏まえて私に質問しておられる。だとすれば、私は、それを受けて前秘書官を問いただし、それを聞くことが代議士と秘書という関係の中でなすべきことだ、このように私は思っております。
筒井委員 だから、確認したいのですが、両者が真っ向から対立した主張をしている。一方からは、A氏の方からは聞かない、その一方の宮内さんだけから聞く、こういう姿勢ですね。
大島国務大臣 前秘書官たる宮内の報告を聞くと同時に、そして、これはもう家庭の中まで入らなければならないことですから、奥さんにも聞くし、それを裏づける資料を持ってこいという形での調査をしてまいりました。
筒井委員 具体的に聞きますが、このA氏と宮内氏と宮部さんという人が三人で宮城野総合企画という会社、有限会社ですが、百万円ずつ出し合って設立した、このことは御存じですか。
大島国務大臣 先週の週刊文春であったと思いますが、その報道がございまして、初めて私は知りました。
筒井委員 それについてもきちんと調べなければいかぬということを予算委員会でも言っておられるので聞きますが、その会社で、宮内氏が百万円出したのですが、しかし、取締役の名義は宮内さんの姉さんがなっている。A氏と宮内氏の姉さんと、宮内さんが名前を出してはまずいということで姉さんの名前にしたようですが、それに宮部さんの三人の取締役。そして、そのうちただ一人、実際は名前だけで勤務実態が全くなかったんですが、宮内さんの姉さんに月十万円ずつ、計百三十万円、これがA氏から振り込まれていた。この事実は知っていますか。
大島国務大臣 この宮城野総合企画という名前が報道されて、早速に私は彼に厳しく問いただしました。
 彼の報告によりますと、今筒井委員がお話しされましたように、この会社の設立においてA氏から、平成九年だったようでございますが、事業計画について相談があったと私は聞きました。しかし、設立するための資金及び人数が足りないので何とかしてくれないかと持ちかけられたそうです。(筒井委員「それは後で聞きますから」と呼ぶ)いや、しかし、全部重要でございますから。そのため、自分も出資金としてその三分の一である百万円を出資したという報告でした。公設秘書という立場であったことから私にかわり、彼のお姉さんですが、姉に取締役に就任してもらったそうでございます。
 今御指摘のように、役員報酬は毎月十万円振り込まれていたそうでございまして、その期間は十二ないし三カ月であったという報告でございました。そして、その後、平成十一年ごろに、清算したいということで、諸費用がかかったとして、彼の出資したお金が六十万円戻ってきたとの報告でございました。
筒井委員 そうしますと、奥さんに十万円ずつ振り込まれた、計百三十万円。この事実は認められたわけですが、まあこれは振り込み書があるんだから認めざるを得ないんですが、(大島国務大臣「奥さんじゃないですよ」と呼ぶ)ああ、失礼、姉さん。その姉さんが勤務実態がないこと、それから今大臣の方から先に言われましたが、何か宮内氏自身が、人数が足りないんで名前を貸してくれ、そういうあれだったんですか。まあいいや。
 姉さんが全く勤務実態がないのに十万円ずつもらって、計百三十万円もらった。これは、事実上A氏から宮内さんが百三十万円の金をもらったことですね。
大島国務大臣 もう一度事実を申し上げますと、A氏から相談を受けて、そして人数が足りない、資金が足りないので何とかしてくれないかと持ちかけられたということでございました。そのときに、自分は公設秘書という立場だからかわりにお姉さんに取締役になってもらったということでございまして、その勤務実態がどうであったとかなんとかというのは私にはわかりません。
筒井委員 わからないって、じゃ、それも聞いてないんだな。勤務実態が一切ないのに百三十万円もらったとすればそれは完全な贈与で、もらったことでしょう。それを聞かないというのはそもそもおかしいじゃないですか。
大島国務大臣 いずれにしろ、彼自身が出資した百万、そして一年何カ月か会社が存在したと思いますが、お姉さんに支払われた金額は毎月十万であったと思います。十二ないし三カ月あったとの報告でございましたが、そして清算されたときにその出資金が六十万戻ってきたとの報告でございました。
筒井委員 この会社は全く売り上げはなかったんですよ、実態は。帳簿上は二百万にしたようですが、その金はA氏の方が出した金。今、先ほどから六十万戻ってきたということを強調されておりますが、そこで四十万使ったということを言いたいんだろうけれども、それを引いたとしても、A氏から事実上宮内氏に、四十万引いたとしても九十万、金が渡っている事実は確かですね。
大島国務大臣 宮内本人ではなくて、お姉さんに支払われたという報告でございました。
筒井委員 お姉さんの名前にしたのは、公設秘書の名前にしたらまずいから名義だけ姉さんの名前にした、先ほどそう言ったでしょう。だから、まず宮内さんの方に九十万、金が渡っている事実は認められるでしょう。
大島国務大臣 お姉さんに支払われたと私は報告を受けております。
筒井委員 お姉さんに渡ったのは、宮内さんが姉さんの名前にしてくれと言って姉さんの方に渡ったんでしょう。姉さんの名義の方に振り込まれたから宮内さんに渡ったわけじゃないというのが大臣の言いわけですか。
大島国務大臣 いや、私は彼からの報告を確かだねと言ったら、それはお姉さんに振り込まれていますと言って報告がございました。
筒井委員 だから、大臣の判断はどうなんですか。これは、名義上姉さんの方には九十万渡っている、それ自体が問題ですけれどもね。だけれども、実質上宮内さんの方に、まずこの件では九十万渡ったという事実は認めざるを得ないでしょう。
大島国務大臣 お姉さんに振り込まれた、このように私は報告を聞いております。
筒井委員 形式上のことなんてわかっているんですよ。しかし、そんなの振り込み書に、名義は姉さんの名義になっているんですよ。大臣はそれを、実質的に宮内さんに渡された差し引き九十万だ、宮内さんに渡された百三十万だ、こう判断するのが当たり前じゃないですか。
大島国務大臣 判断の前に、彼から本当に厳しく聞いた結果をきちっと私は申し上げているのであります。
筒井委員 答えていないけれども、もう一点。
 宮内さんの奥さんが、A氏のコンサルタント会社ですが、この社員という形になって、計五百万余り受け取っていた、この事実は御存じですか。
大島国務大臣 そのことも報道をされたというふうに伺いまして、ともかくそのことがあったのか、こう私は聞きました。宮内氏の夫人に対し、毎月八万、さらに交通費の形で一万、合計九万が云々ということでございましたが、彼の報告をそのまま申し上げますと、妻が、つまり奥さんがA氏の会社の社員となったことは承知していないし、給与を受け取った事実はないとの私に対する報告でした。
筒井委員 報道でも給与支払い明細書の一部が写真に出されておりましたし、それから会社の決算書にも載っていた。そうすると、合計額が五百四万円になるんですが、これは一切受領していない、こういう主張ですか。
大島国務大臣 そういう報告でございました。
筒井委員 それは事実関係で明確にしなければいけないし、またしかし、そういう事実関係を否定するとは私も思っていなかったものですから、はっきりさせていきたいと思います。
 それで、具体的な手帳、A氏の国会手帖のメモですが、この中身で、日付もそのとき渡された金額も全部、もう二十回にわたって書いてありますが、この二十回について、まずその日にA氏が大島大臣の国会議員会館の部屋を訪問した、この事実は認められるんですか、それともその事実も否定されるんですか。
大島国務大臣 何月何日何時においでになったという事実は確認できませんけれども、会館にはおいでになっておったということは、本人、宮内前秘書官からも聞きましたし、また事務所からも聞きました。
筒井委員 会館を訪れる際にはあそこで手続とるわけですから、入り口に。調べれば、いつ会館を訪問されたかわかるわけでしょう。それは調べられていないんですか。
大島国務大臣 私は、まさに、あの書かれて報道されておる事柄について事務所に聞いたり本人に聞いたんですが、いずれにしても、おいでになっているときがあったという報告を受けております。
筒井委員 そこで、具体的な日付まで出ているんです。それを、入り口でもってちゃんと手続とって入るんだから、一つ一つ確認することができるんです。それをしているのか、していないのかということを聞いているんです。
大島国務大臣 そのことについての件でございますが、私も、日にちを聞いて、うちの事務所の手帳その他、手帳というか日程表とか記憶をさかのぼってみろ、こういうことでございまして、聞きましたところ、いずれにしろ、何月何日に来たとかそういうことは記憶にないけれども、おいでになっておったときがある、こういうふうなことでございます。
筒井委員 私の質問に答えてくださいよ。もう具体的な日付も特定されているんですから、その具体的な日付一つ一つについて調査されたのか。それとも、そんなの調査しないで、ただ、今言ったように大まかで、来たことはあるという程度の調査なのか。どっちなんですか。
大島国務大臣 筒井委員がおっしゃるそのどっちかと言われれば、大まかかどうかはわかりませんけれども、後段の方の、秘書たちに聞いたりした、また前秘書官に聞いたことの報告でございます。
筒井委員 あなたは、予算委員会でもきょうでもそうだけれども、報道された事実についてしっかり解明することが私の責務だと言っているんでしょう。それをそんな大まかで、報道された事実はもう具体的な期日を特定して報道されているんですよ。しっかりその報道された事実を解明するとすれば、そんな大まかな聞き方じゃだめなんじゃないですか。
大島国務大臣 この報道された案件の私の思いの一番のポイントは、いわゆる紹介をして見返りにそのお金を六千万、初めの報道は六千万、約六千万取った、そのことが彼の住宅購入資金の原資になった、かれこれこれこれだということでございますから、まさにお金を取って家の購入資金になったのかということが私のこの調査の一番のポイントで今日まで参りました。
筒井委員 その中の一つに、宮内さんから税理士を紹介してほしい、このうちを買ったことに関して、そう要請されて税理士を連れていった、これもA氏が証言しておりますが、その事実は宮内氏に確認されましたか。
大島国務大臣 大変申しわけございません。そこの、税理士を紹介されたかどうかという点については、先ほどの私の最も厳しく調査しなければならないという観点からですと、そのところは問いただしてはおりません。
筒井委員 それから、あなたが最大の問題だと言っているその原資ですがね、うちを買った原資。これについて、財形貯蓄の解約だとか定期預金の解約だとかいろいろ言っておりますが、あれで原資が解明されたとまさか考えているわけじゃないでしょうね。その財形貯蓄あるいは預金がどういう原資によってなされたか、これを明らかにしない限りは全く意味がないことですよね、口きき料をもらって、それをこういうふうに預金して、それを解約して買ったとすれば。やはり本件の大きな問題なんですから。だから、定期預金のどこを解約して、そして今度の金を用意した、この調査は原資の解明には全くなりませんね。
大島国務大臣 筒井委員の質問のある意味での問題意識は、私も当初持ちました。
 改めてでございますが、彼の一億一千万、合計一億二千万の住宅購入の内訳、そしてその手当てがどうなっているか。そういう中で、頭金の判明分が五千五百五十万、そして、その内訳についてはここに全部このように書いてありますけれども、彼から資料を取り寄せましたが。
 今、そういう意味での、彼自身が自分の力で、自分の働きで得た金がどのぐらいあったのかということについては、約三千百五十万。その三千百五十万の原資をどういうふうにして集めたんだ、これは私も電話で相当聞きました。
 彼自身、そこまで私に対して言うんですかという言葉もあったくらいでございますが、結論からいいますと、大学を卒業して以来三十年秘書の仕事をしてまいりました、子供が生まれるまで奥さんも働いておりました、その蓄財として、そのことが原資になって三千百五十万になりましたというのが彼の私に対する報告でございました。
 では、その以前からの通帳とかそういう流れがないのか、平成七年、もうかなり前でありますが、平成七年以前のそれも調べられるのか。残念ながら、それをどう、何月何日入金してどうかしたという資料までは集められません、こういうふうな私に対する報告でございました。
筒井委員 予算委員会でもあなたは、住宅資金の原資が自分に理解できるように説明できない限りこの問題の解決はない、あなた自身がこう断定しているわけですよ。しかし、あなた自身の予算委員会での説明は、この預金をこういうふうに解約した。この預金を解約した、これは原資の説明にはならない、そのことを確認したいのに、何かいろいろなことを言っているんですよ。だから、今までのところ、原資を大臣自身が全然解明されていない。もちろん、委員会等、国民の前でも解明されていない。
 さらに引き続いて、ではその預金はどういうところから調達したのか、口きき料ではなくて。これをはっきりしない限り原資の解明になりませんね。
大島国務大臣 先ほど申し上げましたように、その三千百五十万、そういうふうなものがどういうふうな形で上ったのか、どこから得たのか、本当に私自身もそのことに関して厳しく彼に対して問い合わせをいたしました。
 ずうっと、例えば平成七年、平成六年、平成五年、平成三年、二年、何月何日入った、こういうふうに入った、もしそれがあればそれを示してほしいという思いも込めて、彼に対して言ったところ、そこまで代議士は私に対して追及するのですかと。いずれにしても、三十年間秘書として頑張ってまいりました、奥さんも子供が生まれるまで働いていました、そういう中で得たものであって、私にはそれ以上説明せよといってもなかなかできませんという報告でございました。
筒井委員 そうしますと、本人が、宮内さんが拒否したということですが、定期預金解約とか財形貯蓄解約とか言っていますが、この定期預金をした日付、財形貯蓄をした日付、これ自体は明らかにされますか。それも拒否しますか。
大島国務大臣 解約した日付は全部……(筒井委員「解約じゃなくて」と呼ぶ)入れた、要するに新規に、そこは、この中に書いてありますかは私ちょっとわかりませんが、解約したところだけしか私は今とっておりません。
筒井委員 だから、原資を明確にするとすれば、口きき料が入った時期とどういう照合ができるのか最低限、それだけでもわからないですけれども、財形貯蓄をした日付、これは明らかにすべきじゃないですか。定期預金をした日付、それもしないんですか。
大島国務大臣 解約した書類はここにきちっとありますが、大事なことはやはり、よしんばそれが、新規にいつ入ったかということは、私もそこまでは調査しておりませんでしたけれども、要は、この金がどこから来たのだということを厳しく聞いて、先ほど申し上げたことであり、資料があるのかそこのところは私ちょっとわかりませんけれども、自分なりに、せっかくの御指摘ですから調査してみたいと思います。
筒井委員 今まで調査していなかったこと自体が、それを調べないで、それできちんと原資を解明するなんてことは全く言えない。そんな、原資を解明する姿勢なんかなかったことの証拠ですよ、今のは。
 そして、さっき五千五百五十万とか言ったけれども、頭金が約五千百五十万というふうに予算委員会では答えておられました。それで、ローンが七千百万円というふうに言われましたが、このローンの現在時点での残高は幾らですか。
大島国務大臣 ちょっと資料を今見ます。申しわけございません。(筒井委員「予算委員会でも質問されています」と呼ぶ)そういうふうなことで調べております。
 今日時点でローンの残高が四千八百六十万、このように報告を受けております。
筒井委員 本当に物すごい額がこの何年間かの間に返済されているんですが、その返済の原資はどこかは調査をされていますか。
大島国務大臣 彼の政策秘書としての報酬、それから、これはもうお答えになっておりますから、お母様から相続された某会社の株式配当等と伺っております。
筒井委員 それから、それも疑わしいですが、不明金が六百九十万円。これはまだ予算委員会の段階ではわからなかったと言いますが、今もまだわかりませんか。
大島国務大臣 この六百九十万についても、私も実は聞いてみました。六百九十万の不足につきましては、取引先銀行を通じ出金した記憶がありますと。手元に通帳がなく、金融機関、取引のありました銀行は富士銀行さんだったそうです、祖師谷支店、現在のみずほ銀行に問い合わせましたところ、平成八年以前の記録については保管されていませんとの回答でした、これ以上の調査は不可能であり、資料が整わず申しわけなく思いますという返事でございました。
筒井委員 六百九十万はずっともう不明金だ、原資不明金、使途不明金じゃなくてという今の回答でございましたが、これ以上の調査は、この約七百万に関してはもうできないということですね。
大島国務大臣 先ほども申し上げましたように、銀行さんに問い合わせても、平成八年以前の記録については保管されていないということとすれば、皆さんに、私の力でこれ以上、そこはどうしたと聞かれても、彼からの報告はなかなか難しいもの、このように思います。
筒井委員 それから、この売却した上用賀のマンションのときは夫婦共有でございましたが、今度は妻の父からもらった金が五百万あるという主張なんだけれども、それならば、前のマンションのときも共有だったのに、今度もなおさら共有にすべきだと思うんですが、本当に妻の父からもらっていたなら。だけれども、完全に今度の土地は宮内寛さん単独名義になっていますね。逆なんですよ、だから。説明とかえって矛盾するんです。その点は問いただしましたか。
大島国務大臣 まず、その彼の奥さんの御両親からいただいたという五百万は、さくら銀行の世田谷通支店に義理のお父様からの振り込みが三百万、二百万とございます。それはこの資料の中にも入っております。
 そして、名義が今度は彼の名義になっておるではないか、おかしいではないかと言われましても、そのことが、おかしいぞおまえと言うには、私はそこはまさにプライバシーの中での話であろうと思いますし、ただ一つ、筒井委員に申し上げたい、また報告をしたいことは、本当に奥様が病弱であり、彼からすると義理のお父さん御夫妻が非常に秘書という仕事の不安を感じて、そういうふうな形でさまざまな援助をしておったということだけは報告を受けております。
筒井委員 質問だけに答えてください。なぜそうなったか、聞いているかどうかだという質問だけだ。だから、今のところはプライバシーの問題だから聞いていないということですね。
 それと、A氏の証言によれば、百万円を持ってあなたの会館の事務所へ行ったときに、宮内氏が別の秘書を呼んで、これ、A社長が持ってきてくれたからと金を渡した、そのとき、秘書はありがとうございますと受け取ったという証言がございましたが、この事実関係は確認されましたか。
大島国務大臣 その前にちょっと筒井委員、恐縮ですが、さっきの御質問で、私がちょっとファイルを見ないで失礼をしたので、預け入れの日付はこのファイルの中に、資料はあるものは全部入っているそうでございますので、そのことを申し上げておきたいと思います。(筒井委員「では、その資料をこちらへ出してください」と呼ぶ)その資料につきましては、予算委員会で委員長にお預けすることにしておりまして、それはもう予算委員会で私は申し上げたところでございます。(筒井委員「だから、その日付を出していいんですね」と呼ぶ)だから、ここに入っておりますから、予算委員会で見ていただければと思います。
 それで、今の御質問でしたが、先に私の方が答弁してしまって恐縮でございますが、どういう点でしたか、もう一度お願いします。
筒井委員 時間がもったいないんだけれども。
 百万円持っていったら、別の秘書を呼んで、これはA氏が持ってきてくれた、秘書がありがとうございましたと言って受け取った、この事実は確認されましたか。
大島国務大臣 確認をいたしましたし、そういうことがあったのかということを聞きました。そういたしましたら、そういう事実はありません、こういう報告でございました。
筒井委員 それから、もう一つ確認ですが、さっきの宮城の会、これを立ち上げたわけですが、立ち上げた際の案内状がA氏と宮内氏との連名の案内状であった、この事実は知っていますか。
大島国務大臣 今筒井委員がお話しされたのは、宮城野企画の話でございましょうか。
筒井委員 いや、宮城の会。
大島国務大臣 この会は、大島を初め若い人たちを応援したいということで相談を受けて、そして立ち上がらせた、立ち上がったというふうに聞いております。そういうふうな報告は聞いております。
筒井委員 あなた、格好いいことを言っているけれども、この宮城の会は受注した企業が集まった会で、まず、若い人が何とかというのはいいですが、結果として受注した企業が集まっている会であるという事実、それから、その会を立ち上げの際にA氏と宮内氏が連名で案内状を出したという事実、この二つ、確認されましたか。
大島国務大臣 この会について私も調べてみました。
 平成八、九年ごろだったと思いますが、宮内から、今度、もちろん大島も含めて、若い人たちを政治家として育てたいという人たちがあります、それにぜひ来て講演してくださいと。そういうふうな立ち上げのときに、さまざまな御相談も受けた。それで、今先生がおっしゃいますけれども、平成八、九年ごろ、大変恐縮ですが、その証左として、当時は自民党の推薦でございましたが、今、御党の衆議院議員である方を一生懸命応援したことも私は承知しております。
 また、そういう方々にどういう人がいたのか、あるいは、そういうペアで案内状を出したとかということは、私は定かには聞いておりませんけれども、相談に乗ったことは事実でありますし、また、彼自身もそういうことで私を講演に引っ張っていったりいたしたことも事実でございます。
筒井委員 では、結局、連名で出したかどうか、これはあなた、今、聞いていないという答えですね。
 そして、今あなた自身の方から、大臣の方から、講演をしてくれと、ほとんど毎年講演をしていたようですが、講演料も毎年二十万円受け取っておりましたね。それはどう処理されておりましたか。
大島国務大臣 確かに、講演料か志かというものを受け取りました。そういう報告を、私の記憶にもありますので、それは適正に処理しなさいということを申し上げておきました。
 一方、行ったときに、資料をつくったり、あるいは交通費あるいは宿泊費等にも使いましたということは報告を受けておりますが、適正に処理しなさいということは申し上げておきました。
筒井委員 処理しなさいという指示ではなくて、適正に処理して届け出されているわけですね。
大島国務大臣 適正に処理しなさいということを申し上げておりまして、三年以前はどうかわかりませんが、もしそういうふうな、処理されていなければ処理するようにしたいと思いますし、いずれにしても、本当に、適正に処理しなさいということは言い続けてまいりました。
筒井委員 処理されていなければこれからする、適正に処理しなさいと言ったけれども、したがってその指示はなくて、今まで適正に処理されていないんですね、届け出されていないんですね、これからするということですか。
大島国務大臣 確かめてみたいと思っております。
筒井委員 時間がないので、そんな態度ではだめなんだけれども、最後、もう一つ聞きたい、確かめておきたい。
 赤坂の料亭たい家で、十月一日に、宮城の会を立ち上げた関係でA氏にお礼の席があって、そこに大臣自身も出席されたことは大臣も認めておられます。その際のやりとりだけ確認したいんですが、この会をもっと大きくしてもらえるとありがたいと大臣が言ったのに対して、「大きくするのは、難しくありません」「どうすればいいんですか」「仕事を増やしてもらえれば、自然に大きくなると思います」というA氏の答えに対して、宮内さんを指して、「その辺は彼に相談してほしい」、こう大臣が言ったことを、事実、これは記憶にありますね。
大島国務大臣 私もその指摘があったものでございますから、本当に、私のスケジュール表を見たら、その日はそういう料理屋さんに行く日程が入っておった。宮内にも確認しました。そうしたら、来ました。来て、そういう短時間でありますが、おりました。本当に、私もそのAさんの顔が明確に今もって浮かばないので、ましてや、やりとりがそうあったかどうかも私は定かでございません。
筒井委員 あったかどうかわからない。あったかもしれないし、なかったかもしれない。わからないという答え。
 終わります。
小平委員長 次に、楢崎欣弥君。
楢崎委員 民主党の楢崎です。
 私は、大臣が文部大臣をされてあるときに、プロ野球界を襲ったいわゆる黒い霧事件で処分を受けた元西鉄ライオンズのエース、池永選手の復権について質問をいたしました。そのとき大臣は、所管外のことと断られながらも、そのときの大臣の人間味あふれる答弁は、関係者の方々に大きな励みを与えていただきました。そのような大臣が、今問題になりました政治と金にかかわる問題の渦中におられることを私は残念に思います。
 そこで、今筒井議員との質疑を聞いておりまして、私も二、三気がついたことをお伺いしたいと思いますが、まず、コンサルタント会社のAさんと大臣との関係といいますか、懇意な仲なんですか。
大島国務大臣 先ほども筒井委員にお答えいたしましたように、この報道があったときに、Aさんの表現が非常に重要な報道としてなされました。私には、どうも顔が浮かばない。
 そこで、前秘書官に、僕とAさんとはどのぐらい会ったことがあるのかねと。当然二人で会ったとかということはない、宮内に聞くのが一番いいと思いました。それは、パーティー等で二、三回かそこら辺は会った程度ではないでしょうか、数回かもしれませんがということでございまして、本当に私自身、恐縮ですが、顔も浮かびません。したがって、そういう意味では親しいという関係では全くなかった、パーティー等であいさつする程度であった関係だということでございます。
楢崎委員 宮内さんは金を受け取っていないということらしいですけれども、であればAさんが業者から詐欺罪で訴えられる可能性もありますね。また、今筒井議員との質疑でもありましたように、宮内元秘書官も当然名誉毀損罪で訴えられるべきだと思うのですが、大臣の宮内元秘書官に対する事情聴取の中でもそういう話は出てこないんですか。
大島国務大臣 先ほども筒井委員から法律の専門家としての厳しい御質問をちょうだいしました。
 今、私はこういう御質問等にきちっと答えるためにも、彼の言われているそういう報道に対する彼のその報告を、しっかりと厳しく問いただしながら、そしてそのことに努めることが私の責務だと思ってやっているところでございます。
楢崎委員 これだけの問題になっているんですから、身に覚えがなければ私なら即名誉棄損で訴えますよ。大臣は、今も言われましたように、事実解明に努力することが監督責任の一つのあり方と言っておりますけれども、私はその説明責任も問われている、このように思うのですね。
 調査は継続中ですか。また、その調査結果はいつごろ公表できそうですか。
大島国務大臣 さまざまに問われた件については、私は今答えているところだと思っております。
楢崎委員 しかし、今宿題を与えられたと思います。その調査もされることと思いますけれども。
 そういう調査結果がもし報道されたとおりであれば、大臣が常々言われている議員の監督責任というものが出てくるわけですね。みずからの処し方というのをどう考えておられるのか。今月二十七日に行われました衆参の統一補欠選挙、結果は別にして、政治と金のあり方がやはり問われた選挙だったと思うんです。ですから、やはりそれが事実であれば、国民が納得される身の処し方、私は、まずは大臣の辞任じゃないかと思うんですよ。大臣の今後とられるべきそういう責任の選択肢の中に、それは入っていますか。
大島国務大臣 私は、二十八で県政に入らせていただき、今日まで歩んでまいりました。そういう中で、自分自身としての生きざまというものを、ある意味では人に申し上げられませんが、持っております。
 今大事なことは、さまざまに問われてきたこと、そして、そういうことに対して真摯に向かい、宮内前秘書に対して問いただし、そして報告としてお答えすることが私の責務と思っております。
楢崎委員 武部前大臣は、大島大臣のことを知性、品性、感性、さらには説得力、説明力にたけた実力大臣だと評価してありますので、その評価に値する身の処し方をされると信じて、有明海問題に移りたいと思います。
 まず、基本的な考えについてお聞きします。来週、集中審議があると思いますけれども、前大臣は、いわゆる中長期の開門調査について、有明海特措法の動きなども総合的に検討して省が主体的に判断する、このように繰り返し述べておられるんですが、大島大臣も同じ考えですか。
大島国務大臣 基本的に、武部前農林水産大臣がおっしゃったことを継承して努力していくことが大事だと思っております。
 これはもう先生は大変この問題に携わってまいりましたから、細かには申し上げると失礼になるかもしれませんが、ノリの不作等第三者委員会の見解の趣旨等を踏まえまして、有明海の再生に向けた総合的な調査の一環として、短期の開門調査を含む開門総合調査を行っているところであり、これによって諫早湾干拓事業による有明海の環境への影響をできる限り量的に把握したい、また把握することとしている、こういうふうにしたいと思っております。
 中長期の開門調査につきましては、現在進められております有明海を再生するための新法制定の動き、短期の開門調査で得られた成果及びその影響、その他の各種調査の動向、ノリ作期との関係等の観点を踏まえて総合的な検討を行った上で、新たに平成十四年度中に設ける有明海の再生方策を総合的に検討する場での議論を経て、農林水産省において判断してまいりたい、こう思っております。
楢崎委員 大臣は、そもそも諫早干拓の果たす役割、何のために必要なのか、どのようにお考えですか。
大島国務大臣 私は、環境庁長官をやらせていただいたときに、水俣病の最終決着について仕事をさせていただきました。自然というものは怖いものだ、大事にしなきゃならぬものだという思いはございますが、一方、食料という問題を考えると、そういうものとの調和の中で安定的な農業振興を図る必要性がございます。
 したがって、諫早湾の干拓事業の果たす役割は、そういう農業振興の事業が一つありましょう。そのための優良農地の造成が必要でありましょう。さらに、防災機能、この一つがありましょう。このように認識をいたしております。
楢崎委員 その農業振興については、地元では最終的に住宅地になるんじゃないかといううわさもあるんですよ。
 それから、今、防災機能のことを強調されましたけれども、諫早干拓にどのような防災機能があると思われていますか。
太田政府参考人 諫早湾干拓事業の防災機能、効果でございますけれども、この事業は、高潮、洪水及び常時の排水不良に対する防災機能の強化という点がポイントでございます。
 高潮について申し上げれば、締め切り前の……
楢崎委員 その三つですね。今、高潮、洪水、それから低平地の排水改良ですよね。これは論拠が崩れているんじゃないですか。
 いいですか。一九八二年に農業政策の変更で長崎の南部総合計画が打ち切られたんですよ。このときに事業中止の可能性もあったんですよ。ところが、農水省は防災を盾に縮小で切り抜けたんですね。ですから、衣がえした諫早湾干拓で、農水省は今言われたことを言っているんですね。
 特に、五百三十九人の犠牲者を出した一九五七年、諫早大水害級の洪水も防げると強調されているんですね。つまり、潮の干満差が五メートルにもなる諫早湾では、満潮時に大雨が降ると海水が逆流して、川の水が海に流れにくくなる。ゆえに、潮受け堤防で湾を締め切れば諫早市街地での洪水はなくなるという論法ですね。
 ところが、それはもう専門家の検証で、諫早湾の潮汐というのは、どんな豪雨時でも河口から一・五キロないし二キロ上流までしか届かない。ですから、四キロから五キロ上流にある諫早市街地の洪水に潮汐はそもそも無関係だということになっている。これは諫早水害史にも載っている。
 さらには、九七年に潮受け堤防が締め切られたんですけれども、そのときに住民による諫早湾自然の権利訴訟が起こったんですよ。この年の十一月に原告側弁護士から、農水省の説明では諫早水害は二度と起きない、防止できると聞いたが間違いないか、このように追及された当時の、名前は申しませんが、九州農政局の諫早干拓事務所長はこのように答えてあるんですよ。川の途中のはんらんを許すかどうかは河川管理上の仕事で、これは旧建設省のことを言ってあると思いますよ、そこまでうちはできない、二度と起こさないというのは言い過ぎだと思うと。これは記録に残っていますから。
 つまり、洪水防止に役立つというのは、ためにする話だと思うんですよ。それを裏づけることが起こった。九九年七月、大雨が降ったんですね。市街地は浸水ですよ。そのとき、市民からは、潮受け堤防があるし大丈夫と思っていたのに、これでは干拓ができても市街地の防災には効果がないという批判が起こったんですよ。(発言する者あり)違うんですよ。
 この事実をどう思われますか。
太田政府参考人 洪水の防止機能は、先生御指摘いただきましたとおり、上流からの洪水対策と下流での高潮等を含めた潮汐の調整、この二つによって成り立っておりまして、現在、マイナス一メートルに調整池の水位を確保しておることによりまして、毎日の潮汐の影響が本明川等河川になくなっております。
 そういったことを受けて、本明川ではしゅんせつ作業が着々と進んでおりまして、そういった意味では、流下能力が格段に向上し、その総合的な結果として、洪水にも十分な役割を果たしているということと承知しております。
楢崎委員 本来、あるべき防災対策をとれば、排水門の常時開放というのは可能なんですよ。その対策を挙げろと言いますけれども、ちょっと時間がありませんので。
 高潮対策については、これは確かに潮受け堤防が予防の目的を果たすことは事実ですけれども、しかし、高潮は事前予知が可能ですよね。それとまた、海岸堤防とか河川堤防を高くする代替方法もあるんです。ですから、諫早干拓事業を遂行するというのは、もう政官業トライアングルの至上命題だと。だから、これだけ反対行動が起こっても、聞く耳を持たず遂行しているというふうに私は思わざるを得ないんですよ。
 大臣、タイラギという有明海を代表する貝があるんですけれども、答えは要りませんが、御承知しておられると思います、これは大きな問題になっていますから。
 きょうはまず、政治に翻弄され続けている諫早湾周辺のタイラギ不漁問題をちょっと取り上げたいと思うんですけれども、既に有明海全体で昨年はたったの三十四トン、熊本県ではゼロになったんですね。このように、全滅に近い状態が続いているわけです。
 きょうなぜタイラギ問題を取り上げたか、これは後ほど明らかにしますけれども、諫早湾の北側に小長井という町があります。この付近はタイラギの好漁場だったんですね。年間ここだけで三千トン。ところが、九〇年代に入って、海底に立ったまま死ぬ死貝の増加とともに激減していったんですよ。そして、この潮受け堤防の建設が始まって以降の九三年には、この小長井町漁協ではゼロになった。
 そこで、漁業補償を受けて干拓事業に同意する契約を結ばれた小長井町漁協の前組合長さんが、この契約の前提となった漁業被害の予測が過小評価されていた、つまり、現実に生じた被害は契約が前提とした被害をはるかに超えているとして、昨年の七月二十四日に、国と国の委託を受けた長崎県を相手取って、契約の無効確認を求める訴訟を長崎地裁に起こされたんですね。
 この契約時に長崎県は、九州農政局が示したアセスメント、これに基づいて、水揚げ高の減少は二〇%程度、漁業経営の継続は可能と説明してあるんですね。ところが、今言いましたように、水揚げはゼロになっている。だから、この前組合長さんは、漁獲高激減が干拓事業に起因することは明らか、このようにした上で、契約は誤った前提に基づいており、無効ということを主張されているんですね。
 事は、干拓事業に関するこれまでの各種調査が、事業遂行という国の意向に沿ったものではなかったかという一つの問題提起でもあると私は思うんですね。
 いいですか。農水省は、八六年の環境アセスメントで干拓事業の諫早湾外への影響はほとんどないと言っているんですね。計画の一部変更に伴う九一年の追加アセスでも、結論は変わっていないんです。しかし、工事が始まると異変が目立つようになって、堤防が締め切られた九七年からそれが一段と深刻化していったわけですね。ですから、私は、前組合長さんがアセスにだまされたと思われたとしても当然だと思うんですよ。
 このように、農水省の環境調査そのものの信頼性が問われていることについて、見解をお伺いしたいと思います。
太田政府参考人 諫早湾干拓事業についての環境影響評価でございますが、当時の長崎県環境影響評価事務指導要綱に基づきまして、必要な各種調査を実施の上、学識経験者から成ります環境影響評価検討委員会での検討を経まして、住民への公告縦覧や説明会の開催、さらには住民意見聴取等の手続を経まして、先生御指摘のとおり、昭和六十一年度に環境影響評価書として取りまとめられたものでございます。その後、排水門の規模、位置を変更したことなどに伴いまして、同様の手続を経て、平成三年度に現在の環境影響評価書が取りまとめられております。
 以上の経過から、本事業に係る環境影響評価は適正に行われたものであるというふうに考えております。
楢崎委員 では、このときの環境アセスは今でも間違いなかったと断言できるんですか。どうですか。
太田政府参考人 そのような手続を経て作成された環境影響評価書であるというふうに理解しております。
楢崎委員 この裁判で原告の主張が認められたら、事業自体が違法となるんですよ。大変重たい訴訟だと思います。
 一方、この前組合長さんが訴訟を起こされた翌日、七月二十五日ですね、今度は干拓事業に携わっている建設下請業者の人たちが、福岡と佐賀の有明海漁連に対して、抗議行動による工事中断で損害を受けたということで、三億円の損害賠償を求める訴訟を起こされたんです。
 このように、有明海で生きてきた人たちが、国の政策に翻弄されて、立場の違いでそれぞれを傷つけ合う、これはもう政治の責任、農水省の責任にほかならないと私は言わざるを得ないと思うんですが、大臣、どう思われますか。
大島国務大臣 今、楢崎委員の、さまざまな観点からの問題提起をされて、ある事業によってそのコミュニティーが壊れるということは決して幸いなことでは私もないとは思います。
 そういう意味で、多くの方々の理解を得られるように努力することは私どもとして当然でございますし、そういうさまざまな努力をしながら、私どもとしては、平成十八年度中に本事業が完了するように円滑に工事を実施させていただきたいと思っておりますし、そう進めているところでございます。
 その対立の構図を受けて、双方が合意した、そういうまた事実もあるわけでございますが、非常にそのことの合意は重いことと受けとめております。有明再生に向けて新たな第一歩を踏み出したという認識を持っておりますが、いずれにしても、この有明のことだけではなくて、さまざまな事業がそのコミュニティー、住民の皆さんに理解を得られるように努力をする責務は私どもにも当然あると思いますし、こういう有明だけの話じゃございません。何事においても、そういう姿勢でもって事業に向かっていかなければならないもの、このように思っております。
楢崎委員 諫干事業は、半世紀の歴史を引きずる案件なんですね。ですから、今はもう政治が解決しなければいけない問題だと思いますし、その時が来ていると私は思います。
 それと、諫早湾では、昨年の夏、大量の養殖アサリが死んだんですね。有明海では、諫早湾を中心に、底生生物死滅の原因になる貧酸素水塊、これの大量発生が調査で明らかになっているんですけれども、本来、干満の差が大きい有明海では見られなかったんですよ。最近では、潮受け堤防が締め切られた九七年、そして九九年に観測されているんですね。
 原因については、一つは、潮受け堤防建設で干満の差が減少して、海水の混合率が弱められたことですね。さらには、有機物を除去する干潟が消失した等々が指摘されているんですけれども、ことしはタコもとれぬようになったんですね。これは、タコが食べるアカガイがほとんどいなくなったということなんですよ。
 有明海異変では、その象徴的なこととしてノリの不作がクローズアップをされましたけれども、実は、底生生物の生態系に異常事態が起こっている、これが大きな問題なんですね。環境アセスでもそういう生態系や環境全体の連鎖というものが考えられていなかった。そういう意味で、きょうはタイラギから入ったんです。
 そこで、先月の二十四日、福岡県の有明海漁連が、諫干事業の一つである前面堤防工事の差しとめを求める仮処分の申請を申し立てしました。要するに、工事の無期限中止もしくは中長期開門調査期間の間、工事の中止を求めているわけですけれども、佐賀、熊本の漁連も、同一行動はとっておられませんが、その行動に理解を示してあります。
 どうでしょうか。少なくとも裁判所の決定が出るまで工事を中止するべきではないですか。
太田政府参考人 去る九月二十四日、福岡県有明海漁連は、諫早湾干拓事業が有明海に与える影響を検証する等の必要性から、潮受け堤防内側の干拓地での内部堤防工事の続行を禁止する旨の申し立てを福岡地裁に行われました。
 諫早湾干拓事業につきましては、四月十五日の武部前農水大臣と長崎県知事、有明海の三県漁連会長、有明海の三県知事等との会談におきまして、短期の開門調査を実施し、また、平成十八年度に事業を完了させるとの農林水産省の方針について御理解が示されたわけであります。
 農水省といたしましては、この方向に沿って、有明海の環境変化への影響が指摘されているさまざまな要因の一つであります諫早湾干拓事業について、その影響を把握するために、現在、短期の開門調査を含めた開門総合調査を実施しておりまして、あわせて、平成十八年度中に本事業が完了するよう工事を進めておる状況にございます。
 諫早湾干拓事業に係ります開門総合調査は、短期の開門調査に加えまして、諫早干潟に類似した現存干潟におきます通年を通した現地調査と、それから得られましたコンピューター解析、それから開門調査により得られる情報も活用し、有明海全体の流動、水質等の状況を再現するコンピューター解析、こういったものを総合的に組み合わせて、有明海の環境への影響をできるだけ量的に把握する検討を進めております。
 福岡県有明海漁連の申し立てに関する主張につきましては、裁判所におきます審尋を通じて対応してまいりたいというふうに考えております。
楢崎委員 要するに、係争中であっても工事はストップしないということを言いたいんですか。そこからでいいですよ。
太田政府参考人 福岡県有明海漁連の申し立てに関する主張につきましては、裁判所におきます審尋を通じて対応してまいりたいというふうに考えております。
楢崎委員 もう時間が来ましたので、最後になりますけれども、潮受け堤防の排水門から垂れ流されている調整池の水、これは潮にまじって、西風が吹いているときは、対岸の荒尾まで三時間で届くんですね。鉛色に濁った水でして、荒尾ではタイラギがとれないようになったものですから、今イカとかマナガツオ漁とかに切りかえているんですけれども、もう網がどろどろに汚れて、どうにもならぬらしいですよ。
 私は今、干拓事業に従事してある小長井町の漁業者の言葉をちょっとここで紹介しますけれども、こういうことを言っておられる。農水省との約束が、事業完成後、漁業ができる海を返すということだけに、漁業ができない海を返すのであれば、干拓は壊すしかなか、農水省が言うことに間違いないのであれば、また漁ができる海になるはず、我々の願いは漁場の回復だけたい、このように言っておられるんです。
 いいですか。政府は六年度の工事完了を強調してありますけれども、そのときに漁民が帰るべき再生された海は間違いなくあると断言できますか。
太田政府参考人 地元関係漁民の皆様方は、一日も早く工事を終えて、それで安定した海を希望されておりまして、引き続き環境に配慮しながら事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
楢崎委員 あなた、質問に答えてくださいよ。そのとき海はどうなっているんだということを聞いているんですよ。今度に回します。
 終わります。
小平委員長 次に、白保台一君。
白保委員 昨日の大臣の就任あいさつの発言でございますが、この発言に沿って何点かお聞きをしたい、こう思っております。
 最初に確認をしておきたいなと思っておるのは、いわゆる消費者、生活者に視点を置いた、要するに、武部前大臣の在任中に食に対する不信とかいろいろなことがありました。そういった中で、やはり消費者や生活者、そこに視点をきっちり置いて農政というものもやっていかなきゃいけない、こういうことで、そのスタンスといいますか軸足というのがはっきりしてきたわけです。
 そういう面で、私は、この部分というものは、消費者、生活者があって初めて生産者も成り立ちますし、そしてまた、生産者がそのことをしっかりと意識の中に持って生産することによって、また生産者自身も生きていくことができる。こういう面では、生活者や消費者に視点をしっかりと置いたそういう行政というものが、当然大島大臣も継続を、引き続いてやっていかれる、こういうことでよろしいんでしょうか。
大島国務大臣 白保委員にお答えしますが、基本的に、武部前大臣が訴えられた消費者という視点をしっかり踏まえて農林水産政策を行うということは全く変更はございません。特に、BSE問題というものの苦しみまた痛みというものを、私たちは絶対忘れてはいかぬし、そのことは、食品の安心と安全という行政だけではなくて、生産というところまで、逆流の生産という視点まで踏まえて、私どもは、大事な大事な重要事項として考えて施策を施してまいりたい、このように思っております。
白保委員 ややもすると、ここのところでここ一、二年、急激に消費者、生産者という視点というものが強くなってまいりました。他面で、生産者の方から、もうちょっと生産者の方にも目を向けた方がいいんじゃないかというようなことが言われるやに伺っていることもあるものですから、あえてそのことについて、我々は、あくまでも消費者、生活者に視点を置いてこそ生産者も生き延びることができるんだ、こういうことを確認したいと思って、あえてお伺いいたしました。
 そこで、そういう視点からいいますと、昨日の就任あいさつの中にもございますが、無登録農薬の問題について言われております。その点についてお伺いしたいと思います。
 これは、今回、間もなくこの法案も審議をしていかなきゃならない、こういうふうな状況でございますが、この問題について提案をされる。そのことについて、私は見ていますと、幾つか、無登録農薬が輸入されないように水際で監視を強化する、無登録の農薬の使用を法的に禁止する、違法な販売等が行われたら罰則を強化する、こういうことで今回の法案を出されるようでございます。
 具体的に伺いますが、今回判明した無登録農薬の概要について、過去に登録のあった農薬はどのような種類があったのか、また、現在も登録のある農薬の種類はどうなっているのか、こういったことについてまず伺いたいと思います。
須賀田政府参考人 農薬取締法、昭和二十三年に制定されております。以来、登録されました農薬、商品ベースで申し上げますと二万九百二でございます。このうち失効した農薬が一万五千八百四十三ということで、現在登録されております農薬の数は、これは商品ベースでございますけれども、五千五十九というふうになっております。
 今回問題になりました無登録農薬のうち、過去に登録されていたものは五種類、これは種類でございます、有効成分別。五種類でございます。ダイホルタンに該当するのが、ホールエース、ホールエイト、文字どおりダイホルタンというような商品名。プリクトランに該当するのが、プリラー、プリック、プロカーブ。ナフサクに該当するのがアルファナフタレン酢酸、ナフサク。そのほかに、PCNB、PCPというものがあるわけでございます。
 以上でございます。
白保委員 無登録農薬の問題に関係して、果樹、野菜の廃棄処分、こういったものがなされています。この状況について伺いたいと思いますが、相当の被害が出ているようでございまして、果樹ではナシ、リンゴ、セイヨウナシ等の品目、また、野菜においても、ヤマトイモ、イチゴ苗等、大変な廃棄数量になっております。その損害金額、相当多額になっていると思いますが、どのような額になっておるのか、また、それに対する対応をどのようになされているのか、それについても伺いたいと思います。
須賀田政府参考人 今回の無登録農薬問題で、出荷停止でございますとか廃棄処分が行われております。十月二十二日現在で、果樹で約五千百トン、野菜で四百三十トンでございまして、出荷額ベースで約十三億円でございます。
 今回の問題は、販売業者が現行法に違反して販売をした、あるいは一部の農家におけるモラルの低下によりまして無登録農薬が使用された、こういう国民に対して食の安全性について大きな不安を与えている問題であるというふうに認識をしておりまして、どのように対応するのかということについては、まずは産地みずからが襟を正していただきたいというふうに考えているところでございます。
 ただ、一部の産地において、無登録農薬を使用した農家の周辺の農家の方々も出荷停止、廃棄処分等行われておりますので、私どもとしては、そういう農家の方に対して、運転資金を借り入れる際の利子補給対策について、緊急に措置を検討していきたいというふうに考えております。
白保委員 一番問題なのは、食の安全の問題に絡んでお聞きするわけですから、人間の生命にどのような影響を与えていくのかという、これが非常に大きな問題だと思いますが、それについてどのように農水省としては考えていますか。
須賀田政府参考人 今回の無登録農薬のうちで一番よく使われましたダイホルタンとプリクトラン、これは、厚生労働省でおつくりになっております残留農薬基準では、検出されてはいけない、不検出ということになっておるわけでございます。
 厚生省に今回の見つかりました残留農薬の量の果物等を食した場合の影響ということを尋ねてみたわけでございます。
 まず、ダイホルタンにつきましては、熊本県での検出値が〇・一九ppmあるいは〇・〇三ppm程度ということでございます。この程度の微量で、かつ、一時的な摂取ということであれば、直ちに人において健康上の問題を起こす可能性は低いということでございました。
 また、プリクトランにつきましても、石川県で〇・三八ppmという検出値があるわけでございます。これにつきましても、一時的な摂取であれば、直ちに健康にどうのこうのという問題ではないということではございました。
 科学的考察というのはこういうことではございますけれども、私どもとしては、残留農薬基準が検出されてはいけないという不検出になっております以上、食品として消費者に供給すべきではないというふうに考えているところでございます。
白保委員 私がこういうことを言うのは、実は、先般日中国交正常化三十周年の記念で訪中をいたしました際に、中国側の皆さんと議論をいたしました。そうしましたら、日本の基準というのはちょっと高いのじゃないかとか、あるいはまた、基準値に中国と日本で違いがあるような、そんなことを言っておるわけです。
 私は、数字を言っておるのではなくして、人間の命というのは一番大事ですから、人間の命が国によって違うわけじゃないわけでありまして、そういった面では、そういった数値というものは明確にして、そして本当に人の命に影響を与えないように、そういうことをきっちりとやっていかなければいけない、そういう思いが強いものですから、あえてそのことを申し上げたところであります。
 そこで、チェック、管理体制、これは厳重にする必要があるわけですけれども、これはどのようなふうにやっておられるのか、その取り組みについて、管理体制、チェック体制。(須賀田政府参考人「輸入物……」と呼ぶ)輸入物じゃなくて無登録農薬の。
須賀田政府参考人 無登録農薬等のチェック体制でございます。
 従来から、私ども農林水産本省、農政局、それから独立行政法人の農薬検査所、それから都道府県の農薬取り締まり職員ということで、立入検査等の体制を整えているわけでございます。
 そういう立入調査を行うという体制と、やはり生産の現場から何らかの情報等がございます場合にはそこへ指導に向かうということで、この無登録農薬でございますとか、あるいはまがいものといったようなものの発見、取り締まりに努めてきたところでございます。一都道府県当たり大体十人から二十人の職員がこれに当たっているということでございます。
白保委員 この問題の最後に、罰則を強化するんですね。その罰則強化については、JAS法の改正の際にも妥当かどうかという議論があったんですが、今回の罰則強化についても、妥当かどうかということは、これは飼料安全法等も含めてこの辺のバランスというものがあるんだろう、こう思いますが、この辺のことについてお聞きしたいということが一つ。
 もう一つは、これによってどういう効果というものがあるのか、ある程度のシミュレーションをやらなければそういったものは出てこないんだろうと思いますから、それについてお答えいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 今回の法律案におきまして、罰則の強化ということで、製造、輸入、それから販売、使用に係る禁止規定の違反に対しまして、自然人におきましては、最高刑を三年以下または百万円以下の罰金ということにしたわけでございます。それから、違反事例が明らかになりました、製造、輸入、販売に係る禁止規定の違反についての法人に対する違反の抑止力を高めるということから、法人に対しましては一億円以下の罰金ということにさせていただいているわけでございます。
 こういう罰則の強化が果たして抑止力になるかどうかということでございます。私どもの考えでは、例えばリンゴ主業農家の年間平均所得が約四百万円、ナシの主業農家の年間平均所得が約五百五十万円でございますので、三年以下の懲役、百万円の罰金というのは相当抑止力があるのではないか。そして、農薬の製造業者、これは大きいところもございますけれども、年間の平均的な、あらあらでございますが、約二億円、販売業者は、個人の方も多うございますけれども、平均約二百万円でございますので、そういうところから見ても十分な抑止効果があるのではないかというふうに考えているところでございます。
白保委員 それでは、大臣の就任あいさつの中にもあります構造改革特区、この件について若干伺いたいと思います。
 構造改革特区構想については、さまざまな意見があります。私も農業分野の構造改革特区に関する意見というものも幾つか見ておりますが、一つは、この特区の手法に対する懸念や、株式会社の参入に対して、昨年三月に施行されたばかりの改正農地法による新たな農業生産法人制度の普及、定着や集落営農の推進、担い手の支援、育成といった途中でありながら、その検証、評価がなしに新しい株式会社の参入というのは認められないんじゃないか、こういう意見があるんです。どうですか。
川村政府参考人 特区の関係の御質問でございますが、今委員が御指摘ございましたような意見は、これまで、生産団体等との日ごろの接触の中、また要請書の中等でも承知をしてございます。
白保委員 また、もう一点、本当に地域農業の発展に資することが担保されるのであれば、特区構想の必要性や意義を認めるという意見もありますか。
川村政府参考人 特区の構想が発表されました段階で、特に地方の自治体等からこういった、今御指摘のあったように、地域農業の振興に資するものであれば必要であるといったような御意見も伺っております。
白保委員 もう一点、また、特区に関して、導入に当たっては地域の理解と合意を前提とすること、及び株式会社一般の農業経営参入についてはこれを認めないなどという意見もありますか。
川村政府参考人 お答えいたします。
 今の二点につきましても同様に、これまでの要請書等で伺っております。
白保委員 それでは、大臣に伺います。
 これらの意見、今三点、四点ばかしの意見がございました。ごあいさつの中には、こういったことではなくて、構造改革特区の活用も図りながら、こういうふうにおっしゃっているわけですから、こういう意見もある、こういうことに対する御認識、御理解、これについて、同時に、そういったこともあるけれども、これをどう実効性あらせるものにしていくのか、こういった構想等も含めて御答弁いただければと思います。
大島国務大臣 今、白保委員からさまざまな現場の心配のお声を拝聴いたしまして、そしてまた局長からお答えを申し上げましたが、この特区構想を進めるに当たって、その根本的な心配のもとは、優良農地が逆に荒らされていくんじゃないだろうかということが一つ。いわば、バブルのようなことはないとしても、入ったはいいが、農業者じゃない人が来てその農地を壊していくんじゃないかということ。農業というのは、水、空気、また道路を含めて周辺と一体なわけでございますね。そういう一体感の中で秩序が壊れていくんじゃないだろうかということ等々、基本的にそういう心配ではないか。つまり、農地コミュニティーというんでしょうか、そういうふうなものが壊れていくという心配だと思います。
 したがって、今、白保委員からさまざまな御心配の問題提起をいただきましたが、そういうことをしかと認識しながらこの特区をきちっと進めていく。そのときに理解をしていただくために、この特区構想というのが逆に農業にまた農業者にどういう利益があるのか、どういう効能があるのか、効果があるのかということを理解してもらう必要があると思うんです。心配に対しては、私どもは、地方公共団体等との協定の締結とか地方公共団体等からの貸し付け方式という一つの方策を書いてあります。それによってその心配を担保していこう。
 一方、目的でございますが、私はこのように考えておりますが、もちろん、遊休農地あるいは壊廃農地を利用していただくということもありますが、農業の世界に農外のひょっとしたら知識の刺激というのはあるんじゃないだろうかという気がするんです。つまり、そういう法人化あるいは株式会社的な方々がこういう条件を踏まえてやりたいといったときに、我々が気がつかなかった農業経営に対する知的刺激というものも結構あるんじゃないかなという感じもいたします。
 そういうふうなものの中で、そういうさまざまな心配をしっかり踏まえて、認識して特区構想を図っていきたい、こう思っております。
白保委員 地方公共団体の話も今少し出ましたが、地方公共団体から恐らく九十四ですか、提案があったと思いますが、この提案がなされておりますけれども、このプランと実行と効果や可能性、そういったものについてどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
大島国務大臣 構造改革特区の導入によりまして、先ほど申し上げたような地域の活性化とか、私は知識の刺激とかということを申し上げましたが、さらに農村との交流等があると思います。
 私は、特区構想を進めていって、そして一定評価のときにはさらに皆さんと議論してみたいと思っておるんです、何せ初めてのことでございますから。もっと、どうやったらどうなるんだろうか、そういうことも踏まえながら積極的に対応してまいりたい、このように思っております。さまざまなアイデアに対してよく精査しながら、そういう御心配の点をしっかり踏まえつつも、我々としては積極的に対応してまいりたい、このように思っております。
白保委員 次に、農協改革の問題について伺いたいと思いますが、農協の問題についても、農協については、組合員の期待にこたえ得る健全な農協経営の確立、消費者ニーズへの的確な対応など新たな農協へと脱皮を図るための改革を促進します、こういうようなごあいさつもございましたので、農協のことについても若干お伺いしたいと思います。
 今、それなりにずっと長い歴史の中で役割を果たしてきた、そしてまた組合員との中で信頼関係もあった、こういうことも時代の中であったり、役割も果たしてきたり、いろいろなことがあったと思います。しかしながら、農家の方はだんだんに減っていく、しかし一方では農協の職員は減らない、そういうことで、農協のための農協とか、農民のための農協じゃなくて、そんなことが言われたり、さまざまな批判やあるいはまた不満等が各方面から出ています。
 例えば、消費者の食の安心、安全の不安への対応が不十分であるということが言われます。またあるいは、やる気のある農家の経営に十分役立っているのかどうかということが言われます。あるいはまた、企業家マインド、要するに、買うリスク、売るリスクへの認識等が非常に乏しい。先ほども申し上げましたように、農家より農協のための農協となっている。こういう痛烈な御意見とか御批判もあるわけでございますが、謙虚にこれは耳を傾けていかなきゃならない、そして改革に反映をさせていかなきゃならない、こういうふうに思うわけです。
 十四年度末までに農協改革の方向を取りまとめるようにということになっておりますが、有識者との検討会の場を設置して、新たな農協への脱皮をするために、消費者ニーズへの的確な対応、組織、事業の効率化、スリム化、アグリビジネスとの公平な競争条件の確立、補助金依存体質からの脱却など、こういった意見が出されているようであります。こういったような意見を踏まえて、大臣はそれをどう認識され、また取り組んでいかれるのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
大島国務大臣 先ほど、松下委員が冒頭に十三、四年前の話を出していただいて、そのときも私は、農協のあり方論というのを非常に問題意識として持っておりました。
 そういう中に、白保先生がおっしゃった原点が一つだと思うのです。それは、農家、農民のための農協というこの原点から、新しい時代の農業の環境と構造が変化しておったら、当然その原点に立てば変わっていかなきゃならぬ、もうそれに尽きるんだろうなと思うのです。それはまさに、市場から見る農業づくりを我々はやっていかなきゃいかぬし、安全と安心の問題もやっていかなきゃいかぬし、世界も見なきゃなりませんし、そういう状況の中で、一方、集落とか農協の構成員の変化もございます。
 ですから、そういう視点からさまざまな議論を今していただいておりますが、一つは、改革の具体的な論点として、まず協同組織としての農協のあるべき姿、消費者ニーズへの的確な対応、組合員の期待にこたえ得る健全な農協経営の確立、もう一つは、我々もそうであったかもしれませんが、農協全体に行政がちょっと補完的な役割をお願いし過ぎてきたという点は、ひょっとしたら我々自身も反省しなきゃならぬのかもしれないということで、さまざまな議論をし、またこの委員会でも御議論をいただきながら、あるべき姿に十一月末までに何とか結論を出したい、こう思っております。
白保委員 次の質問に入ろうかと思っておりますが、ちょっと時間もありませんので、私はあと、米の問題も、非常に今あるべき姿論というのが出ておりますし、あるいはまた自給率の向上の問題についてもお聞きをしたいと思っておりました。そしてまた、WTOや二国間協定の問題等、これはこれから本格的にやりますと時間が随分とたちますので、ここで私は質問を終わりたいと思いますが、今申し上げました幾つかの課題についても改めて議論をすることといたしまして、私はここで質問を終わりたいと思います。
 以上であります。
小平委員長 大島大臣、答弁が間違いがあるようなので、どうぞ。
大島国務大臣 先ほど私、十一月末とお答えしたようです。十一月末の方は違う方の結論でございまして、十四年度末。大変失礼をいたしました。訂正しておわび申し上げます。
小平委員長 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時四十九分開議
小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山田正彦君。
山田(正)委員 きょう水産問題でいろいろ聞こうかと思っておったのですが、急遽ひとつ、大臣元秘書官の口きき疑惑について、大臣にいろいろ釈明を求めたい、そう思っております。
 大臣、問題のこの桜丘の、宮内秘書官が購入した一軒家の件なんですが、これで、この前予算委員会で、いわゆる預金その他を取り崩して約三千万、そうおっしゃいましたが、私の方で質問通告で、その三千万の預金というのは、預金できるということは大変なことなんですが、まだ四十六歳ぐらいですね、その預金をどういうもので積み立てたかということについて質問通告しておったのですが、調べていただけたと思いますので、御回答いただきたいと思います。
大島国務大臣 山田委員の通告にもございました。また私は、この問題が報道されて以来、彼の住宅の資金、ここのところを明確に私に説明できなければこれはだめだということを言って、細かには申し上げませんが、支出総額一億一千万、そして手当てで、先ほども質問がありましたが、調べたけれども通帳がなかった等々で六百九十六万あるにしろ、そういう中での三千百万がみずからの稼いだ金だ、そのことに対しましても、どうなんだ、本当にどうなんだということを彼に厳しく問いただしまして、彼も、自分の今まで生きてきたことのあかしというのでしょうか、そういう中で、そこまで代議士に私は言われるんですかというやりとりもございました。
 彼の言いぶりは、報告は、自分は大学を卒業して秘書になった。以来、今日まで秘書をしておりまして、もう約三十年近くになるんでしょうか。それから、お子さんが生まれるまでは奥さんも共働きでございました。そういうものの中から蓄財をした金額ですということでの報告でございました。
 このファイルの中に、先ほど筒井先生からの御質問にも申し上げましたが、解約した通帳あるいはその書類は、本当に私は奥様にもお願いをして、自分のプライバシーを全部ここにしたためておりますけれども、そのときに解約と同時に成約をした時期もこれにあるものは全部書いてあります。そういう以上に、私自身は問いただし、またそのことを聞くすべは今のところ持っておりません。
山田(正)委員 大臣、質問に対して簡潔に、イエス、ノーで結構だから。ちょっと時間も短いことだし。
 今大臣、大事な発言をいたしましたが、このいわゆる約五千万近いお金ですが、これがどうなったかということを明らかにしない限り大臣としては責任をとる、そう今言われましたね。そう言われましたね。どうですか。
大島国務大臣 責任をとるということではなくて、そこを明らかにすることがこの問題の核心ですと。その家のところですね。
山田(正)委員 そこを明らかにすることが大臣としての責任である、そう言われませんでしたか。
大島国務大臣 山田委員、私が言っていることを少し整理してちょっと、そんなに長く言いません。
 一番最初の報道ぶりは、彼がいわゆる紹介をして六千万をどうやら受け取った、受け取ったのは家に使われている、そういうことから、そこの住宅の資金をきちっと説明しろということを言っておった。
山田(正)委員 委員長、私の聞き間違いかどうか、今、このいわゆる疑惑になっている金額を明らかにしない限り、これは大臣としての大きな責任だと言ったように私は聞こえたんですが、議事録、速記録をちょっと今明らかにしてもらえませんか、休憩して。
小平委員長 大臣、きちんと答弁し直してください。誤解を与えないようにきちんと答弁してください。
大島国務大臣 私は、この問題が報道されて以来、この問題の争点は、家の住宅資金の原資を君が僕に説明することが最も大事だ、そのことがこの問題に対する答えを出す君の責任だよ、君の責任なんだということを申し上げ、その結果として先ほど申し上げたような事実をお話しし、そしてこういう資料を持ってまいりました、こういうことでございます。
山田(正)委員 最初、大臣はこのお金の金額を明らかにすることが私の大臣としての責任であるというふうに聞こえたんですが。だから、速記録を、議事録をちょっと明らかにしてもらうわけにいきませんか。
小平委員長 答弁に聞き違い、聞き漏れがあると思いますので、もしそれが間違っていれば訂正するし、きちんと答弁をして前に進めてください。
山田(正)委員 いわゆる大臣の答弁というのは大事なものでして、ひとつ今大臣の責任を、いわゆる適性を問われているときですから、どういう発言をしたか、どういう考え方でこの問題を見るか、大臣の責任に関する発言というのは大変重要ですので、後でまた言いかえればいいとか訂正すればいいという問題じゃない、そう思いますが。
大島国務大臣 私は、こういうことも何回も申し上げておきました。自分は監督責任を問われているけれども、それは、彼に対して今言われているような事実の解明を君が僕に報告しなさい、そして本当にそこがどういう裏づけがあるかということを調査していくことが私の責任であるということは言っております。
山田(正)委員 いわゆる大臣のいろいろなことに対する釈明じゃなくて、大臣の責任の問題に関する大臣の発言、これは非常に大事だと思うんですが、重ねて議事録で、それはどういう内容を発言したか、速記録で明らかにしていただきたいと思います。
小平委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
小平委員長 速記を起こしてください。
 山田委員、大臣の答弁に不透明がありましたら、今もう一度質問をし直して、大臣から明確に答弁をするように求めますので、再質問してください。
山田(正)委員 大臣、秘書官から今言われている疑惑に対してその説明を求めること、これはだれでもできるわけです。大臣が、大臣としての秘書官だった人、その疑惑を大臣として明らかにする、それが大臣の責任である、そう私はお聞きしたんですが、そうではなかったんでしょうか。
大島国務大臣 報道以来、私のいわゆる監督責任者と言われる立場として、その報道されたことに対して宮内前秘書官に問いただし、問いただすだけではなくて、そのことを裏づけするような資料まで出しなさい、そういうことをすることが私の責務だ、こう思って今日までやってまいりました。
山田(正)委員 大臣、あなたは、大臣としての私の責務ということは、大臣としての責務。私は人事院規則を調べてみたんですが、人事院規則に基づいても、公務員の監督責任、これは明確に規定されていますね、公務員が公務員を監督する場合の。ですから、大臣というのは公務員の最たるものですから、その公務員が、いわゆる部下職員に管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた場合、また、部下職員の違法行為を知っていたにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、または黙認した場合、これは当然責任がありますね。いわゆる大臣としての、元大臣秘書官の行為についての大臣の責任。
 私の責任、これは大臣の責任のことなんですね。それを明確にしてください。私の個人としての責任なのか、大臣としての責任なのか。当然、大臣としての責任でしょう、これは人事院規則からしても公務員ですから、大臣は。
小平委員長 大臣、質問に明確に、簡潔に答えてください。
大島国務大臣 当然、大臣、政務官としての関係の中での責務と私は考えて、そのときに報道された事柄について一つ一つ彼に対して調査をし、命じ、そしてそれを裏づける資料を収集し、御報告を国会でしたり、質問に答えたりするのが私の務めと思っております。
山田(正)委員 大臣としての責任だと明確に答えていただいたので結構なんですが、では、この疑惑、五千万について、まだ六百九十万わかっていませんが、これを明らかにできないとしたら、当然、大臣は責任をとってやめられる。いかがですか。
大島国務大臣 私に対する前秘書官の報告は、予算委員会でもお話をしました。概算で一戸建て一億一千万のものを、さまざまなことで一億二千九百四十六万かかりました、そして、こうこうこういう貯金を、こういうものを解約して原資に充てましたと。そして、山田委員、恐縮ですが……(山田(正)委員「それを聞いているんじゃないので、質問の趣旨に明確に、イエスかノーかで答えてもらえればいいんです」と呼ぶ)いやいや、こういうふうなことを持ってきて私は報告を受けたわけでございますから、それらを踏まえて、彼の報告として私が答えることが私の務めだ、こう思って今日まで努力してきたところでございます。
山田(正)委員 予算委員会で、総理大臣小泉さんも、事実を調査させる、明らかにしろと。総理大臣として、閣僚に対する指示だ。もしそれに対して明らかにできない場合は、大臣としての責任が当然問われることになる。それについて、そうでないのかそうなのか、イエスかノーで答えてください。
大島国務大臣 報道に言われている事柄について、私は彼に対して厳しく、そして調査し、そしてそのことに対して裏づけするようなものも持ってこさせ、そして、こうして御報告するのが私の務めだ、こう思っております。
山田(正)委員 私の質問に答えていただきたいんですが、大臣として、あの総理大臣の閣僚に対する指示もあり、これから本当に調べなきゃならない。そういった場合に、あらゆることを調べなきゃならない、あらゆることを。例えば、宮内秘書官に明らかにさせることも一つ。ほかにもいろいろあるんじゃないですか、大臣。宮内秘書官に明らかにさせることも一つ。それだけでいいんですか。まだほかにも調べる責任が、いわゆる公務員の、部下の不法行為等に対しては、当然、人事院規則その他からしてもあるはずだ。総理大臣からもそれなりの指示を受けている。それなのに、秘書官がこう言ったからそれだけで調査は終わり、明らかにできませんでした、それでいいのか。大臣、どうですか。イエスかノーで答えてください。
大島国務大臣 私が調査を命じ、それに裏づけをとるように努力する相手は、前秘書官だと思っております。
山田(正)委員 前秘書官だけ聞いて、それで明らかにならなかった、そうしたらどうするんですか。
大島国務大臣 繰り返して恐縮でございますが、週刊誌、新聞等でさまざまな問題提起やあるいは報道がなされました。そのことに対して、前秘書官に対してまず厳しく問いただし、そして、そのことの、できるだけその裏づけがあるようなものをしっかり踏まえながら出しなさいと言うことが私の責務だと思っております。
山田(正)委員 大臣、何度も同じことを言っているんですが、秘書官に問いただして、証拠も出しなさいと言っても、もう十月十三日からこれまでに半月近くかかっていてまだ明らかになっていないんでしょう、まず。そうすれば、秘書官から聞いて明らかになっていなければ、当然その後は何を調べるんですか。後はどうするつもりですか。これは大臣、国家公務員として当然責任を、先ほどもあなたは責任をとると言ったんだから、責任があると言ったんだから、とるは別としても、当然それに対して調べなきゃいけないでしょう。調べなくていいんですか、宮内秘書官から聞いただけで。
大島国務大臣 先ほど、もう少し細かに申し上げますが、その住宅ローン七千百万を立て、自己資金を立てた。そのさまざまな、財形のあれを解約しました、これを解約しました、それは本当に、ここに預金通帳すら持ってきております。そういうものを踏まえて彼からの報告を受け、そしてそのことをお答えしているわけでございます。
山田(正)委員 大臣、本当にじれったくなるんですが、私の質問、もう一回言いますよ。宮内秘書官にいろいろ聞いて、ここまでは調べました、しかしこれから先はわかりません、そうなったらもうそれで最初に言った大臣の責任は終わったのか、それともそれ以上何らかの調査をしなければいけないと思うのか、どっちかの答えを明確にここで答弁していただかない限り、これ以上質問はできません。
大島国務大臣 新たに提起されたことについても誠実にお答えしてまいりましたし、そして今後、具体的に報道あるいは質問の中でこれを調べなければならないという点が出てまいりましたら、当然、これはまた調査していくのは当たり前だと思っております。
山田(正)委員 それでは、宮内秘書官に聞いてみてわからないとなったら、新たに調べなきゃいけないということは当然だと今お答えになった、そういうことでいいですね。
大島国務大臣 御指摘があり、そしてこれは、それでは調べなければならないと判断したものについては調査をしていくつもりでございます。
山田(正)委員 何か回りくどい言い方をするんですが、宮内さんから幾ら聞いてもここまでしか出ない、そうなったらほかのことも大臣として聞いていきますとはっきり言っていいわけでしょう。イエスで答えてください。どうですか。
大島国務大臣 何回も申し上げますように、さまざま問われて、あるいは報道されてきたことについて、私は、今日までも彼に対して問いただしてきました。そしてまた、出された問題についても問いただし、お答えをしてまいりました。そういう姿勢は今後とも私はとってまいりたいと思っております。
山田(正)委員 結局何を言っているかわかりません。私の質問は明確に質問しているわけで、明確な答えがない限り、私はこれ以上質問できません。
大島国務大臣 例えば、宮城野企画がどうなんだとか、あるいはまたそういう問題提起が週刊誌報道でなされました。予算委員会でも聞かれました。したがいまして、そのことについて先ほど筒井議員に対してお答えしたように、そのことについては本人にしっかりと厳しく問い詰め、そして、そのことを報告し答えてまいっているつもりでございますし、その基本、そういう方向は今後も私は持ち続けます、こういうことを申し上げておるものであります。
小平委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
小平委員長 では、速記を起こしてください。
 山田委員、委員会の質問答弁、答弁術でありますので、必ずしも質問者の意に沿った答弁がないこともあり得ます。これは答弁術があります。しかし、答弁は質問に沿って答えること、これが旨ですから、そのように今私は大臣にも伝えました。
 そこで、あなたの質問に対し、従来についてのことは調査をしてきました、今後新たに疑惑が出ればそれについても調査をします、そういう方向でよろしいんですか。
山田(正)委員 従来の調査で足りない部分については、当然、大臣として新たに調査します、それで明らかにしますということ、それで結構なんです。
 では、質問を続けます。
 問題のコンサルタントのAさん、大臣、御承知ですよね。そのAさんについて、Aさんは、今回宮内秘書官にお金を渡したということ、これは九四年から九七年にかけて約五千万、二十回にわたって克明に国会手帖にメモがしてある、そんな話もありますね、大臣も聞いているかと思いますが。文春の中では、九五年四月三日に百万とか七月一日に五百万とかいろいろ出てきていますよ。
 そうすると、この問題で一番のかなめはコンサルタントのAさん。大臣、違いますか。イエス、ノーで答えてください。
小平委員長 大臣、答弁の前に、質問の趣旨に沿って答弁をお願いします。(山田(正)委員「Aさんが違うのか、Aさんは大事な証人である、大事な調べの対象にあるのかないのかということ、それだけ答えていただけばいいです」と呼ぶ)
大島国務大臣 私は、報道されて、その方のお顔が浮かびませんし、今も浮かびません。したがって、宮内前秘書官に聞いたところ、数回かそこら辺はパーティー等で会ったろうということでございまして、本当に私の記憶にはございません。お顔が思い浮かばないということです。
山田(正)委員 大臣、私が聞いているのは、顔が浮かぶ浮かばないじゃないんですよ。今回の問題で、いろいろなところで報道されているように、コンサルタントのAさんが宮内さんにあなたの衆議院の議員室でお金を渡したと言っているんです。
 宮内さんに聞いてみたら、口ききはしたけれどもお金はもらっていないと。ところが、宮内さんの家を購入した部分について、どうしてもあなたとしては明らかにできないとなれば、当然、本当にAさんが宮内に、自分の秘書官に金を渡したのかどうか、これを大事な調べる相手と思うのか思わないのか、ただそれだけなんです。
大島国務大臣 私は、宮内に聞くことが私の務めだと思っております。
山田(正)委員 あなたは、大臣としてこの事実を明らかにする責任がある、そうはっきり言ったんですよ、この委員会で。大臣としての責任がある。当然、国家公務員規則から、総理大臣の指示からしたって、閣僚として調べる責任が法律的にもあるわけです。
 その中で、これだけみんなに問われている、予算委員会でもあれだけやられている。そして、実際に国会手帖という証拠物があるわけです。あなたの部屋の名前が書いてあるんです。
 そうすれば、当然のことながら、あなたとしては、それはまず宮内さんに当たって調べるのは当然じゃないのか。調べなくていいのか。調べなくていいというんだったら調べなくていいと、大臣として調べる必要がないということをはっきり言ってください。そのことが大臣の責任です。
小平委員長 大臣にちょっと前に。
 前に進めるために、調べる必要ありかなしか、それについての大臣の見解をしてください。
大島国務大臣 私は、先ほどお話ししましたように、まず宮内の家を建てる原資をしっかりと彼に報告させることが務めであるし、既にAさんがさまざまなことを言って、証拠とされることも週刊誌等にも載せてありますから、それらについて宮内に確かめることが私の務めだと思っております。
山田(正)委員 私が聞いているのは、コンサルタントのAさんが、国会手帖という証拠物の中にあなたの部屋の名前も書いてある。そして、宮内さんにいろいろあなたが釈明を求めても、十月の十三日以来半月たたんとしているのに明らかにならないとしたら、あなたも、新しく調べなければならないということは認めたじゃないですか。その新しく調べる中で、一番大事な宮内さんを調べなきゃいけないと思うのか、調べなくていいと思うのか、イエスかノーで答えてくれればいいだけなんですよ。それで答えない限り、もう質問できませんからね。
大島国務大臣 したがって、先生も今おっしゃったように、宮内を調べているわけです。(山田(正)委員「いや、宮内じゃない、コンサルタントのAさん。では、質問に、私が間違っていたら、もう一回明確に質問します」と呼ぶ)
小平委員長 発言は挙手をしてからしてください。山田君、どうぞ。
山田(正)委員 今ちょっと間違ったようですが、宮内さんを調べても、最初に話があったのは十月十三日ですから、いまだに明確になっていない。これは、筒井議員の先ほどの質問でも明らかなとおりなんです。その中で大臣は、責任を持って調べる、そして大臣として新しいことも調べなければならない。その中で、あなたの部屋まで書いたコンサルタントAさんの国会手帖、現物がある。写真も文春に載っていました。
 そうであれば、コンサルタントAさんが、あなたの部屋で宮内さんにお金をやったと言っているわけですから、当然あなたは、宮内はもらったと言っていないが、あなたは本当にやったのかどうかとコンサルタントのAさんを調べなきゃいけない法的責任があるんじゃないかと言っているわけです。そういう法的責任がないと言えばそれでもよし、そこをはっきり答えてください。
大島国務大臣 私は、大臣として、政治家としての責任として、宮内に聞くことが私の務めだ、このように思っております。(山田(正)委員「Aさんに対してはどうなのかと聞いているんです」と呼ぶ)
小平委員長 挙手をしてから。山田君、どうぞ。
山田(正)委員 済みません、挙手してから質問するようにします。
 Aさんに対しては、大臣として調べる責任がないのかあるのか、イエスかノーではっきり答えてください。これを答えない限り、私もうこれ以上質問できない。Aさんに対して。
大島国務大臣 そのAさんのさまざまな取材対応から起こっていることでございます。したがって、その取材対応されて報道されたことに、私の前秘書であった宮内前秘書に対して、家の購入資金ということについては本当に調べ、このように通帳まで持ってきて皆さんにお示しをしているわけです。それが私の務めだ、このように申し上げております。
山田(正)委員 それでは大臣として、たとえ明らかな証拠物、国会手帖の中に記載があったとしても、いわゆる大臣の責任としてAさんを調べる必要はない、そういう考えなんですね。それだけ答えてください。
大島国務大臣 そういうことがもう既に報道されているわけです。したがって、それについて、こういう報道があったけれども君はどうなんだ、こういうことを聞くことが、代議士と秘書、大臣と前秘書官との関係の中で私がなすべき務めだ、このように申し上げております。
山田(正)委員 大臣は大きく間違っています。大臣は、個人としてのいわゆる宮内との主従関係ではなく、公の責任の、大臣としての事実関係を明らかにする責任がある。先ほど、最初にそれは言ったはずだ。そうであれば、報道されているAさんには聞く必要ないというのは、これは大臣としての職務に反していることだ。公の立場として、公に調査する責任に反していることだ。そうであるのかそうでないのか、はっきり答弁いただきたい。
大島国務大臣 何回も同じことを申し上げさせていただきます。
 Aさんから発せられた、取材に応じたことが報道され、したがって、Aさんの言われていることが一つ一つ出てまいっております。そのことに私自身が今なすべきことは、言われた前秘書のその事実を、あるいは私に報告させる、そのことを厳しく行うことが今私の務めである、このように任じて努力してまいっております。
山田(正)委員 大臣は私の質問にまじめに答えていただいているとは思えません。大臣の立場としての公の責任というのは、広く大きいし、重い。その立場をないがしろにし、ある意味ではこの委員会を冒涜するものであって、この問題に明らかに答えられない限り、私としてはこれ以上質問はできない。
小平委員長 大臣、答弁の前に、大臣は、前秘書官、前の秘書についての調査は接触はすべき、コンサルタントA氏についてはそれはその分でない、そのように聞こえますが、そういう趣旨でありますか。
大島国務大臣 委員長からの御質問でございますが、何回も申し上げますように、私の務めというのは、まさに私の秘書であった、あるいは秘書官であったがゆえに、彼もしくは奥さんのことも含めて、そのことにしっかりと答えさせることが私の務めだ、これが私のお答えでございます。
小平委員長 わかりました。
 それは必要ですが、A氏に対しては接触する義務はない、そういうことですか。
大島国務大臣 はい。Aさんに対しては、私は今接触するという思いはございません。
小平委員長 山田君、それが大臣の答弁であります。
山田(正)委員 接触する思いはない、義務はない、責任はない、どちらなんですか。
大島国務大臣 これまた同じことを申し上げますが、今私がなすべき務めは、本当に、彼の家の原資がどうであったか、そのことについてのことをしっかりと報告させ、そして皆さんにお答えすることではないかと思っております。
山田(正)委員 時間がなくなるのであれなんですが、大臣、大臣の私的なことをお聞きいたしますが、大臣は、九九年、品川東五反田、マイキャッスル高輪台に買われましたね。マンションですか、これは。それについて私は質問通告しておったはずです。手短に答えてください。
大島国務大臣 どういう内容かということだと思いますが、平成十年十二月二十五日、三十五・二五平米、十坪足らずでございましょうか、中古のマンションを買ったのは事実でございます。
 そして、ちょっとこれは言わせていただきます。私の子供はアトピー性の皮膚病でございまして、下宿をしておりました。(山田(正)委員「いや、それは聞いていない。時間もないので」と呼ぶ)でも、これはプライバシーのことですから。(山田(正)委員「質問にだけ答えてもらえればいい」と呼ぶ)何をおっしゃるんですか。プライバシーのことでございますので、やはり経過をお話ししませんと、誤解を生む場合があると思いますので。
 下宿をさせておりまして、その病気が激しくなりました。月七、八万の月謝を払っておりました。そういうことから、日当たりのいいところに移してやりたいという思いがありまして、そういう処置をいたした次第でございます。ローンは一千万でございました。
山田(正)委員 原資についてどれだけか、その原資はどこで調達したものかということも質問事項に入れておったんですが、私の持ち時間が少なくなってくる。問題点を先に話しましょう。
 いわゆるこの保証会社が大和ギャランティ株式会社。そして、七千百万のお金を宮内秘書官が借りた。四十六歳で七千百万のローンを年収一千万足らずの者に出すということは、私が銀行の人に聞いた限りでは、あり得ないことだとは言っていましたが、借りた。その保証も大和ギャランティである。
 ということは、大臣、あなたが宮内秘書官と、そしてあなたのところの事務所の経費と、あるいは個人的なものも含めて、絶えず一緒にやっておったのではないのか。
大島国務大臣 政治家にもぎりぎりのプライバシーがございます。山田委員にも私はあると思います。私のこの十坪足らずのマンションについて、そういう思いで御質問をされておるとするならば、そういうことはございません。
山田(正)委員 大臣に、ちょっと時間がないのではしょりますが、かつての宮内秘書官が、今回、八戸の市民病院の建設について口をきいたことは大臣も認めている。口をきいた、いわゆる紹介したということは認めている。そして実際に、前回、予算委員会の質問の中で、いわゆる大臣の政治資金法に基づく口座の中に、その市民病院のいわゆる元請、下請からかなりの金額が献金されている。
 となれば、大臣、いいですか。政治資金規正法に届けているからいいというものではない。秘書が口をきいた、いわゆる紹介した。そして、その業者からお金が政治資金の口座に振り込まれた。そこに職務に密接な行為があれば、これは収賄罪が成立するのではないのか。どうお考えですか。
大島国務大臣 まず第一点、明確にさせていただきますが、私自身が一度もそういうことに紹介したりしたことはございません。宮内からも伺ったら、宮内は、それはあいさつ程度の紹介はしましたけれども、それによってお金を受け取ったこともございませんとの報告でした。
 政治資金規正法にのっとって報告をした結果、ああいう姿が見えたということは、私も共産党さんから予算委員会で受けたときに初めて知った次第でございまして、あくまでも法律にのっとった処理である、このように思っております。
山田(正)委員 刑事局長をきょうお呼びしていますので、刑事局長にちょっと質問したいと思っております。
 刑事局長、見えていますよね。刑事局長にお聞きしたいんですが、いわゆる今回……(発言する者あり)
小平委員長 山田委員に申し上げますが、持ち時間が過ぎましたので、簡潔に終わらせてください。
山田(正)委員 それでは簡潔に申し上げます。
 今回、いわゆる収賄罪に関するおそれ、例えば鈴木宗男議員の調べのように。実際には、証拠物として国会手帖あるいは証人その他いろいろのものがある中で、事実関係を明らかにして、これを贈収賄事件として調べることができるのではないのか。
 もう一つ、市民病院の入札については、前回の予算委員会の質問で明らかなように、これは談合の疑惑が濃厚である、談合罪のおそれがある。これを刑事局長として調べる必要がないのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
小平委員長 時間が超過しておりますが、この際、法務省樋渡刑事局長が参考人として出席しておりますので、簡潔に答弁を願います。樋渡刑事局長。
樋渡政府参考人 お答えいたします。
 あくまでも一般論として申し上げることになりますが、検察当局におきましては、あるいは捜査当局におきましては、厳正公平、不偏不党の立場から、刑事事件として取り上げるべきものについては、法と証拠に基づいて適宜適切に対処するものと承知しております。
小平委員長 次に、松本善明君。
松本(善)委員 大島農水大臣にかかわる公共事業の口きき疑惑が今国会の大きな問題となり、予算委員会でも本委員会でも追及をされましたけれども、疑惑は解明されたどころかますます深まってきていると思います。
 建設業者と秘書官を仲介したコンサルタント会社の社長、A氏と言われていますが、約三年間に二十回にわたり総額で約五千万円を手渡したなどと、週刊誌、一般紙に証言した内容と証拠のメモは、極めて具体的でリアルで信憑性が高いものと思われます。また、空気調和換気設備工事を受注した新日本空調株式会社は、二千万円を営業協力費としてコンサルタント会社社長に手渡したことを認めております。
 その上、コンサルタント会社の社長は、公共工事の口ききの見返りとして落札業者から金を受け取り、前秘書官に一九九四年から九七年初めにかけて総額約五千万円を渡した。工事落札をしたい会社がまず私に報酬額を提示し、それを私が前秘書官に伝え、了承を得ていた。金はすべて前秘書官に渡し、自分はこれとは別に報酬をもらっていたと、さらに具体的に証言した新しい報道もあります。
 そこで、大臣にお聞きしたいんですが、予算委員会で宮内前秘書官の自宅購入資金についての調査結果も報告したし、きょうも報告されましたけれども、それだけでは宮内前秘書官が金をもらっていないという証明にはならぬのですよ。これはもう極めて明白です。問題は、金を受け取ったかどうかなんです。
 コンサルタント会社社長が、約三年間に二十回にわたり総額で五千万円を手渡したと述べていること、今それが非常に信憑性が高いということを申し上げましたけれども、それを宮内秘書官がもらっていないと言っていること、これとどちらが正しいと思っているのか。もし宮内前秘書官の言うことが正しいと思っているならば、その根拠を明らかにしてほしいと思います。
大島国務大臣 私は、今先生がさまざまな御指摘というか、報道を中心にしながら、あるいはAさんのお話を中心にしながら私に質問をしているわけですが、それらについて、今までも何回となく申し上げてまいりましたように、そこの最大のポイントというのは、家の資金になっているというふうな流れの中で、住宅の資金をきちっと説明しなさいというところから始めました。そして、そのことについては、ここのファイルにもありますように、こういう原資、親からの贈与、そういうふうなもの、そして、そういうふうなことがこれですということが一つありました。
 そして、またそういう質問がありますので、何回も彼に問いただし、私は、紹介してお金を受け取ったことがないとの報告を承っております。
松本(善)委員 さっきから質問に答えていないというのが各委員から指摘をされていましたが、私が言っているのは、宮内前秘書官の言うことと、それからこのいわゆるコンサルタント会社社長が言っていることが、どちらが正しいのか。もし宮内秘書官の言っていることが正しいと思っているなら、その根拠はということ。あなたはそれについて自宅購入資金のことを云々されるけれども、それだけでは証明されないんですよ。それはもう極めて明白なんです。
 あなたにもう一回聞いても同じことを言うおそれがあるから私は次に言いますが、これは口きき疑惑ということで疑惑がかかっているわけです。あなたは、宮内秘書官がいろいろ紹介したことをきょうも述べられました。いわゆる口ききをしたことは認めているけれども、宮内秘書官はだれをだれに紹介したんですか。どの企業をだれに紹介したのか、そこは調べていますか。
大島国務大臣 このことにつきましても、質問を受けたし、私もそれは聞かなきゃならぬことだと思いました。したがって、何月何日、具体的にきっちりとした記憶があるんなら私に報告してくれと言うんですが、何月何日、だれをだれにという、きっちりとしたそういう記憶が定かでございませんとの報告でした。
松本(善)委員 それでは調査にならぬのですわ。
 大臣は、八戸にも住んでいられるから、この問題になっている八戸市立市民病院の入札執行書を入手していますか。
大島国務大臣 しておりません。
松本(善)委員 それでは調査をしたということにならぬのですよ、全く。
 では、聞きます。だれからだれに、これは受注企業をどこへ紹介したか、だれに紹介したか。紹介したことは認められている。いわゆる口ききはしたけれども、金はもらっていない、ここまで来ているわけです。入手していないということ自体は、これはもう調査も何もする意思がないと思うのですが、まず、入札執行書で一つ聞きましょう。
 例えば、この八戸市立市民病院移転新築工事の病棟建築工事というのは、大成と住友の共同企業体が落札をしています。この大成と住友を宮内氏が紹介をしたということについて調べていますか。
大島国務大臣 先ほど申し上げましたように、いつ、だれをだれにという記憶が定かでない、こういう報告でございました。
松本(善)委員 そういうことだけで終わりにしていたのでは、まともな調査でないですよ。これはどこの企業が受注しているか。受注した企業を紹介するというのが口きき疑惑。
 あなたは何もやっていないから、読み上げるだけしますけれども、中央診療病棟は鹿島と三井の共同企業体、それから精神病棟の建築工事は村田興業がやっている。それから、エネルギー棟建築工事は大館建設が受注をしている。それから、弱電設備工事は溝口電気が受注をしている。それから、強電設備工事は、ユアテック、旭日電気、岡野電気の共同企業体が落札をしています。それから、空気調和換気設備工事は、新日本空調、新菱冷熱工業と日立プラント建設の共同企業体が落札をしています。それから、給排水衛生設備工事は、大成温調、川本工業、八戸ガス興業共同企業体が落札をしています。それから、昇降機設備工事は三菱電機が落札をしています。
 これらを一つ一つ、これはどうだった、これはどうだったかということを、紹介したことは認めているというんだから、それは記憶がないということなら、こういうものを示して、これはどうだということを聞くのが私は大臣の責任だと思います。これすら入手をしていない。これは、八戸市役所に行けば、だれにでも見せる、渡してくれる資料です。それすら入手していない。それから、だれをだれに紹介したということも調べていない。記憶がないということで済ませている。これは調査に値しないですよ。大臣、そう思いませんか。
大島国務大臣 私は、彼に対してさまざまな問いただしをいたしました。そして、そういう中にあって、あいさつ程度の紹介をしたというなら、どういう方々に、それはつまり市民病院だけではございません、いろいろな意味での、そのときのAさんの話があったりしたものですから。したがって、具体的に何月何日、だれをだれにということは記憶にないということでございますから、私は、それ以上のことは今なかなか思いがもう至りませんで、その報告を受けて今お話をしております。
小平委員長 大臣、私は委員長として聞いていまして、秘書からそういうわからないという報告があった。それをもう一歩進めて、では、記憶を呼び戻すとか、さらに進めることも私は肝要と思うのですが、それらについてはさらにやってはおるのですか。
大島国務大臣 これは、だれをだれに紹介したかということを例えば彼の記憶の中でといっても、本当に確定をしたものでないと、またいろいろなこともあるのかもしれませんが、私は何度も聞きました、記憶にあることを呼び戻してくれ、だからどうなんだと。それも六年前、七年前、八年前のことでもございます。したがって、そういうことは別にして、どこかないのかということを言ったら、大変申しわけありませんが、記憶が定かでありませんという返事でございました。
松本(善)委員 私は、本気で調査をする気がないんだということがきょうの答弁ではっきりしたと思います。
 それで、これ以上ここを突っ込んでも同じことを言うに違いないから、これは別の角度から聞きます。
 あなたが毎年出席をしている宮城の会というのは、あなたの支援団体ですか。
大島国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、平成八、九年だったと思いますが、大島も含めて若い人たちを応援したいのでということで相談を受けて、そして私に報告があり、私も行って講演をいたしました。そして、そのときには、先ほどもちょっと申し上げましたが、若手の国会議員である方々も一緒に登壇したり、あるいは参議院の応援をしたりする、そういう会であったと思っております。
松本(善)委員 私どもは、パーティーの出席者の何人かから調査をいたしました。毎年、宮城の会のパーティーが開かれて、大臣が講演をされている。ことしは九月の上旬、仙台で開かれたと関係者は言っております。週刊誌で報道された宮城の会の立ち上げの謝礼の宴会、これにあなたが出席していることは、二十四日の予算委員会で認めておられます。
 宮城の会は、ことしの五月、政治団体として宮城県選管に届け出をしました。それまでは任意団体です。会の代表者に就任をしている宮部和夫氏、この人はあなたとどういう関係がありますか。
大島国務大臣 その宮城の会のお世話をしておられる方でございます。パーティー等で何回かお会いをいたしております。
松本(善)委員 この会を主宰しているのが宮部和夫氏ですが、宮部氏は会社を経営している。このことは御存じですか。
大島国務大臣 そういう名刺をちょうだいいたしました。名刺をちょうだいしたことがございます。
松本(善)委員 宮部和夫氏が経営している会社は、仙台にある空調企業株式会社という会社であります。この会社が、口ききの対象となっている八戸市民病院新築工事の下請業者に参入をしています。
 病院新築工事の一つに、空気調和換気設備工事があります。元請は、営業協力金として二千万円をコンサルタント会社社長に手渡した会社、新日本空調と新菱冷熱工業、日立プラントなどのジョイントベンチャーであります。空調企業株式会社は、この工事の一部である機材搬入据えつけ工事の一次下請として参入をしております。また、そのまた下請に新和システム株式会社というのがありまして、これがその下請として参入をしております。空調企業株式会社という宮部氏が経営するこの会社、及び後から言いました新和システム株式会社というのは、宮部氏が監査役をしている。
 大臣または前秘書官が、宮部氏が経営をする空調企業株式会社、及び宮部氏が監査役をしている新和システム株式会社の参入の口ききをしたことはありませんか。
大島国務大臣 今、松本先生が事細かにお話しされたことを初めて私伺いましたが、私は一切いたしておりません。
松本(善)委員 これは全部八戸の市役所からとった資料なんです。これはだれにでも、あなたは住んでおられるわけだから、私が行くまでもなく、ちょっと電話をかければみんな持ってくるものなんです。秘書の口きき疑惑を調べるというなら、そういうことをしなければならぬのですよ。そして、宮部氏にもたださなければならない。あなたはまともな調査は何にもしていない、これは本委員会で私ははっきりしたと思います。
 それで、大臣及び前秘書官の口きき疑惑については、今指摘した問題以外に、受注企業からの集中的な献金、これは予算委員会でやりました。それから、異常な落札率、これは九九・九五というのまでありますよ。こういう疑惑が山ほどあります。
 宮内氏は、大島大臣が大臣に就任したときも秘書官に任命された側近中の側近です。鈴木宗男議員秘書の逮捕に際しては、大臣は、議員には秘書の監督責任があると言明しておられました。監督どころか、調査の責任も果たしていないんですよ。これは、何にもやるべきことをやっていないということです。総理も、大島農水相が責任を持って調査をしているというふうに答弁をされましたけれども、調査などしていないに等しい、明白だと思います。
 それで、大島さんの答弁は、この宮内氏の弁解を取り次いでいるだけなんです。そういうようなことではこれはだめなんで、私は、委員長にお願いしたいんですが、これは予算委員会でも要求していますが、農水大臣の前秘書官の宮内寛氏をとりあえず参考人として本委員会に招致をするということをしてほしいと思います。
小平委員長 これにつきましては、理事会で後刻協議をいたします。
松本(善)委員 それでは、米の問題についてこれから伺います。
 このままでは農業が崩壊する、そういう危機感は、農業にかかわっている人たちに共通して起こっております。それは、日本の農業の中心である稲作が成り立たないからであります。
 農水省の調査でも、米一俵、六十キロの生産費は一万七千七百六十六円であります。労賃分はどう計算しているかというと、年収三百万円の労働者に匹敵するには約五千俵つくる必要がある。面積にしては五ヘクタールぐらい。これは、日本の農民では極めて少数であります。年収三百万というと、ボーナス一・五カ月分ぐらい考えますと、二十万ぐらいの給料ということになるでしょう。それすら、やはり五ヘクタールぐらいやらないとそうならない。そうやっている人でも生産費を償うことができない。
 だから、生産費を償わないということになると、後継者も出てきません。米価は平均一万六千円だとすると、これは生産費を償わないことは明白である。これは、五ヘクタールというのは、日本の農民としては極めて例外的なぐらい少ないです。自民党の町会議員さんで七ヘクタールやっている方が、一万五千円台になったらもう終わりだ、こういうふうに言っておられる。それで、そういう意味で、農業が成り立たなければ、林業、水産業はもっと厳しいです。日本は、いわば農林水産業がない国になるかどうかという瀬戸際に立っていると言ってもいいと私は思います。
 だから、昨年七月、全国町村会において、「二十一世紀の日本にとって農山村がなぜ大切なのか」というパンフレットをつくって、私ども国会議員に配付をいたしました。特に米政策については、生産調整に関する研究会の中間報告が市場原理を一層徹底するという立場でありますから、生産者はますます危機感を持っているというのが現状です。
 そこで、農水大臣に聞きたいのは、生産費を償わない米価、これでは後継ぎももちろんできません。生産費を償わない米価について、農水大臣はどのように考えているか、聞きたいと思います。
大島国務大臣 松本委員の御主張は勉強してまいりましたが、まさに米について、いわゆる閉塞感というものがございます。百一万ヘクタールのいわばつくる調整をしなきゃならぬ現状、そして今おっしゃったようなこともある。そういう意味で、生産者がやはり創意工夫ができるような、そしてそこが主流になれるような、そういうふうな農政を確立することが必要であろうと思うんです。
 我々は、そういう意味で、米の抜本的な改革というものをこれから考えて結論を出さなければなりませんが、やはり米も、生産者と消費者、そこの意思が二つの双方向性を持ってつながるような仕組みにしていく、これがポイントだ。そういう中で、創意工夫して頑張る人たちにどのように集中的に政策をしていくかというところが、私はこれからの課題のような気がいたしております。
松本(善)委員 これもまたまともに答弁しないんですよ。生産費を償わない米価についてどう考えるかと聞いているんですよ。ごく例外的な、産直をやったり魚沼コシヒカリをやったりしている人の場合には違いますけれども、大半の農家の平均は一万六千円ぐらいですよ。それでは後継者も出ないし、未来も明るくならない。これは、そのままほっておいていいのかどうかということを、まずその点だけ。
 あなたは長々とお答えになりますけれども、これは議事録を読む国民が、質問に対してきちっと答えているということでないとそれはだめだと思うんですよ。
大島国務大臣 お答えを申し上げます。
 米生産者といっても多様でございます。ですから私は申し上げているのでありまして、そういう意味で、小さな農家、これはやはり高コストであり、むしろこの方々は米以外の収入に圧倒的に頼っているわけです。要は、これから私たちが、今の生産費云々というお話がございますが、そういうふうなことを考えて、集中的に、そして重点的に考えて、担い手の育成確保、そういうふうなもの、あるいは組織化、利用集積の加速化、そういうふうなものを踏まえながら、資材費の引き下げ、そして生産性の向上にやはり努めていくことが必要である、このように思っております。
松本(善)委員 そういうことで展望が明るくなったなどというふうに聞く農民はないと思います、農業者は。
 前回私は、AMSの問題について質問をいたしました。その際、米の二万円保障ということについてはWTO協定を変えなくても可能なことが明らかになりました。日本は、AMSについては約四兆円の枠がありますが、農作物の価格保障制度をどんどん廃止、削減いたしまして、約七千五百億円しか使っておりませんので、枠に対して一八・八%、これは食糧庁長官の答弁ではっきりしました。
 なぜ四兆円の枠いっぱいまで使って価格保障をしないのか。予算でいえば、米の二万円保障に必要な予算額は、一俵平均一万六千円としますと、約六千億円という答弁も出ました。農水省の概算要求額約三兆六千億の約一七%です。やる気があれば、価格保障をやって農民の不安を解消する。生産費を償うことができるとなったら、これは後継者も幾らも出ます。幾ら担い手を云々なんと言っても、農業をやっても合わないんだということが普通になっていれば、だれも若者は後継者にならないです。農業高校を卒業して農業についた人がないという農業高校もありますよ。
 どう思いますか。やる気があればできるのに、なぜやらぬのかということです。
大島国務大臣 松本委員の六十キログラム二万円構想というのを伺ったことがございますが、これは、まず第一点は、国際的にそういうことがルールとして指摘されるかされないかということを考えた場合に、大変な問題が起こるでしょう、AMSの話で枠があるじゃないかという議論を今いたしましたが。
 第二点は、消費者の顔が見えなくなってくるだろう。消費者が選択する、そういう需要動向にたえられない米生産というものがそこに生まれるであろう。どういう米も六十キロ二万円出す、そういうふうなことでもし施策を施した場合には、そういうふうな状況が生まれてくるのではないか。
 第三点は、現実の問題として、どのぐらいのお金がかかるのか、その財源をどうするか、そのお金があるのなら、むしろ農業の新しい姿に使うべきではないかという議論が生まれてくるのは当然だと私は思っております。
 したがって、WTOの協定上もあるいは予算上も、現実の問題として、私は、大変申しわけありませんが、一律に六十キログラム二万円の価格支持を行う、そういうふうな構想については、すばらしいアイデアですね、勉強させていただきますということはなかなか申し上げられないということでございます。
松本(善)委員 私は、今やはり日本の農林水産業がどうなるか、米の価格とか消費者との関係とか、細かい問題ではないと思っています。日本が、農業やそれから林業、水産業がなくなっていいのか。今のままでいけば、どんどん農林水産業から離れていく人がふえていきます。だから、国の財政を使っても農山村を守らなければならない。それが、私たちとは立場の違う人も含めまして、全国町村会が、「二十一世紀の日本にとって農山村がなぜ大切なのか」、こういうパンフレットをつくって配っているわけなんです。私は、その憂いは共通するものがあると思う。このままいったら農山村に人が住まなくなって、荒廃は大変な事態になると思います。私はあなたの言われたことについて一つ一つ反論をする時間がありませんけれども、金の問題では、六千億あれば十分できることです。
 それで、もう需要との関係その他を考えますと、米の輸入を削減、廃止することを考える必要がある。
 山形県知事と私この問題で懇談をしました、庄内米の産地ですから。そうしたらば、輸入をしながら減反というのはおかしい、これはもう農業にかかわっているほとんどの方がそういうふうに言っておられます。
 ミニマムアクセス米の削減、廃止についても前回質問をいたしまして、譲許表の米を大分類の穀類、麦や飼料なども加えたものに変えることは現行WTO協定上も可能だという答弁が食糧庁長官からありました。
 なぜ輸出国に対して提案しないんだろうか。提案することで、外交交渉の結果どうだからなかなか難しいとか、そういうことが出てくればこれは国民にも説明がつくでしょうけれども、それすら提案しない。相手は、主要な国はアメリカと豪州と中国とタイ、わずか四カ国です。これは、なぜそういう外交交渉をやらないんでしょう。
大島国務大臣 松本委員と考えが全部違うわけではありません。農山村、農林水産村を大事にする、日本のためにも残すという意味においては、そこのところにおいては共通していることをまず冒頭に申し上げたいと思います。
 ウルグアイ・ラウンドの農業合意において、米についてはミニマムアクセス、麦についてはカレントアクセスということは今私が申し上げるまでもない、先生御承知のとおりであります。それを抜本的に変更するような交渉を行うことは、実際問題として非常に難しい。
 穀物セクターとして米をまとめてアクセス数量を約束することにつきましては、まず国内産麦の振興に私は必ず悪影響を及ぼすだろうというふうなことを思っておりますし、また、穀物セクターとしてのアクセス数量の大きくなることから、むしろ米についても輸出国からの輸出拡大が、もう彼らは虎視たんたんとねらっておりますから、そういうふうな意味で、そういう強い要求を招くおそれがある。
 こういう意味で、せっかくの御提案ですが、適当ではない、むしろそれは国内の麦の生産者、米の生産者に私は決していい影響を与えない、こう思っております。
松本(善)委員 これも細かい反論をする時間はありませんが、改めての機会に反論しながらまた質問したいと思いますけれども、しかし、大臣のそんな姿勢で、私はWTO協定の改定などの外交交渉はできないと思いますよ。そんな資格はないんじゃないですか。真っ正面から日本の農業を守らなければならない。あなたも言われた、農山村を残さなければならぬといったら、そのことの立場から強力に外交交渉をするべきじゃないですか。
 大臣は、十五日にジュネーブでWTOの事務局長及び農業委員会特別会議議長と会い、また、十六日はブラッセルでEUの農業・漁業委員と会談をしています。我が国の立場としてどのような主張や提案を行ったのか、また、それに対して相手はどのような反応を示したのか、もう余り時間がありませんので簡潔にお答えいただきたい。
大島国務大臣 松本先輩からおしかりをいただきましたが、私としては、大臣就任早々行って、私どもの主張は、まず第一点は、農業のそれぞれの国の存在というもの、それは多様な農業が存在する、そういうことの認識を一つにしよう。農業の持つ多面的機能というものをきちっとお互いに確認しよう。アメリカやケアンズのように、かなり激しい、そして非現実的な、そういうふうな提案には反対しよう。そういう中で、多様な国々の農業の基礎的な、そういうところはしっかりと押さえた貿易ルールをつくっていくということが今度のWTOで大事なことだということを強く主張してまいりました。
 そして、そういう中で、特にASEANプラス3の中では、それぞれの国の農業の基本的な存在というものをみんなで認め合おうということにおいては、私はかなり共通な認識を持てたものと思いますし、特に韓国とは、今度のWTO交渉においての、同志としてという言い方は私は間違いではないと思いますが、ともにフレンズ国を多くつくっていこう。また、EUの皆さんとも基本的な認識を一にしたところでございます。
 ただ、WTOの事務局長さんには、私どもの主張は明確にしておきましたが、彼は、全部の国に妥協を求めることがあり得るであろう、決してケアンズ以外のところにケアンズやアメリカの主張を押し込むのではない、すべての国々に妥協を必要とするということを私は認識している、そして、農業だけを突出して先にやるのではない、包括的に、最後はお互いにこの交渉を成功させたい、こういうことを言っておりましたが、改めて私どもの農業における主張をきちっとしてまいったところでございます。
松本(善)委員 私は、今は多様な農業の共存をかなり長く言われたけれども、そのことだと思います。
 農水大臣の冒頭の発言、ここには、農業の多面的機能への配慮、食料安全保障の確保、輸出入国間のバランスのとれたルールづくりによる多様な農業の共存をとある。四つ挙がるかなと思ったら挙がりませんでした。私は、これは農水省の方が書かれたものをただお読みになったのかなという感じもいたしますけれども、やはり気迫がないと外交交渉なんてできないですよ。日本の農業が大変なところへ来ているんだ、それをアメリカを中心にして輸出国に理解をさせる、そういう迫力がなければだめだと思いますよ。私はそういう迫力を感じません。
 何でかといえば、WTO協定上できる農業保護は全部やる、そしてそれでも足らないから協定を変えろ、こういうことでなければWTO協定の農業交渉は成功しないと思うんです。あなたの答弁からはそういうものは感じられません。現行協定でできることは何でもやるということで農業や林業、水産業を守るということでなければ、私は、日本の農林水産業は崩壊していくと思います。
 私は、大臣はそういうことではならぬ。だから、改めて、協定を変えないでもできることは何でもやる、そして協定交渉は、具体的に、食料輸出国に非常に有利になっている協定ですから、それを変えさせるという交渉をやるべきだということを強く要求して、質問を終わります。
小平委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。
 社民党の質問はいつも最後になるわけですが、きょうは三時ちょっと前まで私の質問がかかってしまいます。大臣は途中で退席なさるというお話ですけれども、私の責任では実はございませんで、このことは重々御承知おきをいただかないと、いつも最後の質問はそうやってごまかされてしまうということはちょっと納得がいきませんので、ぜひ時間を配慮していただくか、三時、一分もあれば駆けつけられると思いますから、できるだけ最後までいていただきたいというふうに思います。
 まず最初に、そういうことがありまして大臣がいらっしゃらなくなるということですので、最初に大臣にまとめて御質問をさせていただきたいと思うんですが、今、共産党の松本議員の方からも質問がありましたけれども、私も大臣の所信表明について最初に御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、食料・農業・農村基本法では、先ほども何回も申し上げているように、四つの基本理念があるわけです。この基本理念に基づいて農業を進めていくということは、これは国の施策でありますから当然のことだと思いますが、今農業を取り巻く状況というのは大変厳しくなってきております。農家数も年々減ってまいりまして、特に農業を中心とする市町村は人口の減少が著しくなってきまして、高齢化も一段と進んできています。後継者不足に悩む自治体の数もウナギ登りになってきています。
 こうした中で、特に棚田を抱えるような山間地は、もう既に農業集落として機能を果たせなくなってしまったというのが現状です。私は長野県ですから、特にそういうところを見てきているわけですが、農村では耕作放棄地が広がりまして、人口の流出も進んできています。世界にも前例がない高齢化社会の中で、本当に農村は今まで農業を中心として生きてきたわけですが、そのことさえももうできなくなってしまったという状況があるわけです。
 何でこんな状況が起きてきてしまったかということを、私は農水省としてきちっと総括をする必要があると思っています。これだけ国土の狭い中で、しかも食料の自給率は世界の百七十八カ国中百二十九番目という、二七%しかないわけです。にもかかわらず、生産調整によって主食も、お米は水田を百万ヘクタールも減反するというお米政策が進んできたことも事実なわけです。
 私は、山間地での水田の持つ意味というのは物すごく大きいと思います。やはり環境を守る多面的な機能というのはそこに非常に依拠しているというふうに思うんですが、そうした意味で、お米をつくるということが、どんなに環境、自然、そういうところに影響があるかということを考えたときに、今までこれだけ耕作放棄地が広がってくるようなお米政策についてどう総括をなさっていらっしゃるのか、その上に立ってこれからどういう農業を進めていこうとなさっているのか。もう仕方がないから減反もやめて勝手にやれというのか、経済が大変だから自分たちで自助努力をしろというのか。いろいろな言い方をさっきからおっしゃられていますので、まず第一に、きちっとどう総括なさるのかというところをお聞きしたいと思います。
大島国務大臣 山口委員と私が考えていることと、かなりオーバーラップして、共通したところもあると思うんです。また、違うところもあると思うんです。
 そこで、さまざまなことを聞かれて、最後は生産調整についての総括というのでしょうか、そういうことではなかったかと思いますが、もっと深く、農業、農村、農政をどう考えておるかということもまた山口委員の御質問の根本にあるような気がします。
 例えば米、今生産調整のお話をしました。棚田の米がさまざまな機能を発揮している。それが荒れ地になったり使われなくなったりする、これは悲しいことです。
 一方、消費者動向という現実も山口委員はおわかりいただけると思うんです。かつて、一番国民がお米を食べたときは百二十キロぐらい、今六十数キロ。この現実を無視して米の農政を語ったとするならば、私はやはり国民全体の理解は得られないと思います。もしそうではないというならば、そういう需要を無視して米の政策を考えろということであれば、どういうアイデアがあるのか私にはわかりません。しかし一方、米は日本人が生きる基本の基本であるということも承知しております。
 ですから、米の世界というのは、多分というか私が考えているのは、ある一定のセーフティーネットはつくりましょう、そしてその上に立って、市場というものを見合いながら、きちっと生産者も、あっ、おれたちがつくった米がこういうところに売れて喜んで食べてもらえる、そういう市場が肌でわかるような仕組みにしていく。そういう中に、その中核で働く人たちに、政策をある意味では重点化、集中化をしていかざるを得ないという基本が一つあるんだろうと思います。
 もう一つ、農村、漁村対策でございますが、これは、農業政策とか農家政策ということよりは、日本全体にとって美しい村をきちっととっておく、つくっておくという、国民に理解を求めながら、国民の共感を得て農村づくりをやっていく。
 そこでは、もちろん農業者が主体でございますけれども、現実に先生の選挙区のお地元でも、農村に農業就業者だけが住んでいる農村集落というのは少なくなっていると思います。しかしそれでも、そういう方々も含めて、美しい集落、美しい農村を国民的価値としてこれから一層整備を図っていくということが私は必要であり、一定のセーフティーネットをつくりながら、その上で、やはり生産者は市場を見合いながら一生懸命働けるような環境をつくり、そこに住む人たちが集落において美しい集落づくり、村づくりを進めていく、そういう基本に立ってやっていかなければならぬと思っております。
山口(わ)委員 私は大臣に、こんなに耕作放棄地ができている、棚田もなくなってくる、こんな状況をどう総括されるんですかとお伺いしたんです。これから、今そういう棚田が放棄地になっているところを、例えばお米を食べなくなっちゃったからこうしなきゃいけないとかということを聞いているわけじゃないんです。ですから、私が聞いたのは、これだけ耕作放棄地が広がってきて、しかも農業をする人がいなくなっちゃって、高齢社会になっちゃったことについて、どう大臣として総括なさいますかということをお聞きしたんです。
 もちろん、お米を食べなくなったということもあるかもしれません。減反政策を始めた一番最初、私は、三年間も豊作になっちゃって困っちゃって、当時の農林水産関係の自民党の皆さんが、では減反でもやるしかしようがないというふうになったというお話も聞いています。ただ、その中で、本当にこれでいいんだろうか、日本のお米をこれからどうきちっと食料として位置づけていかなきゃいけないか、農村の人たちが生き生きと生活し、本当に生きがいを持ってお米をつくれるような社会にはどうすればいいのかということを含めて、農林水産省として、今までやってきたことに対してやはり総括をしてほしかったと私は思いましたので、そのことを御質問申し上げたわけです。
 今、確かにさまざまな問題が起こっていますし、それから、後で私が質問させていただきます遺伝子組み換え作物にしてもそうですが、今ある田んぼを使って、今の自然農法でどうやって国民の食料を守っていく、つくっていくということでなくて、どっちかというと、自然界にないような遺伝子操作を行いながら、水のない田んぼでも稲ができるようになるとか、そういう発想で本当に将来不安になるようなことが起こるようなことは、私は非常に問題だと思ったものですから、やはり日本の農業をこれからきちっと位置づけていくためにも、今までこれだけ耕作放棄地が広がってきたということは、これは物すごく問題なんですね。
 農家の皆さんは、お米をつくりたいんです。幾ら棚田であっても、お米をつくって自分の農地を守りたいわけですね。守ることによってやはり水の循環も起こる、それから自然の空気も流れるようになる、あるいはいろいろな生き物もそこで育つようになる、そういう環境を自分たちが守ってきたという自負もあるわけですね、農業者には。
 ですから、そのことについて、やはり今それができなくなってきて、高齢化になってきて、後継者もいなくなってきて、どうしようもないというところまでもう来ちゃっているわけですね。そういう皆さんの悩みについてもやはりきちっと総括していくことが私は大事だというふうに思ったものですから質問させていただいたんですが、何かお答えすることありますか。
大島国務大臣 だから、先生が棚田の話からずっと入っていかれまして、総括ということを言われ、そして根本的に日本の農政をどう思うかということを聞かれたようなことでしたので、私お答えしましたが、例えば、棚田という問題を具体的にお答えしてまいりますと、それを非常にわかりやすく言うとするならば、棚田という存在を、米を供給する役割を第一義に考えた田んぼというよりは、美しい村、美しい景観、多面的機能という面からそういう地域のものをどう守り、維持していくかということが大事ですということを申し上げておるつもりでございます。
山口(わ)委員 大臣のおっしゃるように、本当に美しい田んぼ、景観そして環境を守っていくということであれば、そういう多面的な機能に対して、国はきちっと保障していくことが私は大事だと思います。
 人間がそこに生きているわけですから、ただ水を張って、そして自然環境を守っているだけで生きていくことはできません。やはり、そこに産業があって、働いて初めて生きていくわけですので、そのことも含めて、これからどこに暮らしていてもその人が生きられるような産業であり農業であるということが私は大事だと思っています。結果として環境を守るということにつながるかもしれませんが、そこに暮らしている人たちが農業ができるような、そういうやはり農業政策というのが私は大事だというふうに思っていますので、そのことは要望しておきたいと思います。
 私は、きょうはお米や農産物に対していろいろな有害な問題についても少し質問させていただきたいと思うんですが、これは前に私も質問しているんですけれども、さっきから言っているように、いかに安全な食料を提供するかということは国にとっても大変重要な課題です。特に、お米につきましては、カドミウム汚染について、私はこの前も質問させていただきましたけれども、ことしは全国的な調査をする中で、検査結果を踏まえて、コーデックス委員会の〇・二ppmという基準をどうするかという問題もあるというふうに思っていますが、今、この検査を全国でどのくらいの箇所でいつまでに行うつもりでいるのかをお答えいただきたいと思います。
石原政府参考人 お答え申し上げます。
 食糧庁では、過去に〇・四ppm以上のカドミウムを含む米が検出されました地域で生産される米、これを対象にして、あるいは生産者からの要請に応じまして調査をしております。
 それで、ただいま先生からお話がありました件でございますけれども、食糧庁では、今年度一千点につきまして調査いたしたいと思っております。昨年までは五百十五点につきまして調査しておりましたけれども、ことしはそれを倍増いたしまして、一千点につきまして調査をしたいと思っておりまして、現在、試料の採取及び分析を行っているところでございます。その結果につきましては、本年末を目途に公表する予定でございます。
山口(わ)委員 お米につきましては、ことしじゅうに検査をして、その結果を公表なさるということで、これからどういう基準で日本はカドミウムについて考えていくのかということが明らかになってくるだろうと思いますので、検査の結果ができましたら、ぜひ資料としていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それから、カドミウムはお米だけじゃありませんで、特に、そのほか大豆とか野菜のカドミウムの汚染についても、コーデックス委員会では濃度の基準を決めているわけです。国内調査がやられているのかどうか、もし調査をやられているとしたら、最近の結果がどうなったのか、あるいは今調査中であるとすれば、調査の方法とか時期とか場所、野菜であればどんな種類のものを調査なさるのか、お聞かせいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 先生の御指摘どおり、大豆、野菜についてもコーデックスで基準値原案が出されておりまして、お米と同様、我が国の疫学調査結果を十五年の六月の国際専門家会議で優先的に評価するというような合意がされておりまして、現在、大豆、野菜などの農産物のカドミウムの含有実態について調査をしております。
 まず、大豆につきましては、十二年度、十三年度で三百点弱、二百八十八点でございますけれども、調査をいたしまして、野菜につきましては三千点強、三千三百十三点でございますけれども、これは平成十年度から十三年度までにやって、現在取りまとめの作業中でございます。
 私どもとしては、できるならば本年の十一月三十日までに取りまとめたいというふうに考えておるところでございます。大豆につきましては沖縄県を除く都道府県、野菜につきましては全都道府県で調査をしているところでございます。
山口(わ)委員 野菜の種類がわかりますか。どの野菜を調査しているんでしょうか。
須賀田政府参考人 種類はいっぱいありますけれども、葉菜、根菜、茎菜、果菜、この四種類に分けて実施をしているところでございます。
山口(わ)委員 特に、大豆や野菜につきましても、カドミウム汚染というのはやはり問題になります。特に、カドミウム汚染の怖さというのは、蓄積されていくわけです。BSEと一緒で、二十年後とかそういう時期に問題が起こってきますから、やはり危険度というのはきちっと考えておかないといけないというふうに思いますので、この調査結果についてもきちっと公表していただきたいし、その対策につきましても、きちっと検査の結果、どういう対策をなさるのかも、今は無理かもしれませんが、検査の結果が出ると同時に聞かせていただければ大変ありがたいと思います。
 今、コーデックス委員会では、お米のカドミウム濃度というのを一応〇・二ppmということで提案をされているわけです。もし、この〇・二ppmになった場合に、国内の農地ではどのくらいの対象地、面積としてどのくらいになるのか、そのことによってお米ができなくなる部分を含めてどう考えていらっしゃるのかをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
石原政府参考人 お答え申し上げます。
 米につきましては、仮に〇・二ppmということで基準が設定されますと、全国の三・二%の米につきましてそれが適用されるものと思っております。
山口(わ)委員 ことし、お米の構造改革をなさるということで、大臣の方からもそういう提案がございましたけれども、こういうお米に関してカドミウム米汚染というのが広がってきている中で、やはりこういう基準が実際に決まった場合に、これから日本の農業、お米も大豆も野菜もそうですが、日本の農業をどういうふうに進めていくのか。先ほどだと、例えばお米は生産調整をもし仮にやらないとしたら、一体このカドミウムについてはどう考えていくのかということも含めて、今私が何でこれを聞くかというと、やはり食品の安全、安心をどう消費者に届けていくかということです。ですから、その面についても安全なものをどうやって届けるかということは非常に大事になってくるというふうに思うんです。
 私の地元にも実はカドミウム米汚染の地域がありまして、かなりたくさん汚染地域が出てきたわけですが、そこの農家の皆さんは、やはり余り公表したくないということもあって、お米は買い上げてもらうんですが、実際に農家の皆さんはそのとれたお米を食べているという現実もあります。
 ですから、やはりこういう汚染の問題については、きちっと公表していくことも含めて、安全性もやはり公表していかなきゃいけない中で、安全、安心に基づくお米の対策についてこれからどう考えていらっしゃるのか、もしお考えがあったら大臣にお聞かせいただきたい。
大島国務大臣 今、カドミウムを中心にお米の安全、安心政策について問われました。
 これは、食料全体の安全、安心政策というものについては、先ほど来申し上げましたように、今農政の大きな一つの柱である。それで、私どもの概念の中に、リスク管理とかリスク評価とかリスクコミュニケーションという言葉が昨年来出てまいりました。その基本はやはり透明性なんだろうと思います。
 ですから、私どもは、まず実態の把握をすること、そしてリスクの低減対策をすること、そしてリスクのコミュニケーションをするなど総合的に、やはり米の場合もそういう基本に立って進めることが大事だと私は思います。
 カドミウムでございますが、これはやはり国際的基準値の検討にも貢献する観点から、農作物等の濃度の実態調査をすること、さらに吸収を抑制するための技術の研究や現場での実証をすること、そしてホームページ等を使いながらリスクコミュニケーションをするということ等をしっかりやっていくことではないか、このように思っております。
山口(わ)委員 カドミウムにつきましては、もちろんカドミウムを含有しているお米については買い上げる、消費者の口に入らないということも必要ですけれども、農家の皆さんにとっては、自分の土地がカドミウムに汚染されているからできないというのも非常に不安なことだというふうに思うのです。
 カドミウム米を何とかして取っていくというか除去していくことも非常に大事だというふうに思っていますが、例えば、汚染対策地域を指定しながらカドミウムを減らす技術をもっと開発していくとか、あるいは土壌改良をしていくとか、あるいは穂が出る前後の水の管理をすることでカドミウムを減らすことができるとか、いろいろな対策があるわけです。そういう対策も含めながら、何とかして安心で安全なお米を収穫していくということも大事だというふうに私は思っていますので、その辺は、もちろんやっていてくださると思いますけれども、もっとスピードアップしながらやっていただきたいという要望だけにしておきますので、よろしくお願いします。
 それから、BSEのことについてちょっとお伺いをしたいのです。
 牛肉の買い上げ事業に伴いまして、日本ハムと同じく買い上げを取り下げようとした八社の全箱検査の結果と、それから日本ハムの全箱検査の結果がどうなったかという質問なんですが、このプレスリリースをいただきました。そして、この中の検査結果をちょっと見せていただいたのですが、この検査というのは、実際にどこが検査を行っているのか、生産局の食肉鶏卵課というところで検査を行っているのか、全く第三者機関で検査を行っているのかというところをひとつ聞かせていただきたいのと、この検査の結果を見ますと、補助対象外の肉がかなり入っていたということが検査の結果として出ていますね。
 そのほかに、例えば、事業の周知徹底が十分できなかったとか、確認が短期間で本当に輸入の事実を理解できなかった、わからなかったとか、あるいは担当者が国産牛だと思い込んでしまったとか、十分な検収ができなかったとか、そういう結論がずっとここに書いてあるわけですね。ということは、結果としては不正はないというふうに考えていらっしゃってこういう検査をなさったのかというのが、私これを見て非常に疑問に思ったわけです。
 もちろん、補助対象外の肉を使ったということは、補助金を出さないということで済むかもしれませんが、国民に対して、消費者に対して、こういう不正の事実を、短期間でわからなかったとか検収が無理だったとかと言えるのかどうか。その辺をちょっと御答弁いただきたいと思います。
須賀田政府参考人 まず、だれが今回の全箱の現物確認をしたかということでございますけれども、私どもの職員、生産局の職員と、農畜産業振興事業団の職員とで検品をしたものでございます。
 そして、例えば八社の全箱検品結果、今先生お示しいただきましたようにプレスリリースをしているわけでございます。その中に、品質保持期限切れだとか、現品が紛失しているだとか、対象外の肉が入っているだとか、こういういわゆる補助対象外が入っていたということを明らかにしたところでございます。
 私どもいろいろ調べた結果、相手からの聞き取りの結果をそこに書いております。なぜ、慌ててやったので確認できなかったとか、そういうことを書いているかと申し上げますと、箱の詰めかえとかラベルの張りかえといった偽装と即断されるような事例が認められなかったかどうかという証左として、そこへ書かせていただいたわけでございます。
 しかしながら、国民、消費者から見て、この事業の適格性に疑問がないかとかあるかとかいう問題は、こういうことを行った業者名を公表するかどうかということにかかっているわけでございまして、その点に関しましては、現在、第三者委員会、牛肉在庫保管・処分事業に係る判定委員会というものをつくっております。そこへおかけをして、通常から見て若干悪質な企図があったかどうかという判定をしていただいて、業者名を公表するかどうかを決めていきたいということでございます。
山口(わ)委員 ありがとうございました。
 特に、今回、偽装事件とかラベルの張りかえとかいろいろなことが起こっていますので、できるだけ公平な検査、それからデータの公表、そしてそれに対して確実な処理をしていくことが、私は、これからまだBSEの問題は、終わったわけではありませんし、続いていくというふうに思いますし、これから出てくることに対する消費者の安全、安心をかち取っていくためにも物すごく大事なことだと思いますので、ぜひその辺はきちっと進めていただきたいというふうに思っています。
 最後に、遺伝子組み換え食品のことについてお伺いをしたいと思うのです。
 遺伝子組み換え食品、それから遺伝子組み換え農作物につきましては、何かいつの間にか日本へ上陸してきたというふうに、余り大きな問題にならなかったのかよくわかりませんが、何となく日本に上陸してきてしまったというところがありまして、例えば、遺伝子組み換え農作物の栽培に関して、環境や食品への安全性について全く心配がないのか、農林水産省としてはどう考えているのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
岩元政府参考人 お答えをさせていただきます。
 農林水産省におきましては、遺伝子組み換え作物の環境安全性の観点から所管してございます。その環境安全性を確保する観点から、遺伝子組み換え農作物の商業栽培、あるいはそれを輸入しようとする者につきましては、事前に農林水産省に申請をいただくということになってございます。
 そして、遺伝子組み換え農作物の環境安全性につきましては、平成元年より、農林水産大臣が定めました農林水産分野等における組換え体の利用のための指針、ガイドラインがございまして、これに基づきまして厳格な審査を行っているところでございます。
 この審査におきましては、隔離圃場での栽培、それから一般圃場での栽培と二段階で行われているところでありまして、環境への悪影響はないということを確認しているわけでございます。
 なお、今申し上げました指針に加えまして、遺伝子組み換え農作物の環境への影響に関しまして国民の関心が大変に高いというようなことがございまして、審査をパスしたものにつきましても、それが長期に栽培された場合、実を申しますと、日本では長期に栽培した、すなわち商業栽培をやっているという事例は、過去お花につきまして一点ございますけれども、現在のところは商業栽培ということは一切行われてございませんけれども、仮にそういうことが起こった場合にはどういう影響が持続的にあるのかというようなことで調査研究を、いわゆるフォローアップというような形で取り組んでいるところでございます。
 さらに、二〇〇〇年の一月、一昨年の一月でございますが、この遺伝子組み換え作物の環境への影響に関しましての国際的な枠組みがございます。それが、遺伝子組み換え生物の生物多様性の保全と持続可能な利用への悪影響を防止することを目的としたバイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書というものが採択されているわけでございます。
 このことによりまして、先ほど申し上げましたガイドライン、指針にかえまして、議定書に整合的な国内法により環境への安全性を確保することを目的といたしまして、現在法案を次期通常国会に提出するべく準備を行っているところでございまして、環境省を中心に関係省庁が一体となって今検討を進めているところでございます。
 今後とも、関係省庁と連携をとりまして、遺伝子組み換え農作物の生態系への環境影響の防止には万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。
山口(わ)委員 私がこの遺伝子組み換えについて御質問申し上げました大きな理由は、一つはやはり遺伝子組み換え食品が遺伝子組み換えでない食品にまざってきてしまったという、このことは新聞でも報道されていますし、非常に消費者の不安を買っているわけです。
 特に、大豆には三割近い、輸入の中に遺伝子組み換えがまざっているという実態も出ているというふうに聞いていますし、また、稲も、遺伝子組み換え稲の研究開発が行われているんだそうです。愛知県の農業試験場ですか、そことアメリカのバイオ多国籍企業のモンサント社との共同開発によって、遺伝子組み換え稲が実際に国内で作付が認められて試験栽培をしているということも、これは市民団体の皆さんからの連絡で入りまして、それに対する不安が出てきているというふうに聞いています。
 しかも、この遺伝子組み換え稲というのは、モンサント社がラウンドアップという除草剤を使っているんですが、この除草剤をまきますと全部作物が枯れてしまうものですから、このラウンドアップに強い遺伝子を稲に組み込んで、除草剤をかけても枯れない、そういう遺伝子組み換え稲を開発したんだそうです。しかも、このラウンドアップというのは水に弱いものですから、水田を使わないで乾いた田んぼで直まき稲作をするという研究が現実に行われているということがありまして、市民団体の皆さんから、大体こんなのを一生懸命やっていいんですか、心配じゃないんですかといういろいろな不安の声が上がってきているということになるわけです。
 やはり、遺伝子組み換えにはいろいろな問題が出ていると思うんですが、さっき言ったように、除草剤をまいても枯れない遺伝子を組み込んだ稲をつくるとか、あるいは害虫のガがその茎を食べれば毒性を持っていて死んじゃうんだけれども、人間には本当に害がない遺伝子組み換え食品なのかという問題もありますし、遺伝子組み換えというのは外見を見ただけでは変わらないわけですね。どこが遺伝子組み換えなんということはわからないわけですから、そういったことで、なぜ人間がそこまでして遺伝子組み換えを導入しなきゃいけないのかという点については、やはり非常に不安材料がたくさんあると思うんです。
 特に、例えば、仮に科学的に安全性が認められたとしても、将来的に全く予知できない危険性というのが私はあると思うんですね。農林水産省ではありませんが、厚生労働省の指針によりますと、この遺伝子が導入されたことで、例えば急性毒性だとか慢性毒性だとか、発がん性だとか催奇性だとか、そういったものが全く義務づけられていませんから、将来のそういうことに対する不安も出てきているという問題があるわけです。
 時間がありませんので、もうちょっと続けさせていただきますが、私は、日本では今までいろいろなことがありまして、非常に住民の不安をかき立てられた過ちを過去にいっぱい犯してきたような気がするんですね。今は安全だから大丈夫だと言っていても、何年かたったときに問題が出てくるというような事態が随分あったと思うんです。
 ちょっと例を挙げますと、例えば熊本県の水俣病の有機水銀中毒、これなんかは当時は全然わからなかったわけです。かなり患者さんが出てきて、そしてかなり差別をされる中で、有機水銀だということは十年もたってからわかったというようなことがありましたし、例えばエイズウイルスが混入した事件につきましてもなかなかわからなかった。あるいはBSEにつきましても、まさか日本に上陸するなんてことはないと思って安心していた結果、日本に上陸して大騒ぎになってしまったというふうに、当初は安全で安心ということをおっしゃるわけですね。でも、結果的に後になっていろいろな問題を起こすということは、やはり消費者の不安として、私は当たり前だと思っているんです。
 にもかかわらず、遺伝子組み換え食品がもうどんどんふえてきて、ここ五、六年の間に七品目が二十二品目にもふえちゃったということがありますし、今業者の皆さんは、遺伝子組み換え食品でない、そういうものを市場に提供したいというふうに考えているんですが、現実には検査をするとかなり混入してしまうということがあって、業者の皆さんも不安を抱えているということがあるわけなんですね。
 私は、やはりそういう危険性がきちっとしないうちに遺伝子組み換え農作物を日本に持ち込むことをやめた方がいいんじゃないかというふうに思うんですね。もちろん、田んぼもまだあいているわけですし、あるいは全部輸入に頼らなくても野菜もつくれるわけですから、何でも科学に頼る、しかも遺伝子組み換えなんということは、本当に人間の一番大事な基本を奪ってしまうような、大事な遺伝子そのものを動かすということに対する人間の不遜な心、こういうものを考えたときに、やはりまだ早い、もっときちっと考えた中で、私は原則として遺伝子組み換えなどということはやらない方がいいというふうに思っている一人ですので、その辺を含めて農林水産省の御意見を聞かせていただきたいと思います。
岩元政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほども申し上げましたけれども、農林水産省は遺伝子組み換え作物の環境安全性ということでの所管ということで、食品としての安全性は、先生御指摘の厚生労働省ということでございますので、環境問題についての安全という視点からお話をさせていただきたいと思うんでございます。
 農林水産省は、遺伝子組み換え作物につきましては、その安全性の確保という観点を含め、三つの基本的な事項ということで、今研究開発等々行ってございます。
 一つは、まず遺伝子組み換えという技術の持つ可能性、これが正当に評価がなされるべきだということでございます。それからもう一つは、最新の科学的知見に基づいて、環境や健康等に与える影響についての十分な評価が行われるべきだということ。三つ目は、消費者側が大変に関心が高いということでございますので、情報公開を含め、的確に消費者の関心にこたえていく、この三つを基本としてきたところでございます。
 特に、この技術の持つ可能性が非常に大きいということから、世界的な技術開発が行われているわけでございまして、先ほど先生がおっしゃった、御関心のカドミウムの汚染、これもいわゆる環境修復という観点から、私どもは、遺伝子組み換えの技術を使いまして、作物でもってカドミウムを吸収してそれを除去しよう、この研究を行っているわけでございまして、そういうことを含め、遺伝子組み換え作物の持つ大きな可能性というものについては、我々は正当に評価すべきだというふうに考えております。
 そういう中で、技術開発、研究開発というものが特に欧米先進国におくれをとりますと、将来に対して大変な禍根を残すというようなことでございまして、そういう観点から研究を行っているということで御理解いただければというふうに思います。
 それで、その商品化に当たりましては、これは遺伝子組み換え作物を消費者が選択するわけでございますので、そういう消費者のアクセプタンスと申しますかをより求めるというようなことの努力を私どもはまた一方ではやっていく、国民の理解が不可欠だろうというふうに考えております。
 以上でございます。
山口(わ)委員 特にこの遺伝子組み換えについては、やはり農業、自然農業、有機農業に相反する部分というのがありますし、そういう意味では、本当に農業の基本をきちっと考えた中で、そういう生命産業を発展させるようなことをやはり経済優先でやっていかないような努力も私は大事だと思っています。
 ですから、そういう意味で、市民団体の皆さんの要望も十分聞いていく中で、本当に安全で安心な食品、食料の生産というのは一体どうあるべきかということを十分検討していただいて、遺伝子組み換えなどというところに頭が行かないようによろしくお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
小平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時散会


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