第7号 平成14年11月19日(火曜日)
平成十四年十一月十九日(火曜日)午前十時五分開議
出席委員
委員長 小平 忠正君
理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
理事 鮫島 宗明君 理事 楢崎 欣弥君
理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
青山 丘君 浅野 勝人君
荒巻 隆三君 石田 真敏君
岩倉 博文君 岩崎 忠夫君
梶山 弘志君 金子 恭之君
木村 太郎君 北村 誠吾君
熊谷 市雄君 小泉 龍司君
近藤 基彦君 七条 明君
高木 毅君 西川 京子君
平井 卓也君 松野 博一君
宮本 一三君 川内 博史君
後藤 斎君 佐藤謙一郎君
津川 祥吾君 筒井 信隆君
鉢呂 吉雄君 堀込 征雄君
山内 功君 江田 康幸君
藤井 裕久君 中林よし子君
藤木 洋子君 松本 善明君
菅野 哲雄君 山口わか子君
…………………………………
農林水産大臣 大島 理森君
農林水産副大臣 北村 直人君
厚生労働大臣政務官 渡辺 具能君
農林水産大臣政務官 熊谷 市雄君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 藤原 啓司君
政府参考人
(厚生労働省医薬局食品保
健部長) 尾嵜 新平君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議
官) 坂野 雅敏君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 須賀田菊仁君
参考人
(独立行政法人肥飼料検査
所理事長) 佐藤 保隆君
農林水産委員会専門員 和田 一郎君
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委員の異動
十一月十九日
辞任 補欠選任
相沢 英之君 浅野 勝人君
近藤 基彦君 平井 卓也君
高木 毅君 木村 太郎君
松本 善明君 藤木 洋子君
同日
辞任 補欠選任
浅野 勝人君 相沢 英之君
木村 太郎君 松野 博一君
平井 卓也君 近藤 基彦君
藤木 洋子君 松本 善明君
同日
辞任 補欠選任
松野 博一君 高木 毅君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
農薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)
農水産業協同組合貯金保険法及び農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)
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○小平委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農薬取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人肥飼料検査所理事長佐藤保隆君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省大臣官房審議官坂野雅敏君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、財務省大臣官房審議官藤原啓司君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○小平委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村太郎君。
○木村(太)委員 小平委員長、また大島大臣初め皆さん、おはようございます。本日の質疑のトップバッターに立たせていただきました木村でございます。よろしくお願い申し上げます。
大臣の地元、そして私と同じ地元でありまして、日本全体、食料の自給率が低下している中で、農業基本法を新しく制定し、そして自給率の向上に努めていく努力が続いている中で、四十七都道府県ごとに見た場合の食料自給率、これを見てみますと、大臣と私の地元であります我が青森県は、全国で第四位を誇っておりまして、まさしく食料供給県の姿を今も大事にしております。そこを地元とする大島大臣でありますので、農林水産大臣として一層の御活躍を心から御期待申し上げたいと思います。
それでは質問に入ってまいりますが、今回の法案に関しまして、無登録の農薬の問題が全国的な広がりになったわけでありますが、ナシや、それこそ私の地元でいいますとリンゴなどの農産物を中心に、廃棄処分せざるを得なかった状況でもありました。きょう現在までの被害状況というのはどのようになっているのか、また、その中で県、市町村、団体などが調査、検査に費やした努力の姿もありますので、こういった経費も含めた被害状況がどうなっているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○北村副大臣 おはようございます。ただいま木村委員から、御地元の状況等々についての御質問がございました。委員御指摘の無登録農薬問題によりまして、一部の産地において、果樹や野菜の収穫物等について出荷停止や廃棄処分が行われているのは、委員御指摘のとおりでございます。
きょう時点までで都道府県が把握している情報によりますと、これまで三十二県において、リンゴ、ニホンナシ等の果樹、あるいはヤマトイモ等の野菜が廃棄され、廃棄数量は約五千九百トン、出荷額ベースで約十五億円と推定されております。
このうち、果樹につきましては、廃棄数量は約五千四百トンで、品目別には、リンゴが約二千六百トン、ニホンナシが約二千五百トン、セイヨウナシが約二百トン、その他が約百トンとなっております。
野菜については、廃棄数量は約四百五十トンで、品目別には、ヤマトイモが約二百三十トン、その他が約二百二十トンとなっております。また、そのほかに、イチゴ苗が約二百九十万株廃棄されておるという状況にあります。
都道府県が把握している情報では、出荷停止や廃棄処分された収穫物等で、まだ今後収穫を控えた果樹やあるいは野菜等について廃棄処分を追加実施するということが見込まれているというふうに把握をしております。
このような中で、産地において、特に都道府県、市町村、農協、各レベルで、残留農薬の分析をする、あるいは分析のための検査器具、機械等の整備、安全性のPR等に対して助成を講じております。助成の検討をまたは行っている。きょうまでで十三県において予算措置を行っておりまして、予算総額は約二億七千万円となっておりまして、さらに数県において検討が行われているところでございます。
これが今の現状でございます。
○木村(太)委員 今北村副大臣から御答弁いただいたのを聞きましても、やはり全国的な広がりを示した問題でもありましたし、また品目別にもたくさんの農産物に影響を与えたということを改めて感じたわけであります。
このことは、もちろん、無登録の農薬を輸入し、販売し、使ったという生産地サイドの問題というふうに、それだけで片づけてはならないような気がするわけであります。やはりこれだけの全国的な広がりということは、ある面では、モラルということだけでなくして、制度そのものの、システムの中身をやはりきちっととらえる必要もあるんではないかな、こう思っております。
いま一度、御答弁あった被害状況に至った要因をどう分析しているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○大島国務大臣 木村委員から御指摘いただいた、なぜこう至ったのか。私も、この取締法の改正を勉強し、またその経過を伺いますと、さまざまなことがそこにあったと思います。一言で言えば、無登録農薬の問題に対する危機感とかあるいは問題意識が全体的に希薄であった。そのことに対して、もちろんこれは、私ども役所もそういう問題に対する、希薄であったという対象から外れるものではございません。そういうもろもろのものを考えて反省した上で、そしてそれを乗り越えるためにはどうしたらいいかというのが今の法案でございます。
経過、具体的な質問ではございませんでしたので、概念的な御質問でしたので、そのように答弁させていただきます。
○木村(太)委員 この問題が表面化したのを受けまして、近々のこの臨時国会で、農薬取締法の一部改正の議論にきょうなったことは、私は評価したいと思います。農水省も、あるいは自民党初め与党の各部会を中心に議論してきた経緯も承知しておりますので、この努力には敬意を表したいと思います。
法改正というのは、私なりの印象では、一言で言いますと、再発防止に努めるという内容になっておると思うんですが、その点の御認識を確認させていただきたいと思います。
○大島国務大臣 もう一度木村委員から、システムの問題、どういう問題があったかという質問もございましたので、それらを踏まえて今の質問につなげてまいりたいと思っております。
ずっと経過を聞きまして、非常に危機感の希薄性が、連絡調整がうまくいかなかったり、あるいはまた、消費者に対するおそれみたいなものがないがゆえに、隠れていれば何とかなるだろうみたいな思いがあったり、そういうことがあったわけです。
そして、システム的にやはり抜けているということがさまざまな御意見をちょうだいしてあったわけですから、やはり輸入や使用を規制してはならない、無登録農薬の輸入代行をしたり農家に販売した、そういうふうな問題点、そういうものがあったものですから、そういうシステム的な問題も踏まえて今のような法案を皆様方に御審議いただく、それも緊急である、こういうことでございますが、ポイントは三点あるだろう、このように思っております。
やはり今るる申し上げましたように、無登録農薬の流通、使用実態を踏まえながら私どもは再発防止を考えなきゃならない。そして、その内容は、製造、輸入、販売、使用、この四段階で規制強化をきちっとすること、強化することと、罰則の引き上げ等を行うことであろうと思います。三点目として、無登録農薬の流通の防止、無登録農薬の使用の抑制等の効果を期待してまいりたい、このように考えておりまして、今、国民の皆様方から、食に対する信頼を一日も早く取り戻したいという意味で、私どもは、そういうことをポイントに考えながらこの法律改正案を提出させていただきました。
具体的に、製造、輸入、販売、使用の各段階での規制の強化でございますが、まず第一点は、無登録農薬の製造、輸入及び使用の禁止でございます。この使用の禁止も入れたというところが大変重要でもあろうかと思います。第二点は、いわゆる輸入代行業者による虚偽宣伝の禁止。農家の方々は、いろいろな宣伝、チラシ、パンフレットを見ながら判断を、厳しい環境の中で一生懸命農業をやっていっておるわけでございますので、そういう意味で、虚偽宣伝の禁止をするということ。それから三点目は、農薬の使用基準の遵守の法的義務化です。そして四点目は、罰則の引き上げ。こういうことを骨子としてやって法案をつくって、皆様方に御提案をさせていただいておるところでございます。
さらに、そういうことから、まず一つは、国の水際で規制することができるということ、未然に無登録農薬の流通の防止を図る、それから使用段階の規制によって無登録農薬の使用が抑制できるということ、こういうことが効果として私どもはねらっているところでございます。
以上です。
○木村(太)委員 今大臣から御答弁いただいた中でも、システム的な問題があった、それについて法案においてはるるというような御答弁がありましたが、私も、幾ら法改正しましてもイタチごっこになってはならない、こう思っております。今回の改正を大きな第一歩としながらも、やはりこの農薬の登録制度そのもののさらなる根本的な見直しを、この法改正で終わりではなくて、引き続き検討していく姿勢を農林水産省が中心に持つ必要も大事だと思っております。
ただいま大臣からも、そのシステムの中でのいろいろな対応ということもありましたが、私なりにまた法改正の中身を見た上での、さらにシステム的にこういうことはどうなっているのかなということも幾つかありますので、少し聞いてまいりたいと思います。
例えば、発生する病害虫が同じなのに、ホウレンソウには登録があってもコマツナにはないといった声も時々聞きます。つまり、適用作物ごとに農薬登録を義務づける現在の制度では、栽培面積の小さい農産物向けの農薬は、メーカーがやはり登録の費用負担を嫌うために、農家が使用できる農薬が限られ、海外のものに比べるとやはり絶対的に割高になっているというのが現実ではないかなというふうにも思っております。
こういう点なんかどう考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○須賀田政府参考人 農薬の適用作物の問題についてのお尋ねでございます。
先生おっしゃるように、ホウレンソウならホウレンソウに、ある適用作物にしている農薬を他の作物に拡大申請するには、やはり、作物残留性の試験でございますとか、薬効、薬害の試験でございますとか、そういうものが必要でございまして、なかなか費用がかかるということで、市場規模の小さい、いわゆるマイナーな作物では適用の拡大が進んでいないという実態にございます。
これについて、私どもは、一つは、製造業者の方々に適用拡大申請をしてもらうための支援ということで、国、団体、県の基金を造成いたしまして、必要な試験実施の支援をする、それから都道府県の試験場等が行います作物残留試験への補助をするという支援対策を一つ用意しているところでございます。
そして、今般、使用規制、使用方法を含みます使用規制を法制化したわけでございまして、まさに、マイナーな作物についてはお困りのところがあろうかというふうに思っておりまして、データを至急集めまして、農薬の適用作物のグループ化ができないか、今、各都道府県からどういう農薬をどういう作物に適用拡大したいかという希望をとっているところでございまして、データがございましたら、例えばレタスに使えるのがサラダナとかチシャとかそういうものに使えないか、そういうグループ化の作業をしておるところでございまして、適用拡大促進を真剣に進めたいというふうに考えているところでございます。
○木村(太)委員 そういった細かい点においての努力も、ぜひ法改正と並行して取り組んでいただきたいと思います。
きょうは、財務省の方にもおいでいただきましたが、これは日本農業新聞にも掲載されておりましたけれども、今回問題になりました無登録農薬、ダイホルタンとかプリクトランは、税関においては家庭用の殺虫剤と同様の化学品として分類され、輸入されていたということであります。改正案でも、化学品という隠れみのをかぶせれば完全に規制できないのではないかなというやはり不安視する声も私の周りにもあります。
そのためにも、税関の関税区分に農薬という項目をきちっと新しく制定すべきであると私も思っておりますし、また最近の動きとして、農水省と財務省が協議を始めたという報道も一部あったようでありますので、改めてこの場で財務省の対応というものを確認したいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘ございましたように、我が国の関税率表におきましては、輸入農薬は、その薬効、すなわち薬の効果でございますけれども、薬効に基づきまして殺虫剤あるいは殺菌剤等として分類されておりまして、現在、輸入者が農薬と農薬以外のその他の薬剤とを分けて輸入申告をするということにはなってございません。
しかしながら、今回の問題を受けまして、農水省より、今回の農薬取締法の改正に当たりまして、輸入者に農薬とその他の薬剤とを分けて輸入申告させることができるように、それぞれの分類の中に農薬に係る細分項目を設けるよう要請を受けているところでございます。財務省といたしましては、この要請に適切に対応いたしまして、農薬とその他の薬剤とを区分するため農薬に係る細分項目を設ける方向で、先ほど委員御指摘のように、現在農林水産省と協議をしているところでございます。
○木村(太)委員 協議をしているのは私承知しているので聞きましたので、その方向性がどういう方向で、前向きにその方向で協議しているのか、もう一度お聞かせください。
○藤原政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど申し上げましたように、農水省の要請に対応いたしまして、農薬とその他の薬剤とを区分するため、現在そういう方向で協議をしているところでございます。
○木村(太)委員 ありがとうございました。そういう方向ということは、農薬という項目をきちっと定めるというふうに私なりに感じたわけであります。
次にお聞きしますが、生産者、農家が農薬について知識をさらに向上させることもやはり大事だと思います。この法改正と同時に、今までもやってきたとは思いますが、県や市町村、団体、販売店を通じても研修会などを積極的に開催しながら生産者に正確な情報を提供できる仕組みというのをきちっと構築していくことも必要ではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○須賀田政府参考人 農薬を使用される方々に正確な情報を教育、普及するシステムというものは特に必要であるというふうに考えております。
特に、今般の法律改正で農薬の適正使用を義務化するということでございますので、私ども、法施行時までに、農薬を使用される方々に対しまして、遵守すべき事項というものを、都道府県の事務所でございますとか病害虫防除所、改良普及センター、農協、こういうところを通じて徹底をしたい。
さらに、農薬の基本情報につきましては、インターネットのホームページ等で紹介をしたいというふうに考えております。
さらに、講習会等の開催によりまして、適正使用の徹底に努めるために、農協の営農指導員等の方々の中から、農薬適正使用アドバイザー、こういうものを地域ごとに育成いたしまして、生産者への情報提供に万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○木村(太)委員 ぜひ、情報というものを、行政が中心に、現場の生産者に伝わる仕組みというのを構築していただきたいと思います。
四つ目に、生産者というよりも、消費者サイドに立った視点からお聞きしたいと思います。
今回の法改正ではちょっと含まれていないのかなという印象を持ったんですが、現行法でいいますと、製造者や輸入業者、販売業者が、農薬の使用期限が切れたもの、これを回収する努力をするという努力規定は今までのこの法律にもきちっと明記はされているようであります。ただ、登録が失効した、あるいは使用期限が過ぎた農薬が生産現場の農家の手元にいつまでも残っている姿があれば、使用しなくても、消費者側から見た場合にはやはり不安視をする種がそこには残る、こう思っているわけでありますが、今回法改正がありましたけれども、この点の心配についての対応はどう考えておられますか。
○須賀田政府参考人 不要になりました農薬を回収いたしまして適正に処理するということは非常に重要なことというふうに認識をしております。従来から、その回収処理ということに当たっての技術面や制度上の留意点、廃掃法上の産業廃棄物に当たるとか、そういう留意点を検討、整理いたしまして随時提供してきたわけでございますけれども、現在、こういう留意点を集大成したマニュアルというものを作成すべく検討を進めているところでございます。
今回の農薬取締法の改正は、安全性に問題のある農薬につきまして、販売を禁止するということに加えまして、使用の禁止という内容になっているわけでございます。これに加えまして、回収命令、そういうものが法令上明確に位置づけられないか、現在、内閣府の方で食品安全基本法の検討を進められております、そういう内容も見ながら、次期通常国会に向けて、回収命令についてさらに検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○木村(太)委員 ただいまの答弁、私、大変前向きな答弁をいただいたと思っております。
先ほどの情報提供と同じように、回収においてもきちっとシステム化を図るような努力を、今の御答弁にあったように、今回はともかくとしても、次期通常国会で法的にもなされるように、ぜひお願いしたいと思います。
システムの中身を見ながらの質問ということを言いましたが、その点で最後の質問をしたいと思いますが、これまでも販売業者の届け出が義務づけられてきたわけでありますが、改正案では、販売者にかかわる届け出についても、行為者すべてに届け出を義務づけるというふうになっているようであります。また一方で、都道府県では、農薬の指導的役割を果たしていただく農薬管理指導士を認定しているとも聞いております。
例えば、私たちが時々利用するごくごく一般の薬局あるいは薬屋さんでは薬剤師の資格を持つ人を置かなければならないとか、こういうことも社会においては一つの信頼性につながっていると思っておりますが、農薬についても、届け出義務の拡大のみならず、例えば許認可制や、農薬に関する資格を持った方の活用なども今後はきちっと検討していくべきではないかな、こう思いますが、いかがでしょうか。
○須賀田政府参考人 農薬の使用の適正化という観点から見ますと、例えば、販売店におきまして、農薬についての正しい知識を持たせまして、購入される方々に適切なアドバイスをするということは大変有意義なこと、重要なことというふうに考えております。
先生言われましたように、これまでも農薬管理指導士というものの組織化というものに努めてきたわけでございまして、十三年度現在で、全国で三万五千人、この指導士が研修を修了し、認定をされております。
現在、農薬のうちでも急性毒性を有するものは、毒物劇物取締法に基づきまして、毒物劇物取扱責任者の設置というものが義務づけられているわけでございます。今後、それ以外でも、先生言われました農薬管理指導士の育成強化ということが必要であるというふうに私どもも認識しておりまして、いわゆる資格試験の問題を含めまして、どのような対応があり得るか、都道府県等関係者と協議、調整しながら、その育成強化というものを前向きに検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○木村(太)委員 時間も迫ってまいりましたので、最後に、今までは、法改正していろいろなシステムの見直しをして再発防止のために努めていく質疑のやりとりをしましたが、私、冒頭言ったように、また答弁にもありましたが、現実の今回の被害状況に対しての国の姿勢を問いたいと思います。
私の地元の例で言いますと、リンゴでも、答弁もあったように、損害がありました。ようやくここに来て、県や市町村、団体の努力、また生産者の協力で、十月二十六日にリンゴに関しての安全宣言を行ったところであります。ナシはまたリンゴ以上に、答弁にもありましたが、廃棄処分せざるを得なかったというふうに聞いております。こういった一連の事態に対しての国の対応、支援というのが具体的にやはり必要ではないかな、こう思っております。
地元でも、既に県や市町村が経営支援策などを打ち出しながら、十二月の議会に予算措置も考えているようであります。また、ありがたいことに、ある青果市場が浄財を寄附しまして、こういった対策にバックアップしてくれている例さえも私の地元ではあります。
特に思いをしたいことは、無登録農薬を使用した生産者の隣接園地の生産者が廃棄処分せざるを得なかったことへの支援だと思いますし、また、調査や検査、分析をした県や市町村などへの財政的支援ではないかなというふうにも思っております。こういったことは、リンゴだけに限る話ではなく、ナシを初め、先ほど御答弁いただいたように、全国的に、地域地域においてもまた同じような状況、また同じような地域での支援策がなされつつあるのかなというふうにも思っております。
そこで、今回の事態に対しての国の積極的な対応をどう考えているのか。災害などが起きますと、一般的には融資制度に対しての利子補給というのが考えられ、もちろんそれは大事なことでありますし、基本的なことでありますし、ありがたいことだと思いますが、そこをもう一歩踏み込んでの、今回の事態に対しての国の積極的な姿勢を打ち出していただきたいと思いますが、最後の質問とさせていただきます。
○大島国務大臣 木村委員の言われることの中で、まず第一点は、その被害状況といいましょうか、損失というものの実態は、先ほどお話ししたように、その周辺も含めて大変な御苦労があったことも承知いたしております。
そのことに対しては、やはり大変お気の毒だなという思いを持ちながらも、さればそれは、災害でありますとか、要するに人的要素が入った損失でないということを言い切れるかといいますと、やはり人間のかかわった災害、災害というか損失であったということが言えると思うのです。だとすれば、基本的にはやはり、恐縮ですが、その原因にかかわった方々との話し合いによって解決が図られるべきというのが基本であろう、このように思います。
むしろ、そういうことを踏まえながら、まず第一に私どもがなすべきことは、こういうことを、先ほど委員からもお話しされたように、システム的に二度と起こさないようなシステムをつくること、これが政治の最大の課題ではないか、このように思います。
さはさりながら、これはもう委員もお話しされましたように、我々でその損失という現状に対してどうできるかといいますと、やはりこれからの経営の維持安定に必要な運転資金の借入の際の利子補給を何とか実施して、利子補給を行いながらの対策を行うというところで措置しているところでございます。
いずれにしても、まだ今後、今さまざまな御意見もいただきました。我々としては、食の信頼を消費者から得られるという観点から、ブランド・ニッポン農産物供給体制の確立、その一環として残留農薬分析施設の整備、この支援も行わなければなりませんし、あるいは農薬適正使用のための講習会の開催、取り締まり強化のための研修、農薬散布量の低減化技術体系の確立なども含めて、今の問題を全体的にとらえてさらに努力してまいりたい、このように思っております。
○木村(太)委員 終わります。
○小平委員長 次に、江田康幸君。
○江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。
今回の無登録農薬問題では、新聞等の報道によりますれば、輸入業者による違法な輸入や輸入代行業者を介した個人輸入等によりまして無登録農薬が広範にわたり販売されて、ほとんどの都道府県で多くの農家が購入、使用してしまった、こういう事件でございます。
そこで、このように全国的に展開してしまった問題につきまして、先ほども御答弁なさいましたけれども、国にも責任があったと考えますが、今回の事件の原因について、国としてどのように考えておられますか。
○須賀田政府参考人 まず、今回の無登録農薬が発生をした原因でございます。
いろいろ無登録農薬を使用した農家の方々から聴取をしたところによりますと、やはり登録されて流通している農薬に比べて、非常に安上がり、経営コストの低減につながるでございますとか、あるいは薬効があるでございますとかという動機で手を出したと。また、そういう心理につけ込んで、販売をしたり輸入代行をしたりした業者が見られたということでございます。
こういうところからすると、やはり輸入や使用を規制していなかった農薬取締法に十全でないところがあったということで、今般の国会に改正法をお出ししているところでございます。
また、ここまで広がったという原因、先ほど大臣の方から答弁がございました。やはり、山形県内の衛生部局と農林部局の連携、それから山形県農林部局と私ども農林水産省との連携、これがもっときちんとしていれば、もっと早期の対応が可能であったというふうに考えておりまして、やはり一連の経緯の中で、危機管理意識の希薄さでございますとか、縦割り行政の弊害といったものに反省をしているところでございまして、国と県、県の中の連携システムの構築について緊急に整備をしたところでございます。
○江田(康)委員 さらに、農林水産省の発表によりますれば、総点検の結果として、無登録農薬販売事業所二百五十四業者、三千十四戸が無登録農薬を使っていた。また、このうち二十農協が無登録農薬販売に関与していたということでございました。農協というのは、本来ならば、農薬の適正な使用について農家を指導すべき立場でございます。この点について、農協を指導している農林水産省としてどのように考えられますか。
○大島国務大臣 今江田委員から御指摘いただきましたように、農業の、そして農村のコアとしての機能を果たさなければならない、指導的な役割を果たさなければならない農協が、二十農協が無登録農薬の販売に関与していたということが判明いたしたのは事実でございます。まことにこれは、遺憾というより、みずからに与えられた使命の放棄ではないか、このように思います。
したがいまして、私どもとしては、そういう観点から、全中に対しまして、事実の究明と点検、検証、そして再発防止に向けた徹底指導を強く要請いたしたところでありまして、全中では、十月二十三日に点検結果を公表するとともに、再発防止対策を公表したところでございますが、いずれにしても、無登録農薬を販売したすべての農協につきましては、本省職員による事情聴取を行ったところであり、今後とも、処分を含め毅然とした対応をとってまいりたい、このように思っております。
○江田(康)委員 特に、農協でございますので、指導的立場でございますので、しっかりそこのところを指導していただきますように、よろしくお願いいたします。
そこで、これからこの改正法案の実効性を高めるために、幾つか具体的な質問をさせていただきます。
まず、輸入の規制の実効性についてでございますが、今回の法改正では、登録がない農薬の輸入を禁止しております。確かに、今回の無登録農薬のほとんどが輸入によって供給されていた事実を踏まえれば、無登録農薬の根絶を図るために、水際での規制が極めて重要と。その点では、今回の措置は高く評価されるものであります。
しかし、現在輸入時に化学品で入ってくれば、水際で区別することは困難でございまして、実効性のある輸入規制は本当に可能なんでしょうか。そこをお願いいたします。
○須賀田政府参考人 今般の法改正で無登録農薬の輸入を禁止するということとしたわけでございます。そして、今先生言われましたように、現在、関税分類は殺虫剤とか殺菌剤とか、その他化学品というふうになっているわけでございまして、私ども、これを新たに農薬の分類を新設したいというふうに考えておりまして、輸入統計品目番号の新設について財務省と協議をしているところでございます。例えば、殺虫剤(農薬)、そういうふうな、これは制度上の問題でございます。
次に、実効が果たして確保できるのかという点でございまして、私どももそれを非常に心配しておりまして、現在、通関時におきまして確認事務というものを確実に行うということで、登録農薬のリストでございますとか、登録を受けている輸入業者のリスト、登録が失効した農薬のリスト等につきまして、まずは情報を財務省に提供したいというふうに考えております。
また、現実に税関の現場で疑義が生じたといった場合の問い合わせ窓口といったものを設置したいというふうに思っております。
さらには、私どもが立入調査をいたしまして、外国産の無登録農薬といったものが万一確認されたといった場合には、その旨を税関に情報を提供するというようなことで、その実効性の確保というものに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
○江田(康)委員 今申されましたように、農薬というコードをつくって関税局との連携を図るということでございますので、ここにおいて化学品で無制限に入ってくるということは避けられるかなということがわかります。
もう一つ、今回の事件とは別に、非農耕地用として農薬の登録を受けずに販売されている除草剤が農耕地で使用されております。しかし、これら非農耕地用除草剤というのは、国の登録時の審査を何ら受けておりませんで、そのようなものが農作物に使用されることは、安全上の面で非常に重要な問題でございます。今回の法改正で非農耕地用除草剤については規制がされるんですか。よろしくお願いします。
○北村副大臣 先生御指摘のとおりで、大変そのところが今までも危惧されていたところでございます。
今回の改正案で、非農耕地用除草剤であっても農薬と何ら変わりないということで、これらの規制をきちっとしようということを織り込んでいるところでございまして、農作物等に使用すれば無登録農薬の使用として規制されるような措置をしているところでございます。
しかしながら、残念でありますけれども、この非農耕地用の除草剤の製造、輸入、販売については、これは農業生産と直接かかわりないということで、農林水産省としてはこれらを規制する対象にならないというのが非常にございまして、先般も私の方から、副大臣会議で各省庁の副大臣に、それぞれの省庁で環境や人の健康への影響を防止する観点から規制をしてほしい、このことを強く申し上げております。
ですから、今後もまた、そのことについて各省庁と連携をとりながら、特にゴルフ場における除草剤ですとか、あるいは国土交通省が使う道路の横の、そういう路肩の除草剤等々、あるいは文部科学省、公共的なところで使う、学校のプールだとか何かで、今はもうほとんどないと思いますけれども、雑草を駆除するために除草剤を使うということがあったとするならばこれは大変なことになりますので、そういった省庁における連携をとりながら、強力な規制強化をできるよう、検討を強力にお願いしているところでございます。
以上です。
○江田(康)委員 ぜひ、そこのところ、よろしくお願いいたします。使用で規制をしていくということができるかと思いますので、連携のもとでよろしくお願いいたします。
さらにでございますが、無登録農薬を取り締まるには販売業者の取り締まりが何よりも重要でございまして、一方、全国には約四万と言われる農薬販売業者が存在しますが、今回の事件から見まして、農薬販売業者の取り締まりの強化策、これが必要とされていると思いますが、そこのところをお伺いしたいと思います。
○須賀田政府参考人 現在、私どもの系統の農薬の検査要員でございますが、まず、農林本省と地方局合わせて三十八人、それから独立行政法人農薬検査所に五十六人、国レベルで合わせまして九十四人、あと各都道府県ごとに十人から二十人ということでございます。先生が言われました、販売業者の数と比べると体制が脆弱であるという御批判は甘受せざるを得ないような状況、厳しい定員管理もされておりまして、そういう状況にあるということでございます。
私ども、今回の事件を踏まえまして、一つは、無登録農薬販売に関する情報を一元的に管理して、都道府県の中で農林部局と衛生部局の連携を密にする体制を整えたい。それからさらに、外延的拡大と申しますか、生産現場に精通している改良普及員、農協、市町村、こういったところの協力も得ながら、調査、検査といったものに遺漏なきを期してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○江田(康)委員 次に、使用規制に関することを質問させていただきます。
今回の事件では、無登録農薬を購入していた農家が三千七百戸を超えて、その中には使ってはいけないと知りながらも無登録農薬を使用していた農家もおりました。かかる事態を受けまして、今回、農薬の使用者である生産者に対する規制の強化が行われますが、その中で、安全性に問題はなくて経済的な理由で登録が失効した農薬について、今回の法改正によれば、これは使用できなくなるのでしょうか。
○須賀田政府参考人 先生が今言われましたように、一次登録があって、あと更新の際に費用が出せないということで登録が失効した農薬というのは、失効したといえども安全性に問題はないわけでございまして、そういうものを使用禁止にするということは不適当でございますので、引き続き使用することができるということにしたいというふうに考えております。
ただ、安全性に問題があって失効したものは、販売禁止とあわせて使用禁止ということにしておりますので、そこのところはよく注意をしていただきたい、そのことは十分に情報提供をしたいというふうに考えているところでございます。
○江田(康)委員 今申されましたように、経済的な理由で失効したものと安全性に問題があって失効したものとは区別して、一律ではなくて対処できるということでございますので、これは農家の方にとっても安心だとは思うわけでございます。
それに関してですが、今回の事件の背景を見ますと、農薬の使用者である農家に対しまして、使用が禁止された農薬など詳しい情報が伝わっていない、多くの農家の方々が理解していない、そういう状況もあろうかと思います。今回、使用規制の強化に当たりまして、生産者に対して使用禁止農薬等に関する十分な情報提供を行うとともに、適正な使用について教育、研修、そういうものが必要ではないかと思いますが、どのように対応されるおつもりでしょうか。
○須賀田政府参考人 今度の改正で適正使用の義務化ということを図るわけでございますので、私ども、まず法施行までに、あらゆる機関、都道府県の事務所でございますとか病害虫防除所、改良普及センター、農協、こういうところを通じまして、必要な情報を農家の方々に提供していきたいというふうに考えているところでございます。
さらに、従来から講習会を開催いたしまして、適正使用の研修等を行っておるわけでございますけれども、さらに、適正使用の徹底のために、農協の営農指導員等の中から農薬適正使用アドバイザーというものを地域ごとに育成したいというふうに考えております。
さらには、失効農薬だとか登録農薬のリスト、こういうものをホームページで公開する、あるいは毒性に関する情報を製造メーカーに学会誌等で公表を指導する、こういうこともあわせ考えていきたいというふうに考えているところでございます。
○江田(康)委員 先ほどの質問ともかかわりますので、そういうふうに無登録農薬が、安全性に問題があってのことか、もしくは経済的な理由なのか、そういうようなものを含め、やはり非常に詳しい情報を常時提供できるようによろしくお願いしたいと思います。こういう教育、研修が土台にないと、この農薬取締法の改正も実効力のあるものにならないと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
次に、回収についてお伺いをいたします。
販売が禁止された農薬につきましては、法律では、製造業者や輸入業者が回収に努めるものとされているだけでございます。すなわち努力義務規定でございまして、この回収の努力義務規定だけでは無登録農薬の回収を徹底していくというのは不十分ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○大島国務大臣 無登録農薬等、安全性に問題のある農薬については、御承知のように、販売の禁止に加えて使用も禁止するということにしたわけでありますが、しかし、その無登録農薬が放置されるということになれば、使用されるおそれも否定できないことは事実でございます。したがって、回収を命じることが必要となる場合も考えられます。
そこで、回収命令を法令上に明確に位置づけることにつきまして、登録を受けた農薬を販売した後に登録が取り消された場合、あるいは無登録農薬を所持している者についてまで命令をかけることが可能であろうかどうかということについてさまざまに議論し、これから検討する必要がある、このようには思っております。食品安全委員会との関係を踏まえて、次期通常国会に提出予定の食品の安全性を確保するための関連法の中で勉強しながら、そういう整備の中で対応したい、このように考えております。
○江田(康)委員 わかりました。次期国会で対応をしていくということでございますので、それに期待したいと思っております。
次に、開発コストがかかって農薬の価格が高い、このことが、今回の無登録農薬を使用してしまった、そういう原因の一つとして挙げられております。
私も医薬品開発を長年続けてきましたので、医薬品と同じように農薬の開発、登録までに非常に莫大な費用がかかると思います。人用の薬ではもちろん臨床試験という人での試験がございますが、これは農薬にはないとしても、前臨床試験いわゆる毒性試験、動物試験等がかなり含まれていると思います。例えば、急性毒性試験とか、慢性毒性試験とか、催奇形性毒性試験、こういうようなものがあるかと思います。
医薬品の開発では当然億単位の開発費用がかかるわけでございますが、この農薬の開発コストにつきまして、一体どのくらいのコストがかかっているのか、また、それはやはり増加する傾向にあるのでしょうか。よろしくお願いします。
○須賀田政府参考人 農薬の開発、登録にかかる費用でございます。
種類によって金額は異なるわけでございますけれども、まず、その開発、新規の化合物の創出に要する経費、販売のために製造ラインの整備が必要になります。そういうものを合わせますと、まず、開発に五十億から百億の費用が必要になるということでございます。そしてさらに、登録の際に、先生言われましたような毒性の試験を初めとして、薬効、薬害、残留性、いろいろな試験のデータをとることが必要でございまして、これに平均約十億円かかるわけでございます。
そして、国民から安全性の確保についての要請が高まっております。新たな科学的知見に対応するデータの充実というものが年々求められておりまして、農薬のこういうものに要するコストというのは増加する傾向にあるところでございます。
○江田(康)委員 今申されましたように、動物試験、毒性試験等においても十億円ぐらいかかるということは、人の医薬品と同じぐらいに開発費用がかかってくるということをあらわしているわけでございますが、そこで、こういうふうに農薬の価格が高いというのが一つの大きな問題であれば、特許切れで出せるところの後発品、いわゆるジェネリック農薬、この普及を進めていくべきだと考えておりますが、国としてはどのように対応されておりますでしょうか。
○須賀田政府参考人 先生おっしゃるように、安全性を担保しながら低コストを生産者が求めているわけでございますけれども、低コストの農薬の普及を図るという観点からは、既にもう安全性が確認されておりますジェネリック農薬、後発品の普及を図るということは重要なことであろうというふうに私どもも認識しておりまして、平成十三年の六月に、この後発品につきましては、登録申請に必要な毒性試験成績等の提出、たしか七項目でございましたけれども、提出を簡素化したということでございます。
現在までに三剤、三つの薬剤が登録を取得しておりまして、たしか新聞記事等によりますと、農協系統も熱心だということでございます。さらなるジェネリック農薬の登録申請がなされることを期待しているところでございます。
○江田(康)委員 ぜひ、ジェネリック農薬の開発に対して適切な対応を、支援措置を、促進できるようにとっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
熊本の方で起こった無登録農薬問題は、例えばナフサクという無登録農薬が使用されておりました。これはメロンのネット形成に非常にいい農薬と言われておりますが、このナフサクというのは、一九六四年に登録されまして、再登録時に慢性毒性試験の追加データが必要となって、メーカーが経済的な理由でこれを申請できずに、七六年に失効しております。この失効理由は人体や環境への影響でなかったので、農家並びに農協の方の認識が甘かったというような問題が熊本では発生したわけでございます。
このナフサクのように、かつて登録があった農薬で、経済的理由というメーカーの都合で登録が失効した農薬がございます。このような農薬については、よく効いて使いやすいという要望が強いということも伺っておりまして、私、再度登録させるべきではないか。また、そこを支援していかなければ、経済的理由ですから安全であるかもしれない、選択する有効な種類が少なくなって、結局は海外のそういう安いものに依存しなければならないということになるかと思われます。ですから、そういう再度登録させるための、国がこれを支援していくというようなことに関してはどのように考えておられますでしょうか。
○須賀田政府参考人 ナフサクにつきましては、熊本県等より、メロンのネット形成に非常に効いたということで要望があるということは承知をしております。
この問題、先生もおっしゃられましたように、昭和四十六年に農薬取締法が改正をされまして、農薬の登録に慢性毒性の試験データを要するということになりました。慢性毒性の試験にかなりの費用を要するのに販売額がそう見込めないということで、登録の継続が断念された農薬でございます。
したがいまして、この慢性毒性について、環境省でございますとか厚生労働省の評価により安全性に問題がなければ、登録は可能なものもあるというふうに思われますので、産地の要望がございましたら、その要望を関係する製造業者にお伝えいたしまして、使用者の望む農薬の登録が円滑に行われるよう努めていきたいというふうに考えているところでございます。
○江田(康)委員 要望をメーカーに伝えるだけではなかなかそういうようないい、有効な農薬が開発できないというところがございます。もう少ししっかりと考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後の質問でございますが、今般の無登録農薬の問題、またBSEの発生、それから表示の偽装、こういうような問題が次々と発生をいたしまして、総合的な食の安全の対策が求められていることは明らかでございます。今般、北村農林水産副大臣を本部長とします、食の安全、安心のための推進本部ができたと伺いますが、このような食の安全に対する総合政策につきまして、農林水産省の御意見をお伺いしたい。
○大島国務大臣 御指摘のとおりでございます。
時間が余りないようでありますが、ポイントをきちっと明確に申し上げたいと思います。
やはり、消費者の視点を踏まえて農政、農林水産行政を展開することだと思っております。食と農の再生プランを基本にしながら、食の安全、安心確保に向け、着実な進展を図りたいと思っております。
その一点は、食品安全基本法の制定等法制度の整備、食品安全委員会、両方仮称でございますが、設立等行政組織の改革、再編。二点目は、トレーサビリティーシステムの導入。三点目は、食育の活動の推進。四点目は、偽装表示に対する対策の強化。それらを総合的にもっともっと私どもは推進していくために、昨日、農林水産省の食の安全、安心にかかわる政策を推進するため、北村副大臣を本部長とする農林水産省食の安全・安心のための政策推進本部を設置したところでございまして、一歩一歩確実、着実に進んでまいりたい、こう思っております。
○江田(康)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○小平委員長 次に、筒井信隆君。
○筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
先ほどから話が出ておりますように、今回の無登録農薬の販売事件、この犯人というのは、販売業者、そして輸入業者、さらには生産者団体、これらが総合して参加をしているわけでございます。例えば、山形県の農協においては、係長が販売業者と生産者の間を口ききをしている。そして、生産者からその販売代金をみずから集めて業者に渡している。
こういう実態を見てみますと、まさにこの農薬取締法の強化をやっても、さらに必要なことがある。販売業者、輸入業者あるいは生産者団体、これと政官の癒着がそのまま残されていたならば、やはり全くチェック機能が働かない。金をもらったりいろいろな形でもって癒着構造が残されていたら、幾ら農薬取締法を改正したところで本当に効果を発揮しない。これは明確に癒着構造を断ち切る必要がある。農薬取締法の改正をもっと充実すると同時に、業界あるいは生産者団体と政官との癒着構造を断ち切る、これも絶対に必要だ。これははっきりしていると思いますが、農林水産大臣、どうですか。
○大島国務大臣 今委員がお話しされましたように、それぞれがそれぞれの倫理に基づいて、そして職務を遂行している。そして、言われているようなことがないように努力していくことが当然重要なことだと認識しております。
○筒井委員 今、業者との間の、金をもらったりなんかする癒着、この解消が絶対に大前提であるということを大臣も認められました。
もう一点確認いたしますが、武部前農林水産大臣がこういうふうに述べておられます。この無登録農薬に関して、流通は規制されているけれども、使用が規制されていなかった、これはどう考えても不可思議な現象である。いろいろ武部農林水産大臣、私も追及いたしましたが、今は懐かしく、しかもこの言葉は極めて正しい。どう考えても不可思議な現象である、この不可思議な現象が起こった原因は、農林水産大臣、どう考えられますか。
○大島国務大臣 したがって、使用を禁止する改正案を今出しておるところでございます。
○筒井委員 いつも大臣はそうですが、私の質問に単刀直入に答えてくれたことがない。今私は、だから直していくかどうかを聞いているんじゃなくて、なぜこんな不可思議な、どう考えても不可思議な現象が起こったか、この原因を聞いているんです。
○大島国務大臣 さまざまに今考えてみるとあったと思いますが、先ほどの質問にありましたように、無登録農薬、この問題に対して、全体的にその危機感、緊迫感、あるいは食に対する安全、安心、そういう生産、流通、そしてまた行政の中においても非常に重要なことであるという認識が決して強くなかった、そういうこと等も含めて、私はそういう問題が起こっていたのではないか、こう思っております。
○筒井委員 食の安全の問題とかかわるBSEについての、BSE調査検討委員会が、私はその答えも同時に出しているというふうに思っております。
あの調査検討委員会の報告書を大臣はもちろん読んでおられると思いますが、政官業の癒着構造、これを解体しなければならない、そしてその政官業の癒着構造が生産者優先の政策を求めてきた、こう指摘をしております。そして、前のやはり武部農林水産大臣は、政官業の癒着構造が政策の不透明性を助長してきた、この指摘を重く受けとめてきちんと対処したいというふうに述べておられました。
私は、この癒着構造が生産者優先の政策を求めてきて、そして消費者を無視して、さっきの極めてどう考えても不可思議な現象を、これを引き起こしてきたんだというふうに考えて、それだけじゃなくてほかにも理由があると思いますが、それも大きな理由だと考えますが、農林水産大臣、どうですか。
○大島国務大臣 消費者をどのように位置づけるかという視点は私も少なかったと思います。そして、そういうことから、そういう今のような問題点が欠けておったという認識は一つ同じ共有するものがあるのではないか、このように思います。
○筒井委員 それほど政官業の癒着構造というのは日本の行政、政治をゆがめてきた極めて重要な問題である。BSEの調査検討委員会が指摘をしておりますように、この政官業の癒着構造を本当に暴き出して、これをぶち壊さない限りは食の安全もない。これをやはり明確にしなければならないというふうに思うわけでございます。そして、政官業の癒着構造で、今までこれが暴き出されて議員自体も辞職した、そういう国会議員が何人もおられます。
例えば、井上参議院議員、議長を辞任しただけではなくて議員も辞任をいたしました。それだけ重い問題でございます。井上参議院議員が辞職した際には、こういうふうに述べて辞職されております。もちろん、この場合もこれからお聞きします大島農水大臣の口きき疑惑と全く同じ構造でございますが、秘書の監督責任を痛感し、政治的、道義的、社会的責任をとると述べて議員辞職されております。
それから、加藤紘一衆議院議員も議員を辞職されております。これも今まで指摘してきました政官業の癒着構造の一つの形でございます。今度大島農水大臣は、秘書が脱税をした、このことはもう既に認められております。この秘書の脱税事件に関して、加藤紘一氏はこういうふうに述べて辞職されております。脱税事件に関して、仮に個人の事件であったとしても、国民に政治と金の問題に懸念を持たせ、政治に対する信頼を傷つけたことを深くおわびしたい。
だから、先ほどから申し上げております政官業の癒着構造自体の問題としても大きな問題ですし、そもそも大島農水大臣は、これから聞く問題で、私は辞職すべきだと思うのですよ。その辞職すべき大臣のもとでいろいろな審議がそもそもできるのか。まさに審議の前提問題なんですよ。ただ、私たちは今まで議員辞職すべきだという主張と同時に、政策の審議もやってきました。政策の審議が大事だからですよ。その二つを同時並行的にやってきたのですよ。それを同時並行的にやらなければいけないわけなんです。
そして、もう一点、議員辞職の問題に関してお聞きしますが、大島農水大臣は、秘書宮内さんを、大臣の秘書官をやめさせた、この理由として、報道されて以来忙しくて、その対処に追われて職務に精励できなかった、だからやめさせた、こう参議院の本会議で理由を説明されていることは覚えておられますか。
○大島国務大臣 大臣の秘書官をやめる、やめてもらうことになったときに説明したのは、職務上遂行できない状況にある、その理由として、報道されれば、当然にさまざまな取材の申し込み等もあり、また彼自身に対するいわゆる報道を通じての疑惑があれば、彼自身がそれを調査し、私に報告するという、そういう責務もあるはずだ、そういう意味で、職務上それは遂行できる状況ではないということで、話し合って辞させたのでございます。
○筒井委員 その部分を読んでみますと、「報道以来その職務に彼が全力で集中して仕事ができる環境と状況でないと判断」してやめさせた、こう述べておられます。この状況は大臣自身も一緒じゃないですか。
○大島国務大臣 いささか経過をお話ししながら筒井委員に対して申し上げたいと思いますが、報道されて以来、私の秘書官にかかわる報道もずっと続きました。そして、それらについて、ほとんどと言っていいほど私が知らないことが多うございました。また、私自身が関与をしたということもございません。
しかしながら、政治家として、これは私だけではないと思いますが、政治と秘書の監督責任というのは法律的に、政治的にどうあるべきか、大臣と秘書官の関係の法律的、政治的監督責任というのはどうあるべきか、私自身のことであると同時に、私自身さまざまな場面を見ながら自分で考えました。したがって、そういうことの中から、山田委員からも以前御質問がございましたが、国家行政組織法上の問題、そういう観点から、先ほど申し上げましたように、宮内前秘書に対しては、職務上遂行できないということから判断して、彼を辞させたのであります。
その後、私自身は、まさに私の知らざるところ、あるいは関与せざるところの中で監督責任を遂行するとならば、やはり彼から、元雇用関係にあった者として、できるだけその関係の上から、彼に対して、こう言われているけれども、君はどういうふうなことがあったのだ、そして、そのことに対してできるだけの調査をし、あるいは裏づけを持って持ってきなさいと言うことがまず私の責務であろうということで、一つ一つ丁寧に皆さんにその調査の結果を報告し、また新たなことがあれば調査をし、報告をする。そして、そういうことを踏まえながら、自分自身でこれまでの政治生活を省みて、一層身を律して職務に専念をしていく。
これは私自身のことでありますけれども、少なくとも議員と秘書、監督責任をどう考えるかという上で私が考えた一つの結論であり、また委員各位におかれても、そのことについてはそれぞれにお考えいただきたいものだと思っております。
○筒井委員 あなたは、説明責任を果たすこと、そのために彼に一生懸命聞いて、一生懸命引き出して、それでずうっと頭がいっぱいであるという状況で大臣の職務なんか果たせない、こういう今環境と状況にあるんじゃないですか、頭はそのことでいっぱいじゃないですか。
○大島国務大臣 申しわけありませんが、そのことだけを二十四時間考えているわけではございません。問われたことに対しては、それは夜に、あるいは土曜日、日曜日にやることもございますが、私は、今、この食の安全の問題もそうでございますし、WTOの問題もあります、米の改革についてもございます、さまざまなことに専念をし、努力をいたしております。
○筒井委員 私の質問に対して大臣はこう答えております。「私自身が本当に私のできる限りの中で彼に問いただし、そして答えを引き出させ、そうしていくことが今、私の考えている、頭がいっぱいのことでございまして、」大体、だから告訴するかどうかも考えられない、こういうふうに答えたことを覚えておられますか。
○大島国務大臣 そういう、前秘書の話について聞かれれば、私はそのことについて誠実にお答えするようにいたしております。
もう一つ、これはまた申し上げておきたいのでありますが、調査をするということにおいて、私には、いわば昔雇用をしておった、そういう関係上から、彼の調査に対しての協力あるいはまたさまざまな資料を出させているのでありまして、そういうふうな努力を誠実にするという意味でそう申し上げたのでございます。
○筒井委員 きょうお配りした資料の一の一をごらんいただきたいと思います。これは既に大島農水大臣にはお見せしておりますが、いわゆるA氏、Aコンサルタント会社の社長のA氏の自筆のメモでございまして、国会手帖に詳しく書いてある、それをこういうふうに一覧表にA氏本人から書いていただいたものでございます。十五回にわたって、合計五千五百万円を大島農水大臣の秘書の宮内さんに渡している。この日付と金額を書いてあります。Hというのはハンドレッド、百万円のことでございます。そして、この十五回のほとんどが現金で、現ナマで持参をしておりますが、ただその一つ、平成九年七月一日、ここだけ振り込みの「振」と書いてありますが、これが振り込みされて、振り込みという形で渡されているものでございます。
七月一日の前日に、宮内さんから、おれの友人の会社が資金繰りが苦しいので、その会社に五百万円振り込んでくれ、この口座に振り込んでくれという指示をもらって、次の日の七月一日に振り込みました。
その際に、資料一の二をごらんいただきたいんですが、七月一日に、いつもこの宮内秘書の預かり金はこの信用金庫の貸し金庫に預けてありまして、宮内秘書から、いつ、幾ら持ってこいという指示があったときに、この貸し金庫へ行って、その金額を取り出して持っていった。だから、この日も七月一日に貸し金庫へ行ったという証明の文書でございます。
そして、資料一の三をごらんいただきたいんですが、これがA氏の名前でその友人の社長のところに振り込んだ振り込み書でございます。五百万円振り込んでいる。
そして、一の四をごらんいただきたいんですが、この一の四は手紙の中身、一の五が封筒でございます。この封筒は、見ていただければわかりますように、借り主の西部瀝青という会社の社長から宮内秘書にあてた手紙、しかも、あて先は大島農水大臣の議員会館内の宮内秘書という形で出されている手紙でございまして、この一の四の二枚目にこの借り主の社長個人の自署の署名がございます。
この一の四の一枚目を見ていただきたいんですが、ここに、上から七行目になりますか、こういうふうな記載がございます。七行目の真ん中あたりから、「入金が確実にあることを見越して、貴殿に対し、」貴殿というのは、当然宮内さんへの手紙ですから、宮内さんですよね、「金銭の借入れの御願いをし、貴殿から快く実行して頂きました。」そして、このページの一番下から二行目の真ん中あたりから、「貴殿に対しましての御返済が遅れてしまいました訳でございます。」明確に貸し主は宮内秘書であることがこれではっきりしているわけでございます。
そして、一の六を見ていただきたいんですが、これも同じような手紙ですが、ただ、今度は会社名義の手紙でございます。しかし、やはり、一の七の封筒を見ていただければわかりますように、大島農水大臣の議員会館内の宮内秘書あてに送られた手紙でございます。この一の六の文書を見ればはっきりしておりますように、なかなか借りた五百万円が返せない、しかし、このように四回に分けて必ず返しますのでお待ちください、こういう手紙でございまして、まさにこれは宮内秘書が貸したものであることが証拠上はっきりしているわけです。
今まで大臣は、Aさんが貸したんだ、こんな言いわけをしておりますが、こんな言いわけがまさにうそであることがこの手紙ではっきりしております。まだそれでもうそをつくんですか。
○大島国務大臣 私がうそをついているという言い方はちょっと違うと思うんです。
先ほども申し上げましたように、私は誠意を持って調査をいたします。そして、それもかつて雇用関係にあった者を前提にして、私に誠実に答えなさいと。また、さまざまな皆様方から御指摘をいただいたそれらの資料も彼に報告し、そして、きちっと答えなさい、そこにもし整合性がなきものであれば、それもまた問いただし、資料も出させ、今日まで彼の報告として皆様方にお答えしてまいりました。
筒井委員は法律家でございますから、さまざま法律のことを知っていると思いますが、私は、強制的に調査権そのものを、私自身、どういう国会議員の皆さんであろうが、あるいはまた大臣であろうが、こういうものに対する調査権限というものはないと思うんです。それはやはり、雇用関係に基づいた調査を誠実にするということが一つの私の責務と思って努力してまいりました。
そこで、今の問題につきまして、この手紙も私は拝見し、彼にも申し上げました。
先日も報告を申し上げましたように、彼の報告によれば、樋口氏というのは、前秘書官の大学時代の同級生であった。そして、西部瀝青という会社をやっていました。そして、平成八年か九年ごろ、樋口氏が上京した際、A氏とたまたま引き合わせて、そしてその後、半年後か一年後、樋口氏から宮内に対して運転資金を用立ててほしいという要請があった。
そして、その要請を受けたけれども、自分にお金がない。そこで、そういう要請がまたたびたび来ましたので、それ以後、A氏と仕事をしておったということも樋口氏があり、改めて宮内はA氏にお願いしたそうでございます。余裕があるなら協力をしてやってくれないかという電話をしたそうでございます。その後、A氏と樋口氏からそれぞれ、運転資金の貸借をしたようである、しかしその貸借内容等については詳細の報告は受けていなかったとの報告でした。
そして、その後しばらくしてから、A氏から樋口氏に金を貸したということは聞き、また樋口氏からもそのようなことを聞いたので、責任を持って返せということは言ったということでございました。
その後、再度、皆様方から、また、A氏から樋口氏と連絡がとれないということもあったようでございまして、そしてしばらくして、その後、樋口氏から宮内に電話連絡があって、今何をしているのか、人に迷惑をかけていることをしていないのかと言って、申しわけないということであったそうでございまして、以後、樋口氏とは連絡がとれない状況であったそうです。
そこで、今、前回の委員会でもこの手紙等を拝見しました。十一月十一日の当委員会において、樋口氏に資金を貸し付けたという事実は君自身があったのかないのか、もう一度彼に確かめましたところ、宮内が樋口氏のために金銭の借り入れをA氏にお願いしたとする今のような手紙も私は彼に報告し、そして問いただしました。そうしたところ、自分自身が金を貸した事実はありませんとの報告でございました。
もう一つあえて言いますと、もし宮内前秘書が自分の金として貸すということであれば、振り込みそのもの、それを自分の名前でやるんだろうと私は思うんでございます。そういうふうなことまで私は考え、改めてそういうことも聞いたのですが、彼からは先ほど言ったような報告でございました。
以上が、私の今の筒井委員に対する報告としてのお答えでございます。
○筒井委員 この手紙を含めた証拠を示す前の言いわけをそのまま言っているわけですよ。この手紙を含めた証拠を完全に無視した説明なんですよ。この手紙は、今言われている言いわけを完全に否定しているのですよ。それが大臣として説明責任を果たしている説明ですか。
大臣は、説明責任をきちんと果たすのが、これをずっと委員会でも約束しているのですよ。こんな約束を果たさないような大臣がそのまま続けるのならば、質問できませんよ。
○大島国務大臣 これは、私は、人と人の金の貸し借りでございます。もし私がそこに関与し、もし私が相談を受けた結果であるならば、今のようなことに対して、私は、私自身のこととしてお答えしなければならないでしょう。
しかし、お手紙を示され、その中のお手紙にも最後の方に、A氏によろしくお伝えくださいとかという文面もございます。また、私もその手紙を見て、これは君が貸したという、そういうふうな質問を受けているからいま一度聞く。それと、なぜそれではこの振り込みが、振り込みの本人が逆に君でなかったのか、そのぐらいのことまで聞きました。
そのことに対して、先ほど来申し上げた、つまり、最初に調査をしたときのこと、それをまた私に報告を受けましたので、私は、それ以上の彼の言を覆すものを持っておりません。したがって、そのことを彼の報告として答弁をさせていただくしかないのではないかと私は思っております。
○筒井委員 大臣はメッセンジャーボーイなんですか。ただ秘書が言ったことをそのまま国会に伝える、これが説明責任なんですか。そんなはずないでしょう。
今度の手紙を含めた証拠がなくたって、あなたは私がさっき法律家だと言われましたが、手紙を含めた証拠がなくたって、裁判所ではもうはっきりしていますよ。ああいういろいろな傍証があって、手紙以外の証拠、振り込み書以外の証拠で、宮内さんが金をもらったことははっきり認定されますよ。
しかし、今ここでは、この手紙と振り込み書は直接証拠なんですよ。これで大臣自身が判断できるのですよ。それを、メッセンジャーボーイみたいに繰り返す。いや、また同じようなことを繰り返すのなら、そんな答えは要りません。説明責任をきちんと果たしていないんだから、もう質問を続けられませんよ。
○大島国務大臣 振り込んだ本人はA氏との、その紙も見せてもらいました。そうして、お手紙も私は初めて拝見もいたしました。
もう一つ私は彼に聞いたのは、なぜ君あてに来た手紙が、そのA氏のところだろうと思うんですが、行ったのか、そのことも聞きました。そのことに対して前秘書官は、いや、これはA氏にお願いして、そして、そういう措置というか、お貸しをしたという関係だから、そういう手紙が来たのをA氏にお渡ししましたという説明もございました。
私は、先ほど来申し上げましたように、本当に確かに私の調査がどこまでできるかということを言われれば、それはいわば司直あるいは司法の段階におけるそれよりは私は限界があると思っております。そして、これは、そういう中でいえば、それぞれの議員が自分の秘書に対してどのくらいまでの調査ができるかといえば、やはりそれは雇用的関係にあったことを前提にしてのぎりぎりの調査をするのが私の責務だと思うんです。
ですから、つじつまが合わないところがあればそれを問いただす、そして、資料を持ってきなさいという、初めは家を建てる原資がそうであったと言うから、そこから始めました。今の件も、私はそういう努力をしたことを皆さんにお答えしていることであります。
○筒井委員 最初から、私がこの証拠を示して聞く前の答えと全く変わりませんから、説明責任を果たすという公約を全く果たしていない。こんな態度を変えない限りは、もう質問を続行できません。
○大島国務大臣 答えが変わらないからおまえはおかしいということを言われますと、私はそれ以上のことはできません。ですから、そこに変化があれば変化で報告をいたしますけれども、最初に既に、筒井委員かどなたかでしたでしょうか、そういう御質問があり、なおかつお金を貸したかどうかということについて私は問いただし、そして、そのことに対して本当に厳しく、なおかつ、また何回も問いただし、そのことを報告するのが私の責務と考えておるところでございます。
○筒井委員 今度で最後でやめますが、私、答えが変わらないからだけでもう質問を続行できないと言っているんじゃないんです。この明確な直接証拠を無視して、それを全部無視して、最初からの言いわけをそのままただ繰り返しているだけ、だから、もうそんなことじゃ、説明責任を果たしていないから質問を続行できません、こう言っているんです。これがもう最後です。
○大島国務大臣 ある意味では民民の貸し借り、一方は貸した、いや貸していないということについて、私なりの調査を一生懸命して報告をいたしております。
筒井委員、いやそれは違うとか、こう御指摘をいたされましても、例えば、それが政治家と秘書の雇用関係におって、その秘書がどういう民民の貸し借りをしているかということまで私どもが責任を負うかどうかは別にしまして、私は私なりに、厳しく、そして問いただし、皆さんに御説明する、それが私のできる責務ではないか、こう思います。(発言する者あり)
○小平委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○小平委員長 速記を起こしてください。
今の質問に対しての答弁等で、与野党理事からそれぞれ意見が交錯しました。
したがって、この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十七分休憩
――――◇―――――
午後二時四十三分開議
○小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。鉢呂吉雄君。
○鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。
午前中に続きまして、農薬取締法について、私の方から質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、大島農林水産大臣、この法案の提出に当たりまして、大臣としてどのような御指示をなされたか、まずそこからお聞きをいたしたいと思います。
きょうは、私、生産局長には答弁を求めておりません。大臣、副大臣、政務官ということで、かねてから政治がきちんとリードしていくという形で、大臣を頂点として五人の政治家が農水省の中でリードすることになりました。そういう中で、この法案について大臣としてどのような、下からの御提案があり、特に大きな問題として、法案提出の前でありますけれども、どういう御指示をされたのか、まずそこからお聞きをいたしたいと思います。
○大島国務大臣 武部大臣から事務を引き継ぎましたときに、今の農林水産政策の基本をさまざま引き継ぎました。その中に、食の安全と安心という問題が自分としては大変大きな問題です、このことをしっかりやってくださいということを言われました。
その中に無登録農薬の問題がございまして、私は事務方にいろいろな話を伺いながら、まず第一に、この無登録農薬で悲惨な事柄も起こっていたこともうちの県でもございますし、出回らないこと、使われないこと、そして外国から入らないこと、このことを緊急に手を打たなければならないねと。しかしながら、それだけで十分かどうか、さらに検討の余地もあるのではないかという思いの中で、まずその三点の側面からこの法案を提出しながらも、この無登録農薬が、国民の皆様方からなるほどそこまでやったのかという、さらなるその法律の運営その他についても、この法律が皆さんに御理解をいただいて通ったから十分だということではなくて、まだまだ研究しなければならぬところがあるから、そういうものもあわせて研究しなさい、研究しよう、そして国民の信頼をかち得るように努力しようではないかというふうな指示を出して、まず緊急のこの法案として提案をさせていただいた。これが私の方針であり、指示したことでございました。
○鉢呂委員 大臣の所信表明演説、当委員会でございました。この中で、冒頭の演説は別として、まず第一に、「食の安全と安心の確保に向けた取り組み」、その中でこの農薬取締法の改正案に言及をしておるわけであります。このくだりは、「今回の事案を契機に、農薬取締法が十全な制度となっていないとの問題が明らかになっていることから、本国会に、無登録農薬の使用規制、罰則の強化等を内容とする同法の一部改正法案を提出したところであります。」と。
このように、十全な制度になっておらないということで今回出したということでありますけれども、私の見るところ、十全な改正案になっておらないのではないか。緊急ということで今お話をされましたけれども、本当に輸入業者なり使用者の禁止あるいは罰則の強化だけでこの関係がきちんと規制されるのかどうか。いわゆる実効確保の点だけから見ても、私は、いろいろ問題があるのではないか。
私どもの民主党に、農林水産部門会議にこの法案の説明がございました。農水省のこの関係の責任ある立場の者が説明の中で、とりあえずの措置という形で、二、三度そういう言葉を発言されたわけでございます。本当に十全な措置として今回の改正案があるのかどうか、まさに提出をした農水省自体がとりあえずの措置というようなことで実態的にきちんとした規制ができるのかどうか。私は、大変短い時間の中でこの農薬取締法をめぐるさまざまな問題を勉強させていただきましたけれども、今回の農水省の提案だけを見ても非常に問題がある。そういった罰則の強化や法律として禁止をうたうだけで果たして実効が上がるのかどうか、甚だ疑問であります。
伝えられるところによりますと、武部大臣が公式に、臨時国会に出す、こういうふうに言ったものですから、出さざるを得なくなったというのが本当のところだというふうにお聞きをいたしておりますけれども、やはりそういうところは、大臣が提出の責任者でありますから、全体をきちんと見て、この法案を提出して果たしてきちんとした実効が上がるのかどうかを見て提出に踏み切るべきである、私はそういうふうに思いますけれども、率直のところ、いかがでしょうか。
○大島国務大臣 先ほど午前中の御議論の中での御指摘もございました。武部大臣がそういうふうに言ったから急いだのではないかと今御指摘もございましたが、私は、外から入らない、そしてそれを売らない、そして使わない、まずこの三原則を早く押さえることが大事ではないかと。そういうことを押さえつつ、それをさらに御議論いただいた上で、先ほども御議論もいただき、また私自身も、これは、来年の食品安全委員会、仮称でございますが、そういうものができて、国全体としてどう考えるか、そういうことの中で解決しなければならぬ問題もありますし、また、当委員会で御指摘をいただくようなことも勘案しながら考えなければならぬこともあると思いますが、それをさらに研究しながら対応していくという姿勢をとっていくことが、今、喫緊性を持ったこの問題に対する我々の責任ではないかと思って、今の提案を出させていただいたところでございます。
○鉢呂委員 この法案を出す大臣のお考えというものを若干お聞かせ願うわけでありますけれども、例えば、この農薬問題、事件となりまして、七月三十日、山形県警が摘発をしました。八月の三十日に農水省で動植物検疫・農薬問題等食品安全性対策本部を設置しております。副大臣、当時は遠藤副大臣が本部長で、政務官あるいはそれぞれの農水省の幹部の職員がこの役員に構成されております。
この対策本部は、大島大臣になってから何回開かれたんでしょうか。まずそこをお聞きいたします。
○大島国務大臣 私になりましてから開催はされておりません。
○鉢呂委員 この中で、今後の取り組み事項というのが八点ありまして、ゼロということで、果たして本当にこの法案を出せるのかどうか。一から七については、この事件の把握に努めるということを中心に、そして八番目に、この農薬取締法の法改正の作業を加速化するという形で、重点的に八つの項目が出されておるわけであります。
しかし、この法案の改正で、こういった対策本部は一度も開かれない。あるいはまた、この種の問題については、さまざまな意見を聞いて提案をするというのがこれまでの内閣の方向でした。この関係の生産資材部会の審議会があります。この対策部会長も、一度もこの会合が開かれておらないと。私ども、本山教授にヒアリングをさせていただきましたけれども、一度もこの会議が開かれておらないと。
まさに、幾ら緊急性があるとはいいながら、やはり、いろいろな人の意見、農水省だけの意見でなくて、広く意見を徴して、しかも、この食と農の再生プランの中で、さまざまな国民の意見を徴する中で、農薬問題は全然語られていないという批判がかなり国民の皆さんから出ておるという情報もあるわけでありますから、私は、この法案提出に当たって、非常に無理をしていると。
後からまたいろいろ個別に言いますけれども、緊急とはいいながら、実効が上がらないから、今回のこの事案も長い経過の中で見過ごされて大きな問題になりました。この程度の罰則強化なり、法案に使用禁止だとか輸入禁止だと入れるだけで果たして実効が上がるかどうか、私は非常に疑問であります。
ですから、この法案が今回提出されるというこの状況はかなり拙速過ぎて、これは農水省の幹部の皆さんも、大臣が出すと言うから、やみくもに、とりあえず、ほとんど問題ない、条文として強化するといった、ほとんどだれも支障がないような、しかし必ずしも実効が上がらないような、後ろの資材課長、黙っていていいですから。私、そんな細かいことを聞いているわけではありません。やはり、もっと大臣等が主導権を発揮して出すべき法案ではないか、このように思います。
○大島国務大臣 使った人を罰則をかけて強化するというのは、私は、まず非常に大きな変化、そしてまた対応だと思うんです。しかし、農家、農民の方々は、さまざまな方がおられます。専業農家から兼業農家から、いわゆる農薬を使う方々は本当に多様だと思うのでございます。したがって、そういう方々に、まず、使うと罰せられますよということ、それから、先ほど来申し上げたように、外からは入れません、流通させてはいけませんという、非常に大きなポイントのところに罰則強化を果たす。
しかし、農薬というのは、鉢呂委員御承知のように、専門家でございますから、残留の問題、あるいはまた、先ほど、午前中出た資格の問題、あるいはまた、かつて登録農薬であったけれども無登録になった問題、まだまだ我々は、そういう問題について全体的にさらに研究し、考えていかなければならないところがあると思うんですが、そういうものを全部含めて、そのときに一緒になって出せばいいのではないかという一つの考え方もあろうかと思いますけれども、私どもとしては、悲惨な事柄も起こりました、何よりも、国民の皆様方に食の安全、信頼というものが疑問視されている、不安を持って見られているときに、それを使わせません、流通させません、外から入れませんということを国として、施策として緊急に明確にしていくということが大事だと思って、提出をさせていただいたわけでございます。
○鉢呂委員 それが実効が上がるかどうかについて、以下、御質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、農薬あるいは農薬取締法の抜本的な見直しについて、これは私ども、我が党も、今回、修正案ではそこまで至りませんでした。しかし、そこは十分農水省として今日頭に入れて、この法案全体を抜本的に見直す時期に来ておるという観点から四つ、五つお話をさせていただきたいと思います。
一つは、やはり、この農薬取締法の目的であります。四十六年に改正して以来三十年の間は、大きな改正はありませんでした。同時に、新しい食料・農業・農村基本法が数年前に成立をしたわけでありますけれども、その大きな理念についても、いわゆる農業は自然循環機能がある、そして同時に、農薬の項目の三十二条で、この農業の自然循環機能を維持増進させるために、農薬というのは適正に使うんだ、こういうふうに三十二条でうたっておるわけであります。
しかし、今回の農薬取締法については、この改正は一言半句もありません。私は、やはりこの目的条文というものをきちっと大臣として見直しをして、そして対応すべきものであると。新しい農業基本法がうたっておる精神というものがどういうものであるのか、この点からいって、私は、目的そのものを改正案として出すべきであると。大臣の、今緊急だという点は差しおいても、どういった考えをしておるのか、御答弁を願いたいと思います。
○大島国務大臣 私は、大臣になりまして、農林水産省の目標というものを、経済財政諮問会議あるいはまたその他のところで申し上げるに、次の三点をコンセプトとして、そしてその視点から我が役所の施策の基本があるということを申し上げてきました。
一つは、命であります。第二点は、まさに鉢呂委員がお話しされた、循環ということでございます。第三点は、共生ということを申し上げておるところでございます。
したがって、この循環という問題について、農薬の問題も含めながら、日本の農業がどのようにそのことにさらにさらに寄与できるかということはもう大基本だ、このように考えておるところでございます。
それは、農薬法の基本理念の中に今もあるわけでございますが、「国民の健康の保護に資する」こと、こう書いてあります。そのことを循環の一部だと私は思っておりますが、いずれにしても、農薬取締法も、あるいはまたその他のすべての政策も、循環ということを私どもがしっかりとらえた上での施策を考えていくというのが必要であります。
さらに、農薬取締法の中では、人の命、国民の健康ということが書いてありますけれども、もちろん、そのことと同時に、消費者の保護や安全性の確保というものが概念としてはあろうと思いますが、その運用、あるいはまたさまざまな議論の中で、そういう自然循環機能の維持ということをしっかり踏まえた施策そのものが必要になってくるのではないか、このように思います。
そういう観点から、もし御理解をいただければ、今の法律、さらに、これから考える新しいさまざまな手だての中で、そういうことをしっかり踏まえて私どもは努力をしていくべきではないか。
基本法の中にそのことを含めるべきではないかというのは、一つの所見として承らせていただきます。
○鉢呂委員 基本法というよりも、農薬取締法が今審議をされておるわけでありますけれども、BSEの調査検討委員会というのが四月に答申をいたしました。その報告の中でも、今後の食品安全行政のあり方の中で、食品の安全にかかわる個別の法律についても、今大臣もおっしゃいましたけれども、消費者の保護ですとかあるいは食品の安全性の確保について、法律事項に明記をせよ、このように答申をされておるわけであります。これも今回の農薬取締法には全くないわけで、従前の「国民の健康の保護」という文言はありますけれども、むしろこのBSEの検討委員会の報告に基づいて、やはり明確にここは目的を切りかえていくべきだ、こういうふうに思います。
大臣もそのような発言だと思いますから、次回の国会に出されたのでは、私どもの修正案の方が早く出しておりますから、見ごたえがしませんので、全面的に大臣は十分検討して、十全な法律になるように出していただきたい。今回は取り下げていただきたいぐらいの感じが私はするわけでありますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。
そこで、二番目に、やはり農薬のとらえ方をどのように考えるのか。今回は、無登録という違反農薬を罰するという形で法案を提出いたしました。
私は、先週ですか、読売新聞の十一月十二日、これは読者の欄でありますけれども、「気流」というページに、「見た目より大切 農作物の安全性」、これは高校生の女性の方が、十八歳の方です、投書の一番最初に出てきます。
農薬を使えば、消費者が好む色、形、つやのある農作物を育てることができるだろう、でも、見た目だけで農作物を判断することが果たして正しいことだろうかという自分の問題提起をして、食の安全性を考えて、農薬の大量使用を控えて、その分、虫に食われ、多少見た目が悪くなるという問題はあるが、何より安心して食べることができる、農家の側も、農薬が消費者の健康に影響を与えることをまず第一に考えてほしい、こういうふうに述べております。このようなことが昨今ずっと言われてきました。
問題は、このことが果たして本当にどのように実現をしていくのか。この前の、食の安全のテレビディスカッションでも、農水省の女性の幹部の皆さんも出ていましたけれども、ある人が、アンケート調査をすれば、九割の方は、いや、見た目よりも、虫がついていても安全な食品というふうに、必ず、頭ではそういうふうに答えてくれる。しかし、実際、スーパーに行って買う段になると、虫がはっていたのでは、クレームがついてだれもそんなものは買わない。このギャップをどのように埋めていくのか。
消費者側も、きちんと勉強している方は、そのことを言われる方も少しずつ出てまいりました。しかし、大半の方は、見た目を重んじた、今もそういった感じになっておると思います。
私は、先週末、私も農協出身ですから、私のところの、ジャガイモの関係の卸の青果市場の担当者七名と懇談をする機会がありました。この話を持ち出したら、我々でもどうにもならない、やはり消費者は見た目を重視して我々のところに言ってくると。これをいかに早期に解消させるか。
やはり、見た目を重んじて農薬がどのぐらい使われておるか、これは想像を絶するものがあります。厚生労働省は、個別に、農薬が安全なんだというふうに盛んに言っておりますけれども、これは、だれも五十年後、百年後の日本人を知りませんから、リスク評価のゼロと同じで、必ずしも全くゼロだと私は思えないのであります。
したがって、日本人の見た目重視をどのように早期に解消していくのか。私も、それに対してどうしていくという確固たる自信はありません。規格を今回緩やかにするとかという話は出ましたけれども、本当に、規格よりも見た目をワンランクもツーランクも下げるということの国民の合意を、大臣はどのように図っていくのか。やはりそこから、農薬の総量規制をする、総量を下げていくという基本法の三十二条の精神が私は出てくるだろうと思いますけれども、いかが所見ありましょうか。
○大島国務大臣 私のうちでも、実はリンゴを昔やっておりました。そして、私は、子供のころに、農薬散布という現場にたびたび会いましたときに、多いなという思いは、今でも思い出としてございます。
今、鉢呂委員がお話しされましたように、いわば、農薬をかけないような農産物が市場の中で評価され、そして買っていただけるためにはどうしたらいいだろうかという質問ですが、すぐにこれがかぎだということは、私はなかなか見当たりませんけれども、やはり消費者がそういう選択をしてくださることがまず第一点ではないかと思うのです。
そのためにはどうしたらいいだろうか。そのためには、やはりリスクというものに対して、消費者が勉強をし、どのような判断をしてくださるかということのために、食育という問題を私どもは大きな国民運動として行っていかなければなるまい、こう思っております。
そして一方、現実的な政策として、やはりそういう基準、そういうふうな農薬を余り使用しないようなことの奨励的なものをしていく必要性があるであろう、このように思っております。
そして、さはさりながら、日本のこの地形からいたしますと、農薬を全く使わないで農業ができるのかというと、なかなかそれは難しい話。だとすれば、先ほど来議論がございましたように、農薬の使用面でもやはりこの適正な使用を指導していく、そしてそういう方向に私どもも奨励していくということが大事のような気がいたします。全体的にやはりそういう取り組みをしながら進めていく以外に私はないんだろう、このように思います。
○鉢呂委員 なかなか難しい問題ですけれども、やはりこれは農水省を挙げてこの問題に焦点を当てて、どういった方法が農薬を下げて、より国民の皆さんから信頼を受けるという方向に持っていけるか、私は非常に大事なことだと思いますので、本当に最重点で取り組む姿勢を見せていただきたい。今までもいろいろ言われておりますけれども、なかなか実行できません。よろしくお願い申し上げます。
それから三つ目の問題点として、農薬と原体は同じ成分の、いわゆる農薬と言われない薬剤が大変多く出回っておるところであります。室内の殺虫剤ですとかあるいは非農耕地用の除草剤等々、さまざまな薬剤が出回っております。これも使用用途に応じての法律の規制、農薬取締法が一番厳しいような感じであります。したがって、今まださほど大きな社会問題になっておりませんけれども、いわゆる非農耕地用の薬剤、例えばラウンドアップ等の除草剤が、いわゆるホームセンター等で大量に農業者が、しかも、聞くところによると、農薬としての価格に比べると五分の一ぐらいの価格で大量に専業農家がそういったものを買っておるという実態があるようであります。
そのことも含めて、この縦割り、薬剤といいますか、そういう殺虫剤等の薬剤の法規制というものを抜本的に改める。先ほど副大臣は、ほかの副大臣にも口酸っぱく言ったと言っていますけれども、言うぐらいではこれはなかなか難しい問題でありまして、早急に内閣でそういったものの組織を立ち上げて、検討する会を立ち上げて実行していかなければ、いろいろな法の不備はもう出てきておる。
例えば二、三年前、北海道の静内町の特養老人ホームで、これは農薬でしたけれども、室内に殺虫剤をまいて入室されている方に中毒症状を大量に起こしたとか、だんだん大変大きなことになってきております。
したがって、そういった面を含めて、あるいはまた生活環境にも大きな影響を与えるということで、こういった薬剤を一まとめにした総合的な法律が私は必要になってきておるというふうに思いますので、大臣から一言答弁をいただきたいと思います。
○大島国務大臣 今鉢呂委員がお話しされた指摘については、その批判あるいは御意見というものは、私ども謙虚に耳を傾けなければいかぬところがあると思わなければならぬと思います。したがいまして、例えば農薬と同じような成分から構成される薬剤としては、毒物及び劇物、あるいは今鉢呂委員がお話しされたような医薬部外品たる殺虫剤みたいなもの等々あるわけでございます。それらを、その実態に即した規制が行われてはおりますが、御指摘のような縦割り的な問題がそこにある。
そういうことのために、まず食品安全委員会、これがそういうものに対して総合的に評価を行っていくということのために、そこで総合性が生まれてくると思いますが、私どもとして、きのう、北村副大臣を本部長として立ち上がらせた、さまざまにある食の安全、安心の、本当に全体をもう一度、整合性がとれて、体系的にもう一回見直して、そして国民の皆さんにこうしようという中に、今鉢呂委員が御指摘いただいたような問題もしっかりと踏まえて検討を図り、そして規制の調整、適正化を図ってまいるよう努力してまいりたい、このように思っております。
○鉢呂委員 それから四点目は、農薬取り締まりの行政の連携システムでございます、ちょっと順番を変えますけれども。
今回のこの事件、発端となりましたのは、山形県の無登録農薬販売事件でございました。きょうも、農協職員が逮捕されたというニュースが昼のテレビで流れておりましたけれども、七月の三十日に逮捕されて、十月の四日に、大臣、この最初の逮捕者の第一回の公判が山形地裁でありました。この冒頭陳述の要旨を、私、詳細に繰り返し読ませていただきましたけれども、マスコミ等は、この被告人、もう一つの被告席があるようだというぐらいに、行政の山形県、この新聞では、山形県がもう一つの被告席だ、被告人だというぐらい、私のこの要旨でも三分の二ぐらいにわたって、この十年間の行政の不作為の、何もやらなかった、不作為の問題性を鋭く指摘をしております。
そこで、余り時間がありませんから、農水省の対応という点に焦点を当てさせていただきたいと思います。山形県庁から農水省に相談があったのは、この点は大臣に答えていただきたいんですけれども、いつあったんでしょうか。
○大島国務大臣 鉢呂委員、それは過去の話でございましょうか、それとも、今逮捕された……(鉢呂委員「知らないなら知らないでいいです」と呼ぶ)過去の話。(鉢呂委員「はい」と呼ぶ)
私が報告を受けておりますのは、八月だそうでございます。
○鉢呂委員 実は、閉会中審査がこの九月二十四日に……大臣、いいです、資料を見なくても。私、最初に聞かせてもらいましたけれども、認識なければ、それでいいんです。
実は、九月二十四日に閉会中審査が農水委員会でございました。その中でもこの問題が、ちょうどその直後でありました。我が党の後藤斎さんから、今年七月山形県で見つかった無登録農薬が、BSEが大きな話題になった一年前から県にはわかっていたにもかかわらず、農水省には届いていなかったのかという、大要、こういう質問でありました。
これに対して当時の遠藤副大臣は、結論からいけば、この報告は、国に対する報告は全くなされなかったという経過でありまして、本年の七月三十日に逮捕者が出た段階で、農水省として情報収集に当たってまいりましたという副大臣の答弁であります。
実際は、昨年の八月三日に山形県は農水省に、このダイホルタン等の無登録農薬が県内に販売されているという情報提供があって、立入検査を行う旨の連絡と相談があったということでありますけれども、ここは、やはり私は、農水省の中の担当者がどうということではなくて、やはり昨年の八月三日、BSEはその後の九月の初旬でありますから、必ずしも八月三日にはまだBSEは発生しておりませんでしたけれども、しかし、その後の、ことしになるまで、農水省はこの点について一切の行動もなかったわけであります。
ちなみに、この検察の冒頭陳述によればですけれども、八月の七日に、立入検査の結果、販売の事実がつかめなかった旨の報告が農水省にありました。この情報提供はHという方が、同業の販売者のようでありますけれども、この方は、一九九〇年から七回にわたって、この無登録農薬が使われておるのではないか、こういうふうに山形県庁に情報提供された。このときもダイホルタンの農薬入りの農薬袋を持ってきて、情報提供をしておるのであります。しかし、農水省はこのときも、できれば、現物を押さえたり買った農家を特定して、再度立入検査をしたり指導したりしてください、こういう返答だったようであります。この後が、この検事調書によれば、これに対して県は、この被告人、角屋商店、これは法人ですけれども、角屋商店がこれまで文句を言っていたので立ち入りを恐ろしがり、再度の立入検査や行政指導も行わなかったという検事の取り調べでありました。
この八月七日以来、全然農水省にはこの関係の報告はしておりません。同時に農水省も、この問題について全然照会をしたということはないのであります。私は、BSEがあれだけ問題になっていた途上で、この問題にこういう判断しかできない、こういう今の農水省の対応のあり方、大臣、どのように考えるでしょうか。
○大島国務大臣 午前中に、無登録農薬の根本的な問題についておまえの所感はどうだという御質問がありましたときに、私は、無登録農薬というものが、国民全体、生産者も含めて、どういう大きな問題があるか、そういう深刻な認識が非常に少なかったことがさまざまな問題を起こしたのかなと思っております。
今鉢呂委員がお話しされた、また、さまざまな問題の御報告はいただきましたが、基本的に、やはり無登録農薬を使ってはいけないんだ、流通してはいけないんだ、外から入ってはいけないんだという、そこに強い規制がないがゆえに、ひょっとしたら今御指摘いただいたような対応もあったのかな、そんな今所感を持ちます。
いずれにしても、食の安全と安心というものに対して、ある意味では農林水産省の第一義的な大きな課題として取り組む、そういうふうな姿勢を打ち出した限りにおいて、やはりそういう問題に対しては非常に、連絡調整、そして神経を本当に立てて対応していくという心構えと体制が必要である、このように思っております。
○鉢呂委員 私は、無登録農薬を使うのが違反である、そういう法律がなかったことがという大臣の今の御答弁は、私は当たらないと。販売者は無登録農薬を販売してはならぬという、これは現行の法律でもきちっと規制されておるんです。私が言いたいのは、そういった法律は幾らあったところで、なかったところで、行政としての対応に誤りがあったのではないか。
今の法律でも、現行法でも、農薬取締法の十六条の四、これは法定受託事務ということで、県庁のこういった農薬の検査あるいは報告を命ずる、立入検査を命ずるということは、法定の受託事務ということであるわけですし、これは、第十三条の第一項あるいは十三条の第二項は、知事は農水大臣にこれを報告しなければならない義務がある。法律としてきちっと整備されているんです。あるいは第三項では、農水大臣は、直接農薬についての立入検査や、あるいはいろいろな報告といいますか、調査をすることをしなければならないようになっておるのであります。
法律に基づいてきちんとやれば、こういった一年間の農水省の不作為の行為、ダイホルタンという農薬の現物がありながら、まだ現物を特定せよとか、使用者、農家を具体的にして持ってこいというような感覚というのは一体どこから出ているのか。
私は、大臣のその考えというのは少し甘いのではないかと。先ほど生産局長は、これからの国と県の連携システムについてこう言われました。
私も事前に文書で回答を求めたからわかっておるのでありますけれども、無登録農薬の販売、使用に関する情報の一元化と無登録農薬の検出情報を活用した取り締まり、そういったことを内容とする通知を各都道府県や農水省の所管の各地方農政局に発出をして連携をすべきだと。この程度のことで行政の不作為の行為をなくせるとは私は思わないのですけれども、大臣どうでしょうか。
○大島国務大臣 御指摘をいただいているところをしっかりと受けとめながら考えてみますと、国と県、不作為というお話をいただきましたが、やはり私は、使用してはいけない、そして流通させてはいけない、今の法律でもそこはあるよと言われればそうでございますけれども、そういうことの中で、国としても県としても本当に連携を密にしなければいけない問題だと思っておりますし、この山形県の経過をよく聞きますと、確かに委員おっしゃるように、連絡が決して密であったとは言えません。むしろ、なぜそんなに対応が遅いのかという思いは、聞きますとあります。
したがって、そういうふうなことを踏まえながら、私どもは、この新しい改正案について、都道府県が収集した情報に基づいて機動的に監督処分を行うことができるように措置はいたしております。措置はいたしておりますが、要は、心構えと、そしてそれを運用する姿勢にあると思います。そういう思いで、この新しい法律に基づいて、御指摘があったようなことがあってはならないように努力していくことが大事だと思っております。
○鉢呂委員 若干大臣の認識が私は甘いと思いますから、中身をもう少し言わせていただきます。
検察庁の冒頭陳述によれば、先ほど言ったHという業者から、ダイホルタン等の無登録農薬を販売しておる、これは一九九〇年から七回、情報提供があったと。当初、九〇年当時、立入検査をしても、検察庁が後から調べたところによれば、現物のダイホルタンという名称で売上帳に記載しておるにもかかわらず、それをこの補足立入検査で把握できないと。
それから、昨年の二月に、県の衛生研究所、これは違った目的で、残留農薬の検査の効率化という視点で検査をしたところが、このダイホルタン、無登録農薬が検出をされた。それにもかかわらず、七カ月、県の衛生課にこれを上げずに、その後上げる段階で、上げる段階というのは、県の研究所の何か研究調査会報に載せるのに、こういった無登録農薬のデータを出してもいいのかという問い合わせをしたものに対して、県の衛生課は、こういった食品衛生法に違反する記述を出されたら大変な問題になるということで、十六種類の検出データからダイホルタンのデータを削除してその研究会報に載せるとか、それからさらに、消費者が残留農薬を含有した食品を摂取しても仕方ないと考えたとか、報道機関に察知されて広く報道されたら山形県の果物が大変なことになる、そういったことを恐れて表ざたにならないように処理しようとしたとか、あるいは、この発覚のきっかけになったのが、ことしの四月、大阪府の青果市場で大阪市が残留農薬検査をしたときに、ダイホルタンがやはりまた検出された。
これも厚生省や農水省に大阪府は連絡することなく、山形県に連絡をして、しかもそれを引き取った山形県は、もう一度出るまでこれは伏せておこうという形でこの問題は伏せられたんです、この四月も。ところが、この山形県の一係長が、これはもう一度出たからとかいって、そのときになったら大変なことになるということで、個人的独断で山形県警に、警察官に個人的に情報提供して、これが発覚の発端でありました。
この一連の流れを見ると、そんな取り締まりの条項がなかったとか、密接な連絡がなかったとかということではなくて、むしろ隠す共犯者のような形で、出ることの重大性というものに目を奪われて、こういう形をずっと十二年間も続けてきたということであります。
これは、お役所の隠ぺい体質といいますか、そういったものを如実に示しておるわけでありまして、農水省の先ほどの、昨年の八月に山形県から受けておりながら何らの対策もしていない。私は先ほど、後藤斎委員の質問に対して遠藤副大臣は、この七月三十日に連絡をいただいて初めてわかった、全く遺憾だ、これ自体が、その期に及んでも遠藤副大臣にさえも、この農水省が受けた情報というものを大臣に上げておらなかったのではないか。そうではありませんか。
〔委員長退席、鮫島委員長代理着席〕
○大島国務大臣 そこのところまでまだ私は調査をしておりませんのでお答えはできませんが、今鉢呂委員のお話を、またこの冒頭陳述のお話を承りまして、行政職というのは、県庁の職員がさまざまな思いの中でそういう判断をした、隠ぺいをしたようなことでございました。今御指摘をいただいたことをしかと、私自身も、もう一度調べ、勉強し、そういうことがないようにするためにシステム的にどうするべきか、もちろん法律は法律でございますけれども、どうあるべきか、こんなことを研究してみたいなと。
人間ですから、どういう仕組みをつくったってその仕組みについてみずからがどういう気概でいくかということだと思いますけれども、しかし、システム的にあるいは制度的に、今おっしゃられた隠ぺい的行為がどうしたらそれをなくすることができるだろうか、それは基本的に、やはり問題があったら明らかにし、国民の皆さんの前に御評価をいただくということが基本にあるとは思いますけれども、御指摘されたそのことについて大臣としても重く受けとめて勉強してみたい、こう思っております。
○鉢呂委員 あした、私、また再度質問せよということで、きょう急遽言われましたから、あしたまでそのきちっとした答弁をしていただきたい。
私の見る限り副大臣にも上がっておらない、九月二十四日です。こういったことでは、個人的な問題では全くなくして、組織的な問題にも私は通ずるというふうに思いますから、大臣、きちっと、みずからの問題もあるでしょうけれども、この問題も私は大きいと思いますから、あしたまでに猶予を与えますので、よろしくお願い申し上げたい。
現行でも、法定受託事務によって命じたり報告をきちっとしなければならないと法律的にもなっています。これをきちんとその所管の行政が行うことが大事であって、相談を受けたからこういう返答をしたということではならない問題に来ておるんです、はっきり言って。きちっと役所はみずからの責任でこの法律の十三条の第一項に基づいて行うとか、きちっと報告を求めるとか、報告がなかったから今日までずっと来たというのが農水省のお役所の答弁です、私が聞きました。そんなばかなことがありますか、あなた。無登録の違反の農薬が現物入りで出回っているのに、山形県から報告がなかった、聞いてみたら立入検査も怖くてできなかったということなんですよ。どちらが犯罪者かわからない。
ですから、一つは、こういった情報の一元化ではなくて、私ども民主党が修正案に出しているように、まずは、大臣なり知事は、こういった情報があった場合には速やかに、積極的に公表する、これが第一なんですよ。隠すから全部のパイプが詰まってしまうんですよ。積極的に情報を公開する、公開すればすべてが明らかになって、速やかにその処置がとれるんですよ。一つはそうです。
それから、やはりきちっと、県との関係も、こういう生命に関連するものについては、協定を結んで、罰則もつけて、行政同士でやらなかったら、この問題はいつまでたっても、万が一BSEの問題で人命に大きな影響を与えたり、この農薬で大きな影響を与えたとき、だれが責任をとるんですか。私は、そういった法整備が今回の改正案では全くないというふうに思います。
それから、時間がなくなりましたから、五つ目の、この今回の法案に基づく実効確保が果たしてなされるのかという点で、私どもの党の修正案に基づいて何点か御質問をさせていただきたいと思います。
一つは、農薬の回収の義務づけです。大臣は、次期国会で検討するような与党に対する答弁でありました。
大臣、厚生労働省と農水省が、この法案を提出する際に、事務段階でありますけれども、協議を六回も七回も繰り返しておる。そして、両省の局長名で協議事項をまとめておる。この協議書というのは、一連のものは見ましたかどうか。
○大島国務大臣 説明を受けました。
○鉢呂委員 事務段階の協議といいながら、法律制定における協議書ですから、やはり大臣、副大臣がきちっと目を通して、何がこの協議でなされたのか確認をして法律を提出すべきである。
今、省庁の縦割りということが、よく弊害が言われてきたわけでありますから、やはり必死の思いでこの両省は協議をしております。農薬の回収の義務づけについても、厚生労働省は、ぜひやってほしい、残留農薬が出た段階で農産品を回収するとなるとその社会的な損失は極めて大きいので、無登録が摘発された段階で、わかった段階で、生産の段階でこの回収の命令というものをぜひやってほしい、条文化してほしいと、最後までこの協議の中で執拗に迫っておるわけであります。
最終的には、農水省はこのように言っています。今自主回収でうまくいっている、その中で、自主回収が機能していると言いながら、回収すべき数量の把握は困難であるが、今企業が相当数量の回収を行っている、こういうだらしない回答をするものですから、また厚生労働省につつかれて。
完全に行わなかったら、万が一出回ってから出たら、今、食品衛生法の改正の骨子が厚生労働省、出ました、こういう残留農薬に違反したものはそのものを含めて回収、処分をしたいという骨子が出ましたけれども、やはり私は、こういったものは、今の今回の法律案でも回収命令というのは条文化すべきである、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○大島国務大臣 厚生労働省との法案協議の中で、今委員が御指摘をいただいた、回収命令の義務化をすべきと指摘を受けたのは事実でございます。
私どもといたしましては、その場合に、今それをやった場合に、その範囲、費用負担、そういう問題をどのように考えたらいいだろうか、あるいは、現行法においても廃棄、回収を指示していますが、その実効性が確保されているのではないかと考えました。しかしながら、この問題は、やらないというのではなくて、しっかり問題意識を持ちながら、リスク評価部門とリスク管理部門がいかなる役割分担を行うかということもございますので、私どもは、法令上どのように位置づけていったらいいだろうか、こういうことはしっかりと検討をして、そして結論を出し、いずれ御審議に供したい、このように思っております。
○鉢呂委員 この六、七回の文書のやりとりではそういった答弁にはなっておりません、事務段階では。自主回収がうまくいっているから、法律で回収命令を出すというような修文は必要ないんだということで一貫しております。
大臣がそう言うのであれば、そういう問題意識があるということであれば私は認めますけれども、官僚はそんな甘いものではないと思いますから、頑張ってください。
○大島国務大臣 官僚は甘くないかもしれませんが、それを使うのは私でございます。
○鉢呂委員 次に、使用者の記帳義務であります。
この問題も、政府案は今回、使用者について使用基準の遵守をうたって、農薬の使用遵守に違反した場合、最も重い、三年以内の懲役、百万円以内の罰金という重い刑を科しておるわけであります。しかし、私の見るところ、適正な使用遵守といいながら、実際には今回も農家もわかりながら使っておったわけであります、安さに紛れて、無登録とわかりながら。
皆さんは、農業改良普及員ですとか防除員でしたか、そういった者の指導を徹底することと。今よりどんどん農業改良普及員は減ってきておるのに、そこに求めること自体が私は問題点ありと。言葉でどれだけ条文をつくったとしても、現実にもう既に農業改良普及事業なんかは、組織的な指導ということで個別の指導になっておらないのであります。
本当に使用遵守をさせるかどうか。言葉でうたって、実効性確保はされておらない。やはりトレーサビリティー、記帳義務というものを一体的にやるべきである、この点はどうでしょうか。
○大島国務大臣 農薬を使う農業者は、鉢呂委員、本当に多様だと思うんです。そして、例えば記帳義務を課すということになった場合に、一体どこからどこまでの農業者を対象にしたらいいだろうか。私、地元へ帰っても、周辺に、じいさん、ばあさんでやっている農業者もいれば、あるいは専業的にやっている農家もいるわけでございます。
したがって、そういう問題を、今委員がおっしゃるように記帳を義務づける、これは決して悪いことではないと思うんです。したがって、そういうものも私ども勘案しながら、これも先ほどと同じような観点で、具体的にどのようにその範囲あるいは実効性、こういうものを考えながら検討をしてみたい、このように思います。
○鉢呂委員 私どもも、そういった経過措置を考えながら、罰則はつけずに、最終的には努力規定という形で修正案を今回提出しようとしておるわけでありまして、ぜひ私どもの修正案に賛成していただければ速やかに実効性が上がるというふうに思うわけであります。
それから、販売者、防除業者の登録制の問題です。販売者について、今回、事前届け出制ということでこれを強化したんだというふうに農水省はうたっていますけれども、今回の違反事例に沿って農水省は調査をしたんですけれども、いまだ全部の販売届け出業者を捕捉できないという状況でございます。
私は、単に住所、営業所、名前の届け出をすればだれでも農薬を売れる、やはり農薬というのは、毒物、劇物に限らず、毒を売っておるわけでありますから、今の状況を見れば、やはり適正に農薬を使っていただける、そういった指導ができる方とか、私ども修正でも入れていますけれども、農薬管理指導士というものを全国、国の法律に基づいて設定して、そういった者をきちっと置くこと、設置することを条件としてやはり登録制にすべきである。
そして、防除業者については、今回逆に法案から削除された形になっております。防除を一元的に請け負ってやる方については、やはりきちんとした、先ほど言ったような登録制によって、農薬管理指導士のようなものをきちっと置くとか、そういう要件を付して登録制にすべきである、このように考えますけれども、御所見をお伺いいたします。
○大島国務大臣 登録制がいいか、許可制がいいかという……(鉢呂委員「いや、許可制ではありません、届け出制です」と呼ぶ)私どもからすると許可制という形になったわけです。販売者が製造者や輸入者とは異なりますものですから、農薬を購入して販売するということを考えると、そういう厳しい登録制というものが本当に自由な経済行動、ある一面、自由な経済行動という観点からもいいのか悪いのかというと、なかなか難しいんじゃないだろうか。
ただ、販売者の届け出を事業開始前に改正いたしました。しかし、そのかわり、違反者、つまり違反者罰則を大幅に私どもは引き上げたわけでございます。立入検査や監督処分により、違反の防止や迅速な摘発が私は可能になってくると思いますし、今委員がせっかく御指摘をいただきましたけれども、登録という形よりやはりそういうことの方がいいのではないかと思っております。
また、防除業者の登録制も、同じような観点から、やはり罰則の強化をきちっとさせて、そういう行為をやったらこうなりますということで強化をしっかりと図って、その上で、登録ではなくて今の私どもがお願いしている形の方がいいのではないかという方向で考えていきたいと私は思っております。
○鉢呂委員 今回の事案に基づけば、販売者が意図してそういったものを売っています。また、先ほど言いましたように、公的な機関が指導するというのが政府案の趣旨なんですけれども、それはもう限界に来ています。
やはり販売者が、私は何も基準に比べて、原則禁止で、一定の者だけ許可するということではなくて、一定の要件を備えればだれでもこれは登録制で登録をしていただくという形でありまして、やはりその一定の要件というのは二つ、適正な農薬をきちっと農家に指導できるか、それから、そういった一定の資格を持った者を置くかどうかというようなことは、行政として、農薬を販売する者の登録をする際の最低限の要件である、こういうふうに私は思うわけであります。
これが一たび大きな事件、例えば人命にかかわるような事件が起きたときに、今のような販売制で、今なお、廃業したのかどうかわからない、行方不明だ、廃業届も何も出す必要もないというような現状の販売制度が果たしていいのかどうか、私は非常に疑問に思うところであります。
そういった意味で、劇物、毒物の取り締まり者についても、農協あたりでも人事異動で本来は農薬の販売のところにはいないという事例が本当に多いというふうに聞いております。私は、やはり今回の事案にかんがえれば、そういった販売者についても適切な措置をとるべきだと思うわけであります。
時間が五十四分までですから、時間を守りたいと思います。
その他、私ども、使用者についても一定の講習をきちんと受けるべきだ。それから、農薬管理指導士ということで、今、全国都道府県ごとにはそういう資格講習を受けて資格を設けているところも多いと聞きます。例えば岩手県あたりは、三分の一の販売業者はそういった県の設定した農薬管理指導士がおられるということで、私は、全国的なこの制度を、国が整備を法律によってきちんと行うべきだというふうに思うわけでございます。
いずれにしても、今回の農薬取締法案は、私は、実効性を確保する意味からいっても、とりあえずの措置といいますか甚だ不十分な法律案である、最低限、私ども民主党がこの後に提出をしようとしている修正案、これを大島大臣がきちんと受け入れることによって初めて実効性確保というのがある程度満度にいけるというふうに思います。それによって農薬全体をどのようにしていくのか。私が冒頭から言ってきた問題、そして、何よりも行政の責任、行政の責任ある対応というものをどのように行えるのか。
後藤斎議員のあの二十四日の質問に対して、副大臣でさえ情報を知らずに、農水省の対応をことし初めて行ったというようなああいう答弁に終始をするというようなことであってはならない。行政の対応のあり方をどのようにするのか、私はここはやはり、大臣、一番大きな問題点だというふうに思いますから、きちんとした法律改正案を出して国民の皆さんに安心をしていただく、そのようにぜひお願い申し上げまして、あした農協の貯金保険法の改正案でもう一回九十分やらせていただくことになっておりますから、ぜひよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。
〔鮫島委員長代理退席、委員長着席〕
○小平委員長 次に、山口わか子君。
○山口(わ)委員 社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。農薬取締法の一部改正案に対する質問をさせていただきます。
今回の改正で、具体的な項目についてお伺いしたいと思います。
第一に、製造と加工の違いは何なのでしょうか。加工とは何を指すのでしょうか。第二に、使用者の定義がありませんが、その理由についてお答えをいただきたいと思います。それから第三に、販売者の中にはホームセンターなども入っているのでしょうか。非農耕地農薬を中心に販売している業者も入るのでしょうか。第四に、防除業者が定義から外されていますが、その理由は何でしょうか。第五に、除草剤や殺鼠剤は法案の中に見当たりませんが、どこに入っているのでしょうか。第六に、独立行政法人農薬検査所の役割と仕事の内容についてお答えをいただきたいと思います。
○須賀田政府参考人 六点ばかりのお尋ねでございます。
まず、製造と加工でございます。一般的に申し上げまして、製造も加工も原材料に工作を加えて新たなものをつくり出すという行為で、同じような定義でございますけれども、このうち、製造は、原材料とは本質的に異なる新たなものをつくり出すというのを指すのに対しまして、加工は、原材料の本質は保持しながら新たな属性を付加するということでございます。
具体的に農薬でいいますと、まず農薬の製造というのは、原体たる薬剤に化学反応等を起こしまして農薬をつくり出す、農薬として有効な物質をつくり出すということでございますのに対しまして、加工といいますのは、有効成分自体は変化をさせずに、例えば増量剤の投入によって希釈をするでございますとか、他の有効成分と混合させるでございますとか、本質は保持したまま新たな属性を付加する、付加価値を高めるという行為を指すわけでございます。
それから、使用者でございます。使用者の定義がないのはなぜかということでございます。農薬というのは、農作物等を害する病害虫の防除に用いられる薬剤でございまして、その使用者といいますのは、そういう病害虫の防除等のために農薬を使用する者ということで、明白であるということで、殊さら定義規定は置いていないということでございます。
それから、非農耕地用の除草剤等を主として販売するホームセンターが販売者に当たるかどうかでございます。農薬の販売をする限り、農家に販売しているかどうか、農薬のみを販売しているかどうか問わないわけでございまして、農薬を販売しておれば農薬取り締まり上の販売者に該当をするわけでございます。
それから、防除業者。防除業者の定義等を削除したのはなぜかというお話でございます。今回、先生も御存じのとおり、主として防除を行っているか、業として防除を行っているかどうかにかかわりませず、無登録農薬の使用は禁止する、使用基準の遵守を義務化するという使用段階での規制を強化したわけでございまして、防除業者も農薬の使用の適正化義務を有することになりますので、違反すれば直罰がかかります。そういうことで、規制が強化されたということなので、防除業者の定義は殊さら置く必要がないということでございます。
それから、除草剤とか殺鼠剤、これが農薬に含まれるかどうかでございます。農薬の定義、農作物等を害する菌、線虫、ダニ、昆虫、ネズミその他の動植物またはウイルスの防除に用いられる薬剤及び生理機能の増進または抑制に用いられる薬剤、これが農薬でございまして、そういう用途に用いられる限り、除草剤も殺鼠剤も農薬でございます。
それから、農薬検査所の役割でございます。農薬検査所は、二つございまして、大きく一つは、農薬の登録の審査をする、それからもう一つは、今度立入検査等にも行きましたけれども、農薬の安全使用の指導取り締まりをする。主としてこの二つの業務を行っているところでございます。
○山口(わ)委員 少したくさんありますので、次に進ませていただきます。
改正案では、新たに特定農薬という規定が設けられました。特定農薬と登録農薬との関係というのはどのように整理されるのでしょうか。また、これまで販売、使用が許される登録農薬は、民間企業が提出した検査データをもとにして農林水産省が許可をしています。毒性試験を免除されている農薬もあります。特定農薬というのはどのような基準で指定をされるのでしょうか。特定農薬の薬効、製造方法、成分分析などのデータは提出が義務づけられているのでしょうか。お答えください。
○須賀田政府参考人 特定農薬の定義、改正法にございますけれども、「原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬」、こういうことになっておりまして、こういう農薬である限り、登録を要しないということになっているわけでございます。
したがいまして、登録を要しませんので、特定農薬としては、登録農薬の申請に当たり必要とされている数々のデータの提出を求めなくても、明らかに農作物、人畜等に害を及ぼすおそれがないものを言っておりまして、具体的には、例えば、アブラムシを殺すために牛乳を使うでございますとか、あるいはお酢、食酢を使うでございますとか、通常は日常生活で食品としているものをそういう用途に供する場合を想定しているわけでございます。
この特定農薬の指定は農業資材審議会へ諮問することが法律上義務づけられておりまして、有害性等につきましては、その審議会で十分御議論を賜るということになっているところでございます。
○山口(わ)委員 例えば、私もよくあちこちに行くんですが、木酢液なんかを販売しているところがございます。かなりたくさん出回っているんですけれども、品質に非常にばらつきがあるのではないか、粗悪品も出回っているのではないか、そういうふうに心配されるものもあるわけです。
抜け道になるような基準をつくってしまうというのはどうかというふうに思うんですけれども、やはりきちっと基準を明確にする必要性があるのではないか。私たちが見ても、木酢液と書いてあって、安全だと言われれば、ああそうかと使ってしまうと思うんですけれども、本当にそうなのかどうかと疑問を投げかけたときに、どこでどういうふうにそれが、安全性が証明されるのかという問題もあると思いますので、その辺はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
○須賀田政府参考人 御指摘の木酢液、大変ちょっと頭を悩ませておりまして、通常は炭焼きをするときのガスを液化いたしまして、蒸留してつくるということでございまして、蒸留に蒸留を重ねまして純粋の精度になりましたら、食品の添加物にだって使えるようなものにはなるわけでございますけれども、実態をよく見てみますと、なかなか製造の成分、それから規格等が一定をしていない。
例えば、建設で残された木などからつくりますと、一般に考えますと、タールなんかが付着しているんじゃないかというおそれもございまして、実は、木酢液、今はちょっと、成分とか規格、作製方法等、関係のところから取り寄せまして分析をしているところでございまして、その結果に基づいて、農作物等、人畜、水産動植物に有害かどうかということを判断したいというふうに考えております。
○山口(わ)委員 この特定農薬をつくるからには、そういう抜け道にならないようにやはりきちんとしていただきませんと、必ずどこかで抜け道があって、またそこからいろいろな人畜に有害なものが出てきたというようなことが起こり得る危険性があると思います。特に、新建材なんかで使っている場合に、本当にそれがそうでないという判断というのは非常に難しいというふうに思いますので、やはりこういう制度をつくるときは、よほどしっかり、危険性をどう排除するかということを考えた上でつくっていただかないと、後で必ず問題というのは起こるんですね。最初から問題を想定していなくても、後で起こってきますから、このことについては、やはりきちんと本当に安全で安心できるような、情報の公開はぜひしていただきたいというふうに思います。
それから、無登録農薬に必要な毒性、残留性試験のデータの提出が免除されている農薬もあります。それは、どのような基準によるのか。どんな農薬がどのような理由で、試験データの提出が免除されているのか。また、農薬製剤は活性成分と補助成分から成っているわけですが、補助成分については、毒性、残留性試験はないわけです。製剤中に含まれている補助成分を明らかにして、慢性毒性試験などを実施するべきだと思いますけれども、その点についてお答えください。
○坂野政府参考人 毒性試験なり残留性の試験データが免除されるのは、どういうものが免除されているかという御質問であります。
申請される当該の農薬の有効成分とか使用方法、それらを見て合理的な理由がある場合には、一部の毒性試験データの提出を要しないということをしております。
具体的に申し上げますと、フェロモン剤、これは、害虫なら害虫しか感知できないにおいですね。そういうものを使って有害な昆虫の行動を阻害する、そういうフェロモン剤等、作物に接触しないような使用方法ですね、それはにおいですから、別のところに容器を置きますから、作物に接触しないという使用方法、そういう場合。また、でん粉だとかクロレラ、そういったように有効成分が食品なりまた天然物等であり、一般に広く利用されているということから安全であることが公知されている、こういう場合があるかというふうに考えております。今でもあります。
それから、二つ目に、農薬の製剤中に含まれている補助成分についてどう扱われているか。補助成分と申しますと、有効成分そのものですと非常に扱いにくいものですので、鉱物質、いわゆる粘土みたいなものに吸着させるとか、それから、水に溶けないものについては界面活性剤等を利用、活用するというのは、製剤をするときの普通の技術であります。こういうものにつきましては、安全性が懸念されるものは使わないという指導をしているところでありまして、農薬登録申請に際していろいろな関係資料を添付してもらうわけです。その中に、補助成分の関係資料というのも当然提出をさせております。また、安全性の観点から必要があると認める場合には、補助成分の毒性に関する試験成績の追加提出、そういうものも要求しているところでございます。
以上でございます。
○山口(わ)委員 農薬を使う場合に、消費者もそうですし生産者もそうですけれども、残留性がどうなっているのか、毒性がどういうふうになっているのかということがよくわからないで使っている場合が結構多いわけですね。最近は非常に消費者の皆さんも使うわけですから、やはりこの辺はもう少しわかりやすい情報開示が必要じゃないかというふうに私は思います。今、説明を聞いただけでも余りよくはわかりませんので、ぜひ後でデータを、私のところへ資料をいただければというふうに思いますし、難しくしないでわかりやすく、みんなに、農家の皆さんにも、そして消費者の皆さんにもわかるように、データをぜひ開示していただきたいというふうに思います。
これまでの農薬の登録や登録失効に当たってのデータは、今私がお話ししましたのと関連するんですけれども、企業秘密という業界に都合のいい理屈で、十分には情報が公開されてきませんでした。また、登録失効の理由が明らかにされない農薬もあります。しかし、食品の安全を守り消費者の健康を守るという観点から、情報はすべて開示されるべきだと思います。そうでなければ、農薬を使用する生産者、食物を口にする消費者は、それぞれの農薬がなぜ安全で使用してもいいのかわかりません。ですから、情報はすべて開示されるべきだというふうに思っています。
また、国が認めたから信用しなさいとか、認めなかったから使用できませんというだけでは、もうこれからは通用しないのではないかと思います。農林水産省も、BSEの国内発生という教訓から、消費者の安全に軸足を置いた農政を進めると宣言しているわけですから、登録農薬も登録失効農薬の毒性データも全面開示を義務づけるべきだというふうに思っています。
また、無登録農薬が使用されていた今回の事件の背景には、失効の理由があいまいだったこと、政府による公告がきちっと周知徹底されなかったことなどがあるかと思います。職権で登録が取り消しされる場合も含めまして、登録を失効したり再登録をしない場合、その理由を明記されるべきだというふうに思います。製造廃止届の提出に際しても、理由を記載されることが必要だというふうに思います。そして同時に、政府はこれらの公告を周知徹底するためにはあらゆる手段を講ずべきだと思いますが、その点についてどう考えていられるのでしょうか。
○須賀田政府参考人 ハザードといいますか、危害性を有する物質でございます農薬の毒性ですとか残留性、薬効、それから失効したかどうか、その理由、こういう情報を開示して農家等にまで届けるということにつきましては、大変重要なことであろうというふうに考えているところでございます。
これまでも失効農薬等につきましてはそのリストをホームページ等で公表をしているところでございますが、先生のお話にもございましたその失効理由等を含めまして、必要な情報が随時提供できるような仕組みの構築というのを図っていきたいと考えております。
あわせまして、その農薬の毒性、これは製造業者にデータがあるわけでございまして、毒性に関する情報は、その登録申請者、製造メーカーに対しまして、いろいろなメディアを通して公表するよう指導をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○山口(わ)委員 農薬はやはり非常にわかりにくいということもありますし、使っている農家の皆さんでさえ、本当にこれが毒性があるのか安全なのかということはなかなかわかりにくいというふうに思いますし、結構農家の皆さんは古い農薬を抱え込んでいる場合もあります。
そんな中で、本当にこの農薬が安全で安心できるかどうかということを農家の皆さん自身もきちんと承知して使っていないということも、逆に言えば、消費者の皆さんにはわからないわけですから、本来農薬は余り使わない、本当にもっと有機農業をやっていかなきゃいけないというふうに思うんですが、そうはいっても使うこともあるわけですから、そういう意味では、やはり後で問題が起こるんじゃなくて、きちっと、どういう農薬を使っているのか、そして食物を口にする消費者が本当にそれが安全で信頼できるのか、使用しても大丈夫なのか、そういうことがなかなかわかりにくいということがあります。
ですから、この辺は、今回の事件を見ましても、よほど慎重に、そしてきちっと開示する中で、だめなものはだめ、使ってもいいものはどういうふうに使っていいのかということをやはりきちっと確認していく必要があるというふうに私は思っています。そういった意味では、今回のこの事件をきっかけにして、情報を開示しながら、農薬の使用についてかなり慎重に、神経質になっても神経質になり過ぎることはないと思いますので、その辺は十分に注意して使っていただきたいというふうに思っています。
今回の改正では、この無登録農薬の輸入取り締まりの強化がうたわれているわけですけれども、無登録農薬が非農耕地農薬として輸入されている場合もあると思います。無登録農薬の非農耕地農薬としての販売、使用については、この改正案では禁止されるのかどうか。
それから、無登録農薬につきまして、農地への使用はだめだけれども、非農耕地農薬として使う場合には問題ないというふうに考えているとすれば、その根拠は何なのかということがよくわからないわけです。
例えば、駐車場ですとか河川敷だとかに農薬を使うということもありますし、普通のお宅の庭にも除草剤として使うわけですね。私なんかもホームセンターへ買いに行くんですが、何だかよくわからない。見てもよくわからないけれども買ってきて、除草剤をまくとなると、割合にいいかげんにまいてしまうといいますか、私もよくやるんですが、マスクもしないでまいてしまうということがあります。特に、狭い住宅なんかは、隣近所に非常に迷惑がかかったり、毒性があるのではないかということもよくわからないで使っているという部分があると思います。
人が散布された農薬を呼吸を通じて摂取する量というのは非常に多いと思うんですね。口から入るということは余り、口をあいて農薬をまいていれば入るのかもしれませんけれども、ほとんど呼吸器を通じて入るという場合が非常に多いわけです。ですから、非農耕地農薬というのも、やはりこの農薬取締法の対象にしていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。
使う方も、非常に不安で使っている人が多いと思うんですね。昔は、農薬を買いに行くときはすごく厳しくて、印鑑を持ってきて、どのくらい買ったかというようなこともきちっとしていたような気がするんですが、最近は、ホームセンターに行ってもどんどん売ってくれるわけですね。しかも、安いということがありますから。
やはり非農耕地農薬も取締法の適用対象にしてほしいと思いますし、輸入や販売や使用を厳格に取り締まるような方策を考えた方がいいんじゃないかというふうに思っていますけれども、その辺について農林水産省のお考えはどうでしょうか。
○須賀田政府参考人 先生が昔買うときに印鑑が要ったのは、恐らく毒劇物じゃないかと思っております。
そして、この非農耕地用の除草剤、今回の法律改正との関係はどうかということでございます。非農耕地用の除草剤は、先生言われたように、駐車場の除草でございますとか道路わきの除草でございますとか、こういうものを目的とした除草剤でございますが、これを農耕地に使う、農作物の病害虫の防除等に使った場合には、農薬取締法上の無登録農薬として販売、使用の規制にかかるということになるわけでございます。そして、この非農耕地用の除草剤も取り締まってしまえというお話でございます。
我々農業生産を所掌しているところにとって、農作物に使うことを防止するということは今回の措置でできるわけでございますけれども、確かに、非農耕地用の除草剤それ自体につきまして、環境リスクでございますとかあるいは飛散等による生活環境面へのリスクでございますとかが考えられるわけでございます。
ただ、これは私どもの省だけでいかんともしがたい面がございまして、実は、副大臣会議で北村副大臣から関係の省の副大臣に、規制の方向で検討を現在お願いしている状況でございます。
○山口(わ)委員 私たち普通の人間が考えますと、農業用に使う場合は登録農薬で、例えば庭とか駐車場にまく場合は無登録ということなんですか。ちょっとその辺、もう一回。
○須賀田政府参考人 農薬の定義にございますように、ガーデニングだとか樹木だとか公園だとかを守るために、簡単に言いますと、何かを守るために使いますとそれは農薬でございます。ただ、駐車場をきれいにしたい、除草したい、道路わきの草を、道路わきをきれいにしたい、簡単に言いますと、そういう目的に使うのが非農耕地用の除草剤でございまして、これについて、先ほど申し上げましたように、何らかのリスクがあるならば規制の対象とすべきではないか、研究すべきではないかということを関係省庁と検討をしているところでございます。
○山口(わ)委員 これはやはり非常に問題です。農業用に使えばそれは取り締まりの対象になるけれども、今のところ、非農耕地に使う場合には取り締まりの対象にならないわけですから、考えてみるとおかしいと思うんですね。非常に矛盾しているというふうに思います。
ですから、やはりどこに使っても危険なものは危険ですし、例えば農地にすぐ隣接している駐車場に使って、それが影響を受けるということも現実にはあるわけですから、やはりこの問題というのは私はもっと厳しく扱うべきだというふうに思っていますので、これから検討なさるようですから、早急に検討していただいて、どうなるのか教えていただきたいというふうに思います。
次に、今回の改正案につきましては、農薬の作物残留を重視する余りに、土壌残留性農薬の規制を外すとか、あるいは防除業者の規制を外すとか、今の関連ですが、非農耕地用の農薬を規制しない、そういったことなど、農薬の生活環境汚染を防止する観点が軽視されているというふうに思います。
これで本当に農薬による環境汚染が防止できるのでしょうか。お答えください。
○須賀田政府参考人 今回の改正案でございます。
使用基準というものをつくりまして、使用の方法、時期等について厳しく規制をする、その違反に対しましては罰則をかける、三年以下の懲役、百万円以下の罰金ということでございまして、厳しく罰則をかけるということにしているところでございます。
そして、先生言われました土壌残留性の農薬、改正前の農薬取締法におきましては、指定をいたしまして基準を設けておったわけでございますけれども、今回の改正によりまして、そういう農薬を含めまして使用規制の対象にする、それから、防除業者の方々も、防除の方法等も使用規制の対象にして、罰則の対象になるわけでございまして、むしろ規制は強化されているということでお考えをいただきたいというふうに考えているところでございます。
○山口(わ)委員 やはり規制を強化するというだけではなかなかわかりにくいという部分もありますので、安全で安心できるようなことが国民にきちっと開示できるように、改正の趣旨も、ただ罰則を設けるから規制を外してしまっていいのかという疑問もあるわけですから、その辺はやはりわかりやすくしていただかないと、非常に見えにくい部分があるのではないかというふうに思っています。こういうことが疑問になるぐらいですから、そのことはやはりもうちょっときちっとわかりやすい形で開示をしていただければというふうに思っています。
最後になりますが、第一条に国民の生活環境保全に寄与するというふうになっていますけれども、その生活環境とは具体的にどこを指すのか。改正案のように、水質汚濁性農薬の指定で、これで十分だというふうにするのではなくて、農薬による生態系の破壊あるいは生活環境での健康破壊をなくすことも盛り込まなければ、その目的を達成することにはならないかと思いますが、この農薬改正の全体像を含めて、これから本当に安全で安心で、生活環境や生活体系の破壊につながらない、目的をどう達成するのかということも含めて、大臣からお答えいただきたいと思います。
○大島国務大臣 農薬の使用といわば環境という問題であろうかと思います。
私は、安全で安心な食料の安定供給、良質な環境の保全等は、まさに両面とも国民が安心して暮らす不可欠のものであろう、このように思うのです。しかし、時として、安定した供給という側面だけを見ますと、それは増産とかそういう形で、そこの均衡を図りながらも、やはり先ほど来も質問が出ましたが、環境保全というものに循環というものを施策の大綱として目指そうと言っている限り、私は非常に大事なことではないかと思っております。
したがって、食料・農業基本法を踏まえながら、土づくりと化学農薬等の低減に一体的に取り組む農業者を支援していかなければならぬと思っております。また、堆肥供給施設の整備等への助成、関連の試験研究等を展開しながら、環境保全型農業というものを強力に推進していかなければならないと思いますし、やはり最後に、消費者がそういう思考を一層していくということも大事。すなわち、国民の皆様方がそういうことに関心をしっかりと持ち、正しい関心を持っていただいて、そういう選択、需要を高めていただくということも大事と思いますので、そういう視点からは食育、そういうふうな政策の中で努力していくことが大事かと思っております。
○山口(わ)委員 今私たちは、この農薬の事件が起こってから、食品に対して消費者の皆さんが非常に敏感になってきているというふうに思います。農薬がどういうふうに使われているのか、あるいは使われていないのか、あるいは本当に有機とは何なのか、あるいは無農薬野菜というのはどういうことを示しているのか、非常にわかりにくいわけですね。低農薬ですとか無農薬ですとか有機ですとか、いろいろな言い方をする中で、消費者の方も非常に紛らわしい、選択ができない部分もあると思います。
もう一つは、私は、これは消費者の責任でもあると思うんですが、例えば、リンゴだったらきれいで美しくなければいけない、キャベツだったら虫が食べちゃっていたらいけないとか、トウモロコシなんかは、すぐ虫がついているのはわかりますから、そういうのは買わないとか、消費者の側もそういう見た目がきれいというところで選択をしてしまうということがあると思います。
虫が食べる野菜とか果物というのはより安全なわけですね。虫が食べない方がむしろ不思議なわけでして、そういう消費者に対する、食品の見方とか、どういう食品が安全かとか、あるいは低農薬とか無農薬というのはどういう野菜を示すのかということが、やはり消費者に非常にわかりにくいというふうに思うんですね。
今回の改正で、非常に、何といいますか、いたずらに敏感になっているということもありますし、この際、やはり農薬をできるだけ使わない、そんなことも考えていかなきゃいけないと思うし、私は、農薬を使わない有機を進めていくべきだと。
有機農薬、有機農業というのはまだまだ非常におくれていますし、どうしても高くついてしまいますね。ですから、高いと買わないということも含めて、やはり安全で安心できる場合には多少高いのは私は当たり前だというふうに思いますが、そういう意味での、農薬に対する、あるいは農業に対する消費者への情報開示というものについて、大臣としてこれからどういうふうになさっていくおつもりか、お答えいただきたいと思います。
○大島国務大臣 情報開示ということも大事だと思いますが、先ほど委員が御指摘いただいた表示のあり方、これらについて今研究いたしておりまして、そういうものにもしっかりとした、確立した表示の仕方を、まさに低農薬とか無農薬とかなんとかと今いろいろな名前が出ていますが、そういうことを研究してきちっとさせることも大事だと思います。
委員がまさにおっしゃったように、一方においては、大きくて、きれいで、光る見ばえのいいものを消費者は欲しがるときがある。一方では健康に安全であるもの。したがって、何回も申し上げて恐縮ですが、やはり命の基本は食べること、それも、安全で安心なものをバランスよく食べることから始まるとするならば、そういう食の教育というものを、一見地道なようですが、しっかりしながら、そして、環境保全型農業というものを施策として推進していくということに努力していくことが、委員から御指摘、問題提起されたことにこたえる我が省の仕事ではないかな、このように思いました。
○山口(わ)委員 同時に、生産者も安心して物が売れるということが非常に大事であるというふうに思いますが、生産者は、非常に苦労してつくってもやはり売れない、安くしなければ売れないということの悩みの中で、無登録農薬だけれども安い方についつい手を出してしまうということもあると思います。それだけ、生産者の皆さんも苦労してつくっている割には生活が本当に成り立っていくような農業として今確立されていないという部分もありますから、農薬を使う場合でも、安ければいいというところに手を出すんじゃなくて、本当に安全で安心な農薬を使うような環境も生産者にもやはりきちっと保障していかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っています。
そういった意味で、今回の改正は、いろいろ反省することもあると思いますし、無登録農薬を全国各地で使わないところがないくらい使ったという現状もこれだけ出てきたわけですから、安心で安全が脅かされたという点では、かなりきちっと、本当に生産者も消費者も安心できるような食料の生産ということを、そして消費ということも含めて、本当に真剣にこれから考えていただきたいというふうに思います。
私の質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
○小平委員長 次に、中林よし子君。
○中林委員 農薬取締法の一部改正案について、まずお伺いします。
今回の無登録農薬の問題は、日本の農産物生産に対する消費者の信頼を大きく損なったという点で、許しがたい問題だと言えます。その点では、輸入が、農薬登録の有無にかかわらず、規制されていなかった、このことが有害無登録農薬の流通、使用を許した根本にあります。その点では、政府の責任が大きいと私は言わざるを得ないと思うわけです。
本改正案の第二条で、輸入者は、登録を受けなければ輸入してはならないとしており、条文上、輸入そのものの行為の中に無登録農薬の輸入禁止を盛り込んだ、これは遅きに失したとはいえ、当然の措置だというふうに思います。
そこでお伺いするわけですけれども、現在、関税分類に農薬の項目はありません。それを設けなければ規制の実効性が上がらないというわけですけれども、この点、どのように対処していかれるつもりでしょうか。
○須賀田政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の改正によりまして、先生おっしゃられましたように、農薬の輸入に際しまして、農林水産大臣の登録を義務づけるということにしているわけでございます。これに伴いまして、通関時に無登録農薬の輸入をとめるということが制度上は可能になるということでございます。
それでは、実効面、関税番号はないじゃないかというお話でございました。現行の関税分類では、確かに、殺虫剤、殺菌剤、その他化学品等々の分類でございまして、農薬という分類はないわけでございます。
そこで、農薬の輸入規制に当たりまして、効果的な水際の取り締まりということで、農薬に係る輸入統計品目番号の新設につきまして、現在、関税御当局と協議をしているところでございまして、私どもとしては、殺虫剤の中に農薬、殺菌剤の中に農薬、その他化学品の中に農薬、こういう細目番号をつけたいというふうに考えているところでございます。
○中林委員 法律施行時にはそれは整うというふうに解釈してよろしいんですね。いいですね。もう時間が少ないので、うなずいていただければそれでいいと思うんですけれども。ただ、関税分類で、これは一歩前進だというふうに思うわけですけれども、それだけでは完全ではないんじゃないかというふうに私は思います。
例えば、悪徳業者があくまで農薬以外の化学物質として輸入するならば、無登録農薬の侵入、それは防げない。無登録で農薬の成分である物質を輸入する場合、ここからが私は肝心だと思うんですけれども、目的をまず明記させ、そして国内流通、販路の報告をさせるなど、関税検査の体制強化とあわせて、こうした徹底した水際での規制策、これも当然講ずる必要があると思いますけれども、検討していただけますか。
○須賀田政府参考人 無登録農薬の輸入規制の実効面でございます。
私ども、重層的に措置をしたいということで、まずは、我が方から通関の御当局に、登録農薬のリスト、輸入者のリスト、失効した農薬のリスト等の情報を提供する。そして、現実の通関時に確認作業で疑義が生じた場合には、問い合わせ窓口を私どもの方に設置する。その他、外国産の無登録農薬が国内で見つかった場合には、その情報を伝えると同時に、輸入者につきましては、輸入した農薬についての販売先について帳簿に記載する義務が課せられております。報告の徴収だとか立入検査等を通じて販売先の確認は可能なようになっておりますので、そういう追跡の調査というものもしたいというふうに考えております。
○中林委員 今回の法改正で農薬使用に対しても規制をかけた、これはやむを得ない措置であるというふうに思うわけですが、ただ、私、大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、農業者が無登録農薬に手を出した背景として、農家の高齢化だとか農家経営の困難さ、人を雇うこともできなくて、安く、効き目があるということになるとやはり農薬依存になっていく、こういう現実があるというふうに思うんですね。だから、そこにメスを入れて対応して考えなければならないというふうに思います。
農産物価格に対する価格支持だとか所得保障が十分なされない中、結局、農業者を無登録農薬に追い込む状況になったんじゃないか、そこをまず政策として反省すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○大島国務大臣 なぜ無登録農薬を使うことになったのか、それは農政に責任があったのではないか、しかもそれは価格政策だ、こういうふうな論理ではなかったかと思います。
私は、農水省、農政全体に、法改正をお願いするんですから、それは反省に基づいて皆様方にお願いしているという意味では、そういう意味での政治的、政策的反省すべき点があったことは認めざるを得ません。売る人もいれば買う人もいる中にあってそういうものが使用されておったという根本的なところにおいては、先ほど来申し上げましたように、無登録農薬、ひいては食に対する安全、安心というこの価値観、こういうものに対してもっともっと私どもは真剣に考えるべきであった、そこに行き着ければ、ある意味ではこの問題の根本もあったのではないかと私は思っております。
〔委員長退席、楢崎委員長代理着席〕
○中林委員 もちろん、食の安全とか国民の健康第一というところが欠如をしていたところに最大の問題があることは言うまでもない。ただ、その背景として、やはりそこに手を出さざるを得ない、これは、この委員会として視察に行ったときも本当に苦しい胸のうちを農家の皆さんが話しておられましたので、そこはちゃんと受けとめていただきたいというふうに思います。
この審議の中で随分、農薬の回収問題、これが努力義務規定ではやはりいかぬのじゃないかということで、次期国会でということなんですけれども、ここも確認しておきたいと思うんですけれども、ここは副大臣、必ず次期国会にやっていただけますか。
○北村副大臣 今、中林議員が、今回のは努力規定ではないか、こういうことでありますが、次期国会に向けて精査をし、そして先ほど来議論がありました非農耕地の農薬、これらも含めて関係省庁とよく連携をとりながら、しっかりとした法改正に向けて全力を挙げてまいりたい、このように思います。
○中林委員 次に、飼料の無登録農薬使用の問題でお伺いします。
現在、飼料については、ここにありますけれども、飼料の有害物質の指導基準、これに基づいて農薬では四十農薬の指導基準が設定されています。このような基準が設定されているということは、家畜が農薬に汚染された飼料を摂取することによって、摂取された農薬が家畜の体内で代謝され、家畜の脂肪や肉に移行、そして残留することがあるからだというふうに思うわけですけれども、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○北村副大臣 今先生御指摘の、飼料の有害物質の指導基準、これはもう先生おわかりのとおり、食肉や牛乳等の畜産物中に有害物質が残留をしないということを目的として、残留性の高い成分等を対象にして、家畜の飼養試験の結果等に基づいて設定したものでございます。
そういう面では、この飼料安全法においても、農林水産大臣は、有害物質を含む飼料等について農業資材審議会の意見を聞いて販売禁止ができることとなっておりますので、この場合の販売禁止の対象となる飼料等のメルクマールとしても本指導基準を用いてまいりたい、このように思っております。
○中林委員 今答弁されましたように、飼料の残留農薬問題というのは人間の健康にかかわる重要な問題なわけですね。ところが、この飼料の残留農薬基準、これが指導基準ということで、畜産局長通達ということで済まされているわけですよ。これはやはりBSE問題で、私は、政府の責任問題ということがあの一片の通達で済まされたということを思い起こしてしまいますね。
ですから、人間の健康にかかわる問題、こういうものを通達だけで済ませないということで、きちんと飼料安全法に基づく法的枠組みの中で残留農薬基準を設定すべきだというふうに思うわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
○北村副大臣 先ほど来大臣から御答弁をいただいておりますけれども、これは我々の食の安全に関することでございますので、食の安全を確保する観点から、飼料中の残留農薬等の有害物質について、許容基準を法律に基づく基準、省令として見直すこととしております。
本年の四月の二十四日付で飼料の有害物質の許容基準の法的規制について農業資材審議会に諮問を行って、現在、審議会において、一つは現行の基準値の見直し、二つ目に新たに追加すべき成分等の検討を行っておりまして、平成十五年、来年の四月を目途に見直しの内容を取りまとめる予定としております。
○中林委員 省令でやるということなんですけれども、これは一歩前進だというふうに思うんですね。ただ、この飼料安全法を見ますと、非常に漠とした書き方だというふうに思うんです。例えば有害物質というものがどういうものが当たるかとかということぐらいは、やはり法律事項の中に盛り込んでいただきたいというふうに思います。
だから、省令がだめよというんじゃないんですけれども、省令できちっと、通達ではなくて省令事項にしていくということは私は大切なことだというふうに思いますけれども、ぜひ飼料安全法の改正を、ここの点を厳しくやらないと、またBSEのような状況が、出てこないことを私は望みますけれども、出たときに、やはり政府は何をやっていたのか、立法府は何をやっていたのかということが問われる分野だというふうに思いますので、有害物質は、例えば残留農薬はこれこれとか重金属の問題はこうだとか、そういうものをきちっと書き込むようにやっていただきたい。その検討はしていただけますか。
○須賀田政府参考人 現在の飼料安全法の規制の体系、これは法律に基づきまして、飼料の製造方法等の基準、規格、成分規格でございますけれども、それを設定して、それに反する製造、輸入、販売、使用が禁止をされる、それは罰則で担保をしているということでございます。
もう一つは、有害な物質等を含む飼料、飼料添加物につきましては、販売禁止、廃棄、回収命令が出せる、このようになっているわけでございます。そして、先ほど副大臣から省令でと言いましたが、その基準、規格の方へきっちり入れ込むということでございます。
なお、今後、飼料安全法の体系をどうするかということでございます。
先ほど来話が出ております、現在、内閣府において食品安全基本法の制定、それから食品安全委員会の設置等の検討が進められておりまして、この食品安全委員会では、こういう危害性のある物質のリスク評価をいたしまして、関係の施策に勧告等をするという権限を付与するということでございますので、それとの関係を見ながら、飼料安全法体系がいかにあるべきかにつきまして、次期通常国会提出を念頭に置きまして検討を加えさせていただきたいというふうに考えております。
○中林委員 問題は、飼料の残留農薬の基準のことです。
今設定されている残留農薬基準、先ほども言いましたように四十農薬しかないんですね。日本に飼料を輸出しているアメリカ、ここでは一九九九年段階でも飼料作物生産用に五十一農薬の使用、これが承認されているわけです。だから、それすら日本では検査、カバーできないんじゃないかというふうに思うんですね。こんなことで本当に国民の健康が守られるとお考えでしょうか。
○須賀田政府参考人 現在のこの指導基準の考え方、四十種類でございます。この指導基準の設定は、まずは残留性の強いもの、それから毒性の強いものといった危険度の高いものについて優先的に設定をしてきたという経緯がございます。この指導基準によりましてはそういうことでございますので、海外において使用されている農薬について必ずしも残留基準値を定めているものではございません。
我が国において無登録の農薬で海外で使用されている農薬についても、危険度の高いものがあるということも先生御指摘のように想定をされるわけでございまして、これらについても、この法律に基づきます基準に含めるべく、順次検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
〔楢崎委員長代理退席、委員長着席〕
○中林委員 アメリカは、今から三年前ですら五十一、もうこれは基準値が決められているんですよね。だから、日本では四十種類しか基準値は決められていないということになると、そのほかのものが輸入されていても、その基準がないという状況の中でフリーパスで使われる可能性があるということで、順次というのじゃなくて、本当に早急に検査していかなければならないというふうに思います。
さらに、無登録農薬の問題なんですけれども、日本で認められていない農薬が諸外国では広範に使われている、このことは肥飼料検査所でも十分知っていると思います。
ここに肥飼料検査所が出している飼料研究報告というのがあるんですけれども、これを見ると、ホキシムはバイエル社が開発した有機燐系の殺虫剤で、我が国では農薬登録されていないため農薬としての使用実績はないが、木材の防虫剤、防蟻剤として使用されている。諸外国では、穀物貯蔵庫、サイロ及び船の倉等の害虫駆除、家庭での衛生害虫駆除並びに穀類、綿及びトウモロコシの土壌害虫駆除を目的として使用されているというふうに書いてあるわけですね。
だから、無登録農薬についてももう既にこの肥飼料検査所では言及しています。農水省は、アメリカだとか諸外国で飼料生産に使われている無登録農薬、この実態がどうなっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
○北村副大臣 中林先生御指摘のとおり、日本の、特に家畜の飼料というのはかなりの量が輸入に頼っているわけであります。そうしますと、やはり今先生御指摘の、海外、特にアメリカ等々で使われている無登録農薬等々がどういう実態に使われているか。先ほど、国内は四十品目、こういう数字でございますが、先生御指摘のそういった品目についても、やはり農薬の使用実態の検査をまずしっかりしていくということが大切でございます。
そして、今、肥飼料検査所による検査あるいは監視の強化をしていかなければならない。一つには、重点検査対象の検討をする、あるいは二つ目には、農薬検査のための分析手法の開発をしていく、三つ目には、計画的な検査をどうしていくかということを検討していく、こういうことを求めてまいります。
そして、次期通常国会に向けて飼料安全法の改正を検討して、今後とも食品の安全性確保と畜産経営の安定に万全を期してまいりたい、このように考えておるところでございます。
○中林委員 私は、この無登録農薬の、諸外国あるいは、アメリカから一番たくさん日本は輸入しているわけですから、アメリカから広範に入ってきている、その実態は農水省としてつかんでいるのかどうなのか、まずそこをお答えいただきたいと思います。
○須賀田政府参考人 外国におきます飼料への無登録農薬の使用実態、遺憾ながら把握をしておりません。
○中林委員 大臣、BSE問題の教訓からいえば、非常に私は大切な問題だろうというふうに思いますね。だから、どういう状態で日本に実は入ってきているかわからないという状況をとても放置するわけにいかないというふうに思います。だって、家畜が食べてそれが脂肪だとか肉に残留農薬として移行する、そういうものが野放し状態になるということは許されないことだというふうに思うので、この実態調査、それをまずやるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○大島国務大臣 私どもも、今議論を聞いておりまして、先ほど副大臣がお話しなされましたように、飼料の大宗は輸入に頼っておる。だとすれば、そういう農薬の使用実態を把握した上で輸入飼料にかかわる所要の基準を設定する必要があると考えておりますが、そのためにも、外国における農薬の使用実態の調査をさせてみたい、このように思います。
○中林委員 肥飼料検査所の理事長に来ていただいております。ありがとうございます。
飼料はその大部分、今言いましたように、アメリカに依存しているわけですが、アメリカに配慮する余り国民の健康問題をないがしろにしては絶対いけないというふうに思います。日本国民の健康が第一義的に優先されなければならないというふうに思うし、肥飼料検査所、これも私はその役割を担っているんじゃないかというふうに思うんですね。だから、その肥飼料検査所において積極的に無登録農薬の実態調査、これをやりたいという職員の希望を絶対抑えることのないように、むしろ理事長が率先して、実態調査もやる、そしてそれを早急に、それに基づいた検査もやるという方向をぜひお述べいただきたいというふうに思います。
○佐藤参考人 独立行政法人肥飼料検査所でございます。
肥飼料検査所といたしましては、これまでも飼料の有害物質の指導基準に基づきまして、過去五年間で二千七百八十七件の飼料のサンプル、分析点数にしますと延べ二万三千になりますけれども、そういう検査を実施してきたところであります。その結果、基準違反が二件認められまして、これらにつきましては、輸入者に対して指導を行い、飼料としての販売が行われないよう措置してきたところであります。
それからまた、指導基準に盛り込まれていない品目、これは具体的には配合飼料原料になりますトウモロコシだとかマイロでございますけれども、そういう品目につきましてもモニタリング検査を実施しております。仮に問題が認められた場合には、今述べましたのと同様の指導を行うこととしているところであります。
このように、肥飼料検査所といたしましては、無登録農薬を含む農薬の飼料中への残留について検査、監視に努めているところでございますけれども、ただいまの大臣の御答弁、それから今回の無登録農薬の使用の問題、こういうことを踏まえまして、今後とも国の指導を受けながら、検査対象の検討、それから分析方法の開発、それから計画的な検査の実施等、監視体制の強化に努めてまいりたい、このように考えております。
○中林委員 基本的な御答弁をいただいたんですけれども、今回農薬取締法という、私はそれを本当に飼料の方にも引き寄せて、積極的に無登録農薬、飼料にも使われている今の実態、それを野放しにしていたら、本当に行政の対応だとかそういうものの責任が問われかねない問題があるわけですから、従来のやり方、法律に基づいておやりになっているのは私も重々知っていますけれども、きょう質問いたしましたのは、やはり無登録農薬が飼料に使われて、それがどういう形で日本に入ってきているのか、その実態も、実は国としてもまだつかんでいないとおっしゃっておりますので、そこの実態も肥飼料検査所としてもちゃんとつかんで、そして早急な検査をきちっとやっていただきたいということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。
そこで、アメリカもEUもオーストラリアも食肉の残留農薬基準、これを持っているわけです。アメリカなどでは食肉に対して約八百の残留農薬基準が設定されています。ところが、私びっくりしましたが、日本では食肉には全く残留農薬基準が設定されていません。先進国ではおくれた状況になっております。
厚生労働省にお伺いするわけですけれども、直ちに食肉に対する残留農薬基準を設定すべきだと考えるわけですけれども、その点、いかがでしょうか。
○尾嵜政府参考人 今先生から御指摘がございましたように、我が国での食肉に係ります残留農薬基準というのは、昭和六十二年に、輸入食肉に対しますDDTを含めた三種類の農薬に対します暫定的な基準値を設けているというところでございますが、それ以外につきまして、いわゆる食品衛生法上の七条に基づきます基準というのは設定しておらないというのは御指摘のとおりでございます。
私ども、次期通常国会に食品衛生法の改正案を提出するという考え方を持っておりますが、その中で、未設定の農薬の食品中への残留を原則禁止いたしますいわゆるポジティブリスト制という形を整理したいということで、その導入を検討しているところでございますが、その中で、農産物のみでなく、飼料を用いたことによります食肉への農薬の残留ということも勘案しまして、食肉もその対象とするよう考えているところでございまして、その中で整理をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
○中林委員 今厚生労働省の方から御答弁いただいているわけですけれども、確かに不十分さをお認めになったと思うんですが、六十二年に出されたのはあくまでも三種類であるし、それから暫定基準値ということで余りにも不十分だということで、言いましたように、アメリカなどは約八百の基準値をちゃんと設けているということですから、相当厚生労働省としては頑張っていただいて、食品衛生法改正の中ではきちっと盛り込んでいただきたいというふうに思います。
あわせてですけれども、厚生労働省にお伺いしますけれども、そのためには、飼料に関することでございますので、やはり農水省との連携というのは極めて大切だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○尾嵜政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、私ども、作業を進めていく際には、農林水産省とこれまで以上に連携を密に図りながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○中林委員 それを受けて農水省に伺うわけですけれども、要するに、食品衛生法で残留農薬の食肉への基準が決まっていけば、それをさかのぼって、今までのやり方だけではなくして、やはりそこを出発点にした飼料に対するちゃんとした指導基準というのを設けていかなきゃならないというふうに思うわけですけれども、厚労省との密接な関係、そういう形でおやりになるのか、少し踏み込んだ回答をいただきたいと思います。
○須賀田政府参考人 畜産物に残留する農薬は、恐らく飼料中に含まれる農薬が原因となるということが、そういう可能性が高いというふうに考えられますことから、畜産物中の残留農薬基準に合わせて飼料中の残留農薬を規制するということが基本的に重要であるというふうに認識しております。
さきの通常国会でBSE特別措置法、全会一致で成立を見たところでございまして、その中にも、ちゃんと飼料安全法に基づく規格の設定等について農林水産省と厚生労働省は連携をとれという規定がございまして、食肉の残留農薬の基準値と整合性のとれる形で飼料中の有害物質の許容基準値を設定していきたいというふうに考えております。
○中林委員 大臣、聞いていただいたと思うんですけれども、私は、飼料への無登録農薬の問題というのは本当に重大な問題を含んでいる。今食品衛生法でちゃんとした方向性も見えて、それとリンクした形で飼料の方にもやるということですので、ちゃんと大臣としてそこのところを監視していただきたいというふうに申し上げたいと思います。
そこで、ちょっとこの法案とは離れるんですけれども、中央競馬会の問題をちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。
中央競馬会が場外馬券売り場、ウインズ進出を山口県の小郡町にしようとする動きがございます。経過については、非常に長い経過を持っているので、触れる時間がありませんが、進出予定地、これは隣接地に県立農業高校があります。また上郷小学校、芸術短大、これも近くにあるわけですね。そのこともあって、実は住民団体が町民に対してアンケートをとりました。そうすると、千二十の回答中、ウインズ誘致反対、これが六三・五%、それから住民合意がとれていない、これが八〇%近くに上っております。
農水省は場外馬券売り場の設置基準というのを通達で出されているわけですが、その一つに、学校その他の文教施設及び医療機関から適当な距離を有し、文教上または保健衛生上著しい支障を来すおそれがないこと、それからもう一つ、地域社会との調整が十分行われていない場合は承認は行わない、こういう通達があるわけです。
今説明したように、この小郡町の場外馬券売り場、ウインズの進出問題は二項目とも反しているということですので、農水省は直ちに中央競馬会にこんなばかな計画はやめるように指導していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○須賀田政府参考人 山口県小郡町での中央競馬会の場外馬券売り場の設置計画、その地元との関係は先生とは少しく違った認識を私どもは持っております。
いずれにいたしましても、場外設備の設置の可否、一つは、先生言われますように、地元住民の意向、地元調整がどうかということ、そして場外設備の設備に関する基準の中に、確かに、文教施設及び医療施設から適当な距離を有し、文教上または保健衛生上著しい支障を来すおそれがないことという条件がございます。これらの条件を踏まえて、例えば文教施設との関係は、学校施設の位置と通学路との関係、こういうものを精査していきますし、その際には場外馬券売り場の規模、駐車場、アクセス道路、それから設置後における、ファンが幾ら来るか、それに対して警備員がどのぐらい配置されているか等々を考慮して判断をするということになるわけでございます。
いずれにしても、本件は、まだJRAから当方に承認申請がなされておりませんし、内容についても細かいところを承知してございません。現時点で判断する段階にはないということを御理解いただきたいというふうに思っております。
○中林委員 これまで私は、この山口県の小郡町のウインズ進出問題で農水省といろいろやりとりをしてまいりました。その都度、この二つ、今示しました通達の項目にいかに反しているかということを言うと、いや学校と予定地の間には谷があります、あるいは段差がかなりありますとか見えませんとか、いろいろなことを言っているので、きょうは私は証拠を持ってきました。私自身が現場に行ってきたんですね。(写真を示す)
だから、これをぜひ監督責任の大臣にも見ていただきたいと思って、近くに寄らないと見えないと思いますけれども、これが予定地の方から、これは道路なんですけれども、もう今こういうさくで一応出入りできない、跳び越せば幾らでも行けるんだけれども、こっちが学校です。それから、予定地から体育館がこういうところに見えます。それから、これはこっちが予定地で、道路があって、高校ですね。それから、農業高校なんですね、だから牧場があるんです。これは牧場から予定地を、一個だけ工場があるんですけれども、そのこっちにつくるわけですから、もう丸見えなんですよ。
だから、水路があるとかいろいろなことを、農水省がそういうことを言うのかなと思うんですけれども、現場で見て、もうこれは隣接地以外の何物でもない、ちょっと近いというものではないというふうに思うんですね。それなのに、JRAからまだ上がっていないから何も言うべき立場にないというのじゃなくて、明らかに通達に違反している、それが予定地だということであれば、もう今からJRAにちゃんと、通達をクリアしていないじゃないかということを言うべきではありませんか。大臣、どうですか。
○大島国務大臣 写真を拝見しましたが、立体感が私には浮かんでまいりません。
したがいまして、先ほど局長が答弁されましたように、中央競馬会から当方に承認申請がまだなされておらない段階でございまして、内容についても具体的に承知しておりませんので、現時点で判断する段階にないことを御理解いただきたい、このように思います。
○中林委員 そういうことを言われるから私はわざわざこれを持ってきたんですよ。なかなか大変でしたけれども、自分も行って、見てもきて。
JRAの立場に立つのじゃなくて、農水省がこんなところを承認したら農水省の責任問題にかかわる、そういう問題だということを申し上げて、直ちに中央競馬会の方にこういうばかな計画は中止せよと言っていただきたいことを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。
○小平委員長 次に、山田正彦君。
○山田(正)委員 今回の無登録農薬、これが発覚したというか、山形県警が七月三十日に逮捕をした、それから大きくなったわけですが、以前からうわさがあった。
質問通告はしておったんですが、大臣、農水省としてはいつごろからその事実を聞いておったでしょうか。
○大島国務大臣 昨年の八月三日に山形県から、ダイホルタンとプリクトランが県内で販売されているとの情報提供に基づき立入検査を行う予定である旨の報告があった、こういうことを伺っておりました。八月七日に立入検査の結果、販売の事実をつかめなかったとの報告が県からあったと私は報告を受けております。
○山田(正)委員 農水省に昨年、ことしじゃないです、平成十三年に、山形県のいわゆる農水課ですか、そこから相談があった。それで、どのようなことをその相談に対して農水省はお答えしたのか。
○大島国務大臣 私もそのことの経過を、二回か、その辺ぐらい聞きました。そしてそれを受けて、当時の担当者は、農家まで立入検査をして使用の事実をつかんだ上で、再度販売店への立ち入りを行うように県に助言したそうですが、その後、県からの報告はなかったということでございます。
○山田(正)委員 農水省としては、その大事なこと、いわゆる無登録農薬が大量に使われてきているという事実、そういったものが山形県から報告がありながら、単に県に指導するだけで、それで終わった。それでいいんでしょうか。
○大島国務大臣 委員から御指摘があるように、決してよくないと私も思っております。したがって、その時点の経過を聞けば、まさにもっと強く国も言って、そしてフォローすべきであったということは十分に反省しなければならない点だと思います。したがって、二度とそういうことがないようにするためにどうしたらいいか、そういうシステムの構築を図っていかなければならぬ、このように思っております。
○山田(正)委員 当時の新聞を見ますと、「無登録農薬 県が農水省指導怠る」、そしてさらに、これは河北新報ですが、八月十五日、「無登録農薬問題 山形県、国の助言放置」。国は助言したけれども、山形県がそれを放置した。
この無登録農薬のうわさそのものは平成七年からあった。それはもう大臣も御存じだと思いますが、そういったことで、そのことの相談を受けながら、国は、県がやるべきことであって我々は知らない、農水省は知らない、そういう形で今まで来たんじゃないか。
ところが、この改正案の前の現法律、それによると、大臣、読まれたかと思いますが、農林水産大臣は当然この事実がわかったら立入検査をしなければならない、することができる、農水省はやらなければいけない。当然これは国民にとって大事な問題、国民の安心、安全、健康にとって大事な問題、これを農水省は、今の大臣だとは言いませんが、前大臣も含めて放置してきたこの責任、これについては大臣としてどう思われるか。
○大島国務大臣 先ほど冒頭に申し上げましたように、事情、経過を私なりに報告を受けまして、県にきちっとやるようにと言いながら、その後のフォローがなかった、足りなかったということについては、本当に私ども深く省みなければいかぬ、こう思っております。
したがいまして、今、そのときのことをどういうエクスキューズをしようが、私どもは、二度とそういうことがないようにすることが責任ではないか、そういうふうなために連携システムをしっかりすることと同時に、私どもは、何回か申し上げましたが、無登録農薬問題というものに対して、国民の食品の安全と安心を守るために、本当にこの問題に関しては厳しい姿勢で当たるという、このことを大事にして、連携システムのあり方をさらに検証しながら検討してまいることが今一番の責任だと思っております。
○山田(正)委員 今回の立入検査、全国約六万カ所ぐらいの立入検査をやった、そしてかなりの量の無登録農薬を調べ上げた。そして、実際にそれを使用したリンゴとかナシとかそういった野菜についても廃棄処分にした。それほど大事なこと、大変なこと。それを、私が最初にこの問題のレクを受けたときに農水省のお役人はどう言ったかというと、これは県が調査を、立入検査をやらなかったんです、県の責任なんですという言い方をしたわけなんです。
今、大臣はこういう言い方をなさいました。国は県に対して指導したというか、立入検査しなさいと言ったけれども、それが不十分であった、それについてのフォローを国がしなかったその責任は大きいという言い方をしたかと思いますが、フォローしなかったでなく、国みずからが真っ先に、例えば平成七年から情報はあったわけですから、大事な人の健康の問題に対してなぜやらなかったのか。こういうことがBSEの問題でもあり、いろいろな問題で農水省の態度というか農水省の姿勢そのものが問われるべきだと思うんですが、今の大臣の答弁だと、やはり相変わらず、国がその後フォローしなかったのがいけなかったんだ、そこにとどまっているような気がする。
大臣、こういうことの場合に農水省としてどういう方針で臨むか、それをひとつ明確に言っていただきたい。
○大島国務大臣 一番大事なことは、情報がばらばらにあって、そしてその情報に対する判断がまたばらばらにあったところにシステムとして一番問題があったと私は思います。
したがって、無登録農薬の販売、使用に対する提供情報をまず一元管理して、各都道府県に情報提供すること。そして、立入検査の徹底を指示するとともに、広域的案件等について国みずからが販売業者等への立入検査を実施すること。それにより、立入検査の際に、無登録農薬の販売実態、商品名ですが、見逃さないように措置すること。さらに、都道府県、県の場合でも、農林部局と衛生部局の連携、そういうものが問題でございます。
いずれにしても、私どもは、今、山田委員のお話、指摘を受けたように、フォローが足りなかったというのは、その時点での自省、反省として私ども持たなければいかぬ。今後、先ほど申し上げた三点の改善点をしっかりやり、そして無登録農薬についてはこうして法の改正案まで御議論をいただいておるわけでありますから、私どもはこの問題に本当に、大変重要かつ国民の食の信頼と安全を確立するための大きな柱であるという認識を持って取り組むことだと思っております。
○山田(正)委員 これからはそうするとおっしゃっていますが、私は、これからはこれからはというのではなく、当時、平成七年からうわさがあって、平成十三年にははっきりとその事実についての相談を受けながら、それを放置した農水省、国の責任者の処分、行政処分、調査してやらなきゃいけない。当然すぐに立入検査して、この法律からしたって立入検査してやらなきゃいけなかったのをやらなかったいわゆる任務懈怠責任についての、大臣、庁内での行政処分の考えはないのか。これは当然やるべきだと思いますが。
○大島国務大臣 行政処分の問題については、今の時点で、やりますということは考えておりません。
今、山田委員からさまざまな御指摘、そして問題提起をなされました。繰り返すようですが、我々自身の反省というものをしっかり踏まえた上で、二度とこういうことが起きないようにする仕組み、システムを本当に真剣に考えていくことが大事かと思います。
○山田(正)委員 明らかに任務懈怠責任がある。やらなきゃいけない、法律上。当然、国民のために、農水省としては、そういう農薬の云々について監督責任がある。それをしなかったんだから、その任務不履行についての、いわゆる任務懈怠についての行政処分は当然必要ではありませんか。それを今考えていないというのは、大臣は責任逃れである。
○大島国務大臣 そこまでのことは私、考えておりませんと申し上げました。ただ、その事実経過、その流れ、そういうものはさらに、今後二度と起こさないようにするためにも、私なりにもう一回勉強し直してみたい、こう思っております。
○山田(正)委員 それでは、実は先般、有明法の審議のときに、大臣に酸処理の話をお聞きいたしました。いわゆる酸処理、一月になってノリ棚を入れるときに、酢酸とかいった酸の中にそれをつけてもう一回海の中に入れるということは、そのノリにいろいろな雑草というかいろいろなコケ類、そういったものがつかないように、除草剤としての役割としてやっている。そうすれば、これは除草剤、一種の農薬だと考えるが、大臣、いかがお考えでしょうか。
○大島国務大臣 農薬取締法の農薬ではない、このように私は聞いております。
○山田(正)委員 確かに、農薬取締法を調べてみましたら、農薬とは、農作物、いわゆる樹木及び農林産物を含むと。いわゆる農林産物を含むと言っているので、水産産物は含まれていない、ノリは含まれていない。
ということは、いわゆるノリに対して、あるいは水産物、今いろいろな魚介類の養殖が盛んである。もうほとんどが、今中心を沿岸漁業も養殖に移している。その養殖に対して、いろいろな薬、薬品、農薬類似のもの、そういったものが使われている、それは大臣御存じだと思う。それに対しては、全くそれでは法規制がないのか。ほかにも法律があるのか、農薬取締法に類するものは。水産物がこの農産物に含まれていないとすれば、それはいかがなものか。
○大島国務大臣 水産用医薬品の製造については薬事法による承認が必要である、こうあります。これはある意味では、山田委員も御承知だと思いますが、その薬事法の承認の際に、安全性、有効性、残留性等を審査し、問題のないものが承認されている、このようになっております。
また、その使用につきましては、生産された養殖魚によって人の健康が損なわれることのないよう、対象魚と対象医薬品を定めて、使用の時期等について所要の遵守基準を定めているものでございます。
○山田(正)委員 薬事法というと、いわゆる人間に適用するもの、それが魚にも適用されている、そういう趣旨と解して、大臣、いいものかどうか。
○大島国務大臣 そう言われればそうかもしれませんが、いずれにしても、先ほど申し上げたような、法律で基準がなされております。
今の議論を聞きながら、私の気持ちの中にも、どうも、どういう経過でこうなったのかなという気持ちはちょっと芽生えております。
○山田(正)委員 大臣、十年ぐらい前、いわゆる鹿児島あるいは長崎でも問題になったのですが、フグの養殖でホルマリンが大量に使われた、そしてアコヤガイがほぼ全滅するほどの被害を受けた。これは法律に反するのか反しないのか、大臣、いかがと思いますか。
○大島国務大臣 フグの養殖におけるホルマリンの規制状況でございますが、ホルマリンの代替薬となる医薬品が既に承認されております。その使用を今指導しているところでございまして、ホルマリンは、薬事法の承認を受けていないことから、通達によって使用しないよう指導しているところでございます。この旨、持続的養殖生産確保法に基づく漁場改善計画にも含められております。
また、熊本県のように、漁業調整委員会指示によりその使用を禁止している例もあるなど、指導の徹底を図っております。
○山田(正)委員 大臣にお聞きしたいのは、質問通告しておったもので、いわゆるホルマリンを当時使っておった、かなり大量に。私もこの目で見てきたことがある、いわゆるフグの養殖に。ということは、何らそれを規制する、処罰する、刑罰に処する法律があったのかなかったのか、その一点だけ答えていただければいいのです。
○大島国務大臣 ホルマリンの使用についての法的規制はなかったと聞いております。
○山田(正)委員 ということは、養殖漁業において、ハマチからタイからあらゆる養殖魚について、今一戸当たりの経営体で月に約三十万から百万ぐらいのいわゆる薬品、農薬に類似のいろいろな虫の殺虫剤等々といったものを使っている、これは。
そういったものが、今ホルマリンについては代替のものを開発して、それを使うように指導しているというだけ。何ら法律規制がない、野放し。では、ほかのもの、農薬と言えないとしたら、ほかの水産物のそういった農薬類似のもの、多分農薬みたいなものを使っているわけですから、そういったものについて全く野放しで、農水省は責任をとっていると言えるのかどうか。
○大島国務大臣 今、山田委員から養殖事業の月百三十万から百五十万ぐらい今薬にかけておる、ああそんなにかけているのかなというふうな思いを持ちました。
山田委員からたびたび、養殖事業、ノリ、有明の問題も含めて、質問を受けておりますが、私のところの陸奥湾もまさに養殖でございます。養殖事業とその使われている、私農薬ではないと言ったものですから、薬との関係を、今聞きながら全体のあり方を少し勉強しなければならぬな、私自身、個々的ではなくて、海の持続的な力を持つためにも、そういうふうな思いで今御意見を承っておりました。
○山田(正)委員 大臣、先ほどの中林先生の質問の中で、食肉について、残留農薬基準が全くなされていないという話をされておりましたが……(大島国務大臣「肉の飼料でしょう」と呼ぶ)えさも肉も、残留農薬についての基準がない。そうすると、魚について、養殖魚についても、いわゆる薬を使いながら残留農薬基準も全くなされていないという事実、これは大臣、ひとつ、事実でなければ事実でないとお答え願いたいのですが、それについても今後の問題としてどう考えられるか。
○大島国務大臣 抗生物質については山田委員御存じのようにあるようでございます。あるわけですが、これほど食の安全と安心という問題があり、そして増養殖事業、特に囲まれた内海的なところで行われる問題について、その残留農薬というか、薬ですね、それから自然、そういうものを私自身もかねがねどうあるべきだろうかという思いの疑問はずっと持ってきたものですから、少し、どういうふうに実態を、もう一度全体を見ながら、そしてきちっと勉強して研究していかなければならぬなという思いでおります。
○山田(正)委員 食肉の抗生物質については、確かに基準がございますね。いわゆる養魚、魚についてはあるんですかね。ちょっと後ろに聞いてもらって結構ですから。
○大島国務大臣 魚もやはり残留してはならないという基準になっておるそうでございます。
○山田(正)委員 残留基準を、これは農薬じゃありませんが、抗生物質、これを使って、その基準を超えた場合に、その処罰の規定があるのかどうか、あるいは回収する義務が定められている規制があるのかどうか、後ろに聞いてもらって。
○大島国務大臣 発見された場合は回収するという規制になっているそうでございます。
○山田(正)委員 それは通達なのか、あるいは罰則まで定められているのか、それを使った場合の、残留基準を抗生物質が超えた場合。
○大島国務大臣 罰則だそうでございます。
○山田(正)委員 抗生物質はいわば薬事法にも適用されるものであって、確かにそれだけ厳しい規制はあると思うんですが、農薬そのものについて、いわゆる薬そのものについて、ホルマリンとかその他の、もう今日本では使われていないようになっていますが、魚では使われておった。取り締まりもできなかったという事情がありました。
そういったことで、そういった一般について、それなりの十分な対応をひとつ大臣にお願いしたい、そう思って、次の質問に移りたいと思います。
実は私、ことしの夏、ヨーロッパ、EUに行ってきたのですが、その中で、こういう話があのブリュッセルで出ました。日本は農薬天国であると。オランダにおいて、切り花、花においても既に農薬は使えなくなりました、二十二種類の天敵を使って花の栽培をしております、日本はまさに農薬天国である、そういう話を聞きましたが、ヨーロッパにおける農薬の使用基準、例えば、その農薬を認める範囲とかあるいは農薬の使用量を認める規制とか、そういったものと日本はどれくらい違うのか、ひとつ事前に質問通告しておったのですが、大臣にお聞かせ願いたい。
○大島国務大臣 委員御指摘のように、農薬を使う量、これは我が国はヨーロッパに比べて、そのとおり、多うございます。そういう観点から、私ども、ヨーロッパに比して、総合的にと言っていいと思いますが、その農薬自体の安全か安全でないかという基準においては、ヨーロッパに比べて非常に緩やかだということではなくて、私どもは、ヨーロッパと比して同じぐらいの厳しさで対応していると認識しております。
○渡辺(具)大臣政務官 ヨーロッパ諸国におきます残留農薬基準につきましては、EUが定めております指令に基づいて決めるものと、それから、各国がそれに加えて独自に定めるものの二つがございます。そして、現在、EU委員会において定めまして各国に指令を出しておりますものは、一九九九年六月現在で百十六の農薬成分について指令を発しております。
そういう指令を受けまして、各国がどういうふうに残留基準を決めておるかという状況につきましては、その詳細は把握しておりませんが、例えば英国につきましては、この百十六に加えて独自の、英国の分も含めて、百五十農薬について基準を定めておるところでございます。
したがって、山田委員が御指摘になりました、日本は多いんではないかというお話がありましたけれども、量的あるいは種類、いろいろな見方があろうかと思いますが、少なくとも基準の種類からいいますと、先ほど言いましたように、EU指令が百十六、それから英国が百五十でございますが、それに対して日本は二百二十でございますので、種類の面でいえば、確かに山田委員御指摘のように多いと言えると思います。
○山田(正)委員 種類は確かに倍以上あるわけで、倍以上、それだけ農薬を日本は使われる、いわゆる禁止されていない、いわゆるEUの倍近く農薬の使用が緩やかに認められている、大臣。そうすると、先ほどの大臣の答えとはちょっと違ってくるんじゃないですかね。
では、厚生労働大臣政務官にお聞きしますが、量的な使用基準はどうなんですか、EUと比べて。
○渡辺(具)大臣政務官 先ほど申し上げましたように、厚生労働省で定めている二百二十九について、あるいはヨーロッパの基準については種類と残留濃度を決めているわけでございまして、量的な規制はいたしておりません。
○山田(正)委員 日本では残留濃度をやはり決めているわけですか。
○渡辺(具)大臣政務官 残留濃度の方は決めておりますが、農薬の使い方等については農林水産省の所管であります。
○山田(正)委員 では、大臣にお聞きします。
○大島国務大臣 山田委員、先ほど申し上げましたのは、農薬を使っていいかどうかという基準、いわゆる量ではなくて、基準そのものについては、EUより私どもの方が甘いということではございませんということを申し上げたんです。使用量については、それは日本の方が多うございます、こう申し上げた。
そして、では、登録の数を申し上げますと、日本の場合は五百五十種類、EUは約八百種類と私は聞いております。
○山田(正)委員 どうもよくわからないんですが、八百種類登録してあって、百十六種類しかEUでは認めてないということなんでしょうか。厚生労働大臣政務官。
○大島国務大臣 EUで農薬として登録しているのが約八百種類と私聞いております。
○渡辺(具)大臣政務官 すべてに基準が定められているわけではなくて、EUで定めているものが百十六ある、こういうことでございます。
○山田(正)委員 どうもよく理解できないんですが、ただ……(渡辺(具)大臣政務官「私が今申し上げたのは、残留農薬基準であります」と呼ぶ)
○小平委員長 政務官、指名を受けてから発言してください。速記者が困りますから。
○山田(正)委員 私がちょっとはっきりしたいのは、EUと日本と比べて、農薬の規制が甘いんじゃないか、その中で大臣は初めて、使用量は日本の方が随分多いということはお認めになられた。
では、農薬の種類については、日本とEUではどっちが多く、少なく、認められているのか。その点、ちょっと厚生労働大臣政務官と両方調整して、一つの意見にしてくれませんか。
○大島国務大臣 政務官がお話ししたのは、残留農薬基準がある種類を言ったと思います。
もう一度申し上げますと、いわゆる農薬として登録されているもの、これは日本の場合は約五百五十種類、有効成分で五百五十種類。EUではその基準では八百種類、このように聞いております、報告がございます。
そして、使用量でございますが、これは、理由はもう申し上げません。オランダ、ベルギーでは我が国の約七割程度しか使ってない、イタリアでは四割程度、フランスでは二割程度、このような使用量になっているというふうなことでございます。
○山田(正)委員 大臣、今お話あったように、いよいよ次の通常国会で食と安全の問題の審議に入るわけですが、まさに農薬の問題は健康の問題、食の安全と安心の問題、そういう意味では、十分EUの規制とかそういったもの、そして農水省の、幾ら規制しても、最初にお話ししましたように、無責任な姿勢、これこそが問題だという意味で、ひとつ大臣、最後にもう一回。
今回の問題について、その発端は山形で起こったことなんですが、私もかすかにそういううわさは前からずっと聞いておった。当然、農水省もその事実はもう十三年、昨年、相談があったのは事実ですから、うわさも前から、平成七年から聞いておったはずで、その件に関しても十分調査の上、毅然たる責任を、態度を、姿勢をとってもらわないと、幾ら今度の法案、農薬取締法の改正をやったとしても同じこと。同じことの結果になってしまう。やはり本当に農水大臣が、はっきり法律でも農水大臣の監督責任をうたわれているように、農水大臣がここでそういう姿勢をきちんと示すこと、これがこの法案の審議よりもはるかに大事である、そう考えておりますが、大臣、私の質問はこれで終わりますが、最後にそれについて明確にお答えいただければと思います。
○大島国務大臣 私が勉強をして、この場に向かった、そのこと以上に、皆さんからの御指摘の深刻さと問題点は今強く感じております。したがって、もう一度その経過を私なりに勉強しながら、二度とこういうことがないように、どのようにしたらいいか、モラルハザードの問題も含めて、法律のことも、体制も含めて、しっかり受けとめて努力してまいりたい、このように思っております。
○山田(正)委員 終わります。
○小平委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○小平委員長 この際、本案に対し、鉢呂吉雄君外二名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。鉢呂吉雄君。
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農薬取締法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○鉢呂委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、農薬取締法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
今回の農薬取締法の改正案は、輸入代行業者を介した個人輸入の増大、輸入業者による違法輸入等により、無登録農薬の流通、使用の実態が明らかとなり、国民の食に対する信頼が大きく損なわれたことから、これを回復すべく急遽提出されたものであります。
改正案では、無登録農薬の製造、輸入の禁止、無登録農薬の使用規制の創設、農薬使用基準の設定、違反に対する罰則の強化等がなされておりますが、全く不十分な措置であると言わざるを得ません。
まず、農政や食品安全行政の視点から見ると、食料・農業・農村基本法において、自然循環機能の維持増進ということがうたわれているにもかかわらず、その視点が欠けていること、また、さきのBSE問題に関する調査検討委員会報告においては、食品の安全にかかわる個別法で消費者の保護や安全性の確保を明文化することとしていますが、この点についても何ら措置が行われていないことであります。
これらの点について、前大臣の一言により緊急に提出されることになったという経緯はあると考えますが、しかし、農薬が食品の安全性に与える影響を考慮すると、改正案には幾つかの大きな問題点があると言わざるを得ません。
それは、販売禁止農薬等の回収義務や使用者の記録作成義務、農薬情報の提供等、法の規制を担保する措置が抜け落ちているため、実効性の確保が甚だ困難であるということであります。
また、改正案においては、販売業者について事前届出制に改められ、防除業者については規定が削除されておりますが、今回の無登録農薬事件に見られるように、一部の販売業者において農薬登録制度に対する遵法意識が低いこと、また、業として農薬散布を行う防除業者については、周辺の環境へ与える影響が大きいことから、これらを登録に係らしめることが必要と考えられます。
さらに、現在の国内食用登録農薬のうち半分程度しか残留農薬基準が設定されていないという点については、国民の関心も高く、一刻も早く基準の整合性をとる必要があります。
政府は、次期通常国会において食の安全のための関係法を整備すべく、これらの点について見直しを検討しているとのことですが、省庁間のあつれき等から実のある改正が行われるのか、甚だ疑問であります。
こうしたことから、法改正の実効性を確保し、安全で安心な農産物の供給を確保し、国民の食に対する信頼を回復するため修正案を提出した次第でございます。
修正案は、お手元に配付してありますけれども、以下、その概要だけを申し上げます。
第一点は、農薬の登録保留基準に関し、環境大臣が定めることとされる残留農薬に関する部分については、食品衛生法に基づく残留農薬基準によることとしたことであります。これは、いわゆる農薬登録と残留農薬基準の同時設定ということを担保しておるのであります。
第二点は、販売者及び防除業者は、農林水産大臣または都道府県知事の登録を受けなければならないこととしたことであります。
第三点は、農薬の使用者は、農薬の使用状況等に関する記録を作成、保存しなければならないこととしたことであります。
第四点は、農林水産大臣等が指定する農薬を使用する者は、都道府県知事が認定する講習を受講しなければならないこととしたことであります。
第五点は、農薬の製造者、輸入者、販売者及び防除業者は、農薬管理指導士を置かなければならないこととしたことであります。
第六点は、農林水産大臣は、無登録農薬または販売禁止農薬について、販売者に対し回収を命ずることができることとし、命令に違反した者については罰則を科すこととしたことであります。
第七点は、農林水産大臣等は、無登録農薬及び販売禁止農薬に関する情報を積極的に公表しなければならないこととしたことであります。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますよう、国民の代表たる国会で、ぜひ、委員各位が、国民の安全を守るために我が修正案に全員賛成いただくことを心からお願い申し上げまして、修正案の説明とさせていただきます。
以上でございます。(拍手)
○小平委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○小平委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、農薬取締法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、鉢呂吉雄君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○小平委員長 次に、内閣提出、農水産業協同組合貯金保険法及び農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣大島理森君。
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農水産業協同組合貯金保険法及び農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○大島国務大臣 農水産業協同組合貯金保険法及び農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農漁協系統の信用事業のセーフティーネットにつきましては、従来から、他の金融機関のセーフティーネットである預金保険制度と同様の農水産業協同組合貯金保険制度を設けているところであります。今後とも、農漁協系統の信用事業が我が国金融システムの一員として適切な運営を行っていくためには、そのセーフティーネットについて、他の金融機関と同様の整備を図ることが必要であります。
このため、預金保険制度の見直しにあわせて、農水産業協同組合貯金保険制度について、これと同様の見直しを行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。
第一に、為替取引等に用いられ、かつ、要求払い、無利息である貯金については、決済用貯金として、農水産業協同組合の破綻時にその全額を保護することとしております。
第二に、農水産業協同組合が破綻前に依頼を受けた振り込み等の仕掛かり中の決済の結了を可能とするため、仕掛かり中の決済債務を全額保護することとしております。また、農水産業協同組合貯金保険機構が、経営困難農水産業協同組合に対して決済債務の弁済のための資金を貸し付けることを可能とし、あわせて、決済債務の弁済や相殺を可能としております。
なお、流動性貯金は、平成十七年三月末まで全額保護することとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、明二十日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五十九分散会