衆議院

メインへスキップ



第10号 平成14年12月4日(水曜日)

会議録本文へ
平成十四年十二月四日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 小平 忠正君
   理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
   理事 鮫島 宗明君 理事 楢崎 欣弥君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      青山  丘君    荒巻 隆三君
      石田 真敏君    岩倉 博文君
      岩崎 忠夫君    梶山 弘志君
      金子 恭之君    上川 陽子君
      北村 誠吾君    熊谷 市雄君
      小泉 龍司君    近藤 基彦君
      七条  明君    高木  毅君
      西川 京子君    原田 義昭君
      福井  照君    川内 博史君
      後藤  斎君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    筒井 信隆君
      鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君
      山内  功君    井上 義久君
      江田 康幸君    高橋 嘉信君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    山口わか子君
      藤波 孝生君
    …………………………………
   農林水産大臣       大島 理森君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房技術
   総括審議官)       大森 昭彦君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (農林水産省経営局長)  川村秀三郎君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長
   )            太田 信介君
   政府参考人
   (農林水産技術会議事務局
   長)           岩元 睦夫君
   政府参考人
   (食糧庁長官)      石原  葵君
   政府参考人
   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月四日
 辞任         補欠選任
  石田 真敏君     原田 義昭君
  宮本 一三君     福井  照君
  江田 康幸君     井上 義久君
  藤井 裕久君     高橋 嘉信君
同日
 辞任         補欠選任
  原田 義昭君     石田 真敏君
  福井  照君     上川 陽子君
  井上 義久君     江田 康幸君
  高橋 嘉信君     藤井 裕久君
同日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     宮本 一三君
    ―――――――――――――
十二月三日
 BSE対策特別措置法に基づく基本計画の充実に関する請願(中林よし子君紹介)(第六四八号)
 同(松本善明君紹介)(第六四九号)
同月四日
 食の安全確保のための表示制度等見直し強化に関する請願(工藤堅太郎君紹介)(第七八二号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第八三三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 農林水産関係の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
小平委員長 これより会議を開きます。
 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房技術総括審議官大森昭彦君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、農林水産省経営局長川村秀三郎君、農林水産省農村振興局長太田信介君、農林水産技術会議事務局長岩元睦夫君、食糧庁長官石原葵君、林野庁長官加藤鐵夫君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君及び環境省総合環境政策局長炭谷茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二田孝治君。
二田委員 おはようございます。
 昨今、米政策大綱というようなことでいろいろ世間の注目を浴びておるわけでございます。そして、これは主に食糧庁長官の諮問機関でありますところの生産調整に関する研究会においてこの政策大綱が練られた、そのように聞いておるわけでございますけれども、私どもが昨年まで論議しておりましたのはどういうことかというと、いよいよ生産調整も必要であるので、それは面積から数量に配分するという議論がずっと私どもの中で展開されておったわけでございます。
 ではございますけれども、いつの間にかそれが生産調整の主体者がどこになるのかという議論にすりかえられてきたような感じがするわけでございます。でございますので、この石原長官の諮問機関でありますところの生産調整に関する研究会、これがどういう意図で初めから設けられてきたものであるのか、そして、どのような論議がそこでそういうふうに生産調整の主体者の問題に成りかわってきたのかということをまず長官からお伺いしたいと思います。
石原政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御質問にありました生産調整に関する研究会、これは昨年の十一月に農林水産省で決定いたしました「米政策の見直しと当面の需給安定のための取組について」というものに基づきまして設置したものでございます。
 これは、もともと公平性の確保のための制度的枠組みなどの実効ある多様な措置を含めた生産数量管理に関する諸課題、ただいま委員の方からお話ございました面積から数量へ、この問題でございます。それから、計画流通制度にかわる安定供給体制の具体的内容、この二つについて検討するということでこの一月に設置したものでございます。
 この研究会でいろいろ議論がされたわけでございますけれども、一つには生産面、消費面での構造変化への対応のおくれがある、それから、生産調整面積が過去最高となる中での限界感、効果への疑問がある、さまざまな問題が指摘されまして、これを踏まえましてこれまでの生産調整対策の分析、検証を行った結果、狭い意味での生産調整の問題だけでは米問題は片づかない、むしろ米の流通や経営対策、それから農業生産対策等の関連政策のあり方も含めまして、総合的な検討を行う必要があるということで、全会一致で決定したところでございます。もちろん、全会一致でございますので、農業生産者の団体の方、それから流通の関係の方、すべてを含めてこのような総合的な検討を行うことが必要だということで意見が一致を見たところでございます。
 このような経緯を経まして研究会では議論を進めてまいりまして、御案内のとおり、十一月二十九日に「水田農業政策・米政策再構築の基本方向」というものを取りまとめた次第でございます。
二田委員 この議論の経過をずっと見ております。そしてまた、この大綱が発表されました。そして、この議論の経過というものをずっと見ておりますと、どうしましても農業、殊に米を、市場重視、消費者重視の方向にばかり多く議論されていた感は否めないわけでございます。
 農業というのは自然形態を相手にして営む産業でございます。そしてまた、そのほかに何があるかというと、今までのいろいろな歴史を踏まえて成り立っておる、そしてまた、地域というものもそこで形成されておる、自然というものも守っておる、環境も守っておる、いろいろな多面的機能があるわけでございまして、そういうものはさっぱり議論されないで、ただ一面、市場重視、経済効果、このことのみで偏っていたような感を強く受けてまいるわけでございます。
 食料は人間の生命維持にとって大変重要なものでありますし、これなくしては生命自体はできないわけでございますので、その大宗をなすものがこれは米でございます。そしてまた、稲作というのは、自然を守り、人間の心を安らげさせ、いろいろな多面的機能が認められておる。それはウルグアイ・ラウンドでも我が国が強く主張していることであるわけでございますけれども、この面が少しく軽視されておるような感じがいたすわけでございます。
 北村副大臣と私どもは当選以来一緒になってこの問題もまた討議してまいりました。そして、ともに日本の農業のあり方、なぜこの国に農業が必要なのか、米が必要なのか、そしてそれが私どもに、人間にどういう影響を与えているのか、日本にどういう影響を与えているのか、社会にどういう影響を与えているのかということをいろいろと議論してまいったわけでございます。
 今、政府の重要な一員として位置しております北村副大臣、この米政策大綱と、そしてこのあり方についていかなる考えを持っているのか、ひとつお聞かせいただきたい。
北村副大臣 まず、おはようございます。
 そして、二田議員から厳しく農業のことについての、また見解をお聞きさせていただきました。一緒に農政あるいは一次産業の政策について議論をし、二田先生が見識の高い、そしてまたきちっとしっかりとした一次産業の政策をお持ちであるということは、私もこれは認めるところでございます。そういった中で、今御質問をいただきました消費者重視あるいは市場重視ということで多面的機能や食料の安定的供給ということについては今回の大綱では随分と議論されなかったんではないかというような御指摘がございました。
 しかし、委員御指摘のとおり、我々は特に食料・農業・農村基本法における重要な基本理念として、農業の多面的機能の発揮やあるいは食料の安定供給の確保ということについては、相当な時間をかけて議論をして、それをしっかりと基本理念として新農業基本法に入れたわけでございます。
 ですから、我が省は、その理念を体してこれからも、一次産業の、特に農政における行政の推進においてはこれを展開していかなければならない、このように考えておりますし、また、それをなくしては農林水産省というものはあり得ないというふうに思っているところでございます。
 ただ、今回のこの米政策改革大綱においては、この中にも盛り込まれておりますとおり、水田の利活用の促進と多面的な機能の発揮をするために、効率的、安定的な経営体の確立、あるいは、田畑の輪換を中心とした持続的輪作体系に基づく水田の営農、あるいは、水利用事情を踏まえた畑作等を推進していくということも盛り込まれております。
 あるいは、食料の安定供給の確保を図るために、担い手の育成をしていく、あるいは生産体制を確立していく、そして、政府の備蓄の適正な運営をしていく、あるいは、危機管理体制を、系統的な体制をしっかり整備していく、そういうことが今回のこの大綱に盛り込まれておりますので、先生から御指摘をいただきましたけれども、そのことを踏まえて、我が省は新農業基本法における理念というものを明確に位置づけさせていただいておりますので、それをもってしっかりとした行政を行っていきたい、このように思っているところでございます。
二田委員 北村副大臣の意気込みがよく理解できるわけでございますけれども、この米政策大綱、私どもが見ておりましても、どうしてもやはり、市場重視。市場重視、消費者重視ということは当たり前のことなんでございますけれども、一方、農業の多面的機能、農業基本法の精神というものが十分に生かされているとは言えないような感が強くいたしますので、その辺をこの運用におきましてはよくよく留意しながらやっていただかなきゃならない、こう思いますので、その辺の御主張は副大臣みずからひとつよろしくお願い申し上げたい、こう思います。
 それでは、個々のことにつきまして、この政策大綱を中心にしながら少しくお伺いいたしたいと思います。
 まず第一に、生産調整をするための数量というものをきっちりと把握しなければならないわけでございます。生産量の把握でございますけれども、この生産量の把握につきましては、生産量の把握から面積が割り出されてくるわけでございますけれども、どのぐらい当年で需要があるのか、そして、それに基づく作付というのはどのぐらいであるのかというような判断がとてもこれは大事になってまいります。
 その判断や基準というものは、これは一体どこでやるのか、まずこのことを明確にしていただきたい。
北村副大臣 先生御指摘をいただきました生産調整の配分、多分、国がこれから手を引くのではないか、こういう議論が自由民主党の中でもされたようでございます。
 しかし、今般の決定されました米政策改革大綱におきましては、需給調整については、平成二十年度に農業者あるいは農業者団体が主役となるシステムを国と連携して構築をする、これが明記をされているわけであります。そして、このシステムの移行期間においては行政と農業者団体との両ルートで配分を行いつつ、農業者、農業者団体の自主的、主体的な取り組みの強化を目指すこととしている、これはもう委員御承知のとおりでございます。
 そういう面で、この移行期間を経て、平成二十年度に農業者、農業者団体が主役となるシステムに移行し、国による配分を行わない体制を構築することが今回の改革の内容でございます。
 この場合、農業者、農業者団体が主役となるシステムにおいて、国及び地方公共団体と農業者団体がそれぞれどのような役割を果たすか、あるいは、これを食糧法にどう位置づけるのか、今後詰めなければならない課題は残っておりますけれども、この点については、農林水産省と農業者団体でワーキングチームを設置いたしまして、必要に応じて生産調整に関する研究会の委員も入っていただきながら、この調整、検討を行ってまいりたい、このように今回の大綱の中では決めさせていただいたところでございます。
二田委員 副大臣は私の聞かないことまで、これから聞こうと思っていることまで答えていただいたわけでございますけれども、私が今お聞きいたしましたのは、そのことではないのでございます。
 そのことは後で聞こうかと思ったんですけれども、そうじゃなく、この大宗になるところの需要量やそれに基づく面積、こういうものはどこで決めて、どこで指示して明示していくのかということ、そのことをお聞きしたんです。具体的なことをお聞きしたのでございまして、長官の方がいいかな。
石原政府参考人 需要量でございますけれども、基本的には、生産量、これは具体的には、十五年産の需要量をどうとらえるかという場合には、その前々でございます十三年産の生産量がどうであったか、それに、在庫がどう増減したかということを考慮いたしまして、その需要量を把握していく、こうなるだろうということを把握していくということでございます。
 この需要量に基づいて、国から県、県から市町村、現在はそういうふうにやっておりますし、それから、団体の方では、全中、県中それから農協という形で、必要な数量というのはおろされていくわけでございますけれども、最終の段階になりますと、これは確認の問題がございますので、数量だけでなくて面積で配分するということになります。それは、一定の、その地域の実態に応じた単収、これをはじき出しまして、これに基づいて、数量から面積を換算するという手法をとりまして、農家に配分を行っていくということになります。
二田委員 それは、二十二年のあるべき姿でもそうなっていくんですか、今あなたが話したこと。そうなってくると、今と同じということになるのでございますけれども、それでよろしいんだったら一番いい、こういうことになるんですけれども、よろしゅうございますか。
石原政府参考人 今申し上げましたのは、当面の姿でございます。先ほど北村副大臣が御答弁いたしましたように、将来の姿としてはまた別の姿を描いているということでございますので、私が申し上げたのは、あくまで当面の姿でございます。
二田委員 今申し述べたのは当面の姿であって、要するに、今後、需要量、生産量を決定するのはどこの機関で決定するのかということを言っているんです。どこの機関で生産量を決定して、そして、あるべき姿のときから、それをどこにどうやって実質的な実施をしていくのかということをお聞きしているんです。
石原政府参考人 お答えを申し上げます。
 将来の姿、これはあくまで、国が公正中立な第三者機関的な組織の助言を得て需給情報を策定しまして、情報を流します。それに基づきまして、農業者団体、農業者の方で必要な配分等を行っていただくということになります。
二田委員 そうすると、農業者が必要な配分を行うというようなことになるんですか、もう一回確認しますけれども。
石原政府参考人 農業者団体が行うことになります。
 ただし、その場合に、今回の大綱でも書いてありますように、農業者、農業者団体が主役となるシステムにおける国及び地方公共団体の役割をどのように位置づけるかという問題がございますので、その点で食糧法上どのように規定するかという問題がございます。そういうことをした上で、あくまでも農業者あるいは農業者団体がそういうことをやっていただくというのが我々が描いている姿でございます。
二田委員 今のような長官のお話でございますと、どうもやはり納得できない点が多々あるわけでございます。なぜかといいますと、実際的に農業者が配分機能を持っていって、それを達成できるのかどうなのかという問題が一つ出てまいります。それでございまして、私ども与党の中でも大分この点が議論になったということは、あなたが御存じのとおりでございます。
 そして、その結果、食糧法上、この大綱によりますと、国の役割というものはきっちり明示されるということが明記されてまいったわけでございますけれども、この国の関与、役割、そして地方公共団体の関与、役割というものがどのように生産者団体と協議されてまいるのか。生産者団体というのは、むしろJAばかりでなくいろいろな生産者団体を含むわけでございますけれども、そういう点のことは今の答弁からはお伺いできませんので、もう一回ひとつ答弁をお願い申し上げたい。
石原政府参考人 どういう姿になるかということにつきましては、先ほど北村副大臣からお答え申し上げたところでございまして、農林水産省と農業者団体とでワーキングチームをつくりまして、そこで、食糧法での位置づけ、この辺の問題につきましては協議することにしております。そのときには、また先生方の御指導もいただかなければならないというふうに考えているところでございます。
二田委員 再度確認いたしますけれども、農業者団体、そしてまた国、地方公共団体、この三者の中におけるワーキングチームをつくり、そしてそこできっちりとした生産量を把握し、そして各地において必要な生産量の面積を作付する、こういうことになるんですか。
石原政府参考人 その姿につきましては、あくまで、我々、食糧法の中にどのような位置づけにするか、それは今後の課題でございますので、今の段階でこうなるということは申し上げられません。
 それで、一つ申し上げられますのは、第三者機関的な組織としまして、我々、全国米需給検討会議、これは仮称でございますけれども、こういうものをつくる。そこにいろいろ国の方から情報提供を行い、こういう全国米需給検討会議、こういう場のいろいろな情報を活用していただいて、先ほど申し上げましたように、農業者あるいは農業者団体がみずから自主的な取り組みを行っていくということが基本でございます。
 しかし、その前提のもとで、国、地方公共団体がどういうかかわりをするのかという問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、今後のワーキングチームの検討の結果を待たなければ何とも申し上げられないということでございます。
二田委員 まず、大変不分明な点もあるわけでございますけれども、この後につきましては、松下さんが大臣のいる場所で明確な質問をすると思いますので、これは松下さんにまずよろしくお願い申し上げるといたしまして、私は、また次にお聞きしたいこともございますので、次に移りたい、こう思います。
 経営安定対策、この新施策を進めていくためには、やはり、農業者が安心して経営にいそしむことができる、こういうような体制をつくっていくことが大変必要だ、こう思います。
 そこで、経営安定対策というものが大変重要な一つのポイントになってまいります。我が国の経営安定対策、すなわち農業関係予算に占めるいろいろな所得にまつわる予算というものはどのぐらいかといいますと、これは外国に比べて極めて我が国は微々たるものなんでございます。
 例えば、外国の例を出して恐縮でございますけれども、簡単に言いますと、アメリカの農業予算、このうち二百三十億ドルぐらいが価格、所得関係予算に使われているわけでございます。農家直接固定支払いとか市場損失支払い、価格支持融資、ローン不足、農業保険、こういったものに、日本円に直してみますると、現在の価格で実に二兆八千億ぐらい使われておる。そしてまた、EUの農業予算を見てみましても、実に五十数%、すなわち三百六十二億ぐらいのユーロが使われております。日本円にしますと、三兆六千億ぐらいですね。
 かてて加えまして、我が国の直接支払いとかそういう価格補償予算に投じられる予算は、農業共済等も入れましても大体七千億ぐらいになっている、こう思います。
 やはり、今後充実していかなければならないのは、農業予算全部が外国に比べて我が国は多いというわけじゃありません。しかし、農業予算がむだなところに使われているという議論はよくやられるのでございますけれども、決してそういうことはないということをひとつ国民にも理解していただかなければいけないのは、今の数字を見ても明らかなとおりなんでございます。
 どうなんでしょうか、副大臣、ひとつ、我が国の所得、価格に関する予算というものを、これはやはり国益全部に係る問題でございますから、もう少し考慮して、この充実というものを図っていかなければいけない、こんなふうに私はつくづく思うわけでございます。
 それで、安心して、ということの根源は何かというと、農業というのは、ほかの産業と違いまして極めて非効率なものなんです。これはどこの国に行ったって同じなんです。かくがゆえに、やはりこういう所得関係の予算というものが使われなければいけない。農業大国と言われているアメリカにおいてさえもそうなんですから、どうしましてもやはり我が国のこの関係の比率というものは低いような感じがいたしますので、この辺の基本的なお考えをひとつ簡略にお聞かせいただきたい、こう思います。
北村副大臣 今、二田委員から、EUあるいは米国等々と我が国との所得確保対策についての比較のお話がございました。
 我が国とあるいは欧米とを一緒にして比較はなかなか難しいわけであります。日本の場合は、委員御指摘のとおり、いろいろな面で、地域あるいは土地基盤等々への対策等々もありますし、今般、酪農、畜産では、中山間に対する、条件不利地域に対するデカップリングもあったわけであります。
 ただ、委員御指摘のとおり、私も長いこと、この一次産業の政策について議論を深めてまいりました。一次産業、特に農業における経営というのは大変厳しい、難しいものである、これは私も認識はしております。そういう面では、農業というものは普通の工業品のように利潤追求だけで本当にいいのかどうかという議論は、今までもそれぞれの部会等々でもあったわけでありますので、そういったことを考えたときに、やはり今の社会の状況、あるいは消費者や生活者の方々、国民の皆さん方にどういうふうに理解をしていただいて、農業というものがそうもうかるものではないんだ、もうからないけれども、消費者の方々、国民の皆さんの税をどのように使わせてもらうかという理解を我々は求めていかなければならないだろう、このように思います。
 それと同時に、今、消費者や国民の皆さん方は、農業たりともやはり利潤を追求するものでもあるという考え方も一方にあるわけでありますので、そういったもののバランスを考えながら、そのバランスを埋めるために所得補償というものはどうあるべきかということについては、この米対策を含めて、今後の大きな議論であり、今それぞれのところで議論もしていただいているところであります。
 そういう面では、決して二田委員と私との間に隔たりのあるような考えではない、二田先生の考えは、まさしく一次産業、農業の発展のために、そして消費者や生活者を中心にした考え方の中で今後議論がされていくべきものである、このように私は思っております。
二田委員 ちなみに、副大臣がおっしゃる中山間地支払い、これは新しく設けたものでございますけれども、これだって三百三十億ぐらいですからね、微々たるものなんですよ、ほかのところから比べると。それに比べて諸外国の直接支払いというのは非常に多い、こんな感じがいたしますので、よろしく今後の研究課題としてお願い申し上げたい、こう思います。
 それから、京都議定書というのが策定されております。二酸化炭素の森林吸収源対策についてでございますけれども、この問題についてお聞きいたしたいのでございます。
 我が国の年次の負荷は、たしか三・九%だと思います。相当程度な、数量にいたしまして千三百万トンというような、二酸化炭素の吸収を森林がしなければいけない。そして、この手だてというのは大変困難だ、こう思っております。相当な整備率をかけていかなければ大変難しい問題だ、そして、林野庁、農水省ばかりでこれができるのかというとこれまた難しい、全国、全省庁にかかってくる問題だ、こう思います。殊にいろいろな緑化対策、こういうものも大変必要にされてまいるんじゃないのか。
 そういうことで、全省庁の連絡というものが大変大事になると思ってまいりますけれども、この点についての手だてはどうなっていくのか、今年度予算はどうなっていくのか、簡略にひとつ長官からお願い申し上げたい。
加藤政府参考人 森林吸収源といたしましては三・九%を達成していかなければいけないという状況でございますけれども、今の森林の整備水準でいけばそれを下回る可能性があるということでございまして、今回、地球温暖化対策推進大綱が示された中でも、地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策をつくる、それを展開するということで記述をいただいたところでございます。
 そういう点で、我々といたしましては、今年中に地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策というものを策定するように今取り組んでいるところでございまして、健全な森林の整備、保安林等の適切な管理、保全、国民参加の森づくり、木材及び木質バイオマス利用の推進というようなことを進めていきたいというふうに思っているところでございます。
 財源の問題でございますけれども、今、補正予算の議論もあるところでございますし、十五年予算につきましても要求をさせていただいているところでございますので、今後ともそういった努力を続けまして、必要な予算の確保、財源の確保に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
二田委員 時間が参りましたので、あとは松下先生にお願い申し上げます。大臣もちょうど参りましたので。御苦労さまでございました。
小平委員長 次に、松下忠洋君。
松下委員 大臣、どうも御苦労さまでございます。
 私も質問を四つ用意していたんですが、二田先生が四つ残されましたので、それをフォローしながら御質問申し上げたいと思います。
 大臣も見えられましたので、せっかくですから一つだけお伺いしたいと思います。農協改革についてでございます。
 今回、米政策大綱ができました。前から言われていましたけれども、やはり農業の構造改革、これは非常に大事だということでありまして、一つの理念ができ上がり目標ができ上がって、さあ実行しようということになりましても、それを実行する仕組みがぴしっと機能しているのかどうかということが極めて大事だと思うんです。
 その場合、今回、生産者、農協、そこが主役になってしっかり取り組んでいくということになってまいりました。米をそうして取り組んでまいりますと、今度は、米以外の、地域の農業それから地域の特産物、そしてまた野菜、畜産、果樹も含めて、総合的に米を中心として大きく転換していくとなれば、どういうふうに地域農業を確立していくかということになってくると思うんです。そのときに、それを進めていく農協、そこがどういうふうに機能しなければいかぬかというのは極めて大事だと思います。
 私は前回のときにも申し上げましたけれども、大臣が若いころの十四年前に、「総合的農村政策の展開 元気のでる農業、元気のでる農村の確立をめざして」ということで、平成元年の十月に仲間たち七、八人と見事な、四十ページほどにわたる農業改革の提言をしておられます。
 その中に、農協改革が、第四部として、一つの章として出ております。
 まだ新しい食管ができる前のころでしたけれども、食管制度に依存して信用中心主義になっていて、そして本当の営農指導事業が活発でなかったのではないか、そういうところから、信用事業に依存してやっていかなければいかぬ、そこにお金が流れる仕組みになってきているということを指摘しておられます。
 それからもう一つは、経営主義の弊害ということで、成立するときに、戦後GHQとのいろいろなやりとりもあったんでしょうけれども、しかしその中で、農協が、自作農の営農に対する経済活動を行うサービス組合として、生産や地域社会から分離して発足することになった。こういうことから、競争しなければいかぬですから、組合員が顧客化される。それから農協の運営が、一個の経営体としていかに事業量を伸ばして、いかに収益を多くするかということに走っていっているんじゃないのか。そういうところから、農協は栄えたけれども農家が滅ぶ、ぴしっとこう言っておられますけれども、そういう経営主義というのが批判されているということがあって、ここに取り組んでいかなければいかぬ、こう言っておられます。
 そしてまた、構成員そのものが、都市化も含めて変わってきている。混在化している、混住化していますので、その中で農業をやっている人たち、農家をどういうふうにつくり上げていくのかというところから、組合員離れが出てくる、そこをどう切り込んでいくかということも、ぴしっとこの中に議論をしておられますけれども、そこのところをお伺いしたいと思うんですね。私もこれは非常に大事なことだと思うんですよ。
 特に、新農業基本法のときに、平成二十二年の目標としていろいろ、食料自給率四五%、農家のあるべき数というところも出しておられますけれども、そのときに、主業農家数を三十三から三十七万戸を目標として置いていくというふうにして、集約していくというふうにしておられます。今、農協の組合員、農協の職員が幾らいるか。四十万人近くいると思うんですね。そうすると、将来の姿として、一戸の農家が一人の農協職員を抱えているというふうになってくると、経営としてそれだけ責任も重いし、またそこの合理化とかあるいは営農指導にどう入っていくか、これは大事な論点だと思うんですよ。
 今回の米政策大綱を実行するに当たって、その辺の大臣の、農協のあり方、今後どのように進めていくのか、そこのところをぜひお聞かせいただきたい、こう思うんです。
大島国務大臣 十四年前の、若気の至りの部分もありましたが、私が仲間とまとめたものを取り上げて御質問いただいて、大変ありがたく思います。
 基本的な認識として、農水大臣になってみて、そこのところの問題意識が、私はまだ自分自身の中で共通するところがかなりあるという認識を持っております。つまり、そういう意味では、農協というものの問題意識はそんなに解消されていないのかなという思いもございます。
 今度の米の政策転換におきまして最大のポイント、最大のポイントというのは一つしかないのかもしれませんが、その重要なポイントが何点かございますけれども、その一つは、北村副大臣も二田先生にお答えなされたと思いますが、基幹、基礎作物である米とて、国民や消費者というものの動向を考えずして政策を遂行できない時代になったということ、このことはやはり農協においても同じことだと思います。
 第二点は、自主的に調整をしていく、そういうふうな世界に入っていくと、本当に農業者のことを考えて農協が活動してもらわないと、この仕組みは大変なことになるなと私は思っております。今度の大綱の中で、特に集落営農というものを明確に位置づけました。つまり、今まで上から押しつける的な、そういうふうな助成ではなくて、ぜひ集落で、地域の発想で地域農業を本当に考えてください、そういうところに私どもは助成をしてまいります。その中心は、やはり担い手農家を中心とした集落営農計画をつくっていただいて、そして頑張っていただきたい。
 そういうことをいたしますと、生産者の団体である農協の皆様方がその中心になってもらわなければなりません。どこにどういう組合員がいて、どういう営農をやっておられて、そして自分たちがどういう農業をやって生きていくかということを真剣に農業者とともに考えてその計画をつくっていただかなければならぬという意味で、本当に農協が農業者のための組合というその根本の理念に立ち返って、そういうことをやってもらわなければならぬというのが今度の米改革にかかわる農協の役割だと思っておりますし、農協改革のもう一つの、私どもが今指摘している問題点であろうと思うんです。したがって、そういうことを進めてまいりますと、金融というものも扱いながら、コミュニティーのコアであるという高い自覚を持ってほしいと私は思うんです。
 今委員お話しされましたように、集落の中には今混在化をしている。混在化している中で、集落を有機体として、一つの生き物としてさまざま考えていくと、やはり一生懸命に、泥まみれになっても、その集落のあり方を踏まえた集落営農というものを考えてもらいたい。こういうふうなことが農協の改革の二つ目ではないか、私はこのように思っております。
 三点目は、私は、今度の米改革のときに、自民党のあるいは与党の先生方とも議論をさせていただきましたが、系統団体の皆さんともお話ししたときに、新しいパートナーシップを築いていかなければいかぬ、こういうことを申し上げました。
 私どもの反省として、食管制度が厳然としてあったときは国がすべてを管理していくという米政策でございましたし、それを基本にして、農政は絶えず農協系統の皆様方と、ある意味ではべったりした関係と言っていいんでしょうか、そういう関係の中で農政というものをお願いするときもあれば、意見を聞くときもあったわけであります。やはり新しいパートナーというのは、依然として、日本農業を組織してきた農協団体としての存在そのものに私は大きな価値と役割があると思いますけれども、さまざまな農業主体が生まれてくるであろうということを考えますと、今までのような関係から、やはり他の農業者あるいは団体の皆様方も意見を持っているわけでございますし、また、そういう意味で、ある一定の公正公平な関係を保ちながら、パートナーとして私どもはこれからおつき合いをさせていただかなければならぬな、こういうふうな観点も改革のあり方の一つではないかと思っております。
 さらに、金融という混乱があの住専のときございまして、そのことから系統金融の改革は行いました。そしてまた、あのときの問題意識から、足腰を強くするということで合併というものもかなりいたして、足腰は強くなったわけでありますが、農家の皆様方に対する資材のコスト削減ということを本当に真剣に考えてもらわなければ、多分農業者は離れていくんだろうと思うんです。そういう意味で、資材、物流のコスト削減というものを真剣に考えてくれという中で、その職員のあり方、あるいは今のままでいいのか、そういうものも改革をお願いしていく、問題提起していく一つであろう、こういうふうに思っているわけでございます。
 いずれにしても、先生がおっしゃるように、新しい農政を築くために、農協の皆様方もしっかりとみずから改革をしていただいて、新しい農政づくりに主体的に、みずからの問題として取り組んでいただく。私どもも、研究会を始めておりまして、十四年度末までに検討結果を取りまとめて、また委員会等で御議論いただきながら系統の皆様方とも話し合いをしてまいりたい、このように思っております。
松下委員 そのとおりだろうと思います。
 今回の大綱の中で、二〇〇八年度を目標とするけれども、三年目に検証をして、そこで可能ならそこに移行していくというふうに判断してやっていくと一項入っております。やはりその大事なかなめは、今大臣がおっしゃったそこの改革を、構造をどういうふうにきちっとつくり上げていくかということが大事ですし、今これは農協組織にしても、これをチャンスにして、本当に農業の原点に戻っていく、営農指導をしていくところに戻っていくチャンスでもあると思うんですね。だから、そこをしっかりと取り組んでいく必要がある、このように思っていますし、私どももそういう努力をしていきたいと考えております。
 そこで、生産調整についてお伺いします。
 メリット措置の内容ですけれども、今後この米政策大綱の具体化を図っていく過程で、水田農業において取り組むべき最大の課題がございます。麦、大豆の需給のミスマッチの解消、それから水田農業の構造改革の推進であります。これは今の大臣の話とも関連をいたします。この生産現場の方々、担い手が、将来にわたってやはり夢を持って、意識を高めながら、消費者が求める多様な農産物を効率的に生産、供給していける、そういう体制を構築できていくような助成措置がやはり必要だ。そこをしっかり支えていく、そういうところをどのように考えておられるのか。これは生産局長ですか、お願いします。
須賀田政府参考人 松下先生言われましたように、今後、生産調整といいますか、私ども、これからはやはり麦、大豆等の本作化ということを進める必要があるというふうに考えておりまして、将来にわたりまして定着性と持続性を持った産地づくり、こういう視点に立つことが一つはまず重要ではないかというふうに考えております。
 そして、先生も御承知のように、我が国は気候も地形も作物も農村社会の状況もそれぞれの地域において違うわけでございますので、地域の特色を生かした産地の形成ということが今後重要になってくるのではないか。
 従来、ともすれば、生産調整の助成金が全国一律の要件、単価、こういうもので設定されておりましたために、地域の特色を生かした産地づくりという視点に欠けていた、そして零細な構造を温存する方向に働いた、また、麦、大豆等のミスマッチというものにつながったというふうな反省に立ちまして、今後のやり方につきましては、国が一定の基準で交付金を算定いたしまして地域に助成をして、地域の主体性を尊重する形で産地づくりに使っていただく、こういう形に変えていきたい。そして、そのときの具体的な算定方法というのは三点、重点作物を中心とした自給率の向上の視点、それから担い手の育成という構造改革の視点、それからミスマッチ解消のための麦、大豆等の品質向上の視点、こういうものを重点的にした対応を考えていきたいというふうに考えているところでございます。
松下委員 米政策の転換であり、米政策大綱をつくったわけですけれども、これは毎回言っていますけれども、北海道から沖縄までの日本の農業全体の仕組み、これをもう一度考え直す絶好のチャンスだと思うんですね。地域農業を大事にしていく、地域の特産を育てていくというふうに、地域をつくり変えていくということが極めて大事だ、その絶好のチャンスですから、この機会に、あの農業基本法をつくったときに、基本計画の中で、北海道から沖縄まで地域ごとに、そして三十五の農業の形をつくって、ここの地域ではこういう農業に取り組むべきだということを、相当情熱を燃やしてつくり上げてあるんですよ。それをやはり実行していくような努力を、これを機会に、意識改革も含めて、ぜひ取り組んでもらいたいと思うんです。それがやはり農業構造を強くする道だと考えております。遠い道かもしれませんけれども、目標を定めてやっていくという努力をしてもらいたい、こう思うんです。
 それから、米の流通制度についてですけれども、あと六分ほどですが、これは平成十三年度ですけれども、これがどう変わっていくかということをお聞きしたいと考えます。
 今、生産量は、平成十三年度で九百六万トンという数字が出ております。これのうち、計画出荷米、これは四百四十六万トン、そして農家消費等が四百六十万トン、足して九百六万トンということです。それで、計画出荷米の四百四十六万トンのうち自主流通米が四百三十八万トン、こうなっているわけですね。それから政府米が八万トン、こうなっていまして、これは備蓄の方に行ったりするわけですけれども。農家消費等の四百六十万トンのうち計画外流通米がこの中に三百十二万トン、推計ですけれども三百万トンぐらいが入っている、こういうことなんです。あと、農家が自分で消費するのが九十二万トン、それから、その他五十五万トン、これはくず米とかせんべいなんかに行くわけですけれども、足して四百六十万トン。計画出荷米四百四十六万トン、足して九百六万トン、こうなるわけです。
 この計画外流通米三百十二万トン、これはやはり相当な量を占めているわけですね。こういうものの中で、この流通制度、現在の流通実態を踏まえて、国民に透明性のある形でどのように安定供給できる、そういう確保をしていくのか、ここのところの考え方をお聞かせいただきたいと思うんです。
 ちなみに、この数字を見ておりましたら、種用に農家が五万トンの種もみを用意している。生産量が九百六万トンですから、いわゆる五万トンの種もみが九百六万トンになる。ということは、米の五粒が、手のひらに乗っている五つの米粒が九百粒になるという、これだけ非常に生産性の高い米なんですね。ですから、やはり米をつくりたくなるという気持ちはわかりますけれども、今度思い切って転換したわけですから、流通の仕組みがどういうふうになっていくのか、ここをひとつお願いしたいと思います。
石原政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、この生産調整に関する研究会、発足当初は二つの課題がございました。そのうちの一つが、まさしくこの計画流通制度の問題でございます。
 それで、この計画流通制度は何が問題かといいますと、一つは、流通ルートが特定されている。必ずしも多様化する消費者ニーズにこたえられないというのが一つございます。それ以上に、農家あるいは農業者団体から強く求められておりますのが、不公平の問題でございます。非常にいろいろな負担、これが計画流通米にかかっているということで、不公平の解消、これが強く求められてきたということでございます。
 そういうこともございまして、我々、今回の改革の中では、計画流通制度につきまして幾つかの措置を検討してございます。
 一つは、安定供給のための自主的な取り組み。これは、長期計画を結びまして安定的に取引するとか、そういうものを支援する仕組みでございますけれども、こういうものに対しまして債務保証等の支援を行う安定供給支援法人を創設したいと考えております。もちろん、新しい組織をつくるというわけではありませんで、既存の組織を統合しましてこういう仕事をやらせたいということでございます。
 それから、必ずしも、現在の取引の場、公正中立なものであるかどうか、いろいろ疑問もあります。そういうこともございますので、公正中立な取引の場を育成、拡充したいということでございます。それから、消費者の信頼の回復という観点に立ちまして、適正表示の確保、これをきちっとやりたい。それから、トレーサビリティーシステムの導入も行いたいというふうに考えております。
 それから、何といいましても、安定供給を図る体制が大事でございます。危機管理体制、必ずしも現在の体制では流通量の把握が十分ではございません。そういうこともございますので、流通業者につきまして届け出制、従来は一部の業者につきまして登録制をとっておりますけれども、これを届け出制に変えたいということでございます。このような形で、平常時から流通の実態を把握しておきたいというふうに考えております。
 いろいろなこういう措置を総合的に講ずることによりまして、多様な取引を共有しつつ透明性のある流通が大宗を占める安定供給体制、これを実現してまいりたいと考えているところでございます。
松下委員 ここも議論になったところですので、ぜひ透明性のある形で進めていきたい。これは、我々もまたこれからしっかりとかみ合っていきたいと考えております。
 いずれにしても、大臣、種五粒、稲もみ五粒が九百粒になる、五粒が千粒になるという米の生産性の高さ、ここはやはり魅力だと思うんですね。
 次に、それがゆえに過剰米が出るんですよね。ですから、そこの仕組み、ここが非常に今度の議論で論点になりました。これをどうするのか、ここをひとつお聞かせいただきたい。
 それとあわせて、次の十五年産米、要するに十五年産の米対策、これをどのように組み立てていくのか、そこのところを大臣政務官にお聞きしたいと思います。
熊谷大臣政務官 では、答弁の順序がちょっと逆になりますが、十五年産の米対策の内容がどうなるかというお尋ねでありますけれども、基本的には今までのやり方というものを踏襲する、そういうことになると思います。そういう中で、特に消費動向とか需給動向、そういうものにやはり的確に対応するということ、そのねらいというのは在庫量を減らしていくということに通ずるわけでありますが、そういうことからして、生産調整の面積を、今までは百一万でありましたが、五万ヘクタールふやして百六万ヘクタールというふうに目標を設定したいというふうに考えております。その中には、当然、自然の壊廃地も含まれてくるということでございます。
 こういう生産調整というものを円滑に進めていくということに対しての経営確立に対する支援でありますが、これも現行の水準というものを確保してまいりたい、そしてそれらに関連する所要の見直しなども行ってまいりたい、このように思います。
 それから、政府米に関係することでありますが、買い入れ価格、これは所定の方式に従って、一万三千八百二十円、六十キロ当たりでありますが、そのような価格を設定したいということと、売り渡し価格については、一万六千七百二十一円、こういう価格を設定したいというふうに考えております。
 なお、消費拡大ということについても今国民運動的な形で取り組みを進めているわけでありますが、特に米にもトレーサビリティーという方式を導入したいということで、こういう取り組みに対する支援というものを十分に考えながらやってまいりたい、このように考えております。
松下委員 今回の論点のときに、議論するときに、今後、将来過剰米は出さない、そこが非常に大きな問題になっているということですから、これは長官、ひとつ簡潔明瞭にお願いします。
石原政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、需給につきましては、過剰米を出さないというのが基本でございます。この考え方を基本にいたしまして運用していきたいと考えているところでございますけれども、仮に、豊作で過剰米が出たという場合に対しましては、我々、新たな制度を設けることによりまして対応したいということでございます。
 その制度では、一つは、出来秋時に農業者による過剰米の区分出荷を促す、そして、農業者団体に翌年の供給量調整を基本とした主体的な販売環境整備の取り組みを行っていただく、それから三つ目には、融資をするわけでございますけれども、融資の返済が米の引き渡しでなされた場合は、その米を新規用途等の需要開拓に向けるということでございます。このような過剰米短期融資制度を創設するということにいたしております。
 これによりまして、売れる米づくり、それにまた米価の下落防止に努めていきたいと考えているところでございます。
松下委員 終わります。
小平委員長 次に、鮫島宗明君。
鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。
 前に武部農林水産大臣が、BSE問題の発生を大きな反省として、これまでの農林水産行政がどうも生産者に軸足を置き過ぎていた、これからは消費者に軸足を移さなければいけないというふうに武部大臣が反省を込めておっしゃっておられましたけれども、大島大臣も基本的には同じ姿勢というふうに考えてよろしいのでしょうか。
大島国務大臣 鮫島委員にお答えしますが、まさに今度の米改革も、そういうふうな視点、つまり消費者というものを生産者が肌で感ずるような仕組みにしなければならぬということで、米改革の基本として考えておりました。また、安全、安心という問題が、今度の国会で大変御議論いただいた無登録農薬の問題でも御議論いただきましたが、そういう国民から今問われていることに対して、私どもは、消費者、もっと広く言えば国民全体に理解されない農政というものはこれから推進できないという思いを持って農政に取り組んでまいりたい、こう思っております。
鮫島委員 御承知かと思いますが、私の選挙区は東京十区というところで池袋を中心にする繁華街ですから、農地はほとんどないし、農業者も練馬の端っこにちょっといるだけで、まず一〇〇%近く消費者を背負っているものですから、きょうはその立場からお伺いしたいと思います。
 消費者に軸足を移すというのは、言葉で言うのは簡単ですが、安全行政の確立にしろ、あるいは、生産、流通、消費ということからいえば流通、消費側も視野に入れて農政をやるということだと思いますが、実は、農林水産省の設置法なり、今のさまざまな農林水産行政の持っている仕組みは、構造的に生産支援の仕組みになっていますから、口では軸足を移すと言っても実態的にはできない構造になっている。例えば金融の支援にしても、農林漁業金融公庫が支援できるのは、生産あるいは生産に極めて密接な部分は支援できますが、流通、消費の部分については中小企業金融公庫がやってくださいと。これがBSE問題のときに一つの矛盾として出ましたが、そういうことから考えると、消費者に軸足を移すというのは、場合によったら農林水産省の設置法も見直すというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
大島国務大臣 鮫島委員の御指摘をいただいた、設置法まで見直すのかということでございますが、消費者に軸足を移すという表現は、全く消費者政策をやるというのではなくて、生産者が消費者の動向、動きというものをしっかりと踏まえて農業生産に努力できるような仕組みにひとつしなければいかぬ。
 今までは、私自身も国会議員になってから農政を見てまいりましたが、ひょっとしたら、もう八、二か九、一ぐらいで生産オンリーの施策と考えていいぐらいの感じを私は受け取っておりました。生産者が生きていくためにも、消費者の動向というものをしっかり踏まえてやらなければならぬ。したがって、そういうふうな観点から、消費者の視点というものをしっかり踏まえた政策をやらなければならぬ。今設置法そのものまで変えて云々というより、例えば安全、安心の問題についても、今の時点でやれること、何をやるべきか。局の問題も鮫島委員全部御承知のことでございます。今やれること、それから生産政策そのものも消費者というものを考えなければならぬ。
 それから、常々ここは全く同じ、考え方を共感できるところがあると思うのですが、流通と加工政策について実際的な諸施策を持つのは経産省、我が省がどこまでその問題に対して体系的に問題に取り組めるか、これは私の宿題のような気がしてなりません。もちろん、卸売市場とか市場法とかそういう問題があります。ですから、農林水産省が、生産、流通、加工、消費、この総合的な食料官庁になっていかざるを得ないのだろう、またすべきだろうと私は思います。
 そういう問題も含めながら、いずれの時点にかそういう設置法の議論もいたさなければならないときもあるのかもしれませんが、今やれることはやってまいりたい、こう思っております。
鮫島委員 きょうは時間が限られていますので、そもそも論はまた改めてしたいと思いますが、恐らく、トレーサビリティーの確立一つとっても、今大臣がおっしゃったような生産、流通、加工、消費という軸でとらえていかないとできないはずですし、それから、これだけ海外から多様な食材が毎日入ってきている状況の中で、海外で生産された食材のトレーサビリティーなり健全性、安全性をどう確保するかということをやろうとすると、これは設置法の改正に踏み切らざるを得ないというふうに私は思います。これはまた通常国会の課題だと思います。
 私も先ほど申し上げましたように、私の後ろはほとんどサラリーマン、勤労者世帯ですから、そういう人たちがやはり納得できる農政、恐らく全世帯の九六%ぐらいは非農家ですから、そういう人たちの理解と支援がないと円滑な農政も進められないと思いますが、ちょっと御認識の問題としてお伺いしたいのですが、農家世帯と勤労者世帯の所得はどちらが多いというふうにお考えなのか。販売農家、専業農家、勤労者世帯というふうに農林水産省が五年ごとにとるセンサスでは統計的な数字が出ていますが、農家世帯と勤労者世帯、一般的に考えて、平均年収はどのぐらい違うというふうに御認識でしょうか。
大島国務大臣 農家所得となりますと、今先生がお話しされたように、昔でいえば、専業農家、兼業、兼業でも一種、二種とございますけれども、農家総所得のうちで、平均で六割を農業所得に依存している主業農家のみがいわば勤労者世帯を下回っているんですね。それ以外の兼業農家、これは、農家所得としたら、数字としては上回っているというふうに私は聞き及んでおります。
 もし具体的な数字が知りたければ、答弁する必要があれば、政府参考人の方からお答えさせますが、私の認識はそういうふうになっています。
鮫島委員 農林水産省の発表している資料の中にも具体的な数字が出ていまして、農水省の農家経済調査、それから総務省の家計調査を突き合わせると、農家の平均年収と勤労者世帯の年収が出ていますが、平成十二年、販売農家で八百二十八万、それから専業農家で八百七万、それに対して勤労者世帯が六百七十三万。つまり、販売農家は勤労者世帯よりも百六十万年収が多い。それから、専業農家でも百三十万年収が多い。つまり、勤労者世帯、つまりサラリーマンというのは大変貧しいんですね。
 一般的に、こういう委員会の中では、農家は大変だし、営農の継続も苦労しているから、もっといっぱい補助金をつけろとか、手厚い補助をという議論が農林水産委員会というのは専らですが、だれの金を当てにするんだと。勤労者世帯というのは大変貧しいわけです。販売農家よりも百六十万少ない。むしろ助けてほしいのは勤労者世帯の方でして、所得の逆移転というのが場合によったら起こっている危険性すらある。そういう環境の中で、どうやって消費者の理解を得ながら農政を進めていくかということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。
 本論に入る前に、ちょっと、そういう分野から見ると、極めておかしなことが今行われようとしている。
 それは牛肉の世界の話なんですが、去年、BSEが発生して、牛肉の消費が激減しました。これは、国内産の牛肉だけではなくて、輸入牛肉も激減して、大体、冷蔵、冷凍牛肉、それぞれ四半期当たり十万トン程度の輸入量で推移していたのが、五万六千トン。それぞれ、四割から四割五分ぐらい落ちた。それが、ことしの上四半期、一、二、三月の数字で見ると、そんな数字まで落ちています、輸入牛肉。
 国産の牛肉の方は、もうほとんど、現在は、生産量、消費量ともBSE発生前に戻っていますが、いまだに輸入量は、タイムラグもあって、じわじわ回復基調にありますが、まだ平時の十万トン規模から比べると随分下回っている。ただ、今回復基調にありますので、来年の四半期は、ことしの四半期に比べると、多分三割ぐらい輸入量がふえて、通常の十万トンベースの八割ぐらいまで回復するということが見込まれます。
 ところが、セーフガードのおかしな仕組みがあって、前年度の同じ四半期に比べて一七%以上、つまり一一七%を上回ったらセーフガードを発動するという仕組みになっていて、このままですと、恐らく三八・五%の関税率が五〇%になる。
 つまり、来年の一、二、三月、上四半期に消費が戻ると、前年の上四半期よりも二割以上多いぞということになると、自動的にセーフガードが発動されるんですが、まだ従来の消費水準、輸入水準に戻っていないのに、BSEという一時的な、事故のようなことでどんと消費が落ちて、やっと少し回復していく、ここのプロセスのところにセーフガードを発動するというのは、本来の国内生産を保護するという観点からいうと、全く趣旨が違うのではないかと思います。
 こういう、消費が一時的にBSEで激減し、回復過程のところにセーフガードを発動するということの妥当性について、大臣はいかにお考えでしょうか。
大島国務大臣 非常に厳しいお答えになると思いますが、ルールはルールとして考えていかなければならぬのではないかと。
 これは、日米間における牛肉交渉の中でつくったルールでございます。そのときには、BSEというふうな問題とか何かで消費が減退したときはどうなるとか、そういう想定はなかったのも事実であろうと思うんですね。
 いずれにしても、激しい交渉の結果つくったルールでございますから、今私ども、そのことに関して、BSEは特別、想定しない、鮫島委員のお話からすれば、いわば事故であったではないか、したがって、このルールをそのまま適用するのはおかしいではないか、消費者という視点から考えると、そこは特別に考えるべきではないかという論理であると思いますが、私どもは、日米間でつくったルールでございますから、そのことを基本にして考えるという方針で対応してまいりたい、こう思っております。
鮫島委員 日米間でつくったルールとおっしゃいましたが、では、このセーフガードを発動する根拠となる国内法というのはどういう法律でしょうか。
須賀田政府参考人 関税暫定措置法でございます。
鮫島委員 大臣は、日米間で話し合ったことだとおっしゃいましたけれども、この関税暫定措置法の中に、これはBSEのことを想定していなくてつくった法案ですから、こういうことがあり、口蹄疫がまたどうなるかわからぬ。あるいは、マレーシアあたりで蔓延しているニパウイルスという豚の恐ろしい病気がありますが、こういうものだって、こういうWTO時代であらゆる食材が世界を飛び回る中では、いつそういう突発的な事故が起きるかどうかもわからない。そういうことに対して、危機管理的な発想が今の法律の中に織り込まれていないというのは時代にそぐわない。あるいは、消費者的な観点からいっても、欠落しているのではないか。
 したがって、これは国内法的に、そういう異常事態、突発事故のときは特例的に見直して、本来の消費水準に戻っていないうちは、それに係数を掛けてもいいですが、セーフガード発動の水準というものをある程度下支えしておく必要があるんじゃないかと思います。つまり、国内法の改正によってそういう危機管理に対応できるのか、それとも、あくまでも国内では答えが出なくて、海外との協議がないと日本独自では対応できない問題なのか。そこはどうでしょうか。
大島国務大臣 これほど世界じゅうにおきまして、食の安全、安心、まさにトレーサビリティーという言葉が、特にヨーロッパは非常に厳しい基準というか考え方になっているときに、WTO交渉の世界の中でそういう問題をどのように位置づけるかという議論は、別途あるんだろうと思います。
 それはそれとして、私ども、また議論し、考えていかなければならない問題であろうと思いますが、輸入牛肉の消費の回復がもうひとつ、ことし、和牛に比べて伸びていないという理由をいろいろ、さまざまな人から聞くと、逆に、日本内のトレーサビリティーがあのBSE以来しっかりして、かなりそういうふうなものに対する選別も行われているのではないかと言う人もおります。
 いずれにしても、鮫島委員の、WTO全体の中でのそういうふうな議論、そういういろいろな事故、あるいは食の安全と安心における事故みたいなものが可能性としてあるじゃないか、そういう場合にどう対応していくか、そういう考え方の共通した認識はWTOの中で議論する対象としてあるのかなという感じを私は今持ちました。
鮫島委員 余り独立国の農林大臣らしくない発言だと思いますが。
 具体的に言うと、吉野家だけで三百万頭分の牛の肉を輸入している。国全体で百三十万頭ですから、二倍以上です。そういうところに全部、三八%の関税が五〇になると、影響が出てきて、都会では牛どん屋さんは幾つか大手があって繁盛していますが、そういうところにもろに影響が出てくるわけです。こんなことは普通に考えても明らかにおかしくて、BSEで消費が激減して、今回復過程にある中で、一一七%を超すのは当たり前で、超してもらわなければ困るわけです。消費が戻らない。ですから、これはむしろ歓迎すべきことだと思いますが、そんなことすら日本の国の国内措置でできない。そんな情けない国なのか。私は、これはまた通常国会の議題だと思いますが、これは覚悟次第で、そういう危機管理のシステムを入れるというのは独立国の判断で十分できるんじゃないかと思います。
 北村副大臣が十二月八日から、WTOの関係で議長さんにお会いになるのかな、何か海外出張のメモが急に入りましたが、もし機会があったら、ぜひ今のような話も話し合っていただければありがたいと思います。北村副大臣は畜産、肉の分野については大変御造詣が深いと聞いておりますので、そういう機会があったら、日本が独自にBSE対応で危機管理の仕組みをビルトインすることを当然認めろという主張をぜひしていただきたいというふうに思います。今のことはこちらからの強い要請で、また来年の通常国会で大きな議題にさせていただきたいというふうに思います。
 それから、ちょっと本論に入る前に幾つかあるんですが、もう一つは食品リサイクル法の関連で一つだけお伺いいたします。
 食品リサイクル法、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律があって、この中で、「再生利用」とは次のような定義です。特にどういう再生利用が許されるかというと、「肥料、飼料その他政令で定める製品」の場合はいいですよと。「政令で定める製品」というのを見ると、「油脂及び油脂製品」「メタン」というのが二つ足してあるわけです。したがって、再生利用の対象となる品目としては、本則の二つ、肥料、飼料と政令で定めている油脂、油脂製品及びメタン、この四つが食品リサイクル法で認知されている再生利用の品目ということになっているんです。
 私が普通に考えると、いわゆる食品廃棄物のRDF化、これは廃棄物由来燃料と訳すのが正しいんだと思いますが、日本ではなぜか固形燃料というふうにむしろ訳されていますが、つまり食品廃棄物を固形燃料化して、温室を暖めたりあるいは発電に使ったり、そういうのは技術的にも確立していますし、具体的な利用の場面では一番コンベンショナルではないかと思いますが、なぜか対象の製品としてそれが入っていない、燃料としてはメタンだけしか入っていないんですが、なぜこれはRDFが対象にならないんでしょうか。
 順番に、農林水産省と環境省と両方から。
西藤政府参考人 お尋ねの食品リサイクルの関係での固形燃料化の状況でございますが、廃棄物を破砕し、選別後に圧縮成形して燃料化した状況で、現在、廃棄物の世界で一部の地方自治体等で導入されている、そういう状況にあるというふうに認識をいたしております。
 一方で、この固形燃料化につきましては、食品廃棄物を含む多種の廃棄物を原料とするということで、なかなか品質面での課題、あるいは、先生今需要面でいろいろ御指摘もございましたが、需要面での課題もある、さらに、燃料として利用する場合の設備整備あるいは燃焼管理という点でまだ幾つかの課題があるというふうに承知をしております。
 このようなことの中で、現時点で私ども、食品廃棄物の固形燃料化については、リサイクル法上の再生利用、先ほど先生御指摘のあった再生利用としては位置づけていないという状況にございます。
 いずれにいたしましても、固形燃料化の問題も含め、先生、かねてからいろいろな観点で私ども御指摘をいただいておりますけれども、新たな手法の取り組みの実態把握、それと、これをもとに環境保全の観点なり、あるいは品質、コストの観点、そういう技術的な観点と、なかんずく需要見込み等を勘案して、再生利用という位置づけとして適切かどうか、関係省庁とも連携をとりながら検討をしていきたいというふうに思っております。
飯島政府参考人 食品廃棄物をRDFの形で燃料利用することにつきましては、循環型社会形成推進基本法におきまして基本原則が定められております。その中で、サーマルリサイクル、熱回収につきましては、いわゆる再生利用とは別の行為として位置づけられ、かつ、原則として再生利用ができないものについて行われるべきものとしております。そのために、食品リサイクル法の御指摘の二条五項の再生利用としては位置づけられていないところでございます。
 RDFにつきまして御質問がございましたが、環境省といたしましても、一部自治体でもう導入が進んでおりますので、ごみの資源化を図る手法としては大変有望なものと考えております。しかしながら、現状においては、RDFの品質面での問題も指摘されているところでございまして、その利用に当たりましては、ダイオキシン規制などに対応した排ガス処理が可能な処理施設が必要であるというような一定の制約のもとで行われているところでございます。
 現に、青森、岩手の八十二万立米にわたる大規模不法投棄事件があったわけでございますが、これも首都圏から出た廃棄物がRDFの形で青森、岩手の県境に持っていかれまして不法投棄されたということもございます。悪いものだけでなくていいものもあることをよく承知しておりますが、そういうこともあるわけでございます。したがいまして、食品リサイクル法における再生利用手法として、現時点でこのRDFが相当程度需要が見込まれるというわけにはいかないということから、位置づけられていないわけでございます。
 いずれにいたしましても、食品関連事業者にとりましては再生利用の手法が多様であることが望ましいと思いますので、RDFも含めまして、技術が確立され、相当程度の需要が見込まれる、こういった手法につきましては、環境保全の観点も十分に踏まえて、新たに食品リサイクル法上位置づけることについて検討したいと思っております。
鮫島委員 私は、ある意味では流通関係あるいは外食産業に携わっている方々からの直接の要望を受けて聞いているわけでして、農林水産省のお答えは、やはり残念ながら軸足が生産者側にあるものだから、余りその辺の現場が見えていないのかなという印象を受けます。
 例えば、食品関係の産業がえさにするというのは大変勇気が要ることでして、そのことによってもし畜産の現場で病気が発生したり、肉質が低下したり、乳量が低下したりというようなことがあって、それが何が原因かわからない、もしかしたらそこの食品業界から出たえさに起因するんじゃないかというようなリスクもしょわなくちゃいけないという意味では、肥料とか飼料とかというのは大変勇気の要る、つまり非農業セクターがやろうとすると勇気の要る話でして、やはりその辺はもうちょっと流通部門あるいは外食産業部門のマインドを理解していただければと思います。
 それから、環境省の答弁はめちゃくちゃといいますか、では、なぜメタンはいいんですか。サーマルリサイクルは再生利用の道からは除外されております、ほかに利用の可能性がない場合だけ限定的に許可されているという答弁ですが、では、なぜメタンはいいんですか。メタンは、サーマル利用以外に何に使うんですか。
 それから、むしろ再生利用のやり方として、廃棄物処理の過程で廃棄物が出ないということが大変大事だと思いますが、メタン発酵だと発酵かすが大変出て、この汚泥の処理が大変。メタンの方がRDFよりいいという根拠を説明してもらえますか。
飯島政府参考人 御指摘のように、メタンにつきましては、現在、食品リサイクル法上の再商品化手法に位置づけられているわけでございますが、これは製品として、メタン自体が安定している、そして先ほど言いました、きちんとした需要が見込まれる、こういった諸条件をクリアしているという判断をいたしまして、メタンを位置づけているところでございます。
鮫島委員 そういう意味で聞いたのではなくて、サーマル利用の道は閉ざされておりますというふうに言ったので、メタンはサーマル利用以外にどういう利用をするんだと。みんな、メタンを吸って楽しむということもないんでしょうから。何に使うんですか、メタンは。
飯島政府参考人 先ほど来申し上げておりますのは、直接熱回収、直接サーマルリサイクルに持っていくものにつきましては現時点では困難と考えておりますが、メタンは燃料製品として需要もきちんと見込まれるものとして位置づけられているわけでございます。
鮫島委員 本題じゃないのでこれ以上言いませんが、おかしいです、どう考えても。
 燃料製品、では、固形燃料は燃料製品じゃないんだ、ここは水かけ論になりますが、なぜRDF化にそれほど否定的にこだわるのかが私は理解できない。多分、農林水産省に遠慮しているんでしょう。これは畜産廃棄物の発酵を想定して、恐らくメタンというのは、農林水産省が自分の世界の中で考えるメニューとしては大変理解できるんですよ。だけれども、生産だけじゃなくて、加工、流通、消費のところまで目配りしてというんだったら、利用の局面なり処理の局面を余り農業サイドに引きつけて縛るというのはいかがなものかという気がします。
 その辺を是正するのが環境省の役割で、農林水産省は、自分の世界の中でなれ親しんだ処理方法とか利用方法をメニュー化するのは当然だと思いますが、それに修正をかけて、より使いやすいような形にする、循環型社会がよりできやすいような形にするのが私は環境省の役割だと思いますので、余り苦しい、無理の、こじつけの答弁はしないでいただきたいというふうに思います。
 技術のこなれ方からいっても、私は、RDF発電の方がメタン発電よりは既に普及していると思いますよ。もちろんそれはダイオキシンの問題もありますが、それはもう技術的に幾らでもクリアする道があり、もしそんな道がないと言ったら、それこそ大変な答弁になるし、ダイオキシンの問題も、それは今技術的にはもうクリアできるめどがついているわけですし、現実的にもそういうオペレーションが行われているところがたくさんあるわけですから、これは政令でこなせる話なんで、ぜひひとつ大島農林水産大臣の、よくその辺の御英断を期待して、本題に入ります。
 少し時間がないので、予定より幾つか省略いたしますけれども、あした米審があると聞いています。政府の買い入れ予定価格あるいは売り渡し価格の妥当性についても諮問すると思いますが、大体どういう水準での諮問をお考えになっているんでしょうか。
石原政府参考人 政府買い入れ米価でございますけれども、これは一万三千八百二十円、これは六十キログラム当たりでございます。それから、政府売り渡し米価は一万六千七百二十一円、同じく六十キログラム当たりでございます。
鮫島委員 直近の買い入れがいつごろで、大体どのぐらいの数量を予定しているかというのをきょうの段階で言えますか。
石原政府参考人 買い入れは十五万トンでございます。(鮫島委員「いつ」と呼ぶ)前米穀年度ですね。
鮫島委員 ばたばたと発表された幾つかの各種の報告書の中で、この備蓄量が、過剰備蓄を抱えているということが非常にマーケットに心理的な圧力を与えて、そのことが価格形成に影響を与えるということが何カ所かで触れられていますが、今の備蓄水準がかなり過剰在庫というかふえちゃっていると思いますけれども、今の数量とそれから適正在庫量、どのぐらいのギャップがあるのか、これを何年ぐらいかけて適正な備蓄量に持っていこうとしているのか、その辺の見通しがあれば紹介してもらえますか。
石原政府参考人 十四年、ことしの十月末現在でございますけれども、政府在庫は百五十五万でございます。我々、適正備蓄水準は百万トンと置いておりますので、五十五万トンほど多いということでございます。
 これをどのように解消していくかということでございますけれども、我々、備蓄運営ルールというのがございまして、要するに、売り渡しがどれだけなのかということで買い入れも決定するということでございます。いずれにしましても、備蓄の水準を落としていくという手法をとるわけでございますけれども、政府米の需要に見合った販売、買い入れを機動的に実施するということで、この適正備蓄水準、すなわち百万トンに向けて我々努力していきたいということでございます。
 ただ、これを、いつごろに望ましい百万トンという水準になるかということにつきましては、なかなか、これからの需給状況がどうなるかということもございますので、我々、この段階では申し上げられないということでございます。
鮫島委員 特段の事項がなくて、平年並みに推移していくことを想定すれば、これは買った量プラス五万トンしか売りに出せないわけでしょう。ですから、一年に処理できる量は五万トンが限度で、そうすると、五十五万トン過剰なんだから、普通に考えれば十一年かかりますという話じゃないんですか。その間に、十年に一回不作があるというふうに想定して、はっきりした数字を言わないのかもしれませんが、今言った五万トンしかできないんでしょう、年間に。それとも、もっとたまったら、えいやっと出しちゃうということもあるんですか。
石原政府参考人 御指摘のとおり、昨米穀年度も、我々、計画では五万トン減らすということにしておりました。ですけれども、今後どういう水準になるのか、これにつきましては、あくまで需給動向次第ということでございますので、なかなか申し上げられない。先ほど、五十五万トン、毎年五万トンであれば十一年とおっしゃいましたけれども、我々これは、もちろんこれまでのペースであればそういう数字が出てまいりますけれども、実際何年かかるかということについてはなかなか申し上げられない。
 いずれにしましても、我々としましては、在庫の縮減、これにつきまして努力していきたいと考えております。
鮫島委員 私、備蓄制度を上手に使っていくことが、ある種、過剰在庫の処理にも使えるんではないかというふうに思って、備蓄運営研究会報告、平成十三年十二月に出たものですが、かなり内容を詳細に検討しましたが、余りできがよくないですね。備蓄に対する基本的な考え方がおかしいんじゃないかという気がしました。
 例えば、在庫量が百万トンを適正と考える。これは何かというと、十年に一回程度の不作が来たときに五十万トンぐらい放出しなくちゃいけないからこれが適正だと。多分、米のことしか考えていない。しかも、米を胃袋で処理することしか考えていなくて、もっと国際的なある種の緊張が高まったときに、でん粉資源としてどうなんだという発想がなくて、茶わんに盛られた飯の世界だけで考えている。そこから出てきた数字が百万トンではないかと思いますが。
 もうちょっと広い意味で、いざというときの食料も含めたでん粉資源としての備蓄ということとこの米の備蓄とはどういうふうにリンクしているんでしょうか。
石原政府参考人 昨年、この備蓄運営研究会ということで備蓄の問題をいろいろ議論してまいりました。しかし、ただいま先生おっしゃいましたように、でん粉全体と米の問題、これをどう考えるかということにつきましては、我々、なかなかそこまでの議論といいますか検討、それは及んでいないということは認めざるを得ません。
 いずれにしましても、今委員御指摘のとおり、米は米だけで考えられるものではありませんで、競合物品、すなわちパンとかめん類、こういうところの消費動向、こういうものに大きく米の消費動向は影響されます。したがいまして、そういうところまで考えるべきでございますけれども、なかなか我々の考えがそこまで及んでいないというのが実態でございます。
鮫島委員 私は、繰り返し消費者の視点から、サラリーマンの視点から、勤労者の視点からと言っていますが、そんなことしか考えていない備蓄だったら消費者としては不安でしようがないです。つまり、十年に一回の米の不作ということだけを想定しての備蓄制度というのでは、国民的には、消費者側としては大変不安でして、むしろある種、まあイラクがどうなるか知りませんが、いろいろな国際的な緊張が高まって、米の不作のせいじゃなくて、いわゆる全体の世界の食料の流れがゆがんできたときにどう対応するのかという発想がこの研究会の中にないんですよね。だから最初から大変狭く、限定的な発想になっているんじゃないか。
 例えば、スイスは食料は一年分保管しています、フィンランドも一年分保管しています、ノルウェーも一年分保管しています、スウェーデンは数量は軍事機密で公表しない。ですから、こういうふうに、非常に国の危機管理という世界の中で備蓄というのは考えられているわけで、米が十年に一回不作だから、そんな小さな視野では困ると思いますが。何か局長、御意見がありそうですね。
西藤政府参考人 先生御案内のとおり、我が国の穀物消費のうち国内で基本的に自給できる米につきましては、今ほど来御論議がありましたような供給安定対策という状況になっていると理解しておりますが、あわせて、穀物全体あるいは食料全体の安定供給という視点で、私ども農林水産省として、大宗を輸入に依存しております小麦、飼料穀物あるいは食品用大豆等についてそれぞれ備蓄の対応を行うと同時に、現在も、国際穀物価格等、北米の干ばつあるいはオセアニアの干ばつ等の状況の中で価格上昇の状況がございますが、常に情報交換、情報収集、それらの提供に努めて、安定供給に意を注いでいるつもりでございますし、今後とも、国内で供給のできる米のみならず、すべての安定供給という視点で常に情報収集、それと的確な対応のための情報提供に努めていきたいというふうに思っております。
鮫島委員 では、別の聞き方をしますが、食用、加工用あるいは非食用で年間使われているでん粉資源のどのぐらいが備蓄総量として保管されていますか。
西藤政府参考人 でん粉原料となる穀物を含めて、我が国での年間の消費量、約四千万トン程度というふうに理解をいたしております。その四千万トン程度のもののうちの国内で供給できておりますのが三割弱という状況でございまして、それが米を中心とした状況にございます。
 備蓄という形で固定的に持っているもの、今、厳密な数字ということでちょっとあれがあるかと思いますが、平均すれば一カ月程度は備蓄としてあって、そのほかに、まさに穀物でん粉としていわば製造工場等を通じて供給されるという実態でございまして、そういう製造過程の中で、約一カ月分程度の流通在庫として常に存在している。
 私ども、常に輸入に依存している穀物、トウモロコシ、大豆等につきましては、輸出地での積み出しの状況、最近も、アメリカの東海岸での港湾の状況あるいはカナダの港湾ストの状況等、常に状況把握に努めながら、関係者に情報提供、安定供給という形で努めているところでございます。
鮫島委員 お気持ちはわかりますが、余り無理な御答弁をされなくてもいいと思うんですよ。つまり、それは農林水産省の役割ではないですから、ある種、ナショナルセキュリティーの問題ですので。これはやはり大臣レベルが、ナショナルセキュリティーの問題として備蓄はどうあるべきかと。十年に一回の米の不作ということでこの研究会はやっていますが、これはしようがない、農林水産省の建物の中で開かれた専門的な研究会ですから、どうしても視野が狭くなるのはしようがないと思いますが、やはり備蓄の基本は私はナショナルセキュリティーだと思いますし、それだったら消費者はかなり金を出してもいいんですよ。ある種の安心、安全のための経費。
 それで、例えば、備蓄で三年たったものが、それは別に食用のマーケットに戻ってこなくても、十分それだけ安全、安心の役割を果たしたものということで別の利用のされ方をされても、これについては私は文句は出ないと思いますよ。ある種、既にもう社会的役割を果たした、そこにお金がかかっても構わないという意味では、私は十分その九六%の非農家の理解は得られるというふうに思います。
 備蓄は本来、食糧法になって、私は少しこれは法律を間違えたんじゃないかと思いますが、備蓄というのは、いざというときの補てん、つまりナショナルセキュリティーという観点と、もう一つは、過剰な場合に過剰在庫の発生につながらないような調整保管的な機能、この二つが本当はあったはずなんですが、食糧法に食管法が改正されていく中で、備蓄という枠内での調整保管というふうに限定的に解釈されて、本来備蓄が持っている二つの機能、危機対策と過剰対策、この二つの機能が今果たせなくなっている。危機対策の方だけしか果たせていない。これは回転備蓄という方式をとっているから、もう一回食用のマーケットに出しちゃうものですから、非常にオプションがなくてきつくなっているんだろうと思います。
 これを、私がさっき言ったように、むしろ国家のナショナルセキュリティーということから位置づければ、そこはもう十分社会的な役割を果たしたわけだから、例えば、三年たったものは無理に食用に戻さなくても、いかような使われ方をしても構わない、しかも値段もかなり安くても構わないというのが、私は、消費者といいますか生活者側から受け入れられる、十分受け入れ可能な範囲だと思います。
 今そういう分野では、世界的に、まあ先進国は皆、穀物の過剰で悩んでいますから、日本も昭和四十二年ぐらいから過剰になって、やっとこれで日本も先進国の仲間入りだと言われたのが昭和四十二年ぐらい、それからはずっと過剰で悩んでいて、在庫がたまり過ぎて当時の大蔵省からさんざん怒られて何か無理して援助に回したり、えさに回したり、苦労してやっと減ったと思ったらまた豊作でふえちゃって、そんなことばかりもう三十年ぐらい繰り返しているんじゃないかと思いますが、もうちょっとそろそろ知恵を出して、非食用利用のマーケットの方に流していく、つまり棚上げ備蓄にして、毎年五十万トンずつ非食用の方のマーケットに流して処理していけば、これはナショナルセキュリティー、それから過剰処理という二つの機能を私は果たせることになるんではないかと思います。
 全然その研究会ではそういうことがやられていないんですが、今、アメリカでも、大変、コーンスターチの処理について、アルコール化してガソリンに一部まぜていく。それからさらに遺伝子組み換えでアメリカは新しい微生物をつくって、従来アルコールにならないと言われていた例えば稲わらのたぐい、これも処理できるようになって、二年前のクリントンの演説で、アメリカが二〇一〇年までに全エネルギー消費の九%をバイオエネルギーに変えますという宣言をして、ブッシュ大統領になってもそのプロジェクトは粛々と動いて、日本のある企業もそれに参加して大きなバイオプロジェクトとして動いていますが、先ほど林野の方々が木材、森林廃棄物資源を使ったバイオマスの利用を図りたいということをちょっとおっしゃっていましたが、農林水産省全体としてその方向が今見えてきている中で、ぜひこういう役割の終わった備蓄米の非食用利用、燃料とかバイオプラスチックとか、前回の委員会で筒井さんが具体的なサンプルを出してお示ししたことがあると思いますが、こういう分野というのを私はぜひ推進すべきだというふうに思います。
 これは多分、昭和五十六年から十年間、農林水産省、きょう技術会議の局長さん、いらっしゃっていますが、バイオマス変換計画という大プロジェクトをやった。これはオイルショックの後を受けて若干時間を置いて、当時の通産省とか科学技術庁がいろいろなプロジェクトでやった後、農林水産省もややおくれてですが、昭和五十六年から十年間、バイオマス変換計画という大プロジェクトを走らせたわけですが、その結果、エネルギー利用の場面で、これは実用的に使えるなというような成果がこの十年間のプロジェクトの結果、何か得られたでしょうか。
岩元政府参考人 先生の御指摘のとおり、昭和五十六年から平成二年、十年間にわたりまして、農林水産省の研究開発プロジェクトといたしまして、生物資源の効率的利用技術の開発に関する総合研究、いわゆる我々がバイオマス変換計画と通称をしておりましたけれども、これを実施したところでございます。本計画におきましては、農林水、三つの分野におきますさまざまなバイオマス資源というものをエネルギーやあるいは食品用の素材といったものに利用する、変換するという技術の開発を行ったわけでございます。
 この研究の中で、我が国に賦存しますバイオマスの量、あるいはその利用可能量の評価、あるいはまたバイオマスの変換技術そのものの基礎的な研究を行ったということで、バイオマスに関しましては相当な研究の蓄積がございます。
 この研究の中で得られた成果ということでございますが、特にでん粉系あるいはセルロース系、糖質系の資源を変換するいろいろな有用な微生物酵素の開発も行ってまいっておりますし、現にそういったものが現在オリゴ糖の製造技術というような形で工場で利用されていることもございます。
 また一方、先ほどお話のございましたメタン発酵、これにつきましても当時から相当取り組んでまいっておりまして、現在実用になっております二相式メタン発酵システムの原型もそのときのプロジェクトの中で開発されたというふうに認識しているわけでございます。
 その後、エネルギーの事情が大分緩みまして、バイオマスというものの研究がある意味では衰退したということでございますが、御案内のように、昨今、またバイオマスの利活用に関しましては新たな局面にあるというようなことで、平成十二年から新たにまたバイオリサイクルのプロジェクトというものを起こしてございます。
 このプロジェクトの中では、先ほど申し上げましたバイオマス変換計画で得られました知見あるいはその基礎的な技術に加えまして、近年開発されております革新的な技術を活用し、特に地域におけるバイオマス利用システムの確立というような視点を強く掲げて、産学官の連携のもとに研究開発を鋭意進めているという状態でございます。
鮫島委員 済みません、ちょっと別の聞き方をしますが。
 では、例えば、備蓄が終わったお米、これは一応、安全を与える役割を果たし終わったお米ですが、やや古いかもしれませんが、その二年なり三年たったお米をアルコールやあるいはバイオプラスチックの原料として使っていった場合に、どの程度のコストとしてだったら十分他製品と競合できるのか。
 逆に言うと、お米二キロから一リッターのアルコールができます。それをガソリンに例えば五%まぜていくというのを、今度経済産業省の方で五%混入というのを正式に認知するようにしたそうですが、そうした場合には、やはり一リッター当たり原価で五十円ぐらいでつくらなくちゃいかぬ。そうすると、二キロで五十円だから、発酵の経費を入れたらキロ十五円とか二十円ぐらいじゃないと多分アルコール燃料としてはコスト的に合わないんじゃないかと思いますが、バイオプラスチックなんかの場合は大体幾らぐらいで古米が入ればビジネスが成り立つのかどうか、そういう試算はありますでしょうか。
 それから、あわせて、例えば米でん粉からつくった燃料用のアルコールあるいは今言ったバイオプラスチックというものを扱う役所、所管はこれは農林水産省の中で完結しますか。
石原政府参考人 バイオプラスチック、こういうもので、他の競合する物品、これと米の価格が幾らであれば対抗できるかということでございますけれども、我々の試算では六十キロ千円程度というふうに考えております。それで、この点に関しましては、先ほど我々、今過剰在庫五十五万トンと申し上げましたけれども、これで計算しますと約一千億円余りの財政負担になるということで、この問題がなかなか我々乗り切れないということで、先ほど先生がおっしゃいましたものに取り組むのが現状ではなかなか難しいということでございます。
 それと、あと二点加えさせていただきたいと思いますけれども、先ほど備蓄と調整保管をおっしゃいました。食糧法では明確に備蓄と調整保管を区別した規定になっております。過去の豊作時に在庫が膨れ上がってその処理に多額の金を使ったということもございまして、我々、備蓄に需給調整の機能を持たせるということには消極的だということでございます。
 それと、最後に、私先ほど、前米穀年度、すなわち十四米穀年度、十五万トン買い入れと申し上げましたけれども、十五万トンの計画に対して実行は十一万トンでございましたので、訂正させていただきます。
鮫島委員 バイオプラスチックとバイオエネルギーの所管はどうですか。
西藤政府参考人 先生お尋ねの、生物資源由来のプラスチックの所管ということでの御質問でございますけれども、製品面ということで、実際に利用される製品面ということを考えていきますと、これは経済産業省での関連が強いと思いますし、廃棄物のリサイクルという観点でバイオプラスチックの議論がございますので、これは環境省との関係ということになっていくと思いますし、さらに、今御論議がありますように、原料としての食品あるいは農産物ということの観点では私どもが中心になって考えていく、そういういわば関係省庁が広がっている状況だというふうに思っております。
 本問題、いずれにせよ、一つの大きな課題だというふうに私どもも思っておりますので、関係省庁が連携して取り組んでいく課題だというふうに思っております。
鮫島委員 BSEのときも、関係省庁がまだら模様に入り乱れて、そのことが問題の解決を困難にしたという指摘も行われたと思います。
 これから、ある意味では、二十一世紀、地球温暖化対策もあって、バイオマスあるいは生物由来の素材というのが非常に明るい将来として期待されている。環境税というような考え方も出てくる中で、先ほど岩元局長に御説明いただいた、あの昭和五十六年からやっていた時期は、なかなかそういう横から下支えするような仕組みがなかったものだから、農林水産業の世界の中で完結しようとしても、なかなかペイしない。六十キロ千円なんという米はどこからも出てこない。したがって、非常に財政的な負担が大きいから、結果的に棚上げ備蓄のようなものはやめようという話になっちゃったわけですが、当時と一番大きく環境が違うのは、環境税という思想が出てきたことだと私は思います。
 そういうこととまぜれば、私は十分バイオエネルギーとかバイオマテリアルの展開はあると思いますが、このときもやはり、所管の問題なり、農林水産省の所掌の範囲というのが一つの障害になってきて、でん粉を分解してブドウ糖にしていきます、乳酸発酵して、そこまでは農林水産省ですが、その乳酸を重合してポリ乳酸という合成樹脂になった途端に経済産業省がぽっと持っていく。そうすると、原料から製品販売までが完結しないので一つの世界が構築できない。こういうことがすぐ出てくる問題だと私は思いますので、ぜひ軸足を移すというときはそういうことも視野に入れて、ちゃんとした軸足を移していただきたいと思います。
 今、私が言った環境税というのは、環境省の方でも検討されていると思いますが、こういう環境税、北欧ではバイオエネルギーの普及利用に環境税の果たしている役割が大変大きい。既にスウェーデンでは、今一次エネルギーの二割がバイオエネルギーですし、幾つかの実験都市、ベクショーという実験都市がありますが、そこではほとんど、熱エネルギーの八割方は今バイオエネルギーで賄われているというような状況です。これに環境税の果たす役割が大変大きい。
 二つの役割があって、一つは、生物資源由来のものにはかけません、化石資源由来のものに高くかけますという意味で差をつけるのと、さらに、そっちで得られたお金をバイオエネルギーの方に回してさらに底上げするという、二重のインセンティブのつけ方が可能だと思いますが、そういう方向を環境省としては、今後、環境税の導入を考えるときに、バイオマスエネルギーの普及を促進するために、北欧で行われているような環境税の活用ということを念頭に置いて今環境税の議論を進めているのかどうか、お伺いしたいんです。
炭谷政府参考人 温暖化対策を進めるために、現在、環境税について、環境省といたしましては、地球温暖化対策推進大綱のステップ・バイ・ステップのアプローチに沿って考えておりまして、必要とされた場合は、二〇〇五年以降早期に導入するとの方針に基づきまして、その具体的な検討を進めているところでございます。
 環境税によるバイオマスの利用との関連に関しましては、先生御指摘のように、二つの意味で促進に役立つんじゃないか。一つは、課税が化石燃料との価格競争に有利に働くという面、また、そこから得られた税収をバイオマスの利用の推進に活用するという二重の観点で大変効果があるだろうというふうに私どもも考えております。
 これから、私ども、温暖化対策のための環境税の具体的な設計に当たっていく場合は、先生御指摘されましたようなスウェーデンの場合も、公式文書で、バイオマスの炭素税がバイオマスの利用促進に大変役立っているというようなことも出ておりますので、これらを参考にしながら、バイオマスの利活用の促進も図られるような方向で検討してまいりたいというふうに考えております。
鮫島委員 最後に、一問だけ。
 私は、備蓄の持つ二つの役割、安全の確保とそれから過剰の対策という意味で、備蓄は二つの役割を持った方がいいと思います。その場合、ただ過剰対策に備蓄を使おうとした場合は、棚上げ備蓄が前提になって、主食用のマーケットには戻さない、非食用のマーケットで使う。ただ、この場合、岩元局長の話もありましたが、コスト的には大体合わないわけですね。
 ところが、平成十七年、二〇〇五年からの環境税の導入が今考えられているときに、ある意味ではちょうどタイミングが合うわけですから、大島農林水産大臣の方も、このままのコストではなかなかビジネスとしては成り立たないけれども、環境税の利用による政策誘導を行えばこういう世界が成り立つという判断からいえば、農林水産省側からも、環境税のかけ方、使い方について、バイオマスの利用普及ということからいろいろ発言できる場があるのではないかと思いますが、その辺の大臣の御見解を最後にお伺いして、質問を終わります。
大島国務大臣 今、BT戦略会議というのをやっておりまして、その中には、バイオマスの研究という項目も重要な項目として当然ございます。
 イイジマ委員は、ある意味ではすべて御存じの上でいろいろ御質問をいただいておりますが、確かに、バイオマスあるいはバイオテクノロジー、バイオマスの方に全部回したら、それはそういう構想もあるではないかと言われますが、一方、棚上げ備蓄というものを考えた場合に、消費者とか国民に対する安心とか、そういうふうな問題もありますけれども、生産者がそこに今度は頼っていく、あるいはまた、そういうふうなことも一方においては懸念されます。ですから、総合的に考えなければならぬところがあると思います。
 そこで、環境税の問題でございますが、私どもも重大な関心を持っていることは、率直に申し上げます。しかし、税は、そこだけでまた議論できるものではなくて、日本の税全体の体系の中でも議論をしなければならないというふうな点も考えなければならないと思いますけれども、環境税の議論が起こった場合には当然に、バイオマスのそういう問題に我々は関心を持って、そういうものを総括的に使える、あるいは、そういうものを利用できるようなことを含めた環境税の議論をしていかなければならぬ、このように思っております。
鮫島委員 以上で終わります。ありがとうございました。
小平委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三分開議
小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。筒井信隆君。
筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
 午前中に鮫島議員の方から質問したことについて関連して質問しますので、ちょっと順序が変わります。
 午前中、鮫島議員は、政府備蓄米の制度について、米の生産量の減少、つまり不作に対応するだけのこんなみみっちい政策ではなくて、食料安全保障の観点あるいは調整保管の観点、こういう観点からも備蓄をすべきだ、こういう極めて正しい指摘をされました。
 それに対しての答えなんですが、食料安全保障の観点からも備蓄をしておりますという答えだったかというふうに私は記憶しているんですが、そういうふうに聞いたんですが、それで間違いないですか。
石原政府参考人 どういう文脈だったか、ちょっと私も睡眠不足でよく記憶しておりませんが、たしかそういう答弁をしたと思います。
大島国務大臣 備蓄という概念は、当然、安全保障的な概念の中に入る構想だと思います。
筒井委員 食料安全保障という観点からも備蓄しているという今の大臣の答えですが、それはどういう法的な根拠に基づく備蓄制度なんでしょうか。
 というのは、主要食糧の需給に関する法律では、三条の三項ですが、「米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え、」つまり不作の場合に備えて備蓄をするんだとはっきり規定されているわけでございまして、今大臣が答えられた、それから午前中に食料安全保障と答えた、食料安全保障の観点からの備蓄はどういう法的な根拠に基づく備蓄なんでしょうか。
大島国務大臣 今委員がお話しされた法律、何という法律でしたかな。(筒井委員「主要食糧の需給に関する法律」と呼ぶ)それもありますし、新農業基本法の中にも、総体的に国民に対して安定した食料を供給するという使命は政府にある、こういうふうなこと等から、備蓄というものは安全保障上のいわば概念の中にある構想、アイデアだと私は思っております。
筒井委員 それもあると言われましたが、主要食糧法にはそれはないんですよ。今、食料・農業・農村基本法の中にそれがあるという答えですね。ちょっとその点だけ確認。
石原政府参考人 食糧法の規定は、先ほど委員が読み上げられましたけれども、備蓄は、「米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え、必要な数量の米穀を在庫として保有すること」、こう定義しております。ですから、これは基本的に、供給が不足する事態に備えて備蓄するということで、基本的にはいざというときのため、すなわち食料安全保障であろうかと思っています。
 それで、食料安全保障という文言では、ただいま大臣が申し上げましたように、食料・農業・農村基本法の中に規定があるということでございます。
筒井委員 そうすると、食料安全保障上の観点からの備蓄、これは食料・農業・農村基本法に基づくものである。調整保管という趣旨はあるんでしょうか、ないんでしょうか。
石原政府参考人 調整保管につきましては、食糧法の中に、第二十九条第一項第二号でございますけれども、ここに「米穀の生産量の増大による供給の過剰に対応して必要な数量の米穀を在庫として保有すること」という定義があります。
筒井委員 そうすると、鮫島さんが午前中に指摘した三つの趣旨は政府備蓄米制度にはあるという答えに今なるかと思いますが、それならなおさら、調整保管という趣旨もあるとすれば、これも鮫島さんが指摘されましたが、回転備蓄制度ではなくて棚上げ備蓄制度にする方が合理的なんじゃないですか。
石原政府参考人 備蓄と調整保管でございますけれども、先ほども申し上げましたように、備蓄は、米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備えて、必要な数量の米穀を在庫として保有することでございます。それから調整保管は、米穀の生産量の増大による供給の過剰に対応して必要な数量の米穀を在庫として保有すること。
 要するに、現象面では在庫としてあるわけでございますけれども、備蓄と調整保管は機能は違う、それを我々としましては、この備蓄と調整保管を区分して定義しているというふうに考えておるところでございます。
筒井委員 そうすると、現在の政府の備蓄米制度には調整保管の趣旨は入っていないんですか。
石原政府参考人 現在の政府がやっている備蓄、これには調整保管的な機能はございません。
筒井委員 そうしますと、では、後でまた議論にならないように確認しておきますが、現在政府が行っている備蓄制度にある趣旨は、食料安全保障という観点、そういう趣旨、それと不作の場合の供給不足に備える趣旨、この二つだということですね。
石原政府参考人 今委員が申されましたことと基本的に同じことかなと思いますけれども、我々は、そういう機能しかないということでございます。
筒井委員 食料安全保障の観点からも、実際に、食料に対する国民の不安感をなくす、安心感を国民に与えるという役割を何年間かの備蓄でもって果たすわけですよね。そういう意味で、比較したら怒られるかもしれませんが、自衛隊もそうなんですよね。自衛隊の存在自体で国民に対する安心感を与えるんですよ。かといって、では自衛隊が実際に発動しなかったらそれはむだかというと、そうじゃないんですよ。この備蓄米制度もそうなので、備蓄をしたことによって、それで役割を果たすんですよ。十分な備蓄米としての、米としての役割を果たし終わるんですよ。そういう点からも、棚上げ備蓄制度に私は変えるべきだと。
 棚上げ備蓄制度に変えた場合に、その後、古米でも古々米でもやはり食用の方に回さない。特に今の需給関係から見たら、食用の方に回さない、戻さない、食用市場の方に戻さない。特に、今まで全く取り組みがなかったバイオマス活用事業の方に戻すべきではないかというふうに私は思っているので、その点。
 それから、今度、短期融資制度を創設するというふうに、米政策大綱でもほぼその方向が出されたようですが、これで三千円ということが巷間言われております。三千円で政府が受け取って、農家がそれを売却する努力をして、売れなかったら三千円で政府が引き取る。この政府が引き取った米を、やはり私はバイオマス活用の方にも回すべきであるというふうに思うわけでして、この短期融資制度によって政府が引き取った米と、回転備蓄ではなくて棚上げ備蓄制度に変えて、その役割を果たした米をバイオマス活用の方に回す、これも正しく鮫島さんが指摘したことですが、もう一度その考え方について、大臣。
大島国務大臣 筒井委員、米の歴史を振り返ってみていただきたいんです。過剰米処理に約三兆、日本の政治、財政は金をかけました。そのときに、備蓄というものと生産の過剰というものを、やはりある意味ではもやもやした形で、はっきりしないままに、あのすさまじいお金をかけて処理した、この指摘と問題はさまざま議論があっていいと思います。
 そこで、今度は、やはり米は、先ほど筒井委員がお話しされましたように、国民の主食である、基礎食料である米というものは、食料安全保障の概念から、備蓄は備蓄として一定のものを確保しましょう、しかし、できるだけ過剰米が極端に出ないような仕組みの中で、生産者が消費者を見ながら頑張ってやれる生産構造にしていこうじゃないかというのが改革の趣旨であります。
 そこで、今、もっともっと棚上げ備蓄をしたらいいじゃないかと。民主党さんはどのぐらいの国備をお考えになっておるのか私はまだよくわかりませんが、そのお金というものも、幾ら安全保障とはいえ、国民に理解を得られる範囲の中でのやはり財政というものを考えなければなりますまい。そして、いわばローンレートを新しく今度つくるわけでございますが、そこの世界はできるだけ生産者もしっかりと負担をしていただきながら、そこの処理はやはり食料の世界の中、そういう中で処理していく。そういうことによって一層主体的に生産者が消費者を見て頑張れるような、主体的責任感を持ちながらやっていくという仕組みにしていきたい。
 一方、先ほど来、先ほどは鮫島委員にイイジマ委員と、大変失礼して環境省の名前と間違ったことをお許しください。そのバイオマスの研究というのは、これは一方においてきちっとやらなければなりません。そして、バイオマスの技術と必要性、その必要性ということは私どもも認めておりますから、BT戦略会議できちっとやっていく。そこが確立して技術的あるいは産業的にどんどんいけるということになった場合は、バイオマス用の米の生産というのは私はあり得ると思うんです。多様な米の利用という世界の中で、これはまた生産者が頑張っていけるようにしていかなければいかぬ。
 その辺の政策の明確性をきちっとしないと、米という非常に我々の基本にある食料でございますから、この米ということの中でシンボリックになって、そして政策の意図がもうみんなごっちゃになったものですから、かつて一兆円、二兆円と過剰米処理のために金をかけたなという反省を私どももしなければならぬし、政策のその辺の明確性を持ちながらやっていかなければならぬということで、棚上げ備蓄と簡単におっしゃいますけれども、では、一体どのぐらいの棚上げ備蓄の量を民主党さんが、筒井さんがお考えだろうか、そのときのお金はどのぐらいかかるだろうかということをお考えいただければ、この棚上げ備蓄のあり方というのは国民の理解を得られるのかなという思いを持ちながら今お答えをしたところです。
筒井委員 では、具体的に聞きますが、短期融資制度によって質流れになった米、これはえさ用にも販売するんですよね、政府は飼料用として。その場合は幾らで販売するんですか、大体。
石原政府参考人 えさ用の販売、この具体的なものは実際どういうふうになるかわかりませんが、我々の想定では、六十キロ当たり九百六十円というのを置いているところでございます。
筒井委員 九百六十円。このバイオマス活用の場合に、先ほどの答えでは千円というふうな、午前中、寝不足で長官は聞いていなかったかもしれないけれども、バイオマス活用の場合は千円という答えがありました。
 私は今、二つの取り組みを調べてみました。
 一つは山形県でやっていることですが、古々米、なるべく古い米の方が水分が少なくてかえっていいそうですが、等から乳酸エチルというものをつくって、乳酸エチルを生分解性プラスチックの原料として販売する。この場合に、千五百円から二千五百円程度で、まだそこは実際に始まっていませんから明確なものではありませんが、受けてもペイすることができるだろうという資料をいただきました。
 それからもう一つは、これは私も見に行ったんですが、滋賀県の方で、バイオマス液化樹脂というものをつくって、そこから、今、一般で言えば、例えば断熱材とかプラスチック製品あるいは畳のしんだとか、こういうものをつくっている。これは今、一部既に商業生産をやっておりますが、それもほぼ同じような価格、最高で二千四、五百円程度というので、受けてもペイするだろうというふうな回答をもらっているわけでございます。
 だから、先ほど千円と言った根拠、これはどういう根拠に基づくんですか。バイオマス活用にしたってもっと高く売れるんじゃないですか。
小平委員長 速やかに答弁をしてください。
石原政府参考人 この根拠でございますけれども、我々は、これはちょっと情報源がわかりませんが、バイオマス利用、生分解性プラスチックは大体九百六十円という数字を聞いております。これにつきましては、先ほど来出ておりますように、えさ用も九百六十円でございます。
 したがいまして、えさ等にするのであれば、むしろ将来の前向きなバラ色の未来が広がる、こういう方向に向ければいいんですけれども、我々、先ほど委員がおっしゃいましたように、この過剰米短期融資制度、一俵六十キロ当たり三千円、これはあくまで、現在の例えばという仮の数字でございますけれども、これをベースにしておりますので、より高い方、できればもっと高いもの、例えば米粉とかそういう、米粉パン用原料であれば四千円から五千六百円期待できます。
 安いものでやりますとどうしても原資が不足することになりますので、その原資をどう調達するのかという問題がございます。やはりより高い方に持っていって、資金が自動的に回転するように、そういう姿を我々は目指しているわけでございますので、その点、御理解いただきたいと思います。
筒井委員 今言いました山形県の取り組みは全部で五億円のプラントにすぎない、滋賀県の方は、私見てきたんですが、もっと小さなプラントで細々とやっている。そういう状況で、そのような金額で古々米、古米を受けてもペイするという状況、これをもっと大規模に、それでもっと効率的に研究開発費をかけてやっていけば、ずっとまたコストが下がる可能性がある、そういう点から、私は、今農水省が中心になってやっておりますバイオマス・ニッポン総合戦略、これを極めて関心を持って注目しているところでございます。これを大々的にやっていくべきだ。
 日本が一番おくれている、それはこの前の、大分前ですが、この委員会でも質問したとおりでございまして、そのときもたしか申し上げたと思いますし、午前中に鮫島議員も言われましたが、クリントン大統領は一九九九年に、五十年以内にエネルギーと化学品、ケミカル製品の二分の一をバイオマスから製造する、これを目指すという物すごい衝撃的な方針を出して、それに関してはブッシュもその路線を追っている、こういう状況でございまして、日本はそこから見たら本当におくれている。今なんて、バイオエネルギーに関してだって、もう一%なんか到底及ばない状況です。バイオケミカル製品に関してだって、もうずっともっと低い。
 だから、このバイオマス・ニッポン総合戦略というのを本格的にやはり取り組んでいかなければいけない。それが過疎地対策にもなるし、農村対策にもなるし、過剰農産物対策にもなるし、まさに産業振興、経済対策にもなるわけでございまして、一石三鳥、四鳥、五鳥になるわけでございます。
 そういう観点から、私は、もちろん農水省は追及するし、農水大臣も追及するんですが、今やっている戦略、これは全面的にやはり賛成をしておりまして、今約二百九十億円の予算要求を農水省としてやっているようです。
 財務省、これに応じて、財務省としても国全体としての国家戦略としてバイオマス・ニッポン総合戦略を進めていくべきではないかというふうに考えますが、どうですか。
田中大臣政務官 お答えをいたしたいと思います。
 今お話ありましたように、地球温暖化防止の観点からもバイオマスの利用というのは極めて重要な課題だと思っております。私自身も先般鹿児島県の上屋久町というところに行ってまいりました。これは観光地としてユネスコの世界遺産に登録されて有名になってきておりますけれども、あの地域で、廃材とかあるいは毎日の生活から出てくるごみなどを全部バイオマスで処理いたしておりまして、大変地域の中では私は新しい取り組みとして非常に評価をして帰ってまいりました。バイオマスについては、本当にそういう意味では重要な課題であると思っております。
 ただ、原則的には市場原理というものも大切だと思いますし、いろいろとございますし、各省庁からも、今回、農水省のみならず、いろいろな取り組みについてお話が上がってきておりますので、これらのことを予算編成の中で十分ひとつ重きを置いて検討してまいりたいと思っております。
 さらに、この十二月中でございますけれども、政府として、バイオマス・ニッポン総合戦略を策定するということで、各関係省庁で今調整作業が行われておりまして、その結果も十分踏まえて頑張っていかなければならないな、このように認識をいたしております。
 以上でございます。
筒井委員 確かに、今言われた趣旨でちゃんとした予算づけをやってほしいのですが、今言われましたように、市場原理にやはり乗って、商業ベースに乗らなければいかぬ、それが必要なことははっきりしているわけです。
 ただ、以前は、つい最近までは、もう廃棄物処理でしか恐らくペイしないだろう、廃棄物を有償で受け取って、それでアルコールだとか水素だとかいろいろなものをつくってそれを売る、そういう形でしかペイしないだろうと言われていたわけですが、先ほど例に挙げました山形県と滋賀県の例は、安いとしても、金払って米にしても原料を買い取って、それでもペイするような可能性が出てきた。これはいずれも、その二つのプラントとも複合特許でございまして、やはり技術開発が進んできた結果、そういう可能性が出てきたわけでございます。
 今度の農水省の予算の中にも、その技術開発関係もありますし、各地域のそういう実際の動きに対する支援もあるわけでございまして、これを財務省としても全面的に認めて、あるいは、私は、二百九十億では足りないのではないか、もっとふやすべきではないかと思うんですが、全面的に認めて、それを農水省として積極的に取り組んでいく、これが必要だろうというふうに思っているんですが、大臣、その点に関する決意をちょっとお願いします。
大島国務大臣 筒井委員から、大変温かい励ましのお言葉と激励と、また、財務省に対する今厳しい要請をしていただいたことを心から感謝申し上げます。
 バイオマスという世界はまだまだやはり未知だと思います。そういうベンチャー的な企業の皆様方が頑張って、そして、やれるんだ、千円ちょっとでも頑張れるんだ、こういうふうに言ってくださっているそういう方々を励ましながら、私どもは、日本に今現時点、基幹食料として一〇〇%以上生産可能なものというと、ある意味では米しかございません。その米を、国民の税金というものをむだ遣いしないようにしながら、やはり多面的に利用していくというその政策はしっかりととっていかなければならぬ。
 その多面的に利用してもらう一つのかぎとして、今バイオマスという技術をもっと研究せい、頑張れということでございますから、私どももその御指摘を踏まえながら一生懸命努力してまいりたいと思いますので、また御支援のほどお願い申し上げます。
筒井委員 バイオエネルギー、バイオケミカル製品、両方とにかかわるものでございまして、これはまだ少し先の話だと思いますが、バイオエネルギー、バイオケミカル製品が出た場合に、いろいろな形で、商業ベースに乗せるのは現時点ではなかなか難しい点があるわけでございます、コスト的に。
 だから、例えば、ドイツへ行くとわかりますが、食用油、菜種油ですが、菜種油からディーゼル燃料をつくる。そのディーゼル燃料、バイオ燃料と石油系の燃料とをガソリンスタンドで並べて売られている。どちらが安いかというと、バイオ燃料の方が安い。なぜ安いかというと、全面的な非課税だから安いわけでございまして、財務省の方に、このバイオエネルギー、バイオケミカルに関する税の優遇措置、まだ少し先の話ですが、少し普及してからの話ですが、これもやはりやるべきだと思うのですが、どうですか。
田中大臣政務官 お答えをいたしたいと思います。
 今日でも、自動車の燃料にアルコール燃料が使われたりいたしまして、税との関係で議論を呼んでおるところでございます。
 具体的に、今も委員から先の話というお話がございましたけれども、これから将来、具体の話が出てくると思っておりますし、また、そうなったときにどのように新しい時代に向かってバイオマスのインセンティブを提供するかということは、財務省としても真剣に考えなければなりません。
 ただ、具体に燃料に対して税をかける場合に、バイオマスであっても、なぜ税をかけるのかというやはり原理原則の議論も当然そこにあると思いますけれども、私も政治家としてお答えをするとなれば、当然、そういうものをやはり支援していくという時代を迎えなければ我が国もいけないのだろう、このように思っております。
 以上でございます。
筒井委員 財務省への質問はこれで終わりますので、大変きょうはありがとうございました。
 それで、本来の米政策の方の問題に移りますが、今回の米政策大綱によってどう変わったのか、あるいはどう変わるのか、これを農水省の方に確認をしたいと思います。
 まず、生産調整、減反の配分ですが、配分が面積から数量に変わった。これは前提ですから、それはいいです。
 今まで、現在では国が配分していた。国から都道府県に行って、都道府県から市町村に行った。これはまだしばらく続く。しかし、平成二十年から、あるいは早ければ平成十九年からそれが変わるということでございますが、平成十九年からになるのか、十八年に検討した上ですぐやるかどうか決めるというんですから。だから、それを今後平成二十年ごろからというふうに表現いたしますが、平成二十年ごろから国が配分しなくなる。これははっきりしているようですが、国の関与がどうなのかがどうもはっきりしていない。
 平成二十年以降は、国の関与は、もう時間の関係がありますから私の方から言いますが、需給に関する情報の提供と助言、この二つだけになるんですか。それとも、それ以外にもあるんですか、何か。この生産調整の配分の問題に限って、どう変わるのかをお答えください。
石原政府参考人 仮に、先ほど二十年とおっしゃいましたので、二十年度からということになりますと、その姿のもとでは、需給調整に対する国の関与のあり方としては、国が事務局となりまして、第三者機関的な組織の助言を得つつ、客観的な指標による予測値を需給情報として提供する、これが一つでございます。それから二つ目には、農業者団体が自主的に行う生産調整の配分や推進に対する助言指導がございます。それから三つ目には、農業者団体が主体的に行う豊作による過剰米処理に対する支援、こういうものがあるというふうに考えております。
筒井委員 三つ目に言われたのは、過剰米の短期融資制度のことですね。それはまた後で聞きますが、では、それ以外では、情報の提供と指導助言、この二つに限定される、そういうことですね、二十年以降は。
石原政府参考人 基本的にはそれを前提としているわけでございますけれども、ただ、今回の改革大綱をごらんいただきたいと思っておりますけれども、その中で、国、地方公共団体の食糧法上の位置づけ、これにつきましては、今後、我が方と団体の方とでワーキングチームをつくりまして、検討していくことになっております。
 しかし、先ほどの基本的なところ、そこは我々変えておりません。
大島国務大臣 筒井委員、先ほど、国家備蓄、これは食料安全保障的観点からとても大事なお話だと私に言われました。やはり、政府としては、そういう観点からも、その自主調整の姿を何らかの形で見守って、助言等をしたりする責任もあるでありましょう。
 そういうことから、先ほど石原長官がお話しした、あくまでも基本は自主調整、そうである中にあって、国、地方団体がどのようにかかわっていくかということはこれから考えてまいるということでございます。
筒井委員 これから考えていくと言うからわからないんですよ。情報とか助言指導の具体的な中身をこれから考えていくんですか。それとも、それ以外にも何かやるかもしれないけれども、それは、何をやるかはこれから考えていくということですか。
大島国務大臣 それ以外のことで、どういうかかわりを持つべきか。
 先ほど申し上げましたように、例えば、自主調整等入った場合におきましても、逆に、生産者が徹底的に価格を上げるための思いを持って、自由競争の中であるいはやるかもしれない。したがって、我々は、あくまでも国民に対して安定的な米を供給するという大きな宿題があるとするならば、そういうふうな観点も含めて、今言った以外のかかわり方を考えていかなければなるまいということでございます。
筒井委員 それは、その場合その場合において、今の言った場合も指導助言でしょう。それは指導助言の中に入るでしょう。指導助言と情報提供以外に何かあるのかということなんですよ。
大島国務大臣 筒井委員が、指導助言ということの以外にということでございますが、それはさまざま考えられることがあると思います。
筒井委員 だから、何も具体的にはっきりしていないんだよね。
 それで、では、平成十六年以降は、今の配分の問題に関しては、今までと平成十六年以降は何か変わるんですか。それとも、全然変わらないんですか。
石原政府参考人 十六年度以降は変わりません。第三者機関の助言をいただくとか、そういうところは変わりますけれども、あくまで国が県、市町村を通じまして配分いたします。団体の方でも、全中、県中、それから農協を通じて配分いたします。そのような仕組みは変わりません。
筒井委員 今、食糧庁長官の話をまとめれば、平成二十年度ごろまでは配分については変わらない、二十年以降は自主的な配分になることが基本である、国の関与は情報提供と指導助言が基本であるけれども、さらにそれは今後も検討していく、その基本線を前提にというふうな答えですね。違うの。
大島国務大臣 おおよそそういう整理で結構だと思います。
筒井委員 それから、現在、生産調整にかかわる交付金が約二千九百億円ぐらいあるんですが、これがどう変わるのかを次に確認していきたいんです。
 二千九百億円という金額は別にして、平成十六年から、今度は金にまつわる交付は三つになりますよね。さっきの短期融資制度を含めて、担い手に対する経営安定対策、それから産地づくり推進交付金、この三つの金額、ほぼ二千九百億、今までのものと同じになるだろうと思うけれども、まだ決まっていないと。だけれども、この三つのものは、平成十六年度以降も生産調整に協力している人たちに払われる、この点では、現在、二千九百億円の交付金がやはり生産調整に協力している人に払われる、この点では変わらないわけですね、十六年以降も。
大島国務大臣 筒井委員、大綱はきのうかきょうお読みになったので、その全体のところはどういうふうに御理解いただいているかわかりませんが、基本的なことだけ筒井委員に申し上げます。
 今までは、つまり田んぼを持っていれば画一的にお金を交付していたというか、そういう状況でした。今度は違うわけです。つまり、数量にそれを変え、そして、その中にあって、担い手という人たちを中心にした米づくりに変えていく。だとすれば、当然に、そういう担い手にそういうお金を集中させていく、そしてあるべき姿に向かっていきたい、こういうことでございますから、思想的に今までとは違いますということだけを申し上げておきたい、このように思います。
筒井委員 思想的に違うというのは、それで具体的に聞きたいんですが、私が今まず聞いているのは、産地づくり推進交付金、それから担い手に対する経営安定対策、それから短期融資制度、これは生産調整に協力した人を対象に払われるわけでしょう。その点では、今現状において合計二千九百億円の交付金が生産調整に協力した人に対してだけ払われるのと変わりはないんでしょう。その点について聞いているんです。
大島国務大臣 当然、生産調整にそういうふうにコミットした人たちが対象になるわけです。
 ただ、二千九百億円、平成十六年度の予算ですから、今から二千何百億円どうだこうだということは言えませんが、その場合に、当然、そういう生産調整にコミットした人たちですが、そこはやはり担い手というもの、それから集落的、そういうふうな営農構造改革をきちっと持つ人たち、そういうものを中心にこれから政策を集中していこう、こういうことでございます。
筒井委員 私が確認したいのは、平成十六年度以降も生産調整に協力した人のみを対象に今の三つの制度はつくられているという点は間違いないでしょう。
石原政府参考人 十六年度以降は、生産調整を実施しない人は対象にならない、実施する人だけ対象になるということでございます。
筒井委員 それが今度は、平成二十年度以降はどうなるんですか。三つの制度自体は二十年度以降もあるようですね。だけれども、二十年度以降は生産調整を自主的にやるということが前提になっておりますが、この三つの制度は生産調整をやっている人のみがやはりずっと続けて対象なんですか。それとも、それとは関係なくなるんですか。
石原政府参考人 二十年度以降の姿、これはまたこれからの問題でございますけれども、基本的には、今おっしゃいました問題、例えば本格的な経営安定対策、こういうものにつきましては、要するに本格的な経営安定対策はメリット措置としてリンクさせないというのを我々は考えておりますので、この辺が違ってまいります。
 しかし、いずれにしましても、そもそも二十年度の姿というのは国の生産調整の配分というのはない姿でございますので、我々はそういう姿をもとにしていろいろ制度の構築をしていく考えでございます。
筒井委員 今の食糧庁長官の答えは、そうしますと、三つの制度全体が平成二十年度以降は生産調整とはリンクせずに交付される、こういう答えとして聞いてよろしいんですか。
石原政府参考人 先ほども言いましたように、二十年度の姿でございますので、まだこの段階できちっとこういう形でやりますということは明言できません。ただ、考え方として、国の生産調整の配分という、そもそもそれがないわけでございますので、それを前提にして我々は考えなければならないということでございます。
 ただ、本格的経営安定対策、こういうものにつきましては、これもまたどういう形になるかもわかりませんが、一つの考え方として、これは生産調整とのリンクは必要ないんじゃないかという議論があります。
 我々、いずれにしましても、こういう問題につきましては二十年度以降の問題でございますので、今後、先ほど申し上げました原則、すなわち二十年度以降は国の生産調整の配分というのはないんだという原則を前提にいたしまして、制度を組み立てていくつもりでございます。
筒井委員 今、本格的な経営安定対策という表現をされましたが、それはこの三つ全体を含むんでしょうか。それとも、担い手に対する経営安定対策のことだけを指して言っているんでしょうか。
川村政府参考人 お答えいたします。
 この担い手に対します経営所得安定対策につきましては、生産調整に関する研究会におきましてもかなりの議論があったところでございます。米のあるべき姿、米のあるべき実態におきましては、やはり担い手というものに特化をして、その担い手を育てるという観点からすれば、創意工夫を生かしたり自主性を尊重するということであれば、余り生産調整とリンクさせるべきではないという御議論があったわけでございます。
 そういうことで、ただ、いきなり米のあるべき姿というものが実現はしませんので、十六年度からは、いわばつなぎの対策としての経営安定対策、これにつきましては生産調整とリンクをさせて考えていく、こういうことでございます。
筒井委員 いや、私が聞いているのは、今幾つかの間違いがあるけれども、経営安定対策も、平成二十年度以降も続けるわけですよ。平成十六年度から平成十九年度で終わるわけじゃないんですよ。平成二十年度以降は生産調整とリンクするのかしないのか。先ほどからの食糧庁長官の話によれば、基本的にという限定つきだけれども、リンクしないという答えが出されているわけです。
 私が今聞いているのは、食糧庁長官が言われた、本格的な経営安定対策と言われましたか、本格的な所得補償と言われたのかな、それは経営……(発言する者あり)本格的経営安定対策。それは、今言う三つのうちの一つのことを指すんですか、それとも全体、三つを総合して言っているんでしょうかという、食糧庁長官に対する質問です。
石原政府参考人 現在、我々が今回の大綱の中で明確に位置づけておりますのは、担い手に対する経営安定対策、これはあくまで稲作収入の減少に対して補てんするという対策でございます。
 それから、先ほど来私が申し上げております本格的な経営安定対策あるいは経営所得安定対策といいますのは、農家の経営全体をとらえまして、それに対して、これは所得にするのかあるいは収入にするのか、これはまた議論があるところでございますけれども、それが下がった場合に補てんするという制度でございます。
筒井委員 それからもう一点、現在の減反と関連するのが補助事業の優先順位づけなんですが、減反面積が達成されていない、未達成の地域は補助事業の優先順位が下がる、こういう形が現在とられているわけですが、これはどう変わるんですか。まず、そのことは平成十六年度以降変わるのか変わらないのか、二十年度以降変わるのか変わらないのか、この二点についてお答えください。
大島国務大臣 総合的に判断して、そういうふうなものは当然さまざまに勘案していかなければならぬことだと私は思います。
筒井委員 今のが答えですか。
大島国務大臣 わかると思って申し上げたのでありますが……。
筒井委員 いや、全然わからない。
大島国務大臣 当然に、生産調整に何にも協力しないで、そして何か施策を施してくれというのは、これはある意味では公平ではないと私は思うんですね。
筒井委員 では、それは平成二十年度以降も変わらないんですか、国が関与しなくなった、国が配分しなくなった後も。
大島国務大臣 生産調整を自主的に判断するということでございますから、そういう二十年以降の問題がそこまでに、いわば我々が考えている担い手農家、そういうふうなものを中心に施策を重点化していくという観点に立って判断してまいります。
筒井委員 わけがわからないけれども、時間が来ました。終わります。
小平委員長 次に、山内功君。
山内(功)委員 民主党の山内功でございます。
 世界の人口が六十二億人になりまして、しかし、我が国があと三十年ほどすれば人口が一億人ぐらいに減少するということが言われております。各国では紛争とかテロが相次いで、世情はかなり不安定、食料の長期需要を検討するには余りにも不透明な時代だと思っています。その中でこのたびの構造改革が行われる。農水省には、この改革こそが、生産者や消費者にとって、安心して耕作し、そして安全に食文化を楽しめる社会をつくっていく、そういう思いで取り組んでいただきたいと思っています。
 安心して取り組める生産体制であるかどうか、そういう観点から少し質問をさせていただきたいと思います。
 十一月の末までに、生産調整研究会や食糧庁が報告とか大綱を出すと言われていた。しかし、二十八日、自民党の農業基本政策小委員会が二〇〇八年に国の関与を縮小するという方針を打ち出して、その翌日に、研究会がそれに追随した報告を出した。しかも、その自民党の案について検討する必要があるからということで、食糧庁の検討結果、大綱の発表が月末であったのが十二月三日にずれ込んでしまった。
 私は、きょうも混乱している道路関係四公団の民営化委員会のこともですが、もう委員会も開けないほどに混乱しているわけです。事前に自民党あるいは自民党の議員と意見のすり合わせをやった上で結論を出すということは、かなり一つの政策について混乱が生じるのではないかと思うのですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
大島国務大臣 政治は結果を出さなければならないものです。そして、この研究会は、ある意味では食糧庁長官の諮問機関でございます。食糧庁長官の諮問機関とはいえ、それは立派な農水省の中のまた諮問機関ととらえて結構でございましょう。
 そして、御承知のように、こんなことを言うと、おまえは何を基本的なことを言うんだと言われるかもしれませんが、議院内閣制におきまして、国民に対して政治が責任を持つのは、ある意味では政府と与党が責任を持つという仕組みになっております。したがって、さまざまな政策において政府が決定するときにおいて、与党と議論をし、結論を出すことが私はプロセスとして当然だろうと思います。もし民主党が政権をとったとしても、形は変わるかもしれませんが、その根本的なところは同じであろうと思います。
 研究会におけるさまざまな議論はインターネットでオープンになっております。おまえは十一月末に結論を出すと言ったじゃないかということに対しては、確かに十二月二日に結論を出すことになりましたが、先ほど来御議論をいただいている、政府として、農水省として、米のいわば大綱を出させていただきました。これが今までの経過でございます。
山内(功)委員 しかし、大臣も御存じのとおり、審議会や研究会の審議あるいは答申のあり方については、政治改革の観点からかなり議論になっているわけです。国民に開かれた農政を目指すという上からでも、まず研究会できちんとした報告書を出して、それに基づいて、農水省あるいは政府が法律案あるいは政策として発表をして、衆参の委員会できちんと審議をする、そういうことがまず透明性のある政策決定に結びつくんじゃないかと思うんですが、どうですか。
大島国務大臣 研究会の報告と自民党の中でまとめたものと、かなり違うところもございます。研究会において、そのプロセスについて、大変な御議論がありました。そういう中で研究会としての一つの結論を出したわけですが、それはさまざまな自民党内の議論等も踏まえながら出した結論であろうかと思います。
 そして、政府・与党で、いわばお互いに議論をしながらも、これは政府としてやらせていただきますということを、きょう皆様方に御議論いただく、これは議院内閣制において何ら間違った方向ではない、このように私は思います。
 加えて、その上に立って、これから法案等が出されれば、皆様方と御議論をいただき、採決をするわけです。それが私は、いわば議院内閣制における政策決定過程におけるプロセスとして、おかしいと言われる点が、私はどこがおかしいかよくわかりません。
山内(功)委員 否定されるかもしれませんけれども、今までの政策決定のあり方が、生産者団体と自民党、そして政府、そういう三角関係、トライアングルの状態を形成して、密室の中で決められてきたということが、世の中の農政に対しての不信感につながって、農業、農村に対して財政的な支援はしなければいけないということについての国民のコンセンサスが得られなかった原因になっているんじゃないかと私は思うんです。
 だから、今回せっかく市場や消費者に目を向けた米づくりを目指すという新しい政策の策定が、冒頭に述べたような決まり方をしたということはとても残念に私は思っていますが、大臣の所感を、この点についてはもう最後ですので、お願いします。
大島国務大臣 委員、恐縮でございますが、研究会で、消費者の皆さんも流通関係の皆さんも非常に激しい議論をしていただきました。私自身も消費者の皆さんの意見を伺いました。あるいは、農協系統以外の生産者の意見も伺いました。党の方においてもそうであったと思います。そういう結果から、いわゆる国が直接生産調整を分配する、配分するというようなことはやめるという大変大きな転換をしたものだと私は思います。
 ぜひ、法案等が出ましたら、民主党さんの米全体にかかわる政策も御提示いただき、そして御議論をしてみたい、このように思います。
山内(功)委員 その法案のことなんですけれども、先ほどから議論をお聞きしていますと、平成二十年度から始まる制度をなぜ来年の通常国会で審議するんでしょうか。
大島国務大臣 なぜ来年の通常国会で審議するのかといいますと、二十年を目指して今から準備をしなければならない法案、体制というものがたくさんございます。
 御承知のように、米は一年一回の生産でございます。無機物をつくるように、型にはめてぽんぽんぽんぽんできる生産物ではございません。体制をつくり、組織をつくり、そして意識も改革してもらう、そのためには、少なくとも、できるだけ早くから準備をし、そして仕組みも変え、その二十年を目指していかなければならないとするならば、仕組みの面で法律の改正、先ほど来各先生から言われた予算面でももう十六年度からスタートをしなければならないとするならば、当然にその準備として、来年の通常国会に私どもは今の大綱を具現化して、先ほど筒井委員からも、あるいは鮫島委員からも出されたさまざまな問題に対して、このまさに最も国権の最高機関で議論することがなぜ悪いんでしょうか。
山内(功)委員 わかりました。来年の通常国会で、詳しい問題については逐一議論をさせていただきます。
 私たち特に西日本から出ている議員にとっては、例えば道路四公団の民営化をとっても、本当は高速道路の問題などで大変厳しいんですよね。それから、今回の政策、農業構造改革案についても、例えば担い手対策資金なんていったって、一定規模以上の農家にしか支給されないわけですから、西日本の農家にとってはもらえない農家の方がかなり多いわけで、非常に厳しい。だけれども、厳しいけれども、農水省がこういう方向性を出して、これからやっていきますということについて、もし本当に農家の皆さんが安心、安全な生産体制が組めるんだったらという期待を込めて審議するわけですから、今後の審議が充実することを私も祈っております。
 ところで、非常に恐縮なんですが、生産調整の目的というのは一体何なんでしょうか。
大島国務大臣 まさにそこが、委員、今までのいわば流れの中で私どもが反省しなければならぬところがあった。多分委員は西日本の鳥取、あちらの方だと。中山間とかいろいろございます。今度からは、その中山間だとか集落が一体となって新しい集落農業をつくろうということになって、そういうところにはかなり自由に、つまり、今の地方分権的な発想の中で自由に使えるような、いわばそういう助成策を考えておるんです。今までのように一反歩やめたから幾らだというんじゃなくて、そういうこともぜひ勉強して、また一緒に御議論いただきたいのです。
 生産調整はだれのためにやるのか。実は、今まではむしろ、国のためにやっているんだ、国のためにやっているから国がお金を出すのは当たり前だという考え方が非常に強かったんじゃないかと思うんです。もちろんそういう面がないとは言えないと私は思うんです。しかし、一方、生産調整というものは結果として自分たちの問題ではないだろうか、そのところをしっかりと、自分の責任というものを考えながら、むしろ売れる米をつくる、極端に余らないようにしようじゃないか、そういうことが自主的に判断できる農政に移したい。そのための基盤、環境を国がしっかり整えますというのが今の米改革の基本にある、私はこのように御理解いただければと思います。
山内(功)委員 生産調整の目的が国のためであったということだったら、約三十年間、六兆円もつぎ込んできた、しかし、四割も減反し、それでも米価は二十年前の水準になってしまった、担い手は育成されていない、構造改革も全く進んでいない。これを見る限りは国の対策として効果が上がらなかった。このことは大臣としても反省というか総括というのはされているんでしょうか。
大島国務大臣 私は、決して反省をしないのではなくて、ある意味ではそういう反省から今の改革が出ているといった方が正直かもしれません。予想したより以上に日本の人口構成が変わり、また豊かになることによって、その需要構造もどんどん変わってきている、さらに、米の消費がどんどん少なくなってきている、そういうことに素早く適応できたか、非常にフレキシビリティーを持って適応できたか、こういうふうなことの反省を私は今しているところでございます。
 そういう観点から、今度の構造改革、米の生産構造改革、生産というよりも流通も含めてしなければならぬ。それは、消費者が何を求めているかということを米の生産の世界でもきちっともう感じ取って、そして戦略性を持って生産をしていかなければならない時代になった、ここに視点を当てて新しい政策をつくろう、これが今度の反省に立った私どもの考え方だと御理解いただければと思います。
山内(功)委員 今度の構造改革では、それを今度は生産者の自主的な取り組みとして期待をするというような方向に変わっていくわけですけれども、重要なポイントがあると思うんですね。つまり、米にかわってほかの農産物の価格を上げること、そういう視点からすると、例えば飼料などの自給率が低い作物や高需要の作物などをバックアップするような施策を推進することが求められると思うんですが、具体的な施策はあるんですか。
須賀田政府参考人 先生のおっしゃりたいのは、恐らく、転作奨励金に頼らず、本格的な政策によって麦、大豆、飼料作物の生産振興を図るべきではないかという御質問だろうというふうに思うわけでございます。
 確かに、我々、たしか二十年ぐらい前だったでしょうか、臨調から転作奨励金依存からの脱却という答申をいただきまして、我々農政に携わる者としては、水田でのそういう畑作物をつくることの技術上、経済上の問題を克服いたしまして、品質向上、生産性向上のための政策支援によりまして相応の所得を上げること、これは理想といいますか、目標にしてきたわけでございます。
 ただ、今、水田農業の現状を見ますと、水稲作付のための生産装置であります水田、これは湛水設備を持っているわけでございます、そこへ麦、大豆等の畑作物をつくるときには、やはり湿潤といいますか、排水対策等の技術的困難性が現存をいたします。それに伴いまして水稲との収益格差が厳然としてあるということでございますので、今度の対策、十六年度から始まる対策によりまして、これを少しでも克服したい。畑地化を含めまして、その構造改革と本作化を進めまして、来るべきあるべき姿に到達する際には、麦、大豆、水稲といった組み合わせによります大きな経営によりまして、個別的な経営判断によっていろいろなことができるような構造をつくっていきたい。これを目的としているわけでございます。
山内(功)委員 それでは、その関連で言えば、環境保全型農業の拡大あるいは強化ということは、どういうふうに位置づけられるんでしょうか。研究会報告の中では、具体的に作付面積の割合を一八%から八年後には三分の一程度に拡大するとうたっていますが、そういうことは可能なんでしょうか。
須賀田政府参考人 減化学農薬、減化学肥料、そして堆肥等の土づくり、こういう環境保全型農業を、先生言われるように、研究会においては、二十二年に三分の一程度に拡大する、こういうことをうたっているわけでございます。今後は、消費者のニーズ、食の安全、安心に対するニーズというものはますます高まっていくというふうに思われるわけでございまして、そのニーズにこたえる意味で、環境保全型の稲作を拡大することということは極めて重要であるというふうに考えております。
 我々、いろいろな政策、まずは、法律によります、堆肥による土づくりと減農薬等に取り組むいわゆるエコファーマー、これを認定しておりますけれども、これを促進していきたいということ。そして今回、生産調整の目標を数量で配分するということにしておりますけれども、この受け手としての、水稲を環境保全型農業でつくることによる減収もこれでカウントできるようになるわけでございますので、そういう手法も有機的に結びつけていきたい。それから、特別の栽培農作物にかかわる表示ガイドラインの見直しをより現実に即すようにやっていきたい等々の政策を総合的に実施することによりまして、この目標に達するよう努力をしたいというふうに考えているところでございます。
山内(功)委員 それから、同僚議員からも指摘しておりますけれども、国の関与という文言についての具体的な説明が聞かれておりません。米づくりへの国の関与がなくなるわけではないと思います。例えば、情報提供などの国の役割は、ますますそういう面では重要になってくると思うんです。
 その一つの問題点が、担い手経営安定対策、それから米価下落対策、産地づくり対策、こういう三つの所得補償についてどう考えるかということだと思うんですが、この構造改革案の一つの目的に、今まで所得補償とか補助金というものが余りにも整理されていなかったので、ひとつこのたび整理して考えていこうかという趣もあったと思うんですが、この三つの新しい制度というのは、どういうふうに関連したり対応したり、どういう政策目的を持っているのか、ちょっとその辺が整理できるでしょうか。
大島国務大臣 基本的なことだけお答えして、ちょっと現実的に。
 今先生が指摘されたのはとても大事なところだと思うんです。つまり、今までの生産調整をするに当たって何か目的がはっきりしない、みんなごっちゃになった、いわば転作奨励金的な性格だったと思うんですね。やはり国が助成をするときに目的をはっきりさせる、そういうところがある意味では非常に大事な今度の問題点だと思います。
 具体的にちょっと局長の方からいろいろお話を。
川村政府参考人 まず担い手の経営安定対策についてお答えをしたいと思います。
 新しい基本法に基づきまして、平成十二年に「農業構造の展望」というものを公表してございます。まさに平成二十二年の目標として掲げておるわけでございますが、望ましい農業構造を支えるためには担い手の経営安定の確保ということが非常に重要でございまして、基本法の中にもその方向がうたってあるわけでございます。
 そういう意味では、経営全体をとらえた対策ということが必要なわけでございますけれども、まず、今回の米政策の改革に当たりまして、当面生産調整が継続されるということでございますので、担い手に焦点を当てるという形でのまず一歩を踏み出すということでございますが、対象としては、米価下落によります稲作収入の減少の影響が大きい一定規模以上の水田経営ということで、水田経営にかなりの部分を依存していらっしゃる担い手というものを対象として絞り込んだ。そしてその中には、先ほど来議論もございましたが、集落型経営体という新しい概念のもとに集落営農も位置づけをし、支援をしていこうということがございます。
 それから、先ほど言われました三本の中の米価下落対策、これは産地づくり交付金の中に一つのメニューとして入っているわけでございますが、これは担い手に限らずすべての生産調整実施者を対象として講じられるものでございまして、いわば一階部分をなすものでございます。その上に担い手の経営対策というものが上乗せとして乗っていくということ。それからもう一つは、今までは価格対策ということでございましたけれども、やはりより担い手の実感に近い収入という形でとらえていくという形で今回の担い手経営安定対策というのを考えているところでございます。
石原政府参考人 あと残る二つの対策でございますけれども、産地づくり対策それから米価下落対策をおっしゃいました。この二つの対策でございますけれども、今回の我々の考え方では一つの交付金、すなわち産地づくり推進交付金の中でこの二つの対策を位置づけようとしております。
 これはどうしてかといいますと、地域によりまして産地づくり対策、狭い意味での産地づくり対策ですね、これに重点を置きたいという地域もございます。私が聞いたところでは、九州ではそういうことであろうかと思います。麦とか大豆、そういうものの振興を図っていきたいというところがございます。他方、北陸のある県では米価下落対策に重点を置きたい。そこでは、例えば今稲経というのがございます。稲経は、米価が下落しますと基準価格と当年産の価格のうち八割部分が補てんされます。原則として八割でございますけれども、これを九〇あるいは九五%に上げたいというお話もございます。
 そういうこともございまして、地域によりまして、狭い意味での産地づくり対策を重視するところと米価下落対策を重視するところがございますので、これがお互いに融通できるように、資金の移動ができるようなそういう仕組みを今回打ち出しているところでございます。
 いずれにしましても、この産地づくり推進交付金、全体として地方分権の思想にも資する、我々今後の農業の助成のあるべき姿をこれで出せるのではないかと思っているところでございます。
山内(功)委員 通常国会でまた審議させていただきたいと思いますけれども、十年とか二十年たってまた何か複雑な制度だったなと言われないような制度をぜひつくっていってほしいと思っています。
 ちょっと、過剰米のことについて二、三点お聞きします。
 この過剰米の問題について省から資料をいただきましたが、平成七年から平成十四年までの過剰米の平均数量が三十万トン、例えば、平成十三年の、そのうち配合飼料用処理をしたのが八万トン。この八万トンだと十三億円ほどになるんですかね。それから、米粉パンなどの新規加工用途米に例えば五万トンを回すとすると三十三億円。ところが、質流れで支援法人が三千円で三十万トンを買い入れると百五十億円ぐらいの予算が必要なんですね。百五十億で買い取ったのを十億とか三十億でしか処分できない。これは費用対効果からしてもかなり、非常にざっぱな制度になりかねないと思うんですが、支援法人の陣容とか予算、あるいはそういう完全な赤字体質法人になるんじゃないかという危惧、そういう点についてはどういうふうに考えておられるんでしょうか。
石原政府参考人 この過剰米短期融資制度、これの単価でございますけれども、我々としましては、検討の過程で一俵当たり三千円ということで設定したところでございますけれども、これにつきましては、引き続き関係方面と協議しているということにいたしております。したがいまして、この六十キロ当たり三千円というのは、現在固定されたものではございません。
 いずれにしましても、我々この短期融資制度で仮に質流れになったお米、これの販売先につきましては、先ほど来出ておりますように用途別に価格は全然違います。一番高いものであれば、米粉パン原料用ですと四千円から五千六百円、これは現在米粉パン用に我々が売っておりますのは大体一万円ぐらいの価格で売っておりますけれども、これではなかなか大変だ。非常に経営感覚のすぐれた方はくず米、これを仕入れておられます。くず米が大体これぐらいの価格であろうかと思っております。米粉パン、こういう高いものもございますけれども、それからまた米粉調製品の代替、こういうものも大体四千八百円ぐらいで売れます。他方で、えさ用になりますと、先ほど来出ておりますように九百六十円、それからバイオマスの関係も先ほど来出ておりますように九百六十円ということで、非常にこれは幅がございます。
 あくまでこの制度が円滑に回転、資金が枯渇することなく回転することが必要でございますので、我々としてはできるだけ高いところに売っていくという売り方にしたいと思っています。しかし、この三千円というお金、これは固定的にしているということではございません。
山内(功)委員 しかし、概要がわからなければ、支援法人の年間予算が幾らとなって政府が幾ら助成するのか、あるいは農業者が幾ら拠出金の割り当てが来るのかというのはわからないわけでしょう。
石原政府参考人 この支援法人の構成あるいは陣容、そういうものにつきましてはこれからの問題でございますけれども、先ほども申し上げたかと思いますけれども、あくまでこれは、新たな組織をつくるということではございませんで、既存の組織、既存の陣容、そういう人たちに統合いたしましてやっていただくということでございます。
 しかし、人件費とかそういう間接経費に必要なお金が使われたのではこの制度は回りません。あくまでも、我々は直接的な経費にしかるべき資金が回るような、そういう制度を組み立てたいと考えているところでございます。
山内(功)委員 時間が参りましたので終わりますが、例えば、備蓄が今二百万トンだけれども、食糧庁で検討しているのは百万トンが適正規模じゃないかということになると、単純に考えると、あとの百万トンが余剰米に移るんじゃないかということは考えられませんかね。もしそうだとすると、余剰米の処理ということはこれからもかなり大きな問題として残ると思いますので、先ほどの東アジアのパイロットプロジェクトなどへの国際備蓄の問題も含めて、余剰米の処理、それがつまりは米価の下落圧力にならないような処理の仕方ということも、通常国会でまた議論させていただこうと思っています。
 ありがとうございました。
小平委員長 次に、井上義久君。
井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。
 今回の米政策改革大綱につきましては、消費者ニーズを踏まえ、売れる米づくりを目指し、生産者や生産団体が主体的に経営判断を行うことや、水田農業に資する新たな産地づくり、あるいは担い手経営安定対策を講ずること等が盛り込まれておりまして、私どもとしては積極的に評価をしたい、このように思っております。
 大綱のもとになりました研究会報告を取りまとめられました、生源寺座長を初め生産調整研究会の皆さんの御労苦に心から敬意を表するものでございます。また、宮田会長を初めJAグループの皆さん、大島農水大臣初め食糧庁等関係者の皆さんの労を多とするものでございます。
 ぜひ具体化に向けて、今後、検討課題もかなり残されておりますけれども、十分に現場の意見を踏まえながら施策を展開していっていただきたいということをまず初めに御要望しておきたいと思います。
 それはさておきまして、平成六年に食糧法が制定をされまして、生産調整も選択制に変わり、消費者ニーズが反映される仕組みになったわけでございます。ところが、農水省は、事実上今日まで、旧食管法時代の米政策をそのまま引きずってきたんじゃないか、それが今日の閉塞状況を招いたのではないか、にもかかわらず今回の米政策大綱のどこにもその農水省の責任に触れられていない。
 私は、まず、今日の行き詰まり、あるいはこの閉塞状況を招いた責任をはっきりさせた上で米政策の転換ということを言わなければ、国民の理解を得られないんじゃないか、このように思うわけでございまして、大臣の御見解を承りたいと思います。
    〔委員長退席、鮫島委員長代理着席〕
大島国務大臣 井上委員に、今後の詰めなければならない問題点については、生産者はもとより、そういう方々の意見もしっかり聞いて詰めなさいという御指摘をいただきました。そのことに関しては、心してやってまいりたいと思います。
 どういう点の責任を感じて、その上でどういう改革をしたかということでございますが、私自身も、もう昭和五十八年に衆議院に当選させていただいて、いつも夏になると米価闘争、こう言ってやってまいりました。民主党の先生方からも御指摘をいただいたところがありますが、あえて一言で、長くなるとまた御迷惑をかけますので一言で、そういう流れをずうっと見ながら、自民党の一議員としても見ると、やはり生産者と同時に消費者を本当に見られなかったところが一つあったんじゃないだろうか。米というものが余りにもシンボリックな農作物でございますので、そこに市場性を入れるとか、あるいは柔軟な考え方を持つとかということに勇気も足りなかったのではないかという思いが、反省として私はございます。
 したがって、今度の改革は、やはり消費者と生産者がもっともっと近くなって、そして思い切って、意欲のある担い手、その担い手の中には集落もあれば法人もございますが、そういう方々に生産の主体を持っていただくように持っていく、そういうことが、その反省から生まれる責任としてのとるべき施策の根幹ではないだろうか、このように思っております。
井上(義)委員 消費者の方がいらっしゃらなければ、生産というのは成り立たないわけでございますし、一方、生産者の方がいなくなったら、これはもう大変なことになってしまうわけでございまして、私はこのバランスということが非常に大事だと思いますので、先ほども言いましたけれども、消費者、生産者、それぞれの現場の皆さんの意見を十分に踏まえながら、ぜひ施策を展開していただきたいことを改めて強調しておきたいと思います。
 次に、生産調整の件ですけれども、大綱によりますと、平成二十年度から、国による直接配分をやめて、生産者、農業団体が主体的に実施をする、また生産調整方法も、これまでの面積配分から生産数量配分へ転換するということで、昭和四十六年の米の減反政策が始まって以来の大転換ということになるわけでございます。
 生産調整は、これまでいろいろな不満はありましたけれども、国が直接配分をする、こういうにしきの御旗があって何とか実施をされてきたというのが実情ではないか、こう思います。食糧法に国等の役割を明記するというふうに記されておりますけれども、今後、国はどのような形でこの米の生産調整に関与をしていくのか、お聞きしたいと思います。
石原政府参考人 あるべき姿のもとにおける需給調整についての国の関与の問題でございますけれども、国の関与といたしましては、透明性がある公正中立な第三者機関的な組織の助言を得て、客観的な指標による予測値を需給情報として提供する、これがまず第一でございます。それから第二に、農業者団体が自主的に行う生産調整の配分や推進に対する助言指導というのがございます。それから三番目に、農業者団体が主体的に行う豊作による過剰米処理に対する支援、これを行うということも考えております。
 こういうものが国の関与の姿としてございますが、今回の大綱にございますように、国及び地方公共団体の役割、これを食糧法にどのように位置づけるかというのが宿題として残っておりますので、我々は、この問題につきましては、今後早急に詰めなければならないと考えております。
 具体的には、農林水産省と、全中になりますが、農業者団体とでワーキングチームを設置いたしまして、必要に応じまして生産調整に関する研究会の委員にも入っていただきながら、この問題につきまして調整、検討を行っていきたいというふうに考えております。
井上(義)委員 国の配分を廃止しても、本当にこの生産調整がうまくいくのか、機能するのか、つくり過ぎから価格の下落という懸念はないのか、これが一番、生産者の皆さんの不安が大きいわけでございます。米価は、食糧法制定以来、六十キロ当たり五千円から六千円ぐらい値下がりしておりまして、農家を直撃しているわけでございます。特に、米中心の主業農家ほど打撃が大きいという現状があるわけでございます。
 こうした中で、主業農家が米生産の大宗を占めるような状況に持っていくというふうに大綱はうたっているわけでございますけれども、市場重視ということで、ますます米価の下落に拍車をかける心配はないのか、このことについて御見解をお示しいただきたいと思います。
石原政府参考人 米価は需給で決まります。したがいまして、現状を維持するということであれば需給均衡を確保しなければならないということでございます。そういうこともございまして、今回の改革の中では、三つの手だてといいますか手段を考えております。
 一つは、第三者機関的な組織による助言を踏まえた需要量予測に基づきまして、当面、国が生産目標数量を配分するということ。それから、生産調整メリット措置、これのもとで、需要に見合った売れる米づくりを行うということでございます。三つ目には、過剰米短期融資制度によりまして、農業者や農業者団体等が主体的に豊作による過剰米を処理するということでございます。このような三つの手だてを講ずることによりまして、需給均衡を図っていきたいと考えております。
 しかしながら、このような対応を講じましても、作柄の豊凶によりまして価格が変動いたします。したがいまして、仮に豊作により価格が下落する事態が生じた場合には、当面は、先ほど言いました産地づくり対策、その中で米価下落影響緩和対策というのがありますので、これによりまして下落幅の一定割合を補てんするということも考えております。
 そしてまた、先ほど来経営局長がお答え申し上げておりますように、担い手農業者に対しては担い手経営安定対策を講じるということでございまして、これらの手だてを講ずることによりまして、稲作経営への影響は回避できるものと考えているところでございます。
井上(義)委員 この米価下落への不安というのが一番生産者にとっては大きいわけでございまして、これを解消する努力というものを具体的な施策の中でぜひしっかりやっていただきたい。特に、担い手の経営安定化対策については、仕組みも十分理解されるような仕組みをぜひ構築していただきたい、こう思います。
 次に、メリット措置の問題でありますけれども、米は主食でございますから、ともかく安定供給されることが一番大事である。私は、この大綱の一番の主眼も、ともかく将来にわたって米が安定供給される、そのためには生産者の不安を解消して、安心して米づくりに取り組めるようにならなければいけない、そのための大綱だというふうに思うわけです。
 今お話がありましたけれども、米価下落対策や、地域で特色ある水田農業を支援するための新たな助成措置、あるいは過剰米処理対策、あるいは担い手に対する安定対策等のメリット措置が今回盛り込まれたわけですけれども、具体的な内容はこれからということになっているわけです。
 十六年度の概算要求のときまでには決定する、こうしているんですけれども、私は、施策のメニューはいろいろあるんですけれども、予算ということも非常に大事だと思うわけでございまして、少なくとも、現在の生産調整に要している予算、この予算水準はやはりきちっと確保するということでなければなかなかコンセンサスはつくれない、こう思うんですが、この点はいかがでしょうか。
大島国務大臣 財政が厳しい中であるわけですから、私どもは、農林水産施策の重要性を御理解いただくためになさなければならない改革を今したつもりでございます。そして、御議論いただいているところでございます。
 その改革の方向性を国民全体に御理解をいただき、なかんずく、政府全体としてきっちり理解を一層してもらわなければなりませんが、そういう観点に立って、効率的、効果的な農政を展開していくということが何よりも重要だと思っております。
 特に、先生がおっしゃるように、食料供給基盤の確立、農業経営者の育成確保、農村地域社会の発展、こういうことが今度の改革の中に大変重要なことであり、そういうために、生産調整メリット措置の具体的内容について、平成十六年度の予算概算要求の決定時までにはしっかりと決定して頑張っていかなければなりませんが、必要であればこれ以上のお金も要求して、何としても確保していかなければなりません。
 与党の大幹部としての井上先生のお力もまたおかりしなければなりませんし、多くの皆さんの御理解をいただいて全力を尽くしてまいりたい、このように思っております。
井上(義)委員 この生産調整に係る予算が他の農業施策の予算を圧迫しているということから何かこの大綱が考えられたんじゃないか、こういうふうにとらえる向きも多々あるわけでございまして、主食である米、この米の安定供給のための大綱なんだ、そういう観点に立って、この予算については十分な確保をぜひお願いしたい、こう思います。
 生産調整面積の件なんですけれども、需要に見合った生産ということがうたわれているわけでございます。そうしますと、いろいろな米消費拡大の努力はしているわけですけれども、米消費の減退傾向あるいは少子化ということを考えますと、現在、百一万ヘクタール、来年度は百六万ヘクタールに拡大をするということになっているんですけれども、これがさらに拡大せざるを得ない状況が今後続いていくんじゃないか。
 そういたしますと、あるべき姿の目標年次であります平成二十二年ごろの生産調整の状況はどのようになっているのか、その見通しをどのように考えているのか、これをまずお伺いしたいと思います。
石原政府参考人 平成二十二年の生産調整規模でございますけれども、平成十三米穀年度の主食用の米の需要量は九百二万トンでございます。近年の米の需要減少のトレンド、このところ、毎年十三万トンずつ減少しておりますが、これがこのまま続くとなりますと、二十二年の米の主食用の需要量は七百六十六万から八百三十六万トンになると我々は試算しております。大体八百万トンの上下三十数万トンということであろうかと思っております。
 これに、水田単収が今後増加いたしますので、それを見込んで試算を行いますと、平成二十二年の必要水稲作付面積はおおむね百四十八万から百六十二万ヘクタール、現在、十三年の作付面積が大体百六十八万ヘクタールでございますので、生産調整面積の拡大は避けられないというふうに考えているところでございます。
井上(義)委員 御案内のように、水田の持つ公益、多面的機能、例えば国土保全でありますとか水源涵養、あるいは洪水防止、自然環境保全、これらの多面的機能というのは水田の極めて優位性を示しているわけでございますけれども、この生産調整面積が拡大をして水田が水田として使われないということになりますと、これは、私は、国土政策上も大きな問題になってくるんじゃないかと。やはり水田は水田として使うから初めてこの多面的機能というのが発揮されて、国土政策上も大きな役割を果たしてきたわけでございます。
 私は、この水田としての活用拡大、水田は水田として活用拡大するんだ、その方策というものをやはり真剣に検討すべきじゃないかと。その点について農水省はどのようにお考えなのか、これが一つ。
 それから、これは具体的な提案ですけれども、例えば、米と麦の大きな違いは、米は粒で食する、小麦というのは粉体化する。米はなかなか粉体化できないというのが大きな特色になっているんですけれども、実は最近、この粉体化の技術というのは相当進んできて、小麦と同じように使えるようになってきているわけでございます。私は、そういう意味で、粉体化して消費の拡大ができないかと。
 現在、米粉パン等が各地でつくられておりまして、大変評判がいい。例えば、パンに米粉を一定割合混合するような研究開発に努力をする。そして、米を活用する道を検討する。あるいは、米粉の消費拡大を図るために、業務用や加工用の需要の開発を図ることも、あるいは具体的に米粉を使った料理のレシピを開発することも重要じゃないか。米粉の国民的な消費拡大を図るための推進機関あるいは運動というものを国としても検討してもいいんじゃないか。この二点について。
大島国務大臣 特に、後段の米粉の消費拡大でございますが、本当に力を入れてこれを研究しなければならない分野だと思っております。
 午前中はバイオマスの議論がございました。この面には、ある意味では非常に先端的な技術という意味で、またパイオニア的な意味もあって、大変大事だと思いますが、実際に今実需として可能性がある世界として、米の消費拡大あるいは米粉の何らかの技術も含めた対策というものは、私ども本当に重要な手段であると思っております。六月に、近畿農政局と大阪食糧事務所が中心となって近畿米粉食品普及推進協議会を立ち上げたのでございますが、このような形をちょっと全国的に何かできないかとか、そういうものにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 水田の多面的機能については、私ども、WTOの世界で大きな主張の一つとして言っているわけでございますので、大変大事な問題だと思います。具体的な施策として、局長の方からお答えをさせていただきます。
太田政府参考人 生産調整規模が現在より増加した場合に対する多面的機能ということでございますが、その場合におきましても、この機能が適切かつ十分に発揮されるような、さまざまな施策を推進していきたいというふうに考えております。
 まずは、水田で農業生産活動が行われることによってその機能が発揮されることでありますので、効率的、安定的な経営体の確立というのがございますし、また、水田の形態のままで田と畑を交互に利用する田畑輪換を中心といたしました持続的な輪作体系に基づきます水田の営農、そして場合によっては水利用の事情等を踏まえた畑地化、さらには飼料用稲あるいは加工用米の定着、拡大に向けた、いわゆる水田を水田として利用する方法等々の施策を推進することとしております。
井上(義)委員 輪作、転作というのは汎用田を使ってやればできるんですけれども、要するに、水田を水田として使うその施策というものを、今後、政策の柱としてぜひ展開していただきたいということを再度申し上げておきます。
 水田農業のあるべき姿ということで、平成二十二年にそういう姿を確立しよう、効率的、安定的な農業経営が生産の大宗を占めるような水田農業の確立を目指す、こうしているわけです。こうしたあるべき姿を実現するかぎは、担い手の確保、先ほどからも出ておりますけれども、育成とか農地の担い手への集約にかかっていると思うわけです。
 これまでも担い手の確保とか農地の集積が再三言われて、いろいろな政策もあったわけですけれども、政策効果が余り上がっていないというのが実情ではないか。この原因がどこにあるのか、それから、今回の米政策大綱でこれらの課題が確実に進むような担保というものが私は必要だと。その点について。
大島国務大臣 担い手に対する農地の集積、集約、こういうものも、何でもう一方で進まないんだろうかという中で分析をしたり議論をしたりしておりました。今や、農地の流動化は、賃借の形態をとることの方が圧倒的に多うございます。したがって、そこに何か施策を打てないか、こんなものも今検討しているところでございますが、いずれにしても、集約、集積をすることによって明確なメリットをつくってやるということが一番大事なんじゃないだろうか。
 こんなことを中心に、先ほど申し上げた、集落農家あるいは担い手農家の位置づけということを一層明確にしていく。そして、今までそのために大きな活躍を予想しておりました認定農業者、これも実は、市町村によってかなり要件が違うじゃないか、こういう御指摘もあります。そういう認定農業者制度の見直し、改善も行ってまいりたい。そして、具体的に農地の集積化において何かもう少し後押しできる施策はないか、これも今事務方で農地の勉強をさせておりまして、そういうふうなこと。
 あるいは、先ほども御議論がありましたが、さまざまな水田整備の事業体系を利用集積、そういうふうな経営体の育成等の観点からの施策を誘導していくということを踏まえながら、井上委員御指摘のとおり、農地の利用集積、ここをどうやって進めていくか、また、利用権をどうやって進めていくか。こういうことが一つのかぎだと思っておりますので、本当にこれから、かなりもう具体的に出ているのもありますが、詰めてまた御相談を申し上げたい、こう思っております。
井上(義)委員 もう一つ、農薬とか肥料、農機具の価格の引き下げの問題なんです。
 デフレの中ですべての物価が下落しているんですけれども、農業資材は高どまりをしているんですね。事実、平成九年から十三年の価格の推移を見ますと、横ばいないしは若干上昇しているわけでございまして、生産者からも硬直的じゃないかという指摘があるわけです。なぜ値下がりしないのか。政府としても、コストダウンということを一生懸命おっしゃっているわけでございますから、価格引き下げの取り組みというものをやるべきではないか、こう思いますが、この点についていかがでしょうか。
須賀田政府参考人 農業資材の肥料、農薬、農業機械、この三つ、十二年、十三年と微減傾向にはあるわけでございます。ただ、これは基本的には市場で価格形成をされておりますので、やはり市場での競争原理の機能の発揮の仕方だろうということでございます。
 私ども、生産資材費が生産費の中の三分の一を占めておりますので、どうしてもその低コスト化のためには低減に努めないといけない。そして、資材価格の低減のためには、一つは先ほど言いました、価格情報等を提供することによって競争を促すということを基本にしながら、具体的には、例えば肥料でございますればバルクブレンド肥料、農家段階で混合するような安い肥料、あるいは農薬については、ジェネリック農薬、後発の安い農薬、機械につきましてはシンプル機械だとか中古機械、こういうことを普及することによって、資材価格自体を低減するという努力が一つ要ろうかと思っております。
 そのほかに、我が国の特徴でございます、高温多湿でございますので、どうしても病害虫の発生とか雑草の繁茂を避けられないということで、農薬の使用量が多くなる。それから、肥料につきましても、火山灰土壌でございますので、燐酸が吸着するだとか、あるいは雨が降ることによってカリ肥料が流亡することによって、どうしても施用量が多くなる。それから、規模が小さいために単位当たりの農業機械費が増嵩する。そういう面もございますので、価格の低減とあわせまして、効率的な利用ということにも努める必要があろうかというふうに思っております。
井上(義)委員 要するに、これだけの物価下落の傾向が続いている中で、極めて価格硬直的だという、やはりそこにもっと踏み込んでぜひ取り組んでいただきたい。
 それから、最後になりますけれども、今回の大綱で、流通の問題にも触れられておるわけでございますけれども、量販店で米を売るようになりましてから、米の小売店は大きな影響を受けながらも頑張っているわけです。急速に進展する少子高齢化社会において、米を食べる、そういう子供をどう育成するかということも含めて、米消費拡大という意味からも、対面販売を中心とした米の知識を持った米屋さんの役割というのは非常に重要だと思うんです。
 今、お米マイスター認定制度とか、あるいは優良米穀店全国コンクール等、小売業者の経営改善指導等に対する支援を農水省としてもぜひ引き続き行うべきだ、このように思いますけれども、米政策大綱を踏まえて、今後の小売店対策をどう進めるのか、これを最後にお聞きしておきたいと思います。
石原政府参考人 小売店対策でございますけれども、小売店の方、小売業者の方は、規制緩和の一方で消費量は減少するということで、非常に厳しい状況にございます。そういうこともございまして、食糧庁の方では、いろいろな経営研修会それから通信講座、こういうものの実施に対しまして助成しているところでございます。
 この食糧庁の助成をうまく活用いたしまして、今回、今お話ありましたお米マイスター認定制度、こういうものを創設されたということでございまして、農林水産省といたしましても、消費者の商品選択に大きく寄与するものというふうに位置づけているところでございます。非常に有意義なものとして、これを積極的に支援していきたいと考えておるところでございます。
井上(義)委員 以上で終わります。
鮫島委員長代理 次に、高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信であります。
 まず冒頭、この問題についてお伺いします。中央官僚の不祥事が後を絶たず、目を覆うばかりの体質に国民は落胆し切っているのが現実であります。キャリアと呼ばれる上級官僚への猛省を求める声は強まる一方であり、行政改革を幾ら唱えてみてもむなしく響くばかりであります。
 さて、平成五年三月二十五日、当時の大臣官房厚生課長が著書を著し、これを農林水産省共済組合が発行いたしました。そして、その費用は厚生省の特別保健福祉事業の助成金で充当されております。その後、この行為は著作権の侵害として現在訴えられております。三万八千人とも言われる農林水産省共済組合員の代表は大臣であります。大臣はこの事実を御存じでしょうか。
大島国務大臣 高橋委員から通告、問題の指摘がございましたので、その経過と現状を伺いました。御指摘の書籍もちょっと見させていただきました。
 要介護状態の家族を抱える組合員の支援等のために、農林水産省共済組合が民間の出版社から、平成五年三月だそうですが、購入したものであるそうです。その後、平成十四年二月、著作権者の一人から農林水産省共済組合代表者の農林水産大臣等に対し、これを一万部複製して組合員に頒布したとして、損害賠償を求める訴訟が提起されておると承知しております。
 確かに、当該書籍は、農林水産省共済組合と表示され、誤解が生じる可能性があるかとも思われますが、本件は現在係争中であるそうでございまして、私から、今これ以上の言及は差し控えさせていただきたいと思います。
高橋(嘉)委員 係争中の事案についてお伺いしているのではありません。その事実は質問通告をしてから調べられた、そのような認識を今いたしましたが、私が申し上げているのは、その事実を知っている、聞いたということに対して、例えばこの「だれでもできる在宅介護 ―いざというとき編―」の編集者、すなわち原告の大川優美子さんです。僕は裁判のことを言っているんじゃないんですが、後でわかっていただけると思います、とりあえず説明させていただきます。農林省の出したこの海賊版の存在を知って、再三農水省に問い合わせをしたんですが、らちが明きませんで、情報公開法による開示の申請を行ったのであります。
 その結果は、「当該冊子は農林水産省の行政文書ではない」という理由で断られ、ただし、その写しについては交付される。ここにこうあります。これは農水省からの、そのときに送付された中に入っている文書です。「先般の行政文書開示請求では、認可法人である共済組合」云々とありまして、「開示の対象外で送付出来ません」、ただし「冊子の写しを送付致します。」と。
 その写しがこれなわけであります。この表紙の名入れに「農林水産省共済組合」とあるんですね、人の本に。そしてその次に「発刊にあたり」というところが、「我が国は、いまや人生八十年」、こう続きまして、「農林水産大臣官房厚生課長小松良彦」。原本の「発刊にあたり」とは全く違うんだ。原本の「発刊にあたり」はこうなんです。さらに奥付。この奥付がない。これは原本の方であります。ちゃんとある。中身は全部、あと同じ。
 僕は、この事実があっていいことかどうか、そのことを申し上げているんです。はっきりと大臣の御見解をお聞かせ願います。
大島国務大臣 先ほど、今委員がお示しされたそういうふうなことにつきまして、実は、お昼に私はその内容を伺いました。
 したがって、まだ、明確な精査をして、今委員から御指摘いただいたこと等々について評価を踏まえてお答えできる状況ではございませんが、先ほど申し上げたような経過だけは伺いまして、係争中であるということもございますので、今それ以上のことを申し上げるのは差し控えたいと思いますが、私なりにももう少し経過を聞いてみたい、こう思っております。
高橋(嘉)委員 係争中のは、要は損害賠償で、発行部数がわからないから、今はもうそれでやり合っているだけなんですよ。
 僕は、表紙に農林水産省の共済組合の名入れをして課長があいさつ文を書いて、さも発刊したようにして、奥付を取っているというこの事態、この事実に関して、代表者は大臣でありますから、いいと思うかどうか、そのことをお尋ねしているのであります。
大島国務大臣 したがって、実際の、その本の中身も踏まえて委員から今御指摘をいただきましたので、お昼のときに先生からの御質問があるということで経過を伺いました。少し経過とか中身について本当にちょっと調べてみたい、こう思っております。
高橋(嘉)委員 僕はきのうの夕方にちゃんと話しておりますので、それはどういうことですか。実際にこうして提示しているし、こういうことで写しを送付するというのがあって、写しのものを僕は今提示しているんです。こういった事実はあったわけですから、これから調査というのは、これから後、それは僕が申し上げる話でありまして、この事実に関して。係争中の問題は損害賠償の話。
 お役人が、これは問題がありますよ。人の著作を勝手に自分が、しかも課長たる者が「発刊にあたり」というあいさつ文を書き、奥付を意図的に取って、どういうことですか。それに関して、それだけの答えしか代表たる大臣としてお答えできないんでしょうか。再度お伺いします。
大島国務大臣 今のところ、先ほど申し上げたことしか、申しわけありませんが答弁できません。
高橋(嘉)委員 それでは大臣、僕がきのうちゃんと通告している。それをお昼に聞いたという言葉で、そういう話では困ります。何の質問通告ですか。その事実関係も、通告しているのに、事実関係も確認しなかった、だから調査すると。その答弁だけであれば、これ以上質問できない話になっちゃいますよ。
大島国務大臣 私自身、本当にお昼に伺いまして、そういうことでございますから、少し精査して、ちょっと見てみたいと思います。
高橋(嘉)委員 僕は係争中の内容を言っているのではありません。単純な、こういう事実がありますと。これは他人の本を、お役人の、しかも農林省の官房の課長が、自分でさも発刊したようなあいさつ文を書いて、奥付を取って、それを組合員に配った。ほかにもあるんですよ。大体にして、厚生省に申請した際にはこの本はまだ発刊されていないんですよ。各省庁間の助成制度に対して、非常になれ合いとかそういった問題があったのではないかという指摘すらできるいろいろな資料は僕も持っています。
 僕は、そういったことはその後の話として、まず、この事実があったかなかったかという確認を、きのう私はちゃんと質問通告しているんです。答えていただかないと、これ以上質問できません。
鮫島委員長代理 大島農林水産大臣、事実があったかどうかという、そのことを。
大島国務大臣 もう一度申し上げますが、御指摘の書籍は、農林水産省共済組合が民間の出版社から購入したものであります。その後、著作権者の一人から、一万部複製して組合員に頒布したとして損害賠償が今あるということは承知しておりまして、確かに、当該書籍は「農林水産省共済組合」と表示され、こう申し上げました。誤解が生じる可能性があるかと思われますということを先ほど答弁させていただき、係争中であるということは、そういうさまざまな事実関係も含めて、今係争の中での判断のことになるわけですから、大変申しわけありませんが、これ以上の言及は差し控えたいと思いますが、本当に私自身、昼にちょっとこういう経過を伺ったものですから、もう一度自分なりにちょっと精査をしてみたい、こう思っております。
高橋(嘉)委員 著作権を買っていなければ、こんな表紙を変えたり奥付を外したりするという、全く不心得も甚だしいわけでありますよ。指導すべき監督官庁が、その官房の課長がこのようなことでいいかということを言っているだけです。係争中の話をしているんじゃないんですよ。係争中の話だったら、もう少し事実確認すべきです。この大川優美子さんともう一人の著作権者というのは結審して、もう大川さんの本だということになっているんですよ。
 だけれども、では、これは著作権を買ったんですか。買わない限りは、奥付を勝手に取ったり名入れを変えたり、自分を発行者みたいにできないでしょう。違いますか。そのような答えでは答えになりません。
大島国務大臣 当該冊子は、平成四年度農林水産省共済組合特別保健福祉事業として、要介護状態の家族を抱える組合員への支援及び共済事務担当者の事務参考として、平成五年三月に、一部二千円で、二百八十九部、共立速記印刷株式会社より購入したものだそうでございます。
 平成五年に、著作権者の一人である大川優美子氏が、当該冊子の購入の事実確認に農水省に来庁した。平成十二年九月に、大川優美子氏から、冊子の表紙、発刊あいさつ及び奥付のない最終ページの写しを要求され、渡したそうです。その後、平成十三年四月に行政文書の開示請求を受けますが、当該文書が行政文書でないことから、不開示決定通知書を送付したそうです。なお、その際、共済組合から当該書籍の写しを交付する、それを今、あれでしたね。
 平成十三年五月に、弁護士を伴い、当該冊子の原本は大川優美子氏本人が作成したものであることと、共済組合が購入したとする書籍は、厚生課長である小松良彦が勝手に複製したもので、著作権違反であることを主張されたそうです。
 その際、当時の和田厚生課長から、当該冊子は、共立速記印刷株式会社から購入したものであり、複製したものでない旨説明するが、納得は得られないということで、平成十四年二月二十五日に、代表武部勤、小松良彦、共立速記印刷株式会社代表取締役吉岡栄子の三者を被告とする訴状が届いたということでございまして、今の経過を申し上げたところでございます。
    〔鮫島委員長代理退席、委員長着席〕
高橋(嘉)委員 いずれ、同様の答弁を繰り返されるのであれば、質問できません。
 要は、購入したというのはわかりました、今聞きました。でも、著作権を買ってちゃんとしない限りは、何で、この名入れに農林共済組合となるんですか。
小平委員長 ちょっと待ってください。大島農水大臣、答弁できますか。
 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
小平委員長 速記を起こしてください。
大島国務大臣 今伺ったら、著作権の争いなんだそうですね。したがって、そういう訴状、今訴訟状態でございますから、私に今そのことについてここで判断ということについては差し控えさせていただくということです。
高橋(嘉)委員 それでは、この農林共済組合という名入れ、そして奥付は何で取っているんですか。そのような話だけですと、本当に質問できなくなっちゃいますよ。
 では、この事実は認めるんですか。
小平委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
小平委員長 速記を起こしてください。
 それでは、高橋委員、今の質問、通告があったそうですが、今政府を含めて答弁の整理をしますので、高橋委員、質問を後に回してください。
 次に、中林さん、質問、よろしいですね。その間に整理をしてもらいますので。では、どうぞ中林さん、進めましょう。(発言する者あり)いや、休憩でないですよ。ですから、今答弁を整理してもらっている。
 それでは、時間の関係もありますので、中林委員に質問をまずお願いします。それで……(中林委員「大臣がそこで協議しているので、私、大臣に聞きたいんですけれども、答弁できない」と呼ぶ)同じ質問ですか。同じこと。(中林委員「いや、同じじゃないです。そこで協議中で、質問できませんので」と呼ぶ)
 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
小平委員長 速記を起こしてください。
 それでは、高橋委員、答弁ができるそうですから、質問を続行してください。
 高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 表紙の名入れを「農林水産省共済組合」として、そして、なおかつ、大臣官房厚生課長名で「発刊にあたり」というあいさつ文を書くということについては、代表者たる農林水産大臣がどのようにお考えか。監督不行き届き、こういったことでいいのか、監督官庁のトップがということであります、私が問いたいところは。
大島国務大臣 監督責任ということでございますか。
 事実を私自身もきちっともう一度聞きまして、今こういうやりとりを伺った段階で、人の本に対して、全部、もしそういう形で変えてやるということだったとすれば、それは本当にそういうことを、どういう経過でそうなったのか、そういうことを今なにしていますから、ちょっと、委員長がさっき差配してくださったように、もう一度調べて、そしてそれなりのことをお答えしますから、ひとつ、委員長の差配にあれしていただきたいと思います。
高橋(嘉)委員 質問通告をしておりましたし、この事実を聞きとありましたから、では、この事実関係はお認めになるんですね。簡潔にお答えください。
大島国務大臣 先ほどお答えしたとおりです。
高橋(嘉)委員 いや、もう一度お答えください。こういう事実関係があったかどうかということだけはお認めになるわけですね。
大島国務大臣 そういう本があったということは事実です。
高橋(嘉)委員 とにかく、これは厚生省の補助事業で展開されているものなんですよね。それが、農水省が申請して行われているものなんですよ。だから、二重三重に変な話なんですが、大臣、僕はほかに質問をしたい、本筋のところもお聞きしたいので、いずれ、調査をしてしっかりとした答えを委員会に提出していただけますか。
大島国務大臣 提出か答弁かで、ちょっと本当に、平成五年ですか、これはもう小松さんという方もやめたようでございますので、退職で。本当にこれは、今係争中であることもあって、しっかり調べて、何らかの形で委員にお伝えいたします。
小平委員長 それでは、この件につきましては、後刻理事懇を開きまして、その席で政府から回答をいただきます。その結果を高橋委員に御報告する、それでよろしいですか。(高橋(嘉)委員「はい」と呼ぶ)
 どうぞ、高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 では、次に、米政策の問題についてお伺いいたします。
 なぜ今米政策の再構築が必要なのかを明確に御説明いただきたいのであります。
 三十一年間にわたり減反政策を実施し、今や四割になんなんとする減反配分が行われております。農業を取り巻く環境の厳しさは言うに及びません。いよいよ閉塞感を強めてきております。昨年の緊急総合米対策においては、減反配分に加えて、需給調整水田の現地対応をしました。いわゆる青刈りを指示したわけであります。さらに、来年は五万ヘクタールの減反面積を拡大するとしております。
 そのような中にありながら、今度は原則減反廃止を掲げ、自主的な対応を迫ろうというのでは、農家は理解に苦しんでいるのではないでしょうか。その辺、簡単にで結構でございます、大臣の御見解をお伺いします。
大島国務大臣 委員の発言の中で事実と違う点がございますので申し上げますが、減反を廃止するというのは一言も言ったことはございません。自主調整にすると言ったんです。そして、委員もまさに今自分でお話しされましたように、閉塞感があると委員もお話しされました。そういうことから、改革をしなければならぬ、こういうことなんです。
 もっと簡単に言えということですから申し上げますが、消費の減少、それから米価の低迷と稲作収入の減少、稲作の新規就業者の不足。例えば、昭和三十七年には百十八キロを食べておったものが、今六十五キロしかございません。あるいは米価の低迷におきましても、六年産は二万一千円ございました。それが平成十三年に一万六千円と約二割減です。新規就農者を見ましても一万人に四人という状況の中で、二十一世紀の主食の基礎である米をどういう方々にしっかり担ってもらって、そして頑張ってもらわなければならぬのか、こういう観点から私どもは現在大綱として決めたことをお示ししたわけでございます。
高橋(嘉)委員 事実と違うかどうかわかりませんが、末端の農家は、もう国が生産調整の配分をしないということは自由でいいのかなという理解になるわけであります。
 では、次にお伺いしますが、第三者機関が米の需要予測や生産目標数量を策定し、助言するとあります。これは単なる提示か否か。また、全国レベルの検討会議と類似した機関を都道府県レベルでも設置し、情報や意見を収集するとありますが、都道府県レベルと全国レベルとの検討会議における予測の違いや意見の食い違いがあった場合どのようになるのか、その辺をお聞かせください。これは一律配分の現状に一石を投じる仕組みとして考えたものなんでしょうか、あわせてお答え願います。
大島国務大臣 委員のおっしゃる、第三者機関の来年度の生産見通し、このぐらいあるべきだということと、県や市町村が違うということは、私どもが考えておるものでは余り考えられない仕組みなんですが、どういうことをおっしゃっているのか、もう少し御説明いただければお答えできるんじゃないかと。
 積み上げではないんですよ。積み上げじゃないんです。だから、今までの、過去の需給の実際、それから、そういうことから踏まえて第三者機関で、全体としては来年はこうなるんじゃないでしょうか、こういうことを参考にしながら、各県ではこういう姿になっていくんじゃないでしょうかと。それを踏まえて県がまたそのことを地域農業確立のために、岩手も同じですよ、そういうことでやっていくんです。だから、そういうことを今私どもは考えておるんです。
高橋(嘉)委員 岩手のことだけを申し上げているわけではありませんので。
 いずれ、つまり、産地づくり推進交付金が出されますよね。そして、各地域、例えば特化されているような、あるいは主産地的な中でもレベル差が均衡した場合とか、県段階と協議会の判断が違っていたりした場合、そういう産地間とかいろいろな中での力関係の問題で意見が食い違ったりした場合、国のレベルとは違う、この場合は、県とか地域の協議会がこういう産地づくりをしたいということで物すごく力を入れているわけですよね。
 そのときに、同じレベルのところがあって、それがどっちの方が、例えば奈良県のここの方がすぐれている、いや、青森県の八戸の方がすぐれている、判断が食い違ったり、しかし、そこの中でいろいろ議論が出たときに、中央の検討会はどのような判断を下すんですか。
大島国務大臣 高橋委員、今度の改革の基本は、まさに自由党さんがいつも言っているように、市場原理とか、あるいはまた自主性とか責任とかというものを米の世界にももう少しきちっと入れていこう。ですから、だれのための減反であろうかということを、先ほど、生産調整であろうかということを問われました。
 もちろん、米というのは国民の皆さんに安定した供給をいたさなければなりません、それはできるだけ担い手の皆さんに頑張っていただこう、ここまではお互いに共通した考え方だと思うんです。そういうことを集落でも考えてもらおうということであって、そういうことは、力関係とかなんとかということをお話しされましたが、私は、それぞれの中でよく話し合って、そしてやっていただく、それを国に持ってきて国が裁定するとかということは考えておりません。
高橋(嘉)委員 いずれ、県とか地域が、この米政策大綱を見ると、しっかりと将来のデザインをしないとやっていけない、また指導しようとしているわけですね。そこに全く国の関与、本当にかけらも見せない形の中でやっていく、そういった中ではいろいろ問題が生じるのではないかということを僕は申し上げたかったわけであります。
 では次に、第三者機関の助言の問題で、農水省の認可を受ける仕組みと理解されても仕方がないような報道が二、三見受けられますが、ここの真意のところをお伺いします。
大島国務大臣 また委員の御発言をとって恐縮ですが、国が関与しないということを言ったことはないんです。だから、米の礎、米というのは農業の礎だからさまざまな政策を打つわけですね。第三者機関の中にも事務局として国はちゃんとそこは働きますよということも言っておりますね。全く関与しないということは一言も言っていないわけです。
 そこで、今具体的に、認可とおっしゃいましたか。(高橋(嘉)委員「はい」と呼ぶ)認可ということは、まだこれからいろいろな議論がありますが、今の時点で、そうであるとかそうでないとかということは言えません。これからさまざま議論してまいりたいと思います。
 基本的に、二十年以降は、もっと早くできればそれは早く、生産者が主体となって、需要と供給で経済行為の、米とてやはり一面は決まっていくわけですから、そこの側面を生産者にも肌で感じてもらうような仕組みにしたいという中でやっていきたい。国、地方がどのようにそこのところに関与するかということについては、先ほど来申し上げたように、これから協議してまいりたい、こう思っております。
高橋(嘉)委員 大臣の言葉をとって申しわけありませんが、国の関与ということはしないとは何も言っていない、認可については、認可という認識については今のところ答えられないと。大臣個人の見解で結構でございますが、お聞かせいただけますか。
大島国務大臣 大臣には個人ということはないと思うので、大臣として言うときは結論だと思います。
高橋(嘉)委員 では、大臣としてで結構でございますから、認可ということについて、今はっきり言えないということですが、御見解をお聞かせいただけますか。
大島国務大臣 来年の通常国会で法案として提出したいと思っております。
高橋(嘉)委員 それでは、次にお伺いしますが、需給調整システムの中で、「平成二十年度に農業者・農業者団体が主役となるシステムを国と連携して構築する。」とあります。この際、国の役割を食糧法上明確に位置づけるとありますが、これは何を意味しているのですか。生産調整配分について指し示したくだりであろうと僕は僕なりに理解しているんですが、これは何を意味しているのでしょうか。
大島国務大臣 先ほどさまざまな、民主党の先生方からも異議がございました。国民に安定した米の供給をする責任は政治にあると、まさに御党の、御党じゃない、民主党さんでしたかな、それから公明党さんからも御指摘いただいた。
 だとすれば、そういう観点から、生産者が主体的に取り組む姿を、あるいは動向を見ながら、助言等もあり得るかもしれません。そういうことを、生産者等が主体となって取り組むことをしっかりと踏まえつつ、国、県がどういう形で関与という姿があるのか、そういうことをこれから検討していきたいし、そしてそのことを法律の中にしかと定めていかなければなるまい、こう思っております。
高橋(嘉)委員 数量配分についてちょっとお伺いします。
 来年の五万トンの減反の拡大は、数量配分の結果ですか。簡単にお答えいただければ結構です。
大島国務大臣 面積でございます。
高橋(嘉)委員 面積であるというのであれば、以前、十三年の十一月二十七日、当委員会において、武部大臣に、数量配分についての見解を僕はただしました。その際の答えが、「現行の面積管理による生産調整の方式では、面積目標を達成しても、収量の低い圃場から転作が行われることや、豊作等によりその効果が減殺されるなどの問題点があることから、」云々、そして数量配分にすると。この理由から見てもわかるとおり、数量配分を提示する場合には、さらに厳しくなるということは言えるわけですね。簡潔にお答えください。
大島国務大臣 何と比べて何が厳しくなるかということの質問……。もう一度お願いします。
高橋(嘉)委員 武部大臣の答えは、「現行の面積管理による生産調整の方式では、面積目標を達成しても、収量の低い圃場」の方から、これだけでもうわかると思いますが。
大島国務大臣 厳しくなる厳しくならないというより、実態をとらえての姿にしたいという思いの中で、数量を中心とした、平成十六年からですよ、平成十六年からそういう方向に行こう、こう思っております。
高橋(嘉)委員 去年あたりから、面積配分と同時に数量配分の目標をちゃんと設定して出しているんですね。だから、それをしながら、さらに、十六年からとはいいながら、来年五万トンの拡大だ、それは数量じゃないというお話を聞くと、いずれ、さらに衝撃的な拡大があるのかな、そう予想したからお聞きしたかったわけであります。
 では次に、現在、農協の米の集出荷状況は、全国平均四九%という水準にあります。北海道、東北は六五、七〇%と高い。しかし、全国的には大変なむらがありまして、一〇%から二〇%台のところが結構あります。これは、農協の経営力、指導力によるところが大きいわけでありますけれども、こういった状態の中で、農協や地域に生産調整の配分を頼む、こういうやり方はやり切れるものとお考えですか。
大島国務大臣 集荷の割合というものは、今委員がお話しされたのも事実だと思いますし、また、米生産者の組合員のシェアというものを見ますと、九割以上になっております。そして、そういう中に、さまざまな組合員の持っている機能というものもあるでありましょう。主体的に今組合が取り組んでいただくことに、私はそれ以外の場所はないと思いますし、町や村もそういうことに一緒になって、新しい地域農政をつくるために、お互いにパートナーとして努力していただくことによってそういうことが可能ならしめるようにやっていかなければいかぬ、このように思っております。
高橋(嘉)委員 この新たな米政策の予算措置は、現在行われている生産調整等に係る予算内において考えられているとお聞きしております。
 今回柱とされるものは、先ほどの委員の方々もいろいろ指摘されておりますが、この産地づくり推進交付金、あるいは担い手経営安定対策、そして短期融資。本当に、今検討中というお答えはわかりますが、大臣はこの大転換期に当たり十分なものとお考えでしょうか。簡潔にで結構でございます。
大島国務大臣 担い手を育て、足腰の強い、意欲のあるそういう方々を中心にして、二十一世紀の米供給を消費者の動向を見ながら頑張っていただく私どもの知恵としては、今そういうことでございます。
 きょう私どもが提案をさせてというか、大綱を出したものですから、願わくは、本当に各党皆様方がそれぞれの政党で、しからばどういう米の改革案、大綱をお持ちなのか、できればお示しをしていただきたかったと私は思うのです。そういう中でいい意見があれば取り入れたいとも思っているんです。自由党さんはどういう考えを持っているか、まだ私は全体像はわかりません。民主党さんにも個人的にお願いしたこともございます。ですから、そういう中でもしいいアイデア等があれば、まだ謙虚に聞くところが私の幅の中にもありますから、どうぞ具体的な、建設的な、高橋さんにあれば、お話をしていただければ勉強してみたいと思います。
高橋(嘉)委員 担い手経営安定対策について、そういうことであればお話しします。
 この仕組みは、都道府県ごとの単位面積当たり直近三年の平均の稲作収入の八割を基準として、当該年の単位面積当たりの稲作収入がこれを下回った場合にその差額の八割を補てんする、補てん単価として加入面積に乗じた金額を支払うとあります。
 これは、稲経の場合、過去七年間の最高と最低を除いた五年間の平均ですよね。そして今回は直近三年。米価はどんどん下がってきています。それと、生産者と政府の拠出金割合も、稲経は一対三、今度は一対一。四千円だったとしたら、千円出して、国が三千円出していたものを、今度は二千円、二千円で出せという話ですね。改悪としか思えないし、これは、この比率は、当然のごとく稲経と同様に考えるべきと私は思っております。意見でございます。(大島国務大臣「厚くしろということですね」と呼ぶ)厚くしてほしいと。意見をお聞きしたいと言ったから、今意見をお話ししたわけであります。
 それでは次に、六十キログラム当たりの三千円の融資、米短期融資制度、これも非常に低いものであろうと私は思っております。これは、こんなことを言うとまたあれかもしれませんが、農協の保管料の手当ても考えられないで、豊作が続いたとしたら、どんどん米は隔離しなきゃならないわけですから、それは農協の負担が多くなれば組合員の負担になって、三千円はまた持っていかれちゃうような話にならないとも限らない。僕はその辺のところもよくよく考えていただきたい、こう思っております。
 私の意見だけ申し上げてもなんですから、では、もう時間もありませんので、質問をまた再開させていただきます。
 さらに、ではこの担い手の経営安定対策の対象要件。北海道では十ヘクタール以上、都道府県では四ヘクタール以上、集落型経営体では水稲作付規模二十ヘクタール以上ということで検討されていると聞いております。日本の耕地面積は、平均一・五四ヘクタール、中山間地は一・四八、山間地は一・二六と、山間部に行けば行くほど対象要件を満たすには非常に条件が厳しい、厳しさを増してくるのであります。この点についてどうお考えですか。
 例えば、産地づくりというお話をされるかもしれませんが、山間部で二十戸の集落があった、五町歩持っている人がいた、この平均値から見ればわかるとおり、二十ヘクタールの要件は満たせない可能性が多いわけであります。こういった場合はどうお考えですか。
大島国務大臣 高橋委員の先ほどの意見を私もテークノートして勉強させていただきますが、自民党の農林部会でも同じような意見が出ております。私は構造改革だと言っているんです。その点の議論をして今日まで来ているんですが、もっと厚くしろ、簡単に言えば国がもっと金を出せ、こういうふうな御意見と承りました。
 そこで、今の経営安定対策の対象について、集落型経営体の経営規模のお話がございました。全国には十四万の農業集落があり、中山間地域には六万五千が存在いたします。その中山間地域において、特に一農業集落当たりの耕地面積は約二十八ヘクタール、水田面積は約十四ヘクタール程度と伺っておりますし、おっしゃるように、さまざまな地形が存在する。そういうふうな日本の中で、私どもとしては、一方において経営体として発展し得る最低限の経営規模は必要であるという中で先ほどのようなお話をしましたが、今後、私どもの案として今持っているものでございますので、さまざまに議論しながら、最終的な判断はまたしていかなければならぬかな、このような思いも持っております。
高橋(嘉)委員 済みません、もう時間が終わりましたので、最後に質問させてください。
 中山間地の農業についてお伺いします。中山間地の農業は唯一の生活基盤でもあります。文化、伝統、多面的機能云々とおっしゃられますけれども、そういった視点に立ってお話しします。
 私は非常に疑問を持っているわけでありまして、農業構造の展望の目標年次、この話をいたします。平成二十二年には四十万戸の農家及び経営体がつくられようとしております。その中の家族経営の規模は十ないし二十ヘクタール、法人や生産組織は三十ないし五十ヘクタールの規模とされております。
 そこで、お伺いしますが、例えば五千ヘクタールの農地があります。そこで水稲主体の農業が展開されており、その農家戸数は二千五百戸であります。この場合、十ヘクタール規模であるならば五百戸、二十ヘクタール規模であるならば二百五十戸で事足りるわけであります。残りの二千二百五十戸あるいは二千戸の農家の農業を行ってきた者の雇用と所得を得る手段はどうあるべきか、教えてください。
大島国務大臣 その発想が農工導入促進法とかという発想なんですよ。集落は今混在化しているでしょう。岩手でも秋田でも青森でもそうです。
 私は、米の生産政策というものが、ここを改革いたしますと、集落というものは、美しい村づくりというものは、もう一方の違う視点から私どもはきちっとさせなければいかぬと。そして、そういう中に混在している人たちが、もちろん、メーンは生産ですよ、生産者です。しかし、その中にはそれ以外の方々も住んでいる。そこの集落は、国民の財産として、まさに土地の見直しを含めて、土地というのは農地法も含めて、どうやったら美しい集落をつくれるか、そういう視点に立った政策をきちっと持たなければいかぬと思うんです。
 したがって、そういう美しい集落づくりというもののために、来年の通常国会を踏まえて、本当に私たちは今、どう考えてどういう政策を打ったらいいか、法律改正も含めて、いずれ御提示できるように努力していきたいと思います。
 それから、言われているのは、二種兼業農家とかそういう方々をおまえは切り離すのかということだと思うんですが、そうではありません。その集落営農の中にどうやってみんなで、こういう新しい時代に向けた農業に一層参画しながらやっていけるかという位置づけの中でそういう方々をやっていく、そういうふうなことで考えてまいりたい、こう思っております。
高橋(嘉)委員 集落営農の中に吸収できるというお考えのようですけれども、私は、それだけの提示の仕方では、農村社会論的に農村のあり方というものは著しく変容する、それに対しての青写真は申しわけありませんが見えません、このことだけを申し上げ、終わります。
小平委員長 次に、中林よし子君。
中林委員 米問題に入る前に、まず、一たん始まるとなかなかとまらないと言われていた大規模な公共事業、国営中海干拓淡水化事業、三十九年の年月を経ました。八百五十一億円という税金の投入です。大変遅過ぎたとはいえ、十二月二日に島根県知事が正式に中止を表明いたしました。私も、当選以来この中止をずっと求めてまいりました。
 一九六三年から始まった国営事業でございますけれども、二千五百四十一ヘクタールの農地等、干拓地ですね、これを合計五カ所、同時に、汽水域でありました宍道湖・中海、それを淡水化するという、セットの事業として、昭和の国引きという呼び声の中で始まりました。
 しかし、これは減反政策がとられるなど、さまざまな農業事情の変遷や環境問題などで、このまま続けていくならば環境悪化につながるし、汽水域の漁業、これ自身が消滅してしまいかねない、そして営農の見通しもないということで、大変大きな反対運動が起きました。私も国会で十数回にわたって中止を求めてまいりました。
 しかし、農水省の態度というのは、大きな県民運動がありながらも、それに背を向けて、一貫して推進の立場。もちろん、途中で延期をしたり凍結をしたり、こういうことはありましたけれども、そういう態度をとり続けてまいりました。
 私は、やはりこの事業に対する政府の反省といいましょうか、それがなければならないというふうに思うわけですけれども、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
大島国務大臣 中林委員が中海の干拓事業についてライフワークとして取り組んでこられたことは承知しております。
 戦後の日本の歴史は変化の激しい歴史でございまして、昭和三十八年にこの事業が着手されたときは、食料の自給状況あるいはまた米の需給見通し、こういうものは供給不足の厳しい状況等が議論されておった時代であろうと思います。しかし、その後、農業者あるいはまた政策、そういうそれぞれの携わった方々の努力によって農業も大きな変化を遂げてまいりました。一言で言えば、その変化の中に十分な対応をしてきたのかしてこなかったのかという、時代的、歴史的検証というものをしながら、その時点においてさまざまな決断と判断をしていくことが我々に求められていると思います。
 この中海干拓事業においても、先般、澄田島根県知事から県政の一つの結論として持ってこられたこともそのとおりであったと思いますし、私ども、そういう意味では反省をしたり、また自省をしたりするところもありながら、新しい時代に向けて勇気を持って進めていく必要性を私自身感じております。
中林委員 反省という言葉がございました。私は、これまでいろいろな議論をさせていただきながら、本当に反省して決断をすべきときに決断していれば税金投入がここまで膨れ上がらなかっただろうというふうに思います。
 そこで、きょうは米の問題でございますのでこれだけの議論をするわけにいきませんが、事業中止の知事表明を受けて、宍道湖・中海の両漁協、そして我が党も参加しておりますが、多くの団体が入っている、豊かな汽水域を後世に活かす市民会議、これが国に対して二点について要望を行っております。
 一つは、貧酸素水塊対策など水質浄化対策を急ぎ、安定した漁業条件の回復に努力を傾注していただきたい。それは、沿岸住民が望む泳げる湖を取り戻すための第一歩だという、水質浄化、この要求です。その中には、堤防ができたために閉鎖水域になっているところ、堤防開削の要求も当然あることを含んでおります。
 二つ目に、四十年に及ぶ中海土地改良事業の歴史は、今後の中海・宍道湖の賢明な利用にも、また全国の公共事業の改善、改革にも生かされる必要がある。そのためには、長い歴史の中で積み上げられてきた各種の調査データや未公開文書を含む関係資料のすべての確実な保存、そしてそれを一般に公開できるようにしていただきたい。それは、当該事業のために巨額の税金を使われてきた国民に対する関係行政機関の責任として欠くことのできないことだ。こういう要望になっております。
 この二点についてのお考えと、同時に、やはり県民負担が伴います。第一義的には、国営事業ですから、私は、やはり国の責任において県民負担の軽減をぜひとるべきだ、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
大島国務大臣 中海の歴史を踏まえて今の問題に入りましたが、私どもも、そういう思いの中でさまざまな判断をしながら、例えば本庄工区の干拓中止などを決定するなどやってきたところでございます。
 まず、淡水化の取り扱いについては、今後、鳥取県のお考えをお聞きした上で、農林水産省として判断していきたいと思っております。
 開削につきましては、島根県の知事が中海に関する協議会の中で協議されることとなると発言しておりますので、議題に上れば、同協議会で検討してまいりたいと思っております。
 また、四十年間のデータ云々という要望があるがどうだ、こういうことでございますが、国営中海土地改良事業にかかわる資料等の保存、公開に関し、行政機関の保有する情報の公開に関する法律にのっとり、適正に対応する所存でございます。
中林委員 県民負担の軽減は。
大島国務大臣 こう言うとまた怒られるかもしれませんが、まだ淡水化の取り扱いについて判断をしていない段階におきまして、具体的内容についての言及は差し控えさせていただきたい、このように思っております。
中林委員 第一義的には、島根県知事が土地改良法によって中止を求めているわけです。ただ、関係自治体ということで、鳥取県の意向というのは当然あります。ただ、淡水化が元に戻るというか、中止が、では再開してほしいというふうに鳥取県が言うわけがございませんので、そういう意味では島根県側からも要望が出てくると思いますけれども、ぜひ県民負担、日本一の借金県になっている島根県でございますので、これによってさらなる負担がふえるということは、それは県民にとってとても納得のいかない話につながってまいりますので、そこは要望しておきたいというふうに思います。
 私はこれをなぜ言ったかというと、これまでも国会での議論の中で、ぜひ出してほしいという資料が出なかったいきさつもございます。だから、適切なやり方でという中に、これまで未公開だったものがまた未公開のままやみに葬り去られかねない、そういう問題が含まれているので、それはすべてやはりきちっと、もう中止の方向ですから、こういう事業が始まったけれども中止したんだ、その間の膨大な調査データがあるわけですから、これはぜひ要求をしておきたいというふうに思います。
 あわせてですけれども、私はやはり、この巨大開発事業、農林水産省としての事業、そこからの教訓を学ぶならば、環境悪化につながり、そして営農の見通しのない方向を今もなお続けているのが諫早湾干拓事業だというふうに思うんですね。そうなれば、もうこの教訓からくみ尽くすならば、きっぱり諫早湾干拓事業そのものも中止の方向に行くべきだ、これを申し上げて、米問題に入りたいというふうに思います。
 政府の米政策改革大綱、見せていただきました。私はとても容認できないというふうに思うんですね。先ほどから、国が主食である米についてどの程度関与するとか関与しないとかという話があって、関与しないなんて一言も言っていないと大臣はおっしゃっている。しかし、この中身を見ると、確実に、価格の安定だとか需給の問題だとか、そういうところから手を引く方向性は出てきている、そういうことでございます。
 最大の問題は、ことし百一万ヘクタールの減反、来年は五万ヘクタールが上乗せされる、こういう方向があす米審で明らかになるそうでございますけれども、減反をしながら米価の暴落それから稲作農家の経営悪化、こういうことについて、この米改革大綱を見る限り、今までの反省というものが見えてこない。米政策の見直しを言うなら、米が余っているといいながら中国地方五県に匹敵する米輸入を受け入れている、そして米の価格保障制度を廃止して、自主流通米の価格の値幅制限もなくして、結局下落の一途をたどるような政府の政策、まずそれを見直さなければならないというふうに思うわけですね。
 これまで、生産調整に関する研究会の取りまとめでも、閉塞だ閉塞だ、こういうふうに言うし、この大綱でも、「米の過剰基調が継続し、これが在庫の増嵩、米価の低下を引き起こし、その結果、担い手を中心として水田農業経営が困難な状況に立ち至っている。」こういうふうに言っているんですけれども、こういう事態を引き起こした責任、それを政府としてあるというふうに大臣はお考えになりませんか。
大島国務大臣 委員、米の歴史を先ほどいろいろ私申し上げましたが、過剰米の処理対策で三兆円国民の税金を使いました。御存じだと思います。そして、先ほど中海の話から、時代の変化に合わせて中止するものは中止したり、そのようなことに、時代に対応するようにすべきだという趣旨のことをお話しされたと思います。米も同じなんですよ。米の消費が減っていることは、共産党であれ、自由民主党であれ、同じ認識としてとらえなければならぬと思うんです。
 また、一方、米を取り巻く環境、そのことも確実に変わってきている。今、米を主に食べている場所といいますと、四割はもう外食、中食の中でしょう、需要として存在している状況。これは昔のような米消費形態ではございません。
 共産党さんの松本大先輩から一度御質問いただきましたが、国が価格を設定し、つくりたいだけつくらせて、そしてやるというのは、国民に本当に理解が得られるでしょうか。私は違うと思うんです。
 そこで、なぜそういうふうなことを私どもが考えたかというと、やはりそういう消費者が求めている米の多様な姿に生産者も合わせて努力してほしい、そのために国がどういう施策を持って関与していくかということは、やはり限られた財政の中でもやっていかなければならぬ、そういうふうなのが今度の大綱の趣旨とぜひ御理解をいただきたい、こう思います。
中林委員 今我が党の松本議員の質問をねじ曲げた御答弁があった、訂正していただきたいと思うんです。
 価格保障の提案は確かにいたしました。しかし、つくれるだけつくってもいい、私たちはこういう政策は持っていない。強制減反には反対しているけれども、しかし自給率を向上させていくために、お米は備蓄もし、そして一〇〇%国内産米で自給できるようにすること、さらにはほかの農産物が生産できるような経営安定をちゃんと、所得保障だとか価格保障だとか、それをやって、バランスのとれた生産をやっていく、これが我が党の方針ですよ。ねじ曲げた答弁をやっていただくと、本当に誤解を生むというふうに思います。
 今大臣のお話を聞いていれば、消費が減った、消費が減った、これが物すごく言われるわけですね。確かに消費は減っていますよ。食生活も変わってきた。そこは認めます。しかし、それは、きのう、きょうということではありません。
 十年前ですけれども、新政策が打ち出されました。もうこのとき消費は減っているんですよ。その新政策が打ち出されたときに、一体農水省はどう言っていたんですか。この政策を進めていけば、大体十ないし二十ヘクタールの稲作農家が大宗を占めるようになる、そして地域の他産業従事者と遜色のない水準に所得はなるんだ、こう言ってきたんですよ。まさにそれとはまるで反対のことになった。これは前武部大臣も、こういうふうにはならなかったというのはお認めになりましたよ。
 だから構造改革を進めたんだと言うんだけれども、今回書かれている文面、これは十年前に出てきた新政策の言葉、文言、それはもういろいろなところにちりばめられている。十年間たったけれども、大規模農家ほど収入が減っていくということはもうわかり切っているわけじゃないですか。だから、それを今度は新しい改革大綱にしたんだとおっしゃるけれども、失敗をしたものを崩して同じようなことをまた組み立てていけば失敗につながっていくということは、机上のプランでやるからそうなっていくということは明らかです。
 そこで私は、松本議員の話をされたので、松本議員がずっと取り上げてこられた問題を重ねてただしたいというふうに思っているわけです。
 それで、結局WTO体制を盾に、主食の米について、この十年間、ずっと国は関与を減らしてきているということは事実なんですよ。米価を市場原理にさらしたということです。問われなければならないのは、このWTO体制の中での日本の優等生ぶり、これを検証する必要があるんじゃないかというふうに私は思います。
 この間、松本議員が明らかにしてきたように、WTO上認められたAMS、国内助成が、アメリカは五四・五%実績がある、オーストラリアは四五・三%実績がある、EUは七一・三%実績がありながら、日本の場合は一八・八%になっている。まさに、WTO優等生ぶりがここにもしっかりとあらわれている。私は、ずっとこの間のAMSの日本の場合を暦年上見てきたんですけれども、九七年から九八年にかけて激減しているわけですね。その削減の中身、これは一体どういうものだったか、明らかにしてください。
大島国務大臣 私の言葉に事実と違う点があるという御指摘でしたので、つくりたいだけつくればいいというところは訂正させていただきますが、できれば、どのぐらいの量を備蓄として共産党さんが考えておられるのか、どのぐらいのお金がかかるのか、その財源等はどう考えるのかということをいずれ、もし紙でもいただければ、また議論はしてみたい、こう思います。
石原政府参考人 WTO農業協定上、AMSというのは市場価格支持と、市場価格支持というのは、内外価格差掛ける生産量でございます。
 それで、我が国のAMSは、九八年に約二兆四千億円減少しております。これは主に、九六年に食糧法が制定されたことによりまして米の政府買い入れが備蓄に限定されたということに伴いまして、政府による管理価格がなくなったことによるものでございます。
 具体的には、市場価格支持が二兆三千二百億円、これは減でございますね。それから、直接支払い、これは自主流通米の計画流通対策費でございますけれども、これが八百億円、これも減ということでございまして、合計二兆四千億円の減ということでございます。
中林委員 それまでは自主流通米に対して出していた、それがカウントされていてあったんだけれども、それが稲経に変わって、青の政策に行ってゼロになったということの経緯の中で、減ってまいりました。
 それで私は、WTOの枠内でもできる政策を国内助成に活用していくということで、松本議員が指摘をしたように、六十キロ当たり二万円、これは生産費が償える価格なんですよ。これは仮にの話ですよ。私どもは、政府米は二万円ということを提起しております。自主流通米については、三年間の平均価格、これぐらいは補てんしてほしいということをちゃんと米政策の中で打ち出しております。在庫は二百万トンは備蓄する必要がある、こういう提起も行っておるし、それぞれについて幾らかかるかという財源もちゃんと打ち出しておるし、財源は、農水省の予算の中で土木費が半分以上使われているわけだから、諫早干拓事業などやめてやれば十分できる、こういう財源措置も提起をしております。
 そこで、この二万円という価格保障を提案して、そのときに、国内助成の枠というのは米で二兆六千億円になるという話で、そのための財政支出は六千億円になるという話だったんですね。だから、本当に、WTO上でも可能であるにもかかわらず、まず、自主流通米奨励金さえも外してしまうというようなことで、このAMSをがあっと二兆四千億円も削減したということなんですから、真っ先に米をゼロで通告した分が減ったということなんですよね。
 だから、主食である米の価格支持を外したということは、このAMSからそれを外したんだということはお認めになりますよね。
石原政府参考人 それは、そういうことでございます。
中林委員 だから、本当に、主食であるお米、これを守る姿勢が国際的なつき合いの中でも実は貫かれていないということが、こういう事態の中でも明らかになっていると思います。
 私どもは、ウルグアイ・ラウンド合意が求めた国内助成の二割削減自体、これも無理な話だというふうに思っているんですが、その削減約束を大幅に上回るような削減を主食の米でやってきた、それを国内の農業者にはWTOルールだからと説得してきたわけですよ。この政府の責任は極めて重大だというふうに思います。この反省に立ってどうするか、これが問われているわけです。
 ウルグアイ・ラウンド以降、日本では、市場開放と価格支持削減が国際的な義務であるかのようにずっと言われて、それがテーゼであるかのように強調してきました。しかし、国際的に見て、そういう考えは共通認識にはなっていないというふうに思います。
 現に、アメリカなんですけれども、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉で農業保護の水準を決定的に引き下げることを強要したその張本人なんですけれども、そのアメリカは、けさ、自民党の方からも質問がありました、手厚い農業保護を盛り込んだ九六年農業法に続き、二〇〇二年農業法を成立させて、二〇〇二年から二〇〇七年の六年間に五百二十億ドル、農家へ追加予算として支出を決め、主要作物への不足払いを行おうとしているわけです。この五百二十億ドルというのは、日本円にすると六兆四千四百八十億円ぐらいなんですね。年間一兆円強のものが農家に行くという話ですよ。アメリカの農家戸数は百九十万戸、日本の農家戸数は三百十二万戸ということですね。そこを考えるならば、このアメリカのとっているやり方、私は本当に感心してしまいます。
 ことしの九月に、農水省がこういうのを出しておられます。「すっきりわかる食と農のQ&A」、中身は、私、気に食わぬところがいっぱいあるんですけれども、この米国農業法のQアンドAがあって、五百二十億ドルやっているんだけれども、どうなのかという話に対する答えとして、こう言っているんですね。「米国の新農業法は、1農業には各国それぞれの事情があること、2WTO農業協定二十条に定める改革過程の継続には、柔軟な対応が必要なことを端的に示すもの」であるというふうに書いているわけですね。こういうことを農水省は理解しているわけですよね。
 それならば、このアメリカの態度、WTO体制下で、それぞれの国の状況に応じた臨機応変な価格支持政策、これは各国の判断で行うことは妥当だと。私は、当然見習うべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
大島国務大臣 価格支持政策という趨勢は、やはり、WTOの中では非常に厳しい状況にあるんです。ただ、三つのボックスの中で、それぞれの国がなかなか、知恵というには、知恵というか、そういうものを考えながらやっているなと。
 しかし、私は今、中林委員とある意味では共通の感情を持っているところがございます、共通の感情。アメリカの農業政策を精査いたしますと、私どもは、WTO、これからいろいろな交渉をしますが、大いに議論をしなければならぬその一つが、今委員がお話しされたポイントだ、こう思っているんです。決して私どもは、WTOの世界でいい子になろう、そういうふうなことはいたしません。
 大臣になって、EU、スパチャイさんとも会いますが、先ほど野党の皆さんからお話がございましたけれども、北村副大臣も近々行ってもらおうと思っております。そういう中で、私どもも、主張は明確にしながら、国内の改革はいたしますけれども、日本の農業の存立を守るために全力を尽くしてまいりたい、こう思っております。
中林委員 全力を尽くしてやっていくというんだけれども、さっき言ったように、米からまず、そのAMSのあれを削減してきたというのがもう何よりの証拠なんですよ。価格支持だとか、そういう国内助成というものをもう外そう、外そうとしてかかってきている。だから、まだ枠が、三兆二千億円ぐらい枠がありますよ。だから、やろうと思えばできる。やらないところが問題なんですよ。
 そこで、アメリカの思惑というのは、なかなか大したことを言っているんですね。日本には自由化せいとあれだけ言ってきているアメリカのゼーリック通商代表、これがどういうことを言っているかというと、米国は、ほかの国々と協力して、市場のさらなる開放に向け、新たなルールづくりの交渉を進めているときも、WTOの確立されたルール内であれば、その国益は十分に守るつもりである、ルール内で。ルールを全部駆使して、それぞれの国益を守るんだ、アメリカはやるんだ、こう言っているんですよ。
 それだったら、これだけ米価が下落しているときですよ、政府米、今度はまた引き下げですよ、諮問。とんでもない話だというふうに思うんですよ。だから、その下支えがしっかりないと米生産は本当にできない、経営が悪化しているとあなた方でさえもそこは書いているわけですから、だから、ちゃんと価格支持、これをやったらどうですか。
大島国務大臣 中林委員、WTO、我が国だけで唯我独尊的に言えば、それは何でもできるように思われますが、これは松本委員も御存じだと思いますけれども、いわゆるAMSの世界は、アメリカもそこに乗らないように知恵を出している、こう言ったでしょう。だから、私どもも、そこを使うんですよ。だから、今度の改革案でも、そういうことを念頭に入れてやっておるんです。共産党の主張のように、AMSで一兆円使いなさい、二兆円使いなさい、数字はまた言うと怒られますが、AMSをふやすという単刀直入な、そういうふうなやり方では受け入れられないんです。だから、デカップリングだとか環境だとか、そういう中で知恵を出しているわけでしょう。
 だから、アメリカの場合のそういうふうな農業政策、そういうものに、私、議論すると言ったのは、まさに我が国の政策を補完する、補強するものとして考えていかなければいけない。そういうふうな意味でやっていかなければいかぬということで、今WTOに行って、AMSをこんなにふやして、我々がこうあるからこうやりたいんですと言っても、そう簡単に通じる話じゃありませんよということだけは申し上げておきたいと思います。
中林委員 交渉事というのは簡単なことではありませんよ。それぞれの国益をみんな背負いながらやっている。問題は、WTOのルール内であればできるんですから、精いっぱいやらなきゃだめですよ。それを真っ先に削っていくということが現にあったということを私、お示ししたじゃないですか。しかし……(大島国務大臣「委員長」と呼ぶ)いいですよ。もう大臣の考えはわかりましたよ。それで、EUにしても、言ったでしょう、AMSの中のどのぐらいちゃんとやっているかという数字もお示ししましたよ。これは全部農水省から出ている数字で、私が勝手につくった数字ではありません。
 だから、やろうと思えばできる話をやらないということですよ。交渉事だから、あなたもWTOに行って交渉してごらんなさいと言うんだけれども、私を農水大臣にしてくれますか。そんなことにならないでしょう。(大島国務大臣「委員長、ちょっと」と呼ぶ)いや、長くなるとだめですよ。(大島国務大臣「私は何も、委員が行って交渉してくださいということは言っていません」と呼ぶ)
小平委員長 大臣、指名を受けてから発言してください。
 大島農水大臣。
大島国務大臣 本当に委員、AMSじゃない国内の農業政策というものをしっかりと私どもがつくりながら、理論的にも論理的にもしっかり立てて、これから全力を尽くして頑張りますので、御支援のほどよろしくお願いします。
中林委員 AMSというWTO協定上も認められている国内助成、それをもやろうとしないということ自体が大変問題だと。ほかの方策をいろいろ考えてやるというのはいいですよ。しかし、今私が示したのは、そういうことを各国もやっているんだから日本でもやったらどうか、しかも米についてやったらどうかという話をしているわけで、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 そこで、今回の政策の問題なんですけれども、生産と価格安定、ここから国がずっと手を引いていく方向を打ち出しているわけですが、ちょうど十二年前に米輸入というようなものが出されてきたときに、国が生産調整をやめたらどうなるかというようなことで、大きな、いろいろな声が上がっていた。その当時、生産調整をやめて自由に米をつくればいいではないかという議論が一方あるんだけれども、これについて当時の農水省はどう答えていたか、一九九〇年代。それはわかりますか、大臣。わからなかったらわかる人が答えてください。
石原政府参考人 関税化の特例措置の関係でございましょうか。
 輸入制限と生産調整をやることが、我々、今回関税化の特例措置の条件になっておりましたので、それは一つございますけれども。
中林委員 どうも理解されていないので、私言いますけれども、ここに「コメの自由化問題を考える 問答集九十」というのがあって九十の問いに、これは九〇年に発行された、これだけの分厚いものですけれども、農水省の若手研究グループが農水省の考えとして打ち出されている。
 その中で、もうはっきり言っているわけですよ。「生産調整をやめて、自由におコメを作ればどうなるのでしょうか。」という質問に対して、はっきりとこう答えた。
 もし、仮に、生産調整を行わずに農家が自由にコメを生産したとすると、農家には根強い稲作志向がありますから、四百万トンものコメ過剰が一気に発生することとなります。
  したがって、この過剰に対応するためには、生産者価格の大幅な引き下げが必要となってきますが、そうなれば結局、稲作からの収入の減少に通じることになります。価格水準の低下は、まず稲作を中心としている専業農家、特に大規模経営農家や生産組織・集団に経済的影響を及ぼすことは明らかです。所得の過半を稲作に依存している以上、稲作を縮小あるいは撤退せざるを得なくなります。
こういうふうに当時は答えています。もうそのとおり、こう言っている。このときはまだ食管制度があったときですよ。こういうふうに答えております。
 時間がどんどんなくなっていきますので、実はこの問題はずっと議論したかったんですけれども、大臣、これは一回お読みになった方がいいですよ。なかなかすばらしいものですからね。読んでいただけると、随分農水省の考えが急変したなというふうに――それは大臣、お書きになったんですか。(大島国務大臣「答えさせてください、今の」と呼ぶ)いいです、余分な時間がかかって仕方がありませんから。
 そこで、ミニマムアクセス米の問題についてちょっと議論させていただきたいというふうに思うんです。
 九六年には、お米の自給率というのは一〇二%だった。それが二〇〇〇年には九五%まで減りました。結局、ミニマムアクセス米の輸入によって、これだけ自給率が低下した。農業基本法の計画によると、二〇一〇年には四五%に自給率を引き上げる、こういう計画ですよね。しかし、そのミニマムアクセス米について、今度の政策大綱というのは全く触れておりません。
 私は、このままいき、そして米価が下落していく、それから米生産から農家が撤退していく、こういう状況の中で、果たして自給率四五%の目標達成は自信がおありなのか。私はできないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。前の方の答弁はもういいですからね。
大島国務大臣 ミニマムアクセスのときは細川内閣のときでございました。私ども野党でございました。
 それで、そのときの議論は、我が党内でも、関税かミニマムアクセス論か……(中林委員「そんなことを聞いていない、自給率の問題を聞いたんです」と呼ぶ)いや、そういうことは議論したことを私は今思い出しておりますが、自給率を高めるために米だけをつくればいいという意見のように私は受けとめたのでございますが、むしろ米は、一〇〇%以上つくる力は日本にはあると思います。したがって、他の作物、足らざるものを伸ばして、そこの自給率の目標に達するように政策を打っていくこと、これが大事だと思っております。
中林委員 大臣が願ってもなかなかそうはならないと私は思いますよ。
 二〇一〇年の、お米は一%上げて九六%にする、これ自体が一〇〇%になっていないというのを私は大変不満なんですけれども、もうミニマムアクセス米の輸入ありきというのがあるからなんですよ。私は、米だけで自給率を達成しようなんて言っていないですよ。言われたように、潜在的に一〇〇%を超えるものを持っているわけだから、やったらどうかという考えなんです。
 ただ、カロリーを計算するときに、米の寄与度はすごいですよ。今自給率が四〇%ですね。そのうちの半分以上はお米ですよ、このカロリーを担っているのは。四〇のうちの二三は米が担っているんですよ。だから、お米の自給率が下がれば自給率目標は絶対達成できないというふうに私は思うんですね。
 そこで、ミニマムアクセス米は、今度のWTO交渉で、政府としては削減を求めてやっていらっしゃるというのは知っているんですが、松本議員が言ったように、穀物セクターでくくってアクセス数量を設定すれば、当然お米はゼロにすることができて、お米の自給率を一〇〇%に引き上げることができるじゃないですか。なぜやらないんですか、大臣。
大島国務大臣 御指名を受けましたので。
 米はミニマムアクセス、麦はカレントアクセスとしてアクセス機会を提供しておりますが、その約束を抜本的に変更して交渉を行う、そこの、抜本的に変更することだけのエネルギーで、私は、結局何もできなかったというふうになるぐらいにこれは困難な交渉です。もう一つは、穀物セクターとしてアクセスを決めた場合に、米だけを考えれば今のようなこともあるかもしれませんが、それでは他の作物はいいんでしょうか。だから、他の作物にも悪影響するんですよ。
 そういうことを総合的に考えてまいりますと、なかなか、せっかくのアイデアでございますが、理解をしました、それに基づいて交渉をしますということは、大変申しわけありませんが、今は言える考え方ではありません。
中林委員 あなた方は、何もやらないで、難しい、難しいと言っている。カレントアクセスとミニマムアクセスの違いがあるから、そこの土台を崩して穀物セクターなんてやるのは、とてもじゃないけれども困難だ、困難だとおっしゃる。しかし、EUは、肉類くくりでやっているじゃないですか。これも交渉でやったんですよ。
 そして、穀物の中で、何を輸入して何を輸入しなくてもいい、どのぐらいな数にするかというのは、政府が決めればいいことですよ。麦ばかりおっしゃるけれども、穀物は麦だけじゃないですよ。日本では今生産ゼロと報告されているトウモロコシなんか、どうなんですか。そこで数をうんと稼げば、米なんかゼロにすることできるじゃないですか。先般の松本議員の質問のときにも、理論上はできますと長官は答えていらっしゃいますのでね。だから、理論上は、WTO協定違反でも何でもない。できるんですよ、交渉事なんだから。問題は、政府が本当にやる気になるかどうか。
 それで、ミニマムアクセス米が影響のないかのように、ずっとあの資料の中に書いてありますよ。あるじゃないですか。日本の需給情勢には影響ないように、ないようにと言っているけれども、加工用に回ったのも、あるいは援助米に回ったのも、主食に回ったのも、もともとをいえば全部国産米でやっていたのを、ミニマムアクセス米が肩がわりしているにすぎないということなんですよ。だから、中国五県の米生産に匹敵するものが今輸入されている、この現実を見て、農家の皆さんが影響がないなんてだれも考えていない。
 であるならば、削減要求ということだけじゃなくて、ちゃんとこうやってゼロにすることができる、こういう方向に大臣ならば努力して、もうけんかしていいじゃないですか、WTO協定の交渉事ということで。断固頑張ったけれども、矢尽きて折れましたというんだったら話がわかるけれども、やらないうちから、できない、できないということでは、私、納得いきません。(発言する者あり)
大島国務大臣 今、山田委員から不規則発言もありました。本当に自由党もそういう考え方でいいのでございましょうか。
 穀物セクターで交渉しろと、松本委員、大先輩が、ずっと大変勉強して、私にもこういう質問をされました。
 私は、本当に、お話ししたときに、国内の自給率論とこれは絡んでくると思うんです。多分、米は、そういう意味である程度そうかもしれませんが、他の穀物はもうめちゃくちゃ、とても日本の中で育てようなんということはできなくなりますよ。
 そういうふうな現実をもう一つ考えることと、あれは細川内閣のときにWTOの交渉があって、畑農相が行って、ミニマムアクセスという仕組みを、そこは何も批判とかなんとかではありません、私は事実として言っているんです、そのルールを、今、そういう穀物セクターをつくって、そしてなおかつ、委員おっしゃるのはAMSですよ。これで、理論上の話は理論として、なるほど、理論かなと思うんですが、実際は、私は、やはり国益を考えたときに、簡単に乗れる話ではありません。
 むしろ、日本の農業全体を、多面的機能とかそういう意味で、特に大事なことは、世界の農業がそれぞれに個性を持って存在できるという基本認識の上に立ったルールをまずつくること、その上で、我が国の農業の存立をきちっと守るために全力を尽くしていくことだと思っております。
中林委員 アメリカでさえもWTOルール内で国益を守るためには最大限やると、理論上できることをなぜやらないのかということなんですよ。だから、私は、それはもう、農水大臣、ぜひやるべきだというふうに思うし、この米政策改革大綱、これはまさに亡国の農業政策になる、断固撤回することを求めて、私の質問を終わります。
小平委員長 次に、菅野哲雄君。
菅野委員 社民党の菅野哲雄でございます。
 六時間という状況の中で、大臣、大分疲れていると思うのですが、しばらくの間、正対して答弁をお願いしたいというふうに思っています。
 昨日、米の改革大綱が出ました。私、この米政策改革大綱を見て、率直に、これまでの議論というものの経過を踏まえて、感じたことを冒頭申し上げておきたいというふうに思います。私も中山間地域に生まれ育って、今もほぼその地域で生活しているんですね。これからの二十一世紀の農山漁村の姿というものをどう描いているんだろうかという率直な気持ちがいたしております。
 先ほどからずっと議論を聞いておりますけれども、多面的機能の維持ということが、だれがその多面的機能を維持してきているんだろうかと。それは、私は、中山間地域の農村の人たちであるというふうに思うのですね。下流域の人たちではないというふうに思います。そして、私も生まれ育って、この間、中山間地域農業をずっと見てきておりますけれども、かつては、米、山林、畜産、そういう複合的な中で生活できてきたというふうに思います。漁村もそうなんですね。米をつくりながら、そしてその合間に浅海漁業というものを行いながら、複合的にやって地域社会が守られてきた、これが日本の第一次産業の実態だというふうに思います。
 それが、農業でも、専業農家でもやっていけなくなってきている。専業の林家でも、もう山では食べていけないよ、浅海養殖漁業も含めて、専業の浅海漁業者も、もうこれではやっていけないよという状況に今なっている。そういう状況にあるのにもかかわらず、米の分野でいえば、大臣、ますます専業化をしていって、その果ては地域から離農していかなければならないという状況を形づくってしまうのではないのかなと、今回の大綱を見て思えてならないわけです。
 将来の農山漁村の姿というものを、この米政策改革大綱をつくるに当たって、大臣としてどういうふうに描いていたんですか。冒頭お聞きしておきたいと思います。
大島国務大臣 委員から、今、特に中山間ということをイメージしながら、特定しながらというんでしょうか、農村を将来どのように考えているのか、そして、今度の構造改革政策とそこはどのようにリンクした形で考えているのか、こういう二つの質問であったと思うんですね。
 私は、確かに農村というのは農業者が主たるコミュニティーである、だから農村であり、農村集落ということだと思うんです。しかし、農業者が主たる農村のあり方をどう考えるかということだけで今米政策をとらわれてしまうと、そこはやはり改革の思い切った手法をとれないんじゃないだろうか。もっと言えば、消費者である都市の住民、国民の皆さんに御理解いただけないんじゃないか。
 そこで、米という世界においては、もちろん日本農業の礎でありまするけれども、また集落の基本にあることでありまするけれども、そこはやはり一つの産業政策としてきちっと考えて、そしてあるべき姿を追い求めていかないと、この新しい環境に合わなくなってくるという思いを一つ持ちました。
 一方、集落、農村をどう位置づけるかということでも、今度は農村政策としてきっちりさせなければいかぬ。そこには、先ほど来申し上げましたように、美しい集落、農村というものを本当に全体としてどう考えていくか。例えば、例えばですよ、そういうことを具体的にやるというのではありません、都市には都市計画法というのがあります。農村づくりに、そういう法律に基づいた、集落を美しくしていこうとかという法律はありません。集落整備法というものはあるけれども、なかなかこれはうまくいかない。一体何だろうか、こういう勉強会を今やっています。
 そういう中で、農村集落というのは今や混在化している。それは中山間でも同じだと思うんです。そういうふうに政策の目的をきっちりさせていきながら、国民の前にそのことを明らかにして理解を得ながら進めていくことが大事だ、こんなことを考えて、今この改革の大綱をつくったわけでありまして、背景を申し上げました。
菅野委員 今大臣の言っているのは、米政策、今なぜこの米の改革大綱を出さなければならないのかというところでは理解できます。しかし、この米政策改革の大綱が貫徹されていくという状況の中で、将来、二十年後、三十年後、それでは農村社会がどうなっていくんだろうという不安が、先ほど高橋委員からも同じような質問がありましたけれども、そこをこのような形で歯どめをかけていきます、農村改革としてきちきちっとしなければならないという部分は、大臣おっしゃいました。それも並行した形で出てくるんであれば、私はここでは議論いたさないと思うんです。それがなくて、都市住民に理解されるためにここで改革していかなければならないんだと。
 それでこの間、改革大綱が出るまで、総農家が平成十一年度で三百二十四万、それを、農家戸数を二百三十万から二百七十万戸にしていく、五十万農家を減らしていくという方向性も一方では打ち出していますね。そして、主業農家として四十八万農家を三十三万から三十七万、そして法人で約八万ぐらいですか、これが四十万農家という形でずっと歩いています。そうしたときに、百九十万から二百三十万農家がどういう形でこの地域の村落、農山漁村集落で生活していけるんだろうか。この点に対して明確な指針がなければならないというふうに思うんです。
 改革大綱の中には、そのことが書かれていないんです。そして、これまでの米政策というものをめぐる状況の中でも、そのことが一つもあらわれてきていないんです。
 そういう形の政策が今展開されている中で、私は、この農山漁村というものを、これは日本の宝として、そして地域社会を守るという立場でもって、政府としてこういうふうに政策を展開していきますという形のものを一方では今早急に提示しなければならないんじゃないのかな、そういうふうに思うんですが、いかがですか。
大島国務大臣 いわば私どもは担い手に集中するということを言う、では、担い手にならなかった人は集落から外れていくんじゃないか、こういう御指摘だと思うんです。
 そういうふうな視点から、まず、先ほど申し上げましたように、集落そのもの、農村そのものを、美しい農村づくり、集落づくりという中で、今勉強して、そういうところに一つハードとして考えていかなければならぬところがあるでしょう。
 もう一つは、ですからこそ、集落単位でもって農業をどうするかということをひとつ真剣にみんなで考えるようにしてみてください。そういう中で、例えば五十アールしか持っていない人も今まである意味では農家とされてきたかもしれません。そこは、僕は土曜日、日曜日だけお手伝いして、その集落計画の中で参加をしていくというあり方もあるかもしれません。少なくとも、しかし、そこには担い手という、コアになる人、中核になる人がいなければなりませんという中での生き方もできるかもしれません。あるいはまた、その集落の中で、いや、自分独自でやっていきますという人もできるかもしれません。
 目標の数字はそういうふうに掲げておりますが、いずれにしても、そういうふうな多様な集落のあり方というものは、私どもは日本の財産として残していくというふうな観点に立って、委員が御指摘になっている、ある意味では、私はそういう心配をしておられる方々もあると思いますので、あるべき姿の中にそういう集落のあり方というものも、これからもう少し研究しながら、農家の皆さん、あるいは皆さんにお示しできればいいなという思いを今持ちました。
菅野委員 いずれ、生産調整が平成二十年から、あるいは平成二十二年から地域の独自性に、地域の農家とそれを構成する農業団体にゆだねられていくという方向がこの改革大綱で打ち出されております。
 そうしたときに、私は、今まで、それでは減反政策がどういう形でなし遂げられてきたのかということを考えたときに、やはり地域社会が、毎日毎晩寄って、そしてどうするどうするという形の、地域でいえば寄り合いを持って、そして協力してきたんだと思うんです。中山間地域も、それでは厳しいけんども、うちはあの田んぼを何とかすっからやという形でやってきたと思うんですね。それで今日まで、やっとこさ、やっとこ生産調整が維持されてきたというふうに思うんです。
 それが、生産調整が農家自身の判断に任せられるというときに、私は、生産調整そのものが行えるのかなという疑問を持つんですね。それくらい地域社会の果たしてきた役割というのが私は大きかったと思うんです。
 この米改革の大綱を見たときに、これは中山間地域農業のことは触れてないですよ、米の専業地域のことを念頭に置いてやっているんだなというふうに思いながら読ませていただきました。先ほど言った、二百万農家がどこに存在しているのか、このことをしっかりと受けとめてこれからの政策展開を行っていただきたい。
 この二百万農家というのが、本当に条件不利地域でもって一生懸命農業の持つ多面的機能の維持という、言葉では言いますけれども、その人たちは体でもってこの環境を守ってきたんだというふうに思います。そういう人たちに、どうするのかということのしっかりとした政策を平成二十年までにしっかりと打ち出していただきたいと私は思うんです、まだ六年あるわけですから。大臣、その点はどう思われますか。
大島国務大臣 大綱の中には中山間という言葉は確かに特記されてあるわけではございませんが、その中山間という、そういうふうなことも念頭に置きながら集落営農というものを大事にしていく、そこに、自分たちで考えていく計画に対して助成をしていく、そういうアイデアあるいは施策を打ったつもりでございます。
 一方、委員がお話しをされますように、いわば担い手に集中していくと私言いました。その担い手も多様だと思います。個人もあれば集落としての担い手もあれば、あるいは法人もあると思うんです。だから、農協が、本当に農家、農民のためにどういうふうに仕事をするかという原点に返って改革をしてやってもらいたい。それはまさに集落の農家なんですね、私のイメージとしては。
 さはさりながら、そういう、何かもうそこにぐっと絞るんだ、プロだけに絞るんだというふうなことの中で、二十年後の集落がどうなるかということを、ある一定の、私どもも御指摘いただいたような問題についてしっかりと確立をして、農業者、集落住民の方々にそういう姿を見せるような努力をしなければならないということは、しかとお答えさせていただきます。
菅野委員 この米改革大綱の集落営農の考え方ですね、先ほども議論になりました。それは、二十ヘクタールを一つの最低基準とするという形で今報道されておりますけれども、これもこれから議論していく視点だと思うんですが、そういう地域が本当に中山間地域で存在するのかなというふうな思いがいたします。そういう意味では、やはり農山漁村というものをしっかりと念頭に置いて、これからの第一次産業をしっかりと農水省として考えて政策展開をしていただきたいというふうに強く強く、まだ時間があるわけですから、要望しておきたいというふうに思いますし、これからも、この点についてはあらゆる機会を通じて、私どもの考え方も含めて提示しながら議論していきたいというふうに思っています。
 そして、二つ目に感じたのは、この改革大綱を見て、食料を国民に安定的に供給していく体制というものが、本当に私は最初にそのことがあるべきだというふうに思うんですね。こういう体制で、どんな体制になっても国民に主食たる米の不自由さは味わわせることはないですよという観点が最初にあって、そしてそこをベースにして次の政策を展開していくんだというふうに思うんです。それが、この食料の安全保障という部分について、大臣、本当に政府としてどのように確立していくんだろうかという大きな疑問を持ちました。
 これは、平成二十二年以降に私は具体的にあらわれてくるんだろうというふうに思います。まだ八年後のことですから、それまでに向かってこれからも議論していきますという答弁ではだめだというふうに思うんですね。最初に、すべてこれから二十一世紀の食料安全保障というものはこういうふうにしていきますという前提に立って次のステップを考えるべきだというふうに思うんですが、この食料安全保障を政府としてどのように確立していく考えなのか、お聞きしたいと思います。
石原政府参考人 食料安全保障でございますけれども、何といいましても、食料・農業・農村基本法が原則でございます。これが根本でございます。不測時における食料の安定供給、これを我々は第一の政策課題と受けとめているところでございまして、食料・農業・農村基本法にある不測時における食料安全保障の確保、これを明示的に国の政策として位置づけているところでございます。
 それで、今回の大綱、もちろん食料安全保障、そういう表現ではございませんが、例えば安定的供給云々というくだりがございますし、また具体的に、食料安全保障となります備蓄の問題があります。備蓄の問題がありますれば、円滑な備蓄運営を行っていくことを引き続き国の責務として位置づけて、入札による買い入れ、売り渡し等の改善措置を講ずるということをきちっと位置づけているところでございます。
 それから、従来は、計画流通米、それを取り扱う業者を我々チェックしておりました。ところが、計画流通米、御案内のとおり、もう四九%のシェアになっております。いざ米が不足、凶作、不測時ということになりますと、今までのような流通実態の把握では対応できません。そういうこともございますので、我々、流通業者につきまして、今回、届け出制の導入ということもさせていただきたいと思っております。これも食料安全保障という観点から行っているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
菅野委員 百万トンが妥当かどうかという議論は、先ほどからずっと議論がされていました。それについて私は触れるつもりはございません。
 長官、凶作のときに、流通業者も含めて米がないんですよ。米がないときに入札による買い入れができるんですかということなんです。今は、そういう意味では、計画流通米というものである程度政府が流通も押さえていました。今回は、流通の改革も含めて市場にゆだねるという状況にしたときに、戦後食料不足のときに、私は戦後生まれですからわかりません、親から聞いていました。本当に、米をめぐって、それこそ農家の人たちと都市に住んでいる人たちがけんかするような状況になってしまったんです。そういうことを二度と繰り返さないということが食料安全保障の基本じゃないですか。そのことをベースにして次の計画をつくるべきだということを主張しているんですが、長官、今の答弁では私は納得しません。
 食料不足というのが国内にどういう状況をもたらすのか、そこを思い浮かべてしっかりとしたベースをつくるべきじゃないんですか。その上に立って次の政策というものを打ち出すというのが、私は改革の大綱であるというふうに思うんです。それが、すべてのこの米改革は、そのことを抜きにして議論した上で、この食料安全保障という部分を後で一項目つけ足しただけじゃないですか。これじゃ国民は納得する話じゃないというふうに思います。いかがですか。
大島国務大臣 食料安全保障論的な非常に根本的な問題ですから、私から基本的な考え方として申し上げたいと思います。
 菅野委員と同じように、私も戦後生まれです。ただ、私のこの十九年ぐらいの中で、お互いに、そちらは気仙沼です、私は八戸でございますから、やませの吹くところでございます。二回ほど大変な、我々の言葉で言うと、けがじ、大飢饉、お米がとれないときがございました。私は、日本の農業技術というのは本当にすごいものだなと思いましたが、全体として作況は、あのときに、八とかそのぐらいでございました。
 それで、確かに私どもは、国民に、安定した、安心できる供給体制というものを少なくとも押さえておかなければなりません。そのことは私どもの米の最も基本的な政策であることに間違いはありません。したがって、自主的な生産調整の世界に入りますよといっても、そこは国は関与します、こういうことを言っておるわけでございます。
 加えまして、そういうふうなことの中にありまして、やはり毎年毎年、日本全体としての食料需給のサーベイランスをしながら、来年の第三者機関でそういうことは私どもとしてしっかりととらえていかなければならぬことだと思っております。
 したがって、自主的な調整に入ったから、そこは国が食料の安定供給というものを全くもう政策から離してしまって考えているんだということだけは、ひとつ、絶対ありません。むしろ安定した供給体制をつくるためのある意味で改革でもあると私は思いますので、国家備蓄のあり方、百万トンということを私ども言っておりますけれども、そういうふうなさまざまな経験からして、そこはしっかり押さえておこうという中で、食料安全保障ということは政策の根本にあることだけは申し上げておきたいと思います。
菅野委員 大臣はそう言いますけれども、どうしても、やはり私は、西暦二〇一〇年以降、国の関与のあり方という部分がはっきりしていないんですね。ここが、やはりこれから多くの議論をしていかなければならない点だというふうに思うんです。それは、後で食料全体のことに触れますけれども、主食たる米に国としてどういう形で関与していくのかという視点が、今回の改革の大綱あるいは研究会の報告の中ではなかなか見出し得ないでいるというのが実情です。
 そういう意味で、今大臣がおっしゃったように、食料安全保障という観点をどう位置づけていくのか。これからも多くの議論をしていただきたい。私どもも、そういう視点に立ってこれから議論していきたいというふうに思っています。
 それから、先ほどから多くの議論になっていますけれども、大臣は答弁の中で、米の消費というものは年々年々落ちてきているんだ、そういう現実の上に立ってこの改革の大綱をつくらざるを得なくなったんだというふうにおっしゃっています。
 現実はそうだと思います。一千万トンから、平成十一年ですか、八百九十万トンぐらいの状況に下がってきていますから、これはやはり一割、二割という形で米の消費が減っていくという状況が今日の状況であるということは確かです。しかし、これは国の施策として、先ほどから言っているように、日本の農山漁村を守る、これは国民全体の課題だというふうに私は思っています。今大都市に生活している人も、お盆になればみんなふるさとに帰っていく。そこが廃れた、帰っていくところがなくなったならば、どうなっていくのか。この点に関して、もっともっと、PRということじゃなくて、国民運動を展開しますというふうに書いていますけれども、どういう国民運動を展開していくのかなというふうに思えてならないんです。
 それと同時に、どう国民運動を、消費拡大に向けて、都市の人たちにも理解してもらって展開していくのか。これの具体的な道筋をつくるべき時期に来ているのだというふうに私は思うんですね。そして、そういう方向をしっかりとつくっていって、消費者にも理解を得ていくような、都市住民にも理解を得ていくような、国策としてのしっかりとした政策提起、運動提起というのが今求められているというふうに思いますけれども、大臣、この点についてどう思いますか。
大島国務大臣 もう昔から、米の消費拡大という議論は自民党の中でもありました。冗談だといって怒らないでくださいね。例えば日本人は必ず米一食食わなければどうするなんという法律をつくれば、これは別ですよ。そういうことがなかなかできない中で、私どもは食の教育、食育という政策を今掲げております。
 それは、やはり子供の時代から、米というものに対して親しみ、米というものが日本人に一番合っている主食であるということを肌で感じ取ってもらう。その他、家庭においてもそうあってもらう。そういう食育の政策の中で一つ打っていくこと、それから、やはり売る人たちがもっと多様な形での売り方を、自由化すれば私は努力してくださると思います。そういう両面のサイドから、米消費拡大において努力をしてまいりたい、こう思っております。
菅野委員 わかりました。
 私も、超党派の米消費拡大議員連盟に加入していますから、本当に大変だということはお互いにわかっているつもりなんです。ただ、不十分だなという点も含めて、私は、やはり国民を挙げてこの消費、今のどんどん米消費が減っていくような状況は、国民総体として、政府が音頭をとってもこの運動を展開していかなければならない課題だというふうに思っています。
 特に、議員連盟でいろいろな議論をするときに、地方都市における学校給食は、米飯給食がもうほとんど限度だというところまで入っていっています。そういう意味では、地方都市、地方においての米消費の啓蒙運動というのは、私は、生産地であるがゆえに行政側が物すごく力を入れて取り組んできたというふうに思います。
 ただし、消費地である大都市が、まだまだそのことが現実に達成されていないんです。人口比率でいったときに、物すごく大きな割合を占めてしまっているがゆえに、米消費拡大に長期的展望を持ってもなかなか結びついていかないというふうに思うんですね。そこをどう文部省やいろいろな関係団体とやって、大都市における米飯給食の導入の方途をしっかりと道筋としてつくるべきだと思うんですけれども、その考え方はどうなんですか。
石原政府参考人 学校給食でございますけれども、全国平均で見ますとやっと二・八回というふうになったところでございます。これを県別に見ますと、最高は山形県の三・四回。他方、ただいま委員のお話がございましたように、大都市といいますか、神奈川県は一・八回、大阪府は二・〇、それから東京都は二・四回ということでございます。
 そういうこともございまして、超党派の議連の方でも、都道府県の議会あるいは市町村の議会を通じまして、こういう低いところの回数をふやそうという御努力をしていただいているところでございます。
 それで我々も、学校給食を積極的に進めるということで、昨年の四月にも通知を各都道府県に出しております。その結果、例えば米粉パン、そういうものをPRしまして、先ほど近畿で米粉食品の普及推進協議会というのがことしの六月に立ち上げられたということを申し上げましたけれども、これもこれが一つのきっかけになっております。
 といいますのは、大阪それから兵庫、このあたりの回数が非常に低うございます。これの回数を高くするということで、我々、米粉のパンでもいいよということで指導したところ、特に兵庫のパン屋さんでございますけれども、非常に、自分たちの仕事の領域ですか、それが狭まるということで危機感を持たれまして、それで米粉パンを積極的にやろうという運動を起こされました。それが、先ほど大臣がお答えしましたように、近畿農政局、それから大阪の食糧事務所、こういうところと一緒になってそういう普及推進協議会をつくるという運動につながったわけでございます。
 我々、こういう地道な運動でございますけれども、こういうものを積極的に推進しまして、何といいましても学校給食、これの回数をふやすということ、我が方だけではありませんで、総務省あるいは文部科学省、こういうところと連携して進めていきたいと考えているところでございます。
菅野委員 先ほど大臣は、食料・農業・農村基本法を出して答弁なされました。この食料・農業・農村基本法においては、二〇一〇年度までに食料自給率は四五%を目標設定して、二〇一〇年まで達成するという目標を掲げているわけですね。二〇一〇年まで四五%ですよね。この目標をどう達成していくのか。
 これは、今米の問題で議論しました、食料全体でどう達成していくのかという視点を、今米政策の大綱を打ち出すと同時に、しっかりと道筋を、単に法律で目標を設定したからという形じゃなくて、具体的に四五%にする道筋というものを、真剣になって省を挙げて国民全体として取り組んでいただきたいというふうに私は思います。その線で、その大きな運動の中の一つとして米消費拡大というふうに結びついてくるんだということを申し上げて、これは答弁は要りません、ぜひしっかりとした取り組みをしていただきたいというふうに思っています。
 それから、先ほど国内備蓄百万トンと言いましたけれども、どうしたって、一千五百万トンの生産基盤が日本には存在するんですね。そして、消費量がさっき言った九百万トン、六百万トンが減反政策で約五百万トン、概算です、減反政策でやっています。それでは、国際備蓄というものをどう考えていったらいいのか。そして、減反政策を行わないで少しでも農地の多面的機能を維持するためにも、米は一粒たりとも輸出していない中で、私は、やはり国際備蓄という中で物事を考えていくべきだというふうに思うんです。
 それで、これは米ということに限って、東アジアにおけるASEANプラス3で、大島大臣、十月に行って議論なさってきておりますけれども、ASEANプラス3の中で国際備蓄構想をどう実現していくのか。日本が積極的にイニシアチブをとって実現に向けて努力すべきだというふうに思います。そのリーダー格として日本とタイが事務局を担うという方向もつけられているというふうには聞いておりますけれども、この国際備蓄構想について、大臣の考え方をお聞きしておきたいと思います。
大島国務大臣 十月にラオスに参りまして、ASEANプラス3をやってまいりました。そのときに、今委員から御指摘をいただいた東アジア米備蓄の形成に向けて議論をいたしました。結果として、パイロットプロジェクトの実施という形で合意をいたしました。
 それはそれとして、パイロットプロジェクトのような地域的なものと、国際的な中での位置づけというものを一方でやらなければならないと思います。WTOの議論、経過の中で、私どもはそういう提案も主張しております。なかなかに、この国際備蓄ということになりますと、そこの数量をどういうふうにカウントしていくかとか、もうケアンズと私どもの考え方には根本的な違いがあるところもありますけれども、まさに今の貧困国の姿を見たりなんかしてきますと、国際備蓄構想というものに、粘り強く、多くの同志を募りながら、WTOの中で位置づけて努力していかねばならないな、こんなことで頑張ってみたいと思います。
菅野委員 国際備蓄という大きな点も将来的には念頭に置きながらも、ASEANプラス3でパイロットプロジェクトが出発しようとしているわけですから、そして「ボランタリーベースで立ち上げることに合意した。」というふうになっております。そして、「タイと日本がパイロットプロジェクトの暫定的な調整国となることを要請した。」というふうに文章はなっているんですね。このことを実現させていくこと、その実現の過程に、実現させていってそれを全体的に広げていくというプロセスを踏まないと、私は、一気にはいかないというふうに思うんです。
 ASEANプラス3でここまで到達したし、タイと日本が調整国となって進めているということですから、ぜひこのこともしっかりとした位置づけを行っていただきたいというふうに思っています。これは、三品目ですか、というふうになっているようですけれども、日本はやはり米を中心とした国際備蓄というものにしっかりと取り組んでいくべきだというふうに思って、これは要請しておきたいというふうに思います。
 最後になりました。先ほどからバイオマスエネルギーも含めて議論になっておりますけれども、やはり米消費拡大という部分等を含めて、日本の農業の持つ多面的機能を中山間地域も含めてどう維持発展させていくのかという視点に立ったときに、冒頭申し上げましたように、休耕田にさせておく、そういうことはやってはいけないというふうに私どもは考えております。
 それでは、過剰生産米をどうするのかということで、私どももこの間、十年前から政策提起を行ってまいりました。例えば、先ほどからも議論されておりますけれども、過剰米でアルコールを生産し、これをガソリンと混合してCO2を抑制する燃料として使うという一つの提案を行ってまいりました。そして、先ほども筒井委員から話がありましたけれども、休耕田にしておくのじゃなくて、そこで菜種をつくって、菜の花を楽しみながらディーゼル燃料をつくるといったことも考えられるというふうに思います。そして、これもドイツでも具体化の方向で進んでいるということも聞いております。
 それから、飼料稲の提案というのが、これは農水省も取り入れて、今政策に取り入れられておりますけれども、そういう意味では農業を、まず食料生産と、それから多面的機能も含めて、CO2削減という方向も含めて、環境を維持するというものと、それからエネルギーというものに視点を置いて農業全体を見ていく必要があるのではないのかなというふうに思うんです。
 それで、食料安全保障とつながるんですけれども、万が一大凶作になったときに、それらのエネルギーに回していた部分を、回す部分を今度食用に回していく、農業というものをこういう長期的な視点でもって見ていく必要がある。そして、農山村地域をそういう意味で大事にしていくという政策が私は今こそ求められているというふうに思うんです。単に米政策という、現状をどう変えようかという視点だけじゃなくて、現状から一歩違う視点から見た改革大綱というものも検討すべきだというふうに思っております。
 先ほどから多くの議論がなされておりますけれども、できないできないという形じゃなくて、そのことを実現するために政府全体挙げてどうなんだということを検討すべきだと思うんですが、いかがですか。
須賀田政府参考人 ただいま先生おっしゃいました御見識、作物の水田における作付、いろいろなメリットがございます。例えば、稲の栽培技術の活用が可能であるとか、あるいは湿田でも稲なら作付ができる、飼料やエネルギーというのは輸入に依存しているわけでございますけれども、こういうことに対して、自給率の維持というものに多少なりとも寄与できる、もちろん、いざというときには本来の用途、食用等に供することができる、こういうメリットが考えられるわけでございます。
 そして、このうち、飼料用の稲、ホールクロップサイレージ的な、稲発酵粗飼料用の稲あるいはわら専用の稲は畜産地帯を中心に既に実用化をされておりまして、私どももその振興に力を注ぎたいというふうに考えております。
 ただ、アルコール燃料用の稲あるいはディーゼル燃料原料用の菜種、こういうものはドイツのようにまだ課税政策、エネルギー政策の転換が伴っていないものですから、現状では価格とコストの間に大きな格差があって、すぐに実用化というわけにはいかない状況にはございます。
 ただ、今後、地球規模で化石燃料が有限性の壁にぶつかる、あるいはエコロジーの大切さというのがもっともっと見直されてくるのではないかというようなことに思いをいたしますと、我が国農業の隘路を切り開くものの一つとして、将来、現状で決してあきらめてはいけない、研究は続けるべき問題であるというふうに認識をしているところでございます。
菅野委員 以上で終わります。ありがとうございました。
小平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.