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第6号 平成15年4月17日(木曜日)

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平成十五年四月十七日(木曜日)
    午前九時三十七分開議
 出席委員
   委員長 小平 忠正君
   理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
   理事 鮫島 宗明君 理事 楢崎 欣弥君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    青山  丘君
      荒巻 隆三君    石田 真敏君
      岩倉 博文君    岩崎 忠夫君
      梶山 弘志君    金子 恭之君
      北村 誠吾君    熊谷 市雄君
      小泉 龍司君    近藤 基彦君
      左藤  章君    七条  明君
      砂田 圭佑君    高木  毅君
      西川 京子君    宮本 一三君
      山本 明彦君    後藤  斎君
      今田 保典君    齋藤  淳君
      津川 祥吾君    筒井 信隆君
      堀込 征雄君    吉田 公一君
      江田 康幸君    藤井 裕久君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    山口わか子君
      佐藤 敬夫君
    …………………………………
   農林水産大臣       亀井 善之君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   政府参考人
   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十六日
 辞任         補欠選任
  藤井 裕久君     高橋 嘉信君
同日
 辞任         補欠選任
  高橋 嘉信君     藤井 裕久君
同月十七日
 辞任         補欠選任
  北村 誠吾君     左藤  章君
  七条  明君     砂田 圭佑君
  西川 京子君     山本 明彦君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  章君     北村 誠吾君
  砂田 圭佑君     七条  明君
  山本 明彦君     西川 京子君
    ―――――――――――――
四月十六日
 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
 食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)
 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案(内閣提出第三二号)
 食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三三号)
 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)
 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、地方農政事務所及び北海道農政事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 林業経営の改善等に必要な資金の融通の円滑化のための林業改善資金助成法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)
 森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
 食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)
 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案(内閣提出第三二号)


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     ――――◇―――――
小平委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、林業経営の改善等に必要な資金の融通の円滑化のための林業改善資金助成法等の一部を改正する法律案及び森林法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として林野庁長官加藤鐵夫君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小平委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀込征雄君。
堀込委員 ただいま議題となりました林業・森林関係の法案について、質問させていただきます。
 大臣御就任で、法案審議初めてなので、大枠の質問だけ大臣にさせていただきますので、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。あとは、ちょっと細かい質問に入りますので、質問をお聞きいただきながら、後ほど適切な措置をとっていただければ、こう思うわけであります。
 亀井大臣、先ごろ「日本エネルギー改造論」という著書を出版されまして、私も読ませていただきましたが、大変博識であり、非常に日本のエネルギー問題の鋭い点もおつきになっておられるということで、私も感心させて読ませていただいたわけであります。
 とりわけ、その中で、日本のエネルギー政策の立場から京都議定書なども論じておられますけれども、京都議定書の中で六%削減、特に森林で三・九%削減というような約束もせざるを得なかったという状況があるわけであります。
 運輸行政なりエネルギー行政なり、今まで大変リーダー的な役割を果たしてこられた亀井大臣、農林水産大臣に就任されまして改めて、今までのエネルギー政策の観点から見た京都議定書なりそういう中で、森林・林業政策、どのような抱負なり考え方をお持ちなのか、まずお伺いをしておきたいと思います。
亀井国務大臣 今委員から、昨年、私、党の石油等資源・エネルギー調査会の会長を務めたりいたしておりまして、かねがね、エネルギーのことにつきまして総合的に、エネルギー政策基本法の制定、こういうことから、いろいろ考えておりましたことを先般まとめたようなわけであります。その中で、今御指摘の京都議定書につきまして我が国が批准したわけでありまして、この目標の達成に向けて真摯に対応していくということの必要性をまた述べておるようなわけでもあります。
 また、長期的な視野に立って、我が国の社会構造全体を地球温暖化防止型、言いかえれば、新エネ・省エネ型のものに少しずつ変革をしていくことが重要である、このように考えておりまして、農林水産省の施策につきましても、バイオマスの利用を初めとした持続可能な社会に向けた取り組みが必要、このように考えます。
 このような観点から、森林・林業政策については、地球温暖化防止に向けた京都議定書で我が国が約束した温室効果ガスの削減目標を達成するために、二酸化炭素の吸収源としての森林の果たす役割の発揮に向けた取り組みの推進を図ることが重要、このように考えます。このため、昨年十二月に策定した地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策に基づきまして、健全な森林の整備、保安林等の適切な管理保全、国民参加の森林づくり、木材及び木質バイオマス利用の推進、吸収量の報告検証体制の整備等の取り組みを、関係府省と連携を図りつつ総合的に推進をしてまいりたい。
 今後とも、地球温暖化の防止を初め、国土の保全、水源の涵養などの多面的機能が持続的に発揮される多様で健全な森林の育成に向けた取り組みを展開することによりまして、我が国の二酸化炭素吸収目標の三・九%を確保するとともに、地球温暖化防止型社会の構築に向けて取り組んでまいりたい、このように考えております。
堀込委員 大臣の基本的な所見をお伺いしました。
 それでは、少しく法案の内容に質問を移らせていただきます。
 政府は、森林・林業政策を、木材の生産を主体とした政策から、森林の多面的機能の持続的発展ですか、これを図るために政策を転換して、平成十三年に森林・林業基本法を制定したわけであります。森林を、木材産業だけじゃなくして、多面的機能の発揮、そして林業の持続的な、かつ健全な発展を掲げたわけであります。
 その林業の持続的かつ健全な発展のために、林業改善資金をより使いやすく、そして林業・木材産業の経営改善等に必要な資金がうまく回るように、こういうことで今回の法案が提出された、こういうふうに提案理由で述べているわけであります。
 しかし、これはうがった見方をしますと、実は、林業改善資金の貸付実績を見ますと、年々大変な勢いで減少を続けているわけですね、実際は。これは平成八年ですか、六十三億円ぐらい貸付実績があったんですけれども、毎年十億とか二十億ずつ実は減ってきている。そして、平成十三年、二十億円を割った、こういうところまで落ち込んでしまったわけであります。
 昭和五十一年、この制度発足以来、林業経営の健全な発展に資するんだ、あるいは生産力の増大、林業従事者の福祉向上にも資するんだ、こういう目的でやってきたわけでありますが、どうもこれは、法律の目的達成に効果を発揮したのかどうか、あるいは現状ではし得なくなっているのではないか、こういう気もするわけでありまして、なぜこれほど貸付額が大幅にダウンしてきたのか、その点を説明してください。
加藤政府参考人 今先生言われましたように、この林業改善資金につきましては、昭和五十一年に発足をいたしまして、それ以後は実は資金につきましても徐々に上がってきたところでございますけれども、平成三年以降毎年下がってきているというような実績でございまして、言われましたように、平成十三年度は約二十億円というような状況になっているわけでございます。
 改善資金の貸付実績が低迷しているということにつきましては、経済自体が非常に厳しい状況を迎えているということもあると思いますし、特に、木材価格の低迷等によりまして林業の状況が厳しいということがございますし、また、市中金利自体も低下をしているという経済的な条件もあるのかなというふうに思っているところでございます。
 また、この制度といたしましては、国があらかじめ定めた特定の生産方式などを導入する場合に貸し付けを行うという仕組みにしていたところでございますけれども、やはりそういったものに対しての需要が、ニーズが幅広くなってきているということが言えるのではないか。そういう点では、それぞれの林業従事者等の方々が創意工夫をして先駆的な取り組みを行うというようなことに対しての資金需要、そういう多様化にこたえ切れていないところもあるんではないかなというふうに思っているわけでございます。
 また、林地価格の下落によりまして担保価値が低下しているということも間接的には影響しているんではないかと思っておりまして、そういう点では、そういう資金のあり方については見直していくことが必要ではないかということで、今回提案をさせていただいたということでございます。
堀込委員 要すれば、無利子資金ではあるんですけれども、これは林家からすれば、借りたお金は返さなきゃならぬわけですよ。そういう意味では、経済情勢いろいろあるんですけれども、つまりは、木材販売の利益も一方で見込めない限り、これはやはり借りることにならぬわけですよね。借りたい気持ちにもならないし、借りることにもならない、新しい投資もできない。そういう意味では、木材生産をして販売利益を生ずる、こういう施策を合わせわざでやられることが必要なんだろう、こういうふうに思います。
 それはそれとして、この制度は、国が三分の二で県が三分の一、補助ないしは繰り入れでやるわけですね。そして、都道府県が特別会計で実施をする、こういうことになっていまして、都道府県財政も大変厳しくなっていますから、こうした制度を取り組むかどうかは一方で懸念されるわけであります。
 それにしても貸付件数が、平成十三年、オール・ジャパンで六百件余り、六百三十六件ですか、これしかない。しかも、件数で十件以下の県が二十県もある。ゼロは大阪があって、高知県に至ってはたった一件というような実績になっているんですよね。新林業部門導入資金は、ここ数年ゼロが続いているし、青年林業者の育成資金は、平成十三年たった三件しかない、さすがにこれはちょっと見ばえが悪いから今度見直すようでありますけれども。いずれにしてもそういう実態で、これは、一度つくった制度だから必要なんだろうということで続けることはいいんですけれども、よほどの見直しが必要なんだろうというふうに思うんです。
 一方で、これは会計検査院が指摘しているんですけれども、資金造成額が二百五十五億円もあって、貸付残高が百六十五億円だ。これはどうも適切な資金需要の範囲を超えているんではないか、もう少し資金需要の造成額についても適切に正すべきではないか、こういう指摘が会計検査院からなされていますが、この辺はどういうふうにお考えですか。
加藤政府参考人 言われましたように、資金の造成額が二百五十五億円ありまして、貸付残高が百五億円、そういう意味では、百五十億円の繰越金があるわけでございます。
 そういう状況でございますけれども、やはり今申し上げましたように、資金として特定の生産方式に貸すというような形でやってきたわけでございますけれども、今、木材業界も含めまして、先駆的な取り組みをしたい、例えば、乾燥材については早急に入れていかなきゃいけない、これは補助でもやっているところでございますけれども、乾燥材生産ができるようにしていくといった場合に、その融資という議論もあるわけでございまして、そういった先駆的な取り組みというものについて幅広く貸せるようにしていくことが必要ではないかというふうに思っているわけでございます。
 そういう点で、林業分野のみならず、木材産業分野についても貸し付けを行えるようにしていくということですし、貸し付けの仕方についても、都道府県からの直接貸し付けということだけではなくて、融資機関からも貸し付けを行えるようにして、それをさらに農林漁業信用基金の債務保証の対象とするというような形で、借りやすいような形というものもつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。
 会計検査院の方からも、今先生お話しになりましたように、資金需要が減っている中でそういった繰越金を持っていることに対して、適切にすべきではないかという御議論もあるわけでございまして、そういった資金の有効活用ということと同時に、都道府県の段階で将来この貸し付けが活用されないというふうに見込まれるものについては国へ自主的に納付することも考えていくというような手だてもとったところでございます。
 我々としては、今申し上げましたように、新しい資金需要といいますか、融資を希望されるというようなことも出てあるわけでございますので、そういったものに対応していきたいというのを基本に考えておりますけれども、今申し上げたようなこともとって、適切に対応していきたいというふうに思っているわけでございます。
堀込委員 いわば、先駆的取り組みをしている木材業者があるので、そういうことにも資金需要、対応することが必要だという答弁があったわけであります。やはり、今度の林業改善資金の貸付対象も木材業者まで広げているんです。なぜそこまで広げたのか、あるいはなぜそこでとどめたのかというところがちょっと明確でないんですね。
 この法律では木材産業の定義は、木材製造業、卸売業、そして木材市場業ですか、こういう業者に限定をしているわけですね、木材産業業者とはと。ただ、私は、この法律の改正案の提案で、先駆的事業者の要望があるとすれば、農林関係でなくも事業者の場合はいろいろな資金があるんですよね。中小企業もあればいろいろな資金があるので、さまざまなメニューがあると思うんですが、なぜこれ、農林省がそこに特別にこたえなきゃいけないかという点が一つあるわけでありまして、そう考えますと、何か、貸付実績が落ちているから少し対応しないとこの仕組みもたないねという意図もあるんじゃないかというふうに実はうがった見方をするわけです。
 これは事業者の要望がたくさんあってこういう措置を講ずるのか、そこの、この法改正の目的がちょっとすとんと落ちないところがあるわけですね。あるいは、木材業者までやるのなら、なぜもう少し川下までやらないのか。家具屋さんもあれば、私のところの地元は例えば木曽漆器なんかやって木材専門に使っているところもあったり、そういう業者だってあるわけであります。木工業者なんかもあるわけですね。あるいは、もっと広げれば、思い切って住宅産業まで広げることだって検討したっていい。
 なぜ木材業者まで広げたのか、あるいはなぜそこまでにとどめちゃったのか、そこはどうですか。
加藤政府参考人 今回の提案理由の中にも御説明をさせていただいておりますけれども、今回、森林・林業基本法で、その森林の有する多面的機能の発揮を図っていくためには、林業の持続的かつ健全な発展と、その前提となる林産物の安定的な供給あるいは利用の確保を図るための木材産業の健全な発展が、一体的に推進されるということが必要だというふうに考えているところでございます。
 そういう中で、今の木材に関する状況を考えていきますと、実は国産材と外材というものを比較いたしましても、国産材の価格がおおむね外材並みになってきていてもなかなか国産材を使っていただけないという状況が生じてきているわけでありまして、そういう点でいきますと、国産材を使っていただけるような、どこに問題があるのかということを我々として解決をしていかなきゃいけないだろうというふうに思っているわけでございます。
 そういう点で見てみますと、やはり国産材、安定的な供給がされない、あるいは品質について、先ほど乾燥の話をさせていただきましたけれども、乾燥材の割合が十分ではないというようなことでございまして、そういった木材産業の持っている構造的なものというものを改革していくことが必要だというふうに考えているわけでございます。
 まずそこをきちっとやるということが第一の必要性でございまして、そういう点で、今回の範囲としましては、専ら木材を取り扱い、林業と密接不可分な関連を持ちつつ、木材の加工、流通を事業として行っている業種であります木材製造業、木材卸業、木材市場業というところに対象を広げたということでございます。(発言する者あり)
堀込委員 やじも飛んでいるようでありますが、今、日本の林業で木材産業のところが一番問題があるんだ、だからそこへ貸していくんだ、そういうふうにしたんだという話はあるんですけれども、しかし、別にそこに限定しなくも、やはり日本の森林・林業の発展を思うと、もう少し、この卸売とか市場とか木材業者に限定しなくも、何ですか、この範囲は広げてまずい点はあるんですか。他省庁等のほかの製造資金の関連とかそういう点で何かあるんですか、それは。
加藤政府参考人 今回は無利子の資金という形でやるわけでございますので、そういう点でいけば、政策目標としてどういうものをやるのかということは当然考えていかなければいけない、その資金が有効に政策目標になるということを考えていかなければいけないということだろうと思っております。
 そういう点でいいますと、先ほど申し上げましたように、今何が一番問題かということでいけば、国産材の供給体制をきちっと整備するということが必要でありまして、そういう点で、そこを何とか、資金というようなものも手当てをしながら構造改革を進めたいというふうに考えているわけでございます。
 確かに、需要ということから考えれば、家具の問題もありますし、もっと広げて言えば、住宅生産というようなところもあるわけでございますけれども、そういったところが実は一番ネックになっているのは、木材が、国産材が安定的に、しかも品質の確保された形で供給されないというところにあるわけでございますので、我々としては、そこを重点的に構造改革を進めたいというふうに考えているわけでございます。
堀込委員 政策目的があるから限定したという話でありますが、やはり家具だとか木工業者だとか、まあ住宅はかなり広いんですけれども、それぞれいろいろな道を開いた方が私は、森林・林業等の今の政策目標を達成するためにもより効果を発揮するのではないか、こういう印象を持っています。
 そこで、今回、林業改善資金を林業・木材産業改善資金、こういうことに改めるわけであります。施設の改良だとか造林だとか立木の取得、林業・木材産業の経営改善に資する、こういうものを対象とするということになっているわけであります。
 問題は、この貸し付け資格の認定で、林業・木材産業の改善計画を策定して知事に出して、知事の認定が必要となっている。この認定基準について、これは特別の指導、あるいは通達等でおやりになるんでしょうか。あるいは、借りる方からして、これを法定化することによって借りやすいのか借りにくくなるのか心配するわけでございますが、資格認定制度を法定化するという意味はどこかにあるんですか。
加藤政府参考人 今申し上げましたように、これはやはり構造改革を進めていくという政策目標を達成していきたいということでございまして、そういう点では、この資金を借りていただく方々が、やはり経営改善がどういうふうになっていくのかということについては、審査をしていくということが必要であろうというふうに思っているところでございます。
 そういうことで、都道府県知事に改善に関する措置について提出をいただきまして、当該改善措置の実施が、売上高であるとかコストの削減であるとか品質の向上であるとか、そういった経営改善にどういうふうに役立っていくのか、あるいは、労働災害の低減だとか林業労働に従事する者の確保にどういうふうになっていくのかというようなことについて、都道府県が判断をするということになると思っております。
 そうした認定に関することにつきましては、都道府県で総合的に判断されるということでございますけれども、ガイドラインとして示していきたいと思っているところでございます。
堀込委員 都道府県判断ということになる、ガイドラインに基づいてやるということでございます。
 そこで、今回の法律案では、林業・木材改善資金について、都道府県が直接貸す方式と、融資機関が代行して貸し付ける方式、これを追加することにしているわけであります。これは、県に審査機能がなかったりあるいは事務能力がなければ、実態としては民間金融機関がほとんど全部やっちゃう、こういうことになると思うんですね。
 その際、これはどうなるんでしょうか、融資審査、債権の保全、取り立て業務とか。あるいは、債権回収不能の場合、弁済責任は県が負うんですか、融資機関が負うんですか。その辺はどういうふうに整理されるんですか。
加藤政府参考人 融資審査、債権の保全についてでございますけれども、今もお話がありましたように、都道府県が直接貸し付ける場合と融資機関が貸し付ける場合と、二つの場合が今回の改正であることになるわけでございます。
 都道府県が直接貸し付ける場合は、先ほど申し上げましたような貸付資格の認定とあわせまして、従来の改善資金の融資審査と同様にその償還確実性について審査を行い、担保、保証人というものを徴求して債権保全を図るということで考えているところでございます。
 また、融資機関が貸し付ける場合は、都道府県知事の貸付資格の認定を受けたものについて、専門的な知見を活用いたしまして融資審査を行い、それぞれの審査基準に基づいて債権の保全を図ることになるというふうに考えております。なお、この場合、先ほど申し上げましたように、農林漁業信用基金の債務保証の対象ともするということで考えているわけでございます。
 こういった改善資金の見直しという中で、より貸し付けが円滑、適切に行われるというふうになると考えているところでございます。
 融資機関が貸し付けた場合につきましては、その回収については当然融資機関が行うことになるというふうに考えております。
堀込委員 今、債務保証のお話がたまたま出たのでございますが、農林漁業信用基金による債務の保証措置がとられることになるわけでありまして、保証料はどのぐらいになるんでしょうか。また、金融機関の手数料とか事務費というのは一体どういうことになるのか。これは県が負担するんでしょうか。
 つまり心配することは、せっかく林業、新しい資金、新しいといいますか、今度の法改正の措置をとりながら、無利子資金ですよ、こう言いながら、借りる方からすると、保証料を含めて結構高いものになって、借りにくいものになるんじゃないか、こういう心配をするんですが、どうでしょうか。
加藤政府参考人 保証料率の件でございますけれども、農林漁業信用基金の保証料率につきましては、政策性が高いもの、それ以外のものというような格好で保証料率が分けられて定まっているわけでございますけれども、今回のものについては、無利子の資金を貸すということでございますので、政策性が高いということでございまして、今、政策性が高い資金に適用される水準として、保証料率年〇・六五%ということになっております。
 なお、この保証料率につきましては、農林漁業信用基金が十月一日で独立行政法人になるということがございまして、その段階で保証料率の変更ということについても現在検討されているところでございますが、今の状況でいえば、〇・六五ということで考えているところでございます。
 保証料率があるということでは無利子ではないじゃないかというお話でございましたけれども、これは、有利子で貸すものにつきましても、すべてやはり保証を行うということについては、保証料率をいただいて、それで保証しているということでございまして、そこのところについては御理解を賜るということだろうというふうに思っております。
 また、都道府県で貸し付けるという直接貸し付け方式分は今回すべてやめるということではございませんので、民間から借りられるか都道府県から借りるかということについては借りられる方が選択することができるということでございまして、そういった中で、借りられる方がどういうふうに御判断をされるかということではないかというふうに思っております。
 それから、手数料の問題が出ましたけれども、手数料の問題につきましては実は法律的には都道府県と融資機関の問題ということでございまして、特段の定めをしていないところでございますが、今までのこういうようなものの似たような例で申し上げますと、やはり都道府県から手数料的なものが支払われるという例が多いのではないかというふうに思っております。
堀込委員 低金利時代ですから、借りる方からすると保証料も結構大きなものになると思うので、また適切に対応をいただきたいと思います。
 これは林業改善資金法の最後でございますが、一つ留意をして確認をしておきたいんですけれども、実は、政治資金規正法の二十二条の三に、国から補助金、負担金、利子補給金その他給付金を受ける会社は政治活動に関する寄附をしてはならない、こういう規定があるわけであります。最近、政治と金の問題がうるさいんですが、老婆心ながら、融資決定の際に多少そういうことは注意をした方がいいんじゃないか、留意をさせるような指導をすべきじゃないか、こういうふうに思いますが、どうですか。
加藤政府参考人 今お話があった問題につきましては、政治資金規正法の第二十二条の三の規定のことだと思うんですけれども、補助金等の交付の決定を受けた法人が政治活動に関する寄附をすることを禁止する旨の規定があるわけでございます。
 この規定の具体的な解釈、運用につきましては、総務省及び都道府県の選挙管理委員会が担当しているということでございまして、これらの機関において必要に応じ同法の趣旨が周知されるというふうに考えております。
堀込委員 総務省でやっていることはわかっているので、それを質問するならきょう総務大臣を呼んでいるんだけれども。今度は具体的に木材産業の会社に融資をするわけですから、そのときは、やはりそういう注意事項がありますよぐらいのことはやっておいた方がいいんじゃないか、老婆心ながらこういうことを申し上げているんです。またどこかで事件があったら困るわけですからね。よく留意をしてそれはやってもらいたい。
 森林法の方に移ります。
 公共事業見直しというのは小泉内閣の一つのフレーズとして、つまり、公共事業のむだが指摘をされて、経済財政諮問会議ですか、公共事業全般を見直していこう、こういうことになったわけであります。それを受けて国土交通省では、社会資本整備重点化計画法を出して、事業分野別の従来の計画を見直すんだ、予算の分野別の硬直化を見直すんだ、そして縦割りの弊害を打破するんだ、こういうことで、効率的な公共事業を進めようということで、新しい法律を通したわけですね。
 これはこれとして結構なことなんだろうと思うんですが、私は、どうしても小泉内閣の行革の限界というのを感じざるを得ないわけであります。
 つまり、政府の公共事業見直しというのは、道路建設の問題でやや迷走もしたわけであります。あれはまだ、九千三百四十二キロ、どうするのかよくわからないのですけれども。つまり、縦割りの弊害などについて、国土交通省の中で道路局とか河川局とかいろいろ縦割りの弊害があったから、局ごとの縦割りの見直しはやりましょうということで、何となく今度の社会資本整備重点化計画法ができたような印象を受けるわけですね。
 例えば、治水は国土交通省で、治山は農水省という。何か、国土交通省とか農水省とかを超えた、省益を超えた見直しがなぜできないんだろうかという点を感ずるわけでありまして、これは大臣、今度の行革、苦労はされているんでしょうけれども、小泉内閣の行革というのは、公共事業の見直しというのは、そういう省益を超えたというところまでいかないということでやや限界を私は感ずるわけでありますが、御所見を伺いたいと思います。
亀井国務大臣 農林水産省が所管する公共事業は、食料、農林水産業、農山漁村を支え、生命をはぐくみ、自然環境を保全し、文化を形づくる重要な役割を果たしておるわけでありまして、環境創造型事業への転換、こういう時代の要請に応じた見直しを進めておるところでもございます。
 また、公共事業の推進に当たりましては、一層の重点化、効率化、コストの削減、透明性の向上等の改革を進めていくことが重要、このように考えております。このため、コスト構造改革による向こう五年間で一五%のコストの削減、あるいは、平成十五年度から電子入札の導入による入札契約方式の改善、関係府省との施策推進の連携など、事業コストの縮減、透明性や効率性の向上に積極的に取り組んでまいりたい。
 今後とも、このような取り組みを通じて、農林水産物の安定供給や多面的機能の発揮など、食料・農業・農村基本法等の基本理念の実現に向かってまいりたい、このように考えております。
堀込委員 大臣、答弁いただきました。
 要するに、国土交通省は、九本の公共事業の長期計画を一本化して社会資本整備重点化計画を制定する。今度の法案を見ますと私は、農水省としては、治山治水緊急措置法で治山治水を一体でやってきたけれども、国土交通省から治山が仲間外れにされた、だから、これはまあしようがないから、法改正をして森林整備事業計画と治山事業計画を十六年から一本化して進める、こういう措置をとらざるを得なかった、早く言えばこういうことだろうと思うんです。
 しかし、治山治水も両方とも連関があってこれは大事なんで、例えば治水のダムの必要性などについては森林整備とか治山とかと切り離せない関係にあるんだろうというふうに思うんですね。これはどういうふうに一体性を確保していくかという問題が一つある。
 国土交通省も、九本の計画を一本化して、事業分野別の計画を統合して、重点的で効果的で効率的に進める、こう言っているんですよ。今大臣の御答弁にありましたように、農林省関係では予算の約半分を公共で占めていまして、農業農村整備で八千八百億、林野公共で三千三百億、水産、海岸関係で二千百億。国土交通省に倣えば、これを統合して公共事業の見直しをするというのは一つの考え方だというふうに思います。そういうことをなぜおやりにならなかったか。これは、農水経験の長い副大臣にひとつ、北村副大臣に御見解を伺いたいと思います。
北村副大臣 堀込委員からの御指摘、一つの方法として考えられることかな、このように思います。
 しかし、皆さん方の熱心な御議論をいただいて、我が省には三つの基本法が実はあるわけであります、基本法がそれぞれ。私は、その三つの基本法の理念に即して社会資本の整備をするということがまず前提に、基本にあるのではないかな、このように思います。
 その上で、決してそれぞれが縦割りだけでやっているわけではない。例えば下水道の関係でも、国土交通省の持っている下水道の関係もある、我が省の持っている農村の下水道の関係もある。あるいは、簡易でありますけれども、環境省の持っているものもある。そういうときに、やはりその地域にとって一番大切な、そして効果が上がるものはどうかということでは、我が省は、国土交通省やあるいは環境省と相当な協議をして、連携をとってその地域の社会資本の整備の充実のためにやってまいってきましたし、これからも、そういう社会資本の整備については、この三つの基本法の理念はこれは基本として、それぞれの省庁とやってまいりたい。
 一本にするという先生の御意見は、一つの方法として私も否定するものではありませんが、我が省のこの三つの基本法の理念に沿ってやっていくということが適正ではないのかな、このように考えているところでございます。
堀込委員 各省庁と連絡をとって基本法の理念に基づいてそれぞれやるという答弁、それなりに言葉としては理解できるんですが、具体的にどう連携をとるのか。
 例えば、今ちょうど副大臣、下水道の話が出ました。公共下水道、農林省がやっている集落排水、これをどうするのか。国道と、隣に農道が通っているとかという話もよくあるわけですよね。あるいは、治水ダムと砂防ダムが両方必要なのかねと、ちょっと何か具体的な調整作業が必要じゃないかというような意見もいろいろあるわけです。
 やはり今までは、かなりこれは各省庁縦割りでやってきた。今、よく連携をとって直すとおっしゃいましたが、もう少し具体的に、どう一体的企画や計画を立てながら進められるのか、今までとどう違う手法でよく連携をとって進められるのか、その辺はいかがでしょうか。
北村副大臣 つたない経験の中で答弁をさせていただきたいと思いますが、先生御承知のとおり、国道が走っている、その下の方には河川がある、川がある、こっちの方には国有林がある、こういうふうな地域というのは結構ございますね。川のそばに国道が走っていて、そのわきに国有林がある。例えば、雪の後、あるいは台風の後、この国有林の地すべり等々で国道が不通になるというようなことがある。それがもう少し大きくなれば、河川をとめてしまうというようなことがある。そうすると、これをやるのに、それぞれが、三つが別々にやるということになると大変な時間がかかったりする。
 そういうときに、私の経験からは、国道をしっかり変えるというときに、まず林野庁を動かして、国土交通省の方が早くやらないのなら、逆に言うと国有林を持っている林野庁の方が、ここに道路をつけちゃいますよと。極端に言うとですね、災害防止のために。そうすると、国土交通省の方は慌てて、いやいや、そういうわけにはまいらない、こういうことで、河川も含めて早急にこれを災害防止のために、例えば別のところに道路をつくってまたもとに戻すというような。こういうことは、私のつたない、短い政治活動の中ではございました。
 これは、ある面では、それぞれの省庁の縦割りではなくて、省庁がうまく連携をとって、そして短期間で効果を上げるということができた一例であって、今後はこういうことに全力を挙げてやっていける、それは国道と農道もしかりである、このように私は思っております。
堀込委員 実際には、役所、結構出先まで縦割りになっていますから、ぜひ出先まで徹底して、より効率的な政策が展開できるように希望しておきたいと思います。
 次に、やはり公共事業の話なんですけれども、農林予算が全体として三兆一千億弱ある。公共事業は約一兆五千億強で、約半分なんですね、実際は。林野公共が約三千三百億円ございます、しかし、この三年間で実は六百億円ほど減らしているわけです。パーセントで一五・六%か何か、三年間で減らしているんですね。予算を減らしているだけじゃなくて、実態として、大部分は公共から非公共にシフトしているんだというふうに私は思うんです。つまり、公共事業に対して批判があるから、非公共にシフトしながら事業をやっている嫌いがあるのではないかという感じがするわけであります。
 公共と非公共というのは、どこかで区分があるんですか。どこがどう違うんでしょうか。例えば同じ林道、農道なんかでも、公共と非公共、両方でできるんですか。どういう基準があるんですか。
加藤政府参考人 公共事業と非公共事業の違いということでございますが、林野庁所管の公共事業で話をさせていただきますと、国土の保全であるとか水源の涵養だとか、自然環境の保全あるいは地球温暖化の防止というような、多面的機能を発揮して国民生活の安定の基礎となる重要な社会資本である森林の整備を推進するものが林野公共事業であるというふうに考えているところでございます。
 それに対しまして、非公共事業につきましては、森林の整備保全を支える林業・木材産業の健全な発展というような政策目的に向けまして、例えば、効率的、安定的な林業経営の育成確保を図るとか、あるいは木材の利用の推進を図るというような施策を総合的に展開をしているのが今非公共事業で行っているところでございまして、社会資本の整備が公共事業、林業・木材産業等の発展等の政策目的を達成するためにやっているのが非公共事業というようなことで大まかに分けられるのではないかというふうに思っているところでございます。
 ただ、お話が出ましたように、例えば、公共事業でも林道の整備がある、非公共事業でも林道の整備を構造改善ということでやっているではないかというお話があろうかと思います。
 森林整備をきちっとしていくというためには路網の整備がどうしても必要であるわけでございまして、そういう点で路網の整備を公共事業で行っているところでございますが、一方、林業経営を効率的にやっていくという観点からも路網の整備が必要になるわけでございまして、公共事業で基本的な整備はするわけでございますけれども、比較的小規模な林道であるとか作業道の整備というものは、構造改革をしていく予算の中であわせてやれるという形にしているところでございます。
堀込委員 よくわかりました。うまく理屈をつければ非公共でもどんどんできるという話ですから、かなりできますね。
 そこで、平成十四年六月二十五日、小泉内閣の骨太の方針第二弾の中で公共事業の見直しを求めているわけでありまして、公共事業計画が予算獲得の手段になっている、分野別配分の硬直性がある、あるいは計画が縦割りとなっている、こういうことで、抜本的見直しをしようということになっている。その中で、公共事業を事業量目標から成果目標に変えようということも言っているわけですね。
 林野庁の場合ですが、たくさん計画があって私も混乱するんですが、要約すると、森林・林業基本法があって、森林・林業基本計画があって、それに即して、主要河川四十四ですか、全国森林計画の十五カ年計画がある。両方とも閣議決定される。
 この森林計画に基づいて、森林・林道の投資計画が森林整備事業計画として立てられている。これは五年計画なんだけれども、今二年延長されている、こういうことなんですね。一方で、平成十年に閣議決定された第九次の治山事業七カ年計画というのがある。今回これを統合して森林整備保全事業計画、こういうことにするわけですね。
 今回これを統合してやるわけでありますが、両計画統合に当たって、今申し上げましたように、単にこれは足したということじゃなくて、小泉内閣の骨太の方針第二弾に基づいてどういう新しい事業を加味しながら見直しをしたんでしょうか。そういうことも対応方針の中に入れながら新しい計画を立てられる、こういうことですか。
加藤政府参考人 今回の統合につきましては、森林の有する多面的機能の発揮という森林・林業基本計画の目標の達成に向けまして、森林整備事業及び治山事業を総合的かつ効果的に推進したいという観点から行うわけでございますが、具体的な計画の策定に当たりましては、今お話がございました基本方針二〇〇二などを踏まえまして、策定の重点を、従来の投資規模を明らかにするということから、森林の多面的機能発揮のための成果目標を明らかにすることへ見直しをしていきたいというふうに考えているところでございます。
堀込委員 成果目標を入れながらやる、こういうことでございます。
 そこで、公共事業というのは、林野に限らず、国民に強い批判なり改善要望があって見直しが現在進められているわけであります。むだが多い、単価が高い、ずさんな会計処理があるではないかというような指摘が絶えないわけでありまして、今、各省挙げてこれは改善されているわけです。
 さっき、政治資金規正法では総務省の方の担当だとおっしゃったけれども、今度、林野庁のお話をします。
 例えば、私の地元の木曽森林管理署の王滝事務所、これが、公共事業をやって、事業が終わっていないのにお金を払っちゃって会計検査院に指摘をされた事例があるんですよ。こうした不祥事をどうなくしていくかということもあわせて、これは公共事業だけではないかもしらぬけれども、事業を進める上でどう管理体制をとっていくのかという点について、長官、答弁してください。
加藤政府参考人 今言われましたのは実は中部森林管理局であった事例でございますけれども、九月から十二月までの除伐事業を請負発注いたしまして、それについて、雪が早く来てしまったということがあり、一部が未了であったわけでありますけれども、それを翌春実行するからという約束をもらい、未了ではなく実行した形にしてしまったというような不正事案があったところでございます。
 我々としては、そういったことというのは所定の事務手続をきちっとすればいい話でございまして、それがきちっとされていない、遵守されていない、いわばそういう問題で、まことに遺憾だというふうに思っているところでございます。
 そういうことで、関係職員につきましても厳正な処分を行うと同時に、請負者に対しましても、代金の返還はもちろん、請負契約につきまして一定期間の停止措置というようなことも講じ、そういったことが再び起こらないというようなことで対策をとったところでございます。
 公共事業につきましてもいろいろ国民の方々の御批判もあるところでございまして、より適切な執行に努めていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
堀込委員 答弁はそういうことなんでしょうけれども、森林・林業問題は大臣初め我々もみんなで一生懸命国民の理解を得ながらやっていこうとしているわけでありまして、こういう事例が一つ出ると途端に国民の批判を浴びて、一体どうなっているんだという話になりますから、ここは手厳しく、ひとつきちんとしてもらいたいと思うんです。
 そこで、時間が余りない、もう一つだけ簡単に答弁してもらいたいんです。
 地方分権推進会議の意見を踏まえて、農水省は今度、事業の統合補助金化を大くくり化して、平成十五年度予算で百四十二億の統合補助金というようなメニューをつくりましたね。森林整備の一部、十一億円もその中に含まれている。これは具体的にどういうふうに措置されるんですか。箇所づけなんかやるんですか。
加藤政府参考人 今お話ございましたように、統合補助金の問題につきましては、我々も、平成十四年度に治山事業につきまして、それから平成十五年度に森林整備事業についても、統合補助金にできるというものにつきましては実施をしたところでございます。
 これらにつきましては、箇所づけは都道府県で行うということで、国の段階では配分枠を決定いたしまして都道府県へ配賦をする、それに対して、都道府県で事業実行箇所、内容の選定を行って、都道府県が実行していくというようなことで考えているところでございます。そういう統合補助金の趣旨に沿って我々としても運用をしているところでございます。
堀込委員 それでは、法案の質疑はそれぐらいにして、国有林野事業特別会計の財務状況について、これから伺ってまいります。
 まず、概況でございますが、平成十五年予算を見る限り、歳入歳出とも大体三千四百億円規模だ。歳入の内訳、事業収入約六百九十億円。といっても中身は、事業収入は三百十五億円だけで、実は林野・土地を売り払って二百九十億円の収入を見込んでおるわけですね。一般会計からの受け入れが九百四十億円、治山勘定からの受け入れが百四十億円、あとは借入金で千六百億円、こうなっています。つまり、業務収入は全体の一割にも満たない状況で、一般会計の受け入れと借金と、林野・土地を一生懸命売り払って息をつこう、こういう状態にあるわけですね。
 逆に、支出の方を見ますと、職員基本給等、これは区分が余り明確でないので、大体、人件費と思われるものだけで九百億ちょっとあるというふうに見える。その他業務費、事務費、事業費が五百億から六百億円ぐらいあるんだろう。あとは国債整理基金特別会計へ千七百八十億円繰り入れている、こういう状況であります。
 つまり、民間企業でいえば、これはもう破綻状態ではないかというような感じがするわけですけれども、今の財務状況、林野庁長官、どういう認識を持っていますか。
加藤政府参考人 国有林の財務状況の改善、経営改善の問題につきましては、平成十年に改革二法を成立させていただきまして、抜本的改革に今取り組んでいるところでございます。
 その段階では実は三兆八千億円の累積債務があったということでありますけれども、累積債務がさらに利子を生んでいくというような状況にあるということの中で、二兆八千億については一般会計で承継をしていただいて、一兆円については国有林野事業として五十年かけて返していくというようなスキームがつくられたところでございます。
 この一兆円につきましては、先ほど予算を言われましたような中の、一般会計からの繰り入れという中で利子補給がされておりまして、一兆円がさらに累増していくという形はとらないということで措置をしていただいたところでございまして、そういう形になっておりますので、今までとは全く違うということになっているのではないかというふうに思っております。
 また、新規借入金につきましては、これは、平成十五年までが集中改革期間ということで、健全な体質をつくっていく期間として設けられておるわけでございますが、その期間については、やはりまだ新たな借り入れをしていかざるを得ないということについてお認めをいただいておるところでございまして、実はそれを逐次減らしてきたというのが今の状況でございます。平成十五年、今のお話がございました予算では百六十四億円ということで、十一年の実績等々から見ますと相当減らしてきたということでございまして、そういう状況になっているわけでございます。
 確かに、木材の価格等々非常に厳しいことがあるわけでございますけれども、我々としては、事業収入の確保、効率的な事業の運営というものを図る中で、この国有林の経営の健全化というものを図っていきたいというふうに思っているところでございます。
堀込委員 今、長官全部言いました。だんだん質問しますからね。
 国有林の特別会計、そもそもこれは企業特会として発足したんですね。戦後一時期は結構稼いで、一般会計繰り入れもあったんですね。そういう時期もあったんです。しかし、私は、一般会計からの繰り入れは、十年の改正、十三年の森林・林業基本法もあって、ある程度森林・林業の多面的機能を位置づけながら国民の了解を得てきたんだろう、こういうふうに思います。思いますが、この状況が果たしていつまで続くことが許されるのかどうかということについては、もう少し真剣に考えた方がいいんじゃないか。
 つまり、借金を返すために借金の借りかえをする、借金を返すために一般会計からの繰り入れを行っている、こういう繰り返しの状況ですね。これはどこかで打開しなきゃならぬ。人件費の三分の一ぐらいしか業務収入がないわけでありますから、仕方ないから林野・土地を一生懸命売り払いをやっているんですけれども、これも不動産価格が下落しているからうまくいかない、そういう状況になっているんですね。特別会計を無理やりやりくりしている、そして維持しているとしか思えないんです。
 そういう意味で、これは企業特会として維持が大変困難になっているのではないかという認識を私は持つんですが、どうでしょうか。
加藤政府参考人 先ほど申し上げましたような平成十年の抜本的改革ということまでは、実は国有林野事業の会計というのは独立採算でやるというのが原則であったわけであります。改善特別措置法がありまして、一般会計の導入も図ってきたところでありますけれども、原則はそういう会計だった。
 ところが、抜本改革によりまして、やはり独立採算を前提とした特別会計ということではなくて、今回、公益的機能の確保というようなことも図っていかなければいけないわけでございまして、そういう一般会計の繰り入れを前提とした特別会計制度に移行するということになったところでございまして、我々としては、事業収入の確保に最大限の努力をすると同時に、必要な一般会計からの繰り入れということもできるだけやっていかなければいけないというふうに思っているところでございます。そういうような状況の中で、国有林を適切に運営していくということが必要だというふうに思っております。
堀込委員 一般会計からのある程度の受け入れというのは、確かに国民合意の中で新しい法律で決めたわけであります。平成十年の特別措置法で、約二兆八千億、三兆円弱を、実はこの債務を一般会計に移したわけですね。つまり、言葉をかえますと、今までの累積赤字を国民の皆さんの負担につけかえしてもらったということなんですよ。残る一兆円を国有林野事業勘定で五十年かけて返しますよ、こういうことをやったわけですね。大改革をやったわけです。
 さっき長官言ったように、平成十一年から十五年までに、集中改革期間で、返済のための改革を進めるようにしたわけです。これは元金だけ返せばいい、利息は一般会計で見ますよ、毎年生ずる利子は、こうなっているんですね。平成十三年だけでも二百二十五億円の利子補給を一般会計でやっている。一般会計からの受入額も、大体、平成十一年から十三年まで約八百億ぐらい毎年入れているんですね。平成十五年予算ベースでは、九百四十三億円ですか、一般会計から入れることになっている。
 いよいよこの平成十五年度で集中改革期間が終わるわけです。平成十六年から一兆円の返済に取りかからなきゃならぬ。残る四十五年間で一兆円を返すとすると、単純に言いますと、一年に二百三十億円ぐらい返していかなきゃいかぬわけですね。これはどうやるんですか。人件費の三分の一ぐらいしか事業収入がなくて、どういうからくりで、国民に約束した一兆円は特別会計で返していますよと、どういうふうにおやりになるんですか、これは。
加藤政府参考人 集中改革期間、新規借入金をなくすような健全な体質をつくるということでございまして、そのことについては、先ほど申し上げましたように毎年毎年減らしてきておりまして、十六年以降、我々としては、これからまた十六年の予算ということで御議論をいただかなければいけないわけでありますけれども、できるだけ健全な体質というものを十六年に達成する努力をするということで考えているところでございます。
 累積債務の問題でございますけれども、国有林の経営ということで、累積債務につきましては、今のところ資源の充実期にあるところでございまして、今後長期的に見ればだんだんと伐採量もふえていくわけでありますけれども、当面のふえ方ということでいきますとそれほど大きくないという中でございまして、そういう点で、累積債務の返済ということを実際に行っていく期間としては、平成二十五年以降ということで考えられているところでございます。我々としては、若干長期的なことになりますけれども、そういうような形で一兆円を返していくということにしていきたいと思っているところでございます。
堀込委員 時間が来ていますけれども、今田議員に御了解をいただきながら、ちょっと。
 平成二十五年になれば伐期の来る木がたくさんあるので、これを売れば大丈夫だ、こういう話なんですね。今まで何回も繰り返してきた話なんですよね。あなたは前は長官じゃなかったから。前の改善計画の法律のときも、この法律さえ通してもらえば林野はうまくいくんだよ、国有林野事業改革はうまくいくよと大臣も歴代長官もおっしゃった。そういう人たちもまたいないので、また同じ答弁をしているんじゃないかと僕は思い返しているんですよ。これはやはり早く見直した方がいいと思うんです。
 もう一つ長官、さっき、集中改革期間で毎年、平成十一年の六百五十億からだんだん減ってきて、平成十五年は百五十五億円借りればよくなったよ、来年はゼロにしてやっていくよ、こう言ったんですよ。この五年間で、実は二千億円、二千九十億円ですか、新しい借金がふえているんですね。国有林野事業会計は、あなた方は毎年国会に報告することになっているんですが、この新しい借金は全然報告していないんですよ。これはどうするんですか。また二千億、もう二割もふえているんですよ、一兆円の。そういう実態になっていて、一体これはうまくいくかどうか。
加藤政府参考人 今回の抜本改革のフレームをつくるに当たりまして、集中改革期間については新規借入金をせざるを得ないということで御了解をいただいているところでございまして、そういった中で、今お話がございましたように、平成十一年から十五年まで約二千億円を新規に借りるという状況でございます。そういうことでございますけれども、この新規の借り入れにつきましても利子補給を受けるという形になっておりまして、この債務が利子を生んでさらに膨らんでいくということではなくて、そこについては措置がされているということでございます。
 この二千億円、十五年、集中改革期間に一定の新規借入金をしなきゃいけないということで考えてきたものでございまして、そういう点では、これは我々としてきちっと返していくということで考えていかなければいけないというふうに思っているところでございます。
堀込委員 集中改革期間が終わって、一兆円は返しますと。返す計画を来年度からどんどん、平成二十五年と言ったね、二十五年からだんだん返しますと。
 この二千億はいつから返すんですか。
加藤政府参考人 この二千億円につきましては、集中改革期間後から、返済期間が来るものを順次返していくということになるというふうに思っております。
堀込委員 後というのは五十年後ということですね。その後になるということですね。――いや、いいですよ、細かいことは。時間が来ましたので。
 つまり、私は、過去何度も改善計画の法案が出されて、さっきも申し上げました、歴代大臣、歴代林野庁長官が、この法律を通してもらえば何とかなるよという繰り返しであったわけです。ところがもう、国民の皆さんに三兆円も負担してもらわなきゃならない事態になって、ああいう法律改正をやった。このままいくと、この一兆円も将来的に国民負担になるんじゃないかという懸念を実は持つんですね。当時の農水大臣も林野庁長官もどこかへ行っていなくなっちゃって、これは国会に対する責任をどうとってもらうかという話もあるんです。
 大臣、最後に、今私への答弁を聞いて、国有林野事業特別会計が大変なことになっていると思うんです。ぜひ、大所高所から手を入れてもらう、検討してもらうということが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
亀井国務大臣 いろいろな経過、それなりに私も、この林野の問題とあわせて、それ以前に国鉄債務の問題等々にもかかわってまいりまして、同じような形でいろいろのところもあります。
 当面は、集中改革期間、先ほど長官からも御答弁申し上げておりますように、今の計画、それらが実行できるような最善の努力をいろいろの英知を結集してやるということが当面必要なことじゃなかろうか。また、これをやるという中で、今後のことについて対応をしっかり考えてまいりたいと思います。
堀込委員 私は、非常に深刻な問題になっていると思うんですね。だから、将来またツケ回しで先に延ばすよりは、きちんとやはりある程度の処方せんを、やるときはやった方がいいと思っています。みんな林業、森林、これは大事だと思っていますから意見を申し上げているので、お互いに知恵を出し合いながら議論をした方がいいんじゃないか、こういうふうに思っています。
 大変時間をオーバーして、今田議員、失礼しました。
 以上で終わります。
小平委員長 次に、今田保典君。
今田委員 今ほど議論されております林業関係あるいは森林関係の法案について御質問します。
 御案内のとおり、今、森林業あるいは木材業は大変厳しい状況になっておりまして、私の知っている方でも、もう既にみずから命を絶った方が三名おります。非常に残念だな、こういうふうに思っておりますし、また、夜逃げされた方、あるいは破産宣告をして大変な状況にある方も何人か知っておるわけでありまして、本当に残念な状況に今なっております。
 そこで、産業の基盤を早急に整えるということ、さらには国民のニーズに合った政策を推進する、こういうことでやっていかないと未来はないのではないかというような感じがいたすわけでありまして、そこで今回、資金の融通関係の問題でいろいろお考えの上、この制度を取り入れるんだ、こういうことになっておるんだろうと思います。
 しかし、私から言わせれば、本当に関係者、事業者、そういった実際に今かかわっている方の意見というものを十分に受け入れて、あるいはいろいろな意見を聞いてこの制度を取り入れたのかなというふうに思うと、どうもそうではないような感じがするんですね。金なんか借りたってもうできないんだ、むしろ違う方面の施策というものをきっちりやってもらった方がいいというようなことも言われておるわけでありまして、まず、私がきょうお聞きしたいのは、関係者あるいは事業者、そういった方々の意見を十分に聞いたのかという一点。
 それから、今回、都道府県からの直接貸し付け方式のほかに、銀行等からも融資できるんだという方式を追加したようでありますが、銀行で貸さないんですよ、実際。貸さないです、これは残念ながら。そういうことを思えば、先ほど言ったようなことで、実際に関係者の方からどうしてもらえばいいのかというものをお聞きしたのかどうかということと、銀行からの融資を追加しましたね、なぜこの制度を入れたのか、この二点についてまずお聞きをしたいと思います。
加藤政府参考人 先生言われましたように、今の林業・木材産業を取り巻く状況というのは大変厳しいわけでありまして、いろいろな政策について議論があるところでございます。我々としても、いろいろなことを含めて総合的な対策というものをとっていくことが必要だというふうに思っているところでございまして、例えば、木材の需要の拡大であるとか、先ほど申し上げましたような構造改革を進めるとか、そういうようなことに我々、助成措置も含めて、努力をしていきたいというふうに思っているわけでございます。
 しかしながら、融資という問題もあるわけでございまして、この融資をどうしていくかということにつきましては、実は関係団体とも意見交換をいたしまして、それからさらに、利用されている方々に対してアンケート調査というようなこともいたしたわけでございます。そういう中で、方式が決められている、こういう特定の方式だけということではなくて、それぞれの自分たちの実情に合った創意工夫できる形での融資というようなものにしてくれとか、あるいは林業だけではなくて木材産業も含めて考えてほしいとか、そういうような要望があったところでございます。そういったものも受けながら、我々としては、今回の改善資金の助成法の改正をしていただきたい、お願いしているところでございます。
 事業者からの意見を聞いたのかということでございますけれども、我々としては、そういうことも手だてをしながら今回の案をつくってきたということでございます。
 それから、銀行が本当にどうなのかというお話もございました。今まで都道府県だけで、直接の貸し付け方式ということであったわけでございますけれども、借りられる方々から見ますと、日常的に取引関係のある金融機関の貸し付けということになるわけでございますし、今回、銀行は貸すのかということでございますけれども、機関保証を受けるというようなこともできるようにしたいということで考えているところでございまして、こういう形になれば、今までより、より使いやすい形、追加をするわけでございますので、より使いやすい形になるというふうに思っているところでございます。
今田委員 今までもちょっとお答えいただいたようでありますが、現場は、金融面よりも総合的な対策、そういったものを強く望んでいるんですよ。それを具体的にどうやるんだということをきっちり示さないとなかなか将来が見えないということを言っているわけでありまして、この部分はどんなところでいろいろ検討されたのか。
 総合的な施策ですね、そういったものをきっちりと、関係者あるいは事業者、あるいはいろいろな方々がおるでしょう、そういった方々と、こういったものをどうこれから総合的な対策としてやっていくのかという問題について議論されたのかどうか、お聞きしたいと思います。
北村副大臣 先生が今御指摘をされた総合的なと、まさしくそのとおりでありまして、金融関係だけ、融資制度等々を含めたそういうだけでは、この木材、川上から川下までがきちっとされないということは、もうそのとおりであります。
 そういう意味で、川上から川下までの関係からいいますと、とにかく国内の木材を使ってもらわなければならない。木材を使うことによって山を守っていくということになるわけでありますから、これがもう一番、それはもう先生には言わずもがなでありますので、まず国産材を使ってもらうためのその施策ということが一番大きくなる。そのためには、例えば、公共事業等々でいろいろな事業があるものを、まず国産材を使ってもらわなければ我が省としても採択はしないぐらいの、そのぐらいの覚悟で実は取り組んでおります。
 あるいは、先般も総理からの指摘がありましたが、公共事業あるいは自然公園の中で擬木を使われているなんて、こんなことはあり得ない。擬木はすべてやめて、やはり国産材を使わせる、そういうこと。
 あるいは、ツーバイフォー等々で国産材を使いたいのですが、例えば国土交通省の方の建築基準法に合わないとか、そういう問題がある。ですから、これは、国土交通省とのいろいろな連携の中で、国産材を使うためのそういう基準に変えてもらう、そういう連携をとっていく。
 そして一番なのは、やはり品質がよくなければならないという意味では、乾燥ということが非常に問題である。乾燥させる。
 そういった施策を通じながら、まさしく今先生がおっしゃったとおり、今回の融資制度ばかりではなくて、総合的な施策を通じて、まず国産材を使ってもらう、こういうことに我が省は全力を挙げて取り組んできておりますし、私も、副大臣の会議でそれぞれの省庁に、国産材を使ってもらう、そのためにそれぞれの省庁でやれることは何なんだということをぜひ具体的に示してほしい、こういう申し入れ、そして、それもまたやろうということで前に進ませていただいている、こういうことでございます。
今田委員 今ほど国産材だの地域材だのと言っていますが、これはどっちなんですか。国産材なのか、地域材なのか。国際的には国産材というものを使っては悪いんだと言っておって、地元では国産材という名前を使うと怒られるんだということで地域材ということを言っているのですが、どっちを使うのですか、これ。まず一点。
加藤政府参考人 政策的に国産材だけを振興するということになりますと、WTOの問題が出てくるということがございまして、そういう点で、政策的にやっていくといったときに地域材という名称を使わせていただいているところでございますが、率直に申し上げれば、やはりそれぞれの地域の国産材をいかに使っていただくか、いかに振興していくかということを我々としては考えていかなければいけないというふうに思っているところでございまして、地域材と言っております趣旨はそういうところだということで御理解をいただきたいというふうに思います。
今田委員 そこで、地域材の利用拡大についてなんですが、これはやはり縦割り行政の弊害なんですね。国土交通省からもらっている助成で物を建てるときには国産材を使わない、使わなくても何も言われない、それから、文部科学から助成をもらった等々についても何の指導もない、こういうことでありますね。
 ところが、地元の関係者は、あの学校を建てたけれども国産材がほとんどだとか、あの公民館を建てたけれどもほとんど外材だとか、そういう声なんですよ。何で我々の木材を使ってもらえないんだ、あの木材を使ってもらえれば私はこの一年間生きられるんだというのが率直な意見なんですよ。そういうところをきちっと、横の連絡といいますか、そういったものをやらないで、ただ言葉だけで、こういうことをやります、ああいうことをやりますと言ったって、なかなか地元の方は納得いかないんですよ。
 金を貸す制度そのものよりも、そういう制度をきちっとやってもらえれば我々は十分生きられるんだ、こういうことを言っているわけですよ。
 この点はどうなんですか。
加藤政府参考人 国産材の利用につきましては、公共事業で使っていくということもございますし、それから各省庁の政策にもかかわってくるというところがあるわけでございまして、我々として、木材利用につきましての連絡会議を開いて、国産材を使っていただくということでお願いをしているところでございます。
 ただ、それぞれの地域で地域材を使いたいというようなことで御議論があるわけでございますけれども、率直に言いまして、一方では、ちょうどそのときにうまく地域材が供給されないというような問題があるわけでございます。これらにつきまして、我々、そういったことがないように、やはり改善すべきは改善していくということが必要だというふうに思っております。
 例えば、大きな木がありまして、それを真ん中に、シンボル的に柱に使いたいというような話がございますと、実はそれが乾燥された形で供給されるというものにはうまく間に合わないというようなこともあるわけでございまして、そういったものが供給されていくにはどういうふうにしたらいいのか。やはり情報交換等も密にしながら事前の準備も図っていくことも必要ではないかということを思っておりまして、そういう体制を整備しながら、より国産材を使っていただくということに努力をしていきたいと思っております。
今田委員 今ほど、地域材が間に合わなくて使えなかったというのは、ちょっと私は理解できないですね。これはやはり、情報さえきちっと確立していればそんなことはあり得ないんですよ、山にいっぱいあるんだから。だから、前もってこういう建物を建てますよということで業者に言っておけば、事前に用意できるわけですから。きょう、あすじゃできないですよ。その辺は、私から言わせればちょっと納得できない。
 しかし、現実的にはそういった形で使われなかったということで、非常に残念に思う。今後このようなことのないように、本当に言葉だけではなくて、正直言って現場はそのことが一番頭にきているんですよ。あの建物は助成金をもらって、何の私どもの材料を使ってもらえない、こういうのが圧倒的に多いんですよ。ここはきっちりやってもらわぬと本当に皆さんが納得いかない。こういうことでお願いをしたいと思います。
 そこで、地域材の利用関係で、木造公共施設整備事業というものがありますよね。これは、要するに地域材を使っていろいろなものを利用してくださいよということでの、補助率が二分の一ということであるんですが、どんなものに使っているかということで私もちょっと資料を寄せて見たんですが、主に子供さんの遊び道具に使うものが多いようであります。
 しかし、この事業を進めるという大義名分を持ちながら、予算が余りにも少ないですよね。八億四千万程度の予算しかないわけでありまして、こんなことで、地域材を使いなさい、どうだというようなことを言える予算なのかなという感じはするんですが、この点はどうですか。
加藤政府参考人 木材の使用につきまして、やはり、なかなか木造の建築物に目に触れる機会が少なくなっているというような話も一方であるわけでございまして、そういう中で、地域材を使ったモデル的な整備を行うというようなこと、あるいは子供たちが小さいうちから木に触れ合うというようなことで、例えば学校の机だとか、いすだとか、あるいは木製遊具だとか、そういうようなものを木でつくっていただいてやっていくというようなことを考えているわけでございます。
 この事業自体は、そういったもののすべてをこれでやるということではなくて、モデル的にそういったものを行いまして、それが普及していくという形を考えていきたいというふうに思っているところでございます。
 予算の額の問題もございましたが、我々としては、できるだけこの予算を有効に使っていきたいというふうに思っているところでございます。
今田委員 ぜひ、いろいろな工夫をしていただきたいですね。しかも、私、要望しますが、やはり現場の方々、現場と言うのは失礼ですが、事業者あるいはそれに関係する方々。林業に携わる農水省の職員のお話をお聞きしなさいということは私は言ってないんですよ、彼らは職場を守るために必死になっていろいろなことを言うわけですから、そんな話を聞いたってだめなんです。林業に携わっている事業者あるいは関係者の皆さんの声をよく聞いていただきたい、こういうふうに思います。
 時間もありませんので、委員長から時間を守りなさいということで来ましたので、もう一点。
 林業の担い手対策なんですが、今まで、同僚の堀込議員からもいろいろお話ありました。しかし、林業だけでは今からはもう食べていけない時代に来ているんですよ。したがって、他の省庁との関連も出てくるんですけれども、そういったいわゆる山林関係、あるいは国土交通省でいえば中間地域の関係の問題とかあるわけですよね、そういったところと十分連携をとりながら、そこにお住まいの方々、そこに携わっている方々の生活をきっちりと守るんだというような施策を今後進めないと、なかなか担い手は育たないんではないかなという感じがするんですよね。
 この点について、ちょっと一点、お伺いします。
加藤政府参考人 山村に森林所有者の方々が居住しているわけでございまして、山村振興を図っていかなきゃいけないというふうに考えているところでございますが、そのためには、産業の振興であるとか雇用機会であるとか、あるいは生活環境の整備であるとか、いろいろな、多岐にわたる施策を打っていかなきゃいけないということでございまして、今お話がございましたように、関係省庁とも十分連携を図りながらそれを進めていくということが必要だというふうに思っております。
 そういう中でございますけれども、林野庁としても、山村振興に取り組めるところはできるだけ取り組んでいくということで進めていくということでございますし、また、担い手の育成確保ということにつきましても、今の林業労働力の状況でございますから、これも積極的に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
今田委員 今ほど長官からお答えいただいたんですが、大臣にちょっとお答えいただきたいんです。
 今ほどのように、他の省庁との連携といいますか、総合的に、農水省だけではなくて、国土交通、いろいろなところがあるでしょう。そういったところの横の連絡あるいは連携をとりながら担い手の育成に当たるんだという決意をひとつ、一言言っていただけませんか。
亀井国務大臣 今、委員からも御指摘のように、関係府省と十分連携をとり、やっていかなければならない。特に、担い手の育成の問題等々につきましては、都道府県に、林業労働力確保支援センターですとかあるいは森林整備担い手基金等々、いろいろな施策も進めまして、努力をしてまいりたい、こう思っています。
今田委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
小平委員長 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 林業の問題というのは大変厳しいところにありまして、今、今田先生が知っている人で三人も自殺したということですけれども、確かに、四十年、五十年かかって育てた木が、一本、〇・三立米ぐらいで三千円。ところが、それを山から切り出して持ってくるまでに、その他経費で三千円かかる。むしろ持ち出しであって、林業は赤字になっているのが実情である、ということは農林水産省にとってゆゆしき問題なんです。
 このままでいくと、日本の国土の山林が荒れてしまう。荒れてしまうと、まさに、一度テレビでも見ましたが、四万十川が汚れてしまった。増水が起こった。そこは、間伐もせずに、細い林内が立ち上がって、下草が枯れて、そして、そこに土砂崩れが生じて一つの破壊につながったということなんです。
 そういうところが今日本であちこちで起きているという実情、それからしますと、国土保全のために林業をどういう位置づけにするかということは大変大事なことだ、そう思います。
 その中でも、殊に間伐材の有効利用をどうしたらいいのかということなんですが、今、国産材で公共事業、国産材で公民館、学校等をぜひつくらなければというお話もありましたが、きょう、茂木副大臣に来ていただいておりますけれども、いわゆるイラク戦争でこれから復興が始まるわけですが、その中で日本も支援をする。そうなりますと、戦場で破壊された住居等々の支援について、アメリカは戦後復興を自分が主導でやるんだ、その中で既に十二兆円のビジネスを全部アメリカが独占する、そういう話もあるようですが、日本が本当に自主的に戦後のイラク住民に支援をするというならば、いわゆる間伐材を利用した住居、こういったものを考えて、日本の国産材を使った住居、住むところを支援する用意がないのかどうか、それをお聞きしたい。
茂木副大臣 山田委員の方から全く新しいアイデアをいただきましたので、今後検討という形でありますが、恐らく、当面イラクで起こってまいりますのは人道面での支援ということでありまして、食糧それから医療品等々が最初に出ていくことになるのではないかな。それから、その上で復旧の作業というのが出てまいると思います。これに関連しましては、例えば以前に、日本の企業であったりとか政府のODA等々でも、病院であったり、それから発電所、変電所、いろいろな施設もつくっております。そういうことに対します復旧のニーズが出てきた場合にはこたえていきたい。
 その上で、また住居という問題でありますが、イラクの状況を見ますと、恐らく家はれんがづくりとか石づくりとかが中心であって、現地にそういった木材のものがふさわしいかどうか、こういうことも考慮した上で検討してまいることになるのではないかなと思います。
山田(正)委員 現地で、確かに石材の組み合わせの住居のようですが、ただ、木がないからあるいは石材の利用ということも考えられますし、木があればそれなりに仮設住宅もできるはずですし、木による、いわゆる国産材、間伐材等々による海外支援、イラクに限らず、難民のいるところ、あるいは住居を必要とするところ、材木を必要としているところ、いっぱいあると思うんです。
 今までのODA予算で、発電所とか、いわゆる商社と癒着した形でいろいろ、北方支援の問題でもいろいろありましたが、ああいった形じゃなくて、本当にその地域に必要な食とか住とか、そういったもので日本としてはこれから大いに、九千億からあるODA予算ですから、その中で、間伐材あるいは日本の木材のいわゆる有効支援といいますか、そういったものができないかどうか、ひとつ副大臣にお聞きしたいと思います。
茂木副大臣 先ほど申し上げましたのは、例えば変電所におきましても、日本がやっているプロジェクトは、トランスであったりとか切断器という形でありまして、そんなどでかいものとは違う部分もありまして、必ずしも委員の御指摘とは違う側面もある。また、電力の供給であったりとかライフラインの復旧、こういうことはイラクの国民にとって大変重要なプロジェクトだ、私はこんなふうに感じております。
 その上で、日本の木材を使うということでありますけれども、御案内のとおり、日本のODAの場合、例えば毛布を運ぶとか、そういう緊急援助の物資を支援することはあるわけでありますが、それ以外につきましては現物供与は行っておりません。支援をする資金を提供しまして、その資金によってどういうものをつくっていくか、それは現地側の政府が決めるということになってきまして、そうなってきますと、例えば日本から運ぶ上での木材の内外の価格差とか、それからさらに輸送コスト、こういうことも考慮した上で決められるものだと思っております。
山田(正)委員 資金を提供して向こうで購入してもらうとか、それがODA予算だ、その資金の中で日本の発電所プラントを買ってもらったりいろいろなことがなされているようですが、私が言っているのはそうではなくて、国内で本当に困っている、国土保全のためにも林業は必要である、国にとって山を守らなければならない、そういう国内的必要から、いわゆる間伐材並びに丸太材、製材、そういったものをODA予算の中で法的にできるかできないか、それだけで結構ですが、お答えいただきたい。
茂木副大臣 開発途上国におきまして環境問題への取り組みは非常に重要だと思っておりまして、ODAをやっていく上で環境問題の改善も大きなテーマだと思っております。
 ただ、現物供与という形になりますと、それは行いにくいのが現状であります。現物供与という形だと行いにくいということであります。
山田(正)委員 行いにくいということは、やればやれるということなのかどうか。イエスかノーでお答えいただきたい。
茂木副大臣 イエス、ノーで答えるというのは非常に難しい質問もありまして、例えば先ほど申し上げた物資の緊急援助にしましても、さまざまな組み合わせの中で捻出をする、こういう形であります。ただ、現物供与を間伐材で行うということになりますと、先ほど申し上げたように、実際に輸送のコストであったりとか内外の価格差、こういうものを踏まえて現地でまずニーズがあるか。ニーズベースでありますから、そのニーズがあるという前提に立った場合どう検討するか、そういうステップになってくると思います。
山田(正)委員 現地にニーズがあるかどうか、その運送コストが幾らどうかかるかということはODA予算で、住ですから、当然のこと、現地のニーズはあるはずなんです。
 ただ、それを、法的に現物であってはならないという規定があるのかないのか、そういう法律があるのか、あるいは規則があるのかどうか。規則があれば、それは外務省で当然、外務大臣の意向で変えられるし、既に現物でやっている衣類とかそういうものがあるんだったら、木材においてもできるはずで、法的にそれができるのかできないのか、可能か可能でないか。それだけ答えてもらえばいいので、あと何もぐちゃぐちゃ言ってもらう必要はないわけです。
茂木副大臣 委員もよく御案内の上で御質問いただいているんだと思うんですけれども、このODAの場合は、途上国の開発のための自助努力を支援する、これが基本的な線でありますから、それに沿っているか沿っていないか、そういうことから当然判断される問題です。
山田(正)委員 いわゆる開発途上国で、言ってみればすぐに住が欲しい、例えばイラクにしてもどこにしても、そういう需要はだれが考えても考えられる。そうであれば、それに対して日本政府がやろうと思えばできる、今の法律の建前で。それでいいわけでしょう。もう余り時間がないので、私、ほかに質問をいろいろ考えているので、それだけ答えてもらえばいいんです。
茂木副大臣 丁寧に説明をしないとおわかりにくいのかなと思うんですけれども。
 ですから、我が国のODAの場合、先ほど申し上げましたように、途上国開発のための自助努力を支援する、このことが基本にあります。その一方で、先ほど委員から再三御質問いただいておりますので、環境問題の改善であったりとか社会資本の充実、こういったものもその課題の中には入ってくると思われます。
 ただ、この進め方のプロセスでありますけれども、あくまで途上国の要請を受けて、そして途上国のニーズに沿って行っていく、こういう形であります。ですから、間伐材を使うとなると、本当に途上国として、内外価格差も考え、さらには輸送コストも考え、そういうニーズが出てくるかというと、非常にそれは難しいのではないかなと私は思います。
山田(正)委員 結構です。今の茂木副大臣、外務省の考え方としては、途上国のニーズがあればやらないことはないということと理解いたします。そのような、大変難しいというような言い方だけれども、やらないことはないという答弁でしたので。
 とすれば、農水大臣にお聞きしたいんですが、まさに農水大臣は林業の責任者でもあります。その中で、間伐材の利用、こういった中に、私が知る限りいろいろなところで木材は必要としている。ところが、ニーズがないから外務省がやらないと言う。そうすれば、農水省、出先の領事館にも農水出身の連中が随分いるわけですから、各国、そういった実情、ニーズを掌握して、そして、これから先、間伐材及び丸太材、製材等々、これを国内の森林保全のためにひとつ海外援助として活用させたい、そういう意向はないかあるか。ひとつそれだけ簡単にお答えいただきたい。
亀井国務大臣 いろいろの状況があろうかと思います。現実に、間伐材、我が国の森林の置かれております状況を考えますときに、総合的にいろいろ考えていくことが必要じゃなかろうか、こう思います。
山田(正)委員 総合的にとはどういう意味ですか。簡便に答えていただきたい。
亀井国務大臣 いろいろの問題点もあろうかと思いますが、海外の状況、そういうものを調査し、また、我が国の森林の状況、こういうものを十分考えなければならないわけでありますから、そういう点をも考慮して考えていく、こういうことであります。
山田(正)委員 どういう問題点があるんですか。ただ向こうの需要があるかどうかを調べて、それがあれば、国内の森林保全のためにも、丸太木材を、ODA予算、もしODA予算じゃなければ海外支援、そういった形でやろうじゃないか、そういう努力をしようとする気持ちがあるのかないのか。それだけを聞いているわけです。
亀井国務大臣 その努力はしてまいりたい、こう思います。
山田(正)委員 実は、間伐材の利用でいろいろ考えたときに、一番有効な利用としては、これからバイオマス発電じゃないか、そう考えたわけですが、そのバイオマス発電について少し簡単に、きょう、経済産業省さん、来ていませんでしたか。はい、ではどうぞ。
小平委員長 山田委員、質問は。
山田(正)委員 いわゆる新エネルギー特別措置法というんですか、RPS法というのができましたが、それについて、バイオマス発電をどういうふうに経済産業省は考えているか。それを、簡単でいいですから、余り時間がありませんので。
高市副大臣 新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法、これは、去年からバイオマスを新エネルギーとして位置づけをしまして、バイオマスに係る技術開発ですとか実証実験の予算を計上いたしまして、また、バイオマスエネルギーの利用に取り組む地方公共団体、事業者に対する支援措置も講じてきたところですが、大変重要なものと考えております。
山田(正)委員 私の調べたところ、RPS法案で、二〇一〇年までに国内需要の一・三五%ですか、百二十二億キロワットアワー、これをバイオマス発電で賄う。そうすると、住居世帯にして長崎県と佐賀県の人口を合わせたぐらいの電力の需要をバイオマスで賄う、そういう感じになるんじゃないか、そう思っておるんです。
 その中で、太陽光ですと一キロワット当たり四十六円から六十六円、風力ですと九円から十四円、バイオマスですと七円から二十一円。そうすると、それをそれだけ電力会社がやらなきゃいけないという法律ができたとしたら、これからバイオマス発電を有効可能、これが一番安い電力を環境に優しくできるのではないか。
 そうすると、それに対して、私が経済産業副大臣に聞きたかったのは、どのようにしてバイオマス発電を助成あるいは育成しようと考えているか。その具体的な方策があるのかないのか。それをお聞きしたい。
高市副大臣 まずは、RPS法に基づきますバイオマス発電設備の設備認定を円滑に進めるということで、このバイオマス発電のスムーズな導入、拡大に努力をするということです。
 そのほかに、地方公共団体でバイオマスエネルギーをつくり出していくということでいろいろプランを立てていただきますと、プランを立てる段階、それから実証実験の段階、それから事業化、実際の工事の段階でさまざまな補助事業がございます。補助金がついております。
山田(正)委員 ことしから秋田県の能代でバイオマス発電が始まりました。それについて、例えば二分の一助成、これは国が行うということになっておりますが、経済産業省は、これから先、いろいろなところでバイオマス発電が起こることによって、そういう具体的な助成をやっていく用意があるのかないのか。それだけ。
高市副大臣 大体五つほどの、先ほど申し上げましたようなそれぞれの段階に応じました補助金を出しております。特に、新エネルギー事業者支援対策事業というものについては、今年度もかなりの予算額がついております。(発言する者あり)
山田(正)委員 今、質問がありましたが、質問じゃないか、ちょっと外野席から話しかけられました。
 いわゆる民間が森林地域においてバイオマス発電を事業としてやり、それを売電する。そういうことにも、例えば、太陽光発電で各家庭で屋根にソーラーを設置するときの助成とか、太陽光発電に対して民間等もどんどん助成していますが、そういった用意が、例えば小さなバイオマス発電を林野地域でやる場合に、考えておるのか、それはできないのかどうか。
高市副大臣 民間の取り組みに関しましても、新エネ法に基づき認定を受けた計画に従って新エネルギーを導入する先進的な事業者に対し、事業費の一部を補助する。補助率三分の一以内ということで、平成十五年度、三百八十八億二千万円予算がついております。
山田(正)委員 農水副大臣にお聞きしたいんですが、このバイオマス発電について、農水省として、これから先、林業政策の位置づけとして、私は、実際、もうこれしかないんじゃないかなというぐらいちょっと考えているところなんですが、これについて、どういう考えで、どういう取り組みをするつもりか、お聞きしたいと思います。
北村副大臣 山田委員から、先ほど秋田県の例を出されました。これも、林野庁の方がこれにかかわってきたわけであります。
 そういった点を含めると、特に、木材を使った後の残材等々というのは結構出るものですから、それらを使って発電というふうなものには非常に効果があると考えておりまして、そういったものをまず積極的に推進をしていく。
 そのためには、そういう残材を効率よく集めてきたり、あるいはこれを運搬したりという、そういう機械等々に積極的にまたこれも支援をしていく、あるいは木質のバイオマスエネルギーの利用施設等々の整備を促進していく、これが我が省の考え方であります。
山田(正)委員 確かに、山の間伐材を伐採して道路まで運ぶ費用等については、日当として一人当たり一万五千円から一万二千円ぐらいの補助が出るようですから、その後、山際、道路まで運ばれた間伐材、山の残材、それを小さなバイオマス発電所まで運ぶ経費等についての助成が出れば、今の電力に十分見合うだけのコストでバイオマス発電ができる、それは十分考えられますので、それについて、ひとつ副大臣、鋭意検討していただいて、バイオマス発電でもって間伐材あるいは山の残材を利用し、そして山の育成を図る、そういう方向での検討をぜひお願いしたい、そう考えております。
北村副大臣 今の木質バイオマスエネルギー利用促進事業の中に、今委員が御指摘をされた機械等々についてきちっと補助をする事業がございます。もうやっておりますので、これをできるだけ活用するようまたPRもしていきたい、このように思います。
山田(正)委員 いわゆる現場で砕いてチップ状にして持ってくることについての助成は、調べましたのでわかりましたが、さらに運搬までやっていただけるように、これ以上もう時間がないので聞きませんが、そこまで考えてやっていただければと。
 次に、実は、私がきょうここに持ってきたのは、木質を利用したいわゆるペレット、材木、間伐材等でつくった燃料なんですが、ペレット状になっております。これを石油ストーブとかいろいろな燃料に使う、そうすると、どうやらこれは比較的安くできる。例えば岩手県の例でいきますと、一キロ二十五円でできる。石油が一キロ二十円ですから、もう少しいろいろな助成をするならば、もっと簡単に、そして安くこれはできるんじゃないか。そして、これを、いわゆる化石燃料、石油とかガスにかわって、家庭用のストーブでも十分利用できるし、もう少し検討を加えれば、あるいは少し助成していただければ、いわゆる競争力もあるんじゃないか。そういうところで、これをぜひ考えていただけないか、そう考えております。
 それで、まだ時間があるようですから、では、このペレットの問題はもう省略いたします。
 次に、こういった木質バイオマス発電で大事なのは廃材の利用なんですが、実は、島で、新建築法、建築リサイクル法ができてから、大変困っております。
 どういうふうに困っておるかといいますと、今まで、家を解いた、古い家を解くわけですが、解いたかわらはそれぞれ庭先にずっと並べておくとか、そして解いた木材というのは、どこか家の屋敷に片づけて置いておくわけですが、そうしておくと、実は、町役場からあるいは県の出先から来てやかましく怒られる、これを片づけなさいと。そして、これをいわゆる再処分場、処理場に持っていかなきゃいけない。そういうことになると、島ですと、それをコンテナに積んで、本土のいわゆる焼却場あるいは再処理場まで運ばなきゃいけない、そういう大変な問題を抱えておるわけです。
 そういう意味で、離島における廃材、そういったものの利用もぜひ考えていただきたいと思うんですが、また、離島において特別措置がないのかどうか。建設関係の人を呼んでいなかったかな、呼んでいませんでしたな。では、農水副大臣で結構ですが、バイオマス発電でのそういう廃材の利用。
小平委員長 時間がないので簡潔に。
北村副大臣 先ほど委員から御指摘のありました残材あるいは間伐材も廃材も同じでございまして、離島でペレットにするだとか、そういうようなことが可能であれば、そういうことを我が省として支援できるものについては積極的に支援をしてまいりたい、このように思います。
山田(正)委員 時間厳守と言われておりまして、もう一点だけですが、農水大臣にお聞きしたいと思っております。
 間伐材の利用なんですが、この中で、例えば私の選挙区である対馬のある町でもって、間伐材を利用して、いわゆる魚礁を間伐材だけで組み立てて、それを町が補助金を出そうとしたら、これは耐用年数が何年ももたないから公共事業として補助金を出せない、そう言われたわけです。
 ところが、浜を回っていますと、すぐ山林があるわけですから、しば漬けといって、山林の木の枝等を海につけてそこに産卵させたり、天然材による魚礁というのは大変大事で、昔からやられてきたことなんです。
 ところが、これまでコンクリートの魚礁しか認めてきていない、天然石の魚礁しか。そういった意味で、木材だけで魚礁を組み立て……
小平委員長 山田委員、時間が来ましたので、簡潔に質問してください。
山田(正)委員 はい。
 そういったことに対して、ひとつどういう考えかどうか、それだけ聞いて私の質問を終わります。
亀井国務大臣 御指摘の件、大変集魚効果がある、このようなことは承知しております。しかし、御指摘の耐久性の問題等々あるわけでありまして、十三年度に魚礁における間伐材活用調査を行いまして、十五年度からモデル事業を実施いたしまして、この面、間伐材の魚礁への活用に積極的に取り組んでまいりたい、こう思っております。
山田(正)委員 終わります。
小平委員長 次に、中林よし子君。
中林委員 ちょうど二年前の森林・林業基本法、そこでの審議の際、私、今、林業事業所などが赤字経営の中でいかに大変な事態になっているのかということなど、そういう実態を明らかにしてまいりました。
 したがって、国による明確な木材自給率、この数値目標、それが必要なんだということも指摘して審議をしたわけですが、いろいろな理由で自給率の数値目標というのは計画の中にも盛り込んでいないわけです。そのときの審議の際の参考人の方々も、口をそろえて数値目標は必要だ、こう言っていたわけです。
 政府がこの法律の成立後閣議決定した森林・林業基本計画の中で、国産材利用、これを二〇一〇年までに二五%、当時、一九九九年に二〇%だったのを二五%にするんだ、こういう決定をされているわけですが、しかし、現在、その二〇%がさらに下がって一九%になっているという事態なんですが、なぜこういうふうに下がってきているんでしょうか。
加藤政府参考人 今、お話にありましたように、森林・林業基本計画におきましては、平成二十二年に二千五百万立方の木材供給、それを利用していくというようなことで計画をいたしているところでございますが、実績で見てまいりますと、お話がございましたとおり、今のところ、供給量についても低下をしてきているというのが実態でございます。
 このことにつきましては、やはり木材の総需要量自体が、今の住宅着工量等が減っているという中で減ってきておりまして、また、パルプ、チップ用材等につきましても減ってきているという全体としての減少傾向があるということがございますけれども、同時に、外材と国産材ということで考えていきますと、木材の需要構造が変わってきている。先ほどお話しいたしましたように、例えば乾燥材、品質の安定した木材が欲しいという中で、例えば欧州材の集成材というようなものが入ってきているという状況もございまして、結果として国産材の供給量が減少し、自給率につきましても一%落ちているというのが実態でございます。
中林委員 総需要量が下がっているというのは全く理由にならないんですね。要するに、全体の中で、国産と輸入との比較というか、その割合の問題ですから。
 だから、そういう意味では、品質の問題などを今理由に挙げられたんだけれども、しかし、この基本法をつくった以上、やはり、地域材だとか国産材、いろいろな言い方はあるにしても、国内の材を使っていくという施策が出た以上、本来ならば、そこがもっときっちりとやられているならば、こういうふうに下がるはずがない。だから、そこの努力がまだまだ足らないということのあかしだと指摘しておきたいというふうに思います。
 大臣、私はぜひ大臣の見解をお聞きしたいと思うんですけれども、日本の国土に占める森林面積というのは世界で第七位なんですね、割合の高い比率から考えて。そのぐらい森林の面積比率というのは高い。森林資源の蓄積量、山にある木材の蓄積量も、この基本法を審議したときには三十八億立米と言われていたんですね。毎年、人工林中心ですけれども八千万立米蓄積が進んでいるということになると、あれから二年ですから、単純に計算すると三十九億六千万立方メートル、これだけの蓄積量がある、四十億立米ぐらいあるというふうに思えるんですね。そうすると、年間の需要量からいえば、一億立米とか九千万立米とか言われているわけですから、実際は自給率は相当上がってもいい。しかし、自給率一九%だと。全く不思議な国の一つだ、こう言われても不思議はないというふうに思いますね。
 だから、そういう意味では、先ほどから国産材の利用利用、こう言われて、そこが決定的になるというふうには私は思うんですけれども、しかし、あの森林・林業基本法を審議したときに、この数値目標というのは本当に挙げてほしいんだ、こういうことが林業関係者や研究者や組合の方などからこもごも語られました。改めて、今からでも私は遅くないと思うんですけれども、少なくとも、いきなり七割にしろ、八割にしろとは言いませんけれども、せめて四割とか五割、こういう目標を立てるおつもりはありませんか。
    〔委員長退席、鮫島委員長代理着席〕
亀井国務大臣 いろいろ計画を持って進めておるわけでありまして、木材の利用の推進あるいは木材産業の構造改革、また木材利用の意義や木材のよさ、あるいは普及開発、住宅、公共施設等、地域材利用促進、あるいは木質バイオマスエネルギーの利用等々、需要の開拓にさらに一層努力をしなければなりませんし、今回、木材産業の構造改革、こういう面で、加工施設の高度化や流通の合理化、そして都道府県等々とも懸命な連携をとり、まず、当初立てましたこの目標が達成されるような、当面その努力をすることが一番重要なことだ、このように考えております。
中林委員 私は、自給率目標設定のことをお伺いしたんですよ。次に、その国産材利用目標というのは基本計画の中に立ててあるので、それについて具体的にどうなさるおつもりなのかというのは、今そっちの答弁の方が先に出ちゃったものですからあれですけれども、自給率目標、これはやはり掲げないと、国産材の利用目標だって達成できないというふうに思うんです。それは考えるつもりがあるのかないのか、そこを聞いているんですよ、大臣。――大臣に聞いているんですけれども。
加藤政府参考人 自給率の問題でございますけれども、森林・林業基本法の議論の中でもあったところでございまして、今回の森林・林業基本計画では二千五百万立方という目標を掲げておるわけでございますし、総需要量を一応の試算をして出しているわけでございますので、自給率というものはおのずからわかるという形になっているわけでございます。
 先ほど四割、五割というお話がございましたけれども、やはり今の我が国の森林状況の中で、まだまだ間伐をしていかなければいけない、さらには、人工林につきましても長伐期化、複層林化をやっていかなければいけない。そういう中で、木材供給がどうなってくるかということを考えて二千五百万立方という目標を立てているところでございまして、今の実態の中では、先ほど御指摘がございましたように、それが下がりぎみの傾向になっているということでございますけれども、我々としては、この二千五百万立方の達成を目指していくことがまず大事だというふうに思っているところでございます。
中林委員 総需要からその二千五百万立方で計算すれば、一億とすれば二五%というのが自給率目標だと思うんですけれども、これが二〇一〇年目標なら余りにもやはり低過ぎるというふうに思うんですね。
 だから、今の山の蓄積量、それから毎年毎年蓄積していく、そういうものから考えると、非常にささやかな目標値しかやっていないということで、これを変えろと言ってもすぐ変えるとはおっしゃらないと思うんですけれども、きょうずっと審議をしていく中で、これだけ国産材の利用利用というのがテーマになっているんですよ。そこをどうしていくのか。全然進んでいないというふうに私は、その後実際に下がってきているわけですから。そうすると、やはり輸入材の方が優先的に使われている、そこをどうやって国策でそれに歯どめをかけていくかということになると、国産材の利用のためには、今のぐらいの手だてではだめだ、もっと踏み込んだ、本当に抜本的な政策実現が求められているというふうに私は思います。
 そこで、前回のときもこの国産材利用の問題を言ってきたわけです。そこで、きょう、文部科学に来ていただいているわけですけれども、日本の学校校舎、幼稚園、小中高、いろいろあるわけですけれども、ここがずっと木造にかわれば物すごい需要量になるというふうに私は思うんですけれども、近年五年間、どのぐらいの変化が生まれているのかお答えいただきたいと思います。
河村副大臣 お答えいたします。
 木造で整備をされた学校の割合でございますが、平成九年度は全事業量の三・六%、約五万四千平米、平成十三年度になりますと五・九%、それから平成十四年度が六・七%、八万一千平米と増加をいたしておるところでございます。
    〔鮫島委員長代理退席、委員長着席〕
中林委員 確かに二倍近い伸びだろうというふうに思うんです。しかし、たかが六・七%ですよね。もうこれではお話にならないんじゃないかと思うんですね。大臣、校舎一校木造にすれば、秋田の能代の一年分の秋田杉の需要に匹敵する、このくらいインパクトあるんですよ、校舎というのは。だから、ここでどう進めていくかということが非常に重要なテーマになるというふうに思います。
 そこで、特に、東京を初めとする大都会、ここで一気に進めば、私は相当進んでいくんじゃないかと思うんですけれども、文部科学省としては、その辺の計画はおありですか。
河村副大臣 お話のとおりでありまして、東京都の実情を調べますと、平成十三年度に四千平米やっておりますが、これは一校だけなんですね。非常に私も、木造校舎は、最近、地方の、田舎といいますか、そういうところはそばに木がありますから割と使うのでありますが、都会がだめだ、こういうことであります。
 それで、調べてみますと、やはり防火地帯に当たる、建築基準法の関係、やはりこういうものに突き当たってまいりますので、その辺も踏まえてやらなきゃなりません。ただ、防火地帯であろうとも、室内は、ここもそうでありますが、室内にできるだけ木を使うということで、そういう点では、既にもう小中学校の学校は、九割以上は必ず木材を使うようにということになっております。問題はやはりその辺にもあるわけでございますが、できるだけ学校が木であるということが必要だ、私もそう思っております。
中林委員 がっくりしてしまって、東京、一校ですか。はい、わかりました。
 それで、ここに「温かみと潤いのある学習環境の創出」ということで林野庁が出しているものがあるわけですが、木材を利用した学校施設の整備がいかに子供たちにとっていいのかという、すばらしいパンフレットがございます。
 今、防火、耐火の問題も、それがネックになっているんだというお話があったんですけれども、そこも国土交通省の建築基準法が変わって、随分そこはクリアできているんだというふうにここでも述べております。したがって、建て方によれば大都会で十分対応できると。今副大臣もおっしゃっていただきましたけれども、全体じゃなくても内装だけでもとか、いろいろな使い方、それは工夫ができると思います。
 基本法質疑のときにこの提案をやったときに、前農水大臣がこう答弁しております。「文部省においても、もっと木造校舎について年次計画をつくってでもやってもらえるようなそういう努力をしていただきたいと思います」と言っているんですね。副大臣、そういう依頼を林野庁の方から受けられたのか、そして年次計画は立てて進めていこうとされるのか、その点明らかにしてください。
河村副大臣 木造校舎の推進ということで、文部科学省も、あの大臣の国会審議等も受けまして、早速林野庁とも連携をとって、木材利用の推進ということで、このことも積極的に検討をやってまいりましたし、また副大臣会議でもこのことが提案をされて、これは文部科学省だけじゃなくて、各省庁、建築物を建てるときには木材をということの申し合わせもしたようなわけでございます。
 そこで、今御説明のようなパンフレット等もいただいておりますし、そういうものを、講習会等も開催をして周知徹底するようにということもいたしておるわけでございます。
 ただ、年次計画的にということになりますと、これはそれぞれ学校の、もちろん木材を大いに利用してもらいたいということの通達はしてあるわけでございますが、具体的な計画になりますと、各市町村長さん方の計画あるいは教育委員会の計画、これにのっとっていくものでありますから、文部科学省がこれを、年次計画を立てて、こうというところまで現実にいっていないわけでございます。
中林委員 私は本当に、国産材の利用ということになれば、目に見えた形が地域に出れば、このパンフレット見ただけでも、すごい、すばらしい学校だと思うんですね。外観から見ただけで、ああ自分たちの地域材使われているなというふうになれば、先ほどからの審議でも明らかになっているんですけれども、本当に目に見える形で進めてもらわないと、従前やっていなかったところが倍ぐらいになっているからということで決して満足はいかないというふうに思いますね。
 やはり日本文化にふさわしいやり方、そして今林業家の方々が大変苦労されている、そこをクリアしていくためには、今学校施設を言いましたけれども、そのほか、公共施設というのはたくさんあるわけですから、そこをぜひ林野庁としても一層進めていただきたいし、それから文部科学の方に、大都会ですよ、これだけたくさん学校があるんですから、そこでせめて一割ぐらい引き上がるだけでも相当違っていくだろうというふうに思いますので、ぜひそれは進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に進んでいきたいと思います。
 実は私も、この間いろいろと林業家の方々と話したり、もう大変皆さん困っておられる、その中で、こんなにすばらしい一般住宅が国産材で建てられるのに、どうしてそれが国民全体に広がっていかないのか、輸入材に押されてしまうのかということをお伺いすれば、大手の住宅メーカーはモデルハウスを建てるだけの財力があるんだ、しかし、私たちもモデルハウス的なものをつくりたいと思うんだけれども、とてもとても、小さな森林組合などではそんなものは建てられないよとおっしゃるんですね。
 だから、そういう意味では、本当に今、民間の林業家あるいは森林組合の地域の方々、大変御苦労されて、これが一般住宅にずっと広がっていけば、すばらしいということがわかっていくわけですよ。だから、そこのところをぜひ、今林野庁としても、顔の見える木材での家づくり推進事業というのを立てておられるわけですけれども、こういう森林組合などがモデルハウスをつくりたいというようなことにも相当の支援をしていただく、そういうことができますか。
加藤政府参考人 今お話がございましたように、国産材の住宅、大工、工務店で建てていただく住宅につきましては、そういったものがモデル的に見えないというようなところが問題として一つあるわけでございまして、そういう点で、木造住宅を普及啓発していくということの意味を考えますと、モデル住宅を建てることも必要ではないかということで、平成七年度以降、そういうことに取り組んできたところでございます。
 また、今回の十五年度予算におきましても、森林所有者から住宅生産者までの関係者が一体となって取り組む、顔の見える木材での家づくりということを進めていきたいと考えておりまして、その中の事業の一つとして、モデル住宅の整備に取り組むということを考えているところでございます。
 こういうものを活用していただいて、大工、工務店におきましても、国産材住宅が消費者の方々に見えるような格好になっていくということができたらなと思っているところでございます。
中林委員 PRとすれば、やはりじかに触れていただくということが一番実感でき、いいPRの方法だと思いますので、ぜひ予算的にもうんとふやして頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、やはり木質バイオマスの利用問題です。先ほどからいろいろ出てきております。これは相当、経済産業省を初め、バイオマス・ニッポン総合戦略ということを仰々しく立てて進めている段階だというふうに思います。
 このバイオマス、持続的エネルギー、再生可能な資源ということでいろいろなものが検討されているわけですけれども、年間発生量が約千五百万トンの木質バイオマスのもとがある。ただ、間伐材など林地残材がほとんど未利用になっているということや、それから建設のときに発生する木材、ここも約六割が未利用になっているわけですね。ここをどう活用していくかということなんですよ。
 特に林地残材の利用、先ほど山田議員の方からも指摘があったんですけれども、林業事業者の負担、これがどうしても出てくるというんですよ。先ほど運搬についての負担を軽減する措置をとるのかどうかというのにはお答えがなかったわけですね、全体としては何とかやりたい、機械などはというような答弁はあったわけですけれども。
 では、先ほどから副大臣がお答えになっているようでございますので、この点については、やはり運搬、山から出す、それについてはどうされますか。
北村副大臣 先生の御意見の中にありました運搬、実質、運搬にこれをやれるかどうかというと非常に難しいな、こう思います。ただ、運搬する機材、あるいは、先ほど委員から御質問ありました、運搬しやすいように林地残材をペレット状にするとか、そういう機械等々については、これは積極的に支援をしてまいりたい、このように思っております。
中林委員 そうなると、やはり林地残材を利用するというのは今でも進められていないんでしょう。このバイオマスエネルギーなどがやっと今緒についたばかりということもあるんでしょうけれども、しかし、本気でそこの活用をさせようと思うと、今のような答弁では、私、納得できない。やはり負担軽減のためにそれ相当の覚悟でやっていただいて、そして、そうすれば山だって育つようになると思います。ぜひそこは強い要望として強調しておきたいと思います。
 最後ですけれども、実は、木質バイオマス利用の新たな技術開発に対してですけれども、木質バイオマスのうち、製材工場等の廃材、木くず、これが九割以上が端材の形でボイラー燃料ということで焼却されているわけですね。これが利用できないかということなんです。
 今、この焼却の問題は、ダイオキシン法の対策で八百度以上ないといけないというところで、小規模の製材所なんかがそれに対応しなきゃいけないということで大変苦労されているということなんですね。
 私、中国ブロック選出ですから地元岡山県、そこの真庭地域の真庭地区木材組合、そこの事務局の山下さんから再三要望が来ております。何とか製材所から出るチップを利用できないかという強い要望です。もちろん私どもはダイオキシン対策を否定するものではありません。やらなきゃいけないと思っているところなんです。ただ、その利用の方法として、この真庭地区の木材組合とすれば、都市ごみ焼却の助燃材として活用できないかというふうに言っております。
 この人の要望書を読み上げると、「木材木皮には不思議な力があります。この力を都市ごみ焼却の助燃材として利用するならば、全国で膨大な費用と油の節約になるばかりでなく、農山村の活性化と雇用の増進に大きく貢献します。」と言っているんですね。そして、「環境省では木材の利用を研究されず、油を大量消費する大型焼却炉を勧めております。そして、ごみの広範囲収集を行い八百度以上の高温を持続して燃やすよう指示されておりますが、国力が低下しつつあるとき、住民に大きな負担を永久に強いることになります。木材の不思議な力を証明するには、国か県の研究機関の調査でなければ社会が信じてくれません。」ということで、こういうダイオキシン検査費用等かかるけれども、例えば、この地域の勝山木材加工技術センター、超小型炉三基、ここで実験してもらえないだろうかというような提起をしているわけですね。
 今度のバイオマス・ニッポン総合戦略の中でも、研究開発というのは一つの目玉になっているところなんですね。この山下さん自身も、実は、民間の検査機関でダイオキシンが一体どうなっているのかというのを調査したら、全部クリアしていると。しかし、自分が幾ら言っても、それは民間がやったことだということになるので、ぜひ国としてそういう研究をして、そして、こういう製材所などから出てくる木くずだとかそういうものを活用して助燃材としてもクリアできるよ、こういうことをすればみんなが助かるんだということをおっしゃっているんですが、環境省、どうですか。
飯島政府参考人 お答えいたします。
 今委員から御質問ございました真庭地区の木材組合のお話、私どもも承っております。
 それで、その御提案の中に、市町村のごみ焼却施設の助燃材として使えないかということだと思うんですが、現在のごみ焼却施設の助燃剤は、多くのところで重油が使われております。これはもちろんずっと使っているわけではなくて、カロリーが下がったとき、立ち上げのとき、こういったときに使われるわけであります。一般に、木材木くずは重油と比べてカロリーが大変低くなっておりますので、そのままでは難しいわけですけれども、新燃料としての技術開発が進んだ上で、重油に代替できるような、そういう能力が証明されれば、助燃材として利用が進むということも当然考えられます。
 なお、助燃材だけでなく、例えば製鉄所の転炉の還元材としての利用という、いろいろな技術開発の弾がございますので、環境省が持っております廃棄物処理等科学研究費という競争的研究資金で第三者の専門機関が審査をして行うシステムがございますので、こういったものに応募していただければ、第三者的な審査がなされるというふうに考えているところでございます。
中林委員 私も、もう一度この真庭地域のところへ行って、今言われたところへ申請してやってもらうよう要求します。
 ぜひ、お墨つきをいただいて、そういう活用ができるように、これは農林水産省としても喜ばしい話なんですよ。だから、それはあえて、もう時間が来たので大臣の答弁はいただきませんけれども、小規模の製材所なんかは、こういう形で本当に苦労しながら、それでも何とか地域のお役に立ちたいということで頑張っておりますので、ぜひ、国産材の利用促進の一端として、環境省と一緒になって、縦割りでやらないで、有効的な相互の連携をとりながら進めていただくことを要望して、私の質問を終わります。
小平委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子です。
 今回、森林法の一部改正案が提案されたわけですけれども、今回の改正では、森林整備事業と治山事業の一体的推進を図るということになっていますが、これは当然のことだというふうに思っています。
 本来ならば、平成十三年の森林・林業基本法と一体のものとして改正していかなければいけなかったわけですし、今まで本当に森林の整備が非常におくれてきておりますし、治山事業も遅々として進んでいない中で、この法律改正によって今後どう具体的に事業の推進を図られていくおつもりなのか、大臣からお答えいただきたいと思います。
亀井国務大臣 今回の法改正は、森林・林業基本法の考えを受けて、森林の整備と保全に係る主要な施策である森林整備事業と治山事業に関する公共事業計画の統合等の措置を講じるものでありまして、平成十三年当時は、森林整備事業計画及び治山事業計画とも平成十五年度までを計画期間として策定されていたことからも、まず、両事業について、重視すべき機能に応じた森林の三区分に即しそれぞれ再編すること等により、基本法の考えを踏まえた事業展開を図っていくこと、このようにしたわけであります。
山口(わ)委員 今の御説明ではよくわかりません。具体的にどういうふうに進めていかれるのか、その目標はどうなのかを本当はきちっと御説明いただきたかったんですが、すごく総論的なお答えでよくわからないわけですが。
 例えば、治山事業をこれから進めていくということになるわけですね。七カ年計画で進めていくことになるわけですけれども、山地の災害危険区域というのは非常にまだまだ多いんではないかというふうに思っていますが、この危険区域の現状は一体どうなっているのか、あるいはその着手率は、現状がどうなっていて、それをどうこれから政策の中で解決していくおつもりなのか、聞かせていただきたいと思います。
加藤政府参考人 山地災害危険地区につきましては、山腹の崩壊であるとか、地すべりであるとか、土砂の流出等によりまして、学校、病院、道路等の公共施設や人家等に直接被害を与えるおそれのある地区ということで、地形、地質の特性等から見てその崩壊等の危険が高いものを調査把握しているところでございまして、平成十三年度末で全国に約二十三万地区ございます。
 これらの山地災害危険地区につきましては、治山事業を施行して整備していくということで考えているところでございますが、着手率というお話がございました。平成十三年度末現在で申し上げますと、着手率は四三%というところでございまして、我々としてはこれを計画的に整備していきたいと考えているところでございます。
山口(わ)委員 今伺いますと、着手率が約半分にもならないということですが、国有林はそれでもまあまあ半分以上になっているんではないかと思うんですけれども、民有林はもっと低いわけですね。やはりこういうことは非常に大事なことですし、今までこんなにたくさんまだまだ残っている。そして、災害が現実には起こっているわけです。私どもの方でも山火事が随分ありましたし、地すべりもありましたし、そのためにやはり民家が災害を受けているわけですから、これは非常に大事なことだというふうに思うんですね。
 なぜこれだけ災害危険地域が多いかということになりますと、これは、私は、森林整備がやはりきちんとできていないことに大きな原因があると思っているわけです。そういう意味でも、森林整備をどう具体的にこれから進めていかれるのか。今までできなかった部分もありますし、そのことが非常に大事になってくるというふうに思うんですね。
 今までは、林業を主として、やはり採算ベースに乗るようにしていかないと森林整備もきちっとできないということもありまして、これからは多面的機能を持続的に発揮するという政策に変わったわけですから、国の責任としてこれから森林整備、とりわけ森林の保全をどう具体的に進めていかれるのか。これは非常に大事なことだと思いますので、その具体的な方策がありましたらお答えいただきたい。
加藤政府参考人 森林の多面的機能を持続的に発揮していかなきゃいけないということで、森林・林業基本法を、林業基本法を改正して策定していただいたわけでございます。
 そういう中で、我々としては、それをやっていくためには林業の振興も図っていかなきゃいけない、やはり林業の健全な発展、持続的な発展があるという中で森林整備が進められていくということも考えていかなきゃいけないと思っているわけでございますけれども、今の厳しい状況の中で、ただ単にそういうことだけでいけるのか、森林所有者の方が林業をやっていくという中で森林整備が進んでいくという形だけでその多面的機能の持続的な発揮ができるかということでいきますと、やはりそういった点には、今の状況でいけば問題認識を持たざるを得ないわけでございます。
 公益的機能の発揮に対する要請が高い森林については治山事業でやるとか、これはある意味では公的にやるということでございますが、そういった形だとか、緑資源公団だとか林業公社というようなことも含めまして、公的関与による森林整備を進めていくことも必要ではないかと思っているところでございます。
 いずれにしましても、森林・林業基本法ができて三区分をし、それぞれの機能を発揮する森林施業を適切にやっていきたいと考えているわけでございまして、今申し上げましたようなことも含めて、それを進めていきたいというふうに思っております。
山口(わ)委員 予算がないということが多分あるというふうに思いますし、森林の整備に予算をつけるということは確かに大変なことですし、大分頑張っていただいたということもあると思いますけれども、私は、予算というのは、やはりどういうふうに使うかということがとても大事だと思っています。
 特に森林整備につきましては、地球温暖化防止の意味もありますし、先ほどから言われていますように、木材をどう活用していくかという問題も非常に大きなところだと思うんですが、それには、国がきちっとそういう支援策を講じていかない限りやはり進んでいかない。特に民有林につきましては、何をやるにも、やれば逆にお金がかかってしまう、生活が成り立たないということになるわけですから、やはり国の積極的な関与というのが非常に大事になるというふうに思うんです。
 特に、毎年森林整備の面積をどう確保していくのかということとか、あるいは不在所有者が毎年ふえてきているわけですね。そのことも、不在所有者がたくさんだからほっておけばいいというわけにいかないので、そういう不在所有者があるために森林の整備がそれだけおくれてしまうとしたら、では、そういう小規模の森林所有者とか不在所有者に対してどういう支援をしていくことが必要かということもこれからは非常に大きな課題になると思うんですね。
 私は、やはり市町村にも積極的な森林整備計画に参加をしてもらうということも非常にこれからは大事になると思いますし、経済的に成り立たない森林は公的な森林整備もちゃんとしていかなきゃいけないと思いますし、そのためには予算をかなりきちっと盛っていくことが大事だというふうに思うんです。
 私、十三年度の決算をちょっと調べてみたんですが、先ほどから借金の話もありましたけれども、国有林の特別会計では、不用額が百二十三億出ているんですね。一般会計では確かに不用額は出ていませんが、一たん特別会計に行ってしまうとこれだけの不用額が出るということになりまして、こういうことも含めますと、やはりもう少し計画的に、そしてせっかく予算が獲得されたわけですから、それを計画的にきちっと使っていくことが私は大事だというふうに思うんです。
 そういう意味で、やはり積極的に、私が今お話ししたような中身について、計画的に、しかも具体的にこれから森林の整備、もちろん不在所有者も含めて、特に民有林については積極的な支援もしていかなきゃいけないと思っていますが、その辺ではどういうふうにお考えでしょうか。
加藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、我々としては、森林の多面的機能を持続的に発揮させていきたい、三区分に応じてきちっとした施業をしていきたいというふうに考えているところでございますし、また、地球温暖化の防止ということから見ましても、三・九%を確保していくためには、きちっとした森林施業を進めていくということが重要になっているわけでございます。
 そういう点で、地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策というものも、森林・林業基本計画と別に策定をして、そういった推進を図っていきたいということを打ち出したところでございまして、この十カ年対策をつくるに当たりましても、今の状況だけでいけばとても三・九%を達成できるような整備ができないということも我々として話を出させていただいたところでございます。
 そういう点では、林業者が自主的に整備をすることがなかなか厳しいわけでございますので、やはり助成措置をとっていかなければいけないということでございまして、そういうことについての財源の確保についても、これは大きな課題として我々は積極的に取り組んでいかなければいけないことだというふうに思っております。
 そういう点で、先ほど、どういうものをするのか、国民の方々に見えるようにしないといけないのではないかというお話もあったわけですけれども、例えば地球温暖化の防止のためにこういうことをやりたいんだということで十カ年対策をつくったということでございまして、そういったものに国民の方々の御理解を得ながら、財源確保に努めていきたいと思っているところでございます。
山口(わ)委員 私は、森林整備を推進するためには、間伐材とか除伐材なんか、生産された木材を積極的に使っていかないと森林整備はできないというふうに思うんです。私も昨年和歌山へ視察をさせていただきましたけれども、かなり太い三十年産くらいの木材が間伐されたまま、その場所に放置されているわけですね。それを出してくるだけでもお金がたくさんかかってしまうということで、そのまま放置されている状態を見て、私は非常に残念に思ったんです。
 最近、私どものところでも、非常に木材の利用を考えてやっているところがふえてきました。バイオマスもそうですし、チップ材なんかは最近非常に使われてきておりまして、庭にかなり厚くチップ材をまきますと、ほとんど草が生えてこないということで、除草剤を使わなくても済む、そして草を取らなくても済む、しかもやわらかい感触で、非常に環境的にもいいし、もちろん地球温暖化吸収率にもつながるということで、大変いいとは思うんですが、非常にこれはお金がかかるわけです。
 それによってなかなか利用できないという部分があると思うんですけれども、そういう生産された木材を積極的に利用するための非公共事業にもう少し予算をつけるべきではないかというふうに思うんですが、その辺のお考えはありますか。
加藤政府参考人 間伐材の利用の促進を図っていくというのが間伐を進めていく上での大変重要な課題だというふうに思っております。そういう点で、関係省庁とも連携を図りながら、公共事業の中で間伐材をできるだけ使っていただくということもお願いをしてきたところでございます。
 今、実は、農林水産省としまして、今までも取り組んできたわけでございますけれども、もう一回見直して、本当に農林水産省としてどこまでそういった木材を使えるのかというようなことを議論しようということで、アクションプログラムをつくることにいたしたところでございます。そういったものを農林水産省が行いまして、さらに関係省庁にも、農林水産省としてこういうことができるという中で、関係省庁がもう一度見直して考えていただくところがないんだろうかという議論をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
 間伐材の利用、今チップ材の話も出ました。チップ材も最近では実はDIYなんかでも売られているような店も出てきまして、そういったものをまいていただくということもされるようになってきたと思っておりますし、また歩道なんかでも、実はチップ材を固めまして歩道用にするというような技術開発もされてきている。それぞれの地域でいろいろな試みも出ているところでございまして、我々も、そういったものをできるだけ情報として取り上げながら普及させていくということも考えていかなきゃいけないと思っております。
 いずれにしましても、間伐材の需要拡大、我々として積極的に取り組む大きな課題だというふうに思っております。
山口(わ)委員 それで、要望ですけれども、こうした森林整備促進の意味も含めて、非公共事業にこうした木材製品を使うための予算をぜひ、少なくとも百億円くらいないとできないんじゃないかというふうに思っているんですね。やはり支援策と、それから積極的に使うための情報公開が非常に大事だと思うんです。割合知らないですから、そういうことをきちっと知らせていく、と同時に、支援をきちっとしていかないと、なかなか使われないということがあると思うんです。
 先ほど中林議員も質問でおっしゃっていましたけれども、今、地方へ行きますと、空き家が非常に多いんですね。この空き家をうまく利用して、例えば介護の施設にするとか保育施設にするとか、そういう試みがあちこちで起こっています。私の方でも起こっているんですが、そういうときにこそ、この国産材をもっと使って、そしてリフォームをしていくことが非常に大事だというふうに思うんですね。
 ですけれども、実際には、お金が高いという理由でなかなか使えないということもありますから、そういう意味では、ぜひ、もっともっと国産材を使えるような、物をつくるという発想だけじゃなくて、やはり物をリフォームして再利用していくということにもっと重点を置くべきじゃないかと思うんです。そういうことをぜひお願いしたいというふうに思っていますが、そういうお気持ちがおありでしょうか。
加藤政府参考人 今、空き家の利用の話が出されましたけれども、実は今、緑の雇用担い手育成対策というものを十四年度補正で実施することにいたしておりまして、その緑の雇用担い手育成対策では、できるだけ都会の方々が農山村に来るというような形で新たな林業労働力をつくっていくということをしたいと考えているわけでございます。
 そのときに問題になりますのが実は住宅の問題でございまして、今お話がございましたように、空き家なんかをリフォームして有効活用していくということはそういう点でも実はあるのではないかというふうに思っております。
 そういう点で、空き家の利用だけじゃなくて、実は今、これから我が国にリフォーム需要というものについては相当ふえてくるだろうというふうに見込まれるわけでございますので、そういったところで木材が使われるようにしていくことが重要ではないかと思っております。
 例えば、家の中に、今まではプラスターボードで張ってあったところを木材で張りかえてみたいというような話もあるわけでございまして、そういった需要にこたえられるようにしていくということもしていかなきゃいけない、リフォームに使えるようにしていくことは大事な問題だというふうに思っております。
山口(わ)委員 大事な問題だけに、ぜひ支援策をしていただきたい。やはり予算的な支援をしないと、なかなか使ってもらえないということがありますから、それは国として積極的に、事業者あるいは地方自治体に支援をしていただきたいというふうに思うんです。
 今、たまたま緑の雇用担い手対策事業が出まして、森林の整備を図るためには、やはり担い手、労働力の確保が大事だと思っています。和歌山県知事がこの緑の担い手構想を始めて国に働きかけたことが結果的には実現したのではないかというふうに思っていますが、十四年度の予算規模は大体九十五億円ぐらいになっているようですけれども、大体、十四年度で二千四百人、一地域三十人程度ということになっていますが、やはりこれももっとふやしていく必要があるのではないかというふうに思うんですね、全国的に見れば。
 長野県でもそれに似たことをやっていますが、これは本当にきちっと一年間とか二年間定住させて、そして技術を磨くというところまではいっていないわけでして、それをやはりきちっとしていかないと、なかなか山に定住してもらえない。
 昔は農家の皆さんが農業の片手間に山林に入って整備をしたんですが、農業自体が今とても生活が成り立たなくなっているわけですから、山に入って整備をするということは、本当に今はできなくなってしまった。
 そんな中で、都会の皆さんで山間地へ入って仕事をしたいという方も大分いるわけですので、そういう意味では、やはりこの緑の雇用担い手対策事業をもう少し予算をふやしていく必要があるというふうに思っていますし、やはり山に入るためには、その安全対策も必要なんですね。私もこのモノレールに乗ったことがあるんですが、非常に怖いといいますか、あれがあるから作業が進むということがあると思うんですけれども。やはり安全でしかも安心できる、そういう雇用労働条件があって初めてこういう対策が進んでいくというふうに思っています。
 私は、この人数を、今二千四百人ですが、これをもっともっとふやしていく必要があるというふうに思うんですね。できれば一万人ぐらいは目標にしていったらどうかと思うんですが、その点の計画あるいはお考えがおありでしょうか。
加藤政府参考人 緑の雇用担い手育成対策は、厚生労働省の方で緊急雇用対策をやっていただきまして、そこの中で森林作業につけるということも重点的に取り上げていただいたところでございまして、そういう方々の中で、実は林業についてみたい、森林作業についてみたいという希望を持たれる方がいるわけでございます。そういう方々をさらに一年間現地の作業の中で研修をしていくということでやりたいというのが、この緑の雇用担い手育成対策でございます。
 今お話がございましたように、林業作業はある意味では危険なところがあるわけでございますし、また機械を使う、チェーンソーだとかそういったものも使うわけでございますので、そういったことについてもきちっと習熟をしていただかなければいけない、安全作業のことについてもきちっと手順として理解をしていただかなければいけないというようなところもあるわけでございまして、そういったことも含めながら研修をするということで、一年間やっておおむね一人前の作業ができるようになっていただきたいというふうに思っているところでございます。
 人数といたしましては、今回は二千四百人を考えているところでございますけれども、先ほど申し上げました地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策をきちっとやっていくということにつきましては、担い手確保が大変重要な課題でございまして、そういう点でいきますと、この事業の実行結果を見ながら、さらに今後どうするのかということを我々として考えていかなければいけないというふうに思っているところでございます。
山口(わ)委員 今回の林業改善資金助成法の一部改正ですけれども、非常に今、林業や木材産業が低迷しているわけです。先ほどからずっとそのお話があったように、今回の改正で貸付先の拡充を図るということも意味があるんだろうと思うんですけれども、やはりこの制度資金の貸付実績というのは非常に低迷しているわけですね。どんどん貸付実績が下がってきているわけです。
 昨年の参考人の御意見も伺いますと、とても借りても返せない。借りて五十年一生懸命育てても、間伐してもそれが出すこともできないような状態で、では五十年先にいいと思って借りたものが五十年たった今で返せる状況にあるかといえば、ますます木材価格は低迷してきている中で返せないわけですね。そんな中で借りるわけにはいかないんじゃないか、借りてもしようがないんじゃないかという意見が非常に多いわけです。
 そんな中で資金助成法の改正をするわけですけれども、本当に借りても着実に林業が成り立っていくようなことを施策として考えない限り、ただ助成法の一部改正をしても意味がないと思うんですが、助成法の改正と同時に、林家の皆さんが本当に生きがいを持って林業ができるような取り組みをするためにはどういう施策を考えていらっしゃるんでしょうか。
加藤政府参考人 お話がございますように、この改善資金制度を変えるということだけで林業の振興が成り立っていくというふうに思っているわけではございません。そういう点では、林業の振興のための政策というものもさらに充実をしていかなきゃいけないというふうに思うわけでございます。
 そういう中で、森林・林業基本法が改正されました段階で、例えば森林所有者の方々がもっと施業がやりやすくなるということのために森林整備地域活動支援交付金という制度も設けたところでございますし、林業をどういうふうにより効率的にしていくのかというようなことで、都道府県段階におきまして林業・木材産業の構造改革プログラムというものもつくっていただいて、それに従って我々としてできるだけの助成をしていくという方向を打ち出したところでございまして、そういう国、都道府県、市町村が一体となりながら林業の振興に取り組んでいく、取り組んでいただくというようなことでやっていきたいというふうに思っております。
山口(わ)委員 木材利用の推進ということですが、先ほど学校建設の問題もありましたけれども、なかなか遅々として進んでいないということが実際にはあるというふうに思うんです。
 特に、設計基準に地域材を利用するような、工事契約に地域材使用の特約事項を導入しているようなところもありますから、そういうところもきちっと入れていかなきゃいけないという問題もありますし、例えば、一般住宅の建設が今はちょっと景気が悪いですから低迷しているわけですけれども、地域材を利用することに対しての助成があれば、かなり使うんじゃないかというふうに思っているんですね。
 例えば、固定資産税の減免措置をするとか、あるいは金融対策に力を入れる。返済期間も、木材を使った場合にはもうちょっと返済期間を延ばすとか、あるいは住宅ローンの一部の負担をするとか、利用木材の一部を無料提供するとか、これは秋田県でやっているそうですけれども、それとか、民間木造施設建設への利子助成制度を行うとか、いろいろな方法が各県でも実際には行われているというふうに思うんです。
 それともう一つは、何といっても、集合住宅の中にシックハウス対策なんかが重要になってくるというふうに思いますし、やはりいやしとか安らぎとかそういったものが木材には非常に強いわけですから、そういう木材利用を進めるための施策をもう少し具体的に、そして、国もやる、県も一緒になってやる、地域でももっとやる、あるいは民間の事業者にもそういうことを進めていく、そういうふうな全体的な取り組みが非常に大事だと思っているんですね。そういうことにつきましてこれからも具体的にきちっと政策を打ち出していってほしいというふうに思うんですが、その辺のお考えがございますでしょうか。
加藤政府参考人 地域材を利用してもらうということのために今いろいろお話をいただいたところでございまして、我々もこれまでも、関係省庁とも論議をさせていただきながら、そういった問題にどういうふうに取り組んでいくかということで考えてきたところでございまして、またさらに、今言われましたようなことも踏まえながら関係省庁とも議論をしていくということが必要かなというふうに思います。
 同時に、地域材の利用ということで、総務省の方で御理解をいただきまして、地財措置で今、地域材でつくった住宅に対してローンを利子補給してあげるとか、あるいは、それだけではなくて一定額をその段階で助成するというようなこともされてきているところでございまして、お話の中にございましたように、やり方として、金額的に助成するということだけではなくて、柱材を全部無料で提供するというようなやり方だとか、いろいろな工夫を都道府県段階でしていただいているところでございます。
 そういう取り組みが都道府県段階で進みかけておりますので、我々としては、実は、各県でどういう取り組みがされているかという情報を収集しながら、そこの中で一番効果がある取り組みをしてもらいたいということでお願いをしているところでございまして、そういう中でやり方について少しずつ見直しがされているようなこともあるわけでございます。
 今申し上げましたように、関係省庁との連携ということも必要でございますし、そういったことも使っていただいて都道府県段階でやっていただくということも進めていかなければいけないというふうに思っているところでございます。
山口(わ)委員 いずれにしましても、輸入材はふえる一方、国産材は減る一方、こういうギャップを何とか改善していくことが大事ですし、国産材を使い、そして輸入を減らしていくという方向に、これからはぜひ国として対策をきちっと図っていただきたいというふうに思います。
 どうもありがとうございました。
小平委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
小平委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、内閣提出、林業経営の改善等に必要な資金の融通の円滑化のための林業改善資金助成法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小平委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
小平委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、稲葉大和君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。楢崎欣弥君。
楢崎委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党を代表して、林業経営の改善等に必要な資金の融通の円滑化のための林業改善資金助成法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    林業経営の改善等に必要な資金の融通の円滑化のための林業改善資金助成法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  我が国の森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるためには、林業の持続的かつ健全な発展と林産物を安定的に供給・利用する木材産業の健全な発展が重要な課題である。
  よって政府は、本法の施行に当たり、林業・木材産業の経営改善を図るため、左記事項の実現に努めるべきである。
      記
 一 各種制度資金の見直しに当たっては、融資実務面においても地域や林業・木材産業の実情等に応じ、より使いやすいものとなるよう最大限の工夫を行うとともに、融資枠については、資金需要の動向等を踏まえ、適切な水準とすること。また、農林漁業信用基金の保証対象の拡大にかんがみ、その適切な運用に努めること。
 二 林業及び木材産業の一体的な構造改革を推進するため、両産業の経営基盤の強化と連携に向けた関連施策の充実に努めること。また、関連事業者による国産材の積極的な利用を確保するため、制度資金の融資対象の拡充について検討する等施策の充実に努めること。
 三 公共事業における間伐材等の利用、公共施設の木造化等を率先して行うとともに、木質バイオマスのエネルギー利用等木材の新規需要の開拓を一層推進すること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小平委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣亀井善之君。
亀井国務大臣 ただいま法案を可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
    ―――――――――――――
小平委員長 次に、内閣提出、森林法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小平委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
小平委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、稲葉大和君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。中林よし子君。
中林委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党を代表して、森林法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    森林法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  林業の採算性の悪化等により、適切な管理が行われていない森林が増加する中、森林の整備及び保全の一体的推進と複層林施業の促進を図ることは、地球温暖化防止対策の観点からも極めて重要な課題となっている。
  よって政府は、本法の施行に当たり、森林の有する公益的機能が一層発揮されるよう、左記事項の実現に努めるべきである。
      記
 一 森林計画の見直しに当たっては、流域毎の森林の現況を的確に把握した上で、森林・林業関係者はもとより広く国民一般の意見を十分踏まえ、適切な内容となるよう努めること。
 二 全国森林計画に新たに位置付けられる森林の保全の目標その他森林の保全に関する基本的な事項については、治山事業をはじめとする森林の保全に係る施策の指標としての役割が発揮されるよう適切に定めること。
   また、森林整備保全事業計画の策定に当たっては、関係する公共事業計画との十分な調整を行い、その整合性を確保するとともに、成果目標については、分かりやすく明示すること。
 三 複層林施業の着実な推進を図るため、高性能林業機械の導入・技術開発、環境に配慮した効率的な路網の整備等に努めること。併せて、森林整備を着実に実施するため、「緑の雇用」等雇用対策を通じて、担い手としてふさわしい基幹的な林業就業者の確保・育成に努めること。
 四 国有林野事業については、森林の整備及び保全における民有林との連携を深めるとともに、財務状況の健全化に向けた取組みを一層強化すること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小平委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣亀井善之君。
亀井国務大臣 ただいま法案を可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
    ―――――――――――――
小平委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
小平委員長 次に、内閣提出、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案の両案を議題といたします。
 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣亀井善之君。
    ―――――――――――――
 食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案
 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
亀井国務大臣 食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 本法は、食品の安全性の向上と品質管理の徹底に対する要請を踏まえ、国際的にも推奨されている管理手法である危害分析重要管理点方式、すなわちHACCP手法の導入を促進することにより、食品の製造過程の管理の高度化を図るため、平成十年に五年間の臨時措置として制定されたものであります。
 本法のもとで、HACCP手法の導入に必要な施設の整備について金融・税制上の支援措置を講ずること等により、食品の製造または加工を行う事業者においても、この手法に基づく高度な製造過程の管理の考え方が着実に広まってきております。
 しかしながら、近年の景気動向の中で、新たにHACCP手法を導入するに際し、施設の改良等に伴う設備投資の面で課題が引き続き存在するとともに、最近における食中毒事故や食品への異物混入、さらにはBSEの発生等を通じて、食品の安全性の確保や品質管理の徹底に対する社会的要請は一層の高まりを見せております。
 このため、引き続き食品の製造過程の管理の高度化を促進する必要があり、本法について、事業者が作成する製造過程の管理の高度化に関する計画の記載事項に、運用体制の整備に関する事項を追加する等所要の見直しを行うとともに、その適用期限を五年間延長することとした次第であります。
 続きまして、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 平成十三年九月、我が国で初めての牛海綿状脳症感染牛が確認され、国民の間には牛肉に対する不安が広がるとともに、我が国の畜産業、流通業を初めとする関連産業に大きな影響が生じたところであります。
 BSEについては、長い潜伏期間を有すること等、他の家畜伝染病と異なる特徴を有しており、その蔓延を防止するための措置を的確に実施するためには、牛一頭ごとにその飼養履歴等に係る情報を一元的に管理し、BSEが発生した場合に過去の同居牛等を迅速に特定できる仕組みを新たに構築することが必要であります。
 また、牛肉に対する信頼を回復し、安心できる食生活を確保するためには、消費者に対し、牛の個体情報を積極的に提供し、牛肉がどの牛から得られたかを確認できるようにすることが必要であるとともに、このような体制を構築することが、表示偽装の防止にも資するものであります。
 このような状況を踏まえ、牛の個体の識別のための情報の適正な管理及び伝達に関する特別の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農林水産大臣は、牛個体識別台帳を作成し、牛ごとに出生年月日、移動履歴等を記録するとともに、その情報を原則として公表することとしております。
 第二に、牛の管理者等に対し、出生、譲渡等に係る届け出及び耳標の装着を義務づけることとしております。また、何人にも耳標の取り外し等を禁止することとしております。
 第三に、牛肉の販売業者等に対し、牛肉の販売等をする際に、牛の個体識別番号の表示及び帳簿の備えつけを義務づけることとしております。
 以上が、これら二法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
小平委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十二分散会


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