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第8号 平成15年5月13日(火曜日)

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平成十五年五月十三日(火曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 小平 忠正君
   理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
   理事 鮫島 宗明君 理事 楢崎 欣弥君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    青山  丘君
      荒巻 隆三君    石田 真敏君
      岩倉 博文君    岩崎 忠夫君
      梶山 弘志君    金子 恭之君
      北村 誠吾君    熊谷 市雄君
      小泉 龍司君    高木  毅君
      西川 京子君    宮本 一三君
      後藤  斎君    今田 保典君
      齋藤  淳君    津川 祥吾君
      筒井 信隆君    堀込 征雄君
      吉田 公一君    江田 康幸君
      藤井 裕久君    中林よし子君
      松本 善明君    菅野 哲雄君
      山口わか子君    佐藤 敬夫君
    …………………………………
   農林水産大臣       亀井 善之君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   総務大臣政務官      岸  宏一君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 鈴木 庸一君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 藤原 啓司君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  高原 亮治君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         遠藤  明君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房長) 田原 文夫君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (農林水産技術会議事務局
   長)           石原 一郎君
   政府参考人
   (水産庁長官)      木下 寛之君
   政府参考人
   (中小企業庁事業環境部長
   )            斉藤  浩君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三三号)


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     ――――◇―――――
小平委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長田原文夫君、総合食料局長西藤久三君、生産局長須賀田菊仁君、農林水産技術会議事務局長石原一郎君、水産庁長官木下寛之君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君、財務省大臣官房審議官藤原啓司君、厚生労働省健康局長高原亮治君、医薬局食品保健部長遠藤明君及び中小企業庁事業環境部長斉藤浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小平委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田真敏君。
石田委員 おはようございます。自由民主党の石田真敏でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず、亀井大臣には、突然の御就任、野球でいうとキャッチボールもせずに登板をされたような感じでございましたが、WTOの問題あるいは農政改革等々、大変な時期に御就任をされたわけでございまして、これから暑さも厳しくなってまいりますけれども、御健康には十分注意されて、日本国の農政のために本当に御尽力を賜りたいというふうに思います。
 それでは、案件につきまして何点かにわたって質問をさせていただきたいと思います。
 今回の案件、実は、御承知のように、さきの百五十五回臨時国会でも農薬取締法の一部を改正する法律案が成立をしたわけでございます。それで、この三月十日から、その改正された法律が施行されているということになるわけでございます。この議論の中でもいろいろな問題がございました。
 それで、まずお聞きをさせていただきたいのは、新しく改正をされたこの法律について周知徹底をどういうふうにこの三月十日以降されておられるのか、そのことについてまずお聞きをしたい。
 そして、この審議の中でさまざまな問題が指摘をされておりました、そのことについてどのように対処されたのか。
 さらには、そのことによって問題は起こっていないのかということについてもお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 そしてもう一点、三月十日施行後の状況の中で、想定外の、あるいは我々が審議をした以外の問題、新たな問題等については起こっていないのかについてお答えをいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 まず、前臨時国会におきまして、無登録農薬問題というものに緊急に対処するということで、無登録農薬の使用禁止、そのほか、登録された農薬も使用基準の遵守の義務化、それから登録を要しないような人畜に安全な特定農薬の指定等々の改正が行われました。改正後、直ちに各地域に職員を派遣いたしまして、改正法の趣旨、内容の説明会を開く、あるいはテレビ、新聞等を通じて施行内容の情報の提供ということに努めました。
 特に農家の方々に改正内容を周知徹底するということで、新聞社の協力を得まして、タブロイド版およそ四百万部を印刷いたしまして配布したということでございます。また、ホームページにも農薬コーナーを開設いたしまして情報を随時提供しておりますけれども、開設以来三カ月間で実に十一万七千件のアクセスがあったということでございます。
 私ども、補正予算等で農薬適正使用アドバイザーの育成というような支援も行っておりまして、現場の混乱がないように努めていきたいというふうに考えております。
 次に、その国会におきましていろいろな問題が指摘をされました。
 主なところで言いますと、前臨時国会のときに、無登録農薬等の回収命令を出すべきではないかというような点、それから農薬の登録と食品衛生法の残留農薬基準も同時に設定すべきではないかというような点、これらの点につきましては、今回の改正案に、現在まさに審議をお願いしているところでございますけれども、農薬の回収命令の規定あるいは厚生労働大臣に対する意見聴取を通じた食品衛生法との整合性の確保の問題、これはまさに改正の中に盛り込んでいるところでございます。
 その後何か新たな問題が生じているかという問題でございます。
 一つ、二つ例示を挙げますと、一つは、非農耕地用の除草剤の問題等がございまして、我々、経済産業省、環境省、厚生労働省と連携をしながら、不適正な販売が行われないように指導を行っているところでございますし、また、農家の方々からは、いわゆるマイナー作物、こういった問題に使用する農薬が非常に少ないということで、何とかしてほしいという要望が寄せられました。これに関しましては、経過措置を設けまして、現場で混乱がないような対応といったものに努めているところでございます。
 以上、状況でございます。
石田委員 ありがとうございました。
 施行後、これからもまだまだいろいろな問題が起こってくるんではないかというふうに私は思っておりますので、十分に注意をいただきたいなと思います。
 同時に、今回のこの改正では、農薬取締法以外の法改正もなされるわけでございます。特に、罰則を科すということになりますと、知らなかったでは済まないわけでございまして、そういう意味で周知徹底というのは特に重要だというふうに思います。
 と同時に、先ほど来、農業関係者ということでありましたけれども、農業関係者以外、どの範囲かというのは非常に難しい問題ですけれども、広く、できるだけ広い範囲の方に今回の法改正の趣旨を十分に御理解いただくということが、現場の混乱をなくしますし、あるいは要らぬトラブルをなくすということで非常に大事だというふうに思っておりますので、この国会で審議をされ改正された法律についてはどのように周知徹底方を図っていくつもりか、そのことについてお聞かせをいただきたいと思います。
亀井国務大臣 今回の食品安全基本法におきまして、農家を含む食品関連事業者の責務として、みずから食品の安全性の確保について第一義的な責務を有することを認識して必要な措置を食品供給行程の各段階において適切に講じていくことが規定されておるわけであります。今般の生産資材関係法の改正においては、これを踏まえて、生産資材の使用者である農家に対してその適正な使用の徹底等を図ろうとするものでありまして、肥料については使用基準の遵守等を法律上、義務として定めておるところでもあります。
 このような趣旨に照らしまして、使用基準等に違反した者を事後的に取り締まるよりも、生産者の皆さんに今般の法律改正の趣旨、内容を十分御理解いただくことが大変必要なことでありますし、使用基準の遵守等にしっかり取り組んでいただくことが最も重要なことであるわけであります。
 このため、本年二月から三月にかけまして、新たな食品安全行政を考える地方意見交換会を開催いたしまして、生産者、消費者の双方に今般の法案の内容について説明しておるところでもございます。
 また、この法案が成立をいたしました暁には、地方農政局、今般食糧事務所を改組して、地方農政事務所のほか、各都道府県、市町村あるいは生産者団体等の協力を得て、またインターネットや広報等あらゆるルートを通じて、生産者への周知徹底を図ってまいる考えでおります。
石田委員 ありがとうございました。
 それでは、先ほど局長の方から御答弁いただいた中にもございましたけれども、農薬のマイナー作物への対策ということについて少しお聞かせをいただきたいと思います。
 この問題につきましては、さきの委員会で金子恭之委員からも御指摘がございました。そのときに、グループ化の問題あるいは経過措置等について御答弁がなされたわけでございまして、私は、これはこれで評価ができるというふうに思っております。ただ、私の地元でございます和歌山県でもこの問題は非常に頭を痛める大きな問題になっておりまして、五十一作物について延べ三百件を超える農薬について経過措置を今申請しているわけなんです。
 それで、経過措置ですから期間中はいいわけですけれども、この期間中に農薬登録の申請をしなければならないということになってくるわけですが、お聞きをいたしますと、試験データをそろえるために一作物当たり二、三百万円かかるということが言われているわけでございます。商売になることであれば民間企業は一生懸命やっていただけるでしょうけれども、マイナー作物と言われるぐらい使用量が少ないということになってくると、メーカー側にこれを期待することは非常に難しくなってくる。
 ということになれば、農業者、生産者からいいますと、目の前にあるのは地方自治体ということになってくるわけでございまして、地方自治体に対する非常な陳情なりがなされるということは火を見るよりも明らかになるわけでございます。そういたしますと、地方自治体でこれだけのことが対応できるのかということも大きな課題になってくる。そのあたりを地方自治体側も心配をいたしておるようでございまして、国として、地方自治体あるいはメーカー、そういう関係者の中で一体この問題にどう対応されるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
    〔委員長退席、楢崎委員長代理着席〕
須賀田政府参考人 マイナー作物の経過措置の問題、二年間ほどの経過措置の間に、当面は農薬と作物の組み合わせで承認をするということで経過期間をとっているわけでございます。その経過期間中に我々としては登録をしてほしいということでございますけれども、先生おっしゃるように、確かに、マイナー作物でございますので、データをとるために費用がかかる等の問題がございます。
 私どもとしては、この問題に対処いたしますために、都道府県、地域ブロック、中央の各段階においてマイナー作物等農薬登録推進協議会といったものを設置いたしまして、相互に連携をしながら適用拡大に必要なデータの作成を行う、ある作物に対しまして違う作物の農薬を暫定的に使ってもいいよといった場合に、その違う作物のデータと新たに使う作物のデータをとって、それを相互に融通し合うというようなことができないかということでございます。
 そういう面の支援もしておりますし、それから、マイナー作物に対しましては、国と団体と都道府県が基金をつくりまして、その試験に必要な費用につきまして支援を行っていく。こういうようなことを通じまして、円滑に農薬の適用拡大が図られるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
石田委員 ありがとうございます。
 次に、有機配合肥料の問題についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 これも今地元で大きな問題になっておるわけでございます。といいますのは、有機配合肥料の原料確保ということが問題になっておりまして、これは、BSEの発症以降、肥料として牛の肉骨粉の使用が禁止をされた、そういう中で、有機配合肥料の原料として蒸製骨粉とか無機燐酸を代替材として使用するということが方法としてとられておるわけですけれども、牛の肉骨粉がまじったおそれのあるものは全量焼却処分というのが現状でございまして、そのために蒸製骨粉の原料が大変な品薄になっているというのが大きな問題でございます。
 有機にこだわっております単位農協が地元でも多いわけでございますけれども、そういうことで、蒸製骨粉の原料が大変な品薄のために肥料が大変なコスト高になってきているということになります。それで、現在はコスト高でも使用しているというのが現状なんですけれども、コスト高はちょっと困るということで、先ほども申し上げましたけれども、代替材として無機燐酸なんかを使用すると、これは有機質ではないということになってまいります。そんな関係で、地元で非常に悩ましい問題の一つになっているということであります。
 この問題は四月十一日付の日本農業新聞でも取り上げられておりまして、ちょっとリード部分を読ませていただきますと、
  農水省は八日に開いた検討会で、牛の肉骨粉などを含んだ複合肥料の出荷・販売の解除を見送った。有機肥料の主要原料になる蒸製骨粉の輸入も停止したまま。国産に限り蒸製骨粉の使用は認められているが、価格は上昇している。肥料メーカーや産地では、魚粉やナタネかすなどを代替原料にし対応している。農水省は、三月から代替原料として骨灰の利用を認めたが、「焼け石に水」「成分が違う」と、関係者はさめた目で見ている。
こういうのが私が聞いておる現状でございますけれども、農水省としてはこの現状についてどのように認識されておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 先生おっしゃいますように、骨粉、肉骨粉等を成分とする肥料、牛に誤用、流用のおそれがあるということで、一たん、一昨年の十月に製造、出荷の停止を行ったということでございます。
 その後に、先生の御地元でも盛んな果樹農家の方から、骨粉、肉骨粉には代替品がない、ぜひ肥料利用を解除してほしいという要請がございました。これはBSEの専門家等から構成をされておりますBSE対策検討会というところへおかけをいたしまして、去年の一月までにまずは豚と鶏等の牛以外の由来の肉骨粉等を解除いたしましたし、また、OIEが定めます高温高圧処理をいたしました牛由来の蒸製骨粉等についても解除いたしまして、飼料への誤用、流用防止のための措置を講じたものについては肥料として使ってよろしいということにしているわけでございます。
 まだまだそれで要望が強いところでございますけれども、何せこの問題、BSEリスクの問題でございますので、こういう骨粉等を肥料へ利用するということにつきましては、科学的知見といったもののほかに、やはり消費者の懸念というものを踏まえて対処する必要があろうということで、先ほど申し上げましたBSE対策検討会の意見を踏まえて検討していきたいというふうに考えているところでございます。
石田委員 ありがとうございます。
 今、御説明をいただいたんですけれども、一方では輸入が停止されているわけですね。それで、一方では国内の生産も順調にはいっていないというわけで、農業者にとっては、これは本当に困った問題になっているわけです。
 それじゃ、これから一体どうしていくのか、これから先はどうなるのかということなんですが、実は、この問題について四月二十日付の朝日新聞に載っておりまして、それをちょっと読ませていただきますと、農水省によると「BSE発生の恐れがないといえる状況になるまでには、牛に肉骨粉を八年間与えていないなど複数の条件がそろう必要がある。同省は「少なくともそれまでは肉骨粉を、作っては焼かざるを得ない」との立場だ。仮に発生の恐れがなくなったとしても、BSEと牛肉骨粉との因果関係がはっきりしない現状では、「市場に出せるかどうか、分からない」」と言っているわけです。ということは、国内生産でいうと見通しが立たないということに、この文章からくると読めるわけです。
 先ほど須賀田局長さんは、豚と鶏は牛と分けている、こういうお話をされました。ところが、実情を聞いてみますと、その製造者、肉骨粉を製造されている会社、そういう皆さんは、大体日本では牛も鶏も豚も一緒にやっているんですね、ラインが。それで、ここにその社長さんの言葉として、それを牛だけ、あるいは豚と鶏のラインというふうに分けると、新たなラインをつくるには数千万円が必要、うちみたいな零細企業には無理というふうに話をされているわけなんです。
 それで、もう時間がありませんのでまとめてお聞きしますけれども、まず一つは、蒸製骨粉の輸入という問題について、どういう状態であれば解除するのか、その見通しはいつごろなのか、お聞かせをいただきたい。
 それからもう一つは、国内での現状で、製造ラインを牛と、豚、鶏に分ければ、これは余り問題なくなるわけですけれども、新ラインの製造費用が高くつく。それじゃ、農水省としてこの問題を一体どうするつもりなのか。新しいラインをつくる費用と、あるいは何年間もこれから今のままではつくれないという、そういう費用対効果を比較した場合に、農水省としてはどういう立場をとられるのか。これはやはり現場で非常に困っているという立場から、改善策をぜひお聞かせをいただきたいというふうに思います。
須賀田政府参考人 ただいま二つお尋ねでございました。
 まず、蒸製骨粉の原料の輸入の問題でございます。
 これは一つは、やはりBSEの発症のメカニズムというのが完全に解明をされていないということがございまして、完全に安全だということが言えるかどうかという科学的問題が一つございます。それからもう一つは、現在私の方でやっておりますけれども、諸外国のBSEのステータス評価、どの程度危険性があるかということを国別にやっているわけでございます。
 両方を踏まえる必要があろうかと思っておりまして、先ほど先生、朝日新聞の記事を引用されました八年間云々というのは、これはOIEに決められております清浄国になるための要件でございますけれども、それ以外に、今のような科学的な問題と、それからステータス評価の問題を組み合わせまして、やはりここは、先ほど申し上げました専門家の意見ということを聞いていく必要があろうかというふうに思っております。
 それから、レンダリングの実態といたしまして、特に牛と豚は同じように製造をしているということがございますし、鶏につきましても、牛の肉骨粉と分別して製造されることが確認できるものに限って肥料、飼料の利用を認めていくということにしているわけでございます。
 それで、私ども、豚、鶏の副産物と牛の副産物を原料段階から分別して処理するということが大事だと思っておりまして、この補助事業を仕組みまして、そういう豚、鶏と牛とのラインを分けるための措置につきまして補助をしていきたい。それから、小規模の方については、自分のところは豚、鶏、自分のところは牛というふうに、中の話し合いで役割分担ができないかということについても話し合っていただいているところでございまして、そのような対応を通じまして、分別処理ということを進めていきたいと考えているところでございます。(石田委員「輸入は」と呼ぶ)
 輸入の問題は、冒頭申し上げましたように、外国のステータス評価と科学的に安全かどうかの評価を見ながら、輸入をどう扱うかを決めていきたいというふうに考えているところでございます。
    〔楢崎委員長代理退席、委員長着席〕
石田委員 余り前向きでもなかったかなと思うんですが、現場は困っているんですよ。だから、現場が困っているんだから、ではどうしたらいいかということを、現場の人も、ああ、農水省ここまで頑張ってくれるのか、そのような、お互い意気に感じるような対応というものを、やはり積極性というものを出していただかなければ、私は現場は納得しないんじゃないかなというふうに思います。そういう意味で、今後、この問題について、重要だということで御認識をいただいた上で、一日も早い対応策を御検討いただきたいと思います。
 時間がないので次に進みますけれども、食品トレーサビリティー等に伴うコスト増ということで申し上げます。
 農薬の使用基準、記帳を義務化ということ、あるいは今回のいろいろな関連法律でもそういうことがうたわれておるわけでございます。このこと自体、生産者にとっては大変な手間といいますか、苦労だというのは、もう今既にそういう声が上がっておるわけです。
 しかし一方、消費者がどういうふうに考えているかというと、消費者はやはり、情報としては、農薬あるいは肥料の使用量とか回数、そういうものについてぜひ知りたい、今そういう声になってきている。そして、消費者がそうであれば、小売店は当然それに対応したものを生産者へ求めてくるということになるわけでございまして、これはこれで私は時代の要請だというふうに思っておりますし、資料なんか見せていただきますと、JAなんかも、生産履歴記帳運動を進めるというようなことで、積極的に対応しようとされているということについては私は評価をいたしているわけです。
 ただ、懸念されるのは、生産現場とかあるいは卸、仲卸、小売の現場などでどれほどの負担が出てくるかということだと私は思います。
 そういう意味で、五月五日の日経新聞に、こういうふうなことが生産者ではあるんです。「「取引先ごとに提出書類の仕様が違う。畑や栽培管理情報は個々の要求通りに書き込む必要がある」。取引先が増えるほど書類の山と事務コストがかさむ。」これが私は現場の偽らざる状況だろうというふうに思います。
 そしてまた、実際問題、卸とか仲卸なんかでも、御承知のように、取引形態というのはさまざまありますね。箱詰めもあればパック詰めとか、そういうものがいっぱいある。あるいは小売店でもそうです。いろいろな作物が入りまじってくるわけですね。そういう中で一体このトレーサビリティーをどうしていったらいいのか、これは私は現場の非常に大きな問題になってくるというふうに思うわけです。
 そこで、時間がないのでまとめて質問いたしますけれども、こういう懸念について農林省はどういうふうに対応されるつもりか。
 それともう一つは、これは私は大きな問題だと思うんですが、特に大手の小売業者などがほかの小売業との差別化を図るために過当競争的に厳しい複雑な仕様というのを生産者なんかに要求するということが十分考えられるわけですね。これは過重負担に一方からいえばなってくる、その場合に大変なコスト高になるということで、一定の統一基準とかあるいは統一仕様というようなものを考える必要があるんではないかな。
 それともう一つは、これは大手小売業者の場合は、ほかの商品でも、衣料とかいろいろな商品でもありますけれども、生産者にそのコストを押しつけるという場合が非常に多いわけです。ですから、これに伴う負担についても、行政、生産者それから流通加工業、そして消費者、一体どういう形で負担を分け合っていくのか、これも考えていかないと、やはり一番弱いところに押しつけていかれるということになるんではないかなというふうに思います。
 そしてもう一点、国内産品については一連の食品安全関連法によって食の安全確保が大きく踏み出すと思いますけれども、輸入食品については一体どのようになるのか、お答えをいただきたいと思います。
西藤政府参考人 お答え申し上げます。
 トレーサビリティーシステムの導入に当たりまして、先生御指摘のとおり、生産情報の記録、記帳、管理、またその伝達のために一定のコスト、形態によって区々でございますが、現在そういう一定のコストがかかるのは御案内のとおりでございます。私ども、このコストについては生産者、食品事業者がその経営内で吸収する努力をしていただくということが重要だと。他方、先生も御指摘のとおり、消費者がそういう情報を非常に欲しているという状況の中で、食品の由来がわかることに対する消費者の信頼が確保されている、そういうことを通じて売り上げが増加するというようなことを通じて吸収できる場合もあるというふうに考えております。
 しかし、取り組み主体がトレーサビリティーシステムを導入するに当たっては、生産、流通の履歴が明確にされた食品の供給への消費者の要望にこたえるんだというのが第一の目標でございますので、その本来の目的に即して、先生、今御指摘ありましたような、いわば過大な履歴情報を求めることがあっては、これはこぼしてしまう話にもなっていくわけですから、情報の追跡、遡及のレベルと必要なコストとを相互に比較しながらみずからのシステムを構築していくということが重要なんだろうと思っています。
 私ども、こういう状況の中で、私どもも手探り状況でございますけれども、十三年度、十四年度、いろいろな事例、実証を実施してきております。そういうことも踏まえて、今後自発的に取り組まれる取り組みの参考になるということで手引をつくらせていただいて、これは私どものホームページでも公表させていただいております。コストの事例、内容等についても、こういう事例ではこうだったということを紹介させていただいております。
 いずれにしましても、トレーサビリティーシステム、食卓と農場を結ぶ顔の見える関係の構築ということで、生産者、消費者の相互の信頼関係の醸成に役立つということでございますので、私ども、自主的な取り組みが行われることを基本に必要な支援、十五年度も予算措置させていただいておりますが、必要な支援を継続していきたい、行っていきたいと思っております。
 一方、御指摘の輸入食品についての対応でございますが、生産現場が当然のことながら海外にあることから、その生産あるいは国内までの流通履歴の把握、情報の正確な伝達をどのようにしていくかという国内以上に課題がございますが、国内での取り組みと同様、生産者や輸入、流通業者の自主的な取り組みという形で取り組んでいただけることを期待いたしております。そういう点では、特別の差別、差はないわけですが、いずれにせよ、先ほど申しました手引書なり、あるいは私どもセミナーも開催させていただいております。そういうことを通じて情報提供を行っていますし、行っていきたいというふうに思っております。
石田委員 ありがとうございました。
 時間ですので終わります。ありがとうございました。
小平委員長 次に、筒井信隆君。
筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
 今審議されております食の安全に関して、一つは抗生物質の問題がございます。まず、その関連でお聞きをいたします。
 抗生物質を使いますと、薬剤耐性菌といいますか、抗生物質に耐えて生き延びる、そういう菌が生まれてくるんだ、こういう指摘が学者からもされております。農水省もその薬剤耐性菌の発生の状況について調査をしていると思いますが、その調査の中身と調査結果、これをまず教えてください。
須賀田政府参考人 抗菌性飼料添加物の問題でございます。
 過去におきまして、先生言われるように、耐性菌の問題として問題が指摘をされました。この問題に関しまして、過去、たしか二種類の指定を取り消したということでございます。そして現在、まさにこの問題に対処するために審議会で見直しを検討中でございまして、審議会においてこの耐性菌の問題を含みます抗菌性製剤の問題を取り上げて検討をこれからしていくという状況でございます。
筒井委員 いろいろな菌が言われているわけで、黄色ブドウ球菌とか、私は素人でよくわかりませんが、そういうものは抗生物質にも耐えて生き延びることができるという、抗生物質を使用したためにそういうのに耐える耐性菌が生まれた、これは調査結果としては事実なんですか、それともまだはっきりしないんですか。
須賀田政府参考人 この問題でございます、過去において、たしか人用のバンコマイシンという抗生物質が取り上げられまして、それが耐性菌をつくるということが指摘をされました。それの関連におきまして、先ほど申し上げました二種類の添加物というものを取り消したという経緯がございます。
 実は、詳しいメカニズムというものがまだはっきりとわかっておりません。確かに先生言われますように、危険性といたしましては、飼料に含まれておる、それを食べた家畜の食肉等の中に残留する、それを人が食べる、そういうことによって、残留しておれば人に耐性菌が生じまして健康の問題につながるという問題でございます。たしかEUは二〇〇六年に全部これをなくそうということを決めているというふうに聞いておりますが、私どもは、それを踏まえまして、現在、専門家に検討をお願いしているという状況でございます。
筒井委員 二種類の抗生物質を飼料添加物として使用することを禁止した、こういう趣旨ですね、今の二種類というのは。それは薬剤耐性菌を発生させるからという理由による、そういうことですね。結論だけで結構です。
須賀田政府参考人 そういう可能性があるということで、平成九年にアボパルシンというのとオリエンチシンというのを取り消したということでございます。
筒井委員 それからもう一点、今の確認なんですが、EUは二〇〇六年から全部なくするというのは、抗生物質を飼料添加物に使用することを全部禁止する、こういう決定ということですか。
須賀田政府参考人 EUは、成長促進目的の抗菌性飼料添加物の使用を二〇〇六年までに中止するということを平成十四年の十二月の農相理事会で決めております。
筒井委員 抗生物質の使用が薬剤耐性菌を発生させるという問題と、もう一つは、先ほどちょっと須賀田局長言われましたが、残留問題もある。結局、その耐性菌あるいは抗生物質が、ブロイラーとか豚とか牛とか、その肝臓等体内に残留するんだという残留調査も農水省はやっているようですが、残留するんだという結論ですか。それもまだはっきりしないんでしょうか。
須賀田政府参考人 調査はしておりますけれども、まだ中身の取りまとめを行っていないということでございます。
 この問題、家畜の健康の問題もございますけれども、一番問題になりますのは、やはり人の医療に影響を及ぼすような薬剤耐性菌を発生させる可能性があるものについての見直しが大事だという認識で取り組んでいるところでございます。
筒井委員 耐性菌を発生させる可能性があるので二種類禁止したし、EUはそういうふうにもっと大幅に禁止しようとしている。
 もう一点聞きたいのは、当然残留するんだと思うんですが、抗生物質が家畜の体内に残留する、そういう報告が幾つか出されていると思うんですが、農水省の調査でも残留の可能性は高いという結果なのか、今まだわからないということでしたか、今の答弁は。
小平委員長 須賀田生産局長、答弁早くしてください。
須賀田政府参考人 正確に申し上げますと、残留というのはかなりわかっているわけでございますけれども、それが耐性菌を発生させるかどうか、そこの点が、まだメカニズムがわからないところがあって、取りまとめていないという状況でございます。
筒井委員 今の答弁は、抗生物質が豚あるいはブロイラー等々家畜の体内に残留する、これはわかっている。それは今、答弁言われましたね。それはよろしいんですね。
須賀田政府参考人 幾つかの抗生物質についてはそういうものはわかっておるところでございます。引き続き、また調査を進めております。
筒井委員 それから、もう一点だけ確認したいんですが、抗生物質を使用したことによって発生した薬剤耐性菌も家畜の体内から検出された、検出される、これも事実ですね。
須賀田政府参考人 私の方ではそこまではわからないんですけれども、厚生労働省等と連絡をしながらその問題、要は、どこまでその可能性が強ければ取り消すべきかという問題でございますので、やはり科学的に専門家にそのところは検討をお願いしているということでございます。
筒井委員 薬剤耐性菌を抗生物質の使用によって発生させる、これはそういう可能性が強いということは言われた。抗生物質が飼料添加物の中に入れられると家畜の体内に残留する、これも言われた。耐性菌に関して、その発生した耐性菌が家畜の体内に残留するかどうかはわからない、結論的にはそういうことですね。
 まさに、安全性の問題そのものなんですよね。今、わからないということですから、疑わしいということですね。そのわからないという状況、今現在もそうだという、これ自体、農水大臣、どうですか。
 EUはそういうふうにはっきり方針まで決めている、日本もずっと食の安全がこれほど今関心の対象になっている、まだ耐性菌がどうなっているのかわからないという状況について、農水大臣、どう思われますか。
亀井国務大臣 EUは、成長促進目的の抗菌性飼料添加物の使用を二〇〇六年までに中止を決定、こういうことでありまして、今、その科学的根拠に基づき、抗菌性飼料添加物の指定、この見直しを目下、先ほど来生産局長答弁しておりますとおり、検討しておるところであります。
筒井委員 大臣、私の質問に全然答えていない。そういう食の安全にまさにかかわる重要な問題、前から抗生物質の問題が言われているわけですよ。薬剤耐性菌も言われているし、残留の問題も言われているし、これらについて、現状、先ほど須賀田局長が答弁された問題について、これではちょっと不十分きわまりないんじゃないかという指摘なんです。それについて大臣はどう思われますかという質問です。
北村副大臣 若干専門的なことでございますので、補足をさせていただきたいと思います。
 抗生物質が残存するということは、それはあります。しかし、それが直接人体、我々が食にしたときに影響を与えるかということの基準というものについては、またこれは別な問題であります。
 それから、耐性菌が残るかどうかということについても、私はあると思います。しかし、その量あるいは基準というものが、これ以上耐性菌が残っていたものを食べれば例えば人体に影響するかどうかということについては、まだ一定のきちっとした基準がないということであって、そのことについて、つまりリスク評価をきちっとしようということで、今まさしくその研究をしながらデータの蓄積をしているということであります。
筒井委員 今、獣医さんでしたか、専門家だけあって、一つは薬剤耐性菌が残留する、それは言われた。それから、抗生物質が残留する、それも言われた。しかし、それがどういうふうに人体に影響を与えるのか、これはまだ、そのシステムはよくわからない、いいのか悪いのかよくわからない、現在そういう状況だということですね。そうならそうと結論だけ。
北村副大臣 今、そのことについて解明を急いでいるところであります。
筒井委員 いろいろな研究では、極めてそれが人体に害を与える、そういう指摘もあるわけでございまして、その関係で、そういう危なっかしい抗生物質について、これがもし使ったって効果がないのならすぐやめるべきなんですよ。
 その効果があるのかないのかということに関しての報告書がどうも農水省にあるようですね。九一年の三月に出されました報告書で、抗生物質の使用によって基本的に成長には変化がない、使用した場合、使用しなかった場合、余り効果がなかったという報告書が九一年の三月、報告書の中にそういう記載がありましたね。その点、確認したいと思います。
須賀田政府参考人 新聞で取り上げられた問題でございます。
 抗生物質の飼料添加物は二つの調査をしております。一つが食肉への残留等安全性に係る試験、もう一つが成長促進効果、いわゆる効果に関する試験、二つやっておりまして、いずれのデータも農業資材審議会にお出しをして、安全性と効果についての検証をしてもらって、効果がなければ取り消す等の手続をとるという仕組みになっておりまして、この新聞で報道されましたこれは、そのうちの安全性に係る試験を委託調査に出していたものでございます。
 安全性に係る調査でございますので、投与したものとそうでないものがどの程度残留試験として効果を満たすかということで、前提条件として、添加物を投与したものとそうでないものとの、これは豚でしたけれども、体重の増減があったかということで、投与したものとそうでないものとそんなに差がなかったということで、残留試験の測定効果を見るに足る条件を満たしていたということでございます。
 この添加物の成長促進効果の実施の方は別の試験で行っておりまして、その試験によりますと、一定の効果が認められたということでございまして、添加物を投与した方の飼料効率の方がよかったということで、そちらの方は一定の効果が認められているということでございました。
筒井委員 私が聞いているのは、だから、この九一年三月に出された報告書では、成長促進剤として使われた抗生物質は、成長促進としては効果がなかったという報告を出しているわけですね。その事実を確認しているんです。ほかのいろいろな説明を今されましたけれども、そのことは事実ですね。
須賀田政府参考人 成長促進効果、これはこの報道された試験ではやっておりません。別のところでやっておりまして、ちゃんと認められております。
筒井委員 須賀田局長、私の質問にちゃんと答えてくださいね。この報告書には、成長促進効果はなかった、こういう報告が出されておりますね、そういう質問なんですよ。成長促進効果の調査は別なところでやっているとかなんとか、そんなことを聞いているんじゃないんです。この九一年三月の報告書、ここで、成長促進剤として使われた抗生物質に成長促進効果はなかった、そういう報告はされておりますねという質問なんです。
須賀田政府参考人 申し上げますと、この試験をやった抗生物質を給与した家畜と給与しなかった家畜におきまして、飼料要求率、添加物を投与しなかったものについては飼料要求率二・二四から二・二九、添加物を投与したものが二・一四から二・三六、これは低いほどいいんです、飼料要求率がいいということでございますので。非投与の方が二・二四から二・二九、添加物を投与した方が二・一四から二・三六ということでございまして、残留安全性の試験をする前提条件としてその前提条件を満たしていた、そういう結果でございます。
筒井委員 私の質問に答えてくださいね。では、厳密に文書の記載で聞きますが、こういう記載がこの報告書では出されておりましたか。
 ブロイラーについては、抗生物質の無添加と添加に著しい差は認められず、いずれも順調な発育を示した。それから、豚の方については、発育にやや差が見られるが、一定の方向性は認められない。こういう記載がその報告書にあったかなかったか。
須賀田政府参考人 どこをお読みで……。
 ブロイラーのところでは、増体重、飼料摂取量及び飼料要求率のいずれについても、無添加区と被験物質添加区との間に著しい差は認められなかった等々と書いてございます。
 だから、先生、これは安全性の試験をする前提ですから、これがメーンの試験じゃないわけですから。
筒井委員 いや、そんな説明はいいですから。
 要するに、私が言っているのは、この報告書、研究機関に農水省が委託して出された報告書で、その中ではっきりと、抗生物質の添加、無添加に差はなかったという報告が出された。頼んだのは別の調査かもしれませんよ、農水省が。そんなことを聞いているんじゃないんですよ、私は。この報告ではっきり、差は見られなかったという報告が出されたでしょう、こういう質問なんですよ。その報告書の記載そのものを言っているので、それをどう解釈するかはまた別の問題ですよ。
 まず、報告書にそういう記載があったことは事実でしょう、何回も聞きますが。ほかの説明は要りませんから、そういう記載がなかったのならなかった、あったのならあったと認めてください。
小平委員長 須賀田局長、簡潔に、明快に答弁を。
須賀田政府参考人 ありました。
筒井委員 初めからそう言ってくれれば時間を、私、もう一個質問する時間がなくなっちゃった。
 先ほどから言っているように、抗生物質の使用がいろいろな問題を指摘されている、人体への悪影響があるのかどうかまだわからないというさっきの副大臣の説明だった。しかし、学者によっては、研究機関によっては、明確に悪影響があると言っている。これがもし、この報告書で記載されているように、使ったって効果はないよということであるならば、これはまさに大きな問題ですよ。そんなのは使わなきゃいいんだ、危ないものは。
 しかし、この報告書を農水省は九一年三月に受け取っておきながら、ずっと公表してきませんでしたね。その事実、公表に関する事実だけ。
須賀田政府参考人 このデータは、農業資材審議会におかけするデータでした。当時、農業資材審議会の議論は非公開でございました。
 そういうことで、いわゆる公開か非公開かでいいますと、非公開でございました。ただ、秘匿する意図はなくて、問い合わせに応じてお見せするという状態にしておいたものでございます。
筒井委員 問い合わせといったって、私に対してもそう答えたんだけれども、こういう報告書があることはわからないんだから、問い合わせしようがないじゃないですか。
 農水省は税金でこういうのをやはり費用をかけてつくっているんでしょう。それで、重要な問題でしょう。抗生物質を使っているけれども、それが効果があるのかどうか、抗生物質の危険性というのはいろいろ指摘されているんだから。それを、問い合わせがあったら見せますなんて、これからもそういう方針ですか。そんな方針はおかしいでしょう。
 こういう重要な問題はきちんと、私は、これだけで、全部この報告書に従えなんて言っているんじゃないですよ。しかし、この報告書もそういうふうに出された限りは、国民に公表して、議論の材料に供するべきでしょう、積極的に農水省の方で。それが消費者の立場に立った農水省の方針なんじゃないですか。もう一回言ってください。
須賀田政府参考人 まず、先生に成長促進効果の報告書の方もお届けしたいというふうに思っております。
 それから、おっしゃるとおり、当時はホームページとかそういうのはございませんでした。そして今、審議会は公開でございます。我々としては、こういうデータはどんどん公開をしていきたい、当時の分を含めまして公開をしていきたいという方針に現在なっております。
筒井委員 九一年三月というと、ちょうど、あの七頭ですか、BSEが発生した牛が生まれた当時ですわね。あの当時もいろいろなそういう農水省の問題が指摘された。しかし、これに関してもそのころで、まさにずっと、隠したつもりはなかったと言うけれども、結果的には隠したんですよ。だって、国民はわからないんだから。(発言する者あり)九一年三月だから、ちょっと違うか。失礼。ちょっと違いました。そっちの方は撤回します。
 ずっと今まで、だれも国民は知らなかったんですよ。隠すつもりがなかった、問い合わせがあれば公表したといったって、問い合わせしようがないでしょう、こっちはわからないんだから。そういう報告書が出された場合には、直ちに積極的に農水省の方から公表する、国民に知らせる、こういう方針にすべきでしょう。(発言する者あり)今やっているんですか。では、この点は反省して、これからは全部公表すると。もう一回、大臣にちょっとその点。
亀井国務大臣 今のお話、当時の非公開というような規定もございました。農業資材審議会の飼料分科会、分野別の課題につきまして検討を行う部会におきましては、公開で開催されておるわけでありまして、提出される資料についても公表扱いとしているわけであります。今後は、これらの資料や報告書等につきましては、積極的にわかりやすく公表するなどの対策を講じてまいりたい、こう思います。
筒井委員 何かわけのわからない答えだけれども、須賀田局長以上にわけのわからない答えだけれども、時間がないので……(発言する者あり)明快ですか。そうですか。では私、よく聞かなかったのかな。
 もう一点の方も聞こうと思っていたんですが、四頭目のBSE発生の際に生体検査をした獣医の人、若い女性ですが自殺をいたしました。この問題について本当は中心に聞こうと思っていたんですが、時間がなくなりましたので、二点だけ確認をしておきたいんです。
 この人の場合、生体検査は目でやるようですが、当時は一人でやったんですね。
須賀田政府参考人 この方は、と畜検査員だったわけでございますけれども、お一人で当時やられたというふうに聞いております。
筒井委員 一人でやったこと自体が大体間違いですよね。これは、二人でやっていればこういう悲惨な結果にならなかったかもしれない。当時は一人だったようですが、その後それは変わりましたね。複数で生体検査をやることになりましたね。いつから、どういう理由でそうしたのか。
須賀田政府参考人 この事件の後、厚生労働省も私の方も、地域で連絡協議会をつくって、一人に過重な負担を負わせないようにという通知をいたしまして、体制が整えられたというふうに聞いております。
筒井委員 それからもう一点は、この自殺された方の父親が、BSE同居牛について処分する、この処分のあり方について、農水大臣、厚労大臣あてに、これを変えるべきじゃないか、BSE同居牛を殺処分にするという方針は間違いじゃないかという意見書を出したそうですが、それは二人の大臣に届いていますか。時間がないので同時に、それに対する返答はいたしましたか。
須賀田政府参考人 事実関係を申し上げますと、この方のお父様が鹿児島県の金峰町の町議会の方へ、BSE発生農家の全頭殺処分というのを出しまして、厚生労働大臣、農林水産大臣あてには、その町議会から意見書という形で来てございます。
 そして、この方のお父様の、BSE発生農家の全頭殺処分の撤回ということは、まさに疑似患畜の見直しの問題でございますので、今度のOIEの総会に、国会の了承が得られれば北村副大臣が出席をして、この問題を扱うという状況になっております。
 そのほかの問題についても、いろいろ対応をすることとしております。
筒井委員 そうすると、町議会を通じた陳情書が出されただけで、父親本人からの手紙は両大臣に来ていないということですか。――ああそう。
 それで、処分の問題なんですが、このときの牛は、ほかの牛から完全に隔離されて処分された、こういうふうにどうも公表されているんですが、実際は、この牛は、一部はほかの牛と管理がごっちゃになったんじゃないですか。それで、それについて虚偽の報告をするように求められたという経過があるんじゃないですか。それも自殺の一つの原因なんじゃないですか。まとめて全部聞きます。
須賀田政府参考人 私どもが聞いている事実でございますが、この四例目のBSE感染牛の一部が、先生言われる解体後にほかの牛と一緒に処理されたんじゃないか、新聞でそういう報道がなされておりました。
 しかし、一般的に、屠殺後、まず内臓は、個体管理されることなくほかの牛と一緒に数頭分まとめて保管する。それで、BSE陽性の場合には一括して焼却して差し支えないという指導が厚生労働省からされておりまして、この牛の内臓も、他の牛の内臓とあわせて保管をされていた。そして、この内臓を含めまして、当該牛の屠体等は焼却をされた。この焼却の際には、と畜検査員による指示があり、私の方の家畜防疫員も立ち会って確認をしているということで、当該牛の処理は適正に行われたというふうに聞いております。
 この方は、牛が屠畜場の病畜ラインの方に搬入されたんですけれども、生体検査の段階でBSEと診断できなかったことを大変悔やんでおられたというふうに私は聞いております。
 この問題は、現在、労災ということで北海道の衛生部局、地方公務員災害補償基金北海道支部において事実関係の確認が行われておりますので、そこで明らかになるんじゃないかと思います。(筒井委員「うそをつけと言われた点については。虚偽の報告を、その処分方法について」と呼ぶ)そういうことはなかったというふうに聞いております。
筒井委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。
小平委員長 次に、後藤斎君。
後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。
 本日は、食品安全基本法を踏まえた法律改正ということでありますが、今週にも参議院で最終的な結論が出るということで、まだ未定稿という中での議論に一部なりますが、よろしくお願いをしたいと思います。
 幾つか法案が一緒にかかっております。その中で、この委員会でも何度となく御指摘をさせていただきました組織の問題について、私は冒頭御質問を申し上げたいと思います。
 昨年、いろいろな組織の改正案も含めて農水省を中心に御検討をなされて、今回、消費・安全局の新設、食糧庁の廃止ということで、組織の大きな第一歩を踏み出そうとしております。ただ私は、従来から御指摘をさせてもらっておりますが、消費・安全局を新設したからといって、抜本的な消費者行政、消費者保護に軸足を置いた安全行政の徹底ということが本当に確立できるかということは、大変まだ疑問であります。
 昨年も何度か御質問した中で、この問題というのは、本当に農林省全体が地方組織も含めてその意識を共有し、新たな農政の大転換を目指す、その気持ちが本省、地方組織含めて一でないとだめだというふうに私は思っております。消費・安全局が新設をされたからといって、ここがリスク管理を担うわけですが、それでは生産局や経営局、農村振興局といった従来からの局との連携というものも、もちろん法案のフレームだけ見てもまだその部分は明確ではございません。
 今、本法が制定をされて以降、省令も含めて具体的な課の設置や中身について御議論をしていくという話はお聞きはしておりますが、従来から私どもが委員会で御指摘をした部分が本当に反映されるかということも含めて、今回の農林水産省の組織という点の再編について、今後の対応の仕方について、まず御質問をしたいと思います。
田原政府参考人 お答えいたします。
 今回の設置法の改正案ということで出しております趣旨は、これは先刻先生方から御指摘いただいておりますBSEの問題あるいは無登録農薬の問題、こういったことを踏まえまして、消費者に軸足を移したといいますか、そうした食の安全に対する取り組みということを農林水産行政の主眼に置こうという趣旨で、設置法、これによりまして、消費・安全局の設置でございますとか、あるいは地方段階におきましては地方農政事務所ということで、食品の安全のリスク管理、こういったことも担っていこうというものでございます。
 ただ、先生ただいま御指摘されましたように、ただ単にこういう組織をつくるということだけでは、消費者の方々に安全で安心なものを供給することが達成されるというものでないのは、まさに御指摘のとおりではないかというふうに考えている次第でございます。
 現在、私ども、仮称でございますが、食の安全・安心のための政策大綱という形で、消費者を初めといたしました国民各界各層の方々の御意見をちょうだいしながら、そうした大綱の取りまとめということに取り組んでいるところでございますけれども、いずれにいたしましても、こうしたことによりまして、消費・安全局のみならず、省内全体が、産業振興部門をひっくるめてでございますけれども、食の安全、安心には取り組んでいかなきゃいけないということで、当然中心となりますのは消費・安全局ということになりますけれども、省内全体でこうした食の安全、安心に向かった政策の重点化、こういったことに取り組んでまいりたい、かように考えている次第でございます。
後藤(斎)委員 今官房長が、これからの方向のある意味では一つの指針的なものも含めて、BSEの問題はもちろんですが、先ほど来御指摘があるような無登録農薬の問題も含めた、昨年来の方向づけということをお話しされました。
 昨年の十一月二十日、当委員会でも私が同趣旨の問題意識を当時の大島農水大臣にお話をしたところ、大島大臣からは、今官房長が御指摘をしたものにプラス、要するに、国民にわかりやすい、そして実行段階において信頼をいただく仕組み、それに政策全体に消費者というものを念頭に置いた政策体系にしていかなければならないということを冒頭にお答えをいただいております。
 大臣、今官房長がお話をした部分も含めて、前大島大臣のこの問題意識も含めて、多分共有をされていると思うんですが、大臣自身のこれからの方向づけについて御質問を申し上げたいと思います。
亀井国務大臣 今回の組織の再編、このことにつきましては、いろいろ経過、またBSEの問題等々、いろいろ反省の上に、また時代の要請、消費者ニーズにこたえなければならない、こういういろいろなことがあるわけでありまして、そういう面では大きな組織の再編でありますし、農林水産省挙げて、消費・安全局、それが本省だけでなしに地方まで、そしてまた各都道府県の御協力をちょうだいいたしまして、それらの目的が完全に遂行できるような努力をさらに進めていかなければならない、またそのように指示をして頑張ってまいりたい、こう思っております。
後藤(斎)委員 そんな中で、今回は、農業生産資材の関係についても、設置法とあわせて今議論が進められております。
 きょう、農薬を中心にちょっと御質問を申し上げたいと思いますが、昨年の七月、当初、山形県で無登録農薬の問題が見つかり、その後行政処分も含めたいろいろな対応をし、昨年の十二月には農薬取締法の改正ということで新しい方向づけが見出され、今回新たに、回収命令も含めて、政府案でもその対応がされようとしております。
 当時、九月の閉会中審査、その後の十一月の質疑の部分も含めて、幾つかまだ明確になっていない点について、質問通告をしていないのですが、非常にシンプルなことなので、冒頭にお聞きをしたいと思います。
 当時、私が、九月の二十四日だったと思いますが、閉会中審査の中で、当時の遠藤副大臣から、農水省も一年間知らなかったんだ、ただ山形県庁にはその通知は既にあったんだという話がありました。その後、十一月の、当時の鉢呂議員からの質問に対しては、農水省には来ていたけれども、大臣までは上がっていなかったんだというふうなことがございました。事実関係はどちらが正しかったんでしょうか、生産局長にお尋ねをしたいと思います。
須賀田政府参考人 十三年の八月に、山形県の農林部局から、私の方の農薬取り締まり部局、担当者同士でございますけれども、連絡がございまして、無登録農薬が販売されているといううわさがあるという情報が来ました。たしか、私の方の担当者は、徹底的に調査してその結果を報告してもらいたいという指示をしたわけでございます。たしか、その後、紆余曲折あったわけでございますけれども、山形県がいろいろ調査をいたしましたけれども、結果、わからなかったということになりました。
 この辺、もう少し危機管理意識を持って取り組んでいたら、もっと早く押さえることができたんではないかというふうに考えております。
後藤(斎)委員 今局長が最後にした部分が、まさに当時の武部大臣、遠藤副大臣の共通の認識だったことだったと思います。
 BSEの縦割り行政、国と県の連携不足という点が九月にあれだけ大きく世の中に出てきたにもかかわらず、また局長がいみじくもお答えになった、その一カ月ほど前に山形県と少なくとも農林水産省の担当者とはいろいろな話し合いをした、それが、局長はどうかわかりませんが、少なくとも大臣や副大臣にはきちっと伝わっていなかったというのは、BSE当時から担当しておった遠藤副大臣が、九月の二十四日、私の質問に答えて、私も知らなかったというふうに多分お答えになったと思います。
 そこで、今回の農薬取締法の改正の中で、回収命令をしたり、昨年の改正も含めて、都道府県知事にも農林水産大臣と同じような検査監督の権限をきちっと与えるように改正をされたところであります。それによって、先ほどお尋ねをしたようなことは、知事がきちっと監督命令を出せるということで一年、二年放置をされているという事態はなくなるんでしょうか。
須賀田政府参考人 当時、農薬取締法に基づきまして国が立入検査に入る場合というのは、都道府県を越える販売業者あるいは都道府県から要請があった場合にという考え方でございましたために、山形県からは、県内の販売業者であったために、国は出動しなかったということでございます。そして、先生まさに言われましたように、当時、県に処分権限がなかったということも、県がまじめに本腰を入れて取り組まない理由の一つになったのではないかというふうに考えておりまして、その反省を踏まえまして、かつ農薬取締法の昨年来の改正経過を踏まえまして、販売業者に立ち入って調査を行うということに関しましては、現在、マニュアルというものを作成中でございます。
 そして、その反省の中に衛生部局との連携の悪さというのもございましたので、他省庁とも連携を強化いたしまして、山形県のようなケースは今後は起こさないという覚悟のもとに取り組んでいきたいというふうに考えております。
後藤(斎)委員 今回の農薬取締法の修正の主な部分が、回収命令を刑事罰として新設する、幾つかございます。
 昨年の十一月の当時の農薬取締法の質疑の中で、民主党の修正案ということで、その今回新設をされようとしておる回収命令のほか、九項目にわたって法案の中に入れ込もうという修正案を出しました。これについては、義務規定になり法律に入るもの、そして努力規定として生産局長通達とか、いろいろ対応の仕方があるようですが、ここについてまだ通達という部分に頼っているというのは、若干、先ほどもお話がありましたように、きちっと国民に対応しているものの制度を示し、その実施要綱についても明確にしていくということからいうと、今回の改正については多とするものの、まだまだ十二分ではないという点もあるというふうに私は思っています。
 特に、昨年の十二月の改正で、農薬取締法の「目的」の中に「国民の健康の保護」という項目が入りました。今回、ほかの法律の肥料取締法も含めてその条項が入っておりますが、大きく私は、BSEの反省がまだ十二分でないものが一点あることを御指摘したいと思います。
 それは、十六条の三にこの農薬取締法の適用の例外という規定がございます。「農薬を輸出するために製造し、加工し、又は販売する場合には、この法律は、適用しない。」この輸出するためということが規定をされていますから、非常に限定された農薬であるというふうに思われがちですが、実際は、例えば農薬が、この農薬は使用禁止になるといったときには駆け込みで輸出をされている例も正直言ってあるというふうな話がよく聞かれたりします。失効寸前だけではなく、在庫処理の意味で、余ったものを燃やしてしまったり捨ててしまうというのもなんだからということで、これは企業倫理で大丈夫だということは、昨年の不正表示からもう通用しないことであります。
 昨年の残留農薬の中国野菜の問題についても何度となく御指摘をしてきましたが、十万人近い農薬中毒の問題から、中国の野菜の残留農薬の問題が大きく昨年クローズアップをされました。
 我が国では、たくさんのというよりも、世界じゅうから見れば、三百五十万人とも五百万人とも言われる農薬中毒数から見ると、我が国では報告をされている分で、十三年が一番新しい数字で載っておりますが、三十一人の方が農薬の事故で死亡、中毒になっている方が二十一人いらっしゃる。でこぼこはありますが、二十人から、多い年で平成元年で三十人の方がお亡くなりになっているというふうな被害状況がございます。
 BSEの反省の抜けている点というふうに先ほど御指摘させていただいた部分は、海外から、ブーメランと言っていいかどうかは別としても、その農薬を使ったものがまた入ってくるんだということが中国の残留農薬の事例で明らかになっているはずにもかかわらず、今回、十六条の三の適用除外の規定を外して政府案を御議論なさったのは、どういう趣旨でしょうか。
須賀田政府参考人 農薬取締法自体は国内の農作物の振興という目的でございますので、取締法には輸出に係るものは除外をしております。
 この農薬の輸出の問題、今から約三十年ぐらい前に、たしかBHCとかDDTの問題で、公害の輸出じゃないかということで問題がございまして、我が省は、従来から、残留性とか有害性が高いと想定される農薬については輸出しないようにメーカーを指導してきたところでございます。
 この問題、FAOが策定をいたしました事前承認通知制度、いわゆるPIC制度がございまして、そのFAOの策定したリストに掲載をされております農薬を輸出する場合には、事前に経済産業大臣の承認を受けることを義務づけるということになっておりまして、実質上、このリストに載っているような農薬の輸出は行われてございません。
 このPIC制度、FAOとUNEPが共同で国際条約化をしておりまして、ロッテルダム条約でございますけれども、我が国でもこの条約を批准する準備を進めておりまして、この国会に批准の承認を受けるべく審議をお願いしているところでございます。
後藤(斎)委員 PIC制度のお話はそうだと思うんですが、要すれば、相互交流をするグローバル化の時代に今入ったんだという御指摘をさせていただいたんですが、そのお答えがなかったので、八〇年に農林水産省が「農薬製造業の海外投資行動等について」という通達を当時の局長名でお出しなさっていますよね。その通達はまだ生きているんですか。
須賀田政府参考人 ちょっと私は今言われた通達を把握していないわけでございますが、たしか公害国会がございました昭和四十年代の後半からこの問題が取り上げられておりまして、国内で使用、販売が認められていないようなものについては自粛せよという方針でずっと来ているはずでございます。
後藤(斎)委員 ぜひちょっと調べていただきたいんです。
 と申しますのは、確かにこの農薬取締法は国内法であって、輸出のときには適用除外の規定で、国内の農薬の流通、販売について規制をしている、これはよくわかるんです。当然のことです。ただ、それは、先ほど生産局長がお答えいただいたように、ロッテルダム条約や当時の一九七〇年代の公害輸出というふうにDDTも含めて社会的問題になったときに、いろいろな話があったときに、一九八〇年に何らかのガイドラインが必要であろうという趣旨で、先ほどお話しした行動等についてという通達が出ているという話を聞いております。
 これはきちっと調べていただいて、それが両輪で、とりあえず、海外にも余り在庫処分とか登録の取り消されたものをどんどん持っていくようなものの、いわゆる企業だけの自主基準じゃなくて、政府でもガイドライン的に通達を出したというふうな趣旨で私はとらまえておったので、この点については、別途またきちっと調査をして、教えていただきたいというふうに思います。
 もう一点は、今回の農薬取締法で、市民団体の方からもいろいろな要望があり、農水省もそれなりにきちっと話し合いをしながら理解を得てきたというふうに聞いております。
 この農薬取締法、農薬というものは、もちろん農家、生産者の方が使うものと、私たちが趣味の園芸とか、例えばゴルフ場とか、いわゆる非農耕地に使用する、二つ大きく農薬が分かれるというふうに認識をしております。特に、これはかなり前から言われておる、住宅地での生活環境に配慮しながらの農薬散布の問題というものが指摘をされておって、連休前の四月二十三日に、農水省、環境省含めて、市民団体と話し合いがされたという話を聞いております。
 今回、その部分でいえば、明確に、落としたというとおかしいんですが、使用の規制、規制というと余り私は大変好きな言葉ではないんですが、何らかの適度な使用ということについて、消費者の方からのこの要望についてはどのようにとらまえておられますでしょうか。
須賀田政府参考人 この問題、市民団体の方から問題提起がずっと多うございます。
 現在、農薬使用基準、省令でございますけれども、この中で、農薬の使用者は住宅地やその周辺において農薬の飛散防止措置を講じるよう努めるべきという規定を置いたわけでございます。努力規定でございますけれども、この努力規定が徹底されるように、学校でございますとか病院でございますとか、そういう公共施設、それから街路樹、それから住宅地周辺で栽培されている農産物に対する防除、そういう際に、防除方法の選択あるいは周辺の方への周知、こういうことに当たって配慮すべき事項ということを近日中に指導文書で発出をする予定でございまして、現在、その内容を最後の詰めを行っているわけでございます。
 こういう指導文書をもとにいたしまして、住宅地等における飛散防止の徹底につきまして、関係者への協力依頼と関係機関への指導、こういったものに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
後藤(斎)委員 もう一点、ことしの二月ですか、総務省から、農薬の使用、管理等に関する行政評価・監視結果に基づく通知というものがなされていると思います。農薬使用の適正化、農薬の保管管理等の適正化、農業用プラスチック廃棄物の適正処理の推進、三項目だと思うんですが、これについては概略、どのようにこれから対応するおつもりなんでしょうか。
須賀田政府参考人 二月の指摘の内容は二つございました。一つが、農薬使用の適正化に関してよろしくない、それからもう一つが、販売業者の農薬の保管管理の状況がよろしくない、二つの指摘がございました。
 まず、その農薬使用の適正化ということに関しましては、都道府県が作成をいたします防除基準、あるいは農協がつくります防除の暦、こういうものと、農薬の使用基準、私どもがつくります使用基準とが整合性を確保するよう総点検を行いたいということ。そして、当然のことながら、農薬取締法を昨年改正いたしまして、使用基準の遵守を義務化するということでございます。その前提といたしまして、使用状況の記帳というものをできるだけ徹底をしたいというふうに考えております。
 それから、販売業者等の保管管理の適正化でございます。先ほども議論になりました。まず、販売業者に対する立入検査、これは山形県の例の反省に立ちまして、マニュアルを作成する、それから衛生部局と農林部局の連携を強化する、それから、監督処分権限を都道府県に移譲しましたものですから、機動的に処分が行われるようにする等々を努めていきたいというふうに考えているところでございます。
後藤(斎)委員 大臣、きょうは短時間だったので十二分にお話ができていないんですが、今まで事実関係を明らかにしてきたように、まだまだ私は、今回の資材関連の法律や設置法を改正しても、食品安全基本法の精神や、昨年つくられました食と農の再生プラン、もろもろの今大きな流れをきちっと、本省、地方組織含めてそれを共有してやるようなまだ体制になっていないように僕は思います。
 特に、今回の法律は、縦割りで、こういう形でそれぞれやっていますし、これからは多分、横軸で生産というか食品の現場では指導、監視であるとかをしていくはずだと思います。そこで研修というものもきちっと必要でしょうし、なおかつその研修の大前提というのは、先ほど何度か御指摘をしたように、本当に消費者に軸足を置いて安全行政をやることがこれからの農政の発展につながるんだという多分問題意識だと思います。
 指導、監視も、これからきちっと人材、人的な部分を充実しながらやると思いますが、大臣、質疑時間が終了したという紙が入りましたので、あわせて人的な問題、研修やその現場の問題を含めて、これから、この法律をつくっただけでは全く意味がありませんから、これが真に実効性を持ち、それが農政や消費者の方にきちっと大きく均てんしていくようになるような御決意を最後にお伺いしたいと思います。
亀井国務大臣 いわゆる農林水産物の生産過程における農薬の使用基準、規制等、これは農学や獣医学等の専門性を有する技術系職員の採用だとか、食品安全行政に対応するいろいろな問題があるわけであります。
 そういう面で、生産者優先、消費者保護軽視の行政、あるいはまた危機意識の欠如、危機管理体制の欠落、こういういろいろな問題点が指摘をされたわけでありまして、ぜひ国民の健康の保護を最優先とした食品安全行政を進めなければならないわけであります。
 それには、先生御指摘のとおり、職員の意識改革、あるいは研修、マニュアルの作成等々の問題は大変重要な問題でありますし、さらに、先ほど申し上げましたとおり、本省、地方部局、あるいは都道府県との緊密な連携、また厚生労働省との関係等々もあるわけでありまして、ぜひ、特に職員の意識改革をしっかり持っていくことが必要だと思いますし、先般、私フランスに参りまして食品衛生基準庁に参りまして、このことも質問をしたわけであります。そこでもやはり、公務員としての使命というものを発揮してそれぞれこの基準庁にみんな勤務をしている、こういうようなお話もございました。
 私どももこの制度、またこの組織改正というものを、また先ほど来の反省に立ちまして、御指摘のような点、特に人材の育成、こういうことにつきましては十分意を注いで努力をしてまいりたい、このように考えております。
後藤(斎)委員 終わりますが、最後に一つだけ要望したいと思います。
 農水省の今やろうとしている事業が、ややもすれば国民の方にはわかりにくい面があると思います。正しい方向を模索しているにもかかわらず、その制度や職員の配置も含めてきちっと国民に押しなべて周知ができるように、ホームページの簡易な利活用も含めて対応していただけるように要望して、質問を終わります。
 ありがとうございます。
小平委員長 次に、楢崎欣弥君。
楢崎委員 まず、委員長にお願い申し上げます。
 自民党の理事さんがだれもおられないようです。うちも出席率が悪いですけれども、委員会軽視につながりますので、重々御注意をいただきたいと思います。
 そこで、まず大臣にお伺いをいたします。
 今回、BSEに端を発して、食の安全、安心という観点から、基本法の制定、それに伴う個別法の改正が行われる。そのことについては、やっと消費者をも視野に入れた法律ができるという意味において、一歩前進だと評価するところです。問題は、その法の趣旨が生かされるチェック機能体制というのが果たして十分なのかということにあろうかと思うんです。大臣、そういう認識はお持ちですか。
亀井国務大臣 今御指摘のとおり、法改正をし、そしてそれぞれのところでいろいろチェック体制をしっかり持っていくことは、やはり大変重要なことであります。先生御指摘のように、そのように十分努力をしなければならない、こう思っております。
楢崎委員 今の大臣の答弁がこれからの私の質問に対する答弁にもかかわってくるわけですけれども、きょう私は薬事法の一部改正についてお伺いをしたいと思います。
 今日まで我が国の薬事法からはみ出した医薬品といいますか、すなわち水産用医薬品についてお伺いをしますけれども、その使用の裁量というのが養殖業者にゆだねられている現状からして、安易な使用とか、また禁止医薬品が使用されているのではないか、そういう懸念が消費者の間にあったんですね。これは言いかえれば、これまではそういうチェック機能が働いていなかったことを物語るんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
木下政府参考人 従来、ホルマリンを含みます未承認医薬品でございますけれども、それが使用されていた魚介類の食品となった場合の残留性等が解明されていないということもございまして、私ども、食品や環境への影響が明確でない場合に法的に規制するのはなかなか困難であるという状況のもとで、通達による指導を行ってきたところでございます。この結果、私ども、国あるいは県を通じましてたびたび指導してきているわけでございますけれども、養殖生産におきますホルマリン使用の実態の把握あるいはチェック体制が必ずしも十分でなかった面があるというふうに考えているところでございます。
 こういうことを踏まえまして、現在御審議いただいております薬事法改正案の中で、未承認医薬品の問題につきましては、その使用を禁止する内容を盛り込んでいるところでございます。私ども、同改正案が成立した場合におきましては、薬事法に基づきます使用実態の把握あるいは生産現場での指導、監視を的確に実施してまいりたい、このように考えているところでございます。
楢崎委員 要するに、使用者側に報告義務がないんでしょう。そこが問題なんですよ。だから使用実態は把握できない、そういうことなんでしょう、長官。
木下政府参考人 現在の薬事法の体系でございますけれども、対象魚種が十一の魚種に限定をされているというわけでございます。このような十一の魚種につきましては、その規制内容といたしまして、使用基準に従った使用の義務がございますし、あるいはそういうことにつきましての報告の徴収あるいは立入検査の権限があるわけでございます。
 今問題になっておりますのは未承認医薬品でございますけれども、この問題につきまして使用禁止の規定がございません。したがいまして、このような場合につきましては、薬事法に基づきます報告徴収あるいは立入検査の権限がないというところでございます。
楢崎委員 私が今持っている資料、これは「水産用医薬品の販売量の推移」、これは、動物用医薬品等取締規則第十八条に基づく医薬品製造業者からの報告のうち、水産用医薬品のみを抽出したものですけれども、これによりますと、二〇〇〇年度に販売された水産用医薬品は三千三十三トン、そのうち養殖用が二千九百九十二トン、さらにそのうち抗菌性水産用医薬品の販売量は千七百六トン。この千七百六トンという数値を覚えておいていただきたいんです。
 そしてここに、水産庁が各都道府県を通じた養殖業者へのアンケートによってこの抗菌性医薬品の使用状況をまとめたものがあります。それで、これは報告義務がないわけですから、強制的なものではない。だから、回答率は五割程度とありますけれども、二〇〇〇年度の使用量はわずか四百六十七トン。
 この販売量千七百六トンと使用量四百六十七トンとの差、千二百三十九トンはどうなったのか。それが、八一年の水産庁通達を無視する医薬品の使用という観点からも問題なんですね。私は、どうも、通達を無視する使用を許さない管理体制というものがこの改正案によって担保されているとは思えないんですね。いかがですか。
木下政府参考人 今回の改正案で、私ども、現在、使用対象魚種が十一の魚種に限定をされているわけでございますけれども、今回の改正を契機といたしまして、すべての水産動物に対する医薬品について規制をかけたいと考えております。したがいまして、その観点から、先ほど申し上げていますように、事業場への立ち入りあるいは報告徴収の権限ができるというふうに考えております。
 また一方で、未承認の医薬品につきまして禁止をするということを今回改正案に盛り込んでいるところでございます。したがいまして、これらの点につきましても、私ども、先ほど申し上げた報告徴収あるいは立入検査の権限ができることになるというふうに考えております。
楢崎委員 いや、立ち入りされることはいいですけれども、通達が無視されてきた、その現状をどう認識してあるのか。
 そこで、この法律によって使用者が遵守すべき基準、これは、一つは使用することができる対象動物、それから使用する場合の用法及び用量、それから使用の時期、この三点が定められているだけでしょう。どれだけ購入してどれだけ使用したかの報告義務は入っていない。これじゃ、百トン使っても十トンしか使っていないと言えば、それが通るんじゃないですか。まだこの法律には抜けているところがある、そういうことでしょう。
木下政府参考人 水産医薬品の適正使用の確保あるいは消費者の安心の確保に資するため、今回の法改正を念頭に置きまして、生産資材、あるいはさらに家畜用、水産医薬品を含みます動物用医薬品全般につきまして、その使用記録の保持のあり方を検討した結果、動物用医薬品につきましては使用記録保持の努力義務を課すこととし、既に四月二十八日から施行しているところでございます。
楢崎委員 それは努力規定でしょう。法的に担保されたものじゃないでしょう。ですから、この問題一つとっても、少しましというような程度で、まだ消費者の安心を確保する法律になっているとは思いません。
 そこで、先月ですか、長崎県の養殖フグにホルマリンが使用されていたことが発覚したわけですけれども、二〇〇〇年四月に起こった熊本事件、この教訓が何も生かされていない。その後もまたそういう事件が発覚している。八一年の通達で禁止されているということですけれども、今日において、業者間で魔法の水とか麻薬とか呼ばれているこのホルマリンが使用されていることは、現場では周知の事実なんですよ。そして、このホルマリンこそが九〇年代以降に生産量が急増したヒラメ、フグの陰の立て役者なんですね。役所は見て見らぬふりをしてきたんじゃないですか。本当に知らなかったというのであれば、それは職務怠慢ですよ。どうですか。
木下政府参考人 私ども、ホルマリン等の未承認医薬品につきましては、これまでもたびたび通達を発出し使用禁止を指導してきたところでございますし、また、県あるいは市町村を通じましてその指導の徹底を図ってきたところでございます。また、一方で、養殖業者の団体でございますかん水の団体におきましても、このような未承認の医薬品につきまして使用禁止の措置を決議してきたという点でございます。
 私ども、これまでも、いろいろな場を通じまして、これらの未承認医薬品につきまして使用しないよう努めたところでございますけれども、今回、長崎県におきまして、主産県であります長崎でのホルマリンの使用を私ども承知したわけでございますけれども、極めて遺憾なことであるというふうに考えております。
楢崎委員 要するに、先ほども言いましたように、使用に関する報告義務がないことがこういう通達に反する使用を安易に許す原因になっているんですよ。そう認識してありますか。
木下政府参考人 私ども、水産医薬品につきましては、先ほど御説明いたしましたように、先月二十八日、使用記録保持の努力義務を課したということでしたわけでございます。私ども、今回の措置とあわせまして、巡回指導の強化によります養殖業者による水産医薬品の使用記録の保持の徹底と記録内容の確認に努めることとしたいというふうに考えております。
 私どもは、このような措置を通じまして、今回こうした措置が的確に実施されるよう努力していきたいと考えております。
楢崎委員 いいですか。今回の長崎では、トラフグ百五十一養殖業者の六割以上に当たる九十五業者が、調査対象にした二〇〇一年以降、千二十一キロリットルを使用したことを認めているんですね。明るみにされなかった部分もあると思いますよ。さらには、現在養殖中の三百五十九万匹のうち百六十六万匹、このホルマリンが使用されていた。まさに、食の安全、安心からはほど遠いですし、過去ホルマリン漬けのフグが出荷されたことはゆゆしき問題でありますし、本当にそら恐ろしい感じがします。
 今回の法改正によって、そういう不法使用者に対する罰則の強化はいいんですけれども、しかし、この法律によってもその防止策というのは担保できないんじゃないですか。
木下政府参考人 未承認医薬品の問題でございますけれども、今回、私ども、今回の法律改正を提案しておるわけでございますけれども、使用の禁止を義務づけておりまして、その中で、このような未承認医薬品を使用した場合につきましては罰則を設けたところでございます。
 私ども、このような法改正を通じまして、また漁業者の食の安全、安心確保への意識の向上等も含めまして、これらの措置が的確に実施されるよう努力していきたいというふうに考えております。
楢崎委員 この件に関して、渡辺事務次官は先月二十四日の会見で、水産庁長官をトップとする対策本部を設置して強制力のある取り締まりをしたいと強調してあるんですが、それは、今長官が言われたようなことを意味するんですか。
木下政府参考人 私ども、今回の事件を契機といたしまして、私を本部長といたします対策本部を設置したわけでございます。このような中で、私ども、養殖に係りますいろいろな問題につきまして率直に意見交換を行い、また、これらを通じましていろいろ措置を講じていきたいというふうに考えております。
 先ほど申し上げましたように、対象につきまして御説明申し上げますと、従来が十一の魚種に限定されていたところを、全部の食用に供されます水産動物にその規制対象を拡大する。また、一方で、繰り返しになりますけれども、未承認医薬品につきましても使用禁止の措置を講じたところでございます。また、先ほど御説明申し上げましたように、使用記録につきましても既に先月から施行しているわけでございます。
 このようなもろもろの措置を通じまして、水産養殖の安全、安心対策のさらなる徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
楢崎委員 念のために聞きますけれども、今回の通達違反使用者に罰則が科せられるとするなら、それは法改正による罰則になりますか、それとも漁業法に基づく罰則ですか。
木下政府参考人 今回の未承認医薬品の使用につきましては、今回の法律案が施行された後に問題になるというふうに考えておりまして、従来から実施しております、例えば熊本県でございますと、漁業委員会指示についての規定ということで、漁業法でございます。
楢崎委員 やはりちょっと甘いですね。
 それで、長崎県の調査報告の中に、「ホルマリンは、全て、毒物劇物販売業の登録業者から購入しており、毒・劇物取締法上の違法性は認められなかった。」とあるんですね。登録業者であれば幾らでも販売は可能、また養殖業者が購入することも可能、そして使用するのは禁止だが、報告義務がないからその実態はわからない。おかしいでしょう。だから、使用禁止措置を実効あるものにするためには、報告義務とともに流通に関しての規制、例えば購入記録の義務づけ等も必要だと思うんですよね、私は。
 この法律は、改正案によってもそこもまた抜けているんじゃないですか。
木下政府参考人 委員御指摘は、毒物及び劇物取締法の規制についてのお尋ねだというふうに思っておりますけれども、私ども、これらの法律の中で、製造、輸入から販売あるいは使用あるいは廃棄についての規制があると考えております。
 また、一方で、薬事法の観点からは、未承認医薬品に当たるわけでございます。このような未承認医薬品につきましては、法改正が施行された後は、それの禁止に違反した場合にはまさに罰則の適用になるというふうに考えております。
楢崎委員 動物用医薬品のうち要指示医薬品は、獣医師の介在がなければその購入ができない仕組みになっていますけれども、いわゆる水産用医薬品はこの要指示医薬品に指定されるんですか。
木下政府参考人 動物用医薬品を処方せんの必要な要指示医薬とする目的は、私ども二つあると考えております。一つが投薬対象動物に対する副作用の防止、もう一つは抗生物質の効かない耐性菌の発生の防止というふうに考えております。
 私ども、魚介類につきましては、従来から、その疾病の性質などから、家畜用などの医薬品に比べまして効果の小さい医薬品で十分効果を上げることが可能と考えておりまして、結果として効果が大きく副作用の強い医薬品は水産医薬品として承認されていないというような状況にございます。また一方で、人と魚介類では体温あるいは生息環境等が大きく異なるわけでございまして、耐性菌となった魚介類の病原菌が人に感染する可能性は現時点では想定され得ないというふうに考えております。
 このような観点から、私ども、水産医薬品を要指示薬とはしていない、そういう状況でございます。
楢崎委員 どうもわかりにくいんですね。水産用医薬品の定義、それから取り締まり、これは別途検討すべきじゃないですか。
木下政府参考人 水産医薬品につきましては、これまでも対象の魚種あるいは対象の魚種ごとに使用基準を定めているわけでございます。今回の法改正を契機といたしまして、従来十一魚種でございましたところを、すべての食用に供される水産動物に拡大をする予定でございまして、それぞれの種類ごとに使用基準を定めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
楢崎委員 水産庁は今月九日、トラフグ養殖関係県会議を開催されていますね。これは、全養殖魚を対象にホルマリンを含む未承認医薬品が使われていないか再度点検するよう指示したとあります。
 そこで、大臣にお伺いしますけれども、魚類養殖業界の根強い薬物依存体質、これを考えたときに、投薬履歴の記録そして報告、この改正案には間に合わなくとも、いずれ法的に義務化しないと事態は改善されないと思うんですよ。大臣の見解をお伺いします。
亀井国務大臣 この義務化の問題につきましては、先ほど来いろいろ御指摘をいただいております、使用記録の保持の実情の状況を把握した上で、公共用水面で使用される等水産用医薬品の特殊性を踏まえつつ、これは検討すべき課題、このように思います。
楢崎委員 前向きの答弁と解釈します。
 これに関連してですけれども、法案の中に「食用に供される生産物」という文言が出てきますね。これは、例えば水産物の場合、成長した魚介類、つまり食卓に上がる魚介類という理解でいいんですか。
木下政府参考人 薬事法に規定をいたします食用に供される生産物の定義でございますけれども、御指摘のとおり、食卓に上がる水産物のことを指しておる、そういうふうに考えております。
楢崎委員 問題じゃないですか。では、稚魚、それから魚卵については使用禁止規制から除外されるということになるんじゃないですか。
 御承知のように、稲でも成長段階で農薬がばらまかれる。フグでも成長段階で薬をまくんですよ。ましてや、海上では成魚と稚魚の生けすが隣接している場合もある。成魚は使用禁止だが稚魚はオーケー、おかしいんじゃないですか。
木下政府参考人 未承認医薬品の規制対象でございますけれども、私ども、省令で規定する予定でございますけれども、魚卵あるいは稚魚も含めた規制をかけたいという方向で今現在検討しておるところでございます。
楢崎委員 では、この法案ではまだそこまでは規制は及ばないということですね。もう一度確認します。
木下政府参考人 法案の中では、具体的な魚種については省令で定めることとされておりますので、その省令の中で規定をするということでございます。
楢崎委員 どうもちょっとわかりにくいんですね。やはり法で義務づけるべきですよ。
須賀田政府参考人 法律で言います、食用に供される生産物で人の健康を損なうものが生産されるおそれのあるものについてということでございます面で、一連の行程、最終目的が食用に供されるものはこれの対象となり得るということでございますので、法律でも読み得るということでございます。
楢崎委員 では、稚魚や魚卵も規制対象になるということですね。もうよかです。
 それで、言うまでもなく、ホルマリンというのは発がん性が指摘されているホルムアルデヒドを主成分とする水溶液ですけれども、環境に与える影響も心配されているところです。この法案では、そういう医薬品使用による漁場汚染等の視点が全く見えないんですね。水産庁の八一年通達では確かに環境への影響という文言があるようですけれども、例えば、水産庁はホルマリン排出による環境への調査をされたことはあるんですか。
木下政府参考人 これまでも、たしか平成十年か十一年だと思いますけれども、アコヤガイの大量へい死事件に際して私ども調査したことがございます。
楢崎委員 結果はどうだったんですか。
木下政府参考人 ホルマリンにつきましては、その性格上、揮発性ということでございまして、私どもが調査したところによりますと、検出限界値未満ということで検出されませんでしたという結果を得ているところでございます。
楢崎委員 それでいいんですか。
 いいですか。人工実験で、天然海水、人工海水、それから淡水にホルマリンが六ppmになるように入れて二日後に反応を見ると、天然海水ではホルマリンが検出されない。これは、どうもホルマリンが海水中に、ある種の成分と結合して新たな化合物が生成されている可能性があると思われているんですけれども。事実、熊本では、九八年までホルマリンを大々的に使っていたんですけれども、モニタリングではほとんど検出されない。しかし、実際ホルマリンを使用されたところは、しけになると海水が白濁するんですね、海況が急に悪化する。だから、検出されないから大丈夫ということにはならないんですよ。――いいです、もう時間ないですから。
 やはりそういう意味でも、漁場周辺の影響調査というものをしっかりやっていただきたい、このように思います。
 それで、あと一つ最後、もう時間来ましたので。
 動物用医薬品の使用規制対象動物にフグが入っていないですね。これはティラピアが入ってフグが入っておらぬというのはおかしいですよ。対象動物の追加については積極的に検討するということですので、もう検討というよりも、すぐにでも追加していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
木下政府参考人 私ども、先ほどお答えしましたように、水産動物につきましてすべての種類に拡大をしたいということでございます。したがいまして、今回の法改正案が通りましたならば、その施行とあわせて実施をしたいというふうに考えております。
楢崎委員 終わります。
小平委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時開議
小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。津川祥吾君。
津川委員 民主党の津川祥吾でございます。
 私は、今回の一連の法律の中で、家畜伝染病予防法改正案に絞ってちょっと質問をさせていただきます。
 まず、冒頭、大臣に改めてお伺いをいたしますが、今回、食の安全の議論の中でこの家伝法の改正案というものを出されてきた、その改正の趣旨をまず御説明いただければと思います。
亀井国務大臣 BSEの国内発生を受けて、BSE問題に関する調査検討委員会の報告を受けまして、食品安全行政について抜本的に見直すために、食品安全基本法が制定され、内閣府に食品安全委員会を設置することとされたわけであります。
 その食品の安全性の確保のために、農林水産物の生産段階においても万全の措置を講ずる、この必要があるわけでありまして、家畜伝染病予防法についても、家畜の飼養段階における安全性の確保、伝染病発生時における対応措置の拡充、厚生労働省との連携の強化等の観点から、所要の改正を行うわけであります。
 具体的には、家畜の飼養段階での衛生管理の徹底を図り、家畜の伝染性疾病の発生を抑制するための衛生管理基準の策定、重大な家畜伝染病についての防疫マニュアルの策定、届け出伝染病の指定、解除等に当たって厚生労働大臣の意見聴取、衛生管理基準の策定、防疫マニュアルの策定、届け出伝染病の指定等最新の科学的知見及び専門的経験を踏まえて検討が必要な事項についての食料・農業・農村政策審議会への諮問、国際基準との整合性を踏まえた家畜伝染病の名称変更、家禽ペストを高病原性鳥インフルエンザ等の改正を行うこととするわけでもあります。
津川委員 まさに法案の中身はそうなんですが、まず、今回、幾つもある法案の中で、君はこれを担当しなさいと言われまして、改めて勉強し直したところでありますが、何で今これが出てきたのかな、BSEの絡みかなというふうに思ったんですが、BSEのときに出てきた話として、あれは伝染性ではない、いわゆる伝達性であるということで名称も変更した経緯があったかと思いますが、あのBSEの話なのに何で伝染病なのかなということが若干ひっかかりまして、それからまた改めて勉強を始めさせていただいたわけです。
 厚生労働省さんに来ていただいております。これは人の方でありますが、平成十年にいわゆる伝染病予防法が廃止となりまして、感染症法という形に変わりました。伝染病という用語が感染症という形に置きかえられた、単純にそうではないと思いますが、そのように受け取られた部分も多いかと思いますが、なぜ伝染病という用語を感染症というものに表記として変えるようになったのか、その理由、それから、伝染病それから感染症、こういったものの定義を教えていただければというふうに思います。
高原政府参考人 伝染病という言葉は、例えば法律でも伝染病予防法、明治三十年にできておりまして、大変古い言葉でございます。したがいまして、いろいろな意味づけがなされているわけでございますが、広い意味では感染症の同義語として用いられております。
 感染症と伝染病をあえて区別して定義いたしますと、伝染病と言う場合は、インフルエンザや赤痢などのように人から人への感染がある疾病を意味するのに対しまして、感染症は、より幅広く、細菌、ウイルス、ウイロイド、プリオン、そういったものが人体に入って起こす疾病を意味していると言われております。したがいまして、感染症には伝染病が含まれておるのはもちろんでありますが、破傷風、レジオネラ、ウエストナイルというように、人から人へ感染を起こさない疾病も含むものでございます。
 しかしながら、おおむね同義的に用いられているのが現状ではなかろうかと思っております。
津川委員 おおむね同義的、学会ではあるいは若干違うのかもしれませんが、あえて分ければそういったような分け方ができるけれども、基本的には同じというような言葉を、伝染病を感染症に置きかえたというその理由ですね、ちょっと今お答えがなかったような気がするので、お答えいただけますか。
高原政府参考人 伝染病という言葉を狭義に解釈いたしますと、人から人への感染がある疾病ということでございますが、近年、人から人への感染を起こさない非伝染性の疾病が極めて重要な課題になっております。例えばプリオンもまた一つでございます。こうした疾病も対策の対象とした法律であることをより明確にするため、感染症法制定時に、法律の名称及びその対象が伝染病から感染症に変更されたものでございます。
津川委員 今度は農水省の方に伺いますが、いわゆるBSE、牛海綿状脳症でありますが、これは伝染性ではなく伝達性であるということでありますが、本法、家畜伝染病予防法の中に、伝染性のものもあるし、伝染性ではないものもある。
 今、厚労省さんの方は人の話でありますから一緒にはできないかもしれませんが、その意味でいうと、いわゆる非伝染性感染症と言われる、そういうふうに分類できるものがこの家畜伝染病予防法の中の対象になっているということであります。これは、もともとの経緯からすればいいのかもしれませんが、実際、人の方も変えたわけでありまして、家畜の方も変えてもいいのかなと。この辺をどういうふうに解釈すればいいのか、その辺をちょっと御説明いただければと思います。
須賀田政府参考人 伝達性海綿状脳症、昨年、農水委員長提案によります牛海綿状脳症対策特別措置法を制定した際に、従来、伝染性と言っていたものを伝達性に変えたものでございます。たしか、そのときの議論は、伝染性というのは空気伝染あるいはウイルスによる伝染、こういうものをイメージするということで、伝達性というふうな名称に改めるというような議論があって改められた。専門家も、そちらの方がいいであろう、こういうことがバックにあったということでございます。
 他方、伝達性というふうに変えましても、プリオン、経口感染による伝染性があるわけでございます。家畜の伝染病というのは、ウイルス、細菌、寄生虫のほかにプリオン等、家畜から家畜へうつるすべての疾病というものを対象にして、家畜伝染病予防法というものに基づきまして予防だとか蔓延防止措置がとられているわけでございまして、経口感染による伝染性がある以上、家畜伝染病予防法の体系の中で対応していくというのは決しておかしくないというふうに考えております。
津川委員 言葉の定義が余りはっきりしていないものですから。
 経口による伝染性ということをおっしゃいましたが、伝染であるか感染であるか、要するに、伝染ではない感染であるかどうかの判断は、経口であるか否かではないと思うんです。それは、家畜に関しては経口であるか否かで判断するんでしょうか。もう一度お答えいただけますか。
須賀田政府参考人 私の方では、家畜から家畜へうつるものはすべて家畜伝染病予防法で対応をしております。
津川委員 家畜から家畜ということでありますが、人の場合は人から人ですね。ということは、例えば家畜というくくりにしてしまえば同じ家畜同士ですが、種類でいえば、例えば牛と豚とか牛と馬とかというのは、これは違うという話になろうかと思うんですね。ですから、人でいうときの感染あるいは伝染といったときの仕切りとは、これは違うという認識になるんだと思います。それはそれで、これは違うんだということであれば、学会も違うわけですし、別に構わないんですが。
 ただ、そこでお伺いをします。
 家畜伝染病の種類の中で、二十六種類ですか、その中で、いわゆるBSEは伝染性ではないというふうに判断するのか。今のお答えだと、これはやはり伝染性なんだ、伝達性というけれども伝染性なんだという認識なんでしょうか。どちらなんでしょうか。
須賀田政府参考人 BSEがうつるのは、BSEに感染した肉骨粉等を口に入れることによって感染していくと言われております。要は、どういう様式でうつろうとも、家畜から家畜へうつる場合には伝染病ということで、現に、家畜伝染病予防法に基づく蔓延防止措置といいますのは、移動制限をかけたりあるいは殺処分をしたり、そういう仕組みをとるということになっておるわけでございます。この仕組みで対応できるものであれば家畜伝染病予防法で対応するということで、別段おかしくないんじゃないかというふうに思っております。
津川委員 家畜伝染病予防法、この法律で対応するのがおかしいということを言っているのではなくて、名前の話です、純粋に、単純に。
 要するに、伝染病ということが、その言い方がやはり問題だった、これは現実にあったということで認識をしていいと思います。BSEのときにはまさにその問題が現場で非常に深刻であったから、やはり伝達性という名前にあえて変えたわけであります。それを、名前を変えたから対処方法が変わるという話では決してありません。そうではなくて、そこに、伝染病あるいは伝染性と表現されたときに、ある種の誤解を招くあるいは風評被害を招く、こういったことも現実に起こり得るのであるので、そこは誤解のないような表現に改めるべきだ、こういった議論であったと思います。
 病気に関しては、伝達性牛海綿状脳症という形になりましたが、しかし、それは伝染病の一種だというくくりでいいのか。それとも、やはりこれは人のときと同じように、伝染性のある病気とそうではない病気がある、しかし、それはどちらもいわゆる感染症としては同じこういった対応をしなければならない、こういうことをもし誤解なく理解していただくんだとするならば、家畜伝染病予防法という名前も、これは誤解なきように変える必要もあるのかなという話を今させていただいているんですが、いかがでしょうか。
須賀田政府参考人 まず、個別の疾病の名称、これは、先生今言われましたように、誤解を与えるだとか風評被害を招くようなものにならないように、国際基準等を踏まえたものというふうに、名は体をあらわすじゃないですけれども、誤解を招かないようなものにする必要があろうかと思っております。
 伝染病かどうかの話でございますけれども、例えばイギリスにおいてはBSEが十八万頭も出ているということでございますので、専門的なことは私もわかりませんけれども、伝染性のある病気ということで、今の家畜伝染病予防法というものの体系の中で対応していくというのでよろしいんではないかと思うわけでございます。
津川委員 全然理解できない答弁なんですが、何ですか、十七万頭、十八万頭感染するとそれは伝染病なんですか。あるいは、今の言い方で言うと、伝達性に改めたのが間違いだという話になりますよ。
 もう一度正確に言ってください。BSEは感染症なんですか、伝染病なんですか、どっちですか。
須賀田政府参考人 私の方では、プリオンでうつるものも伝染病という範疇に入れております。
津川委員 副大臣がはっきりおっしゃっていましたから御指名をさせていただきたいんですが、BSEは伝染病でいいんですか。
北村副大臣 専門的には伝染病の一つであります。
 ただ、前回ここで議論されたときに、牛海綿状脳症のことを、伝染病というふうな言い方よりも、伝達性という方が、先生が今おっしゃったとおり、より風評被害を防ぐという意味合いで、皆さんが合意をしていただいて伝達性というお名前をいただいたわけでありまして、広くOIE等々において世界各国すべて伝染病であります。
津川委員 わかりました。伝染性という名前はつかないけれども伝染病であるという仕切りなわけですね。
 では、これは人の話と違うという形になるんだと思いますが、農水省の分野でいうところの伝染病というのはどういった定義になるんでしょうか。副大臣、よろしいですか、専門家でいらっしゃるので。
小平委員長 北村農林水産副大臣、答弁できますか。
北村副大臣 伝染病の定義ですか。先ほど生産局長もお話ししたとおり、伝染病の定義は、ウイルス、細菌あるいはプリオン等々によって、動物であれば動物から動物、あるいは人畜共通伝染病というくくりであれば動物から人にうつる、あるいは場合によっては逆ということもあるでしょう。広義的には、伝染病というのは、ウイルスや細菌やあるいはプリオン等々によってうつっていく病気というふうに考えております。
津川委員 今、家畜から家畜だけじゃなくて、人畜共通というんでしょうか、人獣共通というのか、その辺は専門用語はよくわかりませんが、家畜から人にうつったりするものあるいはペットから人にうつるようなものも伝染病に入るわけですね。
 厚生労働省さんに、まだいていただいているのでついでに伺いますが、いわゆる新型変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、これは厚生労働省では伝染病になるんでしょうか、感染症になるんでしょうか、どちらでしょうか。
高原政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、現在、厚生労働省におきましては伝染病という言い方はしておりませんので、感染症でくくっております。その中の第四類感染症として扱っております。
津川委員 副大臣にお伺いをしますが、このBSEの問題が一つ深刻なのは、人にうつるかもしれないというところで、それがいわゆるイギリスで大騒ぎになったところなんでしょうけれども、その中で、新型の変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病の発生、発見と、BSEが非常に蔓延した時期が、時期的にも地理的にも近い、この関係は、その後、どうも関係があるらしいということの実績、研究成果というものが今積み重ねられているという状況であろうかと思います。
 要するに、農林水産省はこれは伝染病であるというくくりをしてしまうと、まさに人と重なる部分に関して、せっかく厚生労働省の方が感染症という言い方をしたのに農水省だけ変わっていないという形になろうかと思いますが、これはどう考えればよろしいんでしょうか。
 これは、私は、別のものだから別のものだという考え方をするよりも、やはり同じように、人から人あるいは牛から牛ですとか豚から豚ですとか、そういったものに関しては伝染性という表現が仮にあってもいいかもしれませんが、基本的に牛は牛を食べないわけでありまして、それが肉骨粉という形で口に入れば確かに伝達をするということですから、やはり伝染病というくくりは少し無理があるのかなというふうに思うんです。
 ですから、何がいいかわかりませんが、ここはすっきり家畜伝染病の名称を変更して、伝染病というものを使わない表現にした方が厚労省さんと足並みをそろえるという意味でもよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
北村副大臣 先生のお話を聞いていると、私も一理あるなという思いはあります。しかし、先ほど厚生労働省の方からもお話があったとおり、広義的には、伝染病も感染症も広い意味では一つでありますし、獣医学の学会等々でもそのことについて何ら疑問を持って議論をしているような状況でもない。
 先生があえてそのことをおっしゃるということであれば、今回の一つの方法としては、食の安全委員会等々ができたときに、リスク評価のそういう七人委員会あるいは専門委員会の中で含めて議論をしていくということも一つの方法かなと。ただ、今回の法律のところで、ここでこれを感染症に改めろというのはちょっと早いのかなという感じは私は専門的に思っております。
津川委員 今変えてくださいという話ではなくて、一つの提案として今言わせていただいた話でありまして、それは、あるいは副大臣は専門家であられるからむしろこれは普通であるのであって、一歩引いて、専門家でなければ、例えば消費者の立場に立ったときに、あるいは生産者の立場に立ったときにどうだろうかということを考えていただければ、これは学会の方にも一考いただいて、副大臣の強いリーダーシップを発揮していただいてもいいところなのかなと思いますので、一つの提案という形でさせていただきます。
 名前の話だけでほとんど終わってしまいましたが、では、ほかの質問は全部飛ばしまして、最後の質問に行きます。
 今回の改正の中で、食料・農業・農村政策審議会に諮問しなければならないという点が五点ございます。この五点が、確かに諮問しなければならない重要なことではあろうかと思いますが、私が若干気になるのは、その中の三つが、先日当委員会でも通りました食品安全基本法に基づく食品安全委員会の方にも諮問しなければならないというふうにそちらの基本法でもなっているわけでありまして、この辺が二重に諮問しなければならない形になっていますが、これは二重にしなければならないものなんでしょうか。これはどういうふうに理解すればよろしいんでしょうか。
亀井国務大臣 家畜伝染病予防法では、家畜の伝染病の指定の際に、直接または食肉等を介しての人への感染の有無、他の家畜への伝染や伝播力、発生予防、蔓延防止等、治療方法の有無等を勘案することとしておりますが、このうち、食肉等を介するなど人への健康影響の有無についての適正な評価のため、食品安全委員会に諮問することとしておるわけであります。
 家畜の伝染病の指定に関しましては、食品安全委員会の答申に、家畜への健康影響、伝染病自体の発生予防、蔓延防止のあり方等家畜衛生に関する知見に基づかなければならない事項を加味して、総合的に判断する必要があるわけであります。このため、家畜衛生に関する高度に卓越した専門的知見のもと、公平中立な施策の実施を確保する観点から食料・農業・農村政策審議会に諮問することとしているところであります。
 したがって、食品安全委員会の体制が整った場合においても、食品安全委員会だけに諮問するということでなく、家畜衛生の観点から食料・農業・農村政策審議会に対しても諮問することと考えております。
津川委員 どっちが専門家でどっちが素人ということではないと思うんですね。素人なら、変な話、諮問するような相手ではないはずでありまして、専門家であるから諮問しなければならないわけであって、それが二つあるというのはいかがなものか。
 食品の安全行政というものは一本化をするべきだという中で食品安全基本法というものをつくって委員会をつくろうという話でありますから、この件に関しては、五つの諮問しなければならないものすべて、本来は食品安全委員会の方に諮問しなければならなかったテーマではないか、今さらながらでありますが、そう思うわけであります。
 しかも、さらに、今回の法律に基づいて食料・農業・農村政策審議会の方に諮問しなければならないということを書いておりますが、そちらの審議会の方では、これまで当然そういったことをしていませんでしたから新たな分科会をつくるという話ですね。ですから、これは、農水の方に、食料・農業・農村基本法に基づく委員会の方に新たにまた食品安全にかかわるものをつくるのではなくて、これから一本化していこうという方に私は移すべきだというふうに思います。
 ただ、まだスタートしていませんから、そういう意味では、まずは食料・農業・農村政策審議会の方に諮問する、早急に諮問しなければならないわけでありますから。それを諮問した上で、将来的にはこれは食品安全委員会の方に一本化をしていくべきだと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
亀井国務大臣 家畜衛生に関する高度な専門的な知見、こういう点をやはり考えていかなければならないわけでありまして、これから食品安全委員会が発足をし、さらに今先生御指摘の専門部会、こういうようなところもお話しのとおりでございますけれども、あくまでも、家畜衛生という面で私どもは専門的に、農業、農村、食料、こういう関係の審議会の中で総合的に考えていくこともまた私は必要なことじゃなかろうか、こう思います。
津川委員 それはちょっと納得ができないですね。それだったら、食品安全委員会は全くの素人という話ですか。それならば、総合的に食料・農業・農村政策審議会の方に諮問すればいいという話になってしまいますから。そうじゃないんですよね。
 それでは、何のために食品安全委員会に諮問しなければいけないんですか。食品安全委員会は専門家じゃないんですか。専門家じゃないのなら専門家にしなければいけないんじゃないですか。いかがでしょう。どっちですか。
亀井国務大臣 食品安全委員会の関係につきましては、食の安全ということが主眼になろうかと思います。私どもの農水の関係におきましては、やはり家畜の問題、そして専門的にいろいろなことを、家畜衛生、こういう幅広い分野で考えていかなければならない分野があるわけでありますので、そういう面で審議会にお願いをするというようなことが必要だと思います。
津川委員 大臣の御答弁は私はちょっと理解できません。
 専門的にやっていただくんだとしても、例えば、これは食品安全委員会に諮問しなくていい部分で、食料・農業・農村政策審議会の方に諮問しなければならないものの一つとして、飼養衛生管理基準というのがあります。飼養衛生管理基準は、これはやはり食品の安全にかかわるからこそこれを今つくらなければならないし、これはHACCP対応のものだというような話もこの間ございましたけれども、そういったものを仮に入れていくのは、それは、最終的に豚や牛が健康であればいいとかそういう話ではなくて、最終的には最後に出てくる食品が安全であるかどうかということに直結をするわけで、そこからさかのぼっていくからこそHACCPという考え方がこの中にも取り入れることができるはずであって、それは食品安全委員会は関係ないということではないと思います。
 専門的何とかというような話もされましたが、私はやはり、申しわけないけれども、農林水産省の審議会の機能をふやすということよりも、これは食品安全委員会の方に一本化をしていくというのがまさに食品安全基本法の基本的な考え方だと思いますし、将来的にはそうしていかなければならないと思います。もし、ちょっと技術的に違う、これは明らかに食品安全とは関係ないことだというような指摘があるのであれば、副大臣、首を振られていますが、そうですか。
北村副大臣 私は、食の安全委員会で行う評価というものは、先ほど大臣がおっしゃったとおり、やはり食についての安全ということが一義的でやっていただく。我が省がやらなきゃならぬことは、食の安全を与えるに当たって、基本的に家畜衛生ということについてはやはり我が省の審議会で議論をしていただく。
 今委員が、それは食の安全ということでは同義的ではないかというお考えも、私もわかるわけでありますが、しかし、食の安全委員会にそれまで全部を押しつける、押しつけるという言い方は語弊がありますが、やっていただくということになれば、また相当な人員の確保、あるいは等々のものができ上がってしまうという思いが私はあります。
 そういう面では、やはり食の安全委員会でやる仕事、ここでリスク評価をしていただく。やはりそのリスク評価にわたる管理部門だと思います、リスク管理の部門だと思います、今我々が農水省の審議会に諮問をするということは。そういうくくりで御理解をいただきたい、このように思います。
津川委員 そういうふうに二つに分けるということであれば、食品安全委員会の方に諮問する件に関しては食料・農業・農村政策審議会の方には諮問しないという仕切りになるはずだと思いますので、ちょっと納得できませんが、時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
小平委員長 次に、江田康幸君。
江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。
 前回のトレーサビリティー法案、それからHACCP支援法案に続きまして、食の安全、安心確保のための農水省関連の法案について質問をさせていただきます。
 早速、質問に入らせていただきます。
 まずは、肥料取締法についてでございます。
 近年、下水道の普及、また資源のリサイクルが進められている中で、下水汚泥を原料とした肥料がふえてきております。この汚泥肥料、いわばこれは副産物でございますが、価格は安いんですね。ですから、前回からも私は質問しておりますけれども、生産資材費を低減させて、そして国際競争力に勝つ農業、畜産業をつくらなくちゃいけない、そういう中では、その価格が安いというのはいいわけです。しかし、化学肥料とは異なりまして、予期せぬ有害な物質が含まれていることがあるわけです。
 このような汚泥肥料を大量に使えば、有害な物質、例えば体内では代謝されにくい重金属、カドミウム、そういったものが農産物に残留して、これを食べた人の健康を損なってしまうという危険性があるわけでございます。
 質問でございますが、食品の安全性に問題が生じないように、汚泥肥料につきましてどのように政府としては対応されるのか、そこのところをお伺いいたします。
須賀田政府参考人 汚泥肥料でございますが、先生言われましたとおり、下水道の普及でございますとか資源のリサイクルということで、流通量が増大をしているわけでございます。この一部、まさにカドミウムの濃度が相対的に高い、肥料としての効果は低いということで大量に使わないといけないということで、カドミウムが農作物に残留をして人の健康に影響を与えるということが懸念されるわけでございます。
 そういうことで、今回、法律改正をいたしまして、施用の仕方によっては人畜に被害を生ずるおそれがある農作物が生産されるおそれのある肥料を特定普通肥料というふうにいたしまして、登録をした際に、従来はなかった、施用方法というのを審査いたしまして、施用者に対して施用方法等を内容とする基準の遵守を義務づけるということによって、そういう懸念を払拭したいというふうに考えているところでございます。
江田(康)委員 今御答弁なされましたように、施用方法の遵守をきちんと実効力のあるものにぜひともしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次の質問でございます。
 薬事法関係法案について質問をさせていただきます。動物用医薬品の承認の際の食品安全委員会、厚生労働省との関係についてでございます。
 従来から、動物用医薬品は、古くは薬事審議会でございましたが、現在では薬事・食品衛生審議会、ここで対象動物への有効性、安全性についての評価を行いまして、その結果を踏まえて農林水産大臣が承認する仕組みでございます。今般審議中の食品安全基本法によれば、承認に当たりまして、薬事・食品衛生審議会における審議とは別に、食品安全委員会に必ず諮問しなければならないということになっております。
 食品安全委員会は、食品の安全の確保を目的としていわゆる食品健康影響評価を行うこととされておりまして、動物用医薬品の対象動物への有効性等についての評価は所掌外と考えますが、承認に当たっての食品安全委員会と農林水産省の関係について伺いたいと思います。
 例えば、BSEに関する調査検討委員会の報告書、これによりますれば、食品の安全性の確保に係る組織体制の基本的考え方として、動物用医薬品が承認されるのと同時に食品中の残留基準を設定することとされているわけでございます。この背景としましては、これまで生産資材の規制と食品衛生法の規制が連動していない、その結果、消費者から見て非常にわかりにくい、そういう状況に至っている、そういう背景があったかと思います。
 今般の改正では、この点についてどのように対処されているのか、あわせてお伺いします。
    〔委員長退席、鮫島委員長代理着席〕
須賀田政府参考人 食品安全委員会は、食品の安全性に係るリスク評価をやることとしているわけでございます。
 動物用医薬品の場合、これを当てはめますと、まず食品安全委員会に、健康上のリスクを伴わずに人が生涯にわたって毎日摂取することができる量、ADIでございますけれども、それについてまず評価、設定をしていただく。それを受けまして、厚生労働省は、食品の中に残留してもよい動物用医薬品の限度、いわゆる残留基準を設定し、農林水産省は、その残留基準に合わせまして動物用医薬品の承認と使用基準の設定ということを、薬事・食品衛生審議会の調査審議を経て行う。こういう手続になろうかと思っております。
 もう一つ、BSEの調査検討委員会。動物用医薬品の承認と食品衛生法上の残留基準が同時に設定される仕組みを確保せよ、それから、動物用医薬品の使用基準と同じく食品衛生法上の残留基準が連動する仕組みを確保せよ、こういう指摘を受けたわけでございます。
 今般の薬事法改正におきまして、動物用医薬品の承認、使用基準の策定に当たりまして、厚生労働大臣の意見を聞かなければならないということにしているわけでございます。具体的にどんなことが予想されるかといいますと、厚生労働大臣に意見を聞いて、厚生労働大臣の方から、それは残留基準が設定されていないので待てというような指摘を受けたり、設定されようとする使用基準では残留基準値が担保できないとかいう指摘を受けた場合には、動物用医薬品の承認を保留したり、あるいは使用基準を見直したり、そういうことをするということでございます。
江田(康)委員 今の御答弁で、具体的にイメージがわいてまいります。
 なぜならば、これまでは食品安全委員会というのはなくて、リスク評価をするところはなくて、それらは厚生労働省と農林水産省だったわけでございます。今の御答弁でもあったように、承認に至るまでの過程は、食品安全委員会でリスク評価が行われてADI等が設定された後に、厚生労働省が残留基準を決めて、そしてそれを受けて農水省がその使用基準を設定されて承認がされる、そこにおいては厚生労働大臣の意見を聞かなければならない。これは非常にすっきりした形になっている。
 私も医薬品等の開発を長年やってきましたが、非常に具体性があってわかりやすくなってきております。特に抗生物質等においては、この残留基準等が、午前中からの質問等にもありましたように、非常に注目されておりますので、ぜひともこのシステムで実効力のあるものにしていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それと、もう一つ薬事法関係なんですが、個人輸入の取り締まりについてということで質問をさせていただきます。
 EUとアメリカとの間に、いわゆるホルモン牛肉紛争がございました。牛の肥育促進を目的に、エストロジェン等のホルモン剤を使用して生産された牛肉について、EUは、食品としての安全性が損なわれるとして、その輸入を禁止したものでありました。
 日本では、肥育促進目的で承認されているホルモン剤はないというふうに聞いております。しかし、個人が、例えば牛の生産者が外国から成長ホルモン剤を輸入して、そして自分の家畜に使用することは薬事法上禁止されていなかった。今般の改正では、こういったことが行われないように、個人による動物用医薬品の輸入を禁止することとされておりまして、大きな前進ではないかなと私は思います。
 ただし、法律上幾ら禁止しても、実際に輸入のチェックがどのようにできるかというところが問題でございまして、こういった個人輸入につきましては、どのように実効性のある取り締まりを行われるのか、そこについてお伺いできればと思います。
須賀田政府参考人 先生おっしゃいますとおり、今回の改正で、今まで法律の規制がなかった個人の動物用医薬品の製造、輸入、こういうものを禁止するということにしているわけでございます。
 確かに、実効を上げることが重要でございまして、まず、私どもとしては、水際措置といたしまして、税関による使用目的とか使用方法についての確認の厳格な実施というのを、税関と連絡をとりながら行っていきたいというふうに思っております。
 それから、薬事監視員、合わせて二千人ちょっとおりますけれども、この薬事監視員による監視の強化ということをしていきたいということ。
 何よりもまず大事なのは、それ以上に大事なのは、使用をする農家にこの法改正の趣旨の啓発活動を実施していくということが大事だというふうに思っておりますので、この制度の普及、趣旨の徹底というものに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
江田(康)委員 今おっしゃられましたように、水際がまずは第一だと思います、税関での取り締まりの強化だと思いますが、農家に対しての周知徹底をどのようになされていくか。運用面での対応が注目されますので、そこをしっかりとわかりやすいように、我々にもまた教えていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 この関連法は幾つもございますので、次に参ります。
 農薬取締法関係について御質問をさせていただきます。
 特定農薬の名称についてでございます。
 特定農薬というものは、人または環境に影響を及ぼすおそれがないものとして指定されているものでございます。例えば、酢とか重曹とか昆虫、こういうようなところのものを特定農薬というわけでございまして、何ら環境とか人に影響しない、害を及ぼさない、そういうようなものであることは、見ればわかる。これまでに有機栽培農家でも使用されてきているような資材に相当するものでございます。
 一方で、農薬という言葉は、一般的にはやはり化学農薬を連想させるということで、有機栽培農家が、人にも環境にも無害な酢とか重曹とか昆虫とかを使用されて有機栽培をなされたとしても、消費者からは、農薬という言葉がありますから、化学合成農薬を使用しているんじゃないかという誤解を招くおそれがあるのではないかと常々思っておりました。これは、結果として、有機栽培農家のやる気をそぐことになりかねないと思います。
 そのように考えていけば、この特定農薬というのに関しては、名称は果たして適切なのかどうか。そこのところを農林水産省としてはどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
亀井国務大臣 昨年、無登録農薬の取り締まりを行うための農薬取締法を改正したわけであります。
 その際、殺菌剤として使われているもののうち、安全性が明らかな、今御指摘の食酢やナナホシテントウといった天敵にまで登録義務を課することは適当でない、このような観点から、特定農薬としての位置づけ、登録を受けることを要しないとしたものでありまして、その制度自体は有機農業の推進を阻害するものではないと考えております。
 特定農薬との名称は、農薬取締法の農薬を対象とする法律であることから、法文上の用語としてはやむを得ないと考えるわけでありますが、化学合成農薬を連想させるとの委員御指摘の点、有機栽培農家等の御指摘を踏まえて、特定防除資材との通称を用いることとしておるわけであります。
江田(康)委員 特定防除資材ということですね。特定防除資材。なかなか、これが普及していくかどうかはちょっと疑問な点もございますが、とにかく、特定農薬よりもいい、有機栽培農家が安心して使われるような、また消費者が安心して受けとめられるような名称にぜひともこれは変えていっていただきたいと思いますので、どうぞ審議、御検討をよろしくお願い申し上げます。
 この農薬取締法についてもう一つ御質問をさせていただきますが、先ほどから石田先生、それから前回は金子先生が御質問されました、マイナー作物への適用拡大について、私の方からも質問させていただきます。
 昨年秋の臨時国会での農薬取締法の改正が行われまして、農薬使用基準の遵守が義務化されたところでございますが、その一方で、やはり我々、私も九州熊本でございますが、地域特産農産物、いわゆるマイナー作物につきましては、使用できる農薬が非常に少ない。それで、農業生産に支障を及ぼしておるわけでございます。特に、私は、この地域特産農産物というのは、農業の地域おこしというか村おこしというか、地域活性化には非常に重要な、地方においては重要な政策の一つでございまして、これを、やはり政治家として、日本の政府としても応援していっていただきたいと非常に強く思うんです。
 そのためには、地産地消を推進するという観点から、このようなマイナー作物に使用できる農薬の登録拡大をとにかく強く推進すべきと思うんですが、再度、何度もお答えかもしれません、農林水産省ではどのような対策が行われていくのか、ちょっと情熱を込めて言っていただければと思います。
亀井国務大臣 御指摘の地域特産農作物、マイナー作物への問題、例えばカツオナ、ミツバ、このようなものがそれに該当するわけでありまして、さきの農薬取締法改正によりましても、農薬ごとの適用作物を守ること等を定めた農薬使用基準の遵守が義務化されたわけであります。使用可能な農薬が著しく少なく、農業生産に支障を来す、こういう懸念が生じておる点は御指摘のことでもございます。
 このため、農作物の形状、例えばウリ類、かんきつ類、あるいは利用部位、例えば茎を食べるとか葉を食べるなどから、類似性の高い作物をグループ化し、グループごとに農薬登録ができる仕組みへの切りかえによる適用拡大の促進を図っていく。
 また、一定期間の経過措置を設けて、出荷前に残留農薬分析を行うなど安全確保を講じることを条件として、都道府県知事より、農薬と作物の組み合わせ、例えば、シシトウに対しましてピーマン用のウドンコ病に使用する殺菌剤について申請を行ってもらい、農林水産大臣が承認する仕組みを設けたところでもあります。
 この経過措置につきまして、現時点で延べ五千六百件の使用承認をしております。さらに都道府県から申請を受けているところでありますが、この経過措置の間に農薬登録の適用拡大に必要な作物残留性等のデータを提出していただき、適用拡大の手続を行うこととしております。この適用拡大が円滑に進められるよう、都道府県、地域ブロック、中央の各段階において、マイナー作物等農薬登録推進協議会を設置いたしまして、各県間で相互に連携しつつ、適用拡大に必要なデータの作成を行うなどの支援をソフト面でも積極的に行ってまいりたい、このように考えております。
 さらに、これらの試験費用等の支援については、従来から国としても基金の活用や必要な試験実施への助成を行うことにより農薬適用拡大を支援してきており、今後とも、これらの措置により農薬の適用拡大が円滑に行われ、農業生産に影響を生じないように配慮してまいりたい、このように考えております。
江田(康)委員 経過措置の期間にこの適用拡大を進めていくということでございますので、それを我々も期待して、またその都度御報告も聞いて、しっかりと地域での、地方での特産農産物の支援をしていこうと思っておりますので、どうぞよろしく、強力に進めていただきたいと思っております。
 最後になりますが、家畜伝染病予防法関係について、特にBSEの疑似患畜の範囲の見直し、これについて御質問をさせていただきます。
 今国会では食の安全に関するこの法律が審議されているわけですが、このきっかけとなったのは、もちろん、何度も申しますようにBSEの発生でございます。今、食品安全委員会の設置、食品安全基本法の制定、食の安全に関する個別法の、この委員会でもやっております農水省関連法の改正、こういうことが食の安全、安心確保に向けてなされようとされているところであり、これは非常に大きな前進であると思っております。
 しかしながら、振り返ってみますと、BSE対策そのものについては十分なのかどうか、課題は残っていないのかといいますと、まだまだ多く残された問題があるわけでございます。その一つが、この疑似患畜の範囲の見直しであるかと思っております。生産者は、BSEそのものを恐れているというわけではなくて、発生すると、その同居している多くの牛が疑似患畜として処分される。例えば、一頭の牛にBSEが発生したら、そこに同居していた百頭の牛を隔離されて、いずれは処分ですよ。そうなると、そういう経済的な打撃、こういうところを心配して、恐れているわけです。
 疑似患畜の範囲につきましては、欧州でもさまざまな考え方があるかと思います。また、OIEにおいても見直しの検討がなされていると聞いております。そこで、疑似患畜の範囲の見直しについて、最後にそのお考えを教えていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
北村副大臣 先生御指摘のとおり、BSEで生産者あるいは現場の獣医師の方々等々が一番恐れているのは、この疑似患畜のことであります。
 そういう面では、手塩にかけてきて、そして家畜改良等々をした牛が、今の体制の中では全頭検査、そして、ことしの四月一日からは死亡牛についても二十四カ月齢以上はすべて検査をするという体制が整っていった以上は、昨年の十一月にOIEに対しまして、疑似患畜の範囲の見直しについて、欧州での経験に基づいて科学的に検討するよう我が国も提案をしたところでございまして、五月十八日からOIEの総会が開催をされます。
 国会のお許しがいただければ、亀井大臣から、おまえ行ってこい、こういう御下命がございますので、このOIEの総会に行ってまいりまして、日本の考え方を明確に述べ、そして、この疑似患畜の範囲の見直しを含める改正案を何としても採択をしていただけるように全力を挙げてまいりたい、このように思っておるところでございます。
江田(康)委員 五月の十八日、OIE総会が開催される。そこで、EUの考え、また、特に日本からは、やはりこういう農家の皆さんの声を代弁して、体を張って、今は体を張っていかないとWTOにおいてもいい結果は望めませんので、ぜひとも北村副大臣、体を張って、ひとついい方法がないのか、それをよくよく検討していただきまして、前進できるようにお願いをいたしまして、本日の私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
    〔鮫島委員長代理退席、楢崎委員長代理着席〕
楢崎委員長代理 次に、松本善明君。
松本(善)委員 輸入食品の安全性の問題についてお聞きしたいと思います。
 我が国の食料自給率は四〇%で、六〇%を海外に依存しておりますので、日本の食品の安全性の問題は輸入食品の安全性に左右をされるという状態に現状は遺憾ながらなっているということであります。これが今最大の問題点で、連合審査でもいろいろ議論されたところであります。
 改めてお聞きしたいんですが、輸入食品の検査を行う検疫所が全国で三十二カ所、その検疫所で輸入食品の検査業務を行っている食品衛生監視員が、二〇〇三年度で全国でわずかに二百八十三人。食品衛生監視員が一人しかいないという検疫所が八カ所ある。そういうところでは、食品衛生監視員が病気になったり年休をとったりすると、まともな検査業務ができない状況だ。
 検査機器につきましては、検査機器が一台も置かれていない検疫所が十カ所、放射能測定器しか置いていない検疫所が十五カ所。北海道、東北の検疫所では放射能測定器以外の検査機器が全くない。
 これではもう到底国民の食の安全は守れないというふうに思います。国がきちんと輸入食品の水際での検査を行う体制をつくって、危険な輸入食品は水際で排除する、これはもう当然のことであります。
 この問題については我が党の中林議員が連合審査でもお聞きをしたわけですが、そのときの坂口厚生労働大臣の答弁は、そこをふやすことができるんだったら私も苦労しないというような答弁であり、亀井農水大臣の答弁は、増員ということができればこんなよいことはないわけでありますが、厳しい財政状況の中で懸命にその対応に努力をすることをあわせて行うことが必要という趣旨の答弁をされまして、予算措置を求めるとか人員を増加するとか、そういうような改善措置については何ら明言をしなかった。
 それを受けてきょうお聞きをするわけですが、大臣は、財政が厳しいから安全でない食品を国民に食べさせてもやむを得ないんだというお考えですか。まさかそういうことはないだろうと思いますけれども、お聞きをしたいと思います。
    〔楢崎委員長代理退席、委員長着席〕
亀井国務大臣 そのようなことは考えておりません。安全な食品の提供と、また水際でいろいろな施策を進めなければならないということは十分承知をいたしております。
松本(善)委員 もしそうでありましたならば、やはり直ちに、今そういう状況にありますから直ちに、その改善措置をとらなければならない。補正予算を要求するとか、あるいは来年度の概算要求でその予算とそれから人員要求をするというようなことをやらなければならない。
 谷口財務副大臣はその連合審査で、食の安全と安心というのは非常に重要な問題でありますので、財務省としてもこれは前向きに検討させていただきたいという抽象的な答弁はされているわけです。
 だけれども、やはり農水相が、一体具体的にどうするんだ。どれだけの予算があって、どれだけの監視員をふやす、検査機器はどれだけふやす、こういうことを具体的に要求をして、その対策をとらなければならぬ。それはレクで十分言ってありますので、一体どこまでやるつもりなのか、農水相の考え方をお聞きしたいと思います。
亀井国務大臣 今回のこの食品安全委員会、そしてまた私どもリスク管理を受け持つわけであります。そういう面で、消費・安全局、こういう組織もつくるわけでありまして、それらを含めて食の安全、安心、こういう面で努力をしておるわけでありまして、今後、新しい組織とともに、その問題につきましていろいろ考えてまいりたい、こう思っております。
松本(善)委員 やはり具体的なものは何もないんですね。例えば一人のところはなくすとか、必ず二人以上にするとか、あるいは検査機器のないところは検査機器をふやすとか、そういうことも言えないんですか。検査機器は必ず検疫所には持つようにするとか、そういうことも言えないんですか。
北村副大臣 我が省の管轄の動物、植物検疫所、これらにつきましては、先生からの御指摘のところもあるのかもわかりませんけれども、しかし、生産者の方々や輸入業者の方々の御理解をいただきながら、ある程度集約をして、そういう器具そして人員のそろったところに輸入をお願いしている。そして、今のところはそれらのことが御理解をいただいてうまくいっているということでございまして、今後は獣医師の資格を持った方々の増員等々で、我が省の管轄の動植物の検疫所については、先ほど大臣からも答弁のあったとおり、今後は鋭意計画的に増員をしていくということになると思います。
松本(善)委員 今の副大臣の御答弁でいきますと、検査体制の整っていないところは輸入しないようにする、そういうふうに受け取れたんですよね、違うなら違うでいいんですけれども。だから、これはやはり今のままの体制でだめなことはもう間違いないと思うんですよ。それを具体的にどうするのか。私は、今のお話は、今のままでもやっていけるんだというお話と伺いましたが、どうなんですか。
北村副大臣 我が省の動植物検疫所は、輸入業者の方々には不便をかけておりません。
松本(善)委員 そうすると、やはり今の体制で差し支えないという考えなんですか。不便をかけていないし、それから、今のような検疫体制、人数や検査機器の状況でも国民に安全な食品を提供できるんだ、こういう考えですか。
北村副大臣 何度も言いますけれども、我が省の動植物検疫所につきましては、計画性を持ってこれからもその人員の整備等々は鋭意やってまいります。しかし、今現在の体制の中では、輸入業者の方々に御理解をいただいてきちっとやっております。
 それと、先生の御質問の中に、食品衛生、いわゆる厚生労働省の方のことがもし頭の中にあった御質問なら、それは厚生労働省の方にお聞きをいただきたい、このように思います。
松本(善)委員 それでは厚生労働省にその点を伺いたいと思います。省としての考えを聞かせてもらいたい。
遠藤政府参考人 一つは、検疫所において一人しか食品衛生監視員が配置されていないところがあるという御指摘でございました。
 輸入食品の検査に関しましては、輸入食品の届け出件数が少なく、試験検査部門を有さない官署におきまして一名の配置となっているところでございますけれども、一時的に業務量が増大をしたり、職員の事故があったりというふうなときには、他部門から食品衛生監視員の資格を有する者の応援や、近隣検疫所の応援により対処をしているところでございます。
 また、検査設備の問題も御指摘をいただきましたが、現在、検疫所における試験を伴う検査につきましては集中化をいたしておりまして、横浜及び神戸検疫所に設置をされております輸入食品・検疫検査センターに多くの部分を集中させている。また、その他の検査につきまして、主要六検疫所に設置をされております検査課に検体を送付して、効率的かつ精度の高い検査を実施しているというふうな体制で進めてきているところでございます。
 もとより、こういった検査体制の強化につきましてはこれまでも順次進めてまいりましたけれども、御案内のように、今年度予算におきまして、予算につきましては対前年度約三億円増の十六億四千万円の予算措置、また検査件数につきましても二万件を増加させるというふうなことで、輸入食品の安全性の確保のために努力をしているところでございます。
松本(善)委員 そうすると、農水省も厚生省も、これは人員も検査体制も検査機器もそのままで何とかやっていけるんだ、結局、現状のままでいいんだということになるんですか。
 これは主には厚生省だとすると、厚生省の遠藤さんですか、はっきり答えてもらいたい。これはこのままでいいんだと。要するに、財政状況その他厳しいから、これは厚生労働大臣がそう言ったわけだが、これはもうふやさない、予算要求もしない、それで何とかやっていきます、これが厚生労働省の見解ですか。
遠藤政府参考人 現状、先ほど申し上げたような努力をしてきているところでございますけれども、今後とも、輸入食品の安全性を確保するためには、輸入食品の届け出件数など輸入実態を考慮しつつ、業務量に応じた適正な検査体制の整備が必要であると考えておりまして、来年度、予算並びに人員等の要求について、現在検討をしているところでございます。
松本(善)委員 随分、何というか、食品の安全の問題についての対応の仕方というものが非常に現状に合わないんじゃないだろうかと私は思います。
 予算といいましても、仮に今の十倍にする、三千人体制としても、年収六百万円として、百八十億円です。検査機器はほとんどリースだったと思いますが、それの整備を含めましても、せいぜい二百億円あれば、これは十倍の体制がとれると思います。
 予算との関係でいいますならば、今、例えば、川辺川ダムに反対して、熊本の市長さんが現職を破って当選されましたが、この川辺川ダムでは二千六百五十億円です。十三分の一ですよ。ダムなんかのむだな経費をなくせば、こういうことが安心して、ほかを応援していったりなんかしていろいろ苦労しながらやらないで、やはり本当に安全な体制、健康の問題というのは国民の命の問題ですからね、そういうことをやるのは当然なんじゃないか。どこに一体ネックがあるんだろうか。
 財務副大臣おいでですから、この間の答弁も含めてお聞きしますけれども、農水省なり厚生省なりからこの問題についての要求があれば受けとめる、前向きに検討するということをおっしゃいましたが、今の段階では厚生省は何も言っていませんけれども、その姿勢は変わりませんね。
谷口副大臣 松本先生のお尋ねですけれども、先生おっしゃったように、以前に中林委員の質問があったときに、食の安全と安心というのは極めて重要だということで、財務省といたしましても前向きに検討していきたいというように申し上げたわけでございます。
 そのことにつきまして、この輸入食品の安全対策につきましても安全確保につきましても、大変重要な問題だという認識でおります。今後、所管省庁の要求が出てくれば、これは財政当局として前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
松本(善)委員 財務副大臣、政務がおありのようですから、どうぞ。
 総務省の政務官がお見えですけれども、やはりこの問題は、どうして厚生労働省はそんなに、まるでおずおずしているといいますか、真っ正面からこの問題に対応しようとしていないというふうに私は感ずるんですよ。
 それで、一体どこにネックがあるんだろうか。財務省は受けとめると言っている。定数の問題があるとすれば、総務省はどうですか。やはりこの問題について、厚生労働省から検査官をふやさなくちゃいかぬということがあれば、これは対応しますか。省としての意見をお聞きしたいと思います。
岸大臣政務官 お答えをいたします前に、今までの流れを申し上げますと、この検査監視関係は、この十年間で七十八名の増員をいたしております。また、今年度は十五名増員をいたしたわけでございます。一方、総定数から申しますと、御承知のように、公務員の定数を削減しようということで年々努力をしているわけでございますけれども、今年度は千八百七十九名の公務員の数を減らした、そういう流れの中でこの監視員の数がふえている、こういうことでございますので、厚生省といたしましてもそういう実情をよく承知されておられること、また同時に、この人数でもって決して国民に御迷惑をかけない、不安を感じさせない、そういう自信を持っておるからそういう対応をしておるのだというふうに感じております。
松本(善)委員 本当に認識が甘いと思うんです。これは本当に極端に言えば、どの輸入食品も、安全だということを胸を張って言えるようなものはないですよ、いろいろ。食品の安全の問題について、国民に、今のままで安全ですなんということを言えるか。私は、今の答弁は結局、やはりそういうことを小泉内閣は言っているんだと。
 亀井農水大臣は最初に、いやそんな、現状でいいというようなことを考えているつもりはないと言われるけれども、実際は、小泉内閣の姿勢というのは、今のままで、財政状況も厳しい、人員もそんなにふやせない、だから安全でないものを食べてもしようがないんだということを言っているんだというふうにしか受け取れない。こういうふうに申し上げて、私は、この問題ばかりやっているわけにいきませんから、次の問題に移ろうと思います。
 この問題の根幹にあるのが、一九九五年に発効したWTO協定と、その中に含まれているSPS協定、衛生植物検疫措置の適用に関する協定であります。これは国際基準のハーモナイゼーション、平準化を強制するものであって、この国際基準が極めて緩い基準になっている。検査体制の問題もありますが、この基準の問題がある。これは輸出国のアグリビジネスとか多国籍企業が策定に関与をしていて、安全基準が緩ければ意味がない。SPS協定全体を、我が国の国民の食の安全を守るという観点から見直して、協定の改定も課題にしなければならないと思います。
 WTO協定に根本的な問題がありますし、進行中なので、この問題、WTO協定について、農水大臣に伺いたいと思います。この協定交渉、特に多面的機能についてお聞きしたいと思います。
 モダリティーの合意は断念をされて、そして、大臣は四月の二十九日から訪欧されて、EUだとかWTOの幹部などとも会談をしてこられました。九月のメキシコ・カンクンにおける第五回閣僚会議に向けて、食料安全保障、農業の多面的機能などの非貿易的関心事項についての各国合意に向けた努力は極めて重要だと思います。
 二〇〇二年六月十四日に、ローマで、第四回の非貿易的関心事項に関する閣僚レベル会議が、五十四カ国の参加で開かれて、そして、WTOでのさらなる約束は非貿易的関心事項に対応しなければならないというコミュニケを発表しました。
 ドーハの閣僚宣言には、「我々は、加盟国から提出された交渉提案に反映された非貿易的関心事項に留意するとともに、非貿易的関心事項が農業協定で規定されているとおり交渉において考慮されることを認識する」と。
 この非貿易的関心事項、多面的機能の問題は非常に重要でありますが、私がきょう特に申し上げたいと思いますのは、国際人権規約なんですね。人権宣言があってそれから人権規約がありますけれども、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の第一条に、「すべて人民は、互恵の原則に基づく国際的経済協力から生ずる義務及び国際法上の義務に違反しない限り、自己のためにその天然の富及び資源を自由に処分することができる。人民は、いかなる場合にも、その生存のための手段を奪われることはない。」というふうに規定をされております。
 農業、森林の多面的機能というのは、我が国の国民が生存していくために不可欠の資産だと思います。農水省作成の資料によりますと、日本学術会議の評価額は、農業で八兆二千二百二十六億円、森林で七十兆二千六百三十八億円。その中身は、例えば農業でいえば洪水防止機能でありますとか、土壌侵食防止機能でありますとか、土砂崩壊防止機能でありますとか、森林でいけば二酸化炭素の吸収機能でありますとか、表面侵食防止機能でありますとか、表層崩壊防止機能、洪水緩和機能等々、やはり日本の国民が生きていくために不可欠の機能がありますし、これらはやはり我が国の天然の富及び資源の一つであると思います。
 この農業、森林の多面的機能の問題というのは、我が国の国民の生存及び我が国の天然資源等を守るという根本問題で、妥協のできない性質のものであると思いますが、農水大臣、いかがお考えでしょうか。
亀井国務大臣 今委員いろいろお話をいただき、まさに農業の問題、生産活動を通じ、食料の安定供給による食料の安全保障のみならず、国土、環境保全、あるいは良好な環境の形成、あるいは地域社会の維持等、本当に多面的な役割を果たしておるわけでありまして、このことにつきまして、先般も、EUの関係者にもまたWTOの関係者にも強くこのことを訴えてまいってきたわけでもございます。二十一世紀の世界が直面しております人口や食料、環境、飢餓、貧困等、地球規模でのさまざまな課題に対処していく上でも、その役割はますます重要なことであるわけであります。
 ぜひ今度のWTO農業交渉の場でも、まさにこのような農業の持つ多面的機能の適切な反映を内容とするもの、このような点から、EUを初め非貿易的関心事項を重視している国々と緊密な連携をとりながら、農産物貿易ルールづくりに向けて交渉に頑張ってまいりたい、こう思っております。
松本(善)委員 岸政務官、どうぞ、もう結構ですから。
 私は、農水大臣、対外的にこのことを主張するというだけではなくて、日本の国民、まだまだ、消費者を含めまして、農民は一生懸命ですけれども、農林水産業に金を使うのはむだなんだというような意識がないとは言えない。農業や森林での多面的機能でありますとかこういうことが我が国の国民の生存上不可欠なんだ、それからこれは我が国の資源なんだということをやはり全国民に周知徹底をして、農林水産業を守るために税金を使うのはけしからぬなんという議論がないようにしなくちゃいかぬ。それを内閣の方針として周知徹底をしないから、今のような状況でいるんじゃないかと思う。
 この点については、農水大臣、どうお考えですか。
亀井国務大臣 まさに委員御指摘の問題、大変、国民的な理解が若干心配でございます。また、実は先般も、経済財政諮問会議の民間議員の皆さん方にも、日本の農業全体、また私ども農林水産省が展開をしておりますいろいろなことの問題点につきまして、説明をしてまいりました。
 そういう中で、例えば、御承知のとおり、日本はこのような山国であります。七割山であるわけでありますが、山に雨が降り、そして森林、林野、これらがその水をいろいろ保水をし、そしてその地域の地形というものも守ってくれておるわけでありますし、万一その下の棚田であるとか傾斜地の水田等々が整備をされなければ水害という面では大変な事態になるわけでありまして、そういう面で、農業の多面的ないろいろの問題というものをぜひ国民の皆さん方にも御理解をいただくような努力をしなければならない、こう思っております。
 このような、いろいろ農水省としても、国民の理解の形成のために、多面的機能の内容、発生メカニズムをわかりやすく解説したパンフレットの作成であるとか配布であるとか、あるいは各種のシンポジウムでの討論であるとか、あるいは都市と農山漁村の共生、対流を推進し、都市住民を含む幅広い国民が農山漁村や農林漁業にじかに実際に触れていただく機会を拡大することなど、多面的機能に関する国民各層とのコミュニケーションの拡大に積極的に今努めておるところでもございます。
 これからも、その問題につきましてさらに省を挙げて努力をしてまいりたい、こう思っております。
松本(善)委員 先ほど触れましたSPS協定の問題も、我が国の国民の食の安全を守るという人権の問題、この協定の見直し、改定についても真剣に取り組むべきだということを述べまして、食品の安全性確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案、議題の法律案に関して、農薬取締法改正後の運用上の問題についてお聞きをいたします。
 昨年七月以降、登録されていない農薬が輸入、販売されていたことが発覚をして、その実態は、今年一月九日現在の資料によりますと、四十都道府県で約二百七十業者が、ダイホルタン、プリクトランなど十種類の無登録農薬を約四千戸の農家に販売していたことが判明をいたしました。農家の被害は、果樹、野菜等の廃棄が約五千六百トン、また被害額は十三億円に達しました。
 こうした事態を受けて、昨年の臨時国会で農薬取締法が改正をされて、ことし三月十日から施行されたわけでありますが、第一にお聞きしたいのは、特定農薬についてであります。
 昨年の法改正で、無登録農薬の製造、使用を禁止したために、農作物の防除に使う薬剤や天敵など天然由来資材までが登録しないと使用禁止になってしまうということから、人や動物などに害を及ぼすおそれのない特定農薬という仕組みが設けられました。
 この特定農薬については、現在、農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会で指定運用の考え方について検討されているということでありますが、報道によりますと、人や動物などに害を及ぼすおそれがないということと農薬としての効果が不明ということを含めて、六人の委員全員が出した結論が、指定すべきものはゼロということになったということであります。今後、どういうふうに進めていくつもりなのか。
 特に、有機農業関係者や消費者団体などは、有機農業や減農薬栽培で使われる病虫害防除の技術や資材などを特定農薬と名づけて農薬取締法で取り締まることは、農家の努力と誇りを無にするものだ、農薬を減らすために安全な食品の中から防除に役立てようと見つけたものまで指定を受けなければならない点に問題があるということで、批判をしております。有機栽培に使用する病虫害防除用の資材まで一括しているのはよくない、農薬取締法の適用除外として別な法律でやるべきじゃないか、別な対策をとるべきではないかというような意見もありますが、この点については、農水省、どういうふうに考えていますか。
須賀田政府参考人 二つの御質問でございました。
 一つは、特定農薬の問題でございます。
 昨年、二千九百件、七百四十種類、要望が出てまいりました。本年の三月に、重曹、食酢、天敵、ナナホシテントウと寄生バチだったと思います、この三つを指定されたわけであります。そのほかの多くの資材については、そもそも農薬としての効果があるのかどうか疑わしいものが数多くございましたので、今指定が保留をされております。
 現在は、資材審議会の農薬分科会におきまして、学識経験者による委員会を環境省と合同で開催をしまして、農薬としての効果と安全性に係る評価の指針の検討を始めておりまして、四月十六日に第一回目の検討、五月にも引き続き検討ということで、指針ができましたら、その指針に基づきまして、評価可能なデータが得られたものから順次評価を行って、そもそも農薬でないのか、あるいは特定農薬にするのかの指定をしていきたいというふうに考えております。
 それから、有機農法の方々が言われている、いわゆる化学合成農薬でない天然由来のものは、そもそも農薬取締法の範疇から外したらどうかというお話でございます。
 御承知のとおり、農薬は定義上、殺虫、除草、殺菌といった、そもそも危害を与える可能性を有している物質でございます。また、植物抽出液の中には、天然由来のものであっても、その成分の種類や使用量によっては必ずしも安全とは言えないものがございます。その安全性をチェックした上で、安全なものは特定農薬とし、そうでないものはやはり農薬取り締まりの対象としなければ、成分や効果に対する虚偽の宣伝を取り締まることができない、不良品が発生した場合でも流通が是正できないという問題がございますので、農薬行政を全うできないということでございまして、農薬取締法の対象から外すことはできないということでございます。
 現実に、有機資材と称して植物抽出物に化学合成農薬を混入して販売されていた事例が、二事例私どもも把握をしておりまして、そういうものの取り締まりを行うということは、食の安全の確保のみならず、産地の信頼ということからも必要であるというふうに認識をしております。
松本(善)委員 それでは次に、検査体制の問題につきまして、この問題では、行政の対応のおくれだとか地方と国の連携が悪かったことも大きな要因になっていることが連合審査で明らかになりました。
 総務省が行政評価局のある十四道府県を調べたところが、農薬業者への立入検査の実施率はわずか六・九%にすぎない、体をなしていないということが言われております。総務省行政評価局は、農水省、厚生労働省に対して、ことしの二月の七日、農薬の使用、管理等に関する行政評価・監視結果に基づく通知というのを行いました。総務省の通知に対してどういうふうに取り組むのか、また立入検査実施のための検査マニュアルを作成するのかどうか、伺いたいと思います。
須賀田政府参考人 先生おっしゃるとおり、本年の二月に総務省から、立入検査の実施が極めて低調という厳しい指摘を受けました。
 これに対しまして、私どもとしては、一つは、今まさに先生が言われました販売業者に対する立入検査について、これを計画的、重点的にやるという、マニュアルというものを現在作成をしているところでございます。
 それから、過去、農林部局と衛生部局の連携の悪さということも言われました。連携の強化につきまして都道府県を指導する、特に販売業者に対する監督処分権限を都道府県に移譲をいたしまして、本腰を入れた立入調査が行えるようにしたいというふうに考えております。
 それから、地域段階におきまして、農林水産省の組織を変えまして、食糧事務所を改組いたしまして地方農政事務所を設置する等いたしまして、国としても農薬の立入検査体制を強化することにしたいというふうに考えているところでございます。
松本(善)委員 次は、消費者の安全性に対する要求にこたえるために、産地における残留農薬の安全性確認体制、例えば検査機器の導入に対する助成、検査方法の開発などについての整備が求められていますが、その支援についてはどういうふうに取り組んでいくのですか。
須賀田政府参考人 前回の農薬取締法の改正におきまして、使用基準の遵守というのが義務化をされた。農薬の使用に当たりましては定められた使用方法を遵守する、これは当然大事なことなわけでございますけれども、それに加えまして、各産地において出荷前の農作物について自主的に残留農薬分析を行うということは、食の安心、安全といった面で非常に重要な取り組みであるというふうに考えております。
 私ども、そういう取り組みを支援するために、十四年度の補正予算、十五年度の予算におきまして、都道府県や農協が残留農薬分析機器を整備する際に、その助成措置を予算化しておるところでございますし、残留農薬分析の試験方法あるいは残留農薬についてこれまでに蓄積されております知見、そういう情報についても積極的に提供していきたいというふうに考えているところでございます。
松本(善)委員 検査方法の開発などは厚生省ですか。
遠藤政府参考人 検査法などを適宜定め、また研究いたしております。
松本(善)委員 登録農薬の輸入規制、監視体制について、農薬はこれまで、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、その他の化学物質といった関税品目で輸入されておりましたが、今度の改正によって関税分類に農薬の項を設ける。このうち特に化学物質として輸入される場合、徹底したチェックが求められますが、これに対する取り組みはどうするのか、税関は水際で防ぐためのどういう対応策を講じているのか。農水省と関税局ですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のとおり、昨年の農薬取締法の改正によりまして、本年三月より、農薬の輸入に当たりましては農林水産大臣の登録が必要とされることになりまして、これを受けまして、税関におきましても、輸入通関の際に他法令の確認ということで、この登録が行われているかどうかの確認を行いまして、確認ができたもののみ輸入を許可しているところでございます。
 今お話ありましたように、輸入農薬につきましては、従来、関税分類の中で、その他の薬剤と一緒に、その薬効に基づきまして殺虫剤あるいは殺菌剤等々と分類されておりましたけれども、昨年の農薬取締法の改正に合わせまして、これらをさらにその中で細分をいたしまして、例えば殺虫剤なら殺虫剤の中で農薬とそれ以外のものに分けて分類をいたしまして、農薬の輸入を把握しやすくしたところでございます。
 税関におきましては、輸入通関に際しまして、農薬として輸入申告されたものはもちろんでございますけれども、これに類するものにつきましても、他法令の確認という観点から、具体的情報の提供あるいは疑義のあるものの照会等々、農林水産省と連携しながら慎重に審査、検査を行っているところでございます。
松本(善)委員 最後に一問聞いて終わりにしますが、防除業者への規制について、三月十日施行の農薬使用基準では、航空機による散布、倉庫などでの収穫物の薫蒸、ゴルフ場での散布については農薬の使用計画を農水大臣に提出することを義務づけておりますが、それ以外は農家と同じ扱いで届け出義務がなくなったので、これまで農薬の使用を届け出る義務のある防除業者のうち九割に当たる約二万の業者が届け出をしなくてもよいことになった。
 農薬散布による健康被害が起こった場合に、業者の特定、指導はこれで可能なのか、どういうふうに対応するのか。農家と同じ扱いにしないで、より厳しい規制が必要なのではないかと思われますが、それらの点についてどう考えているのか、伺いたいと思います。
須賀田政府参考人 これまで使用規制が義務化していなかった法律改正前におきましては、防除業者に届け出を義務づけまして、使用農薬や防除方法について監督できる体制を整えておったわけでございます。ところが、前回の改正によりまして、まず無登録農薬は使用禁止、それから、登録されたものでも農薬使用基準に反する農薬の使用は禁止、罰則で担保する、こういう直罰をもってする義務化というものを措置したわけでございます。そういうことによって、直接その防除方法を規制できるということにしましたので、この届け出というのはやめたわけでございます。
 その中で、特に農薬使用量の多い航空防除業者とか薫蒸業者については、その農薬使用計画というものを出させて、そういう影響の大きい人に対しては把握ができるようにしたわけでございます。その他の方々につきましては、関係機関に対して適切な防除を指導するという措置でもって対応可能というふうに考えております。
 多くの方、薫蒸を行う方あるいは航空防除を行う方以外は、この防除業者は植木屋さんとかそういう方々がやっておられますので、ただいま申し上げましたような指導措置と、直接の防除方法の義務化規制ということで対応ができるものというふうに考えております。
松本(善)委員 もう時間なのでやめますが、詰め切れていない点もありますけれども、一層食の安全と安心のために努力をすることを要求して、終わりにしたいと思います。
小平委員長 次に、菅野哲雄君。
菅野委員 社民党の菅野哲雄でございます。
 冒頭、家畜伝染病予防法について少し議論していきたい、質問していきたいというふうに思っております。
 先ほどもお話がございましたけれども、BSEが発生して農家が一番心配していたこと。これは、一昨年の十二月に私ども社民党の調査団としてBSEが発生した現地に行って、疑似患畜牛の問題を痛切に感じてまいりました。北海道の佐呂間町や猿払村あるいは群馬の宮城村に行って、農家の人たちから訴えられたのは、この疑似患畜牛を何とかしてくれという切実な訴えだったわけでございます。そういう意味では、もう二年になろうとしていますが、このことに私はこだわりを持って議論してきたつもりでございます。
 それで、先ほどの答弁では、この五月の十七、十八日にOIEの総会において日本提案が審議されるような答弁がございました。日本提案という形でしか答弁になっておりませんけれども、このOIE総会に向けての対応として、疑似患畜の範囲をどのように見直していこうと考えているのか、そして、総会では現時点でどのような方向性でOIEとして動いているのか、その状況を答弁していただきたいというふうに思っています。
    〔委員長退席、楢崎委員長代理着席〕
北村副大臣 OIEでのBSEの見直しの基準案につきましては、今までもそうだったんですけれども、OIEについては総会まで未公表ということになっておりまして、OIEの提案されることがどのようになっているかということは、行くまで実はわかりません。
 ただ、我が国が昨年の十一月に出しましたことにつきましては、いわゆる今の段階では、昨年ヨーロッパのOIEのBSEの専門家でありますドクター・ハイムが参ったときに、ヨーロッパの中でもOIEの基準よりも緩和された範囲をとっている国もある、あるいは、我が国に対してもよりやわらかな対応を検討すべきであるという提言もいただきました。今我が国がとっているOIE基準に沿った疑似患畜よりも圧縮されるということは、見直し案の中に盛り込まれているものと思っております。
 そして我が国、委員御指摘のとおり、特に生産者の皆さん方、あるいはBSEが発生をしてしまった都道府県そして市町村での聞き取り等々をしておりますので、それらも含めて科学的なデータに基づいて我が国はOIEに対して改正案の提案、提言をしているということでございまして、それが、先ほど江田委員からは、それこそ命がけでやってこいというお話がございましたが、ここですべてを申し上げてそのとおりにいけばよろしいですけれども、そういう意味では、万全を期して、十七日に行くまでは公表は避けさせていただきたい、このように思っているところでございます。
 ただ、委員の思いも、また我が省の思いも、ほぼ一致をするのではないかということだけは言えると思います。
菅野委員 先ほども津川委員との議論がございました、昨年、伝染性から伝達性ということで名称を変更することができました。これは議員立法として名称を変えたわけです。そういう意味では、この伝染性から伝達性に変えるということでも多くの議論を私どもは行ってまいりました。
 その伝染性から伝達性に名前を変えるということは、この疑似患畜牛の範囲とも密接に絡まることなんですね。一緒にいたからといって、同居していたからといってBSEに、異常プリオンを含んだ肉骨粉を食べない限り伝わっていかないわけですから、そういう範囲、そのことと密接にかかわることですから伝染性から伝達性に変えたというふうに私どもは思っています。
 そういう意味で、BSEを、先ほどから議論になっていますけれども、伝染病ではないという位置づけになったときに、この疑似患畜牛を一緒に飼育していくことも私は可能なんだという立場をとっているんですね、殺さなくても。そして、六歳、七歳になってBSEが発生したとしても、それは逆に感染経路を特定するために有効な手段だと思うんです。そういう意味でもこの全頭殺処分というのはおかしいことだというふうに申し上げてきました。そのことも、OIEの総会では北村副大臣が記念講演をするというふうに聞いていますから、ぜひ主張していただきたいというふうに思っています。
 そういう立場に立って、OIE総会での一つの基準ができたときに、家畜伝染病予防法の中でBSEをどう位置づけていくのか。これまた私は大きな議論であるというふうに思っているんです。先ほども津川委員の中で議論されておりましたけれども、BSEを八年間かかって日本から一切なくしていく、清浄国にしていくという立場を貫くならば、この議論も、家畜伝染病予防法で位置づけるんじゃなくて、BSEの特別の法律の中で位置づけていくべきだと私は思うんですけれども、これらについて、大臣、副大臣の考え方をお聞きしておきたいと思います。
北村副大臣 先生御指摘のことにつきましては、今回のOIEでの総会で疑似患畜の範囲に関する見直し案が変更された場合は、我が国における獣医学の権威の方々から成るBSEに関する技術検討会で、我が国で今度は再度検討していただきながら、生産者や消費者の代表の方々も参加をしていただいて、BSE対策検討会の意見を伺った上で、我が国における疑似患畜の範囲の見直しを進めていくという流れになっていく、こう思います。
 ですから、OIEで見直しがなされ、それの上に立って今度は我が国が、それぞれ、食の安全委員会等々の御意見を伺いながら、あるいはBSEの検討委員会でのお伺いをする、そのときには、リスクコミュニケーションもしていきながら、できるだけ早い時期にそういう見直し作業に入っていければいいと思っております。
 ただ、疑似患畜の具体的な判定基準というのはBSEの検査対象マニュアルで定められておりますので、その見直しに当たっては家畜伝染病予防法の改正の必要はないというふうに考えておりますので、その作業というものは、この作業に取りかかっていけばそれなりの期間の中で進んでいくものである、このように思っております。
菅野委員 私は、BSEが発生したときには、報道機関がセンセーショナルに報道されていて、そして国民もあるいは消費者も大変だ大変だという中で推移してきたというふうに思っております。そういう意味では、今日的に七頭が発生した状況を見るときに、私は、今はセンセーショナルな報道ということじゃなくて、一歩やはり科学的知見というものが科学的に議論されるようになってきていると思うんです。昨年、伝染性から伝達性に変えるといっても、これはどうなるんだろうという不安が非常にあったんですけれども、今は、変えたことが科学的知見に基づいているなというふうに私は思っているんですね。
 それで、家畜伝染病予防法にBSEを位置づけるときの議事録も私は読ませていただきました。経過も見ました。本来であれば家畜伝染病予防法に位置づけるのはおかしいという意見もあったと私は聞いているんですね。そういう意味で、科学的知見に立った対応というものを、OIEの総会を踏まえて私はしっかり行うべきだということを申し上げておきたいというふうに思うんです。
 大臣、やはりBSEというものをしっかり日本から根絶していくために、そして感染ルートを特定する、なかなかこれは今の段階で特定するというのは難しいことかもしれませんけれども、そういう方向に向かっていくためにも、私はこの家畜伝染病予防法の中に位置づけておくのはやはりおかしいというふうに思うんですが、副大臣、どう思いますか。
北村副大臣 科学的見地に基づいて議論を進めていくことと、それから、政治的な判断として、消費者あるいは国民、我が国の国益というようなそういった観点から政治的判断をしていくということの二つの面があるんだと思います。
 これは、先生も御承知のとおり、BSEが平成十三年の九月に発生をしたときに、あのすごい風評的な被害の中で、とにかくやれることは何でもやろう、こういう思いで皆さん方の御指導をいただいてやってきた、みんなでやってきた、こう思っております。
 その中では、OIEやあるいは専門家の皆さん方は、全頭検査までする必要がないではないか、こういう意見がございました。しかしそれは、この国会で政治的判断として、消費者の方々の信頼関係を取り戻すためには科学的なあるいは学術的なことよりもそれこそ政治的な判断が必要だということで、全頭検査をしたという経過がございます。
 しかし、昨年来られたドクター・ハイムは、そこまでやる必要はないというまた御意見もこの専門家からいただいておりまして、これらは、やはり科学的な見地、科学的なデータに基づいて一つずつやっていただくということを基本にしながら、そのときそのとき、今回の、私は個人的には、専門家としては、伝達性でなくても伝染性でもいい、こう思っておりましたが、しかし、これも政治的判断だな、こう思いまして、伝達性でいいのではないか、こういうふうに私も心を決めたわけでございまして、そういう意味からすれば、その時代時代によって政治的な判断をしなきゃならないということもあるでしょう。
 しかし一方で、OIEは、これはもう伝染性ということを明確にこの伝染病の中に位置づけをしているということであります。
 ですから、そういうことを考えたときに、ぜひこの場で政治的な判断をしなきゃならない事態が来れば、それはそれでまた国会議員としての判断というものは大切なことである、こう思います。ただ、基本的には、科学的なデータというものがきちっとベースにあるということだけは御理解をいただきたい、このように思います。
菅野委員 BSEの問題でまだ残っているのは、この全頭検査を今後どうしていくのかという問題、それと疑似患畜牛の範囲をどうしていくのかという問題を、これは大きな課題として残っている課題だと思っております。それに向けて今後大きく議論していかなきゃならないというふうに思っています。
 それともう一つは、BSEの感染経路を含めて解明していかなきゃならないという問題があると思うし、それから、なぜこのBSEが発生するのかという研究体制もしっかり日本として整えて、発生国として世界に情報を発信させていく責務があるというふうに私は思っております。
 農林水産技術会議の事務局長さん、出席していただいていますけれども、BSEについての調査研究はどのように進んでいるのか、この現状を教えていただきたいし、情報を世界に向けてどう発信していこうとなされているのか、この点について教えていただきたいと思います。
石原政府参考人 BSEにつきましては、いまだ未解明のことが大変多うございます。
 研究といたしましては、本年度から、BSEのプリオン病の制圧のためのプロジェクトというのを実施することにしております。一つは、異常プリオンたんぱくの構造ですとか、あるいは、正常プリオンたんぱくがなぜ異常化するかという機構の解明、それと、なぜ異常プリオンたんぱくが動物の体内に摂取されて脳にまで移行するかということがあるわけですが、そういう経路の解明等の研究、あるいは、早期の診断ということが必要になります。そういう意味では、生前における診断についてはどういうマーカーを開発すればいいかという研究ですとか、それから、診断の精度を上げるためにはどういう技術研究をすればいいかといったような研究開発に取り組むことにしております。
 体制そのものとしましては、既に昨年に動物衛生研究所の中にプリオン病研究センターを設置しまして、推進することにしております。
 それとまた、本年度におきまして、これは牛等大動物の感染試験が可能なP3レベルの隔離の研究施設でございますが、現在建設中でございます。本年末には完成するのではないかと思っておりますが、それが完成すれば、さらに、より一層の研究の推進が図られるものというふうに考えております。
 また、これらの研究の成果につきましては、お話がございましたように、例えば英国の獣医学の研究所等々いろいろございます。当然、外国のそういうところとよく情報交換しながら、かつ、我が国においても、これらの研究成果については外国に提供しながら、研究を進めてまいりたいというふうに考えております。
    〔楢崎委員長代理退席、委員長着席〕
菅野委員 わかりました。
 次に移りたいと思っています。
 農薬取締法あるいは飼料取締法の一部改正案が今国会に提出されておりまして、今審議されているんですが、農薬あるいは飼料の定義なんですね、私はこれが非常にあいまいで経過してきたんではないのかなというふうに思えてなりません。
 そういう意味で、昨年、無登録農薬問題から発して、そして消費者あるいは生産者に大きな不安を与えました。この無登録農薬問題で自殺者まで出る事態に至っております。そして、昨年の農薬取締法の改正ですっきりしたように思えたんですけれども、その後、法案が通ってから、特定農薬問題という形で大きな議論になっているのが、今日の状況だというふうに思っています。
 私聞きたいんですが、農薬、あるいは肥料、あるいは土壌改良材、そういう形で生産に寄与している部分があるわけですけれども、区別はどのようにされているんですか。局長、答弁してください。
須賀田政府参考人 農薬は、農薬取締法に定義がございます。要は、農作物を害する菌とか線虫とかダニとか昆虫とか、その他の動植物、ウイルスの防除に用いられるということでございまして、殺菌、殺虫、除草等の薬剤というふうに決まっております。一方、肥料は、「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土じように化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物及び植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物」、こういうふうに定義されている。どこが違うかということでございます。
 農薬は、今の定義でも明らかなように、本来、危害性を内在する物質。殺虫、殺菌、除草に使われるものでございますので、人畜の健康や環境への影響に関するリスクを本来的に内在する物質でございます。
 このために、農薬については原則登録を要するということで、法律的に申しますと、原則は流通禁止の状態に置きまして、特別の場合に解除をして、登録行為ということによって解除をして流通をさせる。その農薬の一定のもの、特定のもの、原材料から見て明らかに安全なもの、農薬の中にもそういう特定のものがございますので、それを、特定農薬というカテゴリーを設けまして、登録は要らないよ、ただし審査はさせていただくよ、こういう仕組みになっているわけでございます。
 一方で、肥料は、先ほどの定義からいきますと、その成分が環境中に広く存在するということで、基本的には人畜にとっては安全である。したがいまして、肥料取締法といいますのは、基本的にはその品質を保証するための登録、要するに、植物に害を与えない、肥料の効果がある、肥効があるということで、本来安全であるんだけれども、その成分が効かない場合がある、あるいは植物に害を与える可能性もある。その部分の品質をチェックするという確認のための登録ということを法律的な基本的仕組みにしておりますので、そういう物質としての違いに基づく取り締まりの差があるわけでございます。
菅野委員 今、非常に大事なところだと思うんですね。
 ただし、それは法体系上はどうなっているかというと、肥料取締法は、普通肥料と特殊肥料と分けて、そして今回、特定普通肥料という形をとってやっています。これは、なぜ特定肥料が議論にならないのかというと、定義上は本来安全なものなんですね。肥料も安全なものなんですね。
 今、農薬は危害的要素を持っている中身なんです。それで、特定農薬というものは薬効効果があっても人畜には無害のものであると定義しているわけですね。ただし、農薬の言葉の本来持っている意味というものは、危害的要素を言葉の中に持っているんです。
 ということで、肥料取締法と農薬取締法の構成は同じになっているんですけれども、言葉として、特定農薬という言葉を使ったがゆえに、今大きな議論になっているというふうに思うんです。
 それで、特定農薬という形じゃなくて、特定生産資材という形で今後行っていくと先ほど答弁していますけれども、法律上は特定農薬なんですね。法律を変えるというんだったら私はわかるわけですけれども、この特定農薬という部分をなぜ法律を改正できないのか。これをお聞きしておきたいというふうに思うんです。
須賀田政府参考人 お答えをいたします。
 これは、全くの立法技術上の問題でございます。
 ここにございますように、まず、農薬は登録せよというのがございまして、そのただし書きで、農薬であるけれども原材料に照らしてこれこれの農薬、そういう農薬の中の特定の農薬は登録しないでいいよというふうにして、「以下「特定農薬」という。」、こういうふうに書いているわけでございます。全く立法技術上の問題でございまして、農薬の中の特定のものですので、「以下「特定農薬」という。」、こうなっているわけでございます。これ以外の略称の仕方は、立法技術上、恐らくないというふうに思われます。
菅野委員 法律上は特定農薬と使って、一般国民には特定生産資材という言葉を使っていくんですか。これこそ矛盾点があるんじゃないですか。国民をごまかしていくという方針を農水省は持っていくんですか、このままずっと継続するんですか。このことに対して後から答弁願いたいと思います。
 そして、やはり肥料と農薬の範囲の区別も、個々の部分において議論していくときに、須賀田局長はさっき明確な区別として言われましたけれども、農薬とも肥料とも、あるいは地力増進法に基づくものというものも混然一体となっているんじゃないですか。それを特定農薬で処理していこうとするところに無理があるというふうに私は思うんですね。
 この二点について、どう考えますか。
須賀田政府参考人 まず、名称の問題でございます。これは立法技術上の、法律上の略称の仕方はこれ以上、これ以外にないということで略称を使わせていただいたわけでございます。ところが、実態的に多くの方々が、そういう略称を使われると実際の経済活動で支障があるので何とかしていただきたいという話がありましたので、それではこの種類の薬剤は特定防除資材というふうにこれからは呼称することにしようということにしたわけでございます。これは立法技術上の問題と実態的な運用の問題で、そこは仕分けして考えていただきたいというふうに思うわけでございます。
 それから、二番目の問題でございます。
 やはり農薬というのは、定義からして殺菌、殺虫、除草でございますので、それは本来的に危害性を含むものでございます。したがって、その農薬の定義に該当する限りにおいて、人畜に安全だというものは登録は必要としませんけれども、やはり虚偽の宣伝を取り締まるだとか、その中に不良品がまじった場合には流通を是正するだとか、そういう農薬行政というものは、これは必要なものである、それが消費者に対して食の安全というものを保障するゆえんのものであろうというふうに心得ておる次第でございます。
菅野委員 須賀田局長、この問題は、特定農薬の範囲をどうするのかということで、農薬取締法が成立してから、先ほどの答弁では七百四十種ものものを農業資材審議会にかけたんですよね、かけたんです。今答弁しているのは、答弁している中身からすれば、農業資材審議会にかけなくてもよかったんじゃないですか。だから、この農薬取締法が改正されました、無登録農薬問題があって改正されました。そして、特定農薬の概念というものをどう考えていくのかということで議論してきて、今、苦し紛れの答弁をやっているんだというふうに思うんですね。
 当初の、農薬取締法の改正のときの特定農薬の考え方というものは、特定農薬で指定していって、すべて登録しないで使っていけるようにしようという善意の発想だったというふうに思うんです。しかし、農薬というものの言葉の持っている意味が、危害性を帯びている言葉でありますから、特定農薬というふうに規定してしまうと、あれっ、農薬なのかという概念が入ってしまうから、このことは大変問題だということで大きな議論になってきたんだと思うんですね。そのことを単に立法技術上の問題で片づけていいんですかということなんです。
 国民が不安に思っていることに対して、立法技術上それはできないんだという、その言葉だけで国民を説得できるんですかという問題です。局長、どう思いますか。
須賀田政府参考人 特定農薬も農薬なんです。農薬の定義を今回変えたわけではないわけなんです。
 先ほど先生言われましたように、特定農薬に指定してもらいたいものは申請してきなさいと。七百四十種類上がってまいりました。それを、およそ農薬の効果がないものは農薬でないということで農薬から外しました。これは、笑われましたけれども、アイガモとか、こういうものはカモですから農薬でないということで、農薬からは外しました。
 それから、農薬には該当するんだけれども人畜には安全だ、こういうものを特定農薬として、重曹、食酢、天敵、この三つを指定したんです。登録は必要ないんだけれども、やはり、販売業者の届け出だとか、あるいは虚偽の宣伝の防止だとか、これは農薬でありますので、農薬の定義に該当しますので、そういう規制は必要だろうと。
 残りの多くのものは、農薬としての効果が不明なので、今後ガイドラインをつくって順次評価をして、農薬でないものは農薬でなくするし、特定農薬に該当しないものは危ないのでちゃんと登録をしてもらいますし、特定農薬に該当するものは特定農薬にする、これが農薬行政でございます。
菅野委員 わかりました。まだここがはっきりしていないんですね。
 そして、無登録農薬の問題はなぜ起こったのかの問題なんです。この議論が徹底して行われなかったがゆえにこの無登録農薬という問題が発生していって、そして本当は無登録農薬問題はこれですべて解決したというふうに思うんですけれども、今言ったように、まだ登録になっていないで農薬効果が存在するもの、そのことを農薬として使っていったときに、また無登録農薬の問題がクローズアップになってくるんではないでしょうか。これはやはり、はっきりとした線引きというものを、農水大臣あるいは環境大臣が協議して、線引きをするべきだというふうに私は思っております。
 一つは、特定農薬という問題を法律上残しておいて、そして国民の前で特定生産資材などという言葉を使っていかざるを得ない、そういう法体系はおかしいということを申し上げておきたいし、この法体系全体をしっかりとしたものに見直していく、このことも私どもは議論していきたいというふうに思っております。
 これ以上この部分を続けているとなかなか前に進みませんので、この辺で終わらせておきたいというふうに思っています。
 それからもう一つは、農薬の部分において、農薬の効能というものをはっきりと国民の前に示すべきだと思うんですね。今回、リスク分析手法というものがとられて、そしてリスクコミュニケーションというものが食の安全、安心のために重要なんだというふうに言われております。そういう意味では、登録農薬の部分も、薬害、あるいは毒性及び残留性に関する試験成績というものが行われるわけですよね、行われるんです。この部分に限ってだけでも、こういう登録農薬はこういう状況ですよというのを国民の前に公表すること、これがリスクコミュニケーションの原則だと私は思うんですけれども、局長、どう考えますか。
須賀田政府参考人 私も、一般的には先生の申されるとおり、農薬の安全性に関する情報を積極的に提供するということが食の安全に対する国民の信頼にこたえるゆえんのものであろうというふうに認識はしておるところでございます。
 ただ、具体的に企業から、毒性だとか残留性の試験成績とともに登録申請があるわけでございますけれども、その中には、企業機密に属する、農薬の製造工程がすぐわかってしまう情報が含まれておるわけでございまして、現在、我が国には企業のデータを保護するという法律がないわけでございまして、そういうようなもとで企業機密に属するものも公表するということはなかなかできないということで、それ以外のもののデータは私の方から公表するということにしておりますし、また企業に対しては、みずからできるだけデータを公表するようにという指導をしているところでございます。
 企業のデータ保護と公表の問題、権利と権利ということでございますのでなかなか難しい問題でございますけれども、現下の置かれた状況のもとではこのように扱わざるを得ないことを御理解いただきたいというふうに考えているところでございます。
菅野委員 このことは後ほどまた議論していきたいと思っています。
 最後になりますけれども、先ほども議論されたんですが、今回の法律改正案で大きな、リスク評価機関としての食品安全委員会と、それからリスク管理機関としての各種審議会との関係、これを整理しておかないといけないというふうに私は思うんです。
 先ほども議論されました。しかし、どうもわからないんですね。農薬取締法、飼料安全法は農業資材審議会、薬事法は薬事・食品衛生審議会、家畜伝染病は、今回改正して食料・農業・農村審議会、それぞれ、リスク管理機関として審議会を持っています。その上に立って、食品安全委員会の諮問事項というものが食品安全基本法の中に明記されている。これは評価機関と管理機関の違いだというふうに言って片づけられる問題じゃないと思うんです。両方とも専門家集団だと位置づけられています。
 食品安全委員会とそれからそれぞれの審議会、結論が違った場合はどうしていくんですか、評価機関と管理機関とで。その辺の整理は行っていく必要があるというふうに思うんですが、局長、いかに考えていますか。
須賀田政府参考人 もう仕事が決まっているわけでございます。食品安全委員会というのは、食品を通ずる健康影響評価、こういうものを評価する機関でございます。農薬でいいますと、生涯にわたり摂取してもいい一日許容摂取量、ADIと申しておりますけれども、これについて食品安全委員会が評価をしていただくわけでございます。農薬は、そのADIを食品安全委員会が評価をいたしますと、実質的には厚生労働省関係で残留基準というのを決めます、食品の。これに環境省が、環境関係のリスク、動植物に対する影響だとか土壌残留性だとか、そういうものをあわせまして農薬の登録の基準というのをつくりまして、これに基づきまして、農林水産大臣が登録するとかしないとかというのを決めるわけでございます。というように、決して重複した機能ではなくて、それぞれの役割、役割が決まっているわけでございます。
菅野委員 食品安全委員会の諮問事項というもの、法律に定められております。農薬取締法でいうと、一条の三、農薬の公定規格の設定、変更、廃止、それから二条の第一項、特定農薬の指定、変更、それから三条の二項では、農薬の登録保留基準の設定、変更、こういうものは食品安全基本法において諮問しなければならないと言っているんですね。これは健康にかかわることじゃないんです。これは、例えば農業資材審議会で議論して、そして食品安全委員会にまた諮問するという構造になっているんじゃないですか。これをどう整理していくかなんです。
小平委員長 須賀田生産局長、時間が来ましたので簡潔に答弁願います。
須賀田政府参考人 確かに、先生言われるような必要的諮問事項が決まっております。でも、諮問をいたしまして、食品安全委員会が評価いたしますのは、先ほど私が申し上げました、食品を通ずる健康影響評価の部分のみでございます。
菅野委員 これからもこのことについては議論していきたい、大きな問題点が残っているということを私は指摘して、質問を終わりたいと思います。
小平委員長 次に、佐藤敬夫君。
佐藤(敬)委員 質問時間が三十分という大変短い時間で、しかもなおかつ、ちょっと後のこともございますので、基本的に、農薬の取締法の関係について須賀田生産局長に質問させていただきます。
 ずっときょう一日聞いていて、須賀田さんの答弁、ちょっと調子よ過ぎて、わかりにくいところがいっぱいあるんです。私はもう本当に基本的にきちんと聞きますから、多く語らなくて結構でありますから、わかりやすくお答えをいただきたいと思います。
 まず、非農耕地用の除草剤は農薬取締法においてどのように取り扱われているのかということをもう一度きちんとお話しいただきたいんです。
 昨年の臨時国会において、登録を受けていない農薬の輸入や使用を禁止するという農薬取締法の改正案が成立して、先般、施行されているところであります。しかしながら、いまだ、いろいろなところに行きますと、農薬としての登録を受けていない除草剤が、道路や駐車場の除草を標榜して、いわゆる非農耕地用として堂々と販売されている問題があると思います。このような除草剤について、農薬取締法においてはどのような取り扱いになっているのか、お聞かせください。
須賀田政府参考人 駐車場とか空き地に使います非農耕地用の除草剤、その目的どおり使われる限りにおいては農薬取締法の規制の対象外でございます。
 しかしながら、この非農耕地用の除草剤を農薬として販売する、あるいは農薬として農作物に使用する、あるいは農薬と誤認されるような宣伝をする、こういった場合には、無登録農薬となりまして、三年以下の懲役または百万円以下の罰金が科されるということになっております。
佐藤(敬)委員 それは、今三年以下の懲役または百万円以下の罰金という厳しい罰則が適用されるということですが、にもかかわらず、除草剤を販売する側は、農薬とさえ言わなければ何ら規制がなされていない。実際にホームセンター等では、農薬のすぐ横に同じような成分を含む非農耕地用の除草剤が農薬の半分以下の値段で販売されている実態というものをよく目にするわけです。それが堂々と農家に販売されているんですね。同じ薬剤が値段半分となれば、そっちを購入するのは当たり前じゃありませんか。
 非農耕地用除草剤について、販売する業者はおとがめなしで、使用すれば罰則というのでは、余りにも不公平、不適切じゃありませんか。これまで政府ではこのような非農耕地用の除草剤の販売についてどのような規制を行ってきたのか、お答えください。
須賀田政府参考人 非農耕地用除草剤、先生おっしゃるような、ホームセンター等で売られておる。確かに農薬と誤認して購入するような形態もあるということがございましたので、経済産業省、これは化学品の所管省でございます経済産業省、環境省、厚生労働省と連携をいたしまして、二月二十八日に、農耕地で使用した場合には農薬取締法の対象となりますよということ、それから非農耕地用除草剤を農耕地で使用することを前提に売ると罰せられますよということ、それから農薬と誤解するような売り方はするなよということを、共同で通知文書を出しまして、行政指導をしているところでございます。
佐藤(敬)委員 行政指導ですね。今、関係省庁で行政指導を行っているという答弁があったんですが、これはあくまでも指導であって、何ら強制力があるものじゃないわけです。このような文書一通で果たして実際に除草剤が農薬ときちんと区別して販売されるようになるのか、私としては疑問を抱かざるを得ません。
 除草剤であっても、それが農業生産と全く関係ないところに使われていれば、食品の安全という点では問題ないのかもしれません。しかしながら、農産物に使われる場合では、その安全性について何ら確認されたものではないじゃありませんか。使用を禁止すればそれで足りるというのは、余りにも現実を無視した考え方だと思いますよ。
 だから、やはり除草剤も、農産物に使えず、非農耕地にしか使えないものであれば、少なくともその旨の表示を法律上義務づけるべきだというふうに私は思う。また、消費者が誤って購入したりすることのないように小売店舗においても適切に表示することが、一般の家庭園芸をする人たちの役にも立つと考えるんです。
 BSEの問題についても、一九九六年に肉骨粉の使用禁止を行政指導にとどめ法令上の措置をとらなかったことが、重大な失政と決めつけられたことに思いをいたせば、非農耕地用除草剤が農薬として使用されないよう、表示や販売方法について法的に規制する必要があると思うんです。そのための修正案が今検討されていると聞いております。このことについては亀井農林水産大臣の見解をお聞かせいただきたいと思うんです。
亀井国務大臣 今、いろいろ委員、御発言のとおりでございまして、この問題、非農耕用除草剤、これが農作物に使用されることを防止することは、食の安全の確保のためにも重要な課題である、このように受けとめております。
 そこで、いろいろ今、立法化の問題、御検討いただいておりますことは、私は、大変政治的な決断を要する事柄でありまして、またクリアしなければならない立法上の課題でもある、このように考えておりまして、具体的な修正案の段階まで来ておる、このようにも伺っておるわけでありまして、敬意を表する次第でございます。
 極めて合理的な考え方であり、修正案につきましては立法府で十分御検討いただいて、修正がなされれば、その内容に即し行政としても毅然として対応をしてまいりたい、こう思っています。
佐藤(敬)委員 須賀田生産局長からも答弁をお願いいたします。
須賀田政府参考人 農薬として誤購入されやすい非農耕地用除草剤についてちゃんと店舗なりその容器なりに表示で規制をするということは、非常に御英断だというふうに考えております。
 私も、大臣の御答弁にございましたように、立法府内で御審議がなされまして、修正がなされれば、それに即しましてきちんと対応をしたいというふうに考えております。
佐藤(敬)委員 家畜伝染予防法の関係とか、飼料の安全法の関係とか、カドミウムの問題とか、いろいろ御質問申し上げたいのでありますが、時間が限られておりまして、きょうは、理事会でも御了解いただきまして、この三十三号以外に、実は、一連の食料の安全、安心という行政、しかもなおかつ、今参議院に回っておりますが、食品安全基本法等の問題を考えていったときに、果たして、こういうHACCPとか、あるいはさまざまな新しい手法をもって、トレーサビリティーの法案とか、こういうことを考えてみても、私はどうしても、食の安心、安全の行政には一貫性がなければならないというふうに思うんです。
 新しく食品安全委員会をつくっても、この中に、原料、加工、流通、流通の部分の中の問題が発生するその現場の中で、経済産業省あるいは公正取引委員会で起きているさまざまな現場での課題について、なぜそういうことが、どういう形で影響してこの大きな食品の安全の問題にかかわってくるのかということを突き詰めていくと、どうしてもそこへいかざるを得ない。
 きょうは、公正取引委員会の方から楢崎さん、お出ましいただいて、この委員会に出席いただいて何をお伺いしたいかというと、今、公正取引委員会で、さまざまな流通の中での現場というんでしょうか、大規模小売業者と納入業者との取引に関する実態調査をしていただいている。
 この中で、ごく、いろいろなドラスチックな問題、例えば、一円で物を納めろとか、あるいは、勝手に集配センターをつくっておいて、そこの売り上げの二〇%、三〇%、契約もしないで勝手に納入しろとか、そして納入をしなかったら取引を切るぞ、こういうことがもう生々しくこの調査票にあらわれているわけですね。
 これについて、ひとつ公正取引委員会から、この調査とこれまでの実態について御答弁をいただきたいと思います。
楢崎政府参考人 お答えいたします。
 公正取引委員会では、いわゆるバイイングパワー、大規模小売業者と納入業者との関係の取引につきましては、以前から問題意識を持っていたところでございまして、独占禁止法上の優越的地位の濫用に当たるかどうかという観点から、平成三年にガイドラインをつくって未然防止に努めてきたところでございます。
 しかしながら、こういった取引におきましては、納入業者の方から、こういった具体的な問題があるから、公取、取り締まってくれという申告といいますか、そういったものがなかなかできにくい分野でございます。
 したがいまして、公正取引委員会としては、申告を待つだけじゃなくて、みずから実態調査を行って、業界全体として改善をしてもらうというふうな行政をしてきたところでございまして、昨年十二月に、納入業者六千五百社を対象にアンケート調査をし、また、アンケートの中で問題だというふうな記載があった納入業者百社からヒアリングを行いまして、そういった調査の過程でさまざまな事例、問題が出てきたわけでございます。
 したがいまして、個別のケースといたしましては、審査事件として処理をするとともに、問題のあった大規模小売業者に対しましては、みずから点検をして、社内を調査して、問題がある行為を調査して改善をするように努めたところでございます。
 それから、個別のケース以外に、社としてコンプライアンス、バイイングパワーをいかに防止するか、コンプライアンスと社員の研修、あるいは違反があった場合のチェック体制、こういったものを整備する必要があるということを文書で申し入れるとともに、それから、取引上バイイングパワーの乱用が起こる背景といたしましては、先生がおっしゃいましたけれども、取引条件をきちんと定めて、それを書面化していくといったことが何よりも違反の防止のために必要でございますので、各社に対して、そういう書面化の推進への取り組みといったことを文書で要請しているところでございます。
 あわせて、チェーンストア協会等の業界団体にも、未然防止の観点からの独禁法の周知徹底等、取り組みを要請してきたところでございます。
 今後とも、こういった問題意識を持って取り組んでいきたいというふうに考えております。
佐藤(敬)委員 時間がないので御答弁もしにくいんだろうと思いますが、ぜひ、私がいただいた資料をやはりこの委員会のメンバーの皆さん方にしっかりと配付をいただいて、実態、この中身を精読していただく。
 そういう中で、いろいろハードなものを何ぼきれいにしても、実際に流通の形の中で、農水、厚生労働、それぞれの役割の中、さらに経済産業省という、多くの、川下の、全国スーパーマーケット協会とか、日本スーパーマーケット協会、日本セルフ・サービス協会、やはり大型の販売機能を持っている人たちの経営者の感覚、あるいは、それらでもって、ただ利益を追求するんじゃなくて、本当に国民生活に安心と安全を与えるためにはどうしたらいいかということの中で、どうも、今度の新しく基本法でできてきた委員会の中に経済産業省のかかわりが何か見えないというところが物すごく寂しい気がするわけです。それは一体じゃなきゃいけない。
 きょうは西川副大臣に御出席をわざわざいただいたんですが、その一体感というものを出していかなければ、どんなにハードなものを磨き上げても私は無理なような気がするので、経済産業省として、今後、どういうふうにこの問題にかかわっていくかということをお聞かせいただきたいと思います。
西川副大臣 佐藤先生に御答弁を申し上げたいと思いますが、経済産業省といたしましても、食品関係の中小企業者が健全な取引環境のもとで取引の適正化が保障されるということは、中小企業育成の面でも極めて大切なことだというふうに考えているわけでございますが、平成十一年三月と十二年三月に、加工食品卸三百十社を含む延べ三千四百六十社の実態の調査をさせていただきました。
 そういう中で、例えば、古い江戸時代の言葉で言えば冥加金のようなものを納めろ、または割引を、納入価格を下げろ、こういうことを依頼されて、具体的な数字で申し上げますと、協賛金を納めろと言われたことがありますかという問いに対して、あると答えた企業が九割、九〇%。それから、納入価格の引き下げを要求されましたか、ありますという企業が七四%。さらに、御社は要請を納得しておられますか、もちろん納得していませんという方が、協賛金については五四%、価格の引き下げについては七一%も納得していない。しかし、実態として、そのように応じられましたかという調査に対して、協賛金については、しようがない、取引を停止されたら食っていけないからといって応じた方が七一%。しかし、もう精いっぱい頑張って、これ以下の価格にはできないんだということで値下げに応じたという企業は二六%しかないわけであります。
 こういう実態は、県レベルの中小企業支援センターでは、資金の問題とか一般の経営の問題、それからこの取引適正化というのは、苦情の御三家に入っていまして、全体の一割ぐらいがこの苦情なんですね。
 したがいまして、先生御指摘のように、私どもとしては、この問題について、県レベルとも、また商工会議所、商工会の皆さんとも協力しながら、中小企業庁を中心にしっかりした適正化を、特に、先ほど公正取引委員会の部長から御答弁がありましたが、この独禁法の精神を尊重していただけるように、私どもの調査もそのための資料に供する、こういう用意がございまして、努力をしてまいりたいと思っております。
 大切な御指摘だと思っております。
佐藤(敬)委員 ありがとうございました。
 ぜひそういうことで、一貫性という意味からいって、経済産業省や公正取引委員会が、少なくとも、この課題に対して大きな責任と、そしてまた、そういう積極的な取り組みを持っていただきたいということを重ねてお願い申し上げたいと思います。
 委員長、大変申しわけございませんが、私、三十分時間をいただいておるんですが、山田委員と約束をいたしまして、私の質問はここで終わらせていただきまして、山田委員の方へ時間を提供したいと思いますので、終わります。
    ―――――――――――――
小平委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官鈴木庸一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小平委員長 質疑を続行いたします。山田正彦君。
山田(正)委員 大臣、この前のトレーサビリティー法案の審議のときにお聞きしておったと思いますが、今、本当にこれが実施されるとなると、生産者にとっても、耳標をつけることぐらいなら簡単なんですが、どんなえさを使ったかということをすべて記帳していかなきゃいけない。そして、食肉業者にとっても、それを今度仕分けするとき、いわゆるカットするときに、一々、どの肉であるということを、それぞれシール、それを張っていかなきゃならない。
 そういう大変なことで、言ってみれば、食肉生産者及び流通業者まで含めて、私としては、一割から二割近い生産コスト、いわゆる高いものにつく、負担がかなり重いものになる。そういうところで、実際に、それでも、食の安全と安心のためには必要である、これはよくわかるんです。
 ところが、国内で六割は流通している輸入牛肉については、野放しのまま何もしないで流通させる。これは、まず食の安全と安心、その見地から、食の安全基本法、先般、大臣のもとに成立いたしました。その中に、修正項目で、いわゆる輸入品も同じようにその行程において扱う旨、明記されております。それからして、輸入牛肉、六割流通している輸入牛肉をそのままにしておっていいものかどうか。大臣の所見をこの前からずっと聞いておりますので、お聞きできればと思います。
亀井国務大臣 このトレーサビリティー法案につきましては、もう御承知のとおり、我が国のBSEの発生にかんがみまして、牛肉に対する消費者の信頼回復、また、我が国で飼養される牛を個体識別番号によりまして管理し、当該牛の個体識別情報の提供の促進を目的とする、こういうことでお願いをしておるわけであります。
 また、他方、BSEの発生国からの牛肉の輸入は、食品衛生法上等、禁止されているわけであります。我が国に輸入される牛肉は、米国や豪州など、BSEの未発生国からのものに限定をされておるわけであります。
 このようなBSE未発生国からの輸入牛肉につきまして、これは個体識別の対象となっていない旨の表示を強制することにつきましては、輸入牛肉を含む輸入食品に原産国表示義務づけを規定するJAS法が既に存在をする、米国産等の表示をもってBSE未発生国である旨の情報提供が十分行われている、こういうこと等から、BSE発生国である我が国で生産される牛肉の安心確保のために適用される義務的表示措置を、BSE未発生国からの輸入牛肉にも適用するものであることから、国際貿易に対する不必要な障害をもたらす結果となるような強制規格、TBT第二条を適用するとして、WTO協定に違反する、このようなことの考え方を持っておるわけであります。
 牛肉の生産者、いろいろコストがかかる、我が国の生産者は大変コストがかかるというようなことは十分承知をいたしておりますが、BSEの未発生国、こういうような視点で、ぜひ御理解をいただきたい、このように思います。
山田(正)委員 BSE未発生国だということで、日本におけるような表示、いわゆる顔の見える生産というのは必要ない、そういう見解で大臣よろしいか。イエスかノーで答えてください。
亀井国務大臣 必要ないという考え、ただ、これは先ほど来申し上げましたとおり、それぞれ、JAS法なり、輸入に関連をいたしまして、衛生面の問題等々につきましても十分考慮して輸入をしておるわけでありますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
山田(正)委員 何言っているか、今わからなかったんですが、考えてもいい、そういう趣旨なのか、いかがですか。
亀井国務大臣 現状では考えることはできない、こう思います。
山田(正)委員 大臣、今おっしゃいました、大臣が言った協定というのは、恐らく、貿易の技術的障害に関する協定、これの二条二項「正当な目的の達成のために必要である以上に貿易制限的であってはならない。」これを指しているのじゃないか、そう思います。いいですか、この条文は、逆に言うと、正当な目的があれば必要最小限度の貿易制限的な措置はできるということですね、大臣。
 であれば、例えば、今日本が輸入している国の中において、いつ何どきBSEが発生する国がないとも限らない。もし発生したとしたら、それこそ、日本においては、かつてあったようなパニックになる。いわゆる食肉の回収をしなければならない。そのために、またそれを隔離しなければいけない。輸入牛肉は何トンあってどこに行った、そのために隔離して、前のような大変不正なことがまた発生しないとも限らない。
 そしてまた、昨年の七月、アメリカにおいて、あのO157、アメリカの大手の食肉販売業者、ここにおいて発生した。それで大変な騒ぎにアメリカがなって、その大手の会社はその食肉を回収した。ところが、日本に輸入されていながら、日本は、検疫が大丈夫であったとかなんとかと言いながら回収しなかった。
 そういったいろいろなことを考えていけば、当然のことながら、ここにおいては、いわゆる正当な目的、国民の言ってみれば安心な牛肉を買える一つの権利、そういったもののために貿易を制限する。貿易を制限するということは、輸入を禁止するということは、それは確かに必要以上の制限であるかもしれない。しかし、今私どもが四野党で提案しようとしている、輸入牛肉においてトレーサビリティーのある国、ない国がある、例えばオーストラリアにおいてはトレーサビリティーがなされている、そういう国については、国内に入ってきたときに、日本の流通段階と同じように、その表示義務を課そうじゃないかと。大臣、それもできないと言うんですか。
亀井国務大臣 まず、BSEの発生国からの牛肉の輸入は、食品衛生上等によって禁止されているわけでありまして、我が国に輸入される牛肉は、米国や豪州などBSEの未発生国ということに限定をされておるわけであります。
 この関係につきましては、先日、八日の本委員会におきましても、厚生労働省からも答弁をしておるわけでありまして、輸入牛肉についてはBSE発生国からの輸入は禁止されている。また、BSE非発生国であっても、我が国と同等以上の衛生基準を有している国からの輸入のみを認めていること。また、貨物ごとに、輸入国の行政機関が発行する衛生証明書、こういうものも添付を義務づけておるわけであります。あるいはまた、いわゆるO157、これら病原微生物についてもいろいろ検査を実施しておるわけであります。
 したがって、この牛肉の個体識別番号が直接的に安全性確保に寄与するものではない、このように考えておりまして、あくまでも、厚生労働省からの答弁にありますとおり、いろいろな検査をして安全なものを輸入しておるわけでありますので、BSEの未発生国につきましては必要がない、このように考えます。
山田(正)委員 大臣、私の質問は、いいですか、トレーサビリティーをやっている国、オーストラリアはあるんですよ、どの牛でどのようなえさを食べさせたかと。そういった国のものについては、日本の消費者のためにそういった表示を日本と同じようにすることは当然ではないんですかと聞いているんです。イエスかノーで答えてもらえばいい。いろいろ言わなくていいんですよ。私の質問はその質問なんです。
亀井国務大臣 BSE発生国であります我が国で生産される牛肉、この安心を確保するために適用される義務的表示措置をBSE未発生国からの輸入牛肉にも適用する、こういうことにつきましては、国際貿易に関する不必要な障害をもたらす結果となるような強制規格、先ほどのTBT第二条を適用するとしてWTOの協定に違反するとされるもので、そのおそれがあると思います。
山田(正)委員 大臣、大臣は今WTOに反するとはっきり言いましたね。これは大変大事な発言なんです。とんでもない発言なんです。大臣、もう一回言ってください。本当にこれはWTOに反するんですか。日本国の農水大臣として恥ずかしい。大変なことですよ。
亀井国務大臣 WTOの協定に違反するおそれがある、こう申し上げたわけであります。
山田(正)委員 いいですか、大臣は今、そういうおそれがあるという言い方をしたが、これはおそれも何にも全くない。大臣、不勉強だ。
 そして、大臣は、私が言った、まずオーストラリア産の牛肉はトレーサビリティーができている、それについて、むしろオーストラリアとしてはそれをはっきり表示してもらった方がいいかもしれない。貿易制限には何にもなっていない。ところが、大臣は今、貿易制限的であってWTOに反すると、全くちんぷんかんぷんな答弁をした。
亀井国務大臣 先ほど来繰り返して申し上げましたとおり、未発生国、またオーストラリアにおきましても、承知をいたしております関係におきましては約二割、このように承知をいたしておるわけであります。
山田(正)委員 大臣の資質を疑う。オーストラリア産の牛肉においてトレーサビリティーができている、アメリカの州によってはトレーサビリティーができている。大臣、そういう国の牛肉は、むしろ日本国民のためにも、アメリカの生産者のためにもそれを表示した方が理にかなうわけで、これがWTOに反するかもしれないと言う大臣はどこの国にもいない。
 これ以上話してもしようがないので。質問をとめるわけにもいかないし。
 それで、今言ったように、アメリカから、州によってはトレーサビリティーをやっていない。しかし、アメリカ自身、ではどう考えているか。
 実は、四月六日から十日間、私ども、衆議院の公式派遣として、WTO農業交渉に、カナダとアメリカに行きました。そのときに実は、鮫島議員が、ちょうど農務長官が病気で入院しておられたので、ヘグウッド農務長官特別顧問にこのような質問をしたわけです。牛肉のトレーサビリティーについて、我が国は法改正でトレーサビリティー制度を導入する、外国産の牛肉についても同様の保障を求めたいと考えているがどう考えるかと質問した。それについて、それは食品安全のためかと。鮫島議員は、消費者の知る権利であると。
 その後、ヘグウッド特別顧問はどう答えたか、それは大臣にレクをしていただいておいてぜひ答えてほしい、そう言っておったので、大臣、答えていただきたい。
亀井国務大臣 ヘグウッド特別顧問の御発言、米国の場合も、牛肉については産地表示の形である程度まで追跡可能になっている、牛肉は大豆、トウモロコシより簡単に追跡できる、問題は、トレーサビリティーには多くの費用がかかるということで、商品の値段を高めなければいけない、原産地表示やトレーサビリティーは難しいと思っている、なぜなら消費者のコストにはね返ってくるからであると。
山田(正)委員 いいですか。向こうの農務長官の特別補佐官は、アメリカでは牛肉について産地表示の形である程度まで追跡可能になっているんだ、そうはっきり言っているわけですよ。ただ、金がかかる、経費がかかりますよと。これは日本も一緒。オーストラリアも一緒。いいですか、何もこれが貿易制限になるなんて言っていないんですよ。アメリカとしては、それはやりたいけれども金がかかるなという程度の話なんです。日本の立場もわかりますよという程度の話なんです。
 その次に、大臣、もう一つ。鮫島議員において、向こうのステンホルム米国下院議員に同じような質問をしたわけです。そして、どのように答えたか。いわゆる向こうの農水委員会の筆頭理事ですね。アメリカは、上院、下院、議員が外交の責任者としてどんどん責任ある発言をしている。そのステンホルム議員の発言についても、私は、ちゃんとそれを読んで答えていただきたいと、大臣にレクを先にしていただくように話しておったはずで、答えていただきたい。
亀井国務大臣 その件につきましては、ステンホルム議員は、科学をベースに行うものであればよい、SPS協定に整合的であればよい、政治ベースではいけない、このような発言かと思います。
山田(正)委員 ちょっとどこを読んでいるかわからないんだけれども。大臣、間違っていませんか。ちょっとしっかりしてください、大臣。
亀井国務大臣 外国産の牛肉についても同じルールを適用しようとした場合、米国はこれを認めるのか、私は東京都出身の議員であり、消費者の立場から意見を申し上げる、このようなことをおっしゃったように承知しております。
 そこで、ステンホルム議員は、米国ではBSEは発生していないが、消費者に心配をさせずに済むようなシステムは既に存在している、いずれにしても、お客様のためにできることは一緒にやっていきたいと考えている、これは日本に対しても私たちに対しても同じである、こんなことだと思います。
山田(正)委員 大臣、いいですか。向こうの農水委員会の理事、外交の立場上責任ある議員が、米国ではBSEは発生していないが、消費者に心配させずに済むようなシステムは既に存在している、いずれにしても、お客様のために、お客様というのは日本のことです、日本が牛肉を買ってくれているわけですから。お客様のためにできることは一緒にやっていきたいと考えていると。
 いいですか。トレーサビリティー、それについては、もし日本がそれを求めてくるならばアメリカは応じてもいい、一緒にやっていこうじゃありませんかとはっきり言っているんですよ、大臣。ところが、日本国の農水大臣であるあなたは、WTO違反で心配だ、心配だ、おそれがあると。これで日本の農業が守れますか。
亀井国務大臣 発言と、また今も私が申し上げたような中でも、SPSの範囲内、こういうこともおっしゃっておるわけであります。そのことをぜひ御理解いただきたいと思います。
山田(正)委員 大臣、今どこの範囲内とおっしゃっていましたか。
亀井国務大臣 SPSの協定、こういうことを考え、その整合性を考えていかなければならない、こう思います。
山田(正)委員 それでは、SPS協定、大臣ではちょっとわかりにくいだろうから、外務省。きょうは外務省を呼んでいるので、どこがSPS違反になるのかひとつお答えいただきたい。政務官でもいいし、あるいは先ほどの政府参考人でも結構です。
鈴木政府参考人 お答えいたします。
 今問題になっておりますのが個体識別情報の提示ということであるならば、これは、貿易上の技術的障壁に関する協定の強制規格の対象となります。
 他方、動物あるいは人間の安全性に係る措置、それを保護するための措置ということであるならばSPS協定の対象になるわけでございますが、SPS協定は、科学的根拠に基づく措置をとることは認められておりますので、その範囲内の措置であればWTO協定に抵触はいたしません。
山田(正)委員 どうも、今大臣がSPSの範囲内であればと言われたんですが、SPS協定にどこが反するのかということで今お聞きしたわけです。
 今私の手元にSPS協定がありますが、この中には、第二条の二を今参事官は言っているんじゃないかと。そうでしょうか。
鈴木政府参考人 お答えいたします。
 委員の御指摘のとおりでございまして、SPS協定の第二条「基本的な権利及び義務」におきましては、とる措置において十分な科学的根拠なしに維持してはならないというふうに書いてございます。
山田(正)委員 では参事官、この第二条の二は「加盟国は、衛生植物検疫措置」検疫措置ですよ、これについて「十分な科学的証拠なしに」「科学的な原則に基づいてとること」というふうになっている。この「衛生植物検疫措置」にこれが当たるのかどうか。
鈴木政府参考人 お答えいたします。
 法律の目的、趣旨でございますので、外務省からお答えするのが適当ではないと思いますが、先ほど申し上げましたように、措置が一定の規格に基づく情報の提供に該当するのであれば、これはいわゆるTBT協定に規定します強制規格になるわけでございます。他方、これが動物あるいは植物の生命、健康を保護するための措置というふうに規定するのであれば、これはSPS協定の対象になりますが、措置の目的がいずれにあるかというのは、外務省としてお答えする立場にないと存じます。
山田(正)委員 参事官、私が今聞いているのはSPSの条文ですよ。間違わないでください、外務省の参事官ともあろうものが。そのSPS協定の中の衛生植物検疫措置、これに当たるのか当たらないのか、それだけ聞いているんです。
 この第二条の科学的根拠というのは、この条文では、衛生植物検疫措置をいわゆる科学的根拠に基づいてやらなきゃいけないとなっているだけなんですよ。では、SPSに反しないじゃないですか。どこが反するんですかと聞いているんです、参事官。
鈴木政府参考人 お答えいたします。
 今委員から御質問がございました、輸入牛肉についてトレーサビリティーの対象となっているかいないかという表示をするということがSPS協定第二条に言います衛生植物検疫措置に当たるかどうかということにかかわっているわけでございまして、当たっているならば第二条が適用される。したがいまして、委員がおっしゃいますように、十分な科学的根拠なしに維持することはできないという制限がかかるわけでございます。
山田(正)委員 参事官、私が聞いているのは、これが検疫措置、輸入を決して制限するんではないんですよ、単に我が国において売られている牛肉に、これはトレーサビリティーがない国からの輸入の牛肉ですという表示をするのが検疫措置に当たるのかと聞いているんですよ。貿易制限に当たるのかと聞いているんです。
鈴木政府参考人 お答えいたします。
 貿易制限に当たるかどうかということの前に、委員のおっしゃっていますように、今問題となっています措置がSPS協定上の衛生植物検疫措置に当たるかどうかということでございますが、この点につきましては、法律の趣旨、目的に関するところでございますので、私としてはお答えする立場にございません。
山田(正)委員 前回、鮫島議員が外務省の経済局長に聞いたときに、私の耳に間違いなければ、SPS協定に違反するおそれが十分あるというようなことを言ったと思う、答弁で。
 今の参事官のお答えは、それに反するかどうか答えられないと。それは反しないんだから当然答えられない。どう読んだって、どこを読んだってこれは協定に反するとは思えない。仮に、附属書を読んでみても、例えば包装に関する要件等によっても、「食品の安全に直接関係するもの」となっている。単にトレーサビリティーをしている国していない国の表示だけが直接食品の安全にハンするものではない。私は全部調べた。恐らく今、参事官より詳しい。
 それで、さっき言った、強制規格に反するんじゃないかという言い方をしましたが、これは正当な目的があれば必要最小限度のいわゆる輸入制限はできるというのがこの協定なんです。いわゆるTBT協定というのですか、貿易の技術的障害に関する協定。
 そうすれば、先ほどのアメリカの上院議員とか農務長官の特別補佐官の話からもわかるように、日本の国において当然食の安全と安心のために今回トレーサビリティーを導入する、それについて、国民に、食の安心のために、これはトレーサビリティーのなされている国から、これはなされていない国からのものであるということを表示すること。これは、いつ何どきアメリカが、あるいはオーストラリアが、あるいはよそから輸入されている、アルゼンチンとかどこかわかりませんが、もし仮によその国から来ているものがいわゆる汚染国になるかもしれない、そのときに取り返しのつかないパニックになるおそれがある。そのために我々は、当然のことながら、正当に、国民、消費者に対して、これはトレーサビリティーのない国からの輸入牛肉ですよと表示しておくのは、それは農水省としても当然の義務ですよ。
 これは正当な目的ですよ。だから私は、TBT、いわゆる技術協定にも違反しないと。
 大臣。大臣は先ほどWTOに違反するおそれがあると。どうですか、撤回されませんか、我が国の農水大臣として。
亀井国務大臣 まず、BSEの非発生国、こういう点で、そしてさらに食物の検疫、これは大変厳しい検査をしておるわけであります。そういうような面からも、また、先ほどの強制規格、米国、豪州の牛肉が、任意の個体識別制度が、米国、豪州の牛肉は安心と、あるいはまたその他の国の牛肉は安心でないというようなレッテルを張るような強制的な規格、これにも該当するおそれもあるわけでありまして、そういう面から、先ほど来の国際貿易に対する不必要な障害、こういうことを、この強制規格の面で、BSE未発生国の輸入牛肉について安心の確保という非科学的な目的、こういう面での規制を課すわけでありまして、先ほど、そういう面からWTO協定上問題がある、このようなことを申し上げたわけでありまして、そのことを申し上げさせていただきたいと思います。
山田(正)委員 大臣、BSEのときに大臣はこの委員会にいなかったからですが、あのときの肉骨粉の検疫のずさんさ、そういった意味で、本当に今の検疫の体制からして、大臣、よく勉強してくださいよ、どの程度の検疫かということ。
 そうしたときに、我々は当然のことながら、日本国の国民に対して、最小限度、トレーサビリティーのなされていない国からの輸入牛肉ですよと、それだけの表示を課すことが、いわゆる正当な目的であって、必要最小限度、輸入をするなとは言わないんですよ、トレーサビリティーをしていない国からの輸入を禁止するとは言っていないんですよ。どんどん輸入してもらっていいわけです。
 それで、実は、大臣、農水省が心配して私に資料をくれたのは、EUが成長ホルモンを使っている国からの牛肉の輸入を禁止するといって、そしてアメリカと貿易戦争をやった。これは輸入を制限するわけですから、当然これはパネルに訴えられた。いいですか、EUはそれくらい頑張っているんですよ、自国の生産者のために、消費者のために。そして、パネルでEUは負けた。負けてもなお抗告して、代償を払いながらも、食の安全、安心のために、成長ホルモンを使っているアメリカからの牛肉の輸入を頑強に抵抗しているわけですよ。
 あれは、輸入を制限したんです。今私どもが四野党で提案しているのは、単なるトレーサビリティーのなされていない国から輸入している牛肉ですという表示だけなんです。
 大臣、この国の大臣として、消費者のために、生産者のために、当然のことながら、EUのあの輸入を禁止するぐらいのあの気迫、それからして、まだ全然アメリカから何にも言われていない、アメリカの上院議員とか、アメリカの政府の農務長官の特別補佐官は、それは当然だとむしろ肯定的なことを言っているのに、ただ我が国を代表する農水大臣が、WTOに反するからそれはできないんじゃないかとか、まことに恥ずかしい、大臣。
 あのWTOにこのことで違反するかもしれないという発言は、私は、これは農水大臣の不信任につながる、それくらいに考えているんですが、EUのその問題を踏まえて、まだ責任ある回答ができないのはわかりますが、今回こういった問題をひとつ本当に考えてみようじゃないかと。それについては、大臣、お答えできないか。
亀井国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、BSE未発生国からのことでありまして、先ほど来繰り返し申し上げているとおりでございまして、非常に困難な問題、このように思っております。
山田(正)委員 ちょっと最後、よく聞き取れなかったんですが、まあいわゆる非常に困難な問題だと言うんですが、それは今の立場では、確かに大臣としては責任ある答弁ができないのは私もわかります。
 しかし、いいですか、もう一回ちょっとしつこいんですが言うと、WTOの交渉の場というのを、私も今回、前の谷津農水大臣と一緒に行ってまいりましたが、まさに国と国との戦いである、自分たちの国の権益を守るために。それが最初から、WTO違反に至るんじゃないかと言うのは、僕は、本当に我が国の農水大臣としての資質を欠くんじゃないか、そう思うわけですが、まあ一応この問題はこれくらいにしたところで、質問時間が参りました。
小平委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
 次回は、来る十五日木曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十五分散会


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