第9号 平成15年5月15日(木曜日)
平成十五年五月十五日(木曜日)午前九時二十六分開議
出席委員
委員長 小平 忠正君
理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
理事 鮫島 宗明君 理事 楢崎 欣弥君
理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
青山 丘君 荒巻 隆三君
石田 真敏君 岩倉 博文君
岩崎 忠夫君 梶山 弘志君
金子 恭之君 北村 誠吾君
熊谷 市雄君 小泉 龍司君
小西 理君 鈴木 恒夫君
砂田 圭佑君 高木 毅君
西川 京子君 宮本 一三君
後藤 斎君 今田 保典君
齋藤 淳君 津川 祥吾君
筒井 信隆君 堀込 征雄君
吉田 公一君 江田 康幸君
藤井 裕久君 中林よし子君
松本 善明君 菅野 哲雄君
山口わか子君 佐藤 敬夫君
藤波 孝生君
…………………………………
農林水産大臣 亀井 善之君
農林水産副大臣 北村 直人君
厚生労働大臣政務官 渡辺 具能君
農林水産大臣政務官 熊谷 市雄君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 鈴木 庸一君
政府参考人
(厚生労働省医薬局食品保
健部監視安全課長) 南 俊作君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 田原 文夫君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計
情報部長) 山本 領君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長
) 西藤 久三君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 須賀田菊仁君
政府参考人
(食糧庁長官) 石原 葵君
政府参考人
(水産庁長官) 木下 寛之君
農林水産委員会専門員 和田 一郎君
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委員の異動
五月十五日
辞任 補欠選任
相沢 英之君 鈴木 恒夫君
近藤 基彦君 小西 理君
七条 明君 砂田 圭佑君
中林よし子君 穀田 恵二君
同日
辞任 補欠選任
小西 理君 近藤 基彦君
鈴木 恒夫君 相沢 英之君
砂田 圭佑君 七条 明君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)
地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、地方農政事務所及び北海道農政事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)
牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案(内閣提出第三二号)
食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三三号)
食品の安全性確保に係る農林水産関係法律の運用に関する件
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○小平委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農林水産省設置法の一部を改正する法律案、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、地方農政事務所及び北海道農政事務所の設置に関し承認を求めるの件の各案件を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案件審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長田原文夫君、大臣官房統計情報部長山本領君、総合食料局長西藤久三君、生産局長須賀田菊仁君、食糧庁長官石原葵君、水産庁長官木下寛之君、外務省大臣官房審議官鈴木庸一君及び厚生労働省医薬局食品保健部監視安全課長南俊作君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○小平委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀込征雄君。
○堀込委員 私は、主として農林水産省の設置法改正案についてきょうは質疑をさせていただきます。
食品安全に関心が高まって、この設置法自身が、実は食品安全基本法の一関連法案というような位置づけで今度この国会に改正案が提案されているわけであります。私は、これは甚だちょっと遺憾だというふうに思っています。
もともとの食料・農業・農村基本法があって、その業務をどうやるかというところの基本的な仕組み、仕掛けを、この農林水産省設置法案があるわけであります。今度の改正案でも、食品安全基本法の一環として位置づけられていますけれども、例えば、食糧庁の廃止だとか統計情報事務所の話だとかいろいろな話は、これは食品安全基本法と関係ない、まさに日本の米が、あるいは主要食糧の話をこれから議論するために体制をどうするかという話に実はなっているわけでありまして。
この設置法は、所掌事務の変更と地方支分部局の組織整備と食糧庁の廃止、法定事項としてはそれしかないわけです。なぜ食品安全基本法の一環としてこれは提案されているのか、なかなかこれは理解できない。どうも、国会対策上早く設置法を通しちゃいたいという発想なのか、あるいは、例えば行政改革の話がうるさいから目立たないように処置しちゃおうとか、そういう発想にしか思えないんです、これは。どうですか。
○田原政府参考人 今回の食品安全五法、その中におきます設置法の扱いの関係でございますが、これは私から申し上げるまでもございませんけれども、今回の食品安全基本法におきまして、基本理念で、食品の安全性の確保は食品の供給行程の各段階において適切に講じられるべき、こういうふうにされているところでございます。
したがいまして、農林水産省といたしましては、この基本法の趣旨を受けまして、食品安全業務それから組織、両面にわたって見直すことが必要ではないかということで、食品の安全業務の関係ではHACCP法でございますとかトレーサビリティー法、あるいは関係法令の整備に関する法律案、そういったもの等を出させてもらっている。
他方、こうした実体法によりまして整備されました事務、これを円滑に実施していかなければいけないということで、今回、設置法の一部改正におきましては、まず第四条の所掌事務ということで、十四号におきまして、農林水産物の生産過程における食品の安全性の確保に関する事務、これを我が省の所掌事務ということで明確化させていただいたということが一点でございます。
それから、地方におきましても、こうした食品安全に関しますリスク管理体制ということで、地方農政局のもとに地方農政事務所を設置したい、こういったことの中身ということで出させておりますので、関連があるのではないかということでございます。
なお、今先生からの御質問で、若干印象としまして弱いという点は、例えば消費・安全局を設けるということでございますとか、地方農政局におきまして消費・安全部を設けるということは、これは実は法律事項ではなくて、設置を受けました関係政省令ということになりまして、そういった部分は法案には盛り込まれておりませんけれども、この法案が成立、施行された暁には、当然、関係政省令ということで出させてもらうわけでございまして、そういったいわば組織再編が、具体的な食品安全対策を我が省が推進していく上でのかなめとなるという点につきましては御理解をいただけたらと、かように考えている次第でございます。
○堀込委員 まあ、そういう答弁になるんだろうけれども、要するに、食料・農業・農村基本法があって、設置法は、この基本法を実現するためにどうやるかという基本的な法律なんですよ。これを食品安全基本法の一番端っこの一つの法律にして、しかも、食糧庁廃止で新しい米の政策を転換するというような大事な変革を、何かそれに便乗してやるような法律の位置づけでは私はないと思うので、もう少し、これは皆さんが仕事をやる、日本の農政をやる農水省の官僚の皆さんの、大事な大事な一番基本的な法律なんですよ。皆さんに情熱を持って日本農業の再生をやってもらわなきゃいけない。我々ももちろんそうですけれども。
そういう意味では、この設置法というのは基本的な法律であって、こう軽々しくというか、位置づけが軽く扱われる代物ではないのではないか、こういう感じがするわけであります。
そこで、今も答弁にございました、消費・安全局ですか、この設置はまさに政令事項でありまして、今度の食品安全法でも、厚生労働省の方は、リスク管理をやるのですけれども、実は設置法を変えないでやるわけですね、そして食品の安全に関する体制をつくる。農水省としては、どうしてもこれは設置法を変えなければいかぬ、こういう理由は理由としてあったわけですね。
これもちょっと私なりの想定をすれば、食糧庁の役割、任務の終えんという問題がある。実にタイミングがよかった。何とかしなければならない、それで、渡りに船ということで組織改編をやったんじゃないか。つまり、タイミング的に絶妙に食品安全部門ができる、食糧庁のある程度の任務の役割が終えんする、こう絶妙的なことでこの設置法を出されているという印象が強いんですよ、これはどう見たって。(発言する者あり)BSEを利用している、まさにそうなんです。
そこで、私は、食糧庁の廃止は廃止として議論して、これからの主要食糧の体制はどうあるべきかと議論されるべきであろうし、食品安全は食品安全で、これはどういう体制だか今議論しているわけで、それはそれとして議論されるべきだ、これが筋だろうというふうに思うのです。そうでないと、一体、食糧庁廃止と食品安全行政の強化とどういう関係があるんですか、国民はなかなか納得できないですよね。
わかるように、なぜ食糧庁を廃止しなければならなくなったのか、消費・安全局を設置して食品安全行政をやらなければならないのか、これは簡潔で結構ですから、それぞれお答えください。
○西藤政府参考人 お答えいたします。
消費・安全局をなぜ設置するのかということでございますが、私ども農林水産省、これまで、産業振興と、まさに課題になっておりますリスク管理とが、明確に分離せず実施してきた実態にございます。そういう点で、両者のチェック・アンド・バランスが十分に機能しなかったという御批判を受けているわけでございます。
そういう状況の中で、昨年の六月の食品安全行政に関する関係閣僚会議取りまとめにおきまして、消費者保護や食品の安全性確保の観点から、リスク管理部門の産業振興部門からの分離、強化を行う等、所要のリスク管理体制の見直しということがされたところでございまして、この取りまとめを受けて、私どもといたしまして、食品安全行政の再構築を図るという観点で、省内の産業振興部門を分離しまして、消費者行政とリスク管理業務を一体的に担う消費・安全局を設置するということでお願いをしている状況にございます。
○石原政府参考人 食糧庁を廃止する理由ということでございますが、今回の組織再編では、昨年の六月に食品安全行政に関する関係閣僚会議の取りまとめが行われました。その中で、消費者の健康保護を最優先にいたしまして、食品安全行政にリスク分析手法を導入し、食品の安全に関するリスク評価を行う食品安全委員会を内閣府に設置する、それから、消費者保護や食品の安全性の確保の観点から、リスク管理部門を産業振興部門から分離、強化するということが決定されたところでございまして、これを受けて、本省において、消費者行政とリスク管理業務を行う消費・安全局を新設することとしたということは、先ほど西藤局長がお答えしたとおりでございます。
一方、これらの見直しに当たりましては、行政の肥大化防止の観点から、スクラップ・アンド・ビルド、具体的には、食糧庁組織の廃止等既存組織の見直しを行うものとされたことを踏まえまして、食糧庁を廃止することとしたものでございます。
なお、ただいま委員の方から、非常にタイミングよく云々というお話ございました。確かに、食糧庁の組織につきましては見直しが迫られたわけでございますけれども、我々としましては、御案内のとおり、農産物検査、これは十七年度に民営化するということになっておりました。我々、タイミングとしては十七年度というのがあるのかなというふうに思っていたところでございますけれども、今回こういう関係閣僚会議の取りまとめが行われたということもございまして、我々食糧庁としては非常につらい判断でもあったわけでございますけれども、このような決定をさせていただいたということでございます。
なお、これまで食糧庁が担ってまいりました主要食糧業務につきましては、本省では総合食料局に食糧部を設けるとともに、地方農政局及び新設される地方農政事務所に食糧部を設けまして、業務の適正かつ円滑な実施に努めていく考えでございます。
○堀込委員 今答弁ございましたように、もう何回も指摘されているのですけれども、欧米のリスク管理、リスク評価を行う省庁組織に比べて、今度の食品安全委員会の体制は、五十四名でしたか、極めて弱体だということも指摘をされているわけであります。かわりに、厚生労働省と農水省は既存の権限を結構しっかり守って、省益を守りながらこの体制の対応を図ったという印象を受けるのですね。
お聞きをいたしますが、食品安全行政は、例えば総合食料局であるとか生産局であるとか水産庁であるとか、どこでもやる話なんですね。そういうところから、産業振興部門から独立して消費・安全局をつくった、今そういう答弁がございました。私は、なぜこれは新しい局なのか。やはり官房へ置かないと、どうもこれは、産業振興部門から独立した、きちんとした行政ができないんじゃないか。僕は、消費・安全局は並びの組織では非常にやりにくいと思うし、他の水産庁とか生産局に対して特別な権限を持っているんですか、消費、安全に対して。
○西藤政府参考人 御説明申し上げます。
今回の組織再編によりまして、産業振興部門から分離独立する形で消費者行政とリスク管理業務を行う消費・安全局を創設する。ここで、いわばリスク管理部門と産業振興部門の相互の牽制、緊張関係を持たせるとともに、食品の安全性に関する消費者等との情報、意見交換など、いわゆるリスクコミュニケーションを積極的に取り組み、農林水産省における食品の安全性の確保に関する施策の透明性の確保を図っていくこととしております。
この際、先生御指摘の消費・安全局において、産業振興部門が所管している生産者、事業者に対する支援等さまざまな関連施策があるわけですけれども、それについても、国民の健康保護を最優先とした食品安全行政に的確に対応して行われるよう、その指針として、新しい体制の出発に当たりまして、私ども、食の安全・安心のための政策大綱を定めることにより、その指針にのっとって、省を挙げて総合的な体制を整備していきたい。
具体的な例えば取り組みということで申し上げますと、個別いろいろなリスク、カビ毒等、あるいは重金属等の問題もございます、そういう個別問題につきまして、消費・安全局が中心になって、もちろん産業振興部局が関連するわけでございますが、省内に対策チームをつくり、関係する部門もこの対策チームに入ってきて、その決定するリスク方針に従って業務を円滑に遂行するということで、私ども、安全行政の徹底が図られるというふうに考えているところでございます。
○堀込委員 産業振興部門から独立した食品安全の行政を主としてつかさどるのが消費・安全局、設置されるそこだということですね。ただし、私は、今も申し上げましたように、横並びの組織でと、やはり検査部とかあるいは会社でいえば監査委員会がどこか横並びの部であるような話であって、やはり、あるすべての局に一つの指導的な、あるいは監査的な、監督的な、そういう機能が求められるんじゃないでしょうか、この消費・安全局というのは。そういう意味では、産業振興部門から独立したものだと前の前の答弁でそういうふうに言っているから、そういうことですね。うなずいているから、それでいいんでしょう。
そうするとなぜ局を設置したかと僕は考えてみるんだけれども、本当は官房へ置いた方がいいんだけれども、どうも食糧庁がなくなって、長官のポストが一つなくなって、局長のポストを一つ欲しいんじゃないか。うがった見方をしたくなるんですよね、これ。そうだそうだとみんな言っていますから。つまり、そういう感を持たれる。
それでは、今度は消費・安全局へ、生産局から植物防疫と衛生課、家畜伝染をやっている衛生課をそっちの局へ移すわけですね。これは、そもそも植物防疫法に基づいた植物防疫をやるところであり、家畜伝染予防法に基づいてやる課なんですよね。つまり、この両法律には、農業生産の、畜産振興だとかそういうことが目的に書いてあるわけです。生産振興の目的に書いてある課をわざわざ消費・安全局へ持っていって、生産振興と分離した機能だとなぜ言えるんですか。
○須賀田政府参考人 植物防疫、家畜衛生。海外から家畜疾病だとか有害病害虫の侵入を防止する、あるいは、国内では病害虫防除だとか家畜伝染病の予防、蔓延を防止する。目的は、先生おっしゃるように、農畜産業の振興ということが第一義的目的でございます。これははっきりしているわけでございます。
ただ、この業務を見ますと、植物防疫業務は、薫蒸をしたり、あるいは国内で病害虫の防除のために農薬を使用する。あるいは、家畜衛生業務では、結核みたいな人畜共通伝染病の予防、あるいはエボラ出血熱の侵入防止のための猿の検疫、こういう業務はやっておりますし、そもそも本来的性質が産業に対するリスク管理という面を持っておりまして、また行政手法にしてみましても、リスク評価をして、その上でリスク管理を実施するということで、ほかの生産資材の規制と類似をしている、こういうことがございまして、消費・安全局という中で一体的に所掌することが適切ではないかと判断した。決して数合わせではございません。
○堀込委員 何かよくわからぬ答弁なんですよね。生産振興部門であるけれども、消費・安全局へやったんだと。中身の仕事が何だかんだと言っていましたけれども、よくわからぬ。要するに、適当におっつけたという感じがするわけです。
もう一つ意地の悪い質問をしておきますが、今まで農村振興局とか水産庁には次長制度があったんですね。特に農村振興局の次長ポストというのは、技官の最高ポストみたいな話でずっとあった。最近また変わっているようです。今度、これ、何かどさくさに紛れて、総合食料局にまた次長を置くようにできているんですが、これはなぜですか。行政改革の今の動向に、何かどうもいろいろ新しい局を設置して、局長をつくったり、また次長もつくったりとか、よく見ると非常にうまくやっているんですよ、皆さん。どうですか。
○石原政府参考人 総合食料局になぜ次長を置くのかということでございますけれども、今回の総合食料局の組織再編、事務の出入りがございます。従来、総合食料局でやっていた業務につきまして、一部の業務が他の局へ行く、また食糧庁が担っておりました主要食糧業務が総合食料局に入るということで、全体といたしまして、一つは、食料の安定供給の確保に関する政策の企画立案、それから食品の流通の改善及び調整に関する事務、それから食品産業の振興に関する事務、こういうものと、それから、米麦の需給及び価格の安定のための需給の調整、政府備蓄の運営、国家貿易に関する事務等のいわゆる主要食糧事務、こういうものをあわせてつかさどることになるわけでございます。非常に広範な業務を担当するということでございます。
それから、組織、定員の面で見ましても、組織につきましては、主要食糧事務を担う地方組織としての地方農政局の食糧部、それから北海道農政事務所及び地方農政事務所を管理することになります。定員につきましては、本省、地方支分部局合わせまして約四千六百人を管理することになります。それから、予算につきましても、一般会計それから食管特別会計を合わせまして約一兆円の予算を管理することになるということでございます。
このように、総合食料局は、従来に比べまして、事務、組織、定員、予算面においていずれも大幅に拡大されるということから、局長の管理機能を全般的に補佐、強化するという観点の次長を置くことにしたものでございます。
我々、組織要求のときには総務省、行政管理局と折衝するわけでございますけれども、簡単なことでは総務省は設置を認めてくれません。我々は他の局、他省庁の例を参考にいたしましたけれども、総合食料局の事務が、これまで次長が設置されている他省庁の局、そういうものと比べまして遜色ない、あるいはそれ以上のものだということでこういう次長の設置が認められたというふうに理解しております。
○堀込委員 そのくらいにしておきます、次長の話。
そこで、今度食糧庁組織の廃止に伴って、この食糧庁の定員を向こう十年以内に三千人減らす、主要食糧部門を三分の一に削減する、こう言っています。今現在、八千八百四十三名いる定員を、つまり五千八百人ないし六千人に減らす、十年後ですか、こういうふうにしているわけですね。
これは将来的には、平成二十四年には主要食糧を担当する人員が約二千人、食品安全を担当する人間が四千人弱、三千九百人、こういうふうな姿にするんだ、こういうふうにお聞きをしていますが、これはどうなんですか、なぜ実はこういう体制が必要なのか、なぜこのぐらい減らすのか。
つまり、何か根拠があっての話じゃなくて、大変アバウトな数字が最初にあって、仕事というのは後からついてくる、考えていくみたいな感じを受けるわけですね。民間企業だと、新しい事業はこうだとか、古い事業はこういうふうに要らなくなったとか、きちんとしたことをやるんですけれも、これは何かあれですか、先に人員があって、後で仕事を考えるんですか、何か根拠があるんですか。
○石原政府参考人 食糧事務所の定員の問題でございますけれども、ただいまお話ございましたように、昨年十二月二十二日の、総務省が取りまとめた「国の行政組織等の減量・効率化の推進について」という文書、その中で、食糧事務所の定員につきましては、現在の、十四年度末の食糧事務所の定員八千八百四十三人は向こう十年以内に約三千人の削減を目指す、そのうち、主要食糧部門に従事する定員五千八百九十六人については、向こう十年以内に三分の一程度まで縮減するというふうにされたところでございます。
この基本的な考え方は、非常に細かな点がありまして、なかなか御理解いただけないかもわかりませんが、食糧事務所の定員につきまして、主要食糧部門と、それからリスク管理、消費者対策関係部門、こういうふうに二つに分けまして、主要食糧部門につきましては、現在、第十次の定員削減計画というのを実施しておりますが、若干の年数が残っておりまして、その残された期間は第十次定員削減計画の計画どおり削減を行っていく、それからまた、定員削減計画が終了したその時点からは第十次定員削減計画と同率の定員削減を目指すということが基本にございます。
それから、後者、すなわちリスク管理、消費者対策関係部門につきましては、一般の行政機関と同率の定員削減を目指す。すなわち、年率一%で削減するということがこれまでの定員削減のいわばルールでございますが、そういう観点から、リスク管理部門については毎年一%削減する。
先ほどちょっと数字は申し上げませんでしたけれども、主要食糧部門につきましては、これまで五年間で一九・三七%。四%弱の定員削減をするというのがこれまでのルールといいますか、定員削減で決まっておったわけでございます。それを延長させた。それから、リスク管理、消費者対策部門につきましては、一般の行政機関と同じように一%ずつ定員削減をする。そういう考え方で、それを基本にいたしまして、この定員削減の数字が決まったということでございます。
その定員削減のこれに合うように、今、先生の方からは業務に応じて定員削減をやるべきだとおっしゃいましたけれども、役所というのは、そういうことからしますと、なかなか定員削減に応じないということもあろうかと思いますけれども、総務省の方では、まず数字を具体的に示す、それに合わせて、外部への委託とかあるいは業務の合理化、そういうのを進めていって定員削減をするという考え方になっておりますので、そういう考えのもとにこのような定員削減の数字が決められたものというふうに理解しております。
○堀込委員 この食品安全行政につきまして、今まで食糧事務所があったから、食品安全も、地方農政局の下にさらに地方農政事務所をつくって地方の出先までやろう、こういう法律になっているんですよ。一体そこまでやることが必要なのかどうかという議論をしなきゃいかぬ。そこで大臣にお伺いしたいんですよ。
安全基本法では、国の責務もありますが、地方公共団体の責務、あるいは食品関連事業者、あるいは消費者が果たすべき役割などもちゃんと決めているんです。地方公共団体の責務というのは、その区域に応じた施策を策定し実施しなければならない、こういうふうに明確に定めておるわけであります。
後の統計事務所の話にも通じるんですけれども、厚生省の場合は、保健所とか都道府県に安全行政を委任しながら結構やっているわけです。なぜ農水省だけが出先を持って、地方に任せないで自分でやらなきゃならないか。この食品安全行政を、県によっては条例まで定めて、地方自治体の主要な業務としてやっていくところも出つつあるわけであります。
行政改革を進める、できるだけ中央省庁をスリム化する、そして、地方分権をできるだけ進めて地方に権限や財源を移譲していく、これがやはり基本だと思いますし、小泉総理の基本路線は、彼はよく言うんですけれども、民にできることは民に、地方にできることは地方に、こう言っているんですが、なぜ、今度の食品安全行政で、農水省だけが地方農政事務所の出先までつくって、県や市町村の仕事の分野まで国家公務員がやらなきゃならぬか。この辺はいかがでしょうか。
○亀井国務大臣 農林水産省におきますリスク管理業務につきましては、国と都道府県との役割分担、従来から原則として、国が広域性の観点や安全性の確保の観点から重要な事業者に対する指導あるいはまた監督を、そして都道府県はその他の一般事業者に対する指導監督を担当するというように、互いに分担、協力して事業を行ってきたところでもございます。
このような役割分担は、リスク管理業務のうち、全国的な統一性を確保する観点から国の関与が必要不可欠なものや、広域的な観点を必要とするもの、あるいは政策目的から重要性の高いものなどは、国の本来果たすべき役割について重点化し、国が担当し、都道府県は住民に身近なリスク管理業務を担うというものでありまして、地方自治法の考えにも沿った適切な役割分担、このように認識をいたしております。
このように、リスク管理業務の執行に当たりましては、国と都道府県の適切な役割分担のもとで、今後とも双方が協力をしていくことが重要なことではなかろうか、このように考えております。
○堀込委員 多分これは、大臣就任前に、官房長を中心に、きっと総務省と詰めながらつくった法律だと思いますから、今の答弁に関連して、私は、例えば雇用問題というのは真剣にしっかりやらなきゃならないと思うんですよ、それなりの対応を。
しかし、将来の姿まで、出先の機関をつくって国家公務員が関与していくよという姿を今決めちゃうということはいかがなものかというふうに思うんですね。そこまで県や市町村の業務を食品安全行政でやる必要があるのか。私は、将来の姿は、はっきり、そういう意味では県や市町村にやはり任せていくんだよと。後で触れますけれども、国はむしろ輸入食品とかそういう対応に特化すべきだ、こういうふうに思っておるんです。
つまり、中央政府が地方農政事務所を設置して、膨大な事務所と膨大な人員を配置して、生産過程の食品安全行政を取り仕切る。将来ともやるんだ、これだけは市町村に任せられない、これだけは都道府県に任せられない、国民が納得できる事業というのはあるんですか。どうですか、官房長。
○西藤政府参考人 今回設置を予定しております地方機関である地方農政事務所におきましては、農林水産物の安全性確保に関する事務のうち、従来からの国と都道府県の役割分担の考え方に基づきまして、広域性のある事業者、あるいは安全性確保を図る上で重要な事案に係る事業者等に関する指導監督を行う事務を担当させることといたしております。
具体的には、リスク管理の実施状況に関する監視指導ということで、農薬等の生産資材の販売、使用実態に関する指導、今回新たに導入します牛のトレーサビリティーに関する監視、指導等を行うこととしておりますし、さらに、このほか食品表示の監視業務につきまして、もちろん都道府県との役割分担のもとで、地方農政事務所では店舗調査等を通じた食品の品質表示の実施状況の確認、事業者に対する指導及び改善状況の確認、さらには表示義務違反が疑われる食品関係事業者等に対するJAS法に基づく立入検査等を実施することといたしております。
○堀込委員 つまり、県と市町村と連携をとって同じ仕事をやる。国は広域な事業者をやるというような話ですな。同じ食品安全検査を現場でやるんだけれども、ジャスコとか全国展開するところは国が、地方農政事務所がやって、魚屋さんと肉屋さんは県や市町村がやる、こういう話ですか。何だかこれは、国民から見たらそんなことは理解できない。
地方農政局というのがあるんでしょう。例えば今、JAS法でも大体局があれば広域事業者はできるし、ほかの法律でも販売業者と消費者とのところは自治事務になっているんですよ。この設置法だけは自分でみんなやりますと書いてあるんですよね、地方とは連携をとるとは書いてあるけれども。何か横並びの法律としてもどうも筋が通っていないし、整合性がとれていないし、やはり将来的には大いに検討する余地があると思うんですが、それ以上の答弁はできないですか。では、これは指摘をしておきます。
同じ話が統計事務所の話でもあるんです。本省の統計情報部を改組し、十八年度に地方農政事務所と統合して統計・情報センターにする、こういうふうにしているんですけれども、これは食品安全の法律とは関係ないですよね、もちろん。それと、このスピードの時代に十八年度までかかるという理由は何ですか。二つ答えてください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
今回の私どもの組織の再編と食品安全行政の見直しとの関係についてでございますが、私どもの今回の組織の再編におきましては、農林水産政策全般の改革が進められる中で、新たな農林水産政策への国民の理解の醸成の促進でございますとか、食料の安全、安心に関する情報の国民への提供を行うということのために、総合的な情報の受発信機能の拡充強化が急務であるという認識をしております。こういうことから、全国をカバーいたします統計情報組織の広域的なネットワークを活用しまして、国民との間の情報受発信の強化を図ることとしたところでございます。
具体的には、一つは、本省に省全体の情報関係業務を……(堀込委員「それはわかっていますので、短く。十八年度までかかる理由というのだけでいい」と呼ぶ)はい。
もう一つの、なぜ十八年度からなのかということでございますが、今回の組織改正におきましては、平成十五年度において、一つは食糧事務所を廃止しまして、食品リスク管理業務と主要食糧業務を担う地方農政事務所を設置するということ、それからもう一つは、地域における情報受発信業務の強化を図る観点から、統計情報事務所とその出張所を統計・情報センターとして位置づけることとしているところでございます。さらに、中央省庁等改革基本法の考え方に沿って、先生御指摘のように、平成十八年度に地方農政事務所のもとに統計・情報センターを位置づけるということにしておるわけでございます。
しかしながら、地方農政事務所と統計・情報センターの統合につきましては、平成十四年度末におきまして、食糧組織で約八千八百名、それから統計情報組織で約五千四百名を擁する両組織の統合となります。その円滑な実施を確保するためには、人事管理でございますとか適切な業務運営の確保等、これに十分配慮した準備期間を設ける必要があるというふうに考えております。
このため、平成十五年度におきましては、まず地方農政事務所の設置と統計・情報センター化を行い、その円滑な実施を確保した上で、地方農政局のもとで両系統の統合準備を進め、平成十八年度において両組織の一本化を図るのが適切であると考えたものでございます。
○堀込委員 要するに、役所の機構改革というのは時間がかかるんですよね、これは。経済事業をやっていないから。
まあ、いいんですけれども、この統計事務所も、かつて食料窮乏時代に正確な食料生産高を把握しようということで、供出制度の不公平感をなくすとか、そういうことを維持する必要があって、昭和二十二年に、それまで都道府県や市町村がやっていたものを国がやったんですよ。直接、作物調査するようになる。食料窮乏時代に、国家公務員が坪刈りをやったり、いろいろなことをやってきたんです。その組織がずっと続いて、今あったように五千三百人、二百六十六カ所ですか、もうちょっと多いんですか、二百七十七カ所、これだけ出先を持ってやっているんです。
ほかの省庁は、例えば経済指標や物価統計だって、都道府県や市町村の統計でやったり、あるいは民間の調査機関に任せたり、いろいろやっているんですよ。農水省だけが末端の統計業務を自前で国家公務員がやらなきゃならぬ、これからもやっていくという理由がよくわからないんですね。私は、そういう意味では、なぜ市町村には任せられないのか。農水省が国家公務員を抱えながら、出張所を抱えながら、膨大な経費をかけて出先までやらなきゃならないか。簡潔に答えてください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
先生御案内のとおり、農林水産分野におきます調査の実施に当たりましては、一つは、農林水産業は地域的に広範に分布し、また自然環境の影響を受ける産業であるということがございます。さらに、農林漁業者の経営内容なり規模等も多種多様であるということ。さらに、一般に記帳の習慣に乏しいということがございます。
さらに、大きな二つ目としまして、調査内容が国費の支出や農家の経営に直結する政策決定に直接用いられることから、全国統一的に迅速かつ正確に把握する必要があるといった理由がございます。こういったことから、職員による調査の比重が相当程度の水準となっている状況でございます。
しかしながら、調査の性格や利用目的等によりまして、可能なものについては先生御指摘のような調査員調査化を進めておりますし、平成十四年度においても、作物統計調査のうちの野菜、果樹、花卉の調査、あるいは牛乳乳製品統計調査のうち、年に一回全工場を対象にその施設の状況等を調べております基礎調査というものがございますが、こういうものについては調査員調査化したところでございます。
さらに、平成十四年度より、データの入力におきましても、それまでの人力から光学式の文字読み取り装置を導入するなど、いろいろ合理化努力をしているところでございます。
それから、ちなみに申し上げますと、私ども、農林水産統計調査、全体で大きくくくりますと三十四本ございます。そのうち、職員のみの調査をやっておりますのは十本ございます。調査員もしくは郵送のみによる調査が六本ございます。これらを併用している調査が十八本、こういう状況でございまして、調査の内容等によりまして今後とも引き続き御指摘のような効率化には努めてまいりたい、このように考えております。
○堀込委員 いろいろあったんですが、国民から見て、要するに二百六十六カ所の出先と五千人の国家公務員を抱えてやる統計調査というのはこれからも必要ですかということに納得できる答弁にはならないですね。やはり、そういうことは地方に任せるとか民間に任せるとかをできるだけやっていくという姿が必要だ。
私は、何でも今の雇用環境をがちゃがちゃにしてしまえと言っているわけではなくて、きょうは最後に申し上げたかったんですけれども、国内の農業生産物の食品安全についてはできるだけ県や市町村に任せる、そして、輸入食品については、もう四兆円も、世界一の輸入国ですから、六十何%も輸入しているこの輸入食品の安全管理に国が一生懸命人員を配置するとかそういうことをやっていく。そういう流れにすべきではないか、こういうふうに思います。
ちょっと大臣にも質問したかったんですが、時間が来たので。
そういう意味では、役所が今までの、戦中から戦後の食料不足の時代の仕組みやそういうあり方を忘れて、新しい時代の農業を、あるいは農政を切り開く。既得権益や既得の組織をやはり脱却しながら新しい時代を開いていく。やはり霞が関の視点を変える、超える、そういう発想が必要だと思っておりますが、もし所見がありましたら、一言。
○亀井国務大臣 今御指摘のとおり、いろいろ国際情勢また国内の情勢も変わってくるわけでありまして、これに的確な農政というものを進めなければならないわけでありまして、今いろいろ御指摘をいただいた点につきましても、国、地方あわせてその努力をしていくことが必要なこと、このように感じておる次第でございます。
○堀込委員 終わります。
○小平委員長 次に、齋藤淳君。
○齋藤(淳)委員 民主党の齋藤淳です。
関連諸法の中で、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。
まず最初に、大臣に伺います。
今回の法律改正の目的は、提案理由にもございますように、食品の安全性の確保に万全を期するためということと、もう一つは公益法人改革、以上の二点だと理解しています。
公益法人改革の部分については結構ですので、食品安全性の部分について焦点を当てて、なぜ飼料の安全性が問われるのか、そしてなぜ食品の安全性が重要なのか、そして最終的にはだれの利益を増進するための法律なのか、以上について、確認の意味で、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○亀井国務大臣 今回の飼料安全法の改正の目的、この御質問かと思います。
食品安全基本法案において、食品の安全性確保措置が生産から食品の販売に至る行程の各段階において適切に講じられること、こうされておるわけでありまして、本法案は、これを受けて、畜産物の生産段階における安全性の確保に万全を期すため、飼料及び飼料添加物の安全性の確保及び品質管理の適正化の徹底、事故発生時における対応措置の拡充、厚生労働省との連携の強化についての所要の措置を講ずるものであります。
具体的には、有害な物質を含む飼料等については、農林水産大臣が販売の禁止に加え、製造、輸入または使用を禁止できることとする。有害な物質が含まれるおそれがある飼料等を指定し、その飼料の輸入についての届け出の義務をつける。いわゆる飼料の基準、規格の設定等について厚生労働大臣に意見を聞かなければならないこととする等の措置を講ずることとしておるわけであります。このほか、特定飼料等については適正な品質管理等を行う製造業者の登録制度を導入。公益法人に対する閣議決定を受け、公定規格の検定について民間企業も実施できることとする等の改正を行うわけであります。
これらの措置を通じまして、食品の安全性の確保と畜産物の生産の安定を図ってまいりたい。そして、この食品安全基本法案の趣旨に照らして目的を達成してまいりたい、このように考えております。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
生産段階での安全性ということについて言及があったことに胸をなでおろしておりますけれども、この点につきましては後ほどもう一度質問申し上げたいと思います。
そして、やはり食品の安全性ということは、国民の健康を確保するということが最終的な目的になるのかと思いますけれども、その点に関しましては明確な言及はございませんでしたが、最近新聞紙上をにぎわせていることの一つに、抗菌性飼料添加物、これの成長促進効果についての報道がございます。この抗菌性の飼料添加物につきましては、多耐性の菌が繁殖する原因になっているのではないか、そういったことも疑われているわけではありますけれども、この問題につきましていろいろと最初に質問したいと思います。
EUなどでは、この抗菌性飼料添加物の使用を抑制する方向にあるようです。特に、成長促進目的でこの添加物を使用する、これは抑制する議決もなされているようであります。この抗菌性の飼料添加物の使用が問題になるのはどのような理由に基づくものか、現在の認識をお尋ねいたしたいと思います。
○須賀田政府参考人 抗菌性の物質が問題になりますのは、これを投与して耐性菌というものができますと、それが抗生物質をその後打ちましても効かないと、人の医療上問題になりまして、健康に重大な支障を与えかねないという問題でございます。飼料の添加物に抗菌性の飼料添加物がありますと、それが家畜に摂取される。そうすると家畜の中に耐性菌ができる。その耐性菌が食肉等とともに人に食されると、その耐性菌が人にうつるのではないかという懸念が指摘をされているわけでございます。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
そこで、平成三年三月、日本科学飼料協会によって提出された報告書。この報告書というのは抗菌性飼料添加物が食肉や鶏卵に残留する度合いに関する調査だったという答弁がございましたけれども、これはあくまでも残留の度合いに関する調査で、成長促進効果について調べたものではなかったという点、もう一度確認させていただきたいと思いますが、間違いありませんね。
○須賀田政府参考人 最初に報道された報道は、先生のおっしゃるとおり、残留と安全性に係る試験に係るものでございまして、成長促進効果は別途試験をしておりまして、それはちゃんとした効果が認められていたということでございます。
○齋藤(淳)委員 確かに、この平成三年三月の報告書での実験デザインの中身を見ると、成長促進効果の有無について厳密な検討を行うようなものではなかったと理解しています。確かにそれはそのとおりで、別途調査がなされているということなわけですけれども。
一方で、昭和五十三年三月の別の報告書では、チオペプチンという薬品が、ブロイラーに対する飼料添加物としての効果が期待できないなどとはっきりと書いてあります。
昭和五十五年三月の報告書では、これは豚に関する調査ですけれども、チオペプチン、コリスチン、マカルポマイシンなど、舌をかみそうですけれども、薬剤四種類が、飼料添加物の効果が、統計的な有意な結果が検出されなかったとあります。
こういった成長促進効果がないとわかった添加物に対してその後どのような措置がとられたかということについて、確認させていただきたいと思います。別途調査がなされたということでありましたけれども、そのあたりの事実関係について御確認願います。
○須賀田政府参考人 ただいま先生おっしゃられました、昭和五十四年、五十五年、そしてもう一つ五十九年のものがあるんですけれども、国が委託したこの試験は、安全性ではなくて、まさにその成長促進効果そのものについての委託試験でございました。そして、その委託試験の結果、四つの抗生物質について、発育に顕著な効果が認められなかったという報告を私ども受けました。
そして、この報告、試験データと、それから、同じものについて業者が公的機関にみずから試験委託をしまして、これは複数の公的機関に委託していますけれども、そのデータと両方あわせまして、農業資材審議会に提出をいたしまして評価をしていただきまして、この四つの抗生物質については、審議会の結論といたしまして、総合的に再評価して、効果を全く否定するには至らないという結論を得ましたので、この四種類は現在もなお取り消されずに流通をしている状況にございます。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
複数の調査結果を慎重に検討した結果取り消しはしていないという確認でしたけれども、先日の委員会審議は、きょうも同じような言及があったわけですが、抗菌性飼料添加物の使用が食品媒介性病原菌あるいは薬剤耐性菌の発生にいかにつながっていくのか、直接的な因果関係が立証できない、だから抗生物質の使用は禁止できない、使い続ける。一方で、ある報告書では、抗菌性飼料添加物と成長促進効果の因果関係を立証できない、だから使い続ける。また別の報告書では、抗菌性飼料添加物と成長促進効果の因果関係が否定された、にもかかわらず使い続ける。この段階においては別のデータがあったということでしたけれども、これでは何のための調査か、あるいは何のための審議会かということが疑われてしまっても仕方がない。
今回の報道につきましては、確かに報道が先走りした部分もあったかもしれませんけれども、やはり今後は、当時の審議会の議論というのは非公開で行われていたとのことですけれども、議論の過程も含めてオープンな形で、第三者も、審議会のメンバー以外の部外者も審議会の議論を公正に評価できるような形で情報の公開を行っていただきたいなと思っているわけであります。
少なくとも新聞報道では、成長促進効果がなかったという調査報告がたなざらしにされた、この部分だけがひとり歩きしたのではないかという危惧を持ちますけれども、確かに、こういった実験調査の意図、あるいは情報開示のあり方、これからのリスクコミュニケーションのあり方も含めて、いかに情報開示を図っていくか、この点につきましても農水省の見解を求めたいと思います。
○須賀田政府参考人 今までは新聞報道に係る問題の説明を申し上げておりまして、この試験データは、過去何回かやったわけでございます。どういうふうになっているかと申し上げますと、昭和五十一年に飼料添加物として抗生物質が三十成分指定をされておりますが、その後、こういう見直し等を通じまして、十七成分が取り消しをされております。その中には耐性菌問題の可能性ということで二成分が含まれております。そういうことで、やはり新たな科学的知見とデータの蓄積に応じて審議会において今後も総合的な評価を実施して、その結果に基づいて見直しをしていくという方針で私どもおります。
そして、大事なのはその公表、公開の問題でございます。現在では審議会は公開ということになっておりまして、そこへお出しする資料につきましても、特別な問題のない限り公開扱いにしたいと思っておりますし、飼料添加物の指定、規格基準の設定に当たっては、パブリックコメントも実施したいということでございまして、より多くの方々の懸念とか意見とかこういうものが政策に適切に反映できるようなリスクコミュニケーションというものに努めていきたいと考えております。
○齋藤(淳)委員 特別な問題がない限り情報公開に努めるとの答弁だったかと理解しますけれども、特別な問題として想定され得るものにはどのようなものがございますでしょうか。
○須賀田政府参考人 考えられることは、知的所有権の、そういう権利の問題等でございます。先日来これはお話あるわけでございますけれども、どうも我が国におきましては企業のそういうデータ保護に関する法律がまだできていない、それと一般国民のいわゆる知る権利の、権利、権利の衝突が現在見られておりまして、その間、なかなか調整する仕組みがうまくいっていない、ここに根本的に問題があるのかなというふうに私は思っております。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
先日の筒井委員の質疑にもありましたように、存在するかどうかわからないようなデータにつきまして消費者や生産者が情報の開示を求めるというのは非常に困難なわけでありますから、これも、先ほどの答弁のように、積極的な情報公開を求め、そして公正透明な評価、リスクの評価が科学的に行われるように希望申し上げたいと思います。
今回、飼料安全法に関する審議ということなわけですけれども、飼料の安全性を厳格に確保しよう、規制を強化するという方向に行きますと、生産現場にもそれ相当の影響が出ていくわけです。確かに、食品の安全性や消費者の健康リスクということを考えると、不必要な抗生物質の飼料への添加ということは抑制していく方向が望ましいのではないかと私は考えておりますけれども、あるいはそのような対応をとらざるを得ない方向に将来的には移行していくのではないかと考えられます。
そこで、この飼料安全性に関しまして政策を変更すると、畜産、酪農、養殖の手法にも当然影響が出てくるわけです。生産現場を見てみると、密集した環境の中で豚を飼う、牛を飼うというような状況で、抗生物質の使用を抑制するとやはりいろいろな問題が起こり得るということも考えられます。抗生物質に頼らなくてもよい飼育環境ということをこれから整えるとなると、それなりのコストもかかってくるのではないかと思います。一方で、私の地元でも、抗生物質など薬剤の使用を限りなく抑制することで差別化を図り、全国に商品を売り出しているような養豚事業者もおります。
こういった中で、生産現場の実態も見、十分に配慮をした飼料政策というものをどのように展開していくのか、農水省の見解を伺いたいと思います。
○須賀田政府参考人 最近におきます消費者の志向が、より自然に近い形でとれたものに向く、要するに農業でいえば有機農法、あるいは環境保全型農業、こちらの方に向くという傾向がございまして、もちろん、生産者もそういうニーズに即応した対応というものが今後必要になってくるのではないかというふうに思っております。
正直に言いまして、我が国は高温多湿ということで、農業では雑草が生えやすいとか病害虫が発生しやすいとかあるんですけれども、家畜の場合も、病気になりやすいだとかあるいは食欲不振になりやすいということで、動物用医薬品とか飼料添加物の使用というのが必要不可欠な、そういう側面もあるわけでございますけれども、今後、消費者のニーズが高まるいわゆる有機畜産、こういったものの生産にも取り組む、現に事例が出てきておりますし、必要なんではないかなというふうに思っているところでございます。
○齋藤(淳)委員 ぜひそういった形で、より健康的な生産の振興ということも今後検討いただきたいと思います。
次に、抗生物質の使用に関して若干時間をかけ過ぎたかと思いますので、食品安全基本法の基本的な理念に照らして飼料政策をどう展開していくべきかという点について伺いたいと思います。
先ほど来申し上げておりますように、欧州議会では、昨年の十一月二十一日、成長促進目的での家畜飼料添加物として抗生物質の使用を禁止する議決を行っているということであります。一方で、衆議院を通過した食品安全基本法の修正条項では、国の内外における食品供給行程の各段階における安全性の確保の措置、これが適切にとられるべきだという条項が盛り込まれているわけです。
日本国内で供給される飼料の大部分は輸入品が占めるわけでありますけれども、食品安全基本法の特にこの修正条項の精神に照らして、今後どのような飼料政策をとるべきか、基本的な指針を大臣に伺いたいと思います。
○須賀田政府参考人 先生御指摘のように、我が国は、家畜用の飼料原料のほとんどを海外に依存をしているわけでございます。
そして、海外から飼料を輸入する場合、例えば、アメリカで異常気象が起こった、こういった場合には、トウモロコシに例えばカビ毒が発生する。通常は問題なくても、単発的に有害物質が混入する事態が予想されるわけでございます。
これを直ちにとめるというのは難しいと思いますので、今回は、法律改正の中で、そういう有害物質が混入する可能性のあるものについて、農林水産大臣が指定をしまして調査をする、その調査の結果、本当に有害物質が含まれていたということが判明された場合には輸入販売等を禁止する、こういう内容を含んでおります。こういうことを含みまして、海外から有害な飼料が輸入されることを防止したいというふうに考えているところでございます。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
輸入飼料も含めて、飼料等の生産から販売に至る国の内外の各段階について安全性を確保するための努力というのが必要なのではないかと思いますけれども、幾ら法文上そのような形でうたわれていたとしても、検査体制が機能していなければ、そして検査結果を受けた政策へのフィードバック回路が十分に機能していなければ、問題の発生は防げない。これがBSE問題、そして無登録農薬問題の教訓ではなかったかと思います。
局長がおっしゃったように、飼料というものが、ほとんど輸入に頼っているわけでありますけれども、配合飼料あるいは単体の飼料、輸入、国産を問わず、現在のところ飼料についてどのような検査体制並びに実績があるのか、また、検査結果を受けた政策の変更、こういったものがあったのか、確認の意味で答弁を願います。
○須賀田政府参考人 飼料に関しまして、人員といたしましては、私どもの肥飼料検査所に六十二名、都道府県に全体で約七百六十名ございまして、立入調査等を実施しているわけでございます。
このうちの国の段階の肥飼料検査所でございます。毎年、延べ六百回程度、配合飼料工場だとかあるいは港湾のサイロ、それから倉庫、こういうところに立入調査を実施いたしまして、分析検査のサンプルとして約二千点ばかり収去をいたしまして、農薬、カビ毒が含有されていないか、安全性の確認されていない遺伝子組み換え体が混入されていないか、延べ九千項目程度の分析を実施しておるわけでございます。そして、この中に例えばカドミが混入をしていた等々を発見した場合には、出荷停止というようなことを要求する、畜産農家に注意を呼びかける、こういう体制を整えているところでございます。
正直言いまして、去年、BSE問題で肉骨粉だとかあるいは魚粉の調査もあわせてやりましたものですから、この人数で将来ともやっていけるのかどうかについてはなかなか厳しい面がありますので、有効な立入調査ができるように、人員面、充実を図っていきたいと思っております。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
今回の法改正では、販売の禁止から製造や使用の禁止というところまで踏み込んでいくわけでありますけれども、検査体制だけでなく使用の段階につきましても、どのようなモニタリング体制を組んでいくのか、現段階で何かしらの指針ですとかございましたらお願いしたいのですが。
○須賀田政府参考人 農家の飼養段階、使用基準を遵守しているかどうかのお話でございます。
ここは都道府県に監視、検査をお任せしておりまして、遺憾な事態が生じた際には直ちに対応できるという体制を組んでいきたいというふうに思っております。
これは、飼料だけ見ていても問題でございますので、衛生部局との連携というものも念頭に置いて対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
次に、飼料における有害物質の許容基準の設定ですけれども、現段階では行政指導によるものと理解していますけれども、これは、もう少し法規制という形で透明化、明文化を図っていくような必要というのはないのでしょうか。
○須賀田政府参考人 おっしゃるように、飼料中の農薬だとか重金属だとかカビ毒だとか、こういう有害物質について、昭和六十三年以降、局長通知ということで、今は行政指導で飼料製造業者に対して基準を超えないようにという指導を行っているわけでございます。
私どもは、BSE問題の反省に立ちまして、きちんと法令で対応することが重要であるというふうに受けとめておりまして、現在、有害物質の残留基準値を飼料安全法令に基づく規格として法的な規制にしたいということで、昨年の四月二十四日から農業資材審議会に諮問をいたしまして、現在、審議会におきまして、現行の基準値の見直し、新たに追加すべき成分等の検討、こういうことをお願いしているところでございます。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
今回の改正案では、特に安全性確保のための品質管理が必要な特定飼料について、検定を独立行政法人の肥飼料検査所に限定したわけであります。現行制度でも検定の件数というのは相当な数に上るかと思いますけれども、一機関に限定して十分な検査の実効性が確保できるのか、あるいは、BSE事件の教訓から、飼料の安全、品質の管理のためにより充実した検査の体制の確保が必要かと思われますが、いかがお考えでしょうか。
○須賀田政府参考人 この検定の問題でございます。
実は、昨年の三月に閣議決定で公益法人の改革というのがございまして、この閣議決定では、安全性に関するものは国がやれ、そうでない規格みたいなものは指定法人とかそういう限定をせずにどんどん民間の中から能力のあるものを登録してやらせる、こういうふうな内容になっているわけでございまして、前者、こういう特定飼料のような危険性をはらむ飼料については、肥飼料検査所に一つに検定機関を置くというふうに書いたわけでございます。
現在までのところ、この特定飼料、最近ございませんものですから、検定実績がないので済んでおるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、今後のことを考えれば、肥飼料検査所の体制の充実というのをきちっと図っていきまして、こういうものへの対応も可能となるように体制を整備していきたいというふうに考えております。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
最後に、木下水産庁長官がおいでですので伺いますけれども、養殖水産動物用飼料について、現在のところ、主要七魚種に限って飼料安全法で明確な規定があり、規制されているわけですけれども、この対象魚種の拡充について現段階ではいかがお考えか、見解をただしたいと思います。
○木下政府参考人 飼料安全法の規制対象でありますけれども、委員御承知のように、現在は七魚種にしているわけでございます。
養殖水産物に対する安全性の確保に対する消費者の要請の高まり、あるいは最近、現行の七魚種以外にも、例えばカンパチあるいはヒラメなどの養殖がふえてきているという状況にございます。したがいまして、私ども、現行の七魚種から、食用に供することを目的に養殖されているすべての水産動物に規制対象を拡大したいということで、所要の準備を進めている段階でございます。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
日本の食卓の現実に照らし合わせて、実効性のある安全性確保を飼料段階から考え、そして実行していただきたいという希望を表明いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○小平委員長 次に、鮫島宗明君。
○鮫島委員 きょうは農林水産省設置法の一部を改正する法律案を中心に質問させていただきますが、設置法の改正ですから、リスク管理業務が今度の設置法の改正によって十分担保されるのかどうかという視点でお伺いさせていただきますので、かなり分野が広範にわたりますが、お許しいただきたいと思います。
本題に入る前に、須賀田生産局長にお願いというかお伺いしたいんですが、きのうの社民党とのやりとりの中で、農薬の中で特定農薬というジャンルを新たに決めます、そういうふうに法律技術的に名前としては特定農薬という言葉を使わざるを得ないけれども、世間の皆様方が特定防除資材という名前でこの特定農薬を表現することは構わないという見解だったと思います。これはある意味では、競馬法で勝馬投票券と規定されているものを世間ではみんな馬券、馬券と言っているのと似ているのかなと思いますが、この中の特定農薬だけを使用して、一般農薬を使用しないで栽培された農作物については無農薬という表示をしてもいいのではないかと思います。
これは別に法律の修正として出さなくても、大局長の裁量で御判断できる話じゃないかと思いますが、西藤大局長の方に。
○西藤政府参考人 お答え申し上げます。
無農薬栽培農産物の表示につきましては、特別栽培農産物に係る表示ガイドラインということで、その適正化を図ってきております。
改正農薬取締法に基づいて特定農薬に指定されたもの、天敵なり重曹なり食酢を使用した場合に、無農薬栽培農産物と表示することができるかどうかということですが、私ども、無農薬栽培農産物と表示できるという形で対応したいというふうに思っております。
現在、実はこの特別栽培のガイドラインはいろいろな意味でわかりにくいという消費者の御指摘を踏まえまして、昨年来、関係都道府県の御意見も聞きながら検討を行ってきております。
その検討において、無農薬栽培農産物という形で今後ガイドラインをあれするのではなくて、そういうものも含めて特別栽培農産物という形で表示を統一し、農薬について栽培期間中不使用、無農薬の場合は不使用、農薬不使用とし、括弧して、いわば特定農薬を御使用になる場合は、例えばお酢を使われたのであれば食酢使用ということを、栽培期間中農薬は不使用だが食酢を使ったという表示をしていただくという形で現在考えているところでございます。
〔委員長退席、楢崎委員長代理着席〕
○鮫島委員 わかりやすくなったというか、わかりにくくなったというか、だから今後は無農薬という表示はできなくなって、特別栽培農産物、農薬不使用という、消費者から見ると大変わかりにくくなって、余り前進ではないような気がしますね。こういうことなら、また次の機会に農薬取締法そのものの、農薬の定義の改正というのを我々から提案したいというふうに思います。
ただ、現在、有機農業をやっておられる方々は、とにかく創意工夫でいろいろな防除資材を探し出して、それで無農薬という名前を使いたいということがあるので、そこの部分がクリアされると今問題になっていることが七割方解消されるものですから、ぜひこの表示のことについては、いや、これは本題じゃないからいいです。要するに、特別栽培農産物、食酢使用とかいう書き方にしなさいということですね。余り購買意欲をかき立てる表示じゃないと思いますが。
本題に入ります。
大臣にお伺いしたいんですが、御着任になってもう一カ月以上たちますし、やはりこういう議院内閣制のもとにおける大臣は、国民の代表として行政府の長に座っておられる。決して役人の代表としてそこにおられるわけじゃないわけですから、ぜひ一般国民的感覚で御判断をいただきたい。ですから、きょうは私、大臣に余り、通告している質問は少ないんですが、何人かの役人の答えの中で大臣がそれをどんなふうにお感じになっているかというのは時々不定期にお伺いしますので、そのときには国民を代表しての御答弁をぜひお願いしたいと思います。
きょうの日本農業新聞に、「修正協議物別れ 牛肉トレーサビリティー法案 「輸入表示」否決へ」という見出しとか、牛肉トレーサビリティー法案修正の解説記事では「米国の圧力が影響か」というような話もあり、それから、参議院の委員会で農林水産大臣が、輸入牛肉のトレーサビリティーは検疫で十分に対応できるというふうにお答えになっておりますが、その答えが、この新聞によると、牛肉の輸入先はBSE未発生国であり、原産地表示で消費者に情報提供をしているのでこれで十分ですという答えです。
我々が輸入牛肉のトレーサビリティーが必要だと言っているのは、別にBSEだけのことを心配して言っているわけではなくて、むしろトレーサビリティーの基本は何かといえば、消費者に対する商品履歴情報の提供、それからもう一つは、事故が起こったときに迅速に対応し二次被害を防止する、この二本がトレーサビリティーの必要性についての国際常識。
ですから、今の牛肉トレーサビリティー法案は、普通のトレーサビリティーの常識からいうと、ちょっとかなり離れた、概念が違うというか羊頭狗肉というか、牛頭狗肉のような法律ではないかというふうに思うんですが、その意味で、もうちょっと本来のトレーサビリティーという感覚で輸入牛肉をどう考えるかを考えていただきたいというふうに私は大臣に対しても思うんです。
わかりやすい例で言いますと、O157に着目した場合、O157事故発生国、アメリカはかなり事故が多発して、去年の七月も大きな事故がありました。これは外務省にお伺いしますが、O157事故発生国において、トレーサビリティーの対象となっている牛に由来する輸入牛肉について、トレーサビリティーの対象である旨の表示を義務づけることはWTO協定違反として提訴される可能性があるかどうか。
外務省に、つまり、もうちょっとわかりやすく言えば、アメリカの牛でこれはトレーサブルな群れですよという牛に由来する牛肉が輸入された場合に、これはトレーサブルですという表示をすることはWTO協定に違反する可能性がありますか。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
今のお話でございますが、トレーサビリティーの対象である旨表示できるかどうかという措置を政府が具体的にとった場合は、WTO協定上、二つの協定との関係が出てくると思います。
一つは、人あるいは動物、植物の生命または健康……(鮫島委員「抵触する可能性があるかだけでいいです、SPSとTBT」と呼ぶ)はい。SPS協定、TBT協定、どちらでも、正当な範囲内あるいは合理的な範囲内でとった措置であるという証明ができれば、提訴されてもそれは協定違反にはならないという判断が下ると思います。
○鮫島委員 私が今言っているのは、きのうの山田さんの質問と全然違いますから、ちゃんと正確に答えてください。
いいですか。アメリカで個体識別が可能な環境で飼われた牛の肉ですよ。それが日本に入ってきて、これは識別可能な牛肉ですという表示をする。つまりマル適マークみたいなものです、リコメンデーション。その表示をすることは、TBTかSPSかに何か抵触する可能性があるか。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
その表示を義務づけることがどういう目的で行われたかということが判断の基準になると思います。その目的に照らして合理的な範囲内であれば、協定上訴えられても説明できると思いますが、特定の国から、それは必要以上な貿易障害をもたらす措置であるということで訴えられる可能性というのは排除できないと思います。
○鮫島委員 外務省はWTO交渉の当事者ですか。
○鈴木政府参考人 外務省としましては、WTO協定を含めた国際約束の交渉責任者であり、かつ、国会に交渉しました結果を提出して批准の審議をお願いしていただく責任をとる立場にございます。
○鮫島委員 交渉の当事者であると。
私は大変わかりやすい事例を言ったわけで、O157事故の発生国アメリカから日本に入ってきた牛肉は、O157事故を起こさないとは言えない、起こす可能性があるわけです、一年に二回平均ぐらい起こしていますから。そうすると、日本に入ってきたアメリカからの牛肉がもしO157で汚染されていたら、当然さかのぼって同じロットのものはみんな押さえないと、すぐ回収しないと、二次被害の蔓延につながるわけです。したがって、それは十分合理的な根拠がある。つまり、アメリカでも、もしコンアグラ社のひき肉が事故を起こしたら、コンアグラ社がその期間に販売した肉については一斉に回収にかかるわけですから、これは別に、合理的な根拠は十分あると思います。
それを私はわかりやすいケースとして聞いているわけで、日本の国民をO157被害から守るために、あるいは二次被害を防止するために、事故が起きたときに消費者に的確な情報を流すために、アメリカの牛肉の中でトレーサブルなものについては、これはマル適です、トレーサブルです、リコメンドに値します、こういう表示を義務づけることが、違反する可能性がちょっとでもあるかという意味です。
私は限りなくゼロだと思いますが、交渉の当事者としての見解をお伺いしたい。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
今委員のおっしゃられましたマル適マークというのを、例えば仮定の問題として、アメリカがどう判断するかということだろうと思います。
マル適マークがついているものとついていないものについて違う扱いを受けるということをアメリカが考えた場合には、それは訴えられる可能性があると思います。
訴えられた場合、そういった制度がWTO協定上整合的なものかどうかという判断は、通常はパネルと呼んでおります紛争処理に関する小委員会が行うわけでございますが、その際は、日本の法律全般、食品衛生法を含めて、そのような義務を課す必要があるかどうかというところが判断の基準になると思います。
〔楢崎委員長代理退席、委員長着席〕
○鮫島委員 今極めて不思議な答弁があった。つまり、トレーサブルな牛の肉にトレーサブルですというマークを打ってくださいとある種の義務づけをすることが、抵触する可能性があるというのが外務省の御判断ですね。その根拠は恐らくTBTの方なのかもしれませんが。
この先は、自由党の山田議員にこの続きは任せたいと私は思いますが、本当は、今度はそうじゃない場合はどうかというのを聞きたかったんですが、こんなことすらも抵触するというふうに考えているような返事が出てくるとは思わなかった。
では、農水省の方にお伺いしますが、今度の牛肉トレーサビリティー法案は、これは食品安全行政の中の法律なのか、それとも、家畜伝染病予防という家畜衛生の方の分野の法律なのか、ちょっとわからなくて、実はこの間のこの委員会での審議の混乱も、若干その辺にあったんじゃないか。
目的の第一には、BSEの蔓延防止というのがこの立法目的でうたわれていて、この立法目的の中に、安全の二文字は入っていないんです。そういう意味からいうと、牛肉と牛のトレーサビリティー法案は、食品衛生法の特別法と位置づけるべきではなくて、家畜伝染病予防法の特別法という解釈でよろしいんでしょうか。
○須賀田政府参考人 私どもが提案を申し上げております牛肉トレーサビリティー法案、安全性という観点はございません。生産履歴、BSE発生国におきます我が国において、その生産の履歴を消費者に伝達する、BSE患畜が発生した場合に疑似患畜を早急に追跡するという意味で、家畜伝染病予防法の特別法ということでございます。
先ほど来、先生、O157という問題を取り上げられておりますけれども、もしO157というようなものを追跡するためのいわゆるトレーサビリティーというものをつくるのであれば、まず国内的にそれが制度化できるかどうか、それは負担と効果の問題、これはまさに食品衛生の観点に入ってくるわけでございますので、そういうものが構築できるかどうかという問題がまず基本にございます。仮に構築できたとして、それを相手国に求めることが、先ほど来、恐らくO157ならSPSの問題になろうかと思いますけれども、それが科学的根拠があるのかどうか、二重の問題が生じてくるんだろうというふうに私どもは思っております。
○鮫島委員 いや、ゼロ、一〇〇の話というか、例えば、アメリカはトレースバック可能なシステムになっておりますというふうにアメリカは言うわけですよ。アメリカの言うトレースバックが可能なシステムというのは、食肉処理場まではいつでもトレースバックできます、したがってO157事故が起きたときには、どこの食肉会社でいつ処理したものから出たんだ、したがってそのロットは全部押さえましょう、そういうのはアメリカはできております、日本のような個体識別はできていませんと。
それから、この前、カナダ、アメリカに行ったときに、私がカナダの農水大臣に、日本は牛肉のトレーサビリティーシステムを導入するが、日本が同じレベルを輸出国においても行うように要求することの妥当性について、私としては当然必要なものと考えるが、貴大臣の考えをお伺いしたいとカナダのバンクリフ大臣にお伺いしたところ、カナダでは農場段階まで追えるようになっています、農場から牛を出荷する際に、その耳にタグをつけ、それが流通、加工段階へとつながっていく、カナダでは豚についても行っています、こういう答えでした。
その国の畜産文化の違いによってトレースバックのシステムあるいはトレースバックのレベルがもちろん違うことは当たり前のこと。ただしかし、食品事故が起こった場合に、直ちにその原因を突きとめ、国民に正確な情報を流し、二次被害を防止する仕組みを持っているかどうか。
今度の牛肉トレサビリティー法案も、立法のねらいはBSEの蔓延防止でしょうけれども、全部の個体についての個体識別が可能というふうになったら、いろいろな事故に的確に対応できるわけですよね、今度の日本の仕組みは。O157事件についても、あるいはクリプトスポリジウムで集団下痢が発生しても、いろいろな微生物病原性因子由来の事故が起こった場合にすぐトレースバックできて、同じ飼われ方をしていたものに由来するものとか、いろいろな調べ方ができるわけです。
だから、そういう遡及できますよという仕組みを日本が持った以上、そして、これは遡及可能という表示をしますというのを日本で採用する以上、さまざまな輸入牛肉に由来する事故について遡及可能なのかどうかを表示することは、私は十分科学的な根拠があると思います。
これ以上、きょうは設置法なので、余りここだけに深入りするわけにいかないんですが。今わかりました。少なくとも牛トレーサビリティー法案は安全行政ではない。
今度、設置法の改正の中で、改正法第四条の十四号、つまり、「農林水産物の食品としての安全性の確保に関する事務のうち生産過程に係るものに関すること。」これが今度の設置法の一つの目玉で、唯一新しく四条に書かれた文章なわけです。しかし、今の答弁からいうと、牛トレーサビリティー法案の施行に関する業務は、四条の十四号に該当しませんね。
○須賀田政府参考人 該当いたしません。
○鮫島委員 そうすると、四条の十四号というのが、今私が読みましたが、「農林水産物の食品としての安全性の確保に関する事務のうち生産過程に係るものに関すること。」というのが、唯一、今回新しく提案された所掌事務なんですが、これは、牛トレーサビリティー法案の施行は対象としていない。しかも、括弧がついていて、食品衛生に関すること及び環境省の所掌事務は除く、括弧してこう書いてあるわけです。
そうすると、食品素材生産の安全性のチェックの仕事で、食品衛生に関することを除き、さらに環境省所管のことを除くと、何が残るんですか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
新しい第四条、所掌事務の関係の第十四号の中身の関係でございますが、具体的な所掌事務の中身ということで想定されますことは、従来から行っております、農薬でございますとか、あるいは動物用の医薬品、あるいはえさ、こういった生産資材の安全性を確保するための登録ですとか承認、こういった従来からの事務に加えまして、この適正な使用を確保するために、こうした農薬でございますとか動物用医薬品の使用量でございますとか使用時期、こういったことに関しまして基準の設定というのがございまして、こういったことの設定、あるいはこれを遵守させるための監視、指導、こういったものが該当するというふうに我々は考えております。
○鮫島委員 ちょっと、いいかげんな答弁をしないでほしい。
所掌事務の第四条は、改正前ですが、何と八十九号まであるわけです。肥料、農薬、飼料及び飼料添加物並びに動物用の医薬品、医薬部外品云々の安全性に関することというのが二十二号にあり、また、農薬等に関することも別の規定があり、それから、病虫害の防除、家畜の衛生並びに輸出入に係る検疫というのはまた別、十九号に規定される。つまり、ほかで規定されていることではなくて、この四条の十四号で新たに発生する業務、それをここで表現しているんだと思いますが。
今までのことはいいんですよ。こんな、八十九号まであって、今までやっている安全性に関する業務は全部ここに規定されているわけで、新規に今度一部改正を出してきたわけで、それの目玉が四条の十四号、「食品としての安全性の確保に関する事務のうち生産過程に係るもの」というのを新たな業務として行いますというのが、きょうの設置法改正の一番の目玉でしょう。
これは、今まで行っているものじゃなくて、新たにどういう業務を意味するんですか。しかも、食品衛生に関するものを除く、環境省が所掌しているものを除くというと、一体何が残るんですか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
先ほども申し上げましたけれども、農薬でございますとか動物用医薬品、こういったものを使用します使用量でございますとか使用時期、こういったことに関しまして、使用されます方々が遵守すべき基準の設定、あるいはこれを遵守させるための監視、指導、こういったもの等が新たな十四号で想定されることではないか、かように考えておる次第でございます。
○鮫島委員 二十二号に、「肥料、農薬、飼料及び飼料添加物並びに動物用の医薬品、医薬部外品及び医療機器の安全性の確保に関すること。」は二十二号で行いますというようにあるし、ちょっと僕、八十九号全部、農薬に関してもあるはずなんですよね。全部ほかのところに書かれていて、今おっしゃったことは別に、新たに発生する業務、つまり、では今まで農薬の使用について野放しだったのか。
だって、四条の十四号というのはもっと具体的なことを言っていて、「食品としての安全性の確保に関する事務のうち生産過程に係るもの」。これは、生産過程で汚染されたり、人の健康に影響を及ぼすような病原性の因子が付着したり、そういうことがないかどうかを監視する業務のことじゃないんですか。
○田原政府参考人 繰り返しまして恐縮でございますが、二十二条というのは、生産資材自体、農薬でございますとか、えさでございますとか、そのこと自体の安全性の確保ということでございまして、今回御提案申し上げております十四条、これは、こうした農薬でございますとか、えさ、こういったことの使用規制あるいは使用基準の設定でございますとか、これを農家の方々等に遵守していただくための指導なり監督、こういったことを予定しているということでございます。
○鮫島委員 肥料や農薬の使用規定や使用基準をつくって、そのとおり行われているかを意味している。そういうふうには読めませんけれどもね。
では、食品の原料ないし素材の安全性の確保に係る業務はこの中に入っていないんですか。食品素材の生産過程における安全性の確保、具体的に言えば病原性因子の付着ということでいいんですが、それは入っていませんか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
食品衛生法、これは厚生労働省さんの所管法律でございますので、私どもの方から申し上げるのも若干僣越でございますけれども、食品衛生法によりますと、食品とは、薬事法に規定する医薬品、医薬部外品以外のすべての飲食物をいうということでございますので、農林水産物のうち、そのまま食用に供されます生鮮食料品でございますとか果物、こういったものは当然食品になりますけれども、そのほか、そのままでは食用になりませんが、穀物でございますとかサトウキビ、こういったものは食品の素材または原料に該当する、かようなことではないかと私どもは考えている次第でございます。
この新しい設置法の十四号におきまして、食品であるかその素材あるいは原料であるかを問わず、農林水産物の生産過程におきます食品としての安全性の確保の事務、こういったことにつきましては、今回、新たな所掌事務ということで位置づけさせていただきたいということでやっているところでございまして、この具体的な作用と申しますか、具体的な行政作用といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、農薬でございますとか、えさでございますとか、こういった生産資材の安全確保のことをやっているということでございます。
○鮫島委員 私が聞いているのは、生産過程の中で病原性因子が付着する、それを監視する業務は四条の十四号に入りますかと。簡単な話ですよ。
例えば、レタスをつくります。そのときに、例えば液体の有機質肥料を施用した。ところが、それにO157が入っていて、レタスを簡単に洗って、そのまま出しちゃいましたと。それで事故が起こったときに、そういう生産過程における安全性の確保というのはこの四条の十四号に入っているかどうか、具体的に答えてください。入っているのか、入っていないのか。
○須賀田政府参考人 この所掌事務の中に、先生まさに言われましたO157、こういうものが、生産段階、畜舎だとか、あるいはふん尿を通じて何か農産物だとかにそういうものがつかないようにする事務は、もちろん入ります。
そのために今回、家畜伝染病予防法を改正いたしまして、飼養衛生管理基準ですか、これはO157が入らないようにきちっと衛生管理しなさいという基準でございますし、今後何が起こるかわからないものですから、生産段階における安全性の確保というのは我が省の事務として今後作用していくということになろうかと思います。
○鮫島委員 そうすると、平成八年五月、大阪を中心としてO157の大事件が発生したことは記憶に新しいところです。約一万三千人の食中毒事件が起こって、中に非常に激甚な被害が生まれたグループがカイワレ大根に由来するO157だったんじゃないかというあいまいな結論のまま終わって、今でも裁判があるのかもしれませんが。
類似の事件が起こった場合、あのときは、平成八年の段階では食中毒の原因はカイワレ大根でした、これにO157が付着していた蓋然性が高いというところまでで終わっていますが、今度、この新たな所掌事務ができた以上、そのO157は、ではどこから来たのか、もう既に輸入段階で種にもともと付着していたアメリカ産のO157なのか、それともカイワレの発芽、育成の過程で使った水に入っていた国産のO157だと、こういう危険性の因子をトレースバックする、調べる業務というのは、じゃ、新たに四条の十四号に入ったという解釈でよろしいのですね。
○須賀田政府参考人 大変微妙な問題でございます。
O157が現に起こった、食中毒事故が起こった。その取り締まりといいますか、それは、公衆衛生。食品衛生法に基づく取り締まり、回収するだとか営業停止するだとか、そういう取り締まりは公衆衛生の観点から厚生労働省が行うわけでございます。
今おっしゃられましたように、じゃ、原因究明はどうかという話でございます。
原因究明は、恐らく厚生労働省と連携して行っていくということになろうかと思いますが、過去の例でいきますと、例えば、古い話でございますが、加工、流通段階以降に起きたような森永砒素ミルク事件、これは当時の厚生省が主となって対応した。ところが、生産段階で起きましたカドミみたいなもの、これは食品の安全性に影響がありましたけれども、生産段階で起こりましたので農林水産省が主体的に対応した。こういう実例があるわけでございます。
先生言われたようなもの、生産段階に何か原因があるんじゃないかというふうに疑われる可能性が強いものについては、もちろん厚生労働省と協議しながらいきますけれども、恐らく農林水産省が主体的に対応しないといけないのではないかというふうに思っております。
○鮫島委員 この四条の十四号には括弧書きもあるんですね。「安全性の確保に関する事務のうち生産過程に係るもの」、それで、括弧して「(食品衛生に関すること」「を除く。)」と。
そうすると、厚生労働省にお伺いしますが、食品衛生に関するもので、安全性の確保に関する事務のうち生産過程に係るもの、これはどういう分野というふうに了解しているんですか。
○南政府参考人 お答えいたします。
食品衛生法では、生産過程といった概念にかかわらず、採取から販売までの行為について、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止するために必要な規制措置を行うこととしております。
農林水産省設置法の解釈は、一義的には農林水産省において行われるものでございますが、厚生労働省といたしましては、採取、製造、貯蔵、加工といった生産過程において、食品衛生法に基づく回収命令など飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止に関する事務を指しているものと認識しております。
○鮫島委員 変な日本語を使わないでください。
生産過程という概念ではなく、採取から販売まで、例えばお米でいえば苗づくりから田植えに移植して収穫するまでは関係なくて、収穫してから脱穀して精米してお米を炊いておにぎりにして、つまり収穫してから後でしょう。じゃ、生産過程、入っていないじゃないですか。
つまり、生産過程の中で食品衛生に関することと農水省の方の設置法の規定にあるから、こう書いてある以上は、食材、つまり食品原料の生産過程で食品衛生にかかわる分野というのがあることを前提にして書いているから聞いているので、採取以前ですよ。稲でいえば発芽から収穫まで。
○南政府参考人 お答えします。
食品の生産過程における農作物の栽培段階や、水産物の養殖時のような採取以前の過程における安全対策は、食品衛生法の範囲外でございますが、食品衛生の観点から、食品安全委員会や農林水産省と連携し、適切に対応してまいりたいと考えております。
○鮫島委員 だから、厚生労働省の言う生産過程と、農林水産省で言う生産過程と意味が違いますということですね。厚生労働省の言う生産過程は食品の生産過程だから、主に加工段階というようなことをイメージしている、農林水産省の言う生産段階というのは発芽から収穫までというようなのを意味しているという、同じ日本語の役所による使い方の違いということなんだろうと思います。
そうすると、今の厚生省の御見解では、これは農林水産省の設置法に書いてあるわけです、これは農林水産省的な読み方をしなくちゃいけなくて、農林水産物の食品の安全性の確保に関する事務のうち生産過程に係るものに関するというのは、米でいえば発芽から採取まで、農林水産省用語だからそうなるわけで、そうすると、この中に書いてある、ここにつけてある括弧書き、この分野というのはあるんですかと聞いているんです。
多分、さっき言った、レタスをつくるのに液体有機肥料を使いました、その中にO157とかほかの病原性因子が入っているかどうか、そういうものは使ってはいかぬよという仕事は厚生労働省の仕事なんですか、農林水産省の仕事なんですかという意味です。
○南政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘の範囲でございますが、食品衛生法のかかわる範囲とかかわらない範囲があるわけでございますが、栽培されている段階におきましては、食品衛生法の範囲外でございます。ただ、食品衛生の観点から、農林水産省と連携して適切に対応してまいりたいと思います。(鮫島委員「栽培は範囲内と言ったの。内側、外側」と呼ぶ)内側も外側も、食品衛生の観点から連携して適切に対応してまいりたいと思います。
○鮫島委員 では、あれですか、生産段階で無登録農薬を使用したり、あるいは人間に害を及ぼすようなものが使われたら、それは厚生労働省は、今の話だと栽培段階は入るという話だと、人間に健康を与えないような栽培をしているかどうかというのを調べるのは厚生労働省の仕事ですね。
別に百点満点の回答をしなくてもいいんですよ。僕らも、やっと日本で食品安全という分野が今まさに誕生しつつあるわけで、食品安全行政というのは今までなかったんだから。だから、いきなり生まれたての赤ちゃんにすぐ歩け、走れとは言わないわけだから、別に、そういうことはまだ調整がついていませんとか、課題として残されていますと、そういう答弁も大事なんですよ、非常に。
○須賀田政府参考人 先ほど来混乱をしておりますけれども……(鮫島委員「そっちが混乱している。私は混乱していないんですよ」と呼ぶ)いや、私の方がです。
厚生労働省の食品衛生法、例えば、有害な食品はとったらいかぬぞ、毒キノコをとるなとか、そういうのは、食品衛生の観点から生産段階まで及ぶことができるわけです。それで、生産過程における安全性の確保、これは、具体的でないからいろいろな議論が起きるわけでございます。
設置法の四条というのは、所掌事務というのは農林水産省の守備範囲を示しただけなんです。農林水産省に与えられております任務、行政目的は三条にございまして、それを達成するための守備範囲はこれだけだよと。それで、具体的な行政作用、権限の行使は別途、個別の法律等によらないといけないわけでございます。そういうところで、厚生省の食品衛生法令でいくのか、それとも農林水産省の関係法令でいくのかが具体的に明らかになっていく。
ところが、法令じゃなくても、予算でやることもありましょうし、行政指導でやることもありましょうし、それは、行政作用、権限の行使、深さの問題でございますので、今、先生の議論は守備範囲の問題ですので、いろいろ混乱が私どもも生じておるわけでございますけれども、具体的には、そういうふうな法令だとか行政指導の段階で調整が行われていくということになろうかと思います。
○鮫島委員 こっちは混乱していない。
大体、きょうは、だって、設置法の一部改正に対する審議をしているわけですから、この設置法というのは、まさに今度、農林水産省はこういう部分を所掌しますと。したがって、新たに消費・安全局が必要ですとか、地方の組織を変えなくちゃいけませんとか、この四条の十四号に基づいてある種の組織再編まで行おうというぐらい、これが非常に意味が深いから私は聞いているわけです。
では、もうちょっと別の聞き方をしますけれども、厚生労働省に聞きます。
成長ホルモンを使用して育てられた牛の肉を輸入する場合、輸入を許す条件は何でしょうか。
○南政府参考人 お答えします。
肉牛の生産段階で使用されます成長ホルモン剤であるゼラノール及びトレンボロンアセテートにつきましては、食品衛生法第七条に基づき残留基準が設定をされておりまして、基準値を超える残留が発見された場合には、食品衛生法違反となるため、輸入は認めないということになっております。
○鮫島委員 僕はちゃんと質問の項目は渡してあるわけですよ。成長ホルモンを使用して育てられた牛の肉を輸入する場合、輸入を許す条件は何かと。割合易しい質問で、ちゃんと渡してある。今のは輸入を許さない条件の方を答えて、これだとバッテンになるんですけれども。
○南政府参考人 失礼しました。
基準に適合したものについては輸入ができるということでございます。
○鮫島委員 基準値以下であれば輸入が許可されるという意味ですね。残留基準値以下であれば輸入が許可される。いや、いいでしょう。それでいいんでしょう。許可されます。追試で合格みたいな話だな。
それで、農水省にお伺いしますが、今度、一部、動物用医薬品等の承認制度にかかわる改正が行われて、成長ホルモンの使用が今までと変わるようになったと思いますが、国内において、成長ホルモンの使用に関して、輸入や使用はできるんでしょうか。
今の二種類の成長ホルモンでいいです。残留基準が設定されている二種類の成長ホルモンについて、国内で畜産農家がアメリカからそのホルモン剤を輸入して、自分が飼っている牛に投与することは許されているのか。
○須賀田政府参考人 動物用医薬品、輸入でも製造でも承認が要るわけでございますけれども、それは、厚生省が定めております残留農薬基準適合性があれば、手続的には可能ではあります。可能ではありますが、実態的には、肥育ホルモンというのは消費者に根強い不安感がありますし、畜産農家も使用に抵抗感がありますし、メーカーもそういうものは出してきませんので、輸入も製造申請も、現実にはないと思います。
○鮫島委員 現実にないじゃなくて、罰せられますよね。個人が日本で承認を受けていない成長ホルモン剤を輸入してそれを使ったら、三年以下の懲役もしくは二百万円以下の罰金。だから今日本では、具体的には、現実的には、成長ホルモンを牛の肥育段階で使えない、使っちゃいかぬということになっておるわけです。
ところが、日本で承認されていない成長ホルモンを使用して育てられた牛の肉はなぜ輸入してよいのか。これも、厚生労働省と農林水産省と両方に答えてもらいたい。
○南政府参考人 お答えします。
ゼラノール及びトレンボロンアセテートにつきましては、コーデックス基準値も定められておりまして、我が国においても、専門家による安全評価に基づく残留基準値を設定しているところでございます。
残留基準値を超えない場合には、食品としての安全性は確保されているということで、輸入を制限する必要はないと考えております。
○鮫島委員 今の、アメリカで使われている、何でしたか、ちょっと化学名は忘れましたが、この二種類の成長ホルモンは、日本でも残留基準値が設定されている。
そうすると、では、今日本で使っていいんですか、それは。使用が承認されていますか。
○南政府参考人 先ほど申しましたゼラノールとトレンボロンアセテートにつきましては、コーデックス基準値が定められているということで……(鮫島委員「使っていいのかどうか。日本で使用が承認されているかと聞いているんです。厚生省の見解をまず答えてください」と呼ぶ)
○小平委員長 南課長、厚生省としての見解を答弁ください。
○南政府参考人 はい。お答えします。
基準値以下であれば、そのものは違反はできないと……(鮫島委員「使用していいの。牛を育てるとき使っていいんですか、今の二種類のホルモン剤は」と呼ぶ)特に食品衛生法上の規制はございません。(発言する者あり)
○小平委員長 それでは、もう一度質問してください。鮫島宗明君。
○鮫島委員 厚生労働省の見解として、アメリカで使われている成長ホルモンのうち二種類は日本も残留基準が設定されていますということはわかりましたが、日本で牛を育てるときに、その残留基準が設定されている二種類の成長ホルモンを使うことは許されておりますか。今の二種類の成長ホルモンを牛の飼養段階で使うことを許されているのかを、厚生省の見解としてお伺いしたい。
だって、さっき、生産過程のところは、食品衛生にかかわるものについては、栽培の段階、牛でいえば飼育の段階まで厚生省の視野の範囲だという答弁があったわけだから。
それで、この成長ホルモンは、人間の健康にかかわるわけですよ。つまり、成長ホルモンのある種のものが、例えば性ホルモンとしての作用を持っていて、男性の機能に重大な影響を与えるというような場合は、これは人間の健康にかかわるわけだから、食品衛生にかかわるという分野の上流域になるわけで、見解は見解であってしかるべきだと思いますよ、さっきの答弁からいったら。
○南政府参考人 残留基準以下での使用は可能と考えております。
○小平委員長 農水省はいいですか。農水省須賀田生産局長。
○須賀田政府参考人 食品衛生法に基づきまして残留基準、許容範囲が決められておりますので、その範囲までなら、使っていいかどうかという質問へのお答えですけれども、使っていいということにはなります。でも、現実にはありません。
○鮫島委員 今度法律が一部改正になって、動物用医薬品の承認制度に関する分野で。この新しい法律ができると、これまでよりも使いにくくなるわけでしょう。つまり、日本で承認を受けていないものを勝手に輸入して使ってはいけませんよというふうになるのが、今度の改正の趣旨。
そうすると、今の須賀田さんの話だとおかしくて、せっかくこの法律を改正して厳しくするのに、結果的に育てた肉の値が残留値以下だったら逆に言うと使っていいみたいな言い方だけれども、日本で使用承認を受けているものはないはずなんですよ。最低限その使用承認を受けるのに三年ぐらいの審議が要るわけだから。
今、日本で、畜産農家が牛を育てるときに成長ホルモンは使っていいんですかという質問なんですよ。
○小平委員長 須賀田生産局長。時間が来ましたので、簡潔に明瞭に答弁を。
○須賀田政府参考人 まず、先生言われました、今まで禁止されていたのかどうなのかという話でございますが、個人輸入は今までは法令上の規制がなかった。今後は規制になってきて、承認なり許可なりが要る。
現在、国内で肥育ホルモンはない。使うためには承認が要る。承認申請が万一上がってきた、承認する余地があるかどうかという場合には、残留基準が定められているかどうかによりまして、定められていて許容の範囲内でありましたら、承認する余地があるということを……(発言する者あり)されていません。
○小平委員長 鮫島君、持ち時間が終わりましたので、簡潔に。
○鮫島委員 はい、最後にしますから。
では、北海道の畜産農家がもっと効率的な経営をしたいというのでアメリカに行って、それでアメリカで許されている成長ホルモンをばんばん使って、しかし、肥育の最後の方でカットすれば残留値としては十分抑えられる、こういう格好で日本に輸入してくることは一向に構いません、ただ、その人が日本の国内で使っちゃいかぬと。そういう肉もオーケーだというのが今の、だから私は、まだ不完全な日本の食品安全行政の実態をシンボリックにあらわしているんだろうと思います。
専門家からも多くの指摘があって、家畜に内在する人に対する病原性因子、O157が典型ですが、もっともっとたくさんある。今のSARSも、もしかしたら動物由来だという話もあるぐらいですから。
こういう家畜に内在する病原性の因子が人の生活圏に入るのを防止する措置、これは厚生労働省がやるのか農林水産省がやるのかということも決まっていないはずなんです。
そのぐらいまだ食品安全行政というのが非常に未熟な段階にある。機構としても仕組みとしても未熟な段階にあって、しかし、今回、設置法は、本当はもっと厚生労働省も、閣僚懇の平成十四年六月の指摘では厚生労働省も食品安全行政に合わせて再編しなくちゃ、組織改革しなくちゃいかぬというような指摘があったはずですが、それもサボっている。非常に不十分な組織改革しかしていないし、食品安全行政の新たな確立に対して、行政組織というものが十分に対応していない、対応する能力を欠いている。これは、食料・農業・農村基本法の第十六条、農林水産省は十分安全性を確保しなくちゃいかぬという、この基本法の十六条に違反している可能性すらあるぐらいの大問題だ。
私たちも、だから、きょうの話を聞いて、我々野党が政権をとったらどういう行政組織にしなければいけないかはよくわかりました。
どうもありがとうございました。
○小平委員長 次に、山田正彦君。
○山田(正)委員 自由党の山田正彦ですが、今の民主党の鮫島議員の質問に続けて、須賀田局長にまずお聞きしたいと思います。
いわゆる二種類の今アメリカで扱っている成長ホルモン、この成長ホルモンを日本で農家が使ったら違反になる、罰せられる、それはどうなのか、今現在。
○須賀田政府参考人 農家というのは、生産活動を通じて食品を生産するわけでございます。その食品の残留基準が食品衛生法に基づいて決まっている。そうすると、その許容の範囲内であれば、観念的には使用可能ということになるわけです。
現在はないんですよ、国内には、肥育ホルモンは。使用することは許されていないんです、承認がないから。だから、国内では現実には使えない。使えるかどうかの御質問だから、可能性としては、残留……(山田(正)委員「使えるか使えないかじゃなくて、使ったら罰せられるか」と呼ぶ)
○小平委員長 ちょっとお待ちください。
答弁は終わったんですか。答弁はいいんですね。――はい。
山田正彦君。
○山田(正)委員 局長、使えるか使えないかじゃなくて、使ったら罰せられるのか、今現在罰せられないのかと。それに簡潔に、そうではない、そうであると答えればいいだけなんです。
○小平委員長 須賀田生産局長、わかりやすく答弁を。
○須賀田政府参考人 承認されていないので、罰せられます。
○山田(正)委員 さっきからの話とは全く違うと思うんだけれども。
日本国内で使用したら、大臣、聞いていただきたいんですが、罰せられる。ところが、アメリカでその二種類の成長ホルモンを使ったものは、輸入されても、基準値、どういう基準で基準を決めているのかわかりませんが、それについては残留基準の基準値を下回るものであれば輸入される、輸入が認められる、国内で食べてもいいと。大臣、矛盾していませんか。どうですか。
○亀井国務大臣 現実に、話としては非常に、成長ホルモンも国内ではない、また使われない、こういうことであります。
また、輸入に関しては、食品衛生上その基準値の問題、こういう点を十分クリアした形という形で食品衛生上の基準に達しているということであれば、輸入ということにつきましては支障のないことになるのではなかろうか、こう思います。
○山田(正)委員 大臣、私が聞いているのは、日本国内では絶対に使ってはいけない、罰せられる、ところが、アメリカから輸入される牛肉については、使ったものは、基準値を超えないものであれば日本国内でそれが輸入されて食べてもいいということは、だれが考えてもおかしいと思うんだけれども、大臣、考え方としては、これをおかしいと思われないか思われるか、それだけなんです。
○亀井国務大臣 おかしいと思います。
○山田(正)委員 やっと大臣らしい答弁で。
それで、実は須賀田局長に今度お聞きしたいんですが、トレーサビリティーのなされていない国からの輸入の牛肉。日本はトレーサビリティーをこれから実施して、大変、コストが二割も三割もかかるかもしれない。そんな中で、一方ではトレーサビリティーのなされていない肉がさらに安く横に並んでいるとしたら、みんな安いものを買って、日本の畜産は大変なことになるかもしれない。そして、日本の食の安全と安心の立場からも、前から言っているように、トレーサビリティーがなされていない国からの肉であるということの表示は、SPS協定、TBT協定に反するものであるか否か。ひとつお答えいただきたい。
○須賀田政府参考人 その前に、先ほど罰せられると申しました。改正後、今回の改正で未承認の医薬品が使用禁止になりますので、改正後は罰せられるということであります。
ただいまの御質問でございます。
時系列的に申し上げます。私どものこの牛肉トレーサビリティー法の目的と趣旨でございます。この制度は、我が国でBSE全頭検査体制が実施されているにもかかわらず、なお不安を払拭し得ない消費者の皆様方に、国産牛肉の、どこでとれたか、どこで屠畜されたか、BSE検査フリーだな、そういう情報を提供する義務を課するということで、消費者への安心情報を伝える、BSEについての安心情報を伝える法律なんです。
BSE未発生国からの輸入牛肉は原産国表示が……(山田(正)委員「委員長」と呼ぶ)ちょっと聞いてください。原産国表示がありますので、BSEからは安全であるということがそれで確認できますので、この制度の対象として輸入牛肉を対象とすることは不適当ということで除いて提案を申し上げたわけです。(山田(正)委員「聞いてない、それは。時間がないんだから、質問に答えていただければいい」と呼ぶ)制度の本来の目的からして輸入牛肉は必要ないということがまずあるわけです。
そして次に、先生方から輸入牛肉に対して求めたときにどうなるのかという話がございました。現在の私どもの趣旨からすると、これは検疫じゃありませんので、TBTへの該当性ということになろうかと思います。
この原産国表示以上の何らかの表示を義務化するということは、BSEから安全であるか否かの情報提供を超えるものを求めるということになりますので、TBT協定の正当な理由に基づく貿易制限的でない措置に抵触するおそれが強いと私は判断しております。
○山田(正)委員 局長、TBT協定をよく読んでおられるか。では、今あなたがおっしゃったのは、いわゆるTBT協定における、必要以上の貿易制限をしてはならないと書いてある部分の、必要以上の貿易制限に当たるとお考えか、これは今。その表示をすることが必要以上の制限。
例えばTBT協定をよく読んでいただきたい。この中にあるのは、いいですか、「正当な目的の達成のために必要である以上に貿易制限的であってはならない。」と書いているだけなんですよ。先ほどの外務省の参事官の証言でも、合理的な範囲内であればいいんだと。その正当な目的があって合理的な範囲内であればいいんだと。
正当な目的というのは、今第一段階で言ったように、日本としては、BSEの感染防止及び食の安全の見地というのは、これは絶対あると思うんだ。そういう正当な目的がある。その正当な目的のために必要以上の制限とあれば、トレーサビリティーのない国からの輸入を制限するというのは必要以上の制限かもしれない。
しかし、単に、いいですか、いつあるいはアメリカも汚染国になるかもしれない、そのときに国内でパニック、混乱が起こってはならない、回収しなきゃならなくなる、そのためにも、トレーサビリティーのなされている肉である、そうでない肉であるということの表示をすることは、これは正当な目的のための合理的な範囲内である、だれが考えても。それを局長は、日本の生産者と消費者のためを考えればいいのに、何も、それがパネルに訴えられるおそれがあるんだと強く懸念するということ自体がおかしい。局長、いかがか。
○須賀田政府参考人 私も日本の畜産の発展を心から願っている者の一人でございます。
先ほどから申し上げておりますが、要するにこの牛肉トレーサビリティー法の目的は、消費者にBSEフリーであるという情報を伝えることなんです。輸入牛肉については原産国表示、米国産、豪州産という表示で、これはもうJASで義務づけられております。それで、ああ、あそこは発生していないから大丈夫だなというのが日本の消費者に来るんです。それ以上のものを求めるということは、正当な理由に基づく貿易制限的でない措置に抵触するおそれが強い。先生もそう思われませんか。
○山田(正)委員 須賀田局長、このTBTの解釈。これは外交文書だ。この外交文書の解釈は、例えばアメリカ大使館からそのような話を受けたのか、それとも外務省からそういう話を受けたのか、どちらか。あるいは、そうでないならそうでない、それだけ答えてもらいたい、まず。
○須賀田政府参考人 一連の議論の過程でまさに先生から外務省に見解を聞いてみろと言われましたので、外務省にSPS協定とかTBT協定の解釈はお聞きをいたしました。大使館は関係ありません。
○山田(正)委員 局長は、この問題については、当初、このトレーサビリティーについては随分いろいろ協議して、輸入品についても検討したことはあったが、外務省の見解ではSPS違反になる、TBT違反になるというので取りやめざるを得なかったんだという説明を私にしなかったか。
○須賀田政府参考人 それはちょっと異なると思います。私は、先ほど申し上げました、制度の趣旨からおよそ輸入牛肉は対象外ですよということを説明申し上げましたら、皆様方から、輸入牛肉を対象とすると何がまずいのかとか、BSEだけでなくてO157とかサルモネラ等の追跡にも役立つんじゃないかとかいう御意見が出されて、SPS協定とかTBT協定の問題ではないかという御提起がありましたので、外務省に解釈をお聞きしたということでございます。
私は、本来、制度の目的から対象外だということは御答弁も申し上げたはずでございます。
○山田(正)委員 外務省に聞いてみたら、TBT違反である、SPS違反であると言われたか言われていないか、それだけ答えてもらえばいい。もう余り時間がなくなるから、長々と答えなくて。
○須賀田政府参考人 十三日に先生が外務省にお聞きになった、その答えと同じ内容でございました。
○山田(正)委員 SPS違反、TBT協定違反のおそれがあるということでいいとすれば、外務省の審議官鈴木さんにお聞きしたい。
どの部分が本当にSPS協定あるいはTBT協定違反の可能性があるのか。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
農林水産省との協議の中で、外務省から、訴えられた場合、協定違反という判断が下るおそれがあるという説明をいたしましたが、その判断の根拠でございますが、先ほど須賀田局長の方からも御説明がございましたように、本措置の趣旨は、TBT協定で規定しています強制規格ということでございますので、それに沿って御説明をさせていただきます。
委員御案内のように、TBT協定の第二条二項に、正当な目的のために強制規格を実施していい、制限としては、それが不必要な国際貿易の障害になってはならないというふうに規定されているわけでございますが、不必要な障害とは一体何なのかということでございます。これは、正当な目的を達成できなかった場合の危険性と、正当な目的を達成するためにとる措置のバランスを見るということで判断をするということになっております。
この場合は、食品の安全性でございまして、政府の判断といたしましては、食品衛生法あるいはJAS法による原産国表示において消費者に十分な安全情報を提供できるという判断に立てば、追加的な情報を個体識別表示を義務づけていない国から求めることは、これは国際貿易に言う不必要な障害になるおそれがあるということで、そう申し上げた次第でございます。
○山田(正)委員 今、審議官、そのような話をしましたが、いいですか、私どもが準備しているのは、アメリカに対しての個体識別、それを求めるのではなく、鮫島議員が先ほども話したように、農場の群として、そういったものをまとめて、日本における個体識別対応とほぼ同じものと認められるもの、いわゆるトレーサビリティー可能な、そういったものについての、それがトレーサビリティーができていますよ、できていませんよという表示なんです。
いいですか、この条文をよく見てくださいよ。この条文では、「正当な目的の達成のために必要である以上」というんですよ。あなたが最初に言った、合理的相当な範囲内での制限は当然できるんだ、これは。だから、一個ずつ、一頭ずつ個体識別を云々しろ、日本だって、カット工場ではロットでやるわけだから、そんなことを言っているわけじゃないのです。だから、このTBT協定では、当然、その目的達成のために合理的な範囲内での貿易制限は、正当な目的のためにはできるわけですよ、そうでしょう。
ただ、できるけれども、それが必要以上に貿易を制限してはならないというのです。トレーサビリティーのなされていない国からの牛肉の輸入を禁止しますよと。例えば、EUが、成長ホルモンを使われている国からの、トレーサビリティーのなされていない牛肉の輸入を禁止した。当然、パネルで今でも争っている。日本はそんなものじゃないんですよ。単に、いわゆる合理的相当な範囲内で、トレーサビリティーがなされている、なされていないの表示だけなんだから。
それを外務省は、これで、まさにパネルに訴えられるとか訴えられないとか、そういうことを言うこと自体がおかしい。個体識別じゃなく群として、当然、今各州で、なされているもの、なされていないものがアメリカではあるわけだから、それについてはどうなのか、先ほどの鮫島先生に対する答弁と同じでいいのかどうか。いや、須賀田局長じゃない、審議官。
○鈴木政府参考人 今の御質問の趣旨は、個体識別表示ということではなくて、トレーサビリティーをしているかしていないかという表示をすることが協定上違反かどうかという御質問であると理解しておりますので、それにお答えさせていただきます。
トレーサビリティーをしている、していないということを表示する目的が問題になると思います。もしそれが食品安全性のための措置であるということであるならば、これはSPS協定に従って判断をするということになりますが、今回は、トレーサビリティーを表示するしないという、今問題となっております法律は、TBT協定上、そういう情報を消費者に提供することが必要かどうかということであろうと思いますので、その前提でお答えをさせていただきます。
情報を提供するということが必要か必要でないかということにつきましては、どのような目的で情報を提供するのかということでございまして、それは、国際的に見た場合、日本の場合には、消費者の不安を解消するために提供するということになっているわけでございますが、その前提がもし安全性ということであるならば、政府の判断としましては、それは食品衛生法あるいはJAS法で手当てされている。そのような判断をする国というのが、当然ほかにも出てくるわけでございまして、追加的な情報を提供するということが過重な負担であるということを言ってくる国があることは排除できないと思います。
その場合には、そういった追加的な情報を表示することがどういう目的に従ってやっているのかということを基準に、それが協定上整合的かどうかという判断をするということになります。それが、追加的な表示というのが、安全性ということではなくて、消費者に対して追加的な情報を提供するという目的で行っているということであれば、それに従って判断をする。それがそういう中立的な目的であるならば、過去の例を見ましても、それは過重な負担であるという判断を下される可能性があるということは言えると思います。
○山田(正)委員 いいですか、いわゆる国内でトレーサビリティーを実施して、それをきちんと表示している。そして、外国からの、トレーサビリティーがなされている国もある、それについても同様に表示する。そしてまた、トレーサビリティーのなされていない国からのものは、ただそのとおりであると表示する。これはどう考えても、いわゆるTBT協定に言うところの正当な目的は、あなたも認めているんだから、達成のために必要である以上の措置、制限、それじゃない。
これはまさに外交上の問題で、EUは、先ほどの成長ホルモンの問題で、成長ホルモンを使っているアメリカの牛肉の輸入の禁止までやってきて、今でもパネルで争っているんですよ。日本は、そこまではどうかと、単なる表示。ところが、その段階で、外務省は、まさにアメリカの国の大使館の利益を代弁しているかのように、パネルにも訴えられていない、訴える可能性がもしかしたらあるかもしれないというだけで、農水省に、そういう法律をつくってはだめだと。そういう協議をすること自体、これはまさに、日本国の生産者と消費者のためを考えていない。
むしろ、大臣にお聞きしたいんですが、パネルに訴えられるかもしれない、訴えられて結構、堂々と日本の主張を、合理的な相当な範囲内の制限であるという主張をすればいいんであって、例えば、須賀田局長とか審議官がいろいろとそれを心配することはない。須賀田局長は生産者のことと消費者のことを心配して、日本国の利益のために考えればいいことであって、むしろ、それがパネルに訴えられるか訴えられないかというのは、まさに政治的判断であり、政治家の責任である。もし、生産局長がそこまで言うのは出過ぎである。まさに大臣が、副大臣が、政治家が、これは本当に日本の生産者と消費者、日本国の利益のためにどうあるべきかと、政治家が責任を持って決断すべきである。
大臣、この問題は、これからWTOの交渉においても、アメリカは、今、日本に対して大変な要求をしてきている。それに対して、日本はまさに、その入り口の段階からして腰抜けである。
大臣。大臣として、農水省の官僚がどう言おうと、政治家が、我々が責任を持ってやるんだということで、当然それに対して責任を持ってこの問題は日本国の利益のためにやるんだという決意、例えば今ここでどうしろということじゃありませんよ、いわゆる外務官僚、農水官僚の言いなりにならずに政治家が判断しよう、これはどうするという判断は別ですよ、大臣としてそういう気持ちがあるかないか、それをお聞きしたい。
○亀井国務大臣 いろいろ御発言をいただき、先般来この委員会でも御質問も受け、また私もいろいろ申し上げてきたことであります。
今回の問題につきましては、BSEの発生また消費者の不安の払拭、こういうことから、この牛肉に対するトレーサビリティーのシステムのことをお願いしておるわけであります。BSEの未発生国、米国、豪州、このことにつきましては先般来いろいろ申し上げてきたわけでありまして、WTO交渉のことにつきましてもお触れをいただきましたが、私も、大臣としてその責任を全うすべく総合的にいろいろ考えていかなければならない責任があるわけであります。
先ほど来お話もございますけれども、先般お話を申し上げたようなことで、その後、何かアメリカ大使館からどうだとかこうだとか、こういうお話も耳に入っておりますし、私のところに書簡も昨日届いたようでございますが、私は、一昨日、このことにつきましてははっきり、この問題につきましては困難である、このことを申し上げたわけでありまして、いろいろの交渉につきましても、日本の国益、総合的な判断のもとに大臣としてその使命を果たしてまいりたい、こう思っております。
○山田(正)委員 やっと大臣らしい答弁に。
というのは、本当にアメリカ大使館から大臣に、きのうお会いしたいという話もあったように聞いているけれども、そういったアメリカの圧力に屈せずに、ひとつきちんと日本の国益を政治家が守らなければ、官僚に任せてはだめだ、つくづく今回のトレーサビリティーの問題でそう思ったわけです。ひとつしっかりとお願いしたいと思います。これは五分ぐらいで終わらせるつもりだったんですが。
それで、大臣、一つ。今度の家畜伝染予防法の改正でもって、家禽ペストの名称が変わりました。いわゆる高病原性インフルエンザということになるんですが、北米から、今どんどんいわゆる米国の鳥インフルエンザというんですか、今どんどん発生しておりますが、本来これは国として当然食鳥の輸入を禁止すべきじゃないのか、そう思われますが、大臣、いかがですか。
○亀井国務大臣 米国産家禽肉については、二〇〇二年二月以降、低病原性の鳥インフルエンザの発生に対応して、州単位での輸入停止措置を講じているところであります。
これは、あくまでも低病原性ウイルスによる発生であること、当該発生農場の鶏等の処分、消毒等の防疫措置が実施されていること、発生農家の移動制限が行われていることなど、このような防疫体制がなされている場合は、発生州以外の地域からの輸入を行った場合であっても我が国への侵入リスクが極めて小さいと、現地調査及び専門家の意見を踏まえて判断したところでありまして、いろいろ米国におきまして行われておりますことを踏まえて、また、重要な病原性でありますので、その対応をしっかりやらなければならない、こう思います。
○山田(正)委員 大臣、今私の手元に、米国における発生状況と貿易の停止、解除というのがそれぞれあるわけです。頻繁に、ペンシルベニア州から始まって、メーン州、バージニア州、ノースカロライナ州、ウエストバージニア州、テキサス州、それぞれどんどん発生し、停止をしさらに解除し、停止をし解除し、どんどんやっております。ところが、ドイツの家禽の発生については、これは国単位で禁止している。アメリカだけは州単位で禁止したり解除したり、頻繁にやっている。
これは、かなりアメリカの外交的圧力に屈してそのようなことをやっているんじゃないか、そういう懸念があるわけですが、家畜伝染予防法、これを見ると、これは建前として国単位で禁止しなきゃいけないのじゃないんですか。大臣、いかがですか。建前で結構です。
○亀井国務大臣 このことにつきましては、米国との間に取り決めた家畜衛生条件、こういうものもありまして、また、家畜伝染病予防法によりまして輸出国政府が発行する検査証明書の添付、こういうことが必要になっておるわけでありまして、条件を満たしておれば輸入につきましてはいろいろ考えるということであるわけであります。
今米国におきましては、発生州以外、先生先ほどお話しの、二州、いろいろの州で発生したことは承知をしております、この二州については、先ほど申し上げましたような証明書の発行、こういうようなことで輸入を認めておるわけであります。
○山田(正)委員 大臣、各国については国単位でありながら、アメリカにおいてだけは州単位で輸入したり停止したり、輸入したり停止したり。各州、アメリカ全土にわたって発生しているわけだから、この法律どおり、家畜伝染予防法の三十七条どおりに国単位で禁止すべきところを、州単位でやっているところがおかしいのじゃないかと僕は聞いているんですが、これ以上、時間もありませんので。
いいですか、日本と米国との間でいわゆる家畜衛生条件という協定を締結している。今私の手元にこの家畜協定書があるわけですが、この中に、確かにアメリカだけは州単位でやれるようになっている。これは、その条件の中に、発生した鳥インフルエンザは低病原性であることとなっている。ところが、家禽ペストは今度の改正で高病原性インフルエンザとなっている。そうすると、家禽ペストそのものの事実上の発生であるとすれば、当然米国からの、家畜衛生条件によって州ごとにということには当たらない、当然国単位でこれは輸入を停止しなければならない。
大臣、どうお考えだろうか。短くて結構です。
○亀井国務大臣 今日までの経過、取り決め、こういうものがあるわけでありまして、先生御承知のとおり、九十日間以上発生していない、いろいろの条件があるわけでありますので、その条件のもとに輸入をしておるわけでありまして、この取り決め、これらのことにつきましては、OIEでもいろいろのことがあるはずでございます。
○山田(正)委員 私の質問に答えていないんですが。でも、いいですか、大臣、これ以上言っても仕方がないと思うので。
私が言いたいのは、アメリカとの交渉において、いいですか、例えばこの前の牛肉についても、かなり厳しく、特別セーフガードについて、アメリカは、法律では日本ができるのに、それをだめだ、そんなセーフガードの適用はだめだと、国際法、条約ではできるのに、そういう請求をかなり強硬に言ってきた。アメリカの外交とかヨーロッパの外交とかオーストラリアの外交もそんなものであると。
そうであったら、例えばこの家禽ペスト、アメリカからの食鳥の輸入停止についても、アメリカの言いなりに、では各州ごとにやって、輸入を停止する、禁止する、停止する、禁止するして、本当に国民の安心と安全が守られるとは思えない。いわゆるアメリカの言いなりに、ただ唯々諾々に、官僚たち、外務省官僚と農水省の局長、偉い人たちの言いなりになって、そのままに日本の農民とか消費者はだめになっているんじゃないか。そういうところをひとつ大臣、よく考えていただきたい。それ以上、難しい質問はもうしません。
それで、次に、今韓国で豚コレラが頻繁に発生しております。これは、日本が平成十二年の十月、豚コレラはもう発生しないんだということでワクチンの接種をやめた。韓国もそれを追ってすぐワクチンの停止を決めた。ところが、韓国はその後、非常に頻繁に発生して、それぞれの州でほとんどこうして豚コレラが最近発生している。日本の養豚業者も、例えば九州においてはすぐ隣である。韓国からいろいろな形で、人の交流、いろいろな物の交流も多い。非常に心配している。日本は、そういったことを考えたら、このワクチンの接種停止というのは早過ぎたんじゃないのか。非常に、私が会った養豚農家は、今不安におびえている。
もう一回ワクチン接種をやるか、あるいはもうちょっと柔軟に考えて、ワクチン接種をする人にはさせるとか、そういう方法はできないものか。大臣、私の質問は終わりましたので、時間が来ましたので、その点をひとつきちんとお答えいただければと思います。
○北村副大臣 豚コレラのことにつきましては、先生御指摘のとおり、国内の生産者の中にもワクチンを使いたいという方も、今もいるのも現実であります。しかし、清浄国を我が国は求めておりまして、清浄国になれば、我が国の豚肉等々を輸出できるわけでありますので、そういうことから考えて、日本の養豚の多くの方々がワクチンを使うことをやめようということになったわけであります。
韓国におきましては、これはもう口蹄疫が出てから輸入は全く禁止をされているわけであります、我が国に対しては。
そのほか、先生が御指摘の人の交流等々で、それぞれの空港あるいは港等々で、靴底等々の衛生面の消毒等々については、相当厳しいやり方をやらせていただいて、韓国からの豚コレラの、人を介して入ってくるようなことについては、これをブロックしようということで、全力を挙げているところでありますので、御理解をいただきたいと思います。
○山田(正)委員 全力を挙げて厳重な検疫をやっていますというのは口先ばかりで、実際には、韓国から日本に入ってくる人の出入り等々について、具体的に、例えば旅行者が入ってくる前にどういう規制をしているのか。一言だけで結構です。
○北村副大臣 人の規制は、これはできないわけでありまして、これは、入ってくる方々の靴底を、例えばターミナルで、飛行機からターミナルに入るときに、ぬれたマットを敷いて、そこを歩かさせていただいて、人ですね。あるいは、我が国から行った方々は、生産者現場には、行くことについては極力自粛をしてもらう、あるいは韓国の方々が日本に来たときには、日本の養豚地域には極力入っていただかないような、そういう指導をしているということであります。
○山田(正)委員 それだけで厳重な検疫をやっている、実効性があるとはとても思えませんが、ひとつ国内においてのワクチン接種の希望者には、養豚業者に、柔軟に対応できるような措置はぜひともお願いしたいと思います。
以上、私の質問を終わらせていただきます。
○小平委員長 この際、休憩いたします。
午後零時十五分休憩
――――◇―――――
午後二時十一分開議
○小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。中林よし子君。
○中林委員 まず初めに、実は、トレーサビリティー法案の問題で、これは大臣に質問通告していないんですけれども、きょうの審議の流れの中でずっと、野党四党の共同修正案について政府筋がかなり拒否的な答弁をされております。これにかかわってですけれども、ぜひ御回答いただきたい問題があります。
というのは、輸入牛肉に対して、本当に国民に安心を与えることができるのかということにかかわる重要な問題があるからです。ですから、私は、今回の食品安全基本法に基づくさまざまな法整備の中にあって、そういう六割以上を占める輸入牛肉の安全性をほうっておくわけにはいかないだろうというふうに思うわけですね。
そういう意味では、食品安全基本法、さらには農林水産業の基本になる食料・農業・農村基本法、これに我が党は反対しましたけれども、しかし、これは、今生きている、一番基本にしなければならない法律事項です。となると、鮫島議員がこの基本法の第十六条に基づいてただしました。私は、それもそうなんだけれども、第十八条にかかわって、それに違反する問題を含んでいるんではないかというふうに思えてなりません。
いきなりの質問ですので、条文を読んでいきたいと思います。「国は、農産物につき、国内生産では需要を満たすことができないものの安定的な輸入を確保するため必要な施策を講ずるとともに、」これからが大切だと思います、「農産物の輸入によってこれと競争関係にある農産物の生産に重大な支障を与え、又は与えるおそれがある場合において、緊急に必要があるときは、関税率の調整、輸入の制限その他必要な施策を講ずるものとする。」こうなっているわけですね。
当然、競合する。国内牛肉生産と輸入牛肉の競合、これはずっと今までも言われ続けてきた問題です。ということになれば、その他の必要な施策を講じなければならないというこの基本法の法のもとにおいて、当然輸入牛肉に対しての、私ども野党四党が提起をしている、少なくともこれはトレーサビリティーをしている輸入牛肉かそうでないか、それぐらいの表示をするのは、最低限必要なその他の事項に含むものではないのでしょうか。
○亀井国務大臣 お答えをいたします。
今のお話、これはまた法律あるいはWTOの問題等々国際的な問題、これらがあるわけでありまして、そういう面から、先般来お答え申し上げておりますとおり、今回のこのトレーサビリティー法、牛肉のあのBSEの問題に端を発しておるわけでありまして、非発生国、こういう視点から、お答えを申し上げておりますとおり、それは該当しない、このように思います。
したがって、外国の、それらいろいろの、BSEの非発生国からの牛肉につきましては原産国表示、こういうことで足りておる、このように考えます。
○中林委員 これで議論しても平行線をたどるばかりですので次に進みますけれども、私どもは、今、農林水産省所管大臣として一番基本にしていただかなければならないその基本法、それを本当に厳密に実行しようとするならば、当然こういう問題を避けて通るわけにはいかないということを指摘し、新たな法律案づくりなど、私どももこれから努力をしてまいりたいというふうに思います。
そこで、今日の一番重要な問題である農林水産省設置法の一部改正案について質問したいと思います。
今回の設置法改正案では、農林水産省の食品としての安全性の確保に関する事務のうち生産過程にかかわるものに関することを所掌事務として加えることになったわけですね。
それは、食品安全基本法のもとでリスク評価とリスク管理を分離して、リスク評価は食品安全委員会に行わせて、リスク管理は農林水産省と厚生労働省に行わせるという食品安全行政の整理に基づいて、これまでは農林水産省の設置法には明記していなかった食品の安全性の確保に関する事務を、生産過程にかかわるものに関して行うものになったものです。
このことによって、農林水産行政も食品の安全性確保のためのリスク管理に取り組まなければならない、こういうことになったわけですけれども、大臣、その点についてはどう受けとめておられますか。
○亀井国務大臣 お答えいたします。
今御指摘のとおり、今回の食品安全行政、そしてこれが、食品安全委員会で食品健康影響調査、リスク評価の結果を踏まえまして、農水省並びに厚生労働省と連携して、農林水産物の生産から食品の販売に至る一連の行程において施策を総合的に講じていくことが必要なわけでありますし、また、この考え方から、今回の設置法の改正におきまして、農林水産物の食品としての安全性の確保に関する事務のうち生産過程に係るものに関することを所掌する旨を明確に規定したわけであります。
このような規定の追加の中で、産業振興部門から分離独立した消費者行政、リスク管理業務を一体的に行う消費・安全局を創設する。それと同時に、リスクコミュニケーションを推進する、相互の牽制や緊張関係を持ちつつ、食品安全行政における透明性の確保を図ることであります。
また、地方農政局や地方農政事務所においてもリスク管理業務を担う消費・安全部を設けまして、農薬の販売等に対する立入検査や食品表示の監視、指導など、リスク管理のための組織、体制を抜本的に見直しまして、今回の改正を契機に、国民の健康の保護を第一に、食品安全行政の的確な推進を図り、食に対する消費者の不安を払拭してまいりたい、こんなふうに考えております。
○中林委員 午前中からも問題になっていたところなんですが、こういう新しい視点が入ったということになると、これまでやった行政すべてをそういう視点で見直すということをお約束できますか、大臣。そうやられるわけですね、これで。
○亀井国務大臣 そのように努力をしてまいります。
○中林委員 そうしますと、農林水産省も食品の安全性について取り組む、こういうことを言明されたわけですが、具体的に指摘をしていきたいと思います。
農林水産省は動物検疫を行っております。これまで農林水産省は、動物検疫というのはあくまでも産業用動物の、それも産業用動物に被害を及ぼす家畜伝染病に限って検疫を行ってきたわけです。人畜共通感染は一切対象外ということにしてきたわけですね。しかし、この設置法の改正で、食品の安全性に取り組むということになれば、当然この人畜共通感染症に取り組まないということは正されるというふうになると思うんですけれども、いかがですか。
○亀井国務大臣 御質問は、食品安全性の確保の観点から、人畜共通感染症、その対策にどう対処していくか、こういう御質問かと思います。
農林水産省におきましては、従来から、例えば結核病や日本脳炎などの人畜共通である家畜の伝染病疾病については、家畜伝染病予防法に基づいて発生の予防及び蔓延防止のための措置を講じてきておるわけであります。さらに、人畜共通感染症のうち、エボラ出血熱などの家畜以外の動物を介して感染する人畜共通感染症についても、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づきまして、動物検疫により水際での侵入防止措置を講じているところであります。
例えば、ブルセラ病や結核病のように、牛乳など食品を介して伝染するものもあり、生産過程における食品としての安全性の確保はこの観点からも重要でありまして、今般の設置法の改正で、農林水産省の事務として、生産過程における食品としての安全性の確保に関する事務を明らかにされることを踏まえて、農林水産省としては、家畜伝染病予防法についても、家畜の飼養段階における安全性の確保、伝染病発生時における対応措置の拡充、厚生労働省との連携の強化等の観点から所要の改正を行うこととしており、人畜共通感染症についても対応を強化してまいりたい、このように考えております。
○中林委員 これまでの農水省は、私どもは人畜共通感染症、これを家畜伝染予防法の中の改正点ということでずっと要求をし続けていましたけれども、それはやらないということの答弁でした。ただし、必要に応じて取り組まざるを得ない状況で、動物検疫は少しばかり行われている点もございます。
しかし、法の目的、そこから考えれば、この人畜共通感染というものは今まで含まれていませんでした。例えば、サルモネラ菌による食中毒が広がっているわけですが、それも、サルモネラエンテリティディスが主流となっております。これは、輸入ひながサルモネラ菌に汚染され、その輸入ひなをもとに生まれた採卵鶏がサルモネラ菌に汚染され、生んだ卵もサルモネラ菌に汚染されたことによって広がった、こういうふうに考えられております。そうすると、動物検疫に基づく輸入ひなのサルモネラ検査が、食品の安全性の確保にとっては当然不可欠になってくるわけです。
同様に、この委員会でも相当問題になっておりますが、輸入生体牛のO157検査や人に厳しい下痢を引き起こすクリプトスポリジウムの検査も食品の安全性の確保にとって不可欠、こういうふうに言えるわけですけれども、食品の安全確保のために行うためには、当然、家畜伝染予防法の改正、それに着手する、取り組む、こういうことが言明できますか。
○須賀田政府参考人 今先生言われました、いろいろなことを言われましたけれども、例えば口蹄疫とか結核、口蹄疫はウイルス、結核病は細菌なんですけれども、それを見つけて淘汰する、こういうことによって防疫できるものはそれでいいわけです、やるわけです。それから、サルモネラ菌も、ひなについておった、それを動物検疫でやるかというと、これはOIEの基準にございますので、相手国に一定の条件を課して、それのないものを入れる、こういう対応ができるわけです。
ただ、例えばO157、これは、牛の大腸の中に腸管出血性大腸菌といって、ありまして、それだけでは病原性を示さないわけです。それがふん尿として出ていって何か食品とくっついたときに食中毒になるということで、そういうものについては、日ごろ適正な飼養管理をやるということによって感染リスクをなくするという対応しかないわけなんです。
それで、今回の家畜伝染病予防法の中で、法律上、飼養衛生管理基準を決める、家畜の所有者はきちっとこれを守りなさいということを言うわけでございまして、こういうものの遵守を義務づけることによって、O157のような問題に対して日ごろの飼養管理を徹底するということで、言われましたように、法律改正にも取り組んでいきます。
○中林委員 取り組むとはいえ、動物検疫のところでやろうとしないところに非常に大きな問題がある。一番リスクを防ごうと思えば、その水際のところで検査すればいいじゃないですか、ふんから調べていけばできるでしょう。
それから、今言ったクリプトスポリジウム、これなどは今、日本の地下水を汚染し、物すごいいろいろな被害を及ぼしているでしょう。これは九六年から日本での被害が出てきていますよ。埼玉県で水道水、そこから汚染されて約九千人の住民が下痢を起こすとか、九七年には千葉県で、これは町営水道の水源に入っていてそういうことを起こすとか、九七年、建設省が調べたものの中にも、水系別にかなりのところで見つかってきているわけですよ。
ですから、国内では、ふん尿処理では義務づけて、罰則まで設けようとしている。それはやはりこういう汚染をなくしていこう、そういうことで、私どもも賛成しているわけですよ。だから、そういう意味では、こういう一番水際でやらなければならない、非常にいろいろ危惧がある問題は、ちゃんとやるべきだというふうに思います。
九七年のときに、家畜伝染病予防法の改正の際に、動物検疫として、実はペット検疫を行うことを強く要求してまいりました。これに対して、当時の農水省は、頑としてそれを拒否されました。やっと今年度から鳥のペット検疫が実施されることになったわけですけれども、ここに至るまでの経緯と、それから、どのように今実施されているかについて、厚生労働省と農水省、それぞれから簡潔にお答えいただきたいと思います。
○渡辺(具)大臣政務官 ペットという新しい検疫の質問でございますが、昨年、米国ではウエストナイル熱の流行地域が拡大いたしまして、四千名を超える患者となっておりますし、そのうちの二百五十名以上が死亡したという大変大きな問題になりました。このウエストナイル熱は従来から知られている感染症でございまして、ウイルスを持っている鳥を蚊が吸血しまして、さらにその蚊が別の鳥や馬などの動物に感染させるという疾病でありますが、動物だけではなくて私ども人間もウイルスを保有する蚊に吸血されて感染する、こういうことがあるわけでございます。
こういう事態に対処いたしまして、米国あるいはカナダから輸入されるペットの鳥につきまして、その衛生管理をやらなきゃいけないということで、農林水産省と協力いたしまして、米国、カナダ当局に対しまして、現地でこういったペットが蚊の吸血を受けないような飼育の管理を徹底してほしい、それから、輸入するときの飛行機の中でもそういうことがないようにという輸入監視の強化を、農林水産省と協力して行ったところであります。
この新しい感染症法の見直しに当たりましても、こういった新しい問題、動物由来感染症対策について強化を検討しておるところでございます。
○須賀田政府参考人 ペット鳥につきましては、ただいま、ウエストナイル感染症対策のために私どもも協力をしているということでございます。
鳥以外のペットは、もう先生も御存じのように、狂犬病予防法に基づく犬、猫等とか、あるいはエボラ出血熱等における猿の検疫とかをやっていたわけでございまして、考え方としては、今後、ペットが、人間の感染症あるいは家畜伝染病の要因、感受性動物になっているとか運び屋になっているとかということが明らかになった際に、それを防ぐためのものとして、私どもは検疫の対象にしていきたいという考え方で対応していきたいと考えております。
○中林委員 こういう非常に大きな被害を与えるということで、厚生労働省が農水省に要請をして、やっとことしの四月からこのウエストナイル熱に対する検疫だけが行われるようになりました。
しかし、驚くことに、実は、ペットの検疫は、狂犬病は確かにやっているけれども、それ以外は全く野放し状態。象、クマ、パンダ、コアラ、猿、チンパンジー、キツネ、テン、ミンク、イタチ、トラ、ライオン、猫、スカンク、インコ、オウムなどなど、それはあらゆるもの、こういうものが持ち込まれていても動物検疫をやっていないんですよ。今怒っているような感じが見受けられましたけれども、本当にやっていない。もう驚くべき事態です。
私、島根県の松江市に住んでおりますが、そこにフォーゲルパークという、世界じゅうのオウムが集まっているのが開園しているんですが、実は職員がオウム病に感染しまして、これを閉鎖し、今はやっと治って、また開園しているわけですけれども。そういうものが水際でちゃんととめ置きされているならば、そこでちゃんと検査されているならば、当然、人にこういうこと自体がうつらない、また、そういう市の施設を閉ざさなければならない事態にもならなかっただろうというふうに思うわけですね。
ですから、私は厚生労働省にもお伺いしたいんですけれども、今後、ペット検疫を全面的に行う考えがおありなのか、そして、農水省は、もっと率先して動物検疫をペットを全面的にやる、こういう取り組みをされますか。
○渡辺(具)大臣政務官 ペットの検疫につきまして、先ほどは、ペットの鳥に関して、一つの例として対応ぶりを御説明させていただいたわけでございます。
ペット全般に対しまして、去る平成十年に伝染病予防法を廃止して感染症法を制定した際には、このペットの輸入規制制度についても創設しておりまして、例えば、猿の輸入検疫を実施するとか、あるいは、先ほどのペットの鳥だけではなくて、三月からプレーリードッグを輸入禁止にしたところでございます。こういうことで、今、動物に起因する感染症の対策のために、こういった水際作戦を強化しているところでございます。
十四年七月に、厚生科学審議会感染症分科会感染症部会におきまして、こういう問題に対するワーキンググループを設置いたしまして、感染症法を見直そうということで検討に入ったところでございまして、こういう問題について必要な措置の検討をこれから進めてまいりたいというふうに思っております。
○北村副大臣 農水省とすれば、今、厚生労働省と連携をしながら、人畜共通感染症にかかわる問題であれば、これはやはり検疫を強化していかざるを得ないだろうな、こう思います。
ただ、私も、獣医師という仕事を持っておる身からすると、野生動物をペットとするのはやるべきではない、つまり、逆に、ペットを輸入することについては規制すべきであると。犬、猫くらいがペットであって、あと野生動物については、水際で防ぐのではなくて禁止すべき。そのぐらいのことをした方が、この人畜共通感染症を予防するためには最高の手段ではないのかな、私はこのように思います。
○中林委員 水際でそういうものが本当にとめられるかどうかというのは疑わしい、今はもうあらゆるものが入ってきていますからね。そういう意味では、私は、実際に今入ってきているものの国民に対する安全確保、これをやはり行政はしなきゃいけないんですよ。
だから、今後はとめ置きたいと言うんだけれども、ペット検疫は世界的には実施していますよ。先進国では日本だけが実はやっていなかったという驚くような事態があって、この面では後進国と言ってもいい状態です。今の農水省の見解では、まだまだ実は及び腰だというふうに思います。本当に日本国民の健康を考えているならば、食品安全基本法のもとで、国民の健康保護が最も重要だ、こう位置づけているわけですから、当然、人畜共通感染のペット検疫を全面的にやる、やはりそういう決意でやっていただきたいんですよ。
副大臣は、先般、十三日の松本議員への答弁で、十分にやっているんだ、農水省の動物検疫は十分やっていると胸を張って言われましたけれども、ペット検疫なんかやっていないんですね。だから――いや、まだですよ、北村副大臣、その後答えてください。
やはり、人員体制が、今のままでそれがやれるような体制にあるのか。全面的にやるという決意を述べていただきたい、本当にそう言われるならば、それを裏づけるような体制でちゃんとやってほしいというふうに思いますが、いかがですか。
○北村副大臣 ペットについては、一つには、観賞用というんでしょうか、それも公的なところでの観賞用、あるいは、研究というような立場、そういう限定したものについては輸入についてある程度認めなければならないかな、そういうものについての検疫については十分な対応をしていかなきゃならない、このように思っています。
私が十三日の日に答弁をしたのは、それ以外の産業動物、つまり生体で入ってくる家畜等々の輸入検疫については、先生が御指摘の感染症あるいは伝染病というものを防ぐためには、実は、いろいろなところでやるよりは、ある程度絞られた空港ですとか港ですとか、そういうところの方が水際として防ぐことができる。そういう意味では、今、生産者の方々やいろいろな方々の御理解をいただいてやっている我が省の動物検疫については、私は、それなりの成果を上げていると。
今後、大臣もお話しのとおり、人員体制の整備、強化をしていきながら、先生の御指摘の動物検疫については、国民から不安のないような形でやっていきたい、このように思っております。
○中林委員 動物検疫は、要するに絞り込んでやっているから、やっているんだという話なんですよ。だから、本来、先進国であるならば、ペットも含め、人畜感染症も含めて、そこでちゃんと水際検査をやっているにもかかわらず、やっていないという実情を私は申し上げておき、今後はちゃんと取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
次に、飼料安全法についてただしますが、先日の食品安全基本法の連合審査の際にも質問したわけですけれども、飼料の安全性は食品の安全性に直結する、こういうことだと思うんですね。だから、飼料の安全性確保は極めて重要な問題です。
昨年、私、当委員会で問題にしたんですが、輸入飼料における無登録農薬の使用問題について、当時の大臣が調査をする、こういうふうに約束をされました。その後この調査がどこまで進んで、今の時点で報告されるものがあるのかどうなのか、今後どのように無登録農薬をチェックしていくおつもりなのか、簡潔に御答弁いただきたい。膨大なものだと思いますので、なるべくわかりやすく、簡潔に言っていただきたい、重立った国でいいですから。
○須賀田政府参考人 私ども、飼料輸入の主要国、アメリカ、カナダ、中国、オーストラリア、アルゼンチンの五カ国につきまして、主要な輸入飼料作物について、農薬の残留基準の設定状況と使用状況、これを委託調査によって行ったわけでございます。
まず、米国でございます。トウモロコシ、マイロ、麦類、綿実、乾牧草で、百四十八成分について残留農薬基準が定められておりました。カナダでは、麦類及び菜種で二十八成分。中国では、トウモロコシ、米、大豆で八十五成分。オーストラリアでは、トウモロコシ、麦類、マイロ、綿実で百七十一成分。アルゼンチンでは、トウモロコシ及びマイロについて五十九成分でございました。
そして、我が国への輸入量の多い飼料作物について使用されている農薬でございます。
アメリカでトウモロコシで五十九成分なんですけれども、そのうち私どもが定めておるのは五成分。カナダの麦類、菜種に使用されているのが、向こう側は百七成分なんですけれども、私どもが定めておりますのが十成分。中国のトウモロコシ、米、大豆に使用されている、向こうが定めておりますのが百八十六成分なんですけれども、私どもが十四成分。オーストラリアの綿実、菜種、これは向こうが五十成分について定めておりますけれども、私どもは三成分ということで、まことに恥ずかしい結果になっておるわけでございまして、飼料中の農薬の残留基準値、まず飼料安全法に基づく規格にしたいということと、こういう状況でございますので、農薬の成分等を追加して外国に負けないようにしたいということで、現在、農業資材審議会において検討を行っているところでございます。
○中林委員 くしくも、恥ずかしい状況だというふうにおっしゃいましたね。あのときも指摘をしたんですが、日本の場合は四十農薬しか実は基準値を設けていないということなので、それだけ無登録農薬、日本で基準値を設けていないものが余りにもたくさん輸入飼料に対して使われていた実態が、今初めて明らかになったと思います。
それまでは調査もしていなかったということで、調査をされただけは一歩前進だということなんですが、現実、無登録だということがわかった飼料については、今後どのように措置をされるつもりでしょうか。
○須賀田政府参考人 基本的には飼料の残留農薬基準を追加してやりたいということでございます。
手続的には、厚生労働省と連携をとる必要があるわけでございますけれども、食品安全委員会が設置されました後は、その食品安全委員会に、農薬のリスク評価、一日当たりの摂取許容量を評価していただいて、それから食品への残留農薬基準をつくっていただいて、それを踏まえて私の方の飼料の残留基準を設定したい、こういう手続で進めていきたいと考えております。
○中林委員 きょう朝、ホルモン剤の使用の話がありましたけれども、実は基準を設けるまでにかなりやはり時間がかかるんですよね。追加すると言われても、何年かかかる。その間はどうなるんだろうかというのは、やはり不安がつきまとうわけですよ。
そうすると、少なくとも私は、暫定基準ぐらいは設定して、やはりきちっと措置をするべきだというふうに思うんですけれども、そのぐらいなことは、四、五年はかかるだろうと言われていますので、そういう早く適用ができるような形、それに取り組むお気持ちはありませんか。ぜひやっていただきたい。
○須賀田政府参考人 建設的な御意見でございますので、輸入される飼料中の残留農薬についてモニタリング調査を実施いたしまして、懸念がその結果生ずるという場合には、暫定的な指導基準の設定、あるいは輸入の抑制等、適正なリスク管理というものを検討していきたいと考えております。
○中林委員 飼料の中でも、非常に私は危惧を感じているものがございます。それはアフラトキシンの汚染の問題ですね。
これは史上最強の発がん性物質だと言われているわけですね。だから、その飼料が牛に取り込まれて、そして代謝されて、牛乳にアフラトキシンM1という形で、飼料の十分の一の濃度だということになるわけですけれども、しかし、これが厚生労働省の方から検査されて、各地域分けて、それぞれ市販されている牛乳を調査されたわけですけれども、調査した牛乳から、漏れなくアフラトキシン汚染された、こういう事実がわかりました。だから、飼料のアフラトキシン汚染の厳重な検査、これがどうしても必要になってくるというふうに思うわけです。
今、コーデックス委員会で二〇〇一年にはこのアフラトキシンM1の残留基準値が明らかになっているけれども、厚生労働省は、二〇〇一年から二〇〇二年にかけて調査した中で、その基準値よりもかなり低いので問題ないというような結論を導き出されているようですけれども、しかし、日本の飼料はほとんど輸入なんですよ。ということは、自分の国で用意されたものではないわけですから、当然厳しい基準値、それから検査も、モニタリングをされてはいるんですけれども、非常に少ないですよ、モニタリング。
だから、そういう意味では、抜本的に検査率を引き上げる必要があるというふうに思うんですが、まず厚生労働省、この問題にはどう取り組むのか、そして農水省はどうするのか、それぞれお答えいただきたいと思います。
○渡辺(具)大臣政務官 先生御指摘のアフラトキシンM1の基準値に関する問題であります。
アフラトキシンM1というのは、先生もおっしゃったとおり、アフラトキシンB1が飼料を通して牛に摂取されまして、牛の体内で変化して生成されるものであります。我が国におきましては、このM1に関する基準値は設定いたしておりませんが、平成十三年に設定されました国際基準では、〇・五ppbということになっております。
我が国におきます牛乳中のアフラトキシンM1の汚染実態は、先生も御指摘のとおり、平成十三年度に厚生労働科学研究により調査いたしました。約二百件の検体について検査しましたところ、平均濃度は〇・〇〇九ppb、最大でも〇・〇二九ppbでございました。したがいまして、先ほど申し上げた〇・五ppbという国際基準を大幅に下回っているという結果でございます。これらの結果につきましては、昨年五月に開催されました薬事・食品衛生審議会に報告いたしました。
我が国の牛乳中の汚染実態は、申し上げましたとおり、国際基準を大きく下回っているということから、国民の健康確保に支障はない、したがって直ちに基準値を設定する必要はないと考えております。しかしながら、今後ともこういう問題に対する研究の進展を見ながら、あるいは飼料中の基準を設定されます農林水産省とも連携いたしましてその実態把握に努め、必要ならば措置を検討してまいりたいというふうに考えております。
○須賀田政府参考人 輸入トウモロコシについて、肥飼料検査所が年間三百件程度のサンプルについてアフラトキシンの検査を実施しております。今のところ行政指導基準が飼料に一〇ppb、一トン中に一ミリグラムでございますけれども、これを超えた検出というのは、事例は今のところないわけでございます。
ただ、行政指導上の基準でございますので、これを厚生労働省とも連携をとりながら、飼料安全法に基づく法令上の基準として見直す必要があるということで、現在、基準値の見直しを含めて審議会で審議を願っているということが一つ。
それから、アフラトキシン、カビ毒の一種でございますので、アメリカなどで異常気象、干ばつ等が起こりますと、突発的に発生する可能性がございます。このような場合には、今度の法律改正におきまして、有害なこういうものが含まれている可能性があれば、農林水産大臣が指定をいたしまして、輸入を届け出ていただきまして、我々が検査に入りまして、検査の結果、基準を超えるような有害なものが含まれているということがわかりますれば輸入をとめる、こういうことができる規定を今度の改正の中に入れておりますので、こういうような措置を活用して、安全性の確保に努めていきたいと考えております。
○中林委員 史上最強の発がん物質ですから、これは厚生労働省としても農水省としても、基準強化とそれから検査率の引き上げをぜひ要求しておきたいと思います。
そして、最後に、大臣、実は動物検疫所あるいは肥飼料検査所、そこの人員体制の問題ですけれども、北村副大臣は胸を張って大丈夫だというふうにおっしゃるんですけれども、私は、肥飼料検査所、これで二回行ってまいりました。実際、飼料が港に揚がる鹿島港にも行ってまいりました。サンプリングといったって、本当にたったこれだけやるのというぐらいしかサンプリングしないんですよ。もう物すごい船で船積みしてくるわけですよ。そのうちの横のところに棒突っ込んでとるわけですけれども、食品衛生検査員、検疫の方も輸入のうちの二・八%しか検査していない、九割以上検査していないんですよ。では、飼料の方はどうかといって調べると、この食品の方よりも四十分の一、もうほとんどやっていないに等しいという状況です。
この間から財務副大臣が、農水省から食品安全に関する財政的支援の要請があるならば受けて立つ、こうおっしゃっているわけですね。私どもはずっと農水省の人に、何で人がふえないのと言うのですけれども、なかなか、もごもごといって言われる。だれかが上から押さえているのかなというふうに思わざるを得ないんだけれども、本当にこれだけ自給率の低い、六割は輸入に頼っている中で、その検疫のところの人員体制、これは十倍ぐらい、あっという間に引き上げる、そのぐらいな決意がなかったら本当に安全は保たれないと思います。
そして、一番のリスクを減らす道は、食料自給率を引き上げること、これだと思いますけれども、その点、大臣、絶対抜本的体制をとるんだ、財務省とだんとぶつかってやっていくんだ、こういう決意をぜひお聞きしたいものだと思います。
○亀井国務大臣 動物検疫や飼料の検査を的確にする、これも大変重要なことでございまして、今日も動物検疫所につきましては、十四年度、十五年度、十二名、十六名、増員をしておりますし、あるいは飼料の関係につきましても、肥飼料検査所、十五年度には八名増員、こういうこともしております。引き続き、増員の要求をいたしまして、安全な食料確保のために努力をしてまいりたい、こう思います。
○中林委員 時間が参りましたけれども、七、八名では全然だめです。十倍ぐらいぜひ引き上げてください。
終わります。
○小平委員長 次に、山口わか子君。
○山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。いよいよ私が最後ということになりまして、食品安全基本法に始まりまして、その関連の農林水産省関連の法案の改正をどうするかということにいよいよ最終となったわけです。
私は、今までさまざまな御意見や御答弁を聞いていまして、やはりもう一回原点に返ってきちっと決意を、この際農林水産大臣は決意に基づいて、これからこの食品安全行政をどう担っていくかということは物すごく大事だというふうに私は思うんです。ずっとさまざまな質問を聞いていましても、何か枠をつくって、その枠組みに非常に力を入れていて、では一体その中身をどうするのか、ではこれからどう推進していくのかという点で、なかなか明確になっていない部分があったような気が私はするんですね。
ここで改めて申し上げるまでもないことなんですが、BSE問題にかかわる行政対応の問題点ということが検討委員会で指摘されました。BSEの前にもO157あるいは口蹄疫あるいは雪印食中毒事件、さまざまな事件がありましたけれども、その都度、食品の安全について何とかしなきゃいけないというふうに言いながら、結局はBSEという大変大きな重大な食品の危機という問題が起こってきたわけです。
ちょっとこの報告書を読ませていただきますと、BSEが大量発生した英国から肉骨粉を輸入したということで、行政も危機意識が非常に欠如していた、これまでの農林水産省担当者でBSEの国内発生を懸念していた人が二〇%にすぎなかった、飼料、食料の輸入自由化が進んだにもかかわらず、最悪のケースを想定して防疫体制を強化しておく危機管理の考え方が欠落していたと言わざるを得ない。そして、「危機を予測し、発生を防ぐための措置を講じて危険のレベルを引き下げておく予防原則の意識がほとんどなかった。風評被害を過剰に警戒してBSE対策の遅れを招いたという指摘もある。予防原則を徹底すると巨額のロスを伴う恐れがあることから、行政担当者が萎縮する傾向は避けられない。」こういう報告がされているわけです。
そういう反省に立って、今回の食品安全基本法が生まれ、その基本法に基づいて今回のさまざまな関連改正法案が出されたというふうに思っています。それで、常に、やはり私は、食品安全基本法があって、そしてそれに基づいて各法があるというふうに、そして、しかも農林水産省、厚生労働省、それぞれ連携をとりながら、とにかく消費者の口に入る食品の安全を担保していこうということが今回の法案の非常に大きな目的だというふうに思っているわけです。
そういう意味で、今までの議論を聞いていまして、本当にそうなのかというところが、やはりまだしっかり私たちの心に響かないというふうに、私はずっと聞いていてそういうふうに思ったんですけれども、その辺で、まず最初に大臣の決意、本当にこれから、どんなことが起こるかもしれないんです。今まで起こった、BSEじゃない問題が起こってくるかもしれない。もっと大変な食品の危機が起こってくるかもしれない。そのことを踏まえた中で、本当に、これからきちっと食品の消費者に対する安全を守っていく決意を、ぜひこの際聞かせていただいて、短くて結構です。
○亀井国務大臣 お答えをしたいと思います。
委員御指摘のように、BSEの問題あるいは無登録農薬の問題、こういう発生を背景として、この食品安全委員会あるいはまた私どもその中でのリスク管理部門を受け持つわけでありまして、そういう面では、消費・安全局を設置する、あるいはまた地方農政事務所の設置、あるいは本省あるいは地方を通じて、このリスク管理体制を整備するわけであります。
私も大臣に就任いたしまして、新しい組織と新しい体制でこのことをやるわけでありますから、先般来、委員の皆さん方からも、職員の意識改革の問題、これに対する意識改革の問題等々につきましても、いろいろと御質問も、また御意見も、お考えもちょうだいをしておるわけであります。
ぜひ、そういう面で、管理体制とあわせて、生産資材安全性の確保、そして使用適正化を図る食品安全関係の法の改正、これら取り組み、消費者の視点に立った行政、こういうことを、農林水産行政の転換、こういう意味でスタートさせるときであるわけでありまして、その辺を踏まえて、新しいスタートと同時に、体制とあわせてソフトの面でも、そして職員の意識改革、これは私が先頭に、関係の諸君にそのことをしっかり指示しなければならない、このように思っておりまして、それらを踏まえて、食の安全の確保のために懸命の努力をいたす決意であります。
○山口(わ)委員 その決意をぜひ政策に生かしていただきたいというふうに思うんです。
まず、食品安全基本法と農林水産省の今回の改正との関係について、今の御意見を伺った中で聞きたいと思うんですが、例えば、食品安全基本法には、農薬取締法第一条の三の公定規格を設定、変更、廃止する場合には農林水産大臣は食品安全委員会に意見を聞かなければならないということになっているわけです。現行の法律、農薬取締法では、農林水産大臣は、農薬について、「その種類ごとに、含有すべき有効成分の量、含有を許される有害成分の最大量その他必要な事項についての規格を定めることができる。」というふうになっているわけです。
普通に考えますと、この部分も、食品安全委員会の意見を聞いて定めることができるというふうにならなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、そうはなっていないわけですね。農林水産大臣が定めることができるという部分だけを考えますと、食品安全委員会の意見を聞かなくてもできるというふうに解釈できるわけですね。
これはやはり、食品安全基本法が本当に基本法ですから、それに基づいて、例えば農薬に関するさまざまな、有効成分の量とか含有が許される有害成分の最大量、そういう必要な事項についてはきちっと食品安全委員会にすべてを聞くという文言にならない理由は何でしょうか。
○須賀田政府参考人 食品安全基本法の二十四条の一項二号の中に、農薬取締法第一条の三の規定により公定規格を設定し、変更し、もしくは廃止しようとするときは、食品安全委員会の意見を聞かなければならないというふうに規定をされておりますれば、農薬取締に規定がなくても、農林水産大臣はこの基本法の規定に縛られまして、公定規格の設定、改廃を行う場合には必ず食品安全委員会の意見を聞かなくてはならないということになるわけでございます。
なお、この農薬の公定規格というのは、申し上げますと、銘柄ごとに一定の薬効の保証、それから農作物の被害の防止のために有害成分の最大量、こういうものを定めて、登録の際に、それを見ながら登録するという、本来はそういうことを想定していたわけでございますけれども、銘柄が、農薬の場合、物すごく増加しましたし、それから環境へのリスクだとか、いっぱいリスクも生じてまいりまして、今は安全性のための登録保留基準というのを定めております。これは環境省あるいは厚生労働省と連携して定めるんですけれども、これを定めておりますので、今のところ、具体的な定めがないわけでございます。
○山口(わ)委員 食品安全基本法に、この部分だけは「意見を聴かなければならない。」というふうになっているわけですね。でも、そうでない、現行法では農林水産大臣が定めるということになっているということは、逆に言いますと、農林水産大臣が定めれば食品安全委員会の意見を聞かなくてもいいというふうになるわけですよ。ですから、そこだけを、食品安全基本法では意見を聞かなければいけないというふうになっていることの矛盾がやはり出ているんじゃないか。やはりこれはおかしいと思うんですね。
結局、公定規格を決めるのは、食品安全委員会ではなくて農林水産省なんですよね。食品安全委員会が決めるわけじゃない。つまり、農林水産省が決めたものを食品安全委員会に提出して意見を聞くというのは、むしろ逆に、食品安全委員会に対して失礼じゃないかなというふうに私は思うんですね。この法律の趣旨からすると、そういうふうにとらえられると思うんですよね。
ですから、今までの公定規格をそのまま追認する場合も食品安全委員会の意見を聞くことになるんでしょうか。
○須賀田政府参考人 食品安全基本法の規定の中に、農薬の公定規格の設定、改廃に当たっては、食品安全委員会の「意見を聴かなければならない。」こう規定しているわけでございますので、聞かなければならないわけでございます。農林水産大臣が定めることができる、農薬取締法に書いてありますけれども、その定めるに当たりまして、食品安全委員会の意見を聞いて、食品安全委員会は、食品を通ずる健康影響評価、いわゆるリスク評価をするわけでございますので、その意見は尊重しなければならないということになっております。必ず食品安全委員会の意見を聞きます。
○山口(わ)委員 ですから、やはり農林水産省の規定も、食品安全委員会の意見を聞いて行うというふうにしないと、ちょっと考えますと、例えば公定規格の農薬で大きな被害が出たり、安全性に疑義が生じたような場合に、農林水産省はその責任を食品安全委員会に転嫁できるというふうに考えられてもしようがないわけですよね。ですから、やはりそこはきちんと定め、食品安全委員会の意見を聞いて行うというふうに、この農薬取締法もきちんとそこはしなければいけないんじゃないかと思うんです。
今局長が言われましたように、この公定規格は、現在はあるんでしょうか、ないんでしょうか。さっき、ないというふうにおっしゃいましたか。
○須賀田政府参考人 先ほど申し上げましたように、公定規格を定める趣旨というのは、農薬を登録する際、その公定規格が一定の薬効あるいは有害成分を含み得る最大量、そういうものを定めることとなっておりました。農薬を登録する際の基準にするために公定規格というものは定めるということが本来の想定でございました。
ところが、今や農薬は、環境面、土壌残留だとか水質汚濁だとか、そういうところの危害も予想され、もちろん食品残留を通ずる安全性の問題もあり、非常な危害を含む物質ということになっておりますので、環境省、厚生労働省との連携のもとに、登録保留基準、農薬を登録する際の保留基準、こういうのがあったらだめだというのを定めておりまして、公定規格のかわりをしておるところでございます。
ただ、この公定規格を廃止していいかといいますと、将来何が起こるかわからない、品質の保証を求められることもあるだろうということで、制度として取り消しはしていないんですけれども、そういう事情がございますので、現在、農薬の公定規格は定めておりません。
○山口(わ)委員 今まで、この法律、農薬取締法ができて以来、二十三年ですから、農林水産省が定めてこなかった公定規格を、今は変更したり廃止したりしようとはしないという答弁だと思うんですけれども、これから先もそうなんでしょうか。そういう予定でいるんでしょうか。
例えば、予定がそうであろうとなかろうと、やはりこの法律がある以上は、食品安全委員会に意見を聞くようにしようとしないのはやはりおかしいと思うんですね、法律上ですよ。それは先ほどから食品安全委員会が、当然意見を聞かなければいけないというふうになっているというお話ですけれども、今は農薬取締法についてお伺いしているわけですから、その辺は農薬取締法を担当する立場としてどう考えているのか、お答えください。
○須賀田政府参考人 公定規格に代替する登録保留基準というものを作成していると先ほど申し上げました。この登録保留基準を策定するに当たりましては、その部分の食品を通ずる健康影響評価、要するに、農薬に含まれる成分を一生涯食べ続けることとして、一日当たりの許容量、こういうリスク評価を食品安全委員会に諮りまして、その後に定めるという仕組みにしておりまして、公定規格にかわります基準について食品安全委員会に聞くということになっておるところでございます。
それで、公定規格の将来性はどうかという話でございます。
今後、農薬に対する消費者の考え方がどう変わり、農薬の銘柄がどのようなものが開発されるか、現時点で推測困難でございまして、場合によっては、品質保護のため公定規格を定めよという意見が強くなることも考えられますことから、公定規格制度としては残しておるということでございますけれども、今までのところは具体的に定めたものがないので、ない以上は、食品安全委員会に聞くということもないという状況になっているところでございます。
○山口(わ)委員 先ほど、私は、食品を安全に口に入れることが非常に重大で、そのために基本法があって、さまざまな改正があるということの大臣からの決意もいただいたわけです。
国民が望んでいる食品安全というのはどういうものかと考えたときに、やはり、化学合成物質の使用はできるだけ減らさなければいけない、遺伝子組み換え技術に頼らない食品に切りかえなければいけない、有機農業を振興しなければいけない、そして農薬も抑制しなければいけない、食品添加物の抑制、そして地産地消の推進もしなければいけないという、非常に大事な食品安全というものに対する消費者の安全を獲得するためには、農薬も、農薬ですからね、安全な農薬というのは私はないと思うんですね。農薬というのは、やはり何らかの形でさまざまな危害を加えるということはいつも想定しておかないといけないんじゃないかというふうに思うんです。
ですから、そういう意味で、この農薬取締法にかかわるすべての条項については、やはり食品安全委員会の意見を聞きながら進めていくということが非常に大事だと思いますから、ここで押し問答していても実はしようがないので、そこはぜひ、そんなふうに農林水産省としてもきちっとしていただかなければいけないというふうに思っています。
そして、次、やはりこれは農薬の問題に関するわけですが、今私が申し上げましたように、食品安全という立場から考えたときに、特定農薬を指定したり変更したりするときに食品安全委員会に意見を聞くということになっているんですが、この特定農薬に対する農水省への批判というのは非常に大きいわけですね。だれが考えても、むしろ消費者が考えても、一体この特定農薬というのは何なのかというふうに、だれもが不信感を持って考えると思うんです。
そうなったときに、何で特定農薬をわざわざ今回の食品安全基本法関連の農薬取締法の中に入れたかということが、既にもう、はっきり言ってよくわからない。つまり、私が、無理に、無理にといいますか、疑いをかけますと、地産地消運動とか有機農業がつぶされていくんじゃないか、そういうふうな不安さえ消費者に与え、生産者にその不安が広がっているというふうに考えても不思議じゃないと思うんですね。
特定農薬というのは、そもそも、農作物や人畜、水産動植物に害を及ぼすおそれがないものなんです。ですから、自然の食品を使ったというふうに考えてもいいわけですから、それを化学農薬と一緒にするということ自体がやはりおかしいし、通常私たち人間が口にしているものが何で農薬として扱われなければならないのかということが、非常にこれは、私も含めてですが、消費者の皆さんはもちろん、何でこれが農薬なのということで、多分大騒ぎになっていると思うんですが、その辺は、やはり特定農薬というのを農薬取締法の枠外として取り扱うという気持ちはないんでしょうか。
○須賀田政府参考人 農薬といいますのは、法律の定義がございますけれども、農作物等の殺虫、殺菌、除草等の薬剤なんです。そういう機能を有しているのが農薬でございまして、特定農薬も農薬なんです。特定農薬もそういう機能を有しているんです。ところが……(発言する者あり)アイガモは農薬ではありません。カモです。
そういう農薬の中で、安全性の審査を受けていない無登録のものの流通は禁止するということにしているんですけれども、原材料から見て明らかに人畜に安全なものを、農薬の中の特定のものだということで、特定農薬というカテゴリーを設けまして、登録を要しなければ、使用基準の規制の対象にならないカテゴリーを設けたんです。
では、全部外してしまったらどうかというお話でございました。
ただ、人畜に安全な特定農薬ではありますけれども、特定農薬と称して薬剤を販売するケースとか、あるいは特定農薬自身の品質の劣化や有害物質の混入、こういうケースも考えられるために、販売業者の届け出とか、虚偽の宣伝禁止の規制の対象にする必要がございますので、その限りにおいて農薬取締法の規制の対象になっているということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
○山口(わ)委員 私は、先ほどから、これは食品安全、つまり、消費者の口に安全な食品を提供するために、そして消費者が安心で安全だということが担保されるためにこの法律をつくったというふうに考えていますし、そのために農薬取締法の改正もあるわけですね。
つまり、安全なという言葉が冠につくわけですから、では、農薬として、特定農薬として、さっき言った酢ですとか、米ぬかですとか、お酒ですとか牛乳を特定農薬として決めた理由というのは何にもないじゃないですか。では、例えば、牛乳を私たちが飲むと農薬として害になるわけですか。ですから、農薬として牛乳をまくと害になって、人間が食べると害にならないというのは、そういう理解というのは全くこれはできないことになるわけですよね。
ですから、これを農薬として扱うことの意味、理由、今の御説明では、農薬と決めたから農薬だということですから、全然理由にならないというふうに思うんですよ。ですから、何で農薬として決めたのかということが、これは私も理解できないくらいですから、もちろん国民の皆さんは全然理解できないと思うんですね。何で牛乳や米ぬかや酢が農薬なんですか。
○須賀田政府参考人 牛乳や米ぬかや酢は、酢はともかくとして、牛乳や米ぬかはまだ決めていません。今、特定農薬として決めておりますのは重曹と食酢と天敵、この三つでございます。
何回も申し上げますとおり、そういうものでありましても、農薬の効能をうたいまして、それで農薬として流通するという限りにおきましては、やはり販売の規制あるいは虚偽の宣伝の規制が必要でございますので、その限りにおいて、農薬取締法の必要最小限の規制の対象にしているということです。登録は要りませんし、使用基準の対象にもなっていないんです。
それで、酢を持ってきて勝手に使う、それはいいんです。農薬等の効能をうたって流通する場合にはこの規制に従っていただきたい、こういうことなんです。
○山口(わ)委員 ただいまの答弁でしたら、全く特定農薬として決める必要はないんじゃないでしょうか。ですから、農薬というものの定義自体にどうしてこの特定農薬としてそれを入れなきゃいけないかということが、今の御説明だと逆に要らないというふうに聞こえますよね。ですから、やはり、特定農薬としてここに位置づけること自体が非常に意図的に思えてしようがないわけです。
では、こういうことを使って一生懸命有機農業で頑張っている人たちの有機農業は一体どうなるの、これも農薬だと言われて、では消費者の皆さんは農薬が入っているからそれは有機じゃないわというふうに言うのかという問題も極端ですけれども出てくるわけですね。ですから、こんな紛らわしいといいますか、だれが考えたって農薬とは考えられないようなものを特定農薬として扱う、この特定農薬というものを入れた理由、これを、説明は要らないですから、説明は要らないんですが、その入れた理由がはっきりわからない。つまり、食品安全という立場に立ってこの今回の法案は改正されるわけですから、その食品安全という立場に立って考えたら、やはりこれは私は非常におかしいというふうに思います。
ですから、有機農業ですとか地産地消に取り組む生産者やそして消費者の不安を解消するような努力も、農林水産省ですから生産する立場もあるわけですよね。取り締まることもあるかもしれないけれども、でも、生産者を応援する立場だって多いわけです。リスク管理ばかりしていないで、やはりもっと生産を保障する努力も必要なわけですから、そういう点ではぜひ努力をしていただかないといけないと思います。
○須賀田政府参考人 重曹を重曹として売る、食酢を食酢として売る段には何の規制もありません。重曹を何とかの殺虫に効きますとか、何とかの除草に効きますとか、そういう農薬の効能をうたって売るから、その限りにおいて規制の対象にしておるわけです。常識で考えて、重曹を重曹として売って、お使いください。その段には何の規制もありません。
○山口(わ)委員 どこまで行っても何か平行線ですけれども、私は、特定農薬を廃止していただきたい、これはやはり農薬取締法に入れてほしくない、そのことが非常に大切だというふうに思っていますし、むしろ化学合成農薬の使用を削減する方に力を入れていただきたいと思います。
ですから、何か勘違いされてしまうような法案の改正だけは、これはやはり目的に反するというふうに思っていますから、その辺をよろしくお願いしたいと思いますし、農薬を取り締まるのは農林水産省は不向きじゃないかと私は思うんですね、生産する立場ですから。むしろ取り締まるのは環境省の方がいいんじゃないかなというくらいにちょっと思っていますが、これは答弁は要りません。
続きまして、きのうからずっと飼料の問題がたくさん出ていました。新聞もいっぱい出ていまして、家畜飼料添加の抗生物質が成長の促進の効果がなかったとかいろいろなことが出されています。答弁も随分聞きましたけれども、私はおかしいと思うのは、一九七七年に実験した結果が七八年の三月にまとめられて、九一年の報告で、全く効果がなかったといいますか、特に成長促進の目的として添加していたことの意味がなかったという報告があったようですけれども、このときは非公開だというお話なんですが、いつ公開になったのか、その公開になった年度を教えていただいて、これは発表されたのは、ついこの間の話ですよね。この新聞報道によると五月の四日ということになっていますが、四日になってわかったということがどういうことなのか説明をしてください。
この報告書が報道によりわかったのが五月七日ですね。この調査をして、報告したのは一九九一年の報告書になっているわけです。その当時は公開しなかったというふうにさっき御答弁されましたよね。でも、今は公開されているわけですが、その公開されるようになってからどうして今まで、今公開されるようになったんですか、それともずっと公開されるようになってからこの報告書は出されなかった、どこかへ、倉庫へ積んであったんでしょうか。
○須賀田政府参考人 この件は何回か御質問がございました。当時、審議会へ出す資料として実験してもらったものですから、審議会が非公開だったので、今みたいなホームページ制度もなかったんですけれども、みずから公開するということはなかったわけでございますが、秘匿する意図はなくて、来られたらお見せするという状況に置いていたわけでございます。
今先生が言われましたのは、どこかが恐らく情報公開法に基づく公開請求をしたんでそういう日付になっておるんだと思うんです。審議会自体の公開は、たしか平成十三年に切りかえたと思いますので、そこからは公開扱いでございます。
いろいろ言われましたので、ホームページその他で、過去のものも含めてみずから公開する準備を今整えているところでございます。
○山口(わ)委員 成長促進に効果がなかったということは、言いかえれば使っても使わなくても同じ、逆に言えば使わなくてもいいということになるわけですよね。こんな大事な報告を全然公開しないで、最近になって出てきたということを一つだけ取り上げても、私は、農林水産省の危機意識が足りないんじゃないかと思うわけです。これだけ大騒ぎしてBSEで問題になって本当に大変な思いをしたんですから、やはりもっと危機意識を持ってもらわないと、こういう問題について今ごろ出てきて、九一年の報告だといったって、見ただけでびっくりしちゃうわけですから。やはり、こういうことはきちっと公開して、国民の皆さんに安心していただけるようなことをぜひとっていただかないといけないというふうに思うんです。
この飼料添加物で特に抗生物質をたくさん使っているということは、私は、非常にこれはこれから大変な問題が起こる可能性もあると思うんですね。先ほどの御質問にもありましたけれども、SARSだって何が原因かわからないわけです、コロナビールスの変形ですから。どこかで突然変異で起こってくるということがあるわけで、この突然変異の原因は、あるいはこの抗菌性抗生物質かもしれない、あるいは農薬を大量にまき過ぎたせいかもしれない。さまざまな環境因子が働くわけですから、そういうことを考えたら、細心の注意を払って、起こるかもしれない危機予測、このことについてやはり一番基本の農林水産省にそういう意識を持っていただかないとそれこそ心配で、法律をつくったけれども魂が入らないという結果になりかねないわけですから、この辺はもう、こういうことがまた再びこの次の新聞に出ないように、ぜひその決意をもう一回言ってください。
○須賀田政府参考人 過去の行政の反省に立ちまして、行政の透明性の確保と説明責任という重要性を認識いたしまして、これからはきっちり公開をし、リスクコミュニケーションに努めていきたいというふうに考えております。(発言する者あり)
○山口(わ)委員 では、後で一括で大臣答弁で。
続きまして、設置法の問題ですけれども、今回、中央省庁の再編が行われるということで、これも食品安全を担保するために、住民の食品の安全をきちっと提供するために省庁の再編が行われるという法案だというふうに思うんですね。
いろいろあると思いますが、いろいろ今度はたくさん出てくると思うんですけれども、食糧庁の組織の廃止ですとか定員の改正ですとか、定員が十年間にかなり、三千人も減るというふうなことも出てきているわけですけれども、この問題といいますのは、平成十一年に中央省庁等改革関連法案ですか、それが出されたときの中央省庁のつまり合理化案ですね、合理化案とは全く関係がないんですか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
十三年一月に発足しました現在の中央省庁再編、一府十一省庁体制ですか、その際は、例えば各省庁一局削減をするというふうなことで、農林水産省自体、局数の削減等は行っております。
今回のこの設置法、組織改正ということは、昨年六月、食品安全に関します関係閣僚会議におきました結論、すなわち、食品安全行政に関しましては消費者の健康保護を最優先にいたしまして、リスク分析手法を導入しながら内閣府に食品安全委員会を設ける。
ただし、この安全委員会を設けるということは、行政組織的には膨らむ部分があるわけでございますので、スクラップ・アンド・ビルド、行政の肥大化防止の観点からスクラップ・アンド・ビルドを貫徹しなければいけないということで、かわりに食糧庁組織の廃止など既存組織の見直しを行うように、こういう指摘があったものですから、それを受けて今回こうした組織の再編を行わさせてもらっている、こういうものでございます。
○山口(わ)委員 そうしますと、平成十一年度に法案が可決されている中央省庁の改革、縮小、そこで決まったことはそのままやっていく中で、たまたまBSE問題が出てきて食品安全委員会がつくられるとか、そんな問題がたくさん出てきたので、それにプラスしたというふうに考えればいいわけですか。それとも減らしたんですか。
○田原政府参考人 十三年一月に発足しました中央省庁再編下の体制、これは先ほど申しましたけれども、それまでの体制に比べますと、局の削減ですとかそれなりの行政の効率化ということが図られているわけでございますが、BSEの問題は、御案内のとおり、一昨年の九月に我が国で初めて発生した、その後の新しい情勢を踏まえまして、行政ニーズが新たな部分が出てきた、それを踏まえてさらに改編したということでございます。
なお、その組織再編に当たりましては、行政が肥大化しないようにということで、スクラップ・アンド・ビルドで縮小させた組織もある、こういうことでございます。
○山口(わ)委員 私がお聞きしたかったのは、これだけの問題を起こして、そして、やはり行政の対応が悪かったということもはっきりしてきたわけですね。しかも、これから食品安全庁もつくり、さまざまな施策をしていかなきゃいけない中で、一体どのくらいの人間が必要で、どのくらいの組織がきちっとなければ本当に国民の安全が守られないか、そのために何人かということが、正直言いまして出てきてないんですね。
もちろん、スクラップ・アンド・ビルドというのがありきじゃないと思うんですよ。つまり、もともとスクラップ・アンド・ビルドがあって、だから、BSEが出てきたけれども、それに従って、やはり減らすところは減らして、ふやすところはふやすというのは、全く理由にならないと私は思うんです。必要なところにどう人員を配置していくのか、そのために食品の安全がどう守られるのか。先ほどから随分御意見が出ていますけれども、やはり検査だって不十分じゃないですか。BSEの原因だってわかってないじゃないですか。いつまでたったらわかるんですか。
やはり、そういう意味では、人員が足りないんじゃないかと私は思うんですね。必要なところに必要な人員が行っていない、だから十分な追跡調査もできない、食品の検査もできない、そういう問題がたくさんある中で、何でスクラップ・アンド・ビルドという言葉が出てくるのか、私は非常に理解に苦しむんです。
必要なところは必要、ちゃんと手当てをしなきゃいけないわけですよ。そのために私たちは税金を払っている、国民は税金を払っているわけですから。安心、安全をどう買うか、そのために農林水産省はどうあるべきかということは、やはりもっと説明をされていないと、今回のこの設置法ではほとんど説明が不十分です。
その点について、先ほどからの特定農薬の問題、飼料の問題を含めて、大臣に決意をお願いします。
○亀井国務大臣 食品の安全性の確保、こういう視点で、いろいろな反省の上に、そして食品安全委員会が設置をされ、私ども、厚生労働省と緊密な連携のもとに、食品の安全性を確保するために、いろいろ厳しい条件下でありますけれども、最初に申し上げましたとおり、意識改革、そしてまた職員一体となって、私が先頭に立って、新しい組織のもとに、国民の期待にこたえるように頑張ってまいりたい、こう思っております。
○山口(わ)委員 ぜひ泥をかぶっても頑張っていただかないと、住民は安心できませんので、大臣は首をかけて頑張っていただきたいと思います。
以上で終わります。
○小平委員長 これにて各案件に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○小平委員長 この際、ただいま質疑を終局いたしました各案件に、去る八日に質疑を終局いたしました内閣提出、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案並びに去る十三日に質疑を終局いたしました内閣提出、食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案の各案を追加して議題といたします。
ただいま議題となっております各案件中、まず、内閣提出、農林水産省設置法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
○松本(善)委員 私は、日本共産党を代表して、農林水産省設置法改正案及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、地方農政事務所及び北海道農政事務所の設置に関し承認を求めるの件に反対の討論を行います。
農林水産省は、米が日本人の主食でなく、一般商品になったとの認識のもとで、米の生産、流通、備蓄などの計画制度を廃止し、これを基本指針にレベルダウンさせるとともに、生産調整を生産出荷団体が方針を策定し国が認定する仕組みにし、国が生産調整から手を引くとともに、計画流通制度を廃止するなど、米の生産、流通、消費に対する国の責任を放棄する主要食糧法改正案を今国会に提出しております。
農林水産省設置法改正案は、一九九四年まで、食管制度を維持するために、そして、二〇〇一年の中央省庁再編に際しては、食料の安定供給の確保のための政策の立案機能を担うためとして体制面から支えてきた食糧庁、食糧事務所、食糧事務所支所の行政組織を、主要食糧法改正案の方向に合わせるためにこれを廃止するものであり、認めることはできません。
また、承認案件は、地方農政局所在府県以外の各都府県に、地方農政局の分掌機関として地方農政事務所を設置するものであり、食糧事務所を廃止することに伴う措置であります。この点では、国の米生産、流通、消費に対する責任放棄政策に基づく食糧庁、食糧事務所、食糧事務所支所廃止と対になるものであり、賛成することはできません。(拍手)
○小平委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○小平委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、農林水産省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○小平委員長 次に、内閣提出、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案について議事を進めます。
この際、本案に対し、鮫島宗明君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。山田正彦君。
―――――――――――――
牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○山田(正)委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
本法案は、我が国における牛海綿状脳症の発生にかんがみ、その蔓延を防止するための措置の実施の基礎とするとともに、牛の個体識別のための情報の提供を促進することを目的として、牛個体識別台帳の作成、牛の個体識別番号の表示等の措置を講ずることとしております。
しかし、本案については、輸入牛肉をその対象としていない点において、重大な欠陥があると言わざるを得ません。
我が国における牛肉流通を見ると、国産牛肉は約四割に至らず、輸入牛肉が六割以上を占める状況にあります。本法案の対象が国産牛肉に限られ、輸入牛肉について対象となっていないことから、実際に表示されるのは、国内に流通する牛肉類の約四分の一程度しか対象となりません。
本法案は、BSEの蔓延防止措置の実施の基礎とすることを目的として位置づけており、トレーサビリティーを活用することにより、国内においては、感染牛の所在の追跡調査も可能となります。政府は、輸入牛肉については、BSE清浄国からしか輸入が行われないことから、その安全性は確保されており、トレーサビリティーを求める必要はないとしております。
しかし、輸入牛肉については、病原性大腸菌O157や肥育ホルモン剤、成長ホルモン剤などさまざまなリスクが存在するおそれがあり、輸入牛肉にトレーサビリティーを導入することで、そのトレースが可能となります。
今国会に提出されている食品安全基本法案については、国産・輸入品を問わず、食品の安全性の確保が図られるよう、国の内外における食品供給行程の各段階における安全性の確保の措置が適切にとられるべきこととする基本理念の修正が本国会において行われたところであります。
こうしたことから、我々は、食品安全基本法案の修正の趣旨からしても、当然、輸入牛肉についても、国産牛肉と同等の安全性の確保と消費者に対する適切な情報の提供がなされるべきであると考え、輸入牛肉についても本法案の対象とする修正案を提出した次第であります。
修正案は、お手元に配付したとおりでございます。
第一に、この法律においては、特定輸入牛肉とは、食用に供される輸入された牛肉であって、牛の個体の識別のための情報の適正な管理及び伝達に関する制度が実施されている国または地域から輸入されたものをいうこととしております。
第二に、特定輸入牛肉を輸入する者は、特定輸入牛肉台帳を作成、保存をしなければならないこととしております。
第三に、販売業者及び特定料理提供業者は、特定輸入牛肉の販売または料理の提供をするときは、当該特定輸入牛肉、料理等に、個別識別番号等を表示しなければならないこととしております。
第四に、販売業者は、特定輸入牛肉以外の輸入牛肉を販売するときは、当該輸入牛肉が特定輸入牛肉ではない旨の表示をしなければならないこととしております。
第五に、農林水産大臣は、販売業者等が表示義務を遵守していないと認めるときは、勧告、命令を行うことができることとしております。
第六に、特定輸入牛肉台帳を作成、保存しなかった者及び表示義務に係る命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処することとしております。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○小平委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○小平委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、鮫島宗明君外三名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○小平委員長 次に、内閣提出、食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案について議事を進めます。
この際、本案に対し、稲葉大和君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守新党の五会派共同提案による修正案並びに中林よし子君外一名から、日本共産党及び社会民主党・市民連合の二会派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。
提出者から順次趣旨の説明を求めます。稲葉大和君。
―――――――――――――
食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○稲葉委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守新党を代表して、食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
昨年の第百五十五臨時国会における農薬取締法改正により、登録を受けていない非農耕地用除草剤の農薬としての販売、農作物への使用を禁止したところであります。
しかしながら、現在のところ、小売段階では、農薬として使用ができない旨の明確な表示もなく、農耕地での誤用、流用も可能となるような販売がなされており、農薬の適正使用の確保が十分でない状況にあります。
こうした中で、国民の食に対する信頼を回復するため、農薬として使用されるおそれのある除草剤が誤って農作物の生産に使用されることを未然に防止する観点から、除草剤の販売段階において厳格な規制を行うことが課題となっております。
このため、除草剤を農薬として使用することができない旨の表示義務、表示義務の違反者に対する勧告及び命令等所要の措置を講ずる修正を行う必要があると考えます。
また、先般、今国会に提出されている食品安全基本法案について、国産・輸入品を問わず、食品の安全性の確保が図られるよう、国の内外における食品供給行程の各段階における安全性の確保の措置が適切にとられるべきこととする基本理念の修正が行われたところであります。
こうしたことから、食品安全基本法案に対する修正の趣旨に沿い、生産資材についてもその安全性を確保し、安全、安心な農畜水産物の生産が図られるよう、修正を行う必要があると考えます。
以上の点から、本修正案を提出することとした次第であります。
修正案は、お手元に配付したとおりであります。
まず、除草剤の販売段階での規制に関する修正について御説明申し上げます。
第一に、農薬以外の除草剤を販売する者は、それを販売する場合、その容器等に、農薬として使用することができない旨の表示をしなければならないこととしております。
第二に、除草剤の小売を業として行う者は、その販売所ごとに、公衆の見やすい場所に、除草剤を農薬として使用することができない旨の表示をしなければならないこととしております。
第三に、農林水産大臣は、除草剤を販売する者が表示義務を遵守していないと認めるときは、その者に対し、必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができることとするとともに、正当な理由なくしてその勧告に係る措置をとらなかった場合には、勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができることとしております。
第四に、違反行為に対する抑止力の確保のため、表示義務に係る命令に違反した者は、三年以下の懲役または百万円以下の罰金に処することとしております。
次に、生産資材の安全性の確保に係る修正では、肥料、動物用医薬品、農薬等の生産資材の生産または製造から販売及び使用に至る一連の国の内外における行程のあらゆる要素が食品の安全性に影響を及ぼすおそれがあることにかんがみ、農林水産大臣は、これらの資材の安全性の確保のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨の規定を追加することとしております。
以上、何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○小平委員長 次に、菅野哲雄君。
―――――――――――――
食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○菅野委員 私は、日本共産党、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案に対する修正案について、その提案理由及び内容の概要を説明いたします。
農薬取締法の一部改正についてであります。
昨年の臨時国会で農薬取締法の一部改正が行われました。全会一致です。この改正は、プリクトラン、ダイホルタン、ナフサク等の無登録農薬が全国で販売、使用されていた実態を踏まえ、無登録農薬の水際での監視強化、無登録農薬の使用禁止、罰則の強化などを図るものだと理解しておりましたが、新たに特定農薬という規定が設けられたために、地産地消運動や有機農業がつぶされていくのではないかと消費者や生産者に不安が広がっています。
特定農薬とは、農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないもので、現在は重曹、食酢、現地で生息する天敵が指定されております。しかし、人間が日常口にしているものをわざわざ農薬として指定しなければならないのでしょうか。
こうした問題が起こるのは、そもそも農薬の定義が極めて広く、あいまいだからであり、農薬取締法における農薬の定義を見直すべきであります。
修正案は、農業の自然環境機能の維持及び増進を図るため化学的に合成された薬剤を使用しない方法により農作物を生産する場合において用いられる薬剤を有機農法用薬剤として農林水産大臣、環境大臣が指定するものを農薬取締法の定義から外し、これによって有機農業や地産地消に取り組む生産者や消費者の不安を解消するものであります。あわせて、登録された農薬の試験成績の公表を義務づけるとともに、リスクコミュニケーションの規定も明記したところでございます。
何とぞ委員各位の賛同をいただきますようお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。
○小平委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○小平委員長 これより原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。
まず、中林よし子君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、稲葉大和君外四名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○小平委員長 次に、内閣提出、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。
この際、本案に対し、稲葉大和君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守新党の六会派共同提案による修正案並びに中林よし子君外一名から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。
提出者から順次趣旨の説明を求めます。齋藤淳君。
―――――――――――――
飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○齋藤(淳)委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守新党を代表して、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
我が国の飼料等の現状を見ると、純国内産飼料自給率は二五%と極めて低く、特に、中小家畜の飼料である濃厚飼料は、その約九割を輸入に依存せざるを得ない状況にあります。このような中で、近年、口蹄疫やBSEが発生し、その原因が海外からの輸入飼料等によりもたらされたと見られることなどから、輸入飼料等についての安全性の確保が求められております。
一方、今国会に提出されている食品安全基本法案については、国産・輸入品を問わず、食品の安全性の確保が図られるよう、国の内外における食品供給行程の各段階における安全性の確保の措置が適切にとられるべきこととする基本理念の修正が行われたところであります。
こうしたことから、食品安全基本法案に対する修正の趣旨に沿い、生産資材である飼料等についてもその安全性を確保し、安全、安心な畜水産物の生産が図られるよう、本修正案を提出することとした次第であります。
修正案は、お手元に配付したとおりでございまして、飼料等の製造から販売及び使用に至る一連の国の内外における行程のあらゆる要素が食品の安全性に影響を及ぼすおそれがあることにかんがみ、農林水産大臣は、飼料等の安全性の確保のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨の規定を追加することとしております。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○小平委員長 次に、中林よし子君。
―――――――――――――
飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○中林委員 私は、日本共産党を代表して、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を説明いたします。
修正案は、適正な品質管理を行う特定飼料等の製造業者に対する登録制度の導入に係る改正規定を削除するものです。
特定飼料等の検定制度は、現行制度の中では唯一、農水省が安全に万全を期す必要があると指定した飼料、飼料添加物を輸入、製造の都度工場や輸入港でとめ置き、流通前に安全性を確認することができる制度です。
本法案により、特定飼料等製造業者に対する登録制度を設けることは、飼料等の安全確保のために設けられた検定制度を実質的に空洞化させることになるものです。
農水省は、年平均二回程度の立入検査を登録特定飼料等製造業者にも行うことで安全を担保できるとしています。しかし、約三千カ所の検査対象事業所に対し、肥飼料検査所で飼料の検査に係る職員数は二〇〇二年度六十二人しかおらず、安全を担保する年二回の立入検査の実施が十分に行われるか、危惧せざるを得ません。
食品の安全、安心を確実なものにするために、飼料の安全確保が不可欠であることは言うまでもなく、特定飼料については、従来どおり検定を義務づけることが必要であると考えます。
委員各位の御賛同をお願いいたしまして、日本共産党の修正案の概要及び提案理由を終わります。
○小平委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○小平委員長 これより原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。
まず、中林よし子君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、稲葉大和君外五名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○小平委員長 次に、内閣提出、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、地方農政事務所及び北海道農政事務所の設置に関し承認を求めるの件について議事を進めます。
これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、地方農政事務所及び北海道農政事務所の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○小平委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、金田英行君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党の七会派共同提案による食品の安全性確保に係る農林水産関係法律の運用に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。白保台一君。
○白保委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党を代表して、食品の安全性確保に係る農林水産関係法律の運用に関する件の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
食品の安全性確保に係る農林水産関係法律の運用に関する件(案)
牛海綿状脳症の発生を契機とし、食品の安全性の確保に向けた取組みを確実なものとしていくことが重要な課題となっており、今国会で審査されている食品安全基本法案においては、リスク分析手法を導入するとともに、国の内外における生産から販売に至る一連の食品供給行程における安全性の確保が基本理念とされているところである。
よって政府は、食品の安全性確保に係る農林水産関係法律の運用に当たっては、国民の生命と健康の保護を最優先として、左記事項の実現に努め、もって「食」の安全と安心が図られるよう万全を期すべきである。
記
一 国の内外における食品供給行程のあらゆる要素が安全性の確保に影響を及ぼすおそれがあることにかんがみ、輸出国におけるリスク分析の状況や食品事故に関する情報収集等に努めるとともに、輸入農林水産物等については、国内産品と同等の安全が確保されるよう、関係機関が連携して適切に対処すること。
二 食品安全行政を一体的に推進するため、国における関係機関の有機的連携を確保するとともに、国と地方との適切な役割分担の下、生産者・事業者に対する指導・監視や情報の共有化等リスク管理を的確に実施できる体制を整備すること。
三 国産牛肉のトレーサビリティシステムについては、円滑かつ確実に実施するため、関係者への周知徹底を行うとともに、生産者・事業者に過度の経済的負担等が生じないよう必要な支援措置を講じること。
また、輸入牛肉を含むその他の食品のトレーサビリティシステムについては、各食品の特性や流通実態等を踏まえ、「食」の安全と安心に対する消費者のニーズに対応できるよう、その導入の推進を図ること。
四 生産資材の安全性の確保及び使用の適正化が図られるよう、使用基準等の遵守、生産者による使用状況の記帳等の指導を徹底するとともに、使用実態等の調査体制を強化すること。
また、食品の安全に関する不測の事態に的確に対処できるよう、情報の収集・分析・提供体制を強化するとともに、危機が発生した場合の関係機関の連携・対応等に関するマニュアルを整備し、販売禁止・回収命令等が迅速かつ適切に行われるよう努めること。
五 HACCP手法の導入に当たっては、中小零細企業が大宗を占める我が国食品製造業の実情に十分配慮し、関係事業者に対する啓発、人材の育成、施設の整備等につき支援措置を講ずること。
また、食品製造業へのHACCP手法の導入と併せ、生産から流通、消費に至る各段階における食品の衛生・品質管理の促進に努めること。
六 「食」の安全と安心が将来にわたって確保されるよう、法律の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案しつつ、食品安全に係る制度や体制について、消費者の視点に立って適切な運営に努めるとともに、必要に応じて所要の見直しを行うこと。
右決議する。
以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小平委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣亀井善之君。
○亀井国務大臣 ただいまは法案等を可決いただき、ありがとうございました。
委員会決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
○小平委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時七分散会