衆議院

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第11号 平成15年5月21日(水曜日)

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平成十五年五月二十一日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 小平 忠正君
   理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
   理事 松下 忠洋君 理事 鮫島 宗明君
   理事 楢崎 欣弥君 理事 白保 台一君
   理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    青山  丘君
      荒巻 隆三君    石田 真敏君
      岩倉 博文君    岩崎 忠夫君
      梶山 弘志君    金子 恭之君
      北村 誠吾君    熊谷 市雄君
      小泉 龍司君    近藤 基彦君
      七条  明君    高木  毅君
      西川 京子君    宮本 一三君
      後藤  斎君    齋藤  淳君
      津川 祥吾君    筒井 信隆君
      堀込 征雄君    吉田 公一君
      江田 康幸君    藤井 裕久君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    重野 安正君
      佐藤 敬夫君    藤波 孝生君
    …………………………………
   農林水産大臣       亀井 善之君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (農林水産省経営局長)  川村秀三郎君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長
   )            太田 信介君
   政府参考人
   (食糧庁長官)      石原  葵君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  山口わか子君     重野 安正君
同日
 辞任         補欠選任
  重野 安正君     山口わか子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)


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     ――――◇―――――
小平委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長西藤久三君、生産局長須賀田菊仁君、経営局長川村秀三郎君、農村振興局長太田信介君及び食糧庁長官石原葵君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小平委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩崎忠夫君。
岩崎委員 自由民主党の岩崎忠夫でございます。食糧法の一部改正案について質問を申し上げたいと思います。
 質問時間が短いので、大変恐縮でございますが、答弁につきましては端的かつ簡潔にお願い申し上げたいと思います。
 質問に入ります前に、カナダでBSE感染牛が確認されたという報道がございました。これにつきまして、日本の対応としてどうされるのか、北村副大臣にまずお伺いをしたいと思います。
北村副大臣 先生御指摘のとおり、カナダ政府から、きょう付で、我が政府、農林水産省の方にファクシミリが入ったわけであります。
 それによりますと、該当牛は、百五十頭の飼養農場で肥育されていた八歳齢の乳用牛である。疾病を呈して屠畜場へ出荷されたけれども、食肉に適さないということで廃棄処分をした。そして、そのときに、当該牛の脳はサーベイランスのために検査に回したということでございます。カナダのアルバータ州の農業食料農村局のサーベイランス検査でBSEの可能性が示されたということで、さらにイギリスのパーブライト研究所へそのサンプルを送って、五月の二十日にパーブライト研究所でBSEの陽性と判断された。ここは、日本の一頭目のBSEのサンプルを検出していただいたところでございます。
 カナダの方は、発生農場の検疫を開始、さらに疑似患畜の移動歴の調査に入ったということでございます。我が国は、本日付で、カナダからの偶蹄類の動物及びこれらの動物の肉などについての輸入の一時停止措置を行うということになります。それから、アメリカも、カナダからの食肉等についての輸入を一時停止という措置に入ったということでございます。
岩崎委員 どうもありがとうございました。今後とも、的確なる対応をぜひともお願いしたいと思います。
 それでは、まず、今回の米政策改革のねらいについてお伺いをしたいと思います。
 我が国の水田農業は、米の需要量が年々減少する中で、四割に上る減反を行いつつも米の過剰基調が継続いたしております。そのことが米価の低下を引き起こし、担い手の水田農業経営を困難といたしているのであります。三十余年続けてきました生産調整方式は、だれも今のままでよいと言う者がいない、まさに限界に来ている状況にございます。
 このような状況の中で、昨年来、米政策の見直しが行われ、自民党農業基本政策小委員会の場は激論の応酬ともなりましたが、十一月二十九日、自民党総合農政調査会取りまとめによる新たな米政策改革大綱骨子により政治決着が図られました。
 自民党の骨子を受けて、農林水産省は、十二月三日、米政策の大転換を図る米政策改革大綱を決定いたしました。食糧法改正案とともに交渉されました米政策改革基本要綱(案)によれば、米づくりの本来あるべき姿は、「市場を通して需要動向を鋭敏に感じとり、売れる米づくりを行うことを基本として、」「消費者重視・市場重視の米づくりが行われること」であるとしております。
 言われてみれば至極当然でもっともなことでありますが、では、なぜこの当たり前のことがこれまでできなかったのか。昭和四十五年以来、三十余年にわたって関係者が生産調整に大変な苦労をしてきたのでありますが、今回、単に理念が変わったから生産調整が円滑に行われるようになるとは直ちには言えないのではないかと思われます。もちろん、何よりも農業者、農業者団体の意識改革が肝要であります。
 今回の米政策改革はまことに大英断だとは思いますが、そもそも今回の米政策改革のねらいは何か、亀井農水大臣にお伺いしたいと思います。
亀井国務大臣 お答えをいたします。
 今委員御指摘のとおり、米をめぐる情勢、大変厳しいいろいろな課題があるわけでもございます。需要の減少、生産調整の限界感、負担感の高まり、担い手の高齢化など、まさに閉塞状況にあるわけでございます。
 このような閉塞状況を打開するために、昨年十二月に、水田農業の未来を切り開く、御指摘いただきました米政策改革大綱を取りまとめ、そして需給調整対策、生産構造対策、あるいは流通制度の改革を整合性を持って行うこととしたわけでございます。
 今回の改革は、米を取り巻く環境の変化に対応して、消費者重視、市場重視の考え方に立って、需要に即応した米づくりの推進を通じて我が国の水田農業経営の足腰を強くしようとするものでありまして、これにより、生産者がつくる喜びを感じ、また消費者にとっては選択の幅が広がるような形、これに全精力を向けてまいりたい、このように考えております。
岩崎委員 どうもありがとうございました。
 今回の米政策改革は、米の需要調整において農業者、農業者団体が主役となるシステムを構築することであります。農業者、農業者団体が主役となるシステムとは、在庫状況等を基礎に算定される客観的な需要予測に基づき、農業者、農業者団体が主体的に地域の販売戦略により需要に応じた生産を行う姿であるとされます。
 こうした米政策改革の理念、考え方には大変すばらしいものがございますが、問題はその実効性であります。市場機能に期待することは基本的に正しいものと思われますが、過度に市場機能に期待することも禁物だろうと思います。これまで、国、地方の行政措置をてことして生産調整が行われてまいりましたが、国、地方の行政措置なしに生産調整の実効性が十分に確保されるかどうか、生産過剰となるおそれはないか、価格の低下をもたらさないかどうか、懸念されるところであります。
 大綱では、「農業者・農業者団体が主役となるシステムにおける国及び地方公共団体の役割を食糧法上明確に位置付ける。」とされておりますが、生産調整の実効性が確保されるべく、どのように法文上位置づけられたのか、今回の措置で実効性が担保されたと言えるのか、また、今後とも実効性確保方策を絶えず見直していく必要があると思いますが、実効性確保方策についてお伺いをしたいと思います。
 とりわけ生産現場では、推進交付金が減額されたこともありまして、県や市町村の役割が後退するのではないかと大変心配しておりますので、あわせて、実効性確保の見地からの県や市町村の役割についてもお伺いしたいと思います。
石原政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の米政策の改革におきましては、ただいま委員の方からお話ございましたように、農業者、農業者団体が主役となるシステム、これができるかどうかがポイントであろうかと思っております。
 これを平成二十年度までにつくり上げたいと考えておるところでございますけれども、このような考え方で、平成十六年度から、当面の需給調整というようなことで、これまでの面積による管理から数量による調整に転換いたします。そうした上で、各都道府県産米の需要実績を基礎にいたしまして、客観的な需要予測に基づく生産目標数量を設定いたしまして、いきなり農業者に任せるということではありませんで、当面は、行政ルートでの配分をあわせて行うことによりまして、いろいろなノウハウを農業者団体の方に知っていただいて体制整備を行いたいというふうに考えております。
 それから、農業者の主体的経営判断に資するように、需給や価格に関する情報をタイムリーに伝達するというのもポイントでございます。
 それから、今回の法改正におきまして、生産出荷団体等、すなわち農協等が作成する生産調整方針を国が認定するシステムを設けさせていただきました。そして、その生産調整方針につきまして、その作成及び運用につきまして、国、地方公共団体が助言あるいは指導を行うという形にしております。
 そしてまた、産地づくり推進交付金の中の米価下落影響緩和対策それから産地づくり対策、こういうものにつきましては、生産調整実施者を交付対象とするということにしているところでございまして、これらによりまして、農業者、農業者団体が、主体的判断により、実効ある生産調整の取り組みが行われるようにしてまいりたいと考えているところでございます。
 あわせまして、地方公共団体、県、市町村がどのように役割を果たすのかという点でございますけれども、地域の作物戦略、それから販売戦略、それから担い手の育成、こういうものを明確にした地域水田農業ビジョンというものを生産者団体と一体となって作成してもらおうと思っております。
 それから、生産調整方針が地域農業振興に資するものとなるように、その作成及び運用に対しましていろいろな助言、指導を行っていく、先ほど申し上げたとおりでございます。このような役割を地方公共団体に期待しているところでございます。
岩崎委員 ありがとうございました。
 いずれにしても、今回の米政策改革、待ったなしであります。ぜひ全力を挙げて、改革が成功するように、各般の措置を考えていただきたいと思います。
 今後も米の需要減はさらに進むと見込まれまして、新たな農業者、農業者団体が主体となるシステムにおきましては、これまで以上に需給緩和の可能性を内包していると考えられます。そのため、生産調整を実効あるものとするためには、メリット対策に関する十分な予算措置がその成否を左右するとも考えられます。
 昨年十月以降の米政策改革の議論において、過剰米対策は、生産調整に対する国の関与のあり方と並んで、農業団体と農林水産省とが対立した点でありますが、過剰米対策や産地づくり交付金などの助成水準が需給調整の成否を決めるとも思われます。
 効果的な過剰米対策を推進するためには、豊作分を確実に区分出荷させることが必要であります。そのためには、過剰米短期融資制度の融資単価の水準が、多様な加工原料用需要の動向を十分調査検討の上、生産調整実施者のメリットとなる十分な価格水準とすることが必要であります。また、生産者手取り水準にも、生産調整実施者のメリットとなるような上乗せの仕組みが必要であると思われます。御見解を賜りたいと思います。
北村副大臣 先生からの御指摘、大変重要なことだと我々は認識をしております。
 先生今御指摘をいただきました過剰米短期融資制度の融資単価につきましては、これはもう言わずもがなでございますが、豊作により需要を上回って生産された米の価値として想定される単価、これはすなわち、新規加工用途やあるいはえさ用などへの販売価格を基本として設定することが適当であると考えております。
 仮に過剰米の価値よりも高い融資単価を設定したならば、今回の改革の重要なポイントであります需要に応じた生産の必要性が農業者に十分伝わらなくなることに加えて、貸付金の返済が米の引き渡しなどでなされた場合、融資元である米穀安定供給確保支援機構が差損を抱えることとなりまして、制度の運用に支障を来すおそれが強いというふうに考えられます。
 いずれにいたしましても、先生御指摘の、農業者が円滑に過剰米を処理することができるように、過剰米の区分出荷を促進するための措置を含めて、制度全体の適切な運用については十分検討し、十六年度予算の概算要求の決定時までには決定してまいりたい、このように考えているところでございます。
岩崎委員 過剰米の処理は大切な課題であります。ぜひとも実効ある措置をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、地域水田農業ビジョン作成についてお伺いをいたします。
 今後の水田農業政策と米政策は、生産調整のみ切り離して展開するのではなく、作物作付及びその販売の目標や担い手づくりの目標などを具体的に定めました地域水田農業ビジョンを作成して展開することになります。その一環として生産調整が推進されることになります。すなわち、この地域水田農業ビジョンのできばえが、生産調整の実効性、ひいては地域農業の将来を決めることになります。画一的な通り一遍の作文であってはなりません。関係者の十分な地についた議論が必要であります。
 各地域の取り組みは始まったばかりだと思いますが、地域水田農業ビジョン作成の取り組みの状況、及び作成に当たって特にどういう点に留意したらよいか、お伺いをしたいと思います。
須賀田政府参考人 地域水田農業ビジョンでございます。その中身でございますが、要は、どんな作物をつくり、どう売り込むか、逆に言いますと、売れる作物をどうつくっていくかということ、そしてそれの担い手、持続性のある経営体をどう育成していくか、それらのために地域水田農業の改革の方向と支援はいかにあるべきか、こういうものを盛り込んでいただくということでございます。
 このビジョンの策定に当たりましては、そういうことでございますので、農家の意見だけではなくて、消費者でございますとか実需者の意見も取り入れていただきまして、あるべき姿と実現方策ということでしっかりと議論をしていただきたいと考えております。
 現在、三月下旬にビジョン策定に当たっての留意事項を市町村にお知らせをいたしましたけれども、四月下旬現在で、全国で二割程度の市町村で作成作業に入られたということでございまして、全体の市町村の策定作業がさらに進むように、情報提供に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
岩崎委員 今回創設されます産地づくり推進交付金制度におきまして、そのうち、産地づくり対策では、一定の交付額が一括して地域に交付され、国が示すガイドラインの範囲内で、地域みずからの発想、戦略に基づき、助成金の使途は地域が決めることになります。これからの米づくりは、地域の特性を生かし、創意工夫を発揮した産地づくりを進めることが何より大事であることからいたしましても、また、限られた財政資金を最も効率的に使用し、また地方分権推進の観点からも大きく評価すべきものであります。
 もちろん、国が示すガイドラインは、目的に沿って、かつ柔軟なものであることが必要でありますが、同時に、地域への交付金の算定方式は、地域の取り組み実態を踏まえた合理的なものであることが必要であります。また、交付金の額は、今後の生産調整の取り組みに対応できる十分な助成水準とすることが必要であります。
 産地づくり推進交付金の額については、十六年度の概算要求までに検討するとのことでありますが、農業者、農業者団体が主役となる需給調整システムを成功させるために、十分な助成水準を確保するという大臣の決意をぜひともお伺いしたいと思います。
亀井国務大臣 産地づくり対策につきましては、ガイドラインに基づきまして、そのアイデアを募集中、いろいろ今各地域でそのお考えをおまとめをしていただいておるわけでもございます。
 現行の米生産調整対策では、水田農業経営確立対策において、例えば小麦や大豆と水稲との収益格差が十アール当たり三万四千円から三万五千円であるにもかかわらず、助成金が、共補償を含めて、平均的には小麦で十アール当たり六万一千円、あるいは大豆で五万五千円、この助成がされておるわけでもございます。これが、構造改革の著しいおくれや、あるいは品質の劣る麦、大豆の生産による需要とのミスマッチ、生産調整以外の生産対策や構造政策の予算の圧迫等の要因になっているとの指摘があるわけでもございます。
 産地づくり対策の算定に当たっては、このような状況を踏まえて、農家の生産意欲の喚起、こういう点に配慮しつつ、自給率の向上、担い手の育成、あるいは麦、大豆の品質向上や耕畜連携の推進に重点化したものとする必要があると考えておるわけでありまして、このような中で進めてまいりたいと思っております。
岩崎委員 次に、担い手の経営安定対策についてお伺いをいたします。
 今回の米政策改革では、米価下落による稲作収入の減少の影響が大きい一定規模以上の水田経営を行っております担い手を対象に、産地づくり推進交付金の米価下落影響緩和対策に上乗せし、稲作収入の安定を図る対策として、担い手経営安定対策を講じることとされております。そして、一定規模とは、認定農業者にあっては都府県で四ヘクタール、集落型経営体にあっては二十ヘクタールとされております。
 水田農業において、集落営農を組織化し、これを経営体として発展させていくことは、構造改革を進めていく上で不可欠のことと思われますが、調査によれば、現在の集落営農で、経営としての一体性を持って集落の営農を一括管理運営している者は約一割にとどまっております。今後その育成が課題とされるところであります。
 そこで、担い手経営安定対策の加入対象者の要件は地域実態を踏まえたものとすべきであると考えますが、お考えを伺いたいと思います。
 また、米政策改革のもとで、価格が現行水準以上に下落することも懸念されておりますので、担い手に対する新たな経営所得安定対策を早期に検討することが必要だと思われます。経営所得安定対策の具体化の検討はどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。
 なお、市場原理の導入により中山間の水田農業が今後衰退していきはしないか、懸念されております。条件不利地域、直接支払いなど別立ての施策の充実も考えられますが、中山間地域における担い手経営安定対策についてどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
川村政府参考人 担い手経営安定対策でございます。この対策につきましては、今委員が御指摘のような基本的な考え方で臨んでおるところでございますが、その具体的な仕組み、特に規模要件等につきましては、現在いろいろな都道府県等からの意見等が寄せられております。この対策につきましては、他の米政策と一体のものでございますので、平成十六年度概算要求の決定時までに各施策の総合性、整合性を図りながら具体的に決定をしていきたいということで、現在検討を進めているところでございます。
 それから、全般的な経営所得安定対策でございますが、これにつきましては、基本計画におきまして、個々の品目ではなくて経営全体をとらえる、また、農産物の価格の変動ではなくて、農業収入なり所得の変動を緩和する仕組みということで検討を行うということにされておるところでございます。
 今回の米の担い手経営安定対策でございますが、価格変動ではなくて稲作収入というものに着目をいたしておりますので、そういう意味では一歩踏み出すものと考えております。米政策の改革のステップをいろいろにらみながら、今後さらに検討を深めていきたいと思っております。
 また、中山間の問題でございますけれども、今回、集落営農のうち一定の要件を満たすものを新たに担い手として位置づけております。これは、特に中山間地のように、個別経営ではなかなか規模がまとまらなく零細であるといったようなところでは、集団的な土地利用、面的な土地利用が非常に重要になっておりまして、この集落型経営体等の考え方というのは今後中山間地域においてより効果を発揮するのではないかということで期待をしているところでございます。
岩崎委員 今後の米の流通制度については、需要に応じた売れる米づくりを流通面から促進する観点から、計画流通制度を廃止し、必要最小限の規制のもとで安定供給を図ることとしております。これにより、米の価格と需要動向に応じた集荷、流通が行われることが期待されております。その取引の中心が米穀価格形成センターであり、主要銘柄の定期的入札のほか、スポット取引、逆オークション等の多様な取引が予定されております。
 米市場が、価格の乱高下をもたらすことなく、安定供給と適正な価格形成の機能を期待どおり果たすかどうか、安定供給確保の見通しについてお伺いをしたいと思います。
石原政府参考人 今回の改革で、流通制度につきましては、基本的に、現在あります、さまざまな規制があります計画流通制度を廃止いたしまして、ただいま委員の方からお話がございました、需要に応じた米づくり、それから創意工夫ある米産業の発展、そういう観点に立ちまして、安定供給のための自主的取り組みを支援する体制に移行したいと考えているところでございます。
 内容は二つございまして、一つは、出来秋の投げ売り、こういうことによりまして安定的な流通に支障が生じる、それがひいては生産段階にも悪影響が及ぶ、そういうことを回避したいということで、米穀安定供給確保支援機構というものを創設いたしまして、民間事業者の安定供給の確保に向けた自主的な取り組みへの債務保証等について支援を行いたいと考えておるところでございます。
 また二つ目には、自主流通米価格形成センターを改組いたしまして、需要に応じた多様な取引の実態を反映した価格が形成されるように、公正中立な取引の場として育成、拡充したいと考えているところでございまして、これらによりまして、消費者ニーズに即した米の安定的な供給を図っていく考えでございます。
岩崎委員 それでは次に、モダリティー確立が先送りとなっておりますWTO農業交渉についてお尋ねをいたします。
 ハービンソンWTO農業委員会特別会合議長によります農業交渉モダリティー一次案改訂版で提案されております関税削減方式は、一律に関税格差を圧縮するハーモナイゼーションの考え方が強く、非貿易的関心事項への配慮にも欠けており、今後の交渉のベースにならないことは明白であります。
 しかしながら、仮に一次案改訂版に近い内容でWTO農業交渉が決着するようなことがあれば、我が国の米政策改革にも甚大な影響を及ぼし、今回の米政策改革も根底から見直さざるを得ないこととなります。
 今回の米政策改革を円滑に進めるためにも、カンクン閣僚会議に向け、我が国提案を踏まえ、各国が受け入れ可能な十分にバランスのとれた現実的かつ包括的なモダリティーが確立されますよう、EUなどフレンズ諸国と緊密な連携を保ちつつ、開発途上国の支持の拡大に努めていくべきだと思われますが、現在、WTO農業交渉にどのように取り組まれておられますか、亀井大臣にお伺いしたいと思います。
亀井国務大臣 お答えをいたします。
 ドーハ閣僚宣言に記された期限である三月三十一日までの農業交渉のモダリティーの確立、これはできなかったわけでありまして、加盟国間では、九月のメキシコのカンクンで予定されております第五回WTO閣僚会議に向けてできるだけ早期にモダリティーを確立するという共通認識であるわけであります。
 四月末のOECD閣僚理事会あるいはWTOの非公式少数国閣僚会議において、九月のカンクン閣僚会議での成果を目指すべき分野として、各国から、農業、非農産物市場アクセス等六項目を中心に言及があったところでもございます。
 今後、この農業交渉のプロセスとしては、技術的な事項の検討を継続する、あるいは六月及び七月に予定されております農業委員会特別会合の機会あるいは各国間の協議、また六月にエジプトで開催されますWTO非公式少数国の閣僚会議等を通じまして、各国が合意できる解決策を探る、こういうことになっておるわけであります。
 私も、四月末から五月にかけまして、ベルギー、フランス、スイスに参りまして、そして、交渉の最大のパートナーでありますEUのフィシュラー農業・漁業委員あるいはラミー貿易委員と会談いたしまして、カンクンの閣僚会議に向けまして日本、EUが一層緊密に連絡を密にしていくということを確認したわけでもございます。
 あるいはまた、WTO交渉を取りまとめますスパチャイWTO事務局長、ハービンソン議長と会談をいたしまして、明確に我が国の立場を伝えてきたところでもございます。
 交渉を進捗させる柔軟な対応を求められるのは、多くの国が受け入れることのできない過度に野心的な提案を行っておりますアメリカやケアンズ諸国である、このように考えております。
 今後とも、多様な農業の共存を基本理念といたしまして、引き続きEU等フレンズ諸国などと連携を強めながら、途上国を初めとする各国に対しましても粘り強く働きかけて、二〇〇五年一月の交渉妥結に向けて、現実的かつバランスのとれた貿易ルールが確立されますよう全力を尽くしてまいる決意であります。
岩崎委員 大臣、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 最後に、リンゴ火傷病の植物検疫措置に関するWTOパネルについてお尋ねします。
 三月末の新聞報道によりますれば、WTOのパネルで米国の主張をほぼ認めた非公開の中間報告が日米両国に示されたとされております。火傷病は、地球上で未発生国は中国、韓国、日本など一部に限られており、現在確固たる防除対策がございません。一たん侵入を許せば、リンゴだけにとどまらず、我が国の果樹全般に甚大な影響を与えるものであります。新聞報道が事実とすれば、我が国にとって大変厳しい事態であります。
 このような事態を受けて、農林水産省はどのようにこれを受けとめ、今後どのような対応をとられていくのかお伺いして、質問を終えたいと思います。
須賀田政府参考人 リンゴ火傷病に関します日米間の紛争、三月二十日に、先生言われますように、WTOの事務局から中間報告が日米両国に発出をされました。
 中間報告の内容は、先生もおっしゃられましたように非公開ということでございますので、具体的な内容ということにつきましては明らかにできませんけれども、要は、争点といたしましては、果実の内部または表面に火傷病菌が存在するかどうか、そしてそれらが火傷病を伝播させ得るかどうかということが争点になっておりまして、厳しい内容になっていますけれども、現在、果実の内部に火傷病菌が存在をしてそれが火傷病を伝播するということを前提といたしました我が国の検疫措置の正当性につきまして、働きかけ、主張をしているところでございます。
 今後は、パネルの報告書が六月ごろまでには出るものと見込まれておりまして、その報告書が出された段階で、内容を十分に精査、検討した上で、上級委員会への申し立てを含めまして適切に対処していきたいというふうに考えているところでございます。
岩崎委員 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。
小平委員長 次に、高木毅君。
高木(毅)委員 おはようございます。自民党の高木毅でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回お示しをいただいております主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案、いわゆる食糧法改正法案は、簡単に言えば、一つには、需要に応じた生産を促進すること、それから二つ目には、生産者や生産者団体の自主的、主体的な生産調整へ移行すること、そして三つ目には、計画流通制度の廃止などによって、消費者の多様な要請にこたえられる創意工夫の生かされている適正かつ円滑な米流通を実現すること、この三つが骨格ではないかというふうに私は理解をいたしております。また、もちろん、米政策改革大綱の基本方向を具体化したものであって、今後の消費者の需要を起点とした、活力ある稲作農業の展開の基盤をなすものでなければならないと考えているところでございます。
 このような観点から、今後の米政策、水田農業政策の方向性、あるいはまた農林省の考え方等について、幾つかこれからお伺いをしたいというふうに思います。
 まず初めに、先ほど岩崎委員も御指摘いただいておりましたけれども、この生産調整というものを昭和四十六年度に開始されて以降、三十年以上にわたって続けられてきているわけでございます。そして、これまで合計で約六兆円もの財政投入がなされてきたと言われておりますし、もちろん、この生産調整に限らず、さらに米政策には本当に多大な、莫大なお金が投入されてきたと言っていいかと思います。
 しかし、残念ながら、米の消費の減少は続いておりますし、生産調整面積も拡大をし続けてきた、そしてまた生産者の高齢化も進行しているわけでございます。こうしたことから、農家に不満が渦巻いていると言っていいかと思いますし、また、将来展望がなかなか開けないという現状にあって、農家に不安が広がってもいるわけであります。さらに、生産者側に限らず、消費者といいますか、いわゆる生産者以外の国民というふうに私は言っていいかと思いますけれども、そうした方たちにも理解はなかなかしていただいていないと言えると思います。言いかえるならば、生産者、消費者すべて、国民すべてがこれまでの米政策に不満を持っていると言っても過言ではないかと私は思っております。
 このような現状にかんがみて、今までの、現在までの米政策というところの中に果たしてどのような問題点があったのか、そしてまた、今回、この改革の中に、それに対してどのような考え方で改革を進めようとしていくのか。基本的なところでございますけれども、ぜひこれは大臣にお伺いをしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
亀井国務大臣 お答えを申し上げます。
 今、生産調整を初めとする米政策に対する問題点、このような指摘があったわけであります。
 米については、これまでも生産調整を初めとする各般の施策を実施してきたわけであります。だれのため、何のための生産調整かというメッセージが農業者に伝わらず、また、生産調整の助成体系が複雑で理解しにくいシステム、仕組みとなっていた。また、米生産に対しましてさまざまな助成を行う一方、米減産に多額の財政資金を投入するなど非効率的な政策となっていた。あるいは、生産調整の配分理由やその経過が不透明である、政策効果がきちんと検証されないなど、政策の透明性の確保がなされていない、こういう問題点がありました。こうした政策が結果として米の閉塞状況を招いた、このように認識をいたしております。
 このため、今回の米改革につきましては、この米の閉塞状況を打開し、水田農業の未来を切り開く観点から、消費者重視、市場重視の視点に立って、わかりやすさ、効率性、透明性を確保しつつ、需給調整対策、生産構造対策、流通制度等の改革を整合性を持って行うこと、これによりまして、生産者がつくる喜びを感じていただく、また消費者の選択の幅が広がる、このようなことを目的にしてまいりたい、このように考えております。
高木(毅)委員 ありがとうございました。今の大臣の御答弁の中にも若干ございましたけれども、少し具体的にお聞きしたいというふうに思います。
 今回の改革の特徴として、一つには、明瞭でわかりやすい政策、このように今おっしゃっていただきました。効率的でむだのない政策、そして、決定と運用の過程の透明性が確保された政策ということでございます。
 ぜひ、それぞれにつきまして、そのポイントというものをお示しいただきたいというふうに思います。ぜひ、一つ一つの項目ごとにお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
石原政府参考人 ただいま委員からお話がございましたように、今回の米政策の改革、三つの理念から成っております。
 まず一つは、メッセージが明瞭でわかりやすい政策かどうかということで、我々、そういう政策をつくり上げようということで取り組んだわけでございます。
 この点につきましては、具体的には、今までの米政策、水田農業政策は、一つの政策手段が複数の政策目的を持っている、一つの政策が例えば米の生産抑制もねらい、そしてまた他作物の生産振興もねらい、また担い手の育成も担っているということで、一つの政策が複数の政策目標を持っていたという点がございます。そして、だれのための、何のための生産調整かというメッセージが農業者に伝わっていない。生産調整は、あくまでもこれは生産者によるカルテルでございますけれども、そういう趣旨が伝わっていないということでございます。そして、生産調整の助成体系が複雑で理解しにくい仕組みになっている、そういう問題がございました。
 このため、今回の改革では、政策手段と目標を明確化してわかりやすくするという観点に立ちまして、一つは、地域みずからの発想、戦略と地域の合意に基づきまして実施する取り組み、そういうものを支援する産地づくり対策を講じる、それから二つ目には、生産調整のメリット対策として米価下落の影響を緩和する米価下落影響緩和対策を講ずる、そして三つ目には、担い手の稲作収入の安定を図る担い手経営安定対策を講ずる、そういう対策を講じているところでございます。
 それから、理念の二つ目の点でございます、効率的でむだのない政策かどうかという点でございます。
 生産過剰分をこれまで主食用として高い価格で集荷しまして、それを最も価格が安い飼料用として処理する、そういうむだもやってきたわけでございます。こういうむだもやってきたということで、今回は、豊作による過剰米が主食用と区別して出荷されるような仕組みをつくりたいというふうに考えております。
 そして、これまで生産調整は面積でやっておりましたけれども、面積を達成しても、残る水田で増産に励むということがなされまして、生産調整の効果が減殺されたという点がございます。こういうものをなくすために、生産数量を調整する方式に転換するということにしているところでございます。
 最後に、決定と運用のすべてのプロセスについて透明性が確保されているかどうかという点でございます。
 この点につきましては、生産調整の数量の配分に当たりましては、前年の需要量をもとに生産目標数量を策定する。そして、その配分の数字につきましても、公正中立な第三者機関的な組織の助言を得て決定するということにしております。
 そして、米政策の改革の目標を明確化いたしまして、毎年の改革の実行過程をチェックする、そういうシステムを入れているところでございまして、以上申し上げましたような方策で理念を達成したいと考えているところでございます。
高木(毅)委員 ありがとうございました。
 どれも大切なことだと思いますけれども、特に、とにかく明瞭でわかりやすい政策というものが肝要かと思います。ぜひ、農業者の方にこの改革をわかりやすく提示していただきたいというふうに思います。
 次に、十六年度から改革を進めていくということになっておりますけれども、もう既に、この十五年度においても、その準備期間として、地域で水田農業のビジョンを策定する取り組みを進めているということでございますが、今現在、もう既に十五年度でございますけれども、現場における取り組み、具体的にどのような状況にあるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
須賀田政府参考人 地域水田農業ビジョンへの取り組みの状況でございます。
 このビジョン、一言で言いますと、持続性と定着性のある産地づくりということでございまして、持続性とは担い手の確保でございますし、定着性といいますのは、売れる転作作物づくりということでございます。そういう産地づくりのためには、その地域の農業をどういう方向に持っていったらいいか、どういう支援をすればいいかを話し合ってもらうということにしているわけでございます。
 四月下旬現在、約二割の市町村がビジョンの作成作業に着手をしておりまして、残りの市町村も事前準備段階ということで、近々作成作業に着手することを期待しておるところでございまして、私どもとしても、必要な情報提供等に努めていきたいと考えているところでございます。
高木(毅)委員 ありがとうございました。二割が多いか少ないかわかりませんけれども、とにかく今年度じゅうにすべての市町村でそうしたことが進められることを期待いたします。
 続きまして、また、今回の対策では、米価下落影響緩和対策の上乗せとして、担い手経営安定対策を導入して、農業で頑張っていこうという農家や法人の方々に対して、稲作収入が減少した場合にはその八割まで補てんするということによって支援していくことになっております。大規模農家や法人経営は積極的にその経営を伸ばしていっていただくということは大切だと思いますけれども、いわゆる兼業化だとかあるいはまた高齢化が進んでいる地域では、今後は集落ぐるみの営農を進めて、集落型経営体というものを育成していくということがとても重要であると考えております。
 したがって、担い手経営安定対策を初め、集落型経営体など担い手の育成対策を強力に推し進めることが急務であるというふうに思いますが、地域の水田農業の確固たる基盤を固めていくことが重要という中にあって、その具体的な方策についてお伺いをいたしたいと存じます。
 よろしくお願いします。
川村政府参考人 今委員が御指摘ございましたとおり、今後の米政策におきまして、日本農業にとりましても、担い手の育成確保ということが大きな柱だというふうに考えております。今議論になりました地域水田農業ビジョンでも、まさに担い手をどう位置づけていくかということが重要であろうと思っております。
 それで、まず集落段階で話し合いを行っていただきまして、地域ごとに担い手を明確にするということがまず大きな仕事であろうと思っております。この場合、認定農業者の育成とあわせまして、今委員が御指摘ございましたとおり、いわゆる集落営農というものも、一定のものを担い手として位置づけていきたいということで、一元的な経理でありますとか、一定期間内に法人化するといったような要件を備えるものを担い手として位置づけていきたいと思っております。
 そして、その上で、こうした担い手の経営努力を支援するという観点で、これまでもいろいろ担い手育成対策、流動化対策等やっておりましたけれども、特に農地の利用集積促進につながるような制度面、予算面での措置を強化いたしましたし、また土地改良事業につきましても、水田整備の事業体系を、担い手を育成する、あるいは担い手の集積が進むような形での転換といったことも取り組んでおるところでございまして、こういった取り組みによりまして、水田農業の構造改革を加速したいと思っておるところでございます。
高木(毅)委員 ありがとうございました。
 次に、面積配分と数量配分についてお聞きをしたいと思いますけれども、いわゆる面積配分から数量配分に移行するわけでございます。これをすることによって生産者の意識改革が促進されるというふうになっているわけでございますけれども、今までの仕組みのもとで、生産者の中にどのような意識が蔓延してしまったのか、そして今回のこの改革でそれをどのように改革していこうとするのかをお伺いしたいと思います。
 さらには、生産者には確認の問題があるということで、数量にあわせて面積も明記するということになっておりますが、そこまでして数量配分にこだわる必要性が本当にあるのか、ただいたずらに現場を混乱させることになったりもしないかという心配もあるわけでございますけれども、この点についてお伺いをしたいというふうに思います。
石原政府参考人 生産数量の調整の問題でございますけれども、これまでの生産調整は、ただいまお話しございましたように、いわゆるネガ面積管理ということで行ってきました。そういうこともございまして、豊作があるということになりますと、生産調整の効果が減殺されるという大きな問題がございました。
 そのほか、生産者が、自分の米がどれだけ、そしてどこに、幾らで売れているか等の需要動向を実感することが難しかった。面積さえこなせばいいのだ、そういう意識のもとに、どのような米をどのように売るか、そういう意識がなかなか芽生えなかったという点がございます。需要に見合った売れる米づくりという観点からは、非常に環境整備がおくれていたということであろうかと思います。
 こういうこともございまして、十六年度からの当面の需給調整におきましては、需要に見合った米づくりが基本でございます、これを推進するという観点から、客観的な需要予測に基づく生産目標数量を設定いたしまして、全国段階から都道府県段階、都道府県段階から市町村段階、そういう段階を追いまして配分することにしているところでございます。
 このように、売れた数量を基礎にして生産数量が決まるという数量調整に移行しますと、農業者、農業者団体において、どのような銘柄で、どういう品質の米を、どれだけつくればいいのか、そういうものの認識の方に目が向くであろうということを期待しているわけでございまして、必要な米をつくることが促進されるものになると考えているところでございます。
 そして、最後の市町村の段階から農業者の段階へ配分するに当たって、この段階では数量配分ということだけではなかなかうまくいきません。一つには、営農計画を農業者に適切に立てていただくという観点が必要でございます。そしてまた、生産調整の実施の確認、この問題は大きい問題がございます。こういうものを簡易に行いたいということで、最後の段階につきましては、生産目標数量の配分とあわせて、地域の実態に応じた単収に基づき換算した作付目標面積も配分することとしておるところでございます。
 このような方式の転換、大きな転換を行うわけでございますけれども、委員からもお話ございましたように、現場で混乱があってはこれは元も子もございません。そういうこともございますので、一つには、全国説明会、あるいは都道府県、市町村、集落等の各レベルでの説明会を丹念にやっております。そしてまた、農家の方にもわかりやすいパンフレットの配布もしておるところでございまして、これらによりまして、現場への周知徹底をさらに図っていきたいと考えておるところでございます。
高木(毅)委員 ぜひとも現場が混乱しないような十分な対策をお願いしたいというふうに思います。
 次に、少し視点を変えるわけでございますけれども、土地の有効利用についてお伺いをしたいと思います。
 現在、全国で百六万ヘクタールもの生産調整に取り組んでいるわけでもあります。これは水田面積の四割にも及んでいるわけでございます。もちろん、食料の安全保障問題や、あるいはまた、水田というものは多面的機能を有しているということは十分に考えなければならないことではございますけれども、その一方、国土の狭い我が国においては、土地の有効利用という観点から、この際、農地にこだわらず、さまざまな用途に適切な利用を図ることを考えることも大切なことだと私は思っておりますが、こういったことにつきまして、これはぜひ大臣の考え方をお伺いしたいというふうに思います。
亀井国務大臣 平成十二年三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画において、望ましい消費の姿及び生産努力目標を前提とした食料自給率四五%を実現するためには、平成二十二年に四百七十万ヘクタールの農地面積の確保が必要と見込んでいるわけであります。
 国民に対する食料の安定供給を確保するためには、優良農地を良好な状態で確保していくことが極めて重要であります。土地の有効利用という観点から、社会経済上必要と認められる非農業的土地需要に対して、優良農地の確保を基本としつつ、農業生産に支障の少ない農地から転用されるよう対応しているところでございまして、今後とも、優良農地の確保を図りつつ、国土の合理的な利用が図られるよう努めてまいりたい、こんなように考えております。
高木(毅)委員 ありがとうございました。
 次に、これも先ほど岩崎委員も御指摘でございましたけれども、過剰米対策についてお伺いをしたいというふうに思います。
 豊作による過剰米については、主食用と区分して安価に出荷した過剰米に対して、米穀安定供給確保支援機構が無利子で短期融資を行って、一たん市場から隔離する仕組みというのが用意されております。そして、一年の間に販売できなかった場合には、融資の返済を担保となる米の引き渡しで行うことができるというふうになっておりまして、そして、その米を新規の加工用、飼料等の需要開拓に結びつけるということになっているわけでございます。
 さてここで、新規の加工需要等をどのように開拓していくのかお伺いしたいというふうに思います。
 私は、これができれば本当に苦労はしないと思います。先ほども岩崎委員の質問に対して、えさ米だとかあるいは加工米という話もございましたけれども、さらに具体的に拡大していく方策等も含めて、ぜひ過剰米対策についてお伺いをしたいというふうに思います。
石原政府参考人 過剰米短期融資制度における需要開拓をどのように行うのかという点でございますけれども、この米穀安定供給確保支援機構に現物弁済されました米につきましては、基本的に新規用途等に販売していくことによりまして、需要開拓に結びつけることが重要でございます。
 具体的な用途といたしましては、米粉パン原料用が考えられます。それから米粉調製品の代替、それにかわるものとしてやるということです。それから、まだ非常に価格は安いのでございますけれども、バイオマスへの利用、すなわち生分解性プラスチック、こういうものに用途を向けていくということが考えられます。
 このような新規用途に販売を円滑に行うという観点から新しく創設します機構、この機構におきましては、短期融資の附帯業務といたしまして、実需者との情報交換等、新規需要の開拓に積極的に取り組むことを検討しているところでございます。
 このそれぞれの用途への販売に当たりましては、過剰米短期融資制度、これが円滑に回らなきゃなりません、運営されなきゃなりませんので、その販売価格水準等を勘案しながら運営していく、すなわち、より高い方から売っていくということを考えておるところでございまして、このような点に留意しながらこの制度の円滑な運営に努めていきたいと考えているところでございます。
高木(毅)委員 ただいまの過剰米にも関係してくるわけでございますけれども、米の消費拡大ということについて少し御質問したいというふうに思います。
 私は、消費拡大というのは本当に極めて重要な問題であるというふうに実は認識をいたしております。そのためには、もちろんおいしい米をつくるということは大事なわけでございますが、今も話に少し出ましたけれども、最近コンビニエンスストアで米粉パンがサンドイッチとして売り出されるというようなこともあったかと思いますし、またさらには、私は、いわゆるインスタントラーメン、最近ではカップめんと言ったらいいかもしれませんが、そういったものを米粉めんにするというようなことも考えていく必要があるのではないかなと思っております。
 このように、種々の商品について、御飯として食べるだけではなくて、米粉などで利用することによって積極的に消費拡大を図るべきだと考えておりますが、米粉に限らず、その方策等について今も少しお話しいただきましたけれども、さらに農水省として何か具体的な考えがあれば、ぜひ米の消費拡大、いろいろなところに米あるいは米粉を使っていくというようなところで考え方をお聞きしたいというふうに思います。
北村副大臣 先生から今まさしく御指摘をいただきました米粉を使ったパンあるいはラーメン、あるいはお好み焼き等々に、今現実にそれらの開発がされて一部消費者のお手元に届いているという現状でございます。
 米の消費が減少傾向にあるわけでありますから、そういった面で、先生御指摘のとおり、米粉パンなどを使った新規用途の需要拡大というものが非常に大切だというふうに認識をしておりまして、そういう観点からは、この原料米の無償提供をするだとか、あるいは原料米の値引き売却をしたり、あるいは基礎的な加工利用技術の開発を前向きに検討させていただくとか、あるいは新規技術の紹介や普及などをこれまでも実施してきたところでございます。
 昨年の六月に近畿農政局管内における近畿米粉食品普及推進協議会というのを実は立ち上げをいたしました。またことしの二月にも中国四国農政局管内の米粉利用シンポジウムの開催など、これは官民一体となってさまざまな取り組みを行っておりまして、先生御指摘のように、米粉を使ったいろいろな改革、あるいは技術の普及、そして国民への普及を含めたシンポジウム等々を精力的にやってまいりたい、このように考えているところでございます。
高木(毅)委員 ありがとうございました。私も米粉パンあるいはまた米粉による冷やし中華などもいただいたことがございますけれども、決して遜色のないおいしいものでございましたので、ぜひこうした取り組み、どんどん進めていっていただきたいというふうに思います。
 それでは最後になりますけれども、ひとつ食育についてお伺いをしたいというふうに思います。
 言うまでもなく、食べ物、あるいは食事というものは、子供の成長のみならず、大げさに言えば、人間の基本的な非常に大切な問題であると認識をいたしているところでございますが、残念ながら、私ども、うちの子供も含めて、最近の子供というのはどうも食べ物だとか食事に対して思い入れが少ないというふうに思っております。
 また、残念ながら、これも私も含めてかもしれませんけれども、若い親たちも同様であって、しっかりと子供に対して食育を指導しない傾向があるというふうに思います。親の責任はもちろん責任としてしっかりしなきゃいけないわけでございますけれども、こうした状況を踏まえて、今後、国として食育というものをしっかりとやっていっていただきたいという思いがございます。
 最近、私ども地元の新聞の調査でも、北陸四県ではもう既に何か九〇%以上の学校で何らかの形で食育をやっていただいているということでございますけれども、さらに効果のある食育を進めていくことが必要かというふうに思いますので、ぜひ、この食育というものに対する農林水産省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
熊谷大臣政務官 食育の問題でありますが、今先生お話しのように、現在、食生活の多様化、外部化といったものに伴って、食と農の距離が非常に拡大されております。家庭における食生活の教育機能というものが低下をするなど、食と農をめぐるもろもろの問題というものが顕在化しておりますが、子供のころからみずから食について考える習慣を身につけて、食に対する関心や理解を深めていくということが非常に大事であるし、食育の推進ということが極めて重要な問題であろうというふうに認識をしております。
 このため、農水省といたしましては、幅広い国民参加のもとに、現在、文部科学省あるいは厚生労働省等の関係府省や都道府県等の関係機関及び栄養改善や衛生管理等の各分野の自主的な活動とも十分に連携をしながら、みずから食について考える取り組みを国民運動として展開していく、食に対する関心や理解というものを深めていくこととしております。
 具体的には、まず、全国段階の取り組みでありますが、食育の推進母体として、食を考える国民会議の充実強化を図る、あるいは、毎年一月の食を考える月間における食を考える国民フォーラム等のさまざまな催しの集中的な開催等を推進することとしております。
 それから、地域段階の取り組みでありますが、まず、子供たちに対して、地場の農産物を使った学校給食を活用して、地域食材の生産、流通や伝統的な食文化等に対する関心を持たせるための取り組みを進めるとか、さらには、農業関係、栄養関係、衛生関係、調理関係、食文化関係といった知見を有する食育推進ボランティアというものを育成しながら、学校等の場を通じて食べ物の適切な選び方や食の安全というものを教える取り組みを、多様な活動という形で総合的に展開しているところであります。
 農水省といたしましては、食育の重要性というものを踏まえながら、これからもさらに力点を置いて積極的に推進をしてまいりたいというふうに考えております。
高木(毅)委員 時間でございますので、以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
小平委員長 次に、白保台一君。
白保委員 主要食糧法の改正について質問を行いたいと思います。
 今回の改革は、生産調整を初めとする米政策を大転換する大改革である、このように思います。米の閉塞状況という厚い壁を打ち破る大事な政策でもあります。農業者が夢と希望を持って米づくりを行うために、この壁を打ち破るのは、農業者みずからがこの壁を打ち破る意識改革が強く求められているのは言うまでもありません。したがって、昨年十二月に策定した米政策大綱を即座に実行に移す必要がある、このように考えます。
 そこで、我が国の水田農業政策、米政策をめぐる状況が、四十年近く、国任せ、補助金支援で、米は売れる、国が買い上げてくれるものだという考えが深くしみついていたのではないかと思います。生産者みずからが考えて農業を営むという形、そういったものではなかった。言ってみれば受け身的な、そういった形というものが改革をおくらせてきたのではないか。こういう面では国にも大きな責任がある。
 そういう面で、国がどのような反省、あるいは今後どのように取り組んでいこうとするのか、その啓蒙啓発、そういったことについてもまず大臣の決意を伺っておきたい、このように思います。
亀井国務大臣 お答えいたします。
 今委員御指摘のとおり、非常にいろいろの課題、問題が山積をしてきてしまった。本当にこれは、国、あるいはまた生産者、また消費者、いろいろの面で、この米をめぐる情勢、いろいろの課題を持っておるわけでもございます。ここで、現実といたしまして、需要の減少、生産調整の限界感、負担感の高まり、担い手の高齢化など、本当に閉塞状況、こういうところに至っておるわけであります。
 水田農業につきましては、これまで生産調整を初めとする各般の施策を実施してきたわけでありますが、先ほども申し上げましたが、だれのため、何のための生産調整かというメッセージが農業者に伝わらずに、生産調整の助成体系が複雑で理解しにくい仕組み、このような問題点、あるいは、米生産に対しますさまざまな助成を行う一方で米減産に多額な助成資金を投入するなど非効率な政策、また、生産調整の配分理由やその経過が不透明であり政策効果がきちんと検証されないなど政策の透明性の確保が問題、このようにいろいろの問題点があるわけでありまして、これらの結果として、米の閉塞状況、こういうものを招いておるわけでもございます。
 このため、今回の米改革におきましては、このような閉塞状況を打開する、消費者重視、市場重視の考え方に立ち、わかりやすく、効率性、透明性を確保しつつ、需給調整対策、生産構造対策、流通制度の改革を整合性を持って行う、こういうことによりまして我が国の水田農業の未来を切り開いていきたい、このように考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
白保委員 そこで、今回の改革とこれまでの水田農業政策の大きな違い、それについてまずお聞きしたいと思います。
石原政府参考人 これまでの水田農業政策と今回の米政策改革との大きな違いということでございますけれども、今回の米改革におきましては、これまでの水田農業政策に比べまして、先ほど来出ておりますように、メッセージが明瞭でわかりやすい政策にする、それから効率的でむだのない政策にする、そして決定と運用のすべてのプロセスについて透明性の確保された政策を構築する、そういうことにしているところでございます。
 具体的にはどういうことかといいますと、助成措置につきまして、地域の多様な取り組みにこたえられる新たな発想のもとに、全国一律の方式から転換いたしまして、地域みずからの発想、戦略と地域の合意に基づく取り組みを支援する産地づくり対策、それから米価下落の影響を緩和する米価下落影響緩和対策、こういうものを柔軟に実施する産地づくり推進交付金を創設することにしております。地方分権の発想とお考えいただきたいと思っております。
 それから、二つ目には、効果的な需給調整のため、生産調整面積を配分する方式から生産数量を調整する方式へ転換するという点がございます。
 最後に、三つ目に、数量調整のプロセスの透明性を確保するため、公正中立な第三者機関的な組織を活用いたしまして、透明な手続のもとに客観的な需要予測を策定して、需要に応じた生産目標数量を配分できるようにするということでございます。これまでは、農家にとりまして、実際、配分の面積が割り当てられても、これがどういう根拠があるものかというのはわからなかったという点があるわけでございますけれども、今回は透明性のもとに決定いたしますので、その辺も理解してもらえるものと思っているところでございます。
白保委員 改革が実を結ぶには、生産者だけじゃなくして、消費者も含め、国民全体が今回の改革を理解し、認識した上で、これはいいというふうに実感ができる、こういった必要があるんだろうと思います。
 今回の改革は、生産者、消費者にとってどのようなメリットがあるのか、また、軸足は消費者に重点を置くというスタンスが言われてまいりましたが、それについても変わりはないのかどうか、この辺の御説明をお聞きしたいと思います。
石原政府参考人 今回の改革で、生産者、消費者にとりましてどのようなメリットがあるかという点でございますけれども、今回、需給調整につきまして、これまでの面積から、数量で配分するという方式にいたします。
 そして、これで、実際の助成のやり方につきましても、地方分権という発想でやるということでございまして、これまで必ずしも、産地によりましては、麦それから大豆、そういうものに適さないところにおきましてもそういうものに生産が向けられていたという面がございます。そういうものを、その地域の条件、特性に合った作物への生産が図られるということが考えられると思っております。
 そしてまた、集荷、流通面でも、米の流通ルートを自由にし、それから消費者との結びつきを強めて顔の見える流通を後押しするということで、消費者の関心が高い米の表示につきましても、適正表示の確保等が行われるということになります。
 こういうことから、生産者にとりましては、地域の条件に合った作物を創意工夫をもって生産できる。そして、先ほども申し上げました、面積から数量に変わるということもございまして、これまではなかなか取り組みにくかった有機米や減農薬、そういうものの生産にも目が向けられるようになる、つくりやすくなるということであろうかと思っております。
 こういうことが、消費者にとりましても、有機米あるいは減農薬米のニーズが高いわけでございますので、そういうものの生産が進むということで、安全、安心にもこたえられる、そういう消費者のメリットもあろうかと考えているところでございます。
白保委員 期間の問題について伺いますけれども、出発点としての準備期間は一年間として、十六年から改革がスタートして、目標は二十二年。米づくりの本来あるべき姿の実現とか、うまい米づくりの実現と改革プランでは示されているわけですね。
 この期間そのものについてもいろいろの意見や議論があるようですが、目標年次を早める必要があるのではないかなというような考えもあります。ソフトランディングと言っているような余裕があるのかどうかという問題も一つありまして、時間との競争だけに、我が国農業の体質強化を早急に図る必要があるだろう、農業の構造改革の速度を速めるべきではないかな、こう思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
川村政府参考人 平成十二年三月に公表いたしました「農業構造の展望」におきまして、平成二十二年の望ましい姿といたしまして、効率的、安定的な農業経営、四十万程度の経営体、また農地利用の六割程度が効率的かつ安定的な農業経営に集積するといったような見込みをしております。
 ただ、率直に申し上げまして、現状、この効率的、安定的な農業経営を目指す認定農業者数は、現在十七万経営体程度でございますし、また認定農業者等への農地の集積、これも目標の八割弱にとどまっておるところでございまして、特に近年鈍化傾向ということもございます。特に土地利用型の構造改革がおくれているということでございまして、今後格段の努力が必要という状況にございます。
 米政策は、まさに水田農業の構造改革を加速化するという観点も含まれておりまして、そういう観点からもつくられておりますので、まさに米政策改革大綱の中に盛り込まれておりますように、集落段階での話し合いを通じまして、地域ごとの担い手を明確にした上で、この担い手を対象とした各般の施策を重点化していくということで、その目標達成に全力を尽くしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
白保委員 そこで、改革のスタートに当たって、一定の道しるべといいますか、そういったものが示された。しかし、予算的に、いわゆる出口をどうするのか、こういったものがはっきりしない。そういう面では、生産者は先行きがよく見えないんじゃないのか。ガイドラインを決められても、現場の生産者は、そういったことを考えると非常に困惑している部分もあるんだろうと思います。
 ガイドラインには、地域からアイデアを募集し十六年度から取り組みに生かします、こういうふうに提示していますが、予算が決まらない、出口がはっきりしない、そういう中でアイデアを出せといってもなかなか出しようがないんじゃないのか、提案しても不安が残っていくんじゃないのか。こういう面についてはどのようにお考えでしょうか。
須賀田政府参考人 今回の米政策改革のポイントは、具体的な使途ですとか助成水準は地域みずからの発想と戦略で決定できる仕組みを構築する、こういうところにあるわけでございます。上から言われるのではなくて、地域の自主性を尊重する、創意工夫を尊重して、地域みずからが考えて産地づくりをするということでございまして、その旨は、パンフレットでございますとか懇談会を通じて十分説明をしております。
 地域からのアイデアの応募状況でございますけれども、五月二十日現在で約百件我々のところへ届いておりまして、都道府県、市町村の段階で、今後提案しますよというところが多数ございます。
 要は、地域農業が置かれている現状を踏まえて、自分らの地域の中でどういう経営体がどのような作物をどのぐらいつくるか、そのためには何をしたらいいかということでございまして、課題はちゃんと認識しているはずでございますので、それを克服するにはどうしたらいいかということを考えてほしいと思っております。
 いやしくも農業、農政に携わる者が、予算措置の内容がわからないからアイデアが出ないというのでは情けないというふうに思っておりまして、産業としての自立というのも目標でございますので、これで知恵が出ないようでは、我が国水田農業の将来もないんじゃないかというようなことに思いをいたされて対応をしてほしいと思っております。
白保委員 なかなか、非常に皆がよく理解しておられるというような感じで物をおっしゃっているような感じがしますが、自主的に判断しなさい、自分で決めなさい、自立は自分で頑張るんだよ、こういうふうにおっしゃっているんだと思いますが、理解度の問題で、百件だとか多数だとか今お話がありましたが、これは、実際にこの改革がどこまで理解されているのかということ、一つ大きな問題としてありますよ。説明をしておりますと、こういう話があります。
 しかし、もう一面では、生産者のみにかかわらず、消費者も理解を、国民全体が改革に対して理解を示していかなきゃならない、こういうことが一番大事だ、こう思うんですね。したがって、それをひっくるめてどれぐらいの理解が進んでいるというふうに認識を持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
石原政府参考人 消費者も含めて国民全体がどの程度理解しているかという点でございますけれども、我々、先ほど来お答え申し上げておりますように、全国での説明会、それからブロックごとの説明会、それから都道府県、市町村、集落での説明会を頻繁に行って、徹底してその周知徹底に努めているところでございます。
 その際に、我々必ず、生産者だけお呼びするんじゃありませんで、生産者、それから流通関係の方々、そして消費者も含めまして、幅広く、国民各界各層に訴えかけまして、今回の米改革の内容の周知徹底を図っているということでございます。
 実際、それがどの程度御理解いただいているかという点につきましては、そういう数字的なものというか、客観的なデータでお示しするのはなかなか難しいわけでございますけれども、我々いろいろ、例えばメールマガジンという形でやっておりますけれども、そういうものへの反応とか、そういうところで見ると、かなりの浸透はしているのじゃないかと思っております。
 ただ、ただいま委員の方からお話がございましたように、それが徹底しているか、それで十分かという点につきましては、まだまだ反省する点がございますので、引き続き、これのいろいろな助成措置等はまた順次決まっていきます、徹底して、繰り返し繰り返し、そういう説明会あるいはパンフレットの作成、そういうことを行いまして、国民への周知徹底、消費者も含めた周知徹底に努めていきたいと考えているところでございます。
白保委員 あと、過剰米について若干伺いたいと思いますが、市場原理、競争経済ですから、そういった中で、この過剰米の問題についても市場経済ということから考えたら非常に課題が大きいな、こういうふうなことも思うわけです。
 そこで、高い評価を受けているお米と調整保管のお米との状況というのは、今どのような状況になっているのか、それを伺いたいと思います。
石原政府参考人 米の評価でございますけれども、米の評価につきましては、基本的には、自主流通米価格形成センター、ここで価格の決定がなされますので、それを見ることが一番簡易な方法であろうかと思っております。
 これによりますと、平均が大体一万六千円程度ということでございます。一万六千円程度でございますけれども、具体的な名前を出してあれでございますけれども、例えば新潟のお米につきましては、大体一万八千円程度で推移してきました。十三年産につきましては一万八千円程度でございましたけれども、今回、表示のいろいろな取り締まりを強化したということもありまして、この何カ月間かは二万円を超える、今までの一万八千円から二万円を超えるという水準になっております。中でも魚沼につきましては、これまでは大体二万六千円ぐらいで推移してまいりましたけれども、三万を超えて三万一千円とか、そういうような数字になっております。
 我々、こういう魚沼のコシ、それから新潟のコシ、すべてのところがこういう水準を目指すというのは難しいわけでございますけれども、売れる米づくりに努めていただくことによりまして、いい米、消費者に喜ばれる米をつくっていただきたいと考えているところでございます。
白保委員 需要ごとにそれぞれの価格で安定供給できる米づくりというのは当然必要になってきますね。また、そのためには、それぞれの産地別に適した米づくりが必要となってまいります。生産者と消費者のニーズの的確な情報が欠かせないと思いますけれども、その的確な情報についてはどのようになされるのか、お伺いします。
石原政府参考人 情報という点につきましても、価格につきましては一般紙等でもいろいろな報道がされております。それから実際、価格の変動につきまして、末端の価格まで、例えばセンターでの価格の変動が末端の消費者の価格、そこまで変動しているかという点は、若干タイムラグとかそういうのはございますけれども、そういう変動によりまして、消費者も、米の状況をつかまえられるような状況になっていると思っております。
 それから、何といいましても、米に関する情報というのは非常にマスコミ等の関心が高うございます。あらゆることがマスコミを通じましていろいろな報道がされるということで、我々、米にかかわるいろいろな制度の問題、それからまた国際的な問題、そういうものにつきましては、消費者あるいは国民の皆様方への情報提供がなされているのではないかと考えているところでございますけれども、引き続きこういう点につきましては十分配慮していきたいと思っております。
白保委員 そこで、政府備蓄米の現況についてお答えいただきたいと思います。
石原政府参考人 備蓄米につきましては、現在、食糧庁といたしましては、大体百万トン程度を備蓄するということで、それを目標にして運用しているところでございます。
 しかしながら、百万トン程度にとどまりませんで、これまでの古米をたくさん抱えておりまして、現在、最新の数字では、政府としては百五十万トンでございますけれども、それ以外のも含めますと大体二百万トンぐらい古い米を抱えている、そういう状況になっております。
白保委員 全体の国が負担している金額はどれぐらいになりますか。
石原政府参考人 備蓄米のその金額、これは基本的に、一トンにつきまして年間の経費が大体一万二千円かかります。ですから、百万トン備蓄するということになりますと、大体百二十億円、それぐらいのお金がかかるということになります。
白保委員 時間も余りありませんので、聞きますが、効果的な過剰米対策を実施し実のあるものにするためには、豊作分を確実、正確に出荷することが必要条件だろうと思います。
 そこで、過剰米処理の達成度合いや、豊作による過剰米のうち、出来秋時において区分出荷され、翌年三月時点において市場から隔離されている米と、それまでえさ処理等の主食以外の用途に処理されている米の合計量により算出することにしておりますが、助成金への反映の仕方について、過剰米対策として区分出荷の実効性の確保はどうなっているのか、それをお聞きしたいと思います。
石原政府参考人 この過剰米短期融資制度、これが円滑に運営されるかどうかは、ただいま委員の方からお話がございました、区分出荷が実効性を持って行われるかどうかということがポイントであろうかと思っております。
 我々、その実効性を確保するための措置といたしまして、基本的には、米需給に関する情報を伝達する、それからまた、農業者に、JAの米の事業の改革を通じまして区分出荷の必要性に関する意識改革、こういうものを進めるということが基本にあります。それに加えまして、区分出荷等の過剰米処理の達成度合いを米価下落影響緩和対策の都道府県段階への助成金に反映させるということもいたしております。それから、過剰米処理に係る拠出を生産調整メリット措置の交付要件とするということもしておりまして、こういうことで、より広い農業者の参画を推進したいということでございます。
 いずれにしましても、この区分出荷ができるかということがポイントでございますので、農業者にもわかりやすいような方法を講じまして、この区分出荷の推進、促進に努めていきたいと考えているところでございます。
白保委員 それとあと、生産調整だとか担い手の問題だとか基盤整備の問題等もさまざまにお聞きしたいと思っておりましたが、これは割愛させていただきまして、最後になりますが、実はWTOに関係してお聞きしたいと思います。
 先日、十六、十七と沖縄の名護の万国津梁館において、フィジーの首相と小泉首相が共同議長になって、太平洋・島サミット、島嶼国サミットが行われました。その中で、いわゆる沖縄イニシアチブということで、環境問題や教育の問題、安全保障の問題等が議論されて、非常に大きな成果を上げたサミットであった、このように思っています。
 その後、私は、縁がありまして、パラオの大統領、レメンゲサウ大統領と一緒に石垣島に行きました。十七、十八と二日間、一緒に行動したわけですが、その際にパラオの大統領にWTOの現在の農業交渉の問題について伺いましたら、アメリカからは変な目で見られていますけれども、私は日本支持です、こういうふうに明確におっしゃいました。
 私は一緒に、石垣市の招聘だったのですが、石垣へ行って、黒真珠の養殖の場、そういったところとか、あるいは、前は熱研と言っていましたけれども、今はJIRCAS、国際農林水産業研究センター、これに変わっておりますが、そこに行って、トロピカルフルーツの害虫の駆除の問題とか、さまざまにパラオも悩みを持っていらっしゃるわけですね。そこの所長さん方とも懇談をしながら、彼らが求めていたのは、当然、沖縄イニシアチブも大事な話なんですが、もう一つはやはり、自立していくために、農林業、水産業といった問題についても非常に関心を持っていて、その視察に行きました。そこでいろいろとお話をしたわけです。
 やはり、日本に対する大きな信頼といいますか、日本と一緒になって行動していこう、こういったものがありありと感じられまして、そのことが日本支持というふうに言わせたんだろう。私は南太平洋ですからケアンズかなと思っておりましたけれども、実は、本人はそのようなお話をしておりました。
 そこで伺いますが、米政策の大改革というような形になっておりますけれども、WTO交渉の問題というのは米改革についても大きな影響を与えると思うんですね。それはそれとして、今後、今のWTO交渉の中で、いわゆる後発の開発途上国といった人たちに対する日本の働きかけというのがどうなっているのか。そしてまた、そういうところに対しては、日本の農業政策としてあるいは農林水産業政策としてどういうふうなかかわりを持っておるのか。こういった面について、最後になりますが、お伺いしたいと思います。
西藤政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、農林水産業は開発途上国にとりまして非常に重要な位置を占めております。産業分野でも、もろもろの分野で重要な地位を占めております。私ども、その健全な発展というのは極めて重要だということで、我が国のODAの分野においても、開発途上国の農林水産業の割合というのは非常に大きなウエートを占めてきている、一般論はございます。
 そういう中で、今先生御指摘の、特に後発途上国、LDCでございますが、私ども、やはりそういう諸国につきましては、技術協力と無償の資金協力ということで対応してきているつもりでございます。我が国の無償資金協力あるいは技術協力のうち、大体二割から三割が農林水産分野で実施されてきているという状況にございます。それぞれ途上国各国が、少なくとも基礎的な食料については自国で生産していくんだ、それを支援していくんだということで取り組んできているつもりでございます。いろいろな外交ルートが基本になりますが、我々要請には積極的に対応していきたいというふうに思っております。
 それともう一つ、WTOとも関連いたしますが、私ども、後発途上国への一層の支援という観点から、本年四月から後発途上国に対して、いわゆるLDC特恵と申しておりますけれども、農林水産分野の対象を拡充いたしております。現在、改正後、後発の途上国からの農林水産物の輸入の八割強は無税に対応させていただいております。
 こういうような技術協力、資金協力あるいは貿易面での協力を通じて、開発途上国の経済発展に資するとともに、いろいろな面での連携を図っていきたいというふうに考えております。
白保委員 時間が来ましたけれども、最後に大臣、今のWTOまた後発途上国の問題も含めて、御決意を伺いたいと思います。
亀井国務大臣 今御答弁申し上げましたが、我々、EUとも緊密な連携をとって、また途上国にも我々の考え方を示し、バランスのとれた形で進めなければならないわけであります。それら途上国につきましても、いろいろ関係機関を通じて積極的にそのコミュニケーションを図ってまいりたい、このように考えております。
白保委員 終わります。
小平委員長 次に、佐藤敬夫君。
佐藤(敬)委員 最初に、石原食糧庁長官にお伺いいたします。
 国は、生産調整の達成を主目的とした政策から、米政策改革大綱とか基本要綱を作成して公表して、地域農業の構造改革を地域で実践する取り組みの中で生産調整を推進する政策へ大転換をして、需給調整は、生産者、生産者団体が主役となるシステムを目指す、こういうことを方向として決めたわけでありますが、これは想像を絶するような大転換であります。
 さっき白保委員の答えに須賀田局長が、予算も見えないようなところで、予算がないからできないなんという農家は、そんなものは要らないみたいな話を言っていましたけれども、これは冗談じゃないですよ。これだけの大転換をするのに、なぜ変わったのか、なぜ変えたのかというその基本的な中に、何の反省もなく、五十何年も続いた日本の農政に黙って従ってきた農家の皆さんに、これから変わろうとする部分に、考え方の中に何が必要かといったら、それを国がどう予算づけしていくのかということがなかったら、どこでどういう議論をするんですか。十年早いよ。十年たって、それでもそういう意識に農家が変わらなかったら、今の須賀田局長の意見はいいけれども、これは絶対だめですよ。
 食糧庁長官、この政策は失敗したんですよ。だから変えるんですよ。きのう本会議場の中で、筒井さんがノー原稿でかなり立派な改革法を出しましたよ、全部賛成はできないけれども。しかし、まさに今度の有事法制と同じように、この大きな政策転換というのは、与野党が一体になってでも、将来の二十一世紀の農家をきちっと生かし続けるということがなかったら、どうやってこの転換ができるんですか。冗談じゃないですよ。
 まず食糧庁長官から、そういう基本的な考え方と、反省をどうしているのか、そしてどういう方向に向かうことをこの基本的な考え方の中に織り込んだのか、お答えください。
石原政府参考人 ただいま委員からお話がございましたように、我々、今回の米に関する改革、これは大転換だろうと思っております。
 我々がこの改革に取り組みましたのは、二年半ぐらい前からでございます。おととしの一月から、我々、食糧庁挙げて、農林水産省挙げてこの改革に取り組んできたわけでございますけれども、正直言いまして、最初の年には改革はいわば中途半端な状況で終わったというように思っております。
 それを、去年の一月から再度、生産調整に関する研究会、これは食糧庁長官のあくまで諮問機関でございますけれども、これを立ち上げました。これはメンバーも非常に多うございます。総員が三十三名いらっしゃると思いますけれども、非常に大きな研究会でございます。やや生産側に偏り過ぎたかなという反省はございますけれども、非常に多くの人数の方々でそういう研究会を立ち上げまして、検討を進めてきたということでございます。
 ちょっと長くなりますけれども、この研究会は、従来のいろいろな役所の諮問機関とか何かになりますと、役所がいろいろ議論を誘導するといいますか、一定の方向へ持っていくというのが通常でございます。そういうことも一切やらなくて、これはBSEの研究会もそういう手法だったわけでございますけれども、あくまで委員の議論にお任せをするということにしたわけでございます。
 それからもう一つは、そこに出すデータそれからその会議の模様はすべて公開ということでやっております。議論しているその会場の中にマスコミの方もいらっしゃって、逐一それを追えるということをとったわけでございます。
 我々、そういうようなことを通じまして、広く国民の皆様方、特に消費者も含めた皆様方にも、米の抱えている問題、水田農業の抱えている問題について幅広く承知してもらおう、その上で改革をなし遂げたいということでやったわけでございまして、一年かけて、先ほど来出ておりますように、昨年の十二月三日の米政策改革大綱に結びつけたということでございます。
 この改革、まだまだその周知徹底ということが我々はなされていないと思っております。引き続き、これまでと同じようないろいろな説明会、これを国段階、ブロック段階、それから県段階、各段階を追ってやっていきたいと思っておりますし、こういうものを通じまして、農家あるいは農業者団体の皆様方の意識改革を図りたい。その意識改革は何かといいますと、あくまでも売れる米づくりが主眼でございまして、農業者、農業者団体が主役となるシステムを目指して、売れる米づくりを進めていきたいということで進めているところでございますので、御理解いただきたいと思っております。
佐藤(敬)委員 そこはわかるんです。しかし、こういう政策転換のときというのは、むしろ、本当にそれを主張して転換をすべきだという人が心から反省をして、そうじゃなかったら、何十年間日本の農政をしてきた人たちがみんなこれで明るいバラ色で、皆さんで決めてくださいなんという言い方をしたら、自分たちの後始末は全部生産者や生産者団体にしりぬぐいさせるという話と一緒じゃありませんか。どこにもけじめがないじゃないですか。そのことを僕は申し上げたいんです。
 今、長官の答弁は聞きましたけれども、どう変化しようが、トップダウンで生産調整を決めようが、ボトムアップで議論して上げてきて決めようが、米の生産調整の必要性とか実効確保の重要性というのは変わらないんですよ。生産調整への参加が促されるメリット対策の充実強化というのは、今この段階の中でやはり最も大事なんですよ。
 そうしたら、そういうものをどういうふうに農家の皆さんが軸にして議論するかといったら、予算で見せてあげるしかないじゃないですか。八月の予算に、きちんと大綱、大枠を描いて、あらゆる問題をこういう形で議論してみてください、大要はこうですよ、それを八月に出せるか。これまでの農政のように、どんどんどんどん議論をやっていったら複雑になっていって、決められない、決められないといって年末になってもまだ決めない、そしていいかげんな取引のところで物事を決める、足して三で割るとか二で割るとかという決め方じゃ、この大きな政策転換はいつまでたったって完成しませんよということです。
 だから、長官、もう一回答えてください。少なくともこれらの総合的なものを八月の予算できちんと示す、それに向かう決意を語ってください。
小平委員長 石原食糧庁長官、しっかり答弁してください。
石原政府参考人 ただいまの委員のお話にございましたように、生産調整の必要性、これはよく我々も考えておるところでございまして、これは農家の皆様方にもあるいは農業者団体の皆様方、農業団体の方は皆さん承知しておられると思いますけれども、承知していただきたいと思っております。
 今、潜在生産力からいきますと、我が国では大体一千四百万トンの生産ができます。しかし、需要ということにしますと、主食用ですと八百数十万トンでございます。どうしても四、五百万トンを生産調整しなきゃならぬということで、これがあくまで基本にございます。
 そのような中で、我々、今回の対策を打ち上げたということでございますけれども、今おっしゃいましたように、メリット対策、農家は非常に、例えば今まで、麦、大豆、最高七万三千円もらっておられました。これが今回の改革で幾らもらえるかということを示すように、こう言われているわけでございますけれども、我々は、あくまで十六年度予算でこれは実施していく問題でございまして、国の概算要求基準がこれから決まってきます。そういうのを踏まえた上でないとなかなかできないということで、我々は八月と言っておるわけでございますけれども、八月には間違いなく決めたいと思っております。
 設置法がもう衆議院を通過しておりまして、私のポストがもうないわけでございますけれども、間違いなく我が組織としまして、この八月にはきちっとした形で決めたいということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
佐藤(敬)委員 それでは、長官はポストがないというんですから、大臣、これは八月の予算にどういう決意を持って臨むか、お答えください。
亀井国務大臣 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、米政策の改革、これは大改革であるわけでありまして、農政のまさに基本的なこと、このように私は考えております。
 そのような観点から、昨年十二月に米政策改革大綱を決めまして、そして平成十六年度予算の概算要求決定時までに決定する、こうしておるわけでありまして、先ほど来お話しのとおり、今までの反省の上に立ち、また、これは生産者、消費者、あるいはまた国民の皆さん方の御理解をいただいて、この米政策の転換をするわけであります。
 それにつきましては、この予算につきましては、そのようなものを概算要求時点までに決定し、その上に立っていろいろなことを進めなければ、いろいろ農家の皆さん方も、来年以降の問題につきましては大変不安になるわけでありますから、そのつもりでこの問題に対応してまいりたい、このように考えております。
佐藤(敬)委員 大臣、それを八月にはきちんと仕上げるということをお約束してください。
亀井国務大臣 八月の概算要求時点までにそれらを進めていくという考え方で進んでまいりたい、こう思っております。
佐藤(敬)委員 今度は、北村副大臣に、久しぶりですから御答弁いただきたいと思うんです。
 この改革が成功するためには、やはり農業者、農業者団体が、今回の米改革の趣旨を理解して、納得することが大変重要であると思うんです。それは須賀田局長の言うとおりだと思うんです。どのように周知徹底をさせるかというときには、やはり適材適所がありますから、余り須賀田局長を出さないで、副大臣が直接全国をきちんと回って、予算を見てからじゃないと物が決まらないなんという農家はだめだなんと言っている局長は回さないでおいていただきたい。
 だって、考えてみてくださいよ。議論していれば、どうすれば公平な配分ができるか、配分以上の作付が行われていないかをだれがどう確認するのか。これは、農業なんというのは、天気相手の仕事でありますから、多分来年は天気が悪いなと思うと、ことしは少し余計植えつけて、そして稼げるようにしようかとか、やはり現場はいろいろな議論が出てきますよ。
 特に、市町村協議会なんというのは、今までの国から県からという数字が当てはめられて議論するんじゃなくて、ボトムアップだということになったら、そういう一つ一つの問題をどうしたらいいのかと。特に、経営安定対策などで生産調整参加農家のメリットというような対策はどうするんだなんということは、これは命がけの話ですよ。そうでしょう。数量配分の仕組みの中で担い手農家をどう育成するか、これだって物すごい大きな課題ですよ。こんなもの、無手勝流で参加する全部で議論をやりなさいといったって、できる話じゃない。
 やはり、丸投げじゃなくて、きちんとそういう一組一組を、予算なり方向性なり決意なり、一緒にやっていくんだということをきちんと語る努力をしていかなければいけない。今、二割ほど決まっていると言っていますけれども、恐らく、これは黙ってほっておいたらずっと決まらない。そして、大臣も予算も、やはり十一月でしたとか一月でしたとかということになるんですよ。
 どのように周知徹底を図っていくのか、副大臣の決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
北村副大臣 佐藤先生の御指摘が、私は今回の米改革の中で本当に大きな分かれ道になるであろう、こう思っております。
 私自身は、地域的に米つくりというのを自分で体験したことはないものですから、ただ、自分自身が酪農という中で、自分自身が生産調整をしてきた一生産者という経験を持つ者からすると、酪農地帯というのは、あるときには余った乳を本当に涙ながらに道路にぶちまけた、こういう経験を持ちながら、生産調整というものを身をもってやってきた、そういう地域の私から見ると、先生御指摘の、五十数年間国の政策の中で守られてきた米というのは、ある面では、本当によだれが出るほど酪農地帯から見れば恵まれているなという思いは、一時期ございました。
 しかし、その米も余りがなってきて、市場原理を導入するといったときに、私は、先ほど須賀田局長はちょっと言い過ぎだな、こう思いますが、確かに、生産者の皆さん方、それは北海道を除けば、都道府県の人方のいろいろな、山間地だとかいろいろなことがあります。ですから、生産者の方々の努力というものは私もわかり過ぎるほどわかります。
 しかし、それでも、自分のつくったものを売っていこう、そういう明確な意識というものは、この米改革の中で相当な決意を持ってもらわなきゃなりませんし、また、そのリーダーを担う組合長さん方、市町村の議員の皆さん方、あるいは農業委員会の方々、こういう方々が、本気になってこの米改革に取り組むんだという、まさしく国民全体が国民運動として起こさなければ、私は、あえてこんなことを先生に申し上げればしかられるかもわかりませんけれども、時代劇を見ているような一面がある。
 つまり、お上という権力をもって、お上が言うから仕方なくやっていたと。地域では、自分はこれだけつくりたいんだ、あそこの人はこれだけつくりたいんだ、しかし、名主が今回はこれだけにしてくれと言うからやむを得ないと。それで名主に聞くと、いやいや、代官所の代官が言うから仕方ないと。それで代官所の代官に聞けば、いやいや、江戸が言うからというふうな、そういうような仕組みをちょっとかいま見たような感じが私はいたしました。
 ここはもう全体が本気になって、我が省は大臣を先頭に、副大臣も政務官も、それこそ全国に散らばって、シンポジウムやあるいはこういうものをやってまいります。ですから佐藤先生も、地域で本当に先頭に立って、この米改革の意義というものを農民の方々やあるいはリーダーとなっていただける方々に本気にひざ詰めでやっていただけるような、そういうことが積み上がっていって、初めてこの八月に概算要求される大きな予算が生きてくるのではないかな、このように私は考えて、私も全力を挙げてやってまいりたい、このように思います。
佐藤(敬)委員 米政策にかかわる改革の主要のところは、農業者団体、地方公共団体の役割を明確に位置づけて、なおかつ地域水田農業にかかわる構造改革に取り組むことが求められているわけですね。この取り組みの核となる地域水田農業ビジョンの策定、こういうものを進行管理するということについては、地域の間で関係者で組織する市町村等の協議会が担うということになっているんだと思うんです。それが、さっき須賀田局長が、ある意味では、今のいろいろなボールを投げている部分の協議がどう上がってくるのかという姿になってくるんだと思うんですね。
 こういう問題一つにしても、さっき大臣が、きのうの趣旨説明の中で、わかりやすい、効率的に、透明性、これがこれまでと違うんだと言ったんですが、透明性を求めていくと、市町村、町村段階ぐらいの予算の中だったら、とてもとても完璧におさまるかおさまらないかというのは、この辺の割り切り方というのかな、進め方というのは副大臣は絵としてどう描いているんですか。今三つの考え方がありますと言っていますよね。これまではどっちかというとトップダウン方式ですから、さっきの、昔の映画の代官様のような姿。しかし、今度はボトムアップ。ここの中の議論が、県とか国というのがかかわりなくどういうふうに集約されていくというふうにシミュレーションを描いておられますか。
亀井国務大臣 いわゆる集落地域におきます生産者、いわゆる生産組合であるとか農業者の関係の皆さん方がお寄りいただき、またそこの関係の皆さんがお入りになって、いろいろ地域の水田農業をどうするか、こういう一つの協議会と申しますか、一つの会合があるのではなかろうか。またそれに行政の市町村の関係の皆さんが加わられる。そしてさらには、そういうものがいろいろ協議をされた上に、また地方団体、そしてまたそれは国へ、こういうこと。
 また、農業団体におきましてもそれは同じようなレベルで並行していくというようなことで、末端におきましては、生産者の皆さん方、農業者の皆さん方が、今までの地域でのそのような会合、こういうものが核になっていろいろ積み上げをしていくということが大切なことではなかろうか、こう思います。
佐藤(敬)委員 余り時間がありませんので、次に移ります。
 石原長官、今回のこの米政策の改革というのは、自給率の向上に資することになるんですよね。四〇%から四五%に自給率をという大きな目標を立ててやってきましたけれども、現実にこの自給率の向上にどう資するのかということにひとつお答えをいただきたいと思うんです。
 これはまとめて答弁してください。
 久しぶりに須賀田生産局長、あなたも一回答弁させてあげますから。今回の米政策の改革にさっき言った適地適作や地域の自主性尊重の考え方がどのように盛り込まれているのか。
 余り長くじゃなくて、この二つをきちっとわかりやすく答えてください。
石原政府参考人 今回の米政策が自給率向上にどう資しているのかという点でございます。
 何といいましても、この自給率の向上、これは農政に課せられました重要な政策課題でございます。それで、我々、昨年十二月に決定いたしました米政策改革大綱の中におきましても、「水田農業経営の安定発展や水田の利活用の促進等による自給率向上施策への重点化・集中化を図る」ということをきちっと明記しているところでございます。
 具体的に言いますと、消費者重視、市場重視の考え方に立ちまして、需給調整システムを改革して、需要に即応した米づくりを推進するということで、需要に対応していない生産は意味がありません。そういうものを進めるということでございますし、「農業構造の展望」に沿いまして構造改革を進める観点から、経営政策それから構造政策を構築する。そして、需要に即した高品質の麦、大豆生産に取り組む生産者に対する支援策、それから耕種農家と畜産農家の連携による水田を活用した飼料作物生産、こういうものに取り組む生産者に対する支援策を実施するということで、我々、麦、大豆、特に飼料作物、こういうものについて、自給率向上の観点から期待しているところでございます。
 さらに、多収性品種や新形質米の開発普及、低コスト化農法の定着、耕畜連携のための条件整備、それから輸送の効率化、こういうことによりまして、飼料用稲や加工用米の定着、拡大に向けた取り組みを推進するということで、これらを総合的に講じることによりまして、今回の改革によりまして自給率が向上するという形に持っていきたいというふうに考えているところでございます。
佐藤(敬)委員 須賀田さん、ちょっと待って。
 今、大豆作の経営安定の話も出ましたけれども、水田を中心とした土地利用型の活性化対策以降、自給率向上に向けて大豆の作付拡大が進んで、全国的な生産量の急増により、価格が大幅に下落しましたよね。大豆価格の低下を緩和するため、大豆作経営安定対策が措置されているけれども、下落幅が余りに大きいことから、対策実施二年を経過して、大豆作経営安定資金が大幅な赤字となっている。制度自体に大きな影響が出ることを懸念するんですけれども、それらはどうするんですか。これはどなたですか。――では、須賀田さん、答えてください。要するに、この……
小平委員長 佐藤敬夫君、まだ続けますか。
佐藤(敬)委員 いえ、では須賀田さんに。
小平委員長 須賀田生産局長、局長もしっかり答弁しなさい。
須賀田政府参考人 はい。先ほどのとあわせまして……(佐藤(敬)委員「いや、あわせなくていいよ」と呼ぶ)
 大豆につきましては、大豆としていわゆる豆経と言われるような経営安定対策と交付金とを両方講じているわけでございます。大豆は大豆で、田んぼと畑を通じまして平成二十二年を目標年次とする生産目標を立てまして、水田におきましては、それにこういう生産調整の助成金も加味いたしまして自給率向上ということを目指しているわけでございます。
 一番の問題は、やはり、先生先ほど言われましたように、上から押しつけたという感が現場で強うございますので、こなし転作、捨てづくりというのが見られますので、質をどのように向上していくか、そして売れる大豆づくりをどのように推進していくかによって真に地に足のついた自給率向上策に資するというふうに我々は考えているところでございます。(佐藤(敬)委員「適地適作」と呼ぶ)ありがとうございます。
 もう一つは、まず、産地づくり対策の予算は、自給率向上のためにどういう作物を戦略的に選択して推進していくかということと、担い手育成をどうするかということを基礎にして算定します。これは八月末を目途に算定はするわけです。それと、過去の反省に立ちまして、現実に地域で使える、使い方は別途、地域の発想、戦略、まさに先生言われた自主性です。それから、地域でどのような作物を選択してどのようにつくるか、これはまさに適地適作です。これの推進のためにどういうお金の使い方をするかというのは、今そのアイデアを募集しておるわけです。
 予算の積算と使い方は今度別にいたしますので、予算を講じたときには一緒にガイドラインとして、こういう使い方をしていいよというのを示さぬといけません。だから、今は苦しくても、アイデアを募集しているということでございますので、ぜひとも御理解を賜りたいと思います。
佐藤(敬)委員 最初からそう言えばいいじゃないですか。そんな、開き直ったように、あなた、予算がなきゃ知恵がないやつは要らないなんという話をしちゃだめですよ。
 最後に、農家の経営の安定を図るための新たな対策の充実について、幾つかの基本的な考え方があると思うんですね。そこを少し何点か強調して、川村経営局長の方から御答弁をいただきたいと思います。もう時間がありませんから、簡単で結構です。
川村政府参考人 担い手の経営安定対策の考え方でございます。
 今後の我が国の農業を健全に発展していくということでは、やはり担い手が中心となって引っ張っていただかなきゃいけないわけでございます。そういう担い手が健全に育つためには、主体的に経営判断をしていただいて、そしてまた安心して営農にいそしめるということで、経営の継続、安定を確保しなくちゃいけないというのがございます。
 そうしますと、こういった制度の中で、今までは農災制度だとかいろいろな品目別の対策もしてきたわけでございますけれども、今後は経営をとらえた形でやっていくということが重要になりますけれども、一挙にはできませんので、今回、稲作経営安定対策ということでは、米価下落の影響が非常に大きい、影響を受ける方を対象にしまして、一般的な米価下落対策の上乗せとしてやるということを考えたいと思っておるわけでございます。
 そして、今回は、単に米価の下落だけではなくて、稲作収入という、PQの世界を基準にするということで、そういう将来目標に向かっての一歩だというふうに思っておりますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
佐藤(敬)委員 あと一分少々しかありませんが、きょう神奈川新聞を見ていたら、大臣しゃべっていますね。
 今、総合的にいろいろな議論を尽くしたわけですけれども、ひとつそういう大きな転換だ、そして、過去をしっかりと反省し、その責任の上に立って、大きな日本の農政というものをこれから自分の手でリードしていくんだという決意を含め、そして、昨日、何回も言って別におべんちゃら使うわけじゃないんですが、筒井さんのああいう具体的な、やはりどうして、どういう形で将来に向かってこういう制度を導入するのか。例えば農家の個人所得補償問題等々も含めて大胆に議論していくような、そういう委員会の場をひとつ大臣に開いていただきたいということをお願いし、決意をお伺いして、終わりたいと思います。
亀井国務大臣 今度の米改革、需給調整対策、あるいはまた生産構造対策、あるいは流通制度の改革、大変な改革をするわけでありまして、これはまた、紙に書いたことだけでなしに、現場というものがあるわけであります。
 そういう面では、それらを総合的に、消費者重視、市場重視、こういうようなこと等、いろいろ言葉では出てくるわけでありますが、現実のものにするためには並大抵でない努力が必要であるわけでありまして、その面につきまして、省を挙げて全力でその目的の達成のために頑張って、そして我が国の水田農業と米経済の再建のために努力をしてまいりたい、このように考えております。
佐藤(敬)委員 ありがとうございました。終わります。
小平委員長 次回は、明二十二日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五分散会


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