第14号 平成15年5月28日(水曜日)
平成十五年五月二十八日(水曜日)午前十時一分開議
出席委員
委員長 小平 忠正君
理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
理事 鮫島 宗明君 理事 楢崎 欣弥君
理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
青山 丘君 荒巻 隆三君
石田 真敏君 岩倉 博文君
岩崎 忠夫君 梶山 弘志君
金子 恭之君 北村 誠吾君
熊谷 市雄君 小泉 龍司君
近藤 基彦君 七条 明君
高木 毅君 山本 明彦君
後藤 斎君 今田 保典君
齋藤 淳君 津川 祥吾君
筒井 信隆君 堀込 征雄君
山内 功君 吉田 公一君
江田 康幸君 藤井 裕久君
中林よし子君 松本 善明君
菅野 哲雄君 山口わか子君
佐藤 敬夫君 藤波 孝生君
…………………………………
議員 鮫島 宗明君
議員 筒井 信隆君
議員 菅野 哲雄君
農林水産大臣 亀井 善之君
外務副大臣 茂木 敏充君
農林水産副大臣 北村 直人君
農林水産大臣政務官 熊谷 市雄君
政府参考人
(外務省経済局長) 佐々江賢一郎君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長
) 西藤 久三君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 須賀田菊仁君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 川村秀三郎君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長
) 太田 信介君
政府参考人
(食糧庁長官) 石原 葵君
農林水産委員会専門員 和田 一郎君
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委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
西川 京子君 山本 明彦君
今田 保典君 山内 功君
同日
辞任 補欠選任
山本 明彦君 西川 京子君
山内 功君 今田 保典君
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五月二十八日
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(鮫島宗明君外二名提出、衆法第二二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案(鮫島宗明君外二名提出、衆法第二二号)
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○小平委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長西藤久三君、生産局長須賀田菊仁君、経営局長川村秀三郎君、農村振興局長太田信介君、食糧庁長官石原葵君及び外務省経済局長佐々江賢一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○小平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内功君。
○山内(功)委員 民主党の山内功でございます。
国の根幹的な産業である農業を再生するためには、その経営基盤が大変脆弱だと思いますので、適切な国の関与がまだまだ必要だと思うのですが、このたびの米政策の転換については、農業者あるいは農業者団体に自主的な生産方針を決定させるという、自主的な取り組みを推進するということで、一歩国が引き下がっているというような感じにも受けとめるんですが、しかし、一つ条件として大切なことは、生産出荷団体である農協がやはり求心力を持つ、農協が決めたことは全国の農民が従うというか、そういうような求心力を持つことが非常に大切なことだと思っています。
しかし、五月二十日に出ました農業白書などにも指摘されていますけれども、この農協の求心力が、今大規模農家を中心に農協離れという現象が顕著に見られるというような指摘があるんですが、こういう指摘を受けて、この米政策の転換ということが順調にいくのかどうか、その点の危惧について、まず省の方からその見解を伺いたいと思います。
○川村政府参考人 農協系統の求心力についてのお尋ねでございました。
農協系統につきましては、一部に非常に先進的な事例もあるわけでございますが、総じて申し上げますと、特に担い手となります大規模農家から、資材価格が高いでありますとか、また大口利用への割引がないなど、農協系統を利用するメリットに乏しいという指摘等がなされておりますことは事実でございます。
そういう声も受けまして、また、農政改革も進めておりますので、系統での農政改革が必要だということで、昨年来、農協のあり方について検討してまいったわけでございます。
本年三月末の研究会の報告書におきまして、今後の農協の営農、経済事業の改革につきまして方向が出されたわけでございますが、その中で特に柱となりますのは、経済メリットによりまして、農業者、特に担い手に選択してもらえるような農協になること、また、農業者に対しまして国産農産物の販売拡大と生産資材のコストの削減に強力に取り組んで、農業者の所得の増大を図ること等、経済事業等について大胆な合理化、効率化を進めるということが必要だとの提言がなされておりまして、農協系統としましても、この秋に農協大会もございます。この報告書の指摘を真摯に受けとめていただいて、確実に改革を実行していただくことが重要であると思っております。
農林省といたしましても、この米改革等大事な農政改革を踏まえておりますので、この研究会の報告の内容を十分検討いたしまして、農協系統が多様化、高度化します組合員ニーズに的確に対応していけるように適切に指導していきたい、こういうふうに思っているところでございます。
○山内(功)委員 農協改革はしっかりしていただきたいとは思うのですが、今回の米政策の転換で、農業者の自主的な、主体的な取り組みを促すということが大方針になってきているわけなんですが、もしそうだとすると、今度は反対に生産調整方針について国が認定をするという制度をつくったというか残したというか、それはどういう趣旨なんでしょうか。
○石原政府参考人 生産調整方針につきまして、これは生産出荷団体等が作成するものでございますけれども、これにつきまして国が認定するという仕組みを入れております。これは、生産調整方針に基づきまして生産出荷団体が生産調整を行うわけでございますけれども、それにつきまして実効性が上がるようにということでこういう認定という制度を設けたものでございます。
生産調整方針をそのとおりやった場合に需要との関係がどうなるのか、要するに、需要を大幅に上回るような生産調整方針であったらいけないということもございます。要するに、あくまでも生産調整を実効が上がるようにしていただくということで、こういう認定という仕組みを入れたということでございます。
○山内(功)委員 そうすると、認定をしないという場合もあると思うんですが、認定をしないという具体的なケースはどのようなケースが想像されますか。
○石原政府参考人 認定をしない場合を具体的に申し上げますと、その前にこの認定の基準を申し上げた方がいいかと思いますけれども、この認定の基準につきましては、方針の内容が基本指針に照らして適切なものであるかどうか、それから、方針に記載されている生産目標数量を達成するためにとるべき措置が、目標を達成するために適切なものであるかどうか、それからその他農林水産省令で定める基準として方針が法令に違反するものでないかというものでございます。
それぞれに認定しない場合があるわけでございますけれども、例えば、最初に申し上げました基本指針に照らして適切なものであるかどうかという点でございますけれども、申請された方針が国の基本指針において示される需要見通し、これと大きくかけ離れている、そういう内容になっている場合は、これは認定されないということになろうかと思います。
それから、生産目標数量を確実に達成する見込みがないものである場合、そういう場合も、例えば区分出荷について一切触れていない、そういう場合には認定されないということであろうかと思います。
○山内(功)委員 最初に申し上げましたけれども、国の適切な関与は必要だとは思いますけれども、せっかく自主的な取り組みを促すというような大前提があるわけですから、需給見通しについても、甘いなとかあるいは過大過ぎるなとか思っても、それはまず農業生産出荷団体がしっかりと計画書をつくるというふうに、行政としてもまず自主性を尊重するというような態度をとっていただきたいと私は思っています。
新しい助成制度についても検討されているようですけれども、例えば産地づくり対策ですね、この産地づくり対策について、五月末までに取り組み事例をいろいろな地域から上げてくださいというようなことをされているようなんですが、そういうたくさん上がってきている中で、例えば、省としてこういう点については独創性があるなとか、こういう取り組みについて全国に広めたいな、そういうような具体的な例を二、三、もし、参考のために挙げていただければと思うんですが。
○須賀田政府参考人 産地づくり対策は、国の算定と実際に地域の発想で使うのと分けて考えたいということで、ただ、何でもかんでも使えるというわけにもいきませんので、ガイドラインを示したい、そのガイドラインのアイデアを現在募集中、こういうことでございます。
私どもは、大きな観点としては、地域において消費者とか実需者のニーズに裏打ちされた真に地に足のついた自給率の向上ということで、どういう作物をどういう体系でつくるかということ、それから、やはり持続性のある経営体、担い手でございますけれども、持続性のある経営体を地域の実情を踏まえながらどのように確保していくかという観点から、特色ある産地づくりに資するものというふうに考えております。
例えば、加工用米等特色のある米生産を地域で工夫しながらどうやってつくっていくかというようなこと、それから、消費者とか実需者と、契約栽培というんでしょうか、連携をしながら転作作物を生産していくような取り組み、それから、やはり現在多いのが、担い手といいますか、地域の農業をこういうふうに構造改革をして持続的な農業生産に持っていきたい、このようなアイデアというのが上がってきているところでございます。
○山内(功)委員 産地づくり対策とそれから米価の下落影響緩和対策においては、短期融資制度についての拠出が条件となっているんですが、この点についての制度設計はどういう考慮からなんでしょうか。
○石原政府参考人 産地づくり対策と米価下落影響緩和対策、これにつきまして、いずれも過剰米短期融資制度への拠出が要件となっております。
これは、一言で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、需給調整の実効性を上げるということにあろうかと思います。何といいましても、需給調整の実効を上げるためには、作付の段階での生産調整、それから出荷、流通の段階での過剰米対策、この両方をきちっとやる必要がございます。
そういうこともございまして、産地づくり対策におきましては、米の需給調整をより確実に実施する観点から、助成金を農業者の個人に交付する場合、生産調整実施者に限定している、そしてまた、過剰米短期融資制度への拠出を要件としております。そして、米価下落影響緩和対策も、以上申し上げました理由、そのほかに、需給が緩和し価格が大幅に下落しますと制度の円滑な運営を図ることができなくなるということから、過剰米短期融資制度への拠出を要件としているということでございます。
○山内(功)委員 まだ予算規模が明らかになっていないんですが、例えば影響緩和対策あるいは担い手対策、それから短期融資制度への拠出、こういうのは、個々に一農家はどれぐらいのお金を用意して拠出しないといけないのか、どなたか言えますか。
○石原政府参考人 ただいま委員がお話しになりましたように、これらの助成措置の仕組み、これは、これまでも何度も申し上げておりますように、十六年度予算概算要求の決定時までに、各施策間の総合性、整合性を図りながら具体的な仕組みを決定していくということにしております。そのためもありまして、具体的に農業者の負担額がどの程度になるか、これを明確に申し上げることはできません。
しかし、あえて一定の前提を置きまして、その前提のもとに試算いたしますと、米価下落影響緩和対策の農業者の負担は、例えば価格が一割下落した場合に必要な資金を造成するということにいたしますと、生産者と政府が一対一という関係にございますので、十アール当たりでは約四千四百円となります。要するに、四千四百円出しまして、それで、かわりに四千四百円プラスした八千八百円いただくということになります。
それから、担い手経営安定対策の農業者の負担でございますけれども、これも米価下落影響緩和対策と同様の考え方で、例えば補てんの基準となる稲作収入が一割下落した場合に必要な資金を造成するということ、そして今我が方が提案しております生産者、政府一対一という関係を維持しますと、十アール当たりでは約千二百円となります。要するに、千二百円拠出しまして、千二百円と千二百円で二千四百円いただくということになります。
過剰米短期融資制度の農業者の負担は、融資単価とも密接に関連します。これにつきましては、現在、融資単価や、生産者団体がどのように拠出するのかという問題もございまして、これが幾らということは言えません。
なお、現在の過剰米に係る拠出金額については、農家は十アール当たり一千五百円拠出しているということでございます。
○山内(功)委員 具体的な金額が決まっていないというのはわかるんですけれども、もうこの法案が仕上がっちゃいますのでいかがなものかなとは思うんですけれども、次に担い手対策の問題について聞きます。
きのう、全国の農業委員の皆さんが東京に集まられていろいろとお話をしていたんですけれども、その中で西日本の農業委員の皆さんが、一農家で四ヘクタール持っている農家はまずいない、集約化するにしても四ヘクタール集約するというのは大変だなという意見を皆さん口々に言われるんですね。
だから、例えばの話、北海道、東北あたりは、では四ヘクでいこう、しかし、西日本から九州の方は、まずは例えば一ヘクタールの面積要件にして、集約化をそういう形で図って、次に数年たって二ヘクタールにして、集約化の進捗状況を見ながら段階的に考えていこうというような配慮はないものなんでしょうか。
○川村政府参考人 担い手経営安定対策の考え方でございます。
これは、米価下落によります稲作収入の減少の影響が大きい一定規模以上の水田経営を行っている担い手を対象にいたしまして、生産調整実施者を対象として講じられております産地づくり交付金の中に米価下落影響緩和対策というのがございますので、これに上乗せをして、単に価格だけではなくて、稲作収入の安定を図る対策として措置をしようというものでございます。
こういう考え方でございますので、産地づくりの中の米価下落影響緩和対策は生産調整を実施するすべての農業者が対象になりますが、上乗せ対策としての担い手経営安定対策につきましては、構造展望等におきます望ましい経営規模に近づく努力を促すという観点で面積要件を付しておるわけでございますが、具体的な数値といたしましては、構造展望を踏まえまして、おおむね二分の一ということでやっております。都府県は、今申されたように、個別経営にあっては四ヘクタール以上、また北海道にあっては十ヘクタール以上という要件にしております。
ただ、御指摘のように、中山間でありますとか、西日本を初めといたしまして水田営農の規模が総じて零細な地区というところもありますので、こういった個別経営で構造展望等に示す経営規模の実現を図ることがなかなか難しいというところもあるわけでございますので、今回、新たな概念といたしまして、集落型経営体の組織化という考え方もあわせて打ち出しております。こういう集落型経営体の組織化ということによりまして、まさに、零細な地域でも経営安定対策の対象となる道を開くという考え方をとったところでございます。
○山内(功)委員 まだ日本では副業農家の割合も結構あると思いますので、そういう人たちあるいは小規模農家の皆さんが反対にやる気を失うような農政にならないように、やはりこれからも検討はしていっていただきたいと思っています。
過剰米短期融資制度についてお伺いしますが、大臣、まず資金の運用とか、この制度はどういうイメージで思っておられますか。
○亀井国務大臣 需要に応じた売れる米づくりを推進する、それには豊作による過剰米対策があるわけでありまして、農業者が需給状況など市場シグナルを敏感に感じ取りながら、また翌年の生産目標数量を減少させるなど、農業者、農業者団体等が主体的に販売環境整備に取り組むことが重要である、このように考えております。
このような考え方のもとに過剰米短期融資制度の安定的な運営を図るためには、融資の原資については、生産者からの拠出、融資の返済金や現物弁済された米の販売益によって適切に運営することが必要であると考えております。
なお、初度的な原資造成や著しい豊作により原資が不足する場合については、国からの無利子の貸し付けを行うことによりまして円滑な資金の運営を支援する、このように考えております。
○山内(功)委員 米の消費の場というのは、今、家庭内よりも外食産業でたくさん消費をされているわけですね。そうすると、つまり家庭では一家四人でどれぐらいの量を食べるかなんというのはある程度計算できるにしても、外食産業の消費拡大にこれから重きを置くと、景気にも左右されますし、不安定な部分もできてくると思うんですよ。
だから、国の方でこの短期融資制度を運用していく上で、例えば景気が極端に悪くなって、外食産業に物すごく影響が起きた、つまり生産をする一年前の生産調整方針では考えられなかったような需要の減による過剰米が発生したときの担保による、言葉は悪いですけれども、質流れというんですか、そういうようなものについても適用される考えなんでしょうか。
○石原政府参考人 今、景気の動向で大きく影響されると話されましたけれども、米の消費の動向を見ますと、やはりそれほど大きな景気のあれは受けていないで、安定して、一定して低落傾向にあります。我々の計算で、年率にして大体一・数%落ちている。過去何年かの平均をとりますと、十三万トンずつ落ちているという結果になっています。我が方が八千三百戸を対象にしております調査では今回一%ぐらいにとどまりましたので、そこまでは落ちておりませんけれども、大体十万から十数万落ちているというような状況でございます。
今回の新たな米政策の改革の中では、第三者機関的な組織の助言をいただきながら需要がどうなるのかということを見通すわけですけれども、それは、過去からのトレンドがどうなっているかということを踏まえまして、きちっとした需要を踏まえてやっていただくことになりますので、我々はそういう需要の減が大きく出るということがないような運用はしていかなければならないと思っております。
それで、今御質問のありました過剰米の融資制度でございますけれども、我々は、あくまでこれは豊作による、要するに自然的な条件から過剰になった場合の制度として考えておりまして、需要減、こういうものについては対象にするつもりはございません。あくまでそれは、的確な需要見通しをつくるということが重要であろうかと思っております。
○山内(功)委員 だとすると、その短期融資制度による貸付単価というのは六十キロ幾らと想定しておられるのでしょうか。
○石原政府参考人 融資単価でございますけれども、先ほども大臣がお答え申し上げましたように、この融資単価につきましては、あくまでも、今回の改革の重要なポイントでございます需要に応じた生産の必要性が農業者に十分伝わる、そしてまた融資元である米穀安定供給確保支援機構、この機構が差損を抱えることがなく円滑な制度の運営ができるということが重要でございまして、そういう観点から、豊作により需要を上回って生産された米の価値として想定される単価、すなわち、米粉パンのような新規の加工用途あるいは飼料用等への販売価格を基本として設定することが重要である、このように考えております。
そして、この基金につきましては、必要な原資を造成するに当たりまして、農業者からの拠出では不足する場合に、国からこの機構に対しまして無利子で貸し付けをするということにしておるところでございます。そして、この融資単価や国から基金への貸し付けの規模、こういうものにつきましては、あくまで十六年度予算の問題でございますので、十六年度予算の概算要求の決定時までに、農林水産予算全体の適切かつ効果的な編成の観点に立って決定していくつもりでございます。
○山内(功)委員 私は、農業者の責めに帰すことができないような消費の減少による過剰米の発生については、もうちょっと柔軟に考えてもいいんじゃないかという思いがあります。
それから今の、差損が生じないというのは、つまり飼料とか米粉パンの市場価値というか、業者に卸す単価を見て差損が生じないようにということだとは思うんです。
しかし、私は、国のあり方というのは、みんな自由に、しかし自己責任を持って生産をしてください、生活をしてください、しかししっかりと後でセーフティーネットはつくっておきますよというのが国のあり方だと思っていますので、それが、例えば生産調整研究会で六十キロ当たり三千円ぐらいの評価をされているようです。しかし、それを固定的な金額と考えるんではなくて、需給のバランスを考えて金額についても変動を考えるとか、あるいはもう少し高目の設定をして、その責めに帰すことができないような場合には特に七千円とか八千円とか九千円とか、そういうような形でのセーフティーネット、安全網というものもつくっておく必要があるのではないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
○石原政府参考人 用途別の想定販売価格でございますけれども、我々は、米粉パンの原料用には六十キロ当たり大体四千円から五千六百円、それから米粉調製品代替、これは米粉調製品の輸入がふえるのを防ぐために、こういう代替ということで政府の持っている米を安く売っているわけでございますけれども、これが大体四千八百円ぐらい、えさ用になりますと九百六十円、それから、将来性を我々は非常に期待しておるんですけれども、生分解性プラスチックになりますと残念ながら九百六十円、こういう状況でございます。
こういう状況を考えますと、この制度がうまく円滑に回っていくということを考えますと、それからまた、何といいましても、今回の改革の重要なポイントでございます需要に応じた生産を行うんだということになりますと、やはりそれなりの価格にしかならないというように思っております。
生産調整に関する研究会で出されました議論は、ちょっと誤解を呼ぶかもしれませんが、余り物に値なしということなんですね。要するに、余り物についてそれだけ手厚くやりますと、それが結果的にほかの最も大事な主食用として売られている米の価格の低落、それに結びつくということでございますので、言葉は悪いですけれども、余分にできたものはやはりそれなりの対応をするということが主食用の米の価格をそれなりに維持するための重要なポイントじゃないかと思っております。
○山内(功)委員 だけれども、もしそうだとすると、それじゃ、六十キロ三千円でしか売れないから、えい、これも市場に出してしまえというような考えを持つ生産出荷団体が出てこないという保証はありますか。
○石原政府参考人 この点は、きのうも参考人の御意見をお聞きになられましたときに生源寺参考人がおっしゃったと聞いておりますけれども、やはり農業者の意識改革が一番重要なんですね。その農業者の意識改革を踏まえて、農協にも、要するに生産出荷団体にも、それに沿った対応、すなわち、今JAの方では、JA米改革を推進しようということでしております。やはり余ったものを農家が自由な行動として売るということが全体の米の低落につながりますので、そういうものにかんがみまして、JAも、米の改革をきちっとしよう、農家にそういうことがきちっと意識改革として伝わるようにやろうということで努めておるところでございますので、我々はそういうように大いに期待しているということでございます。
○山内(功)委員 それは確かに重要な意識改革だとは思うんですけれども、それじゃ、例えば需要の拡大ということで先ほどから米粉パンというような言葉が出ていますけれども、新規の加工分野での用途の開発に積極的に取り組む、今までと違う何かがあるんでしょうか。
○石原政府参考人 米の消費が減退傾向にあると先ほど来申し上げておりますけれども、そういうことを考えますと、主食用だけでなくて、米粉パンを初めとします新規用途の需要拡大が重要だというふうに考えております。そのために、我々、新たな加工品の開発を行う企業を支援するということで、新製品の開発を行う際の原料米の無償提供、それから原料米の値引き売却、それから加工利用技術の開発、新技術の紹介それから普及、こういうようなことをやっております。
それで、これが従来とどれが違うのかというと、少しずつ予算を変えておりますけれども、我々、一番期待しておりますのは、例えば米粉パンでございますけれども、この委員会ではもうしょっちゅう出ておりますので先生方はよく御存じでございますけれども、また、マスコミでも特に大阪のテレビ等を中心といたしまして取り上げられておりますからかなり知られておりますけれども、それでもなかなか知られていないんですね。
実は、この二十日から大手のコンビニが、米粉パン、これは米が八〇%含まれておりますけれども、それの発売に踏み切ってくれました。これも確かに一部の一般紙でもかなり取り上げられておりますけれども、こういうものが定着する、我々、余り消費者に知られていないこういうものを積極的にPRする、要するに米でつくったパンが従来の小麦でつくったパンよりもおいしいものだ、あるいは非常に腹もちがよくて、値段は少しちょっと張るわけでございますけれども、それなりの価値のあるものだということを積極的にPRしていく、こういうものに我々はお手伝いをするということが重要なことであろうかと思っております。
そういうこともございまして、農林水産省、農政局とそれから食糧事務所が中心になりまして、昨年の六月に近畿地域でそのための普及推進協議会というのを立ち上げました。そして、この六月には北陸地域でもそういうのを立ち上げてもらえると思っております。それから、シンポジウム等はしょっちゅうやっております。
いろいろこういうものがあるんだということをお知らせする、それから先ほど申し上げましたいろいろな予算で新たな新製品開発のための助成を行っていく、そういうのが両々相まって新製品の開発が進むのではないかと思っておりますので、また先生方にも御協力いただければと思っております。
○山内(功)委員 そういう考えはわかりますけれども、例えばの話、国会の売店で米粉パンは売っていませんし、国会の食堂で消費拡大のために御飯を食べましょうというような例えばシールなんかでも張ってないですよね。だから、どこまで本調子で取り組んでおられるのかというのがちょっと見えないと私は思っています。
もう一つ、学校給食なども、需要をこれから確保するというか、少子化で大変厳しい分野でしょうけれども、例えば月曜日から金曜日までの五日間しっかりと米飯給食をやってもらおうというようなことも、平均が今大体二・何日かなんですかね、拡大が必要だと思うんですが、文部科学省に聞いたら、農水省は学校給食用の米を学校に卸す際に割引していたのを何年か前からやめちゃったと聞いたんですけれども、そういう、農水省の思いと実際にやっておられることというのは少し違うんじゃないかなと思います。
この米飯給食について、消費拡大ということを視点に置いてどういうふうに考えておられるのでしょうか。
○石原政府参考人 今委員からお話がありましたように、一般的な学校給食用のお米の販売の値引き制度、これは、たしか四、五年前になりますか、廃止いたしております。しかし、現在でも、米を活用することによりまして回数の増に直接つながるような対応、そういうことをしていただく場合には米を安く売る、そういう制度はございます。
我々、学校給食にとにかくお米を取り上げていただきたいということで、これは文部科学省と連携して努めているところでございますし、食育、子どもの教育という意味でも学校給食から食育のあれが始まると思っております。そういうこともありまして、引き続き、学校給食への米の利用、それも米粉パンも含めた利用につきまして働きかけていきたいと考えているところでございます。
○山内(功)委員 米粉パンの問題、学校給食の問題、そして飼料への転用の問題、また、そういうところに本当に需要がどんどん拡大していって単価がどんどん伸びてくれば、それは六十キロ三千円という金額設定自体もどんどんまた上がってくる、差損が生じないために上がってくると思いますので、その点の取り組みはしっかりとやっていくべきだと私は思っています。
WTOの問題に移らせていただきますが、農業交渉のスケジュールについて、九月の閣僚会議まで大体どういうふうに展開していくのか、大臣、お願いします。
○亀井国務大臣 お答えいたします。
その前に、今、米粉パンのことにお話がありましたけれども、私もここ一週間、米粉パンを毎日朝食べております。先般あるところでそのことに大変熱心な御婦人にお目にかかりまして、早速お届けをいただきまして、家内と毎日朝食べて、正直申し上げて、小麦粉のパンと比較をいたしまして全く遜色のないものでありますし、今長官からもいろいろ御説明申し上げ、また私ども、いろいろな場でそのPR等々いたさなければならないのではなかろうか、このように感じておるところでもございます。
お尋ねのWTO農業交渉のスケジュールにつきましては、現在、御承知のとおり、三月三十一日に農業交渉のモダリティーが決まらなかった、こういうことで、加盟国間では九月のメキシコのカンクンに向けまして今いろいろのことがなされております。
早期にモダリティーを確立する、これは共通の認識でありまして、今行われておりますことは、引き続き事務的に技術的な事項の検討を継続する、あるいはまた六月並びに七月に予定されております農業委員会特別会合の機会があるわけでありまして、ここでの各国間の協議、あるいは六月にはエジプトでWTOの非公式少数国閣僚会議が行われます。ここでもいろいろ合意のための努力がなされるわけであります。
この間も申し上げましたとおり、私も、四月から五月にかけまして、ベルギー、フランスそしてスイスに参りまして、最大のパートナーでありますEUのフィシュラー農業・漁業委員あるいはラミー貿易委員と会談をいたしまして、カンクンに向けまして、日・EU、一層緊密な連携をとっていくということを確認したわけでもございますし、WTOの取りまとめでありますスパチャイ事務局長あるいはハービンソン農業委員会議長にもお目にかかりまして、我が国の立場を申し上げてきたわけであります。
交渉を進捗させるためには、多くの国が受け入れられる、柔軟な対応を求められるのは、過度に野心的な提案を行っておりますアメリカやケアンズ諸国の考え方、これがやはり問題であるわけであります。先般も、タイの副首相並びに農業相がお見えになりまして、ケアンズ諸国、輸出国、こういうことでございますので、我が国の立場を強くまた主張したわけでもございます。
今後とも、多様な農業の共存、これを基本理念といたしまして、EUやフレンズ諸国などと連携を強めながら、途上国を初めとする各国に対しましても粘り強く働きかけをしていかなければならない、こうしております。現実的かつバランスのとれた貿易ルールの確立、これに向かって全力で対応してまいりたい、こう思っております。
○山内(功)委員 仮に、アメリカやケアンズ諸国、ケアンズ諸国は特に関税の削減なんというものじゃなくて撤廃に近い数値ですよね。そういう関税の削減あるいはアクセス数量の拡大を求める、もしそういうふうに交渉が仮にまとまったら、日本の米生産というものにはどういう影響があるんでしょうか。
○石原政府参考人 我が国の米の関税は、現在、キロ当たり三百四十一円となっております。これを一九九六年から九八年の対平均輸入価格比で見ますと四九〇%となりまして、アメリカやケアンズ諸国が提案しております関税を二五%以下とするといういわゆるスイス・フォーミュラ、これが適用されますと、我が国の米の関税は二四%というのが適用されまして、関税が十七円ということになります。そうなりますと、現在、輸入米の価格、これは中国米で大体七十円でございますので、これに十七円を加えますと八十七円ということになりまして、自主流通米の平均価格がキロ当たり二百七十一円ということでございますから、約四分の一ぐらいということで、ミニマムアクセス以外の米が無秩序かつ大量に流入しまして、我が国の国内生産に甚大な影響を与えることになると考えております。
それから、アクセス数量でございますけれども、アメリカは現行アクセス数量の二〇%を五年間で拡大することを主張しております。これがそのまま適用されますと、約九十二万トン程度ということになります。
他方、ケアンズ諸国はもっとひどくて、現行アクセス数量に五年間で国内消費量の二〇%分を上乗せすると言っております。これは、御案内のとおり、国内消費量は現在一千万トン弱、九百七十数万トンでございますので、これの二〇%を上乗せしますと二百七十二万トンということになります。現在、ミニマムアクセスは七十六万七千でございますので、これから見ても法外な数量だということでございます。
そういうこともございまして、この処理方法、財政負担で何かやればいいというのが一つありますけれども、これは膨大な財政負担になります。そうするか、あるいは、それを財政負担で処理できないということになりますと、国内生産に甚大な影響を与えることになるというふうに考えております。
○山内(功)委員 タイとのFTA交渉についてお伺いしたいんですけれども、外務省はこの交渉の締結をするのでしょうか。
○佐々江政府参考人 お答え申し上げます。
我が国とタイとの間では、これまで作業部会というものが行われておりまして、つい先ほど、これは二十日、二十一日でございますが、第五回目の作業部会を終了したところでございます。日タイの経済連携に向けた作業につきましては、したがいまして、これを踏まえて、次の段階に進める必要があるわけでございますが、その進め方については現在政府部内で検討中であるということでございます。
いずれにしましても、日タイの経済連携というのは重要であると考えておりまして、その実現に向けて努力していきたいというふうに考えております。
○山内(功)委員 特にタイとの関係では、米の問題もそうですけれども、鶏肉についても関税撤廃の要求があると聞いています。これから人口は確実に減少していくわけですし、BSEの不安が解消されたことによって牛肉がまた消費が回復すると、鶏肉の消費が少しまたとどまってしまうのかなという関係にもあると思いますので、この点については今どういう状況にあるんでしょうか。
○西藤政府参考人 タイとの関係、先ほど外務省から御答弁がございましたように、政府間の作業部会を実施している状況にございます。農業の機微についてタイが言及する一方で、先生御指摘のような米、鶏肉あるいはでん粉等がタイとの関係で非常に大きな問題でございますが、そういう重要品目についての関税撤廃についても希望を表明するという状況がございます。私どもとかなり考え方の隔たりが大きい状況にあるというふうに率直に思っております。
私ども、そういう中で、双方の困難な分野についてやはり関係者の共通の認識を醸成していくための努力を日タイ双方が継続していく必要があるのではないかと考えているところでございます。
○山内(功)委員 最後になりますけれども、米政策の転換は、これから、ことしから五年間がいわば試行期間になると思うんですけれども、しかし、この五年間のうちにWTOあるいはFTA交渉がもし仮に締結されるとなると、先ほどから説明を受けているように、日本の農産物は大打撃を受けるわけなんですね。
ですから、そういうことを考えると、ストレートに農家に対して直接的な所得補償を導入した方が、やはり日本の農業を守るためにはそれが唯一の道であると私は思うんですが、その点について大臣の御見解を賜りたいと思います。
○亀井国務大臣 我が国の農業、特に水田農業につきましては、担い手の生産シェアが著しく低いことに加えて、需要と供給のミスマッチ等が大きな問題となっておるわけでもあります。構造改革を加速化し、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う望ましい農業構造改革の実現に向けて努力をしなければならないわけであります。
このような中で、御指摘の農業者の所得の直接補償、このような措置を一律に講ずることになりますと、現在の生産構造が固定化されて、農業の構造改革に支障を来すおそれも考えられますし、また、需給事情や品質評価といった市場シグナルが農業経営に伝達されにくくなり、需要に応じた生産を阻害する、こういう問題があるわけであります。
そういう面から、WTO農業交渉及びFTAの交渉につきましては、我が国の農林水産業の抱える課題への的確な対応が確保できるように、今後とも、その結果を予断することなく交渉に当面全力を尽くすということが私の任務、このように考えております。
○山内(功)委員 しっかりと、しかし、拙速であってはならないと思いますので、十分な取り組みをお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○小平委員長 次に、堀込征雄君。
○堀込委員 新しい米政策、そしてこの法案が提案をされているわけであります。そこで、私はまず、今までの米政策の経過、そういうものをどういうふうに総括しながらここに至ったか、ここから質問をしたいわけであります。
もちろん日本の米というのは、最近また弥生時代が、何か日本の米はさらに何千年か古くて、実はもう非常に古い時代だという研究成果が出つつあって、議論されているというふうに聞いているんですが、いずれにしても、何千年もの間、日本民族というのは米不足に悩んできた民族でありまして、米が余り出したのは、昭和の三十年ごろから余剰が生じてその対策をするようになった。それ以降の、要するに昭和十七年の食管法があって、米が余り出してからの農水省の米政策、非常にやはりその場主義というか、かなりぶれた政策が続いてきたんではないかと私は思うわけです。
昭和四十四年から自主流通米制度が導入をされた、六十二年にも、これは特別栽培米制度の導入ですか、そういうことが行われた。それで、ウルグアイ・ラウンド交渉があるわけでありますが、この間、最近はほぼ三年に一度ずつ農水省の対策がいろいろ変わるというか、しょっちゅう新しい政策が出されてくるわけですね。
平成六年の十二月に食糧法が成立するわけですよね。そして、平成六年産米から豊作が三年ぐらい続く。そうすると米の全体需給がおかしくなるものですから、平成九年の十一月には、生産調整対策あるいは稲作経営安定対策だとか計画流通制度、こういう運用改善をするということで「新たな米政策大綱」が策定をされる。それで、平成十一年の十月ですか、これも需要に応じた米の計画的生産だとか、麦、大豆、飼料穀物等も本格的にやらなきゃいかぬとか、そういうことで「水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱」、こういうようなものが相次いで出されてくるわけです。あるいは平成十二年にも緊急の総合米対策というのが策定されるわけですね。大体三年に一度ぐらいずつ何か政策大綱というようなものが出されて、その都度、その場主義の対応がなされてきたという経過があるんではないか。
私は、今度この大綱が出された、そして法改正もなされる。一体、今までの米政策というのは、政策官庁としては、情勢の変化でやむを得なかったと考えるのか、あるいは今まで先見性がなくて、その場主義で申しわけないというふうに思っているのか。生産調整を始めて三十年過ぎるわけでありますが、この間の総括、こういうふうに反省しているから今度の大綱をこういうふうに出したんだとか、この法改正案を出しているんだ、この点をまず見解をお聞きしたいと思います。
○亀井国務大臣 今委員いろいろお話しのとおり、米に関しましてはいろいろの歴史もございます。主食としての安定供給、そしてその需要を満たさなければならない、いろいろの課題に直面をし、その都度いろいろの政策を進めてきたことは事実であります。
今日、御指摘のとおり、三十年にわたります米の生産調整、このことにつき、また時代の要請、こういうことから、特に生産調整につきましても今日までいろいろのことをしてまいりましたが、一つは、だれのため、それから何のための生産調整かというメッセージが農業者になかなか伝わらない、生産調整の助成体系が複雑で理解しにくい。あるいは、米生産に対しましてのさまざまな助成を行う一方では米減産に多額の財政資金を投入する非効率的な政策、このようにも指摘を受けておりますし、生産調整の配分理由、その経過が不透明であり、政策効果がきちんと検証されない、政策の透明性が確保されていない、こういう指摘もあるわけであります。
このような問題点を何とか克服しなければならない、こうした政策が米の閉塞状況を招いた、こういう認識に立つわけでありまして、今回の米改革に当たりまして、この閉塞状況を打開して水田農業の未来を切り開く、こういう視点から、消費者重視そして市場重視の視点に立って、わかりやすさ、あるいは効率性、透明性を確保する、そして、需給調整対策あるいは生産構造対策、流通制度等の改革を整合性を持って行う、こういう視点に立ちまして、生産者の方々もそれなりの喜びを持っていただける、また消費者の選択の幅も広げることのできるような、そういうものにしていこう、こんなことから、この米政策の改革、このことをお願いしておるようなわけであります。
○堀込委員 大臣の見解はわかりました。
ちょっと通告していないので申しわけないんですが、きょう、局長、長官おそろいですので、実はきのう朝日新聞の社説で、お読みになったと思いますが、農水官僚の皆さん志を取り戻してやれという、私もそうだと思うんですが、石原長官に聞きましょうか。
多分、志を持ちながら戦後農政やってこられたと思うんですが、一つだけお聞きしたいのは、十一年改正というのがあったんですね。つまり、ミニマムアクセスから関税化に変えた経過があるわけです。つまり、そもそもミニマムアクセスの受け入れは間違いだった、やはり関税化を当初からウルグアイ・ラウンドで受け入れた方がよかったんだという意味で、あれは法改正をいろいろ苦労してやったんですね。私なんかも、三月末に来られて、何か参議院の野党の国対委員長のところまで私まで陳情に行って、三月三十一日、間に合わせて、四月一日から実施した、間に合わせたということを思い出しているんですけれども。
ああいうことを見ますと、ウルグアイ・ラウンドでミニマムアクセスを受け入れて、結局関税化に変えるわけですけれども、官僚は志を取り戻せという話じゃないんですけれども、何かそのとき、例えば農業団体とかあるいは族議員とか、私も族議員かどうかしらぬけれども、そういうものがあって、何か志がどうもうまく来なかった、やってこれなかった、それで十一年改正があったのか。何かくるくる、今大臣に質問したようにしょっちゅう変わるわけでありますが、今の朝日の社説とあわせて、やはりきちんとした、たとえ業界の反対があっても、あるいは国会でのいろいろな論議があっても、これは正しいんだという信念を持った政策展開が大事だと思うんです。そこで、そこは十一年改正なんかでそういう思いというか、記憶か何かございますか。
○石原政府参考人 今お話しになられました昨日の朝日新聞の社説でございますけれども、何度も読み返しております。これからの、私も先が短いんですけれども、あそこに書いてありますような趣旨、あれを十分踏まえて残る役人生活をやっていかなければならぬというふうに思っております。
それで、あそこにも族議員云々とありましたけれども、我々はあくまで、農業政策かくあれと、これがベストなんだと思ってその都度考えておるわけでございます。現在から振り返ってみますと、ああ、これはこうすべきであったとかいうのがあるかもしれませんけれども、それは我々の先輩あるいは我々の関係の者が、そのときの置かれた状況のもとでベストの選択として行ってきたものが農政であったわけでございまして、我々は今からそれを云々することは適当でないと思っております。
ミニマムアクセスの問題も、ウルグアイ・ラウンドを受け入れるということは、これはやむを得ない措置だったわけでございます。今から考えますと、関税化もあのときにやっておれば、より数量も抑えられて、特に現在需給で非常に苦労する食糧庁長官の身になりますと、あのときにすぐ関税化を受けておればという思いはあります。しかし、当時そういうことが許されるような状況であったかということを考えますと、あれもやむを得ない、あのときとしてのベストの政策選択であったと思っております。
いずれにしましても、我々、過去の政策につきましては、反省すべきところは反省し、これからの我が国の食料の安定供給等農政に課せられた課題を果たしていく覚悟でございます。
○堀込委員 そこで、今度の米政策大綱あるいはこの法改正を、なぜ、どういう動機で出してきたかという点であります。
研究会の最終報告では、「我が国の水田農業政策と米政策は、関係者の度重なる努力にも関わらず、今日一段と混迷の度を深め、もはや放置できない状況を呈している。とりわけ供給調整をめぐる施策と取組については、不公平・不公平感の問題が渦巻いており、関係者の間に閉塞感がつのるばかりである。」こう書いております。つまり、米政策の行き詰まり、閉塞感から、この米政策というのをここで転回しない限り、米政策に対して生産者はもちろんでありますが国民からも不信感が出ちゃう。米政策大綱で水田農業の閉塞状況の打開、こういうテーマで多分この米政策大綱を出したんだろう、こういうふうに思うわけであります。
これは、農水省としてどうなんでしょうか。何が行き詰まりで、何が閉塞感なんでしょうか。また、その要因をどう考えているか、回答してください。
○石原政府参考人 閉塞感の中身としては、いろいろございますけれども、農家からよく言われますのは生産調整の限界感、負担感という問題でございます。
これは御案内のとおり、現在百六万ヘクタール、水田面積の約四割に及ぶ生産調整をやっているということでございます。もうこれ以上は生産調整できないということでございますし、それからまた、この生産調整をやるに当たりましても、現在の需給状況、要するに需給が落ちておりますのでどうしてもこれだけの面積を毎年ふやさなきゃならぬという事情になったわけでございますけれども、その辺のことにつきまして農家の皆様方が十分よく理解されているかどうかという問題がございます。
そしてまた、生産調整のやり方につきましても、不公平感、今委員からもお話ございましたけれども、不公平感というのがございます。要するに、隣の県と我が県で生産調整の率が非常に大きく違うということでございます。その率が違うことについて、現在から明確な、こういう理由でこれだけ違うんだということがわかれば、農家はそういうことかということで御理解いただけるんですけれども、そういうことについてなかなか説明しづらい。過去多くの積み重ねで徐々に生産調整の数量がそれぞれ増してきたということで、なかなか、自分のところと隣の県との差がこれだけあるのかということがよくわからないということがございます。要するに、こういういろいろな問題がございます。
そしてまた、市町村あるいは農協、特に市町村の担当者にとりましては、本来でありますれば、農業の、地域農政の展開のために新たなことをやりたいということがありましても、それはできない。専ら、なぜあなたがこれだけの面積、隣の県と比べてこれだけの多い面積の生産調整をしなきゃならぬかということを説明もできない状況のもとで、とにかく生産調整をやってくださいということで頼んで回るというような状況にあるわけですね。
こういうものが両々相まって積み重なって、閉塞感をもたらしているんだと思っております。
我々、今回の米政策の改革は、こういうような米を取り巻く閉塞感、これをすべて取っ払うということで、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、三つの理念といいますか、それをもとにこの改革を進めてきているということでございます。
○堀込委員 行き詰まり感というか閉塞感から、結局、中央政府が生産調整から手を引いた方がそういう閉塞感もなくなるよと。中央政府としては後ろから後方支援をやるんだ、予算措置とか関連施策で。その方が閉塞感がなくなるんじゃないか、もう少し自己責任みたいな世界になってうまくいくんではないか、そういう説明だと聞いていると思うんですね。
結局、今度は生産調整の主体を出荷団体や農家に任せよう、こういうふうになるわけであります。たしか今の答弁にあったように、農家にすれば、国が言うから、割り当てるから仕方なしに生産調整をやっているという意識は確かにあったと思うんですね。今もあると思うんです。結局、今の答弁にありましたように、生産調整、結局自分の生産物のためにやるんだ、価格維持のためにやるんだ、こういう意識を定着させることが大事だという答弁なんですが、つまり、役所がかかわった方が生産調整はうまくいかないんで、自己責任でやった方が多分閉塞感がなくなってうまくいくんだろうという答弁に聞こえたんですね。
農水省でいうと、今まで農水省としてやることはやってきた、必要な資金も手当てしてきた、なのに何だ、この現状はという意識だろうと思うんですね。それで、うまい方法はないかということで考えて、今度の米政策大綱を出した。わかりやすくて透明性で効率性、これでうまくいくんだろうというふうにおっしゃっているんですが、私、さっきも、この間三年置きぐらいにいつも政策を変えてきたので、今度の政策も、今までと違って今度こそ大丈夫だと。そう言う意味では、国の責任が今度は生産者なり農業団体なり市町村へ行っているわけですから、ここがポイントでうまくいくというふうに思うんですが、うまくいかない場合、国の責任というのはどうなるんですか。
何となく責任放棄をしたいという全体の構図に見えて仕方ないのですけれども、いかがでしょうか。
○石原政府参考人 これまで、米に係る生産調整の対策、これを何年か置きに何とか対策ということで組みかえてきております。これはひとえに、需要の減、これを踏まえて変えざるを得なかったということであろうかと思いますけれども、それはどういうことかといいますと、基本的には需給見通しが、先ほどの委員の質問にもありましたけれども、要するに需給見通しが必ずしもきちっとしたものにならなかったということが根本にあろうかと思っております。
我々は、そういうこともございまして、今回は、一つは、需給見通しをつくるに当たりまして、あくまで客観的なデータ、こういうのをすべて提示しまして、関係者、これもマーケットリサーチの専門家も入れました関係者、いわゆる第三者的な機関と言っておりますけれども、それの意見を踏まえた上で需給見通しがどうなるのかと予想して、本来のそれにこたえるような生産調整のあり方はどの程度のことが必要かということをしっかり議論していただきたいと思っております。
今までは、行政の方でこの程度という思いがありましても、どうしても、我々からしますといろいろな政治的な御判断、それから団体との関係、いろいろそういうところをおもんぱかってそこまでの水準ができなかったわけですね。それを今回はあくまで客観的な判断をベースに、それもオープンな議論で議論していただくということで、望ましい需給見通しを立てて、そのもとに生産調整が必要なものもやっていくということであろうかと思っております。
それから、基本的にそういうような条件整備をした上で、農業者、農業者団体が主役となるシステム。米もほかの農産物と全く同じとは言いません、あくまで主食でございますので、他の農産物に比べまして特別の地位にございますけれども、やはりこれは農産物でございますので、農家自身あるいは農業者団体がみずから生産の規模をどうするかということを考えていただく必要があろうかと思っています。それを我々は農業者、農業者団体が主役となるシステムと言っておりますけれども、これを早くつくり上げる必要があるということでございます。
我々、システムをつくり上げていただくわけでございますけれども、中央政府が責任を放棄しまして、そういうのはすべて、地方も含めまして政府が責任を放棄しまして団体の方にお任せするということではありませんで、一つは、先ほど言いました客観的な需給見通しを策定、公表する、それも第三者機関的な組織の助言もいただきながらしっかりした見通しを策定、公表して、情報をタイムリーに伝達するというのが基本にございます。
それから、生産出荷団体等が作成します生産調整方針、これに国が認定するというかかわりを持ちますし、その作成及び適切な運用に対しまして、国、地方公共団体が助言、指導も行っていくということでございます。
それから、構造政策あるいは経営政策あるいは生産政策、こういうものを総合的かつ有機的に連携を図ってやっていく、いろいろな助成措置も引き続き講じていくということでございます。
それから、今アイデアの募集というのをしておりますけれども、いろいろな地域で先進的な事例がございます。ここまで農協がやるかというような取り組みもございます。そういうものを幅広く我々は集めまして、それをそれぞれの地域に紹介していくということも重要なことであろうかと思っております。
我々は、そういうことで、国が全く生産調整あるいは米の生産にかかわることから手を引くというわけではありませんで、あくまで米生産の本来のあり方に農業者、農業者団体に立っていただきまして、それに国が、あるいは地方公共団体がお手伝いするという形で、しっかり米の生産を担っていきたい、つくり上げていきたいというふうに考えているところでございます。
○堀込委員 後ほどまたちょっとその責任論のところはあると思うんです。それにしても、最終的な責任、第一義的な責任は生産者団体あるいは農家が負うという仕組みにはなっているわけです。
そこで、そちらの生産者団体などが、これからの米生産につきまして、特に消費者重視あるいは市場重視の米生産が大事だというふうに米政策改革大綱はうたっているわけですね。つまり、最終報告書では、消費者ニーズを起点として、さまざまな需要に応じて、需要ごとに求められる価格条件を満たしながら、安定的供給が行われるんだ、そして、効率的かつ安定的な経営体が、市場を通して需要動向を敏感に感じ取り、売れる米づくりを行う、こういうふうになっているんですね。
確かに、今まで農家は、出荷団体、農協などへ出せばそれで売れたというふうに思い込んでいたんでしょうが、今度はもう少し責任を持ってやれ、そういうことなんですね。多分そうなんです。にしきの御旗みたいなこの政策の消費者重視であり、あるいは市場重視だというふうに思うんですが、これは具体的には生産者団体や何かはどういう政策とかどういう取り組みということになるんでしょうか。農水省はどういうことを想定していますか。
○石原政府参考人 具体的に消費者重視、市場重視でどういうことを考えているかということでございますけれども、これは、まさしく消費者重視、市場重視ということでございまして、これを具体的にどうかというのはなかなか難しいわけでございますけれども、要するに、あくまでも農業生産、米生産については消費者のニーズが起点だということに一番のポイントがあろうかと思っています。そこがスタートということでございます。
消費者重視、市場重視で、我々、売れる米づくりといいますと、いい食味のものをつくることかということをよく言われるわけでございます。決してそういうことではありません。現在の消費者のニーズ、特に外食産業なんかのニーズを考えますと、必ずしも、味はいいにこしたことはないんですけれども二番手でもいい、やはり価格ということがよく言われます。そういうものには、価格に応じた、それなりの価格のものを提供するというのがこの消費者ニーズに応じた米生産であるわけですね。それが、今委員の方からお話のありました「需要ごとに求められる価格条件等を満たしながら、」という意味なんです。
要するに、決して味のいいものだけをつくるわけではありませんで、あくまで消費者を起点としまして、消費者のニーズ、これがベースとなって、そこから、それを常に生産者は見きわめて、それに応じた米生産に努力していただくということが重要であるということでございます。
○堀込委員 そこで、今後の需給見通しについてちょっと見解をただしておきたいと思うんです。
今までも、さっき私は三年に一度いろいろなことをやってきたということを言ったんですけれども、従来の米政策の歴史を見ますと、特に米余りの現象が出てからの政策を見ると、確かに米は天候で豊作もあれば凶作もあるんです。それにしても、食糧庁、農水省の出す米の需給見通しというのは非常に甘い。
私もかつて何回か質問したことがあるんですけれども、在庫処理に何兆円も要した時代があるんです。歴史的に、農水省の需給計画、その都度作成をしてきたわけですが、一部凶作の年を除いて、その見通しが甘いために相当膨大な在庫を抱えるという歴史の繰り返しであったんではないか。大体一千万トン以上いつも生産量が上回るという需給計画、たしかもう十年や二十年は続いてきたんですよね、かつて。私に言わせると、ややずさんな需給計画が続いてきたというふうに考えざるを得ないんです。
過ぎたことは仕方ないんですが、これからなんです、問題は。おおよそどういうふうに見ているのか。
例えば、人口の高齢化が進む、あるいは少子化が進む、人口の減少が進む。再来年ですかピークに人口が減っていくわけですね。これで米の消費量というのはどうなるんでしょうか。
今、八百八十万トンぐらいというふうに見ているわけですね。最近のペースだと、一年に十三万トンずつ減っているという状況があるわけであります。かつて七万トンぐらいだったんですが、今十三万トンベースで減っている。このままことしから十年続きますと、百三十万トン減るわけですよ。七百五十万トンという需要の時代になる。そうすると、生産調整の面積というのはそのころどうなるのか。あるいは、識者によれば、六百万トン時代が来るんじゃないかということを指摘する学者もいるんですよね。そういう時代がもう十年先に見えるんではないか。
ここで米政策大綱をやるんですけれども、こういうことは視野に入れているんでしょうか。それとも、かつての需給計画のような見通しで、とりあえず視野には置いていないんですか。どうですか。
○石原政府参考人 先ほど、需要見通しが狂った理由としまして、我々、本来であればこの水準までの生産調整をしたい、してもらいたいという思いがありましても、どうしてもいろいろな判断、適当かどうか知りませんが政治的な判断、あるいは団体との関係とか、そういうのを考えて、そのとき決定したような生産調整しかできなかったということでございます。
しかしそのほかにも、需要についても非常に、食の外部化の進展あるいは食品群間の需要変動の活発化、こういうものがありまして、需要を的確に見通すことができないということがございます。昔は、米はやはりどうしても、高かろうが安かろうが米は食べたいという思いがあったわけでございますけれども、現在は、米が仮に高くなりますと、では米にかわるものとしてパンとかあるいはめん類、そういうものを食べようかというふうに働きますので、どうしても需要の変動を見通すことが難しいといういろいろな事情があります。そういうこともあって、いろいろ需要見通しが狂ってきたということであろうかと思っています。
我々は、そういうことがあってはならないということで、今回は、この需要見通しをつくるときには、先ほど申し上げましたように、あくまでも公正中立な第三者機関的な組織、これを活用いたしまして、マーケットリサーチといいますか、そういう専門家がオープンな議論をしていただいて、需要見通しはこうだ、ここまでの水準の生産調整が必要だということを出していただきたいと思っています。こういう人たちの議論はあくまでマーケットリサーチの議論でやっていくということで、そのときには、当座のあれじゃなくて、今おっしゃいましたような、かなり先の需要も見通したものがなければならないと思っております。
もちろん、あくまで当座、生産調整をどうするかということでございますので、決めるのは来年の生産調整をどうするかということでございますけれども、これまでの需要についての傾向、先ほど委員がおっしゃいましたように、我々、十三万トン程度落ちるというふうに見込んでおります。そういうものをベースにして、それが正しいのかどうか、あるいは、仮にいろいろ米粉パンの需要拡大とかあるいは消費拡大の運動、それから特に今、県の方でそれぞれ力を入れております地産地消、こういう運動が行われるとすれば、そういうものがどの程度期待できるのか、そういうのを織り込んだ上で的確な需給見通しをつくっておいていただきまして、そのもとに正しい生産調整のあり方を決定していただきたいと考えておるところでございます。
○堀込委員 これはこれから決めるという話で、一方で生産者にしますと、例えば土地改良などを進めて、何十年も借金を返していかなければならぬという状況がある。一方で、このままいくと米価もそう遠くない近い将来に下落する市場があって、これをどうするかという話になるわけですね。つまり、市場はそうないんだけれども、土地改良みたいな設備投資はどんどんやり続けるという政策が続くんでしょうか。そういう意味では消費者重視、市場重視ということに反するんじゃないかという気もしますが。
それはさておきまして、私は今の、十三万トンずつ減って、十年後で七百五十万トンぐらいの需要量になるというのはかなり現実的な話じゃないかと思うんですね。今、学校給食とか消費拡大とかでかなり努力するんだとは言っていますが、一方で人口減少がある、そして、ちょうど一番米を食う世代もだんだん高齢化していくということですよね。
その辺は、かなり科学的データといいますか、ある程度の、これは厚生省の人口予測も出ているわけでありますから、やはりかつての甘い見通しじゃなくて、かなり現実味のある数字というのは、とりわけこの政策の定着を目指す平成二十二年、このあたりにはこうなるのであろう、こういう事態も予測されるというのは、産地づくりの交付金だとか担い手経営安定対策だとかいろいろ仕組むわけですから、国の任務で、その都度の需給情報だけ策定、公表すればいいということじゃなくて、今回これだけやるんですから、やはりある程度の見通しというのは出すべきではないか。
もし七百万トンというようなことになると、これはどうなんでしょうか、私は、農業者団体が配分し得る可能性の世界を超えてしまうんじゃないかという感じも実はするわけですけれども、いかがでしょうか。
○石原政府参考人 将来の需要見通しでございますけれども、今委員がおっしゃいましたように、平成二十二年、そのときにどうなるかということでございます。我々、この平成二十二年の需要の試算もいたしております。
ですから、先ほど言いました第三者機関的な組織での議論、これは多分、この平成二十二年の姿、我々がいろいろ推計、試算しておりますけれども、そういうものがいいのかどうか、そういうのも今度の新しい審議会での議論の重要なテーマになると思っております。
ちなみに、平成二十二年の米の需要量の試算でございますけれども、これは十三年の米穀年度九百二万トンをベースにいたしておりまして、いろいろな試算がございます。
過去十年の需要実績をもとに試算しますと、七百六十万トン。要するに、先ほど言いましたように、一年間十三万ずつ落ちますと百三十万、大体そういう計算になります。それから、年齢階層別の米需要量、将来推計人口をもとに試算しますと、八百十五万ということ。
こういうものを試算しておりますけれども、あくまでこれは試算でございますので、我々、こういうものが適切かどうか、そういうものを含めて新しい第三者機関的な組織でよく御議論していただいて、最終的な姿を決めていただきたいと思っているところでございます。
○堀込委員 御議論いただくはいいんですけれども、やはり中央政策官庁としてある程度、十年単位ぐらいの需給見通しといいますか、こういう想定もあり得るということはちゃんと出しながら議論させる必要があるのではないかと思います。
そこで、あと簡単に行きますけれども、今度は担い手対策なんです。
これは、一つは大規模主業農家ということになっています。先ほど質問もありましたけれども、これは結構、農協から離れているとかという話もあるんです。水田農業の構造改革の立ちおくれの要因、実はこの大規模主業農家ほど、農協にもそうなんですけれども余り農水省の政策にも、結構反感を持っていて、うまく主体になってこなかった。
この構造改革がおくれた要因をどのように考えていますか。
○川村政府参考人 構造改革のおくれでございますけれども、まさに土地利用型、特に稲作においてそのおくれが著しいわけでございます。
この要因としては、米作が、機械化、技術の平準化等によりまして非常につくりやすいということもございますし、それから、農地保有なり、そういう農村部での権利意識といったようなものもあると思います。
我々としましては、できるだけこの流動化が進むようにということでの対策を講じてきておりますし、今回もこの米政策、幾つかの柱でやっておりますが、それを進める、また関連の対策としての流動化対策、こういうことも力を入れていきたいと思っておるところでございます。
○堀込委員 局長、今度の政策で、集落段階の話し合いで担い手を決める、明確化するというふうになっているわけですが、これは具体的にどうやるんですか。選挙でやるわけにもいかないでしょう。現場はどういうことになるんでしょうか。
○川村政府参考人 今回、この米政策を具体的な実行に移すに当たりましては、各地域で地域水田農業ビジョンというものを策定していただくということを考えております。
この地域水田農業ビジョンの中において、まさに担い手を明確化してほしいということで、一つは、やはり集落段階で将来の地域の水田農業のあるべき姿について徹底的に話をしていただきたいということでございます。
これまで、規模拡大なりそういうものが進まなかったということは、やはり地域全体の支持がなかなか得られなかったということもあると思いますので、今回、この地域水田農業ビジョンは、単にいわゆる画一的な金太郎あめ的な計画ではなくて、地域の本当の話し合い、これはちょっと時間がかかると思いますので、我々も指導の通知を出しまして、できるだけ早期に体制を整え、話し合いを始めてほしいということをやっております。
まずそういう話し合いを徹底的にやっていただいて、その地域で何をつくり、どの程度つくり、だれにやっていただくのかということで、その場合、個別経営体ということもあるでしょうし、集落型の経営体ということもあると思います。そういう話し合いをまずは徹底的にやってもらって、合意のもとに、そこの地域地域の特有の担い手、そしてまた生産のあり方というものを探っていただきたいと思っておるところであります。
○堀込委員 もう一つ、集落型経営体というのを今度位置づけるわけですね。この要件は、さっきの質問にもございましたが、ちょっと明確に、何と何と何と何があるのか。そのうち、例えば面積要件について今全国的にいろいろな弾力的な運用の要請が出ていますが、今後の課題としてどう考えているか、そのあたりをちょっと言ってください。
○川村政府参考人 集落型経営体でございますが、この辺につきましては、各地で集落営農的なことが行われておりますけれども、そういったもののうち、幾つか要件を考えております。
中心となりますのは、一つは、生産から販売、収益配分までを組織として一元的に経理を行うということがあると思いますし、また、将来の安定的な経営体という意味では、一定期間内に法人化をする計画というものが重要になろうと思います。そういう意味で、経営主体としての実体を有するものでなければならないと思いますし、また、今後の望ましい農業構造ということを考えますと、やはり一定の規模が必要だということを考えております。我々の方としては、構造展望の中でおおむね四十ヘクタールという生産組織を提示しておりますので、その半分の二十ヘクタールということでの規模を提案しているところでございます。
ただ、これにつきましては、先ほども御議論ございましたし、各地からも、各都道府県からもいろいろな御意見等が出ておりますが、具体的な最終的な決定につきましては、平成十六年度予算概算要求の決定時までに、各施策間の整合性などを見ながら決定していきたいと思っているところであります。
○堀込委員 先ほども西日本の話も出たんですけれども、弾力的な運用を要望しておきたいと思います。
そこで、米政策の改革で、私一つ危惧をしている点がございます。つまり、農村社会は集落社会でございまして、確かに主業農家もある、兼業農家もあるんですけれども、一戸や二戸で日本の稲作が保たれているわけではないわけでありまして、農道や水路の補修などは集落が総出でやるという共同体社会が育っているわけですね。かつては春の種子消毒から秋の収穫に至るまでいろいろな共同作業があって、共同体社会が成り立っていた。これが結構、私は、日本の今、広い視野でいえば福祉の在宅介護だとかそういうところにも役立っていたり、あるいは家族形態の経営というのが日本の教育なんかにも結構その基盤があるのではないかという気もしているわけであります。
そういう意味では、これから、この米政策はあくまで大規模生産者、主業農家、そして集落体とやるんですが、そうでない、その政策の中で農村集落共同体みたいなもの、例えば水路もやっている、農道も共同でやっている、こういう社会をどういうふうに保持しながらやっていくか。これはちょっと答弁しにくかったかな、いいですか。
○太田政府参考人 堀込委員からお話のありました農業水路や農道、まさに農業生産に重要な役割を果たしていることはもちろんですけれども、農村住民の皆さん方の日々の暮らしに直接関係しておる状況にございます。
従来から、住民によります草刈り、泥上げなどの共同作業等が行われ、その集落機能によって維持管理が確保されている状況にございますが、都市化、混住化の進行、担い手への農地の集積等が進みますと、集落住民によるそういった作業等を続けていくことが非常に困難な事態が当然ございます。
既にそういうことが顕在化している地域もある中で、私どもといたしましては、非農家も含めた農業水路などの維持管理あるいは整備の重要性にかんがみ、その地域に果たしている役割についてまず地域住民の理解をしっかり得ていくというような動きと相まって、地域と連携した農業水路などの管理体制の整備に努めておるところでございますけれども、今回の米政策改革を進めていく上での地域でのいろいろな話し合いの状況も踏まえて、必要な対応をとっていく必要があるというふうに考えております。
○堀込委員 多分農水省の枠を超えた話だと思いますので、また特に北村副大臣、ぜひ総務省などとも相談をしながら対応いただきたい。
ちょっと法律事項を簡単に答弁いただきたいのですが、第一条の「計画的な」を削除し「適正かつ円滑な」、これはなぜこういうふうになったのか。それから、基本指針と基本計画、これは第四条ですが、どういうふうに違いますか。この二点だけちょっと答えてくれませんか。
○石原政府参考人 まず第一条でございますけれども、「計画的な」というのを削除いたしまして、「適正かつ円滑な」というのに改めております。これは食糧法の第一条で、「生産者から消費者までの計画的な流通を確保するための措置」を、「生産者から消費者までの適正かつ円滑な流通を確保するための措置」に改めているものでございます。
これまでは、計画流通制度のもとで、流通ルートを特定いたしまして自主流通計画に基づく流通を行うことで計画的に米を供給してきたことから、第一条に「計画的な」の文言を入れていたということでございます。
今回は、この計画流通制度を廃止いたしまして、米穀安定供給確保支援機構、こういうものを創設しまして安定供給のための取り組みに対する支援を行うということで、安定供給を行うことにしておりますので、「適正かつ円滑な」という文言に変えたということでございます。
それから、食糧法上の基本指針、これがこれまでの基本計画とどのように変わるかということでございます。
この基本指針は、民間事業者の自由な経済活動を前提とした行動指針というべき性格のものでございまして、基本計画はあくまで、先ほど申し上げましたように、計画流通制度を前提として策定しまして、流通管理的な性格を持っているものでございます。そういうこともありまして、今回、基本指針ということに改めさせていただく、いわばガイドラインということでやっているということでございます。
○堀込委員 終わります。
○小平委員長 次に、筒井信隆君。
○筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
最初に、今の法的なものについてちょっと教えてほしいのですが、減反配分の問題が三段階にこれから変わっていくというか、現行の減反配分の問題がありますね、それから、今度の法律が、政府案が通った場合に、来年、平成十六年四月一日から施行になる、それから、さらにその後二年以内四年を超えない範囲で国による減反配分がなくなるという三段階なんですが、この違いをちょっと確定したいのです。
現行の法制度上は、国が各農家の減反面積を配分する、そうなっていますね。そして来年度、平成十六年四月一日からは、国は都道府県ごとの生産数量を配分する、こうなっていますね。その点だけまず確認を。
○石原政府参考人 基本的に、現在、この平成十五年産までは面積で生産調整を管理している、それが来年からは数量に変わるということで、その配分のやり方につきましては来年からは変わりません。しかし、要するに、これまでの面積から数量に変わるということでございます。
○筒井委員 今私が聞いているのは、現在は面積を、国が各農家ごとの面積まで配分する、法制度上そうなっている、しかし来年度からは都道府県ごとの生産数量を配分する、法制度上規定されているのはその範囲ですねということを確認しているんです、さっきから。
○石原政府参考人 法制度上は現在「農業者ごと」というふうに書いてありますけれども、これが今度地域別ということになります。
○筒井委員 農家ごとの配分までは国はしていないということですか。
○石原政府参考人 地域別に定めるわけでございますけれども、これが県を通じて、また市町村を通じて農家まで配分されるということで変わりません。
○筒井委員 だから、現行制度は国による減反面積の配分は各農家までやっているという制度になりますねという確認なんです。そして、今度の平成十六年四月一日以降は、法制度上は、都道府県ごとの生産数量を国が配分する、こうなっていますねという確認なんです。
○石原政府参考人 法制度上は、先ほど来言っておりますように、国が配分するのは地域別となっておりますけれども、実質上、それが、国が県別に配分し、県から市町村、市町村から農業者へ、そういう配分が行われることは従来と同じだということでございます。
○筒井委員 そうしますと、現行と経過措置、つまり平成十六年度から以降の、平成十六年度から二年を超えて四年を超えない範囲で国の減反配分をやめますが、それまでの経過措置の間の減反配分のやり方は、数量でやるか面積でやるかの違いがあるだけで、それ以外一切変更ないということですか。
○石原政府参考人 それは同じでございます。
○筒井委員 それは後で変えないでくださいね。
そうしますと、では、数量配分に今度変わった、経過措置においては。それは、各農家に至るまで国が配分するということですね、数量配分を。
○石原政府参考人 県、市町村を通じて農家に配分する、ここは変わりません。
○筒井委員 そしてその次に、今度は国による減反配分廃止が平成十六年四月一日から二年を超えて四年を超えない範囲内で実行されるわけですが、それ以降、認定制度になるわけですね。この認定というのはどういう性格で、どういう中身なんですかという質問なんですが、その認定する対象は、各農家ごとの数量配分まで決めた中身を国が認定するんですか。それで、その認定というのはどういう意味を持つんですか。この二点、お答えください。
○石原政府参考人 生産調整方針というのは、一言でいいますと、当該、通常は農協でございますけれども、生産出荷団体等の生産調整に対する取り組み方針というようにお考えいただいたらおわかりいただけるかと思います。
決して、そこには、だれだれの農家に幾ら生産調整させるとか、そこまでは書きません。あくまで当該農協として生産調整についてどう取り組んでいくかという方針を定めるものでございます。
○筒井委員 そうしますと、数量配分の数字自体は一切認定の対象には載っていないということですか。
○石原政府参考人 それは載っておりません。
○筒井委員 数量配分をこれこれやるというのは、それは、生産出荷団体が自主的にやって、それについて国に認定されるとか了解を求めるとか、そういう制度は何もないわけになりますね、今の答えだと。
そしてしかし、そういう自主的な生産調整参加者に対してだけメリット措置があるわけですよね。二つの助成制度、産地づくり推進交付金、担い手経営安定対策。それから過剰米対策もメリット措置ですから、生産調整参加者に対してだけですよね。それはどういう方式で国が知るんですか。
○石原政府参考人 方式で知るというのはどういう趣旨でしょうか。
○筒井委員 過剰米対策の、例えばの例ですよ、融資対象になる農家なのかどうか、これはどういう形で政府は知るんですか。
○石原政府参考人 市町村が生産調整の実施者ということの確認をいたしますので、それを教えていただくということでございます。
○筒井委員 では、そういうことで、市町村に対しては、各農家がどういう数量配分されたかということは市町村を通じて国も知るということですね。
○石原政府参考人 それはそういうことでございます。
○筒井委員 今度そういう、つまり現行と含めると三段階に変わる制度を前提にしてお聞きしますが、先ほどの堀込委員の質問によっても、国による減反配分は閉塞感、限界感がある。これは、それぞれの農家の閉塞感、限界感があって、もう限界に来ているという趣旨でございますね。
○石原政府参考人 はい、そのとおりでございます。
○筒井委員 では、各農家が持っている、もうこれ以上減反は嫌だ、これから続けるのは嫌だという閉塞感、限界感、これが、生産者団体による自主的な減反になったらどうして解消されるんですか。一緒じゃないですか。
○石原政府参考人 それが先ほど来申し上げております、農業者、農業者団体の意識改革ということであろうかと思っております。昨日も、生源寺先生の方から、意識改革が重要です、制度の改革もさることながら、意識改革が必要だと言われたということであろうかと思っております。
要するに、上から、国、県、市町村を通じまして一定の面積が割り当てされるわけです、それをこなさなきゃならぬと。それで、先ほども堀込委員の質問に対してお答え申し上げましたけれども、隣の県と我が県とでどうしてこれだけ違うのか、それについての説明も、実際は市町村の担当者が行って幾らしてくださいと言うわけですけれども、どうして我が県は隣の県に比べてこれだけ多いんですか、その辺もわからないわけです。
やはり、あくまで農家に、現在の米の需給状況、そういうのを十分踏まえた上で、意識をこれについてどうするかということを考えていただく、そういう大きな違いが、そこが重要でございます。それが大きな違いであろうかと思っております。
○筒井委員 今言われたのは、不公平感であって、隣の県とこう違うとか、あるいはほかの農家と、減反参加していない人との不公平感とか、これは減反を前提にしたものですよね。
しかし、閉塞感、限界感の一番の問題は、減反そのものでしょう。もう減反したくないと。先ほどだからそれで各農家のそういう閉塞感、限界感をお聞きしたんで。これを意識改革によって解消する。それが国でやってできなくて、例えば農協さんや何かがやったらできるという説明、もうちょっとそれを、全然わからないんだけれども。
○石原政府参考人 我々、全体を通じて閉塞感、こう言っておるわけです。閉塞感、その中には、農家にとりまして、もちろん、農家もこれ以上生産調整ができません、百六万ヘクタール、自分が例えば十ヘクタール持っておられる方からしますと、そのうち一般的には四ヘクタール生産調整しなきゃならぬ、それをさらにこれ以上生産調整することはできないという発想があるわけです。それは、新しい制度になりましても、需給状況が大きく改善されない限り、どれだけこなすかということについては状況が変わるものではありません。
しかし、全体の需給状況を踏まえた上で、自分たちの農業はどう考えるべきか、あるいは米生産はどうやっていくべきかと考えた上で、また、自分のところにこれだけの今回は数量の割り当てになります、数量割り当てになるのは、今全国の需給事情がこうなったから、それをこなすためにこれだけのものが必要なんだということになりますと、我々、理解が得られるんではないか。
ですから、閉塞感、要するにこの辺は、不公平感が農家は一番強いわけですけれども、この辺は一体のものだと我々思っております。
○筒井委員 そうしますと、農家が自主的に、自分たちのために、これをこういうふうに調整しなければ米価が下がってしまうんだ、自主的にそれぞれ判断できるような意識改革をしなきゃいかぬのだということであるとすれば、では、なぜ認定制度を残してメリット措置を残すんですか。
○石原政府参考人 これも、きのう、生源寺さんがソフトランディングという言葉を使われたというふうに聞いております。我々、それはすべて農家にお任せするというのも一つの答えであろうかと思っています。現に、生産調整に関する研究会でも、議論としては、もう一気にやってはどうかという御意見もありました。我々もそういう資料を提供したこともございます。
しかし、そういうときには非常に米価が下落する、それから過剰米が多量に発生するということを考えますと、そういう混乱を考えますと、それはとるべき道じゃないということで、ソフトランディングという、一言で言いますとそういうことになろうかと思いますけれども、そういう道がとられたということであろうかと思います。
○筒井委員 ソフトランディングしなければ混乱をしてしまう、そういう状況だと思うんですよ。しかし、今の国による減反配分は、二年を超えた時点でもうされるかもしれない、それまでに意識改革できるんですか。ずっと長年続いてきた今の農家の意識というのを、二年でできるんですか。
そして、それを具体的にお聞きしたいんですが、先ほどの堀込委員の質問に対して、平成二十二年度に消費量は七百六十万トンになるかもしれない、こういう今見込みをしていると言われましたね。七百六十万トンになったら、減反面積は何ヘクタール必要なんですか。
○石原政府参考人 意識改革ということをたびたび申し上げておりますけれども、これが一番重要だということでございます。それで、農協等は今、これも何度もお答え申し上げておりますけれども、JA米改革ということで、これまでの米の生産のあり方、指導のあり方、それを根本的に変えようということで、今現在組織討議も進めております。大きく、国の方針変更、こういうものに伴って、JAとしても米の改革を進めていこうという方針になっております。
それの一つの例ということじゃありませんけれども、このところ農業新聞等も書いておりますので先生もごらんになったかと思いますけれども、遅植えというのが行われております。これはどういうことかといいますと、今までは、売れる米づくりというのはやはり二の次というわけじゃありませんけれども、これは必ずしも優先されなかったわけです。どうしても自分のところで与えられた、つくっている水田、これに米をつくる。それに自分の労力、例えば五月の連休のときには休みやすいとなりますと、五月の連休を使って植える。決して、そこで生産された米が市場でどのような評価を受けるか、消費者からどういう評価を受けるかというのは二の次、三の次だったわけです。
それを今回の米改革で、やはり売れる米づくりをしなきゃならぬということで、遅植え、要するに植えるのを遅くしよう、遅くすることによって結局よい米ができます、こういうものにつなげようという努力をしています。これを側面から支援するということで、農協の方も、遅植えしない人には値引き販売について違うような対応をするとか、そういういろいろな改革も進めておられるようです。やはりそういうのが意識改革として出てきているということであります。
それから、先ほど経営局長が堀込委員の質問のときにお答えしたかと思いますけれども、あくまで今回ので、いろいろ地域で、集落で話し合いをしていただく、その中で、いろいろ米を取り巻く状況、そういうものを知っていただくというのが、我々、こういう意識改革につながるものと思っております。
それから、先ほど御質問ありました七百六十万トン、これが需要ということになりますと、生産調整は、現在百六万ヘクタールの生産調整をしておりますけれども、百二十万ヘクタールの生産調整が必要ということでございます。
○筒井委員 今、最後のお答えですと、減反面積で換算すれば現在よりもさらに二十万ヘクタールふやさなきゃいかぬ。それを、今まで国がやってきたから何とか、非常に難しかったけれども一〇〇%以上達成した。それが今度さらにふやして、しかも自主的に、それも完全な意識改革だと。ほとんど不可能ですね。九九%なんてものじゃない、一〇〇%不可能じゃないかと思うんです。これができるなんて根拠は全くないわな。
それで、もう時間がないけれども、さらに質問なんだけれども、それは、要するに減反やめていっぱい米ができちゃうと米価が大幅に下がっちゃうというところからやはり減反が必要だということをずっと今まで続けてきて、これからもそれを続けるという政策で、今までの延長線上なんですよね。
だけれども、問題は二つあって、一つは、生産面積、生産数量、この時点でとらえるか、あるいは生産された米、過剰米として生産された米、この時点でとらえるか、その二つの道が考えられるわけで、過剰米に対する処理をきちんとすれば、生産数量でも面積でも、減反したのと同じ効果を得られますよね。この前の参考人のときにもそれを質問したんですが、だから、過剰米に対しての処理をきちんとすることによって減反した場合と同じ効果を得られる、それは別の方式による追求ですが、そっちの方式は、そっちを何とかしようじゃないかというのは、食糧庁は考えられたことは今までないんですか。
○石原政府参考人 今回の我々の考えました対策の中でも、過剰米対策は入れております。ただ、先生あるいは民主党さんの方で考えておられる過剰米対策はもっと大きな仕掛けのようなのでございますが、しかし、我々は、それはあくまで財政負担の問題とかいろいろそういう問題を十分慎重に考える必要があるんじゃないかと思っているところでございます。
○筒井委員 財政負担の問題が解決できれば、そっちはどうなんですか。財政負担の問題だけですか、問題点は。もしそっちの問題、財政の問題が解決できれば、過剰米処理、それをきちんとする、生産の段階ではなくて、そっちにとらえるんではなくて、過剰米の方をとらえる、その問題点は財政の問題だけである、こうお聞きしてよろしいですね。
○石原政府参考人 そのほかに、先ほど来出ています、農家の売れる米づくりに向けての意識改革、それが一切滞ってしまうじゃないか、それがひいては、結局どんどんぬかるみにはまって財政負担が多くなっていくということがあります。
それから、日本農業の構造改革、これは消費者から、あるいは国民から広く求められておると思っておりますけれども、そういうものについての配慮がなくなるのではないかと考えております。
○筒井委員 それはなくならないので、私たちは、過剰米対策として、今政府が考えているような三千円ではなくて、消費量を超える分に関しては市場価格の六割という形で考えているので、それが今言った意識改革にどうして反するんですか、反していないじゃないの。財政的な問題があることはわかりますよ。それはまた後で説明しますが、今の、意識改革に反するというのは全然理解できないな。
○石原政府参考人 売れる米づくり、要するに本来の農家、農業者として真っ先に、あくまで生産者でございますが、心得るべき、売れる、あるいは消費者に喜ばれる、消費者が求めておられる農産物を提供する、そこに欠けることになるのではないか。(筒井委員「どうして」と呼ぶ)要するに、自分がどのように生産しても、それは最後は一定の価格で処理していただけるとなると、どんどんそういう方に進んでいくのではないかということでございます。
○筒井委員 それは、一定の価格は政府案でもそうでしょう。もし私たちの案が市場価格に近いものであれば今言った論理は成り立つと思うけれども、市場価格の六割で、そっちの方で過剰米対策の対象として融資を受ければ大幅に損をするんですよ。それを前提にする限りは、大幅に損するということを前提にする限りは、今石原さんが言われた論拠は成り立たないでしょう。
○石原政府参考人 今委員がおっしゃいましたように、その米が、今、市場価格の六割とおっしゃいましたが、市場価格の六割というのがその米の適正な評価だったらそれでいいんです。それでは六割の評価されない、先ほど生産調整に関する研究会で余り物に値なしという議論まであったということを申し上げました、その言葉はちょっとあれかもしれませんが、要するに、必ずしもそれは市場が求めている米じゃないわけです。それを市場価格の六割、もちろん市場価格にしたら六割というのは低いわけでございますけれども、そういうものと評価することが適当かどうかということであろうかと思います。
○筒井委員 それは政府案の場合には、その融資対象の米、米で引き渡された場合には主食用以外に回す、えさ用とか何かに。それを前提にしている。余り物だからそっちに回すことを前提にしている。
私たちの案の場合は、米で引き渡された場合には全量を政府備蓄米に回すんですよ。余り物じゃないんですよ。政府の場合、政府備蓄米は市場価格で買い上げるんでしょう。それより安く、市場価格の六割で買い上げるんだけれども、余り物じゃないんですよ。余り物じゃないということも前提になれば、まさに論拠は成り立たないでしょう。
○石原政府参考人 その場合は、もちろん備蓄にするということであれば高いものでありますけれども、しかし、その備蓄の量、総量が本来適正な量かどうかということであろうかと思います。適正な量、これも我々の考えと先生方の考え方、違うわけですけれども、この量を超えてやるということを前提にしておられますので、それである限りは、我々、問題だということでございます。
○筒井委員 その備蓄量の問題はまた別の問題で、ただ、その点について言えば、政府の百万トン以下というのは余りに少な過ぎますよ。今、年間で九百万トンだ、四カ月分だとしたって三百万トンなんですよ。ただ、そっちの議論は別にしますが、余り物じゃないことは確かでしょう、政府備蓄米に回すんだから。
財政上の問題も後でまた与党の皆さんが野党案に対して質問していただけるそうなので、そのときにお答えしますが、だから、今言った、野党案について意識改革に反するということは言えないでしょうということなんですよ。財政上の問題は、それはまた別です。ただ、意識改革に反すると言われるから私は反発しているんです。
○石原政府参考人 適正な、必要な備蓄量を超えたものにつきましては余り物ということでございますので、我々はそれに応じた評価でなきゃいかぬと思っています。
○筒井委員 適正な備蓄量いかんの問題だということですね。それによっては財政上の問題だけだということですね、今の答弁は。
○石原政府参考人 その分が適正な備蓄量に入るんであれば、それは、それなりの機能を持つわけでございますので、あとは財政負担、あとは構造改革の問題があろうかと思います。
○筒井委員 さらにそれはまた後で……(発言する者あり)いや、終わったんじゃないの。あと五分ですよ。
五分間の質問で所得補償についてお聞きをいたします。
きのうも参考人の皆さんにお聞きしたんですが、経営安定対策、所得補償。今極めて複雑、品目別、わかりにくい。この補助金を所得補償政策として集中する、そして最低限の農家の所得を補償して、その上で市場原理、つまり自己責任、自己判断の問題にする。
全面的に市場原理を農業に導入すれば日本の農業はつぶれること、これはだれでも一致すると思うんですよ。かといって、全面的に保護策でも農業の発展はないわけでして、やはり農業の事情から見て最低限の所得補償をして、それ以上は各農家の自己判断、自己責任、これをやるべきじゃないか。それはアメリカも七年前にやったことだし、ヨーロッパでもその方向。もうその方向であることははっきりしているのに、日本はどうもおくれ過ぎているんですよ。これを早急に実現すべきじゃないですか。
○亀井国務大臣 いろいろ御指摘をされましたけれども、今まさにヨーロッパが、アメリカが、こういうお話もありますけれども、現実に我が国の水田農業、この需要に対応した生産体制の構築やあるいは規模拡大等の加速化が必要な状況下に今あるわけでありまして、関係補助金の整理により農業者の所得を直接補償するという措置を講じた場合には、先ほども答弁いたしましたが、現状の農業の構造が固定化される、あるいは構造改革に支障を来すおそれや、あるいはまた需給事情等を反映した主体的な経営努力が阻害をされるおそれがあるわけであります。
そこで、今回の米政策におきましては、産地づくり推進交付金、あるいは担い手経営安定対策、また、過剰米短期融資制度を、一つの政策パッケージ、このように考え、改革を進めることが最も私は当面大切なことではなかろうか、こう思います。
○筒井委員 大臣、結論だけ言われているけれども、今言われた中で、所得補償を導入すると構造改革に反する、こう言われましたね。どういう理由ですか。
○亀井国務大臣 現状の農業構造、こういう視点で申し上げたわけでありまして、まず現在のいろいろの、先ほど申し上げましたようなこのような三つの政策、産地づくり推進交付金であるとか担い手経営安定対策だとか……
○筒井委員 そんなの聞いていない、今、なぜ構造改革に反するのかとそれを聞いているんです。所得補償政策がなぜ構造改革に反するんですか。
○亀井国務大臣 現状の、先ほど申し上げましたような今日の日本の農業の規模等々いろいろのことを進めるにつきましても、やはり規模の拡大、こういうことも進めなければならないわけでありますので、そういう視点から申し上げたようなわけであります。
○筒井委員 全然意味わからないな。全然答えていない。
所得補償を導入してそれがもう全部一律に各農家に同じ金額を渡すんなら、今言われたことは正しいかもしれない。だけれども、一定規模以上の面積になったら優遇するとか割り増しするとか、あるいは一定規模以上の面積の経営体にだけ支給するとかいう形で構造改革と一致させることはできるでしょう。所得補償政策を一律に考えているんですか、大臣は。中身を知った上で言っているの。
○亀井国務大臣 ですから、それらの基盤をいろいろつくっていく、そういうものが実現できた中ではいろいろなことも考えられるわけでありますけれども、現状、まだ農家におきましては、その規模であるとか担い手であるとかいろいろ形態があるわけでありますので、それらがまだ進まないという状況下の中では、やはり現在の農業構造が固定されて構造改革に支障を来すおそれや、あるいはまた経営努力を阻害する、こういうことがある、こういう視点から申し上げたわけであります。
○筒井委員 全く答えになっていないけれども、時間が来たのでやめます。
○小平委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時七分休憩
――――◇―――――
午後一時三分開議
○小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山田正彦君。
○山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
新しい食糧法の生産調整のやり方なんですが、先ほどの答弁でも、これは各都道府県別に割り当てするということですが、前年度の各都道府県の売上実績に基づいてその各都道府県の数量を決めるのかどうか。大臣、いかがですか。手短に。
○亀井国務大臣 その数量は、公正中立、第三者機関的な組織の助言、こういうようなことによりまして、透明な手続、また需要実績を踏まえて、需要予測に基づき設定をするわけであります。
これは、全国段階から各都道府県段階、都道府県段階、市町村段階と配分することになっておりまして、行政と農業団体が両ルートで配分するわけであります。
それぞれ農業者段階での配分に当たっては、営農計画を適切に、また生産調整の確認を容易に行う、こういうようなことで、生産目標数量と、これを地域の単収に基づき換算した作付目標面積をあわせて配分するわけでありまして、需要に即応した形というものが基本的な形になろうかと思います。
○山田(正)委員 どうも大臣の答弁よくわからないんですが、私が聞いているのは、例えば平成十四年度の生産数量目標が八百七十六万トン、ところが平成十五年は八百五十五万トンですから、かなり生産数量目標が減らされてきているわけですね。そうすると減反面積が、これまでのこの委員会での質疑を聞いていても、もう農家としてはこれ以上減反できませんよというぎりぎりのところまで来ている。そこで、もう減反というのをやめて、いわゆる生産数量の割り当てという、目先を変えて農家にさらに減反を強化しよう、そのための方法としての今度の生産調整数量の割り当てじゃないのか。
いわゆるその生産数量の割り当ては、前年度の売り上げの実績で決めているのか。大臣、その答弁書を読まずに、大臣の言葉で答えてくれませんか。私が聞いているのは難しいことじゃないんですよ。
○亀井国務大臣 それは、前年度の需要実績ということは中心になろうかと思います。またあわせて、これらの問題は、これから消費者ニーズ、こういう面でいろいろ、有機米であるとか無農薬であるとかそういう関連の需要というものも十分加味されなければならないわけでありますが、やはり基本的には需要量というものが中心になる、こう考えます。
○山田(正)委員 前年度の実績でということになりますと、平成十三年度の資料しかないんですが、北海道が生産数量六十一万五千トン、平成十三年十月末に三万トン余っているんですね。それが十四年十月末には一万五千トン余っている。新潟の場合には、六十二万四千トン生産していますが、十三年十月末二万二千トン、十四年十月末は一万四千トン余っているんですね。
ということは、もともと、売れる米をつくるところにできるだけ生産数量を多くし、売れる米をつくらないところにさらに生産数量を少なくして減反を強化させるという趣旨だと思ったんですが、現実には、例えば長崎県の場合、七万一千トン生産しているんですが、これは在庫ゼロなんですね。そうすると、米どころあるいは北海道といったところが現実には在庫が余っておって、そういうところに減反が強化されるということになりはしないんですか、大臣。
○亀井国務大臣 今度のこの改革によりまして、今、基本的には昨年の需要実績、このことを申し上げたわけでありますが、これから農業団体あるいはいわゆる第三者機関、こういうことで、それぞれ、地域、都道府県、その生産数量につきましてはいろいろ協議をいただくわけであります。
そういう中でそれぞれ県産のお米の販売戦略等々もお考えをいただいて、そして、これはすぐ一年でそれができるわけではないわけでありますが、そのような第三者機関の機能というものを発揮することによりまして、各県の米の生産についていろいろ知恵を、戦略をおつくりいただき、また需要のある米の拡大、こういうことをもその機関でおやりいただくということを期待したいと思うわけであります。
○山田(正)委員 手短に私の質問だけに答えてもらえばいいんですが、それで、もう一つ聞きたいんです。
米価がどんどん下落してきています。今度もさらに米価が下落するんじゃないか。生産者は本当に危機的状況にあるとは思うんですが、そんな中で今度の、米価下落に対する新しい法律での補償。これは、今までは下落の八割相当部分でしたが、いわゆる六十キロ二百円と、価格の差額の五割。これで、実は、平成十一年一万六千九百四円だったのが、平成十二年一万六千八十四円に下がった。それを新しい方式で計算してみますと、差額は八百二十円になるわけですが、そのうち、その五割ですから四百十円が補償される。そして、固定費として六十キロ二百円が補償される。そうなると六百十円になる。ところが、新しい法律じゃなく、これまでのやり方でいけば、八割ですから六百五十六円。六十キロ当たり四十六円違うわけです。
ということは、いわゆる今度の法案は、農家にとっては、減反がさらに強化され、さらに、価格補償についても従来よりも下げられる。価格補償枠がさらに低くなる、現実として。ということは、より農家にとっては、この厳しい中にさらに厳しくなる、言ってみれば、生産者にとっては大変な厳しい法律じゃないか。
大臣、どうお考えでしょうか。もうその答弁読まずに答えてくださいね、大臣の考えだけで結構です。
○亀井国務大臣 今回の米政策の転換、いろいろ新しい制度を導入するわけでありまして、予算のことにつきましても、昨年二千四百億、こういう数字があるわけでありまして、全体として、今御指摘をされたようなことが極力ないような、また、新しい制度を導入することによってさらに前向きにいろいろ取り組んでいただけるような、そういう方向で今後とも努力をしてまいりたい、こう思っております。
○山田(正)委員 前向きに前向きにというのはわかるんですが、いわゆる今度の法律、そして今度の農水省のやり方というのは、減反のさらに強化であって、そして事実上、価格、いわゆる差額の補てんの補償の割合も下がる。そういう事実であるかどうか、イエスかノーかで答えていただければいいんですが、どうですか。
○亀井国務大臣 これは、イエスかノーかで答えるというのはなかなか難しい一つのことに思います。
いろいろ、消費者ニーズに合う新しい形で米を生産されるという農家も出てくるわけでありまして、金額等々の問題、これはイエスかノーかで答えることはちょっとできない、こう申し上げたいと思います。
○山田(正)委員 大臣、僕が聞いているのは難しいことじゃないんですよ。
今度の新しいやり方でいくと、生産数量目標でいくわけですから、生産目標数量というのは年々下がってきているんです。来年度も下がるわけでしょう。下がって、さらに減反は強化される、その生産数量目標を下げる、決めていくわけですから。例えば、十四年は八百七十六万トンあったのが、十五年は八百五十万トンなんです。十六年はもっと下がるでしょう。ですから、いわば生産数量目標が下がって減反が強化されるということは当然なんでしょうと言っているんです。まずそれが一つ。
もう一つは、価格補償にしても、三百万トン分しか補償されないんです、生産は八百七十万トンあるわけですが。今までの流通米制度で、これまでは三百万トンまでしか価格補償されていなかったんですね。その中で、余り難しく言うと、簡単に一つだけ聞きますから。今度の価格補償のやり方は、従来より生産者にとってはプラスになるのか、マイナスになるのか。いわゆる補償価格は上がるのか、下がるのか、それだけ答えてもらえばいいんです。わからないんならわからないでいいです。上がる、下がる、わからない。
○亀井国務大臣 それぞれ、その農家の形態等々、いろいろあろうかと思います。これは一概に、上がるとか下がる、申し上げることはなかなか難しいことではなかろうか、このように思います。
○山田(正)委員 大臣ともあろう者がそれについて答えられないというのは、ちょっと情けない気がしますが、答えられないということですから、わからないということだと僕は解して、次の質問に進みたいと思います。
それでは、次に、米が市場にこれから出回りますね。そして、今までは価格形成センターがありました。それがなくなって、全くこれからは計画流通米制度もなくなるわけですから、自由に米が売られる。どんな場所で売っても構わないということになるんでしょうか、ある程度の制限があるんでしょうか、大臣。
○亀井国務大臣 これは自由に販売がなされる、このように理解いたします。
○山田(正)委員 そうしますと、今までの価格形成センターはどうなるんでしょうか。
○亀井国務大臣 やはり、今度も改正をいたしますが、この価格形成センターにおきましては、日本の国内全体としての米の価格がそこで形成される。これは量の問題、ロットの問題等々、いろいろあるわけでありますし、米がそれぞれの生産地等での生産の基準価格のような形になり、それに基づきまして、またいろいろ相対の取引が行われる等々の一つの場になるのではなかろうか。このような場を通じて、生産者あるいは農業団体、また流通関係者がその場を通じて、効率的な商売、こういうものがなされ、価格が形成されることを期待したいと思います。
○山田(正)委員 では、従来どおりの米の流通センター、売買の取引所としては残るわけですね。――はい。
では、これからそれは残る。それは残って、では米はどこで売ってもいい。例えば中央卸売市場で売ってもいい。あるいは、例えば今、穀物の商品取引所というのがありますね、穀物商品取引所というのは東京、大阪にあると思うんですが、大臣、そういうところで売ってもよろしい、全く自由であると考えてよろしいですか。
○亀井国務大臣 市場の問題、これもどういう市場になりますか。ただ、お米の性格から申し上げて、あのような市場で、これは生鮮食料とか野菜だとかと同じような形にはなかなかなじまないんじゃなかろうか。また、収穫が一年一回、こういうようなことでもありますし、現実にまた現物をそこに持っていかなければならないわけでありますから、なかなかそういう市場のようなところはなじまないんじゃなかろうか。
また、穀物取引所がありますけれども、そこでの上場の問題、それらの組織のいろいろの規定があるのではなかろうか、こう思います。
○山田(正)委員 今は自主米センターと、日本コメ市場株式会社ですか、ここは月一回、ファクス取引で行われているようですね。これを調べてみましたら、価格は自主米センターより五%ぐらい安いようですね。もう一つは日本農産情報。これは日刊米穀市況速報というので成約例を毎日やっているようですが、ここの相場はまあまあのようです。
いわゆるそういう形で、ともかく何でもいい、例えば青果市場、中央卸売市場が米も取り扱うということで、内規があれば内規を変えてやるとしたら、本当に米もこれから市場ではいわゆる野菜並みになる、大臣、そう考えてもよろしいですね。
○亀井国務大臣 お答えいたします。
今お話しの、いろいろ、米市場ですとか、今三カ所ほどあろうかと思いますけれども、現実に、そこでの取引は卸がいろいろ在庫を持っている、その間の卸間の売買ですとか、そういう形での市場であったのではなかろうか、こう思います。
また一方、市場でお米を、これは現実に十キロ、二十キロ、そういうようなことであったら、市場に参りましても、よそのところ、正規でない場所で米が置かれておりますのは私も承知をしておりますけれども、現実にその市場の取引の基準というものがあろうかと思います。駐車場にそれなりのお米を持ってきて貯蔵しなければならないわけでありまして、やはりいろいろの制約があろうかと思いますけれども、その市場の一つの基準というものによるのではなかろうか、こう思います。
○山田(正)委員 それぞれの規約で、それぞれの基準でやればよろしいということのように思いますが、わかりました。いわゆる野菜並みにその基準が、八百屋さんがというか中央卸売市場が米を扱うと言ったらそれでもいいですよ、そういう趣旨だと思いますが、これでいきますと、例えば商品穀物相場が取引すると、小豆みたいに投機の取引、投機の対象になりませんか、米相場。大臣、いかがですか。
○亀井国務大臣 この辺のことにつきましては、いわゆる第三者機関でいろいろ数量の協議をされ、また農林水産省も流通の問題でいろいろの状況を把握する、こういう使命があるわけでありまして、地方の農政事務所、今度変わります農政事務所等々でいろいろその辺の調査もするわけでありますので、そういうことのないようなことにいろいろな努力をしなければならない、こう思っております。
○山田(正)委員 大臣、さっき私が質問したとき、何らかの制限があるのか、全く自由なのかと言ったら、自由だと言ったじゃありませんか。自由であったらどこで売ってもいいわけだし、当然また穀物商品取引所で、空売り、空買いとか、いわゆる投機筋に米が扱われるということだって自由なはずです、これは。何らの制限もしないとさっき言ったわけですから。
それで、そうなってきたときにどうなるかというと、それこそ米はどんどん下落して、いわば野菜と同じようになってしまって、そして日本の農業、日本の水田、稲作というのは今度の法案では大変なことになる、私はそう憂えているわけです。非常に憂えているわけですが、食料自給率がさらに下がる、大臣、そういうときに、諸外国、私が資料でお配りしたと思いますが、ではアメリカはどうしているのか、EUはどうしているのか。
私が配った資料、アメリカの農産物に対する価格政策ですね。この一番最初のページの中に、いわゆるローンレート、短期融資制度のことが書いてありますが、「市況低迷時には担保となる農産物を商品金融公社(CCC)に引渡すことにより返済義務が免除される。」融資額と市場価格の差は政府が負担して。「このため、融資単価(ローンレート)が農産物の最低価格を保証する効果を有している。」いいですか。
アメリカにしてもEUにしても、EUはもっと端的に、次のページを見てもらえばいいのですが、支持価格制度をとっている。そして、アメリカの場合にはさらに、WTOの趣旨には大きく反すると思うんですが、二〇〇二年度、昨年から、ブッシュさんになってから新しく目標価格を設定しているわけです、穀物、米にも大豆にもトウモロコシにも、小麦にも。そして、目標価格と市場価格との差額というのは不足払いで約三百九十億ドル、約四兆円近いものを支払っているんです。僕はアメリカに行って調べてきました。大臣、よく見ていただきたいのです。
各国そうして農産物に対しては支持価格及び目標価格を決めてそれぞれ保護してある、穀物、食料自給率のために。ところが日本は大臣、流通においてもう何ら制限ありません、自由ですと。僕は最初に聞いたんですよ、制限は何らかあるのかと聞いたら、ないと言った。これだと、どんどんどんどん下がって、もう日本の農業は終わりだ。そんなことを大臣させてもいいのか。
もうその官僚の書いた作文を読まずに、大臣の言葉でお答えいただければと思います。
○亀井国務大臣 今回この法案を提出いたしておりますのも、やはり水田農業、またいろいろ生産調整をずっとやらなければならない、こういうこと等々から、いろいろの制度を導入いたしまして、米の生産ができるように、またあわせて需要に合う生産数量を第三者機関でお互いにまた協議をして、そして水田農業を維持発展させる、こういうことを進めるわけでありまして、いろいろアメリカの制度のことにつきましてお触れになりましたが、まず私は、これらいろいろの制度をもって日本の農業の基盤、こういうものをしっかり確立させるような、そのことをまず最初に進める。
今度の制度を進めて、そしてそういう中で、また今後の問題、特に米の自給率を上げなければならない、担い手がいない、農業後継者がいない、こういうようないろいろ問題があるわけでありまして、まずそれらのことを、いろいろの施策をパッケージで導入することによってそれを進めるまず第一歩をつくることが今度の改革、このように考えております。
○山田(正)委員 大臣、いわゆる、自給率を上げます、農家の生産意欲をわかせます、水田を守ります、念仏みたいに言うことはだれでもできるんです、それは。作文は幾らでも官僚がつくってくれるんです。
ところが、現実にこの十年、稲作はどうなってきたか。減反、減反、減反で、そして水田はどうなったか。百四万ヘクタールの減反をやってきて、今、食糧庁の調査によると三十三万ヘクタールしか復田できないというじゃありませんか。たった三十年間で、営々と三千年間築いてきた日本の水田という一つの文化、一つの伝統、そういったものがもろくも崩れてきたんですよ。
そしてまた、いろいろなことで、大臣はこの大事な質問の中で、私から言わせれば、いわゆる自給、いわゆる農家の多面的な育成とかそういうことしか言えないようだったら、まさに官僚の作文をそのとおりに読んでいるとしか思えない。
私は今大臣に聞いているのは、アメリカの、こういう目標価格を設定する、これはWTOの方向に反することを去年から始めているんです。僕は、AMS、いわゆるWTOで認められている助成額にもアメリカは反しているんじゃないか、そう思っておりますが、それくらいのことをやってアメリカは米を守っている、いわゆる穀物を守っている。
私が配った資料の三ページを見てください。米国の米生産者に対する主な援助です。アメリカは、米農家に対してもかなりの援助をやっているんですよ。目標価格というか、融資単価、ローンレートの単価を市場価格より高目に決めています。アメリカは、米においてローンレートの価格を高目に決めているんですよ。そして、実際の市場価格がトン当たり百四十三ドル、これは国際的な価格ですね、国際市場のレートです、国際で売り買いするときの。百四十三ドル、それに七十ドル国が補助して、そして農家に、所得補償じゃないけれども、その分を助成している。
大臣どう思いますか、このアメリカの制度。目標価格の設定、米だけじゃなく穀物に対してすべて。このアメリカの制度自体を、大臣、どう思うか。
○亀井国務大臣 それぞれ、アメリカの農業政策、この一環として導入をされておるのではなかろうか、こう思います。
どのような状況の背景になって行われるか、これはそれぞれいろいろ理由があろうかと思いますけれども、こういう施策が一面進められるということにとっては、農業者にとってもそれなりのプラスになっておるのではなかろうか、こう思いますし、私ども、我が国にとりましては、いろいろ違いもあるわけでありまして、生産過剰、そういう中で、農業のいろいろ将来的なことを考えて、いろいろな、まず制度、そして規模の拡大等々いろいろ進める、まずそのことが我が国としては当面やらなければならないことではなかろうかな、こう思うわけであります。
○山田(正)委員 どうも私の質問の趣旨をよくわかっていないんじゃないかと思いますが、こういうアメリカのいわゆる目標価格の制度、EUの支持価格の制度、これについて大臣、率直に、大臣としてこういう制度をいいと思うのか、これはWTOに反して許されないと思うのか、それとも日本もこういうことを検討したらどうかなと考えるのか。大臣、何でもいいんですよ。大臣の所信をこの場でお聞きしたいと言っているわけです。
○亀井国務大臣 やはり、現在のWTOの協定の問題等々から考えますと、これは、私は、各国の支持は得られない、批判を受けることではなかろうかな、こう思います。
○山田(正)委員 日本の農水大臣たる者が、WTOのそういう内容等々についてよく御存じなんじゃないかと思っておりましたが、これは、WTO上、AMS、国内助成、それぞれ各国に認められています。EUにも、日本にも、そしてアメリカにも認められています。その枠内での助成措置は、支持価格をとろうと目標価格をとろうと、その範囲内であったらWTO違反で批判されることはない。
大臣は批判されると言いましたが、どうですか。
○亀井国務大臣 私が申し上げたのは、AMSの約束水準、こういう範囲を超えていないことでありますから、協定上は可能、こういうことは理解をいたします。しかし、いろいろ今、WTO交渉等々当面する中でもありますし、価格の支持、こういう面では、アメリカはそういうことでありますけれども、各国からやはり非難を受けることではなかろうか、私はこう申し上げたわけであります。
○山田(正)委員 大臣、AMSの範囲内であれば、アメリカがWTOの趣旨に反して新しく目標価格を設定してさらに助成枠を広げようと、これはアメリカの言い分としては違反じゃないというわけです。ところが、大臣としては、それは批判の対象になるというお答えでいいわけですね、これは。
では、EUの支持価格制度はどうなんですか。EUは、いわゆる市場価格との差額の支持価格、市場価格と支持価格との差額がありますね、それを助成して、その助成にさらに輸出補助金をつけて、余剰農産物はどんどん外に輸出しているわけです。EUはそれをやっているんです、現に。アメリカも、日本に米を輸出するといって、さっき言ったように、トン当たり七十ドルは助成してくれているわけです。言ってみれば、輸出補助金と一緒なんです。
そういう実態をわからずに、日本だけが米に対する支持価格制度もすべて撤廃して、自由に八百屋さんでも売ってよろしい、どうしてもよろしい、制限はもう流通においてありませんというのはおかしいんじゃないですかと聞いているんです。
○亀井国務大臣 いわゆる全体として生産数量を決めていくわけでありまして、そういう中での生産をやるわけでありますし、いろいろ制度として、水田農業や担い手、いろいろの施策を進めて、それにいろいろの助成をするわけでありまして、まずその中で水田農業が維持発展できるようないろいろの施策を今回導入するわけでありまして、また、EUの問題等につきましても、若干黄色に当たる、または、このことにつきましてはいわゆる縮減の問題等々も考えられる一面があろうかと思います。
またあわせて、ただ八百屋で、あるいは市場で、こういうことの御発言でありますけれども、それは、販売は自由に行われるわけでありますからそのような形というものはとられるかとは思いますけれども、全体としては、やはり生産数量、また、先ほど申し上げましたような第三者機関での全体の数量を調整するわけでありまして、いろいろ、米が、価格が急落する、また買い占めが行われる、こういうこと等はちょっと異なるのではなかろうか、こう思います。
○山田(正)委員 どうも聞いていてはっきりしないんですが、アメリカは、生産調整をやめて目標価格を設定し、そしてその差額を補てんしながら、そうして余ったものはどんどん各国に輸出していっている。EUも、輸出補助金をつけて差額補償して、どんどん輸出していっている。日本だけがまさに何ら支持価格、価格補償も何にもない形で自由化しようというか。生産調整そのものももう農業者団体に任せて、政府は関与しない。こうなったときに、日本の農業がついえてしまうのはこれは当然じゃありませんか、大臣。
何か、EUとかアメリカがやっているような一つの支持価格制度か何らかの、本当に水田稲作農家がこれからも持続的に稲作経営が続けられるような一つの仕組みというのをつくらなきゃいけないんじゃありませんか、大臣。どうですか。大臣の考えで答えてください。
○亀井国務大臣 当面、平成二十二年までに今度のいろいろの計画を進めるわけでありまして、やはり、まず、先ほど来私が申し上げておりますとおり、そのような方向に、今回、農業団体の御理解もいただき、そしていろいろ、農業者、農業団体等の需要に合う生産数量、これを確保して、そしてこの制度を進めていこう、こういう御理解もちょうだいしておるわけでありまして、そういうものを、何としても今回のこの法案をお認めいただいて、そしてこの制度を導入し、そして、これは平成二十二年、こういうことに向かっておるわけでありまして、そういうものがいろいろ進められる後、それはやはり、担い手等々いろいろな農業者が水田経営をされる、そういう中で生産量を確保する、こういう点のときにはまた検討の余地は私は十分あるんではなかろうか、こう思います。
○山田(正)委員 大臣はちっともわかっていないね。
いいですか。EUもアメリカもこれだけ価格支持政策をやっているのに、今回の食糧法は、まさに、八百屋でもどこでも売ってよろしい、政府は一切関与しません、野菜並みにやりましょうと言っているわけですよ。これで農業者がやっていけるわけないじゃありませんか。そのための仕組みを、例えば、アメリカとかEU並みの仕組みを考える必要があると思うのか、それは要らないと思うのか、どちらかでお答えいただきたい。
○亀井国務大臣 私は、要らないとかそういうことを申し上げているわけではないわけでありまして、現時点では、今の改革を進める、これがまず第一歩ではなかろうか。
各国それぞれの歴史があるわけでありまして、それに基づきましていろいろの制度が導入されておるわけでありまして、我が国もまたそういうような方向に向かう。今、この改革、これをぜひお認めいただきまして、これを軌道に乗せて、そして、そういう中で、将来のこととして、そういう各国がおやりになっているようなこともまた考えなければならないときには、それはまた検討していく。
現実には、平成二十二年に向かってこれをぜひ実施する、そしていろいろ考えていくということが必要なことではなかろうか、こう思うわけであります。
○山田(正)委員 大臣、私ども野党は、このままでいったら本当に日本の水田稲作は壊滅的な打撃を今度の食糧法で受ける、そう私は確信しています。そのために、一つの対案、野党対案を今準備しておりますが、これは民主党さん、社民党さんできょう趣旨説明されるかと思います。
いわゆる生産調整をやめるということについては、流れとして私は結構だと思うんです。というのは、今まで本当に減反を強化したことによって水田が荒れてしまった、もうもとに戻らなくなった。そういった意味で、農家が米をつくりたいだけつくる、いわゆる生産調整をしない、自由にするということは、今、アメリカがやっているように大事なことだ、いわゆる生産農地を保全するために大事なことだ。
そこで、生産調整、減反政策を一切やめる。やめたときに、食糧庁の試算によると、三十三万ヘクタール復田して、そして百七十万トンの余剰米が、つくりたいだけつくったとしたら出るんじゃないか。仮にそこまでいかないかもしれない――大臣ちょっと、いろいろぺらぺら読まずに聞いていていただきたいんですが。
あるいは、米だけでなく、小麦についても、一つのローンレート方式をとって、例えば今の米相場の八割ぐらい、そこにいわゆるローンレートの価格を定めて、そして一年間売れなかったらその価格で引き取りますよという制度をとる。この制度をとりますね、八割か六割かとかいろいろ議論があるところなんですが、それはこれから十分問い詰めるとしても、ただ、支持価格制度の機能を持つとしたら私は八割ぐらいがいいんじゃないかと思っているんですが。
そういう形で、さらに小麦についても大豆についてもそのような目標価格を設定して、目標価格というかローンレートの価格をそのように設定して、そして、それで売れなかった部分については引き取りますよ、ローンレート方式でと。その間、その価格で売れなかったら。米とか麦とか。そうなれば、北海道はむしろ麦をつくった方がいいんじゃないか。
そういう形で、一つのローンレート方式で、支持価格、この資料を見ていただきたいんですが、農産物の最低価格を保証する効果を融資単価、ローンレートに持たせる。米の。そして、市場そのものも維持する、主要食糧において。そういう制度、そういったものをいわゆる野党案では考えているわけですが、大臣、どう思われますか。
○亀井国務大臣 御提案のこと、細かいことはよくわからないわけでありますが、今回御提案申し上げておりますのも、産地づくりであるとか水田農業ビジョンであるとかいろいろ、農業団体そして農業者が、あるいは第三者を交えた中でいろいろ御協議をいただく、生産量をいろいろ協議され、またそれを行政のアドバイス等々もこれあり進めるわけでありまして、そういう中で、地域に合う、需要に合うまた販売戦略、こういうものもいろいろ考えのもとに協議がなされるわけでありまして、そういうことから、その地域に合う転作、大豆であるとか小麦であるとかあるいはそのほかの作物等々の生産、こういうものもそういう場で、ぜひこの法案を契機に、そのことをお願いしておるわけでありますから、そういうものが進められる、そういう点でまず農業に活力のあるような体制というものをぜひ期待を申し上げたい、こう思っております。
○山田(正)委員 大臣、ちっとも答えてくれないんですが。
いいですか。八百屋みたいに自由に、さっき大臣が言ったように、野菜みたいに自由に流通に制限なしでやったときに、とめどもなく、ちょっと作柄が、一〇三とか一〇四、前回質問したように、区分出荷ができるわけないんだから、そうなったときに、どんどん下がってくる、下がってきてしまいますよ。
そうしたときに、農家は大変なことに今度の法案ではなってしまうから、アメリカでやっているようないわゆるローンレート方式、融資単価が農産物の最低価格を保証する効果を持っている、そうして不足払いをやっている。あるいはEUがやっている支持価格、それと市場価格との差額の補てん、輸出補助金、そういったものを考えていかなきゃいけないんじゃないか。我々野党案では、そういった趣旨の、いわゆるローンレート方式で、いわゆる余剰米を市場から引き取りましょうと。
そういう制度なり、そういう制度がなければ、大臣、大変なことになるんじゃないかと聞いているんですよ。どうですか。
○亀井国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますけれども、やはり一つは今、米、水田、その過剰、こういう問題があるわけでありまして、その生産数量を調整する、そういう中で、また、それに、過剰する分につきましての新しい、大豆であるとか麦であるとかほかの作物を生産する、こういうようなことをお互いにみんなで考えていただいて、そして、その地域の農業の規模拡大であるとかいろいろのことを進めることによって、まずそのような体制というものをおつくりいただいて、そして、その過剰の問題等々が解消される、こういうようなときに至ったときに、それら、将来的には、今の価格の問題等々につきましても、ある程度の構造改革なり、そして農家のいろいろの規模が拡大される、そういう中でそのような問題が生じたときには、これはやはり将来的には考えなければならない問題とは私も認識をいたしますけれども、当面は、この制度、パッケージでお願いしているようなことをまずやるということが必要なことじゃなかろうか、こう思います。
○山田(正)委員 大臣、予算も何にもなしで、地域でそこは相談して、農業者と地域の自治体と農協団体とで考えてやってくださいって、そんな無責任なことがありますか。それで本当にやっていけるとお思いだったら大臣の資格はないと僕は思う。大臣は、本当に農業者のことを、消費者のことを考えて、予算を含めて真に取り組まなければ、これは大変なことになっていきますよ。
それで、私が先ほどから言っているんですが、アメリカみたいに、最低価格を保証する融資単価、いわゆるローンレートで余剰米を引き取ったとします。生産調整をやめたら、恐らく百七十万トン、普通作であったら余剰米が出るでしょう。それを仮に一万四千円で引き取ったとしても四千億なんです。そして、減反等々の転作奨励金で今まで約三千億近く使ってきたんですよ、大臣。もうそれは要らない。むしろ、一万四千円で、これは野党内にいろいろ異論はあるところで、幾らで引き取るかというのはまだこれから論議しなきゃいけないんですが、私の意見としては、仮にそれで引き取ったとした場合に、わずかに一千億、農業構造改善事業から回せばいいだけです。農業構造改善事業で農免道路をつくったり橋をつくったりする予算から持ってくれば、どれだけ本当に農民も安心して米生産に打ち込めるか。
そして、その余剰米をいわゆる回転備蓄じゃなく棚上げ備蓄、産地にサイロをつくるんです。カントリーエレベーターの横にサイロをつくるんです。私は現に佐賀県まで見に行ってきましたが、三百トンのサイロが一基当たり二千四百万でできるんです。これを構造改善事業で、産地にそれぞれサイロをつくっていけばいい。
そして、保管すれば保管費用、今、トン当たり一万二千円かかると食糧庁は言っています。確かに食糧庁としてはそれだけの人員、九千人からの人を抱え、もう食糧庁はなくなるわけですが、これも政府保管米、倉庫業者に高い価格で随契でそれを保管しているわけですから、保管料だけで確かに高い。こんなばかなことをやって金を使っているから、備蓄に金がかかるだ、百万トンに備蓄を減らすとか、そう言っているわけです。
しかし、サイロを構造改善事業でつくって、そこにもみでそのまま保管すれば、電気代だけですから、あと、農協に任せれば人件費がわずかですから、管理費用がかかるわけがない、何百万トン保管、備蓄しようと。そして、その棚上げ備蓄したものは、将来的に絶対、緊急の場合、米が不足した場合を除いては主食用に回さない。いわゆる米の粉の飼料とか、あるいはODA予算で海外飢餓国に援助するとか、あるいはバイオマスに利用するとか、そういう形での方法、これを我々野党は考えて、一つ、今回法案の提案になっているところです。
私の質問時間も終わりました。どうかひとつ大臣よく考えて、ただ官僚の言いなりになるんじゃなく、まさに政治家が判断して、農水大臣が判断して、どうあるべきかということを決めていただきたい。そう思って、私の質問を終わらせていただきます。
○小平委員長 次に、松本善明君。
○松本(善)委員 私は、WTO交渉や、今議題になっております食糧法案は、日本の農林水産業がなくなっていくという重大な危機にさらされているという認識でおります。今同僚委員も何人もそういう認識で質問をされましたし、参考人もそういうことを述べられた方がたくさんあります。
最初にちょっと問題提起でありますが、アメリカ人の農業経済学者で、龍谷大学の教授でフロリダ大学名誉教授のシンプソンさんという人が、「これでいいのか日本の食料」という本を書かれました。これは、アメリカのジョージア大学の教授のトーマス・ショーネンバウムさんが、WTO交渉への全く新しい視点からのタイムリーなアプローチだといって推薦をしておられます。大臣、これを読まれたことはありましょうか。
○亀井国務大臣 まだ読んでおりません。
○松本(善)委員 ぜひ、WTO交渉をするというのならば、やはり読まれる必要があると思いますが、このシンプソンさんの問題提起も、日本の農業をつぶしていいのかという問題提起なんですよ。私は、今申しましたように、農林水産業が日本からなくなる危機を感じておりますので、そういう観点からいいますと同感できるものがたくさんあって、よくもまあアメリカの農業経済学者が言ってくれたものだというふうに思っております。
彼は、ブルー、グリーン、アンバーによって政策を色分けする仕組みそのものが多くの国に不利に働く、特に日本のような食料の輸入国にとってはシステムそのものが不利益に働くということを言っております。日本が関税の大幅削減をのまされた場合、日本の農業が墓場への道を迷わずまっしぐらになる。本気で食料の問題に取り組まないと、事実上ほとんど食料品を海外に頼ることになり、食料の安全性や食料の確保のコントロールを失うことで日本は食料を持つ国の言いなりになる。こういう問題提起であります。
先ほど来議論がありましたけれども、二〇〇五年がWTOの期限でしょう。もう切迫をした問題なんです。のんびり、まあそのときはそのときで考えるなんて言っている時期じゃないんだと思うんです。そういう観点で質問しますが、日本はWTO協定で多面的機能とか食料安全保障とかを主張する、これはこれで私どもはそのとおりだと思うんだけれども、これをきちっと協定に権利として書き込ませるように、協定を変える考えでWTO交渉に臨むんでしょうか。違うかそうかということでお答えいただきたいと思います。
○亀井国務大臣 いろいろルールはあろうかと思います。当面は、今主張をしておりますようなことを主張し、そしてこれからの問題としてその辺を、多面的機能の問題等々につきましては、でき得るものであれば我が国の主張として申し上げ、またそういうことが取り入れられるような努力をすべき、このように考えます。
○松本(善)委員 少なくとも、本協定をどういうふうに変えるというような主張はありませんね。そこだけははっきりしていただけますか。
○亀井国務大臣 今ちょっと申し上げましたが、我が国としては、農業の持つ多面的機能を配慮し、品目ごとの柔軟性あるいは農政改革の継続性、そして輸出入国間のバランス、こういうものを確保することが必要でありますので、このことを貿易ルールの確立のために強く求めてまいりたい、このように考えております。でき得るものであれば、そのようなものが入れられるようなことが必要ではなかろうか、こう思います。
○松本(善)委員 きょう再々問題になっている朝日新聞の社説でも、透明性がないと言っているんですよ、農業について、農業政策について。だから、こういう機会に物ははっきり言ってほしいんです。わからなかったら後ろで聞いてもいいですよ。協定を変えるという主張はないでしょうと。本協定を。本協定にある主張をとにかくいろいろ利用しながら交渉はしていきますということでしょうと言っているんですよ。それならそうだと言ってほしい。
○亀井国務大臣 個々の協定にいろいろ日本の考え方を入れる、こういうことに努力をするわけであります。
○松本(善)委員 協定を変えるという主張がないです、皆さんの提案を見ても。だから、私は、答弁でごまかすというのはやめた方がいい。幾ら見たって協定変えるなんというのはないですよ。私は、農林省と詰めて質問しているんだ、それはないと言っているんです。あなたの答弁はそれをごまかしているだけです。うそだと思うなら全部見たらいい。そんな主張は一つもないです。
そういうことだから日本の世論が農業の問題で真剣でないんですよ。さっきも言った朝日の主張、何人もの皆さんが取り上げられた。いろいろ言っているけれども、私は、大欠陥は、多面的機能だとか食料の安全保障という日本の死活の問題について、この社説は一言もないんですよ。朝日はまだいい方だと思いますよ、だけれども全くないの。それが今の日本の世論の現状なんだ、マスコミの現状なんだ。それは、日本の主張があいまいで、そして非常に弱い、言うならば口先だけといいますか、そういうようなものになっているからなんですよ。
この食料安全保障というのは、言うまでもなく安全保障という最も重大なものなんです。今アメリカでもバイオテロなんかが真剣に論議されている。食料の安全保障というのは深刻な問題なんです。農業の多面的機能の問題は前回も論じましたけれども、水田のダム効果だとか、酸素の供給だとか、景観や環境の保護だとか、国民が生きていくための不可欠な機能があるだけではなくて、林業を合わせますと年間八十兆円近い膨大な資源と富を失うことになるんです。それは年間一般予算に匹敵するものですよ。そういう問題なんです。
世界人権宣言だとか人権規約で保障されている国民の生きていく権利にかかわるもの。やはりそれを侵されないためには、私は、市場原理に対して、それは万能ではなくて、それに対して確固たる歯どめが必要なんだ。その歯どめがなければ、今四〇%ですけれども、どんどん下がっていく危険がある。三〇%だとか二〇%だとかいうようなことになりかねない。それはやらせないということを国際法上確立させる必要がある。日本の生きていく権利なんだ。
シンプソンさんは、この問題については、一定の自給率を国内政策で決める権利を主張すべきだ、こういうふうに言っているんです。大臣、どう思いますか。
○亀井国務大臣 やはり我が国は、我が国としての安全保障、また自給率の問題等々から考えますときに、それは主張として、WTOの中で強く主張すべきことと私も思います。
○松本(善)委員 そうしたら協定で、これには何にもないですよ、日本政府のWTO農業交渉に対する日本提案の中に何にもありません、そんなものは。一言もないです。それなら、やはりWTO交渉についての日本の主張の中に、自給率については国内政策で決める権利があるということをはっきり書き込ませる、そういう主張をするか。それなら直ちにこれは変えなければいかぬのです。
それは変えるんですか。今までの提案を変えて、その権利を主張するのかどうか、はっきり答えてほしい。
○亀井国務大臣 いろいろ私ども、関係者にまた提案をしておりますことは、そういう意味のことを申し上げておるわけでありまして、条文をどう、こういうことではないわけでございまして、我が国の主張をそれぞれ今申し上げておるわけでありまして、これは条文にどうということでなしに、それが将来的にどういう条文になりますか、これからのことにもなるわけでありますけれども、現在そのことを主張しているという段階であります。
○松本(善)委員 それでは、WTO協定で食料自給率を権利として主張する、そしてそれについては妥協しないということが約束できるならば、はっきりそう言ってください。
○亀井国務大臣 それは私も、この間、関係者に我が国の自給率のことを申し上げてきたようなわけでありまして、それを入れるとか、それは条文の中にまたそのことを、日本の国内の農業状況、こういうことの説明の中で、この四〇%の問題、これを四五%に上げなければならない、こういうことを申し上げておるわけでありまして、それを文書でどうというような、条文にどうということにつきましては、これはやはり無理のあることだと思います。
○松本(善)委員 その辺があいまいになってくるとだめなんですよ。さっきから議論もあります価格支持制度だとか所得補償だとかそういうものは、自給率で権利として決まっていれば遠慮なくできるんですよ。そうしなければ日本の農業や林業、水産業は救えないですよ。そういう問題なんです。
何か国民に対してやっているような顔をしながら、実際は逆のことをやっている。今度の食糧法案はそうですよ。もう日本の主張は通らないということを前提にして、市場原理どんどんやってください、それに対応するためにどうするか、その法律でしょう。だから、表向き、対外的に言っていることと、国内でやっていることは全く違うんですよ。だからあなたのようなそういう答弁になるんですよ。
我が党は、そういう点でいえば、WTO協定の抜本的な改正が必要だと考えております。自給率四〇%というのは、逆に言えば外国への食料の依存率が六〇%だということなんですよ。これはもう本当に異常なことです。これほど食料を外国に依存している国は、一部の砂漠国を除けばほとんどありません。穀物の自給率は二八%です。百七十五カ国中百二十八番目で、アフガニスタンだとか北朝鮮よりも低いんですよ。これを黙っていられますか。
私は、外国に対する食料の依存率を減らすことが、これが食料安全保障の観点から急務なんです。だから、自給率を上げる、外国に対する食料依存率を減らす、それは日本の国の権利だと言って、どんなことがあっても譲らないということが必要なんですよ。それがないんですよ、答弁の中から。それが一番の問題です。
それで、自給率については、政府は二〇一〇年四五%を目標にしています。関税が引き下げられれば、自給率、食料の外国依存率は、ますます自給率は下がって、それから外国に対する食料依存率は上がる。我が党は、早期に五〇%台に回復をさせて、引き続き六〇%台を目指すということにしております。
イギリスは、食料自給率を引き上げた数少ない、ただ一つではないかと思いますが、そういう例です。これはもう、価格支持政策を、先ほどから議論がされておりましたけれども、価格支持政策をとったからであることは明白であります。米だとか麦だとか大豆だとか、それぞれ自給率についての目標を立てているんですね。作物ごとにそれぞれ必要な価格支持政策をとって自給率を引き上げる、換言すれば、食料の外国依存率を引き下げる、これが食料安全保障に万全を期する道なんです。
大臣、自給率を引き上げる具体策はどういうものですか。
○亀井国務大臣 これは今回、この水田農業に対しましても、今回のこの法改正をいろいろお願いしておるところでもございます。
これらは、今農地が荒廃地になっている等あります。また、それらに新規の就農者が得られるような、そして規模の拡大、あるいは担い手の増強、こういういろいろなこともいたさなければならないわけでありますし、さらには、これからの水田の転作というようなことで、飼料作物を国内で自給できるようにするとか、あるいはまた、国民の皆さん方にも、やはり米を中心に、その食生活等々、日本で生産されるものを積極的に消費していただくというようなこと等、いろいろなことがあるわけであります。
大変厳しい状況、本当に農業後継者が少なくなってきておるような問題もあるわけでありまして、これらをやはり生きがいを持って農業をやっていただくような基盤整備等々を、また農業の構造改革、いろいろなことを進めなければならないんではなかろうか、こう思います。
○松本(善)委員 いろいろ言ったけれども、なるほどそれなら自給率が上がるなんて思う人、一人もいないですよ。具体策、何にもないんだもの。そんなことをやっていたら、二〇〇五年までに農業は本当になくなっちゃう、本当に緊急事態ですよ。私はやはり、その根本に米の輸入問題がある。
今度の政策に対して、北海道東北農業対策協議会、これは農協の集まりです、北陸四県農協対策本部との共同意見で、要望の中には、ミニマムアクセス米の廃止に向けて、国はWTO農業交渉を通じて最大の努力を行え、最低限、輸入量の大幅削減を実現せよと、廃止ないし大幅削減ということを要求しています。
生産調整研究会の意見は、ミニマムアクセスが影響ないなんて。大臣もそう思いますか。
○亀井国務大臣 主食以外にいろいろぶつかっておるわけでありまして、現状では影響はない、このように理解しています。
○松本(善)委員 そんなことを言っていたら、もう生産農民からばかにされますよ。山田さん、農協の中央会の専務理事、あの委員でしょう。いろいろ大議論だった、だけれども収れんされていないという意見を公然と出していますよ。
そんなことを言っていたら、例えば、アメリカやその他輸出国からミニマムアクセスふやせと言ってきたらどうするんですか。あんた影響ないと言ったじゃない、影響なければどんどんふやそうじゃないかと。どうしようもないでしょう、そんなこと言っていたら。反論したければ後から、まだ聞いていないんだから、したいときに、私が聞いたときについでにやるのは結構ですけれどもね。
それで、私が言うのは、この政府提案の中にミニマムアクセスの改善というのがあるんですよ、この農業交渉日本提案の中に。一体この改善というのはどうするんです、何をどうするんです。これは大臣でない方がいいかもしれぬな。しっかり、はっきりと答えてほしい。
○石原政府参考人 その提案で言っております改善というのは、ミニマムアクセスについては二つございます。
一つは需要量。これは一九八六年から八八年の数字を使っておりますけれども、それを最新のデータに基づくものに変えるということでございます。
それからもう一つは、我が国は関税化がおくれたということもございまして、加重されたミニマムアクセス数量になっております。具体的には、本来であればミニマムアクセスは三からスタートしまして五になるところを、我が国は七・二%というふうになっております。これを本来のミニマムアクセスの量、すなわち五に戻すということを言っておりまして、これが我々改善と言っているものでございます。
これはルールの改善になりますので、変えるとなれば協定になります。先ほど来言っておりますように、我々はそれも目指しているということでございます。
○松本(善)委員 この議事録を読む農民がわかるように、どのぐらい削減するんですか、具体的に言ってください。難しいことは言わぬで、普通の耕作している農民がわかるように、どのくらい減らすんだと。
○石原政府参考人 詳しく申し上げますと……(松本(善)委員「詳しくでなくていいよ、結論でいいよ」と呼ぶ)いや、農家の方にわかっていただけるように詳しく申し上げますと、八六年から八八年の消費量は一千六十五万トンでございます。これが直近年、九九年から二〇〇一年ということにしますと九百七十八万トンになります。
それで、現在七・二%、この適用になっておりまして、一千六十五万に七・二%を掛けまして七六・七、丸めまして七十七万トン、我々、ミニマムアクセス数量として受け入れざるを得ないということでございます。これが直近年になりますと、九百七十八万トンに七・二%掛けますので七十万トン。合計で七万トン減るということになります。
○松本(善)委員 それで大体わかりましたけれども、しかし、それは大幅削減とは到底言えませんね。微々たるものだ。廃止ないし大幅削減という生産農民の要求には到底こたえられない。それで、これはこれでおきましょう。
もう一つ聞きたいのは、この提案で、AMS、削減対象の国内支持総額の約束水準、これを現実的なレベルにする必要があるんですが、これはどういうことです。
○石原政府参考人 ちょっとその前に、先ほど私、七・二%の場合だけしか申し上げませんでしたけれども、先ほどの五%というのを適用しますと四十九万トンということになりますので、現在の七十七万トンから四十九万トンを引きますと、二十八万トン軽減されるということになります。
それから、ただいまのAMSは、申しわけございません、AMSはどういうことで。もう一度質問を教えていただけますか。
○松本(善)委員 AMSは、要するに、現実的なレベルにする必要がありますということなんです。それは一体、だからAMSについては何を主張するんですか。
○西藤政府参考人 AMS、国内支持につきましては、貿易、生産への影響がある施策ということで、その削減が交渉課題になっているわけでございます。
先生御案内のとおり、ケアンズ等の輸出国は、一定の時間を置いてこの撤廃を主張している状況にあります。御案内のとおり、ウルグアイ・ラウンドでは、基準年に比べて二〇%の縮減という形で対応してきました。私ども、そういう点で、そういう撤廃ということではなくて、各国の農政の状況、そういうことを踏まえた現実的な縮減が適切であるという主張をしているということでございます。
○松本(善)委員 私は事前に全部レクを聞いて、農水省の考えを聞いているんだ。実際は、この数字、一〇〇%とかそういう要求にはこたえられない。しかし、五五%に引き下げるという提案を我が国はするんだと。
AMS、目いっぱい使えということで私は前に質問をしたことがあるけれども、このAMSの枠をさらに減らすということを日本政府は提案しているんだ。それが現実的だと。一〇〇%の要求に対して五五%だ、それが現実的だという提案だというんですが、そうですか。
○西藤政府参考人 我が国、ウルグアイ・ラウンド合意で約束をしている水準に比べまして、現在既に、農政改革努力の中で、約二〇%の水準に縮減してきている状況にございます。
そういう状況を踏まえ、かつ、私ども、今回の農業交渉においてフレンズ国と連携をとっているという状況の中で、先ほども申し上げましたような撤廃の主張に対して、現実的な縮減、EU等と連携しながら、EUの五五%の縮減提案を支持し、我が国も五五%の縮減ということで主張している状況にございます。
○松本(善)委員 それではっきりした。だから、EUの提案に乗っていって五五%に削減する、価格支持は今までよりもできないようにする。これが現実的なレベルにするという中身、要するに下げるということなんですよ。私は驚きましたね。
それから、関税について聞きます。
EUの削減率については、我が国は、その削減率を支持する、しかし途上国条項は支持しない、こういうふうに聞いていますが、そのとおりかどうか。こんな聞き方だから、イエスかノーかで答えられるでしょう。
○西藤政府参考人 関税の縮減については、我々、品目ごとの柔軟性を確保できるという観点から、平均関税の引き下げ、最低引き下げということで展開をいたしておりまして、EUと連携しながら、平均三六%、最低一五%の引き下げということはEUと同調しているところでございますが、先生御指摘のような、LDC、後発途上国に対する無税、無枠、これはEUの主張にございます。私ども、無税、無枠のLDC特恵の拡大には努力をいたしておりますが、すべて無税、無枠にするという主張には同調できないということで、そこは明確にしているところでございます。
○松本(善)委員 わかりました。
ただ、今までわかったところは、ミニマムアクセスの削減は微々たるもの、それから、AMSは減らす、関税は下げる、これが具体的提案なんですよ。多面的機能だとか食料安全保障だとか偉そうなことを言っているけれども、実際の提案は、中身を洗っていったらそういうことになる。これはとんでもないことなんですよ。
それで、私がもう一つ聞きたいのは、EUの途上国条項は賛成できないと言うんですけれども、EUは途上国を味方にしようと思って無税にしているんですよ。
私どもは、途上国を味方にするのは別の方法がある。アグリビジネスなんかが、農民が生きていけるものではなくて、そのアグリビジネスの要求するものをつくらせるとか、それから、環境を破壊するとか、資源を略奪するとか、このWTO協定の中での途上国の不満はいっぱいあります。それはやはり全面的に改善をするというところで途上国などと手を結ぶべきであると思いますが、このEU案に乗っていった場合、EUはそういう考えですから、それへ乗っていきましたら、途上国条項を受け付けない、これはやむを得ずのんじゃったというようなことが起こりかねない。
そういうことは絶対ない、そんなことは絶対起こりません、そういうものだったら賛成しない、二〇〇五年になってもWTOはぶっつぶすんだ、そのぐらいの考えでやるのかどうか。途上国条項をのまされたら、これは十キロ三百七十円で入ってきますよ、無税ですからね。こうなったら、飯米農家であろうと何であろうと全滅です。もうどうしようもない、本当に壊滅です。墓場へ行くだけですよ。
そういうことは、途上国条項は協議の中でやむを得ずのむというようなことは絶対ないと断言できるかどうか。これは大臣に聞きましょう。
○亀井国務大臣 そのようなことにならないように、私ども、総力を挙げてやる決意であります。
○松本(善)委員 そういうことにならないように努力すると言うんだけれども、そういうことになったら日本の農業は壊滅するんですよ。そういうことにはならないという保証があるのかどうか。
私は、そういう保証がなければ、やはり、シンプソンさんがせっかく言ってくれているんだ、自給率ならばほかの国もわかる、なるほどそれは日本が生きていけないというのならと。それはそうでしょう、自給率が二〇%になるなんということになったら、それはやはり無理だということに世界の世論を持っていくことはできると私は思うんですよ。
そういうことを主張しないで、このEU案に乗っていくということだけだったら、これは起こり得ると私は思いますよ、情勢上やむを得ない、日本だけ孤立するわけにいかないとあなたも言ったことが、あなただったかどなたかここで答弁された方がありますけれども、そういうことになりかねない。
そういうことは絶対にないということを、もう一回聞きます、断言するかどうか。
○亀井国務大臣 そのようなことにならないように、懸命の努力をいたします。
○松本(善)委員 そこまでしか言えないわけですよ。そうなると、やはり二〇〇五年に日本の農業が墓場へ向かってまっしぐらということが起こり得るんです。今のような大臣の答弁では、生産農家はみんな不安でしようがないということになりますよ。
それから、次に聞きたいのは、この法律です。
この法律は、大臣が今のような答弁でしょう、関税の大幅削減をのまされるかもしれない、それでもやっていける、やっていくんだという前提でできておると思います。
この法案の基本方向は市場原理の導入で、米価暴落の一部を補てんする稲作経営安定対策や転作奨励金の廃止でしょう、政府による生産調整配分の廃止でしょう、米の入札取引の規制緩和でしょう、計画流通米制度の廃止でしょう。国の責任を全面的に放棄する。多面的機能だとか食料安全保障、だれが守るんですか。政府以外に守るものはないですよ。それを放棄しちゃう。
この方向は、私たちの全国調査でもはっきりしました。これは米の生産と農家の経営に壊滅的というような打撃を与えずにはおかない。
実際に岩手県で進めている水田農業改革大綱、集落水田農業ビジョンづくりというのでは、例えば盛岡市の下湯沢地区というところで、現行実質作業四十九戸を、平成二十年には十五戸に全面委託していく計画。残りの三十四戸の農家は農業をやめろということなんです。目標の水稲作付面積は四十五町歩ぐらい。
しかし、この間、中林さんが質問で一度取り上げましたけれども、滋賀県で、百ヘクタールの農業法人グリーンちゅうずという、これの中心になっている人は保守系の町議さんです。この人は、これ以上市場開放されればバンザイだ、町全体がバンザイだと。皆さん、百町歩つくっている人が、私たちとも考えの違う人がですよ、これ以上やられたらもうバンザイだと言っているんです、町もバンザイだと言っているんですよ。まさに農業が壊滅をするということの悲鳴を上げているんですよ。
四十五町歩ぐらいの農家をつくって、だめなことは目に見えているんですよ。岩手県は、この米政策大綱、この法案が成立するということを前提に、こういったことをやっているんですよ。大臣、どう思いますか。これはもう農業の壊滅じゃないですか。
○亀井国務大臣 今度の改革におきましても、そのようにいろいろの構造改革、そして経営安定対策等々いろいろの施策を進めて、そのような農家の方が、今いろいろ御指摘がされましたけれども、消費者のニーズに合う、こういうようないろいろのことを考慮された、そして安定的な農業経営ができるシステムになる、このように思っております。
○松本(善)委員 口先で言ったってそんなものはできないんですよ。現実がちゃんと実例を示して言っているじゃないですか。
しかも、岩手県の集落水田農業ビジョンでは、経営規模が少ない農家が所有している農業機械の更新抑制や処分を促すことによって、担い手への作業委託を促進して、これをコスト低減だと言っている。これでは離農の促進ですよ、農業の破壊政策の推進ですよ。そのもとがこの法律なんですよ。こんなことが認められますか。これは絶対許せない。
私は、もう一つ、わざわざ茂木さんに来てもらったから、外交のこともちょっと聞きたい。ほかに聞きたいこともあるけれども。
今のWTO協定内での価格支持政策の問題。この間、大島さんのときに聞いたんですけれども、あいまいなので、それをもうちょっと詰めたいと思ったけれども、それはもう時間がないからやめます。やめますが、WTO協定の中でもう一つ可能なことは、ミニマムアクセス米を削減、廃止するために、穀物という大分類で関税品目をくくることだ。これは、石原食糧庁長官は理論的には可能だということを認めた。
そうすると、関係国は、米でいえばアメリカ、オーストラリア、タイ、中国。それから穀類ということになりますと、小麦はアメリカ、オーストラリア、カナダ、それからトウモロコシはアメリカと南アフリカ、これが主要輸入国。そうすると、米輸入国と合わせますと、ダブりもありますから、せいぜい五、六カ国なんですよ。この国と交渉してオーケーということになれば、これはミニマムアクセス、米ではなくて穀類でいくと。
EUが肉類で全部くくって、それぞれの国が輸入したくない豚肉だとか牛肉だとか、それぞれちょっと違いますけれども、この輸入を抑えている、実際にそういう例があるわけですよ。穀類ということでくくった外交交渉を何でやらないんですか。これはどっちでもいいですよ、両方とも聞きたいと思うけれども。
○茂木副大臣 白地で考えれば、委員の御指摘は一つの考え方であると思っております。また、譲許表の修正、こういうことになりますと、委員御指摘のように、特に米でしたら、関係といいますか関心があるのは四カ国、それからトウモロコシ、小麦等につきましても若干の国ということでありますが、実際の改正を進めるとなると、関心を持っているすべての国と交渉が必要だ、これが実際のプロセスになってまいります。
そこで、白地で考えればというふうに申し上げたのは、委員もよく御案内のとおり、この農業交渉、これまでの交渉の経過であったり結果というのを踏まえなきゃならない。ウルグアイ・ラウンドの場合は、米、小麦、トウモロコシ等々におきまして、個別にアクセス機会を提供する形で譲許したわけであります。
そこの中で、米以外の今の輸入がどうなっているか。委員も先ほど来御指摘いただいておりますように、小麦につきましても九割、こういう状況でありまして、穀物をまず全体でくくる、こういうことになってきますと、例えば、では小麦等でこれ以上ふやせるとかそういう余地があるのかということになってきますと、かなり難しい、こういう部分があると思っております。
もちろん、交渉が難しいとか対象になる国がたくさんあるからやらない、こういうことではないわけでありますけれども、では全体で、穀類、こういう形でくくった場合に、当然、米以外の品目でその相手国というのは追加的なアクセスを求めてくるというのはほぼ確実である。
こういうことを考えると、全体の食料安全保障、そして日本としての食料自給率の向上、こういうことから、必ずしも適切でない面が多い、このように考えております。
○松本(善)委員 先ほど食糧庁長官が言ったミニマムアクセスの削減は微々たるものだけれども、これも譲許表を変えないとだめなんですよ。そういう点でいえば、条約の改定ですよ。同じなんですよ。譲許表を変えなければならぬから難しいなんという理屈は通らない。
それから、外交交渉というのはもともと難しいものですよ。北朝鮮との外交にしたって、イラク問題だって、初めからできる、簡単だなんという外交はないですよ。やはり困難だけれども、それを切り開いていくんですよ。日本が生きていくためでしょう。
先ほど大臣は、自給率の向上まで何とかしたい、はっきり断言はしなかったけれども、何とかしたいと言っていた。これはなかなか大ごとですよ。譲許表を変えるぐらいの問題じゃないですよ。だけれども、やらなければ日本は生きていけないんですよ。文字どおり、農林水産業がなくなる、そういう危険に直面をしているんですから、それこそ命がけでできることは全部やる、そういう外交をやらなきゃだめなんじゃないですか。
今度は農水大臣から聞きましょう、順番に。
○亀井国務大臣 農業問題の重要性、これはまさにそのとおりでございまして、これからの交渉はそのつもりでやってまいりたい、こう思います。
それから、先ほどの穀物セクターの問題につきまして、アクセス数量を約束する、こういう点につきましては、麦の問題、国内産麦の振興、これにも影響を与えることでありますし、さらには、穀物セクターとしてのアクセス数量の枠が大きくなるということになりますと、米について輸出国からのさらなる輸出拡大の要請、こういうものが出てくるんじゃなかろうか、こういうことが大きな問題だと思っております。
○茂木副大臣 先ほど私が申し上げましたのは、譲許表の修正交渉、これが難しいからやらないということでは決してありません。こういう前提のもとで、白地で考えれば一つのアイデアでありますけれども、現実の今の姿を見たときに、先生おっしゃったようなアプローチで本当に、例えば、では米を減らすことはできるけれども麦も減らさないで済む、こういうことで多国間で合意ができるかというと、かなり難しいと思います。
そうなってきますと、一方を減らすということになると、かえって一方をふやさせられる、九割の麦をどうするのか、こういうことも考えた上で全体を考えると、先生のおっしゃったアプローチは必ずしも食料自給率の向上につながらないのではないか、こういうアプローチにつきまして申し上げた次第であります。
○松本(善)委員 時間も迫っていますから余りできませんけれども、しかし、そんなことを言っているから農業政策について透明性がないと言われるんですよ。やはり国民にわかるようにしなければならない。一体、穀類は、ではどういうふうに、幾らで、幾ら幾らだと。それから、交渉した結果はどうだと。
減らせと言ってきたら、いやそんなことはできないんだ、むしろ逆だと言ったらいいじゃないですか。外交交渉とはそういうものだ。日本が生きていけるか生きていけないかということを背景にした外交交渉というのは、そんなむちゃ言ったってだめだということをやるんですよ。そういう気迫が全くないんですよ、お二人とも。
一つの提案だ、アイデアだと言われるけれども、そんな甘ったるいものじゃないんですよ。日本の農林水産業がなくなるかどうか、八十兆近い多面的機能を失うかどうか、食料安全保障を守れるかどうかという瀬戸際なんですよ。そんな甘い認識で外交をやってもらっちゃ困るということを申し上げて、質問を終わります。
○小平委員長 次に、菅野哲雄君。
○菅野委員 先日に続いて、食糧法の改正について質問させていただきます。
まず、今も松本委員の方からありましたけれども、この日本の農業、私は第一次産業総体と言っているんですけれども、第一次産業が非常に危機的な状況に陥っているという共通認識はみんな持っているというふうに思います。それを政府としてどのように克服していくのか。その一つの、米についてどう克服していくのかというのが、今回の食糧法の改正でなければならないというふうに思っております。しかし、後でも触れますけれども、危機的な状況が本当にこれで克服できるんだろうかということが、農家の人たちも含めて、今非常に不安がっているというふうに思っております。そういう立場に立ってこれから少し質問させていただきたいと思うんです。
一つは、過剰米対策、これをどのように行っていくのか。
政府の案でいえば、短期融資制度というものを設けて、そして過剰米。豊作のときには、農民は喜べない状況に陥るわけです。かつては豊作だといってみんなで喜び合ったんですけれども、今は逆に、豊作だといって悲しまなければならないという状況、これが生産意欲の減退につながっていたというふうに私は思っています。
今回の制度において、この短期融資制度という制度をつくることによって、豊作の年、余った米は次年度の減反数量に加えていくという制度になっているんですね。そうしたときに、豊作の次の年はまた減反が強化されていく、そしてまた次の年が豊作になればまた減反が強化されていく、この繰り返しが続くのではないでしょうか。あるいは、三年に一遍不作の年が来なければこの制度はずっと維持していくことはできないんじゃないのかなというふうに思っています。
こういう仕組みについてどう考えているのか、説明していただきたいというふうに思っています。
〔委員長退席、鮫島委員長代理着席〕
○石原政府参考人 過剰米が出た場合、これを例えばえさ用、あるいは米粉パン用、要するにそういう用途で処理しないということになりますと、当然、これは翌年の生産調整の強化といいますか、翌年の生産を抑えてもらうということになります。
我々は、何といいましても、米の価格は米の需給によって決まるものですから、やはり価格の低落につながるようなそういう要素は除きたいということで、今回、過剰米対策というのを講じますけれども、過剰米対策で、他の用途、主食用以外の用途に適切に使っていただきますれば従来どおりの生産は可能でございますけれども、それができないという場合には、先ほど言いましたように、翌年の生産量の削減ということになります。
○菅野委員 私は、この制度を運用していったならば豊作が続いたときにどうなっていくんだろうという疑問を持っているんです。
それでは、現物弁済の数量、例えば昨年の平成十四年度を考えたときに、この制度でどれくらい弁済があるというふうに思いますか。この十四年度と十五年度、同じような作況指数の場合、どれくらい現物弁済があると思っているんですか。その数量によっては、十六年度以降のまた減反が強化されていく面積がはじき出されると思うんですけれども、どう考えているんですか。
○石原政府参考人 十四年産の作況は一〇一でございますので、仮にそれを前提といたしまして十五年産も同じ作況ということになりますと、大ざっぱに見まして十万トンが過剰ということになります。ですから、その十万トンにつきまして、過剰米処理対策によってきちっと処理していただきたい、えさ用あるいは新規用途、そこで処理していただきたいということでございます。
○菅野委員 それは、政府がこれから策定しようとする需給の量が同じだという前提ですよね。今、食用に回る、国民が食べる量がどんどん下がってきています。そういう中でこの制度なんですね。そうすると、今十万トンと言いましたけれども、約二十万トンから三十万トンぐらい過剰になっていく。そういう形で今まで生産調整面積が膨れ上がってきて、百万ヘクタールという状況になっているわけです。そうすると、三十万トンとすれば、六万ヘクタールぐらいはまた減反しなきゃいけない。百万、百六万ヘクタール、百十万ヘクタールというふうに。この制度においても、私は、減反面積を維持する、現行維持する、あるいは減らしていく方向にはつながっていかないということを申し上げなければならないというふうに思います。
それで、どうしてもこの過剰米対策を考えるときに備蓄という考え方を、かつてはこれは大きな失敗を、失敗した政策、過去の失敗の例もあるんですが、今日的な状況を考えたときに、私は備蓄と結びつけて考えるべきだというふうに思うんですけれども、この議論というのはどのように行われてきているんですか。
○石原政府参考人 ただいま委員がおっしゃいました、過剰米対策として備蓄を活用するということでございますけれども、それは、今まさしく委員がおっしゃいましたように、過去の例、苦労といいますか失敗といいますか、それを我々はよく考えなきゃならないんじゃないかと思っております。
すなわち、過去の豊作時、昭和四十年代、これは第一次過剰米処理ということで行っておりますけれども、四十六年から四十九年にわたりまして、金額につきまして約一兆円、正確には九千二百七十八億円のお金を使っております。それからまた、五十年代から六十年代の初めにかけまして、第二次過剰ということで、これは約二兆円、一兆九千八十億円の処理費を使って処理しているということでございまして、やはりこういうことを考えますと、過剰米対策として備蓄を活用するということは考えるべきではないというふうに考えているところでございます。
○菅野委員 前回もこのことで議論しているんですけれども、お金がかかるから備蓄と備蓄構想というものは考えないんだというふうに、過去の反省の上に立ってというふうに言いますけれども、どこに金がかかるのかということを分析した上で考えるべきだというふうに私は思うんですね。今の備蓄方式でいいのかどうかも含めて、私は大きな議論が必要だというふうに思っています。
今の備蓄方式というのは、三十キロ、玄米で袋詰めして、倉庫保管という形をやっているわけですね。私は、その備蓄方式を見直した上で、金のかからない方向というものを政府全体の中で検討した上で、そしてあらゆるしがらみを乗り越えた上で出発すべきだというふうに思うんです。
そうしたときに、過剰米対策と備蓄というものをしっかり結びつけていく、この考えなしには、農家の生産意欲の増進にはつながっていかないというふうに思っております。このことを申し上げておきながら、しっかりとした検討に入るべきだというふうに私は思うんです。
次に移ります。
短期融資制度というものは、米穀安定供給確保支援機構の中で行っていくというふうに今度の法改正ではなっております。そして、この短期融資制度の価格をめぐって、六十キロ三千円だ、八千円だという議論が起こっております。
今、政府は、十六年度予算編成時期にこの金額についてはということで先送りしておりますけれども、この米穀安定供給支援機構ができ上がったならば、この額についても、融資単価の設定についても機構が行うことになっているわけですね。だから、この融資単価の設定をこれからどのようにしていかれるのか、このこともはっきりする必要があるというふうに思うんですけれども、今後について答弁願いたいと思います。
○石原政府参考人 この融資単価の設定でございますけれども、これは、一つは、この場で何度も申し上げておりますが、需要に応じた生産の必要性が農業者に十分伝わるようにということが配慮事項としてございます。それに加えまして、この制度が円滑に回るようにという点もございます。
それで、具体的に機構はどのように設定するかでございますけれども、これも申し上げましたが、米粉パン原料用ですと四千円から五千六百円、それから、えさ用ですと九百六十円とか、それぞれの六十キロ当たり幾らというのが決まっております。ですから、こういうそれぞれの過剰米の処分先といいますか、その辺を十分織り込んだ上で、毎年この価格を設定していくということになります。
これが、実際のそれの処理先のことを考えないで、仮に、農家にいいだろうということで高く設定しますと、制度自身が回らなくなります。しかし、そうかといって、実際はより高く処理できるにもかかわらず低いという価格になりますと、これは農家が損をしますし、機構が幾らお金をもうけても意味ないわけでございますので、あくまで処理先で幾らで処分できるか、それから、その制度がうまく円滑に回るかということを配慮しながら、毎年機構の方で決めていただくということになります。
○菅野委員 今、毎年機構の方で決めていくというんですが、今長官おっしゃった大きな問題点が内在しています、その問題点を機構がクリアできるのかどうかなんですね。そして、決定手続を透明にできるかどうかなんです、この部分に。そうじゃないと、過剰米対策としてのこの機構の存続さえ危うくなっていくんじゃないのかなと思えてなりません。
そして、過剰米をどう処理していくのか。処理の方法によっては、この機構が大きな負担をしなければならないということも存在するわけですね。三千円という単価設定して、そして千円でしか放出することができないとなれば、そうすれば、二千円の不足という部分をどこが負担していくのかの議論にまたなってきます、単純に言えば。
それをトータルとして考えていって、それじゃ過剰米の流通機構がどこに存在するのかということも含めて考えていったときに、私は、この機構というものの存在が長続きしないんじゃないのかなと。今の制度でさえも、今のというか、稲経の部分でも問題を抱えているんです。またここにも問題を抱える機構というものができ上がっていくのかなというふうに思うんですけれども。
この機構が価格を見直す基準というものをどのように考えているんですか。もう一度お願いします。
○石原政府参考人 機構は、とにかくこの制度が円滑に回るようにということでございますので、先ほど来言っておりますように、それぞれの用途別の販売価格、そういうのを十分考慮して決定していただくということになります。
その場合、私はそれだけしか申し上げておりませんけれども、実際、この機構に対しましては農業者から拠出がなされると思います。だから、その分ももちろん当然加えての価格でございますけれども、それを適切に機構の方で計算し、決定していただくというふうになります。
そして、これが透明性が確保されるかどうかという御質問がございましたけれども、我々、今回の制度改革を通じまして、透明性の確保というのは非常に重要なポイントだと思っておりますので、当然、機構の方でも、実際、販売先として幾らだ、そして農業者からの拠出はどれだけのものがあったということを十分オープンにして、最終的な融資単価を決定していただくということになろうかと思います。
○菅野委員 今、米価は本当に低落傾向にあって、米価の回復というものが、どのようにしたら回復していくんだろうかというところで、農業者は本当に毎日毎日を厳しい思いで生活しているのが実態だというふうに思っています。
今も、先ほども、農業新聞で、新潟魚沼産コシヒカリが三万円という値はつけていますけれども、その他の値段は一万三千円とか一万四千円、宮城のひとめぼれでも一万八千円、ササニシキで一万五千円、そういう状況で推移しているんですよね。そして、農家経営が成り立たないという状況にまで落ち込んでいるという現状です。
そして、過剰米対策、このことをしっかり行わない限り米価の回復というものはなされていかないんだという立場から私はこの議論を行っています。そして、短期融資制度の価格が三千円などということになったならば、農家は農家自身として、過剰米が出たとしても自分たちで独自に流通に乗せてしまうという状況が出てしまうんじゃないのかな、そして、そのことによってまた米価を下落させる働きとして、過剰米対策がしっかり行われないがゆえに米価の下落傾向が強まっていくと言わなければならないというふうに私は思っています。
流通も市場競争原理にゆだねるんです。そうしたときに、農家自身もその市場競争原理に乗っていくというのが当然のことだというふうに私は思います。そういう意味では、短期融資制度、このことと備蓄というものとしっかりと結びつけて考えていくことが今非常に重要だということを申し上げておきたいと思っています。
次に、産地づくり推進交付金制度についてなんですが、生産調整への助成から、今度は産地づくり推進交付金制度に移行するわけですけれども、これまでの生産調整に対する助成をどのように総括して、その上に立ってこの新たな制度へと移行していくわけですけれども、どう総括しているのか、そして、この新たな制度に、メリット措置としてどう位置づけていくのか。これをはっきりさせておく必要があると思うんですけれども、答弁をお願いいたしたいと思います。
○亀井国務大臣 これまでの転作の奨励金につきましては、地域の特色を生かした産地形成という観点が欠落をしておった。あるいはまた、小規模水田所有者の耕作を温存し、水田農業の構造改革におくれを生じる結果になったこと。あるいは、小麦や大豆と水稲との収益格差を上回る助成を行った、こういう点からまた、品質の劣る麦、大豆の生産による需要とのミスマッチや、生産調整以外の生産対策や構造政策の予算の圧迫を招いたこと。問題点がいろいろあるわけでありまして、一律ばらまき助成との批判が強かったわけでもございます。
このため、従来の転作奨励金を抜本的に見直しいたしまして、地域の多様な取り組みにこたえる新たな発想のもとに、国が、自給率向上のための作物の振興、あるいはまた担い手の確保、このような点に重点を置いた一定の基準、そして、対策期間中、安定した一定の交付額を算定して一括して地域に助成、あるいは、地域において地域みずからの発想、戦略で水田農業の構造改革が進むような使途、単価を設定できるような助成システムに改革をする、このようにしたわけでもございます。
今までの問題点、この反省の上に、新たに、水田農業の振興、こういう面でセットでいろいろの施策を進めよう、こういうことでございます。
○菅野委員 産地づくり産地づくりということで非常に話していますけれども、きのうの参考人質疑で、北海道の例が、タマネギやニンジンへの転作ということでお話を受けました。なぜタマネギに転作していったのかというと、連作障害が起こらないという観点から地域で考えてタマネギに移行していった、そういう説明を受けています。
水田を転作する場合に、日本の田んぼは湿田です。それで、用水路も常に、隣の田んぼに用水を引こうとすれば、その田んぼにも、転作した田にも水が入っていく。それをとめようとしてもなかなか難しいという状況に稲作はあるというふうに思います。
そういうふうに考えたときに、今までの転作は、大豆や麦、あるいは野菜、そして飼料作物という形で転作がなされてきました。産地づくり産地づくりといいますけれども、何を目的にして産地づくりとして念頭に置いて、こういう制度を考えていくのか。それは各県の考えることですというふうに言われるのかもしれませんけれども、水田において産地づくりを行っていくということはなかなか難しい課題も存在するんです、今言ったようなことをクリアしなければならないですからね。これを念頭に置いて、何を考えておられるのか、この辺も聞いておきたいというふうに思います。
○須賀田政府参考人 先生が言われるように、水田で畑作物を作付するということでございますので、田との水はけの問題でございますとか、あるいは畑地化してしまいますと連作障害も起きるということで、大変難しい問題であるということは、三十年以上生産調整をやっていく中で明らかになってございます。そして、これまでも、そういう問題に対処をするために、ブロックローテーションでございますとか、大きな団地化で営農をした場合にはできるだけ加算をするというような格好で対応をしてきたわけでございます。
今後のことを考えます場合に、やはり我々の視点から見ますと、できるだけ総合的な自給率向上に資するような作物を地域の実情に応じて選んでほしい。そういう意味では、やはり麦、大豆、飼料作物、そして地域で特別に振興したいというような作物を中心に、しかもそれが実需と結びついた形で選んでいただきたいということがございます。
そして、あとは、定着することと持続すること、この二つでございまして、持続するためには、やはりそれなりの担い手によって作付をされ、定着するためには、やはり品質の高い、実需者が購入しやすい、そういうものについての努力というものをしていただきたい。そういう努力に対して地域の発想で支援をする、こういうことが理想でございます。
〔鮫島委員長代理退席、委員長着席〕
○菅野委員 今、須賀田局長が、大豆、麦、飼料作物に加えて、現行はこの三品目でやってきたわけですけれども、あとは地域地域で考えてということでしか答弁していただけませんでした。地域で考えても、今まで本当に地域で知恵を絞り合ってきても、その方向しかなかったんですよね。難しいんです、水田の転作というものは。
それで、何か、新たな制度に移行するから、これは制度として定着していくんだということで議論していったのでは、私はまた失敗するんじゃないのかなというふうな思いなんです。そして、麦や大豆が供給過剰になって、そして単価の暴落という形に結びついていって、北海道では、タマネギ経営をやって、単価の暴落になって、農家が負債を抱え込んで離農していったという実情も、この委員会で報告されているんです。そういうことを繰り返していっていいんだろうか。このことを総括する必要があるというふうに私は思うんです。
そして、そのことを考えたときに、一回生産調整というものをしっかり根本から考え直す、この時期に私どもは来ているという判断をしているんです。先ほども過剰米対策と備蓄ということを言いました。その辺をしっかりと見据えて、米政策改革大綱というものを今だからこそしっかりと築き上げていかなければならないと思っています。このことを申し上げておきたいというふうに思っています。
それからもう一つ、稲作経営安定対策から米価下落影響緩和対策へと移行させていきます。これも、今まではこの稲作経営安定対策というのが毎年毎年、制度として変えられてきました。三年間の平均、あるいは五年間の平均、七年間の平均で一番高いのと一番低いのを抜いた五年間の平均、あるいは十三年度においては十二年度価格据え置きとか、そういう形で推移してきているんですね。そして、今回は二百円の固定とそれから過去三年間の平均の五〇%へと移行させていくわけですけれども、この制度への移行の理由というものは、どういう考えで移行していく、稲経の総括とこの新制度のメリットというのをはっきりさせていただきたいというふうに思っています。
○亀井国務大臣 稲作経営安定対策につきましては、生産調整の円滑な推進、自主流通米価格が変動する中で稲作経営の安定に一定の役割を果たしてきたわけでありますが、生産調整の参加のメリットと経営安定機能とをあわせ有しておりますことから、政策目的と手段の対応関係がわかりにくい、また、補てん率が全国一律で地域の農業事情に応じた助成ができていない、こういう問題点が考えられるわけであります。
このため、今回の米価下落影響緩和対策におきましては、生産調整メリットを明確にする観点から、補てん金に価格水準によらずに支払われる単価、固定部分六十キログラム当たり二百円を設ける、あるいは、産地づくり対策と相互に資金の移動を行うことによりまして、一定の条件のもとで都道府県の実情に応じて補てん単価を変えることが可能という仕組みにもなっておるわけであります。
なお、この米価下落影響緩和対策は、当年産価格の水準によって補てんされる単価の補てん割合が低いこと、今御指摘の米価下落幅の五割、こういうことで、稲作経営安定対策の場合には八割であるわけでありまして、これに比べて低いわけであります。固定部分を設けていることと、当年産価格が基準価格に比べて六十キログラム当たり七百円以内の下落であれば補てん単価が稲作経営安定対策に比べて高くなり、大きく価格を下げても補てん金をもらえるからといったことを当てにして安売りを行う、こういうようなことが起こりにくい仕組みになるのではなかろうか、このように考えます。
○菅野委員 大臣、この今回の米政策の見直しというものは、どうやったら農家の経営意欲、生産意欲というものを向上させていくのか。そして、次にも質問しますけれども、農業において後継者をどう育てていくのか。今は本当に、六十歳以上の人たちが、私の年代ですから五十五以上の人たちが農家を、農業を担って、そして、今後二十年たったならばだれがこの農地を耕していくんだろうかというふうに、将来に対しても不安を持っているんです。
こういう制度をつくって、この稲作経営安定対策から米価下落影響緩和対策という形で、制度としてつくっていきます。今までは国で責任を持っていたものを各都道府県にこの責任を移行させていく。交付金を出して、国の責任から今度は都道府県の責任にゆだねていこうという制度をつくっただけではないですか。生産意欲を向上させるという視点は、この部分では持っていないというふうに私は思うんです。そういう意味で、中途半端な改革だなと言わなければならないというふうに思っています。抜本的な観点で物事を考えていくべきだというふうに考えております。
担い手の育成という観点も、大臣、本当に今必死になってこの担い手という部分を考えていかなければならないというふうに思うんです。きのうも参考人の意見陳述を聞いておりましたけれども、日本農業を四十万農家に集約していこうという動きの中でこの制度がつくられています。本当に大臣、この日本の農業をこういう方向に持っていこうとしているのか。この担い手育成制度を通じて日本の稲作経営をどのような方向に持っていこうと考えているのか、これを国民の前にしっかり示していただきたいと思います。
○亀井国務大臣 今般のこの米政策の措置におきまして、担い手経営安定対策、これは大変重要なことでありまして、水田営農の担い手を対象といたしましてこの米価下落影響緩和対策を上乗せ対策として措置するものでありまして、担い手の経営の安定を図る、この機能に加えて、水田農業の構造改革を加速させるということを期待するわけであります。
そしてさらに、我が国の水田農業につきましては、担い手の生産シェアが著しく低いことでありまして、この需要と供給のミスマッチ等が大きな問題となっている等の課題を抱えておるわけであります。
あわせて、集落段階で話し合いを通じて地域ごとに担い手を明確化すること、こうした担い手を対象に、これまでの担い手育成施策や農地流動化施策に加えて、農地の利用集積等の支援策を重点化する等の取り組みを総合的に行うことによりまして、効率的かつ安定的な農業経営が生産の相当部分を担うような望ましい水田の農業構造の実現をぜひ目指してまいりたい、そして支えてまいりたい、このように考えております。
○菅野委員 本当に大臣、そう思っているんですか。
私は、日本農業をこれまで維持して支えてきた、それこそ弥生時代から米作が入って、日本農業を今日まで維持し発展させてきたというのは、家族経営的な農業だということなんです。これが根本でなければならないというふうに思うんです。そして、構造改革、構造改革と言われていますけれども、構造改革が進まないという理由は、家族経営型農業というものが底辺にしっかり根づいているからなんです。これを無視して構造改革と言っても、私は進んでいかないというふうに思っています。
そして、担い手育成についても、この担い手の育成という制度をつくりながら、経営規模要件を設定しています。経営規模要件というのは、本土でいえば四ヘクタール、北海道でいえば十ヘクタール、集落営農でいえば二十ヘクタールというこの経営規模要件を設定して、これに該当する人はどれくらいなのか、パーセントでいってもほとんど該当しないんじゃないんですか。いろいろな団体から、今後における要件見直しなどという、制度が始まらないうちからこの要件見直しが言われ始めているというのが、今日の状況ではないでしょうか。
そして、政府としては、平成二十二年までに、この担い手育成に対する経営規模要件を盾にして、農地の集約を図っていこう。家族経営的な農業というものを否定した上で、それで制度をつくっていこうとするところに私は無理があるというふうに思うんです。
この経営規模要件というものの今後についてどのように考えているのか、そして、本当にこの経営規模要件を盾にして今後もこの日本農業というものを考えていこうとしているのかどうか、これについて答弁願いたいと思います。
○川村政府参考人 お答えいたします。
私ども、平成十二年三月に「農業構造の展望」を出しておりまして、平成二十二年におきます望ましい姿といたしまして、効率的かつ安定的な農業経営が、先生が申されました家族経営で三十三万から三十七万程度、法人ないし生産組織で三、四万程度ということで、合わせて四十万程度の経営体が育成されるということを目標に掲げておるわけでございます。
今回の担い手経営安定対策でございますけれども、こういった目標に向かいまして現状を変えていきたいということでございますので、そのためにはやはりそういう目標を持って取り組んでいただきたいということでございます。
そういう意味で、この担い手経営安定対策は、先ほど大臣が申しましたように、水田農業の担い手を対象にする、それから一般的に生産調整のメリット対策として実施をされます米価下落影響緩和対策の上乗せとして措置をする、こういうことで、それこそ経営の安定はもちろんでございますけれども、二十二年の目指すべき姿へ向かっていきたいということでございます。
そういうことで、経営規模につきましては、二十二年の目標のおおむね二分の一ということで、これも先生御質問の中で触れられましたように、北海道で個別経営でございますが十ヘクタール、都府県では四ヘクタール以上。それから集落型というものも考えております。生産組織ということ、特に、水田の場合は集落を単位として地域ぐるみで取り組まれるということも非常に重要だと思っておりますので、これを新たに担い手として位置づけていきたいということでございます。
これまでも、私ども今申し上げました提案をしております。各都道府県なり農業団体等からもいろいろこの件については御要望が出されておりますが、私どもは、基本的に、今申し上げました二十二年の構造展望というものを十分踏まえて対応しなくてはならないというのが基本的な考え方でございます。
ただ、具体的に、最終的にどう決定するかは十六年度予算概算要求の決定時までに、この施策全体がパッケージになっておりますので、総合性、整合性というものを十分念頭に置きながら具体的な仕組みを決定していきたいということで、引き続き検討していきたいと思っております。
○菅野委員 今、平成二十二年までの構造展望というものが示されて、それに向かって担い手の育成というものを図っていこうというふうに言われておりますが、その構造展望の中で、研究会の中でも議論が不十分だった、積み残し部分だというふうに先ほどの参考人が申していましたとおり、中山間地域農業、日本の農業をこれまで支えてきた中山間地域農業をどのように考えていくのか、これが私は非常に重要なことだというふうに思っています。このことをどう考えておられるのか。
そして、中山間地域への直接支払い制度、これは来年度で終わるわけですけれども、その展望、どう考えていくのかの展望の上に立って、この直接支払い制度を今後どのように考えていくのか。これは、今度の食糧法の改正と一緒に私は議論すべきことだというふうに思うんですが、このことがなかなか議論の俎上に上っておりません。どのように考えておられるのか、答弁願いたいと思います。
○太田政府参考人 中山間地域でございますが、国土面積の約七割、耕地面積それから総農家数の約四割を占めておりまして、先生御指摘のとおり、食料や林産物の供給とともに、国土の保全、水資源の涵養、さらには豊かな伝統文化や自然生態系の保全、都市住民に対する保健休養の場の提供など多様な役割を果たしております。
一方、中山間地域は傾斜地が多くて、農業生産条件が不利であること、農林業以外の就業機会に恵まれないこと、さらには過疎化、高齢化が進展していること、生活環境の整備がおくれていることなど、平場の農村と比べてさまざまな不利性を有しております。
このため、農林水産省では、中山間地域等の実情に即した農業を振興する観点から、冷涼な気候など地域の特性を生かした新規作物などの導入、地域特産物の流通、加工などの高付加価値化、立地条件に配慮した農業生産基盤や生活環境の整備、さらには農業関連産業の振興やグリーンツーリズムの推進等によります多様な所得機会の確保などさまざまな施策を講じてきておりますが、平成十二年度には、御指摘ありました耕作放棄地の発生を防止し多面的機能を確保する観点から、農業の生産条件に関する不利を補正するための直接支払い制度を導入し、より多くの成果を上げるべく、そのさらなる普及、定着を図ってまいっておるところでございます。
農林水産省としては、これらの施策を積極的に進めるとともに、関係府省とも連携しながら、中山間地域の活性化を進めていくという観点でございますが、特に、お話のありました米政策改革との関係で申し上げますと、総合的なさまざまな施策の中で、中山間直接支払いの取り組みを進める中で、各地域におきましては、冷涼な気候など地域の特性を生かした転作作物の導入など、多様な農業の展開が見られております。
さらに、直接支払い制度の中で、集落協定の締結に向けた集落での話し合い、これを契機といたしまして、新たな農業後継者の参加やオペレーターによる農作業の請負が始まるなど、将来にわたる農業生産活動の継続に向けた芽といいましょうか動きが生まれてきておる状況にございます。
この制度につきましては、十六年度までの制度ということで、とりあえずそういう制度になっておりますが、こうした各地域での取り組みの実態を含めて、中山間地域農業をめぐる諸情勢の変化などを踏まえまして、平成十六年度に制度全体の見直しを行うことで考えておりますが、まず、ありますような地域の実態把握、これは十六年に限らず、現在もそういうことに努めておる状況にございます。
○菅野委員 中山間地域の直接支払い制度のもたらした効果というものはぜひ検証していただきたいというふうに思っています。大きいものがあったというふうに思いながら、ぜひ継続するという観点でもって私は見直すべきだということを申し上げておきたいというふうに思っています。
それから、経営所得安定対策ですね。大臣、先ほどほかの委員に答弁いただきました。そのことは、なかなか、平成二十二年までの構造改革というものを行った上で所得補償という考え方を提示していく、考えていくというところから一歩も抜け切れないでいたというのがさっきのやりとりだったというふうに思っております。
私は、それではもう対応がとれなくなっているということを申し上げながら、そして、米だけじゃなくて、第一次産業総体としてとらえて、山にも農業にも林業にも、そして水産振興という立場に立っても、所得補償という観点を、この経営所得安定対策という形をしっかりと私は位置づけていく議論に立っていただきたいと思っています。
十三年度においてはその方向で議論するということもこの委員会で答弁があったにもかかわらず、十四、十五、十六の調査費で今推移しているというところを申し上げて、こんなことではもう太刀打ちできないですよということを申し上げながら、しっかりとした、大臣が先頭に立ってリードをとって検討していただきたいということを申し上げて、この部分は意見として申し上げておきたいというふうに思っております。
最後になりましたが、国際獣疫事務局、OIEの総会が二十三日、終わりました。そして、日本提案が受け入れられて、疑似患畜牛の範囲というものが農家にとっては安心できる程度にまで私は改正になったというふうに思っております。そういう意味では、日本政府の努力というものに敬意を表したいというふうに思いますけれども、この結果、どういう結果になったのか、そして今後の国内手続の進め方について、副大臣、しっかり説明していただきたいと思います。
○北村副大臣 先生御指摘のBSEにかかわる疑似患畜の範囲の見直しにつきましては、委員初めこの委員会でも、あるいは生産者団体の皆さん方から、あるいはそれぞれの都道府県の獣医師会等々からもこの疑似患畜の見直しということはお聞きをしておりました。
そういう意味で、昨年の十一月にOIEに対しまして、疑似患畜の範囲の見直しについては欧州での経験に基づいて科学的に検討するように、我が政府から、農林水産省から提案をしてきたところでございます。
そういう中で、この五月の十八日から二十三日まで開かれましたOIEの総会で、大臣の命令を受けて、そして国会のお許しをいただいて、私自身がそこに赴きまして、基調講演をさせていただきながら、疑似患畜の見直しを強く支持するということを事務局長等々に強く訴えてまいりましたところ、このOIEの基準が承認をされた、我が国の立場が非常に配慮された、こういうふうになったところでございます。
この範囲につきましては、先生も御指摘のとおり、現在のOIE基準との主に変わった点とすれば、一点、患畜が一歳になった以降に同居したことのある牛は対象外になるということであります。そうなりますと、今までは約八割が疑似患畜として屠殺処分をされておりましたが、今度はこのOIEの新しい見直しで約二割弱に圧縮される。
これを第四例に当てはめてみますと、第四例のときは、五十六頭この農家で飼われておりました。その五十六頭中四十四頭が疑似患畜として処分をされてしまいました。これは約八割でございます。それが今回は、同じ五十六頭でも、今回のOIEの基準に合わせますと十一頭で済む、これは二割弱ということであります。
あるいは、五例目の神奈川で出ました四十七頭肥育していたところの牛は、三十七頭処分されまして、これも約八割。これが四十七頭のうち七頭の処分で済む、これは一五%まで圧縮される、こういうことでございまして、非常に、経済を損失することはある程度防げるのかな、このように思っております。
今後は、農林水産省にあります獣医師の専門家から成るBSEに関する技術検討会で速やかに検討していただきながら、各方面の意見を聞いて我が国の疑似患畜の範囲の見直しをしていきたいと思いますが、今申しましたとおり、BSEに関する技術検討会で専門家による科学的評価をまずいただいて、そして厚生労働省との調整、あるいは厚生労働省のリスク管理部門との意見交換をして、さらにBSE対策検討会で消費者や生産者あるいは流通関係の方々とのリスクコミュニケーションを図った上で、この疑似患畜のBSEの検査対応マニュアルの改正をしたい。
我が省はここで終わりなんです。改正するマニュアルを変えればそれで終わりなんですが、もう一つ、これは皆さん方あるいは政治的な判断として、七月から食の安全委員会も発足、設立するわけであります。しかし、食品ではありませんから直接的ではありませんけれども、そういったことも踏まえて、我が省とすれば、早々にこれに取りかかっていって、我が省のマニュアルを改正していく、こういうことでございます。
○菅野委員 終わりますけれども、できるだけ早い国内手続を進めていただきたいと思いますし、いつ発生するかわかりませんから、OIE基準、OIE基準で進めていくという形で国民の前に言ってこられました。そういう意味では、この総会での決定というのは非常に重いというふうに思います。
そういう意味では、国内手続を早期に進めると同時に、OIE基準が改正されたということでの暫定措置も私は検討すべきだということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
○小平委員長 次に、後藤斎君。
○後藤(斎)委員 大臣、大変長時間御苦労さまでございます。初めて最後の質疑者に立たせていただきます。民主党の後藤斎でございます。
まず冒頭、大臣、今回の米改革の問題につきましては、昨年取りまとめをしました米政策改革大綱、これに基づいていろいろな制度の見直しということで対応しているものでございます。
その米政策改革大綱の中に、第一の「目的」で、これがこれからのずっとキーになっていくということで、「消費者重視・市場重視の考え方に立って、需要に即応した米づくりの推進を通じて水田農業経営の安定と発展を図る。」というふうな記述になっております。
大臣、需要といってもいろいろなものがございますし、米というのは、後でも触れさせていただきますが、ある意味では価格弾性値というものはマイナスに多分今もなっているのかなというふうに私は思いますが、まず、この「需要に即応した米づくり」の「需要」というものはどのようなものを考えておられてこの制度設計をしているのか、御答弁をお願いします。
○亀井国務大臣 今後の米づくりについては、消費者ニーズを起点、このように申しておるわけでありまして、まず、家庭食用あるいは業務用、加工用等のさまざまな需要に応じ、需要ごとに求められる価格条件等を満たしながら安定供給が行われる消費者重視、市場重視の姿を目指しておるわけでもございます。
需要は、先ほど申し上げましたとおり、家庭食用、そのほかに業務用であるとか伝統的な加工用のほか、米粉パンなど新たな用途が含まれるもの、このように思います。それぞれ、品質や価格条件を満たせるような生産体制、こういうものになってくると思いまして、初めて意味のある需要ということになるんではなかろうかな、こう思います。
また一方では、国内需要だけでなく、海外向けにつきましても、求められる品種や価格に適合できる生産、これが行われれば一定の需要となり得るものも考えられるのではなかろうかな、こう思います。
○後藤(斎)委員 大臣、大変恐縮なんですが、今大臣がお答えをいただいた需要というのは、この二、三十年、米の生産調整が、いろいろな角度を変えながら三十年間とり行ってきた、まさにそのままだというふうに、大変恐縮ですが言わざるを得ないというふうに思っております。
先ほど来、同僚議員からもいろいろな観点から御指摘がありましたように、今回、ここまで需要が落ち込んで、あえて消費とは申しませんが需要が落ち込んで、それに伴う三十年間の生産調整に対応してきたコストというのは、農水省の数字でも、予算額として五兆七千億を超える数字に正直言ってなっております。その中で、私が少なくとも承知している範囲では、米の消費対策、需要対策については、そのうちの大変少ない予算を計上しながら対応してきたことも承知をしております。
私は、ここまで落ち込んで、将来を見据えた中でも、米農家が本当に意欲を持って米づくりに対応でき、なおかつ大臣が今おっしゃった総括的な需要というものにこたえていく、それを考える際にも、まず、昭和三十年代から四十年代初めまで一千二、三百万トンあった米の全体消費というものが、今九百万トンを切り三〇%以上少なくなっているという現状の中で、では消費対策をどのような形で農林水産省は過去やられてきたのか、簡潔にお答えを願いたい。そして、その効果も含めてお答えを願いたいと思います。
○石原政府参考人 これまでの米の消費対策でございますけれども、これまで、食生活指針の普及と連携いたしまして、医師等専門家の裏づけを得た御飯食の健康性、これを訴えることを最重要テーマといたしまして、これは昨年の四月以来行っておりますけれども、テレビの放映、こういうことを通じまして国民的な運動として展開してきたところでございます。
大体、予算的に言いますと、四十五、六億円のお金を使ってきているところでございますけれども、十五年度におきましても、我々、今までいろいろな知恵を働かせて消費拡大をやってまいりましたけれども、これに加えまして、国民から米の消費拡大のいろいろな知恵を拝借しようということで、知恵を公募いたしまして、この提案を支援する事業、そういうものを創設したいと考えております。
それから、米の消費の減少が著しい五十歳から六十歳、今まで、五十歳とか六十歳の方は安定して食べてもらえるものと思っていたわけでございますけれども、平成十二年の数字でございますけれども、五年前と比べますと、こういう人たちの落ち込みが一番大きいわけですね。こういう人たちを対象にいたしまして、ターゲットにいたしまして、御飯食の健康情報の提供、こういうことをやりたいと思っています。
それから、学校給食との連携あるいは稲作体験学習、こういう文部科学省との連携のもとでの食育の推進、こういうものを通じましても消費拡大を図りたいということでございますし、最後に、米粉パンの積極的な活用も考えているところでございます。
それで、これまでもいろいろやってきているわけでございますが、これの効果はどうかということでございますけれども、なかなか具体的な数字、消費拡大運動はすべてそうでございますけれども、これをやったからといって、これがどれだけふえたというのはなかなか難しいわけでございます。我々、本当は、昨年の四月以来テレビ放映しまして、これでこれだけふえたということを申し上げたいのですけれども、残念ながら申し上げることはできません。
ただ、数字的なものとしましては、米飯学校給食、これは十三年度全国平均で一カ月当たり十一・一回という数字が挙がっております。通常、一週間当たりということでやりますと、二・八回ということで変わりないんです。ただ、その二・八回でも二・八何とかと、ここが上がっているわけでございまして、一カ月当たりにしますと、十一・一回ということで若干上がっているということで、こういう運動の成果がそれなりに上がっているのかなと思っております。
我々、非常に地味な活動でございますけれども、こういうものを積極的に進めていきたいということでございます。
○後藤(斎)委員 長官、トータルで結構ですが、この三十年間、生産調整等は五兆七千億ですが、米消費対策、需要対策ではトータルとして何兆円になるのか、すぐおわかりになりましたらお答えください。わからなかったら、後ほど別の観点から質問しますので、あわせてお答えください。
○石原政府参考人 昭和四十五年以降でございますので、これは約三十数年間になろうかと思いますけれども、約八百億。ただ、これは学校給食関係の予算が除かれております。八百億余りの予算を使っております。
○後藤(斎)委員 先ほど長官がお答えいただいたように、今、いわゆる六十五歳以上のお年寄りの方の米の消費も減っているというふうなお答えがございました。その中でも、もう一つ特筆すべき消費動向で、減少している一番の問題というか特筆すべき事項というのは、米をおつくりになっている農家の方の消費も、逆に言えば消費者世帯の需要減よりもはるかに高いということを指摘せざるを得ないと私は思っています。
農水省が調査をなさいました、今回の米政策改革に関する意向調査結果という中の、需要に見合った米づくりへの取り組みの意向というものでも、これはちょっと後でまた触れますが、有機、減農薬栽培と業務用米など需要に見合った新しい米づくりへの取り組みということで、その中に、需要に合った米づくりをしていこうという意欲のある方が三四%、今までどおりでいいという方が三八・八%。生産者の方は、まだこの制度が正式にスタートしていないということもあるのかもしれませんが、それを差し引いても大変憂慮すべき事態だというふうに私は思っています。
平成十五年度、十六米穀年度の需給見通しを見ても、主食、加工用需要、需要計というところで十万トン減って、平成十六米穀年度では、総需要は九百六十一万トンという数字になっています。これにどう歯どめをかけるかというのが、今回の法改正そして政策大綱の本当のあり得べき米づくりということで、平成二十二年に向けて対応していくべきだと思っています。
大臣、このまま需要減というものを放置しておくことではなく、昨日の日本農業新聞でも、いわゆる機能性米、これは別の視点から、遺伝子組み換え、イネゲノムのいろいろな改良をしながら、肥満、高血圧、花粉症の予防に効くお米がこれからできていくであろうというふうなことであります。一方で消費者の安全、安心ということではそこの部分にどうこたえていくかと、一方の議論もございますが、今御指摘をしましたように、私は、米の需要拡大というものを半端じゃない形でまずやっていかないと、縮小再生産にもう完全に陥っていることは、だれが見てもそれをノーと言う方はいないはずです。
ですから、三十年間にわたって五兆七千億の予算を使いながら、ある程度は価格下支えをし、それでも最盛期には三兆九千億近い米所得というのが、現行では二兆円を切ろうとしている。普通、所得が半減するということは、その農家や産業にとってみたら、もう支え切れないところまで行っているというふうなことだと思うんです。
私は、その一番の原因は、価格が下落をしているということではなく、消費が、需要が減っているというところにまず着目すべきである。ですから、先ほど長官がお答えになっていただいたように、昭和五十年から、学校給食は除くということでありますが、八百億という数字なんです。この予算計上で需要開拓、テレビやコマーシャルというのはわかりますが、本当に何をしてきたかということが今やはり問われないといけないというふうに思っています。
その中で、私は、いろいろな試算をする時間はないんですが、農水省の方では、いわゆる有機米と一般米の単価や生産量の把握はきちっとしていないということで、お答えはいただいておりませんが、今、民間稲作研究所というところで、ある程度数字をおまとめになっているものを御紹介させていただきたいと思っています。
コシヒカリというグルーピングを大まかにするのはもちろん適切ではないと思いますが、あえて比較をすると、大体単価で四割から五割、有機米の方が一般米よりもプラスになることになっております。あわせて、単収で見ますと大体一割から二割、大体二〇%ぐらい有機米の方が単収が落ちると言われています。
単純に今の水田面積にこの数字を掛けるというのは適切でないかもしれませんが、二〇%の有機米のシェアを、有機米ということではありませんが、先ほどもお話がちょっとありました、BSEが発生した我が国の直前の国でありましたドイツでは、食の安全ということでいろいろな制度改革、組織改革をしながら、あわせて有機農業の拡大ということを、消費者信頼の回復のために重要な手段であるということで、二〇〇一年九月、ちょうど日本でBSEが発生したころに、変化による信頼、持続的農業のための行動計画ということで、当時三%弱でありました有機農業の経営体面積を二〇一〇年までに二〇%まで拡大するという目標を明確に掲げました。
私自身はこの委員会で二、三度、この有機農業、要するに農業の政策転換をあわせてすべきだという御指摘をさせていただきましたが、私は、今回の米政策大綱に欠けているものは、申しわけないんですが、先ほども御指摘をさせていただいたようにやはり今までの焼き直し、政府の関与を、県や農業者の直接関与に近い形で年月をかけて国は引いていこうというふうなことだと感じざるを得ないんです。今回のいろいろな、農業者、地域が取り組む課題の対策を見ても、確かに地域の創意工夫というのはある程度出るかもしれませんが、何人かの議員からも指摘がありました、大変難しいと思うんですね。
ですから、大臣が先ほどお答えになられた部分でいえば、ある意味では、米という部分を農法で分けると、有機栽培と無農薬、減農薬、今の現行の栽培と、多分四つくらいに分けられて、それに、例えば先ほどお話をしたように生産量が変わってくる、そして生産調整の面積をいろいろな助成制度を足し込みながらやるというモデルケースみたいなものがないと、やはりなかなかそれぞれの地域で広がっていかないという現実があると私は思うんです。
やはり、新しい需要を拡大するというのを、八百億、三十年以上かけてというよりも、もっときちっとやってもらう。例えば、この総予算が幾らになるかわかりませんが、少なくとも一割くらいは需要開拓にきちっと使うんだというくらいの姿勢を見せていただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。
○亀井国務大臣 今委員御指摘の広報、米の消費拡大、私も仕事の関係で米の仕事に携わっておりまして、いろいろパンフレットだとか印刷物だとかそういうものをちょうだいして、小売店に配ったり、また消費者に配ったりして商売をしてまいりました。現実にそういう点では消費拡大がなかなかできない、こういう経験を持ち、何かいい方法はないものか、こんな経験も持っておりますし、あと、小売店の奥さん方にお集まりいただいて、少々の講習会、こんなことも企画をしたことも思い出すわけであります。
いろいろ、その実が上がっていない。そこで、実は先般私は筑波の研究所に参りまして、いろいろ新しい米の、特定機能米と申しますか、ミルキークイーンというようなお話を伺いました。これは冷たくなってもおいしい、こういうお話やら、そのほかいろいろのお話を伺いまして、やはり米の面でも、そのような新しい、先ほど需要というところで細かいことですから申し上げなかったわけでありますが、そのような一つ新しい分野の、またイネゲノムの解読、こういう面で、食品の安全性、これはしっかりやらなければならないわけでありますが、花粉症に対応する何かこれをというような研究者の皆さん方からお話を伺うなど、いろいろのお話を伺ってまいりました。
そういう新しい分野もぜひ十分意を注いでいくということが必要なことではなかろうか、私はこう思います。
○後藤(斎)委員 先ほども御指摘をさせていただきましたが、以前、食糧庁が研究会の報告の中で、生産調整を実施しない場合に予想される事態ということで、価格に与える影響ということで、この中では、百七十万トン生産量が増大をし、米価水準は、八千円、六十キロまで下落をする、その後回復をして、一万二千円、六十キロまで戻っていくというふうな試算がございます。このときも、先ほども御指摘をしましたように、生産調整を実施しない米価の算出ということでこの需要曲線がありますが、基本的には、この需要曲線は直線かゼロに近い方に来るものでないとおかしいと私は思っているんです。それが典型なのは、十年前の不作のときに、価格が上がった、量が足りないであろうということでも需要は逆に、大臣はそのときに御経験なされておりますが、非常に量も価格も両方上がったという、普通の財には見られないことになったわけですね。
今、月々、昨年一年間の数字を見ますと、一番一月が、これはおもちを食べるせいかわかりませんが、米の支出というのは一世帯当たり二千三百十円。十月が、これは運動会と遠足があるからかもしれませんが、四千三百六十八円。年間トータルで三万七千二百二十九円なんですね、平成十四年度の数字が。今、子供を含めてこれは全世帯の平均ですから、携帯電話の一年間が五万五千六百五十八円、もうそういうものになってしまっているんです。
確かに主食ということもわかりますし、基礎的食料ということもわかるんですが、需要ということから、消費ということから家計の中で見ると、大変ウエートは低くなっている。
一方で、それはある意味では農家の方が御努力をなされ、農家の所得を削減した分を、消費者の方が負担が減っている、このバランスかもしれませんが、そういう意味では農家の方も大変困っておられるというふうなことをやはり解消していくためには、私は、もう少し需要の拡大の観点というのと、もう一つ、過剰米の処理対策ということで、短期融資、無利子のこの制度を導入しながら販売環境の整備の取り組みを促進しますというふうにあるんですね。私は、これで本当にきいてくるのかよくわかりません。
もう一点この中から関連で質問させていただきますが、大正時代からストップをしておりますいわゆる米の先物取引、市場に上場しながらこの制度設計を、見直せとは私は言いません、ある意味では、この三十年間の蓄積の中で、今現実の部分でやるべき姿だというふうにも私は思いますが、やはりまだまだ足りないと思うんです。
これは農水省の方にいただいた資料で、先物市場で米取引を行うメリット、デメリットというのをいただきました。
まず、メリット。公正な価格形成と指標価格の提供。これは今、自主流通米機構でもやっている機能も兼ねています。価格の平準化。地域、時間的な価格のひずみを是正します。価格変動に対する保険のつなぎ、リスクヘッジをしますというふうなことがメリット。デメリットは、投機性の可能性、投機的取引の可能性。その場合、需給や価格の安定に支障を来す。
これも実際、デメリットと言っている投機性とか需給と価格の安定に支障を来すというのは、もう来しているんです。需要はもっともっと減っていくわけです。米穀年度でも十万トンずつくらい減っていくような計画を、農水省が基本計画をつくられているわけです。価格についても下げどまりはしていないわけです。むしろ、JAS法で魚沼のコシの袋を限定したということで、魚沼コシが上がっている。あとは、先ほど同僚議員がお話をしたように下がっている、下げどまらない。このデメリットはもう関係ないわけですよ、ある意味では。
ある意味では省令か政令で対応すればいいということですから、大臣、確かにこの融資制度というのも必要なのかもしれませんが、新たな支援法人をつくって基金を造成するよりも、上場するだけで、上場と言うんでしょうね、先物取引にできますよということをすれば、それは対応ができ、このメリットのかなりの部分が生きてくると思うんですが、いかがでしょうか。
○亀井国務大臣 大変重要な御指摘でございます。ただ、もう少しこの辺、国民の理解やあるいは関係者のやはりいろいろな意見を伺うことも必要なことであるのではなかろうか。将来的な問題として、重要な問題として考えていくべき課題、私はこのように思います。
○後藤(斎)委員 将来の課題というと、将来というのが何年後かわかりませんが、上場するときのできない理由というのは何かあるんですか。条件が何かあるんでしょうか。
○石原政府参考人 上場できない理由というのは特段ないと思います。
この問題につきましては、生産調整に関する研究会、これの最終取りまとめの中には入っておりませんけれども、昨年の六月に中間取りまとめということが出されております。この中では、生産調整や国境措置を行っている現状では導入すべきではない。要するに、この生産調整の問題あるいは国境措置の問題、この辺が何らかの改革がなされればあり得るというような趣旨のことかと思います。将来において、関係業者の価格変動リスクを軽減させる手段としては、その導入の可能性を排除すべきでないと取りまとめがされております。
これは、正直言いまして、研究会の場では卸の方から、要するに銀行からお金を借りるときに、銀行の方から将来のリスクヘッジの道もないんですかということをよく言われるということを言われたわけでございますけれども、他方で、農業団体の方は、まだそれは機が熟していないんじゃないか、昔のといいますか、きょうもここで議論が出ましたけれども、米が投機の対象として扱われるんじゃないか、そういう御意見もありまして、結果的に先ほど申し上げましたような取りまとめがなされたということでございます。
今回の食糧法の改正の中では、こうした考え方に基づきまして、未来永劫に先物取引を否定はしない。その導入の検討に当たっては、取引関係者あるいは国という段階を踏んだチェックを行う仕組み、そういうものを入れたということでございまして、すぐとはいかないけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、あくまで将来の課題としては位置づけたということであろうかと思います。そのように御理解いただければと思っています。
○後藤(斎)委員 長官や大臣の御指摘、よくお考えはわかります。わかるものの、自主流通米だけでこの十年間見ても単価が三〇%減少し、先ほど御指摘をしたように、農業、米の粗生産額というのでしょうかも四割近く減少しているというもので、農業者の立場からいえば、むしろ投機性というものが、投機というのが何なのか私はイメージがよくわかりませんが、大正時代や江戸時代のようにそこへどうこう殺到するという部分はないという中で私は積極的に考えていただきたいと思います。
時間も余りないようですが、もう一点。
今回の、米づくりの本来のあるべき姿というのが、最終目標でいろいろな形で字面では並んでおられます。
このとき、逆に言えば、農業者の方のスタンスからいえば、この目標年次、これは農業・農村基本計画の目標年次でもあります平成二十二年、米づくりの本来のあるべき姿も二十二年でございますよね。その中で、どんな経営体を想定し、そしてその際の農家所得はどの程度を考えて、そしてそのときの米価というのはどういうものを考えながら今回の施策というものを進めていかれるんでしょうか。
○石原政府参考人 農林水産省が平成十二年三月に公表した「農業構造の展望」、そこにおきまして、十年後の望ましい農業構造の具体的な姿として、効率的かつ安定的な農業経営が、家族農業経営で三十三ないし三十七万経営体、法人経営、生産組織で三ないし四万経営体と展望しているわけでございます。
この効率的かつ安定的な農業経営といたしましては、主たる従事者の年間労働時間が他産業従事者と同等、すなわち年間一千八百時間から二千時間、それから、主たる従事者一人当たりの生涯所得が他産業従事者と遜色ない水準、すなわち生涯所得で二・二億ないし二・八億、そして年間所得としては、最も所得の多い年で年間五百五十ないし七百五十万円程度を確保し得る、そういう生産性の高い営農を行う経営ということでとらえております。
この具体的な経営内容につきましては、例えば、水田作、野菜、畜産等の代表的な営農類型ごとに、経営規模、一定の技術体系を前提とした生産性、収入、所得等々の経営指標を試算いたしまして、「農業経営の展望」として示しているところでございます。
この経営指標の試算におきましては、今後の技術水準の向上や農地の利用集積等の成果を反映した実現可能な経営の姿を前提として、農産物価格については試算当時の直近の水準によるということにしているところでございます。
○後藤(斎)委員 最後、時間が来ましたから。
大臣、この二十二年の米のあるべき姿、そして基本計画にある、先ほど長官がお答えになっていただいた農業経営の主体、このような経営体が本当に実現するかどうかというのは、これからのある意味では需要拡大の努力であり、私は生産調整というのはその次の段階だと思っているんですが、そのときの米価の単価であり、そして何よりも、今消費者の方が、先ほども数字をお話ししましたように、三人くらいの世帯で月々二千円からせいぜい四千円くらいの間の米の支出しかしていないということです、実際。ですから、例えばそれが一割、二割上がったからといって米を食べなくなるわけじゃなくて、むしろ十年前の不作のときみたいに需要に逆にシフトをするかもしれない、それはわかりませんが。
例えば、今言ったモデルなのかもしれませんが、このまま今回のこの計画をして、先ほどもお話がありましたが、何も結果が出なかったということになった場合、だれがどんな形で責任をとられるんでしょうか、最後にそのお答えをお願いいたします。
○亀井国務大臣 当面は、この法案、農業者あるいは農業団体の皆さんといろいろ御相談を申し上げ、そして生産調整の数量を達成する。そしてさらにはいろいろの制度を導入して、何とか今の、平成二十二年度、あのような姿を実現する。これは、国民の理解と関係の皆さん方等の理解を得てその目的が達成されるように、当面は最善の努力をすることが一番大切なことじゃなかろうか、こう思います。
○後藤(斎)委員 終わります。ありがとうございました。
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○小平委員長 次に、本日付託になりました鮫島宗明君外二名提出、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。筒井信隆君。
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主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○筒井議員 民主党の筒井信隆でございます。
民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました法案についての趣旨を御説明申し上げます。
水田、畑作経営は、主食である米を初めとした食糧安定供給機能、これを果たしているだけではありません。空気、水、土あるいは景観の維持浄化という大きな多面的機能を果たしております。
しかし、全水田の四割、百万ヘクタールを超える減反政策を初めとした現行の食糧政策は、担い手の生産意欲やあるいは農村の活力を低下させてしまっておりまして、二つの多面的機能の発揮さえ、あるいは食糧安定機能の発揮さえ困難にしている状況でございます。
したがって、抜本的な改革が必要でございまして、それは以下のとおりでございます。
その抜本的改革の原理は、市場原理と保護の統一でございます。全面的に農業に市場原理を導入すれば、これは日本農業が崩壊をしてしまいます。かといって全面的に保護に頼れば、農業の発展はありません。生産規制の国による減反配分の廃止とか、あるいは流通規制の緩和等の市場原理の導入と同時に、所得補償の導入、あるいは短期融資制度、さらには備蓄米制度、これらによる保護策によって日本農業を再生する、この方向は必要であるし、正しい、こう考えております。
法案の中身の概要を簡単に御説明申し上げます。
第一は、国による減反配分の廃止でございます。国による減反配分を廃止して、生産者団体等による自主的な配分にゆだねます。ただ、政府案と違うところは、認定制度をとりません。
第二は、計画流通米制度等の廃止による流通規制の緩和でございます。この部分は政府案と同じでございます。
第三は、所得補償の導入でございます。ここが政府案と本質的に違うところでございます。
水田、畑作の経営者に対して、食糧供給機能、あるいは多面的機能の対価として所得補償を支給いたします。規模は、一兆円規模といたします。遅くとも平成二十年までにはそれを実施いたしますが、当面は直接固定支払い方式のみといたします。しかし、平成二十三年度をめどに、現行の農業共済と統合をして保険方式、収入保険方式との二本立てといたします。
四つ目は、過剰米対策としての短期融資制度でございます。
年間の消費量を超えて生産された過剰米を担保にした短期融資制度を創設いたします。制度そのものとしては政府と一緒でございますが、ただ、政府案は豊作の場合だけの対応でございますから、本質的な意味での過剰米対策ではないと考えておりまして、私たちの案は消費量を超えた過剰米全体を対象にする。そして、六十キロ当たり融資額も三千円と政府案はしておりましたが、市場価格の六割といたします。
融資を受けた農家は、一年かけてその販売努力をいたしますが、もちろんこれは、融資対象米は主食用にはしない、主食用以外で販売努力をいたしますが、一年かけて販売できなかった場合には米によって返済することができるものといたします。米によって返済された場合には、これは全量政府備蓄米に回します。
最後が、政府備蓄米制度でございます。
現在の政府案では危機管理機能しか付与されておりませんが、需要調整機能もこの備蓄米制度に付与いたします。政府案のように百万トンではなくて、三百万トン以上といたします。この役割の終わった備蓄米に関しては、もちろん主食用には回さず、バイオマス資源、あるいは米粉等の加工用、あるいは海外援助用等に回すことをはっきり規定いたします。したがって、現行の回転備蓄方式はやめて、棚上げ備蓄方式に変更をいたします。
以上が、法案の概要でございます。
ぜひ委員の皆さんの御賛同をお願い申し上げます。ありがとうございました。
○小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る六月四日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時十二分散会