第1号 平成16年1月27日(火曜日)
本国会召集日(平成十六年一月十九日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。委員長 小平 忠正君
理事 北村 誠吾君 理事 西川 京子君
理事 松下 忠洋君 理事 松野 博一君
理事 楢崎 欣弥君 理事 堀込 征雄君
理事 白保 台一君
赤城 徳彦君 石田 真敏君
小野寺五典君 大野 松茂君
梶山 弘志君 金子 恭之君
木村 太郎君 北村 直人君
後藤 茂之君 後藤田正純君
佐藤 勉君 玉沢徳一郎君
津島 恭一君 永岡 洋治君
西村 康稔君 野呂田芳成君
二田 孝治君 岡本 充功君
鹿野 道彦君 金田 誠一君
黄川田 徹君 岸本 健君
楠田 大蔵君 篠原 孝君
神風 英男君 高木 義明君
仲野 博子君 松木 謙公君
山田 正彦君 西 博義君
高橋千鶴子君 山本喜代宏君
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一月十九日
小平忠正君委員長辞任につき、その補欠として高木義明君が議院において、委員長に選任された。
平成十六年一月二十七日(火曜日)
午前九時一分開議
出席委員
委員長 高木 義明君
理事 北村 誠吾君 理事 西川 京子君
理事 松下 忠洋君 理事 松野 博一君
理事 黄川田 徹君 理事 小平 忠正君
理事 楢崎 欣弥君 理事 堀込 征雄君
理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君
赤城 徳彦君 石田 真敏君
小野寺五典君 大野 松茂君
梶山 弘志君 金子 恭之君
木村 太郎君 北村 直人君
後藤 茂之君 後藤田正純君
佐藤 勉君 玉沢徳一郎君
津島 恭一君 永岡 洋治君
西村 康稔君 野呂田芳成君
原田 令嗣君 二田 孝治君
古川 禎久君 岡本 充功君
鹿野 道彦君 金田 誠一君
岸本 健君 楠田 大蔵君
篠原 孝君 神風 英男君
仲野 博子君 松木 謙公君
西 博義君 桝屋 敬悟君
高橋千鶴子君 山本喜代宏君
…………………………………
農林水産大臣 亀井 善之君
厚生労働副大臣 森 英介君
農林水産副大臣 金田 英行君
農林水産副大臣 市川 一朗君
農林水産大臣政務官 木村 太郎君
農林水産大臣政務官 福本 潤一君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 梅津 準士君
政府参考人
(外務省経済局長) 佐々江賢一郎君
政府参考人
(厚生労働省健康局長) 田中 慶司君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 遠藤 明君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長) 須賀田菊仁君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 中川 坦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 白須 敏朗君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 福下 雄二君
農林水産委員会専門員 和田 一郎君
―――――――――――――
委員の異動
一月二十七日
辞任 補欠選任
佐藤 勉君 原田 令嗣君
野呂田芳成君 古川 禎久君
西 博義君 桝屋 敬悟君
同日
辞任 補欠選任
原田 令嗣君 佐藤 勉君
古川 禎久君 野呂田芳成君
桝屋 敬悟君 西 博義君
同日
理事鮫島宗明君同月十六日委員辞任につき、その補欠として小平忠正君が理事に当選した。
同日
理事楢崎欣弥君及び堀込征雄君同日理事辞任につき、その補欠として黄川田徹君及び山田正彦君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
国政調査承認要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件(米国BSE及び高病原性鳥インフルエンザ問題)
――――◇―――――
○高木委員長 これより会議を開きます。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
このたび、農林水産委員長に就任をいたしました高木義明でございます。
御承知のとおり、農林水産業は、食料の安定供給の確保はもちろんのこと、国土、自然環境の保全を初めとした多面的な機能の発揮など、各般にわたり大変重要な役割を持っております。特に、食の安全と安心の確保、国際的な貿易体制への対応、農業の構造改革などの課題が山積をいたしております。これら国民の関心の高い諸問題に対して、的確に迅速な対応が求められております。
このような状況のもとで、本委員会に課せられた使命はまことに重大なものがございます。改めてその職責の重さに身の引き締まる思いでございます。
甚だ微力ではございますが、委員各位の御協力をいただきまして、公正かつ円満な委員会運営を行っていきたいと思いますので、皆さん方の御指導、御協力をよろしくお願いを申し上げまして、一言ごあいさつといたします。
よろしくお願いします。(拍手)
――――◇―――――
○高木委員長 理事辞任の件についてお諮りをいたします。
理事楢崎欣弥君及び堀込征雄君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りをいたします。
ただいまの理事の辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が三名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に
黄川田 徹君 小平 忠正君
及び 山田 正彦君
を指名いたします。
――――◇―――――
○高木委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
農林水産関係の基本施策に関する事項
食料の安定供給に関する事項
農林水産業の発展に関する事項
農林漁業者の福祉に関する事項
農山漁村の振興に関する事項
以上の各事項について、実情を調査し、その対策を樹立するため、本会期中調査をいたしたいと存じます。
つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○高木委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件、特に米国BSE及び高病原性鳥インフルエンザ問題について調査を進めます。
この際、政府から説明を聴取いたします。農林水産大臣亀井善之君。
○亀井国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
委員長初め委員各位におかれましては、日ごろから農林水産行政の推進に格段の御理解と御支援をいただき、厚く御礼を申し上げます。金田、市川両副大臣、木村、福本両大臣政務官ともども、農林水産行政の推進に全力を挙げてまいる考えでありますので、委員長初め委員各位の今後とも一層の御支援を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
まず、米国のBSEにつきまして御報告を申し上げます。
昨年十二月二十四日に、米国ワシントン州においてBSEが発生したとの発表がありました。
農林水産省といたしましては、我が国へのBSEの侵入防止に万全を期すため、直ちにアメリカからの牛及び牛肉等の輸入を停止いたしました。また、厚生労働省は、公衆衛生の観点から、米国産牛肉等の日本への輸入を禁止するとともに、米国から既に輸入された特定部位が含まれるまたはそのおそれのあるものについての回収等を指導したと聞いております。
その日の夕刻には、金田副大臣を本部長とする農林水産省BSE対策本部を開催し、本部長から、米国におけるBSEの発生状況の確認に努めること、消費者の安全、安心の確保の観点から、今後の対応については食品安全委員会及び厚生労働省と十分に連携を図りつつ検討すること、牛肉の安定供給の確保を図る観点から、事態の正確な把握と関係者への適正な情報の伝達を行うとともに、牛肉の価格動向を把握、公表し、監視することについて指示したところであります。
その後、十二月二十九日には、食品安全委員会事務局、厚生労働省及び外務省とともに米国政府との会合を持ち、米国側の説明を聴取いたしました。
さらに、米国におけるBSE発生状況等について調査を行うため、一月八日から十八日まで、農林水産省、厚生労働省及び食品安全委員会事務局の合同の調査団を米国に派遣したところであります。
調査団の報告によれば、BSE感染牛のカナダでの同居牛が米国に輸出されており、当該牛にカナダで給与された肉骨粉が米国へも輸出されていた可能性がある、飼料、生体牛の流通などの面で米国とカナダの牛肉関連産業が強く統合されている、米国の肉骨粉等の牛への給与禁止措置に関して交差汚染等の可能性を否定できない、したがって、今後米国でBSEが発生しないという保証はないとのことであり、今後とも米国及びカナダに感染経路の究明や情報提供等を求めてまいりたいと考えております。
一月十五日には、私とベネマン米国農務長官との間で電話会談を行いました。
会談では、両国とも早期の牛肉貿易の再開を望んでいること、その際、両国の最大の懸案は食の安全、安心の確保であり、そのことを踏まえて貿易再開の条件について引き続き話し合いを行っていくことで意見の一致を見たところであります。
また、私から、貿易再開のためには消費者の理解が前提であることを強調し、現在我が国が講じている措置等について丁寧に説明いたしました。
さらに、一月二十三日には、食品安全委員会事務局、厚生労働省及び外務省とともに米国政府との会合を持ち、米国の追加的BSE対策や現地調査団の報告について意見交換を行いました。
一方、我が国では米国からの輸入牛肉は国内消費の約三割を占め、国民生活への影響は少なくないことから、牛肉の安定供給の確保を図るため、価格動向の調査、監視による便乗値上げの防止を図るとともに、豪州及びニュージーランドに担当官を派遣して、輸出拡大の可能性の調査等を行ったところであります。
その結果、豪州産の牛肉の一部には、米国産の代替として我が国でも需要が見込まれる高品質な部分肉があること、ニュージーランドからの大幅な輸入増加は期待できない状況にあること等が確認されたところであります。
いずれにいたしましても、この問題は、食の安全、安心に関する重要な問題でありますので、まず消費者の安全、安心の確保を第一に考えなければならないと考えております。
輸入再開については、今後日米間で協議することとなりますが、その際、国産牛肉については、全頭検査の実施及び特定危険部位の除去により国民、消費者の安全、安心が確保されていることを踏まえれば、日本向けに輸出される牛肉等についても、我が国としては、これらを基本に協議していくことになると考えております。
今後とも、食品安全委員会、厚生労働省と密接に連携を図りつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。
続きまして、国内で発生した高病原性鳥インフルエンザに関して御報告申し上げます。
高病原性鳥インフルエンザにつきましては、従前から、発生と同時に発生国からの家禽肉等の輸入を直ちに停止してきております。また、昨年九月には防疫マニュアルを作成するとともに、昨年十二月の韓国での発生拡大を踏まえ、各都道府県等に対応の徹底を指示していたところであります。しかし、残念ながら、一月十二日に山口県において、我が国では七十九年ぶりとなる発生が確認されました。
農林水産省といたしましては、一月十三日に、金田副大臣を本部長とする対策本部を開催し、本部長から、発生状況の把握及び感染原因の究明に努めること、家畜伝染病予防法に基づき速やかに必要な蔓延防止措置をとること、厚生労働省や食品安全委員会と十分連携を図りつつ、国民の安全、安心の確保に万全を期すこと、また、風評被害の防止のため、正確な情報の提供に努めることについて指示したところであります。
既に、蔓延防止措置としては、初動措置として、発生農場において、部外者の立ち入り制限、卵の出荷制限、消毒等を実施するとともに、家畜伝染病予防法及び防疫マニュアルに基づき、発生農場飼養鶏全羽の殺処分、消毒、周辺農場における鶏及び病原体を広げる恐れのある物品、鶏卵、車両等の移動制限、関連農場の調査等の必要な防疫措置を講じているところであります。
一方、厚生労働省では、鳥インフルエンザの発見された養鶏場について念のため鶏卵の自主回収を要請するとともに、養鶏関係者の健康状態の確認及び感染防除の徹底を指導していると聞いております。
一月十五日には、食料・農業・農村政策審議会に置かれている家きん疾病小委員会を開催し、専門家の方々から、蔓延防止措置については、防疫マニュアルに沿った措置を徹底すること、全都道府県で臨床症状の有無を基本として清浄性の確認調査を進めること、感染経路の究明については引き続き関連農場等の疫学調査等を進めることといった助言をいただいたところであり、こうした助言を踏まえ、引き続き蔓延防止と感染経路の究明を進めていくこととしております。
本病は、生きた鳥との接触等により人に感染した例はありますが、鶏卵や鶏肉により人に感染したという報告はないことから、国民に対する正確な情報の提供等により、冷静な対応がなされるよう努めてまいりたいと考えております。
今後とも、厚生労働省、食品安全委員会と連携をとり、万全の対策を講じてまいる考えであります。
最後に、委員各位におかれましても、引き続き一層の御理解と御支援をよろしくお願いいたします。
○高木委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○高木委員長 この際、農林水産副大臣及び農林水産大臣政務官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。農林水産副大臣金田英行君。
○金田副大臣 昨年十一月二十日、農林水産副大臣を拝命いたしました金田英行でございます。
亀井大臣を補佐し、市川副大臣とともに農林水産行政の推進のために一生懸命に頑張ってまいりたいと思いますので、高木委員長初め農林水産委員会の皆様方の御支援、御指導をよろしくお願いいたします。ありがとうございます。(拍手)
○高木委員長 次に、農林水産副大臣市川一朗君。
○市川副大臣 農林水産副大臣、参議院議員の市川一朗でございます。
亀井農水大臣のもとで、副大臣、政務官一体となりまして農林水産行政の推進に努めてまいる所存でございます。
委員長初め各委員の先生方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○高木委員長 次に、農林水産大臣政務官木村太郎君。
○木村大臣政務官 農林水産大臣政務官を拝命しました木村太郎でございます。
亀井大臣、両副大臣をお支えしながら、福本政務官と一緒に全力で努力してまいりますので、高木委員長初め委員各位の皆様方の御指導をよろしくお願いいたします。(拍手)
○高木委員長 次に、農林水産大臣政務官福本潤一君。
○福本大臣政務官 農林水産大臣政務官の福本潤一でございます。
亀井大臣のもと、金田、市川両副大臣の御指導もいただき、木村政務官ともども、農林水産行政の諸課題に全力を傾けてまいりたいと思います。
高木委員長初め委員各位の御支援のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)
―――――――――――――
○高木委員長 引き続き、農林水産関係の基本施策に関する件、特に米国BSE及び高病原性鳥インフルエンザ問題について調査を進めます。
お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長須賀田菊仁君、消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、内閣府食品安全委員会事務局長梅津準士君、外務省経済局長佐々江賢一郎君、厚生労働省健康局長田中慶司君、医薬食品局食品安全部長遠藤明君及び経済産業省大臣官房審議官福下雄二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小平忠正君。
○小平委員 おはようございます。民主党の小平忠正です。
実は、まず質問に入る前に、きょうは予算委員会が同時進行で開かれておりますが、亀井大臣がそちらの方に出席の日程もこれあるようで、予定では自民党松下理事がまず最初だったんですが、便宜を図っていただきまして、大臣の関係等で私が先にやらせていただきます。まずこの点を御礼申し上げます。
さて、大臣初め政府の皆さんも、アメリカでのBSE、やはり起こったか、やはり発生したかと。我々が平成十三年から、我が国で不幸なBSEが発生してから随分と時間が経過しました。一時は大変なパニックにも陥り、いわゆる国民、消費者の農産物、食品に対する信頼が崩れまして、大変な事態になりましたが、政府を初めまた当委員会含めて関係の皆さんの真摯な御努力によってやっとこれも落ちついて、そして、消費者の信頼も回復し、何とか平穏に推移してきたところであります。
しかも、政府としてはいろいろと施策を講じた上に、さらに昨年は、当委員会で牛のトレーサビリティー、この法案までつくりまして、きたのでありますけれども、このような事件がアメリカにおいて起きてしまった、しかも年末年始という大変大事な時期にこういうものが起きた、そんなことを思うと残念でなりません。
本当に今、これだけ国際環境、地球が狭くなった中においてこういう事件というのは、もう海を遠く離れた向こうであるから安心だということは言えないと思います。大変このことについては、またこのような事態が続いて起きないように、まずここでしっかりと進めていくことが私は大事だと思っております。
そこで、質問に入る前に、皆さんにこんなことを御披露したいんですが、ちょっと委員部、いいですね。これはよろしいですね、委員長。
○高木委員長 はい。
○小平委員 これは、こういう事実をまず冒頭皆さんに御披露したいと思うんですが、実は平成十三年、我が国であのようなBSEが発生した段階で、我が国はいろいろな面で今申し上げたように大変な状況にありました。
そのときに、アメリカは、これによると、米国食肉輸出連合会、USミートというところなんですが、皆さん、お手元に行きましたですか。――こういういわゆるPRをしたわけです。しかも、これは我が国の五大紙、これは読売新聞の記事ですが、全面広告です。これは縮小版ですから。新聞の全面広告ですね。それで、読売、朝日、毎日、産経、日経、これに平成十三年十月十四日、まさしく我が国がBSEの発生で大変苦慮していたさなかのとき、こういう記事を出しました。
言うところは、日本国民の皆さん、アメリカの牛肉は安全です。したがって、日本でこんな事件が起きたら、日本の牛肉は食べないでアメリカの肉を食べてください。いろいろと書いていますね。「米国では、BSEは一例も発生していません。」「BSEの発生を徹底して防いでいきます。」云々と書いています。これはいちいち読むのももう……。
しかも、下の方には、わざと読みづらくして、米国農務省主任獣医として、こういう米国農務省の見解までつけていますね。しかも、事もあろうに、左下には米国大使館、米国農務省のシールをつけています、あたかもオーソライズされたかのように。こういうことをやらかしたんです。これは何かというと、いわゆる言葉をかえて言うと火事場泥棒です。こんな国が今こんな事件を起こしたんですよ。
まず、皆さん、大いに義憤を感じていただかなきゃならぬと思うんですよ。こういうことをまず私、もう平成十三年ですから、少し前ですけれども、思い起こしていただきたいと思って皆さんのお手元にお配りいたしました。
さて、順序を追って質問をさせていただきます。
今申しましたように、私は、牛肉の輸入再開に向けてこれからいろいろな努力をしていかなきゃならぬと思うんですが、我が国はアメリカでのBSE発生、これを大いに懸念しておりました。このことは、ちょっと後で資料をいただきますが、昨年の委員会でも、我が党の委員を初め各委員から大臣に向かって、アメリカの牛肉は安全ですか、そういう質問をいたしましてその答弁がありましたが、端的に言うと、大臣の答弁では、アメリカの牛肉は安全です、要約するとこういう御答弁でしたが、今それは議事録に載っておりますので、後ほど時間があれば紹介したいと思います。
さらに、最近では鳥のインフルエンザ、これも幾つか、いろいろな種類がありますが、その中でもH5N1という非常に危険な病気のようであります。これが発生し、東アジアあるいは東南アジア等々で今大流行で、けさあたりは中国でも発生した、そんな報告も届いているようであります。そういう状況で、国民には食の安全という観点から大変大きな不安を与えている、これが今の現況です。
そこで、我が国と米国とのBSE問題をめぐる政府間協議が先週、一月二十三日に開かれたわけですが、そこで、その後お聞きした話では、米国から輸入再開に向けた具体的な提案や要請はなく、議論は平行線に終わっている、このように伺っております。我が国では、BSEが発生した際に、いろいろな検討の結果、全頭検査の実施、あるいは脳や脊髄など特定危険部位の除去、これを完全に実施をする、そういうことをして消費者の信頼を回復、取り戻してきた。またさらには、肉骨粉の給与禁止、完全にとめた。そして、今申し上げましたように、トレーサビリティー、このシステムの確立をもって死亡牛の検査等の措置もさらに講じ、BSEの正常化に向けて懸命な努力を続けてきているところは、これは私も評価をしたいと思います。こういうことは、当委員会で議員立法でBSE対策特別措置法、これらによって進めてきた事実があるわけですね。
そういう状況なんですが、非常に苦労を重ねて、見方によってはここまで徹底してやることが必要か、そういう意見もあったぐらいしっかりと徹底的に安全措置を二重にも三重にもかけてきたわけですね。このことを、今回このような不始末を、大変なことを引き起こしたアメリカが、しかもこんなことまでやらかした国が、何かいろいろと大臣とのやりとりあるいは会議の中で、あるいは向こうでの米下院の農業委員会の公聴会等でも、ベネマン農務長官も含めてアメリカの言いぐさは、アメリカは、全頭検査の実施については科学的でなく必要ない、そう言っているようですね。アメリカとしては一日も早く牛肉の貿易再開をしたいという願望があるにもかかわらず、我が国の神経を逆なでするような発言ですね。全頭検査は理にかなった科学的な検査でない、そんなことも言っているわけですね。そうですね。
そこで大臣、まず最初に、では米国の主張する科学的な検査というのは具体的にどのようなものを指して言っているんですか。いろいろと前に政府の説明を聞いた段階では、我が国はアメリカの出方を待っている、そういうことを言っていましたけれども、大臣としては、主体的に我が国としてアメリカが言う科学的な主張というのはどういうことかということを、大臣の判断をお聞かせいただきたいと思います、まず最初に。
○亀井国務大臣 今、委員いろいろ御指摘がございましたが、まず最初に、平成十三年の広告、このことにつきましても、BSEが一例も発生していないことを強調している、こういう点、米国の過信、こういうものを示しているようなわけであります。特に、BSEにつきましては疾病の確認からまだ二十年も経ていないわけでありまして、科学的に未解明な疾病であるわけでもございます。また、この感染経路の究明も難しい、絶対にBSEが発生しないということはなかなか言いがたいわけであります。そういう面で、今御指摘の科学的な問題、このことにつきましても、やはり非常に難しいところがございます。今申し上げましたとおり、特定部位の範囲、こういうものも必ずしも国際的あるいは科学的に確定しておらないわけでありまして、科学的知見の進展に応じていろいろ追加されてきておったりするわけであります。
そういう面で、アメリカがいろいろ言っておりますこと、特定部位につきましても、三十カ月齢以下では異常プリオンが検出できない、こういうようなことで、三十カ月以上の牛について特定部位を除去するということで足りるんだ、こういうこと、あるいはまた、全頭検査ではなく、症状牛から抽出検査を行うことで十分である、こういうようなことを言っておるわけでありまして、そういう面で、やはり私は、非常に科学的な検査、こういうものが行われていない、このように感じておるわけであります。
我が国は、今委員御指摘のとおり、全頭検査、そしてさらに特定危険部位の除去、こういうことを実施して、今日、アメリカで発生しても肉の消費が落ちない、国民の皆さん方はその日本の検査に大変、今、食の安全、安心、私ども努力をしておりますこと、このことにつきましても御理解をいただいておるわけであります。そういう面で、やはり、アメリカの指摘、また、特に日本におきましては二十三カ月、二十一カ月の牛が発見をされた、こういう経緯もあるわけでありまして、これらのOIEの科学的な知見、こういう中で、いろいろ指摘されていることの中ではないことでありますので、そういう面でも、アメリカの検査というものは非常にこれを満たしていない、このように私は考えております。
○小平委員 今、最後、何と言われたんですか。最後、何と言われたんですか。
○亀井国務大臣 アメリカの検査は、私ども考えております安全、安心、こういうものを満たしていない、このように申し上げたわけです。
○小平委員 大臣がそういう御認識なら、私は、それを根底に置いて対策を進めていっていただけると思います。とにかく、アメリカが言う主張は間違っている、我が国のやり方は科学的な原則に基づいたことである、そのように強く大臣が、その最高の立場にあるんですから、はっきりと明確に強くアメリカに対して言っていただきたいと思います。昨日、予算委員会でも、我が党の鮫島議員の質問に対しても、そこが少し最初もごもごとしていましたので、やはりはっきりと明快に言い切ることが私は今後のこれからのアメリカとの交渉においても大事だと思っていますので、アメリカこそおかしい、そういうことをしっかり主張していただきたいと思いますね。
さて、続けてこの問題なんですが、米国は、我が国でBSEが発生した段階で、即座に我が国からの牛肉輸入を禁止しました。これは量としては微々たるものですけれども、即座に禁止をし、今もって解禁しておりません。そういう国ですね。
さてそこで、今、米国は、この事件が発生してから、おっ取り刀というか、追加的なBSE対策を発表しておるようであります。しかし、いろいろと政府が先般訪米して調査をした報告を聞きましても、飼料の自家配合を行っている特に小規模農家がたくさんいて、そこでのやり方、あるいは検査対象というのは完全に掌握していない。したがって、アメリカでは、肉骨粉はもちろん牛には禁止ですけれども、反すう動物以外の豚や鶏やペット、これらは許されておりますので、そういうのが出回っているのが実態ですね、非常に。ですから、それは完全に牛には使われていない、そういうことが遵守されているかというと、これは全然不明確である。そういう中で、いわゆる政府が言う交差汚染、このおそれが大である、こういうふうに調べてきたようであります。そうなると、実際には、現在アメリカにおいては多くの牛に肉骨粉が飼料として使用されている可能性が大である、このように我々は危険視せざるを得ないと思うんであります。
しかし、これは、両国の良好な関係を考えますと、アメリカは大きな産業である牛肉、一日も早く輸出を再開したい、我が国としても食料の安定供給の観点からも一日も早く輸入再開したい、これは我が国もアメリカも同じ思いだと思います。それはそうであるんですが、しかし、安易に、ただ経済的観点から安易に輸入再開したのでは、これでは、せっかく築いてきた消費者に対する食の安全が、繰り返しますけれども大事なので言います、簡単に、簡単にここで崩れ去ってしまうんですね。崩れ去ってしまう。したがって、これは今大事な局面にあると思うんです。
そこで政府は、特定危険部位の除去あるいは全頭検査、これらを中心にアメリカに我が国と同等の措置を求めていく、こういうふうに言っておりますね。そこで次の質問は、我が国が言う同等の検査、同等の措置というのは具体的にどういうことか。今我が国がとってきた措置と完全に一致することを同等と言うんですか、それとも何か別な意味がそこに、この同等という意味の奥には何かそれが隠されているんですか。そこを大臣から明確にお答えいただきたいと思います。
○亀井国務大臣 私は、先ほども申し上げたとおり、我が国の考え方、先般ベネマン農務長官と一時間ほどこの問題につきましていろいろ話をしまして、我が国のとっておりますいろいろなことを丁寧に説明をいたしたわけであります。私は、やはり米国で今一頭、また調査団の報告でも、これでおしまいになるということはないわけで、保証できないわけでありますので、二頭、三頭、万一それが発生したとしても、日本の消費者が安心して肉が食べられるような、そういうものでなければならないわけでありますので、そういう面で全頭検査並びに特定部位の除去、このことを申し上げておるわけであります。
同等の措置、これは具体的に私も想定をしておるわけではないわけでありまして、現段階で、具体的にアメリカからの提案があれば、それはいろいろ考えなければならないわけでありますので、あくまでもBSEの全頭検査、そして特定危険部位の除去、このことを基本に考えておるわけでありまして、具体的に何を想定しているということはございません。先方からどんな考えが出てくるのか、こういうことも踏まえた形で今言っておるようなわけであります。
○小平委員 いわゆる政府当局、事務方がそういう答弁は私はいいと思うんです。事務方がそういう答弁はまだ私は許されると思うんだけれども、大臣というのは司令塔ですから。今のお考えは、それはわかるんですけれども、アメリカがどう出てくるか、どう言ってくるか、それを受けてというのは、ちょっとあなた任せというか、相手がどう出てこようが、どうあろうが、我が国はこうなんだ、これが輸入再開するためのまず絶対条件なんだという、そこはやはり強く言っていかないと、まずあなたが、アメリカさん、どう出てくるんですか、待っていましょう、それから検討しましょう、そういうことでは、やはり外交交渉というのは後手を踏みますよ。やはりがちんと、外交なんというのは、はっきり言って、正義という言葉はありますけれども、まさしく国益がぶつかり合うわけでしょう。そこを、こんなときに、何もアメリカが言ってきたらそれを受けて検討しましょうじゃなくて、大臣でしたら、そこはこうだということをはっきり言ってくださいよ。
○亀井国務大臣 基本的に日本と同じ、いわゆる全頭検査並びに特定危険部位の除去、このことをベネマン長官にも私はもちろん再三申し上げておることでありますし、昨年五月、カナダで発生したときにも、バンクリフ農務大臣と五回も、先方からいろいろなことをおっしゃったわけでありますが、すべて全頭検査、特定危険部位の除去、このことを強く申し上げて、それを今基本的な考え方にしておるわけでありまして、あくまでもそのことを基本に考えておるというのが私の考え方であります。
○小平委員 亀井大臣は非常に紳士的で、いわゆる言動がそういう御姿勢ですから、それは私も評価しますが、特に外柔内剛と言いますけれども、この際、ぜひ外剛内柔で、外に向かってはもっとがんとやってくださいよ。そうしなきゃ、消費者は今じっと見ていますよ。この機会に、農水省がやはり味方なんだということを、しかも今農水省は、農業というのは生産者と消費者が一体となってお互いに信頼感を持ってやるという連係の姿勢を出しているわけでしょう。
では、消費者のために、ぜひ信頼をはっきりと確立するために毅然としてやっていただきたい、強く御要望しておきます。
さて、次に、このいわゆるトレーサビリティーの問題なんですが、昨年、当委員会で牛のトレーサビリティー、この審議がなされました。
アメリカ、米国においてもいろいろと追加的な措置をやっているようですけれども、いろいろとお聞きするお話によると、アメリカでのいろいろな調査というか検査というものはお粗末であって、今回の事件においても、感染牛の年齢、これが当初の発表と違っていたり、あるいは三十カ月以上の特定部位の除去を義務づける対策をとったということも言っているようですけれども、その年齢をどうやって識別するかというと、トレーサビリティーがないんですから、年齢も定かでない。
よく、馬の年を、いわゆる市場で、博労が、博労というか売買のときに、馬の歯を見て年齢を識別するということはやりますけれども、何か牛もそういうことをやっているとか、アメリカがですよ。そんな国が科学的な検査なんということは何かおこがましいと思うんだけれども、そんなようなことが現在の実態のようです。
したがって、今の時点では、米国でのトレーサビリティーの実態というのは、政府は全然評価なんかしていないでしょう、やっているようですけれども。していませんよね。いや、それならそれでいいんです。そこで、そんな状況はアメリカではありましたけれども、それはそれとして、我が国では念には念を入れて、全頭検査にさらにトレーサビリティーをつくりました。
しかし、大臣も昨年のことですからよく覚えていらっしゃると思うんですが、当時、民主党として、野党共同でこの牛のトレーサビリティーの対案を出しました。それは、国内牛だけそういうトレーサビリティー、履歴書をつけるという、生産時点から店頭に至るまでの、それはやはり不公平だ、やるんだったら同じように輸入牛肉もすべきである。そのことを我々は根底に置いて、いわゆる野党としての対案をつくって政府・与党にぶつけましたけれども、当時、政府・与党の皆さんは、数の力で我が党の正しい法律案を否定されて、いわゆる不完全な政府案、牛のトレーサビリティー、国内牛だけを対象にしていろいろと縛りをかける、そういう法律を通しました。
そのとき――ちょっとまだできていないかな、議事録の。まだできていない、当時の答弁のもの、政府委員。
私は今手元にないんですが、当時、我が党を初め野党の委員が大臣に質問しました。なぜアメリカの牛にもトレーサビリティーを、こういう制約なり縛りをかけないのかということを質問しましたら、大臣は、アメリカの牛肉は安全です、いろいろと言葉を弄しましたけれども、要約するとそういう趣旨の答弁をされている。しかも、その根拠はと問いただしましたら、私が間違っていなければですよ、アメリカの牛肉は安全だからと。北村さん、覚えていらっしゃるでしょう、そういうことを、あの当時副大臣だった。(発言する者あり)いや、ですから、アメリカの政府がそう言っていると。そういうことが、大臣がオウム返しにとらえたことを私は記憶しています。私が間違っていなければ。
正確な議事録は今ちょっと手元にないんですが、もう一度言いますと、我が党の委員の方から、なぜアメリカの牛にも国内牛と同じように制約をかけないんだ、そのことを質しましたら、大臣の答弁は、アメリカの牛肉は安全ですと。その根拠はと問いただしましたら、アメリカがそう言っているからと。いや、違っていたら、私今手元にありませんので、当時委員長席においてそのように私は聞いた記憶があります。これが当時の状況でした。
そこで、こういうふうになりまして、我が国としてはアメリカにも強くこのことを今主張しているんですから、このトレーサビリティーのいわゆる法案の修正というか、海外からの輸入肉についてもトレーサビリティーをしっかりと課していく、そういう法律をつくっていく必要があると思うんです。これは前回は、昨年は、我が党が出した対案は、ちょうど衆議院の解散等により、残念ながらそういう経緯の中で廃案になってしまいましたけれども、これは、今国会において我々はさらに精査をし直してこれについての法律を出していく予定でありますので、また次回にこれについての議論をしたいと思います。
そこで、今私がそういうことを申し上げたことなので、大臣、今までのことに対して何か御意見ありますか。いや、大臣で結構です。
○亀井国務大臣 今委員御指摘の経過につきましては、法案、そのときに私は、当時米国がBSEの未発生国、こういう視点に立ちまして申し上げておった、こう思います。さらにいろいろ御指摘がありまして、ベーカー駐日大使を私は呼びまして、審議の状況、このことも申し上げ、またBSEにつきましては、今言っておりますような全頭検査、そして特定危険部位の除去、このことを我が国は実施をしている、こういうことも大使にも再三申し上げたわけであります。
この法案につきましては、貿易的な問題、貿易制限的な措置、こういうおそれもあるということもその当時申し上げたわけでありまして、慎重に検討する必要がある、このように今も思っております。
○小平委員 この牛のトレーサビリティー法案については、今申し上げたように、また今国会で我々も提出する予定ですので、そのときまた改めて議論をさせていただきたいと思います。
さて、次に、このような我が国でのBSEが発生したことの反省を踏まえて、教訓にして、内閣府において食品安全委員会が設置されましたですね。これは昨年、内閣府でこれができたわけですけれども、これの経緯については、皆さんも御承知ですから私はここで申し上げません。しかし、一つ気になっていますことは、食品安全委員会は、このいわゆるゆえんをもっても、食品の安全評価の客観的評価、監視を任務、こうしておりますが、どうも現在の活動状況を見ますと、よく見えないんですが、農林水産、厚生労働、この両省から資料の提供を受ける、それ以上に何かあるのかなと。もっと主体的に、独自性を持って調査研究をやっているのか。今回、特にアメリカでこういう事件が起きた今は、食品安全委員会の存在というのは非常に大きいと思うんです。
私は、アメリカという国は、牛肉産業はいわゆる巨大産業ですよね。輸出においても大きな部分を占める産業です。したがって、今後、米国からは、我が国に対し政治的な圧力が、特に農林水産省等に対しては非常に強まってくると思うんです。そのときに、果たして我が農林水産省はそれをしっかりはね返せるか。残念ながら、それについて安心して見ている方は、与党の皆さんだって少ないと思います。果たして守り切れるかな、アメリカに対して。
さあ、そのときに、私は、せっかくつくった食品安全委員会、これは主体的に、いや、政府がどうのこうの言おうと、例えば小泉首相が何と言おうと、亀井農相が何と言おうと、食品安全委員会としては、この委員会の主体性を持って、日本の条件を認めない限りは断固として輸入は再開しない、できない、そういう我が国の食の安全、安心を守る、そのための最後のとりでになれると思うんですね。
きょうは梅津局長が見えていますね。どうですか、そこのところ。
○梅津政府参考人 今委員御指摘のように、食品安全委員会の役割は、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識のもとに、中立、公正な立場から、科学的な知見に基づいて食品健康影響評価、いわゆるリスク評価を行うことでございます。
今回の米国におけるBSE問題に関しまして、発生後直ちに農水省、厚労省両省から、木曜日の午後に開かれます委員会の場で報告を求めるとともに、合同調査チームへの参加、各種海外情報の収集など、現在、情報の収集、分析に全力を挙げているところでございます。さらに、いずれかの段階で、この問題への対応について食品安全委員会に意見を求められることも想定し、公衆衛生や疫学やさまざまな専門家から意見聴取等を行っているところでございます。
今後、今回のBSEに関する事実関係の判明や米国との交渉の状況を踏まえつつ、関係する専門調査会での審議やさまざまなリスクコミュニケーションを行ってまいりたいと考えております。
○小平委員 梅津局長、農水省からそちらに行かれて、どうも役人的な答弁ですよね。まあ、役人でしょうけれども、食品安全委員会だったら、ちょっと農水省とは違うんだと。あなた、この機会ですよ、食品安全委員会を世にPRするのは。この機会をとらえて、この委員会の存在なんというのは多くの方は知りませんよ。今こそあなたが強く出てやれば、それはもうマスコミもそれをきちんと評価するし、またPRするでしょう。このときこそ、せっかく昨年つくった食品安全委員会の真価を問われるときなんですよ。
あなたはしかも、あの当時、畜産局で大変苦労したわけでしょう。そのさなかにあったわけでしょう。どうですか。そういう経験を踏まえたら、今こそ食品安全委員会ここにありと、もう農水省なんかかき切るぐらいに頑張ってやったらどうですか。そうすれば、そんな答弁でなくてもっとがんとおっしゃいなさいよ。そういうことを私はあなたに強く要望しておきます、これはもう答弁はいいですけれども。
まさしく、本当に今こそ食品安全委員会がこの存在をPRし、今後に向かってのこれは大事な一歩になりますよ。ここで弱々しくしていたら、単なる農水省の下請機関になっちゃいますよ。それではだめだ。あなた方は、こういうときこそ自分たちの置かれた立場をしっかり再認識して頑張るべきですよ。それは必ず国民が応援します。強く要望しておきます。
さて次に、いろいろと質問がいっぱいあるものですから、では、OIEについて。
これは国際的な衛生の、防疫ルールの確立の問題なんですが、今、OIEの存在が特に今後のいろいろな対策に向かっても重要な位置を占めていくと私は思うんですが、いろいろとそれぞれOIE基準というものがあって国際社会でそれが動いているようですけれども、今BSEが世界的な広がりを見せている、そういう状況にありますね。
けさの農業新聞なんかでもこんなことを書いていますね。これは私もけさ読んだばかりなんですけれども、東大の名誉教授の山内さんという方ですか、アメリカではさらにBSEが広がっているおそれが多分にあると。
これは、見えないだけであって、実態はじわっと広がっている。それは、言うなればアメリカの検査体制がなっとらんからですよ、あの広いアメリカの国土で。そんな状況があって、これから特にOIEというものが、それを基準にして、これは国際的な一つの基準の場ですからね。
そこで、我が国政府として、このBSEを、イギリス、EUは、あそこはもともと頑強だけれども、しかし、我が国はそのとばっちりを受けて、しかもあのとき、肉骨粉をきちんと水際作戦でとめないで軽々に輸入させてしまった、そういう農水省の不始末もあったわけですよ。あのとききちんととめていれば、こんなことはなかったわけだ。そういうことを、水際作戦がならずに軽々に我が国に輸入させてしまって、BSEがあんなことになった。
そういうことを反省していろいろとやってきたわけですけれども、この際、我が国はその被害者の最たる国の一つとして、いわゆるBSEに関する国際的な衛生基準の見直しをOIEに強く働きかけていくこと、これをいわゆる主導権をとっていくこと、これは日本はできると思うんですよ、その体験者なんだから。そんなふうに思うんですが、大臣はこれについて積極果敢に主張していくお考えはおありですか。
○亀井国務大臣 国際衛生ルールのOIEにおきまして、いわゆる輸出、輸入国ともに納得できる新たなルールをつくることが必要、このように思っております。特に、このBSEのリスク評価、リスク管理の両面にわたりまして、日本の専門家や行政官も参加してオープンにいろいろ議論をしていく必要がある、このように思っております。
実は私は、十二月にパリに参りましてOIEの事務局長と会いまして、そして我が国でいわゆる二十三カ月、二十一カ月の若齢牛、そしてさらにほとんどが屠畜場におきまして正常牛から発見されておるわけでありまして、非定型的なBSEの問題と先ほど申し上げました若齢牛のBSEの感染、こういうことで我が国の経験も十分反映させるようにいろいろ私は事務局長に申してきたわけでありまして、いろいろな会合に積極的に我が国も参加をしてその対応をしっかりやってまいりたい、このように思っております。
○小平委員 もう一言私からも追加して言っておきますけれども、いわゆる危険特定部位の除去とか、あるいは三十カ月齢以上の問題とか、そういういろいろなあれがありますけれども、我が国は、実際例として、わずか三十カ月齢以前の二十一カ月、二十三カ月ですか、二頭の例が出たんですから。
ただ、EUの方では、どうも判断基準が、若い牛だとないだろう、そういうことでフリーパスのようですけれども、しかし、とらえようによっては、三十カ月までいかないと、その若い牛は病気は潜在していて、検査しても表に出てこないということが、あの二十一カ月や二十三カ月の例を見ても言えるわけでしょう。ですから、そこの基準をきちんと、もっと若い牛まで引き下げる、そんなことを主張する大きな論拠があると思うんですよ、根拠が。
だから、ここも、今度は大臣、OIEでもって、日本の農林大臣という存在を世に、世界に、それこそ名前売れますよ。とにかく、このOIEは、私は、我が国が強く働きかけて改善措置をしていく要があると思います。
BSEはそんなことで、次に鳥のインフルエンザ、高病原性鳥インフルエンザですか、これについてお聞きします。
これは、BSEとは少しく背景が違うと思います。原因もまだ解明されておりませんし、一説に渡り鳥という説もありますけれども、これは解明されていない。しかし、ここ最近、特にアジアを中心に次から次とこれが伝播して、昨日は中国ですか、ここまで来てしまった。我が国では、山口県でああいう病気が発生したけれども、人間にはまだその害が出ていない。そこは幸いですけれども、アジアでは人間にそういう、既に死者も出ている、こういうことなんです。
これは厚労省ですね。きょうここでお聞きしたいことは、まず、国内での蔓延防止措置、これは生産局ですか、消費局だね。これはどういうふうに、一応焼却処分やっているようですけれども、ここはこれでとまりましたですね。これは一応、このようなものはとまったわけですね。それでは結構です。
まず厚労省に、これについての感染源の究明というか、これはどういうふうに作業を進めていますか。これは消費局。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
今般の高病原性鳥インフルエンザの発生に際しましては、家畜伝染予防法それから防疫マニュアルに沿いまして、発生が確認されました直後、直ちにその養鶏場の生きている鶏の殺処分それから汚染物品等の埋却等をいたしたところでございます。また、周辺の関連農場につきましても移動制限等を行いまして、蔓延防止に万全を期しているところであります。
その感染経路等の究明でございますけれども、一月十五日に専門家の方たちに集まっていただきまして、家きん疾病小委員会を開きまして、ここで御検討いただいたわけでございます。
とりあえず現時点までわかっております点を申し上げますと、鶏の導入元からのウイルスの侵入というのは考えがたいということで、これから、分離されましたウイルスの遺伝子解析などとともに、疫学的な見地からの調査も進めていくべきだというふうな助言もいただいているところでございます。
現在、現地におきましては、人あるいは車両等の動きに着目をいたしまして、発生農場を含めた疫学調査が山口県において取り進められているところでございまして、こういった調査の結果をまちまして、専門家の方々の御意見をお聞きして、感染経路、感染原因の特定を急ぎたいというふうに思っております。
○小平委員 しっかり取り組んでください。
これに合わせて、昨日我が党の菅代表がみずから鶏肉を試食して安全をPRしましたけれども、やはり今一番大事なことは、風評被害というのがいろいろとあります。そんなこともあるんですが、まず山口県の、いわゆる養鶏関係農家、こういうところでは、それなりに県はいろいろと対策を講じているようであります。しかし、政府としても、低利融資や償還の猶予を含めて、御要望にこたえてこれの対策を講じていく、これはもう当然やられていきますよね。よろしいですね、それで。もうこれはお答えしなくても、当然やってくださいよ、いいですね。大臣もうなずいていただければ結構で、よろしいですね。
そこで、時間がないので次に行きますけれども、私が今申し上げたいわゆる風評被害です。これが非常に大きなことだと思うんです。これは、マスコミにも私は責任があると思うんですけれども、やはり根底は、政府がしっかりとした対策指針を打ち出せば、その風評被害を防げるんですね。したがって、適時適切な情報提供、これはこのBSEにしてもあるいは鳥のインフルエンザにしても、していかなきゃならないと思うんです。そこのところは大事なことですから、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
それを要望していくと同時に、私は今強く指摘をしておきたいことは、こういうときに、いわゆる牛肉や鶏肉もそうなんですけれども、にせラベルという、要するに偽装表示ですね、これが横行している。いわゆるモラルの欠如した悪徳業者、これが消費者を惑わし、そして、このいろいろなことの悪循環の一因にもなっている。そこで、政府としては、このようなけしからぬやからに対してはどういう、罰則規定が今ありますけれども、さらにこれをどういうふうに指導し、取り締まっていくのか。そこのお考えを、これは事務方でもいいですね。では中川局長。
○中川政府参考人 昨年十二月にアメリカにおきましてBSEが発生しました。牛肉につきましては、今先生おっしゃいましたように、不適正な原産地表示がなされることを防止するために、ことしになりましてから、一月の五日でございますけれども、全国的に牛肉の原産地表示の監視を強化することといたしまして、五日付でそういったこともプレスリリースもしたところでございます。
具体的にどうやっているかということでありますけれども、地方農政局それから地方農政事務所の職員を動員いたしまして、生鮮食品の表示実施状況調査の際に、牛肉の原産地表示が正しいかどうかということをちゃんと伝票に当たってチェックをする、そういった確認の行為を行っているところでございます。
もちろん、調査の結果、原産地表示に疑義が認められた場合には、JAS法に基づきまして立入検査を行いまして、不適正な表示が確認をされますと、JAS法に基づきます指示、公表といったような厳正な措置をとることといたしております。
○小平委員 その指示、公表というんですけれども、どういう形で国民にはそれが知らされていくんですか。余り見えないでしょう。だから、やり得というか、それに対する罰則規定も弱いし、余り強いおきゅうになっていないですね。そこは局長、どうとらえていますか。
○中川政府参考人 JAS法の違反が生じた場合には指示、公表と、これはきちっと業者名等もプレスに公表いたしております。これまでも、今回の牛肉の例ではありませんけれども、指示、公表によって営業の存続が難しくなったというふうな例もあります。社会的な責任というものが問われるということで、業者にとって非常に厳しい措置ということになっているというふうに理解をいたしております。
○小平委員 そういう措置を所管の局としてやっていることはわかるんですけれども、やはりこれはあなた方も、この世にはマスコミが存在しているのですから、きちんとそれをもっと広く知らしめて、そういうことをしでかしたらもうその世界ではやっていけないという、そこまでのあれをつくっていかなきゃ効果がないと思うんですよ。もっと強い姿勢でいかれることを私は強く要求しておきたいと思います。
さて次に、私は、今回のこの痛ましい、こういう不幸な事件を大きな教訓にして思うことは、国内の供給体制、これをしっかり確立する絶好のチャンスじゃないかなと思うんですね。
今、牛肉は、このとおりアメリカから三割もの消費のあれを占めている。国内では四割以下、いや三割ですか。鶏肉もそうですね。タイなんかは我が国に対して一〇%、約一割の消費の割合を占めている、こういう状況にあるのですが、今、時間があれば生産局から牛肉や鶏肉を含めて我が国の輸入状況の実態量というものをお聞きしたいと思ったのだけれども、ちょっと時間が迫っています。白須局長、数量は、ちょっとここで時間があれば聞きたかったのですけれども、これは結構です。
そこで、私は、今回こういう事件が発生して、皆さんだれしもが頭に浮かんだことは、我が国の低い自給率の実態だと思うんですね。そして、今こうなった段階で、アメリカからは今とまっている、じゃ、早速オーストラリアやニュージーランドにも出向いていった、カナダがだめですからね。ところが、向こうの牛肉は日本のいわゆる食性に適していないと。そこで、調査の結果、せいぜいその一部がわずかながら日本人の嗜好に合っている牛肉が生産されているようだ、そんな調査もしてきたようであります。しかし、絶対量としては足りない。それで、一方では外食産業も大変今困っている。昨日の予算委員会の我が党からの質問でもそういうことが一つの論拠にあったと思います。したがって、豪州からいわゆる輸入量を広く求めていくには、それなりの基準の見直しなんということも言っていましたけれども。
しかし、問題は、そんなことよりは我が国の畜産行政というのは非常にお寒い限りです。私も国会に出る以前は牛牧場を経営していましたので、この実態は私は体験として承知しています。せいぜい今酪農が何とか頑張っている、こんな状況ですよね。
そういうときに、私は、今回のこのことは我が国の自給率を高めていくための一大好機というか、それに政府として真剣に取り組んでいくときだと思うんですよ。これについて、大臣、その基本的なお考えをちょっとまずお答えください。
○亀井国務大臣 お答えいたします。
今委員御指摘のとおり、カロリーベースで食料自給率四〇%、こういう実態。生活スタイルあるいは食物嗜好等、非常にいろいろ変わってきております。
そういう状況にあるわけでありまして、今回のBSE問題やあるいは鳥インフルエンザなど、食の安全、安心にかかわる問題が発生する中で、改めて私は、国民への安全で安心な食料の安定供給や食料自給率の向上、この取り組みの重要性を認識しておるところでもございます。
そういう面で、ぜひ今後は食生活の大切さ、そういう面で国民の皆さん方に食育を通じていろいろ自給率の問題等々につきましてもさらに一層理解を深めるようなこともやらなければなりませんし、さらには、やはり消費者の需要に即した国内の生産の増大を図っていく、こういう面でのやる気と、また、能力のある経営の支援などを通じて、自給率の問題等につきましても十分その対応をしっかり図ってまいりたい、このように考えております。
○小平委員 大臣の基本的な姿勢はお聞きしましたが、私は、さらに申し上げますと、今までのいわゆる経済至上主義というか、いわゆる価格の面が大きな理由でしたけれども、海外に大きく引けをとってきた。しかし、こういう事件を大きな契機というふうにして、この国の畜産振興に力を入れていく天が与えた好機だと私は思うんですよ。
そこで、これはこれからいろいろとまた今国会で何度も委員会の場がありますので、特に例の基本法に基づく基本計画の見直し、この報告にもこれから入っていきますので、また議論の場がありますが、私は、今までの農政の価格政策、これを基本にした農政の展開では、幾ら自給率の向上といったって、それはいわゆる国際社会のバランスの中では無理があるわけですね。したがって、やはり所得政策というものを、そういうものを一つ大きく前面にもっと出してきて、その上で、畜産農家が、価格面では海外からの輸入肉にはかなわないけれども、しかしこういう施策がこの国にあるからきちんとやっていける、そういう形はつくっていけると思うんですよ。そういうことを具体的に進めていく、あなたたちがこれに一歩踏み出す本当にいい機会だと私は思うんですよ。
このときを逃したら、またもとのもくあみ。我が国は、またこのことを考えると、海外から広く、また怒濤のごとく輸入農産物が押し寄せる。これは、牛肉のみならず、言葉をかえて言うと、えたいの知れない、安心をきちんと担保できない、まさしくえたいの知れない海外からの農産物、食料品が怒濤のごとく我が国に押し寄せている。それが国民の精神や肉体をむしばんでいく。このことは、言葉だけじゃなくて本当に実感として恐れていかなきゃならぬと私は思うんですね。
その意味においては、この機会をとらえて政策の大きな転換を求めながら、我が国の、まずとりあえず今回は畜産行政をどう進めるかという、それについてもう少し踏み込んだ検討はもう既にされているんですか。これはどなたか答えられない、白須局長。
○白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘のとおり、平成三年の自由化以来、輸入が大幅に増大をしてきておりまして、自給率も大きく低下をしてきている、お話しのとおりでございます。
ただ一方、ただいまもお話ございましたが、我が国畜産は、諸外国に比べまして大変不利な土地条件、もろもろの条件があるわけでございまして、そういう中で、しかし、自由化以降、農家数は大きく減少してきておる、半減してきておるわけでございますが、ただ一方では、農家の努力によりまして、規模の拡大でございますとか生産コストの低減、大変努力をいたしてきておるわけでございます。
ただ一点あれなのは、もう委員も御案内のとおりでございますが、畜産は一年一作でございまして、例えば肉用牛をとってみますと三十カ月肥育にかかるといったようなこともございます。なかなか一朝一夕に生産を直ちに拡大するというわけにもまいらないというふうな面もこれあるのも事実でございます。
私ども、そういったようなこともにらみながら、ただいまの委員の御指摘のとおり、国内生産の増大、当然念頭にあるわけでございますが、一方にはそういった現在の輸入の停止がいつまで続くのかという大変不透明な状況もあるわけでございます。そういったことも念頭に置きながら、基本政策の見直しということも当然、基本計画の見直しということも大臣からも御指示をいただきまして検討に着手しておりますので、そういう中で、ただいまの委員の御指摘も踏まえまして、畜産政策全般のしっかりとした見直しということもやってまいる所存でございます。
○小平委員 しっかり取り組んでください。
時間が来ましたので、きょう、厚労省の田中局長には、ちょっと人体に対する影響問題でお聞きしたかったのですが、時間がありませんので、御無礼しました。
それでは、時間が来ましたので私の質問は終わりますが、あとは同僚議員に譲ります。農水大臣、この問題の最高責任者として、ぜひ頑張っていただいて、我が国のせっかくつくり上げた食品の安全、安心、消費者の信頼がこれによって崩れないように、そして同時に、我が国のいわゆる消費の欠如がありますけれども、これについて知恵を絞って、普通の状態にどう早く戻すかということについては、アメリカともしっかり協議を重ねながら取り組んでいかれることを最後に期待いたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○高木委員長 次に、松下忠洋君。
○松下委員 大臣が予算委員会の方においでになりましたので、金田副大臣、ひとつヘッドとしてよろしく御指導をお願いしたいと思います。
これは質問の予告はありませんが、金田副大臣のお話をちょっとお聞きしたいと思って御質問いたします。
最近、何かおかしいと思います。食の安全に関すること、それからいろいろな新しい、思いもかけない病気の発生等を見て、非常におかしいと思うんですね。二〇〇〇年に口蹄疫が日本で九十二年ぶりか三年ぶりに発生して、大慌てで、これは九州の宮崎県で発生して、非常に危機的な状況だったんですけれども、克服いたしました。そういうのが突然できてくる。それから、思いもかけないBSE、我が国の油断もありましたけれども、BSEが発生して、大変な経験を踏まえて今日に至っている。
そしてまた、昨年はコイヘルペスウイルスといいますか、また思いもかけないものが突然わいてきて、一斉に我が国の食の安全を脅かす。しかも、霞ヶ浦のあの近海近くでは、養殖の企業の人たちや農家の人たちが全面的に廃業しなければいけないというところまで追い込まれて、壊滅的な打撃を受けるという状況になっていますね。
それから、記憶に新しいですけれども、新型肺炎SARS、これが突然世界じゅうを吹き荒れる。しかもそれが世界的な、地球的な規模で蔓延していくという状況が起こってきていますね。BSEもやはりそういうことに起因していると思うんですよ。
そして、今回の鳥のインフルエンザ、これも思いもかけないところで世界じゅうに、アジアを中心にとにかくすべての地域が汚染されてしまっている。しかも、その規模が大きい。ある国では四百万羽、五百万羽あるいは二百万羽という鳥を、要するに死んでしまってそれを処分しなきゃいけないということになっている。
古くは、思いもかけないエイズというのが人類を襲っているわけですけれども、そういうのがある。西ナイルのウイルスと言われているもの、不思議なものがある。そういうのが、やはりここ数年地球上を大きく、我々が予期しない形で、地球規模でいろいろ起こってきている。これは、やはり二十一世紀の極めて大きな我々が取り組むべき課題に、やはり大きな警鐘を鳴らしていると思うんですよ。
一つの国の政策が、自分たちの国のことだけ考えたり、自分たちのところの場面だけの、ある局所的な安全とか安心とかということにとらわれた政策だけに集中していますと、全く思いもかけないところからいろいろなことが発生してくる。ここは、ただ単に病原菌がどこかで起こってきているということではなくて、やはりそれぞれの国が抱えている政策に、何か自分たちだけのところでよければいいんじゃないか、そういうようなところがやはりあって、もっと地球で何が起こっているかというところを広く見ていない。そういう政策がこれから必要になってくると思うんですよ。
ですから、今六十億人の人間が住んでいますけれども、一方では、要するに二十四時間、一年三百六十五日、もう夜も昼もなくどこに行っても食べ物がはんらんしている、そういう飽食の時代の国があるかと思えば、一方では九億人近い人たちが毎日の食を求めて飢えている、そういう現状が現実にあるわけですね。そういう人たちは、また必死に生きるための食を求めて環境をいろいろ破壊していく、あるいは新しい食を求めていろいろなものを食べていく、そういうところが、我々の今の飽食の時代に生きているそういう地域と、本当にそうでない地域との落差が余りにも大きいんじゃないでしょうかね。
そういうときに、一つの国の政策がどうあるべきなのかというところも、自国の安全がやはり第一ですけれども、それがどういうところから、外国から入ってきて脅かされるかわからないというときに、もっと我が国の政策も広い情報をしっかり集めた上で、食の安全あるいは飢餓に対してどうやっていくのか。そしてまた地球環境に対してどうしていくのかということを、もっと地球規模での大きな視点から取り組む、そういうことも必要だと思うんですよ。
僕は、最近のいろいろな、新しい、思いもかけない、口蹄疫から始まって今申し上げましたけれども、そういうのが発生するのを見ていても、他国で起こったことが自国にもう無関係ではないということが瞬時に伝わってくるわけですね。そういうことに対して、やはりこれから農林水産省は真剣に、我が国も含めて全体の問題ですけれども、厚生労働省も外務省も、それから内閣府の食品安全委も、もう少ししっかりした、視点を変えてやっていくべきだと思うんですね。
今、小平さんのお話をお聞きしながら、これは質問はなかったですけれども、やはりそういうところから取り組んでいかないと、中だけの話をしていたのでは根本の解決にならないと思うんですよ。これはやはり地球環境、それから、飢餓で毎日の食を求めている人たちがどういう食べ物をとっているのか、そしてその人たちの健康状態はどうなのか、その人たちが、我々の国の健康とか生命にかかわってくることになることもあるんじゃないか。その辺は、もっとしっかりと、新しい視点で取り組んでいかないかぬじゃないか、こう思うんですよ。
今度の鳥のインフルエンザの問題も、コイヘルペスはここで議論しませんけれどもその問題も、あるいはBSEのカナダからアメリカの問題も、やはり見ていて、これは国は違うけれども国境はないと思うんですね。そういう中で、副大臣、どういうふうに行政を進めていこうとしているのか。根本的なところをちょっとお聞きしたい、こう思うんですね。
○金田副大臣 今、松下先生から本当に含蓄のあるお話でございます。
私が十一月二十日に副大臣を拝命してから、コイヘルペスの問題、それからアメリカのBSEの問題、そしてまた鳥インフルエンザの問題、こういったことが立て続けに起こっているわけでございます。SARSの問題やらエイズの問題、そして食料難の問題、地球の人口の爆発の問題、いろいろなことが関連づけられての松下先生の思いというものは、私自身も深く感じておるところでございます。
今回の鳥インフルエンザが今はもう中国まで蔓延しつつありますし、パキスタンまでということで、アジアじゅうがこの鳥インフルエンザウイルスに汚染されつつあるというようなことで、日本だけやっていればいいんだということじゃなくて、地球的な規模で、いろいろと人類挙げて対応していかなきゃならないんだろうと思っております。
BSEのときに私も経験させられたのですが、国境、ドイツだけ、フランスだけ、イギリスだけという対策ではだめだ。OIE基準もできておりますが、まだまだBSEについての所見というか知見というのは少のうございまして、こんな対策でいいのかということ、そして国際的なOIEの中でこれから基準の見直しなんかも必要なんだろうと思います。
FAOの問題、またそういったところで、みんな、各人類が一緒になって対策に取り組んでいかなければならないんだ、そのために、日本としても、BSEの経験というものをOIEの中でしっかりと反映させて、こうしなきゃならないんだ、こうしなければこのウイルスは蔓延を防止できないんだということを、そういった先進国、経験国として、国際的なルールづくり、そういったものにしっかりと取り組んでいかなければならないということ、松下先生の御指摘、本当に恐れ入っております。ありがとうございます。
○松下委員 共通の土俵に立っていると考えたわけですけれども、特に私が警鐘を鳴らしたいのは、やはり人への感染力、これは極めて強いものがその中にある。しかも、原因がよく解明されていないし、あるいは人への感染力がどの程度なのかということ、感染した後死ぬのか生き延びられるのかということもよくわからない。そういうような状況の、いろいろな新しい現象が起きている。これはやはり大変重要な二十一世紀の課題だと私は思うんですよ。
やはり、環境の問題、どこか変わっている。飢餓の、飢えている人たちが何を、食を求めて何を、どういうものを食べているのか、そういう人たちがいろいろな排せつをする、そういうのがどう処理されているのかも含めて、今、もう驚くべきほどの人の交流ですし、物の交流ですし、人間には国境がありますけれども、現実に、物の流れや動植物の流れに国境はありませんので、やはりそういうものをもっと真剣に、本当に一国の中だけのものにとらわれた発想で物を解決しようと思ったらできません。
ここは、私はきょういろいろな御質問をいたしますけれども、そういう視点でずっと見ていきますので、ぜひ、きょう外務省もお見えでございますし、それから内閣府もおられますし、厚生労働省もおられますので、その辺のお考えをしっかり聞かせてもらいたい、そう思っておりますし、必要な予算措置はまた講じてやっていく。国際的にもしっかり打って出て、日本が主導権をとりながら、そういう問題に活躍の場を、やはり先進国としてやっていくということが大事だと思うんですね。それでひとつよろしくお願いしたいと思うんです。
それで、BSEに関すること、それから鳥インフルエンザに関することは、きのうの予算委員会でも、あるいは、今大臣出られましたけれども、きょうまたあるというふうに聞いておりますし、小平先生もかなり詳しくいろいろやりましたので、一部重なるところがあるかもしれませんけれども、できるだけ違う視点でいろいろお話をお伺いしたい、こう思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
最初にBSEについて御質問いたしますけれども、昨年十二月、アメリカにBSEが発生しました。牛肉を輸入することができなくなっている。輸入を禁止したわけですね。これは当然だと思います。
この問題について質問を始める前に、我が国の牛肉の構造がどうなっているのか、国産がどれだけで、外国から幾ら入ってきているのか。アメリカからの牛肉をとめる、それからまたほかの外国の牛肉はどうなっているのか、そこの構造を教えていただいて、そして、その中身、その重さが今後どういうふうに日本の中に影響してくるのか、その辺を含めてちょっと教えていただきたいと思います。
○金田副大臣 我が国の牛肉の一年間の消費量は九十三万トンでございます。そのうちの四割が国産牛肉でございます。そして、残りの六割が輸入でございますが、オーストラリア、ニュージーランドから半分、そしてアメリカから半分の二十四万トンでございまして、国産が四、アメリカ産が三、豪州が三というぐらいの割合で、九十三万トンの牛肉を消費しております。
○松下委員 その九十三万トンのうちの、我が国の牛肉の消費量ですけれども、約三割近いもの、これをアメリカが占めている。それが今ストップしているということなんですね。大変な国内の需給関係のバランスの問題、これからやはり大きな影響をもたらしてくると思うんですね。ここはどういうふうに将来展望も含めて見ておられるのか、そこをお伺いしたいと思います。
○金田副大臣 二十四万トンのアメリカ産の牛肉がとまったわけでございます。国内の外食産業に多大な影響があって、そういった外食産業がどうやって生き延びるかというようなことを本当に工夫して、あるいは苦しんでおるのが実態でございます。
この二十四万トンを何とかしなければならないということで、農林水産省も、オーストラリア、ニュージーランドに調達の見込みがあるかどうかの調査に行ってまいっております。買い付けに行ったわけではありません。そういった中で、日本に輸出する余力というのも少しある、高級牛肉でも日本への輸出振り向けが可能だというのが約十万トンぐらいあるんだろうと思います。それがもし代替できますれば、何らかの措置ができる。
そして、国内でも、牛肉でなくて豚肉に代替しようとか鶏肉に代替しようとかというような動きもありますので、便乗値上げ等々がないように十分に監視していきますし、虚偽表示等々もないようにしながら、この危機を乗り切っていきたい、そして、アメリカとも今輸入の再開についてのいろいろな難しい交渉が続いております。
基本的に、国民の安全、安心をしっかりと確保するということを基本に置いて、この再開についての協議も取り進めながら、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
○松下委員 やはり、国民の健康、安心、安全が一番大事ですので、ここはそれを基本にこれからの対応をきちっとやってもらいたい、こう思いますね。
それで、農林水産省にお尋ねしますけれども、アメリカに調査団を派遣していろいろ調べてこられました。感染牛の感染経路、それからアメリカのBSE対策が現実どのようになっているのか、今までやってきたアメリカのやり方、今度発生したことによって何か変わったのかどうか、ここを教えてもらいたい。
特に、小平先生もさっき言いましたけれども、アメリカは、日本のBSEのときにああいう新聞広告を出して、誇らしげに自慢したわけですよ。日本ざまを見ろと思ったかもしれませんよ、おれたちはこうだと。そういうことだと思うんですよ。だから、そこを含めて、どのような対策をとっておるのか、それを聞かせていただきたい。
特に、この報告書を見ますと、特にアメリカにおいても「BSEが発生しないという保証はない。」と、明確にまとめのところに言い切っておられます。これは逆に、言いかえれば、発生の可能性が十分にあるということを調査団として認めて、そして農林水産省としてもその報告を是としてここに書いたということですけれども、その辺の、そういうふうに至った理由、考え方、どういう対策なのかということを含めて、ちょっと国民にわかりやすくお知らせいただきたい、こう思います。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
昨年のアメリカにおきますBSEの発生を受けまして、ことしの一月の八日から十八日にかけてでございますけれども、各省と合同でアメリカ及びカナダに調査団を派遣したところでございます。
この調査団の最大の目的は、米国に当該感染牛以外にBSEの感染牛がいる可能性がどの程度あるかということなどを中心に確認するというものでございました。
この調査の結果でございますけれども、当該BSEの感染牛は、カナダにおりますときに肉骨粉を給与されたということが判明をいたしておりますし、カナダで同じ農場にいた同居牛がアメリカの方に輸出をされているということ、それからまた、カナダのアルバータ州で製造されました肉骨粉が、やはりこれもアメリカに輸出をされている可能性があるというふうなこともわかっております。
それから、今回の調査を通じまして、アメリカとカナダの間では、肉骨粉だけではなくて、飼料あるいはまた生きた牛、そういったものが国境を越えて行き来をしておるというふうなこと、つまり、アメリカとカナダはいわば一体になっている、牛肉の関連産業としては強く統合化されているというふうなことが明らかになっております。
それから、米国におきます肉骨粉等の牛への給与の禁止の遵守状況でありますけれども、牛由来の肉骨粉は、牛には使うことは禁止をされておりますが、豚や鶏には使用が許されているということで、えさの製造工場におきまして交差汚染の可能性というものが否定できないというふうなことが明らかになっております。
こういうことをるる申し上げましたけれども、一言で言えば、やはりアメリカとカナダのBSEの汚染状況については差がないということでありまして、今、松下先生おっしゃいましたように、米国におきましても、これから新たなBSEの発生牛がないとは言い切れないということが、一言で申せばこの調査団の結論でございます。
そういう状況にある中で、アメリカは、今回のBSEの発生を受けまして、一つは、歩行困難な牛については、これは食に回さないというふうなこと、それから、BSEの検査の中で結果が出るまではその牛を食に回さないというふうな、流通させないというふうな措置をとっております。ただ、これは、BSEの検査というのはごく一部でしか行われておりませんので、ほかにもしBSEの感染牛があれば、それがフードチェーンに回っていかないということ自身を担保するものではございません。
それから、三番目の追加措置としまして、特定危険部位についての除去が義務づけられておりますけれども、これは三十カ月齢以上の牛が対象になってございます。アメリカでは年間三千五百万頭の屠畜が行われておりますが、三十カ月齢以上というのは十数%、二〇%以下の比率というふうに聞いておりますので、ごく一部についてこういった措置がとられているということでございます。
以上申し上げた点からいたしましても、アメリカにおいてこれからBSEが発生しないという保証がない以上、今回とられました追加措置では、十分な食の安全、安心の確保というのは行われていないというふうに私どもは感じております。
○松下委員 大変大事なポイントのところを明快にお答えいただいたと思います。
金田副大臣からも、先ほどの大臣の民主党とのやりとりの中でもはっきりおっしゃいましたけれども、安全、安心、そして日本が今とっている措置、やはりこれはもう定着していますので、そこをしっかりと、国民が納得するまでの措置は必要だ、こう思っていますので、そういうことだというふうに理解をしておりますから、これはしっかりとやってもらいたい、こう思いますね。そういう意味で、緊急輸入停止措置、これをとったということは、これはもう正解でありますし、それをもとに、きちっとアメリカ側からのいろいろなきちんとした措置を求めていくというのは大事なことだと思っております。
そこで、厚生労働省の食品安全部長、お見えでございますのでお聞きしますけれども、輸入されている牛肉、十二月二十四日以前に既に輸入されているのがあるわけですけれども、これもやはり危険じゃないか、そして回収すべきだったのではないかというふうに思うわけですけれども、そういう疑問が生じるわけですよ。それを、危険部位だけ除去するということで、これは知っていたんですけれども、なぜ牛肉を回収しなかったのか、その理由をちょっとお聞きしたい、こう思っていますけれども、よろしくお願いいたします。
○遠藤政府参考人 既に輸入され、国内に流通していた米国産の牛肉についてでございますけれども、これにつきましては、国内で最初のBSE牛が発見された際、また、昨年カナダでBSE感染牛が発見された際の対応と同じように、特定危険部位については回収を行う、また、牛肉自体につきましては、異常プリオンたんぱくが蓄積する部位ではないということから、回収等の措置は求めないこととしたということでございます。
○松下委員 脊髄、それから脊柱ですね、神経の髄のあるところ、それから骨もそうでしょうけれども、それから脳や眼、それから回腸の遠位部といいますかそういうところ、危険部位と言われたところ、これはもう除去してやるのは当然だと思うんですけれども、国民の感情としては、この十二月二十四日以前に既に輸入されている牛肉も危ないんじゃないかというのは、国内の、我が国のやっている態勢からしますと、アメリカがこういう状況になったときに、やはりこれは思うと思うんですね。
今、これは現実に販売されているかどうかというのを、私は、自分の近くの、麻布にいるんですけれども、外国人なんかもたくさん住んでいるところですから、そこのスーパーに行ってみましたら、やはりアメリカ産も売っていました。肉は売っていました。もうこれが最後で在庫はありません、こういう話でしたけれども、既にそこでももう売り尽くされているような感じでしたから、どこかで国民の胃の中に入っているのではないかということがありまして、これの次の追跡調査、そういうものはやはりしっかりと見ていく必要があると思うんですけれども、厚生省、そこはどう思っていますか。
○遠藤政府参考人 既に輸入をされ国内に流通をしております米国産の牛肉及び牛肉等の加工品のうち、特定部位が含まれる、また、そのおそれがあるものについて輸入業者に対し回収、それから、脊柱を含むものについては販売等の自粛を指導してきているわけでございまして、これまでに、特定部位である子牛の脳約四十キログラムについて回収を、脊柱の混入のおそれのあるTボーンステーキ五十八トン、一次加工品百五十三トン、二次加工品五百七十三トンについて販売自粛を指導しているわけでございまして、なお、昨年一年間のアメリカからの牛肉及びその加工品等について調査を継続しているところでございます。
○松下委員 もう一回確認しますけれども、その危険部位のところは完全に回収し終わって国民の口には入らない、それはそれでいいんですかね。
○遠藤政府参考人 特定危険部位につきましては、確実に回収あるいは販売自粛等が行われるように強く指導しているところでございます。
○松下委員 強く指導しているというような表現ですから、これはやはり徹底してきちっと追跡して、また別の機会に報告いただきたい、こう思います。よろしくお願いします。
それから、先ほど農林水産省の中川局長からも話がありましたが、今、アメリカの代表団が来て、ペン農務次官ですけれども、これは交渉してやりましたですね。そのときに、具体的にどういうやりとりがあったのか。特に、先ほどちょっと触れましたけれども、アメリカは今、自分の肉はもう十分安全だから、もうこれだけの措置をしているのでとにかく輸入を再開しろというふうに、はっきりそれを言ったのか言わなかったのか、その中で皆さん方はどういう交渉をされたのか。
現実に、アメリカは日本の牛肉を輸入していないわけでしょう。日本ではBSEが発生したので、アメリカ国民にそういう肉を食べさせるわけにいかないということで、要するにアメリカは輸入していない。日本がどれだけ強く求めたかということは一方でありますけれども、そういう措置をとっているわけですね。そして、我が国は、全頭検査という、EU諸国が、専門家が見てこんなに徹底してやっているというのはこれは大したものだといって褒めて帰ったぐらいですけれども、それだけのことをやっている国からの牛肉を一方では輸入しないという措置をとっておきながら、そして一方でアメリカが、交渉の中でペン農務次官はどういう発言をして、どういう措置をとって再開の要求を日本にしてきたのか、そこのやりとり、経緯をちょっと教えてもらいたい。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
一月の二十三日に行われました日米間の会合におきましては、まず、私どもが派遣いたしました日本の調査団の調査の結果について意見交換が行われましたし、それからまた、アメリカ側からは今回追加的にとられましたBSE対策について詳細な説明があり、それに対して日本側からいろいろと質問をし、意見も申し上げたということでございます。
ペン農務次官からは、アメリカが今回追加的にとった措置によって、従来の安全対策がさらに強固なものとなったというふうな説明がありましたけれども、私どもは、先ほども申し上げましたが、今回の追加措置というのは、例えば特定危険部位の除去にしても三十カ月齢以上に限られている、それから、BSEの検査にしましても従来の二万頭から四万頭にふやすというふうな説明がありましたけれども、やはり全体の頭数との関係で見れば極めて不十分だというふうなこと、それぞれ問題点を強く指摘したところでございます。
○松下委員 外務省にお尋ねしますけれども、同じ席に出て、交渉の場に立っておられると思うんですけれども、同じように輸入牛肉の安全と安心、そして日本が国内の牛肉にとっているそういう措置、これが日本国民が安心して外国からの牛肉を輸入する条件の最低条件でありますから、そこのところをきちっと理解してやっていただきたいと思いますけれども、外務省の考え方、同じスタンスでやっているかどうか、そこをお聞きしたいと思います。お願いします。
○佐々江政府参考人 お答え申し上げます。
基本的な考え方といたしまして、先ほど金田副大臣の答弁の中にもありましたとおり、まず消費者の安全、安心、これが確保されることが重要だということでございまして、これを前提にいたしまして米国からの牛肉の輸入の再開問題について米国側と協議していく、これが基本であるということでございます。
○松下委員 同じように、厚生労働省にもお聞きしたいと思います。
全頭検査、これを我々は国内の措置としてとったわけですけれども、厚生省の考え方、同じような基盤でやってもらいたいと思いますけれども、お願いしたいと思います。
○遠藤政府参考人 米国産牛肉の輸入再開に関しましては、一義的には米国政府から対策が提案されるべきと考えておりますけれども、日本側から米国側に具体的な解除要件を示すとすれば、現在我が国が国産牛肉について講じております特定危険部位の除去、BSEの全頭検査が、我が国へ輸出される牛肉等について必要であると考えております。
今後、米国政府から受け入れ可能な対策が示された場合には、米国産牛肉に関し、必要なリスク管理措置について、食品安全委員会等専門家の意見を求めるとともに、国民の理解を得ながら米国政府との協議を進めてまいりたいと考えております。
○松下委員 小平委員の方からも大臣との間でやりとりがありましたし、私と副大臣の間でもやりとりがありましたけれども、この問題は歩調が乱れてはいけませんし、我が国がBSE発生のときに、あれだけ真剣に議論して、牛肉の回収、いろいろな不正の問題もありましたけれども、それを乗り越えて回収した。そしてまた、市場に出す牛についての徹底した検査と管理をして、全頭検査という手段をとってやってきたということで、国民の信頼を回復したと思うんですね。このことは、やはり大変辛抱強くやらなきゃいけませんけれども、早く輸入を再開しろという声に押されてしまって、一番大事な国民の信頼を失うようなことがないようにしっかりやってもらいたいと思うんですけれども、そこを、金田副大臣、締めでお願いしたいと思います。
○金田副大臣 しっかりとその松下先生の意を体して対応したいと思いますが、考えてみますと、いろいろな誤解があるようなんで、アメリカが輸入の再開を迫ったというようなことなんでございますが、二十四万トンしか日本はアメリカ産の肉を輸入しておりません。二十四万トンというのは米国の生産量のわずか三%足らずでございまして、アメリカの国というのはおもしろい国でございまして、日本はあれだけのBSE騒ぎで、焼き肉屋が倒産するとか牛肉の消費がどんと下がったとかという混乱があったわけでありますが、今のところ、アメリカの国内消費というのはほとんど落ち込んでいないということで、そういった、どうしても日本の市場を開かせなければならないというような、開けというようなことはまだ聞いておりません。そのための条件も示しておりません。そういった状況でもあります。
それから、あと、アメリカは日本のBSE発生によってとめたではないか、そして今もとめているというお話があります。それはそのとおりでございますが、日本の国もBSE発生国からの牛肉の輸入は全部とめているわけであります。アメリカも発生したからとめたということで、今は、清浄国である豪州とニュージーランドしか輸入していないというのが実態でございますので、ここは冷静に、そして先生方の御意見をしっかりと踏まえた形の中で、再開の条件等々は、基本姿勢を貫きながらやってまいりたいと思っております。
○松下委員 金田副大臣から、的確にまた冷静に対応するというお話もございました。よろしくお願いしたいと思います。
鳥インフルエンザで二、三質問したいと思います。
山口県で七十九年ぶりに鳥インフルエンザが発生しました。一月の十二日に確認したということで、三万四千羽あるいは三万五千羽でしょうか、これを殺して、そしてもう埋めたというふうにお聞きしました。対応は迅速でよかった、こう思いますけれども、この鶏肉、国内で一体どういう需要があって、そして外国と国産との比率、それはどういうふうになっているのか。そしてまた、中国とか、それからインドネシアとかカンボジアとか、もうアジア全域に広がってきておりますので、そういうところからの輸入も含めて、今、国内の需給の構造がどうなっているのか、それによって、これが長引いた場合の影響がどういうふうになるのか、その対応を含めてまず概括的に、副大臣、お願いします。
○金田副大臣 鶏肉の需給構造がどうなっているかという御質問がございました。
日本の国内で消費されている鶏肉は百七十四万トンでございます。そのうち国内産が百二十三万トンを占めておりまして、自給率は約七割ということでございます。輸入が五十一万トンでございまして、それぞれ、タイ、これが十七万トン、ブラジル十五万トン、中国十二万トン、アメリカ五万トンというような需給構造になっているわけでございます。
○松下委員 鹿児島も、資料をいただきまして調べてみると、とにかく、鶏、これは日本一なんですね、宮崎県と競争していますけれども。従来、外国からのいろいろな鳥肉の輸入によって、それと競争しながら品質のいいものを提供してきたわけですけれども、今回こういう事態になって、国内の需給のバランスも崩れてきている。また、値上がりの問題も含めて、これは牛肉もそうですけれども、大変いろいろ混乱しているわけですけれども、そこの影響、それからそれのいろいろな処理の方法をどんなふうに考えておられるのか、そこをお願いしたいと思います。農林省、お願いします。
○白須政府参考人 鶏肉の、ただいまの松下委員の御指摘でございます全体の需給への影響ということでございますが、タイからの一次輸入停止が講じられたということでございます。ただ、ブロイラーの昨年末現在の在庫が約十一万トンございまして、一月当たりの平均の消費量は約十五万トンでございますので、したがいまして、一応、一月弱の消費量に相当する在庫はまずあるということでございます。
それから、牛と違いまして、ブロイラーの場合は、ふ化しましてから大体二か月で供給が、出荷ができますので、そういった意味では、比較的短期間で、要すれば、輸入がストップしたとしましても、需要に応じた供給体制が一応可能であるというふうなことでございます。
それから、先ほども副大臣の方からお話ございましたように、輸入先国としては、タイ以外にもブラジルあるいはアメリカといったようなところもございまして、そういったようなことを考えますと、直ちに国民生活に大きな影響があるというふうには考えにくいわけでございますが、ただ、いずれにしても、需要量の一割を占める供給の停止ということでございますので、そういった意味では、予断をすることなく、私どもとしてもしっかりと見守ってまいりたいというふうに考えております。
○松下委員 山口県のケース、その後はおさまっているようですけれども、この感染原因、これをどう見ているのか、何か特定できたのか。それをまず教えてもらいたいと思います。
○中川政府参考人 感染原因でございますけれども、十五日に開催をいたしました専門家によります小委員会におきまして、まず、ここは採卵鶏の農場でありますけれども、その鶏の導入元からウイルスが侵入したということは考えにくいと。これは、いろいろな経営者でのそれぞれの発生状況から見ると、そういうことが見てとれるわけでございます。
そういうことは一応わかっておりますが、具体的な感染原因の究明のためには、これからウイルスの遺伝子解析を進める、それからもう一つ、これとあわせまして、疫学的な調査も進めた上で判断する必要があるというふうな助言をいただいておりまして、現時点におきましては、まだ、残念ながら、感染原因まで特定するところには至っておりません。
今、鋭意現地におきまして、いろいろな、人の動きあるいは発生農場での疫学調査等を進めているところでございます。
○松下委員 最後になりますけれども、金田副大臣に、ベトナムでも六人亡くなっておりますし、また、タイでも、これは二十六日ですけれども、初の死者が出た、こういう報道でした。これは事実でしょう。ですから、人への感染というのが極めて恐ろしい状態になっている。食肉からの感染もあるのかどうかもこれから究明してもらいたいと思いますけれども、最後の決意をお聞きしたい、それで終わりたいと思います。
○金田副大臣 アジアじゅうに鳥インフルエンザウイルスが蔓延して、パキスタン、中国にも波及したということであります。死者が出ているというのも事実でございます。
ただ、そこいらの国々は、鳥と人間との接触が極めて密着している国々でございまして、市場に行って、生きた鶏を目の前でこれをという形で袋に持っていってうちで料理するとか、そういった鶏と人間との密着度が大分強い国で人に感染した、それで死者が出ているということでございます。
こういった、ウイルスが食肉を通じ、あるいは卵を通じて人に感染するということはないと言われておりますし、日本の鳥と人間との距離感からいって、人に感染することはないだろうとは思っておりますが、警戒をしっかりと強めて、松下委員の御心配のないように、万全の体制を国内ではとってまいりたいと思っております。
○松下委員 終わります。
○高木委員長 次に、楢崎欣弥君。
○楢崎委員 民主党の楢崎欣弥です。
本日の案件は、農林水産省並びに厚生労働省にまたがる問題ですので、私の質問も、両省に関わる件については双方お答えいただきたいと思います。
アメリカでBSEが発生した、そのことに対する、また今後のことも含めて、亀井大臣の基本的な姿勢をまずお伺いしたいと思います。
私たちは、アメリカでBSEが発生することは、早くから予見をしておりました。これまでアメリカでBSEが発生しなかったのではなくて、BSEが見逃されている、つまり、ずさんな検査体制をこれまでも指摘してきたところです。
そこで、そもそも大臣は、BSEが発生していない、つまり未発生という現象だけをとらえてアメリカは安全だと認識してこられたのか、それとも、検査体制に対する不備というものを危惧されて私たちと同じような認識を持ってこられたのか、まずそこからお伺いをいたします。
○亀井国務大臣 アメリカのBSE対策につきましては、いろいろ進められておることは、一九八九年、BSE発生国からの生体牛等の輸入の禁止であるとか、あるいは、一九九〇年から二十四カ月齢以上の歩行困難な牛あるいは死亡牛等のいわゆる高リスク牛を対象としたサーベイランスの実施、あるいはまた、一九九七年から反すう動物由来たんぱく等の反すう動物飼料への利用禁止、フィードバンの実施等、BSE対策が行われておったわけであります。これまでBSEの未発生国、こういうことでありましたので、輸入を認めておったわけでもございます。
しかし、今委員御指摘のとおり、先般この委員会でもいろいろ御指摘を受けましたときに、べーカー大使には、今、我が国のBSE対策について、全頭検査、特定危険部位の除去、このことを実施している、そしてさらに、日本の食の安全、安心、このことも昨年説明を申し上げた経緯もございます。
現実には、BSEの未発生国、こういうことで輸入を認めておったわけでありますが、今日、BSEが発生をしたわけでありますので、先ほど来申し上げておりますとおり、日本と同様の全頭検査、そして特定危険部位の除去、このことをベネマン農務長官にも、私は、いろいろ説明をする中で強く申し上げておるわけであります。
○楢崎委員 我が国では、脳とか脊髄とか特定危険部位、これは除去、焼却が義務づけられておるわけです。ところが、昨年は、米国牛の脳が約四十キロ輸入されて、三十一キロが消費されている。これも、BSE未発生国ということで輸入が許可されたということですか。
○遠藤政府参考人 特定危険部位の輸入につきましては、先生がおっしゃいますように、未発生国ということで輸入されてきたわけでございますけれども、昨年、特にカナダでBSEが発生いたしましたときに、米国が隣国の関係にあり、食肉関連産業が米加の間で統合的な関係にあるというふうなことから、米国産輸入牛肉の安全性確保に万全を期するために、書簡により、米国政府に対して、BSEサーベイランスの強化、特定危険部位の対日輸出中止などの対策の検討について要請をし、要請内容について協議を継続してきたところでございました。
○楢崎委員 答えは簡略にお願いしたいし、よく意味がわからなかったんですけれども、要するに、私が聞いているのは、BSEが未発生国だから脳は輸入したということですかということなんですよ。
BSEが未発生といいながら、その危険性が指摘されていたアメリカからの脳の輸入、それをそのまま認めるというのは、やはり水際対策が甘いと指摘されても仕方ないんじゃないですか。
○遠藤政府参考人 現在の貿易のルールでは、未発生国からのそういったものの輸入をとめるというふうなことは難しいということで、その点に関し、アメリカ側の注意を喚起していたというふうなところでございます。
○楢崎委員 もし何かのときは、ちゃんと責任とらなくちゃだめですよ。
いずれにしても、アメリカのBSE発生によって言えることは、輸入牛肉に対するリスク管理、これを認識しようとしなかった政府そのものに責任があるんですよ。亀井大臣、そのことに対する認識はお持ちですか。
○亀井国務大臣 認識を持っていろいろな対応をいたしております。
○楢崎委員 政府はBSE未発生を根拠とした牛肉の輸入許可について再検討する必要があると思うんですね。あわせて、先ほども出ました、きのうの予算委員会でも言われましたけれども、この際、私たち民主党が主張してきました、訴えてきました、輸入牛肉に対しても国産牛肉と同等の検査を行う輸入牛肉トレーサビリティー法、この制定を検討する時期に来ているんじゃないですか。大臣、どうですか。
○亀井国務大臣 輸入牛肉に対しますトレーサビリティー、このことにつきましては、先般の国会でも私申し上げましたが、必要以上に貿易制限的な措置となるおそれがある、こういうことがあります。そういう面からも、このことにつきましては慎重に検討していく必要があるのではなかろうか、このように思います。
○楢崎委員 先ほども慎重という言葉が出ましたけれども、これは食の安全にかかわる問題ですから。
アメリカでは一九九七年から禁止されているはずの肉骨粉使用、実はこれが守られていなかった、それがFDA、アメリカの食品医薬品局の調査で明らかになっているんですね。
つまり、飼料の製造過程において肉骨粉が牛の飼料に混入しないように、またその肉骨粉を含む豚とか鶏などの食料を牛に与えないように、そういう注意表示を義務づけていたにもかかわらず、二〇〇一年の調査では、約千二百施設のうち三十四施設で混入防止対策が不十分とされているんですね。また、七十七施設で製品に適正な表示がないと指摘されている。つまり、交差汚染の可能性が強いということですね、これは我が国の現地調査団でも指摘されていますけれども。さらに、二〇〇二年秋の調査でも、約千六百六十施設のうち、一〇%に当たる百七十一施設で違反があっている。そして、六施設が改善勧告を受けている。
こういうていたらくのアメリカが、日本の検査体制は非科学的とか過剰だとか、こういういちゃもんをつけているんですよ。なめられたらいかぬですよ。金田副大臣、どうですか、どう思いますか。
○金田副大臣 楢崎先生からの御指摘であります。まさにそのとおりでございますが、日本の国としてアメリカに、日本の消費者は、全頭検査をやって、そして危険部位を除去するということで安心して牛肉を消費しているんですよということをお話しし、そういった条件、環境がとられなければ輸入をしないというような対応をするのが精いっぱいでございまして、アメリカがトレーサビリティーをやるべきだとか、こういったところでちゃんと肉骨粉が、複合汚染と申しますか交差汚染になっているんでないかということは、日本が他国に言うことはいかがなものか。
具体的に、アメリカの肉を日本は今とめているわけでございまして、そういったことがあるからとめているんだというふうに考えているわけでございます。必要以上に貿易制限的な措置だというようなことで、WTOに、パネルに出されたときに勝てるかどうかということも十分に考えていかなきゃならない問題だと思っております。
○楢崎委員 やはり、我が国のしっかりとした検査体制によって、発症しないと考えられていた二十四カ月未満の若い牛でも感染を確認することができたんですよ。そして、何よりもやはり牛肉に対する国民の信頼が回復したことも、これは自信を持って声高らかに発信していただきたいと私は思いますね。
それから、アメリカの姿勢に腹が立ちますからもう一点申し述べておきますけれども、アメリカ政府は、BSEの発生当初、通常の肉に脳や脊髄組織は入っていないから安全上問題はないと言っていたんですね。ところが、AMRシステム、これは先進的食肉回収システムということらしいですけれども、つまり高圧を使って骨から肉をそぎ落とす機械解体手法があって、その施設三十四カ所から集めた牛肉サンプル中、神経組織などが三五%、危険度が高いと言われている脊髄組織は全体の二九%で検出されたことが農務省の調査でわかっているんですよ。つまり、政府の主張が身内の調査で覆されたと同時に、BSE対策の指導が徹底されていない実態がここでも浮き彫りになっているんですね。
要するに、BSEに対する認識、その安全対策を見たときに、私は、アメリカは後進国だと言わざるを得ない。大臣、そういう認識を持っておりますか。
○亀井国務大臣 アメリカの検査につきましてはいろいろされておりますけれども、先ほどお話しのとおり、我が国で二十三カ月あるいは二十一カ月の若齢牛が発見されている、こういうケース、あるいはまた、特定危険部位の範囲におきましても必ずしも国際的あるいは科学的に確定されていないわけでありまして、科学的な知見、こういう面での進展によりましていろいろ追加をされておるわけであります。そういう面で、我が国の全頭検査、またさらには特定危険部位の除去、これを行うということは大変進んだことでありますので、アメリカにおきましては、いろいろおやりになっておりますけれども、そういう面で、安全、安心、こういうものが確立できるかどうか、いささか疑念を持っておるものであります。
○楢崎委員 追加対策の件については後からお伺いしますけれども、疑念を持っておるということです。
大体、当初発表からわずか二日間でカナダからの輸入頭数が変更になったんですね、七十四頭から八十一頭に。こういう基本的事実が修正されたことを見ても、やはりこれはトレーサビリティー制度の不備を物語るものだと私は思います。
そこで、輸入再開条件についてお伺いします。
我が国では今日まで、EU諸国やカナダ等、二十三カ国に対して輸入停止措置をとっています。いずれも解除していません。アメリカについてもそういう他国と同じような姿勢で対応する、これは、大臣、間違いありませんね。
○亀井国務大臣 私は、カナダで発生したときも同じように申し上げ、今日アメリカにも同じように申し上げております。
○楢崎委員 輸入再開に向けて今事務レベルの協議が行われているわけですけれども、アメリカの姿勢は全頭検査は否定、一方で、新聞報道等ではへたり牛という言葉が使ってありますけれども、起立不能の牛の食用全面禁止、それから、先ほど言いました機械解体処理の規制強化、そういう追加的な安全対策が今発表されています。また、二十三日の日米協議でも追加的な措置が述べられております。
しかし、私に言わせれば、こんなことは当たり前のことですからね。むしろ、こんなことを今までやっていなかったのかと思うぐらい、やはり後進国という感じを新たにしたわけですけれども、この追加対策については政府としてはどのような評価を今現在してあるんですか。
○中川政府参考人 米国が追加対策としてとりました歩行困難牛の食用禁止、それから、BSE検査の中で結果がわかるまでは流通させないというふうな措置、それと、特定危険部位の除去でございますけれども、まず、BSE検査の結果が判明するまでは流通させないという措置につきましては、BSE検査の対象になる頭数が極めて少ないわけでございます。全体で見ましても、今回四万頭にふやすということでありますが、そういうことからいたしますと、検査をしたものについては検査結果を待って流通させる、その判断をするということでありますが、大半の牛につきましては検査をしないまま流通をしているということになりますので、仮に陽性牛であったとしてもそれが回ってしまうという点で不備があるというふうに思っております。
それから、特定危険部位の除去につきましても、先ほど先生もおっしゃいましたが、三十カ月齢以上に限られているということからいたしますと、日本の経験からしましても、三十カ月齢未満の二十一カ月あるいは二十三カ月でもBSEの感染牛が発見をされておりますので、そういうことからいたしましても問題があるというふうに思っております。
以上、日本の措置と比べて不十分な措置であるというふうに感じております。
○楢崎委員 結構です。
そこで、輸入解禁に対する基本的な姿勢をお伺いしますけれども、日本が納得できる安全対策の内容が明らかになった時点で再開に踏み切るんですか、それとも、その対策が実行に移された時点で再開に踏み切るんですか。どうですか。
○中川政府参考人 米国産牛肉の輸入につきましては、我が国が納得をできる安全対策が明らかになった上で、その対策が実行に移された時点で再開すべきものというふうに考えております。
○楢崎委員 結構ですね。口約束に終わらないようにするためにも、ぜひそういう姿勢を保っていただきたいと思います。
それで、同等の基準ですか、これもきのうから言われていますけれども、これは、大臣は全頭検査と危険部位の除去ということを先ほど言われましたので、それはそれで結構なんですが、例えば農水省は、日本向けに輸出する牧場や処理場を特定して、対日輸出分に限定して全頭検査する部分解禁の可能性を視野に入れて情報を収集しているということをお聞きしましたけれども、そのとおりですか。
○中川政府参考人 日本が輸入を再開する際の条件といたしましては、先ほど大臣からも申し上げているとおり、全頭検査が一つの条件になるわけでありますけれども、この全頭検査といいますのは、まさに日本が輸入をする際の判断基準になるわけでありまして、これは、日本に仕向けられるものについて全頭検査が行われていれば、その限りにおいてはこの条件は満たすものというふうに考えております。
○楢崎委員 少なくとも輸入肉については安全が担保されるということを言っておられると思いますけれども、アメリカは、OIEに対して、BSE発生国との牛肉貿易に関するガイドラインを明確にするよう求めているわけですね。つまり、国際機関が牛肉取引再開の基準を示すべきだということであろうと思いますけれども、政府は、このアメリカのOIEに対する提起、どうとらえてありますか。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の九月でございますけれども、アメリカ、カナダ、それからメキシコの三農業担当大臣の連名で、国際獣疫事務局に対しまして、BSEリスクの低い発生国からの牛肉の輸入が発生したという事実をもって停止されないように、BSE基準の改定なり明確化をする必要があるというふうな書簡が出されたということは、承知をいたしております。
国際衛生上のルールというものは、OIE、国際獣疫事務局で策定をされているわけでありますけれども、こういったルールの策定に当たりましては、輸入国、輸出国ともに納得ができるような新しいルールがつくられるということが望ましいというふうに考えているわけでございます。そのためには、BSEのリスク評価なりリスク管理の両面において、科学者だけではなくて実際にリスク管理を行う行政官も参加をして、オープンな議論が十分尽くされる必要があるというふうに思っております。
BSEにつきましては、まだまだ科学的に未解明な部分が多いわけでありまして、新たなルールを議論するという際に当たりましては、やはり、BSEの定義の明確化ですとか、あるいは、どういう手法でもってBSEかどうかということの判断をする、判断基準の統一というふうなことも必要でございますし、また、それぞれの国のBSEの浸潤状況といいますか、汚染状況といいますか、そういったステータスを的確にかつまた公正に比較できるようなサーベイランス調査の基準も、現在のものよりは強化をする必要があるというふうに思っております。
このように、いろいろな検討課題があるというふうに私どもは理解をしております。そういった検討の過程においては、日本のこれまでの経験、特に若齢牛でのBSEの感染牛の発見といったようなことなどは、十分その議論の中に、検討の中に反映されるべきものというふうに思っております。
こういったOIEへの働きかけは、私ども、これからも続けていきたいというふうに思っております。昨年の十二月には大臣にも行っていただきまして、バラ事務局長にこういった日本の考え方も強く伝えていただいたところでございます。
○楢崎委員 国際基準を設けることも一つの方法だと思いますけれども、アメリカがOIEに政治的な変な圧力をかけないように、しっかり監視する必要があると思いますよ。
やはり、何よりも国民が納得する解除基準を明確にすることが必要だと思います。今、外交面においてアメリカ追従主義と批判される面がありますけれども、食の安全というのは、やはり外交に絡めて協議されるべき筋のものではないと思うんですね。そういう意味において、他国との兼ね合いもありますし、アメリカとの個別交渉の中で解除基準を決めるというようなことがないように、言いかえればアメリカだけ特別扱いすることがないように、毅然とした態度で対応していただきたいと思います。
次に、やはり国内消費量の三割を占める米国産牛肉の輸入停止というのは、当然国内市場にも混乱をもたらしているところですけれども、当面、牛肉の輸入はBSE未発生国、例えばオーストラリアとかニュージーランドとかに絞られると思いますけれども、安定供給に向けた輸入拡大交渉について、その経過を報告していただけますか。
○白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘の、安定供給に向けました輸入拡大への取り組みということでございます。
御案内のとおり、米国産の牛肉の停止措置が今後どの程度継続するか不透明だということでございまして、実は私ども、オーストラリアあるいはニュージーランドからの対日向けの輸出拡大の可能性ということを把握いたしますために、一月七日から十四日にかけまして、現地に担当官を派遣いたしまして調査を行った次第でございます。
これによりますると、これまで一般的には、豪州からアメリカの方に仕向けられておりまする牛肉とかあるいは豪州国内で消費をされております牛肉というのは、日本が米国から輸入しております牛肉とは品質が異なっている。
すなわち、豪州から米国に仕向けられております牛肉というのは、これは大半はハンバーガー用でございます。あるいはまた、豪州国内で消費されております牛肉は牧草肥育ということでございまして、これに対して、日本が米国から輸入しております牛肉はいわゆる穀物肥育ということでございますので、どうも日本人の口には余り合わないんじゃないかというふうなあれが強かったわけでございますが、しかし、今回の調査で、ただいま申し上げました肉の一部には、米国産の代替といたしまして我が国でも需要が見込まれる穀物肥育によります高品質な部分肉があるというふうなことが明らかになったわけでございます。
ただ、さらなる豪州側の生産の増加というふうなことを考えますと、現地といたしましても、やはり生産体制を整えるというふうなことも必要でございますので、米国産の牛肉の輸入停止措置が一体いつまで続くものであるのかというふうな見きわめが必要であるというふうなこともあったわけでございます。
また一方、ニュージーランドにつきましては、これはいろいろ調べました結果、ほとんどが牧草肥育ということでございまして、ニュージーランドからの、現在は一万トンぐらい入っておるわけでございますが、これの日本向けの大幅な輸入増加は期待ができないというふうな状況であるということがわかった次第でございます。
○楢崎委員 オーストラリア産牛肉の十万トンの輸入増が可能だという調査団の報告もあるようですけれども、一方で、我が国では、昨年の八月から冷蔵牛肉を対象に関税を三八・五%から五〇%に引き上げる、つまり輸入を制限する関税暫定措置法が発動されているわけですね。きのうの予算委員会でもこの問題は取り上げられました。谷垣大臣は、法律上やむを得ないというような愛想のない答弁してありましたけれども、一方で輸入拡大を訴え、一方で関税は引き上げている、やはり僕はこれはおかしいと思うわけですね。
異常年を基準にした発動の前提そのものも間違っている。私たちはそのことを訴えているわけですけれども、この五〇%の関税適用というのは制度上三月末までということですけれども、それ以前に適用解除の検討はされませんか。
○白須政府参考人 ただいまの委員からの御指摘でございますが、もう委員も御案内のとおりでございますが、いずれにしても、これはウルグアイ・ラウンドの交渉の際の協議の結果、合意水準でございます五〇%からさらに三八・五%まで自主的に下げたという代償として導入したものでございまして、これだけを撤回するということは適当ではないというふうに考えているわけでございます。
○楢崎委員 適当でないということを相手が納得するかどうかですよ。
では、四月以降はどうなるんですか。
○白須政府参考人 この制度につきましては、御案内のとおり、関税暫定措置法に基づきまして、毎年国会で御審議をいただきまして、それぞれ一年ごとに決めているわけでございます。
したがいまして、現在のところ、また次の、来年の三月ごろの御審議をいただいて、関税暫定措置法によりまして四月以降の措置を決めるわけでございます。
ただ、私どもが伺っておりますのは、先ごろの関税・外国為替等審議会から、十六年度末まで延長することが適当であるという旨の御答申をいただいたところでございまして、今後、これを踏まえた法案が国会に提出されるというふうにお伺いをいたしている次第でございます。
○楢崎委員 非常事態ですから、あくまでも安定供給を前提にして考えていただくことを要望しておきます。
国内では、早速、米国産牛を国産と偽って販売したスーパーも出てきたわけですけれども、それに加えて、値上がり現象も出ていますね。小売りとか外食メニュー等の価格調査をこれからも厳密にやっていただくと同時に、在庫がある業者については機動的なその放出を促すなど、大混乱にならないように努めていただきたいと思いますけれども、このことに関して見解をお願いします。
○白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございます。
私どもも、輸入団体を通じまして当面の輸入数量の把握もいたしておりますし、あるいはまた、先ほどの輸出拡大の可能性の把握もいたしております。また、御指摘のとおり、価格動向の調査あるいは監視というふうなことで、便乗値上げの防止ということにも意を用いているところでございます。
また、お話のとおりで、全体の供給としては、アメリカのものが停止して全体としては大変厳しい状況でございますが、先ほど申し上げましたように、豪州からの輸入量が、私どもの把握によりますと、一月につきましては、アメリカのが停止いたしますので、全体としては供給としては七割ぐらいの水準なんでございますが、二月につきましては、私どもがるる状況を調査いたしましたところ、全体としては八割程度までは供給が確保できるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○楢崎委員 そこで、厚労省は、これまでも予防的措置として、二〇〇〇年の十二月に、脳などの危険部位を利用した医薬とか化粧品とかの自主回収を業界に指示してあるわけですね。昨年五月にカナダでBSEが発生したときも、その原料の調達を、BSEが発生していない国へ切りかえるように指導されて、その結果、約二千品目が切りかえの対象になっているところですね。
今回、アメリカでBSEが発生したことによる調査で、いわゆる危険部位を使った製品で、サプリメントなどの二次加工品は昨年だけで五百七十三トン、それから、同じくスープとか牛脂などの一次加工品が百五十三トン輸入されているということですけれども、この追跡調査の結果について報告してください。
○遠藤政府参考人 十二月二十四日以降、米国からの輸入牛肉及び牛肉等の加工品の輸入を食品衛生法に基づき禁止し、特定部位が含まれ、またそのおそれがあるものについて回収、あるいは脊柱を含むものについて販売等の自粛を指導しているわけでございまして、一月十六日までに、特定部位である子牛の脳約四十キログラムについて回収、脊柱の混入のおそれのあるTボーンステーキ約五十八トン、一次加工品百五十三トン、二次加工品五百七十三トンについて販売自粛を指導しておりまして、この調査結果につきまして、厚生労働省のホームページにおいて公表をしているところでございます。
今後、引き続き調査を行いまして、さらに調査結果を公表してまいりたいと考えております。
○楢崎委員 質問を復唱しないように、時間がもったいないですから、お願いします。
それで、一次加工品、二次加工品のメーカーはわかっているんですか。
○遠藤政府参考人 特定部位が含まれ、またそのおそれのある食品につきましては、調査結果が最終的にまとまりました段階で、品名及び輸入者等について公表したいと考えているところでございます。
○楢崎委員 何よりも、消費者の安全にかかわる問題ですから、それはぜひ公開していただきたいということと、今追跡調査の結果を言われていますけれども、これはすべて流通に回っているんですか、在庫はあるんですか。
○遠藤政府参考人 調査は輸入業者を通じて行っておりまして、流通してしまっているもの、それから在庫のもの、両方ございます。
○楢崎委員 消費量については不明ということですけれども、では、わかるんじゃないですか。在庫がどのくらいあって消費量がどのくらいという、数量的なものを言ってください。
○遠藤政府参考人 子牛の脳等については既に内容まで細かくわかっているところでございますけれども、その他のものにつきましては、既に流通してしまっているものか、また在庫で押さえられたものかというふうなことについて、今後明らかにしていきたいと考えております。
○楢崎委員 消費者の不信感を生まないように、公開をきっちりするようにお願いしておきます。
次に、鳥インフルエンザについてお伺いします。
近年、SARSとかBSEなど、家畜や野生動物から人にうつる人畜共通感染症が毎年出現して私たち人類社会を襲っているわけですけれども、要するに、病原体の生きる範囲というもの、生きる地域が拡散しているという実態が出ていると思いますね。
山口県における鳥インフルエンザの発生は、まず、なぜ山口なのかという思いがするわけですけれども、言いかえれば、第二、第三の集団発生が起きる可能性も否定できないことであろう、このように思います。
私は地元は福岡なんですけれども、昨年十二月に韓国で鳥インフルエンザが大発生しましたときに、私は、目の前にある玄界灘を越えてくるのはもう時間の問題というふうに思っていたんですけれども、韓国で鳥インフルエンザが大流行したその時点で、政府は国内の養鶏業者に対しまして情報提供などはされたんでしょうか。
○中川政府参考人 まず、先生おっしゃいましたように、近年我が国の周辺の地域で高病原性鳥インフルエンザが発生をしているという状況を踏まえまして、一つは、昨年の九月の時点で、国内での高病原性鳥インフルエンザに対します防疫マニュアルを作成いたしまして、関係者に配付をいたしたところでございます。
もちろん、防疫の面では、こういったどこどこの地域で発生をしたという情報が得られます都度、直ちにその地域からの家禽等の輸入を停止もいたしてきております。
それから、昨年の十二月に韓国で高病原性鳥インフルエンザの発生がありましたけれども、その初発の事例がまだ疑いの段階でありました十二月の十二日の時点で既にこの地域からの家禽等の輸入は停止をいたしておりますし、さらに十二月の二十四日でありますけれども、各都道府県それから関係の団体に対しまして、これは担当課長からの通知でありますが、野鳥等が鶏舎に入らないようにきちっとした措置をとること、また農場の出入りの制限、あるいは消毒などの侵入防止措置をきちっととるようにというふうなこと、さらには、インフルエンザの症例を疑うような例を発見した場合には届け出をきちっとしていただくようにといった対応の徹底の指示もしたところでございます。
○楢崎委員 感染経路で疑われるのは、渡り鳥とか感染地域への旅行者の靴底とか言われていますけれども、山口県の場合は何が疑われますか、感染経路として。
○中川政府参考人 一言で申しますと、まだ感染経路については特定ができておりません。これまでのところ、専門家の意見等でアドバイスいただいておりますのは、一つは、この採卵鶏の農場に対しまして導入をいたしましたその導入元からの鶏にウイルスがついてきたということはどうも考えにくいと否定的で、これは福岡から入れておりますけれども、そこからの鶏が感染の経路になったということは考えにくいということは、専門家の御意見としていただいております。
その他、むしろ、これからウイルスの遺伝子解析あるいは疫学的な調査を進めて、その感染経路の究明に全力を挙げるという段階でございまして、現段階ではまだ具体的なことを申し上げる段階ではございません。
○楢崎委員 一方で、全国的に見た場合、山口県が特別な渡り鳥の飛来地であるとは、まあ、もちろん何羽かは来ましょうけれども、そういう特別な飛来地であるとは思えないんですね。また、渡り鳥が持つウイルスそのものに病原性がないという否定的な意見もある、そのことを申し述べておきます。
このウイルスの潜伏期間、これはどの程度ですか。
○中川政府参考人 高病原性鳥インフルエンザの潜伏期間につきましては、ウイルスのタイプあるいは感染動物の種類によって異なるということでございまして、一概には申し上げられませんけれども、国際機関でありますOIEの基準によりますと、現在では二十一日間、三週間というふうに規定をされております。
○楢崎委員 それでは、例えば山口県が安全宣言を出す場合、その根拠となるのは、やはり、この潜伏期間を過ぎても県内の他の地域で発生しなかった、こういう状態になった場合ということになるんですか。
○中川政府参考人 先ほど申しました防疫マニュアルには、当該発生農場において鶏等の処理あるいはえさやその他鶏ふん等の汚染された物質の埋却といった全体の防疫措置が完了してから二十八日間経過してから、そこで判断をするということになっております。
二十八日間といいますのは、昨年のOIEでこの議論をされましたときに、二十八日というふうな案もあったわけでございまして、そういったことも参考にして、安全宣言を出すまでの期間として二十八日というものがマニュアル上定められているということでございます。
○楢崎委員 わかりました。
今、世界各地で、人への感染また感染による死亡が伝えられておるわけですけれども、人への感染は、例えば乾いたふんなどの飛沫を吸い込んだ場合、つまり吸飲感染、もう一つは、体液などが体についた接触感染ということでいいんですか。この二通りですか。
○田中政府参考人 人への感染の経路でございますけれども、詳細はわかりません。ただ、考えられるのは、やはり先生の御指摘のとおり、羽毛だとかあるいは鶏ふんだとか、かなりウイルスの濃度の高いものを経気道性に吸引するというのが一番多いのではないかというふうに考えております。
○楢崎委員 それでは、九七年に香港で六人が死亡しておるわけですけれども、そこでこの病気の人への感染がクローズアップされたわけですけれども、このときの状態はどうだったんでしょうか、香港で死亡例が出たとき。
○田中政府参考人 一九九七年に香港で高病原性鳥インフルエンザウイルス、H5N1型に十八名が感染して、六名が亡くなったという事件がございました。WHOによって原因調査が実施されましたところ、十八名の患者全員が、生きている感染した家禽に密接に接触していたことが判明して、これが人への感染の原因だというふうに結論づけられているところでございます。
○楢崎委員 今回はベトナム、タイで感染死亡者が確認されていますけれども、香港と違う点はありますか。
○田中政府参考人 最新のWHOの公表によると、ベトナムでは七名が感染して六名が死亡した、それから、タイでは二名が感染したというふうに言われております。
感染原因等につきましては、現在のところ明らかになっておりません。人から人へ市中感染が起きたということは報告されておりません。
○楢崎委員 それでは、我が国における予防ワクチン、この状況はどうなっていますか。
○田中政府参考人 人への新型インフルエンザのワクチンという御質問だと思いますけれども、今どういう株が一番適当なのかというようなことも含めて、WHOを中心に調査検討しているところでございます。
○楢崎委員 人から人に感染する新型ウイルスの発生が危惧されているわけですけれども、その媒体となるのは豚ということでよろしいんですか。
○田中政府参考人 WHO等の専門家の分析によりますと、鳥が持つインフルエンザウイルスが、豚だけではなくて人の中でも変異を繰り返すうちに人のインフルエンザウイルスとまざり合いまして、そして人に感染しやすく、人から人に感染するような新型のインフルエンザのウイルスが誕生するというふうに言われているところでございます。
○楢崎委員 私は豚にこだわるんですけれども、今、豚に対する監視体制というのはとってありますか。
○田中政府参考人 豚に対するインフルエンザの感染状況等につきましては、定期的に今調査しているところでございます。
例えば、二〇〇二年に関しましては約二千五百頭程度の調査を行っておりまして、この結果については公表されているところでございます。
○楢崎委員 わかりました。
そこで、山口県の今回の発生農場及びここから半径三十キロ以内の移動制限区域内の養鶏農家に対する救援策についてお伺いしますけれども、一月二十二日に石原事務次官が記者会見で発言されたのは、台風被害を例にした、非常に冷たい感じを私は受けたんです。既に地元からも要望が出ておると思いますけれども、融資対応ではやはりだめだと思うんですね。どのように対応される考えを政府は持ってありますか。
○亀井国務大臣 山口県におきます鳥インフルエンザの発生に対しまして、農林水産省といたしましては、防疫対応とあわせて、発生農家に対しまして、患畜、疑似患畜の殺処分や汚染物品の焼埋却について、家畜伝染病予防法に基づき、国から手当金を支払うこととしておりますほか、移動制限区域内の農家の経営継続につきましては、家畜疾病経営維持資金等により支援することといたしております。
また、風評被害の防止等としては、引き続き量販店等に対し、不適切な説明や告知をしないよう要請するとともに、中国・四国地方の鶏肉、鶏卵取扱店舗を調査いたしまして、山口県産は取り扱っていない等の表示に対し、個別指導を行っているところでもあります。
このように、農水省といたしましては各般の対策に取り組んでいるところでありますが、現在保管中の移動制限区域内の鶏卵の今後の取り扱いなど、移動制限区域内の農家の経営支援につきましては、山口県と十分相談した上で、国としての対応が可能かどうかを含め、判断してまいりたい、このように考えております。
○楢崎委員 韓国では一〇〇%補償だと聞いているんですね。補償対応することによって、農家もまた正直に素早く異変を申告することになると私は思うんですね。いずれにしましても、補償による早期の救済措置をここで強く要望しておきます。
最後になりますけれども、BSEや鳥インフルエンザ、この問題を機に、輸入依存度が高まるばかりの農畜産物の自給率向上、これにつながることを願って、きょうは終わります。
○高木委員長 この際、休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
――――◇―――――
午後五時四十分開議
○高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。
○桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
皆様大変御苦労さまでございます。日が暮れての委員会になりましたが、しっかりやりたいと思います。
私は、限られた時間でありますから、高病原性鳥インフルエンザの問題に限って議論をさせていただきたいと思います。
実は私、山口県阿東町の生まれでありますので、他人事ではないわけでありまして、そう思いながらきょうこの場に来ましたら、委員長も山口県御出身でありますから、お生まれでありますので、委員長の心も、あるいは民主党の菅さんも現場に来ていただいたということで……(発言する者あり)ああ、そうですか、御苦労さんでございます。あるいは、小選挙区は河村建夫文部科学大臣の地元でありまして、そういう方々の声を代弁するような思いで、少しの時間議論させていただきたいと思います。
さて、今回の鳥インフルエンザでございますが、先ほどから話が出ておりますように、あっと驚くような、まさに七十九年ぶりという、昔家禽ペストと言われた時代もあるようでありますけれども、私も大変驚いております。
初動の防疫措置につきましては、話が出ておりますが、家畜伝染病予防法あるいは防疫マニュアルに基づきまして、殺処理さらには消毒、半径三十キロ以内の移動制限措置などを終了した、相当スピーディーに終了していただいているということで、関係者の御努力、御尽力に私は感謝したいと思っております。この上は、この鳥インフルエンザが蔓延することなく、何とか終息を、二十八日ぐらいでしたい、してほしいと祈るような気持ちで質問をさせていただきたいと思います。
現状からしますと、いろいろ現場で聞いていますと、やはり一番の問題は風評被害であります。
聞くところによりますと、私も養鶏業界の皆さんにもお会いしてきましたけれども、よその地域で、山口県の卵ではありません、こうラベルを張って販売しているというような事例があったり、あるいは量販店で、山口県の卵は取り扱わないというようなことがあったり、もっとひどいのは、九州の卵が陸路山口県を通過するだけで商品価値が落ちると。いや、笑っておられますけれども、空で運べとか海で運べとか、こういう話があるということを伺いまして、風評被害というものはかくのようなものになるのかな、こう思って驚いているわけであります。
この風評被害に対しまして、大臣政務官にも現場で陳情させていただいておりますけれども、農水省としてのお取り組みをお答えいただきたいと思います。
○白須政府参考人 委員の御指摘のとおり、風評被害に対する対策ということが今一番求められているのではないかということ、委員の御指摘のとおりだというふうに考えております。
私ども、この風評被害の防止につきまして、発生が確認されました一月十二日でございますが、直ちに、やはりまずは正確な情報の提供に努めるということが第一でございますので、いずれにいたしましても、この病気が鶏卵あるいは鶏肉といった食品を介して人に感染した例は世界的にも報告されていないといったことにつきまして、プレスリリース、そういったものを通じて、まず正確な情報の提供に努めているわけでございます。
それからもう一つは、まさに今委員からも御指摘ございましたように、山口県産のものを扱っていないといったような、まことに不適切な説明あるいは告知をしておるような例がお話のとおり見られるわけでございまして、そういうことについては、早速に、この一月十五日付をもちまして、量販店あるいは流通の関係の団体に対しまして、そういう不適切な説明あるいは告知をしないように、こういうふうな要請を私どもから行っているわけでございます。
さらに、実は、中国四国農政局がございます。それから、それぞれ県に農政局の地方農政事務所があるわけでございまして、そこの職員を動員いたしまして、山口県あるいは広島県を初めといたします中国・四国地方の鶏肉あるいは鶏卵の取り扱いの店舗に直接私ども職員を出向かせまして、それで、そういう不適切な表示をしている店を当たりまして、そういうことをやめてくれというふうなことで、個別な指導をやっているところでございます。
こういったことが、少しずつではございますが、功を奏してまいりまして、私ども、報道で聞いております、ただいまお話ございました、山口県産を取り扱っていない、取り扱わないようにしているといったようなスーパーとか、そういうところが、そういった指導の効果もありまして、再び山口県産を取り扱うことになったというふうな報道もここに来まして大分出てきておるようでございますので、引き続きそういう点は、私どもさらに、安全性につきましてのPRでございますとか、あるいは、ただいま申し上げましたスーパー、そういったところへの円滑な取引の指導といったようなことを初めといたしまして、お話のとおり、風評被害の防止ということに全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
○桝屋委員 ありがとうございます。特段の取り組みをいただいているようでありますが、なおしっかり市場の動向等を見ていただいて、適切な対応を引き続きお願いしておきたいというふうに思います。
次の問題は、初期の防疫体制、防疫措置ががっちり行われているわけでありますが、その中で、半径三十キロメートル以内の移動制限でございます。
三十キロメートル以内の鶏卵それから鶏肉については、移動制限がかかっているわけでありまして、現実にこれから二月の中下旬、二月の十九日ぐらいでしょうか、それぐらいまで移動制限になっているという状況であります。端的に言いまして、なかなかこれは商品価値にはならないということがあるわけであります。
これは、いずれも移動制限というのは家畜伝染病予防法に基づいて行われているわけでありまして、殺処分をした三万四千、三万五千羽ぐらいのあの鶏は補償があるようでありますけれども、それ以外に、今移動制限がかかっている三十キロ以内に三十戸ぐらい農家がありまして、卵を産む鶏が百万羽ぐらいいるというふうに聞いております。八割としても大変な数が毎日生産されるわけでありまして、まさに、滞貨農産物といいましょうか、この取り扱いが今大きな課題になっているわけであります。卵、どのぐらいもつかということもあるわけでありますけれども、やはりこれはなかなか、商品価値はもうないわけでありまして、どこへどうためて、どう処理をするかということが今大きな悩みであります。
こうしたこともありますから、県は、これは放置できない、国の法律に基づいて法定受託事務として県が今作業をされておりますけれども、移動制限がきっちりかかって、確かにされておりますが、ではそこの部分はどうするのかと。やはり殺処分をした鶏と同じように補償してもらいたい、これは国の法律ではないか、こういう強い声をいただきました。
ここは私も本当に悩ましい話だなと思っておりますが、まず、こうした移動制限がかかっているこの部分に対する支援措置といいますか、あるいは補償ということについて、どういう取り扱いになっているのか、伺いたいと思います。
○亀井国務大臣 お答えいたします。
なお、風評被害の防止の問題につきましては、たまたま一月十二日にBSEの問題でNHKのニュース10に呼ばれまして、私は最後に、ちょうどあの日でございましたので、この病気が鶏卵や鶏肉という食品を介して人に感染した例は世界的に報告されていない、このことを強く申し上げてきたわけであります。さらにこれらの問題につきまして、先ほど局長から答弁いたしましたように、いろいろの施策を進めてまいりたい。本当に、先ほど委員からの御指摘のとおり、私も早く何とか安全宣言が出せるように、こういう祈る気持ちでおるわけでもございます。
さらに、今御指摘の問題、いろいろ法に基づきますことをいたしておりますし、また移動制限区域内の農家の経営継続、このことにつきましては、家畜疾病経営維持資金等によりまして支援をすることといたしております。さらには、御指摘の、現在保管中の移動制限区域内の鶏卵の今後の取り扱いにつきましては、農家の経営支援、こういうことで、山口県からも知事さん初め、再三お話もちょうだいしておるわけでありまして、国といたしましても、対応可能かどうかを含め、十分相談をし、判断をしてまいりたい、このように考えております。
○桝屋委員 大臣からそのように最初にお答えいただくとちょっと次の言葉が出なくなるのでありますが、それはぜひ御検討をお願いしたいというふうに思います。
いろいろ考えました。私も、実はBSEが発生したときにちょうど厚生労働省におりましたものですから、当時、金田副大臣あたりからは相当厳しく、目から火が出るほどおしかりを受けて、督促をいただいたことを思い出しているわけでありまして、補償という問題は簡単なことではないんだろうと。あのときも随分悩みましたよね。全頭検査も含めて、本当に私は眠れない日が続いたわけでありますが、今度は逆の立場でありまして、ぜひお願いをしなきゃならぬわけでありまして、考えようによっては、大臣の今のお言葉で、私はきょう、ぜひ期待をしたいというふうに思っております。
もう何点か言いますと、牛と違いまして、鶏はそれこそ飼育期間がブロイラーでもそんなに長くないということで、これから、多分一月ぐらい、二十八日で終息をしてもらいたいと私もこいねがっておるわけでありますが、その期間の中でと考えても、やはりブロイラーも五十日ぐらいで出荷するわけでありますから、牛のように三十カ月齢というようなこともないわけでありまして、そこは直ちに影響を受ける。ましてや、卵については、これは毎日産むわけでありますから。この卵を、卵は大丈夫ですよ、卵を食べてもインフルエンザはうつりませんよ、こういうふうに言われているわけでありますが、そこがBSEと違うかなという気もしないでもないんですが、しかし商品価値がないというのは事実であります。
多くは語りませんが、卵の現在の流通の状況からすると、やはりもう二重の苦しみを農家は受けているわけでありまして、ここは、今後の状況も見ながら、あるいは県の要請もしっかり受けていただいて、ぜひ対策本部長、副大臣、もう一回御決意を聞かせていただきたいと思います。
○金田副大臣 桝屋先生には、BSEの折には大変御苦労をおかけしました。全頭検査の前の肉をどうするかというようなことで、厚生労働省さんにも大変な御苦労をいただいたという記憶がございます。
今、半径三十キロということで移動制限をかけております。移動制限をかけている中に、問題の農家は別としまして、その円内に三十戸の養鶏農家がございます。約百万羽があるということでございまして、この百万羽は、毎日毎日八十万個ぐらいの卵を産んでおるわけでございます。時価にして、今キロ八十五円ぐらいですから一個五、六円だろうと思いますので、毎日毎日四百万の滞貨があるわけでございます。この卵は、体に影響がない、食べても大丈夫だとは言っているんですが、先日も県知事さんから、何としてでも、動かせないんだから、日々劣化していくんだからというようなことで、県としても何らかの措置を講じたいので、国の支援もお願いしたいという要請を受けております。
山口県の知事さんも何らかの手を打とうと考えておるんでしょうけれども、そこいら辺、山口県の方とよく、大臣から御答弁のあったように、これからいろいろと相談してまいりたいと思っております。
○桝屋委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いしておきたいと思います。
私は、これでこの鳥インフルエンザが終息をすることを先ほどから言っていますように願っておりますが、しかし、先ほどから、午前中の質疑でありましたように、アジア地域における今の動向を見ますときに、やはり決して安心できる状況ではないだろうと。
加えて、私は、今回、阿東町のあの農家でよかったと言ったら語弊がありますけれども、三万四、五千の養鶏農家で、町役場挙げて対応できたわけで、これが、御案内のとおり百万、二百万という農家も今あるわけでありますから、養鶏業者もあるわけでありますから、もしそこで一羽発生したならばどういうことになったのか、実は次のことも考えておかなければならないなと。やはり、政治は最悪を想定して行動しなきゃなりませんから。
そういうことを考えますときに、やはり今回の初動の体制、あるいはそれに対する国や県の対応というものを多くの養鶏業界の方が見ているわけでありますから、余り国の法整備、制度的に不備があるとは私は申し上げませんが、今の状況を見て、それこそ地下に潜るようなことになったんではこれは大変なことになるわけでありますから、重ねてお願いをしておきたいと思います。
最後に、他県のたくさん鶏を飼っておられるところ、養鶏業者の皆さんから、ワクチンは何とかならぬのかと。人のワクチンじゃないですよ、鳥のワクチンについて強い期待を持っている。ぜひ国にお願いしてくれという声もあるんですが、ここはどのように考えていけばいいのか、最後に御答弁をお願いしたいと思います。
○中川政府参考人 鳥インフルエンザワクチンについてのお尋ねでございますけれども、このワクチンを鶏に接種いたしますと、鶏には抗体ができます。ですけれども、この場合は、鳥インフルエンザに感染はいたします。感染はするけれども発症はしないという状態になるわけでございます。発症はしない、つまり死んだりはしないということでございます。したがって、その接種をされた鶏自身は元気な状態でいるということで、その点ではメリットがあるということは言えますけれども、他方、いろいろなマイナス面もございます。
例えば、今申し上げましたように、ワクチンを打った鶏は感染を防げません。したがって、その接種をした鶏にはウイルスが生存をするということになります。数は打たない場合に比べて少なくなりますけれども、その鶏からウイルスを発散するということが起こりますので、そういう意味では、接種された鶏がもとになって新たな感染源になるというふうなおそれもございます。
それからもう一つは、どこまでこのインフルエンザが蔓延をしているかというのをチェックするためにその血清で調べるということがありますけれども、その場合に、ワクチンを打ちますと、それによって抗体ができます。したがって、その鶏が、果たしてこれはワクチンを打ったことによって抗体を持ったのか、自然に感染をして抗体を持ったのかという区別がなかなか容易につかないということで、そういった面でもちょっと難しい面はございます。
さらに申し上げますと、この鳥インフルエンザにつきましては、養鶏振興の観点からということだけではなくて、人から人に感染する新たなウイルスの出現も懸念されている中で、日本国内からできるだけ早く清浄化をしたいという要請がございます。
こういうことからいたしますと、早く見つけて、そして殺処分等によって淘汰ができる、そういう限りにおきましては、なるべくワクチンを使わないで淘汰をしていくというのが適当ではないかというふうに思っております。
去る一月十五日の家きん疾病小委員会におきましても、現状のような、ある一農場で発生が抑えられている、こういう状態のもとではワクチンの使用は適切ではないんではないかという助言をいただいたところでございます。
あわせまして、この小委員会におきまして、万一発生が拡大をした場合に備えましてワクチンの備蓄を検討しておくべきというふうにされました。一つは、海外で承認をされているワクチンを輸入いたしまして、鶏に対する有効性、それから安全性の確認を急ぎたいというふうに思っております。そういう意味で、ワクチンの備蓄のための作業を急ぎ進めることといたしております。
それから、あわせまして、万一発生が拡大した場合にこのワクチンの使用がスムーズに行われるように、ワクチン接種をした鶏から生産をされます卵なりあるいは鶏肉など、その食品の安全性について、厚生労働省や食品安全委員会の意見を聞くという手続もあわせて進めたいというふうに思っておるところでございます。
○桝屋委員 ありがとうございました。
今の話も、養鶏業界の方は熱い期待だけを持っておられるという点もありますので、よく業界の皆さんに周知徹底をしていただいて、今のとりあえずの目的というものをしっかり認識していただきますようにお願いをしておきたいと思います。
ありがとうございました。よろしくお願いします。
○高木委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
限られた時間ですので、答弁者の皆さんは簡潔に御答弁くださるようお願いいたします。
先ほど、午前の審議で、海外調査団の報告について説明がありました。「今後、米国においてBSEが発生しないという保証はない。」この結論を出していることの根拠についての具体的な説明があったと思います。一つには、同居牛あるいは肉骨粉が米国にも輸出された可能性があること、アメリカとカナダが一体となっている問題、あるいは肉骨粉など給与の禁止など、この遵守状況に問題がある、交差汚染のおそれがあるということをきちんと述べられたと思うんですね。
そこで、その関連から伺いたいと思います。
最初に、先ほどの松下委員に対する答弁の中で、米国が二万頭から四万頭に検査を引き上げると言っている点について、四万頭でも極めて不十分だと日本側は伝えたと答えました。二十三日の日米合同の協議の後の会見で、中川局長が、米国側から全頭検査は必要ないという発言があったと説明をしております。
きょうの日経新聞の夕刊にも、改めて、九億ドルのお金がかかるし、全頭検査は必要ないというようなことが載っておりますが、伺いたいのは、これまでダウナー牛や神経症状のある牛に限ってのサーベイランスだった、つまり百万頭に一頭のサンプリングでしかなかったわけですね。ですから、これを仮に五十万頭に一頭、十万頭に一頭という形でふやしたとしても安全性は担保できないと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○中川政府参考人 アメリカが二万頭から四万頭にBSEの検査の頭数をふやすということは言っておりますけれども、全体の年間の屠殺頭数三千五百万頭からいたしますと〇・一%ということでありますし、また、このサンプリングの基本的な考え方は、歩行困難牛あるいは死亡牛といったところを中心にして、いわゆる高リスクのところを対象にしてやるということでありまして、アメリカにおいてどの程度BSEの牛がいるかという、いわゆるサーベイランス目的でこの検査が行われているという趣旨でございます。
そういう目的からいたしますと、安全性の確保、安全、安心のための検査という視点から見ると不十分だというふうに思っております。
○高橋委員 今御答弁いただいたように、どの程度いるかという観点だと。ですから、日本における、一頭であってもあってはならないという考え方とは大きく違うと思うんですね。この点について、やはり日本としては強く言っていただきたい。
先ほど来お話にあるように、ダウナー牛あるいは高リスクというところだけを検査すると。では、今回の新しい提案で、ダウナー牛は屠畜に回さないということになったわけですよね。どのように処分され、あるいはBSEの検査がそれに対してどのようにやられるのか、簡単にお答えください。
○中川政府参考人 歩行困難牛等は年間十五万から二十万頭発生するというふうに聞いておりますけれども、こういったものはレンダリングの施設に回されるというように承知をいたしております。その中で、一部についてBSEの検査が行われるというふうに承知をいたしております。
○高橋委員 レンダリングに回される、しかも、そのうち一部についてはBSEの検査、あくまでも一部、しかも屠畜場での検査ではないと。この点でも非常に不十分だと思いますね。
日本で発生した九例のうち、ダウナー牛だからということで発覚したのは最初の千葉県の例だけだったと思います。そのことから見ても、何らかの異常のある牛しか検査をしない、あるいはその中でもわずかしかしないということでは、本当に重大な欠陥があると思います。私は、今こうして不十分であるというお答えをいただいているわけですよね。
そういう立場に立つならば、この間、アメリカは清浄国だという説明で、例えばこの一年間で、脳が四十キロ、背骨の混入のおそれのある加工品が七百二十六トンも入って、ほとんどが消費されている。こうしたことについて政府の責任を認めるのか、大臣の見解を伺います。
○亀井国務大臣 我が国は従来から、家畜伝染病予防法に基づきまして、BSE発生国からの牛肉等の輸入を停止し、一方、未発生国からの輸入は認めてきたわけでもあります。
そういう面で、昨年五月、カナダでBSEが確認されたことを受けまして、米国を経由してカナダ産の牛肉等が我が国に輸出されることのないよう措置もいたしたわけであります。また、米国に対しましても、食品衛生法の観点から、特定危険部位の輸出の自粛等を要請した。これは厚生労働省におきまして輸出の自粛等を要請された、このように承知をしておるわけでありまして、未発生、こういうことで輸入を認めてきておったというのが経緯であります。
○高橋委員 未発生だと。今ちょっと答えだけを言ってほしかったんですけれども、責任を感じているのかどうかということを聞きたかったんです。もう一度お願いします。
○亀井国務大臣 これはやはり、未発生、こういうことにつきましては輸入を認めてきたわけでありますから。
しかし、私は、昨年当委員会でいろいろ議論になりましたときにべーカー大使を呼びまして、我が国ではBSEの問題につきまして全頭検査、特定部位の除去、このことをいたしておる、そしてさらに、アメリカもそのようなことをおやりになるようにいろいろお話も申し上げたようなわけであります。
○高橋委員 要するに、責任を言えないということなのかなと思いますので、ちょっと角度を変えますけれども、私は、この問題で、やはり政府は米国にもBSE発生のおそれがあるともっと早い時期に認識していたと思うんですね。そのことを確認したいと思うんです。
二〇〇一年の九月に日本で初めて感染牛が発生したわけですが、同じ年の四月には、BSE汚染の危険性を評価するステータス評価に取りかかるべく、日本が米国に対しても質問票を送っています。米国からの回答が返ってきたのはいつですか。農水省は、この米国の回答の扱いについて技術検討委員会に報告をされましたか。この点、お伺いします。
○中川政府参考人 ステータス評価の作業は十三年の三月から行ってきておりますけれども、我が国に畜産物等を輸出している国のうちBSEの未発生国を対象といたしまして、これは六十六カ国ございましたが、調査票を送っているわけであります。
その後、昨年の五月にカナダでBSEが発生をしたことを受けまして、こういったステータス評価のあり方自身を再度検討する必要があるということが生じてまいりました。この点は、日本だけではなくてEUにおきましても、そういったような新たな事態を踏まえましてその評価のあり方自体を再検討しているという状況でございますので、現在はこの作業はストップいたしておるところでございます。
○高橋委員 昨年の五月にもあり方自身が、それはいいです、わかっております。問題は、十三年の三月にステータス評価を未発生国に送った、その回答の扱いですね。当然、米国からも来ているわけですね。どのようになっていますか。
○中川政府参考人 私自身、今の先生のお問いに対して具体的に申し上げるデータを持ち合わせておりません。
○高橋委員 データを持ち合わせていないというのはどういうことですか。回答がなかったということですか。
○中川政府参考人 アメリカからの回答は来ておりますけれども、申しわけありませんが、今の時点で、いつそれが来たのかというそのデータは持ち合わせておりません。
○高橋委員 では、私の方で説明を受けたことを言いますね。
答えが返ってきたのは二〇〇一年の七月、日本側が再質問をして最終回答は二〇〇二年の五月に来ているということを聞いています。ですから、この詳しい内容について今お答えができないというのであれば、やはり別な機会に委員会にきちんと報告されることを、委員長、要請いたします。お願いいたします。
このことが、やはりこの間ずっと日本の感染ルートの問題やステータス評価について検討していた技術検討委員会にも報告されなかったということでは、非常に問題があると思うんですね。大臣は承知されていましたでしょうか。
○亀井国務大臣 承知をいたしておりません。
○高橋委員 こういう状態でありますので、本当はそのほかにも、アメリカの会計検査院のさまざまな指摘、あるいはアメリカの農務省のリスク評価センターに委託した結果だとか、さまざまなデータがこの間に出ているわけですね。その点についてはちょっと触れる時間がありませんけれども、そういうデータを持ち合わせていたということは、当然、発生のおそれがあるということを認識していた。つまりは、今回の海外調査団の報告書でまとめられたような程度のものは当然認識していたと私は思います。
ですから、その点で改めて、政府はもっと未然に、例えばEUであれば危険部位の輸入をきっちり禁止しているわけですね、そういう態度をとることができたはずだ。そういう責任に立って、改めてアメリカに対して、今全頭検査は必要ないとアメリカは言っているけれども、きちんと、これまで言っているように、全頭検査、危険部位の完全除去を求めていく、そういう強い決意をお願いしたいと思います。
これは、大臣とそれから厚労省、それぞれからお願いします。
○亀井国務大臣 私は、先般、ベネマン農務長官と電話で一時間ほど会談をいたしました際にも、日本で行っておりますいわゆるBSEの全頭検査並びに特定部位の除去、このことにつきましては強く主張しておるわけでありますし、日本の食の安全、安心、このことを考えますときに、やはり日本の消費者が安心してそれを消費することのできるものでなければならない、こう申しておるわけであります。
○森副大臣 厚生労働省といたしましても、農水大臣から御答弁があったとおりでございます。
○高橋委員 この点は確認したいと思います。先ほどのステータス評価の問題は、資料を求めて、継続してお願いしたいと思います。
次に、やはりこの問題で影響を受けた関連業者の問題について、やはり救済をぜひやってほしいということを質問したいと思います。
仙台は牛タンがまさに文化とも言えるような状況でありますが、この牛タンが今在庫切れに追い込まれるという窮地に立たされております。二年前のBSEの発生のときには、閉店に追い込まれた店もあり、売り上げが半減する、そういう中からやっと立ち上がってきて、今回またこの問題が起きた。確かに、八割以上米国産に頼っているわけですが、代替策は、今どうやっても、オーストラリア産や和牛が少しあったとしても足りるものではないわけです。
ただ、問題は、在庫が、個人商店だとあと一カ月しかもたない、大型店でも三カ月しかもたないと言っている。だけれども、ここで関係者の話ではありますけれども、卸元、日本ハムだと言われていますが、その商社が、発生後たった一週間でキロ八百五十円を二千円に値上げした。倍の価格で売るわけにいかないから、これ以上はもう仕入れできないという状況に追い込まれているわけです。
私は、政府が今言ったようなきっぱりとした態度をとれば、当然、再開のめどもつくわけだし、めどさえつけば、今ある在庫をしっかり活用して、中小業者に問題がないようにできるはずだと思うんです。そういう点で、卸元に対してきちんと指導していくべきと思いますが、見解を伺います。
○亀井国務大臣 米国産牛肉等の輸入停止に伴いまして、牛タンなどの内臓類を含む牛肉製品につきましても、便乗値上げが起こることのないよう、いろいろの措置をいたしております。
昨年十二月二十五日には、便乗値上げの防止につきましての要請を関係団体に文書で通知いたし、あるいはまた、価格に関する相談窓口を設置したりしておりますし、これらの価格の動向監視、また、不当な便乗値上げを防止しておるところでもございまして、仮に不当な便乗値上げが認められた場合には適切に指導する、こういうようなことをいたしております。
○高橋委員 時間が来ましたので、しっかりよろしくお願いします。
○高木委員長 次に、山本喜代宏君。
○山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本であります。
初めてでありますので、大変緊張しておりますが、よろしくお願いをいたします。最後までおつき合いをよろしくお願いします。
BSEの発生あるいは食肉の偽装表示事件、そして無登録農薬問題などを通して、我が国の消費者の目は大変厳しくなりました。それにこたえるために、安全、安心な食の提供に向けて生産者の側の意識改革も進んでいるわけでございます。
昨年から、私が所属する農協でも生産工程管理・記帳運動というのが始まりました。米や野菜などについても生産履歴の管理が求められている状況にあるわけでございます。そして、昨年十二月からは牛トレーサビリティー法というのが施行されまして、生産から流通、消費にわたるまで記録に残るシステムが確立されようとしているわけでございます。
そうした点からいうと、BSEについては、現在、世界最高水準の検査体制にあると思いますが、二〇〇一年の我が国のBSE発生以降、アメリカは日本からの牛肉の輸入をとめているわけであります。これについての理由と日本政府の対応、そして、アメリカのBSEのチェック体制ですけれども、これはアメリカ国内向けも日本に向けた輸出用も同じなのかどうか、そういう点についてちょっとお伺いしたいんです。
○亀井国務大臣 米国におきましては、我が国と同様、これまでBSE発生国からの牛肉等の輸入を停止しております。したがいまして、我が国から米国に牛肉は輸出されていない、こういうことであります。
なお、アメリカにおきましては、国内また輸出、これは同じような、BSE対策は国内向け並びに輸出向けに違いはない、このように承知をいたしております。
○山本(喜)委員 とすると、アメリカに対する調査も行ったわけですが、その結果、安全性から見れば、日本の方がはるかに信頼性が高いわけでございます。
今、日本はEUからもとめていますよね。アメリカもEUもとめている。そして、日本が今購入できるのはオーストラリアとニュージーランドだけなんですよね。ほかは口蹄疫も含めてとまっているわけです。こうしたとまっている状況はなぜなのか。これは潜伏期間の問題だと思うんですけれども、その辺、お答え願います。
○中川政府参考人 BSEの発生国からは、日本だけではなく世界一般に、BSEに汚染をされた肉、あるいは生体のものを含めまして、家畜防疫の観点からとめるというのは、これは一般的な措置でございまして、その点において日本も他の国も変わりなくやっているということでございます。
なお、EUからとめておりますが、BSEの発生ということとあわせまして、口蹄疫といったほかの病気もあるということでございます。
○山本(喜)委員 ですから、輸入をとめる期間、これは要するに潜伏期間の関係でとめているのかということですよ。
○中川政府参考人 とめている期間というのは、特に潜伏期間ということではございません。BSEにつきましては発症まで確かに二年から八年かかるという非常に長期なものでありますけれども、そのことと国境を閉じているということとは関係ございません。つまり、それぞれの国において、BSEが発生をしない状態が相当長期に続きまして清浄化されたという状態が確認されない限り、通常の状態であれば、輸入はとめていく必要があるというふうに思っております。
それからもう一つ、さらに申し上げれば、家畜防疫の観点とは別に食肉として輸入をするという観点から申しますと、輸入する食肉について、食の安全、安心の確保からきちっとそこが確保されているということが判断のポイントになるというふうに思います。
○山本(喜)委員 今の答弁を確認すると、発生しないというのが長期にわたって確認をされるということと、安全、安心が確認されるということにおいて解禁していくということですね。
○中川政府参考人 牛肉の輸入という観点から申しますと、これは食の安全、安心の観点でございますから、日本が国内でやっているのと同じように、BSEの全頭検査、それから特定危険部位の除去、こういった条件が整えば、輸入の条件は整ったというふうに思います。
○山本(喜)委員 時間がないので。
アメリカで調査の結果、かなり不明な点があったわけです。そこで、例えば、同居牛の流通状況とか、六十二頭の牛の行方がわからないとか、そういうことがあったわけですが、二十三日の日米の協議を経た段階でまだ相当不明な点があるのか、あるとすればそれをどう解明していくのか、お伺いします。
○中川政府参考人 先般の日米会合におきましては、アメリカが今回追加的にとった措置につきまして、私どもの方からさらに確認の質問もいたしております。
その中で、フィードバンの運用実態や実効性、あるいはBSEの検査方法、それからサーベイランスとして今回四万トンにふやすと言っておりますけれども、そういった追加的な措置の具体的な内容について、情報の追加的な提供ということも求めたところでございます。
○山本(喜)委員 その追加的措置のことについてでありますけれども、二十三日の会談では新しいものは発表されなかったわけですね。しかし、十二月三十日に発表されたアメリカの新たな提案は一月十二日から実施をされたということになっています。
ところが、新聞の報道によると、アメリカの市民団体のパブリック・シチズンが十五日に、病的な牛の肉が検査を経ずに販売されている可能性があると米農務省のBSE検査官が証言したということを明らかにしているわけでありますが、そうしたアメリカの市民団体の公表した点も含めて、新たな防御システムに対する政府の評価というものをお伺いしたいと思います。
○中川政府参考人 今回追加的にとった措置の一つとして、BSE検査をした牛については、その結果がわかるまではホールドをする、フードチェーンには流さないということはアメリカ側も言っております。
ただ、その場合に、BSEの検査に回る頭数というのは非常に少ないわけですから、検査を受けないものについてはそのまま市場に流されてしまう、そういうことがありまして、その中に万一BSEの牛がいたとすればそれは市場に流れてしまうではないか、その点において不十分ではないかという問題点は、私の方から指摘をいたしております。
○山本(喜)委員 今御答弁がありましたけれども、要するに、アメリカの今の対応からすれば、安全に対する尺度が違うということでは済まないわけでございまして、まるで穴だらけの状況なわけであります。
したがって、このようなことでは到底輸入の再開は認めることはできないわけでありますけれども、先ほど来質疑がありましたけれども、日本政府が求めたとされる全頭検査などと同等の効果、これは、同等ということは日本で行っているようなことと同じということで理解していいですね。
○亀井国務大臣 そのようであります。全頭検査並びに特定部位の除去、こういうことでありまして、日本の検査と同じ、こういうことを考えております。
○山本(喜)委員 それから、既に出回っている約十四万件の牛肉並びに加工品、これについて調査した結果、八万五千件について回答があったというふうに報告があるわけでありますけれども、この既に流通しているものの安全性についての評価、危険なのか、販売自粛で済むのか、回収しなければならないのか、あるいはそれぞれ品目ごとに対応が違うのか、そういったことについてお伺いします。
○遠藤政府参考人 既に輸入をされました牛肉あるいは加工品等でございますけれども、私どもといたしましては、このうち、特定部位が含まれる、またはそのおそれがあるものについては回収をする、脊柱を含むもの、これはこれから規制が行われる、二月から規制が行われようとしているということで、これについては販売等の自粛を求めるというふうな方針で調査を行ったところでございまして、特定部位である子牛の脳約四十キログラムについて回収を指示し、脊柱の混入のおそれのあるTボーンステーキ約五十八トン、一次加工品百五十三トン、二次加工品五百七十三トンについて販売自粛を指導しているところでございます。
○山本(喜)委員 まだたくさん質問を用意してあったんですけれども、時間が三十一分までということで紙が来ましたので、最後になりますけれども、今回の問題、BSEあるいは鳥インフルエンザの問題でありますが、これは日本人の食生活がいかに危ういものであるかということを証明したと思います。一見豊かな食生活が保障されているように見えますけれども、牛肉や鶏肉が一国や二国からとまっただけで大変な混乱を来しているというのが今の日本の食料事情ではないのかというふうに思います。これは、食料自給率が先進国で最低ということでありますから、こういう事態が続けば、こういう問題がさらに繰り返される可能性が極めて高いわけでございます。
この牛肉、鶏肉だけでなくて、国連の食糧農業機関の二〇〇三年から二〇〇四年度の世界の食料需給見通し、米や小麦など世界の穀物消費量に占める在庫の水準は一九%で、過去二十年間で最低水準に低下している、今後途上国の消費拡大が進み、中国などで所得水準が高まって肉の消費量がふえれば、穀物飼料の需要がふえていく、そういうのが確実だというふうに新聞で報道されています。そうした中で、一億二千万以上の人口を抱える日本が日本の国民の胃袋を将来も安定して確保できるという保証は、今の時点では非常に危なっかしいわけでございます。
したがって、今後こういうふうな事態を繰り返さないために、国民に対して安心、安全な食料を安定して供給する、そういう体制づくりを政府としてどのようにとっていくのかということを最後にお伺いして、質問を終わります。
○亀井国務大臣 今御指摘のとおり、生活の変化によりまして、食料の自給率がカロリーベースで四〇%まで低下をしておるというのが現状であります。そういう面で、今回のBSEあるいは鳥インフルエンザの問題、食の安全、安心にかかわる問題が発生する中で、改めて、国民への安全で安心な食料の安定供給や食料の自給率の向上、この取り組みが大変重要なことと認識をいたしておるところでございまして、これらの問題につきまして、自給率の向上、具体的には食生活の大切さ、そういう面で食育の推進に向けた施策をまた国民的な運動、こういう中で進めていかなければならない、こう思っております。
あわせて、米政策の改革の推進を初め、農地や担い手の確保、技術の開発あるいは普及等、意欲と能力のある担い手が大宗を占める農業構造の確立、こういう面の努力もいたさなければなりませんし、生産、消費、両面からの取り組みを推進してまいりたい、このように考えております。
○山本(喜)委員 どうもありがとうございました。
○高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時三十一分散会