衆議院

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第4号 平成16年3月4日(木曜日)

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平成十六年三月四日(木曜日)

    午後四時四十七分開議

 出席委員

   委員長 高木 義明君

   理事 北村 誠吾君 理事 西川 京子君

   理事 松下 忠洋君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 小平 忠正君

   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      小野寺五典君    大野 松茂君

      梶山 弘志君    金子 恭之君

      木村 太郎君    後藤 茂之君

      後藤田正純君    谷  公一君

      玉沢徳一郎君    津島 恭一君

      永岡 洋治君    西村 康稔君

      野呂田芳成君    二田 孝治君

      岡本 充功君    鹿野 道彦君

      岸本  健君    楠田 大蔵君

      篠原  孝君    神風 英男君

      仲野 博子君    楢崎 欣弥君

      平岡 秀夫君    堀込 征雄君

      前原 誠司君    松木 謙公君

      西  博義君    高橋千鶴子君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣       亀井 善之君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   農林水産大臣政務官    木村 太郎君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         梅津 準士君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 関   一君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       遠藤  明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           三沢  孝君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福下 雄二君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月四日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     谷  公一君

  金田 誠一君     前原 誠司君

  篠原  孝君     平岡 秀夫君

同日

 辞任         補欠選任

  谷  公一君     佐藤  勉君

  平岡 秀夫君     篠原  孝君

  前原 誠司君     金田 誠一君

    ―――――――――――――

二月二十七日

 植物防疫法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(高病原性鳥インフルエンザ問題)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件、特に高病原性鳥インフルエンザ問題について調査を進めます。

 この際、政府から説明を聴取いたします。農林水産大臣亀井善之君。

亀井国務大臣 高病原性鳥インフルエンザにつきまして、近年の海外における発生状況を踏まえ、昨年九月に防疫マニュアルを作成するとともに、昨年十二月の韓国での発生拡大を受け、各都道府県等に対応の徹底を指示していたところであります。

 しかし、残念ながら、一月十二日に、山口県において、我が国では七十九年ぶりとなる発生が確認されました。その後、大分県、京都府でも発生が確認されております。

 発生が確認された場合には、本病の蔓延を防止するため、家畜伝染病予防法及び防疫マニュアルに基づき、発生農場におけるすべての飼養鶏の殺処分及び汚染物品の埋却、発生農場の周辺地域を対象とした移動制限等を的確に実施しているところであります。

 山口県の例につきましては、防疫措置を完了し、移動制限区域内の清浄性も確認されたことから、防疫マニュアルに即し、二月十九日に移動制限措置を解除したところであります。

 また、大分県の例につきましては、発生が小規模であったこと等も踏まえ、清浄性確認を行いつつ、移動制限区域等の見直しを行うこととしておりましたが、本日午前零時、半径五キロメートルの区域を除き、制限が解除されたところであります。

 一方、京都府のケースは、養鶏業者が通報せず、かつ、鶏が大量に死亡し始めた後も生きた鶏等の出荷を続け、出荷先でも感染が確認されるなどの問題が見られたところであります。

 こうした中、私みずから、三月二日から昨日にかけて京都府に現地視察に行き、府知事との会談や地元関係者との意見交換を行うとともに、発生農場における防疫対応を視察してきたところであります。

 その後、直ちに総理に御報告に参りましたが、総理からは、この問題は人の健康、食の安全、安心にかかわることであるので、関係府省が連携して、政府一丸となってしっかり対応してほしいとの御指示がありました。

 総理の御指示に従い、また現地の状況を踏まえ、蔓延防止対策を強化するため、昨日夕刻、省内の対策本部を開催し、次の点を指示したところであります。

 一、通報義務を明確化するとともに、立入検査の積極的活用により、早期発見、早期通報を確保すること。

 二、国が中心となって関係府県の情報を整理するなど、一元的な情報連絡網を整備するとともに、地方農政局の積極的活用を図り、行政の連携の緊密化を図ること。

 三、移動制限命令に伴い、鶏卵の保管や鶏ふんの処理ができないこと、損失が補てんされる制度がないこと等の問題の解決を図ること。

 四、風評被害の防止のため、食品安全委員会と連携し、食品としての安全性の明確化を図ること。

 これを受け、本日、各都道府県知事に通知を発出するとともに、全国都道府県部長会議を開催し、周知徹底を図っていくこととしております。

 今後とも、厚生労働省、食品安全委員会等の関係府省と密接に連携をとり、万全の対策を講じてまいる考えであります。

 委員各位におかれましては、引き続き、一層の御理解と御支援をよろしくお願いいたします。

高木委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、内閣府食品安全委員会事務局長梅津準士君、警察庁長官官房審議官関一君、防衛庁運用局長西川徹矢君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、健康局長田中慶司君、医薬食品局食品安全部長遠藤明君、職業安定局次長三沢孝君、経済産業省大臣官房審議官福下雄二君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷公一君。

谷委員 兵庫五区選出の谷公一でございます。昨年秋、初めて当選いたしました。

 実は、この京都の地元は田中先生でございますが、きょう予算委員会で関連質問もされたわけですが、私の選挙区も丹波地域が隣接しておりまして、大変養鶏農家も関心といいますか、我が身の問題としてこの問題をとらえているところでございます。

 ただ、そういう中にあって、なかなかいろいろな情報が混乱しておりまして、例えば、原因のもともとの農場でも、けさのNHKのニュースで初めてといいますか、二十万羽と言われていたのが二十五万に修正されるというようなこととか、まだ感染経路が特定されていない、あるいは出荷量もまだきちんとフォローできていないところがある等々、いろいろな問題があろうかと思います。

 しかし、いずれにいたしましても、浅田農産の船井農場の責任というのは、今まで報道されるいろいろな事実を見る限り、免れることができないのではないかというふうに私自身思っているところでございます。京都府警の方は、捜査本部といいますか、立件に向けて動き出したというようなことが新聞報道されておりましたが、農林水産省の方では、そういう今までの判明している事実などを見る限り、どういうふうに対処しようとされているのか、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 この高病原性鳥インフルエンザにつきましては、昨年九月防疫マニュアルを作成し、配付し、先ほども報告したとおりでございます。また、七十九年ぶりに国内発生、こういうことで、本年一月には早期通報を要請するなど、全国的な警戒態勢をしいていたところでありました。

 京都府のケースで養鶏業者から通報がなされなかったことは、防疫マニュアルに明らかに違反している、このように考えております。また、家畜伝染病予防法では、患畜の疑いがある家畜を診断した獣医師に対し、または獣医師による診断を受けていない場合にはその家畜の所有者に対し、都道府県知事への届け出の義務を課しているところでありまして、まずは防疫措置を徹底することが最重要と考えているところでありますが、この届け出義務に反しているか否かにつきましては、今後、京都府等から経緯を正確に聴取した上で、告発も視野に入れて判断をしてまいりたい、このように考えております。

谷委員 大臣も現地に行かれて大変お疲れのこととは思いますが、今御答弁ございましたように、告発も視野に入れて毅然としたといいますか、国民は、行政というのか特に農林水産省の対応、どういうふうにこの問題に対処するのかというのを見ているかと思うんです。ぜひその期待に沿って、お疲れのこととは思いますが、正念場だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 少し実務的な話になるわけでございますが、現在の制度からいいますと、移動制限の期間は最終処理に係る防疫措置の完了後二十八日以上ということになっているかと思うんです。そうなると、防疫措置の完了というのは、いつ終わるのか。どういう作業手順でどういうような人員の体制で、一番知りたいのは、どれぐらいかかるのかというのが地元としては大変関心があるわけです。

 京都の方が二十五万羽でございますが、実は、兵庫県の八千代町の方の防疫措置もあるわけでございます。まだ始まったばかりで、きちんとした見通しは難しい面もあるかとも思いますけれども、しかし、現在の見通しはどうなのかということについてお答えをお願いしたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生からは防疫措置の終了期間はどうかというお尋ねでございますが、恐縮でございますけれども、現在やっと埋却のところの作業が始まったばかりでございまして、マニュアルによりますと、発生農場におきまして感染をいたしました、あるいは殺処分をいたしました鶏の埋却あるいは汚染物品の埋却が終わったところから日にちがスタートするわけで、そこを起点といたしまして二十八日たったところで一応の清浄化が図られた、清浄化のさまざまな規制が解除されるというふうになってございます。もちろん、この間、現地におきまして清浄化のための調査というものを随時行いたいというふうに思っておりますが、現在のところ、いつというめどが、まだ具体的に申し上げる段階ではございません。

 それから、兵庫県の方の食肉処理場での扱いでございますけれども、これは、京都府からの鶏が運ばれたことによって、そこで岡山から来た鶏に感染をしたということがわかっておりますので、こちらにつきましては、半径五キロのところで今移動の自粛をお願いしているところでございますが、関連の農場等の調査が判明いたし次第、清浄性が確認をされますれば、移動の自粛等については解除する予定でございます。

谷委員 いつ解除というよりも、この作業のめどなんですけれども、まず、兵庫県の八千代町では、地元の方が井戸水を使っているということで現地での処分はなかなか難しい。それで、近くの家畜保健衛生所の方もなかなか機械が小さいので日にちがかかるということで、聞いているところでは、姫路の方の民間の業者、産業処理業者に頼む、そうすれば一日、二日で終わる。そういうふうに聞いているんですが、問題は、より影響が大きいのは京都の方かと思うんです。

 それで、京都の方は、京都府庁だけではなくて、周辺の市町なり京都府警の機動隊、あるいは陸上自衛隊中部方面隊の方、第三師団だと思うんですけれども、そこまで人的な応援を頼んでいる。そうしたら、少なくとも防疫措置の完了というのは、いろいろな検査もあるでしょうけれども、物理的に、ではその二十五万羽が埋め終わるのは大体どの程度かかるというのか、めどにして今臨んでいるのかということでもお答えできればというふうに、再度お願いします。

中川政府参考人 現地においてはそういった一般の職員、あるいは、実は京都府の方から要請があれば、近畿農政局の方がいろいろなお手伝いの可能性を今模索をしておりまして、そういった近隣の府県にも要請をする準備をいたしておりますけれども、先生、申しわけございませんが、私、今現在この埋却作業について何日で完了するというところについて現地から報告を受けておりませんので、この場で確たることを申し上げることができません。申しわけありません。

亀井国務大臣 補足をしてお答えいたします。

 私、参りまして、当初は京都府の職員の方々が、もう本当にあの劣悪な臭気と、そして鶏がまだケージに横になっている、中には生きているのもあるわけでありますから、大変なところでありまして、四交代で、そしてゴーグルとマスクと、もう本当に二時間続けて作業することはできない、こういう状況下であります。

 そこで、知事さんのお話ですと、最初は二千五百羽の処理だったと。しかし、次に八千羽を処理、その体制で八千羽を処理することが、さらには、機動隊、自衛隊等の応援ということになりますと、この間の時点、きのうは二万羽の処理ができたかな、こう思います。その後いろいろの体制を整えていただいておりますので、二十五万羽というような、二十万羽が五万羽ふえているような状況下でありますから、ようやく埋却の場所もきのう、きょうではもうすべて掘削の作業が完了しておるのではなかろうか。そういうことで、本当に厳しい条件下でありますけれども、懸命な努力をしていただいております。

 知事さんも、もう短期間に何とかしようと大変な意気込みをちょうだいしておりますので、いつということはなかなか申し上げられませんけれども、今そのような、総力を挙げた体制で臨んでいただいておりますことを申し上げたいと思います。

谷委員 どうか、なかなか大変なことだと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、移動制限期間と距離のことなんです。

 半径三十キロ以内の区域、二十八日以上ということが現行制度であろうかと思いますが、ただ、昨日の夜開かれたいろいろな専門家会議でも、もっと短縮というのか、あるいは柔軟に対応していいんじゃないかという声も出たように聞いているわけでございます。その点についてのお考えといいますか、要は地元の方からは、安全ということは十分気をつけなければならない、しかし、余り硬直的に、何日たたなければ絶対だめだとか、そうではなくて、柔軟にその状況をきちんと把握しながら対応してほしいという大変強い声がありますので、そういう声を踏まえて御回答を願いたいと思います。

中川政府参考人 移動制限の範囲と、それから移動制限を解除するまでの日にちについてのお尋ねでございます。

 当初、このマニュアルを昨年の九月につくりましたときは、まだ日本に発生をしていないということでありまして、できるだけ安全を見越して家きん疾病小委員会でもっておつくりをいただいたわけでございます。

 三十キロの移動制限の範囲につきましては、このウイルスが昆虫などに付着して移動する可能性がある、そういった知見もあるということが一つの専門家の判断になっているわけであります。

 それから、移動制限の期間の二十八日間でありますけれども、OIEの基準で、当時この高病原性鳥インフルエンザにつきまして、ルール上は二十一日になっておったわけでありますが、二十八日に延長するというふうな議論も行われていたことを踏まえまして、二十八日間というところで現行は決まっているというわけでございます。

 ただ、先生今おっしゃいましたように、日本でも三例発生をいたしまして、その間に実態、いろいろ知見も得てまいりました。もちろん、おっしゃいましたように、まず安全を確保するということが大事でありますけれども、他方で、実際に現場での清浄性の確認をいたしますとか、あるいはさまざまな知見を加えまして安全性の確保をしながら、一方で現実的な対応もしたいというふうに思っております。その際には改めて具体的な基準を設定いたしまして、マニュアルを改定いたしまして、現実に即した対応をいたしたいというふうに思っております。

谷委員 ぜひ、そういう専門家の御意見も踏まえながら、必要ならばできる限り早いマニュアルの改定などもお願いしたいというふうに思います。

 次に、ワクチンのことでございますけれども、ワクチンの評価というのは大変難しいところがあるかと思うんです。私も少しお話を聞いたんですが、正直な話、どう判断していいのかなかなかわからないというのか、自信ありません。

 それで、リスク評価を食品安全委員会にこの一日に依頼したということでございまして、たしかきょうから審議開始というふうに聞いておりますが、一体いつぐらいをめどに答申を出されるのかということをお尋ねしたいと思います。

梅津政府参考人 鳥インフルエンザ不活化ワクチンを使用した食品の安全性につきましては、今お尋ねありましたように、農林水産大臣及び厚生労働大臣から三月一日付でリスク評価を求められたところでございまして、きょうの食品安全委員会で説明を受けまして、動物薬の専門家で構成される専門調査会において、提出された資料やデータ、文献等に基づいて科学的に、可能な範囲で速やかに評価を行ってまいりたいと思っております。

 ただ、専門調査会、できるだけ早く開催する所存でございますけれども、評価の結果につきましては、通常国民からの意見、情報の募集を行っているところでございます。

 いずれにしましても、可能な限り迅速な評価に努めてまいりたいと思っております。

谷委員 できる限り、できるだけ、つい我々は早く早くと思ってしまうんですけれども、しかし、これは事安全にかかわる問題だと思いますので、専門家なり関係の方の意見を十分踏まえて、しかし、スピードを争うということもまた事実であろうかと思いますので、その辺のこともよろしくお願いしたいと思います。

 それで、こういう事態といいますか、特に京都の進展などを踏まえて、もうこのままでは現行法ではだめではないか。例えば、届け出義務を強化して、罰則を強化して、家畜伝染病予防法を改正する、そういう法律の改正をしないと今後有効な方策にならないのではないかということで、法改正の検討に着手しているということが報道されているわけでございますけれども、どういうような具体的な検討を進められているのか。今、当面の対処で大変ばたばたといいますか、追われているということは事実であろうかと思いますけれども、しかし、そういう制度面でのあれもまた、早急な対応というのも同時並行的に迫られているかとも思うんです。その点についての進捗状況といいますか検討状況といいますか、お尋ねしたいと思います。

中川政府参考人 昨日、農林水産省の対策本部が開かれまして、この京都の第三例目の事態も踏まえまして、今後強化をすべきさまざまな課題について決定がされたところでございます。

 今先生がお尋ねになりました罰則強化等の問題につきましては、この高病原性鳥インフルエンザへの対応のまず第一の要諦は、早く把握をして早く対処をするということでございます。そこで、今回の京都府のケースは、業者からの通報がなくて、匿名の通報によって初めて事態が明らかになったわけであります。こういった点を踏まえますと、蔓延防止のために万全を期すという視点からは、養鶏業者の方々から迅速な通報を確保するということが大変大事だということでありますし、そのためには、いろいろな、その通報によりまして周辺の関係業界の方々が被害をこうむらないようにするということもまた大事でございます。

 こういった点が一つの検討の課題でありますし、また、罰則の強化ということで申しますと、やはり業者の方々からもきちっと報告を受ける。これは、現行の家畜伝染病予防法におきましても報告徴求というものができることになっております。今の規定を活用いたしまして、きょう都道府県に通知を発出いたしましたが、この家伝法の五十二条に基づきまして、養鶏業者の方々から、一週間に一度、どれだけの死亡羽数があるかといったものをきちっと県の方に御報告をいただく、それによって異変があれば、行政の側もきちっと把握ができる、そういうシステムにしたいというふうに思っているところでございます。

谷委員 それでは、ちょっと幾つか御質問したいことがあったんですが、時間のあれもございますので、補償についてお尋ねしたいと思います。

 どこまで補償するかということでございますけれども、山口の例などからいいますと、周辺農家についても補償をしたということでございます。しかし、自粛要請期間も含めて半径三十キロ以内あるいは五キロ以内というふうに縮小になった地域もございますけれども、そういった対象農家についてきちんとして、補償をしていただきたいという要望は、当然のことながら養鶏農家から大変強いものがございます。その点についてのお考えといいますか方向性といいますか、考え方、ぜひ前向きにお願いしたいと思います。

金田副大臣 各方面からそのような補償の要求というのが相次いでおります。現在の家畜伝染病予防法では移動禁止をしているだけであって、廃棄を命じているわけではないからという、補償の規定がございません。補償の規定がないために、周囲の農家に多大な損害を与えるのではないかという心配が先立ちまして届け出を怠るというような事態があってはならないと思っておりまして、こういう、今までケース・バイ・ケースでこの補償をやってまいりましたけれども、これから恒久的な形あるいは制度的な形でこの補償の問題をしっかりと取り上げていく必要があるなということで、今検討をしているところでございます。

谷委員 ぜひ、副大臣の積極的な御答弁といいますか、今後の取り組みを期待いたしたいというふうに思います。

 最後に、少し観点を違えまして、消費者のサイドに立った場合、WHOの例などを見まして、いや、これは食べても感染した例はありませんと、一方で既にいろんな場合といいますか、いろんな機会にPRしている、そういうPRがある。しかし、現実に、山口なり今回の京都などの場合に自主回収の要請をしているという、そういう行為がある。一見安全だとPRしながら、やはり自主的に回収してほしい、そういうことは何か矛盾しているようにも思いますけれども、その点も踏まえて、厚生労働省の今後のPRといいますか、安全性についてのPRの方策といいますか考え方といいますか、お尋ねしたいと思います。

遠藤政府参考人 店頭にございます鶏の肉あるいは卵について自主回収が行われているという件につきましては、家畜防疫の観点から対応が講じられているものと承知をしているところでございまして、私どもの方、食品衛生法に基づいた回収については、議員も御指摘のように、食品を通じて人が感染した事例がないということから、回収を命じてはおりません。

 PRについてでございますけれども、山口県における事例の発生当初から、厚生労働省のホームページに鳥インフルエンザに関するQアンドAを掲載し、正確な情報の提供に努めているところでございますし、また、今後とも、農林水産省あるいは食品安全委員会等とも連携をとってPRに努めてまいりたいと考えております。

谷委員 ありがとうございました。御健闘をお祈りいたします。

高木委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、私は、鳥インフルエンザが我が国で七十九年ぶりに発生したという山口県から選出されている議員としても質問させていただきたいというふうに思っておるわけであります。

 実は、きょう、民主党の鳥インフルエンザ対策本部の本部長であります菅直人代表以下数人が京都の方に入って、今回の発生についていろいろな調査等を行っているわけでございますけれども、大臣も昨日入られたというふうに伺っておりますけれども、大臣は山口県の方は入られましたでしょうか。

亀井国務大臣 私、山口県の方には行っておりません。

平岡委員 先ほども申し上げましたように、七十九年ぶりに発生した山口県でも相当な被害があったという状況でありましたけれども、山口県には入らないで今回京都には入ったというのは、何か事情の変更等あったんでしょうか。

亀井国務大臣 国会の関係等、また、私自身、地元神奈川県にも大養鶏場がありまして、その養鶏場には何回か行った経緯もありまして、養鶏場のことにつきましてはそれなりに承知をして、まず防疫マニュアルに従いまして、関係の皆さん方が大変な御努力をいただいている、その仕事がスムーズにいくことが、まず一日も早く終息ができる体制、その支援を行うことが当面の課題、このように思っておったわけであります。

平岡委員 確認の意味で、別に山口県のを軽く、あるいは大分県のを軽く見て、京都のを重く見ているということではなくて、やはり鳥インフルエンザ問題は、我が国全国どこでもあり得る問題ということで、共通に高い関心を持って、あるいはこれから意欲を持って取り組んでいくということには変わりはないということを、ちょっと最初に御確認をさせていただきたいと思います。

亀井国務大臣 どこに限らず、この問題、大変重要な問題でありますので、総力を上げた体制でしっかりやらなければならない、こう思っております。

平岡委員 実は、山口県については、菅直人代表、民主党の代表が一月の二十五日にやはり入りまして、私も一緒に行ったんですけれども、最初に七十九年ぶりに我が国で起こったということでございましたので、我々としても高い関心を持って当初から取り組んでおったわけでございます。

 山口県についていうと、一月の十二日に鳥インフルエンザということが確定をしたといいますか、いろいろな検査の結果としてそうであるということが決まったわけでありますけれども、その後の話として、農水省としては、こうした鳥インフルエンザがほかの地域に広がらないようにという意味で、何か対策といいますか措置を講じられたんでしょうか、まずその点をお伺いしたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず山口県での発生が確認されまして以降、十五日には専門家による会議を開きまして、どういうことをやるべきかというふうな点についてアドバイスをいただきました。

 それから、一月の十九日だったと思いますけれども、各都道府県に通知を出しまして、これはもともと、韓国で昨年の十二月に発生が確認されましたときに担当の課長名でも通知を出しておったわけですが、今度はいよいよ国内で発生をしたということで、十九日に局長名での通知を出しまして、各都道府県においてきちっとした取り組みをしていただくようにということで、念を入れて、万全な対応をお願いしたということでございます。

平岡委員 そうした対応の一つとして、実は一月の十五日に、農水省の畜産部の食肉鶏卵課長さんの方から、「関係団体各位」へという文書が流されております。この中に実はこういうくだりがあります。「高病原性鳥インフルエンザは、発生した農場では、家畜伝染病予防法に基づき殺処分、消毒等のまん延防止措置が実施されることになりますので、これらの感染鳥やその卵が食品として市場に出回ることはありません。」というくだりなんですね。

 これは先ほど予算委員会でもちょっと議論されまして、何が議論されたかというと、先ほど厚生省の方が、ホームページで食品の安全性等についてはPRをしているんだというときに使われている文言と同じような表現になっているわけですね。先ほど同僚議員がこの点について、厚生労働省、これは間違っているんじゃないか、今回のこの京都のケースでいったら、これは何か出回っているんじゃないか、これはちょっと正確性に欠ける表現ではないかということを指摘したところ、坂口厚生労働大臣は素直に謝罪をされたんですけれども、大臣、どうでしょうか。この表現について、これは必ずしも正確ではないというふうに思うんですけれども、この点について大臣としてどう思われますでしょうか。

亀井国務大臣 若干誤解を受けるような表現が入っておると思います。卵並びに鶏肉につきましては、それから感染しない、感染した例は、報告はまだ世界的にない、こういう認識の中で表現をしたんではなかろうか、こう思います。そういう面で、若干、理解がすぐできるような状況、誤解を受けるような表現になっているということは、反省しなければならないと思います。

平岡委員 これはちょっと事前に通告していなくて、先ほど予算委員会でそういうやりとりがあって、大臣もそこにおられて聞いておられたので、多分同じような気持ちを持っておられるんじゃないかなということで、確認の意味で質問をさせていただいたということでございます。

 そこで、この鳥インフルエンザの問題についていいますと、やはり、これからどうなってしまうんだろうかということについて国民の多くの人たちが不安、心配になっているのではないかというふうに思うわけです。その不安を取り除いていくためには、まずやはり、どうして発生したのかというようなことをきちっと突き詰めていくことが必要ではないかというふうに思うわけですけれども、その前に、一体我が国ではどれだけの鳥インフルエンザの発病ケースが生じているのかということについて、まず確認の意味で答弁を求めたいというふうに思います。

 これは多分、野鳥も含めてお聞きしなければいけないんだろうというふうに思いますので、最初に農水省の方から農水省所管関係の鳥インフルエンザの発生状況についてお答えいただいて、その後、環境省でよいんだと思いますけれども、環境省の方から、野鳥の我が国における発生状況についても御答弁願いたいというふうに思います。

中川政府参考人 我が国におきます高病原性鳥インフルエンザの発生の確認状況ということでございますが、まず初回、第一例目が山口で起こったものでございます。それから、その次に大分で起こっております。

 さらに、今回、三例目として京都で発生をした。ただ、この京都の場合につきましては、一つは届け出がなかったということでもって、そこの発生農場から生きた鶏が兵庫県の食鳥処理場の方に出荷をされた、そこで岡山から来た鶏に感染をしたということがありまして、これは発生源が京都ということがわかっておりますから、これも一つとして数えれば、それが第三例目。

 さらに、まだこれは簡易検査によって陽性が確認されたという段階ではありますけれども、同じ京都府の丹波町でもって、さっき申し上げた事業所のところから五キロほど離れたところで、とりあえず簡易検査の結果陽性だという事例があるということでございます。

小野寺政府参考人 環境省がこれまで情報を収集した限りでは、我が国において鳥インフルエンザに感染、死亡した野鳥の例は報告されておりません。

 ただ、外国の事例では、一九六一年に南アフリカでアジサシの種類の鳥が多数死亡しているという報告がありますし、また、ことしの一月から二月にかけて、タイ中西部でコウノトリ科の鳥約二百羽が死亡している、そのうち数羽についてはこのウイルスに感染しているという報告が二例ほど海外事例ではございます。

平岡委員 そういう発生状況ということではありますけれども、最初、私が申し上げましたように、山口県で発生し、そしてそれが鳥インフルエンザであるということが確定したのが一月の十二日ということであります。それから二か月近くがたとうとしているわけでありますけれども、山口県のケースが一番早いから、多分山口県が調査をすれば一番早く解明されるんだろうと思いますけれども、この感染ルートの解明というのはできているんでしょうか。もしできていないとするならば、一体いつごろまでにはできそうというような見通しが立っているんでしょうか。

中川政府参考人 感染ルートの解明、今、幾つかの手法を兼ね合わせながらやっているところでございまして、一つは、ウイルスの遺伝子の解析によるものでございまして、もう一つは疫学的な調査によって原因の感染ルートの究明をしようとするものでございます。

 ウイルスの方の遺伝子解析の状況でありますけれども、山口の例と、それから二例目の大分の例については、非常に似通った近類のものであるというのがわかっております。他方で、山口の、第一例目のウイルスは、香港やベトナムで鳥インフルエンザに感染した人から分離されたウイルスとは異なっているということもわかっているわけでございます。

 他方で、山口と大分の場合の疫学的な、つまり人なり車両なりの動き等から疑われる例がないかということ、そういった視点からの調査でありますけれども、こちらの方は、そういった原因と思われるような事実が判明いたしておりません。今回、京都でも発生がありましたので、この京都の例も踏まえて、さらに今、この新たな知見を得ながら絞り込んでいくということがこれからの作業でございます。

 もう一つは、渡り鳥などからの感染が本当にあるかどうかといった、そういった調査も今いたしておりますけれども、こちらの方は、渡り鳥からのウイルス分離など現在やっているところでございまして、まだ私ども、この結果を得ていないわけであります。

 先生おっしゃいますように、感染ルートの解明、究明、できるだけ早くというのは当然のことでありまして、私どもも一生懸命やっているわけでありますが、まだ、現時点におきまして、いつごろまでにこれを究明できるという具体的なめどを申し上げられない状況でございます。

平岡委員 見通しが立たないものを見通しを立てろというのも言い過ぎだろうと思いますから、それはできるだけ早く感染ルートの解明をしていただかなきゃいけないんですけれども、これをするためには、ただ単に農水省だけが頑張ればいいという話ではなくて、多分、全省庁挙げて、関係する省庁挙げて取り組んでいかなければいけない。本来であれば、このための特別な組織というものも必要なのかもしれませんけれども、とりあえずは、この問題が発生しているところは農水省所管ということでありますので、この感染ルートの解明をできるだけ早期に、政府が総力を挙げて行っていくんだという決意を農水大臣から伺いたいというふうに思います。

亀井国務大臣 この鳥インフルエンザのことにつきましては、関係府省の会議も発足をしておるところでありまして、この感染ルートの解明、これは関係省庁は密接な連携をとってやらなければならないわけであります。

 そういう面で、今回の発生につきましては、発生場所での人、車両の出入り等の疫学調査に加えまして、原因究明を総合的に進めるために、科学技術振興調整費による緊急調査の研究が行われておるわけでありまして、関係府省、関係機関が連携して、遺伝子解析等によるウイルスの由来の解明、あるいはウイルスの病原性の解明等の研究を行うこととしております。

 関係府省、厚生労働省とか環境省、動物衛生研究所、国立感染症研究所、国立国際医療センター、東京大学の医科学研究所、自然環境研究センター、鳥取大学、北海道大学、これらが、いろいろ専門的な分野の、ゲノムであるとかウイルスの病原性の解析とか感染予防対策、このように三部門に分けられまして、今、その解明のための努力をしているところであります。技術的な、また科学的な問題でありますから、いつということはなかなか難しいことでありますが、やはり感染経路、感染の根本的な問題を早期に解明することが必要なことでありますし、その努力をしてまいりたい、こう思っております。

平岡委員 決意はしていただいたと思いますけれども、本当にその決意が実際に成果となってあらわれるように、しっかりと頑張っていただきたいというふうに思っております。

 ところで、被害を受けた農家に対する対策といいますか、これ以上、この鳥インフルエンザを人為的な要因で蔓延させないための話の一つとして、やはり補償のあり方ということをしっかりと考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思っているわけであります。

 実は、先ほど私申し上げましたけれども、山口県の被害を受けた農家の方々のところに伺いまして、その後、一月の二十七日に、予算委員会の補正予算審議で私この問題を取り上げさせていただきまして、農水大臣にもあるいは総理にも、その補償対策についてしっかりとした対策を講じていくんだ、そういうお話をいただいております。

 そして、その結果ということではないのかもしれませんけれども、その後に、一応農水省の方からは、高病原性鳥インフルエンザまん延防止緊急対策というようなことで対策が打ち出されまして、先ほど谷委員の方からもその話が出ておりました。しかし、この対策の中身を見てみると、本当にこれで政府として責任を果たしているのかどうかということについては、大変疑問に思っております。

 実は、山口県の方では、この対策では決して十分ではないということで、みずから身銭を切って対策を拡充させているというようなことがございます。具体的なことはここで触れる必要はなくて、多分農水省の方々も御存じだと思いますけれども、若干金額的なことだけを申し上げますと、山口県で起こった鳥インフルエンザに対するいろいろな補償の問題としては、所要額、大体予算として見積もっているのが四億四千三百万円。そのうち、国から補てんされるものが一億三千八百万円、そして県が負担するのが三億五百万円といったような状況になっているわけですね。かなり県が自分の財源を使わなければいけない、こんなような状況に実はなっているわけであります。

 私としては、この問題は、先ほど言いましたように、被害を受けた農家の方々に対する補償という問題ではなくて、これからこの鳥インフルエンザが人為的な要素でさらに蔓延しないように、例えば、今回の船井農場で起こったような通報がおくれた、届け出がおくれたというのは、一つは、これをこのまま届け出をしてしまったら自分がどれだけの損失を受けるかわからないといったようなことも、多分要因としてはあったのではないかなというふうにも思うわけですね。

 そういう意味で、しっかりとした対策を講じていただきたいと思うんですけれども、その前に、ちょっと総務省にお聞きをしようと思います。

 実は、きょうだったかきのうだったかの報道の中で、地方公共団体がこの鳥インフルエンザの問題に関してかかった費用については、特別交付税で面倒を見るんだというような報道がなされているわけでありますけれども、この報道は事実なんでしょうか。そして、事実かどうかは別としても、今、総務省としては、地方公共団体の財政負担に対してどのような対策を講じようとしているのか。この点について御答弁願いたいと思います。

瀧野政府参考人 鳥インフルエンザにつきまして、自治体に対する支援策についてのお尋ねでございます。

 鳥インフルエンザにつきましては、法定の伝染病でございます。まずは所管省において総合的な対策を講ずるべきだというふうに我々は考えております。こういった所管省の対策を踏まえまして、地方団体が独自に行う施策などにつきまして、その地方の負担の実情を伺いました上で、関係省庁とも連絡を図りながら、関係地方団体の財政運営に支障がないようにしていきたいというふうには考えておりますが、今のところまだ、新聞に出ましたようなことをはっきり決めたという段階にはないわけでございます。

平岡委員 いつもそうなんですけれども、新聞の方に先に出て、国会で聞くと、いや、そんなことはありませんといって答えられて、その後また新聞に書いてあるのとほぼ同じようなことが決まってしまうという、甚だ国会議員としてせつない状況に置かれることが多いんですけれども、今、そうした地方公共団体が受けている財政負担に対して何らかの対策を検討している、そういう状況にあるということは確認はさせていただけるんでしょうか。どうでしょう。

瀧野政府参考人 我々、一般的に申しまして、地方団体の財政運営に支障がないようにするという使命を持っているわけでございますので、そういう意味では、いろいろな財政事情、特別の財政事情については把握しなければいけないというふうには考えております。

平岡委員 一般論としてはそうなんでしょうけれども、この件に関して、今どういう状況なんでしょう。

瀧野政府参考人 先ほども申し上げましたように、鳥インフルエンザは法定伝染病でございますので、農林省の対応を見きわめて対応していきたいというのが我々の今の考え方でございます。

平岡委員 総務省自治財政局は、まず農水省さんのアクションを期待しているというようなことのようでありますけれども、農水省の方では、三月の一日に、高病原性鳥インフルエンザ対策本部で、こういうことを決定しておられるようであります。これは文書が出ているので、そういうことだと思います。「周辺の移動制限措置により影響を受ける農家等への支援措置については、まん延防止の徹底を図る観点から、その恒久化・制度化について、早急に検討すること。」ということがあります。

 これは「周辺の移動制限措置」ということが明示的に書かれているので、発生農家については直接書かれていないんだろうと思いますけれども、先ほどありましたように、発生農家についての損失補てんの八割ということがこれで十分であるのかどうかというようなことも含めて、いろいろ支援措置ということ、あるいは補償措置ということを考えなければいけないというふうに思っているんですけれども、これが、実は「早急に検討すること。」と書いてあっても、具体的な中身がわからないと、農家の方々はどんなものが出るかわからないから、やはり今のうちに損をしないように売れるものは売っておこうとかいうような行動に出てしまうおそれも十分あるんだろうと思うのですね。

 そういう意味では、具体的に予算化ができるとか、あるいは法案の作成のめどが立つとか、そういうようなところで発表するのではなくて、もっと前広に、こんなことをやっていくんだということを世の中に公表してほしい、関係する農家の方々が安心できるように早く発表してほしいというふうに思うんですけれども、この点について、農水大臣、どのようにお考えでしょうか。

亀井国務大臣 山口県のケース、このこともあるわけでありまして、そういうものを含めてどう対応するか、農水省としても、先ほど申し上げましたとおり、関係府省の会議もスタートしておるわけでありますから、政府を挙げてどう対応するかということにつきまして十分考えてまいりたい、このように思っております。

平岡委員 私が言っているのは、十分に考えるのは多分考えられるんだろうと思いますけれども、早く決めないとみんな不安に思って、何をやってくれるんだろうかということで、決してこういうふうに発表したことがいい結果をもたらさない。だから、早く発表する、早く決めて早く発表することが大事だということを重ねて申し上げたいというふうに思います。

 ところで、そういうふうに決めていただいた措置なんですけれども、実は、既にもう山口県に対しては、先ほど言いましたまん延防止緊急対策という中で、措置の中身としてはもうこういうものを出しましたよということがあります。これで農水省は十分だと多分思ってはおられないと思うんですけれども、これからつくられる、恒久化、制度化について早急に検討するというふうな対象になっている支援措置について決められた場合には、既に発生をしている大分あるいは山口、こうしたところについても同様に適用をするということであるという理解でよろしいでしょうか。

亀井国務大臣 これからの検討、法制化の問題等々を考える中で、その整合性、こういうことを十分考えていかなければならないわけでありまして、この遡及適用、その制度化の問題等につきまして考える、これは、現実に遡及するということは困難な点があろうかと思いますが、十分検討してまいりたい、こう思います。

平岡委員 一般に、国民にとって不利益なことを遡及させるというのはいろいろ法制上、法律上の問題もあるかと思いますけれども、国民にとってみて利益になるような話なら、これはぜひ遡及適用ということを考えていただきたい。

 なぜこんなことを申し上げるかというと、やはりいつ、どんなことがまた起こるかわからないといったときに、新しく起こったことについては、これはもうそれだけしか措置はないんだということになってしまいますと、いろいろな不公平も生じてきますし、それから、本来いろいろ蔓延防止措置を講じていかなければいけないときに、その効果もはっきりとあらわれてこないというふうなこともありますから、平等の観点からも、しっかりと遡及適用についても考えていただきたいというふうに思っているわけです。

 ところで、実はこの問題をやっていましたときに、ある新聞記事に出会いました。どういう記事かといいますと、鳥インフルエンザ生産者互助基金というものが、養鶏協会が主体となって行われていると。この鳥インフルエンザが実際に日本で起こるまでは非常に小さい加入者しか、規模としては小さかったのが、これが起こってからかなり大きな規模まで急成長をしたというようなことがあるわけであります。私は、ある意味ではこういった互助制度的なもの、あるいは共済的なもの、さらに言えば損害保険的なもの、こんなものがやはりこの鳥に関してもあった方がいいんじゃないかというふうにも思っているんですけれども、この点について、農水省としてどのようにお考えになっているか、大臣からお答えいただきたいと思います。

亀井国務大臣 現在、家畜の死亡につきまして、廃用、疾病及び損害の事故に対する損害保険的な仕組みとしては、牛、馬及び豚を対象とした家畜共済制度があるわけでありまして、鶏は対象とされていないわけであります。これらの点につきましてもいろいろ、今日まで養鶏団体からはこの共済の問題につきましては御要請も少なかった、このように承知をしております。

 これは保険技術的な問題でもありますので、十分検討していく必要がある。なかなか、適切な補償額の設定方法や損害評価方法が確立できるかどうか、あるいは保険の仕組みによる事業運営が適切に行われるだけの保険母集団が確保されるかどうか、こういう問題もあるやに承知をしております。

 なおまた、互助制度の問題、今日、日本養鶏協会におきまして、みずからの取り組みとして、鳥インフルエンザ生産者互助基金事業、これをお考えと。この問題につきましては、この助成の制度化につきましても早急に私どもとして検討してまいりたい、このように考えております。

平岡委員 農業経営、この養鶏の事業も含めて考えてみますと、農業経営というのをいかに近代化させていくかというときには、やはりいろいろなリスクに対してはそれに対応する仕組みがあるということが必要なことではないか。そのことが、ある意味では公的な資金に依存しない形で農業経営が行えるということになるんじゃないか。

 例えば地震保険といったようなものをとってみると、基本的にはまず民間でやっていただくけれども、民間だけでたえられないような大きなリスクが顕在化したときにはそこで国も出てくるというような形のものというのは、私はそれなりに合理性があるんだろうというふうに思うわけですね。先ほどの鳥インフルエンザ互助基金についても、既に基金残高、これは二月の二日時点で八千四百万円まで大きくなっているというふうなことでございますから、多分具体的な要請はなくても、こうした仕組みをしっかりとつくっていくことのニーズはあるのではないかというふうに思います。

 そういう意味で、しっかりと、農業経営の近代化という観点からもこうしたものを考えていただきたい。そして、先ほど申し上げましたように、これで対応できない大きなリスクに対しては公的な支援も考える、そういうことをぜひ検討していただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

高木委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 主に亀井農水大臣に質問させていただきたいと思います。

 昨日は京都まで行っていただきまして、浅田農産の現場を視察していただきまして、本当にありがとうございました。私も本日、我が党の菅代表とともに現地に行ってまいりました。ただし、二次感染といいますか、別の養鶏農家から陽性反応が出たということで、これ以上の拡大というものが、我々が入ることによって、マスコミ等あるいは別の方も入ることによって拡大をしたのでは何のための視察かわからないということで、現地の中の立ち入りについては自粛をさせていただきました。

 しかし、府庁において山田知事とお会いをしたときに、昨日亀井農水大臣が入られたビデオを見せていただきまして、そのビデオを見ながらまた要望も聞かせていただきましたので、その点について質問、要望をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、昨日視察をいただいたところでございますけれども、現在、京都府におきましては、三百人体制で浅田農産の死亡した鶏、あるいは生きたままの鶏を処分する。そしてまた鶏ふん、そして卵、こういった処理というものを三百人体制で六班に分けて行われているわけでございますけれども、数が追いつかないということでございます。

 初めは十七万羽とか言われて、次に二十万羽、ひょっとしたらもっといたんじゃないかということで、だんだん鶏の数が膨れ上がっていっているわけでございますけれども、大臣が視察いただきましたように、死後硬直の鶏は、なかなかケージから死後硬直で抜け出せない。あるいは、もっとひどいのになると腐敗が始まりまして、首を抜いたら首だけぽろっととれる、こういう非常に劣悪な状況になってきております。そういった状況の中で自衛隊の派遣要請をして、きょうから、防疫ということで、消毒を主にやっていただくということで、自衛隊、千僧から百二十名を派遣いただく、こういうことでございます。

 農水大臣に伺う前に、防衛庁の西川運用局長に伺いたいわけでございますけれども、我々ありがたいと思っております。ありがたいと思っているという前提でありますけれども、この派遣の法的根拠、これはどういう法に基づいて行っておられるのか、まずその点についてお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 きょう百二十名出しておりますが、これは自衛隊法の百条の規定に基づきまして、いわゆる委託ですね、そういう形で出しております。

前原委員 簡単な御答弁で結構なんですが、百条何項ですか。

西川政府参考人 百条の一項の方で出しております。

前原委員 知事から要請があって、委託ということで行われているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、三百人体制で、近隣の自治体からもボランティア職員の応援を受けて何とか処理をしている状況でありますけれども、職員の方々の疲労ももう限界に達している。しかも、劣悪な状況でありますし、一度防護服を着たら汗もぬぐえない、トイレにも行けないということでありまして、そういう意味では、かなりもう疲労こんぱいな状況になってきているということであります。

 したがいまして、そういう防疫、消毒等のみならず、今後知事の要請があれば、そういった、穴を掘ったり、あるいは鶏ふんを処理したり、あるいは死亡した鶏を処分したり、あるいは生きた鶏を殺して埋める、こういうようなことについて、その百条の一項については、要請があればさらに人数を出してでも協力をしていただけるような用意があるのかどうか、その点について御答弁いただきたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、今回のこの要請につきましては、一日の日に知事から要請、いわゆる派遣の依頼を受けまして、それにつきまして、実は、一日の日から当方は既にLO、要員を府庁の方に出し、そして二日、三日にわたりまして、いろいろ具体的にどういうことができるかということを府庁側と非常に緊密に連絡をとってまいりまして、そういう格好で今体制ができたものでございます。

 今後、またいろいろ事態が起これば、そのあたりはいろいろ調整させていただきたい、こういうことで対応はしております。

前原委員 調整していただいて、それはありがたいと思っておりますし、感謝をしているわけでありますが、私が気にしているのは、法的根拠に基づいて、つまりは、先ほど申し上げたような作業を、府からの要請があればさらに人を出して、そしてそれを受け入れる用意、準備が防衛庁としてあるかどうか、そのことについてお伺いしているわけです。

西川政府参考人 お答えいたします。

 当方の持てる装備だとかいろいろ能力だとか、そういうことを踏まえまして府庁サイドといろいろまた協議いたしますので、そのあたり、必要性等につきましても、これはまた御相談という格好になろうかと思いますけれども。

前原委員 この程度にいたしますが、多分、三百人の府あるいは近隣の自治体のボランティア職員だけでは対応できるような状況じゃなくなってきております。また、先ほど申し上げたように、近隣の五キロしか離れていない養鶏場でも陽性が見つかって、そこにきょうは知事から自主処分ということの通達、命令が出ておりますので、そういう意味ではマンパワーの不足というのがこれから極めて顕著になってくるというふうに思います。その点については、私は最後は自衛隊の方々にかなり多くを頼らなければいけないというふうに思いますし、知事にも、そのことについては、遠慮せずにやはり防衛庁にお願いをすべきだ、こういう話をいたしましたので、そういう要望があればぜひお願いさせていただきたいというふうに思います。

 さて、それを踏まえて、農水大臣、今の府の職員あるいは近隣自治体の方々が一生懸命にやっておられるのは見ていただいたと思いますけれども、ふえ続ける、あるいはもともと二十数万羽いるんじゃないか、鶏ふんも、私がきょう聞いたところによりますと、二千トンから三千トンぐらいある、鶏ふんだけで。浅田農産だけですよ。そういう状況ですし、生きている鶏は当然卵を産み続けるわけでございますので、そういったものも物すごくふえていっている。処理については非常に大変だということで、農水大臣が見られて、今自治体で対応可能な状況かどうか、どういうふうに見られたか、その点について、感想を含めて御答弁をいただきたいと思います。

亀井国務大臣 あそこに入るにつきましても本当に大変な消毒体制で、そして、あの白い防護服をまとって、そして二重、三重に消毒の上に、もう全身噴霧で、私ども、顔から全部、それで入るわけであります。そして、委員御指摘のように、二時間あそこで連続して仕事をするというのは、もう本当に劣悪な臭気と異常な状況の中でするわけですから非常に困難な仕事だと思いますし、まさに、あの防護服をまとっておりますとそれをさわるわけにいかないわけですから、手袋を二重にしていますけれども、本当にトイレに行くこともできずに、もうそれが限界だと思います。

 そういう中で、中に鶏が相当硬直をして横たわっている、死んでいる。また一方では、まだ若干飼料がありますから、私が見たときには、ところどころに生きた鶏もおったわけであります。それを、二十五万の鶏をどう殺処分するか、袋詰めをする中でできるかどうかというのは、また限られた本当に狭い場所ですから、そしてさらに、それ以上に、あの鶏ふんの存在、本当に数字が何千トンあるか私もちょっと想像できないぐらい、これをどう処理するか。

 こういうことを考えますときに、全く異常事態の状況、京都府におきましては知事さんを先頭に、あるいは地元の町長を先頭に、いろいろな対応をしていただいておりますが、まさに人的な面では限界に来ている。そういう面で、自衛隊の皆さんの御協力をこうしてお願いする。やはり人的な問題、そして、一方では埋却処分を早くしなければならないわけでありますので、そういうことを考えますときに、本当に深刻な問題として受けとめて、どう対応するか。

 知事さんいろいろ御苦労いただいて、またいろいろの御協力をちょうだいしておりますが、私どもとしても、本部等役所としてもできる限りのことをしなければならぬ、このように思っております。

前原委員 鳥インフルエンザを発症させてしまった農場のみならず、三十キロ圏内における、きょうはそういったところにも行かせていただきましてお話を伺ったんですが、要は、三十キロ圏内に指定をされると移動制限がかけられて、鶏の出荷はもちろんのこと、卵というものも出せない、ふんも移動させられないと。そういったところは、みんな鶏、元気なわけですね。卵は産み続けるし、ふんはし続ける。また、餓死させない限りはえさも与え続けなきゃいけない。お金はかかって出荷ができなくて、まさに、むしろ、発生をした農家よりも、三十キロの移動制限区域内に指定された農家はもう悲鳴を上げていて、一刻も早い国としての対応というものが待たれる、こういうことをおっしゃっていました。

 つまりは、卵や肉、それからそれをどういうふうに処理するのか、あるいは処理したときの、本来なら売れた部分の補償はどうするのかということ、ちょっと分けてお話ししたいので、その点について、移動制限区域内に指定をされた農家の卵、そうした鶏肉、そういったものの、本来なら売れたものが、やめろといってそれっきりなわけですよね。つまりは、移動しちゃいけない、動かしちゃいけない、出荷しちゃいけない。しかし、先ほど申し上げたような状況ですから、そういった農家は本当に困り果てているわけです。

 そういう農家については、どういうふうな対策をとるおつもりなのか。私は、融資とかそういうものでは間に合わないと思います。つまりは、やはり所得補償とか所得補てんとか、そういったものが必要だと思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

亀井国務大臣 移動制限区域内におきます鶏卵の損失が多額に上ることでありまして、この移動制限が確実に実行されることがまた必要であります。

 そういう面では、国は、その一部、いわゆる価値の減少分の二分の一、また、輸送と保管、これらの二分の一の助成を山口県のケースでしたわけでありまして、あと、県の御配慮もちょうだいしておるわけでありまして、そういう面で、山口県のケースがありますけれども、この問題にこれからどう対応するか。特に鶏ふんの問題等々は、やはり移動できないわけでありますので、それはいろいろな面から、各方面からその補助の問題等々については十分考えてまいりたい、こう思っております。

前原委員 考えていただくのはありがたいんですけれども、例えば、さっきおっしゃった二分の一、それは山口のケースから当てはめるということは知っております。しかし、それでは全く、多分対応できないんだろうと思うんですね。全く出荷できないし、つまりは、売り上げが上がらないけれどもえさ代だけはいつものとおり出ていく、しかもその保管場所に困っている。

 後で質問をしようと思いましたけれども、ふん、鶏ふんですね、これについての置き場所がもうなくなってきて、例えば、私がきょうお話を伺ったところは、川のほとりなんですね。つまりは、そういった川に本当に流さざるを得ないような状況、あるいは崩れていって川に流れ出るような状況にまで鶏ふんが堆積していっている、こういうところもあるわけです。

 ですから、私は、補助を考えていただくのはありがたいですけれども、やはりこういう事態で求められているのは、スピード、そしてやっぱり決断だと思います。そういう意味で、早くメッセージを、そういう三十キロの制限区域内に指定された農家の方々に対して、考えているじゃなくて、こういう方向でやりますというような、明確な農水大臣のリーダーシップというのが今求められていると思うわけでありまして、その点についての決意をお聞かせいただきたいと思います。

亀井国務大臣 昨日、私、見てきた経緯を踏まえまして、今、役所におきましてもスピードを持って対応するように検討させておりますので、できる限りその結論を出してまいりたい、こう思っております。

前原委員 ぜひスピード感を、よく理解はしていただいていると思いますけれども、毎日毎日が、本当に、卵はたまっていく、保管場所をどうするんだ、鶏ふんが堆積していく。要は、それがまだ春先ですので、まだいいんですよね。これがまた、違う病気の発生とか蔓延とか、それは浅田農産の埋め立ての場面もそうですけれども、においも非常にすごいし、また、そういった部分での二次被害、鳥インフルエンザウイルス以外の何かそういった危険性も私は放置できないので、ぜひスピード感を持ってその点については対応していただきたいと思います。

 また、これも要望を西川運用局長に、防衛庁にさせてもらいたいと思いますが、知事と話し合ってきた中で、やはりそういった三十キロの制限区域内で養鶏農家を営んでおられるところについても、今申し上げたとおり、卵の堆積は多いわ、鶏ふんの堆積も物すごい量に及んでいる。やっぱり穴を掘ってその地区で埋めるということが必要になってくるわけでありますが、費用あるいはマンパワーの点でも、そういった人たちももうお手上げの状況であります。先ほどの御答弁にもう尽きると思いますので要望だけしておきますが、府と緊密に連携をとっていただいて、そういった部分のマンパワーの提供についてもぜひお願いをしたい。

 とにかく、早期に対処して早期に処理をしなければ、違う病気あるいは二次感染というおそれが非常に高い劣悪な状況だというふうに私は思います、三十キロ圏内については。そういう危機意識を持っておりますので、ぜひ、先ほど御答弁をいただいたように、府と話をしていただいて、その対応について遺漏なきをお願いしたいと要望させていただきたいと思います。

 さて、大臣、私は、実は、きょう行ったところの一つは三十キロ圏外なんです。三十キロ圏外は、移動制限区域ではありません。出すことができるわけです。出荷することができるわけでありますが、三十キロ区域内と同様に、もう移動できない。つまりは、返品とか、丹波の、出たところの近くだから同じように引き取ってくれ、こういうことで、結果的には、三十キロ制限区域内と同じような状況に今農家がなりつつある、こういうことであります。つまりは、三十キロ圏外、三十キロ圏内、余り変わりなく、後で質問いたしますが、風評被害も含めて、鶏、卵、これが出荷できないような状況になってきている、こういう状況なんです。

 したがって、三十キロ圏外についても準じた対応というものが求められるというふうに私は思いますけれども、今の措置、並びにそれをさらにバックアップするような措置をぜひ考えていただきたいと思うわけでありますが、農林水産大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

亀井国務大臣 三十キロ圏外の問題、その辺の状況はどういう状況になるのか、その辺を細かく私ども承知していないと、どうこう申し上げることもできないわけでありますが、風評被害の問題でもあるわけでありまして、その辺、どういう状況かを把握して対応をしてまいりたい、こう思います。

前原委員 まさに今御答弁いただいたように、三十キロ圏内に準じた措置を、それをどの範囲をとるかというのはぜひまた御議論をいただきたいと思うわけでありますが、近接した農家は、圏外であったってもう同じような状況で、出荷できないということなんですね。ですから、その点を踏まえた対応策、つまりは、三十キロ圏内だけじゃなく、三十キロ圏外についてもそういう被害が実際に出てきている。きょう我々は実際見てきたわけであります。卵が積んでありました、そして返品が来る、こういうことでありますので、ぜひ、そういった三十キロ圏外についても、どのぐらいの広さを想定されるかということはまたぜひ御検討いただきたいと思いますけれども、準じた対応をお願いしたい。先ほどは、考えたいと言っていただきましたので、御検討いただくと思いますが、これも速やかに御検討いただきたいと要望したいと思います。

 さて、次に伺いたいのが、家畜伝染病予防法に基づいて、発生農家に対する手当金というのがございますね、五分の四。つまりは、どれだけ鶏を持っていたかとかいうことをベースにして手当金というのが出ることになっているわけであります。

 通報のおくれから被害を蔓延させた浅田農産に対して、これは発生農家でありますけれども、こういった手当金とかあるいは家畜疾病経営維持資金とか、そういったものが出されるということは、私が聞きおく限りでは、国民のみならず、府内あるいは府外の養鶏農家あるいは流通、小売、そういった方々は納得できないのではないかというふうに思っておりますが、しかし、法律に基づいていえば、手当金が発生農家に対しては出る。また、さっき申し上げた疾病経営維持資金というものについても手厚いものが用意されているということでありますが、浅田農産に対しても、同様に、申請があれば適用するおつもりなのかどうなのか、その点について御答弁いただきたいと思います。

亀井国務大臣 今回の問題、届け出の義務の問題、やはり問題があるわけでありますので、この辺は、十分京都府とその事実関係を把握して、今日、御指摘のような問題というのは、やはりだれからも理解できないことでありますので、十分そのことを踏まえて対応してまいりたい、こう思っております。

前原委員 今の御答弁は、つまりは農林水産省として、府と相談をしながら、刑事告発も含めた対応を考える、こういう解釈でよろしいですか。

亀井国務大臣 事実関係を把握して、当然、刑事告発をする、こういうことを念頭に置いて、京都府と十分連携をとる、こういうことであります。

前原委員 警察庁、来ていただいていると思うんですが、捜査状況というのはなかなかお話しになれないとは思いますが、私は、この事案というのはかなり悪質だというふうに思っておりまして、今、府やあるいは農林水産省が告発をしなければそういう手続に入らない、そういうことはないと思いますけれども、告発がなくてもそういった準備をされていると思うんですが、話ができる範囲で結構です、捜査中の案件でもありますので、今の状況と、また警察庁としての意思についてお聞かせをいただきたいと思います。

関政府参考人 刑事告発がなければ捜査ができないというわけではございません。現在、京都府警察におきましては、本件に関して事実関係の調査、確認等の活動を行っております。

 私どもとしては、刑事告発も今後あるということを十分視野に入れながら事実確認の調査を行っているところでございますが、本事案につきまして法令に違反する事実があれば、法と証拠に基づいて厳正に対処していくものというふうに承知いたしております。

前原委員 みずからの立件というものも視野に入れている、そういう御答弁でよろしいんですか。もう一度、その点についてだけ教えてください。

関政府参考人 最初に述べましたように、刑事告発があるかどうかというのは、刑事告発がなければならないというものではございません。私どものこれからの事実確認で法令に違反する事実があれば、しっかり厳正に対処していくということでございます。

前原委員 残り少なくなってきて、二つは絶対聞いておきたいので、簡潔にお答えをいただきたいと思うんです。

 これは先ほど平岡議員が質問されたことと同様なんですが、人の手当ても含めて、近隣市町村、あるいは京都府、相当財政的な支出、マンパワーの問題も含めて出ておりますが、これはやはり、全部自治体でやれというのはなかなか難しい話だろうというふうに思います。したがって、新たなこういう事態が起きて、きょう、知事は、激甚災害に指定してほしいぐらいだ、こういう言い方をされておりました。そういうことが可能かどうかは、もちろん、もしそういう御指示があれば、それは我々としてはありがたいと思うわけでありますけれども、やはり何らかの財政措置をしないと、府やあるいは近隣の市町村のボランティア精神に任せるだけではなかなか厳しいものがあると思うんですね。

 先ほどのメニュー以外に、新たな財政措置として、何か、こういう京都府や市町村に対してやはり応援しなきゃいけないというふうに私は思うのでありますけれども、その点について農水大臣のお考え、それに基づいて、総務省に対して強く要望していくおつもりがあるのかどうなのか、その点についても御答弁いただきたいと思います。

亀井国務大臣 委員御指摘のように、私も昨日参りまして、まさに災害と思うような感じで帰ってきたわけでありまして、それらを含めて、先ほど来申し上げておりますとおり、どういうことか、どうすべきか、こういうことは関係府省とも十分連携をとって対応していかなければならない、こう思っております。

前原委員 先ほど、三十キロ圏外の養鶏農家も三十キロ圏内と同じような状況に陥っているという話をいたしました。つまりは、このごろといいますか、いっときそういう広告が出たわけでありますが、例えば、当店では京都府産地鶏は扱っていませんとかですね。今まで何とか京都府産の地鶏、あるいは、地産地消という考え方で、みずからつくったものはみずから消費をしようということで努力を積み上げてきたわけですね。それが、こういうことで一挙に崩れかねない状況にあるわけです。しかも、まあPRはいろいろやっていただいていると思いますけれども、まだまだ私の皮膚感覚、あるいはいろいろな方からのお話を伺ったら、この風評被害というのは消えていないどころか、どんどん拡大をする傾向にあるというふうに思います。

 やはりこれは、地産地消を推進されてきた農林水産省のお立場からしても、この風評被害をいかに打ち消して、そして安全性なり、そしてまた京都府産なりあるいは山口産、あるいはほかのそういった風評被害で苦しんでおられる産地をバックアップするためにも、今やられている以上に、私は、PRとか、農林水産省としての積極的なアピールが必要だというふうに思います。今までやられている以上にぜひ御尽力いただきたいと思うわけでありますけれども、その点について大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

亀井国務大臣 今日までこの風評被害に対するPR活動、もう御承知かと思いますが、地方紙四十七紙に広告を出すとか、あるいはまたポスターだとか、あるいは小売店の指導、QアンドAをここでさらに作成する、これは店舗向けでございますけれども、さらには、私ども、地方農政局や地方農政事務所を総動員して、大分につきましては三千軒の店舗を巡回してやりました。近畿におきましてももう既にやっておりますけれども、さらにその努力をしてまいりたい、こう思っております。

前原委員 以上で質問は終わりにいたしますけれども、京都府の中での業者が他府県に多大な御迷惑をかけているということは改めておわびを申し上げなきゃいけないと思いますが、もう京都府のみの問題ではなくなってきて、これだけ大量の鳥インフルエンザによる死亡というものが出て、また、二次感染もきのう発見されたということでございまして、いかにこれを封じ込めるかということと同時に、先ほど申し上げました、現実の養鶏あるいは養卵を営んでおられるところにとっては、まさに生きるか死ぬかの死活問題になってきているというところを、私もきょう改めて強く感じてまいりました。大臣もきのう視察をいただいたわけでございますが、今質問したことを、ぜひスピード感を持って、そして小出しではなくて非常にダイナミックにぜひやっていただくことをお願い申し上げまして、あるいは自衛隊も含めて、やはり他の省庁にもお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

高木委員長 次に、白保台一君。

白保委員 公明党の白保でございます。

 実は昨日、私どもも、冬柴幹事長を本部長として対策本部を立ち上げたわけであります。一方、また、自民党と公明党の幹事長、国対委員長の会談の中でも、家伝法の改正も視野に入れながらこの対応も考えていかなきゃいけないなということも話し合われております。

 そういった中で、特に今回の京都の浅田農場ですか、そこの対応の問題についてまず最初にお聞きをしていきたいと思いますが、これを見ていますと、要するに、養鶏業者や農家への立入調査というものに対しても限界があるなと。現に、前日にそこまで行っていて、中まで入れない、入らなかったということで、翌日あたりから大きな、確認作業は聞き取りだけで終わってきている、こういう状況というものが実際にあるわけですね。

 そういった面から考えていきますと、先ほど家伝法の五十二条についてのことも触れられましたけれども、限界がある。こういった問題については、やはり業者や関係者の通報というものが非常に大事になってくるだろう。そういった面で、私は、今回の初動の調査についてどのような問題点があったのか、これについては農水省としても考えておられるだろうと思いますので、まずその点をお聞きしたいと思います。

中川政府参考人 高病原性鳥インフルエンザへの対応の要諦は、先ほども申しましたが、やはり早く異変を察知して、早く対処するというのが基本でございます。そういう観点から、これまでも、都道府県を通じまして、立入検査も含めましてでありますが、一斉調査を行ってきたわけであります。その一斉調査につきましては、先生、先ほどおっしゃいましたような現実の問題点もあったのも事実かというふうに思います。

 そこで、今回の京都の例の反省の上に立ちまして、先ほども申し上げましたが、現行の家伝法の五十二条の枠の中でもいろいろ工夫の余地があるということで、きょう、各都道府県に通知を出しまして、一週間に一回、定期的にきちっと報告を聴取するという仕組みをとったわけであります。

 こういったことをやることによりまして、当然、関係者の意識を高揚するということもありますし、また、異変があれば、家畜保健衛生所の方でもそれが察知できるということで、こういった京都におきます実態の反省の上に立って改善をしていきたいというふうに思っております。

白保委員 同じく、家畜伝染病予防法に関してお聞きしたいと思いますが、今、業者の方からの報告という話がございましたけれども、十三条と報告マニュアル、この関係についてお聞きをしたいと思います。

 十三条の患畜の届け出義務、これについては、獣医師がやることになっておる。獣医師による診断または検案を受けていない家畜、またはその死体については、その所有者が届け出ることになっている。所有者は、家畜が患畜か疑似患畜か、どのように判断をし、また、どの程度の状態で届け出義務があるのか、この部分というのがどうもはっきりしてこない。こういった部分をしっかりとはっきりとさせていかないと、業者としても、やはりどの状態かなという判断がしにくいだろう、こう思うんです。ですから、そういう面では、しっかりとしたはっきりした判断というものができるような状況に持っていかなきゃいけないだろう、こういうふうに思います。

 同時にまた、報告マニュアルでは、鶏の一〇%が死亡したら、マニュアルに一〇%死亡という比率というふうに聞いておるんですが、県によっては、〇・三%という非常に厳しい、こういったものも持っておるというところもあるようです。したがって、マニュアルで定めているところの数字の一〇%の根拠というのは一体何なのか。

 二つありますかね、今言ったこと、このことについて答えてください。

中川政府参考人 まず、家畜伝染病予防法の第十三条の届け出義務のところの基準といいましょうか、どういった判断でもってやるのかというところでございますが、この条文の規定以上に、特別の数値的なものを含めての基準というものはございません。

 これは、獣医師、あるいは獣医師による診断を受けていない場合はその家畜の所有者が、いろいろな諸般の事情でもって、逆にこれに違反をするという事態があるとすれば、それは客観的に、その後、事実を調査いたしまして、当然それは予見し得たはずであるというふうな、そういう判断に基づいて、これに違反したかどうかというところはきちっと判定をしていくといいますか、判断をしていくということでございます。

 他方、今先生がおっしゃいました防疫マニュアルに書いてある一〇%というものでありますが、これは、家畜の飼養者は、実はここの一〇%ではなくて、ふだんから、自分の飼っている、飼養している鶏の状況によく注意をして、異変があれば届け出をするようにというふうにマニュアル上は書いてございます。他方、先ほどおっしゃいました一〇%の数字といいますのは、家畜保健衛生所の防疫員が立入検査をする際の目安として、こういった数字が記載をされているわけでございます。

 これ自体、我が国において高病原性鳥インフルエンザが発生をしていない状況のもとで、一つの目安として、専門家の意見を聞いて設定をしたというものでありますので、今回の三例も含めまして、実態とこれが合っているかどうかというのは、また改めて専門家の意見を聞いた上で、必要があれば見直しをすることも考えたいというふうに思っております。

白保委員 諸般の事情等を勘案して、要するに、所有者がみずから判断をするわけですね。そういうのはひとつ、なかなかわかりにくいな、こんなふうに感じるんですね。

 ですから、そういう面では、もう少ししっかりとした目安といいますか基準というものを定めていかないと、大丈夫なんじゃないかな、こんなような判断でいたら、気がついてみたら、一気に広がっていたということだってあり得るわけですから、この十三条を含めて、五十三条や五十二条ですが、先ほどの話もございましたが、しかとその辺の改正も視野に入れて、再発防止のための手だてをやっていく必要があるなというふうに感じております。

 そこで、環境省の皆さんにもおいでいただきましたが、この感染ルートの解明の問題で、環境省も、渡り鳥とかいろいろなものを調べたりなんかいろいろやっていると思うのです。そういった面で、私はどうも、環境省の皆さん方が、やっていらっしゃるんだろうと思いますが、私自身には、どういうことをやっているのかというのがよく見えてこないわけですね。

 そして、これはしっかりとした調査をやっていきませんと、タイやベトナムでも人間の死亡例が二十人、こういうふうに出ているような状況にもありますから、パンデミックと言われる爆発的な感染状態になるというようなことも言われておりますので、これはあおるわけじゃありませんけれども、そういう面では、どのような調査をされて、感染ルートというものを環境省の立場から調査をされているのか、これについて伺いたいと思います。

小野寺政府参考人 環境省で行っております感染ルートの調査は、野鳥、とりわけ渡り鳥関係が感染ルートとどういうかかわりを持っているかということであります。

 具体的には、発生した三地域、三府県について、発生箇所半径十キロの中に野鳥及び渡り鳥がどのぐらいいるのか、また、その特定された渡り鳥の種類がどういうルートで入ってきているかということを、実態を調べながら分析しているのが一つでございます。

 それからもう一つは、これは関係四府省の緊急調査の一部でありますけども、鳥取大学で、野鳥、とりわけ渡り鳥のウイルス保有調査というのを今、分析をやっているところでありますが、その調査にも協力をしているところであります。

 今現在で我々が把握しておりますものは、その三地区の半径十キロの円の中で、山口県が四種、大分県で十四種、京都府では九種の渡り鳥が存在していることを確認しているところでございます。

白保委員 先ほども申し上げましたように、今のを見ていますと、どうも感染ルートというのが、いろいろなことを言われておりますし、環境省の方もしっかりとした御努力をお願いをしておかなきゃいけない、こう思っています。

 そこで、感染拡大を防いでいくために、国民の不安も払拭するためにも、徹底した検査を行うべきだろう、こう思います。立入調査を義務づけて、調査をするのも、ウイルスを媒介することのないように万全の注意を持って、全国一斉の調査を実施すべきだ、こういうふうに思っておりますが、調査に当たっては、家畜防疫員や獣医師などの専門家を総動員して、一回、きっちりとした調査をやってみたらどうかな、こう思いますけれども、いかがでしょうか。

金田副大臣 白保先生御指摘のとおり、全国一斉に調査をしなきゃならないのかなと思うこともありますけれども、今、とにかく早く発見して、早く蔓延防止措置をとるということでございます。

 さっき一〇%とかという数字等々を御指摘されましたけれども、これではだめだというようなことで、昨日の家きん疾病小委員会におきまして、対策を強化しようという指示がなされました。

 そして、きょう午後三時から、都道府県の担当部長会議を招集いたしまして、これから、一週間に一回、とにかく家畜伝染病予防法に基づきまして、死亡羽、うちでは何羽飼っているんだけれども何羽死んじゃったというようなことを毎週報告させるということを指示いたしました。そして、おや、死に方がおかしいぞというようなことがわかってまいりますので、そういった場合には立入検査をするというようなことで対応してまいりたいと思っております。そうしますと、全国一斉に検査をするというようなことと同じ効果があらわれるんだろうというふうに期待しております。

白保委員 そういうことですよ、まさに。感染ルートがはっきりしてこないでしょう、そういう中にあって、どこでどう出てくるかわからないという不安をみんな持っているわけですから、全部きっちりと一週間ごとに調査をしたものが上がってきて、大体どこは大丈夫だなということになっていけば、環境省も余り苦労しなくても済むんじゃないのか、渡り鳥をやらなくても大体の流れというのが見えてくるんだろう、こういうふうに思うわけです。

 したがって、今申し上げたのはそのことを言っているわけですが、何かありますか。

金田副大臣 発生原因の究明と感染ルートの究明ということであろうと思いますけれども、BSEの感染ルート等もいまだ、一生懸命頑張っているんですけれども、なかなか解明ができないというのが実態でございます。

 大勢の専門家の皆さん方にお願いし、また各省庁の皆さん方に御協力いただいて、ウイルスの型の問題あるいは遺伝子配列の問題、疾病の疫病的な検査の問題、そういったこと、あるいは環境省には野鳥の関係などをやって、感染源の究明に努めるというようなことで、大分時間がかかると思います。また、科学技術振興調整費、研究費という形の中でも御協力いただいて、一生懸命に頑張っているところでございます。

白保委員 それでは、大臣には昨日から大変御苦労さまでございました。

 問題は、周辺農家への補償とそれから支援策の問題、これはもう喫緊の問題だろう、こういうふうに思います。一生懸命育てて生産して頑張ってきても、こういった問題が起きてきたときに周辺に大きな打撃を与えたのでは、生産農家は大変でございますから、周辺農家への補償と支援策、そういうことについてはぜひしっかりとした形でもってやっていただきたいな、こう思っています。

 現状の制度では、感染した農家、農水省から鶏の処分命令を受けた農家だけを補償の対象としていますね。周辺農家はその適用外のために、鶏が感染した疑いを持った業者や農家が、その周辺農家のことを心配して通報がちょっと遅れたり、そういうことがあってはいけないわけですが、そういったこともあるのではないかという指摘をされている部分もあります。

 実際、周辺農家は、卵が出荷できず、倉庫への保管経費だとか風評被害だとか、そういったことで悲鳴を上げていることは、もう先ほどから皆さんがおっしゃっているとおりでございますから、この際、補償部分についてはしっかりとした整備をすべきではないかと思いますが、先ほどのお話もございましたけれども、ぜひ大臣のこの辺のことについてのお考えを御答弁いただきたいと思います。

亀井国務大臣 まさにこの問題が、通報の問題等々大変心配をかけるわけでありまして、十分、農家の皆さん方のことに対しまして、この制度化の問題につきまして早急に、いろいろ複雑な問題もございますけれども、この制度化のために検討してまいりたい、こう思っております。

白保委員 流通と偽装表示、これは厚生省の皆さん方に聞きたいと思いますが、京都では、発生した、感染した鶏が出荷されてしまった、加工品はさらに全国に流通してしまった、それで、神奈川にはもう五千キロですか、こういったものが来ている、新潟にも肉が一千キロ行っている、香川、三重にも骨や羽毛が行っている、こういうふうに流通が行っているわけですね。加熱でこのウイルスは死滅するといっても、取り扱う業者というのは非常に注意が必要です。

 以前、これはことしに入ってからですか、京都では山城農園が期限切れの卵を偽装表示して出荷して、食品衛生法違反によって出荷停止処分となったことが記憶に新しいわけですが、今後、問題のある表示をするケースが出ることも考えられるわけでございますので、この辺の監視の問題について、厚生労働省はどのようにお考えでしょうか。

遠藤政府参考人 食品表示の監視の問題でございますが、都道府県等において監視指導を行っているところでございますけれども、定期的な立入調査等の際に、表示の状況についてもあわせて確認をしているということでございます。

 厚生労働省におきましては、食品の表示に関係する公正取引委員会、農林水産省との間で食品表示に関する相互の情報提供や協力体制の徹底を行うとともに、食品衛生監視指導指針においても、都道府県等の食品衛生担当部局と表示関係行政機関との間で違反情報を相互に提供するなど、連絡及び連携体制を確保するよう示しているところでございます。

 今後とも、適正な表示が確保されますよう、都道府県等の協力を得まして、食品等事業者に対する監視指導に努めてまいりたいと考えております。

白保委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 では、最後に、大臣にちょっとお聞きしたいと思っているんですけれども、新聞報道によりますと、石原事務次官が、流通の実態把握が欠けていたかもしれない、申しわけないと思っている、こういったことで謝罪したと報道がなされておるんですが、これは農水省の対応に誤りがあったんでしょうか。

亀井国務大臣 石原事務次官の発言は、農水省と都道府県との緊密な連携をとらなければならない、こういう視点で申し上げた、こう思います。

 そういう点で、先ほど来話がありますとおり、きょうも全国の部長にお集まりいただき、また、情報の一元化、こういう問題につきましても十分対応するように私からも指示をしております。

白保委員 終わります。

高木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 予算委員会でも議論をされてきたと思いますが、まさに今回、本当に最悪のケースだと思います。移動制限を最初から超えてしまった、想定を最初からもうはみ出していた、そういう意味では、まさに取り返しのつかない極めて悪質なケースであります。しかし、匿名の電話によってこの発生が確認されたわけですが、その後も次々と初動の対応の問題点が指摘をされています。

 その中で、まず最初にお伺いしたいのは、この浅田農産の社長が、最初に発生が疑われたときに、獣医に見せたら腸炎だと診断されたと、そのことが実は虚偽だった、見せてもいないし、社長とかあるいは会社の中に獣医の資格を持った人はいないということが確認されたわけですよね。

 そもそも、何で今になってそれが判明するのかなと率直に疑問に思うわけです。では、そのことを、獣医に見せたんだという言い分を聞いた時点で、例えばその獣医とはだれかと特定をするとか、事実関係を確認するということがあってしかるべきだったのではないかと思うんですが、一体、実際そのときの対応がどうだったのかをまず伺いたいと思います。

中川政府参考人 二月の二十八日ですけれども、京都府の方から私どもが受け取った情報としましては、この発生農場では、日常的に診察、診療を依頼している獣医師はいない、異常があれば飼料会社の研究所に検査を依頼しているというふうなこと。それからもう一つは、二月の二十二日に実施した解剖では、病変は腸管に限定されており、腸炎を引き起こす細菌のクロストリジウムを疑ったというふうな記載がございました。これは、京都府の方から私どもの方にファクスで情報提供があった中にそういうことが書いてあったわけでございます。

 そこで、このようなクロストリジウムという特定の疾病を疑ったとの記述があったことから、獣医師の関与があると考えまして、京都府の方にさらなる事実関係の確認を行ったわけです。

 その後、三月の一日でありますけれども、同じ京都府の農林水産部畜産課の方から、農場主からの聞き取りによる情報として、本病発生前に獣医師の関与がなかった旨の連絡があったということで、最初の情報であります二月の二十八日のことが必ずしも正確でなかったということもわかったということでございます。

高橋委員 では、日常的にいないということはもう二十八日の時点でわかっていたと。ですから、これは、腸炎だとは言ったけれども、医師の関与はないということは、農水省の判断として、京都府から連絡を受けた時点ですぐに疑った、関与はないということを疑ったというふうに確認してよろしいですか。

中川政府参考人 二十八日の時点で、情報を受け取ったその中身から判断して、そういう報告の内容から見ると専門的なことが書いてありますので、これは獣医師の関与があるのではないか、そうであるとすればそれはどうかということで京都府に照会をした。これは二十八日の情報を受け取った時点でございます。その結果、京都の方から、さっき申し上げましたような獣医師の関与がなかったという情報を得たのが三月の一日ということでございます。

高橋委員 事情はよくわかりました。最初は、やはり、社長が言ったとおりだと思ったということですよね。

 そのこともまた非常に、これが家伝法の改正などが問われる一つの理由にもなると思いますが、初動での指導が徹底できない、業者の義務が明確にされていないということの不備がまたここでも明らかになったのかなと思うんです。

 私は、この初動のおくれということでさまざまな問題があると思うんですが、ただ、これを京都府だけの責任にするわけにはやはりどうしてもいかないなと思っております。

 最初の山口で事件が起こったときに、本当に関係者の皆さん、まず防疫マニュアル、これだけが頼りだということで、それにすがって必死の対応をしているという感じがいたしました。そのときは、県の本部の中に、国から直接派遣をされて陣頭指揮をとっていたわけですね。ところが、大分に行ったら、関係農家の皆さんなどが自主的に出荷自粛をしたり、役場の皆さんは、県の指導を待たずに立ち入りをしようということで自主的に動いていたり、そして、国の人は来ていますかと言ったら、国からは来ていないと。私は、チャボ一羽ということで、この時点でもう既に国の方に緊張感が欠けていたのではないか、国が乗り込んでいってやってもよかったんじゃないかと思うんです。

 何で、京都になったらまた振り出しに戻って、さっき大臣は、防護服を着て大変な苦労をされたお話をされましたけれども、感染が確定するまでは、防護服は着ないで、やはり京都府の職員の皆さんが立ち入りをしているわけですね。極端な話、そして次の農家にも行く、検査もする。消毒の体制は、靴の消毒とか一切やらない状態が何日か続いたわけですよね。そうすると、これは非常に残念なことだけれども、ウイルスを人が運んだということを避けられないわけですよね。

 何でこういうミスがまた繰り返されるのかといったときに、まず、山口、大分と重ねてきた経験がしっかり各県に徹底されて、初動の対応はこうだということが市町村の段階までおりている、そうでなければならなかったと思いますが、その点、御認識を伺います。

中川政府参考人 初動の防疫対応の重要さというのは、先生おっしゃったとおりでありますし、また、そういった対応というのは、全国どこであっても同じような意識を持ってやるべきだというのも、そのとおりだというふうに思います。

 これまでも、各都道府県に対しましては、数次にわたって通知を出したりしながら、こういったことの意識の徹底ということをお願いしてきたわけでありますが、本日三例目の発生ということも受けまして、本日の午後に各県の主務部長さんに集まっていただきまして、山口なり大分なりの例、それからまた今回の京都の例も踏まえまして、山口や大分からはそれぞれの県の経験なりを踏まえた御意見もいただくことにしておりまして、こういった会合などを通じまして、関係の都道府県すべてが同じような問題意識でもって対応できるように努めているところでございます。

高橋委員 発生県じゃないところが本当にどうしたらいいのかという不安を抱えておりますので、今お認めくださったとおりに、徹底した各県に対する指導援助をされるよう強く要望しておきたいと思います。

 次に、死亡鶏の問題なんですが、この点についても、私たちは、ルートの確定ということとも絡んで、死亡鶏の調査をきちんとするべきだということを求めてきたわけです。

 それで、マニュアルを見ますと、「家きんの死亡率の上昇、産卵率の低下又は呼吸器症状等の臨床症状から本病が疑われる臨床症状を示す異常家きんを発見した場合には、直ちに」報告する云々、こうなっているわけですね。でも、これで本当に済むのかということなんです。

 三月一日に、社団法人日本養鶏協会あるいは日本鶏卵生産者協会のそれぞれの事務局が、関係団体に対して、「鶏病の基礎知識について」という情報を出しております。その中に、一般には、その病勢に応じた病変が見られることとなりますけれども、「特に、極めて重度の急性伝染病においては必ずしもこの分類とは異なり、殆んど病変がみられない、急性の場合よりも病勢が厳しい甚急性とするタイプがあります。」と。

 要するに、異常だということが見た目で判断できない、自然に死亡していく場合もあるんだということをこの中で指摘されておりますが、この点でも、国の認識はどうだったのかということを伺いたいと思います。

中川政府参考人 マニュアルにおきましては、先生がおっしゃったような、例示として幾つかの症例を挙げておったわけでありますけれども、いざ日本で、第一例、第二例というふうな形、あるいは今回の第三例というふうなことで、高病原性鳥インフルエンザの実際の症状を見てみますと、必ずそれだけではないということがわかってきたわけであります。

 そこで、これは本日出した通知でありますけれども、羽数の多少やそういったことではなくて、あるいは症状の一定のものではなくて、いろいろな高病原性鳥インフルエンザの症状というのはあるということで、何らかの異変があった場合には、すぐに家畜保健衛生所の方に相談をするように、届けるようにというふうなことについての注意喚起もいたしたところでございます。

 それぞれ、知見がだんだんと集まってくるに従って、そこは、そういった事実に立脚をしてまた適切な指導をしているところでございます。

高橋委員 それだけではないということがわかったというお答えだったと思います。

 この死亡鶏の問題は、BSEの問題でも、亡くなった牛の調査ということをやろうということが話し合いの中で決まったわけですよね。そのことからも学んで、大事なことだということを、私たちずっと問題意識を持ってきました。

 説明に来られた職員の方の中で、なぜ死亡鶏の調査をしないのかという話をしたときに、死に方でわかるという言い方をされたんですよ。そういう認識だから、やはりこれから、何らかの異常なという言い方ではなくて、本当にそこまで、異常がない部分についても一定の調査をしなければ、本当の原因はわからないんじゃないか。そのことを改めて伺いたいと思いますが、もう一度お願いします。

中川政府参考人 今回の京都の事例も踏まえまして、先ほど申しましたが、きょう出しました都道府県あての通知によりまして、定期的に各養鶏の事業者の方から家畜保健衛生所の方に報告をいただく。それは、飼養羽数とその一週間の間に死亡した羽数を報告をいただくということでございます。そういう定期的な報告、しかもこの報告は家畜伝染病予防法に基づきます報告徴求ということでありますので、きちっと実施をしていただきませんと、罰則も後ろにはあるというものであります。

 そういったきちっとした義務を伴うものとして報告をお願いする、そのことによって、現場でどういう変化が起こっているかということをきちっとつかんでいきたいというふうに思っております。

高橋委員 よろしくお願いいたします。

 次に、関連業者に対する支援についてお伺いをしたいと思うんです。中小企業庁の考えを聞きたいと思います。

 前にも、大分県の発生のときに、この三十キロ圏内にはさまざまな温泉など観光産業もある、加工業者も含めて地域経済に与える影響が大きい、そういう点での支援も検討してほしいということをお願いしてきた経緯がございます。農家というだけでなく、関連業者、中小業者に対する支援について具体的にどのように検討されたか、伺います。

福下政府参考人 今回の国内三例目の鳥インフルエンザ発生に伴いまして、全国的に鶏肉、鶏卵等の取引関係に影響が出始めているということで、昨日、農林水産省から経済産業省に対しまして、鶏肉等の卸、小売業者、飲食店等の関連中小企業者に対する対策実施について要請がございました。

 これを受けまして、経済産業省におきまして、直ちに、関係中小企業者に対する支援といたしまして、次の二点の措置を講ずることといたしまして、昨日中に関係機関に指示をしたところでございます。

 第一点目は、特別相談窓口の設置でございます。政府系中小企業金融三機関でございます中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、商工組合中央金庫のほか、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会等に特別相談窓口を設置いたしまして、関連中小企業者の相談に応じる体制を整えたところでございます。

 第二点目は、運転資金の貸し付けでございます。政府系中小企業金融三機関が、関連中小企業者に対して、セーフティーネット貸し付けといたしまして、運転資金を一般貸し付けとは別枠で貸し付けるという特例措置を講じたところでございます。

 今後とも、農林水産省等関係機関と緊密に連携をとりながら、対策の実施に当たってまいりたいと考えております。

高橋委員 残念ながら時間がないので、指摘だけにとどめますけれども、今、答弁の中に、昨日要請があったとおっしゃいましたよね。要するに、今まで、山口で発生をし、大分で発生をしたけれども、農水省から要請がなかったということなんです。だから、関連業者に対しての支援について、そもそも検討の議題に上ったのがきのうだった、ここが非常に問題だと思うんですね。

 BSEのときは、十二月二十四日にアメリカで発生したら、翌日に農水省からすぐ中小企業庁に要請しているんですよ。それなのに、今回はきのうまで何の要請もなかった。今回の問題が関連業者に与える影響、地域経済に与える影響、どれだけ大きいかということを農水省がやはり意識していなかったのかと、非常に残念でなりません。

 そういう立場で、これまでの発生した関連業者も含めて十分な支援をしてくださるよう要望して、終わりたいと思います。

金田副大臣 中小企業の融資につきましては、農林漁業金融公庫あるいは政府系金融機関を通じて、あるいは経営維持資金の融資等々については、かねてから、発生からずっとやって、融資制度をつくっておるところでございます。

 ただいまの中小企業金融公庫等のものについては、セーフティーネット貸し付けというものを別途さらに上乗せしていただきたい、さらに手厚い融資制度にしてくれということでお願いした部分でございますので、基礎的な一階部分と申しますか、それについては当初から対策の中に組み込ませていただいておりました。念のために。

高木委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本でございます。予算委員会から引き続きで、大変御苦労さんでございます。あともう少しで終わりますので、何とかよろしくお願いします。

 この間、政府の方からは、マニュアルの徹底を図っているというふうなことで、再三にわたって答弁がされてきたわけです。確かに、今回の京都の例は、大臣からも災害というふうに形容されるように、大変、業者の問題もありましてこうした事態になっているわけでございますが、しかしながら、例えばラーメン屋さんでもう既に鶏がらスープを使ってしまったというふうな経過、これは四つの自治体を経過した中で連絡がおくれるとか、あるいは兵庫県から神戸に対する連絡もファクス一枚で、特に点検というのはなかったというふうに言われているわけでございます。

 そうした意味で、マニュアルというものが果たして機能していたのかどうか、そうした問題。あるいは、マニュアルそのものがやはり変えていかなきゃならないのかということ。もう一つは、自治体間の連携の問題ですね、そうしたあたり、非常に甘さがあったのではないか。この点についての、今後の改定に向けたあるいは点検といいますか、そうした見直しについての考え方をお伺いします。

中川政府参考人 マニュアルについてでありますけれども、これは東アジア近隣に高病原性鳥インフルエンザの発生が見られる中で、あらかじめ、つまり昨年の九月にこのマニュアルを策定したところでございます。

 現に今、不幸にして、年が明けましてから我が国で、山口県で、あるいはまたその次に大分県で発生をいたしましたけれども、この防疫マニュアルに沿いまして、それぞれの関係の都府県あるいは市町村で御対応いただいたということでございます。結果につきましてはくどくど申し上げませんけれども、山口あるいは大分につきましては、一つの発生例でもってそれぞれ抑え込めたというふうに思っております。

 今回の京都府の例でありますけれども、これは先ほどから御答弁申し上げておりますように、やはり事業者の方の通報にまずもって問題があったというふうに思っております。ですから、マニュアルそのものについてどうだったかということでいえば、基本的には、やはりそれぞれの現場において役に立っていたというふうに思っております。

 ただ、それでもってよしということではなくて、それぞれ三回の経験を重ねる中で、やはり足らざるところ、あるいはもう少し改善すべきところというのはあったわけでございまして、そこは、家きん疾病小委員会という専門家の方々のアドバイスをいただきながら、きちっと直していきたいというふうに思っております。

山本(喜)委員 きょうの新聞によりますと、各県の独自のマニュアルあるいは各県の相談窓口、そういうものが設定されているというところが極めて少ないという新聞の調査結果が出ているわけです。それから、広域的に対策をとっているところは九州と沖縄だけというふうなことがあります。

 そうした意味で、こうした自治体に対する、独自マニュアルというものに対する国の指導といいますか、そうしたものはどうなっているのか、お伺いします。

中川政府参考人 個別の疾病に対するマニュアルに先立ちまして、これは平成十三年の九月でございますけれども、家畜防疫を総合的に推進するための指針というのが農林水産大臣名で公表されてございます。この指針によりまして、各都道府県は、国がまず定めます基本的な指針を踏まえまして、それぞれの都道府県、いろいろ現場での事情がございますので、そういった地域の実情を踏まえた県の防疫要領を策定し、それから関係者に広く周知をするようにというふうにされているわけでございます。

 国といたしましては、この指針に沿いまして、高病原性鳥インフルエンザの防疫マニュアルを含めまして七つの疾病についてのマニュアルを作成しておりまして、それぞれ都道府県には通知をいたしておりますが、各都道府県におきましても、数は正直言って余り多くはありませんが、独自の都道府県のレベルでのマニュアルをおつくりいただいているところでもあるということでございます。

 それぞれ、県におきまして事情があるわけですから、国の定めたマニュアルに沿って、あるいはそれに加えて独自のマニュアルをつくっていただくというのが望ましいということだというふうに思います。

 それから、相談窓口につきましても今お話がございましたが、これも十三年九月の指針におきまして、過剰な防疫の対応あるいは風評被害が生じることがないように、発生をした家畜伝染病あるいは防疫措置に対する正しい知識の普及に努めるということで、こういった相談窓口などもつくるようにということは指針の中に含まれてございます。

山本(喜)委員 今後、各自治体に対する点検ということをしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 次に、家畜伝染病予防法の改正についてでありますが、これは、今回の京都の問題は、届け出義務というところをやはりきちっと厳格にしていかなきゃならないということだと思います。それから、やはり業者に対する補償、恒久的な補償というものを考えているということで先ほどから答弁があったと思うんですが、そうしたことで確認していいんでしょうか。

亀井国務大臣 補償の問題等々につきましては、先ほど来答弁しておりますとおり、いろいろの問題があるわけでありまして、これを制度化するために検討してまいりたい、こう思っております。

山本(喜)委員 しっかりと農家に対する補償というものをやっていただきたいというふうに思います。

 それから、今の京都の農場、かなり大きな規模なわけですが、働いている人たちも結構な人数だと思うんですよ。そこの京都の農場は、もうやめるということを言っていましたが、そうすると、そこで働いていた人たちの雇用対策といいますか援助、こういうものも考えなくてはならないと思うんですよ、働いていた人たちは突然の災害に遭ったようなものですから。そうした雇用対策というのはどういうふうに考えているのでしょう。

三沢政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、浅田農産船井農場につきましては、同社から京都府あるいは丹波町に対しまして、同農場の閉鎖などを約束いたしました書類が三月一日に提出された、こういうふうに承知しております。これを受けまして、京都労働局からの情報で現在私どもが把握しているところでは、同農場で働いている従業員の方、二十九名であったと聞いておりますけれども、そのうち、三月三日付、昨日付で二十名の方が解雇されたというふうな情報を得ております。

 ただ、この浅田農産は雇用保険の適用を受けておりまして、この二十九名の方々につきましても雇用保険の被保険者である、こう承知しておりますので、このような方々が受給資格を得て離職される場合には、当然でございますけれども、失業手当の支給を受けることができる、こういうことでございます。

 したがいまして、私どもとしては、失業認定をできるだけ迅速に行う、こういうふうなことで適切に対応してまいりたいと思っております。また、こうした方々が、ハローワークにおいて、当然、仕事を探される方々もあるわけでございますけれども、このような再就職の活動を行う場合には、職業相談なり職業紹介、これも的確に行っていきたい、こう思っておる次第でございます。

山本(喜)委員 これから二次感染とかいうふうになってくると、そうしたことで被害を受ける従業員の方もたくさんふえてくることが心配されるわけです。そうした点からも、ぜひ雇用対策ということもしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 それから、この鳥インフルエンザというのは野鳥が原因ということが言われておりますが、そうだとすると、全国どこでも発生する危険性があるわけでございます。私の選挙区は比内地鶏というのがありまして、秋田名物切りたんぽの材料でございますが、大変有名でございまして、大臣は食べたことがあるでしょうか。

 これが、感染が拡大していくということが大変心配なわけでございます。そうした意味で、防疫体制、これをどうやっていくのか。先ほどから言われていますが、厚生省あるいは農水省あるいは環境省、それぞれでやっておると思うんですよ、感染ルートの解明あるいは蔓延防止。その省庁間の連携、これがどうなっているのか、きちっと連携を図っていただきたいということで答弁をお願いしたいんですけれども。

亀井国務大臣 比内鶏は食べたことがあります。大変おいしい鶏であります。

 この省庁間の連携、関係府省の会議も官房副長官のところでまとめていただき、またその下に幹事会、こういうものも組織をしておるわけでありまして、十分それを機能させてまいりたい。あわせて、先ほど来お話し申し上げておりますとおり、各都道府県におきましても、防疫問題につきましては緊密な連携をとり、また情報の一元化、こういうようなこともしっかり対応させて、万全な体制をしいてまいりたい、このように考えております。

山本(喜)委員 もう一つは、京都においてたくさんの方が作業に当たっているわけです。多くの人がかかわればかかわるほど、人に対する感染のリスクというのも高まっていくわけですね。そうした意味での、かかわっている人たちの健康調査といいますか、そういう対策というものはどういうふうにとられているのか、お伺いします。

田中政府参考人 高病原性鳥インフルエンザにつきましては、感染した鳥との接触等により、まれに人に感染するということが報告されております。

 厚生労働省では、人への感染を防止するために、鳥の処分に従事する者などに対しまして、マスク、ゴーグル、手袋等の感染防護措置、それから健康監視の徹底、さらには高病原性鳥インフルエンザにかかった疑いのある者を診察した医療機関から直ちに報告を求めるとともに、当該患者に速やかにタミフルによる治療体制を確保すること等を自治体に指導しているところでございます。

 今回の京都での発生事例につきましても、まず第一に、当該養鶏農場の従業員を把握しまして健康状態の確認を行うとともに、鶏の処分に従事する者につきましては、感染防護対策の徹底及び毎日の健康状態の確認を行っているところでございます。例えば、三月一日には農場関係者二十四人、京都府職員百九十二人、三月二日には同じく農場関係者二十三人、京都府職員二百五人、いずれも異常なしでございましたけれども、このような格好で毎日の健康状態の確認を行っているところでございます。

 今後とも、関係機関と密接に連携を図りながら、人への感染防止に対して取り組んでまいりたいということでございます。

亀井国務大臣 京都におきましては、本当に厳重に保健センターでやっていただいております。いろいろの手順等、京都府の指導のもとに、この問題につきましては十分な体制をおとりいただきまして、努力をしていただいておりますことには、私も、昨日参りまして、本当に感謝を申し上げるような次第であります。

山本(喜)委員 時間の関係で、あと最後の質問になるんですけれども、大量の埋却処分ですね。あれは、埋めた後そのままなんですか。その埋めたものの扱い、あれは半永久的にあのままにしておくのか。いろいろと環境汚染とか水質の問題で、結構不安があると思うんですけれども、お願いします。

中川政府参考人 これも、この埋却の方法も防疫マニュアルの中に記載をされておりますけれども、埋却する場所の土質なり地下水、あるいは水源との関係など、公衆衛生部局と十分に協議をした上で場所を選定するというふうなことも書かれております。

 それから、埋却をする溝を掘りますけれども、その深さも四、五メートル、それから、鶏の死体を埋めた後の覆土も二メートルはかぶせるというふうなことで、水に対する汚染ですとか、あるいは外に漏れないようにきちっとビニールシートで覆うなど、十分な注意をして埋却をしているところでございます。

 また、一たん埋めた後の措置でありますけれども、少なくとも三年間は掘り返しが禁止をされております。

 こういった形で、環境の面、それからまたそれ以外のいろいろなリスクに対して十分注意をして、この処置を行うようにしているところでございます。

山本(喜)委員 ありがとうございました。

高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時十二分散会


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