第17号 平成16年5月20日(木曜日)
平成十六年五月二十日(木曜日)午前十時一分開議
出席委員
委員長 高木 義明君
理事 北村 誠吾君 理事 西川 京子君
理事 松下 忠洋君 理事 松野 博一君
理事 黄川田 徹君 理事 小平 忠正君
理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君
赤城 徳彦君 石田 真敏君
小野寺五典君 大野 松茂君
梶山 弘志君 金子 恭之君
木村 太郎君 城内 実君
倉田 雅年君 後藤 茂之君
佐藤 勉君 竹下 亘君
谷本 龍哉君 津島 恭一君
永岡 洋治君 西村 康稔君
西銘恒三郎君 野呂田芳成君
原田 令嗣君 平井 卓也君
二田 孝治君 古川 禎久君
三ッ林隆志君 泉 健太君
岡本 充功君 金田 誠一君
城井 崇君 楠田 大蔵君
篠原 孝君 神風 英男君
仲野 博子君 楢崎 欣弥君
橋本 清仁君 堀込 征雄君
松木 謙公君 室井 邦彦君
西 博義君 高橋千鶴子君
山本喜代宏君
…………………………………
農林水産大臣 亀井 善之君
農林水産副大臣 金田 英行君
外務大臣政務官 松宮 勲君
農林水産大臣政務官 木村 太郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 林 幹雄君
政府参考人
(金融庁検査局長) 佐藤 隆文君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 三輪 昭君
政府参考人
(財務省主計局次長) 佐々木豊成君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 村上 秀徳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房協同組合検査部長) 船本 博昭君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長) 須賀田菊仁君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 川村秀三郎君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 太田 信介君
政府参考人
(水産庁長官) 田原 文夫君
農林水産委員会専門員 和田 一郎君
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委員の異動
五月二十日
辞任 補欠選任
大野 松茂君 谷本 龍哉君
後藤田正純君 城内 実君
佐藤 勉君 原田 令嗣君
玉沢徳一郎君 竹下 亘君
西村 康稔君 古川 禎久君
野呂田芳成君 西銘恒三郎君
鹿野 道彦君 橋本 清仁君
岸本 健君 室井 邦彦君
楠田 大蔵君 泉 健太君
仲野 博子君 城井 崇君
同日
辞任 補欠選任
城内 実君 倉田 雅年君
竹下 亘君 玉沢徳一郎君
谷本 龍哉君 三ッ林隆志君
西銘恒三郎君 野呂田芳成君
原田 令嗣君 佐藤 勉君
古川 禎久君 西村 康稔君
泉 健太君 楠田 大蔵君
城井 崇君 仲野 博子君
橋本 清仁君 鹿野 道彦君
室井 邦彦君 岸本 健君
同日
辞任 補欠選任
倉田 雅年君 後藤田正純君
三ッ林隆志君 大野 松茂君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)
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○高木委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官村上秀徳君、大臣官房協同組合検査部長船本博昭君、総合食料局長須賀田菊仁君、経営局長川村秀三郎君、農村振興局長太田信介君、水産庁長官田原文夫君、金融庁検査局長佐藤隆文君、外務省大臣官房審議官三輪昭君及び財務省主計局次長佐々木豊成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川禎久君。
○古川(禎)委員 おはようございます。自由民主党の古川禎久でございます。
本日は、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきます。
ただ、その前に、先日、十七日に、財務大臣の諮問機関であります財政制度等審議会におきまして、中山間地域等直接支払い制度に関しまして、この抜本的見直しを建議するという内容の新聞報道等がございまして、各地現場で大変動揺が広がっております。まず、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
中山間地域は、傾斜地が多く農業生産条件が不利である、また、農林業以外の就業機会にも恵まれないなど、平場の農村と比べて不利であり、過疎化、高齢化も進展しております。その一方で、国土や環境の保全に加え、我が国固有の伝統文化の継承や都市住民への安らぎの場の提供など、極めて重要な役割を果たしております。中山間地域等直接支払い制度は、このような中山間地域の多面的機能を確保するため、平成十二年度に導入されまして、耕作放棄地の発生などの防止に大きな効果を上げてきておるところであります。
私のふるさとの宮崎県串間市におきましても、ここは過疎地域及び半島地域等に指定されている典型的な中山間地域でありますけれども、ここでも、本制度創設以降、取り組みが始まりました。農業者の皆さんの話し合いが活発化しまして、共同利用の農業機械を購入したり、水路の草刈りなど共同作業がふえるなど、地域全体が活性化してきております。この制度への期待は非常に高いものがありまして、また、公共団体等からも高い評価を得ているところであります。こうした中で、せっかく地域の取り組みが行われるようになったやさきにおきまして本制度を打ち切るということになりますれば、再び中山間地域が衰退に向かうことは明らかだと思います。
この制度は、平成十二年度の導入以来、全国で着実に取り組まれていると思いますけれども、本制度が実施されている農用地面積や協定締結の取り組み状況などにつきまして、これまでの実施状況をお伺いしたいと思います。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
中山間地域等直接支払い制度は、食料・農業・農村基本法に国が行う基本的施策と位置づけられておるところでございまして、耕作放棄等によりまして多面的機能の低下が特に懸念されております中山間地域等におきまして農業生産活動等が継続されるよう、農業生産条件の不利を補正するための支援を行うことなどによりまして、多面的機能を確保する観点から実施しているものでございます。
お尋ねの点でございますが、平成十五年度までの見込みによりますと、対象となる市町村の九三%に当たります千九百六十市町村において、三万四千の協定が締結されております。そして、対象農用地の八五%に相当する六十六万ヘクタールの農用地におきまして、農業生産活動等の継続により耕作放棄が防止され、多面的機能が確保されている状況にございます。
本制度につきましては、広く国民的理解を得ていくことが重要である、そういう観点に立ちまして、明確かつ客観的な基準のもとで、透明性を確保しながら実施している状況でございます。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
ただいま御答弁いただきましたけれども、この制度が全国で広く普及、定着しておりまして、中山間地域におきましてなくてはならない制度だということが言えると思います。
この制度は実施期間が平成十六年度までですから、現在農林水産省では本制度の検証を行っていると聞いておりますけれども、これまでどのような効果が上がっているのかについてお尋ねいたします。
○太田政府参考人 本制度の実施によりまして六十六万ヘクタールの農用地において適正な農業生産活動等が継続的に行われていることは、先ほど申し上げました。
そうした中で、各地域におきましては、集落協定の締結を契機といたしまして、多様な集落活動の取り組みが行われております。例えば、集落におけます話し合いの活発化、農業機械や施設の共同利用、共同作業の増加など、将来にわたる農業生産活動等の継続に向けた動きというのがございますし、また、集落の共同活動等によりまして、耕作放棄地になった農地を積極的に復旧するような取り組みも見られております。
耕作放棄地につきまして、農業センサスによりますと、平成十二年度まで大きく増加してきておりますが、その後の調査では、農業振興地域内の農用地の耕作放棄地率は、平成十二年度以降減少傾向となっている状況もございます。また、本制度を実施していただいております市町村及び集落協定代表者を対象といたしました調査の結果として、その九八%で耕作放棄を防止する効果があるという答えが得られておりますほか、九割以上の集落で、耕作放棄の防止に向けました農地や水路、農道等の共同管理作業が活発に行われている結果となっております。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
今御答弁いただきましたように、本制度が全国で広く取り組まれておりまして、効果、成果が高く上がっておるということが明らかだと思います。
先日のこの財政制度等審議会の建議、これは私は全く一律的な財政論であって、この制度の本来の意義というものを全く度外視したものだと思っております。政策の重要性を見失ったならば、中山間地域のみならず、今後の我が国社会や国土利用のあり方について道を誤ることにもなりかねないと思っております。
この制度をきっかけにしまして必死に頑張っておられる皆さんのやる気に対して冷や水を浴びせることにならないためにも、十七年度以降も本制度をぜひとも継続させていただく必要があると考えますけれども、大臣のお考えをお尋ねいたします。
○亀井国務大臣 財政制度審議会から財務大臣に行われた建議、この中に、中山間地域直接支払い制度だけでなしに、さまざまな分野におきます見直しの時期の到来しておりますもの等につきまして、財政運営の視点から考え方が示された、このように認識をいたしております。
しかし、この制度につきまして、今局長からも答弁をいたしましたとおり、大変多くの役割を果たしておりますし、先般、各都道府県の主務部長会議をやりまして、その政策提案会をいたしたところでもございますが、こういう際にも各都道府県からの継続の要望が強いわけでありますし、地方公共団体等々からも大変強い要望を受けております。
私ども農水省といたしましては、こうした要望を十分聞きながら、国民の理解を得られるよう、中立的な学識経験者から成る検討会、これも持っておるわけでありまして、この検証等を踏まえまして、来年度の予算の概算要求の時点までに省としての考え方を取りまとめて、委員からの御指摘も、またそれぞれの、前回もこの委員会でも御指摘をちょうだいしておるようなわけでありますし、この役割というものは大変重要な役割を果たしておるわけでありますので、そのような対応をしっかりやってまいりたい、こう思っております。
○古川(禎)委員 ありがとうございます。ぜひ本制度をしっかりと継続していただくように、強くお願いを申し上げておきます。
続きまして、本題の農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に関する質問に移らせていただきます。
農業は国の基幹的な産業として大変重要であることは言うまでもありませんが、我が国農業にとりまして農協の果たす役割もまた非常に重要だと考えております。農協改革なくして我が国の農業、農村の発展はあり得ないと言っても過言ではなかろうと思います。
そこでまず、我が国農業における農協の存在意義について、農林水産大臣、どのように認識をしておられますでしょうか、お尋ねいたします。
○亀井国務大臣 農協は、農業者の相互扶助を基本理念といたしまして、そして組織として、農産物の共同出荷、生産資材の共同購入、あるいは営農資金の融通等組合員に対するサービスの提供を第一義といたしておるわけでありまして、農業の生産力の増進あるいは農業者の地位の向上、こういう大きな役割を果たす組織、このように認識をいたしております。我が国の農業の構造改革を進めるに当たりましても、農協が販売、営農指導の機能を発揮いたしまして、地域農業の力強い発展を推進する主体としての役割を担うことが大変重要なことであるわけであります。
そういう面で、近年、社会や経済情勢の変化に対応いたしまして、営農、経済事業を中心とした農協改革が急務であるわけでありまして、そのような視点に立ちまして、今回農協法の一部改正案を国会に提出しているところであります。
○古川(禎)委員 我が国農業にとりまして重要な役割を担っております農協は、本来、生産者の組合員による組合員のための組織であります。今大臣がおっしゃいましたように、農協改革という言葉が近年声高に叫ばれておりますけれども、自主的な組織でありますところの農協が、本来、どのように改革されるべきか、どのようにあるべきか、また行政としてどのように支援を行っていこうと考えておられるのか、農林水産副大臣にお尋ね申し上げます。
○金田副大臣 委員御指摘のとおり、農協の改革というのは農政改革の重要な柱の一つだというふうに理解しているところでございます。
今回の農協法の改正によりまして、農協というのが、農家の皆さん方の自主的な相互扶助的な組織、自主的な組織ではありますけれども、農村における司令塔としての役割を担っているというのも現実でございます。農協につきましては、さまざまな御批判、指摘があるところでございまして、そういった批判を踏まえながら、農協が真に組合員の皆さん方の生活向上、所得向上、そういった面をしっかりと果たしていっていただきたい。そして、行政と農協の自己改革とが相まって農政改革が達成できるものだというふうに理解させていただいております。
農協の昨年の二十三回全国大会におきましても、みずからがこの方向で改革するという基本方針を掲げておりまして、その基本方針を行政的にもしっかりとフォローしていくというのが今回の農協法の改正の趣旨でございます。しっかりと頑張ってまいりたいと思います。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
今御答弁いただきましたように、やはり農協みずからがまず自己改革をする決意、これが大事だ、そして、それを行政も後押しをしていくんだということだろうと私も思います。
私の地元の宮崎県都城農業協同組合では、生産資材について予約の徹底と大口一括仕入れで価格を引き下げまして、農家の生産コスト削減に一役買っております。しかしながら、このような優良な事例も一部ありますものの、全国的に見ますと、組合員の中には、特に篤農家、担い手と呼ばれるような方々からは、生産資材購買や生産物販売などの経済事業におきまして、農協を利用するメリットが乏しいのではないかというような声もあるようでございます。
いわゆる農協離れが進んでいるということもあろうかと思いますが、こうした残念な現状を踏まえますと、農協系統がいま一度協同組織の原点に立って、組合員の信頼をかち取ることが何よりも必要だと思います。そのためにも、経済事業を初めとする農協改革を推進することが私は何よりも重要だと考えます。
今回の改革は、全中が基本方針を策定して、全中みずからが中心となって進めていくとのことですけれども、自主的な組織体であります農協の改革の実を上げるためには、全中のリーダーシップが最も効果的だという判断に立っておられるからだろうと思います。
しかしながら、ここで心配になりますのは、全中は指導機関ではあっても経済事業についてのノウハウをどこまで持っているのだろうかということと、今回の改正で全中の権限が強くなり過ぎるということはないのだろうかということでございます。全中が基本方針を策定するなど全中の権限強化によって逆に中央集権的になり過ぎて、現場のニーズに対応した改革ができなくなるのではないかという懸念もあります。その点、いかがお考えになっておりますでしょうか。
○川村政府参考人 全中が策定を予定しております基本方針についてのお尋ねでございます。
農協の指導は、各県の中央会が現在個々に行っているというのがまず実情でございます。今委員がお触れになりましたように、例えば生産資材のコストの引き下げなど、各都道府県におきましてはそれぞれ独自の取り組みも確かにされているわけでございますが、ただ、全般的にいいますと、なかなかその取り組みが各県非常に熱心に行われているかどうかという点についていろいろ疑問もあります。
それから、特に昨今の食の安全、安心、そういう意味で、偽装表示の問題等もございましたが、法令遵守の問題、それから食農教育といいますか、そういった消費者との距離を少なくするという意味での直接販売の拡大など販売事業の改革、そういう意味で、各都道府県それぞれの工夫は必要ではございますが、共通の目標として取り組むべき課題というのも非常に多いわけでございます。
例えば、食の安全、安心で、トレーサビリティー、こういったものも全国的に系統全体として取り組まないと、一つの農協でのいろいろな不祥事等が全体の信用をなくしてしまう、こういった懸念があるわけでございまして、やはり基本的なところあるいは共通の項目、こういったものについては歩調を合わせて、系統全体としてテンポを上げて進めていく、こういう必要があろうかと思っております。
そういう意味からしますと、やはり中央会が強力に、そういう共通的なものあるいは進行管理、そういったものについては共通の目標を掲げて、共同歩調でやっていくということが全体としてのレベルアップにつながるのではないか、こういうふうに考えるところでございます。もとより、そういった共通目標なり進行管理の方針のもとで、各都道府県あるいは地域の農協が地域の実情に即して創意工夫を上げていかれるということが必要だろうと思っております。
そういう意味で、これは、各単協なりあるいは各県の経済連なりそういったところから創意工夫を生かすことをそぐものではなくて、今言ったような趣旨で、全体としての共通目標あるいは進行管理、そういったものをより円滑にしていくということで、その独自性、自主性を損なうものではない、こういうふうに考えているところでございます。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
局長が今おっしゃいましたように、中央会のリーダーシップが大事であること、そしてさまざまな、全農であるとか単協の御意見も聞きながら全体的に進めていくことが大事だということだろうと思います。全中自身もそのことを肝に銘じまして、謙虚な気持ちで真摯に改革に取り組んでいただきたいと思います。また、そのようになるように、農水省におかれてもしっかりと御指導いただきたいと思います。
さて、我が国を取り巻く農業の環境というものは相変わらず厳しいものがございます。したがいまして、農協系統の経営環境も当然厳しいわけですけれども、ここでまず、農協系統の経営状況の現状についてお尋ねいたします。
○川村政府参考人 お答えを申し上げます。
農協系統の経営状況ということでのお尋ねでございます。
農協は、御案内のとおり、信用事業あるいは共済事業、それから購買、販売事業等の事業を総合的に実施しているわけでございます。このうち、信用事業それから共済事業につきましては、黒字ということに全体としてはなっております。ただ、この黒字幅は近年縮小傾向にあるというのが実情でございます。一方、購買事業あるいは販売事業は基本的に赤字となっておりまして、かつ、この赤字幅が拡大傾向にあるというのが全体的な状況でございます。
具体的な数字で申し上げますと、農協全体での平成十四事業年度の事業利益でございますが、これは千百六十二億円、それから経常利益でございますが、千六百六十七億円となっております。この数字をピークの平成元年の事業年度と比べますと、いずれも三分の一というような状況でございまして、非常に厳しい状況にあるということが言えるかと思います。
ただ、ここのところ、十四年度は前年度に比べまして事業利益、経常利益も増加しているというようなことで、やや好転の兆しも見えてきているということも言えるかと思いますが、信用事業なり共済事業に依存するといったような今の状況でございますので、今般の経済事業改革、これを断行することによりましてより健全な経営が確立されるよう期待をしているところであります。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
信用事業、共済事業などは頑張っておられるというものの、購買事業、販売事業ではなかなか厳しい状況にあるということだろうと思います。個別の農協を見ましても、大変厳しい状況が多々見られると思うのですが、こういう状況の中で、農協の合併というものもかなり進んできているようであります。
本来、組合員のための農協合併であるにもかかわらず、ともすれば合併のための合併ということになってしまっているのではないか、あるいは合併によってきめ細かなサービスが行き届かなくなってしまっているのではないかというような声も聞かれているところでございます。その対策につきましてお尋ねいたします。
○川村政府参考人 農協合併の問題でございます。
農協系統におきましては、取扱量の増大によります事業基盤の強化でありますとか、能力ある役職員あるいは人材、こういうものを確保するということで事業運営の体制の強化、また、施設等を統廃合することによりましてコストの引き下げを図る、自己資本の充実によりまして経営体質の強化を図る、こういったことを目的としまして、合併構想を策定して広域合併に鋭意取り組んでいるということで、現在九百四の総合農協ということにしているわけでございますが、中には一県一農協といったような大きな農協も出てきているという状況にございます。
他方、こうした広域合併の進展に伴いまして、今御指摘もございましたが、農協と組合員の結びつきが希薄化しているのではないか、それからまた、非常に重要な営農指導、こういった体制が弱体化して、組合員のニーズに十分こたえていないのではないかといったような、農協の本来一番基本的な事業というところから見て問題があるのではないかといったような問題点が指摘されているのも事実であります。
こういった指摘に対しましては、農協系統としても、合併のメリットを早急に出すように、またそういった批判なり問題点に適切に対応するような努力が求められているわけでございますが、例えば適切な支所の配置をするとか、組合員の日常活動に対応した支所機能を充実するということで、組合員のニーズの把握でありますとか相談機能、こういったものを特に充実する。また、いろいろな多様な組合員ニーズがございますので、そのグルーピングといいますか、共通の目的を持った、意識を持った組合員をグループ化して、例えば作物別の生産部会でありますとか青年、女性部、こういった組織づくりをするということで、その組織づくりを通じてよりきめ細かな対応を図っていく。
また、営農指導につきましても、営農指導員の目標管理を導入しますとか営農センターをもっと機動的に体制を整えるとかいうようなことで努力をしているところもございますし、全般的にもそういう努力は今後必要だろうというふうに思っております。
今申し上げましたように、合併によって農協と組合員の結びつきが希薄化したり営農体制が弱体化するというのは非常に問題でございますので、農水省としても適切にこの支援なり指導をしてまいりたいというふうに思っております。
○古川(禎)委員 組合員のニーズにきめ細かにこたえられるようにさまざまな努力をしておられるということだと思いますが、一方で、私は、農協合併で経営の合理化を進めようとしても、なかなか合併のメリットが発揮できない場合があるということを耳にいたしております。例えば合併によって遊休施設となった共同利用施設を整理統合しようという場合におきましても、この施設が補助対象施設であるから、補助金返還等の問題があってできない、そういう例があると聞いております。
確かに、補助金を使って建てた施設ですから、むやみに処分したり転用したりするというのは適当ではないかもしれませんが、しかし、余り硬直的な対応もどうかと思うわけであります。農協合併のメリットを発揮するためにも、この点、何かうまい工夫はないものかと思うのですけれども、その点、何か対策等ございましたらお聞かせください。
○川村政府参考人 お答えを申し上げます。
農協合併の進行に伴いまして、今御指摘で例示をされましたように、特に共同利用施設等におきまして遊休化した施設等も出てきているということでございます。これをその他の目的、同じ農業目的でも、例えば今まで共同選果のところを今度は逆に販売所等に転用する、そういったこと自体も補助金の返還等が必要であるという非常に厳格な運用がこれまでなされてきたということで、せっかくの合併メリットがなかなか生かせないのではないかという御指摘、また御要望もあったことは事実でございます。
そういう中で、内閣府に設置されました地域再生本部、この中で、今年二月に地域再生の推進のためのプログラムが決定をされました。具体的に、この関連といたしましては、各種補助事業で導入した施設を有効に活用して地域再生を図る取り組み、こういったものがなされる場合には、一定の要件を満たせば補助対象施設を補助金返還を求めずに弾力的に転用ができるという枠組みが設けられたわけでございます。
この地域再生の場合は、地域再生計画に位置づけられた地域、施設でないと採用されないわけでございますが、農林省は、この同じ計画の中で、農林省独自としても、既存の農林水産の補助施設の有効活用を図るという観点から、一定の要件を満たす場合には補助金返還を求めずに補助施設の転用等を弾力的に承認できるよう今年度中に運用通知を作成するということで、現在鋭意検討しているところでございます。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
本来組合員のものであります農協が本当に最大限有効に力を発揮できるように、今後ともきめ細かな推進を、後押しを農林水産省にもお願いをしておきたいと思います。
次に、信用事業についてですけれども、前回の農協法の改正は平成十三年でありました。前回の改正では、ペイオフ解禁に向けて信用事業を中心とする法整備が行われたと聞いております。組合員が安心できる、破綻することのない農協系統信用事業を確立するため、農協、信連、農林中金が全体として一つの金融機関、すなわちJAバンクシステムとして機能するよう、新たな農協金融システムを目指そうとしたわけであります。
前回の改正法の施行から既に二年余りが経過しておりますが、この間、ペイオフは段階的に解除され、いよいよ来年四月からはペイオフ全面解禁となる運びとなっております。このような中にあって、今回の改正は全面解禁前の最後の改正ということになる、そういうタイミングだと思いますけれども、農協の信用事業というものが前回の改正以降どのような現状となっているのか、またペイオフ全面解禁にどのように臨もうとされているのか、基本的な方向性につきまして大臣にお伺いしたいと思います。
○亀井国務大臣 農協系統の信用事業につきましては、今委員からも御指摘の平成十三年の農協改革二法に基づきまして、農林中金が中心となりまして、JAバンク基本方針、これを策定いたし、そして農協等を指導するJAバンクシステムが確立されたところであります。
自己資本比率が四%未満の農協の解消など、問題農協の早期発見、そして早期是正などを強力に進めてきたところでありまして、この結果、農協貯金は、ペイオフ部分解禁後におきましても対前年同月比一から二%程度の伸びを示すなど、全体として安定した状況にあります。
さらに、農協系統におきましては、平成十七年四月のペイオフの全面解禁後におきまして、貯金者等に安心して利用される金融機関となるよう、JAバンクシステムに基づきまして、不良債権につきましても一層強力に処理を進める、あるいは、合併や信用事業譲渡によります組織再編や事業強化、これを図ることによりまして財務や経営の一層の健全化に取り組んでいるところでありまして、農水省といたしましても、都道府県や農林中金を初めとする農協系統と十分連携をとりつつ適切に指導してまいりたい、このように考えております。
○古川(禎)委員 JAバンクシステムの成果等もあって、農協金融は安定化しているということだろうと思います。ありがとうございました。
さて、次に、農業信用保証保険法の改正につきましてお尋ねいたします。
この法律は、農協等からの融資に対し農業信用基金協会が保証を行う仕組みによりまして、融資を円滑にしようというものであります。信用基盤が脆弱な農業者にとりましてこのような制度はなくてはならないものですから、信用事業と保証保険制度というものはいわば表裏一体、密接な関係にあると言えます。
その農業信用保証保険制度について今回改正を加えようとするわけですけれども、ペイオフ解禁前の最後のチャンスとなる今回の改正におきまして、どのようなことを目指そうとしておられるのか、この際お尋ねいたします。
○川村政府参考人 今回、農業信用保証保険法の改正を提案させていただいておりますが、その趣旨なり概要でございます。
農業信用基金協会、これは各都道府県に置かれておりまして、農業者等が農業近代化資金でありますとかその他の資金を農協等の金融機関から借り入れる場合にその債務を保証する、こういったことによりまして、農業経営等に必要な資金の調達の円滑化を図っているところでございます。そして、その融資機関である農協につきましては、ただいま大臣からもお答えを申し上げましたとおり、農協改革二法等によりまして既にいろいろな改革が行われておりまして、合併等の組織再編等を通じました経営の安定あるいは機能強化等が推進をされてまいりました。
農協信用事業の健全な発展を促進するという意味からは、農協自体の信用事業の体質強化、これももちろん必要でございますし、健全性の確保も必要でございますが、今御質問の中でも御指摘がございましたように、信用保証システムということがまさに表裏一体でございます。この信用保証システムについて健全性を一層高めるということが、総体としての金融システム、これを健全化し発展を図っていくという意味で非常に重要でございます。そういう意味からも、今回はこの信用保証の問題を対象にいたしまして、改革を行おうというものでございます。
具体的には、今申し上げました各県に置かれております農業信用基金協会、これにつきまして財務の健全性に対する規定等が余り整備されておりませんでしたので、一つは、健全性を判断する基準を主務大臣が策定するといったこと、それから監査につきましても公認会計士監査でありますとか、健全性の確保に関する規定を設けるというのが一点でございます。それから、これも万が一のセーフティーネットとしての規定の整備でございますが、なかなか単独での改善ができないといったような場合に、農業信用基金協会の合併なりあるいは事業譲渡ということで健全性を確保していくといったための規定の整備を行うというものがその内容でございます。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
ペイオフ全面解禁に向けまして鉄壁の、万全の体制をつくっていこうということだと思います。今後とも、信用事業の健全性に向けまして御関係の皆様の御努力をお願いしたいと思います。
続きまして、共済事業に関する質問に移りたいと思います。
農協法におきましては、農協の行う事業として共済事業が制度化されております。農協法にこれが位置づけられましたのは、今からちょうど五十年前、昭和二十九年ということだそうです。以来、半世紀にわたりまして農協の共済事業は、保険会社のサービスが必ずしも十分でなかった農村部を中心としまして、農業者を支えるセーフティーネットとしての役割をしっかりと果たしていただいてまいりました。現在では、総資産四十兆円、契約数も三千万件と、一般の保険会社と肩を並べるほどの事業規模になっております。このため、万が一農協の共済事業が経営不振、破綻に陥るようなことがありましたら、組合員のみならず地域経済にも大きな影響が及ぶことは必至でございます。
一方、近年、超低金利の長期化、金融、保険業界における規制緩和の流れなど、農協の共済事業をめぐる経営環境はまことに厳しいわけです。
ここで大臣にお尋ねをいたしますけれども、共済事業の現状をどのように認識しておられますでしょうか。また、今回の改正でどのような措置を講じられようとしておられるのか、お尋ねいたします。
○亀井国務大臣 今委員からも御指摘のとおり、農協の共済事業、その使命、役割、また今日まで農家の営農の継続や生活の安定、こういう面で大変寄与してきておるわけでありまして、事業を開始して以来順調に発展をし、規模も相当大きくなってきておるわけでもございます。その運営面におきましては、将来の契約者に対する支払い財源であります責任準備金の適正な積み立て、これに加えまして、今後の経済変動等に備えた支払い余力を確保している、こういう面で、当面、健全性に問題はないわけであります。
しかし、共済、保険を取り巻く環境、超低金利の長期化によります逆ざやの拡大や保険料の自由化による他の業種との競争の激化等の状況があるわけでありますし、また農協共済の事業規模が相当程度大きくなっている現状、こういうことを考えますときに、万一、健全性を損なうような事態になれば、組合員やまた農村社会に大きな影響を与えるわけであります。
そこで、今回の農協法の改正、この中にはやはり、早期是正措置、支払い余力基準の導入や、そのほか共済事業の一層の健全性を確保するための措置、また利用者への重要事項の説明その他共済契約者の保護を充実させるための措置、あるいはまた契約者保護の視点から契約条件の変更手続の規定の整備等を講ずることにしておるわけでありまして、そのようなことを今回の改正案にお願いいたしましてこの目的を達成してまいりたい、このように考えております。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
共済事業の社会的な役割の大きさということから考えましても、今回、保険業法並みにきちんと法定をされようということは、大変意義のあることだと思っております。
さて、今御答弁の中で大臣が触れられましたが、共済利用者の保護ということについて一点だけお尋ねしたいと思います。
近年は、消費者ニーズの多様化というものを反映しまして、共済保険の商品内容というものがとても複雑かつ高度化してきていると思います。私も、実際のところ、商品の内容を見ますと大変わかりにくくて、よくわからないというのが正直なところであります。こんな中で利用者保護を図るためには、利用者が複雑な契約内容をきっちり理解して、納得して、その上で加入するようにすることが一番大事ではないかと思っております。そうすることが、組合員から選択されて、信頼される共済事業を実現するための一番の近道だと思うわけであります。
そこで、さらに大臣に、もう一歩踏み込んで詳しく、この利用者保護の措置につきまして今回の法案でどのような措置を講じようとしておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○亀井国務大臣 共済契約は、その性格上、共済期間が長いものが多いわけでありまして、中長期的に払い込む共済掛金の額が大きいこと、また、加入時の年齢によりまして共済掛金が変わることなどによりまして、他の共済に加入し直すのは困難が伴うこと等から、契約に当たって申込者は、内容をよく理解し、慎重に選択することが望ましいところであります。
また、近年、共済商品の多様化、複雑化がある中で、農協共済の販売の形態は、組合の職員が組合員宅などを訪問いたしまして販売するケースが多いこと等から、こうした販売形態のもとで、組合員が受動的な立場に置かれたりあるいは契約意思が不確定のまま共済契約の締結が行われたりすることも想定される、このようなところがあるわけであります。
このため、今回の改正におきましては、必ずしも十分な商品知識を有しない共済契約者に一定の熟慮期間、冷却期間を保障する仕組みを導入する、あるいは不適正な推進行為を行うことの禁止、共済契約に際しましての重要事項の説明の義務づけ等を措置する、このようなことをしておるところであります。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
さまざまな利用者保護の規定につきまして詳しく御説明いただいたわけですが、しかし、やはり一番肝心なことは、農協系統自身がしっかり取り組むことにあると思いますので、今後ともそのように真摯に取り組んでいかれることと、適切な御指導をお願いしていきたいと思っております。
共済事業が始まってから五十年、この節目におきまして、保険業法並みの健全化措置、利用者保護措置の規定が整備されますということは、まことに意義深いものがあると思います。今回の法改正で、農協の共済事業は法律上も保険会社同様の社会的な認知を受けることになると思いますし、同時に、社会的な責任も重くなったというふうに考えております。今後とも共済事業が健全に運営されますように、そして、農業者のセーフティーネットとして従来以上にまた役割を果たしていただきますように要望いたして、次の質問に移らせていただきます。
販売事業についてお尋ねいたします。
農協の販売事業は、農家の皆さんが生産した農産物を市場に売るという事業ですから、農協のレーゾンデートル、存在意義にかかわる一番意義のある事業であって、本来的には中核的な農協の事業であろうかと思います。そこで、この販売事業にスポットを当てまして幾つか質問させていただきますが、まず、農協の販売事業の実情についてお尋ねいたします。
農家の生産する農産物のうち、農協を通じて売られるものの割合がどの程度あるのか。すなわち、農協の販売事業の利用率はどのくらいなのでしょうか、お尋ねいたします。
○川村政府参考人 お答え申し上げます。
生産者が生産しました農産物等につきましては、JAそれから経済連、全農、こういった形で販売されるものが多いわけでございますけれども、今申されましたような、その利用率がどうなっているか、生産者から農協へどの程度この委託が行われているかということでございます。
正確な数字というものはないので、推算せざるを得ないんですが、十三年度の数字で申し上げますと、米が五割弱、それから野菜が五割強、果実が三割強、肉用牛が六割弱、肉豚が三割程度、こういった状況でございます。
○古川(禎)委員 農家の生産する農産物の五割前後、いろいろ種類はありますけれども、半分程度農協を通じて販売されているということだと思いますが、生産者の手取りをふやすためには、単協がさらに頑張っていただきたいということだろうと思います。
農協の販売事業は、委託販売に対しまして農家から販売手数料を取るという方式が多いようですけれども、そうなりますと、取扱量が減ったりあるいは農産物価格が低迷したりいたしますと、それがそのまま販売手数料の減少につながりまして、販売事業の経営が苦しくなるということだろうと思います。
農協の販売事業について、現状はどうなっているのでしょうか。この点につき、お尋ねいたします。
○川村政府参考人 農協の販売事業の状況でございます。
このピークは昭和六十年でございました。このときの取扱高でございますけれども、約六兆七千億程度の取扱高がございました。平成十四年におきましては、これが四兆七千億強ということでございますので、ピークの七割程度の水準にまで落ち込んでおるということでございます。
この理由でございますが、これは販売事業の取扱高が、特に米の取扱高と連動しているという部分がございますが、近年、特に米価の低迷というものがございますので、この影響を受けているのではないかというふうに推測をしているところであります。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
現在、農協組織は、単協、全農の二段階、一部では県経済連を挟みまして三段階というような系統を形成しておりまして、農産物の多くも全農などの連合会を通じて売られております。
それでは、単協の集荷した農産物のうち、連合会を通さず、単協が自前で販売するものの割合はどの程度ございますでしょうか。
○川村政府参考人 単協が集荷をしました、例えば米でありますとか野菜、果実、こういったものを連合会を通さずに単協みずからが販売している割合は、平成十四事業年度におきまして申し上げますと、大体一割弱程度というのが実情でございます。
○古川(禎)委員 ということは、一たん単協に集められました農産物のほとんどが全農などを通じて市場に流れていっているということだと思います。そうしますと、農家が生産をしましてから市場に届くまでに幾つかの段階が存在することになりまして、それが中間マージンということになり、結果的に農家の手取りが減ってしまうということになろうかと思います。
私は、これからは単協の時代だと思っております。単協は、みずからの創意工夫によって産地づくりをし、ブランド化を進めていかなければなりません。市場や全農もうまく利用して、時にはみずから販売先を切り開くというような努力も必要だろうと思っております。
さて、そんな中で、販売事業の経営状況も大変厳しい状況の中で、一部農協におきましては、さまざまな努力や工夫をされまして、健闘しているところもあるようでございます。販売事業が優良な農協では、どのような取り組み例がございますでしょうか、お尋ねいたします。
○川村政府参考人 販売事業につきまして、ただいまお答え申し上げましたとおり、一割程度ということでございますので、九割程度が上部のルートで行っているということでございます。そういうことで、組合員の生産しました農産物を少しでも高く販売するとか、あるいは有利に販売していくといったようなことが進んでいないというのが総体としては言えると思います。
ただ、各単協では非常にいろいろな先進的な取り組みも行われておりまして、次第にそれが広がってきているというのが実情でございます。
例えて申し上げますと、農協が、市場を経由しない直接の販売チャンネル、例えば地元の直販所でありますとか、消費地のスーパー等に自分の売り場、インショップ等を開発いたしまして、そういったところに直販をしているといったようなこと、まさに販売ルートを非常に多角化しているといったことで総体としての生産者手取りの向上を図っておられる例もございます。また、付加価値をつけるといったような意味で、トレーサビリティーシステムをいち早く導入されまして、農産物の安全、安心、こういったものを売り物にしてといいますか、付加価値として有利な販売をされているといったようなところもございます。
それから、食と農の距離が拡大しているという中で、地産地消でありますとか、そういった地場にも一番近い立場にありますので、やはり単協が、おっしゃるとおり創意工夫をして、できるだけ有利な販売をしていくという取り組みが今後はまさに必要になってきているというふうに思います。
○古川(禎)委員 今局長がおっしゃいましたように、単協がそれぞれの産地の特色を生かして質の高い農産物を生産、販売するということ、あるいは地元の直売所での販売、地産地消ということを含めて取り組むということ、あるいは大都市の消費者に対して安心、安全、新鮮、そして生産者の顔が見える直接販売というような努力、工夫が必要だと思います。国内のほかの産地との競争、また海外からの輸入農産品に対抗するためにも、このような努力はますます必要になってくるだろうと思っております。単協は、現在、その系統、全農に頼っておる面も多いわけですけれども、しかし、それぞれの努力におきましてみずから生産した物を売っていくということに力を注いでいく時代が来たと思っております。
先ほど合併につきましてお聞きしましたけれども、最近では、単協も相当に規模が大きくなってきております。昭和三十五年、全国で単協は一万二千あったそうですが、合併によりまして、これが現在約九百になっております。これは、裏を返しますと、単協の区域がおよそ十三倍になっているということでありまして、その分、規模も随分大きくなってきているということだと思います。ということは、これからは、今申し上げましたように、全農、経済連は単協の補完に徹するべきであって、抜本的な事業システムのスリム化が必要になってくるということではないかと考えるのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○亀井国務大臣 農協のあり方につきましての研究会、この報告書にも、単位農協が経済事業等の主役となり、全農、経済連は、単位農協の補完に徹すべき、こう記されておるわけであります。
昨年十月の第二十三回のJA全国大会、そこでも、単位農協の経済事業改革を支援、促進する、こういう視点から、全農が事業システムを抜本的に見直すことを決議されたわけでありまして、農水省といたしましても、このような農協系統が取り扱う取り組み、全農、経済連が単位農協の機能補完を果たすよう適切に指導してまいりたい、このように考えております。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
今回この法律が成立をしたとしましても、それをもって直ちに農協に関する問題がすべて解決するというわけではございません。この農協改革の問題は、あくまでも農協系統自身がみずから取り組んでいかなければならないことでありまして、また、関係各位におかれましてもそのための後押しを鋭意進めていただきたい。そして、農協本来の、組合員のための組織であるという本分を遺憾なく発揮できますように、そして信頼される農協というものにさらに信頼をかち取ることができますように、皆様方のお力添えを御要望しまして、時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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○高木委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、政府参考人として内閣官房内閣審議官林幹雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○高木委員長 次に、小平忠正君。
○小平委員 おはようございます。民主党の小平忠正です。
きょうは、農協法改正について質問いたしますが、その前に、この法案には関係ありませんが、最近の出来事でありますので、一点、政府にお伺いしたいと思います。
それは、例の北朝鮮の問題ですが、いわゆる拉致問題、随分長くかかっておるようで、被害者家族はまさしく一日千秋の思いで家族の帰国を待ちわびている。また、拉致されたと予想される人たちの安否を、一日も早く、その状況を政府が責任を持って明らかにしてほしい、そういうことが今国民すべて注視の的でありますが、なかなか進展いたしておりません。
しかも、この時期に、どういうわけか、小泉総理、正直言って唐突な感がいたしますが、二十二日ですか、北朝鮮に行かれる。それはそれとして、一国の最高責任者がこの問題で出向くということは、当然、その前に入念な、外務省を初め、外交折衝が積み重ねられて、成果がある、そのように考えての訪朝であると思いますので、私どもは、そこは党派を超えて、国民の一人としてこの問題解決に一日も早くなるように心から期待しているものであります。
さて、そういう中で先般、このことに関して、当然、北朝鮮は今、あの国の疲弊した経済状態、そして国民の置かれた悲惨な状況、こういう中で、さらに過般は列車事故というか大きな爆破事故がありました、これはもう予想するまでもなく、惨たんたる状況に置かれていると思います。そういう中で、拉致問題の解決と引きかえというか交換条件というか、支援のことが当然予想されますが、そういう中で何社かが、米の援助二十五万トンという数値まで出して報道がありました。
まず、これについて、事の真偽は私どもはわかりませんが、早速、これは飯島・小泉総理秘書官ですか、けしからぬ、帯同は認めない、こういうことがありました。これ自体、報道機関に対する大きな恫喝であって、問題視されますが、事のいわゆるニュースソースを明らかにせよということでありますけれども、これ自体にも問題がありますけれども、そのようなことになった経緯、背景について、これは官邸であると思います。なぜこんなことがあったのか、しかも正規のいわゆる報道官でない、例えば官房長官でもない飯島秘書官があのような形で表へ出てきたのか、それらも含めて、まず官邸、きょうはどなたが見えているんですか、急なことだったので御都合もおありでしょうから、内閣官房ですか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○林政府参考人 お答えいたします。
去る五月十六日の日本テレビの番組におきまして、北朝鮮に対する支援を政府が検討しているという内容の報道がございました。これは、二十二日の総理の訪朝の際に日朝間で協議される諸問題について、日本政府の方針や協議の方向性があたかも既に固まったかのような、具体的な数字を挙げての報道でございました。
それで、北朝鮮との厳しい協議が予想される中でこのような報道がなされることによって、日朝間のさまざまな懸案について我が国が北朝鮮と協議を行うに当たって重大な支障や悪影響を与えることにもなりかねないとの観点から、当該報道機関との間でいろいろな厳しいやりとりがあったと聞いております。
ただし、日本テレビの同行につきましては、調整の結果、昨日、従来どおりの形で行っていただくということになっております。
○小平委員 審議官、そのことは、あなたが言うまでもなく、私どもは報道を通じて承知いたしております。私が聞きたいことは、このようなことは政府としては極秘に持っていきたい、特に外交交渉だから、そういう具体的な米という問題が出たことについて、けしからぬ、そういうのが飯島秘書官の趣旨ですよね。私は、火のないところに煙は立たない、こう思うんですが、そういうことについて、官邸の中で、あるいは外務省を含めて協議があったのかどうか、それについてお答えいただきたいのでありますが、これは、外務省も含めて、外務省、どなたか見えていますよね、御答弁をいただきたいと思います。
○林政府参考人 官邸の中での調整というようなことかと存じますけれども、官邸側の窓口といたしまして、私ども内閣広報室が、総理大臣秘書官とも相談しながら、こういう場合の調整に当たってございます。最終的な手続が外務省で行われております。
以上でございます。
○松宮大臣政務官 北朝鮮に対します本格的な経済協力は、日朝国交正常化の後に実施されるものでございまして、今次、総理の訪朝におきまして経済協力の実施を約束することは考えられないことでございます。
また、北朝鮮に対します人道支援につきましては、現時点では具体的なことは何ら決まっているわけではございませんが、人道上の必要性あるいは国際社会の対応など、諸般の状況を考慮しながらこれを検討していくことはあり得ることだと考えております。
○小平委員 政務官、あるいは審議官も、私どもは、その国がどういう政治思想下にあろうとも、人道支援という観点からは我々は反対いたしません。これは、国際社会において我が国が果たすべき役割、これを考えて、特に近隣諸国です、人道支援については私も大いに検討したいと思います。
しかし、問題は、拉致問題と絡めて、この米のことが余りにも軽々に出てくる。この農水委員会で関係ない話のように皆さん感じるかもしれませんけれども、私は、今まで、米というものが余りにも政治的に軽々に、いわゆる我が国の海外援助の大きな柱として使われてきた。この国の基幹食料は米です。そのときに、米というものの存在が余りにも軽過ぎる、私はそこに大きな危機を感じているのであります。
したがって、それ以上、答弁できないでしょう。もうそれで結構です。それで、私はここで確認したい。我が国が、援助という名のもとに、過去、どこの国にどれだけの数量の米を援助してきたか。これは農水省ですよね。ちょっとこの機会に報告をしていただきたいと思います。
○須賀田政府参考人 我が国から海外への米の支援、援助でございます。これは、過去、昭和四十三年度から始まっておりまして、アフリカ諸国、タンザニア等のアフリカ諸国でございますとか、パキスタン等のアジア諸国を対象に実施しております。
長い歴史がありますので、過去、四十九年度までに三百九万トン、昭和五十四年度から五十八年度までの間に三百六万トン支援をしておりまして、近年の状況を申し上げますと、これは明確にどこの国別ということで援助する場合もございますし、WFPに通常拠出という形で、国を指定せずに援助する場合がございますので……(小平委員「ちょっとよろしいですか」と呼ぶ)
○高木委員長 小平君。
○小平委員 局長、近年で結構ですから、大事な問題なので、ぼかさないで、正確に、何年度にどこの国に何万トン援助したか。そうですね、十年以内でも結構ですよ、やってください。
○須賀田政府参考人 近年、平成七年度に、北朝鮮等、これは国が決まっていない場合がございますので、北朝鮮等に五十六万トン、それから平成九年度、十九カ国等に二十万トン、十年度、二十一カ国、これはアジア、アフリカの諸国中心でございますけれども、二十一カ国等に八十二万トン、十一年度、二十一カ国等に十三万トン、十二年度、十八カ国等に八十万トン、十三年度、十九カ国等に二十一万トン、十四年度、十六カ国等に十八万トン、十五年度、十六カ国等に二十一万トン実施をされておりまして、累計で申し上げますと、これまで二十カ国を上回る国に約九百万トン支援をしております。
○小平委員 局長、インドネシアには大量な援助をしましたよね。これはなぜ言わないの、平成七年以前のものは。平成五年に我が国で大凶作がありましたね。その後、一転、大豊作になった。そのころの話ですよ。それはなぜ外したんですか。何か意図があるの。
○須賀田政府参考人 インドネシアの災害に対して援助をいたしました。インドネシアに対しましては、平成十年の七月から十二月の間に五十万トン、平成十一年の一月から三月までの間に二十万トン支援をしています。これは、先ほど申し上げました数字の範囲内に含まれてございます。
○小平委員 そうすると、局長、平成十年度、二十一カ国、八十二万トンの中にインドネシア五十万トンが入るんですか。
なぜ、これをお聞きしたかということは、この援助の中身は、ODAもそうですが、あるいは単純にその国の災害とか、言うなれば、気象的な問題を含めてのことであると思います。いわゆる有事というか、戦争、動乱状態というか、そういうことは余りないと思いますけれども、いろいろな、アフリカなんかは、個別のいろいろな紛争等が起きていますので、政情不安の中で食料の飢餓も起きていますが。
ただ、今回のように、北朝鮮、こういう形での援助というのは、まさしく取引に米が使われているんですよね。私は、そうじゃなくて、我が国の基幹食料の米は、きちんと我が国が世界に貢献できる、大きな、平和的な武器として米を援助に使い、国際社会でしっかりとした地位を築いていきたい、これが政府の大きな方針でなきゃならぬと思うんです。
そこが、こういう形で軽々に出ますと、国民、消費者も含めて、米というものを何か軽く感じてしまう、そんな危惧をしていますので、ここは、報道ですから、いろいろな情報はとるでしょうし、またリークもあるでしょう。そういうことは理解できますが、ひとつ、こういう状況の中で、今、食料の自給率の問題もあります。しっかりと、この問題については対処していただきたいと思います。
後半、時間があれば、少しくWTO、FTA含めてまたお聞きしますので、まず当面、これについての質問は――政務官、何かありますか。では、簡潔にお願いします。
○松宮大臣政務官 先ほども御答弁させていただきましたように、今般の総理の北朝鮮訪問に伴う人道上の支援につきましては、今検討中でございますけれども、人道上の支援を仮に行うにいたしましても、これは本当に、北朝鮮における人道上の必要性とかあるいは国際社会の対応、具体的にもう何カ国も支援をしつつあるところでございますので、こういった諸般の状況を考慮しながら行うことはあり得るということでございまして、専ら喧伝されておりますように、拉致被害者の御家族の御帰国との取引あるいは見返りということで行うことは、これは絶対あり得ないということを申し上げさせていただきたいと存じます。
○小平委員 結構です。その認識をしっかり持って、人道的な観点から援助する、援助してあげます、その意味で我が国の基幹食料の米を使う、そういうことですよ。拉致問題の取引に使うんじゃない。同じような意味にとれるかもしれませんけれども、こういうことをしっかり踏まえていかなければいかぬと思うんですね。今の政務官のお答えだと私は思いますので、ひとつ、しっかりと進めていただきたいと思います。
それでは、次に、この本題に入ります。
農業協同組合法の改正、ここ数年、もう一年置きぐらいに、改正、改正と進んでまいりました。
過去を振り返りますと、昭和二十二年ですか、敗戦に打ちひしがれていたあの終戦直後の時代に農業協同組合法が制定されまして、これは第一条にこう書いていますね。「農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。」一条ですね、そういうことでスタートいたしました。
また、戦前、産業組合、この時代から推移をして、農業会制度というものを経て、戦後、今の第一条の趣旨にのっとって、農村の民主化の実現、あるいは農業生産力の増進と経済社会的地位の向上、さらに農地改革によって創設をされた自作農の小作農への転落を防止する、こんな目的も込められて、農業協同組合制度が設けられましたね。これは、スタートした時点の一つの歴史であります。
さて、そのような農協系統の歴史の中で、中央会の組織について幾つかお尋ねをしたいと思います。
昭和二十九年の農協法の改正によって中央会に関する規定が盛り込まれ、それまでの指導農協連にかわって、農協の総合指導機関として全国中央会、さらに都道府県中央会が設置をされる。中央会は指導事業や監査事業を通じて農協の健全な発展を図ることを目的としておりますが、中央会の各種事業はその性格から事業益を生み出すものではなくて、存在のための、中央会の維持に要する費用は会員からの賦課金に、またさらには国の補助金によって存立している、依存している。この体制、あり方につきましては、単協からは、こういうことで成り立っている中央会に対して、賦課金に見合った内容がない、そういう不満の声も一部あるようであります。
そこで、私は、この系統組織において、中央会、全中ですね、今までの経緯を振り返り、今後どうあるべきか、その基本的な大臣の感ずるところの所見をまず冒頭にお伺いしておきたいと思います。
○亀井国務大臣 委員御指摘の農協、かつての産業組合あるいは農業会という歴史があるわけであります。そういう中で、中央会の制度、御指摘のように、そういう経過の中で、戦後の混乱をした状況の中で、農協経営等もやはり戦後大変経営が厳しい状況下に立ち至った、こういうことがあろうかと思います。そういう中で、昭和二十九年に農協及び連合会に対しましての指導機関として創設された経緯があるわけであります。
中央会は、やはり農協の組織やあるいは事業また経営の指導、監査、こういう事業を通じまして組合の健全な発展に寄与する、こういうことが大きな使命、このように思います。そして、三年ごとのJAの大会、そういう中でもいろいろ、時代の変遷、そういう点で農協の活動の指針、方向というものを示してきておるわけでありまして、そういう農協系統全体のかなめとしての機能を担っております中央会の役割というのは、今日におきましても変わるものはないのではなかろうか。
そういう中で、やはり中央会を支える農協系統に対しまして、経済事業の適正化、効率化、こういうことにつきましては組合員を初め各界からも厳しい意見や批判が出ておる、こういう実態であるわけでありまして、そういう面で、農協系統が、生産者、いわゆる組合員はもとより消費者からも信頼された、そして選択をされる、そういう組織へ脱皮する必要がある、このように思います。
そういう面で、農協系統の指導機関としての中央会のリーダーシップを発揮していただくことが不可欠であるわけでありまして、中央会が、組合の健全な発展を図る面におきまして、制度の原点、こういうものに立ち返って、農協系統全体を束ねる、そしてみずからの掲げておられます改革を断行する使命を果たすべく、そういう存在であってほしい、このように思っております。
○小平委員 大臣のおっしゃったような存在ならば、我が国の農業はもっとよくなっていると思うのですが、基本的な所見はお伺いいたしました。
そこで、今回の農協法の改正につきまして、全中が指導事業について基本指針を策定する、これは過般の委員会でも質問もありましたのでおさらい的になると思うのですが、この方向は、中央会監査を全中に集約するなど、全中の権限の強化が強く打ち出されていくわけですね。そこで、先般来の当委員会の質疑の中でも、政府からは、農協の事業改革の推進に当たっては中央会が果たす役割が大きい、そういう答弁もありました。しかし、私は、余りに大きい中央会のリーダーシップは逆に農協、単協の自主的な活動の芽を摘むのではないか、そんな懸念をしております。
これまで、事業、組織等の改革に先鞭をつけて成果を上げてきた農協が幾つかあります。いわゆる農林水産省が言う先進的JAですね。この事例を見ますと、それらの農協の共通点としては、当該農協に改革推進の意欲を持ったリーダーがまず存在する、さらに農協自身がその傘下の組合員のために何ができるかを真剣に検討し、地域資源を大いに活用した事業展開を行っている、これらが挙げられると思います。
私は、中央会組織の号令のもとに経済事業改革を進めるというのでは、農協自身の発意による改革がゆがめられるというか、本当の意味での農協改革につながらないのではないか、こういうふうに思います。すなわち、今回のこの基本指針のこういう方向が、全国に一万幾つあったのが今九百少しですか、この全国の農協すべてに受け入れ可能な、下方平準化したというか、そういう内容となってしまって、地域の特色が打ち出せない。中央からおろしてくる上意下達的な、そういうことではいかがなものか、そんなふうに思います。ところが、今回のこの改正案の眼目の一つは、今申し上げたように、全中が指導事業にかかわる基本方針を策定する、こうなっています。
そこで、これまで中央会が音頭をとって改革改革と叫んでも、まさに笛吹けど踊らずで、そう効果を上げていないのが今までの実態でもありますよね。そうした過去の例が多々あるのに、なぜ今回、わざわざこのような法律を改正してまで全国中央会の指導事業を強化して、本当にそれぞれ地域の農協の事業改革の実を上げることができるのか。全中の指導による事業改革の推進に関して、今私が申し上げたことをお聞きになりながら、どういう経緯で、また関係者とどういう話し合いのもとにこのような方向に来たのか、そこのところをお聞かせいただきたい。
同時に、さらに、今申し上げたように、基本方針の実施に当たっては地域の特性なりに十分配慮をする必要がありますが、適正な基本指針の策定、実施について政府は今後どのような態度で臨んでいくのか。それらを含めてまとめて、できたら簡潔にお答えいただきたいと思います。川村局長でいいですよ。
○川村政府参考人 農協改革の推進につきましては、今委員からお尋ねがございましたとおり、そこに人があって、地域資源を最大限活用して自主的に創意工夫を凝らして実施していくということがまさにキーポイントであろうというふうに思います。
各単協、各県で取り組まれておるわけでございますが、ただ、そのいろいろな項目の中にも共通的に取り組むべき事項というものも多々あるわけでございます。例えば、生産資材のコストの引き下げ、それから最近食の安全、安心等で特に問題になっております法令遵守、コンプライアンスの問題、また国内産の農産物の需要拡大という意味での直販の拡大、こういった共通の事項もございます。系統全体としての評価を高める、あるいは系統全体としての体質強化を図っていくという側面もございまして、これまでも、中央会がかけ声をかけるんですがなかなか実効が上がらないといった面もあったことは御指摘のとおりでございます。
そういうことで、実は、経緯といたしましては、検討会の中でも、今後はより実効を上げていくことが肝心だ、実効を上げるためにはやはり数値目標なり進行管理、そういうものをきちんとやらなくちゃいけないということで、まさに全中が基本方針を決める。
この基本方針の中には、地方の創意工夫の芽を摘むような話ではなくて、例えば大きな柱として、先ほど言いましたような共通項目として、やはりJAブランドを全体として確立するために直販所の設置により取り組もうとか、生産履歴記帳、こういったものを消費者の信頼を得るために各JAで取り組もうとか、あるいは直接販売を拡大しよう。生産資材価格の引き下げについても一定の目標を持って進めよう。それからまた財務目標についても、いろいろな部門別損益がございます。こういうものを例えば三年以内に収支均衡しようではないか。こういった非常に基本的な、歩調を合わせるとか進行管理、そういったかかわるものを掲げます。
そして、都道府県の中央会は、この基本方針に則しまして、地域の実情を踏まえながらまた都道府県版の基本方針をつくっていくといったような取り組みをすることによって、それぞれの地域の特色なり創意工夫を殺さないような取り組みが可能であって、かつ進行管理、まさに実効を上げていくという意味での手法として考えているところでございます。
○小平委員 少しく議論したいんですが、時間がありません、大事な問題も後に控えていますから。時間が多くありましたら、昨年十二月に全中が策定した経済事業改革指針、これも全農からの出向者が大半ですから問題があると思うんですが、ここに絡めて今の問題はちょっとまたお聞きしますので、先に進めさせていただきます。
さて、行政と農協との関係というか、そのあり方についてなんですが、農協という存在は、いろいろと世上指摘もありますが、地域にあって見られていることは、特に地方においては非常に大きな存在です。ある意味では、地方自治体に次ぐ存在ですよね、市役所や町役場に次ぐ。そういう状況の中で、農業者ですら、農協は半ば公共的な機関である、こういう認識の錯覚があります。それは、農協が行政の代行機関のような役割を担ってきたことに起因すると思われます。特に、今なくなりましたが、旧食管制度では、農家は決められた数量の米を農協を通じて供出する体制ができ上がっておりましたし、また、農業者が国から受け取るべき補助金についても農協が窓口になってきたという歴史があります。
そこで、昨年三月の農協のあり方についての研究会の報告書「農協改革の基本方向」の中では、わざわざ「行政との関係等」という項目を起こして、幾つか指摘があります。その報告書では、農協と農政の連携について、一定の成果を上げてきた面もありますが、行政側が、いわゆる政府が安易に農政の遂行に農協系統を利用、活用してきた、そういう側面も私はあると思います。それが結果として農協系統の自立を妨げ、あのような状況に行ったことも、これも一つの歴史の流れであると思います。それが指摘をされる一つでありますが、私は、この指摘に対しては、まことに重要であり、今後の農協のあり方について大きく検討をしていく必要があると思っています。
そこで、具体的な問題ですけれども、農協と補助金との関係についてお伺いしたいんですが、農協がかかわる補助金については、農協が農協自体の事業について受ける補助金と、農業者が農協を通じて受け取る補助金、大別、こう分けられると思うんです。それについて数値を、それは昨年度で結構です、統計が出ております、集計が出ておりますね、その数値を明らかにしていただけませんか。
○川村政府参考人 ただいまお尋ねのあった数字につきまして、最近時点で調査をしたというか、これは農政局とか都道府県を通じた調査が必要でございまして、最新のデータといたしましては、十三年度の数字で御容赦いただきたいと思うんです。
まず、今申されましたように、大きくは二つあるわけでございまして、事業主体となる農協系統に対して交付している補助金、これは五百五十八億円ございます。その主なものとしては、例えば農業生産総合対策事業費補助金でありますとか、農業経営対策事業費補助金、あるいは山村振興等対策事業費補助金等がございます。
それから、もう一つの柱といたしまして、農協系統を経由して農業者等に交付されている補助金でございまして、三千五百六億円でございます。このうちの大きなものは、水田農業の経営確立助成の補助金でありますとか、共補償、稲作経営安定対策等の助成金、それから麦作経営安定資金等の助成金等がございます。
○小平委員 その中で、全中にはどのくらいの補助金が行っているんですか。
○川村政府参考人 中央会に対します農水省の補助金の額と内訳でございます。
中央会に対します農林水産省の補助金は、平成十六年度の予算額で十七億五千万円というふうになっております。
それから、この中央会に対する補助金の内訳でございますが、中央会が行う農協改革に向けた自主的な活動を支援するためのサポート機能活性化促進事業、あるいは売れる米づくりの推進のための主体的な取り組みの支援のための事業等が中身になっておりますが、ただ、中央会の事務費とか、そういうものに対する補助金はありません。
○小平委員 補助金のそういう大枠でありますが、私はもう一点要望しておきたいことは、先ほども申し上げましたように、地域で自主的な、意欲ある農業者が連携をとって、そういうグループ、組合組織をつくっています。そこで、今回、この補助金のこれからの運用、施策面においても、農協と農協以外の生産者団体との関係において公正を期すように補助金のあり方を持っていかれたい、このように要望しておきたいんですが、これはそれでよろしいですね。
次に、農協の構成メンバーとして、組合員は、正組合員それから准組合員、このようになっておりますが、最近、都市化あるいは広域化の方向の中で、准組合員の割合が増加する傾向にあります。さらに言えますことは、都市地域の農協では、この傾向がさらに強まっている、こう指摘をされております。農協経営の立場からいいましても、事業分量をふやすためにも、この傾向はある程度やむを得ないのかなと思います。さらに、地域社会に貢献することをJAとしても考えた場合に、JA綱領の中で掲げていることからも、非農業者で地域住民である多くの准組合員の事業利用の拡大は、これは否定できない、ある意味においては肯定すべきことだと私は思います。しかしながら、問題は、農業者の相互扶助の組織である農協の原点に返って見るときに、正組合員である農業者への利益還元をおろそかにしてまで准組合員の割合を高めることには、私は本来の意義にのっとってみると問題があるように思えてなりません。
そこで、農協事業に関する員外利用も、事業分量の確保や地域経済への貢献という観点から、組合員の利用に支障のない範囲において定款で定めることでこれは認められてきていますね。農協事業の員外利用に関しては、これまで信用事業などの分野では基本的に緩和の方向で進んできているように思いますが、この員外利用の実態及び法令違反の状況について、幾つか問題が出ていると思うのですが、それについて、具体的な事例あるいはこの是正についての今後の具体的な方策、これらを含めてお答えいただきたいと思います。
○川村政府参考人 員外利用の関係でのお尋ねでございます。
農協が員外利用の規制に違反しています場合には、一義的には都道府県知事が指導を行うということになっております。そして、農林水産省においても、この員外利用の状況を常に正確に把握して、そしてこれを適正に管理していくことが必要であるという認識のもとに、昨年三月に事務ガイドラインの一部改正を行ったわけでございますが、この中で、員外利用状況の把握、それから制限の遵守について指導の徹底を行ったところでございます。
また、系統組織におきましても、やはりJAの事業は組合員のためのものであるというのが原則でございますので、員外利用の状況の把握と規制の遵守、これは当然に行われるべきものというふうに認識をして、そして、員外利用状況を正確に把握できるような電算システムの早急な開発あるいは本人の確認の取り組み、こういったものを早急に構築していくことが必要であろうということで、私どもも、こういった農協の取り組みを加速化させまして指導を徹底してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
○小平委員 そこで、これは、全農傘下にある子会社の問題を含めて、そういう経済活動、さらにはこの員外活動にちょっとかかわってきますので、後ほど少しく、またこれに絡めて質問しますので、少し問題が絡まっていますので後で質問しますが、先に進ませていただきます。
先ほども少しくお話ししましたが、農協の全国の総数はかつては一万三千を超えていたものが今は九百四に減少し、私ども地域社会をずっと見てきましたけれども、隔世の感があります。これは本当に、今各地域で町村合併が進んでいますけれども、これを上回る速度で進んでいまして、非常に農協が大型化、そして肥大化、また町村をまたいでいるという中において、こういうことは問題も多々生じております。
そこで、私は、農協の大規模化ばかりじゃなく、農協の行う事業内容の高度、専門化に伴って、適切な農協運営のためには経営や金融に関する専門知識、能力を有する者を理事などの役員に迎えて農協運営に参加する必要が出てきていると思います。
そこで、農協経営を取り巻く現下の厳しい環境において業務執行体制の強化を図るために、理事等の業務への専念化、専門化の取り入れについて政府はどう考えておられるのか、そこのところをまず簡潔にお答えください。
○川村政府参考人 農協合併が非常に大規模化をし、進んでおります。御指摘のとおり、まさにこの管理体制といいますかガバナンスの問題、これは非常に、並行してといいますか、強力に進めなくちゃいけない事項でございます。
このガバナンスの問題につきましては、平成四年の改正で、意思決定機関の理事会なりあるいは代表理事制を法定化する、あるいは員外理事枠を拡大する等の改正も行いましたし、八年の法改正は、兼業、兼職の制限、それから経営管理委員会制度の導入、一定規模の、員外監事なり常勤監事の必置、それから最近の、十三年改正では、信用事業を行う組合においては三人以上の常勤理事を義務づける、あるいは兼職、兼業規制をさらに強化する等改正を行ったところでございます。
まさに、こういった規模に応じた業務執行体制なりあるいはガバナンス、こういったものの強化を引き続き図っていく必要があるというふうに思っております。
○小平委員 今言われた経営管理委員会制度、この導入が先般の法改正で行われてきておりますが、実際には有名無実で実行されていない、これを実践しているのはごくわずかな農協だと思います。実態としては機能していない。
それで、政府は、さらにこれについて進めていくお考えか、このまま放置するのか、そこだけ簡潔に方向をお聞かせください。
○川村政府参考人 この経営管理委員会、八年に導入し、さらに十三年にかなり、義務づけをする等やっておりましたので、昨今、多少この管理委員会の導入の実績は上がってはきております。
私どもとしましては、組合員の意向なり、複雑化それから高度化する社会の中で迅速的確に経営判断をしていくという意味では、やはりこの経営管理委員会の導入は最適だというふうに考えております。私ども、常に各県のヒアリング等の実施もしておりますので、そういった場等を通じまして導入を強く指導してまいりたいと思っております。
○小平委員 そこで、組織のありようなんですが、今回の改正案には、中央会の代議員の選出方法に関する規定が盛り込まれております。私、中央会の組織のあり方についても、代議員のこともさることながら、中央会の業務執行を担う役員の選出に関しても見直しが必要だと思っております。
前回、平成十三年の農協法の改正では、これは参議院先議でありましたが、修正がなされて、その際、役員に関する制度のあり方も検討条項になりました。それは、言うならば、五年後を目途としてこの制度のあり方について検討を加える、そうなっておりますね。大臣、よろしいですね。
そこで、私はその際も申し上げたのですが、中央会の役員に、これは全中、あるいは都道府県中央会も含めて、就任する際には、その出身農協の役職を辞して、そして全面的に自分の与えられた全中なりの常勤としての役目に専念すべきである、そういうふうに主張したのでありました。なぜかというと、あわせて単協の常勤も兼務しますと、その単協の健全な発展、特に今農業情勢が厳しい中において、健全な発展に責任を負うことはおろそかになりますので、中央会の役員が単協の役員を兼ねるということは好ましいことではない、こういうふうに主張した経緯があります。
そこで、今、五年後ですから、十三、十四、十五、十六、もうあと一、二年ですね。この修正にのっとって、五年後を目途、この改善策はどのように進んでいるのか、また政府部内でどのようにこれについて検討しているのか、もう既に法改正まで含めて議論の俎上に上がっているのか。これについての今の進展状況をぜひお聞かせいただきたいと思います。
○亀井国務大臣 平成十三年の農協法の改正、この改正案につきまして、修正決議によりまして、改正法施行後五年をめどに必要な措置を講ずる、こういうことが規定されたことでありまして、県の連合会の役員の兼職あるいは兼業をする、これは法施行前と比べて減少をいたしております。県の連合会合計で千五百十七が八百四、あるいは全国連合会におきましても二百五十五が二百十四と、それぞれ四七%、一六%減少している、こういう状況であります。
なかなか、まだ期間が、今日までの期間がまだ経過が少ないわけで、間もないところもございます。そういうことを踏まえまして、この改正法の第三十六条の趣旨を踏まえまして、今後さらに意見を聴取する、要望についてもよく見きわめた上で検討を深めていく必要がある。それぞれのところでも、兼職、兼業の禁止につきましては、団体の方あるいは地方に参りましても非常に意識をお持ちいただいている、こういうことは私も仄聞をしておるわけでありますが、十分その状況というものを見きわめてまいりたい、このように考えております。
○小平委員 大臣のそういう方向でありますので、これは所管は経営局ですね。もう既にチームをつくってその作業に入っていると期待していますよ。
私は、平成十三年の法改正で信用事業、金融事業を優先的に兼業、兼務禁止がありましたけれども、順序が逆で、兼業、兼務の禁止は、まず指導的な機関、これが先だと思っておったんですが、ああいう措置でいきましたので、これはきちんと法律にのっとってその作業は進めていっていただきたい、こう思います。そのときになって状況を見てやるのではなくて、それは局長、よろしいですね、作業的に進んでおりますね。――いや、よろしければそれでいいです。
次に、組織のあり方の関連なんですが、全中と都道府県中央会、この合併問題というか、これについてお伺いをします。
今まで申し上げたことも、先般、先回の委員会で同僚委員からもあらゆる角度から質疑がされておりまして、この合併問題についても法律の不備を、破産の条項はあるけれども合併条項はないことを含めて指摘がありましたが、私からもそのおさらいの意味を含めてお聞きしておきたいと思うんです。
やはり、これは今農協が大型化、広域化している中において、もう都道府県中央会がその地域の指導的機関として単協に連携をとるという時代は変わってきたわけですね。その顕著な例として、奈良県の農協とかあるいは沖縄ですとか、さらには、何か香川県では農協は二つしかない、しかも一つの農協は組合員が十万戸ですか、十万戸の農協というと、これはもうすごいことですよね。そういう中で中央会の存続の意義も変わってきたと思います。
そこで、最初に、そういう状況の中で、一方で大きな農協がある、一方で都道府県中央会がある、そうすると、いわゆる県中央会を構成する会員というのはどういう人がいるんですか、まず、そのことだけちょっとお答えください。構成メンバーとしてはどういう人がいるんですか。県中央会でいいです。例えば奈良県の中央会ではどういう人が構成メンバーなんですか、そこだけ。
○川村政府参考人 奈良県の場合で申し上げますと、奈良県農協とそれからまた専門農協等もございますので、そういう方々も入っているというふうに承知しております。
○小平委員 そういう組織の面で、少しく今御答弁がありましたけれども、私は、とにかく申し上げたいことは、今、県中央会がこういう状況の中で存続する必要というのはあるのか、そんなふうな疑問を持っているんです。もちろん日本も東西南北ありますので地域によっては違うと思うんですけれども、まず、そのことを私は指摘をしておきたいと思うんですね。
そこで、さらに、そういう状況の中で、農協が県下一つとかそういう大規模化しているところにおいては、県中央会が担っている事業や役割についても経済事業や信用事業のように統合を図って、そして農協が直接全中と連携をとる、そういう組織体制の合理化、効率化、これも図っていく必要があるように思うんですが、政府としては、そういう今の状況の中で、今の県中央会のあり方についてどのように考えておられるのか、その点についてお答えください。
○亀井国務大臣 都道府県中央会、これは都道府県の農政の推進上の役割を担っておるわけであります。そういう面で、いわゆる全国中央会と都道府県の中央会、この統合の問題につきましては、やはりいろいろまだ課題を解決しなければならない問題もあります。
また、もう一方、時代がいろいろ変化をしておるわけでもございます。そういう面で、農協の系統組織も大きく変化をしてきている、こういう実態を考えますときに、都道府県の中央会と全国中央会との統合の問題、こういう面では、今後の農協系統の組織であるとか事業等の今後の状態等を見きわめる必要があるわけでありまして、今日ではまだいろいろ問題点がある、こういうことです。
しかし、将来的には検討していかなければならない課題、このように認識をいたしております。
○小平委員 先日の委員会でも大臣は検討課題と言われまして、私もさらにこれについて、あと幾つか問題点を指摘しながらお聞きしたいんですが、ちょうど時間が、あと二分ぐらいなんですが、私、午後からの質問もいただいていますので、一回ここで中断いたしまして、あとは午後の委員会に改めて質問させていただきます。一応ここで終わります。
○高木委員長 この際、休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
――――◇―――――
午後一時五十五分開議
○高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小平忠正君。
○小平委員 それでは、午前に引き続き質問を続けさせていただきます。
先ほどは、全中、全国中央会、それから都道府県中央会との問題でありましたが、今、農協が大規模化、広域化する中において、従来の単協、都道府県中央会、全中の関係が変わってきたんじゃないかということを申し上げた次第ですが、実は、過日の委員会におきましても、同僚委員からの質問に際し、大臣は、検討する、そういうようなことを含めて御答弁がありました。特に、今の法律の不備というか、総会あるいは破産の規定がありましても合併の規定がない、そういうことも含めて、今後に向かって検討すると御答弁がありました。
私からももう一点、その前に、では、いつまでに検討されるかということを御答弁いただきたいんですが、あわせて、この法律の不備というか抜けている点を申し上げたいと思うんです。実は、農業協同組合中央会という規定の中で、全中に対しては、その加盟構成員というか組合員は強制加盟なんですね。要するに、全中を構成する、言うならば都道府県中央会、単協を含めて強制加盟なんですよ。ところが、都道府県中央会については任意加盟なんですよね。そこは御承知でしょうか。政府はその点は承知していますね。
それは、もう一度申し上げますと、都道府県中央会については、その会員については加入、脱退は自由である、言葉をかえて言うと。加入、脱退は自由だ。しかし、全中には都道府県中央会の会員は当然加入するものという考えの中で、任意脱退は禁止されている。そういうことが農協法七十三条の二十九で触れておりまして、一項、二項ですね、任意加盟については。それから、脱退の禁止は七十三条の二十九の第三項で触れていますが、こういうことを考えますと、全国中央会とそれから都道府県中央会とのありようが、まさしく法内でのすき間というか不備があるようです。
ですから、これについては、先日、同僚委員からも質問がありましたように、しっかりと法律整備をして、そして、このように農協が広域化する中において、系統組織のあり方を検討する必要があると私は思います。大臣もそう答弁されましたが、重ねてこれらの問題について御答弁いただきたいと思います。
○亀井国務大臣 御提案の都道府県中央会と全国中央会との合併の規定、現段階で直ちに導入することは困難と考え、将来の検討課題、このように認識している、このようにも先般御答弁を申し上げたわけであります。
今回の改正を受けまして、農協改革の実施状況や今後の農協の合併の進展を踏まえ、組合員である農業者の利益の増進を図る観点から、農業協同組合中央会がこれまで地域の農協の指導やあるいはまた監査等に果たしてきた役割を十分検証、評価し、また、今後のあるべき姿を念頭に、その組織及び機能につきまして検討を加えて、その結果に基づきまして必要な措置を講じてまいりたい、このように考えております。
いつまで、こういう御質問でございますけれども、これら、今申し上げましたようなところを十分検証あるいは評価、また今後のあるべき姿を念頭に置きまして、組織及び機能につきましての検討を加えた、そういう中で考えてまいりたい、このように考えております。
○小平委員 ぜひ早急にその検討の作業に入っていただきたいと思います。
それでは次に、今回の法改正のいわゆる大きな柱でもあります全中に監査を一元化する点について質問いたします。
これも先日の委員会で、我が党同僚委員からこれについて政府に質問があり、大臣初め川村局長からも答弁がありましたが、私も、大事な点でありますので、重ねて、おさらいの意味も含めて質問いたしますので、しっかりと答弁をいただきたいと思います。
中央会監査、これは系統組織にあっては一応名前だけ外部監査という位置づけになっておるようですが、この中央会監査については、今回、今申し上げたように、県中央会の監査をやめて全中に一本化する、それは全国的に監査の品質を向上させるのがそのねらいだ、このように説明を受けております。
私も、先日の委員会も含めて、それを拝聴しておりまして、答えていることはそのまま受けとめれば確かにそうかもしれませんが、しかし、系統組織のことを承知しておる一人としては、少々疑問の念を持たざるを得ないのであります。といいますことは、結局、それはしょせん、そうは言っても、系統内部の機関が行う検査の域を脱してはいないんじゃないか、このように思えてならないのであります。したがって、それは、今までのことが行き詰まってしまったので単なる小手先の、何か目くらましのような感じがいたします。
特に、いろいろと改革を通じてでありますけれども、会計監査というものが、世間の目が非常に厳しくなっている。そういう中で、金融機関の役割も果たしてきておる農協が金融市場で、今、ほかのいろいろな金融機関等、いろいろな不祥事が続発していますけれども、やはり、農協金融と言いながらも、同じ金融機関の一貫でありますが、果たして、世間の信頼をこれからもきちんとつないでいくことができるかどうか、大いに疑問を持っているわけであります。
また、別な点から申しますと、昨年のりそな銀行への公的資金注入あるいは足利銀行の一時国有化の処理問題、これらも国民の注視を得たところでありますが、このような事件の経緯を通じて、企業における監査の重要性が最近は特に強く印象づけられているのが今日のありようではないかと思います。
そういう中で、農協経営の財務状況を組合員や農協の利害関係者に正しく伝えて、その信頼を得るためには、組織の外部の者による厳格な検査が行われることが必要だ、私もそう思います。農協系統では、そのような役目を、また機能を中央会監査が担っているのが今までの実態ですけれども、純然たる外部組織ではない中央会の行う監査が、果たしてその任務をきちんと全うすることができるのかどうか。これは、私だけではなく、政府の皆さんだってそこのところは内心疑問に思っているのが実態ではありませんか。なぜかというと、今日までのいろいろな不祥事、あるいは今までのいろいろな経緯を振り返ってみれば、そこに監査のあり方の大きな問題があった、このように思っているのではないですか。
私は、信用組合や信用金庫等々では、いわゆる一定規模の預金量を扱う機関については、公認会計士や監査法人の監査がきちんと義務づけられているのに、農協系統については、農林中金を除いて公認会計士や監査法人の監査が義務づけられておらない、このことをきょうの委員会でも重ねてお聞きし、今の、現行の中央会監査をこれから順調に持っていく、この水準についてもどう評価しているのか、改めてお聞きをいたします。
○川村政府参考人 監査の問題についてのお尋ねでございます。
信用事業を初めとしまして、監査の重要性が非常に高まっておる、また、内外の事件等を通じましても、監査の公平性、独自性ということが非常に着目をされておる、こういう時代の流れにあると思います。
ただ、農協というものを考えました場合に、純然たる会社とは異なる部分も多々あるわけでございまして、信用事業はもちろんやっておりますけれども、共済事業、経済事業等、各種の事業を総合的に実施しているという他業態にない特質、特性があるわけでございます。そして、農協の監査につきましては、従来から中央会が実施をしてきております。まさに、中央会の存在も、指導と監査というところにその基本があるところでございまして、そういう形でこれまで長い歴史の中でやってきております。
ただ、先ほど言いましたような時代の流れといいますか、そういう動きの中で、監査の質を高めていくことが非常に重要なことであるということで、例えば平成八年の農協法改正におきまして、中央会に公認会計士と契約を締結するような義務づけもしております。また、昨年四月に、監査実施体制の抜本的な見直しを行いまして、監査事業を全中に一元化する、それから全中の監査専任理事に公認会計士を登用して代表権を他の事業と分離する、また全国連や信連、大規模農協の監査には必ず公認会計士を帯同するといったように、監査の独自性、専門性をより高める努力をしておるところでございます。
こういった取り組み、特に監査の全中への一元化というのが、実質的には昨年スタートしたばかりでございます。我々として、こういうところを、また協同組合としての特性をよく見きわめていかなくてはいけないというふうに思っているところでございます。
○小平委員 今、川村局長、幾つか改善してきている、また、公認会計士もその中にアドバイザー的な存在で参加もいただいていると。また、今の御答弁でも、中央会の監査というのは、一般企業とは違う、農協の役割、機能、それはいわゆる農協の特殊性にも起因しているので、だから中央会監査でいいんだ、そういう御答弁。
確かに、中央会の行う監査は、財務諸表等についての財務監査ばかりでなく対象農協の業務監査までと守備範囲も広いので、一般の公認会計士、外部機関には無理だ、ですから、中央会の監査は、一面、指導事業とも関係する指導的な監査の要素が強いと。それは、言うならば今の形に対しての言いわけにすぎないと思うんですね。なぜならば、公認会計士というのはそれだけの厳正な資格試験を受けて存在する機能でありまして、あらゆる事象に対応しなきゃならないのが公認会計士の役目ですから、当然、農協は農協の特殊性、あるいは企業によってもいろいろと違います。製造業もあれば、そうでしょう。そんなのはできない話じゃないんですよね。
特に、これについて大きな問題は、例の有名なエンロン事件ですか、これが起きましたね。これによってりそな、こんなものもありますけれども、そのときの大きな不祥事、これは、粉飾決算いたしたことが明るみに出て、エンロン社だけじゃなくて、これを監査したアーサー・アンダーセンという会計事務所もおかしくなってしまった、こういう悪い例の有名な事件がありましたね。それを受けてアメリカは、いわゆる五年・五年法というんですか、この法律をつくりましたね。それは、一般企業ですら、一人の公認会計士が一企業に五年間会計監査をしたら、その後五年間はできない。厳しい、五年・五年ルールというんですか、それをつくりましたね。
それで、我が国も、いろいろな企業の不祥事等々を受けて、昨年、公認会計士法改正をやりまして、この四月から施行される改正法、これは、言うならば一人の公認会計士が一企業には七年間をリミットとしてこれを続けてはやれない、八年以降は。しかも、二年間は復帰できない。いわゆる七年・二年ルールですよ。何とか改正がありました。
これも、アメリカと比べると、五年・五年ルールが七年・二年ルールですから、非常に甘いと言わざるを得ない。でも、一応そういう厳しい基準を設けた。しかし、全中検査はそんな基準はないんでしょう。農協が存続する限り、未来永劫全中検査によって続くわけでしょう。それで本当に監査になるんですかということ、そんなことを私は大いに危惧いたしております。
そこで、局長にお聞きしても同じことでしょうけれども、大臣、こんな状況の中で、先ほどから質問いたしておりますけれども、大臣としては、この監査体制に関して公認会計士や監査法人も選択できるようにすることについては、前にも何か検討課題というふうに御答弁があったですね、やはりそういう方向ですか。
○亀井国務大臣 御提案、いわゆる中央会の監査、公認会計士の監査の問題につきましては、現段階では、直ちにこれを導入する、これは困難、このように考えておりまして、先ほどと同じように、将来の検討課題、このように認識をいたしております。
しかし、今回の改正を受けまして、農協改革の実施状況、特に全国中央会に集約した監査の実施状況等を踏まえまして、先ほども申し上げました、組合員である農業者の利益の増進を図る観点から、農業協同組合中央会が果たす役割を十分検証、評価し、また組織や機能等につきましても検討を加えまして、その結果に基づきまして必要な措置を講じてまいりたい、このように考えております。
○小平委員 大臣の御答弁は前向きで、将来に向かって検討を加えて改善策を設けていきたいという、そのことは理解できますが、しかし、最近のいろいろな状況を見ていますと、私は、そんな悠長なというか、猶予がないと思うんですね。早急に、今回このように農協法改正がありますので、この機会にもう少し具体的に踏み込んで、過日の委員会でもこれには答弁がありましたけれども、もう一歩踏み込んで、この改善策について大臣の決断で御答弁いただけないものですか。
○亀井国務大臣 御承知のとおり、現行では、農業協同組合監査士試験に合格をした者に限定されておるわけでありますが、今後これを一層充実する、こういう面で、公認会計士を農業協同組合の監査士として選任できるような、そういう方向で早急に検討をする必要があるのではなかろうか。その結果に基づきまして、必要な措置を考えてまいりたい、このように考えております。
○小平委員 大臣、そうしますと、先ほど川村局長も触れていました、今、公認会計士が、森田公認会計士ですか、中央会監査会の委員長としてアドバイザー的に存在していますが、それは監査はできせんね。監査はしないけれども、アドバイザー的におられる。
この改正の中で、今後、省令というか、全中監査の中において公認会計士もそこに組み入れて、私は、全中が試験をする監査士、これは先日の委員会でもあったように、公認会計士の資格試験に比べると非常に内部的な、全中が資格審査をする監査士ですから、ちょっといかがかと思うんですけれども、いずれにしても、そこのところは、現行はそういう基準になっていますが、監査士に加えて公認会計士がそこに参加をして、そして監査をするという方向に持っていく、そういうことに理解してよろしいですか。
○亀井国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、いろいろ検討する、そういう中で、公認会計士が農業協同組合監査士、こういう立場で監査が可能なような、これはいろいろ問題、公認会計士も幅広い学識、見識の高い方でありますけれども、農協という特殊の場所であるわけでありますから、先ほど来お話しのとおり、信用の問題、経済の問題、共済の問題といろいろあるわけであります。そういう面で、そういうことを念頭に、公認会計士を農業協同組合監査士として選任できるような方向で検討する、こういうことでございます。
○小平委員 私も、全中監査の役割は否定するものじゃないんですよ。監査も含めて全中の役割を私は正当に評価した上で、監査の厳格性、これを高めるためにも、また組合経営の透明性を担保するためにもそのような措置が必要というふうに申し上げましたので、ぜひ改善策を今のような方向で進めていただきたいと思います。
それでは次の質問に移りますが、例の問題の、全農等の傘下にある子会社ですか、この問題を含めてなんですが、全農チキンフーズの不正表示事件を発端というか、最近の事象ですけれども、いろいろな事件が続きまして、全農や経済連が関与しているこれらについての批判が非常に高いのが今の状況です。国民の目が厳しい中にありまして、そこで子会社の数を今全農は半分に減らしていこう、そういうようなことも言っております。
そこで、系統というそのそもそものスタートが、株式会社に代表される会社組織に対抗して、経済的な弱者である農民の救済というか、個々の人たちを中心にしてつくったのが協同組合でありますね。その協同組合がそういう企業経営に大きく乗り出すということは、その趣旨からいって協同組合の精神に反するんじゃないか、こういう見方もあります。
私は、その中で一つの例をもって申し上げたいんですが、今、例えばAコープ、そういうようなものもありますね。これは地域にあっても、スタートして、言うならば地域的な社会的な貢献も非常にしておりますけれども、今、午前中の質問でもって触れましたけれども、員外利用とか、これも絡んでくるんですが、今度は違う農協が生産したものを別な農協でもそれを販売できるようにする、そういう、枠を取っ払いましたね。そこは私はいいことだと思うんですよ。
しかし、一つお聞きしたいのは、では、輸入農産物がAコープでも売られております。これは、今までは国内の農産物でも、例の八対二という比率がありましたよね。そのうちの八割は組合員である農業者が買うんだ、あと二割は一般の消費者に売っていい、そういう一つの規定があります。そうでしょう、局長。でも、実際にはそんなことは守れませんよね。だって、お客さんが来たらだれかわからないんですから、その人が組合員か違うかなんてことは。でも、一応そういうことがある、そんなおかしな決まりがありました。また、輸入農産物もそうでした。そういうことが、今回のこの員外利用の規制の緩和によって、状況が変わっていくと思うんですよ。
しかし、私が今るる申し上げたことは、過般も例のセーフガード、ネギとかシイタケとか畳表、これでもって一応高関税を課して輸入を制限しました。でも、おかしな現象というのは、そういうときにAコープでは中国産のネギを売っているんですよ、輸入物のネギを売っているんですよ。こんな矛盾は、私はおかしいと思う。一般のストアならいざ知らず、特に地産地消を推奨する単協がそういうことまでやっているというのはおかしいでしょう。それで、一方ではセーフガードをするんだという。
だから、そういうことを含めると、今の状況の中でそういうことは、私はAコープの存在というのは大いに評価していますよ、しかしいろいろな意味で、きちんと基準を設け、そしてそこが整理できるように、またきちんと理由が立つようにしていかないと、私は、全農の不祥事を初め、このありようが国民の批判を受けると思いますので、そこのところはしっかりやっていただきたいと思います。
これらを含めて、時間も余りありませんので、御答弁をいただきたいと思います。所見で結構です。
○川村政府参考人 一つは、全農の子会社の問題、これは、全農はスリム化に向けて取り組むということで、約二百五十社の子会社を、十七年度末の目標を半減ということで今取り組んでいるところでございます。これまで四十一社の再編を行ってきておりますので、引き続きこの目標達成に向けてしっかり取り組むように行政としても支援をしてまいりたいと思っておるところでございます。
また、今申されましたAコープの問題、これは、確かにセーフガードのときに御指摘のようなことがあるのではないかということで、当時、全農に確認したことがございます。
その際、Aコープのチェーンは百坪前後の小型店舗が多くて、輸入野菜を陳列しているケースは極めて少ない、あることはあるけれども少ないという現状。そしてまた、三カ年の計画として、Aコープでは国内農産物の販売拠点としていくんだ、そして地場の農産物を扱うということを奨励していくんだということを決定しております。そして、JAグループを挙げまして輸入野菜に対しますセーフガードの発動を求めていることを踏まえて、Aコープチェーン県本部長に対しまして、全農から輸入野菜の販売中止を文書で要請する、こういった事実経緯がございました。
御指摘のとおり、今後、やはり消費者のニーズに対応いたしまして、国産で手当てできないもの、あるいは非常に、端境期等品ぞろえの点で一部取り扱わざるを得ないこともあるかと思いますけれども、現在、地産地消、産直、こういうことで取り組んでおりますので、輸入農産物を取り扱うということは農協組合員あるいは消費者の理解が得られないというふうに考えますので、系統においてもこれを十分認識して取り組みをされることが必要だと思っております。
○小平委員 用意した質問がまだ残っていまして、きょうは例のWTOからFTAにも少し話題を広げて、今の農協の関連でもありますので、須賀田局長や村上審議官にも出席要請したんですが、時間が来ましたので、また当委員会で一般質疑等も予定したいと思いますので、その折に改めて質問しますので、御苦労さんでした。以上で終わります。
ありがとうございました。
○高木委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。
本日は、農協法の改正案に対して、私自身の思いと、そしてまた私が本当に疑問に思う点について、率直に質問させていただきたいと思っております。
私自身は、農協というのは大変感慨深いものがありまして、私自身が医者になりまして一番最初に勤めた病院は厚生連の病院でありましたし、また、私自身の親が、いっとき、参考人でこのたび来られましたJAとぴあ浜松農協に勤めておった、こういったこともありまして、大変に感慨深いものを持っております。
農協に対しての思い入れもある中でございますが、今後の農協が目指していくその道筋、農協、単協のみならずですけれども、全国展開されております、それぞれの単協ももちろん、県の中央会や、もちろん全中も含めまして向かっていく道、その方針というのがどういった方向を目指しているのか、そういう観点も踏まえて私は質問をさせていただきたいと思っております。
まず最初に、今の農協の現状、特にそれぞれの単協などにおいても、もちろん県の中央会においてもそうでしょうけれども、経済事業に対する取り組みが最大の課題になっております。経済事業を農協の中で行っているその大きな理由をお知らせいただければと思っております。
○川村政府参考人 農政改革も非常に急テンポで求められている中で、農協の果たす役割というのは、まさに農協が地域の農業の司令塔としての役割も担っておりますし、地域の経済主体としての大きな役割もございます。そういうことで、農業、農村の発展にとって、農協の改革は農政の改革とテンポよく連携をして進めていくということが不可欠でございます。
そして、農協の改革を見た場合に、信用事業なりにつきましては、ペイオフの問題等もありましてかなり改革を先行してやってまいりました。しかし、経済事業につきましては、その重要性、本来、組合員の相互扶助、利益のためにやるべきこの経済事業、これがなかなか収支バランスもとれておらないし、農家組合員からはなかなかそのメリットが感受できないといったような御批判もあるという実態の中で、やはりこの経済事業の改革をバランスよく進めることが系統全体の発展に大きな意味を持つということで、今回、特に経済事業につきまして重点を置いて改革を進めよう、こういうことでございます。
○岡本(充)委員 今、局長の答弁の中で一番重要なのは、なぜ経済事業をやっているか、それは組合員の相互扶助と利益還元のため、こうおっしゃられましたけれども、私もそこだと思うんですね。組合員の相互扶助と利益還元のためになるような経済事業が行われているのか。先般の参考人質疑の中で指摘されていた点もありましたけれども、実際に農家の方にとって利益が還元されるような、そういった物品の販売をなされているのか。
その一例で、例えば農薬の話や肥料の話、ホームセンターより高いんじゃないかという指摘を私も聞いています。また、それだけではなくて、例えば農作業に供する機材、コンバインだとか、こういった機材も、実はなかなか高い。そして、修理に出しても、農協に修理に出すよりも直営店に持っていった方が安かったりする。そういった実態も聞いています。
こういった事例を改善していくための取り組み、これに対する指導は農林水産省としてどのようにして行っているか、またいつをめどにどのような改善をもたらす予定なのか、説明してください。
○川村政府参考人 特に農協の利用の中で批判といいますか注文の多いことは、今もまさに申されました生産資材価格、この問題だろうと思います。この引き下げといいますか、できるだけ低コストで供給をしていく、こういうことが求められております。具体的なそれの改革を進めるというのは、これは経済事業でございますので、農協自身が創意工夫をして進めていく、これがまさに基本だろうと思います。
ただ、なかなか単独の、農協だけの取り組みにも限界がありますので、これはまさに系統を挙げて流通の合理化に取り組むとか、あるいは競争にたえ得るような、あるいはニーズに応じた機材、シンプルな機材等、応用のきく機材をやるとか、あるいはその他のものに負けない商材を開発して提供していく、まさにこういうのは系統を挙げて取り組むべき面もあるわけでございます。
そういう面におきまして、まさに全農の果たす役割もありますし、また、今までは、そういう必要性が叫ばれながらもなかなか実効が上がらないということがありました。いろいろ、必要性なり、こういうことをやろうということは決めるんだけれども、実績が上がらない、こういう批判もあったわけでございます。
今回、この法律改正によりまして、中央会の指導事業に係ります基本方針を定める、その中で、端的に今資材の問題を取り上げましたが、例えばそういうものについて、共通の目標を定めて共通の進行管理でやっていくといったような、系統全体としてまさに実効、実績を上げるためにどういうことをなすべきかということを徹底的に議論してもらって、そして、それを実行に移していく。こういうプロセスがまさに必要だろうということで、今回のこの中央会の基本方針なり、象徴的なものでそれをつくり上げていく過程、またそれを県の中央会なり単協が受けて実践していく、ここが大事だろうというふうに思っております。
○岡本(充)委員 今の概念的な目標ではなくて、やはりきちっとした数値を持って、いつまでにどういった目標で、そして何を改善すれば、例えば生産資材が下がるのか、そういったところを検討していただかないと、私がちょっと御意見を伺いましたとある農協の組合員の方また農協の関係者の方がおっしゃっておりますけれども、例えば、お米一反当たりでも、肥料とそして農薬、このかかるコストを、農協からでなくホームセンターから買えば、一反当たりコストが三千円ぐらい安くなるそうなんですね。
そういったことが現実にあるんだという声を真摯に受けとめていただいて、この生産資材の問題のみならないんです。ひいては、結局、農協の経済事業を今後どういうふうに向けていくのか。全国展開している量販店とのしてやっていくのか、それともそうじゃなく、ほかの付加価値をつけることで組合員の皆さん方に利益を還元していくという道を探るのか。価格だけで勝負をするということであれば、これは相当な努力が必要になるんですね。
ですから、本当に、価格路線で勝負をしていく、そういった道を選んでいくのかどうかをもう決めなければいけない時期に差しかかっているということをまず指摘させていただきたいと思います。
続いて、信用事業の方に少し話を移したいと思います。
農協は、幾つか事業をやってみえる中で、信用事業というのも非常に大きな柱であると私は考えております。私自身も、先ほどの話で、また我田引水になりますけれども、農協に貯金を若干ながらしております。そういった関係で、農協、単協が経営状態がいいのかな、この農協、大丈夫なのかなと思いながら、私が厚生連に勤めていたということもあって貯金をしてまいりまして、それを解約しないまま今でも残っています。
しかし、それぞれの単協の、例えばその中の監査の仕組み、それから、もっと言えば、県の中央会や全中を含めて、この監査の仕組みというのが、ほかの銀行とこうも違っているのかということについて、正直言って私は大変驚いた部分が今回ありました。その中でも、監査士という方、これまでも同僚議員が聞いておりますけれども、監査士という方が監査をする。そして、例えば全中の場合、監査機構の中に、監査委員長は公認会計士だという話もありましたけれども、監査士という方がみえるんですが、まず、この監査士になるための資格試験、どういった資格試験を必要としているのか、教えていただけますか。
○川村政府参考人 監査士についてでございます。
監査士につきましては、中央会が監査規程というものを設けております。法律上の根拠は、農協法でございまして、省令に基づきましてこの監査士の資格等あるいは手続、そういうものを定めるということになっておりまして、それに基づいて行われております。
その学科といいますか、その内容のそれぞれにつきましては、公認会計士等の例を参考にいたしまして、多少レベルの差があると思いますが、同じような科目なりそういうものをベースに試験を行い、また、監査規程の中で置いております試験の審査会、そういうところで審査をいたしまして資格を付与するという形での運用がなされております。
○岡本(充)委員 全中の場合、監査士の方が監査機構に所属され監査をされる。そして、監査機構の中には何人の監査士の方がみえるのでしょうか、教えていただけますか。人数だけでいいです、端的に。
○川村政府参考人 全体に、監査士の資格を持っておられる方は千数百名おられますが、全国監査機構で現に監査士として働かれておるのは、ちょっと今正確な数字はございませんが、五百名程度おります。
○岡本(充)委員 そして、ここから出てきた監査証明書を審査する。この審査会には、監査士の方は何人みえるんですか。
○川村政府参考人 監査委員会というものが中央にございまして、地区ごとには地区審査会、こういうものを設けております。そして、監査委員会には、メンバーといたしましては、公認会計士、弁護士、それから農林中金の理事、学識経験者等、七、八名のメンバーで構成をされておりますし、地区も、同じように、公認会計士、中央会常任理事、あるいは他県の監査士、それから学識経験者、こういう方々で構成をされております。
○岡本(充)委員 いや、私が聞きたいのは、この審査会、監査機構の方から出た監査証明書を審査する審査会に何人の監査士がいて、もっと言いますと、要するに、監査委員会の監査士と審査会の監査士で、兼任している人は何人いるのか。審査会のメンバーのうち、何人が監査機構の監査士であるのか、その割合を聞いています。人数で的確に教えてください。
○川村政府参考人 メンバーの兼任はございません。
○岡本(充)委員 ということは、全中の監査機構の中の監査委員会にいる監査士と審査会の監査士は、全員全く別ということでよろしいですか。
○川村政府参考人 中央の監査委員会は、先ほど言いましたように、約十名の方がいらっしゃいますが、それぞれの地区に置かれている委員会とのダブりもございませんし、その資格試験の審査会、これとのダブりもございません。
○岡本(充)委員 資格試験の審査会じゃなくて、監査証明書の審査会ということですね。
○川村政府参考人 全国段階に置かれます監査委員会、これは、先ほど言いましたように、十名のメンバーがおられますが、このうち、監査士の資格を持っておられるのは監査委員長一人でございます。
○岡本(充)委員 監査委員長は、公認会計士の資格を持っていて、かつ監査士であって、残りの監査委員会のメンバーは、だれも監査士は入っていないという理解でよろしいですか。
○川村政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○岡本(充)委員 そうすると、では、今度、県の中央会の監査部、こちらの方には監査士の方は、それぞれの県によって違うんでしょうが、トータルで何人みえるんですか。
○川村政府参考人 各審査会が置かれておりまして、これは、各県におきまして人数等がばらつきがございますので、今ちょっとデータがございませんが、ただ、一つ言えることは、この地区審査会、これは、それぞれの地区で上がってきた監査を審査するところでございますが、ここには、現場での監査にかかわりました監査士は入らないという仕組みになっております。
○岡本(充)委員 ちょっと、それは次の質問なんです。監査部、各県の中央会にある監査部に監査士が何人いるかということを聞いていて、審査会じゃないんです。それは次の質問だったんだけれども、監査部の監査士、何人みえるんですか。
○川村政府参考人 各県に、先ほど五百名程度と言いまして、多いところは十数名おられますが、少ないところは四、五名のところから成っております。
○岡本(充)委員 そうなんですよね。県の中には、私の聞いたところでも、四、五名というところもあるんです。四名ぐらいの監査部の監査士で県の中央会の監査が、これは全部できる、このマンパワーでできるようなものなんでしょうか。
○川村政府参考人 この中央会の監査は、先ほど申し上げたと思いますが、中央会に集約をしておりまして、各県にそれぞれ配置をされておりますけれども、実際の監査に当たりましては、中央からも派遣をし、また、隣県のブロックからも派遣するということで、チームを組んでやるという体制でございます。
○岡本(充)委員 今のお話ですと、監査士が他県からも来て手伝うから大丈夫だという認識なんだと思いますが、それではその先、審査会の方に行きますけれども、県の方でも同じように審査会をやっている中で、今お話しされた、監査部で監査をした監査士は審査の方には一切タッチしない、全く違う人間がやるようにしている。ただし、その監査士同士は、もしかしたら面識がある、もしかしたらというか、同じ職場にいる、そういった仲間がやっているということまでは排除できない、その点については正しいですか。
○川村政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、都道府県の監査につきましては、監査部とチームでやりまして、それを地区ごとの審査会で審査するということになっておりますが、その審査会のメンバーには監査を実施した者は入らない、こういう仕組みでございます。
また、言われたように、もちろん、全国で五百数十名おられるわけでございますが、顔見知りの方は当然おられると思います。
○岡本(充)委員 顔見知り程度じゃなくて、県の中央会だけじゃなくても、監査士の資格を持っている方は非常に限られている中で、職場も非常に似通ったところにみえて、ある意味、自分の同僚が出した数字を、隣とは言いませんけれども、同じフロアにいる人間が審査する、これで本当に監査と審査の体制が十分なのか。こういったような仕組みで出てきた監査証明書、これについての信頼性が、客観性が担保されるのかどうか、私は、疑問を呈さざるを得ないと思っております。
本日は、金融庁の検査局の方にもいらっしゃっていただいております。今のこの議論を聞いて、金融庁として、こういった監査をしていることについて、他の金融機関、銀行を初め他の金融機関の現状の監査のあり方と比べて、つまり、公認会計士が入り、もしくは監査法人が入り監査をしている、全く別会社が来て監査をしている、こういったものと比べてその客観性が劣るという私の考え方は、間違っていましょうか、どうでしょう。
○佐藤政府参考人 突然の御質問でございますし、また、実は私自身の直接の所管の話ではございませんので、多少記憶に基づくお答えになろうかと思いますけれども、外部監査の仕組みというのは、御案内のとおり、商法特例法に基づいて、一定規模以上の会社あるいは有価証券等を上場しているような会社がこれを受けることを義務づけられているということでございまして、必ずしも金融機関に限定されているというものではございません。事業会社を含めた一般的、共通的な、いわばインフラストラクチャーとしてできている仕組みでございます。
公認会計士法等にも記載があろうかと思いますけれども、外部監査をする公認会計士あるいは監査法人というのは、独立して不偏不党の立場で監査をするということが明記されているというふうに承知いたしております。
○岡本(充)委員 今の最後の指摘はまさにそのとおりで、独立して不偏不党、いい表現だと思いますけれども、そういった部分が担保されるかどうかということを私は大変危惧している、このことだけは強く私は指摘しておきたいと思います。
時間の関係上、なかなかこれ以上、実は金融庁の方にももう少し伺いたいんですが、十分に聞けないかもしれませんが、もう一点だけ金融庁の方に伺っておきます。
金融庁の検査局、ここで行っている金融機関に対する検査があって、今現状で農林水産省と共管で行ってみえる信連に対する検査、これをやってみえますけれども、そのほかの、例えば経済連などに対しても、これは金融庁の検査局ではやはり検査ができない何らかの理由があるんでしょうか。つまり、私の聞きたいのは、農林水産省の大臣官房検査部がやってみえる検査、これと金融庁の検査局が一元化をして検査体制を組めないのか、つまり、金融庁にお願いをすることができない合理的な理由があるのかということをまず金融庁の方からお伺いしたいと思います。
○佐藤政府参考人 私どもの金融庁検査局が行っております検査は、系統金融機関にかかわる部分に関して申し上げれば、農林中央金庫あるいは信農連に対する検査を農林中央金庫法あるいは農協法等に基づいてやっているわけでございますけれども、私どもの検査というのは、農林中金あるいは信農連が金融機関としての性格を持っているので、その金融機関の健全性という観点からチェックをするということかと思います。他方、農水省が行っておられる検査というのは、農政上全般の観点からなさっているということで、そこに一定の役割分担があろうかと思います。
それで、経済農業協同組合連合会の検査の件でございますけれども、御案内のとおり、金融庁は、法令上、この経済農業協同組合連合会に対する検査権を有しておりません。この趣旨でございますけれども、この連合会は、貯金等の受け入れを行っておりませんので、金融機関としての性格を有していないということで、私どもの民間金融機関を含めた全般の任務でありますところの、我が国の金融機能の安定、あるいは預金者、貯金者の保護といったこととの関係性が薄いということがあろうかと思います。そういうことで、今の仕組みができているというふうに理解いたしております。
○岡本(充)委員 今おっしゃられましたのは、私は、法令に基づいた答弁としてはそのとおりなんだと思いますけれども、結局のところ、私が指摘しておきたいのは、農協というのは、組合員の利便性を図るためということもあってでしょうけれども、非常に多岐にわたる事業をやってみえる。そういった中で、たとえ経済連で大きな損失を出していたとしても、経済連でのバランスシートといいますか経済連での決算報告が、例えば間違っていようと、間違ってというか、言葉は厳しいかもしれませんが不正があったとしても、それでたとえ経営が傾いて最終的に破綻に追い込まれたとしても、この信連の方の預金が必ずしも守られるわけではない。預金者保護という観点からいえば、そこまで被害が及ぶことがあり得るというのが今の枠組みだというふうに理解しているわけなんですね。
そういった中で、もちろん今の法令上限界はあるんだと思いますが、この検査体制についても、省庁を横断するような形でのすっきりとした一元化を求めたいと思いますが、この議論を聞いていて、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○亀井国務大臣 農協系統、信用事業のほかに、経済事業、共済事業等、総合的に行っているわけで、信用事業と他の事業とが密接な関係にある、こういうことは事実であります。
やはり、私ども農水省は、農協系統の経営の安定、こういう農政上の観点から、農林中央金庫、また信用農業協同組合連合会を含めまして、農協系統全体の事業全般につきまして、これは都道府県と協力をして、今後とも検査や監督を行う必要がある、こう思っております。
金融庁は、金融機関としての健全性を確保する、こういう観点で、信用事業を実施する農林中金並びに信用事業組合連合会に対して検査を行う、こういうものと認識をいたしておりまして、私どもは、やはり農水省として都道府県と協力をして、農協全体の検査、監督というものを行う必要がある、このように考えております。
○岡本(充)委員 今大臣そうおっしゃいましたけれども、やはり預金者保護という観点を考えても、これは特殊な形態をとってみえるのが農協の組織図であって、経済連での事業の失敗を、その債権回収のために、もしかしたら債権者は預金から債権回収をする、そういった可能性だって現実にはあるわけですよね。そういった観点から、この検査を、金融庁としっかり一元化をして検査を行っていく必要性があるのではないかという私の指摘なんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○亀井国務大臣 私どもは、経済事業あるいは共済事業、農協と農政の推進、営農の問題等を含めまして、都道府県、そして農水省としても、また信用事業につきましても、検査部、こういう中でいろいろのことを検査しておるわけでありますし、先ほど来、農協系統におきましても、監査士、こういうものをしっかりお持ちいただいて自主的におやりいただいているわけでありますから、やはりそれぞれの責務というものを全うすることによって、それらの事故の問題、そういうことのないように指導するのが農水省の役目、このように思っております。
○岡本(充)委員 大臣、今のは答えになっていない部分があると思うんですよね。ですから、私は、指摘だけしておきますが、金融庁の検査で預金者の保護を図る、大変重要なことなんですけれども、その一方で、非常に特殊な経営形態を持つこの農協という組織においては、経済連の事業に関する赤字を、もしかしたら信連の預金で補わなければいけない状況が起こり得る可能性があるわけです、現実に。そういったことを指摘しておきたいということが私の趣旨でございます。
最後に、時間がなくなりましたが、水産庁の方にもお越しいただいております。
今回のこの農協法の改正を模範として、全く同じような、全く同じようなというと語弊があるかもしれませんが、これと同じような趣旨をもって、漁協に対する、それぞれの事業、例えば信漁連での扱い、それから共済水産業協同組合における共済事業に対する取り組み、これと同じように、倣って今後行っていこうというお考えでありましょうか。また、もう一点は、合併についての推進も、これと同じように、農協法の改正と同じように今後行っていく御意向がおありでしょうか。お答えいただけますか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
まず、前段でございますけれども、漁協系統におきましても、各漁家の漁業経営が非常に厳しいとか、あるいは魚価が低迷しているというふうなことで厳しい状況にございまして、事業ですとか組織ですとか、こういった改革は待ったなしの状況であるということは、我々も十分に認識しているところでございます。
漁協系統では、平成十四年の十一月でございますけれども、みずから、JFグループの事業・組織・経営改革に向けた運動方針というのを定めておりまして、現在、内部におきまして自主的ないろいろな検討がなされているところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、こうした自主的な取り組み、こういった動向を見ながら、その段階におきまして水協法等の改正が必要であるということであれば、当然そうしたことをやっていくということで対応してまいりたいと考えております。
それから二点目、漁協合併の状況でございますけれども、残念ながら、漁協合併の進捗状況は、農協あるいは森林組合と比べましても非常におくれている状況にございます。平成十五年度末、要するにことしの三月末でございますが、まだ全国では千五百余の漁協数があるということでございまして、全漁連がことし三月に策定しましたJF合併計画によりますと、十七年度末で約八百に、それから十九年度末に二百五十にというふうな目標を立てておりますけれども、漁協系統がこうした目標に向かってさらなる努力をされるように我々としても期待したいと思いますし、我々でお手伝いできる部分につきましては十分支援していきたい、かように考えている次第でございます。
○岡本(充)委員 時間になりましたからこれで終わりますけれども、漁家の方々は本当に農家に比べてまだまだ厳しい環境、そして漁協も厳しい環境にあります。
一つだけ指摘しておきたいんですけれども、合併の中でも、例えば沖縄県なんかは、現在が三十五漁協あって、平成十七年末でも三十五漁協ある、それが平成十九年には一漁協にするというんですね。わずか二年間で三十五から一に進めよう、これが目標であるようでございますけれども、こういった中で、漁家の皆様方に対する御負担、そして、漁業権の問題もありますけれども、漁家の方に対するきちっとした、これまた組合員へのしっかりとした利益還元と相互扶助をちゃんと精神として持ち得る合併を進めていっていただきたいということを強く申し上げまして、私の質問とします。
本日はありがとうございました。
○高木委員長 次に、楠田大蔵君。
○楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。
今回、農協法の改正に関して、民主党で最後のバッターとして立たせていただきます。代表質問もさせていただきましたし、また、各同僚議員が今まで大変緻密な議論をしてまいりました。継続性という観点から、順番を変えまして、まず、先ほども大変緻密に議論をされた監査のことについて、私からも最初に触れさせていただきたいと思います。
今までの監査に関する説明で、外部監査を入れなくても足りている、議論の中心としては、内部のノウハウを知っている方じゃないとやはり難しい面もある、監査だけではなくて業務の指導というものもしていかなければならない、また実質的に外部の人材も入れているので公平性も担保されている、これが今までの一貫した、大臣を初めとする政府側の答弁だったと思いますけれども、やはり今までの議論を聞いていまして納得できない点が多くございます。金融庁も、もちろん問題は抱えているかもしれませんが、独立して不偏不党という精神でやっておられるというところは、私は間違いないところだと思っております。今までのメンバーの話で、監査と審査が内部で、内向きで公平性が本当に保たれるのかというのは、まさに先ほどの同僚議員が申したとおりだと思っております。
こうした議論を踏まえまして、今までは監査という意味で、会計監査と業務監査という意味で二つの点で分けることもできるんじゃないか、私はそのように考えております。
まず初めに、大臣にもお聞きしたいんですが、会計監査、この点に関しては外部監査を用いる、今まで、黒字事業の部分で赤字の経済事業を補てんすることで全体の経営が保たれている、このようなごまかしが行われてきましたけれども、外部の会計監査をここで思い切って入れれば、経済事業の赤字というものをもっと早く指摘をされて、このような改革なくとも黒字化の改革が進められたんじゃないか、私はそのように思いますけれども、重ねて、外部の会計監査を入れることに関して、大臣、どのように思われますでしょうか。
○亀井国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、現状では、今の推移を見守っていく、こういうことであります。しかし、これから、今回の法改正、あるいはまたいろいろ情勢も変化するわけであります。そういう中で、いろいろ検証をし、また実態も把握をし、そういうようなことを十分踏まえて、将来的な課題として十分検討をしてまいりたい、このように考えております。
○楠田委員 もう一つ、会計監査とともに、業務の監査として外部のコンサルタントを入れるというものも各企業では当然のように行われておるところでございますから、この点も、新しい観点として検討されるかどうか、これも大臣、お答えいただけますか。
○亀井国務大臣 それぞれ、コンサルタントの問題につきましては、農協は幅広い仕事をしておるわけでありまして、信用事業、経済事業、また共済事業と、いろいろ幅があるわけでありまして、その事業にとりまして、そういう専門家の御意見等も十分参考にいろいろの仕事がなされておる、こういう面があろうかと思います。したがって、これを制度的に入れる、こういうようなことにつきましては、これまたその辺の状況を十分勘案しなければならない課題ではなかろうか、こう思っております。
○楠田委員 今までどおり、これから検討されるということでございましたけれども、やはり共済事業、経済事業、信用事業、金額も、金融的にも相当な額になっている。共済事業については後からまた触れさせていただきますけれども、これが現実でございますので、やはりスピードが問われるというところはあると私どもは思っております。この検討というものをできるだけ早く現場でしていただきまして、我々もこれからもその点に関して要請をしていきたい、そのように思っております。やはりいささか内部的な面が強過ぎるところが農協を初めとする農業分野であるのではないかと思っておりますので、この点はこれからも積極的に指摘してまいりたいと思います。
それでは、ちょっと順番が変わりましたが、まず全体的な面から聞かせていただきたいと思います。
来年三月に向けた食料・農業・農村基本計画の見直しに関して、さきの私の代表質問に対する大臣の御答弁にもございましたが、やる気と能力を後押しする政策と農業の多面的機能を発揮する政策について農協がどのような役割を果たしていくのか、その具体的な取り組みについてまずお聞きをいたします。
○亀井国務大臣 今後の農政の推進に当たりましては、やる気と能力のある農家の経営、これを後押しし、消費者そして生活者の視点、これを重視いたしました農林水産政策を目指して、スピード感を持って各種の農政改革を進めてまいりたい、こう思っておるところでもございます。
農業をめぐる情勢、いろいろ変化をしておるわけでありまして、現在、食料・農業・農村政策審議会におきまして、新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けて御議論をちょうだいしておるところでもございます。
そういう中で、やはり農政改革、農業の担い手を明確にしまして、そして集落営農、そのあり方を含めまして地域農業の再構築、そして農業の多面的な機能を発揮していこう、こういうことでありまして、地域の農業の拠点として地域農業の振興に重要な役割を担っておりますのはやはり農協、農協の改革なくしてはその実現というのは困難であるわけであります。農政改革の一環として農協改革に取り組む、そして農業の構造改革を加速化いたしまして、意欲ある経営体が躍進する環境条件、こういうものをつくり出し、そして農業の多面的な機能の発揮に資してまいりたい、このように考えております。
○楠田委員 次に、農協というものが今まで第二の役場と言われ、農協のあり方研究会の最終報告でも、行政が安易に農協系統を利用してきたということに対して反省をいたしておりました。この点に関して、具体的にどのように反省して、今後、農協とどのようなかかわりを持っていくおつもりか、改善していくおつもりか、まず大臣、この点をお願いします。
○亀井国務大臣 これまで、行政、農協系統と連携をして政策を推進してまいりました。一定の成果を上げてきておることはあるわけでありますが、そういう点で、農協系統の自主的努力やあるいは取り組み、これを妨げてきた面があったことも、これは否定できないことでもございます。
今後、行政と農協が安易な相互依存、こういうことにならないようにするとともに、農協系統みずからも、昨年のJA大会の中で、今回の改革、こういうものをやはり決議されておるわけでありまして、農協系統みずからの改革をさらに促してまいりたい、このように考えております。
○楠田委員 何度も、農協系統みずからの改革と申されておりました。私の代表質問に対しても、そのような観点で、結局独自の、単協が自分たちでやることだからというふうに言われまして、今回の改正で中央会の権限が大変強くなりますのに、地方分権の流れに逆行するわけではない、そのように強弁をされておったと思います。しかし、そうはいいましても、中央会の指導のもとという発想が根本にありまして、地方の独自のアイデアや自主性を奪うものであるということは今からも今まで以上に続いていくのではないか、私はこのような懸念もいたしております。
今後、農協改革を進めていく上で、現在進められている国の権限や財源が地方に移譲される地方分権同様に、農協の計画や決定権も各地域レベルの農協へ移譲すべきだ、そのように考えますが、この点も、大臣、いかがでしょうか。
○川村政府参考人 中央会の指導のもとで改革を進めることが地域の自主性なり創意工夫を阻害するのではないか、こういうお尋ねでございます。
まさに御指摘のとおり、農協の改革というのは、農協みずからが発意をし、そして自主的に創意工夫を凝らしながら進めていく、これがまさに基本になろうかと思います。ただ、改革すべき事項というのは非常に多岐にわたりますし、その中でも、系統全体が歩調をそろえて進めていくことが全体としてのJA系統組織の強化なり意欲発揮につながるという事項も、これまた多々あるわけでございます。
一つは、生産資材のコストの問題、こういったものを引き下げていく、これは、単協レベルで例えば入札制を導入されるなどによってコストの大幅な引き下げを行ったという事例もありますが、やはり小ロットの問題、いろいろ考えますと、全体として取り組むべき主題もあるわけでございます。そういったものにどう対応していくのか。
それから、昨今、食の安全、安心をめぐる問題、こういうものが非常に多くなっています。そうしますと、あるJAでの事故なり不祥事、こういうものが系統全体の信用を損なってしまう、こういうことも実はあるわけでございまして、まさに、穴があってはならない、歩調をそろえて改革に取り組まなきゃいけないという部分もあります。
また、昨今の状況からいきますと、系統、まず経済連とか全農が補完的な役割を果たして、単協が自主性をする、こういうことになりますと、全国中央会からの後押しもなければなかなかそういった補完関係を円滑につくっていくということもできない、こういうこともあるわけでございます。
そういうもろもろを考えますと、まさに地域の自主性なりそういうものを損なうことではなくて、共通の目標でありますとかあるいは進行管理、そういうものに必要なものを基本方針に定めまして、そして、かけ声だけではなくてしっかり実績を上げていく、こういう取り組みが今後は求められるということで、そのための一つの手段としてこの基本方針というのは大きく役立つものというふうに考えております。
○楠田委員 御説明ありましたけれども、今までも先輩議員も御指摘ありましたように、ここで全中の機能を強化して、法律でわざわざ裏づけをしなくても、今まで中央会の指導のもとで改革をするチャンスは何度も何度もあった、これが実態だと思います。それが今回の法改正で急に実行されるということは、やはり私はなかなか信じることができないなと。それよりも、やはり今までの考え方、発想というものを根本的に変えることが重要ではないか、この点、御指摘をさせていただきます。
また、具体的な話として、これから単協の独自の努力が大切だということでございますが、そこで、地域の競争というものが大切だと考えます。
過去の法改正で、地域の中で新規農協が参入をすることができる、そのような改正も平成十三年の改正では行ったというような答弁も過去にございましたけれども、その実、農協法の六十条二項では、市町村や中央会への協議規定というものの義務づけがされている。これが実際は足かせになっているのではないか、このような意見も強くあると認識しております。
そもそも、この六十条二項、規定された趣旨というものをどのように理解しているか、局長、お願いいたします。
○川村政府参考人 農協の組合員へのサービスを向上していくという上で、その組合が改善の努力をするということが基本、こういうことは申し上げたとおりでございます。そして、こういったサービスの質を高めていくということでは、やはり競争を行い、切磋琢磨していくということも非常に重要なファクターであろうと思います。そういう意味で、当該地区の振興を図る上でいろいろな、多様な組合の設立が可能となるような措置が必要だということで、農協の地区が重複することにつきまして、平成十三年の改正で、より円滑にいくようにという形での改正を行ったわけでございます。
その以前の不認可要件といたしまして、その事業が行われず、かつ、公益に反すると認められるときということで、極めて抽象的な規定がございまして、実際は制度の運用でゾーニング規制といったような運用になっておりまして、行政庁の裁量の余地が大きいという欠点があったところでございます。
十三年に農協法の改正を行いまして、地区の重複に係ります組合の設立認可に当たりましての不認可要件、これを法律上明確化した。それから、二点目といたしまして、関係市町村と中央会への協議につきまして法律上義務づけたということでございまして、これによりまして、地区の重複認可に当たっての行政庁の裁量の余地は狭められまして、規制緩和が図られたということだと思います。
農協法におきまして関係市町村及び中央会への協議の規定を設けました趣旨は、地区が重複する農協の設立がそれぞれの農協組合員、関係市町村にとってデメリットとならないように、地区の重複が地域農業の振興を図る上で支障となるかどうかの判断に当たっては関係市町村それから関係都道府県の農協の中央会との協議を義務づけた、こういう経緯でございます。
○楠田委員 次の質問、削除をしない場合の理由というものも含めて答えられたと思いますが、実際は、意欲のある方々が自分たちの仲間で特殊な、特化した農協をつくるという上で、この法律があるために、もちろん平成十三年に緩和されたというのは事実でしょうけれども、しかし、まだこの規定が残るために逡巡してしまっているという事実もあると私は認識をいたしております。
この点、この項目を削除するおつもりがあるかどうか、重ねてお聞きいたします。
○川村政府参考人 この条項の削除は考えられないかというお尋ねでございます。
趣旨は、今申し上げたとおりでございます。そして、関係市町村それから中央会への協議につきましては、この措置が十三年の改正で、施行自体は平成十四年ということでございまして、まだ間もないということでございます。それから、地区の重複するJAの設立につきまして、新たに設置されますJAの規模あるいは事業内容が、既存のJAとの併存から見まして組合員に本当にメリットがあるのか、それから関係市町村の農業振興上支障はないのかといった点を判断する上で重要な手段となっていることがございます。そういう意味で、現時点でこの義務づけを削除することは適切でないと考えております。
ただ、新規参入を促進するということでは、この制度自体がまだよく知られていないという面もございます。そういう意味で、昨年三月に事務ガイドラインの改正を行いまして、地区が重複する組合の設立認可の審査手続をより明確にいたしました。また、多様な組合の設立が容易となるような条件整備、こういったものの措置を講じるということにしておりまして、十六年三月開催の農協指導担当者会議においてもこの旨を再度徹底したところでございます。
○楠田委員 平成十四年に施行されてまだ時間がたっていないので効果がはっきりわからないということかもしれませんが、やはり内部で農協が併存することのマイナス面というのは当然あるわけでございまして、しかし、それでも競争を促していくというプラス面、この未来志向でやるべきだという点も十分強いんじゃないか。しかし、その中で、地域の農協の方が、中央会の方がこれを市町村と協議して判断するということになれば、どうしてもやはり新規参入はなかなか認められないということもあるんじゃないか、そのように私は思っております。
確かに、これから時間がたってみて実際の運用で判断をするというところもあると思いますので、この点に関して逐一これからも監視をしていきたい、状況を見きわめていきたい、このように指摘をさせていただきます。
監査を先にやらせていただきましたので、また組合員資格の件に関して、午前中に既に小平先生もお聞きされた点もありますのでちょっとこれは後に回しまして、信用事業に関して先にお聞きをさせていただきたいと思います。
信用事業に関して、農協の貯金というものは平成十三年末で七十四兆円と我が国預貯金全体の七・一%を占めております。これだけ額が大きくなっているために、農水省の管轄の中だけではやはり不安が大きいということで、今までの同僚議員も指摘をさせていただいております。JAバンクシステムによってその信頼性と健全性を確保されていると思いますが、この中で、自己資本比率が行政基準の四%を大きく上回る八%の自主ルールというものを起用されていますが、この点、なぜ八%にわざわざ高く見積もっているのか、理由をお聞かせいただきたいと思います。
○川村政府参考人 JAバンクシステムにつきましては、さきの農協改革法におきましてスタートをしたものでございます。このJAバンクシステムは、まさに農林中金をヘッドにいたしまして、JAバンク全体が同一の金融システムとして十分機能するようにということでございます。
そして、一般的に、自己資本比率が四%を割るということが一つのメルクマールになるというのは委員御指摘のとおりでございますが、この四%を割ってから手当てをしたのでは、これは健全性が確保できません。そういう意味では、早い段階からこの状況を把握いたしまして、問題があれば是正をより早期にしていくということが適当であろうということで、四%の上に六%のライン、それから六%の上に八%のラインということで、このJAバンクの自主ルールは成り立っております。
八%を、まず最初の是正のスタートラインとして置いているところでございますが、この八%につきまして、そういった段階を追って早期発見、早期是正という一つのメルクマール、一つの参考としては、国際業務等を行う金融機関において八%が一つの目安にされているということも念頭に置いた上で、こういったルールがつくられているものというふうに承知をしております。
○楠田委員 この自主ルール、もちろんそれだけ健全性が保たれるならいいのでございますが、そもそもこのパーセンテージ自体が、アメリカから言われて取り入れた数値であるというところもあると思います。これを高く見積もる余り、今まで貸し渋りや貸しはがしのようなものが、このJAの中でも、当然貯貸率は低いものではあるかもしれませんが、実際に起こっているという話はないでしょうか。この点、お願いします。
○川村政府参考人 この自主ルールに基づきまして、既に四%を割る農協は解消をしたところでございます。そして、問題農協は、まさに増資等の経営改善あるいはリスクの高い資金の運用制限、こういったことに取り組むことによって実施をしております。
農業者等への融資につきましては、今回信用保証保険法の改正のお願いをしておりますが、信用基金等の保証を付すということによりまして的確な資金供給を行うということ、特に、単に担保に頼るのではなくて、そういう農業者の経営内容をよく審査してといったような体制をできるだけとろうということで努力をしておりますので、今お尋ねのありましたような貸し渋り、貸しはがし等の問題は生じていないというふうに承知をしております。
○楠田委員 また、もう一つ、ペイオフに向けた取り組みを行っておられると思います。例えば、金融庁の検査マニュアルのようなものがあるかないかということで、事前に、あるということでお聞きをいたしておりますが、金融庁の検査マニュアルは、通常の大手銀行のような検査マニュアルと、中小企業に向けての、実際の貸し付けを自己資本に組み入れるような現実的対応に即したマニュアルというものを用意していると聞いております。
農林水産の融資や貸し付けについても、実際、きめ細かなさまざまな実情に合った判断が今後さらに要求されると思いますが、この点、独自の指導を行っていくのか、その取り組みについてお聞かせ願います。
○船本政府参考人 ただいまの御質問でございますが、系統の金融検査マニュアルにつきまして、中小企業あるいは農林漁業者に対する融資につきまして配慮があるかということでございますけれども、まさに議員御指摘のように、地域における農林漁業者それから中小企業者等の実態に即した検査を実施するということは非常に重要だというふうに考えておりまして、金融庁の金融検査マニュアルと同様に、農協等の各系統金融機関の規模や特性を踏まえて、機械的、画一的な運用に陥らないように配慮することが必要であるということを明記しているところでございます。
またさらに、このことに加えまして、農林漁業者あるいは中小零細企業等の経営の実態に応じた適正な債務者区分の確保に努めるため、金融庁と同様に十四年八月には、検証ポイント、それから検証ポイントに係る運用例から成る系統金融検査マニュアル別冊「農林漁業者・中小企業融資編」というのを作成しておりまして、その中で検査を実施してきておるところでございます。
さらに、本年三月には、地域の農林漁業者やそれから中小企業等の実態に合った検査をさらに行うということが重要であるということでございますので、本別冊を改定いたしまして、農林漁業者等の技術力や成長性等につきまして、系統金融機関の評価を尊重する、あるいはキャッシュフローを重視して検証していくというようなことを明記したところでございまして、これらの点に十分配慮しながら今後の検査を行っていきたいと思っております。
○楠田委員 最初のところ、ちょっと聞き取りにくいところもありましたけれども、実態に沿って、確かに特殊性が強いところでもあると思いますので、このマニュアルというものをつくるのは相当難しいと思っております。しかし、ペイオフは待ったなしでございますので、ぜひ元気を持って取り組んでいただければと指摘をさせていただきます。
信用事業についてはこれぐらいにさせていただきまして、共済事業に関してこれからお聞きをさせていただきたいと思います。
ちょっと順番を変えまして、まず、契約条件の変更に関して、これはもう既に同僚議員から何度も聞いた点でもございますし、財務金融委員会で過去の国会においても聞かれたところだと思っておりますが、もう一度確認させていただきたいと思っております。
今回の法改正で、保険業法における予定利率の引き下げを導入し、共済事業の継続が困難となる蓋然性がある場合、この場合に利下げを行うことができる、このような規定を入れられました。戦略としては、各種民間の保険会社が恐らく横並びで利下げを行ってくるだろう、経営状態、経済環境におきましてはそのような事態があって、この共済事業に関しても利下げを行わせる、このための法改正のような実感を私は抱いております。
しかし、このような蓋然性を、金融庁でさえ判断できないところもありますのに、農水省の管轄の中で、共済事業、蓋然性を判断していく。確かに、民主的な経過がとられるということで、その経過も表で見させていただきましたけれども、やはり私は、この蓋然性の判断、ちょっと難しい点もあるんじゃないか、そのように思っております。
また、この蓋然性の判断の前で、このような事態になる前に、金融庁の監督であれば、何か指導のようなもの、経営の改善の指導のようなものを行うということも考えられると思いますが、農水省側として、このような指導や措置というものを用意しておられるのか、まずこの点、お聞きしたいと思います。
○川村政府参考人 お答えをいたします。
共済事業につきまして、契約条件の変更の手続規定を入れさせていただいているわけでございますが、今お尋ねの、共済事業の継続が困難となる蓋然性、これにつきまして、現時点でそういった状況にあるわけではないわけでございます。
では、どういう場合にこの蓋然性を判断するのかということでございますが、将来の業務なり財務の状況、こういうものを予測した場合に、契約条件の変更を行わなければ、他の経営改善努力を織り込んだとしても組合の財産をもって債務を完済することができないなど、共済事業の継続が困難となることが合理的に予測できる場合ということで、将来の業務なり財産の状況の予測、これは保険の方のそういった、より客観的なデータの分析なり、そういうものをベースにしようということでの検討がされておりますが、そういうことも参考にしながら検討していきたいと思っております。
そして、今お尋ねの、農水省として何らかの事前の防止策、こういうものがとり得るのか、こういうお話でございます。
今回、あわせまして早期是正措置というものをこの法律上も規定をさせていただいているところでございます。共済金等の支払い能力の充実の状況に係ります区分、いわゆるソルベンシーマージンの比率に応じて、これも、監督上必要な命令をその程度に応じて発出をするという規定を導入いたします。それからもう一つは、業務報告書の行政庁への提出、これも義務づけるといったようなことがございます。
こういった制度を活用いたしまして、また、組合に対します検査、こういうことを行政として適切に運用するということで、共済事業の健全性の確保、それから契約者保護、こういったものが図られるものというふうに考えておるところでございます。
○楠田委員 それに加えまして、このような蓋然性に基づいて利率下げというのが、破綻を防止するためのツールとしてぜひとも必要、そのように言われるのは、私は確かに一面、わからないでもない。しかし、農業者の方々がほとんど顧客であるこのJAの共済事業におきまして、私は、他社との競争というのがなかなか起こりにくい環境にあるんじゃないか、そうした中でこの蓋然性を判断して利率下げを行うとしても、他社に流れていくというような環境にそもそもないのではないか、このように思っておりまして、そうした中でこの蓋然性のツールを与えるということは、やはり私は、いささか危険が高いんじゃないか、そのように思っております。これは指摘にさせていただきます。
また、もしこの利下げを可能にしたとしても、破綻することも十分、今はないと言われるかもしれませんけれども、私は、経営状況によっては、また運用状況によってはあり得るか、そのように思っております。その際、民間の保険会社や信用事業においてはさまざまなセーフティーネットが既に用意をされている。信用事業に関しては貯金保険制度、また民間の保険会社においては保険業法における保険契約者保護機構というものがセーフティーネットで用意をされている。仮に破綻をしたとしても、全額は戻らないけれども一部金額が戻ってくる、このような制度があります。
同じ共済事業といいますか保険を扱うJA共済、これだけ大きな規模になっておりますけれども、このセーフティーネットというのは、私が見る限り、整備されておられない、このように感じておりますが、この理由と、また整備について、契約保護の観点から、これから考えられるのか、その点、局長にお願いいたします。
○川村政府参考人 セーフティーネットの問題でございます。
農協共済には、今、御質問の中で御指摘がございましたように、保険会社が破綻した場合におきます保険契約者保護機構といったような資金援助のセーフティーネットの仕組みはないわけでございます。ただ、農協共済というのは、御案内のとおり、各県の単協レベルとそれから全国段階の全共連、こういう二段階になっておりまして、基本的に、この支払い責任の全部を一〇〇%全共連が再共済をいたしまして引き受けるということになっておりますので、単協レベルで見ますと、単協が仮に破綻をしたとしましても共済金の支払いには支障が生じないような、こういう構造になっているところでございます。
それでは、全共連についてどうかということでございます。これにつきましても、例えば他の共済と共同でリスク分散をするといったようなことは、やっております契約の内容等からはちょっと難しいということで、全共連自体が問題が生じないように、早目早目にいろいろな健全性を確保していくということで、先ほど申し上げましたような、支払い余力を十分に確保していくような措置をとるということ、それから準備金につきましても適正に積み立てていくといったようなことを通じて、そういった破綻等が起こらないように万全を期していくということが共済の場合は適切であろうというふうに思っているところでございます。
○楠田委員 この後、運用の点に関しても聞いていきますが、説明として、経営をうまくやっていって準備金の積み立てをしながら、セーフティーネットがなくても先手先手で破綻を防ぐと言われておりますけれども、私は、今までの、過去の経験から見まして、どのような会社でも当初はそのように言っておられたというのがほとんどでありまして、経営状況がいいときは、それは悪くならないようにするというのは当然でありますけれども、これが一たん悪くなったときに、そのような答弁で、実際にセーフティーネットがなくてもうちは大丈夫だと言い切れるのかというのは、私は大変疑問に感じております。
これでも、そのような指摘をさせていただいても、セーフティーネットはやはり、さまざまな難しい点があると思いますけれども、これを導入することは考えないということでございますか、ちょっと確認でもう一度。
○川村政府参考人 お答えいたします。
今回、この法改正を提案させていただきまして、共済事業につきましてさまざまな規定を整備するということでございます。まず、この規定に基づきまして引き続き健全性を確保していく、そして、今総括をしていただきましたように、早目早目に手を打っていくということによりまして、セーフティーネットにかわるような万全を期していきたいということでございます。
○楠田委員 早目早目と言われておりますけれども、私は、そこまで本当に経営判断に自信があられるのか、それは疑問に思うところでございます。
大臣、今お聞きになられまして、この早目早目の対策で絶対乗り切れる、これを断言することはできますでしょうか。また、もし破綻した場合にだれが責任をとることになるか、この点に関してもお聞きしたいと思います。
○亀井国務大臣 一般的に想定しがたい経済変動の結果として万一契約条件の変更を行わなければならない、こういうような事態になった場合、一律に責任を問うのは大変難しい面がございます。農水省といたしましても、共済事業の健全性、この確保と契約者の保護、この必要な措置を講ずることによりまして、行政としての責任を果たしてまいりたい、このように考えております。
○楠田委員 経済的な変動というものは、私も銀行に短い間でしたが勤めておりましたが、やはりこれは予測できないところもある。このような契約者にとってマイナスになるような法律を導入しておきながら、その反面のセーフティーネットは導入しないというのでは、国民は納得がいかない、そのように私は思っております。何度聞いても同じ点もあるでしょうから、ここは指摘をさせていただきまして、これからの検討課題にぜひしていただきたいと思います。
次に、保険の代理業務について伺います。
今回、共済事業で保険会社の商品を代理店として販売できる、このような改正がされたと思いますが、私が代表質問で、共栄火災の今回の子会社化に伴い、共栄火災の商品がこの法改正で主に置かれることになるのではないか、そのように指摘をさせていただきましたら、あらゆる保険会社の商品を置くことができる、そのように答弁をされたと思います。
まず、そもそも、今回、共栄火災を子会社化した理由というもの、戦略というものをまずお聞きしたいと思います。
○川村政府参考人 全共連が共栄火災を子会社にした理由いかんというお尋ねでございます。
全共連は、共済事業の強化を図るために、平成十二年四月に、すべての都道府県共済連と合併をし、いわゆる二段階制を採用したところでございます。そして、この統合メリットを早期に実現するということで、人員配置の見直しでありますとか、多様化する組合員ニーズに対応した商品開発、こういった共済事業の基盤の強化に取り組んでいるというのが現状でございます。
そして、その一環といたしまして、この共栄火災を子会社としたということは、当然これはお互いの経営判断というものでございますが、こうした共済事業の基盤の強化ということにつながるという判断が全共連側にはあったのでしょうし、また、歴史的に申し上げましても、この共栄火災はそもそも産業組合とのつながりの中で誕生をしたものでございまして、こういったつながりが深かったということもその遠因にはなっていると思います。
共栄火災との提携関係を一歩進めまして、それまで提携をしておったんですが、子会社ということで、全共連と共栄火災との相互補てんということで事業の効率化、組合員サービスの強化を目指すということを考えたと聞いております。
○楠田委員 戦略としてお互いの判断であるからということだと思いますが、聞く話では、補完をするために当然子会社化したということであると思いますが、実際窓口で販売される方等の話を聞きますと、JA共済の商品でほとんど足りていると。それなのに、これから法改正をして、保険商品、共栄火災の分も、またほかの保険会社の分も置くということにするとすれば、大変煩雑になるし、本当に窓口の方の技術がそこまで追いつくことができるのかな、そのように感じております。
この点、商品が重なり合って、補完というものが何かすみ分けのようなものに変わるということはないでしょうか。
○川村政府参考人 現時点において、どういった補完関係があるかということで、例示として申し上げますと、組合員からのニーズはありますが対応する共済商品がないものということで、例えば海外旅行損害保険といったものは農協共済にはございません。また、農協や子会社の運営に係ります保障ニーズということで、例えば団体建物火災といったものあるいは役員賠償責任保険、こういったものも共済では対応しがたいということでございまして、そういう共栄火災が持っております商品を補完的に充実をしていきたいといったニーズがあるんだということを聞いております。
今後、全共連と共栄火災の商品、どういったような相互補完をしていくのかというのは、まさに商売ベースの話もありましょうし、両者の経営判断でなされていくというものだと思います。いずれにしましても、農家組合員、これへのサービスを充実していくというのが全共連の目的であるわけでございますから、この全共連の目的が最大限に発揮されるような取り組みが必要だというふうに思っております。
○楠田委員 わざわざ法改正をされて、保険会社を子会社化できるように今回してまでの子会社化であるわけですから相当な戦略があると私も思いましたけれども、聞く限りは、そういう戦略は余り感じられない。ミレアグループに入るかという話もあったと思いますけれども、私は、このような組合組織が民間の純粋な会社を子会社化すること自体が、全体的な保険のすみ分けの観点からいかがなものであるか、そのような指摘をまずさせていただきたいと思います。
あともう一つ、窓口の方で、やはり以前お答えもあったと思いますが、共栄火災のもの以外も置けるということだと思いますが、その際、各単協の組合長が判断をされるということになると思いますが、では、実際にそのような経営判断というものを組合長ができるのでしょうか。また、共栄火災だけが実際に置かれるような、ほかの民間会社を結局排除してしまう、そのような指導というものをされていないでしょうか。ちょっとその点をお願いします。
○川村政府参考人 農協が的確な選択ができるかというお尋ねでございます。
まさに、農協は組合員の営農、生活に必要なサービスを総合的に提供しておりまして、日常の事業活動を通じて組合員のニーズを把握している、こういうことでございますので、その地域におきます組合員の保険ニーズに応じて、的確な保険会社をみずから選択していくことができるものというふうに考えております。
万が一、全共連等が傘下の農協を指導いたしまして、他の損保会社を排除するような事態、こういった場合がありましたとすれば、これはもちろん独禁法に抵触するおそれがあるわけでございますので、農林省としても、十分に監視をして、適切に指導していかなければならないと思っております。
また、農協の末端の加入状況を見ましても、農協共済の占めるシェアというのは六割程度でございます。簡保も世帯のうちの半数近く、あるいは一般の生命保険も半数近くの世帯が加入されておりますので、そういった末端のユーザーのニーズからも、そういった独占的なものはないというふうに考えております。
○楠田委員 大変細かい話になっていますが、独禁法にひっかかるということもあってほかの保険会社を排除できないということでございましたが、私が聞く限りは、系統の中の方針として、ちょっと文書を取り寄せたんですけれども、平成十六年二月十二日の段階で、基本的に共栄火災以外の保険会社の業務の代理、事務の代行については実施しない方針だというような文書が回ってきているところもある、そのようにも聞いておりますが、これは認識されていますか。
○川村政府参考人 もちろん、系統の組織として、事業量確保とかいろいろな働きかけはあるものと思います。それが排他的に、あるいは不公正な方法を用いてなされるということであれば問題だということだと思います。
○楠田委員 実際にそれが来ていたという話も私は聞いておりますので、これは絶対あってはならないことだと思いますので、この点はしっかりと監視をしていただきたいと思います。
ちょっと時間がなくなってきましたが、あと、この共済の額が相当大きくなっている。二百三十兆円に及ぶ長期保有契約高、総資産は四十兆円超、民間最大手の日本生命にもほぼ迫るような勢いでふやしております。これだけ日本の経済に及ぼす影響も相当大きくなっている、私はそのように認識をしておりますが、この共済の金額、資産の運用方法、これに関して、ポートフォリオ等を含めて教えていただければと思います。
○川村政府参考人 資金の運用についてのお尋ねでございます。
資金の運用につきましては、これは共済金、三十年に及ぶような非常に長期期間の契約といったこともございます。そういう共済事業の特性に配慮して行われております。つまり、非常に長期間にわたるということで、安定的な利息なり配当収益を目的としなければならない、そういう事業からくる制約がございます。
そういうことで、基本的に、国債、地方債、社債といった運用を基本にしておりまして、これの運用が約八割を占めております。残りは、貸付金が一〇%、株式は一%といったようなことになっておりまして、国債等の有価証券の割合が高く、貸付金、株式の割合が低い、こういう運用実態になっております。
○楠田委員 このような運用の仕方から、比較的かたいということで、経営状態がバブルのときに比較的いいまま残されているというのは一端の事実かもしれませんが、私は逆に、八割を国債、公社債に頼っているということは利払いリスクが相当あるな、このような考えもいたしております。
金融庁に別途聞いたところによりますと、一般の保険会社では、国内株式が三〇%以内、不動産が二〇%以内、外貨建て資産三〇%以内などの内部的な規制を設けておりますし、年金の運用に関しても、ポートフォリオに対して社会保障審議会に諮問をし、それに対して答申がなされる、このような内部的な取り決めもされていると私は認識をしております。
共済の事業も、これだけ金額が大きいものでございますから、もちろんその運用に対して規制というもの、また運用チェックというものをする必要があると思っておりますが、この点に関してされているかどうか、これからの方針も含めて。
○川村政府参考人 財産の運用は経営の健全性のまさに生命線でもございますので、これにつきましては、やはり全共連の行っておりますかなり長期の共済事業、こういったものの特質を踏まえまして規制を行っております。有価証券の取得、金銭の貸し付け等の運用方法、あるいは、株式、不動産、外貨建て資産等のリスクの高い資産の取得は、つまりは総額規制としまして財産の一定割合ということにしておりますし、また、リスクを分散するという意味で、同一人の発行する債券の取得あるいは金銭の貸し付けは、財産の総額の一定割合以下というような運用をさせているところでございます。
これは、基本的に保険会社に対する規制と同様の規制というふうに考えております。
○楠田委員 一定割合ということで、具体的な数値があるのかないのか、ちょっとわかりませんでしたが、この点に関して、海外でもこのような共済事業に関して、金額が大きくなればなるほど一律に金融庁のようなものの管轄にしている、海外はそのようにしている、それが実態でございますので、将来的には私はこの運用に関しても金融庁の監督に属するようにすべきだと思いますけれども、この点、ちょっと今の議論を聞きまして、大臣、どのように思われますでしょうか。
○亀井国務大臣 農協の共済事業は、相互扶助の理念のもとで組合員を対象として行われているものでありまして、全共連は、総合的に事業を行う農協の共済事業を補完するわけでありまして、私は、事業規模によって金融庁にその監督をゆだねるといった性格のものではないのではなかろうか、このように思います。
○楠田委員 基本的には余りお答えになっていなかったと私は思いますけれども、やはり、これだけ規模が大きくなってきて日本の経済に及ぼす影響も相当大きいものである、このような強い認識を持っていただきたいと思っております。
ちょっと時間も来ておりますので、最後に、民主党で最後に質問をさせていただいていますので、今まで我々指摘させていただきましたとおり、外部監査も検討課題だけれども、今回入れない。また、当初に言われていた農協の改革か解体かというようなかけ声も、結局、実質的には骨抜きにされている。また、先ほどの運用の話を初めとして、民間の考え方からかけ離れている部分が、内向きの議論が余りにも多過ぎるのではないか。これだけの規模になっているので、その認識、自覚を強く持っていただきたい、そのように思っております。
これから、とにかく農業者の方にしわ寄せが来るというようなことが、さまざまな点で可能性はあると思いますので、我々民主党としても、この点、厳しくチェックをさせていただきまして、よりよい農協に改革していくことをお誓いいたしまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○高木委員長 次に、白保台一君。
○白保委員 先般も質問いたしましたが、そういった中で、若干まだ疑問の残るところがありますので、そのことを中心に伺っていきたいと思います。
本法案は、農協改革の方向性ということで、平成十三年の法改正でも一定の改正を行い、それは実現をしていっておる。十五年の農協改革の方向というものが、経済事業の改革、中央会のリーダーシップを図るために、経済事業版自主ルールの策定と指導事業の推進を提言して、地域特性を反映し、JAの自主性、創意工夫を最大限に生かすルールをつくる必要がある、こういったことが言われているわけであります。
ただ、リーダーシップという問題と自主性の問題と地域特性、創意工夫、こういった部分において、中央でもって中央の権限、機能の強化をきっかりやっていくということとリーダーシップを強めていくということ、それとまた地域特性を生かしていく、あるいは創意工夫をしていく、そういった問題というのが、ひとつ、しっくり頭の中で整理できないな、こんな感じを持っておりまして、ぜひ大臣に、もう一回、中央会の機能強化と農協改革の意義についてお答えをいただければと思います。
○亀井国務大臣 農協の制度が発足してから半世紀が経過をし、組合員を初め各界から、経済事業の適正化あるいは効率化等、農協のあり方につきまして厳しい意見や指摘が寄せられておるわけでありまして、こうした中で、農協が、組合員はもとより消費者からも信頼をされ、そして選択してもらえるような組織へと脱皮するためには、やはり農協みずからの意識改革や自主的な取り組みが基本である、このように考えます。そういう中で、農協の指導を担う中央会のリーダーシップの発揮を促す、これは非常に効果的なことであるわけであります。
こういうような関係で、今回の改正では、全国的に連携のとれた指導体制を整備し、また組合に対する指導をより効果的に行う、そして農協改革のスピードアップを図る、こういう点から、全国中央会が指導事業に関する基本方針を策定、公表する、こういうことにしたわけでありまして、基本方針は、全国中央会によりまして策定、公表するものでありますけれども、都道府県中央会が都道府県版の基本方針、こういうものを策定することによりまして、地域の実情に即した的確な指導が行われる、こういうことをぜひ実現してまいりたい、このように考えております。
○白保委員 後ほどこれに関連してまたお伺いをしたいと思いますが、次に伺いたいのは、先般もこれは伺いましたが、員外利用規制と准組合員制度の実態の問題であります。
これは、本当に組合員資格を有する者のみが組合員となっているかどうか、大変な疑問というものが残るわけであります。農協の運営というのは、みんな平等で公平でやっているわけでありますが、そういった中で、その結果として少数の大規模農家よりも多数の零細農家の利益が重視される傾向があって、ますます零細農家はその依存度を高めていく、大きい方は離れていくということがあってはならないわけでございまして、そういう意味では、先般もお伺いいたしましたが、局長の答弁で、私、しっくりしないものが一つありまして、改めてこの問題について、その実態についてお伺いをしたいと思います。
○川村政府参考人 組合員資格の問題、それから准組合員の問題がございますし、また、員外利用の問題も前回お尋ねになったわけでございます。
農協の役割を考えました場合に、農業生産者の相互扶助的な組合ということで、まさに正組合員を中心として、正組合員のためにメリットを出していくということがまずは基本だろうということは考えております。
ただ、昨今、非常に混住化も進みまして、農協が地域の一つの経済主体として相当のウエートを占めているということもありまして、この地域住民への利便、それからまた、昨今は農協の活動が消費者とのつながり等を重視していく、これはまさに国民のニーズに合った農産物の生産を図る上でもそういったことが必要であるということもございます。
そういう意味で、先般の改正で、この准組合員の仕組みのところも改正をして、継続的に契約を、あるいは利用する方も准組合員になれるといったようなことを改正しております。ただ、先ほど言いましたように、本来の役割、そういうことがございますので、やはりむやみに准組合員をふやすということは必ずしも好ましいことではないということだと思います。
また、組合の中での改組、分化もありまして、一人一票というのが、これが組合の大原則でございますけれども、そのメリットの分については、形式的な平等ということではなくて、実質的な平等、例えば、端的に言いますと、大口割引をするとか、そういったものも今後は必要になってくる。まさに農協を取り巻く状況は非常に変わってきておりますので、やはりそういった地域のニーズ、農業者の方々のニーズ、そういうものに的確に応じて、どういうあり方があるのかということを模索する、それに対応していくときに来ているのかなという感じを持っております。
○白保委員 今、局長、要するに、これからもこれは調査をしたり、あるいは地元等々に聞いて、その辺のニーズを的確に把握してこれから反映していく、そういうことだ、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
そういうふうに理解することにして、次の問題についてお伺いしますが、広域合併と農協改革についての質問ですが、合併は事業機能と経営基盤の強化を目的として進められているわけですが、そういうことを進めていく中で、一方、広域合併の実現に伴う問題点として、地域や組織拡大による組織運営の困難さが大きくて、地域や組織拡大、そういったもので困難な面があると。管内の多様化による統一した事業展開の困難さ、こういったものも指摘されております。合併によって、地域拡大、業務拡大に追いついていけない、こういう部分もあるんじゃないか。農協の組織、事業運営が適正に機能しない、こういう事態も起きているやに聞いております。
目的というのは、合併が目的じゃないわけでありまして、組織の拡大とかそういった合併自体が目的じゃなくて、農協自体の改革に目的があるわけですから、そういったさまざまな課題が残っているとするならば、これは本来の目的には合致しない、そういう意味で、それらの課題についての克服といいますか、取り組みといいますか、それについても伺っておきたいと思います。
○川村政府参考人 農協の広域合併の問題でございます。
系統組織におきましては、合併構想を策定いたしまして広域合併に取り組んでおるところでございますが、平成九年度末に二千あった農協が、十六年四月現在で九百四まで減少しております。もちろん、広域合併によるメリットというのは、取扱量が増大しまして事業基盤が強化をされる、それからまた、人材といいますか、能力ある役職員が活用できるということで、事業運営の強化が図られる、また、いろいろな競合するような施設を統廃合することによりまして総体としてのコスト引き下げが図られるといったような非常にメリットもあります。
一方、今委員の御質問の中にありましたように、広域合併は進んだけれどもなかなか実効が上がらないといいますか、今申し上げましたようなメリットがなかなか発揮されていない。これは、なかなか広域合併に伴ったガバナンスが、また、そういった事業運営も非常にまだ軌道に乗っていないということもあろうかと思いますし、また、農協と組合員の結びつきが非常に希薄化をしていて、営農指導体制も非常にもう縁遠くなったといいますか、遠い存在になって弱体化している、こういった批判なり懸念があるということがございます。まさに、今回の農協改革も、こういった広域合併に伴ういろいろな問題点、こういうものも克服をしていくということがやはり一つの大きな課題ではなかろうかというふうに思っております。
特に、そういった農協と組合員との希薄化、これにつきましてはやはり相当工夫が要るだろうということで、例えば、支所の配置にしましても、それから組合員の中のいろいろな組織化、こういった問題にしましても、より機動的に組合員のニーズがくみ上げられるような形で再組織化をしていくといったようなことも十分取り組んでもらいたいと思っております。
昨年のJAの二十三全国大会でも、こういった営農指導とか、そういう、特に合併に伴って問題化しているようなことを課題として挙げておりまして、これについてはまた考え方を近々取りまとめるというようなことも聞いておりますし、我々もそういう農協独自の取り組みを支援してまいりたいし、我々としてもいろいろな支援をしてまいりたいと思っております。
○白保委員 農協と農政の関係の問題について、平成十五年三月の「農協改革の基本方向」という中で、行政と農協の関係について、これまでの相互補完的な関係を見直して、今後は、行政及び民間機関として適正な関係を構築していくことの必要性を指摘している。こういう中で、特に「農政の遂行に農協系統を安易に活用してきた側面もあり、それが結果として農協系統の自立を妨げてきたことも否定できない。」こういう認識を示されておる。
そういう面で、今後の農協と農政の関係、これについてどのような姿勢で臨むのか、それについてお伺いしたいと思います。
○川村政府参考人 農協は地域農業の発展の拠点としてさまざまな役割を担っておられます。そういう意味で、行政としましても、農協系統と連携をしまして、これまで一定の成果を上げてきたということでございます。
研究会の報告書にもありますとおり、こういったことの反面、農協系統の自主的な努力あるいは取り組みを妨げてきた面があったということは否定できないということが指摘されております。そしてまた、組合みずからも、自分たちが半分公的な存在であるといったような感じで臨んでおられるということもありまして、これはお互いにとって、農業、農村の発展にとって、余り安易な依存関係をつくり上げるということは、これは今後は好ましくないということでございます。
私ども、昨年、そういった農協と行政のあり方を見直すという意味で、省内に検討チームをつくりまして、例えば、端的に言いますと、補助事業につきまして、農協だけを事業主体としていたようなところの規定を見直しをしますとか、また、制度の中でも、他の団体から見ますと、農協だけを特別扱いしているような規定もありましたので、そういうところを、ちょっと時間がかかる面もありますが、今後は着実に見直して、いわゆるイコールフッティング、農協とその他の生産者団体とのイコールフッティング、こういうものの条件整備、こういうものをしていくということでございます。
○白保委員 系統組織の法令遵守、そういったものの確立の問題についてお伺いをしたいと思います。
第二十三回JA全国大会においても、「消費者や実需者と協調し、国産農産物の信頼性を高めることをめざして、生産・加工・流通面において、食の「安全・安心」を確保する取組み」、こういう法令遵守の問題が、コンプライアンスの徹底と食のリスク管理というのがあります。ここちょっとの間を見ていますと、系統関係の最近の食品不正表示事件というのがもういっぱい出てくるわけです。
いろいろなことを言っても、要は、信頼をきちっと確立しなかったならばいけないわけでありまして、そういった面では、この法令遵守の確立という問題について農水省としてどのように取り組みをされておるのか、最後にお伺いしたいと思います。
○川村政府参考人 農協系統の法令遵守、いわゆるコンプライアンスの問題でございます。
今委員の御質問の中でも、食品の不正表示等、農協のかかわる不祥事が後を絶たないという御指摘でございました。これはまさに農協系統全体の信用失墜、まさにおっしゃるとおりでございます。そしてまた、消費者の食に対します信頼、これをも失墜させるということで、まさに国産農産物に対します信頼を回復していく上でも、この法令遵守体制を本当に早急に確立していくことが喫緊の課題であろうと思っております。
系統みずからも、昨年の四月には、JAにおきますコンプライアンス指導の徹底ということで文書を発出しております。また、本年四月には、不祥事対応・未然防止の手引、チェックリスト、こういったものを作成いたしまして、全農協に配付するといったような取り組みをしております。
また、行政側といたしましても、この法令遵守の確保、これを十六年度の検査、今年度の検査におきます最重点事項、こういうことにしまして、すべての組合をこの観点から点検をしたいというふうに思っております。また、私どもの本省からも、いろいろな担当者が、各地で行われます組合長会議等にも出席をいたしまして、この大切さを訴えるということで直接指導もしてございます。
また、残念ながら、いろいろな不正表示等不祥事があった場合には、業務改善命令等厳正な処分をするということで指導監督を行っているところでございますし、こういうことが発生しないことを期待しておりますけれども、もし万が一ありましても、厳正に対応してまいりたいというふうに思っております。
○白保委員 いずれにしましても、農業を取り巻く環境というものは非常に変化をしてきております。そういった中で、やはり信頼される、そういう形でなければいけない、こういう思いで、私どもも、先ほど申し入れも行いましたが、また政府においても、食料・農業・農村政策推進本部を立てて努力をしております。しっかりとした農村、農業の活性化を目指して取り組んでいかなきゃならない、こういう思いでいっぱいであります。
以上で質問を終わります。
○高木委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
最初に、共済事業における契約条件の変更手続の導入問題について伺います。
これまでの委員会質疑でも指摘されてきたことでありますし、また、一昨日の参考人質疑では、ソルベンシーマージンが七五三%ある、基本的に破綻のおそれはないし、現段階で予定利率の引き下げを行う意図はないと前田理事長も明言されました。農協共済の逆ざや額は、二〇〇二年度で五千九百三十億円、他の損益との差し引きでも基礎利益は四千六百四十億円も確保されています。
先ほど来言われていることですが、改めて、こうした必要性がない中で、今改正をする必要はないと思いますけれども、重ねて伺います。
○川村政府参考人 農協の共済事業でございますが、将来の共済金の支払い財源となります準備金、これは適正に積み立てられております。また、通常の予測を超える共済金の支払いが生じた場合の十分な支払い余力、これはまさにソルベンシーマージン比率として示されるわけでございますが、これらの面から見ても、当面、健全性に問題のないのは御指摘のとおりでございます。
ただ、共済事業を見た場合、これは保険も同じでございますけれども、超低金利の長期化ということで、逆ざやの拡大、また保険料の自由化によります業態間の競争、こういったものも激化をするという状況にございます。また、農協共済の事業規模が相当程度大きくなっているという状況を踏まえますと、農協の共済事業が万が一健全性を損なうような事態になりますれば、組合員のみならず農村社会に大きな影響を与えるおそれもあるわけでございます。
こういった状況を踏まえまして、今回の農協法改正案におきまして、共済事業の一層の健全性を確保するといった措置、それから共済契約者の保護を充実するための措置とあわせまして、破綻を回避し、事業の継続を図る経営の選択肢、まさに選択肢として、保険業法に倣いまして、契約条件の変更を行う手続規定を整備するということをしたわけでございます。
○高橋委員 二〇〇三年の保険業法の改正でも、反対意見が金融審議会の中にも多数あったと聞いております。その前に一度出されたときは、パブリックコメントで反対が非常に多く、二度目の二〇〇三年の改正案提出のときには、パブリックコメントそのものを集約しなかった。これは、集約すれば反対意見が多数でどうするかという問題があったということまで指摘をされているわけです。
例えば、二〇〇三年五月二十三日の日経金融では、使われ方によっては生保業界が信頼を失うことになるという前田一雄プルデンシャル生命保険社長の指摘。あるいは、マスコミ業界からは、金融審議会などでの議論が不十分なまま、契約者の財産にかかわる法案が提出されることには異論も多い、産経新聞の五月十三日付ですけれども。このように、業界やマスコミからも多数指摘があったと思っております。
さらに、当面の金融危機の回避、あるいは株価の上昇などもあり、その後一年たちますが、契約条件の変更に至った保険会社はまだないと聞いております。横並びという理由だけで、将来のリスクに備えてこれを導入するということが成り立つのかどうか、大臣に伺います。――大臣に伺います。通告しておりますので。
○川村政府参考人 ちょっと事務的に申し上げます。
まさに共済事業が発展をいたしまして、他の大手の生保、それから損保、こういったものとも比肩し得るような非常な規模になってきております。先ほども申し上げましたとおり、これが万が一破綻をした場合には、農村にも多大の影響を与えるということでございます。
そういう意味では、やはり他の保険ともある意味では条件を同じくして臨むということが非常に必要なわけでございます。この予定利率の引き下げのみならず、契約者保護のいろいろな規定、それからまた財政の健全性のための規定、こういうものもあわせて今回法律できちんと整備をして、そして万全を期すという趣旨でございます。
○亀井国務大臣 今局長からも答弁いたしましたが、農協共済事業、これは、準備金が適正に積み立てられておりますこと、また十分支払い余力を有しておる、そういう面で当面健全性に問題はないわけであります。
しかし、やはり農協共済事業は、地域に密着をした農協が、相互扶助、こういう理念のもとに総合的な事業の一つとして行われておるわけでありまして、全共連は保険会社のように他の保険会社と合併するという道もないことから、予定利率の引き下げができないともう破綻するということになってしまうわけであります。
今後、このような経済変動により、仮に保険会社が一斉に予定利率の引き下げに踏み切った場合に、農協共済におきましても同様の対応を迫られる可能性が考えられるわけでありまして、今回の改正、これは、保険業法に倣いまして、経営の選択肢として、契約条件の変更を行う手続規定を整備する、こういうことにしたわけであります。
○高橋委員 この横並びの問題ということを先ほど来言っているわけですが、では、仮に、予定利率について下限を政令で定めるとしておりますが、どのようになりますか。
○川村政府参考人 予定利率の引き下げの下限の問題でございますが、これは、今言及されましたように政令委任ということになっております。
そして、その具体的な率でございますが、これは、経済事情あるいは組合の資産運用の状況、それから必要な経営改善努力を行われることを前提として、契約条件変更後の事業を健全に継続し得る率であること、それから保険業法でもう既に定められている率、年三%というのがございますので、こういったものを踏まえまして、共済契約者等の保護に資する観点から適切に定めていきたい、こういうふうに思っているところでございます。
○高橋委員 先ほど来、横並びでなきゃいけないということが言われていますので、多分この三%がなるんではないのかなと思うわけですよ。そうなったときに、これまでの保険の状況を見てみますと、九〇年代の前後、五・五%から六%の利率で運用されていたと思いますが、ここのところが万が一の場合は打撃を受ける。
そうすると、これに該当する契約口数、責任準備金残高、その割合はどうなるのか伺います。
○川村政府参考人 政令自体は下限ということでございますので、仮に三%と定めましても、全共連におきまして変更時の予定利率を何%にするか、これは、変更を行おうとする組合が財務状況等に応じまして定めるということでございますので、一概には申し上げられないわけでございますが、仮に三%を超える契約のすべてが機械的に三%まで引き下げられる、こういうふうに仮定をした場合の話でございまして、契約件数では約六五%、共済金額では約六割の契約が変更の対象になるということでございます。
○高橋委員 あくまでも仮にということではありますが、六五%の契約件数、六割の契約高ということでの該当になるんだというお話だったと思うんです。
この割合、かなりの大きな割合で契約者が被害を受けるかもしれないということですよね。やはりそういうことに対して十分な説明がなければならないし、これまでも、財産権の侵害であり、契約違反でありということが繰り返し言われてきたわけですね。
また同時に、今は心配はないけれども、万が一、万が一とおっしゃいますよね。そこは、どこからその基準が出てくるのか、どこから万が一になるかということなんですよね。
例えば、さっき、ソルベンシーマージンの程度に応じて早期是正措置を発動するとおっしゃいましたけれども、金融庁が事前に、危ないということで早期是正措置を出したことはありませんよね。生保会社は二〇〇%を割るところはなかったわけですよ。どうしても対応が後手後手になっていた。
だから、そういう意味で、よほど、今時点で、比率が二〇〇を割るほどではないけれども危ないかもしれないからということで発動するということは、まずあってはならないわけですよね。契約者の保護からいっても、当然、それはあってはならないわけですよね。
そういう点で、そういうことを今やるということは、やはり、今農業所得が非常に落ち込んでいる中で、必死でこれを掛けてきた組合員にとって、生活設計が台なしになる重大な中身であるわけです。
それから、既に農協共済の利用者の中では、ほかの生命保険などもあわせて利用している方が九七%も実際はいる。そういう中で、今、農協共済はもうだめかと不安感を持たせるよりも、堅持をすることがいいのではないか。
全国一万三千店舗を誇る農協の窓口で身近に手続ができる、それがあってこそ発展してきた農協の共済。日々の暮らしと一体のものとして発展してきた、だからこそ安定した財源も持ってきたわけですよね。きょうは、そういう農協ならではの利点を今後も維持するべきではないかということを、強くこれは指摘したいと思うんですね。多分答弁は同じだと思うから、指摘をしておきたいと思います。もし何か言うことがあったら、あわせて次の答弁の中で言ってください。
次に、合併の総会手続の省略の問題ですけれども、大規模組合の組合員数、資産額が二十分の一以下の組合を吸収する場合、吸収する側の組合の総会の議決を要しないという問題でありますが、既に平成十三年度の改正で、総代会の議決があれば組合員による投票がなくてもよいという手続の簡素化が図られました。これをさらにまた簡素化を図るものであって、民主的な手続をないがしろにするという点で、我々、容認できないものがあります。組合員の意思を尊重する仕組みを残すべきと思いますが、これについて伺います。
○亀井国務大臣 今回の措置、大規模農協が存続組合となり、人的、資産規模で二十分の一以下の小規模組合を吸収合併する場合に、存続組合の総会手続を省略することができる簡易合併手続を設けたところでもございます。今回の改正では、商法等の例に倣いまして、大規模組合が存続組合となり、人的規模、資産規模で二十分の一以下の小規模組合を吸収合併する場合にそのようなことになっておるわけであります。
あるいはまた、やはり、存続組合の総会手続にかわる組合員の意思表示の機会といたしまして、存続組合の正組合員の六分の一以上の反対があった場合には、存続組合における総会議決を省略できないこととしているところでありまして、これら実情にマッチをしたような対応をしたということであります。
○高橋委員 実情が、いろいろ手続が大変だということがあるんだと思うんですけれども、だからといって、大事な組合員の意思をくみ上げるという手続をないがしろにしていいのかということが問われていると思うんです。
私たちは、合併とにかく反対という立場ではないんです。組合員の総意で合併よしという場合もあるだろう、しかし、あくまでも合併ありきということで進めることがどうなのかということを問題にしているわけですね。
先ほどちょっと局長が一部紹介していたのかなと思うんですけれども、広域合併を進めてきたことで何が起こっているかという点で、全中が行ったJAの活動に関する全国一斉調査では、広域合併のメリットとして、貯金残高や共済の契約高がふえて、信用、共済事業の範囲が拡大したとか、広域化によって農協の社会的地位が高まったとか、施設の拡充整備が進んだとか、そういうメリットを挙げる一方で、残された課題のトップに、組合の民主的運営にとって最も大事な組合員の意思が反映されない、総代方式など組合員の参加機会の減少、集落懇談会の未開催、参加者の減少などが指摘されているわけです。事業活動における機能発揮の充実強化がなされていない、組合員が期待する営農生活指導や各種相談機能の強化が実現されていない、こういうことが指摘をされています。
また同時に、広域合併が進んで、経済的で、効果が上がっているかというと、むしろ広域であるがゆえの非効率の面があって、組合員一人当たりの実績で見ると、ちょっと時間がないので数字を紹介できませんけれども、平成十三年度の総合農協統計表で見ても、貯金高、信用事業利益、共済事業利益、こういうようなものを一つ一つ見ても、五百戸未満の農協と一万戸以上の農協とを比べると、大規模農協の方が半分にしかならない、つまり規模が大きくなるほど大変になっているということがまた数字でも出ているんですね。
だから、そういうことも、合併でもいろいろな問題が出てくるんだということをしっかりと検討して、組合員の総意と納得で進めていくというふうにしなければならないと思うんです。重ねて伺います。
○川村政府参考人 まさに、組合というのは、組合員のための組合ということが基本でございます。その意味で、意思が運営に十分反映されるということが大事でございます。
ただ、今の合併の手続につきましては、大臣がお答えいたしましたとおり、他の、商法でございますとか、あるいは金融再生の組織整備法でありますとか、そういうところでもとられている規定でございますし、また、これに反対する場合の意思表示の機会も確保されております。そういう意味では非常に民主的な手続の中で、また、一方の目的であります、合併を迅速に進めていく、円滑に進めていくという両方の意味で意義があると思っております。
○高橋委員 反対の意思表示をする機会はあるけれども、しかし、それを担保するための、例えば集落座談会とかそういうものがなくなっているという指摘があるわけですよね。だから、そういうこともしっかり担保をした上で、全体としては組合員の意思が反映されたよというふうにならなきゃいけないと思うんですね。このことは指摘をしておきたいと思います。
最後になりますが、農協が今本当に改革を迫られているのも、もちろん農協独自の問題があると思いますけれども、やはり根本的に農政に問題点があると思うんですね。日本農業新聞の、昨年一月一日付で報じられた全国農協組合長アンケートでも、五六%の組合長が今の農政を信頼していないと答えております。こういう声にどうこたえるかではないかと思います。
最後になりますが、さっきの、最初の質問で出されておったと思いますが、中山間地域等直接支払い制度の見直しが、平成十七年度予算編成の基本的考え方、財政審の建議の中で、廃止を含む抜本見直しを提起するということが言われましたけれども、大臣はこのことを前もって予測をされて、十四日の日に会見もされておりますよね。多面的機能などを大事にして、中山間の制度が非常に評価されているということでお話もされていますし、それはやはりいろいろコスト面でははかれないものがあるんだということで、継続していく決意のあらわれだなと思っているんですが、改めて確認をしたいと思います。
○亀井国務大臣 この中山間地直接支払い制度につきましては、来年度以降の問題につきましては、私ども農水省、中立的な学識経験者から成る検討会におきまして現行制度の検証も行っておるわけでありますし、さらに、この役割というものの果たしてきた面というのは、これは大変私も評価をしておりますし、また各都道府県の主務部長会議におきましても、この要請というのは大変強いわけであります。
そういう面で、財政審であのようなことが建議をされておりますが、私どもとしては、重要な役割を果たしてきたことも十分考え、来年度以降につきましても、この検討会の検証等を踏まえまして、概算要求までに省としての考え方をまとめてまいりたい、こう思っております。
○高橋委員 よろしくお願いいたします。
○高木委員長 次に、山本喜代宏君。
○山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本であります。
今、高橋委員からも質問がありましたけれども、財政制度審議会における中山間地の直接支払いの件について、重ねてお伺いいたします。
きょうは財務省の方からも来ていただいていると思うんですが、この五月十七日に、平成十六年度に終了して、来年度以降の抜本的な見直し、廃止も含めて検討していくというふうな発表がされた経過について、まずお伺いします。
この四月七日に具体的な議論がなされたようですけれども、四月七日の事務局の説明というのはどういうようなものであったのか、まずお伺いしたいと思います。
○佐々木政府参考人 財政制度等審議会の議論の経過でございますけれども、まず、いろいろな予算の各分野につきまして、それぞれ、私ども事務局の方から問題意識などを説明いたしまして、それから委員の方々の討議を経てまとめられたものでございますけれども、農業関係の予算につきましては、四月の七日に事務局が資料を提出いたしまして御説明をいたしました。それで、五月の十一、十三両日を用いまして検討が行われまして、そして十七日に建議の取りまとめが行われたという経過でございます。
○山本(喜)委員 それで、その建議の中で出された中身でありますけれども、まず、食料・農業・農村基本法、この中に、三十五条二項でありますが、「国は、中山間地域等においては、適切な農業生産活動が継続的に行われるよう農業の生産条件に関する不利を補正するための支援を行うこと等により、多面的機能の確保を特に図るための施策を講ずるものとする。」という法律の趣旨に基づいてこの制度があるわけですね。この法律というものを理解した上での建議のまとめなのかどうか。
○佐々木政府参考人 基本法、基本計画におきましてそのような内容になっておりますことは、承知いたしております。
一方、今御議論になっております中山間地域等直接支払い制度は、十六年度がやはり最終年度ということでございまして、また、同制度について、極めて厳しい財政事情の中で見直し時期を迎えるという、補助金全体につきまして聖域なく見直しをするということが必要であるということでございます。
そういう中で、中山間部における耕作放棄地の発生防止等を目的としたこの制度につきましても、限られた財源をどのように効果的に使うのがいいのかということで、まず、継続ありきということではなくて、原点に立ち返って議論をする必要があるということで、このような建議になっているものと承知いたしております。
○山本(喜)委員 確かに十六年度が最終年ということでありますが、この食料・農業・農村基本法は十六年度が最終ではないわけですよ。これに基づいて、今、基本計画が具体的に進められているわけですね。この中で、廃止ということが出された根拠はどこから来ているんですか。
○佐々木政府参考人 基本法、基本計画との関係につきましては、先ほど申し上げましたように、そのような内容であることは承知をした上で、この制度は計画なり基本法なりに盛り込まれたものを実現する一つの手段であろうと思いますが、その制度自体が期限を迎える。期限を迎えるものにつきまして、基本計画がまだ現行のままであるといって見直しの対象にならないということはないと考えておりまして、先ほど申し上げましたように、期限の来た補助金につきましては聖域なく見直しをするというような考えのもとで、あそこの文章、財政制度等審議会の文章になっているものだと思っております。
○山本(喜)委員 ということは、期限が来たというだけでの見直しということなわけですか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
期限が来たというのは一つのきっかけであり、かつ、先ほど申し上げましたように聖域なく見直すということでございますが、具体的にいわば現行の制度の問題点としまして、果たして目的に対して効率的な制度になっているのかどうか、あるいは自律的な農業生産活動を促す制度に果たしてなっているのかどうかといった点につきまして、今後、やはり実態とか効果をよく検証しながら、来年度以降の具体的なあり方について議論をしていかなきゃいけないという問題意識であろうと思っております。
○山本(喜)委員 今、農水省で中立的な第三者機関で検討が行われているということは御存じですよね。その討議結果は財務省の方ではわかっているんでしょうか。
○佐々木政府参考人 今、第三者機関において検証がなされているということは承知いたしておりますが、いずれ、その検証の結果なども踏まえまして、また議論もさせていただきたいと考えております。
○山本(喜)委員 それから、もう一つお伺いしたいんですけれども、十七年度予算編成に向けての課題ということで出された資料とそれに基づく討議の経過も公表されているんですけれども、この中で、貿易自由化の代償として農家への直接支払いを導入すべきといった議論もあるが、そもそも、なぜ農業者のみ所得の補償を行う必要性や有用性があるのか云々というふうにありますね。このことに基づいて討議の委員から出された意見ということで、自由貿易化への対応を考える中で農家への直接支払いを頭から否定するように読めるような記述については、適切ではないのではないかというふうな討議経過があるわけですが、この討議経過、具体的にもう少し詳しくお願いします。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
財政制度等審議会で、事務局の問題提起に対しまして、先生のおっしゃるような議論が出されたと聞いております。ただ、建議に至ります過程で、建議は、財政制度等審議会の委員の中から起草委員を選びまして、いろいろな討議を起草委員の中で議論した上で取りまとめられたものでございまして、その起草委員がそうやって取りまとめた建議をまた全体の委員会で諮るというプロセスを経て、今の形になっているものと承知いたしております。
○山本(喜)委員 今、財務省の方から、農水省における第三者機関ですね、討議経過を踏まえた上でさらに検討していくというようなことが言われましたけれども、そういうことを確認してよろしいでしょうか。いいですね。
○佐々木政府参考人 今後、先ほど申し上げましたように、実態、効果等をよく検証しながら、来年度以降の制度の具体的なあり方を議論してまいりたいということでございますが、その中で、第三者機関の検証の結果なども十分議論の対象としていきたいと考えております。
○山本(喜)委員 今、財務省からいろいろとお話しいただきました。これについて農水省はどういうふうに受けとめているでしょうか。
○太田政府参考人 中山間地域等直接支払い制度でございますが、平成十二年度に発足し、十六年度までの五年間となっておりますが、この発足時から五年後に制度の検証及び課題の整理を行うこととされておりましたので、既に中立的な第三者機関におきまして現行制度の検証を開始しております。三月に一回目、四月には二回目という形で進んでおりまして、また、現地調査等も含めてその検証をさらに深めていきたいと思っております。
この制度の継続そのものにつきましては、地方公共団体等から多数の提案が出されているところでございます。いずれにせよ、この提案にも耳を傾けながら、中立的第三者機関でありますこの検討会での検証等を踏まえて検討を進め、また、財務省の方にも十七年度予算として反映させていきたいというふうに考えております。
○山本(喜)委員 この問題については、石原事務次官が記者会見の中で、この制度の廃止が選択肢に入るのかどうかという質問に対して、恐らくそういうことはない、考えられないと思っていますというふうに答えていますね。これについては大臣も同様と考えていいのかどうか。
○亀井国務大臣 今太田局長からも答弁いたしましたとおり、検討委員会を二回やり、さらには、先ほど申し上げましたが、各地方農政部長、都道府県の庶務部長からも、この継続、こういう面で大変評価をされ、その要望も強いわけでありますので、これら検討委員会のこのことも十分踏まえて、来年度の予算要求に対応してまいりたい、こう思っております。
○山本(喜)委員 夏ごろまでに結論を出すという検討会の状況ですが、検討を重ねている間に財務省から外堀を埋められないように、ひとつよろしくお願いしたいというふうに思います。
次に、農協法の一部改正案についてであります。
農協のあり方研究会の報告書、これによりますと、経済事業の選択と集中、あるいは競争力のないものからは撤退するとか、民間委託、譲渡という言葉がこのあり方研の報告にはたくさん出てくるわけでございますが、農協法上は、営利を目的とした事業を行ってはならないというふうな中身もありますし、協同組合というふうな性格の問題もあるわけでございます。そうした中で、選択と集中、外部化ということだけを進めていくということであれば、農協の持つ総合事業体制というものが崩れていくことになるのではないかというふうに思うわけです。地域の中では、やはりこの総合事業体制の中で、農協に対する組合員のいろいろな要望というものもたくさん出ていますし、農協に対する組合員の帰属意識というものも極めて重要になっていると思うんですよ。
そうした意味で、この総合事業体制というものについて、どういうふうに改革案では考えていくのか、お願いします。
○川村政府参考人 お答えを申し上げます。
農協におきます総合事業方式、これは、組合員が一の農協におきまして、営農指導でありますとか農産物の共同出荷、生産資材の共同購入、営農資金の融通等総合的なサービスの提供を受けることができるといったように、我が国農業生産力の増進と農業者の地位の向上に大きな役割を果たしているというふうに認識をいたしております。
他方、この農協系統におきましては、農業者、消費者に選択をしてもらえる農協に脱皮するために、昨年十月に開催いたしました第二十三回JA全国大会におきまして、四つの柱、安全、安心な農産物の提供と地域農業の振興、組合員の負託にこたえる経済事業改革、経営の健全性、高度化への取り組み強化、協同活動の強化によります組織基盤の拡充と地域の活性化を柱として定めまして、その中で、経済事業改革の具体的な方向として、事業の選択と集中等、農協改革に組織を挙げて取り組んでいくということが決議をされております。
おっしゃるとおり、農協は営利を目的とする団体ではございませんが、かといって、赤字を許容するということでは決してないわけでございまして、やはり得意な分野、そういうところをやる。それから、他のサービス体におきましてサービスが受けられるということであれば、その選択をしていくということも健全な経営には必要だろうと思っております。
ただ、こういいましても、この取り組みは総合事業体制を否定するものではなくて、まさに今後ますます激化をします競争的な環境、この中でも、農協がまさに生き残っていくために必要な事業を見直していくということの一環であろうと思っております。何よりも、この事業の遂行を通じまして、組合員にメリットを提供し、それによって組合員から支持されていく、こういう体制をつくっていくことが一番基盤になるものというふうに思っております。
○山本(喜)委員 最後になりますけれども、参考人質疑の中で東北大学の両角先生から、日本の農業の将来展望についてお話がされました。市場経済に任せていたのでは非常に厳しいということが言われたと思います。環境保全型の農業、そしてコストに見合った農業の役割というものを国民に示していくというのが国の政策として非常に重要じゃないのかというふうに言われたと思います。それから、農協の役割についても、環境問題を克服するために、資源循環型農業ということで、資源循環利用というシステムの運営者として農協に対する期待ということが表明されました。あるいは集落営農のグループ化とか、あるいは新規就農者の受け入れ体制を確立してもらうとか、そういうふうな役割が期待されているということだったと思うんですが、こうした点について政府の見解をお願いして、質問を終わっていきたいと思います。
○金田副大臣 山本委員御指摘のとおり、御指摘のございました環境問題を克服するためのバイオマスの利用あるいは資源の循環利用、そういったこと、あるいは集落型経営体の組織化、法人化、こういったことは、農政上の重要な課題というようなことで我々も認識しておりますし、農林省としてもこれに取り組んでいるところでございます。
農協でございますが、昨年の二十三回の大会において、みずから改革していくんだというような決議を行っているわけでありまして、その決議の中でも、環境保全型農業を推進していくんだということ、それから、耕畜連携を軸とした資源循環型農業の推進といった環境に配慮した地域農業の振興を決議してございますし、また、集落営農育成と段階的法人化というようなことも具体的な実施項目として掲げているところでございます。
農林水産省としても、農協の皆さん方が御指摘のような分野において農協改革をしていくことを期待しているところでございます。
○山本(喜)委員 どうもありがとうございました。終わります。
○高木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○高木委員長 この際、本案に対し、小平忠正君外二名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。
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農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○黄川田委員 ただいま議題となりました農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国農業を取り巻く内外の厳しい環境のもとにおいて、代表的な農業団体である農協に対しては、組合員や消費者のニーズに的確にこたえ得るよう、その組織や事業を改革することが強く求められております。
今回、政府が提出した農業協同組合法等の改正案は、喫緊の課題である経済事業を初めとする改革を推進しようとするものでありますが、政府提出案の内容は、なお十分とは言えないばかりか、改革の推進を図る手段として、ただいたずらに全国中央会の権限の強化を行おうとするものであります。
もとより、農協改革は、組合員や農協の役職員の意識改革を前提に、その地域の特性に応じて、それぞれの農協自身が実現していくものであり、決して上から押しつけるべきものではありません。中央会や行政が果たすべき役割は、農協自身の自主的な改革への取り組みを支援していくことにあると考えます。
このため、一県一農協が実現している現状を踏まえ、中央会組織について、合併規定を整備するとともに、農協監査に関しては、農協経営への信頼性がさらに高まるよう、外部機関たる会計監査人による監査を導入することが必要であります。
また、改正案は、単に保険業法との横並びだけの発想から共済契約においても予定利率の引き下げを可能とする規定を置くこととしております。しかしながら、農協の共済事業の実態からして、その必要性が乏しいのみならず組合員の信頼を裏切るものと言わざるを得ません。
以下、修正案のポイントを申し上げます。
まず第一に、関係者の十分なコンセンサスのないままに改正法案に盛り込まれている「共済契約に係る契約条件の変更」に関する規定を削除することとしております。
第二に、農協監査については、全国中央会による監査にかえて、会計監査人の監査を受けることが選択できる規定を設けることとしております。
第三に、全国中央会と都道府県中央会の合併を可能とする規定を設けることとしております。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○高木委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○高木委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。
○高橋委員 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部改正案に反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、保険業法と同様に、組合、共済契約者間の自治的な手続により契約条件の変更を可能とする制度を導入することについてです。
昨年、金融庁は、生保の予定利率の引き下げのために、契約条件の変更を可能にする保険業法の一部改正案を国会に提出し、多くの国民の反対の声を押し切って成立させました。今回の法改正は、この保険業法の改正に横並びで契約条件の変更を可能にするものであり、認めることはできません。
農協共済は、逆ざや額は二〇〇二年度で五千九百三十億円としていますが、この逆ざや額を他の利益で穴埋めしてもなお約四千六百四十億円もの巨額な基礎利益を生み出しております。このような実態で、農協共済の契約不履行を担保し、個別契約者の保険金額を減額させる目的の本制度の導入は、とてもではないが契約者の納得を得られるものではありません。
反対の第二の理由は、全国中央会による基本方針の策定についてです。
これは、これまで都道府県中央会がそれぞれ農協に対する指導事業を行ってきたものを、全国中央会が指導事業に関する共通の目標として基本方針を決定、公表することにより、これまで以上に中央集権的に指導事業を組み立てようとするものであり、本来、農業、農協が地域に根差した性格がある中で、都道府県中央会の指導事業に対する自主性を損なうものであり、賛成することはできません。
反対の第三の理由は、合併、事業譲渡における総会手続の省略についてです。
大規模組合が大規模組合の組合員数、資産額が二十分の一以下の小規模組合を吸収合併する場合、総会の議決を要しないとするものは、農協合併推進のために民主的手続さえないがしろにしようとするものであり、賛成できません。
なお、民主党の修正案については、一点のみ反対でありますが、それは、全国農業協同組合中央会と都道府県農業協同組合中央会との合併を可能とする規定を導入することであります。これは、各都道府県農業協同組合中央会を不要とすることに結びつかざるを得ず、このことは、これまでのそれぞれの地域農業の特色に合わせて地域農業発展のために取り組んできた都道府県農業協同組合中央会の役割を否定するものであり、賛成できるものではありません。
以上をもって討論といたします。
○高木委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○高木委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、小平忠正君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○高木委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○高木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時九分散会