衆議院

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第20号 平成16年6月1日(火曜日)

会議録本文へ
平成十六年六月一日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 高木 義明君

   理事 北村 誠吾君 理事 西川 京子君

   理事 松下 忠洋君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 小平 忠正君

   理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      小野寺五典君    大野 松茂君

      大前 繁雄君    梶山 弘志君

      金子 恭之君    木村 太郎君

      倉田 雅年君    後藤 茂之君

      佐藤  勉君    玉沢徳一郎君

      津島 恭一君    寺田  稔君

      永岡 洋治君    西村 康稔君

      野呂田芳成君    平井 卓也君

      二田 孝治君    吉野 正芳君

      岡本 充功君    鹿野 道彦君

      金田 誠一君    岸本  健君

      楠田 大蔵君    篠原  孝君

      神風 英男君    仲野 博子君

      楢崎 欣弥君    堀込 征雄君

      松木 謙公君    若井 康彦君

      西  博義君    高橋千鶴子君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣       亀井 善之君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   農林水産大臣政務官    木村 太郎君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山口 勝己君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)  遠藤  明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)  青木  功君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)  坂野 雅敏君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)  中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)  太田 信介君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     吉野 正芳君

  金子 恭之君     大前 繁雄君

  後藤田正純君     寺田  稔君

  仲野 博子君     若井 康彦君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     金子 恭之君

  寺田  稔君     倉田 雅年君

  吉野 正芳君     大野 松茂君

  若井 康彦君     仲野 博子君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     後藤田正純君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第九二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房技術総括審議官坂野雅敏君、消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、農村振興局長太田信介君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、総務省大臣官房審議官山口勝己君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長遠藤明君及び職業安定局長青木功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾君。

北村(誠)委員 おはようございます。自由民主党の北村誠吾でございます。

 競馬法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 我が国の競馬は、これまで、中央競馬にあっては国家財政に、地方競馬にあっては地方財政に寄与してきたほか、馬の改良増殖、その他、畜産の振興、また国民に対する健全な娯楽の提供、いわゆる観戦型のプロスポーツといったような役割を果たしてまいったようなわけであります。

 実は、私のすぐ近くにも、地方競馬でありますけれども、佐賀競馬がございます。この佐賀競馬の関係者の方々のお話も、質問させていただくということになりましたので、準備の段階でお話を聞かせていただいたわけでありますけれども、厳しい経営を強いられておりますのはいずれの地方競馬場も一緒でございますけれども、バブル経済の崩壊以降、景気の低迷あるいは国民レジャーの多様化などから売り上げは年々減少しておりますし、平成十二年、十三年度にはすべての主催者が単年度収支で赤字となっておりますし、十四年度においても、単年度収支が黒字となった主催者は、埼玉の浦和、千葉県、特別区、そして佐賀県競馬組合の四主催者のみであったということであり、さらに十三年度以降、六つの主催者が競馬事業から撤退をしており、現在の地方競馬主催者は十八となっておるということであります。

 こんなふうに、近年の競馬の売上額の減少に伴う競馬主催者の厳しい事業収支の状況を踏まえ、農林水産省におかれては、競馬のあり方に係る研究会、有識者懇談会を設置して検討を重ねられ、競馬の実施に関する事務の民間への委託や規制緩和、あるいは勝馬投票法の追加を行うなど、地方競馬主催者に対する必要な支援措置を講ずるとした今度のこの法律の改正というふうに臨まれたと思い、敬意を表するわけであります。

 そこで、逐次お尋ねをいたしますけれども、このような競馬の状況をどのように認識しておられるか、また、売り上げが低迷している原因をどのようなことであるとお考えであるか、まずお伺いをいたします。

白須政府参考人 ただいまの競馬の現状についての認識ということでございます。

 我が国の競馬は、戦後しばらく、賭博としての側面ということから大変悪いイメージもあったわけでございますが、主催者によります清潔感のある施設整備でございますとかあるいは公正確保の努力、あるいはスターホースの登場といったようなことで、健全な娯楽として広く国民に受け入れられてまいったわけでございます。女性でございますとかあるいは青年層、そういった参加もふえまして、順調に売り上げを伸ばしてまいったわけでございます。

 しかしながら、ただいま委員からも御指摘ございましたが、中央競馬につきましては平成九年、あるいは地方競馬につきましては平成三年度をピークといたしまして、その売り上げは減少傾向にあるわけでございます。このことにつきましては、他の公営競技も同様の状況でございまして、全体として一人当たりの購入単価あるいは競馬場への入場人員も減少しておる、そういった状況にあるわけでございます。

 その原因でございますが、やはり何といいましても、バブル景気後の景気の低迷というのが一番大きいのではないかと考えております。さらに、生活でございますとか趣味、あるいは娯楽、そういったものの多様化ということがまた影響しておるのではないかというふうに考えているわけでございます。

 ただいまも委員からもお話ございましたが、我が国の競馬は、国あるいは地方の財政への寄与といった大変重要な役割も果たしてきておるわけでございまして、こういった役割、今後ともその役割が適切に発揮できますように、今回御提案を申し上げております改正案によりまして、コストの削減あるいは売り上げの向上、そういった観点からの御提案を申し上げておるわけでございますので、そういった点での御支援をひとつよろしくお願いを申し上げたい次第でございます。

北村(誠)委員 そして、先ほど地方競馬の収支状況については申し上げました。また、今度の改正案の大きな柱である地方競馬、あるいは地方競馬は地方公共団体が主催者であり、中央競馬に比べれば規模が小さいこと、これは仕方がないと思いますけれども、一方で、高知競馬のハルウララのように、地方競馬ならではの魅力があるということで人気を獲得しています。だから、地方競馬の魅力をどんなふうに考え、それを生かすためにどのような取り組みが行われているのか。また、本法案で、地方競馬の連携促進策を講じようとしている、これによって地方競馬の事業収支がどのように改善されるか。また、これまで、地方競馬の連携の結果、成功している事例があるか、それがあればお示しをいただきたいというふうに思います。

白須政府参考人 まず、地方競馬の魅力をどういうふうに考えるかということでございます。

 地方競馬、これはもともと沿革といたしまして、各地で行われておりました祭典競馬というものから、地域の歴史なり文化という中で発展をしてまいったわけでございます。そういった特色がやはり競馬ファンにとりまして魅力のあるものということでございまして、例えば北海道でございますと、ばんえい競馬ということで、世界に唯一の馬そりによります競馬ということで、地域性を反映した競馬を展開しておるという事例もあるわけでございます。

 地方競馬の地域性につきましては、それぞれの主催者によりまして独自の取り組みが行われているわけでございます。

 例えば、東京の大井競馬場では、これは特別区がやっておるわけでございますが、サラリーマンを対象といたしまして、仕事が終わった夜、大都市ならではのナイター競馬というふうなことで、多くの若い男女の競馬ファンを開拓したというふうな功績もあるわけでございます。

 また、北海道はやはり軽種馬の生産地でございます。そこで軽種馬の牧場も多数ございまして、そういった民間の育成牧場、これは競走馬の調教施設として活用するということで、この中から、先日ダービーに出走いたしましたコスモバルク号というものも、北海道競馬の所属馬としてダービーに出走したというふうな取り組みもあるわけでございます。そういった意味での特色ある競馬施行ということに今努力をいたしているわけでございます。

 また、ただいま委員から御指摘ございました、そういう中で、地方競馬は大変厳しいわけでございますが、この連携促進策、どういうふうな改善、あるいは事例はどうだというお尋ねでございます。

 地方競馬、現在十八の主催者があるわけでございますが、やはり何といいましても、一部の主催者を除きましては、それぞれの主催者がみずから、自分のところだけで、競馬場だけで完結をしておる、そういう競馬施行が行われておるという実態でございまして、それぞれの主催者ごとの開催日の日程調整ということも行われておらない。開催日が重複をいたしております。いわば収益が分散化されまして、収益性が大変低い状況になるということでございます。

 したがいまして、私どもが今回御提案しております、やはり主催者が連携するということによりまして、開催日の調整を行う、日程の重複を避けるというふうなことで、開催日当たりの売り上げの増加なりコストの削減、収益性の改善が可能になるわけでございます。

 また、一方では、勝馬投票のいわゆるコンピューターでございますとか馬券売り場、これを共同化していくというふうなことで、職員でございますとか、あるいは厩舎関係者、競走馬、そういった人馬の共通化を図ることによりまして固定費の削減も可能になるというふうなことで、やはり主催者間の連携、ブロック化というのが大変大きな地方競馬の事業収支の改善を図っていきますための有効な手段であろうというふうに考えている次第でございます。

 そういう中で、事例としては、やはり何といいましても、南関東の、先ほど委員からも事例に挙げられましたが、南関四場と言っておりますが、大井、川崎、船橋、浦和、ここが最も連携が進んでいるわけでございまして、ここにつきましては、開催日の重複というのは完全に解消されております。したがいまして、一つの競馬場がやっておるときは三つの競馬場は休んでおりまして、その休んでおる主催者はそれぞれ開催の主催者の全レースを発売するというふうなことで、先ほどもお話ございましたが、十四年度には全国での黒字主催者は四つの主催者であったわけでございますが、そのうちの三主催者がこの南関東の主催者であったということでございます。

 そんなことで、今回の改正の中に、連携計画の策定ということで事業収支改善の目標を盛り込むことにしておるわけでございますので、こういった支援措置を活用していただきまして、事業収支の改善努力を行っていくということが重要であろうというふうに考えている次第でございます。

北村(誠)委員 今お答えの中で、事業収支の改善を図るための施策ということで、事業連携を深めていく、高めていくというふうなことで具体的にお話をいただいたわけですけれども、地方競馬、佐賀競馬の方のお話を聞きますと、その際、ぜひ主催者側にとって、施策を講じていくとき、過度な負担にならないように十分な財政支援策をお考えいただきたいというふうな強い願いというものがあることをまた聞いております。ですから、その点につきましても配慮をいただきながら、具体的な策を今後ともより積極的に講じていただきたいということを、質問の中で述べさせていただいておきます。

 一昨日、日本ダービーが行われました。今回、質問するに当たりまして、私も準備をするに当たって、これはぜひにわかでも勉強しておかなければと思って、新聞の記事、報道等を少しく関心を持たせていただいたわけですけれども、御承知のとおり、今度の日本ダービーでの優勝馬はキングカメハメハという、大変私にとっては舌をかむような名前の馬でありましたが、見事なレースぶりで優勝したと報じられております。

 その騎手を務められた安藤騎手は地方競馬から移られて二年目ということで、大変な活躍ぶりというふうなことであり、また、先ほど局長の御答弁の中にもありました北海道の道営競馬所属のコスモバルクという馬がやはり非常に強いということで話題にもなっておったというふうなことを聞くにつけ、やはり中央、地方競馬の、まさに人馬一体と言えばちょっと大げさかもしれませんが、人でそういう騎手の方々が地方から中央へ、あるいは地方の馬が中央で活躍するというふうなことなど、やはりこういった時代のいろいろなそれぞれの人の可能性も、あるいは馬の可能性もいろいろなところで試すことができる、そして、それぞれが希望を持って頑張る、そして、そのことによって国民全般にさらにファンをふやして、競馬が健全なスポーツとして普及していく、あるいは広がっていくというふうなよい事例ではないかということで、明るい話題であるなというふうに存じます。

 ですから、これからはぜひ、中央は中央、地方は地方ということでなくて、双方の魅力をお互いに生かし合うような連携を深め、あるいは高め、広めていただきたいなというふうに思いますし、そこら辺をお考えになって施策を講じていただきたい。

 ですから、今回、そういう視点から考えたときに、この法律の改正案において、中央と地方の競馬の連携という観点では、それに絞ってお尋ねしますと、どういうことが特筆されると。特にありますか。その点についてお聞かせいただければと思います。

白須政府参考人 中央と地方の連携というお尋ねでございます。

 ただいま委員からもるるお話ございましたが、やはり何といいましても、中央と地方との連携、協調ということで、実はこれまでにも、中央競馬と地方競馬との間で交流競走というものも実施をいたしまして、競馬ファンに対しまして魅力あるレースの提供というふうなことも行ってきているところでございます。また一方では、地方競馬の主催者が中央競馬会の施設を利用しまして、あるいはまた一方、中央競馬会が地方競馬の施設を利用するといったようなことで、相互の施設を利用しまして馬券の発売も行っているわけでございます。

 そこで、実は今回の改正におきましては、そういった中央、地方の一層の連携を推進するというふうな観点から、中央競馬会と地方競馬主催者との間でいわゆる馬券の発売の事務というものを相互に受委託するということを可能とするということを入れているわけでございます。これによりまして、中央競馬の発売施設、それから地方競馬の発売施設、それが相互に活用することができるわけでございまして、それによりまして馬券の発売網がより拡大をするということで、売り上げの増加につながるわけでございます。

 それから、実は現在、相互に受委託ができないということでございますので、それぞれが、JRAは地方の施設を借りて発売する、そのためには職員が直接相手方の施設に出向きまして発売する必要もあるわけでございますが、これが受委託が可能になりますれば、相手方の職員に業務をゆだねるということができるわけでございますので、事務の効率化ということでコストの削減につながるということでございます。そんなことで、中央、地方双方の売り上げの拡大、あるいは収支改善に寄与するということで、ファンへの利便性も相当改善されるのではないかというふうに考えている次第でございます。

 それからもう一点、委員からも御指摘ございました、そういった連携を進めようとする場合に、主催者に対する支援ということでお話ございました。

 お話しのとおりで、この連携計画を共同で作成しまして、それの大臣の認定を受けた場合には、やはりこれは当然コストが、経費がかかるわけでございます。これにつきましては地方競馬全国協会から助成を受けることができるように、そういう規定も入れているわけでございます。

 具体的には、先ほども委員からもお話ございましたが、私、南関四場の事例を申し上げましたが、委員からもお話ございました佐賀と荒尾、それから岩手の三場は、これはみちのくアンド九州というふうなことで、冬には岩手では競馬ができませんので、そのときは佐賀の馬券を売るというふうなことで、今非常に連携の計画が進んできておるわけでございます。

 そういったような連携を行います場合に、やはり何といいましても、コンピューターを共同化していくとか、あるいは共同の場外馬券売り場を設置するといった、そういう基盤整備、施設整備が必要になってくるわけでございますので、そういうものも対象といたしまして、そういう場合にはこの助成を、地方競馬全国協会からも助成をすることができる、そういうふうなことを置いておるわけでございまして、こういうことによりまして連携をより一層進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

北村(誠)委員 後段の答弁については、大変ありがたいことでありますし、地方競馬はそれぞれ生い立ちが違いますし、一口で連携と言っても非常に御苦労があることはよく承知しておりますから、それぞれ、佐賀は佐賀、荒尾は荒尾、岩手は岩手、それぞれの実情があると思います。しかし、そこら辺をうまくクリアしながら、やはりそれぞれの個性は伸ばし、あるいは摩擦があるところは何とか円滑にいくように、調整などに労をいとわずぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、競走馬の生産についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今も、話がこれまでありましたように、競馬の厳しい状況によりまして、馬産地にも影響を大きく与えていると聞いております。また、先ほど申します地方競馬の撤退や再編が進むことで、競走馬に対する需要も減少の傾向があるというふうに考えられます。

 現在、競走馬対策としてどのようなことを行い、また、今後予想される競馬の状況の変化に対応するために、競走馬の生産についてどのような対策を実施するということをお考えか。特に北海道を主産地とすると聞いておりますけれども、我々九州の方にも若干そういう産地があるということも聞きますし、ぜひこの点についてはお聞かせをいただきたいというふうに思います。

白須政府参考人 競走馬の生産対策ということでございます。

 委員からも御指摘のとおり、競走馬の生産は大半は北海道を中心にやっておるわけでございますが、これに対しまして、一つには、国の一般会計におきましては、馬の伝染性の貧血症、そういった衛生対策、こういうことも対策を講じております。

 また、競走馬経営に対します金融対策というふうなことで、やはり競走馬経営、当然農地も取得しなければならないわけでございますし、あるいは農機具も取得せないかぬというふうなこともございますので、そういった意味での金融対策として、公庫資金あるいは近代化資金あるいは短期運転資金、そういった制度資金の融通ということも行っているわけでございます。

 また一方には、やはり全体として生産基盤の強化、それから国産の馬の資質の向上ということが競走馬の生産にとりましては大変大きな目的でございますので、もう一つとしましては、JRA、中央競馬会の売り上げの一部を原資といたしまして、やはり市場で透明、公正な値づけをしていかなければ競走馬生産はなかなかうまくいかないわけでございますので、そういう市場における上場を促進するための奨励金でございますとか、あるいは市場への輸送費の補助ということも行っておりますし、また、軽種馬の生産の育成強化というための資金への利子補給、あるいは後継者の育成のための研修といったことも含めまして、そういったさまざまな軽種馬の生産対策を実施しているわけでございます。

 ただ、今も委員からもお話がございましたが、現在、地方競馬は大変厳しい状況でございますが、そういう中で、今後、さらに連携を進めるといったようなことになってまいりますと、競走馬につきましてもやはり共有化が促進されるということでございます。そういうことになりますと、一方には当然事業収支の改善が図られるわけでございますが、競走馬の需要という点から見ますと、それは競走馬需要のさらなる減少にもつながってくるということも考えられるわけでございます。

 したがいまして、こういった情勢の変化ということがあるわけでございますので、こういう変化に対応いたしまして、全体として望ましい競走馬生産の生産構造を実現していくということのために、競走馬生産の振興に資するための事業といたしまして、一つには生産者を組織化していく、それを支援していこう、もう一つには経営基盤を強化していくといったようなことを実施したいということでございまして、今回の改正案の中におきましても、日本中央競馬会の特別振興資金の方から助成するための措置を盛り込んでいるわけでございます。

 また一方には、競走馬と他の農業部門、複合化でございますとか、あるいはまた他の作目への転換が必要になる、そういう場合もあるわけでございますので、そういう場合には、他の作物の振興施策あるいは技術支援、また各種制度資金の活用といったようなことで、競走馬生産の振興、地域の農業生産の活性化ということも図っていきたいということでございます。

 こういった生産対策の具体化に当たりましては、やはり何といいましても、生産地のそれぞれの考え方、発想ということが必要になってくるわけでございますので、そういう点も十分私どももそういった生産地の意見もよくお伺いをいたしまして、効果的また地元でも使いやすい、そういうふうな対策になるように検討を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

北村(誠)委員 ありがとうございます。

 次に、農林水産省が競馬を所管しているという理由は、先ほど局長の御答弁にもるる述べられましたとおり、競馬が、馬の産地の振興、あるいは馬の改良その他畜産振興に大きな役割を果たしている、そして、畜産振興の中でも獣医の活動などに特に意を用いて、従来、各種の補助あるいは支援というものに対してこれが貢献をしている。

 ですから、農林水産省が競走馬生産の抱える課題を、今るる述べられましたけれども、ぜひ、きょうは大臣にも御出席いただいておりますので、この競走馬生産が抱える課題というものについて、先ほど、他の作目に転換する場合はそれを支援する策を講ずると、大変心強い、日高の馬産地の皆さん方が、本当にこれから若い人たちがどうしてこの日高の土地柄あるいは地域の農業の振興ということを将来にわたって永続的に続けていこうかというときに、大変な苦境に陥っておるということも聞いております。そういうことで、競走馬生産対策について農林水産大臣がどのようにお考えであるか、総合的にお答えをいただければと思います。

亀井国務大臣 委員からも御指摘のとおり、競走馬の生産をめぐる経営環境、これは、長引く景気の低迷やあるいはまた複数の地方競馬主催者の撤退、こういうことで厳しさを増しておるわけであります。

 そういう中で、先ほど局長からも御答弁申し上げましたが、競走馬の共有化が促進される、そうなりますと、競走馬の需要のさらなる減少につながる、こういうことも考えられるわけでありまして、担い手が生産の大宗を占める望ましい生産構造、これに向けて経営基盤の強化等の課題に対応しなければならない、こういう認識を持っております。

 そういう中で、競走馬の生産対策、その重要性、これはもう委員からも御指摘のとおりでありますし、生産基盤の強化あるいは国内産馬の資質の向上、こういう点につきましても十分考えていかなければならないわけでありまして、先ほど局長からも申しておりましたが、やはり生産者からいろいろなお話を承って、十分その対応、検討を重ねていかなければならない、このように考えております。

 そのような中で、軽種馬生産構造対策の中で、将来の軽種馬生産を担う経営の確立、そういう面での経営基盤の強化であるとか複合化、あるいは転換の問題とか組織化の問題等々、それぞれ項目を抱えて持っておるわけでありまして、それらも十分機能を発揮させて競走馬の生産のために努力をしてまいりたい、このように考えております。

北村(誠)委員 そして、なぜこれだけ競馬ファンが多いかということについて考えてみると、単にギャンブルとしてでなくて、馬が一生懸命走る、こういう姿が好きだ、馬の姿はきれいだ、あるいは、競走馬そのものに対するファンというものが多いと思うんですね。

 そういった意味では、競馬は馬に国民が親しむ一番身近な、ほとんど唯一の機会であると考えてもよいと思います。馬が日本人の生活の中で、特に北関東、東日本では重要な役割を果たしてきたということを認識しています。そういった、馬事文化ということが言われますけれども、この文化に接する大きな機会になるんじゃないかと考えます。

 ですから、これまで馬事文化の継承や馬事振興ということについて農水省としてはどのような施策を講じてきたか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

白須政府参考人 馬事文化へのどういう施策を行ってきたかというふうなことでございます。

 中央競馬会法の中にも、やはり馬術競技も含めまして、競馬の健全な発展を図るために必要な業務を行うという規定もございまして、一つには、競馬場等に設置されております乗馬施設を近隣の青少年等へ開放するということ、あるいはまた、馬事公苑、そういった施設を利用いたしまして、馬に親しむ日とか、あるいはまたホースショー、そういった開催を通じまして、一般の人方に馬と触れ合う機会の提供を行う、あるいはまた、流鏑馬といったような形での伝統行事もございますので、そういう伝統行事も開催をいたしまして、馬事文化、ただいま委員御指摘がありました馬事文化の啓蒙ということにも努めているわけでございます。

 あるいはまた、そういう全国レベルの馬術大会あるいは共進会、さらにはそういった競技団体、乗馬の振興団体、そういったところの振興ということも含めまして、多くの馬事振興施策も行っているわけでございますが、ただいま委員からも御指摘がございましたように、やはりこういった活動を通じまして、それはひいては競馬のすそ野を広げるというふうなことで、馬、馬事文化への理解、馬事振興に努めることによりまして、競馬の理解促進にも努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

北村(誠)委員 重ねて申し上げることになりますけれども、これからも競馬は、国民への娯楽の提供、また、その売り上げを通じた国家あるいは地方の財政への寄与、あるいは畜産振興の役割というものを担いながら、さらに多くの人が競馬場に足を運んで参加したくなるような魅力にあふれるものにする必要がある。

 そういうこともありますし、また先ほど来申しますように、地方競馬は地域において、職員、従事する人たちはもとより、馬主、調教師、騎手、厩務員など競馬事業関係者の雇用の場として、大いに広い範囲で長い間地域経済に貢献し、活性化に役割を果たしてきました。

 このように、地方競馬は他の公営競技とは異なる性格を持っています。この支援に当たっては、先ほど来局長より、また大臣からも一定のお考えをお示しいただきましたので、これに答えは求めませんけれども、ぜひその支援に当たっては、重ねて十分な配慮をして施策を講じていただきたい。

 そこで、今後の競馬の発展に対して農林水産省としてどのように取り組んでいくか、総合的に最後に大臣のお気持ちを聞かせていただければと思います。

亀井国務大臣 委員からも御指摘がございましたとおり、競馬ファンは大変多いわけであります。

 時期的にも、ついこの間のダービー、あるいはまた秋、年末、こういういろいろのシーズンに開催をされるわけでありまして、競馬場に参りまして、あの環境のもとで、日ごろのいろいろのストレスをある面では解消する、こういうところがあり、大変楽しみも提供してくれる、このようにも思いますし、また一方、ファンの方々が馬券をお買い求めいただく投票によります売り上げ、これが国家財政やあるいは地方財政、あるいはまたさらには畜産振興に大きく貢献をしておるわけであります。

 そういう面で、今回、厳しい状況下、そういうことから中央競馬と地方競馬の連携、こういうものを強化し、あるいは私人への委託が可能なもの、こういうものはいろいろ導入をするとか、あるいは重勝式の導入等ファンのサービスを講ずることが必要なことでありまして、こういうことで競馬主催者の経営の改善と申しますか事業収支の改善、そしてさらにファンサービスが行われる、このように期待をしておるわけであります。

 また一方、やはり競馬というのは主役は競走馬であるわけでありますので、競走馬の生産、こういう面でも、生産振興を通じた競馬の発展にも今回の改正、また私ども、先ほどもお答え申し上げましたが、生産者の御意向、こういうものを十分伺って、その振興のためにも努力をしなければならない、このように考えております。

 今回の改正、こういう中で、国民の皆様に期待されるような競馬というものが、中央、地方あわせて実現するように努力をしてまいりたい、このように考えております。

北村(誠)委員 競馬法の一部を改正する法律案についての質問は以上でとどめさせていただきたいと思いますが、残りの時間をいただきまして、二点お尋ねをさせていただきたいと思います。

 一点は、バイオマス・ニッポンについてのことと、それから、馬のことを考えておりましたら、家畜の排せつ物を利用してメタン発酵させる、あるいはメタンガスを発生させてバイオマス発電をする、あるいは、それらのことから広がっていって、食品廃棄物あるいはバイオマスによってプラスチックの製品を製造する技術がそれぞれ進展を見ているというふうなことなどを考えたときに、また私たちの地元でも、三菱重工業、長崎総合科学大学あるいは独立行政法人農業技術研究機構等が共同で農林グリーン一号というのをつくって、バイオマスからメタノールをつくるなどということで大変楽しみな分野であると。

 ですから、これまでも平成十四年十二月にバイオマス・ニッポン総合戦略、これが閣議決定され、農水省が中心になってこれに取り組んでいる。バイオマスの利活用に本格的に乗り出したわけですけれども、その取り組みの状況を大づかみに簡潔に述べていただければと思いますので、答弁をお願いします。

坂野政府参考人 バイオマス・ニッポン総合戦略のねらいでございますけれども、バイオマスの利活用によりまして、大気中の二酸化炭素を増加させないということから地球温暖化の防止に貢献する、さらに、循環型社会への移行を促進する、それから、バイオマス関連産業を新たな戦略的な産業として育成する。それからさらに重要なことは、バイオマスといいますのは農山漁村に非常に豊富にあるものです。そういったことからしまして、地域に産業と雇用をもたらすということで、農林漁業、さらに農山漁村の活性化などの効果が期待されるということであります。

 取り組みでありますけれども、これはそれぞれ関係府省が連携するのは当然であります。さらに、民間の創意工夫を取り入れながら、地方自治体、NPOなどを含めまして、官民一体の取り組みを進めているということであります。

 そういうことで、国民の皆様にもかなりバイオマスの特性やメリットが認知されつつあるということでございまして、また、例えば先ほど先生から御紹介がありましたようなバイオマスから液体燃料になりますメタノールを合成する技術だとか、それから、家畜排せつ物をガス化して効率的な発電を行う、さらに、廃熱を利用した飼料生産、焼却灰を肥料化するといった技術についても、実証試験に取り組んでいるところでございます。

北村(誠)委員 最後に、時間が短くて恐縮ですけれども、環境保全型の農業、これを推進していく、これはこれからの時代に農業という産業が生き抜いていくために非常に大事な基本的な取り組みの姿勢だというふうに思うんです。

 ですから、土地改良とか基盤整備とかいう仕事をしていくときに、農地の整備に当たるときに、環境保全型の農業になるように、そういう事業の制度、あるいは地域の農業者がそういうふうに取り組んでいくための支援、こういうことを強化しなければいかぬ。そして、生産あるいは産出された堆肥など、それらを十分に活用していくというふうなことで環境保全にも意を用いる。

 環境保全型農業を推進していくということで、我々は諫早湾干拓事業についても、できた農地の成果をそういった形で大いに利用するんだという気持ちでおります。そこら辺の考えが少しあるものですから、局長におかれてどのような環境保全型農業の推進に取り組もうという基本的姿勢を持っておられるか、簡潔にお話を聞かせていただきたい。

太田政府参考人 農業農村整備事業と環境保全型農業との関係でございますが、近年、有機性の資源を活用いたしました良好な土づくりに向けました事業メニューの充実、あるいは生態系の保全など、環境との調和に配慮した整備を推進してきているところでございますが、特に最近では、食の安全、安心への国民の関心の高まりなども踏まえまして、環境保全型農業の推進と一体となった農地の整備などを行うことが重要であるというふうに認識をいたしております。

 このために、営農技術の開発普及部門、これらと連携しながら、環境負荷の低い営農と水環境あるいは生態系の保全に対応した基盤づくり、こういったものを一体として整備できるような施策を新たに講じてまいっておるところでございます。

 私どもといたしましては、こうした取り組みを今後とも関係部局と一層の連携を図りながら進めてまいりたいというふうに考えております。

北村(誠)委員 それぞれ誠実に御答弁をいただき、どうもありがとうございました。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、松木謙公君。

松木委員 おはようございます。松木謙公でございます。

 まず、競馬法の前に、牛肉の輸入の問題でちょっとお聞きをしたいというふうに思っております。

 アメリカとの問題のことなんですけれども、BSEのことにかかわってくるわけですけれども、これはアメリカに対して全頭検査またはそれに準ずることを輸入再開の条件というふうに今までしてきたわけですけれども、それには全くお変わりはないのかどうか、これをまずお答えいただきたいと思います。

亀井国務大臣 これは国民の食の安全、安心にかかわることでございまして、かねがね申し上げておりますことは、全頭検査並びに特定危険部位の除去、この考え方、そして、我が国でとっておりますと同等の基準、これは基本的なことであります。その方針は変わらず、この間からそのつもりで対応してまいっております。また、これからもそれを貫いてまいりたい、こう思っております。

松木委員 大臣は頑張っているようでございます。ただ、ちまたのうわさというか、日本の政治日程というか、選挙の日程というのは、参議院選挙が七月十一日にあるわけですよね。そしてその後というのはとりあえずしばらくないと。そして、アメリカの方はアメリカの大統領選挙があるということなんです。それで、かなりこれから肉を入れろという圧力が、プレッシャーといいますか、そういうのが強くなってくるんじゃないかという話がありまして、多分圧力に屈してしまうぞという話もちょっと聞こえてきているんですけれども、私は、今の農林水産大臣、そして副大臣もそうですし、政務官もそうです、皆さん必死になってそういうことを食いとめていると思っておりますし、この委員会のメンバー、皆さんも、日本の食の安心、安全というのを絶対守るぞという強い気持ちでこの委員会の運営もされているというふうに信じていますし、私もそのつもりなんですね。

 圧力に屈さないで頑張っていくぞというお気持ちというか所見というか、それを、できたら大臣と副大臣と政務官、それぞれ御自分のお気持ちで簡潔にお答えをいただきたいと思います。

亀井国務大臣 私は、先ほど申し上げましたような信念というのは変わっていないわけでありまして、これはやはり何といっても国民の健康と食の安全、安心、これが一番基本的なことでありますので、どんなことがあろうとも、これはやはりしっかりやらなければなりませんし、また、このBSEの問題につきましても、まだ科学的な知見、これがわからないところも非常にたくさんあるわけでありますので、やはりそういう面で、食の安全、安心を第一義に、そして内外無差別の原則、そしてさらには国民の御納得がいただけるようなことでなければ断じてならない、こう思っております。

金田副大臣 松木委員の御指摘でございますけれども、そういった政治的な思惑からこの問題を取り扱うべきでないと思っておりますし、私はBSEの農林省内の対策本部長でもございますので、先ほど大臣が申し上げたとおり、大臣の指示に従って、農林水産省一体で頑張らせていただくつもりでございます。

木村大臣政務官 私は、そのうわさということ自体聞いていないものですから、余りうわさについてどうこうというような議論は差し控えるべきだと思います。

 ただやはり、大臣、副大臣おっしゃいましたとおり、大臣のそのお考え、全くもってそのとおりだと思いますので、大臣の御指示のもと、引き続き努力していきたいと思います。

松木委員 何となく安心したような気がします。とにかくこれは、我々民主党も挙げてしっかり皆さんと一緒に頑張っていきたいことでございますので、何か、違う役所とか違うところからはどうも違うような話が聞こえてくるものですから、ぜひ最後まで頑張っていただきたい。

 そして何より、アメリカを全く信用しないとかそういうことまでは言いませんけれども、前回の私の質問の中でも、へたり牛の話もしたと思うんですけれども、これだって、実はへたり牛じゃなかった、食用にしようと思った牛がたまたまBSEだというのがわかった、そういう事実もあるわけですから。そして何よりも、日本とアメリカというのはやはり考え方が大分違うんだと思うんですよね。例えば、日本というのは食中毒で亡くなられる方というのはそんなにたくさんはいない。しかし、アメリカというのは、調べたところによると、五百人以上の人間が毎年死んでいるというんですよね。これを一つとっても、やはり食に関する我々の感覚とアメリカの方の感覚というのは随分違うというふうに私は思っておりますので、最後まで圧力に屈さないで、しっかり頑張っていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、その話はそのぐらいにして、次は、この競馬法の話に移らせていただきます。

 今回の法改正による重勝式勝馬投票法の導入と見直しについては、ファンの観点から、もっと楽しめる馬券を考えていただきたいという気持ちも実はあるんですけれども、その前に、重勝式勝馬投票法、これは要するに売り上げを伸ばそうとするために考えたということで間違いないですか。

白須政府参考人 委員のお話のとおりでございまして、要すれば、ファンの選択の幅を広げましてより魅力あるものということで、結果的にはそれは売り上げの増につなげてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

松木委員 今まで一番初め、枠連から始まって、馬番連勝ができて、そしてワイドができて、それからここのところ、馬単というのができているわけなんですけれども、それを入れていった段階で、売り上げというのはやはり伸びているんですか。

白須政府参考人 売り上げ自体は、ちょっと先ほど申し上げましたが、全体としてのバブル崩壊あるいはまた景気低迷といったようなことで、中央競馬会の売り上げも、平成九年をピークといたしまして、このところ減少傾向ということでございます。

 ですから、そういった新商品、もちろん、それを入れまして、それなりに、それに伴う売り上げというのは、もちろん、新しい商品でございますから増加しておると思いますが、それがトータルとしてどうかということになってまいりますと、それはやはり先ほど来申し上げております景気の問題、あるいは趣味なり娯楽の多様化、そういった大きな、またもう一つの流れといいますか、影響に左右されておるんではないかというふうに考えている次第でございます。

松木委員 そんなに伸びていないということですよね。かえって少なくなっているんだと思うんですけれども、それでは、それを入れるのに随分経費もかかっているはずなんで、ひょっとしたら経費倒れかな、そんな気もしていますけれども。

 日本というのは今、六種類の馬券があるんですね。しかし、世界を見てみますと、いろいろな馬券がありまして、香港なんというのは十二種類の馬券があるんですね。例えば、おもしろいですよ、フランスの競馬場は八種類あるんですけれども、特にクワルテといって四連勝複式、キャンテといって五連勝複式、要するに、一位から四位を当てるとか、一位から五位を当てるとか、最高で一位から八位か九位まで当てるというのもあるんです。あと、マカオでは、指定された二レースの一着―三着を当てるとか、いろいろなものがあるんですね。

 ぜひ、いい馬券を考えて、少しでも売り上げが伸びるようにしていただきたいとは思うんですけれども、ただ、ひょっとしたら、いろいろな新しい馬券をつくることによって経費がかかる、経費倒れになってしまうんじゃないかなという気もするんですけれども、そこら辺は、局長、どうでしょう。

白須政府参考人 委員の御指摘でございます。

 やはり、そこのところは、一つの選択の幅を、もちろんファンに広げるわけでございますが、それは当然、主催者としても、それを入れるか入れないかは、ただいまの委員のお話のとおり、やはりそれなりにシステムをつくりますには当然コストもかかるわけでございます。ですから、そういったところをどういうふうに見込んで、どういう形で入れていくのかは、やはりそういった一種の経営感覚といいましょうか、そういうものにも左右される。

 ただ、海外の、先ほど委員からもるるございましたが、例えば今回導入をあれしております重勝式でございますと、委員からも御指摘がございましたが、香港なり英国なりニューヨークなり、非常にいろいろな種類がございまして、確かに的中率は低いわけでございます。ただ、これは釈迦に説法でございますが、それなりに非常に高額の払い戻しが期待できるというふうなこともございまして、それなりに、購入の売得金のシェアで見ましても、そういった重勝式につきましても、例えば英国の六重勝の複勝なんというのは、売得金のシェアで見ても二二%とか、大分そういった意味でのなにも出てきておりますので、そこのところはやはりどういうふうに見込むかということだろうと思っておりまして、そういった意味で、ファンにより魅力のあるような種類の設計ということは、委員の御指摘のとおりかというふうに考えております。

松木委員 いろいろな馬券を考えていただきたいなと思いますけれども。

 そのほかに、お客さんをふやすということで考えると、競馬場に来た子供たちに対してのいろいろなファンサービスだとかそんなものも含めて、家族で来れるようなことにしていくとか、あと、土曜日なんかは、例えば夏は競馬はナイターにするとか、そういう手もあるのではなかろうかなという気がしております。

 それと、もう一つ言っておきたいのは、局長さん、何かG1レースだとかそういうものの入場券の予約が、たしか電話でできるはずですよね。それはちょっと事前に言っていなかったんですけれども、ちょっと思い出したんです。電話で予約だとかそういうのがあるんですけれども、ほとんど当たったことがないという話があって、ちゃんとしてくれているのかという話もあったんですけれども、やはり倍率はかなり高いですか。これは簡単でいいですけれども。ひょっとしたら、電話でやった人は、今まで当たったことがないので、それは当たる人がいないんじゃないかという話もあるので、そこら辺、ちょっとお答えください。

白須政府参考人 今の委員の御指摘は指定席のことかというふうに考えますが、やはり競争率も高いようでございますので、なかなかそこは、そう簡単には当たらないのではないかというふうに考えております。

松木委員 はい。よくわかりました。

 それでは、今回のこの競馬法の中にはいろいろな話があるんですけれども、馬産地の話を少しさせていただきたいというふうに思います。

 今回のことには直接かかわりのないところもあるかもしれませんけれども、まず第一に、平成三年に、競馬法の一部改正で、農林水産省が需要と供給のバランスについて対応をとることとしましたが、その後、ここ二、三年、全国で五つの競馬場が閉鎖されました。軽種馬の生産には四年以上の時間がかかるんですね。すぐに供給停止をすることができないわけです。単純計算で大体千五百から二千頭の馬が必要なくなるということになるわけです。

 その補償について、いまだになされていないのが現状のようですけれども、そのことについて、監督官庁である農林水産省として補償するような指導をしておるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございます。

 お話しのとおり、軽種馬生産、非常に経営環境が厳しくなっているわけでございます。さらにまた、今回、地方競馬の主催者の収支の改善ということで、連携を通じまして収支の改善を図るというふうな一つのスキームを提案いたしているわけでございますが、そういうことによりますれば、より競走馬の共有化が促進されるというふうなことで、さらなる需要の減少ということも見込まれるわけでございます。

 そういう中で、私どもとしては、やはり一つには、何といっても競走馬生産と他の農業部門との複合化、あるいはまた作目の転換ということがまずは必要だというふうに認識をいたしておりまして、作目ごとの振興施策を活用するということでいろいろ指導しているわけでございます。

 またさらに、いろいろな経営資金の融通というふうなことでそういった経営を支えていこうということ、またさらには、今回の、特に地方競馬におけます連携に伴う競走馬需要の減少というふうなことでもございますので、JRAの方から競走馬の生産事業に助成する、そういう新たな措置を盛り込んでいるわけでございます。

 その上で、ただいまも委員からも御指摘ございました、さらなる競走馬の供給のいわば縮小対策というふうなことにつきましては、そういったことの必要性でありますとか、あるいは内容とか、あるいはまたこれまでの経緯といったようなことも十分踏まえまして、具体的に産地の生産者の皆さん方、生産者団体の皆様方の御意見というものもよく伺いまして、それでもって検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

松木委員 私も生産地の人の意見をいろいろと聞いてきたんですけれども、大変厳しいようなんですよね。

 それで、もう一度聞きますけれども、生産者に対しての補償というのは、今の時点ではどういうふうにしようと思っているんでしょうか。今回、千五百頭から二千頭の馬が必要なくなるわけですよね。それをすぐやめることはできないわけなんですよ。それをどうするのか。お答え願います。

白須政府参考人 委員から、補償というふうなことでございます。

 私、先ほど申し上げましたとおり、やはり全体として地方の競馬の主催者が撤退をしていく、そういうことに伴いまして競走馬の供給が過剰になっているというふうなことでございます。ただ、その責任というものを、いわば委員がお話しになった補償ということだとすれば、それは撤退した主催者にその責任を帰することになるのではないかというふうに考えておりまして、そこのところをそういった形でJRAを含む各主催者に帰するということは、なかなか難しいのではないかというふうなことでございます。

 したがいまして、私ども考えておりますのは、そういった競走馬の供給縮小対策につきましては、必要性でございますとか、どういうことをする必要があるのかといったようなことにつきまして、産地あるいは生産者団体、それぞれ皆様方の御意見をよくお伺いいたしまして、今回のスキームの中に、JRAの特別振興資金の方から、そういった競走馬の生産事業、構造改革といったようなことに助成するための措置も盛り込んでおりますので、そういう中身の検討をこれからしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

松木委員 それでは、その対策、今いろいろなことを局長さんは言われましたけれども、お金はどのぐらい出るのか、教えていただけますか。

白須政府参考人 お金の具体的な金額というのは、まさにこれからその産地の御意向、生産者の皆様方の御意向、どれだけの供給の状況があって、それがどのくらいこれから全体としての規模を持っていくのか、そういう中で、今後とも、軽種馬生産を担っていっていただける担い手をどういうふうに考え、例えば作目転換をする生産者はどういうふうに考えるのかといったような、もろもろのただいまの供給縮小対策につきましての内容なり措置なりそういったことにつきまして、生産者の皆様方、団体、産地、それぞれからお伺いをいたしまして、それによりましてただいま委員の御指摘の金額ということが出てくるのではないかというふうに考えている次第でございます。

松木委員 それでは、どのぐらいの金額をかけてどういうふうに助けていこうということは、まだ全然決まっていないということでよろしいんですか。

白須政府参考人 金額につきましては、これからの検討ということでございます。

松木委員 昭和三十六年の長沼答申というのがあるんですけれども、公営競技を主催者がやめるとき、失業などの影響が大きいので、関係者にはきちんと対応してやめることが望ましいというか、義務づけがされているんですね。こういうふうに私は理解しているんですけれども、この昭和三十六年の長沼答申というものを。

 競馬に関して言いますと、例えばジョッキーだとか調教師、厩務員、そういう方々、関係者、いろいろな方の補償は多分されていると思うんですね、今回の五場の閉鎖で。しかし、生産者にはその補償というのは今回されていないわけです。それはなぜなのかなと。当然、競馬関係者の中というものには生産者も含まれるというふうに私は認識しているんですけれども、そこら辺のお考えというのはどうなるんでしょうか。

白須政府参考人 ただいま委員からお話ございましたジョッキーでございますとか、あるいは調教師、厩務員、そういった厩舎関係者ということでございますが、厩舎関係者といわゆる競馬の主催者といいますのは直接の雇用関係にないわけでございます。したがいまして、主催者が競馬事業から撤退をいたします場合にも、こういった厩舎関係者に対する補償ということは行っておりません。

 ただ、主催者の判断によりまして、これまでの競馬に対する功労といったようなことを考慮いたしまして、競馬事業の廃止に伴うもろもろの社会的なあるいは経済的な影響というものを緩和いたしますそういう救済措置といたしまして、見舞金というふうなことでの金銭的な給付でございますとか、あるいは再就職のあっせん、そういう就労活動の支援というのが行われておるというのが実態でございます。

 そこで、ただいま委員からお話ございました競走馬の生産者について見てみますと、これはもちろん直接地方競馬の主催者に雇用をされている者ではないわけでございますし、また競馬の開催に直接関与するということではないということでございまして、いわゆる補償でございますとか救済措置の対象ということには当たらないのではないかというふうに考えている次第でございます。

 しかしながら、ただいまも委員からもお話ございましたが、やはり競走馬の生産といいますのは、当然のことながら、競馬事業の一翼を担う大変重要な役割を果たしているわけでございます。そういう中で、競走馬生産をめぐる経営状況というのは、先ほど来申し上げております、大変に厳しさを増しておる、特に、主催者の撤退ということでより厳しさを増しておるという状況がございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、そういった中での需要に応じた望ましい生産構造の実現という観点から、新たな生産対策というものを今回御提案申し上げているわけでございまして、そういうところを、生産地の御意見もよくお伺いしながら講じてまいりたいということでございます。

松木委員 ジョッキー、調教師、厩務員、この人たちに退職金だとかそういうものは今回は出なかったんですか。出たんですよね。どのぐらい出したのか、ちょっと教えてください。

白須政府参考人 最近の事例でございますが、これは、あくまで協力金というふうな形でございます。そこで、例えば、中津の競馬組合というのが平成十三年度に撤退をいたしたわけでございます。その中津の競馬組合が、騎手一人当たり百四十二万八千円というものが協力金という形で出ております。それから、新潟県の三条の競馬場におきましては、これも平成十三年度に撤退をしたわけでございますが、騎手一人当たり二百四十六万五千円。それから、益田競馬場が平成十四年度に撤退をいたしたわけでございますが、これにつきましては、騎手一人当たり百五十九万四千円、これが廃止の協力金という形で出ておるということでございます。

松木委員 このお金は、要するに、昭和三十六年の長沼答申によるところがあるから出したということですか。そうですよね。

白須政府参考人 そこのところは、長沼答申があったから出たのかどうかということは必ずしも定かではございませんが、先ほど申し上げましたとおり、あくまでこれは補償ということじゃございませんで、主催者の判断によりまして、これまでの競馬への功労、そういったところを考慮いたしまして、事業の廃止に伴いますもろもろの影響を緩和するための救済措置ということでそういった給付が行われたというふうに理解をいたしております。

松木委員 わかりました。

 もう一度言いますけれども、この昭和三十六年の長沼答申というのは、公営競技を主催者がやめるとき、失業などの影響が大きいので、関係者にはきちんと対応してやめることが望ましいというか、その義務づけに近いことが書いてあるんですよね。これは生きているんですか。

白須政府参考人 もちろん、これは昭和三十六年に行われました公営競技調査会の答申ということでございます。したがって、これを廃止するということもございませんので、そういった意味では生きておるというふうに理解をいたしております。

松木委員 生きておるわけですよね。そうであるならば、生産者というのもその一員じゃないかなというふうに私は理解しているわけであります。

 何せ馬というのは、ある意味で、ほかに別に買うところというのはないわけですよね。例えば、個人の人が今度車を買うのをやめて、馬で通勤するために馬を買おうなんという話にはならないわけですから。そういうことを考えると、競馬場がなくなるということは非常に厳しいんですよね、やはり生産者にとっては。

 その場合、私は、やはり生産者もこのお仲間に入れてくれたらいいんじゃないかな、こういうことを思っているわけですし、入れるべきではないかなというふうに思っておりますけれども、どうお思いでしょうか。

白須政府参考人 ただいまの委員のお話でございますが、そこのところの考え方というふうなことでございますが、やはり生産者というのは、委員も御案内のとおりでございますが、馬主さんを通じて、いわば競馬の主催者なり、競馬とのかかわりというのが出てくるわけでございます。ですから、先ほど委員が御指摘ございましたジョッキーとか調教師とか厩務員、そういった意味での、そういう方々との競馬の主催者とのかかわりと、それから生産者の方々が馬主さんを通じたかかわりというものとは、そのかかわりの濃淡におきましても若干の差はあろうかなというふうに私どもとしては考えておりますが、そこのところは、どういうふうにそれぞれがお考えになるかというふうなことではないかというふうに考えている次第でございます。

松木委員 それをどういうふうにお考えになっているのかなというのが知りたいんですね。

 そして、やはり生産者もかなり本当の仲間に近い。さっき言ったとおり、それは、車を買いかえるときに馬に買いかえようという人はいないわけですから。馬というのは、ほとんど競馬だけですよね。あと、馬で畑を耕そうなんという話もこのごろ聞いたことありませんしね。それを考えれば、厩務員だとかそういう方々にかなり準ずるところに位置をしているというふうに私は思っておりますけれども、もう一度だけ気持ちをお聞かせください。簡単で結構です。

白須政府参考人 やはり私どもとしましては、先ほどちょっと申し上げましたが、競走馬の生産者といいますものは、直接地方競馬の主催者に雇用されているということではない、また競馬の開催に直接関与をするものではない、やはり馬主さんを通じて関与をしておるということでございますので、補償や救済措置の対象には当たらないというふうに考えている次第でございます。

松木委員 わかりました。

 私の考え方としては、もう生産者というのもその一部であるのではなかろうかというふうに思っております。

 それでは、軽種馬の生産調整については、地域に与える影響が大きいので、まず第一に、本当でしたら国がやはりいろいろな対応を講じるべきだというふうに私は思っております。しかし、国にお金がないんだということであれば、JRAがいろいろな意味でお金を出せばいいんじゃないか、こういうふうに私は思っているわけですけれども、そこら辺は、局長さん、いかがですか。

白須政府参考人 委員からも御指摘ございましたように、競走馬生産、やはり大変厳しい状況でございます。景気低迷でございますとか、あるいは今回のそういう地方主催者の撤退というふうなことで、需要の減少が厳しさを増しつつあるというふうに私どもも認識をいたしているわけでございます。

 そういう中で、やはり地元のそれぞれの産地の町村におかれては、離農によります地域経済の沈滞でございますとかあるいは過疎化、耕作放棄地の増加、そういった悪影響というものを懸念しておられるということは、私どもとしても十分承知をいたしているわけでございます。

 そういう中で、やはり何といっても、まず第一に考えるべきは、全体として競走馬需要の減少が見込まれておる、そういう中で地元の町村におきましては、やはり全体としての農業生産の安定を図るということが必要でございますので、競走馬生産と他の農業部門との複合化でございますとか、あるいは他の作目への転換が必要だというふうに考えているわけでございます。

 そこで一つには、私どもは、こういった生産者の皆さん方の取り組みをやはり支援していこうということで、国としても、いろいろな作物の振興施策、これを有効にあるいは効率的に活用していきたい、また、技術的な支援をしていく、あるいは制度資金の活用というふうなことで、各都道府県の知事さん方に対しまして、そういう複合化なり転換に取り組む経営者の皆さん方への配慮ということもお願いをしているわけでございます。

 また一方では、今回の改正案の中におきまして、中央競馬会の特別振興資金の方から、まさに全体としての需要の縮小といったことに対応いたしました望ましい生産の生産構造というものをやはりそれなりにきちっと実現していかぬといかぬということでございますので、軽種馬生産の振興に資する事業、先ほど来申し上げて恐縮でございますが、そういう事業を実施するということにいたしておりまして、そういうところをJRAの振興資金から助成するという措置を今回の改正案の中に盛り込んでいるところでございます。

松木委員 いろいろと盛り込むとか、いろいろな話はしているんですけれども、一体幾らもらえるんだろう、こういうふうに思うわけです。そこまではまだいっていないということなんですね、局長。――はい。

 それでは、なかなかはっきりした答えというのは出てこないんですけれども、特別積立金というのがJRAにあるんですね。これは局長さん、御存じですか。

白須政府参考人 承知をいたしております。

松木委員 幾ら今ありますか。

白須政府参考人 日本中央競馬会の特別積立金、平成十五年末で一兆四百八十五億円というふうに承知をいたしております。

松木委員 すごくいっぱいあるんですね。このお金は何に使うんですか。

白須政府参考人 この特別積立金でございますが、一つは、これは固定資産ということで、競馬場等の施設に、七千八百億円程度のものはもう施設として固定資産になっているわけでございます。それから、流動資産として二千七百億円程度のものがあるわけでございますが、こういったものは、やはり一つには、不測の事態によりまして競馬開催を実施できない、そういった場合の準備金、あるいはまた将来の設備投資に備えました準備金ということで保有をいたしているわけでございます。

 やはり中央競馬会が今後とも競馬事業を安定的に実施していく、あるいはまた経営の健全性を確保するというためのいわば財政的基盤でございまして、いわば日本中央競馬会の資本に相当するということでございます。

 また、一方では、日本中央競馬会の運営というものは、国からの一切の財政的支援の措置というものもないわけでございまして、独立採算で経営を維持しているわけでございます。したがいまして、この中央競馬会の競馬事業は、将来に向けまして安定的な売り上げが保障されているということではございません。そういうことでございます。そういった性格のものであるというふうに承知をいたしている次第でございます。

松木委員 それは、将来のことを言ったら、何が起きるかわからないのは当たり前の話ですから。しかし、これは不測の事態ですね。不測の事態に備えた準備金というのが項目に入っています。

 たしか、宝塚競馬場が壊れたときにこのお金を使ったんじゃないですか。はいかいいえでいいですよ。

白須政府参考人 使っておらないということでございます。

松木委員 使っていないんですか。済みません。それは私の認識違いでございます。

 いずれにしましても、この特別積立金というのは不測の事態に対し使用するお金といいますけれども、今非常に競馬、地方競馬が五場もこの二、三年の間にどんどんどんどん閉まってしまうということを考えたときに、これはある意味で、生産者の側から見ればかなり不測の事態に近い、私はそう思っております。

 そうであれば、この積立金の中から少しぐらいお金を出しても罰は当たらぬだろうというふうに私は思っておりますけれども、そこら辺は局長さんの御見解はどうでしょう。

白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございますが、やはりただいまのこの特別積立金、それを取り崩すということになりますと、中央競馬会の財政的基盤、これを脆弱なものにするわけでございます。これはやはり競馬事業の安定的な実施に支障を来すということでございますし、ひいては、全体としての売り上げ、それから国庫納付金の減少、さらには競馬事業の衰退というふうなことに発展するおそれもあるわけでございまして、したがいまして、私どもとしては、特別積立金を取り崩しまして生産対策に充てるということは適当ではないというふうに考えている次第でございます。

松木委員 ここで少しのお金を削ったからといって、競馬の、何か不安定になるとか、そんなことは僕はないと思うんですけれども。それはちょっと考え過ぎのような気がします。

 今まで、この特別積立金というのは、例えば四回ぐらい第三納付金みたいなことで出されていることもあるんですね。それと、湾岸戦争のとき、これで五百二十億出したということになっているようでございますけれども、それは事実でございますか。

白須政府参考人 ただいまの委員のお話でございますが、過去に行いました特別国庫納付金、国の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置法、そういう法律に基づきまして国の一般会計等に特別に納付したものであるというふうに承知をいたしております。

 また、今お話ございました点でございますが、平成二年度の中央競馬会の納付金が当初の見積額を上回ったということでございますので、年度途中で、いわゆる第一国庫納付金の予算額を増額補正したということで、それが、ただいま委員からのお話があった経費の一部として計上された形になっているというふうに承知をいたしております。

松木委員 湾岸戦争のときにはお金を使ったという話を私は聞いているんですけれども、五百二十億、これは事実ですか。はいかいいえで答えてください。

白須政府参考人 この国庫納付金と申しますのは、要すれば、何々の目的でということじゃございませんで、あくまで一般会計の中に入るわけでございます。それが、結果として今の中に計上される形になったというふうに理解をいたしております。

松木委員 そうしたら、これは五百二十億を使われたというよく聞いている話、これはうそだということですか。そういうことではない。そうなんでしょう、これは。使ったのは、そうなんでしょう。いや、別にそれが悪いと言っているわけじゃないんですよ。イエスかノーかというだけの話ですから。

白須政府参考人 何度も申し上げて恐縮でございますが、国庫納付金の予算額が当初見積額を上回ったということで増額補正をいたしたわけでございます。結果として、支出として、ただいまお話しの、湾岸戦争の必要な経費の一部として計上された形にはなったわけでございますが、中央競馬会からの増額補正額がそのまま当該経費に充当されたものではないというふうに理解をいたしております。

松木委員 すごい難しい話になってきたんですけれども、要するに、金がなくなって、五百二十億、湾岸戦争でかかるから、そのお金を使ったわけじゃないですか。そうであれば、今生産者が死ぬ思いをしているんだから。大体、湾岸戦争と競馬の関係をまず話をしてください。

白須政府参考人 要は湾岸戦争のために納付金を納付したわけではございませんで、中央競馬会のいわゆる国庫納付を毎年やっておるわけでございます。それの当初の見積額を納付金の見積額が年度途中で上回ったということでございますので、第一国庫納付金の予算額を増額補正いたしたわけでございます。それが、結果として湾岸戦争に必要な経費の一部として計上された形になってはおりますが、その増額補正分がそのまま当該経費に充当されたということではないということでございます。

松木委員 なぜ増額したんですか。要するに、湾岸戦争でお金が必要だったからでしょう。それは競馬と余り関係ないですよね。

 ただ、私はそれがだめだと言っているんじゃないんですよ。それはそれでいいと思うんですよ。金があるんだから、あるところから取るというのはこれは常ですから。大体金持ちは金を取られるんですよ。そういうものですから、それは構わないと思います。ただ、そういうお金があるんだから生産者に少しは還元してもよかろうというふうに私は思っているわけですよ。それはだめなんですか。

白須政府参考人 当時、大変景気がようございまして、大変売り上げが上がったわけでございます。したがいまして、年度途中におきまして第一国庫納付金の予算を増額補正したということでございます。

 それと、ただいまの委員の後段の方のお話でございますが、いわゆる軽種馬生産対策につきましては、私どもとして、今回の法改正の中で、まさに中央競馬会の特別振興資金の資金を活用いたしまして生産地対策というものをしっかりと講じていこうということで今回御提案を申し上げているわけでございますので、その点はひとつ御理解を賜りたいというふうに考えている次第でございます。

松木委員 だから、では、それは幾らになるんですか、局長さん。

白須政府参考人 幾らになるかというのは、大変恐縮ですが、これからの検討ということでございますが、それが出てまいります特別振興資金としては、残額として現在三百億円ございます。

松木委員 済みません、しつこくて。

 実は、サラブレッドというのは一頭育てるのに年間六百万ぐらいかかる。そして、これは千五百頭から二千頭余るわけですよね。そして、要するに、物になるまで四年かかるわけですよ。ということは、もう仕込みが終わっている。そうしたら、馬は絶対だぶつくわけですよね。

 そうすると、ちょっと簡単に計算しますと、千五百頭としても百二十億なんですよ、年間。それで、四年間かかって四百八十億。そして、繁殖牝馬も要らなくなる。そうすると、これが二千から二千五百頭要らなくなるらしいんですよね。その処分に一頭当たり大体一千万ぐらいかかると言われているんです。そうすると、二百五十億。

 二百五十億は一年間で終わりますけれども、百二十億は四年間かかる。そうすると、両方で七百三十億ぐらいかかるというような大体の試算というのがあるんですけれども、大体こんな感じでよろしいですか、局長さん。

白須政府参考人 いずれにしても、どういった規模でどういう内容の事業を行うかということにつきましては、今後、生産者の御意見をよくお伺いいたしまして判断してまいりたいというふうに考えております。

松木委員 局長さん、生産者の意見を本当によく聞いてやってください。大変なようでございます。皆さんも、一人一人、借金が何千万もあるんだよとか、ついせんだっても、結構競馬の関係で有名な人が首をつっているんですよ。本当に大変なようですので、もうぜひこれはその意をしっかり酌んでいただきたいなというふうに思っております。

 もう一度お答えください。

白須政府参考人 いずれにいたしましても、今回の生産地の軽種馬生産をめぐります大変厳しい環境というものは、私どもも十分理解をいたしているところでございます。そういうところであればこそ、今回、より全体としての規模の縮小なり、需要の縮小ということに対しまして、私どもも、中央競馬会の資金を活用いたしまして新たな生産地対策というものをひとつ講じていこうというふうなことを御提案申し上げているわけでございますので、そこのところは、産地の御意向なり生産者団体、市町村、関係のもろもろの皆様方の御意見をよくお伺いいたしまして、対策を講じてまいりたいというふうに考えております。

松木委員 先ほど局長さんが言った三百億を全部使っても足りないわけですね。全部補償するとしたら七百三十億かかるというんですから。そうしたら、使えるお金は何かなと考えると、やはり特別積立金、こういうことになってくるんですけれども、この特別積立金というのを、湾岸戦争には使ったけれども、生産者を助けるのには使ってはいけないんでしょうか。それとも、例えば何か法律があって、これはそういうお金には使えないのかどうか、まずそれを教えてください。

白須政府参考人 先ほどの湾岸戦争のお話は、これは特別積立金ではございませんで、第一国庫納付金が年度途中での増額補正を行った、その結果、それが支出として湾岸関係の経費の一部に使われた、こういうことでございます。

 それと、先ほどの特別積立金の方のお話は、いずれにしても、これは不測の事態に備えた準備金あるいは将来の施設整備、更新のための準備金ということであるわけでございますので、これをただいま委員のお話のそういう生産対策に充てるということは適当ではないというふうに考えているわけでございます。

松木委員 湾岸戦争はそうですね、こっちの納付金の方ですね。

 ただ、その特別積立金というのは、では、不測の事態というけれども、どんなのが一体不測の事態ということになるんでしょうかね。もう何回も言いますけれども、今生産者がこれだけ困っているというのは、要するに強い馬をつくるという目的があるわけですよね。しかし、強い馬はつくれないですよ、このままいくと。

 そういうことを考えると、こういうときにこそ、この特別積立金というのでもいいし、何でもいいんですよ。それは国が出せば一番いいんです。ただ、国がお金がないから今JRAがいろいろな金を出しているわけでしょう。そうしたら、JRAにこの生産者を助けることをうんとさせるという、監督というんですか指導をぜひしっかり行っていただきたいというふうに私は思っております。御答弁をお願いします。

白須政府参考人 委員からのるる御指摘がございましたが、私どもとしましても、現在の軽種馬生産をめぐる大変厳しい状況、そしてまた一方には、軽種馬生産が日本の競馬を担っておる、そういう大変重要な一翼を占めておるということにつきましても十分認識をしておるつもりでございます。

 そういう中で、今回、新たに中央競馬会の資金によりまして、そういった意味での生産基盤の強化、あるいは新たな望ましい生産構造の実現に向けました対策ということで、この改正案の中にも位置づけをいたしているわけでございますので、ここのところを、ひとつ十分御意見もお伺いすることによりまして、具体化をしていくということによって対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

松木委員 いずれにしましても、生産者が今大変だ、これに対して何らかの措置はこれからとっていただくことがあるというふうに理解していいですね。イエスかノーかでお答えください。

白須政府参考人 ただいま私が申し上げたとおりでございます。

松木委員 はいということですね。

白須政府参考人 金額なり内容につきましては、今後十分検討させていただきたいというふうに考えております。

松木委員 金額とかそういうのは別にして、とにかく、今回、千五百頭も二千頭も馬が必要なくなるわけですから、これに対してのことは何かしらやるということでよろしいということですね。

 しつこくて済みません。どうぞお答えください。

白須政府参考人 そのとおりでございます。

松木委員 それでは、昭和二十九年から五十年間で、競馬の益金から九兆円のお金が国庫に納まっているんですね。納付されています。この優良な団体の一員である生産者が、私は優良な団体の一員だと思っています、生産者は。今まさに困っているんですね。日本の競馬の将来のために、やはり助けるべきじゃないかなというふうに私は思っています。

 そして、もう一回しつこいぐらい言いますけれども、ここ二、三年で五つの競馬場が閉鎖されたんです。そして、千五百から二千頭の馬が必要なくなるんです、今。これは生産者にとっては大変なことなんですよね。これは、九兆円のお金も入れたんですから、ぜひやはり生産者もその一員というふうに考えていただいて、ぜひ大きなお金でしっかり対応をしていただきたいというふうに、局長さん、思っております。

 余り何回も聞くので嫌な顔をされていますけれども、まあ、そう嫌な顔をしないで、ひとつそういう気持ちをしっかり、生産者の方、本当に大変なんですよ。ぜひお気持ちをわかっていただきたい、そういうふうに思います。御答弁お願いします。

白須政府参考人 私どもは、軽種馬生産の生産地の現在の窮状なり、今後さらに今回のスキームが進んでいきましたときに、馬の共有化というふうなことで全体として需要が縮小していく、それに対してどういう手だてを講ずるか、大変重要な課題だというふうに考えているわけでございます。

 そんなことで、何度も繰り返して恐縮でございますが、しっかりとそこは、生産者の皆さん方あるいは市町村なり関係の団体の皆さん方、それぞれの御意向を伺いながら、どういう内容、どういう金額でやると一番効果的なのかということも含めまして、しっかりと検討した上で対応してまいりたいというふうに考えております。

松木委員 ぜひ、局長さん、頑張っていただきたいと思います。

 それと、地方競馬の赤字というのは、どうもかなり大きいようでございますけれども、これはまたちょっと質問の通告をしていなかったので申しわけないんですけれども、わからないときはわからないで結構ですけれども、これは、全体でどのぐらい一年間で赤字が出るんですか。

白須政府参考人 地方主催者の赤字でございます。

 平成十四年度の数字がございますが、全体の主催者の合計で百三十八億というふうに承知をいたしております。

松木委員 はい。わかりました。

 それぞれ、今、PAT方式とか電話投票システムというのがありますよね。それで、全国から電話なんかで馬券を買うわけですけれども、例えば北海道でそのPAT方式なんかを買った場合、北海道で幾ら売れたかというのもわかるように多分なっていると思うんですね。それは間違いないですか。

白須政府参考人 ただいまのあれは、競馬場ごとに累計されるということでございますので、競馬場ごとに足し上げていけばわかろうかというふうに考えております。

松木委員 わかりました。それはやるとちょっと長くなるので、これはもうやめておきましょう。違う方に移ります。

 あと五分しかありませんので、このほかに、日本の競馬の発展のために生産基盤の強化をして強い馬づくりをするということは、将来の競馬の売り上げの増加、そして、ひいては国庫納付金をやはりふやすことができるわけですよね。要するに、国のためになるわけですから、ぜひ生産者への対応というのをしっかりするということは、非常に大切だというふうに私は思っております、これは今まで何回も言っていますけれども。

 できましたら、ちょっと大臣の方から、私の意見に対してどんな御見解をお持ちか、お聞かせをいただきたい。

亀井国務大臣 今回の法改正、そういう中で、いわゆる軽種馬生産の振興、こういう面でいろいろの施策を進めなければならないわけでありますし、さらには、先ほど来お話しのとおり、縮小と廃止をする、こういうようなことがいわゆる競走馬にも影響を与えるわけでありますので、先ほど局長から答弁をしておりますとおり、生産者あるいはまた市町村等々からも十分お話を伺ってその対応を図ってまいりたい、このように考えております。

松木委員 馬の生産地が大変な不況に陥っているわけです。例えば馬産地の農協も何か同じようでございまして、体力がなくなっているということで、再生できる生産者にも何か応援ができないような、そんな話も出ておりますので、これは、例えば劣後ローンの対策等、ぜひ検討していただきたいというふうに思っておりますけれども、そこら辺は質問の通告をしていなかったんですけれども、こういうこともありますので、ぜひお願いしたいということでとどめておきます。

 それと、ある人からこれは聞いたんですけれども、昭和二十九年の九月十六日にJRAが設立認可されたわけですね。そして、このとき資本金は四十八億七千三百万円だったそうです。そして、このお金というのは、もともとは戦前の十一の競馬のクラブの財産でつくったものだというふうに私は聞きました。今は資本金が四十九億二千四百万だと思うんですけれども、これで間違いないと思うんですけれども、大して変わっていない。

 こういうことを考えると、民間の財産なんですよね、かなり。そこに、競馬関係者の一員として、私は生産者も入っているというふうに思っておりますので、そういうことも考えても、やはり生産者に対してはきちんと対応をすべきだというふうに私は考えるわけでございますので、これからも、そういうことを念頭に入れながら、局長さん、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っております。どうぞ、御答弁を。

白須政府参考人 まさに、その軽種馬生産の生産者の方々が、中央、地方含めまして、競馬事業に大変貢献をされてこられたということにつきましては、私どもも十分認識をいたしているわけでございます。

 そういう中で、今回、大変に生産地の窮状、あるいはまた、今後のより地方主催者の共同化、ブロック化等々が進んでいった場合における、より全体としての事業の縮小ということも想定されますので、そういうことに対しまして、JRAの新たな資金ということで、新たな方式ということで、私どももしっかりとこれに向けて対応してまいりたい、そのためにも、十分地元の御意見、御要望も承ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

松木委員 一時間おつき合いいただいて、本当にありがとうございました。

 でも、私は思うんですけれども、いろいろな役所がありますけれども、農林水産省の方、そして大臣の皆さんもそうですけれども、やはり一生懸命少しでもいい方に進もうと思って頑張っていると思うんですよ。ですから、もう一度言いますけれども、生産者のことをもう一度よく考えていただいて、それで、その対応策をぜひお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 もう、局長さんみたいな頭のいい方に、わけのわからない私が聞いて、本当に私も冷や冷やしながら聞いていたんですけれども。しかし、現場というのは、局長さん、本当に大切だと思うんですよね。ぜひそこら辺の意見をしっかり聞いていただきたいというふうに思います。どうぞ今後とも生産者のことを頼みますよ、局長さん。頼みます。よろしくお願いします。

 以上で終了させていただきます。ありがとうございました。

高木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 本日は、競馬法の一部改正をめぐっての審議ではございますが、馬の議論の前に牛についての質問を幾つかさせていただきたいと思っております。

 御案内のように、現在、アメリカからの牛肉というのはBSEの発生以来禁止をされているわけですが、その輸入再開の条件として全頭検査あるいはそれと同等の措置ということで、これまでも大臣、この委員会の中において何回か御発言をされてきたところでございますし、午前中の議論におきましても松木委員の質問に対してそのようにお答えをいただいているわけでございますが、重ねて、その姿勢に変更はないのか、また、近い将来においても、全頭検査あるいは同等の措置をとらなければ輸入は再開しないということに対して変わりはないのか、確認の意味でお答えいただきたいと思います。

亀井国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、何といっても国民の食の安全、安心にかかわることであります。そういうことで、さらには我が国でBSEが発生した時点のことを思い起こし、そのことを中心にアメリカにも再三いろいろ説明しておるところであります。全頭検査、特定危険部位の除去、基本的に、我が国でとっておりますことが守られること、これが重要なことであるわけでありまして、引き続き我が国の立場を十分説明し、五月の十八、十九日、技術関係者また専門家の協議も行われておるわけでありますし、これからもそれは行われるわけでありますが、基本的な考え方、これはもう変わらないわけでありまして、その対応でしっかりやってまいりたい、こう思っております。

神風委員 ありがとうございました。

 実は、五月の十三、十四日にアメリカのワシントンDCで世界人口フォーラムというのが開催をされまして、私自身、そちらの会議の方に出席をさせていただいてきたわけですが、そちらの会場の近くにアメリカの農務省がございまして、ひょんなことからアメリカのペン農務次官とお会いをする機会がございました。非常に気さくな方でございまして、本当に突然のことでありましたから、十五分程度、あいさつがてらの話であったんですが、その中で、ペン農務次官、BSEに関しては一言だけ触れられまして、政治的な解決、決着ではなくて科学的な根拠に基づいた解決が必要であるというお話をされていたわけでございます。

 そして、私がペン農務次官にお会いしたのが五月の十三日で、そのときに、来週アメリカから担当者が日本に行くことになっている、それでBSEについての話をすることになっているんだというお話があったわけです。今、大臣の方からも言及がありましたけれども、五月の十八、十九でしょうか、そちらの方で日米間の話し合いというものがなされたかとは思うんですが、この目的と、どういう方々がどういう中身の話をされたのか、その話し合いの状況について御説明をいただきたいと思います。

中川政府参考人 お答えを申し上げます。

 五月の十八、十九日の両日、東京で第一回目の専門家によりますワーキンググループが開催をされました。この会合では、日本及びアメリカのそれぞれで講じておりますBSE対策について説明を行いますとともに、これらの措置につきまして、技術的、専門的見地から率直な意見交換を行ったということでございます。

 今回は第一回目の会合でございましたので、これから日米間でBSE協議を進めていく上で共通の認識を得ることが重要な七つの項目、これはあらかじめ四月の局長級の会議で決まっておったわけですが、例えば、BSEの定義、検査方法ですとか、特定危険部位の定義とその除去方法、こういった個別具体的な事柄につきまして、双方で考え方なり現に実施している措置について説明をし、そして質疑応答を行ったということでございます。

 この会議は六月にもまた予定をされておりますので、第一回目の意見交換の結果を踏まえて、さらに技術的、専門的な見地からの議論を深めていくということになっているわけでございます。

 それから、先生、このワーキンググループはどういうメンバーかというふうなお尋ねでございますけれども、日本側は、大学の先生等のいわゆる専門家が四名、それから関係省庁の実務担当者がそれぞれ各省から一名加わっておりますし、またアメリカ側からも同様に、米国農務省あるいは大学の教授といった人たちがそれぞれメンバーになっているところでございます。

神風委員 最近の新聞報道を見ますと、政府の食品安全委員会が検査方法の見直しを開始し、ことしの夏をめどにアメリカ産の牛肉輸入再開に向けて動き出したというような趣旨の報道が随分なされているわけでございまして、また五月二日の読売新聞では、科学的な見地からも、食品安全委員会の委員の間では全頭検査は不要との意見が多い、ほかのBSE専門家も基準の見直しを支持しているとの内容が書かれておったわけでございます。また、四月の二十八日には、これはアメリカですけれども、下院農業委員会の公聴会でベネマン農務長官が夏までの全面輸出再開につながると信じているといった発言をしたことも報道されているわけです。

 こうした状況を見ますと、この間行われた五月の会合、あるいはこれから六月、七月と続いていく会合というのは、輸入再開に向けての全頭検査見直しありきの、そういった形での会合になっているのではないかという危惧を持つわけですが、この点いかがでしょうか。

中川政府参考人 このワーキンググループというのは、あくまでも専門的、技術的な観点からの、両国の間でこれから議論を進めていく上で共通の認識を持つことが望ましい、そういう事柄について議論をしていくということであります。四月の二十四日に合意をされました日米の局長級会議におきましても、具体的な結果をどうということではなくて、本年夏を目途に米国産及び日本産牛肉の輸入再開につき結論を出すべく努力をするということで、まずはそういった専門的な見地からの議論を深めていくということがこのワーキンググループの目的でありまして、あらかじめ何らかの結論を予断をして議論を進めていくというものではございません。

神風委員 きょうは厚生労働省さんにもお越しいただいておりますけれども、少し視点を変えてちょっとお尋ねをしたいんですが、日本で年間発生している食中毒の件数、あるいは死亡者数、あるいはその原因についてどういう形になっているか、教えていただきたいと思います。

遠藤政府参考人 厚生労働省では、食中毒が発生をした場合に各都道府県等が食品衛生法に基づいて実施する調査の結果を取りまとめて、毎年、食中毒統計を作成しているところでございます。

 過去三カ年の状況を見ますと、食中毒事件数は平成十年以降減少しており、また患者数はおおむね二万人から四万人台で推移をしているところでございます。平成十三年には、千九百二十八件の食中毒事件が発生をし、患者数二万五千八百六十二人、死者四名でございました。平成十四年は、千八百五十件の食中毒事件が発生をし、その患者数二万七千六百二十九名、死者十八名。また、平成十五年の速報値では、千五百八十四件の食中毒事件が発生をし、患者数二万九千三百四十一人、死者六名でございました。

 病因物質別の食中毒事件数について見ますと、従来より、サルモネラ属菌、カンピロバクター等の細菌を病因物質とする事件が多くを占めておりますけれども、近年はノロウイルスによる事件が増加しつつございます。

 以上のような状況でございます。

神風委員 ありがとうございます。

 厚生労働省さんのホームページでも公表されておりまして、平成元年から見ても、多くても十数名、大体十名以内の死亡者の数になっていると思います。

 それで、一方、アメリカでの食中毒の数、今と同じような形でどういうふうになっているのか、ちょっとお知らせをいただきたいと思います。

遠藤政府参考人 米国では、我が国のように保健所が実際に調査をした食中毒事件の実数を合計した行政統計がございません。したがいまして、我が国の食中毒統計の数値と比較することは困難でございますが、米国国立疾病予防センター、CDCが、定点調査等に基づき、飲食に関係する疾病及び死亡件数の推計値を公表しておりまして、これによりますと、細菌等ウイルスによるものが毎年約千四百万人発生し、約千八百人が死亡しているとしております。また、主な病因物質としては、サルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌O157などがあるとしているところでございます。

神風委員 私が調べた限りでも、本当に正確な年次別の統計がないのがアメリカでございます。そしてまた、今御説明がありましたけれども、CDCの発表によりますと、食品に起因した病気による死者数が年間で約五千名であると推計があって、その五千名のうち原因がわかっているものが約千八百名、わかっていないものが三千二百人であるという数になっているわけです。

 日本の統計と比べると、余りにも差が、二けた以上も違うわけでありまして、どうしてこういうふうになるのか、その点、もし何かありましたら、お知らせいただきたいと思います。

遠藤政府参考人 先ほど御説明を申し上げましたように、我が国の統計は保健所が実際に調査をして食中毒事件と判断した件数の合計ということになっておりますので、我が国の場合には、報告数が実際よりも少ない可能性はございます。一方、アメリカは、推計で求めているわけでございますけれども、その推計の方法を必ずしも詳細に承知をしておりませんで、そのために、果たしてこの数字が過大なものなのか、それとも適切なものかというふうな判断はできかねているところでございます。

 いずれにいたしましても、このような差があるということ、また、これは日米の間でございますけれども、それ以外の国々とも比較をしてみなければならないかと思っております。

神風委員 調査の仕方が違うということはもっともであろうかと思いますけれども、推計にしても、アメリカ国内では食中毒による死亡者が年間で約五千人発生していて、しかもそのうちの三千二百人は原因がわかっていない。一方、日本では十人以内の死亡者にとどまっているというような状況でありまして、もともと、恐らくこれくらい、日米間での食の安全あるいは安心に対しての意識が違うのではないかなということを強く感じるわけでございます。

 向こうへの滞在中、日本大使館の加藤大使ともお昼を御一緒する機会があったんですが、加藤大使のお話の中でも、余りBSEについてアメリカ人の口から耳にすることはないと。あるいは、私の向こうの友人に聞いても、それほどクローズアップされるような問題ではない、そういう認識が大半でございました。

 恐らく、食の安心に関してもアメリカの考えとしては、ある一定の科学的な根拠さえ示せれば、それ以上はもう消費者の選択の問題であろう、つまり、まさに自己責任の世界であって、自分のリスク管理の範囲内の問題である、そういう認識が非常に強いというのを話をしている中で感じたわけですけれども、これについて、大臣、もし御感想があればお答えいただければと思います。

亀井国務大臣 私もアメリカのベネマン農務長官とも何回かこの問題で議論をするわけであります。あるいはまた、アメリカに参りましても、今委員からも御指摘のように、やはり食に対する考え方、安全、安心、この考え方が異なっておる、こういうことは感ずるわけであります。

 そういう面で、しかし、我が国は我が国の国民の健康保護、食の安全、安心、そして国民の皆さんがいろいろお考えになっていることは、食品衛生法、こういう法律、あるいはまた家畜の関連、先般の鳥インフルエンザの問題等々防疫の問題、その徹底、そういう面ではやはり意識が違うということは事実だと思いますけれども、しかし、私ども、これはあくまでも我が国の国民の意識というものを尊重して、安全、安心、この確保を図ってまいらなければならない、このように考えております。

神風委員 ありがとうございます。

 こうしたアメリカのずさんなデータというのが、まさにCDCのホームページに公表されているところでありまして、これまでこの委員会の中でも、週刊文春あるいは現代で取り上げられたアメリカのニュージャージー州のチェリーヒル地区でクロイツフェルト・ヤコブ病が集団発生しているという報道についての議論がなされたわけでございます。

 その記事の中で、これが単なるクロイツフェルト・ヤコブ病ではなくて狂牛病の感染の可能性もあるということから、まさにこのCDCに死亡者の脳のサンプルを送ったところ、CDCとしてはヤコブ病であることすら認められないという見解を発表しているわけでございまして、そこで、母親の方が納得がいかないために再検査をしようとしてCDCにその脳のサンプルの提示を求めたところ、それも拒否された、最後には裁判によって脳のサンプルのスライスを受け取ったというような報道がなされておりました。また、CDCの広報担当によりますと、チェリーヒルでのヤコブ病の集団発生については確認がとれていない、調査が必要かどうかを含めて検討中との回答があったということが紹介をされているところでございます。

 こうしたアメリカ国内の状況あるいは特にCDCの対応に関してどのような認識あるいは把握をされているのか、厚生労働省さんにお答えいただければと思います。

遠藤政府参考人 この件につきましては、私どもとしては報道されたもの以上には承知をしておりません。

神風委員 CDCとの間で何か議論というものはあったんでしょうか。

遠藤政府参考人 少なくとも、私ども食品安全部ではCDCとやりとりをしておりませんし、厚生労働省の中でクロイツフェルト・ヤコブ病を取り扱っている部局がございますけれども、恐らくCDCとの間のやりとりはないものと思います。

神風委員 これまでアメリカの方から全頭検査が非科学的である、あるいは科学的な根拠がないということを繰り返し言われてきたわけですけれども、そうアメリカが言うのであれば、せめて自国内の食中毒の実態把握ぐらいはきちんとアメリカとしてもしておいていただきたいということは、日本側としても強く主張すべきではないかと思うところでございます。

 実際に、推計であるにしても三千二百名の方が亡くなっていて、しかも、その原因もわかっていない。あるいは、その三千二百名の中に狂牛病によって亡くなっている方も相当数いらっしゃるのかもしれないという疑念は消えないわけでございまして、そういう点をこれからアメリカとの議論の中でぜひ強く主張していただきたいというか、アメリカの国内の整備をきちんとしていただきたい、そういう主張を強くしていただきたいと思うわけでございます。

 現状で、このBSEの問題に関して農水省、あと農務省とのやりとりではあると思うのですが、厚生労働省との協力体制というか、そういうものはどういうふうになっているんでしょうか。

亀井国務大臣 食品衛生を所管する厚生労働省、また私ども家畜の防疫措置等を所管する農水省、先ほど局長からも答弁いたしましたが、専門家の検討、両国のチームにも双方参加をしておるわけでありますし、いろいろな面で私ども、厚生労働省と十分連携をして対応しておりますし、今後ともその体制で臨んでまいりたい、このように思っております。

神風委員 今回のBSEの問題というのは、ある意味で日本の縦割り行政の弊害を露呈したような部分もございまして、ぜひ、厚生労働省と農水省の強力な協力体制のもとでアメリカとの交渉というのにこれから当たっていただきたいと思うところでございます。その点、大臣にぜひ強く要望したいところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、競馬法の改正の方に移りたいと思いますが、冒頭で、午前中の質疑の中で松木委員が、JRAの特別積立金を、軽種馬生産農家が疲弊している、そういった状況に補償すべきではないかという議論がありまして、局長の方からもある程度前向きの答弁があったのではないかなと思うところでございます。

 ちょっと手元にある資料によりますと、これは参議院の平成三年の農水委員会の中でのやりとりですが、中央競馬会の政策目的は、一部には、畜産振興に資するというのは時代おくれではないかという議論の中で、こういう状況の中で、今後こういうふうな畜産振興を中心とした政策目的を堅持するかどうか、この姿勢について、大臣のお考えをお聞きしたいという質問に対して、当時の近藤大臣が、「競馬から出てくる益金については当然のことながら馬の改良、増殖には第一義的に努めていかなきゃならないことでありますし、あわせて畜産振興ということは発足当時から念頭に置いてきた事業でありますから第一の事業、こう考えておるわけであります。」こういう答弁があるところでございます。

 午前中の松木委員の議論を聞いていまして、非常にもっともな議論であるなと納得をしたわけですけれども、このJRAの特別積立金を疲弊している軽種馬生産農家に補償として充てるということに対して、大臣からも御所見、お考えを、確認の意味でお伺いできればと思います。

亀井国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、今回の法改正、そういう中で、厳しい状況下にあるわけでありますし、またいわゆる競走馬の生産、これは大変重要な役割を果たすわけであります。そういう面で、生産者等あるいは市町村等々からも十分お考えを承ってその対応をやってまいりたい、このように考えております。

神風委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 私自身は、残念ながら松木委員のように競馬に対して造詣が深くありませんで、はっきり申し上げて一回も経験したことがございません。また、選挙区も埼玉四区というところでありまして、埼玉県の朝霞、志木、新座、和光という非常に都会的な選挙区でありますから、馬産地でもあるいは選挙区内に競馬場があるという状況でもございませんので、なかなか実感がつかみづらいテーマであるわけです。

 そこで、まず、極めて基本的なことからお聞きしたいと思いますけれども、競馬法には競馬そのものの目的については規定されていないわけでありますけれども、そもそも競馬の目的は何なのかということについてお答えいただければと思います。

白須政府参考人 競馬の目的についてのお尋ねでございます。

 我が国の競馬の目的といたしまして、三つあるというふうに考えております。その一つは、国なり地方公共団体の財政への寄与ということがまず大きな目的としてあるわけでございます。それから二つ目は、ただいま委員からも御指摘ございましたが、馬の改良増殖なりその他畜産の振興というのが大きな目的。それからもう一つといたしましては、やはり国民に対する健全な娯楽の提供ということにあるのではないか。こういった三つの目的があるのではないかと考えているわけでございます。

 そういう目的に対しまして、最近大変に景気の低迷なり娯楽の多様化というふうな影響もございまして、特に地方競馬の主催者への影響が著しいということもございまして、そういった事業収支の改善ということが大変に大きな、重要な課題になっておるということでございますので、今回の改正でそういった、先ほど申し上げました目的が達成できますように、主催者の事業収支改善の支援を図るといったことを一つの大きな目的といたしまして、今回法案を提出させていただいたところでございます。

神風委員 まさに、国及び地方公共団体の財政への寄与、馬の改良増殖その他の畜産の振興、また健全な娯楽の提供、非常に多くの目的がこの競馬の中には入っているわけでございまして、私自身はこれまで単なるギャンブルという認識しかなかったわけでありますけれども、非常に認識を改めた次第でございます。

 ただ、逆に申しますと、こうした多くの目的が競馬に背負わされていること自体が、いろいろ、競馬産業、現在の衰退につながっている面もあるのではないか、また、今回の競馬法の改正についての困難にもあるのではないかと思うところであります。

 これからの日本の競馬の将来像、ビジョンというものはどういうふうに描かれているのか。もっと言えば、今回の改正案、現状の競馬産業、特に地方競馬であるかと思いますけれども、活性化をさせようとしているのか、あるいは、言葉は悪いかもしれませんけれども、安楽死をさせようとしているのか。その点、どういう御認識で今回の改正法案があるのか、お答えいただきたいと思います。

白須政府参考人 ただいま委員からお話がございました競馬の将来像、どういうふうな考え方でやろうとしているのかというお尋ねでございます。

 先ほど目的を申し上げたわけでございますが、今後とも我が国の競馬が発展していくというためには、中央競馬と地方競馬とそれぞれ二つあるわけでございます。それぞれ、これはやはり施行主体が異なるわけでございまして、先ほど申し上げましたとおり、中央競馬は国家財政に寄与する、あるいはまた地方競馬は地方財政に寄与しておるというふうなことに加えまして、過去の経緯でそれぞれ成り立ちが違っているわけでございます。しかしながら、そういった点を踏まえまして、それぞれ中央、地方の共存共栄を図って、今後とも競馬というものをしっかりと振興していくことが必要なのではないかというふうに考えているわけでございます。

 そういう中で、このところ、景気の低迷なり全体としての娯楽の多様化というふうな影響を受けまして、全体として売り上げが減少しておるという大変厳しい状況にあるわけでございますが、したがいまして、今回の提出をさせていただいております競馬法の改正案によりますと、申し上げております中央競馬と地方競馬のそれぞれの共存共栄という観点から、連携を強化していこうというのが一つ大きなあれとしてあるわけでございます。

 それからもう一つとしては、やはり全体としてコストの低減というふうなことでございまして、私人への委託ということを可能にしていくというふうなこと、あるいは、中央、地方で、それぞれ両者で相互委託ができるようにする。これはコストの低減ということでございます。

 それからもう一点は、やはりファンのために選択の幅を広げるといいますか、ファンにとってよりおもしろい競馬を提供するということでございまして、新しい、重勝式というふうな、そういうかけ方式も導入していこうということでございます。

 そういうことで、一つには、やはり主催者の事業収支の改善を図ることによってそれぞれ振興を図っていく、それからもう一つは、ファンサービスを進めていこうということでございまして、そういうふうなことを通じまして、申し上げました景気の低迷あるいは娯楽の多様化、そういうことに影響を受けました売り上げの減少、そういう競馬の厳しい状況に対処をいたしまして、競馬の事業収支の改善のために、特に地方競馬の事業収支の改善のためのそういう必要な措置を講じようとするものでございます。

 したがいまして、こういった改正措置をお認めいただくことによりまして、その改正の効果を見きわめながら、競馬全体の発展というものにしっかりと努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

神風委員 平成十六年の三月に我が国の競馬のあり方に係る有識者懇談会の報告書が発表されておりまして、その中にも「経営体質強化のためには、事業運営に競争原理を積極的に導入することや採算性を重視するなど、より一層の企業的努力が必要である。」という指摘がなされております。また、さらには、地方競馬に至っては、「経営者の意思、熱意が伝わらず、まともな経営といえるまでに至っていないとの指摘もある。」わけでございます。

 そこで、お尋ねしたいわけですが、現在、JRAあるいは地方競馬全国協会、地全協の役員の中に、一体何人ぐらいの天下りの方が行っていらっしゃるのでしょうか。

白須政府参考人 日本中央競馬会それから地方競馬全国協会、それへの農林水産省からの職員のいわゆる再就職状況ということでございます。

 まず、日本中央競馬会の役員は全部で十四名おるわけでございますが、うち五名、農林水産省からの職員が再就職しておりまして、五名でございますが、一名は非常勤の監事ということでございます。また、地方競馬全国協会の役員は八名おりますが、そのうち農林水産省からの再就職は二名ということでございます。

神風委員 そうですね。地全協は自治省からも一人行っていますから、三名ということになるかなと。あるいは、平成十四年で見ますと、八名中五名が天下りというような状況でございます。大変大きな天下りの受け皿になっているのが地全協とJRAであるという現状であろうかと思います。

 実は、私の埼玉県にも、巨額の累積赤字を抱えております第三セクターの埼玉高速鉄道というものがございます。これまで副知事あるいは出納長経験者が社長になっていたわけですが、今回知事が交代をしまして、抜本的な改革を目指して、しなの鉄道の杉野さんという方、四十五歳の若手が抜てきをされまして、次期社長に就任が決まったところでございます。

 いろいろな自治体でこういう経営努力を、まさに血のにじむような経営努力をしているわけですが、こういう現況、状況にかんがみて、本当に経営というもの、それについての御所見を大臣の方からお伺いしたいと思うわけでございます。

亀井国務大臣 天下りの問題、これは閣議決定されておるわけでありまして、適材適所に広く人材を登用する、こういうことは必要なことではなかろうか、このように思います。

 そして、この中央競馬会あるいは地方競馬会、その使命を達成するために、それぞれの役員がその職務に対しまして、創意工夫等々、やはり置かれております厳しい状況下、これを受けて、その職務を全うすることが私は必要なことではなかろうかと。

 しかし、なかなか、今御指摘の第三セクターの問題等々、長い年月、いろいろ蓄積と申しますか、ある時期に、それが重用されるときにはいい花も咲くわけでありますけれども、長年いろいろな仕事をしてもなかなかうまくいかないところも多分にあるわけでありますので、やはりそういう面で、辛抱強く、しっかり公平に中立性を持って、その目的、使命を達成するような人材というものが登用されることが私は必要なことじゃなかろうか、こう思います。

神風委員 ぜひ強い大臣の姿勢で臨んでいただければありがたいなと思うところでございますが、今回の改正案の眼目は、何といっても、その危機的な状況にある地方競馬、この経営をどうするかということに尽きると思うわけでございます。

 ただ、信じられないような話ですけれども、実は、六〇年代は地方競馬全体の売上総額の方が中央競馬を上回っていたようでございます。六七年に地方と中央との逆転現象が起きて、それ以降差が開くばかりという状況であるようでございます。

 そこで、今回出てきたのがいわゆるブロック化の議論ではないかと思うところでありますけれども、ここで言われる地全協の補助というものは、どういう財源で一体どれくらいを想定しているのか。あるいは、JRAからも補助がなされるようでありますけれども、それも、同じように、どういう財源でどのぐらいの額を想定されているのか、お答えをいただきたいと思います。

白須政府参考人 ただいま委員からお話がございました、いわゆるブロック化ということについての内容なり財政規模ということでございます。

 まず、この内容につきましては、私ども、それぞれ地方の競馬の主催者の方々からいろいろと御要望、いろいろな形で聞き取ったり、今後さらに聞き取っていかぬといかぬというふうに考えているわけでございますが、具体的な内容といたしましては、例えば一つには、いわゆる馬券を集計いたしますが、このための共同のコンピューター集計システム、こういうものを共同化していくことは非常にコストの低減にも資するわけでございます。そういうのが一つ考えられる。それからもう一つは、地方の主催者同士で共同いたしまして場外の馬券売り場を設置していく、こういったこと。そういった施設整備なり基盤整備というふうなものが主催者間の連携に必要だということで、これが対象になるというふうに考えているわけでございます。

 その額につきましては、申し上げておりますように、それぞれの主催者の皆様方からの具体的なブロック化の動きなり規模なり、そういうことに応じまして今後必要な所要額というものを適切に措置していく考えでございますが、その財源といたしましては、地方競馬全国協会の方から出しますお金と、それからそれに見合う分をJRA、中央競馬会の方からも出しまして、それを合わせまして、ただいまの連携計画の具体的な推進に必要な金額ということで充てていきたいというふうに考えている次第でございます。

神風委員 平成十七年から五年間にわたって、地全協の場合には一号交付金、そしてJRAの場合には特別振興資金、それぞれ毎年十億ずつで合計百億円という話が伝わってくるわけですが、これは事実でしょうか。

白須政府参考人 申し上げておりますように、規模につきましては、やはりそれぞれの主催者の皆さん方からの要望額というものを具体的にお聞き取りいたしまして、それに必要な額ということで措置をしたいと考えておりますが、私、申し上げましたのは、地全協からのお金とそれからJRAから見合う額が出まして、それで一方、それぞれの主催者の方々もやはりそれ相応の分を、補助率が例えば二分の一というふうなことで、その二分の一のものは主催者の皆さん方が例えば起債というふうなことで手当てをいただくということを具体的には考えているわけでございます。

神風委員 残念ながらちょっと時間がなくなってしまいまして、最後に一点だけお伺いして終わりにしたいと思いますけれども、このブロック化の進展の過程の中で、地全協という存在がこれからどういう役割あるいは存在になっていくのか。場合によっては地全協が強い権限を持つような可能性もあるわけでございますし、またこれからも有力な天下り先として温存されていくというようなことも考え得るわけでして、これからの地全協の役割というか存在、あるいはJRAのように主催者になっていく可能性もあるのか、実施主体としてそういう可能性もあるのかどうかということを含めて、一言お答えいただければと思います。

白須政府参考人 ただいまお話しの地全協につきましては、現在のところ、馬なり馬主の登録あるいは調教師、騎手の免許を全国一元的に実施いたしているわけでございます。

 そこで、委員からもお話ございましたように、一方には、地方競馬の主催者からは、地方競馬の連携なりブロック化を図るという上からも、そういった主催者間の統括あるいは調整機能なり、全国的な興行といった、そういう企画機能の強化というものを求める声も多いわけでございます。また他方、もう地全協は廃止すべきだというふうな話もあるわけでございますが、そこはやはり、先ほど申し上げました登録なり免許をそれぞれの主催者がみずから行う、これはまた一方では非効率だというふうな声もあるわけでございます。

 したがいまして、私ども、基本的には地全協というものは存続が必要だというふうに考えているわけでございますが、いずれにいたしましても、こういった組織形態につきましては、行革の特殊法人の整理合理化計画というものが十八年の三月までの期間内で検討するということになっておりますので、そういった組織のあり方を含めまして検討する必要があろうかというふうに考えている次第でございます。

神風委員 ぜひ、私のようなこれまで競馬に関心がなかった人間も競馬場に足を運ぶような、そういう政策をこれから実施していただきたいと思うところでございます。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 私は、本日、この競馬法の改正に当たりまして、今さまざまな競馬の抱える問題を御指摘させていただき、そしてその改善に向けての方策をぜひお答えいただきたいと思っております。

 まず、そもそもの競馬の目的、これはもう委員各位も御存じだとは思っておりますけれども、賭博、かけごととなるべき競馬が刑法の特例として特別に認められているこの理由は何なのか、改めて大臣から御説明をいただきたいと思います。

亀井国務大臣 我が国の競馬、これは刑法の特例として競馬法によりまして特別に認められておるわけであります。先ほど来、その目的、こういうような視点から答弁申し上げておりますとおり、国及び地方公共団体の財政への寄与、また、馬の改良増殖等その他畜産の振興、そしてさらに国民への健全な娯楽の提供、こういうことが目的と考えられておるわけでありまして、そういう視点で特別に認められておる、こう思います。

 そしてさらに、今回の法改正によりまして、厳しい経済状況、景気の低迷、そして娯楽の多様化、こういう中で法改正をすることによりまして、この事業目的が達成できるように、このように特例で認められておるわけでありますので、競馬主催者の事業収支の改善等々が図られるように支援をしてまいりたい、このように考えております。

岡本(充)委員 今大臣が答弁されましたとおり、確かに財政への寄与という公共の福祉の面が大きな利益となるということで、この競馬がいわゆる刑法の賭博といった罪に問われない、違法性を阻却される要因の一つとなっていると私も考えておるのでございますけれども、今の競馬の現状は大変、特に地方競馬、厳しい中で、財政への寄与というのが今後乏しくなってきた場合には、これは即とは言いませんけれども、違法の世界に入っていってしまうという御認識でしょうか、大臣。

 財政への寄与が一つ大きな、刑法の中の特例として認められる、そのための要因なわけですね。娯楽の提供と言ったら娯楽の提供で違法性が阻却されるのであれば、ほかの娯楽も認められちゃう。何か違法なことをやっても娯楽が上回るわけじゃないんです。やはりそこに財政への寄与という公共の福祉が、この違法性を阻却して、なおかつ、特例法を設けてこの競馬という事業が営まれる大きな要因になっているわけです。

 その中で、この財政への寄与というものがなくなってきた場合は、競馬というものは、赤字に陥ったから即来年から違法ですよとは言いませんけれども、赤字が続くということになってくると、法の精神からいうと違法という状態になってくるんですか。

亀井国務大臣 財政への寄与がなくなるようなことにならないように、今回法改正をし、そしてまた公共の福祉にも役に立ち、また地域振興にも役に立つわけでありますので、そのようにならないように、中央、地方、連携して対応する、こういうことで頑張ってまいらなければならない、このように思っております。

岡本(充)委員 頑張っていただいているんですよ、本当に今。頑張っていただいている。そういった中で、これがどんどん赤字になってきまして、ここですなわち、赤字をもって即違法だということになるとは言えないと思いますし、実際にそうならないように努力をされているんだとは思いますけれども、これは、本当に赤字がずっと続く、こういったことになると、地方への貢献といっても貢献につながらないわけでございますから、そういった場合には競馬のそもそもの意義すら問われかねないという現状だということを、私はまずもって指摘させていただきたいと思います。

 そういった中で、今回の法改正、幾つかポイントがあるわけでございまして、私、まずは、競馬事業の一部を私人に委託するという、この点に関して御質問させていただきたいと思いますが、競馬事業のどういった部分を私人に委託することを想定されているのか、お答えいただけますでしょうか。

白須政府参考人 競馬の事務の一部を私人に委託するということについてのお尋ねでございます。

 具体的な範囲につきましては、これは政令で定めることになるわけでございますが、競馬法としては、競馬主催者をやはり公共性が強い特殊法人なりあるいは地方公共団体に限定いたしているわけでございまして、そこはまさに委員が御指摘のとおり、刑法の特例としての競馬を実施するに当たって、公正な実施についての国民の信頼を得られる者とする、そういう必要があったというふうに考えているわけでございます。

 そこで、そういったあれからいたしますと、例えば開催日時の決定でございますとかあるいは払戻金の額の決定でございますとか、そういった競馬の実施の根幹をなす事務につきましては、これはやはり引き続き主催者が行うべき事務だろうというふうに考えておりまして、それ以外の事務のうちの、例えば馬券、勝馬投票券の発売でございますとか払い戻し、あるいはまた警備、そういった一部の事務につきまして、私人への委託が可能となるように規定するということを想定しているわけでございます。

岡本(充)委員 現実的ではないかもしれません。さまざまな資格やさまざまな能力を要求される分野が組み合わさって競馬の事業というのはなされておりまして、サービス業もあれば、警備は警備の分野の知識も技量も必要でしょうし、そしてまた勝馬投票券の発売もそれぞれの知識、技量が必要で、同じ会社、同じ財団が参入するというのは難しいのかなと思ったりもするんですが、現実的かどうかは別として、理論的には、一つの会社ないし組織が、こういった競馬に関する、今おっしゃられた開催日時そして払戻金の金額決定以外のことであればやっていくことができると考えていらっしゃるんでしょうか。特に、もう一点だけ聞きたいんですけれども、発走業務なども行えるというふうに考えているんでしょうか。

白須政府参考人 ただいま私どもが考えておりますのは、そういった根幹事務以外の、申し上げました馬券の発売とか取り締まりとか払い戻しとか、そういう性格のものでございまして、ただいま委員がおっしゃった発走でございますか、そういったことにつきましては今後の課題だろうというふうに考えております。

岡本(充)委員 今後の課題といっても、非常にあいまいとしていて、現場ではどういったことをこれは意図しているのか。

 では、先進事例ということでちょっと一例を挙げていただきたいと思いますけれども、競輪や競艇、こういった中で、ほかの公営の事業の中で先進事例があると思います。こういったものを参考にされるのではないかと私は類推しておりますが、そういったものと比べ合わせてもう一度明確に、競馬の場合はどの分野を私人に委託するというお考えか、これはまだ検討中であってということで、この法律案というわけにはちょっといかないと思うんですけれども、はっきりとお答えいただきたいんです。

白須政府参考人 私どもが私人に委託が可能だというふうに考えておりますのは、申し上げております馬券の発売なり取り締まりということでございまして、先ほど委員がおっしゃった発走でございますとか、そういった競走関係の事務につきましては、いわゆる公益法人といったものには委託ができるというふうなことを今回の改正案にお示ししておるわけでございまして、私人への委託ということは今回の改正案では考えておりません。

岡本(充)委員 そういうふうに明確に答えていただけると次の質問に移りやすいので、また明確にお答えいただきたいんです。

 こういった競馬事業の一部を私人に委託することについて、今言われました発走の部分に関する、もしくは競走の部分に関するところは私人には委託をしない、こういうふうにお答えいただいたと私は理解しておりますが、この中で、それ以外の事業について、といっても、勝馬投票券の発売、これも、例えば何ブースで売るのか、そこまで明確に規定をして委託するのか。例えば、発売するブースの数は委託した私人にお任せするのか、もしくは払い戻しの窓口をどのような形態で配置するのか、そういったところについてもお任せするのか。そういうところを含めてすべてお任せするのか、場所は貸す、箱は貸すけれども、何ブースかというのも決めて、その上で、人だけ出してくださいね、こういう形の委託をイメージされているんですか、どちらでしょうか。

白須政府参考人 ただいま委員がおっしゃったことにつきましては、いろいろな形態があろうかというふうに考えておりまして、どういう形態でなければ委託ができないというふうなことを私どもが規定をするつもりはございません。

岡本(充)委員 規定をするおつもりはないということなんですが、そういうふうになってくると、その部分について何ブースを出すかということはお任せということになるとすると、極端な話、ブースの数が多くなってくるとか少なくなってくるというところについてもその人の判断基準ということになってくると、刑法との関係の中で、法的な整理として、ブースの数を自由に任せる、極端なことを言えば、何階で売るとか、どこでどういうふうに売るというのもお任せするわけですから、こういったところは刑法に抵触するというふうには考えられないわけでしょうか。

白須政府参考人 いずれにしても、もちろん、そこのところはやはり主催者の基本的な判断というのがあるわけでございまして、主催者がどの程度の規模のものを考えるのかというのは当然委託する前提としてあるわけでございますので、その委託を受けた私人が主催者の判断とは別個に、勝手に何ブースでやるとかいうことにはならないというふうに考えておりますし、私人への委託を行いました場合でも、主催者はその主催者としてのやはり基本的な責任は当然負うわけでございまして、委託を行う私人に対しまして必要な監督を行うこととなるわけでございます。

 したがいまして、私人への委託によりまして、委員から御指摘のそういった刑法との関係での問題というものは生じることにはならないのではないかというふうに考えている次第でございます。

岡本(充)委員 今、主催者と相談してということでしたけれども、先進事例、競輪であるというふうに、私、ちょっと伺いましたけれども、今、この法案の中でイメージしている外部への委託ということは、今のお話ですと、競馬の事業のうちの発券と払い戻し、もしくはサービス部分、警備部分などに関して、主催者の指導のもと事業を営むという形式になるから、刑法に抵触することはない、もしくは違法性はないということなんだというふうに理解したんです。

 とすれば、これはある意味、中身だけ外部に委託して、実質の計画から競馬に関する事業を営むさまざまなプランニングは引き続き主催者主導で行っていく、こういったことと理解してよろしいでしょうか。違うかそうかだけ教えてください。

白須政府参考人 いずれにしても、施設を設置いたしますのは主催者でございます。したがいまして、私が先ほど申し上げましたとおり、そういった主催者としての基本的な責任というのは、私人への委託に際しましても当然あるわけでございます。

 ただ、委託ということに伴いまして、一方には、コストを下げるという観点と、民間のそういったいろいろなノウハウを活用してよりファンサービス等に資するという観点もございますので、基本的なところは責任はもちろん主催者が負うわけでございますし、必要な監督も行うわけでございますが、その範囲内において、委託を受けた私人が民間のノウハウを活用してファンサービス等々で貢献できる面はあるであろうというふうに考えているわけでございます。

岡本(充)委員 今僕が先に言おうと思ったことを図らずも局長お答えいただいたんですが、まさにコスト削減が大きな目的である中で、民間のノウハウを導入しようという中で、建物だとか土地は今でも借りている場合もあるんでしょうけれども、外枠をつくって数を決めて、それを農水省がやって、そのノウハウを導入しようと思っても、そこに指導が入ってできない、思ったほどコストが下がらない、こういったことになりはしないかと、今の話で私は強く懸念をするわけでございます。

 この点、これだけ話を続けていても前に進みませんけれども、民間の活力、民間のノウハウを利用するなら、そのプランニング、計画から民間にお願いしていかなければならないはずのところで、その部分は確かに競馬という特殊な事業ということもあって難しく、民間の裁量がきく幅が少ないということになると、そもそもの目的であるコスト削減につながらないのではないかということを強く指摘させていただきたいと思います。

 次に移ります。

 重勝式の導入というところでございますけれども、重勝式の導入、これを通じて目指しているもの、私が先に言わせていただくと、間違いなくファンへのサービス、新しいファンの獲得も目指してみえましょうし、既存の競馬ファンの方の楽しみをふやそう、こういった目的もあるんだと思いますが、この重勝式の導入、今回の導入によってどちらの方によりターゲットを置いているか。

 つまり、これまで競馬のファンで競馬場に足を向けてきてくださった方か、それとも、競馬場に余り来なかったけれどもこういったものがあるから競馬場に足を向けてみよう、重勝式があるのなら行ってみようと思う人がふえるというふうに考えてみえるのか。もちろんその両方ですと言われるでしょうけれども、どちらにより重きを置いているんでしょうか。

白須政府参考人 今委員からもお話がございました重勝式でございますが、私どもとしては、ファンに対する選択の幅を広げるというのが基本的な考え方でございます。

 競馬におきますとこれが商品でございますので、馬券の種類をふやすということはファンの選択肢を広げるということでございますので、そういった意味ではいろいろな楽しみ方がある、いろいろな馬券があるということで、そこは選択の幅が広がる。

 そこで、今委員からお話があったように、要すれば、競馬をよく知っている人がよりあれなのか、あるいはまた新たなファンがそういう馬券があるなら買ってみようかと思うかというお尋ねでございますが、確かにそこは、競馬の楽しみを一体どういうふうにその方が思うのかというふうなことにかかってくるのではないかというふうに私どもは理解をいたしているわけでございます。つまり、的中率が低くなっておもしろみがないというふうな判断もございますが、他方には、的中率は低いけれども逆に払い戻しの方が大変に高くなるという性格でございますので、そういった意味で、例えばよりおもしろくするためにキャリーオーバーだとか何だとかいろいろなやり方もあろうかと思っております。

 したがいまして、そういうふうな点については、まことにお答えがあれで申しわけございませんが、両面があるというふうに私どもは理解をいたしているわけでございます。

岡本(充)委員 こういう施策をとるのに、やはり目的を明確にして施策というのはとられるんだと私は思っておるわけなんですけれども、その目的として、今、ファンの拡大と、もちろん今の既存のファンの楽しみをふやす、こういった二つあるんだと言われておりますけれども、どちらに対してどういうふうな効果を求めてこの重勝式を入れるのか。私は決して重勝式を入れることが悪いと言っているわけではないんですけれども、それによってどういったファンがふえるのか。

 今言われたとおりに、では、少額でも例えば多くのお金が払戻金として返ってくる、いわゆる射幸性を高めるということであれば、もしかしたら既存のお客さんがそれぞれの買う単価を下げるだけの話で終わってしまうのかもしれませんし、これは、今局長図らずも言われましたけれども、お客さんによる、お客さん任せ、どうなるかわからないけれどもやってみるかというようなことであっては私は残念だなと思います。

 やはり明確に、例えば重勝式に限りませんけれども、こういうような勝馬投票方法を導入するに当たっては、こういう目的を持ってこういう効果が得られると思いますというようなことがぜひはっきりお示しいただけるようなことを私は求めたかったわけでございますが、これ以上聞いても多分同じような話になると思いますので、次に移らせていただきます。

 のみ行為の取り締まりの強化ということでございまして、本日は警察庁からもおいでをいただいております。

 私、警察庁の方から資料を少しいただいて、のみ行為の現状というのも教えていただきました。そういったのみ行為の検挙、毎年確実にあるわけでございますけれども、今回ののみ行為の取り締まりの強化の中で、のみ行為に関する情報を収集するために、必要があるときは、競馬主催者の職員は農林水産大臣の許可を受けて勝馬投票類似行為をすることができるということになっています。警察としては、今回、警察職員もしくは警察が勝馬投票類似行為をすることを認めていないわけなんですけれども、今回のこの改正に当たって警察が入っていないということについてどのような理解をされているのか、御答弁願えればと思います。

伊藤政府参考人 今回の改正案におきまして、競馬主催者の職員は「農林水産大臣の許可を受けて、勝馬投票類似の行為をすることができる。」とされているわけでございます。これは、勝馬投票類似行為が、いわゆるのみ行為の情報を収集するため競馬主催者の職員が行うものでございまして、警察が行う犯罪捜査活動とはその性質を異にするものと考えているわけでございます。

 しかしながら、競馬主催者の職員が改正法の規定に基づいて収集する情報につきましては、のみ行為に関して信頼度の高い情報であるというふうに考えられますことから、警察としましては、これらの情報を有効に活用するなどしまして、競馬主催者と緊密に連携をいたしまして、のみ行為の取り締まりを推進してまいりたいと考えておるところでございます。

岡本(充)委員 今の御説明、大変はっきりしていると思いますけれども、ただ、その中で私、もう一つ指摘させていただきたいのは、とはいっても、今おっしゃったとおり、今回のこの改正で競馬主催者の職員が勝馬投票類似行為をして得てきた情報を、証拠として捜査に使用するということは間違いないわけですよね。まずそれを、捜査の中で証拠として、証言なりもしくは調書、写真かもしれませんけれども、それを証拠として捜査に利用される、そういったことで間違いないでしょうか。

伊藤政府参考人 そうした情報がどういうふうに活用されるかという御質問だと思いますけれども、基本的には、そうした情報につきましては、端緒情報といたしまして、それから我々としては捜査を始めるということになります。そういった意味で、端緒情報をどのように公判廷において扱われるかはまた別問題だと思いますが、少なくとも我々としては、端緒情報として活用してまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 端緒情報として活用する。もちろん、端緒はそうでしょう。ただ、実際に、警察の方が、端緒情報として以上に今回のこの情報を使おうということを考えてみえないと私は思えないんですけれども、端緒情報だけではなくて、これは、ケースによっては当然公判等への証拠としても活用される可能性はあるわけですよね。ちょっとお答えいただけますか。

伊藤政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたとおり、端緒情報がございますと、警察としては、それをもとにいたしまして捜査を開始するわけでございます。その結果、捜査を尽くして、最終的には事件の立件ということになるわけでございますけれども、その際にどのような証拠が立件上必要なのかということにつきましては、それぞれのケースによって異なってまいります。そうした端緒情報というものは、最初の取っかかりになるものでございますので、十分有力なものだとは思いますけれども、基本的にはケース・バイ・ケースだというふうに考えております。

岡本(充)委員 今お答えいただいたとおり、ケース・バイ・ケースというようなことであるわけなんですけれども、そういった中で、今回、連携を密にすると言われておりますけれども、警察としては、現時点では、情報収集するのみならず、捜査に当たって、ほかにもいろいろ捜査手法はあるんでしょうけれども、こういった捜査手法、いわゆる勝馬投票類似行為をした上での捜査をする必要はないというふうにお考えであるのか、そこの点をちょっと教えていただけますか。

伊藤政府参考人 のみ行為というものにつきましては、私どもといたしましては、基本的には、暴力団が伝統的に資金源としている悪質な行為だというふうに考えているわけでございます。こうした当該事業の振興や財政の改善を図るという公営競技の目的を損なうものであることはもちろんでございますけれども、そうした意味から、伝統的に暴力団の資金源となっているということもございますので、これまでも、暴力団関係者が関与する悪質な事犯を中心に、公営競技主催者等と緊密な連携を図りながら、のみ行為の取り締まりに当たってきたところでございます。

 そうした意味で、今回、改正法によりまして、そうした端緒がさらに得られやすくなったということになりますので、そうした点を十分、連携をとりながら活用してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 私、必要と考えてみえるかどうかということをお聞きしたんですけれども、必要性を感じてみえるかということについては、どうでしょう、お答えいただけますでしょうか。

 捜査手法として、今言った、勝馬投票類似行為を行っていく、まあ今回の法改正では認められておりませんけれども、そういったものがなくても現状十分、今、検挙数の推移等いただいたわけでございまして、競馬に関しても、平成十三年、十四年、十五年で、件数で三十五件、四十六件、二十九件、人員で百八十五人、二百十四人、百二十一人とそれぞれ検挙をされているということで数字をいただきましたけれども、これで、今の現状の中で、捜査手法としてこういった手法を現状では必要と感じてみえるのか、感じてみえないのか、その点だけ教えていただければと思います。

伊藤政府参考人 いわゆる、警察官みずからが犯罪の相手方になるなどによりまして犯罪を摘発する捜査手法につきましては、これはおとり捜査というふうに呼ばれているわけでございますけれども、おとり捜査につきましては、一般的に申し上げますと、警察におきましては、これまで蓄積されました判例理論を踏まえまして、事案の態様と検挙の困難性、さらにその必要性及び方法の相当性等につきまして慎重に検討を行った上で実施しているところでございます。

 警察といたしましては、組織犯罪対策をより効果的かつ強力に推進するという観点から、いわゆるおとり捜査の実施のあり方につきましても、多角的な観点から検討を進めていく必要があるものと考えております。

岡本(充)委員 ありがとうございます。

 今後検討を進めていくということが最後の要約だと私は思っておりますけれども、まさに局長が言われていましたとおり、このお金がどこに流れていくのかということを考えたときに、やはり日本の中における、言葉は悪いかもしれないけれども、ブラックマネーと言われるような部分に入るお金を減らしていくという意味においても、こののみ行為というのをしっかり取り締まっていっていただかなければならないと思っておりますので、有効な取り締まりの方法等を含め、そしてまた刑法全体との整合性を含めて、ぜひしっかりとした検討をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 さて、ここまで質問させていただいて、最後になるんですけれども、事業収支の改善という点について、少しこれからお話を伺っていきたいと思っております。

 特に地方競馬における事業収支の改善なんですけれども、今、地方競馬においては大変に厳しい経営状況だということについては、これまでも再三話が出ている中でございます。そういった中で、地方競馬の収支改善を今回図るということが一つの法改正の目的だと私は認識しておるんですけれども、この中で一番の特効薬だと思ってみえるのはどの部分なんでしょうか、お答えいただけますでしょうか。

白須政府参考人 事業収支の改善でございます。

 やはり何といいましても、地方競馬におきまする大変な、最近における全体としての厳しい事業収支の状況でございますので、そういった意味では、一つには、連携計画というものを立てていただきまして、要するに主催者で共同で計画を立てていただきまして、そこに大臣の認定を受けますと、それに対しまして地方競馬全国協会から、例えば共同で行いますコンピューターの整備でございますとかあるいは共同の場外馬券売り場といったものにつきましてのそういった前向きの収支改善計画につきましては、支援を行うことができるというのが一点でございます。

 それからもう一点としては、そういった事業収支計画を立てまして、単独で、今申し上げましたのは共同でそういった連携計画を立てる場合でございますが、単独で収支改善を図ろうという場合に、地方競馬全国協会へ交付金を上げておるわけでございますが、その交付金を猶予する、払わなくていいというふうなことでございまして、そういった形での収支改善を後押ししていくというのが二つ目にございます。

 その二つが、今回の全体としての事業収支改善の促進の一番大きいところではないかというふうに考えている次第でございます。

岡本(充)委員 今、いわゆるブロック制にして地全協からの補助金というお話でございました。私の前に質問しました神風委員も、ここの点、最後にお聞きになりましたけれども、どういった額で、どこからのお金を補助金として出すのかということ、それからまたJRAとこの補助金との関係はどのようになるのかということについては、御説明いただけますでしょうか。

白須政府参考人 まず、連携計画でございますが、複数の地方競馬の主催者が共同で計画を策定するわけでございます。それで、それに対しまして大臣の認定を受けることによりまして、その計画に基づく事業につきまして、地方競馬全国協会からまず補助を受けることができるということでございます。

 その財源につきましては、地方競馬全国協会の交付金から充当するものと合わせまして、見合いの額をJRAの方から地方競馬全国協会に交付することによりまして、地方競馬全国協会からそれを合わせたものを計画の実施に対して助成するということでございます。ただ、主催者としても当然、御自分たちの持ち分といいますか、その部分については御負担をいただく、二分の一相当については御負担をいただくというふうなことでございます。

岡本(充)委員 私、ブロック制についてはいいんですけれども、今私が聞きたかったのは、結局、JRAから直接地方競馬の主催者なりに補助金という形ではなくて、一たん地全協へ見合いの額という、余りはっきりしないんですけれども、見合いの額、地全協にお金が行って、そして地全協から補助金として行くというふうに、統合して出ていくということなんですけれども、これはJRAから直接行けない理由があるんですか。

白須政府参考人 システムといたしまして、地方競馬全国協会が地方の主催者のそれぞれの登録でございますとかそういったことをやっておる、いわばそういう地方競馬でございます。一方、JRAというのは中央競馬で、まことに恐縮でございますが、そこは、ですから一種の、JRAと地方競馬というのはもちろん共存共栄が当然必要でございまして、それによって日本の競馬全体を底支えしていくというのは一つの建前の議論でございますが、JRAと地方競馬というのは、一方にはお互いが競争相手というふうな面もあるわけでございますので、そこは、今回のスキームは、JRAの方から地全協の交付金と同額のものを地全協に一たん交付をいたしまして、そして地全協の方から地方の主催者のそういう共同の計画に対して助成をする、そういう仕組みをとっているわけでございます。

岡本(充)委員 そうなんですよ。JRAと地方競馬が競争者だ、こういうふうに今言われたんですよね。私、そこが大体競馬の大きな根幹だと思うんですよ。

 私、人から聞くと、これはいわゆる二重構造と言っている方もみえるようですけれども、なぜ競馬だけがJRAと地方競馬があるのか。競艇や競輪は、地方競輪、日本競輪、こういうふうになっているわけではなくて、一元化されているわけなんですね。これは、JRAと地方競馬がそれぞれ競争しなければいけない。共存共栄の観点でこれを行っていかれるはずでなければならないのではないかと思うんですけれども、これは競争関係なんですか。

白須政府参考人 私、競争関係と申しましたのは、共存共栄が必要であると同時に競争的な関係でもあるというふうに申し上げたわけで、競争的な関係だけということを申し上げているわけではございません。

 そのゆえんのものは、やはりもともと施行主体も異なりますし、一方は国家財政への寄与、他方はやはり地方財政に寄与をいたしているわけでございまして、それぞれ成り立ちが、全く異なって成り立ってきたわけでございます。そういった意味で、中央競馬と地方競馬を一本化ということは、これは困難であろうというふうに考えているわけでございます。

 と申しますのも、中央競馬会は、これはまさに全国規模の競馬開催業務を行っているわけでございまして、地方は地方でそれぞれが独自の施行主体として施行しておられるわけでございまして、今は確かに、全国的に見ますと、四つの団体を除いては赤字でございます。しかし、過去には中央競馬を上回るような非常に大きな黒字を出しておった時代もあるわけでございまして、そこのところは、歴史的な経緯ということもあるわけでございますので、お互いが、何といいましょうか、高利を図る、あるいはまたお互いが、先ほどの委託につきましても、受委託を行うということで、お互いが馬券の販売等を通じまして、それぞれが売り上げを伸ばしていくというふうな趣旨で今回法律的なスキームとして御提示をさせていただいているわけでございます。

 基本的にはもちろん共存共栄、それぞれが売り上げを伸ばしていこうという趣旨でございますが、他方には、申し上げておりますようなそういう経緯から発する相違というものがありまして、なかなかそこのところは一本化することは難しいというふうに考えている次第でございます。

岡本(充)委員 経緯からの相違を説明してくださいといったら、恐らく今言ったように国家的財政への寄与、地方的財政への寄与という話をされるんだと思いますけれども、同じような観点から、競輪だって競艇だって、違法性を阻却するのは財政への寄与というのが一つ大きな要因になっている中で、こちらは一元化してやっているわけですよ。

 つまり、私が指摘をしたいのは、今の競馬の現状は、テレビがこれだけ進んできて、かつてテレビで広く競馬を楽しまれる方が少なかったころ、そういったころは確かに地方競馬も大変人気があった。そういったことを局長は言われたいのかもしれませんけれども、今現状で、例えば今回の第二回東京競馬場での開催を見ても、五月二十二日から六月の十三日ぐらい、大体三週間の間に中央競馬だとG1というのが三回あるんですよね、三週連続で。一回の賞金が非常に大きな、多額な、一億円を超えるようなレースを三回連続やっていて、片や地方は大変苦しい競馬の現状の中で、いや、それぞれそもそも成り立ちが違いますから、地方は地方で頑張ってください、こういうことでは、実際の改善策、今回、今言われたとおり、ブロック制にして補助金を出します、改善が認められたら、まだ額も決めていない、幾らになるかわからないような補助金をちょこっと出します、こういうことで、あとは頑張ってちょうだい、こういう話では大変不十分であると私は指摘をさせていただきたいと思います。

 これは、農林水産省のある方に伺いましたが、第一歩だと言われましたけれども、第二歩が一体どこでどういう形で出るのか、そういったところもまだ不明確な中で、日々暮らしてみえる方がいらっしゃるわけですね。

 時間がだんだんなくなってきていますので、ちょっとだけ例を挙げますと、私の地元は名古屋競馬というのが、私の選挙区じゃないんですけれども、近くにありまして、トレーニングセンターは実は私の選挙区にあるんですね。このトレーニングセンターに行って話を聞くと、大変に厳しい現状がある。

 ちょっと先に少しだけ質問をさせてください。今、地方競馬の一着の賞金、幾らか、そしてまた地方競馬における厩務員の方の収入、大体どのくらいか御存じですか。

白須政府参考人 大井競馬場の事例で申し上げますと、一着の賞金は二百万というふうに承知をいたしております。

岡本(充)委員 大井はいい。厩務員の給与は。

白須政府参考人 厩務員の給与でございますが、大井の例でございますが、五百四十三万三千円というふうに承知いたしております。

岡本(充)委員 大井は黒字の方なんですよ。全国で数少ない黒字の地方競馬なんですよ。そうじゃない多くの赤字に苦しんでいる地方競馬において、どういった現状で厩務員が暮らしているのか、局長は御存じないんですか。

白須政府参考人 岐阜県の例でございますが、岐阜県では、厩務員、四百四十七万三千円というふうに承知をいたしております。

岡本(充)委員 一着賞金は。

白須政府参考人 これはいろいろな事例がございますが、百万円とか……(岡本(充)委員「安い方でいい、安い方で。一番安いのでいい」と呼ぶ)五十万円とかいうのもございます。

岡本(充)委員 局長は知らないんですよ。私、聞いてきたら、今度から名古屋競馬は、一着賞金、一番安いのは十八万です。

 馬主も大変なんです。どんなに安い馬を買っても二百万円ぐらいする。名古屋競馬の場合、十四年度の競走馬の委託料が一月十五万二千円です。これは一年で百八十万円だ。二百万円の馬を買って、年百八十万円のランニングコストがかかって、一着とったところで十八万しかもらえなくて、これはどう思われますか。非常に苦しい経営になる。馬主はまだ馬主さんだからと言われるのかもしれませんけれども、十五万二千円もらっている調教師も苦しい。

 どういうふうな現状か、局長、教えてさしあげますと、この十五万二千円を、実は厩務員と調教師で、名古屋競馬の場合、百八十人いる厩務員は、全員、一頭当たり七万六千円、今お金をもらっているそうです。七万六千円、一人ですね。例えば調教師さんが二十一頭馬を飼っていると、一人三頭見ろということで七人の厩務員を雇っているんですね。こういう形で一人三頭割合でお給料をもらうわけですから、七万六千円掛ける三で二十二万八千円ですか、この二十二万八千円で、子供もいて、家族もいて養っている。そこを今回、名古屋競馬でも、この預託料、今言ったとおり、一着になっても十八万しかもらえないという話だったら、預託料をこんなに十五万円も毎月払えないよという馬主さんからの要請もあって、引き下げてくる。

 今回、まさに名古屋競馬の厩務員と調教師の間で今もめているんですけれども、どうしてもめているかといったら、調教師さんが、この一頭当たりの厩務員さんへのお給料、七万六千円のものを五万一千円に下げようとして、今、五月三十一日までに印鑑ついてください、そうしなかったらあなた首ですよと言われている厩務員がたくさんいるんです。五万一千円で三頭見たら、十五万三千円ですよ。子供もいて、奥さんもいて、一カ月十五万三千円で、毎日毎日、動物の世話、馬の世話をしなきゃいけない。こういった現状があるということを、局長は知っていただいて今回の法改正を出していただきたかった。

 私は、この現状の相反するものとして、JRAの役職員、今十四人中五人と言われましたか、私も調べましたよ。理事長は農林水産事務次官、常務理事に九州農政局長、理事に経済局統計情報部長、四国森林管理局長、非常勤ですが監事に北陸農政局次長、これだけの方が天下っていて、その方々の給料は幾らですか。それは、その方はそれなりの仕事があるんだと言われるかもしれないけれども、金額だけ見ると、本俸が百二十四万一千円なんです。

 こういったJRAの今の給与体系と、地方競馬における本当に競馬を支えている厩務員の方の経済状況との格差は、JRAは国の財政に寄与するためです、地方競馬は地方の財政に寄与するためです、だからそれぞれ二つ分けておかなければいけないんですということを合理的説明をするにしても、大変に差がある現状だということを私は強く指摘をさせていただきたいと思います。

 局長は今のこういった現状を答弁していただけなかったんですけれども、今の話を聞かれて、大臣、いかがでしょうか。

 確かに、今の地方競馬と中央競馬のそれぞれ極端なところを見ているのかもしれませんけれども、片や、十五万三千円で暮らせと言われている厩務員の方がいるんです。こういう方々、もう今となっては調教師も、一着賞金が十八万円とか二十万円とかしかなければ、賞金から入ってくる、かつては、例えば二百万円賞金があれば、そのうちの五%なりが調教師へも入ってきますから、一着の馬を出せば十万円ぐらいのお金が入ってくるという話もあったでしょうけれども、十八万円の一着賞金だったら、五%もらっても九千円ですよ。

 こういったような状況を理解していただいた上でも、なおかつ一元化というのは難しい、もしくは財政的な改善、この第一歩だと言われているけれども、第二歩がいつになるかまだわかりません、前回の競馬法の改正が平成三年と十年以上たっているわけですけれども、あと十年これで頑張れというような内容になっているのか。私はぜひこの点を検討していただきたいですし、大臣として明確な、はっきりとした御答弁をいただいて私の質問を終わらせたいと思いますので、どうかいい答弁をお願いします。

亀井国務大臣 今回の改正につきましても、研究会等々を重ね、そして中央と地方との開催日等々の連携、また中央、地方のいろいろの面での連携を密にして、そしてコストの問題等々、いろいろの問題点を克服しよう、こういうようなことで法改正をお願いしておるわけでありまして、この法改正をもとに、その目的が達成できるような対応を十分指導してまいりたい、このように考えております。

岡本(充)委員 本当に、しっかりとした対応をとっていただいて、地方競馬の活性化、よろしくお願いしたいと思います。

 質問を終わります。

高木委員長 次に、白保台一君。

白保委員 けさからの競馬法の改正議論を聞いておりました。大変競馬に詳しい方の議論もありましたし、そうでない方の議論もあったようですが、私はそうでないところの立場でございますけれども、そういった中で整理をしながら、短い時間ですからお聞きをしていきたいと思います。

 中央競馬会で行う中央競馬と、それから都道府県や市町村が開催する地方競馬に分かれている、こういう二つがあるわけですが、これは諸外国にはない日本の特徴なんだそうであります。

 それぞれの起源を尋ねていくと、中央競馬は、文久二年、一八六二年に横浜の居留外国人が始めた洋式競馬が発端だ、こういうふうに言われています。戦前の政府は軍馬の改良増殖のためにこれを公認して、一九四八年からは政府みずからが国営競馬として開催した、こういうふうに言われています。一方、地方競馬は、古くからの全国各地の神社の祭典で奉納された神事が起源だ、こういうふうに言われています。こういうことから、中央競馬が、畜産振興やスポーツとしての競馬という観点がルーツにあり、また地方競馬というのは、庶民が収穫のお祝いを神様にささげるお祭りの行事がルーツだと今回勉強させていただきました。

 今日、社会情勢が変わってまいりましたから、競馬のイメージというのが随分と変わってきたようであります。かつては、まさにギャンブルにのめり込む、こういうようなイメージもありましたが、今では若い人や女性も参加をして、いろいろなゲームというふうな感じで受けとめられておる。スポーツ、ゲームというふうに考える人が多くなった、また国民が競馬に求めるものが時代とともに変わってきている、こういうふうに思います。

 そこで、競馬法ですからお伺いしたいと思いますが、大臣にお伺いしますが、我が国の競馬のあるべき姿というものはどういうものなんだろうか、あるいはまた公営ギャンブルである競馬が果たす役割というのは一体何かということを確認をしておきたいと思います。

亀井国務大臣 今、委員からお話をいただいて、私も最初に子供のときに祖父に連れられて競馬に行ったことを思い出すわけであります。そのとき、小学校に入ったか入らないかだったと思います。そこに行ったとき、今委員からの御指摘のとおり、人がたくさん集まっておりまして、そこでいろいろのおもちゃを買っていただいたりしたことがあります。

 そういうところで、やはり馬と人との古いつき合いというか、そういう中から生き物を相手にした公営競技、そこで馬が走っている、そして人が集まっている、ある面では、先ほど御指摘のお祭りというか、そういうところもあったようにも今思い出し、楽しみの一つであったのではなかろうか、こう思います。

 そういう面で、ぜひ、国家財政、地方財政、あるいはまた畜産振興、あるいはまた娯楽というような、目的がいろいろあるわけでありまして、そういう役割を果たす、そういう点で、やはりこれからも魅力ある競馬というものを育成していくとか、あるいは競馬ファンの関心が集まるようなスターホースが登場する、そういう面での努力、こういうような面で生産現場からの強い馬づくり、こういうようなことが行われて、先ほど申し上げましたとおり、国家財政やあるいは地方財政、そしてさらには生産、増殖また畜産振興、そして娯楽、楽しみ、健全な娯楽、こういうものが提供される場となりますことを、今回の競馬法の改正、こういうものを契機に、それぞれの競馬の主催者等が収支改善等々に努力をしていただき、私どももその支援をしてまいりたい、こういう考え方を持っております。

白保委員 三十日に中央競馬主催の日本ダービーが行われたわけですね。新聞によりますと、皐月賞は速い馬が勝ち、ダービーは運の強い馬が勝ち、菊花賞は強い馬が勝つ、そしてダービーは比較的かたくおさまる、こんなふうに言われているんだそうです。これは新聞に書いてあるんですよ。私の予想じゃありません、それほど私知りませんので。今回も、一番人気のキングカメハメハが新記録で優勝した。北海道道営のコスモバルクが非常に人気があったわけですけれども、八着に終わってしまった、非常に残念だ、こういうふうなことも言われています。

 そういった中で、中央競馬は、売り上げのピークが平成九年で四兆円、十五年では三兆百三億円に減少した。地方競馬は、平成三年度が売り上げのピークで九千八百六十二億円だったものが、十四年度には四千九百億円、こういうふうになっているわけです。

 地方競馬は、収支悪化で次々と事業を廃止しておりますが、高知競馬、これはハルウララの人気で、昨年度は九千万円黒字を出したとも言われております。地方競馬もスターが出ればそれなりに売り上げを伸ばすことができるのかな、こういうふうに思うわけですけれども、しかし、経営規模が脆弱ですから、高いコストを背負って経営的にはほとんど成り立たない、そういう状況というものが続いているようであります。

 こういうことを事業収支を改善しようとして、最近は交流が盛んになってきたわけですけれども、交流が盛んになっていく、中央、地方双方の施設でお互いの馬券を買うことが可能になって、地方の馬券が買いやすくなる、こういう状況になると思います。

 そこでお伺いしますが、連携と交流でメリットがあるのであれば、先ほども議論がありましたが、中央、地方の一元化を議論していってもいいんじゃないか。そもそも中央競馬と地方競馬の両方が存続する、歴史的なルーツは違うとしても、もうそろそろいいんじゃないか、こういうようなことを考えるんですが、いかがでしょうか。

白須政府参考人 ただいまの、中央競馬と地方競馬の一元化という御議論でございます。

 委員もお話しのとおり、やはり中央競馬と地方競馬、そもそも施行主体が全く異なるわけでございます。中央競馬は国家財政に大変寄与しておりますし、地方競馬は地方公共団体の財政に寄与しているというふうなことでございますし、委員からもお話ございましたとおり、やはり競馬の成り立ちそのものが異なるわけでございます。そういった経緯を踏まえて共存をしてきたものでございます。

 また、地方の主催者の意向によりましても、中央競馬と地方競馬を一元化するということは難しいというふうに考えておられる主催者も多うございまして、今、地方競馬の収支が委員御指摘のとおり悪化をしておるわけでございます。仮に、そういった悪化しております地方競馬と中央競馬会を一元化するということは、中央競馬会の経営を一層圧迫するということにもなるわけでございまして、これは適切ではないというふうに考えている次第でございます。

 しかしながら、今後の我が国の競馬の発展ということを考えていきます上で、やはり中央競馬と地方競馬との連携、協調は極めて重要だというふうなことでございまして、そんなことで、今回の改正におきましても、中央競馬会と地方競馬主催者の間で馬券の発売あるいは払い戻し、そういった事務の受委託を可能とするというふうなことでございまして、そういったことによりまして、中央、地方双方の売り上げの拡大あるいは収支改善に寄与するというふうに考えております。また、その結果、競馬ファンへの利便性も改善されるというふうに考えている次第でございます。

白保委員 地方競馬のブロック化の問題について伺いたいと思いますが、今回の改正案では、複数の地方競馬主催者で、事業収支の改善を図るために地方競馬のブロック化を促進するものとしています。各ブロックが収支改善に向けて競馬連携計画を策定して、農水省の査定をクリアすれば、大臣の認定が与えられて助成金を受けることができる。

 ブロック化で最大の問題となっていくのは、開催規模であると言われております。開催日の振り分けなど難問があり、各主催者では競走馬の供給過剰になるところがあるわけですが、その場合、経営改善を目指す主催者は、競走馬や厩舎関係者のリストラをも敢行しなければならない、こういうことになります。もともと多額の収支赤字を抱えた主催者同士が連携していくのがその実態なんですから、ブロックの中では強力なリーダーシップが求められます。しかし、今回のブロック化促進では、各主催者による法人格のない協議会が設置されることを想定しているとか、地方競馬全国協会がその役割を担うとも聞いています。

 そこで、地方競馬のブロック化で十分なリーダーシップが確立されるべきだと思いますが、具体的にどのような取り組みをしていくのか、これをお伺いしたいと思います。

白須政府参考人 お話のとおり、十八の主催者が現在おるわけでございますが、非常に地域が限定をしておりまして、やはり自場で完結的な競馬施行というふうなことでございます。開催日そのものの日程調整ということも進んでおらないわけでございまして、いわば収益も分散化いたしておりますし、収益性も低いという状況になっているわけでございます。

 そこで、連携を図ろうというふうなことでございますが、まさに委員のお話のとおり、そこのところは、しっかりとした調整というものを行いますには、やはりそれなりのリーダーシップを発揮した形での一つの協議会というふうなシステムによってこれを調整していくことが必要なのではないかというふうに考えている次第でございます。

 したがいまして、私どもとしては、複数の主催者がそれぞれ連携を行うために連携計画をつくるわけでございますが、そのためにも、それぞれ複数の主催者でお集まりをいただきまして、一つのブロックごとの協議会というものを立ち上げていただきまして、そこでもって具体的な日程の調整なり施設の共有化、そういった連携を促進するための調整、計画、したがって、その協議会を一つの場といたしまして恒常的に協議、調整が行われるような、そういうふうな場で円滑な利害調整を行っていきたいというふうに考えているわけでございます。

 したがって、そういう中で競馬連携計画を策定をいただきまして、その中に収支改善の目標を盛り込むというふうなことでございますので、そういったことに対しまして今回の支援措置を活用していただくということで、収支改善の実を上げていきたいというふうに考えている次第でございます。

白保委員 余り時間がないので、競馬の実施事務委託制度の見直しについて。

 JRAの馬券を地方が受託する場合は収支改善にはプラスであるけれども、商品力にまさるJRAの競走を多く発売することは、地元のレースが埋没してしまって地方競馬の存在意義を希薄化し、リスクが多くなるんじゃないかということが一つ。また、民間委託がありますね。民間委託を可能にしたということについて言うならば、公正の確保、要するに背後に暴力団とかそういったものがうごめいたりすることがあってはいけませんから、公正の確保をどうするんだと。確実に担保する必要があるということが一つありますね。また、具体的にどのような取り組みを想定しているのか、具体的にどれだけの経営的効果を期待しているのか。これを、あわせて簡潔にお願いします。

白須政府参考人 お話しのとおり、やはり地方の主催者が、自分の経営を圧迫する可能性、中央の馬券を発売することによりましてそういうことで自分の経営を圧迫するという可能性はもちろんあるわけでございます。そういう場合には、例えば先ごろ行われましたダービーといった、そういう中央のG1レースのみを発売するといったようなことで、発売規模を調整するというふうなことによりまして影響は回避できるのではないか。他方、地方競馬のレースを中央競馬に委託して発売することによりまして、地方競馬のさらなるアピールにつながる可能性もあるわけでございますので、存在意義が希薄になるという御懸念はやり方によって払拭できるのではないかというふうに考えている次第でございます。

 また、私人委託に係ります、例えば暴力団、そういった不適切な者の排除ということ、これは非常に重要なことだ、やはり公正確保ということが競馬にとりましても大変に重要な点だというふうに私ども認識をいたしております。したがいまして、実は委託制度はこれからの具体化でございますので、そういう中におきまして、委員御指摘の暴力団の参入防止といったことは、きちんと公正確保というところを踏まえましてそういう不適切な者はしっかりと排除していくということで、公正な施行に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

白保委員 それでは、重勝式馬券復活と控除率の見直し、これについて伺います。

 今回の改正案で、的中率の高い単勝式、複勝式の給付金制度にかえて払い戻し率を七五%から八〇%に引き上げるというふうにしています。したがって、単勝式と複勝式は実質的には二〇%の控除率になったわけでありますが、単勝式と複勝式についてのみ払い戻し率を見直す理由を伺いたい。

 また、人気回復を図るために、重勝式の勝馬投票法が復活されます。これはかつて、一九六一年の公営競技調査会の長沼答申で、射幸心をあおるということでもって、六三年に発売が中止されたといった歴史を持ったものであります。こういったギャンブル性の高いかけ式導入の理由を伺いたいということと、またキャリーオーバーも導入するようでありますが、重勝式導入とあわせて、多額のシステム投資が必要となってまいりますが、主催者側にも必ずしも営業的にはプラスではない。これらのかけ式の改正で、売り上げが増加する効果が見込めるのかどうかということを伺いたいと思います。

白須政府参考人 お話しのとおり、単複の的中者に対しましては払戻金五%の上乗せということが認められておりまして、現に、中央競馬におきましては、平成三年以来特別給付金の上乗せが行われてきておるということで、特段問題も生じておらずに、ファンにも定着しておるということでございます。そこで、中央競馬につきましては、特別給付金の上乗せを恒久化するということでございます。これは制度に取り込むということで、払い戻し率をおおむね八〇%にするということで、いわゆる特別給付金の状況にかかわらず安定的にファンサービスを実施していくということにしたものでございます。

 他方、地方競馬の方は、これはやはり現在の状況も大変厳しいわけでございますので、地方競馬の単複の払い戻し率の八〇%への引き上げにつきましては、地方競馬の事業収支の改善状況を勘案しながら検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それから、重勝式の点につきましては、お話しのとおり、長沼答申で廃止をされた経緯があるわけでございます。しかしながら、その後四十年以上経た現在におきまして、社会情勢は大きく変化をしておる。しかも、その後紛争事件は皆無でございますし、また海外におきましても重勝式は広く普及をしておるということで、今回重勝式を導入いたしましても特に問題はないであろうというふうに考えているわけでございます。

 ただ、いずれにしても、具体的な設計に当たりましては、お話しのとおり、やはりファンの方々に受け入れられるような、ファンにとっておもしろみのあるような、そういう形で具体的な設計が行われるように検討してまいりたいというふうに考えております。

白保委員 時間も参りましたので、最後になりますが、未成年者の購入制限、学生生徒を購入制限の対象にしたのが大正十二年だそうです。ですから、時代の流れから考えれば時代の流れかな、こういうふうなことも思いますし、サッカーくじが十九歳以上に発売できるというふうなこともありますから、そういったことも意識されているんだろう、こういうふうに思います。

 しかし、インターネットなどの販売の拡大が図られている中で、未成年者の購入を防ぐ措置をどのようにするのか、具体的にそのことをお伺いしたいと思います。

白須政府参考人 ただいまの未成年者の投票、特にインターネットなどの電話投票を利用した投票におきましては、実は加入手続を行いますときに、加入申込書に年齢なり職業を記入する欄を設けておるわけでございますが、さらに免許証なり保険証なり、そういった写しの提出を求めておりまして、それによりまして未成年者は電話投票の会員となることができない、そういうふうに措置をいたしているわけでございます。

 また、そういった措置に加えまして、必要に応じまして電話による確認も行っておるということでございますので、お話しのとおり、そういった未成年者の馬券の購入ということにつきましては、やはり今回も、それはそういうことがあってはならないということでございますので、そこのところはきちんとしっかりとした歯どめができるように対応してまいりたいというふうに考えております。

白保委員 終わります。

高木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 競馬について、我が党は、スポーツ性を重視した競馬の健全な発展を望む立場から、賛成をしてきました。ただ、今回は、この競馬を支えてきた根幹を見直すものであり、重大な中身だと考えています。その点に立って質問をします。

 競馬実施事務委任制度の見直しで、私人が追加され、いわゆる民間委託が導入できるようになりました。大幅なコスト削減につながるという期待の声も確かにありますが、まず、私人とは何か、いわゆる資格や制限のようなものがあるのか、伺います。

白須政府参考人 今回、コストの削減あるいはまた民間のノウハウの活用ということで、競馬ファンへのサービス向上を図ることを目的としまして、私人への委託という制度を設けようということにしておるわけでございます。具体的な事務につきましては政令で定めるわけでございますが、私人に対しましては、馬券の発売なり払い戻し、また場内、場外の取り締まりということにつきまして委託できるように規定をすることを想定しているわけでございます。

 そこで、今の、具体的な私人とはどういうものを考えておるのかというお尋ねでございますが、例えば馬券の発売なり払い戻し、そういう事務でございますれば、競馬場やあるいはまた場外の馬券売り場、こういったところのいわゆる所有会社といったようなところが一つには考えられる。それからまた、例えば場内、場外の取り締まりの事務ということでございますれば、警備会社といったようなところに委託するということが想定されるわけでございます。

高橋委員 限られた時間なので、答弁は簡潔にお願いします。

 それで、本来、勝馬投票券の発売行為は、刑法第百八十七条で禁止されている富くじ発売の性格を有するものでありますが、競馬法によって、刑法の特例として認められているものだと認識をしております。今回、委託を可能とする勝馬投票券の発券業務が、この根幹に触れるものではないのかと思いますが、見解を伺います。

白須政府参考人 競馬の実施に関する事務の範囲につきましては、具体的には政令で定めることになるわけでございますが、競馬法は競馬の主催者を限定しておるということでございますので、特に、開催日時の決定でございますとかあるいは払戻金の額の決定、そういった競馬の実施の根幹をなす事務につきましては、引き続き主催者が行うべき事務だというふうに考えておりまして、それ以外の事務のうち、例えばこの勝馬投票券の発売など一部の事務につきまして、私人への委託が可能となるよう規定することを想定しているわけでございます。

 ただ、私人への委託を行いました場合にも、競馬の主催者は、その主催者としての基本的な責任を負うわけでございます。したがいまして、その委託をいたしました私人に対しましても必要な監督を行うということでございますので、ただいま委員からも御指摘ございましたが、私人への委託によりましてそういった法的な問題ということが生じることにはならないというふうに考えている次第でございます。

高橋委員 ですから、先ほど来の御答弁は、刑法の特例で認められている競技だ、その根幹をなすものは主催者がかかわる開催日時の決定その他そういうものを言うのであって、発券業務などはその他である、根幹ではないという認識だと思うんです、今の御答弁は。本当にそれでいいのかということなんですね。

 例えば、中央競馬会でいうと、施行令第三条の中で、発売、払戻金、返還金などをみずから行わなければならないと規定をされて、これにより直接雇用をされてきたんだと思うんですね。従事員の皆さんが、窓口で複雑な投票券のマーク方法など文字どおり競馬のスペシャリストとして対応して、だからこそお客さんに楽しんでもらってきたこと、同時に、扱うのは公金であり国庫に納めるお金であること、また、万が一にもお客さんに少なく払い戻しすることがあってはならない、そういう中で、厳重なチェック体制が求められ、現金と投票券の照合、印鑑による照合など、点検を幾重にも重ねて、神経を使ってやってきた。そういう従事員の皆さんが今日の競馬を支えてきたし、毎年三千億円を超える国庫納付金を積み上げてきた、そういう役割を果たしてきたと思うんですね。

 こういう直接雇用の意義について、大臣の認識を伺います。

亀井国務大臣 競馬の実施に関する事務、これの範囲につきましては、これはそれぞれありますけれども、今回、具体的な政令でそれを定めまして、そして委託、こういうことを考えておるわけでありまして、それぞれ重要な分野がありますけれども、しかし、いろいろ検討会等でも議論をしてまいりまして整理をしたわけであります。

 しかし、先ほど来申し上げますとおり、競馬の実施の根幹をなす事務につきましては、引き続き主催者が行うべき事務、このように考えておりまして、今回の改正というのはあくまでも、競馬主催者のコストの削減やあるいはまた民間のノウハウを活用して競馬ファンへのサービスの向上、こういうことを目的として競馬の実施に関する事務を私人に委託する、こういうことであります。

高橋委員 コスト削減だけでこの発券業務の問題を割り切っていいのかということがやはり問われていると思うんですね。先ほどお話ししましたけれども、公金を扱うという性格、それを根幹ではないという認識が大臣にはあられるのかなと思うんですけれども、それを後で政令で定めるからという問題では済まないわけですよ。それを踏まえて、どうするかということを今審議しているわけですから、もう少しその点は具体的な認識を伺いたいと思います。

 次に、関連するので進みますけれども、問題は、では、これが外部委託になったとき、退職かあるいはその委託会社に派遣が迫られるのでないのか。参議院の委員会の審議の中では、労使間の話し合いをやってください、そういう答弁があったと思いますが、それだけでいいのかということなんですよ。国からお墨つきをもらって、国が法改正をしたんだから委託できますよと。国からお墨つきをもらって、リストラもできるよ、もしこうなったら、それで済むのかという問題なんです。

 従事員が一方的な解雇や不当な賃金引き下げを要求されるなど不利益な扱いがされないように、国として一定のガイドラインを示すなどの歯どめを持つべきだと思いますが、この点を伺います。

亀井国務大臣 従業員の雇用の問題、これは各主催者の経営判断、これによるわけでありまして、処遇されるもの、このように思います。そういう面で、国がガイドラインを一律に示すということは、各主催者の主体性が損なわれる、こういうものではなかろうか、こう私は思います。

 したがいまして、やはり、この従業員の処遇の問題等々につきましては、十分主催者と従業員との話し合いの中で適切に対応される、これが必要なことではなかろうか、このように思います。

高橋委員 重ねて伺いますけれども、話し合いが必要であるというのは、当然、民間の会社、どこでも当たり前のことであって、十分な説明がないままに一方的な解雇があったりとか、そういうことがあってはいけないというのは、これまでの判例でも、裁判などでも明らかにされてきた問題でありますよね。でも、今回の場合は、ただの民間会社ではないわけですね。国庫にお金を納めている団体であり、農林水産大臣はJRAを指導監督する立場にあるわけですよ。お墨つきもらって、あと、話し合いでいいわよと。労組がないところだってあるんですよ。そういう現場の力関係だけにゆだねていいのか。

 では、適切な扱いが、身分保障がされるように、国としては何の手だても打たないんですか、もう一度。

亀井国務大臣 私人に委託をいたしまして公正の確保が図られない、こういうようなときには、やはり十分指導してまいりたい、こう思っております。

高橋委員 よろしくお願いします。

 次に、深刻な地方競馬の問題で伺います。

 単年度収支が赤字となる主催者が大半を占め累積赤字がかさんでいること、十三年度から十五年度で既に七つの競馬が事業から撤退したという中、いずれも今後のあり方を模索しているところであります。今回、地方競馬主催者が単独で事業改善を図ろうとするとき、事業収支改善計画を作成し、農林水産大臣の同意を得た場合、地全協への交付金を最長三年間猶予する特例を盛り込みましたが、この事業収支改善計画書に盛り込む内容、何を考えているのか、どうやってそれを判断するのか、伺います。

白須政府参考人 今回の法改正におきまして、ただいま委員からもお話ございましたとおり、厳しい状況にかんがみまして、事業収支改善のための一号交付金の猶予制度を設けたわけでございます。そういった制度を活用いただきまして主催者の活性化を図っていただくということを目的にしているわけでございます。ただ、いずれにしても、競馬事業の継続なり撤退ということは、みずからの意思で、それぞれの地方の主催者が判断されるということでございます。

 この猶予措置についてでございますが、ただいま委員からもお話ございました交付金猶予の同意に当たりましての判断でございます。

 判断につきましては、それぞれ地方競馬主催者の方々の事業収支の状況、それから講じようとされる事業収支改善の内容、それぞれ異なるわけでございまして、それぞれごとに判断をせざるを得ないわけでございますが、例えば、一つには、馬券の発売の拡大策といたしまして、新たな場外馬券の発売所の設置でございますとか電話投票の会員の増加、あるいは、新たなかけ式の導入でございますとか、コンピューターの、いわゆるトータリゼータと言っておりますが、集計システムの更新、そういったことが考えられるわけでございます。また一方には、経費の削減策といたしまして、不採算日の削減でございますとかあるいは競馬事務の民間委託といったようなことが考えられるわけでございます。

 そういったそれぞれの主催者の方々が講じようとしておられるただいま申し上げましたような具体的な内容につきまして、それぞれ個々に、個別にその効果がどういうものであるのかというのを判断していく必要があるわけでございますが、基本的には、地方競馬の主催者の方々が策定をされました事業収支の改善計画、そういったことの確実な履行を通じましてその主催者の事業収支が改善される、それによりまして交付金の安定的な交付が見込まれることになるかどうかということを、ただいまのような具体的な内容から見きわめるということになろうかというふうに考えている次第でございます。

高橋委員 あえて今お話にはなかったようですけれども、同じように、地方競馬の事業収支改善計画の中において、コスト削減イコール人件費の削減ということが大きく前に出ないように、その点は慎重な対処、見きわめをしていただきたいと思うのと同時に、今ちょっと例に挙げた場外の問題ですとかかけ式の問題ですとか、一つ一つ私、問題意識を持っているんですが、時間がないので、もし時間があれば後でお話ししたいと思うんですけれども、具体的な話で伺いたいと思うんですね。

 岩手競馬は、水沢と盛岡に本場があり、青森と秋田を含む九カ所のテレトラックを持っています。先日この二つの競馬場を見てきましたけれども、馬を間近に見ながら家族で楽しむ姿を見て、改めて競馬のよさを感じたり、あるいは、水沢の方では、農耕馬を走らせた時代があったこと、高校に馬術部を持ち、国体開催など、市民の中に根づいてきた競馬の歴史などを感じることができました。ところが、この岩手県競馬組合は、盛岡に平成八年、オーロパークをオープンさせて、一億六千万円の馬の彫刻をシンボルに、四百五億円の施設整備、これが大変重くのしかかっております。

 岩手競馬のあり方懇談会報告書では、「地方競馬は、地方財政に寄与することを目的としており、」現在ではその開催する意義が認められないとまで言い切り、「競馬組合の歳入不足額がこれ以上増加するのであれば、」「廃止することを決断すべき」とまで提言をしています。ただ、施設整備の責任は確かに問われなければならないわけでありますが、同時に、二千八百人もの関連する従事者への影響、廃止による債務負担が自治体にかぶさってくることの影響ははかり知れないものであります。

 岩手競馬は、一人当たりの売り上げは大きく減少しておりますが、入場者は順調にふえ、二百万人を超すファンに支えられております。四十年間、地全協、公営企業金融公庫への交付金のほか、剰余金からの自治体への配分四百七億円、合わせて七百三十五億円を交付してきたという実績もございます。

 これらを踏まえて総務省に伺いますが、要望が出ております。公営企業金融公庫からの長期借入金について、経営が安定するまでの間、償還の繰り延べや低利な起債への借りかえなどを検討するべきと思いますが、伺います。

山口政府参考人 お答えを申し上げます。

 公営企業金融公庫による地方債の繰り上げ償還につきましては、政府資金と同様に、平成十三年度から、希望する地方公共団体につきまして、公庫が将来収入すると見込んでいた利子に相当する補償金を支払うことを条件に繰り上げ償還を行うことが可能になっているところでございます。これは、公的資金について一括の繰り上げ償還が認められますと、長期で安定した資金を地方公共団体へ供給するという基本的な機能を損ないかねないことから、補償金の支払いを条件としているものでございます。

 このような趣旨から、お尋ねの地方競馬に係る借りかえ制度を創設することにつきましては困難であると考えております。

高橋委員 御検討をよろしくお願いします。

 終わります。

高木委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本でございます。

 最初に、中央競馬会の事業についてお尋ねをいたしますが、中央競馬の売り上げが平成九年の四兆七億円というものをピークに毎年四%から六%減少している、そして平成十五年度は三兆円ということで、利益率も大幅に減少ということが言われております。

 そうした中で、平成十四年の一月に総務省から特殊法人に関する行政評価・監視結果に基づく勧告というのを受けておるわけですが、この勧告を受けて、事業の見直しというのはどのように進んでいるのか、お伺いします。

白須政府参考人 ただいまお話しの平成十四年一月に総務省から日本中央競馬会に関する行政評価・監視結果に基づく勧告が行われたわけでございます。その一つとしましては、売り上げの現状を踏まえまして現在の費用の構造なり規模の見直しをすべきである、それから二つとしては、投資に見合う効果が確保される施設整備、三つ目は、公正確保に配意しつつもこれまで以上の競争入札の導入、四つ目は、販売窓口の自動化の促進と要員の縮減、そういった指摘を受けたところでございます。

 この指摘を受けまして、日本中央競馬会といたしましては、開催経費全体にわたります経費の縮減というふうなことでございまして、平成十三年から十四年で合わせて五百三十三億円もの縮減をいたしたわけでございます。それから、設備投資に係る事前あるいは事後評価の導入、また、子会社等との取引額の縮減、随意契約から競争契約への移行ということもやっております。また、投票窓口業務の自動化の推進あるいは窓口要員の縮減というふうなこと、また競馬賞金等の競走事業費の縮減、そういった措置を講じまして、平成十五年の十二月に農林水産省の方から総務省の方に回答をしたところでございます。

 私どもとしましても、大変、競馬をめぐる厳しい状況でございますので、そういった状況に対応いたしまして、今後とも、中央競馬会に対しまして、公正確保を図るということを第一義といたしまして、業務なり財務の合理化、効率化ということにつきまして適切に指導してまいりたいと考えております。

山本(喜)委員 かなり経費の圧縮ということでやっているようですけれども、子会社との関係ですね。この勧告では、競馬開催費用の借損料、役務費、こういうのが平成二年から十二年までに二・二倍に伸びているということで、子会社との関係について随意契約から競争入札にするべきだと。これはどの程度改善されたんですか。

白須政府参考人 子会社との関係でございます。

 ただいま委員からもお話がございましたように、随意契約から競争契約への移行ということでございまして、平成十三年から十五年で約二十二億円分、競争契約へ移行というふうに承知をいたしております。

山本(喜)委員 子会社は何社で、そのうち天下りされている方は何人おられますか。

白須政府参考人 子会社は四社でございます。

山本(喜)委員 天下りされている方の人数。――後で回答を願って結構ですが、財政が、売り上げが減って厳しくなっているという中で、子会社、天下り先との取引というものをもっと透明性のあるものにしていくということで、さらに改善をお願いしたいということでございます。

 回答を待っていると時間がなくなりますので、次に行きます。

 もう一つは、地方競馬の関係。今回、撤退ということについても触れておりまして、一号交付金の猶予という制度についてでありますが、事業収支が改善されずに競馬事業から撤退をするという場合に、猶予した交付金を免除して、撤退経費に充てることができるということでありますが、具体的にはどのような使い道になるのか、お伺いします。

白須政府参考人 委員のお話のとおり、まず、交付金の一部の交付を猶予するということでございます。そこで、単独でリストラ計画を立てるということでございますが、その後、いろいろな努力を、リストラの努力をしていただくわけでございますが、それでも万やむを得ず競馬の事業から撤退するという場合には、ただいまお話しのとおり、猶予された交付金を競馬の事業からの撤退に必要な経費に充てることができる、こういうふうなスキームになっているわけでございます。

 そこで、具体的にどうかというお話でございますが、これは、それぞれの主催者の御判断でいろいろな形での使い方があるというふうに承知をいたしておるわけでございますが、いろいろな例、これまでの例からいきますと、そういった競馬の開催にかかわるもろもろの方々への見舞金でございますとか、あるいはまた新たな職のあっせんといったようなこと、そういった形での見舞金的なものに充てられておるというのが実態としてはあるわけでございます。

山本(喜)委員 見舞金という形だけでなくて、やはり地方の雇用情勢は大変厳しくなっているわけでございますから、地方の雇用対策ということに義務づけた使い道というものを検討していくべきではないのかと思いますが、この点についてはどうでしょうか。

白須政府参考人 ただいまのお話でございます。

 これにつきましては、先ほど私が申し上げましたとおり、いろいろな形でそれぞれ主催者が使っておられるわけでございます。これは、それぞれに、その対象とする範囲が主催者ごとに異なるわけでございますので、ただいま委員の御指摘のように、一律に使途を定めるというふうなことは困難であるわけでございますが、やはり、これまでの撤退の事例から見ますると、競馬事業の廃止によりまして生じます経済的影響を緩和いたしますために行います廃止見舞金、そういうものが一番必要となるというふうに考えておりますので、そういう形で、主催者と関係者の話し合いによりまして具体的には決定されるべきものであるというふうに認識をいたしている次第でございます。

山本(喜)委員 そこで、今の競馬事業における雇用関係ですね。厩務員という方が、中央競馬会関係で二千七百六十名、地方競馬関係で三千七百七十九名という人数あるんですが、こうした方々の雇用関係はどうなっているのかということと、それから雇用保険というものの加入状況を把握されているのかどうか、お伺いします。

白須政府参考人 競馬事業には、お話しのとおり、さまざまな人々が関与いたしておられるわけでございます。また、その雇用関係につきましても、それぞれ、業務の内容でございますとかあるいは雇用期間ということで、さまざまに異なっているわけでございます。

 ちなみに、調教師さんと厩務員との間の雇用関係につきましては、調教師は、競走馬の飼養管理を行う厩務員を雇用する、そして、競馬場なりトレーニングセンター内の厩舎を借り受けまして、競走馬の飼養または調教を行っているわけでございますが、厩務員は、調教師の責任のもとで、調教師から指示を受け、担当する競走馬の日常の世話、そういった厩舎活動を行っているわけでございます。したがいまして、こういったことから、調教師と厩務員は、その多くが直接の雇用関係にあるというふうに承知をいたしているわけでございます。

 また、一方、騎手と調教師は、競走ごとに騎乗契約を締結しておるということでございまして、雇用関係にはないというふうに承知をいたしているわけでございます。

 また、競馬の主催者と従事員の雇用関係につきましては、原則といたしまして開催ごとということで、中央でございますと八日間、地方では六日間、そういった開催ごとに従事員を雇用しておるという実態にあるわけでございます。

 なお、おっしゃられた厩務員の雇用保険ということにつきましては、中央競馬におきましては、すべての厩務員が雇用保険、労働災害保険、健康保険、年金保険等に加入しておる。また、一方、地方競馬におきましては、労働災害保険、健康保険につきましてはほとんどの主催者におきまして加入をしておりますが、雇用保険や年金保険では加入率は必ずしも高くない状況であるというふうに聞いている次第でございます。

山本(喜)委員 高くない加入率について、是正の指導はしていくんでしょうか。

白須政府参考人 その点につきましては、加入するように指導いたしているところでございます。

山本(喜)委員 実効は上がっているんですか。これから地方競馬の撤退というふうな状況が見えてくるかもしれない中で、指導が実効を上げていかないと意味がないというふうに思うんですが。

白須政府参考人 私ども、地方競馬の点につきましては、おっしゃるとおり、中央競馬は直接なんでございますが、地方競馬は施行者を通じてということでございますので、そこのところは、委員御指摘のとおり、実効率が必ずしも上がっていないというところかと思っております。

山本(喜)委員 ぜひ、その実効を上げるように、取り組みを強めていただきたいというふうに思います。

 それから、のみ行為の関係ですが、のみ行為の規模、三千億円というふうに推定されておりまして、暴力団の資金源ということのようでありますが、先ほど、民主党の岡本委員の質問のときに、警察の方から、証拠として扱うのはケース・バイ・ケースというふうな答弁があったと思うんです。そうすると、公判の中で証拠として扱われるというふうなことになった場合、職員の安全ということについてはどのように配慮されるのか、お伺いします。

白須政府参考人 現在、のみ行為に対処をいたしますためには、日本中央競馬会の職員等が情報収集を行うわけでございますが、現行の規定によりますと、のみ行為の馬券、馬券といいますか、勝馬投票類似のものを購入いたしますと、百万円以下の罰金ということで罰則がかかるわけでございます。したがいまして、こういった職員ものみ屋からの馬券購入ができないということで、逆にのみ行為の胴元に不自然な行動だと、要すれば、のみ屋に行ってものみの馬券を買わないで、じっとといいますか、状況だけを把握しておるというふうなことで、逆に不自然な行動と見られまして尾行されるというふうなことで、むしろ危険を感じることがあるわけでございます。

 したがいまして、今回は、農林大臣の許可を受けましてそういうのみの馬券を購入することができる、そういう場合にも罰則の適用がないというふうな規定を置こうというものでございまして、むしろ競馬主催者の職員に対する危険の回避を図ろうというものでございます。

山本(喜)委員 しかし、証拠として採用されるんだったら、やはり今でも尾行されるわけだから、証拠として採用されることになったら職員の名前とか何かも出てくるわけだから、そういうのでの安全対策というのはどうなっているんですか。

白須政府参考人 私どもとしましては、警察ともよく連絡をとりながら、そういう捜査活動の端緒となるような情報提供ということで提供してまいりたいということでございます。

山本(喜)委員 さっき警察から、証拠として採用する場合もあるというふうに答弁があったんですね。ですから、ぜひ、身の安全というものに十分配慮して、警察との連携を十分やっていただきたいというふうに申し上げまして、終わります。

高木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋委員 私は、日本共産党を代表して、競馬法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 第一の反対理由は、競馬の実施に関する事務を民間企業にまで委託できるとしたことであります。

 賭博、富くじ販売禁止の例外として、国、都道府県及び指定市町村に限って行われている公営競技において、それぞれの主催者が責任を持って実施することが、公正な運営の保障であり、ギャンブルの弊害を抑制することにつながると考えます。経費削減や効率性本位で民間委託が行われるならば、健全な国民のレジャーとしての発展方向に逆行するおそれがあります。また、販売、払い戻し等、民間委託が予想される業務に携わる労働者の身分保障を不安定化させるものであります。

 第二の理由は、売り上げをふやすため、ギャンブル性拡大の方策をとっていることであります。

 射幸心を高め、かけごとの弊害を助長するとして廃止されていた重勝式投票方法の復活をどれほどの議論を経て復活させたのか問題であります。さらに、成人した学生の購入禁止を解除することは、未成年、成人がともに学ぶ教育現場への影響を無視することができません。

 なお、本法案は地方競馬への支援策を盛り込んでおります。しかし、その内容は、生き残れるところだけ地方競馬全国協会への交付金納入を延期させる措置であり、その猶予額も、莫大な累積赤字規模と比べたら極めて少額であります。また、施設整備事業にほぼ限定した競馬連携計画への財政支援策のもと、無理な投資が行われたり、住民との摩擦が起きがちな場外販売施設設置を促進させる懸念があります。

 さらに、競走馬生産振興業務とする生産者対策も、いまだ構想がはっきりせず、生産地との協議も不十分であります。一定の枠がある中央競馬会の特別振興資金からと財源規模を限定したのでは、非常に不十分なものになると思われます。軽種馬生産を文字どおり農業、畜産振興として位置づけ、馬産地の自治体や農協などが実施しやすい抜本的な対策こそが必要であります。

 以上を申し上げまして、私の反対討論を終わります。

高木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、競馬法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十五分散会


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