第1号 平成16年8月4日(水曜日)
本国会召集日(平成十六年七月三十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。委員長 高木 義明君
理事 北村 誠吾君 理事 西川 京子君
理事 松下 忠洋君 理事 松野 博一君
理事 黄川田 徹君 理事 小平 忠正君
理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君
赤城 徳彦君 石田 真敏君
小野寺五典君 大野 松茂君
梶山 弘志君 金子 恭之君
木村 太郎君 後藤 茂之君
後藤田正純君 佐藤 勉君
玉沢徳一郎君 津島 恭一君
永岡 洋治君 西村 康稔君
野呂田芳成君 平井 卓也君
二田 孝治君 岡本 充功君
鹿野 道彦君 金田 誠一君
岸本 健君 楠田 大蔵君
篠原 孝君 神風 英男君
仲野 博子君 楢崎 欣弥君
堀込 征雄君 松木 謙公君
西 博義君 高橋千鶴子君
山本喜代宏君
平成十六年八月四日(水曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 高木 義明君
理事 北村 誠吾君 理事 西川 京子君
理事 松下 忠洋君 理事 松野 博一君
理事 黄川田 徹君 理事 小平 忠正君
理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君
赤城 徳彦君 石田 真敏君
小野寺五典君 大野 松茂君
梶山 弘志君 金子 恭之君
木村 太郎君 城内 実君
倉田 雅年君 後藤 茂之君
後藤田正純君 佐藤 勉君
玉沢徳一郎君 津島 恭一君
永岡 洋治君 野呂田芳成君
平井 卓也君 二田 孝治君
岡本 充功君 鹿野 道彦君
金田 誠一君 岸本 健君
楠田 大蔵君 篠原 孝君
神風 英男君 仲野 博子君
楢崎 欣弥君 松木 謙公君
西 博義君 吉井 英勝君
山本喜代宏君
…………………………………
農林水産大臣 亀井 善之君
農林水産副大臣 金田 英行君
農林水産大臣政務官 木村 太郎君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 齊藤 登君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 中富 道隆君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 佐藤 悟君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 外口 崇君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 小林 芳雄君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 伊藤 健一君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 中川 坦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 白須 敏朗君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 須賀田菊仁君
政府参考人
(水産庁長官) 田原 文夫君
農林水産委員会専門員 飯田 祐弘君
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委員の異動
八月四日
辞任 補欠選任
後藤田正純君 倉田 雅年君
西村 康稔君 城内 実君
高橋千鶴子君 吉井 英勝君
同日
辞任 補欠選任
城内 実君 西村 康稔君
倉田 雅年君 後藤田正純君
吉井 英勝君 高橋千鶴子君
―――――――――――――
七月三十日
牛海綿状脳症対策特別措置法の一部を改正する法律案(鹿野道彦君外五名提出、第百五十九回国会衆法第二三号)
輸入牛肉に係る情報の管理及び伝達に関する特別措置法案(鹿野道彦君外五名提出、第百五十九回国会衆法第二四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
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○高木委員長 これより会議を開きます。
国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
農林水産関係の基本施策に関する事項
食料の安定供給に関する事項
農林水産業の発展に関する事項
農林漁業者の福祉に関する事項
農山漁村の振興に関する事項
以上の各事項について、実情を調査し、その対策を樹立するため、本会期中調査をいたしたいと存じます。
つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○高木委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、政府から説明を聴取いたします。農林水産大臣亀井善之君。
○亀井国務大臣 まず、WTO交渉について御報告申し上げます。
私は、WTO交渉の枠組み合意に向け、各国閣僚等と詰めの交渉を行うため、七月二十六日から八月二日までスイスのジュネーブに出張し、WTO一般理事会や少数国会合等に出席してまいりました。
今回の交渉会合は、今次ラウンドの成否のかぎを握る枠組み合意を目指すものであり、夜を徹して行われたグリーンルーム会合を初め、G10閣僚会合、さらにはグローサー農業交渉会合議長、各国閣僚等との会談において精力的かつ集中的に議論を行った結果、最終日の深夜、合意に達しました。
我が国は、農業交渉については、多様な農業の共存を基本理念とし、柔軟かつバランスのとれた貿易ルールの確立に向けて、食料輸入国から成るG10の一員として積極的かつ建設的に交渉に貢献してまいりました。その結果、今回の枠組み合意において、重要品目が一般の関税削減方式と異なる扱いとされたこと、その品目の選択が各国の裁量にゆだねられたこと、上限関税の設定についてはさらに今後の検証にゆだねられたこと等の点で、G10の主張が相当に反映されたものと考えております。
このように、今回の交渉においては、今後の農業分野のモダリティー交渉において、非貿易的関心事項の適切な反映を初め、我が国の主張を実現するための土台をつくることができたものと考えております。
さらに、林水産物についても、枠組み合意において、関税削減方式に関しさらなる交渉が必要であるとされたこと、分野別関税撤廃等に関し具体的な分野が示されなかったことから、一定の評価をすることができると考えております。
今後は、枠組み合意後の交渉の中で、実質的な市場アクセスの改善を図りつつ、同時に、食料輸入国の主張を十分に反映した、バランスのとれた現実的なモダリティーが確立されるよう、さらに努力をしてまいる考えであります。
また、現在、食料・農業・農村基本計画の見直し作業を行っておりますが、こうした国際事情を踏まえ、競争力の強化に向けた農政改革を進めてまいりたいと考えております。
次に、このたびの梅雨前線豪雨による農林水産関係の被害状況について御報告申し上げます。
まず、この災害により被災された方々に心よりお見舞い申し上げる次第であります。
梅雨前線の活動が活発化したことにより、去る七月十二日夜から十三日にかけて新潟県及び福島県を中心に、また十七日夜から十八日にかけて福井県を中心に豪雨となりました。
農林水産関係の被害状況につきましては、この新潟県、福島県及び福井県を中心とした豪雨災害により、水稲、大豆等の農作物の冠水、農地、農業用施設、林地、林道の損壊等の被害が発生しており、引き続き被害状況について調査を継続している段階であります。
農林水産省としましては、被害状況の早期把握に努めるとともに、関係各県等と連携を図り、農地、農業用施設、林地、林道等の被害に対する農林水産業施設災害復旧事業の早期実施、水稲、大豆等の農作物被害に対する共済金の早期支払い、経営再建等に必要な低利な経営資金の円滑な融通及び既貸付金の償還猶予等、農作物の被害拡大防止のための技術指導等の災害対策に万全を期してまいりたいと考えております。
また、台風第十号による農林水産関係の被害状況については、現在調査している段階であります。
委員各位におかれましては、引き続き一層の御理解と御支援をお願いいたします。
○高木委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○高木委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長小林芳雄君、大臣官房総括審議官伊藤健一君、消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、経営局長須賀田菊仁君、水産庁長官田原文夫君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、外務省大臣官房審議官齋木昭隆君、大臣官房審議官中富道隆君、大臣官房参事官佐藤悟君及び厚生労働省医薬食品局食品安全部長外口崇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川京子君。
○西川(京)委員 おはようございます。自由民主党の西川京子でございます。よろしくお願い申し上げます。
今冒頭に亀井大臣の方からもお話がありましたが、今回の新潟、福井の水害の被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
私も、昨年、地元の水俣の大災害を経験したものでございますので、本当に水害の後のさまざまな大変な思い、よくわかるつもりでございます。どうぞ、政府の方においても、手厚い手当て、よろしくお願いしたいと思います。
それから、亀井大臣以下、本当にWTOでのお仕事、お疲れさまでございました。
今回、十年前のWTOの米の輸入自由化受け入れのあのときのことを考えますと、本当に私は、与党の国会議員として、今回の代表団の成果は大いに評価したいと思います。やはり十年前のあのときの状況と今の農業をめぐる環境、大いに違う現実があるとは思いますが、その中で本当に精いっぱいの御努力を重ねられた結果だと私は思います。
あのときの環境と今回の代表団の環境との違いは何か。私は、今回、もちろん政府代表団の一生懸命の御努力、それにプラス、やはり与党として、我が党の国会議員団、議員外交というものの大事さ、この何年か一生懸命積み重ねてきましたが、その成果も大きかったと思います。議員団の代表、そしてまた農業団体の皆様が、それぞれの国の実際の農業者と連携を組みながら、農業団体の方々も一緒に行かれた、その三者が一体となって交渉に臨んだというその結果が今回の成果を生んだ大きな力になったのではないかなと私は思っております。
そしてまた、対外的には、あのときに、日本が米の輸入自由化を認めてしまった前回のときにおいては、本当に日本は、輸出国の論理に押されっ放しの中で孤立していたと思います。今回、そういう中で、対外的にも日本政府も精力的に動いて、いわゆる食料輸出国に対抗して、スイス、ノルウェーあるいは韓国、そういったG10と言われる純食料輸入国との連携を密に図ったということ、そしてまた、発展途上国の国々、この二十カ国の人たちとも大いにいろいろな、一緒に共有できるところは意思の疎通を図っていったという、その対外的な一つの外交分野での一生懸命な努力、その成果もあったと私は思っておりますが、今回、亀井大臣、長い交渉の結果を踏まえて、コンパクトに御所見をお伺いできたらと思います。
○亀井国務大臣 WTO農業交渉につきましては、先ほども御報告申し上げましたとおり、先月末、ジュネーブにおいての各国閣僚等との間での精力的かつ集中的な議論を行い、その結果、枠組み合意を見るに至ったわけであります。
昨年九月のカンクンでのあのような状況以降、我が国といたしましても、いろいろの立場でそれぞれの国々といろいろの話し合いを進めてまいったわけであります。そういう中で、今回の枠組み合意、全般的に見ますと、いわゆるセンシティブ品目が一般の関税削減方式と異なる扱いとされたこと、また、品目の選択が各国の裁量にゆだねられたこと、そして、上限関税の設定の議論が事実上先送りをされたことなどの点、これは委員からも御指摘のとおり、我が国がいろいろ努力をし、G10、十カ国の結束を強めて、この主張が相当に反映された、このように考えております。
さらには、これからモダリティーの問題、これからが大変重要なことであるわけでありまして、今後ともG10の国々と緊密な連携をとり、またさらに、各国との関係、こういうものを十分持ってその対応に努力をしてまいりたい、このように考えております。
○西川(京)委員 ありがとうございます。
今大臣がおっしゃいましたように、今回の決着の成果、これは本当に、いわゆる輸出国の論理だけで動いていたWTOの枠組みの中で、輸入国が本当に結束して、きちんとそれぞれの国の農業のあり方、そういうものも踏まえた中できちんとした意見を押し通した、その点が大変私は評価ができるんです。
実は、この前のカンクンのときもああいう決裂という状況になりましたが、ある意味では決裂万歳と。それは、主張を通した結果であるという評価を私どもはしていたと思います。そういう中で、今回、それが一つの下地になったのではないかなと思いますが、この日本、輸入国側の思い、それがあの成果にあらわれたんだろうと思います。
その中で、今回、今大臣もおっしゃいましたように、重要品目が関税引き下げの例外扱いを受けたということと、それから、輸出補助金が言うなれば撤廃ということが明示されたという、このことも大きなことだろうと思います。それから、貿易をゆがめる国内助成措置の削減、この辺が一つの決着のあれなんだろうと思うんですが、その中で、この重要品目の、別扱いということになったわけなんですが、実は、この辺が輸出国側と輸入国側で非常に、おのおのが自分の思いで評価をしたという、非常に微妙なところだと思います。
今回、輸入枠の拡大ということも実際にはあり得るのではないかという不安も私どもも持っておりますけれども、政府は、一応この義務的拡大というのはないと解釈していらっしゃるようにも聞き及んでおりますが、輸出国側は当然これからの交渉次第で大いにあり得ると主張していると思います。この点に関しての勝算というんでしょうか、政府の考えをもうちょっと詳しくお聞きしたいと思います。
○金田副大臣 今回のWTOの交渉、本当にいろいろと、どうやって関税を下げるルールをつくるかということで、スイス・フォーミュラとかUR方式だとかそれのブレンド方式だとか、いろいろなことが直前まで言われていたわけでございますが、最終的に階層方式ということになったわけでございます。
こういったことが全品目に適用されますと、我々がどうしても守らなきゃならない重要品目については、後、相当の関税の引き下げが強要されるわけでございますけれども、この重要品目、センシティブ品目については別枠だと。階層方式、下げなくてもいい、それとは別枠のルールだということにされたことによって日本の主要農産物が守られる、そういった素地ができたというふうに考えておるわけでございます。
この重要品目について、数はどの程度にするか、それは各国の主張と裁量にゆだねられているわけでございます。そしてまた、どんな数というか、関税割り当て品目の百十四とか百二十ぐらいだろうというふうに言われていたわけなんですけれども、これにつきまして、各国の裁量だということになっているわけですので、この数をふやすこともできるというような、そういった余地を残しているわけでございます。また、前の議長案にありました関税の最低削減は重要品目についてもやるべしというようなことがあったわけでございますけれども、これも削除させることができたということでございます。
また、この重要品目についてどうやってやっていくかということでありますが、関税削減ともう一つは関税割り当て約束の組み合わせを通じた市場アクセスをつくるんだ、こういうことでございますけれども、その一方で、センシティブ品目への配慮があって初めて最終的なバランスが達成されるということも一方に書かれているわけでございますので、一律的な関税割り当ての拡大は求められることがないというように考えておりまして、この主張をこれからのモダリティー交渉の中でもしっかりと確保していくように努力していくことが必要だというふうに考えているところでございます。
○西川(京)委員 ありがとうございます。
まさに、大きなこれからの闘いの余地をかち取ったという、大臣もまさに登山口の入り口にやっと立てたというお話をおっしゃっていましたが、これからの本当に真剣勝負の交渉の余地を何とかかち取ったということなんだろうと私も思います。
その中で、本当に存在感のある交渉が望まれるわけでございますけれども、その中で、やはり今回のまた一つの問題点として、輸出補助金の撤廃を明記した、これは本当に大きな成果だと思います。これは、いわゆる発展途上国の国々からも大きな評価をいただいたのではないかと思いますが、また片一方では、アメリカの言うなれば非常に外交的な強引さというんでしょうか、青の政策と称して国内補助金が残ってしまった形になった、こういう問題も残されていると思います。
そういう中で、私たちがずっとWTOに求めていた、輸出国と輸入国のバランス、言うなればフィフティー・フィフティー、そういうものがきちんと今回の交渉で一応の成果を得たのか、その辺のところの評価を一言お願い申し上げたいと思います。
○亀井国務大臣 ウルグアイ・ラウンドの農業合意、ここにおきましては、輸入につきましては関税以外の国境措置を原則としてすべて関税に置きかえ、譲許した上で削減することとなったわけであります。一方で、輸出禁止あるいは制限措置や輸出補助金といった輸出に関する規律、これは緩やかなものであったわけでありまして、輸出国と輸入国のバランスを欠くものであった、こう考えております。
今次ラウンドにおきましては、この輸出国、輸入国間の規律のバランスを適切なものにするということが不可欠なこと、このように考えて、私ども、G10を結成いたしまして、すべての形態の輸出補助金の撤廃や輸出の禁止及びその制限に関する規律の強化を主張してきたところでもございます。
この結果、今回の枠組み合意におきましては、輸出補助金、また一部の輸出信用やあるいは国家貿易企業に関する貿易歪曲的な行為の撤廃、輸出の禁止及び制限に関する規律強化、こういう点を明記されたところでございまして、今後の交渉におきましても、輸出国と輸入国とのバランスが適切なものになるように交渉に全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
○西川(京)委員 ありがとうございます。
もちろん、今回のWTOの交渉というのは本当に外交努力そのものだという思いがあります。そして、その裏打ちの中に、自分の国の農業を守るんだというそれぞれの思い、その思いを抱えながらの闘いの場であると思います。
私たち、国会議員として、今まで、この前の交渉までは、政府、役人の方々の最前線の方々にややもするとおんぶされ過ぎていた、おんぶされていたというところがあったと思うんですが、ここ何年かの議員努力、それはやはり私は評価されるべきだと思います。やはり現地に本当に乗り込んで、それぞれの国の実際の生産者の方々、そういう人たちとのいろいろな意見交換の中で、本当のそれぞれの国の農業の抱えている問題、そういうものもお互いにわかってきた。その一つの、本当の話し合いをする、お互いの意思の疎通を図る、その中から、本当に望むべき将来の世界の中での農業のあり方というものが見えてくると思います。
今回、日本の農業をどうやって守るんだ、あるいは日本の食料自給率をどうやって確保するんだ、その思いの中で大臣以下も本当に御努力をされたと思います。今回、そういう御努力の中で、日本の農業というものが、単に食料生産だけではない、さまざまな自然環境への寄与とか、その国の文化の継承とか、その国民の心の一番の基盤であるというような、そういう農業の持つ多面的機能、このことも大いに主張されたと思います。こういう問題に関して、それぞれの国がもっとその思いの中で、市場の自由化、その問題、経済性、自由化、そういうものだけで押されない、やはりそれぞれの多様な農業の形があるだろうという思いを主張されたと思いますが、そのことはある程度の理解は得られたんでしょうか。そのことについての御意見をお願いします。
○亀井国務大臣 それぞれの国、農業の多面的な機能、これがあるわけでありますし、さらには、我が国といたしましては、多様な農業の共存、このことを基本的なものといたしまして交渉に臨んできたわけでありまして、これらのことは、いわゆる非貿易的関心事項、こういうような表現のもとに、そのことが、この枠組み合意、基本的なものとしての記述というような形でそれを入れておるわけでありまして、これは大変、各国にとりましても、それぞれの国々、いろいろの事情があるわけでありますし、農業の多面的な機能の発揮する役割というのは大変大きなものがあるわけであります。それらが十分加味され、また今後の交渉におきましても、それらの問題を十分考えて対応しなければならない、こう思っております。
○西川(京)委員 今回、この重要品目が枠外であるというか、そのものをかち取った、あるいは、ある程度日本の、輸入国側の意見が通ったという一つの安心感の中で、やはり今、農業が求められている、言うなれば構造改革、本当に強い農業をつくっていくんだ、そういうものに対する動きが少々鈍くなるのではないかというような、そういう一つの懸念もあるやに聞いております。
その中で、今回のWTOの方向性そのものをにらんで、また、来年は新しい農業基本法の見直しもあるわけでございますが、本当の強い担い手を育成するという一つの日本の農業の課題があるわけでございます。今回のWTOの結果を踏まえた日本の次の農政の展望、そのことを一言お伺いしたいと思います。
○亀井国務大臣 現在、食料・農業・農村政策審議会に、農政改革、このことにつきまして昨年から諮問をいたしまして、今その企画部会におきまして基本計画の見直しの作業をいたしていただいておるところでもございます。
これはやはり今後の我が国の農政改革、また、特に高齢化が進み、担い手の問題あるいは遊休農地の問題、こういう問題等、いろいろ問題が山積するわけであります。そのような対応に、今後の農政の基本計画をぜひ見直しをして、そして食料の安定供給、このことが図られるようにいたさなければならないわけであります。
それとあわせて、今回のWTOの枠組み合意、この問題、これはやはり我が国は我が国としての競争力のある農業の確立をいたさなければならないわけでありまして、今回の枠組み合意、ある面で私は、これを一つのステップと申しますか、これから厳しい具体的なルールを決めるモダリティーの交渉があるわけでありますが、十分それに対応する、こういう面でもやはり我が国の基本計画の見直しをし、農政の改革を進めなければならないわけでありますので、緩むというようなことのないようにスピード感を持ってしっかり対応してまいりたい、このように考えております。
○西川(京)委員 ありがとうございます。
ある意味では、日本の文化の根幹である日本の農業、この問題の、その多面的機能というものをきちんと守っていくことと、足腰の強い農業をつくっていくことということは相反する問題になりがちでございます。これはやはり、WTOの今回の妥結の方向の中で当然厳しい要求がされる、そしてその中では、市場原理に基づいた、あるいは消費者に向かった本当に足腰の強い農業をつくっていかなきゃいけない、食料を確保していかなきゃいけない。そして、それとともに、本当に日本の地域を支えている農業というもの、いろいろな要素を含む農業の持つ多面的な面、そのことを大事にしていくことと、これを両立させながら強い農業をつくっていくということは本当に至難のわざであると私は思います。その中での大変厳しい対応を迫られます。
今回、この外交努力と相まって、その三つの柱を、どうやってこれから日本の農業を鍛えていくのか。そのことはひとえにこれから大臣の肩にかかっているわけでございますので、どうぞ、今後のますますの御精励を心から御祈念申し上げまして、頑張っていただきたいと思います。
一応、今回、WTOの問題はこのくらいにいたしまして、もう一つ、私、どうしてもちょっと気になる米国のBSEの問題について、御質問を一、二させていただきたいと思います。
平成十五年の十二月に米国でBSEが発生して以来、いっときは、テレビを中心としたあの吉野家騒動、そしてパニック状態のような騒動がありましたが、その後ずっと日本政府が牛肉の輸入を停止したままで今日を迎えているわけでございます。
食品安全委員会の今回のいろいろな何回かの日米のワーキンググループの話し合いの結果を踏まえて、食品安全委員会における検討の概要というのが出されております。この中で一つの大きなポイントとして、本当に若い牛のBSEに対する危険性というものを検査するというのは、今の検査方法ではまずやはり無理だろう、そういう見解はどうも日米で一致しているようなところがあるようでございます。
そして今回、このBSEの問題で、では、食品安全委員会として、日本の全頭検査という一つの大きな国民に対する安心、安全のメッセージは捨て去るのか、そこのところが今一番の課題だと思いますけれども、今回のアメリカとのワーキンググループの話し合いによる概要の中で、日本側とアメリカ側との大きな一致点あるいは不一致点、幾つかコンパクトに言っていただけたらありがたいんですが。
○中川政府参考人 お答えを申し上げます。
ワーキンググループでは、BSEに関しますさまざまな問題につきまして、日米双方の専門的、技術的な知見を整理するということで作業が行われまして、先般、報告書が取りまとめられました。
その中で、日米の間で見解が一致した点でございますけれども、まず一つは、BSEの検査につきまして、今先生もおっしゃいましたが、若い牛について、現在の検査方法では、蓄積された異常プリオンたんぱくの検出はありそうにない、検出限界があるということでございます。二つ目としまして、特定危険部位の除去は人の健康を確保する上で非常に大事な点であるということ。それから三つ目として、ごくわずかな感染源物質を摂取するだけでもBSE感染というのは起こってしまうので、飼料規制、えさの規制というのは大変大事だというふうな点が共通の認識としてございました。
また一方で、日米間で見解が異なる主な点といたしましては、一つは、屠畜場のBSE検査の目的でありますけれども、日本では、感染牛を見つけてそれを排除することによって牛肉の安全性を確保するということが目的であるとしておるのに対しまして、アメリカでは、BSEの検査というのは、BSEの浸潤状況、蔓延の状況、あるいはBSE対策の効果等を検証する、いわゆるサーベイランス目的でやっているという点が大きく異なってございます。
もう一つは、アメリカは自分の国でのBSE対策を十分だというふうに評価をしているのに対しまして、日本から見ますと、アメリカのサーベイランスのあり方、あるいは飼料規制のあり方等には問題があるのではないかという点を指摘したところでございます。
○西川(京)委員 私も最初は、日本の全頭検査はもうすばらしい、これは絶対消費者への大きなメッセージだ、そういう思いでおりました。
その中で、アメリカがこの全頭検査を拒否するというのは、当然、牛の膨大な数、日本との差であって、これは物理的にまず不可能であろう、そういう中での一つの拒否であると私も思っておりましたが、今回、こういう問題でなるほどと。その一つの検査するものに対する日本側とアメリカ側の全く最初からの考え方の違いというのは確かにあったんだなということは、今回私も理解ができました。
その中で私は、しかし、この食品安全委員会というものをあのBSE騒動の中で設置した、これは、第三者の方々をお招きして、中立的な、本当に国民への大きな一つの政府としてのメッセージだったと思うんですが、今回、若齢の、本当に若い牛のあれは、今の検査方法では不可能だという現実の中で、では、その牛たちを全頭検査から排除していいのではないかという議論は当然出てくるわけでございます。
この牛の年齢というのが、アメリカによると歯の検査でわかると言っているそうでございますけれども、実際にはそこのところは微妙に、きちんとした特定はできないわけです。そういう中で、どの程度の年齢を排除するのか、そこの決定というのは非常に難しい選択を迫られると思うんですね。そしてまた、では、全頭検査の中からその部分だけは排除するという方向が果たしていいのか、そのことは非常に今、ひとえに政治にかかっている課題だと思います。
その中で、輸入を再開するがために、アメリカ側に寄って譲歩してしまった、その印象は非常に私も……(発言する者あり)いや、ですから、私もその問題はこれからの政治的課題だと申し上げているんです。アメリカ側に寄ってしまった印象を与えていいのか、そのこともあると思います。(発言する者あり)趣旨を誤解していらっしゃいます。
私は今、その大変難しい判断を、私どもは全頭検査は大事だと思っています。その中で、しかし、現実に若齢牛が検査としては出ないのである、ならばその部分はいいじゃないかというアメリカ側の議論も、気持ちとしては理解できるところがあります。
その点に関して、今の食品安全委員会の立場、そのあたりを、ぜひきちんとした見解を聞かせていただきたいと思います。
○金田副大臣 まさに、ワーキンググループでの検討結果、日米の検討結果、そういったものを踏まえた中で、今我々、食品の安全を確保するために制度を大きく変えさせていただきました。食品安全委員会という第三者、科学者の立場でリスク評価をしていただく役所というのをつくらせていただいたわけでございます。
そのリスク評価に基づいてリスク管理をする農林水産省、あるいは厚生労働省がリスク管理をしていくわけでございますけれども、国内と対等の条件をするということが今基本的に大切だというふうに考えておりまして、そういった食品安全委員会が科学的に、どういった結論を出してくれるのかということをこれからしっかりと注視していかなければならないというふうに考えているところでございます。
○西川(京)委員 今回、私どもは、やはり何といっても、消費者の信頼をかち取る、食品の安全、安心をきちんと守る、このことは一つの大きな柱だと思います。大変いろいろと難しい問題も含んでおりますが、なお一層の御努力を期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○高木委員長 次に、小平忠正君。
○小平委員 おはようございます。民主党の小平忠正です。
きょうは、臨時国会が開催されまして、非常に短期間でありますが、当委員会、一般質疑で、私も、今当委員会が抱えております幾つかの重要課題がありますので、駆け足になりますが、幾つかの点について大臣を初め政府に質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
特に、大臣はジュネーブに行かれまして、時差の関係もあり、この時間はまだ向こうは夜中ですから、きょうあたりは眠いかもしれませんが、そこのところ、大変でしょうけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。今、西川議員からは、与党ですから、当然、応援質問がありましたが、特に私からは少し辛口の質問になると思います。
そこで、私は、まず、どうしても感じますことは、今回の交渉、成果はあった、そのように言われております。今、西川さんもそうおっしゃられた。多分、私は、今回のこのことについては、アメリカを初め各国が、自国に帰って、所管の委員会では同じようなことを言っていると思います、自国に都合のいいように。ですから、この同じ話を別な国で聞いたら、まるっきり違うことを間違いなく言っていると思います。これが今回の交渉の結果であります。すべて先送り。何ら決まっていない。
この後、香港に向かってですか、来年の暮れに向かって、これからいろいろな交渉が展開されますが、まだまだ決まっていない、それが偽らざる今時点での現実であると私は思います。そのことを申し上げておきたい。
そしてもう一点は、私がジュネーブの交渉を遠くから見ておりまして感じましたことは、今回、ウルグアイ・ラウンドの当時から見ると大分様相が変わってきました。特に、今回はあのころから見ると、加盟国も二十カ国ふえたわけですから総数百四十七カ国。しかも発展途上国が大きくふえてきた。その勢力バランスも大きく変わってきた。かつては、日本やEUあるいはケアンズ、そんなことがありましたけれども、今やケアンズという言葉はもう出ておりません。変わってG10ですとかG20とか、あるいはG30ですか、いろいろなあれがありますが、特に最終段階においてはG5、これが大きく前へ出てきました。
このG5、何かというと、アメリカ、EUそして豪州、インド、ブラジル。なぜ日本は入っていないんだ。世界に冠たる貿易立国が、WTOというのは農業初め各般にわたる貿易問題ですね、そういう中で、その大事な会合の中になぜ日本が入っていないんだ。日本からは、亀井大臣を初め、あるいは経産省、中川さんも行かれたんでしょう。しかし、肝心の我が農水大臣がそこに入っておられない。まるっきり蚊帳の外である、ただ首を長くしてその交渉の行方を見守っていた、これが実態であります。まことに残念きわまりない。
それで一つお伺いしたい。きょうは外務省、経済局長は見えていないようなので、かわりの方が来ていますね。
私は、この交渉は、もちろん所管の、いわゆる農業交渉であるならば農水大臣でありますけれども、外務省というのは、いろいろな対外案件、いろいろなことに当たるために、在外公館を置いて、大使館とか領事館を置いて働いてもらっている。そのために大事な血税を投じて、国民の税金を投じて、そういうところを、機関をつくって頑張ってもらっている。これが外務省の役割ですよね。
ということは、亀井農水大臣がしっかり仕事ができるように、大事な会合で発言できるように、根回しをし、各国との交渉をし、裏方をやって、そういう場面をつくることが、これは私は外務省、在外公館の大きな役割だと思っていますが、今回、そういうことがあったのかなと。何をしておられたんだと大きな疑義を感じています。
そんなことを含めまして、どっちを先にしましょうか、まず大臣から、どういう経緯があったかということを含めてお聞きし、その後、外務省からは、どういうことをされておったのか、そこを私からはお聞きしたいので、よろしくお願いします。
○亀井国務大臣 今、今回のWTOの農業交渉に関連していろいろ御意見をちょうだいいたしました。
まず最初に、今回の交渉におきまして、農業会合、グローサー議長がおられるわけでありまして、この議長が我々G10と何回かお目にかかって会合する、あるいはまた、G5がすべてリードしたような御発言でありますけれども、決してそのようなことはないわけでありまして、G5だけの考え方を取り入れておっては、この農業交渉、まとまらないわけでありますし、日本がそこに入らなかった、これは主として、G5は農業国であります。特に我が国にとりましては、昨年九月のカンクンでのデルベス・ペーパーに上限関税があのように文言が入っておるわけでありまして、そしてあのような決裂をいたしたわけでありますが、そのデルベス議長のもとのペーパーには上限関税があのように記述されておった。そしてその後、あの交渉で私ども主張をして、括弧書きで例外ということを入れさせて、そしてそのペーパーは決裂をしたわけであります。
今回は、その農業国、特にアメリカやインド、いわゆる途上国、輸出国は、またこの上限関税の問題につきましては大変根強く主張をし、アメリカでも、伺いますと、このことを国会に、上限関税、こういうことを主張し、国会でもいろいろ言われておったようでありますけれども、今回、いろいろグローサー議長が各グループの意見を大変丁寧に聞いてくれまして、私も何回かグローサー議長にお目にかかりまして、我が国あるいはまたG10の考え方をよく説明し、そして最終的には第一次のあのいわゆる大島ペーパーで上限関税の問題につきましてはあのような表現で提案をされたわけでありまして、あの昨年九月のメキシコでのデルベス・ペーパーから考えますと格段の違いがある、私はこのように思っておるわけであります。
いろいろ戦略があるわけでありまして、G5に必ず入っていろいろのことを協議する、そういうことよりも、私は、食料輸入国が結束をしてG10を組織し、そして個々に、我が国も外交的な関係、いろいろあるわけでありますから、アメリカとも、あるいはインドとも、ブラジルとも、EUとも緊密ないろいろの話し合いをして、そして我が国の主張をしてきたところであるわけであります。今回の交渉、あくまでも枠組みの合意であるわけでありまして、今後のモダリティーの問題、これにさらに十分注意をし、そして我が国の立場が反映できるような方向で努力をしていかなければならない、こう思っております。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
外務省及び在外公館は、小平先生御指摘のとおり、日本国政府を代表して外国政府との交渉や国際機関等への参加を行っておりますが、農業交渉を初めとするWTO交渉においても、従来から主体的に参画してきております。
今回の一般理事会については、外務省からは、外務大臣代理として藤崎外務審議官、首席交渉担当者として山崎国際貿易・経済担当大使がジュネーブに出張いたしました。山崎大使は、一般理事会議長が主宰する少数主要国会合いわゆるグリーンルーム会合に亀井農林水産大臣及び中川経済産業大臣とともに出席し、交渉の最終的な局面では夜を徹して交渉に当たりました。藤崎外務審議官は、外務大臣代理として、交渉結果がバランスのとれたものとなるように、各分野を総合的な視点から見て各省間の調整などを行いました。在外公館でありますジュネーブ日本政府代表部は、担当者が交渉に参加しますとともに、亀井大臣、中川大臣を初めとする日本政府代表団の支援を積極的に行いました。
外務省としては、今後のWTO交渉においても精いっぱい取り組んでいく所存でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○小平委員 大臣、明快に御答弁されて、大分ジュネーブでは御苦労されたのが見受けられます。御苦労さんでした。
外務省、佐藤参事官ですか、答弁を用意されて、こういうことをやりましたということ、これはわかります。私がお聞きしたかったのは、今大臣は、G5だけが外交のメーンではない、そう力説されて、こういうことがあったということを言われました。それも事実でしょう。確かにそうでしょう。ただ、私は、G5があの会合で大きなスポットライトを浴びた、これは事実ですよね。そこになぜこれだけ貿易立国の日本が、しかも大きく矢面に立っている、あるいは場面によっては孤立するようなこともあり得る、そういう大事な局面に立たされている日本がなぜそこに入っていけなかったか、それを私は問題にしているんです。
そのために、当然これは専門分野、農水省ですから農水大臣、これがちょうちょうはっしやるでしょう。しかし、そういう場面づくり、環境づくりをする裏方をするのが在外公館の役割だと思うんですよね。そのために外務省は行っているわけだ。これをしなかったら、私は、外務省なんかは人員削減しちゃって、減らしちゃったらいい、外務省の人員を。そして各省庁からかわりに農水省やあるいは経済産業省あるいは文部省、各省庁から優秀な職員を書記官で派遣して内容を固めた方が私はいいと思うんですよ。そして毎日、各国とのいろいろな問題に対してちょうちょうはっし外交交渉する。こういうことがあるから、その時に応じて、今回はWTO、農水大臣初め関係者が行った。しかし、常時滞在しているのは、在外公館で働く、大使館を初め外務省の諸君であると。
どういうことをやってきたのか、私には全然その行動が見られない。そこを私は、これじゃいかぬと思って指摘したんです。どうも外務省の姿勢として弱過ぎると思う。そうしなければ、ただ何かが起きれば、何かそういう問題が起きれば、おっ取り刀でその場所に駆けつけて、そして交渉する、それではもうスタートからこの対外交渉において相手国には負けちゃうわけでしょう。そんな意味で申し上げたのです。
時間もあれで、これ以上申し上げませんけれども、G5、すべてではありませんけれども、しかし残念でならない。このことは、私の立場からは指摘をしておきたいと思います。
そこで、上限関税の問題ですとかあるいは重要品目ですか、あるいは今、市場アクセス含めていろいろなことで質問しようと思っていたんですが、今いろいろと質問がありました。私が今感じましたことは、今お聞きしても、すべてこれからだ、決まっていないと。余り今聞いても意味がないんじゃないかなと。すべてこれから交渉します、モダリティーについてもこれからと。
まだまだ一年以上ありますので、いずれまた臨時国会が開かれますので、その交渉経緯の中で、進展度合いによってはこの委員会を通じてまた改めて質問したいと思いますので、何かこれ以上聞いても意味がないように思いますので、これについては私は用意しましたけれども、やめます。
それで、きょう、各政府関係者、御案内していますが、時間の関係等によって、もし答弁の機会がなければ、あしからず。
それから次に、BSEについて質問をさせていただきます。
さて、このBSE問題、日本国内、大変大きな事件が起きて、消費者を初め国民に大変な迷惑をかけた、今次、BSEの事件が起きました。やっと終息した。政府を初め関係者の努力もございまして、あのような形で全頭検査、さらには念には念を入れて牛のトレーサビリティーの法案までつくり、万全を期したわけでありますが、しかし、私どもはあの時点で、果たしてこれでは、牛肉も我が国は輸入大国、大変な量をアメリカを初め海外から輸入している。こういう中で、この法律で十分なのかな、どうも不公平な感じがする、そんな心配があり、いろいろと当委員会を通じて質問いたしましたけれども、政府はこういう形で決められた。
そこで、早速、我々が心配したとおり、法案をつくったすぐ直後ですから、十二月の下旬にはアメリカで、やはりと思いました、BSEが発生した。それから今日までの経緯は皆さんも記憶に新しいところであります。
そこで、食品安全委員会、これらにおいてはいろいろと議論を重ねているようであります、余りその経緯は見えませんけれども。と同時に、日米の協議が進められている。そういう中で、先月末には、日米BSE協議に関する専門家・実務者会合が報告書をまとめられましたよね。私もその報告書をいただいて一応目を通しました。
しかし、これはわずか十数ページなんですけれども、拝読しましたけれども、よくわからないんですよ。日本のやってきたことあるいは考え方を単にここに羅列している、アメリカはアメリカで自国の主張を正当化することを勝手に述べている、これが、私がこの報告書の概要を、報告書を拝見して感じたところであります。
そこでもう一点、その前に、七月の二十七日、いわゆる中央紙というか、朝日新聞を初め数社に、またもや米国食肉輸出連合会、こういう記事が、これは一つなんですが、全面を使ってこういう広告が出ている。またかという感じがしましたね。
我が国がBSEで非常に揺れ動いているときに、アメリカは、まさしく火事場泥棒というか、アメリカ産の牛肉は安全です、日本の消費者の皆さん、安心してアメリカ産の肉を食べてください、そういう広告を出しましたよね。それを反省するどころか、アメリカはBSEがまだ解決していないのに、またもやこういう記事を出している。なぜ政府は堂々と反論しないんですか。もう批判になれているものだから、小泉総理を初め、もう批判になれちゃって、反論する、そういう気持ちもないのか。まず、そこのところはどうなのかをお伺いしておきます。
○中川政府参考人 先月、三回にわたりまして、米国食肉輸出連合会が、特定危険部位の除去あるいは拡大サーベイランスの実施等によってアメリカにおけるBSE対策について紹介をした新聞記事を出したということは承知をいたしております。
この広告自体は、あくまでもアメリカの民間団体によります宣伝活動の一環というふうに私ども思っておりまして、日米間の牛肉貿易の再開をめぐります交渉につきましては、政府間でこれからきちっと対応していきたいというふうに思っております。
○小平委員 中川局長、そういう、とりようによっては紳士的ですよ。しかし、対外関係というのは殴り合いですよ、殴り合い。こんなことを書かれて、何らかの場面を通じて反論するなり、主張せんかったら、私は、あなた方は、きょうじゃないですか、たしか、消費者グループのリスクコミュニケーション、きょう開かれているんでしょう。全頭検査、どうしますかということを含めてやっているんでしょう。こんなことを言われておいて、そういうことで、いわゆる誘導されませんか。
やはりきちんと、形を変えて、ダイレクトに反論するのがまずかったら、形を変えてしなければ、きちんと消費者を正しい方向にリードできないじゃありませんか。どうも政府は、外務省を初め、事対外交渉になると弱腰なんですよね。だって、全頭検査をつい昨年決めたんでしょう、この委員会で。そうしたら、今それを、今まだ見直すとは言っていませんけれども、何かそういう方向がもう見え見えですよね。もう不思議でならない。
そんなことを私は申し上げながら、今回のいわゆる報告書にのっとってちょっと質問いたします。
まず、牛の月齢の識別方法といいますことをアメリカが言っているんですよ。アメリカは、ほとんど二十カ月齢以下の若い牛を屠殺する、したがってBSEは関係ない、こう言っているわけでしょう。では、その牛の識別方法、アメリカはこれはどうやっているんですか、個体識別。ちょっとお答えください。
○中川政府参考人 現在、まだアメリカにおきましては、全国統一的な牛の個体識別の仕組みは実行に移されていない、そういうものの導入について今検討中という段階にあるというふうに承知をしております。
○小平委員 ということは、アメリカは、この牛は二十カ月齢の若い牛です、そう言ったって根拠がないわけでしょう。我が国は、牛のトレーサビリティーで明確に、どの牛はどの場所で何年何月何日に生まれたということがきちんと書類で出るわけですよね。これに違反したら、これは法律違反でしょう。今、局長の答弁のように、アメリカはそこが全然まちまちなんですよ。だから、牧場によっては、勝手に、うちの牧場の牛はいつ生まれたんだ、それだけ言えば済んじゃうわけですよ。それでも、虚偽の報告をしても罪にならない、これが実態でしょう。そんな状況なんですよ。
しかも、何か聞くところによると、歯列によって判定できると。牛の歯並びですか。昔、博労が馬の売買で歯を見てやったと。この今の現代社会にそんなことがアメリカで、笑い話だ、こんなことは。噴飯物だね。こういう状況をまず指摘いたします。ここでもうこのことはおわかりでしょう、全然なっておらぬということを、個体識別が。
それからもう一点、BSEの検査方法なんですが、報告書によるといろいろとるる言っていますが、微妙にずれがありますよね。それを全部言うと時間がとられちゃうんで、時間がなくなるんでやめますが。
その次に、特定危険部位、いわゆるSRMです。この除去についての問題なんですけれども、これは局長、これも安全ですか。アメリカの屠場において、牛の解体において、屠殺において、このSRMの除去というのは安全だと思っていますか。そこはどうですか。これは厚生労働省、お答えください。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
米国においては、特定危険部位の定義でございますけれども、日本と違うところがございまして、扁桃とか回腸遠位部につきましては同じように全月齢ではございますけれども、脳とか脊髄とかそういったところについては三十カ月以上のものを特定危険部位としている、こういった違いがございます。これについては、我が国といたしましては、三十カ月未満のものについてはそれは不十分と言えるのではないかと考えております。
○小平委員 三十カ月ということを今言われたけれども、私が聞いているのはそうじゃなくて、では、三十カ月でもいいでしょう、アメリカはそういう危険、要するにSRMをきちんと除去できる、そういう屠場の体制になっていますかということをお聞きしたいんです。そこはどうですか。どのように調べられましたか。アメリカの屠場の実態です。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
米国におきましては、SRMの除去の管理についてでございますけれども、いわゆるHACCPという方式あるいはマニュアルを用いた方式で管理されているとされておりますが、もちろん、それについても、私どもといたしましては十分な検証が必要だと考えております。
○小平委員 ということは、まだ検証していないということだ。それで日米協議の報告書をもうつくっちゃったわけですか。
いや、私から言いましょう。我が国は、このいわゆる肉骨粉、脊髄初めあの危険部位というのは、これはもう大きく指摘がされて、いわゆる屠場において背割りは禁止になりましたよね、背割りは。それでいわゆる吸引という方式に変わったわけでしょう。解体のときにいわゆる髄液が飛び散らないように、肉にそれが飛散しないように吸引の方法でもってその安全処理をしましたよね。これが我が国の屠場の実態ですね。
しかし、アメリカは依然として吸引方法をとらずに背割りをやっているそうですね。ということは、もうどの牛も、屠殺された牛はすべて、そのいわゆる脊髄初めあれがもう肉じゅうに飛び散っているんですよ。ということは、もう入り口から、安全だろうと、これがそれに侵されている牛だろうと関係なしにそういう処理をしている。イギリスでBSEが発生し、各国にそれが広がって、日本にもそれが残念ながら来てしまった、こういうことを見ながらも、何らその改善策をとっていないじゃないですか。そんな相手と真摯に渡り合って、そして、聞くところによると、全頭検査を廃止して輸入再開の道を開こうなんて、私、こんなもの、笑止千万ですよね。
それについてどう思いますか、その背割りについての状況を含めて。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
屠畜場における解体の方法で、背割りは、米国においても日本においても行っているところであります。その後の措置といたしましては、両国とも洗浄方式によって、飛散したそういう神経の断片そのほかをきれいにする方法をとっているところでございます。日本ではさらにそれに加えて、予防的措置という観点も含めて、脊髄の吸引除去等を加えて行っていることが普及しているわけでございます。
○小平委員 一部我が国でも背割り方式をやっているんですか。それは厚労省、認めているんですか。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
日本におきましては、一般的な方法として、まず吸引除去を行って、その後で背割りをしているわけでございます。
○小平委員 当たり前だって。牛は、解体して背割りせんかったら、その次の精肉に持っていけないですよ、丸ごとでは。だから、最終的には背割りしますよ。だから、その前に、髄液が飛び散らないように吸引方法でもって全部抜き取っちゃって、それから背割りでしょう。何を言っているんだ、一体。アメリカは最初からばんとやっちゃっているんです、背割りを。それをあなたたち承知して交渉しているなら、あなた、おかしいと思わないの。ちょっと言葉が口語体でひどくなりましたけれども、私は、こんなことを言っていると、何か口がもつれてきますよね。
大臣、聞いていてください、こういう状況です、現場の事務方の作業の進展状況というのは。これはぜひこれからの交渉でもって、これは公式の委員会の場です、指摘しました、しっかりとこれについてのいわゆるまずいことを指摘してくださいよ、この日米協議において。
次に、同じような問題で、飼料規制、いわゆるフィードバン、これも報告では書いてありますけれども、御案内のように、我が国では、あの事件が起きて以来、肉骨粉はあらゆる動物の飼料には使用禁止になりましたよね、使えないと。たしか肥料にも使えなかったはずですよね。まあ、飼料には全部禁止になった。しかし、アメリカでは依然として、こういう事件が起きているにもかかわらず、反すう動物には禁止だけれども、その他の犬や猫やペットや、反すう動物以外の動物に対してはこの肉骨粉の飼料を認めているわけですよね。これもやはり、昨年、我が国があれだけ当委員会を通じて安全性のことを議論した結果、ああいう結論に達したわけでしょう、禁止という。アメリカはやっていると。では、日本とアメリカの基準が違うから、それはそうですかということで今後議論を進めていくんですか。
まず、この飼料のあり方についてどう思われますか。
○中川政府参考人 飼料規制のあり方についてでございますけれども、これは報告書の中にも書いてございますが、日本から見て、アメリカの現状の飼料規制については十分ではない、問題があるというふうに思っております。それは先生もおっしゃいましたけれども、現在のルールでは、アメリカは牛の肉骨粉等につきましても、豚ですとかその他の反すう動物以外の動物への飼料使用というのは現状では規制をされておりません。この点については、現在そういった点も含めて強化を検討中であるという先方からの現在の検討状況の表明がありましたが、現時点で申し上げれば、そのようなことになってございます。
○小平委員 よくしっかり指摘をしていただきたいと思います。
それと、先ほど少し申し上げましたけれども、きょうリスクコミュニケーションをやっていますね、消費者の皆さんと意見交換会。そこで、先ほど申し上げたように、アメリカのああいうような一方的な新聞宣伝等々に影響されて了とされたら全頭検査を見直すなんということにならぬとは思うけれどもね。ただ、なぜ私、今こんなことを言ったかということは、リスクコミュニケーションのそういう消費者との意見交換も大事ですけれども、同時に大事なことは、農水委員会、ここは国民を代表してできている委員会です、この委員会でもしっかりこの問題の議論をして、どうするかということをしない前に政府が恣意的に進めたら、これは間違っていること、そのことを申し上げておきたいと思います。
ですから、状況によっては、今後の進展によっては、今国会は今週金曜日で終わりますけれども、閉会中であろうと場合によっては閉会中審査をして、しっかりとこれについて審議を進める、そのことを申し上げておきます。
次に、トレーサビリティーのことに。
先ほどもちょっとお話ししましたけれども、今、全頭検査云々が大きく前面に出ていますけれども、この報告書においてもトレーサビリティーは全然出ておりません。
これは何かというと、政府の言によれば、トレーサビリティーは我が国の基準だからアメリカは関係ない、こういうことのようであります。しかし、この牛のトレーサビリティーという法律は、我が党は強く指摘しましたよね、これは不公平、不公正だと。国内産の牛肉だけこのような厳しい規制を課して、生年月日から、どういう経路を経て、どういう飼料を与えて店頭に行くんだ、それをきちんとそろえろという、こんなことを課しておいて、一方、輸入肉についてはそれはフリーパスだ、そんなことは要求しないと。でも、記憶がありますか、昨年、委員会でこれについて指摘をしましたら、大臣は、いや、アメリカ産の肉は安全ですと。なぜかと重ねて問うたら、アメリカがそう言っているから、そんなような趣旨の答弁でした。
私は、やるんだったら、もし全頭検査を廃止するんだったら、この牛のトレーサビリティーだって、これだって残したらおかしいと思いますよ。ということは、まるっきり、昨年何のために委員会であれだけ時間を割いてやったのかということになる。
ですから、この牛のトレーサビリティー、これだけあつものに懲りてなますを吹くようなこういう法律をつくったんだったら、このことをアメリカにもしっかり主張して、アメリカにもそれに同等ないわゆる規制といいますか、それを課すことが私は肝要と思っています。
したがって、私どもは当委員会に野党共同で輸入牛肉のトレーサビリティー法案を出しております、議員立法で。与党の反対でまだつるされておりますけれども。こういう事態が生じて、大臣、これについての、きちんとした制度に対応すべくこの法律を、我々野党が出しています議員立法、これを生かしていくことが至当と思いますけれども、どうでしょうか。
○亀井国務大臣 牛肉のトレーサビリティー制度、これは、感染牛を発見した際に同居牛を速やかに特定できる、国内におきましてはBSE蔓延防止の措置の基礎、こういう面で、また消費者に情報提供、こういう目的もあるわけであります。
トレーサビリティーは、それ自体、牛肉の安全性を直接保証する、こういう措置でないわけであります。そういう面で、牛肉の輸入の再開に当たっての条件、こういうことにつきましては、これはいわゆるSPS協定に抵触するおそれがあるわけでありまして、そういう面で、輸入牛肉につきましては、トレーサビリティーを義務づけることについては慎重に対応しなければならない、こう思っています。
○小平委員 確かに、これは国内法で我が国がそういう制度をつくった、アメリカにもこのことは、違う国ですから、大臣がおっしゃることはそのとおりですよ。でも、消費者にこのような政府の姿勢を示していいんですか。まるっきり、これはもうどう見てもおかしいでしょう。どんな人が見たってこれはおかしいでしょう。そこにはやはり公平性がなきゃおかしいですよね。
だから、これも私は難しい問題だと思います、このトレーサビリティーの問題。全頭検査と絡めてですよ。これからさらに交渉が続くでしょう、ぜひ、しっかりこれについても忘れずにアメリカとの交渉を進めていただきたい。
そこで、この問題、大臣に重ねてお伺いしますけれども、これからさらに交渉が進みますね。国会は閉会になりますけれども、場合によっては閉会中審査、当委員会でこの手続はします、委員長のもとに。しかし、我々が要求した場合にきっちり閉会中審査をするように要望しておきますけれども、それでよろしいですね。状況に応じてです。
○亀井国務大臣 国会の各党のお考えによりまして、委員会に従って、委員会で御議論をいただきたいと思います。
○小平委員 小泉総理と同じようなことを言われましたけれども、松下筆頭を初め、ぜひ、大臣がそう言われていますから、しっかりとらえていきましょう。
次に、もう一つの大きな問題であります基本計画、見直しをやっております。これについて質問をさせていただきます。
厚労省、終わればもういいですよ、どうぞ。それから外務省も――外務省はまだあるんだ。
そこで、大臣、政府の関係者、平成十一年に農業基本法を改正いたしました。当時、私もこの改正には修正を含めて携わった一人であります。まだ記憶に新しい。この法律が改正されて、そのもとに、翌年平成十二年、基本計画が制定されました。そして、五年後の見直しということがうたわれました。このときには、我々は、基本法第十五条六項ですか、基本計画を定めたときは遅滞なくこれを国会に報告しなければならない、こういうふうに決められております。そして、このことは、いわゆる修正として国会で決めた条項でありますね。
そこで、そのことにのっとって今見直し作業に入っている。大臣が、昨年の暮れですか、諮問をし、審議会にかけられて、先月下旬には中間論点の素案が出されました。いよいよ今月、もうそろそろこの論点整理に入るわけですね。
そういう状況ですが、これは政府・与党ですから、政府と与党ではそういう協議等が続けられているようでありますけれども、それは内輪の問題ですね。大事なこと、表の問題は、当委員会で、国民を代表するこの国会の場で、基本計画の見直しがしっかりと審議、論議を尽くされることが肝要と思いますけれども、それが全然なされていない。理事会やあらゆる場面を通じて私も過去にそのことを指摘しましたけれども、政府の方は、いや、政府提案の法律がメジロ押しだ、まずその処理からお願いしたいと。それもしかりだろうと。しかし、もし、これをこの国会の場を通じないで政府が一方的に事を進められて、この論点が固められて、そして来年度の予算要求に向かい、そして法改正が進むということになれば、これは大きな問題だと思います。農業基本法、この改正をしたときの趣旨に反します。
したがって、まず冒頭に、これについてはしっかりと当委員会でも議論をしてから論点整理に進むことを私は要求するものであります。大臣、そこの基本的な姿勢はそれでよろしいですか、進め方について。
○亀井国務大臣 今回の、今論点整理をいたしておるところでございまして、この基本計画の見直しの過程につきましての国会の場におきます取り扱いにつきましては、ぜひ国会におきまして御判断をいただきたい、このように思っております。
また、農林水産委員会等におきます御議論、こういうものはまた十分検討していかなければならない、こういうように考えております。
○小平委員 そこで、この素案を私も読みましたけれども、いろいろと書かれております。言うならば、品目横断的から始まって、担い手の問題あるいは農地の問題、また環境問題がありますが、時間的に全部お聞きできませんので、ちょっと絞って今の段階でのことを少しくお伺いいたします。
私は、まず、担い手対策の問題、基本的な問題ですね。時間的なものがありますので、経営安定対策を含めてお伺いしますけれども、まず、担い手については、政府は当初プロ農家という表現を使っておられたけれども、最近ではそれが消えてきた。私はプロという言葉はおかしいと思っていたので、それは結構だと思います、その方向修正は。
そういう状況ですが、私は、ここでちょっと簡潔に、担い手は今時点でどういうところを対象にしているのかということをお答えいただきたい。担い手ですよ。簡潔明瞭にお答えいただきたい。
それともう一点。今、日本型直接支払いという言葉が出てきております。これによると、最近の報道等を見ますと、担い手以外というか、何か少しばらけた感じが見受けられるんですけれども、それは、経営安定対策の面ではまたそういう違った観点から切り込もうとしておられるのか。
そういうことを含めて、少しまとめてお答えいただけないでしょうか。
○須賀田政府参考人 ただいま議論されております担い手でございます。概念的に申し上げますと、効率的かつ安定的な経営等、これを目指す経営でございます。言いかえますと、生涯所得におきまして他産業並みの所得を上げ得る経営とこれを目指す経営ということでございます。これを目指す部分につきましては、どういう形態でどういう経営規模要件を課すか、これから議論をしていくというところでございます。
それから、日本型という問題でございます。先生も御承知のとおり、EUの直接払い制度は生産と関連なく直接固定払いをするということでございまして、営農行為をしなくても払われるということでございます。これが日本の実情に合うかどうか。やはり営農努力をした人に対して、その努力に対して支払いをするというのが日本の実情に合うんじゃないか。
また、農薬だとか肥料の適切な使用といったようなものも条件にかけないといけないんじゃないか等々、日本の実情に合った直接支払いの仕方を工夫すべきではないかということで、過去の生産実績に基づく、要するに、今の生産と関連しない支払いのほかに、品目ごとの当該年の生産量でございますとか、品質に基づく支払いを組み合わせるということも検討すべきではないかという議論が今はされているというところでございます。
○小平委員 今抽象的に最も役人らしき答弁をいただきましたが、前段私がこれをお聞きしたのは、今回の基本計画の見直し、大きな柱はやはり米政策にあると思います。米政策との関係、これが大きな柱になると思うんですね。
そこで、この今回の論点整理、この素案ではこう言っていますね。「水田作における品目横断的な経営安定対策の導入については、この米政策改革による水田農業の構造改革の推進状況等を検証しながら進めることが重要である。」こう言っております。今の答弁につながるような状況だと思うんです。
ここで、品目横断的な経営安定対策の導入に当たってのこの取り扱い、どういう方向かということをお聞きしたいんです。続けてお伺いするのは、なぜかというと、過般の新聞には、今回のこういう方向の中で、直接支払い、この制度が、今の状況ですと米農家は対象外にするということがあるようですけれども、そこも絡めて御答弁いただきたいんですが。
○須賀田政府参考人 品目横断的な経営安定対策、対象の営農を水田作と輪作による畑作経営、この二つにしております。水田作と言う以上、水稲の作も当然この政策の対象になります。
ただ、その具体的な支援の仕組みといたしまして、この品目横断的な経営安定対策、二通りのもので検討せよというふうになっておりまして、一つが、諸外国との生産条件の格差を是正するための対策、いわゆる直接固定払いを中心とした対策、もう一つが、収入や所得の変動が経営に及ぼす影響を緩和する、これはいわゆるならしと言われる政策でございます。
二つの仕組みで検討せよというふうになっておりまして、このうち、前者の方、諸外国との生産条件の格差を是正するための対策、現在のところ、お米は国境措置で守られておりまして、販売収入がコストを償っておりますので、現時点で直接補てん対策、麦とか大豆と違いまして、ないわけでございますので、その米部分について考えますと、前者の直接固定払いの中に積算で入れるというようなことはないというふうなことでございます。
ただ、後者の収入、所得の変動が経営に及ぼす影響を緩和するための対策、これにつきましては、米価の変動があり得るわけでございますので、現在進めております米政策改革の進展状況を見ながら、対象にするかどうかを検討するということになっているわけでございます。
○小平委員 局長、もう少し話を広げますと、そうしますと、WTOにちょっと絡んでくるんですが、言うならばWTOで今問題になっております上限関税、米の四九〇%、これがこれから攻防、これからが問題です、まだ何も決まっていませんね。
もし、これが守られたら、四九〇%が守られたら、そこのところはきちんとカバーされているから米は外すということになりますよね。話がそこにつながっていくでしょう。もし、四九〇%が、これがアメリカ初め諸外国の攻勢によって下げられたら、そうしたらこの国内所得補償はつながってくる、こういうふうになりますね。
ということは、WTOで我が国の主張が通れば米は外れるし、負ければやる、そういうことにつながっていくわけですか。
○須賀田政府参考人 余り仮定の話を進めるのもどうかというふうに思いますけれども、先ほど申し上げましたのは、経営所得安定対策が二つの部分から成っていて、直接固定払いをする、外国との生産条件の格差に基づく支払いと、それから、変動があった場合の、今、稲得ですか、そういうもので講じております、変動があった場合にこれを補てんする、二つの政策から成っておりまして、後者の方は今でも対象にすべく検討をするというふうになっております。先生がおっしゃったのは、その前者の方だろうというふうに思っております。
今は、我が省、我が国の方針は、米については国内の存立基盤は確保するという方針で頑張っておりますので、仮定の話を進めるのはどうかというふうに思っております。
○小平委員 仮定の話をと言われましたけれども、私は、あらゆる場合を想定してどうだということの意味でお聞きしたのであって、どうなるということを前提に言っていないんですよ。ただ、ここの矛盾を私はちょっと指摘したんですよ。難しい問題だと思います。
ですから、我々は、基本的に、もう戦後続いてきた補助金農政、これはもう限界だ、したがって、価格政策から所得政策に切りかえていく、そういう新しい制度を導入すること、これが肝要だと思って、私どもは農業再生プランを中心に新しい農政の展開を主張してきたところであります。
さて次に、今回の大きな見直しの柱であります農地の問題なんですが、大臣は、当時、大臣の就任の前でしたんですが、実は今、農業者は非常に負債に追われているんですよ。例えば、どんな夢を、プランを皆さんに訴えても、そんなことを言われたって、まず自分たちが抱えているこの負債を何とかしてくれなかったら前に進めないと言うんですよ。まず後ろ向きの整理、これをやってほしいと。
しかも、そのときに、農家みずからの経営の失敗によって生じた負債だったら、これは、あなた、自分でそんなもの、責任持ってやりなさい、こう言えますけれども、そのほとんどは、やはり農政の失政の結果なんですよ。それは、当時、新政策を含めて、規模拡大を政府は奨励した。それに従って規模拡大をやってきたまじめな農家が、その土地の購入費あるいは機械、今機械というのは高いですからね、いろいろな面でコストがかかった。そして一方、米価は低迷が続いた。それによってすべて狂ってしまって、このように負債がたまり、もう金利の金利を払っているのが今の状況ですよ。
そういう状況の中で、実は、この委員会に、第百五十一回国会で農業経営再建特別措置法案というものを議員立法として私が提出をいたしました。この趣旨は、こういう農業者を救済するために、その制度資金のあり方の問題や、あるいは大きなネックになっております農地を、今開発公社という制度があって、一部はありますけれども、これをもっと大々的にしっかりと体制を固めて、国がそれを買い上げて、そして意欲ある担い手にそれを貸し出す、そういう手法を講じて現状の打開に当たるべきだ、こういうことで出したんですが、これが、私がその後、農水委員長になりましたので、提案者になれないものですから、必然的に廃案になってしまったという中であるんです。
今、農地のいわゆる制度の改革に際して、こういう、この基本計画では余り前面に出ていませんけれども、いわゆる負債対策、これについてはどのように光を当てるのか、そこのところを、この際お聞きしておきたいと思います。
○亀井国務大臣 効率的かつ安定的な農業経営の育成、こういうことを図るわけでありますが、意欲と能力を有しながら、経済環境、こういう変化によりまして負債の償還が困難となっている、そういう農業者への対応、これにつきましては大変重要なことと認識をいたしております。
そういう面で、いわゆる既往の債務の借りかえ等を行う負債整理資金の貸し付け、あるいはまた土地改良負担金の償還の円滑化、農地保有合理化事業を活用した経営継承対策等の対策を措置いたしまして、経営改善と再生を図るよう努めてきておるわけでありますし、これらの施策を積極的に展開してまいりたい、このように考えているところであります。
御指摘の債務整理のための土地の国による買い上げ制度、これを制度化する、これにつきましては、個別経営の赤字の直接補てん、こういうことを国が行うということになるわけでありまして、その制度化の問題というのは、これは大変困難な問題、このように私は考えております。
○小平委員 大臣、困難ですけれども、そこが大きな問題で、農業者がみずからの経営の失敗によって生じた赤字だったら、これは自分で責任持って何とかせいと突き放してもいいと思うんですよ。しかし、その大宗は農政の失政によって生じた被害なんですよ。指導に従ってまじめに取り組んできた農家ほど、規模拡大を図った農家ほど、この被害に遭っているんですよ。ならば、このいわゆる農政の失敗というものを農業者に転嫁しないで、それを指導した政府が責任を持って処理するのが、私は政治の王道だと思っています。
大臣が今、役人がつくった資料答弁ですが、お気持ちとしては私はわかっていただかないと困ると思うんですよ。やはりそういうことが政治ですから。もちろん、ここには予算という財源の大きな問題が、ネックがあるのでそういう答弁でしょうけれども、この機会に強く主張しておきますので、また改めてお伺いしますけれども、ひとつよろしくお願いいたします。
時間が来たんですが、ちょっと一点だけ。
最後に、過般、イタリアのソレントでIWCの総会が開かれました。皆さんも御案内のように、これは国際捕鯨委員会、年に一回の総会です。私も参加いたしまして、金田副大臣も出席をされた。本当に御苦労さんでした。
これは皆さんも御承知だと思うんですが、十年前を振り返ると隔世の感があります。あのときは、我が国は孤軍奮闘でした。しかし、我が国の、これは私は水産庁初め政府関係者あるいは漁業関係者に大きく敬意を表するんですけれども、この地道な努力、そして対外各国との友好関係、説得、そして説明、いろいろなことが相まって、非常に仲間がふえてきました。それで、今では、感情的に反対する反捕鯨国と、そして、我が国のように科学的に論理に基づいてしっかり調査をして、海の生態系を壊さないように、そういう状況で頑張るという捕鯨国ですね。
一説には、全世界海域に生存する鯨の総数で約四億トンから五億トンの魚を捕食すると言われていますよね、調査の結果ですよ。一方、全人類が一年間に消費する量は九千万トン。もう五倍から六倍の量を鯨が捕食している。イワシやスケトウダラやイカ。こういう状況をかんがみて、かつての乱獲はだめだ、しかし、きちんと管理をしながらその捕獲をする、それが今日の人間社会の責任だ、そういう観点で我が国は頑張ってきました。
今回、依然として感情的な反捕鯨国の反対もあり、僅差でしたけれども、なかなかうまくいかない面もありましたけれども、幾つかの点、前進しました。例えば釧路において、沿岸、沖合含めてミンククジラの通年の捕獲ができたり、あるいは、森本コミッショナーも、残念ながらわずか一票差でしたけれども負けましたけれども、副議長に立候補する、そういう中でありますので、今後、この勢いをしっかり持続して、来年は韓国で総会が開かれますが、ぜひ頑張っていっていただきたいと思います。特に鯨は、我が国の民族がつくり上げた伝統的な食文化であります。これをしっかり後世につなげることが今の我々の責務だと思いますので、そんなことを含めて申し上げておきたいと思います。
これは、長官が見えていますけれども、金田副大臣、きょうは出番がなかったので、ひとつ答弁いただきたい。よろしいですか、金田さん。
○金田副大臣 ソレントでのIWCの会合に小平委員も御参加いただきました。この会合には私も含めて九人の国会議員が出て、本当に日本の主張を何とかして世界各国に認めていただこうという交渉が行われたわけでございます。
だんだん雰囲気もよくなってきておりまして、今までは感情の対立が表面に出て、論理的な話し合い、科学的根拠に基づいた話し合いというのがなかなかできにくい雰囲気があったわけでございますけれども、大分、日本を中心とする持続的維持派の国々もふえてきております。何とか世界の大勢に、この日本がリーダーになって、IWCの会合で日本の主張が大勢になるように、今後とも引き続き努力していきたいというふうに考えている。
御苦労さんでございました。
○小平委員 終わります。
○高木委員長 次に、楢崎欣弥君。
○楢崎委員 民主党の楢崎欣弥です。
私は横文字に弱いんですけれども、きょうは、BSE、IWC、WTOと横文字関連の質問を日本語でやらせていただきます。
まず、BSE関連について質問をいたしますけれども、この問題は、我が党においても、BSE検査基準の見直し問題、これを今国会の重点課題として取り上げているところです。
このことに関連して、このところ、米国産牛肉の輸入解禁に向けての動きが活発になってきたようですね。全頭検査の科学性を検証されることも結構だと思いますけれども、しかし、問題は、アメリカ国内におけるサーベイランスが機能しているかどうかということなんだと私は思うんですね。そもそも、日米実務者会議では、アメリカのBSE対策の不備を検証するという目的もあったわけでしょう。
そして、農林水産省は、日本と同等の措置をしない限り輸入再開はしないと言い続けてきましたけれども、大臣、この姿勢は今もって変わりませんね。
○亀井国務大臣 この問題につきましては、終始一貫、私が申し上げておりますことでございまして、姿勢は変わることはございません。
○楢崎委員 アメリカのBSE対策について、今、政府は国民に対して納得のできる説明ができる状況にはないと私は思うんですね。
現時点におけるアメリカのBSE対策について、どう評価してありますか。
○中川政府参考人 先般取りまとめられました日米間のワーキンググループの報告書にも記載されていることでございますけれども、日本側からは、アメリカが現在とっております、例えば飼料規制のあり方、それからサーベイランスといったものにつきまして、日本から見た場合にこの点が不十分ではないかということを具体的に指摘もいたしております。そういう意味では、現状、アメリカのBSE対策について、日本から見て必ずしも十分でない点があるというふうに認識をいたしております。
○楢崎委員 そのとおりの答弁を先ほどからされていますね。
今の小平委員のトレーサビリティーに関する質問に対しても、アメリカは牛の個体識別について検討中と答弁されております。しかし、実は、アメリカはBSE対策の追加措置として個体識別をやると言ってきているのではないですか。
○中川政府参考人 アメリカにおきましては、現在、牛だけに限りませんで、家畜全体を対象にした個体識別制度について検討中であるということは、アメリカ側からそういう説明があったということは私ども承知をしております。ただ、具体的にいつからという点、まだしばらく時間がかかるというふうな説明もあったと記憶をいたしております。
そういう意味で、今現在で申し上げれば、そういった個体識別制度の導入について検討中であるというのが現時点での状況ということでございます。
○楢崎委員 今私が言ったことをアメリカはペーパーとして出してきているんじゃないですか。
○中川政府参考人 今先生がおっしゃった具体的なペーパーについて、私、これは現時点では確認できません。
○楢崎委員 では、確認してから後ほどお答えください。
もしそれが事実なら、とにかく、BSE対策の追加措置として個体識別をやりますということが事実であるならば――大体、こういう議論は局長会議の中でなされていませんか。
○中川政府参考人 昨年の十二月二十四日にアメリカでBSEが発生をいたしまして以降、四月までに局長級の会合というのは三回行われておりますが、その第一回、第二回は主としてアメリカ側で、BSEが発生をしたというその状況についての現状説明、あるいはこれからとろうとする措置についての大まかな説明があったというふうには記憶をいたしてございます。
その三回目の協議におきまして、議論を局長級でやりましても、BSEのさまざまな対策やあるいは知見について日米間でなかなか見解の一致がないということで、それ以上議論が進まないという現状がございました。そこで、局長級協議ではなくて、専門家を交えた、そういった実務のレベルで共通の認識を得る、どこが共通の認識が得られるか、どこが見解が相違をするか、そういう整理をするということでワーキンググループというものを設けたわけでございます。
それがこれまでの経緯でございます。
○楢崎委員 これは、ペーパーの所在を確認していただいて、そのときにまたやらせていただきます。
外務省にお伺いしますけれども、今行われています日米実務者会議、これを見ていますと、食の安全よりも日米関係を重視した交渉姿勢に感じるんですけれども、そういう本末転倒なことはないですよね。
○中富政府参考人 本件のワーキンググループには、日本側から、四人の専門家に加えまして、外務省のほか、関係いたします厚生労働省、農林水産省、食品安全委員会事務局の実務担当者が参加いたしまして、技術的、専門的観点から議論を尽くしてまいりました。
政府といたしましては、この問題は単なる貿易問題ではなく、食の安全を確保することを前提としつつ解決すべき問題であると考えております。したがいまして、御指摘の趣旨が食の安全を軽視して外交関係上の配慮のみから解決を急いでいるということであるとするならば、そのようなことはございません。
○楢崎委員 本年四月の段階で、この日米打開の時期は大統領選挙の前ではないかという観測が流れたんですね。
せんだって、アメリカのベネマン農務長官が、七月の十四日、米議会で証言されましたように、ここに至って八月の日米協議で決着をしたいというアメリカの動きもあるようですけれども、そういうスケジュールに合わせてやっているということはありませんね。
○中富政府参考人 本件につきましては、食の安全を確保しながら進めていくことが重要である一方で、問題を未解決のまま放置しておくことはできず、可能な限り速やかに問題を解決する必要がございます。四月に開催された局長級会合において、これら二つの要請を勘案した結果、本年夏をめどに米国産及び日本産牛肉の輸入再開につき結論を出すべく努力することで日米間で合意しております。
したがいまして、米国のスケジュールに一方的に合わせて協議を行っているものではございません。
○楢崎委員 一方で、農林水産省の石原事務次官、この方は、七月二十二日の記者会見で、国内で条件が整備されていないのに、日米協議を開いても成果があるのか疑問だと述べておられます。つまり、食品安全委員会によるBSE対策の検証作業が終わるまで輸入再開交渉は決着しないという見解を示しておられると思いますけれども、これが農林水産省の現段階における基本的姿勢だと理解していいですか。
○中川政府参考人 食品安全委員会におきましては、現在、プリオン専門調査会におきまして、我が国におきますBSEの発生から二年半が経過をしたということを踏まえまして、これまでに蓄積をされましたデータあるいは最新の科学的知見に基づきまして、日本で今現在実施をしておりますBSE対策全般についての検証作業が行われているわけでございます。
このプリオン専門調査会の議論は、あくまでも国内対策についての検証でございますし、食の安全の確保の観点から慎重な議論が行われているということであります。そのプロセスについては、消費者の方々にも十分説明をして理解を得ることが大事だというふうに思っております。
他方、日米間の牛肉貿易の再開についての協議でありますけれども、これは、先ほど外務省の方から答弁申し上げましたように、本年夏をめどに結論を得るよう努力するということになっておりますけれども、協議におきまして、我が国は米国に対して、我が国がとっている措置と同等の措置を、これは従来から一貫して要求しているところでございます。
そういうことからいたしますと、現在食品安全委員会で検討が行われておりますこの検証作業、その報告が出ているということがこれからの日米間の協議をする上で大変大事なことになる、そういうことが出ていることが望ましいというふうに考えておりまして、現在、食品安全委員会の方の議論の帰趨を注視しているという状況にございます。
○楢崎委員 そこで、今答弁にもありました、食品安全委員会の中に設けられていますプリオン専門調査会、この七月十六日の会合では、一定の月齢以下の若い牛を全頭検査対象から除外してもリスクはふえないとしたようですけれども、この一定の月齢以下という線引きについては結論が出ていませんね。
この調査会、次回はいつ開催されますか。
○齊藤政府参考人 お答え申し上げます。
次回のプリオン専門調査会につきましては、今週の八月六日金曜日の午後五時から開催することを予定しております。
○楢崎委員 どの月齢で検査対象を区切るかという肝心の部分について、御案内のように、我が国では二十一カ月それから二十三カ月の若い感染牛が見つかっていますから、専門家の方にとってもその線引きの答えというのは簡単に出ないと思うんですね。プリオン調査会の吉川座長も、わからないことはわからないと、率直に言ってあるようです。
問題なのは、国民に安心を与えていた安全対策を、まだ科学的な検証が行われていないのに見直そうとしていることなんですよ。つまり、若い牛を検査対象から外しても危険性はありませんよという漠然とした説明だけで、消費者の理解が得られるかということですよ。
そこで、大臣にお伺いしますけれども、今言いましたように、検査対象から外していい月齢が不明のままで、若い牛は安全ですよと言って国民の理解が得られるとお思いになりますか。
○亀井国務大臣 日米ワーキンググループ、ここにおきまして、日米双方、専門的、技術的にいろいろ議論をし、そして三回の中で報告書が出されたわけであります。そういう中で、やはり先ほども答弁がありましたとおり、米国におきまして我が国と同等の措置が講ぜられることが基本であるわけでありまして、我が国の国民の食の安全、安心、これが確保されることが大前提であるわけであります。
他方、食品安全委員会におきまして、今、国内のBSE全体につきましていろいろ、検証作業と申しますか、プリオン小委員会等々で行われておりますことは承知をいたしております。この議論、この帰趨ということは注視をしておるところでもございますが、やはり何といっても国民あるいは消費者の、内容あるいはプロセス、そういう面で十分に説明をし、理解を得ることが必要でありますし、日米協議もそういう中で進められるということが重要なこと、私はこのように考えております。
○楢崎委員 そのプリオン調査会の論理が通るとするなら、検査した肉と検査しない肉が流通するわけですから、これはやはり消費者の不安を招くことになるのではないかと私は心配するんですね。
つまり、これは検査した肉ですよ、これは検査はしていないが安全な肉ですよという表示をつけて、あとは消費者の裁量に任せるということも想定しなくてはいけないんじゃないですか。
○亀井国務大臣 私は、先ほど申し上げましたが、やはり我が国と同等の基準、こういうことが基本的なことであるわけでありますから、これからの議論、そういうことにならないように私どもは努めてまいりたい、こう思っております。
○楢崎委員 大臣、我が国のBSE対策検証も含めて、今つらつら私が言ってきたようなことも考えたときに、輸入再開についての日米決着が大統領選挙に左右される、こういうことは考えられませんよね。
○亀井国務大臣 このことは、先ほど来申し上げておりますとおり、我が国と同等の基準、これが基本的なことでありますし、さらには、何といっても国民の食の安全、安心、このことが確保されることが重要なことでありますので、そのようなことにいささかも、私は左右されるということは考えておりません。
○楢崎委員 次に、これまでの動きを見ていますと、いよいよSRM、特定危険部位の除去、これが重要になってくると思われます。
先ほど答弁にもありましたけれども、アメリカは、回腸の遠位部と扁桃についてはすべての月齢で実施しているわけですけれども、その他については三十カ月以上での実施ですね。この手法について、我が国はその三十カ月以上については問題があるとしているようですけれども、そうであれば、これは輸入再開に向けての一つのネックとして残りますよね。そういう認識をお持ちですか。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
我が国といたしましては、米国におけるSRM対策におきまして、三十カ月齢未満の牛については十分な配慮がなされていないのではないかと考えております。したがいまして、これは大きなネックであると思っております。
○楢崎委員 もう一度確認いたしますけれども、我が国では、すべての牛から危険部位を除去するということで消費者の信頼を得ているわけですね。このアメリカのやり方について、消費者の理解は得られるとお思いになりますか。
○外口政府参考人 消費者の皆様方の御理解を得るには、単に科学的な説明だけではなくて、それに信頼を加えた安心というものが、納得できる形でお伝えして御理解いただける形にならないといけないのではないかと考えておりますので、この点についていえば、十分消費者の皆様方の御意見も踏まえて対応すべきものと考えております。
○楢崎委員 そこで、危険部位及び月齢は当該国のBSE発生リスクに基づき決定されるということで実務者会議の見解が一致したとありますけれども、これまでのアメリカのBSE対策を見たときに、アメリカがBSE発生頻度が低いのではなくて、見逃されてきた可能性が強いのではないかと私は思うんですね。その点、どう認識してあるか。これは農林水産省、そして厚生労働省の方もお答えください。
○中川政府参考人 アメリカにおきましては、一九九〇年以降、BSEの検査を実施してきております。対象となります頭数は少しずつふえまして、昨年は二万頭強の検査を実施したというふうに承知をしておりますけれども、我が国から見ました場合に、アメリカでのBSE検査のサンプルのとり方、あるいはサンプルの具体的な数、それから検査の手法等につきまして、必ずしも十分ではないというふうに思っております。この点につきましては、アメリカ政府自身が招聘をいたしました国際調査団の報告書でも指摘をされているというふうに承知をしております。
こういった状況の中で、アメリカの農務省はことしの六月から、一年ないし一年半をかけまして、高リスク牛を対象にしまして可能な限りBSEの検査を行うということ、それから健康牛についても、一部ではありますけれども、抽出によりましてBSE検査を行うというふうなことを発表し、現に六月から実施をいたしております。
米国におきますサーベイランスの強化自体は、アメリカにおけるBSEの広がりを、従来と比べますとより正確に検証するものとして評価はできると思いますけれども、依然として、二十万ないし二十六万というふうな数字が示されておりますけれども、そういった検査頭数が不十分であるというふうにも思っておりますし、対象となる牛の選び方につきましても問題があるのではないかというふうに思っておりまして、こういった点については、このワーキンググループの中で日本側からも指摘をしたところでございます。
○外口政府参考人 ただいま中川局長から答弁申し上げたとおりでございますけれども、厚生労働省といたしましても、米国が今まで行ってきたサーベイランスの方法につきましては、我が国の考え方と比較すれば、これは十分ではないので、改善していく必要があると認識しております。
○楢崎委員 最後になるかと思いますけれども、六月の中ごろだったと思いますけれども、異常プリオンが蓄積されていない部位を段階的に輸入再開を検討するということが一部マスコミで報道されたんですけれども、これは事実ですか。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の報道は六月十八日の報道だったと思いますけれども、そのような事実はございません。
それで、私どもといたしましては、当該新聞社に対しまして、読者に誤解を与えるおそれがあること、そして、今後は正確な報道に努められるようお願いするという文書での申し入れをしたところであります。
○楢崎委員 食の安全問題は年金同様に国民の関心事だと思います。最後は政治決断になろうかと思いますけれども、やはり消費者の視点を念頭に置いて決着を図っていただきたいと思います。
午後はIWCから入りますので、よろしくお願いします。
終わります。
○高木委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四分休憩
――――◇―――――
午後二時一分開議
○高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。楢崎欣弥君。
○楢崎委員 午前に引き続いて質問を続行します。
IWCに入りますけれども、その前に、午前の質疑の中で、私はアメリカのBSE対策問題について、アメリカの個体識別、実はアメリカは個体識別をやると言っているのではないか、そのペーパーがあるのではないかという質問をしました。ペーパーについてはまだ確認していないということでした。
今、私の手元に二枚のペーパーがあります。昨年の十二月二十九日、局長級会議が開かれておりまして、その中で「米国側から、米国政府は今回のBSE発生を受けBSE対策の見直しを検討しており、近く公表予定であるとの説明を受けた。」とあります。
もう一枚のペーパーは、これは一月十九日付で農林水産省の消費・安全局から発信されたものですね。「米国で公表された追加的なBSE対策について」ということで、「米国内におけるBSE対策の主な追加的措置」、この中に五項目ありまして、その五項目の中の一つに「牛の個体識別制度の導入」とはっきり打ってある。
ペーパー、あるじゃないですか。
〔委員長退席、小平委員長代理着席〕
○中川政府参考人 先生今お話がございましたのは、昨年十二月二十四日にアメリカでBSEが発生をして、それを受けて、追加的な対策として、項目は十二月の三十日にベネマン農務長官から公表されたものだというふうに思います。そのことについては、その前日の十二月の二十九日に、日米局長級会議の第一回目のときに、近々こういう内容のものをアメリカとして公表しますということで紹介があった、その紙だというふうに思います。
確かに、最初の、BSE発生を受けて追加的にやる対策の中に「牛の個体識別制度の導入」というその項目は入ってございますが、午前中も答弁申し上げましたように、今現在その実際の導入を検討中でありまして、まだ現時点におきましてそれがアメリカの国内全体に制度として導入されたというものではないということでございます。
○楢崎委員 検討中というのは、個体識別をやるかどうか、そういうときに使う言葉でしょう。アメリカは個体識別を導入すると言っているんですよ。はっきり言っているんですよ。どうですか。
○中川政府参考人 個体識別制度の導入というのは、今現在アメリカで準備をしているというのはそのとおりでございます。ただ、その具体的な中身についてはまだ完全に固まったものではないというふうに承知をしております。現に、十二月二十九日に説明があり三十日に公表されたものと、その後私どもも入手しました情報では、検討の途中ということで、既に中身が若干変わっているようにも見受けられます。
したがいまして、そういう個体識別制度を導入するという方向で準備をしているというのはそのとおりでございますけれども、現時点においてまだ、何度も繰り返し申し上げますけれども、現にその制度がアメリカの中にあるというものではないということで、午前中申し上げたところでございます。
○楢崎委員 ちょっと視点を変えますけれども、我が国がアメリカにトレーサビリティーを求めることが何か協定に違反するというような問題が出てくるんですか。
○中川政府参考人 アメリカから何か、牛肉なら牛肉を輸入する際に、その輸入の条件としてトレーサビリティーシステムを義務づける、そういう形で要求するとなりますと、これは午前中大臣からもお答え申し上げましたように、SPS協定上の問題があるというふうに私どもは考えております。
といいますのは、SPS協定では「人、動物又は植物の生命又は健康を保護するために必要な限度においてのみ適用する」という文言がございます。ですから、トレーサビリティーシステムは何か事が起こったときにトレースバックをするというシステムではありますけれども、その輸入するもの自体の安全性を担保するものではないという意味において、ここはSPS協定上、疑義が出てくるのではないかというふうに理解をしております。
○楢崎委員 その疑義が出てくるというところに私どもは疑義を感じるんですけれどもね。
いずれにしましても、これは輸入再開にかかわる問題なんですよね。アメリカがBSE対策に努力することはいいことでしょう。なぜそういう中途半端な答弁になるんですか。よくわからないんですよ、言っておられることが。何か裏があるんじゃないかという感じがするんですよ。いかがですか。
○中川政府参考人 現時点で申し上げますと、まだアメリカとの間で、具体的な牛肉の再開の条件について、局長級協議でそういう議論をしているわけではございません。今現在、ワーキンググループで日本とアメリカの専門家が議論をして、そこで具体的な、科学的知見についてどこが一致するか、どこが見解が異なるかというところを整理した、それがワーキンググループの報告書でございまして、この後、局長級協議が予定をされておりますけれども、具体的な中身についての協議まではまだ至っていないということでありますので、今先生が御質問になりました点等につきましては、具体的な輸入再開の条件というものが議論される中で、改めてまた御説明もさせていただきたいというふうに思います。
○楢崎委員 次の質問が控えていますので、ここで一たんこの問題は、また後ほどに回しますけれども、今答弁されましたように、経過報告をしてくださいね。
では、IWCに移ります。
先月、イタリアのソレントで第五十六回総会が開催されました。現地に足を運ばれました関係各位には大変御苦労だったと思います。関係者の方々からは一定の前進があったという報告を受けておりますけれども、私は、あえて辛口の質問をさせていただきたいと思います。
捕鯨か反捕鯨か、つまり二つに一つを求める交渉というのは、これは少数派にとって非常に厳しい、つらいものであろうと思います。しかし、この総会が始まる前の時点において、今回の総会では、当初、賛成国と反対国の勢力比が均衡しつつあるのではないかという思いから、これまでの経緯に何らかの変化が見られる、そういう期待がされていたわけです。ところが、南極海のサンクチュアリー撤廃提案に見られるように、やはりつらい結果が出ている。どこで筋書きが狂ったのか、その経緯も含めて報告をしていただけますか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
南氷洋のサンクチュアリーの撤廃の提案、これにつきましては、特に反捕鯨国が、MPA、いわゆる海洋保護区の設定の動き、こういったこと等もあるということを踏まえまして、私どもといたしましては、やはり戦術的にも、こうしたサンクチュアリーの撤廃、それと約三千頭に及びます商業捕鯨の捕獲枠、こういった提案を行ったわけでございます。
ただ、この提案自体は今回初めての提案であったということで、他の提案と比較いたしますと必ずしも十分に関係各国の理解が得られなかったのではないか、これが票差ということにあらわれたのではないかというふうに考えております。
ただ、昨年初めて提案を行いました沿岸のミンククジラあるいはニタリクジラの捕獲枠の提案でございますとか、本年の会合でこういったものについては得票を伸ばし、その差は縮まってきているというふうな面もあるわけでございまして、私どもといたしましては、今後とも引き続き粘り強くこうした科学的な正当性につきまして訴えることによりまして、その差を縮め、逆転に持っていきたい、かように考えている次第でございます。
○楢崎委員 総会の冒頭、我が国の森本稔政府代表が総会副議長に選出されて、出だしはよしと思ったんですけれども、議長に反捕鯨国の筆頭でありますアメリカのシュミッテンさんが選出されて、議事進行上、副議長としての差配がふるえなかったことも戦術上の原因としてあるのではないかと思うんですけれども、副議長をとったことでその後の読みが甘くなったということはないですか。
○田原政府参考人 お答え申し上げます。
今回の会議におきまして、議長あるいは副議長、それぞれ病気になられたりというふうなことで欠席されたということで、暫定議長あるいは暫定副議長という形で、我が国の森本コミッショナーが暫定副議長ということでコンセンサスで選ばれたわけでございます。これは反捕鯨国でありますアメリカとのセットということでのコンセンサスということで、これ自体は、ここ最近のIWCにおいては極めて異例なことであるというふうに評価してよろしいのではないかというふうに思っております。
すなわち、ここ二十年、少なくとも、一九八二年に例の商業捕鯨のモラトリアムが採択されておりますけれども、我が国が暫定とはいえ副議長のポストを得たということは初めてでございまして、そういう意味におきましては、今までの先鋭的な、対立的な議事運営から、コンセンサスを求めたいという雰囲気、こういったことがあったということは、率直なところ、我々は評価していいんじゃないかというふうに思っている次第でございます。
また、議長と副議長ということになりますと、もちろん暫定議長の方が、会合自体を取り仕切るという意味においては御指摘のように中心的な立場にあるわけでございますけれども、ただ、現実的には、暫定議長と副議長は会期中連絡をとり合いながら、協議しながら会合の進め方を決めてこられたということも事実でございまして、こうしたおかげで幾つかの決議がコンセンサスということでいろいろとなされてきた。
例えば、具体的に申し上げますと、例の沿岸小型捕鯨捕獲枠、これには賛成を得られずに失敗したわけでございますが、同時に、沿岸地域の救済努力を確認する決議、こういったものがコンセンサスでまとめられておりますし、それから鯨類捕獲調査、今回の場合北鯨の方でございますけれども、ミンククジラ等かなり頭数を増加させる調査捕獲の頭数を出したわけでございますけれども、こういったことでございますと、今まででございますとこれについていろいろ難癖をつけられているということが、粛々と認められたというふうなこと等いろいろございまして、私どもは、そういう意味では、今回のこうした暫定副議長がとれたということ、それからコンセンサスによるいろいろな決議がなされたという意味においては、これまでと比べまして一歩も二歩も前進しているのではないか、かように考えている次第でございます。
○楢崎委員 私は現地に行っていませんので、現象面からの質問になろうかと思いますけれども、私が最大の焦点と見ていた、先ほど申し上げました南極海のサンクチュアリー撤廃提案ですけれども、これはIWCの重要事項の決定に当たるわけですから、成立するには四分の三の賛成が必要で、それは無理だとしても、限りなく過半数に近づけて捕鯨解禁への道がつけられるのではないかという期待をしていたんですけれども、それが大差で否決をされた。あわせて、今言われましたように、南極海で五年間、毎年二千九百十四頭のミンククジラを捕獲することや日本沿岸での捕鯨を求める提案も否決をされた。
今のIWCのハードルの高さから見れば、商業捕鯨再開への道が果たして開かれるのだろうか、むしろ閉ざされてしまったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
確かに、先ほど申し上げましたけれども、我が方が今回初めて提案いたしました南氷洋のサンクチュアリーの撤廃あるいは商業捕鯨の捕獲枠設定の提案、これは、十九対三十ということでございますので、若干差がついて否決されたわけでございますけれども、今回初めての提案であったということもございます。例えば沿岸のミンククジラの捕獲枠の提案、これは二十四対二十八ということで、かなり狭まった票差というふうなことになっておりまして、少なくともこれまででは最多の支持票も得られております。
もちろん、商業捕鯨の再開ということになりますと、これは四分の三という、御指摘のとおりのかなりの票数をとらなきゃいけないということは事実でございますし、そういう意味におきまして、道のりはかなり厳しいということは認めざるを得ませんけれども、我々といたしましては、こうした我々の科学的な論拠、こうしたことを世界にPRすることによりまして、少しでも賛成国をふやしていくという努力、こういったことを重ねることが我が国の捕鯨再開に向けての有効な道じゃないかというつもりで、今後とも、これは日ごろの努力も必要でございます、各国とのつき合いも大変重要でございますので、こうした努力も重ねていきながら努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○楢崎委員 我が国が捕鯨再開を求めたミンククジラが南極に七十六万頭以上生息していることは、これはIWCの科学委員会でも認めているんですね。その上で、毎年二千頭の捕獲を百年続けても資源に悪影響がないという、そういう試算もしているにもかかわらず、モラトリアムといいますか、この見直しが今も放置されたままでしょう。
我が国の陸上における食料生産を考えたときに、海洋資源、とりわけ鯨、鯨に焦点を当てないと、我が国の食料安全保障面に大きな危機が訪れると思うんですよ。そういうことを考えたときに、このままIWCに加盟を続けることに私は疑問を感じるんですよ。いかがですか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
現在の国連海洋法条約によりますと、鯨類を含みますいわゆる高度回遊性魚種、これにつきましては、排他的水域の内外を問わずその保存を確保し、かつ最適利用の目的を促進するということで、国際機関を通じて協力を行う必要があるというふうにされているところでございます。こうしたことを踏まえながら、我が国といたしましては、国際機関でありますIWCにおきまして捕鯨再開に向けた努力を行っているところでございます。
ただ、先生が御指摘になられましたように、鯨類を過度に保護の方に力点を置くといいますか、そういった国が多いということも事実でございまして、我が国が主張しております鯨類の科学的根拠に基づいた有効利用、こうした考え方が必ずしも十分に浸透し切れないという面はございますけれども、ただ、我々といたしましては、IWCへの今後の対応、今後もいろいろな動きが出てくるのではないかというふうに思います。そういう意味におきましては、いろいろなオプション、これは戦術的にもいろいろと多様性を深めていくという意味におきまして、いろいろなオプションを検討していきながら、今後、IWCに向けては多面的に対応をしていきたい、かように考えている次第でございます。
○楢崎委員 そのIWCそのものが、科学的根拠に基づいて捕鯨の管理を行う機関であるはずなのに、今や感情に左右されてその存在意義をみずから失っているのではないか、みずから否定する機関に成り下がっているのではないかと思うんですよ。そうじゃありませんか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
昨年のベルリンにおきますIWC会合におきましても、極端な保護に偏したといいますか、保存委員会の設立、こういったこと等が決議されるというふうなことで、御指摘のように、IWCの中におきます反捕鯨国の動き、これにもいろいろと注意すべき点、多々あろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、まずはこのIWCの枠内で、我が国の主張が国際的にやはりきっちり認識されるということが重要でございますので、引き続き科学的根拠に基づいた主張を何度も繰り返すことによりまして、鯨類の有効利用、こういったことが図られるように努めていく、かように努めるのが我が国の基本的にとるべき道ではないか、かように考えておる次第でございます。
○楢崎委員 総会が開かれましたソレントには、我が党からは小平筆頭理事が足を運ばれました。同様に現地に行かれました金田副大臣にお伺いします。
今回の総会の評価というのは、実はいろいろな意見が錯綜しているんです。それで、今までの質疑をお聞きになって、金田副大臣の見解というものをお聞かせいただけたらと思います。
○金田副大臣 民主党からは代表して小平委員が出席されました。国会議員の多くの人たち、トータルで九名の国会議員の人たちがこのソレントのIWCの会合に出席していただきまして、いまだかつてない議員外交と申しますか、国会の皆さん方の御努力があった会合だったと思います。
私、いろいろな国際的な会合に出させていただいておりますが、このIWCの会合ほど日本が注目される会合はほかにないんでないかという感想を持たせていただいたわけでございます。反捕鯨国二十八カ国、そして持続的利用派、SUPUというグループ二十八カ国と、まさに相拮抗する対応の中で、IWCのRMSの問題等々をやってきたわけです。まさに日本の動き方、日本の行動がマスコミ等でも大きく注目されていた会合だったと思います。
とかく日本外交というのは追随外交だとかあるいは弱腰外交だとかと言われる中にあって、アメリカ、イギリスを向こうに回して正々堂々の論陣を張るというような国際会議でございました。何としても鯨類を食料資源として持続的に利用していくことが食料の将来の問題、そしてまた、世界じゅうから魚が、大分魚資源がいなくなるんでないかという不安がありまして、人類が食う魚の捕獲する量よりも、三倍も五倍もの魚資源を鯨が食べている。そういった意味で、魚類資源の保護のためにもこのRMS、改訂管理制度を何とか確保しなければならない。そういったことに対して、いろいろな国が、日本の言うとおりだ、そういった科学的な根拠に基づく合理的な論理、資源管理をしていくことが必要なんだということが大分理解を得てきたなという感想でございます。
これからの見通し等々でございますが、反捕鯨国もじっくりと日本を初めとする持続的維持派の論理を聞く、そういった冷静な対応が今回のソレント会議から出てきたなという感じでございます。
だんだん、そういった感情的な交渉の内容ではなくて、科学的な根拠に基づく理性的な行動がこれからの人類に求められるんだと思っておりますし、また、大勢の我々に賛同する加盟を促進する中で、何とか鯨を食料資源として確保できるような商業捕鯨が認められる体制に向かって頑張っていかなきゃならないのかなというふうに思っておるところでございます。引き続き頑張っていきたいというふうに思っております。
○楢崎委員 本当に希望が持てる状況であればいいんですけれども、今言われましたRMS、これは資源を減らさずに捕鯨を続ける方式で、商業捕鯨に道を開くものだと言われているんですけれども、これが来年の韓国蔚山総会で結論を出すように努力するという合意にこぎつけた。これは私は大きな意味があって評価しますけれども、言いかえれば、来年のIWC総会が我が国にとって正念場という総会になる、そういう認識はお持ちですか。
○金田副大臣 来年の韓国の蔚山での開催でございます。さらに一層努力して、我々の商業捕鯨再開への道が開かれるように頑張っていきたいと思います。
何といってもIWCの決議というのは四分の三の多数を確保しなければならないという大きなハードルがございまして、なかなか難しい、困難な状況というのは、率直に言って認めなければならないんだろうと思いますけれども、だんだん、持続的維持派の主張というのがやはり論理的に正しいなというような、そういった雰囲気が出てきております。
具体的に申しますと、ユダヤ系の人方は、ユダヤというかアラブ系の人方は豚肉を食べないのでございますけれども、そういった豚肉を食べないアラブ系の人たちが、かといって、我々が豚肉を食べないからおまえらキリスト教徒信者も豚肉を食べるんでないという主張は誤りであるというようなことを正々堂々と主張しております。
そういった中で、鯨に対する過去の慣習の違い、そういったものについて、やはり鯨を食料資源としている民族もあるわけでございまして、そういったことを冷静に説得を続けていく中で必ずや道は開けてくるものだ、それがまた日本に与えられた大きな責務なのではないかというふうに考えておるところでございます。
○楢崎委員 来年も希望が持てないような状況が続くなら、二年後のカリブ海総会はないというような決意で、韓国蔚山総会に臨んでいただきたいと思います。
続いて、WTOに入りますけれども、もう時間がありませんから一問だけにとどめます。
今回、WTOの新ラウンドの枠組みが難産の末に合意されたわけですけれども、これは決裂回避が優先されたのであって、詰めなくてはいけない問題も先送りされていますね。
我が国は何をもって中間総括である今回の七月合意の最終案を受け入れられたのか、お聞かせください。
○亀井国務大臣 今回の交渉、これは、多角的な貿易体制は確立することが必要なことでありますし、ドーハ・マンデート、ドーハの閣僚会議におきましても定めてまいったわけでありまして、その後、やはりカンクンでのあのような状況、そして今回、大枠合意、これにつきましては、いわゆるセンシティブ品目に対する柔軟性、それと同時に、我が国の農業の多面的な機能、多様な農業の共存、こういうものも加味された。そういう中で、上限関税の問題あるいはセンシティブの問題等々がこの中に加味され、そして柔軟な中に貿易ルールが公正公平な中で確立できる、こういうような状況、こういうものを勘案いたしまして、この合意をいたしたところであります。
○楢崎委員 大部分の質問が積み残しされましたけれども、亀井大臣が九月の内閣改造で見事再任を果たされて、大臣主導のもとに、守りから攻めの交渉ができる体制づくりをなされるように期待して、終わります。
○小平委員長代理 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
私は、きょうはBSEの問題を中心に質問したいと思います。
まず、BSE全頭検査の意義について最初に確認しておきたいと思うんですが、これは政府参考人の方に最初に伺います。
まず一つは、第三回食品安全委員会プリオン専門調査会の北本専門委員の発言にもありますが、「政治的判断をしたから、今回全頭検査が若いBSEが見つかったわけです。これがヨーロッパ並みの検査であれば見つかっていないわけです。だから、すごくいいこともあった。当時のサイエンティストが膝詰めをして、三十か月であるとか、二十四か月であるとかという基準を設けていたら、今回のはわからなかったわけです。だから、僕は非常にあれはよかったと振り返って思うんです。」というふうに述懐をしておられますが、科学者の立場から見ても、この全頭検査によって、世界的にも初めて二十一カ月齢や二十三カ月齢といった若年齢牛からBSE感染牛を発見するなど、世界的な成果を上げることができた。これは全頭検査をやったことの、この点では非常に大きな意義の一つではないかというふうに思います。
それから二つ目に、全頭検査は感染牛を食物連鎖から排除するスクリーニングの役割を果たしてきた。その結果、二十一カ月齢、二十三カ月齢などの若年齢牛を含む十一頭の感染牛を食物連鎖から排除することができた。
三つ目に、検査しない牛と検査した牛が混在して市場に流通することになってしまうと、これは消費者からすると本当に信頼できない、安心できないという事態になりますが、そういう混在して流通することを防いで、消費者に安全、安心を確保することができたという点も大事な点じゃないかと思っているんです。
まず、全頭検査について、私はこういう三つの意義というものがあると思うんですが、最初に厚生労働省の方に伺っておきたいと思います。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
我が国におきましてBSE感染牛が初めて確認され、屠畜場におけるBSEのスクリーニング検査の導入を検討いたしました平成十三年当時は、牛の月齢が正確に確認できなかったということが一つあります。それから、御指摘のように、検査をした肉としない肉が流通すること自体への不安があったことがあります。三つ目には、各方面から、すべての牛を検査対象とすべきとの要請をいただいておりました。こういう状況の中で、これらにかんがみまして、食用として処理されるすべての牛を対象にBSE検査を行うこととしたものであります。
このBSE検査の意義につきましては、これらを含めまして、国内BSE対策について、現在、食品安全委員会において科学的な議論がなされているところであります。
○吉井委員 現在の、議論は議論として当然いろいろするにしても、私が今言いました、一つは、全頭検査によって、二十一カ月齢など若年齢牛からBSE感染牛を発見するということなど、世界的成果を上げた、それから二つ目には、若年齢牛を含む十一頭の感染牛を食物連鎖から排除することができた、三つ目には、検査しない牛とした牛が混在して流通ということを防いで、消費者に安全、安心を確保することができたというこの三つの点についての意義は、これは専門家の議論も何もなく、厚生労働省としてきちんとした考え方をお持ちだと思うんですが、そこを伺っているんです。
○外口政府参考人 御指摘のような、専門家の先生方の評価と申しますか科学的な事実についての御意見については、私どもも同じような考え方を持っております。
○吉井委員 消費者の安全、安心の話は、必ずしも専門家、学者でなくてもちゃんと考える話ですから。
要するに、今の三つの点は意義をきちんと踏まえておられるということですが、BSEが科学的にまだ解明されていない点が多いということは、これは食品安全委員会第一回プリオン専門調査会での寺田食品安全委員長の、例えば「プリオン病については、科学的にいまだ解明されていない点が多く、健康影響評価、リスク評価が難しい状況も予想されます」などの発言を通じても、そこはあるわけですね。そして、例のたたき台においても、「プリオン蓄積の経過についてはほとんどわかっていない。」「BSEの発症メカニズムについては、十分に明らかになっていない」「他の臓器に全く感染性が存在しないのかについては、現時点では明らかではない。」など、多くの点で要するに科学的に未解明であるということが確認されていると思うんです。消費者がBSEに対して不安を抱くのは、だから当然なんですよね。未解明なわけですから、一層不安は深まるわけです。
そういう中で、日本が行っている全頭検査というものは、科学的に未解明な中で予防原則に基づいて行われているという点では、これは評価できるものでありますし、それはやはり堅持されるべきものだというふうに思うんですが、厚生労働省の考え方というものを伺っておきます。
○外口政府参考人 未解明な部分を含むことについて、消費者の方々の安全、安心を確保していくということはこれは大きな課題だと思っております。
厚生労働省といたしましては、国内におけるBSE対策につきましては、先ほども御説明したとおり、現在、食品安全委員会において科学的な議論が公正中立な立場からなされておるところでありまして、御指摘の全頭検査を含めた我が国のBSE対策の評価、検証が行われているものと理解しております。この議論を注意深く、関心を持って見守っていきたいと考えております。
○吉井委員 けさほど来議論がありましたけれども、大臣もこの間のことなど答弁をしておられますが、アメリカ政府は、若年齢牛からBSE検出の困難性を理由にして、日本の全頭検査を中止させようという考え方を持っていますね。もちろん、どんな検査にも検出限界というものはあるわけで、それはBSE検査にももちろん当てはまります。しかし、問題は、検出限界というものは、検査技術の進歩によってどんどんこの限界値は下がっていって、より正確に解明されるようになります。
これは、化学物質の検査でも、以前であればppmの単位であったのが、百万分の一のレベルが、今ではppt、一兆分の一のレベルまで解明がされるようになっていくとか、原発機器でいえば、シュラウドのちょっとした傷でとても以前はわからなかったのが、検査技術の進歩によって精度が少し高くなって、早く傷が見つかるとか、そういうものなんですね。
ですから、BSE検査についても、検査感度がさらに上がれば、今後、二十一カ月齢よりさらに若年齢の牛からBSEが検出されるという可能性も、これは当然否定できないものです。全頭検査を中止してしまいますと、一定年齢牛以上のBSE検査をするならば、さらに若年齢牛からのBSE検出の可能性があるのに、その可能性を奪ってしまうということになる。ひいては、それは人の食物連鎖の中に異常プリオンの侵入を許すということになりかねない問題を生じてきます。それは、同時にまた消費者の不安を広げ、牛肉消費の低迷につながるし、国内畜産業に対しても、あるいは焼き肉業界とか流通関係者にも多大な影響を及ぼすものになってしまいます。
だから、こういう点では、全頭検査中止などという考え方は、農水大臣としては、それは受け入れることはできないよ、やはり検査技術の進歩に尽くすことも必要だし、若年齢牛、もっと若い牛の発見とか、科学の進歩にとっても、食物連鎖の中に異常プリオンを侵入させない、消費者の安心や畜産業その他を考えても、それはできる話じゃない、こういう立場というものを明確にお答えいただいておきたいと思うんです。
○亀井国務大臣 BSEのことにつきましては、日米の関係につきましては、先ほど来お話し申し上げておりますとおり、技術あるいは専門家でのワーキンググループのいわゆる報告書、また、それにつきましては、いろいろ双方、問題点の指摘もあるわけであります。
そういう中で、やはり私は、我が国におきますのと同等の基準、これが全うされ、そしてさらに、国民、消費者の安全、安心、このことが確保されなければならないわけでありまして、そういう面で、一つは、食品安全委員会のプリオン専門委員会、いろいろ議論がされております。これを注視しておるわけでありますが、何分にも、やはり国民の健康保護、そして食の安全、安心、このことが図られることが一番大切なことでありますので、そのような考え方のもとに、いろいろな話し合いを進めてまいりたい、こう思っております。
○吉井委員 アメリカの牛は全頭検査しない、日本の牛は全頭検査をする。冒頭にお話ししましたように、市場に混入、混在という、それは消費者の立場からすれば、とてもじゃないが安心できる事態じゃありませんから、ダブルスタンダードの問題は、やはりそれはだめだ、日本の基準というものをきちっと守っていくということが必要だと思います。
特に、後ほど触れようと思っていたんですが、順番をかえて先に言いますと、大阪市の第三セクターの大阪港埠頭ターミナルによる野菜の産地偽装事件のように、こういうのはもうしょっちゅうあるわけですね。この事件については、強制捜査もされており、その中で事実が解明されていくと思うんですが、公的企業による野菜の産地偽装という問題がありました。
こういうことが食品流通の分野である中で、日本の基準さえ崩されてくるとなると、混在となりますと、何がどう偽装されてどう出回るかわからない。ハンナングループの偽装というのが既に肉ではあるわけですけれども、もう大変なことになりますから、私は、こういう野菜その他食料品の産地偽装などは絶対許されないという立場で臨まなきゃならぬと思うんです。
この点で一つの問題は、この偽装事件について、昨年八月に近畿農政局に不正情報を告発する電話があったにもかかわらず、十分な調査もせずに放置されていたという問題、それも、本省の担当課と相談した結果だという問題がありました。
昨年八月といえば、食品安全委員会が発足した直後ですし、農林水産省でいえば、食と農の再生プランに基づいて、食糧庁、食糧事務所を解体、再編して、消費者に軸足を移した農林水産行政に転換するんだというふうにした直後のことなんですね。
その転換の趣旨というのは、BSE問題や食品の虚偽表示問題等に関連して、食と農に関するさまざまな課題が顕在化している中で、農水政策を大胆に見直し改革することにより、食と農を再生して、国民の信頼を回復することが急務だというふうに言ったものですが、その目玉の一つが、不正を見逃さない監視体制の整備をうたい、食品表示に関する不正を監視する体制を強化する、だから食品表示一一〇番まで設けたんですね。そこへ告発の電話が入ったのにほったらかしにしてしまった。
これは大臣、やはりこのことは徹底して反省して、二度とこういうことを起こさない、その対応を改善するということを、これはもう大臣が中心になってきちっとやってもらわないと、全頭検査もさることながら、肉、野菜その他、本当に安心できないというゆゆしき事態ですから、これは大臣の方からきちっとお答えいただきたい。
〔小平委員長代理退席、委員長着席〕
○亀井国務大臣 今委員から御指摘がございましたとおり、昨年八月、近畿農政局に情報の提供がなされたわけであります。これを受けまして、情報提供者と連絡をとった、こういうことで、JAS法違反で調査を行うため必要な情報が十分得られなかった、こういうことでありまして、その当時、特段の対応をいたさなかった。これは実は、一一〇番等々設置をして、いろいろな対応をするようなスタートをしたところでありまして、十分反省しなければならないことは事実であります。
今後、このような疑義の情報の提供があった場合の対応強化、まず関係都道府県への連絡を従来以上に徹底する、またさらには、情報提供者に対しまして積極的に接触を図りまして、追加情報の収集、こういうことに努めさせる、いろいろ改善の努力をいたしまして、実は、この旨を八月二日付で全国の地方農政局に対しましても周知徹底方をいたしたところでありまして、十分その対応を図ってまいりたい、このように考えております。
○吉井委員 私、これを取り上げましたのは、ぱっと思い出しましたのは、ちょうど一昨年の東京電力の原発の検査不正事件ですね。あれは二年前に旧通産省に内部告発があったんですよ。国の法律、原子炉規制法まで変えて、内部告発をやりなさいと勧めながら、内部告発があったのを握りつぶしたんですね。それどころか、告発者のことを会社の方には通報するということで、二年間隠されてしまったんですよ。
今度の問題も、せっかく一一〇番をつくった、内部告発の電話があった、しかし、本省は相談を受けながらほったらかしにしてしまって、一年たってしまったわけです。ですから、こういうことが本当に起こらないように対応することについての改善を徹底して進められたいと思います。
この大阪港埠頭ターミナルに出資している会社を見ますと、大阪市だけじゃなくて、住友倉庫、伊藤忠倉庫、三菱倉庫、三井倉庫も出資しています。それで、それらの会社からも非常勤役員が出ているわけです。偽装行為がどのようになされたかは捜査中なんですが、しかし、大手の倉庫会社の責任も全くないとは言えない問題が今出てきているんですね。これらの大手倉庫も、そういう事態を知っていながら何も注意してこなかったということになると、これは倉庫業全体の問題なんです。
倉庫業というのは、もちろん国土交通省の管轄といえば管轄なんですが、しかし、農水産物を扱う部分については、農水省が知らぬ顔でおれる話じゃないですから、私は、この点では、農水大臣として、こういう倉庫業の、特に牛肉とか水産物、農産物を扱う分野については調査、監視を強化する、このことだけはやはり徹底してやってもらわなきゃいかぬと思うんです。伺っておきます。
○亀井国務大臣 先ほども申し上げました都道府県等の問題とあわせて、この問題、JAS法以外の関係法令を所管する行政機関があるわけでありますので、そのような行政機関、情報の伝達を徹底する、また、同様の情報の提供が寄せられた場合、これらの確認を行うなど、関係機関との連絡、これをこれまで以上に密接に対処いたしまして、これらの問題の対応をしっかりやってまいりたい、こう思っております。
○吉井委員 最後になると思いますが、食品安全委員会の方に伺っておきます。
先ほどのBSEに関係する問題ですが、全頭検査の見直し作業については、多くの消費者、生産者から不安や批判の声が出されていますが、現時点で、食品安全委員会に全頭検査見直し反対の意見書や要請書はどの程度届いているか、これが一点です。
もう一つは、食品安全委員会のあり方が、このBSE問題の処理で明瞭に今問われてきております。国民の九割以上が全頭検査体制を支持し、その見直し作業に対して反対という声が上がっております。それを無視して見直し作業を強行することになるならば、食品安全委員会に対する消費者の支持と信頼が失われてしまうことになる、このことははっきり考えなきゃいかぬと思うんです。
やはり食品安全委員会に消費者代表を加えずに発足させたことの問題点が今一層浮き彫りになってきていると思うんですが、そういう瀬戸際に食品安全委員会があるという点で、このことをどう受けとめておられるか、消費者代表を加えるべきだと思うんですが、その考えを最後に伺っておきたいと思います。
○齊藤政府参考人 お答え申し上げます。
食品安全委員会といたしましては、消費者を初めとする関係者との情報や意見の交換、これにつきましては非常に重要なものというふうに考えておりまして、消費者から直接意見を承る食の安全ダイヤルであるとか、また食品安全モニター等により意見を承るように努めておるところでございます。
ただいま委員からお尋ねのございましたBSEに関連する要望書の件でございますが、これにつきましては、本年の一月から七月現在までのところ合計で三十四件というものの要望書が届いてございます。これらのうち、全頭検査の継続を要望していると考えられるものが二十五件、全頭検査の見直しをすべきとの要望と考えられるものが四件というような状況となってございます。
委員のお尋ねでございますように、消費者の意見が重要であるということは、これは食品安全委員会としても基本的に認識しておるところでございます。食品安全委員会の委員につきましては専門的な知見を有する七名の委員ということで構成をしておるわけでございますが、この委員会の運営方針であるとかリスクコミュニケーションのあり方などに広範な意見の反映を図るということで、委員会のもとにございます企画専門調査会等には、一般公募の方とか消費者の代表の方に御参加いただきまして、いろいろ御議論をいただいておるところでございます。
今後とも、皆様方の御意見を十分反映しつつ、食品安全委員会の運営に努めてまいりたい、このように考えております。
○吉井委員 時間が参りました。終わります。
○高木委員長 次に、山本喜代宏君。
○山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本であります。
最初に、WTOの枠組み合意についてお伺いしますが、大臣におかれましては大変な御苦労をいただいたわけでございますけれども、その合意をされた中身を見ますと、手放しで喜ぶことができないというふうな中身でございます。ほとんどの案件が先送りというふうな状況でございます。
WTOの事務局長のお話によりますと、今後交渉、WTOが今まで経験をしたことがない、はるかに困難な課題に対する交渉になるというふうに述べておられます。そうした意味で、今後さらに厳しい交渉が待ち受けているわけでございますが、日本政府のこれに向けたスタンスといいますか、どういうふうな立場で臨んでいくのか。当然、食料自給率の向上でありますとか、あるいは多様な農業の共存、そして農業の多面的機能を守るというふうな立場で臨まれると思うのでありますが、その点について大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○亀井国務大臣 今回の枠組み合意、これにつきましては、我が国を初めG10の考え方と主張、これが相当取り入れられている、このように考えることができるわけであります。
例えば、上限関税の問題につきましても、昨年のカンクンの閣僚会合、この際、デルベス・ペーパー、議長案におきましては、原則として設定する、こういうことがうたわれておったわけであります。また、その中で、私もいろいろ主張し、最終的なデルベス・ペーパー、括弧書きで例外、こういうことになったわけでありますが、それは決裂をしたわけであります。今回の枠組み合意の中で、この上限関税の役割はさらに評価をされるという扱いになった、これはやはり弱められた、こう申し上げてよろしいと思います。
また、重要品目につきましては、いわゆる階層方式によります関税削減、こういう中で、別扱いということが明示されたわけでありまして、この問題は先送りというばかりでなく、やはりそのようなことができたということは、先送りというような指摘というものは、私、当たらないんじゃなかろうかと。
ただ、これからの問題として、枠組みが合意をされまして、市場アクセスの問題等々これからルールをつくるわけでありまして、具体的なルール、これは交渉が行われるわけでありますので、これは当然具体的なルールでございますから、個別品目の取り扱いだとか基本的な方向づけだとか、今までの枠組み交渉以上に重要で、かつ厳しい交渉になる、私はこのように認識をいたしております。
そういう面で、今後ともG10諸国との連携を強化する、そして食料輸入国としての主張が十分反映される、さらには多様な農業の共存、こういうことが可能になるように、バランスのとれた現実的なモダリティーを確立する、それに向かってさらなる努力をしてまいりたい、このように考えております。
○山本(喜)委員 今後の交渉に当たっては、ぜひとも日本の食料主権ということを堅持できるように頑張っていただきたいというふうに思います。
このWTOに関連してもう一つ、リンゴ火傷病についてお伺いをいたします。
アメリカは、日本の検疫制度の改善が不十分であるということで、再度WTOに提訴いたしました。そこで、パネルの設置ということになりますが、日本政府の検疫措置の正当性ということをパネルで断固主張していただきたいというふうに思いますが、この政府の方針と今後の見通しについてお伺いします。
○中川政府参考人 米国産リンゴの火傷病に係ります検疫措置につきましては、昨年の十二月に、SPS協定に整合性を持たせるようにということで勧告を受けたわけでありまして、その勧告を受けました後アメリカとの間で具体的に、二国間で合意ができる、そういう検疫措置を確立すべく交渉をしてまいりましたが、残念ながら、勧告実施の妥当な期間の期限であります六月三十日までにアメリカとの間で合意ができなかったということで、我が国が独自にその勧告を実施するための措置ということで、従来の措置とは違った新たな措置を導入したというわけでございます。
その新たな措置に対しまして、アメリカは、再パネルの設置と、それから日本への対抗措置をとることの承認という二つの措置を求めたということでございます。
現在、再パネルの設置ということで、それは決まっておりますが、私ども日本といたしましては、今回の新たな措置については、前回のパネルで、必ずしも、いかなる検疫措置もとれない、そういう意味ではないというふうな判断もいただいておりますから、今回の新たに私どもがとりました措置については、その正当性につきまして最大限主張してまいりたいというふうに思っております。
○山本(喜)委員 この火傷病が日本に侵入しますと、リンゴ農家は壊滅的な打撃を受けるわけでございます。ぜひとも頑張っていただきたいというふうに思います。
次に、先ほどから議論になっていますBSEの問題でございますが、ワーキンググループでの協議の中で、間もなくアメリカからの輸入が再開されるかのようにマスコミでどんどん報道されているわけでございます。
そこで、先ほど来の答弁の中でお伺いしておりますけれども、輸入再開の条件というのは、全頭検査並びに特定危険部位の除去ということで、日本と同等の検査体制が確立されることということで理解していていいのでしょうか。
○中川政府参考人 米国産牛肉の輸入再開の条件につきましては、先ほど大臣からも御答弁がございました。従来から日本が主張してきておりますように、我が国が講じている措置と同等の措置が講じられるということが基本だというふうに私ども考えておりまして、この考え方はこれまで一切変わっておりませんし、今後ともこの考え方の維持に努めてまいりたいというふうに思っております。
○山本(喜)委員 そこで、BSEの全頭検査が行われてきた経過でありますが、平成十三年の十月九日の参議院予算委員会で坂口厚労大臣が答弁した要旨ですけれども、科学的な現在までの考え方だと三十カ月でいいが、しかし検査するものとしないものとがあるというのは国民に与える影響が大きい、ここは科学的なものはさておき、全部やるのならやるという御意見をいただいており、そのことを真摯に受けとめて対応するということから、科学的根拠というよりも食の安心、安全ということで全頭検査が始められたと理解していますが、それでよろしいんでしょうか。
○外口政府参考人 平成十三年当時の全頭検査導入の経緯については、委員御指摘のとおりであります。
牛の月齢が正確に確認できなかったこと、検査をした肉としない肉が流通すること自体への不安があったこと、各方面からすべての牛を検査対象とすべきとの要請をいただいたことなどの状況にかんがみ、食用として処理されるすべての牛を対象にBSE検査を行うこととしたものであります。
○山本(喜)委員 それからもう一つは、今のワーキンググループ、日米の協議でございますが、若齢牛については現在の検査方法では蓄積された異常プリオンたんぱくの検出はありそうにないという見解で一致したというふうに報告されていますが、これは政府の統一見解ということで理解していいのでしょうか。この見解は、いつからこのような見解になったのでしょうか。
○外口政府参考人 日米のBSEに関する専門家及び実務担当者会合報告書については、専門的、技術的見地からの日米双方の科学的知見や事実関係を整理したものであります。
御指摘の部分については、かねてから専門家の間で指摘されてきたことでございますが、現在のBSE検査の方法についての知見としては両国の専門家の見解として一致したものの一つでありまして、科学的な事実と受けとめております。
○山本(喜)委員 要するに、これは専門家の意見ということでございますね。
そこで、先ほど坂口厚労大臣の答弁を引用しましたけれども、そもそも科学的なことはさておいて始められたこの全頭検査、当初三十カ月齢でいいという判断だったようでございますが、実際、全頭検査を始めたことによって、二十一カ月あるいは二十三カ月齢の感染も把握をできるようになったわけでございます。
全頭検査をしても若齢牛からは異常プリオンは発見できない、検出できないという専門家の意見は意見としてあるわけですが、しかし、現実の問題として、安心、安全ということで始まった全頭検査において、二十一カ月でも感染牛を発見したという成果ですね、このような成果があるときに、この全頭検査を見直すという動き、これが果たして消費者の理解を得られるというふうに判断しているのかどうか、お伺いします。
○外口政府参考人 我が国のBSE対策につきましては、現在、全頭検査のあり方も含めまして、食品安全委員会において中立的立場から科学的な評価、検証が行われているところであります。
厚生労働省といたしましては、この科学的な評価、検証の議論を注意深く、関心を持って、かつ食の安全、安心ということを十分念頭に置いて見守ってまいりたいと考えております。
○山本(喜)委員 消費者の理解を得るためにはどうするんですか。
○外口政府参考人 消費者の理解ということでございますけれども、先ほど来の答弁の中でも、消費者の安全という意識だけじゃなくて安心をどうやって確保していくか、これは大変大きな課題であると思います。安全ということは、これは科学的事実ということで説明できるかもしれませんけれども、安心ということは、さらにそれに上乗せした信頼とかそういったファクターがないと、やはり納得を得られないのではないかと思っております。
そういったことも含めまして、各方面の国民の意見を伺いながら、科学的データを基本としながら慎重に対応することになると考えております。
○山本(喜)委員 重要な問題を決めるのが、消費者が参加しないプリオン専門委員会で、そういった中で、消費者の見解が反映されないような中で議論されているということも非常に疑問があるんですけれども、それはさておいて、まず若齢牛ですね。ここで言っている若齢牛というものの定義、それから牛の月齢の特定、午前中もありましたが、歯並びでわかるというような科学的根拠ですね。三十カ月齢とか二十カ月齢、そういうのは歯並びでどのように判断できるのか、お願いします。
○外口政府参考人 牛の年齢の特定について、歯列、歯並びについてどういった見解があるかということでございますけれども、日米のBSEに関する専門家及び実務担当者会合におきましては、米国側から、米国側の調査結果により、歯列により三十カ月齢以上の牛が判別できるとの説明はあったところであります。
ただし、これまでに米国から説明された内容の中では、歯列によって三十カ月齢以外の区分で牛を判別できることと考えることは、これは難しいのではないかと私どもは考えております。
○山本(喜)委員 要するに、三十カ月はわかるとはアメリカから言ってきているけれども、それ以外はわからないということですね。
それと、アメリカの農務省の内部監査報告というのが新聞に載っておりました。二〇〇二年以降、アメリカ国内で見つかったBSE感染の疑いのある牛六百八十頭のうち、農務省がBSE検査を実施したのは四分の一以下であるというふうな報告でございます。
これについては、政府としては、そういう報告も受けて、そういうアメリカの状況も実態を把握しておられるんですね。
○中川政府参考人 今先生が御指摘になりましたのは、米国農務省の監察官の報告書でございます。七月十四日にアメリカの下院の政府改革委員会の公聴会に資料として出されたものというふうに理解をいたしております。
この報告書の中では、これまでアメリカで実施されてきたサーベイランスが実際に適切であったかどうかというふうなこと、それから、ことしの六月から導入されました強化されたサーベイランスについても、例えばサンプリングの方法等がきちっとされているかどうかというような、そういう問題意識のもとに検証が行われているというふうに理解をいたしております。その中で、今先生が具体的におっしゃいました検査漏れの話についても言及があったというふうに理解をいたしております。
こういった、それぞれの、アメリカのサーベイランス体制の問題につきましては、ワーキンググループの場でも、日本側からその事実関係等につきまして質問をしているということでございます。
○山本(喜)委員 このワーキンググループの中で、これも新聞報道ですけれども、アメリカ政府が、輸入再開に当たって、アメリカ産の牛肉について安全性を認証するという提案がなされたというふうに報道されていますけれども、今の指摘してきたアメリカのずさんな中身、そうした状況において、このアメリカ政府の認証ということで果たして安全性の担保になるのかどうか、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○外口政府参考人 米国側の説明によりますと、農務省農業販売促進サービス、AMSが実施いたします品質制度証明プログラムは、事業者の管理システムや品質基準を検証する制度であり、SRMの除去及び牛の月齢鑑別について、米国の規制に加えて日本の要求する条件を満たしていることを証明することができるとの説明がありました。
なお、本制度については、米国の内外で受け入れられているとの説明もありましたが、この制度が実際に利用される場合には十分な検証が必要であると考えております。
○山本(喜)委員 要するに、今までお伺いしてきたところによりますと、余りにも隔たりが大き過ぎるというのが日米間の現状ではないかというふうに思います。
しかしながら、マスコミが余りにも先行し過ぎて、今にも再開するんじゃないかというふうなことがどんどん報道されています。こうしたことについて、やはりきちんと農林水産委員会なり国会の場で議論しながら、国民に対する安心、安全というものをきちんと担保されていくというようなシステムを確立しなければならないというふうに思いますので、そういう意味で、ぜひとも大臣におかれましてはそういう立場を堅持していただいて、今後のワーキンググループの取り組みを見守っていただきたいというふうに申し上げまして、私の質問を終わります。
○高木委員長 次に、白保台一君。
○白保委員 委員長初め理事の皆さん、質問者の皆さんの御協力をいただいて、質問の順番を一番最後にしていただきましてありがとうございました。
私は、WTOの問題、あるいはまたBSEの問題、そしてまた農作物の台風被害の問題等を含めて、順次質問をしていきたいと思います。
初めに、WTOの農業交渉についてお伺いをしていきたいと思いますが、WTOは一日、一般理事会で、農業分野を含めた新ラウンドの枠組み合意を採択して閉幕をいたしました。陣頭に立たれて頑張られた亀井大臣を初め政府関係者の皆さんには大変に御苦労さまでございました。
今回の農業分野では、日本が反対をした上限関税の設定が先送りされて、低関税輸入枠の義務的拡大を避けるための足がかりを確保できたということだと思います。しかしまた、合意が優先された結果として、不明確な部分等も多く残されており、今後再び激しい交渉をすることが予想されると聞いておりますし、また私もそのように思います。今後、我が国農政が国際化に対応できるよう大胆な構造改革や十分な財源確保に取り組むことは最重要の課題である、このように思うわけでございます。
その上で、まず一点、質問を申し上げますが、今回の交渉で我が国は、ドーハ閣僚宣言により盛り込まれた多様な農業の共存を確立するという観点を前面に打ち出している。ところで、これまで基本方針としてやってまいりました多面的機能の重視の問題、あるいは国内保護政策の維持、これは、今後の具体的交渉の中でこれをきっちりと理解させていかなきゃならない問題だろうと思いますが、大きな課題であろうと思います。やはり多面的な機能の問題というのは非常に大きな課題であろう、こう思います。したがいまして、この点について、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○亀井国務大臣 国土の保全とかあるいはまた水源涵養、景観保全等、農業の多面的機能につきましては、一九九八年のOECDの農業大臣コミュニケ、これにその役割が認められ、また国際的にも既に一定の理解を得ておるわけでもございます。
今回のWTO農業交渉におきましても、多様な農業の共存、これを基本理念として、農業の多面的機能への配慮、また食料安全保障の確保、こういうことを我が国といたしましても提案して、またいろいろの関係におきましても、国境措置における柔軟性の確保あるいは継続的な農政の改革、こういうことを可能とする国内支持のルールの確立に向けて努力をしてきたわけでもございます。また、今後とも、交渉やあるいは国際的な議論の場を通じまして一層の理解が得られるよう努力をする考えであります。
また、今回のこの枠組み合意の中におきましても、多面的機能への配慮、また非貿易的関心事項への配慮、このことにつきましては、この必要性が明記をされておるわけでありまして、その辺はやはり今後の問題、やはりここにしっかり記されているということは大きなことではなかろうか、このように思っております。
○白保委員 それで、今回の枠組み合意から具体的な関税引き下げの仕組みや幅などを決める今後の交渉の中で、これは、交渉では数字を示した交渉になり、かなり激しい交渉になるんだろう、こう思うわけでありまして、我が国は、食料輸入国のスイス、ノルウェー、韓国などと結束を固めて、同時に、発言力の増しているブラジル、インドなどの途上国の支持を得る必要があるんだろう、こう思います。
そのために、これからの外交交渉の問題ですが、どのようなことを具体的に取り組みとして考えておられるのか。非常に重要な今後のテーマだと思います。これをお伺いしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
近年、WTO交渉におきましては、御案内のとおり、WTO加盟国の三分の二を占めます途上国、こういった国々が、例えばインド、ブラジル等はG20というグループをつくりまして、またインドネシアを初めとする特別品目を重視するグループはG33、あるいはアフリカ諸国はG90というような、そういうグループをつくって大変発言力を増大させているという実態がございます。今回の枠組み合意交渉におきましても、これらの国々の発言力はやはり大きかったというふうに感じております。
そういう中で我が国としましては、その中心的な存在でありますインド、ブラジル等につきましてさまざまなレベルで協議を重ねまして、例えば、貿易歪曲的な国内支援の大幅削減、あるいは輸出補助金の撤廃期限の設定、それから市場アクセスにおける各国間で異なる関税構造、こういったものの柔軟性を確保するといったようなこと、こういったことにつきまして、これらの国々と協議をして、我が国を含むG10と協調し得る点も見出したというような経過もございます。
今お話がありましたように、今後枠組み合意に基づきましてモダリティー交渉というのが始まりますので、今後、我が国の主張をきちんと反映したルールを確保していくというためには、G10の結束ということももちろん大事でありますのでそれをやっていきますけれども、これら途上国との連携というのが一層重要になるというふうに考えておりますので、今後とも働きかけを強めてまいりたいというふうに考えております。
○白保委員 それで、報道やまた皆さんの声もありますが、終わったばかりでなんですけれども、早いうちにしっかりとした基礎固めをしていく必要があるだろう、こういうような報道等もあり、またみんなもそのような考え方を持っている。
ただ、アメリカなんかの政治日程とかいろいろなものがあってなかなか難しい部分もあろうかと思いますが、今のことで、具体的にいつごろからいろいろなことをどういうふうな日程的な感じで来年の十二月に向けてやっていこうと考えておられるのか、そのことのスケジュール等についてもお伺いしておきたいと思います。
○伊藤政府参考人 当面決まっておりますスケジュールとしましては、今お話がありましたように、来年の十二月に香港での閣僚会議というものが設定されております。ただ、詳細な日程としてはまだ決まっておりませんので、香港での閣僚会議でどのような議論までいくのか、まだはっきりしておりませんけれども、これから我が国としましては、香港の閣僚会議に向けまして、今御指摘のあったようないろいろな働きかけの戦略とかそういうものをもう一度構築し直して、強力な外交を推進していきたいというふうに思ってございます。
○白保委員 農産物の関税引き下げ方式では、高関税ほど引き下げる効果を持つ階層方式、これが採用されたわけでありますが、これは、重要品目に適用する低輸入関税枠の扱いについて拡大を義務づけるか、義務づけないか、この辺も少しあいまいな部分があるんじゃないか。日本政府は、我が国は、義務的拡大はない、このように解釈している、輸出国は、義務的に拡大すると主張をしているようです。今後この問題については大きく懸念される部分ではないか、こう思っております。
ところで、低関税枠はあくまで機会の提供であって、最低輸入義務枠ではない、実際の輸入が枠を下回ることはあり得る、このような指摘もあるわけでありますが、我が国が義務的拡大はないとするこの根拠、これについて伺いたいと思います。
○伊藤政府参考人 今回の枠組み合意におきましては、今御指摘のようないわゆる階層方式という関税削減方式が採用されております。しかし、その一方で、センシティブ品目につきましては全く別の扱いということが明確に位置づけられておりまして、このセンシティブ品目につきましては階層方式の枠外というふうに理解をしております。
このセンシティブ品目につきましては、関税削減と関税割り当て約束の組み合わせによって市場アクセス改善を図るというふうにされておりますけれども、また同時に、その中で、センシティブ品目への配慮があって初めて最終的な交渉のバランスが達成されるといったようなこと等が記述されております。今後の交渉の中で、こういう記述のもとに、品目の事情によって一律な関税割り当ての拡大というものが求められないような交渉をしていける余地が、基盤が確保できたというふうに考えております。
今後とも、G10等、こういったセンシティブ品目に関心の強い国と連携しまして、こういう柔軟性について十分配慮された貿易ルールが確立されるよう交渉してまいりたいというふうに考えております。
○白保委員 次に、BSEに関連してお伺いしたいと思いますが、ここのところ、先ほどもそうですが、私どももいろいろと説明を受けていたりしておるわけですが、なかなか、先ほどから質問も出ております、その中で、昨年のクリスマスイブ以来、輸入禁止措置がとられて今日に至っておるわけですけれども、外食産業なども非常に厳しい状況にさらされておることも事実です。
ただ、確認をしておきたいと思いますが、新聞紙上で、輸入再開に向けて農水、厚労省が最終調整、今秋合意を目指すとまことしやかに流されています。これは、我々が、ここ二、三年食の安全をめぐる努力を随分とやってきた、そういった中で、国民の納得がどうなのかということもあるわけでございますから、そういう面では、この新聞の問題については皆さん方はどのように受けとめておられるのか、それについてまずお伺いしたい。
○中川政府参考人 日米の牛肉貿易にかかわります協議につきましては、四月に日米の局長級協議を開きまして、そこで日米の専門家、実務の担当者から成りますワーキンググループを設置して、BSEの専門的、技術的な事項について協議を進める旨の合意がなされたところでございまして、このワーキンググループにつきましては、三回の会合を経て先般、報告書が取りまとめられた、こういう事実がございます。
他方、この間、輸入再開につきまして何か方針が合意されたといった趣旨の報道が一部に見られましたけれども、今申し上げましたように、日米のワーキンググループの仕事といいますのは、あくまでも専門的、技術的な観点から科学的な知見などを整理する、そういうことの場でございます。具体的な輸入再開の条件等について協議を行ったということではございません。それは事実ではないということでございます。
○白保委員 ですから、わかりますよ、全部、どういうことをやったかというのはちゃんとわかりますし、そのことについて一つ一つお伺いしていく必要もあろうかと思いますが、時間の関係があってこれは聞けませんが、それにしても、ブッシュの、アメリカ大統領選挙があるからその前に解決した方がいいんじゃないかなんという記事まで出ているような、そういう状況ですから、あえてお聞きをしたわけであります。
日本が全頭検査の限界を認めて、異常プリオンは危険部位に一定以上蓄積されないと検出されない、検査対象の月齢を限定するのか、すべての牛の危険部位を除去するのか、さまざまな意見があるわけですが、我が国は、まず食品安全委員会の検討結果をきっちりと待っていくことが大事だと思います。同委員会が科学的知見に基づき出した結論を広く国民と消費者に提示し、納得を得られる対策をとらなければ、これは、食の安全、安心は不安、不信になってしまう、そういうおそれがあるわけでありまして、今後の取り組みについての考え方とスケジュールについてお伺いをしておきたいと思います。
○中川政府参考人 本年四月の局長級協議におきまして、牛肉の貿易問題につきましては、本年夏をめどに結論を得るように努力をするということが決まっておりますけれども、他方、国内のBSE対策全般については、今先生がおっしゃいましたように、現在、食品安全委員会で議論が行われているということでございます。アメリカとの牛肉貿易の再開の基本的な考え方は、先ほどから申し上げておりますが、日本で現在とっている措置と同等の措置を求めていくということでありますが、他方におきまして、食品安全委員会で今日本のBSE対策全般について検証が行われておりますけれども、まだ明確な方向が出ていないという状況でございます。
この間の食品安全委員会におきます議論につきまして、国民、消費者の方々とのリスクコミュニケーションもこれから大事でございますし、そういった議論の帰趨について、私どもリスク管理官庁としては、それを見守っている、そういう状況にございます。
○白保委員 時間があればじっくりとこのことについてもお伺いしたいと思っておりましたが、時間が余りありませんので先に進めていきたいと思います。
ことし、大変厳しい環境、気象条件があって、台風被害や水害に遭われた皆さん方が多くおられます。亡くなられた方の御冥福をお祈りしますと同時に、被害に遭われた皆さん方の早い復旧を祈りたい、こう思っております。
私も台風常襲地に住んでおりますから、常に台風で農作物がやられます。農業、あるいは漁業もそうです、林業もそうですが、こういったものは非常に気象条件によって随分と左右される、そういうものでありまして、台風などは本当に作物を全滅させてしまうというような、そういう状況にあるわけでございます。
さきに発生しました集中豪雨の被害等についても、私どもも対策本部を立てて、政府の方にも要請を行ったり等しておるわけでございますが、これは今回、農作物の被害、大変大きなものがあり、また、だんだんふえていっているような状況にあろうか、こう思います。
現在のところでどれぐらいの被害額が出ておるのか、まず簡単に教えてください。
○須賀田政府参考人 七月の梅雨前線豪雨災害でございます。水稲、大豆、野菜といった農作物被害、これは五十億円を超える報告を受けております。このほかにも、農地、農業用施設、これが九千三百カ所に及んでおります。それから、林地荒廃、林道の損壊、これが約三千四百カ所でございまして、現時点では合わせて約六百億円近い被害という報告を受けております。
特に農作物被害が広がった理由でございます。先生御承知のように、河川の損壊がございましたので、土砂がだっと流入をしたということと、冠水の期間が長く、かつ広範囲だった、こういうことによるというふうに考えております。
○白保委員 そこで、時間がありませんから申し上げたいと思いますが、こういう被害に遭った人たちですね、その後の技術指導だとか対応、そういったことについてはどのように農水省では行っておるのか、お伺いしたいと思います。
○白須政府参考人 ただいまお話しのとおり、大変大きな被害が発生したわけでございます。そこで、私ども、被災直後の七月十四日付で、北陸農政局の方から、農作物被害に対します技術指導というふうなことで新潟、福井両県を含みます各県に発出をいたしまして、具体的な指導といたしましては、ただいまもお話ございましたが、土砂が流入をいたしました圃場におけるまずは土砂の除去あるいは用排水路の確保でございますとか、あるいは冠水をいたしました圃場におけます速やかな排水、また白葉枯れ病といったような病害虫の発生というものが懸念されることでございますので、そういう防除の徹底というふうなこと、あるいはまた肥培管理等々につきまして万全を期するということで通達はもちろん発したわけでございます。
ただ、いずれにしても、これは、もう委員も御指摘のとおりで、現場の実態に精通をいたしております県の農業改良普及センターといったところがやはり一番現地での内容をよく承知しておられますので、そこら辺を通じましてきめ細かに現地での実際の指導につきましてお願いをしている、それによりまして具体的な指導が行われておるというふうに承知をいたしている次第でございます。
○白保委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、台風被害、そしてまた自然現象によるところの被害というのは、農家が来年度また生産ができる、再生産可能な状況というものを農家にはやっていってもらわなきゃいけない、そういうことも考えますと、先ほども答弁がありましたが、きめ細かい対応策をしっかりと打っていただいて、被害が拡大しないように、ぜひともお願いしたいと要請をして終わりたいと思います。
○高木委員長 次回は、明五日木曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十五分散会