衆議院

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第3号 平成16年11月10日(水曜日)

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平成十六年十一月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山岡 賢次君

   理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君

   理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君

   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      大野 松茂君    岡本 芳郎君

      梶山 弘志君    金子 恭之君

      上川 陽子君    川上 義博君

      木村 太郎君    北村 直人君

      後藤 茂之君    後藤田正純君

      田中 英夫君    津島 恭一君

      西村 康稔君    原田 令嗣君

      森  英介君    一川 保夫君

      岡本 充功君    鹿野 道彦君

      菊田まきこ君    岸本  健君

      楠田 大蔵君    小平 忠正君

      鮫島 宗明君    仲野 博子君

      西村智奈美君    堀込 征雄君

      松木 謙公君    石田 祝稔君

      大口 善徳君    高橋千鶴子君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   会計検査院事務総局第四局長            友寄 隆信君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 原田 正司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    竹田 正樹君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            村上 秀徳君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            川村秀三郎君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           西川 孝一君

   政府参考人

   (林野庁長官)      前田 直登君

   政府参考人

   (水産庁長官)      田原 文夫君

   政府参考人

   (環境省環境管理局水環境部長)          甲村 謙友君

   農林水産委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  神風 英男君     楠田 大蔵君

  松木 謙公君     菊田まきこ君

  山内おさむ君     西村智奈美君

  大口 善徳君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  菊田まきこ君     松木 謙公君

  楠田 大蔵君     神風 英男君

  西村智奈美君     山内おさむ君

  石田 祝稔君     大口 善徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

山岡委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長村上秀徳君、生産局長白須敏朗君、経営局長須賀田菊仁君、農村振興局長川村秀三郎君、農林水産技術会議事務局長西川孝一君、林野庁長官前田直登君、水産庁長官田原文夫君、内閣府大臣官房審議官原田正司君、政策統括官柴田高博君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、国税庁課税部長竹田正樹君及び環境省環境管理局水環境部長甲村謙友君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長友寄隆信君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田令嗣君。

原田(令)委員 おはようございます。自由民主党の原田令嗣です。

 まず、新潟中越地震、そして、ことし日本を次々に襲った台風被害についてお伺いする前に、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げたいと思います。

 台風や地震災害による農林水産業の被害について、前回の委員会では被害額が五千七百億円が示されましたが、十月二十七日以降の取りまとめで被害額はどのようになっているのか。また、主たる被害の内容、そして対策についての現況を伺いたいと思います。

岩永副大臣 おはようございます。

 今回、十回に及ぶ災害、私自身も十月の二十二日に、台風二十三号被害の関係で岡山、広島に参りました。また先般、十一月の五日に、大口政務官とともに新潟中越震災被害の視察に参ったところでございます。

 本当に、それぞれの地域での想像を絶する被害状況に立ちすくむ思いでございました。懸命に復旧に向けて必死に立ち上がろうとしておられる皆さん方に接し、ひしひしと感じる強い陳情、要請を受けたところでございます。

 このことのために、何としても農水省、全力を挙げてまいりたい、このように思っております。先般も幹部会をしまして、島村農林水産大臣から、災害の深刻さにかんがみ、地元の要望にこたえて、緊急にやるべきことは迅速にやれと、大変強い指示をいただいたところでございます。頑張ってまいりたいと思います。

 災害被害は先般からふえまして、まだ調査中でございますが、約八千億に上ろうといたしているところでございます。だから、十五号、十六号、十八号は天災融資法、そして台風十六号、十八号は激甚災指定を行ったところでございます。これから、災害復旧の早期実施、そして共済金の早期支払い、低利融資等に積極的に取り組んでいきたい、このように思っているところでございます。食糧援助等も積極的にいたしまして、今のところ、乾燥の米だとかパンなんかを九万二千食調達して支援をしているところでございます。頑張ります。

原田(令)委員 今、御決意のほどを伺ったわけでありますけれども、こうした災害による被害は、農林水産業に携わる方々に深刻かつ一刻の猶予も許されない大きなダメージを与えています。国として早急かつ柔軟で万全な対応をお願いしたいと思います。

 次に、輸出農林水産業の振興について伺いたいと思います。

 十一月三日から七日に、島村大臣にも御出席をいただきまして、静岡で世界お茶まつり二〇〇四が開催されました。日本や世界のお茶文化を紹介するとともに、世界的なお茶ブームの中で日本がリーダーシップを発揮し、日本のお茶の輸出促進を目指しています。

 食料・農業・農村基本計画の見直しの中間論点整理を見ましても、輸出農林水産業の振興は重要な施策の一つに育ちつつあります。今後、お茶に限らず、日本の特色ある農林水産物、さらに日本の食文化そのものを世界に紹介しながら輸出促進に努めていくことは、低迷する国内需要を補うことにもなり、さらに、失いつつある日本人の自信の回復にもつながると考えています。

 日本の農林水産品の輸出振興に向けての取り組みについて、大臣にお伺いしたいと思います。

島村国務大臣 お答え申し上げます。

 先般、原田委員のお地元へお邪魔いたしまして、世界のお茶に関するフェア、極めて意欲的なイベントをお持ちになって、大変敬服した次第であります。ああいった試みが全国的に催されて、それぞれの特産物を海外に広くPRするというのは、まことに意義のあることだと思います。

 御高承のとおり、日本人は今や世界屈指の長寿国でありまして、戦後、ざっと見ましても、男性が二十八・三歳、女性に至っては三十一・三七歳寿命が延びておりますが、これは何も偶然の結果でございませんで、資料を調べてみると、世界で一番ぜいたくな食事をしているのは、実は日本人であります。今、二百種類を超える野菜をとっているのは日本の国だけで、アメリカあたりが百九十、ヨーロッパあたりは百前後、こう承知をしておりますが、また、その新鮮度において格段の差があるわけであります。こういったすぐれた日本の食生活というものに対して、今、世界じゅうの注目を浴びているところでありまして、アジア諸国は最近、御承知のように経済が発展して、所得も向上しているところでございますから、我が国の高品質な青果物についての輸出の市場としても大変可能性を持ってきている、こんなふうに考えております。

 そういう意味で、全国各地で今お話ししたようなイベントが行われ、皆さんが食品の輸出に向けた取り組みは本格化しつつございますが、輸出先での国産農林水産物がいかに受け入れられるかというPRと同時に、国産農林水産物の輸出を阻害する外国の制度上のいわば阻害要因、こういうものを排除することに努めて、輸出がさらに拡大するような環境づくりをしていきたい、こう考えておるところであります。

 従前は、農業というと、ともすれば守りの行政、こういうふうに思われがちでございましたが、現在はすっかりさま変わりいたしまして、七年前の私が農水大臣のときと今日とはまるっきり違う、まさに攻めの農政への転換という意欲と実態を感じるわけでございまして、今御指摘の問題についても我々は真摯に受けとめて、皆さんの御期待にこたえる努力を重ねていきたい、こう考えます。

原田(令)委員 二〇〇二年の農産物輸入は四兆三千億円であるのに対し、農産物輸出は二千億円と、二十分の一にとどまっています。外国人訪日客一千万人を目標に掲げ、首相みずから先頭に立っているビジット・ジャパン・キャンペーンのように、国を挙げて輸出促進に取り組む体制づくりを図ることをぜひ提案申し上げたいと思います。

 次に、一次産業による地域再生の推進についてお伺いしたいと思います。

 生産、加工、販売、消費、廃棄、リサイクルといった食料の全体の流れの中で、一次産業による食用農水産物の売り上げは十二兆円であるのに対し、国民の食料消費額は八十兆円です。この大きな差、中間部分の稼ぎが非常に大きなウエートを占めています。それだけ日本人の食生活は多様化、複雑化、高度化してきているのだと考えられます。

 農林水産業は、そもそも地域経済の柱ですが、日本の食生活のこうした変化に十分対応できず、単に地産地消といったレベルにとどまっているケースも多いと思います。もちろん、これも重要な取り組みではありますけれども、しかし、一次産業を核とした本格的な地域再生を実現するためには、農林水産品の産地と食品加工、食品加工機械、そして飲食店や旅館、ホテルなど、生産、加工、流通、消費、廃棄、リサイクルにわたるすべての担い手、そして企業や大学研究機関による研究開発が密接に連携していく食のクラスターともいうべき産業集積を形成し、さらに、観光や国際文化交流とも合わせた地域拠点づくりが有効であると考えています。

 例えば、私の地元、静岡県の中部地域は、こうした取り組みの可能性が極めて高いエリアであります。静岡県も、フーズ・サイエンスヒルズ構想として、これから食のクラスターを目指す地域として位置づけたいと考えています。

 農林水産省としては食のクラスターを目指す地域にどのような支援を考えているのか、お伺いしたいと思います。

村上政府参考人 お答えいたします。

 農林水産業とそれからいろいろな業種を取り込んだ全体的な、クラスター的な取り組みということについての御質問でございますけれども、食品産業、いろいろな産業が地場にあるわけでございますが、それは農林水産業とともに非常に重要だというふうに思っておりまして、その食品産業と農林水産業の連携、あるいは異業種の連携、こういうものを図っていくということが必要だというふうに考えております。

 農林水産省としても、そのようなクラスター的な発想のもとに、地域が取り組む活動に対しまして、食農連携による地域農産物を活用するための技術開発、それから、取引関係を構築するための販路開拓などの取り組みについて支援をしてきておりまして、これからも、例えば国産農産物の加工適正の向上とか、機能性を解明するような技術的な取り組み、あるいは地域の農業団体、中小企業などがマーケティングの専門家、流通企業と交流、連携を図る、あるいは食品フェアなどの開催によりまして地域食品の商品化、事業化、販路拡大、こういう支援を行ってきているところでございまして、今後もそういう地域の取り組みについて支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。

原田(令)委員 食については、農林水産省のほか、加工、流通は経済産業省、消費、リサイクルは厚生労働省、環境省、研究開発は文部科学省と、各省庁が関係しておりまして、国と県レベル、いずれも相互連携が十分なされているとは言いがたいと思います。

 食育については基本法制定へ向け各省庁の連携が追求されていますが、食のクラスターについても力のある島村農林水産大臣に音頭をとっていただいて、ぜひこのすべての連携する部署をつなげていくことを期待したいと思っております。

 国内に幾つかの食のクラスターが存在して相互に切磋琢磨していくことが重要だと思いますけれども、競争条件はイコールフッティングが必要だと考えています。

 例えば、私の地元の焼津のカツオブシと枕崎のカツオブシでは、加工場の排水基準に大きな差があるため、価格競争において大きな差が生じています。静岡は厳しく、鹿児島は相対的に緩やかとなっています。これを厳しい方に合わせることはできないでしょうか。あるいは、それが地域独自の基準ということであれば、厳しい条件をクリアするため、ゼロエミッションを目指す排水利用のバイオマス発電や環境関連施設整備などへの取り組みに積極的な支援を行うことはできないでしょうか。お伺いしたいと思います。

甲村政府参考人 排水基準についてでございます。

 水質汚濁防止法におきましては、公共用水域の水質の汚濁を防止するため、工場、事業場の排水につきまして全国一律の排水基準を設け、まず排水規制を実施しているところでございます。さらに、水質汚濁防止法では、その自然的条件、社会的条件によって、今言いました一律排水基準では生活環境等を保全することが十分でない区域がある場合には、都道府県がより厳しい上乗せ排水基準を条例で定めることができるということになっております。このようなことから、御指摘のような各地域において排水基準の差が生じているものでございます。

 この上乗せ排水基準につきましては、先ほど申しましたように、各地域の環境を守るために、その環境上の条件に応じて都道府県が条例で定めているものでございまして、国として、各地域の環境上の条件を考慮せずに、上乗せ排水基準をさらに厳しくとかいうような形で設定するように指導することは適当ではないというふうに考えているところでございます。御理解を賜りたいと思います。

 なお、汚水の処理施設の設置に関しましては、各省連携いたしまして、税制上の優遇措置や低利融資等の措置がなされているところでございます。

原田(令)委員 持ち時間が少ないものですから、最後に魚価の低迷、安定化対策についてお伺いしたいと思います。

 食料安全保障の観点から、食料自給率を維持向上させることは極めて重要だと考えております。四方を海に囲まれた我が国の場合、農畜産物と並んで水産物は国民にとって欠かすことのできない重要な食料資源であることは言うまでもありません。ところが、今漁業経営は、資源の減少、魚価安に加え、増加する輸入、さらに燃料油の高騰と四重苦の状態にあえいでいます。自給率を支える漁業経営そのものが疲弊し、消滅してしまえば、食料供給という大切な役割が果たせなくなります。

 そこで、特に外国船からの不法な輸入の防止策及び魚価低迷、安定化対策にどう取り組んでおられるのか、お聞きしたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 二点ございまして、まず外国漁船、いわゆるIUU漁業という不法、違法な漁船の対策でございますけれども、これにつきましては、国際的なマグロの管理機関でございますICCATでございますとかIOTC、こういったところがいわゆるポジティブリスト方式ということで、正規船以外のものの輸入は認めないような対策、こういった勧告をしておりまして、我が国におきましては、昨年の十一月の十四日からでございますけれども、クロマグロそれからメバチ、メカジキ、これにつきましてのポジティブリスト対策ということで、正規船以外からの輸入は認めない、こういうのを関係省庁と協力しながら対策を講じさせてもらっているところでございます。

 なお、みなみまぐろ保存委員会、CCSBTが、同じくミナミマグロもこのリストの対象にするようにという勧告をしておりますので、私ども、これを追加対象種ということで現在手続中でございまして、何とかことしじゅうにはこのポジティブリストの中に入れたいということで、現在各省庁と連携しているところでございます。

 いずれにしましても、我々といたしましては、IUU漁業対策の強化ということにつきまして今後とも邁進したい、かように考えている次第でございます。

 それからもう一つ、魚価の問題でございますが、水産物は、非常に一どきに水揚げが集中するということで、魚価の変動が激しいということで、昭和五十年度からでございますけれども、低落時に買い取りまして、価格が回復したときにそれを売り出すということでの水産物の調整保管事業、これを当初は、五十年度からは九魚種ということでスタートさせておりますが、その後、先生の御地元のカツオ・マグロ類ですとか、いろいろ追加してまいりまして、現在では二十魚種を対象にしましてこの調整保管事業をやっております。

 この事業につきましては、各事業団体がそれぞれ評価してくれておりますので、その中身の実施につきまして、逐次魚種の追加のほかに、やり方ということでいろいろな改善方式を行ってまいっているところでございまして、私どもといたしましては、今後とも、水産物の価格の安定のために、調整保管事業の充実強化、こういったことに努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。

原田(令)委員 抜本的な魚価安定対策、国際的な不法漁船による規制の魚種拡大、さらに水産缶詰による食糧援助の拡大など、多角的な漁業経営対策支援を切に望んで質問を終わりたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

山岡委員長 次に、川上義博君。

川上委員 おはようございます。

 きょうは、まず私の地元の中海干拓の話をいたしたいと思います。

 実は、御案内のとおり、中海干拓の淡水化事業が中止になったわけでありまして、今、我が県においては、その本庄工区の堤防をどうするかということが大変大きな問題になっているわけです。農林省と両県あるいは国交省は協議会を開いて今協議をしているわけでありますが、この中海に関する協議会の中で、ことしじゅうに一回やられるという話を聞いていますが、ぜひ堤防の開削をテーマにして協議をしていただきたい。要するに、いろいろな提案の、あるいはテーマの中に、堤防の開削を議論するんだということを、テーマとして提出を、議論をするんだということをぜひ明快におっしゃっていただければありがたいな、まずそう思いますが、どうでしょうか。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 中海の干拓に関しましての御質問でございます。

 中海につきましては、今、計画変更の手続を終わりまして、その後の状況でございますが、その取り扱いにつきましては、中海に関する協議会、今先生の御質問の中にもございましたけれども、これは、鳥取、島根両県と国土交通省、それから農林水産省、四者で構成をされておりまして、中海の水質を初めといたします環境改善についても協議するということになっておりまして、今お尋ねの堤防開削の取り扱いもこの中に含まれるというふうに考えております。

川上委員 要するに、堤防開削ということを議論するということにやぶさかではないということなんでしょうね。そういうことなんでしょう。明快に言ってもらわないと困る。

川村政府参考人 お尋ねのとおり、開削の問題も議論をするということでございます。

川上委員 開削の問題を議論するという答弁をいただきましたが、これはあくまでも基本の問題なんですけれども、仮に、鳥取、島根両県が本庄工区の堤防開削について合意をした場合、これは基本的な話なんですけれども、協議会の中の中身の問題もあるだろうと思いますが、堤防開削を合意した場合は、基本的に農水省としては、地元の合意ですから、当然受けざるを得ないと私は思うわけでありますが、その際の農水省の対応はどうでしょうか。

川村政府参考人 ただいまもお答え申し上げましたとおり、本庄工区の堤防の開削の問題につきましては、この中海に関します協議会で協議、調整を行うということにしておりますけれども、その科学的な根拠でありますとか費用負担の問題等、いろいろな課題があると思います。また、関係市町の理解も必要だと考えております。

 両県の合意、その内容がどういう条件で合意されるかという問題も仮の問題でありますし、また農林省としての対応も考えますと、国民的な理解、こういうものも必要であろうというふうに考えます。

 そういう意味で、現時点でお答えすることはなかなか難しいわけですが、いずれにしましても、この中海に関する協議会で十分協議、調整を図ってまいりたいというふうに考えております。

川上委員 この話を続けても、まあ最終的には時間が解決するのではないかなというふうに思いますが、中身の問題というのはよくわかりますけれども、合意をしたということは、中身についても合意したということですから、局長、よく聞いてくださいね、中身も合意をしたんだ、だから、その合意をしたら、当然農水省としては、中身も含めて合意しているわけですから、形式的な合意じゃないわけですから、農水省としては、すべての、中身も含めて、内容も含めた上で両県が合意したらそれを受けますかと言っているんですよ。そのことを答えてもらわぬといかぬのです。どうでしょうか。

川村政府参考人 お尋ねでございますが、合意の内容等が定かでないということで、仮定の議論でございますので、現時点でそれをどうするということは非常に申し上げにくいわけでございます。

 四者の協議ということで、両県と国土交通省、それから私ども農水省ということで協議をしておりますので、その中で十分全体としての合意ができるように努力をしてまいりたいと思っております。

川上委員 基本的に開削についての議論をするということで、きょうはこれで引き取りたいと思います。

 最近、新農業基本法で、基本計画、今、中間とりまとめですか、論点整理をおやりになって終了したということでありますけれども、我々農村社会というのは、混住混在をしている社会なんですね。地域に住む我々というのは、農業をやるのが目的じゃないんですね。どうも最近の議論を見ていると、農業を業として位置づけるということなんですけれども、農業をやっている者というのは、農業をやるのが目的ではないんですよ。そこの地域で暮らすということが目的であるということをまず私の考えとして農水省の皆さんに言いたいところなんです。

 結局、今のこの中間整理というのは、小規模な農家、兼業農家、あるいは認定外農家、それを切り捨てるというふうな政策ではないかなと思うわけですね。要するに、それは、兼業農家はもう光を当てないんだというふうな政策は、これはまさに政治ではないというふうに思っているんですね。

 戦後ずっと、農家対資本の闘いがあったんじゃないかと私は思っている。最近の農水省というか政治といいますか、それが資本の側にずうっとシフトをしていくような印象を受けるわけですよね。株式会社の大手の上場会社の主張をどんどん取り入れて、本来の農家が持っている循環型社会というのはどんどん置き去りにしていくというふうな印象を持っておるんです。

 その中で、経営安定対策というのがありまして、直接支払い、これは極めて重要な政策でありますけれども、これも、基本的に対象は担い手なんだと。品目は横断的に措置するという政策のようでありますが、担い手とか認定農業者以外でも直接支払いの道を開いておく政策というのは絶対必要なんですね。

 この政策というのは、例えば、あぜ道を草刈りしたりしているんですね。あるいは水路の管理をしています。これは農業のためにやっているんじゃないですよ。これは農民は仕方なくボランティアでやっているんです。だから、結果的には、地方道とか農道の環境整備をボランティアでやっているということにつながっていくわけですから、こういう環境政策といいますか、こういうところに直接支払いの手当てもしていくということは必要だと思うんですよ。そのあたりのことについて、ぜひお考えをお伺いしたいと思います。

須賀田政府参考人 去る八月に、私どもの食料・農業・農村政策審議会の企画部会が中間論点整理を行っております。農政にはいろいろな視点からの政策がございます。

 この中で、先生が例示的に取り上げられましたが、経営安定対策、これは、これまでの価格政策が全部の農業者を対象にしてきた、それが経営規模拡大等による構造改革を阻害してきたという面がある、また、需給のミスマッチ等も生じている、こういうことを踏まえまして、これを、構造改革の加速化を図る観点から、対象となる担い手というものを明確化して、これの経営の安定を図るための対策に転換せよ、こういうことを整理されておりまして、経営体育成のための経営安定対策というのは、対象を担い手に限定して検討をしているわけでございます。

 ただ、今先生おっしゃられました、環境保全的な対応あるいは資源保全的な対応、これはそういう問題とは別の視点からアプローチすべきではないかと。それはそれでまた中間整理の中にもそういうふうに整理をされておりまして、まだ具体的な検討は進んでおりませんけれども、全般的な問題として、今後、どういうふうな対応があるのかというのは検討が進められるということになっているわけでございます。

川上委員 ぜひその点をよろしくお願いしたいと思いますが、時間がないものですから、説明はいいですから要点だけ聞きます。

 今、我々というのは、私も農業を学生時代にやっていましたが、土地改良の負担金をこれは今高齢者は年金の中から払っているわけです。実際転作させられて負担金だけ負担されているのですね。それを年金の中から支払っているのが現状なんですね。年金未納と一緒に負担金未納というのは多分相当あるのではないかなと。全国で総額は大体どのくらいになっているのか。未納が続いた場合は、最終的にこれはだれがかぶるというか負担するのかということが、これは重要な問題として残ると思うんですね。これを一点お伺いします。

 それから、農地の流動化で、農地を貸し出しなさいということで貸し出す場合に、貸し出したはいいけれども、負担金は土地を所有している人がまた継続的に支払わなくちゃいかぬと。この場合の措置というのを軽減するお考えがあるかどうかというふうなこともあわせてお伺いをしたいと思います。

 もう一つは、特区で、株式会社の参入をどうするかという話が今ありますけれども、基本的に株式会社が耕作をしないで土地を所有するということの是非について農水省の考え方をお伺いしたいのです。

 例えば、経団連等は、ぜひ株式会社を参入させてくれと言っているんですが、それに負けて、いやいいですよということになったら大変なことになると思います。農水省の株式会社参入についての是非をお伺いしますと同時に、今特区で、リース方式で耕作地を認めているわけでありますが、仮に、このリースを受けた株式会社が農業から撤退してしまった、その後始末の対策についてどのようにお考えですかということをお伺いします。

島村国務大臣 質問が多岐にわたっておりますが、株式会社の農地参入について私から御返事したいと思います。

 御承知のように、株式会社が農地を所有するということについては、これをそのまま所有権を移してしまいますと、農業をやめた、採算上引き合わないとか、あるいは別の事情により、株主の意向によってもその方向が変わる場合もありますが、農業以外のものにそれが供されたのでは、これは農業のこれからの継続性にいろいろな問題が起きるわけでありまして、そこで今リース方式をとっているというのが現実であります。

 そういう意味では、もし株式会社が農業から撤退してしまった場合には、市町村がリース契約を解除して農地の返還を受けまして、これを他に振り向けるという、いわば基本に立っているわけであります。その意味で、これをそのまま所有権を移したらどうかという御意見もありますが、これはやはり少しく状況をよく見定めながら、日本の農業をいい意味で維持し守るというようなことを基本にこれからも考えていきたい、こう考えております。

川村政府参考人 土地改良負担金の未納の問題についてお答えを申し上げます。

 総額につきましてはちょっと調査をしておりませんが、未納率につきましては調査しておりますので、その数字を申し上げます。土地改良の負担金につきましては経常賦課金と特別賦課金、両方ございますけれども、通常の賦課金につきましては徴収率が九八%ということになってございます。また、建設事業費の償還に充てられます特別賦課金、これにつきましては九七%という率になっております。

 また、こういった賦課金が未納の場合、他の組合員との関係上、不平等ということで適切ではございませんので、その納付につきましては、改良区が農家への戸別訪問等を通じまして、賦課金の徴収に努めているというのが実態でございます。

 また、この負担金につきまして、軽減する考えはないのかというお尋ねがございました。

 これにつきましては、平成二年に土地改良負担金総合償還対策事業を創設し、それ以来、いろいろな状況の変化に応じまして対策を講じてきております。平成七年には、例えば、農地の利用集積を要件として負担金の利子を助成するといったようなこともやっておりますし、平成十四年には、さらにこの農地の流動化を一層促進するという観点から、負担金の一部に対して無利子資金の貸し付け、あるいは負担金の繰り上げ償還に充当する促進費の交付といったようなもので促進を図ってきているところでございます。

 今後とも、こういった取り組みをしっかり続けてまいりたいと思っております。

川上委員 時間が参りましので、これで終了いたしますが、ぜひ最後に。

 実は、私の周りに、友達に認定農業者がいるんですけれども、後継者はいないんですよ。認定農業者と言われても、おまえのところの子供、息子はどうするんだと聞くと、農業を継がないと言うんですよ。農業を継がない後継者にこれから直接支払いをどんどんやるといったって、次の世代が継がないというのは、これはこれからどうなるのかなと思います。

 したがって、今の、担い手、認定農業者以外の政策をぜひ手厚くやっていただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

山岡委員長 次に、鹿野道彦君。

鹿野委員 一連の台風、そして今回の新潟におけるところの中越地震、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 特に、この被害に遭われた方々の打撃というものは考えられないくらいのものがあると思います。農業を頑張っていただいている方々、営農の再建に立ち向かっていただかなきゃならない、そういう意味で、内閣の万全の施策というものを講じてもらうよう強く要望するものであります。

 最初に、新潟の中越地震に対しまして、我が民主党も、ここにおられる鮫島議員を中心として視察団を派遣いたしました。地元の国会議員とともに現地に参りまして、詳細にわたって視察をし、いろいろな方々の要望を聞いてこられたわけであります。

 後ほど菊田、西村両議員から詳細触れられるわけでありますけれども、私から二点だけ要望を申し上げたいと思います。

 それは、まず最初に、これだけの被害、農地は九千カ所以上、こういう今日の段階での調査の結果が出ているわけでありますけれども、相当な被害を受けました。そこで、査定前、いわゆる査定の前におけるところの着工というものに対して、そういう制度というんでしょうか、手法というものがあるわけでありますから、どう対処されようとしているのか、それをまずお聞きしたいと思います。

島村国務大臣 お答えいたします。

 中越地方の地震、そして台風の災害を受けられた各地の皆さんの実情というのは、知れば知るほど想像を絶する大変厳しいものがあるようでございます。当然に予測されるところで、私はいつでもそちらに向かえる態勢で待ちをしているところですが、それぞれの地域では、被害の結果を的確に把握した上で私に来てほしい、こんなお話があるので、新潟へ行くのも今待機をしている、こんな状況でございます。

 少なくも御高承のとおり、小千谷にしても、山古志にしても、あの辺はもう半月後には降雪に見舞われるということでありますし――よろしいですか。(鹿野委員「それはわかっていますから、どう考えているのかをちょっと」と呼ぶ)あなたの方が詳しい。はい、わかりました。

 私どもは、今御指摘がありましたように、査定前着工、これが認められているわけでありますから、これを有効に活用しまして、鋭意これに対応しようと考えています。そういう意味では、今、農業関係では当省から六十三名派遣し、林野関係では約八班三十二名のいわば専門的な人間を派遣し、また現地から御協力いただいており、延べ四百五十名に及びますが、こういう方たちの御協力も得ながら、災害復旧に取り組んでいるところであります。

鹿野委員 大臣から、査定前着工を積極的にやっていきたい、こういうようなお話でありますけれども、実は、現場の方といたしますならば、この仕組みというのは、今回被害に遭われたその状況について市町村が調査をして、それを県に上げて、県から国へ上がってくる、そうすると、国の方が、農林水産省が、その現地に人が行って、査定をして、そしてどうするかということを決める、こういうふうなことですよね、仕組みそのものは。

 そこで、実際に、余りにも被害に遭われた箇所が、先ほど申し上げますとおりに九千カ所以上、こういうことなものですから、市町村で県に上げても県から農林省になかなか上がってこない、これが実態のようなんですよ。ですから、農林水産省が、今大臣からちょっと数字のことも触れましたけれども、もう直接農林水産省の人を派遣して、そして市町村に直接行かれる、できるだけ早くする、こういうような対応をぜひしてもらいたいんですよ。

 もうあすあす雪が降る、こういう状況でしょう。そしてまた来年の耕作をどうするかということも決めなきゃならないわけですよ。それはもうもたもたしていられない状況なんですよ。それをぜひ決断してくださいよ。どうですか。

島村国務大臣 たまたま意見がぴったり合っているわけでして、私どもは、天災融資法だけでなくて、いわば激甚災の指定におきましても、従前の実績におきますと約二カ月かかる、ところが、いろいろな事情で、これは急がなければタイミングを失してしまうということや、来年への対応がおくれてしまうということもございますので、緊急に詰めてどこまでできるのかというので、今お話がありましたように、こちらから派遣をして、向こうの書類が上がるのを待つのではなくて、こちらでやるということで、従前の二カ月を、いわば今月いっぱいということですから、四十日足らずでこれをやる、一カ月そこそこでやるというような態勢に置きかえたところであります。

鹿野委員 今大臣から決断を述べられたわけですけれども、迅速な復旧、これが一番求められるわけですから、万全を期してやってもらいたいと思います。

 もう一点。これから新潟のこの地震に対しましても、激甚の指定なりあるいは天災融資法の適用ということになると思いますが、前もって要望しておきたいことは、天災融資法による融資制度なんですけれども、相変わらず担保を出せとか保証人を出せというふうなことでは、これはこの制度、生きてきませんよ。特にこの被害によって担保価値も下がっているような状況ですし、昨年の冷害で負債を抱えておるという農家の人たちが、実際にこの融資制度というものを生かすためには、もう無担保無保証、このくらいのことの対処をしてもらわなきゃ何の意味もない、こういうふうなことにもなるわけですから。どうですか、その政治的な決断を。

島村国務大臣 実は私、就任以来、こういう問題をたまたま、予測したわけではなかったのですが、いろいろ事情を聞く中で、最近では、こういう有事の際には、土地等の担保まで求めることなく被災者の実情に応じた運用を行っているという報告を受けておりますし、現実に確認をいたしましても、それらについては間違いがないようであります。

 ただし、やはり公の金を融通するわけでありますから、これがもしモラルハザードを発生するようなことになると、これはまたいけませんので、それらについては、運用通知において、金融機関が融資を行うに際しましては保証人を立てるよう指導している、こういうことでございます。

鹿野委員 前段の方は大臣の決断ですけれども、後でしかしながらと。これが問題なんですよ。

 基本的には、農家の人たちは本当にまじめにやって、そして返済もきちっとしていかれるわけでありますから、相当な判断を、決断をして、そしてこの制度も、借りるという人がいなければ何の意味もないんですから。ですから、本当に喜んで融資を受けることができるような、そういう対処をしてもらいたい、このことを強く要望しておきます。

 そこで、台風の被害についてちょっと要望をしておきたいと思います。

 山形県も、庄内地方というところがあります。これは、私どもは日本一の穀倉地帯だということで誇りを持っておるわけでありますけれども、私は内陸でありますが、山形県にも海があるんですよ。その庄内地方において、今回のこの台風被害、大変な被害を受けたんです。

 今回の特徴は、雨が伴っていない台風なんですよ。風なんです。だから、せっかく穂が出たその水稲に、熱風がだあっと吹き抜けた、こういう状況なんです。ですから、それによって、せっかくの実ろうとするものが、もみが落ちてしまったり、葉が枯れてしまったりという、実際私も視察をしてまいりまして、いや、これはえらい被害だなと。近年の歴史では初めてのことなんですよ。

 これからもこういう雨を伴わない台風が起きるかもしれない。今までは雨が伴ったものですから、そのシャワー効果で塩害が防げたんですよね。自然作用なんです。自然作用によって、そういうふうな被害を防止できたんですけれども、今回は雨がなかったものですから、何遍も申し上げますけれども。こういう台風がこれからもどんどんやってくるかもしれない。

 そうすると、基本的に今までの台風とは違ったものでありますから、初めてのものでありますので、いわゆる潮風害というふうなものの技術の早期開発というものがやはり求められるわけです。メカニズムというふうなものの解明とかあるいは経路とか、あるいは気象要件が予測できないのか。あるいは、潮風害の軽減のために、栽培技術の耐塩性品種の開発とか、そういうことに対して、もちろん県も取り組んでいくという覚悟でありますけれども、まず国としてこのような問題にぜひ積極的に取り組んでいただきたい、これが現場の人たちの切なる願いなんですよ。どうでしょうか。

島村国務大臣 ただいまお話のありました庄内地方、実は私は、子供のときに集団疎開でお世話になったところでございます。今でも皆さんとのおつき合いは深いわけでございますが、そういう方たちからも、電話その他でお見舞いもしましたし、またいろいろ伺ってもおりますので、想像を超えるようであります。

 山形にしろ新潟にしろ、潮風害によって、もみの中が空っぽである、あるいは、とてもとても食するには適さないというような実態が生まれているようでありますから、そういう実態的な調査も含めて、これから鋭意取り組みたいと思います。

鹿野委員 県の方も古文書なんかにもいささか資料としては残っているようなんですけれども、初めてというようなこともありまして、なかなか限界がありますから、国として総合的にこういう台風に対する対応というもの、きちっと今後取り組んでもらいたいということを重ねて要望しておきたいと思います。

 次に、庄内地方を穀倉地帯と申し上げましたけれども、実はナシ、果樹も本当においしい果樹をつくってくれているんですね。私もちょっと認識不足だったんですけれども、カリヤナシというのが大変有名なんですけれども、百三十年の歴史があるというんですね。現地に行ってその話を聞かされて、いや、大分長い間、ナシ、頑張ってきていただいたんだな、こう思ったんですけれども、このナシの被害もほとんど全滅でした。風によって、熱風によって葉が落ちてしまって。そして、新しい芽が出て花が咲いておったんですね。来年どうなるかわからない。こういう状況なんです、大臣が御承知のとおりに。実際見てくれれば一番よかったんでしょうけれども、お話を聞いておられると思いますが。

 そこで今、来年に向かって剪定をどうするか、いろいろなことを研究しているんですよ、農家の人たちは。そこで、来年以降、いわゆる改植をするか、あるいは補植をするかというようなことについても、実は様子を見たいという気持ちが農家の人たちの本当の思いなんですね。来年どうなるかわかりませんから、初めてのことですから。

 ですから、そういう今日長い歴史を持って頑張ってきていただいた果樹農家の人たちに、やはり希望を持って引き続いてやっていただくためにも、来年度以降に対する改植なりあるいは補植なり、こういうふうな対策についてしっかりとやっていただきたい、こういうふうなことを要望いたすわけでありますけれども、どうでしょうか。

島村国務大臣 技術的なこと、専門的なことはそれぞれの部署の者に任せますが、姿勢としては、私も山形県の、単にお米だけでなくて、大変すぐれた果実を生み出していること、サクランボに限らないということ、だれよりも子供のころからよく知っている人間でありますから、心得てその御質問にはこたえていきたい、こう考えます。

鹿野委員 重ねて申し上げますけれども、農家の人たち、本当に悩んでいるんです。どうなるかなと、今非常に不安な気持ちに駆られているんですね。やはり国としても、来年度以降も我々はしっかりとそういうふうな問題については対処していくからというふうなことを明言してもらえば、気持ちの上で違うんですよ。やはり農家の人たちに愛情を注いでもらいたいんですよ。

 そういう意味で、大臣、せっかくあなたも二回目の大臣ですから、官僚の言うとおりに、法律の言うとおりに、枠組みの中でなんというふうなことを考えない政治家だと私は思っていますから、もう一度簡単に、来年度以降も任せておけ、この言葉をどうぞ聞かせてください。

島村国務大臣 どうも官僚の言うことを聞かない有名な大臣で聞こえているようですが、私は、誠実にあなたの御期待にこたえるために最善を尽くしたいと思いますし、それなりの考えで臨んでいるつもりであります。

鹿野委員 次に、今回のこの台風の被害によりまして、農家の人たちの使用するところの種子、いわゆる水稲なり大豆の種子、これを購入しなければいかぬわけです。

 そこで、実は昨年はかなり高騰したんです。高騰したものですから、それに対する助成が出たんですよ。今回は、この台風の被害によってどうかというふうなことなんですけれども、まだ価格が高騰もしていないというふうな状況の中で、それに対する助成というものはなかなかなじまない、こういうような考え方もあるかもしれませんが、どうでしょうか、国としても、水稲、大豆等々の種子購入に対する助成というふうなものについて、これからどう対処していこうとしておるか、お聞かせいただきたいと思います。

白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございます。

 お話しのとおり、昨年は大変に米不足というふうなことで、米とそれから大豆の価格が高騰いたしまして、再生産に不可欠な種子につきましても、それぞれ各県で価格を引き上げざるを得ないというふうなことで、被災農家が翌年の再生産さえも困難となる、そういう状況が予想されたわけでございます。

 そういった特別な事情もございまして、被災農家に次期作用の種子が不足しないように、そういった意味で、優良な種子を安い価格で供給なりあっせんをいたしまして、それに対して国が助成を行うというふうな、再生産の確保に万全を期するという事業を、お話しのとおりやったわけでございます。

 ただ、今も先生の方からもお話がございましたとおり、本年度は、昨年度のような全国的な需給の逼迫というものは想定しがたいわけでございますし、また、全国的に見て、次期作用の種子の価格もほぼ例年並みというふうに予想されるわけでございますので、ことしにつきましては、特別の助成措置を講ずるということは考えていないわけでございます。

鹿野委員 今、考えていないというふうな話ですけれども、まあそう冷たいことは余り言わないでよ、こういうふうなことですよね。

 なぜかというと、昨年も冷害で、そしてことしも台風の被害、二年連続でこれだけの打撃を受ければ、これは農家の人たちは実際容易でないんですよ。農家の人たちに補助金を出してなんというような声も聞くんですけれども、実際に農業をやっている人たちの立場というものを本当に承知したら、ああ、やはり助成というものは必要なんだなというふうなことになるんですよ。

 これからも高品質の栽培へさらに取り組んでもらうとか、あるいは、今申し上げておるように、農家の人たちの意欲というふうなことからして、県は、よし、単独でこれは助成をやろうと決断したんですよ、県が。県も市町村も決断しているのに、国は相変わらず、いやいや、それはなかなかなんという、そんなことを言っているようでは、これからの農業を、本当に大事な食料安全保障、自給率向上、こういう大きな課題を抱えた農林水産省として、そんな今までと同じようなことだけの答弁をされちゃ困る。

 県もやる、市町村もする、地元がそれだけのことをやるならば、よし、じゃ、国もやろうじゃないか、このぐらいの気持ちになっていただけませんですかね。どうぞ。

白須政府参考人 せっかくの委員の御指摘でございますが、ただいま申し上げましたとおり、やはり本年度は、昨年度のようなそういった全国的な需給の逼迫というものは想定しがたいわけでございます。また、全国的に見まして、次期作用の種子の価格も例年並みというふうなことでございますので、私どもとして特別の助成措置を講ずるということは困難であるというふうに考えているわけでございます。

鹿野委員 またこれは後ほど触れますが、もう一つはビニールハウスなんです。園芸施設に対しても大変な被害があったわけです。今回はもう何回も何回も、それは、十五号だ、十六号だ、十八号だ、二十三号だ、こういうことで、次から次と補修し、お金をかけて直したわけです。またやられた、またやられた、この繰り返しだったわけです。

 そういう意味で、このビニールハウスに対しても、復旧のための助成というふうなもの、これはどうですか。できませんか。

須賀田政府参考人 今回の台風でビニールハウス、施設園芸が物すごい全国的に被害を受けたという点は、先生御指摘のとおりでございます。

 私ども、まず、被害を受けられた方に対しましては、園芸施設共済、これを直ちに損害評価に入って、二、三カ月以内には払いたい、まず、被害を受けた方にはそういうことをしたいというふうに思っています。

 それから、今後のことでございます。つらつら見てみますのに、私どもが進めております低コスト耐候性ハウスというのがございます。これについては、西日本の一部で被覆資材が少し飛んだということはございましたけれども、全国的に今回の台風でも安定していたということがございますので、これを全国的に導入することをお勧めしたいと。直ちに入れたい方に対しては、融資を用意してございますので、これをお使いいただきたいと。

 それから、補助事業として、生産振興総合対策、輸入急増農産物対応特別対策、こういう事業がございます。これは枠がございますので、なかなか直ちにというわけにはいきませんけれども、こういう一般の補助事業もございますので、これも利用可能というふうなことでございます。

鹿野委員 大体答弁はそういうふうなことが予測されるわけです。それは今まではそういうことなんですね。

 基本的には融資制度がある、低利の融資制度があるからそれを利用したらどうですか、こういうことでしょう、基本的には。だけれども、昨年も冷害で同じように融資を受けて、そして負債を抱えているわけですよ。今回も、何回も何回も何回もなんです。今までと全く違うんですよ。一回ぽっきりだけの被害じゃないんですよ。

 そういう意味で、融資よりも、むしろ助成というものが求められているんです。重ねて申し上げますけれども、私、決して過保護という意味で申し上げているわけじゃないんです。農家の実態というものを、現場の声というものを、直接行ってみて、聞きながら、やはり農家の人たちはそういうことなんだなと。それに対して、やはり山形県の方も、そういう助成というものを求めるならば、山形県として覚悟を持ってやろうということで、三分の一、そして市町村が六分の一、こういうふうなことを決めているんですよ。先ほど申し上げた種子の購入についての助成、こういう施設に対する助成、これだけ地方の県がやるという覚悟なんです。

 我々は分権社会をつくるということですから、ほとんどもうこういうことはこれから地方の方でやれるようにしていく、そういう社会にしていくんですけれども、まだ現状では農林水産省がそれだけの権限とそれだけの財源を持っていますから、我々として今はとにかく農林水産省に要望しなきゃならぬというふうなことでありますので、どうですか、そのくらいの威厳を持ってやってもらえませんか。

 副大臣、あなたも農業県だから一番わかると思いますけれども、どうですか。簡単に。

岩永副大臣 先生の御意欲、本当によくわかっておりますし、我々もそういう災害を何度も何度も受けて立ち上がった県でございますので、ひとつ大臣を中心にいろいろと検討させていただきたい、このように思っております。

鹿野委員 ぜひ検討をしてください。

 そこで、最後に、今回の台風、地震によって本当に農業そのものに大被害があったわけですね。そうしますと、米政策も、いよいよ米改革元年、こういうふうなことでスタートをするわけでありますけれども、昨年も冷害で米が目標の数量というふうなもの以下であった、こういうようなことであります。すなわち、平年の収量を割り込むというような状況であった。ことしも今の段階では作況九八、こんな数字も出ておるわけでありますけれども、この米政策、どう考えておられるんでしょうか。

村上政府参考人 米政策についてのお尋ねでございます。

 ことしから米改革をスタートして第一年目ということで、二十年を目途に、生産者あるいは生産者団体が自主的に生産調整をしていく、需要に応じた生産をしていくという方向に持っていく、その経過期間の第一年目ということでございます。

 先生の御指摘は、恐らく来年度の生産目標数量の考え方ということかと存じます。

 十七年の生産目標数量につきましては、平成十一年から十五年までの各都道府県の客観的な需要実績をもとに、需要に応じた生産を促進する手法で算定するというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、十六年の需要実績につきましては、平成十七年産の生産目標数量の算定には入らないわけでございます。

 ただ、十五年産までの需要実績につきましては、その算定につきまして、災害による、平年作に補正をすることを考えておりまして、仮に災害によりまして十六年の生産数量が減少した場合、ことしの生産数量が減少した場合については、しかるべく作況の補正をするということで、十八年の生産目標数量、この方に反映をすることになるというふうに考えております。

鹿野委員 いずれにしても、こういう被害の中で、米政策はやはり日本の農政の根幹であるわけです。被害を受けられたところの都道府県の数量をどうするかというようなことも含めて、大変な重要な問題でありますから、米農家の人たちが意欲を失わないというようなことの中で、間違いのない判断をしていかなきゃならない。そうでないと、米政策そのものがスタートをしたわ、もう思うようにいかなかったというふうなことであってはならないわけでありますので、どうぞひとつ、この点、大臣、どうでしょうか。相当慎重にというようなことは配慮をして、そして間違いのないようにしてもらわなきゃならないと思いますが、どうでしょうか。

島村国務大臣 いろいろな状況を知れば知るほど、本当にここにじっとしていることがもどかしいくらい、焦りにも似た気持ちを感じるわけでありますが、現地の皆さんのお気持ちを十分こちらも受けとめまして、夢を失わないような、希望を失わないような環境づくりに努めていきたい、こう思います。

鹿野委員 終わります。

山岡委員長 次に、菊田まきこ君。

菊田委員 おはようございます。民主党の菊田まきこでございます。

 きょうは、私の地元で発生をいたしております新潟県中越地震の被害に対する農林水産省の取り組みについてお伺いをさせていただきたいと思います。きょうここで発言の場を与えていただきました皆様に、心から感謝を申し上げます。

 まず、質問に先立ちまして、被災された多くの国民の皆様に対し、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。と同時に、政府、関係省庁、被災者救出のために全力でお取り組みをいただいている自衛隊や消防、警察、全国からのボランティアの皆様に、この場をおかりし、心から感謝を申し上げます。

 御案内のとおり、今回の地震により農林水産業が受けた被害は甚大で、速報によれば被害額は約一千億円に上り、これまで最高だった平成七年の阪神大震災時の被害額の九百十一億円を超えました。全国有数のブランド米で知られる魚沼産コシヒカリを初め、豪雪地帯の冬場の収入を支えてきた地場産業でありますニシキゴイや食用和牛、闘牛、キノコ栽培も致命的な被害を受けています。困ったことには、今もまだ余震が続いているため、けさも朝四時ごろ震度五あるいは震度四という余震がございましたけれども、この余震のためになかなか現地調査が進まず、全体の把握ができていないということでございます。恐らく、今後さらに被害額がふえると予想されています。

 新潟県は、御案内のとおり、農業が重大な、そして大事な基幹産業でございます。農業が崩壊すれば、多くの県民の生活が成り立たなくなってしまいます。夏の七・一三水害で農業が大きな被害を受け、今度は地震でございますので、一年に二度も三度も被害を受けたら、地域は立ち直ることはできません。加えて、今回の被災地は日本一の豪雪地帯であり、これから冬本番を迎えて、三メートル、四メートルもの雪が降り積もる中で、復旧はまさに一日一日が時間との闘いでございます。

 政府として、今まで以上にスピードアップして、早急に対策を講じていただくよう冒頭強く要望し、まず最初に、農林水産大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

島村国務大臣 実は私、サラリーマンのときに三年間新潟でお世話になった人間で、新潟県は非常に思い入れの深いところなんですが、今回のまさに梅雨前線豪雨や台風の襲来、これに続いて中越地震など、相次ぐ災害で打ちのめされている県民の皆さんの心情、痛いほど理解しているところであります。

 それで、新潟県における農林水産関係の被害総額だけでも、今一千億云々とお話がございましたが、さらに今ふえまして、現在時点で一千四百四十億円に上るわけであります。

 こういう意味で、我々は、七月の豪雨災害につきましては激甚災害と指定しましたけれども、台風十五号等を統括する形で天災融資法を発動したところであります。さらにまた、災害復旧事業の早期実施、あるいは共済金の早期支払い、低利資金の融通等、皆さんが少しでもこれからの復興に向けて立ち上がることができる環境づくりに現在努めているところであります。

 先ほどの御答弁でも申し上げたんですが、私はいっときでも早く新潟へ飛びたい気持ちでおりますが、県側の意向もありまして、今鋭意被害その他についての調査をしているので、その態勢が整ったらこちらに御連絡をいただけるそうなので、いただき次第そちらに向かわせていただく、こういう待機をしている状況にあるわけであります。

 また、地震対策につきまして、我々は農林水産省に対策本部を設置したことは御存じのとおりですが、岩永副大臣を本部長といたしまして、我々なりの万全の態勢を組み、既に現地視察等も実現し、今、緊急的な食糧支援を初めとして各種の対策に取り組んでいるところであります。

 少なくも、連続して余震が発生している今日、新潟県民の皆さんの心中いかばかりかと拝察する次第でありますが、これは決して対岸の火事じゃなくて、日本の場合には、国内的にいつこういうことがあってもこれを克服しなきゃならない宿命的なものもあるわけでありますから、将来に向かって万全を期して、皆様の御期待にこたえたい、こう考えております。

菊田委員 大臣もぜひ、時をとらえて現地を視察していただきたいと思っております。

 私も何度も現地に入らせていただきましたけれども、水田、至るところに大きく亀裂が入り、数え切れないほど多くの農道、排水路、ため池が崩壊していました。いつになったら耕作が再開できるのか、農家の皆さんの不安感、そして危機感は大変大きくなっております。これからもう間もなくしますと雪が降り始めまして、二月、三月、三メートル、四メートルの雪が積もります。そして、四月にようやく雪解けになるわけでございますが、五月の田植えには到底間に合わない、したがって来年の作付ができない、すなわち来年の収入がなくなるということでございまして、折からの不況、そして農家の高齢化、米価の下落と相まちまして、このまま先を見通すことができなければ一層耕作放棄あるいは離農につながっていく、そういう危機がございますので、とにかくスピードアップして現地の状況を把握していただきたいと思っております。

 降雪期を間近に控えまして、今申し上げましたように、農地、農道、用排水施設等の原状復旧についての現在の見通しをお聞かせいただきたいと思います。

岩永副大臣 実は先生、私、小学校の六年のときに、千人ほどの人口、私の部落なんですが、山津波で四十四人亡くなったんですよ。そして、部落の家という家がほとんど山の崩れによって埋められてしまったというような大災害がございまして、そこで生まれ育った者でございますので、今の災害がそのときのこととダブって、私は、長島村長以下皆さん方の陳情を、本当に他人事ではない、これは私の小さいときに起こったそのままの再来、何とかして私も力にならせていただきたい、こんな思いで、村長さんも泣きながら訴えていましたし、私も精いっぱいおこたえしていたわけでございます。

 そういう状況の中から、今先生がおっしゃったように、農地、農道、農業用水路の原状復旧の問題については、先ほども大臣が申し上げましたように、約六十三人のチームで今調査をいたしておりますし、なおかつ林道については三十二人、そして五百人の皆さん方の御支援をいただいて、査定前着工を早くしたいというようなことで、今精いっぱいやっているところでございます。

 ただ、農地については九千百二十七カ所、農業用施設については一万二千二十三カ所等々、ビニールハウス、畜舎、農作物の施設等々、本当に多岐にわたっているわけでございます。カントリーエレベーターも見てまいりました。いっぱいすばらしい新潟米がそこに蓄積されておるのに、もう腐ってしまうのではないかというような気持ちもお聞きをいたしました。できるだけひとつ早く、全力を挙げて、来年農地として使えるものは使う、そして水路として復旧できるものは復旧する。今その調査の最中でございますので、精いっぱいのことをやってまいりたい、このように思っております。

菊田委員 ぜひ今の意気込みでやっていただきたい、お願いを申し上げたいと思います。

 実は、私の選挙区、栃尾市なんですけれども、今年の夏の七・一三水害によりまして、農業用施設や林道など約七百五十カ所の被害を受けております。被害額は約四十五億円と見込まれました。このうち、国の査定を終えたのは、七百五十カ所のうち百八十カ所、二四%でしかございません。まだ四分の一も終わっていないうちに、今度のこの地震により査定作業そのものがストップをしてしまいました。同じように、見附市も七・一三水害で二百二十二カ所の被害をこうむりましたが、査定を終えているのはわずか七十カ所、三三%でしかありません。年内処理は物理的に難しくなっています。加えて、この地震による二重の被害でございます。

 七・一三水害、七月の水害から四カ月がたっていますけれども、査定になぜこのように時間がかかるのでしょうか。平時のケースと違うと思います。査定を初め、災害復旧事業の事務の流れに余りにも時間がかかり過ぎている現実、これを簡素化すべきと考えますが、いかがでしょうか。

島村国務大臣 おっしゃられるまでもなく、これについては、まさに可及的速やかにこのことをやらなきゃいけないというので、先ほども御答弁申し上げたところですが、従前は約二カ月を要していたものを、これ以上詰められないというぎりぎりの線まで詰め込んでみろというので、実は、十月二十三日に起きた地震に対して、少なくも今月末にはもう結論をきちっと出してくるというところで、今追い込んでいるところであります。

 そして同時に、従前はいわゆる地方農政局あるいは本省においていろいろな申請書類をチェックして、査定をしたりしておったところですが、現在は、こちらから人を差し向けまして、現地で書類の審査その他をやるということに内容を変えまして、今度の災害については、いわば従前にない取り組みをさせていただいております。

 これで十分ということが言えるだけの最善を尽くしてその結果につないでいきたい、そう考えておりますし、また来年に向けての、農作業が現実に行われるためにはどうしたらいいのか、でき得れば三月末ぐらいまでに一つのめどが立たなければこれがなかなか着手しにくいということですから、これらにつきましても十分意を用いていきたい、こう考えております。

菊田委員 私、市役所に行きまして、災害復旧事業の流れの一連の事務処理に関する書類をいただいてきたんですけれども、例えば基本項目だけで、災害が発生してから被害報告を事業主体である市町村、知事、農政局とやるわけですけれども、そこから始まりまして、災害復旧事業補助計画概要書の提出、その後に査定、それから査定調書の提出というふうに、幾つかの事務の作業の流れがあるわけですけれども、災害が発生して、最初の被害報告から始まってこの事務作業が終わるのが、基本項目だけで二十六の項目をこなしていかなければならない。大変膨大な事務量を各市町村、もちろんこの市町村というのは被災地でございますが、その市町村がやっている。そして、それも県も対応していかなければならないということで、この事務作業を見ているだけでも、これでは余りにも時間がかかるというのは当然ではないかというふうに思いました。

 水害の復旧工事が全く進んでいないために、今回の地震によってさらに被害が大きくなっているところがたくさんございます。あるいは、水害の被害をこうむったところの工事が完了していれば、これほど今回の地震での被害が大きくならなかったのではないか、言うなれば災害ではなくて人的被害ではないかという声さえ現場からは出ているんですね。

 やはりこういった手続をしっかりと見直していただいて、市町村も大変でございます、県も大変でございます、こういった、むだなという言い方はおかしいかもしれませんけれども、本当に必要最小限の、緊急時でございますので、必要最小限の事務手続だけでどんどん進んでいけるようにぜひ見直しをしていただきたいと思っております。

 この手続の中に、補助率増高申請というのがございますけれども、これについて質問をさせていただきたいと思いますが、激甚災害に指定された場合、農林水産省は、農業用施設の復旧作業について、一カ所ずつ補助率増高申請を各市町村役場から提出させています。被災地の各市町村が、まず受益者を特定し、基礎資料を整理し、申請書をつくる作業に忙殺をされています。担当課の職員だけでは間に合わないので、ほかの課の職員も動員し、なおかつ多くの臨時職員を単費で雇って、こうした作業に対応していることを御存じでしょうか。なぜこのような複雑なことをやらせるのでしょうか。補助率増高申請制度にどういう意義があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

川村政府参考人 ただいまお尋ねになりました補助率増高申請の関係でございますが、災害復旧につきましては、通常の災害の補助率というものがまず原則としてございます。そして、それに対しまして、激甚災が指定されますとそれに補助率の上乗せがなされるということでございまして、これはその被害の程度に応じて補助率が変わってくるという仕組みになっておりますので、そういう手続が置かれているところでございます。

 おっしゃるとおり、ここのところが非常な事務量となりますので、我々としては、当該市町村だけではなかなか大変だということで、他の道県のそういう実務になれた方、そういう者を全国から募りまして、待機をしていただいております。そういう方々も応援できるような態勢で今臨んでいるところでございます。

菊田委員 この補助率増高申請というのは、国交省はやっておりません。なぜ農林水産省だけこういった複雑な制度をやらせているのか、全くわかりません。激甚災害指定をされても、こういった事務作業があれば、結局、指定をされてもなかなか工事に着工するまで時間がかかり過ぎるという現実でございます。

 河川とかそれから道路を直すとき、国交省が復旧するわけですけれども、こういった増高申請をやっていないわけでございまして、私は、なぜ農林水産省だけ一カ所一カ所このような煩わしい手続をやっているのか、大変疑問に思っておりますし、こうした複雑な手続は、緊急時でありますので、ぜひ簡素化をしていただき、その現場に合った対応をしていくべきだと思っております。ぜひ検討していただけないでしょうか。

川村政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生の御質問の中で、農水省のみがそういう手続をしているという御指摘でございましたが、これは各省共通の手続でございます。

菊田委員 でも、私が調べたところ、国交省の方に確認をいたしましたけれども、このような増高申請制度はやっていないというお答えをいただいております。いかがでしょうか。

川村政府参考人 基礎となる法律は違います、ベースとなります法律は私どもはいわゆる暫定法という法律でやっておりますけれども、基本的に、上乗せをするという手続につきましては、今担当の方にも確認をしましたが、各省さん行われているということでございます。

菊田委員 そうですか。各市町村役場それから県の方に行きますと、農水省の関係の書類を申請するのが一番大変だというのが、現場で働いている方々の声なんですね。私ももう少し実態を調べてみたいと思っておりますけれども、ぜひこういったことを見直していただきたい。農水省みずからが、もし国交省がやっているとすれば、まず農水省からこういったことを見直していただきたい。

 現実に、道路復旧を見ますと、農道、農水省の関係の道路は工事が大変遅くなっていますよ、着工するまでに。着工というよりもその以前の査定の段階で、国交省の取り組みよりも大分おくれているという感覚を、私は現場を回り、持っておりますので、ぜひこういったことを見直していただきたいと思っております。

 続きまして、キノコの栽培についてちょっとお聞きをいたしたいと思いますけれども、今回の地震によりまして、小千谷市、十日町市、川口町など多くの地域で、キノコ栽培の施設が被害を受けました。停電によりコンピューターが停止をして、バイオセンター機能が不能になっています。キノコの栽培は、出稼ぎに行かなくてもいい冬場の重要な収入源としてこの地域の皆さんの生活を支えています。町の重要な特産でございます。十日町市のキノコの施設の被害だけでも、九億円を超える被害金額でございます。これから暮れを迎え、売り上げの大部分を占める時期になりましたので、出荷ができないことによる減収は八億を超えると聞いております。一日も早く生産回復ができるように支援を求めてまいりたい。

 そこで、キノコ栽培生産設備の復旧及び生産不能期間に対してどのような助成措置があるか、お聞かせをいただきたいと思います。

前田政府参考人 現在、キノコの生産施設の被害状況でございますけれども、十一月九日時点で把握されておりますのは七十五カ所となっております。このうち、現在もまだ生産を停止しているという施設が二十カ所、小千谷とか川口、十日町等々でございます。

 今御質問にございました被災いたしました施設、これにつきましては、施設災害復旧事業、これによりまして共同利用施設といったものにつきましては高率の補助で復旧を図っていく。さらに、農林漁業金融公庫、これによります低利融資制度、これは農林漁業施設資金の中の災害復旧施設資金というのがあるわけでありますが、そういったものを活用いたしまして早期復旧を支援してまいりたいというように考えている次第でございます。

 またさらに、一時的に生産不能になったキノコ生産者に対しましては、経営再建ですとかあるいは減収分の補てんのために、農林漁業金融公庫から低利の資金、災害資金でありますが、これの融通あるいは既往借入金の償還条件の緩和、こういったような措置を行って支援を行ってまいりたいというように考えている次第であります。

菊田委員 こうした支援策は、農事法人、組合も受けることができる、そして、個人の農家もひとしくこうした支援を受けることができるかどうか、お聞かせをいただきたい。それから、有限会社はどうか。あわせてお聞かせをいただきたい。

前田政府参考人 先ほど申し上げました共同利用施設、これにつきましては補助金ということで大丈夫なんですが、個人の行っていますものあるいは法人等々につきましては、公庫資金、こちらの方で融資を受けられるという形になっております。

菊田委員 融資といいましても、当然ですけれども、お借りをして、またお返しをしなきゃいけないということで、かなりの減収の中で、そして機械設備が全部だめになっている中で、融資制度だけしか受けられないというのが個人、そして有限会社、法人ですね。法人にとっても大変厳しい現実ではないかというふうに思っております。

 私は、今回、キノコの生産は新潟県全体の七〇%を占めておりますし、全国の中でも一〇%のシェアを占めているという、本当に大きな、この地域における大切な産業でございまして、これを一生懸命守り、そして継続し、地域を支えてきた皆さんにとっては、個人も法人も、そしてまた有限会社も組合も、そういった分け隔てなく、できる限り、こういう緊急のときでございますので、積極的にバックアップをしていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

前田政府参考人 お気持ち、重々私どももわかるわけでございますが、やはり個人資産あるいは個人事業、会社、こういったことになりますと、なかなか補助金でということは難しゅうございまして、そういう意味では、融資制度、こういった中で支援してまいりたいというように考えております。

 なお、先ほど申し落としましたけれども、生産不能になって職を失っているといった方々に対しては、私ども、例えば林野公共事業、造林事業ですとか治山事業あるいは林道事業、そういったところで、いわば救農土木といいますか救農造林といいますか、そういった形の中で少しでも雇用の場を確保しようということで、昨日付で指示いたしておりまして、そういった面も含めまして、いろいろな形で支援してまいりたいというように考えている次第でございます。

菊田委員 七・一三水害のときもそうでしたけれども、結局、個人資産とか私有財産に対して公的な支援はできないということが、ここがなかなか乗り越えられないために、現実として、では、こんなに苦しいときに、本当に生活が立ち行かない、先が見えないというときに、一体政治は、国は何をしてくれるんだという、本当に、国民の皆さん、被災者の皆さんからはもうわき上がるような思い、不安感というものがいっぱいなんですね。私は、ここをぜひ政治の力で、我が国は自然災害が多い国でございますので、そういった被災者の皆さんの声に耳を傾けて、この壁をぜひ乗り越えていくための努力を我々政治家がしていかなければならないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

島村国務大臣 御指摘のとおり、この国はまさに自然災害とずっとつき合っていかなきゃいけないという宿命を担っている国でありまして、私も、それらについてはいろいろな講演等の機会にもお訴えしてきたところでありますが、これからにつきましても、こういう問題が起きたときに物を考えるのではなくて、ふだんから前向きに、どういうときにはどうする、あるいは従前あったいわば慣習的な業務のあり方についても対応をいろいろ変えていくとか、そういうことごとについては、我々の務めとして当然の持つべき姿勢だ、そう考えます。

菊田委員 ありがとうございました。

 こういう経験を次に生かしていくということを、ぜひお互いに真剣に前向きに研究をし、検討をし、そして実行できるように取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、山古志村の畜産農家の支援策について、副大臣も先ほど、山古志村の方に入られて、村長さんともお会いしたという話をされましたけれども、今もまだ山古志村では闘牛や乳用牛、肉用牛、そしてニシキゴイが村に取り残されたままになっています。村内へ立入禁止となっておりますので、ヘリコプターを飛ばしてこうした牛を救出するところもありますけれども、一台数百万かかるヘリコプターを飛ばすのはなかなか難しいということで、ほとんどの畜産農家が打つ手がないということでございます。

 この山古志村にとりましては、闘牛とニシキゴイの村ということで、長い間この二つの特産が村の人々の心の支えになっていましたし、そういうキャッチフレーズで村づくりをやってきたわけですし、現実に、この二つの特産で生計を立てている人が多いわけでございます。そして、やはり自分の家族と同じような思いで、一日も早く救出をしたいと皆さん涙ながらに訴えておりますけれども、ぜひ国の支援でこうした牛あるいはニシキゴイを救出する方法がないかどうか、お聞かせをいただきたいと思っております。

岩永副大臣 畜産の方では、畜産課長の鶴巻さん、そして畜産農家の代表の皆さん方と懇談をしてまいりましたし、また強い要請を受けてまいりました。

 先生、実は、畜産の畜舎が十六戸も全壊しているわけでございまして、家畜の死亡は百三十三頭に上っているわけでございます。それで、この災害を見たときに、千頭以上の牛が孤立している、だから、これは本当に早く救出していかなきゃ社会問題化するのではないかというようなことで、タカノファームは企業でやっておられましてヘリコプターを自分でチャーターできますが、ほかのところについてはその心配をいたしました。

 しかし、当時、やはり人命が先だというようなことの中からなかなかヘリコプターの使用は許されなかったわけでございますが、おかげさまで、十一月九日の時点で五百二十六頭の牛が実は移動しておりまして、それが長野市営スキー場の駐車場へヘリコプターで運んでいるわけでございます。そのうちに、四カ所孤立していたんですが、二カ所が道がつきまして、そして自動車で運び出されるというような状況になりまして、今のところ百三十七頭が孤立しておりますが、うちも、福島県の家畜センターから牧草を約十トン運ぶとか、また長野県から牧草を五トン運ぶとかいうような形の中で、孤立した牛についても最大の対応を今しているところでございます。

 亡くなった牛については、御承知のとおり、死亡確認をしていただいて、そして共済を支払うような指導をいたしておりますし、なおかつ、独立行政法人の家畜改良センターから、具体的にどうしてこれから経営を維持していくかというような相談を今しておるわけでございまして、私どもの方へも逐一その連携をいただいているようなところでございます。

 また、ニシキゴイにつきましては、六千に余る野池が全部崩壊して、そしてニシキゴイが死んでいる。ともかく親ゴイを助けなきゃだめだと。しかし、山古志村の中の越冬池というのがコンクリでつくってあるんですが、そこへ電気が行っていないために酸素が供給できないというような事情で、親ゴイが今度はもう越冬池まで持っていってもあっぷあっぷしているというようなことでございますので、今度はそれを救出しなきゃならぬというようなことで、小千谷地域のニシキゴイの、自宅へも寄せていただいております。そして、私が行った五日の明くる日の六日に、県の水産課とそれからニシキゴイの生産者と、なおかつうちの水産庁もそこへ必ず入って、一緒になってその対応を協議しているということでございまして、今、おいおい協議で水産庁が何をすべきかというような議論をしているところでございます。

 今、ちょうどそれの移行中でございますので確たることを先生に今お話しできませんが、これはやはり生産者並びに農家からどうしてほしいという話が第一義的なものでございますので、それを受けてやってまいりたい、このように思っております。

菊田委員 私の持ち時間が終了いたしましたので、これで終わらせていただきますけれども、これも言うなれば私有財産の移動ということで、自衛隊は人命救助だし、私有財産の移動は国ではできないということになるのかもしれませんけれども、しかし、この闘牛は国の重要無形民俗文化財ですよね。国が指定をして、そしてこれをしっかり守っていくということでございますので、ぜひ前向きなお取り組みをいただきたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

山岡委員長 次に、西村智奈美さん。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 新潟県の中越地震で被災した農林水産業の関係、その復旧復興に向けた取り組み状況などについて質問させていただきたいと思っております。

 今回被災した農山村、本当に大変に厳しい現状でございまして、大臣は、地元自治体の方から少し待ってくれというお話で、まだ現地に入っていらっしゃらないそうですけれども、これは、実際に現場を見た者の一人としては、一体あの惨状をどうやって語って表現したらいいんだろうかということで、まさに語る言葉を持たないという気持ちでおります。

 そもそも、今回被災した地域のほとんどは中山間地でございまして、美しい棚田が広がっている地域でした。中山間地の農業が平場の農業、水環境、こういったものを守っているということについてはもう広く知られていることでございますし、また地域の中では、例えばそういった美しい風景と蛍を再生させようというような環境啓発を行っているという動きもございまして、そういった棚田ですとか牛、ニシキゴイなどの地域の特産品を維持してきてくださっていた地域に暮らす住民の皆さんの日々の努力のおかげで、私たちの日常生活の潤いや安心感というものがある。そうした地域の農業が今大変に厳しい現状にさらされているということで、きょうは、できるだけそういった地域の皆さん、農家の皆さんに希望を持っていただけるような、そういう質疑にさせていただきたいと思っております。

 最初に大臣にお伺いしたいんですけれども、まだ現地に入っていないということでございました。ちょっと待ってくれというお話だったというふうにお聞きしましたけれども、待ってくれと言われたのはいつのことですか。

島村国務大臣 私ども、公私にわたっていろいろおつき合いが長いものですから、この問題が起きたときにすぐ見舞いの電話を入れて私どもの姿勢を伝えて、それから何度かこちらからはその姿勢と自分たちの意思を伝えてございます。それについては向こうも、非常にそれを多とするけれども、もう少し被害状況をしっかり把握してから大臣には来ていただきたいと。先ほど来お話がありましたように、私どもでは早速対策本部をつくって、岩永本部長あるいは大口副本部長、お二人そろって現地に出向いていただいているわけでありますから、私どもは、そのお話がいただけたらすぐにでも伺う態勢を持ちたい、こう思っております。

西村(智)委員 待ってくれと言われたのは、では、そうしますと少しさかのぼって、何日か前ということになるんでしょうか。

 ぜひもう一回、そろそろ行けるかどうかということを聞いてみてください。地元自治体の方は、やはり当初は緊急支援、食料の調達、炊き出しですね、こういったものに追われておりましたし、忙殺をきわめていたという状況は本当に私もよく存じ上げておりますけれども、やはりそろそろ見ていただきたい、現場へ行って見ていただきたいということを強く要望したいと思います。御答弁は結構です。

島村国務大臣 両陛下も激励に、お見舞いをなさったことでもありますし、私どもは当然、いわば当事者あるいは責任者でありますから、いつでも要請があればそちらへ出向きたいという考えでおりますし、これは何も、向こうへ通り一遍の話をして、先方からそう言われたのをいいことにこちらで待機をしているということではございません。極めて前向きな姿勢で待機をしている、こういうことでございます。

西村(智)委員 そのお言葉を聞いて、安心いたしました。

 今回の地震の特徴、五つぐらいあるのではないかと思っています。

 まず一つは、先ほどの数字でも挙げられておりましたけれども、農林水産業の分野だけで既に、まだ実態調査が途中であるにもかかわらず、千四百四十億円を超える被害が認められているということ。これはもう、農業県たる新潟県にとっては、この被害が大きいということのイメージは大きいですね。

 二番目の特徴、これは、被害もまた広範囲に及んでいるということ、個人や集落単位での努力ではとても復旧や復興は難しいということ。

 そして三番目には、農業の経営形態、担い手、こういったものが変化してきている中での災害であった。例えばキノコの話が出てまいりましたけれども、こちらも経営形態が少し変わってきておりまして、旧来型の支援策では恐らくカバーできないものが出てくるんだろうというふうに思っています。

 四番目、本格的な雪の季節がもう目前であるということ、だから急がなければいけないということですね。

 五番目、中山間地の農業、これは、中山間地直接支払い制度、ようやく定着してまいりましたけれども、そういった中山間地の農業が岐路に立っているときでの災害であったということ。これは挙家離村のおそれすらあるというふうに私は思っております。

 阪神・淡路大震災、同じ地震ですのでよく比較されますけれども、あの阪神・淡路大震災は都市型災害、都市型地震というふうに言われておりました。今回の新潟県中越地震は明らかに農山村型地震だというふうに思っております。ですから、農林水産省の皆さんからまさに先頭に立っていただいて、復旧復興に努めていただきたい。そのときには、恐らく新しい発想での対策というものも必要になってくるでしょう。

 そこでお伺いなんですけれども、先ほど来もずっとお話がございました来年の作付に向けては、非常に複雑な思いで地域の皆さんはおられることだと思います。来年も作付はしたい、だけれども、現状のままではできるかどうかわからない。ただ、集落機能がまだ地域では残っておりますから、支え合いながらともに頑張ろうという気持ちは持っておられるところだというふうに思うんです。

 ところが、実際には不安もあって、調査もままならない、ようやく県の方の農業経営再建支援チームですか、これが立ち上がりまして、聞き取りを始めたところだということなんですけれども、雪が降るということが迫っていたり、水田の亀裂、これが無尽蔵、そしてまた田んぼの液状化というようなことも起こっております。一見大丈夫そうな田んぼでも、地下水脈が変わったことなどによって、実際はやってみなきゃわからないという農家の方々の声も多かったです。棚田の崩落、そして排水路が浮き上がったり、あぜが壊れていたり、もう本当にこういうような状況でございますけれども、私も現場に行きまして、来年の春、本当に作付ができるのかどうかということを率直に心配せざるを得ませんでした。

 それで、質問ですけれども、来年の作付に希望をつないでいる地域農家の皆さん、こういった皆さんの声を受けて、実際にどういうふうに対策を考えていらっしゃるのか、水田の復旧に具体的にどういうふうに取り組んでいくのか、方針を示していただきたいというふうに考えています。お願いします。

島村国務大臣 農業の生産基盤である農道とか水田とか、これらにつきまして、いわば緊急を要する復旧の問題があるわけでありますけれども、災害査定を待たずに我々は復旧工事に着手し、少なくも来年、できることなら三月末ぐらいをめどに復旧作業を終えて、新しい農作業に取り組むきっかけになるような環境づくりをしたい、こう願っているところです。

 ただ、先ほど来たくさん御指摘がありますように、想像を超える今回の被害でございますから、言うべくしてなかなか思うようにいかない面もございまして、今それらについてどれだけのことができるのか、鋭意調査をしているというのが現実であります。

 いずれにいたしましても、県、地元と緊密に連携をとりながら、速やかに災害復旧事業が実施できるようこれからも鋭意努めてまいりたい、そう考えます。

西村(智)委員 県の方でも、昨日でしょうか、経営対策会議、これを県と農業関係団体とで構成して立ち上げたようでございまして、まず何を最初にやるのかというふうにお伺いしましたら、ゾーニングを先にやるんだと言っておりました。つまり、雪が降るに任せるところと、手を入れて来年耕作地として復旧させるところと分けるというふうな作業をやるとおっしゃっておりましたけれども、いかんせん人手不足の中でございますので、政府の方からも、ぜひバックアップをお願いしたいというふうに思っております。

 そして、二番目の質問は米の生産調整との関係ですけれども、米改革、今年度からスタートしたと先ほどのどなたかの御答弁の中にもございました。平成二十二年度までに米づくりの本来あるべき姿の実現を目指すという中で、ことしから生産数量を調整する方式に転換した。平成十六年度米の全国の生産目標数量は、需要見直しなどを勘案して八百五十七万トンというふうになっています。これは都道府県別の生産目標数量として決定して、生産出荷団体等が生産調整方針を策定して主体的に生産調整に取り組む仕組みになっているということでございます。

 平成十七年度米については、客観的な需要予測を基礎に十六年の秋に決定するということになっておりますけれども、まず、十七年度米の生産目標数量は、これは通告はしておりませんけれども、どこまで決まっておりますか。

村上政府参考人 十七年の生産目標数量の決定でございますけれども、現在、作業を進めているところでございまして、食料・農業・農村審議会の意見を聞いた上で定めたいというふうに考えておるところでございます。

西村(智)委員 先ほど、鹿野委員の冷害により著しい被害を受けた地域には配慮をすべきではないかという御質問の中で、十八年度米に反映させる、十八年度米の生産目標数量に反映させるという御答弁がございましたけれども、私は、これはぜひ十七年度米の数値に反映させていただきたいと思っております。

 今回の地震で被害のあった新潟県、魚沼産コシヒカリなどでブランド米が確立されておりますし、今年度の数量は五十八万七千三百二十トン、これは別の機会でまた論じさせていただきたいと思っておりますけれども、適地適産、ブランドを生かす、こういった観点から、私はこの数字はもうちょっとふやしていただきたいという思いはありますが、きょうのお伺いは、来年度の生産目標数量で被害のあった地域、県に配慮はいただけないのかどうか、この辺をお聞かせください。

村上政府参考人 新しい米改革の中で、生産者それから生産者団体が自主的に需要に応じた生産をしていく、こういう方向で、少なくとも平成二十年度にそういう主体的な取り組みへ移行するということで、その移行期間の第一年目ということでございます。

 そういうことで、十七年産の都道府県別の生産目標数量の設定につきましては、平成十一年から十五年までの各都道府県の客観的な需要実績をもとに、需要に応じた生産を促進する手法で算定するということにしているところでございます。

 作況がいろいろ違う場合について、これは十一年産あるいは十五年産までの需要実績につきまして、平年作までの作況補正をするということは行うわけでございます。十六年産、本年産の生産量が減少した場合につきましては、しかるべく補正をした上で十八年産米の生産目標数量の算定に反映する。過去の販売あるいは需要の実績に応じて算定をする、配分をするという基本的な考えでおりますので、現在、十五年産までの需要実績ということでいくのが適正ではないかというふうに思っているところでございます。

西村(智)委員 何のための米改革なのかなと思うわけですね、今の御答弁などをお伺いしますと。

 実際に被災された地域では、もう来年の作付はできないかもしれないとおっしゃっている農家の方々がたくさんおられます。農林水産省の方では工夫していただきまして、救農土木ですか、行っていただけるということになったようでございますけれども、そもそも来年の生計をどうやって立てるかという地域農家の皆さんの問題もまたあるわけでございまして、来年の生計が立てられるかどうかということは、これは中長期的に見れば、これからも農業を続けられるかどうかという問題と直結してくるのではないかと思っています。

 ぜひとも十七年産米から反映していただけるようにお願いしたいと思いますし、また、その場合、被害地域における農家の方が、例えば生産調整を行っている水田を活用して作付を行うことができるように、県や市町村、そして関係団体で取り組めるようなそういう体制をつくるべきだというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。長岡市を初め近隣市町村、こういったところの休耕地を被災した農家の皆さんにお貸しして生計を少しでも助ける、そういう相互扶助的なことがやれるのかやれないのか、お伺いいたします。

村上政府参考人 生産目標数量の県別の配分につきましては、先ほど申しましたように、あくまで需要実績に基づく客観的な手法で都道府県別の生産目標数量を算定する必要があるというふうに考えておりまして、本年の災害による被害状況を十七年産米の配分に当たって配慮することは適当ではないというふうに思っております。これは、先ほど申しましたように、十八年の生産目標数量においては作況補正をするという形の中で反映していく。それから、十五年産の不作の問題につきましては、十五年産の需要実績の作況補正の中で十七年産の生産目標数量の配分に反映されるということでございます。

 それから、被災地におきまして、水田が破壊されたりしておる状況の中で、来年の作付について大変不安を抱くというようなことがあるというふうに御指摘でございまして、これも我々もよく認識しているところでございます。国の方から各県に生産目標数量を配分するわけでございまして、これを各市町村に県のレベルから配分をされるわけでございます。市町村におきましては、営農を安定的に継続するということに配慮して配分が行われるというふうに考えております。

 したがいまして、市町村は、被災された農家がこれまで水稲作付してきた水田には、来年度にも継続的に水稲を作付できるように、必要な生産目標数量の配分を行うと考えております。その場合に、今御指摘のように、被災を受けた農家の一部の水田が作付できない場合については、近隣の農家の休耕地について貸し借りを行うというふうなことによりまして、配分された生産目標数量の米を生産するということも可能でございますので、市町村段階での弾力的な運用によって、御指摘のような要請にこたえられるのではないかというふうに考えているところでございます。

西村(智)委員 次の質問に移ります。

 山古志村で飼育されていた牛の話でございますけれども、二十四戸で約千二百頭、牛舎につぶされて死んだ牛もいるようですけれども、生存している牛もいるそうです。ヘリコプターのチャーター料、お伺いしましたら一時間三十万円とかという料金なんでしょうか。自主的に牛を空輸している業者もおりますけれども、ほとんどの農家は経済的な理由から困難だということでございます。新潟県の方では、道路を仮復旧いたしまして、陸路での搬送を計画している、一頭でも多くの牛を助けたいというのは、これは私も同じ気持ちでございます。

 ところが、現地、例えば山古志村の東竹沢地区というところがございますけれども、ここに八十頭ぐらいの牛が残っているそうですが、そこに私も、この前の日曜日ですけれども向かいまして、そうしたら、途中で道路が、小松倉という集落を抜けたところで、土砂崩れで完全に埋まっておりました。業者の皆さんが作業しておりましたけれども、余震は来ますし、上空は天然ダムの決壊を防ぐためのトンパックを運ぶ自衛隊のヘリがブンブンと飛んでおりまして、その震動ですら、上の方から石がころころ落ちてくるというような状況で、作業は遅々として進まないわけでございます。

 農家の皆さんのお気持ちを考えると本当に言葉をなくすんですけれども、私は、農林水産業の復興という観点から早期に復旧が必要な道路が恐らくあるんだろうというふうに思っています。地元自治体などとも協議していただいて、基幹道路の復旧について、優先的に取り組むべき道路を農家の立場に立って要請していただきたい、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

岩永副大臣 先生、さきに、大臣に早く現地に入っていただきたい、こういうお話を大臣とされておられたわけでございますが、大臣、入ってはいただいていないんですが、農水の幹部会の中で、本当に強い御意思で、ともかく農水省としてできることは、規則だとかそういうものにとらわれずに、何ができるかということをいち早く挙げてこいということで、大変な督励をいただいておりますし、そしてそのことをずっと書き上げて、今度は閣議に持っていっていただいて、ほかの省庁も、農水省がこういうことをやっているよということで、閣議にも実は大変な御発言をいただきました。なおかつ、私も、その閣議の発言要旨、これは地元に大きな励みになるだろうということで、山古志村の村長だとか皆さん方のところへ送って、うちの農水省はこういう気持ちで頑張っていますよというようなことを実はしたわけでございます。

 それから、今の御質問の中の基幹道路の復旧の問題でございますが、これも議論をいたしております。だから、基幹道路というのは、やはり国道、県道、市町村道、どちらかというと国土交通省に属するものなんですね。そこへ農水省がどういうように関与できるか。山崩れを起こした斜面は、これはやはり国土交通省の管轄なんですね。その上の山は農水省の管轄なわけです。だから、その斜面の分野に今国土交通省が一生懸命に復旧作業をやっているというような状況の中で、農水省として手を下すことができるのか。林道だとか農道というのは、これは全部責任を持って、いち早く査定前着工でやります。しかしながら、基幹道路については、やはりその担当省がやっておるわけでございますので、そういうことで御理解をいただきたいと思います。

 ただ、そういう状況の中でも、うちの方がやれる部分というのをやはり模索してみながら、林野なら林野、そして農村振興局なら農村振興局、何がやれるかというようなことを今模索していただいておりますが、基幹道路という主管は国土交通省になるわけでございますので、ひとつ我々からも十分国土交通省と連携を密にしながら対応してまいりたい、このように思っております。

西村(智)委員 次に、ニシキゴイについてお伺いしたいと思います。

 水産庁の職員の方、担当者の方、現地に派遣していただいて、連絡相談体制を整備していただいたようでございますけれども、どういった支援策が考えられるのか。昭和五十三年、もう随分昔のことかと思いますけれども、山古志村や小千谷市などでやはりニシキゴイが激甚の対象になったことがあるというふうにお伺いしておりますが、今回もそういったことは考えられるのか、伺います。

田原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の中越地方、特に小千谷市ですとか山古志村、ニシキゴイの国内有数の産地ということでございまして、私どももニシキゴイの今回のへい死等ということにつきまして大変苦渋の気持ちでおります。

 今お話がございましたように、早速水産庁の担当官を現地支援室にも派遣しておりますし、相談窓口ですとか、金融機関への償還猶予のお願いですとか、そういったこと等はやらせてもらっておりますが、なかなか山古志村の一部地域におきましては入れないということで、実態の把握、これには非常に苦労しておりまして、きょう、あしたにでもヘリコプター等を飛ばしまして、まず実態調査をする、その中で、例えば親ゴイなんかは持ち帰れるかどうか、そういったこと等の試みはさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。

 それから、五十三年災害のときの激甚災ということでのお話がございました。私どもといたしましては、差し当たりましての一日も早い復旧ということでございますけれども、そうした点につきましても、県あるいは市町村とよく相談させてもらいながら、先方の御要望にできる限り対応してまいりたい、かように考えておる次第でございます。

西村(智)委員 山古志村にとってはやはり牛とニシキゴイが地域のシンボルであるというふうにおっしゃる声をよく聞きます。とりわけニシキゴイは世界的にも名高い産地になっておりますので、ぜひ、廃業する業者などが出ないように、産地の灯を消さないという強いお気持ちで取り組みをお願いしたいと思います。

 最後に、内閣府の方、来ていただいていると思いますけれども、今回の災害は、先ほど私が冒頭申し上げたとおり、阪神・淡路大震災が都市型地震だとすれば、農山村型地震である、極めて異なる性質を持つ災害だと思っております。まだ被害実態が把握できていない中ではありますけれども、どんどん季節は変わってくるわけでございまして、雪の季節は目前になってまいります。ぜひ、今回の地震が農山村を中心にして襲った地震であるという認識を強く持っていただいて、新しい発想でのお取り組みをお願いしたいと思っております。

 ここから先は立法府の役目の話と重なってまいりまして、実は質問させていただくのもじくじたる思いは多少ありますけれども、阪神・淡路大震災では発生から一カ月とちょっとのうちに特別立法が随分なされました。被災市街地復興特別措置法などは、これは二月の二十六日ですか、極めて短期間のうちに行われておりまして、今回はどうなんだろうか。とりわけこの農林水産分野での被害の大きさを見たときに、特別立法の必要性はないのかと思っておりますけれども、内閣府の方のお考えを伺いたいと思います。

原田政府参考人 御指摘いただきましたとおり、今回の中越地震は、長岡市あるいは小千谷市、十日町市、市街地も含みますが、被害の状況はその周辺の、今までお話に出ておりますような山古志村であるとか川口町であるとか、周辺の中山間地域に被害が大きく広がっておるという認識を持っております。

 現在までのところ、救助、救援活動を中心に現地におきまして展開をし、政府を挙げて支援を行ってきておるところでございますが、これからいよいよ復旧復興に向けてその取り組みが本格化する段階であるというふうに認識をいたしております。

 特別立法についてのお尋ねでございますが、政府といたしましては、現在の法制度、すなわち基盤整備に関しましては激甚災害の制度がございます。まだ指定、確定する段階ではございませんが、その作業を関係省庁協力いただきまして鋭意進めておるところでございます。そのほか、産業支援に関しましては、各種の災害融資制度が活用できるわけでございます。それから、住環境につきましても、災害救助法につきまして法の許す限り積極的な適用、運用をするという方針を決めております。さらには、先般成立を見ました被災者生活再建支援法の居住安定支援制度をできるだけ積極的に適用していこうというふうな対応方針で今臨んでおります。

 いずれにしましても、これからの復旧復興に向けて、必要な予算額の確保ということが大変重要なテーマでございます。農林水産省を初めとしまして、関係省庁と連携を密に、復旧復興が迅速に進むように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

西村(智)委員 答えていただいたのか答えていただいていないのか、よくわからないんですけれども、必要性についてはどうですかと伺ったんですが、取り組むという姿勢だけをお話しいただいたようですけれども、必要性についてはどのようにお考えですか。

原田政府参考人 現在までのところ、農林水産関係の被害あるいは公共土木関係の被害、被害の全体像がまだ必ずしも明確でございません。現時点で特別立法の必要性を言及する段階ではございませんが、先ほど申しましたとおり、現行の制度を最大限活用する努力を続けてまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。

山岡委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔でございます。

 きょうは、お時間をいただきましたので、本年の累次の台風被害、また新潟県中越地震、そしてそれに付随して起こったことにつきまして、御質問をお願いしたいと思います。

 まず冒頭、亡くなられた皆様、また被害に遭われた皆様に心からの御冥福とお見舞いを申し上げたいと思います。

 まず、だんだんに質問もございましたけれども、ことしの台風また新潟県中越地震の被害、農林水産業の被害につきましては、現在一番新しい状況ではどのようになっているか、まずお聞きをいたしたいと思います。

岩永副大臣 実は金額にいたしまして、まだ台風二十三号とそれから新潟中越地震の状況が掌握されておりませんので、それはこれから随時わかってくる、しかしながら金額的には今のところ農林水産被害総額約八千億円、こういうところでございます。

 それで、十五、十六、十八の天災融資法それから十六、十八の激甚災等々で、先ほどのお話のように、今、災害復旧の査定前着工の問題、共済金の早期支払いの問題、低利融資の資金の問題等について実は対応いたしているところでございます。

 当初、この新潟県中越地震の中で農水省の果たさなきゃならぬ役割というのは、食糧支援が我々の最大の責務だ、このように思いまして、災害対策本部を設置し、食糧支援チームをつくって、そして本省から北陸農政局初め全国に向けて食料をお願いし、九万二千食に及ぶ食料を自衛隊機で輸送する等々の状況で頑張ったところでございます。

 先般も大口政務官と新潟へは行ってまいりましたけれども、先ほどからずっと御答弁申し上げていますように、これは農水省挙げて、本当に農村地域でございますし、また、牛、ニシキゴイ、それからキノコ類、棚田等々、本当に農水省に係る部分がほとんどでございますので、この災害の深刻さを全面的に受けて頑張っていきたい、こんな思いでいるところでございます。

石田(祝)委員 副大臣、御決意いただきましたので、これは大臣の思いと同じだろうと思っておりますので、ぜひお取り組みをお願いしたいと思います。

 それで、ことしの台風が、二十三号発生して十個が上陸をした。私も四国の中、また福井県、そして兵庫県と視察調査に入らせていただきましたけれども、大体地元の皆さんとお話をいたしますと、ことしは何かおかしいぞ、地球温暖化との関係があるんじゃないか、これは異口同音に皆さんおっしゃるわけなんですね。ですから、この災害被害と地球温暖化という直接的な問題がどう関係してくるか、これはこれからしっかりと研究もしていただかなきゃなりませんけれども、今の温暖化の状態でいくと、それが原因の一つ、また因果関係があるとなったら来年もまた同じことになるんじゃないか、こういうことも実は心配をされるわけであります。

 そういう中で、昨日、特に森林関係に携わっている皆さんが、とにかく環境税で森林を守ろう、こういう市民集会が実はございまして、私もそこでごあいさつもさせていただきました。自民党の二田先生、きょうもお座りでありますけれども、また民主党の先生も来られて、ともかく森林をということでしっかり守っていこうと。

 私はそのときに、環境税ができようができまいが、これはやらなきゃいけないことじゃないか、環境税でやろうなんということを言っていたら大変なことになるんじゃないか、逆に足を縛らないで森林の問題をしっかりやらなきゃいけない、こういうこともお話をしたんですが、先般、環境省が、環境税についての案を政府税調に提出する、具体的な数字の入った案を提出されました。特に林野庁が中心になってこの問題も農林省としてお取り組みだと思いますが、この環境省の案について、大臣の率直な思い、所感をお聞かせいただきたいと思います。

島村国務大臣 二酸化炭素を大きく減らして、そして広くは世界人類が、人類に限らずこの地球上にすむ生きとし生けるものがすべて通常の生活ができるような環境を維持するとなれば、やはり地球規模に立った環境対策が必要でございますし、今ほど御指摘のありましたこと、私は全く同感でありまして、これはことしだけの現象ではないぞと。もしこれが温暖化の傾向を持つのであれば、私たちは十分将来に向かっての対策をとらなきゃいけない。

 例えば、ことしの三が日は何か史上二番目の暖かさでございましたし、また真夏日が七十日を超えるという異常なこともございました。その後、また集中豪雨を伴った大型の台風がやってきて、またそれで地震。これらの一連の災害、どれもこれもが絡まっているとは思いませんが、これはまさに異常な事態が今生じているわけでありますから、これらについては、場当たり的な考えではなくて、将来に向かって我々は自分たちの務めをきちんとしなきゃならない、こう思います。

 そういう意味では、京都議定書における数値六%ですか、このうち三・九%はまさに森林吸収源対策を通じてこれを何とか削減しようという試みがあるところでございますが、私どもは、御承知のように、平成十七年度の税制改正において、環境税の創設を声高に主張し、これを何とか実現する中で将来に向かってのいわば解決に向かっていきたい、このように考えているところであります。

 そういう意味では、環境税の税収によりまして森林吸収源対策の財源が確保されるように環境省と連携して努めていきたい、こう思っておりますが、御承知のように、一立方メートルの樹木がふえるということは、二酸化炭素でいいますと〇・七トンの吸収につながる、こういうことでありますから、今回大変いろいろな森林の被害を受けましたけれども、これからも鋭意造林その他に配慮をし、森林吸収源対策を進めていきたい、こう考えております。

 すべてその基本に立つのは、結局は金でありますから、環境税はぜひとも国民の理解と協力の中でしたい。何も環境税だけに限ったことではございません。まさに御指摘のとおりでありまして、多角的に将来に向かっての財源確保をし、将来の問題を解決していく、そういう姿勢に立っているところであります。

石田(祝)委員 大臣の率直な所感をお伺いいたしました。

 続きまして、私、先日の本会議のときに、この異常気象というんでしょうか、大変な災害の中で農作物が被害を受けている、これはすなわち市場価格が上がっていく、消費者の皆さんの手元、口に入るときには大変な高い金額になっているのではないか、これの対策をどのようにとっていくか、こういうことも大臣にお伺いをいたしました。そのときに大臣がいろいろと対策をおっしゃっていただきましたけれども、その後、では現実に現時点で、消費者の側に立ったときに本当にその対策が有効にきいてきているかどうか、これをひとつ数字でお示しをいただければと思っております。

大口大臣政務官 石田委員にお答えいたします。

 今大臣から答弁がありましたように、大臣のもと、野菜の価格の高騰、これをきちっと対処しなきゃいけないということで、幹部会等でも連日議論をして、大臣からいろいろな矢継ぎ早の指示がございました。そういう中で緊急野菜供給対策を講じているわけでございます。

 これまで取りまとめたところによりますと、十一月上旬から中旬にかけて、キャベツ、白菜、大根など三品目、三千百トンの出荷の前倒しが行われています。それから、ホウレンソウなどの軟弱野菜、生育期間の短い野菜の生育の促進について、十一月中旬に約九百トンの出荷の増加でございます。また、曲がったキュウリ等規格外のもの、キャベツ、大根、ネギ、白菜、レタスなどの通常では出荷されない野菜の出荷を進め、十一月中に六千五百トンの出荷の増加を見込まれるところでございます。

 天候の回復に加えまして、こうした対策の実施によりまして、出荷量は全般的に増加をしております。主要な野菜の卸売市場の平均価格は、台風通過直後の平年比約二・五倍から、十一月八日現在、一・六倍まで低下をしております。キャベツ、レタスなどは一時の高値は脱したものの、依然として平年比二倍から三倍の高い水準にあり、このような葉物野菜の価格の回復にはさらに時間を要すると考えます。

 ただ、私ども、小売価格の動向についても、今月初めから全国の量販店を対象にして、主要野菜九品目の小売価格の動向について食品価格予察パトロール緊急調査を開始しておりまして、今のところ、卸売価格の対平年の変動幅の範囲内に、小売価格の対平年の変動幅がその中にあるということで、小売価格の不当な値上げは行われていない、こういうふうに見ておるわけでございます。

 今後とも、年末に向けて、年末という状況になってきますとまた値上がりというようなこともございますので、生産者等の協力を得つつ、野菜の安定供給と価格の早期安定に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

石田(祝)委員 これは、ぜひ年末に向けてお願いしたいと思います。

 きのうのある全国紙によりますと、曲がったキュウリ、またトマトのひびが入ったもの、大根は強風で傷んだ部分を切り取ったもの、こういう写真も出ておりました。本来、こういうものも本当は市場に出ていいわけですから、今回のようなことじゃないときでも、これは市場で流通ができることも大変大事ではないかと思っております。

 続きまして、ちょっと時間もございませんので、質問の順番が変わって恐縮でありますけれども、高知県須崎市でカンパチのへい死が続いている、私の地元でございますが、こういう新聞記事が載っておりました。また、私も現地へ行きまして、その対策について地元の漁民の皆さんからもいろいろとお話を伺ったところであります。

 これについて、水産庁として現地調査をされたのかどうか。これは大変な被害でございまして、ほぼ半分が死んだ、へい死をした、こういうことでございますが、これは水産庁はどのようにお考えになっているか、お聞きをしたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 須崎市の養殖カンパチの大量へい死問題、新聞等で、私どももファクスで承知させてもらいまして、早速高知県庁に問い合わせをさせてもらっております。高知県で、中央漁業指導所それから水産試験場が、現在原因ですとかそういったことを調査中だということでございまして、今県を通じての情報入手ということでございまして、直接の情報収集、こういうことは今までのところやっておりません。

石田(祝)委員 これは白点虫という虫がえらについて窒息した、こういうふうに言われておりますけれども、今回、台風二十三号で海底が大変巻き上げられて、繊毛虫というんですか、どうもそれが浮かび上がってきたのが原因ではないか。いわゆる一種の台風の被害である、私はこういうふうに認識をしております。

 我々も、災害があったら現場に行くわけですから、県市の報告をお聞きしておりますということではなくて、これは現地の漁民の立場に立って、国としてもやはりしっかりと現場を見る、その上で、そういういろいろな問題についても生の声を聞く、これが大事だろうというふうに私は思っております。県も市も、今対策協議会をつくって真剣に取り組んでおりますので、私は、被害養殖漁家への支援策についても、これは国としてもしっかり取り組む、こういうことでぜひお願いをしたい。このことは要望になりますけれども、最後にお願いをしておきたいと思います。

 通告をしておりました質問が若干できない部分がございましたが、それについては御容赦をいただきたいと思います。ありがとうございました。

山岡委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、私は、きょうは佐賀県の国営藤ノ平ダムにかかわる問題で質問をさせていただきます。

 一定の状況がわかった方がいいと思いましたので、皆さんにお手元の資料を配らせていただきました。十五年十月二十二日付で、仮屋漁業協同組合より、「藤の平ダムのアオコ発生による下流域への影響対策について」という陳情書が出されております。十五年三月に完成したダム、これが河口付近にあるこの漁業組合の養殖に対して大きな影響があったと。アオコが発生し、そのために、この下の方に書いてあるように、マダイ、トラフグがこれほど死んだということが指摘をされているわけです。数字を見ると、大変な数字であって、もし本当にこのようなことがあったとすれば、それは重大な問題であります。

 私が言いたいのは、このこと自体が非常に疑義のある、このダムにかかわる補償金問題で補償金が適正に使われたのかということが指摘をされているということであります。

 十月に、私も玄海町の現地に行ってまいりました。手元に要請書がございます。これは陳情書ではなくて、この問題を直接指摘した方の要請書でありますが、「九州農政局関係の佐賀県・上場農業利水事業による藤ノ平ダムに関わる補償金疑惑解明について」とこの要請書には書いてあります。その要請書は、同じものが配達証明つきで福岡国税局と会計検査院あてにも送られております。

 このダムは、先ほど申しましたように、十五年の三月に完成しました。漁業権の消滅の問題はまた別に、有浦川内水面漁業組合長に対して平成三年に、もう終わっております、平成三年三月に五千八百二十万円が支払われております。その後、十五年の三月十日には仮屋漁協組合長、ですから、最初に言った漁業権消滅は、ダムがある場所とその河口の内水面のところに、川のところに支払われたんですが、今回は、仮屋湾に注ぐ河口のところの養殖のところに約五千二万二千七百円、三月十日、十一日、二回にわたって、濁水流入抑制対策工事費相当額などとして支払われました。

 まず、これらの補償金が適正に処理されていないのではないかというのが要請書の趣旨であります。端的に答えてください。これらの補償金が適正に処理をされているでしょうか。

川村政府参考人 藤ノ平ダムに係ります漁業補償についてのお尋ねでございます。

 藤ノ平ダムに係ります漁業補償については、今委員の御質問の中にもございましたが、二つございまして、内水面漁業についての問題とそれから海面の魚類養殖、この二つがございます。この海面の魚類の養殖につきましては、濁水の影響対策とそれから工事中の出荷抑制に対する補償ということで実施をしたところでございます。

 これらの補償につきましては、昭和三十七年に閣議決定をされました公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱、それから昭和四十二年の閣議決定によります公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱に基づきまして、実態調査等を踏まえて適正な補償額を算定いたしまして、関係漁協と合意の上、支払ったものでございます。

高橋委員 私が今聞いたのは、適正に処理をされているかということを聞いたんですね。今局長は、適正に支払われましたとおっしゃいました。工事費の内訳、補償額一覧表、手元にございます。これが言ったとおりに使われていますかということを聞いているんです。

 農水省の説明によれば、平成十四年七月以降、漁協から濁水等による養殖魚への影響防止施設設置の要望があったと。何かトラフグが六千八百尾なくなったということがあったそうです。同年十月から十五年一月までの間に水質調査をやって、三月十日にはダムの放流についての損失補てんがやられたと聞いています。

 契約書があります。「甲は、」「甲は、」というのは、要するに漁協の方ですね。「前項の補償金以外は、藤ノ平ダム完成後における損失について、一切乙に対して補償の要求をしないものとする。」つまり、この補償で終わりということだと思います。その内訳表があります。対策工事費、諸経費など、微細気泡発生装置に二千七百七十九万一千八百円、オイルフェンス一千四十一万一千八百円などとありますが、実際は養殖漁業者だけでなく、一般漁業者にも迷惑料という名目で支払われ、その残額は漁協に留保されたということが指摘をされております。

 もう一度伺いますけれども、オイルフェンスやこの気泡発生装置などのような装置が、約三千万以上の装置が実際につくられたのでしょうか。適正に処理されたと言えるのでしょうか。伺います。

川村政府参考人 補償金の問題でございますけれども、漁業補償のうちの養殖漁業に係ります補償につきましては、先ほども申し上げましたとおり、養殖漁業者からの委任を受けた漁協と協議をいたしまして、養殖業の被害を回避するための費用として補償したものでございます。

 この補償金は、事業の実施によりまして不可避的に発生する事業損失に係る漁業補償であります。ただ、この補償金の支払いはいわゆる渡し切りということによって行われておりまして、この具体的な処理は、当該漁協それからその委任をいたしました組合員、これにゆだねられておるということでございます。

高橋委員 渡し切りだということ、そういう制度になっているんだということは、実は説明を受けました。ただ、それがもしまかり通るのであれば、補償金だと一たん渡してしまったものが当時の目的とは全然関係ないものに使われていても何ら問題がない、そんなことが許される、まかり通るとなれば、どういうことになるのかということが問われると思うんですね。

 例えばダムの移転補償だったとしたら、移転補償のために出したお金が、少なくとも、その方たちが移転をした、村がなくなったということは確認できますよね。それと同じように、これは工事費ですから、工事にお金が使われたということは設備があるかどうかで判断できます。それすらも確かめていないのですか。それだと、余りにも自由なお金になってしまいませんか。もう一度伺います。

川村政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、その補償金の支払いの方式が渡し切りの状態でございますので、その使途について確認をするという仕組みにはなっておらないところでございます。

高橋委員 仕組みにはなっておらないけれども、現実にそれがわかった場合はどうされますか。目的外使用ですけれども、是正措置をとらないんですか。

川村政府参考人 本来そういう趣旨で渡されたものではございますので、そういう趣旨で使っていただくことが望ましいわけでございますけれども、今、制度の仕組みとしてはそういう渡し切りの制度ということで、その使途は、具体的にどう処理するかということは漁協なりその組合員にゆだねられているということでございます。

高橋委員 非常に残念な答弁ですよね。ここまで言われても、好ましいけれどもしようがないというような意味合いのことだったかなと思うんですね。

 担当職員に聞きましたけれども、オイルフェンスその他の装置は実際につくられておりません。そのことがわかっていながら、渡し切りだからしようがない。五千万ものお金がしようがないで済むのか。今これだけ、台風だ、地震だ、農家が大変だと言っているときに、それだけの補償をしてくれと言われているときに、国民の税金がそういう使われ方をしていても、しようがないで済むのかということが問われると思うんですね。

 実は、ここに玄海町の町長さんにあてた復命書があります。平成十六年二月九日、つまり、復命書ですから、町の職員の方が二月二日から二月三日に出張した際の報告書でございます。用務先は熊本市九州農政局水利整備課、用務は藤ノ平ダム環境整備に伴う浄化槽の設置について打ち合わせのためということで、さまざまなことを言っているんですが、その中に、このことについて打ち合わせをした報告がございます。

 「藤ノ平ダムのアオコ対策については平成十五年十二月より水質調査」、省略します。「課長補佐より仮屋漁協には予防措置に対する補償をしている。仮屋漁協は補償金を迷惑料と言うのであれば、目的外使用となる。国の農水委員会の共産党議員(高橋議員)さんからも仮屋漁協に対する補償について調査が入っているので、今後、国会で取り上げられることとなれば、会計検査が入り、補償金返還の可能性があるとのことでした。」

 大臣、率直な感想を伺います。

島村国務大臣 実は、このことの説明を受けた際、私も同じ疑問を抱きまして、これはあくまでも公の金でありますから、渡してしまったらどうしてもいい、従前はどうあれ、やはりこれからはそういうことでそのまま放置することが好ましいとは思いません。やはりそれらについては、正しく使われる方向にいわば方向づけるなり、また指導するなり、確認をするなり、何らかの形でこういうことに対しては従前と取り組み方を変えるべきだ、私は率直にそう思います。

高橋委員 ありがとうございます。

 きょうはせっかく会計検査院と国税局にもおいでをいただいておりますので、それぞれに見解を伺いたいと思います。

 今の時点でこの件については具体的なお答えはできないかと思いますが、今のように、出し切りだというようなものであっても、不正常な使い方、本来の目的と違う使い方があった場合は当然是正をするべきと思いますが、会計検査院はどうなのか。あるいは国税局としては、これはもらったお金をそれぞれの組合員が確定申告もしておりますので、その書類もありますけれども、国税にかかわる使い方が二重に誤りをされているということにもなります。国税の立場としてもこのような問題をどう考えるかについて、それぞれに伺いたいと思います。

友寄会計検査院当局者 会計検査院といたしましては、公共事業の実施に伴う公共補償費の検査に当たっては、その補償金額の算定が適正であるか、また補償金の支払いの相手方、支払い時期が適正であるかなどの観点から検査を実施しております。

 一般論として申し上げますならば、補償の相手方がその補償費をどのように使用したかについては、本院の検査の対象とはなっておりません。しかしながら、せっかくの今回の先生の御議論もございますので、今後の補償費の検査の参考にさせていただきたいと思っております。

竹田政府参考人 個別にわたる事柄につきましては、答弁することは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、私ども国税当局といたしましては、常に、納税者への適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じまして課税上有効な資料情報の収集に努めておりまして、これらの資料と納税者から提出された申告書等を総合検討いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査などを行うなどいたしまして、適正な課税の実現に努めているところであります。

 今後とも、こうした考え方に基づきまして適宜適切に対処してまいりたいと思います。

高橋委員 今、会計検査院と国税局からそれぞれお話をいただきました。個別の問題でありますので、一般論ということでお答えをいただいたかと思いますが、参考にしてくださるということや、不適正であればというお話がありましたので、それぞれの立場から調査をされ、適切な指導をされることを強く望みたいと思っております。

 実は、この玄海町を中心とした地域では、今いろいろな問題が起こっております。

 九六年の三月に予算委員会の分科会で我が党の吉井議員が上場土地改良事業という問題を指摘したことがあります。これは、一市四町一村にまたがる四千八百七ヘクタールの非常に広大な地域の土地改良事業で、六三年から始まり、九二年に完了したものであります。着工時三百二十億だったのが現在千四百九十億という事業費、四・六六倍に膨れ上がったということもあり、農家負担が非常に重いという訴えが出され、返済できないところがあり、延滞金をせめて何とかならないかというようなことを当時取り上げたわけであります。同じ地域でこのような土地改良事業やあるいは公共事業などの大きな負担、事業費という問題が実は起きているんですね。

 この問題が、例えば今お話ししたようなお金の使い方の不適正な問題が根っこにあるとしたら、だからこんなふうに事業費が上がるんだとしたら、それは本当に重大なことになると思うんです。ですから、それは今の時点では、そうでないことを祈るしかありませんけれども、そういう意味も持っているんだというお立場で徹底調査をしていただきたい、そう思いますけれども、重ねて大臣に伺って、終わりたいと思います。

川村政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、仕組みとしてはそういう状況でございます、制度的にはそういうものでございます。

 今後の問題といたしましては、先生の御指摘も踏まえまして、そういった補償金がその趣旨に沿って使われるよう問い合わせなり調査といったものをすることはあり得ると思っております。

高橋委員 時間が少しありますが、中途半端になるので、これで指摘をして終わります。

 今、お話があったと思いますが、不適正なものがあればしっかり調査をしていくということで、先ほど大臣、好ましいとは思いませんとおっしゃってくださいましたので、その立場で徹底調査をお願いして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本であります。

 冒頭、台風二十三号を初めとする一連の台風被災者の皆さん、また新潟県中越地震で被災をされました皆さんに心からお見舞いを申し上げます。

 社民党は、七月の豪雨を初め、台風、地震の被災地に調査団を派遣して、現地の実態の把握、そして被災者の皆さんの要望をお伺いして、それぞれ政府に対して万全な対応をお願いしたという経過がございますが、私も、地元の秋田のほかに、十一月の初めに兵庫の豊岡市に行ってまいりました。

 市長さんからもお話を伺ったわけでございますが、自治体の職員の皆さん、みずからも被災をされているにもかかわらず、不眠不休で頑張っておられました。市長さんからは、仕事をすればするほど後から請求書が回ってくるわけですが、お金のことは心配するな、できることは何でも対応するようにということで職員には指示しているが、後のことを考えると頭が痛いというふうなことも言っておられたわけでございます。ですから、被災地の皆さん、自治体の皆さんが非常に要望しているのは財政措置、特に激甚災害の指定ということだと思います。

 通常、この指定には二カ月かかるわけでございます。新潟県の中越地震に関しては今月中に指定をするということのようでございますが、台風二十一号、二十三号の関連については、この早期指定の見通しはどうなっているんでしょうか。

岩永副大臣 十五号、十六号、十八号を一つの天災として天災融資法を発動する、そして激甚災害の指定による特例措置を早急に講じるということでございますので、あとの部分については、できるだけ早くということで今調査をしているところでございます。

 先生も御承知のとおり、我が省といたしましては、特に農業被害については、農業経営維持安定資金の災害等の資金、それから農林漁業施設資金、これは災害復旧の資金、それから、先ほどの話にありました天災融資法の制度の活用、これも激甚災がつきますと北海道とほかの地域ともどもプラス五十万ずつ上乗せになる、そして法人は二千万まで行ける、こういうことでございます。

 それから、うちの農林漁業金融公庫の総裁なり農林中金の代表理事長に対しまして、平成十六年の台風二十一号、二十二号及び二十三号による漁業被害者に対する経営資金等の融資及び今既に貸し付けてある金の償還猶予をやれということでの要請をいたしたところでございますので、先生が今御心配いただいております金融対策については、できるだけの措置を講じていきたい、このように思います。

山本(喜)委員 金融支援の点についてはわかりましたけれども、台風二十一号、二十三号関連の見通しですね。お願いします。

柴田政府参考人 激甚災害でございますが、二十一号につきましては、現在、激甚災害の指定のために必要な手続を早急に行っております。

 また、台風二十三号、これは新潟県中越地震とも同じでございますが、通常は、被災地の市町村や県から被害の見積額を提出していただくことにいたしてございますけれども、何せ被災地は、災害が非常に大きくて、応急復旧活動に現在忙殺されている状況でございますので、政府の非常災害対策本部におきまして、村田防災担当大臣から、国土交通省、農林水産省など関係省庁が中心となって国の方で被害額の早期把握を行うよう指示があったところでございます。国交省や農林水産省からは、職員を現地に派遣して被害状況の取りまとめを現在行っております。

 現在被害状況を鋭意把握中でございますが、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、これまでの状況から判断しますと、全国規模の激甚災害でございます本激になる可能性があるものというぐあいに認識いたしております。今月中の指定に向けて作業を進めているところでございます。

山本(喜)委員 ぜひ今月中の指定ということで努力をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、自治体に対する財政支援ということで、特別交付税についてお伺いしますが、激甚災害に指定された場合でも、ハード面の復旧に対する支援ということになります。豊岡市を見ましたところ、世帯の半数以上が浸水をして、ごみが二年分一挙に出るというふうな状況とか、出石町なんかでも、出石川が決壊をして、来年の作付のための用水路の確保、土砂とか瓦れきを撤去するためにボランティアの方がたくさん来ておりましたが、仮設トイレがたくさん並んでいました。あるいは消毒薬とかスコップとか一輪車、そうしたものを、仕事をすればするほどどんどん金がかかるわけでございます。

 そうした財政支援ということでの特別交付税の件ですが、政府の見解ですと、十月三十一日までの災害については十二月分の特別交付税ということで算定をする。それから、新潟県の中越地震に関しては、一部については見込みの査定をして、十二月分で算定をするというふうなお話を伺っておりますが、この点について再度確認をしておきたいんです。

 それから、台風六号以来の災害で各自治体が余儀なくされている支出、この特別交付税の枠でカバーが可能なのかどうか。これは、これだけ全国的な災害が多発しているという現状からすれば、今年度の枠で果たして十分なのかどうか、やはり特別な措置を講ずる必要があるのではないかと考えますが、この点についての政府の見解をお願いします。

瀧野政府参考人 特別交付税についてお答えいたしたいと思います。

 まず、ことし起こりました一連の災害について十二月分でどこまで算定されるのかという件でございますが、御指摘のとおり、十月三十一日までに発生した災害につきまして十二月分の特別交付税において算定をするということとしておりますけれども、その特別交付税の算定におきましては、罹災世帯数とか全壊、半壊の戸数、あるいは災害復旧事業費、こういったものを基礎に算定いたしますので、現在、関係省庁で数値の取りまとめを急いでいただいておりますけれども、十二月算定におきましては一部見込み算定せざるを得ないという状況でございますので、一部は三月分で算定するということもやむを得ないのかなというふうに考えております。

 それから、総額についてどうかという御質問でございます。

 十六年度の特別交付税の総額は一兆百三十二億円ということでございます。こういった規模の中で、非常に大きな災害が起きているわけでございますが、現在、一連の災害に伴います被害額の状況、それに応じまして補助金なり地方債でどこまで対応できるのかということについてまだはっきりした見通しを持てない状況にございますので、当初予算で確保しております枠で足りるかどうかということについて確たる見通しを現段階では持てない状況でございます。

 いずれにいたしましても、我々といたしましては、被災地域の実情も十分お聞きいたしまして、財政運営に支障がないようにしていきたいというふうに考えております。

山本(喜)委員 現地は大変努力をして、職員含めて万全な態勢をしいているわけですが、そうした意味で、要望にこたえられるような万全な財政措置、こういうことをお願いしたいというふうに思います。

 それから、漁業被害についてでございますが、私の秋田では、台風十五号による水産被害、十億円程度の被害が出ているというふうに聞いております。漁業共済に加入していた場合、これは被害がカバーできるわけですが、秋田の漁家の人たちは、漁具の共済保険には入っていないという状況でございます。これは施設共済というふうな中身、内容でございますが、被害を受けた漁協の組合長さんに伺いましたが、漁具の保険というのは非常に掛金が高いというふうなことで、最近の魚価の低迷とかあるいは漁獲量の低下という現状では共済には入れないというふうな話もありました。そして、漁協の担当者も、施設共済というのは取り扱ったことがないと。要するに、零細漁業の方々には縁がない制度になっているんじゃないかというふうに思います。

 定置網一つで六千万するわけです。去年のクラゲの被害で一つは網がだめになった、もう一個がことしの台風でだめになった。あと網がなくなってしまって、これから漁業を続けるのかどうかというふうな瀬戸際に立たされているわけでございます。そうした中で、国の掛金をふやすなどして漁業共済に入りやすくする、そういうふうな工夫はないのかどうか。

 それからもう一つ、漁業関係者のお話を伺いますと、災害支援ということになると、ともすると融資、低利の融資ということですが、漁家の人たちはもう腹いっぱい借金をしているわけです。ですから、さらに借金を重ねると、いかに低利ということであっても二の足を踏むというふうな状況でございます。

 ですから、融資だけでなく、漁業を育てる立場からの支援、例えばことしの農林水産省の概算要求、これを見ますと、「元気が出る水産業の確立」というふうに銘を打っているわけでございます。ところが、沿岸漁業は農業よりも高齢化が進んでいるという状況でございます。この担い手の育成を含めて、災害を乗り越えて漁業に取り組んでいけるような、そうした融資以外の支援制度ということについてどのように考えているのか、お伺いします。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一点目の漁業共済の関係でございます。

 この漁業共済につきましては、掛金、現在大体半分ぐらいは国庫助成ということで助成させてもらっております。やはり入っていただきますとそれなりに災害に遭われた漁業者の方々にとっては有利なような状況ということで、多大な財政負担をしているという状況でございまして、逆に、実はこの漁業共済関係では、政府の特別会計では約三百億円の累積損失、また共済団体も百三十億円というものを抱えておりまして、財政審議会等々ではむしろこうした状況についての見直しというふうな状況でございまして、先ほど申し上げました共済に対します国庫負担の割合、それからそういった財政状況、そういったことをいろいろ踏まえながら、我々としては対応していくべきものではないかというふうに考えておる次第でございます。

 私どもも、現在漁業共済に入っておられますのが、延べて申し上げますと、漁業種類あるいは県によりましてかなりばらつきがございますけれども、平均しますと半分ぐらいということで、ことしのように台風ですとか地震ですとかいろいろな災害が多いということを考えますと、ぜひこの漁業共済には入っていただく。とりもなおさず、多数の方が入っていただくということが、ある意味におきましては、事故率も下がっていくという可能性があるわけでございますので、共済掛金自体の低下、こういったことにもつながっていくのではないか、かように考えている次第でございます。

 それから、二点目でございますけれども、金融につきましては、災害関係を中心といたしまして、これはもうけさほど以来副大臣ですとかいろいろな方からお話がございましたように、公庫資金の農林漁業施設資金でございますとか、あるいは災害対策ということで漁業者の経営再建費ですとか収入減の補てんのための公庫の沿岸漁業経営安定資金、こういった制度等々がございます。

 率直なところを申し上げまして、個人に対する対応というのはあくまでもやはりこうした金融制度が主体ということではないかと思いますが、むしろこうした金融措置につきまして、私どもは、沿岸漁業あるいは中小漁船漁業の方々が元気を出していただくように、いろいろな措置での改善、さらには漁船につきましてはリースの拡充、こういったこと等を十七年度に向けて予算要求をさせてもらっているところでございまして、こういった総体として漁業の、やる気が出る、若い人たちの支えになるような方途、こういったことを見出していきたい、かように考えている次第でございます。

山本(喜)委員 漁業共済ですけれども、施設共済については加入状況が半数というふうな状況というお話を聞きました。担当者がその制度を取り扱ったことがないというような状況でございますから、ぜひ政府としても、啓蒙、宣伝、そうした取り組みをするべきであるというふうに思います。

 次に、時間がなくなってきましたが、新潟の中越地震、先ほど来お話を伺っておりますが、来年の作付に間に合うような復旧体制、査定前着工を含めて、いろいろやっていただいておるわけですが、現地に民間業者がたくさんおるわけでございますから、現地の民間業者に仮復旧を依頼するというふうな、そういう柔軟な、一定のルールというものを弾力的に運用していく必要があるんじゃないのかというふうに思うんです。そうした急いだ対応をとらないと、到底来年の作付には間に合わないと思うんですよ。そうした意味で、弾力的な対応ということをどこら辺まで考えているのか、お伺いします。

川村政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員からお尋ねがございましたとおり、来年の作付に間に合うということが非常に大事なことでございます。すべてが可能ではございませんけれども、極力そういった努力をしなければならないということだと思います。

 この復旧につきましては、特に緊急を要するもの、査定前着工というのがございます。これにつきましては、写真でありますとか図面等、こういったものは最低限必要でございますが、簡易な申請手続ということで、災害査定を待たずにやります査定前着工、こういったものを積極的に活用してまいりたいというふうに思っております。また、農業農村整備事業の実施につきましても、できるだけ機動的なあるいは弾力的な実施に努めてまいりたい、こういうことを思っております。

山本(喜)委員 例えば、現地の民間業者に頼んで、領収証があればいいというふうなぐらいの弾力的な対応というのは考えておるんでしょうか。

川村政府参考人 いろいろ制度的な面はあると思いますが、極力弾力的に実施できて、趣旨が早期復旧ということでございますので、そういう努力はしたいと思っております。

山本(喜)委員 ぜひお願いします。

 最後になりますけれども、地元の新聞に、新潟の中越地震に関してですけれども、離農に拍車のおそれというふうに書かれておるわけでございます。特に日本の農業の特徴は中山間地の農業でございますし、これが国土保全なりあるいは多面的機能を維持するために大変大きな役割を果たしているわけでございます。そうした中で、この新潟の災害でございます。この被災者の方々、農業をこれからも続けていけるように、特に中山間地直接支払いの地域でございます、融資というだけでなく、農家の方が今後とも農業を続けていけるために、地域社会を維持していくための方策といいますか支援といいますか、そうしたことについて大臣からお話をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

島村国務大臣 お答えいたします。

 今回の、全く予測しなかった大変な災害を受けて、被害を受けられた方々は今懸命に復旧に向けて努力をされているし、またある方々は、悲嘆に暮れるといいますか途方に暮れているといいますか、もう本当に放心状態の方もかなりおられるようでございまして、やはりこういう方たちに一日も早く、あすへの希望といいましょうか、将来に向かってもう一度立ち上がる勇気を持っていただくために我々はいかに対処すべきか、今、省を挙げて努力をしているところであります。

 そういう意味では、被災地域の要望を受けまして、省といたしましても、農業農村整備事業を初め各般の事業の機動的かつ弾力的な施行により、被災した農家の就労機会がふえるように、確保されるようにといいましょうか、関係機関に通知をいたしたところであります。

 また具体的には、御承知の圃場の整備とか農道の整備あるいはかんがい排水施設の復旧等々、土木事業が結構あるわけでございますが、昔、救農土木という言葉がはやりまして、四〇年代、五〇年代にはかなりこれが失業対策事業として援用されていたんですが、これらを具体的に施行し、かつ、この被災した方々の就労機会につながるように努力をし、いわば集団離農などが起きないように、勇気を持っていただくための努力をしたい、こう考えております。

山本(喜)委員 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

山岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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