第4号 平成17年3月17日(木曜日)
平成十七年三月十七日(木曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 山岡 賢次君
理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君
理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君
理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君
理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君
赤城 徳彦君 石田 真敏君
岡本 芳郎君 梶山 弘志君
金子 恭之君 上川 陽子君
川上 義博君 木村 太郎君
城内 実君 北村 直人君
小西 理君 後藤 茂之君
後藤田正純君 田中 英夫君
津島 恭一君 西村 康稔君
原田 令嗣君 森 英介君
一川 保夫君 岡本 充功君
鹿野 道彦君 岸本 健君
小平 忠正君 鮫島 宗明君
篠原 孝君 仲野 博子君
堀込 征雄君 松木 謙公君
山内おさむ君 大口 善徳君
高橋千鶴子君 山本喜代宏君
…………………………………
農林水産大臣 島村 宜伸君
農林水産副大臣 岩永 峯一君
農林水産大臣政務官 大口 善徳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 小林 芳雄君
政府参考人
(農林水産省大臣官房協同組合検査部長) 朝比奈 清君
政府参考人
(農林水産省生産局畜産部長) 町田 勝弘君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 須賀田菊仁君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 川村秀三郎君
農林水産委員会専門員 飯田 祐弘君
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委員の異動
三月十七日
辞任 補欠選任
梶山 弘志君 小西 理君
神風 英男君 篠原 孝君
同日
辞任 補欠選任
小西 理君 梶山 弘志君
篠原 孝君 神風 英男君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第九号)
山村振興法の一部を改正する法律案起草の件
――――◇―――――
○山岡委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長小林芳雄君、大臣官房協同組合検査部長朝比奈清君、生産局畜産部長町田勝弘君、経営局長須賀田菊仁君及び農村振興局長川村秀三郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山岡委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。
○黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。
通告に従い、順次質問していきたいと思います。
実は、きょう、島村大臣に半分ぐらい御質問しようと思ったんでありますけれども、参議院の方で集中審議ということで、政治の世界も変わりまして、大臣がおらぬときは副大臣がしっかりと答弁するということでありますので、きょうは岩永副大臣に前半聞いていきたいと思っております。
そしてまた、法案に入る前に、法案の背景といいますか、国と地方の役割の明確化あるいはまた三位一体改革、こういうことから質問していきたいと思います。
岩永副大臣は政務官もやられました。それから、市町村行政、県行政、それから国の行政ということで、もう万般わかっている方だと思っております。そういう中で、国の仕事が四であれば、付随する財源は六である、そして地方は仕事の量は六であるが、付随する財源は四であるということで、どうもバランスを欠いた流れでずっとこの方やってきたと思っております。
しかしながら、十年前の地方分権推進法の成立、そしてまた五年前の地方分権一括法の施行ということで、国と地方の関係も大分変わってきたと思っております。そういう中で、小泉総理が、官から民へ、あるいはまた国から地方へという形の中で、基本方針二〇〇三、基本方針二〇〇四を出しております。いずれ、この地方分権、地方主権の流れは、これは変わらないのではないかと思います。逆に、どんどん進んでくると思っております。
そういう中で、農水省はどのような形で対応していくのか、この部分なんでありますけれども、この地方分権改革の大きな流れの中で、その認識といいますか、農水副大臣として、こういう大きな地方分権の中で、我が農林水産省はどうあるべきかという基本認識をちょっとお尋ねいたしたいと思います。
○岩永副大臣 日本があの大きな大戦を経験したときから六十年たっているわけですね。そして、かつては国家が個人の経済的自立だとか、そして幸せを求める大きな役割を果たしておったわけでございますが、だんだん時代が変化してまいりまして、個々の価値観というのが変わってきた、私はこのように思うわけです。
そして、最終、その個人の幸福感というものが醸成される、達成される前提というのは、やはり身近な部分から広がりを実は見せていくのではないか、このように思って、そういう意味で、地方分権というのは大変大事な位置づけになってきたんではないか、私はそのように思っているわけでございます。
私も、今先生がおっしゃったように、町会議員もやりました、そして県会議員、五期二十年間やりました、そして、身近に住民の皆さん方と接してまいりまして、いろいろな相談を受けていく過程の中で、すべてと言ってはなんですが、個人にかかわる部分というのはやはり身近にあるべきだというようなことで、地方分権推進論者の一人であるわけでございます。
農林水産業というのは、そうはいえ、やはり国でやらなきゃならない部分というのは大変多いと思いますし、後、先生とその点については議論を深めていきたい、このように思うわけでございますけれども、しかし、地域のさまざまな社会的条件の中で果たさなきゃならぬ役割というのも大変多うございますので、国と地方が適切な役割分担の中で、地方が自主的に、主体的に発揮される部分というものをやはり我々もこれから大いに推進していかなきゃならない、このように思っております。
だから、そういうような意味合いで、権限の移譲や地方公共団体に対する関与の縮減というのを深めていきたいと思っておりますし、また、役割分担では、農林水産行政の円滑な推進を図れるような地方分権の推進に農水省も積極的に取り組んでいきたい、このように思っております。
○黄川田委員 副大臣のお話を聞けば、地方の生の声をしっかりと国政で発揮する、こういうことに思いましたけれども、地方分権を受けての三位一体改革なんでありますけれども、この目的を改めて考えてみますと、やはり中央集権から地方分権へと統治の構造が変わってくる、質的に変わってくるという、逆に言えば、国の形をどうしていくのか、これがまず第一点だと思いますし、それから、厳しい財政状況は国も自治体も変わりません。そういう中にあって、やはり国と地方の財政再建、これをどうするかというところがかみ合っての三位一体だと思っております。そしてまた、地方の立場からいえば、この三位一体改革によって、地方の自立、地方が自己責任で仕事ができる、そういう仕組みをつくっていくんだということであったはずであります。
そういう中で、この国の形といえば、その中で各省庁があって、農林水産省があると。省庁再編の中で農林水産省は生き残ってまいりました。先ほど六十年と言われましたから、還暦の年であります。還暦というと、また一からの出発だとも思っております。
副大臣は、政務官、そして副大臣ということで、農林水産のこの組織におるわけなんでありますけれども、これまでの中央集権の組織と、そしてまた地方分権の中にあるこの農林水産省の組織ですが、どんな形で変われるのか、あるいはまた変わっていかなければならないのか、その点の御所見があればお尋ねいたします。
○岩永副大臣 先ほども申し上げましたように、私も地方分権推進論者の一人でございますので、今回の三位一体、税源移譲につきましては、農水省に籍を置かせていただいている、そして、そうした役柄の中で何か改革できる部分がないかということで、真剣に考えもしましたし、そしてから議論もしたわけでございます。
ただ、御承知のとおり、農林水産施策というのは、食料の安定供給の確保、それから国土と環境の保全などの重要な役割というのを実は果たしているわけでございまして、またそれが、食料の生産地が全国に及んでいる、そして森林の場合にも、上流域のみならず、やはり下流域にも影響を及ぼす、そして消費者も全国に及んでいるという、農水省というのは、国家の、政府の中でも国民に直接かかわる、そして、地域があり、山地があり、農地があり、海があり、本当に広域に影響を及ぼす部分があるわけですね。
だから、そういう部分で一つずつずっと砕いていきましても、やはり国の関与の部分というのは大変大きい。そして、国民に責任を持つ食料の安定なんかは、本当に財産、生命に及ぶ部分が大きいというようなことでございまして、私は私なりにいろいろ考えたけれども、なかなか、税源移譲するということによって役割を果たせない部分というものがあるんではないかという気持ちを実は持ったわけでございます。
では、そうかといって、それだけでいいのかと。やはり地方に何らかの自主性、主体性を持たすような役割というのをどうしていったらいいのかというようなことで、今回、百七十五事業、これは今までは全部国がコントロールしていて、関与していた事業を、では七つの交付金化に分けていこう、そしてその七つの事業分野の中で、すべて地域が主体的に事業を考えていくようにしようということで、食の安心、安全の確保だとか、強い農業づくりだとか、元気な地域づくりだとか、バイオマスの環づくりだとか、森林づくりだとか、それから水産づくりだとか、いろいろな七つの交付金化に分けたわけでございます。そして、それを今ずっと地域から聞いていますと、本当に使いよい、また今までと違う主体的な事業ができるようになったというような話が地域から続々わいております。
私は、税源移譲はしなかったけれども、交付金化したことによって大きな改革につながった、このように思っておりますし、これのみに終わることではなしに、今後、もっともっと地方を主体とした考え方を農水省でどうしていくかというようなことを、これを皮切りに模索をしていきたい、このように思っておりますので、この七交付金化の改革については、ひとつ黄川田先生、御評価をいただきたい、このようにお願い申し上げる次第でございます。
○黄川田委員 百七十五を七つの交付金化ということについては、この後、おいおい質問させていただきますので、ちょっとまだその前段のところなんでありますけれども、地方六団体が、農水省関係では公共、非公共合わせて約三千九十億円ですか、税源移譲をさせてくれという要望があったはずであります。これに対して、今お話しされたところもありますけれども、農水省の回答は総額で約三千四十億円に及びますが、主体は補助金の交付金化。我々からすれば、補助金と交付金、どこが違うんだ、単なる看板のかけかえではないか。
あるいはまた、農水の事業はさまざま広域的な全国展開があるということでお話しされましたけれども、二月二十二日に、三位一体関連で本会議で我が方で質問しておりますが、大臣質問であります。地方提案のわずか三十五項目の税源移譲がなぜできないのか、こういう質問に関して、大臣は、農林水産の施策は、広域的な観点から国が責任を持って推進する必要がある、今お話しされた部分を副大臣もお話しされましたけれども、この一言で、二年間で二百五十億円は税源移譲しますよ、こういう話であります。
さまざま、いろいろな事業があるのでということでありますけれども、地方六団体からお話があって、具体的な事業一つ一つを、副大臣も交えて、ああ、これはまだまだ地方分権の流れの中で移譲できるんじゃないのかという、そういう協議時間というのはかなりあったんでしょうか。
○岩永副大臣 先ほども申し上げましたように、本当に、局長そしてから職員を交えて、どうこたえられるかということで真剣な議論をいたしました。そして、やはりこたえたいという気持ちが先行してきたわけですが、ただ、災害一つ見ましても、では、単に県だとか市町村にやらせるべき性格のものなのか。やはり大きな災害を国が全部責任を持ってやらなきゃならない。そしてそれが川上から川下に及んでいる。そして御承知のとおり、自給率四〇%しかないこの体系というのを、今度は新しい基本計画の見直しの中でも議論は出ておりますけれども、国民に対する生命への責任がある。
そういうようないろいろな部分を考えますと、まだやはり具体的に国が関与し、国が責任を持ってやらなきゃならない部分ではないかというようなことで、本当に口角泡を飛ばしながら議論をした結果がこういうことでございますし、先生にも何か後で、これはどうだ、あれはどうだとおっしゃられるのがあったら、個人的にお聞きしたいと思いますが、本当に一つ一つに対してかなり厳しくチェックをいたしました。
○黄川田委員 補助金を交付金化するということで、従来から一貫して中央省庁の役人のお仕事は補助金の配分、これが大多分だ、そういう感じで、外から見ると思われるのであります。
そしてまた、究極的な目的は小さな政府をつくることだと私は思っております。税源の移譲もそうでありますが、もっと農林水産省を人的にもスリム化できるんじゃないのか、そう思うわけでありますけれども、そういう部分ではどうお考えでしょうか。本会議で小泉総理は、地方分権そしてまた三位一体改革によって、国家公務員の削減も含めていろいろな改革ができると話されておるんですが、それを農水省はどう受けとめておるんでしょうか。
○岩永副大臣 私も政務官もさせていただいて、今こうして副大臣もさせていただいておりますので、本当に農水省には御縁をいただいております。だから、農水省へ御縁をいただいて政務官をした当時に、食糧庁の改革、そして食糧事務所の定員についても、これは削減すべきだということで、十年で三千人の削減、それから統計事務所も、今、平成十七年から五年間で千百人の削減を目指す等々、本当に改革の矢面に立ってきました。そして、一国家公務員が果たさなければならない役割というのは、私はそう小さいものではないと。だから、それを効率的に、大きく働いていただくのが、我々こうした立場をいただいた者のリーダーシップだ、このように思いながら、本当に農水省内部の強い改革を進めてきたわけでございます。
ただ、そうした過程の中で、では、削減、削減、スリム化ということで本当に国家的責任が農水省で果たせるのかという部分も、やはりきちっと受けとめていかなきゃならない。御承知のとおり、今四〇%の供給力で、世界の人口が六十三億から、五十年間に九十億になる。そうしたら、これから十年ごとに大変食料欠乏の時代が日本に来る。世界の人口はふえ、そして自給率がそう大きくならない、なおかつ、今、世界の輸出国が、中国のように輸入国に転ずる、そういうことを考えたときに、やはり農水省の果たさなきゃならない責任というのは大変大きい。そういうことを考えますと、むしろ今いる職員がもっと努力をし、もっと広域的に、もっと精力的にやはり役割を果たしながら国民の負託にこたえていく、そういう役割を果たさなきゃならぬと。
こういうようなことを考えましたときに、私は、スリム化も大事だけれども、ある人間を三倍にも四倍にも働いていただいて、そして来るべき国家の大きな責務のために、また食料安全保障、こういう部分のために、食料の安全のために実はこれからどう働いていくかというようなことを主眼に置いて考えていきたい、こういうことでございますので、スリム化以上に大きくやらなきゃならぬ部分も御理解をいただきたいと思います。
○黄川田委員 副大臣、スリム化というのは、国と地方の役割を明確化して、そして地方にできることは地方にという部分の中でのスリム化もあるはずなんですよ。何でもかんでも国がやらなきゃいけないということじゃないでしょうし、そしてまた農林水産省というような省庁は、私から言わせれば、現場があっての省庁だと思うんですよね。現場で生かされない省庁は何の省庁か、こういうところがあるものですから、ちょっと話しているわけなのでありますけれども。
それで、地方六団体、特に知事会は、闘う知事会ということになっております。そしてまた、農林水産省の今度の政策の眼目は、挑戦する農政といいますか、やはり同じような形で動いています。であるならば、知事会の三位一体改革ですが、知事会では第一期分としての平成十六、十七、十八ということでやって、そしてまた十七、十八で二百五十億円を税源移譲するということの今の予算措置の考え方なんでしょうが、二期目として十九、二十、二十一年度の改革をしたいということで来るはずなんですよね。
後手後手、受け身に回っているんじゃなくて、我が農水省はこういう形で生きていくんだ、生き抜くんだ、あるいはまたそういう部分が地方にはっきり見えないと、予算も三兆円を切る、そして切ったにもかかわらず、ずうたいだけは大きい、単に大きいだけ、そしてナメクジが塩をかけられれば縮むように、そういう組織になるんじゃないのかと危惧するわけで話したわけでありますけれども、私の意見に対して、何か所見があればどうぞ。
○岩永副大臣 先生、先ほど申し上げましたように、農水省というのは食料の備蓄、食料の安定供給に関する施策、それから農地の確保、これは全国的な規模、視点で行われるべき施策があるわけです。そしてから農業基盤整備などの大規模投資を必要としたそういう部分もあるわけでございまして、国家がかかわる部分というのは大変多うございます。
ただ、黄川田先生も市役所におられ、そして県会議員をされておられました。私も、二十年間地方におりましたので地方の実態をよく知っているわけです。ずうっと時代を見てまいりますと、それぞれの地方団体、地方公共団体が農業に対する位置づけをどうしてきたかというようなことを考えますと、かつては農林課だとか農政課だとかいうのが各行政にあったわけですね。それがこのごろでは、産業建設課というような形の片隅に農林行政をする部分が置かれて、そして農地転用の農業委員会の職員が一、二いる、そして減反問題に携わる人間がいるだけでは、本当に地方自治体が農業政策に対する施策をおざなりにしているのではないかという危惧を私は持っているわけでございます。
だから、それぞれの行政の中できちっとその町の農業ビジョンというものを確立しながら、うちでは畜産に対してはこうだ、果樹に対しては、野菜に対しては、米に対しては、そして水産と、いろいろな部分を行政のど真ん中に置いて、大きな産業として、そして将来の食料の安定供給と安全のためのそういう施策というのを我々はやってほしい、このように思っているわけです。
しかし、そういう部分を指導していくのが農政事務所であり、農政局であり、そういうようなところがもっともっと力を持っていただいて、そして本当にひとり立ちをしてくれる、そこまで国が力をこれから施していかなきゃならぬのではないか、私はこのように思います。
今のところ、何か地方は農政については国に任せ切りで、何か問題があったら、国が悪い、国が悪いというようなそういう大合唱になっているのではないかというような気がしますので、むしろ地方の農政に対する、農業施策に対する取り組みを強化するために、今こそ国が力を果たさなきゃならぬときではないか、このように思っているところでございます。
○黄川田委員 副大臣からお話を受けました。私も地方にある者としてちょっと話をさせていただきますと、農政、さまざまなメニューがどんどんどんどんふえてきました。そしてそのメニューも三年ごとに変わってきたというのが過去の事例であります。名前は変わった、中身を見た、どこが違う、その連続でありました。やゆするわけじゃないですが、国政と反対のことをやれば我々農家も生き残れるんだ、そういう声も出たときもあります。現実であります。
平成五年の大冷害に私は農産係長というのをしていました。岩手は、ほとんどとれない、皆無のところ、二割とか三割のところがありました。その年の暮れであります、これじゃだめだということで、復田やれと。何で米、とれなかったんだ、おまえたちの水管理が悪かったんだ、深水管理でやらなきゃだめだったと。三年やれと言ったんですよ、復田を。平成六年、平成七年、平成八年、暑い夏でしたね、大変多くとれました。もちろん農業は自然を相手にしていますからさまざまあるんでありますが、そういういろいろな部分が積み重なって、今の首長は農政に対してさまざまな思いがあるということだと思っております。
それでは、補助金の改革の方の具体の方に入っていきたいと思います。
農水省は公共、非公共、公共の部分では省庁連携ということで分権を見ておりますよと。非公共の部分は、先ほどお話ししておられたとおり百七十五の事業ですか、強い農業づくり、元気な地域づくりですか、七つの交付金ということで一千三百八十億円に再編されておるところでございますけれども、そして、もちろん予算が成立しなければ具体は動かないと思うわけでありますけれども、突然降ってわいたようなこういう仕組みは、これは国が現実やるわけじゃなくて、具体となれば自治体となるわけでありますよね。
そこで、百七十五の補助金を七つの交付金に統合しましたけれども、その具体的な進め方といいますか、これからどんな方法で、実態としてどんな形で進めていくのか、この辺をお尋ねいたしたいと思います。
○小林政府参考人 今先生お話ございました四月からの新しい交付金の執行に向けまして、地方公共団体の担当者の皆さんとも意見交換しながら、円滑に進むように今準備を進めております。
今回の手続の中で一番大きく変わるのが申請のところだと思いますけれども、これが七つの交付金化されますので、都道府県で市町村とかそれから農業者団体等、そういった皆さんの取り組みの意向を踏まえた上で、交付金ごとに一本の事業計画の申請になります。したがって、今まで百数十だったものが一つの事業計画という形で作成してもらう。これは地方農政局が受けていくという手続になるわけでございます。
したがいまして、この事業計画が相当簡略化されることに伴いまして、当然のことながら、計画数の大幅な減少とか、それから、当然、補助金でありますから、今まで事業ごとにきめ細かい審査をやっていたわけですけれども、そこも相当簡素化されますので、こういった意味で、都道府県の立場から見ても、事務手続の大幅な軽減を図られるということになると思っていまして、その辺の調整を今進めている最中でございます。
○黄川田委員 従来の補助制度と違って地方に自由度が増すというふうな話でありますけれども、それに対するいろいろな評価がありますけれども、提案型でありますから、裁量、自由度が増すというふうになるとは言いながらも、国と意見の異なるような事業は採択されないでしょうし、もちろんそうだと思います。そしてまた、地域にとってさまざま、こうあればなと思うところがなかなか生きてこないというようなところが現実に見えるわけなんですよね。
小泉総理になってから、おれが自治体の仕事もやっているんだ、用事があるならおれのところに来いというみたいな形なんですかね。内閣府に構造改革特区というようなものをつくりまして、そしてそこが窓口になる。あるいはまた今度は、地域再生法の中でこれまた内閣府がなるというような形になっておりますが、その申請のやりとりを見ていますと、自由度が増している、そういう仕組みにもかかわらず、どうも提案者の意見がなかなかその土俵に入っていけない、提案した内閣府と関係する省庁との話し合いということになって、根幹となる提案の意味づけというのがなかなか伝わらないというような感じでありまして、加えて、交付金化したから自由度が増して本当に生かされるのかという、こういう危惧があるのでありますけれども、名前を変えて補助金制度を温存するといいますか、そういう見方をする首長もおります。
では、こういう仕組みを変える中で仕事が減るんでしょうか。そしてまた農水省が、自由度が増して窓口が一本化みたいな形になれば、どんな形で、その仕事が減った分の役人が減るとか、単純に言えば、何かさまざまな窓口があるとそれにかかり切りの職員がそれぞれいるのが、まとまるともっとスリムになるのかなと思ったりもするんですが、その部分はどうなんでしょうか。
○小林政府参考人 交付金化に伴います事務の関係で、まず県の方、都道府県の立場で業務量なりそういったところがどういうふうになっていくかということでございます。
なかなかこれは定量的に見通すのは難しいわけでございますが、ただ、少なくとも、先ほど申し上げましたように、非常に事務手続が簡素化されるということがございますので、この辺の業務量の軽減というのは相当大きいかなと思っております。
それからもう一つ、都道府県の裁量の幅が増します。これは今お話ございましたけれども、そもそも全体の計画時の段階からいわば地域性を相当出せますし、それから、交付金を交付していく、市町村とか関係団体に交付する場合にも、これは県の意向が働くわけですから、ある意味、権限と責任は拡大するわけでして、したがって、裁量の幅が拡大した部分をどういうふうに業務執行していただけるかというのは、これからの県の取り組みでありますけれども、そこは、やり方によってはそれほど業務量に負担をかけない範囲のやり方もあるんじゃないかということで考えておりまして、この十七年度は初年度ですから、やはり新しい仕組みで国も地方も、これを円滑化するのは結構手間暇がかかりますけれども、できるだけ早くお互いのそういったところのマッチングを進めまして、できるだけ今のような考え方の中で効率的な仕事ができるようにしていきたいと思っております。
それから、国の方でございます。
確かに、農政局の場面で補助金交付業務をやっている部分が、その交付業務が簡略化されますので、その部分、仕事が楽になるということは言えるわけでございますが、もう一つ、今回のこの交付金の特徴といたしまして、あらかじめ細かい審査をして計画ごとに詰めるということはしませんけれども、他方で成果目標、これを置いていただいて、その成果目標がどの程度効果を上げたかということは、これは一種の事後評価といいますか、そこはきちんとやはりお互いにやっていこうということでございまして、そういう意味では、そういう成果主義的な面で農政局の方が県とよく調整しながらやっていくという仕事もふえます。
そういった意味での役割がありますし、それから、当然のことながら、農政局の仕事は、補助金交付業務も一つの大きな仕事でございますが、その他、食の安全、安心とか食糧業務等ございまして、そういった中で、定数が削減される中でやりくりしているという状況もありますので、まずその辺も御理解をいただきたいと思っているところでございます。
○黄川田委員 いろいろ考えてみると、県の役割というのが大変重要になってくるのではないかとちょっと思っております。そしてまた、制度改革ということで、いろいろな情報が入ってこないと県の方も不安になるのではないかと思っていますし、だからといって、まだこういうふうに審議、やりとりをしているときにどんどん情報というのも行かないかもしれませんが、いずれ、この辺は要望なのでありますけれども、しっかりとした都道府県の意見交換とか、本当にこういうものをつくってよかったというふうな形の仕組みにしていただきたいと思います。
特に地方にあっては、情報公開とパブリックコメントを求めるとか、あるいはまた事後評価、政策評価、これが最も大事だということで、いろいろな形が動いております。もちろん国においても各省庁ごとの政策評価、あるいはまた総務省ですか、各省庁の政策を評価するとかさまざまあるんでしょうけれども、いずれ副大臣が、一つでも二つでもいいことをやっているんだからというのであれば、本当に現場で、さすが岩永さんがやってくれたな、こう思われるような、何だ、あのやつはとんでもないことをやってくれたなというふうにならないように、よろしくお願いいたしたいと思います。
それから、各農政局の役割ということで、事後評価にシフトするということなんでしょうけれども、いずれ第二弾の地方分権改革ということで、農水省にも公共の部分にもメスを入れてくれというふうな要望が出てくるはずであります。そういう中にあって、国全体の仕事を、もちろん食料の自給率あるいはまた担い手育成、大変な仕事が待っております。ただ、食料の自給率も、都道府県ごとの自給率、あるいはまた消費地、生産地というようなさまざまな区分けがあります。やはりそこは現場なんですよね。だから、岩永さん、与党みたいに政と官と業の既得権の維持のための補助金と交付金であってはならないということだけはしっかりと指摘しておきたいと思います。
残り時間が少ないもので、法案に行きたいと思います。
一点だけお尋ねいたしたいと思います。農業近代化資金助成法等であります。
都道府県に対する補助を継続する制度資金が多くありますけれども、農業近代化資金利子補給補助金など、この三件に限定したのはなぜでしょうか。そしてまた、この際、なぜ全体を一括して税源移譲の対象にしなかったのか、お尋ねいたしたいと思います。
○須賀田政府参考人 今般、税源移譲の対象といたしました近代化資金、昭和三十六年以降、全国の都道府県で実施されてきました。いわゆる事業が同化定着をしてきているということで、我々の方で統一的な運用基準を示せば、執行を地方にゆだねても、思う方向、一定の方向に進むであろうということで、税源移譲に踏み切ったわけでございます。
しかしながら、同種のほかの資金、例えば天災資金、天災による被害農林漁業者への災害資金とか、あるいは国際漁業協定に伴う操業規制が強まることによる緊急融資とか、こういうような資金は、やはり災害でもあり、国際協定絡みでもあり、国の関与が必要な資金ではないか、事前に予測することも困難だという技術的側面もあるのではないかということで、これは税源移譲にふさわしくないだろうと。
また、このほかにも、漁協が合併する、あるいは農村地域に工業導入することに伴う資金、こういうのも、やはりどの地域にそういうことが生ずるか、いわゆる地域的に偏在が起こるということでございまして、税源移譲の対象にするのにふさわしくないだろうということで、こういう資金については国が助成を引き続き行うということとしたわけでございます。
○黄川田委員 最後に一言なのでありますけれども、何度も言いますけれども、地方六団体は第二期の三位一体改革ということで提案してくると思います。それに対して、省庁、組織の防衛だけ、守ろうとする形だけでは、とてもとてもこの地方分権の流れの中で農水省はついていけなくなるのではないかという、そういう心配をしております。強い農業というのであれば、強い農水省として堂々と地方六団体と闘ってください。お願いいたします。
○山岡委員長 次に、岸本健君。
○岸本委員 民主党の岸本健でございます。
黄川田先生に引き続きまして、質問をさせていただきます。
本改正案は、三位一体改革による補助金の廃止、それから税源移譲に伴う補助金根拠規定の削除という事務的な案件であるだろう、それはそれとして淡々と手続を進めるしかないのかなと思っておりますが、せっかく農業近代化資金について、平成十四年の法改正以来、この資金が俎上に上がりましたので、幾つか近代化資金について質問をさせていただきます。
昭和三十六年に近代化資金助成法が誕生して、ことしで四十五年ということでありますが、この近代化資金が有効な役割を果たしてきたのかということ、さらに名称についても、いまだに近代化、近代化と、日本の農業はまだ近代化していないのかということでありますので、この近代化という表現について、農業再生につながるような、広がるような名称にと思うんですけれども、副大臣の御感想をお聞かせください。
○岩永副大臣 岸本先生、昭和三十六年、四十五年間、日本が新しい農業を求めて、そして農業の近代化、そして国民に食料を安全に供給するという大変な変革期が私はこの四十五年だったと思います。
そういう状況の中で、やはりトラクターだとか田植え機の所有台数だとか、ライスセンターだとか共同利用施設だとか、物すごく先生の和歌山の地元でも農業が新しくなってきた。近代化されてきた。その背景にこの近代化資金が果たしてきた役割というのは大変大きなものがあったろう、私はこのように自負をしているところでございます。
それで、今名称のお話でございますが、結局この近代化という言葉というのは、合理化だとか効率化という意味にとれるわけでございまして、私も、先生の御質問をいただいて、うちの関係者に、では、近代化資金以外に何かいい名前があるかという話をずっとやはりしてみたわけですね。しかしながら、四十五年間の中の生産者、農業者のなじみというのは、やはり切っても切れないものが実はこの中にあるわけですね。
だから、私は、一回、岸本先生に、岸本先生だったら何という名前がいいのか聞いてみてくれよといって実は職員に話をしていた状況でございますので、私は、用語としては今の近代化資金というのは案外生産者の中の大きな愛着を感じる名前になってきている、このように思いますので、このままでいいんではないかなと私は思うんですが、またいろいろとお教えいただきたいと思います。
○岸本委員 私が考えて、またそれが反映されるなら、またこれから一生懸命考えますので、またよろしくお願いしたいと思います。
先ほどもお話があったんですけれども、近代化資金の利用者はだんだん減ってきている、低下状況にあると。先ほど副大臣もおっしゃられましたけれども、導入当初にあったであろう農耕馬、これからトラクターに切りかえるという本当に大変わかりやすい事例があったり、例えば、倉庫の拡充資金として借り入れたのに、実際は倉庫の上の二階部分というのは住宅だったというような話も聞いております。これは、大臣の特認として住宅資金が認められているにしても、近代化の趣旨に照らして妥当かどうかという判断に悩む事例だと思います。融資の窓口や審査等が全体の九八%を占める農協系の金融機関で行われていることから、農協の農協による農協のための制度とならないように十分な指導監督が必要であると考えます。
そこで、お尋ねをいたしますが、これは平成の十四年の委員会質疑でも山田先生がお尋ねになっておるのですが、近代化資金の利用者が年々減っている最大の要因は何であると分析されているのか。それから、平成六年から十年間、貸付実績が金額ベースで約三割まで減っている制度を今後も継続していく必要があるのか。愛着はあるでしょうけれども実際はどうなのかというところを、副大臣の御所見をお伺いします。
○岩永副大臣 御承知のとおり、農産物の価格が低迷してきている、そして生産者が高齢化してきている、そして農業投資意欲が減退してきている等々、農業を取り巻く環境は大変厳しいものになってきていることが第一要因だと思います。もう一つは、超低金利が続きまして、では、この制度資金でいいのかどうか。そして、制度資金と一般金融資金の差が縮まってきましたので、そういうような意味で制度資金に対する魅力が乏しい。こういうことがどんどん利用者が少なくなってきている原因ではないか、私はこのように思います。
ただ、そうかといって、やはりこの農政改革を進めていく過程の中で、農業者が投資意欲がわくような新しい農業制度というのをこれからつくり上げていかなきゃならない。これが新しい法律であり、また基本計画の見直しであろう、私はこのように思っております。
こういうような状況の中で、この制度資金が大いに活用されていくような体制というのをつくっていかなきゃならぬし、それから、担い手に使いやすい資金として御利用いただけるようにこれからも改革していかなきゃならぬ。
ただ、全体に実績が落ちておりますけれども、認定農業者に対する貸付実績は、実は、例えば平成十三年で六十六億で千四百五十八件だったのが、平成十五年、二年間の間に二百三億になって、三千五百四十八件と、倍以上に、やはり専業農家、担い手農家はどんとこの資金を使っていこう、そういう意欲になってきておりますので、私は、これからの新しい時代の改革農業のためにこれは大いに活用していくようにしていかなきゃならぬ、このように思っておりますし、していきたいと思っております。
○岸本委員 認定農業者やら何とか、もちろんそれも大事ですけれども、やはり兼業でも農家に意欲的に取り組まれている方には、現場の方が喜んで借りて働けるような、そういう資金制度であってほしいし、またそういうふうに変えていっていただきたい、そんなふうに思います。
次に、農業という分野で成功している、大変利益を上げている農家ですけれども、脱農協で成功している。農協に頼らずに創意工夫している。肥料も独自でいろいろ工夫して、土づくりから始めて、そして販路もまたみずから拡大をしてきている。今までの、本当に地域の流れでみんなで選果場に出して出荷してというのではなくて、独自の販路を拡大している。そういう方が非常にふえている。食の安心、安全にこれは取り組み、そして生産者の顔が見える、前面に出して成功をおさめている。そして、こういう方々は、近代化資金など、農協にどっちかというとけられるんじゃないかな、そんなふうにも考えられるんです。
平成十四年の改正の際に、自民党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議の第五項、これに「農業近代化資金の融資を担う農協系統については、担い手のニーズに的確に対応し、地域農業の振興に積極的な役割を果たすため、生産資材コストの抜本的引下げ、適切な表示を前提とする農産物販売力の強化など事業・組織の改革を強力に実行すること。」こうあります。
国の利子補給補助がなくなることで農協系金融機関の審査等には影響がないのかな、こういう懸念があります。また、四十七都道府県の平成十七年度予算案によれば、補助金削減に伴う税源移譲額が、最も多い東京都で七百三十五億円、それから、最も少ない鳥取県で四十七億円という格差。これを見ますれば、補助金廃止を機に利子補給を廃止、また縮小するところが出てくる可能性も否定できないと思うんです。
そうした事態にも対応する準備はできているのか。そして、三年前の本委員会で示されました附帯決議という重い指導は生かされておると考えておられるのか。本案の成立した後でも、本当に近代化資金を必要としているという農家や漁業関係者にスムーズに融通されるために、須賀田局長ですか、農水省はどのような指導をされるのか、お尋ねをいたします。
〔委員長退席、楢崎委員長代理着席〕
○須賀田政府参考人 二つ御質問がございました。
一つは、前回の附帯決議に関しまして、農協が必ずしも担い手ニーズに対応して事業を改革していない、今後そういうことに努めよということでございまして、これは私どもも現時点でも大変な問題ということで、経済事業の改革ということを、岩永副大臣を初めとして省を挙げまして、全農、系統に要求をしているところでございます。
それから、近代化資金の利子補給補助金がなくなった後、大丈夫かというお話でございました。私どもも大変心配をしておりまして、まずきちんと都道府県が予算措置を講ずるようにしてほしいということで、そこをモニターしております。私ども、この四月一日以降、税源移譲ということになるわけでございまして、ともかく今、来年度に向けて予算措置をしてほしいということでウオッチしておりますけれども、何とか四十七都道府県、所要の予算措置は講じてくれておりますし、その手続が進んでおるという状況でございます。
その後、農家に対しまして従来どおりの基準で資金を貸し付けることができるように、国としてガイドラインを示すと。その中に、資金種類でございますとか償還期限などの貸付条件、あるいは貸付利率とか利子補給率の基準、これは上限という形で示したいと思っております。その基準をお示しいたしまして、これに従ってきちんとやってほしいというふうに都道府県に指導をしていきたい。そして、ちゃんと報告を受けまして、要すれば指導助言をして、きちんと資金が融通されるように努めたいというふうに思っているところでございます。
○岩永副大臣 今須賀田局長もちょっと触れましたが、やはり農業者に一番関係の深いのは全農組織なんですよね、系統も含めて。それで、先般、全農の会長それから理事長を呼びまして、今先生が御懸念をいただいているような部分について強く改革の要請をいたしました。
私どもも、今の新しい改革の時期に系統組織そして全農が同じように改革してくれなきゃ全体の新しい構造改革にならない、このように思って、今そのことにもきちっと取り組んでおります。
○岸本委員 副大臣だったらやってくれると思いますので、しっかりよろしくお願いいたします。
もう時間がないので最後になるのですけれども、近代化資金を活用しまして酪農の規模拡大を行った畜産農家にとっては、本日の畜産価格の動向、答申というんでしょうか、非常に死活問題であって、大変心配しているであろうと。恐らく脱脂粉乳の過剰在庫の早期解消とかなんとかでという話があるんだろうかなと思うんですが、十七年度の限度数量は守れたか、それから、補給金単価はどうなったのかというところが非常に今気になるところであります。何か価格は下がったような話をちらほら聞いたりもしているんですけれども、生産者の意向を酌んだものなのか、本当に生産者が意欲を出して働けるというものなのかどうか。
もう何日か前から、私、質問の機会をいただきまして、そうしたら、いろいろな先輩議員やら、それから仲野議員もこの間質問されていましたし、それから松木議員はもう夜も寝られぬ、とにかく聞いてくれということで、本当に心配をしております。
本当に納得いくものなのかどうなのか、説明を求めまして私の質問を終わります。よろしくお願いします。
〔楢崎委員長代理退席、委員長着席〕
○町田政府参考人 まず、加工原料乳の限度数量でございますが、脱脂粉乳の需要減少により過剰在庫が生じているということで、この十六年末で大体消費量の約半分、半年分を超える九万二千トンというふうに見込まれております。こうしたことから、お話ありましたように、生産者の意欲をそがないように十分配慮しながら、この過剰在庫を早期に解消していきたい、そういう道筋をつけられるような水準に設定をしていきたいというふうに考えているところでございます。
これを踏まえまして、十七年度の限度数量につきましては二百五万トン、前年に比べまして五万トン減でございますが、それで本日、食料・農業・農村政策審議会の方に諮問をして、今現在御審議をいただいているところでございます。
○岸本委員 審議の最中ですね。まだ出ていないんですね。でも、ほぼ決まったようなものだと思うんですけれども、とにかく生産意欲、働く現場の人の気持ちを酌んでいただきたい、そんなふうに思います。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
○山岡委員長 次に、川上義博君。
○川上委員 きょうの審議の対象になっています三位一体の改革についてお尋ねをいたしたいと思いますが、三位一体の改革の精神は、私は第一歩としては大変よろしい。中身は、いろいろな議論がされるところでありますが。
ところで、新基本法の第七条と第八条、国の責務、地方の責務というのがあるわけです。農政の、農業政策の面におきましての地方分権というのは今どうなっていますか。地方分権の今までの取り組みも含めて、副大臣のお考えを簡単でよろしいですからお伺いしたいと思います。
○岩永副大臣 新基本法の七条と八条の関係ですが、率直に申し上げまして、国は全体の枠組みをつくる、そして、地方は、その枠組みの中で運用していくのが県、市町村の役割である、概して言えばそういうことです。
例えば、担い手については、農業構造の姿を提示しつつ、地域の実情に即して担い手を明確にする法制度としての認定農業者制度を運用するのは国であって、そして担い手を認定農業者として認定し、今度は経営改善の支援を行うというのが実は地方の役割でございますので、相互に連携をとって施策の推進に努めていきたい、このように思っております。
○川上委員 国と地方の役割という、両方は相互補完の関係にあると思うんですけれども、実は三位一体における具体的な事案のことについて質問をいたしたいと思います。
国営中海干拓事業というものがあるわけなんです。その国営干拓事業で、最近地方の知事が、計画が変更になったわけですから、ある種の、開削も含めて、干拓の新しい、この開削のことについてぜひ国に要請というか検討をお願いしたいという要請が来ているわけですね。あるいは地方の市議会もいろいろな要請があるわけなんです。したがって、地方分権を進める上では、この要請というのは大変尊重しなければいけないと私は思うわけなんですね、地方分権推進法もありますから。この両県知事のこのことについて、農水省は一体尊重されますか、尊重しませんか。このことをお伺いしたいと思います。
○岩永副大臣 先生にも大変な御尽力をいただきまして、昭和六十三年に淡水化の試行の延期を決定して以来、昨年の十二月に、島根県そして鳥取県の両知事が、森山堤の一部開削などについての合意をされたわけでございます。中海をめぐる問題の解決への重要なステップであろう、私はこのように考えているところでございます。
そこで、農林水産省といたしましては、先月行われました中海に関する協議会で、島根と鳥取両県から、知事合意を踏まえた森山堤の開削についての提案を受けました。そして、中国四国農政局におきまして、堤防開削に関する新しいシミュレーションに実は今取り組んでいるところでございます。
今後、中海に関する協議会におきまして、堤防開削の取り扱いを含めて、中海に関する諸問題について精力的に協議をして、解決に向けて努力をしていきたい、このように思っているところでございます。
○川上委員 今、副大臣には前向きな答弁をいただいたんですけれども、協議会に諮るというよりは、農水省本体が、重要なステップだと今おっしゃいましたので、このことについては協議会云々よりも、精神として、地方の意見というのは尊重するんだということなんですね。要するに、協議会に任せるのではなくて、農水省本体は重要なステップということは認識している、その上で、このことについては、協議会云々よりは、尊重しなければいけないというふうなことでよろしいでしょうか。
○川村政府参考人 今、岩永副大臣からお答えをしましたとおり、中海の問題につきましては、中海協議会という場ができております。これにはもちろん当事者であります両県が入っておられますし、また、河川区域となりますので、国土交通省も入っております。また、農林水産省、こういう四者で話し合いをして、円滑に解決を図っていくという枠組みができておりますので、そこでの協議というものを中心に考えていきたいと思っているところでございます。
○川上委員 全く答弁になっていない。副大臣の方がよっぽど積極的で。本当に役所の人というのは通り一遍な答弁しかできないなと、改めてそう思うんですけれども。
それでは、今、土地改良事業をやっているわけですが、この開削と土地改良事業とはどうつながっていくんだということなんですね。対象として開削と土地改良事業というのがこれからどのように関係を持っていくかということが、私は、実はよくわからないんです。
もう一つは、シミュレーションの要請があるわけですけれども、シミュレーションというのは何のためのシミュレーションをやるんですか。水質改善、環境改善ということなんですか。要するに、開削のシミュレーションをして水質の改善が図れますという結論が出た場合に、土地改良事業とどのような関係があるんですか。土地改良事業として新しく計画変更をして、開削をするという、どんな理由づけがありますか、シミュレーションをやるということに。お答えいただきたいと思います。
○川村政府参考人 ただいまお尋ねにございましたシミュレーションの目的でございます。
これは、先般開かれました中海協議会で、鳥取、島根、両県から御要請があったわけでございますけれども、本庄工区の堤防開削が、中海の水位でありますとか、あるいは水質、また潮流の流れ、こういったものにどういう影響があるかどうかということを確認するためのシミュレーションということでございます。今後、土地改良施設としての廃止をいたしますので、それに伴ってどういう影響が出るかということは踏まえた上で対応していかなくちゃいけないという意味での、その前提となるシミュレーションでございます。
○川上委員 土地改良事業というのは平成二十年で終了ということを前提にお考えですか。まず、平成二十年に今の土地改良事業は完了いたしますということであるかどうかということをお伺いしますね。
それから、私が質問しているのは、二十年までに、新しくこの開削が、要するに廃止するためにシミュレーションしているんじゃないでしょう、終了するまでにこのシミュレーションが土地改良事業にどのように影響するかという質問をしているんですよ。そのことを答えていただきたい。だから、土地改良事業に新しく堤防開削というものが項目として載る理由づけになるかどうかということを質問しているんです。はっきり答えてもらわなきゃ困るんですよ。
それともう一つ、西部承水路堤というのを要するに今の事業の中で完全撤去をするという話があるでしょう。上流から汚水が流れてくる、島根の方から流れてくる、斐伊川から流れてくる、だから、汚濁になるから下流の方に開口して水を流すということなんでしょう。それをぜひ考えていただきたいということを島根県が言っているわけなんです。だから、それと今の事業とどうかかわっていくんですかということなんです。治水とかのことを聞いているんじゃないですよ。答えてください。
○川村政府参考人 中海の事業につきましては、この一月に計画変更を行っておりまして、本庄工区の干陸については、正式に中止を手続上も決めたところでございます。その場合に、今後、この堤防の取り扱いをその手続の中でどう取り扱うかということの決定をしなくちゃいけないわけでございまして、島根県知事の方から道路として使いたいという要請が出てきておりますので、基本的にはそれにおこたえをするという形にはしておりますが、その場合に、堤防を開削することが必要なのかどうかということも今回はチェックをしなくちゃいけないということでございますので、その開削等によって非常に悪影響等がありますとまた問題となりますので、そういうことをチェックするために行っているということでございます。
それから、西部承水路堤の撤去の問題でございますけれども、これにつきましても、この中海協議会で話をしていくということになっております。今、どの程度深さをとるのかということでの話し合いをしておりまして、その話し合いの結果でまた予算等は多少変更してくるということはあろうかと思っております。
○川上委員 だから、答えになっていないんですよ。西承堤はそもそも事業の中に入っているでしょう、撤去は。これから協議していきますなんて、何という答えをするんですか。西承堤は、要するに今の事業、平成二十年――平成二十年というのもまだ答えていない、平成二十年の完了までに西承堤は撤去するとなっているんでしょう。もともと、今協議してどうしますかという話じゃないんだ。事業になっているんですよ。
だから、ほかの下流のものを開削するのに、今の事業として理由づけになりますかと聞いているんですよ。それを答えなきゃだめですよ、理由づけというのを。今の事業では撤去は理由づけにはなりません、あるいは、かくかくしかじかで理由づけになりますから今の事業の中にこれを盛り込みますか、盛り込みますというようなことを言わなきゃいかぬでしょう。答えてくださいよ。
○川村政府参考人 まず、西部承水路の関係でございますけれども、撤去自体は合意でございますし、盛り込まれております。これはおっしゃるとおりでございます。ただ、撤去の仕方につきましては、どの程度の深さで削っていくのか、そういうことが今話し合われているところでございます。
それから、森山堤の開削の問題自体はまさに、既にこれまでのシミュレーションの結果、水質等あるいは水流等にほとんど影響がないということでございましたので、これまでの私どもの立場は、開削の必要はないということでございました。しかし、このたび、両県の知事の合意と、みお筋を掘削した場合のシミュレーションを行ってくれという要請がありましたので、それを行った上で、その必要性なり理由づけというものをするためのベースにしていきたいということで、シミュレーションをしているところでございます。
○川上委員 時間がなくなりましたので、このやりとりというのは本当にいらいら、腹が立つわけですけれども。
では、最後に質問いたします。
さっき、島根県側が開口部をあけてくれと、下流の部分を、汚水を流すために。とどまっちゃうわけですから。開口部をあけるというのは、農水省として必要だと認めますか。そのまま上流から流れてきたものを、池のようにたまってしまう、これを流さなきゃいかぬ。それは、要するに事業云々じゃなくて、必要だと思いますかということなんです。
それから、シミュレーションをいつまでにやるのかということ。前回のシミュレーション、発表までに六カ月かかった。だから、シミュレーションを、例えば地方の県が、これは地方の役割なんですけれども、独自のシミュレーションをやりたいと言ったら受けますか。それと同時に、国のシミュレーションは六カ月かかったんだけれども、六カ月までにやるかどうか。期間を限定して、いつまでにやりますということを、答弁をお願いしたい。それで終わります。
○川村政府参考人 まず、開削の必要性についてどう考えるかという最初の点でございますが、これはまさに今申し上げましたシミュレーションの結果を踏まえて農林水産省としても判断をしたいということでございます。
それから、二十年の計画で今進んでおりますので、我々としても、その期限内に終わるよう最大限の努力をしたいということを今考えております。
それから、シミュレーションの期間でございますけれども、これについては、先般の御提案を受けまして、どういう前提条件のもとにシミュレーションを行うかということを現在島根、鳥取の両県の実務者と協議をしているところでございまして、その協議が調いませんと、ちょっとどの時期に終了するかということは今の時点では明らかに言えないわけでございます。
ただ、いずれにしましても、先ほど言いましたように、二十年の終了ということを目指しておりますので、できるだけ早くそういったシミュレーションの結果が得られるように、これは最大限努力をしてまいりたいと思っております。
○山岡委員長 次に、白保台一君。
○白保委員 初めに、近代化資金を税源移譲した理由について伺いたいと思います。
今回の三位一体の改革は、地方の自由度を高めて地域の実情に即した施策を効率的に進める、これを目的としております。農林水産関係の施策についても、その趣旨に即して改革を進めていく必要があるんだろうと、こう思います。
今回の三位一体改革、これまでの地方分権改革を加速させるものでありますが、農林水産省においては、食料自給率の向上あるいはまた国土、環境の保全や食の安全、安心、全国的な視点で取り組むべき行政課題も多数抱えているところであります。
こうした中で、農林水産省も、昨年の八月の地方六団体の国庫補助負担金等に関する改革案に対して、当初、農林水産行政の大目的である食料の自給率の向上や国土、環境の保全は都道府県や市町村の領域を超える国の基本的な責務であり、国が責任を持って施策の実施を確保する必要がある、そういう考え方を主張されておりました。私どももまた、部会等もそういった考え方でいろいろと議論もしてまいりました。最終的には、政府全体の調整の中で、農林水産省においては、百十七本あった多くの補助金を七つの交付金にと、こういうふうに統合化を行うということで税源を移譲するのは、今回の法案の内容である農業近代化資金の利子補給補助の廃止を初め、農業委員会や普及事業の交付金とすることで決着がついた。これが流れです。
そこで、地方が廃止、税源移譲として挙げたもののうち、今回のこの法案の内容である農業近代化資金等の利子補給補助金がなぜ税源移譲の対象とされたのか。まず、基本的なことで副大臣にお伺いします。
○岩永副大臣 先生にもいろいろと御心労をおかけしてまいりました。
それで、最終的に農業近代化資金が税源移譲の対象になったということなんですが、一つには、この農業近代化資金が、税が県に直接財源として入るということでございまして、補助金関係の事務手続がなくなるというのが第一でございます。それから、二つ目には、地方の実情によってより弾力的な運用が可能になるというようなことで、地方の自主性、裁量性を生かすことが期待されるというところでございます。
この利子補給の補助金というのは国税を財源とする補助金であるわけでございますので、御承知のとおり、各県一律的な金が回る、そういうような性格を持っておる、一つの県に偏ったような財源なり支出ではない、こういうようなことでございますので、どこかの県に偏在するということがない、そういう部分がございます。
今後、税源移譲後、対象事業が地方公共団体の適切な裁量を生かしながらも確実に執行されて、税源を移譲しても問題ないというような状況で運営されるようにしてまいりたい、このように思っております。
○白保委員 次の問題ですが、農業委員会及び普及事業の交付金について伺います。
税源移譲額のうち最も大きな額を占めているのが農業委員会及び農業普及事業の交付金についてです。農業委員会及び農業普及事業の交付金については、基本方針二〇〇三、これを受けて現在組織のスリム化に沿って計画的に縮減を行っている途中であります。これらの交付金について、今回、人件費の一部を十八年度に税源移譲する、こういうふうにしているわけですね。
そこで、お伺いしたいことは二つあります。
一つは、今後、農業委員会の交付金の税源移譲によって農業委員会が農地の権利移動許可など法令に基づくところの業務をしっかり活動する上で支障が生ずることはないのかどうかということが一点。そしてもう一点は、農業普及事業の交付金の税源移譲によって、現場での担い手農業者への技術の普及や冷害等の緊急時の対応、こういうことについて支障が生ずることがないのか。この二つを伺いたいと思います。
○須賀田政府参考人 先生御指摘の農業委員会は、優良農地の確保、担い手の育成確保を業務としておりますし、また、農業改良普及員は、技術の普及という重要な役割を担っているわけでございます。
今般の税源移譲ということに当たりましては、地方の裁量を生かしながらも、その確実な執行が担保されているということを前提に私ども判断をさせていただいたわけでございます。そのために、先ほど副大臣から要件の御答弁がございましたけれども、基準財政需要額に算入をしている、長年にわたって継続して行われてきまして、自治体の業務として定着をしている、このような要件にこの両者の交付金は該当していたわけでございます。それに、農業委員会あるいは普及指導員が私どもの法律で必置ということでございまして、その制度は維持していくことにしたいということと、国が最小限これらの活動を支える機能の維持に必要な交付金は国の方に留保をして、今後も国から交付金を交付するようにしたいという担保をいたしまして、税源を移譲したわけでございまして、そういうような措置と今後の指導ということによりまして、現場で支障が生じないようにしたいというふうに思っております。
なお、この税源移譲後も、この農業委員会あるいは農業改良普及員、この実施状況は定期的に報告をしていただきまして、国に留保しております交付金を必要に応じ適正に交付するというようなことで、両方に課せられました業務がきちんと行われるようにしたいというふうに思っております。
○白保委員 次に、今後の農業近代化資金制度の運用、これについて伺います。
昨年十一月二十六日の三位一体の改革における政府・与党合意では、「国による基準・モニター等チェックの仕組み」として、補助負担金の廃止、縮減によって地方団体に移譲された事務事業については、地方団体の裁量を生かしながら、確実に執行されることを担保する仕組みを検討する、こういうことが打ち出されています。
今回の三位一体改革による補助金の廃止によって農業者への資金の融通に支障が生じることのないよう、地方において引き続き事業が確実に実施されるよう措置することが必要と考えられます。
農林水産省において、現場での事業実施に支障が出ないようモニタリングを実施するとのことでありますが、モニタリングによって地方がきちんと事業を行うことになるのか、都道府県に対して行うモニタリングの具体的な内容についてお伺いいたしたいと思います。
○須賀田政府参考人 税源移譲後も農業近代化資金がこれを欲する農家の方々にきちんと貸し付けられるようにするというのは非常に重要な視点というふうに認識をしております。
そういうことで、私ども、先生がおっしゃられましたモニタリングをするということにしておりまして、具体的には都道府県から定期的に、農業近代化資金の貸し付け条件、都道府県が貸しております貸し付け条件、それから予算措置、それから貸し付けの実績、こういったものを求めたいというふうに思っておりますし、融資機関である農協系統から都道府県の実施状況に関する相談だとか苦情だとかも把握をしていきたいというふうに思っておりまして、それらをあわせまして、また都道府県に対する指導、助言といったものに生かしていきたいというふうに思っております。
これらを通じて、農業者への円滑な資金の融通というものに支障のないようにしたいというふうに思っておるところでございます。
○白保委員 漁業金融についてお伺いしたいと思います。
我が国の水産をめぐる環境は、遠洋漁業の国際規制の強まりや周辺水域の資源状況の悪化などから、厳しい状況にあることは御存じのとおりです。漁業は資源変動や気候変動など、自然環境によって漁獲量が左右されます。これと相まって魚価も変動することから、経営が不安定、そういうことになりがちであります。また、多額の設備投資を必要とすることから、借入金依存度が高くなるところでもあります。
そこで、このような漁業の特性を踏まえれば、漁業者の活動に必要な資金を円滑に提供する漁業金融の果たす役割は極めて重要であります。今後、日本の漁業を支える漁業者、いわば担い手の育成が不可欠と考えますが、漁業経営の育成に向けた今後の漁業金融システムのあり方について、最後に大口政務官にお伺いいたします。
○大口大臣政務官 今委員が御指摘のとおり、魚価の低迷また資源の悪化、そういうものによる漁業経営の不振が続いていく中で、漁業者に対し必要な資金を確保するということは極めて重要な課題だ、こういうふうに認識しております。
このため、漁業経営の改善及び再建整備に関する特別措置法、漁特法に基づき、漁業経営の改善に取り組む漁業者が、低利で、漁船などの設備資金や、長期、短期の運転資金などの融通を受けられるよう措置しているところでございます。
また、今回の三位一体の改革に伴い税源移譲を行うこととしたこの漁業近代化資金や漁業経営維持安定資金については、都道府県へのモニタリングの実施により、引き続き漁業者に対する円滑な融通に努めていくこととしております。今後ともこれらの措置を通じ、担い手となるべき漁業経営の育成に寄与してまいりたい、こういうふうに考えております。
○白保委員 終わります。
○山岡委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
最初に、三位一体の補助金改革の中で、近代化資金の都道府県に対する補助金が廃止、税源移譲となりました。私は、本来、自治体の裁量を生かすべく税源移譲するというこの改革の趣旨からいって、この制度はなじまないと思っております。
大臣は、農業における国の責任を重視し、補助金廃止に当たっても明確な意見を述べておられますが、農業における国の責任と地方の裁量を生かす分野について、どのようにあるべきと考えているか、伺いたいと思います。
○島村国務大臣 予算委員会に出ておりまして、おくれました点をおわび申し上げます。
ただいまの御質問についてでございますが、農業近代化資金等が目的とする担い手育成あるいは確保といった政策は、自然的社会的諸条件に大きな差異のある地域ごとに、その自主性と創意工夫を生かしながら実施することが望ましい政策であります。
その意味で、農業近代化資金については、税源移譲することによって、まず第一に、補助金関係の事務手続がなくなること、第二に、地域の実情に合わせ、より弾力的な指導が可能になることなどにより、地方の自主性、裁量性を生かすことが期待できる、こう考えたところであります。
一方、国といたしましては、引き続き本事業が確実に実施されるよう、都道府県に対して貸し付け状況などの報告を求め、必要に応じて助言を行うこととしております。
今後とも、国と地方の適切な役割分担のもとで農林水産行政の円滑な推進を図ってまいりたい、こう考えております。
○高橋委員 今、後段は地方の裁量を生かす分野についてお話しされたと思うんですけれども、農業における国の責任について、大臣が持っている所感を伺いたいと思ったんです。
○島村国務大臣 農業は御承知のように、農産物を生産し供給するということとあわせまして、やはり国土の保全、自然環境の保護等々、あらゆる役割を担っている重要な産業でございます。そして同時に、我が国は御承知のように約七割が急峻な山で占められて、自然環境は極めて厳しいわけですし、また、気象条件においてもいろんな意味でハンディキャップを背負っている。
そういうことごとに照らして、私たちは全国的な見地で、全国がそれぞれの立場で農家経営を維持し、発展していくために、農林水産行政に対する我々の取り組みというのは極めて重要な責務を負っている、そう認識しております。
そういう意味では、これからもその姿勢を貫き、いわば全国規模で、どの地域もいわゆる同じ日本国民として、それぞれに希望と意欲を持って新しい時代を切り開くための活動ができるように努力をしていきたい、そう考えております。
○高橋委員 ありがとうございます。やはり全国的な見地で農業を守る、国の責任を果たすということがあって、そして地方の裁量ということを言ってほしかったのであります。
我が党としては、この近代化資金が担い手に限定されており、構造改革の推進などの政策誘導策として使われていることに対しては、必ずしも賛成ではありません。しかし、この近代化資金を活用して経営革新を目指す、そういう方に対して、大いに活用されるべきである、その役割は重要だというふうに思っております。
その点では、国と地方の協議の場で大臣自身が懸念を表明しているとおり、税源移譲といっても、住民税のフラット化による税源移譲では、農村地域ではあるけれども人口が少なく所得が低い地域が逆に不利となること、それをどこまで地方交付税がカバーできるのかということでは、懸念が残るところであります。国民の食料と国土に対する国の責任はしっかり堅持していただきたい、そのことを求めて、まずこれは指摘にとどめたいと思います。
次に、関連してJAバンクシステムと信用事業について伺いたいと思います。
農協貯金は近年増加傾向にあり、平成十四年三月末で七十三兆五千三百七十四億円、我が国貯金全体の七・一%を占めております。一方、貸出金残高は二十一兆九十一億円、貯金残高における貸出残高の割合は約三割で、他の金融機関の割合よりもかなり低い現状にあります。
こうした中、平成十四年、JAバンクシステムが確立され、農協系統においては問題農協の処理を推進、自己資本比率四%未満の農協は解消されたと言われております。大銀行並みの自己資本比率を要請され、不良債権処理を進めてきたという現場で何が起きているか、このことをきょうは考えたいと思います。
まずは、農協における不良債権処理やペイオフ対策としての破綻未然防止策がどのように進められてきたのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。
○須賀田政府参考人 破綻防止システムでございます。
今先生がまさにおっしゃいましたように、平成十四年から農林中金を中核といたしましてJAバンクシステムが確立をいたしまして、問題のある農協を早期に発見するということでございまして、自己資本比率という客観的基準に基づきまして不良債権の処理を進めるという体制を整えております。
この結果、農協系統全体の不良債権、平成十三事業年度末ではリスク管理債権が二兆六千二百三十三億。これが十五事業年度末には二兆五千六百六十億ということで、五百七十三億減少した。結果、総資産に対する不良債権の比率が〇・一ポイント減少しているということでございます。
また、先生おっしゃいましたけれども、自己資本比率四%未満の農協は解消されたということでございます。貯金残高も対前年同月比で二%程度の伸びを示すという、総じて健全な状態にあるというふうに認識をしております。
○高橋委員 昨年の末、東北の中山間地域を中心とした農協を幾つか訪問した際、深刻な訴えがありました。
いわゆる金融検査マニュアルによる農協への指導が大変厳しくなっているということです。具体的には、農家が持っている資産でおのずと融資額が決まってしまうということ、しかも、毎年評価の見直しがされているということです。農家の資産といえば田んぼであり、御承知のように、年々評価は下がる一方であります。これをまともに固定資産税並みの評価ということになれば、融資額がぐんと縮小される、不良債権扱いされて解消しなければならないという事態が起きます。
まず、これをどう見るのか、伺いたいと思います。
○須賀田政府参考人 農協も金融機関でございますので、担保をとって貸すということは、ほかの金融機関と同様、行っているわけでございます。その際、農家の場合は農地等を担保にするということがよく行われるわけでございます。私どもは、最近地価が下がっている、そういう状況にかんがみまして、できる限り、その経営内容を審査いたしまして、その経営内容に即して貸し付けを実施するということによりまして、担保の価値が減少するといったような問題を解決できるのではないかというふうに考えておりまして、農林中金の方もそのような指導をしておりますけれども、末端に行きますと、そういう、担保があってその価値が下がっているという問題が現実にはまだまだあるようでございます。
金融機関の不良債権の処理の問題と、農家の農業経営としての安定性の問題と、ジレンマがあるところでございますけれども、そこはやはり現場で解決をしていただきたいというふうに思っているところでございます。
○高橋委員 農協も金融機関とおっしゃいました。もちろんそうでありますけれども、同時に、リスクの高い、あるいは長期に返済が必要だとか、そういう農業の特性に応じて役割を果たす、そういう立場が言われてきたと思うんですね。ですから、農地の特性を生かした評価というものが当然あるべきだと。これが、現実にはあるとおっしゃいましたけれども、何か人ごとのような言い方ではなくて、国の金融検査マニュアルによって現実には動いているんだ、そこをどう見るのかということをやはりしっかり受けとめて答えていただきたいと思うんですね。
それとあわせて伺いますけれども、農地の評価が下がり、不良債権とされれば、農協は貸倒引当金の積み増しが求められます。ある農協では、その引当金に五千万円もの納税が求められたと言われています。そうなると、農家も農協も倒れる、どっちも倒れる、そういう構図になります。これをどう見ますか。
○須賀田政府参考人 農協も金融機関として債権の自己査定に基づいて多くの引当金を積まざるを得ない状況、これをどう見るかということでございます。
やはり、金融機関として農協も他業態の金融機関と競争をしておる、全般的に金融情勢は厳しいということで、金融機関としての十全の債権管理が求められております以上、自分で債権の種類を査定いたしまして、破綻の懸念がある、あるいはもう既にロスが生じている、そういったものに対してはちゃんと処理し、あるいはあらかじめ引当金を積む、こういう処理は、ほかの金融機関との競争上やむを得ない処置ではないかというふうに思っております。
もしそれを怠りまして、金融機関として一人前じゃないんじゃないかというような悪評が立ちますと、いわゆる取りつけ騒ぎでございますとか農協の預金がほかに流れるとか、こういう事態が生じまして、それこそ大変な問題が生ずるのではないかというふうに思っております。
○高橋委員 そうすると、農協と農家を守る歯どめがどこにあるのかということを伺いたいと思うんです。
大臣に伺います。農地の持つ特性、あるいは、生産物を生み出し、多面的な機能を持っている特性を大臣も強調してきたはずだと思うんです。
都会と農村部で、当然土地の評価が違います。そのために、農村部では不良債権化が進むことになります。地域の農協は、個々の農家がどのように頑張って営農しているのかを一番よく知っているはずです。だけれども、今のシステムは、上から来た、そういう地域の事情を全く知らない監査官が一律なマニュアルで評価の見直しをするんです。そうしたら、もうひとたまりもありません。農協本来の役割であるはずの営農指導も阻害されます。こういう状態でいいのか。少なくとも、一律ではない、地域の実情をよく知っている農協が、それに従って営農指導をやる、その保証があるはずだ、歯どめがあるはずだと思いますが、大臣、見解を伺います。
○須賀田政府参考人 金融機関として、健全な経営を確保するために、ちゃんと債権を管理をして、しかるべき引当金を積まざるを得ない、これはもう避けて通れないというふうに思っているわけでございます。
ただ、農協は農業専門の金融機関でございますので、ほかの金融機関は農地を担保とするようなことがなかなか難しい。しかし、農協はちゃんとできる。それから、農業経営にも熟知しておりますので、農家の経営の中身を見て、ちゃんと将来収支が改善できるという心証を得たら、ほかの金融機関ではできない貸し付けができるという特徴があるわけでございますので、そういう審査能力といったものを高めて、ちゃんと温かい融資ができるように、そういう面で努力をしてほしいというふうに思っているところでございます。
○高橋委員 大臣から答弁いただけなくて、本当に残念でありました。
今の局長の答弁は、結局今の経済財政諮問会議による「政策金融改革について」あるいは規制改革会議などの方向、民にできることは民にということで、まあ、郵政と同じなんですよね。農協系統の政策金融は民間金融の補完的役割なんだと。そうなっていくと、身近な農協金融が不良債権処理を迫られ立ち行かなくなる、担い手が金融の分野からもどんどん絞り込まれ、結局は農業者の追い出しになるものだということを厳しく指摘して、それではだめだということを指摘して、終わりたいと思います。
○山岡委員長 次に、山本喜代宏君。
○山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本です。
農業近代化資金助成法等の一部改正案について、質問をいたします。
昨年八月、地方六団体は国庫補助負担金等に関する改革案を提示いたしました。平成十七年度から十八年度における国庫補助負担金等の改革で、税源移譲すべき国庫補助負担金のうち公共事業関係の農水省分ということで、二千三百三十四億円の移譲を求めていましたが、これに対して農水省は、汚水処理、道路、漁港、港湾等の分野で省庁間の連携の推進による交付金化、事業のスリム化でこたえました。
また、非公共事業関係の補助金事業関係では、百七十五事業を七つの交付金にということで、農政改革の方向に沿った大胆な統合交付金化と言っていますが、しかし、税源移譲額は二百五十億円にとどまっています。これでは、地方の声を質的にも量的にも反映したものとは言えないというふうに思います。
そもそも、地方分権の推進、地域の実情に沿った自治体による農政の推進という観点から考えるならば、単に数字合わせの問題ではなく、農政における中央と地方の役割分担、これをどういうふうに具体化していくのかというのがこの前提にならなければならないというふうに思うわけであります。
この点について、まず大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○島村国務大臣 お答えいたします。
農林水産施策は、食料の安定供給の確保、国土と環境の保全などの重要な役割を果たしており、その効果は、食料の生産地や森林のある上流域のみならず、広く消費地や下流域にも及んでいること、御高承のとおりであります。このため、農林水産施策については、広域的な観点から国が責任を持って推進する必要があります。また一方では、農林水産業は地域の自然条件等に左右されることから、地域の自主性や裁量性が発揮できるようにする必要があります。
したがいまして、農林水産行政における国と地方の役割分担については、国は、まず施策の方向性を示し、地域の自主性や裁量性が発揮できる支援策を提供し、地方は、国と連携して、地域の実情に即した施策を推進する、これが基本であると考えております。
そういう意味で、さきの三位一体改革の際にも、従前の補助金を大胆に交付金化して、いわば地方自治体の自由裁量に可能な限りお任せするということに、思い切った踏み切りをしたところであります。
○山本(喜)委員 三位一体ということで進められているわけですが、しかし、今極めて不十分なまま税源移譲に推移しているというふうに私は思うわけです。
その結果、どういうことになっているかというと、昨年の五月に改正農業改良助長法が成立をいたしました。この法案の趣旨は、農業者の高度で多様なニーズに対応できる普及事業の展開を図るため、普及職員を一元化するとともに、都道府県が自主性を発揮できるよう、地域農業改良普及センターの必置規制を廃止する等の措置を講ずるということで行われたわけであります。ある意味では、今回提案されている法案と同じ趣旨に立っているというふうに考えるわけでございます。
この助長法、ことしの四月一日からの施行を前に各都道府県で準備がされているわけです。しかしながら、全国改良普及職員協議会機関誌「技術と普及」という雑誌の十一月号によりますと、助長法の改正を受けて各都道府県がどのように取り組んでいるのか、普及事業に携わる人の座談会の模様がこの雑誌で報告されています。
その中身を紹介しますと、それぞれ地域で真剣な取り組みが行われているわけでありますが、ある県の人は、普及職員数は、二〇〇四年の四月に、全庁的な一律一割削減ということで、専技も含めると二十八名減の百八十二名となり、大分スリム化が図られた、県の行革で、二〇〇五年の四月一日には地域機関の再編が予定されており、現在、検討が進んでいる、これまで普及員の定数減にあわせて、経営普及部へ集中する方向で進めてきたが、地区普及センターの定数が現在より減らされると、機能の維持が難しいと。あるいは、別の県の人ですが、どこの県でもそうかもしれないが、私どもの県でもこれまで行革が進められてきた、来年度以降、国からの交付金もかなり減っていく、財政事情が極端に悪化している、これも普及に対して大きな影響を持つ、具体的には、人員削減につながっていくのではないかというふうに心配をしている普及員の声がこの雑誌の中に書かれているわけでございます。
改良助長法の施行によって、普及事業に与えている影響を農水省はどのように把握しているのか、それぞれの地域事情に合った普及事業の推進ということに果たしてなっているのかどうか、お伺いしたいと思います。
○須賀田政府参考人 先生の言われました農業改良助長法の改正、四月一日から施行でございます。現在、私ども、各都道府県の施行準備態勢というのを聞いているわけでございます。
まず、その中で、普及職員の設置数、これは対前年度比三%の削減、トータルで。それから、普及センターの組織体制、これはセンターの必置規制が廃止されたわけでございますけれども、その普及センターの組織体制は、従来どおり単独の普及センターとして置くものが十八県、普及と試験研究の一体的な組織とするものが五県、地方行政事務所の内部組織とするものが二十四県というふうになりまして、この数字自体から見ますと、普及の活動の低下というものの懸念が私どもはあるわけでございます。
ただ、農家の皆様方へのサービスを低下させてはならない、量の削減は質でカバーするということで、普及職員の資質の向上というのが重要であるというふうに考えておりまして、私どもは、普及職員に対する研修でございますとか資格試験の高度化、こういったもので資質の向上を図っていって、農家へのサービスの低下ができるだけないようにしたいというふうに考えております。
国、地方を問わず行政組織のスリム化、効率化というのが強く求められておりまして、この流れはあらがうことのできない潮流というか流れだと思いますので、質の向上といったことで対応をせざるを得ないというふうに認識をしております。
○山本(喜)委員 質の向上で対応するしかないというふうなことのようでありますけれども、四月一日に向けて、単独で設置するんじゃなくて、内部の機構の中に置くというふうな中で、普及センターの名前がなくなったところもあるんですよね。そうすると、その中身を理解していない農家の方は、来年度からは普及センターはなくなったんだというふうに、誤解といいますか、そういうふうに理解してしまっている農家の方々も結構出ているわけですね。そして、普及の重点化ということで、広範囲になっている中で、本来地域に密着して担い手を育成していくということからすると、非常に困難性が出てきているという実態も、これは実際あるわけでございます。
そうした意味で、今後、担い手育成あるいは集落営農の組織化ということになる場合、この普及職員の任務というのは極めて私は重要だと思うんです。そうした意味での今後の施策の強化といいますか、そうしたものについてもぜひ力を入れていただきたいというふうに思っております。
あと五分ということでありますので、次に政策金融改革についてお伺いをいたします。
平成十四年十二月に経済財政諮問会議が発表した「政策金融改革について」ということで、「わが国の政策金融は諸外国に比べ規模が大きく、かつ時系列的に増大傾向にあり、このことが、金融資本市場の資源配分機能を歪めてきた。わが国にとって、金融資本市場の効率化は最重要課題であり、民間部門の自由かつ自発的な活動を最大限引き出す方向での政策金融の抜本的改革が必要である。」というふうに述べておりました。
これについては、当初十七年度から十九年度まで議論をして、二十年度以降新体制に移行するというふうなことだったわけですが、二月の二十八日に諮問会議が開催をされ、報道によると、小泉総理は、ことしの秋までに政府系金融統廃合に向けた基本方針を取りまとめるようにというふうなようでございます。
農水省は、農林漁業金融に関する研究会で検討してきたようでありますが、現場の農業者、漁業者がどういう制度を望んでいるのかということが前提にあるべきであって、官か民かということを先に議論するべきではないんじゃないかというふうに私は思うんですが、農業金融という特殊性もありますから、この点についての見解をお願いしたいと思います。
○須賀田政府参考人 私どもの政策金融機関として、農林漁業金融公庫があるわけでございます。この農林漁業金融公庫の担当している分野、先生も御存じのとおり、農地を含みます長期固定の設備資金でございまして、金利変動リスクとか価格変動リスク、生産変動リスク、こういうような、民間金融機関では負えない、そういう分野を担当するということでございます。特に担い手の育成確保といった重要な課題を考慮いたしますと、いわゆるスーパーL資金、こういったものなどについて、果たすべき役割は今後ますます重要になってくるというふうに私どもも認識をしております。
しかしながら、他方で、政策金融機関の改革というのもまた私どもに課せられた重要な重い課題でございます。現在、私ども、担い手農業者と意見交換の場を設ける、農林漁業金融公庫を初め、各種の団体との情報交換とか農業者へのアンケート調査も実施するということで、農林漁業者のニーズの把握というものに努めておりまして、そのニーズを十分把握した上で、そのニーズに対応する金融措置が後退しないように今後対応していきたいと思っているところでございます。
○山本(喜)委員 これから基本計画の見直しをしながら担い手の育成あるいは規模拡大ということで、資金需要がこれから高まっていくはずだと思うんです。ですから、農業金融の特殊性、何でもかんでも民間でやればいいということではないと私は思うので、ぜひその点を十分検討して進めていただきたいと思います。お願いします。
○山岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○山岡委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。
○高橋委員 私は、日本共産党を代表して、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案に反対の討論をいたします。
農業近代化資金及び漁業近代化資金は、ともに施設資金として農業者と漁業者の経営を直接支援する融資制度の柱であり、国が農業保護に責任を果たす上での重要な制度資金の一つであります。この施設資金は、国が利子補給を行う低利資金と位置づけられ、機能してきたものであります。こうした制度資金を地方任せにすることは、国の農業に対する責任の後退につながるものと言わざるを得ません。現に、農業関係者や漁業関係者からは、新規融資抑制にならなければいいがなどと懸念が表明されているところであります。
制度資金の中核的機能である利子補給事業を廃止することは認められないことを表明して、反対討論といたします。
○山岡委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○山岡委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う農業近代化資金助成法等の一部を改正する等の法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○山岡委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、山村振興法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、御説明申し上げます。
山村振興法は、山村地域における経済力並びに住民の福祉の向上を図り、あわせて他地域との格差の是正及び国民経済の発展を図ることを目的とし、昭和四十年に衆議院農林水産委員長の提出によって制定されました。
その後、数次にわたる改正を経て今日に至っておりますが、その間、本法による山村振興計画に基づき、産業基盤や生活環境の整備が推進され、山村地域の経済と住民福祉の向上が図られてきたところであります。
しかしながら、昨今の山村をめぐる状況は、人口の過疎化と高齢化の一層の進行、耕作放棄地の拡大、間伐等森林整備のおくれ等、依然として厳しいものがあります。一方、山村地域は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止、憩いの場の提供等重要な役割を果たしており、このような役割に対し、国民の寄せる期待はますます大きくなってきております。
このような状況にかんがみ、本案は、本年三月三十一日をもって期限切れとなる本法の有効期限を延長するとともに、山村の当面する新たな情勢に対処して、山村振興対策の充実を図ることとしております。
その主な内容は以下のとおりであります。
第一に、本法の有効期限を十年間延長して、平成二十七年三月三十一日までとすることとしております。
第二に、都道府県知事が山村振興計画を作成する現行の制度を改め、都道府県が定めた山村振興基本方針に基づき、市町村が山村振興計画を作成することとしております。
第三に、山村における農林産物の製造、加工、販売及び都市との交流を促進するため、認定法人の事業範囲の要件緩和を行うこととしております。
第四に、情報の流通の円滑化及び通信体系の充実、医療の確保について配慮規定を拡充するとともに、都市と山村の交流及び鳥獣被害の防止について新たに配慮規定を設けることとしております。
以上が、本案の提案の趣旨及び主な内容であります。
―――――――――――――
山村振興法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○山岡委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。農林水産大臣島村宜伸君。
○島村国務大臣 本法律案の御提案に当たり、委員長及び委員各位の払われた御努力に深く敬意を表するものであります。
政府としては、山村地域の社会経済情勢にかんがみ、本法律案については特に異存はないところであります。この法律案が御可決された暁には、関係府省と連携を図りつつ、その適切な運用に努め、山村地域の一層の振興を期してまいる所存であります。
○山岡委員長 お諮りいたします。
山村振興法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山岡委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四分散会