衆議院

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第6号 平成17年3月30日(水曜日)

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平成十七年三月三十日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 山岡 賢次君

   理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君

   理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君

   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    岡本 芳郎君

      加藤 勝信君    梶山 弘志君

      上川 陽子君    川上 義博君

      城内  実君    北村 直人君

      後藤 茂之君    後藤田正純君

      坂本 哲志君    柴山 昌彦君

      津島 恭一君    西村 康稔君

      西銘恒三郎君    萩生田光一君

      原田 令嗣君    古川 禎久君

      三ッ矢憲生君    森  英介君

      一川 保夫君    岡本 充功君

      鹿野 道彦君    岸本  健君

      鮫島 宗明君    篠原  孝君

      神風 英男君    田嶋  要君

      筒井 信隆君    仲野 博子君

      堀込 征雄君    松木 謙公君

      山内おさむ君    大口 善徳君

      高橋千鶴子君    山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 原田 正司君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    石川  薫君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          尾山眞之助君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       外口  崇君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 小林 芳雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         伊藤 健一君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            村上 秀徳君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            川村秀三郎君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           西川 孝一君

   政府参考人

   (林野庁長官)      前田 直登君

   政府参考人

   (水産庁長官)      田原 文夫君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 寺田 雅昭君

   参考人

   (農林漁業金融公庫総裁) 高木 勇樹君

   農林水産委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     坂本 哲志君

  金子 恭之君     萩生田光一君

  木村 太郎君     柴山 昌彦君

  城内  実君     古川 禎久君

  田中 英夫君     加藤 勝信君

  岡本 充功君     篠原  孝君

  小平 忠正君     筒井 信隆君

  仲野 博子君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     三ッ矢憲生君

  坂本 哲志君     石田 真敏君

  柴山 昌彦君     木村 太郎君

  萩生田光一君     金子 恭之君

  古川 禎久君     城内  実君

  篠原  孝君     岡本 充功君

  田嶋  要君     仲野 博子君

  筒井 信隆君     小平 忠正君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ矢憲生君     西銘恒三郎君

同日

 辞任         補欠選任

  西銘恒三郎君     田中 英夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 水産資源保護法及び持続的養殖生産確保法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

 農林水産関係の基本施策に関する件

 米国産牛肉の輸入再開問題に関する件


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     ――――◇―――――

山岡委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、米国産牛肉の輸入再開問題に関する件について決議いたしたいと存じます。

 本件につきましては、理事会等におきまして協議を願っておりましたが、その協議が調い、案文がまとまりました。

 便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。

    米国産牛肉の輸入再開問題に関する件(案)

  平成十三年九月に我が国で初めて牛海綿状脳症(BSE)が発生して以来、我が国はBSEのまん延防止と牛肉の安全性の確保を図るため、BSE全頭検査体制の確立、特定危険部位の除去、安全なと畜方法、肉骨粉等の飼料規制の措置を講じることにより、国民の食に対する信頼の回復に努めてきたところである。こうしたBSEに関する国内措置の見直しについては、現在、中立公正な食品安全委員会において慎重な審議が継続中である。

  一方、平成十五年十二月に米国でBSEが発生し、我が国は直ちに、米国からの牛肉の輸入を停止した。その再開問題については、国内措置の見直しを踏まえ、輸入する米国産牛肉について我が国と同等の措置を求めるという基本方針に基づき対応すべきであり、万が一にも、拙速な輸入再開により、再び国民の食生活に不安を与えることにならないよう留意しなければならない。

  よって政府は、安全な牛肉の安定的な供給体制を確立するため、BSEに関する国内措置の見直し及び米国産牛肉の輸入再開については、科学的知見に基づき、食の安全と安心の確保を大前提として、国民の十分な理解が得られるよう対応し、もって、国民の健康の保護に万全を期すべきである。

  右決議する。

以上でございます。

 お諮りいたします。

 ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山岡委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣島村宜伸君。

島村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえまして、関係府省とも連携し、適切に対処してまいる所存でございます。

山岡委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山岡委員長 引き続き、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君及び農林漁業金融公庫総裁高木勇樹君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省大臣官房長小林芳雄君、大臣官房総括審議官伊藤健一君、総合食料局長村上秀徳君、消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、経営局長須賀田菊仁君、農村振興局長川村秀三郎君、農林水産技術会議事務局長西川孝一君、林野庁長官前田直登君、水産庁長官田原文夫君、内閣府大臣官房審議官原田正司君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、外務省経済局長石川薫君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官尾山眞之助君及び厚生労働省医薬食品局食品安全部長外口崇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鮫島宗明君。

鮫島委員 民主党の鮫島です。

 もう大臣もお読みだと思いますが、初めにBSEの問題から入りたいと思います。せっかく委員会で拙速な米国産牛肉の輸入再開には慎重に臨むべきだという決議をいただいたところですので、大臣にこのBSEに関する認識と今後の対応についての基本方針について何点かお伺いしたいんです。

 プリオン小委員会の出した報告書について、目を通されていると思いますが、やはり、随分専門家の先生が真摯に御議論をいただいて、大変バランスのいい、視野の行き届いたいい報告書を出してもらったふうに私は思います。特に、BSE対策を考えるときに、全頭検査だけに目を集中するのではなくて、安全な屠畜方法や危険部位の除去、あるいはえさの規制がどれだけきいているか、全体的な視野の中で判断すべきだということが明快にうたわれていると思います。

 その意味では、島村大臣は、やや全頭検査だけに目が行って、それ以外のBSE対策についての認識が甘いのではないかと思いますので、何点か確認させていただきますけれども、この報告書の二十九ページ、お持ちかどうかわかりませんが、そこに、ピッシングについて、これは繰り返しこの報告書全体の中に四回ぐらい、ピッシングというのはやはりやめなくちゃいかぬという趣旨のことが書いてあるんですが、それは今や世界の先進国の中で、きょうは参考までに我が民主党のチラシをお配りしてありますが、この後ろに、ピッシングについては、EUでも、アメリカでも、オーストラリアでも禁止していますと。しかし、日本だけがいまだに七割の屠畜場、牛の頭数で言うと全体の八割が延髄に針金を突き刺すピッシングという操作を行っていると。これが脳組織の飛散につながる、他の組織への付着につながるので、これについてはすぐその中止に向けた具体的な目標を設定し、できる限り速やかに進める必要があるということが三カ所ぐらいに書いてあるんですが、世界でほとんどピッシングが禁止されて、日本では頭数の八割でいまだにピッシングが行われているということは、大臣の感覚から考えて、常識的なのか非常識なのか、お答えいただきたい。

島村国務大臣 屠畜場に関することは、本来厚生省の所管でございますが、御質問ですからお答えをさせていただきます。

 まず、ピッシングについては、世界的ないろいろな例を見ますと、余り常識的でない、こう私も思います。

 それで、ピッシングにつきましては、一昨日の食品安全委員会の専門家会議で取りまとめられた答申案におきましても、できる限り速やかに中止を進める必要があると指摘されたところでありまして、この問題については、これまでも、厚生労働省において、SRMの除去の徹底により食肉のBSE汚染リスクを低減させるため中止に向け取り組んでいるところでありますが、今後、食品安全委員会における正式な答申を受けて、適切に対応されるものと考えております。

 私どもも、その考え方に賛成だということをつけ加えたいと思います。

鮫島委員 確かに、ピッシングは農林水産大臣の所管じゃないのでしょうが、そういう意味では全頭検査も所管じゃないのですが、それを前のときは非常識というふうに断言されたので、分野は違うのをわかりつつ聞かせていただきました。

 それからもう一つ、常識か非常識かという話なんですが、感染牛が、ついに十六頭目が発生して、十六頭見つかりましたが、このうちのどの一頭からも肉骨粉を与えたという証拠が見つかっていない。もちろん、農林水産省的な抗弁の仕方としては、いや、イギリスだってフランスだって感染経路は解明されていませんということを言いますが、少なくとも肉骨粉が与えられているということは解明されているわけです。日本だけが肉骨粉を与えたことすらも解明されていない。これは農林水産大臣の所管です、えさですから。このことは、一頭も肉骨粉を与えたことが解明されていないということは常識なのか、非常識なのか。

島村国務大臣 感染源と感染経路については、平成十五年九月、専門家から成るBSE疫学検討チームにおいて国内七例目までの調査内容を踏まえ報告書が取りまとめられたことは御高承のとおりであります。

 その後に確認された事例については、専門家によるプリオン病小委員会に給与飼料の調査や分析結果を報告し、議論をいただいているところであります。

 飼料を食べてから二年ないし八年で発症する、平均五年、こう言われております関係から、いわば特定された事例については承知をいたしておりませんが、参考までに海外の事例を見ても、感染経路を特定することは容易なことではないということでありますが、今後とも、専門家の意見を聞きながら、感染源、感染経路の解明に尽力し、的確な防疫措置を講じていきたいと考えております。

鮫島委員 前、全頭検査のときは、もうちょっと御自分のお考えで述べていたような気がしますが。

 もちろん、今言ったように感染経路が完全に解明されていないとしても、肉骨粉に由来するということははっきりしているわけで、そのためにこれだけ世界的な肉骨粉の規制が行われているわけですが、日本は余りにも、肉骨粉ということすらもわかっていない。このことは、私は、えさを所管する農林水産大臣の責任として重大ではないかと思うんです。

 そのことは何を物語っているかというと、今のようなえさの追跡の仕方、つまり、ある意味では農協系は農水省にとって身内みたいなものだから、身内が身内を検査していてもはっきりしないんじゃないかと。

 ですから、農林水産大臣、もう発生してから三年たっても、いまだに十六頭、一頭も肉骨粉を与えたことが証明されていないというのは、これは行政の審査の怠慢と言われてもしようがないんじゃないかと思いますが、もう一つ、その御決意のほどといいますか、少なくとも、肉骨粉が原因だということがはっきりしていないというのは非常に私は非常識だと思いますが、いかがでしょうか。

島村国務大臣 肉骨粉が原因であろうというのが大方の見方でございますし、私自身もそうではないかとは考えておりますが、これはあくまで専門的な検討を要することでございますので、現在は検討をお願いしているところでございますが、御承知のように、自来、肉骨粉の使用を禁止をして、我々はその後の発生等を防ぐための努力をしているわけでありますが、内容等につきましてはあくまで専門家の御検討にゆだねているということでございます。

鮫島委員 実際の飼育農家が与えているえさの中に肉骨粉が何らかのルートでまざっていたかどうか、あるいは今でも一部まざっているんじゃないかと。特に輸入配混合飼料については、どうも完全に今でも原料まではっきりできていないという指摘も、このプリオン小委員会の中から行われています。ですから、それは、不幸にして患畜が発生してしまった飼育農家の与えたえさに汚染肉骨粉がまざっていたかどうかというのは、別に科学者が専門的に検討する話じゃなくて、むしろ行政の責任だと思います。

 このことについて、参考人でいいんですが、輸入配混合飼料、配合飼料と混合飼料がありますが、それの原料の把握については、今後どんなふうに考えているんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 輸入されます配混合飼料、数量にしますと年間十数万トン程度ございますけれども、これにつきましては、輸入業者に、飼料名の届け出というのはこれまでやっておりましたけれども、さらに今回、全般的なBSE対策の見直しの一環としまして、成分といいますか、配混合飼料の原料につきましても届け出の対象にして、きちっと把握をしていきたいというふうに思っております。

鮫島委員 今の輸入配混合飼料の中に鶏とか豚由来の肉骨粉がまざっていることは許容するんでしょうか。

中川政府参考人 それぞれの個別の配混合飼料の中に今先生がおっしゃったようなものが入っているということ自体は禁止ではございません。それぞれきちっと把握をしなきゃいけないと思っております。その上で、それがどういう用途に使われるかということともあわせてきちっと確認をしていくということが大事だと思っております。

鮫島委員 この点については、我が民主党がかねてから必要性を主張しているところですが、この輸入配混合飼料の原料名を書いてもらっても、本当にその正確さがどこまで把握できるのかという点については、ある意味では、農水省の弱点といいますか、日本の安全行政の弱点だと思います。やはり生産現場で、どういう状態で、どういう工場でそのえさがつくられているかというのを現地で見る体制を築かない限り、いつもこういうところに疑念が残るということをあえて申し上げておきたいと思います。

 私どもは国際食料検査官というような言い方をしていますが、それは表現はもっとやわらかい言い方でもいいんですが、やはり生産現場でちゃんと監視しないと、輸入配混合飼料の原料名を幾ら明らかにしてもらっても、こういうところに汚染が入ってくる危険性はありますよということを指摘しておきたいと思います。

 次に、厚生労働省にお伺いしたいんですが、この提言は、必ずしも二十カ月以下の検査を省略してもリスクが増大することはないという表現はもちろんありますが、それ以外のことについても大変含蓄に富んだ多くの指摘をしていると思います。

 先ほど農水大臣にもお答えいただきましたが、ピッシングの中止については具体的な計画をつくってそれを実行させなくちゃいかぬというようなことがありますが、厚生労働省としては、このピッシングの問題について、今後、どういう実行計画をつくってそれを実施させていくおつもりでしょうか。

外口政府参考人 ピッシングにつきましては、BSEの発生当初から、これを中止するよう都道府県を通じて屠畜場を指導してきたところであり、従事者の安全確保の観点から、やむを得ず継続する場合は、ピッシングの際に脳などの組織が付着した表皮等については、取り除いて焼却処分するなどの汚染防止措置を適切に行うよう指導してきたところであります。

 厚生労働省といたしましては、従事者の安全の確保と食肉の安全性の確保を両立させることが必要と考えており、中止した屠畜場で事故が発生したとの報告もあるため、直ちに禁止することは困難と考えておりますが、今後、ピッシングを中止した屠畜場の事例を整理して、都道府県に情報提供を行い、いまだ中止されていない屠畜場について対応方針の作成を要請する予定であります。

 現場の対応状況を踏まえながら、農水省や都道府県ともよく連携して、中止に向けて取り組んでいきたいと考えております。

鮫島委員 私は、厚生労働省に専門家の検討結果のつまみ食いはしないでもらいたいと思いますよ。

 それは、二十カ月以下の検査を省略してもリスクが増すことはないというところだけを使って、ピッシングについて、私はあえて読み上げますけれども、「ピッシングは、」ピッシングというのは細い針金で延髄にステンレスの棒を突き刺すことですが、「ピッシングは、その実施によりスタンニング孔」、これは鉄のパイプでガーンと打ち込んだその穴。「スタンニング孔から脳・せき髄組織が流出し、食肉及びと畜場の施設等が汚染される可能性や、脳・せき髄組織が血液を介して他の臓器に移行する可能性があるとの指摘がなされており、食肉の安全性を確保する上で、その廃止を進める必要がある。現在、約三割のと畜場においてピッシングが廃止されているが、さらにピッシングの廃止を進めていく必要があり、ピッシングについて「引き続き中止の方針で検討を進める」とする厚生労働省の方針は重要であるが、」これでは弱いというふうに言っているわけです。「今後さらに、具体的な目標を設定した」上で「実施計画を作成し、できる限り着実かつ速やかに実行する必要がある。」という指摘があるわけです。

 今の局長の答弁は、「引き続き中止の方針で検討を進める」レベルにとどまっていて、もう一歩先の、「具体的な目標を設定した実施計画を作成し、できる限り着実かつ速やかに実行する」というところまでは行っていないように私には聞こえました。

 今、経過措置として、あるいは激変緩和措置として、三年間、各都道府県の全頭検査に対して全額補助の措置をとると聞いていますが、この三年間が大変重要な時期で、この三年間の間に全国の屠畜場でピッシングが廃止できるような作業環境の整備や何かをする、私はそのことを言っているんだと思いますよ。具体的な目標を立てて着実かつ速やかに実行するというのは、この三年間のうちにそれをやりなさいという意味だと思いますが、局長はそういう認識ではありませんか。

外口政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、現在、ピッシングを中止した屠畜場の事例を整理して都道府県に情報提供を行い、いまだ中止されていない屠畜場について対応方針の作成を要請する予定であります。

 その中で、各都道府県が取りまとめた対応方針に合わせて、安全委員会が指摘しているようなそういう目標に向かってどのような対応をしていくべきか、早急に検討して適切に対応していきたいと考えております。

鮫島委員 今回のこの答申は、国内措置の見直しについての答申。国内措置を見たところ、輸入配混合飼料についてはもっと監視の目を強化する必要があるし、ピッシングについては速やかに廃止するようにやるべきだ、そういうこととの絡みで、二十カ月以下のものの検査をやめてもリスクはふえませんよと言っているので、あくまでも検査のところだけに言及しているんじゃないということを、ぜひこれは農林水産大臣、副大臣、政務官も含めて、よく御判断をいただきたいと思います。

 ですから、日本は世界に冠たるBSE対策だ、全頭検査については確かに、脳組織の検査については一番厳密ですが、ピッシングとか危険部位の飛散とか、それから今のえさの規制とかはまだ完全じゃないところがある。ですから、世界に冠たる全頭検査をやや緩和するなら、そういう日本の弱点というのをしっかりふさがないといけませんよということを専門家は指摘しているわけで、これは私は真摯に行政側でそういう対応をしてもらいたいというふうに思います。

 これから、アメリカとの輸入再開について、もう一度国内措置を整備した上で、さらに諮問していくことになると思いますが、一部ニュースで国際獣疫事務局、OIEが基準の緩和について検討していて、五月にもある種のガイドラインが出されるというように聞いています。

 その内容は、もちろん今日本で行っているものよりははるかに緩い、三十カ月以上の検査、ピッシングは禁止だと思います。それから、危険部位の除去もやるし、えさの規制もやりますが、脳組織の検査については多分今のより緩い基準が出ると思いますが、アメリカは早くも、それがあればそれでいいんだ、OIEの基準で日本も許容すべきだということを主張し始めると思いますが、このOIEの基準というのにどのぐらい強い拘束力があるのか。

岩永副大臣 私も先般、五月に総会が開かれるOIEの事務局案というのを見ましたものの、WTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定、俗にSPS協定というわけでございますが、国際基準がある場合には、原則としてそれに基づいた措置を講ずることとされております。動物検疫措置についてOIEの定める国際基準によることとされているわけでございます。

 しかし、この協定では、各国は科学的に正当な理由がある場合などには国際基準以上の措置を講じることができる、こういうようにされているわけでございまして、このため、科学的に正当な理由がある場合などにおいては、OIEの定める基準に拘束されることはない、このように考えているわけでございます。

 なお、BSEに関しましては、独自のリスク評価結果に基づいて、または科学的に未解明の部分が多いことでございますので、暫定的に多くの国がOIEの基準より厳しい措置を講じている、こういう状況にあるわけでございます。

鮫島委員 大変正確な説明をありがとうございました。

 何か一部では誤解があって、このOIEの基準の方が国内基準より上というような宣伝も行われているようですが、今確かに副大臣がおっしゃったように、各国はそれぞれ食生活の特徴も違うし、文化的な背景もあり、それぞれの国の消費者が納得する、あるいは科学的に根拠のある方法で独自の基準を定めることを妨げるものではないというのが基本的考え方だと思いますので、ぜひそこは誤解のないように、行政側の方も周知徹底をさせていただきたいというふうに思います。

 アメリカの牛肉輸入再開に関してですが、三月十六日の毎日新聞に、アメリカの会計検査院が、飼料工場の検査がどのぐらい厳密に行われているかどうかを調べたところ、大変それがずさんである、約二千八百の施設は、少なくともこの五年間、検査を受けていないというような指摘もなされました。ですから、今度食品安全委員会に牛肉の安全性に関する諮問をする際、あるいは牛肉の輸入再開に関連して安全性評価についての諮問をする際に、当然この飼料規制が有効に機能しているかどうかということも諮問の対象になると思いますが、いかがでしょうか。

中川政府参考人 食品安全委員会への諮問の具体的な内容につきましては、現在まだ詰めている最中でございますので詳細は決まっておりませんけれども、アメリカから輸入されます牛肉の安全性について食品安全委員会に審議をいただくということでございます。その際に、今先生がおっしゃいましたようなアメリカでのさまざまなBSE対策についての情報というものは、その諮問の際にあわせて審議の参考資料といいますか、そういう審議に付されるものとして資料として提出をいたしたいというふうに思っております。

 それからもう一つ、先ほどの配混合飼料の原料についてのお尋ねのところで、私は、用途に応じてと申し上げましたが、そこは、申しわけございません、肉骨粉という形では輸入は禁止をされております。したがいまして、配混合飼料の中に豚や鶏のたんぱく質が入っていた場合は、そのことでもって、用途にかかわらずその配混合飼料は禁止になります。そこは訂正をさせていただきたいというふうに思います。

鮫島委員 多分、植物性たんぱくと動物性たんぱくを見分けることは技術的にできると思いますので、動物性たんぱくがちょっとでも入っていたらアウト、これは魚粉もひっかかるかもしれませんが、ぜひそういう措置をとってもらいたいと思います。

 ちょっと質問の仕方を変えます。

 農林水産省は、アメリカにおいて、現在、飼料規制は有効に機能しているという判断をお持ちでしょうか。

中川政府参考人 アメリカにおきましては、一九九七年の八月以降、法律に基づきまして、反すう動物由来のたんぱく質は反すう動物に使用することは禁止をされております。ただ、その反すう動物由来のたんぱくを豚や鶏に使用することは現在認められております。そういう意味で、日本から見まして、アメリカの現在の飼料規制そのものには幾つか問題点がある。今申し上げたような仕組みからしますと、交差汚染の可能性は否定をできないというふうな問題点はこれまでも指摘をしております。

 ただ、機能しているか機能していないかということになりますと、法律に基づいて規制がされているという意味においては、機能は大筋ではしていると思います。ただ、幾つか問題点がある。その点が今回、米国会計検査院の報告書でも指摘をされているというふうに理解をいたしております。

鮫島委員 いや、この会計検査院の指摘は、私はもっと厳しいと思いますよ。少なくとも五年間、再検査を受けていない工場が一万五千のうち二千八百あったと。もっと、三年間とかそういう時期でいえば、飼料規制は、規制案として出したけれども、それが実効性が担保されているかどうかということについては、私は、この会計検査院の指摘を裏読みすれば、実態はかなりお寒いよということを物語っているのじゃないかと思います。

 同じ行政の立場にいるのでUSDAをかばいたいというのは若干わかりますが、こういうのは条例や何かを出しても、それが現場でどれだけ機能しているかどうかというのは、農林水産省も重大な失政をしたわけですから、こういうところは、アメリカについても、通達を出したって、それが実際機能していることはあり得ない、これは日本だってアメリカだってあるということを体験済みでしょうから、よく考えて正確に把握していただきたいというふうに思います。

 それからもう一つ大事な問題なんですが、これも農林水産省にお伺いしますけれども、アメリカの牛肉の安全性というものを考えるときに、実はこれは一番今の日米の交渉でも考え方でひっかかっているところですが、アメリカはいまだに、たまたまカナダから買ってきた一頭の牛が我が国内で発病してえらい迷惑だ、カナダは汚染国かもしれないけれどもうちの国は清浄国だ、別にBSE汚染国じゃないのに日本が余計なことを言ってけしからぬみたいなことが多分あるんだと思います。

 ただ、実態を見れば、百万頭近い牛がカナダとアメリカの間を行ったり来たりしているわけで、日本でいえば北海道と内地みたいなものだ。そういう意味では、畜産地域としてはカナダ、アメリカは一体的に把握すべきで、したがって、牛肉の安全性を評価するときも、アメリカだけ切り離して考えるんではなくて、やはりアメリカ、カナダ一体の畜産地域としてその安全性を評価していただくように諮問すべきだと思いますが、農林水産省のとらえ方はいかがなんでしょうか。

中川政府参考人 アメリカとカナダの状況でございますけれども、今先生も御指摘のように、BSEが発生する以前は国境を越えて家畜なり飼料の移動というものがかなり行われておりましたし、また、それぞれの、アメリカ、カナダのとっておりますBSE対策の中身というものも大体似たようなものであったということでございまして、両国の牛肉の関連産業というのはお互い相互に非常に密接な関係にあるというのは、そのとおりだというふうに思っております。

 カナダにおきましては、二〇〇三年にBSEが発生をしました後も、ことしに入ってまた二頭発生をいたしておりますけれども、このアメリカとカナダのBSEをめぐります状況というものにつきましては、両国の間に大きな差はないというふうに私も認識をいたしております。この点は、昨年の当初に日本からも調査団が行きましたし、また国際的な調査団も行っておりますけれども、そういった報告を見ましても同じような見解でございます。

鮫島委員 ここはすごくアメリカがある意味では非科学的にこだわっている世界ですので、私は、この前、町村外務大臣とライス国務長官とかのやりとりを見ていて愕然としましたけれども、一方的に要請され、注文をつけられて、防戦一方と、外務大臣発言。でも、本当は、普通に考えれば、アメリカに対してライスさんを諭す素材はたくさんあるはずです。あなた方のところはいまだに肉骨粉の規制がちゃんときいていませんよ、あるいは、アメリカ、それは会計検査院の報告でありますから、つまり、検査が行われていない飼料工場について、それは会計検査院が検査費用だけ取っておいて飼料検査をしていないとは何事だ、工場の立入検査をしていないとは何事だと。アメリカは食品安全委員会がないんですよ、日本のような組織が。ですから、会計検査院がある種その機能の一部を代行してそこまで踏み込んだ調査をしたということだと思いますが。

 ですから、そういうアメリカにも弱点はいっぱいあるわけで、大体、カナダから買ってきた牛が発病して迷惑だなんという態度はおかしいんじゃないかとか、飼料規制もずさんだし、それからサーベイランスとか検査もコンマ二%ぐらいしかしていないし、そんなことで日本の消費者を説得できると思いますかと逆にライスさんに問い詰めるぐらいのことをやらないと、何のための交渉かわからない。

 それは多分外務省が振りつけているからだめなんですよ。ですから、外務省に任せるのではなくて、島村大臣も、町村外務大臣と直接、ライスさんが来る前に十分戦略を練って、これとこれとこれだけははじき返そう、言い返そうということでやってもらわないと、どんどん押されっ放し、外務省のリップサービス、マスコミも、一部のマスコミはもういかにも輸入は既成事実かのように、ことしの夏にも再開かみたいな記事が飛び交う、そういう状態にどんどんなっていっちゃうと思いますよ。

 ですから、ぜひ、アメリカの事情というのもちゃんと把握して、一番のアメリカの間違いは、我が国は汚染国ではない、この認識が根っこから間違っているわけですから、そういうつもりだったら話になりませんねというので決裂するぐらいだって私は構わないと思いますよ。ぜひ、そういう意味では、次にもし大統領なりライス国務長官とその問題で話し合うことがあったら、この前のようなだらしない対談はしないでいただきたいということを私からお願いしておきます。何かありますか。

島村国務大臣 当然のことに、事前に町村外務大臣ともいろいろな話し合いをいたしまして、これは我々はいわば諮問をしている段階で、食品安全委員会という我が国の権威ある人たちが専門的に御検討いただいていることであるので、我々が立ち入って云々ということは一切不可能である、したがって、その点をきちんと御理解いただきたいし、私どもは、我が国に持ち込む牛肉については当然に我が国の国内措置に従っていただく、これは私から再三申し上げたことだ、農林水産大臣の意向としてもその旨を伝えてほしいと。

 巷間伝えられる報道と大分違うのは、BSE問題に終始したように言われていますけれども、時間的にも極めて短かったということですし、町村さんは何か卑屈な姿勢をとって向こうと話し合ったように、どういう報道をごらんになったか知りませんが、少なくも私の知る範囲では、むしろやり過ぎたんじゃないかと思うくらいきちんと言うべきことを言っております。私自身も前から申し上げているように、向こうの代表者にきちんと言うべきことは言って、あんまり向こうから何も言ってこないので、むしろこっちが恐縮するぐらい向こうは紳士的だということを前に申しました。町村さんも同じ印象を持ったようであります。そういう点だけはぜひ御理解をいただきたいと思います。

鮫島委員 いやいや、私どもに公式に配られたお二人の会談のメモ、もちろん九十分のうちの十五分ぐらいだと思いますよ、会談自身は。ただ、その中で、確かに今大臣のおっしゃるように、今専門家に検討してもらっているから我々としてはその結果を待つんだ、したがって今いついつというような時期は明言できないということを明快におっしゃっているなら、それはそれで構わないんですよ。

 私が言っているのは、それはやはり説明に終始しちゃっているわけで、守りですよ、攻められて。そうじゃなくて、ところでアメリカの認識がおかしいんじゃないか、ライスさん、あなたは自分の国をBSEの汚染国だと思っているのか清浄国だと思っているのかというような突っ込みが一個もないじゃないですかということを言っているわけで、守りだけじゃなくて攻めもやらないと交渉になりませんよ。またぜひ次の機会はそういうことをお願いしたいと思います。

 私は、研究職出身の議員として、きょうは技術会議にいろいろな技術的な見通しのことを聞こうと思ったんですが、余り時間がなくなって申しわけありません。BSEに関しては以上です。ぜひアメリカとの対応はきちっとやっていただいて、きょうは決議で拙速な輸入再開はしないという決議もしていただいたし、我が民主党は早々とその決議を受けてチラシも配りましたので、もし御同意いただければこの民主党の横に島村大臣という名前を書いていただいても構いませんが。全国的なキャンペーンをやっていきたいというふうに思います。

 食料・農業・農村基本計画について、それと技術開発、研究開発との絡みについて何点か聞かせていただきます。

 前回の基本計画をつくったときに、この基本計画に基づいて、では研究分野ではどういうステップでやるかという研究開発計画をおつくりだと思いますが、その達成状況はこの五年間でどうだったんでしょうか。特に小麦や大豆の品種改良の問題も触れていただけるとありがたいんですが。

西川政府参考人 委員御指摘のとおり、農林水産分野の研究につきましては、私ども、農林水産研究基本目標なり、それに基づきました研究・技術開発戦略というものを策定いたしまして、計画的に取り組んでおります。

 それについての達成状況ということにつきましては、技術会議におきまして、第三者で構成されます評価専門委員会におきまして、これら戦略の進行状況といいますか達成状況につきまして、点検、評価をいただいているところでございます。

 委員会の方からは、おおむね順調に推移しているとの評価を受けているところではございますが、しかしながら、今お話のございました小麦を例にとりますと、平成十七年度までにめんの食感を、日本食のめん用ですね、めんの食感を外国産並みにするという目標、これはおおむね達成されていると。ただし、依然として、製粉性、めん色は外国産に及ばない状況にございまして、今後、製粉性とめん色の向上に向けた研究開発を重点的に推進する必要がある、そういうふうにも考えています。

 また、大豆につきましては、これも平成十七年度までに、これは特に中四国方面になりますけれども、タマホマレというたんぱく含量が低い大豆につきまして、これを高たんぱくにかえようといったことを目標の一つにしておりますけれども、これについては、一応達成はしているけれども、依然として収量が低いといった問題がございます。栽培技術の確立と品種育成によりまして、収量の向上に向けた研究開発の必要性があるというふうに考えております。

 私どもといたしましては、このような状況を踏まえまして、新たにつくります農林水産研究基本計画につきましては、これらを踏まえて、計画的かつ着実に研究を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

鮫島委員 五年前に、例えば大豆の収量目標というのはどのぐらいに立てたんですか。今はもう中国にも抜かれて日本の大豆の収量がえらい下がっているのが気になりますが。主産国の中で日本が最下位にまでなっていると思いますけれども、五年前にはこの収量についてどのぐらいの目標を立てたんでしょうか。

西川政府参考人 御案内のとおり、我が国の大豆の単収というのは比較的低いのは御指摘のとおりでございます。収量水準については、十年目標といった格好で、一割、二割の増収を図りたいということはありますけれども、前回の戦略においては、国産の大豆は豆腐用、煮豆用というところがございますので、むしろ品質向上の方にどちらかというと重点を置いて開発をすると。単収については、その時点で、既に栽培技術がありますから、それを的確に実施することによってそこそこ達成されるはずだと。むしろ、きちんとつくるということを重点に置いたというところでございます。

 また、つくり方につきましては、播種機とかそういうものを開発いたしまして、それによってコスト低減を図る、そういったことを一応目標にしておったということでございます。

鮫島委員 もう時間がないので、通告しておいたところがほとんど空振りになって申しわけありませんが、基本計画と研究開発との関係、技術開発との関係について、私はぜひ整理していただきたいというふうに思います。国はどちらかといえば基礎的、基盤的研究をやって、北海道から沖縄まで、多様な条件の中でどういう作物の組み合わせでどういう品種がいいのか、あるいはどういう栽培方法がいいのかは、むしろ地方分権といいますか地方の主体性に大いにゆだねる必要があるわけで、それを国が後ろからサポートするというような、そういう仕組みを組み立てながら、この基本計画で目標としているところにちゃんと技術が有効に生きるように、技術開発としては考えていただきたいというふうに思います。

 最後に一問だけ。

 鳴り物入りで、つくばにありました農林水産省の研究機関を初めとする全国の研究機関が独立行政法人になったと思いますが、独立行政法人になる前と、つまり、国の直轄機関だったときと独立行政法人になった後と、研究機関全体として国費の投入量はどういうふうに変化したのか。

西川政府参考人 十三年度から独立行政法人になっておりますけれども、十二年度の当初予算におけます国費、これは運営費、施設整備費等の合計でございますが、これが五百九十九億円でございました。これが独立行政法人に移行した後の平成十三年度の当初予算における国費は、五百九十四億円ということになっております。

 ただ、研究につきましては、これとはほかに競争的資金とかプロジェクト研究、そういったものが別途ございますので、これが実際に独立行政法人が使った研究費ということにはならないということを申し上げておきます。

鮫島委員 今の最後のところがよくわからないんだけれども、競争的資金とか、何かいわゆるプロジェクト研究費的なものは、独立行政法人に研究委託がされれば、それは国費がそれだけ独立行政法人に入ったということで、今のは研究費も含めた総額ですか。

西川政府参考人 これは、当初予算として、いわゆる交付金的なものとして独立行政法人に渡したお金ということでございます。

鮫島委員 そうすると、その後、競争でかち取った研究費や何かを足せば、多分それは直轄機関のときよりは予算額はふえていると思いますが、まあ何のために民営化したのか、本当はよくわかりませんが、税金の投入量がふえるのが、小泉さんの民営化というのは全部そうですからしようがないんだけれども。ぜひ、技術開発部門としての責任をお感じになって、農学栄えて農業滅ぶというようなことがないようにしてもらいたいと思います。

 以上です。どうもありがとうございました。

山岡委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 きょうは三十分ほど時間をいただきまして、食料・農業・農村基本計画について質問をさせていただきたいと思います。

 この計画というのは、今後五年間あるいは十年間の農政の根幹をなすものでして、非常に大事なことだと思います。いろいろお伺いしたいことはあるんですが、きょうは自給率一点に絞りまして質問をさせていただきたいと思います。

 なぜかという理由、ちょっと長くなるんですが、申し述べさせていただきます。

 五年前にこの計画はできました。食料・農業・農村基本法というのができまして、新しい農政が始まるということで、全国の農民の期待は大きかったわけです。しかし、正直に申し上げまして、基本法というのは、非常に総花的になって立派な文章を書いてあるので、実際はどういうふうに動いていくのかというのは各法に任されるわけですけれども、そんな中に一つきちんとしたのがあったのが、この基本計画じゃなかったかと思います。その基本計画の中でも皆が関心を持ったのは自給率、そして、自給率の目標をどう設定するかというのがいろいろ議論されました。

 そのときに、農林水産委員会とか国会議員の皆さん方もいろいろ苦労されたんですが、農林水産省の中で大変御苦労された方がおられます。当時の直接の担当だった城総務審議官です。省内の調整あるいは党内の調整、いろいろ、皆やっておられたはずです。まさに粉骨砕身された。そして、途中で亡くなられました。島村大臣が一回目の大臣をやっておられたときの秘書課長ですので、島村大臣もよくその人となり等は覚えておられると思います。

 私は、城さんとは非常に、途中からなんですが、ウマが合いました。あちらからそういう話をしてこられたわけですけれども、今、副大臣、ちょっと小声で言っておられるのも聞こえましたけれども、琵琶湖の西岸の生まれ育ちです。農家の長男でございます。私も長野県の農家の生まれでございます。そんなに農林水産省にも多くありませんでして、そういったことから、農村の現場と農政の乖離については意見が非常に一致しまして、いろいろ話をしたことがございます。

 その城総務審議官が心血を注いでつくり上げた四五%という目標、私は話したことがあります。これは過大な目標ではないかと悩んでおられました。しかし、そんなことはないと私は励ましました。政策がきちんとすれば、裏づければ幾らでもできる、例はヨーロッパにもある、イギリスは五〇%近くにまで自給率が下がったけれども、ECに入り、そしてEUの農業政策のもと、一〇〇%自給も達成している、日本もやればできるんですよと言ったことを、ついきのうのように覚えております。

 しかし、その自給率、五年間、一%も上がらなかった。これはどこに問題があるのかと。十年間で五%ですから、後半ふえるとかいうのがあっても二・五%は上がっていなければならないはずです。しかし、そういったことにはなっておりません。

 これはよく見ますと、国際的には食料安全保障というのをずっとウルグアイ・ラウンドのころ言ってまいりました。フーズセキュリティーという言葉が、OECDの閣僚理事会のコミュニケとか、それからサミットの宣言文のところに入っているかいないかというのは、その当時、日本の一番大事なこだわった点でございます。そこまでやってきたんですが、そして、自給率を高めると。しかし、実際の政策として一体何をやってきたのかと。

 これはよく考えていただきたいのですが、WTOが始まったころは、多面的機能、多面的機能というのをさんざん言っていました。今も言っています。しかし、その機能を発揮させるために一体どれだけの政策支援をしているかというのは、これはいつも国際的に主張していること、あるいは国内的でもいいんですが、主張していることと政策がマッチしないところが多いんですね、我が国の農林水産行政においては。

 それで、二〇〇〇年の基本計画、これに盛られたいろいろな事項、自給率を上げるために一体どのような政策を講じてこられたのか、お伺いいたします。

岩永副大臣 私も農水大臣政務官のときに城総務審議官の話を皆さん方から聞きまして、本当に基本計画を心血注いでおつくりになられて、そして、できるや否や亡くなられた。すぐさま仏壇にお参りに行って、そして同じ同郷の人間として精いっぱいあなたのつくられた基本計画の達成に向けて頑張る、こういうことでお誓いをしてきた者の一人でございます。

 今先生の御質問で、自給率向上の目標を達成するためにどのような施策を講じてきたかということでございますが、御承知のとおり、自給率は国内生産のみならず、やはり国民の食料消費のあり方に左右されるところが多うございます。

 それで、消費面とそれから生産面であるわけでございますが、消費面で努力してきたのは、食生活指針の理解と実践の促進を図りつつ、適正な栄養バランスの実現や、食べ残しだとか廃棄の減少など、食生活の見直しを含む、いわゆる食育というものの推進に向けた国民的な運動を展開してまいりました。

 特に生産面では、麦と大豆、飼料作物の本格的な生産に向けて、優良農地の確保と流動化の促進、そして、生産基盤の整備等を通じた生産性の向上、技術の開発普及、それから、消費者や食品加工業者のニーズに即した生産の推進をやってまいりました。

 いろいろと反省点はございます。しかしながら、頑張ってやってきたわけでございますが、特にやはり消費面の落ち込みというのは大変厳しいものがあった、このように思っております。今後新たな自給率に向けては、重点的に取り組むべき事項を明確にして、きちっと検証と課題を設けて着実に推進していきたいというようなことで、関係者と一体になって取り組んでまいりたい、このように思う次第でございます。

篠原委員 岩永副大臣も仏前にお参りされたということですけれども、私も二度ほど伺っております。

 余計なことかもしれませんけれども、一つは、農林水産政策研究所への改革というのをやっておったんですが、私が言うのは、大体農林水産省の皆さんはお気づきにならずに、五年後、十年後に実現する政策が多いわけでございまして、これもそうだったんですが、城さんが総務審議官でして、この政策研究所の樹立というか、それで研究所と行政が行ったり来たりするといった構想、そういったものをすべてわかっていただきまして、強烈に官房筋からバックアップしていただきました。ですから、一度はそれが成功したということで参りまして、二度目はまさに副大臣と同じです。私、偶然国会に籍を置くようになりました。それで城さんに御報告に伺いました。そのときに仏前に誓ったのが、城さんが命を落とされてまでやった自給率の向上です。農政の改革のときのこれを、私は政治家として引き継いでやりますということを誓ってまいりました。

 それで、大臣にお伺いしたいわけですけれども、これは非常に政治マターとしてなかなか難しいというのはよくわかるんです。ですけれども、例は挙げるのはやめましょう。しかし、これは強烈な政治の力でやっていかなければいけないんだろうと思います。

 島村大臣、大臣の立場で、今副大臣からは非常に細かい答弁をいただきましたけれども、大臣の立場から、一%も上がらなかった原因をどのように考えられるか。そして、今後、自給率の向上のためには、この基本計画を離れてで結構です、大臣の所見として、上がらなかった原因は何なのか、それから、今後どこをどうつっついていったらいいのかという見解をお伺いしたいと思います。

島村国務大臣 お答え申し上げます。

 食料自給率の向上を期するとなれば、当然のことに、消費者、生産者、食品産業事業者などの関係者が一体となってそれぞれの課題に取り組むことが不可欠であります。

 前回、自給率目標を四五%に置きまして、それが達成できず、四〇%の状態にとどまっている理由は、御承知のように、米の消費量を、平成九年度の六十六・七キログラム、これを参考に、平成二十二年度で六十六キログラムを想定したところが、現実には六十一・九キログラムにとどまり、四・八キログラムの減少に終わった。その一方で、飼料や原料の多くを輸入に依存しております畜産物や油脂の消費が増加し、また農業生産量も総じて減少した、そういうような事々が重なりました。

 このように、消費、生産両面で当初見込んだ姿とは異なっておるわけでございますが、それらの反省に立って新たな基本計画をおつくりいただいたということでございます。

篠原委員 今後の取り組みについてもお伺いしたのですが。

島村国務大臣 新たな自給率の達成に向けまして、これまでの取り組みを検証した上で、新たに重点的に取り組むことはただいま申し上げたとおりでありますが、具体的には、生産面では、担い手への農地の利用集積を進めて集落営農を育成してまいります。また、需要に即した生産を推進するほか、担い手を育成するために施策を集中化、重点化してまいります。

 一方、消費面では、食育を進めるためにフードガイドなどを策定するほか、地域の農業者と消費者を結びつける地産地消などを推進してまいります。

 また、施策の工程管理を適切に実施いたしまして、自給率向上の取り組みが迅速かつ着実に実施されているかどうか、関係者と一体となって、これをきちんと工程の管理をしていきたい、こう考えているところであります。

篠原委員 今答弁を聞かせていただきましたけれども、新聞紙上では攻めの農政とか元気の出る農政とかいう言葉が躍っていますけれども、城さんが夢に描かれたような意欲的な部分は引き継がれていないのではないかと僕は思います。

 皆様方のお手元に資料をお配りしてあるかと思います。それの二枚目の大きな表ですね。「供給熱量の構成の変化と、品目別カロリー自給率」、これを見ていただきたいのですが、これを、約四十年前と今とを比べてみますと、いろいろなことがわかるわけです。どこが変わったかと。

 大臣の答弁の中にもありましたとおり、米の消費量が減っているというのは、これはパイが減っているというのはわかります。ですけれども、これはほぼ一〇〇%自給していると。では、どこのところがもっと白くなったか、つまり外国に頼ったかというと、やはりここのところを見ますと、小麦と油脂じゃないでしょうか。だれが見ても、これは小学校一年生じゃわからないかもしれませんけれども、小学校の上級学年になったら、どこをどういうふうにしたら日本の自給率が上がるかということがわかるんじゃないかと思います。いろいろな観点からも言えるわけですけれども、私は、小麦の復活というのが一番自給率の向上に手っ取り早いと思いますが、いかがでしょうか。

大口大臣政務官 まず、麦というものについては、これはやはり食料自給率の向上にとって重要な作物である、こういう認識に立っております。そして、農林水産省といたしましては、麦の生産条件を改善するために、汎用化水田の整備、新品種や栽培技術の開発普及、また麦作農業者の経営安定対策などの施策を積極的に講じてきたところであります。

 また、その結果、小麦につきましては、平成二十二年度を目標年次とする前基本計画の目標を超える水準まで生産が拡大したわけでございます。しかし、需用者が希望する品質や安定供給にこたえられていない、また生産性の向上がおくれている、こういうことで、依然その生産構造が脆弱であり、当面はこれらの課題に対処することが先決である、こういうふうに考えております。

 このため、新しい基本計画では、小麦の生産努力目標については、近年の最大生産量としているところでございます。今後、さらに、品質、生産性の向上に向け、実需者ニーズに即した計画的な生産、担い手の規模拡大によるコストの削減等の産地改革を支援することとしております。

篠原委員 今、大口政務官がお答えになったとおりの延長線上で考えれば、とても八十六万トン、現在八十六万トンで十年後も八十六万トンなどということはできないと思うんですが、今、なぜ、そこまでわかっておられるのに、そういうことをしないのかということですね。

 乾田化が進んだ、汎用田化が進んだわけですよ。基盤整備にどれだけ資金を投入しているかしれません。今まで湿地でできなかったところに麦ができるようになったわけです。関東平野以西はみんな麦をつくって、麦の刈り取りをしてから田植えをしていたんです。全部二毛作だったんです。それをやめたわけですね。

 麦だと、大豆とかもあるんですが、コンバインだとか乾燥機が米のものと汎用性があって、これも汎用性があって同じものが使えるわけです。だから、麦が一番手っ取り早いわけです。農地が限られている、六百九万ヘクタールほどあったのが、今は四百七十万ヘクタールぐらいになっている、それだったら、二回使った方がいい。耕地利用率が九四%に下がってしまった、それをかつてと同じような耕地利用率一三四%に上げるには、冬あいている田んぼを使う、その方が後々の米の生産にもいいんです。そういったことから、私は麦が一番手っ取り早いと思います。

 先ほどミスマッチというのがありました。実需者が必要としているものじゃないんだということでありましたけれども、しかし、それもちょっとおかしいんですね。消費者は望んでいるんです。生活クラブ生協というところで、妻が入っているわけですけれども、そこは国産小麦しか扱いません。絶対、外国小麦は扱わない。毎年途中で打ち切りです。ないんです。どうしてそうなるかというと、皆さん、考えていただくとすぐおわかりいただけるんです。米だと産直とかいって、結構、産地と消費地が直結したりしているんです。もちろん、ミスマッチはあるかと思います。

 麦の場合は、政府がかかわらないと難しいところがあるんです。なぜかというと、製粉メーカーが間に入るんです。粉にしないとならないわけです。ですから、需要拡大というのは非常に大事になってくるわけです。

 国産麦の需要拡大のために、一体、農林水産省はどのようなことに取り組んでこられたのでしょうか。

大口大臣政務官 国内産麦の需要拡大に当たっては、もう先生も御案内のように、平成十七年度から、地産地消を初め、産地の創意工夫ある取り組みに対し新たに支援をすることとしております。

 具体的には、地元産麦を使用したパン、めん、それから麦御飯などによる学校給食の普及、また地域の生産者、実需者が一体となった麦加工品の開発などを推進してまいります。

 また、国内産麦の有力な引き受け手を確保するため、これまでも中小製粉企業が国内産業を活用して、新商品、新技術の開発などに取り組む場合、金融、税制上の支援措置を講じているところであります。今後とも、このような支援を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。

篠原委員 次のページの表を見てください、「小麦の用途別需要量」というのを。

 六百三十二万トンあります。先ほどからありますように、国産が八十六万トンです。どういったところに国産が使われているか、どういったところに、外国から輸入した、アメリカ、オーストラリア、カナダですけれども、使われているか。パン用はわずか一万トン、一%しか使われておりません。

 きのう、鹿野委員が指摘されておりました、麦をつくっても製粉工場がないと。製粉工場の図はその次のページにございます。それを見ていただきたいんですが、麦については、本当に農政がめちゃくちゃだったわけですね。麦のことをほとんど考えていなかった。私は、いつか物を書いたときに、猫の目農政の犠牲になったのが麦だということを申し上げましたら、専門家の同僚が、違う、篠原、それは違うんだ、麦については行政が全くなかったんだ、米に翻弄されていただけだと言われました。

 私は、全国に友達というか知っている農家がいっぱいいます。この前の食料・農業・農村基本計画で、自給率を五%アップする、そう言って、麦をつくるんだと。麦と大豆と飼料作物、各県にまで計画をつくらせました。そして、目標を立てて。ですから、先ほどの答弁の中にありましたように、二年後に十年後の目標は達成してしまったんです、麦は。お金をつぎ込めばできるという証拠じゃないかと思うんです。

 そのときに、全国から手紙も来ました、電話も来ました。篠原さん、本当にこれで農林水産省は麦をちゃんとつくっていいと、今度こそ本当ですねと。なぜそういうことを言ってきたかというと、今までに、麦をつくれと言って、要らない、つくれと言って、要らない、これを繰り返してきたわけです。ですから、生産者は、一体どうなのかと。それで、製粉メーカーはもっと目ざといですから、製粉工場、瞬く間になくなって、すべて臨海地に立地するようなものばかりになってきたわけです。

 ですから、どこを押さえれば需要が拡大するかというと、間ですよ。臨海地にばかりあった製粉工場を内陸にもつくるというようなことをプッシュすればいいんじゃないかと思います。北海道を見てください、道東というのを。北海道の東側、北海道の議員の方、おられますかね。東側は米はつくれません、小麦の産地です。ところが、ほとんどないと。

 それで、先ほど地産地消とおっしゃいました。私は、帯広に行って地産地消の話を講演でしたことがあります。そうしたら、質問をされました。大豆もキャベツも芋も何でも食べているけれども、生まれてからこの方、自分でつくった小麦を一度も食べたことがないと。どうしてそうなるかというと、本州に来ちゃったり、きのう鹿野委員が御指摘になったとおり、江別にまで行ってしまって戻ってこないわけです。

 こういったところをちょっと押さえて、なぜかというと、精米は今コインでできるようになっています。ところが、製粉というのは、粉にするには設備投資がかかるんです。しかし、メーカーは、なぜそれに乗り出せないかというと、また麦なんて要らないと言われてしまうのではないかという危惧があるからです。一定した政策が必要なんです。それをちゃんと中小の製粉メーカーにも伝えるということがいかに大事かということ、こういったことをやっていただければいいんじゃないかと思います。需要は確実にあるんです。

 ですから、今、学校給食について、論理的に考えるべきです。

 きらら三九七、そんなにうまくないなんて言っちゃ悪いかもしれません。それで北海道は、週三回、米飯給食をしている。そうしたら、道東の人たちは週二回のパン給食を北海道の小麦でなぜしないんだと言っていいはずなんです。そして、それをバックアップすべきなんです。

 別にけちをつけるわけじゃないです。高い米、米粉、これはもともと高いものを、粉にしたらまた金がかかって、それで米でパンなんというのはどだいおかしいんです。そっちじゃなくて、麦も、まま子扱いせずにちゃんと嫡出子として扱っていただかないと困るわけです。それを、先ほど申し上げましたように、米の邪魔者みたいに、今せっかくふえてきたら、再び邪魔者扱いし始めているのが現実じゃないかと思います。

 しかし、一生懸命やっているところもあるわけです。先ほど鮫島委員が質問されました。技術会議、技術陣は麦を何とかしなければということで、真剣に取り組んできたはずです。小麦の品種改良もかなり進んだんじゃないでしょうか。

西川政府参考人 麦の品種開発でございます。

 特に小麦について申し上げますと、これにつきましては、平成十年に「新たな麦政策大綱」ができまして、それを踏まえまして、日本めん用としては、色相、製粉性を一層重視するとともに、わせ性、穂発芽耐性、赤カビ病抵抗性を有する品種を開発しよう、パン用など特色ある麦品種を開発しようといったことで取り組んできております。

 その結果、これまでに、日本めん用では、わせで、めんの食感がすぐれ、製めん適性にすぐれる、これは関東中心になりますが、「あやひかり」。早まきにより一週間のわせ化が可能で、めんの食感がすぐれる「イワイノダイチ」、これは九州中心に、東海地方でもできますけれども、西日本の品種。耐倒伏性にすぐれ、めん色、食感がすぐれる「ふくさやか」、これは近畿中心になろうかと思います。そういった十品種ぐらいつくっております。

 また、パン用では、これは最近の成果でございますけれども、北海道向けでは、春まきの「はるひので」に加えまして、秋まきで製パン性にすぐれる「キタノカオリ」、関東以西向けでは、「ニシノカオリ」、「ミナミノカオリ」ということで、七品種をこれまで育成しているところでございまして、現在、作付面積もこれらの品種がちょうどふえ始めている、そういう状況にございます。

篠原委員 品種改良も着実に進んでいるんですね。

 私が聞いているのでは、例えば、「ニシノカオリ」というのを佐賀県で佐賀市長が一生懸命、そこでできた小麦でもってパン給食をしようというのを取り組んでいます。それから、毎日新聞がやっております地方自治大賞というのを、ことしの大賞は今治市が、地元の小麦でつくったパン、もちろん有機野菜とかいうのも、もう地元産、地産地消を地でいっているわけですけれども、米とか野菜だったら幾らでもやっているところがあるわけですけれども、パンにもやっているということで大臣賞をもらっているはずです。このように、やろうと思えばできるわけです。

 そして、一番最初のページの資料を見ていただきたいんです、「生産努力目標の比較」というのを。これは、こういう表がなかったので農林水産省に要請いたしましてつくってもらいました、基準年の平成九年、一番直近の十五年がどうか、二十二年の目標値がどうかというのを。

 上から二段目の小麦のところを見てください。基準年は五十七万トンだったのに、先ほど申し上げましたように、一生懸命やったので八十六万トンになりました。ですから、二十二年の目標値を超えているわけです。それを、今後十年、八十六万トンで全く変えないという。同じだと。意欲の一かけらも感じられないんじゃないかと思うんです。小麦農家はがっくりしています。

 明らかに小麦と大豆なんです、自給率を高めるのは。一体なぜそんなふうになるのかというのを、まじめに検討されたのかどうかということを私は疑うわけです。この点についてはいかがでしょうか。

大口大臣政務官 先ほども申し上げましたように、国産小麦は、実需者が求める品質や生産性の向上の要請にこたえていない状況にあります。そういうことで、平成二十七年を目指して、日本めん用を中心に、国産小麦の需要を将来にわたって安定確保していく、そしてまた、パン用あるいは中華めん、この割合も一割ぐらいにしていく、ですから、日本めん用の方は五十万トン、六割ぐらい、そしてまた、パン用、中華めんの方は一割、九万トンぐらいを今後目指していくという形で、そういう形で、生産量だけが拡大したならば、現行の需給のミスマッチがさらに拡大する、将来に向けた安定的な需要の確保も難しくなる、そういうおそれがあります。

 したがって、新しい基本計画では、小麦の生産努力目標については、近年の最大生産量としているところであります。今後さらに、品質、生産性向上に向けた産地改革の支援に重点的に取り組むことにしております。

篠原委員 政務官は近年の最大生産量というふうなお答えでした。

 それでは、「民主党農林漁業再生プラン」という表を、後ろから二ページ目のところを見ていただきたいんです。

 同じように考えました。近年という最近だけじゃなくて、最近何十年、戦後、過去最大で小麦を一体どのぐらいつくったか。――済みません。この表は小麦と書いてありますが、右側を見ていただくとわかるんですが、小麦は正確じゃないんです。四百万トンと書いてありますけれども、小麦で代表していますけれども、全体の麦です。小麦だけだと百七十八万トンです。

 一九五二年だったと思います。過去の最大生産量、我々は農業再生プランで、政権をとったならば、十年以内に一〇%自給率をアップするというプランを出しました。鹿野ネクストキャビネット大臣のもと、これを検討したわけですけれども。過去の最高生産量を復活すると、麦でもって八%、大豆でもって一%、菜種でもって〇・九%といった形で、一〇%もアップするというプランを立てたわけです。同じ考えですよ。こうやってやればできると思います。

 なぜ過去の最大生産量と言ったかというと、潜在能力としてある、それは八十六万トンとしての能力があるというのと同じです。それをもっと過去にさかのぼってあるんだ、それを復活しようということでやったわけです。

 今、時間を五分ほどいただきましたので、ちょっと続けさせていただきますけれども、自給率、今小麦が一番だと言いましたけれども、もう一つ、本当に自給のことを考えて、穀物自給率というのがあります。しかし、油糧種子の自給率というのも大変なんですね。これについてはどのように考えておられますでしょうか、油脂の自給率の低さというものについて。副大臣、お答えいただきたいと思います。

岩永副大臣 先生のおっしゃるとおり、大豆と菜種の消費が、油として五四%なのに、国産生産がカロリーベースでわずか四%でございますので、大変油脂の自給率は低水準にございます。

 それで、この油脂生産に必要な大豆及び菜種を国内で賄うために大変広大な土地を必要とするのと、もう一つ、私も調べたら、梅雨に収穫になると、そして穂発の時期に当たると、油分が低下して、酸化がふえて、食べるときにその酸化の部分だけを除かなきゃならぬというような、その収穫の時期に関係する問題点が菜種だとか大豆にあるというようなことでございます。

 だから、これは安定的な輸入をしながら、生産については努力はしていくけれども、そのネックをどう超えていくかというのは大変これからの大きな課題ではないか、このように思っております。

篠原委員 副大臣の地元に藤井絢子さんという菜の花を復活しようというので頑張っておられる方がおりますが、ここにも菜の花議連の方、後藤田さんも入っておられます。メンバーだと思います。菜の花で景観を復活し、自給率を高める、それで遊休農地をなくすというのを。これは、やりよう。例えば、先ほど麦を申し上げましたけれども、菜種だってあり得るんですよね。こういったことをなぜもっと意欲的に取り組まないかと。

 それからもう一つ。それでは、最後に質問させていただきます。

 大臣、食品関係のところにいて、東京の方でして、消費者の立場の方がおわかりいただいていると思いますが。

 自給率をアップするののもう一つの妙案というかあれは、今、青果物についてはみんな原産地を書いていますよね。ですから、私の行くところのスーパーでは、中国産というのはもう安くても買わないというので、スーパーは露骨ですから、棚をやらないというのでニンニクぐらいしかなくなっています。同じのを加工食品にやったら、あるいは外食ででも、メニューにまで書かなくても、聞いたらわかるというのも、牛肉についてはもうしつこくやっているわけですから、同じことをほかの加工食品についてもやったりしたら、消費者は国産志向があるわけですから、国産のを使うようになって自給率はアップするわけですけれども、これについては今後真剣に取り組んでいかれるんでしょうか。

島村国務大臣 食の安全、安心というものを確保するためにも、原産地表示はできるだけ進めたいというのが基本的な考え方であります。

 ただ、問題は、一般の原料みたいなものはよろしいんですけれども、例えば加工食品などになりますと、カップめんなんかいい例ですが、いろいろな材料を使っていて、それも一年間を通して同じものを使うのではないんだそうで、やはり季節的にそれぞれのものを利用していかざるを得ない。その都度、原産地表示を全部義務づけるということになると、少しく難しい問題があるようであります。

 例えば、ゆでたものとか乾燥したもので物を売るぐらいの加工品はよろしいのですが、いろいろなものを集めて全部使うとなると非常に難しいということを、私はその専門の業者の方々から伺ったことがあります。

 また同時に、原料の産地も時にはいろいろ変動するという面もあるようでありますから、原材料の原産地表示をすべてに義務づけるということは現実的に困難、いわば業者を必要以上に圧迫するというような事態もあるようなんで、製品によってやはり割り切らざるを得ないという面があるようです。

 また、消費者の関心とこれらの加工食品の特性を考え合わせて、平成十六年九月から、加工食品のうち、加工度が低く生鮮食品に近いものについて、横断的にその主な原料の原産地を表示の対象としたところでありまして、これらについては多少、すべてのものが該当しないということだけは御理解をいただきたいと思います。

篠原委員 時間オーバーして失礼いたしました。

 今大臣からお答えいただきました加工食品の表示とか、今申し上げました小麦とか菜種とか、やりようは幾らでもあるわけです。やはり農業は、十年後必ずや未来産業になっていると私は思います。ですから、夢と希望をちゃんと与えるべく、その根幹になるのは、私は、自給率を上げるんだということ、このサインというのは非常に大事なんで、真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 以上、質問を終わります。超過いたしまして、どうも失礼いたしました。

山岡委員長 次に、山田正彦君。

山田委員 大臣にお聞きしたいんですが、けさの新聞に載っておりますけれども、きのうの午後、外食産業と牛丼ファンが百十九万人の署名を集めて、大臣のところに行って要請したと。その中で、要請文の中に、特定危険部位を除去した生後三十カ月以下の牛を解禁すべきだ、いわゆる全面解禁を訴えられたということは事実かどうか。きのうの午後の話。大臣。

島村国務大臣 まことに申しわけございません。ちょっと聞こえなかったので、もう一度御質問願います。

山田委員 けさの新聞に載っておるんだけれども、大臣のところに、外食産業、牛丼ファン等の人が百十九万人の署名を集めて、全面解禁、これを求めて来られた。その全面解禁の中身は、特定危険部位を除去した三十カ月齢以下のすべての牛をアメリカから輸入すべきだというその請願、これがなされたというのは事実かどうか、それだけ。

島村国務大臣 簡単に状況説明をしなきゃいけないんですが、実はきのう、面会のお約束は確かに事前にしておったんですが、官邸の会議が二つ重なって長引きましたので、行って署名簿を受け取って、それで、一言二言言われたのにさっと答えたというのが状況でございました。

山田委員 それで、そのときに、大臣、どういうふうにその請願にお答えになったか。ちゃんと私の方で記録がありますので、思い出して正確にお答えいただきたい。

島村国務大臣 慌ただしくて質問もよく聞き取れなかったんですが、少なくも私の発言は、米国産牛肉の輸入再開を求める百万人署名に対して、個別の課題というよりは早期輸入再開を要請されたという全体の趣旨を受けて、できるだけ努力をするという気持ちをお答えしたところであります。

 いずれにしても、米国産牛肉の輸入再開問題については、前から申し上げているように、科学的知見に基づき、食の安全、安心の確保を大前提に、消費者を初めとする関係者の理解を得ながら、手順を踏んで着実に進めていくことが重要で、あくまでレールの上をきちんと走らざるを得ないことを申し上げました。

山田委員 大臣、先ほど委員会で決議した、拙速な米国産輸入牛肉、これに対しては慎重であるべきだという決議をしたばかりなのに、大臣はすぐさま、きのうの午後には、皆さんのご期待に沿うように努力しますと言われた。今の答弁でも大体同じような話でしたから、それは間違いない。ということは、矛盾している、これは。しかし、きょうは時間がないので、これ以上大臣を追及するつもりはありませんので。

 次に、寺田委員長にお聞きしたい。

 実は委員長、二十八日にプリオン調査会の皆さんで、一応二十一カ月以上の検査を容認するという諮問に対する答申をまとめられたようです。しかし、このまとめられた答申について、大変努力なさったことは評価しますが、このまとめ方については、一部の委員の中にもいろいろ問題があったんじゃないか。

 例えば、私が聞いている限りでは、専門委員の先生、プリオン調査会、十二名いらっしゃるわけですが、その中には農業の経済学者もいれば統計の専門家もいる。本当のプリオンの専門家というのは、私は五、六人だと思っているんですが、その五、六人の先生方のほとんどは、今回二十一カ月以上の検査に緩和することに対しては消極的だった。それは委員長、間違いないと思いますか。

寺田参考人 プリオンの専門家が五人か六人ぐらいだとおっしゃるのは、確かに、残念ながら、まだ新しい病気でございますし、日本の中には専門家が少ないのは確かでございます。

 それから、その方々が消極的であったかということは、必ずしもそうじゃないと私は思っております。消極的な方もいらっしゃいました。

山田委員 私がいろいろ聞いている限り、及び全部公開でやっていますから、議事録等も一部読まさせていただきました。その限りにおいて、それでは、積極的に、では二十カ月齢以下でいいと言う人がいましたか。

寺田参考人 これは読まれたと思いますけれども、三月二十八日の報告書案に書いてありますとおり、その「結論」のとおりでございまして、これは公開でやっておりまして、そこでいろいろな議論ももちろんずっと出て、八回も議論をしたわけでございますが、二十一カ月以上のところに線引きを上げてもリスクは高まることは非常に少ない、定量的、定性的にもそうだということを皆さん合意したこの報告書になっております。

山田委員 委員長、それは違うんじゃないですか。この記録を、本当に議事録をよく読んでいただきたいと思うんですが、このプリオン調査会の専門委員会の議事録の中には、今回も、例えば、両論併記すべきだ、そういう意見があった。そして、実際、EUあたりの食品安全委員会では、両論併記もしくは三論併記という形で答申を出すということもあると聞いていますが、そういった中で、委員長自身も、これまでは、場合によっては併記という形もと言っておられた、委員会で。そして、この前の委員会で併記すべきであるという主張もあったし、それが「おわりに」、「結論」ではなくて「おわりに」という部分に、いわゆる食品健康影響評価を判断するための科学的知見など極めて限られていることから、月齢見直し、これは一連の対策の実効性が確認された後に行うのが合理的である、今やるべきではない、そういうプリオン専門家の意見もあった。

 であれば、EU並みに、場合によったら両論併記、そして後は行政機関にその判断を任せる、これが本来あるべき姿であったんじゃないですか。

寺田参考人 私も、全部プリオン専門調査会に出ておりますし、それから議事録も承知しておりますが、何度も繰り返しになりますけれども、「結論」と「おわりに」の構成及び記載の内容に関しましては、プリオン専門調査会におきまして、専門委員の合意のもとに取りまとめられたものでございます。

 それで、先生がおっしゃいますように、EUの話にしましても、実は、前もってEUのブラッドレーさんが私にそういうことを教えてくれたんですが、たまにはそういうことがあると。だから、そういうことも含めまして座長に申し上げた。だから、委員会全体として、専門調査会としてああいう形になったと。

 それからまた、この案に関しましては、今後、一カ月の、国民の皆さんからパブリックコメントを聞きまして、委員会で結論をして、諮問側に答申を返すということになると思います。

山田委員 もう一つだけ。

 食品安全委員会としては、既に昨年の十月の二十三日に日米間の牛肉再開についていわゆる基本的合意がなされて、そして、さらに月齢識別まで、いわゆるA40までは認められるとかという、そういう合意がなされておって、しかも、町村外務大臣とか農水大臣の非常識発言、全頭検査は非常識だ、そういった発言もあって、こういう圧力が全くかけられていなかったのか。

 また、前回、中間とりまとめのときに私がこの委員会でも指摘しましたが、まさに二十という数字を吉川座長はその前々日までは出さないと言いながら、実際にはその中間とりまとめで出てしまった。そういういろいろな形での圧力、これは、客観的に見たら十分考えられると思っているが、それについて、あったかなかったか、その一言だけでいいから、それだけ答えてください。

寺田参考人 少なくとも私に関しては全くございませんでした。

山田委員 寺田委員長は学者であって、なかなか政治家でもあって、それはそれで、そういう判断で結構ではありますが。

 委員長、もう一つお聞きしたい。

 いわゆる飼料規制についてですが、牛肉の安全にとって飼料規制も検査と同じように大事であるかどうか。SRM除去、いわゆる屠殺の方法、ピッシングとか、それと飼料規制、それも同じレベルで大事なのかどうか、それだけお答え願いたい。

寺田参考人 おっしゃるとおりでございまして、危険部位の除去、飼料規制、極めて大事だと思います。

山田委員 それと、検査も同じように大事であると。

寺田参考人 検査も、今の検査方法の感度の範囲内で非常に大事だと思いますが、検査をなしということは考えられないと思います。

山田委員 同じように大事であると考えていいかどうか。はいかノーかで答えてほしい。

寺田参考人 ある検査ができる範囲内においては非常に大事だと思います。

山田委員 同じようにと言っていいのかどうか。

寺田参考人 同じようにというのは、どういうあれかちょっとよくわからないんですが、すべてゼロ歳から同じようにということでございますか。

山田委員 いやいや、検査じゃなくて、いいですか、よく聞いていただきたいんですが、いわゆる飼料規制、検査、それから危険部位の除去、そしてもう一つ、屠殺方法、この四つは同じレベルでやはり牛肉の安全にとって大事であるかどうかということで、イエスかノーか答えていただきたい。

寺田参考人 失礼いたしました。

 そのとおりでございます。重要です。

山田委員 結構です。

 それでは、皆さんにお配りした資料をちょっと見ていただきたいんですが、資料の中に、資料一―二、これは英文ですが、それを訳したもの、「米国会計検査院報告書の概要」というのがあります。先ほど鮫島委員が質問した中で飼料検査についてずさんだったことを言われていますが、その中に、いいですか、国内流通時に課されているその他反すう動物への給与禁止の飼料表示義務が、輸出用飼料には課されていないとあります。いわゆる輸出用飼料。そして、プリオン調査会の最終、「おわりに」のところにありますが、やはり輸入配合飼料の影響は不明であると。

 今回、肉骨粉を使っていないBSE牛が出たということで問題になっていますが、これは、いわゆる表示されていない肉骨粉がアメリカから輸入で入ってきて、それが依然として使われている可能性があるということ。

 私も、BSEの調査団長で、民主党はアメリカに行ってきましたが、いまだに牛の肉骨粉がアメリカの東沿岸の乳牛農家に使われている。しかも、牛の肉骨粉については、この会計検査院の表示にもありますように、単に、牛に使ってはいけない、そう言われておって、それだけで、豚や鶏にはもちろんですが、牛に使われておっても、アメリカのUSDAは警告すら発していない、事実上野放しである、そういう状態の中で今行われているわけです。

 大臣、大臣は前回、私の質問に対して大変大事な発言をされた。二月二十四日の私の質問に。大臣は覚えておられるかどうか。いいですか、大臣は私の質問に対してこう答えたんです。「飼料規制については、BSEの病原体が牛から牛へ伝播することを防止するための措置であって、牛肉そのものの安全性を直接確保するものではない、このため、米国産牛肉の輸入再開の条件として飼料規制までは求めていない」と言った。大臣、今でも間違いないですか。

島村国務大臣 間違いありません。

山田委員 大臣、今、食品安全委員会の委員長が、飼料規制も検査も、そしてSRMの除去も、そして屠殺方法も同じ程度に牛肉の安全にとって大事だと答えた。これをどう思われるか、大臣。

島村国務大臣 先般もお答えしたことでありますが、飼料規制は、BSE病原体の牛から牛への伝播を防止し、牛のBSE感染リスクを減少させるためのものでありまして、牛肉そのものの安全性を直接確保するものではありません。したがって、米国産牛肉の輸入再開の条件としては、我が国と同等の飼料規制までは求めないとしていることであります。

 いずれにいたしましても、米国産牛肉の輸入再開条件については、こうした点も含めて食品安全委員会に改めて諮問し、その答申を踏まえて輸入条件を決定することとしております。

山田委員 大臣は、今は輸入再開の条件として飼料規制は求めない、そうはっきり答えられたんですよ。食品安全委員会の委員長は、飼料規制も検査も屠畜方法も同じように大事である、そう言われた。

 大臣、いいですか、実際に輸入再開するときには、大臣としては、アメリカの飼料規制がどうであれ構わない、どうなっていても構わないと今言われたんですよ。

 もう一度お聞きする。そうすれば、アメリカの飼料規制がどういう形になろうと、今のままであっても、輸入再開してもいいと、大臣、もう一回、確信を持って言えるかどうか。

島村国務大臣 繰り返しになりますが、この部分について、米国産牛肉の輸入再開の条件としては、我が国と同等の飼料規制までは求めないこととしているところであります。問題は、いずれにいたしましても、ここはよく聞いていただきたい。米国産牛肉の輸入再開条件については、こうした点も踏まえて、食品安全委員会に改めて諮問し、その答申を踏まえて輸入条件を決定することとしております。

山田委員 ということであれば、二月二十四日に私に答えた、輸入再開の条件として飼料規制は求めていないというのは間違いであった、そう今言えるかどうか。

島村国務大臣 もう一度繰り返しますが、いずれにしても、米国産牛肉の輸入再開条件については、こうした点も踏まえてですね、食品安全委員会、まさに専門の皆さんに改めて諮問し、その答申を踏まえて輸入条件を決定するということですから、その諮問した結果において、これにはこういう問題があるという御指摘を受ければ、私どもは当然それに従うのは常識だと思いますが、少なくもこの時点においての我々の考えはそこにあった、こういうことです。

山田委員 非常に矛盾している答弁だとは思うけれども、時間がもったいないから次の質問に移りたいと思います。

 きょう、外務省に来ていただいているんですが、外務省にお聞きしたい。

 ライス長官が来たときに、いろいろ言われていますが、ライス長官は、実際には、いわゆる牛肉の再開時期について、いつまでに再開してくれということは一切言わなかったんじゃないのかどうか。

逢沢副大臣 先般、ライス国務長官、国務長官として初めて来日をされまして、小泉総理、また町村外務大臣とそれぞれ会談を行いました。日米間にまたがる問題、また国際の問題、幅広く議論した中に、今山田先生御指摘の輸入牛肉再開の問題について当然議論になったわけでございます。

 アメリカ側は、一刻も早い輸入の再開を実現をしてほしい、そういった立場にあるわけでありますが、総理からも、また町村大臣からも、この問題については科学的知見に基づいて適切に処理をされなくてはならない、事は食の安全、国民の健康に直接かかわることであるという旨を、これは累次答弁をさせていただいたわけであります。

山田委員 私が聞いているのは、そういう点じゃない。よく聞いていただきたい。その作文を読まずに、自分のその耳で聞いて、自分の言葉で答えていただきたいと思います。

 私が聞いているのは、ライス長官は時期を明示してくれと言わなかったんじゃないかと聞いただけなんです。まあそれは結構です。

 次に、私が聞きたいのは、いいですか、アメリカから、ブッシュ・小泉会談でもってかなり厳しくその再開時期を求めて、早く再開しろと言われている。そんな中で、外務省は、日本の利益、国益を考えて、例えばアメリカ、アメリカにおいて、私も調査に行ったのでよくわかっているんですが、全米食品検査官合同会議の会長ペインターさん、ペインターさんそのものが、アメリカの肉の中にSRMは入っている、そして実際に、三十カ月齢以下かその下かということの識別は現実になされていないじゃないかという指摘をしているんですよ。しかも、議会の会計検査院においては、飼料規制が全くなされていないと。全くとは言いませんが、ルーズであるという指摘がはっきり書面でなされているわけです。

 そうであれば、そういった形で、アメリカとしては、非常にBSE対策は不十分じゃないかと。そんなことで、日本にとっては食の安全の立場から、輸入再開とは、なかなか日本国にそういうことを説得できないという抗議を、アメリカの国務省あるいは農務省あたりに対して、外務省として一回なりともそういう抗議をしたことがあるのかないのか。あるないで答えていただければありがたい。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 累次アメリカ側とは話をさせていただいておりますが、念のために申し上げさせていただきますと、この米国産牛肉の輸入再開問題につきましては、引き続きまして、我が国国民の食の安全の確保を大前提に、科学的知見に基づいて適切に解決が図られるよう、外務省として関係省庁と緊密に相談して、アメリカ側に申し述べていくつもりでございますし、これまでもそのように言ってあります。

山田委員 私がきょう外務省を呼んでわざわざ聞いたのは、今言ったように、日本側の主張、アメリカが飼料規制もずさんであり、しかも、BSEの検査そのもの、ペインター会長の言っているような、屠場でのそういったSRMの除去そのものも不十分であるということ、そういったことに、日本側がそういう指摘をアメリカにしたことがあるのかないのかと。あるないで答えていただきたいと言っているんですよ。はっきり答えていただきたい。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 累次の協議におきまして、日本側が疑問に思っていることは、これは外務省と関係省庁と常に一緒に協議に当たらせていただいておるわけでございますが、それぞれ質問を提起する等、適切に対処させていただきたい次第でございます。

山田委員 私の質問にちっとも答えてくれない。ないのかあるのかと、それだけでいい。もうこれ以上は聞かない。しかし、外務省は責任をとっていただきたい。

逢沢副大臣 経済局長から答弁をさせていただきました。もちろん、外交の衝に当たらせていただいておりますのは一義的に外務省でございますが、この問題等につきましては、当然のことながら、農林水産省あるいは厚生労働省、関係する省庁と緊密に連携をとり、日本政府の立場としては、もちろん、事は食の安全、国民の健康に直接かかわることである。したがって、政府全体の方針として、科学的知見に基づき、日本の手続に従って適切に措置をするということについて、アメリカ側にそのことを伝えているわけであります。

山田委員 答弁になっていない。しかし、それらについてこれ以上言っても――ただ、はっきりしていることは、外務省は、農水省とか、国益、国の立場を考えて、我々の主張を向こう側に伝えていないなということだけは、私はどうもはっきりしたような気がいたします。

 これからは、ぜひ、そういった意味で、外務省であるならば、アメリカの言いなりではなく、我々の主張を、この委員会でも十分論議している、その主張を十分アメリカに伝えていただきたい。そうしなければ、アメリカでは四月早々にも、上院、下院は日本に対して経済制裁をする。一説によると、タイヤの輸入をやめるとか制限するとか、そういううわさすら流れております。

 そんな中で、もしもこの経済制裁をやったら、これはWTOの二十三条、ガットの一条違反である、明らかに。それについて、もし、そうなれば、当然、アメリカに抗議し、パネルに訴える用意があるかどうか。外務省、最後にそれだけ答えていただきたい。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 米国が一方的な形で報復措置をとることを予断してお答えすることは必ずしも適当ではないとも考えておりますが、一般に、WTO加盟国がWTO協定上与えられている利益の侵害を是正するために報復措置をとるとした場合には、WTOの紛争解決手続に従わなければなりません。

 すなわち、問題となっている措置がWTO協定違反であることをWTOのパネル審理等を通じ確定させた上で、それでも相手国が違反とされた措置を改善しない場合に、WTOからの承認を得て初めて対抗措置を発動できることになります。

 したがって、仮にアメリカがこうした手続に従わずに一方的に報復措置をとる場合には、WTO協定に違反することになります。

山田委員 僕は外務省に法解釈を聞いているわけじゃない。外務省は、そういうことに対してアメリカが経済制裁をしたら、当然、パネルに訴えるか訴えないかと聞いたわけだ。外務省はいかにもあいまいである。毅然とした態度を日本国の外務省としてとるべきである。

 これ以上聞いてものらりくらりと、外務省は我々の国益を守ってくれていないとしか思えない。

逢沢副大臣 WTOの協定の一般的な解釈については、今経済局長が答弁をいたしたとおりでございます。したがいまして、それに明らかに違反をする、抵触をするということがある場合には、我々は手続に従ってパネルに提訴をする、他の事案でも数多く、日米間でもこういったことを経験をいたしております。つけ加えておきたいと思います。

山田委員 ぜひひとつ逢沢副大臣、そういう形で日本国の利益を、今のお話のように、しかるべくきちんと、農水問題においてもBSE問題でも守っていただきたいと思います。

 次に質問を移らせていただきますが、豚肉の関税の問題をお聞きしたいと思います。

 実は私、この委員会でもう二回、三回、豚肉の関税の問題を取り上げてきたんですが、実は豚肉の場合には、関税制度がいわゆる差額関税、アメリカとかデンマークとかカナダから豚肉は入ってきていますが、私の資料二―一を見ていただきたい。五百二十四円より以下では入ってこないことになっている。ところが、実際には、資料二―二を見ていただきたい。これに私がマークをつけているように、三百二十五円とか四百七十八円とか四百十四円とか、そういった、五百二十四円より以下で入ってきている。

 これについて、今まで私が聞いてきた限りでは、例えば、ロースとか腕の部分、安いところと高いところと抱き合わせでコンテナで来るから、なかなかその捕捉が難しいという話だったと今まで聞いております。私もこの前、東京の検疫所まで行ってきた。豚肉を見てきた。ところが、豚肉においては、いわゆる腕の部分もロースの部分もそれぞれパッケージされていて、大きなそれぞれのコーナーに別々に置かれてある。であったら、安い腕も高いロースもそれぞれに課税させられるはずで、これが四百何十円で、三百何十円で流通しているということはおかしい。

 今までそういう課税の仕方をしなかった財務省、これは責任が大きいと思われるが、財務省、どう考えられるか、お聞きしたい。

倉田大臣政務官 お答え申し上げます。

 御承知のとおり、貨物を輸入しようとする者は輸入の申告をいたします。その輸入申告につきましては、部位ごとの箱詰めではなくて、輸出者と輸入者との間の取引契約とそれに基づく仕入れ書に基づいて行われる、こういうルールになっています。

 条文を申しますと、関税法の六十八条、仕入書というふうになっております。

山田委員 実際に、それでは、例えば腕なら腕、安いものも法律上は五百二十四円以下では入ってきていないのに、今の説明では一本として輸入申告がなされているからそれに従っているんだ、そういうふうに解釈するけれども、それではまさに、いわゆる法の網をくぐっていいかげんになされているんじゃないのかと。

 実際には、それぞれ腕とかあるいはロースとか別々に、個別に同じコンテナでも入ってきているわけだから、それは税関としては、当然個別に関税をかけるという措置をこれからはとらなければいけないんじゃないかと思うが、いかがですか。

倉田大臣政務官 先ほども申し上げましたとおり、仕入れ書に基づいて行うと。仕入れ書に基づいて行うということは、当事者の交わす契約に基づいて申告をしていただく、こういう制度になっておる、こういうことでございますけれども、実際が違えばこれはちゃんと取り締まりをしなければならない、そのように考えております。

山田委員 わかったような、わからないような感じですが、いずれにしても、ぜひひとつその辺はきちんとやってもらわなければ、差別関税にしている意味がない、これは。そこは今まで、財務省は少しいいかげんだったんじゃないか、私はそんな気がいたしますが、これからはきちんとやっていただきたいと思います。

 それからもう一点ですが、実はこの豚の問題は非常に根深いものがありまして、豚肉の関税というのは、私も何度も東京税関の人に来てもらったりしながら、あるいは業界の人からいろいろ話を聞いたりしながら調べてきたんです。

 例えば、デンマークで豚肉が今相場が仮に百八十円だとします。実際に国内ではそれが入ってきて、デンマークの大きなパッカーならパッカーから入ってくるとします。それを輸入商社が、三カ月に一回つぶれるような、そういういいかげんな商社が輸入して、転売に転売を重ねていっている。実際に非常に安く、例えば百八十円で入ってきているんだ。その間、実際の捜査をやっている方からもお話を聞いたんですが、十社とか十二社とか転売しながら、最後に大手のところに善意の第三者として買われていくと。

 考えてみると、例えば、五百二十四円のものが百八十円で実際入ってくるとしたら、三百四十四円というものが、本来関税として入るべきものが脱税されている。ということは、今輸入の豚だけで年間八十万トンからあるとすれば、大変な金額になる。

 そうすると、こういう一千億を超えるような脱税が毎年本当に行われているとしたら、ゆゆしきことになる。これについて、実際にその捜査は十全になされているかどうか、お聞きしたい。

倉田大臣政務官 おっしゃるような豚肉の差額関税制度を悪用した取引、こういうものが見受けられる、このことは十分に認識をしているつもりでございます。

 その上で、税関といたしましては、悪質事案に対処するため、海外における取引実態の調査とかあるいは取引関連市場の資料を徹底的に採取して分析をし、厳重な取り締まりに努めている、こういうところでございます。

山田委員 財務省としては、司法共助の道もあるわけですから、外国のメーカーの帳簿等を直接調べれば出てくるんじゃないか、私も弁護士なのでそう思うところもあるんですが、ひとつ厳格に調べていただいて、この脱税というか悪の差別関税制度を利用して、そして国内の生産者も困り、自給率が豚が急激に下がってきている事実から見れば、ぜひともひとつ大きく頑張っていただきたい、そう思っております。

 次に、肝心の食料・農業・農村基本計画の、いわゆる大臣が言っている、総理大臣が言っている強い農業、輸出型農業はいかに空虚なものであるかということをこれから話そうと思っておったんですが、時間がなくなってしまったので、これで終わります。

山岡委員長 次に、一川保夫君。

一川委員 久しぶりに農林水産委員会で質問をさせていただきます。いろいろな課題はたくさんございますけれども、私は、今回、森林管理の問題と、今回の基本計画に関する、特に地元の農家の皆さん方あるいは農業団体の方々が、それから市町村の皆さん方も、ややわかりづらい、理解できないみたいなところを中心に確認をしていきながら、本当にこれでいいのかという問題も提起していきたい、そのように思っております。

 今回こういった質問を行うに当たって、自分なりに地元の森林組合とか実際に山の管理を行っている森林の所有者の皆さん方、そういう方々ともいろいろとお聞きする機会もございまして、そういう地域の皆さん方、第一線で頑張っている方々の意向を踏まえて確認をしてまいりたいというふうに思っております。

 私自身も地元で小さな森林組合の役員の一員もしております。森林組合も、近年いろいろ合併を行いながら、その管理運営をできるだけ効率的に行うべく、それぞれ皆それなりの努力をされていると思いますが、そういう中で、最近常に出てくる議論の中で、森林組合なりあるいは森林を管理していこうという皆さん方なり、また森林に関心のある方々にとっては、地球温暖化防止対策という、最近のこの動きというのは、森林をこれから健全に管理していく上では、一つの流れとしては非常にいい方向でないかというふうに理解している人が多いと思うんです。では、具体的に現場でそういう施策が積極的に動いてきているかといったら、まだそこまで来ていないような気がいたします。

 そこでまず冒頭に、昨日、政府は、地球温暖化対策の推進本部ですか、が会合を持たれて、その削減計画なるものについてのいろいろな申し合わせがあったということが報道されておりました。農林水産大臣も出席されたんだろうと思いますが、こういう中にあって、森林という資源が二酸化炭素の吸収源として重要な役割を担っていかなければならないわけでございますが、地球温暖化防止対策という一つの流れと、我が国のこれからの森林管理ということについて、農林水産大臣としては基本的にどういうお考えを持っていますか、そのあたりをまずお聞かせ願いたい、そのように思います。

島村国務大臣 御高承のとおり、我が国は森林率六六%強の、非常に高い、森林に国土を占められる、そういう森林国でありますが、最近はその森林がかなり傷んでいる。これに対して、何としてもこれを健全化しなければいけない、ずっとこのところ真剣に取り組んでいるところであります。

 かてて加えて、森林は、地球温暖化を防止する上で重要な役割を果たしておりますが、特に京都議定書では我が国の温室効果ガス削減目標六%のうち森林による吸収量として三・九%分計上すると認めておるところであります。この吸収量を確保するために、農林水産省といたしましては、平成十四年に地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策を策定いたしまして、健全な森林の整備保全、緑の雇用対策など総合的な取り組みを進めてきたところであります。

 しかし、現状の森林整備水準で今後とも推移した場合、森林のCO2吸収量は二・六%程度と見込まれまして、目標とする三・九%の吸収量の達成は難しいと考えております。このため、一般財源はもとより、私どもが大きな期待を寄せておりました環境税などの安定的な財源の確保が必要と考えておりまして、その実現に向け、さらにこれから取り組まなきゃいけないという立場にあります。

一川委員 今大臣のお話の中にも、今のようなペースであれば非常に達成は難しいというような答弁があったと思うんですけれども、そこのところを、もうちょっと具体的に確認したいんです。

 今の森林整備にかけているいろいろな予算等のコストがございますけれども、この程度のような森林整備のやり方では、今の目標はどの程度の達成率で終わってしまうのか。あるいは、もう明らかに達成できないということであれば、もう少し具体的な、何か数字めいたものでちょっと説明していただければありがたいと思います。

前田政府参考人 先生から今お話がございましたけれども、実は京都議定書の中で三・九%、私どもは何とか森林吸収で達成していきたいというふうに思っているわけでございますが、京都議定書上の約束といたしまして、きちっと森林の必要な手入れ、保育等でございますが、そういったものがなされている森林、これの持っています二酸化炭素の吸収、これをカウントできる。したがいまして、放置されている森林の二酸化炭素の吸収、これも一部当然出てくるわけでありますが、それはカウントできないという約束になっているわけであります。

 そういったことで、実はその三・九%、これを達成していこうとしますと、例えば育成林、手をかけながら育てている、人工林等がそれに当たるわけでありますが、こういったものにつきまして約一千百六十万ヘクタール、これをきちっと間伐なり保育なりあるいは伐採、植栽、そういったことがなされないといけない、そういうことになるわけでありますが、現下の状況の水準でございますと、このままの状態で推移した場合、そのうちの一部しかでき得ないだろうと。それが現状レベルでいきますと、約六百四十万ヘクタールぐらいしかきちっとした間伐、保育がされていかない。そうしますと、今大臣が申し上げましたように二・六%程度の達成しか見込めない。そういうことで、私ども何とかこの残りの部分もきちっと手入れをしていきたい、そういう意味で必要な財源確保、これを何としてもお願いしていきたいというふうに思っているわけでございます。

一川委員 二・六%ぐらいしか達成できないという説明を聞きますと、非常にこれは大変なことだなというふうにも思います。

 そこで、財源的なものの手当て、昨年来政府の方でも検討された環境税という構想がございました。それもいろいろな課題、問題等があって実現はなかったわけですけれども、大臣の先ほどの答弁をお聞きしている限りでは、政府内で新たな環境税的なものを創設すべく努力していきたいというような趣旨だと思いますが。

 そこで、最近の動きとして、各都道府県で森林を管理、保全するためのそういった自主的な財源をつくっていこうということで、各都道府県の中で自主財源を目指して新たな税金を上乗せしたり、あるいは目的税的なものがあるのかもしれませんけれども、そういう都道府県の動きというのは最近高知県なり岡山県からスタートしていると思いますが、そういう現状というものがまずどの程度、どうなっているかということをお聞かせ願いたいのと、また、そういう各都道府県の独自の動きに対して、政府としてはそういうことを奨励していくのか。そのあたり、都道府県のそのような動きに対して、政府としてどういう考え方を持っているかというところをまずお聞かせ願いたいと思います。

前田政府参考人 ただいま先生からお話がございましたけれども、各都道府県におきましては、森林整備のための財源を確保するということで、独自課税についての取り組みが見られるところでございます。

 例えば、今お話がございましたけれども、平成十五年には高知県で導入、こういったものを初めといたしまして、平成十六年には岡山県で導入、さらに本年の四月からは鳥取県ほか五県で導入される。それから、さらに北海道など二十六都道府県におきましては検討等が行われているというような状況にございます。これらの多くは、今お話もございましたけれども、例えば住民税に五百円なりあるいは千円なりオンして、そういったものを使っていくという形になっているわけでありますが、額的には、やはり多くの場合、一県で一年間に数億程度というような状況でございます。

 ただ、このような地方自治体におきます取り組みの動きにつきましては、今後の森林吸収源対策を推進していく上で、国民的な理解の促進あるいは支援意識の醸成につながるということで評価いたしているところでございまして、今後の動きを私どもも大きな関心を持って見守っている、そういうような状況にございます。

一川委員 長官は今、そういう動きを見守っていきたいという御答弁なんですけれども、各都道府県、それぞれの市町村も含めて、森林を健全にしっかりと管理していくということの重要性というのは、最近だんだん地域住民の方々もそういうことに理解を深めて、やはり行政側にそういういろいろな要請があるんだろうと思うんです。

 そういったニーズにこたえるための財源が国レベルではなかなか難しいという中で、各都道府県等が自主的な財源を目指して、今おっしゃった、もう三十近い都道府県が検討を行い、また一部が実行に入っているということですから、こういったことをやはりしっかりと念頭に置かれて、政府は政府でしっかりとした独自の財源を確保していかないと、京都議定書の目標すら到底達成できないという非常に厳しい状況にあるということを認識していただきたいな、そのように思います。

 そこで、農水大臣に、そういった議論も踏まえながら、私たちも地域の実際森林所有者と具体的な問題でいろいろと意見を交換する機会があったわけですけれども、常に出てくる問題は、ちょっと抽象的でございますけれども、自分たち森林を所有している山の持ち主は、何を目標に山の管理をすればいいのかという素朴な気持ちがあるわけです。当然、その森林を所有している方々の森林の管理に対する施業の意欲が出るような、そういう施策がない限りは、この広大な森林面積というものを善良に管理していくというのはもう不可能だというふうに思うんです。

 そこのところは、森林組合というような組織がタイアップしながらそれをフォローするしかないわけですけれども、ただしかし、本当に今採算をとるというのは非常に難しいという中にあって、その森林の管理をしっかりとやってもらうためには、やはり一つの目標あるいは夢みたいなものを、行政側としては森林の所有者に対してしっかりと説明できなければならないというふうに私は思います。そこのところを、森林を持っている、森林の中に入っていろいろな作業をすること自体が一つの喜びであるというところも当然あるわけですけれども、しかし、近い将来的に経済的にもそれなりに還元されるものがあるというのが見えてこないと、なかなか難しいなという感じもいたします。

 そういったところを、実際に小規模な森林を所有している大勢の皆さん方に対して、農水大臣としては、この森林の管理について何かメッセージを発信していただきたいわけですけれども、それを、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

島村国務大臣 お答えいたします。

 実は、私は農林水産政務次官を今から二十二年前にいたしまして、平成九年、十年とかけて農林水産大臣、今またその立場にありますが、常に私は言い続けてきたのは、農水大臣とか農水政務次官と言うと、あえて訂正を求めて、農林水産と言い直していた。事ほどさように、やはり林業というものにもっと力を入れないと、この国の将来が危ういと思っている人間であります。

 その理由は、一川議員には釈迦に説法ですから遠慮がありますけれども、少しく申し上げるならば、やはり森林があることで清浄な空気が保たれ、そしてまた非常に肥沃で、非常に健康にもいい水が全国にめぐらされ、田畑を潤し、ましてや、さらには港に、海に注いで豊かな魚礁まで培っている。こういう面もありますし、また、都会の人間にとっては、これは有力な水がめといいましょうか、水源でもあります。どういう角度から見ても、これは何もCO2の吸収源としてだけじゃなくて、非常に必要なのに、就任早々に私は聞いて驚いたんですが、杉の立ち木五十年物が、何と立ち木で買うと三千円で、ヒノキの立ち木は四千二百円、信じがたい数字を聞いてぞっとしたんですが、このまま放置していたことはやはり政治として問題があるのではないか。

 なるほど、山を持っているということがどれだけ苦痛で絶望感に襲われるかということを私も現地の方に聞いたことがありますので、ここは一川委員と志は同じでありますから、これからも大いにこれに取り組んで、森林経営者が将来に向かって苦しくても展望が持てるというものにしていくことが私どもの責任である、そう考えておりますので、あなたは専門家でもいらっしゃるから、いろいろな意味でまた私たちに貴重な提言等をいただきたいとあえて願う次第であります。

一川委員 昨日もこの委員会のお話の中で、外材の問題とか不法伐採の問題とか、いろいろな問題がございました。しかし、我が国は、戦後に植林をした木が、もうそろそろそれを活用していく時代に突入しているわけですから、それをしっかりと循環的に活用できるような仕組みをつくり上げていく。国産材を有効に活用することによって、あらゆるところにプラスの波及効果が出てくると私は思いますので、そういったところをしっかりと問題意識を持って、大臣の発言であれば、しっかり問題意識を持っていらっしゃると思いますが、具体的な施策として現場で動き出すようなことをぜひお願い申し上げたいな、そのように思っております。

 そこでもう一つ。我々は今地域の森林組合としてチャレンジしている中に、森林の認証制度というものについてチャレンジしようとしております。別に、認証を受けたからといってすぐメリットがあるというものではありませんけれども、ただ、そういう認証を受けるためにいろいろなことを勉強しながら、森林組合なら森林組合の、その地域の方々と協力し合って、一つの目標に向かっていろいろな作業をしていくわけでございますが、我々、地元の方ではFSCという、一つの例でございますけれども、国際的な認証制度に向かって、今それをクリアしようと、そうすれば必ず、あそこの森林組合で管理している地域から出てくる木材はそれなりの値打ちがあるだろうという評価を受ける時代が来るだろうということで、今頑張っているわけでございます。

 話を聞くところによると、認証制度をクリアした地域というのはそう多くはないということでありますけれども、私は、やはり環境問題が議論されている時代でもありますし、そういうことを考えれば、こういう認証制度というものを、もう一回しっかりと見直しをかけるところは見直しをかけて、そういうものにチャレンジしていただけるような、そういう行政の指導がやはりあってもよろしいのではないかなというふうに思いますし、そういうことにチャレンジしていることについての評価といったものを、どの程度林野庁なり政府としては持っていらっしゃるのか、そのあたりをお聞かせ願いたいなと思います。

前田政府参考人 先生御案内のように、この森林認証でございますけれども、森林経営の持続性あるいは環境保全への配慮、こういったものにつきまして民間の第三者機関が評価、審査を行いまして、一定の基準を満たしている、そういったものにつきまして認証する制度でございます。現在、我が国におきましては、今先生からお話がございましたけれども、FSC、森林管理協議会というふうに言われておりますが、そういったものですとか、先般できました、我が国独自の制度でございますいわゆるSGEC、緑の循環認証会議、こういったものがございます。

 近年、我が国におきましても、林業経営者の方あるいは森林組合、地方団体等におきまして、これらの認証を取得する例が見られるところでございまして、現時点では、例えばFSCですと全国で十九件、約二十万ヘクタール、さらにSGECでございますと七件、五千ヘクタールほどが認証を受けているわけであります。

 こういった森林認証の取得につきましては、確かに民間の自主的な取り組みではありますけれども、持続的な森林経営あるいは環境保全に配慮した経営を目指すものでございまして、我が国の森林・林業にとりましても大変有益ということで評価いたしておるところでございます。

一川委員 私自身も、こういう厳しい環境の中であえてそういうものにチャレンジしようとすることは、やはりその地域の森林管理ということについて一つの自信と誇りを持つという面では非常に重要なことであろうというふうに思いますので、ぜひそういったものを積極的に評価していただきたいな、そのように思っております。

 そこで、大臣に、この森林の問題について、最後に決意のほどをお聞かせ願いたい。

 我が国の国土の三分の二が森林でカバーされておりますし、全体の面積が二千五百万ヘクタールもあるというふうにも言われております。そういう中の約六割は民有林といいますか、そういうものだというふうに聞かされております。その民有林の中でも、森林組合という組織が全体の七割をカバーしているというふうにも言われております。

 そうすると、やはり、これから個々の森林所有者としてはなかなか採算ベースに乗らないということであれば、この森林組合という組織がしっかりと地域の森林を健全な姿に管理していく、そして、先ほどのような、地球温暖化防止対策にも寄与するような、そういう意気込みで取り組めるような対策が、私は森林組合をある程度支援していくということが非常に大事ではないかなというふうに思いますけれども、大臣の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。

島村国務大臣 御指摘のとおり、森林組合は、植林や除間伐の七割を実施するなど、森林整備の中心的な役割を果たしておりまして、その活動を助長することが重要であると認識しております。森林組合系統においても、平成十四年に策定した森林組合改革プランに基づき、組織、事業改革の推進に取り組んでいるところであります。

 農林水産省といたしましても、各種補助事業を通じた支援や指導に努めるとともに、森林組合の機能や組織基盤の強化のため、今国会に森林組合法の一部を改正する法律案を提出しているところでありまして、私は、先ほども申したような考え方に立っておりますので、ぜひこれからも積極的に、在任中何かの成果に結びつけていきたい、そう考えております。ぜひ御助言を願いたいとあえて申し上げます。

一川委員 では、次に、今非常に関心が持たれております食料・農業・農村基本計画というものについて幾つかお尋ねをしていきたい、そのように思っております。

 島村大臣、初めて農林水産大臣になられたのは平成九年だったというふうに記憶しております。私もこういう世界に入って、まだ日が浅い時代だったんですけれども、大都会の御出身の国会議員の方が農林水産大臣になられるという意味では、当時はもう、食料という面で消費者の皆さん方、一般国民の皆さん方に農政を理解してもらうということが重要な課題であったという、当時もそういうことがよく言われておりました。

 そういう中にあって、再びまた農林水産大臣になられたわけでございますが、今回の基本計画というのは、新しい法律が制定されて、五年ごとに見直すという中での、第一回目の見直しでございますけれども、この基本計画なるものを、これからどういう方向で全国の農村地域の皆さん方に理解をさせ、浸透をさせていくかということがこれまた重要なことであろうというふうに思っております。私たちも、仕事柄、毎週地元へ帰ってそういう方々と接触しておりますので、いろいろな御意見はいただいておりますし、現在の、まだ具体的な姿形が見えてこない集落営農等についても非常に不安感を抱いているのは間違いないわけでございます。

 そこで、まず冒頭に、この基本計画というものを、現時点でそれぞれの地方に対してどの程度説明がされているのかということ、それと、今後どの程度のスケジュールで、何をどうしようとしているのか、そういったところをお聞かせ願いたい、そのように思います。

小林政府参考人 基本計画の内容をまさに国民各位の皆さんにどうやって理解していただくかというのが一つの大事な点でございまして、昨年一月から審議会の検討が始まったわけでございますけれども、その検討段階から、審議会の資料でございますとか、それからいろいろな議事概要などを、本省とか農政局のホームページ、こういうところに掲載いたしまして周知を図る。また、例えば昨年八月に企画部会で中間論点整理がございました。そういった節目では、地方農政局が中心となってその考え方などを現場の関係の皆様に説明する、こういったことをやってきています。

 いよいよ基本計画が閣議決定になりましたので、この中身につきましては、今後、特に現場の皆さんに対しまして、内容とか、それから計画に沿って具体化される施策の方向とかスケジュール、この点をきちんと正しく理解してもらう必要があろうかと考えております。そういう意味で、この四月早々には、地方ブロックごとに、本省の幹部が直接ブロックごとに出向きまして、そこでいろいろな皆さんに集まっていただいて説明をする。その際には、できるだけわかりやすいパンフレットというような形で理解の浸透を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

一川委員 これまでの説明の中にも、例えば集落営農なりを含めた担い手の範囲という問題について、秋ごろをめどに具体化していきたいというような答弁がなされたようなことを覚えていますけれども、そういう今後のスケジュールめいたものが地方の段階にはまだ十分伝わっていないんではないかなという感じもいたします。

 もうそろそろ農繁期を迎える地域もたくさんあるわけでございますので、そういう意味では恐らく農繁期を終えてからになるのかもしれませんけれども、実際に農作業に従事する段階でいろいろな不安感を持っているというのは余りよろしくないことでございますので、やはり基本的なところはしっかりと、地域の皆さん方の意見を吸収する中で、できるだけそういうものを反映できるような方向に持っていくべきだろうというふうに、私は基本的に思っております。

 そこで、大臣に。この基本計画の問題、農政の基本的なところになるわけでございますが。

 先ほど言いましたように、大臣もちょうど新しい基本法を策定する直前の大臣を務められたわけですよね。それで、当時も新たな米政策の話題だとか、あるいは今に近いような認定農業者の制度もあったような気もしますし、それからまた中核的な担い手というような言い方もあったような気がします。そういうような経験をされてきた大臣でもあります。

 その後、六、七年たっていらっしゃるわけですけれども、今日、こういった基本計画を大幅に見直しをかけなければならなくなってきたというのは、私はやはり、農政の基本的なところで十分配慮が足りなかったといいますか、結果的にはうまくいっていないケースがあったから、結局、今日的な課題として積み残ってしまっているということになるわけです。ですから、これまでの五年間なら五年間の農政の施策として、ここが基本的にちょっと十分行き届かなかったというようなことは当然あるわけでございますし。生産調整という政策も、三十年余りやってきましたけれども、基本的にはうまくいっていなかった施策の一つだと私は思います。

 農業を取り巻くいろいろな社会的な条件、経済的な動きとか少子高齢化の動きだとか、そういうものは、当時、五年前からもうある程度予測された問題だというふうに私は思うんです。ある程度、多少の狂いはあったとしても、基本的な流れとしてはそういうものは予測されていたわけですね、当時も。そういう中にあって、この農業問題、農政がうまく対応していけなかったというのはどこに原因があったと思いますか。何かどこかで失敗があったのではないかというふうに私は思うんですけれども、大臣はどのようにお考えですか。

島村国務大臣 これは取り上げればいろいろ切りがないことでございますが、まず我が国の農林水産業の問題で非常に難しいと思いますことは、御承知のように、まず国土面積の約七割が山に占められておりまして、しかも中山間地域と言われる地域が約四二%を占めている。したがいまして、常識的に平らなところで農業を営むということでなくて、棚田を含めたいろいろな農業条件すべてを網羅した中に配慮をしていかなきゃいけないという面がありますし、一方では、今御指摘のありました少子高齢化の問題もあります。また同時に、昨年ではありませんが、台風があれほど上陸して、思いがけない気象上の災害をこうむることもあるし、地震等すべてを考えますと非常に個々ばらばらでやりにくい。

 かてて加えて、農業だけではとても食べていけないという立場の方々も多いわけでありますから、いわば専業農家だけでなくて、まさに一種、二種の兼業農家もある。あるいは農業の従事者が非常に老化したというような意味も含めまして、そういう方たちが御自分の体力の及ぶ範囲での細々とした農業をやっている、いわば自給自足のような農業もある。すべてを網羅して農業に力を入れ、農業の体質を強化し、一般産業並みの魅力あるものにするというと、言うべくして実はなかなか大変でございます。

 そういうことから、我々は、集落営農の道を開き、やる気と能力のあるところに重点的に施策をして体質の強化を図る一方で、今我が国で非常に問題になり、この委員会でも再三論議されております自給率の問題、将来に向かって、今はまだ買う自由がありますけれども、これからは買う自由が許されないような厳しい条件も一応将来に向かって考えていかなきゃいけないことでありますから、すべてを考えてこれからの農林水産行政を展開しなきゃいけない。

 そういう中で、いろいろな誤算が出た一つの例が食料自給率の問題で、六十六・七キログラムという平成九年の数字を参考に平成二十二年、六十六キログラムを想定したら、これが何と四・八キログラムほど下回ってしまった。いわば食の洋風化は相変わらず続いているわけでありますから、これらについてはこれから食料自給率を確保するためのあらゆる施策をしなきゃいけませんし、また農業の体質強化等々あわせて、我々はこれから新しい感覚でこれに取り組まなきゃいけない。その指針として、今までのことを参考にして策定されたのが今般の基本計画、そう考えております。

一川委員 今大臣の御答弁になった認識と、我々民主党としましては、ちょっと認識が違うわけです。

 この基本計画の「まえがき」のところにも書いてございますけれども、こういった「生産構造のぜい弱化等危機的な状況が深化してきている。」そういう問題意識を持ってはいるわけですけれども、脆弱化してきたということの、その本当のところはどこにあるかということは、私はやはり農業というものに意欲を持って取り組めるというような状況にないということだと思うんです。それは、実際に農業をやっている皆さん方が、大きな農家、小さな農家も含めて、農業をやっていることに、農産物を生産することに生きがいを感ずるというところが非常に希薄になってきているということが深刻な問題だなというふうに私は思います。それは、つくりたいものをつくらせないという生産調整も当然あるわけですけれども、つくってもつくっても、何というのか、昔は豊作貧乏と言いましたけれども、なかなか経済的にはペイをしないというようなことも含めて、非常に難しい問題があるわけですけれども。

 ただ、今農家の皆さん方が行政に期待しているのは、余り農業経営の細部に口出しをしてほしくないというのが私は基本にあると思うんです。ただしかし、意欲のある人がチャレンジできるような基本的な制度なり、そういうものはちゃんと用意してほしい。それは、例えば融資制度的なものはしっかりと、がっちりとしたものをつくってほしい。あるいは、生産基盤とか農業用水等の施設、こういった個人ではどうしようもできないような問題についてはしっかりと公的にそういうものを支えてほしいというのもあると思います。また、今日言われているような、結果的に、一生懸命努力したけれども、なかなか再生産は難しいということに対しては、ある程度農業の所得補償的な制度をちゃんと用意してほしいというのが根底にあるような気がいたします。

 ですから、余り細かい施策をたくさん用意するんじゃなくて、本当に基本的なところがしっかりとしたものを用意していただければ、あとは農家の皆さん方がそれなりに創意工夫をしてしっかりと頑張っていくというようなところも私はあるような気がするんです。最終的には自己責任みたいなところもございますけれども、どうしてもこういった零細農家の多いのは日本の現実ですから、そういったところをどうやってこれからちゃんとフォローしていくかというのは、今重要な課題になりつつあるというような感じがいたします。

 そういう面では、政府の皆さん方にも、施策をある一定の部分に集中するということに余りこだわり過ぎちゃうと、私は日本の農村というものが崩壊してしまうのではないかというふうに思いますし、また日本の生産構造そのものがむしろ脆弱化していくような危険性をはらんでいるというふうに思いますので、これからの担い手をいろいろと要件を絞っていく段階ではそういうことを十分配慮していただきたいな、そのように思っております。

 そこで、私なりにちょっとまだ十分理解できないのは、今集落営農で、ある程度小さな農家とか兼業農家をそういう組織化、法人化させていくということを一応うたっておりますけれども、その組織化、法人化することによるメリットというのは、農家の皆さん方にどういう説明をこれからされていくんですか。そこがちょっとわからないです。

須賀田政府参考人 集落営農経営を育成する場合に、先生がおっしゃるようなメリットをどのように説明して参加を求めていくか、ここが一番重要な点でございます。

 私ども、全国へ回っていきまして、うまくいっているところは、集団的に営農ということになりますと、遊休機械を使わす、機械の効率的利用ができるということで一段のコストダウンができる、それから、農地の集団化、団地化ができるということで、農薬、肥料を初めとしてその部分のコストダウンができる、そうして計算した結果、個人個人が営農をして収益を上げているその所得よりも、集落営農で行いました結果の配分額の方が大きい、だから集落営農に参加すると。こういう努力をされ、説明をして、集落営農を形成しているという状況にございます。

一川委員 それぞれの地域によって違うかもしれませんけれども、日本の農業集落、私は北陸の従来の米の単作地帯で生きておる人間ですけれども、やはりこの集落の営農ということを見たときに、必ずしも認定農業者とか中核農家と言われるような大規模な農家がその集落の営農をリードしているかといったら、私はそうじゃないと思うのです。むしろ兼業農家で農業の好きな人が、いろいろな世話をしながら、その集落の営農を引っ張っていっているというケースが多いわけでございますし、そういうことで小さな農家の皆さん方も協力し合って集落が形成されているわけです。

 ですから、認定農業者というのは、一つのこれから目指すものとしてはそれは仕方ないとしましても、それ以外の農家の皆さん方をしっかりと意欲が保たれるような姿にしておかないと、先ほど言いましたように、日本の農村なり農業が本当に瓦解してしまう、そういうおそれ、今日農業なり農村を取り巻く情勢が厳しいからこそ、そういったことが非常に気になるわけです。

 ですから、この基本計画、これからまた五カ年間、こういう方向で指導されるわけですけれども、まあ政治的には、我々は、いつまでもそんなことをやっていてはだめだということで頑張りますけれども、当然、政権交代を目指して、我々が望む農政を展開したいと思いますが、そういう面ではぜひそういうことを配慮した農政を展開されますようにお願いをしまして、若干予定した質問を残しましたけれども、これで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長代理 次に、楢崎欣弥君。

楢崎委員 民主党の楢崎です。

 冒頭、地元福岡で起こりました福岡県西方沖地震に関連しまして若干の質問をさせていただきます。

 私もふるさと自慢の一つが、地震がないことということを言ってきました。台風に対する備えはしていても、地震を想定した備えをする人はほぼゼロという土地柄でして、本当に、あの瞬間は怖い思いをいたしました。ただ、阪神大震災、それから中越地震の教訓は、行政の場においては生かされていまして、関係機関の連携はスムーズにいきましたし、また、震度数が高かった都市部でのライフラインが破壊されなかったことが不幸中の幸いであったと思っています。

 そこで、農林水産省におかれましても、九州農政局や福岡農政事務所に対策本部を設置していただきまして、同時に、被害の大きかった玄界島を初め、現地調査に水産庁を含む担当官を派遣していただくなど、敏速な対応をしていただきました。このことに関しまして、大臣を初め、関係部局各位に心からお礼を申し上げたいと思います。

 そこで、今日、まだ調査中のところもあると思いますけれども、今わかっている範囲内での被害状況について御報告をいただきたいと思います。

須賀田政府参考人 農林水産業関係の被害額でございます。福岡県、佐賀県、長崎県を中心といたしまして、二十八日現在で約六億円でございます。

 主な被害でございますが、福岡県、長崎県、佐賀県の漁港におきまして、岸壁の陥没、亀裂が発生をしている。それから、福岡市中央卸売市場の鮮魚市場で床面の波打ちといったような被害が見られる。そして、福岡県を中心といたしまして、農地、農業用施設あるいは林地荒廃といった被害が生じておるという報告を受けているところでございます。

楢崎委員 今報告されましたことにつきまして、どのような対策を講じられておるか、また、それはどんな法律に基づくものなのか、御報告をください。

須賀田政府参考人 被害の詳細は調査中でございます。

 まず漁港等の公共土木施設、この災害復旧につきましては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、いわゆる負担法に基づきまして災害復旧をしたいというふうに考えております。

 また、農地、農業用施設、林道、農林水産業共同利用施設、こういったものの災害復旧は、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、いわゆる暫定法に基づいて復旧をすることとしております。具体的には、県から申請がございまして、速やかに現地査定を行いまして、これを実施する。緊急を要する場合には、既に応急工事対応がなされております。

 そのほか、被害漁業者等の方で経営資金の融通あるいは既貸付金の償還猶予、こういうことが図られるように関係機関に依頼をしておりますし、農林漁業金融公庫においても、福岡支店に相談窓口が設置されているという状況でございます。

楢崎委員 きょうは、今話にありました農林漁業金融公庫の高木総裁においでいただきました。お忙しいところ、本当にありがとうございました。

 早速ですけれども、今話にありました農林漁業金融公庫福岡支店において相談窓口を開設していただきました。今のところ、相談件数はどの程度で、どのような内容のものがあるか、教えられる範囲で結構ですから御報告いただきたいと思います。

高木参考人 お答えを申し上げます。

 まずその前に、今回、被害を受けられた皆さんに対し、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 今お尋ねの件でございますが、相談窓口を設置いたしまして、今具体的に相談がございますのは三件でございまして、これは大体、食品関係、加工場関係でございます。といいますのは、農業関係は、恐らくこれから相談がふえてまいると思います。

 私どもといたしましては、当然、災害資金の融資、それから、これまでお貸ししている資金に対するいろいろな条件の変更、そういったことについて、農業者の被害の実態というものをしっかりとらえて適切に対応いたしたいと思います。恐らく、これから農業関係は相談がふえてくるのではないかと思っております。

楢崎委員 総裁、これは、こういう既存の融資制度がありますよ、その制度によってこういう利用ができますよということですか。

高木参考人 公庫としての災害対応は、大きく言って二つございまして、先ほど農林水産省の経営局長からもお答えがありましたように、災害資金を融資する、これはいろいろなものがあります。農業関係では、例えば、農業経営維持安定資金というようなものがあります。それぞれにいろいろな資金が災害資金として用意されております。そういう災害資金の融資というのが一つでございます。

 それから、既にお貸ししている、例えば経営をこれからよくしようというようなために施設に投資した資金等があります。そういう資金に対しまして、例えば、元利金の支払い猶予とか、それから経過利息について免除をするとか、いろいろ柔軟に対応できるようにもなっておりますので、被害者の実態をよく把握して対応をするということでございまして、相談を実際に受けて、それに対応していきたい。

 また、私どもとしては、県なり市町村なり、それから関係の機関なりに、どういう災害資金があるか、そしてまたどういう対応ができるか、これは十分御連絡を申し上げておりますし、そちらに御相談いただいても、私どもとして対応ができますので、ぜひ十分に、もし御相談があれば、先生の方からも直接福岡支店なり我々に言っていただければと思います。

楢崎委員 先日、小泉総理がお見えになりまして、現場を見られまして、要するに、激甚災害並みの、並みという言葉を使われましたけれども、支援をしたいと。

 こういう大きな突然の災害を対象にした特別融資枠なんというのは公庫にはないんですか。

高木参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御報告申し上げましたように、我々にとっても、融資がどれぐらい、災害資金がどれぐらい必要かとか、そういった点について、まだ把握ができておりませんので、その把握ができ次第、当然必要な資金はきちんと用意するというように考えております。今ある資金で間に合えば当然それでやりますし、そうでなければ、また国ともしっかり相談をした上で、そういう資金不足を来すようなことのないように対応したいと思っております。

楢崎委員 大変な被害を受けての相談事がこれからふえると思います。決してしゃくし定規的にならないで、また、相談窓口を開設していますよというPR、こういうことも含めて実効ある対策で公庫の存在感を示していただきたい、このように思います。きょうはありがとうございました。

 この被害に対しまして、地元福岡の総意は激甚災害法に基づく指定であったわけですけれども、何か適用条件を満たさないということで、先ほど言いましたように、小泉総理も、実質的な支援が指定並みとなるようにしたいという発言をしておられました。

 それで、被害が大きかった玄界島ですけれども、離島振興法の適用が検討されるという報道がされておりましたけれども、これはもう既に適用されているんですね、どうでしょうか。

川村政府参考人 離島振興法の関係でのお尋ねでございます。

 玄界島につきましては、離島振興法の第二条第一項に基づきます離島振興対策実施地域、これに既に指定をされております。

 今回被害が大きく出ております漁港など公共施設の災害復旧につきましては、先ほど経営局長から申し上げましたとおり、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づきまして実施をされるわけでございますけれども、この離島振興対策実施地域では、仮に国の負担率が三分の二とか四分の三というケースもあるわけでございますが、五分の四に満たない場合は、離島振興法第七条第四項の規定によりまして国の負担率を五分の四にかさ上げするという特例措置が講じられております。

楢崎委員 確認しますが、離島振興法適用で救済措置がとられるのは七条の四項のみですか。七条には七項までありますけれども、ほかの項は適用されないんですか。対象にならないんですか。

川村政府参考人 七条は、国の負担または補助の割合の特例を決めておりますが、これは通常時におきましても別表に掲げるものについての負担の特例を書いております。災害の場合は、先ほど申し上げました四項が適用になるということでございます。

楢崎委員 玄界島の主産業は、当然のことながら漁業なんですね。その漁業収入が減り続けていた中での今度の災害で、住宅再建それから生活再建、両面における資金面での支援が今求められておるところです。

 そこで、地元福岡といたしましても、農林水産省の方には、公共土木施設それから水産業共同利用施設、漁業集落環境施設、農業用施設並びに農地の災害復旧、それと、先ほど須賀田局長の方から話がありましたように鮮魚市場の早期復旧に向けた財政支援措置等の要請がなされていると思いますので、対応の方、よろしくお願いいたします。

 それでは、基本法に関連して伺います。

 この基本法というのは、言うまでもなく基本的な考え方ですね。これは農業の構造改革を促すための農政改革の着手だろうと私は思っています。

 そこで、焦点の一つ、所得補償問題ですけれども、私たち民主党は昨年の参議院選挙で、複雑でわかりにくい補助金を透明でわかりやすい所得補償に変えることを訴えたわけです。それで、その結果は、これはもう言わなくていいですね。

 この参議院選挙の結果に自民党の皆さんは慌てられたと思います。農林水産省の考え方に乗って、四十万戸が対象となる、いわゆるプロ農家ですか、大規模農家だけに政策を集中させて競争力を高めようとしておられたのが、これでは兼業農家切り捨てにつながる、それでは次の総選挙も戦えないと考えられたのかどうかわかりませんけれども、集落営農組織も対象とすることを持ち出されて、今回の基本計画に含まれた。報道によれば、自民党の圧力に農林水産省が押し切られたという部分もあるようですけれども。

 この集落営農という組織体、このイメージが私はよくわからないんですけれども、農林水産省は、集落営農体という組織についてのイメージをどのようにとらえておられるのでしょうか。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

須賀田政府参考人 集落営農という考え方は随分前からございました。私が知っているだけでも、平成の十二年ごろからちゃんとした経営体ということでの位置づけという議論がされておりました。

 この集落営農がなぜ起きてきたかと申し上げますと、今水田が主体となっております集落が全国で八万集落ございますけれども、うち半分の四万集落は主業農家が存在をしておりません。かといって、そこの集落の農業の将来をそのまま打ち捨てておくということはできません。そういう集落では、兼業農家あるいは小さな農家を含めまして共同で農地とか農業用水の管理がされている。そこに着目をいたしまして、集落を基礎とした営農組織のうち、一元的に経理を行い法人化する計画を有するなど、経営主体としての実体を有し、将来効率的かつ安定的な農業経営に発展することが見込まれるもの、こういうところを集落営農として、担い手として位置づけまして、経営安定対策の対象としていこうという議論がまとまったわけでございます。

 具体的には、まだ細かな要件はことしの夏以降議論して決めるということでございまして、私ども本年の二月四日に岩永副大臣を座長といたします地域で考える担い手創成プロジェクトチームというのを設置いたしまして、農業団体とともに全国的な集落営農育成運動というものに取り組んでおります。

 その中での集落営農の育成のポイントを申し上げますと、その集落の農用地の相当部分を受託している、これが一つでございます。それから、規約を定めまして、代表者あるいは農用地、機械の利用管理等に関する事項を定めているということ。三つ目に、経理でございます。費用の共同負担、利益配分、こういう一元化が図られているということでございます。将来にわたって継続的に営農を行うための法人となる計画がある、こういうようなことをポイントとして集落営農を組織化するという運動に努めているところでございます。

楢崎委員 石原事務次官は、この集落営農の組織体の範囲といいますか、担い手の範囲について、すべての農家が対象になるものではない、集落営農については規模の要件をかませようと思っていると発言されているんですね。問題は規模の要件の中身なんですけれども、こういう発言をされるということは、もう既に腹案があるんじゃないですか。

須賀田政府参考人 現在、米政策改革推進中でございまして、この米政策改革の中に担い手経営安定対策という対策がございます。その対象となる担い手、集落営農は、原則として二十ヘクタール、中山間という条件不利なところは、その半分まで要件を下げられる、こういうことで推進をしているところでございます。

 ただ、今般の経営安定対策は、もっと大きな、強いといいますか、政策の大転換につながるわけでございまして、お米のみならず小麦、大豆といったような品目も対象とする経営でございますので、その要件は米政策改革の実施状況あるいは構造改革の必要性、それから地域の実情、こういったものを踏まえながら、秋以降決めていきたいというふうに考えているところでございます。

楢崎委員 自民党のある方によれば、どんな小さな農家も排除しないで、集落単位で所得対策を実施するということらしいですけれども、私たちに言わせれば、それこそ選挙目当てのばらまき、それで、哲学が感じられませんね。集落営農に対するそういう自民党の考えと農林水産省の考えと、要するに認識の共有ができるのかどうか、これを私は人ごとながら心配しているわけですけれども。

 ところが、農林水産省には、集落営農に対する自民党との考え方の溝を埋めるといいますか、その落としどころといいますか、税金による環境支払いの考えがあるやに聞きましたけれども、これは事実ですか。

白須政府参考人 ただいま環境支払いのお尋ねがあったわけでございます。

 御案内のとおり、環境保全に関する施策は、もう環境問題に対します国民の関心が大変高くなっているわけでございまして、我が国農業全体を環境保全を重視したものに転換していくということは、大変重要なことでございます。したがいまして、今回のこの食料・農業・農村基本計画におきましても、一つには、環境保全に向けまして農業者が最低限取り組むべき規範を策定して、それの実践が行われるように私どもは支援していくという考えが一つございます。

 もう一つとしては、地下水の汚染がございますとか、そういった意味で環境保全が特に必要な地域におきまして農業生産活動を行います場合に、環境への負荷の低減を図っていく。要すれば、農薬を減らしたり、あるいは化学肥料を減らしていく、そういう取り組み、これは先進的な取り組みだと思っておりますが、これに対して支援を行うということを導入してまいりたいというふうに考えているわけでございまして、そのための調査もこの十七年度から実施をするというふうなことをやっているわけでございます。

楢崎委員 つまり、この環境支払いの考えというのは全くの別政策なんですよね。ですから、それを農村の環境維持を名目にして、集落営農組織体の対象外にある農家を税金で処理しようとするのであれば、これはもう補助金のばらまきと何ら変わらないということを申し述べておきたいと思います。

 それから、与党の皆さんは、私ども民主党の政策をばらまきだと批判されていますけれども、それは違うんですね。私たちの政策というのは、やる気のある担い手を絞るのではなくて、やる気のある農家は所得補償で安定した経営を目指してもらう、つまり、やる気のある担い手を育てることによって自給率の向上につなげる、これが私たちの民主党の政策なんです。

 何か小泉総理は総理で、だれに入れ知恵されたのか知りませんけれども、このところ農産物の輸出拡大、これはいいですよ、つまり、攻めの農政という言葉を連発しております。しかし、その前提になるのがやはり農家の経営安定化、農業の基盤強化なんですね。小泉さんはその大事なところはほっておいて、どうもまた自分の言葉に酔っているような感じが今しているところです。

 農家の皆さんからも、今我が党の農業再生プランの実現化が求められているということも報告をしておきたいと思います。

 食料自給率について伺いますけれども、カロリーベース四五%の目標は、これは二〇〇〇年に策定した計画の五年先送りですね。前計画では四五%という目標を達成するための、課題は提起されたんですけれども、提起だけに終わってしまった。つまり、その実行策が提示されなかったことが自給率低迷の一つの原因であろうと思われています。その点、今度の新計画では、重点的な取り組み事項、それから工程表を提示してその達成度を毎年チェックする、評価することにしたことについては、これは私は評価しています。一番大切なことは、やはり国民が食生活の見直しをすることなんですけれども、そのためにも日本型食生活を促す努力が必要だと思います。

 そこで、大臣にお伺いしますけれども、僕は攻めの農業、これは必要です、私もそのことは大事だと思っています。しかし、まず農業者が、まず安全で良質な農産物を輸入物に負けない価格で安定的に供給する、そういう体力をつけることが今求められていると思うんですけれども、これは大臣、どのようにお考えでしょうか。

島村国務大臣 我が国農業を取り巻く環境が大変厳しくなってきておりまして、まずWTOにおける国際規律の強化、あるいは東アジア諸国との経済連携交渉など、グローバル化の急速な進展などもございますし、また、国内においては、農業従事者の減少あるいは高齢化、農地面積の減少や耕作放棄地の増加など、数多くの問題に直面をいたしております。これらに対応し、農政の改革を行うことが急務でありますが、このため、先般閣議決定した新たな基本計画においては、効率的かつ安定的な農業経営が生産の相当部分を担う農業構造の確立に向け、意欲と能力のある担い手の育成確保と担い手の規模拡大などの経営改善努力に対する重点的支援に取り組むこととしたところでありまして、今後とも、構造改革を通じ、将来に向かっての農業の展望を切り開いていかなければならない、そう考えております。

楢崎委員 ここで終わります。

山岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、新基本計画について質問すると思っておりますけれども、最初に、BSEの問題で今非常に重要な局面を迎えておりますので、一部だけ伺っておきたいと思います。

 三月二十八日に食品安全委員会プリオン専門調査会が開催され、答申が出されました。二〇〇五年四月から屠畜場におけるBSE検査対象牛を二十一カ月齢以上の牛に変更した場合について、食肉の汚染度は全頭検査と比べて「「無視できる」〜「非常に低い」」と書かれたことで、報道は一斉に全頭検査の緩和容認とされました。もちろん、プリオン専門調査会の皆さんも、これまで何度も国民との意見を十分交わし、開催が遅いじゃないかなどの不当な圧力に屈せず、苦労をして議論を重ねてきました。私は、これが単純な結論だというふうには思っておりません。

 答申には、「おわりに」として「諮問(1)に関しては以下の二つの批判的意見があったことを留意すべきである。」として、二点述べております。一点が、SRM除去に対して、監視体制の構築やピッシングの廃止などを含めた対策強化がこれから実施される予定であるとして、「月齢見直しはこれらの一連の対策の実効性が確認された後に行うのが、合理的な判断」としていること、二つに、検査感度を改良するための技術開発促進は当然のことであり、「混乱回避措置とされている自主的全頭検査がなければ、若齢牛での検査成績の評価はできなくなる。」とあることであります。

 吉川座長が記者会見で、この二点については検査緩和の条件とはしないと答えたようでありますが、留意する事項が無視をされれば、これは単なる書き物にすぎなくなります。食品安全委員会はこの二点をどう扱うのか、委員長にお伺いしたいと思います。

寺田参考人 三月二十八日におきます第二十二回のプリオン専門調査会で、我が国におけるBSE対策の見直しに関係する食品健康影響評価につきまして、その報告案が取りまとめられたところでございます。先生がおっしゃいましたように、本報告案の「おわりに」の部分につきまして、諮問に関して、月齢見直しは、輸入配混合飼料対策、ピッシングを含むSRM除去の徹底の実効性が確認された後に行うのが合理的な判断である等の意見が留意すべきものとして記載されております。

 この案につきましては、今後、広く国民から意見、情報の募集を行った後に食品安全委員会におきまして審議を行うこととしておりまして、現時点では、その取り扱いについてお答えすることは差し控えたいと思います。よろしくお願いします。

高橋委員 今後、広く国民から意見を伺うということでありましたけれども、そうなると、検査緩和の条件としないという座長の会見でのコメントは少し行き過ぎたのかなと。個人としてそう思うのは勝手かもしれませんけれども、公表されてしまっているわけですので、条件としないという立場ではないんだということを委員長の立場で御確認いただけますか。

寺田参考人 吉川座長は、多分、おっしゃいましたように、個人的な立場でおっしゃったことで、この文書に書いてありますのはこのとおりの内容でございまして、「結論」も「おわりに」も、それから、本文も含めまして、専門調査会の先生方が合意した内容でございます。それ以上のことはちょっと差し控えさせていただきます。

高橋委員 ありがとうございます。

 本来なら座長にぜひ伺いたいところでありますけれども、委員長のお言葉でありましたので、委員会としてはそういう立場ではないということを確認させていただきたいと思います。

 それで、厚生労働省に伺いたいと思うんですが、先ほども質問の中で随分出ていたわけですけれども、依然としてピッシングの問題が指摘をされている。SRM除去が完全ではないとされている問題、このことがやはり答申の中にも明確に盛られているわけですね。これについて厚生労働省がどう取り組むのか、伺いたいと思います。

外口政府参考人 プリオン専門調査会の報告書の案が三月二十八日にまとめられたところであります。

 今後、パブリックコメント等必要な手続を行った後で、食品安全委員会において審議を行い、その上で答申が行われるものと承知しておりますが、御指摘のピッシングあるいはSRMの管理状況につきましても、審議の過程における議論も参考にして、例えばピッシングの場合でありますれば、今、都道府県に対して、ピッシングを中止した事例を示して、対応策をつくってもらうための準備を急いでいるところでございますけれども、そういったことを通じて、指摘された事項について着実に取り組んでまいりたいと考えております。

高橋委員 今、着実に取り組んでまいりたいというお話でしたけれども、昨年の中間とりまとめの時点でもこの問題は指摘をされていたわけですよね。「ピッシングの扱いについては、今後、その廃止も含め、さらに検討する必要がある。また、最近ではスタンガンによる枝肉汚染の可能性も指摘されている。」その後に、「これらの解体時におけるSRM混入によるリスクの低減には、と畜場における検査が役立っていると考えられる。」中間とりまとめにはこういうふうに書かれているわけですね。

 つまりは、現時点では不十分である、しかし、不十分なものを検査が補っている。我々は、これまでも言ってきたわけですけれども、全頭検査だけがすべてということではなくて、飼料規制やSRMの除去や、そして全頭検査がかばい合って、結果として世界的に誇れる体制をつくってきたんだということを述べてきたつもりですが、そのことは昨年でもこういうふうに確認をされたし、答申の方向も基本的には同じだと思うんです。

 ですから、着実に前進をするとおっしゃいましたけれども、そうであれば、そのことがきちんと担保されるということが証明されて初めて、じゃ月齢見直しありか、全頭検査見直しありかということになるんじゃないですか。

外口政府参考人 まず、検査の意義についての御指摘がございましたけれども、私どもも、BSEの検査というのは、もちろん検出限界以上ということが前提になりますけれども、食品の安全性の確保にも役に立っていると考えております。これは、EUも、検査は食品安全のために役に立っているという立場をとっております。アメリカは、これはサーベイランスという意識を持っておりますけれども、日本はそこははっきりさせております。

 それで、御指摘の点でございますけれども、BSE対策については、私どもは、ほかの食品安全対策と同様に、これは科学的合理性を基本として判断すべき問題と考えております。全頭検査の見直しにつきましては、食品安全委員会が行った最新の科学的知見に基づくBSE国内対策に関する評価、検証の結果を踏まえ、食品安全委員会に諮問したものでございます。

 BSE検査、SRM管理、いずれも重要なBSE対策と認識しておるところでございますけれども、これらについての今回の、食品安全委員会では今答申がまとまろうとしているところでございますけれども、その答申を踏まえて国内措置の見直しを適切に進めていきたいと考えております。

高橋委員 非常に今の答弁は納得いきませんね。聞いていることにきちんと答えていないと思います。

 それで、重ねて伺いますけれども、今、合理性ということをおっしゃいました。また、ほかの食品との兼ね合いということをおっしゃいましたので、プリオン専門調査会の答申の「結論」の部分においても「検出限界があるので、より感度の高い検査方法を開発する必要がある。」と。この点については当然お認めになりますよね。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい科学的知見が出てまいりまして、新しい手段が確保されて、もちろん、それが評価されて、役に立つということの検証が必要でございますけれども、そういった段階になれば、それは対策について見直しをして、いいものは取り入れていく、これは当然のことだと思っております。

高橋委員 そのための道筋を残しておけというのがこの留意事項でありますので、そのことを十分検討していただきたいということを指摘しておきます。

 次に、同じく飼料規制の問題については、先ほどもちょっと議論がありましたけれども、輸入飼料を配合した混合飼料などについて、影響は不明だとまだ言われているわけですね。この点について、農水省がどう取り組むのか、伺いたいと思います。

中川政府参考人 飼料規制につきまして、特に輸入配混合飼料に関しましては、検査あるいは指導体制の強化を図っていくということをいたしております。正式な答申を受けまして、必要な手続を進めまして、その徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

高橋委員 これも同じことが言いたいわけです。徹底を図ってまいりたいということでありますので、現時点ではまだ徹底できていないわけですよね。ですから、それが確認された時点で初めて月齢見直し云々ということがあるんじゃないか。その点をやはりしっかりと留意してほしいということが今答申の中に盛られているわけですから、それは検討の中にあるということが、先ほど委員長のお話にもありましたので、きょうは時間がありませんのでそれ以上は言いませんけれども、十分にその点を留意していただきたいと思っております。

 こうした飼料規制やSRMの除去が徹底される努力というのはまだ途上である、そして、それを補っていたのが全頭検査であるということでは、やはり今回の答申をもってもまだ、単純に月齢見直しとはならないはずだと私は思っております。国内でも、日経新聞が今月、ネットを使っての世論調査をやったところ、生後二十カ月以下で輸入再開に反対と答えた方が六一%、BSE検査をしていない牛肉を安全とは言えないと五一%が答えている。やはり国民はこれまでの全体的な体制にこそ信頼を寄せている、このことが示されているのではないかと思っております。

 また、国内で全頭検査が変更になったとしても、自治体独自で検査をすると表明がされ、そこに向こう三年間補助をつけるということを国が決めたこと自体も、それを示しているのではないでしょうか。昨年の十月の日米の共同声明でことし七月を目途にとしていたことがやはり生きているのか、それが現実なのか、輸入再開ありきではないのかという不信感が国民の中に非常に強くあるわけです。

 ですから、やはり、あれこれ言うけれども、圧力に屈したんだよというようなことではなく、本当に国民が納得いくような、禍根を残さぬ対応を強く求めておきたいと思います。ここは要望にしたいと思います。次のテーマがありますので。

 それで、先ほど来お話をされている、新たな食料・農業・農村基本計画について質問をしたいと思います。

 きのうときょう、食料自給率の問題が随分話題になりました。私は、今回の基本計画において、まず自給率をどうするのかということを明確にすることが非常に大事だ、そして、目標に従って政策がやはりできていくものではないか。それが五年間先送りになった。これは、五年前の基本法制定のときにも明確な目標を掲げようとしなかったことがあり、やはりそのときの態度が問われているのかなというふうに思っております。

 改めて伺いますが、今回、目標が五年先送りされたのはなぜでしょうか。

村上政府参考人 新しい自給率目標についてのお尋ねでございます。

 新しい基本計画でございますけれども、前回の基本計画策定後の情勢の変化を踏まえまして、十年程度を見通した上で農政全般にわたる改革を進めるというものでございます。

 そういうものを背景といたしまして、食料自給率目標につきましては、生産及び消費の両面において、課題解決のために重点的に取り組む事項を明確にするということと、その上で実現可能な生産と消費の水準を踏まえまして、その基本計画全体の目標年次と同じ平成二十七年度の自給率目標を設定する、こういうことにしているわけでございまして、単に先延ばしをしたという指摘は当たっていないというふうに考えております。

 施策の推進に当たりましては、今お話にもありましたけれども、これまで十分とは言えなかった工程管理を適切に実施する考えでございます。毎年、施策の評価を行いまして、翌年以降の施策の改善に反映するということによりまして、食料自給率ができるだけ早期に向上に転じるようにしていきたいというふうに思っております。

高橋委員 まさか、単に先送りしたのではないと、そこでまた突っかかるとは思わなかったんですけれども。

 要するに、単にかどうかは別として、目標を明確にすることが困難だということですよね。ですから、先送りをした。言葉は悪いですけれども、後手になったと。

村上政府参考人 基本計画の中におきます食料自給率でございますけれども、これは先ほど申しましたように、前回の基本計画後の状況の変化を踏まえまして、農政改革全般について見直しをする、そういう中で新しい自給率目標を設定するということでやったわけでございます。

 委員御案内のとおり、自給率目標を達成するために、前回、それぞれ、消費面それから生産面における課題を設定してまいったわけでございます。

 しかし、消費面では、米の消費量の減少が継続して、食生活の改善が進まなかった、あるいは麦、大豆などを除きまして、国内生産が総じて減少しているというような状況の中で、新しい重点的に取り組むべき事項を定め、その中で新しい目標として設定をし、具体的に工程管理をやりながら、これを翌年の施策に反映しながら確実に実施していこうということでございます。

高橋委員 その工程管理も、自給率に関しては非常に明確ではない。本当に、計画見直し、計画見直しということで五年間過ぎるわけですけれども、本当に実効性が上がるのかなと思うわけですね。

 基本計画にどういうふうに書いてあるかというと、「できるだけ早期に向上に転じるとともに、おおむね五年後となる次回の計画見直しの時点において目標の達成が見通せるようになることを目指す。」とあり、そもそも確実に目指すという立場ではないんですね。どうですか。

村上政府参考人 委員御案内のとおり、食料自給率の向上のためには、関係者が一丸となって取り組んでいく必要がございます。

 政府、農業者、食品産業、それから消費者、それぞれ努力をし、一丸となってやっていく必要があるわけでございますけれども、食料自給率の向上のためにそういう関係者を含めました協議会を設立して、行動計画をつくり、工程管理を行って、毎年施策の評価をするということで、できるだけ早期に向上に転じるように努力をしていきたいということでございます。

高橋委員 関係者が一丸となっていろいろな立場で頑張る、一つの目標に向けて頑張る、大変大事なことだと思うんですね。もちろんそうだと思います。学校も自治体も、あるいは農業団体や。しかし、私は、国の責任はやはりあいまいにしてはならないと思うんですね。国民の食料を国内の農産物でどれだけ賄えるのかは、やはり国民の主権にかかわる重大な問題で、国の責任が問われる問題だと思います。

 具体的に伺いますけれども、生産努力目標というのが示されました。小麦、大豆ともに横ばいまたは微増、作付面積もむしろ縮小している中で、飼料作物は三百五十二万トンから五百二十四万トン、一・四八倍にふやすと目標がされています。九十三万ヘクタールから百十万ヘクタールへと十七万ヘクタールもふやすことになっている。つまり、この生産の面では、自給率向上に当たって飼料作物の生産拡大がかぎとなるわけです。ところが、基本計画では、この五年間「飼料作物については、大幅な生産拡大を見込んでいたが、生産量は減少しており、目標数量を大きく下回っている」、こういうふうに書いてあります。これはなぜでしょうか。これまで大きく下回っていたことが、どうしてこの五年間で大きく拡大することができるのでしょうか。伺います。

白須政府参考人 ただいまの飼料作物の関係でございます。

 委員御案内のとおり、前回の基本計画の策定のときの基準年次でございます平成九年度、飼料作物の生産、TDN換算で三百九十四万トンあったわけでございます。それが平成十五年度には三百五十二万トンということで、御指摘のとおり、ふえておらないということでございます。

 この原因につきまして私どもも検証いたしているわけでございますが、これは一つには、畜産サイドから見ますれば、畜産の農家戸数が減少している、そういう中で、なかなか農地の利用集積が進まなかった。一方、経営規模は拡大をいたしているわけでございますが、なかなか労働の方が家畜の飼養管理の方に労力が向けられまして、飼料生産に係る労働力が不足をしていったというふうなこと。あるいはまた、耕種のサイドから見ますれば、やはり畜産農家と距離的に乖離をしておるといったようなことや、あるいは飼料生産の専用の機械施設がないといったようなことで、耕畜連携がうまくいっておらないといったようなことが考えられるわけでございます。

 委員もまさに御指摘のとおり、やはり食料自給率を向上させますためには、この飼料自給率の向上、これが大変重要でございます。ただ、その中で、やはり飼料自給率を考えます場合に、濃厚飼料の国内生産、これはやはり、内外価格差も大きゅうございますので、なかなか難しい。したがいまして、私どもとしてはやはり、国内生産が可能な粗飼料につきまして、これは現在自給率七六%でございますが、この粗飼料につきましては、いわば完全自給を目指すといったようなことで、生産拡大を図ってまいりたい。そういうことで、飼料自給率の向上に努めるというふうにしているわけでございます。

 そこで、今後の取り組みの方向としましては、何といいましても水田におきます稲の発酵粗飼料、これがこの三年ぐらいを見ましても非常に面積的に、もちろん絶対水準としては少のうございますが、相当程度の伸びを示しているわけでございます。そういった水田、これが御案内のとおり調整水田とかあるいは保全管理水田といったようなことで、植えつけをしておらない水田も相当程度あるわけでございます。そういうところに集中的に稲の発酵粗飼料を植えつけていく。

 あるいはまた、稲わらにつきましても、食の安全、安心という観点からいたしますと、これはやはり国産での自給というのが不可欠でございます。しかしながら、御案内のとおり、中国からの稲わらの輸入というものも、まだまだ十八万トンもある。一方には、稲わらを焼却しておる、あるいはすき込んでおるといったような実態もあるわけでございますので、国産稲わらを、こういった焼却あるいはすき込んでおるものを、できる限り飼料利用の方へ向けていく。

 あるいはまた、御案内のとおり、耕作放棄地、このところ非常にふえてきておりますので、そういった中における放牧の推進といったようなことにも意を用いまして、あわせまして、先ほど私申し上げましたように、やはり労働力の点が問題でございますので、飼料生産の組織化、外部化といったようなことで、コントラクターの育成といったようなことをしっかりと行いまして、飼料作物の生産拡大をやってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

高橋委員 この点については、完全自給を目指すと局長がお話しされましたので、ぜひそのことを期待したいと思うんですね。

 最初に消費の面と生産の面というお話があって、よく大臣も、食生活が変わったからとお話をされます、洋風のものを食べるようになったからと。しかし、食生活が変わっても、本来国産の飼料でできた牛なりを食べていれば、本来なら自給率は変わらないわけでありまして、そこに本格的に解決の立場に国が立つということがやはり大事なんじゃないかと。私は、最初にそれがきて、国民が食べなくなったからとか、あれこれではないんだと。もちろん食育も大事ですよ、決してだめだとは言っておりません。だけれども、国の責任というのをやはり最初に明確にするべきではないかという立場でお話をいたしました。

 時間がなくなる前に、大臣にぜひ自給率を向上させるための国としての責任を果たすという決意を伺いたいと思います。

島村国務大臣 自給率の問題というのは大変重要な問題ですけれども、高橋さん、これはやはり、正直言って非常に難しいですよ。やはり私たちからすれば、消費者がどういうふうな食料消費をしてくださるのか。強制はできないわけでございますから。願わくば国産率の高いお米を食べていただければ、いや応なくこれは上がっていくということはだれでもわかることなんですが。

 一方で、今飼料のお話をなさいましたけれども、日本のように土地も高い、あるいは給料、賃金も高い、こういう環境下で安い飼料を大量に確保するというのは、言うべくして、なかなかこれは大変なんですね。また、広大な面積に飛行機を使っていろいろな肥料をまいたり、あるいは何かをするということも不可能でありますから、いろいろな意味の制約があります。

 そういう中で、私たちはあらゆる知恵を絞って、これからの五年間で、平成二十二年に予定したものを、平成二十七年までに何としても四五%へ持っていこうと言ったのは、決して先送りではなくて、一生懸命やっていますけれども、現実がそうなかなかいかない場合があります。例えば、昨年のようにあれだけ災害にやられますと、その前の凶作とあわせて、米の生産量だってずんと落ち込んだわけですね。そういうことも全部含めて賄っていくわけでありますから、あなたのおっしゃることもまことに当然でありますし、我々もそのことについては全く異議がないわけでありますけれども、この上ともに生産者、消費者、そしてまた国の側でも可能な限りの努力をして飼料自給率を上げていく、このことについては我々は最善を尽くすことだけは確信を持って申し上げられるところであります。

高橋委員 ほかにも言いたいことはありましたけれども、最善の努力を期待して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本であります。最後ですので、よろしくお願いいたします。

 最初に、福岡県西方沖地震で被災をされた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。社民党として二十一日に対策本部を立ち上げまして、二十六日には福島党首が現地を視察してまいりました。一昨日、現地の要望を含めて、村田内閣府担当大臣に被災者支援等早期復旧について要請をいたしたところでございます。

 そこで、まず地震対策についてお伺いをいたしますが、地元の復旧活動を最大限支援するという意味で、早期の激甚災害の指定、あるいは離島振興法の活用も含めて、政府として万全の体制をつくっていただきたいというふうに思います。それから、災害復旧に莫大な費用が見込まれますから、この四月交付予定の普通交付税について、六月分の普通交付税も繰り上げて加算交付を検討すべきではないかということについて、まずお伺いをいたしたいと思います。

原田政府参考人 福岡県西方沖地震による被害に対しましては、発災直後に林田内閣府副大臣を団長とする政府調査団を派遣し、また二十四日には村田防災担当大臣、二十六日に小泉内閣総理大臣が玄界島等被災地の状況を視察したところでございます。

 政府といたしましては、まずは応急対策に全力を上げることといたしておりますが、あわせて住宅の倒壊やがけ地の崩壊等被害の甚大さを踏まえまして、被災地の速やかな復旧復興を支援してまいりたいと考えているところでございます。

 まず、現在、玄界島等住宅の倒壊やがけ地の崩壊のおそれが大きい地域につきまして、建築物、宅地の応急危険度判定のための職員、砂防の専門家等各種の専門家を派遣いたしまして、二次災害の防止、あるいは被害状況の詳細な把握に取り組んでいるところでございます。

 また、被害の大きかった福岡市に対しましては、発災日に災害救助法を適用しまして、避難所の設置、炊き出し等の措置を講じているところでございます。

 住宅の被害を受けた方につきましては、福岡県が玄界島の被災者向けに二百戸の仮設住宅を建設することを決定し、着工にこぎつけたところでございます。また、必要に応じ、公営住宅の空き室提供などにより、住まいの確保を図ることといたしております。

 今後、被災者生活再建支援法の適用につきましても、県と相談して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

 地元経済活動への被害に対する対応といたしまして、政府系中小企業金融機関及び農林漁業金融公庫における相談窓口の設置、災害復旧貸し付け、企業債務の返済猶予等の措置を講じているところでございます。

 また、港湾、漁港等公共土木施設や公立学校施設の災害復旧事業につきましては、先生が言及されました離島振興法による補助の特例を活用するなどして、できる限りの支援を行っていく考えでございまして、今後とも、地元自治体の要望もお聞きしながら、関係省庁と連携し、被災地の復旧復興等に万全を期してまいりたいと考えております。

瀧野政府参考人 普通交付税の繰り上げ交付についてお答えいたしたいと思います。

 今回の地震によりまして、地方公共団体におきましては応急対策、復旧対策などに財政負担が相当生じることが当然見込まれるわけでございます。福岡市の方からも普通交付税の繰り上げの交付につきまして要望があるわけでございますが、本日、ちょうど十七年度の地方交付税改正案が成立いたしましたので、財政当局とも調整しながら、今週中には具体的な内容を明らかにできますように早急に検討していきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、地方団体の実情を十分お聞きいたしまして、財政運営に支障がないように対処してまいりたいというふうに考えております。

山本(喜)委員 ぜひ財政措置、万全を期していただきたいというふうに思います。

 今回の災害ですが、特に漁業関係が大変ひどいというふうに聞いております。港が、段差ができて、漁船が立ち寄れないというような状況の中で、玄界島のヤズ漁とか、あるいは西ノ浦の特産のいりこにも大変大きな影響を与えているというようなことでございます。そうした意味で、港湾関係の復旧とともに、漁民の生活支援のための国の対策、これについてぜひよろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の福岡県西方沖の地震によります水産関係の被害ということで、私ども、現在までのところ、福岡、長崎、佐賀、この三県の二十四漁港におきまして、岸壁等に陥没ですとか亀裂が走っているということで、ただいま先生が御指摘なされましたように、漁船が接岸できない、荷揚げ等もできない、こういったような話を承っているところでございます。

 こうした漁港の災害復旧につきましては、当然のことながら、法律がございますので、これに基づきまして、関係地方公共団体と連携を図りながら、必要な場合には当然応急工事、こういったこともやらなきゃいけないということで、鋭意努めているところでございまして、いずれにしましても、被災しました施設の迅速かつ着実な復旧、こういったことに努めてまいりたいというふうに考えております。

 また、先生が後段で御指摘になられました、漁業者の方々が出漁できないということでお困りの点でございますけれども、これにつきましては、私ども、一つは各種の長期あるいは低利の制度資金の活用、こういったこともございますし、それから、資金の円滑な融通ですとか、既貸付金の償還猶予、こういったことは関係機関へ要請しております。

 そのほか、漏れ承りますと、玄界島等では漁業共済の加入もかなり高いというような話も承っておりまして、当然のことながら、出漁できずに生産額が減少した分に対しましての漁業共済での対応、こういったこと等も考えなきゃいけない、かように考えている次第でございます。

山本(喜)委員 ありがとうございます。余震が続く中で大変不安な生活を強いられているわけでございます。一日も早く復興、そして生活の再建ができるように、万全な支援をお願いしたいというふうに思います。

 さて、二十五日の新しい基本計画の閣議決定ということでございますが、旧基本計画の見直し作業が進捗をするにつれて日本の農業の今後の方向について国民的な関心が高まってきたと思います。その意味で、食料・農業・農村政策審議会企画部会での議論は大きな意味がありました。委員各位の御尽力に心から敬意を表します。

 しかし、決定された内容については、今後肉づけが必要とされる部分も多々ありまして、詳細な評価はまだできないと思いますが、しかし、この決定を見まして、果たしてこれで日本の農業は守れるのかというふうな疑問を感じざるを得ません。

 そもそも農業の構造改革とは何かということが問題にされるべきでありますが、それがもし市場メカニズムを通した家族農業、小規模農業経営の淘汰、そして効率性を優先とした農業の大規模化に終着点を見出しているとするならば、それは日本農業の崩壊を意味すると言わなければなりません。

 小泉内閣は、構造改革なくして景気回復なしと声高に叫び、構造改革を推進してまいりました。その結果一体どうなったのかというと、経済学者の内橋克人氏が朝日新聞において次のように述べておりますが、国民は近い将来、一部の特権階層と貧困マジョリティーに二極化し、民主主義を担ってきた中流層は姿を消してしまう。勝ち組、負け組の時代を通り越し、勝ち負けを分けるために戦うチャンスさえも奪われた貧困マジョリティーが形成されつつある。このまま進めば、待ち受けているのは、底辺層の弱者が生命、生存の危機に身をさらす究極のリスク社会ではないか。

 この指摘を念頭に置きつつ新基本計画を読むと、新基本計画は、「農業の持続的な発展のためには、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、このような農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立することが必要である。」としています。さらに、「現在、品目別に講じられている経営安定対策を見直し、施策の対象となる担い手を明確化した上で、その経営の安定を図る対策に転換する。」というふうに述べています。

 そして、新農業構造の展望では、平成二十七年段階での効率的かつ安定的な農業経営の担い手は、家族農業経営で三十三から三十七万戸、法人経営一万、集落営農経営二万ないし四万というふうに見積もっています。この時点で予測される総農家は、二百十万から二百五十万戸と予測しています。新基本計画どおりになれば、約四十万経営体が選ばれた者、他の経営体は少なくとも経営安定対策から外され、何の支援もなく営農を続けるか、あるいは耕作を放棄するしかない、あるいは、極めて高いハードルである集落営農に統合されるしかないわけであります。

 そして、選ばれた者にも平たんな道が待っているわけではありません。すぐれた経営者としての能力を身につけなければ、農産物市場における国内外の激烈な競争の中で農業から撤退するしかなくなります。

 そして、すべての農業者がすぐれた経営者としての能力を身につけることができるわけではありません。市場メカニズムによって農業者を鍛える、あるいは自然淘汰をするのではなく、国民に安心、安全な食料を安定的に供給することに農業者、消費者が一丸となって英知を絞るために指針を提示するということが、農政の役割、構造改革の意味であるべきではないかというふうに思うわけであります。

 そこで、まず、食料自給率についてお伺いします。

 この基本計画では、食料自給率の目標は、その向上を図ることを旨として、二〇一〇年までに四五%までカロリーベースで引き上げていくというふうな目標でありますが、達成困難ということで、新基本計画では二〇一五年まで先送りをするということになっています。この食料・農業・農村基本法で食料の安定供給の確保ということが強調されていますが、この大前提である食料自給率の向上というのが農業政策の中でどのように位置づけられていくのか、この点について、まず大臣にお伺いします。

島村国務大臣 お答え申し上げます。

 食料を国民に安定的に供給していくことは、国の基本的な責務であります。したがいまして、食料・農業・農村基本法においては、食料の安定供給の確保を基本理念の一つとして位置づけております。

 そして、この基本理念を具体化するための基本計画においては、農業生産と食料消費の指針として、食料自給率の目標を定めることとしているわけであります。食料自給率の向上に向け、消費者と生産者と食品産業の事業者、そして国など、関係者一体となって取り組みを進めてまいる所存であります。

山本(喜)委員 我が国の自給率が先進国で最低の現状にあります。農水省は、主に国民の食生活に原因を求めているようでございますが、この食料自給率の動向が個人の嗜好に依存するということであれば、食料自給率の課題というのは、農水省ではなくて厚労省の課題になっていくというふうに思うわけであります。確かに、健康な食生活を普及啓発していくということは重要ですが、食料自給率の向上のためには、農業そのものの振興、国内生産を上げていくということが基本と考えますが、いかがでしょうか。大臣にお伺いします。

島村国務大臣 食料自給率の低下につきましては、長期的に見れば、何といっても米の消費が減少したということが挙げられるわけであります。

 ここにグラフを小さいのは持っておるのですが、ごらんに入れなくて申しわけないんですが、まさにピーク時から見まして、ずうっと自給率と米の消費というのは、本当に並行するように、絵に描いたようにあるわけでございます。要は、そういう意味で、米自身をある程度皆さんが食していただけばこれはありがたいのですが、我々の予測をはるかに下回る数字になる。その一方で、いわば飼料等、ほとんど海外のものに依存している。畜産物とか油脂類、まさに自給率の低い方の消費が増加するなど、いわば我々の期待を大きく裏切る結果になっているわけです。

 そんなことから、私たちは、予期したように、平成二十二年、これからの展望に立って、これを四五%に持っていくことができるかどうか、いろいろな検討を皆さんそれぞれのお立場からしていただいた結果、これは平成二十七年度までに四五%に持っていく、そういう現実的な修正をしていただいたのは御承知の結果であります。

 そういう意味で、食生活の何より主な原因は、生産が実需者のニーズなどに十分に対応し切れなかったことでありまして、これらも含めて、これから我々は新たな取り組みにかかるわけであります。

 このような時代、食料自給率は、国内生産のみならず、食料消費のあり方によって左右されるため、今後は、まさに消費者と生産者と食品関係者、あるいは、それぞれの関係者のすべてで総力を挙げてこれに取り組むということが必要でありますし、その一方では、やはり日本人の食事はどのようにあるべきかという意味で、食育を推進するべく、フードガイドなどを作成して、消費者へのいわば御協力を願うということがあります。

 さらに加えて、生産者面では、担い手への農地の利用集積を進めるとともに、食品産業と農業の連携の強化や、経営感覚にすぐれた担い手による需要に即した生産の推進等々、いろいろな角度からこれに取り組んで自給率の向上を図ってまいりたい、こう考えております。

山本(喜)委員 四五%の達成に向けて、いろいろ大変な苦労があるわけですが、しかし一方で、国際的な指標でいくと、穀物自給率、これは二割ちょっとしかないですね。ところが、今回、それとは別に、金額ベースでということになっています。これでは既に七〇%になっているわけですよ。そうすると、国民とすれば、金額ベースだけが脚光を浴びてきますと、もう自給率は七割を超えているんだというふうな誤解も出てきかねない。そういう意味で、この金額ベースというのは、あくまでも参考というふうにすべきではないでしょうか。いかがですか。

村上政府参考人 自給率の示し方、計算の仕方、いろいろな手法がございます。

 食料安全保障という観点から、人間の基本的な栄養でございますカロリーに着目して食料自給率の目標を現在立てておるわけでございますけれども、金額、あるいは今委員おっしゃいました穀物の自給率などもあるわけでございます。前回の基本計画では、カロリーベースで自給率目標を設定し、あわせて金額ベースの食料自給率を参考として示してきたわけでございます。

 しかしながら、カロリーベースの食料自給率では、カロリーの比較的低い野菜や果実などの国内生産活動が適切に反映されないというような問題があるということ、それからまた、今後、多様な消費者、実需者のニーズに的確に対応した国内生産というのが非常に重要になってきているということもあるわけでございます。

 こういう中で、食料・農業・農村政策審議会におきまして、生産額ベースの食料自給率についても目標として設定すべきという多くの議論がございまして、先日、そうした議論を踏まえた答申をいただいたわけでございます。これを受けまして、新たな基本計画におきまして、引き続きカロリーベースの食料自給率を目標として設定しますが、これとあわせまして生産額ベースの食料自給率も設定したということでございます。

山本(喜)委員 そもそもカロリーベースの計算も日本と韓国だけというふうな現状でございまして、国際的には穀物というふうなことですね。そうした意味で、国際的な指標の穀物自給率ということを本来やっていくべきではないのかというふうに私は思うわけです。

 自給率の平成七年のカロリーベース四三、平成十五年は大体四〇ということですね。同じ時期に、米の自給率は一〇四から九五に低下している。これは、ガット・ウルグアイ・ラウンドのミニマムアクセス米、これがやはり影響しているというふうに言われております。このミニマムアクセス米を輸入しない場合は米の自給率は一〇〇%ですから、平成十五年の総合自給率は一・一六%増加するという計算になるわけであります。

 この自給率の低下が、日本人が米を食べなくなったからということはありつつも、米の輸入がどんどんふえていくということがやはり大きな要因ではないかというふうに思うんですが、いかがですか。

村上政府参考人 米の関係でございます。

 先生今、ミニマムアクセス米が国産に置きかわれば一・一%ぐらい上昇するというようなことをおっしゃいましたけれども、正確に申し上げますと、ミニマムアクセスの中で、食に供されているものと、それから、それ以外に調製品としての輸入もございます。そういうものを勘案してまいりますと、輸入のミニマムアクセス米の自給率の低下分は〇・八%程度というふうに思っております。

 いずれにしましても、このミニマムアクセス、ウルグアイ・ラウンドの結果こういう合意になったわけでございますが、その際には、閣議了解に基づきまして、国産米で対応しがたい加工用、援助用を中心に供給するということで、この線に沿って、国内の米生産に影響を与えないように輸入管理を行っているところでございます。食料自給率の向上という政策目標に極力影響がないように措置してきている、今後もそのように努力したいというふうに思っておるところでございます。

山本(喜)委員 このミニマムアクセス米はこれからもふえていくということでございますから、自給率の向上といっても、穴のあいたバケツにどんどん水を入れても、これはたまらないわけでありますから、そういう意味で、この件についても今後検討が必要になっていくんではないかというふうに思っております。

 きょうは文部省に来ていただいておりますので、学校給食についてお伺いをします。

 この学校給食の目標というのはどのように今進められているのか、まずお伺いします。

尾山政府参考人 お答え申し上げます。

 学校給食法第二条におきましては、日常生活における食事につきまして、正しい理解と望ましい習慣を養うこと、学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うことなどの学校給食の目標が掲げられておるところでございます。

 このため、文部科学省では、学習指導要領の特別活動における学級活動の一つとして、学校給食を教育活動に位置づけておるところでございます。

 また、学習指導要領を踏まえ作成いたしました教師用の指導参考資料でございます学校給食指導の手引におきましても、楽しく会食しながら食事のマナーを身につけ、豊かな人間関係を育てる、あるいは、バランスのとれた食事の大切さの理解、健康によい食事の仕方を身につけるなどを給食指導の内容として記述いたしまして、学校において学校給食が充実したものとなるよう指導に努めてきたところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも学校給食法に掲げる目標の達成に向けました取り組みに努めてまいりたいと考えております。

山本(喜)委員 アメリカのジャーナリストのトレジャーさんという人が、「穀物戦争」という本の中で、日本人の消費者に高い米から安い麦への切りかえを説得するには並々ならぬ努力が必要だった、東京政府は、これを行うに当たって、壮大な学校給食制度を実施した、これほど野心的な制度、そしてこれほど効果的な計画は、合衆国の歴史においてかつて見たことがない、子供たちは早くからパンやロールをエンジョイすることを覚え、大人になってもパン製品を好むようになったというふうに評価をしているわけでございます。

 そうした意味で、食育ということをいろいろこれからもやっていくようでありますが、学校給食、米飯給食が始まったのが一九七六年、一九八五年に米飯の目標を週三回というふうに決めたようでございますが、現状、大体平均すると二・九回というようなことでございます。今後この米飯給食というものをさらに拡大していくということになるのかどうか、そういった点についてお伺いをいたします。

尾山政府参考人 お答え申し上げます。

 米飯給食につきましては、昭和六十年以降、週三回程度を目標として推進してきているところでございますけれども、関係者の努力もございまして、平成十五年度の調査では、週当たりの平均実施回数は御指摘のように二・九回ということでございます。

 文部科学省といたしましては、現在の実施回数について、地域差があり、特に大都市部で概して実施率が低い状況にありますことから、当面、週当たりの実施回数が低い都道府県教育委員会に対しまして重点的に指導を行うことなどによりまして、米飯給食の推進に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

山本(喜)委員 この学校給食というのは、地方では地産地消ということと結びついて、地域の食材を使いながら、食料自給率に大変有効になっていくんではないかというふうに思っております。それが家庭での食生活にも結びついていくわけでありますから、そうした意味で、学校給食ということに対する指針というものも、ぜひ明確なものを出していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

山岡委員長 次に、内閣提出、水産資源保護法及び持続的養殖生産確保法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣島村宜伸君。

    ―――――――――――――

 水産資源保護法及び持続的養殖生産確保法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

島村国務大臣 水産資源保護法及び持続的養殖生産確保法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 水産防疫制度は、疾病の侵入及び蔓延による我が国水産資源への影響を防止することを目的としており、水産物の安定的な供給の確保や、養殖業の持続的な発展を図っていく上で、極めて重要な意義を有しております。このため、我が国においては、疾病を侵入させるおそれのある養殖用の種苗を対象とした輸入防疫制度や、重大疾病の発生時における蔓延防止措置を柱とする国内防疫制度を整備し、疾病の侵入及び蔓延の防止に努めてきたところであります。

 しかしながら、輸入防疫、国内防疫ともにその対象としていたにもかかわらず、一昨年秋以降、コイヘルペスウイルス病の発生が国内各地で確認され、重大な被害が生じたように、最近における海外からの疾病の侵入及び国内での蔓延のリスクは、一層高まってきていると言えます。

 このような状況に対処して、現行の輸入防疫、国内防疫の両制度を強化し、水産防疫をより一層的確に実施するため、この法律案を提出することとした次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、水産資源保護法の一部改正であります。

 輸入許可の対象となる水産動物の範囲について、用途や成長段階による限定をなくし、輸入防疫対象疾病にかかるおそれのある水産動物とすることとしております。

 また、輸出国の事情などから、輸入後一定の管理措置が必要な場合には、輸入に際して、他の水産動物との区分管理を命じ、その間に疾病が発生した場合は検査を受けることなどを義務づけることとしております。

 第二に、持続的養殖生産確保法の一部改正であります。

 養殖業者等に、コイヘルペスウイルス病などの特定の疾病の発生時における届け出を義務づけるとともに、届け出を受けた都道府県知事は、検査を受けることを命ずることができることとしております。

 また、移動制限の対象を拡大し、都道府県知事が指定する一定区域内に所在するものであれば、移動の制限または禁止を命ずることができることとするなど、蔓延防止措置の拡充を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

山岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

山岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る四月六日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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