第9号 平成17年4月13日(水曜日)
平成十七年四月十三日(水曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 山岡 賢次君
理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君
理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君
理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君
赤城 徳彦君 大前 繁雄君
岡本 芳郎君 梶山 弘志君
上川 陽子君 川上 義博君
木村 太郎君 城内 実君
後藤 茂之君 後藤田正純君
坂本 哲志君 田中 英夫君
津島 恭一君 原田 令嗣君
森 英介君 山際大志郎君
一川 保夫君 岡本 充功君
鹿野 道彦君 岸本 健君
小平 忠正君 鮫島 宗明君
神風 英男君 辻 惠君
仲野 博子君 堀込 征雄君
山内おさむ君 笠 浩史君
高橋千鶴子君 山本喜代宏君
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参考人
(秋田県北秋田市農業委員会会長) 後藤 久美君
参考人
(株式会社ワタミファーム代表取締役社長・COO) 武内 智君
参考人
(大建工業有限会社代表取締役社長) 遠藤 広君
農林水産委員会専門員 飯田 祐弘君
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委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
石田 真敏君 大前 繁雄君
金子 恭之君 山際大志郎君
西村 康稔君 坂本 哲志君
松木 謙公君 笠 浩史君
同日
辞任 補欠選任
大前 繁雄君 石田 真敏君
坂本 哲志君 西村 康稔君
山際大志郎君 金子 恭之君
笠 浩史君 辻 惠君
同日
辞任 補欠選任
辻 惠君 松木 謙公君
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四月十三日
食料自給率の抜本的向上に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九〇九号)
同(石井郁子君紹介)(第九一〇号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第九一一号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第九一二号)
同(岡本充功君紹介)(第九五六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)
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○山岡委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案及び特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
本日は、両案審査のため、参考人として、秋田県北秋田市農業委員会会長後藤久美君、株式会社ワタミファーム代表取締役社長・COO武内智君、大建工業有限会社代表取締役社長遠藤広君、以上三名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考とさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、後藤参考人、武内参考人、遠藤参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
それでは、後藤参考人にお願いいたします。
○後藤参考人 ただいま御紹介をいただきました北秋田市農業委員会の後藤と申します。
本日は、衆議院の農林水産委員会にお招きをいただき、意見を述べる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。皆様には日ごろから農業、農村の振興に格別のお力添えをいただき、心より感謝を申し上げます。
私は、このような国会審議の場に立つのは初めてのことで、大変緊張いたしております。ただ、私ども秋田県農業会議の会長である二田先生が理事としてお座りですし、山本先生もまた、すぐ近くの御出身ですので、少し安心をいたしております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは、農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律案につきまして、現場の農地行政を担う農業委員として、また一人の農業者として意見を述べさせていただきます。
さて、私が住んでおります北秋田市ですが、三月二十二日に、合川町、鷹巣町、森吉町、阿仁町の四町が合併して誕生いたしました。名前のとおり秋田県の北部に位置しており、農業と林業が産業の中心であります。私は、旧合川町の農業委員会会長でしたが、四月一日に新市の農業委員会会長に選任されたばかりであります。合併後日も浅く、北秋田市全体についてはまだ把握しておりませんので、旧合川町を中心に農業の担い手と農地利用の状況、農業委員会活動の概要を紹介させていただきます。
町の農家戸数は千百二十四戸で、主業農家は約一〇%、兼業化、高齢化が進んできております。耕地面積は千三百八十九ヘクタール、うち水田面積が千三百三十八ヘクタール、畑が五十一ヘクタールです。農作物は水稲が中心ですが、水田再編対策により、転作田には、主に大豆を作付し、そのほかにキュウリ、キャベツ、アスパラガス等の転作野菜の作付を進めております。
地域特産品としては、比内地鶏があります。私自身、水田約九・六ヘクタールと、年間一万二千羽の比内地鶏の飼育を行っております。また、JAあきた北央の比内地鶏振興部会長として、その生産振興に努めております。JAでは、生肉販売だけでなく、郷土料理の切りたんぽなべセットや鶏ガラスープ、比内地鶏御飯のもと、焼き鳥セット、薫製等の加工品の生産にも力を入れることで、地域の雇用創出にもつながり、現在、パートを含め七十名を超える従業員がおります。農業の国際化や市場原理の導入が激しくなる中で、稲作を中心とした単一経営から脱却し、特産品の加工生産を柱とした地域農業の新たな展開を目指して頑張っております。
私たちの地域は、他の地域に比べればまだ農業に対する意欲がかなり高いところと考えております。しかし、高齢化による離農や経営縮小、後継者が農業を継がないといったことで、農地の利用をめぐる問題が年々深刻になっているのも事実です。
農業委員会で行っている農地利用の意向調査結果でも、農地の出し手農家がふえる傾向にあります。このため、農業委員会では、農地マッピングシステムを活用し、JAの農地保有合理化事業と連携して、認定農業者を中心とする担い手へ利用集積を図るとともに、条件の悪い農地を管理耕作する受け皿づくりに取り組んでおります。
町の基本構想による農業経営改善計画の認定目標は七十経営体ですが、現在、認定農業者は六十七経営体、うち四経営体は法人経営です。目標達成率は九六%になっております。
農業委員十四名のうち、私も含めて十一名が認定農業者であります。
担い手への農地利用集積も、平成五年に農業委員会に農地銀行を設けて、地域の農地利用の実態に精通している各地区の担当の農業委員が率先して農地の出し手、受け手の掘り起こし活動を行っております。農業委員が昼夜を問わず戸別訪問や田んぼのあぜ道で農家の話を聞き、その意向を把握して、具体的に農地の貸し借り等に結びつけております。これは、公選制のもとで、地域の農業者の代表として選ばれた農業委員だからこそできる仕事だと思っております。
認定農業者への農地利用集積の実績は、平成十七年三月現在で、作業受託も含めて七百七十三ヘクタールで、目標に対して九六%の達成率になっております。その結果、認定農業者の経営面積は平均で十二ヘクタールになっております。
しかし、数量的に担い手への農地集積が進む中で、利用権設定が全町全域にわたるようになり、規模拡大農家ほど圃場の分散が激しくなり、農作業の効率を著しく低下させるという問題が起こってまいりました。このため、平成八年から、農地の出し手の中にある受け手農家を選ぶという意識を払拭し、農地の面的利用、集団化を実現するための対策に力を入れております。
一つに、農業委員会による交換分合事業の導入です。下杉地区では、水田五十四ヘクタールについて、認定農業者八名に面的な集積を図るため、地権者の意向を踏まえつつ、集落での話し合いを重ねて交換分合を行った結果、三十ヘクタールの水田を担い手に集団化し、効率的な農作業が行われるようになりました。
もう一つは、農業委員会の農地基本台帳の電子化とマッピングシステムの導入によって、利用権の掘り起こしと担い手への面的集積の作業を効率的に行うとともに、農地保有合理化事業を活用することで、農地の出し手が受け手側を選ぶといういわゆる個別相対的な農地の貸し借りの風潮を払拭し、白紙委任方式にしたことにあります。
こうした対策を重点モデル地区に設定して行い、その効果を目に見える形にすることで、町全体に波及させております。
今回の改正法案では、私たち農業委員会が日常の活動を通じて悩んだり考えたりしたことに対する内容も多く含まれていると受けとめております。
特に、大きな農政課題となっております遊休・耕作放棄地について、市町村がマスタープランを作成し、農地として活用していくものと農地としての利用が不可能なものに区分することは、現場の実態に合った遊休農地対策を進める上で意味があると思います。
また、都道府県知事の調停、裁定の仕組み、市町村長が周りの農地に悪影響を与えている遊休農地の所有者に措置命令を下せるなどの制度的な措置を講じることは、農地は荒らさず耕すものとの機運を改めて醸成する意味でも、大きな意義があると考えております。
合併後の新市は中山間の条件不利地域も多く含まれており、耕作放棄地の発生防止と解消は、農業委員会としても大きな取り組み課題となっております。実は、私のところでも、東京の息子さんが相続した農地が荒れているのを農地パトロールで見つけ、息子さんのところに指導文書を送り、認定農業者に利用権設定をして解消した事例があります。
農業委員会では、農地基本台帳の電子化、地図情報化を図って農地情報の適正管理に努めていますが、相続による農地の権利移動は農地法の対象外ですので、住民基本台帳との照合が必要になります。今後、農業委員会による農地情報の一元管理と効率的な活用を徹底する観点から、農地基本台帳の法定化が必要と考えております。
農用地利用改善団体が定める農用地利用規程については、認定農業者に対する利用集積の目標面積や農地の出し手の役割分担を明記するなどの措置を図ることとされておりますが、これは、担い手の育成や農地利用集積について、集落の話し合いを行う場合の方向づけをより鮮明にすることになると思います。
また、農地保有合理化事業に、農業生産法人への金銭出資や、また農用地の貸付信託の事業を追加することも、集落営農の法人化や農業生産法人の育成にも大きな力になると考えております。私たちの地域でも、農業委員会の建議によって、昨年の七月にJAと町村が出資して、条件の悪い農地の耕作や転作作業を中心に行う農業生産法人アグリほくおうを立ち上げています。各地でも、こうした取り組みに拍車がかかるものと思われます。
次に、農業特区の全国展開についてであります。
私たちは、再三、農業という産業の一般的な生産サイクルを踏まえて、一定の時間をかけた慎重な検証をお願いしてきましたが、一年間の検証期間で特区の全国展開に踏み切ることについては、正直なところ不安がないわけではありません。とりわけ、経済界等から農業生産法人以外の法人の農業参入について、利用権だけに限定せず農地の所有権も認めろという圧力がある中で、地域農業の担い手としての意欲ある農業者ほど大きな危惧を抱いておりますことを、先生方にも御承知いただきたいと思います。農業の多様な担い手の育成ということを否定するものではありませんが、やはり農業の担い手は、家族経営と地域の中の顔の見える農業者がつくる農業生産法人を基本にするべきだと思います。
認定農業者を初めとした、地域で頑張っている農業経営の発展が妨げられることがないように、また、地域の秩序ある適正な農地利用がきちっと担保されるよう、しっかりとした対応をお願いするものであります。
具体的に、耕作放棄地や耕作放棄地となるおそれがある農地が相当程度存在する区域が、地方の判断で無原則に広がり、地域の意欲ある農業者の経営に悪影響を与えたり、地域の農地利用を混乱させたりするようなことがないよう、国としての明確なガイドラインを示すことが重要であると思います。
最後に、地方における農政の推進体制について一言申し上げたいと存じます。
市町村合併の進展や三位一体改革の中で、これまでのように地域の実態に応じたきめ細かい農政が進めていけるかどうか、大変心配をしております。実は、昨年の十一月に、農地の有効利用と保全対策を柱に地域農業のあり方について、農業委員会と町長とで協議をいたしましたが、この中での農業委員会の提案が、合併後の新しい市においてもどのように実行されるのかが気になるところであります。
今回の市町村合併により、選挙による農業委員は四十二名から三十名に減少します。このため、農業委員の担当地区の農地面積は約二倍になり、優良農地をしっかり守り、農業の担い手の経営を確立させるためには、農業関係の機関、団体によるきめ細かい対応が不可欠であります。市町村合併が進む中で、地域農政を推進する体制の整備についても、先生方の特段のお力添えをお願いいたします。
三位一体改革で地方財政はむしろ厳しさを増すのではないかと思います。税源移譲といっても、私たちの農山村地域はもともと税源が乏しいわけでして、農業振興の事業実施にも支障が出るのではないかと心配をしております。
国として立派な制度や政策をつくっていただいても、現場の人的、財政的な体制が整わないと実効ある取り組みにつながりません。特に、食料生産の基盤である農地に関する制度の執行については、市町村によってその扱いが大きく異なるようなことがあっては困ります。国として、農地総量を確保する観点から、財政面を含めしっかりとした対応をお願いするものであります。
終わりに、農政推進の最前線にいる農業委員として、また一人の農業者として、地域農業の振興にこれからも一生懸命取り組むことをお誓い申し上げ、私の意見陳述といたします。大変どうもありがとうございました。(拍手)
○山岡委員長 ありがとうございました。
次に、武内参考人にお願いいたします。
○武内参考人 株式会社ワタミファームの武内と申します。きょうは、参考人としてお招きいただきまして、ありがとうございます。
農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律案ということで、特に農業生産法人以外の法人の農業参入の促進処置について意見を述べたいと思います。
まず、当社ワタミファームは、ワタミ株式会社の一〇〇%関連会社で、農場運営、農産物の販売をしております。ワタミそのものは、外食チェーンの居酒屋、居食屋でございます。和民というブランドを中心に、全国に四百七十店舗を展開しております。二〇〇八年に千店舗の計画をしており、現在、介護、環境、教育、外食、農業事業で事業展開をしている会社でございます。
当社ワタミファームは、全国に四農場、資本提携農場一農場を入れまして合計で二百三十ヘクタールの農場の管理をしております。原則として、JASの有機農産物を栽培しております。すべてJAS圃場に今転換をしている最中でございます。
農業特区だけでは農場運営はできないため、同名の農業生産法人有限会社ワタミファームも、私、そこの社長を兼務しております。二〇〇六年以降は、毎年全国に二から三農場を開設したいということで、今事業を組んでいる計画でございます。
農場の概要でございます。
千葉県の山武町に、特区でやっているものと農業生産法人が混在しておりますが、七ヘクタール、これは畑作でございます。それから、千葉県の白浜農場、これもやはり特区と農業法人が混在しておりますが、八ヘクタール、畑作と稲作。北海道の瀬棚町、これは農業特区と農業生産法人両方ありますが、酪農、畑作、それから乳製品加工センター等をやっております。それから、群馬県倉渕村、これは農業生産法人で十一ヘクタール、これは畑作でございます。
構造改革特区を利用した経過でございますが、二〇〇二年四月に、農事組合法人に社員を出向させまして農業をスタートしております。その後、千葉県山武町で農業特区の認定を受け、その後、北海道の瀬棚町で農業特区、そして二〇〇四年十一月、昨年の暮れに、千葉県の白浜農場で、特区の拡大で、千葉県と構造改革特区の認定を受けております。
次に、リース特区の問題点について述べたいと思います。
当社の農場につきましては、全国におります有機農業者からの情報提供をもとに、地元に協力していただいて開設をしております。農地紹介で特区で行ったのは、千葉県の白浜、ここは千葉県からの紹介でございまして、ここ一カ所だけでございます。それ以外は全部、自分たちのネットワークで開設しております。
リース特区での問題について、約二年ほどやってきて幾つか考えられるものがありますので、述べたいと思います。
まず一つには、農地情報がほとんど入ってまいりません。自分で探さなければならない。あるいは、明らかに耕作放棄地で、十年、十五年そのままになっているなというところであっても、なかなか借りることはできないです。借りに行っても、なかなか貸していただけない。特に高齢のおじいちゃん、おばあちゃんがいる場合には非常に難しいです。
あるいは、相続などで土地が非常に細切れになっております。農業者以外が土地を相続しておりまして、だれが地主さんだかわからないような状態の土地があちこちにございます。地元にいらっしゃいませんので、ここが結局、農地を分断しております。
地方行政の長、町村の町長や、あるいは農林課等の担当者のレベルによって、意識によって取り組みが大きく違います。過去に申し入れた町村もありますが、そこは、特区は興味がない、やらないということも言っていらっしゃるところもあります。
それから、地方行政の予算に合わせるために、四月にならないと農地は借りられません。ですから、特区だけで農業をやろうと思いますと、かなり矛盾が出てきます。私どもは農業法人を持っていますので、これは一応クリアできますが、通常のところは、これはできないです。農地法違反ということになってしまいますね。
それから、特区範囲が決まっているために、地区だとか町村をまたがると、同じくこれは特区ではできない。農地が隣にあいていても、実際には、特区では使えないために農業法人でやるしかないというようなケースがしばしばあります。
それから、遊休農地、耕作放棄地は、かなりのところが開墾が必要です。開墾費用と時間の負担が非常に大きいです。特に、国営事業の大規模開発は百ヘクタール単位で全国にありますが、私ども結構こういう情報が入ってくるんですが、ここは開墾が必要な状態です。せっかくかん水設備等々あるんですが、草になっていたり牧草地になっていたりということで、なかなか畑地に転換するには費用がかかって大変な状態でございます。これを民間でやるにはちょっと無理があるなというふうに思います。
あと、JA系統の方々が特区については非常に無関心なような気がします。
リース特区は農地を借りることだけで、それ以外は農業者としては認められません。よく農業者と同じだというふうに言いますが、全然違うもので、例えば、酪農で、私ども有機酪農をやっておりますが、共済保険には入れません。やはり株式会社、民間だということで、農業者ではないというふうな、いろいろな書類だとかには書いております。
それから、リース特区のメリットでございますが、地方行政のPRになっていると思います。特に有機農業という、環境循環型であり、CO2削減につなげる、化学肥料、農薬を使わないために、非常に地方のコマーシャルにはなっているなというふうに思いますので、地方のまちづくりには非常に有効かなというふうに思います。
全国の行政、農業者からの農地紹介がここ一年ぐらいは非常に多くなっております。最近は、農地を探すことには苦労はなくなってきています。
耕作放棄地などの遊休農地は、間違いなく私どもが減らしています。開墾費用も私どもが負担をしておりますが、地元の農家の方々からは非常に喜ばれております。荒れ地がなくなったということで大歓迎をされております。
マスコミの関心も高く、メディアの露出も多くなり、当社としましては知名度は上がっております。これがメリットかなというふうに思います。
四番目、今後の企業の農業参入についてでございます。
遊休地を開墾するコスト負担。行政が負担すれば企業参入の見込みはあると思いますが、当社は、来年以降、地方での農場開設については、地方行政が協力する場合のみ農場を開設しようというふうに思います。開墾費用を自分で負担して農業をやるというのは非常にリスクが大きいので、これについては少しペンディングにしたいなというふうに思っております。ですから、当社が単独での開墾はしない。荒れ地にしたのは、私ども民間ではなくて農業者であり、あるいは行政であり系統でありというふうに私どもは判断しております。ですから、責任は、責任所在があるところがきちっと農場を管理して貸すのが正当なことじゃなかろうかなというふうに思います。
企業が参入したくても協力者が少ない。企業誘致のような考え方でないと、通常の企業の進出は少ないように思います。今まで農業界が鎖国政策のため、農業事業の中身が非常に不明確、不明朗である。中身が私どももわからなかったです。やって初めて収支の構造等々わかるようになってきまして、私どもは四年近くやっておりますので、これについては大分いわゆる企業ベースになってきておりますが、今新規参入している方々、いろいろなところから相談に来られますが、皆さん、めくら運転をされていますので、非常に危険なふうな感じがします。
地方の後継者不足、国営事業開発の農地未使用は、地元や農家個人さんでは解決できないような状態になっているというふうに思います。早く企業感覚を持った農業法人や民間企業の促進を図らないと、さらに農地が荒れる。荒れたというか、耕作放棄地として出ていなくても、実際には、使ってはいますが、ほとんど収入が上がらない、生産が上がらないような農地利用の仕方を大規模なところではされております。
今のリース制度で参入はふえるか。当社のような経営をしてきている企業以外の参入は、非常に規模が限定されると思います。農業者で収支が合わない条件が悪い農地を民間が借りていく農業については、これはやはり厳しいなというふうに考えております。
当社、ワタミファームの場合は、二〇〇六年以降、リース方式、農業生産法人のいずれかで年間二農場ふやしていきます。特にリース方式に限定する必要はないと思っておりますし、かえって農業生産法人の方がいろいろなメリットを受けられるような気もします。
有機農業については、国の支援策は全くありません。CO2削減、それから環境汚染防止、食の安全性など、どれをとっても不可欠であり、大きなマーケットは潜在的にはあります。現在、耕作放棄された国営事業等の大規模開発の紹介や、継続できない農業者たちからの悲痛な叫び声が私どもの方に来ております。とにかく何とか借りてほしい、あるいは買ってほしいというようなことが、個人の方からもいただいておりますし、これについてどうこたえるか、私ども一社だけではなかなかこたえ切れないというふうに今考えております。
マーケットを見据えながら、農場の規模拡大を図り、農場の周りにいらっしゃる農業者たちとも有機農業の連携を進め、展開をしていきたいというふうに思っております。
最後ですが、民間企業が参入した場合の諸問題と言われていることについてですが、産業廃棄物の心配は、通常、その企業を調査すれば普通はわかります。ですから、民間企業が進出すると産業廃棄物がふえるというのは、これは大きな間違いであり、調査をすればすぐわかることだというふうに私は判断します。
それから、企業参入が農地荒廃につながると言われているが、農地相続でどんどん一般の方へ渡っています。そして、農地を荒らしている方の中心はやはり農業者である、民間企業ではないということですね。過去に幾つかの事例は民間企業であるかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、それは調査をすれば、あるいはきちっと法律を執行すれば済むことではなかろうかなというふうに思います。
農業からの撤退の心配は、赤字が続けば農業者も企業も全く同じでございます。赤字が続けば、農業者は担保で土地を取り上げられるケースも続出しております。私どもも、その農地の一部を買ってほしいということで、依頼を受けて買ったケースもございます。これは個人の農家さんであろうが企業であろうが、大きな赤字を抱えれば、当然同じことになるのではなかろうかなというふうに思います。
以上で、意見の陳述を終わりにします。(拍手)
○山岡委員長 ありがとうございました。
次に、遠藤参考人にお願いいたします。
○遠藤参考人 皆様、おはようございます。
本日は、このような各地元の代表の皆様と接する機会を与えてくださいまして、まことにありがとうございます。
また、この場をかりまして、大変恐縮でございますが、昨年八月に、私どもは千葉県にありますワタミファームという農場を訪れ、農業の意識が根底から崩されるという経験をしております。その節は、お忙しいところ、ワタミファームの武内社長には数時間にわたりいろいろと御指導をいただいた件がございました。あのときに食べた生のミズナスの甘い味と、農業は自分の生きがいだとおっしゃったことが今でも耳に響いております。武内社長、本当にその節はありがとうございました。
さて、私は、東北の福島県喜多方市で土木建築業を営んでいる遠藤広と申します。
自分が今から十五年ほど前に、故伊東正義さんが手がけた農政の事業に、下請でパイプラインの仕事をさせてもらいました。当時、こんなべな土で果たして作物がつくれるのだろうか、一体今自分がやっているパイプラインは役に立つのだろうかといった疑問点を抱きながら、仕事として割り切って仕事を竣工させたことを時々思い起こします。
というのも、広大なパイロット事業が完了してから一度も活用されることなく眠っている土地、作物がうまく育たず放棄された土地、石だらけ、カヤだらけの荒れ果てた土地が、この地区に約五十八ヘクタールほど点在しております。国営事業であって、国民の税金を投入し、また、地元の地主においては償還金の返済に苦しみあえいでいるというのが現状です。まさかそんな状況をわかっていながら、自分がアグリ特区によりこの地で作物をつくることになろうとは夢にも思っていませんでした。
参入の主な理由なんですが、以前より多少なりとも農業土木に関連した仕事に携わっていて、農業に非常に興味を持っていた。また、公共工事の激減、イコール売り上げの減少で、うちの会社は小さい会社で、多いときでも三億円程度の売り上げなんですが、現在は約半分の一億五千万円でここ数年推移しております。
喜多方市は、蔵とラーメンの町として皆様も御存じのことと思いますが、主な基幹産業がなく、御多分に漏れず公共依存型の町でございます。自助努力により何とか公共依存型脱却を常々模索していたところでした。そして、数年前に中国に旅したときに、道路からあふれんばかりの人がアリのようにいるんですよね、中国は。それで、その人の多さにびっくりしまして、現在バブル景気に舞い上がっているところの中国ですが、この中国の人口が例えば二〇%ぐらいの、二〇%といっても日本の人口を上回る人口になってしまうんですけれども、日本と同じような飽食状況になったら、食物輸入依存の日本は大変なことになってしまうんじゃないか、遅かれ早かれそういう時期が来るなと私なりに考え込むようになり、早目に自給率を高めなくてはと思うようになった次第です。
また、現実的に、地元の食材の加工場には、中国産のタケノコ、それからシイタケ、里芋、タラの芽など、さまざまな野菜類が安い金額で入ってきています。その加工場で作業している人たちに、その加工したものをあなたたち食べられますかと聞きますと、一〇〇%食べませんと答えました。
日本じゅうにこのような食材がたくさん出回っているんです。食の安全を求めるためにも、地域での地産地消ではなくて、日本が一つになった地産地消を求めるべきじゃないかなというふうに考えております。
これからの話は、私が特区に参入しまして足かけ三年になりますが、その期間内において自分なりに現実に野菜づくりをやってみて直面していることを皆様にお話ししたいと思います。
まず、アグリ特区の契約期間五年間についてです。
御承知のとおり、特区により耕作できる土地は、農家の方たちが放棄したもので、当然荒れ地となっていて、最たるものは、パイロット事業が竣工してから十五年間一度も耕していない土地もあるという現実です。二メーター以上に生い茂ったカヤ、雑木、畑一面にある石、それらを伐採、伐根、除根して初めてトラクターで耕すことが可能となります。一年目でそれらすべてを行い、二年、三年で土壌改良、四年目でやっと正常な畑地に変わりますが、今の契約ですと、五年後に地権者より土地を返してくれと言われたならば返さざるを得ません。裁判になれば自分たちに有利に進むという話は聞きますが、争ってまで借りる気にはなれません。しかし、人間の心情としては、種をまいて五年後に花がやっと咲いたというときに手放さなければいけないというのは断腸の思いです。
御参集の皆様に例えてわかりやすく言うならば、毎回選挙は大変です。それで、当選され、向こう四年間、五年間と地盤固めを一生懸命なさいますよね。そして、あそこで子供が生まれたといえばおめでとう、おばあちゃんが亡くなったといえば御愁傷さまでした、息子さんが結婚したらばおめでとうございます、本当に寝る間も惜しんで奔走されるでしょう。そして、さあ次の選挙になったとき、いや申しわけない、党の事情で、今まで三区だったけれども、五区から申しわけないが出てくださいと言われたら目の前が真っ暗になると思います。そういった事情と、私たちが農地を五年間で返さなきゃいけないというのは同じ事情と思えるんですが、いかがでしょうか。(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
現に、特区に参入しているほかの業者の方たちも、いつ返してくれと言われるかわからないので、借りた土地に関しては、本腰入れて土地を改良したいという方は本当に少ないです。
このようなことからも、契約期間を最低でも十年間とし、行政が窓口になって両者を取りまとめているのですから、責任の所在ははっきりすべきだと私は思っております。
次に、運転資金ですが、前に述べたように、放棄地を正常な畑にするには、大変な労力とお金、つまり初期投資がかかります。昨年は、プロパー、県、国、JAらの金融機関に運転資金の借り入れについて検討してほしいと足を何回か運びましたが、門前払いと同じような状況でした。今どき、この業界に、土木建築の業界において、余力のある会社など数えるに足りません。何とかこの苦境の中で挑戦する我々にも、一般の農家や農業生産法人と同様に融資制度を適用してくださることを切にお願いいたします。
次に、特区のさらなる緩和ですが、集中している遊休地の箇所についてのみ認可範囲となっていますが、現在、これは各市町村にゆだねているというところと承知しております。広い範囲にわたり遊休地が点在している箇所が現実です。区域を特定せず、すべての遊休地において活用されることを望みます。
また、今現在の現象なのですが、地権者が五名おります。五名といいますと、上の方から一名、二名、三名、四名、五名で、その真ん中の方だけが、では特区に土地を貸してもいいよと言ってくれました。だけれども、上の二人と下の二人は貸してくれないんですね。その背景には、特区に土地を貸してしまうと、農業者年金がストップしてしまうというようなことから貸してくれないというお話でした。でもこれ、物すごく矛盾があるのは、貸さなくて農業者年金をもらっている方、その方たちは確かに息子さんに農地を移譲してやっているわけなんですよね。でも、その息子さんたちが果たして農業をやっているかといいますと、サラリーマンであって、農地を放棄しているというのが現状です。
今後の取り組みですが、基本的に土つくりから始めていきたいと思っております。幸い、だれもが見放していたカヤだらけの土地は、手を加えられなかった分だけ土に元気はないですが、壊れてはいないということがわかりました。そのことがわかったのは、農薬害と化学肥料による硝酸態性窒素の危険性を説いてやまない山形県の小林宝治さんとの出会いでした。小林さんの指導のもとつくられたホウレンソウを東京にあるデパ地下に、キムチ専門店に試食してもらったところ、では一日当たり百キログラム納入してくれないかという依頼を受けました。これは、裏返せば、このホウレンソウがいかにうまかったかということだと思います。いつもなら翌日に電話をよこす担当者の人が四日たっても連絡をよこさなかったので、変だなと思っていたんですけれども、その担当者の人は、四日間ホウレンソウがどういうふうに変わるのかなというふうに確認していたそうです。元気な土からは長もちする元気な野菜が生まれるということを確信した瞬間でした。
これからも、小林宝治実践会の指導のもと、安心、安全な野菜を消費者の皆様に安定供給していきたいと思っております。
最後になりますが、私がここに立たせていただいたことは本当に大海にポチャリと落ちる小石のようなものかもしれませんが、全国展開される特区の小さな道筋になればという思いで参考人としてのお話をさせていただきました。
本日は、私のつたない話を御清聴いただきまして、本当にありがとうございました。(拍手)
○山岡委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
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○山岡委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中英夫君。
○田中(英)委員 自由民主党の田中英夫でございます。
きょうは、参考人の皆様方には、早朝からお越しをいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれ農業に対する熱意ある取り組みをお聞かせいただいて、大変ありがとうございました。
私は、一昨年の十一月に国会議員としてこちらで活動するようになりました。それまでは京都市に隣接しております十万足らずの市の市長を五年ほどしておりました。
例の特区につきましては、農業、教育等々でいろいろな申請をいたしました。その中に市民農園のようなものもありまして、あちこちから同じ趣旨のものが出ましたのでこれはうまく通りましたけれども、それ以外に、やはり農地をもう少し拡大的に農業をやりたい人たちに広げられないか。それは企業だけではありません。もうちょっと小さな規模の、ちょっとやってみたいという人たちにも何とかならないかとか、それから、やはり農村は市街化調整区域になるわけでありますが、そういうところに、非農家であっても、芸術家や小説家や、いろいろな人で住みたいという人が住めるようにならないか等々をしましたが、農水省だけでなくてさまざまな分野からのいろいろなチェックが入りまして、それは残念ながらできませんでしたけれども、都市と農村というものがうまく交流をしていって、農村が疲弊しないようにということを考えているものです。そんな町でありますけれども、私の町は、実は京都の中では一番の農地を持っておるというまた大農業国であります。
先ほどからいろいろお話を聞いておりましたら、農業委員会として、もちろん農業委員会直接もありますけれども、その取り組みとして、また農業生産の方へもかかわられたり、また、あとの二社におかれましては、その中で農業にかかわる企業を非常に先鋭的にやられていると。農業というのはそういうものだというふうに思います。
すばらしい分野で活動できるものだと思っておるんですが、ただ、国として、また地方の首長としておったときの思いで言えば、そのトータル、全体がうまく保全がされ、また国としては、全体が、自給率の問題、いろいろなものがどうやってうまくいくかということがありますので、本当に、企業所有までいったらもっともっと先鋭的な方が出るんだろうと思うんですけれども、そのことと、また、勝手なと言うといけないかもしれませんが、勝手な撤退が起こったらどうするんだというふうな問題やら、いろいろ行政的には悩みがあるということを思っております。
そんなことを前段申し上げながら、幾らかだけお聞きをしたいと思います。
まず、農業委員会の後藤様には、担い手による農地の利用集積や遊休の耕作放棄地に対しては意味がある、こういうことでありましたけれども、農業委員会サイドとして、これは農地の活性化と保全が進むという目的なんですけれども、これがこの法案でよりうまくいくだろうか。もうちょっと、こうあったらどうやろうなというようなことがあればお聞かせをいただきたいというふうに思います。
それと、先ほど言いましたように、農地の企業所有ということについてはまだまだ慎重なわけでありますけれども、リース特区の全国展開は非常に懸念を示されておったところでありますが、私は、市町村のコントロール下にうまく置けば構わぬのではないかというような思いも持っておりますけれども、もう一度そのあたりをお聞かせください。
それともう一つは、食料・農業・農村基本法ということを今改めてやっておりますけれども、自給率の向上ということで、これは国家的な大事なことなんです。その中で、我々、食育ということ、要するに食に対する基本的な考え方というものを、教育というと何か強制的に聞こえますけれども、そうじゃなくて、みんなでやはりもう一度再認識しよう、こういうことを言っております。一部には、食べるものについてまで強制するななどというばかげた議論があるそうでありますが、こういう食育ということについて、農業委員会で長くお務めになられた後藤様としてどのようにお考えか、少しお聞かせをいただきたいと思います。
次に、武内様にお聞かせいただきたいと思います。
前にもワタミさんには自民党の中の勉強会としてお越しいただいて、我々、都市と農村との交流ということの中でいろいろお聞かせをいただきました。常に感動をさせていただいております。ただ、これがもっともっと企業参入ができるようにしないと、都合のええところだけが貸せるんやというふうに言ってもらっても余り利用がないんじゃないか、わかりやすく言えばそういうことをおっしゃったんだろう、こういうふうに思っております。
一貫して生産から流通までやっておられますから、そして農業法人を持っておられますから、これはルールがどうであろうと、多分どのようにでも展開はされるんだろうというふうに思うんでありますが、一般的に、新たにこれからそういう企業として参入をしてくる人たちにとって、こうした所有の問題、それから、逆に言えば、企業としてはうまくいかなかったときには放棄的な撤退をするんじゃないかというような問題、こんなことについてどのようにお考えでしょうか。先ほど申しましたけれども、市町村のコントロールがあれば何とかできるという方向にならないかなと私は思っておるんですが、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
最後に、遠藤様には、同じようなことでありますけれども、企業としてこれに突っ込まれたというのはすごいことだというふうに思います。ただ、販路という下流の方が、どのような決断の中でやられたのかなということが非常に興味があります。ワタミさんのように今もうやられている中でどう選択するかという問題と、新たな参入はちょっと違うと思います。その辺について、御苦労やら、またルール的にこうあったらいいなということがあればお聞かせをいただきたいと思います。
時間がないので全部聞きましたけれども、ひとつよろしくお願いします。
○後藤参考人 ただいま私のところに御質問されましたのは、集積の進め方とかあるいは食育に関することだと思いますけれども、集積に対しては、他の方の地域に対しては、よその方はわからないんですけれども、我が方で進めているのは、認定農業者にどれだけ農地を集めるのかということなんです。
これは、だけれども、大きい農家だけを育てるということではなくして、小さな農家、つまり販売農家とかあるいは兼業農家、そういう方々もいて初めて農業、農村というのは成り立つのだということを考えています。城の石垣で例えるならば、大きな石だけで支えていることではない、小さな石がいかに大事かということでありますので、これは、なぜそれを言うかというと、農道を整備したり、あるいは用水路を整備したりするのは、やはり大きい農家だけですと到底手が回らないわけです。ですから、集落を維持する意味でも、地域を維持する意味でも、小さな農家も必要であるというふうに考えます。そして、大きな農家がリーダーシップをとっていくことによってこれが成り立っていくのだというふうに考えております。
そしてまた、これが食育にも関係してくる。自分の農地に対して、あるいは田んぼに対しても畑に対しても、自分のお孫さんを連れていったり子供を連れていったりして、実際に土に触れさせる、あるいは野菜に触れさせる、あるいは泥に入れるというところから食育というのが始まるんではないかなというふうに考えています。決して教室の中で農業を教えるのが食育ではないというふうに考えます。
以上です。
○武内参考人 では、お答えしたいと思います。
まず、土地の所有についてでございますが、私どもは、土地は一部農業法人で持っておりますが、買う必要はないと思っております。
何のために農業をやるかというと、私どもは、安全で安心な有機農産物をつくるために農地が必要なのであって、そのために、化学肥料やあるいは農薬で今は地下水汚染やら汚染問題が言われておりますが、こういうことのないような農地をつくっていきたいなと。その中で、今の遊休農地を活用して、あるいは遊休農地候補地ですね、多分これから、ここ五年ぐらいで出てきそうなところを、やはり個人、民間問わず、農業をやっていきたい人たちでネットワークを組んでやっていくということが目的でございますので、所有の必要はないというふうに思っています。
ただし、農家個人さんにとってみますと、農地が通常、金融機関の――担保になりませんので、これは民間企業が出ていても同じことでございますが、農地がないと担保にならないというようなことが一つ大きな問題としてはあるかもしれません。
それから、撤退のことでございますが、私どもは当然、出るときには、五年から十年の中長期経営計画を組んで農業に進出をします。ですから、一年、二年で撤退をする、あるいは資金が仮に一年、二年でその農場がショートしたとしても、五年、十年の単位ですべて考えます。
ですから、大事なことは、五年、十年のスパンでまず計画をつくれるかどうか。だから、新しく新規就農の方々が入るときにもそういうことができるかどうか。さらに、新規就農にはいろいろ支援策がございますが、特区ではこういう支援策は全くありませんので、この辺もぜひ検討をしていただきたいなというふうに思います。
以上でございます。
○遠藤参考人 販路についてですが、一昨年は、全くの素人集団の集まりでしたので、リスクを回避するために、JAさんを通して加工トマトを作付いたしました。その時点で全く販路が見当がつかずに、やはり一番苦労したところなんですが、二年目からはちょっと心的に余裕を持ちまして、自分なりにデパートそれから旅館、ホテルなどを営業いたしまして、販路を確保しております。また、今後、インターネットにより販売を広げていきたいというふうにも考えておりますので、流通はおのずから開けると自分は思っております。
以上です。
○田中(英)委員 ありがとうございます。
まず、後藤様のおっしゃった、まず基本の、二種兼のそういう小さな農業者やら、そしてそれが集落営農としてなっていく。もちろん、日本においてはそれがトータル的に非常に大きいわけでありまして、我々も大切なことだというふうに思っております。したがって、一方で中核農家をつくりながら、一方ではそういうものがどのように応援できるかというルールを常に国としても考えておるというので、それはお説のとおりだろうと思います。
と同時に、食育についても、単なるデスクによるものだけでなくて、そうしたフィールドワークも含めてというお話がありました。我々もそのとおりだと思っております。
要は、これから、どこからでも札びらで今食が入るというイメージがありますけれども、必ずしもそうではない。と同時に、その土地その土地、日本という国土の中でできる季節のものが本来であって、それにプラス横出し、上積みでいろいろなものが食として、食材としてあり得るんだという自給率の話も含めて、我々も、今おっしゃっていただいたことで、自信を持って、また食育の基本法について進めてまいりたい、このように思っております。
遠藤様のおっしゃった販路のお話ですが、要は、ルールとして、今こうして、より企業が参入できるようにしよう、このようには言っているけれども、実際に、どんな事業もそうですけれども、収支が上から下まで皆見えないとなかなかいかない、こういうことがあると思いますので、そういう意味で、やはりこのルールの中では、生産基盤として参入できるよというところしか実際はないわけでして、当然そのことを前提にして、企業は企業で考えられるということだろうと思いますが、より企業として多く参入できるような方法というものは、多分、その後は市町村の施策しかないのかな、こう思っております。
最後に、武内様にもう一つだけちょっと聞いておきたいんですけれども、所有しないということが前提でやっていって、それで、長いスパンで考えたらいいんだということですが、有機でやっておられますよね。有機というのは、やはり周辺も含めて協力というか、うまくいかないといかないと思うんですけれども、その辺について、農地を借りているというのは、どこかに継続性が切れるというものがあるわけでありますが、その辺とのかげんでは別に問題はないですかね。ちょっとその辺をお聞かせいただきたい。
○武内参考人 有機農業については、周りの方たちの協力がやはり欠かせません。ですから、いきなり周りの方々に有機農業をやろうと言っても、なかなかついてきていただけませんので、私どもが実際に有機農業をやって、見せて、その販売も見せて、何だ、できるんだというようなことを、古くから農業をやっていらっしゃる方々に理解していただくということが大事だと思います。これを見せない限りにおいては周りの方との連携もうまくいきませんので、こういう活動を常にやっております。
ですから、私どもの農場には常に周りの農家さんたちがいつも集まっているというような状況で今進めております。
○田中(英)委員 ありがとうございます。
終わります。
○山岡委員長 次に、鮫島宗明君。
○鮫島委員 民主党の鮫島宗明でございます。
本日は、お三人の参考人の方々、ありがとうございました。
遠藤参考人は、地元でさまざまな工夫を凝らしながら、また、農業に対する熱い思いを語っていただいて、ありがとうございます。
また、武内参考人は、多分、企業として、企業性悪説という思想の中で大変苦労しておられるさまが何となくにじみ出て、感じさせていただきました。ただ、全体の販路までお持ちになってやっておられる例としては、これからの新しいモデルになると思いますので、私ども民主党も応援いたしますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
また、後藤参考人は、農地法自身の抱える民法との矛盾の中で、恐らくいろいろな問題を抱えながら、比内鶏をてこにしながら地域おこしに御努力されているお話に大変感銘を受けました。
食育の話が出ましたので、民主党の基本的な立場だけお伝えしておきますが、我が党の岩國哲人さんが、ローマの昔から、権力が決して手を出してはいけない三つの分野がありますと。それは、アモーレ、カンターレ、マンジャーレといって、愛と歌と食事、この世界は権力が手を出してはいけないというのがローマの昔からあるわけですが、自民党はその辺のところを割合簡単に考えて、食育基本法という法律でこのマンジャーレの世界を権力で汚そうとしている。私ども民主党は、こういう三つの世界に、胃袋とか心の中には権力が直接踏み込むべきではないという考えのもとに食育基本法に反対しているわけで、食の重要性を軽視しているわけではないということだけお伝えしておきたいと思います。こういうところにどんどん基本法をつくっていくと、次は恋愛基本法とか、服装がだらしないから着衣基本法とか、おかしな法律がどんどんできていくんじゃないかということを心配して反対しているということをお伝えしておきます。
それから、民主党の農政に対する基本的な思想は、転用規制はもっと強化すべきだけれども、参入規制は思い切って撤廃すべきだ、農業をやりたい人はどなたでもどうぞというのが私どもの基本的な考え方です。
大体、一九六五年、今から四十年前に、六百万ヘクタールの農地があって、農地の利用率が一二四%でした。つまり、実質的には七百二十万ヘクタールぐらいが生きた経営農地として使われていたのが、今は四百七十三万ヘクタールで、利用率が九四%。つまり、実際、生きた経営農地として使われているのは四百三十万ヘクタールぐらいで、この四十年間で約四割経営農地が減少している。これでは自給率が落ちるのは当たり前。せっかく公共的な機能を持つ生産装置としての農地を大事に使うことが、私どもは農業政策の基本中の基本だというふうに考えております。
したがって、参入については、家族経営はよくて企業経営は悪いとか、企業経営はよくて家族経営は悪いとか、そういう考え方自身は間違っている。一生懸命農業に取り組んでいただけるなら、企業だろうと家族だろうとそれは大いに結構で、そうじゃなくて、農地をただ資産として保有して、公共的な生産装置としての機能を全然発揮しないような持ち方をするんだったら家族だって悪いし企業だって悪い、そういう考え方で農地の総利用を図るべきだというのが私どもの基本的な考え方です。
そこで、幾つか質問をさせていただきますが、大建工業の遠藤社長さんのところ、事前の届けだと、農業従事役員数が一名、農業従事者数が常時二名、うち農作業従事一名と書いてあるんですが、そうすると、農作業に従事している方が一名いて、管理に携わっている方が二名いて、あと臨時に一人いますと。これで経営できるのかなという感じがするんですが、いかがでしょうか。
ちょっと一問一答形式でやらせていただきます。
○遠藤参考人 先ほどもお話ししましたが、足かけ三年目ですが実際には二年です。といいますのも、木を伐採したり石を撤去したりという作業がほぼ一年間かかりましたので、それで、今現在のところ三町五反歩の畑地をやっております。
ですから、今の規模ですと、専従が一名と作業している方が一名、専従の方も作業しますので二名、あと、収穫期にはそれこそ十人ぐらいのパートの方を集めております。あと、本業の方が、公共工事が年度末を迎えて三月いっぱいで終了しますので、ちょうどその時期が畑を耕したりということで自分たちの仕事が、本業が生かされる時期でもありますので、人員配置的にはそこで十分に補っております。
ただ、それで採算性がというのは、正直なところ全くとれておりません。
○鮫島委員 先ほど武内参考人の方から、農家だろうが企業だろうがやはり採算がとれなきゃ脱落していくことになりますよという話がありましたが、一番苦しい時期だと思います、確かに、抜根して、除根して、石をどけて、そういう経費をかけて三年目でやっと少し農業らしいことができるかなと思ったら五年で終わりというのはまさに残酷物語みたいな話ですので、お立場はよくわかります。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
後藤参考人にお伺いいたしますけれども、千百二十四戸の農家数ということでしたが、この戸数の中には土地持ち非農家は入っているんですか。
○後藤参考人 この中には土地持ち非農家は一人も入っておりません。
○鮫島委員 土地持ち非農家は何件ぐらいありますか。つまり、農地を五アール以上所有し、しかし、経営面積は一反以下で、年間の農業所得が十五万以下、つまり、農家だけれどもほとんど農業をやっていないに等しい、しかし、農地だけは持っているという土地持ち非農家は何件ぐらいありますでしょうか。
○後藤参考人 はっきりした数字は今持ち合わせていないんですけれども、本市の場合ですと、先ほども申し上げましたように、規模を拡大している大きな農家と、それから小さな農家ということで二分されております。それで、土地持ち非農家というのはほとんどない。少しでも自分がその管理をしながら機械作業だけは委託をするという形でやっていますので、完全に自分ではほうっておいている、捨てているという感じのところはないし、すべて任せてしまっているということもない。少しは自分で動けるうちは動きたいというのが農家の考え方のようであります。
○鮫島委員 私がちょっとそれをこだわって聞いたのは、新たな食料・農業・農村基本計画の中で、政府の方は、平成十六年土地持ち非農家百十六万戸に対して平成二十七年、この部分が百五十から百八十万にまで、五十万戸ぐらいふえると。これは、言い方をかえれば、土地持ち非農家というともっともらしく聞こえますが、ある意味では脱落農家、これがさらに五十万戸ふえますよと。しかし、農地だけはキープしています、こういう部分が五十万戸ふえる計画になっているわけですよね、政府が。
私はこの問題は看過しがたい問題でして、こういう所有の仕方に歯どめがかからないというのはマッカーサーの失敗がいまだに解決できていない。つまり、マッカーサーは何を考えたかというと、自作農を育成しなくちゃいかぬ、日本の農業者も自立させなくちゃいかぬというので農地相続の制度をつくったんですが、そのときに民法との折り合いがうまくついていなくて、例えば均分相続と言われる均等分割。新憲法のもとでは均等分割じゃいけませんよ。そうすると、果てしなく細分化していってみんな猫の額みたいになってしまう。これをどう防ぐかということは多分マッカーサーは考えていなかった。
それからもう一つは、相続のときは権利移動とみなさない。新規に農業参入をしようと思う権利移動という場合には、農地法に基づいてまず営農意欲の確認をし、常時、全面、効率的な利用をしますねという踏み絵を踏ませてから新規参入を認めるけれども、あるいは権利移動を認めるけれども、相続の場合は、東京でサラリーマンをやっていようが、極端な場合、どこに住んでいるかわからなくても、形式だけあれば相続させちゃう。この縦のところが全然農地法がきいていない。これも多分マッカーサーの失敗だと思うんで、今度の食料・農業・農村基本計画にあわせて法整備をしていくときに、私は、この農地法の世界は見過ごせない分野だという大議論をして抜本的に変えないと、なかなか後藤委員長の悩みも払拭できないんじゃないかという気がします。
その辺の、相続を権利移動とみなさないというあたりのお考えについて、委員長、どんなふうにお考えでしょうか。
○後藤参考人 相続の場合ですと農地法というのは適用されていないわけでありますので、先生おっしゃっているとおり、相続の場合ですと、たとえどこにいようとも相続はできますけれども、これを地域の農業委員がしっかりと見詰めておいて、たとえ地元にいない場合でも、先ほども一つの事例を挙げましたけれども、たとえどこにいても農地はしっかりと地元の認定農業者に賃貸借をさせる、こういう努力をしないといけないということだと思います。そうしないと、やはり遊休農地あるいは耕作放棄地につながってくるということで、その辺が、要するに戸籍と農業委員会の基本台帳とのしっかりとしたリンクをとってもらわないと困る、これを法整備でやっていただきたいということです。
○鮫島委員 よくわかりました。
確かに、所有権と利用権が果てしなく乖離して、ついに所有者の顔が見えなくなるみたいな話は法律的に整備しなきゃいけない話だと思います。
済みません、ワタミファームの武内さんに。
私は、選挙区が東京で、池袋も入っているものですから、ワタミフードにはしょっちゅう行っているんですが、ちょっとあそこは若い人中心でうるさい。だから、私どものような年配の者が行くには時々腰が引けることがあるんですけれども、もうちょっと、熟年コーナーもつくっていただけるとありがたいです。
確かに、私がさっき言ったように、企業性悪説の中でいろいろな御苦労をしていると思いますが、この幾つかの指摘の中で、JAが全く無関心であるというふうに書いてありましたが、そんなに無関心でしょうか。
○武内参考人 JAについては、多分、私どもが特区をやっている農協の内部の方々はほとんど特区がどういうものかさえもわからない状態が多いと思います。
大きな合併をした農協さん等については、特に北海道については、明らかに反対であると。ですから、私どもが特区で参入するときに、反対だ、できれば農業法人で参入してくれということも言われました。ですから、この特区については全くかかわりを持たれようとしておりませんし、もう少し耕作放棄地を、私ども開墾するわけですから、これについては協力体制をとっていただきたいなというふうに思っております。
○鮫島委員 さっき私が言った、いろいろな、農地法と民法との関係の整理なんかがついていないことが、変に企業性悪説を生んでいる理由でもあると思いますが、ここに書いてある国営の土地改良事業の跡地が特に荒れていてひどいというのは、あれは、よくするために土地改良事業をやっているのに、何か悪くするためにやっているようで、そしてだれもいなくなったというものの典型的なのが、私も幾つかの相談を受けて見に行ったことがありますが、大体最初の約束の工期が二倍かかって値段が三倍かかるというのが国営土地改良事業の特徴でして、したがって、その工事が終わったときにはだれも買い戻そうとしない、そしてだれもいなくなる、市町村に押しつけて国は逃げるというのが一般的な形ですので、やはりこの問題もこの国会の場でしっかり検討させていただきたいというふうに思います。
きょうはちょっと時間がなくて十分質問もできませんでしたけれども、お三方、これからもそれぞれの道でぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
どうもありがとうございました。
○山岡委員長 次に、白保台一君。
○白保委員 公明党の白保台一でございます。
きょうは、遠藤参考人、武内参考人、後藤参考人の皆さんには、お忙しい中を大変に御苦労さまでございます。
初めに後藤参考人にお伺いをしたいと思いますが、先ほどもお話ございましたように、比内地鶏で成功なさって、全国の農業者を大変勇気づけたんじゃないかな、こういうふうに思っております。都内にもさまざまな専門店が目立っておりまして、食したことの経験がある人がいっぱいいるんじゃないかな、こういうふうに思っております。
ただ、そうはいっても、これは一朝一夕に今日を築かれたわけじゃありませんから、大変御苦労をなさったんじゃないかな、こういうふうに思っております。これは、消費者がどこのだれかということをよくお考えになって、飼養管理を徹底化して、ぶれることなく今日まで頑張ってこられた、それが一つの大きな要因だったんだろう、こういうふうに思っているわけであります。
ブランド化に成功されましたが、言いかえますと、品質や流通、供給に責任を持つということであり、そういうことをきちっとやっていけば経営上のリスクをかなり負うわけですね。BSEや鳥インフルエンザなどの病気、偽装表示や風評被害、こういったものが発生すれば、また壊滅的な打撃も受けるわけです。
そういった中で、優位性を高めるということでトレーサビリティーも進んでいきますが、これはまた農業者にとっては一つ大きなリスクをしょうわけでありますけれども、他産業の企業以上にリスク管理が重要であり、行政のセーフティーネット、こういったものも必要だと思いますが、これまでの経験からして、どのようなお考えをお持ちでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○後藤参考人 比内鶏に関しましては、私は得意分野でありますので、ちょっと長くなりますけれども、よろしいでしょうか。済みません。
ブランド化をいかにしてやったかということなんですけれども、私は、昭和六十二年から始めまして、六十三年に部会を結成したんですけれども、この部会を結成するときに、どこに販売をするかという、相手を、ターゲットを決めたということでありまして、これを首都圏に絞ったわけです。
ですから、六十三年に部会をつくったときに、もう既に、今でいうトレーサビリティーですね、飼育管理、これを徹底したわけです。というのは、飼料、あるいは与えるものはすべて農協を通すようにと。そうしないと管理できないものですから。そして、農協にそれぞれ個人個人、鶏の専門口座を設けました。その口座を全部経由して買っていただきますので、そうすると、その人がどれだけの羽数を得てどれだけのものを使ったかというのがすべて一目瞭然であります。
それと、六十三年に農協の方で五万羽体制で処理場をつくっていただきましたけれども、農家が一日に三軒でも五軒でも一緒に出荷しますけれども、一切まぜない、全部分けています。そして、冷蔵庫に入れるにしても冷凍庫に入れるにしても、すべて分けておきます。ですから、どこの店にだれの鶏が行ったのかまで、これを六十三年からやっていました。ですから、今でいうトレーサビリティーというのは、我々からいうと何だこんなものという感じさえする。それくらい、我々としては最初から厳しいものにしていましたので。
それから、行政としてどういうことをしてくれたのかということなんですけれども、この五万羽体制ではもう足りなくなりまして、それで十五年度予算で、国のアグリ・チャレンジャー事業を使わせていただいて、今二十万羽体制で、衛生的な管理のできる立派な処理場をつくっていただきました。それに合わせて十六年度には素びな供給も、これもアグリ・チャレンジャー事業でやらせていただいておりますので、行政の方でも大変力を入れていただいておりますので、この場をかりて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
○白保委員 武内参考人にお伺いいたします。
私は、食料自給率の問題も当然あるんですけれども、食料安全保障、こういった観点から、我が国は農地をこれ以上減らすわけにはいかないだろう、こういうふうに、どなたも考えると思いますが、思っています。ですから、どのような個人であれ企業であれ、継続的に農業を営み、農地を保全していくのであれば支援すべきだな、こういう段階に来ているんじゃないかな、こういうふうに思っています。
ただ、農地法の根本的な考え方が自作農主義ですから、そういう中であれば、個人であれ企業であれ、だれでもいいというわけにはいかない部分もあるわけですね。そういう根本的な考え方が、今日農地が失われている結果になってしまったのではないかという見方もあるんです。
しかし、採算性本位の企業が日本の農地保全に一定の役割を果たすことができるのかどうかということが一つありますが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
○武内参考人 農地保全に企業がどうかかわれるかということについては、先ほど民主党の先生からもお話ありましたように、国営農地を見るにつけて、これは個人や地元のJA単位ではもう限界があるなと。百ヘクタール、二百ヘクタール単位で何百億という投資をして、実際には牧草、あるいは牛を放牧して草地に放してある。耕作はしているというふうになってはいますが、実際にはしていないところがほとんどでございますね。これは、やはりある組織でないともうやっていけないだろうと。先ほど大建工業の遠藤さんからもお話がありましたように、開墾する費用というのは非常にお金がかかります。ですから、これは個人でやりますと、恐らく一年、二年でパンクしてしまうだろう。
ですから、私どもは今のところは開墾もやっておりますが、やはり一ヘクタール、二ヘクタール、あるいは十ヘクタールという単位でやっていかないと私ども企業は採算性が成り立ちませんので、大規模にやっていくために、あるいは農地を保全していくには、一ヘクタール、二ヘクタールじゃなくて、十、二十、百という単位で考えていくと、やはり企業が、あるいは農業法人の大規模化がどうしても必要であろうと。そこには農業法人の、あるいは企業の収益性、あるいはきちっと事業計画が前もってあって進めていかないと、これは途中でとんざする可能性があるなというふうに思っています。
○白保委員 消費者が、安全、安心、そういったことを求める、そういう時代に入っていますが、武内参考人の会社ではマーケットリサーチを十分にされて消費者の質的変化を的確にとらえていらっしゃる、こういうふうに伺っています。
ところで、私ども公明党でも、マニフェストに、有機農家や減農薬栽培農家の倍増、これを掲げておるわけですが、なかなかヨーロッパみたいには、うまいぐあいにばあっと進んでいくという状況にはないわけであります。
有機農産物の市場性がまだまだ小さいのかということ、あるいは生産者のコスト意識なのか、あるいはまた行政の取り組みが問題なのか、どの辺に問題があるというふうにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
○武内参考人 今先生御指摘になりましたところ全部だと思うんですが、私はヨーロッパも見て回っておりますが、日本は、JAS法で有機の法律をつくっておきながら、登録認定機関にも生産者にも、あるいは検査費用も、一円も補助がない。これが日本の有機農業の実態じゃなかろうかと思います。
今議員連盟ができて活動されておりますが、やはり支援がないこと、市場性がないのではなくてつくってないだけだと思います。ヨーロッパでは三から七%ぐらいの市場性があるわけですが、日本では〇・一七%、ですから、潜在的なマーケットは非常にありますので、その市場をつくっていけば拡大しますし、当然自給率アップにもつながるというふうに思って今活動しております。
○白保委員 では最後に、遠藤参考人にお伺いしたいと思います。
中山間地域で耕作放棄地が非常にふえています。なかなか歯どめがかからない、こんなような状況も結構あるわけです。それで、こういったところに企業が参入することがいいんじゃないかという、そういう期待する向きもあるわけですが、実際には、棚田とかこういったものが多くて、これはもう条件の悪い中山間地域に企業がなかなか参入はしにくい、こういうふうに思うわけですね。経済原理からいえば、企業が求めるのは、平たんであったり、日当たりがよかったり、水はけがよかったり、そういったところを、一番経済価値の高いところを求める、こういうふうに思うわけです。
耕作放棄地を開発、今開墾という話もありましたが、するのであれば、ベンチャービジネスと同じように、企業支援の体制、こういったものを強化することで大きな動機づけになっていくんじゃないかと思いますが、遠藤参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○遠藤参考人 今ほどのことは、先生がおっしゃるように、もうまさにそのとおりだと思います。
放棄地といいますのは、基本的には、皆さんがあきらめて捨てた土地だと言っても過言ではないと思います。ですから、いい条件の場所ではありません。ですから、開墾をするに当たっても、武内社長がおっしゃったように、かなりの初期投下のお金がかかりますので、やはり個人レベルでは非常に難しいということで、国からのバックアップがあればそれは大きな力になると思います。
○白保委員 それからもう一つ、株式会社の参入していくことの反対意見の一つとして言われるわけですが、産業廃棄物の不法投棄、こういったものを懸念する声もあります。現実に、ある県の農業者から聞いた話ですけれども、農地に産廃を埋めて、そこに土をかぶせて、それからクリの木を植えて農業をやっているような感じ、これで会社は逃げてしまう、こういうことがあって、これはモラルの問題ですけれども、そういう廃棄物処理法の問題になっていくわけですけれども。
農地保全のためには農地利用の義務は厳しくする必要がある、こういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○遠藤参考人 今ほどの話なんですが、現在、遊休農地であるがゆえ雑草が生い茂り、さまざまなごみの不法投棄があちらこちらで確かに見受けられます。でも、それは不法投棄があるがゆえに、これは業者ではなくて、一般の民間の方たちが見えないから捨てるというのが一番の大きな問題だと思っております。
私個人の考えですが、特区参入した業者の方たちは、多分、今の状況を脱却しようということと、再生を目指して入ってくるわけですから、あえて最初から目的を見失って自分の首を絞めるような、そういった産廃を捨てるとか処分するとか、そういったことは私個人としては考えられないと思います。
初めから不法投棄を目的とする業者がいるとすれば、これは武内社長もおっしゃいましたが、市町村レベルでしっかり、参入するに当たっての協定書づくり、それから監視をしていけばこれは完全に防げることだと思います。
○白保委員 私の選挙区に東北の楽天イーグルスがキャンプを張った久米島というところがあるんですけれども、そこの建設業者が、島の中の事業が少なくなったときに、多くのあいているサトウキビ畑を全部借り受けてサトウキビをつくって、島の中で一番多い収穫を得ているという、こういういい例もあるものですから、そういうふうにみんなが皆さんと同じように頑張ってくれればいいなと、こんなような期待を寄せながら質問を終わります。
○山岡委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょうの三人の参考人の方々には、お忙しい中、本委員会にお運びいただいて、本当にありがとうございました。また、それぞれに大変興味深く参考になるお話でございました。ありがとうございました。
最初に、後藤さんにお伺いをしたいと思うんですが、私もお近くの小坂町の出身でございます。現在、農業委員の役割の大きな一つといいましょうか、目的が、お話にあった担い手への土地の集積だというふうに位置づけられているかと思います。先ほどのお話を聞きますと、昼夜を分かたず、出し手と受け手の調整ということで努力をされたというお話をされておったと思いますけれども、農業委員の数が非常に減らされたりとか、御自身が農作業をされる、そういう中で、非常に困難な仕事ではあるかと思うんですね。
そういう点で、まず、担い手への土地の集積というのをどのように取り組まれたのかということをもう少し詳しく伺いたいのと、新規就農においてこれがどのように生かされたのかというのを伺いたいと思います。
○後藤参考人 お答えをいたします。
集積に対しましては、農業委員の中に認定農業者が圧倒的に多いということであります。ですから、地域も小さいということもありますけれども、それぞれ全体に目が届いているということであります。それとあわせて基本台帳を電算化いたしましたし、それから、農地を一筆ごとに全部コンピューターに入れていますので、これから農地がどういう動きをするのかというのがそれで見える形をとっています。ですから、そういう意味で、認定農業者に対する集積というのはやりやすい。
それにあわせて、農協の農地保有合理化事業と合わせていますので。先ほども申し上げましたように、出し手と受け手との間を直接つないでしまうとなかなか面集積ができなくなる。ですから、出し手と受け手の間に農協を入れるということであります。そうすると出し手と受け手の間での交渉がなくなりますので。ですから、農協に来た段階で、担い手の方々、認定農業者の方々に面集積をしながら集積をさせております。
それから、新規就農に関しましては、今現在三名ほどおります。出身地は、遠くは岐阜市の方、それから福島市の方、それと地元なんですけれども秋田市の方、三名がおります。すべて三十代、若い人は三十代の前半に来ていますけれども、これを地域の法人の研修に入れています。これは県の事業であります新規就農支援という形でやっていますけれども、県の農業会議所が窓口となりまして一年間研修をさせる。そして、その二年目、大体二年ぐらい研修しないと一人前に――一人前にはならないんですけれども、できないものですから、二年目はその法人で働いて少し給料をいただいて、それから新規就農をする。そして、町としては住宅に対する補助をしております。年間上限で三十万ですけれども、住宅補助をしております。
以上です。
〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕
○高橋委員 農業委員が地域のことをよく周知しているということと、JAの役割ということが非常に教訓的にお話しされたかと思います。
それで、先ほど、規模拡大の農家だけではなく小さな農家も、全部あって全体として農業が成り立っているんだという、非常に示唆に富んだお話があったと思いますが、新基本計画の方向というのは、担い手に土地を集約すると同時に、そういう零細なところは土地を出して、集落営農という形も担い手になり得るんだ、ただしそれは法人化という形での検討をされているわけなんですけれども、この集落営農の法人化ということが今後うまく進んでいくのか、あるいは今の取り組みの中でもう既にそれは見えているんだよということなのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○後藤参考人 この集落法人化というのはやはりこれから大事になってくる、こう思います。
実は、先ほどお話ししなかったんですけれども、地域において特定農業法人を立ち上げた経験がございます。
これは小さな集落なんですけれども、十八戸ぐらいの集落で、水田面積が十一ヘクタールぐらいにないところでございます。もちろん認定農業者も担い手もいないところでありますけれども、その集落の方々が、農地がなくなれば集落の崩壊につながるんだということを言っていました。我々は一生懸命管理をしているけれども、やはりこれで生活できるということではない。ですから、何とかならないのかと。この集落の農地を我々だけで管理していきたいということで、それじゃ特定農業法人を立ち上げればどうかということで、農業委員会が月に何回もその集落に足を運びまして、納得するまで二年ぐらいかかりましたけれども、立ち上げております。
そこで、先ほど申し上げました、私がやっている比内地鶏の切りたんぽセットに欠かせないセリが必要ですので、そこにセリをやらせようとして今盛んに勧めているところであります。
以上です。
○高橋委員 ありがとうございます。
もっと聞きたいんですが、時間がないので、済みません、武内さんに今度お伺いをしたいと思います。私も有機議連に入ってございます。
ワタミファームはリース特区と農業生産法人の二本立てで経営をされてきて、そういう中で、いろいろな困難をクリアしてこれまで発展されてきたと思うんですけれども、今後さらに全国的にワタミファームとしての展開を展望されているということで、まずその一番の目的が何かということと、その際に、今回は特区を全国展開というふうな形でやるわけですが、その手法によって参入しようとしているのか、まずそこを伺いたい。
○武内参考人 お答えします。
全国展開については、やはり私個人の考えでもありますし、夢でもありますし、全国に有機農業を広げたいと。ただ、今現在〇・一七しかないという、遅々として進まないのは、やはり生産規模が小さい、生産規模が小さいから、物がないから売れない、この悪循環に入っていると思いますので、とりあえず生産量をふやして市場に少し出せるような形をとっていきたい。そのためには、有機の方たちとは、現在、地域の農業生産者、全国の生産者五十軒ぐらいと連携をしておりますが、これでは非常に時間がかかるものですから、私どもの若い社員を育てて各地に農場展開をしていきたいな、これが一番早い、そしてその中で、地元の有機の方々とまた連携をするというふうな広がりを持たせたいなというふうに思っております。
展開につきましては、リース特区だろうが農業生産法人だろうが、やりやすい方向で行きたいと思っています。この形は特にこだわりません。例えば個人であってもいいのかもしれませんし、この形は全く今のところこだわっておりません。
以上でございます。
○高橋委員 居食屋という名前で外食チェーンを展開されていて、その中で有機を出すということは非常に魅力の一つとなっていると思うんですが、今後、リース特区の全国展開に当たって、国の基本計画でも外食産業、食品産業との連携ということが非常に強く打ち出されているわけですけれども、この分野で外食産業の競合が強まるというふうにお考えでしょうか。
○武内参考人 食材は本来安全であるべきだと思っております。ただ、今まで安さを追求したり、あるいは海外の物だけでやっているところも多々あります。そして、名前だけ有機で使うというふうな差別化も既に出ておりますが、そうではなくて、ベースとして当たり前のように有機農産物を私どもが使っていくためには、今の市場から買い入れるのでは非常に無理があります。ですから、これを各社が追随するかといいますと、やはり農業の参入についてかなり壁がありますので、なかなかこれを越えられないだろうな、だから、これをもう少し敷居を低くしない限り、これは本気になった、あるいは本当の意味での競争は出てこないような気がします。
○高橋委員 そういう意味で、先ほど最初にお話しされたさまざまなメリット、デメリットというのを、ワタミさんの立場での考え方、非常によくわかります。
それで、特区にはさまざまな規制緩和があると同時に、財政面ではメリットがないということで、今後の展開においては、やはりもっと自治体の支援なり、そういうのがあってしかるべきだというふうなお考えかと思うんでありますね。そうすると、参入しようとする企業、ワタミさんに限らず、やはり特区の全国展開ということが本意ではないのではないかと、それだけじゃ済まないよという話が本来あるんだろうと思いますけれども、率直に伺います。どうぞ。
○武内参考人 リース特区については、私自身は余り意味がないというふうに思っております。
なぜ農地をこれだけがんじがらめにしなきゃいけないのか。片方では、先ほどから話が出たように、相続等、農地法を厳格に適用していない等、ざるがたくさんあります。ただし、入り口のところを非常に難しくしております。でも、一たん入ってしまえば、これほどざるはない。大学と似ているのかなというふうに思いますが、なぜこういうふうにしなきゃいけないんだろうと。そのために、そこにお金も含め、農水の予算三兆円ですか、何がどういうふうに使われているかよく存じませんが、なぜ新規の参入に、先ほど後藤さんがお話しされたように、新規就農者と同じような扱いを特区の方、企業にもしないんだろうかと。これは非常に不思議です。
普通に考えて当たり前のことが当たり前じゃないのが、今のリース特区のような気がします。
○高橋委員 余り意味がないとはっきりおっしゃいましたので、今後については政府と我々の議会の中でまた意見を述べていきたいと思います。大変参考になりました。
次に、遠藤さんにお伺いしたいと思うんですけれども、やはり自治体においては雇用対策、地域振興として特区を位置づけているというのが、喜多方の場合もそうだと思うんですね、特区構想の中身がそうであって。それで、私、今は青森県の出身でございますので、やはり同じように建設業の比率が非常に高く、また景気の低迷が続いている中で、建設業と農業の連携ということが実際検討もされておりますし、今後検討されていくんだろうというふうに思うわけです。
ただ、さまざまな問題があるかなと思うんですけれども、今後の全国展開においてこの分野での発展というのが見込めると思うのか、率直に伺いたいと思います。
○遠藤参考人 お答えします。
福島県喜多方市におきまして四社特区に参入しました会社のうちの一社がことしの三月に倒産することになりました。全国で特区で倒産したというのはこれが初めてかどうかわかりませんけれども、やはり厳しいものがあるんじゃないかなというふうに思っております。
それで、今後の展開で、公共依存型の地域はなおさらのこと、体力のあるうちにこういった新分野に出ていくのは、今後必要かと思われます。といいますのは、今後五年間、合併特例債によりまして公共事業がある程度ふえることは予想されますけれども、それは土木建築業界においては単なるカンフル剤であって、その五年後にまた急激な落ち込みが間違いなく来ると予想されるので、新たなる取り組みとして農業に取り組むということは、これから非常に有意義なことと考えております。
○高橋委員 時間が参りましたので、ありがとうございました。
○西川(京)委員長代理 次に、山本喜代宏君。
○山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本であります。
きょうは、参考人の皆さんには、お忙しいところ、貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございます。特に後藤参考人におかれましては、私の隣町でございまして、いつも大変お世話になっております。特に、切りたんぽを中心に、比内地鶏を使いながら、地場産品の振興ということで大変な御努力をいただいておりますことに、心から敬意を表します。私の地元も切りたんぽの発祥の地というふうに言われておりますので、ぜひこの比内地鶏を使ってどんどん宣伝をしていただきたいというふうに思います。
まず、後藤さんにお伺いしますけれども、昨年、農業委員会の法律が改正をされまして、スリム化ということが今進められているわけでございます。そして、市町村合併も今どんどん進んでおります。北秋田市が、今市長選挙の最中でございますが、合併によって農業委員の数も大分減らされるというようなことが先ほどお話しされました。担当の面積も大幅にふえているという中で、今度の、この農地の集約をしていくということは、非常に市町村の段階の取り組み、市町村の公社、あるいは農協、農業委員会、そうしたところの綿密な打ち合わせなり、そうした連携が大変重要になっていくと思うんですが、この農業委員会のスリム化という中で、こうした事業に対する影響といいますか、そうしたものはどうなっていくんでしょうか。懸念がございましたら、お願いします。
〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕
○後藤参考人 農業委員のスリム化というのは、これはよく言われております。確かに、委員の数が少なくはなります。だけれども、少なくなったからその分おろそかになるかというと、そうではないだろうと。ですから、私先ほども申し上げましたように、基本台帳の電子化、それから地図情報にしっかりと取り組むことによってすべての農地が把握できるのだというふうに考えております。たとえ委員の数が少なくなっても、これは確実に農地パトロールをしながら、そして電算化することによって全体を見ながら活動することが一番いいと思いますので、必ずそれはできるというふうに信じております。
○山本(喜)委員 先ほどのお話の中で、大規模農家だけでなくて小さい農家も含めて集落を維持していくということが大変重要だというふうなことでお話がありました。今度の基本計画の中で、集落営農、これに小さい農家も参加していただく。しかしながら、法人化、あるいは経理の一体化ということで、大変そのハードルが高いというふうに私は思っているんですが、この集落営農のハードルということについてはどのようにお考えでしょうか。
○後藤参考人 集落営農に関しましては、今現在、認定農業者がいっぱいいるところ、ある程度いるところは大丈夫なんですけれども、少ないところ、これに関しては、やはり集落の中で核になる人を置いて、それを中心にしながら集落営農に進めていければというふうに考えています。
今現在、改善団体というのは合川町の中にはかなりの数がありますので、そういうのを生かしながら、以前に協業組合組織をつくったものですから、そういうのを生かしながらこれからも進めていって、集落営農の方に移行していきたいというように考えています。
○山本(喜)委員 次に、武内さんと遠藤さんにお伺いしますけれども、政府とすれば、耕作放棄地、遊休農地、これはやはり中山間地を中心にこれからふえていくのではないか、あるいは、現在も中山間地を中心にかなり多いわけですね。しかしながら、企業が参入するためには、条件不利地がやはり中山間地なわけですよ。そうしたときに、その政府の意向と企業の意向と果たして合うのかどうか、今後の中山間地の耕作放棄地の解消に向けて、企業としてどのように考えて、対応していけるのかどうか、それぞれお伺いしたいと思います。
○武内参考人 私ども、中山間地でも実は十ヘクタールほどやっておりますが、中山間地に限らず、一枚の畑が二ヘクタール、三ヘクタールという畑は、北海道へ行けばざらにございますが、関東付近ではそんなにございません。ですから、別に中山間地だろうがなかろうが、相続等の問題もあって分筆されていますので、非常に細かく畑は分かれております。大体、一農場で、多いところですと十五カ所ぐらい農地が分散しております。ですから、私どもは、その考え方については、中山間地だろうがなかろうが、余り差をつけて考えているつもりはありませんし、また、それについては余り意味がないというふうに思っております。
○遠藤参考人 今の問題は非常に難しいと思うんですけれども。放棄地ですか、いい場所と、それから、今おっしゃったように中山間地域では、非常に歩掛かり的に、労力それから機械、初期投資がかなり違ってくると思います。ですから、その辺の区分けを行政の方でどういう形で補ってくれるのかわかりませんけれども、やはり事細かく細分化して、補助を出すとか、そういったことが取り組む方にとって必要じゃないかなというふうに私は思います。
○山本(喜)委員 武内参考人にお伺いしますけれども、先ほどのお話の中で、農業生産法人の方がメリットが大きいというようなお話でございました。しかしながら、今、特区で株式会社で参入している。以前から、ワタミファームということで、農業生産法人でやっておられましたよね。これが、わざわざ株式会社ということで参入された動機、それについてお伺いしたいと思います。
○武内参考人 実は、特区の内容について余り詳しく知りませんでした。特区は、いろいろな支援があったり、あるいは農業法人と全く同じであろうというふうに考えておりました。ところが、全く別物だというのがここ一年ぐらいでよくわかりました。
ただ、ではなぜ特区でやっているんだと言われると、それは、行政の方々、地方の町の方々にお世話になっているので、あくまでもPR活動の一環である、町おこしの一環であるということで、町が特区でやりたいというときについては、全面的にそれに賛同して、農業法人で一度借りておいて、途中で株式会社ワタミファームに切りかえて特区でやっております。現在もそういうやり方をしております。
○山本(喜)委員 遠藤参考人にお伺いしますが、今の、先ほどの話で、合併特例債で今後五年間というふうな、本業の方の見通しの話もございましたが、本業の方が忙しくなって、そうなった場合は、今後の農業をどうするのか。あるいは、採算がかなり厳しいというふうなお話もございました。そうした点での長期展望をどのように持っておられるのかというふうなこと。それから、喜多方市においては土木建設業四社のほかに運送業者も一社、合わせて五社というふうにお伺いしておりますが、これらの方々は、現状、今どのようになっているのか、わかる範囲でお願いします。
○遠藤参考人 お答えいたします。
合併特例債で忙しくなるということは確かにあります。ただ、そちらの忙しくなるというのはもともとの本業ですので、今の従業員で十分カバーできると思います。
あと、特区に参入するに当たって、忙しかったらば、じゃ、農業はできないんじゃないかというふうに言われますけれども、皆さんも御存じのように、これから日本は元気な老人がいっぱい、皮肉なことに、皮肉と言ったら失礼ですけれども、これからますます元気な老人が誕生してまいります。ですから、そういった元気な老人が、会社を定年になって生きがいをなくしてというのではなくて、農業でまた生きがいを求めようという方が喜多方市においてもたくさんいらっしゃいます。ですから、そういった元気な老人の方たちと一緒に農業をやっていくということで、労働面については全く不安はございません。
それから、次は、同業者は、先ほども申しましたが、ことし一社の方が倒産されました。それで、今、市の方で、ではその後どうするのかなということで、今後どういう展開になっていくのかなということで、今話を進めているところでございます。
あと、ほかの三社に関しましては、グリーンツーリズムを活用しまして、集客をねらって、今現在、農地の方に何とか箱物を建てまして、都会の方からのお客さんと一緒に農業をやっていくというような形で一生懸命取り組んでいる大岩建設という会社があります。
あともう一社、環境建設というところですが、そこはもともと造園業の会社で、現在ハナミズキを七千本ぐらい植えております。自分の本業に生かせるような形ということで植樹しております。
あと、そのほかにもう一社いるんですけれども、ソバをつくっている状況で、正直なところですが、市の方から、ちょっと特区を申請したので、何とか入ってくれないかよという話が、私は本当、正直だと思います。ですから、本当に特区によって、じゃ、よし、おれは農業をやるぞという会社は、当喜多方市においても二社のみだということに私は判断しております。
○山本(喜)委員 最後に、後藤参考人にお伺いしますけれども、比内地鶏の飼育、グループで同じ味を出していくということでの非常に厳しい肥育管理ですね。ペナルティーとか、あるいは除名というふうな制度も使いながらやっているようですが、そうしたグループの育成ということでの今後の方針といいますか、そうしたものをお話しいただければと思います。
○後藤参考人 また得意の分野に来ましたけれども。
確かに、私どもの方は、先ほども申し上げましたように、六十三年に部会をつくったときに、規約の中にペナルティー規約を設けました。そして、本来ですとかなり厳しい規約ですので、マニュアルをつくりまして、マニュアルどおりやってくれればそれでいい鶏ができる、いい味になるということを自信を持って勧めていますので、このマニュアルを守るかどうかということに対してはやはりペナルティー規約を設けないといけないということで、ペナルティー規約を設けました。
そして、厳しい規約ですとほとんどが使用されないだろうというふうに見られますけれども、実は、残念ながら、うちの方では除名は六名ほどおります。そして、悪質な場合は、その年の鶏の所得を全部没収して除名という厳しさがありますので、その没収したのは二名ほどおります。
これからも、これに対しては変わりなく進めていきたい。特に当初から、食に対する安全、安心というのは、これは当たり前なのだということであります。安全でなければ食料でない、味が悪ければ金はもらえないというのが私どもの最初の柱でありましたし、そしてまた、都会、首都圏を中心に全国に販売するという形から、私どもはやはり安全で安心で、そしてまたヘルシーでということで鶏の脂肪を落とすだけを考えれば味が悪くなるんですけれども、鶏の脂肪をある程度乗せて、食べたときにその脂っこさを感じさせないような、そういう研究をいたしまして、私どものところで六十三年から九年間連続して研究をいたしまして、そして確立したものですから、この後も引き続きこのままやっていきたい。
そして、地元、私は合川町だけではなくして、北央農協管内にすべて奨励をしましたし、県北三郡、ですから先生のいらっしゃるところでもうちの方にちゃんと入ってきています。県北に六つの農協がありますけれども、この六つの農協すべてまとめて協議会をつくっております。
以上です。
○山本(喜)委員 貴重な御意見、大変ありがとうございました。終わります。
○山岡委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。(拍手)
次回は、明十四日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十七分散会