衆議院

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第14号 平成17年5月17日(火曜日)

会議録本文へ
平成十七年五月十七日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 山岡 賢次君

   理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君

   理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君

   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      岡本 芳郎君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    金子 恭之君

      上川 陽子君    川上 義博君

      木村 太郎君    城内  実君

      北村 直人君    後藤 茂之君

      後藤田正純君    田中 英夫君

      津島 恭一君    西村 康稔君

      三ッ矢憲生君    森  英介君

      一川 保夫君    岡本 充功君

      鹿野 道彦君    岸本  健君

      小平 忠正君    鮫島 宗明君

      神風 英男君    仲野 博子君

      堀込 征雄君    松木 謙公君

      山内おさむ君    大口 善徳君

      高橋千鶴子君    山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 青山 幸恭君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       外口  崇君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            村上 秀徳君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            川村秀三郎君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           西川 孝一君

   政府参考人

   (林野庁長官)      前田 直登君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           阿部  健君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大庭 靖雄君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 坂本 茂宏君

   農林水産委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  原田 令嗣君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     三ッ矢憲生君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ矢憲生君     原田 令嗣君

    ―――――――――――――

五月十七日

 食料自給率の抜本的向上に関する請願(楢崎欣弥君紹介)(第一二七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

山岡委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長村上秀徳君、消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、経営局長須賀田菊仁君、農村振興局長川村秀三郎君、農林水産技術会議事務局長西川孝一君、林野庁長官前田直登君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、法務省刑事局長大林宏君、財務省大臣官房審議官青山幸恭君、文部科学省大臣官房審議官山中伸一君、大臣官房文教施設企画部長大島寛君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長外口崇君、国土交通省大臣官房審議官阿部健君、大臣官房審議官大庭靖雄君及び海上保安庁警備救難監坂本茂宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松木謙公君。

松木委員 民主党の松木謙公でございます。

 皆さん、おはようございます。朝早くから御苦労さまでございます。きょうは、大臣がいないので少々寂しいような気もしますけれども、まあそれは副大臣がしっかりカバーをしてくれるんじゃないかな、立派な政務官もおられますので、そんなことで質問を始めさせていただきます。

 それでは、前回の私の質問の冒頭で、全農の問題をちょっとお話をさせていただいたんですね、覚えておられると思いますけれども。引き続き、今回もこのことからちょっと質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 全農は、これまで農林水産省から業務改善命令を受けただけでも六回ぐらいに及ぶようなんでございますけれども、これを一つ一つ言いますと、平成十二年に千切り大根事件、平成十三年に全農チキン事件、そして平成七年以降ということで八女茶事件、十五年には、二月にタマネギ、米事件、そして十月には米表示違反事件、そして十五年の三月、七月に黒豚輸入事件、こういうことで随分いろいろなことが起きているんですけれども、中には、逮捕されてしまった、有罪判決を受けてしまった方もおられるようでございます。

 それらを受けて、全農が再発防止を誓って、外部者を入れて改革委員会を設置し、組織のあり方について四月九日にその委員会から一次答申を受けたわけですけれども、そのやさきに今回の米横流し事件、米架空取引疑惑の事件が発覚したわけです。

 平成十五年度のデータで、全農向けの補助金等の交付実績ということで見ますと、二千七百六十四億三千八百四十万七千円、約三千億ということなんですけれども、このお金が交付されているわけです。そのうち全農どまりのお金も随分ありまして、これは百七十八億円ぐらいもある、このぐらい大きなお金が、皆さんの税金が回っていく、そういうものなんですね。これだけ大きな補助がなされている組織にこれだけ不正事件が起きることは、やはり非常に問題じゃないかなというふうに私は考えておりますけれども。

 ここから質問なんですけれども、これまでの六件の事件は、農林水産省の改善命令どおり大分改善がなされたというか、どんな結果が出たんでしょうか。

須賀田政府参考人 これまで全農に対しまして、先生おっしゃいましたように、六回に及ぶ業務改善命令を出しております。その都度、全農からは、コンプライアンス体制の強化、子会社管理体制の強化をいたしますという報告があったわけでございます。

 コンプライアンス体制の強化としては、相談・通報体制を整備します、あるいは役職員に対する研修と意識改革を徹底いたします。子会社関係では、再編合理化に取り組みますとか、やはりここでも役職員へのコンプライアンスの徹底を図ります等の報告がありまして、その一つ一つの事項は、私どもも、全農において実施をしている、研修がちゃんと実施されている等々については、点検を行ったところでございます。

 ただ、こういう内容が組織の隅々まで徹底されておりましたら、その後、今回のような不祥事が再発するとか、あるいは再々発するとかという事態は惹起されなかったというふうに考えております。やはり、結果から見ますと、不祥事を防止するための組織とか体質の改善がなされていなかったと言わざるを得ないというふうに考えております。

松木委員 なされていないんじゃ非常に心もとない話なんですけれども。

 この中で、一番最後に私が言った黒豚のことというのは、今特にどうなっているか。これは質問通告していなかったので、答えられる程度で結構ですから、どういうふうになっているのか。大分居直ったような話も聞いておりますので、ちょっとお話をしていただけませんか。

須賀田政府参考人 黒豚肉の輸入事件、全農の子会社であります組合貿易が内規に違反をいたしまして外国産の黒豚の取引を実施し、その輸入された豚肉が偽装に使われていたという事件でございます。全農が調査を実施しながら一切報告しなかったということがございまして、私どもは業務改善命令を出しまして、全農はコンプライアンスの強化とかいろいろな報告をしてまいったわけでございます。とりあえず、黒豚の輸入はやめますということと、それから輸入の農畜産物全体のガイドラインというものを徹底しておる、しかるべく処分もなされたという状況でございます。実は、その遵守状況をちゃんと把握する過程で今回の事件が起こった、そういう経緯になっております。

松木委員 黒豚の輸入は一応やめたということでいいんですか。大丈夫ですね。

 それでは、今回新たに起きた事件について、農林水産省として、またやったのかいなというのか、それとも、いや、ここまでやったのに予想外だったよなという感じを受けているのか、どんな感じをお受けになっていますか。

大口大臣政務官 ただいま松木委員からの御指摘、前回の委員会でもそうでございますけれども、これだけ、六回も業務改善命令を受け、さらにまた今回のこういう事件が発覚したということで、これはもう、一言で言うならば、モラルの高い組織倫理が末端の職員まで浸透、確立していなかった、こういうことの一言に尽きる、こういうふうに思うんですね。

 全農というものの使命は、これはやはり組合員への便益の供与、組合員の利益を最大化するということであるわけでございますけれども、やっていることは本当に、全農自体の利益の追求ですとか、あるいはみずからの保身だとか、そういうふうに農家の現場からも言われている、こういう現状であると思うんですね。

 そういうことで、全農は、国内の農産物を、特に米流通の大部分を扱っている組織であり、どんなことがあっても取引先から排除されることはないだろう、こういう甘え、それから危機管理意識のたるみがあるのではないか。また、農協系統の本旨である組合員への便益の供与のためにはどんなことをしても構わないという誤った意識があったのではないか、こういうふうに考えております。

松木委員 こういうことがありまして、そして全農が改革委員会というのを中に設置したわけですけれども、この改革委員会が、監督官庁の立場から見ても、体質を改善することに寄与できるのかどうかという、そこら辺の判定といいましょうか、見きわめといいましょうか、そこら辺をちょっとお聞かせいただけたらありがたいと思います。

須賀田政府参考人 全農の改革委員会、これは全農自身が設置をいたしました第三者委員会でございます。統治、監査、コンプライアンス、事業、多方面にわたる検討をするということでございます。特に外部の目から見て、このように改革したらいいのではないかということを審議されておりまして、四月九日に第一次答申が出されまして、これは、統治、執行、監査、コンプライアンスについて、情報の公開でございますとか、外部の役員を入れろとか、いろいろな内容の答申になっておりまして、この全農改革委員会のねらいは、組合員が最大限のメリットを享受できる事業運営、こういったものを確保するためにはどうしたらいいかという観点からの答申になっております。

 率直に申し上げまして、これを具体化して、そして組織の隅々まで浸透させていくことができれば、運営体制についてはかなり改善になるのではないかというふうに感じております。

 ただ、今後、この全農改革委員会は、改革の本丸とも言うべき経済事業改革についての議論に移るわけでございまして、これについてもその成果に期待をしているところでございます。

松木委員 この全農の問題は、かなり難しいことがたくさんあるような感じがします。本当に農民のためになればなという気がしますし、よくなるのかな、政務官の話を聞いていても、かなり厳しそうな感じがしますけれども、頑張ってもらいたいなと思います。

 五月十三日に農林水産省から、「全国農業協同組合連合会秋田県本部の「米横流し事件」及び「米架空取引疑惑」に関する調査結果について」と題して報告書が出されております。

 比較的素早い対応を評価したいというふうに私は思っておりますが、その内容からちょっとお話をさせていただきますと、自主流通米価格形成機構が設立された平成二年当時、県経済連は米の集荷業務と卸売業務の両方を行っており、入札において、同一の県経済連が売り手、買い手両方の立場から参加していたが、平成六年の三月に、公正取引委員会は、平成二年産及び三年産米の入札取引において、買い手に対して価格及び数量を示して入札を要請したとして、十二の経済連に対し独占禁止法違反のおそれがあるとして警告を行っております。同時に食糧庁に対し、このような行為は経済連が買い手として自県産米の入札に参加するという入札の仕組みが要因となっており、この仕組みを改善するよう申し入れた。これを踏まえて平成七年以降、県経済連の卸売業務について分社化が進められたということであります。

 今回の秋田の件は、公正取引委員会の指導に従ったが、結果として同じような事件になったんだと思うんですけれども、それとも、公正取引委員会の申し入れに対して、看板だけを県経済連からパール秋田に書きかえただけで、そして、そういうことを行った結果起きた事件なのか、あるいは、全農秋田県本部の役員がパール秋田の役員を務めている、要するにトップとトップが同じだということもあるようですけれども、組織が違っても実態として売り手と買い手が同じ組織となっているのは、平成六年の公正取引委員会の警告から改善がされていないのではないかという疑念があるわけですけれども、ここら辺のことをお答えいただきたいと思います。

村上政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、平成六年に公正取引委員会から、今御指摘のような申し入れが当時の食糧庁に対してございまして、経済連が同時に買い手と売り手の立場でセンター取引に参加することを禁止すると同時に、経済連の卸売機能につきまして子会社化してきた経緯がございます。

 今回の事件は、特殊な事情といたしまして、売り手側の全農秋田県本部長と買い手側のパールライス秋田社長が同一人物ということが大きな原因であるのではないかというふうに思っております。分社化を進めてきた中で、センター取引ルールが、全農県本部と子会社との取引を含めまして、適正な価格形成を確保する上で十分であったか否かということをやはり検証して見直しする必要があるというふうに思っておりまして、現在、センターにおきまして取引ルールの検証、見直しを進めております。

 その中で、やはりセンター上場数量の大幅な増加というのが必要ですし、取引結果の透明性の向上とか、不正行為の監視機能の強化など、個々の取引が適正に行われるための条件整備ということとあわせまして、全農県本部とその子会社との取引の問題につきましても検討を行う必要があると思っておりまして、子会社になったことで必ずしも十分でなかった面もあると思いますけれども、それはやはり基本的には取引ルールということで、公正な取引をいかに確保していくかということで考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。

松木委員 いろいろなことを答えてくれましたけれども、一〇〇%子会社を相手としてやっている実態というのは一体どのぐらいあるのか、そして、大体、県本部の方とそのパール何だか、これは役員もほとんどが兼ねているというのが実態なんですか。もう一度ちょっとそこら辺を教えてください。

村上政府参考人 平成七年度以降、経済連や県本部の米の卸売業務の分社化を進めておりまして、現在で四十府県、四十一の経済連また全農県本部、山形の場合は県本部が二つ存在しております、におきまして、米卸売業務を行う子会社が存在しております。

 この中で、今回の秋田のように、全農県本部長が卸売子会社の社長を兼務しておりますのは、全農青森県本部とパールライスあおもり、それから全農庄内県本部と庄内パールライスの二件であるというふうに承知しております。

松木委員 売り手と買い手のトップが同じだというのが、今のところまだ二件あるということですね。これは、これから農水省としてはどうしていくつもりですか。

村上政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、コメ価格センターにおきまして、現在、取引ルールの検討、見直しを進めております。

 その中で、先ほど申しましたように、センター上場数量の大幅な増加とか取引結果の透明性の向上、それから不正行為の監視機能の強化など、個々の取引が適正に行われるための条件整備というのがまず必要だというふうに思っておりますが、それとあわせまして、御指摘の青森、庄内のケースを含めて、親会社である全農県本部とその子会社がいわゆる同じ意思のもとに運営されているような場合に、コメ価格センターにおける双方の取引を認めるのが適当かどうかということにつきましても、必要な見直しを行っていくべきだというふうに思っております。

松木委員 二人今同じだということで、その前に農水の方から、今回の事件の原因の一つとしてはトップが同じだったという話も出ております。

 ということは、これは例えばいつまでにこの入れかえをするのか、そういう具体的な話というのは言えますか。端的に。

村上政府参考人 現在、センターの検討のグループで検討を進めておりますので、その検討を踏まえてということになると思います。今のところ、その検討結果を待たないと、いつまでということは言えませんが、できるだけ早く検討し、方針を出していきたいというふうに思っております。

松木委員 できるだけ早くということなんですけれども、それでは、例えばそれはことしじゅうには変わるとかそういうことですか。早くというのは、一時間でも早いし、十分でも早いだろうし、そのものによって早さというのは、時間の概念も変わるわけですから。このごろマニフェストというのがはやっていますので、何年以内にどうするという、こういう話をある程度明確に言っていただけたらいいと思っています。先生、端的にお願いします。

岩永副大臣 今、農水省全局で、この全農の改革の問題について、各局ごとに対応しなきゃならぬ問題をずっと積み上げておりまして、もう少し時間をいただければ、きちっとした御答弁をさせていただきます。

松木委員 わかりました。では、もう少しということで私も了解しておきますので。

 しかし、やはりトップが同じだというのが非常に大きな原因であるということを皆さんも認識しているわけですから、速やかに、早く結果を出して、また新たなあすへ向かっていただきたいというふうに思っております。

 それでは、全国の米穀取引・価格形成センターの役割についてちょっと聞きたいんですけれども、入札によって価格形成を図り、その円滑な取引に資する。需要に対応した生産の誘導、流通の活性化及び消費者の適切な選択に資するということですけれども、このセンターの信頼をも奪う結果になったわけですね、今回は。

 それで、何か、上場を義務づけるだとか、いろんなことを言っているようですけれども、このコメ価格センターのシステム自体がかなり不正の温床になってしまっているのではないかというお話もあるようですけれども、そこら辺の御見解というのはいかがでしょうか。

村上政府参考人 今回の架空取引のように、コメ価格センターにおきましてその信頼性を大きく揺るがすような不正行為が現実に起きたということを踏まえますと、センターでの取引の透明性、それから不正防止のためのチェック体制に不十分な点があったという指摘は謙虚に受けとめる必要があるというふうに考えております。そのために、農林水産省としましても、センターでの検討グループに正規のメンバーとして参加いたしまして、必要な検証、見直しを鋭意進めているところでございます。

 具体的には、個々の取引が適正に行われるための条件整備が重要だということで、特定の売り手、買い手による価格形成への不当な影響を排除するということで、減少しているセンター取引への上場数量を大幅に増加させるということ、それから、一定の基準に該当するような疑問のある取引について、自動的に取引監視委員会が調査するというようなルールを整備するということで、センターによるチェック体制を強化するということがございます。

 それから、特定の売り手、買い手による価格の操作などの不正行為を未然に防ぐために、取引結果の透明性を強化したいというふうに思っております。

 以上とあわせまして、先ほど来御議論いただいております全農県本部と経済連とその子会社との取引が同一意思のもとで行われることによる価格形成への不公正な影響を排除するということなどについても検討を行っていきたいというふうに思っているところでございます。

松木委員 わかったような、わからないような、そんな気がしますけれども。

 それでは、経済事業改革チームというのを副大臣が中心になって今始めたというお話を私は聞いているんですけれども、やはり、食料の安心、安全だとか、そういうものを今回非常に傷つけた、信頼性、そういうものを傷つけた事件だというふうに私は思っているんですよ。それで、ふだんから攻めの農政ということで島村大臣を中心にして、副大臣、本当にいつも元気よく頑張っているわけですけれども、この経済事業改革チームについて少し御説明をいただければと思います。

岩永副大臣 去ること二月の二十五日に、全農の会長、それから理事長を私の部屋へ呼びまして、今まで六回改善命令を出しているのに何たることだ、そして、仏の顔も三度というけれども、本当に全農はやる気があるのかどうかと。そして、九百万農家、そして一億三千万消費者の本当にのど首をあなた方がやっている、そういうような状況の中で、本当に全農自身の体質について大きな疑問を持つ。これは、県連会長とのもたれ合い体質と、決議はするけれども実行しない体質だとか、それから、農協の原点というものを忘れているというようなこと、組合員に対して全農の組織が浸透しにくくなっている体制がある、法令厳守や組織統治の徹底を図っていないというようなことで、相当厳しく叱責をしました。

 例えば、農家から一俵に対して二千円、三千円取っているPRの金なんかの報告もおくればせながらやっているというようなことで、本当に問題がある。そういうような状況の中で、今回の秋田の問題が出てきたわけでございます。

 御承知のとおり、基本計画の見直しから、農水省、そしてから、政府では今回大改革を進めようということでございますが、基本的に、やはり個々の経済改革を進める根本というのは、購買、販売を持っている全農の改革を進めなきゃ、一体的な改革にならない。特に、米の問題については本当に不安定要素がある。それを全農が占めている。こういうような状況の中でどこまでやれるかということで、改革本部をいたしました。

 本当に強い決意でやっておりますし、大臣からも、徹底的にやれ、こういうようなことでございますし、各局長を本部要員にいたしまして、それぞれ局の中で全農に対して起こっている問題というのを全部拾い上げよう。だから、全農の中でも委員会が持たれております。しかし、我々は受動的にその委員会から受けるものではなしに、我々なりの体制で知り得るもの、そして改善しなきゃならぬものの部分というのを全部出していこう、そして、それを対比しながら、全農の役員体制、事業体制、経済体制すべてに対して今回きちっと対応していこうということでございます。その中で、モラルの高い組織倫理、それから、透明度が高い強力なガバナンス、組合員農家のニーズに対応するように経済事業をどうしていくか、こういうようなことで徹底していきたいと思います。

 信頼回復がおくれればおくれるだけ農家の皆さん方に大変な迷惑がかかるわけでございますので、できる限りこのことについては急ぎたいというようなことで、月に三回、四回、五回というような会合を開いて対応していきたいということでございます。

 これは、政府だけではなしに、それぞれの党が、全農に対するいろいろな御疑念を持っておられる部分というのをよくよく聞いておられますので、先生もまたいろいろと御示唆がございましたらお聞かせをいただき、それを反映していきたい、このように思っております。

松木委員 元気のいい発言で、結構だと思います。御苦労さまです。

 いずれにしましても、やはり今、食料の自給率がひょっとしたらまた四〇%から落ちてくるような感じもあるし、そして担い手もどんどん減っているような雰囲気もあるし、そして農業の関係の人たちが何か不正をやっているなと思ったときに、若い人たちも、おれも農業をやってみようか、私も農業をやってみようかしらという方々が、ああやはり私たちが行っても、この世界は違う世界だから無理かしら、こう思う可能性もありますよね。ですから、ぜひ本当に、明るい農業というんですか、そういうものをもう一度やはり取り戻していただきたいというふうに思っております。そのためにはやはり農林水産大臣を中心に、皆さんでしっかりやっていただきたい。我々野党も一緒になって頑張ります。よろしくお願いします。

 それと、話は全く変わりますけれども、BSEの問題についてほんの少々聞かせていただきます。

 五月六日に、食品安全委員会は、全頭検査緩和を農林水産省と厚生労働省に答申をしたわけですけれども、全頭検査緩和に対して、一般から寄せられた意見の約七割が見直しに反対なんですね。科学的知見とかいろいろな話もありますでしょうけれども、国民の七割は、いや、まだ続けてもらいたいということだと私は思うんですよ。かつ、厚生労働省の調べでは、都道府県で全頭検査が継続されることが大体明らかになったわけですね。さらには、都道府県が実施する全頭検査の費用を最長で三年間全額補助することが決定もしたわけですね。これは間違いないことだと思うんです。それでいいですね。そういうことですよね。

 そうしたら、ここでちょっと聞きたいことがあるんですけれども、まず一つは、今、全頭検査でお金が幾らかかっているのか。そして、今度、二十カ月齢以下の牛は検査をしないことになりますね。そうしたら、それで浮くお金というんですか、それが幾らなのか、それをちょっとお聞かせください。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 現在行っている全頭検査に対する国庫補助額が年間約三十一億円であります。検査対象月齢を二十一カ月齢以上とした場合には、牛の月齢の頭数を掛け合わせますと約二十七億円になります。

松木委員 四億円の差ですよね、四億円の差。七〇%の方が不安に思うわけですから。一番初めだって、全頭検査のとき、やはり安心を求めようということでやったわけなんですから。この四億円で、たったそれしか差がないんですよ。それだったら、全頭検査ということで、そのまま続ければいいんじゃないかな、私はそう思うんです。ましてや、都道府県が結局やるわけでしょう。そうしたら、何かダブルスタンダードみたいなことになるような気がするんですよ。どうでしょう。

外口政府参考人 食品安全の規制は、科学的合理性を基本として判断すべきものと考えております。

 BSE対策については、昨年九月に、平成十三年のBSE発生以降の国内対策について、科学的見地から検証した報告書を食品安全委員会からいただきましたので、それに沿ってリスク管理機関として今後の国内対策について諮問し、その評価結果を答申としていただいたところであります。検査の必要な月齢を見直すことについても、この評価結果に基づいて行うものであります。

 なお、国民の安心のためには、リスクコミュニケーション等を通して理解を深めていくことが重要と考えております。

松木委員 何か、答えになっているような、なっていないような、よくわけのわからない話ですけれども。

 ただ、私は思うんです。リスク、リスクと言うんですけれども、これは、全頭検査をすればほとんどリスクは回避されるわけですよね。それであれば僕はやった方がいいと思うし、それに、アメリカとの問題があるというのは、それは別だというふうには言うかもしれないけれども、それがあるのもわかりますよ、わかるけれども、BSEイコール狂牛病ですよ。この狂牛病というのは、いまだにわからないことが多いわけでしょう。多いのであれば、石橋をたたいても渡らないぐらいの気持ちでやるべきだなというふうに僕は今でも思っています。

 厚生労働省は、献血は、一九八〇年から九六年までの十六年の間にフランスかイギリスに一日でも行った人は献血させないというぐらい、厳しいことをやるわけでしょう。そんな厳しいことをやりながら、何でこっちの方は、アメリカに言われたとは言わないけれども、それで入れようという話になるのか。島村大臣が頑張っているのもよくわかっています。わかっているけれども、僕は、日本というのはもっとアメリカに対していろいろな意味でタフネゴシエーターになって、言うべきだ、そういうチャンスでもあると思っているし、どうも納得ができないんです。

 次の段階で三十カ月齢にまた延ばすべきだなんて食品安全委員会の偉いお殿様が言っているようでございますけれども、そんなことを個人的見解で言っているとかといって新聞に大きく出て、本当にそれでいいんでしょうか。私は非常に心配を覚えます。

 ぜひ、大臣、よく考えていただいて、頑張るところは頑張るということを、大臣に質問通告をきょうはしていないんですけれども、本当にぜひ頑張ってください。お願いします。

 それでは、BSEの問題についてはこのぐらいにさせていただきますけれども、何せ、大切なのは国民の命ですよね、そうですよね。それを守るのが官僚の仕事でもあるし、我々政治家の仕事でもあるわけですから。そこを怠ってしまっては、アメリカの言いなりになっていてもしようがないですから。そうなっているとは言いません、皆さん方が一生懸命やっているのはわかりますよ、わかりますけれども、より頑張ってください。お願いします。

 それでは、これは私の選挙区のことなんですけれども、サハリン・プロジェクトについてちょっとお話を聞かせていただきたいと思います。

 現在進められているサハリン・プロジェクトは、資源のない日本がエネルギーを確保する観点から、国家プロジェクトとして進めているものであります。非常に重要であり、積極的に進めるべき課題であると私は認識をしておる次第でございます。

 その中で、本プロジェクトは、エネルギーの運搬船にしても、パイプラインの建設に当たっても、オホーツク海が舞台なんですね。北海道の右の上の方です。ここは私の選挙区なんですけれども。日本で一番広い選挙区、北海道十二区というのは全国で一番広い小選挙区で、四国と同じだけ土地の広さがあるんです。ということは、ほとんど人口密度がないということなんですけれどもね。

 御案内のとおり、ここはカニとかホタテとかサケとかを主とした漁場なんですね。万一、パイプライン建設中の事故、また、天然ガスの運搬船の事故や重油による被害等が起こった場合に、オホーツクで働く漁業者にとっては死活問題になるわけですよね。まだ起こったわけじゃないですよ、起こったらという話なんですけれども。

 一般的な事例から推測して、本プロジェクトでどのような事故が起こり得ると考えているのか。そして、そのときの事故防止だとか、あるいは補償はこういうふうにするよとか、できる限りのお答えをぜひお願いいたします。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、一般的な排出事故としましては、原油タンカーの衝突、それから、座礁等の事故を想定しております。さらに、オホーツク海沿岸海域においてはサハリン油田の油田施設における原油の排出事故も想定しております。

 なお、これらの対策についてでございますが、タンカーからの排出防止対策としましては、一般的には、事故前における事故防止対策と、事故発生時における流出油による被害を最小限にする対策とを考える必要があると考えております。

 事前対策としましては、原油タンカーの船底の二重化や、船舶運航管理対策の確立等が必要と考えております。また、これらの対策の充実を事業主体であるサハリンエナジー社に働きかけております。

 一方、事故後の対策としましては、海上保安庁では、北海道沿岸における油排出事故に備えた防除計画を策定しておりますが、その計画に、サハリンにおける石油開発プロジェクトに対応した防除計画も盛り込み、巡視船艇、航空機等の動員体制を確立するとともに、大型の油回収資機材の整備等にも努めております。

 また、今後、プロジェクトが進展し、通年の生産体制が確立した場合においても、万全の対策がとれるように努めていく所存であります。

 さらに、サハリンエナジー社が現在講じている対策につきましては、北海道の沿岸の漁業者等に対し十分な説明をするよう同社に働きかけているところであります。

 以上でございます。

松木委員 はい、わかりました。ぜひ、相手はロシアの方でございますので、しっかりとした対応をとっていただきたいというふうに思っております。

 きょうの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山岡委員長 次に、山内おさむ君。

山内委員 民主党の山内おさむでございます。

 私の高校の同級生が、昨年から突然牛を飼い始めまして、なぜ畜産の方に進んだのかと聞きますと、割と子牛の段階から補助の制度がある、それから、稲作をしていてもなかなか展望が開けない、そういうようなことを言っておりました。

 しかし、昨年の十一月に、家畜排せつ物についてはしっかりと管理をしていこうということで、十分設備も整ったようですけれども、やはり、これからそういった新規就農者が畜産、酪農の分野でふえていくとすれば、排せつ物の有効利用あるいは減量化ということが重要な論点になってくると思います。

 年間の家畜の排せつ物につきましては、約九千万トンぐらいあるというふうに聞いておりますけれども、この三月に策定されました基本計画によれば、平成二十七年には家畜の頭数はどうなっていくのか、あるいは排せつ物の量はどういうふうに増減していくのか、お聞きしたいと思います。

白須政府参考人 ただいまの委員のお話でございます。

 この三月に策定をいたしました基本計画におきましては、ただいま委員からお話がございましたが、まず、家畜の飼養頭羽数につきましては、私ども、それぞれ一定の前提を置きまして、平成二十七年度におきましての見込みを出したわけでございます。その内訳を申し上げますが、乳用牛につきましては、平成十五年度百六十九万頭を、平成二十七年には百六十二万頭に、肉用牛につきましては、二百七十九万頭を三百四十八万頭、豚につきましては、九百七十二万頭を九百三十四万頭に、ブロイラーにつきましては、一億五百万羽を一億三百万羽、それから採卵鶏につきましては、平成十五年一億七千九百万羽を一億七千四百万羽というふうに、平成二十七年でございますが、見込んだわけでございます。

 そこで、その場合、まさに委員からお話がありましたように、家畜排せつ物の年間の発生量は約九千万トンというふうに私ども推計をいたしているわけでございます。

 そういう中で、ただいま私が申し上げました家畜の飼養頭羽数、平成十五年から二十七年度におきまして、ただいま申し上げましたような、それぞれ増減があるわけでございますが、その飼養頭羽数に基づきまして、平成二十七年度におけます家畜の排せつ物の年間の発生量、これを試算いたしますと、ただいま申し上げましたとおり、肉用牛以外では頭数がやや減少するわけでございますが、肉用牛の頭数が増加するというふうな見通しもあるわけでございますので、全体の発生量は、平成二十七年度におきまして約九千三百万トンというふうなことで、現在と比べれば微増するというふうな見通しを持っているわけでございます。

山内委員 だとすれば、排せつ物の量をどうやっていくか。つまり、減少させる方法を考えていかなければならないと思いますし、排せつ物自体の利用も積極的に考えていかなければいけないということになるわけですね。

 ところが、極めて逆説的に言いますと、牛肉を輸入すれば排せつ物の量は日本国内では減るわけですから、そういう意味では、これからの輸入量がどうなっていくかというのは相当問題だと思います。つまり、日本国内で新規就農をしようとしている人たちが、今後、自分たちが肉用牛を育てていって、果たして生活がしていけるかどうかということを考える上でも、輸入量というのは最大の関心事だと思うんですが、これから平成二十七年の、基本計画のめどとなる年までにどういうふうに推移していくのか、答えていただけますでしょうか。

白須政府参考人 今後の牛肉の輸入量の見通しというふうなことでございます。

 牛肉の消費量につきましては、御案内のとおり、長期的に見ますると増加傾向にあるわけでございまして、ピークは平成十二年度ということでございます。百五十五万トンあったわけでございます。その後、御案内のとおり、平成十三年度には、国内におけますBSE発生というふうなことで減少いたしたわけでございますが、その後、牛肉の消費は回復傾向にあるわけでございます。

 そこで、平成十五年度には、牛肉の消費量百二十九万トンというふうになっておるわけでございますが、私ども、今回の平成二十七年度の見通しで、そのBSEの発生以降の落ち込みからの回復あるいはまた望ましい食料消費の姿というふうなことを見込みまして、平成二十七年度には牛肉の消費量を百五十七万トンというふうに見込んでいるわけでございます。

 一方、国内の生産量でございますが、これにつきましては、担い手の育成、確保でございますとか、あるいは繁殖雌牛の増頭というふうなことで規模拡大が行われるであろう、あるいはまた繁殖能力の向上といったようなことによります低コスト化、そういったこと、あるいはまた、省力化というふうなことで、生産量といたしましては、平成十五年度の五十一万トンから、平成二十七年度には六十一万トンに増加するというふうに見込んでいるわけでございます。

 したがいまして、ただいま委員からもお話がございました平成二十七年度の牛肉の輸入量につきましては、私どもとしては、消費量から生産量をマイナスいたしまして算出をいたしますが、九十六万トンというふうに考えておりまして、平成十五年度に輸入量は七十四万トンあったわけでございますが、これが平成二十七年度には九十六万トンというふうに増加するというふうに見込んでいるわけでございます。

山内委員 ありがとうございます。

 農水省としては、先ほどからお聞きしておりますけれども、現段階において、排せつ物の有効利用についてはどのあたりまで研究が進められたり、そのめどが立っていることなんでしょうか。

大口大臣政務官 これはバイオマスということで、家畜の排せつ物の有効利用は非常に大事で、先生の御指摘のとおりでございまして、この家畜排せつ物については、堆肥としての有効利用のほかに、エネルギーとしての利用、それから有効物質の生成などの多面的な利用を推進することが重要である、こう考えております。このため、農林水産省といたしましては、効率的なメタン生成技術とメタン利用発電システムの開発、家畜排せつ物を炭化処理し、その際発生する高温ガスを発電や乾燥の熱源として有効利用するシステムの開発、汚水から肥料成分としての燐酸を回収する技術の開発などを行っているところでございます。これらの技術についての開発はほぼ終了しております。

 今後、現場への導入に向け、一層の性能向上と低コスト化のための技術開発を大学、民間企業などと連携して進めてまいりたいと思います。

 私も十勝へ行ってまいりまして、やはりコストの面、これがこれから非常に大きな課題であろう、こう考えております。

 以上です。

山内委員 国交省に聞きますけれども、国交省でも、のり面の緑化工事あるいは港湾、安全地帯の植栽工事などに堆肥を使って種つけ等をしているということを聞いておりますけれども、このあたりはどの程度まで堆肥が利用されているんでしょうか。

阿部政府参考人 今委員が御指摘の公園とか街路とかのり面、それから港湾等でございますが、そういうところには植栽がございまして、そういう公共空間からは、剪定し、刈り草、落ち葉などが大量に発生いたすわけでございます。これらについては、国土交通省におきましては、循環型社会の実現の観点から、焼却処分を極力廃止いたしまして、チップ化あるいは堆肥化等を積極的に進め、リサイクルに努めなきゃいかぬということになっているわけでございます。そういうことで、一般的には、公園等の公共工事の植栽等におきましては、落ち葉などの堆肥を主として使用し、またさらに、品質表示のなされたような肥料等の使用、こういったものがなされておるわけでございます。

 今御指摘がございました牛ふんを含む肥料でございますが、においの問題、それから品質安定性、あるいは全国的な供給安定性の確保等に課題があるというふうに認識しております。しかしながら、一方で、地域によっては、牧場との近接性あるいは地元農協が熱心に取り組むというようなことで、地域の状況によりましては、例えば花壇などの土壌改良等の目的で使用されている例もあるわけでございます。今後、牛ふんを含む肥料の利用をふやしていくためには、これらの課題の解決に向けました地域ごとの創意工夫というものが必要だというふうに考えております。また、ユーザー側といたしましても、今ちょっと申し上げましたが、そういったような牧場と近接している場合だとか農協が一生懸命努力されていて、そういう連携というような場合には、例えば経済性、効率性が認められるような場合もございますので、そういった場合にはできる限りその活用を図っていきたいというふうに考えております。

山内委員 年間にどれぐらいの堆肥あるいは排せつ物を公共土木工事に使うのかとか、あるいは今後ふやしていくかどうかについてはお答え願えますか。

山岡委員長 阿部審議官、もうちょっと大きな声で。

阿部政府参考人 はい、承知しました。

 私ども、全国的な数字につきましては把握いたしておりません。個別の具体例では若干私どもが調べた例はございますけれども、全国的にはございません。

 それで、例えば国営の備北丘陵公園等におきましては、JA庄原から約十六トンの牛ふん堆肥を使用させていただいたとか、個別の事例を幾つか調べたものはございますが、全国的な数字は私どもは把握いたしておりません。

山内委員 農水省の方も、これから排せつ物の量が今後十年間にわたってふえていくという数値が推計で出ているわけですから、国交省との間でも堆肥の利用については協議をぜひしていっていただきたいと思います。

 それでは、先ほど政務官がおっしゃいました項目について、有効利用の項目について一つずつお話を伺っていこうと思うんです。

 まず、堆肥をアピールしてほしいと思うんですが、堆肥については、もうにおいもなくなっている、それから、熱によって病原菌というんですか、そういうものももう消滅をしている。だから、そういうものを、積極的に堆肥を利用してくださいというようなアピールがまだまだ不足していると思うんですが、その点についてはどうでしょうか。

白須政府参考人 ただいまの委員のお話の堆肥のよさのアピールといいますか、そういうことをもっと積極的にというふうなお話でございます。

 委員からもお話がございましたとおり、やはり私どもとしても、この家畜排せつ物、先ほど来お話がございました九千万トン以上のものが発生するわけでございます。それはやはり堆肥化をいたしまして、農地あるいはまた草地において利用するということが基本であるというふうに考えているわけでございます。現時点におきましても、一応八割以上の排せつ物、これは九千万トンの排せつ物の大部分でございますが、それは農地等において利用されているというふうに考えているわけでございます。

 その利点につきましても、ただいま委員からもお話がございましたが、十分に発酵させるというふうなことによりまして、不快なにおいもなくなるとか、あるいはまた有害な微生物、そういったものも死滅する、取り扱いも容易になるというふうなことが当然あるわけでございます。

 そこで、そういったことを踏まえまして、私どもも、やはりポイントとしては、一つには、まず農家サイドが品質のいい堆肥を生産するというのが第一だろうというふうに考えているわけでございます。そこで、そういった処理施設の整備を推進するということ、あるいはまた堆肥の生産マニュアルといったようなものもつくりまして、それを普及する。あるいはまた、やはり良質な堆肥の生産技術ということもなかなかまだ十分普及をいたしておらないわけでございます。そういうことも取り組みをする必要があるだろう。

 もう一点は、生産する側だけじゃございませんで、それを使う側、耕種農家におきましても、やはり土づくり、そういった形での持続的な農業というものにぜひ取り組んでいただきたい。さらには、適切な施肥を推進してまいりましたり、あるいは堆肥の成分の内容がなかなか明確ではないというふうなこともございますので、品質表示を推進していく。あるいはまた、こういった堆肥をまく、施用する技術を普及していくというふうなこともやっているわけでございます。

 また、ただいま委員からもお話ございましたが、やはり出す側と受け手の側の需給の全国レベルでの、あるいは地域レベルにおきます、そういう需給のマッチングといいますか、そういうものがぜひ必要になってくるだろうというふうなことでございまして、そういうふうな出し手、受け手の需給把握、そういった形での利活用をぜひ推進してまいりたい。

 それからさらには、具体的に堆肥をまくには、これはやはり労働力が相当必要でございますので、そのためのコントラクターでございますとか、あるいは堆肥センター、そういった広域的な流通体制も整備していく必要があるだろうというふうなことでございまして、そういったことを通じまして、ただいま委員からもお話ございました堆肥のよさというものをアピールしながら、堆肥の利活用を一層促進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

山内委員 今、海外の話が出たんですけれども、飼料用作物をつくるときに、堆肥を利用して土づくり、畑づくりをしているわけですね。その際に考えなければいけないのが、飼料については外国からたくさん入ってくる、しかし、今問題となっているBSEにしても口蹄疫にしても、海外から入ってきた飼料が原因ではないかと強く疑われてもいるわけです。

 だから、日本国内で飼料作物ができるような体制を積極的にとっていくことが、私は食の安全という観点からも大変必要なことではないかと思うのですが、日本国内でふやしていこうという考えとか、あるいは海外からの飼料については少し見直していこうとかということについては、農水省はどのように考えておられるんでしょうか。

大口大臣政務官 国内の畜産物を生産するために必要な飼料については国内でできる限り自給する必要があるという考えでは、先生の御意見のとおりでございます。

 口蹄疫の原因とされた飼料用わらについては、十五年度で需要量の一五%に相当する十八万トン程度がいまだ輸入されております。これを国産稲わらに置きかえることが重要な課題となっております。このため、国内生産が可能な粗飼料については、国産稲わらの一層の利用促進や、耕畜連携による稲発酵粗飼料の生産拡大などにより、完全自給を目指して生産拡大を図ることとしております。

 なお、輸入飼料に関しましては、輸入時の動物検疫において病原体の侵入を防止するとともに、飼料安全法に基づく検査などにより、安全性の確保を図っているところでございます。

山内委員 畜産農家のところに訪問させていただきますと、オーストラリアとかから入ったトウモロコシですとか、物すごい量が積んであるんですね。今おっしゃいましたように、稲わら、それに比べると随分飼料が濃いというか、濃厚飼料で、そんなに無理して食べさせて肉にしなくてはいけないのかなと、私、率直に言って、畜産のことわからないものですから、疑問に思うんですね。

 海外から飼料がたくさん入ってくることも問題ですけれども、そういって濃厚飼料をたくさん食べさせるということも問題じゃないかと思いますし、それから、先ほどお話に出ましたけれども、堆肥をつくって飼料作物用の畑にまく、あるいは田んぼに堆肥をまくというようなことはコストがかかるというようなことも聞いているんですが、その点、何か手だてというか、もっと安く、畜産・酪農農家側から堆肥が安く出ていくという仕組みとか、そういうようなことなどについてはどう考えておられるんでしょうか。

白須政府参考人 ただいま委員からもお話がございました、堆肥の関係でやはりコストの面が大変大きいであろうというふうに考えているわけでございます。

 私どもとしても、一つにはやはり全体としての堆肥の生産あるいはその具体的な、それを生産農家段階で堆肥を散布するといったようなことで、やはりそういったところを外部化といいますか、一つにはそういうコントラクター、これは請負集団でございますが、そういったことによります散布活動を低コスト化していくというふうなこと。あるいはまた堆肥センターというふうな、そういうところで一定のコストをそこが担うというふうなことで、広域的な流通の中でのコスト低減ということも必要になってくるわけでございます。そんなことで、堆肥の点については、全体としてのコスト低減を図っていこうと。

 それからもう一点、前段で濃厚飼料のお話もございましたが、濃厚飼料、粗飼料の問題は、これは畜種ごとに割合も異なるわけでございます。それぞれの割合、またそのコストといったようなことに応じまして、農家としてはそれぞれ給与をしておるというふうなことでございます。そこの点については、農家としては、可能な限り全体としてのコスト低減ということもにらみまして努力をいたしておる。私どもとしても、それをできるだけ後押しするようなことは、行政としても支援をいたしておるところでございます。

山内委員 先月、農業促進法で、遊休農地を少なくしていこうという施策が定められたわけですけれども、日本の中の遊休農地はたくさん発生させておいて、海外から飼料を輸入するというのは、私は、やはりどうしても、バランスを欠いていると思うんですね。ところが、飼料用作物の生産については補助金が減ったということも聞いておりますし、それからもう一つ、皆さんも飼料用作物を見られたことがあると思いますけれども、畑でくるくると丸く巻いていきますよね、ああいう機械も必要で、さっきからお話が出ているんですけれども、機械化という意味でのコストも結構かかるということなんです。その遊休農地対策としても、より積極的に飼料用作物についての拡大策を図っていく、こういうふうに農水省の見解をお聞きしてよろしいんでしょうか。

島村国務大臣 現在、飼料用の穀物、日本の場合は自給率二四%くらいでありますが、これを二十七年度ぐらいまでに三五%ぐらいに高めたいという状況に立っております。そういう意味からいきますと、耕作放棄地などが最近かなりふえてきておりますが、こういうものなどを活用して、いわば飼料用作物を自給するための手だてをしようということは当然のことでございまして、現在、牛の放牧や、あるいは飼料生産については、他の農作物に比べて基盤整備や管理に要する手間やコストが高いものですから、今までその点についてかなりおくれてきているところでございますが、これからはいわばこういう耕作放棄地などを活用して有効に進めていきたい、こう考えるところであります。

 そういう意味で、食料・農業・農村基本計画では、国土の有効活用を図る観点からも、飼料用作物の生産拡大を推進することとしておりまして、国としても耕作放棄地における放牧や飼料生産の取り組みを推進してまいるという基本方針に立っております。

山内委員 より積極的な施策を期待しております。

 それから、有効利用、堆肥化の次にお聞きしたいのが、焼却あるいは炭化ということが挙げられました。

 この点については、例えば九千万トンのうちの何万トンをそういう仕組みによって焼却処分をしたり、あるいはメタンを発生させるとか、そういうエネルギーに使ったりというような、その数値目標みたいなものはあるんでしょうか。

白須政府参考人 先ほど委員からもお話がございましたように九千万トンの堆肥が出ているわけでございますが、それのうち約一割が、ただいま委員からもお話ございましたメタンでございますとかあるいは炭化というふうなことで処理をいたしているわけでございます。

 それにつきましての数値目標といったようなことは、ちょっと恐縮でございますが、数値目標そのものはないのでございますが、私どもが把握をいたしております範囲におきましては、現時点におきまして、家畜排せつ物を処理対象といたしましたメタンの発酵施設、これが全国で五十六カ所ございます。また、炭化処理につきましては二カ所ある、そういった報告は私どもとしては受けているということでございます。

山内委員 そうすると、家畜が排せつをたくさんしなくなれば排せつ物の量も減ってくると思うんですが、そのあたりの論点については研究されてはおられませんか。つまり、排せつ物の減量化ということについてはどうでしょうか。

白須政府参考人 先ほどお話がございましたように、九千万トンの排せつ物は、まさに委員もお話しのとおりで、それぞれ一頭当たりの排せつ物の量、それを頭数に掛け合わせて出るわけでございます。

 そこで、まさに委員からお話ございましたように、一頭当たりの排せつ物の量を減らせば、排せつ物の量はそれは論理的にお話しのとおりかと思っておりますが、現時点で、その排せつ物の量自体をどういう形で減らすといったような研究はやっておるということは私どもは承知をいたしておらないところでございます。

山内委員 先ほどの濃厚飼料の件にしてもそうですけれども、たくさん食べさせて生育を早めて、若い時分からどんどん肉にしていくという施策は、それは例えば短期的に見れば、牛肉の市場がいいときにはどんどん若い牛を出していいわけでして、けさ、先ほど会館を出るときに朝刊を読んでいましたら、ロースが百グラム七百円を突破したというようないい傾向もあるとは思うんですが、しかし、若い牛をどんどんたくさん食べさせて肉にすれば、青年期から熟年期までのいい牛がいなくなっちゃって、結局やはり品薄感というのが出てくると思うんですね。だから、施策としても、やはり排せつ物の減量化ということについても研究をぜひ進めていっていただきたいと思っております。

 それから、堆肥が余るという問題点については、どうも、地区ごとあるいは県ごとによっても違ってくるようでございまして、私もある県の方から聞いたところ、自分の農協では、堆肥の量がたくさんたまって、耕種農家に分けても分けてもたまってしまって、昨年の十一月から堆肥を管理しているんだけれども、一年もたたないうちにふえてしまったということで、これは何とか堆肥にして輸出を考えてくれないかと言われたんです。

 例えば中国を見ますと、牛肉の生産量というんですか、それはすごく少ないんですね。豚肉に比べても何分の一かだったと思うんです。だから、そういうところに牛ふんとかを輸出するというような構想を考えて、日本の排せつ物の量を減らしていくという考えはとれないものでしょうか。

白須政府参考人 ただいまの委員の堆肥の輸出の関係でございます。

 委員も御案内かと思いますが、やはり、堆肥を諸外国に輸出というふうなことになってまいりますと、堆肥そのものの価格に加えまして、まずは港湾まで運ぶ運搬のコストがかかるわけでございます。それに加えまして、当然のことながら、海上の運賃といったようなことも上積みをされるというふうなことでございまして、したがいまして、結果としては、現地におきます、仮に中国だというふうなことになりましても、中国の現地におきます価格というものはやはり相当な高価格になるというふうなことが想定をされるわけでございまして、したがいまして、現地におきます需要の確保ということがなかなか難しいのではないかというふうに考えられるわけでございます。

 また、具体的にはあれでございますが、相手の国によりましては、堆肥というものも、内容がやはり明確でないと受け手の方も困るわけでございますので、堆肥が適切な工程できっちりと生産をされておるといったようなことの確認を求められる。

 あるいはまた、堆肥製品、こういったものへの消毒でございますとかあるいは熱処理、そういった安全といった面からの措置が求められるというところもあるわけでございまして、そういったことを考えますと、そういう点からも相当のコストが必要になるのではないかというふうに考えているわけでございます。

 したがいまして、私どもとしては、先ほどちょっと申し上げたわけでございますが、まさに委員の御指摘のとおり、受け手と出し手の間でやはり相当のギャップがあるわけでございます。一方には、委員のお話しのとおり、相当に堆肥が余っておって、もうどうしようもないというふうな現状がある。一方では、例えば野菜農家あるいは果樹農家で、やはり堆肥が必要であるというふうな農家も相当ある。

 これが、委員もお話しのように、市町村ベースあるいは地域ベース、県ベース、さらには、広くは全国ベースといったような中で、受け手と出し手の需給をやはりきちっと把握いたしまして、それをマッチングさせるといったようなことで、やはり何といっても国内において堆肥の利活用を促進していくということが基本ではないかというふうに考えておりまして、そういった観点からも各種の支援措置というものもあるわけでございますので、そういったようなものも活用しながら、国内における堆肥の利活用というものを促進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

山内委員 排せつ物の減量化について最後にお聞きします。

 畜産農家がふえてくると、近所でも牛を飼っているとか豚の鳴き声がするとかということになってくるわけで、子供たちもぜひ積極的に動物、家畜と触れ合って、その中から日本の農業を考えてくれるような子供がふえてくれることを祈っているんですけれども、例えば、学校の校庭の緑化あるいは学校の外構工事などに年間何トンを使って、こういうふうに堆肥、排せつ物を使っていきますというような計画とか努力目標みたいなものがあれば、文科省の方からお聞きしたいと思います。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の校庭の緑化等あるいはその維持管理等に関してのお尋ねでございますけれども、御指摘のとおり、学校の屋外教育環境の充実を図るということは児童生徒の学習活動の体験学習を活性化する、こういったことで重要な課題である、こう認識しているところでございます。

 ただ、今先生御指摘のような形での量的な目標ということになりますと、現段階ではまだ策定していないところでございますが、ただ、校庭の芝生化ということにつきまして、現在校庭緑化を国庫補助の対象としておりまして、その中で、平成九年度から平成十六年度までの間、校庭に芝張りを三百平米以上行った学校数は全部で二百九十七校に及んでございます。

 こういった中で、この緑化に関して、整備と維持管理、こういった面におきまして、校庭緑化に関する適切な計画方法や維持管理方法に関する参考資料を文部科学省としては作成しておりまして、この中で、御指摘の肥料を与えることの重要性、こういったことについては盛り込んでいるところでございまして、地方の教育委員会等に対して普及啓発を図っているところでございます。

山内委員 国交省にしても文科省にしても、数値目標、つまり年間これだけの量を減らしていきますというようなことがなかなか数字として出てこないんですけれども、排せつ物が増加していくというのは日本の畜産経営が健全に発展するということの証拠だと思うんですね。だからそういう意味でも、農水省は積極的にほかの省庁と協議を重ねながら、やはり日本の国内に排せつ物がたくさんたまりにたまって困るというような事態にならないように、ぜひお願いしたいと思います。

 もう時間が来ました。最初にお話ししましたけれども、私の同級生もいい年になってから新規就農者として畜産農家になりました。こういうふうに夢を持って日本の農業を支えていこうという人がまだまだたくさんいますので、これからも畜産農家、酪農家を育てる施策もぜひ積極的に推進していただきますようお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

山岡委員長 次に、鮫島宗明君。

鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。

 きょうは、貴重な一般質疑の時間をいただいたので、日ごろ何となく疑問に思っていることを聞かせていただきたいと思います。

 三つテーマがあって、牛乳の消費拡大、それから国産材の需要増大とBSEの問題、三つのテーマを四十分で聞かなくちゃいけないので、相互にどう関係あるんだと言われたら、それぞれ関係ありませんので、十分、十分、二十分ぐらいでやらないとこなせないものですから、よろしく、簡潔な御答弁をお願いします。

 初めに、大臣は御自分で牛乳を買って飲むことはありますでしょうか。

島村国務大臣 ございます。大好きでございます。

鮫島委員 いろいろなソフトドリンク類の中で牛乳が買いにくい、飲みにくいという話がありまして、つまり、一般の自販機では売っていないし、昔はどこの駅でもミルクスタンドがあったけれども、今はない。コンビニに行って、五百とか千のパックじゃ大きいし、小さいラミネートのLLパックは、大体古びたビルの地下一階の踊り場みたいなところに自販機があって、それでストローを刺すと大体背広が汚れるというので評判が悪い。もっと普通に、ペットとか缶で自販機の一つのラインとしてなぜ生乳がないんだということは実はかねてから疑問に思っていて、消費拡大を図るならそういうことに手を打った方がいいんじゃないかというふうに私は思っているんですが。

 今、多分、牛乳の消費が低迷の基調にあると思いますし、いろいろな手を打っていると思いますが、その辺どんなふうになっていますでしょうか。牛乳の消費の動向と、それに対して農林水産省が打っている具体的な手と、かけている予算、簡潔にお願いします。

白須政府参考人 まず、委員からお話がございました牛乳の消費動向ということでございます。

 飲用牛乳全体の消費につきましては、豆乳でございますとかあるいは茶系飲料、そういったほかの飲料との競合というものが最近大変激しゅうございまして、全体として減少傾向で推移をいたしているわけでございます。それで、昨年度、十六年度におきましては、大変猛暑であったわけでございますが、全体として消費量四百九十万トンということで、対前年度比二・三%の減少というふうになっているわけでございます。

 それに対しまして、私ども、消費拡大を図るための支援措置というふうなことでございますが、これの消費が伸び悩んでおるというのは、やはり何といっても他の飲料との競合の中で、カルシウムとか、そういった牛乳のよさが十分に理解をされておらないんではないかというふうなことかと考えております。

 また、消費の実態を見ましても、給食ではやはり牛乳が出るわけでございますが、これが終了いたします中学校を卒業した後に消費が急に減少しておるといったようなことが見られるわけでございますので、私どもとしましては、一つには、ただいま申し上げましたカルシウムが非常に豊富だ、骨粗鬆症にならないといったようなこととか、あるいはまた高校生、大学生といった中学卒業後の年齢層をターゲットにする、さらには、牛乳のよさを実感できるような体験型、そういったPRというものを主体にしまして、カルシウム源としての効用の普及啓発というものに重点を置きまして、消費拡大事業、予算額としては十一億円というふうなものを十七年度は確保しておるわけでございまして、こういうものを通じまして、しっかりと飲用牛乳消費の拡大を推進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

鮫島委員 ことしだけで農水省は四億円かけて、若者に照準を合わせて、牛乳をもっと飲むようにと。あるいは中央酪農会議でも、ことし八億円かけて牛乳の消費拡大のPR活動をしますと。合わせて十二億円かかっているわけですが、一方で、生産団体の方も何とかもうちょっと消費拡大を図りたいと。今、ソフトドリンクの五七%がペットボトル、ないしはそういうプラスチックの容器で、どこの自販機でも売っている。それに負けていると。

 今、骨粗鬆症の話もありましたが、いよいよ団塊の世代が法定老人世代に入ってきて、特に女性の骨の中からのカルシウムの抜けが六十を過ぎると起こってくる。それには、いかに若いときに十分カルシウムをとって骨を充実させておくかということと、牛乳による補給というのは欠かせない話だと思います。

 こういう飲みやすい容器の開発というようなことに農林水産省は取り組んだことはあるんでしょうか。具体的に言えば、例えばペットボトルで売らせるようなことについての補助をしたことはあるんでしょうか。

白須政府参考人 私どもとしましては、先ほど申し上げたような、やはり全体としての消費拡大という観点からのそういう支援措置は講じておるわけでございますが、私ども承知をしておる限りでは、ただいま委員からお話がありますような、容器の開発とか、そういうことについて、私どもが直接的に支援をしたというふうなことは承知をしておらないところでございます。

鮫島委員 これは一応、従来使われていた容器と別の容器を使う場合には、食品衛生法に基づく省令、厚生労働省の方での一定の基準、試験をして、それをクリアしなければいけないということがあると思いますが、今、厚生労働省の方で、もし、ある乳業メーカーなり容器包装メーカーがペットボトルでの販売の可能性を探りたいというようなときには、厚生労働省に対してどういうアプローチをしらたいいのか、あるいはどういう手続をとったらいいんでしょうか。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 牛乳に用いられる容器包装につきましては、食品衛生法に基づく省令等において、使用できる材質、その規格基準が定められております。そのため、御指摘の新しい容器の追加に当たりましては、安全性に関する資料等、必要な資料を添付し、厚生労働省に要請書を提出していただき、食品安全委員会における食品健康影響評価を踏まえて、規格基準の整備等を行うことになります。そして、その要請の際に添付する資料でございますけれども、これは容器包装の材質により異なりますが、牛乳に用いた場合の容器包装からの溶出物の種類やその量等に関する資料、溶出物の安全性等の毒性試験に関する資料等でございます。

 ペットボトルにつきましては、既に清涼飲料水等で使用が認められておりますことから、原則として、牛乳を用いた場合の溶出物の量等に関する試験成績が必要になると考えております。

鮫島委員 多分、乳業メーカーなり容器包装メーカーが、ペットボトルで牛乳を売りたい、自販機のラインアップに加えたいという具体的な要請がまだないために、農林水産省の方でも自分の方からそういう働きかけをするということは控えているんだと思いますが、私は時間の問題だと思います。

 昔は、緑茶なんていうのは缶とかペットボトルは絶対できない、酸化してすぐに黄色くなるものはできっこないと言われていたのが、緑茶もできるようになって、そこまでいろいろな分野で努力しているのに、牛乳は、どちらかといえば、特に売り方については、あぐらをかいているというふうに私は思います。PRでそれだけお金を使うんだったら、あるメーカーにそういうトライをしてもらう、試験販売でもいいんですが。そういうことをぜひ農林水産省にもやっていただきたいというふうに私は思います。

 今、厚生労働省の部長さんもお医者さんですから、牛乳の重要性についてはよくわかっておられる立場だと思いますが、農水省の方でも、具体的な消費拡大で、ひとつ、ペットボトルと、飲みやすい、買いやすいという世界をつくっていただきたいと思いますが、大臣、御意見があったら。

    〔委員長退席、楢崎委員長代理着席〕

島村国務大臣 お答え申し上げます。

 ペットボトルを牛乳容器として使用することにつきましては、牛乳保管のための温度管理が必要であることから、安全性を確保するのが難しいということと、いま一つは、紙パックに比較いたしまして、倍以上の製造コストがかかるということであります。ただ、この問題は、最近は特殊な牛乳とか特殊な飲料を売るような場合には、値段が特別高いというものが通用しているようでありますから、こちらの方はそれほどひっかかることじゃないのかもしれません。

 いずれにいたしましても、農林水産省といたしましては、乳業メーカーからペットボトルを使用したいとの要望があれば、まず乳業メーカーからよく聞いた上で、厚生労働省とも相談してまいりたいと考えます。

 少なくも、現行では、食品衛生法に基づく牛乳の容器としては、ガラス瓶あるいは紙パック等に限定されておりますので、ペットボトルは使われていないということです。

 なお、参考までに数量を申し上げますと、現状、紙パックが大体八七・九%ということだそうでございますし、ガラス瓶が八・七%ということで、その他は三・四%、極めてわずかであることを申し添えます。

鮫島委員 いえ、もうちょっと前向きな御答弁をいただけるかなと私は思った。

 それは、始める前はみんなそんなものですよ。お茶だって昔はゼロだったのが、今や七割ぐらいになっているわけですから。新しいことをやろうとすると、それは難しいんじゃないかという理屈はだれでも思いつきますが、頑張ってやってみろということが、こういう消費拡大については大変大事だと私は思います。

 次に、突然話は飛んで、国産材の需要拡大の方に移ります。

 違法伐採に基づく外材の日本への輸出が国際問題になっている。ことしもイギリスでG8の環境・開発大臣会合が持たれましたが、そのときでも、この違法伐採の問題が大きく取り上げられるようになってきて、世界の中で、日本、中国、イギリスが外材に依存する三大国と言われています。

 日本は、木材需要のうちの八〇%が大体外材依存、その外材依存のうちの二割が違法伐採に基づくものではないかという推定もありますし、アメリカの林業製紙業協会、これはアメリカの協会の発表ですが、日本の針葉樹丸太輸入の一五%は違法伐採の疑いがあり、その大部分は日本向け針葉樹丸太の最大の供給元であるロシアから来ると推測される。広葉樹丸太輸入の二〇%は違法伐採の疑いがあり、広葉樹製材及び合板輸入に関しては、その割合は三〇%以上に達すると推測されると。

 こういう、一方で非常に国産材の利用が大事だ大事だ、洋材に押されていると言いつつ、違法伐採に基づくような洋材の輸入を黙認しているようでは、私は林業政策として重大な欠陥があるのではないかというふうに思います。

 私も、立場上、何とか林業振興を図れないか、もっと国産材の需要拡大を図れないかと思って、いろいろなところに話を聞いていますが、まだまだ何となく、体質と仕組みが非常に需要拡大を図る方向に向いていない。

 例えば、私、日曜日も和歌山の森林組合の方に行っていたんですが、もっと国産材の需要拡大を図ってくれ、補助金を出してくれと言いつつ、では、森林組合の建物は何でできていますでしょうかと言ったら、コンクリートでできていると。そういうようなこともあり、川上から川下まで、材の生産をしているところからハウジングメーカーまでの流れがうまくつながっていない、木のくせに一気通貫になっていないというのが私は大変問題だと思いますが、こういう違法伐採の輸入材について、実態をどういうふうに把握しておられるでしょうか。今私が言ったようなのは、一応マスコミで取り上げられているようなあらあらの数字ですが、実態はどういうふうに把握しているでしょうか。特に、全体のことはわからなくても、政府調達分については、もうちょっとちゃんとトレースしていると思いますが、いかがでしょうか。

前田政府参考人 結論から言いますと、なかなか難しい状況でございます。

 御案内のように、違法伐採は、一般的には、それぞれの国の法令に反して行われる、そういった伐採を指すと考えられているわけでありますけれども、違法伐採が多いと考えられている地域といたしましては、東南アジア、ロシア、アフリカあるいはブラジル、こういったところが挙げられます。

 それで、これら違法伐採の実態の把握は大変難しい状況にあるわけでありますけれども、ちなみに、例えばインドネシアにつきましては、英国とインドネシア両政府の合同調査によりますと、生産される木材の五〇%以上が違法伐採であるというような報告がされております。

 また、ロシアにつきましては、政府自体は否定いたしておりますけれども、生産される木材の二〇%が違法に伐採されているといった環境NGOの報告もあるわけでございます。

 御質問の、今、これらの地域において違法に伐採された木材がどれだけ我が国に輸入されているのか、あるいはまたどれだけ政府調達に含まれているかということでございますけれども、違法に伐採された木材を識別すること自体がなかなか困難であるといったようなこともありまして、把握できていないといった現状にございます。

鮫島委員 それは民主党が常日ごろ言っているように、やはり、生産現場での定点監視のネットワークを日本は持たないと、結局何もわかりませんよということを私どもずっと主張して、島村大臣も一時前向きだったんですが、官僚に説得されて後ろ向きになったような感じもありますが。それは実態把握、大変難しいと思います。

 あともう一つ、これは大臣にもよくお考えいただきたいんですが。

 今、一般的に違法伐採というのは、当該国で合法だったら違法伐採とは言わないということになっていますが、違法伐採をするような国は、やはりいろいろ国内問題を抱えていて、インドネシアでいえば、オランウータンと人間のどっちが大事なんだと、それは人間が大事に決まっているといって、オランウータンの森を切ってしまう。あるいは、フィリピンの政府が、金がない、それは財政再建の方が大事だ、環境より金だというので切ってしまう。

 もちろんその国にとっては合法ですが、地球全体なり生物多様性なり別の視点から見れば、明らかに科学的な判断に基づいてもこれは切らない方がいいというのもあるわけで、そういうときに、日本が全くそういう意思を働かせない、そういう主張をしない、そういう観点を持たない、その国で合法だからいいんだという態度をとり続けることはG8の中でも孤立していく方向だと私は思いますが、大臣はその辺はよく御認識だと思いますが、いかがでしょうか。感想がありましたら。

島村国務大臣 違法伐採が行われているそれぞれの国の実情については、いみじくも今お触れになりましたけれども、まさにそのとおりでございまして、実は私も就任以来、このことに対してはかなり強い関心を持って林野庁当局その他についても強く申しているところでありまして、私の姿勢においては全く変わったところはございません。ただ、今御指摘のように、我々の及ぶ範囲がやはりおのずからあるわけでございまして、今、しりをたたいてもなかなか実効が上がっていないところから少しく姿勢が変わったんではないかと誤解を受けたようでございますが。

 私は、これからも、やはり違法伐採というのは国際的な信用にかかわる非常に重要な問題でありますし、先進国としてそれらについては、たとえ相手の国の事情がどうであれ、我々の姿勢というものをきちんとすべきであると考えております。そういう意味で、地球規模での環境保全、持続可能な森林経営の推進について、これからも重要な課題として受けとめて努力をしていきたい、そう思っているところです。

 当然のことに、我が国といたしましては、違法に伐採された木材は使用しないという基本的な考え方に立って従来より取り組んできておりますが、これからもさらに、これに対する監視といいましょうか、趣旨の徹底に努めていきたい、こう考えております。

 具体的には、二国間協力あるいは地域間協力、そして多国間協力を通じて、違法伐採された木材を排除するための技術開発や情報交換などに取り組んでいるところであります。また、この問題は今御指摘がありましたG8サミットにおいても取り上げられてきたところでありますし、私、先般パリの非公式閣僚会議に臨んだ際にも、あえてこちらからそのことを申し出て、我々はそういう姿勢で臨んでいるので、ぜひその実効を上げるためにお互いに協力し、情報の交換等をしたいというところをお互いの申し合わせとして受けとめたところであります。

鮫島委員 よくわかりました。NGOのグループなんかも随分活動して、いい調査もしてくれていますので、ぜひそういうNGOとの連携もお進めいただきたいと思います。

 一つ気になるのが、違法伐採対策検討室というのを一月三十一日におつくりになって、これが七月三十一日までというふうに、わずか半年になっていますが、まだ実態把握の手法そのものもわからない中で、半年というのは余りに短過ぎますので、ぜひこの部屋は、ちゃんと違法伐採の実態把握をできるめどが立つまではずっと維持していただきたいというふうに思います。これは一方的に言いっ放しになります。

 文部科学省に一つだけ聞きたいんです。

 森の重要性とか国産材の利用推進の必要性について、教育の中では随分取り上げていると思いますが、地方自治体が取り組みやすいのは小中学校の校舎、建てかえるときにぜひ地域の国産材を使いたいという希望が大変あると思います。ところが、今、木造建物、木造の校舎を建てようとすると、鉄筋コンクリート以上の価格だと基準単価オーバーで補助の対象になりませんよということがあるそうですが、この辺はどうなっていますのでしょうか。場合によったら、オーバーしても、鉄筋コンクリート並みのところまでは二分の一補助の対象として、そこから上は地方自治体負担ということでもいいんじゃないかと思いますが、そういう柔軟措置についてどういうふうにお考えでしょうか。

大島政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校の施設の木材利用推進ということでございますけれども、文部科学省におきましては、従来より学校施設の木材利用推進については積極的に取り組みを進めてきたところでございまして、今御指摘の補助単価のことでございますけれども、木造の公立学校施設の整備につきまして、新造改築、これを行う際の補助単価は鉄筋コンクリート造と同額の単価ということでございます。

 先生今御指摘もございましたように、それをオーバーしたときどうなんだということでございますが、オーバーした場合におきましても、その単価のところまで、これについては当然のことながら補助をしているということでございます。

 さらに、実際の執行におきまして、個々の学校ごとに実情を調査いたしまして、内装、こういったものに木材を使用するような場合についても単価の加算を行って、できる限り実態に即した補助単価になるように努めているところでございまして、これによって木造施設の割合は年々増加の傾向になっているという状況にございます。

鮫島委員 ぜひ全国の市町村を含む自治体に、そういうメニューがあるよということを十分宣伝していただきたいと思います。

 国産材の需要増大は十分ではなかなか片づかない問題ですが、次に、突然BSEの問題に移ります。

 OIEが最近非常におかしなことを言い出していて、骨が除かれている牛肉についてはいかなる条件も要求すべきではないというようなことを言って、かなり大幅にBSEに対する対応を緩和しようという意見があるようですが、我が国はそれに対して、骨が除かれている牛肉を無条件物品に追加することは反対だという立場を、日本としては表明しているようです。

 厚生労働省にお伺いしますが、OIEというのはもともと家畜の病気についての国際的な判断基準をつくるところで、人間の病気についてはWHOの方だと思います。WHOは、BSEに罹患した牛の肉は食べない方がいいというリコメンデーションを出していると思いますが、厚生労働省としては、BSE対策に当たって、WHOの提言とOIEの提言とどちらが人間の健康にとって重要だ、尊重すべき提言だというふうに受け取っておられるんでしょうか。

外口政府参考人 委員御指摘のように、骨なし牛肉について、輸出国のBSEリスクにかかわらず輸入を認める無条件物品に追加する等の内容のOIEのBSEコード改正案について、今月の二十二日から開催されるOIE総会において審議がなされる予定であります。

 我が国としては、WHOの考え方に沿って、BSE感染牛に由来する骨格筋は、屠殺処理工程において特定危険部位に蓄積した異常プリオンたんぱく質に汚染される可能性があるため、これらをフードチェーンから排除すべきとの観点から対処することとしております。

 なお、厚生労働省といたしましては、尊重すべきはOIE等よりも食品安全委員会であると考えておりますので、今後とも、食品安全委員会にリスク評価をいただきながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

鮫島委員 食品安全委員会ですが、近々アメリカ産の牛肉の輸入再開について諮問をするというふうに聞いております。二十三日ぐらいになるんじゃないかという推定もあるようですが。

 今日本で扱われている牛肉及び牛の内臓が持っているリスクと、アメリカから輸入されるリスクとに差があるかどうかというのが諮問の中心になると思いますが、カナダ産の牛肉輸入再開についても諮問の対象とするんでしょうか。

 それから、最近特にアメリカでの扱いが問題になっている、えさ。会計検査院から、どうもフィードバンが不十分だという指摘があったようですが、このえさの扱いについても諮問の対象にするのかどうか。

中川政府参考人 まず、カナダ産の牛肉についての扱いでございますけれども、米国とカナダにつきましては、BSEがそれぞれの国で発生する以前は、家畜なりえさなりといったものが、両国の間で交易が相当程度行われておりましたし、また、BSEの対策も基本的には同じような対策が実施をされてきたという経緯がございます。したがいまして、これら両国の牛肉産業というのは相互に非常に影響をし合っている、あるいは統合されていると言ってもいい状況にあるというふうに私ども認識をいたしております。

 この点につきましては、昨年我が国から派遣をしました調査団、あるいは米国が招請をしました国際調査団の報告におきましても、同じような認識が示されております。

 したがいまして、これら米国産あるいはカナダ産の牛肉の貿易再開問題につきましては、今申し上げましたような状況を踏まえまして、これまでも、アメリカとの協議と並行いたしまして、カナダとの間で実務的なレベルで協議は行ってきたところでございまして、こういった経緯を踏まえまして、カナダからの牛肉の輸入再開につきましても、アメリカと同様の条件で食品安全委員会の方に諮問をいたしたいというふうに考えております。

 それから、二点目の、飼料規制の問題でございますが、直接的な諮問事項は、今先生もおっしゃいましたように、アメリカから入ってくる牛肉あるいはカナダから入ってくる牛肉と、現に日本で流通している牛肉との間のBSEのリスクの同等性について食品安全委員会に諮問しようというふうに考えておりますけれども、その諮問の際に、飼料規制につきましても当然リスク評価という点においては考慮に入れるべき事柄でございますので、その諮問をいたします際に、こういった飼料規制に関します制度面あるいは実態面の情報につきましては、食品安全委員会の方に提示をして審議に供されるようにしたいというふうに思っております。

鮫島委員 御答弁の内容はよくわかりました。

 ただ、カナダ産牛肉の話は、これはアメリカの逆宣伝が効いていて、カナダは汚染国だけれども、うちの国は清浄国だというふうにアメリカはかなりずっと言っていますから、消費者側から見ると、アメリカの輸入再開条件とカナダの輸入再開条件が同じでいいのか。カナダは汚染国で、もう四頭も出ている。アメリカも、アメリカで発生したのはカナダから買ってきた牛で、いい迷惑だと言っている。そこは、消費者側に誤解がないように、一体的な畜産地域なんだということを、私は本当はメキシコも含めて一体的だと思いますが、それを言い出すと話がややこしくなるので、その辺は新たな混乱が生じないようにぜひ御配慮をいただきたいというふうに思います。

 あと、厚生労働省にお伺いします。

 現在、日本で流通している牛肉及び牛の内臓といった場合に、今後三年間は、日本では全頭検査が行われている中での牛肉及び牛の内臓になるわけですが、全頭検査を行っているそれと、アメリカから入ってくるのを比較してどうかという意味と、日本でも、国内措置で二十カ月以下を省略した条件で流通しているものとの比較はどうかという、ややこしく言えば、そういう二つの比較があると思いますが。そこは厚生労働省の御認識としては、今後三年間全頭検査を行っている環境下で流通している肉のリスクも、あるいは二十カ月以下を省略した環境下で流通する国内の肉のリスクも、これは同等であるということでこの諮問の文章は成り立っているということでよろしいんでしょうか。

外口政府参考人 国内で流通している今の状況は全頭検査をしているわけですけれども、御指摘のように、これから二十一カ月以上の検査にしたとき、それから全頭検査をしたとき、それとで、どちらを基準にリスクを考えるかということでございますけれども、これはSRM除去等をしっかりやっておれば、リスクについては同等であるという前提で考えております。

鮫島委員 食品安全委員会もそういう評価だったと思います。

 それでは、なぜ三年間も全頭検査に対して満額の補助金を出すんでしょうか。

外口政府参考人 経過措置として国庫補助を続ける趣旨でございますけれども、今回、科学的知見に基づきBSE検査対象を二十一カ月齢以上とするとしても、制度変更に伴い生じかねない消費者の不安な心理を払拭し、生産、流通の現場における混乱を回避する観点から、二十一カ月未満の牛について地方自治体が自主検査を行う場合は、経過措置として引き続き国庫補助を行うものであります。

鮫島委員 すると、検査基準二十一カ月以上でいいですよというふうに、省令としてはそういうふうに変えても消費者の不安というのは残るし、あるいは生産サイドで無用の混乱が生じないとも限らないから、経過措置として三年程度は今の全頭検査体制を続けることに、一〇〇%補助金を出すというのは大体、奨励的に扱いますよということだと思いますが。

 では、そういう消費者の不安を解消するには、まだ三年ぐらい必要ですよという認識と、生産現場に無用の混乱を招きたくないという認識がありながら、なぜアメリカからは急いで牛肉を入れたがるのか。

外口政府参考人 BSE対策も含め、食品の安全規制については科学的合理性を基本として判断すべき問題と考えております。米国からの輸入再開の問題についても、科学に基づいて判断していく必要があると考えております。

 米国産牛肉の輸入再開問題については、五月十三日から全国九カ所でリスクコミュニケーションを実施し、その上で我が国に輸入される米国産牛肉が国内産牛肉と同等の安全性が確保されていることについて食品安全委員会に諮問する予定であります。このような手順を通じて御理解を求めてまいりたいと考えております。

    〔楢崎委員長代理退席、委員長着席〕

鮫島委員 それは御自分たちでよくわかっていて、科学に基づいて判断し科学に基づいて措置をしても、消費者に不安が残り、現場で無用の混乱が生ずるといけないから三年間は経過措置として補助金を出しますよと言っておきながら、それと同じことはアメリカ産の牛肉を入れたとしても、幾ら科学的根拠に基づいていても消費者の不安は払拭されないし、現場で無用の混乱が生ずるかもしれないわけですよ。外食産業でどういう表示が行われるか、次に検討されるJAS法と絡みますが。そんな、表示のされ方等もあって、消費者の不安というのはやはり、輸出再開したからそうぴしゃっとなくなるというものではないと思います。

 それから、三年間の経過措置をとるなら、食品安全委員会のプリオン調査会の方々が大変強く指摘しているピッシングの中止、これを私はぜひ三年間のこの経過措置の中でやっていただきたい。

 客観的に見れば、アメリカでもEUでもピッシングはしていないから、ベースとしての安全性が違うのかもしれない。日本はピッシングしているから、ベースとしての安全性に不安があるから、だから全頭検査という解釈も国際的には成り立つわけで、もしピッシングをやめれば、日本の国産のリスクはさらに低減されることは明らかで、食品安全委員会もかなり強くピッシングについて、ピッシングを実施することにより「スタンニング孔から脳・せき髄組織が流出し、食肉及びと畜場の施設等が汚染される可能性や、脳・せき髄組織が血液を介して他の臓器に移行する可能性があるとの指摘がなされており、食肉の安全性を確保する上で、その廃止を進める必要がある。」厚生労働省は検討すると言っているけれども、「今後さらに、具体的な目標を設定した実施計画を作成し、できる限り着実かつ速やかに実行する必要がある。」という指摘がなされています。

 先ほど、OIEとかWHOよりも食品安全委員会の指摘を一番重視するとおっしゃった以上は、この三年間の経過措置の中でここで指摘されていることをきちっと実行するのが厚生労働省の責任だと思いますが、いかがでしょうか。

山岡委員長 外口部長、簡略に、時間ですから。

外口政府参考人 ピッシングにつきましては、食肉の安全性の確保と従事者の安全確保の両立に配慮しつつ、廃止に向けて取り組んでいるところであります。

 本年四月十九日には、ピッシングを中止した屠畜場の事例を整理して都道府県に情報提供を行い、いまだ中止されていない屠畜場について、今後三年間の屠畜場ごとの対応方針の作成を要請したところであります。

 厚生労働省としては、BSE検査、SRM管理、いずれも重要なBSE対策と認識しており、食品安全委員会の答申を踏まえて、ピッシングの廃止を含めたSRM管理の徹底についても適切に対応してまいりたいと考えております。

鮫島委員 いよいよこれから厚生労働、農林水産省が食品安全委員会に再び諮問することになると思いますが、この間の、一連のリスクマネジメントを所管する行政府とリスクアセスメントをやる食品安全委員会の間、特に専門家との間で若干認識のずれがあって、専門家の先生方の中には、利用された、説明責任だけ自分たちに押しつけられて、二転三転する行政の対応について全部専門家の方にその責任が押しつけられるということで、一部の委員が辞意を表明している。それから、私は個人的にもう一人、マスコミで言われている人以外にもう一人おやめになると思いますけれども。食品安全委員会のプリオン専門調査会の先生の任命権者はだれなんでしょうか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 任命権者についてのお尋ねでございます。

 これは、専門委員は、食品安全基本法第三十六条に基づき、当該学問分野における学識経験の豊富な者のうちから内閣総理大臣が任命するということとされております。

鮫島委員 小泉純一郎内閣総理大臣が任命するわけですが、だれかがその推薦リストを多分つくって、それで、こういう方がふさわしいと思いますといって、総理大臣が決裁するんだと思いますが、その推薦リストはだれがつくるんですか。こういう先生がいいと思いますという、総理の判断のもとになる資料は、どこでだれがつくるんでしょうか。

齊藤政府参考人 食品安全委員会事務局におきまして、食品安全委員会の委員の皆さんと相談して作成させていただきます。

鮫島委員 もう時間だからやめますけれども、これは大変看過しがたい問題というか、良識的な先生ほど、場合によってはやめたがる。行政に振り回されることに神経としてついていけない。逆に良識的な先生ほどやめたがると言っているんです、良心的な先生ほど。

 ですから、こういう人選をするときに、俗に言う御用学者を集めてしまっては、この安全委員会は何の意味もなくなりますので、私はかねてから、すべての委員会がそうですが、個人の一本釣りはおかしいというふうに思っていますよ。エイズの安部さんの問題がありましたが、日本血液学会は全然知らぬ顔。あれは個人安部の判断だと。諫早の干拓もそうですよ。日本土木学会は、農業土木学会は全然知らぬ顔。あれは戸原教授が勝手に判断したことだと。そうやって全部専門家集団は逃げるんですが。

 ですから、こういう大事なBSEの検討会のようなときには、しかるべきアカデミックな学会に推薦を依頼する、その学会長に推薦を依頼するというふうに持っていかないと、責任の所在が個人の問題にされちゃうということで、これは日本がかねてから抱えている委員会、審議会の人選の仕方の基本的な問題だと私は思いますので、ぜひその辺はお考えいただきたい。これは希望だけで、一方的に申し上げて、私の質問を終わります。

山岡委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、四月七日の当委員会で取り上げました、輸入豚肉の差額関税制度について質問をいたします。

 あの後、業界関係者等からお電話やメールなどをいただき、大変大きな反響がありました。先日は、大手食肉卸のフジチクが、六十二億八千万円、同制度を悪用した関税法違反で再逮捕されております。私が指摘したとおり、業界のかなり広範にわたって裏ポークが出回っていたことが改めて裏づけられたと言えるのではないでしょうか。

 そこで、まず財務省、刑事局、農水省、それぞれに、その後の取り組みについて伺いたいと思います。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 四月七日、前回の本委員会におきまして申し上げましたとおりでございますが、豚肉の差額関税制度を悪用いたしました不正輸入に対しましては、まず、通関あるいは事後調査の各段階におきまして、厳重な審査あるいは調査を引き続き実施しているところでございます。また、そうした審査、調査の中で関税逋脱の嫌疑が発見されれば、関税法違反嫌疑事件といたしまして、その事実を解明するために徹底した犯則調査を実施しているわけでございまして、当該犯則調査に当たりましては、検察当局ともよく連絡し、協力しながら、事実の解明に努めているというところでございます。

 さらに、前回も申し上げましたが、今国会で既に成立いたしました平成十七年度の関税改正におきましても、仮装または隠ぺいに対します重加算税制度の導入を盛り込んだところでございまして、財務省税関といたしましても、悪質事案に対します徹底した取り締まりの強化とあわせまして、引き続き本制度の厳正な執行に努めてまいりたい、かように考えております。

 以上でございます。

大林政府参考人 検察当局におきましては、従来から、税関当局と連携し、お尋ねのような事案に厳正に対処しておりますが、最近のものとしては、本年五月十二日、名古屋地方検察庁において、フジチクインターナショナル株式会社元代表取締役ら三名を関税法違反により逮捕し、現在、捜査中の事案がございます。逮捕事実の要旨は、被疑者ら三名は、ほか数名と共謀の上、平成十四年五月から同十五年九月までの間、豚肉を輸入するに際し、輸入豚肉の課税価格を実際より高く申告し、輸入豚肉に対する差額関税、合計約六十二億八千万円を免れたというものであると承知しております。

白須政府参考人 四月七日以降とった措置というお尋ねでございます。

 私どもとしましては、一つには、豚肉の輸入制度に関します関係団体への指導というふうなことでございまして、関係団体幹部への指導、関税法令遵守の指導をまずは徹底したということでございます。

 さらには、指導文書の発出ということでございまして、この適正な手続ということの実施を周知徹底するということ、さらには、関税法令を初めとする関係法令違反についての要請というものも行ったわけでございます。また、さらには、関係団体以外への周知徹底というふうなことでございまして、必要なリーフレットというものも作成をいたしまして、これの配布というものも行っております。

 また、さらには、食肉業界全体におけますコンプライアンス体制の確立、徹底というふうなことでございまして、これは五月中ということでございますので、まだ今ヒアリングを実施した、あるいはこれから実施するということもございます。また、さらには、説明会の開催ということも行っております。

 また、四つ目としましては、やはり財務省との連携の強化ということでございまして、引き続き関税当局との連携を図っていくというふうなことをしっかりとやってまいりたいということでございます。

高橋委員 財務省に伺いますが、我々の情報の中では、横浜税関あるいは神戸税関なども捜査しているということですが、いかがですか。

青山政府参考人 大変恐縮でございますけれども、個別の事案でございまして、お答えしかねますので、恐縮でございます。

高橋委員 そういう情報があるということを紹介しておきたいと思います。

 私どもに寄せられた意見の多くは、トカゲのしっぽ切りに終わらせるなということであります。実は、税関も含め、これまで何十年も黙認してきたじゃないか、こういう指摘もございます。これをしっかり受けとめられるかどうかということが本当に問われているのではないでしょうか。

 赤旗新聞の取材で、大手食肉卸会社の指示で脱税をしていた関係者の証言が複数紹介されております。例えばこうであります。

 差額関税では、一定価格より安い豚肉ほど高い関税がかかる。そこで、実際には安く買った豚肉を、一定価格に近い高い値段の豚肉だと虚偽の申請をして、例えばコンテナ一つで本来七百三十万円になる関税を二百五十万円だと申告、百コンテナを輸入したとすれば四億八千万円のもうけになる、もうけイコール脱税でございますが、こういうふうにリアルに証言しております。

 輸入には実体のないダミー会社を使い、大手企業の名前は表に出さずに手続が済んでいる。だから、別の方は、わしらの脱税を利用して一番もうけていたのは大手ハムメーカーだと怒り、さらに、中堅ハムメーカーの幹部だったという別の方は、輸入して、複数のペーパーカンパニーを利用して豚肉の所有者をどんどん変えていく。名義を書きかえれば、ペーパーカンパニーはすぐ偽装倒産させる。こうして、だれが輸入元かわからなくなる。他社がやっていると、我が社もやらないと立ちおくれてしまうと言い、業界に脱税が蔓延していた実態を告白しております。

 先般の質疑では悪質巧妙化しているという答弁もございました。関係者からこれだけの指摘があることを踏まえ、大手ハムメーカーも見逃さず、真相に迫る責任があると思いますが、もう一度税関に伺います。

青山政府参考人 豚肉の差額関税制度を悪用いたしました関税の逋脱事件でございますが、議員御指摘のとおり、近年、取引を複雑に偽装するということで悪質巧妙化しているという認識でございます。このため、豚肉の不正輸入に係ります関税犯則嫌疑事件の調査に当たりましては、輸入申告の名義会社のみにとどまらず、真の輸入者がだれであるかということを初めといたしまして、不正輸入の実態の全容解明に努めているところでございます。

 これとの関連でいいますと、海外におきます取引実態等を含めました関連資料の徹底した収集、分析等も行っているところでございます。こういう中で、関税法違反に対します関与の事実が明らかになれば、その違反行為に加担した者に対しましては厳正に対処してまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

高橋委員 ありがとうございます。今お話にありましたように、真の輸入者がだれであるか、実態の解明にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、農水省に伺いたいんですけれども、四月二十五日に通達が出ました。リーフレットも出ました。「豚肉を輸入される皆さん 豚肉の輸入にあたっては、差額関税制度に基づき適正に手続きを行いましょう!」と、桜をバックにした、こんなほのぼのとしたリーフを配っている場合ではないと私は思います。

 白須生産局長は、平成十五年七月二十二日、日本ハム・ソー工業協同組合から差額関税制度の見直しを要請されております。また、平成十六年六月十日、養豚FTA等対策協議会から財務省と日本食肉輸出入協会への、差額関税制度を悪用した関税法違反のやり方に関して、これをやめるようにとの、防止させるようにとの要請が出されておりますが、この要請書の作成に当たっては、生産局に相談の上出したということは承知しております。

 ですから、これだけの情報を知り得る立場に置かれていた方として、一体どのようなことをこれまでやってきたのか、こういう裏ポークが出回っていることをいつ把握したのか。さっき紹介がありましたけれども、通達の中では関税当局と連携を図ってきたと書いてはあるわけですけれども、実際、一体どんな努力をしてきたのか、具体的に伺いたいと思います。

白須政府参考人 委員からお話がございました、私ども農林水産省としての把握あるいは取り組み、対処ということでございます。

 まず御理解を賜りたいのは、私ども農林水産省といたしましては、やはり捜査権限がない、強制捜査権限はないわけでございます。したがいまして、事実関係の把握には限界があるということでございます。

 したがいまして、私どもとしては、うわさの域を出ない漠然とした情報ということではなくて、関係者からの内部告発に基づく個別具体的な情報、そういうものがございますれば、これはやはり関税当局に当然のことながらお伝えをするというふうなことでございまして、私どもとしては、そういう形で、関税当局によります取り締まりが徹底されるように、これまでもやってきたつもりでございますが、さらに関税当局との連携を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

高橋委員 生産局として、関税当局に情報提供した案件が一件でもありますか。

白須政府参考人 昨年情報提供を行いましたのは、七月に食肉の卸売業者関係の方から具体的な業者名を挙げました情報提供がございまして、したがいまして、関税当局に対しましてその情報内容をお伝えしたということでございます。

 ただいま委員から、過去に一件かというふうなお尋ねがございましたが、一昨年以前につきましては具体的な件数については不明でございますが、私どもとしては、関税当局による取り締まりが徹底されますように、今後とも関税当局との連携を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

高橋委員 正直言って、その程度のものではないだろうと思うんですよね。

 それで、やはり認識を伺いたいと思うんです。四月二十五日の通達の二番目に、「食肉の購買に当たっては、関税法を始めとする関係法令に違反し、又はそのおそれのある取引に係る食肉を購買することのないよう、慎重に対応すること。」おそれのある食肉を購買するな、これはまるで人ごとですよね。購買という形をとりながら、実際には脱税に大きくかかわっていたのではないか、そのことが指摘をされているのに、買うなと、そういう話なのかということですね。

 おそれのある食肉を買うなという通達を書いている農水省として、大手ハムメーカーが中心となったこれは構造的な問題だという問題意識がございますか。

白須政府参考人 いずれにいたしましても、ただいま委員からもお話がございました、こういった豚肉の差額関税制度をめぐります不正、これは大変許しがたい行為であるというふうに私どもも認識をいたしているわけでございます。

 ただ、先ほども申し上げたわけでございますが、私ども農林水産省としては、捜査権限、強制捜査権というものはないわけでございます。したがいまして、そういった意味からいきますと、やはり事実関係の把握にはどうしても限界があるということは申し上げざるを得ないというふうなことでございます。

 したがいまして、私どもとしては、ただいま委員からもお話がございましたような形で、それぞれ食肉の関係の業界の団体のコンプライアンス体制の取り組み状況、そういったことについても、しっかりと、直接お呼びをしてヒアリングをする、あるいは説明会をする、あるいは、関係法令の遵守の徹底を図る、さらには、関係団体以外の事業者に対しても関係法令遵守のためのそういった説明会あるいはリーフレットといったようなことをやっているわけでございます。

 こういうこととあわせまして、関税当局への情報提供ということ、あるいはまた関税当局との情報交換というふうな形で、より密接な連携の強化を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

高橋委員 大臣に伺います。同じ認識ですかということです。大手ハムメーカーが中心となった構造的な問題だという問題意識があるのか。それから、この差額関税制度そのものをどうするのかということが非常に問われております。ざる法だ、抜け道があることがわかっていて、そのままでいいのかということも言われています。

 ただ、本来の趣旨は、やはり国内の生産者を守るという本来の趣旨がございます。それを本当なら貫かなければならない。そうであれば、もっと厳しい制度にしなければならない。インボイスに書かれたことが本当かどうかを後で調べなきゃわからないような制度じゃだめなんだ。厳しい証明をつけるだとか、そういう対策を含めて制度の改善が必要だと思いますが、大臣の見解を伺います。

島村国務大臣 私は、さきの農林大臣のときもそうですが、不正行為は断固処断する、一切の妥協をしないということを姿勢として貫いてきているわけでありまして、かつては林野の問題もございました。最近では、牛肉、豚肉、いろいろな問題が出てきておりますが、通常、今までそういうことの対象にならないであろうとされたところも厳しく処断されていることはお認め願えると思います。

 ただ、委員が先ほどおっしゃったように、いろいろ情報が入るということでございますが、ぜひとも、そういう本当に事実と思えるような情報がある場合には、どうぞ我々に御提供願って、私たちは責任ある対応をしていきたい、こう思うのが基本であります。

 そういう意味では、この豚肉の差額関税制度は、安価な豚肉の大量輸入によります国内需給の混乱を防止しなきゃいけないということを目的としたものでありまして、これまで国内の需給及び価格の安定に寄与してきたところであります。しかし、この差額関税制度を悪用した脱税行為によって不当に安い豚肉が輸入されるような事例については、これは制度の趣旨に照らして許しがたい反社会的行為でありますから、今後とも、関税当局との一層の連携強化を図りながら厳正に対処していきたい、こう考えます。

 いずれにいたしましても、こういう不正行為を見逃していますと、やり得ということになります。私は、悪いやつほどよく眠るということに反発を感じて政治家になった人間でありますから、これからもその初志を変えないつもりでありますので、もしそういう的確な情報と思われるものがあれば、遠慮なくお申し出をいただきたいとお願いする次第であります。

高橋委員 ありがとうございます。情報提供はさせていただきますので、厳しい対応をよろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ、今度は別な案件でありますが、これも不正にかかわる問題であります。

 農水省が発注したダム工事で、大手建設会社とコンサル会社が癒着をしていたという問題でございます。これについては、五月九日付の赤旗新聞の一面で報道をされておりますけれども、本日の産経新聞にも大きく取り上げられておりまして、「コンサル会社 入札前に設計情報」という記事が載っております。それで、これは入札制度の根幹を揺るがす行為だという有識者のコメントも紹介されておりまして、まさにそのとおりだということであります。

 経過でありますが、九州農政局が発注した鹿児島県の荒瀬ダム建設工事、総事業費二百九十四億円でございます。昨年の三月、そのうちの工事を一般競争入札で、前田建設工業、清水建設、さとうベネックのJVが三十六億円で落札いたしました。この中の清水建設が、平成十一年から十五年にかけて設計などのコンサル業務を請け負っていた三祐コンサルタンツ会社から、発注者に上げる、つまり農水省に上げる報告書などを入手して、それが契約書にある守秘義務違反であると一カ月の指名停止を受けたという案件であります。

 この件に関して、まず農水省としてどのような調査を行ったのか、この何が問題だと認識しているのか、具体的にお伺いいたします。

川村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今お尋ねがございましたとおり、九州農政局発注の設計業務の成果品等が工事の受注者でございます施工業者に譲渡されているという情報提供がございまして、九州農政局におきまして、速やかに関係者から事情聴取を行い、事実関係の確認を行ったところでございます。

 その結果、発注者たる九州農政局の承諾を得ることなく三祐コンサルタンツの社員が荒瀬ダム実施設計の成果品等を清水建設の社員に譲渡していたということが判明したものでございます。このことは、請負業務契約書の中の規定に反するものでありまして、問題であるというふうに認識をしたところでございます。

高橋委員 守秘義務違反ですよね。その相手方の清水建設との関係については、厳重注意、口頭でのみだということでありますが、その点に関してはいかがですか。

川村政府参考人 まず、違反の状況でございますけれども、先ほど言いましたように、守秘義務の規定もございますけれども、請負契約書の中に、成果物を第三者に譲渡し、または貸与し、または質権その他の担保の目的に供してはならないという規定がございますので、これに明白に違反しているということでございます。

 それから、清水建設の関係でございますけれども、建設会社自体は契約の当事者ではございませんし、また、この行為が法令違反に直接該当するものではございません。ただ、こういったやりとりというのはまさに受注者の契約義務違反を助長するおそれがあるということで、これもまた問題であるということで処分を行ったところであります。

高橋委員 皆さんのところに資料をお配りして、たった一枚で恐縮ですけれども、ちょっとごらんになっていただきたいと思うんですね。清水建設株式会社の担当者に向けて、平成十三年十二月二十一日に三祐コンサルタンツが出した書類でございます。「書類送付の件御案内」、要するに、発注者に報告するべく、施工計画・仮設備計画云々、こうしたものを建設会社にすべて与えていたということを裏づける書類でございます。

 文章の中をちらっと見ていただきたいと思うんですが、「大変お手数ですが、既に送らせていただいた資料の差し替えお願いいたします。」。つまり、これは差しかえでございますから、一回目の資料も届いておるんです。「今後も同じ土俵で意志疎通ができるかと思います。又、事業に動きがありましたらお知らせいたします。」。つまり、同じ土俵だと。こういうことは、単に一回成果品を提出したというだけではなくて、同じ土俵でやりとりをしていたということを示しているわけですね。

 実は、やりとりのファクス、もう百回近くやりとりをしているんですけれども、その写しがここにございます、コンサルタンツから清水建設の当事者に対して。その中身を見ますと、ダムの建設工事にかかわってさまざまな施設が必要になりますけれども、例えば、ドリルジャンボだとか防潮シートだとか、そういうものの仕様がどうなっているか、規格がどうなっているか、メーカーがどうなっているか、工事費あるいは工事費積算の根拠に触れるものを具体的にお伺いを立てているんです。つまり、情報を差し上げているんではなくて、お伺いを立てて、清水建設から、相談に乗って援助をいただいている、そういう関係だと。これは、この関係は常態化をしている。ですから、当然、入札で清水建設有利に働くということを意味しておりますけれども、それだけではなく談合情報もございましたので、もう初めからここが落札するということがわかっているということにもなりかねない問題でございます。

 一つだけ紹介したいと思うんですけれども、平成十三年の八月ですけれども、発注者は納得するのに手間がかかります、農水省のことです。フィルダム案を決定的に有利にするためにも、平成十二年骨材製造貯蔵設備費を平成十一年より経費がかさむ方が都合がよいと考えます、ということで、その概算を御連絡いただきたいということを清水建設に対してお願いしている。こういうことが常態化しているわけですね。

 コストがかさむ構造もこの中で出てきたということであります。これは、そういう構造があるということを建設の関係者の方からもつかんだ上で報道もされております。ですから、こういう実態が、つまり常態化していたんだと、相互にやりとりしていたんだということをわかっているのか、あるいは、わからないのであれば調査をする決意があるのか、農水省に伺います。

川村政府参考人 今委員の御指摘もございましたが、私どももこの業者両社から何回かにわたって事情聴取をしてございます。その中で、御指摘のとおり、複数回にわたって、また複数年にわたってやりとりがあったということは把握をしてございます。これを踏まえて処分をしたということでございます。

高橋委員 複数回、複数年にわたって、それで一カ月の指名停止、清水建設は口頭注意。これで再発防止になるんでしょうか。

川村政府参考人 この関係につきましては、九州農政局工事請負契約指名停止等措置要領というのがございまして、それに基づいて厳正に処分をしたところでございます。

 この中で、指名停止期間につきましては二週間以上四カ月以内というふうにしております。今回の事案は、まさに請負契約書に違反をする不適切な行為であるということでございます。そして、二週間というところが最低でございますけれども、今申し上げましたとおり、複数の業務、また複数の年、また複数の回数ということの事実を踏まえて、一カ月の指名停止というふうにしたところでございます。

高橋委員 ですから、再発防止になるかということです。

川村政府参考人 これを受けまして、直ちに関係、九州農政局はもちろんでございますけれども、他の農政局に対しましても指導通知を出しまして、そこから厳正に監督指導するように再度徹底をしたところでございます。

高橋委員 通達はいただきました。非常にシンプルなものでございまして、「今般、請負業者による請負契約書の規定に違反する行為が発生した。 今後、このような事態が生じないよう、設計業務請負契約の履行にあたっては、請負業者に対して、関係法令及び請負契約書等の遵守の徹底を指導するなど、なお一層の適正な履行の確保に努められたい。」

 やはり農水省が、この一片の通達を出した、指名停止をやった、しかし、なかなかこれは改善できないだろうということを見られているのではないかと私は思うんですね。

 どういうことかといいますと、この三祐コンサルタンツは、専務、常務取締役には農水省のOBが配置をされておりますし、それだけではなく、ここに平成三年度の農業土木技術者名簿がございますけれども、たくさんのOB、関係者が会社に入っております。ですから、そういう関係がまず一つある。農水省から、昨年度までの三年間で三百件、四十億を超えるコンサル業務を受注しています。農水省の仕事だけで三百件です。ですから、もはや農水省の外郭団体と言えるのではないのか。だから、そういう関係で工事がどんどんやられていくんだということを、ここを変えられなかったら、やはり再発防止はないだろうと思う。

 大臣、一言お願いします。

島村国務大臣 今ほど委員と私どもの局長とのやりとりを聞いておりまして、私もこれで納得ができたとは思っておりません。やはりこれで今後こういうことに対して厳しい反省を求めて、再発を防止するための措置が行われたとは思いませんので、私は再度この問題をもう少し調べて、いかにあるべきか、場合によっては、契約当事者でなくても、私は発注の会社の方に対して何かの方法をとるかもしれません。

 いずれにしても、こういうことをなおざりにしておきますと、またいろんな犯罪行為が起きて非常に不愉快になりますから、そういうものが起きないように、私どもの先輩の行ってきた歴史と伝統を傷つけないということをいつも強く言っているわけでありますから、今のお話については我々もそう対処しますが、ぜひ的確と思われる情報についてはどんどん私たちにもお伝えを願いたいと思います。

 なお、OBの再就職先の問題についてでありますが、一般論で言えば、農業農村整備関係の技術者はその分野における、いわば幅広い専門的知識と経験を持っておるわけでありますから、これらの技術や経験を必要とする民間企業に要請されて、就職しているということについては、それなりに理屈があるんだろうと私は思います。

 ただ、問題は、私は常々申していることなんですが、役人の天下りという言葉、私は嫌いなんですけれども、専門の技術を求められ、あるいは経験に対する評価を受けて再就職することは、これは大いにあってしかるべきだと思いますが、その一方で、いわば役所の持っている利権といいましょうか、何か権利に関してそれを持ち込むとか、あるいは本人以外に、求められもしない人をたくさん抱き合わせで就職する、こういうようなことごとは、これはまさにどのような指摘を受けても仕方がない。今まで国会答弁などでも申してきたところでありますが、それらについてはこれからも厳正に対応していきたい、こう思うところであります。

高橋委員 終わります。よろしくお願いいたします。

山岡委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本でございます。

 まず最初に、全農の一連の不祥事の問題についてお伺いをしてまいります。

 二〇〇一年以来、六回にわたって農水省から業務改善命令を受けています。これに対して、全農はどのように対応をして、これに対して農水省としてはどのように検証してきたのか、まずお伺いします。

須賀田政府参考人 全農に対しまして、過去六回、業務改善命令を出しました。改善が認められるまでの間は、改善状況を四半期ごとに報告せよという前提で報告を求めたわけでございます。

 全農からは、例えばコンプライアンスの強化、これは役職員への研修とか、意識改革を徹底します、あるいは相談・連絡窓口を設置いたします、事業を一斉に点検します、こういう報告がございました。また、子会社管理体制の強化といたしまして、もう少し子会社を減らします、再編合理化をいたします、あるいは役職員のコンプライアンスの徹底を図ります、こういう報告を得たわけでございます。

 この報告にありました事項そのものは、私ども、四半期ごとの報告を通じ、あるいは毎年実施をしております全農に対する常例検査におきまして、研修そのものあるいは一斉点検そのものはやっているということは確認をし、検証はしてきたわけでございます。にもかかわらず、今回事件が生じたということは、その報告の内容が徹底していなかった、体質が変わっていなかったというふうに言わざるを得ないというふうに思っておりまして、今回は徹底的にやりたいというふうに思っている次第でございます。

山本(喜)委員 全農からは報告を受けていたが、体質が変わっていなかったというふうな農水省の認識なようでございますが、このたび重なる業務改善命令、全くこれが生かされていなかったわけでございます。

 全農が相次ぐ合理化で肥大化をしてきたというふうなこととか、例えば、米であれば、ほとんど全農が扱っているということでの、組織としての甘えとか、そうしたことも指摘されておりますが、私とすれば、例えば米の価格の問題も、これからは市場に任せていくというふうな状況になっているわけでございます。こうした市場経済の中で、米を初めとする農産物が市場経済の中でもまれていくという状況の中で、全農としても、農家のための組合ということよりも、もうけ至上、市場経済のゆがみですが、もうければいいんだというふうな方向になってきたんじゃないかというふうに思います。こうした、今の農政をめぐる問題も、一つは背景にあるんじゃないかというふうに思うんですが、大臣はこの一連の不祥事の背景について、どのようにお考えでしょうか。

島村国務大臣 御指摘のとおり、全農の不祥事がたび重なっておりますが、これについては、協同組織の本旨である組合員農家への便益の供与よりも利益の追求や保身を優先させる体質があるのではないか、また、全国九百万組合員を対象に取扱高六兆円に及ぶ経済事業を担当しているわけでありまして、不祥事を引き起こしても市場から排除されることはないのではないか、こういった甘えや危機管理意識への緩みがあるのではないかといったことが各方面から指摘されているところであります。

 こういうことがたび重なりますと、全農自身の権威も信用も失墜することになるわけで、いわば自殺行為とも言えるわけでありますから、私は、このような批判の声を真摯に受けとめ、今度こそ後戻りが許されない最後の抜本的な改革の機会ととらえて、組合員あるいは国民からの信頼回復に向けて全力で取り組んでもらいたいと考えております。

 なお、先ほど、岩永副大臣も独自に全農のトップを呼んで厳重注意をしたという話をしておりましたが、私自身も、最初にこの報告に来た際に、少しく考え方が甘いのではないか、あなた方御自身の中に本当の責任感というのがあるのかどうか、きょうの報告についてもどれだけの呵責の念に耐えているという現実があるんだろうかと、かなり彼らにとっては聞きづらいことをずけずけ申して、まさにこれが最後の機会ですよということで、厳しく反省を求めたところでございますので、今後、きちっと見守っていきたい、こう思う次第です。

山本(喜)委員 大臣はかなり厳しい姿勢で臨むというふうなことのようでございます。

 それで、岩永副大臣をトップに改革チームというのがスタートしたわけですが、その以前に、既に農水省は、農協のあり方についての研究会というのを設置して、十五年の三月に報告書を出しているわけでございます。その中には、「全農改革の断行」というふうな記述がございまして、再三にわたり偽装表示事件を起こし、農業者、消費者の信頼を著しく失墜させた全農の改革は、農協改革の試金石であるというふうに述べているし、行政は、一連の偽装事件に関する業務改善命令の実施状況の監視にあわせて全農改革の進捗状況を絶えず監視するというようなことも、この十五年の三月の報告書にはあるわけです。

 ですから、今回、チームがこれからやっていくということでございますが、この十五年三月のときの報告書、これを生かすことができなかった農水省の対応、これの反省をきちんとしないと、この改革も果たしてうまくいくのかどうか、この点についてお伺いします。

岩永副大臣 先生のおっしゃるとおりでございます。

 今回の秋田の問題以前に、全農の会長とそれから理事長を呼びつけまして、そしてかなり厳しく叱責をしました。それで、大臣にも本当に強く御要請をいただいたところでございます。

 十五年の三月に農水省ではそれだけのことをやっているんじゃないか、こういうことでございましたけれども、結局は、具体的な対応がきちっとされなきゃ、抽象的な文章で言っていても向こうの方は反応が見られない、こういうことでございます。それで、我々はあのときにもかなり強く物を言っているわけでございますが、ナシのつぶてのような向こうの反応を具体的にどうするかということで、実は今回の経済事業改革チームというのをつくり上げたわけでございます。

 それで、先ほども御答弁申し上げましたように、今回は、結局、実はこれだけの農水省の大きな基本計画の見直しの中からくる改革に呼応して全農の改革をやらないと生産者の経済確立がされない、そういう背景もありますので、それぞれの人物の問題、それぞれの米の価格の問題、そして秋田の問題からくることを参考にしながら、全国のそれぞれの本部の検査、そして改革等の問題、本当にきめ細かくそれらを拾い上げて具体的に全農に要請していこう、このように思っております。

 一昨年のJA全国大会におきましても、全農の事業システムの抜本的見直しというものを決議しておりますし、全中の中におきましても、経済事業改革中央本部委員会というものが設置されております。先ほど申し上げましたような、全農も全農サイドの中で全農改革委員会というようなことが言われておりますので、全体の全農改革に対するムードというのは高まってきた、この時をとらえてきちっとしたものを出していきたい、このように思っております。

 だから、先生が御心配される経済事業改革チームは機能しないんじゃないかというようなことのないように、ひとつ精力的に改革をしていきたいと思いますし、また、全農の内部でも、やはり今回、全農の改革については農水省に十分相談していかなきゃならぬのじゃないか、そういうような機運も全農の中で起こっておりますので、このチャンスをきちっととらえていきたい、このように思っております。

山本(喜)委員 秋田の米の不正取引の問題ですが、私も秋田で米をつくっている一人でございますので、今回の事件は生産者として非常に怒りを覚える、そういう状況でございます。

 公正であるべき米の価格形成、これがゆがめられてきたというふうなことは、国民からの不信を招くということであります。それから、米の共同計算にかかわる資金の流用ということについても、生産者の不信を招くというようなことで、大変大きな問題があるわけでございます。

 政府の関与ですね、価格形成センターがありますが、売り手と買い手が同一の会社、こういうふうなシステムが何ゆえ今まで改革されないでまかり通ってきたのかというようなこと。それと、米価格センター、この中にもちゃんとあるわけですよ、不正取引を防止するための取引監視委員会。こういうのも、全く内部的な改革というのはできていないというふうな状況ですね。

 ですから、今後、どのようにこれを具体的に改革していくのか、お伺いします。

村上政府参考人 今委員の御指摘の、価格形成センターにおける売買に参加する資格の問題として、かつて経済連が、売り手、買い手で同時に参加をしているという問題がございまして、これが価格形成に不公正な部分がある要因になっているんではないかという公正取引委員会の指摘がございまして、卸売部分については分社化すべきであるということで、現在の県本部あるいは経済連とそれから卸の部分については分離をして、卸の部分については子会社化をしたという経緯があるわけでございます。

 現在、県本部あるいは経済連とが売り手なり多数の卸売会社、それから、パールライスなどの子会社など、全体として三百六十七ほどの買い手が参加しております。

 そういう中で、今御指摘の親会社とそれから一〇〇%子会社との取引という問題も当然あるわけでございますけれども、これは米に限らず通常に行われているものでございますので、これを一律に排除すべきではないというふうに考えております。

 いずれにしても、競争条件といいますか、センターの価格形成の適正化を図るためには、まず個々の取引が適正に行われるための条件整備を行う必要があるということで、センターにおける取引ルールの検証、見直しを進めているところでございます。

 今回の場合は、売り手側の全農秋田県本部と買い手側のパールライス秋田の社長が同一人物であるということでございます。こういうことに大きな原因があったというふうに見ておりますが、このために、親会社である全農県本部とその子会社が同じ意思のもとに運営されているような場合に、コメ価格センターにおける双方の取引を認めるのが適切かどうかということも、そのルールの見直しの一環として検討していきたいというふうに思っているところでございます。

山本(喜)委員 今回の事件、五月十三日に農水省として調査の中間報告を出しましたが、全農も調査委員会を設置して報告書を出していますね。四月の二十一日に出しています。

 これによると、「十五年産は、全国的な冷害の影響を受け、価格が高騰し、消費者の米離れや、政府米を主体としたブレンド米の流通も増加していた。このため、年明け以降、自主流通米の販売が鈍化し、価格も入札の都度下落する状況にあった。こうしたなかで、卸売業者は大量の在庫と差損を抱え、応札意欲が落ちてきていた。」「一方、県本部としても、価格上昇のなかで仮渡金の追加払いを実施し集荷に努めたが、年明け以降の価格下落で入札価格が仮渡金を下回る状況となった。このため、十五年産米について、県内卸売業者に買い戻し条件付きで応札を依頼し、物流のない架空取引を行った。」というふうに当時の米価格の変動並びに県本部の状況が説明されているわけですが、この記述は正しいと認識していますか。

村上政府参考人 今の御質問にお答えします前に、先ほどの答弁の中でルールの見直しの話を申し上げましたけれども、子会社の取り扱いなどとあわせまして、上場数量の大幅な増大とか、それから一定の基準を満たす場合には取引監視委員会が調査するといったルールを整備して、チェック体制を強化したいというふうに思っております。それからまた、取引結果の公表の仕方をよりきめ細かくして、透明性を強化するというようなこともあわせてやっていきたいというふうに思っておるところでございます。

 今御質問のこの架空取引疑惑の背景でございますけれども、今委員が読み上げられました全農の調査の概要と大体我々も同じような結果を聴取いたしております。

 我々の方で独自に調査に入ったわけでございますけれども、その認識といたしましては、十五年産米の価格は、冷害による作柄不良のために秋以降高騰いたしまして、十五年十二月に最高値をつけたということでございます。例えば、秋田のあきたこまちの場合、十二月に前年同期より八千八百十四円高い二万五千百十四円という価格になりました。

 そういう中で、全農秋田県本部では、価格高騰局面で生産者から集荷を確保するというために、高水準の仮渡金、あきたこまちの場合、十六年二月二十六日以前の集荷分につきまして二万三百円、それから二月二十七日以降の集荷分につきましては一万八千三百円というのを支払っております。その後、卸が高値銘柄を敬遠し始めましてブレンド米などに移っていったところがございますけれども、十六年一月以降、価格は一貫して下落して、六月にはあきたこまちが一万七千五百二十円まで下落したということで、仮渡金を下回る状況になった。

 こういうことが今回の架空取引疑惑の背景にあったというふうに、同じような認識をしているところでございます。

山本(喜)委員 今まで、米が凶作のときに値段が暴落をしたということは歴史的に果たしてあったのかどうかですね。

 九三年、そして十年後の、十年ぶりの凶作と言われた二〇〇三年、そのとき、作況指数九二ということで、冷害だったわけですね。ところが、価格が年明け以降暴落という状況ですね。報道によると、政府古米放出で一変、百万トンの古米の大量放出が引き金となってというふうにマスコミ等でも報道されておるわけですが、この古米の放出というのがかなり大きな原因にもなっているんじゃないかというふうに思うんですが、この点、認識はいかがでしょうか。

村上政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたような価格の推移だったわけでございますけれども、十五年産米の価格が、十六年一月以降、特に段階的に下落したわけでございます。

 その要因として、今触れましたけれども、ブレンド米などの値ごろ感のある価格帯の米の引き合いが強まった。高くなり過ぎて、外食、中食、あるいはスーパーなどにおける一定の価格に対する需要というのがやはり根強いということがあったかと思います。それから、卸が高値で手当てしました米が在庫として滞留するようになってきたということがあるかと思います。それから、委員御指摘の、需要と消費の差を埋めるために政府の備蓄米が販売されたことによりまして、米の不足感が解消されてきたということがあると思います。これらが複合的な要因になってきたものというふうに考えております。

 政府米は、十五年七月から十六年六月まで百五万トン販売しておりますけれども、これは作況指数九〇の不作による供給不足分、これが九十一万トンございました。それから、これはもともと予定をしていた例年販売する政府米二十万トン、これを合わせますと百十万トンになるわけですけれども、その範囲内になっているわけでございまして、そういう需給ギャップを埋める必要性というのは当然あったのではないかというふうに思っております。

 それから、つけ加えますけれども、十五年産米は十六年六月にかけて下落し続けましたけれども、これにもかかわりませず、六月時点の加重平均価格は一万七千八百七十二円ということで、平年作であった十四年産米の同時期の価格をなお相当上回っていたという状況にあったことは御理解いただきたいというふうに思います。

山本(喜)委員 政府は、今後も米の価格調整ということで古米の取り扱いを決めるんでしょうかね。

村上政府参考人 政府の備蓄米の運営につきましては、これは基本的に回転備蓄という考え方で、不作時における、端境期における需要のギャップを埋めるというのが基本的な考え方でございます。価格調整という考え方というような副次的な作用は当然あるわけでございますが、基本的には、そういう備蓄運営の基本的な考え方として、需要のギャップを、端境期、不作の状況の中でどう補っていくかという観点で行っているものでございます。

山本(喜)委員 今回の架空取引の動機ということで、価格操作ということも一つ挙げられておりますが、やはり米の価格に対する農家の関心というのは非常に高いわけでございます。

 価格センターにおいて米の価格が公正に形成される必要は当然であります。しかし、この公正な価格が農業の振興になっていないという現状も確かにあるわけでございます。既に、国は米の価格形成には関与をしないという方向でございますが、米づくりが維持されることについては国として責任を持っていかなきゃならないんじゃないかというふうに思うんです。

 生産者が米市場の乱高下に翻弄されることのないような対策が必要ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

島村国務大臣 米政策につきましては、消費者や実需者のニーズを、市場を通じて鋭敏に感じ取りまして、需要に応じた売れる米づくりを推進することが重要である、こう考えております。

 このためには、多様な売り手、買い手によるさまざまなルートの取引が円滑に行われるように、需給動向を反映した価格が、コメ価格センターにおいて公正かつ適正に形成されることが必要であります。

 いずれにいたしましても、市場を通じた公正かつ適正な価格形成ができることが肝要であるという考えに立ち、その上で、価格変動が生じた場合には、生産者への影響を緩和するための経営安定対策を講ずることにより、稲作農家の経営安定に努めてまいりたい、こう考えるところであります。

 いろいろな、具体的な方策が講じてございますが、委員はその道の専門でいらっしゃるので、あえて補足をいたしません。

山本(喜)委員 米価の激変に対する緩和措置ということで現在やっていますが、稲得、この間も質問しましたが、大幅な価格下落のときには余り意味をなさないというふうな状況が実際現在あるわけですね。

 ことしの価格下落が、幅が大き過ぎて満額補てんされないところがかなりあるというふうな状況とか、あるいは、例えば担い手経営安定対策についても加入率が一・五%しかないというような状況が、十六年十一月現在の数字ですが、こうした現状の中で、農水省は対策が十分だというふうにお考えでしょうか。

村上政府参考人 稲得の補てん金につきましては、四十六道府県で支払いが行われる見込みでございますけれども、その場合、多くの道府県で資金の積み立て不足ということで、補てんが満額でないということもあるわけでございます。それから、担い手経営安定対策の加入率の問題なども御指摘ございましたけれども。

 この満額でないという仕組みでございますけれども、積み立ての範囲内で各県ごとに管理をするということにしたわけでございますけれども、こういう満額でない状況になっているのは、一つは、この前申しましたが、基準価格が、不作のために価格が高騰した十五年産が入るということで、比較的高い水準にあったということと、それから、これは今回の仕組みで、稲得の方から産地づくり交付金へ財源を融通するというようなこともできるような、若干柔軟性を持った形にしたわけでございますけれども、そういう拠出を軽減している道府県もあるというようなことでございまして、そこは、そういうことを両方考え合わせて対応していく必要があろうというふうに思っております。

 それぞれのところの稲得なり、担い手経営安定対策を含めた手取りの確保については、我々の方もそれぞれチェックをしておりますけれども、相応の水準が確保されているものというふうに、我々は現在のところでは認識しているところでございます。

山本(喜)委員 政府の認識と私の認識とはかなり違うわけでございます。やはり、この間の米の価格の補償対策、これは先ほど言った数字ですね、担い手経営安定対策、たったの一・五%の加入しかないという。ですから、政府の対策が全く現場からは支持されていないという数字の反映ではないかというふうに思うんですが、今後、こうした価格形成のことも含めて、やはり対応を変えていかなきゃならないんじゃないか。全農改革ももちろん断行していただきたいということと、この所得安定対策についてもぜひ再検討をお願いして、私の質問を終わります。

山岡委員長 次回は、明十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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