衆議院

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第15号 平成17年5月18日(水曜日)

会議録本文へ
平成十七年五月十八日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 山岡 賢次君

   理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君

   理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君

   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      岡本 芳郎君    梶山 弘志君

      金子 恭之君    上川 陽子君

      川上 義博君    木村 太郎君

      城内  実君    北村 直人君

      後藤 茂之君    後藤田正純君

      田中 英夫君    津島 恭一君

      西村 康稔君    原田 令嗣君

      森  英介君    一川 保夫君

      岡本 充功君    鹿野 道彦君

      川内 博史君    岸本  健君

      小平 忠正君    鮫島 宗明君

      神風 英男君    仲野 博子君

      堀込 征雄君    松木 謙公君

      山内おさむ君    池坊 保子君

      大口 善徳君    高橋千鶴子君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡島 敦子君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       外口  崇君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            村上 秀徳君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           西川 孝一君

   政府参考人

   (水産庁長官)      田原 文夫君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 寺田 雅昭君

   農林水産委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  山内おさむ君     川内 博史君

  大口 善徳君     池坊 保子君

同日

 辞任         補欠選任

  川内 博史君     山内おさむ君

  池坊 保子君     大口 善徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)


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     ――――◇―――――

山岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省総合食料局長村上秀徳君、消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、農林水産技術会議事務局長西川孝一君、水産庁長官田原文夫君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、厚生労働省大臣官房審議官岡島敦子君及び医薬食品局食品安全部長外口崇君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自由民主党の西村康稔でございます。

 本日、JAS法の改正につきまして、幾つかの観点から御質問をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、早速質問に入らせていただきますけれども、今回のJAS法の改正、大きな行政改革という流れの一環だと認識をしております。行政にはさまざまな登録認定制度があるわけですけれども、その登録認定機関の制度を改善していこうという行政改革の一環、特に公益法人に対する行政の関与のあり方を見直していこうというもの、それから、民間にできるものはできるだけ民間にやってもらおう、こういう観点から構造改革を進めて、民間の活力を使っていこうというもので、能力を活用していこうというものでありますので、これは方向としては非常に評価のできる方向だろうと思います。

 ただ一方で、登録認定機関の位置づけが、いわゆる行政の代行機関から民間の機関、純粋に民間の機関となることについて、民間がやるわけですから、本当にその業務が公平になされるのかどうか、これについて非常に心配する声もあるというふうに聞いております。

 できるだけ民間の力を使っていくという方向はいいわけですけれども、公平に、それから業務に信頼性をしっかりと確保しなきゃいけないということでありますが、まずこの点につきまして、今回の法律改正の趣旨について、農林水産大臣、島村大臣のお考えをお伺いできればと思います。

島村国務大臣 西村委員の御質問にお答えいたします。

 今回の改正により、登録認定機関の位置づけを、これまでの行政代行機関から民間の機関へと移行することとしております。これに伴い、認定機関の登録に当たりましては、認定に関する業務の信頼を確保するため、法律に明記された登録基準に基づき審査を厳正に行うこととしております。

 また、登録認定機関に対する国の監視、監督により業務の公正性を確保していく考えであり、今回、登録認定機関に対する業務改善命令の創設など、監視、監督のための措置を充実させているところであります。

西村(康)委員 ぜひ、行政改革の趣旨にのっとって、民間の力をうまく活用しながら、引き続き、業務は信頼性のあるもの、公平性のあるもので維持をしていただければと、こんなふうに思います。

 特に有機農業をやっておられる方々から、今回の改正について幾つか心配が出されておりまして、その点について何点か御質問をしていきたいと思います。

 まず一つ目に、今回の登録認定機関の登録基準としてISOのガイド65を採用するということにしておりますけれども、従来の登録基準にかえてこのガイド65を採用することとした、その理由をお伺いしたいと思うのですけれども、登録機関、特に登録認定機関ですね、有機の登録認定機関については非常に小規模なものも多いわけでありまして、今回のこの改正、ガイド65を採用することによって登録基準が一気に厳しくなるんじゃないかということを心配する向きもありまして、過剰な負担を強いることになるのではないかということを非常に懸念している向きがございます。

 この点について、農林水産省のお考えをお伺いできればと思います。

大口大臣政務官 西村委員にお答えいたします。

 平成十四年の三月に、閣議決定によりまして、公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画が決定されたわけでございます。その公益法人改革において、登録認証機関の登録基準について、行政の裁量の余地のない明確なものとすることが求められているわけでございます。

 このような観点から、認証機関に求められる一般的な要件について網羅的に定められ、国際的な整合性のあるISOガイド65を採用し、これを登録基準として法律上明記したところでございます。

 なお、既に現行法のもとにおいても、この登録認定機関の業務規程の認可に当たって、ISOガイド65を参考にしながら審査を行っており、現行制度のもとで認定業務を行っている登録認定機関にとっては、改正法に基づき新たに登録を受けることは過重な負担となるものではない、こう考えております。

西村(康)委員 ぜひその点、特に有機の登録認定機関の方たち、小さな規模の方々が多いようでありますので、ぜひ過剰な負担とならないようにお願いをしたいと思います。

 今のお話で、登録基準として新たにISOガイド65を採用するということですけれども、これは、先ほど国際的な基準のお話もありましたが、国際的に見ても、有機農産物の認証機関の基準としてガイド65というのを求めてはいないようでありまして、国内の認証機関にのみ、その非常に厳しい厳格な基準を求めるものではないかという心配をする声もあるようですけれども、この点についての御見解をお伺いできればと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 有機食品の国際基準でありますコーデックスのガイドラインにおきまして、認定機関の審査にISOガイド65等の承認済み国際基準をも参考にすることというふうなことが書かれてございます。これは、コーデックスのガイドラインの第六章に「検査及び認証システム」というところがございますけれども、その中で、「ISO65等の他の承認済み国際基準をも参照のこと」という明文がございまして、今申し上げたように参考にすることというふうになっているわけでございます。

 こういった規定もありますので、EUですとかアメリカなど、我が国と同等の有機の認証制度を持っております国々におきましても、有機農産物などの認定機関の審査基準にISOガイド65が採用されているところでございます。

 こういったこのISOガイド65といいますのは、国際的にも有機農産物などの認定機関の審査基準にもう既に採用されておりますので、我が国だけが特別に厳しいそういった基準を求めているものではないということにつきまして、御理解をいただきたいというふうに思っております。

西村(康)委員 その点に関してなんですけれども、一方で、外国の認定機関の登録基準についても今回見直しも行っておられまして、外国でその登録認定機関になろうとする場合に、その国に日本のJASの制度と同様の制度がなければならないという同等性要件を今回廃止をするということになっておりますけれども、これによって、登録外国認定機関がふえて、有機について外国の有機農産物の輸入が増大するんじゃないか、これを心配する向きもあります。先ほどの、国内には厳しくやって、海外の認定機関には基準を緩めて、そうすると有機農産物について輸入がふえるんじゃないか、国内の有機農業の足を引っ張るんじゃないか、こんな懸念する声も聞くわけでありますけれども、この点についても御見解をお伺いしたいと思います。

中川政府参考人 先生今御指摘のように、今回の法改正によりまして、外国の認定機関の登録に係ります、従来ですと日本のJAS制度と同じようなものがその国にもあるということ、いわゆる同等性の要件というものを課しておりましたが、これを今回廃止をするということにいたしました。

 ただ、その実態を申し上げますと、これまでは、その当該国にJASと同じようなものがあるということを前提といたしまして、新たに登録認定の申請があります場合には、書類審査を中心にして登録の審査をしていることが多かったわけでございます。それを今回は、国内とそれから海外、同じような基準のもとに行うということで、直接、農林水産省などの職員が、実際にその認定機関のあります国に出向きまして、当該申請をしております認定機関が本当に日本のJAS制度についてきちっと理解をしているか、あるいは検査員の能力等が本当に確かなものかどうかということを現地で調査をし審査をするというふうにいたしております。

 また、一たん登録をされました後も、定期的にその国の登録認定機関のところに出向いて、定期的な現地調査もするというふうにしようと今考えているところでございまして、このように、我が国としての登録審査、それから指導、監視体制の充実を図っていくということによりまして、外国の登録認定機関が容易に増加する、それによってまた外国から有機農産物などの輸入が拡大していく、直ちにそういうふうになるとは考えておりません。むしろ、きちっとした審査をしていくということに今回の改正の主眼がございます。

西村(康)委員 とりたてて海外の認定基準を厳しく、登録基準を厳しくするということではありませんけれども、ぜひ内外無差別に、公平に審査基準、登録基準をつくっていただければと思うところであります。

 その有機農産物についてなんですけれども、今回のこの改正されるJAS法に基づいて有機農産物である旨の認証を行っているわけでありますけれども、他方、有機農産物の生産については、いわゆる持続農業法という法律に基づいて振興も行っているわけでありまして、いわばこの二つの法律が、JAS法は消費者保護の観点から、それから持続農業法の方は生産振興という観点から、有機農業を全体として車の両輪として振興していこう、こういう位置づけになるんじゃないかと思うんですけれども、その車の両輪、ぜひしっかり両面から取り組んでいただければというふうに思うわけであります。

 ただ、今回のJAS法の改正が、有機農業をやっておられる方々から、非常に厳しいものになって、その振興が阻害されるんじゃないかということを心配する向きが、私の地元でもそうでありますし、あちこちから声が聞こえてくるわけであります。この点について、有機農業、ぜひ生産振興を引き続きやっていただければ、力を入れていただければと思うわけでありますけれども、この点についてどのような施策をこれから推進されていく考えなのか、農林水産省のお考えをお伺いしたいと思います。

岩永副大臣 大変残念なことに、国内総生産量に占める有機農産物の割合が、平成十三年で〇・一%、それから十四年で〇・一四%、十五年で〇・一六%。だから、一気に有機農業に転換するというのは大変難しい部分があるわけですね。

 それで、全国でどういう形で有機農業を進めているかという、各県を見ましたら、あなたのお隣の滋賀県で大変すばらしい条例をつくっておられました。これは、環境こだわり農業推進条例ということでございまして、生産者と環境こだわり農業の実施に関する協定を結んで、そして県が経済的助成等を支援するというようなことでございまして、協定期間五年で、農薬、化学肥料を慣行の五割以下に抑えるというようなこと、それから、堆肥等の適正使用、農業排水等の適正管理、農業用使用済みプラスチック等の適正処理等を行うと。それで、交付金が十アール当たり、水稲については五千円、それから施設野菜については三万円、露地野菜については五千円、果樹については三万円をやろうと。こういうことで、滋賀県の水稲、全部で三万六千ヘクタールあるわけでございますが、そのうちの平成十五年の契約が二千二百七十三ヘクタール。だから、四千五百ヘクタールを目標にやると。

 こういうようなことでございますので、一挙に有機農業はできないけれども、段階的に各県でこういうような推進がされていくのではないか。農水省も、こういう部分についてはやはり積極的に応援していかなきゃならぬということでございます。

 だから、具体的には、化学肥料や農薬の使用を低減して、技術の開発や普及のためにひとつ取り組んでいかなきゃならぬわけですし、技術導入や消費者との連携などに対する支援も積極的に行っていかなきゃならない。それから、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律に基づく土づくりと化学肥料、農薬の低減、いわゆるエコファーマーに対して金融税制上のやはり支援をしていかなきゃならぬ、こういうように思っております。

 滋賀県の例を参考にしながら、ひとつ全国的に普及していくように、西村先生の地域でもよろしくお願いを申し上げます。

西村(康)委員 御地元の大変御丁寧な御説明をいただきまして、ありがとうございます。

 副大臣のお地元滋賀県は、非常に先端、先進的な有機農業の地域と伺っておりますし、私の地元の明石、淡路島も、滋賀県の事例もよく話題に上りまして、参考にしながら取り組んでいるところであります。

 やはり、有機、化学肥料をやめてやるということで、技術改良も要りますし手間暇もかかりますし、いろいろ負担も多くなると思いますので、この点の御支援をぜひお願いして、大きな方向として、消費者もそういった方向を望んでいるものだと思いますので、一方で今回のJAS法の表示の規制と、それから振興していくという、規制と振興ですので、車の両輪といってもなかなか理解されにくい面もありますけれども、ぜひ相まって有機農業を振興していただけるようにお願いをしたいと思います。地元の農家の方々にも副大臣の声をちゃんとしっかり伝えたいと思いますので、また御指導をよろしくお願いをいたします。

 それで、今非常に御丁寧に御説明いただいたんですが、非常に誤解をされている面がやはりあるんだろうと思います。特に小規模な有機の登録認定機関には、今回の改正は非常に厳しくなるとか、海外からむしろ輸入がどんどん入ってくるんじゃないかとか、いろいろな懸念が大きいように思います。

 今回、いろいろ御説明はされているんじゃないかと思いますけれども、農林水産省として、今回の法案の改正内容について登録認定機関に対してどのような説明を行ってきたのか、PRをしっかりやっているのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。

中川政府参考人 今回のJAS法の改正内容につきまして、有機の登録認定機関の方々を初め、かなり心配しておられるという声は私どもも承知をしておりました。

 そこで、今回のこの改正の法律案、二月の二十五日に閣議決定をされ、国会に提出されたわけでありますけれども、その後すぐに、登録認定機関の連絡会議などの機会を利用いたしまして、すべての有機の登録認定機関の関係者の方々に説明を始めたわけでございます。これは東日本、西日本というふうに分けても開催をいたしましたし、また機会あるごとにということで、都合いたしますと、主なものだけでも五回、こういった説明会なりを行ってきております。

 それから、こういう説明会の場だけではなくて、個別の登録認定機関の方々からお問い合わせもございました。そういった問い合わせがあった場合には、当然のことですけれども、丁寧に今回の改正の趣旨も改めて御説明をしたところでございます。

 それからまた、さらに、登録認定機関への御説明だけではなくて、有機農業関係の団体がいろいろございます。そういったところでの勉強会の機会もありますので、そこにも呼んでいただいて、改めてできるだけきめ細かな説明を行うというふうなところに十分意を尽くしてきたつもりでございます。

 こういった取り組みによりまして、今回、今御審議いただいております法案の内容につきまして理解が進んでいるものと、私どもはもちろん思っておりますけれども、今後とも、さらに必要があれば十分説明を行いまして、既に登録をされております既存の登録機関、この方々も改めて登録していただく必要があるわけですけれども、この登録の手続が円滑にいきますように、できるだけ努力をしていきたいというふうに考えております。

西村(康)委員 これまでも説明をしっかりしておられるということのようでありますけれども、ぜひ引き続き、登録認定機関の方々、あるいは有機農業に実際に取り組んでおられる方々に、内容についてしっかり説明をしていただければと思います。

 その中で、一応、十八年三月一日ですね、来年の三月一日に施行予定をしておられるわけですけれども、この登録基準の中にいわゆる支配要件というものがありまして、登録認定機関になろうとする法人の代表者は、過去二年間も含めて、この認定の対象となるような事業者の役職員であってはならないこととされております。今現時点で役職員である人が仮に退いたとしても、来年の三月一日、過去二年間に含まれてしまうわけでありまして、今役職員を退いたとしても対応が間に合わないわけでありまして、これは現行の登録認定機関にとっては非常に厳しい改正というか、今対応しても間に合わないわけでありますので、これは非常に厳しいという声も聞かれるわけでありますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

中川政府参考人 御指摘のいわゆる支配要件についての規定でございますけれども、製造業者の方々の認定を行う登録認定機関の業務というのは、何よりもやはり公正でなければいけないというふうに思っております。そういった公正性を確保するための必要な要件として、この支配要件というものを今回法律の中に規定をすることとしたわけでございますけれども、政府の統一的な対応といたしまして、公益法人に対します行政の関与のあり方を見直すに当たりまして、内閣官房の方でいわば一つのモデル条文というふうなものが示されておりまして、今回の本案の条文はこのモデル条文に則したものでございます。

 今回、検査、認証などを行う公益法人の位置づけを、行政の代行機関から公正中立な民間の第三者機関として位置づけをする、こういう制度の趣旨を踏まえますと、やはり検査、認証などの対象になる、いわばそういう審査を受ける事業者の方々から人的に一定の距離を置くということは、やはり大事なことではないかというふうに思っております。この点につきましても、登録認定機関に既に詳しく御説明をいたしておりまして、私どもの承知している限り、六つぐらいの団体が既にこのことを踏まえていろいろと検討もいただいているということでございます。

 来年の三月の改正法の施行に向けまして、若干期間がありますので、この間によく関係の団体に御説明をし、移行に当たって混乱がないようにいたしたいというふうに思います。

西村(康)委員 御指摘のとおり、行政改革の一環でこの改正をしておられるわけでありますし、最初の質問で申し上げたとおり、民間でやる場合に、公平性、あるいは公平性を担保してしっかり信頼性を確保しなきゃいけないという点からすると、この条文も当然といえば当然のことでありますけれども、何しろ来年三月までに対応しなきゃいけないけれども、今さらやっても間に合わない話でありますので、代表者を少し工夫するとか、幾つかのやり方はあるというふうに伺っておりますので、ぜひこの点もよく説明をしていただいて、これまで認定機関であった方々がこれによって受けられないというふうなことのないように、ぜひしっかりと説明をしていただければと思います。

 以上、今回の法律改正についていろいろ、特に有機農業の視点から御質問をさせていただきましたけれども、全体としてこういう行革の方向、大きな流れの中で、構造改革という方向は、もちろん私も賛成をしておりますし、推し進めていただければと思うわけであります。

 特に農業の今後、将来については、さきに食料・農業・農村基本計画も策定をされまして、これまでのいわゆる全国一律、ややもするとばらまきになりがちであった非常に保護色の強い農業政策から、強い農業をつくる、国際的にも競争力のある強い農業をつくっていこう、担い手を中心として資源も集中的に投下をしていこう、この大きな方向性は私も賛成をしておりまして、ぜひ推し進めていただければと思いますけれども、一方で、今回の改正もそうでありますけれども、小規模な農家の方々からやはり心配の声も上がっております。

 特に今回の、有機農業をやっておられる、自分たちなりに小規模でも付加価値をつけて一生懸命やっていこうとしておられる方々にとって非常に厳しいんじゃないかという、そんな声もございました。それについてきょう御質問させていただいたわけでありますけれども、小規模の農家の方々、もちろん、家族経営で後継者もなく、自分たちの趣味的にやっておられる方もおられるでしょうし、それはさまざまだと思いますけれども、中には工夫をされて、今申し上げた有機をやったり、あるいは小規模であるけれどもどこか特定の流通機関と組んで供給をしたり、さまざまな工夫があるわけであります。ぜひ、この小規模な農家を切り捨てることだけはないようにお願いをしたいと思います。

 大きな方向性として、改革の流れ、担い手中心に国際競争力のある農業をつくっていく、これは全く賛成でありますけれども、切り捨てることのないように、この点をお願いをしたいと思いますけれども、これからの農業政策について大臣の所見をお伺いをしたいと思います。

島村国務大臣 御高承のとおり、農村社会は、小規模農業あるいは兼業農家、あるいはまた最近は大規模な農業がふえつつありますが、農家によってそれぞれの内容を持った状況でございまして、自治とかあるいは相互扶助などの原理のもとで、共同での水管理とか、あるいは防除などを通じて地域資源が管理されておるわけであります。

 このような状況の中で、特定の大規模経営だけ優遇する政策を短兵急に導入するようなことをしますれば、地域資源の共同管理機能は崩壊しかねないわけでありますし、それに対する危惧の声も聞かれるところであります。

 このようなことから、将来とも農業の継続を希望する小規模農家や兼業農家の方々には、担い手となる経営体たる集落営農へ構成員として参加されることを私どもは提唱しているわけです。

 それは御高承のとおり、それぞれの農家が、例えば耕作機械その他を持って、経理その他も全部別々にやっている、やはりこれは余り経済的あるいは効率的とは言いかねるわけですし、当然負担もかさむわけであります。なるほど自分のやりたいときに農業をやるということは便利かもしれませんが、やはりそれではこれから自立する農業として生き抜いていくことはなかなか難しいんではないか。さはさりながら、兼業農家もあるわけでありますから、自分の御希望に沿った農業経営も、またこれをノーとは言えないわけであります。

 しかし、どうせおやりになるならば、担い手の立場に立って効率的な農業をおやりいただく方がいろいろな意味で時代に即応しますよと私どもは提言しているわけでございまして、最近はそういうことに対する心配がかなり薄れてきたんでしょうか、農家の集まりなどに伺っても、当初は心配したよ、しかし、いろいろ話を聞いてみるとむべなるかなだな、我々も少しく脱皮をしなきゃいけないときが来ているのかなと。特に若い農業従事者の方々の中にそういう目覚めが強く感じられるわけで、大変心強く思っている次第であります。

 いずれにいたしましても、農地を担い手に貸し出し、応分の賃料収入を確保する、生きがい農業として、いわば地域資源の共同管理を担いつつ自立した生活を送るなど、地域農業において一定の役割を担っていただきたい、こう期待しているところでございます。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 大臣御指摘のとおり、農業と一口に言っても、大規模な農業ができる北海道から、中山間、それから、私の選挙区で申し上げましても、明石という都市部の都市型農業と淡路島という農村地帯でありますけれども、ここもそんなに規模は大きくできないところでありまして、それぞれさまざまな形態があるわけで、大きな方向性として、その中でも集落営農を含めてできるだけ担い手に集約をしていき、また資源を集中投下していく、あるいは効率よくやって自立をしていく、この方向性は間違いないと思いますけれども、ぜひそれぞれの形態に応じて配慮もしていただきながら、農家の創意工夫、やる気を引き出すような農業政策を今後ともお願いをしたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

山岡委員長 次に、仲野博子君。

仲野委員 おはようございます。民主党の仲野博子でございます。

 JAS法改正に関連して質問させていただきたいと思います。

 JAS法そのものは、任意制度としてのJAS規格と、義務制度としての品質表示基準制度の二つの制度によって成り立っておりますが、本日は、消費者の関心が高く、国内の生産者からの要望も高い加工食品の原料原産地表示の問題を中心に質問させていただきたいと思います。

 初めに、食品、食料という観点から、農政や水産政策との関係についてお聞きします。

 国民は安全と安心を、農業者は自信と誇りを得ることができ、生産者と消費者、都市と農村の共生を可能とすることを目的に食料・農業・農村基本計画が制定され、法の中では、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興などについて定められております。そして、その第六条では、「食料、農業及び農村に関する施策を講ずるに当たっては、水産業及び林業との密接な関連性を有することにかんがみ、その振興に必要な配慮がなされるものとする。」とされております。水産物にかかわる水産基本法も基本的な理念は共通であり、その第十二条で、「食料である水産物の安定的な供給の確保に関する施策については、食料・農業・農村基本法及びこの節に定めるところによる。」としております。したがって、加工品を含めた農産物も水産物も国民の安全と安心を図るという共通の目的を持ち、その中で、基本的に同じ食品、食料という位置づけをJAS法ではされているという認識をした上で私は質問させていただきたいと思います。

 まずは加工食品の原料原産地表示についてお尋ねしてまいりたいと思います。

 食料・農業・農村基本法の第十六条で、「国は、食料の安全性の確保及び品質の改善を図るとともに、消費者の合理的な選択に資するため、食品の衛生管理及び品質管理の高度化、食品の表示の適正化その他必要な施策を講ずるものとする。」としております。そして、ことし三月に策定された基本計画では、消費者の信頼確保のための食品表示の適正化を推進するとともに、消費者に農産物、食品の情報が正確に伝わるよう、JAS法に基づく規格と表示の充実を図るなどの取り組みを推進するとしております。これは大事なことであります。

 消費者の関心が高く、国内の生産者からの要望も高い加工食品の原料原産地表示について、農政上と水産政策上、今後どのように消費者に農産物、食品の情報が正確に伝わるよう取り組みを充実化し進めていくのかを島村大臣にお聞かせ願いたいと思います。

島村国務大臣 仲野委員にお答え申し上げます。

 消費者に食品の情報を正確に伝える観点から、原産地など食品の品質に関する情報を提供することは重要でありまして、平成十二年七月からすべての生鮮食料品に原産地の表示を義務づけておるところであります。

 加工食品の原料原産地につきましても、昨年九月から対象品目を大幅に拡大し、生鮮食料品に近い加工食品を横断的に対象としたところであります。塩干しの魚介類とか、乾燥野菜あるいは調味した食肉等、これを指すわけでありますが。この対象の拡大につきましては、今後、表示の定着状況、あるいは原料の流通状況、あるいは消費者の関心などを踏まえまして必要な見直しを図ってまいりたい、こう考えております。

仲野委員 加工食品については今後それぞれの各団体、消費者の動向を見ながらということでありますけれども、私が大臣に申し上げたいのは、今、食の安全、安心からいって、加工食品の、今回は二十品目の見直しを行ってきたわけで、今回の法案に盛られておりますけれども、その点についてはある一定の評価をさせていただきたいと思います。

 しかし、本当に行政として安全、安心という観点から考えたときに、目線をどなたに、だれにウエートを置いてその推進をしていくのかなということを常にこの間、非常に私自身疑問を持っているわけですね。一方を立てれば一方が立たない。流通業界あるいは加工業界、だれかに気を使っていると、そのことについて消費者の方がおざなりにされていっている、そういった節も、私自身、党の勉強会、そういった部門会議の中でそれぞれの担当者の方からの説明をいただいたときに、その食の安全、安心ということを考えたときに、果たして、一体この方たちは目線をだれにどう置いているのかなということを非常に強く疑問に思うんです。

 なぜ私がこだわるのかといいますと、昨年、大臣が就任されて間もなく、私は大臣に質問させていただいた昆布巻きのことなんですね。非常に昆布巻きにこだわると思われるかもしれませんけれども、この昆布巻きが消費者から何としてでも表示の義務づけをしていただきたいというのがトップに挙がっているんです。そのトップに挙がっているのが今回トップに来ないということに、とにかく、外されているということに非常に疑問を持っているんです。

 それで、この昆布巻きが、半調製品の輸入が増加している。その昆布巻きについて、中心の具材の重量が二割以上を占めていればその具材の調製品として輸入される。例えば、中心の具材がサケならばサケの調製品という形で、半製品の状態で冷凍され、輸入をされております。それを国内で解凍して調味、味つけをして昆布巻きとして流通、販売されているのが実態であります。消費者の目から、この昆布巻き一体どこの昆布巻きなのかというのは、国産、外国の区別が非常に困難なんです。しかも、外国産である旨を表示せず販売していることから、消費者は国産原料を使用した商品と誤認して購入している可能性が高いと思われます。

 やはり、先ほど申し上げました、消費者にこの農産物、食品の情報を正確に伝えていくという観点から、私は、大臣が先ほど御答弁なさいました、問題があるのではないのかなということを考えますが、中川消費・安全局長、お願いいたします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず冒頭、先生が今御質問される中で、目線をどこに置くかということが大変大事だとおっしゃいました。

 平成十五年の七月に、消費・安全局という新たな局ができました。そこでの一番大事な視点というのは、消費者の視点を重視するということでありまして、新しく組織ができてからどう評価されるかというのは、農林水産省が、消費者の方々から見て、最近変わったではないか、そういう評価をいただくことが何よりもメルクマールになるというふうに私自身考えております。

 冒頭ちょっと申し上げまして、今の御質問にお答え申し上げたいと思います。

 食品表示につきましても、一番大事な点は、消費者が食品を選択する際のいわば唯一のよりどころになるのが表示でございますので、食品の品質に関します情報が消費者にきちっと伝わるように、そのために食品表示をきちっとしていくというのは、やはり大変大事な点ではないかというふうに思います。

 それで、加工食品の表示でございます。

 ちょっと歴史的にといいますか、少し過去にさかのぼって丁寧に申し上げますが、もともと、加工食品の原料にどこから入れたものを使っているかという、加工食品の原料原産地の表示につきましては、平成十三年から個別に議論をされて、例えば農産物の漬物ですとかあるいは魚の塩漬けにしたものとか、個別具体的にウナギはどうだ何はどうだというふうな形で議論されて、そして昨年までの段階で八品目になっていたわけです。

 こういう個別具体的に見ているのではなくて、やはりきちっとしたルールに基づいて表示をしていこう、それが適切だということで、これは厚生労働省と共同で、食品の表示に関する共同会議というのを設けまして、そこで、消費者の方々や加工流通の方々、関係者の方々、皆さんお入りいただいて、公開の場で議論をいただいたわけです。

 そこで、昨年の九月に実施に移されました加工食品の原料の原産地の表示というのは、加工食品で使っている原料がどこでとれたものか、どこでつくられたものかということと、その製品であります加工食品の品質に十分関係がある、これはどこの材料を使っているからおいしいとかなんとか、そういう関連があると思われるものについてまず表示をしていきましょう、それから、細かいものではなくて、やはり原料のうち主要なものについて表示をしていきましょう、この二つの基準でもって、いわば横断的に全部をチェックしました。その結果、二十品目群、これは二十品目ではありません、二十品目群ですから、塩漬けされた、単純な加工をされたものは全部対象になりますし、味つけの液に浸した肉というのは全部対象になるというふうに、相当大きく範囲が拡大されまして、そこの点についてはまず御理解をいただきたいというふうに思います。

 そこで、加工食品の中で、いろいろな方の意見を聞きますと、やはり加工度が低いものがまずもってどこの原料を使っているかということが製品に一番影響するので、だんだん加工度を加えていきますと、どこの材料を使っているかということよりも、その加工をしていることが最終的な加工食品に影響するということで、むしろそれは、直接、原料の原産地を書くという形は必ずしも必要がないのではないかという御意見もあったわけです。そこで、今申し上げたようなルールになったわけであります。

 それから、もう一つ申し上げますのは、加工食品も一括表示欄で原産国は書くことになっておりまして、ですから、先生の今御指摘になりました昆布巻きも、例えばでございますが、中国なら中国で昆布巻きにして味をつけて、そして日本に輸入された場合には、それは原産国は中国と今のルールでも表示をしなければいけないわけです。

 ですから、問題なのは、半製品、途中の段階で日本に持ってきて、最後に味つけをした、そういった場合にどうかということが問題になるわけですが、コーデックスなどのルールによりますと、加工食品の原産国はどこかというのは、最終的に実質的な変更が加えられた場所ということになっておりますから、途中まで外国でつくられても、最終的に日本で実質的な変更が加えられた、加工の手が加わったとなりますと、それは日本ということになるわけであります。

 私ども、先生の問題意識は十分踏まえておりますし、また大臣にも先般お答えいただいたわけでありますけれども、まずは、昨年の九月に大きく拡大した、二十品目群に拡大した、それの実施の状況などをよく見、それから消費者の方々がさらにどういうことを求めておられるかということも十分踏まえて、さらに検討を続けたいというふうに思っております。

仲野委員 きのう質問のレクをさせていただいて、恐らく事務方の方たち、きのう私のところに来た方たちは、どうやってきょう答弁をしようかと大変お悩みになったと思うんです。きょうやはり局長の答弁を聞いていましても、どうやったら私のこの質問をうまく逃げ切れるのかなという、私から見て、どうやって私を、言葉は悪いかもしれませんけれども、そこをうまく逃げ切ってしまおうかなというふうな感じを受けるんですね。

 だけれども、そうはいかないんですよ、局長。(笑声)これは笑い事じゃなくて、私は、本当に大事な問題であると指摘をさせていただきたいと思うんです。

 消費・安全局が平成十五年に設置された、そして、評価をいただきたいとおっしゃることは、よくわかります。だけれども、今のようなお答えでありますと、果たして国民の皆さんに、では消費・安全局というその機能が十分機能しているのかなということを、きょうこの委員会をインターネット等でごらんになった方たちは、大したことないなと思うかもしれません。しかし、私は、本当に事務方の皆さんが一生懸命消費者のために安全、安心をどう提供していくのかと努力されていることは、これはもう評価をさせていただきたいと思います。

 しかし、昨年の委員会で大臣は、私の質問に対して、おっしゃることはよくわかる、これからの検討の課題にさせていただきたい、そのようにお答えになりました。そこで、今局長の御答弁を聞いていますと、昆布巻きは、今、半製品で中国から輸入されているわけでありますけれども、最終的に味をつけたところであると日本となるんですけれども、しかしやはりその過程、その目的に達するまでのプロセスをきちっと大事にしていかなければならないこと、やはり、昆布巻きの原料原産地の表示の義務づけについて、昨年十一月ですか、それからかれこれ数カ月、何カ月かたっているわけですので、この段階で、現段階までどのような努力をなされてきたのか、大臣にお伺いいたします。

島村国務大臣 農林水産大臣という立場に立ちますと、国際交渉から国内のあらゆる問題、すべてのことを担わなきゃいけないわけでありますし、それぞれ出張も伴うわけでありますから、すべてのことに細かく立ち入っているわけではございません。

 そういう中で、昨年の委員会で、私はこれは検討の必要があると思うと答弁申し上げたことについては、すぐ指示をいたしまして、それ以来、消費・安全局でいろいろ検討をし、今あれだけ念の入った答弁をしているところでございまして、私の立場から申し上げると、中川局長の答弁は微に入り細をうがって、少し長過ぎるとむしろ御指摘を受けるのではないかと思うくらい誠実に答弁していると思いますし、逃げて答弁しているとは思えないわけであります。ですから、そういう意味では、私の指示に対しては迅速的確、これを旨として、今みんな、持ち場の人たちが一生懸命やってくださっているわけなので、それらについて御理解をいただきたいと思います。

仲野委員 大臣が非常に部下を思う気持ちはよくわかります。大臣は、私の質問の趣旨はもちろんよく承知されて、わかっていただけると思うんです。私は、大臣はとてもお優しい方だ、そのように思っていますので。

 やはり大臣も、そのハートをどなたに与えるかということです。国民、消費者ですよ。きょう私は、大臣としてここで、本当に昆布巻きについてはしっかりと前向きに取り組んでいくという不退転の決意をいただきたかったんですけれども、でも、これは解決するまで、視点を変えながら、ぜひ委員会を通じて私は質問させていただきたい、そのように思うわけであります。

 それで今回、加工食品、四品目から、十八年に義務化されて二十品目になっている。それで、加工食品の国内の農水産物が一層消費者から選択されるものとなるよう、あるいは生産者、事業者による食品の安全性向上に向けた取り組みの促進、食品表示やトレーサビリティーシステムを通じた国産農産物に関する情報提供を充実していくとされているわけであります。

 この加工食品の原料原産地表示の義務づけ範囲を拡大することにより、食品産業が国産原料の利用をふやしていけば、農林水産物の自給率の向上にも十分つながると私は考えるんですが、いかがでしょうか。特に、本当に、今私が何度もしつこく言っているこの昆布巻きの原産地の表示の義務づけについて、ぜひ実現いただけるように、もう一度大臣、決意をお願いいたします。

島村国務大臣 私どもは、消費者にかわって、食の安全、安心の基礎的な調査あるいはその確認というものについては、かなりそのことに意を用いているところでございますが、その一方で、生産者、加工者の立場でも、それに対応し得る範囲というのはやはりおのずからあるわけであります。一つの食品をつくる場合に、多種多様な、いろいろなものを使っている場合がありますが、それをすべて原産地表示みたいなことをしようと思うと、現実的に不可能であります。

 そういうことを含めて、我々はいろいろなことに配慮しながら、可能な限り原産地表示に結びつけていくという努力をしているところでございまして、これについてはぜひ御理解をいただきたいと思います。

仲野委員 きょうはこの程度に私もとどめておきますけれども、また次の機会には本当に、大臣の少しでも前進をした答弁をいただきたいな、そのように思うわけであります。

 なぜ私がこの昆布についてこだわって、こうして質問をさせていただくのかと申しますと、本当に消費者の立場に立ったときに、今、消費者が非常に、あのBSE問題が発生して以来、あるいは例えばコイのヘルペスだとか、そういったいろいろな病気が今発生したりとか、消費者に戸惑いを与えるようなものがあったときに、やはり消費者は、口に入って、人体へ入っていくわけですから、神経も相当過敏になって、非常に勉強もされて、消費者は非常に賢く勉強されているんですね。

 やはりスーパー、お店屋さんに行ったときには、必ず手にとって、ああ、このブロッコリーはどこのものなのか、このトマトはどこのものなのか、こうやって必ず立ちどまって見ているんですね。私もたまにスーパーへ行って買い物をしますけれども。特にお弁当なんかがあったときにも手にとって、ああ、さまざまなおかずが、お総菜が入っているな、ああ、昆布巻きが入っているな、この昆布巻きはどこの昆布巻きなのかなと、こういうふうな感じで見ているんですね。そういった意味では、今、非常に手間暇がかかるような、そういった旨のような答弁も、私、お聞きしたんですけれども、やり方によっては、工夫によっては幾らでも消費者に情報を提供できるような、そういったシステムに変えることもできると思うんです。

 それは、大臣が、本当にこれからぜひそういったことをやっていくんだといったときに、方法としては、では大臣、こういった方法もありますよねということで、そのときはお互いにいい方法で、ここでまた議論させていただきたいなと思っております。それは、消費者の視点、立場に立って。

 そして、私のところは、釧路、根室管内、非常に、そして北海道全体も九割の漁業者が昆布の漁業経営をされているということで、私の地域も非常に昆布の生産が高い地域でありまして、そして、中国から輸入されている半製品の昆布と競合している地域なんであります。そういったところで、今本当に、どんどん輸入をされている中で昆布の値段が安い、もうこれでは非常に、子供たちに昆布の後継者となってちょうだいとか、後継ぎをやってくれとは言えない、そういった嘆きの言葉も、私、先日ずっとあの昆布をとっている方たちを回って、いろいろなそういった声を聞かせていただきました。ああなるほどなと思いました。

 それで、本当に今、年間約一万トン、国内の生産量の四割強の昆布を生産する主産地であります釧路、根室管内、そして、本当に今、後継者不足に追い打ちをかけているわけであります。本当に今そういった中で、この半調製品の輸入昆布が漁業経営にもたらす影響を政府としてどのように把握をしているのか、また、外国からどのくらいの量が入っているのか、田原長官、お願いいたします。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 昆布巻きの半加工品等の輸入の状況ということでございますけれども、率直に申し上げまして、先ほど来先生からも御指摘のように、例えばサケですとかニシンの重量が二〇%を超えますと、そういったサケですとかニシンの調製品ということになりますので、サケ調製品あるいはニシン調製品ということで財務省の貿易統計を見ますと、サケ調製品の場合、平成十六年で約八千トンぐらい、それからニシン調製品で二千六百トンぐらい、これだけが日本に入ってきているという統計がございます。

 ただ、サケ調製品となりますと、ただ単に昆布巻きということではなくて、例えばサケをフレーク状態にして入れるとか、そういう形態もございますので、このすべてが昆布巻きであるというふうに見ることは、これはなかなか難しい状況ではないかというふうに思っております。

 我々も、率直に申しまして、そういう統計の数字がなかなかございませんので、関係業界等を通じましていろいろと情報の収集に努めておりますが、先ほど来先生も御指摘のように、例えば中国からの昆布巻きということになりますと、半加工品の状態で入ってきて、それを日本でいろいろ調製しまして最終的な製品にするという形態も多いというような話を聞いております。

 いずれにいたしましても、昆布は、そもそも昆布も昆布調製品自体もIQ品目ということで、輸入制限措置を講じております。したがいまして、そうした輸入制限措置を講じていることとの関連におきましても、こうした昆布の、昆布調製品まがいと言うとちょっと言い方が雑かもしれませんですけれども、こういった実態につきましては、関係者からの情報収集に努めながら状況の把握に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。

仲野委員 非常にわかりづらいんですけれども。これは多分行政の、縦割りというか、横断的な連携がとられていないような感じがいたします。

 それで、零細の昆布漁家は今本当に大変厳しい状況に置かれております。漁価安、そして経費も莫大にかかっている。昨年は本当に、灯油あるいはガソリンが非常に高騰いたしました。私の地元においても、昆布漁の船外機等に使用する漁業用のガソリン価格が高騰したため、本当にもう、これだったら非常に大変である、そういった声もあちらからもこちらからも聞こえているわけであります。

 これは、漁業用ガソリンについても一リットル当たり五十三・八円が課税をされて、北海道内の漁業用ガソリン税は約六億七千万円にも上っており、地元の漁業者からは、これに対する免税などの支援措置を求める声も上がっております。

 こうした漁業用の燃料価格の現状について、どのように認識しているのか。特に漁業用ガソリンについては、ガソリン税を免税とするなどの支援が必要と考えますが、この漁業用燃料価格の高騰対策についても何か今お考えになっているのか、田原長官にお尋ねをしてまいりたいと思います。

田原政府参考人 まず、ガソリン等の揮発油税につきまして、これは道路整備費の財源等の特例に関する法律に基づきまして、道路財源に充てなければならないというふうに規定されているところでございます。したがいまして、漁業用のガソリンの揮発油税、この関係につきましても、直接漁業者に還付するという免税措置ではなく、漁港関連道の整備、こういったことに使うということでございまして、平成十七年度の金額で申しますと大体二十億円近く、こういったものは漁港関連道ということで充てられておるという整理になっておりまして、当然のことながら、こういった面で漁業の振興に使われているということでございます。

 漁業者の方々が使用されるガソリンということで、私どもも、北海道で小さい船の方々は、一般的にはA重油が使われることが多いわけでございますが、ガソリンが使われている例もあるということを承知しておりますけれども、他方、このガソリンが自家用車に使われるのか漁船に使われるのか、なかなか技術的な仕分けは困難であるということから、先ほど申し上げました漁港関連道の整備ですとか、そういった財源に使われているというふうに承知しておりまして、この仕組み自体を変えること自体はなかなか難しいのではないかというふうに私どもとしては考えております。

 それから、最近、燃油価格は非常に高騰しているということでございまして、これは世界的な動きということでございまして、価格対策ということでの直接的な対応というのはなかなか困難ではないかというふうに考えておりますけれども、私どもといたしましても、漁業の経営におきます経費として燃油費というのはそれなりのウエートを占めておりますし、こういったことについてどういったことが可能かどうか、これは十八年度に向けましていろいろと対応を考えていきたいというふうに考えております。

仲野委員 今長官からお答えいただきました。ガソリンの高騰ということで、どういったことが可能かどうなのかということで考えていただけるような旨の御答弁をいただきました。

 それで、この船外機のガソリンの免税については、北海道、そして日本全国のガソリンを使っている漁業者から、本当に皆さん免税をしていただきたいという声があると思うんです。私は、民主党の中に水産振興議員連盟があって、三月に福井県の三国町の方を視察して、そして地元の漁業者の方たちと意見交換をさせていただいたときに、漁業者の方たちから、やはり何とかガソリンの免税について国会で取り組んでいただきたいということをおっしゃっておりました。これは私の党だけじゃなくて、多分、お向かいに座っている自民党の先生方も皆さんがそのように同じことを考えているのではないのかなと思っております。

 そこで、提言をさせていただきたいんですけれども、免税となればいろいろな問題が出てくるというようなことでしょうけれども、やり方によっては、例えば、それぞれの漁業者の方たちが税金の申告のときに一部還付をしてあげるだとか、そういった方法もとれないのか。先ほどのお答えを聞いておりますと、ガソリン税については漁港の整備、そういったところに使われているとおっしゃいましたけれども、多分まぶされているような気がしているんですよね、何かそんなところに。漁港整備は全体の漁港整備の予算措置をされていると思うんです。ですから、本当に目に見えてこない。

 本当に今大変であるということを十分認識していただきたいと思うんですけれども、島村大臣、今長官のお答えを聞いて、大臣からこのことについて一言お答えいただきたいなと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

島村国務大臣 田原長官の御答弁は、かなり的を射て、しかも的確であった、私はそう聞きました。

仲野委員 田原長官、きょうは、委員会で私がこうしてガソリンの免税についてお尋ねしたわけでありますけれども、きょうこれを持ち帰って、今後どういったことがいい方法なのかということを考えていただけるんだなと、私はそのように認識をさせていただいてよろしいでしょうか。

田原政府参考人 先ほどもお答えしたつもりでございますけれども、揮発油税の関係は道路財源に使うということで、漁港整備全般に使うということではなく、漁港関連道ということで、道路の整備ということでの漁村の生活道ですとか生産基盤用、こういったことに使われているということを申し上げまして、こういった仕組みにつきまして整理をし直すということになりますと、これは国全体の財源の使い方の問題でございまして、道路整備費の財源等の特例に関する法律の問題でございますので、これは私が軽々に検討しますと無責任にお答えをすることは難しいという事情は御理解賜りたい、かように考えております。

仲野委員 軽々にお答えできないというから、じゃ、重厚に次の場面でぜひ、私は別な機会を通じてまたこのことについてじっくりと質問していきたいと思います。

 それで、最後の質問に入らせていただきます。

 水産物IQ制度の堅持に向けて、大臣の決意をお尋ねしてまいりたいと思うんですが、昨年の委員会で、漁業者の方々の立場に立ってIQ制度の堅持に努力していきたいとおっしゃいました。懸命な努力を続けている我が国の漁業者のために、今後の水産物貿易交渉に向けて今後どのように取り組まれていくのか、そして、IQ制度の堅持のために政府そして大臣には不退転の決意で頑張ってもらいたいと思いますが、大臣、このIQ制度の堅持について、いま一度よろしくお答えをお願いしたいと思います。

島村国務大臣 WTOにおきましては、我が国は、水産物について、関税の一律引き下げなど一方的な自由化ではなくて、あくまで資源の持続的利用に貢献する貿易ルールを確立すべきであると主張しておるわけであります。また、IQ制度につきましては、国内需給の調整や資源管理の補完という重要な機能が維持されるよう最大限努力しているところであります。しかしながら、ノリIQに関するパネルやWTO交渉における今後の議論を考えますと、状況は極めて厳しいと申さざるを得ません。

 実は、私は平成九年から十年にかけてこの農林水産大臣の職にありましたけれども、その当時経験があるので今度は随分楽でしょう、こういうお声がけを随分いただいたところですが、例えば国際情勢がこんなに大きく変化していたのかと、いわば時代の流れと同時にその変化に驚いているくらい、大変厳しい状況にありまして、日本の特殊事情、これに対して十分な理解を求めるために我々は最善の努力をし、一時期はその成果を果たし得たと思っていたところでありますが、最近は、そういうこととは全く違って、ちょうどスマトラ沖の津波を思わせるように、日本の国内事情は国内事情として塀をしっかり建てたつもりでも、その上を平気で乗り越えてくるという、WTOの動きというのはまさに強烈であるし非常にスピーディーであります。

 また同時に、輸出国と輸入国側のそれぞれの対立も厳しいし、我々輸入国は例えばG10を組んで、スイスとかあるいは韓国とか、ノルウェーとか、みんなで組んで輸出国に対抗しておりますけれども、今度は輸入国同士のお互いの足並みの乱れも見られるわけでありまして、非常に難しい。

 また、IQ制度について、お調べいただくとわかりますが、こういう制度を堅持しようなんという姿勢を持っている国は極めてまれでありまして、これが国際的常識としては通用しなくなってきている。これもまた考える必要がある。例えば、韓国とのノリのIQ問題で今パネルが設置されたりしておりますが、我々は、韓国との今までの交渉、いろいろなことも考えて、配慮したつもりでIQ制度について向こうに示したところなんですが、韓国側はどうもその理解が十分ではありません。

 しかしながら、例えば中国のノリと韓国のノリと比べますと、質においても差がありません。場合によっては、日本が指導した分だけ中国のノリの方がおいしいという評価も聞こえてくるわけです。しかし、今度はCIFの価格で比べてみると、問題なく中国の方が安いわけです。これはパネルの設置も何もなかったら、それこそ韓国のノリが今度は市場を失うことになりかねない。

 しかし、長いつき合いと同時に、日韓両国もまたこれはお互いに友好的に進めなければならない大事な問題でありますから、今我々はいろいろなことで彼らとの交渉を内々に進めておりますけれども、事ほどさように、従前の常識というのが今全く通用しなくなってきている。そのくらい国際情勢は極めて厳しくなっているところであります。

 いずれにいたしましても、WTO交渉におきましては、水産物輸出国が多数を占めておりますけれども、今後とも、我が国の考え方を粘り強く主張して、いわば国際社会で我々の地位をしっかり確立していきたい、こう考えております。

仲野委員 大臣、大臣としてもう十分に理解していただきたいのは、IQ制度、これは本当に何を言われようとも、日本の大臣としてこれを絶対堅持していくんだ、このことが撤廃されると、昆布をとっている、あるいはノリをとっている方たちの、本当に死活問題であるという漁業者の切実な気持ちをぜひわかっていただきたいなということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、小平忠正君。

小平委員 おはようございます。

 きょうは、JAS法の改正、これがきょうの委員会の主なるテーマですが、時間があれば私もそれについても質問したいと思うんですが、時間を十分間だけ同僚議員の了解を得ていただきましたので、BSEに関してのみ質問いたします。

 実は、十八件目ですか、この事件が北海道、私の選挙区砂川市で先週起きまして、今、当の生産者初め関係機関、大変なところに追い込まれております。

 私、今まで、この委員会を含めて、いろいろな場でこのBSEについて随分政府との議論、論議が展開されました。確かに、国民の消費者に安全で安心な食料を提供するという観点からは、これは大事な問題です。そのことに大きな視点を置いて議論が展開されてまいりました。しかし、ちょっと欠けていることがあるような気がしてなりません。それは、生産者の立場といいますか、この窮状、受けている被害、迷惑、これについてもう少し前面に出てもいいんじゃないかというふうに思いましたので、この衆議院の農林水産常任委員会という公の場で、一言大臣にお聞きしたいと思って登板した次第です。

 私も、この事件が発生して、道農政機関、また砂川市の行政含めて、早速現地に入り、調査をいたしました。そこで強く感じましたことは、この事件が起きて、早速、厚労省あるいは道からも、そのようなマスコミに対するプレスリリースですか、これもあり、これは調査の結果陽性と出ましたのでBSEと判断されまして、それについてのいろいろな措置についての指導、指示が出ました。早速、それによって、私は、政府が今回、連綿と続くBSEの発生に対し支援対策もいろいろと設けられている、不十分ではありますけれども、それなりの対策は、政府も、患畜、疑似患畜に対してしているということについてはそれなりの評価はできると思います。

 問題は、風評被害というか、これによって受ける生産者の精神的なダメージというか、もちろん、BSEが発生しますと、疑似患畜、これが決定されるまでは約二十一日間牛の移動が禁止されますね。しかし、牛乳は関係ないですよと。関係者はわかっています。しかし、消費者は、やはり世の伝染病と同じようにとらえて、そこに対して白い目で見るということが起こりますね。しかし、私は、この事件は、いわゆる伝染病となっていますけれども、それが出た生産農家は一切の責任がない、一〇〇%完全な被害者である、責任は政府に一〇〇%ある、このような危険な肉骨粉を、あのOIEが、厳しい指摘がありながらも輸入を続け、飼料に混入し、善良なる生産者はそれを利用してこういう被害に遭っている。私は、これは一〇〇%政府の責任である、こう断じなきゃならぬと思います。

 そういう中でありますけれども、早速このプレスリリースには、「当該牛に係る地域に対する取材には、十分な配慮をお願いします。」こんなことが厚労省もあるいは道もそういう要請を出していますね。しかし、現実は、一部のマスコミですけれども、現地に入り、あるいは当事者に会い、カメラを向け、それをいわゆる公のテレビに流そうとしている、これが見受けられます。過去これが続いてまいりました。まさしくこれはダブルパンチで、こういう事件が発生し、その農家は大変な精神的なダメージを受けている、そこに追い打ちでさらにそういうマスコミの、一部ですよ、そういう取材攻勢を受けて、あたかも犯人であるかのような、そんな目で見られている。これは私は絶対避けてやらなきゃならないことだと思います。

 そんなことを含めて、私がきょうここで登板したのは、そんな意味で、大臣、今後に向けて、やはり、もちろん消費者に対してもこれは大事な問題ですけれども、同時にこれからの畜産農政、畜産、これをしっかり良好に保っていくためには、政府はそこにいたずらな被害が生じて、せっかく意欲を持って後継者が後を頑張ろうとしているところに影響がないように、政府もしっかりとらえることが必要と思いますが、大臣、これについての大臣の見解をぜひお聞きしたいと思います。

島村国務大臣 御指摘の数々の点、すべてお答えするというには時間の制約がございますが、少なくも、マスコミの報道、必ずしも適正を維持しているとは私にも思えません。中にはひどい報道もありまして、おどろおどろしいその報道の中で耳目をかき立てるという報道が先行するために、これはもう後で収拾がつかないくらい厳しい被害を残すという現実はあるわけです。私は、そういう意味では、報道機関に、いわば国民全体に対して正しい知識が報道されると同時に、個人やあるいは企業が立ち行けないような、そういう行き過ぎた報道に関しては、これからも我々は可能な限りそういう報道が起こらないような要求をしていきたいと思うところであります。

 また同時に、牛に対する飼料規制問題でありますが、当初、行政指導により対応したことについては、平成十四年四月に取りまとめられた「BSE問題に関する調査検討委員会報告」において、「重大な失政」と指摘されたところであります。この指摘を踏まえまして、食品安全基本法の制定、あるいは食品安全委員会の設置や農林水産省における消費・安全局の設置などの組織の改編が行われたところであります。

 農林水産省としては、このような新体制のもとで、農家段階も含めた飼料規制の徹底などBSE対策に努めているところでありますが、今後とも、食の安全、安心の確保を大前提にこの対策を推進していくことと、その一方で、こういう何か交通事故に遭ったようなことで大変な被害を受け、しかも迷惑をこうむっている立場の方々に対しても、十分に我々なりの努力をし、配慮をしていかなきゃいけない、こう考えるところであります。

小平委員 大臣、今用意された答弁を。

 今、もちろんBSE対策、これから政府がどう進んでいくのか。実は私、先般、ワシントンに赴いて、農務省のペン次官と会いました。やはり、彼からも強硬に輸入再開の要請がありまして、いろいろな議論が展開したんですが、私、こういうことを言いました。

 日米両国の友好関係の持続のためにも、お国が牛肉に固執することも理解できます、この国が米でもって非常に強い姿勢を持っているのと同じように、それはわかる、輸入再開ということは、お国の主張は理解できる、しかし、BSEのあの過去の発生によってこの国は全頭検査という非常に厳しいチェック体制をしいた、そういう中で、多くの消費者がこれについて関心を持っている、そこに、拙速に輸入再開に進むと、これは日米間の友好関係からいうと前進かもしれないけれども、しかし、消費者は必ずアメリカの牛に対して危険だという見方をして拒否反応が起きますよ、スーパーに、商店にアメリカ産牛肉が出回っても、消費者はこれを拒否しますよ、これはかえって、長い目で見て、アメリカ産牛肉のためにはいい方向とは思えない、こんなことを申し上げた経緯がありました。

 これは答弁は結構ですが、今まだこれは解決していません。これから、このBSE、そして輸入牛肉再開問題を含めて議論が展開されますが、しかし、忘れてならないことは、これには生産者の立場もしっかりとらえて、生産者はこれに対しては完全に一〇〇%被害者である、このことを政府の、大臣の発言の中にもそれを常に留意されて、これから臨んでいかれることを強く要望して、質問にしたいと思います。

 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、神風英男君。

神風委員 おはようございます。民主党の神風英男でございます。

 本日はJAS法の改正案の質疑ということなんですが、ちょっと前半、小平先生に倣うわけではないんですが、BSEも含めて、食品も含めて質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっと冒頭から突然で恐縮なんですが、大臣はもちろんヒジキはよく御存じだと思うんですが、よく食べられますでしょうか。

島村国務大臣 好んでよく食べます。

神風委員 副大臣と政務官はいかがですか。

岩永副大臣 私も大好物でございます。

大口大臣政務官 私も大好きです。

神風委員 そうなりますと、三人とも非常に危険であるかもしれないということでございまして、実は、昨年の七月二十八日に、まさにイギリスでBSE対策を担当している英国食品基準庁というところが、イギリス国民に対してヒジキを食べないようにという勧告を出したということでございます。

 そのイギリス食品基準庁のプレスリリースによりますと、食品基準庁は、カナダにおいてヒジキ食品に懸念が持たれていることにかんがみて調査をした結果、無機砒素が多量に含まれていることを明らかにし、人々にヒジキを食べないよう行政指導をしていますと。

 無機砒素は、ある種の食品に自然発生し、発がんリスクを高めることで知られています。世界各国の専門家が、この種の砒素の摂取はできる限り低レベルに抑えるべきだとしています。また、食品基準庁の諮問専門機関である毒性委員会によれば、ヒジキの無機砒素含有量は人体に摂取される無機砒素を著しく増加させるほど多量ですということで、イギリス政府はヒジキを食べないようにと全国レベルでの警告を出しているということですが、この事実を大臣は御存じでしたでしょうか。

島村国務大臣 承知いたしておりました。あくまで新聞その他の情報ではありますけれども、詳しいわけではございませんが、情報としては承知しておりました。

神風委員 砒素といえば、例の和歌山でカレー混入事件がありましたし、古くは森永の砒素入りミルク事件ということがあったわけですが、このイギリスで発表されたヒジキにおける毒性というものをどう認識すればいいのかなということが非常に疑問であるわけです。

 これを受けて、厚生労働省あるいは農水省の方では何らかの独自の調査をされたのかどうか。そしてまた、その調査の結果によって、今後日本でもヒジキを余り食べないようにというような警告を出すようなことが想定されるのかどうか。大半の日本人の方はこの事実自体を知らないと思うんですが、その点、厚生労働省あるいは農水省にお伺いしたいと思います。

外口政府参考人 昨年の七月二十八日に、委員御指摘のように、英国食品基準庁が、ヒジキに、発がんリスクの指摘されている無機砒素が他の海藻類と比較して多く含まれているとの調査結果を得たため、英国民に対しヒジキを食べないように情報提供したことは承知しております。

 これを受けまして、厚生労働省としては、こういった情報提供がありますと、国民の間にヒジキは食べて大丈夫なのかとかいろいろな不安がありますものですから、早速検討いたしまして、七月三十日にホームページでそれに対するQアンドAを公表しております。

 内容は、ヒジキ中の無機砒素による健康影響は、ヒジキから摂取される無機砒素量から判断することになるわけでございますけれども、日本人の通常の食生活におけるヒジキの摂取量であれば、ヒジキに含まれる無機砒素によって健康上の問題が起こることはないと考えているという内容でございます。国民に対し、バランスのよい食生活を心がければリスクが高まることはないことなどを解説して、ホームページで公表したところであります。

 なお、食品安全委員会におきましても、このヒジキの無機砒素の問題につきましては、食品安全モニターに答える形で同様のコメントをホームページで公表しているところでございます。

神風委員 今のイギリスの調査については、ロンドン近郊のスーパー等で買い集められたヒジキであり、サンプル数は合計三十一個であったと。これら分析の対象となった三十一個のヒジキのブランド数は不明であるが、日本製と名指しでの発表であるから日本から輸出されたものと思われるが、どのくらいのヒジキが実際に日本からイギリスに輸出されているのか。あるいはまた、イギリスで何らかの輸入規制というものが現在行われているのかどうか。あるいは、日本のヒジキ業界というか、ヒジキ業者にとって何らかの影響が出ているのか。それについてお答えいただきたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、我が国から外国へのヒジキの輸出の数量の関係でございますけれども、実は貿易統計上、ヒジキ単独という項目がございませんで、ノリですとかワカメ、昆布、モズク、こういったものを総括いたしまして、食用海藻というラインしかございません。

 この食用海藻で見ますと、昨年、二〇〇四年でございますが、全世界へ大体二千六百トンぐらい、金額にいたしますと三十億円弱。前の年の二〇〇三年が二千二百トン強、二十四億円。大体二千数百トンぐらい輸出している。その中で、イギリスでございますが、二〇〇四年が七トン、二〇〇三年が十トンということでございまして、イギリスにこういった食用海藻類がたくさん行っているという関係ではないのではないかというふうに思っております。

 したがいまして、正確な、ヒジキがこのうちどの程度イギリスに行っているかということは、大変申しわけございませんが、私どもとして把握できないわけでございますけれども、私ども、関係業者からいろいろ聞き取りましたところ、輸出数量はそう大きくもないし、特段影響が出ておるというものではないというような話を関係業者からはヒアリングをしているところでございます。

神風委員 先ほどの答弁でも、日本の食生活であれば、余りそれほど影響がないということであるわけですが、仮に、その毒性が低くて、そういう形で大した影響がないということであれば、ある意味で、日本の伝統的な特産品、それに対しての販売を妨害するものであるという形で、何らかの対抗措置をとるべきではないかと思うんですが、それについてはいかがですか。

田原政府参考人 英国側におきます対応自体につきまして、具体的にそうした輸入ストップかどうかという点につきましては、これはその国の食品安全衛生上の問題ということでございまして、私どもとしてどうだこうだという話じゃないというふうに考えておりますし、私どもといたしまして、昨年の七月の発表以降、特段の抗議をするとかあるいは改善を申し入れる、そういった措置は、イギリス側に対して申し入れ等は行っておりません。

神風委員 そうしますと、日本で安全であれば恐らくイギリスでも安全であろうし、イギリスで危険であれば日本でも危険であろうということであろうかと思うんですが、逆に、食べ物によっては、国によってその危険度がかなり違うということもあり得るんでしょうか。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 一つの食物が、各国によって食品安全に対する考え方が違うのではないか、あるいは受けとめ方が違うのではないかということでございますけれども、基本的には、このヒジキの無機砒素の問題について、私どもは、WHOが定めた無機砒素の暫定的耐容週間摂取量をベースにしまして日本人の摂取量を計算して、それで、「ヒジキを極端に多く摂取するのではなく、バランスのよい食生活を心がければ健康上のリスクが高まることはないと思われます。」という結論に至っているわけでございます。

 一方、イギリスの方も、見解としては、時折食べただけでは極端にそういったリスクが高まるものではないというようなコメントもついているわけでございまして、表現の違いはあっても、科学的な見解が違うということはないと考えております。

 ただ、それぞれの食生活と申しますか食文化の違いがございますので、受けとめ方が多様であることは、いろいろあることもあるかと思います。

神風委員 先般の本会議の席でも申し上げたことでありますが、私自身も、国によって恐らく食の安全というのは随分違うんだろうと思っております。

 そこで、ちょっとBSE関連について伺いたいわけですが、ことしの二月四日に、昨年十二月に五十一歳で死亡した日本人が、BSEが原因とされる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病で日本での初めての発症例と確認をされたわけです。また、先般の農水委員会においても、民主党の梶原議員が、御自身の友人がクロイツフェルト・ヤコブ病で亡くなられたお話を、非常にショッキングなお話をされていたわけですが、その友人の方は孤発型のクロイツフェルト・ヤコブ病であったということであるわけです。

 資料によりますと、孤発型のクロイツフェルト・ヤコブ病、三十代で四人、また四十代でも十六人、合計二十人が発症している。若年層には少ないと言われている中にあっても五%ぐらい、そのぐらい孤発型のものが発生しているということであるわけですが、この中に変異型、いわゆるBSE関連で変異型のヤコブ病というのがまじっている危険性というのはないのかどうか、あるいは、発症したときに、確実にそれは孤発型であるのかあるいは変異型であるのかというのは、どのくらいの正確性を持って判別がつくものなのか、お答えいただきたいと思います。

岡島政府参考人 孤発型のクロイツフェルト・ヤコブ病と変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病の鑑別診断でございますが、その症状、脳波検査、MRI等によって得られました所見によりまして判断することが可能でございます。また、専門家から成るクロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会等におきまして適切な判断がなされております。

 さらに、判断が困難な事例が生じた場合には、必要に応じまして、英国等の専門家とクロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会が相談する体制をとっておりまして、それらを通じまして的確な判断が行われることになっております。

神風委員 実は、きょう、こういったJAS法改正の質疑の席でこういう質問をしておりますのは、地元で今回のBSEの問題のことが話題になったときに、実はある人から、そういう似たような表情の患者がいるんだというお話を聞かされました。

 その方は二十代のまだ若い女性の方で、やはりイギリスに留学をしていたということでございます。一時は自分で下着を着ることもできなくなってしまって、ちょっと病院名は控えますけれども、東京の大手の病院で相当の医師団が組まれて、モルモット状態でいろいろ治療を受けているというようなお話を聞かされまして、それ以上、なかなか詳しい情報というのは私も知り得なかったわけですが、そのお話を聞かされまして、非常に不気味な思いがしたわけでございます。

 ある意味では、はっきりBSE関連のそういったヤコブ病であると断定できないまでも、その疑いがある、あるいは潜在的な患者になり得るといった方が、あるいは相当数いらっしゃるのかなというようなことを疑問に思ったわけでございまして、そういう意味で、厚生労働省の方で、今いろいろな相談窓口とかを開設されているということでありますけれども、その状況、あるいは相談内容の状況とか、あるいはどれぐらいそういった潜在的な患者というものが把握されているのかどうか、それについてちょっと教えていただきたいと思います。

岡島政府参考人 まず電話相談窓口の状況でございますが、これにつきましては、二月四日に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の症例を確認した当日の夜から二月十三日まで、専用の電話番号を設けて開設いたしました。その期間の相談件数の総数は千四十二件でございました。

 電話相談窓口での相談内容につきましては、イギリスに滞在したことがあるけれども大丈夫かとか、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病かどうかわかる検査方法があるのか、あるいは治療方法はどういうものかというような一般的な御質問がほとんどでございました。二月十四日以降につきましては、各都道府県等の相談体制が整ってきたこと、あるいは電話相談件数が減少傾向にあることから、専用の回線というものはやめまして、通常業務の中で電話相談に対応しているところでございます。

 また、潜在的なクロイツフェルト・ヤコブ病患者の把握状況ということでございますが、我が国では、御指摘の変異型も含めまして、クロイツフェルト・ヤコブ病の患者の把握につきましては、感染症法に基づきまして、患者発生の際、医師からの届け出を義務づけているところでございます。そしてさらに、厳密な診断を確保する観点から、クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会の支援を得て、しているところでございます。

 国内でほかに変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病患者が発生している可能性ということでございますが、このような現在の監視体制のもとにおきまして、本事例以外の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病患者の発生は、現在のところ、把握していないところでございます。

神風委員 ぜひ正確な情報を把握していただきたいと思うわけですが、さらに、BSEに関連した人間の海綿状脳症が、これまでは専ら変異型クロイツフェルト・ヤコブ病だけであると考えられてきたわけですが、中には、一部の孤発型のクロイツフェルト・ヤコブ病も引き起こしているのではないかというような非常に恐ろしい研究が発表されているということでございます。

 その研究結果が、ロンドン・ユニバーシティー・カレッジのジョン・コリング教授等の研究チームによるもので、ヨーロッパ分子生物学機関雑誌に掲載されているということでありまして、ちょっとその内容によりますと、新たな研究は、今まで孤発型ヤコブ病と診断されていた患者の中に、BSE汚染牛肉を食べることによりこの病気を発病した者が含まれ得ることを示唆している、孤発型とされたケースがBSEに関連しているのかどうか、緊急に見直す必要があるだろう、イギリスの孤発型ヤコブ病発生件数は、一九九〇年代初めには年に三十件ほどであったが、その後次第にふえ、九〇年代末には六十件を超えた、二〇〇三年には七十七件まで増加をしている、今回の研究は、イギリスだけではなく、欧州諸国のヤコブ病もBSEに関連しているのではないかと疑わせる、さらに、アメリカにおける孤発型ヤコブ病の急増にも関心を向けざるを得ない、アメリカにおける孤発型ヤコブ病発生件数は、一九九八年の四十四件から年々急増し、二〇〇一年には百三十八件、また二〇〇三には百四十二件まで増加をしているということでありまして、このような大きな変動は、百万人に一人の自然発生的とされる病気に関しては余りに不自然である、ただし、その証拠を見つけ出すのは極端に難しいということであるわけです。

 日本でも孤発型ヤコブ病の患者の数というのは相当増加をしているようなんですが、それについての数字を教えていただきたいと思います。

岡島政府参考人 感染症法に基づきますクロイツフェルト・ヤコブ病の届け出結果を申し上げます。

 この届け出につきましては、十一年の四月から開始したところでございます。平成十一年につきましては七十七例、平成十二年につきましては八十七例、平成十三年につきましては百二十例、平成十四年、百三十五例、平成十五年、百七例、平成十六年、百六十例でございます。

 なお、平成十五年以降につきましては、現時点までの概数でございまして、先ほど申しましたように、サーベイランス委員会等で精査中のものでございます。

神風委員 今のデータよりももっとさかのぼりますと、一九八六年には二十七例、八七年、四十五例、九五年ぐらいになると九十四例ということは、相当増加をしているという状況であろうかなと思います。

 その孤発型ヤコブ病の中にも、あるいはBSE由来のそういったものが含まれている懸念というのが非常に高まっているわけですから、そういったものに対しても、あらゆる可能性を否定しないで慎重に対応していただきたいと思うわけです。

 次に、BSEの原因について、現状でどのくらいその分析が進んでいるのか伺いたいわけです。

 イギリスでは、BSE病原体によって汚染された肉骨粉がBSEの主原因とされていて、その使用を停止したことによってBSEの発生が激減した、これによって肉骨粉原因説というのがほぼ確定をしているようなんですが、しかし、日本の場合はイギリスと状況がかなり異なっている。

 まず、これまで発見されたBSE牛で、肉骨粉が給餌、与えられた明白な記録は皆無である。それにかわって日本で広く使用されていたのが代用乳ということであるわけです。ところが、二〇〇三年にBSEの疫学検討チームは、その代用乳使用とBSE発生は関係がないという結論を出したということであるわけですが、それは、理由はどういう理由からなんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のように、疫学検討チームの報告書の中で、一例から七例目までの感染牛すべてに代用乳、特に原料としてオランダ産の牛脂が使用された代用乳が使われたという点につきまして、専門家の方々が検討されたわけでありますけれども、七例に共通する飼料であることは無視できないけれども、感染源に結びつけることは難しいと。

 これは、一つは、獣脂、牛の脂の純度ですとか、そこにたんぱく質が一定許容される純度というのがあるわけですけれども、それが非常に小さいとか、あるいはその原料、オランダ産の油脂がEU諸国でも使われていたわけですけれども、そのEUにおいて、オランダ産の牛脂と関連づけられたBSEの例というものが明確には見つかっていない、そういうことから判断されたものだというふうに私は理解いたしております。

 それで、これは七例目までのデータに基づいてこの報告書は取りまとめられたわけでありますが、その後、八例目以降十七例目までは、おおよそのえさの使用状態がわかっております。八例目から十七例目までの十頭中七頭は、七例目までと同じメーカーの代用乳が給与されていたわけですけれども、他の三頭につきましては、そこで給与された代用乳は別のメーカーのものであったというようなことでありまして、オランダ産の牛脂は使用されていないということも確認をされております。

 それにまだ、残念ながら、今現在これといった結論を導き出すに十分なデータが得られておりません。私ども、この点については、できるだけ早く感染経路の究明をする必要があると考えておりまして、今年度から新たにリスク管理型研究というものを行うことになっておりまして、このテーマの一つとして、今申し上げました研究グループによります調査研究を引き続き行うということで、これをテーマにして、さらに専門家の方々に鋭意検討していただきたいというふうに思っております。

神風委員 現実に、肉骨粉の使用が禁止された二〇〇一年の十月以降に生まれた牛の中にも、なおBSE感染が発生をしている。まさに、生後二十三カ月、二十一カ月齢の牛ですが、ある意味で、イギリスのBSEと日本のBSEとでは、感染源あるいは感染ルートが、ともにその構造が異なっている可能性というのがあるのではないかと思うんですが、その危険性はいかがですか。

中川政府参考人 これは私の方から予断を持って申し上げるべきものではないと思っております。専門家の方々の検討にゆだねるのが最適だと思っておりまして、それは、問題意識は私ども持っておりますし、今年度、予算をつけて御検討いただくことにしております。

神風委員 ぜひしっかり取り組んでいただきたいわけですが、そういう中で、食品安全委員会が、二十カ月齢以下の牛については全頭検査から検査を外すということになった一方で、厚労省の監視安全課は、自主的に全頭検査を続ける自治体に関しては全額を補助する、まさに今年度予算に四億円を計上していると。

 きのう、松木議員が、全頭検査から二十カ月以下を外すことによってどのぐらい節約できるのかと。まさに四億円。その四億円が計上されているということでありまして、結局、国内牛に関しては、まさに自主的な全頭検査がそのまま継続をされて、仮にアメリカから牛肉が入ってくるようなことになれば、二十カ月齢以下に関しての牛は全くその検査が行われていない、ある意味で完全なダブルスタンダードであると思うわけですが、これについてどういう御見解なのか。

 先般、本会議の席でも、島村農水大臣には、ランバート農務次官補のお話を質問させていただきました。つまり、アメリカ国内で自主的に全頭検査をするといった場合には、アメリカ政府が行政指導でそれを禁止するということに対して、どういう抗議を日本としてされるのかということについて質問したときに、島村大臣の答弁としては、「米国内における問題であることから、そのこと自体に対して特段抗議することは考えておりません。」という答弁でありまして、私は非常に失望をいたしました。

 やはり、国民から見ても、国内牛に関しては全頭検査がそのまま引き続き行われて、アメリカから仮に牛肉が入ってきた場合には、二十カ月以下の牛に関しては全く検査が行われていない、そういった状況が許されるのかという非常な疑問がございます。それに対して、大臣のお考えあるいは決意をお述べいただきたいと思います。

島村国務大臣 アメリカの国内のいろいろな取り扱いにつきましては、やはりアメリカの国内事情でありますから、我々がそれに深くかかわるという考えは持っておらないということでございます。

 しかし、私どもは、米国側とのいろいろな協議の過程でも終始強く言い抜いていることは、まさに我が国に持ち込む牛肉に関しては、我が国と同等の措置をまず要求する、そして同時に、我々はあくまで科学的知見に基づいて食の安全、安心というものを確認する責任があるので、これに対してもきちんとそのことをわきまえていただく、このことで終始しているわけでありますし、最近の日米間の交渉等も報道で御存じかと思いますが、アメリカ側もこれを納得して、今までいろいろな協議を進めてきているところであります。

 都道府県が全頭検査を継続している、その一方で、日本の国の措置としてはいわば食品安全委員会の答申に基づいて動こうとしている、なるほどそれがダブルスタンダードではないか、こういう御質問がないではありません。

 しかし、私たちは、先般の国内措置についての食品安全委員会の答申、これはあくまで、もう今日では四百四十万トンを超えましたが、少なくも、それだけの検査をやった結果の、科学的知見に基づく評価結果として受けとめているわけでございまして、リスク管理機関としては、この科学的な知見に基づく情報を積極的に説明していくことが大切なんだと考えております。

 そういう意味で、米国産牛肉の輸入再開については、この答申を踏まえて、現在進めている消費者の方々などとの意見交換を行った上で、米国産牛肉と国内産のものと、BSEに関するリスクにおいて差がないかについて食品安全委員会に諮問して審議していただくこととしておりまして、ダブルスタンダードになるとは考えておりません。

神風委員 ぜひ日本人が日本の政治に本当に誇りを持てるような対応をしていただきたいと思います。

 それで、仮にそのような形で、アメリカからの牛肉が日本に生鮮食品として入ってきた場合には、これは原産地表示というのが今のJAS法で義務づけられているわけですから、それを選択するかどうかというのも、ある意味で消費者の自己責任の原則というのが成り立ち得るわけですが、現状でいいますと、外食産業に関しては原産地表示の義務づけがない、つまり、自己責任の原則さえも成り立たないということになるわけでございまして、こういった状況に関して大臣としてどういうお考えなのか、御見解を教えていただきたいと思います。

島村国務大臣 いろいろBSEや鳥インフルエンザ問題が起きまして、この偽装表示事件の発生などもあり、外食に使用されている食材の原産地について情報を求める声が非常に大きくなっていることは事実でございます。

 しかしながら、外食産業に原料原産地の表示を義務づけることにつきましては、提供されるメニューの種類が非常に多く、かつ頻繁にメニューが変わること、また、使用される材料の種類が多いこと、また、調理された料理がその場で消費され、事後的な検証が難しいことなどから、その実施には難しい問題が多いわけであります。

 このような中で、外食に対する消費者の信頼を確保するため、外食産業が自主的に原産地表示に取り組むことができるよう、原産地等の表示のガイドラインの策定に向けて検討会を立ち上げ、現在検討を進めているところであります。

 ただ、私は、私的にもいろいろな皆さんとお会いする機会があるわけですが、どうも、いろいろ皆さんの意見を聞いていると、確かな企業というか、ある程度の規模を持った企業は、こういう際は、誤解を受けることは迷惑なので、自分のところはどこの肉を使っていますと、そういう重立ったものについてはむしろ積極的に表示していく考えでいますという話を聞いているわけでありまして、それは事実、我々消費者の側から、食べに行く側からいたしますと、そういうことをしていただいた方が入りやすいなと率直に思うわけでございます。競争はまさに激甚でございますから、そういう方向に行くことが望ましいと実は思っているところでございます。

神風委員 余り時間がなくなってしまいましたが、食品の表示について何点かお尋ねしたいんです。

 地域ブランドというのがこれから取り組まれていくということでございますが、よく我々が食べるシシャモを、これは我々はシシャモだと思って食べているわけですが、実はシシャモではない。つまり、シシャモというのは北海道内の太平洋岸にしかいない固有種であって、我々が食べているのは大半が、八〇%近くが、多分ノルウェーから輸入されている、正式にはキャペリンという魚であるということであるわけですが、それをいわばカラフトシシャモという形で日本では流通をされている。

 それでは、実際に何%ぐらい樺太からこのキャペリンは輸入をされているんでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 先生ただいま御指摘のように、いわゆるシシャモというものは北海道沿岸を中心という国産のものでございまして、そのほかのカラフトシシャモというものは、北海道沿岸のみならず、カナダですとかグリーンランド、さらにはノルウェー、アイスランド、こういったところに広く分布するということでございます。

 現在、シシャモの輸入ということで、平成十六年の貿易統計の数字でございますけれども、全世界から一万八千トン強入ってきております。大きいのはカナダ、ノルウェー、この両国から一万トン以上ということでございまして、大宗はこの両国でございまして、あと、ロシアからは六百トンほど入ってきております。

 これ以上の仕分けということになりますと、詳細な統計データはございませんけれども、樺太からどの程度入ってきているか、そういった詳細な情報はないということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。

神風委員 それは何%ぐらいになりますか。

田原政府参考人 ロシアからの輸入ということでいきますと、全体の輸入の大体三%ぐらいではないかというふうに思います。

神風委員 なぜそれでカラフトシシャモと呼ぶのかなというのが非常に疑問であるわけですが。

 普通であれば、カラフトシシャモという表示になっていれば、多くの日本人は、我々はシシャモを食べていて、そのシシャモが樺太産のシシャモであるという認識になるのが普通であって、あるいは、今ノルウェーからの輸入が多いのであれば、ノルウェーシシャモと言うのが普通ではないかなと思うんですが、その点、どういう認識でカラフトシシャモという形になっているのか、ちょっと御見解を教えていただきたいと思います。

田原政府参考人 魚の呼び方につきましては、通常、標準和名と称するもので呼びならわされているということでございまして、これも、シシャモとカラフトシシャモの標準和名の使い分け方は、まさに前から、昔からカラフトシシャモと称していたからそうなっているということでございます。

神風委員 ある資料によりますと、水産庁の言い方では、キャペリンという名称が浸透してくれば見直すこともあり得るということになってはいるんですが、現状でそのキャペリンという名前が浸透する可能性はほとんどないわけでありますし、ある意味では、シシャモというのは、聞くところによりますと、多分私も食べていないんだと思います。本当のシシャモというのは食べていないと。ただ、食べた方の話を伺うと、大変おいしい魚である、これがシシャモだったのかということで、食べた方は皆さん大変驚かれるということなんですが、実際に本物のシシャモの味を大半の日本人が知らなくて、シシャモだと思い込んで食べているキャペリンという魚というのは、非常に何か食品の表示としていびつというか、異常な感じがするわけです。

 あるいは、最近話題になりましたタラバガニとアブラガニの問題もあるわけですが、アブラガニをタラバガニと偽装して販売をしていたということが非常に話題になりましたけれども、一部に、アブラガニのことをオホーツクタラバという名称で販売している、その場合にはこれは違法になるのでしょうかどうか。あるいは、オホーツクタラバという形で販売しながらも、そこに断り書きがあって、これは一応アブラガニですという注意書きがあれば、それは違法にならないのかどうか、ちょっとその点を教えていただきたいと思います。

田原政府参考人 お答えいたします。

 平成十五年三月に、水産物の名称の表示につきましてのガイドライン、これの中間取りまとめというものを行っております。

 この中におきましては、先ほど申し上げました標準和名を使うということで、例えばシシャモとカラフトシシャモとか、そういったことでやることが、生産者あるいは流通関係業者の方々に求められるのではないかということで、こういったガイドラインが設けられております。

 御指摘のタラバガニとアブラガニ、これは外来種でございますけれども、標準和名ということで、一応タラバガニとアブラガニということで、明確に流通業者の方々あるいは生産者の方々の間では通用しているということで、こういうふうな扱い、区別して扱われるようにということでガイドラインとして指導をさせてもらっている、こういうことでございます。

神風委員 まさに、ある意味では、売っていたお店の方も誤認しながら売っているケースが多いわけでありまして、ある新聞記事によりますと、そのガイドラインは、今おっしゃった「ガイドラインは業界でも周知徹底されておらず、全く知らずに販売した。指導もないのに、いきなり法的に措置されるのは遺憾」とのコメントがあったわけですが、この周知徹底というのはどういうふうになっていますか。

田原政府参考人 経緯を申し上げますと、この魚介類の名称のガイドラインというものは、前回のJAS法の改正、平成十二年の七月施行でございますけれども、これを受けまして、生鮮食品に名称ですとか原産地名を表示することが義務づけられた。

 ただ、他方、魚の世界でもいろいろな多種類にわたりますし、また最近では輸入物が多いということで、平成十二年の十一月からこの検討会を設けまして、特にまずは生産者あるいは流通業者の方々の間でこうした名称についての統一を行いたいということで、平成十四年の十一月に中間取りまとめを公表し、パブリックコメント、こういったことも求めた上で、十五年の三月にガイドラインということでやりました。

 我々といたしましては、こうした長い経過をかけまして中間取りまとめというものを行ったわけですので、その過程におきまして、関係の生産者あるいは流通関係の業者の方々に、こういった形の表示が望ましいということの周知徹底を図ってきたということでございます。

神風委員 このJAS規格についても、正直なところ、そのJAS規格というのがどういうコンセプトになっているのかというのが非常にわかりづらい。うちの家内にも聞きましたけれども、JAS規格をある程度の目印にしながら買い物をすることはまずないと。そのJAS法自体が、JAS規格自体が、何をもって意味しているのかが、コンセプトが非常に不明確であるということに本当にいろいろな問題が起因しているのではないかなと思うわけです。

 新たな基本計画の中でも、「消費者の視点の施策への反映」ということで、「また、消費者が、正しい理解に基づき、安心して安全な食品を選択できるよう、農産物と食品に関する正確な情報を提供していく。」とされているわけですから、この文言どおり、まさに正確な情報を消費者の立場でわかるような形にしていただきたいと思います。

 時間になってしまいました。食品安全委員会の方にも来ていただいたのですが、済みません、時間がなくなってしまいましたので、また後日、ちょっとお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。民主党の川内でございます。よろしくお願いいたします。

 四十分質問の時間をいただいております。きょうはJAS法の質疑ということで、黒豚の定義、あるいはBSE問題、さらには食品安全委員会の答申等について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、今の神風議員の質疑の中にもありましたけれども、食品業界というか、流通の段階で、偽装表示あるいは偽装に近い表示、偽装ともとれ得る表示というものが横行をしております。

 私が昨年来、この委員会でも取り上げをさせていただいておりました黒豚の偽装事件、あるいは最近では、トレーサビリティー法に反する近江牛の偽装事件、あるいはJAあきたの事件、さらには豚肉の差額関税制度を悪用した大規模な脱税事件など、食品業界をめぐるさまざまな不祥事というか、消費者の皆さんの信頼を失わせるような事件が多発をしているわけであります。全農のある幹部は、司直の手が入らない限り大丈夫なんだ、何やったっていいんだと、たかをくくっているように思われるわけですね。これは許しがたいことです。

 では、これに対して、食品業界を所管する農水省としてどういうふうな行政を行っていけばいいのかということであります。まず、食品業界あるいは流通業界のモラルというものが一体どうなっているのか、このモラルの低下について、監督官庁である農水省の御見解を伺いたいというふうに思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生は今、偽装表示等の問題を例にして、食品産業についてのモラルということをお尋ねでございますけれども、私ども、一つ食品の表示ということをとりまして、これは消費者が商品選択する上の唯一のよりどころになるわけでございますから、JAS法の品質表示基準におきまして、生鮮であるとか加工であるとかに応じまして表示すべき物事をきちっと明示をし、義務づけをしているわけでございます。

 平成十二年にこういった品質表示基準を制定して以降、食品表示の一一〇番ですとか、ウオッチャーの方々の協力を得ながら、あるいはまた我々も、地方の農政事務所の職員などのいろいろな点検、巡回をした結果、こういった適切な表示の徹底ということで取り組んできているわけでございます。

 実際の指示案件、指示、公表した案件などを見ますと、まだ目立った数字の減少というのは出てきておりませんけれども、これはある意味におきましては、消費者の方々の協力を得ながら私ども行政が点検をしている、チェックをしているということのあらわれでもあるのではないかと思います。

 とはいいながら、現実問題として、やはり食品業界の方々の意識をきちっと高めていく、コンプライアンスの意識を持っていただくということがこの表示が適正に行われるための大前提であるというふうに思っておりますので、こういった意識啓発、これについては私ども努力をしていきたいというふうに思っております。

川内委員 コンプライアンスの徹底のために意識啓発を徹底していきたいと。今の局長の御答弁は、現在の法の枠組みではそこまでしか言えないだろうというのは私も理解いたします。

 しかし、それはなぜかというと、先ほど全農のある幹部の例を持ち出しましたが、JAS法では直罰規定がないわけですね。偽装表示即罰金とか、偽装表示即逮捕とか、そういうことには法の構成としてなっていない。すなわち、法令には違反しているけれども、偽装表示がそのまま即犯罪だということに、このJAS法の構成の中ではなっていない。だから、食品の業界の方々あるいは食品を扱う方々は、駐車違反を見つかった、あた、しまった、ちょっと車を動かしてまた同じことをやるというようなことが繰り返されるんだというふうに思います。

 私は局長に、偽装表示は犯罪ではないということを今申し上げましたが、局長も、JAS法の中における偽装表示は犯罪とまでは言えないということを、現在の法律でですよ、今ちょっと確認していただきたいというふうに思います。

中川政府参考人 お答えをいたします。

 現行のJAS法におきまして、品質表示基準に違反する事例があった場合には、これは三段階のステップを踏むことになっております。

 まず第一に、指示を行い、表示の改善を求める、指示、公表を行うということでございます。二段階目といたしまして、指示に従わなかった場合には、その指示に従うべき旨を命ずる。まず指示、公表、その次の段階として、今度は命令。その命令に従わなかった場合には、命令違反として懲役または罰金が科されるということになっております。

 JAS法上はこういう体系になっているわけですが、他方、それでは犯罪とはどうかということになりますと、一般的には、制裁としてすぐに懲役ですとか罰金刑が科されるということで、一定の司法手続に沿ってそういった措置が科されるというのは犯罪ということだと思います。

 そういう意味からいきますと、JAS法は、まずもって、日々消費されます食品の表示の適正化をねらっていくために制定をされているものでありますから、まずは、偽装表示などの適正でない状態を早く適正にする、そのためには、司法手続をとって時間をかけてやっていくのではなくて、適正な状態に回復させるということをねらいとして、このJAS法の規定が行われている。そういう意味におきましては、厳密な意味での犯罪ではありませんが、これを重ねていきますと、最終的には命令違反ということで犯罪に該当するわけでありますから、犯罪につながる行為というふうに位置づけております。

川内委員 大臣、コンプライアンスの徹底、要するに、法律でしっかり定めなければ、やはり幾ら偽装表示はいけませんよ、いけませんよと言っても、法律に書いていなければ、それはみんな、ちょっとでももうけたいし、ちょっとでもたくさん売りたいし、これは別な、一方の人情として私も理解するんですよ。

 だから、法律でやはりしっかりと、食品業界を所管するのは農水省なんですから、その農水省が所管するJAS法という法律の中で、偽装表示は即犯罪である――今局長は、犯罪につながる行為だとおっしゃられたわけですが、即犯罪ではないということをおっしゃられたわけですね。だから、偽装表示は即犯罪なんだということにJAS法の中でしていかないと、今後同じような事例というのは繰り返されるというふうに私は言わざるを得ないと思うんです。

 今回のJAS法の改正案も、検討会を経て改正が行われたわけですが、食品の偽装表示は即犯罪だ、やってはいけないことなんだという法改正に結びつけていくためにも、何らかの検討会あるいは措置というものを、現状のやり方ではなくならないわけですから、これは何らかの改善が必要だというふうに私は思いますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。

島村国務大臣 詳しくは中川局長から御説明したところでございますが、私自身もあなたのお考えとほぼ近い考え方に立っています。そういう意味で、実は、JAS法の違反といいますか、いろいろ問題があった事件については、今回に限らず結構多いわけですが、私は、少しくこれは甘過ぎやしないのかということで、何遍も聞いているところであります。

 ただ、現実問題として、私は、今度は、業者の側の人たちの御意見などもたまにつらっと聞いてみるんですけれども、指示を受けてこれが公表されたり、あるいは命令があってそれがまた表ざたになったり、あるいはまた最終的な段階までいくというのは、業者にとっては致命的な打撃があるんだそうです。そういう意味で、現行のもので十分影響力を持てるという説明を聞いてきたものですから、これは何も役所側の説明だけでなくて、実際に第一線の方々の会などに行きまして、その話を聞いても、これは大変手痛い打撃を受ける、会社によってはつぶれたところもある、こんな話も聞いているものですから、私もそれ以上、突っ込んではいないわけであります。

 ただ、さはさりながら、法律じゃなかったら何をしてもいいという倫理観にもとる行為その他については、やはり厳しくやっていかないと責任を負いかねるものですから、これらについては十分監視をし、これからの動静によってはそれなりの判断をしなきゃいけない、そう思っております。

川内委員 大臣、積極的な答弁の後、現状をもうちょっとというような御答弁があって、全農などは業務改善命令を六回も受けていながら、恐らく農水省さんも怒っていると思うんですよ。何だこれは、何とかせないかぬという思いは持っていらっしゃると思うんですね。その一方で、今大臣が図らずもおっしゃった、流通業界あるいは食品業界の思いというのもあると。それは、私も先ほど申し上げたように理解いたします。

 しかし、これから、私は、日本の食というのは、あるいは農産物というのは、安心、安全な農産物として、政府もおっしゃっているとおり、ジャパン・ブランドとして、それこそ国際競争力のある農産物として世界にも売っていけるものであるというふうに思うんですね。

 そういう中で、まず国内の偽装表示を根絶していく。優秀な業者さんは、まじめな業者さんは、法律で言われなくても、みずから、どこどこのお肉です、どこどこのお野菜です、どこどこのお魚ですとしっかりおっしゃる。しかし、そうでない業者さんもたくさんいらっしゃる。そこが問題なんですよね。

 要するに、まじめな業者さんのイメージにフリーライドするわけですから、ふまじめな方は、あるいは悪らつな業者さんは。そういう人たちを根絶していくためには、まじめな業者さんは、法律で罰則規定が、直罰規定が設けられても痛くもかゆくもないですよ、まじめにやっているわけですから。偽装表示なんかしていないわけですから。まじめにやるんですよ、もともとまじめにやる人は。

 そうじゃない人たちを断ち切るためには、ここはやはり何としても、大臣が冒頭で、前半の部分でお述べになったように、ちょっと甘過ぎるんじゃないか、少し研究してみようということをぜひお始めいただきたいというふうに、これは私からの大臣への陳情でございますので、あえて答弁は求めませんが、御検討をいただきたいというふうに思います。

 続いて、やはりこれも表示の問題でございますが、私が従前よりずっとかかわってまいりました黒豚の問題でございます。

 これなども、外国産のバークシャーが国内に持ち込まれて黒豚として売られるということでございますけれども、先般の委員会でも大臣もお聞きになっていらっしゃったとおり、これも全農が絡んでいるわけですけれども、全農の子会社である組合貿易が輸入したカナダ産とアメリカ産のバークシャー千七百トン余りのほとんどすべてが国産黒豚と偽装された、あるいは黒豚と偽装されたということが農水省さんの調査で明らかにされているわけです。

 私は、この手の問題を根絶するためには、平成十一年に、農水省畜産局長通達、食肉小売品質基準というものがありまして、この品質基準に示された黒豚の定義、これに何て書いてあるかというと、これは「お肉の表示ハンドブック」というのがあって、ここに書いてあるんですけれども、「バークシャー純粋種の豚肉のみを「黒豚」と表示できるものとする。」と書いてございます。この平成十一年は、外国産のバークシャーが国内に入ってきて黒豚と称されて売られるなんということは、恐らく想定をされていなかったんですね。

 その証拠として、このときのあり方検討会、「黒豚表示のあり方の検討結果および黒豚の定義について」というペーパーがあるんです。そのペーパーの「専門委員会での検討内容」というところを見ますと、「第一回専門委員会」というところで、ここでまずどんなことを議論するかということが明らかにされているわけでございますが、その黒豚の定義を決めた第一回専門委員会の中では「「わが国での豚の主要品種の生産状況及びその特徴等について」を議題として検討された。」まず第一回で、国産の豚肉の中で黒豚をどう定義していくかということが議題であったということを書いてあるわけです。

 平成十一年当時というのは、黒豚とバークシャーと、いろいろなものをかけ合わせて、二分の一バークシャーが入っているから黒豚だとか、四分の一入っていれば黒豚だとか、そういういわゆる海賊黒豚が横行していた。そういう状況を根絶していくために、バークシャー純粋種のみを黒豚とするというふうに定義づけられたわけでありますが、そのときは国産の豚肉を議論していたわけです。ところが、最近になって外からのバークシャーが入ってきて、黒豚という日本語をつけられて売られるようになった。

 これは私、政府の知的財産戦略推進本部の幹部の方にも確認したんですが、黒豚という日本語を日本産のものだけに使うということに関しては、ブランド化ということにおいては国際条約上何ら問題はないというふうに確認をしております。したがって、この食肉の小売品質基準の定義を、国産のバークシャー純粋種の豚肉のみを黒豚と表示できるものとするというふうに、国産のという言葉を、国内産のという言葉をこの際つけるべきではないかというふうに御提案を申し上げたいと思うんですけれども、大臣の御所見をいただきたいというふうに思います。まず政府委員の方からどうぞ。

白須政府参考人 ただいまの黒豚の定義の関係でございます。

 委員からもお話しのとおり、この関係につきましては食肉の小売品質基準ということで定められておるわけでございまして、私ども、小売店に対しまして、この基準に沿って表示するように指導しておるということでございます。

 そこで、まさに委員からもお話ございましたとおり、かつては交雑種も黒豚と呼ばれておったというふうなこともございまして、これに対してこの定義に関する消費者の皆さん方の関心が非常に高まったということで、実は平成九年に、いろいろと販売店なり消費者の方々にアンケート調査も行いました。その結果、議論もずっと積み重ねまして、平成十一年六月に、ただいま委員からもお話ございましたバークシャー純粋種の豚肉のみを黒豚と表示できるようにする、お話のとおりでございます。

 ただ、そういう中で、黒豚の定義も定着してまいったわけでございますが、ただいま委員から御提案ございました、黒豚の定義をこの際国産のものに限定すべきだ、こういう御意見でございます。

 実は、これにつきましては、私どもとしては、一つには、先ほどもちょっとお話ございましたが、海外産と国産との誤解があるんじゃないか、誤認させるんじゃないかというふうな御懸念につきましては、委員も御案内でございますが、現行のJAS法におきましては、生鮮品については原産国を表示するということが義務づけられておるわけでございますので、仮に海外産のものだということであれば、それはアメリカ産とかいうことが義務づけられるわけでございまして、そういった点では誤認はないのではないかと。

 それからもう一点は、やはり海外産につきましても、同じバークシャーという品種でありますれば、内外で明確な品質格差はないのではないかというふうに考えられる。

 それから、現在のところ、この輸入品につきましても現時点では黒豚表示がもちろんできるわけでございますので、もしこれがただいまの委員の御指摘を踏まえて変更されるということになりますれば、現在の表示について流通、消費上の混乱が生じるんではないかというふうな点が懸念としてはあるわけでございます。

 ただ、委員からもお話があって、現在もいろいろとそういった意味での議論も出つつあるというふうなことでございますので、仮に検討するということであれば、現在のような懸念も十分踏まえて検討する必要があるというふうに考えているわけでございます。

 したがいまして、私どもとしては、まずはアンケートなどを実施いたしまして、それぞれ黒豚に関する消費者あるいは販売業者のそういった認識あるいは意向を十分把握してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

島村国務大臣 ただいま局長が御説明したとおりですが、従前は、バークシャーとランドレースの雄雌をそれぞれかけてできたもの、実際は黒豚と白豚が一緒になると白いのが生まれるんだそうですが、これも黒豚というような範疇に入っていたようです。しかし、今説明のとおり、いろいろな経緯を経まして、最近ではこの辺は明確にしようということに統一されつつあります。

 バークシャーはもともと外来のものでありますから、国産のものというふうに限定することが是か非かはともかくとして、いずれにいたしましても、少なくも交雑種その他をすべて一緒くたにするということは適当でない、はっきりそう思いますから、これからは統一されたものになるだろう、こうお答えできると思います。

川内委員 今局長の方からは、アンケート調査を実施していきたい、実施するという御説明がございましたので、ぜひそれらを踏まえて、大臣、政府の方でも、ジャパン・ブランド、食とファッションのジャパン・ブランドを確立していくという大きな方針をお持ちでいらっしゃるわけで、一方、この「お肉の表示ハンドブック」の中には、外国産のものが国産のものであると誤認されるような表示はだめですよということが書いてあります。

 したがって、日本語を使うと。黒豚というのは日本語ですよね。外国にブラックピッグとかブラックポークなんという豚はいないわけですから、黒豚というのは日本の生産者が一生懸命、鹿児島を中心として育ててきた日本語のブランドです。この日本語のブランドのイメージにフリーライドする商品は、これは排除することは知的財産に関連する国際条約にも何ら違反することはないと私は思いますし、これも確認をしておりますので、アンケート調査を踏まえて、国産のと、国内産のとする方が望ましい、そしてまた、それが外国産のものを国産に誤認されるおそれのない定義につながるというふうに確信をいたしますので、ぜひ鋭意検討を進めていただきたいということも、これもまた大臣への御陳情を申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、最後の論点でございますけれども、食品安全委員会、従前より、これもまた大臣、私はめちゃめちゃしつこい性格で、とにかく食品安全委員会のことは、科学的知見、科学的知見と言いながら非常にやり方が政治的だなということを前々から指摘してきているんですね。

 それはなぜかというと、食品安全基本法、あるいはその二十三条に定められた食品健康影響評価という、これは法律に定められた言葉でございますけれども、それを食品安全委員会は、まず中間とりまとめというものを昨年の九月に出して、中間とりまとめという言葉は法律上はないんですよね、食品安全基本法には。その法律にない言葉を持ち出して、それを後になって食品健康影響評価だと言うわけです。

 しかし、大臣、食品安全委員会のプリオン専門調査会の議事録とか食品安全委員会の議事録を見ても、この中間とりまとめが食品健康影響評価です、この食品健康影響評価を出すことによって国のリスク管理措置は大きく動き出しますよというようなことを事務局は一回も説明しないし、また、委員会の場でも、これは食品健康影響評価ですというようなことさえ諮っていないんですからね。何にもそういう法的な説明、そしてまた、この中間とりまとめなる文書がもたらすその後の効果について一切説明がない中で、どんどんどんどん手続だけが進んでいる。

 その中で、議論している科学者たちは、科学的知見に基づいて議論しているわけです。しかし、自分たちの議論が政治的に利用された、あるいは利用されているということで、プリオン専門調査会の、大臣、異常プリオンの研究に関しては日本の最高峰の委員であった品川先生という先生は、もうこの調査会に出て自分の議論が利用されるのは真っ平御免だ、勘弁してくれということで、ことしに入ってからプリオン専門調査会にずうっと出ていらっしゃらないんです。私は、この品川先生に電話をしてお聞きしました、先生、今後はどうされますかと。もう出る気はないとおっしゃっていました。もう出る気はない、これ以上利用されるのは嫌だと。

 先日は、このプリオン専門調査会の座長代理である金子先生という方が、ある都内での講演で、結論の決まったこの食品安全委員会あるいはプリオン専門調査会の議論には自分として責任が持てないということで、やはり責任をとらざるを得ないというようなことをおっしゃっていらっしゃるわけでございます。

 そこで、きょうは、食品安全委員会の寺田委員長にもお運びをいただいておりますので、若干お聞きをしたいんですが、その前に、まず、五月六日に、寺田委員長、食品安全委員会さんが農水省そして厚生労働省に提出をされた「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品健康影響評価」というこの文書ですが、これは間違っています。決定的に間違っています。どこが間違っているかというと、この四ページに「はじめに」と書いてあって、一の一「経緯」というところに、主語が「本調査会は、」で始まっています。これは、食品安全委員会が農水省、厚生労働省に提出をした、通知をした文書ですから、本委員会はという言葉でなければならないわけでありますが、これは「本調査会は、」になっていますね。

 これは、私は、素直にそこは間違いでした、訂正しなければなりませんということをおっしゃっていただかなければならないと思いますが、寺田委員長、どうですか。

寺田参考人 今御指摘がございました「本調査会」というのは国民に誤解を与えると。それから、二つの考え方がございまして、「本調査会」は間違いです。食品安全委員会プリオン専門調査会はという言い方か、あるいは委員会は、おっしゃるとおり、どちらかが正しい言い方でございまして、それに関しましては、検討をいたしまして適切に修正をいたします。

川内委員 いや、やはり寺田委員長はさすがに科学者ですね。きのうの事務局のレクでは、いや、それは間違いじゃありませんとか、さんざっぱら抵抗して、間違いじゃないか、明らかに間違いじゃないかと言ったんですけれども、やはり寺田委員長はさすがに科学者でいらっしゃって、間違いは間違いとして修正しますということをお認めになられたので、この「はじめに」というところのくだりは、やはり委員会としての文書としてはおかしなところがあるので、そのような対処方をお願いをしたいというふうに思います。

 寺田委員長、この答申案というのはことしの三月二十八日に原案が公表をされました。かなりの修正がされた上でパブリックコメントに付されて、五月六日に答申をされた。この間、食品安全委員会の皆さんも、食品安全委員会事務局の皆さんも、そしてプリオン専門調査会の専門委員の皆さんも、今私が指摘したこの誤りにだれ一人気づいていらっしゃらなかったわけですね。私の再三の国会での質問に対して、この答申のもとになる昨年九月の中間とりまとめ、食品安全基本法第二十三条第一項二号に規定された食品安全委員会がみずから行う食品健康影響評価であるという答弁のような認識は、これはだれも持っていなかったということをこの私が指摘した誤りこそが象徴的にあらわしているのではないか。

 食品安全委員会はと書かないところに、その重大な主語を間違えてしまったというところに、この中間とりまとめから始まる食品安全委員会、これは、寺田委員長は科学者として議論されたが、食品安全委員会事務局は先生方の議論を政治的に利用してきたことの証左がここにあらわれていると私は指摘をせざるを得ないわけですね。

 先ほども申し上げたとおり、寺田委員長、プリオン専門調査会の品川先生、金子先生が、これ以上政治的に議論が利用されるのは嫌だというふうにおっしゃっていらっしゃることに関して、委員長としてどのような御見解をお持ちでいらっしゃるか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

寺田参考人 これは、御存じのとおり、食品安全委員会は、公開で、透明性を持って、客観的に、独立で議論をしているわけですね。それで、前もって運営の仕方とかそういうことに関して、あるいは政治的に利用されるからということを会議の場で言われたことはないわけですね。

 それから、先ほど言われました、新聞等で出ております金子委員の話、これは、金子委員はこの委員会の座長代理でございまして、非常に誠実に議論をされて、国民への、意見交換会にも積極的に出て、失礼な言い方ですが、あの先生ぐらい忙しく、私どもと一緒に意見交換会などに出られておる。

 私、御本人に確かめました。やめるという気はないと。ただ、責任は何か感じておられるんですね。その責任を感じておられるということに関しましては、これは御本人のまた意思を表意されると思いますので。だけれども、やはり続けてはやってくださるということで、大変感謝しております。

 責任を感じておられるというのは、何に責任を感じておられるのか、ちょっとわからないところが本当にございます。それで、こういうのは個人の考え方なので、私の方から、こういうところは感じておられるだろう、非常に大事な問題でございますし、こういう場で言うのはちょっとやめさせていただきますが、御本人は何かに責任を感じておられるということでございまして、これは、普通ではやめるという言葉に通じる言葉らしいんですけれども、どうも本人は、そんなこと全然ないですよ、そういうふうに言っておられました。ただ、何か責任を感じておられる。今後ともぜひ一緒に。

 それから、公開の場でそういう御自分のお気持ちをぜひおっしゃってください、そのために公開でやっているわけですから、そうお願いしてございますし、本人もそういうふうにやるというふうにおっしゃっていました。

 それから、品川先生に関しましては、ちょっとこれは怪しいですけれども、六カ月、七カ月ぐらい前に辞意を表されました。私、ぜひ、先生のような専門家の方は残ってやってくださいよと。私のこれは希望でもありましたし、御本人は、欠席はされておりますが、ずっと辞表は出さずに就任していただいております。

 以上でございます。

川内委員 今寺田委員長から、金子先生のことについては、委員はやめないと聞いたと御答弁があったわけですが、私は昨日、金子先生とお話をさせていただいて、金子先生は、食品安全委員会の中のプリオン専門調査会とリスクコミュニケーション調査会と、二つの委員を兼ねていた、二つの委員を兼ねていたのは自分一人だ、そして全国二十カ所ぐらいを回って、このBSE問題について国民の皆さんに説明をしてきた、その際に、米国からの牛肉輸入の再開につながるような議論をしているのではないということを、その二十カ所のリスクコミュニケーションの場で自分は再三にわたって説明してきたんだ、しかし、自分がそこで説明してきたことと今の流れは全く相反している、自分がうそをついたことになる、したがって、責任をとらざるを得ないんだ、科学者としてというふうにおっしゃっていらっしゃいました。

 委員長、この金子先生は、国会の場でもみずからの思いを証言したいというふうにおっしゃっていらっしゃいます。ぜひ当委員会として参考人として招致をしていただいて、プリオン専門調査会の議論、あるいはその議論がどのように使われてきたのか、その実際の先生方の思いをお聞きいただく場を設けていただくことを御協議をいただきたいというふうに思います。

山岡委員長 別途、理事さんを通して、理事会でお申し出をいただきたいと思います。

川内委員 私の持ち時間が終了をいたしましたので、きょうはここで終了をさせていただきますが、ぜひ大臣、牛肉の問題についても、科学的知見も大事だし、その科学的知見については間違いはないのかもしれませんが、その科学的知見を政治的に利用している、利用されたと感じている人がいる、しかも、その当事者がということは重大な問題であるというふうに思いますので、ぜひその辺の検証も、大臣としておやりいただきたいということを三番目の陳情として申し上げて、私の質疑を終わらせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、山田正彦君。

山田委員 大臣にお聞きしたいんですが、この五月十五日の日経新聞に、大島理森元農水大臣がアメリカで、この連休のときでしょうね、チェイニー副大統領に会われて、そして――大臣、今回は聞こえますか、七月末または八月中に日本国内の手続が整うのが望ましい、そう言っていらっしゃる。

 連休前に、アメリカの農務省のペンさんに次ぐ、ランバートさんでしたかね、日本に来られて、そして大使館で、自民党の先生方、五人か六人とお聞きしておりますが、その中に大島理森さんもおられたと聞いています。大使館でこの問題を話し合われている。

 ということになりますと、米国との間で自民党さんも、そして、元の農水大臣ですからね、農水省も含めて、実はこのところ、アメリカで、上院、下院に制裁決議を出しておきながら、少し静かになっておりますが、もう七、八月には輸入再開の手続が日本で終わりますから、それまでそっとしておいてください、そういう話し合いができているんじゃないか、大臣、いかがでしょうか。

島村国務大臣 大島元農相が連休中に訪米された際に、チェイニー副大統領との間で、米国産牛肉の輸入再開問題に関連してやりとりがあった、この報道は、まさに報道を通じて知りました。彼が事前に、アメリカへ行く前に私と会ったわけでもないし、電話一つあったわけでもありません。彼がどういう意向で出たかも知りませんし、BSE問題についてどういう判断を持っているかも聞いたことはありません。

 ただ、これは少なくも、あくまで大島議員の個人的な見解として発言されたものと考えておりまして、政府としては、これまでも御説明しているとおり、現在進めております、消費者を初め、関係者の方々との意見交換を踏まえ、食品安全委員会へ諮問し、審議していただくという手順をしっかり踏んで対応していく、これ以外に私たちの考えていることも、行動していることもございません。

山田委員 まあ大臣としてはそう答弁するしかないんでしょうから、それで結構ですが。

 次は、ちょっと寺田委員長にお聞きしたいんです。

 先ほど川内議員が真剣に話しておられました、いわゆる金子副座長のことですね。これ、どうも、ちょっと委員長の発言の中で気になったんですが、どういう責任というのかわからないと言われましたが、私が聞いていることでは、委員長は金子先生とずいぶん時間かけて会われたと聞いております。私が聞いている範囲でも、先ほど川内さんがおっしゃったように、全国、リスコミ、回りながら、今回の諮問は国内のものであって、米国産牛とは全く関係ない、そう言って、非常に誠実に説明してこられた。その良心というもの、それが一つの、これは何らか責任を感ずると。もちろんやめていただいたら困ります、金子先生に、これは。そういう意味で、委員長としても、これは十分わかっていたんじゃないかと思うんですが、わかり得たはずだと思うんですが、その辺はちょっと私、気になりました。

 この諮問の内容そのものの中に、実は米国とは全く無関係と言いながら、日本向け輸出プログラムで、まだ諮問が出たわけじゃありませんが、この指針の中で、この中に、輸出される牛肉は二十カ月齢以下と。二十カ月齢という数字が出てきているということ。そして特定危険部位、これをあらゆる月齢から除去、この二つが諮問内容に大きく書かれているわけですね、恐らく方針として。ということは、まさに、いわゆるリスコミしながら、国内を二十カ月齢以下で云々ということを求めてきたということは、アメリカ産の牛肉を輸入再開に向けてきたということ。ということは、いわゆるリスコミで寺田委員長もそうおっしゃったかと思うんですが、米国とは関係ないと言いながら、実際はそうであったということになりませんか。いかがでしょうか。

寺田参考人 金子座長代理が言われていたのは、別のことも三つ、四つあったんですけれども、言われたとおり、そこが一つの大きなポイントだと思います。

 それで、私の感じ方は、現在国内向けの答申を出したんですよと、それとアメリカの牛肉の輸入再開に関しては別個のものですよと。直接関係ない。

 これは結果としてそうなったということは十分あると思いますし、そういうことは途中の意見交換会でも私は言っております。前も申し上げましたけれども、アメリカの場合は十二月の二十三日に出たものですから、そのために何か、日本の国内でやっているのは、あたかもアメリカの貿易のためにやっているような形になったのは大変残念だと。また、消費者の方にも言われて、残念ですねと。だけれども、それとは別個の立場で議論をしてきたのは確かでございますし、そこの感覚がちょっと金子さんと違うんだろうと思います。

 私は、そこのところでうそをついたとかそういうことはなくて、結果としてそうなったというのは、事実そのとおりでありますし、そこのところがちょっと金子さんと違うのかなという感じはしております。

山田委員 委員長も、これは全く米国産牛肉とは関係ないとはっきり言ってこられながら、結果としてそうなった、それは残念だと。しかし、それについて良心の呵責はありませんか。

寺田参考人 大変申しわけございませんが、そのことに関しまして、私は良心の呵責はございません。これは言ったとおりのことで、裏表なしでございます。

山田委員 寺田委員長は、なかなか御立派で、全く良心の呵責はないということです。

 大臣にお聞きしたいんですが、私もアメリカに行って、ペン次官に、アメリカの検査は検査らしい検査になっていないじゃないかということを言ったことがあります。いわゆるウエスタンブロット法をやっていない、日本と同じ検査方法ではない。最終的には人間の目で、顕微鏡で二回見る、プリオンの切片があるかないか。プリオンの切片がある部分を見て、クロとこの前の牛も判断したけれども、また次の、切片がないものを見て、ないと言われれば、私は、アメリカではBSE感染牛というのは永久に見つからないようにしているんじゃないかとしか思えない。これは私としてはですよ。

 そして、今回の諮問の内容です。いわゆる米国、カナダから輸入される牛肉について、我が国で流通するBSEのリスクの同等性の諮問なんです。いわゆる危険性が何%あるかどうかということの諮問なんです。これについて、アメリカは、検査で出ないような検査をしているんだから、当然のことながら、これはアメリカの危険性は数字で見る限り出ないということになってしまう。そうすると、食品安全委員会に対する諮問は、最初から結論ありきではありませんか。この諮問の内容が問題です。大臣、お答えください。

島村国務大臣 私どもは、米国側でどういう検査をしているか、私個人としては詳しくは存じません。しかし、専門の人間が再三にわたってあちらとのいろいろな交渉やあるいは現地に赴いての調査等もいたしておるところでありまして、少なくも、我々が知る範囲において、今御指摘のような問題があるようには思えないんです。

 さはさりながら、我々にすれば、日本と同じことを求めるという強いことを申してきているわけでありますから、アメリカ側にもしそのような疑問を膨らますようなことがあれば、当然にそのことについていろいろ追及をし、先方の返答を確認することはやぶさかではありません。

 しかしながら、要は、アメリカ側の言い分の中に一つあるのは、アメリカだって、やはりアメリカの国民のための衛生上の判断というものに関しては大変シビアな姿勢で臨んでいる、その責任を持って事に当たっている。しかも、アメリカで変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発生が相次いでいるならともかく、アメリカではそういうことも相次いでおるわけでも何でもないと。いろいろそういう話を聞いてみれば、少なくも日本人とは比較にならないくらい牛肉を食べる人種のアメリカ人の中にそれが全く出ていないということも、やはり一つの証左なのかな、こうは思います。

 ただ、先ほど来、皆さんのお話を聞いていて、ちょっとおかしいなと思うことがあるのは、私は、寺田委員長の御住所も電話も調べることは容易であります。また、食品安全委員会の先生方の住所も電話番号も全部わかりますが、中立公正の機関に対して我々が個人的にコンタクトすることは、これはやってはいけないことだと思うので、一切そういうことをしておりませんが、先ほど来、お話を伺ってみると、皆さんは個人的にそういうコンタクトを試みている。これは、正直言って、あるべき姿なのかどうか大変疑問には思うところであります。

山田委員 これは、各委員の先生が調べるときに、いろいろ直接当たられることもあるかもしれない、それは国政調査のために当然そうあってしかるべきだと思いますが。今回、私も、質問に当たって、直接金子先生から聞いたわけではない。ほかの人からお聞きして、多分そうだろうなと推測で質問したんですが。

 そんなことで時間をとられると私はもったいないので、大臣、このBSEの問題については次にまたやることにしまして、この前、ちょっとBSEで時間をとられ過ぎて肝心の質問ができなかった。きょうは、JAS法、これで、副大臣も随分構えておられるようだから、ひとつ議論したいと思います。

 JAS法の中で、有機JASについて。私も、三十年ちょっと前から、長崎で土と文化の会という有機農業の会を私の事務所で立ち上げて、今も立派にやっているわけです。大変関心があるんですけれども、ひとつ副大臣、この有機JASの認証についても、今度の改正では、アメリカならアメリカ、中国なら中国の業者に認証を委託できるような、委託というんじゃ正確じゃないんですが、そういうところでいわゆる有機JASとして認証できるようになっているようです。

 その中で、有機というのは、今、日本では非常に規格が厳しいわけですよ。例えば去年の台風とか洪水でもって、田んぼにほかの畑から水が流れてきた、そうすると、今まで有機JASの認定を受けていた稲作農家というのは、これから三年間はこの有機JASの認定が受けられない、それくらい厳しいわけです。

 ところが、アメリカの場合において、有機JASの認証は日本の有機JASと違うんじゃないか。この辺はどうなんですか。例えば、どんどん違うものが、私、調べてみてびっくりしたんですが、今、日本で有機JASとして出回っているものの八六%は輸入のものなんです。アメリカからも入ってくるし、中国からも入ってきている。

 そういうものについて、いわゆるアメリカの有機JASの基準認定、これはガイド65ですか、国際基準と言いながら、これが問題なんです。それがどうなっているのか、その違いを調べた上できょうはひとつお答えいただきたいと言っていたつもりですが。

島村国務大臣 すべてを御承知のようでありますが、我が国と米国は、ともに国際的な有機農産物の生産、表示の基準であるコーデックスガイドラインに準拠した有機の基準を定めております。基本的に同等の規格となっておるわけでありますが、中国にはこのような規格はないと聞いております。

 なお、米国の規格との間にも、使用できる資材について若干の差異が存在しまして、米国の規格で使用できるが我が国のJAS規格では使用を認められていない資材については、我が国に輸出される有機食品に使用することは認めておらないわけであります。

 いずれにしても、我が国の有機JAS制度に基づき格付される食品については、生産された国のいかんにかかわらず、すべて我が国の有機JAS規格を満たす必要があるということですべて通しております。

山田委員 大臣、もっともらしい答弁ですが、私が今ちょっと調べかかっているところでは、かなり違いそうである。しかし、それは次回、機会があったときにやりましょう。

 要は、アメリカとかいろんな国から来た、海外から来たレモンとかオレンジとかグレープフルーツ、これは有機栽培でないのに、有機JASのシールをどんどん張って、国内で流通しておった。そして、それが明らかになって、その認証が取り消しになった。そういう事実は御存じでしょうか、大臣。

島村国務大臣 存じません。

山田委員 大臣、農水省が発表しているんですよ。ことし平成十七年の四月十四日のプレスリリース。この中で、株式会社高永。そして、さらにあるんです。有限会社ユー・アイ。どんどん入ってきたものにシールを張ればいいというんです。

 私も先般東京検疫所に見に行ってまいりましたが、中国産のキヌサヤ、このキヌサヤに生産者の名前が張ってあるんです。有機JASというのまでは当日私は確認できなかったんですが、そしてそれが一ブロックに大きく、同じ人の名前で張ってあるわけです。これが本当に信用できるのか。

 こういったものについて、国内では厳しくやりながら、そういうでたらめなものが海外のものにあることについて、国内に入ってくる海外の製品について有機JASが本物なのかどうかというのをどういう担保で担保できるのか、お答えいただきたいと思います。

大口大臣政務官 まず、先生から御指摘いただきました高永の不正行為について、それと有限会社ユー・アイ・コーポレーションの不正行為、これにつきましては、有機についての取り消しを行う予定でございます。

 それから……(山田委員「海外のものです、聞いているのは。海外生産のものについて担保できるのか。国内の業者のことじゃないんですよ」と呼ぶ)はい。

 それで、本来、日本の有機JAS規格に満たない農産物について、日本の有機JAS規格に基づく格付を行うことができないため、有機JASマークの貼付をして、有機やらオーガニック等の表示を付して国内で流通させることができない、そういう制度になっておるわけでございますので、きちっと、ここはやはりしっかり監視、監督、そしてまたそういうのが発覚した場合には、適切に、これを貼付させないようにしていくということでございます。

山田委員 政務官は、国内の業者に対しては厳しく監視しますと。私が言っているのは、中国から来る有機JASの、それが本当に有機の栽培なのかどうか、これについては、どうやってこれを調査し、監督できるんだと言っているんですよ。

 今回の法律の中においては、第十九条の九。見ていただければいい、私の資料で配っております。その中で、「その認定に関する業務に関し必要な報告を求めた場合」、向こうの業者にこっちから求めた場合において、その報告がされず、または虚偽の報告がされたときだけは調査に行くことができる。こんなばかなことになっているんですよ。しかも、向こうの認証機関である業者に対して帳簿とか書類その他を閲覧することができるとなっているだけで、実際に中国に行って、これは農薬を使っているかもしれない、本当に有機JASかどうかということを、一切調べる権限も、調べたこともない。

 私は、去年の夏アメリカに、ブロッコリー農場に、カリフォルニアに行ってきたんですが、EUからは二年に二回ぐらい予告せずに来て、いわゆる農薬でどれぐらい土壌が汚染されているかどうか、あらゆるものを検査して帰るので、その二週間ぐらいはたまらないぐらい緊張しますと。アジアから来たことありますかと言ったら、台湾からは来たことがありました、日本からは一切そんなもの来たことがありませんと。

 大臣、日本は中国においてそういう調査、冷凍ホウレンソウが問題になったとき二回ぐらい行ったのは覚えていますが、海外においてそういう調査したことは全くないんじゃないですか。

岩永副大臣 先生、今までの監査実績で、オランダだとかドイツだとかフランスだとかオーストリアで計四回の監査をしております。これは、御承知のとおり、農林水産省の消費技術センターが定期的にやっているわけでございます。

 そして、今先生のおっしゃっておる中国においては八件の実績がございまして、そして、平成十三年度には三件、平成十四年度には二件、それから平成十六年度には三件、最近の部分でこれだけの調査実績がございます。

 そして、その中で、実は具体的に勧告を行った場合、平成十四年に今おっしゃいました冷凍ホウレンソウから農薬が検出された。これは中国の山東省でございまして、改善請求を発出しました。そして、原因究明をさせて、再発防止のための品質管理体制の整備等必要な措置を講じさせております。そして、格付の表示を抹消させました。また、格付業務も停止させました。そして、改善措置の内容を七月十九日までに報告させたわけでございます。また、同年の七月十八日に、改善請求に対する報告を提出させました。

 そして、報告に対しては、農薬検出の原因、一般圃場からの農薬の飛散、それから一般栽培品の混入、そして再発防止のための措置等々をずっとやっております。

 こういうことで、大変、我々は中国に対しましても決して劣ることのない厳しい措置をとっております。

山田委員 中国に対して、冷凍ホウレンソウのときに二回ぐらい行って、これは日本でも大問題になったから、そのときにそういうことをやり、冷凍ホウレンソウの輸入を一時的に停止したということは、私も調べているからよくわかっております。

 その他において、有機JAS規格について、これを、本当に農薬を使っているか、使っていないかという検査はなされていない。私が調べた限りではそうです。それについて、ちょっと時間ないから次に行きましょう、これは。

 それで、問題なのは、外国の認証機関に対して、このJAS法の改正案では、ただそういう書類等の閲覧、調査ができるだけじゃだめなので、これは実際に、JAS規格においても、日本の検査官が中国に出向いていって、そしてそれを確認した上で日本に輸入を認めるように、いわゆる川上での規制が必要である。これは岩永副大臣もその必要性は十分認識していただいているようですから、単なるあれこれじゃなく、有機JAS規格においても十分それをやっていただいて、次の質問に移りたいと思います。

 実は、私ども民主党でJAS法の今回の改正については修正案を出しております。

 その修正の中身というのは、いわゆる生鮮食料品については原産地、原産国の表示がなされているわけですが、例えば加工食品、例えば練りウニとか、あるいは昆布巻きの話をされたと思いますが、そういったものについても、いわゆる原産地がどこなのかという表示がなされていない。そういった製品というのはいっぱいあるわけですね。コンビニの弁当の中にもいっぱいあるわけです。そんな中で、実際に加工食品に対してもその必要があるんじゃないかということで、昨年から改正案を準備してきた。

 ところが、それについて、農水省はことしになって二十品目を挙げてきたわけですが、よく見てみますと大したことないんですね。第一次加工、いわゆる塩漬けとかそういったものについて、冷凍とか乾燥とか、それについて二十品目だけ認めましょうと。実際、アジのフライの、衣をつけただけならば、これは原産国を表示する。ところが、今度はアジをフライで、衣をつけるんじゃなくて、熱してフライにしたら、これは例えば中国産のものであっても、コンビニの弁当とか、どこかで売っているときには、日本産と同じようになってしまう。いわゆる練りウニでもそうです。例えば岩手の練りウニにしたって、あるいはチリから入ってきているかもしれない。こういう形では、いわゆるJAS法のねらいである、正確な情報を伝えるということに反するんじゃないのか。

 やはりここは、大臣、我々の修正案のとおり、加工食品についても原産地表示をやるべきである。いかがでしょうか、大臣。

島村国務大臣 民主党から提案された修正案は、原則としてすべての加工食品について、主要な原料の原産地の表示を義務づけるものであると承知しております。しかしながら、加工食品は多くの原料から製造され、原料の産地も変動する場合があるなどの特性があるために、このような対応は事実上は困難であると我々は考えております。また、表示が困難な場合は義務表示の例外とされておりますが、どのような場合が困難に該当するかがあいまいであって、製造現場の混乱を招くおそれがあるものと考えているところであります。

 ちなみに、山田委員にお見せしますが、これはスナックめんという、ある有名メーカーのカップめんですよね。これをごらんいただいてもおわかりのとおり、これだけ内容がありまして、三十三種類勘定ができる。こういうようなものを一つ一つおたくの方の案にのっとってやるとなったら、これは現実に困難だと思われませんでしょうか。逆に申し上げます。

山田委員 大臣、逆に言いましょう。

 そのカップめんに三十三種類の添加物とかいろいろなものを書いているわけですから、その中に三カ国か四カ国の原産地を表示することは決して不可能じゃないでしょう、それは。しかも、カップめん業者は、恐らく小麦にしたらアメリカから輸入の小麦です、これは。

 そういったもので、私どもの案では、主要な原料についてと言っているわけですから、そして困難なものについてはその表示をしなくてもいいと言っているわけで、困難なものとか主要な原料については、いわゆる省令、告示事項に委任しているわけですから、これをあいまいだとか、あるいはできるわけがないと。そのカップめんでも三十三種類やっているんだから、何だってできるはずですよ、大臣。いかがですか。

島村国務大臣 いや、現実はやはりできないと思うんですね。

 といいますのは、これだけの種類のものを、例えば小麦粉なら小麦粉を、一つの国のものをずっと使っているというわけでもない。場合によると、それは中身が変わる場合もある。そういうことで、我々も初めからだめだとあきらめているのではなくて、可能なものは全部やっているんです。ただし、やはりでき得る範囲というのはおのずからある。

 やはりこれだけの商品の中で、少しく内容が変わったとき、一々一々このラベルをつくりかえることが可能でしょうか。やはり、それはうその表示になりますから、我々はそういうことについては弾力的に対応せざるを得ないということであります。

山田委員 大臣、それは違うと思うんですが。練りウニとか、例えばアジのフライにしたって、原産国を表示するのが何で難しいですか。答えていただきたい、はっきりと。

島村国務大臣 実際問題として、内容の変更が仮に一つでもあれば、これを全部訂正して出さないと、いわば虚偽の表示になりますね。ですから、そういうことについて、主要なものとおっしゃっても、主要なものの中にもいろいろ変化があるやに聞いております。

 この後我々はさらに、こういうものの存在の価値というものを認めるためには、なるべく例外を設けない、なるべくそういうものに対して精査を続けるということにおいてやぶさかではありませんが、少なくも、これをおたくのような案に切りかえることは現実的ではないのではないか、こう判断します。

山田委員 大臣、答弁になっていないと思いますよ。アジの衣をつけたのはよくて、フライにしたのは何で表示できないんですか。何で困難なんですか。難しいからとか、そして、仮に難しい場合には、それは政令事項で、いわゆる告示事項で落とせるわけですから。

 ところが、今のこのJAS法のあり方では、いわゆる加工食品については、わずかに二十品目。これまで八品目ですか。合わせて二十品目でしたか、これだけしか、乾燥ワカメとか塩蔵ワカメとか、そういったものしか認めていない。ということは、まさに例外中の例外だけを加工食品については表示させている。こんなことでは、日本の農業生産者はたまったものじゃありませんよ。そして、消費者にとったって、本当に正確な情報が食の安全のために今こそ必要なときはないんですよ、大臣。いかがですか。

岩永副大臣 先生、私も民主党の修正案を読ませていただきました。そして、もともと同じ考えを持っているんですよ。だから、できないかということで検討をかなり加えたんです。しかし、今でも、やっているものについてはほとんどやっているし、そしてもう一つは、きちっとした筋を通さなきゃならぬと。だから、そのことが、後でこれはどうだ、あれはどうだと言われるようなものになったら、これこそ、業界を混乱させ、消費者を混乱さす。そういうことの中から、今やむを得ずこういう状況になっておる。

 それと、先ほど言いましたように、これは先生、原産地、それぞれの国を全部書いていたら大変なんですよ。だから、そういう部分で、できる範囲内のことは全部やっていますよ。

山田委員 さっきの大臣が見せたカップめんの中にも三十三の表示ができるんだから、その原産国を六カ国、七カ国ぐらい書けないことはない。それは、今岩永副大臣が言ったように、これを本当に前向きに考えて、私どもの主張のとおりに――しかしその例外はもちろん、主要な原料とか、表示が難しい場合には、困難な場合にはそれこそ省令でもって、これは困難ですよ、これについては加工食品だけれども原産地、原材料の表示はできませんと。それはそれでいいんですよ、これは。しかし、すべてを網羅しないと。

 例えば冷凍ホウレンソウが問題になったから冷凍ホウレンソウにする、ワカメが問題になったからワカメにするとか、いわゆるその場繕いで今までやってきている。こういう農水行政ではだめだというので、当然、大臣、副大臣の考えでは、私は民主党の修正案に、その精神において賛成していただけるものと、そう思っておりますが、それについてはこれ以上議論してもしようがありませんので、私もきょうは先を急ぎますので、次に移りたいと思います。

 最近日本農業新聞を見ていましたら、アメリカから生鮮のジャガイモを入れるという話がございました。このジャガイモの輸入の問題です。

 これを入れたら大変なことになるんだと私は思っているんですが、どうやら私の聞いている情報では、もう入れる方向で検討しているということですが、いかがでしょうか。

大口大臣政務官 米国には、先生御案内のように、ジャガイモがん腫病や、あるいはジャガイモシストセンチュウですか、これが発生していることであります。生鮮ジャガイモの輸入は植物防疫法により禁止されております。

 また、昨年八月、アメリカより、ポテトチップス用ジャガイモに限定した輸入解禁に向けた具体的提案があり、現在、病害虫の我が国への侵入防止という観点から検討を行っているところでございます。したがって、農林水産省といたしましては、輸入解禁を行う方針を固めているものではありません。

 なお、これまでの協議の中で、遺伝子組み換えジャガイモの品種を輸出したい、こういう要請は全く受けておりませんが、遺伝子組み換え作物については、植物防疫法に基づく協議に加え、食品衛生法等に基づく安全性審査を経た品種でなくては輸入が認められない、こういうことでございます。カルタヘナ法の規制もございます。

山田委員 委員長、突然大臣が退席されましたが、前から話があったのは、最後の私の質問の十分だけはいいし、そしてその次の質問の公明党の先生と、お互い十分十分譲りましょうと話しておったんですが。

山岡委員長 仕事のことじゃなくて、トイレですから、ちょっとその後にしていただいて、そこに書類が行っているとおり。

山田委員 わかりました。それは失礼いたしました。

 今、疫病の問題について、私も非常に懸念しているんですが、そういう話で大丈夫じゃないかという趣旨に聞き取れたわけですが、決してそうではないとは思いますものの、なお私が心配するのは、いわゆる残留農薬です、これは。

 大臣、クロルプロファムという、そういう農薬をジャガイモで使うわけですが、これが、いわゆる農薬取締法、これでは〇・〇五ppmしか残留農薬があっちゃいけないということになっていたわけです。ところが、実際には、これが平成四年だったと思うんですが、正確な年次は間違いかもしれません、厚生労働省において、この基準をいきなり一千倍、五〇ppmまではいいですよと変えたわけです。

 実際に厚生労働省はフライドポテトについて平成十三年に調べたわけですが、その中で四十五検体のうち二十八検体にクロルプロファムが入っていた。しかも、二・一ppmですから、かつて、少なくとも十年前まで〇・〇五ppmしか残留農薬はいけませんよというのが、既にその何十倍かが検出されて、そのままに野放しになっているわけです。

 これについて、大臣でも結構ですが、厚生労働副大臣でもいいんですが、何でいきなり一千倍に残留農薬基準を変えたのか、ここを明確に、理由をつけて、お答えいただきたい。

西副大臣 お答え申し上げます。

 ジャガイモの例で先生からお話がございましたけれども、まず農水省の登録保留基準というのは、これは国内の農薬の販売を認めるかどうかという際の判断基準でございます。これは環境大臣が定める。

 他方、食品衛生法で残留基準というのが決められておりますが、これは国産品、輸入品にかかわらず、農薬が残留する食品の流通そのものを規制するという性質で、これは厚生労働大臣が決めることになっております。

 農薬取締法の登録保留基準と、それから食品衛生法の残留基準、これは性格が違っております。今回のこの基準を緩和したということは、そのために緩和したというものはないということを考えております。

 なお、食品衛生法で残留基準を設定するに当たりましては、先生ももう御存じだと思いますが、日本人の食生活の実態に基づきまして、一生食べ続けても健康に影響がない、そういうレベル、これが一日許容摂取量、いわゆるADIでございますが、その範囲内で国際基準や輸入品を考えて、この基準値を設定しているところでございまして、国民の安全確保に支障があるものとは考えておりません。

山田委員 今の答弁に二つ疑念がありますね。一つは、この農薬取締法で〇・〇五ppmと決めたのは、何も環境だけじゃない。いわゆる農薬に使われた、残留農薬ですから、食の、消費者の安全にかかわっているということが一つ。それについては、当然のことながら、一千倍に高めたということは、これはいわゆる、厚生労働省としては国際基準に合わせたということなんですか。私はそのように聞きましたが、いかがですか。イエスかノーだけで結構です。

西副大臣 実はジャガイモに対する農薬のクロルプロファムについては、国際基準はございません。米国基準が五〇ppmということでございまして、その米国の基準を参考に、日本独自の審査をした上で決めたものでございます。

山田委員 これ、私の方で厚労省からいただいた資料なんです。そして、皆さん方にお配りしています資料二の三を見ていただきたいと思います。

 大臣、見てください。この中に、ジャガイモについて国際基準はないと言いながら、いいですか、WTO協定国際基準、右手ですよ、右の肩の方です、欧米基準、例、米なし、小麦三ppm、ジャガイモ一〇ppmと書いているんですよ。これは私が厚労省からいただいたんだ。国際基準は一〇ppm、そして、今回何で千倍にしたと言ったら、国際基準に基づいてやりましたと言った。実際には五〇ppm、アメリカの基準に合わせている。アメリカから輸入できるために、ジャガイモを。

 大臣、これくらいアメリカに弱い、アメリカのための農水省と、アメリカのための厚労省と、そう言ってもいいんじゃないかと、これで明らかだと思うんですが、いかがですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど先生からお示しの、資料二の三の残留試験の例示として、ジャガイモ最大三ppm、それからWTO国際基準、欧米基準がジャガイモ一〇ppm、こう確かに書いてございますが、これはあくまでも一般的な例示でございまして、農薬ごとに、これ実は必ずしも一致するものではないというふうに承知しておりまして、一般的な例示というふうに御理解いただければというふうに思います。

山田委員 それは言いわけにならぬでしょう。一般的な例示だったら、米についても何ppmと書くでしょう。米はなし。これは、今私の方でも欧米の基準その他を調べているので、EUがジャガイモについて残留農薬の基準がないということはあり得ないでしょう。これは、副大臣、いいかげんなことを言ってもらっちゃ困る。これは日本の食の安全のために大事なところなんです。

 大臣、どう思いますか。農水大臣。

島村国務大臣 久方ぶりに、私は半年をこの職にありまして、これだけ真剣に、これだけ慎重に、これだけ徹底的に取り組んでいるのかなと感心させられるくらい、みんな一生懸命努力をしておりますので、私らよりはるかに専門的に取り組んでいる人たちの努力というものの中には、決してアメリカに何か迎合するようなものがあるんだとは思いません。私は、こういう基準についても、たまたま差はあるかもしれませんが、私たちは私たちなりの責任とプライドにおいて仕事をしていることだけは御理解いただきたいと思います。

山田委員 このジャガイモの残留農薬の問題、大臣、これはアメリカから輸入するに当たって、非常に問題であるということ、ジャガイモの輸入。これは日本国民の健康を考えるんじゃなく、アメリカの生産者のために今回ジャガイモの輸入を考えているんじゃないのか。

 大臣、ジャガイモは輸入するんですか、しないんですか、生鮮ジャガイモを。

島村国務大臣 私たちは何も、BSEだけでなくて、すべてのことに、やはり食の安全、安心ということに最大の配慮をしておりますし、総理は細かいことは私には一切申されませんが、就任の際に、あくまで安全と安心だけは最善を尽くしてください、こういうことを言われておりますから、言われるまでもなく私たちはそれに対して取り組んでいるわけでありまして、もし我々が危険だと思うようなものがあれば、これをただ唯々諾々と受け入れるような姿勢は全く持ち合わせませんので、御理解をいただきたいと思います。

山田委員 ジャガイモについて、ポテトチップを一回、ハウス食品でオー・ザック製品について回収したことが記憶があると思いますが、あのときは遺伝子組み換えのポテトが使われておったということで、大臣はうなずいておられますから記憶があると思います。

 もう一つ、生鮮ジャガイモを輸入して問題なのは、いわゆるGM、遺伝子組み換えジャガイモ。私はテレビ画面で見たことがあるんですが、虫がジャガイモの葉っぱを食べていて、ころっと死んでしまう。それくらい、この遺伝子組み換えのいわゆる害虫駆除のものについてはいろいろ問題があり過ぎる。EU諸国においては、遺伝子組み換えのジャガイモは入れないという国も結構あります。そういった遺伝子組み換えのジャガイモがもし入ってくるとしたら、それも受け入れるのか、受け入れないのか、大臣。

大口大臣政務官 先ほども御答弁させていただきましたが、遺伝子組み換えジャガイモの品種を輸出したいとの要請は全くアメリカから受けておりませんが、遺伝子組み換え作物については、植物防疫法に基づく協議に加え、食品衛生法等に基づく安全性審査を経た品種でなくては輸入が認められない、こういうことでございます。

 また、芽が出る可能性のある状態で遺伝子組み換えジャガイモを輸入する場合は、カルタヘナ法に基づく承認が必要である。現在、カルタヘナ法に基づき承認された遺伝子組み換えジャガイモはありませんし、申請も現在のところございません。

山田委員 遺伝子組み換えの大豆についても、アメリカはほとんど八割が遺伝子組み換え大豆と言われていますが、これの区別が、遺伝子組み換えの大豆なのか、それを使っていない大豆なのかというのが輸入の現場ではわからないというのが私が調べた限りの実情です。

 そうすれば、これから入れるジャガイモについても、遺伝子組み換えのジャガイモは入れませんと言って、実際に私は野菜の輸入検疫所に行ってみましたが、検疫に行く野菜を採取する前に、既に半分の野菜が流通に回されているわけです。野菜はいわゆる生鮮で、早く回さないと悪くなるからということで。そうなれば、水際においても当然、十分なチェック、検査ができるわけはない。だから、表面だけ遺伝子組み換えのジャガイモは入れませんと言いながら、実際にはそうなってしまう。

 大臣、ここは慎重に考えてもらわなきゃいけないんですが、副大臣、どう考えますか。

岩永副大臣 先生の御懸念の部分でございますが、これは厚労省の検疫所で精いっぱい調べておりますので、遺伝子組み換えのものか、そうでないものかというのはそこでチェックができるわけでございます。

 先ほど大臣もおっしゃっておられますように、我々は、国民の食の安全というのは農水省の大きな施策でございますし、大変重要な部分でございますので、先生の御意図のとおり、精いっぱい安全、安心のために尽くしていきたい、このように思っております。

山田委員 それでは、大臣、ここについてはもう一回念を押しておきたいと思うんですが、生鮮ジャガイモを入れますか、入れませんか。

島村国務大臣 実は、これは中川局長の方がよっぽど詳しいわけですが、少なくも今いろいろ慎重に調査をしていて、その結果ではっきり確認ができたら入れるということになると思いますが、今、まだその結論が出ておらないそうでございます。

山田委員 入れるということになるんでしょうかね、本当に。食の安全を考えれば、アメリカに弱い日本の農水外交、情けない限りですが、しようがありません。(岩永副大臣「ちょっと済みません」と呼ぶ)

岩永副大臣 先ほどから山田先生は、何か日本がアメリカのためにすべての作業をしているような話をしておられるが、我々は本当に真剣に、国民の食の安全、そして、そのことのために本当に体を張って日本の国民の食を守っているんですよ。だから、そのことの前提を、ここまで一生懸命に職員ともどもやっていることは御理解いただかなきゃだめでございます。

山田委員 副大臣の意気込みはわかります。意気込みはわかりますが、実際としては、今言ったように、残留農薬基準にしても、すべてのことで、結果としては、消費者のこと、いわゆる国民のこと、生産者のことなんてもう考えていない、そうとしか思われないと私は思います。

 次に進みたいと思います。

 実は、学校給食のパンに、いわゆるマラチオン、これがかなり見つかったわけですが、それを検査している検査機関に私も行って、そしていろいろ話を聞いてまいりました。アメリカから輸入している小麦の残留農薬。このマラチオンというのはマラソンという農薬で、私もかつて使ったことがあったんですけれども、視神経をやられるとか、結構強い農薬なんです。そう言われている農薬ですが、これについては慎重に扱わなきゃいけないんですね。

 ところが、〇・五ppm、これが農薬取締法での安全の基準だったわけです。それが、いつの間にか厚労省の食品衛生になると八ppmになっている。これは、厚労省の副大臣、何倍ですか。かなり、何十倍かですかね、八ppmまで残留基準が一気に上げられている。これはどうしてでしょうか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 小麦におけるマラチオン、マラソンと言われますと、私も、昔、おやじが同じ名前の農薬を使っていたのを思い出す名前でございますが、これは実は、英国、EU共通の基準が八ppmということでございまして、この基準をもとにして、我々も当時の食品衛生調査会によってリスク調査等を実施して、そして八というふうに決めさせていただいたものでございます。

山田委員 資料二の三を見ていただきたいんですが、小麦は最高三ppm、国際基準、いわゆるコーデックス基準というんでしょうか、こうなっているわけですが、八ppmになった。これもアメリカの基準に合わせたんですかね。いかがですか。

西副大臣 先ほどジャガイモのケースの場合にも申し上げましたとおり、例示として小麦三ppm、農薬を限定せずにこういうふうに書かれておりますが、一般的な例示として三ppmというふうに挙がっているというふうに承知しております。

山田委員 私の方もコーデックス委員会の基準値とかいろいろ調べておりまして、この小麦の問題はまたこれからやることにしましても、一つどうしても納得できないのがある。

 ホウレンソウ、これはクロルピリホスという農薬ですが、その残留農薬基準が〇・〇一ppm。ところで、岩永副大臣も農業は少し経験があるかと思われますが、コマツナとホウレンソウというのはそんなに違いはないですね、食べる方にしても栽培する方にしても。コマツナの残留基準が同じ農薬で一ppm。百倍高い。これはどうしてでしょうか。

岩永副大臣 そんなことを今急に聞かれても、答えようがございません。

山田委員 今、ただ、コマツナとホウレンソウの違いを岩永副大臣に聞いたので、実際に、コマツナとホウレンソウと残留基準が百倍違うのはなぜかという理由は厚生労働副大臣からお聞きしたい。

西副大臣 岩永副大臣がお答えになったので、私はちょっと安心をしていたところなんですが。

 実は御指摘のクロルピリホスのホウレンソウ及びコマツナに係る残留基準、これはいずれにつきましても、国際基準が設定されておりません。

 国内では、いずれの作物にもこれは使用が認められておりません。こんなこともございまして、いずれも、海外の基準を参考としてそれぞれ設定させていただいたところでございます。

 具体的に申し上げますと、コマツナ、ホウレンソウとも、オーストラリア及びEUでは検出限界の値をもって基準とする。コマツナそのものにつきましては米国の基準がございます。仮にコマツナに米国の基準を設定したとしても、一日許容摂取量の範囲内におさまるというところから、ホウレンソウはオーストラリア、コマツナはアメリカの基準を参考にしてこういう結果となっているということでございます。

山田委員 ホウレンソウはオーストラリア、コマツナはやはりアメリカに合わせたということですが、食の安全のために、日本人の消費者の健康のために、日本で独自の試験というものを何でやらないんですか、厚生労働省は。

西副大臣 今のところ、こういうそれぞれの外国の基準を採用しておりますが、一ppmの値をコマツナに適用する際におきましても、日本で独自にこの試験をいたしまして、その上で採用しているところでございます。

 そんな意味で、独自という意味では、外国の値を参考にはいたしておりますが、日本人の食生活に適用して、一日の許容量も考えた上で安全という範囲を決めているという意味では、私は、内容につきましては十分意味を持っている重要な値だというふうに考えているところでございます。

山田委員 農水大臣も副大臣も政務官も、皆さんこういうふうにお聞きですが、いいですか、コマツナとホウレンソウとはほとんど同じものですよ。これについて、一つはオーストラリアの基準に合わせて〇・〇一ppm、一つはアメリカの基準に合わせて百倍の同じ農薬で一ppm。それで、それなりに意味がありますと。何でホウレンソウはオーストラリアに合わせて、コマツナはアメリカに合わせたんですか、副大臣。

西副大臣 御質問が、どの値がどうだったか、ちょっとわかりにくかったんですが、残念ながらこのクロルピリホスという農薬に対しましては、ホウレンソウに関しては米国の基準値はございません。ただ、コマツナに関して一ppm、こういう基準値がございまして、ホウレンソウは、そういう意味ではオーストラリア、EU基準、それぞれ〇・〇一、〇・〇五という基準もございますが、アメリカの基準を我が国に適用するとしたら日本の食生活上どうなるかという、一日のいわゆる許容量を計算して、そしてその上で日本のこの独自の検査の上で十分耐え得るものというふうに自信を持って定めた次第でございます。

山田委員 どう考えてもこれは納得できない。しかしながら、私ももうちょっと時間があると思ったらちょっと短くなったので、少し急ぎます。

 これは、平成十八年五月、来年から、ポジティブリストということで、今まで残留基準が決められていない農薬に対しても、すべて残留基準を決める作業を今厚労省でやっていると思いますが、全部が全部今までみたいに、アメリカの基準に合わせるとか、そういうことでは本当に食の安全は保てない。そういう意味では、EU各国の基準とアメリカの基準も含めて、そして日本の従来の農薬取締法の基準と、これは主意書でもって明らかにさせていこう、そう思っておりますが、ここはひとつ慎重にやってもらわないと、食の安全は、あのときの西厚生労働副大臣が決めたときにこういうことになって、後でということになったら大変です。どうか慎重にしていただきたいと思います。

 それから一つ、大豆。この遺伝子組み換えの大豆がかなり日本に入ってきています。我々の食用油の、少なくとも植物油の食用油では九八%以上はこの遺伝子組み換えの大豆、そして遺伝子組み換えのカナダの菜種油で我々が食している植物性の食用油がつくられているんじゃないか、そう思います。

 実際、私もこれは、遺伝子組み換えの食用油が人体にどういう影響を及ぼすのか、その辺いろいろちょっと当たってみたんですが、いろいろな学説があります。例えば人体に影響がないという学説も当然あります。しかし、人体に影響があるという学説も論文も読ませていただきました。

 その中で私はある統計に気づいたんですが、この十年間にアトピー症が三〇%ふえています。これは人体に影響があるという学説の中に、アレルギー症があるんじゃないか、そう言われておりまして、このアレルギー症の疑い、これはもう、水俣病でもそうですが、後になってわかる。カドミウム害でもダイオキシンでも後になってわかるということですから、この遺伝子組み換えの、人に対する影響も、後世、後になってわかってくることがあるんじゃないか、そう考えておりまして、この食用油にしても、アメリカのものに頼らず、私ども民主党がまとめ上げた、菜種油を三十万トンつくって食の安全に寄与する、自給率を上げる、これはぜひ考えていただきたい、そう思っているところです。

 一つお聞きしたいんですが、大臣、あるいは厚生労働副大臣でも構いません、岩永副大臣でも結構ですが、私どもが食している食用油のほかに、しょうゆについて、さっき言った遺伝子組み換えの油を搾った、食用油を搾油した後の大豆かす、これでもって十七万トンもしょうゆがつくられている事実は大臣御存じでしょうか。

島村国務大臣 つくられている事実は存じておりますが、量的なことは私にはよくわかりません。

大口大臣政務官 しょうゆにつきましては、平成十五年に約九十八万キロリットル生産されており、その原料として、丸大豆及び脱脂加工大豆、これは大豆かすですが、二十二万トン使用されています。この原料のうち脱脂加工大豆が約十八万トンですが、業界団体によれば、この三割に当たる約五万トンに遺伝子組み換え大豆、また、分別されていない原料、生産量に換算して約二十四万キロリットルが使用されている可能性があると聞いております。

山田委員 これは業界団体からの話じゃなく、大豆はほとんどが遺伝子組み換えの大豆、これが搾油に回されて、そのほとんどがいわゆるしょうゆに、その二十二万トンのうち十七万トンがそれに使われている、私が調べた限りでは、農水省から資料をいただいた限りでは。

 私の方の持ち時間も少なくなってまいりましたが、一つ最後に、大臣、豆腐、納豆について、国産大豆使用という豆腐を我々はよく見かけます。日本の規制では五%までは遺伝子組み換えの大豆が入っていても構いませんということになっているんですが、EUは〇・九%まで、しかも私の情報では近く〇・五%まで厳格にすると聞いています。

 その中で、実際に、豆腐については、いわゆる遺伝子組み換えかどうかの豆腐の検査をする際に、それが定量的に五%なのか一%なのか二%なのかということは、これがわからないんです。調べようがないんです。これは私、何度も確認しましたので。

 そうなれば、国産大豆使用というのもいかがわしい。これはいわゆる遺伝子組み換えの大豆が八〇%ぐらい入っていても国産大豆使用豆腐として通用しているかもしれない。これは食の安全にとって大変大事なことなので、この点十分に、その業界から聞いただとかそういうことではなく、調べていただいて、ひとつ食の安全のために農水省は十分な配慮を払っていただくことを私からも切に要望し、私ども民主党の、いわゆる大豆にしても二十七万トン、それ以上、十年たっても、食料・農業・農村基本計画ではふやさない、そんなものではなくて、大豆も少なくとも五十万トンはつくる、それくらいの決意、それを持って頑張っていただきたいと思います。

 質問を終わります。

山岡委員長 次に、池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 農水で質問いたしますのは久しぶりでございます。

 食生活を担っておりますのは大体女性でございます。生鮮食料品売り場ももっと男性の方に来ていただきたいと思いますけれども、現実には大多数が女性であるということは、食生活を担っているのが女性である。女性がどのような意識を持って食生活をしていくかということは国民の健康管理にも大きな影響を与えていくのではないかと思います。そういう意味では、女性の果たす役割は大だと思っております。

 私はこう見えましても主婦でございますから、細心の注意を払いながら、食生活には、子供に本当に健全な食品をというふうに努めてまいったつもりでございますし、今もまた長女の子供に対しても細やかな注意を払っております。

 この間、尾道の小学校の陰山さんという校長をお呼びいたしましたときに、朝御飯を食べてまいります子供は学力がいいんだそうです。朝御飯を食べませんと学力低下に結びつく。そういうことで、今審議になっております食育基本法とか、あるいはまた栄養士が栄養教諭になります。きちんとした食生活の大切さというのを子供たちにも教えなければいけないというふうに考えております。三十年前と今の子供たちは、体格はよくなったけれども体力は落ちているというのは、やはり食べ物も関係しているのではないかというふうに思っております。

 そういう観点からまいりますと、JAS制度というのは昭和二十五年につくられた。少なくとも消費者、生活者にとりましては、これは安心、安全、どういうものを選んだらいいかというときの一つの基準になると思っておりますし、また、生産者もいい物をつくっていこうという意識が芽生えてくるのではないかというふうに感じております。

 政府は今までも、消費者が安全、安心な食品を選択できるように、平成十一年には品質表示基準制度の見直しを行われました。また、平成十四年には表示違反に対するペナルティーの強化などの改正をなさっていられます。

 今、何か質問を伺っておりますと、一体何を食べたらいいのか、何にも食べられないじゃないのという感じがいたしておりますけれども、大臣は食の安心、安全についてどういうふうに考えていらっしゃるかをまず伺わせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、白保委員長代理着席〕

島村国務大臣 池坊委員にお答え申し上げます。

 食は国民生活にとって一日たりとも欠かせないものでありまして、また、BSE問題などいろいろな問題が起きてから、これを契機として国民の関心が非常に高まっているところであります。そういう意味では、単に供給をするということだけではなくて、安全、安心ということも大前提として、これに対する供給責任を果たしていくというのが私どもの努めであります。

 このため、当省といたしましては、産地段階から消費段階にわたるリスク管理の徹底、あるいは食品表示の適正化を通じた消費者の信頼の確保、そして食育の推進などについて総合的に施策を推進しているところであります。

 今後とも、食品安全基本法の理念に基づきまして、国民各層への情報提供や意見交換に努めながら、国民の健康保護を第一として、消費者に信頼される食料の供給体制の確立に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

池坊委員 ちょっとだけ安心いたしましたけれども、私どもは、政府を信頼してさまざまな食品を選んでおります。ですから、そういう意味では、大臣以下、行政に携わっていらっしゃる方々の責任は重い。一億二千万の国民の生活に、そして健康にかかわるとお考えいただきたいというふうに思っております。

 表示の問題なんですけれども、私は京都に住んでおります。京都は、言うまでもなく宇治茶で有名でございます。私は、お茶は、やはりそれぞれの種類によって温度も違う、心を込めてお茶を入れて、ただ単にのどを潤すだけではなくて、心の安らぎを感じながら飲む、あるいは相手に対しても、一杯のお茶を媒体として心の交流がある、そういうようなお茶の飲み方が好きではございますけれども、今、御承知のように、ペットボトルというのが大はやりでございます。平成十六年には二百三十六万五千キロリットルと、考えられないような膨大なペットボトルが出ております。私も新幹線に乗りますときはペットボトルが旅の友でございまして、きょうはカテキンの多いのとか、あるいは中性脂肪を取るのとか、いろいろ選びますのが楽しみでございます。

 これなんですが、私は、食品をとりますときには、必ず、賞味期間はいつまでなのか、そして原産地はどこなのかというのを確認して求めることにいたしておりますが、これが、実は表示がございますものもありますけれども、ないものも多いんですね。

 言うまでもなく、中国産の桃が出てきたり、桃といえば私は岡山だと思っておりましたが。また、アサリと思っていたら北朝鮮のアサリだったとか、あるいはこの間は滋賀県で、十一カ月だと言われていた牛肉が一カ月だったと。いろいろ偽装の表示がございます。また、輸入物の野菜は残留農薬の基準がはるかに日本の基準を超えていたというようなものもございます。

 これは昨年、基準が改正されまして、緑茶の原料原産地が義務表示対象になりました。にもかかわらず、その加工品であるペットボトル、いわゆる緑茶ドリンクは原産地表示の義務対象にならなかったからだというふうに聞いております。飲みますものには書いてあるのもございます。それから、書いていないのもございます。大体、ウーロン茶は書いてございます。

 これは、どうしてそういうふうになったのか。一律に、ペットボトルは、やはりどこのものだというふうに明記されております方が、私たちが消費者としては安心いたします。それからまた、お茶を生産している人にとっては、日本のお茶を使ってほしいな、それは、誇らしく生産しているわけですから、これもやはりきちんと表示してほしいと思っていると私は思うのですね。

 この点についてはぜひ大臣にお伺いしたいと思いますのと、あわせて、これはぜひ表示をしていただきたいと強く願って質問させていただきます。

島村国務大臣 加工食品の原料の原産地表示の対象品目については、昨年九月から大幅に拡大いたしまして、生鮮食品に近い加工食品を横断的に対象としたところであります。

 この検討の中で、ただいま御指摘のありました緑茶飲料や果実飲料あるいは野菜飲料などの飲料につきましては、一般に搾汁、抽出、ブレンドなどの加工技術によって一定の品質を維持しており、原料の産地も変動する場合があるなどの特性から、義務表示の対象とはいたしませんでした。

 なお、原料原産地表示の推進は、消費者への情報提供という観点から重要なことと考えておりまして、その対象品目につきましては、今後、製造や流通の実態、消費者の関心などを踏まえ、必要な見直しは行ってまいりたい、こう考えております。

池坊委員 緑茶ブレンドは、確かにブレンドはされておりますけれども、いろいろな種類のものを加工しているのではなくて、お茶であること、これ一つでございますから、これを表示するのはその気におなりになったら簡単なのではないかと私は思います。ぜひこれは大臣在任中にこの表示をしていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。

島村国務大臣 先ほど、私の基本姿勢として迅速的確を旨としてみんなに強調しているところでありますが、最大限急ぐことはお約束できますけれども、物理的に間に合う、間に合わないについては、いつまで私の在任が続くかわかりませんので、誠心誠意、できるだけ皆さんが安心してこういうものを食することあるいは飲むことができるように努力をしたい、これだけは申し上げておきたいと思います。

池坊委員 迅速にというお答えをいただきましたので、しっかりとそれを受けとめさせていただきたいと思います。

 農林水産物の攻めの輸出、それの促進について大臣にお伺いしたいと思っております。

 これもお茶でございますが、京都のある地域がフランスに参りまして宇治茶をPRいたしましたら、大変フランス人に喜ばれたようでございます。そして、今、日本の食料というのはヘルシーであるとかいろいろなことを言われておりまして、欧米で盛んにブームになりました。今や経済発展を遂げまして、欧米だけでなく東南アジアでも、一個千円のリンゴを買うというふうに聞いておりますし、北海道の長芋は台湾の薬膳料理にも使われているというふうにも聞いております。

 この間、そういうことを踏まえながら、奥田経団連会長もいらっしゃいまして、総理もお出ましになって、これからどんどん輸出をしようじゃないかと。私はそれを伺って大変心強く思ったんです。

 先日、テレビを見ておりましたら、島村大臣が、お米は九五%自給している、それからお野菜は八二%なんだ、お米と野菜だけ食べていたら日本人は自給できると。私は自給できますけれども、子供たちのためには牛肉等の輸入はしなければならないわけです。今まで、どちらかといいますと、食料というのは輸入されることに対していろいろと受け身になっているように思うんですね。

 これからどんどん、やはり私は日本の食生活というのは日本の文化の輸出だと思います。それによって日本の関心も高まり、日本を知ることにもなりますし、また、日本に行こうという気にもなっていくと思いますので、ぜひこれを展開していただきたいと思いますけれども、どのようにこれから展開されるか、そういう道筋あるいは計画などがおありになりましたら、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

島村国務大臣 先日の四月二十七日の発足に当たって御出席をいただいたそうで、お礼を申し上げます。

 我々はこれをただお題目だけ考えているわけじゃございませんで、現実に、日本の食品が海外から非常に歓迎されていることはいろいろな実例がございます。例えば、我々が何げなく食べている白桃などは台湾では貴族の果物、こう言われているそうでございますし、リンゴが上海で二千円で売れたというのも事実としての報道がありました。こういう事ごとを一つ一つ挙げますと、ナシにしてもミカンにしてもすべてそういう可能性を持っているわけでありますが、日本の今までの取り組みというのはこれらについて十分でなかったという反省に立って、我々はこれらに大いに取り組もうとしているところです。

 ちなみに、たしか農産物の輸入の総額は六兆五千億と記憶していますが、日本が今出しているのはわずか三千億くらい。せめてこれを五年間で倍増と言っておりますけれども、私どもはひそかに、倍増でなくてもっと広げることができないものだろうかと。

 例えば、中国が最近輸出国から輸入国に変わってきております。私、前の大臣のときには、お米に対しての競合する国として一番恐ろしいのはアメリカだというのが一般常識であったのに、実はそうではございませんで、中国の方が恐ろしいという話を聞いたことがありました。ところが、最近はそういうふうにさま変わりしてくると、今度は十三億の民がいるわけですから、お米の輸出に関しても可能性があるのではないかと。

 だから、検疫問題その他についての障害を乗り越えるために今そういう努力をしてもらっているところでありますが、将来に向かっての、日本型の食生活が海外でブームを呼んでいるわけですから、これらの輸出については努めて努力をしたいと思います。

 その一方で、やはり自給自足が基本である食料でありますから、これからもっともっとお母さん方に特に御理解をいただいて、日本型食生活、これが美容と健康、あるいは長寿にも非常に大きな立派な結果をあらわしているわけでありますから、これらを努めて皆さんに御理解いただく中で改めてこの認識を深めていきたい、こう思っておるところでございます。

池坊委員 大変心強い大臣の御答弁を伺いまして、これから給食も御飯をもっとふやすべきではないかと私は思っております。先ほどおっしゃったように、中国でも、おいしい御飯だということで炊飯器とセットになって今売り出されているというので、大変に私は関心を持ちました。どんどんそうしていただきたいというふうに思っております。

 先ほども話題になりました偽装表示、これについてお伺いしたいと思います。

 偽装表示をなくすためのチェック機関の強化が必要かと私は思っております。もっと監視体制の整備をすべきではないかというふうに思っているのです。

 政府は、これまでも地方農政局等の職員による監視、指導のために監視業務に専従する職員を配置していらっしゃいますけれども、やはり私は消費者の方々の協力が欠かせないのではないかと思っております。

 消費者の協力によって、監視体制としては、食品表示一一〇番、これは全国で六十五カ所あると伺っております。それからまた、ボランティアの方々のお力によって日常の買い物の中での食品表示をモニタリングする食品表示ウオッチャー、これは四千百人というふうに伺っております。

 私は、まず、食品表示一一〇番を知っている人というのが少ないと思うんですね。これが一点。広報を、もっと広める努力をしていただきたいと思います。

 それから、私、これは六十五カ所というのはいかにも少ないという気がするんですね。偽装表示というのは、加工とか流通過程で偽装されることがあって、スーパーもまた被害者であるという場合があると思うんですね。そこでそういうものが置いてあると、主婦はやはりそこのお店に何となく行くのをやめましょうということになります。スーパーにも表示してはどうかというふうに考えておりますので、それに対してどうお思いになるか。

 もう一つは、食品表示ウオッチャー。これは先ほど申し上げましたようにボランティアでございますけれども、ボランティアの力をもっともっと活用したら、もっともっといいウオッチャーさんがふえるのではないかと私は思うんです。お買い物に参りますのは、毎日のように主婦は行っているんですね。これはおかしいわとか思いましても、それを持っていく場所がないわけです。やはり、偽装表示を許さない社会というのをつくっていかなければいけないと思いますので、これについてどうお考えかということをお聞かせいただきたいと思います。

 あわせて、検査なんですけれども、一度取得いたしますと、これは永遠にその取得が続いていくわけですね。年一回これは監査されますけれども、私はやはり、これではチェック機能が余り果たされていないのではないかと思いますので、続けてたくさんの質問を時間がございませんのでいたしましたけれども、丁寧にそれぞれについてお答えいただきたいと思います。

大口大臣政務官 今、たくさんの御質問をいただきましてありがとうございます。

 今、食品の偽装表示をなくすためのチェックのシステム、これはしっかりやらなきゃいけない、まさしくそのとおりでございまして、こういう虚偽表示の事件が頻発しておりますので、しっかり農水省としてもやってまいりたい、こういうふうに考えております。

 その中で、今委員からも御指摘にありましたように、全国の地方農政局、地方農政事務所に二千名の職員を配置して、小売店舗などに対し監視、指導を行っているところでございます。特に、消費者の関心の高い品目については、仕入れ伝票などにより表示の根拠を確認し、必要に応じ納入業者への遡及調査を行うことなど、徹底した調査を行っております。アサリなどもそういう形でやったわけでございます。

 それから、今、食品表示一一〇番、これについて六十五カ所だということで、もっと身近なところに置くべきではないか、こういうお話もございますが、ただ、食品の偽装表示というものは、非常にこれは重大なことでもありますし、また、きちっと専門家が確認をしていかなきゃいけない、こういうこともございます。そういう点で、農林水産消費技術センターの各センターでありますとか、あるいは地方農政局でございますとか、そういう形で、もうほとんど全国網羅的にこういう窓口を置いておるわけでございますので、そこら辺も御理解をいただきたい、こういうふうに思っております。

 それから、登録認定機関ですね、これは認定、登録しますとずっと続くんじゃないかということにつきましては、毎年一回、監査をしっかりと行っておりまして、この監査を厳格にしていくということが大事である、こういうふうに思います。

池坊委員 多分、年一回の監査をもっと厳しくしよう等々のことでこのJAS法の改正が行われたのではないかというふうにも考えておりますけれども、やはり、一たん認定されたらもうそれでいいということだったら、品質を変えるということもございます。ですから、必ず年一回の監査というのはきちんとやっていただきたいと思っております。

 それから、今政務官がおっしゃいました専門家、難しいから専門家の力が必要なんだよとおっしゃいました。それはそうだとは思いますけれども、消費者、生活者というのは、毎日食品と向き合っておりますから、専門家と同じような力を個々人は持っているのではないかと思いますので、もっとこの消費者の力に頼るという工夫をぜひしていただきたいと思います。今のままでは、これはどちらにいたしましても、広報活動をもっとしていただきたいと思いますので、ちょっとしつこいようですが、もっとするという積極的な御答弁を伺いたいと思います。

大口大臣政務官 例えば、食品表示ウオッチャー、これも四千百名、平成十六年度は活躍していただいておるわけでございます。そういうことで、どこへ持っていけばいいのか、おかしいなと皆さんが思ったことも、持っていくところをもっと広報していく、そして、ここへ持っていけばちゃんとチェックしてくれるんだなということを、消費者が届け出しやすいように、そういう広報活動はしっかりやっていかなきゃいけない、こういうふうに思います。頑張ります。

池坊委員 次に、JASの取得件数が伸びない理由について、私はちょっと伺いたいと思うんですね。

 今回の改正の大きな柱は、流通の方法についての基準を内容とする日本農林規格、JAS規格の導入でございます。

 流通JASの導入は、認証を受けた農林物資の価値が高められ、商品が差別化される、そういういい点がございます。生産者、流通業者は取引先を拡大できるというメリットも期待しているのではないかと思います。また、第三者機関の登録認定機関からお墨つきを受けたことによって、消費者も商品を選択することができる。そういうようないい点があるにもかかわらず、これは、今までも制度化されておりましたJAS制度も含めて、取得をしようとする生産者、流通業者が増加しておりません。これでは絵にかいたもちではないかというふうに思うんです。

 事実、有機農産物JASの取得をした生産農家数というのは伸び悩んでおりますね。私も、お野菜は必ず無農薬というのをいつも週一回運んできてもらっておりますけれども、この有機の格付実績も、平成十五年度の実績で国内総生産の〇・一六%とわずかでございます。

 それからまた、牛肉と豚肉で導入している国内生産情報公表JASも取得件数が伸びていないのは御存じのとおりだと思います。牛肉はJAS戸数シェア率一・九%、豚肉はJAS戸数シェア率〇・一%でございまして、これをこれから、どこに原因があってどうしていこうと思っていらっしゃるかを、時間もございませんのでちょっと簡潔にお答えいただきたいと思います。

大口大臣政務官 JASの認定件数が伸びていない、先生御指摘のとおりでございます。

 むしろ、この平成十一年は一万二千六百二十二件あったものが、平成十六年は六千八百二件というふうに減っているではないかということもあるわけでございます。ただ、有機の方は、確かにちょっと伸び率がそれぞれ伸び悩んでいるじゃないか、こういう御指摘はそのとおりでございますけれども、これにつきましては、しっかりとこれからいろいろと、この原因自体が、実はこれだけ減っているというのは、一つは、旧来の認定工場のうちJAS製品を出荷していない工場のほとんどが新たな認定を受けていなかったことですとか、あるいは格付率が著しく低いなどの存続性の乏しいものについて、五年ごとの見直しで三十二品目減らしたとか、こういうことが原因であるんですね。

 いずれにしましても、JASマーク品というものが、非常に製造、販売にメリットを感じてJASの認定の取得が促進されるように、消費者や事業者の御意見を伺いながらJAS規格の見直し作業をしてまいりたい、今回の改正もその一環である、こういうことでございます。

 有機についても、あるいはトレーサビリティーにつきましては始まったばかりでございますけれども、しっかり御理解を得るために、広報等も周知、普及もしてまいりたい。消費者が非常にこのJAS制度というものを理解していただくことによってまたJASの認定を受けよう、こういうインセンティブも働くのではないかと思います。

池坊委員 確かに、今おっしゃいますように、取得に手間がかかるとか、取得しても生産者にとって余りメリットがないとか、あるいはJASの取得にかかる手数料が高いというようなことも問題になっておりますので、ぜひこれはもう一度検討していただけたらというふうに思っております。

 時間が参りましたので、今回、改正の一つの柱でございます公益法人改革に対応した登録認定機関制度の見直しでございますけれども、これは民間の第三者機関に移行されるということでございます。国際標準化機構ガイド65を採用すると。

 これによって、二点ございまして、手数料が高くなるのではないかという危惧がございます。それから、余り細かく、厳しくされるとしたらこのまま存続していくことは難しいのではないかと危惧している業者もございます。この二つにお答えいただきたいと思います。

 それにあわせまして、この手数料というのが割と幅があるんですね。例えば有機ですと、最低は五万円ぐらいです。それから最高は二十万なんですね。こういうのがどうしてこんなに差があるのかなというのもございまして、もっともっとこれから手数料が高くなったら、有機の人たちは割と小さくてつくっている農家が多いので、とてもこの認定料が払えないとかいうようなこともあると思いますので、その辺もあわせてお答えいただきたいというふうに思っております。

大口大臣政務官 まず認定の基準につきましては、従来のISO65を使っておりましたので、その基準につきましてはきちっと周知徹底をしていきたいと思います。

 それから、認定の手数料が今まで以上に高くなるのではないか、こういう御心配でございます。

 このJAS法の今回の改正によりまして、登録認定機関の認定手数料は、農林水産大臣の認可制から届け出制へと変更されるわけでございまして、そういう点でちゃんとチェックをされないのではないか、こういう御心配であるかと思いますけれども、認定手数料は、認定業務の適正な実施に要する費用を考慮して各登録認定機関が設定することが可能となるわけでございますけれども、その認定手数料について、平成十二年度の制度発足以降、登録認定機関による認定業務が既に幅広く定着していることから、届け出制に変更いたしましても、これによって手数料が不当に高くなるようなことがない、こういうふうに考えております。

 なお、今回の改正で、登録認定機関に対する業務改善命令の創設がなされましたので、監視、監督のための措置を充実させることによりまして、これを活用して、登録認定機関の適正な業務運営の確保に努めてまいりたいと思います。

 また、JASの認定手数料が、同じ認定を行うのに高いのと低いのがあるじゃないか、こういうことでございますけれども、この認定手数料は、認定登録機関ごとに、認定業務に係る人件費、事務費、その他の経費などに基づいて算出されるもので、その水準は異なるものとなっております。なお、認定手数料の設定に当たっては、今言いましたように、適正な業務運営の確保のためにきちっと監視、監督してまいりたい、こういうふうに考えております。

池坊委員 時間が参りました。今回の改正が、公益法人改革に対応した登録認定機関制度の見直しではございますけれども、それだけでなくて、民間にただ委託したということでなくて、委託したことによって、より内容が充実したというものになっていただきたいというふうに願っております。

 私、ずっと大臣がぶっ続けで御出席でいらっしゃいますので、途中でどうぞ御退席いただいて、大臣も人間でいらっしゃるのでお食事などもなさりたいのではないかと思って、それを申し上げようと思っておりましたら、私、自分の質問に夢中になってしまいまして、言うのを忘れましたことを深く申しわけなく思っております。本当にずっといていただきまして、ありがとうございました。

白保委員長代理 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最初に、今回の法改正の主要な部分である有機JASと登録認定機関について伺いたいと思うんですが、前の方何人かの方が質問されておりましたので、簡潔に確認だけをさせていただきたいと思っております。

 これまでの、農林水産大臣またはその代行機関がJASマークを貼付することができる製造業者等を認定する仕組みが、民間の第三者機関が設定する仕組みに移行され、登録認定機関の登録基準を法律に明記することで行政の裁量の余地をなくすというものであります。

 そこで、登録認定機関の登録基準としてISOガイド65を採用するということについては、有機農業生産者からは、良心的な料金で農家の認証をしてきた認証機関が存続できないのではないかと懸念が出されております。また、認証機関がそのための体制づくりの経費を認証料金に転嫁をし、引き上げにつながるのではないか、そうした懸念も出されておりますが、この点について農水省のお考えを伺いたいと思います。

    〔白保委員長代理退席、西川(京)委員長代理着席〕

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ISOガイド65を採用することによって、さまざまなかかり増し経費等々がかかるんじゃないか、あるいは、既に登録認定を受けている小規模な機関にとって、さらに登録の更新をする際にいろいろと負担になるのではないかという趣旨のお尋ねでありますけれども、これまでも、実際に業務規程などの認可に当たりましては、ISOガイド65を参考にしながら審査をしてきております。

 したがいまして、現在既に登録認定を受けておられる方であれば特段問題なく、きちっとした業務を日々行っている機関であれば、今度新たな改正後の制度のもとで登録をしていただく際にも特段大きな負担になるようなことはないというふうに考えておりますし、この点につきましては、これまで機会あるごとにそういった有機の登録認定機関の方々にお集まりいただいて説明もしてきておりますので、重ねて御理解いただきたいというふうに思います。

高橋委員 この点では、有機の生産者の皆さんの不安が解消されて、懸念が当たらないようにぜひお願いしたいと思っております。

 やはり、有機農業の支援の仕組みについて、表示制度は整ってきたわけですけれども、それ以外にないということがまだ不十分だと思っております。今回の改正で、外国の登録認定機関の要件緩和もございました。一概にそのことがイコール輸入増だという言い方はしませんけれども、ただ、国内有機生産者がもっと頑張って生産をふやしたい、あるいは有機を始めたい、そう思ったとしても、国内ではさまざまなハードルがある一方、財政支援はない、認証に手間をとる。そういう中で、外国からは有機という名で安い農産物がどんどん入ってくる。それではやっていけるかどうかということが問われてくると思います。いわゆる偽装表示などを的確に防ぐことができるかという問題もあります。

 そこで、やはりこれをもっともっと中心的に据える上で、有機農業振興法のような支援法を政府として策定し、財政的措置も含め有機農業支援に重点を置くべきと考えますが、これは大臣の見解を伺いたいと思います。

島村国務大臣 お答えいたします。

 有機農業は、土づくりを基礎に化学肥料や農薬を使用しないことを基本とする農業でありまして、環境保全を重視する農業生産の一つの形態として大変好ましいものであります。また、消費者の安全、安心の要請にこたえる農産物を供給するものであると同時に、農林水産省としても、その取り組みを、これを特に推進しているところであります。

 具体的には、これまでも、化学肥料や農薬の使用を低減する技術の開発普及といった施策のほか、法律としても、有機農産物などの表示の適正化を図るためのJAS法、あるいは、環境保全を重視した生産に取り組む農業者に対する支援のための持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律があり、既に所要の法制は整備されているものと考えております。

 今後とも、これらの施策を推進し、有機農業への取り組みを支援してまいりたいと考えております。

高橋委員 所要の法制は整備されているというお答えでありましたけれども、この点については、私自身も有機農業振興議連にも入っておりますし、引き続いて振興法制定に向けて要望していきたいと思っております。

 次に、JAS法に基づく食品の表示制度について、先ほど来出ておりますけれども、加工食品の原料原産地表示について伺いたいと思っております。

 昨年の九月にJAS法に基づく加工食品の品質表示基準が改正されて、二十食品群の原材料の産地表示が義務づけられました。まず、簡潔にお願いしたいんですけれども、表示を義務化するべきとなった基準、この考え方について説明を願います。

中川政府参考人 二十品目群に義務づけの対象を拡大したわけでありますけれども、そのときの基準といたしましては、加工食品の原材料がどこでとれたものか、どこでつくられたものかということが最終の加工品に影響する、そういうものであることが一つ目の基準でございます。それから二つ目の基準として、何でもかんでもということではなくて、加工食品の中の主要な材料であるということが二つ目の基準でありまして、これは重量で見て五〇%ということであります。

 この二つの基準で、いろいろな加工食品を横断的に把握するという作業を行いまして、これは食品の表示に関する共同会議というところで審議をいただいたわけでございますが、その審議の結果、冒頭申し上げましたような二十品目群、これは基本的には加工度が比較的少ないという食品になりますけれども、こういったものに絞られたというものでございます。

高橋委員 共同会議の資料もいただきましたけれども、加工度が少ない、生鮮食品に近いということが一般的に説明をされていると思うんですね。

 ただ、今お話しされた主要な材料が五〇%とか、そういうことがあるものですから、二十食品群とはいえ、ただし書きが大変多くて、実際には対象にならないものが非常に多いわけであります。例えば、刺身の盛り合わせはだめである。焼き肉セットは肉だけなら確かにいいんですけれども、なべセットは、生鮮食品だけというただし書きがついてございますので、つみれとか、練り物が入っていればそれは対象にならない。さっき出ましたけれども、フライの場合は、揚げてしまったり冷凍してしまえばだめだと。

 そういうことを言うと、事細かにただし書きがついていて、実際には大幅に改正されましたとさっき報告されましたけれども、そうではないことがわかる。これはむしろ混乱を招くのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

中川政府参考人 原料原産地の表示を義務づけるということは当然のことですけれども、それが守られなかった場合には、指示、公表あるいは命令、さらには一定の罰則というふうなことで、そういう強制措置を伴うものでございます。したがいまして、どういう考え方でこの品目が選ばれたのかということは、やはり客観的な一つの尺度でもって説明できるものでないと消費者の方々にも御理解いただけないというふうに思います。

 もちろん、この二十品目群に選定をするに当たりましては、すべてパブリックコメントにかけましたし、全国九カ所で意見をお聞きするような機会も設けたわけでありまして、こういったさまざまな意見も踏まえて今のような品目になっているということでございます。

高橋委員 そのパブリックコメントも見ましたけれども、先ほど大臣がおっしゃったようなカップめんのような話でございまして、製造業者にしてみたら、そんなにたくさんの原料が入っていたらとてもとても表示なんてできないよ、そういう意見が多いわけですよね。でも、消費者は、知りたいんだという意見、生産者は、表示してほしいんだという意見があって、やはりどちらかというとその声は大きかったということも無視できないと思うわけです。

 続けますけれども、青森県のリンゴ果汁については、私たち、昔から、自分自身が議員になる前から、原料原産地表示について要望をしてまいりました。加工リンゴというのは生食リンゴにも非常に大きな影響がございます。安価な輸入原料との競合の中で、それが生食にも影響して、全体として価格が維持できないという状況になっている中で繰り返し要望されてきたものなんですけれども、私は、リンゴ果汁というのは生鮮に極めて近い状態だ、なのになぜ対象にならないのか、このことを伺いたいと思います。

中川政府参考人 リンゴ果汁は一つの例でありますけれども、果汁飲料は、一般的に見ますと、搾汁あるいは抽出、ブレンドといったさまざまな過程を経てつくられております。ここで果汁の例としてリンゴを先生はおっしゃいましたけれども、果汁飲料ということになりますと、リンゴだけではなくて、さまざまな製品が出ております。ですから、リンゴがよくて何がだめというときには、やはり客観的な基準というものを説明する必要がございます。

 そういうことで、果汁飲料全体の特性を見てますと、今申し上げたような、一定の品質を維持するために、それぞれの企業で、独自のノウハウも持ちながら、供給する原料の産地を移動させていくとか、そういうことも行いながら、一定の品質のジュース、果汁飲料を供給しているわけであります。そういう実態から見ますと、これを義務表示にするということは現在の状況ではなかなか難しいというのが共同会議での御議論の結果ではございました。

 そういう理由によりまして、現在、生鮮食品に近いとはおっしゃいましたけれども、果汁飲料については義務表示の対象にはしていないところでございます。

高橋委員 果汁にもいろいろあるということで、こういう一くくりにされて、逆にそれが可能じゃなくなるというのであれば、非常に納得しかねる答弁かなと思っております。

 私がまだ議員になる前に交渉したときにも同じような答弁がされて、そのときはもっと率直な答弁でしたので私は非常に怒りを感じたことがあるんです。要するに、原料がとれた国から入ってくるまでの間にたくさんの国を経由するんだと。先ほど大臣の答弁の中にあったかと思いますけれども、幾つも経由している国を全部書くのは困難だと。国会では、困難だという表現をされますけれども、私が直接担当者に聞いたのは、企業さんが大変で、とてもそんなのはやらない、そういう答弁だったんですね。

 ですから、結局、輸入する業者、企業、そうした人たちがやりやすいようにとなればそれで済むのかということが当然ございます。私は、このこと自体が問題だと思っているんです。

 つまり、経由国が入り組んでいる、幾つもの国を経由してきているというのは、安全性の確保という点で容認できるのか、チェックができるのか。偽装表示がないのかといっても、さっぱりチェックできない。そうであれば、本来そういうものがまかり通っていること自体に問題があるのではないか。そして、今言ったように、輸入業者の利益の方が消費者や生産者の利益よりも上に来ているのでは問題だ。この点、いかがですか。

中川政府参考人 表示に関します共同会議での議論はすべてオープンにしております。そのメンバーには、消費者の方も生産者の方も、それから学識経験者の方もいろいろ入っております。そういう公開の場で議論をいただいて、かつまた消費者の方々も含めた意見の募集も行った上で現在の基準は決められております。

 もちろん、この後さらに、二十品目群の実施を見ながら、さらにまた関係者の方々の意見、御意向なども、あるいは製造なり流通の実態も踏まえて、さらにこれからどうしていくかということは一つの課題でございます。その問題意識は持っておりますけれども、現在こうなっている理由ということで申し上げれば、今私の方から御答弁させていただいたものでございます。

高橋委員 問題意識は持っているというお話でございました。ただ、先ほど来の説明の中で、加工食品の表示に関しては、消費者のスタンスに立っているんだということがあったと思うんですね。私は、本来ならば、消費者のスタンスに立ったとしても、本当に納得いく形というのは、国内の生産者も意見が一致できる表示でなければならないんじゃないかと思いますし、そもそも生産者の立場に立っていない、そういうことがやはり問題でないのかなと思っております。

 青森県は、昨年、台風でリンゴの落果被害がございました。そしてまた、今冬は例年以上に雪が多くて、園地の枝割れや野ネズミなどの被害がございまして、リンゴだけでも百十八億円の被害でございました。

 これだけ自然に左右をされながら、一方、リンゴというのは常に病気との闘いでもございました。農薬の厳しい基準、また農薬にかかるコスト、そういうものも背負いながら、懸命に生産者の皆さんは頑張っている。だけれども、一方では残留農薬基準もない輸入果汁が入ってくる。それにはどうしようもなく、価格競争には負ける。そういう状況があるわけですね。少なくとも、国内の生産者の苦労が報われる、努力した分、優位に立てる視点が必要だと思います。

 そこで、生産局長に伺いますけれども、平成十六年八月十一日、食料・農業・農村政策審議会生産分科会果樹部会の「果樹農業振興基本方針の策定に当たっての中間論点整理」、この中で国産加工品の位置づけについて、生食用果実の需給調整の問題など一定の役割を果たし、一方、輸入自由化を契機として国産加工品の生産が大きく減少している、こういうことを書きながら、表示については、国産原料使用の加工品であることをPRする必要がある、果実飲料の義務表示対象化を引き続き検討するとともに、当面は製造業者が国産品として強調表示することを推進すべきでないかということをまとめられております。これは、ことしの三月二十五日の基本方針の中でも同じ文言は盛り込まれております。

 この立場に立てば引き続き検討することが当然だと思いますけれども、その点、どうなのか。本当にリンゴ生産者の立場に立ってやっていくつもりなのか、伺いたいと思います。

    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕

白須政府参考人 ただいまの果汁の表示の関係でございます。

 委員からのお話のとおり、この三月に策定をいたしました果樹農業の振興基本方針におきましても、原料原産地表示につきましては「果実飲料の原料原産地表示の義務化について引き続き検討するとともに、当面は製造業者が強調表示するよう推進するものとする。」というふうに決められているわけでございます。

 お話しのとおり、表示の義務化は現在のところ見送られておるわけでございますが、消費者の中にはやはり国産果汁を求めるというニーズもございます。また、生産者のサイドから見ましても、国産果汁を有利に販売していく、そういった観点も踏まえますと、やはり国産である旨を表示するということには一定の意義があるというふうに私ども考えているわけでございます。

 したがいまして、ただいまの、策定されました果樹基本方針におきましても、そういうふうな策定もされておるわけでございますので、私ども、当面、任意ではございましても、製造業者が国産であることを強調表示するように推進するというふうなことでございます。こういった取り組みを踏まえまして、引き続き、国産果汁の消費拡大等々に努めてまいりたいと考えている次第でございます。

高橋委員 ありがとうございます。

 やはり、農水省が生産者の立場に立たないでだれが立つのかということが問われていると思いますので、引き続き、果樹の振興と義務表示化の問題については検討されますようにお願いして終わりたいと思います。

山岡委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本であります。

 JAS法の改正案の前に、リンゴ火傷病についてお伺いをいたします。

 WTOのパネルにおいて日本の敗訴が確定をしたというふうな報道があります。このままだと報復関税というふうな状況になるわけでございまして、今後の日米協議あるいは国内手続がどうなるのか、この点についてお伺いをいたします。

中川政府参考人 米国産リンゴの火傷病に係ります植物検疫措置につきまして、六月の中旬ごろをめどに再パネルの最終報告が全加盟国に配付をされ、公表されることになってございます。

 今回のWTOのパネルの争点、日本がとっておる園地検査ですとか果実の表面殺菌など、そういった植物検疫措置がSPS協定に整合しているかどうかということで、それが科学的な根拠に基づいているかどうかというところが争われたわけでありますけれども、これまで私どもが得ている感触は、日本にとって極めて厳しいということでございます。

 そこで、最終的にこれがSPS協定などのWTO協定の枠組みに整合していないという判断がなされた場合には、アメリカとの間で検疫措置に関します協議を行い、それからその結果を生産者の方々、あるいはパブリックコメントなどを行った上で、結果として日本がとる措置がWTO協定と整合した措置となるように改めざるを得ないということでございます。

山本(喜)委員 WTOに整合した措置に改めざるを得ないというふうなことでしたが、具体的なものについてはまだ、これからさまざま生産者と協議をしながら進めていくということですね。もうちょっと詳しくお願いします。

中川政府参考人 これからの措置というのは最終的にそれが確定してからということになりますけれども、アメリカとの間で、それではどういう形なら折り合えるのかということを協議する必要がございます。その結果を生産者の方々にも御説明するし、それからパブリックコメントといった一定の手続きを経た上で、最終的に日本としての措置を確定するということになります。

山本(喜)委員 ということは、日米交渉で折り合いをつけ得る可能性はまだ残っているというふうなことなんですか。

中川政府参考人 経緯を申し上げますと、もともとは五百メートルの緩衝帯なりやっておったわけです。それが最初のパネルで上級審まで行って、日本の措置がSPS協定に整合していないということで、再度、今度は十メートルの境界帯云々ということでやって、それでアメリカと協議をしたわけですけれども、アメリカとの間で協議が合意に至りませんでした。その結果、日本が独自にこれなら大丈夫だという措置をとったのが昨年でございました。ところが、日本がとったこの措置に対して、再度、パネルをアメリカ側が要求したということで、今その最終局面に来ているわけであります。

 したがいまして、アメリカとの間で協議をすることにはなりますけれども、これまでの経緯からいたしますと、日本の持っている余地、日本がとれる余地というのは極めて限られているというふうに考えております。

山本(喜)委員 そこで、この日本の敗訴、日本の状況が厳しいということの原因の一つに、日本が火傷病が発生していないということで、火傷病に対する研究が不十分だったのが、日米間のいろいろな交渉で、十分に協議の中で反映されなかった。ですから、日本の国内における火傷病の研究体制の強化、この点については今後どのように進めていこうとしているのか、お伺いします。

西川政府参考人 火傷病に関する研究についてのお尋ねでございますけれども、御案内のように、火傷病はリンゴ、ナシに重大な影響を及ぼす細菌病でございまして、ただ、これは我が国では発生しておりません。

 火傷病の防除法についての研究を行うということになりますと、火傷病菌を用いた野外での本格的な試験を行う必要があるわけでございますが、未発生国である我が国においてこれを行うことは病原菌が飛散をする、これは風とか昆虫とか雨ということで拡大いたしますので、そういうことはできないというのが現状でございます。こういったことで、我が国においては野外での研究は行われていない。

 しかしながら、本病の重要性にかんがみまして、これまでも閉鎖系実験施設内での感染試験は行っております。また、海外の試験研究機関へ専門家を派遣する、あるいは情報収集、知見の集積を行ってきたところでございます。

 そういう未発生国であるという制約はございますけれども、我が方といたしましては、植防サイド、関係部局とも緊密に連携をとりながら、研究サイドとしてこれは全面的に支援をしたいということで今対応しているところでございます。

山本(喜)委員 火傷病は大変恐ろしい病気だというふうに聞いております。先ほどお話がありましたように、リンゴだけでなくてナシとか花木に大変な被害を及ぼすということですから、侵入させないということでの水際の防疫体制を強化するというふうなこと、あるいは、もし侵入した場合も水際で、初動態勢でとめていくというふうなことも必要になると思うんですが、そうしたマニュアルの策定も含めて今後検討していかなきゃならないというふうに思うんですが、そうした体制整備についてどのようになっているんでしょうか。

中川政府参考人 まず、植物防疫体制一般論について申し上げますと、やはり基本的にはWTO協定、具体的にはSPS協定に整合的な措置をとるというのが一つ国際的なルールになっておりますので、それぞれの病害虫のリスクに応じて適切な検疫措置をとるということが一番大事でございます。

 そういうことをこれからもきちっとやっていくという必要がございますが、今先生がお尋ねの、万一そこで想定されているような疾病が我が国に侵入した場合にどうかということでございます。

 植物防疫法の中に緊急防除の制度がございまして、そういった想定をされております病害虫あるいは疾病が発生をしたとなりますと、当然、感染をした樹木なりそういったものの移動を禁止したり、あるいは果実の移動を禁止したりといった措置、あるいは消毒、除去といったような、必要な措置を迅速にとることといたしております。

 また、これが適切に行われるためには、あらかじめ先生おっしゃったような行動計画というものをきちっとつくっておくということが必要でございます。

 この点は、昨年の五月に報告書が取りまとめられましたけれども、植物検疫に関する研究会というところで検討をいただいておりまして、重要疾病、重要病害虫が侵入した場合の初動対応について、国なり都道府県なりが関係機関と連携をとりながら的確かつ迅速に対応できるように、そういうものを準備しておくべきだという提言もございましたので、今現在これを作成しているところでございまして、策定が終わりますと、速やかに周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。

山本(喜)委員 火傷病は、発生国では、抗生物質でもなかなか根絶に大変だというふうな話も聞いております。一たん感染すると伐採処分ということで、このWTOのパネルの結果を見て、生産者の人たちは大変心配をしているわけでございます。伐採するということになると、改植しても、収入が得られるようになるためにはしばらくかかるんですね。

 そうした意味で、万一そういった場合の補償体制なんかについても心配しておるんですが、こういうことについては何か検討されているんでしょうか。

中川政府参考人 植物防疫法に定められております緊急防除を行う場合、これは過去にも例がございますけれども、そういった場合には、緊急防除に必要な薬剤費や人件費等さまざまな防除にかかります費用につきましては国が負担をいたしております。

 万一、火傷病の日本への侵入というようなことが起こった場合には、この緊急防除ということを適切に対応いたしまして、早急な撲滅に向けて努力していきたいというふうに思っております。生産者の方々の心配が生じないように、できるだけの対応はしたいと思っております。

山本(喜)委員 この病気は生産者にとって死活にかかわる問題でございますので、引き続き、二国間の交渉に当たっても、ぜひ国内生産の振興ということ、あるいは生産者の保護ということも含めて、ぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。

 次に、JAS法でありますが、今回ISOの65ということで採用をしていくことになるんですが、この新たな登録基準を定める前に、平成十一年にJAS法が改正されて有機食品の検査認証制度が創設されたわけですが、まず、この改正によってどれだけ有機農産物が普及してきたのかというと、極めて低いわけでございます。二〇〇三年度の国内農産物に占める認証実績は〇・一六%にすぎないというふうな現状でございます。

 こうした現状についての政府の認識といいますか、これが低いことについての政府の認識についてまずお伺いします。

中川政府参考人 我が国の気象条件というのが、まずあるかというふうに思います。欧米に比べまして高温多湿でございますので、病害虫の発生ですとか、あるいは雑草の繁茂というようなものがあるということで、そういった病害虫なり雑草に対して化学合成農薬を使わないというふうなことになりますと大変な手間がかかるということでございます。そういった面から見ると、有機農業を行う上で、必ずしも恵まれた条件にはないというふうなことかと思います。

 ただ、こういう条件でありましても有機農産物の基準に適合をすべく努力されている生産者の方がいらっしゃるわけでありまして、まだまだ絶対的な数字は小さいですけれども、経過を見ますと、少しずつやはりその生産量はふえてきているということでございます。消費者の方々の有機農産物に対する、それを求めるという需要がある限りは、こういった生産者の努力がやはり少しずつ実っていくというふうになるものと、期待をしているところでございます。

山本(喜)委員 日本の気象条件ということでお話がありましたが、実は、この有機農産物をつくるには大変な努力が必要なわけでございます。こつこつと努力をして積み重ねてきたわけですが、今回のJAS法改正によって今まで取り組んできた人たちが大変な心配をしているということは政府でも御案内のとおりだというふうに思うわけでございます。この有機農業の振興に努力してきた多くの小規模な登録認定機関が、果たしてこれからやっていけるのかという心配があるわけです。ISO65だとかなり要員を抱えた企業的組織体でなければ難しいというふうな状況が今あるわけですね。そうしたときに、今までの小規模なNPOなんかでやってきた人たちが、このISO65で果たしてやっていけるのかどうかという疑念、これにどう答えられるのか。それから、こうした人たちの意見がこの改正案に反映されているとは思えない。今まで認証料を低く抑えて良心的に努力してきた人たちに対する配慮というものが今後どうなっていくのかということも非常に心配されるわけでございます。

 それから、今の法律、コーデックスに準拠して定めていますが、このコーデックスは直接ISO65を義務づけていないわけです。ですから、このISOガイドライン65の採用によってしか実現されないというわけでもないわけですね。そういう意味で、なぜこのISOにこだわるのかということ。

 それから、外国では、有機農産物については加工食品とは別に独自の法律でやってきているというアメリカとかEUの例なんかもあるというふうに聞いておりますが、日本がなぜ加工食品も有機農産物も一緒に認証しようとするのか、そうした点について御回答をお願いします。

中川政府参考人 数多い御質問をいただきましたので、簡潔にお答え申し上げます。

 まず最初の点でありますけれども、今後、登録認定機関は公平中立な第三者機関として、有機であれば行程管理者を認定していくということになるわけで、役割としては非常に責任の重いことになるわけでありまして、当然のことながら、そういった必要な業務をきちっとやっていただくためには、やはり一定の管理組織などの、その組織としての備えというものが必要でございます。そういうものを端的にあらわすものとしてもISOガイド65というのがございますので、これを登録の基準ということにしたわけでございます。

 ただ、これを新たにどこかから持ってきたというものではなくて、先ほども御答弁申し上げましたが、既にこれまで登録認定機関になっておられる、そういった方々につきましては、その業務規程などの認可に当たりまして、このISOガイド65を参考にしながら審査をしてきておりますから、これまできちっとやっておられる方、有機の方であれNPOであれ、そういうものをやっておられる方にとりましては、新たな改正法のもとにおきましても特別過重な負担になるというものではないというふうに考えておりまして、この点は既に何度も説明をしてきたところでございます。

 それから、ISOガイド65をどうして採用するのかということでありますが、コーデックスのガイドラインにおきましては、「検査及び認証システム」というガイドラインの中に「ISO65等の他の承認済み国際基準をも参照のこと」となっておりまして、ISOガイド65というのは一つの代表的な基準として既に国際的にも認知をされているところでございます。それを今回援用したというものであります。

 それから、アメリカその他の法制度と日本では違うのではないかということでありますけれども、それぞれの法体系は違いますが、有機農産物とはどういうものかという基準につきましては、コーデックスのガイドラインを基本にいたしまして、非常に微細な差はあるといたしましても、一般的に有機農産物については、主要な先進国では共通の基準になっているものでございます。

山本(喜)委員 時間になりましたので終わりますけれども、国民の関心が安心、安全、そうしたものに向いているわけでございますから、有機農業の振興のためにもやはり独自の法体系でやっていった方がいいのじゃないかということを申し上げまして、質問を終わります。

山岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る二十日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四分散会


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