第18号 平成17年6月8日(水曜日)
平成十七年六月八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 山岡 賢次君
理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君
理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君
理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君
理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君
赤城 徳彦君 石田 真敏君
岡本 芳郎君 梶山 弘志君
金子 恭之君 上川 陽子君
川上 義博君 木村 太郎君
城内 実君 後藤 茂之君
後藤田正純君 近藤 基彦君
田中 英夫君 津島 恭一君
西村 康稔君 原田 令嗣君
古川 禎久君 増田 敏男君
三ッ矢憲生君 森 英介君
一川 保夫君 鹿野 道彦君
岸本 健君 小平 忠正君
鮫島 宗明君 篠原 孝君
神風 英男君 鈴木 克昌君
仲野 博子君 堀込 征雄君
松木 謙公君 山内おさむ君
大口 善徳君 高橋千鶴子君
山本喜代宏君
…………………………………
農林水産大臣 島村 宜伸君
農林水産副大臣 岩永 峯一君
農林水産大臣政務官 大口 善徳君
政府参考人
(内閣官房構造改革特区推進室長)
(内閣府構造改革特区担当室長) 滑川 雅士君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 齊藤 登君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局審査局長) 楢崎 憲安君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 荒木 慶司君
政府参考人
(消防庁次長) 東尾 正君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 山中 伸一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 松井 一實君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 外口 崇君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 中川 坦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 白須 敏朗君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 川村秀三郎君
政府参考人
(林野庁長官) 前田 直登君
政府参考人
(国土交通省大臣官房総合観光政策審議官) 鷲頭 誠君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 和泉 洋人君
農林水産委員会専門員 飯田 祐弘君
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委員の異動
六月八日
辞任 補欠選任
上川 陽子君 近藤 基彦君
城内 実君 古川 禎久君
北村 直人君 増田 敏男君
原田 令嗣君 三ッ矢憲生君
一川 保夫君 篠原 孝君
岡本 充功君 鈴木 克昌君
同日
辞任 補欠選任
近藤 基彦君 上川 陽子君
古川 禎久君 城内 実君
増田 敏男君 北村 直人君
三ッ矢憲生君 原田 令嗣君
篠原 孝君 一川 保夫君
鈴木 克昌君 岡本 充功君
―――――――――――――
六月七日
森林組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)(参議院送付)
種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
森林組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)(参議院送付)
種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)
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○山岡委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、農村振興局長川村秀三郎君、林野庁長官前田直登君、内閣官房構造改革特区推進室長、内閣府構造改革特区担当室長滑川雅士君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、公正取引委員会事務総局審査局長楢崎憲安君、総務省大臣官房総括審議官荒木慶司君、消防庁次長東尾正君、文部科学省大臣官房審議官山中伸一君、厚生労働省大臣官房審議官松井一實君、医薬食品局食品安全部長外口崇君、国土交通省大臣官房総合観光政策審議官鷲頭誠君及び大臣官房審議官和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○山岡委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中英夫君。
○田中(英)委員 自由民主党の田中英夫でございます。
大臣初め、幾らか質問させていただきます。
本題の質問に入ります前に、二点ほどお聞きをしたいと思います。
まず一点は、例の全農あきたの本部及びパールライス秋田の不正流通の件でありますが、これを農水省として告発されたということを聞いております。幾らか内容等々をお聞きしながら、今後どのように全農を指導していくのか、そのあたりについてお聞きしたいと思います。
時間の関係がありますので、もう一つもあわせてお聞きをしておきます。
それは、つい最近出ました、我が国においては安全性が未確認の飼料用の遺伝子組み換えトウモロコシが輸入の中に入っていたと言われているものであります。農水省としてこれに、今そして今後、どのように対処をされるのか。
また、新聞報道によりますと、この飼料自身が牛を経由して、いわゆる肉牛ですが、そして牛肉になるという過程の中で、そんなに大きな問題はなかろうというようなニュアンスのことも書かれておるのでありますけれども、もともとそういうものが入ってきたということは、米国においてはそれはもう当然のごとく使われておるというような感じもいたします。もちろん情報等々の問題もあるでしょうけれども、向こうで使われているとしたら、その肉牛が牛肉となって輸入をされるということになると、そのあたりはどういうことになるのかなというような思いもいたします。
その二点について、まずお聞きしておきたいと思います。
○岩永副大臣 皆さんおはようございます。
ただいま田中先生の御質問がありましたように、農水省が検査をしましたところ、秋田県本部が管理をしている共同計算米、これを全農の子会社であるパールライス秋田に横流しをしたわけでございまして、そして、その転売代金を赤字の穴埋めに使ったということでございますので、刑法二百四十七条の背任罪に該当することから、秋田県本部及びパールライス秋田の関係者を秋田県警に対して告発したものでございます。
告発の具体的な内容につきましては、被告の人権等の問題がございますので、警察当局による捜査にも差し支えますので、コメントは差し控えさせていただきたい、このように思っております。
それで、これからどうやって指導をしていくのか、こういうことでございますが、秋田県本部においては、当然、刷新委員会を設けて、外部の目からの業務のチェックを受けることを内容とした再発防止策の報告を受けているところでございます。しかしながら、再発防止策というのは構築するだけではなくて、いかに実行していくかということでございますので、浸透させていくことが大事だ、このように思っております。一年間の秋田県本部への集中監視期間というものを設けてまいりたいと思いますし、再発防止策が徹底されるようにしっかりと検証していきたい、このように思います。
問題は全農の問題でございますが、御承知のとおり、九百万農家ののど首を押さえているところでございまして、農家全体の購買、販売、流通面で農家経済に直接大きな影響を及ぼすということでございますし、私ども今、農業改革、これは集落営農だとか担い手改革を中心としながらやっておりますが、一方で、行政の改革を進めると同時に、経済団体である全農の改革を全面的に進めていかなければ、これは片肺飛行になる、こういうようなことでございます。
特に全農につきましては、取扱高が六兆円というようなことでございますし、また、私どもの農水省から全農に対しまして補助金二千七百六十億円を年間で出しているというような関係がございますので、経済事業改革チームを私どもでつくりまして、そして、この全農の組織風土や体質を抜本的に改めるような体制にしていきたい。今まで六回、今回の秋田で七回の改善命令を出しているわけでございますけれども、それらが何ら実行されていないということで、私のところへ会長それから理事等に来てもらいまして、そして大変厳しく叱責をしたところでございます。
それで、コンプライアンスの問題、それから品目別の現状と問題点への取り組み、それから、農水省の各局ごとに問題点を抽出していって、そして行政指導、改善命令を出していきたい、このように思っておりますし、全農の方もそれを今行っております。この間も、会長、理事長が辞任したという状況の中で、農水省の改善命令についてはひとつ十分踏まえて対応してまいりたい、こういうように申し伝えたところでございますので、うちの経過並びに決意を申し上げておきます。
〔委員長退席、山田委員長代理着席〕
○中川政府参考人 遺伝子組み換えトウモロコシについてのお尋ねがございましたので、その点につきましてお答え申し上げます。
遺伝子組み換えトウモロコシ、今回の場合はBt10という名で呼ばれておりますけれども、これは我が国におきましても、またアメリカにおきましても飼料としての安全性は確認をされていないものでございますので、我が国におきましては、飼料安全法に基づきまして、飼料として国内での流通が認められないというものでございます。五月の二十三日から、アメリカから入ってまいりますトウモロコシにつきまして、飼料検査所で抽出検査をしておりまして、その結果、先般まじっているという事例が見つかりましたので、六月の三日からは、抽出ではなくて、すべての船を対象にこの検査を実施しているところでございまして、我が国に入らないようにという措置をいたしたところでございます。
今後の対応でございますが、まずアメリカ側に、日本向けの輸出の前に検査をして、入らないものだけを輸出するようにということを要請いたしておりまして、それから、二点目といたしましては、これがえさとして給与された場合の畜産物あるいは家畜への安全性につきましては、我が国としてもやはりチェックをしておく必要があると思っております。食品安全委員会それから農業資材審議会に、できるだけ早く資料を準備して、諮問いたしたいというふうに思っております。
最後に、アメリカでの状況についてのお尋ねがございましたが、これは、Btの10というのが今回の問題ですけれども、Bt11という別の系統がありまして、実はこちらは安全性の確認ができております。それと同じ遺伝子がこのBtの10にも入っていたというのが今回の事例でございますので、アメリカの環境庁等では、今回の遺伝子がつくるたんぱく質、それから毒素、アレルギーといったもの、そういった面で問題はないのではないかと向こうでは判断をいたしております。
それから、我が国の実験におきましても、こういった組み換え遺伝子を挿入したえさを家畜に与えた場合に、その挿入した遺伝子あるいはその遺伝子によってつくられるたんぱく質が畜産物の方に移行しないということは確認をされております。
それから、今回問題になりましたこのBt10のアメリカでの作付面積は全体の作付面積の〇・〇一%ということで、率としては低い。こういう状況から見て、私どもも米国産牛肉の安全性に問題が生ずることはまずないとは思っておりますけれども、何はともあれ、きちっと確認をすることが大事でありますので、この点は、先ほど申し上げましたように、食品安全委員会に諮問いたしたいというふうに思っております。
○田中(英)委員 二つとも非常に委員の皆さんの関心の高いところであろうと思いますし、コメントはいろいろあるんですが、しっかりとやっていただきたいということをお願い申し上げておきます。
それでは、農山漁村の滞在型余暇活動の方へ移りたいと思います。
グリーンツーリズムということが言われて久しいわけでありますが、食料・農業・農村基本法の中でも都市と農村との間の交流、これには都市側にも農村側にもいろいろもちろん意味合いがあるわけでありますけれども、また、平成四年のグリーン・ツーリズム研究会の中間報告でも、要は農村で楽しむゆとりある休暇ということを目指すんだ、こんなことを言われておるわけでありますが、まず島村大臣に、このグリーンツーリズムの振興ということについての基本的なお考えというか、思いをお聞かせいただきたいと思います。
○島村国務大臣 田中委員にお答え申し上げます。
グリーンツーリズムは、都市住民の農林水産業に対する理解を深めるとともに、都市と農山漁村の交流を通じた地域の活性化にもつながることから、本年三月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画においても、農村振興の重要な施策として位置づけております。
その推進に当たりましては、グリーンツーリズムの基盤となる魅力ある農山漁村づくり、地域ぐるみでの受け入れ体制づくり、都市住民に対する農山漁村の情報提供などが重要と考えております。このため、元気な地域づくり交付金として四百六十六億円の予算が用意されておりますが、各地域がその資源を生かしながら創意工夫ある取り組みができるよう支援を行い、グリーンツーリズムを一層推進してまいりたいと考えている次第であります。
○田中(英)委員 今大臣のおっしゃったようなことは、余暇活動のための基盤整備というよりは、それを取り巻くといいますか、本来のグリーンツーリズムというイメージの中で、農業、特に農村でいえば農村の多面的な機能であるとか、さまざまなことをどのように全国民で享受し理解するか、そういうことにかかわってくる大きな話であろう、こう思っておるのであります。
実は、きょうは内閣官房の構造改革特区の推進室に来ていただいておるのでありますが、私が市長をしておりましたころに構造改革特区ということをお聞きして、そして、市民農園はもちろんでありましたけれども、もっと都市と農村の共生、交流特区というようなことで、いろいろなことを提案いたしたことを覚えております。
そのときに、いろいろな表を見ると、この農林関係、特に都市と農村とを、もちろん、農村というか、農業側としてでありますけれども、どのように交流をさすかということについて、それが我が町我が市にとって、人が交流、たくさんの人が来てくれるとか空気が動くとか、いろいろな意味があるわけでありますが、そういうものが非常に多かった。そして、あらゆるものを考えてみれば、このグリーンツーリズムとかいうものにつながっていくのではないかというふうに思いまして、きょう来ていただきました。
構造改革特区推進室の方として、そういうものが多くあったであろうし、そういうものに道あけをしてきたという思いをぜひ持って、自信を持ってほしいのでありますが、そういう意味において、このグリーンツーリズムというものをそちらから見て、各府県、市町村等々の要望等々も含めてどのように見ておられるか、少しお聞かせをいただきたいと思います。
〔山田委員長代理退席、委員長着席〕
○滑川政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきました特区制度、これまでグリーンツーリズムの推進にもさまざまな役割を果たしてきたものと私どもは考えております。
特区制度そのものの意義といたしまして、各地からいろいろな提案をいただきまして、多様できめ細やかな地域のニーズに対応できる規制改革を行うことということでございますので、このグリーンツーリズムの促進に寄与する規制改革の提案も多く寄せられているところでございます。
そうした中で、農家民宿における簡易な消防施設の容認とか、いわゆるどぶろくの製造免許の要件緩和、あるいは農家による市民農園の開設の可能性、あるいは農村の空き家情報をNPOが提供することが可能かといった規制改革が実現してきておりまして、これらの特例を活用して認定された特区は全国で既に百十六地区に上っております。特区の評価委員会による調査でも、農家から、グリーンツーリズムに対する意欲が盛り上がってきたといった意見も寄せられているところでございます。
具体的に、例えば岩手県の遠野市では、日本のふるさと再生特区というような特区がつくられて、遠野ツーリズムということで、ぬくもりともてなしの心でお迎えしたいということで、さまざまな食文化の復活や地域に根差した起業を促進しておりまして、遠野市の試算では、平成十六年の一年間の経済効果は二億二千万円に上るというようなことが報告されておりますし、新潟県の上越市ほかでも、越後里山活性化特区ということで、農家民宿の開業あるいは市民農園の開設、また、いわゆるどぶろくの製造販売など、さまざまな取り組みがされておりまして、集客の拡大を目指しておられるということでございます。
今、委員の御指摘いただきました亀岡市におかれましても、都市・農村ふれあい交流特区ということで、市民農園を農家が開設できるという特例を利用されて都市農村交流が進められておると伺っておりますし、既に開設された市民農園については予定を上回る応募があるというようなことで、順調な取り組みがなされてきているというふうに承知をしております。
このように、多くの地域でそれぞれの地域が持つ資源を活用した取り組みが行われているということで、この特区制度がグリーンツーリズムの取り組みを支援させていただくということで、各地での活動にさまざまな大きな役割を果たしてきたものというふうに認識をしております。引き続き私どもとして支援してまいりたいと思います。よろしくどうぞお願いいたします。
○田中(英)委員 今お話しいただいたように、特区制度というのができて、さっきも言いましたように、極めて、グリーンツーリズムというか、いわゆる農山漁村を抱えるところが都市といかにうまく連携、交流をしていくか、そういうようなことについて、要は、ルールを特別にそこだけ緩和して施策を打つという意味でありますけれども、やはりそういう方に施策の思いがすぐ行くということは、今農水省が、滞在型余暇活動のための基盤整備、こういうことでありますけれども、要は、そういうふうに思っておられる、本来の、先ほど大臣のおっしゃったような趣旨とこの特区というものが両々相まっておるというふうに思っておるわけです。ですから、ぜひ、そういうあたりをうまく、お互いに相乗効果を持ちながらこの意義が進んでいくようにしていただきたいなと。
そこで、具体的なこの法律についての意義合いについて、ぜひ岩永副大臣にお聞きしたいんです。
といいますのは、私自身も、今言いましたような経過の中で言うと、やはり一つの市町村なりそういう農村という方から考えると、最初は、見る観光というような体験、その次は、実際に田植えをするとか市民農園をするとか、要するに体験型のそういう観光、最後は居住してほしい。こういうふうに進んでいくということを願っているわけですよね。
そういう意味で、都市と農山漁村の共生・対流を深めるというので、実は、私が一年半前に国会に来ましたときに、岩永先生に、君はニューコミュニティーの研究会というのに入らないか、こういうふうに言っていただいて、随分勉強をさせていただいて、その前段にそういうことがあったので、得たりと思いながら、喜んで参加をさせていただきました。都市と農山村の両方に基盤を置くようなライフスタイルまで高めたらどうかというようなことをお教えいただいて、先生の後ろで勉強させていただいてきたのであります。
そんなことを含めて、この基盤整備の促進に関する法律によって、グリーンツーリズムというか、そういうものを取り巻くものがいかにこれまで進んできたか、また、今回の一部改正によって、そういうものがよりこのように進んでいくんだというような思いをひとつお聞かせいただきたいな、このように思います。
○岩永副大臣 今、都市にどんどん人口が集中している、そして農村が高齢化し過疎化しているという、日本が二極化されていることに対して大変心配をしておりますし、このことはこれから日本の平準化を目指してどうにかしていかなきゃならないという大きな課題でございます。
そういう状況の中で、平成六年に農山漁村余暇法というのができまして、グリーンツーリズムの推進の基本的な方向を定める基本方針がなされて、全国の各県ですべて策定されました。それを受けて、市町村で、まだ三百九十四市町村でございますが、先生の美山町もこの中で計画策定がされております。そして、受け入れ体制の整備等を通じて地域におけるグリーンツーリズムの振興に寄与してきました。公的施設それから農家民宿の宿泊施設、合わせて年間二千三百万人の人間が現在でも都市から農村に移動している、そして、農家民宿なんかは一千万人の方々がお泊まりをいただいているというようなことで、大変効果を発揮してきたところでございます。
今回この法律改正をしたのは、いろいろな枠を全部外してしまおう、そしてそういう部分を拡大していこうということでございまして、今二千三百万人の移動人口を最低三千万人にしようという意図からこれをやったわけでございます。
そんなことで、今後ともこの法律改正による効果というのはかなり期待できるのではないか、このように思っております。
○田中(英)委員 グリーンツーリズム自身の大臣のおっしゃった基本的なお考え、それを具体的にやっていくのが余暇法であり、さまざまなそういう具体的な法によって施策が打たれていく、こういう意味で、今副大臣のおっしゃったような形によりよく進んでまいりますようにお願いをしたいと思います。
今、たまたま私の選挙区の美山町というお名前を出していただきましたけれども、実は、園部町、八木町、日吉町、美山町、この四つが、来年の一月を予定していますけれども、合併をいたしまして、四万足らずの南丹市という市になります。それだけに、美山町という固有名詞を残しながら町としては消滅していくわけでありますが、せっかくお名前をいただきましたので、しっかり応援してやっていただきたいとお願いをいたしておきたいと存じます。
そんなことで、これを寄り寄りいろいろな意味で進めていかなければならないと思うのでありますが、滞在型の余暇というと、日本では四日か五日行ったら滞在型かなというイメージがありますし、実際には一カ月ぐらい行けたらいいんだろうなというようなこともあります。ただ、これは労働界、産業界の課題等とも含めてそういう問題があるというふうに考えると、そういう場面に対してもやはりそういう認識というものを広げていくことによって本来の趣旨が広がっていく。
また、修学旅行なんかで、このごろ、農業関係、林業関係の体験学習をするという形の修学旅行とか、島へ行って、そこの生活を知るとか、そういうようなものがあるようでありますけれども、そういうことに対する、これを連携というのか子供たちの教育というのかわかりませんけれども、要は、いろいろな場面、いろいろな分野と連携をしないと、一農水省だけでこういうことがすばらしいことなんだと言っていても、なかなか広がらないんだろうな、こんな思いがありまして、そんな意味で、政府でいえば他省庁に働きかけていく、こういうことに相なろうと思いますが、そこらについていかにお考えか、お聞かせください。
○岩永副大臣 今、副大臣会議の中で八つの関係省庁の副大臣から成るプロジェクトチームを実は設置しました。杉浦官房副長官と私とが主査を務めさせていただきまして、都市と農山漁村の共生・対流の推進に向けた各省庁間の議論を大変深めているところでございます。
そして、今先生の方からお話しいただきましたように、子供たちのためにどうするかということで、文部科学省の教育関係者と農水省が、それを受け入れるためにどうしていくかというようなことで、今連携をとっておるわけでございます。
それで、やはり農水省が受け入れ施設を一覧する、農村、漁村、山村、そういうようなところの登録制度をやはり充実してほしい、そしてそれを見て一律に文科省の学校現場がそこへ行くというような体制をつくりたいということでございますし、また、学校からいつ来られても相談窓口があるというような体制もつくりたい、それでモデル校もつくりたい。それから、もう一つは、ことしからアグリキッズクラブという全国ネットワークをつくって、そしてそれで全体的にこれを推進しようと。
この間も塩谷副大臣と私とが懇談をいたしまして、具体的にこれを農水それから文科両省の大きな課題として推進していこう、このように思っております。
また、厚労におきましては、長期休暇を利用したグリーンツーリズムにおける情報提供というのも厚労は厚労でやろう、こういうふうに思っております。
あとは、鮫島先生の質問にもあるわけでございますが、やはりヨーロッパと日本、これは長期休暇の問題が大分違うんですね。このことについても今取り組んでいこうというような動きがありますので、期待しております。
○田中(英)委員 今おっしゃったように、大いに政府全体としてこれが進むようにしていただきたい。農水省から出ておるのでありますから、別に権限がどうというよりは、おまえのところに関係あんのやから来いということで、どんどんやっていかれたらいい、僕はそういうものだというふうに思っておりますので、余り難しい組織論よりは、ぜひ実体論の中で物が進んでいくようにお願いをいたします。
それと同時に、このグリーンツーリズム、何度も言っておりますように、都市住民にとっての意味合いももちろんあります。ありますけれども、それと同時に、やはり、農山漁村を持つあえて言えば地方自治体、そのそれぞれの村、在所、そういうところにとっていかにそういう考え方がより地域活性化につながるか、こういうことももちろんあるわけでありますので、大いに進展いたしますように期待をいたしまして、終わります。早う終わった方が、大臣がまた出て行かれんならんいうことですから、ちょっとでも早く終わらせていただきます。
以上で、ありがとうございました。
○山岡委員長 次に、鮫島宗明君。
○鮫島委員 おはようございます。
先週、岐阜で環境関係の国際会議があって、アジア太平洋から二十カ国ぐらいが集まって、みんな温暖化対策で頑張ろうという会議があったんですが、海外から参加していた方々が、日本の政治家はおもしろいですねと。小泉さんがネクタイを外そうと言ったらみんな外す、まるで中国か北朝鮮のようですというふうに言われたので、私はあえてネクタイをしているんです。
まさかネクタイを外せば地球温暖化対策ができるんだとは大臣もお思いじゃないと思いますが、やはり、島村大臣としては、吸収源対策としての森林管理の予算をしっかり獲得することと、バイオマスエネルギーを新エネルギーの分野で推進していただくことが一番温暖化対策の急所だろうと思いまして、そのためにネクタイをつけている方がいいのかどうかという観点でお考えいただきたいというふうに思います。
大臣はあれでしょうか、私も東京なので、都会人から見た農村という視点は十分お持ちだと思いますが、イギリスのグリーンツーリズムというのを体験したことございますか。ちょっと、これは通告していませんが。
○島村国務大臣 まず、御質問にお答えしますが、私は経験ございません。
ただ、鮫島先生に一言申し上げますが、我々がネクタイを外しシャツにかえたというのは、これからエネルギーの節減のために冷房の温度を二十八度に上げる。二十八度に上げたら役人の人たちはみんな暑くてつらいだろう、しかし、君たちは自由にしてもいいよと言っても、上の人が背広を着たりネクタイ締めていたのでは下の人はなかなかやりにくい。そういう配慮から、脱いだらどうだ、ただし強制はいたしませんというのが総理から説明のあった言葉であります。申し添えます。
○鮫島委員 私は九二年にイギリスのグリーンツーリズムというのを体験してきましたけれども、大変よくできているシステムで、しかも何のためにこのグリーンツーリズム運動あるいはそのためのシステムができたかというと、やはり農村が疲弊してきて、農村における雇用の確保と所得の安定を図るというのが基本にあって、それに合わせて全部のシステムができ上がっているんです。
その意味では、観光政策というのは所管からいうと国土交通省、旧運輸省になるんだと思いますが、国土交通省の観光政策の中に、こういうイギリス型のグリーンツーリズムを視野に入れて、農村における雇用の確保と所得の安定ということで一つ観光政策としての体系を組む、このイギリスのグリーンツーリズム型の観光政策というのは国土交通省としてお持ちかどうかというのをお伺いしたいんです。
○鷲頭政府参考人 お答え申し上げます。
今、政府全体で観光立国関係閣僚会議というのがございまして、そこで観光立国行動計画というのを定めております。その中で、地域の魅力を高めるやり方として、一地域一観光というものを重要な分野として位置づけております。
そういう観点から申しますと、一般的に過疎地だとか条件不利地というのは、大変豊かな自然とか田園風景あるいは豊かな農水産物などがあるというふうに考えられますので、そういう地域の振興方策として、それらの特色を生かしてグリーンツーリズムに取り組むということは有効であるというふうに考えておりますが、国土交通省といたしましては、過疎地とか条件不利地のみを対象とした観光政策というものは行っておりません。そのような地域であっても、みずから農村の地域のよさとか特色を生かした取り組みというものを支援するということで、過疎地域に限らずいろいろな地域についての支援をしていくというふうに考えております。
○鮫島委員 観光政策を所管する国土交通省としては、イギリスのグリーンツーリズムの仕組みをどこまで御存じかどうかということも本当はあるんですが。
これは、農場ホリデー協会、一九八三年にできた、その組織が中心になって、私が行ったとき、一九九二年で千百ぐらいの民宿がそれに参加していましたが、全国統一のランキング、階級分けがあり、かつ一カ所にアクセスすれば千百カ所の民宿に、予約もできるし、ルートも組めるという、一つのシステムとして非常に高い完成度ででき上がっている。そういう農山漁村なり条件不利地域を対象にした独自の観光の仕組みというのが、多分日本にはないんだろうというふうに私は思っています。
ところが、名前だけはグリーンツーリズムというふうに使っていて、これは大体行政の方が横文字使ったら信用するなというのがあると思いますし、グリーン・ツーリズム推進室というのが農林水産省にできているようですが、これは、こういう同じ名前を使っているんですから、イギリスのように六つの原則に基づく、農村の雇用の確保と所得の安定を図るための一大観光システム、これを目指してグリーン・ツーリズム推進室というのを当然おつくりになったんだろう、普通に見ればそう見えますが、そう受け取ってよろしいんでしょうか。農村観光を推進するための部屋だというふうに。
○川村政府参考人 お答えを申し上げます。
今お尋ねがありました、私どもの農林水産省の中にグリーン・ツーリズム推進室がございます。このグリーンツーリズムを使いましたのは、さかのぼりますと平成四年でございまして、いわゆる新政策の検討の中で打ち出したわけでございます。
この観点は二つございまして、先ほど来大臣もお答えしたところでございますけれども、農村地におきましては、恵まれた自然等いろいろな資源を生かして地域の活性化につながるという側面、それから都市住民の方には、新しいライフスタイルといいますか、ゆとりあるライフスタイル、そういうものへの要望というものがあって、これがうまくマッチングすることによって日本全体として活性化も図れますし、いい方向に持っていけるということでございます。
そういう観点からやっておりまして、特に私どもがこのグリーンツーリズムの中で強調しておりますのは、滞在型ということが一つのキーワードでございますし、それから農林漁業の体験をする、この二つの要素を特に中心に置いて、理想といいますか、目標として、施策として推進をしていく、こういう考えでおります。
○鮫島委員 私が聞いたのは、グリーン・ツーリズム推進室というのは、名前からいえばやはりイギリス型のグリーンツーリズムを推進するためにできた部屋というふうに、国民から見たらそう見えますが、つまり、行く行くはイギリス型のような非常にシステマチックなグリーンツーリズムというのを日本にも定着させよう、動機はあくまでも農村における雇用の創出と所得の安定、観光産業として振興を図るというのが簡単に言ってグリーンツーリズムの原点ですが、そう思っていいのか、つまり観光政策なのかどうか。
先ほどからの御説明だと、ある意味では都市と農山漁村の共生・対流という表現が使われていると思いますが、それと農村観光というのはどう違うんですか。
○川村政府参考人 先生から御指摘がございましたとおり、イギリスにもグリーンツーリズムの制度がございますし、大変システム化されているというのも事実でございます。また、フランスにおきましても、フランス語ではツーリズムベールという形でやっておりますし、ドイツでも、農村で休暇をということで、これは世界的な流れでもございます。
私どもも、こういった世界的な潮流、それから今申し上げましたような国内の状況、こういうものをやりますと、単に観光ということだけではなくて、農村におきます先ほど申し上げましたような地域の活性化というようなもの、人が行き来をすることによって、そういう地域経済も含めて、あるいはいろいろな再認識とか、そういう精神面での活性化ということもございますので、そういうこともあります。
また、都市住民の方にとっては、非常に新しいライフスタイルということで、単に観光だけではなくて、定住、半定住、そういう農村へ移り住んでいただくといったことも視野に入れてやっているということで、もちろんイギリスのグリーンツーリズムが目指していることも要素としては当然ありますけれども、今申し上げた日本型の要素というものも入っているということでございます。
○鮫島委員 ちょっとよくわかりませんが。
大体、横文字を使った行政を信用するなというのがあって、日本型グリーンツーリズムとは言うけれども、結局は日本的グリーンツーリズムのことなんでしょうという感じがします。
私、なぜこんな変な質問をしているかというと、これからの農村振興にとって、あるいは農村の活性化にとって、これは大臣も多分そう思っておられると思いますが、農村に行けば、ぜひ観光で村おこし、もっと都会の人に我が村我が町を楽しみに来てほしいという、非常に強い期待もあるし、何か昔の方がたくさんうちの村に来てくれたという話も聞いて、農村振興における観光の持つ意味というのは大変大きいというふうに私は思っているのです。
農林水産省は、一応農山漁村を対象にする政策はうちがやるということで、都市と農山漁村の共生・対流という看板で、ある種の何か観光もどきのことをやっていますが、正面から観光行政がやりにくいのじゃないか。所管からいうと、国土交通省の方が観光行政を所管するということになっているので、ですから、非常に正面から取り組めないということで、もう一つ隔靴掻痒というか、やりにくい面があるのだろうというふうに私は思っています。もっと本格的にやらないと、このことが効果を持たない。
体質的に言うと、私は、農水省というのは余り観光産業を所管するのに向いていないんじゃないかと。この分野はむしろ、農水省がやるなら、ある種国土交通省との共管なり、イギリスの例でいえばさらに雇用省、日本でいえば厚生労働省、それからもちろん文部科学省、そういう役所幾つかが協力して一つのグリーンツーリズムという世界をつくっているわけですから、都市と農山漁村の共生・対流という看板で農水省が前面に出てやっても、余り観光に向いていない役所だからうまくいかないのじゃないかというつもりでこういうことを私は聞いているわけです。
例えば、食料・農業・農村基本計画における、先ほどちょっと一部御答弁いただきましたが、都市と農山漁村の共生・対流の位置づけ、確かに一部記載されています。先ほど副大臣でしたか、大変重要な柱として、この食料・農業・農村基本計画の中に生かされていると言いましたが、行数からいうとえらい少ないです。例えば、生かされていると言うなら、このために予算を四百六十六億用意しているというお話でしたが、では、この農山漁村の観光を振興することによってどの程度の経済効果を見込んでいるのか。つまり、そこまで考えて予算をつけて、農山漁村の振興にとってこれは大変大事だということだと、当然、ある種のここまでの経済規模まで持っていこうという政策目標があってしかるべきだと思うんですが、そういう目標はあるのでしょうか。この計画の中に位置づけられていますか。
○川村政府参考人 共生・対流によりましてどの程度の経済効果があるかということのお尋ねでございます。
その総量としての目標はつくっておりませんが、先ほど副大臣もお答えいたしましたとおり、交流人口、これを現在の二千三百万人から三千万人へ持っていくということを目標に頑張っていきたいというふうに思っております。
そして、予算の、元気な地域づくり交付金の中では、私ども、各地域の取り組みごとの目標になりますけれども、どういった施策によって効果を生じるのか、それをできる限り数値目標として提示をしていただくということで、交付金を投入することによる効果、これをできるだけ数値目標を掲げて、それを達成したかどうかということをやはり審査していく、フォローアップしていく、そういう仕組みにこの元気な地域づくり交付金は変えたところでございまして、そういったものを使って、できるだけ具体的な成果を上げていくような運用をしていきたいというふうに思っております。
○鮫島委員 イギリスのグリーンツーリズムの世界では、農場ホリデー協会という、全民宿が参加した自主的な協会があって、「ステイ・オン・ファーム」という本があって、これに全民宿が一ページ一民宿という感じでカタログ化されて、大変わかりやすい本なんですが、上に写真があって、いろいろなマークがついていて、それを見れば、例えばハンティングができますとかカヌーができますとかテニスができますとかいうのがわかる。大体二十五種類の遊びについて、マークですぐわかるようになっている。それから、赤ちゃんいいですよとか、ペットを連れてきてもいいとか、禁煙ですとか、それもそのマークだけ見ればすぐわかるようになっている。
そういう、一九九二年レベルで千百の民宿が一冊の本にまとめられて、一目瞭然でわかるような大変いいガイドブックがあって、同時にそこに冠のマークがついていて、冠のマークがつくだけで結構格が高い。マークがついていないのは一応登録協会の審査をクリアしましたという、登録済みというレベルがまずあって、特にすぐれていると冠が一つ、もっとすぐれていると冠が二つ、すばらしいと冠が三つ、そういうマークがついていて、全部料金も統一なんですよね。だから、冠一つのものは一晩六十ポンドとか、二つだと八十ポンドとか、料金も統一になっていて、そういう意味では、農山漁村を楽しみたいと思う観光客にとっては大変便利な仕組みと御案内ができているのです。
今度、この法律の中で、農家民宿の位置づけを、政府が直接じゃなくて、新たな認可団体ができるようにするとか、あるいは農山漁家が直接経営するのじゃない民宿も認めますよというふうに、多少柔軟化措置をとるようですが、観光客にとって大変わかりやすい、イギリスのような、ある意味では、どういう遊びができるのか、どういう滞在条件が許されるのか、それから格付としてはどうか、そういうところをもうちょっと整備する計画なりおつもりというのはあるのでしょうか。
○川村政府参考人 ただいま委員からイギリスの例を引いて御説明がございました。
私も、個人的に申し上げますと、フランスに滞在したことがございまして、フランスでも、ミシュランのガイドブックがあって、赤いのがレストランのガイドなのですが、ミシュラン・ベールというのがありまして、これは、そういった今おっしゃったイギリスでやっているようなことを格付し、そこにある施設はどういうものがあるのか、それから、そこでどういうサービスが受けられるのかということ、そういうことがもうすべてそれを見ればわかる、もう値段から何からわかる、そういうものができております。それはドイツにおいても同じようなあれができております。
これはしかし、ヨーロッパ等の場合は非常に長い歴史の中で、国民のライフスタイルとしてそういうものが確立をしておると思います。休暇も、もう一カ月を超えるような休暇を皆さんがとられますし、そういう中で、できれば安い費用で十二分に楽しみたいという国民的ニーズがそのバックにあって、そういうのができているわけですね。
我々の政策として打ち出したのが平成四年でございまして、たかだか十数年の歴史しかございません。行く行くは、おっしゃるような、そういった、だれもが安心してできるようなガイドブックというものを本当は目指すべきだと思うし、それは我々としても、将来的な目標としてはしたいと思います。ただ、今すぐそういうことが網羅的にできるかということは、まだそういった条件が整っていないと思います。ただ、そういうことを目指して、今回幅が広がりますので、そういったものを目指して各登録団体が取り組むようなことは、我々としても指導していきたいなと思っております。
○鮫島委員 局長は個人的に大変よく理解されているようで頼もしく思いますが、やはり、余り安易にこのグリーン・ツーリズム推進室とかと本当は使ってほしくない。つまり、本格的にグリーンツーリズムの政策を打とうとするときに、もうかつてこういう名前を使って手あかのついて、あれはろくなものじゃなかったぞということで、言葉が死ぬんですよね、安易に使うと。
こういう看板を掲げたからには、もう本格的に取り組まざるを得ない、不退転の決意で、他省庁との連携も視野に入れて臨んでもらいたいと思いますが、今他省庁との連携の形がどうなっているのかを、先ほども一部御説明ありましたが、特に農山漁村の雇用の確保と所得の安定ということを視野に入れて、他省庁もどう協力しているのかということを重複しない形で、それから、時間もないので短くお答えいただきたいんです。
もちろん私はその答えはいただいていますが、これもいかにも日本の役所がやりそうなことで、都市と農山漁村の共生・対流関連の施策を各省庁出してくださいと言うと、みんなわあっと出してくるんですよね。それで、バス運行対策とか離島航路の維持改善とか、浄化槽の整備の強化とか、要するに、グリーンツーリズムと直接関係ないんだけれども、関係ありそうなものをわあっと出してきて、連携でやっておりますと。これはよくあるパターンなんですけれども、もっと直接的に、本当にグリーンツーリズムを視野に入れて、ちゃんと予算の費目を立てているようなことというのは、他省庁がどのぐらいやっているか。
○岩永副大臣 確かに、鮫島先生のおっしゃるとおりでございまして、これからいかに農村の共生・対流が必要か。先ほども申し上げましたように、都市に人口が集中し、農村が高齢化し過疎化していく、こういう状況の中で、どう人口移動させるかというのは大きな課題でございます。
それで、そのことに強く意を用いまして、先ほども申し上げましたように、八つの府省の関係副大臣でプロジェクトチームをつくっておるわけでございます。それで、この間も、千葉の鴨川の大山というところの千枚田に五人の副大臣が行きまして、現状を見てき、そして田植えもみずからやってきたわけでございますが、今鮫島先生のおっしゃる、改革というか推進の途上でございまして、やはり農水と国交とどう連携していくか、また厚労と農水とどう連携していくか。今言ったのは、単にそういう事業を寄せ集めてやっているということじゃなしに、新たなものをどうつくっていくか。
例えば、セカンドハウス対策も、私が特に言っているのは、都市と限定された農村とがやはり結婚交流をするべきだ、そして両方に補助金を出しながら、東京の港区の人は長野県のどこどこの町に連係を持ちながら、きちっとそこと体験学習、そしてから市民農園、セカンドハウスというようなものをお互いにつくり合うべきだというようなこと等も含めて、今深い検討をしている途上でございますので、先生にもいろいろと、ヨーロッパ等の例示もお挙げをいただきましたので、これから御示唆をいただきながら抜本的に考えていかなきゃならぬ、こんな問題だと思っております。
将来的には、やはり法律でもつくって、そして具体的な人口移動の体系をつくっていかなきゃならぬのかなと私個人では思っております。
○鮫島委員 ぜひ、そういう意味では、農山漁村観光基本法とか、そんなもので、ひとつかっちりとした推進体制をつくっていただきたいというふうに私も思います。
イギリスも、日本でいえば厚生労働省あるいは文部科学省との強い連携で、あそこはもともとBSEの問題を受けて、食品安全行政の一体化ということで、農林水産省と日本でいう厚生労働省の持っている食品行政と環境省と一体化して、MAFFという略称からDEFRAというもっと大きな組織になりましたので、それで非常にグリーンツーリズムを逆に言うとやりやすくなっているということがあると思いますが、ぜひ、省庁連携を緊密にして、農水省のイニシアチブで農村観光を本格的に進めていただきたいというふうに思います。
残りの時間の中でちょっと一点だけ。この法律と直接関係ないんですが、森林関係の、特に製材所等々の現場で、木材の加工の段階で、樹皮、皮が廃棄物として大変出る、それから端材がたくさん出るんだけれども、これが昔はみんな熱源で使えたんだけれども、今ダイオキシン対策等々で燃せなくなって、それはそれで産廃として出さなくちゃいけない、場合によるとトラック一杯二万円とか言っていましたが。乾燥のための熱源は熱源で、石油買ってきてくべなくちゃいけない。本当は非常に良好な燃料であるはずの木の皮とか端材がそういう製材所の熱源にも使えないというのは、やや規制の行き過ぎではないか。
確かに、何かダイオキシンが出るといいますが、ある条件、悪い条件だと出るんですが、多分、燃焼の仕方や何かを工夫したり、少し活性炭をまぜたりすれば、ダイオキシンが出ないような燃焼の仕方もあるんだと思いますが、そういう問題について、林野庁の方ではどう認識しておられるのか。
私、最近、林業再生プランというのを民主党でつくらなくちゃいけないというので、いろいろ現場で話を聞くと、結構この問題は大きいんですよ。平成十四年の十二月からダイオキシン規制が始まって、今まで使えていた木材の廃棄物なり林産廃棄物というのが燃料として使えなくなったという問題があるようですが、どう把握して、どう対策を打とうと思っているのか。
〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕
○前田政府参考人 確かに、御指摘のように、木材加工業者、今まで樹皮とか端材、これの処分に当たりましては、自分の持っている焼却炉において、ある意味では自由に処分してきたり、あるいは木くずのボイラーというような形で利用してきたところでございます。
ただ、最近、産業廃棄物の最終処理場の逼迫の問題ですとか、今お話がございましたダイオキシンの発生に対するいろいろな問題、そういったことを背景にいたしまして、平成十年の十二月、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、これが一部改正されまして、焼却炉の構造基準あるいは維持管理基準に関します規制が強化されました。そういったことで、従来のような形での樹皮や端材、これの処分が行いにくい、そういう状況に変化したところでございます。
そういった中で、現在、こうした木材加工業者から発生しております残廃材、年間約一千八百万立方出されているんですが、そのうちの九三%は、木材チップあるいは家畜の敷料、ボイラー燃料、こういった形で有効利用されております。一方、残りの七%、今お話にございましたように、焼却処分、あるいは産業廃棄物処理業者への委託によりまして廃棄物として処理されている、そんな実情にございます。そして、廃棄物として処理等の場合には、これは一つ、やはりダイオキシン類の対策特別措置法というのがございます。また、廃棄物処理及び清掃に関する法律、やはりこういったものによりますダイオキシン規制、これを遵守することが必要ではないか。
このため、林野庁といたしましては、都道府県あるいは木材関係団体に対しまして、その遵守を指導しますと同時に、焼却します木くずの発生抑制ですとか、あるいはダイオキシン規制に対応しました焼却施設の整備の推進を図るために、残廃材の有効利用施設あるいは焼却施設等の整備に係ります利子助成とか融資、こういった支援措置を講じているところでございます。
さらに、林野庁といたしましては、こういった効率的なダイオキシン類対策、これが実現できますように、環境省との連携あるいは情報交換、こういったことに努めているところでございまして、昨年十月でございますけれども、廃掃法施行規則、これの一部改正によりまして、例えば助燃装置、これが必置だったんですが、それを必置としないとか、あるいは温度計、これにつきましては常時設置でなくてもいいというような形で、小型焼却炉に対します規制の合理化、これが図られているところでございます。
今後とも、こうした取り組みの推進を通じまして、こういった端材等の適切な処理が行われるように努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○鮫島委員 もちろん、林野庁の方はよく御存じだと思いますが、もう今や杉の値段が一万円を割るような環境の中で、もうみんな製材業者も、立ち行くかどうか、かなり瀬戸際に追い込まれて、山から木を切ってきてもその切り出しの費用も出ないという、私は、今、日本の林業は経営危機に直面して大変な状態にあると思います。
そういう中で、もちろんダイオキシン対策は大事ですが、だからといって、自分の製材所でも使っちゃいかぬというようなことは、何百年も使ってきておかしいんじゃないか。多分それは、ごみとかいろいろなものがまざっているとダイオキシンが発生することがあるかもしれませんが、検出限界ぎりぎりのところまで自分の工場内で使うのもいかぬというのは、ある意味では過剰規制かもしれない。
森林総合研究所という立派な研究所も林野庁はお持ちですから、どういうとき、どういうことに気をつければダイオキシンが出ないで熱源として使えるのかというような研究もぜひしていただきたいという希望を述べて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○黄川田委員長代理 次に、神風英男君。
○神風委員 おはようございます。民主党の神風英男でございます。
本日は、グリーンツーリズム法の一部改正ということで質問をさせていただきたいと思うわけですが、多少雑駁な質問になるかとも思いますが、よろしくお願い申し上げます。
まず、大臣が早目にこちらの委員会の方を退席されないといけないということなものですから、冒頭にちょっと大臣にお伺いしたいわけですが、このグリーンツーリズムという言葉からイメージされる内容を、どんなものをイメージされるのか。グリーンツーリズム自体はそれなりの定義があるとは思いますが、その定義ということではなくて、グリーンツーリズムという言葉から受ける印象というか、どういう内容を御自身でイメージされるのか、それについてちょっとお伺いしたいと思います。
○島村国務大臣 御配慮いただきまして、感謝申し上げます。
一言で言えば、私は、浩然の気を養う、そういう機会につながるのかなというふうに受けとめているところです。
田舎でゆっくり過ごそう、そして、日本の国は資源にも恵まれませんが、一方では、自然の美しさというのは、この間のスイスの前大統領じゃありませんが、世界で屈指の美しい自然を持つ国三つの一つではないか、こうまで言われる国でもあるわけであります。
山また山ではございますが、逆に、我々がよく主張いたします農業の持つ多面的機能、農林水産物の供給だけでなくて、その農林水産業が存在することによってある多面的機能というのはいろいろな要素を持っているわけでありまして、こういうことに親しみながら、農林水産業の存在価値というものをよく国民が知るという機会を持つという意味でも非常に有意義だと思いますから、実益を兼ねて、人間生活をエンジョイする、その一番基本にこの一つがあっていい、そう受けとめているところであります。
○神風委員 ありがとうございました。
個人的な話で恐縮ですが、以前私自身が、亀井前農水大臣の選挙区、多分神奈川県の厚木あたりだったと思いますが、そこを車で通っていたときに、私にとっては非常に奇異なというか、不思議な光景を目にしたことがございまして、小さな河原にたくさんの人がキャンプを張っていた。その光景を見ながら、私自身は、何か災害があって避難をこちらの方でしているのかなと思いまして、近くのレストランに入ったときに、何か災害でもあったんですかということを聞いたところ、結局、キャンプをしているんだという話を聞かされまして、非常にある意味で驚いたことがございます。
私の出身は茨城県の古河市というところでございまして、恐らく日本で最大の、渡良瀬遊水池という大変大きな河原が存在しているものですから、そういう光景をずっと目にしながら育ってきた私にとっては、何であんなつまらないところでキャンプをするのかなというのが率直な印象でございました。ある意味では、それぐらいグリーン、緑というものに、あるいは水というものに、特に都会の人たちというのは飢えているのかなという印象を持った次第でありまして、今回グリーンツーリズムという言葉を聞きながら、その光景を改めて思い出したわけです。
このグリーンツーリズムという概念ですが、これはどういう経緯の中で登場してきたのか。いかにも役所がつくった、ある意味では官製の、何か地に足の全くついていない概念というような感じがするわけですが、どういう経緯の中でグリーンツーリズムという概念が農政の中で登場してきたのか、また、グリーンツーリズムのグリーンというのは何を、どういう内容を意味しているのか、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。
○川村政府参考人 グリーンツーリズムの概念が出てきた経緯等のお尋ねでございます。
これは、私どもが政策として打ち出したのは、先ほどもお答えを申し上げましたが、平成四年の新政策の際でございます。
そのときの社会状況等を申し上げますと、バブルが崩壊をする。それまでは効率性と物質的な豊かさといったものが追求されたわけでございますけれども、これからはやはり心の豊かさを重視するということで、国民の価値観も大きく変化をしてまいりましたし、また、いろいろなアンケート等によりましても、農山漁村におきます自然なり、あるいはそこの恵みなりといったものに対する要求、ニーズというものが高まっているということが出てきたわけでございます。一方、それを受け入れる側の農山漁村地域の現状を見ますと、高齢化の進展あるいは過疎化ということで、基盤産業であります農林漁業が伸び悩んでおりますし、地域の活力自体も低下をしている、こういった状況があったわけでございます。
こういった状況の中で、都市部の方々に対してもゆとりや安らぎを提供するといった面と、それから、都市と農山漁村の交流を通じまして地域の活性化を図るということが可能であるということで、これは政策としても取り上げて、支援し、推進していくことが必要だろうということでございます。
そして、ヨーロッパ等でも、農業生産的な施策から、より幅広く、農村政策といいますか、そういうものへだんだんシフトをしてきているという状況もございます。それから、先ほど来もありましたように、各国ではこういった、農山村を舞台にしたツーリズムというものが、非常に長い歴史の中でまたシステム化もされているということで、そういうことも参考にしながら、グリーンツーリズムを推進したいということで、政策として打ち出したわけでございます。
このグリーンの意味でございますが、外国でもグリーンというのは、そういう、地域の農山漁村を象徴するような、そこで行われている産業としての農林水産業、そういったものを代表するような言葉としてグリーンというものをイメージしているところでございます。
○神風委員 実は、先月の五月の十五日に、長野県の黒姫にありますC・W・ニコルさんのアファンの森というのに行く機会がございました。このアファンの森という名称も、ニコルさんの出身地でありますイギリスのウェールズのアファン国立公園からとられたようでございまして、ニコルさんが少しずつ黒姫の土地を、農地を買いながら、森林を本当に手塩にかけながら育てているという森でございます。三時間ほどニコルさんと一緒にその森の中を散策したわけですが、時間がたつのも忘れるぐらい本当に楽しい時間でございまして、ある意味では、こんなことがグリーンツーリズムの一つ。その中でキノコをつくったり、あるいは農作業なんかもしているわけですが、そういうことをやりながら、そこである程度のんびりと長期滞在できるというのがグリーンツーリズムの本当のだいご味なのかなという気がしたわけでございます。
そういう意味で、アファンの森の隣には、やはり同じように国有林があったわけですけれども、そちらの方は全く手入れがされていないで、本当に散策をできる、楽しめるというような状況ではなかったわけでありまして、これほど、手入れをしているところと手入れをしていないところ、随分違うものであるなというのを非常に感じたわけでございます。個人的には、そういう意味で、グリーンツーリズムというのはそんなことを指しているのかなというのを漠然と実感をして帰ってきたわけでございますが。
平成四年にグリーン・ツーリズム研究会というのが設置をされて、このグリーンツーリズムの政策というものがスタートをしたわけですけれども、この研究会の委員の名簿を見ますと、随分、グリーンツーリズムとは余り関係がないのではないかなと思うような方ばかりが並んでいるような、中には研究者で専門の方もいらっしゃるようですが、それとは余り関係のない方が相当多いような気がしたわけですけれども。実際にこの中にグリーンツーリズムの実務者のような方がいらっしゃるのかどうか、あるいはどういう基準でこの研究会の委員というのは人選をされたのか、その点をお伺いできればと思います。
○川村政府参考人 グリーン・ツーリズム研究会についてのお尋ねでございます。
これは、先ほど言いました、新政策を出すときに、局長の、当時は構造改善局と申しましたが、その私的研究機関として設置をされたわけでございます。
当時、日本におきましては、グリーンツーリズムを実践するというのはまだ広く行われておりませんので、人選はなかなか苦労したわけでございますが。特に、外国ではいろいろな事例があるということで、外国のグリーンツーリズムの事情に精通をしておられる学識経験者の方。またグリーンツーリズムの場合は出かける方と、それから、受け入れ側とあるものですから、出かける方の都市部の意見を代表する方。それからまた、受け入れ側も、農業、林業、水産、こういうふうに各分野がございますので、そういった方々、あるいは地元で取り組んでいらっしゃる方ということで人選をさせていただいたわけでございます。
○神風委員 グリーンツーリズムの定義として、緑豊かな農山漁村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ、滞在型の余暇活動と定義をされてスタートしているわけですが、恐らく、この種のことというのは実態先行型で進んでいく方が自然に定着していくのであろうという気がしておりまして。余り、役所が定義を決めて、そこから頭ごなしというか、上からグリーンツーリズムというものの定義を決めて、それを全国に普及させていこうという形よりは、こういったおもしろいことがあるよというような形で、それが全国に幾つも波及していく中で、その中でグリーンツーリズムというのが定着していくというような形が本来的な形ではないかなという気がしているわけでございます。
ある意味で、先ほども申し上げましたように、都市住民というのは、グリーンあるいはグリーンツーリズムといったものに大変飢えている。大変飢えていながらも、それを満たしてくれるスタイルというのがいまだ日本にはないというのが現状ではないかなという気がしておりまして。余り大きな体制整備から入るのではなくて、小さな成功事例というようなものをどんどんどんどんふやしていって、その中でそれをバックアップしていくような、そういう形が本来あるべき姿なのではないかなという気がしているところでございまして。
これはグリーンツーリズムに該当するのかどうかはわかりませんけれども、例えば茨城の水戸の南の方に茨城町というところがあるわけですが、そこにどきどきファームというのがございます。これはJAの経済連がもともと経営しているところでありますが、近くでとれた農産物をそこで販売をしている。隣接をして、農家レストランとまでは言えないけれども、レストランがあって。そこは当初はそんなに人が入っていなかったのですが、特にレストランの方で、地産地消に近い農産物を使って、ふだん食べるようなものを家族で食べられるような、そういったものを提供するようになったところ、大変な混雑であるそうです。聞くところによりますと、一時間待たないとなかなか入れないであるとか、あるいは前日にもう予約が埋まってしまう。茨城ですから大変な農業県であるわけですけれども、周りはみんな農家ばかりなのですが、そんな農業県であってもそういう状況を来しているというようなことでありまして。
ぜひ、小さな幾つかのそういった成功事例をどんどんどんどんふやしていきながら、グリーンツーリズムと言われる、それにふさわしい体系というものをつくっていく方が重要なのではないかなという気がしているところでございます。
食料品消費モニター調査を見ますと、「グリーン・ツーリズムに対しての要望」として、「グリーン・ツーリズムの楽しみ方が良く分からないので、旅行を計画する際の判断材料となるようなスタイル集(ガイドブック)がほしい」という回答が二七・一%と、最も多かったということでありますが、非常に興味深い結果であるなと思うわけですが。
このグリーンツーリズムの人口というのが、九百万から一千万、推計であるということでありますが、ニーズが高まっているのに、なぜこれが増加をしないのか。その点、どういう御見解であるか、お伺いしたいと思います。
○岩永副大臣 ちょっと、先ほど鹿野先生から、副大臣も答弁せい、こういうことでございますので、答弁させていただきます。
私は、確かにグリーンツーリズム、今、民宿関係で一千万から一千百万ぐらい、それから公的宿泊所等を使うと二千四百万、これを三千万ぐらいにしたいということなんですね。それで、公的宿泊所あたりが本当に気楽に、どういうふうにふやしていけるかという、補助金制度等も今つくっておりますので、例えば廃校を改築しながら、風情のある建物を維持していく、つくり上げていく。それから、本当は補助金なんかも、民間に補助ができるという融資制度はあるわけですが、そういうものができればそれはいいのではないかというようなことを思っておりますし。
先ほど鮫島先生のお話にありましたように、日本はこの運動をやって十年。そして、やっとここまで伸びてきたけれども低迷しているというところは、やはり次の都市の皆さん方の欲求を満足させるような部分にまでまだ至っていないということですので、やはりここら辺の研究だとか、これからのレベルアップというのが大事ではないか、このように思います。
先生がさっき言われたように、田舎へ行って、そして、ごたごたごたごた、都会よりも煩雑なテントを張っているようなことでは、心豊かないやしがそこで求められるかというと、そういう部分もあるわけでございます。
だから、これから交付金や情報発信の強化なんかをし、そして交付金もやはりこれからどんどんどんどん改善していきながらレベルアップをしていきたい、こういうように思うわけでございますので。地域ぐるみの受け入れ体制の整備がまだまだであるというような問題だとか、それから観光目的の宿泊者が全体に減少していることがこのグリーンツーリズムの低迷につながっているというような部分等もあるのではないか、こんなことでございますので、そういうところにこれから力点を入れていかなきゃならぬのではないかな、このように思っております。
○神風委員 ありがとうございました。
あと一つは、私も感じますのは、やはり休暇のとり方とか、性格的なもので、どうしても。欧米人なんかを見ていますと、やはりバカンスのときには何もしないでただぼうっとしている、それが休暇だというような印象が結構あって、日本のように、万博に行って人込みの中で遊んでくるというスタイルは、余り欧米人では受けないというような、そういったものが結構違うのかな。
あと一つ、やはり感じますのは、私はヨーロッパに住んだことはありませんからわかりませんけれども、アメリカなんかだと、やはり森に対しての意識というものがすごく違うんだなというのを、非常に痛感することがありまして、何の目的もなく森の中へ入っていって、ぶらぶらぶらぶら遊んでくるというようなことを、結構アメリカ人なんかはしている傾向がありまして、またそれにふさわしい森林というのが存在しているな。それに比べると、日本のグリーンというのは非常に貧弱であるんだなというのを非常に痛感することがございます。前に住んでいたコネティカットのあたりの森では、本当に、秋になりますと紅葉した木の葉が雪のように降ってくるわけですね。あの光景を見て初めて、何で秋をフォールと言うのかというのを実感して、本当にわかったわけですけれども、それぐらいやはり緑、グリーンの豊かさというのが違うなということを痛感しているわけでありまして。
ある意味で日本で言われる農村に滞在してゆっくりと過ごすという、本来のグリーンツーリズムのスタイルに余りとらわれないで、日本なりのグリーンツーリズムのあり方というようなものを開発していってもいいのではないかなという気がするわけでございます。
そういう意味で、例えば、学校の教育であるとか、あるいは普通の企業の活動で、グリーンを通じての交流活動というようなものもこれから必要ではないかなという気がするわけですが、これは何か、現状で行われているような活動があれば、ちょっと教えていただければと思います。
○川村政府参考人 グリーンツーリズムにつきましては、非常に全国的にも幅広いいろいろな取り組みが芽生えているというふうに思います。
特に、年齢層からいっても、もう若い世代からやっていかなくちゃいけないということで、先ほど来も出ておりますが、修学旅行で農林漁業の体験をさせるということもかなりふえてきておりまして、ある地域におきましては、ちょっともう受け入れ切れないのでお断りをするといったようなところも出てきているようでございます。
それから、企業等におきましても、やはり従業員の福祉厚生対策ということで、自分たちの山を持つとか、自分たちの畑を持って、そしてそれを従業員のために農作業体験をさせるといったようなところも出てきておりますので、こういったいろいろな階層、いろいろな職種、そういったところで取り組んでいただくということで。やはり問題は、国民意識、これが変わらないとなかなか取り組まないと思いますし、これはいろいろな方面から取り組まないといけないと思っております。
○神風委員 共生・対流実態調査によりますと、その取り組みを行わない農山漁村側の理由として、「交流を実施するためのノウハウ・人材(体験インストラクター)等がない」というのが二五・八%で最も高いということでありますが、やはりある意味でグリーンツーリズムの成否というのは人の問題に尽きると私は思うわけです。先ほど御紹介した例えばアファンの森にしても、あそこで、何でまたリピーターになりたいとか、あるいはもう一度行ってみたいとか、あるいは楽しかったというのは、やはりC・W・ニコルさんの存在があったからやはり楽しいんですね。
そういう意味では、森自体の楽しみももちろんありますけれども、それ以上に人の問題というのが一番このグリーンツーリズムにおいて大きいのではないかなという気が私自身はしているわけですが、そういう意味で、このグリーンツーリズムの推進に必要な人材、これは育成できるというものなのかどうかもわかりませんが、その人材の育成についてどういう御見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
○川村政府参考人 人材の育成についてのお尋ねでございます。
今委員が御指摘ございましたとおり、まさにこのグリーンツーリズムが振興し定着するという上では、その地域に根差した人材、こういう方がいらっしゃるということが一番成功のポイントだろうというふうに思っております。
なかなかその人材の育成も難しいわけでございますが、私どももお手伝いできることはないかということで、研修をやろうということで、特に、農山漁村の魅力を生かす企画をする、あるいは都市と農山漁村を結びつける、コーディネートする、そういった観点からの人材というものの支援をしておりまして、これまで約千四百名の方が講座を修了されております。特に、中でも、みずから企画立案をするという上級講座の方は、そのうち百七十名ということになっております。
特に私どもも人の重要性ということは十分認識しておりますので、予算の中でも中山間地域が特にあれなので、中山間地域等青年協力隊といったようなことで、都市部の活力ある青年を長期派遣するという取り組みも始めております。
こうした人材育成、それからまた、そういった派遣事業、そういうことも中心に据えながら頑張ってまいりたいと思っております。
○神風委員 今お話しされたその千四百名ですか、研修を受けられたというのは、そのグリーンツーリズムインストラクター制度のプログラムを受けられた方という意味でしょうか。
○川村政府参考人 この研修の具体的な実施主体は財団法人の都市農山漁村交流活性化機構が実施しておりますが、ここの研修事業の中で講座を受けられた方の数でございます。
○神風委員 その、いわゆるまちむら交流きこうですか、そこのグリーンツーリズムインストラクター制度の研修ということだと思いますが、これは拝見しますと、入門編、実践編、上級編とありまして、それぞれ研修プログラムが二泊三日、三泊四日、三泊四日で、それぞれ受講料が四万円、五万円、五万円という形になっているようでございまして、その中身も、案内人の話し方とタイミングであるとか、案内人の伝え方技術というようなことが書かれているわけですが、実際に、これで本当にインストラクターという制度というか、それが定着して機能しているんでしょうか。
○川村政府参考人 お答えいたします。
確かに、三泊四日の講座を受けて、もう即、使い物になるということは、なかなか、この人材というのは長い目でやらなくちゃいけないので、すぐ効果はないと思いますが、ただ、研修のよさは、同時に研修を受けられた方のネットワークができたり、また、機構とのパイプができたりということで、研修が終わった後も、いろいろな接触なり勉強の機会というのがありますので、長い目で見ると必ず効果を上げていくものというふうに期待をしております。
〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕
○神風委員 ぜひ、本当に農村を愛し、またその農村、その地域をよく知っている人にそういったインストラクターになっていただきたいな、それは切にお願いするところでございます。
あと、次にちょっと、いわゆる都市農山漁村交流活性化機構についてお伺いしたいと思いますが、現在、職員数が三十一名、その中で理事が六十七名いるそうでありますが、常勤の専務理事一名を除いて六十六名は非常勤の理事ということですが、随分理事さんの数が多いんだなということに驚いたわけですけれども、その点について、どうしてこういう態勢になっているのか、あるいは、これらは多分無報酬であると思いますけれども、ちょっと確認のためにお答えいただきたいと思います。
○川村政府参考人 お答えをいたします。
この財団法人都市農山漁村交流活性化機構でございますが、実は、これが発足しました経緯は、平成十一年七月に新しい基本法ができたわけですが、その中で新しい政策分野が、まさにこの都市と農山漁村の交流だったわけでございます。それを実施する機関として実は三つございまして、財団法人の農林漁業体験協会、また、財団法人のふるさと情報センター、それから21世紀村づくり塾というのがあったのですが、これを統合いたしまして平成十二年四月に設立をされております。
そういうことで、その当時それぞれの三つの機関に属されておりました理事さんの方々は、これまでのいろいろなノウハウ、諮問、そういったことでも力を発揮していただいておりましたし、統合後間もないということで、幅広くいろいろ御意見をいただかなくちゃいけないこともあったということで、そういった状況になっているところでございます。
○神風委員 無報酬ですか。
○川村政府参考人 報酬は出しておりません。
○神風委員 あと、農家民宿が、いわゆるまちむら交流きこうに農林漁業体験民宿として登録しているのは大体一割くらいだと思いますが、登録するメリットというのは何なのか。
また、今般の改正によって、NPO法人であるとかあるいは第三セクターも体験民宿業の登録対象となるわけですが、こういったものが登録を受けるメリットは何なのか、そこら辺についてちょっとお伺いできればと思います。また、NPO法人と農林漁業者間で競争が激しくなるというような事態は想定されないのか、ちょっとお願いしたいと思います。
○川村政府参考人 農林漁業体験民宿業者の登録制度自体は、農林漁業体験活動に関しますサービスの提供方法等に関しまして一定の基準をクリアした業者ということで、これは利用者の利便ということが一番の目的になっております。
では逆に、今お尋ねのように、この登録を受けた民宿業者の方にとってはどういうメリットがあるのかということでございますが、こういった登録を受けられた方々はホームページあるいは出版物へ掲載をするということで、一括して都市住民の方への情報提供ができるということ。
それからまた、今回は、その登録を受けた業者であるという標識を掲示するということを義務づけまして、登録を受けない者が標識のにせものをつくりますと、まさにペナルティーというか、罰則がかかるということもございます。この標識を見ることによって、これは一定の水準をクリアしているということが一般の方にもわかるということで、宿泊者の増加といいますか、そういうものにつながるということがあると思いますし、それから、旅行会社等も、こういった体験型の民宿を紹介するということもあるわけですが、やはりこういった登録等を受けているということが一つの基準になりまして、これは旅行エージェント等でも十分紹介するにたえるということでの取り扱いをしていただけるというメリットもあると思います。
また、活性化機構でも、先ほど言いました研修とかこういうものも、基本的にはこういった登録を受けた方々の向上ということでサービスを提供しておりますので、そういったことを受けられるというメリットもあると思います。
○神風委員 これまで一つに限られていた登録実施機関が今後複数設置されることが想定されるわけですが、そうした場合に、体験民宿業者が、どこを選択するかという問題はあるわけですが、一つに登録をすればそれは同様に登録のメリットを受けられるのか、登録料も何か一律ではなくなるのか、そこら辺の点はいかがなんでしょうか。
○川村政府参考人 今回の改正によりまして、農家民宿の登録の実施機関が複数となる場合も想定されるわけでございます。そして、農家民宿の登録自体は、法令で定める登録基準ということで、共通の手続ということでございます。それからまた、登録民宿でありますことを示す標識につきましても、法令で統一的な様式を定めるということで、まさに制度の基本となる部分については、すべての登録の実施機関で同等の取り扱いが行われるということになると思います。
それから、登録免許税もかかりますが、登録免許税についてはこれはまさに一律でございますが、実際の登録事務にかかわる費用、これについては異なることもあり得るというふうに思います。ですから、ホームページ、あるいはその登録機関が行います、先ほど言ったような登録の見返りとしてのいろいろなサービスがあるわけでございますが、そういうところはまさに登録実施機関の自主性にゆだねられるわけでございまして、そういったサービスが機関ごとに特色が出るということは当然あり得るというふうに思っております。
ですから、複数になりましたら、まさに農家民宿をされる方は、そういった受けるメリット等を考慮されて、みずから選択をされるということになろうかと思います。
○神風委員 ちょっと最後に食品リサイクルの関係でお伺いしたいんですが、来年度までに食品関連業者が再生利用の実施率を二〇%以上にしなければならないということになっております。この食品廃棄物、堆肥であるとかあるいは飼料の原材料として資源性が高いけれども、なかなか有効に利用されていないというのが現状であろうかと思いますが、その原因についてどう分析をされているのか、お伺いしたいと思います。
○白須政府参考人 ただいまの委員からの、食品残渣を中心とする、そういったものの十分リサイクルがされておらない原因というふうなお尋ねがあったわけでございます。
この食品残渣にも、もう委員も御案内かと思いますが、いろいろな種類があるわけでございまして、例えば一般家庭から出るということになってまいりますと、これは御案内のとおり、少量なものが、内容も非常に不分明でございます。したがいまして、では、例えばそれをえさにするというふうなことを考えた場合にも、安全性でございますとか、あるいは安定供給といった確保が難しいというのがまず一つあるわけでございます。
もう一点、例えば外食産業なり食品の卸、小売、そういうところから出るものを考えてみますと、これは内容でございますけれども、例えば栄養成分も、たんぱく質とか脂肪とか、それも非常にさまざまである。それから、例えば豚のえさにしようかという場合も、非常に塩分が多うございます。したがいまして、なかなかそこのところは限定されるわけでございますが、例えば給食の残渣といったようなものは、非常に内容とか品質も明らかであるといったようなことで、これも大量に安定供給という場合にはえさとしても十分利用可能だという場合もあるわけでございます。
それからもう一点、食品製造業、これが三つ目のパターンでございますけれども、これは例えば米ぬかでございますとかあるいはビートパルプといったようなことで、これはもう御案内のとおり、非常に内容も明らか、あるいは品質も明らかでございます。また、大量に安定供給されるという面もございますので、こういった面については、実はメーカーの方も、飼料メーカーでございますけれども、えさ原料、飼料原料といたしまして現在三割ぐらいは飼料化をされているといったような状況にございまして、その残渣のそれぞれに応じまして、それぞれなかなか難しい面もある、あるいはまた一方には利用されている面もあるというふうなことでございます。
○神風委員 時々地元で伺う話が、養豚業者が、外食産業であるとかあるいは病院から出た食品残渣、それを引き取ってきて豚のえさとして利用している。ただ、一般廃棄物でありますから、なかなか、リサイクル業者との競争で負けてしまう。つまり、出す方も、排出する方も一緒にまとめて出した方が手間がかからないという面がありまして、食品残渣だけを引き受けてくるということが非常に難しいというお話を伺って、何か逆に、例えば畜産業とか農家の場合には優先的に食品残渣、食品廃棄物だけを引き受けられるような方法がないのかというお話を伺うんですが、これについて現状で何か対応策というのはございますでしょうか。
○岩永副大臣 最近もったいないという言葉が大変はやっておりまして、そのことだけではないわけでございますが、特に自給率を向上する過程の中で、特に家畜の飼料自給率というのが低うございますね。そして、今、麦わらまで中国から購入している。そして、粗飼料も七〇%の自給率なんですね。それから、特にコンビニだとかスーパーだとか、大手業者も余ったらざあっとほかす。先生がおっしゃっているように、食品工場の中、生産工場の中でもほかす。こういうようなものを再生して家畜の濃厚飼料にできないか、こういうことで、実は私が議長となって飼料自給率向上戦略会議というのを立てました。
今、いろいろな方々から意見をお聞きしております。そして、食品残渣飼料化推進のための取り組み優良事例の収集だとか提供だとか、リーフレットを作成して配布している。そして、食品残渣ネットワークづくりというのをやっている。そして、これらを活用した人づくり、拠点づくり等を柱として食品残渣の飼料化を図っていく、そういう工場をどうしてつくっていくかというようなこと等も考えまして、二四%の家畜の飼料の自給率を三五%にまで上げたい、こういうことで今頑張っております。そして、食品残渣の飼料化については、今一七%でございますが、これから十二年後の二十七年には五三%まで上げたいと。
しかし、たばこの灰だとか、つまようじだとか、食べ残しについては、これは飼料には難しい。だから、肥料か何かにできないかというような形の中でのリサイクルをこれから考えていきたい、このように思っております。
○神風委員 今副大臣がお話しされた内容は新聞で先日拝見いたしまして、大変うれしく思ったわけですが、ぜひ農家の話も聞いていただきたい。つまり、利用者の利用勝手がいいものをつくっていただきたいな。つくるだけつくって、なかなかそれが売れないというのが現状であるという話をよく聞くわけでありまして、排出者の論理だけではなくて、そちらの、利用者の、農家の話をぜひ聞く中でそれを進めていただければありがたいなと思うところでございます。
どうもありがとうございました。
○山岡委員長 次に、篠原孝君。
○篠原委員 民主党の所属である篠原でございます。
きょうは、農家民宿、これの振興というのは非常に大事だ。中山間地域の振興ということを考えた場合、農業はもちろんあるわけですけれども、それだけではなかなか立ち行かない、そうしたときに一体どういう方法があるかということを考えますと、これは兼業といえば兼業かもしれませんけれども、必ずしも兼業とは言えない。農家が収入を得る。農業をやりながら、自分の家に泊まっていただいて、体験していただいてということですね。これは非常にいいやり方ではないかと思っております。
ですから、我が国の農業の振興、中でも、中山間地域の振興を図るという観点から、エールを送る意味で、応援の質問をさせていただきたいと思います。
ただ、応援だけで済むかというと、そうじゃない。いろいろ問題点もございますので、関係省庁の皆さんにおいでいただきまして、その問題点について、どうやったら改善されていくかということでお答えいただきたいと思います。
ちょっと質問が早まっている関係で、到着していない省庁もあるということを今事務方から伺いましたので、通告してあります質問の順序をちょっと変えまして質問させていただきたいと思います。
農家民宿、やろうという意欲は大分前からあるわけです。このグリーンツーリズムも十数年前からあります。しかし、どこででも聞かれるのは、規制が厳しくて、やっていけない。
いろんなのがあります。一番悪いのは、後ほどたっぷりと聞かせていただきますけれども、食品衛生法、旅館業法だと思います。ほかに消防法、それから建築基準法があります。ただ、十年前と比べれば、それなりに改善がされてきているというのも伺っております。
私、十年ほど前に、皆さんのお手元にお配りしてありますけれども、まあ手前みそになりますけれども、本を書きました。その後も書いているわけですけれども。パリに三年ほど勤務いたしました。一番の先進地ですね、農家民宿の先進地だと思います。そこで二十数軒泊まって、アンケート調査のようなこともしまして、これを日本に適用できないかというのをいろいろ考えてまいりました。
そこのところを見ていただきたいんです。帰ってきて、それをやったらいいんじゃないかということで、あちこちに講演に招かれたときに、特に中山間地域に行きましたときには、農家民宿の振興というのは一つのやり方ではないかというのを申し上げました。でも、既にやっているところもありました。
真っ先に消防法の規制ですね。年に何人泊まるかわからない。それにもかかわらず、消火器や誘導灯をつけろと言われて、なかなか踏み込めないということを聞きました。ほかにもあるわけですよ。この点は最近改善が進んだと伺っているんですが、どのように改善が進んだのでしょうか。
○東尾政府参考人 農家民宿の消防法令上の規制緩和について、ただいま御指摘の点について御説明を申し上げます。
私どもの規制は、御案内のとおり、宿泊者が、特に火災時に安全に避難できるということを眼目としてやっているわけでございますけれども、今おっしゃった、消火器、誘導灯でございますけれども、従来は、普通の旅館、ホテル並みに規制をしておりました。しかし、誘導灯につきましては、農家民宿の場合の構造が、普通はお泊まりになる各部屋から直接外部に避難できるようなところが多いとか、あるいは非常に簡単な構造になっておりますために、夜間であっても迷うことなく避難口に到達できるような仕組みというか建物になっていることが多いというようなことから、そのように明らかに判定できる場合には、誘導灯については、構造改革特区の実績もありまして、平成十六年度、昨年度から、全国一律にこれを免除するということといたしたところでございます。
しかしながら、消火器につきましては、これは各家庭でも置かれているような場合もございますし、また、やはり最小限の初期消火のために必要な器具ということで、現在も規制の対象としておるところでございます。
○篠原委員 それなりに改善されているのはわかりました。
今役人言葉でいろいろおっしゃいました。誘導灯とか言いますけれども、農家は誘導なんて要らなくて、戸をあけたら外に出てしまう。そもそも、簡単に出られ過ぎるのが問題なぐらいなんじゃないかと思う。それをほっといて、誘導灯だなんとかだと。誘導灯なんかつければ、かえって頭をぶつけてけがするんじゃないかと私は思います。そういうぼけた規制が延々と、つい最近まで続いていたわけですね。消火器とかいう常識的なのはいいですよ。それを農家がちょっとやるときに、旅館と同じだとぐちゃぐちゃ言っているというのは、もう信じられないことですね。
フランスの例をいろいろ出しますけれども、一切規制はありません、十室未満は。それはそうですよ。おいやめいや妹の一家、五、六人がしょっちゅう来る、それと変わらないわけです。それになぜ同じような規制をするかというのは信じがたいわけです。
それで、やれない人もいっぱいいましたけれども、意欲のある人たちは、仕方がないから旅館業法の許可をとってやっているわけですね。しかし、旅館業法の許可をとったところで、ほとんど変わりないんです。
私の地元、長野県の北の方です。スキー民宿というのが昔からありました。ですから、いっぱいあります。そこは中山間地域の典型的なところです。一年の半分ぐらい雪に覆われる。で、行ってみました。いろいろとお話を承ります。どこが問題かというのも、この質問に備えてというか、先週、じっくり聞いてまいりました。いろいろ金がかかり過ぎると。今度は農家民宿とちょっと違うわけですよ。旅館業法のもとにですけれどもね。消防法のもと、毎年一回必ず検査に来て、一時間か二時間しかいない。消防何とか士というのか防火何とか士という、業者です。そうして五万円ずつ取られると。何にも変わっていないと言うのですね。こんな余計な経費はなぜ必要なんでしょうか。一体、これ、何にかかっているのか、教えていただきたいんですが。
○東尾政府参考人 消防用設備の点検でございますけれども、一定の防火対象物につきましては、そこに設置されております消防用設備がちゃんと作動するかどうか、定期的に点検を行うよう、消防法では義務づけているところでございます。旅館、ホテルにつきましても、そのような点検を行うということは決められているわけでございますけれども、一般には、一般にといいますか、今の法令では、建物の延べ面積が一千平米に満たない場合には、これは、その旅館、ホテルあるいは民宿の所有者などがみずから点検をして、例えば消火器でございますと、期限切れになっていないかとか、あるいは腐食していないかなどという、目視の点検などをしまして、それで大丈夫ということでございます。
私どもも、この指摘がございましたので調べてみたわけでございますけれども、普通は一千平米に満たない農家民宿が非常に多いので、なぜ事業者が来るのか、ちょっとわからないということでございまして、私どもとしては、そのように一千平米に満たないものについてまで専門業者の点検を必要としないということは、法令上も明記しておりますけれども、今回のお話もございましたので、この辺についてはさらに徹底をしていきたいと思っております。
なお、千平方メートル以上の民宿につきましては、これはかなり大規模な、旅館、ホテルと同等のものとなってまいりますので、これにつきましては、一定の資格を持つ者の点検を義務づけているところでございます。
ただ、その金額でございますけれども、こちらについては消防法によって決めているわけではございませんで、業者の実費といいますか、業者の営業上の必要な経費を請求するものでございますので、五万円というふうに決められているものではございません。個々の地域によってそれについては差異がございます。
以上でございます。
○篠原委員 常識的なことを行われているようですけれども、徹底していないところが非常にあるんじゃないかと思います。田舎の人たちはみんなまじめですからね、来たら、やらなくちゃいけないと、検査を毎年受けているということで、それをまじめにやっている。
ほかに、これはお答えいただかなくていいですけれども、国交省の問題です。建築基準法上の検査も二年に一回ぐらいあって、それなりの金額、二万円から四万円というのを取られる、年にすると二万円ぐらいですかね。
今千平米とおっしゃいました。千平米というのは一体何室ぐらいかというのは、皆さん頭にすぐには浮かんでこないと思います。でかいでかいとおっしゃいます。農家のところへちょっと建て増しして、気をきかせてやろうといっているところに、でっかいホテルや旅館、志賀高原のホテル、野沢温泉のホテルと全く同じ規制がかかっているわけです。そこは絶対おかしいわけです。
人の命は大事です。火事が起こっては大変ですけれども、そこは常識的に判断いただいて、後で触れますけれども、総務省の中で過疎振興というのは大事な仕事なわけですよ。過疎振興という観点から、こうやってやればいいんだと、お金のかからないような仕組みというのも、同じ省庁の中にあるわけですから、ぜひ考えていただきたいと思います。
次に、国交省の建築基準法の規制です。
これはきのう、レクの段階でわかりました、改善されていることを聞いてほっとしました。皆さんに聞いていただきたいんですが、いいですか。
このとぼけた規制というのは、私は前代未聞の規制だと思います。農家の生活を共有したい、田舎でもってゆっくりしたい、いろりに当たりたい、それで農家民宿に行きたいと。ところが、いろりは危険だから、いろりをつぶさなくちゃ農家民宿にしてはいけないというんです。信じられますか、このとんちんかんな規制。皆さん、笑われます。しかし、ずっとそれが現実だったんです。
私はこんなばかな規制があるかということを言い続けてきました。農林水産省で、旧構造改善局、農村振興局に行かせて、それなりの地位につかせていただければ私はやれたと思いますけれども、残念ながらそこに行かせてもらえませんでして、ほかのことばかりやらされておりまして。
農林水産省が考えなくちゃいけないことなんですけれども、建設省もぼけていますよ、全部いろりをつぶしていたんですから。やっとこさ去年の十二月だかに改善されたそうですけれども、一体どのように改善されて、現状はどうなっているんでしょうか。
○和泉政府参考人 お答え申し上げます。
まず、御指摘の規制でございますが、基準法では、旅館等における火を使用する部屋については、その内装を、例えば石こうボード等の不燃性のある材料で仕上げなければならない、こういう規制がございました。先生御指摘のように、平成十五年四月の改正旅館業法施行規則によって、従来は認められておらなかったような、客室の床面積が三十三平米未満であるような農家民宿についても旅館業の許可が取れるようになった。その結果、そういった民宿について、先生御指摘のように、基準法上は旅館として扱われることになって、内装を不燃性のある材料に仕上げなければならないから、結果としていろり端をつぶすみたいな事態が生じたことは事実でございます。
これらの状況を踏まえまして、国土交通省では、客室が三十三平米未満であって避難上は支障がない、先ほども消防庁からお答えがございましたが、すぐ外に出られる、こういったようなものについては、旅館業法上は旅館かもしれませんが、基準法上は住宅として使うことにしまして、この旨をことしの一月に全国の建築行政を担当する公共団体に通知したところでございます。これによりまして、一般的な平家の農家民宿については、いろり端をつぶすことなく民宿がやれるようになった、こういったことでございます。よろしくお願いします。
○篠原委員 せっかくですから、皆さん、この資料の三枚目を見てください。これは、建設通信新聞に、こんな立派なことをやったと。「農家民宿改造 「いろり」OK」という、こういう非常識がまかり通っているんですよ。大臣はおられませんけれども、日本の常識は非常識とかなんとか。非常識問題というのを言うと、ちょっと失言される方もおられるのでやめておきますけれども。これは、ヨーロッパでいったら、危険だから農家の暖炉をつぶせ、そうじゃないと農家民宿をさせないと。だから、外国人に言ったら笑われますよ。
今、やりましたとおっしゃいましたけれども、まだだめなところがあるんですよ。横のところへすぐ火が移るといけないから、周りの内装をすぐ引火しないようなものに変えろと。その結果、風情も何もなくなった、台なしのいろり。いろりはあるけれども周りは従来のものじゃないというような規制もまだ残っているわけです。
私は、もう本当に、こういうことを余り言っちゃいけませんけれども、あほ、ばか、どじ、間抜けという感じの規制だと私は思います、こういうのは。本当に信じがたい。
こういったのをちょっと直すというのがなぜ農業サイドからきちんと出てこないかというと、おわかりになると思いますよ。運輸業界クロネコヤマトの宅急便の小倉さんのような、声がでかくて理論家なんというのは、山間僻地の農民にはおりません。ちょっと試しにやってみるかという人たちですよ。そういう声まで聞いていないんです。それは我々政治家の役割ですよ。感度のいい政治家がいたらとっくに直っていたでしょう。良心的な役人がいたら、担当者がいたら直っていたでしょう。何にもないから現場も知らない、だから放置されてくるわけです。特区とかそういうのでやってやっと直ってくる。
これを機会に、まさに農村の生活をエンジョイしたいという人、いやしが欲しいという人たちが行くわけですから、ありのままでできるように、しかしルールはルールで守ってもらわなくちゃいけない、しかし、振興という観点から、ぜひ行政はやっていただきたいと思います。
では次に、食品衛生法です。
これが一番ひどいんですね。農家民宿をやっていく場合、食品衛生上の規制がもうめちゃくちゃです。これについて、何か十年前と比べて改善されたんでしょうか。この法律ができてから、農家民宿をきちんとやっていく、農業体験をしてもらうということでやり始めたわけですけれども、少しは改善が何か進んだんでしょうか。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
食品を調理しまたは設備を設けて客に飲食させる場合は、食中毒発生防止の観点から、一定の予防対策が確保されることが必要と考えております。
一方で、御指摘の農家民宿の営業許可にかかわる問題等につきましては、規制緩和の要望があることを承知しており、地方分権推進の流れに合わせて、従前より都道府県等に対し、条例で定める施設基準等について要望がある場合には、関係部局間で十分に協議を行い適切に対応するようにとしているところであります。
○篠原委員 何を答えられているかわからないですね。
何にもやってないんですよ。やってないどころじゃありません。私は、余りこういうところで山田さんのような調子でやるのは嫌いなんですけれども。しかし、許しがたいです。
きのう、質問とりのときに、私は、質問をみんな書いて差し上げます、それで、いろいろやっているので、それなりに考えてやってくれているんでしょうと。そうしたら、いや、自治事務ですから県が勝手にやっています、我々は何もそんな規制していませんと。いや、それだといったって、僕が聞いている限りでは、いろいろなところでいろいろな工夫をしてやっているでしょう、どういうふうにやっているんですか、優良事例があるはずですよと。ほかの省庁、総務省も文部科学省も国土交通省も、私がちょっと言った資料をすぐ届けてくれました。厚生労働省は、そんな資料はありません、工夫している資料がありませんと言うんです。実態がどうかも承知してないなんということがあるんでしょうか。
○外口政府参考人 農家民宿の場合ですけれども、一般に、都道府県において、営業許可申請があった場合には、書面のほか、現場において審査を行っております。その際に、施設の規模、提供される食事の種類、数量等をしんしゃくすることが可能でありますので、農家民宿においても、条例の範囲内で弾力的な運用が可能であると考えております。
御指摘の優良事例等についてでございますけれども、きのう、先生から青森とか大分の例について御指摘をいただきまして、私どもの方で調査いたしまして、同様の事例の工夫が、例えば秋田とか福島とか長崎とか鹿児島とか、全部を把握しているわけではございませんけれども、そういった工夫がなされていると承知しております。
例えば、先生から、新しい厨房がないと食事が提供できないだとか、それからほかで食べてもらうとか、一緒につくったことにするといったことをやっている事例があって、おかしいじゃないかという御指摘をいただいたわけでございますけれども、それらについても、県によっては、一定の基準を満たせば家庭用の台所の共用ができるようにするとか、あるいは調理場へのお客さんの入室を、専用じゃなくてもできるようにするとか、そういった工夫もされているようでございます。
また、宿泊者が自炊する場合には食品衛生法の基準には入らないわけでございますけれども、これも、体験型の場合に農家側が補助の範囲内で関与する場合、そういった場合には、程度問題はあるでしょうけれども、営業の許可が要らないようにするとか、そういった工夫も行われている県があると承知しております。そういった中で、そば打ちとかまんじゅうづくりとか、そういったことが楽しめるようになっているのではないかと承知しております。
○篠原委員 今、質問していないことまでお答えいただきましたけれども。
きのうの夜は、ないと。ですから、私はそれなりに承知していましたけれども、もう一回インターネットで調べましたよ。調べて、今皆さんのお手元にお配りしてあります四番目の資料、「大分県における農家民宿の食品衛生法上の規制緩和事例」というのを。それから、青森県のも載っていました。秋田も福島も。インターネットだけでも載っている。それを厚生労働省は、一切承知していない、そのような資料はない、事例は知らないと。私から言われてやっと調べるなんて、そんななまくらな態度は私は許しがたいんじゃないかと思います。少なくとも、質問を受けてやったときに、調べて持ってくるという、その一夜漬けでいいですよ。それすらもしない。それだったら、行政が前に進むはずがないじゃないですか。
この資料を見てください。食品衛生法、旅館業法。まあ旅館業法の問題もあるんですけれども、食品衛生のところ。大分県はどうしたかというと、湯布院があったり安心院があったりして、先進地です。我が県も先進地なんですが、知事がちょっと違う感じの人なので、なかなかこれはできていないわけですよね。
この右側「新たな取扱い」を見てください。「宿泊客が農家と一緒に調理、飲食する体験型であれば客専用の調理場及び営業許可は不要としました」と。お客さんが行って調理をしたことにしなくちゃいけない。で、実際どうなっているか。いろりと同じような規制ですよ。食器洗いと、材料を洗うのと、手を洗うのと、三つ別々の流しがなくちゃいけないというんです。信じられますか。都会のでかいレストランだったら、私はその規制があってもいいと思います。農家民宿でやるのにそれを要求するわけです、そうじゃないといけないと。
それで、二枚目のページの私の地元の中野市の主婦からのファクス、ページにすると二ページ目です。見てください。これは、私が勧めたりして、それで、私の本、資料の六にありますから聞きながら読んでいただきたいんですが。
それで、どうしたらいいのかというので聞いてくる人もいます。コンサルティング業務を役人時代からしていましたけれども、その一つですよ。
特区をとってやり始めたと。ところが、真ん中のあたりを見てください。四行目。食事の提供ができないことです、法にのっとり改修すればよいのですが、多額の費用がかかるため、全員で素泊まりで許可をいただいています。
食事は提供しちゃならないので、素泊まりでと。そういうことです。そのために行政から施設を借り、ボランティアによる合同食事会。県や市町村は苦労しているわけです。大分県のをまねているわけです。ルールがない。しかし、こうやってやれば文句は言われないだろう。
合同食事会というのは、来ていただいた人たちも一緒に食事をつくっている、炊事を一緒にしている。来ているのは小学生です。それは、物を運ぶのが炊事かもしれません。そんなことするわけない。そして、接待をしています、でも、いつまでもこれを行っていくわけにいかず、いずれはと考えておりますと。
これが実態ですよ。わかりますか。二十人、三十人の農業体験で来て泊まるわけです。食事を提供しちゃいけない。まじめなんです、長野県の人たちは。ほかの県の人たちは知りませんけれども。それで、わざわざ外に行って、そして御飯を中では食べさせない。しかし、向こうに行って、一緒につくってやっているわけです、わざわざ外に行って。
そして、もっと傑作なのは、朝飯どうするかと。朝飯からそんなことできないでしょう、どうしようと、みんなで協議したんだそうです。しかし、それは無理ですから、そこはちょっとこの法律からすればイリーガルです、法律違反かもしれません、農家でつくった簡単な朝食をしました。しかし、これで許可を取り消されるといけないからといって、わざわざコンビニに走って、三つぐらいずつおにぎりを買ってきて、それをみんなで分け合って食べたという証拠を残しているという。
信じられますか。こういう涙ぐましい努力をしているんです。このとんちんかんな規制のためにですよ。わかりますか。これが実態です。こういうことを放置しておくことはよくないんですね。どこかが真剣になったりしたら、こんなものは簡単に消えていくはずなんです。そして、ほかは特区、みんな直してきています。
では、厚生労働省は、これがいいんだったら、ほかのところにも波及させるべきです。それはまた抜け穴をつくっているようなものですね、一緒につくったことにすればいいと。そういうのを全国に通達で出すべきだと思いますけれども、出す気ありますか。
○外口政府参考人 自炊の場合、あるいは体験調理で補助の範囲内ということは、営業に該当しないと解釈しておりますけれども、それと、一緒につくったことにするというのは、また全然別の話ではないかと思います。ルールがいい悪いということとまた別の話ですので、一緒につくったことにするというのは、やはりどうしてもやめてほしいなと思っております。
それで、今後の対応でもございますけれども、先ほど、設備の問題では流し場、シンクですね、あれの数が足りないとか、そういう御指摘もありましたけれども、この点につきましては、調理の形態によって、何を食べる、どういう調理をするかということによっても大分違うと思いますので、それはその自治体で、実情に合わせて条例等の改正、あるいは運用解釈をしっかりしていただくというような対応もできるのではないかと考えております。
○篠原委員 今ここでやっている農業体験、小学生だけが行きます。何でもやらせようというのもあるんですけれども、それは農業体験であって、炊事体験に行くんじゃないんです。小学生が十人農家に泊まったときに、食事はどうするんですか。農家の食事を食べちゃいけないんですか。
○外口政府参考人 食品衛生法の目的は食中毒を予防することにありますので、食中毒が起きないようにするということが第一義的な目的なわけでございますけれども、例えば農家民宿の場合でも、では、食中毒が実際……(篠原委員「簡単に答えてください」と呼ぶ)はい。食中毒が、例えば、平成十六年六月に中学生のグループが農家民宿で体験調理をして、それでカンピロバクターの食中毒を起こした事例もございますので、これは一定の規制、予防のための規制というものはやはり必要ではないかと思います。
ただ、必要以上の規制をするかどうかということは、それは地域の実情があるかと思いますし、実際、御指摘にあった大分県の事例でも、営業許可が必要かどうかについては、これは保健所の方で事前に調理形態についての書面を求めるということもやっておりますので、全く緩和するということは難しいのではないかと思っておりますが、必要以上の規制にならないようにということについては十分意を用いてまいりたいと思っております。(篠原委員「小学生が食べられないのか、食べられるのかと聞いているんです」と呼ぶ)
食品衛生法に違反しない範囲の農家民宿で小学生が楽しんでいただくことは、全く構わないと思っております。
○篠原委員 答えになっていませんね。
エイズだとかBSEでは緩ふんで何でも認めておいて、こちらの方は厳しく厳しくと。それは、私も病気になってほしくないという気持ちはわかります。だけれども、昭和二十二年にできた法律、二十三年にできた法律、旅館業法。しかし、世界じゅうで日本ほど公衆衛生がきちんとしている国はないんじゃないかと思います。それは、旧厚生省、現厚生労働省のいろいろな行政がよかったのかもしれません。それはそれでいいんです。しかし、全く違った観点があっていいんですよ。
どういうことかというと、外食産業があった、こんなのは産業として認められていなかった。環境衛生の観点で旧厚生省がそっちの皆さんと接触していたわけですよ。しかし産業育成という観点が全然ないから、そう大した力もないけれども農林水産省の方に来て、農林水産省に外食産業振興室というのができたわけです。わかりますか。そういう観点からいえば、農林水産省が農家民宿振興というのをやらなくちゃいけないわけです。農林水産省もそういうところを忘れていて、相変わらず、大規模大規模という、昔ながらのお題目だけ唱えているからだめなわけですよね。ですから、振興という観点から、うまい方向にいくようにやっていかなくちゃならないんですよ。
ですから、ぐちゃぐちゃおっしゃらずに、これで優良事例があるわけですから、もう規制をなくしてできるように。だから、農家民宿独自のきちんとした基準を、条例だ保健所だといわずに、厚生労働省できちんとつくってやってください。現場は混乱しています。そして、まじめな人がばかを見て損をしているということです。そういうことを気をつけていただきたいと思います。
それで、次は、前向きなことでちょっとお願いをします。
今、厚生労働省、それから総務省、国交省、皆、いろいろな行政があるわけですけれども、やはり中山間地域の農村の振興という観点から行政をやっていただきたいと思います。
特に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、過疎振興は、国土庁がなくなってあちこちに移ってしまっているわけですけれども、総務省も地方の活性化、地域の活性化というのがあるわけです。消防庁が同じところにあるわけですけれども。過疎振興の観点から、ぜひ農家民宿の振興に真剣に取り組んでいただきたいんですが、そういったことはお考えでしょうか。
○荒木政府参考人 お答えいたします。
中山間地域を初めとする過疎地域の振興を図ります上で、都市との交流を活発にすることは極めて効果的と考えておりまして、その受け皿であります民宿等の滞在施設が担う役割は大変重要であると認識をいたしております。
過疎地域の中には、地元自治体が田舎体験事業などを実施しまして、民宿と一体となって都市住民の受け入れを行いまして地域の活性化を図っているところも見られるところであり、総務省としましても、こうした優良事例につきましては、総務大臣表彰を行ったり、シンポジウムなどで各自治体に対しまして紹介し、普及を図ってきているところでございます。
大臣表彰の一例を御紹介させていただきますと、これは新潟県の越後田舎体験推進協議会というのがございまして、これは旧東頸城郡の六町村と各民宿などで構成しているものですが、こちらでは行政と民宿が一体となりまして、窓口の一体化など受け入れをシステム化することによりまして利用者の便宜に配慮するとともに、首都圏におきまして積極的な営業活動を行いまして、都市住民を対象とした体験型広域観光事業を展開しております。
この協議会の実績でございますが、民泊の実績を申しますと、平成十一年当時は民泊ゼロでございましたが、昨年は一万一千泊、約五千人程度の方が訪れられたということでございます。
今後、団塊の世代が定年退職の時期を迎えるなど、過疎地域と都市との交流や余暇活動へのニーズがますます高まると思われます。総務省といたしましても、地方団体へのこれら優良事例の情報提供などを積極的に行いますなど、過疎地域において行政と住民、民宿など、地域の関係者が一体となって取り組みが進められるように、さらに推進されるように努めてまいりたいと考えております。
○篠原委員 はい、ありがとうございました。前向きな答弁ですけれども、答弁の長さに応じた予算もつけていただいて、振興していただきたいと思います。
それから国交省の方も、いろいろな考えがあるんですが、観光の観点からもいろいろできると思うんです。この資料の三のところ、フランス農家民宿ブックガイド、これは、私、十年前ですけれども、フランスにいたときに、みんなそのブックガイドなんです。この二つは、BアンドB・イン・フランスというので、英語版なんです。私、フランス語が余りできないので買ったんですけれども、それはイギリスからいっぱい来る人がいるわけです。
フランスでは、国策として農村地域の振興をするということになっていまして、それは、農業だけじゃなくて、農家民宿を大々的にバックアップしているんです。全省庁挙げてなんですね。これもガイドブックでこうありますけれども、このページ、これですね、一つのページに八個載っている。これが六千載っているんです、もっとあるんですけれども。これを見てみんな行く。ですから、国内旅行者の四割が農家民宿を使っているというんです。
それから、五番目の、「仏の農家民宿、人情三つ星」という、十年ちょっと前の日本経済新聞の一番最後のページですね。渡辺淳一さんの小説と並んで人気の高い欄だそうでございますけれども、そこのところに、「仏の農家民宿、人情三つ星」ということを書いてあります。その下から二段目のところを見ていただきたいんですが、線を引っ張ってあります。家族連れ、退職した老夫婦、節約第一で動き回る若者と、いろいろな人が行っています。しかし、日本の場合は、今こういうのをどこが使っているかというと、子供たちなんですね。
そこで文部科学省の役割が重要になってきているんですが、全く何もしてきていない、今もぐだぐだ言っている厚生労働省と比べますと、文部科学省は非常にいいことをやっておられるんじゃないかと思います。総合学習の時間ということで、体験学習をするということでいろいろやっておられるようですが、これはもっともっと振興していただきたいんですが、その点についていかがでしょうか。
○山中政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、子供たちがいろいろな体験をするという中で、農家に行って、そこに泊まって、実際に農業体験をする、酪農体験をする、田植えの体験をするといった、こういう体験活動というものは非常に重要なことだというふうに思っております。
平成十三年には学校教育法を改正いたしまして、ボランティア活動とかいろいろな体験活動、自然体験活動、こういうことを学校の中でも積極的に取り組もうということでの法律改正を行ったところでございます。また、あるいは総合的な学習の時間というものが今取り入れられておりますけれども、その中でも体験的な活動を積極的に学校で取り組もうということを行っております。
具体的には、例えば、豊かな体験活動推進事業というものを行っておりまして、例えば地域間の交流推進ということで、都市と農山漁村の共生・対流という形で、修学旅行で農家に泊まる、あるいは酪農、牧場に泊まって、それを体験するですとか、あるいは東京の武蔵野市でございますと、ここはファーストスクールという普通の武蔵野市内の学校のほかにセカンドスクールをつくろうということで、中学校で三泊四日、小学校で六泊から八泊ぐらいいたしまして、長野、新潟、群馬、山梨といったいろいろな県と連携しまして、そこの農家に泊まらせてもらう、そこで実際に一週間起食をともにして農業体験をする、あるいは伝統文化をやってみるとか、そこを授業の場として、学習の場として、そこで体験するというふうな試みも行われております。非常に成果を上げて、これは十年ぐらい取り組まれているところでございます。
こういうふうな活動を、私どもとしても積極的に、農林水産省あるいは農協、いろいろな方々と連携しながら推進してまいりたいというふうに考えております。
○篠原委員 食育の面でもいっぱい連携ができるわけですし、非常に私は好ましいことではないかと思います。
今、長野と言いましたけれども、飯山市もその武蔵野の対象になっております。聞きますと、三日か四日泊まって、帰るときは涙を流してせつながる、それから先生方がリピーターになるわけですけれども、どうしてかというと、三日、四日あるいは五日、六日、一緒に同じかまの飯を食う、それで朝から晩まで一緒だ、そこで団結心というかまとまりができて、いじめも少なくなってと。先生たちがあれこれ言ったって聞かないのが、民宿のおやじさんから一喝されると言うことを聞く、また行きたいというふうになると。だから、その後、生徒たちは来ないんですが、また来ると。それから、十年後は必ずリピーターになると思います。昔行ったところに行ってみるというかね。ぜひ、これを農村振興に役立てていただきたいと思います。
次に農林水産省です。
私も、農業の振興というのは本当に難しいと思います。民主党は、菜種とかそばとかいうのを、中山間地でつくりやすいのをというのをやりましたけれども、やはり農業では無理なところがあります。ありますけれども、農家民宿による中山間地域の振興なんというのは、もう本当に、ちょっと手を加えたらうまくいく。特に、副大臣の地元の滋賀県なんというのは非常に穏やかなところです。山があって湖があってと。イギリスの農村観光、アグリツーリズムの方が来られました。日本は全体がグリーンツーリズムの宝庫だということなんですね。ですから、こういったことに着目して、ぜひ農家民宿の振興を農林水産省の重要な施策として入れていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○岩永副大臣 篠原先生、我々が各省庁に言わなきゃならぬことを、本当にきっちり、ばっしり言うていただきまして、ありがとうございました。また、うちの方も、その先生の発言を後追いしたい、このように思っております。
また、先ほどの鮫島先生のお話のように、ヨーロッパで、星の問題だとか、いろいろな形でやっておられる。あれはまだうちの方はできていないということ、これは大臣と早くつくらなければあかんなということを言っていましたので、まだできていないことをいいことにしているようなことではだめだ、このように思っております。
今回は、交付金制度で約四百六十億ほど金があるわけでございますので、積極的にひとつ対応していきたいと思いますし、むしろ、全体的な意欲よりも、具体的に、本当に地域が受け入れやすい、そしてみんなが行きやすい、そしてそこでいやしを感じる、そういう温かいものをきちっとつくり上げていきたいというように思いますので、本当に質問ありがとうございました。
○篠原委員 国交省の観光の質問ができませんで、どうも失礼いたしました。
どうもありがとうございました。
○山岡委員長 次に、楢崎欣弥君。
○楢崎委員 民主党の楢崎です。
きょうは、まず有明海関連から質問をします。
御案内のように、先月十六日、佐賀地裁で決定された工事差しどめを取り消す決定が福岡高裁でありました。裁判所、裁判官が変われば、こうも変わるものかと唖然とする思いをいたします。少なくとも、工事と被害の関連性が否定できないのであれば、佐賀地裁と同一の判断がなされてしかるべきであったのではないかと私は思います。さらには、その因果関係の立証度合いについて、佐賀地裁は、漁民と国との情報収集能力の差を無視して漁民側だけに高度な立証を求めるのは不公平と指摘したのに対して、今回は証明に近いものが要求されるとなったわけですね。被害者に対して被害立証のハードルを上げるということは、やはり国の意向に沿った、そのための政治的な理屈づけとしか私には思えません。
ところが、一方で福岡高裁は、本件事業と有明海の漁業環境の悪化との関連性は、これは否定できないとしております。つまり、諫干事業の影響はほぼ諫早湾内にとどまって、諫早湾外の有明海全体にはほとんど影響を与えていないという国の言い分を受け入れたものではないわけですね。
そこで、大臣がお帰りになったようですけれども、工事再開が認められたことだけに目が行っているようですけれども、この福岡高裁の指摘というものを大臣はどのように受けとめておられるでしょうか。
〔委員長退席、山田委員長代理着席〕
○島村国務大臣 あくまで、裁判の結果、いろいろ専門的に御検討いただいた結果でありまして、私どもの主張が認められたことを大変ありがたく思っているところです。
私どもは、決して役所の利益とか国の利益ということだけを考えているのではなくて、まさに長崎県の現状と将来を考えて、いろいろな施策を講じてきているところでありますし、今までも御答弁の際に再三申し上げてきたところですが、長崎県御当局、あるいは諫早の市長、あるいは議会の皆さん、何度も感謝状をいただいておりますし、先般の災害の多発した時期においても、大きな被害に至らないで済んだという感謝も受けておりますし、また、農地が不要ではないかという御指摘があった際にも、いろいろ我々は御答弁申し上げたんですが、現状、我々が用意できる農地に対しても希望者が殺到しておる、いろいろな現実があります。
また、ノリの不漁の問題が起きたときにもありましたけれども、これも、あの年は確かに不漁であって、我々も決して楽観視したわけではございませんが、それ以外の年は、今までの二十五年ですか、六年ですか、その間の数字をずっと見ましても、ベストテンに入る、みんな立派な成績を残している。それから、諫早のノリというのは割と質が高くて価格が高いそうでございますが、このノリの評価も変わっておらないということになれば、今までいろいろ言われてきた諫早の干拓というものの被害というものは、私は、的を射ていないのではないかと、そう考えるところでありまして、今回の裁判の結果は大変にありがたく受けとめている、これが率直な考えであります。
○楢崎委員 大臣は、先月十七日の記者会見で、有明海のノリは豊作に転じ、二〇〇四年度は史上最高、干拓事業がノリをめちゃくちゃにしたという非難は全く当たらないと述べておられます。何か、えらく収穫増を強調してあるようですけれども、川村局長、では、なぜ収穫量がふえたとお思いですか。
○川村政府参考人 ノリの生産の状況は、いろいろな専門家のお話等をお伺いいたしますと、一つはやはり水温の問題。これは赤潮等の発生が水温によって非常に左右されるということもございます。また、河川等から流れ込む栄養塩類、こういったものに左右されるということで、昨今の状況はノリの生育に、非常に自然環境的にも恵まれておったのではないかというふうに推測しております。
○楢崎委員 実態はそうじゃないんじゃないですか。先ほど大臣も言われましたけれども、品質がいいんですね、あの有明海のノリ。品質がよくて単価が高い秋芽ノリの時期に、赤腐れ病とプランクトンの多発による色落ちが同時に発生して、実はよいノリがとれなかったんですよ、秋芽ノリが。この赤腐れ病と色落ちが同時に発生するというようなことも、これは異変の一つではないかと漁民の方は訴えておられるわけですね。そして、よいノリがとれなかったから、普通とらない時期までとりましたし、本来なら商品にならないものまで商品として経営維持をしている。その結果が収穫増としてあらわれているんですよ。だから、平均単価は落ちているんじゃないですか、川村局長。
○川村政府参考人 今、ノリの単価についてのお尋ねがございました。
ノリの単価というのは非常に需給状況にも左右されるというふうに聞いております。特に、平成九年度、閉め切りのあった以前から全国的に低下傾向にあるわけでございますが、全般的に申し上げまして、有明海のノリの共販単価は全国平均よりも高い状況、値動きはするわけですが、他の地域と同様な傾向で推移しているというふうに認識をしております。
○楢崎委員 収穫量は前年の一一〇%です。確かに収穫量は上がっていますけれども、水揚げ量は九二・三%、これが実態なんですよ。その上に、安いノリで売り上げを上げるためには、旧に倍して海に出なくてはいけないわけです。当然、油代もかかる。それから、乾燥機も長く回さなくてはいけないから、電気代、水道代もかかる。つまり、預金通帳には残るような状況じゃないんですよ、実態として。
このように、漁民の方は旧に倍する苦労をして、やむを得ずに安いノリを大量に生産している、これが実情なんですね。そういう実態は横に置いて収穫増だけを宣伝する姿に、私は、諫早干拓事業を何とか完成させたい、何が何でも完成させたいという農林水産省の、言葉は悪いかもしれませんけれども、こそくさがそこにかいま見えるんですね。
そして、工事再開を認めた福岡高裁でさえ、国は中長期の開門調査を含めた環境悪化の調査研究を実施する責務があると指摘しておるんですね。これは国にくぎを刺しているわけですよ。責務という言葉を使って、中長期の開門調査を求めている。川村局長、責務ですよ。広辞苑によれば、責務とは、責任として果たすべき義務。国語辞典では、義務を果たすべき責任。それを何ですか、川村局長は、先月十六日の記者会見で、農林水産省としては調査をしない方針は変えないと言い切ってある。皆さん方は司法の指摘さえ無視するんですか。
○川村政府参考人 お答えいたします。
私どもも、有明海の再生ということは非常に重要な国の課題だというふうに思っております。
ただ、中長期開門調査につきましては、これもこの場でも御説明をしたと思いますが、十分な対策を講じても予期せぬ被害が生ずる可能性があるということ、それからまた調査に長い年月を必要といたしまして、その成果についてはまた必ずしも明らかでないといったことから、中長期開門調査こそいたしませんが、私どもは、それ以外の調査、これはそれにかわるべきものを十分しっかりとやるということで、特に十六年度からは、有明海の再生のための取り組みといたしまして、有明海全般にわたりまして各種調査、また現地実証ということにも漁民の方と一緒になって取り組んでいるということでございまして、有明海再生に向けての調査研究ということは確実に実施していきたいということでございます。
○楢崎委員 いろいろなことを言われますけれども、有明海、八代海の再生特措法、これに基づく措置をとっても、漁民の皆さん方の怒りはおさまらなかったでしょう。タイラギもとれなくなったという漁民の皆さんの怒りというのは、そういう日々の現実的な被害への怒りなんですね。それが佐賀地裁の工事差しどめという請求につながったと思うんですね。
農林水産省が、今も言われましたけれども、常々言われるところのそういう方向で、いつ異変の解明はできるんですか。工事完成まで時間を延ばして、結局はわからなかったということになるんじゃないですか。
視点を変えますけれども、農林水産省は諫干工事の完成時期が〇六年の十一月から〇七年の六月に七カ月延びる見通しということを発表されているようですけれども、これは国の事業再評価の対象になるのではないかと思います。
この対象になるということは司法の場以外で事業の是非が問われるということですけれども、皆さん方は、みずからつくった第三者委員会の提言だって平気で無視されるわけですからね。どうせこの委員も九州農政局が人選を担当して、身内の学者さんで構成されるんでしょうから、私は期待しません。現に石原事務次官は、事業はほぼ終わっているから事業の必要性を再評価してもしようがないと言っておられますね。これは五月二十三日の記者会見です。
しかし、費用対効果の面からいえば、これはもう事業として成り立っていない。これは私は前にも指摘をしました。そして、福岡高裁でさえ、費用対効果という面からも開門調査を含めた調査研究の必要性は大きいと指摘しておられるんですね。このことについてどう受けとめておられますか。
○川村政府参考人 まず、再評価の問題でございます。
私どもの実施要領におきまして、五年ごとに事業を見直すということでございます。十八年度がまたその時期に当たりますが、十九年度に工事の完成時期がずれ込むという見込みになりましたので、事業の再評価は行うということになろうと考えております。
そして、またその中でも委員の御指摘がありました費用対効果の問題でございますが、これは、平成十四年度に造成農地面積を約半減するという計画縮小を行ったところでございまして、その結果として一・〇を下回っておるわけでございますが、これまでにでき上がったものの防災効果、それからまた農地としての効果、そういったものを最大限発揮するということで、最小限の追加をして計画を縮小して実施をする、こういうことで今行われているところでございます。
再評価は、対象事業の継続、事業計画の変更、対象事業の中止、関係団体の要請その他対象事業の効率的な実施のためのとるべき措置ということでございます。今御指摘がございましたとおりに、確かにかなりの部分が完成をしておりますので、効率的な実施のためのとるべき措置ということが中心になろうかとは考えております。
つまり、効率的な農地利用、あるいは、非常に環境的にも恵まれているところでございますので、環境保全型農業の導入といったことの可能性が今検討をされております。そういったことの評価というふうになろうかと思っております。
○楢崎委員 大臣にお伺いしますけれども、福岡高裁の決定は、工事再開は認めるけれども、調査もやりなさいということなんですね。やはり、諫干工事によって被害を受けたと訴えられる漁民の方々の開門調査の要請、これは工事よりも優先させることが政治の務めではないでしょうか。
○岩永副大臣 楢崎先生、ちょうど私が政務官をしておりましたときに、各漁民の皆さん方や、それから諫早をずうっと、何回も何回もお伺いいたしました。そういう過程の中で、漁業者の皆さん方の中には、中長期開門調査を実施してほしい、そしてそれが有明海を再生させることだというようなことで期待しておられる方がたくさんおられることも私は存じておりますし、耳で直接お聞きをいたしました。
しかし、農水省といたしましては、有明海の再生のために今何をなすべきか真剣に検討いたしました結果、昨年の五月に、中長期開門調査にかえて、有明海の環境変化の仕組みのさらなる解明のためのさまざまな調査や現地実証を行う、こういうようにしたところでございます。そういうことでございますので、この方向に沿って着実に有明海の再生への道筋というものを明らかにしていきたいということでございますし、また、議員立法の有明海法についても、私ども、そういう漁民の皆さん方や地域の皆さん方の声をお聞きいたしまして、私も政務官をやめた後、それの提案のために最大の努力をしたところでございます。
工事につきましては、毎年、福岡、佐賀、熊本の三県の漁連で構成する諫早湾干拓事業対策委員会に説明した上で実施しているところでございまして、今後とも、関係者の方々の意見というものを十分お聞きしてまいって、これの推進に努力をしていきたい、こういうように思いますので、先生のお気持ちというのはわからないわけではございませんけれども、ひとつ、私どももそのことのために本当に、心を砕いて、ひざを交えて、十分話した体験を踏まえながらきょうまで来たということをお知りおきいただきたいと思います。
○楢崎委員 どうして開門調査をやると言えないんですかね。開門調査をやれば被害漁民の方も納得されるわけですよ。どうせ工事も、あの深夜の密談によって決められた六年度の完工、これはもう間に合わなくなったわけですね。開門調査をして、因果関係がないとなれば、堂々と完成させればいいじゃないですか。
私は思うんですけれども、本当、農林水産省の皆さん方には、ムツゴロウそしてタイラギの怨念、たたりが取りつきますよ。そうならないためにも開門調査を強く求めて、BSE関連についてお伺いします。
OIEが五月二十七日の年次総会で、一定の条件つきながら、骨なし牛肉の自由な貿易を認めるBSEの新たな基準を決定したわけですね。問題なのは、アメリカが、このOIEの新基準によって骨なし牛肉が自由に貿易できる品目になったと、都合のいい解釈をしていることなんですね。
ですから、七月に予定されている政府間協議では、このことも含めて、日本の輸入条件を三十カ月齢以下に緩和することも要求してくるのではないかと思われるわけですけれども、この政府間協議、どのように対応されますか。
○中川政府参考人 まず初めに、先般のOIE総会におきますBSEコードの改正につきまして御説明をさせていただきたいというふうに思います。
事務局から提案されましたコードの原案では、確かに、輸出国に対しまして骨なし牛肉の場合は特別の条件を要求することができない物品、いわゆる無条件物品というふうにするということで提案をされておりましたけれども、この点については、日本が、問題ありということで、BSE感染牛または感染の疑いのある牛由来でないこと、それから特定危険部位による汚染防止がなされていることといった条件を修正案として強く要請をいたしまして、主張いたしまして、この点が盛り込まれたわけでございます。
こういう点からいたしますと、いわゆる自由貿易が認められたと先生はおっしゃいましたけれども、無条件で貿易されるべき物品として位置づけられたわけではなくて、やはり骨なし牛肉といえども、従来と同様の条件が課されることになったというふうに私どもは理解をいたしているところでございます。
それを申し上げた上で、この七月の日米の会合ということでございますが、確かに昨年の十月の局長級協議におきまして、七月をめどに日米両国によって輸出証明プログラムについて検証されるという文言がございますけれども、七月にどういうことをやるかといった点につきましては、アメリカ側からも現在私どもは何も聞いておりませんし、そういう要請もございませんので、具体的なことは決まっておりません。
それから、OIEのBSEコードとの関係で申し上げますと、今申し上げましたように、骨なし牛肉につきましては、従来と基本的に同じような条件が課されるということになったわけでございまして、アメリカとのこれからのいろいろな協議ということの場面におきましても、従来どおり、科学的知見に基づいて、消費者の方々の理解を得ながら、また食品安全委員会等との連携のもとに、食の安全、安心の確保大前提できちっと対応していきたいというふうに思っております。
○楢崎委員 BSE対策については我が国と同等の措置を求めるというのが我が国の方針なんですね。これは国民に対する約束でもあるわけです。もっとも、そのハードルを下げている嫌いはありますけれども、この骨なし牛肉の貿易については、今言われましたように、一定の条件の中にBSE感染の疑いのある牛は除くとあるわけですから。問題は、信頼できないアメリカのBSE対策にあるとなってくると思います。そういう意味において、委員会が今度アメリカを視察されますけれども、大いに期待をしたいと思います。
それで、五月二十四日、政府は米国産牛肉の安全性について食品安全委員会に諮問したわけです。要は、輸入再開の前提となる安全性の評価をどう見るかということだと思います。
アメリカは四月に疑わしい牛三十五万頭を検査したけれども、感染牛はゼロだったから米国内に感染牛は存在しないとしているようですね。また、年間処理頭数が日本の約三十倍、三千四百万頭のうちのサーベイランスによる三十五万頭の検査で全体が見えるのかという不信もあるわけです。さらには会計検査院が例の交差汚染についての疑義も呈しておりますけれども、これがアメリカの実態なんですね。
ですから、食品安全委員会としては、迅速な審議を求められると思いますけれども、こういう米国内の実態を解明した上で結論を出す責務があると思いますが、いかがでしょうか。
この質問で終わらせていただきます。
○齊藤政府参考人 お答え申し上げます。
食品安全委員会では、リスク評価を行うための必要な情報収集というものにつきましては、これはまず一義的に、諮問を行うリスク管理機関の方で実施していただくもの、基本的にそのように考えております。しかしながら、プリオン専門調査会、これから審議をしてまいるわけでございます。これは今後の審議の展開の中においてプリオン専門調査会が判断することでございますけれども、みずから情報収集を行うということにつきましても、これはあり得るものだというふうに考えています。
繰り返しになりますが、本件につきましては、プリオン専門調査会がその審議の中で適切に判断されるもの、このように考えております。
○楢崎委員 消費者が納得する、また消費者に説得力ある結論を出されることを期待して、終わります。
○山田委員長代理 高橋千鶴子委員。
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
五月十七日の本委員会質疑におきまして、九州農政局発注のダム工事において、コンサルタント会社が入札前に成果品を受注者側に譲渡していた問題を取り上げました。
大臣はその際、再度この問題をもう少し調べて、いかにあるべきか、場合によっては、契約当事者でなくても、発注の会社の方に対して何らかの方法をとるかもしれませんと答弁をされました。これに基づいて再調査がされたのか、再発防止に向けてその後取り組まれた内容は何か、お答えいただきたいと思います。
○川村政府参考人 今回の事件でございますが、これまでの九州農政局の調査、累次にわたって行ってまいりまして、その中で、荒瀬ダムの設計業務に関する成果品等が、国の承諾を得ることなく、請負業者の社員から施工業者の社員に対しまして、複数年かつまた複数回にわたり譲渡されていたという事実を把握したところでございます。
その後、この委員会での審議また大臣の指示を受けまして、関係者を呼びまして、九州農政局におきまして、具体的な再発防止策を早急に検討して報告せよということで検討を依頼しました。そして、それを誓約書という形で、委託を受けておりましたコンサルタント、それからまた施工業者でございます清水建設に対しましても、再発防止策を定めた誓約書を提出させたというところでございます。
そして、この再発防止策につきましては、今後もフォローをするということで、その実施状況を報告させるということで、関係業者から報告を受けてその取り組み状況を監視し、確認していきたいということでございます。
○高橋委員 先般の委員会で指摘をしましたけれども、今回の問題が入札制度そのものをゆがめているという問題意識を私述べましたけれども、その点に関してはいかがですか。
○川村政府参考人 今回の事態でございますが、まさに、発注者との信頼関係を損なうだけでなく、また公平性、透明性の確保についての疑問を生じさせるというもので、まことに遺憾でございまして、重く受けとめているところでございます。
請負契約に当たって、今後このようなことが生じることのないよう、請負業者、施工業者等に対しまして指導を徹底してまいりたい、こういうふうに思っております。
○高橋委員 入札をゆがめているとは思われませんか。もう一度伺います。
○川村政府参考人 委託しました成果品が渡っていることはまさに事実でございますが、この成果品は、全体的な入札との関係でいきますと一部の部分でございます。それからまた、その使われている単価とかそういうものは、一般的な公表した資料でございまして、その後、これをベースに、国としては、まず現場の事業所が積算をもう一回やり直します、そして、それをまた九州農政局の本局の方がチェックをしてそれを査定するといったような何段階かの過程を経ます、そういうことがございます。
それからもう一点は、入札に具体的に当たりましては、その入札に応じられる方がわかるような資料、そういうものはすべて、要素となるものは公開をいたします。しかも、十分な期間を置いて、今回の場合は二カ月以上の期間を置いて応札を受けたということでございまして、機会の均等という意味でも、そこは図られたというふうに思っているところでございます。
○高橋委員 要するに、その認識が問題だと思うんですね。複数年、複数回にわたって情報のやりとり、これは一方的に三祐から清水に対して成果品が譲渡されたというだけではなくて、工事費の積算も含めて清水から相談をお互いに受ける、そういう関係だったということを今回指摘したわけなんですね。それが、そういうことがあったとしても入札が公正だったというその認識が非常に問題ではないかと思います。
確認しますけれども、前回私が述べたのは、「平成十二年度荒瀬ダム実施設計その二業務」の成果品を修正した資料、つまり、一度は出した資料ですが、これを差しかえますということを述べたものを資料として本委員会に提出をいたしました。この内容を確認したかどうか。それから、その成果品には当然金額が入っていると思いますが、お答えいただきたいと思います。
○川村政府参考人 成果品が一定の期限のもとに提出をされるわけでございますが、やはり、その中には数字の単純ミスとかそういうものがございまして、結果的に後で差しかえをされるということはあります。そういう資料も含めて、まさに三祐コンサルタンツの方から清水建設の方に渡ったということは極めて問題であるということで、そういった処分を行ったところでございます。
○高橋委員 成果品が渡っていて、いわゆる一般的に入札参加業者に渡される設計図書とは、金額は入っていませんから、全く違うものですね。
○川村政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、国が受け取った成果品、それからその後、数字の単純ミス等がございまして差しかえがあった資料、これをベースにして、現場の事業所が、もう一回自分たちの目で見て、また違う、その時点での単価等あるいは施工の工程、そういうものをチェックした上で、再度独自で積算をいたします。そして、それをまたさらに、上部機関であります農政局、この場合は九州農政局ですが、そこで査定をいたします。審査会でチェックをいたします。
そういう意味で、あくまで、その成果品は基礎の資料とはなりますけれども、入札がそのままそれに基づいて行われるというものではございません。
○高橋委員 今の答弁を聞いて、多分、公共工事の、農水省だけではなく、いろいろな問題にかかわったことのある先生方、専門家の方は十分おわかりだと思うんですね。金額の入った成果品を受け取った業者と、一般的な設計図書、入っていないものと、どちらが有利に働くかというのは、もう当然のことであります。そのことの指摘をまずしておきたいと思うんですね。
それから、あわせて伺いますが、九州農政局に談合情報が、一体いつ、何回もたらされたのか、公取に通報したのはいつか、具体的にお答えください。
○川村政府参考人 談合情報が今件に関しては寄せられておりまして、電話とか郵送とかがありまして、計六回ございます。そして、公取に通報いたしましたのは、最初の通報があってから六番目の途中段階で行っております。三回ほど、その都度行っております。
○高橋委員 済みません、きのうちゃんと確認したところ、通報は五回ですね、三月九日、十一、十二、十五、十六の五回というふうに聞いております。六回の談合情報が、平成十六年三月四日、九日、十日、十一、十二、十五と、連続して談合情報が寄せられた、そういう異常な事態なんだということ、そして、その背景には今こうしたやりとりがあったということをまず受けとめていただきたいと思うんです。非常に驚くべきことです。
そこで、きょうは公取においでいただいております。これほどの談合情報と、入札を有利に導くコンサルと清水建設の関係は、もう内部資料によっても明らかでありますけれども、厳正な調査と対応が求められると思います。見解を伺います。
○楢崎政府参考人 御指摘の事案は個別の案件でございますので、公正取引委員会としてどういうふうに対処するかどうかといったことについてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
しかしながら、一般論として申しますと、いわゆる入札談合は、独占禁止法で禁止する典型的なハードコアカルテルでございます。そして、そのような疑いのあるような具体的な事実あるいは端緒というものに接した場合には、必要な調査をし、調査の結果、違反事実があるということになりますと、厳正に対処するということは当然でございますし、今までもまたそういうふうに対処してきているところでございます。
○高橋委員 今、公取は橋梁談合の問題でも非常に注目をされておりまして、この点では本当に厳正な対処をお願いしたいと思います。
きょうはかけ持ちのところを無理を言っておいでをいただきましたので、これで結構です。ありがとうございました。
それで、農水省に戻りますけれども、私は前回、成果品を三祐が清水建設に渡すまでの間にやりとりがあったということを、ファクスの文書がたくさんあるんだということを紹介して調査を求めたわけであります。やはり、農水省が確認したのは、最終的に出された成果品だけであると。でも、一回目に出した実施設計その二業務のものと、それから、そこに至るまでにいろいろな積算の積み上げ、見直しがございます。それを清水に協力を得ながらやっていたと。
今回は、その清水がつくった報告書がございます。時系列的に、どんなやりとりをしてきたのか。ここには何が出てくるかといいますと、三祐コンサルが農水省、要するに発注者側と打ち合わせをする、それに当たってどういう積算をすればいいのか、どういう説明をすればいいのかということが、どんなやりとりをされていたのかというのが時系列的に出されております。ですから、平成十三年三月二十九日に三祐から事業所に提示された額というものもございます。二百九十六億云々、これが総事業費の最初の予算にもほとんど匹敵している額である、そういう関係だったということを指摘しておきたいと思うんです。これはきょうはちょっとお見せできないんですけれども。
そういうことを踏まえて、まだあの入札が公正であったという見方がどうなのかということが改めて問われるわけですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
○川村政府参考人 本件につきましては、この前の答弁で申し上げましたけれども、まさに、委託を受けたコンサルタンツとまた施工業者の一人がこういった密接なつながりを持ってやっていたということはまことに遺憾である、これがこういった議論を呼ぶように、その公正性とか客観性、そういうものについての疑惑を招くということはまことに遺憾であるというふうに思っておりますので、こういったことが再発しないように、それは我々としても全力を尽くしていきたいと思いますし、入札の公平性、客観性等が保たれていくように、我々としても最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。
○高橋委員 大臣のお答えがいただけなかったんですが、いかがですか。
○島村国務大臣 今までいろいろな御質問をお受けしまして、私、常に同じことを申してきたつもりですが、私は、こうした犯罪行為あるいはそれに類するようなことについては厳正に対処しておるつもりでありますし、願わくば私の在任中にこういうものは一掃したいと思っている人間でありまして、今回のことでも、この結果についてまで局長からるるいろいろな報告を受けてきたところであります。
その結果、いろいろ聞いてみますと、二カ月前には公表される内容のものを少しく早目に情報提供し、相手の心証をよくするための努力が行われていた。しかし、これはあくまでやってはいけないことなので、それについて厳しく処分もし、やはりこういうことが二度と起きないような先例とするべきだという指示をいたしまして、その結果、今回、一カ月の指名停止という大変厳しいものが出たやに聞いております。
私も、一カ月というものが厳しいか厳しくないか、ほかのものとの対比をするほど知識がありませんので、これも確認したところでありますが、この一カ月の指名停止を受けるということは、その企業のそれまでの蓄積した評価、そういうものに大変大きな傷がつくということと、事実、コンサルタントでありますから、いろいろな調査その他の段階では、施工業者とはいささか立場が違って、この一カ月のダメージというのは大変大きいものだそうだということ、それから、今まで類似の例からいうと大変厳しいいわば処断がなされた、そう聞いておるので、私も了としたところであります。
○高橋委員 前回よりちょっと答弁があれかなと思っておりますけれども、農水省の外郭団体とも言えるコンサルとの関係、あるいは、今、談合問題が非常に注目されている中での農水省の対応ということが注目をされているわけですから、この点については、公取委にも要望しましたとおり、今後の推移を見守っていきたい、このように思っております。
次に、グリーンツーリズムの法案を残る時間で少し伺いたいと思うんです。
私どもは、先ほど来ヨーロッパの話もされておりますが、やはり日本固有の農村の景観を生かしながら、都市との交流あるいは農業と地域振興に貢献していくグリーンツーリズムというのは大変意義あることだと思っておりますし、その振興のためにはぜひ応援をしたい、賛成をしたい、このように考えております。
その上で伺いますけれども、登録農林漁業体験民宿軒数が、平成九年の八百六十二軒をピークに、現在五百五と減少をたどっておりますが、その要因をどう考えているのか、今回の改正によって新たな参入などの見通しをつかんでいるのか、伺いたいと思います。
○川村政府参考人 農林漁業体験民宿の登録数が減少しているというのは、議員御指摘のとおりでございまして、私どもも非常に残念に思っておるところで、これを何とかしたいというところでございます。
その原因を見ますと、まず、経営者が非常に高齢化をしておるということでございます。そして、現在、この体験民宿の登録は、農林漁業者とその団体に限っておりますと、農林漁業者が経営する民宿が全体として減少傾向にあるものですから、これはそういった傾向にならざるを得ないという面があるということは意識をしております。
ただ、最近、Jターン、Iターン等で開設をされました民宿、またNPO等が運営する宿泊施設というものも非常に出てきておりますので、それもまた農業者がやられるものと変わらない効果を上げておられますので、そういうものも登録の対象にしたいということでございます。
今、登録の割合からいきますと、営業者のやっている数が五千程度あって、そのうちの五百でございますので一割程度ということでございますが、範囲を、母数を拡大するとともに、もうちょっとその加入率も上げていきたいということで努力をしてまいりたいと思っております。
○高橋委員 今ありましたけれども、農家が高齢化が進み、後継者が不足している、あるいは農産物の価格の低迷など、農業経営が非常に厳しくなっている中で農家民宿だけがうまくいくということはあり得ないので、これは当然という結果ではないかと思っております。
これを、登録業者の枠を広げるということで新たな参入に活路を見出すというのは、やはり非常に甘い見込みだと思わなければなりません。逆に、参入が加速するというのならば、向かう方向が本来のグリーンツーリズムとは違うものだと言わなければならないと思います。
時間が来てしまいましたので、要望だけを述べたいと思います。
今回の特区で農家民宿に取り組んだ各県の計画書を見ますと、本当に耕作放棄地を何とか解消して、少子高齢化を解決し、地域資源を生かしていきたい、そういう思いが込められております。そういう自治体の取り組みをしっかり生かす、そういう点では、大いに必要な、例えば手続の簡素化ですとか、先ほど来出ている食品衛生法上必要な設備の改良など、そうした点での援助は大いにするべきだと。しかし一方では、そのことを別な形での、今回の特区の全国展開などもございましたので、そのことでの参入ということには大いに注意を払う必要があるだろうと。基本である農業の振興ということがやはり中心に据わるということを要望しておいて、終わりたいと思います。
〔山田委員長代理退席、委員長着席〕
○山岡委員長 次に、山本喜代宏君。
○山本(喜)委員 社民党の山本でございます。
今回のグリーンツーリズムに関連する法案でございますが、これは都市と農村との交流によって農山漁村地域の振興に寄与するということが目的でございますが、そこで、まず最初に大臣にお伺いしますが、現状の農山村の実態、限界集落という言葉を大臣御存じだと思うんですが、生産や社会活動の水準が低下して存続が危ぶまれるような集落ですね。高齢化とか、あるいは世帯数など数字のとり方はいろいろあるようでございますが、平成十五年の農業白書だと、全国の過疎地域の市町村集落のうち三割が限界集落に該当するというふうに指摘されております。
それから、総務省の平成十五年版の過疎対策の現況ということを見ますと、過疎地域が全国に占める割合は、市町村数で三七・六%、人口で六・一%、面積では四九・七%。さらに、過疎地域には約四万九千の集落が存在し、そのうち一〇%では生活扶助、生産補完、資源管理といった集落機能の維持が困難になっているというふうなことが指摘されているわけでございます。
アメリカに次ぐ経済大国という日本の中で、このような限界集落の存在、これがふえているという現状を、大臣としてどのように考えますか。
○島村国務大臣 お答え申し上げます。
近年、農村では過疎化、高齢化の進行によりまして、総じて集落機能の低下が見られ、特に、高齢化率が高く世帯数が少ない集落の維持が懸念されるところであります。
そのような状況のもと、市町村行政による集落道の管理などの集落機能の代行、あるいは都市住民との交流による外部からの里山保全活動などへの参画、さらには複数の集落の機能統合といった集落再編等々、集落機能の維持、活性化に向けた注目すべき動きを今いろいろ我々は見守っているところであります。
その意味で、集落のあり方については、基本的には地域住民みずからの判断によるものではありますが、農林水産省としては、今後、厳しい状況が予想される中山間地域を中心に、集落機能の維持、活性化が図られるよう、中山間地域等直接支払い制度などの諸般の対策を講じてまいりたいと考えているところであります。
○山本(喜)委員 中山間地域の振興が大変重要になっているわけですが、平成十六年度の農業白書でも、平成二年から平成十二年までの十年間で五千の集落がなくなったというようなことも指摘されているわけです。そして、都市と農村との格差ということは以前から指摘されていましたが、今回のこの農業白書でも、農村間の格差、これが拡大しているということも指摘されております。
こうした現状についてはどのように分析されているのでしょうか。
○川村政府参考人 お答えいたします。
確かにこれまで、今委員が御指摘ございましたとおり、都市と農山村の格差ということがまず問題にされまして、都市部へいかにキャッチアップをしていくかということが課題でありまして、そういった施策を中心にやってまいりました。今回の白書でも、十六年の白書におきましてもそういった分析もありますが、特に、農村部におきます地域的な格差、こういうものもあります。
ただ、農山村というのは、まさに立地条件が非常に多様でございまして、直面する課題もそれぞれ非常に個性があるということでございます。
私どもも、今回の新しい基本計画を定めるに際しまして、この問題も十分議論させていただきましたが、格差を単純に是正していくといったような画一的な考え方ではなくて、やはり地域の個性、多様性、こういうものを十分に尊重する形でやっていくべきではないかということでございます。
立ち上がる農山漁村といったようなことで、各地の優良事例等も検証して、それを発信していくといったようなこともやっておりますけれども、そういった地域の個性、多様性それから地域資源、そういったものを十分に活用した振興というものを今後図っていかなくちゃいけないという認識をしております。
○山本(喜)委員 都市と農村の交流を拡大していくということも大変重要ですが、やはり農村が活性化をどのように図っていくのかということが極めて重要になっているというふうに思います。
このグリーンツーリズムの件ですが、農水省の平成十四年度食料品消費モニター調査というのを見ますと、「聞いたことがあり、内容も知っていた」というのが四六%、「聞いたことはあるが、内容は知らなかった」ということを含めて、認知度は高いわけでございますね。七四%という数字です。しかし、実際、宿泊を伴った旅行の経験というのがない人が七〇%、あるいは日帰りでも経験がないという人が五七・八%というふうになっています。
ですから、認知度は高いが実際利用されていないということについては、どのように分析していますか。
○川村政府参考人 今委員が御指摘ございましたとおり、認知度はそれなりの高い結果でありますが、それが結びついていないということが、これは私どもの悩みであり課題であるというふうに思っております。
その原因は、昨今の経済状況もあると思いますが、地域におきます、地域ぐるみの受け入れ体制の整備、これが進んでいないということもございますし、それから、農村の魅力に関する情報発信が十分でないという、その受け入れ側の情報もございます。
ただ、やはり都市部の方々への働きかけといいますか、そこがそういった都市住民が触れ合う機会というのが近場にないとか、非常にその面での対応がおくれております。先ほど来お話しになっております副大臣会議でも、特に都市部での対策をどうしようかということを中心に、そこもやはりおくれていると思いますので、御議論をいただいて、各省連携をして取り組んでいきたいということを思っております。
○山本(喜)委員 受け入れ体制の問題ということも言われておりますが、これは都市住民の余暇活動ということでございますが、現在、余暇と言われても、十分に余暇を過ごすことができる国民のゆとりというのは果たしてどうなのかということで、この日本の年次有給休暇の状況、ほかの先進国と比較してどうなっているのか、厚労省にお伺いします。
○松井政府参考人 お答えいたします。
各国の年次有給休暇の年平均の付与日数でございますが、EUと各国の最近の資料に基づいて見てまいりますと、アメリカが十三・一日、イギリスが二十五日、ドイツが三十一・二日、フランスが二十五日というふうになっております。
ところで、取得日数の方でありますが、データは把握しておりません。
これは、欧米においては年次有給休暇というのは労働者の権利でありますものですから、与えられたものはすべからく使うというのが社会通念になっているこういった国々におきましては、付与日数と取得日数を分けて把握するということに痛痒をどうも感じていないという状況があるからだというふうに推察できます。(山本(喜)委員「日本はどうですか」と呼ぶ)
一方、日本におきましては、これは厚生労働省の就労条件総合調査、これによるものでありますが、日本の場合は、付与日数が平均十八日でありまして、取得日数は八・五日、こういう状況でございます。
○山本(喜)委員 都市住民の余暇を有効に使うというふうなことは当たっていますが、現実は、年次有給休暇というのがあっても使えないような制度になっているというのが日本の現実です。欧米では、与えられた日数と使う日数というのは区別がない、そもそも、これは全部使うというのが欧米は原則だというふうな状況ですね。ところが、日本はそういうふうな現実。
そして、なおかつ消費水準指数、この消費水準指数が、平成十二年を一〇〇とすると、平成十七年三月では九八・六というふうな数字であります。ですから、余暇もないし、所得水準あるいは消費というのも日本の場合は大変厳しいという状況があるのではないかと。
そうした現状を見たときに、グリーンツーリズムの振興のためにも、農水省だけでなくて、勤労者の労働条件なりあるいは生活水準の向上ということも含めて、政府全体としてこれは考えていかなきゃならない、そういう課題ではないかというふうに思います。
次に、BSEのことについてお伺いをいたします。
五月二十四日に、厚労省、農水省が食品安全委員会に諮問をいたしましたが、いろいろな報道を見ますと、プリオン専門調査会の中で、各委員からいろいろ厳しい指摘が出された、かなり激しい意見が出ているというふうに報道されています。これは何が争点になっているのか、その背景としてどのようなものがあるのか、お伺いします。
○齊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
五月三十一日に開催されましたプリオン専門調査会、第二十五回になりますが、この会合におきましては、委員からただいま御指摘のとおり、専門委員の間で非常に活発な議論がされたということは、そのとおりでございます。
その中で、具体的に専門委員の側からは、リスク管理機関に対して、リスク管理機関側の諮問の経緯とかその考え方、どういうふうになっているのかということをかなり詳しく尋ねております。また、今度は輸入の牛肉の問題になってくるわけでございますので、輸出国内におけるBSE対策の遵守状況の確認については、まずリスク管理機関の方が責任を持つべきである、こういう指摘もされております。それから、最終的な政策決定を行うについては、そのリスク評価結果を踏まえてリスク管理機関が行っていくんだということをきちんとしていくべきだ、こういうような発言がされております。
これらの発言につきましては、専門委員の皆さんの考え方の中には、政策決定に当たっては、国民に対する説明責任を十分に果たしていくべきである、そういうようなお考えが背景にあったのではないかというふうに考えております。
食品安全委員会としては、今後とも、科学的な知見をもとに、中立公正な立場から議論を尽くしてまいりたい、このように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○山本(喜)委員 このプリオン専門調査会の中でかなり活発な意見ということで言われましたが、先般の参考人質疑の中でも、米国産の輸入再開のために利用されたのではないかというふうな委員からの疑念も出されていたわけでございます。
ですから、国民に対する説明責任というのは極めて重要になっていると思うんですが、この委員会の中で厚労省として発言した中身が出ていますが、米国のBSE対策では、米国産牛肉が日本と同等の安全性が確保されていると判断するのは難しいというふうに厚労省が発言した経過が出ていますけれども、これは間違いありませんか。
○外口政府参考人 米国のBSE対策については、屠畜場や飼料などの関係規制等が異なりますことから、米国の国内措置のみで我が国と同等の安全性が確保されていることを確認することは困難ではないかと考えておりますし、そのことを調査会でも申し上げたわけでございます。このため、米国の国内措置に加えて、牛肉輸出証明プログラムを対日輸出のための上乗せ措置として設けることとしたものであります。
いずれにいたしましても、米国産牛肉の輸入再開問題については、食品安全委員会からの答申に基づき、適切に対応してまいりたいと考えております。
○山本(喜)委員 米国の対応が不十分であるから、プログラムをつくって上乗せ措置をしたということでございますが、牛の月齢判別に関する検討会報告書によりますと、上乗せ措置をする前提として、A40を基準として採用し得るか否かの判断に当たっては、米国産牛肉のBSE感染リスクの程度を考慮する必要があるというふうに述べられています。これは考慮したのでしょうか。
○外口政府参考人 二月八日になりますけれども、牛の月齢判別に関する検討会において、米国側の牛枝肉の生理学的成熟度に関する研究について、我が国の専門家による検討結果が取りまとめられました。その報告書の中では、委員御指摘のとおり、「A40を採用し得るか否かの判断に当たっては、対象物のリスク、すなわち、米国産牛肉のBSE感染リスクの程度を考慮しなければならない。」とされたところであります。
先ほど答弁申し上げましたように、米国の国内措置に加え、上乗せ措置を設けて、一定の条件を満たす米国産牛肉に関し国産牛肉と同等の安全性が確保されているかについて、食品安全委員会にリスク評価を依頼したところであります。このリスク評価は、軽減措置のいろいろな組み合わせ等を考慮して判断されていくものと思いますけれども、今後、食品安全委員会からのリスク評価結果に基づき、適切に判断してまいりたいと考えております。
○山本(喜)委員 そうすると、この米国産牛肉のBSE感染リスクの程度を評価するということでしょう。今後も、その上乗せ措置だけでなく、米国産のリスクそのものについてもプリオン調査会で評価をしていく、そういうことで理解していいですか。
○齊藤政府参考人 お答え申し上げます。
米国産牛肉の輸入のことで御諮問はいただいておるわけでございますけれども、その審議の過程の中で、専門調査会の判断により、必要とされる事柄について、その背景その他についても、そこは専門調査会の審議の中で、専門調査会みずから判断していくというふうに私どもとしては考えております。
○山本(喜)委員 時間になりましたので終わりますけれども、国民の食の安全に対する意識はかなり高いわけで、米国産牛肉の輸入再開についても大変心配があります。全頭検査を続けてほしいというのが七割、八割ですからね。そうした意味で、食品安全委員会においてぜひ十分な審査をお願いしたいというふうに思います。
終わります。
○山岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○山岡委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○山岡委員長 次に、内閣提出、参議院送付、森林組合法の一部を改正する法律案及び種苗法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣島村宜伸君。
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森林組合法の一部を改正する法律案
種苗法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○島村国務大臣 森林組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
森林所有者の協同組織である森林組合は、我が国の森林整備の中核的な担い手として、森林所有者の経済的社会的地位の向上を図るとともに、森林の保続培養及び森林生産力の増進に寄与してきたところであります。
一方、近年の森林・林業を取り巻く情勢は、木材需要の減退、材価の低迷等を反映して、林業生産活動が停滞し、管理が適切になされていない森林が増加するなど、極めて厳しい状況にあります。
このような中、森林に対する国民の多様な要請に的確にこたえ、その有する多面的機能を持続的に発揮させていくためには、森林の適正な整備及び保全を図ることが不可欠であります。特に、本年二月に発効した気候変動枠組み条約の京都議定書に定められた温室効果ガス削減の国際約束を、我が国が着実に履行するためには、地球温暖化防止森林吸収源対策の柱をなす健全な森林の整備、国民参加の森林づくり等を推進していくことが喫緊の課題となっております。
このような状況を踏まえ、我が国の森林整備の中核的な担い手である森林組合が、将来にわたりその機能を十全に発揮し得るよう、森林組合の機能の充実と組織基盤の強化を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、森林組合の機能を強化するため、森林の有する教育機能の増進に関する事業を森林組合等の事業として追加するとともに、森林施業とあわせ行う木材販売事業等に係る員外利用制限を見直すこととしております。
第二に、森林組合の組織基盤の強化を図るため、森林組合の事業を継続的に利用する木材製造業者等に准組合員資格を付与するほか、総代会における合併等の議決手続の改善を図ることとしております。
第三に、組合員に開かれた透明性の高い、適切な森林組合の事業運営を確保するため、事業別損益を明らかにした書面等の作成及び総会への提出を理事に義務づける等の措置を講ずることとしております。
続きまして、種苗法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
現行種苗法は、種苗が農林水産物の生産に不可欠な基礎的生産資材であることにかんがみ、優良な新品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図るため、品種登録に関する制度及び指定種苗の表示に関する規制等について定めたものであります。
このうち、品種登録制度は、植物の新品種の保護に関する国際条約の内容に対応した制度であり、昭和五十三年の制度発足から現在まで新品種の出願件数、登録件数ともに順調に増加しており、我が国の育種の振興に大きな役割を果たしているところであります。
また、平成十四年に成立した知的財産基本法においては、我が国が知的財産を戦略的に創造、保護及び活用することにより、産業の国際競争力を強化し、活力ある経済社会の実現を図る知的財産立国を指向することが明確に示されているところであり、この法律に基づき決定された知的財産推進計画にも、植物の新品種の保護の強化が盛り込まれているところであります。
しかしながら、近年、我が国で登録された植物の新品種の種苗が海外において育成者に無断で利用され、その収穫物が、加工され、育成者権の効力の及ばない加工品として脱法的に我が国に輸入されること等の問題が新たに生じており、特色ある品種による産地づくりに取り組んでいる農業者、産地等への影響も懸念されております。
また、植物の新品種の育成には多額の費用や長期の期間が必要でありますが、現行の育成者権の存続期間では新品種の育成者の利益が十分に確保できない等の問題が生じております。
このような、最近における植物の新品種の育成者の権利をめぐる状況及び我が国の知的財産立国の方向性にかんがみ、育成者権の保護の強化を図ることを目的としてこの法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、加工品への育成者権の効力の拡大であります。
現在、育成者権の効力の及ぶ範囲は、種苗についての行為及び収穫物についての行為としておりますが、この範囲を拡大し、収穫物から生産される加工品についての行為を育成者権の効力の及ぶ範囲に追加することとしております。さらに、収穫物から生産される加工品について育成者権を侵害した者を罰則の対象に追加することとしております。
第二に、育成者権の存続期間の延長であります。
現在、育成者権の存続期間は、果樹等の永年性植物については二十五年、その他の植物については二十年としておりますが、存続期間をそれぞれ延長し、果樹等の永年性植物については三十年、その他の植物については二十五年にすることとしております。
以上が、これら二法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○山岡委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
――――◇―――――
○山岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、明九日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十八分散会