第19号 平成17年6月9日(木曜日)
平成十七年六月九日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 山岡 賢次君
理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君
理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君
理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君
理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君
赤城 徳彦君 石田 真敏君
岡本 芳郎君 梶山 弘志君
金子 恭之君 上川 陽子君
川上 義博君 木村 太郎君
城内 実君 後藤 茂之君
後藤田正純君 田中 英夫君
津島 恭一君 中山 泰秀君
西村 康稔君 原田 令嗣君
増田 敏男君 森 英介君
一川 保夫君 岡本 充功君
奥田 建君 鹿野 道彦君
川内 博史君 岸本 健君
小平 忠正君 鮫島 宗明君
神風 英男君 仲野 博子君
堀込 征雄君 松木 謙公君
山内おさむ君 大口 善徳君
高橋千鶴子君 山本喜代宏君
…………………………………
農林水産大臣 島村 宜伸君
内閣府副大臣 西川 公也君
農林水産副大臣 岩永 峯一君
外務大臣政務官 小野寺五典君
財務大臣政務官 倉田 雅年君
厚生労働大臣政務官 藤井 基之君
農林水産大臣政務官 大口 善徳君
政府参考人
(内閣官房知的財産戦略推進事務局長) 荒井 寿光君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡島 敦子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房統計情報部長) 鳥生 隆君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局安全衛生部長) 小田 清一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房協同組合検査部長) 朝比奈 清君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長) 村上 秀徳君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 中川 坦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 白須 敏朗君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 須賀田菊仁君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 西川 孝一君
政府参考人
(林野庁長官) 前田 直登君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 和泉 洋人君
参考人
(食品安全委員会委員長) 寺田 雅昭君
農林水産委員会専門員 飯田 祐弘君
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委員の異動
六月九日
辞任 補欠選任
北村 直人君 増田 敏男君
後藤田正純君 中山 泰秀君
一川 保夫君 奥田 建君
山内おさむ君 川内 博史君
同日
辞任 補欠選任
中山 泰秀君 後藤田正純君
増田 敏男君 北村 直人君
奥田 建君 一川 保夫君
川内 博史君 山内おさむ君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
森林組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)(参議院送付)
種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)
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○山岡委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、森林組合法の一部を改正する法律案及び種苗法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省大臣官房協同組合検査部長朝比奈清君、総合食料局長村上秀徳君、消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、経営局長須賀田菊仁君、農林水産技術会議事務局長西川孝一君、林野庁長官前田直登君、内閣官房知的財産戦略推進事務局長荒井寿光君、厚生労働省大臣官房審議官岡島敦子君、大臣官房統計情報部長鳥生隆君、労働基準局安全衛生部長小田清一君及び国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○山岡委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城内実君。
○城内委員 自由民主党の城内実でございます。
本日は、森林組合法の改正及び種苗法の改正の問題について質問させていただきたいと思います。
それでは、まず、森林組合法の改正についてですが、私の選挙区は静岡県西部でございます。浜松市を含む周辺の十三市町村、それが選挙区でございますが、今度七月一日にそのうちの大部分が合併し、二年後には政令指定都市になります。そうしたら、どれだけ山村地域かというと、何と約六二%、六割を超える部分が山村、全部山村または一部山村でございます。具体的には、水窪町、佐久間町、龍山村、天竜市、引佐町といった中山間地域がその面積の半分以上を占めるというわけでございます。
都市と農山村地域の共生・対流というスローガンがありますけれども、まさに、その川上の山村なくして、川下の都市部の水の供給あるいはきれいな空気を提供する、こういったことはないわけでございます。
しかるに、今、林業の状況はどうかというと、国内市場において外材が八割以上を占め、そして、内地材、地域材がどんどん押しやられているという状況でございます。現在、我が党の松岡利勝先生の御指導のもとに、違法伐採の問題に取り組もうという動きがございます。これを、大変すばらしい成果を上げておられるNPOの関係者とも協力しながら、サミットプロセスにうまく乗せて、こういった違法伐採問題を大きく取り上げる努力を現在行っているところでございます。
林業の問題につきましては、私も地元の声を頻繁に聞くわけでございます。例えば、天竜森林組合の最高幹部である方の話によりますと、やはり、外材に対抗するためにはさまざまな措置が必要であると。例えば、木材製品を保存するストックヤードをきちんと整備しないことには、ちゃんとした材木の供給はできない、そういう声もございますし、また、加工・流通業界が、きちんと整理再編しなければ、なかなか住宅建築会社にいい木材を供給できない、こういったような声もあるわけでございます。
いずれにいたしましても、こうした末端の現場の声をぜひ農水省におかれても聞いていただきたい、そしてそれを政策に反映していただきたいと思う次第でございます。
さて、今回の森林組合法の改正におきましては、森林組合員以外の森林消費者について、員外利用の制限を緩和したこと、及び、木材製造業者、中小工務店、緑化活動を行う方々に対して准組合員資格を付与し、もって森林組合を活性化するということが中身というふうに伺っておりますけれども、このことを私は非常に評価できるというふうに思います。
そして、質問ですが、これまで森林組合が果たしてきた役割をどのように認識し、今後、我が国の森林整備の推進においてどのような役割が期待されているのかということについて、お尋ねしたいと思います。
○前田政府参考人 一つ目の関係でございますが、森林組合は、森林所有者の協同組織といたしまして植林や除間伐の七割を実施するなど、我が国の森林整備の中心的な役割を果たしてきたところであります。
一方では、近年の我が国の森林・林業を取り巻きます状況、木材需要の減退あるいは木材価格の低迷、こういったことを反映いたしまして、林業生産活動が停滞し、適切な管理が行われていない森林が増加するといったような状況で、大変厳しい状況にございます。
このような中、森林に対します国民の多様な要請にこたえまして、その多面的な機能を持続的に発揮させていくためには、森林所有者の協同組織であり森林整備の大宗を実施している森林組合が森林所有者に積極的に働きかけを行って、効率的な施業実施のための施業の集約化などの取り組みを進めることが重要というように考えている次第でございます。
このような取り組みを通じまして、森林組合が森林施業の受託等の事業を積極的に展開することにより、地域の森林管理の中核的な担い手としての役割を十全に発揮するということを期待しているところでございます。
○城内委員 今、前田長官がおっしゃったように、森林・林業を取り巻く環境というのは、私の地元のみならず、日本全国大変厳しい状況であるということでございます。それを踏まえて今回の森林組合法の改正ということでございますが、こういう改正を通じて林業が少しでも活性化するように、ぜひとも御努力をお願いしたいというふうに申し上げます。
冒頭指摘しましたように、員外利用の制限緩和や、木材関係業者に対して准組合員資格を付与する中身であるというふうに理解しておりますけれども、今回の森林組合法の改正にはいかなる意義があるのか、本当に林業の活性化につながるのか。私はそう信じておりますけれども、では具体的にどのような効果が期待されているのかという点について、もう少し踏み込んだ御発言をいただきたいというふうに思います。
○前田政府参考人 我が国の森林・林業を取り巻きます情勢、先ほど申し上げましたが、大変厳しい中、こういった中で、森林の適切な整備あるいは保全を推進するためには、森林整備の中心的な役割を担っています森林組合が将来にわたりましてその機能を十全に発揮し得るように、その機能の充実あるいは組織基盤の強化、これを図ることが重要であります。
このため、今回の改正におきましては、今までの各種の検討会の結果、あるいは現場の関係者の意見等も踏まえながら、一つには、森林組合の機能の強化の観点から一体的に整備することが望ましい森林について、員外利用の特例の範囲を施業計画の作成や木材の販売にまで拡大する。それと同時に、組合員のニーズに対応した事業範囲の拡充を図る。二点目といたしましては、組織基盤の強化を図るために、准組合員資格の拡充、あるいは総代会におきます合併手続の簡素化、こういったことを図る。三点目といたしましては、適切な事業運営を確保するため、事業別損益を明らかにいたしました書類の総会への提出を義務づけるといったような措置を講ずることとしております。
これらの取り組みによりまして、一つには、施業の団地化を通じた施業コストの低減と安定的な木材の生産、また、木材製造業者、森林ボランティアなどとの連携の強化、あるいは合併手続の簡素化等によります森林組合の合併の促進、あるいは組合員への情報開示の推進、こういったことが図られていくものと期待しているところでございます。
○城内委員 森林組合の機能の強化はもちろん重要でございますが、それだけではなくて、以前この農林水産委員会で私発言させていただきましたように、子供のころから木材になれ親しむというような教育。知育、体育、徳育、食育だけではなくて木育というようなものをぜひやっていただきたい、これは西川京子先生が提唱している運動ではございますが、こういったこともあわせてやっていただきたい、そしてまた、その関係省庁である文部科学省とも協力してやっていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。
そして、この森林組合法の改正について、最後に、今回の森林組合法の改正を通じて、先ほど述べましたように、森林・林業を取り巻く状況は大変厳しいのでありますが、この問題に対する島村大臣の御決意についてお伺いしたいというふうに思います。
○島村国務大臣 今までにも何度か申し上げたんですが、私は農水大臣と言われますと、時間の余裕のあるときには言い直していただいて、農林水産大臣と。事ほどさように、林業の重要性ということを私は常々お訴えしているものであります。
森林というのは、我々の生活、例えば都市の生活者とは直接関係がないように思いますが、この森林の健全な存在によってどれだけ都市部で恩恵を受けているか、意外と知られていない事実がありますので、私はそういうような姿勢をとっているわけであります。
そういう意味で、今林野庁長官の答弁にもございましたように、まさに国土の七割を占めているのは森林でありまして、この国土の保全や水源の涵養、地球温暖化の防止そのほか、例えば都市部の人が時々保養のために地方を回って、城内委員の地元も大変美しい自然を持った地域でありますが、旅をしながら楽しませていただきましたけれども。こういう自然景観の美しさを維持するためにも森林は不可欠でありまして、私どもは今、京都議定書の約束事であります地球温暖化の防止等々、すべての面において改めて森林を見直すときに来ているんだ、そんなふうに考えているところであります。
このように、森林の多面的機能が持続的に発揮されるためには、やはり森林の整備保全、林業の活性化を図ることが重要でありまして、国民生活や経済の安定にとっても、長い視野で見れば、これは本当に欠くことができないものであると認識をしております。
とりわけ森林組合は、森林所有者の協同組織として、植林や除間伐の七割を実施するなど、森林整備の中心的な役割を果たしているわけでありますから、私どもは、今回の法改正によりまして、地域の森林管理や林業の中核的な担い手としての森林組合の役割が十全に発揮されるよう努めてまいる考えであります。
また、具体的にも考えなきゃいけないのは、これも我々都市部の生活者はうっかり見落としがちでありますけれども、杉の価格あるいはヒノキの価格、こういう立木の価格が極端に下落をしておりまして、これは御承知のように、外材の価格の下落に大きな影響を受けているわけでありますが、五十年物で何と、ついこの間三千円で驚いていたものが、今では千九百円に落ち込んでいる。そして、ヒノキでも三千七百円。これを議員の仲間に昼食のときに聞きましたら、約十万円ぐらいはするんでしょう、こういう話でありましたけれども、かなり常識人でもその程度の認識しかない。しかし、実際の立ち木で買いますと、千九百円とか三千七百円。これでは森林業は全く成り立たないということが容易に理解できるわけでありまして、こういう点を十分配慮しながら、これからの森林の健全な育成のために取り組んでいきたい、こう考えているところであります。
○城内委員 大臣より、前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。引き続き、この林業の活性化に向けて積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
それでは次に、種苗法の改正の問題について質問させていただきたいと思います。
冒頭申しましたように、私の地元はことし七月に合併するわけであります。そうしますと、全国でも、豊橋市に次いで農業生産高が最も高い自治体になる予定であります。例えば、具体的には、私の地元の、私がまさに住んでいる三方原というところではジャガイモが有名でございますし、三ケ日町はもちろん温州ミカンの産地でございます。そのほか、チンゲンサイ、あるいはネギ、タマネギ、ガーベラ等の花卉、イチゴ、メロン、シイタケ、お茶、そういった工芸作物の一大産地でございます。また、細江町というところは、畳表のイグサの発祥の地でもあります。こうした観点から、地元の関係者といろいろと話をするんですが、苦労して一生懸命手塩にかけて開発している種苗、それが、外国からの安価なコピー商品が入ってきて非常に困る、そういう声もございます。
今回、この種苗法の改正によって、例えば、中国から入ってくるイグサ、あるいは加工品としてのあん、韓国からのイチゴ、こういったものを何とか防げないかということで、大変よい改正だと思いますけれども、本当に、品種保護制度というのは不十分であったというふうに私は考えておるわけでございます。
我が国は、これらの国に対して品種保護制度の充実を、単に水際で輸入を防ぐというだけではなくて、私も実は外務省におりましたけれども、中国、韓国といった国に対して直接働きかけをして、何とかきちんとした品種保護制度を整備してくれないかと。例えばUPOV条約という、植物新品種保護国際条約というものがございますが、中国は、九一年条約に入っていないものですから、全品種が保護の対象になっていない、そういう状況でございますし、韓国もその九一年条約に入ったばかりなので、まだその適用除外の期間があるということで、韓国についてもすべての品種が対象にならない。
すべての品種が対象にならないからといって何でもやっていいかというと、そうではないというふうに思いますので、こういった点については、きちんと外交ルートを通じて、我が国のまじめに開発に取り組んでいる種苗業者あるいは農業者を守るようにしていただきたいというふうに思いますけれども、この点についての農林水産省の御見解を伺いたいというふうに思います。
○白須政府参考人 ただいまのお尋ねでございます。委員の御指摘のとおり、例えばアジア地域でも、このUPOV条約を締結いたしておりますのは、我が国のほかには中国、韓国、それからシンガポールがあるわけでございますが、ただ、締結しております中国、韓国につきましても、ただいま委員からもお話がございましたが、例えば中国では、小豆でありますとかインゲンマメ、あるいはイグサというものが保護対象になっておらない、あるいはまた、韓国ではイチゴといったものが保護対象となっておらないというふうなことで、そういった意味で、大変我が国の農家に対する悪影響というものもあるわけでございます。
したがいまして、お話しのとおり、やはり中国、韓国などアジア諸国において品種保護制度が不十分であるというふうに言わざるを得ないというふうに私どもも認識をしているわけでございます。
そこで、我が国といたしましては、お話しのとおり、やはり外務省ともしっかりと連携をいたしまして、一つには、やはりEPA交渉、そういった場を通じる働きかけ、あるいはまた、直接的に官民の合同ミッションといったものも派遣をいたしまして、この植物品種保護制度の整備でありますとかあるいは拡充、そういった働きかけも一方には行っております。
さらにはまた、このUPOV同盟への拠出金、こういったことも活用いたしまして、品種保護制度に関します研修あるいはセミナー、そういった形での技術協力といったようなことを行いまして、中国、韓国を初めといたしますアジア諸国における品種保護制度の一層の充実につきまして働きかけを行ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○城内委員 今技術協力という話がありましたけれども、例えばJICAとかJBICなどの機関を通じて、国際協力の場でもぜひ実現していただくようにお願いしたいというふうに思うわけでございます。
中国というと、日本製オートバイのコピーとかCDの海賊版、こういったものが、WTOに加盟したにもかかわらず、まだまだ頻繁に出てきているということでございますが、これはやはり同じように、こういった工業製品だけではなくて農産物についても、きちっと外交ルートを通じて、コピー商品、コピー種苗が出回らないように引き続き強く働きかけていただきたいというふうに思う次第でございます。
悪貨は良貨を駆逐するという言葉がありますけれども、国内のまじめな種苗業者が、あるいは個人の育種家、さらには各県、自治体のいろいろな種苗試験機関等があると思いますけれども、こういった機関、個人の方々が長年かけて開発、登録した新品種が、本当にただ同然で、無料でCDの海賊版のようにコピー増殖し、さらにはその過程を通じて質の悪い種苗となって市場に出回る、そういう事態は、本当に真剣に取り組んで、絶対阻止しなきゃいけないと私は思う次第であります。我が国政府は、知的財産権を大事にしようということで知財立国を宣言しているわけですけれども、工業製品だけではなく、農産物についてもこの点を非常に重視していただきたいというふうに思う次第でございます。
質の悪い種苗の輸入を水際で防ぐ、そしてまた良質な種苗の供給を確保するための対策としては具体的にどのようなものがあるのかということをお尋ねしたいと思いますが、聞くところによると、いわゆる品種保護対策官、何か通称品種保護Gメンというような係官がいらっしゃるというふうに聞きますけれども、こういった点も含めて、具体的な対策についてお尋ねしたいというふうに思います。
○白須政府参考人 ただいまの委員からのお話の、いわゆる質の悪い種苗の流通の防止あるいは良質な種苗の供給確保対策というお尋ねでございます。
やはり、そういったコピーの増殖、これはぜひとも防がなければならないということはお話のとおりかというふうに考えております。
まさに種苗というものは、農林水産業におきましても最も基礎的な資材の一つでございます。しかしながら、外見では、これの品質あるいは品種の識別というものもなかなか困難であるというふうなことかというふうに考えております。したがいまして、私ども、種苗法に基づきまして、一つには、種苗の業者に対しまして、品種名などの表示あるいはまた生産の基準、こういったものの遵守を義務づけておるわけでございます。また、もう一つといたしましては、独立行政法人の種苗管理センターというのがあるわけでございますが、これが流通段階の種苗を集取しまして、表示でありますとかあるいは発芽率、そういった品質に関する検査も実施をいたしておるわけでございます。したがいまして、こういった形を通じまして、優良な種苗の流通を確保しておる。
また、一方には、増殖率が低くて病害に侵されやすい、例えばバレイショ、そういった作目もあるわけでございますが、こういったものはこの種苗管理センターが一元的に原原種を供給するといったような形で、健全な、無病な優良種苗の供給体制というものも整備しているわけでございます。
ただいままた委員からもお話がございました品種保護Gメン、これは種苗管理センターの方に今年度から設置をいたしているわけでございますが、まさに新しい品種を育成して品種登録を行われた方、育成者権者の権利侵害に対する円滑な権利行使の支援という形で置かせていただいているわけでございます。そういったことを通じまして、権利の保護あるいは支援対策というものもやっているわけでございます。
そういったもろもろの施策の推進を通じまして、ただいまの委員のお話のようなそういう悪い種苗の流通防止、あるいは良質な種苗の供給の確保というものをやってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○城内委員 ありがとうございました。
次の質問ですが、たしか二、三日前に日経新聞に、種苗管理センターあるいは材木育種センター等の機関を民間にも開放するというような記事がございました。
官から民への流れはありますが、独立行政法人種苗管理センターというものが民間の活力を入れることによって利益追求主義に走るんではないかということが若干心配なわけであります。国立大学も今は独立行政法人化して民間活力を入れているということはもう常識になっているんですけれども、やはりこの種苗管理センターのような場合は、今まで述べましたように、公的機関、公益性が非常に高いというふうに思いますので、できるだけその公的機能は維持していただきたいというふうに考えますけれども、こうした動きについての御見解を伺いたいというふうに思います。
○白須政府参考人 ただいまの種苗管理センターの関係でございます。
お話のとおり、これは、独立行政法人通則法に基づきまして、国民生活、それから社会経済の安定などの公共上の見地から確実な実施が必要だということで、平成十三年四月から独立行政法人としてやっているわけでございます。ただ、本年度でこの独立行政法人は中期目標の期間を終了するということでございますので、現在、組織あるいは業務全般の検討を行っているわけでございます。本年十二月までに、そのあり方につきまして政府として決定するということになっているわけでございます。
ただ、私どもといたしましては、やはりこの種苗管理センターは、委員からもお話がございましたが、公的機関として実施しておる、こういった業務の役割あるいは重要性を十分に認識しているわけでございます。そういったところを十分に踏まえながら、今後そのあり方について検討を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○城内委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
最後に、島村大臣にお尋ねしたいと思います。こういった違法にコピーされた種苗が出回らないように、きちんと戦略的に、外務省等とも協力して、関係省庁とも協力して進めていただきたいと思いますが、新品種の保護及び優良な種苗の供給のための今後の戦略というものについてお尋ねしたいと思います。
○島村国務大臣 種苗は農林水産業の最も基本的な資材でありまして、優良な新品種や健全な種苗の供給は農林水産業の発展に不可欠なものであります。このため、当省といたしましては、新品種の育成者の権利を知的財産権として適切に保護するため、今回の種苗法改正を初め、新品種の保護の強化に取り組むとともに、種苗の表示規制や独立行政法人種苗管理センターなどによる検査によって種苗の適切な流通を確保していく考えであります。
特に、増殖率が低く、重大な病害に侵されやすい、例えば城内委員の地元の主生産品であるバレイショなどの作物につきましては、独立行政法人種苗管理センターによりまして原原種の供給を行っているところでありますが、これらの施策の推進を通じて、新品種や優良な種苗を活用した産地振興を支援し、我が国農林水産業の競争力の強化を図ってまいりたいと考えているところであります。
城内委員は外交官として海外でも大変活躍した経験をお持ちですから、これからは、こういう外交の分野における我々の国家としての主張といいますか、権益の保持、これらについては、むしろ問題が起きてから対症療法としてするのでなくて、事前にそういう環境の整備を進めていくことが不可欠であります。ぜひそういう経験や知識を我々にも提供いただきたいと心から御期待を申し上げる次第であります。
○城内委員 大臣、ありがとうございました。
以上で私の質問を終わらせていただきます。
○山岡委員長 次に、白保台一君。
○白保委員 森林組合法の一部改正案と種苗法の一部改正案についてあわせて質問をいたしますが、最初に、森林組合法の一部改正案についてお伺いをしたい、こういうふうに思います。
最初に、緑の雇用拡大と直接支払い制度についてお伺いをしたい、こういうふうに思うわけです。
地球温暖化の対策としてさまざまな手法があります。森林によるところの温暖化ガス吸収源対策というのは最大の手法でありますと同時に、ノーネクタイ、この中で私が一番涼しいんじゃないかなと思いますけれども、こういう対策もあるわけであります。
森林は、地球規模で見ると毎年千二百五十万ヘクタール以上が減少をしている、世界的に危機が叫ばれているところであります。この原因というのは、横行しているところの不法な伐採だとか、あるいはまた不見識な商業伐採、こういったものに起因するというふうに言われておるわけでございます。
我が国の場合は、森林は二千五百十二万ヘクタールで、国土面積に対する比率が六七%、約七割を占める。我が国は世界有数の森林国、こういうふうに言えるのかもしれませんが、実際は、その森林の四割に当たる千三十六万ヘクタールの人工林は、間伐対策が進まないままに荒廃して危機的な状況にあるとも言われているわけであります。外材の輸入が急増する一方で、割の合わない林業に担い手がいなくなってしまったからだ、こういうふうなことも言われるわけですが、その林業を活性化する上で森林組合法を改正することは非常に大事なことだ、こういうふうにまず思います。
農協が農業者の組合であるように、森林組合も、森林所有者だけの団体ではなくして、森林で働く者の団体になることが重要であり、組合が単に補助金の受け皿団体であるというのではなくて、総合的に森林管理を推進する組織体に転換をしていかなければならない、こういうふうによく指摘をされているところであります。
そこで、改正案とは別な話ですが、担い手を育成することが急務であることから、現在の造林補助制度などをよく検討して直接支払い制度へ転換するなど、抜本的な改革をやることが大事じゃないか。それと合わせて緑の雇用拡大、これは非常に大事なことでございまして、緑の雇用拡大を目指す段階に来ているんじゃないかな、こう思います。したがいまして、この問題については、島村農林水産大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○島村国務大臣 白保委員にお答え申し上げます。
造林補助制度は、森林の有する公益的機能にかんがみ、森林所有者が行う造林、間伐などを促進するもので、森林整備の推進に重要な役割を担っているものであります。一方で、森林所有者のうちで主に林業所得に収入を依存している者はごく一部でありまして、また、生産活動に伴う所得も必ずしも毎年発生するとは限りませんので、林業については所得を補償する直接支払い制度はなじみにくい面があると考えております。したがいまして、造林補助制度にかえて直接支払い制度を導入することは、慎重に検討していく必要があると考えておるところであります。
また、緑の雇用担い手育成事業につきましては、平成十四年度の補正予算から九十五億の予算がつきまして、平成十五年度から実行に移されておりますが、林業の担い手を確保、育成するため、これらを実施しているところであります。平成十八年度以降の担い手育成対策につきましては、これまでの実施状況などを踏まえまして検討してまいりたいと考えております。
なお、その御意見については我々も十分心にとめて、何らかの、林業を営む方々が将来に向かって希望を持って、また責任を持って森林の管理をしてくださるような環境づくりについては十分意を用いていきたい、こう考えておるところであります。
○白保委員 今回の法改正案では、政令で定める事業の員外利用規制の緩和が挙げられているわけですね。その中で木質バイオマス事業が挙げられているわけでありますが、具体的には、組合員以外の森林所有者の森林組合のペレット工場への原料搬入やペレットの利用販売などの事業について緩和されることになっていくんじゃないか、こういうふうに思います。木質バイオマスのエネルギー利用に弾みがついていくのではないかと思いますが、森林組合の事業展開にどういうふうにこれが結びついていくのか、それをどう見込んでいるのかというのがまず一点であります。
その木質バイオマスの資源として、製材工場等の残材、建設発生木材が利用されているわけですが、林地残材が全く未利用ということは大きな損失であるわけであります。この木質バイオマスというのは温暖化対策に有効なエネルギーになっておりまして、フィンランドやスウェーデンなどではエネルギー需要の約二割を賄っている、こういうふうに言われております。欧州の各国でも積極的に木質バイオマスに取り組んでおりますので、どの国でも税制優遇措置等が導入されて促進されております。
そういう意味で、我が国ではこういったものに対する支援策、これはどういうふうに考えておられるのか、またやっておられるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
○前田政府参考人 今先生がお話しございましたように、森林組合の方におきましても、現在、森林施業ですとか、あるいは木材加工、こういったことに伴いまして、小径木ですとか木くず、こういった林地残材などを燃料に使ったり、あるいは炭などに加工して利用販売するというような、木質バイオマス事業に取り組む組合が見られるところでございます。
これらの取り組みでございますけれども、これは同時に資源の有効利用、また間伐の促進にも資するということで、大変重要というように考えておりまして、森林組合によりますこういった事業の積極的な展開が期待されているところでございます。このため、今回、今お話しございましたけれども、こういった例えば木質バイオマス事業につきまして、員外利用制限を緩和いたしましてその推進を図っていこうというようなことを考えているわけでございます。例えば、こういった場合には、森林組合としても原材料の確保が容易になってくる、また森林組合によります木質バイオマス事業の安定的な実施が図れる、またこれまで未利用でありました小径木、こういったものの有効活用にも資するということで、森林組合によります森林施業の促進にも資するのではないかというように考えている次第でございます。
木質バイオマスによるエネルギー利用のお話がございましたけれども、現に今、森林組合におきましても、十六基の木くずだきボイラーですとか二基のペレット製造施設、こういったものも稼働しているところでございます。林野庁といたしましては、木質バイオマスエネルギーの利用の促進を図るために、例えば木質バイオマスの発電施設あるいは熱供給施設、こういったものの整備に要する経費、あるいはペレット製造施設の整備、さらには林地残材の収集、運搬の効率化に資します機材の導入などにつきまして助成を行っているところでございますし、また、税制上の支援措置といたしましても、木くず炊きボイラーを取得いたしまして一年以内に事業の用に供した場合には、取得価格の三〇%の特別償却ができるというような特例措置、こういったものも講じられているところでございます。
今後とも、森林組合におきます木質バイオマスエネルギーの利用が進むように積極的に支援してまいりたいというように考えている次第でございます。
○白保委員 今回閣議決定されました食料・農業・農村基本計画、これで、地域のニーズに応じて、農業協同組合と森林組合、漁業協同組合との事業の共同化など、団体間の連携促進策を検討する、こういうふうになっておるわけでございます。農協と漁協との統合あるいは業務提携、これについては検討されているんだろうと思いますけれども、この辺は現時点で基本的にどのような考え方で進めておられるのか、お伺いしたいと思います。
○前田政府参考人 今御指摘のように、農協あるいは森林組合、漁協等のそういった協同組織につきましては、基本的には協同組合自体の要請がない限りなかなか統合は難しいというように考えているわけでございますけれども、今年三月に策定されました食料・農業・農村基本計画、これにおきまして「農業協同組合と森林組合、漁業協同組合との事業の共同実施なども含め、団体間の連携を促進する方策について検討する。」ということで提起されておりまして、連携促進方策につきましては、関係団体を含めて、今後検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○白保委員 戦後、北海道と沖縄以外のほとんどの地域で、杉、ヒノキの人工造林が行われた。その結果、六十年たつと、北海道と沖縄以外はみんな花粉症がある。北海道と沖縄には花粉症がない。したがいまして、私のところは、春先はみんな花粉症の人は沖縄に観光で来ていただいて、これはどういうことなのかなと非常に思うんですが。
そういった意味で、これは個人消費の面にも大きな影響が出ておる、こういうふうに言われているんです。これは、外へ出ていくとかかるからということで余り外へ出ない、そういうことで、ある試算によれば個人消費七千五百四十九億円、こういうふうに言われるぐらい、個人消費面でも大きな影響がある。
したがいまして、北海道、沖縄以外、造林を進めてきた、そういった面で、今度は花粉症に対する森林・林業の立場から対策を示すべきだ、こう思うんですが、いかがでしょうか。
○前田政府参考人 私どももそういったことで、林業面からは、一つには品種改良、そういった中で、これまでに、花粉の量が一%以下と言われる非常に花粉の少ない品種、こういったものが百十二品種開発されてきておりまして、これにつきまして十一年度から苗木の供給を始めているところでございますし、また、今後五年間で約六十万本を超える苗木の供給を見込んでいるところでございます。
さらに、ことし一月には、独立行政法人の林木育種センターにおきまして、花粉が全く出ないといったような杉が開発されましたところでございまして、これにつきましても今後普及に努めてまいりたいというように考えております。
またさらに、都市近郊を中心に、雄花の量の多い杉を優先して抜き切りするといった実証事業ですとか、間伐に当たっては雄花の多い木を優先的に間伐するというような形で、花粉症対策の推進に取り組んでいるところでございます。
なお、蛇足でございますが、北海道の方ではシラカバの花粉症がございますので、念のため。
○白保委員 さて、あと時間がありませんが、種苗法の一部改正についても若干お伺いしたいと思います。
農業者の自家増殖についての関係なんですけれども、これは慣行的に行われているようなこともあるんですね。したがって、今回の改正で育成者権の効力を拡大強化する場合、その効力の及ぶ植物、すなわち自家増殖が制限されるものはこれ、されないものはこれというふうに具体的に示して、関係者に周知徹底する必要があるんではないか。自家増殖での育成者権の効力についての基本的な考え方、これを伺いたいと思います。
○白須政府参考人 自家増殖についてのお尋ねでございます。
現行制度上は、農業者がみずからの経営の中で種苗として用いる自家増殖につきましては、原則としては育成者権者の許諾を必要としないということでございます。例外としてそういうものが必要なあれについては、具体的に二十三種類の栄養繁殖植物、これは今委員からの御指摘どおり、指定をいたしているわけでございます。
私ども、基本的な考え方としましては、やはり許諾についての農業者の認識の定着を図っていかぬといかぬ、したがいまして、当面は許諾が必要な植物を順次拡大していくわけでございますが、将来的には、自家増殖は原則として許諾を必要とするということを検討する必要があるということでございます。したがいまして、許諾の必要な植物を拡大する場合にも、委員からもお話がございましたように、やはり関係者にはしっかりと周知徹底を図りまして、団体とも十分連携して行ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○白保委員 育成者権の加工品への拡大について、これはDNAで品種識別技術が進んでいけば、多くの加工品が識別可能になっていくんだろう、こう思います。
そこで、DNA品種識別技術が現在どのような開発状況にあるのか、将来の見通しはどうなのかということと、それから、悪意のない加工流通業者が登録品種の収穫物を混入させた場合、過失処罰がないから刑事罰の対象になりませんが、税関で侵害物品だとかこういったことで認定されると没収とか廃棄になって、非常に大きな損害を受けるわけですね。したがって、こういったことを未然に防ぐために、品種保護制度の周知徹底は当然でありますが、加工原料用農産物の品種名の表示や登録品種であることを明示する統一マーク、こういったものが必要になってくるのではないかな、こう思いますが、この辺についてはいかがでしょうか。
○白須政府参考人 一点、DNAの品種識別技術の開発状況ということでございます。
これは現在、まさに加工品への拡大ということでございますが、インゲンマメ、あるいは小豆ではあんこ、あるいはイグサではござ、それから稲では米飯、あるいはお茶では製茶、これにつきましては既に実用化技術が開発されております。さらに、小麦粉、あるいはめん、コンニャク精粉、そういったもので実用化に向けて技術開発が進められておるということでございます。今後、できるだけ速やかに、私ども、品種識別技術が確立したものから整理するわけでございます。速やかに加工品の品目は拡大してまいりたいというふうに考えております。
それからもう一点、今お話がございました、まさにやはりそういう加工流通業者による意図せざる育成者権の侵害、これを回避する必要があるわけでございます。そのためには、やはり必要な情報提供をすべきであるということでございますし、あるいはまた、やはりそういった場合に統一のマークでございますとかあるいは表示、こういったことも取り組んでまいりまして、加工流通業者の信頼を高める必要があろう。あるいはまた、侵害物品の流通の可能性のある加工原料あるいは加工品に関する情報提供といったことも奨励をしてまいりまして、改正制度の円滑な導入を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○白保委員 まだ続けたかったんですが、時間がなくなりましたので、これで終わります。
○山岡委員長 次に、黄川田徹君。
○黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。きょうは、森林組合法の一部改正に関連した事項につきまして、通告に従い、順次質問していきたいと思います。
まず、森林整備と地球温暖化対策についてお尋ねいたします。
京都議定書がこの二月十六日に発効いたしました。CO2等の地球温暖化ガス六%削減が義務づけられたわけであります。そのうち森林吸収源として期待される三・九%を達成するために、平成十八年から二十四年の七年間に年間約二千億円、総額一兆四千億円の追加事業費が必要になるわけでありますが、もしもこの事業費が確保されない場合には三・九%は確保されず、二・六%の削減効果にとどまる、こういう状況であります。環境省が環境税の導入等を積極的に推進しようとしておるところでありますけれども、これに対して、エネルギーを多数消費します運輸業界であるとか産業界の多くはこれまた猛烈に反対している、こういう現状だと思っております。
そこで最初に、この巨額な一兆四千億円もの財源確保、これをどうする見込みなのであるのか。農水大臣として、環境税の導入、これはどのように考えておるわけでありますか。反対であるのか、あるいは賛成であるのか。そしてまた、農水省の予算、今年度は三兆円を割り込んだというふうな形でありまして、減少傾向にあるこの枠内の中で森林整備のやりくりをどのようにやっていくのか。この点、大臣にお尋ねいたします。
○島村国務大臣 森林が地球温暖化を防止する上で重要な役割を果たしていることは御高承のとおりでございますが、京都議定書では我が国の温室効果ガス削減目標六%のうち森林による吸収量として三・九%を計上することが認められておるところであります。この吸収量を確保するためには、農林水産省としては、当然に森林の整備を思い切って推進する必要に迫られるわけでありますが、平成十四年に地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策を策定いたしまして、健全な森林の整備あるいは保全、緑の雇用対策など、総合的な取り組みを進めておりますものの、まだまだ十分とは言いがたいというのが現状であります。
そして、現状の森林整備水準で今後とも推移した場合を想定いたしますと、森林による吸収量は三・九%に及ばず、恐らく二・六%程度に収まるのではないか、こう見込まれているところであります。
そこで、これは京都議定書の約束事も当然でありますが、これはこの地球上の生きとし生けるものがこれからも健全な生活をするための基本が温暖化防止ということでございますから、これはもっと大局的、長期的な視野に立って、これをさらに進める必要がある。
ただでさえ税の負担というのは、この不況からようやく脱却しようという段階でありますから、大変なことは事実でありますけれども、これはお互いに生きていくための必要財源として必要なんだろう、私はそう考えておるところであります。
○黄川田委員 今の農林水産予算三兆円、これが拡大していくという状況はどうも見込めないような気がしますので、どうしても財源確保ということなんですが。
政策課題として消費税というものがちょっとまないたにのっておりまして、私自身は年金等の福祉目的税というような形であるべきだと思っておりますが、財源の部分で、消費税の一部をという、そういう思いは大臣にありますか。
また、個人的に私は、エネルギー対策として、天然ガス等へシフトするような、そういう形の中でCO2の削減という考え方もあると思っておるのでありますが、消費税の一部を確保したらどうかという、その部分に関しては、大臣どうでしょうか。
○島村国務大臣 消費税の一部からこれを拠出するというのは一つの考え方かもしれませんが、また同時に、消費税というのは極めて公平な税制、御自分が物を買ったらそれに対して負担が伴う、これは極めて公平な税制だと私は思っているところであります。
さはさりながら、消費税に期待するものはいろいろ多うございまして、例えば医療費だ、あるいは年金だ、いろいろ不足分が起きると消費税、こういう考えが出されますが、こういう安易な行き方だけでいいのだろうか。
例えば、石油業界が今担っている目的税といえば道路財源。こういったためのものを受益者からきちんと負担をしていただくという考え方があってしかるべき、私はそう考えます。
そういう意味では、なるほど全国民が受益者には違いないんですが、特に道路その他の財源で受益をする方にはそのものを負担していただくということと同じように、この地球温暖化の防止のために、ある意味では、産業界で活躍しても、その一方では逆にCO2の排出量が多い、あるいはそういうことをもたらせる業界については、それ相応の負担があってしかるべきだ、こう考えます。
○黄川田委員 次に、森林吸収の効果についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
巨額の投資によりまして間伐等の森林整備を行っても、森林のCO2吸収能力が向上しなければ、温暖化ガス三・九%の目標達成は不可能であるとの見解を唱える学識経験者あるいはまたNPOの団体もあるわけでありますが、これにつきまして林野庁の基本的見解をお尋ねいたしたいと思います。
○前田政府参考人 最初にまず申し上げなきゃならないのは、京都議定書におきますルールといたしまして、CO2吸収のカウントでございますけれども、これは一九九〇年以降にその必要な保育ですとか手入れ、こういったものがなされた森林におきます二酸化炭素の吸収固定量、これがカウントされるんだという国際ルールになっております。
そういったことで、林野庁といたしましては、先ほどからるる出ております三・九%の目標達成、そういったルールにのっとって何とか確保していきたいということで取り組んでいるところでございます。
なお、今お話がございましたように、間伐しても吸収量は出ないのではないかといったような意見も一部にはございますけれども、独立行政法人の森林総合研究所におきまして、全国二十一カ所の試験地、ここにおきまして、過去二十年から六十六年間にわたります調査データ、こういったものの比較分析を行っているところでございます。
その中で、やはり間伐を実施した森林の方が間伐を実施しない森林に比べて、CO2の総吸収量は平均一六%増加するという研究報告がきちっと出されておりまして、間伐することによって森林の吸収力は科学的にも増加するということに理解しているところでございます。
○黄川田委員 御案内のとおり、手入れをした森林、これをカウントするということでありますし、そしてまた、やはり樹齢二十年とか三十年の一番成長期にある部分ではCO2の吸収が旺盛だということ。それから意外と、杉の木ですか、かなり吸収するというのも森林総合研究所からもいろいろ出ていると思いますので、ただ黙っておいた森林、自然におけばいいというわけじゃなくて、しっかりと手入れをしていかなければカウントしてもらえないということでありますので、しっかりやっていただきたいと思っております。
次に、最近の木材の需給動向の変化についてお尋ねいたしたいと思っております。
最近、中国の木材需要拡大等の影響で国産材を輸出する、それが増大しているとか、あるいはまた、そういう状況の中でいろいろな需給構造に変化が生じておるのではないかと思っておりますが、これは中国の住宅建設ブーム等の一過性のものであるのか、そういう今の木材需給動向について林野庁の見解をお尋ねいたします。
○前田政府参考人 御指摘のように、最近、中国におきましては木材需要が非常に高まってきているというような状況にございます。こういった中で、日本におきましても、例えば宮崎県から杉丸太、こういったものの輸出が行われるというようなことで、それまでは年間数百立方のオーダーだったわけでありますが、平成十五年には約五千立方メートルまで拡大しているというような状況にございまして、そういう意味では、こういった中国への木材輸出、積極的に取り組んでいくことが重要ではないかというふうに考えております。
中国の方では、所得の向上、あるいは北京オリンピックですとか万博、こういったものも控えている中で、建設ラッシュが起こっているわけでありますが、それに加えまして、やはり中国経済全体が急速に発展している、そういった中で今後も木材需要が引き続き増大していくのではないかというように考えているわけでございます。
ちなみに、世界の木材貿易の中で我が国は世界第二位だったわけでありますが、先般、中国には抜かれたというような状況になっておりまして、世界全体の木材需給の中でも少し動きが出始めているというような状況ではないかというように認識している次第でございます。
○黄川田委員 国内材と輸入材の価格、これが対抗できるようになった形になっている。あるいはまた、日本の輸入量の二倍以上ですか、中国の輸入量は。やはり、そういう動きの中でしっかりと林野庁もその動向をとらまえていただきたいと思っております。
次に、国産材、地域材の利用推進についてお尋ねいたしたいと思います。
平成十五年八月ですか、農水省は木材利用拡大行動計画を策定しておるようでありますけれども、計画は作成したのだけれども、それはどうなっているのか、行動計画の概要と具体的な実施状況をまず初めにお尋ねいたします。
○前田政府参考人 お話がございましたように、農林水産省といたしましては、平成十五年の八月、まず隗より始めよということで、農林水産省みずから木材利用に積極的に取り組んでいくのだということで、農林水産省木材利用拡大行動計画、これを策定いたしまして、省を挙げて木材利用拡大に取り組んでいるところでございます。
この計画につきましては、原則木造、木質化、木製品化というような考え方のもとで、我が省におきます公共土木工事における、例えば安全さく等はすべて木製にするとか、あるいは治山事業などにおきます工事費当たりの木材使用量を現状の二倍にする。あるいは補助対象事業施設のうち、農林漁業体験施設あるいは交流施設、こういったものはすべて木造とする。さらには、庁舎等の木造化ですとか内装の木質化、この推進を図る。それから、さらに、間伐材封筒ですとか、そういった事務用品、こういったものにも間伐材を使用したものを積極的に使用するというようなことで目標を定めているところでございます。
十五年度の主な実施状況といたしましては、先ほど申し上げました公共工事によります安全さく等につきまして、木造率は八八%。治山事業におきます木材使用量一・九倍。あるいは、補助施設の体験施設ですとか交流施設、この木造率は約八割弱。さらに、本省の課長、室長以上の事務机、この木製品化につきましては八割。間伐材封筒ですと百万枚使うというようなことで、着実にその推進に努めているところでございまして、今後ともこの一層の推進を図っていきたいというように考えている次第でございます。
○黄川田委員 林野庁長官の答弁で、まず隗より始めよということでありますが、通告しておりませんけれども、島村農林水産大臣の御自宅は木造建築でしょうか。
○島村国務大臣 まさにどこもここも木材でございます。
○黄川田委員 農林水産省の行動計画、さまざまお話がありましたけれども、むしろ国よりも地方自治体の方で、学校建築であるとか、あるいはまた体育館など、さまざま努力をして、具体が見えているわけでありますけれども、なかなか国のやっているところは見えにくいというところがすごくあるわけなのであります。
当農林水産委員会でも愛知万博へ行きまして、長久手の政府館を見てまいりましたけれども、少しわかりやすく、国がやっている実用的な建築物で、こういうものを木材で建てた、木材を活用したというところを重ねて、長官、具体例はありますか。
○前田政府参考人 私どもといたしましても、みずから取り組んでいるわけでございますが、さらに関係省庁の連絡会議、こういったものを設けておりまして、各省庁とも連携をとりながら、それぞれの省庁でも木造を積極的に使っていただきたいということで取り組んできているところでございます。
ちなみに、ちょっと特異な例かもしれませんけれども、例えば、先般できました京都迎賓館、これにつきましては、天井ですとか床、こういったところに杉、ヒノキ、ケヤキ、こういったものを使用いたしておりますし、また林野庁の各地の森林管理署、あるいは森林事務所、これらにつきましてはすべて木造によりまして新築。それからあと、農林水産省所管の独立行政法人さけ・ます資源管理センターですとか、同じく独立行政法人の林木育種センター、こういったものの事務所におきましても木造化の推進が図られているところでございます。さらに、環境省関係では、自然公園のビジターセンター、これの木造化ですとか、国交省になろうかと思いますが、庁舎等の内装への木材の使用といったようなことで、国の施設におきましても木造化あるいは内装の木質化、こういったものの推進が図られているところでございます。
今後ともさらに、これにつきましては努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○黄川田委員 具体例をお話しいただきましたけれども、そしてまた我々も、政府に対して国産材を使え使えだけじゃなくて、みずから使っていかなきゃならないと思っております。議員会館の改築あるいはまた議員の宿舎等、今建設ということでさまざま議論されておるところでありまして、加えて、省庁連携もありますけれども、やはり国会の方でもしっかりと取り組んでいかなきゃいけないと思っておりますが。
大臣、国会の方に、議員会館あるいは宿舎など、基本材としてはなかなか難しいかもしれませんけれども、内装材としてしっかり使ってほしいというふうな申し入れなんかはどうなんでしょうか。
○島村国務大臣 今までの経過を見ますと、そこまで踏み込んでいるかどうかわかりませんが、先ほどもありますように、今課長以上の机が八〇%以上木製であるというようなことなどを見ますと、かなり具体的なそういう判断が生かされているのではないかと思います。しかし、これでいいという段階はないわけでありますから、今後とも木材をもっと活用してもらうような方途を講じていきたい、こう考えます。
○黄川田委員 何かもう少し強い発言を欲しかったわけでありますけれども、であれば、むしろ委員会として、国の建築物には積極的に木材を使えという委員会決議もやってもらいたいぐらいなんでありますが、その点、理事会等で協議していただけると思うんですが、委員長、どうですか。
○山岡委員長 お申し出があれば検討させていただきます。
○黄川田委員 わかりました。
それで、次に、時間も半分過ぎてしまいましたので、建築基準法の適用緩和につきまして、国土交通省にちょっとお尋ねいたしたいと思います。
国産材の利用、活用の中で、建築基準法の適用緩和、これがやはり求められております。例えば、延べ面積が三千平米を超えると、柱とかはり等に耐火構造が求められる、また、三階以上の建築物で不特定多数の人が利用する場合、これまた同様に耐火構造が要求されるわけであります。もちろん耐震、耐火は大事であります。そのとおりなんでありますけれども、国産材の利用促進の観点から、さまざま技術革新も起きておりますので、データを積み重ねて、専門家による審議をこれまた重ねる中で、建築基準法の改正等も何らかの形でできないかと思っているわけでありますけれども、その点、お尋ねいたします。
○和泉政府参考人 基本的にはおっしゃるとおりだと思いますが、基準法では、委員御案内のように、過去の市街地大火とか建築物火災の教訓を踏まえまして、今御指摘がございましたように、大規模な建築物が火災により倒壊すると隣接する建築物に延焼等を生じる危険性が高いことから、従来、延べ面積が三千平米を超える建築物の柱やはりを木造とすることは一律に禁止されておりました。また、御指摘のように、三階以上の階を不特定多数の人が利用する特殊建築物等については、避難安全の確保や倒壊防止の観点から、従来、その柱やはりを鉄筋コンクリート造などの耐火構造とすることとされておりました。
しかしながら、これらの建築物につきましては、その後の技術開発の進展を踏まえまして、平成十二年六月に施行された改正建築基準法により性能規定化され、木造であっても耐火性能を有するものであれば、延べ面積が三千平米を超えるものを建築したり、あるいは三階以上の特殊建築物を建築したりすることができるように規定の整備はしました。その結果としまして、さまざまの技術開発の成果を踏まえまして、例えば延べ面積が三千平米を超える木造の体育館とかあるいは武道館とか、三階以上の階を集会場等とした木造の複合施設等が各地で建築されつつございます。
これらに加えて、枠組み壁工法による木造建築物について、大規模な実験等を行いまして、その試験結果を踏まえまして、耐火性能を確認し、耐火構造の認定を取得することによって、四階建ての共同住宅等であってもこの枠組み壁工法による木造建築物で建築することが可能となっております。それらの実績も伸びつつございます。
国土交通省としましても、今後とも、林野庁とも十分連携をとって、木造に関する技術開発を推進するとともに、必要な木造の性能を適切に評価することにより、建築物における木材の利用の拡大に努めてまいりたい、かように考えてございます。よろしくお願いします。
○黄川田委員 最近は不燃木材の開発等もできてまいりまして、建築基準法の不燃材料の認定も受けているものもあるようでありますので、引き続き検討していただきたいと思います。
それでは、森林組合法の一部改正に関連して、森林組合の経営合理化をちょっとお尋ねいたしたいと思います。
平成十五年度末で、百六十五万人の組合員の出資による、そしてまた全国で九百七十組合があるわけでありますけれども、最初に、この森林組合の合併状況について、今現在、平成十五年で九百七十というところが、昨今の市町村の平成の大合併が進捗しておりまして、これと関連づけまして、今後、この森林組合の合併はどうなっていくのであるか、お尋ねいたしたいと思います。
○前田政府参考人 今お話がございましたように、平成十五年度末の森林組合数、九百七十組合ということでありますけれども、これは、十年前に比較いたしますと約六割というような状況で、着実に合併が進められているというような状況にございます。ただ、依然として経営基盤が脆弱な組合も多いわけでございまして、そういう意味では合併を進めていくことが必要ということで、森林組合の方におきましては、改革プランを策定いたしまして、これに基づきまして合併に取り組んでいるというような状況でございます。
今お話がございました市町村合併との関係でございますけれども、これにつきましては、特に、組合合併を市町村合併に先行させてやっていくということについてはなかなか難しいというようなことを考える組合が多かったこともございまして、合併は十八組にとどまっております。十八組が合併して、六組合が設立と。
ただ、平成十六年度におきましては、市町村合併の趨勢が明らかになってきたというようなこともございまして、八十一組合が合併いたしまして、二十三の合併組合が設立ということで、今後とも、こういった市町村合併の進展も契機としながら、さらに森林組合の合併の一層の推進が図られるように、私どもといたしましても、側面ながら支援していきたいというように考えている次第でございます。
○黄川田委員 森林組合、さまざまな課題を持って、そして合併なんですが、合併したからといって本当に足腰が強くなるかというところが疑問を呈するところもあるわけでありまして、先ほど白保委員さんからもありましたけれども、四月の日経新聞ですか、農協、漁協、森林組合の統合といいますか、そういうところが出たら、次官も早速、事実無根だということで、要請もないのに検討していないという話でありますけれども。
先ほどは林野庁長官が御答弁いただきましたけれども、二十年あるいはまた三十年の将来を見据えて、あるいはまた見直した食料・農業・農村基本計画の中でも、やはり地域とか集落が生き残るためのさまざまな再編なり仕組みづくりをしていかないと、市町村合併だけがどんどんどんどん進んで、その地域の足腰が強くなる仕組みづくりもやっていかなきゃいけないと。もちろん、すぐに統合というわけではないと思いますけれども、踏み込んだ書き方もしておりますので、その点について、大臣から改めて農協、漁協、森林組合の合併の方向性についてお尋ねいたします。
○島村国務大臣 全国を見渡しますと、ほんの一部には、それぞれの連携をかなり密に持っているところはあるようではございますが、御指摘のような、例えば森林組合とかあるいは農協と漁協とか、これらの組合の連携というのはまだまだ密にいっているとは言えない状況にあるようには思います。その意味で、森林組合、農協、漁協を取り巻く経営環境が一層厳しさを増しているわけでありますから、組合間の連携を強化する、これを促進することは極めて重要なことだと私自身も考えます。
そういう意味では、本年三月に決定された食料・農業・農村基本計画におきましても、「地域の関係者が一体となった取組を促進するため、地域のニーズに応じ、」「団体間の連携を促進する方策について検討する。」というようになっているところでありまして、我々は、やはりこれらを促進することによって、お互いのよさ、あるいはお互いに連携をしていることのいわば強さといいましょうか、そういうものが発揮されるように、関係団体とも今後十分に検討を進めていきたい、そう考えているところであります。
○黄川田委員 次に、ここに全国森林整備協会、四十一都道府県からの要望書があるわけなんでありますけれども、これは各都道府県の共通課題でありまして、今の林業を取り巻く環境が厳しいということを正直に物語っていると思うんであります。
県有林事業あるいはまた林業公社、これらの事業は、本当に財政状況、経営状況が悪化しておるわけでありまして、償還金の財源確保、まだ伐期に達していないところがほとんどだということで、本当に厳しい状況の中で努力しておるわけでありますけれども、これに対する政府としての支援制度、お尋ねいたしたいと思います。
○前田政府参考人 お話にございました、都道府県あるいは林業公社によります、分収方式によります分収造林で造成されました森林、全国で今六十五万ヘクタールあります。そういう意味では、国土の中でも大変大きな役割を果たしているわけでございます。残念ながら、今お話にありましたように、取り巻く状況が大変厳しいということで、経営状況は大変苦しい状況にあるわけでございます。
こうしたことから、私どもも、これまで都道府県有林事業、いわゆる県行造林でありますが、こういったものですとか、あるいは林業公社が行います森林整備、あるいは経営の安定化のために、森林整備に対しまして高率の助成水準の適用、具体的には、例えば公社等が行います場合には、実質の補助率、国、県と合わせまして八五%から九〇%というような高率の補助、あるいは金融の優遇措置、例えば長伐期への施業転換、これによります低利への資金の借りかえ、そしてこの場合、無利子の活性化資金とのあわせ貸し、こういったことを行うことによりまして、三%、四%といった金利が〇・五から〇・六一に軽減というような措置もとっているところでございます。
また、さらには、管理運営費、こういったものにつきましては交付税措置が講じられているというような状況にございまして、今後とも、森林整備におきます公社等の果たしている重要な役割、こういったものにかんがみまして、引き続き適切な支援を進めてまいりたいというように考えている次第でございます。
○黄川田委員 直接、ちょっと林野庁の部分ではないのでありますけれども、通告していないんですが、造林資金として農林漁業金融公庫から借りているものを繰り上げ償還したいということで、さまざま要望等々があったりするわけでありますけれども、このうち、利息が三・五%を超える、三・五%は入らずに三・五%を超えるという任意繰り上げ償還は、林業公社のみの適用であります。これは、県有林の事業にも適用できるような改善はないのか。
あるいはまた、借り入れの中で、三・五%を超えるというふうになっているのは、逆に言うと、三・五%で借りている拡大造林の資金があると思うんですよね。ですから、この三・五%を超えるじゃなくて、三・五%を含んだ三・五%以上の繰り上げ償還もできるみたいな形にならないのかということでありますけれども。
長官にはちょっとこの辺、通告していないからあれなんですが、またこれは農林漁業金融公庫の領分だと言えばそのとおりなんですが、そういう部分も声高に出てくるぐらい、早く重い荷物を軽くしたい、あるいはまた林業公社も、一般会計といいますか、都道府県有林として引き継いで整備していくとか、こういうことまでも考えなきゃいけないと思うわけでありますが、この三・五%の部分、もしお答えできるのであれば、触れることができるのであれば、長官、御答弁いただけますか。
○前田政府参考人 ちょっと所管が私どもではないのでなかなかあれなんですが。
この公庫の資金、繰り上げ償還にいたしましても、先生御案内のように、従来、繰り上げ償還を認めないといった中で、いろいろ、それぞれの林業公社からの強い要請、あるいは現下の取り巻く状況の中で、先般、公庫の方も三・五%を超えるものについては繰り上げ償還に応じていこうということで決断したというような話をお聞きしておりますし、今後のそういった状況の推移の中で、また、十分公庫の方とも機会を見つけて御相談していきたいというように考えております。
○黄川田委員 それでは、時間が残り少なくなりましたので、今度は公有林から民有林の方にちょっと視点を変えてお伺いいたしたいと思います。
昭和三十年代以降、国策の拡大造林に沿って一生懸命頑張ってきた、そしてまた森林の多面的機能、あるいはまた公益的機能を維持するために汗をかいてきた林家の方々がおるわけなのでありますけれども、この造林資金等の償還上の問題点として、これらの貸付利率、最近は借りる方が大分少なくなっておると思うのですが、二十年ぐらい前、三十年ぐらい前であると多かったと思うのですが、当時の金利水準は、拡大造林で例えば三・五であるとか、再造林で六・五とか、そういう範囲なんだと思うのでありますけれども、これの元金の償還、利息の支払いに遅延を生じているケースがあるのではないか、こう思っておるわけなのでありますけれども、その実態はどうなのか。それから、残高等もわかればお尋ねいたしたいのでありますけれども。
○前田政府参考人 今先生からお話がございましたように、農林漁業金融公庫の造林資金等の主な林業関係資金の貸付金残高でございますが、近年減少傾向にございまして、農林漁業金融公庫から聞いておりますところでは、平成十六年三月末で六千四百六億円というようにお聞きいたしております。
このような中で、元本あるいはその利息の支払い、これが六カ月以上滞っているという、いわゆる延滞貸付金残高、これも同様に減少傾向にあるわけでありますが、平成十六年三月末で三十一億円、貸付金残高全体に対します割合は〇・五%になっているというように聞いております。
○黄川田委員 この民間への資金は、これは転貸を行っている森林組合、こういうところが借り受け者の償還遅延のリスクを負うというようなこともあると思うわけでありまして、森林組合の財政状況が一層厳しくならなければいいな、こう思っておるわけでありますけれども。
また、一方、借り入れた資金を低利の借りかえ資金として利用可能な施業転換資金、これは制度上措置されておるわけでありますけれども、この資金は、自立できる林業経営体を育成する観点から、林業経営改善計画の認定を受けることが借り入れ条件とされておるところであります。私の地元は岩手県でありまして、岩手県の場合は、認定を受けられる者は人工林、杉ですかね、八十ヘクタール以上の所有者となっておりまして、零細な林家が多いわけでありまして、借り受け者のほとんどが施業転換資金を利用することが難しいというような状況になっておるわけでありますけれども。
ところで、各都道府県の認定指標といいますか、要件はどのようになっておるのでしょうか。
○前田政府参考人 今お話にございました林業経営改善計画、これは、いわゆる林業経営基盤強化法に基づきまして林業経営者が作成するものでありますけれども、農林水産大臣が定めました基本方針に即しまして都道府県が定めた基本構想に照らして適切なものである場合、都道府県知事がこれを認定するというようなものでございます。
この改善計画の認定に当たりましては、改善計画で目標とする経営規模、これが県が基本構想の中で示した林業経営の指標に近い水準、これで結果的に所得水準など基本構想における目標が達成されるというように見込まれるときは、これを適切と判断して差し支えないわけでありまして、必ずしも指標として示されている経営規模が要件ということにはなっていないわけでございますけれども、お話にございました他の都道府県におきます経営規模の指標につきましては、森林資源の状況ですとか経営の目標とする所得金額、こういったものに応じまして、中には岩手県より小さいものもございますけれども、杉人工林を専ら自己所有森林で経営する場合、おおむね百ヘクタール程度を指標としているものが大宗を占めているというように承知いたしております。
○黄川田委員 いずれ地球温暖化対策は、国だけ、あるいはまた自治体だけじゃなくて、民間の皆さんの力もかりていかなきゃいけないということでありますので、所有規模にかかわらず支援できる、そういう仕組み等々もしっかりと考えていただきたいと思っております。
最後になりますけれども、森林組合の転貸制度と債務保証についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
森林組合から林業者等に対する造林資金の貸し付けでありますけれども、これは農林漁業金融公庫などから転貸で行われております。しかしながら、最近は、森林組合の経営上、林業者への転貸はできるだけ慎重に行うよう指導していると聞いております。
そこで、まず森林組合の転貸制度、この仕組みをお尋ねいたします。
○前田政府参考人 この転貸制度の仕組みでございますけれども、これは、農林漁業金融公庫ですとか、あるいは農林中金、これが森林組合に資金を貸し付けまして、森林組合はその資金を森林所有者であります組合員に貸し付けるというものでございます。
状況ですけれども、森林組合の転貸によります貸付残高、昭和五十八年度の約二千五百億円をピークに減少しておりまして、平成十五年度には約二百五十億円ということで、五十八年度の十分の一になっているところでございます。
また、貸し付けを受けた組合員の森林等が担保に供されまして組合員の返済に事故が生じた場合は、森林組合がこれを負担するということになっております。このため、森林組合が転貸業務を行う場合には、担保物件の適正な査定等、貸付金の厳正な管理ができる体制で取り組むように、森林組合系統による監査を通じた指導が行われているというように聞いております。
○黄川田委員 重ねてお尋ねいたします。
この農林漁業金融公庫から貸し付けられた造林資金及び林地取得資金は、私の住む岩手の場合はその九割近くが森林組合から林業者に対する転貸で行われておるわけでありますけれども、これについて、独立行政法人の農林漁業信用基金の債務保証の対象となってはおりません。また一方、農業とか水産関係の公庫資金においては、農協等の融資機関が転貸を行う場合に、各県の信用基金協会が行う債務保証について、農林漁業信用基金が保証債務を保険引き受けすることによって保証リスクをカバーしておるわけでありますけれども、実質的に機関保証が受けられる仕組みになっておるわけであります。それに対して、林業の方はそういう仕組みがないわけでありまして、こういうような仕組みが講じられる方向性が必要だなと思っておるわけでありますが、最後に御答弁をいただきます。
○前田政府参考人 今お話がございましたように、都道府県に信用基金協会を設置するに当たりましては、地元の方でその債務保証に必要な基本財産、これを相当額確保することが必要でございます。
農業あるいは漁業の場合と同様に、債務保証を受ける県内の森林組合におきまして相当額の出資が必要ということになるわけでありますが、森林組合の現下の運営状況から見まして、森林組合がこうした出資を行うことはなかなか困難ではないかというように考えているところでございます。このため、農業ですとか漁業のように、各県で、地元の方で信用基金協会を設置いたしまして債務保証を行うという仕組みにつきましては、林業の場合大変難しいのではないかというように考えております。
なお、今お話にございました民間の金融機関から借り入れる場合、これにつきましては、独立行政法人農林漁業信用基金から債務保証を受けることが可能でありまして、こうした措置なども通じまして、林業経営に必要な資金が確保されるように、私どもも今後さらに努力してまいりたいというように考えている次第でございます。
○黄川田委員 こういうこともあって、農協、漁協、森林組合の統合等も視野に入れて、いろいろ考えてください。
時間でありますので、終わります。ありがとうございました。
○山岡委員長 次に、山内おさむ君。
○山内委員 民主党の山内おさむでございます。
本日は、種苗法に関して質疑をさせていただきます。
この法案を審議するに当たって、私も、地元とか、何カ所か意見交換をさせていただきました。
とにかく、五年とか十年の単位で研究したり実験をする。そして、新しい品種ができ上がって、本当にうれしくなる。登録を申請する。そして、例えば自分の名字がその新しい品種に名前として冠される。それによって、収入も、また金銭的に評価をされるし、それがまたその地域、あるいはその県、あるいは例えば西日本なら西日本地区でたくさん生産されて、また農業が、価値も含めて、見直しを行ってもらえるということになれば、本当にすばらしい仕組みだと思うんですね。
ところが、一番最初に地元の皆さんから出たことが、ちょっと時間がかかるというんですね。認定の申請をして、もう二年、三年、花とかは五年ですか、も待たされる。その間にまた新しい花の形とか菌が開発されたりして、五年目で認定されてももう既に次のことをやっていかなくちゃいけないということで、そのあたり、もっと早めてもらうというような仕組みができないのかとまず聞いてくれということなんですけれども、どうですか。
〔委員長退席、楢崎委員長代理着席〕
○大口大臣政務官 先生、知財立国ということで、先生の御指摘は非常に現場の声がありまして、そのとおりであると思うんですね。
品種の登録の審査に当たっては、願書等の書類審査、これに加えて、実際にその植物を栽培してその特性を調査する必要があることから、平成十六年度で平均三・一年の審査期間を要しております。これは、平成十二年度に平均三・九年であったものを、審査官の増員、平成四年十名であるところを平成十六年二十二名と、データベースの整備等によって審査事務の効率化を進め、短縮してきておるところでございます。
品種登録の出願件数も、平成二年に比べて平成十六年は倍ぐらいになっておりまして、ここのところ一千三百件を超えるということで、件数も多くなってきているわけでございます。そういう点で、さらに栽培試験や審査の一層の効率化によって、平成二十二年度には平均二・五年まで短縮を目指しているところでございます。
ちなみに、欧米各国の審査期間を見ますと、アメリカ合衆国で二年から三年、オーストラリアで二年から三年ということでございますけれども、例えば花について言いますと、オランダが観賞用の植物で一年とか、イギリスが全体で一年三カ月から二年とか、EUで花卉一年から二年ということで、一年というようなこともあるわけですね。
これは、各国との審査協力体制が確立しておりますので、書類のみによる審査が多いということでございます。ただ、日本におきましては、やはり植物の栽培をしてやるということで時間がかかっておるということでございます。短縮に向けて全力を挙げてまいりたいと思います。
○山内委員 これは地元の人が言ったということじゃないんですけれども、審査の期間が長引く原因の一つには、例えば、その製品が当該地区だけじゃなくて、全国的にたくさんの畑でつくられているものだとか、それから、日本の農業を救うぐらいのお金を生んでくれる新品種だとか、そういうような登録申請の審査については順番を繰り上げて早めているんじゃないか、だから、産地が小さくて、これが育成者権登録されても、お金も余り見込めないなというのは後回しにされているんじゃないかという怨嗟の意見もあるんですが、そういうことはないんでしょうね。
○大口大臣政務官 とにかく先願主義ということでございまして、出願をした順序によってきちっとやっておりまして、それ以外の考慮というのは働いておりません。
種苗法上、先に登録出願された品種と明確に区別されない品種は品種登録を受けることができないため、先に出願された品種の審査の結果が出るまでは後から出願された品種の審査結果が出されない、こういう場合もあります。ですけれども、きちっと申請の順に、厳正にこれは対応しているということでございます。
○山内委員 それから、育成者権を侵害されたということで損害賠償の請求ができるわけなんですけれども、例えば、政務官も経験があると思うんですが、特許訴訟類似の訴訟ですよね。そうすると、育成者権者が、自分の育成者権者としての新品種登録と、それから、相手との異同とかを立証したり、それをまた専門的な知識のない裁判官にわかってもらうということも随分大変だと思うんですね。そうしていくうちにまた、訴訟になっても、長年かかってしまう。
例えば、去年、民間を含めていろいろなADRをつくってもいいというような法案もできましたし、もう少し紛争解決を早めていくというようなシステムというか仕組みは、政府の方では考えておられないんでしょうか。
○白須政府参考人 ただいま委員からの、育成者権侵害に当たっての損害賠償請求、そういった点についてのADRの設立等々についてのお尋ねでございます。
ここはもう委員の方が御専門で、大変恐縮でございますけれども、まさに育成者権の利用でございますとかあるいは侵害への対応、これは育成者自身が行うことが基本だというふうに考えております。
ただ、御案内のとおり、やはり個人からの出願が三割を占めるというふうなことでございまして、今委員からのお話もございましたとおり、権利主張を行う基盤がやはり弱い、そういう育成者権者が多数おられるということも事実でございます。
そこで、私どもは、実は、ただいま委員からお話がございました独自のそういったADRということは設置をしておらないわけでございますが、これまでも、そういった育成者権者の育成者権の行使を支援していくという方向から、まず一つには、侵害の情報収集でございますとか、あるいは啓発活動、こういった支援もいたしております。あるいはまた民間団体におきます権利の関係のマニュアルの作成、あるいはまた権利侵害に対します相談窓口の設置ということも実は行ってきておるわけでございます。
これに加えまして、今般、より権利の侵害対策を強化するという観点から、品種保護の対策官、通称品種保護Gメンというふうに呼んでおりますが、これを種苗管理センターにも設置をいたしまして、権利侵害に関します相談でありますとかあるいは助言、こういうことも受け付けておりますし、また、管理センターで、ただいまお話があった立証のための品種の比較試験ということも行っているわけでございまして、そういった意味では、侵害の事実の立証等も支援をしているわけでございまして、そういったものを通じながら、私どもとしては、育成者権者によります権利行使の支援というものに努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○山内委員 先ほど言われました中に、品種保護Gメンのことを触れられたと思うんですけれども、省の若い方から聞くと、まだ四名ぐらいのようでして、それで、一万何千ですか、二万ですか、それぐらいの新品種についての保護を徹底していくというのはなかなか大変だと思うんですね。ですから、人的に充実をしていくということについてどう考えておられるのかということが聞きたいし。
それから、刑事罰が結構重くなっていますよね。刑事罰を背景にそういう摘発をしていくということも必要だと思うんですが、そのためには、司法的な取り締まりというか、そういう権限も必要じゃないかとも思うんですが、どうでしょうか。
○白須政府参考人 ただいまのまず一点、Gメンの関係でございますが、実は私どもは、これまでも、育成者権者の権利侵害に関しましては、Gメンだけで今回初めてそういうことができることになったというわけでは決してございませんで、一つには、そもそも権利侵害に関します相談窓口も設置をいたしているわけでございます。そういうこととか、あるいはまた都道府県によります侵害情報の収集といったことにも支援を行っておる。
そういうことに加えまして、今回、より侵害対策を強化するという観点から、ただいまお話の、まさに支援を専任で行う対策官ということで、品種保護Gメンを種苗管理センターに設置したということでございまして、従来に増してきめ細かな、あるいは機動的な対応ができるようになるのではないかというふうに考えているわけでございます。
そこで、四人では不十分ではないかとお話しでございます。私どもは、今年度、この四月一日から設置をしたばかりでございますので、その点につきましては、やはり今後のGメンの活動状況でございますとか、あるいは設置の効果も見ながら、一方、種苗管理センター内での経営努力も行いながら対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
またもう一点、委員からお話がございました、強制捜査といった、そういう点についてのお話でございます。
私どもとしては、やはり品種保護Gメンの活動というのは、知的財産権であります育成者権の権利行使をあくまで支援するものであるというふうな位置づけでございまして、これについて強制捜査という活動を行うということを予定しているということではないわけでございます。
○山内委員 それからもう一点は、青色発光ダイオードの事件が結構注目を浴びまして、特許とか育成者権ですね。組織というか、研究所の中で、ある一人の研究員が開発、発明したというような場合に、育成者権が組織である研究機関のものとなるのか、それとも個人のものとなるのかということも問題として押さえておかなければいけないと思うんですが、その点はどうなんですか。
○白須政府参考人 ただいまのお尋ねでございますが、研究者が使用者の設備を用いて育成するという場合のように、育成行為が職務の範囲に属する品種ということで職務育成品種というふうに言われておるわけでございますが、そういう場合には、種苗法上は、原則といたしまして、新品種を出願する地位というのは従業者である育成者に属する、つまりその研究者の方に原則としては属するというふうな位置づけになっているわけでございます。
しかしながら、種苗法上は、そういった職務育成品種につきまして、あらかじめ使用者の方が登録出願するということを取り決めますと、取り決めるということを一応認めているわけでございまして、現実にはこの取り決めをしておる例がほとんどであるというふうに理解をしておるわけでございます。したがいまして、そういう取り決めがあれば、それは使用者が登録出願をするというふうなことになろうかというふうに考えているわけでございます。
○山内委員 ありがとうございました。
それで、一つ、DNAのことについても押さえておかなければいけない論点だと思うんですね。
先ほど我が党の法務部門会議の勉強会をやっていたんですけれども、そこで出た議論の一つに、女性が離婚してから再婚するまでの間に禁止期間を設けているんですね、民法が。なぜ設けているのかというと、女性が離婚した後子供を出産したときに、離婚前の夫の子供なのか、新しく結婚する人の子供なのかというのはわからないからなんですね。
ところが、今、親子鑑定をするときには、必ずと言っていいほどDNA鑑定をするんですね。政府席に座っておられる方は親子鑑定をされたことはないと思うんですけれども、お父さんとお母さんのほおの内側を綿棒でつついてとります、それから赤ちゃんの口の裏側、口の中から体液をとってそれで鑑定するんですね。鑑定費用も結構安いんですよ。九九・九九九%までの確率で出てくるものですから、今、親子鑑定というと、ほとんど全部そうなっているはずです。
それから、最近の新聞記事に載っていましたけれども、警察庁が犯罪捜査をするのに、犯罪を過去に犯した人の指紋を今まで全部とっているわけですけれども、DNAもとっていこう、それによって犯罪捜査とか犯人捜しというのを速くできるようにしようという仕組みを採用するようです。つまり、DNAで識別すればとにかく速くて正確なものが出てくるという社会になってきていると思うんですね。
その点で、まだまだ、品種識別というのは見た目で判断するとか、そういうような話が横行しているんですけれども、DNAを採用していこうとか、研究開発をどんどん進めていこう、そしてデータベースをしっかりと持っていって、日本ではこういう新品種登録があるんですよ、各国の皆さん、変なものをまた輸入したり輸出したりしないでくださいねというような連携も含めて、政府の取り組みを伺っておきたいと思います。
〔楢崎委員長代理退席、委員長着席〕
○白須政府参考人 ただいまのDNAの関係でございます。
委員のお話のとおり、DNAの品種の識別の技術というものはこのところ急速に進展しておるというふうに私どもも認識をしているわけでございます。そこで、農林水産省の所管の独立行政法人でございます種苗管理センターでございますとか、あるいは農業・生物系の特定産業技術研究機構とか、食品総研といったようなところを中心といたしまして、その品種識別技術の開発が進められておるということでございます。その結果、収穫物につきましては、稲でございますとか小麦あるいはイチゴ、小豆、インゲンマメ、イグサ、桃、ナシ、リンゴ、シイタケ、そういったものにつきましては、識別の実用的な技術が既に開発をされているわけでございます。
また、加工品につきましては、インゲンマメあるいは小豆のあんこ、あるいは、イグサではござ、稲ではいわゆるレトルトの米飯、お茶では製茶といったものにつきまして、既に実用的な技術が開発されているわけでございます。したがいまして、今回御提案をいたしております、加工品にもこの法律の効力を及ぼそうという場合の品目といたしまして、私ども、こういった、技術が確立したものにつきまして、順次政令指定をしていくということでございますし、そういったものを早急に実用化いたしまして、政令指定でどんどん法律の適用範囲を広げていきたい。
さらに、海外からの輸入も問題になっております。そういったものにつきましても、イチゴなりインゲンマメ、小豆、イグサというものも実用化されておりますし、ただいま委員からお話がございました、そういったものを政令指定ということで、もちろん、公示いたしますれば、当然これは諸外国に対しましても、そういうものが取り締まりの対象になるということも明確にわかるわけでございます。そういった意味でも、海外からの問題、あるいは国内における新品種の権利の保護ということにも資するというふうに理解をいたしている次第でございます。
○山内委員 特に、加工品になるとか、加工品にまた手を加えて何か別なものにする、どんどんそういう製品をつくっていけばいくほどDNAだけが頼りになってくるわけですから、刑事罰の適用の範囲を拡大するという意味でも、やはりDNAの識別方法をしっかりと確立することは必要だと私も思っております。
今の刑事罰の問題ですけれども、これは、今回、刑事罰が仮に引き上げられたとしても、特許を侵害したという犯罪より法定刑が、我々の言葉で言うと安いんですね。それがどの辺に理由があるのかなということを一点お聞きしたいし、それから、知的財産立国を目指すんだったら、特許の法定刑の五年も低いと私は思っておりまして、特に韓国、具体的な名前を出していいのかわかりませんけれども、例えば韓国なんかで、模倣品ですと銘打って売っているような店もありますね。そうやって輸入して莫大な利益を得ているやくざなんというものもいるわけですよ。
ですから、もっと、知財立国を目指すんだったら今の倍ぐらいの刑事罰を科す、そういうような、人の発明、発見については尊重する社会をつくっていく、そういう政策が必要だと思うんですけれども、どうでしょうか。
○岩永副大臣 先生のおっしゃるように、これからは加工品がDNAで識別されるということは大変大事なんですが、例えば、今困っているのは、先ほど申し上げましたように、稲だとかインゲンマメだとかイグサだとか茶はいいんですが、小麦だとかコンニャクだとかイチゴの場合、小麦粉にしたりゆでめんにしたり、コンニャクを精粉にしたり、イチゴだとジャムにしたりしますと、粉砕して細かくしているとか熱をかけているとか、そして、すりつぶして熱をかけDNAが切れてしまうというような、いろいろな問題があるので、ここらをやはりきちっと、品種識別技術というものを相当拡大していく研究がまだまだ私どもでは大事ではないか、このように思っております。
そして、罰の問題については局長が答弁します。
○白須政府参考人 ただいま委員からお話がありました刑事罰の関係でございます。
実は、この育成者権の侵害に対します刑事罰につきましては、平成十五年の種苗法改正によりまして、一つには、収穫物段階の育成者権の侵害にまで罰則を設けるというふうなことで、一方では罰則の適用範囲を広げたということもございます。それからもう一点は、法人が行いました育成者権侵害に対します罰則の上限を三百万円から一億円に引き上げたというふうなこともあったわけでございます。
また、今回の改正案によりまして、さらに加工品段階での育成者権の侵害も罰則の対象とするというふうなことで、そういった意味では、徐々にではございますが、適用範囲を広げておるというふうな努力もいたしているわけでございます。
委員からもお話がございました点につきまして、要すれば、罰金額のそれぞれの、例えば特許と比べても低いではないかというふうなお話、現在の罰金額をさらに引き上げるべきではないかというふうなお話でございます。
これにつきましては、もう委員の方がよく御承知でございますが、それぞれの法律のバランスと申しましょうか、ひとり育成者権だけの問題ではないというふうに私ども理解をいたしておりまして、特許権でございますとか、あるいは実用新案権、他の知的財産権と共通した課題であろうというふうに考えているわけでございまして、それぞれ知的財産の法律がございます。それぞれの相互間のバランス、あるいは他の経済法規との均衡といったようなことも踏まえながら、おっしゃるとおり、育成者権の適切な保護というのは、これはもう当然十分に必要なことだというふうに理解をいたしておりますので、私どもとしても、関係省とともに、引き続きその点につきましては検討してまいりたいと考えている次第でございます。
○山内委員 引き続きの検討をお願いしたいと思います。
鳥取県の園芸試験場では、県独自の事業として、年間五千枚のナシの葉の検体を調査して、人工授粉の必要性の有無や、果実の貯蔵性とDNAとの関係を調査しております。
農水省として、各県の特産ともいうべき農産物について、知財立国として、新品種を活用した産地振興、これを積極的に支援すべきではないかと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
○島村国務大臣 お答えを申し上げます。
近年、福岡県の育成したイチゴ品種「あまおう」や、あるいは熊本県の育成したイグサの品種「ひのみどり」など、新品種を中心とした産地振興の取り組みが各地で見られているところでありまして、国際的にも大変評価を受けているところですが、農林水産省としては、これら優良な新品種を適切に保護することにより、このような取り組みを支援し、我が国農業の競争力を強化してまいりたいと考えているところであります。
このため、本法案により、新品種の保護を強化するとともに、都道府県などによる権利侵害の情報収集や、新品種の保護に関する啓発活動の促進、あるいは品種保護のGメンによる権利侵害の実態調査などによりまして、産地段階での新品種の保護を支援することとしております。
さらに、新品種の栽培技術を普及するための実証や、産地振興のための施設整備の支援により、産地の取り組みを促進してまいりたいと考えております。
○山内委員 また、同じ園芸試験場では、世界スイカ遺伝資源銀行として、栽培に力を入れておりますスイカの遺伝資源を全世界から収集しております。農水省として、世界からの遺伝子集めについてどのように取り組んでいるのか、お伺いしたいと思います。
○西川政府参考人 お答えをいたします。
遺伝資源、これは、作物育種の素材としての利用のほかに、近年のバイオテクノロジーの進歩により、遺伝子の機能解析の素材など、多様な用途への利用の重要性が高まっておりまして、野生種を含めました遺伝資源の収集、保存は我が国の農業や食品産業の今後の発展に必要不可欠なものであるというふうに認識しております。
そういうこともございまして、農林水産省では、国内、海外の遺伝資源の収集、保存、配布を総合的に行うジーンバンク事業と言っておりますけれども、これを昭和六十年度から実施をしております。この取り組みによりまして、平成十六年度末現在で見ますと、植物で二十三万三千点、微生物二万点、動物九千点、稲や蚕などのDNA二十六万八千点の遺伝資源を保存しているということでございます。
今後とも、遺伝資源の収集と的確な保存、活用に向けましてさらに努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山内委員 今政府が、観光客にたくさん日本に来てもらいたいという、ビジット・ジャパンという企画を推進していますし、それからWTO、FTAが各国と締結をされていくということになると、随分人と物が日本に入ってくる。不心得者がいまして、日本から育成者権を侵害するものを海外に持ち出して、海外で大量につくって、また日本に入ってくる。そうすると、一番しっかりしていなければいけないのは水際対策だと思うんですね。
きょう財務省に来てもらっていますが、農水省と税関との連携とか、あるいは警察庁との情報を共有すること、それからチェック体制をどうしていくのか、そのためには税関での人材を確保して研修をさせなければいけませんし、その点について、省の対応を伺いたいと思います。
○倉田大臣政務官 お答え申し上げます。
育成者権の侵害物品についての水際取り締まりについての財務省の取り組みといいますか、そういう御質問でございました。
先ほど来お話が出ていますとおり、最終的にはDNA鑑定、こういうような手法によって鑑定をしていかなきゃならない。特に加工品というようなものとなりますと外形からはわかりませんので、当然そうした技術を習得していきませんと水際取り締まりもできない、こういう時代に入っておるわけでございますけれども、財務省の方としては、DNAの分析技術習得等研修あるいは税関職員の分析、識別技術の向上に農水省等の協力を得ながら努めているところでございます。例えばイグサなんかにつきましては、十六年に独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構等の協力を得まして習得している、こんなようなことでございます。
さらに、今国会で関税定率法が成立をいたしまして、税関長が必要に応じて農林水産大臣に意見を求めることができる、こんな制度も利用させていただいている。
もう一つは、警察との連携ということが御質問にございましたですかね。その辺について申し上げますと、警察庁との間で、例えば模倣品・海賊版対策情報連絡会議、こういうものを随時必要に応じて開く、こんなこともやっているわけでございます。
以上、お答えします。
○山内委員 外務省にもお尋ねしますけれども、水際対策をするよりも、当該輸出国での、育成者権を侵害するような輸出をさせない仕組みというのがあれば、それにこしたことはないですよね、日本で準備する必要ないわけですから。
育成者権については例がないとは聞いておりますけれども、模倣品とか海賊版というのが、シンガポールなどを経由して、中国から日本に結構来ているというような事例もありますし、そういう思いもあって警察庁で先ほどのような仕組みを今研究されているところだと思うんです。だから、そもそも全世界の国々が、海賊版とか模倣品とかについては輸出しないという条約を、国家間の決まりとして制定していくという努力をすべきじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○小野寺大臣政務官 お答えします。
委員御指摘の点、私どももまさしく重要だと思っております。中国を含めた、我が国知的財産の侵害というのは、一説によると三兆円を上回るという推定も出ております。本当に重要な問題だと思っています。
今回、この問題に対しましては、模倣品・海賊版拡散防止条約というもの、これを知的財産戦略本部、首相がヘッドになっておりますが、ここが今計画しておりまして、その実現を目指すことを盛り込む予定で今検討をしております。このような、加盟国におきます侵害品の輸出及び通過の禁止、インターネット等を使った侵害品の個人輸入の禁止、加盟国間の情報交換や紛争解決の仕組み、不正利益の没収や犯罪人の引き渡し規定、こういうものを一つ一つ入れて整備をする必要があると思います。
ただ、どうしても、国際条約になりますので、実効性を高くするためには、先進国はもとより、途上国にも広くこの条約に入っていただくという必要がありますので、内容につきましてはさらに精査して、いろいろな知恵を絞って考えていく必要があると思っております。
もちろん、外務省としましては積極的に進めていきたいと思っております。
○山内委員 大臣、最後にお伺いしたいんですけれども、植物の新品種の保護をする条約がございますね。この条約について、例えばインドみたいな十何億の人口を抱える国も加盟をしていないんです。ですから、日本がもっと積極的に立ち回って、各国の皆さん条約にどんどん加盟をしましょうよ、そして各国々でしっかりとした新品種保護政策をとっていこうじゃないですかというような音頭をとられるという考えはございますでしょうか。
○島村国務大臣 植物の新品種の保護に関する国際条約、いわゆるUPOV条約を締結する国、五十八カ国の中には主要国の大部分が含まれておるわけでありますが、残念ながらアジアでは、日本のほか、中国、韓国、シンガポールに限られておるわけであります。UPOV条約を締結するためには条約の枠組みに沿って国内制度を整備する必要がありますが、インドなどは国内制度がこの枠組みに沿っているとは言えないわけであります。
我が国としては、それではやはり困るわけでありますので、アジアにおけるUPOV条約の批准国をふやすために、EPA交渉などにおける植物品種保護制度の整備拡充の働きかけ、あるいはミッションの派遣によりまして、官民合同でそれぞれの国に働きかけるための研修とかセミナーの実施、あるいは技術者の派遣をいたしまして研修をする等々行っているところでありまして、これからさらにこの活動は活発にしなければいけない、そう考えております。
○山内委員 育成者権を知的財産権として位置づけるならば、利用と保護という、一見矛盾するかのような、そういう二つの概念を上手に、バランスよく考えていかなければいけないと思います。引き続き政府の方での十分な取り組みを期待しまして、質問を終わります。ありがとうございました。(西川政府参考人「訂正を一つ」と呼ぶ)訂正ですか。
○西川政府参考人 申しわけございません。
先ほどの遺伝資源の確保で、動物の遺伝資源として九千という数字を言ったかというふうに思いますが、九百の間違いでございますので、動物については九百点ということに訂正をお願いします。申しわけございません。
○山岡委員長 次に、岸本健君。
○岸本委員 民主党の岸本健でございます。
森林組合法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
本改正案は、森林組合員の資格要件の緩和、それから、国産材の需要の拡大、多目的利用の推進など、これらが柱であるということでありますが、私は、この中身よりも、林業の抱える根本的な課題についてお伺いをしたいと思います。木材価格でありますとか、販路の拡大、それから人材の養成などについて、大臣それから前田長官にお尋ねをいたしたいと思います。
まず、なぜ今の日本の林業がここまで衰退をしてしまったのか、その最大の要因は何であるかということを、大臣に率直な御意見を伺いたいと思います。
○島村国務大臣 我が国の森林面積は二千五百万ヘクタールでありまして、国土の約七割を占めていることは先ほど来いろいろ答弁のあったところであります。うち、人工林が約一千万ヘクタールとなっておりますが、森林は、御承知のように、国土の保全、水源の涵養あるいは地球温暖化の防止等々、数多くのまさに多面的機能を有しておるわけであります。このような機能が持続的に発揮されることは国民生活や経済の安定に欠くことができない重要なものであるというのが、我々のまず基本認識であります。
しかしながら、いわば我が国の林業をめぐる状況を見ますと、平成十六年の立木価格がピーク時である昭和五十五年の約五分の一となるなど、木材価格が下落する一方で、経営コストの増加によりまして採算性が大幅に低下し、林業生産活動が停滞しておるわけであります。この結果、森林の多面的な機能の発揮に支障を生ずることが危惧されておりまして、森林の適正な整備、保全、林業の活性化を図っていくことが重要な課題であると考えているところであります。
御高承のとおり、従前は、家を建てる、あるいは構築物を建てると大抵木材が利用されたんですが、戦後は、まさにビルラッシュがどんどん出現しましたように、各地域はほとんどこれがセメントや鉄筋に置きかわり、木材の需要が後退したことが一つ。もう一つは、東南アジアを初めとする近隣諸国からの木材の輸入が極めて廉価で可能になったというようなこと。あるいは、例えば秩父の山から木を切り出して持ち出すよりもニューオーリンズから届いた方が運賃が安いという話がありますように、いわば日本の場合は山また山の狭隘な地域からの木材の積み出しということが大変なわけでありまして、そういうことごとすべてが林業関係者の負担になる。
加えて、間伐をやりたくても間伐ができない。従前はビルの足場とかあるいは電話線の電柱とか、数多くいろいろな需要があったわけでありますが、現在はこれがみんな鉄筋材その他にかわられてしまったために間伐もできない。そこでこれが粗大ごみとなって積み込まれている。これは災害のときにはまたさらに悪さを働くわけでありまして、いろいろな面で林業者には打撃が大きかった、こういうことが私どもは衰退の原因であると。
ただし、これを放置をしておくわけにはいきません。したがいまして、我々は、例えば、私どもの農林水産省の幹部と、木材を活用される住宅産業その他の幹部にお集まりをいただいて、国産材をできるだけ使っていただくことのお願いをしたり、また、そのためのこちら側のいろいろな施策を並行して考えて、相ともどもに日本の森林業が成り立つような環境づくりに今努めている、これが私どもの段階でありますが、いずれにいたしましても、森林の業は、先ほど私が答弁で申し上げたように、立木価格が極端に低くなってしまっていて、とてもとても林業の収入によって自分たちの経営を賄うということが現実的に不可能な状況に置かれていることは現実として認めざるを得ないのが状況であります。
○岸本委員 本当に、畑で草を刈るのと違って、間伐でも何でも、森林の中で、あの広大な面積の中で、そして足元の悪い中で作業をするというのは大変なことでございます。これに従事する人たちというのが本当に大変である。もちろん、木材価格やら何やら、もうからないからやらない、この悪循環もあったのかもわかりませんけれども、やはり、そういう大変な作業でありますし、この森林というのは、先ほども言われましたけれども、七〇%を占めている、こういう日本の国土を守るために、私はやはり、今まで国の政策というのがおろそかだったんではないかな、そんなことを思います。
ですから、林野庁の職員の皆さんでも、森林組合の皆さんでも、現場の皆さんでも、大変な思いをしてここまでやってこられているんじゃないか。ようやくここにたどり着いて、またやらなあかんのやな、そんなふうになって、今ここへ来て慌てているような状態じゃないかな、そんな思いをしております。
次ですけれども、木材価格についてお伺いをいたしたいと思います。
戦後六十年が経過して、戦後植林された人工林がちょうど伐期を迎え始めたというふうによく言われております。それに伴いまして、森林組合の事業も森林の造成から素材生産に移行していくことになろうかなと思っておりますが、国産材の価格が今日のような状況でございますから、伐採適齢期を迎えた人工林を前にして、これを切る人、携わる人に果たしてやる気がわいてくるのかな、そんなふうな疑問が生まれてきます。
前田長官にお尋ねしたいと思いますが、素材の生産と販売が一体となって初めて効果が生まれてくる、それから森林組合の活性化につながるとも思うのですが、木材販売事業の員外利用制限の撤廃という法改正を踏まえて、輸入材に負けない国産材の価格設定に政府はどのように取り組まれるのか。一方で、組合員の森林経営の指導のみに徹して、素材生産から製材加工までの一貫体制から手を引くべきであるという意見や、森林組合の持つ情報を開示して、民間の事業体に任せた方がはるかに流通がスムーズになるのではないかという指摘もあるようですけれども、長官の御意見を伺いたいと思います。
〔委員長退席、楢崎委員長代理着席〕
○前田政府参考人 おっしゃられますように、木材がきちっと利用されていくということになりますと、山の方から安定的に木が出てくる、それをまた製材工場の段階で安定的に製材し、そしてハウスメーカー等も含めてきちっと需要先の方に流れていく、やはりこの一貫した流れ、川上から川下までの流れ、これがきちんとしていないと、どこかで詰まってしまうとなかなかうまくいかない、そういう状況にあろうかというふうに思います。
先ほど大臣の方からお話がございましたように、我が国の木材価格は、立ち木でございますと、杉あたりですと五十五年に対しましてそれこそ五分の一に落ちてしまう、そういった形で、価格的には非常にきつい状態になっている。まして、そういった中ではコストの削減ですとか需要のきちっとした確保、こういったものを図りながら進めていくことが何よりも大事ではないかというふうに思っています。
そういった中で、外材と対抗していくためにも、いわば対抗し得るような価格で、品質、性能、こういったものの確かな製品を安定的に出していく、そういったことがぜひとも必要であると考えております。そういう意味で、員外利用、こういったものを活用しながら、森林組合に、例えば製材工場も員外利用という形で、准組合員で入っていただくとか、あるいは、今回の森林組合法改正の中で、いわゆる販売事業につきまして、員外の方まで含めて森林組合の方が販売をしていくとか、そういったことを通じて、木材の供給そして製材、そういったものがスムーズに流れていく、そういったことが進んでいくことを期待いたしているわけであります。
ちなみに、昨年から私どもも、新たな流通・加工システムということで、山元の間伐材ですとか、あるいはB材と言われるそういった材、これを例えば森林組合の方が安定的に出していく、それを製材工場が受けとめて、集成材とか合板に加工していく、それを大手ハウスメーカーの方にダイレクトにつないでいくということで、非常に大きな流れができつつあります。そういったものも踏まえながら、安定的な流通確保、こういったことの一層の推進に私どもとしても努めていきたい、そういうような思いがいたしておる次第であります。
○岸本委員 ぜひ、とにかく外材に負けない国産材ということで、何とか御指導をいただきたい。
先日、和歌山県の中辺路町という、今は合併しまして田辺市となりました、そこに、木を切ってきて、集成材だったですかね、加工をずうっとしている、地域の人が来てやっておるんですけれども、やはり販路もなかなかないし、価格の問題もあってだんだん人も減らしていかなければならない、補助金をもっともらえないかな、そんな感じでありました。これがなくなると大変なんだよということでして、働いている人たちやその説明をしていただいた人は、地域がかすんでしまうんだというようなことを訴えておられました。
とにかく林野庁の方からも、長官の方からも指導をしていただいて、うまく活用できるようにお願いをしたいと思います。
次に、国有林、民有林を問わずして、日本の森林は荒廃しているということは、どなたも異議を唱えないと思います。世界遺産に登録されているような大きな大自然の中の森林地帯は別として、人工林は人の手が入らないとどんどんどんどん荒廃していく。と同時に、森林組合も年々年々衰退をしていっている。
そこで、お尋ねをしたいのですが、長官の私的検討会である森林組合のあり方に関する検討会、十三年までだったんでしょうか、この会ではどのようなことを問題として提起されたのか。それから、根幹的な改善策、これが提案されたのか。その内容と、検討会の提言を踏まえて長官はどのような施策を講じられるのか、お尋ねをいたします。
○前田政府参考人 私どもは平成十三年に森林組合のあり方に関する検討会、こういったことを開催させていただきました。現場の関係者も含めまして、学識者の方々、そういったところから幅広く意見をお聞きしたわけでございますが、その中では、一つには、施業面におきます効率化ですとか、あるいは低コスト化、あるいは長期施業受託の推進、あるいは組織の合理化、常勤理事の設置など、森林組合系統によります自主的な改革の必要性、こういったことが大きく提言されたところでございます。
こういった提言を受けまして、森林組合系統の方におかれましては、自立的な組織の確立ということを目指しまして、平成十五年度から平成十七年度を重点取り組み期間といたします森林組合改革プラン、これを策定いたしまして、自主的な改革の取り組みを進めているところでございます。
林野庁といたしましては、このような森林組合改革プラン、この取り組みを促進しまして、自立的な経営、これが実現できるような森林組合の育成に努めていきたいというふうに考えております。このため、特に合併によります経営基盤の強化ですとか、業務執行体制の充実強化、あるいは森林整備の取り組み強化、事業の効率化の推進といったことが図られますよう、必要な指導助言あるいはその助成を行っているところでございます。
さらに、今回の法改正におきましては、森林組合の機能あるいは組織基盤の強化といったような所要の改正、こういったものを図って、森林組合の今後の一層の経営基盤の安定等に資してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○岸本委員 市町村合併も進んで、いろいろな合併、組合も合併、いろいろやっていますけれども。私の近くでも営林署とかも合併になって、結局、本当に地元の営林署とか森林組合というのはなくなって、なかなか、届かないというんですか、目が届きにくくなってきているんじゃないかな、人数も減らされて。せっかくこのような検討会、いろいろな御意見を、とにかく現場の声を聞いていただくようにお願いをしたいと思います。
今の検討会で議論を集約されました林野庁のプレスリリースでは、各委員の方からの発言だと思うんですが、幾つか発表されております。「森林組合は山村では認識されているが、都市部では何を行っているのか認識されていない。山持ちの財産保持組合という戦前のイメージから脱却でない。この際、森林組合は本来なにをすべきなのかというイメージが浮き彫りになるといい。」という意見。それから「森林を森林組合だけで守るという考え方はおかしい。流域管理システムで示されているように民国含め、全ての関係者によって地域の森林管理を推進していくべき。そのためには、人材の育成が重要。また、手数料のみにより経営を維持している森林組合が多すぎる。」こういう意見が紹介をされております。既得権益に安住して、みずから創意工夫を行わないで、森林組合の本来の役割を見失っているのではないかという指摘だと思います。もう一度原点に返っていただいて、みずからの役割を再認識していただきたいと思います。
もちろん、立派な組合もあると思いますし、木を見て森を語るつもりはありませんけれども、森林組合の再編と意識改革にどのように政府は取り組まれているのか、そして、その成果は上がっているとお考えなのか、改めて長官にお尋ねいたします。
○前田政府参考人 先ほど申し上げましたように、森林組合系統の方におかれましては、平成十四年に改革プラン、これを策定されまして、合併ですとか、業務執行体制の充実強化、あるいはその事業の効率化、こういったものに自主的に取り組んでいるところでございます。林野庁といたしましても、こういった森林組合の合併におきます企業組織再編税制によります税制特例の措置、こういったものに加えまして、全森連によります合併の指導ですとか経営管理体制の強化につきまして支援を行っているところでございますけれども、今後とも、こういったものも通じながら、合併の促進に努めていきたいというふうに思っております。
また、積極的な事業展開を図る上で、やはり業務執行体制の充実強化はおっしゃられますように大変重要だというふうに思います。そういった中で、監査機能の強化ですとか、常勤理事の設置、あるいは員外理事の導入といったことについても指導を行いますとともに、役職員に対します経営研修への助成、そういったことを通じまして、森林組合役職員の資質の向上、こういったことにつきましても支援していきたいというように考えている次第でございます。
○岸本委員 ぜひお願いをしたいと思います。
最後の質問でございますけれども、人材の育成という観点からお尋ねをいたします。
手前みそになりますけれども、私のふるさとの和歌山では、緑の雇用ということで、モデル県として、森林組合、各自治体、それから地域の住民の人たちが一体となって担い手対策に取り組んでおります。先月の十四日からですかね、三日間、民主党の方で森林環境政策議員懇談会というのがございまして、現地視察をしていただいて、和歌山県の森林事業の担い手対策をいろいろと見ていただきました。
以前に、昨年だったですか、同じ中辺路町というところなんですけれども、小泉総理が来られまして、そのとき総理が、和歌山方式でやれば過疎地域に人が来るようになるので拡充したい、和歌山発のモデルとして全国に発信するようにという激励を受けて、農林水産省と総務省から地方財政措置をいただいたということであります。これも、緊急雇用対策の事業の費用ですとか。二年ぐらいというたんですかね。その先がまたちょっとわからないような、そんな話をちょっと伺ったんですが、やはり継続的な財源の措置を含めて、何とかこれを全国的に広めていただきたいと願っております。
何よりも、森林組合の高齢化と離職者が新規担い手を上回っている現状でありますので、例えばですけれども、フリーターやニートの対策、森はいやしの空間でございますので、ニートの対策の一環としても緑の雇用制度を全国展開していただきたいな、そういうふうに思います。こういう制度がありますよと。私は、和歌山に住んでおりますので、緑の雇用といえば、ああとすぐわかりますが、なかなか全国的にはそういうところまでいかないのかなという思いもございます。こういう制度があるということの広報活動に林野庁はどのように取り組んでおられるのか。ホームページ等で取り組んでおられることはわかっておりますが、やはりもっと目に見える形での広報活動が私は必要じゃないのかなと。また、ハローワークとの連帯などはどうなされているのか。広報活動について前田長官に、そして、地球温暖化対策の一環として、都市部の緑化事業に森林組合をリンクさせるというような案が首都選出の大臣におありでしたら、お伺いをしたいと思います。
○前田政府参考人 ちょっと事務的に、状況につきまして御説明申し上げたいと思います。
お話にございましたように、緑の雇用対策につきましては、厚生労働省の行っておりましたいわゆる緊急雇用対策、これを受けまして、そこで半年なり一年間緊急雇用を行う。そういった方の中から、森林作業に従事していただける方、こういった方につきまして、翌年の一年間、この緑の雇用対策事業によりまして研修等を行い、そして三年目からは森林組合等に本格就業というようなシステムで考えておるところでございます。
今お話のありましたのは、厚生労働省の緊急雇用、これが十六年度で一応終了するということになります。そういう意味で、緑の雇用につきましても、その後、二年目対策として、十七年度につきましては実施ということで今進んでいるところでございますが、十八年度以降どのようにしていくのか、これにつきましては、これまでの実施状況、こういったものを踏まえながら、今後の担い手対策について検討していきたいというような状況にございます。
なお、広報の方につきましては、私どもも今まで、新聞ですとかあるいはインターネット、こういったことを通じましてそのPRに努めてきたわけでありますが、今後ともさらに一層のPRに努めていきたいといったようなことを考えている次第でございます。
○島村国務大臣 あなたの和歌山県は森林率七七%ですね。全国の森林率よりかなり高いわけですが、私ども東京は三六%で、たしか下から五番目くらいだったと思いますが、五番目とは格好いいんですけれども、同じような数値の中に並んでいるわけです。
しかし、やはりそういうことごとが、例えば今ヒートアイランド現象などを生んだりなどいたしまして、東京もいろいろ慌てたりいたしましたが、少なくも、都市部といえども緑化対策というのは進めていかないと、むしろ、目に見えないといいますか、知らず知らずに体が侵されるという意味でも好ましくないので、私どもは、あくまで全国の緑化運動の一環として、これらに努力をしていかなければいけない、こう考えるところであります。
少なくも、我が国は七割が山で覆われる地域でありますから、必要不可欠なものはこの緑でありまして、和歌山県に見習って、我々もさらにこの緑化を進めるということは当然のことでございます。
そういう意味で、農林水産省といたしましては、関係省庁とともに緑化推進連絡会議に参加をし、私もその議長を務めておるわけでありますが、緑化功労者の表彰や緑化行事に対する普及啓発を推進して、さらに、この運動に皆さんが興味を持ち、かつ、いろいろな努力をしていただくように、そして同時に、都会の生活者といえども、暇があったら、健康増進の意味合いもありますから、まさに、仕事としてでなくて、レクリエーションとして山へ入って、林業関係者とお互いに交流を深める中に何らかの貢献をするという環境をつくっていくことが大事である。我々は、今その認識に立って施策を考え、策定中でございます。
いずれにしても、これは大事なことでございますので、ぜひ和歌山県に見習いたい、こう思う次第でございます。
○岸本委員 緑の雇用についてももっともっとアピールをしていただきたい、そして、恒久的な施策に、また全国的な規模に展開をしていただきたいと思います。
大臣にもお伺いしましたけれども、私は、週末に和歌山へ行って、こっちへ上京してきますと、和歌山も確かに暑いんですけれども、町のビルの中の暑さというのは、暑さになれている私でも耐えがたいぐらい、もう大変暑さを感じる。やはりこれも緑化の何かをしていかなくてはならないのかな、そんなことを感じております。
最後に、余談ですけれども、先ほどもお話がありましたけれども、国産材の需要の拡大のためにも、新しく建てられる議員会館にぜひ国産材をふんだんに利用していただいて、使っていただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○楢崎委員長代理 次に、松木謙公君。
○松木委員 闘う民主党を代表して、質問させていただきます。
まず、私は種苗法のことを中心に質問させていただきますけれども、その前に、ちょっと違うところを質問させていただきますので、よろしくお願いします。
まず、全農の問題についてなんですけれども、六月六日に、JA全農あきたの米横流し問題で、前県の本部長ら二人を背任容疑で秋田県警に刑事告発をしたというニュースが入ってきました。
前回も、この場で質問させていただいた際に指摘をさせていただいたことなんですけれども、親会社である全農県本部とその子会社がいわゆる同じ意思のもとに運営されているような場合に、コメ価格センターにおける双方の取引を認めるのが適当かどうかということにつきましても、必要な見直しを行っていくべきであるというふうに思っております、そういう答弁が確かあったはずなんですけれども、ここで、お聞きをします。まず、刑事告発に関する事実関係についてお聞かせをいただきたい。
○朝比奈政府参考人 お答えいたします。
当省が行った検査によりまして、全農秋田県本部が管理している共同計算米を全農の子会社であるパールライス秋田に横流しし、同社はその転売代金をもって赤字の穴埋めを行っていたことが判明したところでございます。
このような行為は刑法二百四十七条の背任罪に該当する疑いがあることから、当時の全農秋田県本部及びパールライス秋田の関係者を、秋田県警に対して、先般、六月六日、告発したものでございます。
また、今回告発の対象としていない者につきましては、事実関係や法律上の問題点などについて引き続き検討を行っているところでございます。
なお、独占禁止法違反につきましては、公正取引委員会と連絡をとりつつ検討してまいりましたが、カルテルや優越的地位の乱用といった典型的な事例とは異なるため、同法の適用はなじまないと考えております。
○松木委員 新聞にも出ていたことだと思うんですけれども、それ以降に、何か新しい事実というのかな、そういうのがわかった部分でもありましたら。特にないですか。
○朝比奈政府参考人 既に司直の手にゆだねている事柄でございますので、詳細についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○松木委員 はい、では、それで結構です。
ここで、前回の話で、コメントというか答弁もいただいているんですけれども、親会社と子会社、同じ社長、これはまずいんじゃないかという話があったわけですけれども、そのときに、二カ所そういうところがあるということで答弁があったはずなんですけれども、これが青森と庄内、この二つだったわけですけれども、以後、この二つはどうなったのか、教えていただきたいと思います。
○村上政府参考人 お答えいたします。
コメ価格センターにおきましては、今委員御指摘の問題を含めまして、取引ルールの改正について検討を行ってきたわけでございますけれども、その改正を六月中に緊急に行うということで、センターの検討グループに農林水産省の方からも正規のメンバーとして参画をいたしまして、鋭意検討を進めてきたところでございます。
その中で、御指摘のような全農県本部の本部長がその子会社である米卸会社の社長を兼職している場合について、両者間の基本取引における入札取引を認めないということにしたところでございます。
お尋ねの青森それから庄内でございますけれども、それぞれのパールライスあおもりと庄内パールライスの社長については、次回のセンター入札の日程との関係も念頭に、いずれも六月中に全農青森県本部長及び全農庄内本部長との兼職を解消する方向で具体的な調整が行われていると聞いているところでございます。
いずれにしましても、中立かつ公正な形で六月以降の入札が行われるように、適切にセンターを含めた関係者を指導していきたいというふうに思っております。
○松木委員 それでは、六月中にもう今の形が解消されるということでよろしいんですね。六月の何日にそれは決まるのかな。
○村上政府参考人 今御答弁申し上げましたとおり、いずれも六月中に兼職を解消する方向で具体的な調整が行われているというふうに聞いております。六月二十二日と二十四日にセンターの基本取引が行われるということになっておりますので、そういう日程を念頭に置いて調整が行われているものと承知いたしております。
○松木委員 わかりました。
それでは、それが確定をしたら、ぜひ後で教えていただきたいなというふうに思っております。
あわせまして、全農のあり方を検討する経済事業改革チームが四月二十二日に開催されて以降、合計で四回の会議が内密に進んでいるようでございますけれども、その進捗状況というんでしょうか、それを教えていただきたいと思います。
○須賀田政府参考人 経済事業改革チーム、島村農林水産大臣から、経済事業を点検、検証して、そのあるべき姿を明らかにすべきと、こういうことで発足をしたわけでございます。
私ども、このチームにおきまして、三つ、一つは、モラルの高い組織倫理というものをどのように確立して普及させるかという点、二つ目は、強力な統治、ガバナンスですけれども、こういうものが発揮可能な仕組みというものをどのように構築していくかという点、そして最後に、これは一番大事なわけでございますけれども、組合員農家がメリットを感じるような経済事業のあり方、事業運営体制というものをどのように改革をしていくか、この三つをポイントに検討をしておりまして、その中には、私どもが講じております生産、流通関係施策、あるいは指導監督のあり方といったものを含むということでございます。
過去四回やりまして、本日もあすも開催する予定でございます。私ども、これは岩永副大臣を座長としております。これから今後のあり方を御相談申し上げるわけでございますけれども、余り議論が拡散してもというふうに思っておりまして、近々、論点整理を兼ねまして検討方向といったものが取りまとめることができたらなというふうに考えているところでございます。
○松木委員 今三つ挙げてくれたんですけれども、組合員農家がメリットを感じるというのは、もうちょっと具体的に教えていただきたいんですけれども。
〔楢崎委員長代理退席、委員長着席〕
○須賀田政府参考人 全農が担当しております経済事業、これは現場の農家の方から、その農協から買う資材が必ずしも安くないんではないかという点、それから、特に担い手の方々から、担い手特有の大口割引とかそういうのがないんじゃないかということ、特に、昔三段階を二段階にして、その統合メリットを農家に還元するんだということで、物流と商流を分けるんだというようなことに取り組んでいただいておるんですけれども、なかなか効果が出ていないんではないかというようなことがございますので、そういう点を中心に議論をしていきたいというふうに考えております。
○松木委員 今の話の中で割引の話が出ましたけれども、ふだんからちょっと高いんじゃないかという話がありましたよね。どこまで実現できそうですか。頑張らなきゃだめですよ。
○岩永副大臣 大臣のもとで、私ども、経済改革チームをつくれということで座長としてやらせていただいております。
本当に今、担い手農家、それから集落営農、一方では、農業改革を行政として抜本的に改革を進めているわけでございますが、やはり最終的に農家ののど首を持っているのは全農並びに農協でございます。だから、そういうような意味合いで、今まで六回ありましたですね、今回で七回目の不祥事を起こしているわけです。これを契機にやはり抜本的な改革をしようということで、農協を統括している購買、販売、この部分がやはり改革されなきゃ農家のメリットがないということでございますので、今検討の過程中でございまして、相当熱を入れて改革に取り組んでいきたいし、また全農自身も、農水省の改革に対する意見も十分聞いていきたい、このように申しておりますので、もう少し時間をいただきたいと思います。
○松木委員 現場の組合員の方々が安くていいものが手に入るように努力をしていただきたいというふうに思います。
それと、これは質問の通告はしていないんですけれども、わかったらで結構ですけれども、代用乳というのがありますよね。代用乳というの、わかります、須賀田さん。――わかりますよね。これは全農の方でつくっているとかいろいろな話を聞くんですけれども、私、詳しいことはちょっとよくわからないんで、もしそうであればそうだよということを言っていただけたらありがたいなと。それ以上はきょうは聞きませんからね。
○須賀田政府参考人 たしかBSE問題のときに、その原因を追求する一環として、子牛に与える代用乳の中に汚染された油脂がまじっていたのではないかということが一つ疑いとして取り上げられまして、それをたしか製造をしていたのが全農系の工場ではなかったかという問題がありました。
○松木委員 いずれにしましても、適正な運営がされるように、島村大臣以下皆さんで頑張ってください。
それともう一つ、本題に入る前にちょっともう一つ聞きたいことがあるんですけれども。長くて済みません。
現在、郵政の民営化が特別委員会において随分論議されているんですけれども、民営化されてしまうと、やはり農山漁村における利用者の利便が非常に低下するんじゃないかなという懸念が実は非常にあるんですよね。そういった観点から、これは農林水産委員会ですから、農山漁村、これはもう関係するということでお聞きをするわけですけれども、現在の郵政民営化の論議には、本当に懸念というか、私は反対なんですけれども、農山漁村中、郵便局しかない市町村というのは幾つ存在するんでしょうか。
○西川副大臣 農山漁村中、金融機関が郵便局しかない市町村は幾つか、この数のお尋ねでありますが、郵便局以外の一般の金融機関がない市町村につきましては、郵便貯金法第十条第一項の規定に基づきまして総務大臣が告示をします。直近の十七年四月一日施行の告示でありますけれども、全国で十三市町村となっております。
○松木委員 何か思ったより随分少ないなと思うんですけれども、それは、ひょっとしたら農協と漁協さんも入れていませんか。
○西川副大臣 告示する市町村数でありますが、合併をしますと大きな市に吸収される場合もありますが、合併します、合併しますと、市の方には金融機関がありますので、合併前の市町村で数えるんじゃなくて、合併した後、市等と合併した場合には、そこには他の金融機関もございますのでこの告示から外れる、こういうことでございまして、告示に出されるのは十三だ、こういう形でございます。
○松木委員 いや、副大臣、それはちょっと間違いだと思うんだけれどもな、僕は。それはちょっと違うな。
実は、郵便局しか存在しないというところは、私が把握するだけでも五百以上はあるはずなんですよ。違いますか。
○西川副大臣 今も申し上げましたように、合併するたびに告示される市町村は減ってきます。今の十三はどこだと言いますと、ちょっと申し上げますけれども……(松木委員「いや、それはいいです」と呼ぶ)いいですか。
そういうことでございまして、告示をしたのは十三市町村でございます。
○松木委員 それでは、ちょっと話を変えまして、農漁協というのを除いて幾つあります、そうしたら。農協、漁協、これを結局入れているから十三なんですよ。だから、それを除いたらどれだけあります。
○西川副大臣 現在そのデータを持っておりませんので、お答えをちょっとできない、こういうことであります。
○松木委員 では、私が後で副大臣にそのデータをお渡ししようかなと思いますけれども。
平成十五年の三月が大体五百五十カ所あるんですよ。それで、このときは二千五百三十七の市町村がある。それが今、十六年の三月末現在で二千四百四十三に減って、そしてまだ五百三十七あるんですよ。覚えてくれました。
○西川副大臣 私ども、市町村の中で総務省の告示は幾つか、こういうことで議論してきておりますが、確かに合併によりまして、来年の三月三十一日には、一千八百二十二に市町村がまたさらに減る、こういうことでございますので、対象市町村の合併をするたびにそれは告示対象にならない、こういうことであります。
○松木委員 では、今度、来年の三月で千八百二十二になる、そうすると十三しかないということなんですか。
○西川副大臣 現在が十三なんです。
そのところで、私地元で特に関係あるものですから、栃木県でも栗山村というのが十三の中の一つなんですが、これはことしじゅうに合併しますのでこれもまた告示から外れる、こういうことでありまして、十三からさらに数は減るだろう、こう予測をしています。
○松木委員 その十三というのは、漁協も農協も含めて民間金融機関が全然ない、本当に郵便局しかないというところの話ですよね。そこは確かに、西川副大臣の選挙区でいいますと、栗山村ともう一つ上河内町とこの二つ、大臣の選挙区でもありますよね。(西川副大臣「いや、今一つです」と呼ぶ)いやいや、二つありますよ。上河内もそうですからね。
だから、漁協とか農協とか含んだら、確かに十三だけなんですよ。ところが、それを抜くと五百幾つある、これは認めますね。
○西川副大臣 漁協、農協の数等の連動については、私ども承知をしておりません。
○松木委員 漁協と農協というのは、その窓口というのは大体一万九千ぐらいあるんだろうけれども、それも含めて、ないのが十三であって、あとは、農協、漁協はあるけれども、あと金融機関というのは郵便局しかないというのが全国で五百以上あるんですよ、まだ。これは認めますよね。認めないの。
○西川副大臣 銀行協会の数字は、確かに店舗がないところ、合計で五百三十七というのは出ておりますけれども、私ども対象として法案上考えているのは、あくまでも総務省告示、こういうことで数は総務省告示を採用する、こういう考え方で十三と申し上げております。
○松木委員 まあ総務省告示だとか難しいことはさておいて、五百三十七あるんですよ、現実に。それが現実ですからね。副大臣、竹中さんによく伝えてくださいよ。まあまあ、わかっていると思うけれども。
しかし、例えば、では、合併したから、そこがそれで金融機関があることになるよと言いますけれども、それは合併して縮まるわけじゃないんだから、それはもうすごく遠くまで行かなきゃならないところなんというのは絶対出てきますよ。だから、そんなことは余り意味がないんじゃないかなと僕は思いますよ。利便性がもうめちゃくちゃですよ。
私の選挙区でいえば、北海道十二区なんというのはほとんど人が住んでいないんですから。四国と同じだけの広さがあるんですよ。そこで人が住んでいないと言っても人は住んでいて、私は当選もしているわけですけれども、本当にもう大変なことなんですよ、地方にとっては。これはもう早くやめた方がいいというふうに私は思っているんですよ。
これはやはり副大臣の選挙区だって、今はコスタリカで比例のようですけれども、もともと栃木二区ですよね。栃木二区の人に怒られますよ、本当に。これはやはり何とか、大臣、副大臣もそんなに賛成していないんでしょう、本当は。どうです。
○西川副大臣 内閣の方針でございますので、この法案を成立させるように最大限の努力を今しております。
○松木委員 内閣の方針だけれども、個人的には嫌なんですね、多分、そういう言い方をするというのは。でも、それは頑張った方がいいですよ。私は余りやり過ぎて役職を首になった男ですけれども、民主党の中で。そのぐらい頑張ってくださいよ。これはやはり国民のためですよ、本当に。五百幾つなくなるんだから。
そして、農協、漁協があると言うけれども、そこだって四分の一しか使えないんですよ。あとはだめなんですよ。それは知っていますか、副大臣。
○西川副大臣 いろいろお話を伺いましたが、私どもは、過疎地は特別に対応して、全国あまねく利用されること、こういうことを基準に設置をしていくということで、今御心配をされた点につきましては、しっかり過疎地の郵便局を守っていく、こういうことで法案をつくっております。
○松木委員 何年守るんですか。
○西川副大臣 これは国際郵便条約等もございます。そして、郵便の必要性というのはだれも認めておりますので、私どもは、将来にわたって郵便局の設置についてはしっかり守っていきたい、こう考えております。
○松木委員 株式会社になるんですからね。そうは言うものの、私の選挙区なんかもすごいんですよ、国鉄が民営化になったときにほとんどなくなっちゃいまして、紋別市というのがあるんですけれども、ここだって、市でありながら駅がないんですからね。もう駅は全部公園です、今。そういうふうにならないように、副大臣は多分郵政民営化は本当は心の中では反対しているというふうに思って……(発言する者あり)顔に書いていますよ、絶対。ぜひそういうことで努力をしていただきたい、そう思います。
それでは、残り五分で、本題の種苗法に入らせていただきます。
本題であります種苗法について少し話をさせていただきたいと思います。
我が国における知的財産権について、議論は二〇〇二年の二月に小泉さんの施政方針演説で触れられ、三月に知的財産戦略会議が発足し、七月に知的財産戦略大綱、十一月に知的財産基本法が成立するという流れの中で、国益である知的財産についての重要性が認識され、政府を挙げての取り組みが進められているわけです。当然のことながら、種苗法に基づく育成者権は、品種登録された植物の新品種を業として独占的に利用する権利であり、知的財産基本法においても知的財産権の一つとして位置づけられているわけです。
そのような中で、今回の改正の意義と、そしてこれだけの効果があるというものをちょっとお聞かせいただいたらありがたい。
○大口大臣政務官 先生御紹介いただきましたように、この知財立国、そして戦略的に政府を挙げてやっていく、その一環といたしまして、植物の品種は重要な知的財産である、その適切な保護によって、新品種を活用した産地振興を支援し、我が国農業の競争力の強化を図っていく必要があるわけでございます。
しかしながら、近年、不法に海外に持ち出された新品種の種苗から生産された農産物が我が国に逆輸入されるなど、新品種の権利の侵害によって産地に重大な影響を及ぼすおそれが生じております。さらに、最近、育成者権を侵害した農産物が海外で、これは小豆とかあるいはインゲンマメ、あるいはイグサ等でございますが、これがあんやござに加工され、育成者権の及ばない加工品として脱法的に我が国に輸入される、そういうおそれが強くなってきておるわけでございます。
このようなことから、育成者権、これを強化していこうということで、今回の改正で、加工品に育成者権を及ぼすことによって脱法的な輸入に対処し、育成者権の侵害に対する罰則を強化した平成十五年の改正と相まって、十全な新品種の保護を図り、新品種を核とした産地振興を支援することとしております。
また、あわせて育成者権の存続期間、これも、やはり新品種について開発していくに当たって時間がかかりますから、そういうことからいきますと、果樹等の永年性植物、これは二十五年から三十年、その他の植物、二十年から二十五年へ存続期間を延長し、育成者の権利を確保して新品種開発のさらなる振興を図ることとしております。
○松木委員 今回の種苗法、これで大体このたぐいのことは完成ということでいいんですよね、いろいろなことがきっちりできると。
○白須政府参考人 ただいまのお尋ねでございますが、お話しのとおり、今回の改正で加工品にまで効果が及ぶというふうな形での改正を行いますれば、あとは、加工品のDNA鑑定ができる品目というものがまだまだ限られておりますので、これを早急に拡大していくということで、相当なレベル、世界的に見ましても大変高いレベルでの育成者権の保護ということが行われるのではないかと考えている次第でございます。
○松木委員 農林水産省、一生懸命頑張って本当にいい法案をつくったんじゃないかなというふうに思います。
その中で、現実にこれを物にするためには、Gメンというのがいるんですね、どうやら。このGメンというのが何か四人ぐらいしかいないような話を聞いております。これは、四人で国内から国外から全部見てしまうというのはちょっと厳しいんじゃないかな。であれば、やはり将来的には二十人あるいは三十人も必要なのかな、そんな気がしますけれども、そこら辺はどういうふうにお考えでしょうか。
○白須政府参考人 決してこれはGメンだけで育成者権の保護ということ、支援ということをやるわけではございません。従来から本省の種苗課を中心といたします相談窓口もございます。あるいはまた、種苗管理センターというところでも支援をいたしておりますので、それをさらに機動的にやるということで、今回、今年度から専任の者を四人置いたわけでございます。
今のお話でございますが、Gメン、今年度、この四月から置いたばかりでございますので、やはり今後のGメンの活動状況あるいは設置の効果というものも十分踏まえまして、私どもとしても活動の充実というものを図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○松木委員 多分足りなくなるんでしょう。だから、ぜひ、足りなくなったときはふやす、それはそれで大切なことだと思いますので、違うところを減らせばいいわけですから、相対的に人の移動をさせればいいというふうに思っておりますので。ただ、独立行政法人だからそれがちょっと難しいという部分もあるようですけれども、それはよく検討して、現実にやはり農家の人たちのプラスになる、あるいは特許を持っている方がプラスになることを考えていただきたいなというふうに思っております。
この間テレビを見ていましたら、イチゴのことをやっていまして、そこで、名前をちょっと忘れたんですけれども、上の方が何かぴゅっと広がったようなイチゴをつくったおじいちゃまがいまして、そのおじいちゃんのイチゴが、韓国でどんどんどんどんつくられていっちゃっているという、そういうのを見ますと、何か御自身ですごく時間をかけてつくったみたい、それが勝手に使われるのを見るとやはりかわいそうですよね。ぜひそういうことも皆さん方頭に入れて、これからもこの種苗法、しっかりつくっていっていただきたい。そしてまた、技術革新があればもっともっとそれを広げることもできるわけですよね。それは政令でやっていくわけでしょう。ぜひそういうことをきっちりやっていっていただきたいと思います。
それでは、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○山田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岡本充功君。
○岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。
まず冒頭、先ほどの山内委員に対する岩永副大臣の答弁、ちょっと私、確認をしたいんですけれども、DNAで加工品を識別するというときに、熱をかけたりすりつぶすとDNAがそれで切れてしまうやの発言をされたんですけれども、RNAは切れるんですが、DNAは切れない、熱を加えてもPCRをかけれる、もちろん破壊を防止する酵素を入れるんですけれども、そのように認識をしておりまして、それだけで私は切れると思わないんですが、それについての答弁、修正があれば。
○岩永副大臣 すりつぶしたり熱をかけたり粉砕したりしますと、細かくなっちゃうわけですね。そうすると、DNAの範囲が見つけにくい、こういうふうなことを答弁したつもりなんですが……(岡本(充)委員「切れてしまっているわけですね」と呼ぶ)いや、細かくすると、今度はそこへ熱をかけたりなんかすると、DNAが見つけにくい、こういう意味のことでございましたので、ほかのものが切れてしまうと、物体が切れてしまうと、DNAが見つけにくい、こういう意味に解釈していただきたいと思うんですが。――専門家、いるかな。具体的に答弁させますので。
○岡本(充)委員 今、この中にいるのは私だけのようですから、専門家は。言わせていただくと、切れますよ。切れても、プローベがあって、どの部分をセレクションするかということはできるわけで、顕微鏡で探すわけではありませんので。そういう意味では、識別することは可能ですし、もちろん熱によってDNAの破壊は若干あるにはあるんですけれども、RNAに比べて大変強いという習性を持っているということをあわせてお話をさせていただいて、見つけるのも、プローベをつければ、PCRのタグをつけるということですから、できるということを、またあわせて、今後ぜひまた聞いていただければと思います。
もし可能であれば、後ほど修正をお願いします。
○岩永副大臣 先生の御意図のとおりだと思いますが、このことについては、もう一度、私の方も勉強しておきます。
ただ、小麦だとかコンニャクだとかイチゴが、これから加工品のDNA分析を進めていく、だから、そういう部分で困難性があるのでなかなか大変だ、こういうことでございますので、これは、どういうように進めていくかというようなことが一つの大きな課題である、このように思っております。
○岡本(充)委員 それでは、この質問はここまでにしておいて、またぜひ、鋭意検討を求めていきます。
さて、森林組合法の改正でございますけれども、まずは、これまで再三議論になってまいりましたが、たくさん質問したいものですから、端的にお答えをいただきたいということをお願いして、きょうは、まず木材の価格からいきたいと思っています。
木材の価格、平成十六年のデータ、これは農林水産省の木材価格、日刊木材新聞などからの提供でありますけれども、平成十六年の例えば杉中丸太、直径が大体十四から二十二センチ、長さが三・六五から四メートルの杉の中丸太、一万三千五百円、これが杉の角材になると、十・五センチ角、長さ三メートルで四万二千七百円になる。
考えますと、後で考えていただくとわかるんですが、円形の直径が十四センチあれば、理論上は十センチ角の製材がとれるわけですね。ちょうど正方形がとれる。そういう意味でいうと、ほぼ同じものが、一万三千五百円の丸太が、角材になると四万二千七百円になる。この格差が、実際立ち木は安いんだけれども、アンケートをとると、国民のアンケートの中、これは日本木材総合情報センター、こちらの方から、「木造住宅の選定等に関する女性の意識調査」、こういうものがありまして、これによると、木材価格に対する認識不足から、七割の者が木造住宅の建設費に占める木材価格の割合について実際よりも高くとらえており、さらに木材の価格を高いと考える消費者がいるというアンケート調査につながっていると思っています。
製材価格で見ると、外材、例えばアメリカから来る米ツガ、これの角材がほぼ同じ製材で五万二千七百円、そしてまたホワイトウッド、こちらの方については五万二千円、そして最終的にできる日本の杉の角材、乾燥材が五万五千九百円。確かに日本の角材が一番高くなってしまっている、途中で価格が逆転する、この構造の中に、なぜこの一万三千五百円の丸太が角材にする段階で四万二千七百円になるのか。この部分に私は、消費者のマインドと、実際の森林を営林されている皆さん方のマインドとの間のギャップになっているんじゃないかというふうに思うんですが、この部分の格差についてはどのように御説明をされますか。
○前田政府参考人 端的に申し上げれば、やはりそこのところの流通のコストですとか集荷のコストですとか、あるいは今度は製材段階でのコスト、そういったものがもろもろかかるということがあって、そういうふうになるわけでありますが、とりわけ国産材の場合には、外材のように大量流通、大量消費というような形で一定規格のものを大量に生産するというシステムがなかなかとれない。どうしても山の方で分散的、それぞれの所有者の方から出てくるということで、非常に流通、加工のロットが小さいということがありまして、大変コストがかかり増しになる、そういうような傾向がございます。
一般的に、大体国産材の場合、どうしても価格全体が下落傾向にあるわけでありますけれども、その影響が、どうしてもそういったことで山元の方にだんだんしわ寄せがいく、そういうような構造になっていることは否めないわけでありますけれども、決して中間段階で暴利をむさぼっているわけじゃなくて、実際、製材工場でもどんどん倒産などしているわけでございますし、そういった中で流通の合理化を図っていく、こういったことが大変大事ではないかというように考えております。
○岡本(充)委員 私も、その流通の合理化、ぜひ求めていきたいと思いますし、この価格差が一つ森林の厳しい経営に大変大きな影を落としているというふうに私は指摘をさせていただきたいと思っています。
続きまして、今の国産材の利用について、国土交通省の方に来ていただいているので、少し質問させていただきます。
きょう質問させていただきたいのは、今、国産材を使おう、木造住宅をつくろう、こういったことを国土交通省で取り組んでいるやに聞いておるんですが、その中で、今実際に住宅販売はどうなっているかというと、大手の住宅販売メーカー、住宅販売展示場に行かれるとわかるんですけれども、そういったところでは坪単価で家を売っています。今、新規着工の住宅の中で、大手住宅販売メーカーが販売する戸数が、一戸建ての中では一番多いわけですよね、集合住宅は別として。そういった中で、坪単価で売られる。中で素材のセレクションをする、そういったことがなかなか難しい。また、坪単価の中で、実際に国産材を使えば安くなるのか、それとも輸入木材を使ったらどうなるのか、こういったオプションのチョイスもできない。言ったら、ある意味でセット販売になっている。レストランでいったら定食です。定食でぼんと出てきて、これでどうですか。もちろんそれはおいしくて安い。だけれども、こだわりを持って国産材を使いたい、こういう人のニーズにこたえられるようなチョイスは難しいのが現実です。
その一つには、私は指摘をさせていただきたいのは、例えば原材料コストを明示して、そしてこの明示をする中できちっとチョイスができるようにする。今、法律には、求めに応じて明示をしなければならないと書いているけれども、求めに応じて明示をしなければならないということが消費者に伝わっていないと思うんですよね。例えば、住宅販売展示場のところに、求めがあれば法律に基づいてきちっと中身の材料費も提示しますよ、明示しますよというようなことを書くだとか、そういう情報提供をしなければ、消費者の皆さん方は、それを知らずに丸めで買っていく、セット販売で買っていく、こういう現状が続くやに私は思うわけなんですが、この点についての改正に向けたお心意気はおありでしょうか。お答えください。
○和泉政府参考人 お答えします。
まず、冒頭ございました地域材を活用した木造住宅の振興についての国交省の取り組みでございますが、御案内のように、国民の八割以上が木造住宅を希望しているという実態がございますし、その結果、この数年でございますが、全住宅着工に占める木造住宅のシェアは少しずつちょっと伸びています。そういう事実もございます。そういったことを踏まえまして、諸般の理由から、国土交通省におきましても、さまざま木造住宅の振興のために取り組んでいるところでございます。
そこで、次の御質問でございますが、委員御指摘のように、建設業法第二十条第一項によって、工事内容に応じて、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにするというようなことが努力義務になっております。しかしながら、まさに御指摘のように、いわゆる住宅生産には中小工務店から大企業など、いろいろございまして、結果として、委員の御指摘があってから幾つか取り寄せたんですが、見積書の内容にもばらつきがございまして、おっしゃるように、木工事一式とする見積書とか、材料費と労務費を分ける見積書などさまざまございます。
これを直ちに一律かつ画一的に詳細な経費内訳を義務づけることについては、一言で言えば、中小住宅生産者に過度な負担となることが心配だとか、あるいは住宅生産方式とか材料の購入形態等が非常に多様だとか、いろいろなことがございまして、直ちに画一的、詳細な内訳を義務づけるということは難しいとは思っていますが、しかしながら、一方で、住宅生産者の中には、材料費と労務費を分けて記載しているものや、あるいは、標準的には集成材を使うけれども、消費者の方から御希望があれば、構造上のチェックをして内地材を使ってやるオプションもございますよというようなことをちゃんと開示している例もございますので、そういったことについて、より詳細な情報提供とか、消費者の求めに応じた地域材活用についてどんな工夫が住宅生産者なりにやれるのかということについて、住宅生産者団体といろいろ打ち合わせし、検討してまいりたいと考えております。
近年、住宅生産者からも、消費者のニーズに可能な限りこたえて地域材を活用していきたいという声も出てきておりますと聞いておりますので、そういった取り組みを含めて、地域材が一層活用されるように、林野庁と連携しながら普及活動を推進してまいりたい、こういったつもりでやってまいりたいと思っております。
○岡本(充)委員 中小企業への過度な負担と言われましたけれども、私が今質問したのは大企業の、大手住宅販売メーカーと指定をさせていただいておりまして、そういったところについての検討をぜひ求めていきたいと思います。
国土交通省の和泉審議官はこちらの方で結構でございますので、どうも御苦労さまでした。
それでは、森林組合法の改正案の中で、今回、合併のことが話に上ってきております。森林組合は赤字の組合が四分の一ぐらいあって、常勤理事のいない組合が過半数を超える五百六十三、常勤職員すらいない組合が一割あるやに聞いております。
こういった中で、合併をしていくメリットというのを、どのようにしてインセンティブを与えるのか。そしてまた、特に財務格差のあるような組合がその財務格差を乗り越えて合併していく、こういったインセンティブの一つに、例えば税制の特例措置などを考えてみえるやに聞いておりますが、この具体策等はお考えであるのか、お答えをいただきたいと思います。
○前田政府参考人 森林組合が合併すると、単純にいきますと、やはりAという組合、Bという組合があれば、二つが一緒になることによって、その総務部門とかそういった間接部門、そういったところが大きく合理化できるというメリットがございますし、また、仕事のやり方といたしましても、それぞれの組合のところで、例えば施業をやる、あるいは木材を販売していくといったのが大きくまとまることによって、一定のエリアのところを統一的、集団的、共同的にそういったことを実施していくといったことで作業能率も上がっていくというような形で、合併につきましては大きなメリットがあるのではないかと思います。
確かに、そういった中で、合併した場合に、いろいろ税制上の特例、そういったものも一部やっておりますけれども、基本的には、そういう仕事のやり方、あるいは間接部門の合理化、そういった中に合併の大きなメリットがあるのではないかというように思っております。
○岡本(充)委員 これから税制の特例措置の具体策を考えていくというお考えやに聞いておるんですが、これからも何か制度を、今お考えのものがおありであればお示しできますか。できなければ検討中でも結構です。
○前田政府参考人 具体的には、企業再編税制、これはいわゆる合併いたしましたときに、そのままでいきますと、吸収されたそちらの方のものがAという組合の方に持っていかれる、そのときに所得税が発生してくる、そういったことがございますけれども、合併の場合には、それについては原価でそのまま合併というような形もやっておりますので、そういう形のものがとれるのではないかというふうに思っております。
○岡本(充)委員 続きまして、森林組合の子会社等への行政庁の検査権限の付与ということが書いてありますが、「子会社等」の「等」が指す範囲は具体的にどこまでというふうにお考えでしょうか。
○前田政府参考人 親組合に対して子連合会、こういったものを指すというように考えております。
○岡本(充)委員 そういった子会社の経営の健全化、大変赤字なところもあるようですけれども、確保への配慮、こういった具体策を何か今お考えなのか。それとも、まだこれから検討中か。子会社経営健全性の確保への配慮の具体策をお考えか、まだ検討中か、お答えいただけますか。
○前田政府参考人 今回の森林組合法の改正の中でも改正事項としてあると思いますが、そういった子会社、そういったところに対しましては、今までは行政的な監査とかそういったものは及ばないわけでありますが、今回の改正によりまして、県なりが、そういった子会社、もちろん本組合に対して影響があると認められる場合でありますけれども、そういったときに検査、監査、こういったことをやることによって、そういった適正な指導が図られるというように考えております。
○岡本(充)委員 続きまして、今度は、森林組合の員外利用の件について、今回、川上から川下までの一体的な系統立った林業の育成に寄与する施策が打たれるんだと思いますが、今回の森林組合の組合員もしくは准組合員の拡大によって、いわゆる先ほどお話ししたような大手の住宅販売メーカーもこの森林組合の准組合員になれるというふうにお考えか、もしなれるのであれば、実際になっていただくため、入っていただくためのインセンティブを何か考えてみえるのか、その部分についてお答えいただけますか。
○前田政府参考人 結論からいいますと、なれるというように私どもは判断しております。
それで、例えば森林組合、そしてそこに地元なりの住宅メーカーあるいは製材工場、そういったところが准組合員という形で入るということによりまして、当然森林組合のいろいろな持っています施設、そういったものを活用できますし、さらには、例えば材を流していこうとした場合に、森林組合の方で一定のまとまりを持って材を販売していく、そういうこともあわせて今回の組合法の中では措置しているわけでありますが、そういった材を安定的に製材工場あるいは住宅メーカー、そういったところに流していくことによって、お互いに非常に効率的な材の流通、こういったものが進められるということを期待しております。
○岡本(充)委員 大手住宅販売会社や国産材製材協会加盟大手の製材工場などが准組合員になっていただいて、いわゆる川下対策、本当に、実際に消費者に一番近いところの人たちが、会社が、そういった国産材を使おう、国産材を利用しようという意識を持っていただくためには、こういった、例えば准組合員になっていただくということは、私は、一つのいい対策だと思っています。そういう意味で、ぜひ一緒になって取り組んでいけるような施策を今後とも打っていっていただきたい、このように求めておきます。
さて、引き続いて、きょうは皆様方のお手元に資料をお配りさせていただきました。きょうは、林業の現状、大変厳しい現状をちょっとお知らせする幾つかのデータをお示しさせていただいております。
私も、地元に帰りますと、従業員千人以上いますある会社の産業医をやっておりますけれども、こういった産業医がいる会社は従業員の規模が五十人以上などと決まっておるわけなんですけれども、林業は大変小さな事業場が多く、そういった産業医はもちろんのこと、労働安全衛生法の中で定める、第十一条に定めるような安全管理者、また、もしくは安衛施行令第三条に定めるような常時五十人以上の労働者を使用するような事業者は少ないのも実情であります。
そういった中で、林業の従事者、年々減ってきておりますが、およそ六万七、八千人と言われております。この皆さん方の年間のいわゆる労働災害による死者数、こちらの方を載せさせていただいています。五十台から、そして四十後半、おととしは六十一という極めて多い人数が亡くなっておりまして、千人ちょっとから千五百人に一人ぐらいの割合で年間一人亡くなる。私が産業医をやってきたいろいろな会社でも、千人そこそこの事業所で毎年必ずだれかが死ぬというような事業所はあり得ない話であって、かなり厳しい現状です。そして、亡くなられる方の年齢も六十前後と、まさに家族の大黒柱である時期に亡くなられる方も多い。
そして、その一方で、実は林業の現状をあらわすもう一つの数字として、林業の仕事の厳しさをあらわすと言ってもいい度数率、強度率、ちょっと時間の関係上しゃべりませんけれども、下にその定義づけは書かせていただきましたが、この数字を見ると、林業の数字はこの数字になっています。ほかの産業と比べましても極めて厳しい数字でありまして、実際にこの現状を少しでも変えていかなければならないという思いを私は強く持っています。
そういった中で、もちろん安全対策というのは、いろいろな規則をつくりました、それからいろいろなマニュアルをつくりました、こういったことだけではだめで、先般の列車事故の件でもそうでしたけれども、七十キロの速度制限という規則があっても、そこに電車は百キロを超えて入っていくこともあるわけです。人間が何らか急いでいたか、もしくは何かの事情があってその規則を破ったときに、フェールセーフというかセーフティーネットというようなものを機械的に何らか措置をとるような研究をしていくべきじゃないか、一歩進んだ、一層進んだ労働安全衛生対策をとるというのは、そういったヒューマンエラーを防ぐことが重要なんではないかというふうに思いを持っているんですが、これについての御答弁をいただけますでしょうか。
○前田政府参考人 先生御指摘のように、林業労働の場合に、作業条件が大変急峻なところで行われる。また、自然状況の中でありますので、当然天候だっていろいろ変わる。そういうことで、労働条件としては大変シビアな状況の中であると。そういった中で、災害につきましても、他産業に比べまして相当高い水準にあるということはおっしゃるとおりでございます。
私どもといたしましても、こういった林業における労働災害防止は大変重要な課題というように認識いたしておりまして、やはり何といいましても、一つには、それぞれがきちっと注意してやっていかなきゃいけない。そういった面も含めまして、いわゆる研修会ですとか巡回指導、そういったことを通じて安全への意識を高めるということに努めているわけであります。
それとあわせまして、やはり、先生今御指摘がありましたけれども、作業に当たりましては、いわゆる安全で使いやすい機械器具、こういったものも必要でありますし、また、防災技術のすぐれた機械システム、そういったものも開発していくことが必要であろうというふうに考えております。そういったことで、私どもも、機械の開発、改良、こういったことに努めてきているわけでございます。
例えば、伐倒作業危険地域に進入した場合に、それを検知して警報を自動的にばっと鳴らす装置ですとか、あるいは下刈り作業者がお互いに接近した場合には警報装置を鳴らすとか、そういったような装置も開発されてきておりまして、今後とも労働安全衛生対策の徹底を図って災害防止に努めてまいりたいというふうに考えております。
○藤井大臣政務官 今先生がお示ししたとおりでございまして、林業における安全対策の問題、これはまさに法令の遵守だけでは不十分だと考えておりまして、我々としましても、法令遵守の徹底、これはもとよりでございますけれども、管理体制の充実とか設備の安全化の推進、これが必要だと思っております。先生がおっしゃられた五十名以下の小規模事業所におきましても、安全衛生推進員の選任を義務づけておるとか、それらの職務が適切に実施できるように我々としても引き続き監督指導をやっていきたいと思っております。
また、機械設備の危険性の問題に関しましては、今般、労働安全衛生法の一部改正法案を国会に提出させていただいておりますが、その中にはリスクアセスメントを事業者の努力義務とするというような規定も設けておりますので、私どもは、この法案の一日も早い成立を待ちまして、一層の安全対策をやっていきたいと思っております。
それから、御案内のとおり、先生からお示しされました死亡数の問題。確かに死亡数全体は、先生、十三年から引用していただいておりますが、その前はもっと大きな数字がございまして、林業におけます死亡者の数というのはやはりゆゆしき問題だと思っております。林業における労働災害の防止につきましては、これは、災害が特に増加した都道府県の労働局におきましては緊急対策を実施するなどしまして、労働災害の発生状況を踏まえて労働災害の防止を推進していく、そして、それを一層これからも頑張って災害の縮小を図りたい、このように考えておりまして、厚生労働省としましても精いっぱいの対策をとりたいと思っております。
ありがとうございました。
○岡本(充)委員 二枚目もぜひ皆さん見てください。業種別労働災害千人率。一番多いのは、ごらんのとおり、真ん中の段の下から二段目、林業です。千人当たり一一〇・五八です。ほかの産業と比べて極めて高いことがおわかりいただけると思います。ちなみに、一番少ないところはどこかというと、右の下から三番目、官公署というふうになっています。これは差にすると、およそ一万倍を超える物すごい事業の危険率の差があるわけなんですね。実際に官公庁で働いてみえる方にはそのほかにも心的ストレスがあるのかもしれませんけれども、どうしてもこの数字の差を見ると、皆さん方にもっと積極的に策を練っていただかなければいけないと思っています。
そういった中で、いろいろ労災の防止の協会があることを私は発見させていただいて、林災防、林材業労災防止協会の話もちょっと伺いました。いろいろな労働災害防止協会があるんですが、もちろん、きょう私が引用させていただいたこういった冊子も、実は中央労働災害防止協会がつくっております。
こういった中央労働災害防止協会は、この三枚目の紙をごらんいただきますとおり、常勤役員はほとんど退職公務員。そして、このすべてが厚生労働省の退職公務員で占められている中で、先ほどもお話ししました、森林組合には常勤役員もいないような森林組合がある一方で、厚生労働省の退職公務員だけが常勤役員をやっている労働災害防止協会がある、こういう実態もぜひお知りをいただきたいと思っています。
詳細については、今政務官おっしゃられました厚生労働委員会で恐らく審議をされる今度の法案審議の中でも、機会があれば私も質問に立たせていただきたいと思っておりますが、こういった実態があるということもあわせてお話をさせていただきたいと思います。
この厳しい林業の実態の中で、厚生労働省は幾つか対策をとられています。岡島さんにきょう来ていただいておりますが、ハチに刺されたときの例えばエピネフリンの注射、今でもこれは自分以外使えないんですよね、どうですか。
○岡島政府参考人 結論から申しますと、本人以外でありましても、刑法の緊急避難に該当することございますので、医師法違反ということではなくて、注射することはできると思います。
○岡本(充)委員 まさにそうなんです。緊急避難なんですよ。
ハチに刺されたらプレショック状態になってふらふらになるんです。それで、今の一応正式な規定は、本人しか打てないんですよ。ふらふらになって自動注射を持ち出して注射を打つんですよ。そんなことは現実的に考えたら無理なんです。ハチに刺されて毎年二人から三人亡くなっているんですよ。この人をゼロにすることは簡単なんです。ほかの人たちが打てるようにすればいい。山に持っていく救急箱の中に入れればいいんですよ。そして、打てるようにその部分だけでも変えていっていただくことが重要だと私は思っています。
最後に、時間もなくなりましたから、第十次労働災害防止計画、平成十五年の計画の中で、大臣、聞いてください、実はこの中で、労働災害防止を推進する上での課題ということで、重点対象分野における労働災害防止対策というので、業種別にいろいろ出ています。重点的に推進する中にもちろん入っているわけなんですけれども、その中でも特に重点度の高いものは、建設業だとか、そして陸上貨物運送事業対策、そしてまた第三次産業対策となっていますが、その次に挙がってきているのが林業なんですね。
結局、これは厚生労働省がつくっていますけれども、内閣としても林業のこの厳しい現状を見ていただいて、大臣、ぜひ閣議でも、こういった対策ではなく、林業がまず一番厳しいんだから、林業をファーストに持ってくる。そして、第三次産業や、今お話しした千人率を見ていただいてもわかるように、トラックの運転手さん、いわゆる陸上貨物の運送に比べても極めて高い数字なんですから、林業を第一次に持ってくるというぐらいの気構えで、ぜひ主務大臣として内閣でも提言をしていただきたい。次の十一次のときにはそれを反映していただきたいと思うんですが、ぜひ前向きな御答弁を最後にいただきたいと思います。
○島村国務大臣 大変ごもっともな御提言だと思いますので、結論からまず申しますが、私は、これをやはり最重要グループといいますか、最重点グループの中に林業を含めてもらう努力をまずお約束をしたいと思います。
いずれにいたしましても、林業は、御承知のように高地であり、傾斜地であり、足場の悪いところの災害でありますから、災害の発生率もさることながら、いざ負傷者が出た場合に、これを実際に全部の治療を行うといっても、そう言うべくして簡単ではない。このことの中でも、必要以上にその傷を重くしているという面があろうかと思います。これらに十分に配慮しながら努めていきたいと思いますが、厚生労働省あるいは都道府県ともよく連携をとりまして、これらについて具体的に進める努力をしたいと思います。
○岡本(充)委員 どうもありがとうございました。終わります。
○岩永副大臣 先ほど、最初のDNAの鑑定の問題、技術会議で調べたら、先ほどの私の答弁で間違いないということでございましたので、また一回、先生のところに説明に行かせます。
○山田委員長代理 次に、川内博史君。
○川内委員 民主党の川内博史でございます。
きょうもまた大臣並びに関係の皆様方に、本日議題になっております種苗法についてお尋ねをさせていただくわけでありますが、きょうは種苗法についてお尋ねをさせていただく前に、先日の本委員会の質疑でもちょっと積み残しになっていた課題があるので、食品安全委員会の寺田委員長にお運びをいただいておりますので、お尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
先日、五月十八日の本委員会で、私は、五月六日に農林水産大臣と厚生労働大臣に提出をされた「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品健康影響評価」の答申文書に間違いがあるということを指摘いたしました。委員長は、それを素直にお認めになられ、適切に修正をするというふうに御答弁をされたわけでありますが、実際にどのように修正をされ、取り扱われたのかということをまず教えていただきたいと思います。
○寺田参考人 お答え申し上げます。
先生が指摘されました食品健康影響評価の本文中の箇所につきまして、冒頭の「本調査会」を食品安全委員会プリオン専門調査会に修正するとともに、食品安全委員会が厚生労働省あるいは農林水産省に通知を行ったことを明確にするように、通知を行った主体として食品安全委員会を書き加えました。国民にわかりやすくなるように修正を行った。この修正した報告書本文に正誤表をつけて、五月二十日付で厚生労働省及び農林水産省に通知したところであります。
それで、この訂正に当たりましては、プリオン専門調査会の座長に了承をとり、その後、修正箇所などにつきましては専門調査会の先生方にもお送りいたしました。
以上でございます。ありがとうございました。
○川内委員 私は従前から、この中間とりまとめが、米国からの牛肉の輸入再開につなげていくための非常にきな臭い政治的文書だったのではないかというふうに御指摘を申し上げ、また最近は、プリオン専門調査会の委員の先生方からも、自分たちの発言が官僚の皆さんにうまく利用されてしまったというような発言が相次いでいるわけでありますが、寺田委員長、この昨年九月の中間とりまとめは、食品安全委員会の齊藤事務局長は、みずから行う食品健康影響評価でありますというふうに国会の場で再三にわたって答弁をされていらっしゃいますが、食品安全委員会の責任者である委員長として、中間とりまとめが食品健康影響評価であるということを認識していらっしゃいましたか。そして、認識をしているとすれば、それはいつから認識をしていたかということについてお答えいただきたいと思います。
○寺田参考人 食品健康影響評価、あるいは、少なくとも食品の安全に関するリスク評価というふうには認識しておりました。
いつからかと言われますと、五月ごろからじゃないかと思いますが、とにかく食品安全委員会ができました大きな理由の一つはBSEの問題でございますし、専門調査会の中では一番最初にプリオン専門調査会を立ち上げて、それで日本の問題、それからアメリカの問題も、世界の問題について勉強しようじゃないかとずっとやっているうちに、五月ごろになってくると、だんだんまとめの方向に行きまして、それで、九月の六日に専門調査会が中間とりまとめという形で出たときにはそういう認識を持っておりました。
以上でございます。
○川内委員 その認識を持っていたというのは、委員長、食品安全基本法に規定されているみずから行う食品健康影響評価である、法律上の文書である、法律に規定された文書をこれから取りまとめるんだという認識を五月ごろから持っていたということでよろしいでしょうか。確認だけさせてください。
○寺田参考人 これは大変あやふやな答えになりますけれども、法律上に、みずからというふうな認識は五月の時点では持っていなかったと思います。ただ、八月に入り、あるいは七月、八月、その終わりのころにはそういう認識を持っていたと思います。
○川内委員 委員長、済みません、何回も立ったり座ったりで本当に申しわけないんですが、あと二、三問で終わりますので、御勘弁をいただきたいと思うんです。
そうすると、プリオン専門調査会の吉川座長とも、寺田委員長は、その七月、八月の中間とりまとめを最終的にまとめる段階においては、食品安全基本法上に規定されている食品健康影響評価であるという認識を共有していたということでよろしいでしょうか。
要するに、吉川座長ときちんとそのことを話されていますねということを確認させていただきたいです。
○寺田参考人 法律上のことに関して吉川座長と私が確認するしないのことは、話はしておりません。
○川内委員 さらに、寺田委員長、食品健康影響評価というものは、平成十六年、昨年の一月十六日の閣議決定によって、原則としてパブリックコメントを行うということを定められています。中間とりまとめ、要するに食品健康影響評価ですね、この昨年に出された中間とりまとめなる食品健康影響評価は、パブリックコメントをされましたか。
○寺田参考人 通常やります一カ月間のパブリックコメントの募集はやっておりません。
○川内委員 食品安全委員会が発足をして、食品健康影響評価、諮問を受けて、たくさんやっていらっしゃると思います。みずから自発的に食品健康影響評価を行ったのはこの中間とりまとめ一件だけ。そのみずから行った食品健康影響評価に対してパブリックコメントをしなかったという委員長の御発言があったわけでありますが、これは、私は、原則としてパブリックコメントをやるという閣議決定に違反しているというふうに思われますが、それに対してはどのように御説明をいただけますか。
○寺田参考人 厳格に言うとそうなるかもわかりませんが、この場合、御存じだと思いますけれども、八月の初めと八月の終わりころですね、九月の六日に答申がございまして、その議論の間に意見交換会というのが、普通の形じゃございませんで、公募いたしまして、七人ぐらいの方だったかな、来ていただいて、それから専門委員会の先生も来ていただいて東京でやり、それと同時に今度はラウンドテーブルみたいな形で大阪でやりました。これが九月六日で、九月九日に私どもが中間とりまとめを委員会として認めたわけでございますが、その後、六回にわたってこの中間とりまとめに関して意見交換会をやり、それからさらに十月の十五日に今度は管理官庁であります厚生労働省、農林水産省から諮問が来まして、その後、五十回にわたって意見交換会を日本各地でやりましたけれども、その間は、中間とりまとめについての説明あるいは意見の交換を中心に委員会としてはやっていました。管理官庁は別の立場からやられましたけれども。
そういうことで、意見交換会ということで十分にやったと思いますが、しかし、先生が言われますように、十分広く国民の理解を得るという観点からすれば、中間とりまとめの際に意見、情報の募集を行うべきであったかなというふうに考えておりますし、今後は、みずからだけじゃなくて、緊急の場合が四件ほどございまして意見の募集をやっていないのがございますけれども、できるだけルールどおりにやっていきたいと思っております。
○川内委員 寺田委員長はさすがに真摯なお人柄を感じる御答弁であったかというふうに思います。今寺田委員長が御説明されたことは、恐らく事務局から、あした川内にこう聞かれたらこう答えてくださいというふうにいろいろ説明をされたんだと思います。
では、寺田委員長、最後に一問だけ。
中間とりまとめに対してはパブリックコメントが必要なんだということを事務局から説明を受けていましたか、当時の時点において。
○寺田参考人 説明は受けておりませんでした。
ただし、きょうの答弁は、事務局からこう言えああ言えと言われてやっているんじゃございませんから、よろしく御理解のほどお願いいたします。
○川内委員 寺田委員長、ありがとうございました。
事務局から、本来、食品健康影響評価は原則としてパブリックコメントを付すべきものであるという閣議決定があるということを寺田委員長は御存じなかったということがこの場で明らかになり、やはりこれは科学者の皆さんの真摯な議論を牛肉の輸入の再開につなげるために役所側が利用しているというふうに私は断ぜざるを得ない。これはまたこの次、さらに議論を深めてまいりますので、大臣、この後、またこの続きを請う御期待でございます。
それでは、寺田委員長、ありがとうございました。お忙しいようですから、どうぞ御退席いただいて結構でございます。
それでは、種苗法について聞かせていただきますが、今回、育成者権を加工品に拡大し、保護期間を五年間延長する、加工品は政令で定めるということであります。
私も、知的財産戦略の推進の中で、私自身の政治活動の大きなテーマであります農産物の地域ブランド、あるいはさらにはジャパン・ブランドを育てていく、日本の安心、安全でおいしい農産物を世界に輸出していく、国際競争力のある品物にしていくという上では、こういう育成者権というようなものはしっかりと保護していかなければならないものであるというふうに思います。
今回の改正によって育成者権が拡大をされるわけでありますが、その権利保護は十分に行われるのか、水際対策がどうなっているのか、今後どのように具体的に強化をされていくおつもりなのか、大臣に教えていただきたいというふうに思います。
○島村国務大臣 お答えいたします。
育成者権を侵害した農産物などを効果的に取り締まることができるようにするため、農林水産省からは、税関に対し、DNA鑑定などの品種識別技術の提供を行っているところであります。
また、独立行政法人種苗管理センターにおきましても、DNA鑑定を行うとともに、品種保護Gメンを設け、育成者権侵害の実態を調査することとしております。
また、今国会において関税定率法が改正され、育成者権の侵害物品の認定手続において、税関から農林水産省に意見照会できる仕組みが設けられたところであります。
現在御審議いただいております種苗法改正法案が成立いたしますと、加工品についても税関の取り締まりの対象となることから、今後、育成者権の保護強化のため、加工品のDNA鑑定の技術開発を推進し、税関と一層密接に連携し、効果的な水際対策を図ってまいりたい、こう考えるところであります。
○川内委員 前回の種苗法改正のときに、平成十四年でありますが、育成者権者の皆さんに権利侵害の状況などについてアンケート調査が行われたというふうに聞いております。その調査結果の概要、あるいはその概要がどのように生かされたのかについて、さらには、前回調査から三年たっておりますので、今回の法改正を機に、知的財産戦略にのっとってジャパン・ブランドを推進するという総理の所信表明演説もあるわけでありますから、さらに本格的な実態の調査というものをすべきではないかというふうに思われますが、農水省の見解をお聞きしたいと思います。
○白須政府参考人 ただいまの調査の関係のお尋ねでございます。
お話しのとおり、平成十四年の十月に育成者権者を対象といたしましてアンケート調査を実施したわけでございます。この結果によりますれば、育成者権者の二七%が国内外におきまして権利侵害を受けたことがある、あるいはその疑いがあるというふうな回答があったわけでございます。
したがいまして、私ども、もちろん、そのときのあれを受けまして平成十五年の改正にもつなげたわけでございまして、さらには、今回御提案を申し上げております加工品までの効力の拡大といったようなことを御提案するということで、そういった意味で、このアンケート調査を大いに生かすといいますか、参考にさせていただいているわけでございます。
さらに、ただいま委員からもるるお話ございましたとおり、やはり知的財産権の保護育成ということは大変重要なことだというふうなことも考えております。したがいまして、私どもとしましては、これらの制度改正の効果を検証しまして、あるいはまた、今後のさらなる侵害対策の推進ということで、本年度再度アンケート調査を実施しまして実態を把握してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○川内委員 農水省の方針として、本年度再度、育成者権者に対するアンケート調査を実施するという前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございます。
さらに、育成者権の侵害対策としては、福岡県農産物知的財産権センターの活動、あるいはこの福岡県を中心として二十の道県が参加した農産物知的財産権保護ネットワークの活動があるというふうに聞いております。福岡県というのは、知事さんが元特許庁の長官をやられた麻生さんですから、非常にこういうことに熱心で、前向きに取り組んでいらっしゃるんだなということを感じるわけでありますが、これらの都道府県の活動、今後は市町村にも広げていかなければならないし、やはり地域の農産物を守るという意味では、地域の自治体、都道府県というものがしっかりと知的財産権と結びつけていくという活動が必要になるというふうに思うんですが、これらの自治体に対する活動を農水省として支援をすべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○白須政府参考人 ただいまのお話のような、そういった自治体におけます活動、これはやはり農林水産省といたしましても、優良な新品種の適切な保護ということで、それが地域の農業振興にもちろんつながってくるわけでございますので、私どもといたしましても、こういった取り組みを支援しまして、農業の競争力の強化に努めていきたいというふうに考えているわけでございます。
具体的には、現在御提示しております法案によりまして、新品種の保護の強化ということとあわせまして、ただいまお話しの、都道府県、そういった自治体によります権利侵害の情報の収集でございますとか、あるいは新品種の保護に関します啓発活動、こういったものを支援していく、あるいはまた品種保護Gメンということで、権利侵害の相談受け付けでございますとか、あるいは実態調査といったようなことで、都道府県での同様な活動も支援してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
そんなことを通じまして、保護強化を通じた産地づくりということの支援に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
○川内委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
大臣、今、局長さんから、アンケート調査を再度実施するという御答弁や、さらには自治体を積極的に支援をしていきたいという前向きな御答弁をいただいたわけでありますが、大臣御自身として、農水省としても、農産物のジャパン・ブランド化、地域ブランド化をしっかりと推進をしていくためには、育成者権の権利行使を積極的に支援をしていくという大臣の決意をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○島村国務大臣 まず一般論から申しまして、我が国の農産物といいましょうか、青果物すべてを含めて、海外を歩いていて、本当に日本人というのはすぐれているなと。例えば、気象条件その他は必ずしも有利じゃないのかもしれませんが、ひいき目じゃなくて、私は、東南アジアなら東南アジアでかつてあこがれた果物類が、今では日本が一番おいしい、そんなものが、マンゴーでありバナナでありパパイヤであり、結構あるので驚いているわけであります。
しかし、それもみんな長い年月と努力の中に生み出している大変な価値ある技術でありますから、こういうものを守るというのは当然のことでありますが、そういう意味で、我が国の農業の競争力を強化するためには、やはり優良な新品種の適切な保護というものが当然必要なわけで、私は、新品種を活用した産地振興を図ることが何よりも重要であるとまず考えているわけであります。
そういう意味で、今回の法改正は、育成者権の効力を加工品にまで拡大することによりまして育成者権の強化を図るものでありますが、新品種による産地振興のためには、強化された育成者権が適正かつ効果的に行使できることが不可欠であります。
そういう意味で、先ほど局長が御答弁申し上げたように、一度やればいいのではなくて、何回でも皆さんの御意見に耳を傾ける、そして、十分な調査の中でまさに適切な対応ができたらこれは一番いいわけでありますから、それらについてこれからも指導していきたいと思っておるところであります。
なお、このため、農林水産省といたしましては、育成者権者の相談窓口の設置、あるいは権利保護のためのマニュアルの配布を行うとともに、独立行政法人種苗管理センターに品種保護Gメンを設置いたしまして、育成者権侵害の調査などを行っているところでありますが、今後とも、これらをさらに強化するとともに、育成者権の権利行使を積極的に支援していきたい、このことを申し上げたいと思います。
○川内委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
今、大臣からも御発言がございましたように、ブランドというのは長い年月と努力の積み重ねの上に結実をするものであるというのは、私も全くそのとおりだというふうに思いますし、これからの日本の農産物の知的財産戦略というものは非常に重要な課題であるというふうに、私も同様に考えております。
きょうは、本委員会に、政府の知的財産戦略推進事務局の荒井事務局長にお運びをいただいております。ありがとうございます。
政府の知的財産戦略推進事務局のお立場から、種苗法の育成者権侵害に対する水際対策というものについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
○荒井政府参考人 知的財産戦略推進本部の立場からいたしましても、育成者権は日本の非常に貴重な知的財産だという基本認識を持っておりまして、したがいまして、こういう育成者権の侵害に対しては、水際対策を含めまして政府一丸となって取り組んでいかにゃいかぬ、こんな方針で臨んでおります。
○川内委員 政府一丸となって取り組んでいくということでありますから、ぜひ、すべての役所をフル動員していただいて、この育成者権の保護というものをしていただきたいというふうに思います。
さらに、あすであろうと思われますが、あしたは金曜日ですから、政府の知的財産推進計画二〇〇五が閣議決定をされるのではないかなというふうに思うところでありますが、この知財計画二〇〇五の中で、育成者権関係についてどのような記述ぶりになっているのか、あるいは、されるおつもりなのかということをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○荒井政府参考人 明六月十日に知的財産戦略本部会合が開かれまして、そこで知的財産推進計画二〇〇五が決定される予定でございます。
その中におきましては、育成者権というのは非常に大事だという認識のもとにいろいろ取り組んでおりますが、現時点では詳細を申し上げるわけにはまいりませんが、ただいま御審議いただいている種苗法の改正案が成立した場合には、その的確な運用を図る、あるいはDNAの品種判別技術の開発を進める、審査期間を短縮する、民間が作成する品種登録の統一マークの普及を行う、こういうことが含まれる見込みでございますし、さらに、侵害対策を強化するためにいろいろ御議論もしていただいておりますが、品種保護Gメンが権利保護の実態調査や品種類似性試験を実施することにより、育成者による権利侵害の調査、実証を支援すること、こういうことも含まれる見込みでございます。
○川内委員 今、中国や韓国との関係が非常に微妙な時期でございますから、余り刺激的な発言は避けたいのでございますが、外交関係はおいておいても、農産物の関係について言えば、やはり、特に中国などはもうちょっと権利関係についてしっかりと国内措置を講ずる必要があるというふうに思われるわけでありますが、事務局長、中国と特定しなくていいです、他国との、特にアジアの国々の中での権利意識、あるいは条約の批准などについての記述ぶりというのは、今の御答弁からはなかったわけでありますが、どうでしょうか。
〔山田委員長代理退席、委員長着席〕
○荒井政府参考人 日本の知的財産がしっかり守られるということは非常に大事なことだと思っておりまして、育成者権を含めまして、知的財産権が外国、アジアにおいてしっかり守られるようにするのに力を入れていかにゃいかぬ、こういう認識でございまして、具体的には、アジア諸国に対してしっかり法制度を整備してもらって、国内の取り締まり体制を強化してもらう。こういうことでやっていくのは大事ですが、同時にまた、日本の権利が侵害されている場合には、相手政府に対して、しっかりしてもらうというような外交交渉をするとか、いろいろな注文を出すというようなこともやっていくということで、非常に、知的財産権の保護、特に、海外においても、あるいは水際において守るというのは重点項目として入れております。
○川内委員 終わります。ありがとうございました。
○山岡委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
最初に、森林組合法の改正について伺います。
先般発表された二〇〇四年度の森林・林業白書のトップでも紹介されているように、昨年は、地震や台風、集中豪雨など災害が相次ぎ、過去十年間で最大の被害額、二千五百億円にも上ると記されてありました。改めて、森林の持つ国土保全機能など、森、山への関心が注がれた年ではなかったでしょうか。
私もあちこちの被災地を歩きましたが、例えば三重県の宮川村。大変雨がよく降るところであります。今までは、雨が降り過ぎても、今回の台風以上の雨が降ってもしっかりと森が吸収し、ふもとの集落を守ってくれたと住民の方が言っておりました。そういう山が、逆に、長い間人手が入らず、荒れ放題になって、一気に崩れて多くの犠牲者をのみ込みました。後継者がいなく、林業では暮らしが成り立たない、間伐がほとんどされない、あるいは既に持ち主がいない山が多かったことが要因だとこの間指摘をされています。
既に、不在村者保有の森林面積は二四・六%にもなっていると聞いております。民有林の七割をカバーする森林組合の果たす役割が本当に今大きいと思いますが、その点について大臣の見解を伺いたいと思います。
○島村国務大臣 森林組合は、森林所有者の協同組織として、植林や除間伐の七割を実施するなど、森林整備の中心的な役割を果たしているところであります。
森林に対する国民の多様な要請にこたえ、その多面的機能を持続的に発揮させていくためには、森林組合が経営基盤を強化しつつ、施業受託や集約化など、効率的な森林施業に取り組むことが重要であります。
今回の法改正におきましては、このような森林組合の機能や、あるいは組織基盤の強化を図ることとしておりまして、これらの措置を通じて森林組合が役割を十分に発揮することができるよう努めてまいりたい、こう考えております。
○高橋委員 今の、効率的な機能を果たすというところに少し関連があるのかなと思うんですが、全国森林組合連合会は、森林組合改革プランの中で合併を積極的に推進し、一県一組合など統合再編を目指す方向を示しています。プランの現段階と、この合併による弊害がないのかどうか、考えを伺いたいと思います。
○前田政府参考人 まず、合併の状況でありますが、平成十五年度末の森林組合数、九百七十組合となっております。これは十年前と比較いたしますと約六割ということで、相当進んではきているわけでありますけれども、依然としてやはり常勤役職員が少ないとか、そういった業務執行体制、あるいは経営基盤、こういったものが依然として脆弱な組合が存在するというのが実情でございます。
市町村合併、こういったものが流動的な状況の中で、なかなか、それを見きわめないとというようなこともあったと思いますし、また、合併のメリット、こういったものがまだ十分認識されていない、あるいは組合間に財務格差が存在するというところで、いろいろな要因があろうと思いますが、やはり合併手続の簡素化、こういったところも図りながら合併を積極的に進めていく、それが森林組合全体としても大きなメリットになってくるというように考えておる次第であります。
○高橋委員 今、合併によるメリットとおっしゃいましたけれども、今最初にお話しした災害との関連、あるいは先ほど話題に出ていた労働災害というふうな問題からいっても、本来ならば地域での森林組合の役割というのは本当に大きいだろうというふうに思うわけですね。ただ、先ほど来お話しされているように、さまざまな厳しい経営条件があり、やむなく合併を進める、そういうふうな背景があるだろうと。私はその点を非常に残念に思うわけです。
また一方、国はいわゆる担い手への林地の集積という基本方向も持っているわけですが、こういうことに対しても、やはり、根本にある木材価格の低下や自給率の向上、この問題を本当に解決しなければ、担い手といってもそれは進んでいかないだろうということはお話ししておきたいなと思います。
その上で、今、木材自給率が二割を割り込んでから、木材の需要量も一億立米を下回り、昨年度の木材需要量は八千七百十八万立米にまで落ち込んでいます。ですから、まず材を使ってほしいと関係者から強い声が出ているのも当然ではないかと思います。
そこで、国産材や地元の材を活用して住宅をつくるなどの取り組みが全国に広がっていると思っております。きょう、ここに持ってきたのは、三八地域県産材で家を建てる会というNPOみたいな組織で頑張っているんですが、林業、製材業、地元工務店、本当に全体が一つの輪をつくって、地元の材を利用した家づくりをしよう、それに対して県としても支援をしている、そういう取り組みをされておるところであります。こうした全国に広がっている取り組みを支援して、強力に国産材の活用を進めるべきと思いますが、国の取り組み方向を伺いたいと思うんです。
あわせて、時間がないので一緒に言いますけれども、ハウスメーカーが早く安くをモットーに輸入材をどんどん使う、これに対して、やはり地元の工務店が太刀打ちできないという問題がございます。この点では国土交通省との連携も必要だと思いますけれども、木材を使うことが、むしろ耐震耐火構造という点でも本来は有利であるんだということのPR、あるいは、シックハウス病対策などが非常に大きく注目される中で、国産材の優位性、これをもっとPRしていって差別化を図っていく、そういう取り組みがあわせて求められていると思いますが、この点での見解を伺います。
○前田政府参考人 お話にございましたけれども、私どももそういったことで、やはり地域材、こういったものが使用されていくことは大事であるということで、森林所有者から住宅生産者までの関係者が一体となった家づくり、いわゆる顔の見える木材での家づくり、今お話ありました三八地域の方でもそういった運動がやられているわけでありますが、そういった運動に対します支援、あるいは低コストでの安定的な木材の供給、こういった体制づくり、こういったものに努めているところでございますし、また、住宅に使う場合には地財措置でいろいろな支援を行っている、そんな状況にあるわけでございます。
また、大手ハウスメーカーに対しましても、いわば一定の確認された品質、こういったものを安定的に出していくというようなことで、昨年度からも新たな取り組みをやっているわけでありますし、さらに、今お話ございましたけれども、やはり国産材、例えば杉ですと、無垢の材ですと、まさにハウスシックは関係ないわけであります。そういった利点も大変あるわけでありますので、そういったものを積極的にアピールしながら、国産材の振興、こういったものに努めてまいりたい、かように考えている次第であります。
○高橋委員 国においても少しずつではありますが努力が始まっているというふうに受けとめまして、さらなる支援をお願いして、次の法案がありますので、そちらに移りたいと思います。
種苗法の改正についてでありますが、種苗は農林水産業における基礎的な生産資材であり、収量、品質、耐病性など、すぐれた品種を育成することは、生産者にとっても消費者にとっても重要な意義を持つものだと考えます。
今回、育成者権の及ぶ範囲が加工品の生産、譲渡にまで拡大されることや、権利の存続期間を拡大するということは、産地の要望にもこたえるものであり、賛成であります。
そこでですが、実際の育成者権の登録期間が平均で五・二年であります。育成者権の存続期間について、アンケートに対し、現行どおりでよいとの回答が七割を占めているといいます。正直、意外でした。現体制が育成者にとって余りメリットがないということを示しているのかとも思われます。その要因についてどう考えるのか。そして、それでもあえて期間延長を提案したその理由を伺いたいと思います。
○白須政府参考人 ただいまの存続期間の延長の関係でございますが、お話しのとおり、存続期間のすべての平均は五・二年というふうなことでございます。
この短い要因といたしましては、品種登録されます植物のうちで、草花でございますとかあるいは観賞樹、これは比率が高いわけでございますが、こういったものは比較的商品としての寿命が短いということでございますので、短期間で品種登録の取り消しをされるものが多いということによるものではないかというふうに考えているわけでございます。
しかしながら、産地の主力品種として普及するような品種につきましては、期間の延長を求める声も非常に強うございまして、そういった意味で、やはり競争力の強化を図りますためには存続期間の延長ということが必要であるというふうに考えたわけでございまして、研究会におきましても、やはりアンケート調査の結果も検討した上で、存続期間の延長を検討すべきというふうに結論づけているところでございます。
○高橋委員 単純に、現行どおりでよいというアンケートだけではなく、やはり主力品種、あるいはロングセラーと言えるようなすぐれた品種を育成するという立場からこうした決断をされたということは、非常にありがたいことかなと思っております。せっかくのそういう権利を有効に行使できるために、水際でのチェック体制がやはり問われてくると思っております。
現在は、全国七つの税関でDNAの識別検査が可能な体制になっております。先日も、東京税関でイグサの「ひのみどり」の識別を拝見いたしました。分析キットの活用や他の品種への拡大も準備をされているということであります。今後の分析検査の拡大の見通しを伺いたいと思います。
また、対象となる品種を拡大するに伴って、当然、検査体制の拡充が求められます。単に権利者が申告をした、そういうときに限らず、品種保護Gメンあるいはサンプリング検査など、農水省の責任においての体制、これもしっかりふやす必要があると思いますけれども、お考えを伺いたいと思います。
○白須政府参考人 まず一点は、品種識別技術の方の対象品目の関係でございます。
現在、インゲンマメそれから小豆ではあん、イグサではござ、稲では米飯、お茶では製茶というものにつきまして、既に実用化技術が開発されておるということでございます。さらに、小麦粉、めん、コンニャク精粉などにおきまして、実用化に向けて技術開発が進められておるというふうなことでございまして、私どもとしては、この識別技術が確立したものから機動的に政令品目を追加するということで、できるだけ速やかに加工品の品目を拡大してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
もう一点、水際取り締まりのお話もあったわけでございますが、やはり侵害物品の水際取り締まりにつきましては、他の知的財産権の侵害物品の水際取り締まりと同様でございまして、税関におきまして行われておるということで、私ども農林水産省としては、この侵害物品の効果的な取り締まりが行われますように、DNA鑑定などの品種識別技術の提供、あるいはまた種苗管理センターにおきましても、DNA鑑定を行うというふうなことで支援をしているわけでございます。
また、関税定率法の方も今回の国会で改正をされまして、意見照会の仕組みが設けられたというふうなことでございますので、私どもとしては、加工品につきましても税関の取り締まりの対象となりますので、財務省税関と一層密接な連携を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
○高橋委員 今局長、支援というお言葉を使いましたけれども、やはり税関に対する、一義的には税関がやるんだという、法的な仕組みではそうかもしれませんけれども、支援という枠ではおさまらない話だと思うんですね。
先ほど来、ずっと午前からの審議の中でも繰り返し大臣も答弁されているように、種苗というのが農林水産業の基礎となる大事なものなんだ、その大事なものの権利を守るのは、やはり第一義的には農水省が責任を持たなきゃいけないんだと。単に支援をする、それで済むのかということが問われると思うんですね。いかがですか。
○白須政府参考人 委員も御案内だと思いますが、これは他の侵害物品の場合も同じでございまして、やはり水際取り締まりというものは、一義的に税関において行われるというふうなことになっているわけでございます。
そこで、私どもとしては、しかしながら、税関における水際取り締まりがより効果的に行われますように、税関からの意見照会に対する意見の提出でありますとか、あるいは税関が行う輸入品の検査に当たっての技術的なアドバイス、さらには、鑑定の依頼が当然向こうからございますので、それに対してDNA鑑定を直接我が方の種苗管理センターが実施する。
あるいはまた、今回、関税定率法の改正によりまして、侵害物品の認定のまさに参考となる意見を、直接、農林水産大臣が税関からの依頼に応じて、意見の照会に応じて意見を申し上げるというふうな制度的な枠組みもできたわけでございますので、こういったことを活用しながら、さらには税関との一層の連携を密にしまして、より一層の効果的な水際取り締まりが行われるように、農林水産省としても対応してまいりたいというふうなことでございます。
○高橋委員 今の答弁は先ほどの答弁と余り基本的に変わりがないわけで、この点について、そこだけやる時間がないですので、やはり本来の農林水産業の基礎を守るという立場で、いわゆる受け身ではなく、こちらから守っていくという立場に立ってほしいということは指摘にとどめたいと思います。
あわせて、不法な海外への持ち出しについて、これが本当は根元から絶てれば一番いいわけでありますけれども、やはり加工、輸出入扱い業者の中で、故意に持ち出して、海外で生産して日本にまた持ち込んでいるというふうに考えるのが普通ではないかと思うんですね。
そこで、その対策を強める必要があると思うんですが、一つに、熊本県のイグサの摘発が最初の事例であるわけですけれども、そのイグサにおいては一定の産地あるいはルートの特定などができているのかどうか、あるいはするべきと思うけれども、これについてはいかがでしょうか。
○白須政府参考人 種苗の海外への違法な持ち出し、ただいま委員からも御指摘があったわけでございますが、大変に残念なことながら、この持ち出しにつきましてのルートというものは特定ができておらないという状況にあるわけでございます。
しかしながら、我が国の新品種の種苗が違法に海外に持ち出される、あるいはそれによって増殖される、さらには生産をされました農産物が我が国に持ち込まれるということは、これはもう申すまでもなく、大変重要な問題であるわけでございます。
したがいまして、私どもとしては、一つには、税関とも連携を図りまして、我が国への輸入に当たりましての取り締まり、これはもう当然、先ほど来御議論ありますように、そこのところは連携してしっかりとやる。それから、持ち出しでございますが、これにつきましても、違法な種苗の持ち出しが起こらないように、空港におけますリーフレットの配布といったようなことも通じまして啓発活動を強化してまいりたい。もう一点は、やはり種苗業者といった方々への指導も強化してまいらなければならない。さらには、先ほどもお話ございました、品種保護Gメンといったような形を通じました育成者権侵害の実態の把握をしてまいる。
そういうことを通じまして、違法な持ち出しあるいは持ち込みというものの防止ということをしっかりとやってまいりたいということでございます。
○高橋委員 この持ち出しの問題については、私、今イグサのことを取り上げたのは、一つのヒントになるだろうと。雲をつかむような話ではなくて、現実に持ち込まれたルートや産地、手法がどんなものであったのか、それを、一つのことをきちっと調査をしていくことによって、やはりそういう手法が見えてくる、当然そう考えるんですよね。ですから、啓発も大事ですけれども、そこまで踏み込んだ取り組みを、ぜひこれは検討していただきたいと思っております。
先日、つくばの農業・生物系特定産業技術研究機構、これですけれども、視察した際、米一粒からDNA鑑定ができるシステムを見せていただいて、バンドが大変わかりやすいですので素人目にもよくわかるわけですが、それをさらに識別をして、新潟県から発注をされて、耐いもち病のコシヒカリのDNA識別を行っているのを見ました。残念ながら、こういう依頼が新潟県だけだということだったので、もっと生かせばいいのになと思ったわけです。貴重な研究成果をやはり地域ブランドの振興に結びつけていくということが非常に重要ではないかと思っています。
日本が外国へ出願している権利の件数が百五十九件に対し、外国から日本に出願する件数が三百五十四件、国内全体の三割を既に占めております。あるいは、種苗そのものの輸入、外国からの輸入も輸出の三倍にもなっています。そういう国際競争にさらされているという今の現状の中で、本当の国内の種苗農家の育成、保護、ここに力を入れるということが求められていると思うんです。この点は強く要望しておきたいと思います、もう一つ聞きたいことがありますので、ここは要望にとどめたいと思います。
そこで、最後にリンゴ火傷病の問題で伺いたいと思うんですが、リンゴ火傷病の検疫措置について、米国がWTOに訴えて、今、最終段階、再パネルに付されている段階になっておりますけれども、その最終決着の見通しについて、まず伺いたいと思います。
○島村国務大臣 我が国の火傷病の検疫措置につきましては、平成十五年十二月、これを国際協定、すなわちSPS協定に整合させるべきとのWTOからの勧告を受けまして、昨年六月に改正を行ったところであります。
しかしながら、ただいま御指摘ありましたように、米国はこの改正措置を不服としまして再パネル設置を要求いたしました。この再パネルにおいて、我が国の措置は国際協定に整合していると主張してきたところでありますが、再パネルでの審議は我が国にとって厳しい感触であったと報告を受けております。
したがいまして、再パネルの最終報告で、我が国の措置が国際協定に整合していないとの判断がなされる可能性が高いと考えておりまして、もしそのような場合には、検疫措置を改めて改正することが必要である、こう認識いたしております。
○高橋委員 非常に最悪の結果が今出るのではないかということで、おそれを持っているんですが、まず、アメリカがいわゆる対抗措置として主張している百五十五億円、この根拠がどうなっているのか伺いたいと思うんですね。少しわかりやすくするために、アメリカからのリンゴの輸入実績に照らしてこの額はどういう額なのか、少し御紹介いただきたいと思います。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
対抗措置として百五十五億円の報復関税というものを申請した事実はございますけれども、その具体的な積算根拠等については、私どもつまびらかに承知をいたしておりません。
この対抗措置の承認申請とあわせまして、日本の方からは、再パネルの設置についてアメリカと協議をして、こちらのプロセスで現在まで来ておりますので、今先生お尋ねの具体的な、その百五十五億円が妥当かどうか云々というのは、仮にその再パネルの結論が得られて、かつまた日本とアメリカとの間でその再パネルの結論を踏まえて協議をした結果、調わなかった場合に、今度はそちらの報復措置にいくということでありますので、その際に、確認その他、必要なことはチェックしていきたいというふうに思っております。
○高橋委員 ですから、リンゴの輸入実績に照らしての額の意味です。
○中川政府参考人 アメリカからのリンゴの輸入実績というのは最近ありませんので、平成七年、これが過去最大の輸入量でありますけれども、八千四百九十七トン輸入をされております。これを金額にいたしますと十四億円程度というふうになるわけでありますが、これと今アメリカが言っております百五十五億円との関係その他、確かなことは私ども承知をいたしておりません。
○高橋委員 ありがとうございます。
過去最大の輸入実績を見ても十四億円しかないわけですね。それに対して、今アメリカが百五十五億円という報復関税を持ち出している、これだけを見ても、全く根拠がないものだと思うんですね。
しかも、関税ですから、それがいろいろな、工業製品ですとか別なものにばらばらにかけられてきて、ほかのものに影響を与える、そういう問題にもなりかねないわけですので、本当にこれは納得のいかない不当なものであると私は思っております。
火傷病は、リンゴだけでなく、ナシやサクランボあるいはバラ科の植物全体に発生し得るものであります。しかも、一度侵入を許すと有効な防除策がありません。湿度の多い日本の方が蔓延しやすい気候条件でもあります。米国で使われているストレプトマイシンでは、むしろ別な、副作用という心配もあります。それをアメリカは、緩衝地帯をゼロにしろ、つまりは、発生した園地のすぐ隣の園地でも出荷して大丈夫、そう言っているわけです。全くアメリカの措置こそ根拠がないと思います。
これはBSEと同じ構図なんだ、とてもアメリカの言い分は承服できない、私はこのように思いますけれども、アメリカの要求が非常に不当なものである、科学的な根拠はないものであるということに対して、大臣にぜひ、同じ認識かどうか伺いたいと思います。
○島村国務大臣 私は、たとえアメリカであれ、これが中国であれ、自分が正しいと思うことは常に自分の言い分をきちんと主張するのを主義としておりますので、今回のことについては報告を受けていて、自分が当事者として出席したわけではございませんが、事情をよく聞いて、我々の納得のいく線で話を進めたい、こう考えております。
○高橋委員 相手がだれであろうとという大臣のお言葉でした。最終段階に来ておりますので、本当に日本の、そういう大臣の強い覚悟をいただきたいと思うんですね。さっき言いましたように、リンゴだけではないですので、全体に広がる問題なんだと。
日本の検疫措置が科学的でないとアメリカは言うんですけれども、ではアメリカの言っている措置が科学的かというと、それもまた根拠がないわけですね。そういう点で、日本がもっと根拠をそろえる必要がある。SPS協定は、科学的に正当な理由がある場合、国際基準や指針、勧告よりも厳しい措置をとることを認めています。これを立証する材料が、やはり発生国じゃないので、アメリカに行かないと、それは材料をそろえることができません。
日米共同研究がやられていましたけれども、それが今中断しているという段階で、データが足りないと私は率直に言って思うんですね。この点での、やはり発生国へ行っての研究がまず絶対必要だと思います。この点と、前から県としても要望していましたけれども、防疫マニュアルを整備すべき、この点について、どうなっているのか、見通しと、それを生産者に対してどう説明するのか、伺いたいと思います。
○中川政府参考人 まず、火傷病発生国等との共同研究の問題でありますけれども、私どももこういったことは必要だというふうに思っておりまして、これまでも、世界会議などにおきまして、ワークショップなどには研究者を派遣したりということはいたしておりますけれども、新たな知見あるいは情報の収集のために、必要に応じて、火傷病について、発生国と共同研究を行うということにつきましても検討いたしてまいりたいというふうに思っております。
それからもう一点、防疫マニュアルのことでございますが、昨年の植物検疫に関する研究会報告を受けまして、現在、この防疫マニュアルの作成を急いでおります。もう間もなく成案を得ることになるというふうに思っておりますので、再パネルの最終報告が出ました暁には、そのことにつきましても生産者を中心に御説明もしていかなければいけません。そういった機会をとらえて、この防疫マニュアルにつきましてもきちっと説明をいたしたいというふうに思っております。
○高橋委員 最悪の結果にならないように、また、なってもしっかりと生産者が納得いける対策を最大限とるように要望して、終わりたいと思います。
○山岡委員長 高橋委員、ちょっと待ってください。
高橋委員にですか。――どうぞ。
○前田政府参考人 恐れ入ります。
先ほど、私、答弁の中で、ハウスシックというように申し上げてしまったかと思いますが、シックハウスの誤りでございました。申しわけありません。訂正させていただきます。
○山岡委員長 次に、山本喜代宏君。
○山本(喜)委員 社民党の山本です。
最初に、森林組合法の改正案についてお伺いをいたします。
森林施業計画についてでございますが、現在、五年ごとに森林所有者本人あるいは所有者と委託契約を結んだ森林組合、素材生産業者等が作成する森林施業計画が、市町村の森林整備計画に沿ったものであれば、市町村長の認定を受けて、計画に基づく各種施業に対して助成措置が受けられるというふうになっています。この森林施業計画の認定面積が、平成十三年度現在で民有林の八割というふうになっています。一方で、残りの二割というのが計画が立案されていないということでございます。
この施業計画が認定を受けるためには、三十ヘクタール以上の団地というふうなハードルがあるわけですね。ですから、この条件を満たさなきゃならないということがこの残りの二割になっているんじゃないかというふうに思うんですが、この点について林野庁はどのようにお考えでしょうか。
○前田政府参考人 御指摘のとおり、一定規模のまとまりを持っていないと施業計画の認定要件に該当しないということで、三十ヘクタールということでやっておるわけでありますけれども、さはさりながら、いわゆる小規模所有者でありましても、いろいろほかの所有者と共同で作成したり、あるいは、受託を受けまして、他人の所有者の、他人の山でありましても一緒に施業計画を立てるという形であれば当然認定になってまいりますし、また、その条件も、まとまりがなくても、ある程度一定の通勤圏内であるとか、そういう形であればできるということになっておりますので、そういった形の中で施業計画の策定は可能ということでございます。
それと、その場合は確かに高率になるわけでありますが、三十ヘクタール未満であっても当然補助金は出るということでございますし、また、間伐なんかの場合は一定の補助率が出る形になっておりますので、今後とも、そういった形で施業の集約化、そういったことも進めながら森林整備の推進に努めてまいりたい、かように考えております。
○山本(喜)委員 三十ヘクタールにならなくても確かに補助はあります。しかし、実際は低いわけですね。
森林所有者の七三%が所有面積が一ヘクタールから五ヘクタールということですし、そうした中で、森林所有面積百ヘクタール以上の所有者の間伐が七四%、そして二十から百ヘクタールは六四%ということで、二十ヘクタール未満の小さな規模の所有者ということになると、間伐が半数でしか行われていないわけでございます。
ですから、小規模になればなるほど間伐が行われていないという実態にあります。京都議定書が発効して、これから森林吸収面積の達成に向けて努力しなきゃならないわけですが、やはり小規模森林における整備を促進していくということが非常に重要になっているんじゃないかというふうに思います。
そうした意味で、この森林施業計画の認定基準の緩和でありますとか、あるいは施業計画に基づかない整備事業においても、その要件の緩和とか、あるいは補助率を引き上げるとか、そうした小規模森林の整備を促進するような対策についていかがでしょうか。
それからもう一つは、健全な森林を確保するためには、初回間伐、樹齢が二十から二十五年というのが非常に大事になっているわけです。しかし、間伐材が余りその利用がされないという状況の中で、採算の面からなかなか間伐されていない、おくれるというのが現状です。ですから、間伐材の利用拡大とともに、間伐費用の全額国庫負担というようなことも検討していいのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○前田政府参考人 間伐の場合、確かに施業計画の関係はあるんですが、これはやはり、一定程度のまとまりを持って森林の整備をやっていくということが公益的機能の発揮の面とかいろいろな面でも必要なことでありますので、ぜひそういった形で、むしろ集約化を図っていく、あるいは森林組合に一定程度皆さん受託をやっていく、そういう形の中でぜひ進めていっていただきたいなというふうに思っております。
それと、今お話ございました間伐につきましては、緊急間伐推進団地、そういったところに指定して、集団的な間伐を行う場合には高い助成水準を適用するということにいたしておりますので、そういった形の中を通じながら間伐の推進を図っていきたい、そういうふうに思っております。
それと、間伐の関係で先ほど全額公費というお話もございましたけれども、所有者の方々がなかなか自力ではやりにくい、そういった場合には、いわゆる公的管理といいますか、公的な森林整備という形で、市町村、都道府県が関与する形の中で非常に高い助成率でもって間伐をするという道がありますし、また、国土保全上問題であるというようなところにつきましては、治山事業ということで国と県と全額国費と公費で所有者負担なしという形でやるというような形もとれますので、そういったものの中で必要な間伐につきましては確保していきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
○山本(喜)委員 公費で賄うようなところは、非常に大変急斜面であるとかそうしたところなんですね。ですから、普通の里山の中で小規模な所有者がかなり多いわけです。私のうちも山林があるんですが、六カ所、七カ所ぐらいで小さく分かれて、これを三十ヘクタールにまとまってということになると、なかなか小規模なところは現在やりにくいというような現実が実際あるわけでございます。そうした意味で、実態に即したようなやり方が大事ではないかというふうに思っていますので、ぜひさらに検討をお願いしたいというふうに思います。
そこで、昨年の通常国会で森林法の改正がされまして、要間伐森林制度ということを改善したわけですが、まだ一年ぐらいしかたっていないんですが、市町村段階での要間伐森林指定等についてどのように改善されているのか、お伺いします。
○前田政府参考人 昨年の春、森林法を改正いたしまして、間伐強化ということで、例えば施業勧告、こういったものにつきましても入れたわけでございますが、まだ実施してから日が浅いということもありまして、具体的な発動といったような形にはまだ至っておりません。
ただ、いろいろ間伐につきましては、勧告を発動する前に指導とかそういう形の中で実際には行われているというふうな形でございまして、今後とも最大限、どうしても必要な場合にはそういう形でいこうかと思いますけれども、できるだけ指導あるいは助成、そういった形の中で進めれば、そういった形の中で進んで取り組んでいきたいというふうに考えております。
○山本(喜)委員 まだ一年しかたっていないので、すぐに大きな効果ということは難しいと思うんですが、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
次に、森林所有者に対する直接支払いの件ですが、現在、人工林、戦後大半造林されたわけですから、かなり蓄積されているわけです。ですから、伐採可能な時期になっているわけですが、現在の価格水準ということになると、なかなか供給量はふえにくい状況にございます。
需要を確保して、伐採、植栽、育林というサイクルが確立されないと、林業の健全な育成ということにはならないわけでございます。ですから、森林の持つ多面的機能を発揮させるためにも、森林所有者に対する直接支払い、農業においても中山間地直接支払いというのがありますが、森林所有者に対してもこのような制度を検討してはいかがでしょうか。
○前田政府参考人 現在、我が国の林家の実情からいいますと、一ヘクタール以上の森林を有している林家、そのうち林業によりまして家計費の六割以上を賄うという林家につきましては一%未満ということで、ごくわずかな状況にございます。そういう意味で、そういった形がストレートに入るということはなかなか難しいのではないかというような思いがいたしております。
特に、林業の場合に、作業もなされたり、なされなかったりという形で間断的でありますし、所得も毎年発生するわけではないというようなこともございまして、こういった所得補償制度という制度につきましては、林業の場合なじみにくい面があるというように考えている次第でございます。
したがいまして、そういった問題につきましては、慎重に検討していく必要があるのではないかというように思います。
○山本(喜)委員 実際、木を植えてから伐採するためには五十年以上を必要とするわけですから、そういう意味で、所得は毎年発生はしませんけれども、しかし実際、手を加えていかないと、これまた森林整備も行われない、山がどんどん荒れていくという現状でありますから、どうしてもそうした、特に規模が小さいところが多いわけですから、対策をどのようなものができるか、これは検討が必要ではないかというふうに思います。
次に、林業労働者の育成確保についてでありますが、平成十二年の国勢調査によりますと、林業労働者六万七千人、うち六十五歳以上が二五%を占めるという現状をこのまま放置すると、平成二十二年には四万七千人まで減少するというふうな指摘がされております。
森林・林業基本計画並びに地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策、こうしたものを着実に実施するためにはどれだけの労働力を見込んでいるのかどうか。
それから、担い手の確保ですが、緑の雇用担い手育成対策事業ということで取り組んではおりますが、定着率が低いというふうな指摘もございますが、実態はどうなっているのか。
それと、厚労省が実施している林業就業支援事業との連携はどのように行われているのかということですね。
それから、先ほど来指摘されておりました、定着率を促進するためにも、林業労働者の社会的地位の向上、労働条件の改善というのが必要だと思いますが、そうした点についてどのようにお考えでしょうか。
○前田政府参考人 最初の一点目でございますけれども、必要労働力、一概には言えないわけではありますけれども、機械化などの生産性の向上も考えれば、今お話がありました平成十二年、約六万七千人でありますが、そういった現状程度の労働力は維持していくことが必要であろうというように考えております。このために、緑の確保対策事業等々も含めながら、私どもも担い手の確保、育成、こういったものに努めてまいりたい、かように考えております。
また、緑の雇用担い手育成対策事業の定着率が低いというお話がございましたけれども、平成十五年度の研修修了者について見ますと、そのうちの九割近くが本格就業している。また、平成十六年度の研修修了者につきましても、本年四月に九割以上本格就業するということで、一定の成果が得られているのではないかなと。また、今後に向けて、さらにこの方々がきちんと定着していくようにいろいろ努力してまいりたいというように考えている次第でございます。
それと、三点目にお話のございました、厚生労働省の林業就業支援事業との関係でございますが、御案内のように、緑の雇用につきましては、厚生労働省の緊急雇用、これを半年から一年やりまして、二年目に今度は林業サイドの方として実地に研修をやって、そして三年目に本格就業というようなことで進んできたわけでありますが、この厚生省の緊急雇用が十六年度で一応終了ということで、十七年度からは林業就業支援事業ということで、春と秋に林業関係の就労者の研修を行うというような形に変わってきております。そういったことも踏まえまして、今私どもも十八年度以降どういう形でやっていくのかということで、今までの実施状況、こういったものも踏まえながら、また厚生省の就業支援事業、これとの連携のあり方も含めまして、今後の担い手対策について検討していきたいというように考えている次第でございます。
それと、最後になりますが、林業労働者の労働条件の改善でございますが、先ほどもお話ありましたけれども、林業の場合、依然として他産業に比べてなかなか就労条件もいろいろ悪い、そういうような状況がございます。そういった中で、やはり雇用の安定、そしてまた事業の安定、こういったことを図ると同時に、いろいろ支援センター等を通じまして、研修ですとかあるいはアドバイス、そういったことを進めますと同時に、各県において持っております担い手対策基金、こういったものを使いまして、社会保険の掛金助成ですとか、安全対策の整備に対します助成、こういったものにも努めていくところでございまして、今後とも、林業労働者の労働条件の改善に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○山本(喜)委員 先ほど、緑の雇用担い手対策、定着率が九割とか、いろいろ言われておりましたが、平成十六年度の森林・林業の白書、これによりますと、新規林業就業者の四から七年後の定着率は五五%にすぎないというふうに書いてあるんですね。ですから、去年は確かに九割だったよと。その人たちが引き続き、あと三年、四年というふうになっていないというのを白書の中でちゃんと出ているんですね。ですから、去年はよかったとかと言っているんじゃなくて、実際、長い目で見れば、長く定着していないというのが現状だということを理解してもらわなきゃならない。
特に、この間、森林労連の交渉がございまして、一緒に参加しましたが、厚生年金とか、そういう掛けている職場が、二〇〇二年が七三%、これは北海道のものですけれども、二〇〇四年には五八%に下がっているというふうな実態があるわけです。ですから、社会保険とかそういう完備も含めて、極めて劣悪になっている、死亡災害も多いというのが現状ですから、確かに研修を受けて就業はしたが、これが三年、四年と働いていけない状況になっているんではないかということを私は言いたいわけですよ。そのことはどうですか。
○前田政府参考人 先生おっしゃられました定着率五五%、これはたしか平成八年ぐらいからの、八年から十年ぐらいにかけての林業就業者の定着率、これにつきまして分析したものであったかというふうに記憶しておりますけれども、かつてそういう状況もありましたので、先ほど申し上げましたように、緑の雇用で本格就労が九割以上という形になっているわけでありますけれども、そういった方々がぜひ定着していけるように、事業量の確保とか、あるいは就労条件の改善、あるいは雇用の安定、いろいろな形でそういった就労環境の整備を図って、少しでも定着が高まっていくようにということで私どもも努力していきたい、そういうふうに思っている次第でございます。
○山本(喜)委員 済みません、種苗法を聞く時間がなくなりました。
以上で終わります。
○山岡委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
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○山岡委員長 これより両案に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、内閣提出、参議院送付、森林組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、参議院送付、種苗法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○山岡委員長 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十一分散会