衆議院

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第20号 平成17年6月15日(水曜日)

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平成十七年六月十五日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 山岡 賢次君

   理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君

   理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君

   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      岡本 芳郎君    梶山 弘志君

      金子 恭之君    上川 陽子君

      川上 義博君    木村 太郎君

      北村 直人君    後藤 茂之君

      後藤田正純君    田中 英夫君

      津島 恭一君    西村 康稔君

      原田 令嗣君    森  英介君

      一川 保夫君    稲見 哲男君

      岡本 充功君    鹿野 道彦君

      川内 博史君    岸本  健君

      小平 忠正君    鮫島 宗明君

      神風 英男君    仲野 博子君

      堀込 征雄君    大口 善徳君

      高橋千鶴子君    山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   内閣府副大臣       七条  明君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         伊藤 健一君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            村上 秀徳君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            川村秀三郎君

   政府参考人

   (林野庁長官)      前田 直登君

   政府参考人

   (水産庁長官)      田原 文夫君

   参考人

   (全国農業協同組合中央会専務理事)        山田 俊男君

   参考人

   (全国農業協同組合連合会代表理事理事長)     田林  聰君

   参考人

   (農林中央金庫代表理事理事長)          上野 博史君

   農林水産委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  松木 謙公君     稲見 哲男君

  山内おさむ君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     松木 謙公君

  川内 博史君     山内おさむ君

    ―――――――――――――

六月十日

 食料自給率の抜本的向上に関する請願(大島理森君紹介)(第二〇九六号)

同月十三日

 食料自給率の抜本的向上に関する請願(木村太郎君紹介)(第二四八一号)

同月十四日

 食料自給率の抜本的向上に関する請願(楢崎欣弥君紹介)(第二五九一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三〇一四号)

 同(石井郁子君紹介)(第三〇一五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三〇一六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三〇一七号)

 同(志位和夫君紹介)(第三〇一八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三〇一九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇二〇号)

 同(山口富男君紹介)(第三〇二一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三〇二二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

山岡委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官伊藤健一君、総合食料局長村上秀徳君、消費・安全局長中川坦君、経営局長須賀田菊仁君、農村振興局長川村秀三郎君、林野庁長官前田直登君及び水産庁長官田原文夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、本日は、参考人として全国農業協同組合中央会専務理事山田俊男君、全国農業協同組合連合会代表理事理事長田林聰君、農林中央金庫代表理事理事長上野博史君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

    ―――――――――――――

山岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田正彦君。

山田委員 きょうは、参考人として全中の山田さんに全農の田林さん、それから農林中金の上野さんにもわざわざ来ていただいて、大変ありがとうございます。

 きょうは、全農のいろいろな不祥事件等々もあったわけですが、そういったものも含めて、いわゆる農協、漁協、系統、そしてその金融問題等を含めて、ひとついろいろとお聞きをさせていただければと思っております。

 農協、漁協は各都道府県においてそれぞれ信用事業を営んでいるわけですが、その信用事業の中で、いわゆる貸出業務、信用事業、それがだんだんできなくなってきている漁協、農協も出てきているわけです。自己資本比率が、前々から問題になっておりましたが、系統、いわゆる農協、漁協関係はこれが何%になっているのか、その点について。

 農水大臣でなくても、副大臣でも結構です。これは主務官庁である農水省と金融庁が共管となっているようですが、その自己資本比率そのものは何%になっているのでしょうか。答えだけ答えていただければいいんで、いろいろな説明は要りませんから。

岩永副大臣 JAバンクの基本方針、それからJFマリンバンクの基本方針、これを全国の農漁協に案を示して、そして自主的に策定したのがJAで八%、これは農協ですね、それからJFマリンバンクでは一〇%、こういうことになっております。

山田委員 私が聞いているのは、大臣告示で自己資本比率は何%になっているかということです。

岩永副大臣 四%でございます。

山田委員 きょうは、金融庁から副大臣が来ていますが、何%になっていますか。

七条副大臣 金融庁、四%でございます。

山田委員 私は生まれが島で、五島列島出身ですから、今でもよく浜回りしておりますけれども、二年ほど前、対馬に行ったときに、続けて二軒ほど葬式に行くことになりました。漁業者の葬式です。豆酘と阿連というところですが。いずれも自殺ということでした。

 何で自殺したのかというと、漁協さんに借りているお金が返せなくなった。保証人に対して取り立てが厳しくなって。ああいう島の田舎ですから担保価値もほとんどない。そういったところから、結局自殺してしまった。当時の町長さんから、山田さん、万関橋からもう二人ほど飛び込んだよという話も聞きましたけれども、大変そういったことが頻繁にというか、悲しいことですけれども、なされておった。

 何でそういうことになっていったのか、何で漁協はあの時点で厳しい取り立てを保証人に対しても始めたのか。私は、その原因を調べていきましたら、先ほど副大臣が、漁協関係は一〇%に自己資本比率を、そして農協関係は八%に自己資本比率を決めたということでした。これはどこが決めたのでしょうか。どこでそういう決定をなされたのか。私もこの委員会で何度も、農水大臣にも、いろいろな省庁にも聞きましたが、自分のところでは決めていない、そういうお話でした。どこが決められたのか、ひとつ農水大臣、もしおわかりでしたらお答えください。

岩永副大臣 先ほどもちょっとお話をいたしましたように、農林中央金庫が全国の漁協に示した上、経営管理委員会及び総代会の承認を受けて自主的に策定したもの、これは農協も同じでございます。

山田委員 農林中金の理事長、きょう来ていただいておりますが、農林中金で決めたことには間違いありませんか。その手続はどういう手続であれ、農林中金が決めたということに間違いがないかどうか、端的にお答えをいただければと思います。

上野参考人 間違いございません。

山田委員 農林中金はどういう法的権限でそれを決めたんでしょうか。大臣告示は四%となっている。それが一〇%で、信用事業ができなくなるよと各漁協に言われますと、各漁協では、漁民はその地域の漁協を頼りに日常の生活をやっていますから、これから何の金も借りられなくなるとなったら大変なことなんです、これは。それが四%だったのが急に、これは平成十五年一月からそうなっているようですが、何でそういう形で、どういう法的権限を持ってやられたのか。

上野参考人 お話の数字はJAバンク基本方針あるいはJFマリンバンク基本方針というものに書いてあるわけでございますけれども、これは平成十四年一月から施行されております農林中央金庫及び特定農林水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律、この規定に基づきまして、農林中金の例外的な業務といたしまして、系統の各機関に対する指導業務というものをすることができる、こういう根拠規定ができまして、それを行う際には、先ほど申し上げました基本方針というものを定めて、それに基づいて行うんだということで、行っているところでございます。

山田委員 指導方針は結構です。それは、農林中金が系統のトップとして指導なさるのはごもっともだと思います。しかし、指導方針が、法律にある四%の枠を超えて、一〇%、八%にするというのは、これは法令違反ではありませんか。

上野参考人 四%の告示の基準というのは、それを割った場合にはいろいろな指示が出て、信用事業なり金融事業を営めなくなるという基準でございまして、各金融機関ともそうだと思いますけれども、それぞれ貯金者の信頼を得る、そういう観点から、自己資本比率というものをこれより高く保とう、そういう努力はいたしているというふうに存じております。

 私ども系統信用事業につきましては、零細な農漁協が多い、資本的な基盤の薄いところも多いというようなことでございますとか、あるいは総合事業を営んでいる、したがってそれぞれの農漁協の業績が年によって振れるということも大いにあり得るというようなことを考えまして、貯金者の保護、貯金者の信頼を得るという観点から、より高い水準の自己資本比率を達成すべく目標としては定めておる、こういうことでございます。

山田委員 預金者のいわゆる信頼を得るという趣旨ですか。

上野参考人 もちろん一番大事なことはそういうことだと思います。しかし、それに加えまして、漁協が行う信用事業がより的確に行われるということは、組合員に対するいろいろな信用事業のサービスの提供という観点からも大事なことだというふうに思っております。

山田委員 信用事業あるいはいろいろな事業をもって漁協は、そのままそこの地域の生活に密着しているわけですが、今申しましたように、預金者保護だったら、ペイオフ解禁になるまでは貯金保険機構で守られている。今でも利息のつかない口座に入れれば貯金保険機構で守られている。そうであれば、全国に自殺者まで出すような、そういう厳しい取り立てをあの時期やった責任、これは非常に重大だと思っております。

 大臣、今お聞きになったと思います。大臣の告示では四%となっている。ところが、農林中金が一〇%で指導して、そして大半の小さな漁協は信用事業が行えなくなった。皆さん漁民は困っている。自殺者まで出てしまった。そういうことに対して主務官庁は、この農協法でいくと、監督責任は大臣にある。大臣、どう思われますか。これは大臣がそのまま感想を述べていただければ結構です。

島村国務大臣 基本的には農協、漁協、それぞれ独自で、自分たちが信用事業を行う上での責任の持てる範囲ということで決めていることでございますが、通常はそういうことで今日まで来ているわけですが、我々が承知している範囲で、それほど厳しい取り立てをしているしていないという話についての、例えば苦情が寄せられるということは現実には余りないわけであります。

 それは、陳情もあれば、いろいろな窮状を訴えられる文書も来れば、また直接的にお訴えをいただくこともありますが、この種のものは、正直言って、私は今回の就任以来およそ経験をしないわけでございますが、この上ともに実情をよく調べて、行き過ぎがあれば我々なりにまたいろいろ協議をし、いい方向へ持っていきたい、こう思います。

山田委員 今の大臣の答弁では、そういうことは陳情も受けていないし、そういう実情について、そういう厳しいものとは認識していないというふうにとってよろしいですか。

島村国務大臣 私は、指導監督という意味において、ルールを踏みにじっているとか、何かいかがわしい事件があるとか、あるいはそのような御指摘がある場合には迅速にかつ厳しく対応しているつもりですが、原則はそれぞれの所管をなさる組織の長その他の運営にお任せするというのを基本にしているわけであります。

 もし、具体的に今山田委員の御指摘になったようなケースがあるならば、実情を調べることもやぶさかではありませんし、またそれなりにすぐ対応することもやぶさかではありません。また同時に、任せるということは放置するとは違いますので、御理解いただきたいと思います。

山田委員 当時、私もこの問題をこの委員会でも取り上げたわけですが、結局、農林中金において、各漁協関係において、各農協関係において自主的に決めたんだと、そういうお話だったが、上野理事長にお聞きしたい。自主的に決めたということですが、どういう形で決められたのか、端的にお答えいただければと思います。

上野参考人 この基本方針を決めるに当たりましては、特に漁協の場合には、それぞれの地域に出向きまして、漁協の方々との意見交換をするというようなところから始まりまして、系統の関係者でつくっております金庫の内部的な機関で素案の審議をし、JFマリンバンク中央本部というような、金庫の中の各信漁連の代表者がお集まりになっているそういう場での御審議を経、さらには経営管理委員会の決定を経て、最終的に総代会で決定をいたしたものでございます。

山田委員 そうお聞きして、私も各漁協、農協さんの組合長さん方に、私の知っている限りでずっとお聞きしてみたら、組合長さん方はだれも、我々は総代会に出て、そしてそういう相談を受けて、四%と法律で決められているものを一〇%なり八%にという話は聞いていない、いわゆる総代会の手続を経て自主的に決めたというのは、これは実態とは異なる。

 いわゆる預金者保護であれば、貯金保険機構がある。私は、行き過ぎた自己資本比率の設定であり、これによって多くの人が実害をこうむったということは言えると思う。

 そういった中で、金融副大臣、それに対する監督責任、いわゆる法律で決められた自己資本比率を大きく上回ってやったことに対しては、何にも責任はないのかどうか、お聞きしたい。

七条副大臣 先ほど来農林水産省あるいは各農業団体の方からも御答弁があったところでございますけれども、法律上、早期是正措置として、自己資本比率が四%を下った場合については改善計画等の提出を求めることができるようになっております。

 しかしながら、先ほど来お話がありましたように、各系統金融機関で経営について、法令よりも厳しい業界の自主ルールを定めて、より一層の健全性の確保を図るということでは、これは小口あるいは多数の預金を抱える金融機関としては、健全性の確保という意味では望ましいものではないか、そういうふうに考えるところでございます。

山田委員 金融庁も責任がある、主管庁、共管ですから。自主ルールであればと言いましたが、本当に自主ルールであれば問題ないでしょう。ところが、末端における農協、漁協においては全くそういったことも知らされておらず、いきなり上からそういうことになって、しかも信用事業をできなくなったという。実際に信用事業ができなくなっている。このことについては、金融庁としては法的に全く問題ないと言えるのかどうか。もし全く問題ないと言えるのであったらば、これから先、さらに私はそれを追及していきたいと思う。はっきり答えていただきたい。

七条副大臣 答弁を繰り返させていただいて恐縮でございますけれども、法令上、いわゆる農協、漁協の監督権限は都道府県が有しております。都道府県において適正な監督が行われることと信じておるところでございますし、金融庁としては、信用事業を行ういわゆる信用農協連あるいは信漁連及び農林中金について、農林水産省とともに監督を行っており、今後とも農林水産省と連携をし、適切な監督に努めてまいらなければならないと考えておるところでございます。

山田委員 差しさわりのない、だれかが書かれた答弁を読まれたんじゃないか、そう思われますが、今はそれ以上副大臣を追及したところで仕方がないと思いますので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 現在合併が進められております。各漁協の合併をかなり強力に進めておられるようですが、副大臣、私もおととい、島の漁協を回ってきました。みんな合併するかしないかということで揺れ動いております。その中で、「漁業協同組合代表理事組合長殿」という、水産庁水産経営課並びに全漁連JF強化本部、これの十七年五月二十三日付の事務連絡、これをいただいてまいりましたが、その中の一部を読んでいきます。

 「当時千六百一であった全国の漁協を最終期限の二十年三月までに二百五十とする計画を立て、不退転の決意で同計画を実現させる旨、与党議員に約束しております。」これは水産経営課、水産庁が与党議員にそういう約束をしている。大臣、聞いておいてください。

 そして、「これらの議論を踏まえ、農林水産省副大臣から、全漁連会長に対し、漁協系統全体の事業改革と、二百五十の合併計画完遂に向けた取組の強化に関する申し入れが行われ、その際、早急に」、いいですか、幾つも挙げられているんですが、「事業利益段階で赤字を計上している部門における赤字の原因究明」「事業部門別事業利益の把握」、かなり厳しい、「合併計画遅延地区の原因究明」これを明らかにしろと。組合長さん方はみんな頭を抱えております。

 副大臣、そういう趣旨のこういう文書を、水産庁として出されたかどうか。

岩永副大臣 実は、日本の水産事情というのは年々厳しくなってきておりますし、二百海里設定以後、かつての水産王国日本という名前が取り戻せないというような状況で、資源の回復に今最大の努力をしているところでございます。

 水産庁も頑張っておりますし、各県の水産課も頑張っているわけでございますが、基本的に漁民の皆さん方の最前線にある漁協が健全経営をしてくれなければ、資源回復だとか日本の水産復興のための振興はできない、このように実は考えております。

 そこで、今に始まったことではないわけですが、ここ十年来、何とか個々の漁協の体質を強化しよう、そのことのために、合併して大きな漁協になって力を蓄えることだ、このようにずうっと言い続けているわけでございますが、なかなか全漁連を初め各漁協の合併は進みません。

 そういう状況の中で、常田副大臣と私がこのことで、自民党の水産部会を初めいろいろな状況の中でのそういう御意見、また野党の皆さん方の個々の御意見を私ども賜る中で、漁協合併というのは何にも増して第一義的に進めるんだ、そして、漁民の皆さん方が組合から大きな利益を受ける、なおかつ漁業の資源回復のために大きな漁協の役割を果たす、こういう状況の中で漁協合併を進める、そのことのために今それぞれの漁協の資産を掌握し、経営状況を掌握する調査を実はいたしております。そして、各県に出向いて漁協合併の必要性を今説いております。これは、全漁連と水産庁とであわせてそのことをいたしておるわけでございますし、不退転の決意で漁協合併をしていきたい、こういうような気持ちでおります。

山田委員 いわゆる合併の趣旨はだれでもわかっています。副大臣、そう一々大きい声で説明していただかなくても結構です。

 ただ、私が言っているのは、与党議員に約束していると水産庁がこういう文書を出す、大臣、これは問題じゃありませんか。与党議員に水産庁が約束して、水産庁が文書を出す、これは問題じゃありませんか。

 大臣、大臣から答えをいただきたい。

岩永副大臣 簡単に答えたいと思います。

 系統が与党議員に約束しているのであるということを示した文書だ、このように思いますし、また、系統は与党の水産部会の中で、やりますというような話をしております。

山田委員 水産庁水産経営課が出している文書だ、これは。これは大いに問題あり。しかしながら、ここで審議をストップさせるわけにはいかない、きょう参考人の先生方もいらっしゃっているから。私が言いたかったのは、合併を強要している、これは。

 私も、この前、京都の方の若狭湾に行って、漁協の組合長さんが、うちの組合は大変順調にいっていて、みんなで仲よくやっている、しかし自己資本は一億ない、合併しなければ信用事業がやれない、そういうふうになってきて、しかもいろいろな意味で、もうやいのやいのと、合併しろ合併しろ、合併しなければその漁協は残れないと、まさにこれは脅迫ですという、そういう話が頻々と伝わってきています。

 これは農水大臣にもお聞きしたように、合併するかしないかはあくまでその組合の自主的なものであって、農協の合併もしかり、漁協の合併もしかり。悪い漁協というか累積損の大きい漁協といい漁協、あるいは累積損の大きい農協とかなり固定資産もいわゆる積み立てもある農協とが合併して、いいという話は私は聞いたことがないが、大臣、聞いたことありますか。

大口大臣政務官 今委員からの御質問でございますけれども、漁協、農協、これは民間の法人でございますので、まず、強制をするということはないわけであります。しかも、当事者である農協あるいは漁協の役員あるいは組合員が十分な論議を行った上で、総会で組合員の三分の二の決議を経てこれは行われるものでありまして、あくまでその農協あるいは漁協の判断で行っているものと承知しております。

 また、合併当事者の組合の一方に不良債権がある場合に、両組合の間で合意があれば不良債権を持ち込むこともありますが、合併までに処理することが条件となっている場合には、資産の売却や償却等により処理されるものと考えております。

山田委員 合併は自主的にやっていて、強要していないと言っているけれども、この文書自体「不退転の決意で」「副大臣」がと、そういうかなりの圧力をかけて、しかも、合併しなければ補助事業の金は出さない、それから信用事業はさせない、そういう形で合併を、私の感じでは脅迫してでもやらせようとしているとしか思えないような。少し言い過ぎかもしれませんが。

 全中の山田専務、来ていただいておりますが、ある県の農協が合併した、七つか八つか。そこは単協のときには非常にいい農協だった。ところが、累損の多い農協とそのまま合併してしまった。赤字の農協については赤字を解消させてから合併しなければ苦しくなるのは当たり前じゃないかと、そういう話をしたんですが、農水省、そして全中の指導もそうあってやったんじゃないか。そうは言いませんでしたが、どうも農水省の指導があったことは言っておられた。全中としては、まさに農協合併等の指導的立場にあるわけですが、実際にどう思われるか、その点についてお聞きしたいと思います。

山田参考人 農協の合併につきまして、まさに山田先生の御指摘にあったような事例が全くないかということになりますと、やはりあります。

 実は、そうした累積赤字の大変大きいJAを、そのまま赤字を解消するということになりますと、組合員の出資金を減資する、毀損するということをやります。そうなりますと、組合員がその農協のサービスを受けるに当たって大変不十分な思いをするということもありまして、将来の見通し、例えば合併することによって経営改善できるという見通しがあったりすれば、隣の農協と合併する、合併して体制を強めて力をつけていこうじゃないか、その中で累積赤字を解消していこうという取り組みがあったというのは事実であります。

 しかし、結果としまして、見通しが狂いまして、その赤字がさらに膨らんでくるということで、大変苦しんでいるという例もないわけではありません。

 以上です。

山田委員 これは農協関係もかなり私はあるんじゃないかと思っておりますが、合併を急がせた余りに、そういうきちんとした累積損失の整理をさせずにやったことが原因である。

 その中で、漁協関係について、きょうは水産庁長官に来ていただいておりますが、一つお聞きしたい。

 私も、浜回りしていて、ABCの漁協があったとして、Aの漁協は内容はいい。ところが、Bの漁協はまあまあ、Cの漁協は養殖業その他でかなりの累損がある。このABCの合併をする場合に、Cの非常に累積損失の多い漁協に対しては、その赤字分について、いわゆる農林中金か信連かわかりませんが、あるいはどこかわかりませんが、融資をする。融資について、国とか県とか市で利息を補てんしましょう、そして、その分については、Cの組合の組合員が連帯して七年なりあるいは十年なりで債務を支払っていきます、そういう形が現になされていることについては、間違いありませんか、水産庁長官。

田原政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの先生の御指摘は、私どもが行っております漁協等経営基盤強化対策事業の利子補給事業のことではないかというふうに思いますけれども、御指摘の事例でいきますと、C漁協、累損を抱えているということで、その分、信漁連から借りていただきまして、合計いたしますと、一・二五%分、これを国と都道府県でその利子補給をするということで、残りました旧赤字漁協といいますか、C漁協の組合員の方々で何年かかけてその借入金の償還を行っていただく、こういう仕組みの助成を行っているところでございまして、十六年度の実績でいきますと、大体六十漁協ぐらいがこういったことを活用しておられるという実態にございます。

山田委員 水産庁長官、長官は長官という立場で、なかなか現場の浜の状況はよくわからないと思いますが、例えば今、ヨコワ、クロマグロの小さいものですが、これにしても、キロ二百円しかしない。そしてタイ、天然ダイ。今どれくらいか御存じないと思いますが、今浜相場でキロ五百円です、これは。そういった中で、輸入の水産物が依然として大量に入ってきている。そんな中で漁業者は、実態は悲鳴を上げている。

 殊に、養殖漁業者というのは今惨たんたる状況であって、私もおとといちょっと回りましたら、ここももう廃業しました、ここももう廃業する予定ですと。そういった中で、今まで頑張っていた若い養殖業者、彼に私も期待をかけておったわけですが、彼が頑張って、何とか経営は維持できるんですが、漁協の合併の際の債務負担、これが四千万あって、これも払わなきゃいけなくなりました。いわゆるCの漁協の組合員です。そうなると、自分たちも今ですら経営が厳しいのに、さらにほかの組合員の分についても、その人たちの分の元本、ほかの人の借金ですよ、それを負担しなきゃいけない。それだったらやっていけるわけがない。副大臣、どう思いますか。

岩永副大臣 個々の農協の事情、そして合併の問題については、今ずっとその内部の状況を把握して、県だとかそれから市町村、それから漁協、あわせて水産庁で把握をしているところでございますので、今おっしゃったような事例等については個々にこれからずっと内容を聞いていきながら、スムーズに合併を進めていきたい、このように思っております。それぞれの事情のあるところを先に把握していかなきゃならぬ、このように思っております。

山田委員 大臣も副大臣も、そしてきょうは全中の山田さんも、皆さんお見えですので、全農の田林さんもぜひこれは聞いていただきたいんですが、農協とか漁協の合併の際に、累積損失がある農協、漁協を合併させるには、一回その累積損失を償却させなきゃいけない。そうしなければ、一たん信連が貸したから、それを引き継いだからといっても損失は損失ですから、これは当然自己資本比率も悪くなるし、漁協経営としては、あるいは農協経営としても、絶対にうまくいかない。しかし、今まで水産庁長官は、そして各系統は、農水大臣は、副大臣は、そういう指導しかしてこなかった。

 ところが、これはいろいろな方法がある。一つの方法としては、その悪い農協なり漁協の組合員を、今度新しく合併するいい組合の組合員にまずさせることです、これは二重に組合員になることはできますから。あとは、前浜の権利の承継をそこの地区の人にさせるだけです、これを認めさせるだけです。そうすれば、いわゆる二重に組合員になっていて、そしてその悪い方の組合、漁協なり農協なりは清算手続。これは農協法も水協法もありますから、清算手続をする。そうすると、そこで負債は全部消えてしまうわけです。その清算手続に基づいて新しい農協、新しい漁協は引き継ぐことはないわけです。そして、個人保証した人たちに保証余力があれば、回収したものはその前の組合その他の清算手続の中で配当があるかもしれない。しかし、それは手続の問題であって、いわゆる内容のよくない、累積損失のある赤字の漁協の組合員にしてみても、仲間の何億という負債を連帯保証で抱えることは全くないわけです、これは。そこできれいに債務は整理できる。

 きょうは金融庁副大臣にも来ていただいておりますが、普通、金融庁では、信用組合とか信用金庫とかいろいろな問題があるかと思いますが、そういった場合には、必ずそういう清算手続なり、きちんと不良債権の処理、銀行も例えばダイエーに対する何千億という不良債権を償却する、放棄する、そういったいろいろな形での債権の放棄、償却、そういったものを手続上させる。

 これをした上で、問題なのは、悪い方の漁協に対する預金者なんですが、これは、ペイオフが今は解禁されましたけれども、今でも利息のつかない口座にまず預金を入れれば、貯金保険機構でこれについては払ってくれる。これはそういう形で整理すれば、いわゆる今までまじめに一生懸命取り組んでいる漁業者にとっても、人の債務まで抱えることもないし、新しい漁協にしても、農協でも同じです、悪い方の負債をそのまま抱えることはない。

 これについて、きょう、全中の山田さん、端的にどう思われるか。そして田林理事長も来ておられますが、どう思われるか。それぞれ、ちょっと一言ずつ感想をお聞きしたいと思います。

山田参考人 農協は多くの合併を経験してきました。そんな中で、まさに先生おっしゃいますような形で、赤字をそのまま引き継いで大変苦労した事例を抱えていたのは事実でありまして、先ほど私も申し上げたとおりであります。

 抱えた赤字が解消できないということになったときに、合併した農協は大変苦労するわけであります。最近の事例としましては、まさに先生おっしゃいましたように、組合員の預金その他を隣接の農協に移譲いたしまして、組合員資格も移譲しまして、そして当該農協を解散させるという処理の中で、すべて累積赤字を解消する中で合併するという取り組みも最近多くなってきておりまして、今後の取り組みは、まさにおっしゃいますような形で進めていく例が多くなるというふうに思っております。

大口大臣政務官 これはもう先生よく御案内のとおり、貯金保険機構に保険料を各漁協なり単協が入れているわけですよね。そういうものを使って先生が清算すべきだというところへ注入するということになると、これはやはりモラルハザードになっていくんじゃないかな、こういうふうに思うわけです。

 また、破綻ということは、それがペイオフということであっても、非常に信用を害することになってくるわけでございます。そういうことから、単協同士あるいは漁協同士、金融機能を救済するという形で合併をして、そこへ資金援助方式の適用を優先するというようなことをしてペイオフの発動を回避したり、あるいは清算というような形に至らないようにしてまいることが大事だと思います。

山田委員 それについて、今言ったように、貯金保険機構に対しては、それなりに信用事業を営む漁協も農協も、あるいは農林中金も出資しているかもしれませんが、そういった意味からは、当然それを利用させてもらうのは、特に弱小の漁協とか農業者に対しては当然のことであって、それは当たらないと思いますが。

 いま一言、きょうは田林全農の理事長に、それから中央金庫の上野さんに一言ずつお聞きできればと思います。もう、一言で結構ですから、私の持ち時間もなくなってきましたから。

田林参考人 農協合併の指導は全中がやっておりますので、私は答える立場じゃないと思います。

 ただ、全農は、経済連と合併しました。その時点では、相手が負債を抱えていたり、累損を抱えたりした場合には資産の売却等をもって埋めてもらって、その上で合併してきた経過がございます。

上野参考人 合併のやり方についてはいろいろな方法があるというのは、御指摘のとおりだと思います。で、本当の意味の合併の効果を上げるためには、赤字を持っていくという、そのままの単純な合体というようなことでは、やはりその合併効果はなかなか上がらない。したがいまして、不良債権の整理をするというような前段の作業が通常、大変大事なことだというふうに私は考えております。

 それから、貯保を利用する問題につきましては、系統信用事業といたしますと、漁協の場合ですとJFマリンバンクという一つの旗印のもとに、あたかもこれが一つの金融機関であるかのような活動をしてまいっているわけでございまして、その一部に、貯保のお世話になる、貯金保険機構の発動があるんだということになりますと、この悪評というのはほかにも大変影響を及ぼす。そういうことでございまして、貯保のお世話には極力ならないというのが私どもの基本方針の運用の際も前提になっております。そういう考え方のもとに、問題のあるような漁協につきましては、合併等による対応をお願いしているということでございます。

山田委員 だんだん持ち時間がなくなってきて、農林中金の理事長さん、なかなかこういうところには出席してもらえないと思うので、ようやく今回来ていただいたので、ちょっと聞いておきたいことがありますから。

 農林中金の連結損益計算書、これは皆さんに資料として配付しております。見ていただければわかるかと思いますが、聞きますと、これは約六十兆ぐらいの運用で、JAから三十四兆の資金を預かっているようですが、平成十五年度も運用で約一兆円近い利益を、経常というんですか、資金運用の利益を出した後に、経常の利益が千八百七十五億ですか。その他の支払利息四千百九十七億となっていますが、その中の千七百億ぐらいですかね、本来ならば預かった預金に対する利息の支払い、これを農協とか漁協に対して奨励金という名目で交付金としている。これはおかしいんじゃないんですか。どうやら各漁協、農協、預金の三分の二は必ず中金に預けるということになっているようですが、これは奨励金ではなく、当然利息でしょう、配当でしょう。どうなんですか。一言でお答えください、もう私、時間がなくなってきましたので。

上野参考人 どういう名前をつけるのかということについてはいろいろ議論があり得るだろうというふうに思います。

 ただ、この奨励金という言葉を現在使っておりますことにつきましては経緯がございます。歴史的なものでございまして、かつて資金の受給が非常に厳しかった時代に系統からの資金を拠出していただくという意味でこういう奨励金をお払いしたというところから現在に至っているということでございます。

 ただ、利息としてどうかといいますと、現在の普通預金の金利水準なんというのは非常にゼロに近いものでございまして、現在私どもがお払いをしている奨励金というのはそれに比べればはるかに大きな金額である、率であるということでございます。

山田委員 これは、奨励金を大辞林で引いても、一つの給付金みたいな、交付金みたいな形になっている。これはむしろ農協とか漁協さんが預けたことの権利としての見返りの利息の支払いですから、そこはきちんとさせていただきたいと思います。

 それから、農林中金さんは税金だけで四百七十七億も支払っています。これは、系統のトップです。この損益計算書を見ていただければいいんですが。

 その中で問題なのは、全共連にしても、全農さんもきょうお見えですが、全中さん聞いていただきたいんですが、各経済連との合併は済んだ。ところが、一番済んでいないのは各県信連との合併です。これを合併と言わずに、全部事業譲渡契約書とか一部譲渡契約書とか。これは非常に各県信連に不評だ。非常に厳しい取り決めを行いながら、一方では、国に対して、皆さんから預かったお金で四百七十億も税金を払いながら。

 そして、問題なのは、一つは各県の信用基金協会。これが信用保証しているから漁業者も農業者もお金が借りられるというところがあるんですが、そういった農業者の信用基金協会に対する出資分。これが、合併し、統合し、あるいは全部譲渡でもしていくならば、当然引き継がなきゃいけないのに、それを調べましたら、各県で三億とか五億とか、あるいは百何十億とか、かなりばらつきがあるようです。その業務を引き継ぐ以上は、当然のことながら、一番大事な信用基金協会に対する出資分も引き継ぐのが当たり前だと思うんですが、これについてちょっと、私の持ち時間五分しかなくなったので、金融副大臣は結構です、大臣はいいです。ただ、一言だけお答えいただきたい。

上野参考人 一言ではなかなかお答えできないので、ちょっと時間をいただきたいと思いますが、この保証の仕方につきましては、各県に協会というのがございまして、それをさらに全国で再保証みたいな形で引き受けております農林漁業信用基金、こういう二段重ねの体制で農林漁業関係の保証を行っているということでございます。

 それで、農林中金も、この全体の保証の仕組みに対しまして、信連さんのお払いになっておられる全国の基金に対する出資金と同額のものは負担をして全国の基金に拠出をいたしておりまして、そういう意味では全国連としての役目を果たしているというふうに考えているところでございます。

 今回、信連を統合いたしましたときに、従来信連が果たしておりました機能を単協と私どもの間でどういうふうに仕分けをするかということになったわけでございまして、この点については、組合員の肩がわりという意味での出資は、組合員により近い単協にお願いをしようということで、信連がお持ちになっておりました出資金というのをお引き受けいただいた、農林中金はその部分については引き受けをしなかった、こういう仕分け方をしたわけでございます。

 それじゃ、農林中金は各地域の農漁業者の方に貸し出しをするのかしないのかということになりますと、やはりその点については、信連がやっておられた機能を補完してやってまいりたいというふうに思っております。その際の保証としては、私どもは、協会を使わないで直接全国の農林漁業信用基金にお願いをするという形で保証はお願いをしてまいりたい。したがいまして、そういう趣旨での出資もする必要はないんではないか、こういうふうに考えたところでございます。

山田委員 それは私、理論的に異なると思っておりますが、時間がないので。

 ただ、全農にしても全共連にしても、それぞれの債務もそういった出資分も引き継いできたのに、農林中金だけは、今言ったような理屈を言いながらやっていないということは、私はけしからぬと思っておりますが、それはともあれ、他部門運用について、農協系統にしても、ハウスの園芸とか、中国からの野菜等に対してリース事業とか、畜産もそうですが、今いろいろな事業をやっているわけです。

 その中で、農協は、ほとんど各支所、いわゆる営農としてやってきた部分の支所は整理して、本店業務にだんだん統合されてきた。その中で、本店業務はむしろ金融事業、信用事業が中心になってきた。ところが、その本店不動産を金融用資産として全く認めないのはけしからぬと思っておりますが、その件については、農水副大臣、ぜひ検討いただいて、農協系統がまさしく農協本来の営農事業をやれるような配慮、これを副大臣、少しこの問題を調べていただいて、検討いただければと思います。

 私、時間がなくなったので、あと、全農の問題を少し聞いて終わりにしたいと思っておりますが、きょう皆さん方に、全農の問題を聞こうと思って資料をお配りしております。

 これを見てもらえばわかるとおりに、全農は、チキンの問題、黒豚の偽装の問題でもしかり。まさに農業者にとって、農協にとって、各地域の農産物についてそれこそ今一生懸命、産地づくり、そして地産地消と取り組んでいるわけですが、全農そのものは輸入の農産物、これを物すごい勢いで入れてきている、いわゆる競合している。

 ところが、実際には、この資料を皆さんによく見ていただければわかるとおり、子会社だけで三百五十三社もあって、事業収益だけでもかなりの金額、当期剰余金だけで百四十二億一千百万、これだけの利益を出している全農。私の方で、輸入食品の一番からずっと、競合している輸入食品の何を全農がやっているかということをお配りしております。

 その中で、配った中の最後を見ていただきたいんですが、農業協同組合法、この中においては、「組合は、その行う事業によつてその組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行つてはならない。」そのために国から二千七百億という補助金が全農に流れてきている。それがまさに農民の敵であるとしか思えないような輸入食品を大幅に扱って、しかも、黒豚の偽装とか、あるいはタイ産のチキンを国産のチキンに偽装して売ったり、これは絶対に許せないと思うので、もう私の持ち時間はなくなりましたので、それを一言厳しく言って、私の質問を終わりたいと思います。

 参考人の先生方、どうもありがとうございました。

山岡委員長 次に、白保台一君。

白保委員 きょうは、全中の山田専務理事、それから全農の田林理事長、農林中金の上野理事長、皆さんには大変御苦労さまでございます。

 全農秋田県本部の米の横流し事件、あるいはこれに関連して、全農や農協のあり方等を中心に質問をしたいと思います。

 農協改革については、一昨年のJA改革の断行という全国大会の決議がありまして、着々と改革が行われている、このように認識をしているわけでありますが、そういった中で、今回の全農秋田県本部の事件については、このような農協改革の途上で起きた不祥事件であるということで大変遺憾に思いますし、このようなことがあってはならない、こういうふうに強く思います。

 こういうことは、言ってみれば組合員を裏切るような行為であって、決して許すべき問題ではない、きっちりとした対応をしていかなければいけないのではないかというふうに考えます。そうしなければ再発防止にもつながらない、こういうふうに思いますし、とはいえ、これまでももう既に農協法に基づいて業務改善命令が幾度もなされている。こういう状況というのはまことに遺憾であり、しっかりとした改革をしていかなければいけないのではないか、こういうふうに強く思います。

 そこで、大口政務官に法律の専門家として伺いたいと思いますが、今回の秋田の事件に関しては、農水省は共同計算米の横流しについて背任罪として告発していると承知しておりますが、補助金の不正受給については告訴はしないんでしょうか。

大口大臣政務官 先生の憤り、まさしくそのとおりでありまして、また、これは農家の方々も大変憤っておられる、こういうふうに思っております。そういうことで、農林水産省としては厳正な処分をしてまいりたい、こう考えておりまして、そういうことから、六月の六日に秋田県警本部に対して、全農秋田県本部及びパールライス秋田の関係役職員を刑法二百四十七条の背任罪で告発をしたわけでございます。

 そして、今御指摘のありました補助金の不正受給についても視野に入れて、今現在、事実関係や法律上の問題点について鋭意検討を行っているところでございます。

白保委員 不正受給というのは大変な問題で、補助金そのものというのは国民の財産ですから、それを不正に受給するなどということは決して許されるべきものではありませんから、ぜひきっちりとしたけじめをつけていただきたい、こういうふうに強く申し上げておきたいと思います。

 そこで、農協本来の事業である経済事業、こういった中でお聞きしたいと思いますが、そもそも全農が行っている事業は六兆円もの年間取扱高になるということであります。本当に農協が組合員のためになっているのかどうか。一つのアンケート調査の数字がありますが、農協の生産資材購買事業に関する満足度、こういうのがあって、とりわけ担い手の中から農協の取り扱う生産資材価格は高い、そういう意見も聞きます。

 本来、全農では今、拠点物流センターの整備などをやってコストダウンに取り組んでいるといった話も聞いておりますが、組合員の中からそういう声が、特に担い手の方から出ている、こういうことについてお聞きしたいと思いますが、このような意見に対して、全農の田林理事長、全中の山田専務はどのようにお考えでしょうか。お答えいただきたいと思います。

田林参考人 大口農家あるいはこれからの担い手に対しては、既に数年前から大口対策ということで数量メリット等の要領を作成し、主に生産資材を中心に還元をしてきた、一般の農家と区別して対応をしてきたというところでございますけれども、今後、担い手を中心とした農政に変わっていくという事態も踏まえまして、より一層担い手対応を強化していきたいというふうに考えております。

 現在行っているのは、港から大口農家まで肥料の直送をかける、あるいは一般農家では使わないような大規格の農薬や肥料をつくる、そういうような観点で価格の引き下げを図っている。なお、既にやってきましたヨルダン肥料では非常に安い価格でございますので、これをもっと拡充していきたい、かように思っております。

山田参考人 先生御指摘のように、アンケート調査は我々も青年部や担い手を中心にやっておりますが、そうした声がほうはいとして上がってきております。我々としましても、第二十三回のJA全国大会の決議の有力な柱の一つに生産資材価格の引き下げを掲げているところであります。

 御案内のとおり、担い手グループの農協離れということが指摘されていますが、その中にも生産資材価格に対する不満があるということであります。隣接店の大型店舗の調査から始まりまして、そして具体的な価格の設定や物流の改革、経済事業改革、そこに焦点を当てて全力で取り組むということにしております。

白保委員 今申し上げましたように、お答えもありましたが、全農は組合員のためにあるわけですから、組合員の皆さん方が実感して、一緒にいてよかったと思えるようなことになっていかなかったならば、何のためにそこの中にいるんだという話になりますし、今、山田専務理事からも話がありましたように、JA改革の断行、これだけのことをぴしっと出してやっている以上は、その結果というものは明確に出していかなければならない、こういうふうに強く思います。

 それから、今回の事件の問題に関連して聞きますが、経営管理委員会、この制度の導入についてもかなりの議論をやってこられたと思うんです。そういう議論をされて、その後に経営管理委員会の制度が導入をされた、こういうふうに認識しておるわけですが、こういう中でこういう不祥事件が、業務改善命令が出されるような事件が幾つも出てくるというのは一体何なんだろうかと。非常に不思議でしようがないですし、ということは、こういう事件が起こる風土というのが組織的にあるのかなというふうに疑いたくなるような感じすらします。

 したがって、山田さんにお聞きしたいと思いますが、経営管理委員会制度の導入に当たって系統内でかなりの議論がなされたと思いますが、その点について専務はどのようにお考えでしょうか。

山田参考人 先生御案内のとおり、協同組合は、それを構成する構成員がいかに自分の意思を反映するかというのが第一であります。ですから、組合の運営に当たりましても、そうした構成員が中心になりまして運営していくという仕組みをずっと続けてきておりました。今もありますが、現在の理事会制がそれであります。

 実は、平成に入りまして住専問題が生じまして、住専問題を契機にしまして、もっと専門家が具体的な組合運営に当たる必要があるのではないかという要請が高まりました。我々組織内におきましても、やはり専門家に任せるべきところは専門家に任せようという議論が起きる中で、また一方で、農協そのものが合併によりまして大変大きくなります。そんな中で、構成員たる組合員の意思反映をする最もいい方法はないだろうかという二つの要請の中で、経営管理委員会の仕組み、それと理事会制の仕組み、これを並立させる形で採用してきたところであります。

 兼職兼業問題が出てくる中で、大規模な農協並びに連合会についてまで全部入れていくよということになってくる中で、信用事業等を行う信連並びに農林中金におきます経営管理委員会の導入と、経済事業を行います全農の経営管理委員会の導入に当たりまして、意思反映の違いでさまざまな意見が出ておるというのは事実であります。

白保委員 ですから、そうやって議論をしてうまく機能させて、専門家に任せるところはお任せしてといって導入したはずの中でこういう事件が出てくる、それは何なのか。要はそれはもう機能していないのか、それとも人の問題なのか。本来、組合員あっての組合ですから、そういう面でみんなが嫌な思いをする、寂しい思いをする、みんなから疑われる、そういうことがあってはならないわけでありますので、私はそれは非常に疑問が残るところだな、こういうふうに思います。

 そこで、経営局長にお聞きしたいと思いますが、経営管理委員会制度をもう廃止して従来の理事会制に戻してはどうかという意見もないわけじゃないんです。この辺については経営局長はどのようにお考えでしょうか。

須賀田政府参考人 経営管理委員会制度、全中の山田専務から御答弁ございましたように、これは住専問題を契機にいたしまして、統治と執行を分けよう、一般の企業あるいは金融機関と伍していくような業務執行体制をどのように確保していくかという観点から導入されたものでございます。系統の方々が業務執行の重要事項を決定して、それに基づいて実務家が執行する。

 これは、全農がその取扱高が六兆円と先生おっしゃられましたけれども、一大事業体でございまして、会員農協の代表が直接業務執行に当たっていくということはとても困難でございます。そういう意味で、私、経営管理委員会制ということは、全農というような大きな組織にはふさわしい制度というふうに思っております。

 特に、専門家に言わせますと、統治と執行を分けるということが、現状追認にならない、チェック機能がちゃんと働く制度であるということでございますので、組合員農家の利益を重視するような統治モデルというふうに理解をしております。

白保委員 だから、しっかりと機能する、そういった方向でしっかりと取り組んでいただきたいな、こういうふうに思います。

 それでは、全農と農林中金の統合のことについてお伺いしたいと思います。

 農協系統においては、事業のコスト低減を図ってメリットを組合員に還元する、そのために組織の二段化を推進してきたんじゃないかな、こういうふうに認識しています。全農では経済連との統合が、農林中央金庫では信連との統合が進められてきているわけですが、経営局長に質問したいと思います。各県の県域の連合会との統合について、全農と農林中央金庫では実態が異なるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

須賀田政府参考人 先生おっしゃられましたように、三段階を二段階にする、その簡素化した統合メリットを組合員農家に還元していく、これが統合のねらい、目的でございます。

 農林中金、これまでに九信連と統合をしております。統合の仕方といたしましては、人事、監査、財務を全国一本化している、人事、予算は本部の統制下にあるということで、完全な統合組織体というふうになってございます。

 一方で、全農でございます。これまで三十六経済連と統合をしておりますけれども、これは御存じのように、米に代表されるように産地間競争が行われておりまして、この統合の条件として、旧経済連、新しくは全農県本部になるわけでございますけれども、県本部単位の独立採算、収支均衡、独立人事、こういったものが前提にされているわけでございます。

 そういうことで、批判といたしましては、全体の組織体を通ずるガバナンスという体制ができていないのではないか、それから、全体のコンプライアンスの徹底もままならないのではないかというような批判が残されているという状況にございます。

白保委員 全農が統合した経済連の独立性が維持されているんじゃないか、実質的に三段階制度を温存している、これは問題が大きいと思います。これについて田林理事長にお伺いします。

田林参考人 経済連との統合の目的は、おっしゃられたとおり、事業を二段にし、コスト削減し、組合員に還元するということでありましたが、合併当初、お話ありましたとおり、県本部収支均衡ということで合併の契約を取り決めております。

 これは、県本部が基本的に販売事業をずっと中心としてやってきた、それを直ちに全国統一的な販売事業はできないという背景がございまして、そういう形をとってきた。そのことが、現在三段階制をまだ残さざるを得ない格好になっておりまして、これを解消することが今重要だというふうに思っております。

 したがって、地域を重視した販売事業をする一方、全体としては二段階にするために事業本部制を導入する議論をこの二年間やってきまして、ほぼその原案が作成され、実行に移す段階になっております。

白保委員 おっしゃられるように、品目によっては一概に、地域特性というものがありますから、一本化というのがなかなか難しいところもあることは理解しないわけではありません。しかしながら、今回、事件があったことを契機として、事業運営のあり方についてしっかりとした見直しをしていかなきゃならないんじゃないか、こういうふうに思います。

 最後になりますが、現在、農林水産省では、経済事業改革チームを設置して、さまざまな問題について課題を洗い出して取り組みをなされておると思います。

 そこで、今後どのように全農改革を指導していくのか、決意を伺いたいと思います。

岩永副大臣 私どもは、たび重なる不祥事を起こした全農について、実は厳しい対応を求めてきたところでございます。そして先般、会長、理事長初め責任をとるとの表明をされたところであり、全農についても改革を断行すると決意をされているところでございます。

 大事なのは、これまでの組織風土や体質を抜本的に改めてもらう、このことが大変重要でございまして、特に、モラルの高い組織倫理の確立、実践、そして透明度が高くて強力な統治が発揮できる経営の構築、そして経済事業の改革、ともかく全国九百万農家にサービスが徹底できる全農のあり方というものを求めていきたい、このように思っております。

 それで、今おっしゃられたように、私が座長になりまして経済事業改革チームを設置いたしております。先般、六回にわたってどう全農があるべきかという議論を進めてまいりました。全農の事業運営のあり方を抜本的に見直して改革を進めていきたい。先般も、おやめになる種市会長初め田林理事長、皆さん方がお越しをされた際に、我が農水省の意図というものを十分酌んで改革をされるように強く要請したところであります。

白保委員 終わります。

山岡委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。民主党の川内博史でございます。

 きょうは、また再び委員長、理事の先生方のお許しをいただいて発言をさせていただく機会をいただきましたことに、まず感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 さらに、大臣を初めといたしまして政府の皆さん、きょうはさらに全中の山田専務さんや全農の田林理事長さん、農林中金の上野理事長さんにもお運びをいただいておりますことに改めて感謝を申し上げさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 昨年の十一月からこの間、全農さんの黒豚輸入問題あるいは取り扱いの問題について田林理事長ともやりとりをさせていただきましたし、その間は大変失礼なことを申し上げたのかもしれないというふうに思って、反省もしておりますが、しかし、きょうせっかく田林さんに来ていただいておりますので、私が理解をしていただきたいのは、決して田林さんを責めたわけではなくて、生産農家の一番近くにいる系統の組織として、生産農家のために全力を尽くしていただかなければならない全農という組織がしっかり頑張っていただきたい、そういう思いの中で申し上げさせていただいていることであるということを御理解いただきたいと思います。

 六月二日に、種市会長以下、田林理事長あるいは岡阿弥専務理事、そしてもうお一方、お米を担当される常務理事の方が近々責任をとり辞任をされるということをお聞きいたしましたが、まず、田林さん、せっかくおやめになられるわけですから、ただやめるのでは全く意味がないですし、何のためにやめたのかわからぬということになったのでは意味がないと思いますので、やめていかれるに当たって、これだけは絶対おれはやるんだ、最後にこれだけは絶対やらせろということを、この場で、国民の代表たる国会議員が集まっているところ、あるいは生産農家の代表である国会議員が集まっているところで、やめていかれるに当たって、これだけは何としても全農に置き土産としておれは残していくぞということを、まず冒頭お聞かせいただきたいと思います。

田林参考人 大変な御丁重なお言葉、ありがとうございました。

 このたびの秋田の問題につきましては、消費者の皆さんあるいは国民の皆さん、それから生産者の皆さんに大変御迷惑をかけたということを、この場をおかりしておわびしたいと思います。

 やめるに当たってどういう気持ちかということですけれども、私の在任期間中、表示違反を初め数回の不祥事を起こしました。私としましては、それを防止できなかったということの力のなさを痛感しておるところでございます。そのことが今回の事態にも結びついたと考えております。責任は非常に重いというふうに感じております。

 したがいまして、ちょうど農水省さんのそうした勉強会、それから自民党における勉強会等も発足して、数回の会合がなされている、そういう御支援もいただきながら、早い時期に再発防止のための改革をつくって実践に移すよう後任に任せていきたい、かように思っているところでございます。

 外部の意見がなかなか通りにくいという今回の体質を直して、外部の意見を入れる、あるいは外部からの監査を導入するというようなことをフルに活用するとともに、情報開示も含めて、立派な全農になるよう在任期間中最大の努力を続けていきたいと思っています。

 皆さんの御支援を今後ともよろしくお願いしたいと思います。

川内委員 大変重いお言葉をいただいたと思いますが、理事長、本当に怒らないで聞いていただきたいんですけれども、農水省にも勉強会ができた、自民党さんの中にも勉強会ができた。実は、私ども民主党の中にも農協改革ワーキングチームという勉強会をつくって、耳をかしていただけるかどうかは別にして、取り入れていただくかは別にして、我々なりの思いというものをお伝えさせていただこうというふうに思っております。

 今、理事長は、さまざまな方の意見を聞きたい、聞ける組織にしていきたいというふうにおっしゃられましたので、これはもうぶっちゃけた話、選挙でだれを応援するかとか、どの政党を応援するかというのはそれぞれのお立場があるわけですが、しかし生産農家が、あるいは全農という組織が、あるいは系統組織がよくなっていくためには、いろいろ言ってくれる人の意見は何でも聞くという姿勢はぜひ保っていただきたいなということをお願い申し上げておきたいと思います。

 さらに、田林理事長に、事実の確認を、昨年からの経過もありますので、幾つかお願いをしておりますので、御報告をいただきたいんですけれども。

 まず、黒豚、バークシャーの輸入に関して、平成十七年三月三十一日でその輸入をストップするという発表を以前にされたわけであります。平成十一年から平成十五年度まで合計五千トン余りを輸入されていたわけでありますが、平成十六年度、平成十七年の三月三十一日までを加えて、黒豚の輸入をストップするまで、取り扱いをストップするまで、バークシャーの取り扱いをストップするまで、合計何トンのバークシャーを全農本体としてお取り扱いになられたかということについて、お答えをいただきたいと思います。

田林参考人 先ほど民主党の研究会のことを失念しておりまして、大変失礼しました。今後とも、情報交換等やらせていただきたいというふうに思います。

 全農自身のバークシャーの取引ですけれども、輸入ではなくて、これは国内のものから内貨で、円建てで、円として買っております。そのトータル数量は、年次別に大分入り繰りはありますけれども、合計約六千トン程度だというふうに認識しております。

川内委員 理事長、六千トン程度というか、平成十一年から十六年度まで六千九百二トンというふうに聞いております。六千九百二トンということで、きのう事務方の方から御説明を受けたんですが、よろしいでしょうか。(田林参考人「結構でございます」と呼ぶ)では、今の六千九百二トンでよろしいかと。いや、まだ答えなくていいです、立ったり座ったり大変ですから。六千九百二トンでよろしいかということと、それから、輸入牛肉の取扱量、これもお答えをいただきたいというふうに思うんです。これは、平成十六年度だけで結構でございますので、取り扱いの数量をお答えいただきたいと思います。

田林参考人 大体、年間一万一千トンから一万二千トンをやっておりますので、この六年間で七万トン程度だと認識しております。

川内委員 私は、従来から主張をしておりますとおり、日本の農産物と知的財産権をしっかりと結びつけて、これからは、輸入ではなくて、全農さんは輸出に注力をしていくべきではないかというふうに考えているんですね。ですから、それは、全農という大きな組織を束ねて、しかも農協法という法律に基づいて組織を運営されていくのは、これはもう本当に大変なことだと思います。それは外から我々が言うほど簡単なことではないということは私も理解をいたしますが、しかし、日本の農業あるいは農家の皆さんというものをしっかりと守っていくために、その難しい仕事を、ぜひとも全農の皆さん、そして全中の皆さんにはしっかりとやり遂げていただきたいというふうに思っております。

 そこで、全中の山田専務にお伺いをさせていただきたいと思います。

 先週の金曜日、六月十日、政府の知的財産戦略本部の本部会合が開かれて、知的財産推進計画二〇〇五が決定をされて、その中に新たに、これはことしから入ったと思うんですが、食の地域ブランド、日本ブランド戦略、ジャパン・ブランド戦略を進めるということで、すぐれた日本産の食材を世界に普及させる、食材の輸出を倍増する、これは政府の方針になったわけであります。私も、今申し上げてまいりましたように、農産物のブランド戦略、輸出戦略の推進というものを提唱してまいりました。

 さらに、全中の山田専務理事は、この政府の知的財産戦略本部の専門調査会のメンバーでもいらっしゃるわけでありまして、ジャパン・ブランド戦略の議論にも参加をされていらっしゃるわけであります。系統組織を束ねるガバメント組織として、この課題にどのように取り組んでいかれるおつもりかということをまずお聞かせいただきたいと思います。

山田参考人 先生今御指摘のとおり、私、ジャパン・ブランド戦略を取りまとめましたワーキンググループに、JAグループを代表して専門委員として出席していた次第でありまして、その中で、私の方からも、日本のブランドを海外に展開していくためには、まず大事なのは、日本の魅力を国内で、まず日本人自身、我々自身がしっかり認識する必要があるという観点から、その一つは、豊かな食文化を大切にして育てること、二つ目には、地域に埋もれている魅力を地域ブランドとして確立させること。この二つが大変大事だということをそのワーキングチームでも主張させていただきまして、そのことが戦略の中に柱として位置づけられたのは大変ありがたいというふうに思っておる次第であります。

 我々としまして、攻めの農政という部分もありますし、もちろん、今言いました我が国の高品質な農産物をきちっと海外に輸出していくという戦略につきまして、取り組んでまいりたい。そのための協議会にも我々は加わりまして、力をつけていきたいというふうに思っております。

川内委員 ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、全農の田林理事長にもお伺いをいたします。

 すぐれた日本産の食材を世界に普及させる、食材の輸出を倍増するという今回の政府の方針に関して、農水省さんや、あるいは政府の知的財産戦略本部と、もう既に何らかの協議を全農さんとしてお始めになっていらっしゃいますか。

田林参考人 これからの日本農業の生きる道の一つとして、国産農産物の輸出というのが非常に大切だというふうに認識しておりまして、現状ではまだ子会社の、先ほど出ました組合貿易にその専門の部署をこの四月に設置しまして、全農からの人的支援及び金銭的な支援をして、各県が行っているリンゴ、ミカンあるいは二十世紀ナシ等の輸出について、米も含めて、支援をしていこう。

 現在、全中が事務局を行っている米では連絡協議会あるいは青果物では振興対策協議会、ここに全農としても加入しまして、そこを中心に、事務としては全農が一手にやっていっているということでございます。

 今後ともやっていきたいと思いますし、組合貿易の事業の中身の推移を見ながら、全農としてもそういう部署を早急に立ち上げていきたい、かように思っています。

川内委員 非常に前向きなというか、予想以上の御答弁をいただいて非常にびっくりしたというか、組合貿易に四月に専門部署を立ち上げて、全農本体の中にも輸出のセクションを早急に立ち上げられるという御意思が示されたという理解でよろしいでしょうか。ちょっとびっくりしたので、確認させてください。

田林参考人 組合貿易に当座は人的、金銭的な支援を行う、その事業の推移を見ながら全農にも設置をしていきたい。その時期が直ちにかどうかは今のところ未定でございます。

川内委員 ぜひ、優秀なというか、全農さんにいらっしゃる方は皆さん優秀だと思いますが、特に優秀な人材を投入して、成功体験を積み上げていただいて、日本の農産物の輸出というものを成功させることができれば、これはすなわち、生産農家の農家所得、農業所得の向上というものに結びついていくというふうに私は思いますし、それが日本の農政というもののあり方を大きく変えていく、その先鞭を全農さんがおつけになられるのではないかなということを今感じております。

 さらに、全中の山田専務にもお伺いをいたします。

 全農さんも前向きにお取り組みになられるということでありますし、これは全中の中にも全農さんをサポートするためのチームというものを、輸出のためのチーム、条約の関係とか、知的財産権、WTOの関係がありますから、そういうものをしっかりとクリアをして、日本の食材あるいは農産物というものをブランドにするというためのチームをつくるべきであるというふうに思いますが、既にもうできているんだったら、済みませんが、その内容を説明していただいて、まだできていないということであれば、そのチームを立ち上げることについての意欲を伺わせていただきたいと思います。

山田参考人 今、田林理事長が申し上げましたが、米と青果物それぞれの輸出の協議会を全中が設置しているところでありまして、あと、実務を組合貿易にやってもらっております。全農もその協議会のメンバーとして入っておるところであります。それから、主産地の農協にも入ってもらう形で進めているところであります。

 今後、その体制をしっかり、さらに充実してまいりたいというふうに思っています。

川内委員 済みません、ちょっと誤解していました。品目は米と青果物だけですか。畜産物も入れた方がいいと思うんですけれども、畜産物が入れられないというのは何か理由があるのかどうか、ちょっと教えていただきたいと思います。

山田参考人 我々としても、今圧倒的に競争力があって、戦略で対応できるのが、当面、米と青果物ということに考えて、対応しているところでありまして、今後の動向いかんによりましては、当然、先生がおっしゃるような形で対策を講じていきたいというふうに思います。

川内委員 私は、素人考えですけれども、ぜひ畜産物も入れていただいて、一般的には外国の方は日本の牛肉とかは脂っこくて食べられないんだみたいなことを聞いたりするんですけれども、しかし、今は非常にグローバルな社会になっていて、世界じゅうのお金持ちが何を好むかなんというのは、日本のサシのたっぷり入った牛肉が受け入れられないことは決してないと。大体、しゃぶしゃぶ屋さんとか行っても、外国人の方が器用にはしを使いながら、しゃぶしゃぶをおいしそうに食べていたりするわけですから、ぜひそういう面の御努力というのも研究をしていただければなということをお願いしておきたいと思います。

 農水大臣にもお伺いをさせていただきますけれども、政府の知的財産戦略二〇〇五に示された食の地域ブランド、ジャパン・ブランド戦略について、農水省として、政府方針として示されたわけでありますが、今後どのように具体的な取り組みをされていくのかということについて、具体的な施策があればお聞かせをいただきたいというふうに思います。

島村国務大臣 農林水産物の輸出の拡大は、国内生産の拡大を通じて農家の方々の所得向上につながるという意味では大いに期待できるところであります。

 このため、農林水産物や食品の輸出を積極的に進めていくこととしまして、小泉総理を本部長とする食料・農業・農村政策推進本部において、輸出金額を今後五年間で倍増する目標を設定したところであります。

 この目標を実現するためには、関係者が一体となって取り組んでいく必要があります。国といたしましても、民間の方々が輸出に取り組みやすい環境をつくるために総合的な支援策を講じているところでありまして、今後とも力を入れて取り組んでいきたいと考えております。

 なお、攻めの農政といいますと、ともすれば青果物の輸出、あるいは農林水産物、シンビジウムなども出ておりますが、そういうことに限定されがちでありますが、これはあくまで狭義の考え方なんだろうと私は思います。広義には、むしろ、例えば、日本の場合には非常に災害が多いわけでありますが、こういう風水害に毎回おびえるよりは、前向きにこれらにも対応できるような、いわば基盤整備をきちっとするとか、農家自体のお互いの知恵の交流とか、あるいは協業化とか、こういう面で体質を強化するとか、すべての面で、私たちは、本当の意味で、どんな事態にも胸を張って仕事ができるという、農家の方々の自信と誇りをこれから構築していかなきゃいけないんだろうと思っています。

 これは私の個人的な考えですけれども、人間が一番臆病になって意気地がないときはどんなときかといえば、頭を抱えてしゃがみ込むときで、どんな難敵といえども真っ向から向かっていけば、そう怖くないわけでありまして、そこにまた勇気と知恵も発揮されるわけでありますし、日本人は本質的には非常に優秀なんですから、今回、食料・農業・農村基本計画にこういう姿勢が盛り込まれたというのはそういうところにあるのかなと私は受けとめておるところであります。

川内委員 まさしく今大臣に御見解をお示しいただきましたとおり、私もそう思います。農家の方々が、将来に向かって胸を張って、やれるぞ、おれたちがいるからこそ国が成り立っているんだという自負を持っていただけるように、私たちがそれをしっかりと、いろいろな面で、基盤整備もそうだし、輸出のこともそうだし、すべての面においてしっかりとサポートをしていくということが攻めの農政というものの広義の意味である。私も同様の見解であります。

 きょうは、大臣、その広義の攻めの農政ではなくて、非常に狭いところで、着眼は大局ですが着手は小局ですから、ちょっと細かい論点を再び聞かせていただきたいというふうに思います。

 この食の地域ブランド、ジャパン・ブランド戦略を立てる上で、その大前提になるのが偽装食品の一掃、海賊食品あるいは模倣食品の根絶だというふうに思います。にせものを厳しく排除していく、そして本物を育てていくということが必要不可欠であるというふうに思います。

 この知的財産戦略本部の二〇〇五にも、これは農産物に限らずすべての知的財産権関係の生産物に関して、あるいは著作物に関して、模倣品、海賊品を一掃していくということがうたわれているわけでありまして、やはりJAS法についても取り締まりを強化するという方針は出ているんですが、先日、局長の御答弁では、偽装食品というのは、犯罪につながる行為だが犯罪とまでは言えないというふうに御答弁があった。私は、偽装食品というのは犯罪なんだというふうにしないと、にせものはなかなかマーケットから消えていかないだろうというふうに思うわけでありまして、きょうは、大臣にお聞きする前に、全中の山田専務と全農の田林理事長に、生産農家を守る組織として、マーケットから偽装食品を一掃していくためにはJAS法を改正して直罰規定を設けるべきであるという私の主張に対してどのような見解をお持ちになっていらっしゃるか、お二方にお聞かせをいただきたいというふうに思います。

山田参考人 法律の、とりわけその中でも司法手続を伴います罰則のことについて、私自身、十分な知識も見識もないわけであります。

 しかし、今回全農の事件に見られますように、偽装表示で、結果的には、当然、改善指示もいただき、社会的な糾弾もいただいて、会長もおやめになる、理事長もおやめになるということが生じておるわけで、それで相当社会的責任は果たしているのじゃないかというふうには考えます。

田林参考人 模倣ですとか、偽装ですとか、あるいは海賊版、そういうようなものが出回るということは消費者にとって極めてまずいということで、そういうことでは認識を一致したいと思います。

 私どもも、不祥事を起こしまして、そういうことがないよう今後は気をつけるということでございますが、罰則を強化する云々につきましては、国の制定された中身について、私どもはそれを守っていきたいというふうな認識でございます。

川内委員 消費者を守るということは、イコール生産農家を守るということにもつながると思うんですね。

 恐らく、六月二十三日に全農さんの中に設けられている全農改革委員会の最終報告が出される。二十二日でしたっけ。とにかく、六月の下旬に出されるというふうに聞いておりますが、その中には、恐らく、全農という組織は消費者と生産者のかけ橋であるというふうな記述ぶりがなされるというふうに聞いております。そうであれば、消費者に信頼され、そして生産農家にも信頼される、そういうマーケットをつくっていく、そのためには、偽装食品、模倣食品、にせものを一掃するという強い決意で臨んでいただきたいということをお願いしておきたいというふうに思うんです。

 私は従前からこの問題に非常にこだわりを持っているわけですが、なぜかならば、JAS法の指示、公表、最終的に罰則というこの法律の枠組みでは、偽装食品、偽装表示というのが全く根絶できないのではないか、数が減っていかないのではないかという強い疑問を持っているからでありまして、局長さんに来ていただいておりますので農水省に具体的な事実を伺わせていただきたいと思いますが、平成十三年から十六年までの間に、偽装表示などに対してJAS法に基づいて指示、公表がされたものは何件あったか、命令までいったものが何件あったか、そして、さらに刑事罰、罰則までいったものが何件あったかということについて、具体的な事実をお答えいただきたいというふうに思います。

中川政府参考人 事実関係だけ申し上げます。

 まずは、各年の指示、公表の件数でございますけれども、平成十三年度は、国及び都道府県が行ったもの、合計で九十三件、十四年度は百二十一件、十五年度は五十七件、十六年度は八十四件でございます。

 それから、指示、公表に従わなかった場合は次の手段として命令がございますけれども、これまでの命令件数は、実は、きょう命令を行うものが一つございますので、合わせて三件でございます。

 それから、罰則適用でございますが、これはまだこれまで事例はございません。

川内委員 罰則までいったものは十三年から十六年度までの間でゼロと。大体みんな、一回ちょっとまずいよと言われればやめるわけでありまして、しかし、本当に、田林理事長、済みません、申しわけないんですが、全農さんも業務改善命令を六回受けているわけですよね、この間。やはり、注意されればその場はやめるけれども、しかしまた出てくるということは、だって、これは法律上犯罪じゃないわけですから、コンプライアンスと言われれば、指示、やめなさいと言われて、やめましたと、これは法律をある意味では守っているということだと思うんですね。二度としないという、強制力を持たせるためには、私はこのJAS法の法律の枠組みというのは何らか考える必要があるというふうに思うんです。

 それは、なぜかならば、大臣、政府がこの前決定した推進計画二〇〇五にはさまざまな法律が絡んでいます。知的財産権というのは、すべて罰則があるんですね、直罰規定があります。この二〇〇五の中にある法律の中で直罰規定がないのはJAS法だけです。局長、そうですよね。

中川政府参考人 申しわけありません。他の法令との比較は、私、今現在その資料は持ち合わせておりません。

川内委員 済みません、事前に通告をしておけばよかったのですが。私のつたない知識で申し上げれば、この知的財産推進計画二〇〇五の中にあるさまざまな法律の中で、知的財産権を規定する法律の中で、直罰規定がないのはJAS法だけなんです。これは、知的財産権を守るというのは、やはりそれだけ厳しい法的な強制力というものがなければ、にせものなりあるいはイメージにフリーライドする商品をなかなか規制することができないということの証左であろうというふうにも思うんですね。

 大臣は前回、川内の考えとおれもほぼ近いんだ、甘いんじゃないかと思っている、しかし、よくよくいろいろな人の意見を聞くと現在のものでも十分厳しいぞという意見もあるという御答弁でした。それから余り時間はたっていないわけでありますが、JAS法に関するあり方検討会などでも、私はこの規定について、直罰規定について議論ぐらいはしていいのじゃないか、果たしてこれで、今の枠組みで十分かどうかと。私の主張でいえば直罰規定でありますが、直罰規定までいかなくても、何か工夫をする余地があるんじゃないかというようなことは御議論をいただいてもいいのではないか。これだけしっかりと政府の方針にもなってきているわけですから、ただ単に取り締まりを強化するということだけではなく、議論をお始めいただきたいというふうに思うんですが、大臣、最後にその見解をいただきたいというふうに思いますが。

島村国務大臣 そもそも偽装表示というのは、これは私は犯罪だと思っています。そして同時に、特に食品などは人のまさに生命にもかかわることでありますから、人の善意を踏みにじって、そういうものを偽装するということは、明らかに犯罪行為で、許せないことだと思います。ですから、JAS法が甘いのではないか、あなたから御指摘いただいて、私もちょっとそういうことを感じたものですから、いろいろ調べてみました。年間百件近いものがあるわけでもありますし。

 ただ逆に、指示を受ける、これは大変なダメージを受けるようであります、現実には。したがって、それでもう今後はしないということに切りかわるケースが非常に多い、これも事実のようです。命令まで行くというのはもうよくよくの場合で、救いがたいという対象なんだろうと思います。

 少なくもこういうことが平気で行われる、あるいは繰り返されるということは、これは法治国家と言えないわけですから、我々はどのようにでもこういうことを撲滅するために意を注がなきゃいけないということにおいては、あなたと考え方は同じなんです。

 ただ一つ、これを直罰方式でやったらどうかと、これはありますけれども、まあ、仮にそういうことにしようとすると、行政当局がまず調べて、証拠をすっかりそろえて告発をする。今度は、告発を受けたところで、検察当局その他が全部また証拠固めをやって、起訴するか否かを判断する。さあ、起訴して裁判。結局、結論が出るのにめちゃくちゃに時間がかかって、かえって事実がゆがめられて、薄れちゃうわけですね。

 ですから、とりあえずは今のJAS法の方針を強化して、一切なおざりにしないんだということに徹することの方が実効は上がるんではないか。これでどうしてもわからない場合には、さらに一歩踏み込む必要がある。

 人を何でも悪ととらえる気は毛頭ありませんが、少なくも善意の人たちを踏みにじるという行為がこの世界にあることは許されませんので、私はその姿勢で臨みたい、こう考えます。

川内委員 またこの問題については大臣と議論をさせていただきたいというふうに思います。

 きょうは、山田専務、田林理事長、本当にありがとうございました。上野理事長さんは何もお聞きできなくて大変、郷土の先輩なものですから、ちょっと遠慮して聞かせていただけませんでしたけれども、また今後とも御指導をよろしくお願い申し上げたいと思いますし、田林さん、ぜひこれからも仲よくおつき合いください。

 終わります。

山岡委員長 次に、川上義博君。

川上委員 自民党の川上でございます。

 しつこいようでありますけれども、鳥取県と島根県にとりましては大変重要な問題でありますので、中海干拓事業のことにつきまして再び質問をいたしたいと思います。

 実は今、森山堤防の五十メートル開削のシミュレーションをやっています。その前に、二百メーターの二カ所の開削で水位と水質は変わらないという結果が出ているわけでありますが、たかだか五十メーターで一カ所で、当然、この結論というのは、水質、水位は変わらないと予測されると思いますけれども、政府参考人としてはどのように、ほとんど変わらないというふうに予測されますかどうか、お尋ねをいたします。

川村政府参考人 お答えを申し上げます。

 シミュレーションの関係でございますが、今その結果を検証中でございまして、最終的には来月の十日ごろに結論が出るわけでございます。

 途中段階でちょっと聞いている限りでは、切った場合も、今申されました水質なり水位というところではほとんど影響がないといったような中間の報告は受けております。

川上委員 水質と水位がほとんど変わらないということでありましたら、要するに堤防開削は不必要と結論づけるということになりますか、どうでしょうか。

川村政府参考人 お答えいたします。

 開削の問題でございますが、シミュレーションは、今申し上げましたように水質とか水位、こういったものが切ることによって悪影響ということがあれば、それは非常にマイナスの要因になるわけでございます。

 ただ、開削するかどうかは、その必要性、妥当性、こういうものを別の理由でもそれは可能であろうというふうに思っております。

川上委員 開削の必要性と妥当性があればということを今局長おっしゃいましたけれども、具体的にその必要性と妥当性というのはどういうことを想定されるでしょうか。

川村政府参考人 私どもとしてあれしているわけではございませんが、島根県側の方からは舟運でありますとか、あるいは多目的利用等々の必要性等の御提案をいただいておりますが、そういったことも含めて今後検討されるというふうに思っております。

川上委員 もう一度お伺いしますけれども、島根の方は湖面利用、多目的利用の要請があると。その強い要請があれば、堤防開削も、湖面利用ということで、漁業振興ということで開削は可能になるというふうな御答弁だと思いますが、どうでしょうか。

川村政府参考人 開削の問題は、今申し上げました必要性なり妥当性、その理由づけ、それからまたそれに関係される方々、これは両県もございますし地元市町等もございますが、そういった方々全体として合意が得られるかどうかということもやはり大きな要素だというふうに思っております。

川上委員 大臣、この地元の関係の四市一町、これが、二堤防開削につきまして開削を強く要請を求められましたら、地元の関係市、中海圏というんですけれども、そのことについて強い要請がありましたら、大臣はどのように対応されるお考えでしょうか。

島村国務大臣 委員御承知のように、従前は島根県と鳥取県と意見が必ずしも一致していないで、私たちに持ち込まれるいろいろな陳情事というのはずれが非常に大きかった。それが最近、両県の副知事やその他関係者が協議をして、大分話が煮詰まってきて、方向性が一つになってきている。

 我々は、どちらに傾いてもいけないわけですし、もう一つは、科学的にこれを検討して、間違いのない方向に持っていくという専門的な判断も必要なわけですから、そういう意味で、今までは待ちの形で来ているわけですが、いよいよ両県の意見が一致を見、それがまた、その工事をすることが、将来に向かって両県あるいは国土のためにプラスになるという判断ができれば、当然のことに我々は前向きに取り組むという姿勢でおります。

 その意味で、関係者が集まってそういういろいろな意見を言う、その市町村等の地元の方々の意見を聞く場を設けることもやぶさかでない、そう考えておるところであります。

川上委員 今大臣が地元の皆さんの意見を聞くのもやぶさかではないという話でありましたけれども、ぜひ大臣には現場に来ていただいて、つぶさにあの周辺を見ていただいて、地域の利害関係者あるいは関係市、その人たちとぜひ懇談をしていただきたいと思いますが、私、強い要請をこの場でしたいと思いますけれども、どうでしょうか。

島村国務大臣 私は二十二年前に政務次官をやりまして、一番歩き回った男と後で評価をいただきましたが、常に行動することを一番基本にしておりますので、むしろ望むところと申し上げたいところです。

 ただ、ここのところはもう全国、北海道地域もさることながら、この間地震でやられた新潟地域もそういうことですし、福岡の方面もありますし、いろいろなお話をいただきます。特に諫早の現場、これは一日も早く私、飛んでいきたいし、諫早へ行ったついでにバイオマスの勉強もしたい、いろいろなことを考えますから、すべて前向きにとらえるとはいいましても、体一つでございますので、可能な限り早い機会にそのチャンスを得たい、こう思います。

川上委員 大変前向きな、可能な限りチャンスをとらえて行きたいということでありますので、ぜひ実現方をお願いをしたいというふうに思います。

 ところで、今の、両県の知事が合意をすればという話でありましたけれども、実は現場の市町村は、勝手に両県知事がある程度の合意をしても我々は反対するんだ、我々としては二堤防の開削なんだ、二堤防の開削をしなければ幾ら両県知事が合意をしても我々は納得しないんだという強い声があるんですね。ところが、地域の市町村が合意しなければ、上流の大橋川の拡幅、それに伴う松江の都市計画、まちづくりというのができないわけなんです。下流の境港市と米子市が合意しなければまちづくりはできないわけなんですね。

 そのことについて、両県知事が合意したからといって、この事業は着手できるものかどうか。あくまでも地元の市町村が、あるいは議会が同意しなければなかなかできませんという御見解なのか、それをお伺いしたいと思います。

島村国務大臣 そこがこの問題のある意味のネックになってきたんだろうと思いますね。要するに、それぞれの県のお申し出と地元の方々の意見と必ずしも一致しない時期もかなりあったようであります。しかし、我々とすれば、当然のことに、両県において責任を持って市町村の意思を統一し、今度は両県にまたがっている問題ですから、両県でお互いに合致点を見出して、その上で我々の方にお申し越しいただくことが一番近道だということだけは、もうだれが考えてもおわかりいただけることなんです。

 我々がよかれと思ってやったことが逆の結果を見たら大変なことになりますから、これは公費を使っての工事でもありますし、今までいろいろな計画をして、検討をしてやった工事でもあるわけでありますから、それらについては、ぜひ川上委員にも、地元の有力者として、多くの方々の意見をまとめる方向でひとつ御努力をいただきたいと思います。

川上委員 私も一生懸命まとめるように努力いたしますので、ぜひ大臣、後押しをよろしくお願いします。

 次に、アメリカでBSEを疑う事例が発生したわけでありますが、先日、諮問に影響はないというふうに大臣はおっしゃいました。ところが、まだきょうの新聞でも、ある程度の情報はありますけれども、月齢や出生地についてのしっかりした情報がない状況でありまして、その中で、米国産牛肉の輸入再開に係る諮問内容に影響を与えることはないというふうに本当に言えるのでしょうかということなんですね。

 例えば若齢の牛であった場合、あるいは飼料規制の後であった場合、そういった事例が出てきた場合は、確実にその諮問に与える影響というのは出てくると思うんですね。だから、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

島村国務大臣 この平成十七年五月末現在、実に四百五十万頭の全頭検査を実施してきたわけです。そのいろいろな検討の結果を踏まえて、今私たちは私たちなりの行動をしているところではございますが、米国には一定のBSEリスクがあることを織り込んで輸入条件を協議してきたところでありまして、今回の事例では、当初から若齢の牛ではないとの発表があることから、仮にこの牛がBSE感染牛として新たに確認されたといたしましても、食品安全委員会への諮問の前提が変化するとは考えておりません。恐らくは相当の高齢の牛ではないかなと想像するところであります。

 その根拠は、まさに四百五十万頭の実績に立つところでございますし、私は、そういう意味では、最近は信用していただけると思いますが、アメリカ側との交渉で、私たちは一切自分たちの責任をなげうって向こうと妥協しようとする姿勢は持っておらないわけでありますから、先方もそのことをかなり深く理解をしていただいた上で協議をしているところでありますから、ぜひその点は我々の考え方を御信用いただきたい、こんなふうに思うところであります。

 なお、今回の件は、最終診断の結果が出ておりませんけれども、消費者の懸念にこたえるためにも、米国側に対し詳細な情報提供を求めていることは当然でありまして、また、得られた情報については食品安全委員会へ提出したい、こう考えておるところであります。

川上委員 例えばもっと若い、発見できるかどうかわかりませんけれども、二十カ月齢以下あるいは飼料規制後に生まれた牛が感染牛だと確認された場合には、輸入に影響は出ると私は思うんですけれども、そのようにお考えでしょうか。

中川政府参考人 仮定の話でございますので、具体的な条件が明らかになってからでないと、確定的なことはなかなか申し上げられませんけれども、今先生が例に挙げられました、例えば二十カ月以下の牛だということがわかった場合はどうかというふうなことで申し上げますと、日本の国内におきましても、二十カ月以下については現状の検査技術においては発見することが、検出することが難しい、そういう前提で国内措置も見直したわけでありますし、こういったことを踏まえてアメリカとも協議をしたということでございます。

 ですから、仮に二十カ月以下の牛でBSEに感染しているということが確認できた場合には、こういったこれまでの前提が崩れることになりますので、改めて新たな知見に基づいて、国内の措置も含めてやはり検討していく必要があるかというふうに思います。

川上委員 先ほど大臣が、アメリカとは妥協しないという答弁がありましたけれども、今、日本の世論調査で全頭検査の緩和に九割が反対している。九割というのは、ほとんど反対しておるんだという調査が出ているんですね。だから、より一層アメリカに対するいろいろな要求を厳しくやっていく必要があると思うんです。

 そこで、実は月齢を確認する方法として、私も素人でありますけれども、一つは肉質とか骨とかを見きわめるという、何かマチュリティーという判別の方法があると。もう一つは、出生証明がしっかりしておるという二つがあるわけでありますけれども、我々から見れば、国内はしっかりと出生証明が十けたか何かで出ているわけですね。これは輸入する場合、優先的には出生証明で、二義的にはマチュリティーによる月齢判別だというふうに優先劣後をつける必要があると思うんですが、そのあたりはどうでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカから輸入をされます際の具体的な条件につきましては、輸出証明プログラムというものをアメリカ側で設定いたしまして、このプログラムを米国の農務省が管理をし、要件にきちっと充足したものであるかどうかというふうなことを査察していくということになっております。もちろん、違反があれば、そういった指定も取り消すということになるわけであります。

 そこで、その月齢の確認方法でありますけれども、この輸出証明プログラムの中では、生産記録に基づく場合と、それから、先生が今御指摘になりました成熟度を用いて判別する場合と、二つの方法が記述をされております。そこに優先度をつけたという記述ではございません。これは、どちらかそれが可能な方法でもって月齢を確認するというふうになっております。ただ、常識的に考えまして、書面によって、生産記録によって月齢が判別される場合にはその方法が用いられるというふうに推定はされますけれども、厳密に規定ぶりにおいてそこに優先度がついているというものではございません。

川上委員 優先度はついていないけれども、我々から見れば出生記録がしっかりしておれば大丈夫だろうと思うわけであります。

 そこで、実は今回の感染牛の疑いがあるというのは、ウエスタンブロット法、WBという検査法で発見されたと。ところが、我が国は、ウエスタンブロット法、WBと免疫組織化学検査、IHC、この二つをやっているんですね。ところが、アメリカはWBというのを非常に強く拒否されたようなんです。だから、今、妥協しないということであれば、このWBというものをこれから強く要求される必要があると思いますが、いかがでしょう。

 それと同時に、時間が来ましたから、最後に水産のことを、せっかく長官が来ていらっしゃいますのでお伺いしますけれども、前回、日韓の事務レベルの協議がありました。日韓水産協議、資源管理の協議があったんですけれども、政府の立場というのはいろいろ日韓ともありますから、私は、この際、現場の漁労長の会議を、海の男同士というか、現場をよく知っている者同士が定例的に会議をやる必要があると思うんですね。だから、これをぜひやっていただきたいと思うんです。

 境港で何か八月にやるような計画があるんですけれども、その協議の内容をぜひお知らせいただきたいということと、仮に漁労長会議の締結、例えば何か協定締結をした場合、これは有効なのかどうかということを最後にお伺いして、終わります。

中川政府参考人 検査方法についてでございますけれども、ウエスタンブロット、それからIHC、いずれも、OIE、国際獣疫事務局のルールに従いますと、どちらも適正な検査方法とされております。日本は、そのいずれかでプラスになった場合には確定診断としてBSEと判断をされます。アメリカは、従来、IHCの方が優先をされておって、IHCが使えない場合にウエスタンブロットを使うというふうな、そういう国内のルールで運営してきたものでございます。

田原政府参考人 日韓の水産の御指摘でございますけれども、平成十四年からでございますが、まき網あるいはベニズワイガニかごの漁労長会議というのは日韓漁業基金で支援するようにいたしておりまして、私どもも、現場でのこういった話は大事だということで、引き続き政府として支援に努めてまいりたい、かように考えております。(川上委員「境港でやるとかというのは」と呼ぶ)場所はまだ確定はしていないんじゃないかと思いますが、日本と韓国相互にそれぞれ開くというふうにしております。

川上委員 どうもありがとうございました。

山岡委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは初めに、全農秋田県本部の問題について、田林理事長もおいでいただいておりますし、少しだけ伺いたいと思っております。

 米の横流しと架空取引という重大な問題、また補助金の不正受給ということがございました。非常に、先ほど来指摘をされているように、たび重なる不祥事でございまして、やはり県民にとっても生産者にとっても、その信頼を傷つける重大な問題であり、再発防止のために関係者の皆さんの御努力をいただきたいと思っております。

 それで、農水省の調査、中間報告と、また全農による調査報告なども読みました。その中で、この横流しに至るまでの長い間の関係というのが、非常に根深く長く続いていた、問題が起こっていたということに改めて驚かされました。

 平成九年に既にパールライス秋田とS商事との関係が始まっていて、その中に帳合いという、介在した会社が、A社、B社ということがあった。パールライス秋田とS商事が直接取引をしていったのではなくて、あくまでも間にその会社があり、S商事が支払い可能な額を前もって聞いて、その額だけ請求書を出してお金をもらっていたり、あるいは、それがもっと悪くなって、入金されたのを確かめて、後から請求書を出すような関係。それがとうとう行き詰まって、お金が入らない、そういうことが続いて、一度は取引をやめなさいということがあったにもかかわらず、また別のB社を介在しての同様の取引が続けられてきた。最終的には、二億五千百万もの不良債権という形になってくるわけですけれども、なぜここまでしてそういう会社との関係が維持されなければならなかったのか、執着しなければならなかったのか、そこを一定掘り下げる必要があるかなと思っているんです。

 ただ、全農が示された調査報告書は、そこの部分は非常に詳しいんですけれども、受ける印象としては、率直に言って、営業課長なりの個人の責任だという受けとめを非常に感じます。やはりそうではなくて、そこを見抜けなかったことも含めて組織全体の問題だという、そういう受けとめがあるのか、非常にそこが伝わってこないですので、まずそこが聞きたいというのが一つ。

 それから、もともと経済連が売り手と買い手が同一だったという問題については、平成六年に既に公取から指摘をされているわけですけれども、その後、分社化を図ったにしても、依然として一〇〇%子会社であると。ですから、この指摘は基本的に変わっていないと思うんですね、いわゆる売り手と買い手の関係は。そういう意味で公取の指摘が生かされなかったと思いますけれども、この点についてどうお考えになるのか、まず伺いたいと思います。

田林参考人 二年前の米の販売環境というのは大変厳しいものがございまして、余り米の販売をどうするかということで、県本部の職員、みんな非常につらい思いをしてきたところでございます。

 帳合い取引ということで、某卸を経由してS商事と取引をした経過の中には、兵庫県内における販売の権利が秋田パールにはなかった、したがって、兵庫県内における販売の権利を持っている某卸を通じて、帳合い取引を通じて、兵庫のS商事と取引をしたという経過があります。したがって、そのことが帳合い取引を長く続かせてきたという基本的な原因でありまして、帳合い取引自身に問題があったのではない。

 S商事は、S商事の取引先の倒産によって一挙に秋田パールに対する支払いが滞ってきた、その滞った内容について、S商事と個人的な取引をしていたこの営業課長が全く会社に報告しなかった、そういう問題がありまして、発覚した場合には既に大きな不良債権を抱えていたということでございます。

 組織的かどうかということにつきましては、そういう意味では、この営業課長が個人商店的な振る舞いを行っていたというふうに理解をしております。

 それから、公取による独禁法のおそれがあって会社の取引にしたんだけれども、依然として問題があるんじゃないかという点でございます。

 そもそも、経済連時代、経済連は、農家の生産した米を上場し、それを同じ経済連内の精米部門であるパール部門が買うという上場及び入札を同時にやった。そのことが公取によって指摘され、食糧庁に対し申し入れがあったやに聞いております。したがって、その指導に沿いまして私どもは分社化をし、経済連内にあったいわゆる米の卸部門を会社化しまして分離しました。それによって食糧法上でもその取引は可能になったということでございまして、そのこと自体が問題であるということは今現在でも認識をしておりません。

 ただ、今度ありましたように、県本部のトップと会社の社長が同一人物であるということでこうした取引を発生させる土壌ができているということでございますので、私どもは、この六月末をもってそうした関係を一切断ち切るということを決めております。

高橋委員 幾つか確認をしたいと思うんですけれども、帳合い取引は問題ではなかったとおっしゃいましたけれども、その取引の形態が問題なのではなくて、その取引を通して不正常な状態がずっと続いていたということは確かですよね。要するに、代金の決済のあり方の問題や、組織に対する相談の問題や、入金されなくてもそれが長く続いていた問題や、そうした点ではやはり問題だったし、それが一人に任されていたということ自体が組織の問題なのであって、個人の振る舞いということで解消してはならないと思うんですね。それは同じ理論で、やはりこの社長と本部長が同じ人だった、同一人物だったということは全くそのとおりなんですけれども、それはもうわかり切っていたことで、そういうことがやはり公取の指摘の精神が生かされなかったと見るべきじゃないかと思うんですが、そこでもう一度。

田林参考人 個人商店的な取引を会社として把握できなかったということは、それ自体、管理が非常にずさんだったというふうに認識しております。ただ、そのことを組織的というのかどうかということについては、若干疑問が残るところでございます。

 それから、公取の指摘に対して、会社化をして、その会社の社長が県本部長を兼任していたということの問題については、御指摘のとおり問題があった、そういう意味では、公取の指摘の精神を明確に反映をしなかったという意味で問題があったというふうに思います。したがいまして、今回、そうした兼任がないように解決をさせていただきました。

高橋委員 次に、農水省に伺いたいと思うんですけれども、米の入札については以前から価格形成の公正さに疑問が指摘をされて、コメ価格センターでも内部検討を始めたやさきだった、こういうふうに聞いております。あるいは、取引監視委員会が機能を果たしていなかったという指摘に対して、これを認める答弁がさきの参議院の委員会でもあったと思っております。

 そういう点で、指導監督機関である農水省としての責任をどう考えるか、まず伺います。

村上政府参考人 お答えいたします。

 コメ価格センターにおける公正な価格の形成というのは非常に重要というふうに認識しているところでございます。

 センターの取引監視委員会に対しまして、基本取引が行われた当日に、疑わしい応札の有無を監視する基本的な役割を適切に果たすように、それから、不公正な取引に該当する事例を具体的に列挙いたしまして、売り手、買い手に周知徹底するということで不公正行為の発生を未然に防止するということ、それから、入札取引当日以降におきましても、取引監視委員会を開催いたしまして取引の結果を分析する、それから、米取引をめぐる動向について把握するというようなことを基本的な役割として、その取り組みを随時指導してきたわけでございますが、今回、このように監視委員会の機能が必ずしも十分発揮されなかったということにつきましては、どのようなケースが特異で疑わしいと見きわめるための判断基準が必ずしも明確になっていなかったということで、今回のケースも見抜けなかったのではないかというふうに考えております。

 そういう意味で、取引監視委員会の機能が十分発揮させられる必要があるということ、それから、信頼を回復するための取引ルールの見直しを緊急に行う必要があるということで、農林水産省といたしましても、そのセンターの検討グループに正規のメンバーとして参画いたしまして、一定の基準に該当するような疑問のある取引は自動的に取引監視委員会が調査をするとか、それから、必要に応じて取引の留保、無効等の措置をとるといったこと、それから、不正防止のためのルールを大幅に強化し、次回の六月の入札から適用するというようなことで鋭意取り組んで責任を果たしていきたいというふうに思っているところでございます。

高橋委員 限られた時間ですので簡潔にお願いします。

 もう一つ、どうしても質問したいテーマがありますので、ここは指摘にとどめたいと思います。

 やはり私は、米を市場原理にゆだねて、米価格における国の責任、国の関与を最小にしてきた、その背景をしっかりと見なくてはならないと思うんですね。いろいろ全農の方たちが、例えば今回、冷害で品薄感を感じて高額過ぎる仮渡金で集荷に走らざるを得なくなった問題、仮渡金より低くなる米価格を何とか上げなければならないとした状態、これは決してそれで免罪するという意味ではございません。しかし、その背景に米に対する政策の大きな変化があった、価格の下支えということをやはり農水省の責任でしっかりやるべきではなかったかということを指摘しておきたいと思うんです。特に、十五年産の米価の著しい価格の下落に対しては、政府米の大放出という問題もるる指摘をされてきたわけですね。そういうことをしっかりと認識をして価格の下支えに対する責任を果たしてほしいということを、これは要望にしておきたいと思います。

 きょう、もう一つどうしても伺いたかったのは、諫早干拓の問題であります。

 五月十六日に福岡高裁が、昨年八月の佐賀地裁による仮処分命令を覆す決定をいたしました。佐賀地裁の判決は、民事事件において大規模公共事業を工事途中で差しとめを命じたという大変画期的な判決でございまして、全国のマスコミも非常に評価をしたということは周知の事実であったかと思うんです。この中では、有明海の漁業被害と干拓工事との因果関係を明確に認め、同時に、農水省がみずから設置したノリ不作等検討委員会の結果を尊重すると言っていたはずなのに、ここで言われていた報告を無視していまだに中長期開門調査を行わず、因果関係の解明を困難にしてきた、その責任に対しても言及されていたと思っております。しかし、福岡高裁は、その裁定を後に戻すという結果になったわけですけれども、漁民側に対して因果関係の証明を高いものが要求されるという形でハードルを課した、非常に不当なものであると私は思っております。ただ、その高裁の判決でさえも中長期開門調査の必要性を排除できなかった、このことをやはり無視するべきではないと思っております。

 そこで伺いますが、福岡高裁が、九州農政局はノリ不作等検討委員会が提言した中長期開門調査を含めた有明海の漁業環境の悪化に対する調査研究を今後も実施すべき責務を有明海の漁民に対して一般的に負っていると。この指摘に対してどうこたえていくのかということをまず伺いたいと思います。

川村政府参考人 お答えいたします。

 有明海沿岸の自治体の要請は、一日も早い有明海の再生を要望しているということだと思います。私どもも、この有明海の再生という点では、非常に重要な課題だということで共通の認識を持っております。

 ただ、この中長期開門調査は、これまでも御答弁しておりますとおり、非常に予期せぬ被害が発生する、かといって、その調査の結果もはっきりしない、予想できないということでございまして、これにかえまして、有明海の再生に向けた、その他いろいろな調査あるいは現地実証、こういったものをやろうということでございまして、こういった中でも、できる限り漁業者の方々の御意見も踏まえながら調査を実施し、有明海再生への道筋を明らかにしていく、そういう基本的な考え方で臨んでまいりたいと思っております。

高橋委員 今おっしゃった予期せぬ被害については、既にこれまでも根拠がないということを述べておりますので、きょうはここでは触れません。問題は、この福岡高裁でも述べている因果関係ですよね。局長がおっしゃる中長期開門調査にかわる調査が、漁業被害と干拓工事との因果関係を証明するに足るものなのかどうか伺います。

川村政府参考人 諫早干拓事業とそれから有明海の環境との因果関係でございますが、これまで累次の調査をやっております。

 一つは、短期の開門調査を含みます開門総合調査もやりましたし、そういったことでは事業の影響はほぼ諫早湾内にとどまっているという結果になっております。その後の調査も、これに矛盾するような結果はないわけでございますので、そういった因果関係自体が、私どもとしては今のところ認められないということで臨んでおります。

高橋委員 福岡高裁でも、確かに定量的には明らかではないとはしていますけれども、干拓工事と有明海の漁業環境の悪化との関連性を否定できない、こう言っているわけですよね。

 だから、それを証明しろと言っているわけで、それを漁民にだけ押しつけるのは問題だと言っているわけですが、それに対して、もう証明をやめたと言っているわけですよ、農水省は。それがおかしいと言っているんですね。だって、もう工事はやめないと決めていて、それで調査をやる、どんな調査をしようとも工事はやめないということなんでしょう。それだったら、全くこの福岡高裁の意思さえも無視していることになりませんか。

川村政府参考人 今も申し上げましたとおり、有明海の環境のいろいろな実証、こういったものが変化しているということは、これは皆さん認めますし、我々も認めておりまして、その解明の必要性、それはもう十分認識をしております。ですから、その有明海の環境変化、それについてのさまざまな調査等は最大限努力をしていきたいということでございます。

高橋委員 時間がなくなりましたので、次の機会を待ちたいと思いますが、漁民の皆さんが、何人死んだら門をあけてくれるんだ、こう訴えていること、それをしっかりと受けとめていただきたい、そのことを要望して、終わりたいと思います。

山岡委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本です。

 きょうは、参考人の皆さん、お忙しいところをおいでをいただきまして大変ありがとうございます。

 最初に、全中の山田専務にお伺いしますけれども、農協改革でありますが、二十三回のJAの全国大会の決議に基づいて「最重点事項・行動計画23」というのが理事会で決定されておりますが、この進捗状況というのが発表されております。

 農協改革あるいは農業振興ということに向けて精いっぱい努力されているというふうに思うわけでございますが、一番大きな課題ということでは、やはり現場の農家、あるいは一人一人の組合員の思いがJA改革に反映されていくのかどうかということが非常に重要だというふうに思うわけでございます。

 今、合併が進んでおりますが、JAと組合員との距離感がどうなっているのかということがやはり重要ではないかというふうに思います。今、平成の大合併ということで、自治体の合併も進んでいますが、このことによる行政と市民との距離が遠くなるという弊害も心配されておる現状があります。そういう意味で、この弊害が、合併がもたらす影響ということが懸念されている中で、JAの経営改善の目標が達成されたとしても、そうした弊害が残るということであれば、これは農協の改革には当たらないというふうに私は思うわけでございます。

 そうした点についてどのように考えるのかということと、もう一つは、合併が進展しますと、単協も一定の力を持ってそれぞれ独自の取り組みがされてきていますが、こうした各地域の単協の自主性といいますか、そうした自立を促すような方策も必要と思いますが、この点についてのお考えをお伺いします。

山田参考人 先生御指摘のとおり、農協も合併を進めていく中で、もちろん合併は組合員の多様化、地域の多様化の中でこれはもう本当に必然だったというふうに思うわけでありますが、しかし、一方で農協が遠くなったという声が聞こえるのは事実であります。

 もっといろいろな工夫をして、農協は経営のためだけの形態ではありませんで、組合員がどんなふうに協同活動で参加するかというのが農協の存立意義でありますので、地域に抱えております最近時の組合員の要望、それをどんなふうに徹底してくみ上げて活動できるかということが最大であります。

 農協大会の決議の柱も、先生御指摘のとおり、いかに組合員の協同活動を積み上げるかということでありますので、具体的にもしっかり進めていきたいというふうに思っています。

山本(喜)委員 私も農協の組合員の一員ですので、ぜひ組合員の意向がちゃんと反映されるような身近な農協になっていただきたいというふうに思います。

 この農協改革の中で大事なのは、やはり担い手の問題だと思います。どのような農業者を担い手にしていくのかということではさまざまな議論がございますが、規模の大小にかかわらず、意欲のある農家がこの担い手の育成から外れてはならないというふうに思うわけでございます。

 そうした意味で、この担い手育成に当たって重要なのが営農指導ですね。学識経験者の中には、農協の広域化が進み、人事異動も頻繁になって、地域に密着した営農指導員が少なくなっているというふうな指摘があります。あるいは、行政の方を見たとき、改正農業改良助長法というのが施行されまして、農業改良普及事業が大きく転換をしている。行政における普及事業は行政の一部局としての位置づけが強まってきて、現地に足を運ばず、役人化した普及員が多くなったというふうな指摘もあります。あるいは、農家の中には、独自に連携して、自力の販売活動ということが今ふえております。

 こうした中で、営農指導活動をどのようにJAとして考えていくのか、この点についてお伺いします。

山田参考人 先生おっしゃいますように、地域の農業に根差すJAにとりましても、地域の農業振興を図り得る担い手がいなくなるというのは大変な存在意義を失うことになるというふうに思っておりますので、地域の実態に応じた担い手づくりに全力を挙げる取り組み方針を出しています。そして、そのつくり上げた地域の実態に合った担い手が、ちゃんと直接支払いも含みます政策支援の対象になるべきだという観点で、今後、基準等につきまして我々の取り組みを進めてまいりたいというふうに考えています。

 それと関連しまして大事なのは、やはり営農指導員であります。まず、数がずっと減ってきているということが大変心配なわけでありますが、より機能を発揮するために営農センターに集めること、それから、組合員のニーズ、担い手のニーズがそれぞれ違いますから、ニーズに応じた指導ができるような専門指導員を配置する、それから、多くの兼業農家も含めた要望に対しては、営農相談員を配置する、さらに、普及員との連携も大変大事になりますから、普及員と営農指導員との間をワンフロアで、そして同じ仕事を同じ規格でちゃんとできるようにするという取り組みを徹底していくことにしております。

山本(喜)委員 引き続き山田専務にお伺いしますけれども、日本の農業の特殊性ということで、非常に小さな農家が多うございます。この家族農業を担い手として、農家数という一定のこの中に入れていかないと農業生産自体が進まないという状況になると思いますから、この規模の小さい農家も底上げをしていくという意味での集落営農の大変重要な意義づけというのがあると思いますが、この集落営農をどのようにJAとして取り組んでいくのか、強化していくのか、お伺いします。

山田参考人 我が国の水田農業は、圧倒的に土地の所有が零細で分散しているという長い歴史の中で存在しておりますので、どうしても、大きい農家をつくりましてもコストが十分下がらないとか、それから大変農地が分散しているという問題を抱えております。

 今、我が国の水田農業で担い手をどうつくるかといいますと、まさに先生おっしゃいますように、小規模家族農業、それを集落で、人を集めた集落営農が一番大事だということで、今回の新しい食料・農業・農村基本計画の場におきましても、集落営農を位置づけることができたというふうに思っております。我々としては、その集落営農に、いかに経営体としての形を持てるようなものとして育成していくかということに全力を挙げていきたいというふうに思っております。

 しかし、往々にしてその集落営農がばらまきであるとかいうことの中で、例えば政策の対象にならないということは絶対に避けたいというふうに考えておりますので、地域の実態に応じた多様な集落営農が政策対象になっていくという取り組みをぜひ実現してまいりたいというふうに考えています。

山本(喜)委員 ありがとうございます。

 次に、全農の田林さんにお伺いしますが、全農改革ということでは、政府を初め各方面で改革に向けて取り組みが行われているわけでございますが、全農自体も、昨年の末に全農改革委員会というのを立ち上げて、今月その答申が出されるというふうに聞いておりますが、この全農改革に当たって非常に重要なことは、統治・執行体制のあり方、監査機能の強化というふうなことが挙げられております。それはそのとおりでございますが、その前段として、全農の社会的存在意義、あるいは組合員にとっての存在意義がどのように認識されていたのかということが本質的な問題ではないかというふうに思います。一般の企業も営利を追求する団体でございますが、しかし、だからこそ社会的信用とか消費者の目を強く意識せざるを得ないわけですが、その点、全農は、JAという巨大組織に乗って消費者を忘れ、組合員を忘れているというふうな現状になっているのではないかと。

 そういう意味で、この全農の社会的責任についてどのように考えているのかということと、全農がさまざまに改革についての提言を受けていますが、実際に目に見える改革が行われてこなかった。数々の業務改善命令が出ているわけですが、今回、全農自身が改革委員会の答申書を実践するということに当たっての、これがきちっと守られていくというふうな担保をどのように持っていくのかどうか、その点についてお伺いします。

田林参考人 全農の存在意義あるいは理念ということの御質問だったと思います。

 私どもの不祥事が、表示違反ですとかそういう問題が非常に多かったということで、その問題について再発防止策を懸命にしてきたのが今までのことだったと思います。このところで、組合貿易が鹿児島の黒豚生産地域に輸入品を持っていった、それからまた、今回秋田県の問題が起こった、こうしたことは今お話があった理念あるいは存在意義ということに直接結びつくというふうに考えております。

 したがいまして、改革につきましては、今までやっていたように、表示の問題のミスがないようにするとか、あるいは米の混米が発生しないように機械を修繕するとか、新しいのを入れるとか、そういう問題ではなくて、まさに全農自身が理念をどう確立し、農業協同組合の全国組織として国民に信頼を得るかということが大変大切なことだというふうに思っております。

 担保をどのようにとるかというお話ですけれども、私どもとしましては、今まで組織内の役員だけで固めてきたものを、対外的な役員を入れるとか、先ほど申し上げましたとおり、チェック体制について相当厳しい外部の監査を入れると同時に、理事長直轄の内部監査体制をしく、なおかつその責任問題まで追及する監査体制をつくっていくというようなことも含めて、十分担保をとっていきたいというふうに思っています。

山本(喜)委員 引き続き田林さんにお伺いしますけれども、秋田の米架空取引に関連して質問しますが、この架空取引は、入札価格の急激な下落ということによって、入札価格が農家の支払った仮渡金を下回って共同計算が赤字になるということを恐れたということが一つの要因というふうに言われておりますが、そこで、実際、入札金額が仮渡金を下回った場合、一般的に処理はどのように行われているのか。

田林参考人 農家から米を買う場合、あるいは農家にとっては委託を農協にする場合、どういう価格で買うかというのは、周辺の状況、今市場でどういう価格になっているか、そういうようなこと、あるいはことしの作況がどの程度かというようなことを勘案しながら、この程度の価格で買えばいいという設定を組織の了解を得ながら進めていく。

 ところが、急激な需給の変動が起こった場合には、そういうことが予想以上の内容で下落が進むということになると、おっしゃられたように、仮渡金以下の市場価格になってきて、委託を受けていた共同計算、プール計算というものが赤字になってくる。それの解決方法というのは、基本的には、共同計算は農家が委託しているわけですから、農家の負担になるということですが、方法としましては、複数年共計ということで解決する。

 どういうことかと申しますと、例えば十五年度で赤字が出るとすると、十六年度の仮渡金は、諸経費を含めて安く設定し、財源を確保して前年度の仮渡金の赤字を埋めるという形をとっております。しかしながら、その手続は、すべて共計委員会あるいは県の運営委員会あるいは組合長会議、そうしたところの了承を得て進めているというのが現実でございます。

山本(喜)委員 次に、政府にお伺いしますけれども、全国米穀取引・価格形成センターの入札取引ルールの見直しということを今検討して進めていくわけですが、その中で、販売する米の三分の一以上の上場を売り手に課す自主ルールを設けるというふうになっておりますね。

 平成十六年産の米で、価格センターに上場されたのが五十万トンというふうに見込まれています。これは年々下がっていますね。そして一方、相対取引が二百六十四万トンの見込み、単位農協の独自販売量が五十三から百十七万トンというふうに言われております。このコメ価格センターに上場される米の量が全国の流通量の一割程度にしかならない。この一割に満たない取引価格が指標価格としての役割を果たすのには無理があるんじゃないかというふうな指摘がありますが、この点についてどのように考えているのかということ。

 それから、上場数量が年々下がっています。これは農水省の掲げてきた売れる米づくり、流通規制緩和という政策が拙速ではなかったのかというふうな指摘がありますが、それに対する認識はどうなのか。

 そして、上場数量を、自主ルールとはいえ三分の一以上というふうにすることは、果たしてどうなのかということ、この点について政府の見解をお願いします。

村上政府参考人 コメ価格センターの上場数量の問題でございます。

 やはり一定の数量が確保されるということが、特定の売り手、買い手による価格形成への不当な影響を排除するという意味で非常に重要だというふうに思っておりまして、ある程度の規模を占めていくということが必要と考えております。

 十六年産米につきましては、食糧法の改正に伴って、いわゆる義務上場制度を廃止したこともございまして、センターへの上場数量が減少しておりますけれども、秋田の問題も踏まえまして、センターの価格形成の信頼回復のために上場数量の大幅な増加を図ることが必要だということで、産地、品種、銘柄ごとの販売計画数量の三分の一以上を上場するという自主ルールを十七年産米から導入することについて、そういう方向で詳細について現在鋭意検討を進めております。

 流通の規制緩和という米政策改革との関連でございますけれども、規制緩和の中で、単協直売の増加というようなこと、販売ルートの多様化ということもございまして、十六年産米の上場数量が減少したということは事実でございますけれども、販売ルートの多様化自身は米政策改革の趣旨に沿うものでございます。

 ただ、一方で、やはり売れる米づくりの指標になります価格形成が公正、適正に行われる必要があるということでございまして、今後、多様な売り手、買い手のセンター取引への新規参入が促進されるようなことも含めまして、上場数量の拡大を図ることが望ましいというふうに考えているところでございます。

山本(喜)委員 時間になりましたので終わりますけれども、公正な価格形成は非常に大事ですけれども、農家にとって、やはり米価が激変するということは非常に問題があるわけですね。生産をしていく上で見通しが立たないというのが言われていることでございますから、その激変緩和措置でありますとか、あるいは安定した所得が保障され得るような、そうした仕組みについてもぜひ検討していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

山岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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