第2号 平成17年10月19日(水曜日)
平成十七年十月十九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 稲葉 大和君
理事 嘉数 知賢君 理事 金子 恭之君
理事 後藤 茂之君 理事 二田 孝治君
理事 松野 博一君 理事 黄川田 徹君
理事 山田 正彦君 理事 漆原 良夫君
赤城 徳彦君 赤澤 亮正君
伊藤 忠彦君 飯島 夕雁君
稲田 朋美君 小野 次郎君
梶山 弘志君 木村 太郎君
後藤田正純君 近藤 基彦君
笹川 堯君 谷川 弥一君
寺田 稔君 中川 泰宏君
丹羽 秀樹君 西村 康稔君
西銘恒三郎君 鳩山 邦夫君
林 潤君 原田 令嗣君
御法川信英君 小川 淳也君
岡本 充功君 加藤 公一君
小平 忠正君 田村 謙治君
仲野 博子君 松木 謙公君
森本 哲生君 山岡 賢次君
大口 善徳君 高橋千鶴子君
菅野 哲雄君 森山 裕君
…………………………………
農林水産大臣 岩永 峯一君
厚生労働副大臣 西 博義君
農林水産副大臣 宮腰 光寛君
農林水産大臣政務官 大口 善徳君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 齊藤 登君
政府参考人
(外務省欧州局長) 原田 親仁君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 松本 義幸君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官) 染 英昭君
政府参考人
(農林水産省総合食料局長) 村上 秀徳君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 中川 坦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 西川 孝一君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 井出 道雄君
政府参考人
(林野庁長官) 前田 直登君
政府参考人
(水産庁長官) 小林 芳雄君
政府参考人
(国土交通省自動車交通局技術安全部長) 久米 正一君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 南川 秀樹君
参考人
(食品安全委員会プリオン専門調査会座長) 吉川 泰弘君
農林水産委員会専門員 渡辺 力夫君
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委員の異動
十月十九日
辞任 補欠選任
飯島 夕雁君 稲田 朋美君
福井 照君 寺田 稔君
荒井 聰君 加藤 公一君
佐々木隆博君 小川 淳也君
同日
辞任 補欠選任
稲田 朋美君 飯島 夕雁君
寺田 稔君 林 潤君
小川 淳也君 田村 謙治君
加藤 公一君 荒井 聰君
同日
辞任 補欠選任
林 潤君 福井 照君
田村 謙治君 佐々木隆博君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○稲葉委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会プリオン専門調査会座長吉川泰弘君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省大臣官房技術総括審議官染英昭君、総合食料局長村上秀徳君、消費・安全局長中川坦君、生産局長西川孝一君、経営局長井出道雄君、林野庁長官前田直登君、水産庁長官小林芳雄君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、外務省欧州局長原田親仁君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長松本義幸君、国土交通省自動車交通局技術安全部長久米正一君及び環境省自然環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稲葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○稲葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。御法川信英君。
○御法川委員 おはようございます。自由民主党の御法川でございます。きょうは二十分お時間をいただきました。よろしくお願いしたいと思います。
農林水産関係の基本施策に関する件ということで、とても二十分では語り尽くせない大きな分野でございますけれども、先週、今週と、地元の農業団体と、これからの新たな食料・農業・農村基本計画の具体的な計画内容についてということで、さまざまな期待あるいは不安、こういうものを持ち寄って、私の方あるいは地元の先生の方にお話しに来られているということもありまして、この点を中心にきょうは質問をさせていただきたい、そういうふうに思っております。
一つは、十九年からの新政策、その中で、新たな担い手育成対策ということで、担い手要件等あるいはさまざまな要件を、これは今まだ決定をしているわけではないわけでございますが、今までの例からいって大体、簡単に言えば認定農業者の場合は四ヘクタールあるいは集落の場合二十、北海道で十というような数字がちょっとひとり歩きをしている部分があるのかなと思っております。
しかしながら、やはりこういう部分、ある程度目途としてやっていけるのではないかということでございますが、現在の段階で、これは秋田県、私の地元でございまして大変恐縮でございますが、認定農業者、この四ヘクタールでいくと大体八%ぐらいが対象者であると。十万を超す中で八千ちょっとぐらいがまずはこの認定者として今認められるということですが、これを人数を拡大していくという中で、十九年からということになりますと、あと一回お米をつくるともう十九年になってしまうということでございまして、なかなか時間的な制約が厳しいのではないかなと。簡単に言えば、何とか経過措置的なものをこれに組み込むことはできないかという御意見がございますが、この点についてどのようにお考えか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○宮腰副大臣 農業従事者の減少、高齢化等による農業の生産構造の脆弱化が進む中で、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う強靱な農業構造を構築することが、我が国農政にとって待ったなしの課題となっていると認識しております。
このような中で、担い手の経営全体に着目した品目横断的な経営安定対策をできる限り早急に導入、実施することにより、担い手が将来にわたり安定して農業を営めるような条件を整える必要があると考えております。
このような観点から、本対策の対象要件につきましては、農業者が努力すれば到達可能なものとする一方で、制度導入の趣旨、目的、スピードが損なわれないようなものとする必要があるというふうに考えております。
いずれにいたしましても、品目横断的経営安定対策の対象要件につきましては、米政策改革において導入されました現行の担い手経営安定対策の要件も踏まえると同時に、地域の実情を十分勘案し、具体化してまいりたいというふうに考えております。
○御法川委員 ありがとうございます。
その際、まずは認定農業者のお話をしますけれども、これがふえていくという目途で、平成二十七年には三十七万前後の認定農業者を今試算では出していらっしゃると思いますけれども、これも、ただ三十七万という数字だけでなくて、やはりこれからの少子高齢化的な社会の人口の内容なんかも見たときに、この三十七万、年齢構成その他はどういうふうになっているのか、この辺もある程度勘案して、できるだけ、担い手というからには、その先十年あるいは二十年と農業を続けていく人たちを多くその対象者として含めていかなくてはならない、そういう部分もあると思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
○宮腰副大臣 今御法川先生の方からお話がありました高齢化の問題については、これからの農業の将来を考える上で無視できない、本当にしっかりとその認識を新たにしてやっていく必要があるというふうに思っております。
同時に、将来、効率的、安定的な経営をしていくという点からは、やはり構造改革を進めて加速化をしていくということと同時に、国際規律の強化にも対応し得るように、幅広く支援を分散させるのではなく、将来の農業を支える担い手に支援を集中化、重点化していく、このことがやはり今緊急に求められている課題であるというふうに考えております。
今ほどおっしゃったことにつきましては、十分に勘案をして取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○御法川委員 そこで、対象経営の要件の中のもう一つ別のことでございますが、現在は都道府県知事の特認ということで、ある程度の幅を持たせた形での認定をできるということになっております。十九年以降、この知事特認について、このまま存続させていくのかどうか、その辺についての御所見があればお伺いをしたいと思います。
○宮腰副大臣 御指摘のとおり、現行の担い手経営安定対策では、規模要件につきまして、一つには、物理的制約から規模拡大が困難な地域につきましては、基本原則のおおむね八割までの範囲内で緩和をすることになっております。中山間地域の集落型経営体につきましては五割ということで緩和することになっております。
二つ目には、有機栽培や複合経営などによりまして相当の所得を確保し、米を経営上の重要な構成要因としている場合には対象とできるとの知事特認が設けられているところでございます。
品目横断的政策の規模要件につきましては、このような担い手経営安定対策の要件も踏まえ、地域の実情を十分勘案し、具体化することとしておりまして、御指摘のありました知事特認につきましてでも、品目横断的経営安定対策の中にもその考え方を盛り込むことが必要ではないかというふうに考えております。
○御法川委員 ありがとうございます。
そこで、一つ御質問なんでございますが、ことしは平成の大合併と言われている年でございまして、三位一体に伴う全国での市町村合併が行われた年でございます。かなりの市町村がこの三位一体に伴う合併を行っております。市町村の数も激減いたしましたし、市町村そのものの行政の単位も結果として大きくなっているということだと思います。
そこで、知事特認で認められるこういう要件を、例えば市町村の段階である程度認められるというようなこともこれから考えてもいいのかなと。現場を考えると、できるだけ現場に即した行政組織がこういう部分を見ていくという考え方もあるのではないかなと私は考えますけれども、この点についていかがでしょうか。
○宮腰副大臣 今の知事特認につきまして、市町村単位で検討したらどうか、そういうことも認めたらどうかという御意見でございますが、今のところ、それぞれの県内において違った条件で認めていくということになりますと、いろいろ困難があるのではないかというふうに思っております。やはり、これはそれぞれの市町村の事情を踏まえて知事が判断をしていくという形の方が今の時点では望ましいのではないかというふうに思っておりまして、中山間地域の直接支払いの仕組みにおきましてでも、そういう形で、市町村の状況を踏まえて知事が判断をするというようなこともなされておりますし、現時点で、やはり知事が判断をするということでいく方がいいのではないかというふうに考えております。
○御法川委員 ありがとうございました。
次に、いわゆる集落営農関係のお話をちょっとさせていただきたいと思いますけれども、これも要件も多々ございまして、これについてはいろいろな意見等が出ていることはもう御案内のことだと思っております。
その中で、経理の一元化という部分がありますけれども、現場の声を聞くと、この点について非常にやはり理解不足もあるだろうし、あるいは、なかなかそれは、言うはやすしだけれども、うちの地域では先立つ者がいないんだというようなこともありまして、簡単にいっていないというところがございます。
それで、これは経理の一元化には必ずしもつながらないかもしれませんけれども、出荷なんかを一元化してやっている営農組織というのもございます。例えば、大豆の受託組織でございますとか水稲受託組織、いろいろな営農組織というのがあるわけでございますけれども、こういうものをある程度そういう要件の中に入れていただいて、集落営農の要件を満たしているという形にすることはできないものかという意見が現場の方ではあるんでございますけれども、この辺についてはいかがでございましょうか。
○宮腰副大臣 現在の担い手要件の検討作業におきまして、対象者としては認定農業者、それから、一元的に経理を行い法人化する計画を有するなど、経営主体としての実体を有し、将来、効率的かつ安定的な農業経営に発展すると見込まれる集落営農などを対象とするということで、今検討がなされてきております。
経理の一元化ということでございますが、基本的には、この対象者として、経営体としての実体を有する経営体ということが一番大切ではないかと思っております。今ほど先生から御指摘がありました受託の問題、あるいはそのほかの集出荷の問題等々がありますが、基本的な視点は、経営体としての実体を有しているか否か、ここに焦点を当てて考えていくべきではないかというふうに考えております。
経理の一元化は難しいというようなお話がありますけれども、生活のための口座と営農のための口座をずっと一緒くたにしている経営体ということは、経営体としては果たして本当にいかがなものかと。営農のための口座、それから生活のための口座、これまでの個別経営では両方が一緒になってきたわけでありまして、コスト意識あるいは経営意識がなかなかそこからは生まれ出てこないということがありますので、経理の一元化というのは、そういう意味で、経営体としての意識をしっかり持った経営体になっていただくという意味では、これは極めて必要かつ重要な部分ではないかというふうに考えております。
○御法川委員 そこで、一つなんですけれども、経営体、経営者という形での農業者がそういう集落営農の中には必ず必要になってくるということだと思います。
ただ、やはり地方の貧しい農家の方、生産農家として、生産者としてはもちろんプロフェッショナルでございまして、米をつくる、あるいは農産物をつくるということに関しては、もちろんすばらしい知見あるいは経験を持っていらっしゃる方々でございますが、農業経営、集落経営というような経営という点からそれを見たときには、やはりその集落にいらっしゃる中のリーダーをだれか決めなくてはいけないといっても、経営という手腕あるいは能力、経験を持った方が実はなかなかいらっしゃらないケースが多いというのが、このリーダーが不在ということの一つの理由になっているのではないかなというふうに思います。
この点について、国なり、もちろん農業団体なんかも含めてですけれども、やはり指導していかないと、なかなかこれは、口で一言、経営体とはいっても、現実にはこれは難しいのではないかなというふうに感じておりますけれども、この点、いかがでございましょうか。
○岩永国務大臣 今回の担い手対策、それから集落営農、品目横断の一番主眼としているところは、専業化を進めていこうということですが、その中で、今までの兼業農家を集落営農という形で集約していかなきゃならぬということでございます。
それを同じように、担い手に見合うようにすることのために一番大きな観点というのは、やはり経営がその集落全体で確立していただかなきゃならぬと。経営の根本というのは経理の一元化でございますので、経理がないところに経営がないということでございますので、この要件だけはどんなことがあっても外せないということ。
それから、先生のおっしゃるように、確かにリーダーを求めるのは難しいです。その点はどこでも御苦労をいただいております。しかしながら、いろいろと議論をしていく過程の中で徐々にリーダーが見つかっていくわけでございますし、また、会社でいうと社長に当たる、責任を持つ立場の人というのがなくてはならぬわけでございますが、このことの経理の一元化、そして経営者、リーダーの確保というのは、これはもう一番大きな要件でございますので、その部分については御尽力をいただいていかなきゃならぬ、このように思っております。
○御法川委員 農水省の方からいただいています資料がございます。担い手育成の今までの運動の取り組みということで、全国でいろいろな会を催して意見交換をしてみたり、現状がどうなっているかということで、さまざまなケース、取り組み状況というのをここに書いてございます。
もちろん、これはどちらかというと成功している例が多いのだと思います。まだここまで踏み込めていない組織、あるいは組織になろうとしている集団、そういうものがまだまだ多数なのではないかなというふうに感じておりますが、例えば、まさにこれは、中に、「地域をまとめるリーダーが不在」というのが、これは意見交換の会で一番最初に「秋田」というふうに出ておりまして、やはりそういう問題が我々の地域にはあるんだろうなということでございますが、ただ、この中のいろいろなモデルを見ていますと、例えばJAの出資型でやっている、その他いろいろなケースがあるわけでございます。
この資料を我々はこうやって見て、そうだなということを言えるわけでございますが、できるだけ農業団体あるいは現場の方に、こういういいケースがあるんだよというその成功しているモデルケース、これをできるだけ早い時期に広報をしていただく、これはぜひ農水省の方でやっていただく、それによって、全国の農業者の方々が、それならできるかもしれない、やってみようかというような意欲を持てるような形でのインセンティブの発露をぜひお願いしたいと思いますけれども、この点についていかがでございましょうか。
○岩永国務大臣 昨年度だけでも全国で二千回やっております。そして、先進的な集落がずっと講師に回ってやっておりますし、また、農業団体それからそれぞれの市町村がやはりこのことに対する真剣な取り組みをやっております。
私も、二、三日前に家へ帰ったときに、滋賀県のある統計事務所から、統計事務所自身も実は独自の研修会を持っているというようなことで、本当にきめ細かく対応をしておりますので、ことしから来年にかけて本番でございますので、来年は集中して先生の御意図のような部分については徹底していきたい、このように思っております。
○御法川委員 ありがとうございます。
大体時間でございます。今回の新たな基本計画というのは、まさに農業における、農政における改革だと思います。小泉総理がいつも言っていらっしゃいますけれども、やはり改革というのはある程度の痛みは伴うかもしれない、しかし、その痛みの後には展望を持って農業をやっていける、そういう絵をぜひ農水省の方に描いていただいて、十九年、本当にもう時間がございません、あと一年でございます。ぜひ御尽力をいただくことを心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○稲葉委員長 次に、小野次郎君。
○小野(次)委員 おはようございます。私は、今回の総選挙で初当選させていただいた小野次郎でございます。
私の場合、突然の立候補でございましたので、実際のところ、選挙運動、期間を通じて自分の選挙区の実情を知ることができたというのが現実でございます。山梨の三区というところは、都市化した地域ももちろんあるのでありますが、ほとんどは山紫水明の地というか、中山間地の多い農業地域だということを改めて痛感いたしました。今後とも地元の有権者に信頼される政治家として育っていきたいと思っておりますので、本委員会に所属させていただきまして、農政をしっかり勉強してまいりたいと考えております。
二カ月前まで総理秘書官をしておりましたので、きょうの委員会室でいうと第二列ぐらいに座っておったわけでありますが、あるときは、政府参考人の答弁を見ていまして、御苦労されているなと思うこともありましたし、またあるときは、総理秘書官は政府参考人には通常なりませんので、先輩、同僚の官僚の方たちがそうやって答弁に立っている姿を見て、自分は立たなくて済んでよかったなと思ったこともございます。きょうは、委員長、先輩の委員の方々、また農水大臣、行政府の方々にもこれからよろしく御鞭撻をお願いしたいと思います。
私は、警察に二十九年勤めておりました。そのことから、これから政治家としても安全というテーマをライフワークにしていきたいと思っております。安全には防災とか犯罪防止もあるわけですが、食の安全というのも含まれます。特に食べ物については、年齢も性別も関係なく、すべての方が毎日口にしなければならないものでございます。その安全の確保というのは極めて重要だと私は考えております。
本日は、その関係でBSEの問題に絞ってお伺いいたします。
国民がだれでも尋ねてみたいと思う幾つかの質問、単刀直入に質問させていただくことをどうぞお許しください。私は、地元で、お金もないけれどもしがらみも一切ないというのを売り物にしている政治家でございます。大臣初め政府の方々にとっては耳ざわりな指摘もあるかもしれませんが、きょうは胸をかりるつもりで質問いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
まず最初に、米国産牛肉の輸入再開問題について、国民の関心は非常に高いと思います。輸入の再開を期待する思いもあるとともに、不安もまた依然として大きいと言わざるを得ないと思います。今にも輸入再開があるかのような報道も時々目にします。
そこで、国内における審議で結論が出されるタイミング、タイムスケジュールというものについて、現時点における見通しを教えていただきたいと思います。
○齊藤政府参考人 お答えいたします。
米国産牛肉等に関するリスクの評価につきましては、今年の五月の二十四日に厚生労働省及び農林水産省から諮問を受けまして、現在、プリオン専門調査会におきまして、これまで八回にわたって精力的に審議を行ってきたところでございます。
当初は、資料の要求その他など準備等に時間もかかるというようなこともございまして、おおむね三週間に一遍程度ということで議論を進めてきてまいりましたが、最近、議論が大分深まってきておりますので、おおむね二週間に一回ぐらいのペースで会合を行っておるところでございます。次回の予定でございますが、来週の二十四日ということでございまして、二十四日には結論の部分を中心に審議が行われるというふうに考えております。
いずれにいたしましても、本件につきましては、国民の健康の保護を最優先ということで、引き続き中立公正な立場から科学的な議論が行われる、尽くされるということが極めて重要でございます。(発言する者あり)
○稲葉委員長 もう少しマイクに近づいて発言してください。
○齊藤政府参考人 はい。
引き続き中立公正な立場から科学的な議論が尽くされることが重要でございまして、その結論の内容とか結論がまとまる時期につきまして、現時点で予断を持ってコメントを申し上げるということは、ちょっとこれは適当ではないというふうに考えております。
ただ、通常の手続の例ということでお話し申し上げますと、プリオン専門調査会の方で評価案が取りまとめられますと、その後、食品安全委員会に報告をされて、四週間のパブリックコメントを経た上で、また食品安全委員会の審議を行って答申をするというような、そういう手順となってございます。
○小野(次)委員 ありがとうございます。
大分議論は熟してきているということのようでございます。集中的にかつ慎重に議論を続けていただきたい、結論を出していただきたいと思います。
次に、米国産牛肉については、月齢二十カ月以下の牛肉の輸入再開が審議されていると理解しています。まず、日本のBSE対策の中間とりまとめにおいて、月齢二十カ月以下の牛についてプリオンの検出が困難だとした科学的根拠をもう一度教えていただきたいと思います。
○齊藤政府参考人 お答え申し上げます。
中間とりまとめ、平成十六年の九月におきましては、我が国における約三百五十万頭に及ぶBSE検査において確認された二十一、二十三カ月齢の若齢のBSE感染牛における延髄かんぬき部に含まれる異常プリオンたんぱく質の量をウエスタンブロット法で調べた結果、国内で確認されたその他のBSE感染牛と比較して、五百分の一から一千分の一と微量であったこと、それからまた、二十カ月齢以下のBSE感染牛を確認することができなかったということが中間とりまとめで報告されております。これが根拠かと思っております。
また、さらに付言させていただきますと、その後の国内対策の見直しに関する評価、平成十七年の五月におきましては、飼料規制の徹底が図られて、二〇〇三年七月生まれ以降の牛で検査陽性例が見出されるとしたら、この蓄積量は検出限界に近いと考えられると。二〇〇三年七月生まれ以降ということは、その時点における二十カ月以下のものということでございます。
○小野(次)委員 私は文科系の人間ですので、非常に理科系的な説明はわかりにくいところがあるのですが、要するに、私が聞きたいのは、検出が困難だというのは、食べても安全だという意味なんでしょうか。そこを御確認いただきたいと思います。
○齊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず初めに、一般論といたしまして、食品について、これは安全性を追求してまいるものでございますけれども、いずれにしても、リスクが全くないということは、これは事実上困難なわけでございまして、リスクをできる限り小さくしていくということが基本かと思うわけでございますが、平成十六年九月の中間とりまとめの中では、検出限界以下の牛を検査対象から除外するとしても、現在の全月齢の牛を対象としたSRM除去措置を変更しなければ、それにより変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のリスクが増加することはないと考えられるとされているということで、リスクの増加はないというふうに一応指摘がされておるわけでございます。
さらに、その後の国内対策の見直しに関する評価、平成十七年五月におきましては、これは検査に絞って議論してございますが、生体牛における蓄積度と食肉の汚染度を比較した結果、食肉の汚染度は全頭検査した場合と二十一カ月齢以上検査した場合、いずれにおいてもそのリスクというのは「無視できる」から「非常に低い」と推定され、検査月齢の線引きがもたらす人に対する食品健康影響(リスク)は非常に低いレベルの増加にとどまるものと判断されるということでございまして、問題とされるという指摘はされていないというふうに理解しております。
○小野(次)委員 初質問ですので、よくわかったようなわからないような感じはするんですが、次へ進ませていただきます。
それでは、百歩下がって、アメリカにおけるごく一般的な肉牛の飼育方法の中で、一頭一頭の牛の年齢が二十カ月以下だということを科学的、客観的に確認することは本当に可能なんでしょうか。それをお伺いしたいと思います。
○中川政府参考人 アメリカから牛肉を輸入する場合のさまざまな条件といいますのは、アメリカの輸出証明プログラムにのっとって確認をされるということになるわけでございます。
その中で、それでは、具体的に二十カ月以下ということをどう証明するかということでございますが、二つの方法がございます。一つは、牛の生産記録によって月齢を確認する方法。もう一つが、牛の枝肉の生理学的成熟度をもとに判断をする、判別していく方法でございます。
最初の、生産記録による方法でございますけれども、アメリカではまだ個体識別制度が完全には導入されておりません。しかし、生産者の自主的な取り組みによって個体識別が可能なものもございます。そういうものにつきましては、生産記録によってきちっとした月齢を確認していくということでございます。そういったことがこの輸出証明プログラムの中に記載されてございます。
もう一つの生理学的な成熟度による月齢の確認でありますが、これにつきましては、我々も十分な知見を持っておりませんでしたので、昨年の十一月からことしの二月にかけまして、日本の専門家の方々六人によります専門家の検討会を開きまして、そこで御検討いただきました。その結果でありますけれども、A40という成熟度の基準を用いましてこれを判別いたしますと、統計学的には二十一カ月以上の牛を高い精度で排除できるということが、そこで結論として報告書の中に記載されてございます。
こういった二つの方法で、そこの二十カ月以上かどうかということをきちっと判別していきたいというふうに考えております。
○小野(次)委員 私も政治家を志して地元へ入ってから、支持者の人から写真で見るより若いねと言われるとうれしいですけれども、同じ年の人が十人集まっても、人間の場合でも年齢というのはなかなか確認するのは難しいんですよね。だから、それがモウとしか言わない牛にどうして一頭ずつ確認できるのかというのは、ぜひ客観的、科学的な基準で進めていただきたいと思います。
時間が限られていますので、次へ進ませていただきます。
伝えられるところでは、年内にも輸入が再開する可能性があるとも言われています。その場合に、思い出しますのは、担当大臣がテレビカメラの前で焼き肉をほおばって見せるような牛肉消費拡大のキャンペーンを輸入再開の場合にはまた行おうと考えておられるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
○岩永国務大臣 農水省としては、科学的知見に基づく対応、それから、食品安全委員会の答申を受けてからの話でございます。
ただ、私は日本の農林水産大臣でございますので、国産牛肉については大いにPRをしていきたい、このように思っておりますので、外国から入る牛肉のキャンペーンを私がやるということは考えておりません。
○小野(次)委員 ちょっと安心いたしました。
政府は、科学的に危険性が完全には排除されていない牛肉――これは僕が言っているんじゃないですよ。牛肉の輸入再開を決めておいて、最終的には店頭で消費者に決定してもらうということを考えているんじゃないかと指摘される方がおられます。原産地表記など、消費者の選択に必要な情報を開示する、提供するというのは極めて重要な仕組みだと思いますけれども、行政の責任放棄だなんというふうに批判を受けることのないように、やはり今後とも輸入牛肉の安全性を確保していく責任というのは行政にあるんだろうと思います。
そういった意味で、その責任について、農林水産大臣としての決意を、もう一度国民の皆さんに示していただきたいと思います。
○岩永国務大臣 輸入再開については、先ほども申し上げておりますように、食品安全委員会に審議をいただいているという立場でございます。だから、科学的な議論というのが最後まで尽くされることが大変重要でございます。それで、食品安全委員会の答申を踏まえて、厚労省と連携しながら、責任を持ってしっかり対応して、消費者の食の安全、安心の確保に万全を尽くしてまいる所存でございます。
それからもう一つ。外食産業並びに食堂等にメニューが出ておりますが、この秋から、そこに産地表示というのをしていく、今、そういう施策も考えておりまして、私ども行政としては、もちろん安全、安心に対する責任を持てなきゃならぬわけでございますが、消費者もきちっと選択できるようにしていきたい、このように思っております。
○小野(次)委員 BSE問題に対する対応の中で食品安全委員会は生まれたわけでございます。農水省は、長く省内の、俗に最右翼の部局とされていた食糧庁をスクラップにして新体制整備の財源とされたわけであって、農水省にとってこの問題というのは極めて大きな転換点になったんだろうと思います。農水省は、今後とも、生産者や農産物の輸入業者だけでなくて、しっかりと消費者サイドに軸足を置いて行政運営を進めていただきたいと思います。
また、岩永大臣には、八月の御就任以来、本日が初めての農水委員会御出席と承っております。私にとって初質問の機会に大臣から御答弁いただいたことは、私にとりましても思い出に残ることだろうと思います。今国会が終わりますと、話題は当然内閣改造に移るかと思いますが、私といたしましては、次の通常国会でも引き続き岩永大臣の前で質問させていただく機会があればいいなと心から祈っております。
本日は皆様、どうもありがとうございました。
次は、農業の専門家であり盟友の中川委員が質問いたしますので、同僚議員にお譲りいたしまして、これで私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○稲葉委員長 次に、中川泰宏君。
○中川(泰)委員 私は、一番問題の京都四区で、激戦区で上がってまいりました中川泰宏といいます。よろしくお願いいたします。
こうして御質問の機会を一期生に与えていただいた理事の皆さん方に心から感謝と御礼を申し上げます。
私は、これまで二つの立場から農業を見てまいりました。一つは、十年ほど務めた町長の立場から、それからもう一つは、JAの会長として、生産者また経営者の立場から、改革を迫られる農業のあり方を考えてまいりました。農業は、やり方次第でもうかる産業であるということを確信いたしました。京都の京野菜農家では、一億円を残すという、十年でそんな農家が生まれてきておるところであります。
しかしながら、農業は画一的なやり方では無理であります。やはり、それぞれ地元の事情に合わせてやらなくてはならぬと考えております。地域によって千差万別、その私が体験をした具体的な事例で、大臣や政府にお考えをお聞きしたいと思います。
なお、私の最も尊敬する岩永大臣に見習いの私が二度質問すると失礼に当たりますので、また、その岩永大臣の率いる政府の方々も同じくであります。一方的に私の方から質問事項を申し上げ、一回だけ答弁していただいたら結構であります。見習いでありますので、これから勉強してまいります。
まず、京都府では、平成元年から、地域の特性を生かした伝統野菜の復活を図り、京都のブランド野菜として全国の先鞭をつけました。私が町長だった八木町でも、伝統野菜をブランド化し、三億円産地をつくり上げたところであります。東京の有名デパートへの売り込みなど、首都への販売戦略に力を入れ、地元を盛り上げてまいりました。ブランド化という理屈と伝統野菜の復活という地元の納得がうまくかみ合って成功したのであります。
しかし、気候など自然に左右される野菜生産は、価格の低迷で経営が危機にさらされることも多く、価格安定対策が求められております。現在、国の施策として、指定野菜価格安定対策や特定野菜等供給産地育成価格差補給事業がありますが、京野菜は指定をされておりません。しかし、地域の特産として京野菜は農家経営の柱に育ってきたところであります。京都府では、独自の経営安定対策で下支えをしております。この対策に国の支援が求められております。
例えば、米対策の中の水田農業構造改革交付金は、地元の自由裁量が大幅に認められた制度で、地域の実情に合わせて自由裁量できるという交付金のメニュー化を、経営安定対策の中に盛り込めないでしょうか。大産地、大規模農家といった画一的な基準ではなく、地域に合わせた施策を求めたいと考えております。大臣のお考えをお尋ねします。
また、八木町では、乳牛経営で出されるふん尿を堆肥化しております。その際排出されるメタンガスを発電に利用しております。環境保全に寄与しているわけですが、その維持管理コストは地元にとって極めて重いものであります。単なる産業廃棄物の処理といった感覚ではなく、生態系の循環という環境維持の努力に対して、施設をつくるだけの補助金ではなく、その後の運営に要する経費も助成をいただきたいとお願いいたします。
さらには、食の安全、安心への関心が高まる中、昨年猛威を振るった鳥インフルエンザ対策も考えていただきたいと存じます。ことしも茨城など関東地方で発生しておりますが、京都では事後処理が課題となっております。鶏ふんの処理対応は決まったものの、鶏体は土中に埋まったままで、抜本的な予算措置はなされておりません。こうした予測もしない事態の処理に対して国の適切な支援を求めていきたいのでありますが、二点についての政府のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
次に、食料自給率の向上やWTOの対策、さらには生産性向上を目指す構造改革の諸施策は、道路行政に例えるならば、高速道路、基幹道路の整備、建設に当たります。同時に、使い勝手のよい生活道路や路地裏整備といった、暮らしやすい環境整備も必要です。こうしたプランは、地域、地方の要望を取り入れた柔軟な政策づくりでしかできません。農業政策も、国家の食料確保の骨格となる基幹政策、路地裏整備ともいえる地域の特性を生かした農業経営の支援政策の両輪が相まって初めて確立されるのではないでしょうか。
このことは、農業改革の柱となる品目横断的経営安定対策の具体化でも配慮していただきたいことであります。焦点となる担い手の要件は、認定農業者と一定の基準を満たす集落営農組織を基本に議論は進んでおります。しかし、地域によって、農業を支えるのは、この要件を満たす生産者だけではないのであります。地域の実情に合わせた担い手の構想を打ち出していただき、小規模農家が参加できる集落営農の要件を広げるべきではないでしょうか。
京都は農業生産法人に力を入れております。今後の担い手の受け皿となる集落営農の組織化、法人化の推進、販売や経理の税務申告を担う人材の確保や体制整備への予算措置も必要であります。これら具体的な措置について、政府のお考えをお願いいたします。
また、農業改革の一環として、農協再編があります。
全国で農協合併が進み、一府県一農協を掲げる府県も少なくありません。京都も一農協を目指しております。団体の再編の動きは、農協だけでなく、農業関係のすべての組織、団体に課せられたテーマであります。再編は時代の要請であり、むだなぜい肉を省き効率化を急ぐべきであります。これまで国の農業政策は各種の農業団体を通じて行われてきましたが、農家戸数の減少、経営規模の拡大、さらには基盤整備の完了など、それぞれの団体の役割が薄れてきたという現実があります。こうした団体を運営するため農家が負担する費用はばかになりません。
具体的に申し上げますと、農業会議、土地改良区、農業共済などの再編統合は急務の課題であります。農協を核に、農業団体の再編統合によって新たな活力を発揮する時期を迎えております。御承知のとおりに、農業会議は農地行政を担当していますが、耕作放棄地が増加する中、農地の有効利用の方策もなく、存在理由が薄れております。土地改良区も、基盤整備事業が進み、発足当時の意義が失われております。農業共済は、新たな品目横断的経営所得安定対策の導入が進めば、その役割は小さなものとなります。
農業関係団体が目指したのは、農業の活性化でありました。しかし、時代の環境は変化しており、変化に対応できるシステムの構築が求められます。そのほかに多くの農業団体がありますが、個々の団体の役割は縮小しております。こうした団体を一体的に再編統合する必要があります。この点についても大臣の見解をお伺いしたいと思います。
また、団体再編のほか、府県行政との協力体制にも国のきめ細かい配慮が望まれます。農家の技術指導で、農協は営農指導員を抱えております。一方、府県は、改良普及員を国の人件費補助のもとに有しております。経営合理化を進める農協合併は、組合員への営農指導や生活指導への対応を弱める傾向があります。また、農林行政のスリム化の中で普及員の減少が目立ちます。総体として農家への技術指導が弱体化をしております。この立て直しが必要と思いますが、大臣にお伺いをしたいと思います。
最後に、米取引、市場問題に触れたいと思います。
先般、JA全農あきたの幹部が業務上横領で逮捕されました。JA関係者の一人としてまことに申しわけないと反省をしております。
この事件の背景には、現行の米市場の未整備、不透明さがあります。コメ価格センターも市場機能を十分発揮しているとは言えません。政府は、今後、米流通、市場対策についてどのように展開されようと考えておるのか。また、米先物市場を目指す全国の商品取引所の動きがあります。JAグループでは、国民の主食である米の安定的な供給のため、米の先物市場開設には反対をしております。こうした不安がないよう十分配慮していただき、先物市場の前提には現物市場の整備が必要であります。その対策を含めて、先物市場について大臣の見解をお伺いしたいと思います。
時間の関係上、一挙に申し上げたことをおわびを申し上げて、尊敬する岩永大臣から御答弁よろしくお願いいたします。
○岩永国務大臣 中川委員には、京都農協中央会の会長として、また全農の理事として、大変農業振興に御活躍をいただいてまいりましたし、先般私が副大臣のときに本部長をいたしました全農改革の推進について、本当に側面から大変な御協力をいただいて、今大きな成果を上げようとしていることに対しまして、この場をおかりして御礼を申し上げる次第でございます。今回、こうして衆議院議員として立派に御当選をいただいたわけでございますので、また今までの経験を生かして、いろいろとお考えがございましたら、こうして、委員会はもとより、また個人的にもお教えをいただいたら大変ありがたい、このように思っております。
大変短い時間で多くの質問がありますので、簡単に答弁をさせていただきたいと思います。
野菜価格の安定制度でございますが、京野菜は立派に地域野菜として、大きなブランドとして生長してまいりました。消費量が多い品目について、価格安定制度の対象として、生産及び出荷の安定を図っていかなきゃならないと御苦労いただいているところだと思うわけでございます。キャベツなどは全国的に消費量が多うございますが、こういうものを指定野菜としているわけでございますし、カボチャなど指定野菜に準ずる重要な野菜を各県における生産動向をも勘案して特定野菜として価格安定制度の対象といたしております。
それで、ミズナ等の京野菜の問題でございますけれども、生産、消費が十分定着しているかどうか今後見きわめる必要があろう、このように思いますので、特定野菜への追加については、地域の要望もありますし、価格の動向等を注視して検討をしていきたい、このように思っております。
それから次に、野菜の生産振興策でございますが、付加価値の高い野菜として、京野菜などの地域特産的な野菜について生産振興を図ることは大変重要だ、私はこのように思っております。それで、ブランド化をどう推進するか、そしてそれを認証、それから種苗の生産、増殖のための施設整備など、生産、流通の振興を図るための取り組みというものを今行っているところでございますが、特に地域特産的な野菜の消費拡大を図る、こういうような面から、メニューの紹介や都市住民による収穫体験など、そういう、みんなが参画してその地域へ行くというような形のものが大変大事だ、このように思っております。
今度、強い農業づくり交付金というのを農水省で持っておりますので、地方の自主性、裁量性を高めていくために、この資金をもって支援をしていきたい、このように思っております。
それから、農業会議や土地改良区、それから農業団体等の再編統合、これは御承知のとおり、基本計画の中でも、効率的な再編整備や体制の見直しを行う、こういうことで、大変重要な課題として私どもはとらまえております。
おっしゃいましたように、担い手がどんどんどんどん減少してきている、そして高齢化してきている、これは本当に私ども今深刻に考えていかなきゃならぬ問題でございますし、大転換をしていく大きな課題はここにあるんだ、このように思っております。
それで、それの背景にある団体については、やはり業務の効率化の実施や農業者の利便性ということを考えていかなきゃならぬわけでございますので、これから、窓口の一元化それから事務局の共同化の推進等々から手を出していって、そして最終的に農業団体の再編整備のあり方も視野に入れて考えていかなきゃならぬ、このように思っておりますし、ぜひとも、ひとつ私どもの農業改革の中に大きく織り込んでいきたい、このように思っております。
それから、普及員でございます。
確かに、普及事業は、行財政改革の中で、組織のスリム化というような社会的要請にこたえていく必要に迫られているわけでございますが、しかし、今私どもが新たに行おうとしております農業改革の中で、特に、専業化していく、それから集落営農をしていく、集落営農の中でも、今までその集落が携わっていなかった品目をこれからやっていただかなきゃならぬというような状況の中で、大変大切な役割を果たしていただかなきゃならぬ、このように思っておりますので、この普及員、技術指導体制というのは、これから逆に強化をしていかなきゃならぬのじゃないかということを思っております。
平成十六年に農業改良助長法を改正いたしまして、ことしの四月から、具体的に、普及職員の資質を向上する、それから、手当の弾力化など事業運営における都道府県の裁量を拡大する、そして、普及事業の重点化、効率化を進めていくというようなことをやっております。
それと、農協の営農指導と普及事業、これの一体化というのが大変大事でございまして、個々ばらばらにやっていますと効率が上がらないのを、どうして一体化していこうかというようなことをこれからひとつ考えていきたいし、今もそのことの取り組みをやっております。
それから、先ほどお話しした米の先物市場についてでございますが、現物市場における公正な取引と価格形成というのが、適正な米の流通を確保するために大変大事でございますので、コメ価格センター、この間、全農あきたが大変な問題を起こしました。このこともありますけれども、上場数量の拡大それから監視機能の強化等の取引ルールを見直しまして、公正かつ中立的な取引と価格形成を行えるような現物市場の育成に重点を置いていきたいということでございます。
先物取引につきましては、リスクヘッジの機能が必要ではないかという意見がある一方で、国民の主食である米について、需給と価格の安定のための施策を講じている関係で、生産者団体が反対しておられるということは十分私も承知しております。米の生産、流通、消費にわたる各方面の関係者を含めた幅広い御意見というものを聴取しながら対応していきたい、このように思います。
あと残りはうちの参考人に答弁させます。
○染政府参考人 バイオマスの利活用施設の運営経費の助成につきましてお答えをいたします。
バイオマスの利活用施設、これは地球温暖化の防止であるとか、あるいは循環型社会の形成、さらには地域農業の振興という意味で大変重要な施設ではないかと考えております。そういう意味で、国としても大変熱心に推進しているところでございます。
従来から、いわゆる施設整備費に対する助成であるとか、あるいは地域における経済性のある循環システムの策定に対する助成などを行っているところでありますし、また、試験研究あるいは現場での実証事業等についても助成を行いまして、地域の創意工夫によります主体的な取り組みを支援しているところでございます。
御指摘のバイオマス利用施設の運営経費につきましては、まず、原料となる廃棄物の処理費用を徴収することであるとか、あるいは熱、電力などのエネルギーを効率的に利用したり、あるいは高品質なえさであるとか堆肥などの高付加価値のある製品をつくりましてそれを販売していくような取り組み、そのようなことが極めて重要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
このような取り組みによりまして、地域の特性を生かしながら、経済的に収支のとれるような施設を運営していただくことが重要であると考えておりまして、当面、運営に対する経費の助成につきましては極めて困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○中川政府参考人 昨年埋却いたしました鶏の最終処分の問題でございますけれども、昨年の場合は、一定期間後に掘り起こして最終処分を行うということで、地域の、周辺の住民の方々の理解を得たという経緯もございます。最終処分につきましては、京都府と連携をいたしまして、防疫措置の一環として適切に処理していく必要があるわけでございますけれども、その際の費用につきましては、法律にのっとりまして、国がその費用の二分の一を負担するということで対応していきたいと考えております。
○井出政府参考人 次に、品目横断的経営安定対策の対象となります担い手についてお尋ねがございましたが、品目横断的経営安定対策の対象となるうちの集落営農につきましては、組織の規約をつくっていただいて一元経理をしていただくことというのがすぐ必要なことでございまして、そのほかは、農業生産法人となる計画、作業受託の目標、あるいは中心となる人の農業所得の目標ということで、この三つについては目標を設定して努力をしていただくということになっておりますので、決して厳しい要件だとは考えておりませんが、小規模な農家につきましては、このような集落営農に参画していただくことによりまして、本対策の対象となる担い手を構成する一員となる道を開く考えでございます。
いずれにしましても、この担い手の要件につきましては、地域の実情を十分勘案し、具体化していきたいと考えております。
また、集落営農の組織化、法人化に当たっての予算措置に対するお尋ねでございますが、現在も集落営農の組織化、法人化のための活動をさまざまな形で支援してきておりますが、平成十八年度の予算概算要求におきましては、集落営農の発展段階に応じましてさらにきめ細かに対応する必要があるということで、具体的には、集落営農のコーディネーターによる組織化に向けた調整活動を支援するとか、会計システムを導入したり税務顧問を確保したりすることによる経理の一元化を支援する、あるいは小規模な基盤整備や農業機械の廃棄処分等への支援といったような新たな事業や事業メニューの新設、拡充を今要求いたしているところでございます。
○中川(泰)委員 大変ありがとうございました。
言いたいこともありますが、また勉強会で十分頑張ってみたいと思います。
農業は、北と南、それぞれであります。やはりこの農業改革は、真ん中におる人にしてほしいなと。私どもは、だれが大臣がええとはよう言いませんが、やはり両方の意見が聞ける人に改革を進めてほしいということをお願いを申し上げて、私の御質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○稲葉委員長 次に、漆原良夫君。
○漆原委員 公明党の漆原でございます。
きょうは、大臣の所信を中心にしてお話をお伺いしたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
農は国の基なりという言葉は、大変古くから言われてきた言葉でありますが、しかし現実は、大臣が所信でも指摘されておりますように、従事者の減少や高齢化の進展、耕作放棄地の増大など、将来に明るい展望を持てないのが実情であります。所信の中にも、「意欲と能力のある担い手」といった言葉が何回も出てまいります。日本農業の担い手の平均年齢が六十歳を超えているという現在の段階では、この農は国の基なりという言葉そのものがむなしく聞こえてくるわけでございます。
それこそ、若者が意欲と希望を持って農業経営に当たることのできる環境を整備すること、まさにこれが私たちの責務であると思いますが、まずこのことについて大臣の御見解をお伺いします。
○岩永国務大臣 今先生のお話のように、農業は大変深刻な事態を迎えているという確認から私は出発をいたしております。
と申し上げますのは、六十六、七、八、九歳ぐらいをピークに今農業経営が行われているわけでして、あと十年したらそれが七十歳の後半になってしまうということ。それから、放棄地がふえている、そして若手が農業に参画しない。原因は何なのか。率直に言うて、私は、もうかる農業ではない、だから農業で食べていけない、農業で生活していけない、そういう深刻な事態があるのではないかと。だから、そのことのために、もうかる農業というのを私は提唱しているわけです。
そのために何をするか。これは、十九年から発足する品目横断、なおかつ担い手対策、それから集落営農、これあたりを中心にして、そして金も土地も集約してしまう、そして専業農家に集中する、そして集落営農で、土地を遊ばさないで、自給率を上げるために、有効的な土地利用をしてもらう、これが一つ。
そして二つ目は、これは流通の問題でございますが、今農家の手取りというのが三〇%なんですね。例えば、百三十八円で売られているホウレンソウが、農家に三十八円しか入らないんです。二八%なんです。汗水垂らして、日天こぼしで仕事をして、泥まみれになって頑張っている農家になぜそうなのかと。やはりこの問題をきちっと究明していこうと。だから、全農改革もそのうちですし、市場改革もそうですし、また、流通を含めて、やはり地産地消を推進することもそういうことで大変大事だ、このように思っております。
それから、三つ目に私が思っているのは、ともかく自給率が低い、しかし、日本には六〇%外国から輸入しているエリアがあるのではないか、このことにどう取り組むかということなんですね。だから、先ほどもちょっとお話を申し上げたように、これから、食堂のメニューだとか外食産業のメニューだとか、そういうところにそれぞれの国産地表示だとか産地表示をきちっとしながら、やはり国内産を日本の消費者が愛していく、いろいろ総合的に対応をしながらこのことをやる。
そして今、若手にもその農業に参画していただいておりますように、文科省と相談して、実は農業高校から三万人卒業するわけですね、だから、そういうところに対してうちの現場の受け入れ体制をつくっていくとか、魅力ある農業はどうだというようなことなんかを一生懸命に普及をしながら、就農相談だとか就農援助をして、そして若手に意欲と希望が持てるような農業を農水省みずからが提唱していく、そして団体も何もかも含めて大転換をしていくというような決意を持っております。
○漆原委員 まさに私もそのとおりだと思うんですね。若い人が農業で生活していけるという希望を持つかどうか、ここがやはり大きな分岐点になるんだろう、こういうふうに思っております。その意味で、ことしの三月に閣議決定された新しい基本計画、これはぜひとも進めていかなければならない大きな課題だ、問題だと思っております。
そこで、大臣は所信の中で、「経営安定対策については、これまでの全農家を対象にした品目ごとの対策から転換し、やる気と能力のある担い手に絞った経営安定対策を十九年産から導入することといたしております。」こう述べられておりますが、全農家を対象とした品目ごとの価格政策を見直して、担い手を対象に絞った、経営全体に着目した品目横断的経営安定対策に転換した理由について、その説明を求めたいと思います。
○宮腰副大臣 農業従事者の減少あるいは高齢化等によります農業の生産構造の脆弱化が進む中で、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う強靱な農業構造を構築することが、我が国農政にとりまして待ったなしの課題となっていると認識しております。
このため、我が国農業の構造改革を加速化するとともに、WTO等における国際規律の強化にも対応し得るように、現在、品目別に講じられております経営安定対策を見直し、施策の対象となる担い手を明確化した上で、その経営の安定を図る対策に転換する必要があるということで、品目横断的経営安定対策に転換をしてまいりたいということでございます。
○漆原委員 今、日本の全農家数が二百九十三万戸、こういうふうに言われているわけですが、その中で、認定農業者、十七年度は十九万一千九百二十六、集落営農が九千百七十五、二十万ちょっとの状況なわけですね。そうすると、この対象にならない農家は支援の対象にならないということになるわけですが、この辺はどのように考えていらっしゃいますか。
○宮腰副大臣 法人化を目指す集落営農をこの対象にしているということは、これはすべての農家の方々に門戸を開いているということでございまして、集落営農に参加をするということでこの担い手要件を満たしていただいて、そして支援の対象にしていこうと。
特に、先ほど申し上げましたけれども、個別の農家の中で、やはり高齢化をしていて、この先、後継者が見込めないといったようなケースが、これからどんどん起きてくるというふうに思っておりますけれども、その際に、集落営農に参加をすることによって効率的、安定的な経営に参加をするという形で、この門戸を広くして、努力しておいでになる農家の方々が報われるような仕組みに切りかえていきたいというふうに考えております。
○漆原委員 一生懸命、認定農家になるように、集落営農するようにということで御指導をいただいているようでございますけれども、そんな飛躍的な数にはなっていないわけですよね。ここのところは農水省、しっかり取り組んでいただいて、ぜひとも小規模農家あるいは中山間地の農家も支援の対象から漏れることのないように、ひとつしっかりと取り組んでもらいたいというふうに思っております。
WTOの話もさっき出ましたけれども、WTO、日本にとって厳しい状況と聞いていますが、外国から高まる市場開放圧力に対抗するためには、まず何よりも、日本農業の国際競争力を高めるしかないと思います。そして、そのためには、やはり農業の担い手の経営が安定して、日本農業の足腰が強くなくてはならないと思っております。担い手を対象にした品目横断的な経営安定対策は、望ましい農業構造の確立と国際競争力の強化に資することになると私は考えておりますが、この点についての大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
○岩永国務大臣 基本は、やはり日本の中で意欲的に農業に従事してくれる若者、それを確保することが大事だ、このように思うわけでございますが、そのことのためにやらなきゃならぬというのは、先ほどもお話を申し上げたんですが、やはり地域農業の維持確保、そして、むしろ土地が有効、効率的に使われる体制でございますし、その次には、外国から来る農産物と日本の農産物との生産コストに対する競争、それから特に品質、最近、外食産業あたりでもロットがそろわないという、いろいろな日本農業における課題解決だと思います。
それから、食料自給率を上げるということを目途に、先ほども申し上げましたように、日本の消費者が、安全で安心なトレーサビリティーが確立し、本当に目前にある生産品をどう愛好してもらうか、その大転換だと。
いずれにしても、日本の消費者が日本のものを好んでいくということで頑張ってもらうと、最終的にWTOの関係も乗り越えていけるのではないか、私はこのように思っておりますので、この部分に相当力を入れていきたい、このように思っております。これは、メニューの問題もいろいろあるわけでございますので、きめ細かく消費者に対応していきたい、このように思っております。
○漆原委員 基本計画では、支援の対象となる担い手は、認定農業者及び一定の要件を満たした集落営農、こうされております。私は、この対象となる担い手の経営規模要件の設定は、地域の実情に即して行われるべきではないのかというふうに考えております。
具体的には、現行の米の担い手経営安定対策の面積要件、個別は四ヘクタール、北海道十ヘクタール、集落型経営体が二十ヘクタール、これでは地域の実態に即さないため、全国一律の設定ではなくて、地域の担い手の実態や作目別の営農組織化の状況に即して設定されてはいかがかというふうに思います。また、中山間地、あるいは集落地域の農地規模が元来狭い地域など、物理的な条件格差が存在する地域においては、規模要件を弾力的に設定できるような仕組みにすることが必要だと考えておりますが、大臣の御見解を聞きたいと思います。
○岩永国務大臣 先生のおっしゃるとおりでございまして、我々も全国各地へ出向いていっております。そしてから幹部も各ブロックを手分けして担当しておるわけでございますが、率直に申し上げて、先生のような御意見は相当出てまいります。
ただ、ばらまき農政から脱却するために、では何でもかんでも受け入れていいのかということでございますので、そこのところは我々踏ん張らなきゃならないときでございまして、本当に根気強く、今、日本農業の転換のために何が大事かということを、やはり集落営農に参加していただく皆さん方に時間をかけて説得していかなきゃならない。そのことのために来年は予算的にも相当お願いしておりまして、大展開をしよう、このように思っておりますので、いろいろと御意見を今集約いたしております。そして今、それぞれの機関で、全国から出てくる意見というものを集約いただいているところでございます。
○漆原委員 確かに今、農政の構造改革という大変大きな課題に取り組もうとしているところでございますので、これがまた、おっしゃるように、全部の要求を入れていたら何もならない、こういう意味では痛みの伴う改革になると思うんですが、できるだけ地域の実情に配慮をしていただきたいというふうにまず申し上げておきたいと思います。
もう一つ、基本計画は、米の需給調整について、「米の需給調整の在り方については、需給・価格情報等を踏まえ、農業者や産地が、需要に即応し、主体的な判断により、売れる米を適量生産する姿の実現に向けて米政策改革を推進する中で、あるべき姿を構築する。」こういうふうになっておりますが、これは、生産調整の主体がある意味では国から生産者に変わるということで、大きな転換であると思いますが、その趣旨と理由について御説明をいただきたいと思います。
○村上政府参考人 米の需給調整についてのお尋ねでございます。
十四年十二月に取りまとめられました米政策改革大綱で、米の需給調整につきまして、消費者重視、市場重視の考え方に立って、需要に即した米づくりの推進を通じて水田農業の安定を図るということにしているわけでございます。
十九年産から、農業者、農業者団体が、客観的な需給情報などに基づきまして主体的に需給調整を行うシステムに移行するということを目指しているところでございます。この考え方に基づきまして、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律におきましても、国が、都道府県別の生産目標数量を設定して、その配分を行うのは十八年までということで、遅くとも十九年度までというふうに定められているところでございます。
これは、農業者それから農業者団体が、それぞれの産地の米の販売実績とか消費者ニーズを的確に把握して、これに即した生産を主体的に行うという体制を早期に構築するということが米の需給の安定を図るという意味で非常に重要であるというふうに、そういう考え方に立つところでございます。
なお、そういう新たな需給調整システムに移行した場合におきましても、国としても、全国的な需給見通しなどの情報提供を行うということとあわせまして、地域の創意工夫による水田農業の発展を支援するために、各般の施策を総合的に強力に進めていきたいというふうに思っているところでございます。
○漆原委員 はい、わかりました。
次に、これからWTO農業交渉について大臣の所見をお伺いします。
大臣は所信の中で、「本年十二月の香港閣僚会議に向け、交渉が加速化しつつある中、我が国の主張をできる限り反映させるべく、全力で交渉に臨みます。」こう述べられておるわけでありますが、この表現が一般的、抽象的な表現にとどまっているせいか、元気な大臣にしては少し声が小さかったかなという感じがしないでもありません。
高関税で国内農業を保護している我が国にとっては、上限関税の設定と上限関税の適用を除外する重要品目の決め方が交渉の眼目となるだろうと思っています。しかし、ブラジル、インド、中国などの有力途上国は先進国の上限関税を一〇〇%とするように主張しておって、日本と同じく農業保護の水準も高いEUも一〇〇%とする新提言を行っております。また、重要品目についても、日本は品目の拡大を求めておりますが、アメリカなどは品目を最小限に限定するよう求めており、厳しい状況が予想されております。
大臣は、農林水産大臣の御就任直後、最も厳しい交渉に臨まれることになるわけでございますが、日本農業を守るために、何としてもこの交渉、勝ってもらわなければならない、こう思っております。WTO農業交渉に臨むに当たって、大臣の現状認識と元気な御決意を聞きたいというふうに思いますが、よろしくお願い申し上げます。
○岩永国務大臣 先週の十日から約一週間、WTO交渉にジュネーブへ行ってまいりました。EUのボエル農業委員だとかファルコナー農業交渉議長だとか、それからラミーWTOの事務局長、それからアメリカのジョハンズ農務長官だとか、それとポートマン通商代表だとか、カナダのミッチェル農務長官、帰りにはフランスへ寄りましてビュスロ農業大臣等々とバイをいたしましたり、またG10の会合をやったり、拡大FIPsの会合をやったり、それからあと貿易交渉委員会、百四十カ国ほど出ているわけですが、そこで私、特別、発言を許してもらって日本の立場を申し上げたり、大変縦横無尽に日本の立場をそれぞれの場所で提案をしてまいりました。私の発言というのはG10の発言でございますし、米国、EU、G20が具体的な提案を出してまいりまして、それぞれの閣僚による議論が行われたわけでございました。
それで、特に大きな問題は、一般品目の関税削減率、それから重要品目の数と取り扱い、これは日本で千三百あるうち重要品目をどこまで確保できるか、それから、確かに米国、EU、G20が上限関税をかけようとしておることに対する取り扱い、これらが大きな課題でございますし、輸入国と輸出国、それから先進国と後進国等々の立場の隔たりというのは大変大きなものがございます。やっと四つの提案が数字として出そろってまいりましたので、これから交渉が大変加速化する、こういうように思っておりますし、昨日も一昨日も、総理ともこの問題についていろいろとお話を申し上げ、また御示唆をいただいてまいったところでございます。今週も、もうあすあたりからFIPsの閣僚会議がございますし、また拡大FIPs閣僚会議も予定されております。国会の御了解が得られれば、きょうから出発したい、こういうように思っているわけでございます。
積極的に、一般品目の関税削減方式、それから重要品目の議論には日本が孤立することのない立場できちっと対応してまいりたい、このように思いますが、上限関税の問題だけは、これは各国の生産条件の違いを無視して、そして我が国などの食料輸入国の農業に甚大な影響を与えるものでございますし、このことの失敗が日本農業の崩壊につながるという強い危惧を私は持っておりますので、ほかのG10の国と連携して、受け入れる余地がないということを最後の最後まで踏ん張って頑張っていきたい、このように思っております。
いずれにいたしましても、十二月の閣僚会議におけるモダリティーの確立に向けて、日本の立場というものを十分主張してまいって、結果的に反映が得られるように頑張ってまいりたい、このように思っております。率直に申し上げて、厳しい環境であることは否めない事実でございますけれども、私が責任を持っている日本農業のこれからの振興、発展ということを考えるときに、本当に政治生命を賭して頑張らなきゃならない大きな私への課題である、このように思っているところでございます。
○漆原委員 力強い決意をいただいて、どうもありがとうございました。
次に、WTO交渉でよく言われることなんですが、日本の場合は行政が縦割りになっておってお互いに省庁間の連携がよくない、交渉ですから、包括的交渉、場合によっては工業面でこれを譲るから農業面でこれをとるというふうな、こういう出たり引いたりする交渉事が、なかなか省庁間がお互いに牽制し合って、日本の場合はできにくいのではないか、こういう指摘がよくなされているんですが、この点についてのお考えを聞きたいと思います。
○宮腰副大臣 WTO交渉につきましては、十二月の香港閣僚会議に向けた交渉加速化を見込みまして、十月の六日に官房長官の主宰で岩永農林水産大臣ほかWTO交渉関係閣僚などが集まり、政府一体となった取り組み姿勢を確認したところでございます。
その中に、今ほど御指摘にもございましたけれども、「我が国としては、各分野において、我が国の経済的な利益に資する成果を得るとともに、現実的な合意を行うことで、我が国の国益を最大限確保することが重要である。」ということと、「これらの目的を達成するため、関係省庁間の協力・連携をさらに緊密なものとし、一層能動的に交渉に参画することとする。」というふうに確認がなされておりまして、このラインに沿って、関係省庁との連携を図りながら、省を挙げて交渉に臨んでいきたいというふうに考えております。
○漆原委員 ありがとうございました。
次に、原油価格の高騰の問題に移りたいと思いますが、この原油価格の高騰は日本経済に甚大な影響を及ぼしております。これはもう農水省だけじゃなくて日本の政府全体が取り組まなければならない大きな課題だろうというふうに思っておりますが、まず大臣に、この原油価格高騰問題に対する政府の取り組み方についてお尋ねしたいと思います。
○岩永国務大臣 近海漁業では年間七百万ぐらいの高騰でございますし、それから遠洋漁業では年間三千三百万の高騰になるわけです。そして、今でも漁業従事者の皆さん方は大きな赤字を抱えておられるのに、これだけ上乗せされたら、それこそ本当にこれも日本漁業が崩壊するんではないかという大変な危惧を私は抱いております。
そのことで、先般、九月二十七日でございましたが、閣僚懇談会において、私から、漁業に大きな影響を及ぼしている、そして具体的な事例を申し上げて、何とか政府でこの点に対する対応をお願いしたいということで、総理から御指示を受けて、局長級の原油問題関係府省連絡会議がなされたわけでございます。そして、十月の四日に、関係閣僚による打ち合わせがなされまして、そして、その中で特に決まったことは、エネルギー消費削減の努力、石油以外のエネルギーへの転換努力、それから中小企業への対応等、具体的な対応を早急に検討していこうじゃないか、こういうような話が出ました。
だから、私は、個々に財務大臣や経産大臣にも、何とか打つ手がないかということで精いっぱいお願いをしているわけでございますが、農水省としては、来年度予算あたりで、今、青色ダイオードで省エネ対策をどうしていくかとか、また、燃費の支援、金利の支援だとかいうようなことを中心に考えているわけでございますが、今後とも関係府省と連絡をとり合いながらこの問題について積極的に対応をしていきたい、こういう決意でおります。
恐らく全国の漁業者が私の背中を見て何とかならぬかということを必死で訴えておられる姿というのを背景に担いながら頑張っていきたい、このように思っております。
○漆原委員 農林水産行政においては、特に、今大臣のおっしゃった漁業と、もう一つ、施設園芸に大きな影響を及ぼしていますね。漁業については燃料費として、施設園芸については光熱動力費としてその費用増が大きく経営を圧迫しております。加えて、この二つは値段が市場の競りで決まるために売り値に転嫁できないわけですね。したがって、本来利益になるところに全部直撃してくるという大変な状況でありますが、農水省は、この二つの業種における現状をどのように掌握しておられるのか、また、それに対する対応についてあわせて御説明を願いたいと思います。
○小林政府参考人 まず水産関係から御説明をします。
漁業用の燃油価格でありますけれども、昨年、キロリットル当たり四万二千五百円でございましたのが、ことしの十月現在で六万五千九百円と、五割程度の上昇でございます。それから、漁業経営は、よく指摘されますように、ほかの産業に比べましても油代の占める割合が一三・五%と高うございます。そういう中で、先ほど大臣も触れられました、中小漁船漁業の平均では約七百万円ぐらい、それから、遠洋に出ますカツオ・マグロになりますと三千三百万円ぐらいの費用負担増が見込まれる、こういう状況でございます。
これに対しまして、今漁業者の皆さんも一生懸命経営努力をやっておりまして、いろいろな省エネ対策を進めているわけでございますが、そういう取り組みに対しまして、私どもといたしましても、幾つか対策を講じようとしております。
一つは緊急対策でございまして、これは九月三十日からやっておりますけれども、いわゆる燃油の関係の運転資金に対する利子補給、これで経営をつなげていただきたいということ。それから、漁協系統に対します、いろいろな燃油コストの低減という形で、タンクの効率的配置対策等。こういったものを講じておりますが、いずれにしましても、基本のところは、やはり漁業構造を省エネに持っていかなくちゃいけない、そこでコストダウンをとにかく図っていただくということが基本でございまして、そのための対策としては十八年度予算が中心になります。概算要求におきまして、例えば白熱灯の集魚灯を青色発光ダイオード、これでダウンしてもらうとか、さまざまなそういった予算、あるいはいろいろな操業体系の改善とか、そういうことを考えておるところでございます。
いずれにしましても、先ほど大臣からございました、政府全体での対応もございますので、関係省庁とも連携しながら、より効果的な対策ができるようにこれからも努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○西川政府参考人 施設園芸についてお答えしたいと思います。
施設園芸は、品目によって異なりますけれども、御指摘のように光熱動力費というものが経営費の二割から四割程度を占めるということが実態でございます。燃料用の重油価格が現在のような高値で推移いたしますと、ちょうど十一月から今度は需要期に入ってまいります。そういった面で、施設園芸農家の収益に直接影響を及ぼすということになるわけでございます。
施設園芸に対して、この原油高騰対策、どうするのかということでございますけれども、やはりこれは省エネルギー対策の徹底が基本だというふうに考えておりまして、燃費向上のための加温機の点検整備であるとか温室へビニールの被覆を追加するとか、そういった保温対策の徹底をするといったことを、既に九月の段階から現場指導への徹底も図ってきているというところでございます。
また、現在、太陽熱やもみ殻などの自然エネルギーを利用いたしました温室の導入に対しまして、農林水産省の強い農業づくり交付金によりまして既に支援もしております。あと、太陽電池でありますとか小型水力発電を利用する省エネルギー型の施設園芸への転換といったこと、こういうことも必要だということで、来年度に向けまして新たな予算要求もしているということで、これの確保に努めていきたいというふうに思います。
関係省庁の連携につきましては、先ほど大臣、水産庁長官からお答えしたように、我々も一緒になってやっていきたいと考えております。
以上でございます。
○漆原委員 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
○稲葉委員長 次に、山田正彦君。
○山田委員 きょうは、プリオン専門調査会の吉川座長には、わざわざバンコクから、朝着いていただいて、この委員会のためにどうもありがとうございます。
早速質問させていただきたいと思いますが、十月十二日、同僚の民主党の川内議員が内閣委員会で質問しております。いわゆる牛肉系の肉骨粉、特定危険部位を入れた、これが約十六万トンアメリカで、レンダリング業界で生産されている、さらに、牛脂、タローと呼ばれるそうですが、これも特定危険部位が入って十六万トン生産されて、そのまま流通している、そういう事実が明らかにされました。
さらに、実は私の方で手に入れた資料なんですが、これは、二〇〇四年八月、FDAがアメリカの全国生乳生産者連盟、そこに諮問しているわけです、反すう動物の飼料に血粉とか、SRMを使った肉骨粉とか、食品残渣、養鶏場廃棄物などを禁止するとしたら、どういうふうな影響があるかと。ということは、今まで使っていた、使っているということなんですが。その中で、全国生乳生産者連盟の答えでは、一日一頭当たり四ポンド乳牛の乳量が落ちるというようなことを言っているようです。そういったことから、これをちょっと読んでみますと、いわゆる反すう動物によるそういったものが約七〇%はさらに反すう動物に対して主に酪農業界で飼料として利用されているということです。ということは、仮に今回もしアメリカからの牛肉の輸入が再開されて、酪農の牛肉、ミンチとかハンバーガーとか恐らくそういうものになると全く表示されないわけですが、そういったものがそのまま流通すると大変なことになると思うんです。
そういった意味で、今大事な、日本と同等のリスクの評価がなされているわけですが、早速吉川座長にお聞きしたいと思います。
アメリカにおいてSRM入りの肉骨粉とか牛脂、そしてまた血粉、そういったものが大量に使用されている事実について、既に資料を求めて食品安全委員会で十分な検討をなさっているかどうか、まずその点についてお聞きしたいと思います。
○吉川参考人 お答えいたします。
先ほど指摘のあった点に関しては、専門調査会で既に、米国において、牛由来の特定危険部位を含む肉骨粉、あるいはイエローグリースと言われる動物性の油脂が直接牛の飼料に回るということはないように規制をされ、また、その記録も残すようにされていますけれども、今おっしゃったように、牛以外の鶏とか豚といったものの飼料に使われる、また、その残渣あるいは残飯というものが牛の飼料に戻る可能性があるということについては、既に専門調査会で検討し、また、そういうことが行われる限り国内でのBSEの増幅をとめることはできませんということを専門調査会のたたき台の中で述べてあります。
○山田委員 今まで、牛には食べさせていない、豚とか鶏、そして鶏のふんをえさに食べさせているから、その残渣で交差感染、汚染のおそれがあるということは言われてきましたが、今私が言っているのは、そういった、十六万トンも使われていて、特に牛の血粉なんですが、そういったものが七割も牛のえさに直接使われてきている。そして、単にラベルに反すう動物に使ってはいけない、そのラベルを私も現地に行って見てきましたが、アニマル、それの云々と書いているだけですから、そういったものを使っていけないということになっているが、実態としては、ほとんど酪農業界では、反すう動物からできたえさを使っている実態があるというように、どうもこの報告では見えるんですが、そういった資料まで集めて、資料が手に入っているかどうか、そして検討しているかどうか。きょうちょっと質問がいっぱいありますので、端的に、集まっているなら集まっている、その点だけで結構です。
○吉川参考人 お答えします。
血粉に関しては使われているというふうに認識しております。ただ、BSEの生体内分布は独特のものがありまして、そのほとんどは中枢神経系を含む脳と脊髄に、ヒトのバリアントCJDと異なって、血液中にはほとんど出てこないというのがわかっております。
それから、もう一つ。個々の事例について、どの程度の農家でどういうふうに実態として使われているかという細かいデータはいただいておりません。そういう意味では、法規制とその遵守という、アメリカが調べたコンプライアンスデータをもとに評価をするという格好でやっております。
○山田委員 大変大事なところなので、十分にそういったデータ、資料を集めて、もう一度その点、この牛の血粉の問題も含めてプリオン専門委員会では調査していただきたい、そう思います。
さらに、一つ農水大臣にお聞きしたいと思いますが、アメリカでは、牛由来の肉骨粉約十六万トンができているわけですが、それが、会計検査院の報告によると、アメリカの国内の流通に回されている飼料、そういったものには牛その他の反すう動物への給与禁止という表示はなされるように義務づけられているが、輸出用飼料には課されていない。いわゆる日本向けの配合飼料、輸出飼料には肉骨粉という表示がないと米国会計検査院の報告がなされているわけです。
大臣、聞いていただきたいと思うんですが、これは、私も、ここのGAOというんですが、行って部長に会って直接話を聞いてまいりました。そうすると、当然のことながら、日本に入ってくる肉骨粉の中に、SRM入りのそういった肉骨粉が配合飼料として入ってきている。先般、農水委員会で肥飼料検査所、大宮に行ってまいりました。そこで、そういった配合飼料の中の肉骨粉について検査をしているのか、していないのか、肉骨粉が入っているかどうか、それをお聞きしましたら、今その肥飼料検査所においては、やっていないと明確なお答えでございました。
これは大臣として、農水省責任ありませんか。
○岩永国務大臣 御承知のとおり、日本では肉骨粉の輸入は完全に禁止をいたしておりますので、入っていない、このように思っています。
○山田委員 大臣、私が言っているのは、日本にアメリカから入ってくる配合飼料は、アメリカの方は、肉骨粉入りという表示をしていないと言うわけです。そして、このことは去年の九月、吉川座長も御承知のとおり、食品安全委員会でも指摘しているんです。本来なら、当然それについて検討して、早速そういった配合飼料に肉骨粉がないか検査させなきゃいけない。それを怠ってきている。まあ、これ以上いいです。大臣、その事実関係はよく調べていないようですから、よく調べて善処していただければ結構ですから。では、もう次の質問に移りますから。
○岩永国務大臣 先生の御指摘は十分踏まえて対応しよう、このように思っております。
○山田委員 それはわかっていたことですから、ぜひ早く対応してください。大臣、直接の指示を、早急な指示をお願いいたします。
それから、問題は代用乳。
BSE感染で、肉骨粉が原因だとも言われていますが、日本で発生した二十頭のうち一九九六年生まれが十二頭ありますので。これは全農系の高崎工場、ここにおけるミルフードAスーパー、代用乳ですね。私も牛の肥育をやっていたことがあるので、子牛のぬれ子にこの代用乳を、溶かしてですね、自分で飲ませておりましたからよく知っているんですが。
この代用乳について、日本の場合には、オランダの油脂とアメリカの豚の血粉、血漿製品、これが入っていたと言われていますが、私、先般アメリカに行ってUSDAでいろいろ話しているときに、この血漿製品といいますか、血漿たんぱく、これについて、豚由来のものか牛由来のものかレンダリング工場ではっきり分けられていない、そういう事実をお聞きして大変気になったんですが。そうすると、高崎工場の豚の血粉と言われるものが牛由来のものであったかもしれない。また、表示もどうなっておったのか。どうもGAOの調査の飼料の表示問題からしても、大変難しいんじゃないかという気がしております。
そうなりますと、この代用乳。特に小さい子牛にこのBSE汚染は非常に高いわけですが。陽性率というんですか。この代用乳の組成。例えばアメリカでどういう代用乳を飲ませているか。仮に牛の血粉、あるいは牛の骨粉、そういったものを使っているとしたら大変なことだと思うんですが、それについて吉川座長にお聞きしたいと思います。
食品安全委員会は、アメリカ、カナダに対して、若齢乳用種に給与される飼料に肉骨粉が含まれる可能性についてという資料の取り寄せを求めたようです。その求めた中で、カナダとアメリカからの回答、私も見せていただきました。
それを見ると、カナダについてはきちんと書いておりますが、アメリカについては、この代用乳の組成が書いてない。吉川座長、こういった資料はどうしても必要とするんだと思うんですが、必要としないで、もう既に、二十四日、三十日で結論を出すおつもりでしょうか。それだけお聞きしたい。
○吉川参考人 おっしゃるように、代用乳というか実際には人工乳という、乳を搾ってしまうために、かわりに子牛に初期に与える乳があるわけですけれども、この人工乳の中にSRMを含むプリオンがあると、確かに感受性期ですから大事なわけで、そういう意味では、明確な組成、日本の場合にも、農水省の方から出していただいたわけですけれども、先回か先々回、一応、アメリカ、カナダそれぞれ、スターターを含めてどういう組成になっているかという一覧表は確かにいただきました。
我々の見解としては、それほどアメリカとカナダで、フィールドでの育て方に大きな違いがあるというふうには考えておりません。ほぼ共通しているというふうな認識で考えております。
○山田委員 というと、カナダの資料があるからアメリカの資料は必要ない、そういうことでしょうか。
○吉川参考人 済みません。いや、アメリカの資料が要らないと言っているわけじゃなくて、カナダの資料もアメリカの資料も必要です。
アメリカの資料に関しては、委員会限りという格好で、事務局の方から提供されております。
○山田委員 取り寄せるということですね。
○吉川参考人 いや、委員会限りという格好で提供されております。
○山田委員 委員会に出てきた資料には、私の方で調べさせてもらった限りでは、アメリカについて、いろいろな若齢牛の飼料についての成分は載っているけれども、代用乳については載っていない。そういった大事な資料がアメリカについては欠陥している、資料が提供されていない。
私も、アメリカのプルシナー教授、プリオンの専門家の、ノーベル賞をもらったプルシナー教授の研究室でセーファー教授にお会いして、ことしの八月でした、アメリカのBSEの汚染リスクの評価を教授はどう思われますかと言ったら、こう言われました。吉川座長も御指摘のとおり、セーファー教授はイギリスの食品安全委員会の委員もしておられますが、日本とかイギリスとか各国のデータは全部、生のデータとかいろいろなデータはそれぞれ入ってくるわけだ、ところが、アメリカの、自分のいる国のアメリカのデータだけは入っていないと。日本の食品安全委員会は、アメリカのデータがないから評価できないはずだし、私も、山田さんから聞かれても、アメリカの汚染度はどれくらいか、リスクはどれくらいかということは答えられません、そう答えられたのがこの八月です。
そして、依然として、食品安全委員会で審査するについてのアメリカの資料はほとんどないんじゃないのかという気がいたします。
吉川座長にお聞きしたいんですが、吉川座長の方でまとめられた、プリオン専門委員会でのたたき台という資料がございます。その中には、定性的評価と定量的評価について書かれているようですが、この中には、余りにも不明な点が多い、十分な資料がアメリカから得られない、したがって、日本においてはもう全頭検査してきちんとした資料がありますから、いわゆる感染率を〇・〇一とか〇・〇九とか定量的な数字で示したようですが、そうすると、不明な点が多く十分な資料が得られないとしたら、日本と同等のリスクについては、もちろんこの同等性の評価というのは定量じゃなきゃできないと思うんですが、もともと、資料がない、不明な点が多いということは、定量的にも定性的にも評価できないんじゃないですか、吉川座長。
○吉川参考人 おっしゃるように、不明な点がないわけではない。特に分析を始めたときは、アメリカのデータは余りにも乏しくて、委員の中でも意見が分かれるというか、かなり難しいところがあったんですけれども、その後、何回か専門調査会をやってくる中で、このデータが必要である、あるいはこうした部分がどうなっているのかということを、政府間で資料を出して、かなりの資料をいただきました。
それから、アメリカがアメリカの評価をするという、ハーバードのもありますし、それからEUがGBRでアメリカについてあるいはカナダについて客観的にデータを評価するという、そのときの資料もあります。そういう意味では、万全とは確かに言いがたいですけれども、最初予想していたよりは随分とそれなりにデータをもらえたというふうに思っております。
したがって、一頭一頭まで全部の細かいデータとして出せるかといえば、それを評価するのは非常に難しいですけれども、どのくらいの汚染のリスクが当時のアメリカにあったんだろうか、それに対してアメリカも国内措置をとったわけで、それがどのくらいのコンプライアンスというか、遵守度で行われたものであろうか、どういう問題が現実に残っているんだろうか、そういうものを全部含めた上で、最終的にどういう表現で同等性というものを出すか、今まだ委員の中で案を練っているところですけれども、全く評価できないというレベルではないというふうに私は感じております。
○山田委員 前回のプリオン調査会の後の吉川座長の記者会見だったと思いますが、朝日新聞に、年内輸入再開かと、その載った記事の中で、日本では年間二、三頭発生するけれども、アメリカでは年間三十二頭だろう、そういう書き方がされておりました。したがって、アメリカは日本の十倍の、というか三千五百万頭ぐらいやっているわけだから、日本とほぼ同じかそれ以下のリスクじゃないかという気持ちで語られたかもしれませんが。
どうやら、たたき台の中の十七ページ、これを読ませていただきました。確かに、米国では三十二頭となる、そう書いております。ところが、私は統計学とかこういうことは苦手なんですが、この十七ページをよく読んでみますと、アメリカについては検査なしですから、日本の成牛九十万頭のうち二頭出たんだ、廃棄牛のうち十一万頭で三頭出たんだ、それをもとにして、アメリカでは、死亡牛がこれだけ、そして生体牛がこれだけいるから、日本のいわゆる陽性率というんですか、それを外挿して、当てはめて三十二頭と出したにすぎない。ただ、そう解していいかどうか、それだけで結構です、はいかいいえだけで言ってください。まだ質問いっぱいありますので。
○吉川参考人 はい。そこはそういうふうにしました。
ただ、一言だけ、同じようなことは、もっと大規模に、ヨーロッパのデータもあります、日本の二十頭についてのデータもあります。そのときに、そういう格好で高リスク牛と健康屠畜牛という比率をとったとき、母集団に直すと大体一対一、しかしそれは、屠畜場に来る健康牛は非常に多いですから、大体十倍から三十倍の間に入るというのが我々の今知っている状況です。そのときのデータとしては、日本のものを外挿に使いました。
○山田委員 そういうデータで、新聞でアメリカでは三十二頭と言うと、いろいろな資料を、食品安全委員会は科学的知見に基づいて、そして計算した上でこれを出したんだと一般国民はとってしまう、消費者もとってしまう。ところが、今言ったように、日本の検査の結果から推定しているだけだ。しかし、諸外国もアメリカのことをいろいろ気にしているわけだから、そういったものから推定すれば、十倍から三十倍ぐらいだと今言われましたが、それはどうしてそう言えるわけですか。何を根拠にそう言えるわけですか。吉川座長、科学的根拠を示してください。
○吉川参考人 二〇〇一年から、ヨーロッパがかなりの規模で、三十カ月あるいは二十四カ月以上の牛についてアクティブサーベイランスを始めたわけです。そこで数十万頭、最初の規模はそういうレベルから始まったわけですけれども、ヨーロッパ全体、共通のデータとして毎年公表しているわけですけれども、その中で、今言ったように、異常牛あるいはBSEを疑った牛、あるいは屠畜場で廃棄された牛、あるいは本当に食用に使われた牛といったようなカテゴリーに分けて、どのくらいの数に対してどのくらいのBSE陽性牛が出たか、それは日本の全頭検査と同じような格好でデータを出しております。その比率というのが大体、先ほど言ったような範囲に入ってくるということです。
日本の場合、たまたまそこは二頭、三頭と、あるいは二十頭の中の十一頭、九頭という比率になっていますけれども、大体その範囲に入るということで、このときは同じ年を比較するということでその数字を使ったので、それはヨーロッパの数字に直しても、日本の二十頭の全体に戻しても、それほど変わるものではないというふうに考えております。
○山田委員 ヨーロッパの陽性率をアメリカに当てはめる、これもまたばかな話で、アメリカのデータがないから、アメリカのリスクの同等性を調べようがないという、それで日本やヨーロッパの感染率で推しはかる、こんなばかなことはないわけで。
吉川座長、もう一つ大事なことは、ヨーロッパも日本も既に、二〇〇三年には当然に飼料規制をやって、もう一切、牛の肉骨粉は豚にも鶏にも魚にも、動物性飼料は牛には絶対与えちゃいけない、これをきちんと励行した上での陽性率なわけです、これは。
ところが、アメリカでは資料がわからない、不明な点が多いといいながら、いまだにSRMが飼料に使われ、牛の血粉が飼料に使われ、そして肉骨粉についても、牛には使ってはいけないという表示があるだけで、実際に、GAO、会計検査院の指摘もあるように、牛の肉骨粉がそのまま牛に使われたとしても、アメリカ農務省は警告すらしていないと。事実上、野放しになっている。これは前提が大きく違うわけです、日本とアメリカでは。それを同じように、今のアメリカ、ほとんど飼料規制もしていないようなアメリカについて、そういう適用をするというのは、科学者としてあるまじき行為である。どう思われますか。
○吉川参考人 先ほど述べたヨーロッパのデータ、今回使った日本のデータ、アメリカに外挿したデータ、おっしゃるとおり、日本は二〇〇一年から飼料の完全規制をしたわけです。その前はアメリカと同じように交差汚染が行われる規模で来てしまった。ヨーロッパも全く同じで、二〇〇〇年にとめるまでは同じような経過をとってきたわけです。
そこで、今見ている数字は、平均潜伏期六年、分析しているデータは、実は飼料規制前の状態をどこの国も読んでいるわけです。二〇〇一年の結果が出てくるのは実はこれからの牛で、そういう意味では、使っているデータというのは、基本的には、それぞれの国が交差汚染をとめる前のデータ。とめた後のデータは、実はまだどこの国もほとんど使えない。使えるのはスイスとイギリスだけです。そういう時間的なずれを考慮して分析をしなければならないというのがBSEの特徴で、我々が今知っているデータは、残念ながら、五年から六年前に行われていたデータを現在読んでいるということになります。
○山田委員 このたたき台にあるのは二〇〇三年のBSE検査データとなっているので、飼料規制はその前に、二〇〇一年からなっているわけだから、どうも潜伏期間を含めての話かもしれませんが。いずれにしても、日本は飼料規制をやった後のデータ。それをこれ以上話すつもりはありませんが。それくらいにアメリカについてのデータがない中で、無理な評価をするということは非常におかしいんじゃないかと思うのですが、その三十倍という根拠はどういうことなのか、一言で言えますか。十倍から三十倍のおそれがあると言いましたが。
○吉川参考人 十倍から三十倍の差があるというのは、ある年齢に達した、四歳とか五歳になった場合に、やはりBSEに汚染されている牛はどうしても異常牛とかあるいは神経症状牛の方に偏る。発症牛が入ってきますから当然そうなるわけで、したがって、健康な屠畜牛と異常牛の比率を求めたときに、どうしても異常牛の方にBSE牛がそういう比率で多いということになるということです。
ただ、先ほど混乱を起こさせて申しわけなかったと思うんですけれども、異常牛に対して正常牛というのは数十倍の量で殺されますから、基本的に見ると一対一に近い数になってしまう、それぞれのグループで見ると。それが、二頭と三頭になったり、十一頭と九頭になってくるという意味です。
○山田委員 要するに、いわゆるデータ不足なんだけれども、若い牛については、感知というのは限界があって、年とった牛については検査できるけれども、しかし、若い牛においても回腸部分に六カ月で出るわけですから、そのBSEの感染は同じなんで、そういった検査率が少ないから感染が少ないと、検査が難しいから感染が少ないと、そう言っているだけであることは間違いありませんか。ただそれだけ答えてください。
○吉川参考人 間違いありません。
○山田委員 そうすると、吉川座長、このたたき台なんですが、このたたき台の「結論」部分と「おわりに」と書いてある前のところに、リスクは高いけれども、若齢牛、若い牛に対しては、今まだ検査の技術がそこまで発達していないから、感染牛は感染牛だけれどもBSEだということが発見できない、リスクは高いけれども、若い牛で危険部位が除去されていれば、まあ何とか大丈夫なんじゃないかという書き方としかとれませんが、これは。
しかし、若い感染牛にしても、感染している事実は明らかで、ただ発見できないというだけで、これを、若い牛だと大丈夫だろう、リスクは高いと書いているんですよ、たたき台の一番最後の部分。リスクは日本よりもアメリカは高い、しかし若い牛だから大丈夫だろうという、こんなあいまいな書き方では、何度読んでもそうとしか思えないんですが、それでは科学的知見と言えるんですか、これは。
○吉川参考人 どの感染症にも潜伏期というのがあって、検出限界以下というステージがある。ただ、BSEの場合は、それが非常に長いということです。実際にリスクがあるのかないのかといえば、若い牛であっても感染をしているわけですから、リスクはあります。それは、日本の検出限界以下の若い牛についても同じことです。
ただ、本当に末期になって、強陽性という格好で検査で捕まる牛に対して、若齢牛がどのくらいの感染価を持っているのだろう、感染量を持っているのだろうか。これも正確にはかるのは確かに難しいんですけれども、ウエスタンブロットのようなもので半定量的な格好ではかれば、恐らく千分の一とか五百分の一というオーダーだろうというふうに考えております。それも、神経にはほとんどまだ検出できないレベルでしかたまっていないので、吸収される腸管のところをとれば、それ以上のところには広がっている可能性はほとんどないのではないかという意味で、若齢牛であれば、SRMを取れば、確かにその中にはある頻度で感染牛がいたとしても、それは日本の場合も同じですから、それほどのリスクは人に対する危害として考えなくていいのではないかというふうに解釈したわけです。
○山田委員 吉川座長、間違っているんじゃないかと思いますが。日本においては完全な飼料規制をやっている、SRMの除去もきちんとやっている。ところが、アメリカにおいてはそうじゃない。そうじゃない中で同じように比較するということは、これから将来のことについての、輸入の問題ですから、その前提を欠く。それを科学的判断だとかと言うのは非常におかしい、そう私は思うわけですけれども。
それはともあれ、一つ吉川座長に聞きたいのは、食品安全委員会の先生方にとって、今回いよいよ結論を出すときに来たという認識のようですが、その中で、SRMが完全に除去されていること、そして二十カ月齢以下の牛であること、それが大前提で、その上での結論になるのか。それとも、SRMの除去は非常にでたらめであるということ、月齢の判別もでたらめであるということを前提の上で判断するのか。どちらかを答えていただきたい。
○吉川参考人 それに関しては、専門調査会、最初のときから議論をしたわけですけれども、答えからいいますと、後者の方です。SRMが取られる、二十カ月が保証される、それが遵守されるという前提で評価をする。実際、A40の場合は九九%の信頼で一・九二%ずれるということがあって、それはそういう報告でしたので、それはリスクの計算の中に入れて評価をしてありますけれども、それ以外については、今おっしゃったとおりの前提で評価をしております。
○山田委員 完全にSRMが除去されているということ、そして二十カ月齢以下がきちんと遵守されているということ、それを前提で評価しているということでとらえてよろしいと、今うなずいていましたので、そうだということですが。
ところが、実際に、まずSRMの除去ですが、これはほとんどアメリカにおいてはきちんとしたSRMの除去はなされていない。既に御承知のとおり、アメリカの方で発表されておりますが、脊髄とか扁桃部分の除去は少なくとも五百件守られていなかった、そういう八月の報道があります。
そして、さらに、食肉検査官のペインターさん、全米食肉検査官合同評議会議長、米国農務省にあてた書簡ですと、ラインの後方にいるプラントの従業員と政府の職員は、多くの部位がSRMとして取り除かれなければならないことがわからず、これらの高リスク部位が食品供給に入っています。そして、プラントの従業員が、輸出条件に合わない製品をインスペクターが認識し、除去できる位置に置いて通過させたのを目撃しても、行動をとる権限もありません。
実際、私もデンバーのカーギル社を見てまいりました。その中でSRMが除去されているかどうか。牛の扁桃部分が、牛の舌が、タンがぶら下がっておりましたが、実際に扁桃部分を切っているところは見ることはできませんでした。そして、回腸部分についても、腸の中の回腸部分だけ取り除いているというところも私は見ることはできませんでした。これは、後でその部分だけ捨てるのか、あるいはその部分だけ切るのか、それはわかりません。私が見た限りでは、SRMの除去は不十分じゃないか、三十カ月齢の識別も、検査官がいるわけではなく、若い二十歳未満ぐらいの女の子が、一頭六秒ずつ流れてくるわけですから、口のところをしゃあしゃあと洗っているだけで、それで月齢識別をやっている、どうも別のラインに移しているような雰囲気は見えませんでした。
こんな中で本当にSRMの除去がなされているとは思えないし、また、食品安全委員会がいわゆる日本向けの製品についてはどうしているのかということについてアメリカに問い合わせたその報告が参っておりますが、その報告を私も読ませていただきました。そうすると、その報告書の中身では、事業所において日本向けのものとほかのところに向けるものとは仕分けられ、そして、それぞれの事業所でされるんだと、アメリカの回答は実に率直で、事業所に任せていますと、まさにそういう回答であります。
そういうことであれば、全くその前提を欠くわけですが、農水大臣、厚労副大臣、それでよろしいのかどうか。どちらかでも結構ですから、答えてください。
○岩永国務大臣 日本とアメリカとの約束の中でつくり上げたプログラムにのっとってきちっとやっておりますので、了解いただきたいと思います。
○山田委員 どうもプログラムで見ると、二十カ月齢の月齢の識別についてもそのようなことを言っているようですが、私が実際に見てきた範囲では、私も当時の山岡委員長も、そして二田筆頭理事も見てきて、三人が三人とも、これは現物を見てA40かA60か区別がつかないじゃないかと。案内してくれた工場長にあなたはわかるかと聞いたら、工場長も、私もわからないと言う。じゃ、これはだれがわかるのかと言うと、食肉検査官だったらわかるだろうと。
では、そのラインで、食肉検査官が確実にそれを識別するとしたら、実は、そのために倍以上の食肉検査官がこの工場に要るだろう、それは不可能である。実際、内臓そのものも非常に高い値段で、内臓でもうかっているんだから、内臓をそのほかのところに冷蔵保管して識別してやるということは不可能です。となると、実際に二十カ月齢でその遵守、いわゆるプログラムに沿った形というのは全く不可能なんです。こういったことがそのまま単なる日米の取り決め。
私が、この前神戸税関に行きましたら、輸出については、例えば産地証明とかいろいろなものは商工会議所に任せていて、輸出するそのものについてはほとんど国がきちんと関与することはありませんと。アメリカも、当然輸出物については本当に、率直に書いているように、工場に任せておりますよ。そこできちんとやってくれと政府は言っているだけなんです。
そんな中で、本当に日本に輸出をやるとしたら、当然のことながら、韓国がメキシコでやっているように、アメリカが日本でやっているように、工場を指定して、この工場のこういう背割りの仕方、こういうSRの取り方、こういう識別の仕方ならば二十カ月齢以下を日本に輸出してよろしい、そういう形をとらなければいけないんじゃないのか、そう思いますが、ちょっと時間がなくなったので、その回答は求めません。
それで一つ、吉川座長にお聞きしたい。吉川座長、この二十という数字が歩き始めたのは、あなたが、去年の九月六日、プリオン調査会でもって、記者会見の質問の中で、二十カ月齢以下のケースは困難であると考えられるという部分を、結論部分から削除するのか本文からも削除するのかと言ったら、本文からも結論部分からも削除すると言っている。ところが、その後出てきた取りまとめで、本文の中から削除されなかった。そしてこの二十カ月齢というのがそのままいった。これは、あなたは学者として座長として、なぜこういう不信義なことになってしまったのか。これはその後、食品安全委員会でも大変もめている。そしてまた、その後の食品安全委員会の中で、報告書の中で、さらにつけ加えられている。そういったものを、その後のBSE対策の行政にそれを活用する。
ちょっと正確な言葉を言いましょう。「今後の我が国のBSE対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事実である。」と、二十という数字を消すと言いながら二十という数字を入れて、しかもそういう文言まで入れている。
この文言はあなたが書き上げたのか。なぜ、こういうことをしたのか。これがまさに、今アメリカから二十カ月齢どうかということにつながっている。これはあなたの重大な責任である。それをどう考えられるか。
○吉川参考人 国内の分析をしていく中で、全頭検査の成績を分析するところがありまして、それで日本がヨーロッパでほとんど見つけられなかった二十一カ月と二十三カ月の若齢の陽性牛を見つけたという、そういう科学的な成果が片っ方であったわけですけれども、もう片っ方で、日米のときにも問題になった検出、検査というのはやはりどこかで陰性、陽性が分かれてくるわけで、検出の限界というものが存在するわけです。それがどこにあるだろうかという議論を片っ方でしていくところがありまして、そのときに、少なくとも二十一、二十三カ月は日本はBSE牛というふうに診断をした、しかしそれ以下の牛については同じように調べているけれども一頭も出なかったという事実は事実として、三百五十万頭の結果と科学的に書いておくべきであるということで本文を終えたわけです。それをそのまま結論に書くかどうかということに関して最後の段階で異論があって、結論からはそこの二十カ月という明示はやめよう、本文の方については、その審議の記録として、事実として残そうというふうに考えたわけです。
○稲葉委員長 質問時間が経過しておりますので、まとめてください。
○山田委員 結論部分からそれを削除したのはわかるんですが、あなたは本文部分からも削除すると言いながら、しかもこれを大事な政策に云々するというのは、多分あなたが書き込んだのではなく、いわゆる事務局の方で書き込んだんじゃないかと私は思うんですが、その後大変問題になってきた。
公開のこの中間たたき台に、「おわりに」「結論」と。「結論」を書いて、そして「おわりに」を書く、これは両論併記ではない。ヨーロッパの食品安全委員会においても、データがそろわずに判別できないようなときに、もうこれは判別できない、いわゆる評価できない、アメリカと同等かそれ以下のリスクかどうかというのは、資料がそろわないし、定量的にも定性的にも、私が今いろいろ聞いた限りでは、本来ならば、科学者として良心があるならば、これは、判断できないになる、同等かどうかわからない、そういうことになると思うんです。
仮にそうでないとしても、両論併記は、決して「おわりに」という形の両論併記ではなく、きちんとした形での、そういう学者さんもいらっしゃるようですから、結論部分の中に、一、意見、二、意見といった形で、そうしないと、国民、消費者、これはまさに今回の食品安全委員会がどういう判断を下すか、その科学的知見の結果を待っているわけで、そして、総理も科学的知見を尊重すると言っているわけですから、その結果、将来アメリカの牛肉によってBSEが発生したら、あのエイズの安部さんではないが、吉川座長、皆さん方が責任を問われることになる。これを最後に申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
きょうは吉川座長、わざわざありがとうございました。
○稲葉委員長 次に、黄川田徹君。
○黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。通告に従い、順次質問していきたいと思っております。
最初に大臣の個人情報をちょっとお伺いすることになっております。通告しておりますとおりであります。
一般に、国民一人一人は個人情報を保護されるわけでありますけれども、我々国会議員は、私人でありそして公人であるということで、さまざま自分の情報を公開しなきゃいけない場合があります。例えば資産の公開であるとか、これは我々国会議員は義務づけられておりますし、まして大臣は閣僚ということで、また重きもあるわけでありますけれども、我々に対する情報公開についてはどのような思いでおられますでしょうか。
○岩永国務大臣 出さなきゃならない部分については出します。
○黄川田委員 いや、何か出せと言っているんじゃなくて、そういう物の考え方とかそういう部分についてはどういう認識でしょうかという話なんであります。
○岩永国務大臣 公の立場にある者にとっては、やはりできるだけオープンにしていく必要がある、このように思っておりますし、大変大事なことだ、このように思っております。
ただ、公の立場にあっても、やはりプライバシーというのがあるので、その点はきちっと尊重していかなきゃならぬ部分もあるのではないか、このように思っています。
○黄川田委員 実は、ここに、今般の十七年九月十一日の滋賀県四区の選挙公報、そして、前回の平成十五年十一月九日執行の選挙公報がございます。それから、選挙期間中に配布できます法定ビラでありますけれども、これも岩永さんのをちょっといただいて、ここにあるわけなんでありますけれども、今回の法定ビラ、そしてまた選挙公報には大臣の学歴がちょっと見当たりません。前回のはきちっとそれぞれ書いておるのでありますけれども、この件はどうしてでしょうか。
○岩永国務大臣 私も当時大臣をしておりましたので、すべてを地元に任しておりました。そして、選挙公報担当者からのヒアリングによりますと、学歴を記載しなかったのは、スペースの問題であり、この問題が週刊誌に取り上げられる前から、学歴を記載しない選挙公報の構成は決まっていたということでございまして、ほかに書くことがたくさんあったので書かなかったんだろう、このように思います。
○黄川田委員 岩永さんは、県議会議員を五期務めておられます。それで、そのときの、県議会の時代でありますけれども、これは五回とも甲賀高校卒となっております。
そして、今回の選挙でありますけれども、それぞれ各社新聞が記載するわけでありますけれども、朝日新聞社は甲賀高校卒と書いてあるようであります。そしてまた、京都新聞社は中央大学の法通信中退と記載されているようであります。その他新聞社は、中大法中退あるいはまた中央大法中退というふうな、さまざまな記載になっておるのでありますけれども、これはどうしてこんないろいろ書かれておるのでしょうか。
○岩永国務大臣 それは新聞社の事情、お考えじゃないですか。私がどうのこうのということを言える立場じゃございません。
○黄川田委員 一般的にどういう選挙をしているか私もわかりませんが、私は自分の選挙しかしていませんからわからないのでありますけれども、それぞれ各新聞社には共通な材料を提供するというような形になると思うんですが、勝手に新聞社が書いたということでありますかね。
ちょっと耳にしたのでありますけれども、朝日新聞の書き方について、それはちょっと違うんじゃないのかという何か御指摘もされたという話も耳にしているんですが、いかがですか。
○岩永国務大臣 こちらは同じものを全部出しているんですが、書かれ方が違うのであって、それぞれ新聞社の内部の規定か考え方じゃないんですか。
○黄川田委員 では、出しているそのものはどういうふうに書いて出しているんですか、岩永さんの経歴は。改めて伺います。
○岩永国務大臣 中央大学に確認をいたしました。
率直に申し上げまして、中央大学法学部通信教育課程への入学時期は三十五年四月、退学時期については三十八年三月であります。
単位取得については、家業が忙しかったこともありまして、私は私で精いっぱい頑張ったのでございますが、プライバシーの関係がありますので、正確にお答えをすることはないと思います。
ただ、この履歴に関する中央大学在籍時の取り扱いについて中央大学に確認いたしましたところ、同大学では、一部、二部、通信課程のいかんを問わず、法学部に在籍した者が中退した場合には法学部中退という扱いになっているという確認がございまして、このことは、当初私が使ったときから大学に何回も確認をいたしました。
そして、スクーリングにも行っておりますし、行った年も行かなかった年もあります。最終的に、就職が決定したので、これはもうスクーリングに行けないというようなことで中退を決意した、こういう状況でございますので、大学に確認したところ、それでいいということでございます。
○黄川田委員 それでは、中央大学の法学部の通信教育課程を中退ということで間違いないわけですね。
実は私、地元の岩手の市役所の職員をしておりまして、仲間にも本当に向学心の高い者がおりまして、通信教育で立派に学業を修めている方がたくさんおります。ですから、岩永さんの経歴を見ますと、町会議員、県会議員、国会議員、そして大臣ということで、本当にすばらしい経歴だ、私は心底そう思っております。
ただ、選挙は戦いですから、それぞれ同じ土俵の中で私はしなきゃいけないと思っていますし、さまざまいろいろな書かれ方をするというのはどうも解せないなという気がしておるものですから、ちょっと事細かに質問通告をさせていただいたわけであります。
それから、私がお話しする前に、何か週刊誌がどうとかこうとかというお話をされましたけれども、事務所との会話の中で、二百単位は取得しているという話になっておるようであります。中央大学のホームページをちょっと調べましたら、卒業に必要な単位ですけれども、最小単位は百三十一単位と現在はなっておるようでありますから、二百も取っておれば中途退学なんかされることもなかったような気がするのでありますけれども、この事実関係はいかがでしょうか。
○岩永国務大臣 取材を受けた者に確認いたしましたところ、この雑誌の記事内容は実際にやりとりした内容と食い違っている部分が随分あると聞いております。
それで、取得単位数二百単位との話については、通信課程での取得可能な単位数は全部で二百単位程度あるとの話をしただけで、取得単位数を伝えてはいないと聞いております。
それから、見出しの件についても、弁護士を入れて、そして抗議をいたしました。向こうからの対応もきちっとありました。
○黄川田委員 これは通告していないのでありますけれども、せっかく情報公開しておる岩永大臣でありますから、もう一つだけお聞きいたしたいと思います。
中央大学の学員となっておるみたいであります。多分これは同窓の白門の方の中なんでしょうか、ちょっとわからないのでありますが、これはどういう手続をすればこの学員となれるのでしょうか。
○岩永国務大臣 一般に聞いているところ、卒業された方については学員になれるようでございます。
それで、私の場合は、学員会というのがありまして、そこから、県単位の同窓会に御招待いただいたりしまして、その同窓会に入っていましたので、入っている過程の中で、支部長が推薦して、そして、あれは学長か理事長どちらかの関係で、貢献してくれているので同じ扱いをしたいという正式な学員証が参りました。
○黄川田委員 白門の会報を見ますと、平成八推となっているのは、推薦をいただいたという形でなっているんですかね。例えば法三十八卒だとかいろいろ書いてありますけれども、そういう意味ですかね。
ちなみに、それでは、岩永大臣さんみたいに推薦で学員となっている方なんか、お知り合いはおるでしょうか、何人かおられるのでしょうか。
○岩永国務大臣 それは私はわかりません。私がそうであったということでございますので、わかりません。
黄川田先生、だれしも学校へ行って勉強したい、そして、私の田舎は、すべての同級生の卒業の中で、高校へすら行ける者が一人か二人しか学年の中でいなかったんですよ。そして、うちの方は、遠いところから下宿して行かなきゃならぬというような地域の事情がありましたので、そして大変貧しい地域でした。そういうふうな状況の中で、向学心に燃えていても、やはり大学へ行けなかったというような状況がございました。
それで、私自身も決してどうのこうのと。しかしながら、スクーリングも行き、そして、ある部分、単位も取って、そういう過程を経てきた。だから、それを大学へ聞いたら、それはそれで結構ですよというようなことでございましたので、そういう形のことをしたわけです。
では、そうしたら何で通信教育学部と書かないのかというような意見もあるわけですが、二部で卒業されている、二部で中退されている、いろいろな方がおられるわけでございますので、大学の判断に任そうじゃないか、このように思ってきたわけでございます。
就職の関係で途中から断念したことは今でも大変悔いておりますし、頑張っておけばよかったと。ただ、就職しますと、一カ月ぐらいスクーリングに行かなきゃならぬわけですね。それで、今度は就職をやめるか大学を選ぶかという大変な岐路に立ちましたので、断念をいたしました。
○黄川田委員 何も大臣、私は事実関係を聞いているだけで、それがいいとか悪いとかは言っておりませんし、むしろ向学心に燃えて一生懸命やられる方というのは、私も本当に立派な姿と思っておりますので、そこだけは勘違いしないでいただきたいと思っております。
それでは、その点は事実関係がわかればそれで構いませんので、中身に入っていきたいと思います。
きょうは、私は、農水の特別会計について聞いていきたいと思っております。
特別会計、これは三十一ありまして、歳出総額は四百十一・九兆円、平成十七年度予算ベースでそうなっております。一般会計からの特会繰り入れとか、あるいはまた特会間の会計の取引などの重複計上分といいますか、こういうものを除きますと、特会すべての歳出総額は二百五・二兆円になるというふうな形であります。
そこで、この特会の関係でありますけれども、小泉総理は、三十一もある特別会計を、聖域なく、そしてすべて見直す、そういう改革の方針を打ち出しておるわけでありますけれども、内閣の一員として、農水大臣は、この方針、どのようにお感じでしょうか。
○岩永国務大臣 大変大事なことだと思っておりますし、農水省としても、この点については改革を断行していかなきゃならぬ、このように思っております。
○黄川田委員 大臣は、この間のあいさつの中でも、小泉内閣の一員として断固たる対応をしていくというふうな形を述べておられますので、その話はまた繰り返しの話だと思っておりますけれども、自由民主党の武部幹事長さんでありますが、元の農林水産大臣でありまして、九月二十八日の衆議院の本会議の代表質問をなされました。その中で、小さな政府を実現するため、官の肥大化を防ぐ、あるいはまた幾つかの改革の方針、それぞれ総理にただしておりまして、特に、役割を終えた特別会計の廃止、統合、それを大胆に進めるべきだと主張しておられるわけであります。
一方、農水省でありますが、この特別会計、七つ持っておりまして、これはそれぞれどういうものがあるんでしょうか。そして、この特別会計の目的、概略を簡単にお話しいただければと思います。
○大口大臣政務官 御質問にお答えいたします。
七つ、特別会計がございます。これは、国民への食料の安定供給の確保や、あるいは多様で健全な森林の整備保全のために、さまざまな農林水産施策が講じられているわけでございまして、このような農林水産施策を遂行するため、特別会計を設けることが適当な場合に特別会計が設けられてきております。
具体的には、主要食糧である米麦の需給や価格の安定のため、米の買い入れ、売り渡しを行う食糧管理特別会計、農業の足腰を強くするため、農地の担い手への利用集積などに必要な資金の貸し付けを行う農業経営基盤強化措置特別会計、農業の生産性の向上のため、農業の生産基盤の整備を行う国営土地改良事業特別会計、水源の涵養、災害の防止などの公益的機能の維持増進のため、国有林野の管理経営を行う国有林野事業特別会計、農林水産業の経営の安定を図るため、保険制度の運用を行う農業共済再保険特別会計、森林保険特別会計、漁船再保険及漁業共済保険特別会計の七つでございます。
○黄川田委員 大口政務官からお話しいただきましたけれども、この中で役割を終えたと思われるような特別会計はあるのでしょうか、今のお話の中で。
それからまた、この特別会計をどんな形で統廃合といいますか整理していく、そういう思いがあるのか、ちょっとお話をいただきたいと思います。
○岩永国務大臣 今政務官の説明した七つ、それぞれに大変大事な特別会計でございます。しかし、そういう中でも、今まで、国有林野事業特別会計の治山勘定と国有林野事業勘定の統合をしたり、麦政策の見直しなどによって食管特別会計の収支の改善を行ったり、いろいろと努力をしてまいりました。
今後でございますが、すべてを一本化するということはできないと思いますが、改革の趣旨を受けて、そして財政制度等審議会などにおける議論を踏まえて、特別会計の性格に応じた見直しの徹底を図っていく、こういうことでございますので、今検討している最中でございますので、農水省の改革の姿勢というのが示されるときが近々あろうか、このように思っております。
○黄川田委員 今大臣お話しされたとおり、十五年十一月に財政審の方で特会の見直し等々の方針をいろいろと提言しておるようでありますし、そしてまた、我が党の同僚議員でありますけれども、十月三日の予算委員会で、農水省の特別会計の問題点を指摘しておりまして、その中で農業経営基盤強化措置のこれを挙げておるわけなんでありますけれども、改めて、この農業経営基盤強化措置特別会計、どのようなものなんでしょうか。
○井出政府参考人 農業経営基盤強化特別会計でございますが、農業経営に必要となります農地などの資本、経営・労働の主体、また農業技術といった農業経営の基盤を強化することによりまして、農政の最重要課題である効率的かつ安定的な農業経営の育成を図ることを目的としております。
具体的には、従来からありました、農地改革やその後に農地法に基づき国が買収した農地等の売り渡し業務、これのほか、この政策目的を実現するために、都道府県農業公社等の農地保有合理化法人が農地の仲介機能を生かして担い手農家への農地集積を促進するための農地保有合理化事業への支援、また、新たな農業技術等の円滑な導入を図るための農業改良資金の貸し付けに必要となる資金の都道府県への貸し付け、さらに、新規就農を支援するための就農支援資金の貸し付けに必要となる資金の都道府県への貸し付けなどの事業をこの特会において実施いたしているところでございます。
○黄川田委員 この特会の中で、所有する国有農地でありますか、戦後の自作農創設のために取得した小作地であるとか、あるいはまた農地として開発し売り渡すことを目的として取得した土地がこれは大宗を占めておるというところでありますけれども、それを現在、担い手ですか、経営安定のための農地の売り渡し、そういうふうな形の中で位置づけて頑張ろうということになっておるんでしょうけれども、自作農創設という制度発足時の意義が薄らいでいるということを踏まえまして、速やかに国有農地の処分、これを進めるべきであるというふうな財政審の見直し提言もあるみたいでありますけれども、この特会での国有農地の保有状況と年間の売買状況、これをまず尋ねたいと思いますし、それから、この保有期間等の管理指針でありますが、これはどう定めておりますか。
○井出政府参考人 農業経営基盤特別会計で、平成十六年度末現在で管理しております財産でございますが、農地改革におきまして不在地主等の小作地を買収した国有農地等が六百七十三ヘクタール、開発して農地とすべく買い入れた土地である開拓財産が四千三百五十三ヘクタール、合計五千二十六ヘクタールございます。
本財産の最近五カ年平均の年間の処分実績でございますが、農業者、新規参入者への売り渡しは三十四ヘクタール、農業上の利用の増進の目的に供しないものとして旧所有者等に売り払い、または所管がえ等を行ったものが六十七ヘクタール、開拓して道路や水路となっているものを市町村等へ譲与したものが四十九ヘクタール、合計百五十ヘクタールでございます。一方、農地の買収の方は近年ほとんどなく、他の会計からの所管がえ等で二十四ヘクタール受けてございます。
なお、これらの自作農財産の保有期間等については特段の定めはございませんが、取得した財産の処分については、できる限り早期に売却するとの方針で、都道府県や農業委員会の協力を得ながら、売り渡しの促進に努めているところでございます。
○黄川田委員 塩漬けになっているような農地があるのではないかと思っておりますし、また、これまたこの処分も大変ではないかと私もいろいろヒアリングする中で思いもいたしますが、しっかりやっていただきたいと思っております。
この会計なんでありますけれども、過去十年間をちょっとさかのぼってみますと、歳入額に占める前年度の剰余金の受け入れ額が、ただ単に増加しておるというだけではなくて、剰余金の受け入れ比率ですが、四〇%台から八〇%台に増加しているというふうな感じでありまして、どうも不健全な会計ではないのかなと私は思っております。
簡単に言えば、この数年を見ますと、大体歳入額が一千四百億円程度もあるのに歳出額は三百億円強にすぎず、毎年一千百億円程度の剰余金が生じる、そういうふうな会計ではないのかと思っております。これは財政審でも指摘されているとおりでありますけれども、この特別会計、即刻改善されなければならないと私は思っておるんですが、いかがでしょうか。
○宮腰副大臣 この特別会計におきましては、農業改良資金の資金需要が低迷をしてきていると。これは、農業者の投資意欲が低下をしてきておりましたり、あるいは市中金利の低下によりまして無利子資金の魅力が乏しくなっているといったようなことから、これらを主な要因として決算剰余金が発生をしているというような状況にあります。
決算剰余金の額につきましては、ピーク時の平成十三年度に約一千二百億円ということでございましたけれども、一般会計からの繰り入れを停止したということと同時に、決算剰余金を担い手への農地集積を図る農地保有合理化事業に活用するといったようなことをやりましたので、平成十六年度には約八百億円に減少をしている状況であります。
また、現在、担い手を対象とする経営所得安定対策を十九年産から導入すべく検討しているところでありまして、これから、農地保有合理化事業等の事業については、担い手の育成及び農地の利用集積を図るための重要な手段であるというふうに考えておりまして、これらの政策課題に対応した資金需要を見定めた上で、剰余金の取り扱いを検討する必要があるというふうに考えております。
○黄川田委員 お話しのとおり、融資しても借り手がなかなかないであるとか、ウルグアイ・ラウンドで六兆円ですか、いろいろなお金を使った後、さまざま、その後の農業改良資金ということ、そしてまた、金利が高かったときと違ってゼロ金利政策になってなかなか難しい面もあると。これから担い手を支えていくというふうな仕組みの中で、この会計、どう行ったらいいのかなと、本当に大変だと私も思います。
そういう中で、お話しのとおり、十三年度、会計検査院の指摘もといいますか、剰余金が多いということで一般会計からの借り入れ、必要があるのか等々の指摘がされたと思っております。
十月三日、予算委員会で同僚議員が指摘したところがあります。この特別会計法の八条の政令は決めていない。ただし書きがあるわけですよね、特別会計から一般会計へ、特別会計からいえば繰り出しですかね、一般会計からいえば繰り入れなんですかね、そういうことの決め事もできるんだが政令は決めていないというふうな形で大臣はたしか答弁されたと思うんでありますけれども、会計検査院の先ほどの指摘を受けながら、十四年度以降は一般会計は繰り入れはないということなんでありますが、我々というか、見てみますと、不作為の作為といいますか、そのままほったらかしにしておいたんじゃないのかというふうな感じが極めてするわけであります。
それから、三十一の会計がありますけれども、このただし書きがあって一般会計の繰り入れみたいなのを書いてあるのは、登記と特許と、それからこの基盤の関係なのかなと思うわけなんでありますけれども、そういうふうにただし書きが書いてあるというのは、やはり繰り戻せるというか一般会計に繰り出すというか、そういうのをただし書きが、政令でもって書いてあるというのは、何かそういう、他の会計と違う意味合いがあるから書いてあるんですかね。そういうことが予想されるから、政令で定めるとか。そういう部分はどうなっているんでしょうか。
○岩永国務大臣 黄川田委員、実は平成十三年度までは一般会計から繰り入れていたわけですね、ずっと。そして、十四年度以降にやっと繰り入れが停止したということでございまして、農地保有合理化事業への活用が、毎年二百億ペースで決算剰余金が減少してきているわけですね。
それで、このような財政資金の活用に向けた努力は行っているわけでございますので、早急な一般会計への繰り入れはこれまで実施してこなかったというのが事実でございます。繰り入れる金額を定める政令についても、その制定を見合わせていた、こういうことでございますが、いよいよ、私がこの制度を知って、そして構造改革をやらなきゃならぬということの中で、この特別会計の持つ意味は、これからの日本農業の大きな改革に大きな役割を果たすんではないか、このように思っておるわけですね。
だから、一つは、農地を集約化していく、なおかつ新しい若手をどんどんこれから農業参入させていく、しかしながら土地がない等々いろいろな問題がありますので、農地保有合理化事業、それから、農業改良資金等の貸付事業の適正な実施のために私は大変大事ではないかと。だから、今後この特別会計を使いながら新しい農業改革に寄与していきたい、このように思っておりますので、今のところ、これを繰り入れる政令を定めるという気持ちにはなっておりません。
○黄川田委員 構造改革はしなきゃいけない、特別会計も見直さなきゃいけない、それから、食料・農業・農村基本計画の見直しにおいてさまざまな事業を展開しなきゃいけないと。事業を展開するということは、予算計上をして展開しなきゃいけない、それは一般会計であり、特別会計でありということで。ただ、今財政が非常に逼迫していると。それこそ自治体、国合わせて何だかんだで一千兆円だというふうな形が、借金が、国民ひとしく監視しているというふうな状況であります。それから、農林水産省も三兆円を割るというふうな一般会計であります。そういう中で、新しい需要といいますか、本当に自給率を高め、そして、担い手の担い手までも面倒を見るような仕組みをつくっていかなきゃいけないという状況の中にあっては、一円たりともむだにするわけにはいかないと私は思うわけなのであります。
そういう中にあって、十月三日で、きょうは十九日ですから、まだ時間もたっておりませんから、その剰余金の部分、ちょっと今すぐに見直して一般会計に戻すなんというのは考えていないという話でしょうけれども、これから通常国会に向かって、いろいろな事業をどうするんだ、こうするんだということがあると思います。ですから、このままでおけるわけはないと私は思いますので、大臣にはもう一つ考え直すなり、もうちょっと各会計が生かせるというか、そういうものにしないと、改革はどこに行ったんだということになりはしないかと私は思っております。
それで、時間ですから最後の質問にさせていただきたいと思います。
情報公開と政策評価、これが新しい時代の流れだと私は思っております。
政策の評価については、農林水産省も個々に政策評価をすると。横断的に総務省が政策を評価するということなのでありますけれども、どうもその報告書を見ますと、本当に政策を評価しておるのか。逆に、既得権を守ろうという形の予算編成に常に結果としてなってしまう、そういうふうな状況を私は本当に感じるわけであります。ですから、私は、本当の意味での政策評価ができなければ、農林水産省の予算は塩がかけられたナメクジみたいに単に縮まっていくというふうな、そういうふうな感じがすごくするわけなのであります。
岩永大臣は攻めの農業をやるんだということになっていますが、攻めの予算編成という形の中で、特別会計、一般会計の連携も含め、ちょっとお話をしていただきますし、政策評価に関する部分でもちょっとお話をいただければと思っております。
○岩永国務大臣 私、農林水産大臣政務官になったときに農水省の姿勢で一番感心したのは、この政策評価システムを農水省がつくり上げたんですよ。そして、それを内閣に進言してずっとやりこなしたということでございますので、案外、農水省というのは先見的で革新的な姿勢を持っているところでございます。
だから、特別会計についても、歳出の効率化、合理化を図るという観点から、一般会計の聖域とすることなしに、財政制度審議会における議論などを踏まえて見直していこうというようなことで、先ほども言いましたように、私は精力的に対応していくつもりでございます。
それから、今やっと軌道に乗ってきたこの政策評価というものを、政策分野ごとにきちっと実施をしていきたい、こういうように思っております。
それから、特別会計が云々言われるのは、透明性がないということでございますので、このことについてはきちっと情報公開に努めていきたいということでございますし、一般会計の持つ部分、特別会計の持つ部分、それぞれの役割というものをやはりきちっとわかっていただきたい、このように思っております。
だから、先ほども申し上げましたように、すばらしい、立派な制度がある、そのことが農業改革とどうつながっているかというようなことなんかも理解していただければ、農業に対する格別なお気持ちをお持ちの黄川田議員でございますので、私どもの新たな基盤整備の特別会計については御理解がいただけるときが必ず近いうちに来る、このように思っております。
○黄川田委員 岩永大臣には、前段の部分でちょっと誤解があるといけませんから、私も一言だけ言わせていただきます。
私も役場職員から国会議員になった者であります。対戦相手は答弁なさる高級官僚であります。そういう中でありますから、別に学歴とか経歴とかじゃなくて、ただし、土俵は透明性をしてしっかり戦おう、お互い、そういう意味でありますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○稲葉委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時五分休憩
――――◇―――――
午後零時四十四分開議
○稲葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。仲野博子君。
○仲野委員 民主党の仲野博子でございます。
本日は、先ほど来から農業政策について多く質疑があったところでありますけれども、私は、水産政策について、とりわけ昨今における原油価格の高騰について何点かお尋ねしてまいりたいと思っております。
今本当に、原油価格の高騰が国民全体の経済社会活動に大きな影響を与えております。農林水産業も当然この例外ではなく、私の地元の漁業に携わる生産者の方たちからも悲鳴に近い声が寄せられております。
先般の委員会開催に当たって、岩永大臣からお話しされました当面の課題の中で、水産政策にかかわって、燃油高騰のもとでも持続可能な漁業経営を確立するための対策について触れられておりました。
初めに、農林水産省として、現在の原油価格の高騰により影響を受けている漁業生産者に対して、現段階でどのような対策を行い、また今後、来年度の概算要求を含めてどのような対策を検討されているのか、基本的な考えを岩永大臣にお尋ねしたいと思います。
○岩永国務大臣 仲野委員の御心労は、地元の漁業者の日常の生活を見ておられて、本当に深刻なものだろうと思います。
私も、方々からそういう要請を受けておりますし、また選挙等を通じて各地域に応援に行きますと、漁業者の代表の皆さん方が本当に深刻な状況を訴えてこられまして、本当に身につまるものがあるわけでございます。
今回の燃油高騰はそれぞれの業界に大きな影響を及ぼしているわけでございますが、一番大きな影響を及ぼしているのが漁業経営者でございまして、これはもうじかに経費にぼんとはね上がるということで、一三・五%という高水準であるわけでございますし、また今回の原油の価格ですが、実は何か高値で高どまりするような雰囲気を持っているわけでございますので、基本的にどうしていくべきか。
本来なら、油代を補てんするという政策がとれればと、このように思うわけでございますが、なかなかこの問題については、先般も、経産大臣、財務大臣、そして総理等も含めた閣議の中でこの問題を取り上げられて、そして関係閣僚会議が開かれた折にもその対応をしているわけでございますが、いつまでもその補てんをしていけるものではないというようなことでございますので、根本的に農水省としてどういう対策をとっていくべきか、今、秩序立てた考え方を模索しているところでございます。
それで結局、たちまちは経営に対する安定を期するためのつなぎ融資というのをやはりきちっとやっていかなきゃならぬ。それから、いろいろな施策を講じてくれるそれぞれの単位漁協に対して、やはり支援をしていかなきゃならぬということ。
それと、やはり早い機会に構造改革をしていって、そしてコストを下げていく対応をきちっとしていく。これについて、やはり農水省としては十分な支援策を講じていく。これは、先ほどお話を申し上げましたように、青色発光ダイオード等の問題もありますし、また省エネ型漁業への転換に対するいろいろな施策というのを集中して考えていかなきゃならぬ、こういうようなことで、その構造改革を進めていかなきゃならぬ、そして、コストを下げて、結局、最終的に漁業者が経営が成り立つようにしていかなきゃならぬ、このように思っているところでございます。
今、水産庁を中心に、全漁連からのいろいろな要望も踏まえて、必死で、何とかして助けられないものか、また農水省も、日本漁業を崩壊に導かない対応というものをとれないものか、こういうことで、対応を急いでいるところでございます。
○仲野委員 大臣も今回の選挙を通じて漁業者の方たちからそういった声が寄せられているということで、農水省としても構造改革のもとでコストを下げていく対応をしていきたいとお答えいただきました。
今、中国などの石油需要の拡大や、あるいは産油国の生産能力の低下などで、世界的にもしばらく原油の需給構造の急激な変化がないことを前提に考えますと、今後も原油価格の高騰が続く可能性が高いと私は判断をしているわけであります。
時間の関係上、水産関係に絞って今回質問させていただいておりますが、国内で生産される水産物は、輸入水産物との競合から、燃油や石油関連資材のコストが上昇しても、販売価格にそのコストを上乗せしにくいという、現場のこういった声、現状にあるわけであります。したがって、漁業者がこの間、生産コストの削減に加え、省エネ対策など、血のにじむような自助努力を行っているのも、これは事実であります。
しかし、昨年三月と比較をいたしまして、A重油で約五一%、軽油で約三九%、ガソリンで約二〇%も燃料代が上昇しており、北海道内だけでも、年間ベースで四三・五%のコストアップ、実に四十三億五千万近くの負担が漁業者の方にずしりと重くのしかかってきているのであります。生産資材の上昇分を入れないで試算しても、十トン未満のサンマ船で百九万二千円、二十九トン型のサケ・マス、サンマ船で四百四十三万六千円、十トン未満のイカ釣り漁船で六十四万七千円、昆布乾燥機分を入れて二十二万一千円という金額が負担増となっているわけであります。
先ほど、大臣から、青色発光ダイオード、省エネ転換ということでお話をされました。例えば、同じく夜間に集魚灯を使うイカ漁とサンマ漁では、イカ漁の場合は魚群探知機で昼間の操業に切りかえが可能で、燃油代の節減に成功した事例もありました。サンマ漁の場合は、イカと違って広範囲に回遊しているため、集魚灯以外の方法では効率的にとれない状態にあります。とりわけ、ことしは、サンマは地元根室でも大変安い値段である。そういった燃油価格の高騰との二重苦の状況にあるということを、大臣、わかっていただきたいと思います。
今回、消費電力の少ない青色発光ダイオードによる集魚灯の開発も進んでいるようでありますが、赤字経営の中で、大臣、これもまた新たな投資になるんですね。さまざまな漁種や漁法が存在する漁業において、省エネに焦点を絞った対策中心では、今お話ししたように、燃油価格の高騰による漁業経営の負担増は解決できないことについて、宮腰副大臣、根室の漁業者の方たちにも大変信頼のある方で、今回副大臣に就任されたとお話を伺ったとき、私は非常にうれしかったです。ぜひ、副大臣、漁業者の、生産者の目線に立ってお答えいただきたいな、そのように思います。
○宮腰副大臣 大変責任重大だというふうに感じております。
実は、私は、九月の十七日に、先生の御地元の根室に行ってまいりまして、さんま祭りを拝見してまいりました。焼いたサンマを無料で提供しておいでになる。ただ、サンマ丼は四百五十円でありましたけれども、ちょうだいしてまいりました。
そのときに、港でさんま祭りを開くわけでありますから、夜ですのでライトが必要だと。そのライトのかわりに、サンマ漁船の集魚灯を二つの船でやっておられたわけですが、物すごく明るくて、一般のステージのスポットライトなどはもう問題にならないぐらいに明るい。これはやはり油代がようけかかるなということは痛感をしてまいりました。
これまでの集魚灯の小型イカ釣り漁船の実証実験の例でありますと、燃油代が約五割削減できるということになっております。これがサンマの場合どうなるかというのは、これはまだ実験しておりませんが、大体参考になる数字ではないかと思っております。
それから、グループ操業で専用漁場探索船を導入するということになれば、それぞれの船が漁場を探してあちこち回るということは避けられるのではないかということで、そういう方法もあるというふうに考えております。
漁船漁業というのは、やはりいろいろな種類がありまして、地域によっても実情が異なるということでありますので、実情に即した大幅なコスト削減対策を講じていく必要があるのではないかというふうに思っております。
省エネに限らず、今後は川下の加工流通も含めた対策もあわせて推進していく必要がありますし、これからの漁業、農業では集落営農という形を農政運動として今進めようとしているわけでありますが、漁業の分野においても協業化といったことが可能であるかどうか、これらのことも含めて検討すべき課題だと思っております。
直ちに経費の負担増をすべてカバーできるということではありませんけれども、しっかりとコスト低減対策をあらゆる場面でやっていく。もちろん漁業者の方々の投資も伴うわけでありますから、投資につきましてはできる限りの支援ができるような仕組みで頑張っていきたいというふうに思っております。
○仲野委員 さすが宮腰副大臣、根室の方に行っていただいてありがとうございました。
今副大臣の方からもお答えいただいたんですが、今回、この燃油高騰に伴いまして、経済産業省の対策では、この原油高騰により相当影響を受けている中小企業者について、政府系金融機関において、セーフティーネット貸し付け、いわゆる経営環境変化対応資金が利用可能となっております。ガソリンスタンドや運輸会社などが、貸付期間七年以内、うち据置期間二年以内で融資を受けているわけであります。しかし、これはあくまでも省エネは前提となっておりません。農林水産省も、十八年度までの緊急対策として省エネに取り組む漁業者に対する融資円滑化対策を実施しておりますことは評価させていただきます。これに加えて、貸付限度額や据置償還期間を経済産業省の中小企業向けと同じ程度にした、新たな漁業版セーフティーネット貸し付けを行うことができないのかどうなのか、水産庁長官にお尋ねを申し上げたいと思います。
○小林政府参考人 水産関係で、こういった事態に対しまして特別の緊急資金を設けさせていただいておりまして、今先生お話がございましたように、セーフティーネット貸し付けとは内容がちょっと異なっております。
それで、今回の特別利子補給方式の燃油資金をつくりましたが、そこの考え方ですけれども、まず貸付限度額、これを設定しております。これは漁業種類とか操業隻数など、そういったいろいろな実態を見ながら、今かかり増しになっている、前年度に比べて油代がかかり増しになっている部分を基準として貸し付けをする、こういう考え方で設定している、これが一つです。
それから、償還期限ですけれども、この資金は油の購入に係りますいわば短期の運転資金ということですから、普通我々がこういうのをつくるときは一年なんですね。ところがこれを三年と。三年といいますのは、やはり先ほど来大臣からお話ししております、ああいった省エネ対策に転換していく、そういった期間も織り込んで三年、そういう形をつくっております。
それと、もう一つは、この資金は特別の資金です。もともと、我々、漁業関係の資金はさまざまな資金がございまして、例えて言いますれば、漁業経営維持安定資金のように、いわゆる固定化債務になったときには、長い年数、例えば最長十五年とか、それから限度額も当然大きいんですが、そちらの方にかえていくということもできるので、この新しい緊急対策はあくまでもそういった当面の運転資金、そこに着目したものを新たに九月三十日から設けているということでございます。
○仲野委員 私が大変危惧していることは、今回も水産庁がこういった省エネ対策として、たしか利子補給の七十億ですか、そういった予算措置を講じられました。しかし、この七十億というのは、果たして全国の漁業者の方たち、しかもその七十億というのは省エネに努力をする方たちに対する制度である。こういった中で、いやあ非常にいいものができたという漁業者の方と、これではさっぱり、使いたくても使えないような内容であるという、そういった漁業者の方たちもまたいるんです。私としては、やはり水産行政として、今本当に油の高騰でもう大変なんだ、そうでなくても魚価は安い、もう量はない、そういう中で油だけはどんどんかかっている、そういった方たちに、水産庁として、行政としてどうこたえてあげることができるのか。ちょうど私は選挙期間中であったものですから、そのときにこちらの方に上京して長官とどうのこうのとやりとりはできなかったんですけれども、内容を知ったときには、ちょっと残念だったかなと、そのように思っているわけであります。
したがいまして、決算のときに、だれも使う方がいなかった、決算ゼロ、そういったことがないように、やはりもう少し、すべての漁業者に対して、本当に使い勝手のいいものだという内容のものであるということをやっていただかなければ、せっかく努力して省エネ対策、これも本当に私はこれから考えていかなければならない問題だとは思っておりますが、そういった意味では、果たして七十億で対応できるのかどうなのかなということもちょっと心配をしているわけであります。
私の地元で、昆布漁に船外機を使用する漁業者が多くおります。この船外機において使用する漁業用のガソリン価格も高騰しておりまして、地元の零細な漁業者は非常に大きな打撃を受けております。ガソリンなどの揮発油税については、道路整備費の財源等の特例に関する法律に基づいて道路財源に充てなければならないとされており、漁業用のガソリンの揮発油税については漁港関連道の整備に使用されているという答弁にとどまっておりました。
しかし、九月二十八日の衆議院本会議の中で小泉総理御自身が、道路特定財源について、暫定増税をしている税制との関係、使い道のあり方の見直しなどの基本方針について年内に検討するよう指示していると述べておられました。したがいまして、軽油については、道路の使用に直接関連を有していない場合、免税をされている。しかし、漁業用のガソリン税については、免税されないかわりに漁港関連道の整備に使われているが、漁業者に対する還元が十分ではないと私は考えております。
水産庁は、この現状をどのようにお考えになっているのか。水産庁長官、よろしくお願いいたします。
○小林政府参考人 今、先生からお話がございましたように、漁港関連道の整備のためのガソリン税の財源でございます。この漁港関連道の整備自身は、これは当然のことながら、漁港からいろいろな道路とか、あるいは生活関係の、そういったところに活用されておりまして、その整備自身は当然非常に意味があるというふうに我々は思っておりますし、そのためにこういった揮発油税の財源が充てられるということは、やはり漁業全体に対して意味を持っているというふうにまず評価をしております。
それで、もう一つ、この税制が成り立ったゆえんといいますのは、これはもう御案内のところですけれども、結局、ガソリンが、燃油だけじゃなくて、生活関連、例えば車なんかにも使われるという形で、非常に捕捉が難しい、そういう意味で関連道という形でやったということでございまして、そこの状況は、これは三十九年ごろの議論だったんですけれども、それ以降まだ実態は変わっておりません。したがいまして、この実態が変わって、またほかのやり方があるんじゃないかということであれば別ですけれども、私ども、今のこの実態を見ますと、やはり現状においては、この財源をもとにして漁港関連道の整備ということにつきましても、それなりの意味を持っているんじゃないかと考えています。
一方で、今回の問題の燃油対策といいますか、そちらの方でございますけれども、それにつきましては、これまたいろいろな漁業種類に応じましたきめの細かい対策というのを、またいろいろ地元の皆さんなんかの御意見も聞きながらやっていくということでございまして、やはりこの税財源の話と燃油効率化対策というのは、また別の切り口でいろいろ検討していかなくちゃいけないのかなというふうに思っているところでございます。
○仲野委員 実際、船に使っているのか生活に使っているのか、そこら辺の見きわめは非常に難しいということで、昭和三十九年からのこの方法でずっとやられてきた、漁港の道路のところに使われているんだと。でも、そこを長官、大臣どのようにお考えになりますか。船が陸を行くわけでもないしね。その辺ちょっと、漁船でガソリンを使っている方たちがやはり納得いかないんじゃないでしょうかね。
いや、いいです。水産庁としては答えがこれ以上の域を出ることはできないのかなと、全体の税体系の中で考えていかなければならないんだろうということだと思うんです。これは別の機会を通じて、またお尋ねしたいと思うんです。
十八年度の租税特別措置延長の要望で農林水産省自身は、農林漁業用輸入A重油に関する石油石炭税の免税措置の適用期限の延長で挙げられた、要望書に記載されている内容が、我が国の漁業生産が総漁船の九六%を占める動力漁船に大きく依存しており、動力漁船に主に用いられるA重油が漁業にとって必要不可欠で重要な生産資材となっている、近年においても漁業はエネルギー消費型の、高い消費型の産業であり、沿岸漁船漁業の支出に占める燃料費の割合は約一五%と高く、また中国を中心とした世界の石油需要の予想を上回る大幅な伸びなどの海外要因により油の値段の高騰などがあって、依然として経営の圧迫要因、不安要因となっているわけであります。こうした圧迫要因、不安要因を除去し、漁業経営の維持、安定を図るというのが、この要望書に記載されている内容であったんです。
それで、この道路整備に使用されるガソリン税が、リッターが五十三円八十銭です。それ以外に、石油税が二円四銭、原油関税が十七銭かかっているわけであります。その上に、代金を含めた総額に対して五%の消費税がかかっております。そうなると税金の総額は六十円以上になって、すなわちタックス・オン・タックス、二重課税の状態にもなっているんです。
それで、特定財源や消費税など国全体の税体系にかかわる課題だから難しいという問題でありますけれども、漁業経営自体が廃業になれば、逆に税金そのものが納税されなくなるわけであります。農林水産省の姿勢として、税制度に顔を向けるのではなくて、苦しんでいる漁業者にしっかり顔を向けて、せめてガソリン税の緊急還付制度、税制の改正を農水省として強く主張すべきだと思いますが、岩永大臣、お尋ねいたします。
○岩永国務大臣 先生、御承知のとおりだと思うんですが、ガソリンは小型漁船で使用されている一方、自動車にも使用されているわけですね。だから、この一番大きなネックになっているのは、両者の区別が技術的に難しいということで、現在の法制度では税の還付措置を設けることは困難だ、こういうことが大きな原因なんです。
それで、現在においてもこのような状況は変わっていないわけでございまして、漁業用ガソリンの揮発油税について、漁業者に直接還付するという免税措置にかえまして、先ほど先生もおっしゃっておられますように、またうちの水産庁長官も言っていますように、漁港の関連道の整備に充当するということで、特定財源としての趣旨でそれが使われている、こういうことでございますので、この制度の仕組みから、燃油価格が高騰したことをもって緊急に還付措置をせいということは大変難しいんではないか、このように思うわけですね。
我々も、いい方法がないかということで模索はしているんですが、税としての成り立ちからいって大変困難ではないかな、こんな思いを持っております。
○仲野委員 今、大臣からも、税の中では非常に難しい問題であるということのお答えだったんですけれども、今本当に、沿岸漁業者にこの原油の高騰というのが追い打ちをかけている、非常に経営が苦しくなってきているという状況の中で、今これから漁業関係の資材やあるいは輸送コストなどの関連コストの高騰も十分に懸念されるわけであります。持続可能な漁業経営のために、政治的な決断で、例えば農業の直接支払いに準じた漁業所得補てん制度の創設あるいは再生産費が確保できる漁災制度の拡充などの緊急の特別対策が必要となってくると考えますが、大臣にお尋ねいたします。
○岩永国務大臣 本当に緊急かつ重大な問題だと私は思っておりますし、いかに漁業経営の安定を図ることをなし得るかということが喫緊の課題だ、このように思っております。
今、水産分野では特に大きなのが二つあるんですね。それは、一つは漁業災害補償制度でございまして、これは水揚げ金額の減少に着目して損失を補てんするという仕組みのものですね。これの有効活用だとか、新たな観点で、こういう状況になったときに、漁業共済事業に関する検討会というものを今開催しているわけですが、この中で、この制度を今の緊急かつ重要なときにどう対応するような制度にしていくかということが第一点。それからもう一つ、水産物調整保管事業というのがあるわけでございますが、この制度もやはり積極的に活用していかなきゃならぬ、こういうことでございます。
しかし、そればかりではなく、この十九年の春に水産基本計画の見直しがあるわけでございますので、漁業経営の安定を図るための検討というのを今から始めていって、今のこの問題に対してどう対応していくかということをはかっていかなきゃならぬ、このように思っております。
先ほども申し上げましたように、じかに漁業者の生産につながってくるわけでございますし、もう本当に、船を出していたら赤字がどんどん膨れ上がっていくというような状況でございますので、これらの施策を通じて先生の御懸念の点については対応していきたい、このように思っております。
○仲野委員 大臣、今、水産基本計画見直しも十九年だということで、今のような問題もしっかりとその計画の中に反映をしていくというお答えをいただいたので、ぜひ、水産基本法も十三年につくって、巷間言われていることは、魂の入っていない基本計画と、こう指摘されているんです。大臣になって、大臣、あなたから魂の入っている、そういった基本計画にぜひ見直しをかけていただきたい、そのように思うわけであります。
最後なんですけれども、私は、前回質問をさせていただいた知床の世界遺産の関係で、海域管理計画の策定に向けて、来年度の概算要求でどのような取り組みをしようとしているのか。
この知床世界自然遺産は日本で三番目。やはりそこには、漁業者、生産者ということで、自然保護との両立を目指すということでは白神山地、屋久島と違う点があることと、最後に、もう一つは、ロシアのトロール船がスケトウダラの乱獲をして、非常に資源の保護に一生懸命やっている地元としては大変迷惑な話である。そういったことで、外務省として、このことについてどのようにロシアに働きかけを行っているのか、お答えを聞いて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○南川政府参考人 お答えいたします。
まず、海域管理計画でございます。これは、本年七月の登録に先立ちます五月に、IUCNの報告書が出されました。その中で、知床とその周辺の海域について一体的に保全する必要があるということでございまして、海岸線から三キロまでの海域を含む範囲を世界自然遺産として登録したところでございます。その際、二〇〇八年までに海域管理計画の策定が勧告されております。
私ども、十八年度要求におきまして、海域管理計画の策定の調査費を要求しております。その中で、現に相当、漁業者の方が努力されております。こういった既存の漁業管理措置をベースとして検討を進めてまいりますし、またその際には、地元の声、特に漁業者の声を聞き、その方々の理解を得ながら進めていきたいと考えております。
○原田政府参考人 ただいま御指摘になった知床沖におけるロシアのトロール漁船の操業は、この水域の海洋生物資源状況に大きな影響を与えること、そして、北方四島周辺操業枠組み協定に基づきまして操業している日本の漁船が、これらトロール漁船の操業によるものと考えられる漁具被害を受けることなどからして、外務省としても、これは深刻な問題であると認識しております。
このような認識に立ちまして、外務省としては、水産庁とも緊密に連携協力して、ロシア政府に対しまして、漁業被害防止のために具体的な措置を速やかに講ずべきこと、そして漁業資源の保護の重要性を十分考慮すべきことを、累次にわたり申し入れを行ってきている次第でございます。
委員御承知のように、現在モスクワで北方四島周辺操業枠組みに基づきまして政府間協議が行われておりますけれども、このような場を含めて、今後とも引き続きロシア側に対して強く働きかけていきたい、このように考えております。
○仲野委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。
○稲葉委員長 次に、松木謙公君。
○松木委員 民主党の松木謙公でございます。
総選挙が終わって、初めての農林水産委員会での質問でございます。自民党さんがえらくふえちゃいまして、我々は大分減ってしまいまして、絶滅危惧種みたいな感じですけれども、そんなことはない、我々は一生懸命これからも頑張っていきますので、自民党さんの方も、我々のいい意見もありますので、しっかりとそれも取り入れていただきたい。政府の方もそういうつもりで、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、まずBSEのことについて少しお聞かせいただきたいと思います。
マスコミで報道されているとおり、アメリカ、カナダ産の牛肉のことなんですけれども、年内にも輸入が再開されるのではないかという報道が今されているところなんです。ただこの中で、八月十五日に、米国の農務省の食品安全検査局、ここはBSE対策のかなめとしてやっているところなんですけれども、牛肉加工業者に義務づけている特定危険部位の除去規制に関して、二〇〇四年の一月から二〇〇五年の五月までで、千三十六件の違反を確認したとの発表があったんですね。これは特定部位の除去手続をめぐる規制違反の実態をアメリカの方が公式に初めて認めたことになると思うんですけれども、そこでお聞きしたいのは、違反の件数が一年半で、わかっただけで千件を超える、こういうアメリカの実態、これをどういうふうにお考えになるか、お聞かせをいただきたいと思います。
○中川政府参考人 今先生がおっしゃいましたように、米国農務省の食品安全検査局が八月に発表いたしましたところによりますと、昨年の一月からことしの五月まで、これは、一昨年の十二月にアメリカでBSEが確認をされまして、その次の月、一月から特定危険部位の除去等についての規則が強化されたわけでありますけれども、この約一年半の間に食肉処理施設等で規則どおりに遵守されなかった事例が一千三十六件確認されたということが公表されたわけでございます。これは中身を見てみますと、具体的には、食肉処理施設におきますHACCPの内容あるいはその実施に関する違反事例が四百五件、それから特定危険部位の取り扱いに関する事例が四百六十七件、それから記録の保管に関するものが百六十四件ということでございます。それぞれそういった違反事例があったのは事実でありますし、米国政府によりますと、それらの事例についてはその都度改善措置がとられており、その旨記録し公表したものであるというふうに発表されております。それから、こういった不適切な取り扱いによって処理された肉については、それぞれの食肉処理施設から外には流通していないというふうなこともあわせて発表になっております。
もちろん、こういった食肉処理施設において適切に処理されるということが一番望ましいのは当然なことでありますけれども、万一そういった違反事例があったときには、そのことが見逃されるのではなくて、きちっと把握をして、そして必要な是正措置がとられているということは、そういう機能が働いているというふうにも思うわけであります。
こういった違反の事例、不適切な事例が一千三十六件あったという事実につきましては、食品安全委員会に資料として提出もいたしておりますし、こういった情報も含めまして、今現在、アメリカ産牛肉のBSEリスクについて、食品安全委員会の方で総合的なリスク評価が行われているところでございます。
○松木委員 それにしても、随分と違反が多いなという、そういう感じを受けませんか。どうです。
○中川政府参考人 これは、全体としましては、小さい食肉処理場も含めて、約六千軒の中で一年半の間に起こったことということであります。書類の不備等も含めての数でありますので、多い少ないを私から申し上げるべきではなくて、むしろ、リスク評価を今やっておられる食品安全委員会において、適切にこういったことも含めて評価をされるものというふうに考えております。
○松木委員 はい、わかりました。それ以上言うことはできないでしょう。しかし、随分とずさんな感じがするわけでございますけれども。
それでは、こういう話もありまして、BSEの感染牛が、日本では今後一、二頭、アメリカでは三十二頭、これは山田先生がさっきちょっと聞いていたと思うんですけれども、カナダでは二十二頭出ると推計して、百万頭当たりの感染牛はアメリカの方が日本よりやや少ないという座長案の分析があったようですけれども。これは、言葉を返しますと、日本の牛肉がアメリカのよりは危ないのと、ちょっとこういうふうにも聞き取れるんですけれども、そういうことではないのですか。
○中川政府参考人 そういうことではないと私は理解しております。つまり、日本におきましては、屠畜場におきますBSEの検査、あるいは特定危険部位の除去等において、一定の安全、現状考えられる上で最高の措置をとっていると言っていいかというふうに思います。
今回、アメリカやカナダからの貿易を再開するに当たって、通常、アメリカやカナダでとられている措置に加えて、二十カ月以下の牛からつくられた肉である、それから特定危険部位はすべて除く、そういう、現状それぞれの国でとられている措置に上乗せをして、そして処理されたものが日本に入ってきた場合、そのことと日本の現に流通している牛肉との間のBSEリスクが同じかどうかということを諮問しているところでございまして、そこで同等だということであれば、リスクを高めることにはならないというふうに思っております。
○松木委員 この話を聞いていると、何か日本の肉の方がよっぽど危ないような、そんなことを言いたげな、そんな気がして、ちょっと心外だなという感じがしたものですから、聞かせていただいたわけですね。
その一方、米国牛のBSE感染は、日本農業新聞によると、年間で日本の五、六倍との報道もされているわけですけれども、これは一般の国民感覚から見ると、やはりそうかなという印象を受けたと思うんですね。
それに対して、日本政府は、もし年内の輸入再開を念頭に置いているというのであれば、やはりわかりやすく説明をする必要がもっともっとあるというふうに私は思っております。その内容が、例えばマスコミの報道は過剰であって実は安全なんですよということなのか。はたまた、日本に流通している食品そのものが、ある意味でそもそも危険が全くないなんというものはないのだ、だからアメリカの牛肉だって危険はあるけれども、同じようなものだから、何を食べるにしても自己責任でお願いしますよと、こういうことなのか。そこら辺の説明をもっとしなきゃいけないというふうに私は思っておりますけれども、いかがお思いでしょうか。
○中川政府参考人 米国産牛肉等の輸入再開問題につきましては、厚生労働省と農林水産省が連携をとりまして、去る五月に食品安全委員会に、先ほど申し上げましたような条件で輸入する、その場合のリスクについて評価を依頼いたしましたが、それに先立ちまして、五月の十三日から二十日までの間に全国九カ所で、消費者など関係者の方々と意見交換会、いわゆるリスクコミュニケーションを行うなどいたしまして、リスク管理を担当する省庁といたしまして、十分その情報提供に努めてきたわけでございます。
こういった食の安全にかかわる問題につきましては、消費者の方々の理解を得ながら進めていくというのは何よりも大事なことだというふうに私どもは十分認識をいたしておりますし、答申案につきましても、食品安全委員会の方でプリオン専門調査会のお取りまとめが行われれば、その後、国民の方々にパブリックコメントという形で意見募集も行われることになっております。
また、農林水産省としましても、厚生労働省と連携をいたしまして、食品安全委員会の方から答申をいただきましたその後で、食品の安全と消費者の信頼の確保を大前提として具体的な輸入条件を決めていくわけでありますけれども、そういった中身につきましては、国民の方々に対しまして、的確に情報提供、説明責任を果たしていきたいというふうに思っております。
○松木委員 そもそも、二十カ月齢以下の牛の肉が入ってくることになるんですかね。その場合、日本の側としては、だれか、これを調べるということはするのかというのを聞きたいのが一つと、それと、やはりアメリカと日本というのは大分食文化が違う感じがするんですね。
私、調べてきたんですけれども、これは九九年の資料ですからちょっと古いのですけれども、アメリカの疾病管理予防センターというところの資料なんですけれども、大体、食中毒になっている人が全国で年間に七千六百万人、うち三十二万五千人が入院、そして大体五千人が死亡しているだろう、こういうのが資料としてある。こういう国なんです、アメリカというのは。これがいいか悪いかは、それは言いません。でも、日本と比べてどうですか、大分違うでしょう。
肉を入れていくわけだから、アメリカがこれは大丈夫ですからと言ったのをそのまま入れるということなのかどうか、そこら辺を教えていただきたいです。
○中川政府参考人 それぞれの国において食の安全の考え方にいろいろ差があるというのはそのとおりかもしれませんけれども、外国から食料品を輸入する場合には、日本の政府として、国民の方々に安全な食料を供給する、そういうことを確保していくというのは、政府としての一番大事な務めだというふうに思っております。
そこで、先生は、具体的に二十カ月などのそういった条件をどう確認するのかということでございますが、一つは、二十カ月であるとか、あるいは特定危険部位をきちっと除去するとかということは、アメリカ政府の輸出証明プログラムというものを今回つくっていくことになります。そのプログラムに、それぞれの屠畜業者などが申請をして、きちっとしたチェックをして認証を受けた、そういうところでつくられた肉に限って日本に輸出される、そういう資格があるということになるわけであります。
このシステム自体は、アメリカ政府が認証し、それからまた年に二回、実際に検査官を派遣して査察もするというふうな仕組みでその実効性が担保されるわけでありますけれども。それに加えまして、日本からも専門家を派遣して、定期的に、これは厚生労働省と一緒になってでありますが、そういった施設に対しまして査察をするということを考えております。
○松木委員 少し安心しました。やはり日本人が行って査察をする、これは非常に大切なことだというふうに私は思いますので、ふだんの倍ぐらいのことを考えてちゃんとチェックをする、これは非常に大切だと思いますので、ぜひ実行していただきたい。肉が入るようになってからの話ですよ。そういうふうに思っていますので、ぜひよろしくお願いします。
それと、ブッシュさんが十一月の十五日に来日するという報道があるんですけれども、私はそんなことはない、そう思っていますけれども、うがった見方をする人は、何かお土産じゃないか、牛肉を解禁するのをお土産にして帰るんじゃないか、そんな話も少し聞こえてくるんですけれども、まあそんなことは当然ないというふうには思っていますけれども、外国の圧力に屈しちゃいけませんよね。そこら辺をどうお考えか。
○岩永国務大臣 先生のおっしゃるとおりでございます。だから、そのことのために輸入再開問題について食品安全委員会で御審議をいただいているわけでございますし、私どもは、科学的知見に基づいて、本当に国民の皆さん方が安心できる立場で輸入が再開される、こういうことで、議論が尽くされることを実は重く受けとめているところでございます。
農水省は、厚労省と連携しながら、答申を踏まえて、そして消費者の食の安全、安心の確保に万全を期してまいりたい、このように思っておりますので、政治的な圧力なり対応で解決すべきものではない、このように思っております。
○松木委員 大臣の言うとおりだというふうに思いますけれども、先ほど、うちの山田筆頭も言いましたけれども、これは命にかかわることですから、本当に負けないでもらいたいというふうに思っております。後から出てきたら大変ですからね。人の命は一人一つですからね。ぜひ、そこら辺をしっかりと、特に食というのは、これはもうだれでも避けて通ることができないことですからね。ぜひ、よろしくお願いを申し上げます。
そして、これから二十カ月齢の牛が入ってくるとして、日本も一応二十カ月以下の牛は調べないということになったんでしょう、一応、形的には。しかし、それぞれの地方が結局やっていくということになって、そのお金は国が負担をする、こういうことになっているわけですね。それが経過措置として三年間、こういうことですね。これは間違いないですね。
○中川政府参考人 食品安全委員会の答申を受けまして、屠畜場におきますBSE検査について、従来は全月齢を対象としておったものを、二十カ月以下についてはその義務を外すということをこの八月から厚生労働省の方で決めたわけであります。そのときの経過措置として、これは最大限三年ということでございますが、予算は毎年毎年措置されるものでありますので、そこは最大限三年ということで経過措置をとろうということで決めたところでございます。
○松木委員 ちまたの話を聞くと、アメリカの牛肉が入ってきても、特に主婦の方々、そんなもの絶対食べさせないわよ、こういう話を随分聞きます。そして、三年後はその経過措置も終わる。そうすると、例えば二十カ月齢以下は調べられていないということになるわけですね。そして、私の北海道、ホルスタイン牛の雄、大体十七、八カ月で違う世界に行くようになっているんですね。その場合、風評被害がちょっと心配だなというのが、まあ三年後の話ですからまだまだ先なんですけれども、ここら辺、もし三年後のお考えみたいなのが何か少しでもあるんであれば、ちょっとお聞きをしておきたいなというふうに思います。
○中川政府参考人 食の安全を確保するための措置、そのよりどころは、何よりも科学的知見に基づく。それは、リスク分析の手法として、食品安全委員会が食品安全基本法に基づいて設置されているときの一番基本的な考え方でございます。ですから、BSEの検査についても、先般見直しました。そのよって立つところは、科学的知見に基づいて、今わかっているいろいろな科学的な事実からすると、二十カ月以下のものについてBSEの検査をしなくてもリスクは高まらない、そういった食品安全委員会の評価を踏まえてのことでございます。
ただ、そういうことが、なかなか消費者の方々初め国民の方々にすぐにはわかっていただけない部分もあるということで、経過措置を設けたわけでありまして、当然、この経過措置の間に、事実関係、情報について、我々農林水産省、厚生労働省としては広く国民の方々にきちっと説明をして、この政策を変更したことについての理解を得ていく、そしてまた、二十カ月以下について検査をしなくても流通や消費に混乱が起こらないように、努力をしていくということが必要だというふうに思っております。
○岩永国務大臣 日本の国産牛が、今答弁をいたしましたように、いかに安全かということで、今、先生の地元の北海道のホルスタインの雄、これなんかも、今度新たにネーミングをしまして、国産若牛として実は売り出していきたい、このように思っております。そして、味も、それから安全もいいぞというPRをこれからずっとしていきながら振興していきたい、このように思っております。
○松木委員 はい、わかりました。
しかし、リスク、リスクと言いますけれども、少なくともアメリカの牛を一頭も入れなければリスクはゼロになるわけですから。まあ、そう言ったら切りがないと言えば、それも事実だし、なるべく国民の皆さんが安心、安全に物を食べられるように、皆さん、そういうことをぜひお考えをいただいて、そういうことをしっかり頭から離さないでこれから政策を行っていっていただきたいというふうに思っております。
それでは、もう一つ、農業用のトラック。
農業用トラックというカテゴリーは実はないのですけれども、私が選挙で回っているとき、随分と今回の選挙で農業地帯なんかも回ったのですけれども、そのとき受けた陳情というのですか、何か困ったことはないのなんという話をしたときに随分聞いたことが、農業用に使っているトラック、これは一年に一回車検があるので大変なんだよな、そして、乗る距離も、大体、多くて五千キロぐらいで、私が聞いた人たち、まあ大体二十人ぐらいには聞いたかなと思うのですけれども、大体千キロぐらいしか乗らないと言うんですよね。しかし、一年に一遍車検がある、これは何とかならぬのかな、こういう話が実は随分ありまして、それで、平成九年にさかのぼりますと、農耕用の大型トラクター、乗用型のトラクター、コンバイン、こういうものが車検とか定期点検の義務が免除されたという経緯も昔あったのですね。
こういうことを考えれば、日本で農業をやる場合は非常に経費がかかる、そういうふうに思うのですけれども、その場合、やはりトータルのコストを下げなきゃいけないというふうに思うのですよね。そこら辺を大体農林水産省としてどういうふうにお考えか、お聞きをしたい。
○大口大臣政務官 御質問にお答えいたします。
先生御指摘のように、この農業用の車両の車検期間の延長については、平成九年の一月、先生御指摘のとおり、時速毎時三十五キロ未満の農耕トラクター等の農耕作業用の特殊自動車の車検が不要になりました。また、平成十二年の五月に、車両総重量八トン未満のトラックの初回の検査が一年から二年に延長されたと承知しております。軽トラは初回二年で、またその次も二年ということなんですが、それ以外については、先生御指摘のとおり一年ということでございます。
トラック等に係る車検の期間の延長については、本年三月に国土交通省において総合的に検討を行って、そして、さらなる延長は大きな悪影響を及ぼすとの結論が出されたことも認識しておるわけでございます。
ただ、一方、農業者の負担の軽減という観点から、農業機械を初めとする生産資材費について、低廉な資材の供給、流通の合理化、資材の効率利用の推進ということにより引き下げていくことが重要である、こういうふうに、生産資材費については引き下げていく必要がある、こう考えているわけです。
そういうことで、農林水産省といたしまして、製造、流通、これは全農改革も含めまして、また利用の各段階において、各団体等による農業生産資材費低減のための行動計画に基づく取り組みの推進を初めとする生産資材費低減対策を総合的に実施しているところでございまして、生産資材コスト低減成果重視事業、これは新規で、今、予算の要望も行っておりますし、強い農業づくり交付金、あるいは農業食品産業強化対策民間団体事業、こういうもので生産資材費の引き下げに全力を挙げていきたい、こう考えております。
○松木委員 日本というのは生活するのに随分お金がかかるところだというふうに私は思っています。それは、いろいろなものがふくそうしているわけですけれども。結局、農業なんかも、いろいろなものがやはり高いと思うんですよ、外国から比べて。そう言いながらも、やはり自給率を上げていかなきゃいけないとか、食料安保という考え方だとか、そういうことを考えますと、どんどんどんどん農業というのは衰退していくみたいな話ばかりあるけれども、それじゃいけないわけでしょう。何とかしなきゃいけないわけですね。
それであれば、例えば農業に使っているトラック、こういう一つのカテゴリーをつくって、それで専用のナンバープレートをつくるなんということもして、そこはいろいろな減税措置、例えば自動車取得税はなくすとか、重量税も取らないとか、僕は、こういうことをやっていく必要があるんじゃないかなと。そして、例えば、今、普通の自動車であれば車検というのは三年ですよね。もっとこっちは短いわけですから、そこら辺で、もうちょっと長くするとか、いろいろなやり方があると思うんです。そして、それをやろうとすると、結局、どういうふうにくくったらいいんだとか、いろいろな話があると思うんですけれども、今まさに政府の方は、担い手農家でしたっけ、何か三十万戸か四十万戸に集約してやっていくという話があるんだから、例えばそれを利用したら、そういうところが買うトラックだとかそういうものは減税措置をつけるとか、そういうことも可能なんじゃないかなという気がするんですけれども、そこら辺はどういうふうにお考えでしょうか。
○久米政府参考人 お答えいたします。
私の方からは、検査制度の関係ということでお答えさせていただきたいと思います。
自動車の検査制度につきましては、これは安全の確保、環境の保全のために重要な制度であるということでございまして、トラックにつきましては、例えば脱輪などによる歩行者の死傷事故など、車両のふぐあいに起因する事故というのが依然として起きているわけでございます。そういうことで、その有効期間の延長につきましては慎重な検討が必要であるというふうに考えておりまして、その際には、交通事故の発生状況、あるいはそのふぐあいの発生状況、諸外国の制度等を考慮する必要があるというふうに考えているわけでございます。
国土交通省では、昨年度、検査対象車種全般にわたりまして検討を行いまして、トラックにつきましては有効期間の延長はできないという結論に至っているわけでございまして、将来、交通事故の発生状況、あるいは自動車技術の進展など、自動車を取り巻く状況に新たな変化が生じない限り、当面、有効期間は現在のままが適当であるというふうに考えているわけでございます。
農業用に用いられる作業用の車につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、平成九年に小型特殊自動車の枠を拡大いたしまして、大きいもので時速が三十五キロいかないものにつきましては小型特殊自動車という枠を適用いたしまして検査の対象から外れたということになっているわけでございますが、農業用に用いられるトラックにつきましては、これは自由にどこでも走行できるわけでございますし、構造が一般のトラックと何ら変わるものではないということでございまして、自動車の検査制度におきましてほかのトラックと分けて取り扱うということは困難でございまして、諸外国におきましても農業用のトラックにつきまして別に取り扱っているという事例につきましては把握していないところでございます。
また、走行距離につきましても、一つの使用条件の厳しさの目安にはなるわけでございますが、それ以外にも、例えば不整地を走行するとか、あるいは使用環境、いろいろな点につきまして考慮する必要があるということでございまして、単に走行距離のみでそれが問題かどうかということについて判断するというのはなかなか難しい点があるというふうに理解しております。
○松木委員 時間がなくなりましたので、最後に。
そういうふうに言うとは思っていましたけれども、しかし、そうは言うものの、やはりいろいろなことを、特別措置でも何でもつけていかなきゃ農業なんかやっていられませんよ。間違いなく、なくなっていくんだから。
ですから、大臣、ぜひそういうことを、形は変えてもいい、何でもいいですよ。とにかく、何でも公平公正といって同じにしたって、それは農業はやっていられませんよ。トラックでそういう減税措置をとるということもできるんだし。もっと言うと、ガソリンだって高いじゃないですか。今普通でも百三十円なんて。あれを揮発油税を半分にすれば百円ぐらいで入れられるんだから、普通だって。そういうことも本当は考えてもらいたい。国土交通省の方は笑っていますけれども、私はそう思っているわけでございます。ぜひ、大臣、頑張ってくださいね。我々も頑張りますから。
以上でございます。まだまだ聞きたいことがあったんですけれども、これで失礼します。ありがとうございました。
○稲葉委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
先ほど来、原油の価格高騰問題が話題になっておりますが、私も、東北の選出でございますので、水産、農業、あるいは運送業界、本格的な冬場に向かう上で、灯油の心配など、深刻な訴えを受けております。政府としても力強い答弁を先ほど来されておりますが、こうした不安にこたえる取り組みを強くお願いしたいと思っております。
そこで、水産に絞ってお話をさせていただきます。
漁業者は、既に、低速運航や、集魚灯を節約して昼間の運航に変えるなど、努力をしております。しかし、サンマのように夜でなければだめな魚種もあるし、できる努力は既に限界ではないかという思いがいたします。
例えば、岩手県では、サンマに依存している地域も多いのですが、漁獲量は前年比の一・二三倍にふえております。それなのに、金額では〇・六七倍、単価は〇・五五倍、半分になっているわけですから、とてもやっていけるわけがありません。もともと魚価が低迷しており、価格の上昇分はとても吸収できない、まさに二重の苦しみであります。A重油の末端価格は、昨年夏までリッター四十円台で推移していたものが、現在は五十円台後半から六十円台まで上昇、一・五倍であります。発泡スチロール、漁網、ロープ等、石油系漁業資材の価格も一、二割値上がりしています。主力品である塩蔵ワカメ、乾燥昆布など、生産から加工、流通の全体に影響を出している、船を出すほど赤字だ、休漁した方がまだまし、そういう声が各地から聞こえております。
そこで、水産庁が打ち出した対策の目玉である、いわゆる省エネですね。新たな整備への融資では、やはり、体力が落ちている漁業者にはその力がないと思います。また、燃油施設の統合、在庫の一元化、流通の合理化に対する漁連への補助、二割補助にとどまっておりますが、北海道などでは検討が始まっており、地域によっては大いにそれを活用したい、そういうところがあるのは当然ですし、ふさわしいところもあるかと思うんです。ただ、それは、地域によっては地理条件がございますので非常に困難だと、今余りにも整備がされていない中で、時間もかかるし間に合わない、そういうことが実際ある。
ですから、急がれるわけですよね、やはり漁業者を直接励ます支援策、まさに、先ほど来価格補てんができるできないなどという話もありましたけれども、例えば休漁補償に匹敵するような、そういう直接の支援策を考えるべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。
○小林政府参考人 今先生御指摘のように、さまざまな影響が水産関係に出ておりまして、私どもが今講じております対策でありますが、その基本をまず御説明申し上げますと、やはりコスト構造ですね。燃油の高騰、これも一つの構造問題としてとらえまして、それに対応できる漁業経営に転換していただく、これを道筋をつけなくちゃいけないというのが基本でございまして、それは今お話しになった省エネ対策等で、十八年度概算要求等が中心になっておるわけでございます。あわせまして、新しい経営に転換する際に、やはり、それまでの間どうやって経営をつないでもらうか、それは今の利子補給方式によりますいわゆる運転資金の融通等、こういったことが基本であるわけであります。
その中で、御指摘がありましたように、漁業の種類やあるいは地域によってさまざまに事情が違いますので、どうやってそれを効率的に取り組んでもらったらいいのか、これは非常に大きな課題でございます。私ども、一応いろいろな形の大枠の対策の枠組みは示しておりますが、これからむしろ、これを各地域、漁業実態に合わせまして、どういった対策が本当に効果があるのかということをよく漁業者の皆さんにも考えていただき、我々もそれをサポートしていくというふうに考えております。
それで、例えていいますと、省エネ対策一つとっても、ハード面で発光ダイオードがよく出ますけれども、ああいったものがありますし、それからソフト面では、例えば操業方式、共同で運搬するとか、それから単数、複数とか、いろいろなやり方がありますので、それを我々は、これから各漁業実態、地域に応じた形でよく相談をしながら、効果的な対策は何かということで取り組んでいきたいと思っているところでございます。
○高橋委員 今の答弁を聞きますと、要するに構造改革が絶対必要だ、それまでのつなぎのために今緊急の対策をやっているんだということですよね。そうすると、さっきから、原油が高い、いろいろ苦労しているというお話がありましたけれども、結局は、はなからもう担い手、構造改革にふさわしい人以外は対象外だという意味なんですよね、今の話を総合すると。もうはなから一般の漁業者ははじき飛ばされているということになるじゃないですか。
では、先ほど来大臣が一生懸命答えている、背中に感じるなどというその漁業者の苦労は、それはあくまでも構造改革ありきの人たちという、選別されているのかということを問わなければならないですね。大臣、このことを答えてくださいね。二つ聞きますから。もう一つ聞きますので。
一方、石油元売業界は上半期、原油高騰による大幅増益を記録しています。けさの日経でも、コスモ石油が二・八倍、五百六十億を記録したということが書かれておりますが、業界紙などでは、原油価格がこのまま高どまりし、石油製品が現在の路線を変え、踏襲していけば、修正後も予想とそう変わらない業績、つまり上向くのは変わらないだろうというふうに指摘をして、元売ひとり勝ちだ、そういうことに批判が強まっている、そういう指摘がございます。
農水省はことしの四月に、元売業界に対して、A重油が漁業用以外でも使われているということがありましたものですから、漁業用のA重油の安定供給を求める、そういう要請もされております。
ですから、私は、やはりこの問題は各省庁とも連携して、元売業界に対しても、利益を還元するべきだ、直接これが値段に貢献するわけですから、そういう強い要望をするべきだと思いますが、二点聞きました。お願いします。
○岩永国務大臣 先ほど仲野委員に御答弁申し上げましたように、結局これは高どまりするわけですよね。だから、これは本当は油代を直接補てんできるような制度ができればいいわけでございますが、このことについてはいろいろと私も模索したんですが、これはやはり到底不可能でございます。それで、結局、コストを下げて経営が成り立つようにすることのためにどうしていくか、それをどう早くするか、そして、その支援策は何か、このことで構造改革をきちっとやはりやっていく、このことを早くやるためにその間経営のつなぎをやるという一連の考え方に立たざるを得ないのではないか、このように思っておるわけでございます。
だから、今水産庁長官もお話し申し上げていたのはそこらなんですね。だから、今私どもも、そこらあたりが、漁業者にどれだけ緊急避難的な対策をできるか、そして将来的にコスト削減しながら経営が成り立っていくか、ここらを一連的な対策として組んで、そしてきちっと漁業者に安心いただけるような対応というものを今目下模索しているところでございます。
それから、次に御質問のありました件でございますが、総理からの指示を受けて、先般九月二十七日でございましたが、私、厳しく閣僚懇談会でお話を申し上げて、そして局長級の原油問題関係府省連絡会議を設置していただいたわけでございます。
それから、十月四日に関係閣僚が全部寄りまして、要するにその中で、エネルギー削減の努力に対する支援、それから石油以外のエネルギーへの転換努力に対する支援、それから原油高の影響を受けている中小企業等への対応等について具体的な対応策を早急に検討するということでございまして、目下、各府省庁でその部分についての御検討をいただいているところでございます。
これは単に漁業にかかわらず、私どもの場合は野菜を初めとする分野にも大変重要でございまして、これから秋から冬口にかけて農業生産関係者からもそれらの声が高まってき、私のところへそういう部分での要請があるわけでございますので、あわせて今検討を急いでいる、こういうところでございます。
○高橋委員 その検討の中身については、今要望したことを十分踏まえていただいて、もちろん元売との関係では、農水省だけではありませんから、連携をしていただきたいと思います。
ただ、さっきの確認ですけれども、構造改革が必要だという点については、今それで意見を交わすつもりはないんです。ただ、今それが必要だからといって、今現に原油高で困っている漁業者を見捨てることはしないよと一言だけ言ってください。
○岩永国務大臣 原油価格の高騰の影響というのは、広く産業界、一般国民にも及ぶ中で、それぞれ各業界におきまして、関係者の経営努力でこの問題に対応しております。漁業者に対してのみ燃油コストの価格補てんを行うということは、国民の理解を得ることは難しいわけでございますので、先ほど私自身が申しました漁業全体のコスト削減に、水産庁、私どもがどう対応していくかということを中心において対応してまいりたい、このように思っています。
○高橋委員 価格だけを言っているんじゃないですから。価格補てんだけではなくて、それに匹敵するような補償をということを言っているのであって、いろいろな業界があって、いろいろな困っている面があるんです、中小企業は。それぞれの分野で頑張る、だけれども、農水省が自分たちの分野で頑張らないでだれが頑張るのかということですので、そのことを言いたかったということであります。
時間がありませんので、次に行きたいと思います。
BSE問題ですけれども、食品安全委員会が二十四日にプリオン専門調査会の会合を開き、米国産牛肉輸入再開に当たってのリスク評価について結論部分が盛り込まれるという見通しであります。パブリックコメントなどもありますけれども、新聞各紙は年内輸入再開だと、そういうふうな記事を報道しているわけです。科学的な知見という言葉がこれまで、もう再三繰り返されてまいりましたが、玉虫色のまま決着することは絶対に避けるべきだと、私はまず指摘をしておきたいと思います。
そこで、まず諮問そのものの問題です。米国産牛肉については、米国の国内措置のみでは我が国と同等の安全性が確保されているということの確認が困難である、そのために上乗せ条件、いわゆるSRMを全月齢で除去、そして牛肉輸出証明プログラム、これを課した上でリスク評価を行うということであります。ですから、先ほど来話題になっている飼料規制などはそもそも対象としていないわけですよね。そこで、極めて限定的な答申にとどまらざるを得ないと思います。しかし、一たび出ると、科学者のお墨つきを得た、そういう言い方をされるというのは非常に問題だと。
そこで、食品安全委員会は、今後決定する結論にどう責任を果たしますか。上乗せ条件が果たして達成されたのか、あるいは安全委員会としての評価が正しかったのか。当然フォローアップされると思いますが、その点を伺います。
○齊藤政府参考人 お答えいたします。
米国、カナダの牛肉に関する評価、現在進めておるところでございますので、結論についてここで私の方からどうこう申し上げる、そういうものではございませんが、諮問をいただく条件としての管理措置の遵守ということ、これにつきましては、現地調査の実施を含めまして、リスク管理機関が責任を持って確認を行う、そういう前提で諮問をいただいているというふうに私どもとしては理解をしております。そういう前提のもとにプリオン専門調査会で現在評価が行われているというところでございます。
もちろん、その中で現在の時点における状況については議論が行われておるわけでございますが、輸入が再開された場合という仮定の御質問ということになろうかと思うんですが、そういう御質問に対してお答えするのは、結論が出ていないところで余り適切ではないというふうには思いますけれども、まず、食品安全委員会が答申を出した場合の一般論ということで申し上げますと、食品安全委員会としては、リスク評価機関としてそのリスク評価結果をリスク管理機関に通知するだけではなくて、そのリスク評価結果に基づいて講ぜられる施策の実施状況を定期的に監視する、こういう任務が与えられており、これを行うということになっておるわけでございますので、これにつきましては、そういう責務は食品安全委員会としてきちんと果たしていくというつもりでございます。
○高橋委員 一般論でよろしいです。リスク評価機関として通知をするだけではなく、その後の状況についてもちゃんと定期的にチェックをしていく、その上で勧告などの権限があるということですよね。確認してよろしいかと思います。
そこで、リスク管理機関に伺いたいと思いますけれども、リスク管理機関の責任について、六日の石原事務次官の会見で、実効性が疑問視されている米国のBSE対策について、査察の実施で実効性を上げると述べられました。
両省に具体的に伺いたいと思いますが、査察とは何を具体的に見るのか。その実施期間、予算、人員あるいは頻度、例えば月一回なのか、週一回なのか、あるいは日数とか、これを簡潔にお答えください。
○中川政府参考人 先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、今回輸入再開が行われる場合に導入をされます輸出プログラムの実効性確保、この担保措置は、まず第一義的にはアメリカの国内の制度として違反に対するさまざまなペナルティーの措置が備わっている、そういう制度であるということをまず申し上げた上で、さらに、日本側としましても、みずから米国内での遵守状況を直接確認していくということは、食の安全、安心を確保する上で大事なことだというふうに考えているわけでございます。
具体的にどうかということでありますけれども、これはまだ今詳細は検討中でございますから余り細部にわたっては申し上げられませんが、食肉処理場等に日本から農林水産省と厚生労働省の専門家を派遣いたしまして、定期的にこういった食肉処理場等で具体的な輸出証明プログラム、輸出プログラムに記載されていることが確実に実行されているかどうかということをチェックする、それが査察の具体的な中身でございます。
○松本政府参考人 米国産牛肉の輸入再開に当たりましては、食品安全委員会による科学的なリスク評価の結論を得るとともに、輸出証明プログラムの米国との合意が必要となりますほか、輸入再開後におきましては、定期的に米国側の輸出証明プログラムの実施状況を確認するため輸出国側に対しまして査察を行うこととしています。
この査察につきましては、我が国から担当官を輸出国に派遣し、輸出国側の措置が確実に機能し、仮に問題が発生した場合でも適切な改善が図られるシステムとなっているか否かを現場にて確認することとしております。
具体的な査察の内容といたしましては、現在想定され得る事項といたしまして、米国政府による対日輸出施設の監督状況、日本向け輸出証明プログラムに規定する品質管理プログラムの文書化の状況、特定危険部位の除去の実施状況、二十カ月齢以下の月齢証明等についての遵守状況などの確認であります。
いずれにしましても、査察につきましては、農林水産省と連携し、食品安全委員会のリスク評価の前提とされた条件が徹底されるよう、適切に対処してまいりたいと考えております。
○高橋委員 中川局長、今詳細は検討中で、今お話しされたのが具体的な中身だとおっしゃいましたけれども、昨年の十月二十三日に日米の共同記者発表といいましょうか、されて、この問題が提起をされたわけですよね、輸入再開になった場合の。ということで、当時委員会でこの問題の中身について随分質問がありました。これを担保する月齢証明プログラムなどが本当にできているかどうかを担保するために査察をしますと言ったのが昨年の十月ですから、当然そういう予算措置あるいは来年度の予算要求がなければ。まさか幾ら何でも今の態勢で同じことができるはずはないわけです。それはまさか全く新しい方たちを、何とか検査所をつくるとかではないわけでしょう。少なくとも、例えば動物検疫所ですか、受け入れるという見通しはあるわけでしょう。もう少し答えられるはずです。お願いします。
○中川政府参考人 諸外国のいろいろな状況を動物検疫所の方の職員が行って調査をするということは、これまでも行ってきているところでございます。アメリカとの牛肉の輸入再開がいつかということは別でありますが、仮に今年度であったとしても、今年度は今年度としての一定の予算措置がございますので、そういったものを活用して査察をすることは可能でございます。また、これは来年度の要求におきましては、こういった海外の状況を調査する、そういった予算項目につきまして増額要求もいたしているところでございます。先生から具体的にということでありますけれども、細部について、頻度その他についてはまだこれから詰めるところはありますけれども、査察のねらいは、きちっとアメリカであるいはカナダでこういったプログラムが実行されているかどうかということを見るのがねらいでありますから、その目的が達成されるように、きちっと対応していきたいというふうに思います。
○高橋委員 それでは、職員に説明を受けた範囲を使って、私の方で具体的なイメージについて少し考えてみたいと思います。
動物検疫所、今は鳥インフルエンザだとかさまざまな問題を抱えておりますので、現時点でも大変忙しいかと思っております。そこで大体二十三人の方が四千万円の予算を使えるだろうという説明をいただきました。これを、今、アメリカが指定する月齢証明プログラムにかなった工場をまず見るとすると、大体三十くらいじゃないかと言われております。仮に十人が月一回出向いたとしても、三十カ所ですから年間三百六十回になるわけです。それを見ただけでも、四千万ではきかないだろう。運賃から何から入れても四十万くらいかなと、低く見積もっても四千八百万になるわけですよ。だけれども、御存じのように、アメリカの工場というのは三百六十五日フル稼働しておりますので、その中の三・二%を見たにすぎなくなるだろう。計算すればそうなります。
それで、査察で一体何を、どこを見るのか。担保できるのかということが問われます。
私も先日、農水の委員会のアメリカの視察に参加をいたしましたが、私たちが見せていただいたカーギル社の工場は、総合すると一日で日本に輸出するだけの屠畜をさばいている工場ですけれども、そこでA40が幾らあるかといったら、全体の七、八%だと言われました。一ラインに二人の格付員。食肉検査官は別にいるんですね、獣医さんも別にいる、だけれども、格付ができるのは二人だけなんだ。それでも、一人で一日に二百頭見るんです。それを、日本の、アメリカの食肉格付とは全然経験もない方が行って、それを見るのかと。でも、それ以外の、SRMの除去云々も含めて、可能なのか。ちょっと想像できませんね。いかがですか。
○中川政府参考人 まず、査察の目的でありますけれども、これは、輸出証明プログラムにきちっと書かれているその中身が確実に実行されているかどうかということを担保するために行くわけでありまして、日本から行く専門家が一つ一つの枝肉をその格付のところでもって見る、そして常駐あるいは常駐に近い形で見るというものではありません。システムそのものとしては、アメリカの輸出証明プログラムというものできちっとできている。そのシステムが動いているかどうかということを見に行くのが査察の意味であります。そういう意味でいけば、頻度をそんなに高めなくても、そこのところのチェック機能というのは働くものだというふうに思います。
先生がおっしゃった具体的な数字について、私、今云々する準備はできておりませんけれども、査察の意味というものを考えれば、それはおのずと、頻度であったり、あるいは具体的な査察の内容であったりというものは、工夫次第でできるのではないかというふうに思います。
○高橋委員 結局、そうなると、アメリカが計画をする、それはちゃんとできているという前提の上で、ちょっと漏れがないかなという程度の、全幅の信頼をアメリカに置いた上での査察でしかないわけですよ。ですから、昨年の局長の答弁がいかがなものだったかと思うし、石原事務次官が記者会見で実効性を上げると言ったけれども、それを実効性とは言わないだろうと指摘せざるを得ません。
言いませんでしたけれども、厚生労働省、さっき詳しく説明いただきましたけれども、これを担当する方が二人と聞いております。厚生労働省と農水省が力を合わせても、とてもとても無理だろうということはもうはっきりすると思うんですね。そこで、改めて、そういう中で、上乗せ条件のもとで評価をし再開してしまうことはいかがなものかというところに、やはり結論を求めざるを得ないと思うんです。
たたき台の修正二次案、十月に発表されたものでは、米国では現在も交差汚染が完全には防止されていないとか、二十カ月以下の牛の汚染は米国、カナダの方が日本より数倍高いとか、屠畜前検査がアメリカは十秒、日本は八十秒、そういう時間の比較を見ても、大規模な屠畜場では異常牛が見逃される危険があるなど、るる指摘をされておりながらも、しかし、可能性は非常に低いということがさりげなく言葉として盛り込まれていて、そこが結論になるのかなという危険性を感じています。
けさの毎日新聞などでは、アメリカの不備なところと日本の不備なところを比べれば、アメリカの一勝七敗ではないかという指摘がありましたが、なるほど、確かにそうだなと思うんです。実際にこれまで指摘したことですよ、私がじゃなくて食品安全委員会の科学者の皆さんが指摘したことが、そういう実態だと。
だとすれば、やはりそれは、一たん再開しちゃってからとりあえず査察しますよではなくて、きちんとした対応がとれることを確認してから再開すべきだと思います。大臣、お願いします。
○岩永国務大臣 今、食品安全委員会でその部分については本当に慎重に、今度で九回目ですか、大変な御議論をいただいて、そして私どものところへその答申の結果が来るわけでございますので、それを踏まえていく、こういうことになろうか、このように思いますので、今それの審議中でございますので、ひとつ、科学的知見に基づく、私どもの気持ちというのは一切揺らいでおりませんので、御了解いただきたいと思います。
○高橋委員 時間が来ましたので、徹底した対応をお願いして、終わります。
○稲葉委員長 次に、菅野哲雄君。
○菅野委員 社民党の菅野哲雄でございます。
二年ぶりにこの席に立っているわけで、感慨深いものを感じておるわけでございますが、臨時国会は開かれないということなので、もう来年の通常国会までは待てない課題、私は、今、前に三人の方が議論になっていますけれども、燃油高に対して、この特別国会中に一つの方向性をつけておかなければ大変な事態になるという思いを込めながら、これから質問していきたいというふうに思っております。
先ほどから、燃油高に対して多くの質問がなされて、政府の考えというものを理解することができております。ただ、私は、こんなことではこの燃油高を乗り切ることはできないんだという強い思いを込めながら、大臣に本当に早急な対応を迫っていきたいというふうに思っているんです。
それで、私、出身は宮城県の気仙沼でございますから、マグロの漁船漁業の基地と言われています。二百海里規制以降、これまでに多くの危機を迎えました。
それで、先ほどの答弁にあったように、漁業が対応できる構造への転換を図っていくんだと水産庁長官が答弁しているんですけれども、そのために血のにじむ思いをしながら今日まで対応してきているんです。そして、漁船漁業者が、漁船員が賃金が高いということも含めて、それでは外国の研修生を受け入れて、それに対応して何とか乗り切ろうということも行ってきているし、現実にそういう状況で今日の漁業経営を行っている。その根底にあるのは、何といっても魚価安を克服し切れないでいるということがあると私は思うんです。
それで、一つの、漁業経営体の経営状況はどうなっているのかということなんですけれども、例えば平成十六年度一年間で、総水揚げ金額、八回から九回操業して一億四千万の収入を、水揚げ高を得ているわけです。そのうち、まだ燃油高が発生しないときに、燃料費が二千五百万、そして乗組員の給料が四千五百万。大臣、四千五百万というのは、一船に、一そうに十五人乗っているんです。そうすると、十五人乗って乗組員の給料が四千五百万ということは、一人当たり三百万という数字がここに存在するんです。こういうふうな血のにじむ努力をしながら経営している。これで経費の五〇%が占められているんです、七千万ですからね。そうすると、それでえさ代や修理費で三千五百万、その他の経費として四千万、合わせて一億四千五百万という支出が出ていって、経常的に五百万の赤字という状況が今日の近海マグロ漁業の、はえ縄漁業の実態なんです。
そしてここに、平成十六年の九月十日の原油高というのは、一年前です、これが四万四千五百円、キロリットル当たりですね。それが、一年経過した平成十七年の十月一日で六万五百円。この差額というのが一万六千円の燃油高、こういう状況なんです。そして、そのことを年間の航海日数で経費に当てはめていくと、先ほど七百万という数字が出ていますけれども、実際には、近海カツオ・マグロ漁業においては一千万の経費増になっていく。そうすると、一年間で通常の赤字が五百万という状況に一千万プラスになるから一千五百万の赤字、これをどう克服していくのかというのが今日の漁業経営者に与えられたこの燃油高に対する対応なんです。
これを、先ほどの議論をずっと聞いていますと、大臣も認めているように、この高どまり傾向が一年や二年で終わるんだったらば、これは漁業経営者もつなぎ資金とかそういう形で乗り切ろうというふうに考えるんですけれども、これが長年続いていくというふうに見たときに何が起こってくるのかというと、漁業経営からの撤退という方向が出てくるという今日の状況であるというときに、ここでつなぎ融資や単位漁協への支援ということではだめだし、構造改革、コスト削減への努力ということではこの危機的な状況を乗り切ることはできないという私の情勢認識なんです。
この情勢認識をどうとらえているのか。これは大臣でも水産庁長官でもいいです。私の言ったことが間違いなのか、そんな状況じゃないでしょうと言うのかどうか、ここを答弁していただきたいと思います。
○岩永国務大臣 菅野先生が地元の気仙沼で漁業者の皆さん方から直接に今回の燃油高からくる本当に強い、悲痛な声をお聞きいただいて、今お話をしていただいたんだろう、このように思います。私どもも、先生が今おっしゃったような計数でもって分析をいたしております。
それで、先ほどから仲野先生や高橋先生に御答弁申し上げておりますように、率直に言って、我々もどうしてこれを乗り切っていけるか、これを農林水産省として支援していけるか、悲痛な思いで考えております。
しかし、私も、この間も予算委員会の席上で、恥ずかしい話ですが、財務大臣と、それから経産大臣に、田舎の言葉で手すりごんぼといって、手をすってお願いをするという手すりごんぼで頼んでいるんですよ、そして、私の背中の裏には約三十万に及ぶ漁業者の皆さん方の本当にどうかしてくれというお気持ちを受けているんですよと。
この十年間で約八万人、漁業者が減少したわけですね。だから、日本漁業も、四海海に恵まれて水産王国と言われたけれども、どんどんどんどん減少、そしてから大変な環境に追いやられているということはだれでも、私、そして水産庁長官初めそれに携わっている者は一番よく知っているんです。だから、そこへ今回の追い打ちでぼんときた。だから本当に、先ほど言っているように、崩壊の危機に来ているんではないか。みんながもう漁業から逃げ出すんではないか。船を出すたびに赤を背負っていかなきゃならない、この気持ちをと。だから私も、総理や経産大臣や財務大臣に聞こえるように、先般の予算委員会の中では悲痛な私の気持ちをやはり披瀝いたしました。
では、具体的にどうすべきかということになってまいりますと、先ほど言っているように、直接燃油補助を個々に出すわけにはいかない。だから、日本が備蓄しているのを買った値段で放出してくれることはできないか。しかし、この備蓄というのは油が足らない場合に放出するというものでございまして、まだ備蓄をしていかなきゃならぬ環境にあるわけでございますので、価格が高騰しているからという性格のものじゃないわけなんですね。
だから、先ほどお聞きをいただいているだろうと思いますが、そういう状況の中で、やはり段階的に、今つなぎ資金を手当てし、そしてコスト削減をして、その間に経営が成り立つようにどうしていくかということを、今ありとあらゆる知恵を絞りながら、また農水省として来年の予算を含めてどう対応していくかというようなことで、必死に考えているところでございます。
菅野先生が、いや、こういう方法があるんじゃないかというようなことがあったらまたお教えをいただけたらと思うんですが、それはやはり我々の行政としての限界。それから、トラック業界あり、なおクリーニング業界あり、他産業があるわけです。だから私も、うちのは一次産業ですよ、そしてこのことが漁業の崩壊や農業の崩壊につながるということは、もう二度と立ち上がれないんですよ、だから日本の自給率、食料安全保障にもつながる問題ですよというようなことは十分認識しながら考えておりますので、菅野先生、決して私はこの場逃れで物を言っているわけじゃございません。本当に大変なことになるという危機感を持ちながら、今模索をしているところでございます。
○菅野委員 大臣の決意は本当にわかりました。
ただ、根本的なところは、要するに、燃油高に対して、供給元に、それは補助はできないんだというところに全部集約がなっていって、それで、その次の経営対策として、次善策として何があるのかということを議論しているから、私は次のステップというのは出てこないんだと思っています。
先ほどからも議論になっていますけれども、農業の分野では、農業の持つ多面的機能という形で、経営安定対策の方向性を打ち出してきていますよね。これは、農業というのは日本全体を取り巻いているからという、多面的機能ということを言われているんですけれども、漁業も、この日本、海に囲まれた島国の日本において重要な産業だというふうに私は思っています。
そして、今も大臣と思いは共通するんだと思うんですけれども、この燃油高は、漁業危機と叫ばれて久しいわけですが、それに追い打ちをかけるようにこの燃油高になった。そのことによって漁業経営から撤退していく経営者がまた出てくるという状況を考えたときに、日本における漁船漁業、あるいは沿岸漁業でもいいんです、これが、日本の一つのこれまで培ってきた文化が消えていくということだというふうに思うんですね。
それからもう一つは、ここで産業が衰退してしまっていったならば、造船業も含めて関連産業がすっかり衰退していって、それを再度つくり上げていくという状況は並大抵の努力でつくり上げることはできないというふうに思っています。長年培ってきたこの産業というものを一回なくしてしまったならば、それはそれで終わりなんだ、こういう今の危機的な状況だということをやはり国民の前に声高らかに訴えていって、そして、この危機的な状況を乗り切るためには、原油高に対して政府は産業維持という観点から施策を展開していくんだという立場に立たないと、もうこの危機は乗り切ることはできないんだというふうに私は思っています。
大臣は、今いみじくも農林水産省としてという表現を使いました。行政としては限界があるんだということであれば、これは政治的な判断というものを発動すべき時期に来ているというふうに思っています。総理大臣に直訴してまで、あるいは大蔵大臣に直訴してまでも、この危機というのを乗り切る努力をこれからもずっと積み重ねる必要があるんだというふうに私は思っているんですね。
それから、魚介類の自給率が今五〇%台なんですね。外国から輸入される魚介類が五〇%を占めているという状況は、食料安全保障の観点からも異常だというふうに思っています。政治的な判断を下すという以上は、その側面として、この魚価安に対応するもう一つの対応策というものをしっかりと打ち出していって、魚価安に対応した政策はこのことによって漁業経営を安定させます、こういう方向性をつけていきます、その上に立って、国民的理解、政治的判断でもって、直接所得補償的な観点からいって、燃料の高騰した部分に対して政府が補助していくという方向を今打ち出さない限りこの危機を乗り切ることはできないというふうに私は思うんですが、大臣の決意をお聞きしておきたいと思います。
○岩永国務大臣 私は、決して行政の枠だけで物を考えているわけではございません。だから閣議の中で発言し、そして、燃油対策の関係閣僚会議まで立ち上げていただいた、そのことに多くの閣僚から御賛同いただいて、今それを随時進めていただいているところでございます。
官房長官は大変熱心でございまして、そして、官邸で、また私個人でもいろいろな御意見を聴取していただいているところでございます。だから、これは農水省という枠ではなしに、特に第一次産業という枠の中の政治的判断というのを強く要請しているところでございます。
それから、先ほど言いましたように、そのこと受けて、ではどういうことかというと、漁業災害補償制度で水揚げ金額の減少に着目した損失補てんをするという部分、これを今後どういうようにしていくかということで検討会を今実施しておりますので、この中でのこの部分の見直し。それから、先ほど言いましたように、やはり水産物調整保管事業の水産物の価格変動の緩和をどう図っていくかというような問題。そして、十九年の春を目途としているけれども、水産基本計画の見直しに向けた漁業の経営安定を図るための検討、これを前倒しで早くやっていこうじゃないかと。
それから、流通で、例えば漁業のように五段階、六段階の流通をやっているところというのはもう三〇%以下なんですね。しかし、三段階ぐらいの流通過程で売られている産物については、業者に五割の手取りがあるんですよね。だから、そこらあたりに対する流通改革というのにも相当手を入れていかなきゃならぬ、このように思っております。
今度、郵政の民営化が通ったわけでございますが、あの状況の中で、本当に郵便局で大きなネットワークを組んでいただいて、そして、消費者と産地とを直接結ぶような形なんかも農水省で今全体に考えていけないかというようなことで、これは一般の野菜、農産物も含めて検討を指示しているところでございまして、やはり流通コストをいかに下げるかということが生産コストに上乗せされるわけでございますので、そういう部分でも検討しております。
○菅野委員 政治的決断というものを本当に政府に求めておきたいというふうに私は思っています。
それから、燃油価格の実態なんですけれども、平成十七年の七月一日にキロリットル当たり五万四千円だったものが、三カ月後の十月一日に六千五百円値上がりして、六万五百円になっている。この六万五百円で高どまりという状況じゃないわけですから、私は、これもまた高騰していくという実態の中で、早急な決断を、通常国会までは待っていられない決断だというふうに思っていますので、ぜひ大臣の第一次産業、特に私は漁業経営を見据えた対応というものをしっかり行っていただきたいということを強く強く要望して、次に移っていきたいというふうに思っています。
日本の食料・農業・農村基本計画の中で、平成十九年までに担い手をどうしていくのかという議論が今行われて、そしてこの方向性がつくられようとしておりますけれども、二年前もこの議論というのを行ってまいりました。
日本の農家が、二百五十万農家というものが、もう本当に、兼業農家を含めて、家族経営的な農業、家族で農業を支えて、農業の持つ多面的機能というものを保ってきたというのが今日の状況であります。ただし、この食料・農業・農村基本計画においては、これを主業農家を四十万農家にしていこうという形がどんどんどんどん推し進められていって、最終的に土地持ち非農家というのを百五十万から百八十万農家にしていこうという状況があるわけでございます。
これが今進められている中身なわけでございまして、これでもって土地持ち非農家がこんなにふえて農村地域がどうなっていくのだろうかということを考えたときに、政府の対応として、日本の独特な家族経営、家族で従事する農家というものをどう集落に存続させていくのかというのが大きな課題だというふうに私は思っているんです。そのことに対して、今基本計画の実施というふうな方向になったときに、この層に対して政府としてどう対応していくのか、この一点だけお聞きしておきたいと思います。
○岩永国務大臣 日本の農業も大変な危機を迎えている。だから、率直に申し上げて、やはりばらまき農業と言われる批判から脱皮していかなきゃならない。そして、きちっとした担い手中心で、集落の土地が十分に使い切れて、そして品目横断で本当に自給率を上げていける転換をしていかなきゃ、今、大方七十歳近い方々が農業を営んでいる、あと十年したら七十歳の後半になっちゃう、そして放棄地がふえていく。なおかつ、自給率が低迷している。これを脱皮しようと思うことのために平成十年度から思い切った農業改革をしているわけでございまして、今菅野先生おっしゃるように、問題はあります。しかし、その問題を乗り切っていって、そして新たに、もうかる農業を若い世代がし切っていくような魅力のある農業にしていくための脱皮の期間だ、だから、苦しいし、つらいけれども、農水省、系統、それから農業会議所、そして県、市町村、もう本当に包括しながら今大転換をしているわけですし、十八年度も、この転換への資金というのも相当予算的にお願いをしながら乗り切ろう、このように思っております。
ひとつ、いろいろと御批判があって、今までのことをやっていたら、先生、それは成り立ちませんよ。だから、脱皮するつらさ、そのことについては御協力いただきたい、このように思います。
○菅野委員 脱皮できる地域はそれなりに行っているというふうに私は思っています。ただし、日本は七〇%が山、それで中山間地域農業というものが日本の各地域地域に存在していて、そのことにどう目を向けていくのかという視点も側面として政府としてはしっかり持たなきゃならないよという観点からこのことを議論しているつもりです。
だから、そういうことを踏まえて、食料・農業・農村基本計画の実施に当たって大いに議論を展開していただきたいし、中山間地域への直接支払いというものも行っているわけですから、そのことをどう充実させていくのかの視点も持って、この基本計画の実施に当たっていただきたい。またこのことは通常国会の中でも議論していきたいというふうに思っています。
それで、最後になりますが、もう一つ、日本の第一次産業の林業の問題なんですね。
林野庁長官が来ていますから、この林業の問題、私も中山間地域の農家に生まれて、そして今日まで、山の手入れも小さいときからやってきているという経験を踏まえたときに、山は荒廃しているという表現を使って間違いじゃないというふうに私は思っています、そういうふうな意味において、森林・林業基本計画が策定されて、そして今日まで進んできておりますし、京都議定書の森林の持つCO2削減の削減率というものに向かって整備がなされてきているというふうに思っていますけれども、今日的な整備の状況、その基本計画の目標に対してどういう状況になっているのか。私は達成されていないと思うんですが、そうであるならば、今後の方策をどう考えているのか、林野庁長官でもいいですから、答弁願いたいと思います。
○前田政府参考人 厳しい林業あるいは森林、こういったものを将来に向かって何とかしていかなきゃいけないということで、先生御案内のように、平成十三年に林業基本法を三十七年ぶりだったと思いますけれども改定させていただいて、そして森林・林業基本法、そしてそれに基づきまして基本計画、これを策定いたしました。それに基づきまして各般のいろいろな施策を講じているという状況にございますし、また、そういった中で、例の地球温暖化対策、先生のお話にございましたけれども、十四年に森林吸収源十カ年対策、これを策定いたしまして森林の整備に取り組んでいるというような状況でございます。
御案内のように、この十カ年対策、我が国は六%の削減を義務づけられているわけでございますが、そのうち森林の吸収で三・九%を賄うということになっておりまして、残念ながら、今の現状でいきますと二・六%程度ぐらいにしかならないというようなことで、大幅に下回るというような状況にあろうかというふうに思っております。
こういった中で、大変厳しい状況でございますけれども、十カ年対策あるいは基本計画、こういったものに沿いまして森林の整備の推進を図っていくということで、十八年度予算におきましても、間伐の推進、あるいは広葉樹林化、こういったものに取り組むと同時に、やはり業としての林業、これの活性化も図っていかなきゃいけないということで、低コストで安定的な木材供給、こういったものを実現するための新生産システム、こういったものの確立に努めていきたいというふうに思っております。またさらに、山村での担い手という観点からも、緑の雇用対策、これの推進を図っていきたいということで所要の予算を要求いたしているところでございます。
ただ、こういったいろいろな森林整備の対策、これを進めていく上で圧倒的にやはり財源が足りない、そういったことで、一般財源はもとより、環境税などの安定的な財源の確保、これがぜひとも必要というふうに考えておりまして、それの実現に向けてまた取り組んでまいりたいというように考えておる次第でございます。
○岩永国務大臣 先生、先ほどの中山間地への直接支払い、それからそれぞれの地域のいろいろな事情、今ずうっと集めて聞いておりますし、そういう状況の中で、できるだけ落ちこぼれのない体制というのをつくっていきたい、このように思っておりますので、また御懸念のある点はお教えいただきたいと思います。
○菅野委員 大臣、今森林の問題を取り上げているというのは、中山間地域農業は農業だけでは成り立っていかないんです。林業経営と複合的に、あるいはその他のものと、複合的に地域社会というものが産業の中で成り立っていくわけです。そして、農業もだめ、林業もだめといったときにこの中山間地域がどうやって生活していくのかという、そういう危機的な状況が今あるわけです。
そして、林野庁長官も、CO2削減の三・九%という目標に対して二・六%しか達成できていないこの十カ年計画の目標に対して、これを三・九%までやれる体制というのを農林水産省全省挙げて大蔵ともけんかしながらやっていく態勢をとらなければ、この中山間地集落というのは成り立っていかないんだ、そのことを申し上げるために、この二つの関連として質問させていただきました。
そういう意味においては、ぜひ、これからの大きな課題だというふうに思っていますので、これからも議論してまいりますので、しっかりとした取り組みをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
以上です。
○稲葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十七分散会