衆議院

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第16号 平成18年6月7日(水曜日)

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平成十八年六月七日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 稲葉 大和君

   理事 岡本 芳郎君 理事 梶山 弘志君

   理事 原田 令嗣君 理事 二田 孝治君

   理事 松野 博一君 理事 黄川田 徹君

   理事 山田 正彦君 理事 西  博義君

      赤城 徳彦君    赤澤 亮正君

      伊藤 忠彦君    飯島 夕雁君

      今津  寛君    小野 次郎君

      金子 恭之君    近藤 基彦君

      斉藤斗志二君    谷川 弥一君

      中川 泰宏君    並木 正芳君

      丹羽 秀樹君    西村 康稔君

      福井  照君    福田 良彦君

      御法川信英君    渡部  篤君

      大串 博志君    岡本 充功君

      小平 忠正君    佐々木隆博君

      篠原  孝君    仲野 博子君

      森本 哲生君    山岡 賢次君

      吉田  泉君    丸谷 佳織君

      菅野 哲雄君    古川 禎久君

      森山  裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       中川 昭一君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  中島 正治君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       松本 義幸君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            岡島 正明君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  西川 孝一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  井出 道雄君

   政府参考人

   (農林水産技術会議研究総務官)          丸山 清明君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  南川 秀樹君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 寺田 雅昭君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月七日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     福田 良彦君

  神風 英男君     篠原  孝君

  松木 謙公君     大串 博志君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 良彦君     佐藤  錬君

  大串 博志君     吉田  泉君

  篠原  孝君     神風 英男君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田  泉君     松木 謙公君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

稲葉委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省総合食料局長岡島正明君、消費・安全局長中川坦君、生産局長西川孝一君、経営局長井出道雄君、農林水産技術会議研究総務官丸山清明君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、厚生労働省健康局長中島正治君、医薬食品局食品安全部長松本義幸君及び環境省自然環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田正彦君。

山田委員 きのう赤城先生から、私どもの小沢代表についての、一〇〇%自給率等について、一方的な質問がございましたので、ひとつ私の方から一言申し添えておきたいと思っております。

 一〇〇%自給率は、まさに与野党含めて、その方向性でありまして、御承知のとおりで、土地条件が違うとはいえ、まさにドイツにおいてもイギリスにおいても、これから先、食料危機を考えたら、一〇〇%自給率を達成していかなければいけないという、あくまでもその目標、いわゆる目指す方向でありますので、そこは赤城先生初め皆さんがよく理解していただけていることだ、そう思っております。

 それからもう一つ、いわゆる一〇〇%自由化ということについて大変懸念しておられたようですが、これは私も代表と何回かお話しさせていただきました。また、農業新聞にも詳しく、御聡明な皆さん方、読んでいただければ、書いていますとおりに、仮に、いわゆる内外生産格差、いわゆる小沢代表が今言っていることは、現在の国際的な市場価格と再生産のための価格の差額、それについての不足払い、まあ言えば日本型の新しい不足払い、アメリカもまた不足払いを現実に新農業法で二〇〇二年からやっているわけですが、それをどれだけやるか、私どもは、事実上それを一兆円という形で今回やったわけですが、場合によっては二兆、三兆かかるかもしれない、極端な言い方をすれば、農業生産が十二兆だから、内外生産費のコスト差を直接支払いをきちんとやりさえすれば、それこそ食の安全あるいは食料安全保障の見地から、消費者は国内の農産物を買うはずだ、そういう見地から言っているわけです。財源等についてはどういうことになるか、これから私どもの課題ではありますが、そういう趣旨で考えていただければと思います。

 また、アメリカその他のWTOの交渉においても、もし完全に、例えば工業製品含めて、すべてを向こうが一〇〇%自由化するならばという前提つきであることは、農業新聞で読んでいただければわかるとおりですから、アメリカがまず第一に反対するであろうと。中川大臣、いろいろな形で交渉なさってきて、本当にそういう形でやれば、EUにしてもアメリカにしても、高関税の産品というのは幾らでもあるわけですから、できるはずはない。しかし、目指すところは、やはりそういう方向でいかなきゃいけないだろうという非常にグローバルな見地に立っての見解ですので、大臣を初め御聡明な皆さん方もよくおわかりの上であろう。そのことをきょう冒頭に一言お話しさせていただいて、私の質問に入らせていただきたい、そう思っております。

 ところで、今、アメリカとの間の家畜衛生条件に基づいて、いわゆる輸入が再開されたわけですが、この輸入再開が、先般成田に脊柱が入っていてとまったわけです。そのとめたこと、これについては、私はやはり、衛生条件の中の、「重大な遵守違反が繰り返されるようなシステム全般に係る問題により本家畜衛生条件は停止され得る。」私の手持ち資料の二にありますけれども、これに基づくものではないか、そう思っておりましたが、そうではないという見解です。

 この条文は、ではそのまままだ生きておるのかどうか、日米の交渉において。それをまずお聞きしたいと思っておりますが、大臣でも結構ですし、陪席でも結構です。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 日米間で締結をされました家畜衛生条件そのものにつきましては、現在も有効なものというふうに理解をいたしております。

山田委員 それでは、どういう条項で、どういう法解釈でこれをとめることができたのか、端的にお答えいただきたい。

中川政府参考人 今回、一月二十日に米国産牛肉の輸入手続を停止いたしましたのは、米国政府が日本向け牛肉の輸出に当たって遵守させるべき輸出条件が守られず、日本向けに輸出が認められていない特定危険部位である脊柱が混入してきたことが原因でございます。輸入再開をしてから一月強という、非常に輸入再開の直後において日米間のルールの重大な違反があったということで、とめたわけでございます。

 具体的には、家畜伝染病予防法の第四十条に基づきまして、輸入検査に係ります手続を一時停止したということでございます。

山田委員 私も、その家畜伝染病予防法とか、いろいろちょっと当たってみましたが、今消費・安全局長が言っているような形でとめられるかどうか、これは大変疑問だと思っております。このことをいろいろ論議すると時間も来ますので、先に進ませていただきます。

 であれば、そのまま生きているということであれば、いわゆるこの家畜衛生条件に従って輸入を再々開するとすれば、アメリカ側の指定した工場、アメリカ側の認定した工場でなければ入れられないんじゃないのか。

 例えば、この家畜衛生条件というのは非常に一方的で、EVプログラムで取り決められた条件が指定施設において遵守されていないことが発見された場合には、例えば、日本側はまだ生きているわけですから、これから再々開するとしても、行って査察して、それがわかった場合においては、「米国農務省は当該施設からの日本向け輸出牛肉の証明書発行を直ちに停止する。」これは、日本がとめるんじゃなくてアメリカがとめる。「米国農務省により満足できる是正措置がとられたことが証明され、日本国家畜衛生当局に是正措置について情報提供された後に、米国農務省は指定が取り消された施設を指定施設として再指定することができる。」この家畜衛生条件、すべてつぶさに読んでみても、大臣、いわゆる日本側の自主性というのは全くない。

 これに基づいてもう一回再開されるのかどうか、大臣にお聞きしたい。今生きているわけです。再開されるとすれば。

中川国務大臣 おはようございます。

 山田委員御指摘のように、また今、中川局長が答弁いたしましたように、日本は法律に基づいて、家畜伝染病予防法四十条に基づいて、検疫手続をストップしているわけでございますので、そのストップの条件、つまりリスク管理行政をやっております厚生労働省、農林水産省がその作業をきちっとやるということであれば、これはまた再開に向けての一つの作業が進むということでございますけれども、現時点においては、その作業をやっておりますけれども、今ストップした状態が続いているということでございます。

山田委員 どうも、余りよく聞こえなかったんですが、少し大きい声で、少し私耳が悪いのかもしれませんが、マイクの方も調整していただければと思います。

 私が申し上げているのは、家畜衛生条件、日本側とアメリカ側の取り決め、そのとおりでやるのか、あるいは、きのう川内委員も大臣にお聞きしたんですが、アメリカ側からの牛肉の輸入再開については、アメリカ側が認定するんじゃなくて、日本側が認定する、すべて調査するということを、きのうイエスとはっきり言っていただきましたが、調査して、それを日本が評価して、日本が決める、場合によっては、アメリカ側が指定した工場、施設についても、日本側としては、これはだめだと拒否することもあり得る、大臣、そういうことでとらえていいのかどうか、明確にお答えいただければと思います。

中川国務大臣 日本のルールでアメリカと合意した輸出プログラムに基づいてやるということが大前提でございますので、そういう山田委員の御指摘のようなことも当然あり得るというふうに思います。

山田委員 では、当然そういう形であると考えていいと。どうも最後の語尾のところが、大臣、聞こえなかったんですけれども。

 日本側で自主的に、この工場は査察の結果、どうも守られそうもないから、ここはもう日本は入れないということをアメリカ側に主張できるのかどうか、イエスかノーかで答えていただければと思うんですが。

中川国務大臣 日本の判断でノーということであれば、はっきりアメリカ側にノーというふうに申し上げます。

山田委員 では、できるという形でさせていただきます。

 そうすると、今までの家畜衛生条件を改めるということになるわけですね、大臣。

中川国務大臣 これはあくまでも家畜衛生条件、EVプログラム、そして根っこにある家畜伝染病予防法に基づいた判断で、違反だということでストップしているわけでございますので、そういう意味で、このプログラム自体を変える、変えないというのは、食品安全委員会の御判断、つまりリスク評価になりますので、それ以前の問題として、違反だということで、今我々は、そういう現時点での措置をとっているわけでございます。

山田委員 どうもはっきりよく聞き取れない、私の耳が悪いのか。

 大臣、いわゆる家畜衛生条件がそのまま生きていて、再開するとなったら、日本側は何も言えないという形になってしまうわけなんです。いや、何も言えないじゃなくて、このままですと、例えば、後で聞きますけれども、韓国とアメリカの合意は別なんです、ところが、家畜衛生条件だけだったら余りにも一方的な条件になっているわけなんです。ですから、これを改めないと、どこから日本に入れるかということをアメリカが認定することになっていて、日本側が認定するようになっていないんです。

 韓国の場合は、私が資料一で示したものを見ればわかりますように、韓国側が査察して評価して、これはおかしいとなったら、韓国側がそのアメリカが指定した工場の中から指定することが、承認することができるということになっているわけです。そこの違いなんです。そこは日本も韓国と同じように査察して、そして評価して、場合によってはアメリカ側の指定した施設も拒否できる、そこからはもう入れませんよと、輸入再々開するに当たっては言えるということでとってよろしいわけですね。

中川国務大臣 個別の条件は、日米それから米韓で違いますけれども、基本形は同じだろうという前提で私は理解をしております。もちろん、その三十カ月とか二十カ月とか、日本と韓国で条件は違いますけれども、基本形としては、お互いに合意をした前提でやっているということでございます。

 そういう中で、日本は、日本の条件をきちっとアメリカが守らなければ、これはもう再開にならないというのが大前提でございます。韓国についてどうするかは韓国の御判断ですけれども、これはやはり同じようなスタンスではないかというふうに思っておりまして、そういう意味で、日本が納得をしなければアメリカがこうしたい、ああしたいと言っても合意ができないということになるわけでございますので、そこは日本の主体的な立場で判断をしていかなければならないというふうに考えております。

山田委員 私の言っている趣旨と大臣の趣旨は同じだと解釈していいのかと思いますが。

 リスコミで配られている資料の中に、「輸入再開前に全ての対日輸出認定施設における日本側の事前調査を実施」する、ここはいいんですが、「問題のないと判断された施設のみを輸入手続き再開の対象。」と書いていることは、基本的に、いわゆるアメリカ側が認定した工場から入れるのじゃなく、アメリカ側が指定した施設の中から日本側が韓国と同じようにどういう施設から入れるかということを認定するというか承認する、中川消費・安全局長、そういう形でいいのかどうか。

 ちょっと時間がないので、端的に答えていただければと思います。

中川政府参考人 EVプログラムというものはアメリカの制度でありますので、EVプログラムに基づきます施設の認定そのものはアメリカ政府が行うものでございます。

 ただ、今回の輸入手続の再開に当たって、私どもは事前確認のための調査を行おうとしております。その調査において、もしも仮にいろいろと問題が起こった場合には、そのことをアメリカ側に指摘をし、ここから先は仮の話でありますけれども、非常に重大な何か問題があったということであればそのことをアメリカ側に指摘をし、そしてそこからは輸入をすることができないということも、その事柄によってはあり得るというふうに私どもは考えております。

山田委員 では、最初から、韓国と同じようにこの施設はだめだ、この施設はいいという判断はできないということなのですか。イエスかノーかだけ答えていただきたい。

中川政府参考人 認定行為そのものはアメリカ政府が行うものでございます。

山田委員 それで、大臣、私の手持ち資料を見ていただきたい。

 資料の一なんですが、これは韓国側のプレスリリースをアメリカの農務省が書面として明らかにしたものです。その中に、アメリカ側と合意したという内容があります。日本とは比べ物にならないような厳しい内容になっています。

 今、大臣、どこから入れるかというのはアメリカが認定する、日本はそれが違反した場合に異議を述べてとめることができるだけだという解釈なんです。

 資料二の、翻訳の合意事項の中の3、これを見ていただければいいんですが、わかりますか、大臣。韓国は、「米国政府が指定した食肉処理施設」まず米国政府が指定しますね、「処理施設は、韓国の検疫担当者による現地査察を行い、」ここは日本も現地視察を行っているんですが、「韓国によって承認される。」というわけです。いいですか。ところが日本は、日本が承認するのではなく、アメリカが認定した施設から入ってくるものに対して、EVプログラムに違反しておったらそれをとめることができるだけだというんです。

 大臣、そこは主体性の問題なんですが、例えば大臣は、きのう、川内委員の質問に対して、当然査察します、それだけじゃない、トータルで、それも一つだと。となったら、査察して、評価をしますね。例えば日本は、査察報告書を見ても、これはほとんどみんな黒塗りです、その大事なところは。きのう川内委員が指摘したように、へたり牛の頭数にしたって、検査官の数にしたって、みんな黒塗りです。

 ところが、幾ら調査してもこのようなことでは何にもならないのであって、EVプログラムの現物のコピーすらもらえていないんです。そういう中で、しかも、今言ったように、日本側が承認した工場ではなく、アメリカが認定した工場からただ自動的に受け入れなきゃいけない。韓国は違うんですよ、よその国は違うんですよ。これは大臣、おかしいと思いませんか。輸入再開するに当たって同じようなことを、消費・安全局長はそうしますと言ったわけです、従来と同じように。では何のために査察するのか。ちょっと大臣、考えて答えてみてくれませんか。

 いや、大臣に答えていただきたい。中川消費・安全局長は一歩もそこを出ないんだから、消費・安全局長はよろしい。

中川国務大臣 山田委員、極めて大事な、本質的なお話でございます。ただ、極めて専門的な分野でもありますので、後で中川局長からフォローアップがあれば答弁させたいと思いますけれども。

 日本の判断なんです、そもそも。日本の判断で日米で合意をしている。それにのっとってEVプログラム、この内容は日本ももちろん熟知しているわけでございますので、日本とアメリカ、つまり日本の動物検疫あるいは厚生労働省の方の食品衛生、安全といった観点を大前提に議論しているわけでございまして、そういう意味では、韓国であろうが日本であろうが土台は一緒だ、それを土台としてアメリカがアメリカの前提をつくっているわけでございますので、日本が主体的にイエス、ノーを言えるということは、これはもう食品安全に対する主権の問題でございますので、山田委員が御指摘されていることについては問題がないというふうに判断をしております。

山田委員 EVプログラムは日本とアメリカがつくったものじゃないんですよ。大臣、誤解しないでください。EVプログラム、いわゆる安全手続基準というのは、それぞれの工場がつくっていて、それを日本は、コピーすら持っていないんです。いいですか。それで、ただ一方的にアメリカの認定した工場から入れるとなっているわけです。

 ところが、韓国は違うんですよ、よその国は違うんですよ。これは、主権国家と言えないんじゃないですか、大臣。やはり今度改めて再々開するとすれば、例えばこのリスコミの中にはっきり書いてありますが、日本としては当然、査察した上で、その上で日本が納得するものでなければ対象としない。資料三を見てください。「事前調査を実施し、問題のないと判断された施設のみを輸入手続き再開の対象。」とするとなっているんですから、この文言どおり読めば、いいですか大臣、今度再開するとしたら、韓国と同じように、向こうが指定した工場を日本側で承認する、そういう方向で決めますと大臣が言っていただければ、それでいいんです。それが当然だと思うんです。大臣、どうですか。官僚に任せちゃだめなんです。

中川国務大臣 この資料三の、「日本側の事前調査を実施し、問題のないと判断された施設のみを輸入手続き再開の対象。」とする、もうこのとおりでございます。(山田委員「イエスですね」と呼ぶ)イエスでございます。

山田委員 では、アメリカ側が認定する工場から入れるのじゃなく、アメリカが指定した施設の中で日本側が承認する、大臣、そういうふうにとらえていいですね。これは大事なところなんです。

中川国務大臣 ですから、山田委員がおっしゃっているように、確かにEVプログラムそのものはアメリカの中の施設に対してのルールでございますけれども、根っこは、日本の動物検疫あるいは食品安全というものが大前提で日米で合意をしているわけでございますので、そういう意味で、日本の法令あるいは食品安全委員会の答申等々に反するということは、今後の再開に向かってあり得ないというのが大前提でございます。

山田委員 しつこいようですが、このいわゆるリスコミで言っているように、アメリカ側の指定した施設に対して日本側が承認する権限があるんだとみんなが思うわけです。しかし、それがそうでなかったら、これは重大なことになります。だから、もう一回、そのとおりでいいということでイエスと言っていただければ結構なんです。

中川国務大臣 行政としてリスク管理をきちっとやらなければいけない、そして、現在リスクコミュニケーションを全国でやっているという我々に与えられた仕事をこれは全うしていきたい、もうこれに尽きるというふうに思います。

山田委員 大臣、では今の話は、リスコミにおいてもこのように言っているんだから、日本側がアメリカの指定した施設を承認するんだということでいいものだとして、これはもう一回確認させていただこうと思っていますが、その前に、韓国側のアメリカとの合意事項の中にもう一つ重要なことがあります。

 同じ翻訳の二ページ目を見ていただきたいんですが、「米国におけるBSEの状況が悪化したと判断されれば、韓国政府は牛肉の輸入を中止することができる。」さらにその後ろの部分も見ますと、一九九八年四月、八年前以前の牛からBSEが出てもそれはしようがないけれども、それ以後の牛においてBSEが発見されれば、直ちに輸入を停止すると言っているわけです。次のページの四角の中を見てください。「新たにBSEが確認された場合の措置」「輸入停止」となっているわけです、韓国側は。

 大臣、日本もアメリカで今度新たに検査、まあほとんど検査をアメリカはしなくなるわけですが、BSEが仮に発見されたら日本も輸入停止できますか、そういう合意がアメリカとやれますか。

 いや、私は意見を聞いているので、大臣の考えをお答えいただければと思います。

中川国務大臣 カナダにおきましてもBSEが発生をしているわけでございまして、それにもかかわらず、きちっとしたリスク管理ができているという前提で、日本ではカナダからの牛肉についてはストップしていないということがございます。

 つまり、これは、我々リスク管理行政機関の判断ではなくて、あくまでも食品安全委員会の科学的な知見に基づく判断でやっているわけでございまして、これをストップするかしないかというのは、我々行政が、行政といいましょうか、厚生労働省、農林水産省がやるべき判断と食品安全委員会のリスク評価の判断と、ある意味では分担をしていることに意味があるというふうに思っておりますので、そういうときにどうするんだということになりますと、もちろん政府全体でやりますけれども、リスク評価機関のきちっとした判断を改めて仰ぐということになるんだろうというふうに思います。

山田委員 大臣の答弁を聞いていると、そのときになって判断するしかないと。

 アメリカのBSE状況が、飼料規制は依然としてなされていないわけですから、さらに本当に検査を続ければBSEは出てくる、これは食品安全委員会でも何度も指摘されたことです。食品安全委員会では、中間の報告の中には、日本みたいに検査をすれば少なくとも二百頭から四百頭は出るはずだ、そういう指摘もあるぐらいです。これから先、そういう中で出てくるとします、アメリカ側が、新たな牛の中で、韓国と同じように。そういった場合に、これから輸入再開をするかしないか。もう七月中旬には新聞では輸入再開と躍っているわけですから、多分ブッシュさんに今度、この国会が終わったら小泉さんが行ってお土産として輸入再開をするということは、みんなそう言われているところです。

 担当大臣としてその交渉をするに当たって、こういうことがあったらもうだめですよということをアメリカ側に今言っているのか、言っていないのか、その事実関係だけでもいいです。こういうことがなければもう日本は入れられませんよ、そういう交渉をしているのか、していないのか、あるいはそういう交渉をする意図が大臣におありなのか、ないのか、それをお答えいただければと思います。

中川国務大臣 一月二十日に検疫手続を中止して以来、アメリカに対しては、日本の主張していることを認めなければ、つまり、EVプログラムにきちっと対応しなければ検疫を再開できないということを言い続けているわけでございまして、そういう意味では山田委員の御指摘のとおりでございます。

山田委員 私が言っているのは、これも含めてですが、日本側が自主的に、アメリカの指定した施設、これはアメリカが認定した施設じゃないですよ、アメリカはここからだけだったら輸出したいと言ってきている施設について、先ほどの話もそうですが、日本側が承認するものじゃないとだめですよ、あるいは、アメリカ側でBSEが悪化したら日本としては輸入を停止しますよという交渉を、大臣、担当大臣としてアメリカ側と話している事実があるのかないのか、イエスかノーでお答えいただければと思います。

中川国務大臣 当委員会でも、また山田委員にも何回もお話ししていると思いますけれども、原因の究明、再発防止を徹底するという作業を今進めているところでございまして、そういう意味で、二度とこういうことが起きてはならないというための協議、あるいは作業をしているわけでございますから、そういう意味で、山田委員が御指摘のような御心配があってはならないという交渉を、日本としても、また私自身も、ある意味では非常に激しくやっているわけでございます。

山田委員 では、今までやっていないけれども、大臣、これからそういう交渉をやっていきたいということで理解していただきたいと……(中川国務大臣「今までもやっているんです」と呼ぶ)

 では、少なくとも韓国、ほかの国と同じように、輸入再開に当たってはそれを盛り込んでいただきたいと思いますが、大臣いかがですか。

中川国務大臣 ですから、日本としての判断があるわけでございまして、今ちょっと中川局長にも聞いたんですけれども、EVプログラムを日本は全く関知しないという御指摘でございますが、決してそうではない。あくまでも、各施設に対しての輸出条件というものを日本はある意味では情報として知っているわけでございまして、そういう中でこれからも、日本としてきちっとした、御承知のように韓国は三十カ月以下、日本は二十カ月以下でございますから、それぞれ国によって判断が違うわけでございますから、韓国の情報ももちろん熟知しなければいけないと思いますけれども、日本は日本の判断として今ストップし、そして再開に向けてのアメリカ側の要求を日本の立場で自主的に判断し、作業をしているということでございます。

山田委員 大臣、きょうは韓国の資料でもう一つ述べさせていただきますが、三ページ目の中身を見ていただけますか。「輸入衛生条件の比較」というところです。

 韓国は、いわゆる今回のアメリカとの合意事項の中で、骨つきリブ、あばら肉、スカート部分というんですかね、腸などの内臓、食肉加工品を除外するとなっているわけです。いわゆる内臓と言われるものを全部除外して、骨のついていない肉だけを輸入すると明記されています。

 日本は、この前、この委員会で私が質問しましたが、成田に内臓も入っていたわけです。しかも、いわゆるアメリカの認定していない工場から入っていたのを日本が知らなかったわけです。ところが、アメリカ側は内臓はもう入れないと言っているわけです。

 食品安全委員会の寺田委員長も来ていただいておりますが、食品安全委員会の報告の中に、大臣、こういうことがあるわけです。「A40による月齢判別は冷却後の枝肉で判断されるので、その間に内臓は、枝肉と対応して識別しない限りA40以外のものと混合してしまう可能性がある。従ってA40による月齢判別のみでは、内臓を日本に輸出することは不可能であるが、」とあるわけです、食品安全委員会の指摘。

 それは確かに、月齢で識別できるものについては月齢で識別、A40じゃなく最初から、私もアメリカの工場を三つ視察してきましたが、別々にやることは可能です。しかも、内臓をやるとしたら、内臓を保存する別の施設が必要だとカーギル社の工場長も私に言っていました。それだけの設備投資はできませんと。

 先般、この委員会で私宮崎に行ったんですが、宮崎の話で、宮崎がアメリカに輸出する、日本の牛肉を輸出する工場においては、数億円かけてアメリカの指定どおりに工場を全部改装したわけです。カーギル社の工場長は、その改装までして、コストが合わないから、内臓について別々にやるということはできませんとはっきり言いましたよ。

 冷却するまでの間、分別したものを、月齢のはっきりしたものをどこかに保管しなきゃいけないわけですから。そうすると、内臓の輸入は不可能だと思うんです、食品安全委員会も評価しているように。ところが、日本はどんどんそれを入れると言っているわけです、大臣。韓国は入れないとしているわけです。

 大臣、どうお考えですか。大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 これは決して山田委員に対して不誠実な答弁をするつもりは毛頭ございませんけれども、リスク管理とリスク評価というのがきちっと分けられているということが、ある意味では非常に重要なことだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、A40をどう評価するのかということも含めまして、我々は、あくまでもリスク評価という大前提に立ってリスク管理行政を行っているわけでございまして、食品健康影響評価におきましても、A40ということは、識別管理できる場合には日本向けに輸出が可能であるというふうに評価をいただいているわけでございますので、それを前提にして我々は作業をやっているということを、ぜひとも御理解いただきたいというふうに思います。

山田委員 私らが工場を視察しても、内臓を分別して冷蔵する施設を新たにつくることはやりませんと。確かに、月齢でもし本当に別々に管理できるとなったら、そこまでやらなきゃできないわけです。日本はアメリカの言いなりに、宮崎工場は四億もかけて改装したわけです。それもできないならば、日本側が主体性を持つとすれば、当然、それに対しては、内臓は輸入できませんよと。

 赤松厚生労働副大臣、お聞きになっていたと思いますが、いわゆる衛生の一番責任者として、これは個人的見解で結構ですが、その点についてはどうしたらいいのか、それについてはどうお考えになられるか、そのお考えをお聞かせ願えればと思います。

赤松副大臣 今の山田委員御指摘の点に関しましては、要するに、先ほどお読み上げになられた文章の後半は、御自身が今指摘されましたように、識別管理できる場合には輸出できるとなっているわけですね。山田委員御自身がアメリカに行かれて、その識別は極めて難しかったという話を今されたと思うんですが、私どもとしましては、実際にこれから輸入が再開された場合に、そういったことが可能かどうか、可能であるというふうに私は個人的に思っておりますので、そうであるかどうかを実際に確認したい、そんなふうに考えております。行かれた方と行っていない人間の差がありますけれども、それはやはり事前に確認をしたい、そんなふうに思います。

山田委員 大臣は非常に前向きに、アメリカとの間においても非常に慎重に考えられると思うので、アメリカとの交渉において韓国にできて日本にできないことはない。どうか、本当に食の安全を考えられたら、大臣自身が、いわゆる農水官僚に、交渉その他を実務者担当に任せるのではなく、韓国、台湾の事例も見てよくやっていただかないと。

 大臣、私がここは慎重にやっていただきたいのは、添付した資料の中で、リスコミで使われている資料の四を大臣に見ていただきたいんですが、米国産牛肉が、成田に骨が入った後、香港に三回、三月十一日、四月七日、五月十六日、骨つきの肉が入っているわけです。そして、台湾にも、四月二十八日、つい最近、タイソン社のネブラスカ州の工場から入っているわけです。

 ところが、私が調べてみましたら、香港の三月十一日に入った分と、香港に五月十六日に入った分と、それから台湾に四月二十八日に入った分、この三つは、日本が十二月に視察した、日本側が査察をした三つの工場から来ているんです、大臣。

 ということは、単なるこのような黒塗りの形式的な視察、EVプログラムのコピーすらもらえない、検査官が何人いたか、あるいはへたり牛がどれくらいいたかということ、これすら国会に報告もできないような、こういう単に形式だけの視察でいくと、必ずこのようなことがもう一回起こる。そのとき大臣は責任をとれますか。責任をとれるかとらないか。大臣、責任をとりますか。

中川国務大臣 今日本がアメリカと、ある意味では要求してやっている作業は、再発防止、原因究明ということでございます。

 リスク管理機関としての責任を今後とるのかとらないのかということに関しましては、一月三十日に予算委員会で私の答弁から委員会でいろいろなことが起きましたので、今の段階では、どうするんだという仮の話にはお答えをするのは控えたいというふうに思います。

 いずれにしても、農林水産省、厚生労働省がリスク管理行政の責任を負っているということは、私自身も重々承知をしてございます。

山田委員 リスク管理責任を負っているということは重々承知しているということですが、厚生労働副大臣、厚生省も、今回もしこのようなことがあったら、厚生労働大臣なりだれが責任をとるんでしょうか。

赤松副大臣 だれが責任をとるのかと言われても、事前にしっかりと、日本の輸入に際して、安全第一にあらゆる観点からしっかり確認の検証をするということが第一義的に大事である、そんなふうに考えております。

山田委員 大臣、きのうの川内委員の質問に対してお答えになりましたが、いわゆる、査察をすると言いましたが、査察するに当たっては、例えばどういうところ、前に言ったように、EVプログラムがどうなっているか、そういったものをきちんと、あるいは危険部位の除去はどうなっているかということについて、いろいろな報告はもちろんですが、その評価に当たってなんですけれども、今度の査察、新たに三十五施設査察するとしたら、まず、必ずEVプログラムは少なくともコピーを保管しておかなきゃいけない。しかも、内臓の、背割りとかそういうことについて、日本がやっているようにバキュームして背割りさせるとか、日本側と同じような条件でないとやらない、そういう具体的な査察の内容についての報告とその評価については、当然この国会で明らかにすべきだと思いますが、大臣、どう思われますか。

中川国務大臣 屠場の問題は厚労省でございますので、もちろんリスク管理という観点から厚労省と農水省が一体となってやっておりますけれども、この具体的な話については赤松副大臣から御答弁をいただいた方がいいのではないかと思いますけれども。

赤松副大臣 やはり可能な限り明らかにしていくべきである、そう思います。

山田委員 そういう話ではどうしようもないんです。

 それでは、前回、十二月十二日、輸入再開をしたときの話なんですが、そのときに閉会中審査を私の方で申し入れた。ところが、きょう、今、二田筆頭はいないんですが、二田筆頭も閉会中審査をやりましょうという話だった。ところが、実際にはやれなかった。そのとき、二田筆頭から聞いたのは、中川消費・安全局長からの話だと、これは予算委員会でも政府からの話だとはっきり言っているわけですが、デモンストレーションの輸入であって、本格的な輸入は一月だから、一月、通常国会が始まってからでいいんだ、閉会中審査をしなくていい、そう言われたわけです。予算委員会でもそういったくだりを二田委員は述べた、そう記憶しておりますが、私もそのように聞いておりました。単なるデモンストレーションでほんのわずかしか来ない、いわゆる試験的な輸入ですよと。

 中川消費・安全局長に聞きたい。私がその後詳細に聞いたところでは、与党理事懇において中川消費・安全局長は、今回の十二月の輸入はデモンストレーションであって、本格的な輸入ではありません、そう言われたかどうか、イエスかノーで答えていただきたい。

中川政府参考人 逐一はっきりとは記憶をしておりませんけれども、十二月十二日に輸入再開がされて以降、当座の間は実際に輸入されるのは見本品等での輸入であろうというふうな趣旨のことは御説明したと記憶をいたしております。デモンストレーションというふうな言葉は使っていないと思います。

山田委員 単なる試験的な輸入であって、店頭で本格的な販売をするような輸入ではありません、そうはっきり与党理事懇で言ったんじゃないですか。言っていないかどうか、私もそれは徹底的に明らかにしたい。

中川政府参考人 具体的な、今先生がおっしゃったようなことをそのとおり言ったかどうかは、私は記憶はしておりません。申し上げた趣旨は、当座の間は、すぐに店頭に並ぶのではなくて、業界の間で取引をする、そういったときの見本品としての輸入が最初は行われるであろうというふうな趣旨のことは御説明したと記憶をしております。

山田委員 局長、大臣も聞いていただきたい。私がなぜきょう個人的に局長をそういう言い方をしたかということなんですが、あのときに本当に閉会中審査をやれば、この前のような、予算委員会で大臣が閣議決定の云々というようなことは、私はあり得なかったと思っている。そのときに聞いていたはずだ。ところが、そのときに、消費・安全局長は与党理事懇で、閉会中審査をしないようにという趣旨での話をされた。

 いわゆる行政が立法に介入する。今回の輸入条件その他についても、すべて行政が日米交渉等々に大きな力を日本は持って、もう時間になってきたので、聞きたかったこともいろいろあったんですが、韓国においては、はっきりこの合意事項の中で、後でよく読んでいただきたいんですが、韓国に米国産牛肉が入ってきてもその原産国表示をする、そういうことまで書いてあります。加工品についても原料、原産国表示をする、そういうところまで、トレーサビリティーもやらせたいと書いてあります。韓国の方がはるかにアメリカの牛肉に関しては、その交渉も自主的にやっている。

 ところが、日本においては、大臣、副大臣も聞いていただきたいけれども、官僚任せ。それが結果として、本当に、韓国とかよその国に恥ずかしいような牛肉の輸入再開になりかねない、なっていきつつあるということを十分考慮して、本当はきょうはもっとこの問題についても聞きたかったのです。時間がなくなってきましたのでこれでやめさせていただきたいと思いますけれども、大臣も副大臣も、きょう、先生方は自民党も与党も民主党もいらっしゃいますが、やはり大臣が、この日米交渉を再開するに当たっても、本当にきちんとした指示を、そしてきちんとした交渉を責任を持って細かいところまでやっていただかないと、その責任をだれがとるのか。だれも官僚はとらない。では政治家、大臣がとられるのか、厚生労働副大臣がとられるのか、我々がとるのか、そこまで考えてきちんと対応していただきたい。

 そう最後に申し述べて、私の質問を終わらせていただきます。

稲葉委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原でございます。

 しばらくぶりに質問させていただきます。答弁調の質問にならないように、質問調の質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、米国産牛肉の輸入再々開問題は一番最後に触れさせていただくことにしまして、農山村、特に山村で非常に問題になっております鳥獣被害、これは私は環境委員会でちょっと質問をしたりしたんですが、その延長線上で、農業にも非常に深くかかわるわけでして、質問させていただきたいと思います。

 質問する前に、常識で皆さんがどう考えているかというのをちょっと教えていただきたいのですが、犬は鎖につながなければいけないというふうにいろいろなところで決められていると私は思っているんですが、皆さんはどうでしょうか。犬は鎖につながなくちゃいけないというルールがあると思われる方は、ちょっと手を挙げてみていただきたい。犬を飼っている方、おられると思います。屋外で、庭、外ですね、放し飼いがいけないかいいか。いけないと思われる方はちょっと手を挙げてみて。はい、どうもありがとうございました。

 例によって資料を今お配りしておりますのでちょっと見ていただきたいんですが、私もそういう認識でした。私は、小さいころ犬を飼っておりました。どうでもいい話ですけれども、名前はテスといいます。T・Sにもじってあったんですね。放し飼いで、畑に行くときもどこに行くときも私の後をくっついて歩いていました。たまに悪いことをしまして、鶏を襲ったりするんですけれども、そのときはしこたまひっぱたいてやると次はしなくなるんです。ちゃんと訓練もできていたんです。

 ところが、いつのころからか、放し飼いの犬はいなくなったんですね。それで、これはおかしいんじゃないかと。昔から、山間地域では犬を飼ってクマや猿やイノシシを追い払っていたわけです。いろいろな原因がありますよ。いろいろな原因がありますけれども、これも一つの原因だと思っている。そういうルールは余りにも厳し過ぎるんじゃないか、山間地域では放し飼いでいいじゃないか。言葉は汚いんですけれども、それ以外の表現がないのでそのまま使いますけれども、その辺で犬が小便をして、そのにおいがぷんぷんしていて、それが嫌で猿やイノシシや何かが来ない、それがずっと続けられていたんです。昔の方が鳥獣はいっぱいいたんですよ。ところが、それがなくなったんですよ。

 だから、私は、山間地域ぐらいは放し飼いにしてもいいんじゃないですか、都会のルールでそんなことばかりされては困るというふうに聞きましたら、前の夜、環境省で答えるか厚生労働省で答えるか、なかなか答弁者が決まらなかったんですが、環境委員会ということで環境省の局長さんが、いや、そんなことはしていないんだというふうに答えられたんですよ。

 時間がなかったのでそのままにしたのですが、本当にそうなんでしょうか。ほかの人たちよりも知識水準の高い農林水産委員の皆さんも、放し飼いは禁止されていると誤解されているんですよ。国民と違うんですよ。本当にそうなんですか、もう一回答えてください。

南川政府参考人 お答えいたします。

 動物愛護管理法でございますが、この中で飼い主の責任といたしまして、動物の健康、安全を保持するよう努めるとともに、人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならないという訓示規定がございます。それ以上、特に犬の放し飼いということを禁止する措置は設けられておりません。

篠原委員 皆さん、聞かれましたか、こういうことなんです。

 では、厚生労働省、狂犬病の予防とかいう観点から犬にかまれたりしたら困るということで禁止しているのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。

中島政府参考人 狂犬病予防法についてのお尋ねでございますが、狂犬病予防法におきましては、犬の放し飼いという行為については特に禁止をされてはおりません。

 しかしながら、公衆衛生上の観点から、狂犬病予防法に基づきまして、まず犬の登録を受けず、もしくは鑑札をつけず、または第五条に規定されています予防注射を受けず、もしくは予防注射済み票をつけていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならないということで、そういった場合についての抑留の規定を設けているところでございます。

篠原委員 余計なことが加わっていましたけれども、よく聞いていますと、厚生労働省も別に放し飼いをしたっていいんだということなんです。

 ところが、資料の一をごらんください。まじめな長野県の条例でございます。

 飼犬管理条例というのがありまして、一ページ目ですけれども、第三条に、「飼育者は、次の各号に掲げる場合を除き、飼犬を常にけい留しておかなければならない。」各県はこうやって禁止しているんです。

 では、法律が禁止していないんだったらこんな条例をつくる必要はないじゃないか、これでみんなつなげているんだ、しなくていいんだと通達を出すべきじゃないか。いやいや、それは機関委任事務から地方自治事務になりましたので、県に干渉はできません、こういうぼけた答えが返ってきています。

 中山間地域対策、いろいろ問題があります。しかし、この鳥獣被害という問題は大きいんです。それはどうしてかというと、台風だったら来年は来ないかもしれない、ひょうは来年は大丈夫かもしれない。イノシシや猿が出だしたら出っ放しで、もう収穫前に、ちゃんと知っていて、一番いいときにとっていくわけです。これでがっくりして、もうつくるのはやめよう、山間地域における耕作放棄地、遊休農地化の多くの原因は鳥獣被害によるんです。

 そして、簡単なことなんですが、電気さくを設けるとか、そういうことも必要かもしれません、いろいろなことが必要なんですが、昔ながらの知恵で、犬を放しておけばいいんです。犬猿の仲と言われるわけです。猿は特に逃げていきます。

 次のページを見てください。これは、最近の地元のものもちょっと持ってきましたけれども、「猿害 捨て犬で解決?」それから上は信濃毎日新聞、私の地元のもので、「犬で猿を追い払え」モンキードッグ、猿犬だと。別にこんな名前をつけなくたっていいんです。訓練を受けてそして放しているというんですね。けれども、こんなものは別にだれが訓練しなくても、その辺に放しておけばいいわけですよ。

 そして次に、「バカの壁」の大ベストセラーを書かれました養老孟司さんが、三ページ目ですけれども、その下段の真ん中ら辺から読んでみてください。こういう新聞記事を見ておられまして、おかしい、犬を放しておけばこんなことは起こらないんだ、その結果についてはだれも責任を負わないと。

 ですから、ここで約束していただきたいと思います。

 環境省、厚生労働省、国民は誤解しているんです、犬は放し飼いにしたっていいんだという通達をぜひ出してください。お二人の局長さんにお答えいただきたいと思います。

南川政府参考人 私ども、今回、鳥獣保護法を提案いたしましたが、その際の大きなポイントが、鳥獣の農作物被害をいかに防ぐかということでございました。その中に、一つの方策として、幾つかの地域で、特に猿でございますけれども、猿を念頭に置いて犬を放し飼いにするという対応がとられているということでございますし、私どもとしては、それは一つの方策であるというふうに評価をしておるところでございます。

 自治体の犬の放し飼い禁止条例、必ずしも私どもはまだ全体の実態を把握しておりませんので、必要な調査を行った上で、所要の対応をとりたいと考えております。

中島政府参考人 それぞれの自治体がそれぞれの地域の事情に応じまして飼い犬に関する条例を制定しているところがあるというふうにお聞きをしておりますけれども、厚生労働省としては、その適否について判断する立場にはないものと考えてございます。

篠原委員 それはだめですね。環境省はちゃんとまじめに答えているのに、そんななまくらな答弁じゃだめですよ。

 国民は誤解しているわけですよ。各県が勝手にやっているから我が省は知りません、そういう態度では現地の人たちはやっていられませんから、先生方も誤解しているわけですから、それはちゃんと、そんなことをしなくたっていいんだと。規制行政も大事なのはわかるんですけれども、山間地域の活性化という観点から、そういう誤解があったらそれを解いていただかなくちゃいけないんです。実態がどうかというのを調査して間違いを解いていただきたいんですが、もう一回お答えいただきたいと思います。

中島政府参考人 実態につきましては、環境省で調査をされる際に私どもの方も連絡をとらせていただきまして、状況についてはよく把握をしたいと思いますけれども、私どもは、先ほども申し上げたように、衛生行政の観点から一定の場合について犬の抑留ということを定めているということでございまして、それ以外に、その放し飼いがいいとか悪いとかということを言っているわけではないということと、それについては私どもの行政の範疇ではないというふうに考えておりますので、そういった対応になろうかと思います。

篠原委員 答えになっていないですね。

 やはり、規制云々といっても、中山間地域の振興というのは厚生労働省もちゃんと考えていただかなくちゃならないんですよ。これは時間がなくなりますのでやめます。農林水産省は責任を持ってやってください、このモンキードッグを。中山間地域対策の一つの方策になるわけです。

 厚生労働省と環境省は長野県と同じような条例があるかどうかというのを調べていただいて、どのような誤解があるかというのがつまびらかになってくると思います。その結果、農林水産省は、積極的に、いや、山間地域では放し飼いにしたっていいんですよ、犬をちょっと放し飼いにしておけば効果があるということですよという通達をちゃんと出していっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

西川政府参考人 犬の活用ということでございます。

 今委員お話がございましたように、地域の新しい被害防止対策の試みとして、長野県の大町市などにおきまして犬を活用した猿の追い払い、いわゆるモンキードッグ事業の取り組みが行われているということは承知しております。

 農林水産省としましても、こうした取り組みの有効性に着目しまして、技術開発の一環として、昨年度、十七年度から三カ年計画で、どのような犬の種類などが有効なのか、どのような訓練が必要か、他の防除方法とどのように組み合わせることが効果的かといった調査研究もし始めているというところでございまして、今後は、こうした研究の成果も取りまとめ、現場情報もとりまして情報提供を行うことを通じまして、現場での取り組み、こういったものを支援していきたいというふうに考えているところでございます。

篠原委員 現場は悩んでいるんです。少しでも役立つことをぜひしていただきたいと思います。

 その一環なんですけれども、鳥獣被害対策の延長線上ですけれども、私はこんなにたくさん捕獲されているとは思いませんでしたけれども、イノシシが年間二十六万六千頭だそうですね。シカは十七万三千頭。これだけ殺されているというか捕獲されているわけですね。この肉はもったいないわけですね。イノシシは何か、山鯨とか言われて、鯨の肉と同じだといって食べられている。

 これについて、大臣は交渉にいっぱい行かれて、フランスでもいろいろな肉を食べておられると思うんです。まあ、ワインの方がお好きなようなのは大体承知しておりますけれども、肉もいっぱい食べておられると思う。向こうではジビエというのでシカの肉なんかは非常に高級料理として好まれているわけですね。

 ですから、日本も、中山間地域対策の一環として、米パン、米パンとかいって、米も消費拡大は大事なんですが、中山間地域を助けるということで、シカの肉それからイノシシの肉、これの料理方法等、そっちの方まで面倒を見てやって、自然食ブームでありますから、イノシシの肉を食べに中山間地に行くというようなことになればいいんじゃないかと思います。そういった方策をぜひ講じていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

宮腰副大臣 私はフランスは一度しか行ったことがありませんが、青山宿舎に住んでおりましたときに、近くにフランス料理屋さんがありまして、たまたまイノシシのステーキを食べました。これが何と本当においしいんです。リブというんですか。娘と一緒に行きましたら娘に大半をとられてしまいましたけれども、本当にイノシシ肉というのはおいしいというのがよくわかりました。恐らく、フランスから食材を輸入しているのではないかなと思うんですけれども。

 二十六万六千頭とれているイノシシ、これは地域資源として有効活用すべきであるという御意見は全く同感でございます。

 昨年度、専門家等の参画を得て農林水産省で取りまとめました鳥獣による農林水産業被害対策に関する検討会報告におきましてもそういう観点が提示されておりまして、現実に、捕獲したイノシシあるいはシカの肉などの加工、販売を通じて地域の活性化に結びつけている事例も各地域で出てきております。

 例えば、島根県におきましては、夏場のイノシシについての処理方法やから揚げやハンバーグなどの新たな商品開発の事例等の情報提供、あるいは、本年六月、今月でありますけれども、開始予定の鳥獣害対策アドバイザー制度などを活用いたしまして、必要な助言、指導などに努めることにより、地域の取り組みを応援していきたいというふうにも考えております。

 なお、イノシシのほかに、例えば私のところではカモシカもあるんですが、これがまた、雪が解けて動き出してから一カ月の間のこのカモシカの肉はとてもおいしいといったようなことも聞いておりまして、そういうものを使って地域の発展につなげていくことができればというふうに考えております。

篠原委員 あらゆる方面からバックアップをお願いしたいと思います。

 鳥獣害対策についてはこの辺でやめまして、次は、自給率の向上問題についていろいろお伺いしたいと思います。

 これは、三十六時間、私が記憶する限りでは、政府案とそれからもう一つの野党案、あんなにきちんと議論していただいたことはなかったんじゃないかと思います。そういう意味では、五月十七日に採決が行われましたけれども、どこかほかの部屋ではすったもんだして大騒ぎして採決していましたけれども、我が委員会では粛々と仲よく採決している。我々の団結力の強さを示したんじゃないかと思います。いろいろ議論していただいたと思います。その中で、やはり、私は答弁席にずっと立っていまして、なかなか私の主張をきちんと、あれでも言えなかったんです、いろいろ言わせていただきましたけれども。

 自給率の向上というのを本当に考えなくちゃいけないと思うんです。これはもう農林水産省を挙げて取り組んでいるはずなんです。一番真剣に取り組んでいるところのグループの一つに私は研究陣があると思います。農林水産省に三十年いさせていただきましたけれども、皆さん立派に一生懸命仕事をされておられますけれども、中でも世界に誇れる組織は、私は、つくばに、つくばだけじゃないですよ、研究陣だと思っております。その研究陣がいろいろ考えて、相当麦や大豆や菜種の新品種開発が進んでいると思うんですが、その点については専門家の丸山研究総務官、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 麦の品種改良に関しましては、平成十一年からプロジェクト研究を強化いたしまして、各地域の栽培環境や、それから実需者ニーズに合わせた品種を開発すべく、独立行政法人の研究機関や都道府県の育種指定試験地で取り組んでまいっているわけでございます。

 これまでも、小麦に関しましては、低アミロースのうどん用のネバリゴシやあやひかり、それから、パン用で初めて暖地でつくれるようになったニシノカオリとかミナミノカオリという品種、あるいは、北海道のパン用品種は春まきだったんですが、秋まきでもできるキタノカオリ、これがパンやラーメンにも利用されているわけでございまして、こういった二十五品種を平成十一年から育成してきました。そのほかの大麦の品種も育成してきまして、この結果、平成十一年からの新品種の作付割合は一〇%を超すに至っております。

 一方、大豆でございますけれども、これはもう安定、多収、良品質化ということで、実需者ニーズに応じた品質向上にも取り組む中で、例えば耐冷性が強くて機械収穫適性の高い北海道の、これは煮豆用ですけれども、ユキホマレという品種、あるいは、東北向けでは、大粒で白目で耐倒伏性の高いおおすずとか、あるいは、西日本向けですけれども、青臭みの少ない豆乳用の品種のエルスターとか、合計二十二品種をプロジェクトで育成しているところでございまして、大豆に関しましても、プロジェクトを開始して以来の新品種の作付面積割合が一〇%を超えるというところで、これからも普及していくと思いますし、もっとよいものを開発しようと思っています。

 その開発の計画につきましては、昨年の三月、決めていただきました農林水産研究基本計画に基づきまして、小麦では、うどん用は一定の成果を上げましたので、パンや中華めん用で、栽培しやすい品種とか、あるいは、小麦は穂発芽という問題がありますので、収穫前に芽の出にくい品種を育成するとか、大豆に関しましては、一つは、やはり湿害を回避する技術が大変重要でございます。発芽のときの良否で収量が相当影響されるわけでございます。

 そのほか、機械化適性品種、それから病害虫抵抗性品種の育成ということを、この四月から新たに発足、再編しました農業・食品産業技術総合研究機構等と他研究所、総力を挙げて取り組みたいと思いますので、ひとつ応援よろしくお願い申し上げます。

篠原委員 今淡々とお答えいただきましたけれども、非常に自信に満ちあふれたお答えじゃなかったかと思います。多分、技術開発はほとんど十分行われているという感じなんじゃないかと思います。

 資料の四ページを見ていただきたいんですが、「各国の単収比較」というのを、これはFAOの統計、それから農林水産省の作物統計等から引っ張り出してつくりました。ちょっと見ていただきたいんです。

 小麦ですけれども、一番右を見ていただければいいと思います。日本の場合は、畑につくるのと田んぼにつくるのと、田んぼの方がずっと収量が低くなっちゃって、その平均になっておるわけですけれども、単収が十アール当たり四百三キログラムなんです。それに対して、下の方を見ていただきたいんです。世界の平均は二百七十四ですが、ヨーロッパ、イギリスは八百一、ドイツは七百二十八キロ、フランスは七百十三キロ。

 この辺についてちょっと解説いたしますと、後でちょっと触れますけれども、二十年前、三十年前は二百五十キログラムだったんです。一九八〇年代に五百キロになってというのがあるんですね。それで、やろうと思ったらできるんです。このヨーロッパの小麦は、皆さんこれは御存じの緑の革命、ボーローグ博士というのがノーベル平和賞をもらいましたけれども、あれがアメリカ等でうまくいき、それがまたヨーロッパへ行ってこういうふうになったんです。日本は今四百三キログラムです。

 それで、下の大豆を見ていただきたいんです。大豆についてもいろいろうまくいっているということを丸山さんからお答えいただきましたけれども、日本は百五十三とか、ちょっと二〇〇三年は悪かったんですね。二〇〇二年は百八十キロ、二〇〇一年は百八十九。しかし、この三年間で一番多いのはイタリアの二〇〇一年、三百八十一キロなんです。

 つまり、小麦も大豆も倍。菜種も同じように倍。世界の最高水準を行っているだろうと思われるヨーロッパ諸国と比べると、半分の単収なんです。我が研究陣は、もっと肩入れしたらこの水準に近づくことができるんでしょうか、見通しをお聞かせいただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 まず小麦でございます。

 先生のおっしゃるとおり、ヨーロッパも昔は二百キロ台ぐらいだったのが、半矮性遺伝子、これは日本のノーリンテンから行った遺伝子ではないんですけれども、別の遺伝子をヨーロッパでは探しまして、半矮性の小麦をつくることによって一挙に収量が上がってきた経過がある。ただし、多肥多収というその路線をやったわけです。それが実現可能になったのは、やはりヨーロッパの気候と日本の気候のこともやはり比べないといけないかと思います。

 夏、冷涼で乾燥しているヨーロッパの気候と、日本は梅雨というものがございますから、梅雨の前に刈り取らなくちゃいけない。ですから、生育、登熟期間が大変短い。しかも、高温の最後になりますと、穂発芽もしてくるし、登熟もしてこない、そういう状況の中で、二毛作の小麦、いっとき二百キロ台で、ようやく三百何ぼになったと言っているわけですが、これも一層耐湿性とか耐暑性というところを深く研究いたしまして、一段と麦の生理を変えることによって単収を上げていく必要があろうかと思います。

 それから、大豆に関しましては、これも先生のお示しの統計のように、今は低いわけでございますけれども、これに関しましても、大豆は多収性のほかに、病害虫抵抗性という非常に大きなバリアがあるんですけれども、それを頑張って育種していくと同時に、栽培法のところで、例えば私ども大豆300A研究センターというのを独立行政法人内につくって、各地域別にそういう技術をつくっていこうと頑張ってきているわけですけれども、湿害のところで、長雨でやられてしまう、あるいは水田でつくっているハンディを持つとか、あるいは基本技術の励行が必ずしも十分いっていないというところで、現状は大変低くて残念だと思っていますので、一層さらに上げるようにしたいと思っております。

篠原委員 将来の見通しになるとそう簡単にはいかないという御答弁だったかと思います。

 それで、次なんですが、日本の種の方はそこそこいくだろうと私は思います。日本がヨーロッパの半分の単収というのはやはりそんなに長く続くはずないので、必ずキャッチアップするはずです。

 次に、ちゃんとつくれるかどうかなんですが、基盤整備事業を着々とやってまいりました。汎用化して、乾田化して、湿田じゃなくなって、そして畑作物あるいは野菜等もつくれるというふうになっているはずなんですけれども、乾田化が進んで麦がつくれるようになった水田というのは特に、新潟とかああいうところは無理なんですね、北陸とか、東北も二毛作はできないんですが、関東平野以西の田んぼはみんな二毛作ができたはずなんです。前回は岡本議員から御指摘がありまして、いや、そんなこと言ったって、野菜もいっぱいつくっているというのがありましたが、野菜、百万ヘクタールは絶対つくれないんですね。

 いろいろな過程があるんでしょうけれども、麦がつくれるようになった田んぼというのは一体どのぐらいあるのか教えていただきたいんですが。

西川政府参考人 麦がつくれるようになった田んぼという定義はなかなか難しいと思うんですけれども、要は冬場ですね、冬場の地下水位が麦の生育環境にいい、あるいは表面排水が速やかにできる、そういう汎用化された水田、そういう面でいきますと、関東平野以西では大体六十六万ヘクタールでありますし、全国の汎用化水田の整備面積というのは約百一万ヘクタールというふうに承知をしております。

篠原委員 今、六十六万ヘクタール、それから全国では百一万ヘクタールというのがありましたが、皆さん、計算していただくとわかるんです。では百にしてください、六十六とかややこしい数字なので。百万ヘクタールで麦がつくれる。そうすると、二毛作かどうかというのは別ですけれども、それは六十六万ヘクタールしかないというお答えでしたけれども、そこに、八百は無理としても、七百あるいは六百キログラム、小麦の単収六百キログラム、六百掛ける百で六百万トンの小麦がつくれるようになるんですね。

 大臣、聞いておられませんでしたけれども、大体このストーリー、大臣にも私が話したことがあるので、すぐお答えできると思います。要するに、麦の振興というのは、技術開発は進んだ、それから乾田化も進んで、水田が汎用化した。農地についても種についても条件がそろっているんです。丸山研究総務官がお答えになったとおり、梅雨という難物がある、それはよくわかります。しかし、要は意思の問題だろうと思うんです。麦をちゃんとつくるべきだ。二〇〇〇年にはそういう判断を農林水産省はしたわけですね。十年計画をつくって、生産増させようということで、麦と大豆と飼料作物については各県についても目標をつくらせてやりましたところ、農家がそれにこたえて、二年で八十万ヘクタールの、十年後の目標を達成してしまったわけですね。やればできるんです。

 つまり、麦を振興して自給率を高めるかどうかというのは、挙げて政策判断にかかっていると思うんですが、その点について少々なまくら過ぎるんじゃないかと思いますけれども、トイレへ行ってすっきりされた大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 麦は、御指摘のように、極めて大事な日本の食料でございまして、そういう中で篠原委員も、地産地消、あるいはいい麦を、実需者に好まれるような麦をつくっていかなければならない、これはもう御指摘のとおりでございます。

 そういう意味で、私の地元も麦の主産地でございますけれども、何としてもこの自給率を、一〇%以下という状況を改善していくために、生産者あるいはまた自治体、そして農林水産省が力を合わせて取り組んでいくという方向でいろいろな御指摘をいただいていることは、しっかり受けとめてやっていかなければならないというふうに考えております。

篠原委員 具体的な数字で申し上げますと八十六万トン、平成二十七年度の目標であるにもかかわらず、今の現状の八十六万トンでいいんだというふうになっているわけです。これは全然、生産していこうという意欲に欠けるんですよね。

 その次の、五ページ、六ページ、七ページ、麦関係の資料をちょっと見ていただきたいんです。

 五ページの資料は、これはウルグアイ・ラウンドのさなかに、こうやったらいいんじゃないかといって書いた若い役人の提言なんですよね。ここにも、麦をつくるべきだというふうに書いてあるんです。その後、麦はいろいろでこしゃこするわけですね。つくれと言ったり、つくらなくていいと言ったり。

 私は、一度ここで申し上げたかどうかは忘れてしまったので、ちょっと申し上げたいんですが、麦はいわゆる猫の目農政に翻弄されてきたと私が言ったら、もっと厳しいことを言う方がおられました。いや違う、麦については農政は全くなかったんだ、米に翻弄されただけだと。これは非常に事実に近いんじゃないか。米が余ったから、では、つくるものがないから麦をつくれとかいう形で麦がないがしろにされてきたんじゃないかと思います。

 余談ですけれども、私の本籍地、今も置いて、住民登録しているところは、長野県中野市田麦というところで、だから麦にこだわっているんだなんてばかなことを言う人がいるんですが、それだからこだわっているわけじゃないんですよ。やはり麦をちゃんとつくらなきゃいけない。それでつくっていたんです。先ほどの、昔犬で鳥獣害を防いでいたと同じように、麦をつくって、米をつくって、そして自給率を高めて、それで暮らしていたんです。それをぜひやっていただきたいんです。

 それで、つい最近の新聞記事だけでも、これだけあるんですよ。余り多過ぎるので、私はとってきませんでしたけれども、五月二十日の「遊休農地はぼくらの宝 復活」東京農工大学の学生さんたちが山梨に行ってつくる。これはまさに遊休農地に一番つくりやすいのは麦とか大豆とか、大豆はちょっと難しいんですけれども、菜種とかというものです。その次は、「七〇〇ヘクタールで麦作法人」ということで、簡単につくれるんです。これだけやろうとしている。

 最近の新聞でも、六条大麦、これはミスマッチで、需要があるのに生産が足りないんです。これは関係者の皆さんは御存じだ思いますけれども。

 そして、六月五日の日本農業新聞の、これは一面だったと思います。「JA出資で大規模法人 岡山 ビール麦産地が結束」つくろうと思えば幾らでもつくれるんですよね。これをちゃんとやっていただきたいと思います。

 ところが、どこが問題か。需要がないとかいうので、見ますと、違うんです。あるんです。あるんですけれども、何回も申し上げますけれども、途中に製粉メーカーが入るから、ややこしくなるんです。

 次のページ、ちょっと見ていただきたいんですが、製粉工場の分布マップというもの。これはこの間の農政改革基本法なり担い手経営新法のときの私の答弁で申し上げましたけれども、北海道、あれだけ小麦をつくっていながら、道東の方にぽちょんと一つ製粉工場があるだけなんです。これは、私がいろいろ言っています地産地消、フードマイレージ、食べ物の輸送に伴うCO2の排出はなるべく少なくした方がいいんだ、そのために地産地消がいいんだと。ところが、北海道で小麦を幾らつくっても、製粉するところがないんですね。

 ミスマッチというのはこれなんです。米はもうコインで精米できるようになっているのに対して、麦は粉化しなくちゃいけないんです。だからお金がかかるんです。一たん麦はもう安楽死させるみたいな形になっちゃったんです、小麦が四十万トン弱になってしまって。だから、製粉工場というのは臨海地ばかりになってしまったんですね。

 喜多方ラーメン、私の先輩の白井さんという方が喜多方市長をやっておられて、非常にいらいらされて、喜多方ラーメンの原材料はみんなASWになってしまっていると。昔は、丸山さんの話にもありました、ちょうどあそこの会津盆地というのは冷涼な気候で、それから梅雨の影響も少ない。長野県も同じなんです。これは栃木県、群馬県も同じなんです。内陸部は雨が少なくて、麦に適地だ。だから、めん用の麦がよかったんで喜多方ラーメンができたのに、今はみんなASWになってしまった。私は麦をつくれ麦をつくれとしつこく言っていますので、白井さんから我が家に電話がかかってきたりして、どうなっているんだと。消えちゃったんですね、遺伝資源が。しかし、今は復活してやろうとしているんですね。

 そのときの一番のネックは何かというと、やはりこの福島県のところ、ちょっとよく見えませんか。これは郡山にしか、製粉工場がないんです。ですから、全国各地に展開しているどころじゃなくて、喜多方市のラーメン用の原材料も、わざわざ郡山まで持っていって、郡山からまた持ってこなくちゃならない。輸送コストが相当かかるわけですね。それだったら、粉になってしまったのを横浜港から運んだ方がいいというふうになってしまうんです。

 さっきの中山間地対策、ポイントポイントでやるんじゃなくて総合的にやっていただかないと、うまく中山間地が動かないのと同じで、麦作振興と言ったら、そら、田んぼだ、種だと。それだけじゃなくて工場もというのをやっていただかなくちゃならないんですが、手始めに、お手盛りじゃないですけれども、大臣の地元、すかすかですよ。幹事長の地元もすかすかですよ。大実力者がいながらこれじゃ情けないんじゃないかなと思います。そういう地元誘導をしろと言っているわけじゃありませんけれども、北海道を手始めに、ちゃんと地元に製粉工場をつくって、地元のパンで学校給食をやるというようなことを率先垂範してやっていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 もう御指摘のとおりでございまして、中小工場にもメリットがあるわけでありますが、篠原委員の御指摘の、大規模工場が主産地にない、これはまさに地産地消という観点からもある意味では一つ問題ではないかというふうに思っておりますので、これはメーカーの判断ではありますけれども、やはり需要がふえるようにいろいろな意味で努力をしていかなければいけないというふうにも思っております。

篠原委員 需要というのはふやせるんですよ。これはもう何回も言わないですけれども、よく聞いていただきたいんです。

 きらら三九七という北海道の米がある、それでみんな北海道じゅう週三回の学校給食をやっているわけです。ですから、北海道の学校給食として食べるパンは、帯広で、網走でつくった小麦でパン給食をやるべきだ、そのぐらい協力してもいいんだ。なぜ小麦を米と同等に扱わないのか、非常に不当差別を小麦についてしていると思うんですけれども。

 この点をよく考えていただいて、中川農林水産大臣、どのぐらいあと長く務められるかわかりませんけれども、ぜひ任期中にできたらやっていただきたい。少なくとも号令はかけていただきたいと思います。

 それで、なぜ麦にこだわるかというと、次のページ、またちょっと講義みたいになって済みませんけれども、九ページを見ていただきたいんですが、「日・EU主要品目比較」というのがありますね。

 これは、別に私はとっぴなことを言っているわけじゃないということを、農林水産委員会の皆さんにもぜひこれをちょっと見ていただきたいんです、この表だけは。簡単なんですが。EUは小麦をいっぱいつくっています。六〇年代、さっき話しましたように、単収二百五十キロぐらいでしたから自給できなかったんです。輸入していたんです。そして、どうしたかというと、小麦だけで精いっぱいで、油糧種子、大豆や菜種やヒマワリはつくれないから、もう輸入してしまおうというふうになって、右側を見ていただきたいんですが、関税ゼロで、ゼロバインドして輸入し始めたんです。

 ところが、左側の小麦を見てください。単収増がありまして、五百から今八百ですよ。ですから、単収二百五十キロが五百になったら、畑が半分で済むようになっちゃうのは当然ですね。それで、減反はなかったので、どうしたかというと、EUは輸出補助金つきで輸出せざるを得なくなったんです。それで、これにこちんときたアメリカ、オーストラリア、カナダが、何をやっているんだということで、ウルグアイ・ラウンドが始まったんです。

 ですから、我々は、米、米と大騒ぎしていましたけれども、アメリカとEUは、ウルグアイ・ラウンドのときに何でもめていたかというと、油糧種子パネルでもめていたんです。EUは言ったんです、では、輸出補助金つきで小麦を輸出するのはやめる、その方が悪いから。皆さんはこの理屈がわかると思います。輸出補助金が一番貿易歪曲的なんです。よくないんです。だからそれをやめる。そのかわり一たんあきらめた油糧種子をEUでつくらせてくれ、それをリバランシング、再びバランスをとるということ、これはもっともな要求だと私は思いました。

 そして、生産振興し、今はバイオマス資源としても、春、夏の景観としても、皆さん外国に行かれると思います。ヨーロッパでローカル空港におり立って見てください。下は真っ黄色です。春は菜種、夏はヒマワリです。そして、畑を埋めているんです。わかりますか。

 では、日本はどうか。

 下、EUの小麦に当たるのが米なんです。過剰になるんです。一九六〇年代、同じです。かつては輸入していました、ビルマやタイから。そして米づくり日本一というのまでやっていました。米価闘争は年中行事でした。自民党の古手の議員はここで政策決定過程を学んでこられたんです。そして立派な先生になっておられる。

 七〇年代から過剰、減反、転作になるわけです。そして、ウルグアイ・ラウンドのところでミニマムアクセスで輸入。

 では、日本は、もう一つの右側の方はどうかというと、ヨーロッパの油糧種子に当たるのが小麦なんです。小麦は、どなたか大蔵大臣が貧乏人は麦を食えと言って、学校給食もアメリカの小麦でやり、今も北海道でも御丁寧にアメリカの小麦でパンを食べているんです。そんなばかなことを続けているんですよ。そして安楽死の状態になった。

 そして、二〇〇〇年、さっき言いましたように本作化した。ところが、すぐ八十六万トンになっちゃったので、もうこれでいいやというふうになっている。

 ですから、EUと同じことをやるとしたら、小麦を生産振興して日本の畑を埋めなければいけないんです。EUの農政の根幹は、畑を遊ばせておいてはいけないということなんです。畑を遊ばせておくなんていうのは農政の怠慢だと私は思います。このためにも、もう本格的に麦作振興、あるいは、麦の次は大豆、菜種、油糧種子の振興をしなければ埋まらないんです。ぜひこれをしていただきたいんですが、この表を見ておわかりいただけると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 正直言ってなるほどなと。篠原委員は私の初当選のときからの農業の先生ですけれども、改めて、非常にわかりやすい、畑を遊ばせるなと。これをまさに御審議いただいた経営安定対策の中でも、きちっとやる気と能力のある農家に政策を集中してやっていきたい、資料をいただきながら、改めて決意を新たにしているところでございます。

篠原委員 全然力強くない答弁です。これは本当にやっていただきたい。やればできるんです。やる意思がないだけなんです。

 次、もう一つこの関係で御注意ですよ。私はこの間の答弁で何度も申し上げておりました、資料の十ページを見てください。皆さんにわかりやすくするためには新聞記事がいいだろうと、毎日新聞の五月二十五日、「不透明な交付に異議 英農園主「受給者名公開を」」というふうに、これはもう一つありまして、チャールズ皇太子ももらっていると。大農園主ももらっているというのは何かというと、この補助金というのは紛れもなく我々が導入しようとしている直接支払いです。そして、EUではいつもこのときに議論があるんです、大規模農家にはやらなくていいんじゃないかと。

 何回も答弁で申し上げましたけれども、直接所得補償は社会保障的なので、本当に必要な農家に、零細な農家に行くようにというので考え出されたのが、ダイレクト・インカム・ペイメント、ダイレクト・インカム・サポートなんです。だから、でかい農家に行っちゃいけないというんですが、EUのせめぎ合いの中では、いつも、大農家が多いイギリスとドイツのユンカーですね、特に東ドイツが入ってからそうなんですが、こちらは大規模農家がいるので、イギリスとドイツが束になってかかって、例えば百ヘクタール以上の農家には直接支払いはやらなくていいというルールをつくろうとすると、反対されてだめになってしまうんですよ。

 つまり、どういうことかというと、ヨーロッパでは直接支払いは大規模農家には行ってはいけないという議論、これはもっと沸騰してくると思います。そうすると、我が国の直接支払いはどうか。でかい農家にだけやるというのは、もう根本から直接支払いの本旨にもとっているんですよ。これはやはり考えていただかなくちゃならない点なんですが、何回も御指摘申し上げているんですが、大臣、この点についてはいかがでしょうか。

中川国務大臣 私もこの記事を見て、イギリスやドイツの大規模、あるいは大変な資産家と言っていいんでしょうけれども、こういう人たちに膨大な補助金が支払われているということ、これはちょっと、率直に言ってなかなか納得できないなというふうに思っております。

 日本においては、そういうことじゃなくて、過去払い、あるいはまたプラスアルファで、生産に対してやる気と能力のあるプロ農家に絞ってやっていく、いわゆる農業をやっている人に対してきちっとお支払いをしていくという施策にこれから方向転換をしていくということで御審議をいただいたところでございます。

篠原委員 もう一度くぎを刺しておきますけれども、まじめにやっている人というときに、四ヘクタールで区切る必要はないんです。まじめにやっている人、要するにこれからまじめにやっていこうとする人たちこそ、今二十ヘクタール、五ヘクタールになっている人よりも、これから大きくしていこうとする人たちにこそ直接支払いが必要なんです。これをぜひ認識しておいていただきたいと思います。

 最後、BSE問題についてですけれども、これは同僚の山田委員、それから岡本委員が質問されておられます。これは一言だけ申し上げたいと思います。

 私は、これは正直に申し上げまして、農林水産省、厚生労働省あるいは外務省も、役所でいったらかわいそうなところがあるかとは思います。この次の十一ページを見ていただきたいんですが、これほど総理と大統領ですべて決められて、それに日程を合わせて進められているものはないんです。だから、元秘書官がおられまして、どの程度こういうところを把握されているか存じ上げませんけれども、こんなに総理と大統領で決められている案件は、多分私の知る限りないと思います。

 安全保障は、非常に、各国の首脳同士でぱぱっと決められるのがあるんですが、この牛肉については、赤いところ、書きましたが、これは本当は総理用なんですよ。ですから、中川大臣や川崎大臣に申し上げても、非常にポリティカルな、やはり食品安全委員会で安全だからなんとかと言っていますが、国民はそうは見ていないと思います。ポリティカル輸入、政治的輸入なんです。ですけれども、これは、ぴしっとした態度をとっていただきたい。これは、総理にも行政改革委員会で申し上げたんです。どういうことかというと、私は、山田さんと岡本さんと一緒にアメリカに行かせていただきました。ジョハンズ農務長官にも会ったり、ランバートとかに、中川局長が会ったりされている方なんかとも議論いたしました。変なことを言う人がいるので英語でののしり合いみたいになったこともありますけれども、いろいろやってきたんですよ。

 しかし、ジョハンズ農務長官はこう言いました。こういうことは、政治的に決めるというようなことになったら、私は辞表を提出して農務長官の座にいないと我々の前で言い切りました。純粋に安全のことを考えてやっていかなければいけないんだと。それからもう一つ、消費者グループあるいは向こうの下院議員の一人ですけれども、日本に頑張ってほしい、アメリカの国民は安全性について鈍感である、日本がBSEについてきちんとした態度をとれば、アメリカも変えていかざるを得ないんだ。おかげで新型クロイツフェルト・ヤコブ病の蔓延を防ぐことができる、日本はそういう重要なポジションにあるんだと。そして、アメリカのマスメディアにも彼は言っていました。アニマルIDシステム、日本でいうとトレーサビリティーシステムなんですが、動物がどのように飼われたかというのをちゃんとわかるようなシステムを導入しようとして三年前に法案を提出したけれども、否決された、これが大事なんだ、日本の言うとおりだ、日本に頑張ってほしいと。

 どういうことかというと、中川農林水産大臣が、頑張って踏みとどまって、日本の安全基準ですべてを律しなければいけないんだと言うと、もうそれでやらざるを得なくなってくる。御存じだと思います、クリークストーン社は農務省を訴えました。全頭検査をやるんだ、日本が望んでいるからと。それに対して、四月六日、ニューヨーク・タイムズは、クリークストーン社を支持して、全頭検査をクリークストーン社に認めるべきだという社説を書いています。もうアメリカのマスメディアはなびき始めました。

 ですから、世界に名を残すには、これにぴしっとした態度をとるのが一番で、総理にも申し上げました、北朝鮮とかなんとかいって驚かせるよりも、こっちでぴしっとした態度をとるのが一番喜ばれる。この同じことを中川農林水産大臣に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。大臣の決意をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 御趣旨は一緒だと思っております。日本の食の安全、安心を農林水産省あるいは厚生労働省、政府がきちっとルールとして守っていくために何をすべきかということを今一生懸命この委員会でも御審議をいただきながらやっているところでございますので、まさにアメリカが何を言おうと、日本の安全、安心の責任を全うしていくということが私どもの責務だというふうに考えております。

篠原委員 最後に一言だけ。大臣、ちょっと心なしか元気が感じられないんですけれども、みずからをきちんと律せられて、周りをはらはらどきどきさせないように職務を全うしていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

稲葉委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本です。

 きょうは、米国産牛肉の輸入再開が近いのかという報道等もなされておりますので、この点に絞って質問をしていきたいと思います。

 まずは、私が、かねてより厚生労働委員会等で要求をしております、米国のいわゆる食肉処理施設を日本政府として査察をした昨年末の査察の報告書、これを公開するべきだ、こういう要請をしています。

 その結果、出されてきた文書は、かねて皆さん言われているとおり、黒塗りのところが多い。ダウナー牛がどれだけいたのか、査察官が何人いるのか、またEVプログラムはどういうプログラムになっているのか、枝肉の洗浄はどうされているのか、黒塗りです。極めて重要な製品の安全性、ひいては、これは、私たち日本人の生命、健康、生活または財産を保護するために極めて重要な情報が入っていると思います。黒塗りになっている部分にそういう情報が入っているんだという私の認識に、大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。

中川国務大臣 日本としては、できるだけ情報を欲しいということで要求しているわけでございますけれども、今岡本委員御指摘のように、向こうのルールあるいは事情によって黒塗りの部分があったということは大変残念でございますけれども、そういう中で、日本としても引き続ききちっとした対応をとっていく必要があるというふうに考えております。

岡本(充)委員 いや、私たち日本人の命や健康にかかわる重要な情報がこの黒塗りの中に入っているというふうに大臣は思われますか、思われませんか、それだけです。

中川国務大臣 アメリカ側の情報で日本の消費者に影響を与えているものが仮に隠されているとするならば、これは、日本としても、責任においてきちっと対応しなければいけないというふうに考えております。

 いずれにしても、日本としては、日米の約束、その前提にある日本の法律を前提にして、国民に対しての食の安全、安心をきちっと政府として守っていかなければならないということが大前提でございます。

岡本(充)委員 大臣、話をそらさないでください。黒塗りの部分にダウナー牛が何頭いるのか、EVプログラムがどういうプログラムになっているのか、枝肉が洗浄されているのか、されていないのか、こういったことは、まさに牛肉の安全性を確保するための重要な情報です。この情報が黒塗りになっていることは、私たち日本人が安心して牛肉を食べられるかどうかの極めて重要な情報が隠されているというふうに考えざるを得ないと言っている。

 したがって、黒塗りの部分、ダウナー牛が何頭いたのか、物すごい数いたのか、ちょっとだったのか、もっと言えば、SRMの除去はどのように行われているか、行われていないのか、こういったことは極めて私たちの命と健康にかかわる重要な情報だと考えるわけなんですが、そういう認識があるのかないのか、そういう情報は別に必要ないと思われるのか、それは私たちの命にかかわる重要な情報だと思われるのか、そこについてお答えをいただきたい。大臣に聞いています、大臣に。

中川政府参考人 まずは事実関係のところを。

 昨年十二月に実施をしました日本側の査察の結果報告書についての情報の取り扱いでございますけれども、その中には企業の営業情報等が含まれているということでございまして、日本の情報公開法に基づく考え方におきましても、この部分は不開示とすべき性格のものというのは、これまでの情報審査会のいろいろな御判断でもなっております。

 そういうことではありますけれども、この査察の結果報告書について、国民の方々へもできるだけ我々としては説明責任を果たしていかなければいけないということで、情報公開法の考え方に準じて、アメリカ政府に、営業情報等開示すべきでない情報以外のところはできるだけ出したいということで、要請をして、今のような状況になっているわけでございます。

 それから、もう一つ付言させていただきますけれども、安全の話というのは、食品安全委員会に一定の条件で輸入した場合はどうかということでリスク評価をお願いして、そこではリスクの差が小さいということで評価をいただいているわけでありまして、そのことが守られることがリスク管理上一番大事なこと、つまり日本の食の安全を守る上で一番大事なことだというふうに思っております。

中川国務大臣 政府として、あるいは農林水産省として、あるいは厚労省、食品安全委員会、それぞれの責務を果たしていくという前提で、我々は食の安全、安心ということをきちっとやって、そして最終的には消費者の御判断ということになるわけでございますので、今中川局長からお話があったように、情報は提供してもらいたいということを言っておりますけれども、向こう側の事情、あるいは日米のルールにのっとって黒塗りになっているということがあるわけでございますけれども、それも含めて、我々としては、最終的に判断をしていかなければならないというふうに思っております。

岡本(充)委員 それています、話が。

 私たちの命や健康にかかわる情報が、この黒塗り、そういう情報じゃないですか。そう思いますか、そう思いませんか、それだけを聞いているんです。

中川国務大臣 ですから、命、健康に大きく影響するかしないかということは、我々の判断以前に、リスク評価機関の判断というものが大前提にあるわけでありますから、そういう中で判断をしたということを前提にして我々は作業をしているということでございます。

岡本(充)委員 では、いいですよ。

 食品安全委員会の委員長もきょう来られている。

 ダウナー牛が何頭いるか、たくさんいるのかいないのか、検査官がいるのかいないのか、こういうことは、当然私たちの命、健康にかかわる情報ですよね。実際に、この牛肉が安全なのかどうか、どういう処理をされているのか、実際にSRMはどうやって洗浄されているのか、これは、命と健康にかかわる情報だと私は思うんだけれども、委員長、どう思われますか。端的に一言だけです、時間がないので。

寺田参考人 そのことは関係します。

岡本(充)委員 委員長はそうやっておっしゃった。大臣、大変重要な命と健康にかかわる情報だと私も思う。食品安全委員会の委員長もそうおっしゃっている。

 であれば、まさに情報公開法によるところの、人の生命、健康、生活または財産を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報、これは五条の二号なんですけれども、きのう川内委員も言っていた、公にすることにより、当該法人等または当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのあるものは公表できないとしているけれども、この例外規定だというふうにしている。つまりは、人の命、健康が企業の利益に優先するんだ、こういう判断にこの法律は基づいてできているわけです。

 であれば、当然のこととして、アメリカ側の利益だとか、アメリカの企業のいわゆるさまざまな競争上の地位だとか、こういうものを害するおそれがあっても公開されるべきじゃないのか、全面公開をするべきじゃないかという結論に至るわけなんです。

 アメリカに逐一聞いてお伺いを立てるんじゃなくて、きのう川内委員も言っていたけれども、公開しますよと、この法律に基づいて日本は公開しなければいけないんです。今、寺田委員長のお答えを受けて、大臣、公開をしなきゃいけないということをわかっていただきましたよね。アメリカにそのように言って、全面公開をするということを法律にのっとってお答えをいただきたいと思います。

中川国務大臣 ですから、日本としては、情報をできるだけ多くもらいたいということは、既にアメリカに随分、何回も過去において要求しているわけでございます。

 それと、安全、安心の問題というのは、岡本委員御指摘のとおりでございまして、それについては、食品安全委員会のいろいろな御指導を踏まえてこれからもやっていかなければならないというふうに思っております。

岡本(充)委員 違うんですよ。もう日本の行政文書として文書があるんだから。アメリカに今から聞く話じゃないんですよ。もう日本にある文書を開示するかしないかなんです。そのお伺いをアメリカに立てている時点で、この法律に違反するんですよ。

 きょうは法制局に来ていただいてはおりませんけれども、この法律に基づいて考えれば、私たちの命と健康の方が企業の利益よりも優先するんだ、当然の話だと私も思いますけれども、この立場に立てば、当然、日本の行政文書としてもうあるわけですから、開示してしかるべきじゃないですか。これを何でアメリカにお伺いをしなきゃいけないのか、その法的根拠はどこにあるのか、お伺いをしたいと思います。

中川政府参考人 情報公開法の第五条には、開示をしない場合のいろいろな例示が書かれておりますけれども、こういった査察につきましては、今後の調査において正確な事実の把握を困難にするおそれ、これは情報公開法第五条第六号のイでありますけれども、こういった監査、査察といったものにつきましては、一度そういったものが公開されますと、これは、繰り返し実際に現地に行って査察あるいは事実確認の調査を行っていくシステムのものであります。そういたしますと、この本来の査察なり調査といった目的がこれから先も続けられていくため、そういった関係を維持していくために一定のものを非公開にするというのは、情報公開法においても認められていることだというふうに私は理解しております。

岡本(充)委員 それは、公開をすることによって相手方に影響を及ぼすという配慮なのかもしれませんが、人の命と健康、生活、または財産を保護するということがより優先に掲げられているのがこの概念じゃないですか。関係を重視するということで、私たちの命にかかわる重大な情報を隠しておくということは、非公開にしておくということは、これは、この法の精神にもとると思うわけですよ。相手方に遠慮をしていて、すごい事実があっても公開ができないと言っているのと一緒ですよ。

 向こうはSRMをどう除去しているかわからない。もしかしたら、まあこんなことはないと思うけれども、除去していなかったとする。でも、相手方に遠慮して、ちょっと相手方に配慮をすると、それは公開できないと言っているのと一緒じゃないですか。

 そんなことはない、重大な事実があったら公開するべきだし、特にダウナー牛の問題、SRMの除去の問題、それからEVプログラムがどういうふうなプログラムになっているのか、これは極めて根源的な問題であり、これを公開しないということはおかしい。

 今の話に基づいて考えれば、今局長が言われた五条の六号のイの条項を上回る利益が国民にもたらされるというふうに私は考えるわけで、公開をするべきだと考えますが、その答弁をもう一度求めます。

中川政府参考人 報告書の中で黒塗りされているものの中に、検査官の数でありますとか、幾つかございます。この中で、例えば検査官の数であれば、それは、屠畜場の規模とその検査官の数というのはある程度連動しておるということから、検査官の数が示されれば、その施設の処理能力がわかるというふうなことで営業上の秘密になるというのがアメリカ側の説明でございます。

 先生の御指摘のように、今黒塗りがされている部分について、そういった企業の秘密とかかわりのない部分があるのではないかということで、アメリカ側に、これまでも、再度、確認の範囲について要請をしているのは事実でございますけれども、一番もとのところのすべてを開示するかどうかというところは、これは両国間のこれまでの信頼関係、あるいは、これからのきちっとした点検が日本側としてもできるかどうか、そういうことから、一定の制約があるということを先ほどから申し上げたところでございます。

岡本(充)委員 はっきり言っておきますけれども、検査官の数がわかったら処理能力がおおよそわかるだとか、獣医の数がわかればおおよその工場の規模がわかるなんというのは、工場を見に行けばわかるんですよ、同業者が見に行けば。同業者のライバルに気を使っての話かもしれないけれども、そんなもの、見に行けばどれだけの大きさかわかるし、大体、一日に何トン、トラックが来るかを見れば、入っていく牛の頭数なんて、数えようと思ったら幾らでも数えられるんです。別に、秘密にしておいて、どこかから牛が飛んでやってくるわけじゃないんです。牛はトラックで運ばれてくるんだから、ライバルがもしそのカウントをしようと思ったらカウントできるんですよ、トラックが入っていく台数ぐらいは。

 これは、何頭処理しているかということは、そういうふうに考えれば、別に、企業の根幹にかかわるシークレットだとはとても思えない。その気になればカウントができるということは、今お話ししたとおりです。

 したがって、改めてこれは全面公開をするべきだと私は思いますし、少なくとも、当初私が指摘をした部分についての情報公開がいまだになされていない、一カ月以上たっていまだになされていない。作業としても大したことがないと私は思う。だけれども、これが一向に開示されないどころか、日本側の、督促が二十日間ぐらい、そのまま放置をされている例もあるようです。五月の十七日から十九日の日米専門家会合で会って話をしたと言った。そして、次はいつ督促をしたかといったら、今週の月曜日だと。私が質問するとわかって慌てて聞いたんじゃないかという、うがった見方すらできるかもしれない。これは、きちっと定期的に向こうに言い続けないと、忘れられちゃうかもしれませんよ。

 大臣、きちっとここは、国会でもこういうふうに言われたんだということをお伝えいただきたいし、きょうは西川政務官も来られています。そもそも、厚生労働委員会で私は指摘をさせていただいて、川崎大臣からも、きちっと対応するという答えをいただいているわけですから、これは責任を持って回答を求めたいと思いますが、西川政務官からお答えをいただけますでしょうか。西川政務官からと言っています。

西川大臣政務官 ただいまの岡本委員の御質問でございますが、連休前の厚生労働大臣の御答弁にもありましたように、もう少し開示は要求していくべきだろうという大臣の御答弁もあります。そういうこともありまして、先日の日米専門家会合におきましても、口頭で直接、日本側からも開示の要求をしているところでございます。

 今後、米側に対しましても、より明確な返答を求めてまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 しっかり急いでやってもらわないと、これは実質協議に入れないどころか、リスクコミュニケーションでリスクを国民の皆さんに説明することもできない。リスコミが終わった後、ダウナー牛はこんなにいたんですよと後から発表されても、これは国民の皆さんはだまし討ちに遭ったと思いますよ。リスコミ、もう終わっちゃいますよ。そうしなければ正式な意味でのリスコミになっていないということを私は最後に指摘しておきたいと思います。

 続いて、二点目の話に移らせていただきます。

 事務的な確認を二、三して、ちょっともう一段大きな話をしようと思っているんですが、まず一点目。これは農林水産省に聞くべきなのでしょうが、飼料規制を日本がして、肉骨粉を牛に、牛だけじゃありませんが、牛の肉骨粉を含めて今、給与することを禁止しておりますが、この飼料規制をして、その後生まれた牛とそれ以前の牛を分けると、今、日本で発生している二十七頭ですか、確認をされたBSE牛は、すべて飼料規制以前の牛だということになっています。

 飼料規制以後に生まれた牛でいると。では、それについての答弁をいただきたい。

中川政府参考人 平成十三年の九月の十日に、我が国で第一頭目のBSEの感染牛が確認をされました。その後、約一カ月後でありますけれども、十月に、肉骨粉を含む飼料の製造、販売、家畜等への給与を法的にも禁止した、いわゆる完全なフィードバンが行われております。

 二十七例のこれまで確認された我が国のBSE発生例のうち、八例目と九例目、これは二十三カ月と二十一カ月齢の若齢のものですが、その生年月日ですけれども、八例目が平成十三年十月十三日、それから九例目が平成十四年一月十三日ということで、制度が変わって直後のものではありますけれども、厳密にフィードバンが行われた以後かということであれば、そういった例もあることはございます。

岡本(充)委員 今言われたのは、確かにそういう例があったと私も聞いておりました。では、冒頭の話を少し修正させていただいて、平成十三年の十月に飼料規制が行われて、買った肉骨粉をそのまま使っていた可能性もある、代用乳が悪かったのかわかりませんが、肉骨粉がその牛の口に入った可能性もありますが、少なくとも平成十四年の春以降はもうその肉骨粉は使われていないだろうということが、飼料規制が十分行き渡っただろうということが推測をされるわけです。

 つまり、飼料規制を十月にし、少なくとも半年ほどたった平成十四年の四月以降に生まれた牛で今後BSEがもし確認をされてきた場合、今は高齢牛が多くて、飼料規制以前の牛で確認をされる例が多いようでありますけれども、それ以後でもしBSE牛が確認された場合は、我が国における飼料規制の意義というものが問われるのではないかというふうに思うわけですが、その際においては、農林水産省としては新たな対策をとるというおつもりでございましょうか。お答えをいただきたいと思います。

中川政府参考人 諸外国、特にEUでも、日本と同水準の飼料規制が行われております。こういった例を見ますと、飼料規制の実施後直ちにBSEの感染がなくなるわけではありませんが、有効な飼料規制が実施をされれば、その後に生まれた牛で感染をする例というのは大きく減少してくるというのがこれまでの知見でございます。

 こういうことからいたしますと、我が国で飼料規制が導入されました平成十三年十月以降に生まれた牛で感染が確認される、そういった事態は我々としては可能性は非常に低いと思っておりますけれども、現に確認をされた、その数いかんにもよります。そういった事実関係を踏まえまして、その原因は一体何なのかと、先生今おっしゃいましたように、まずは徹底した原因究明を行い、また、必要があれば食品安全委員会プリオン専門調査会でも御相談をする必要があるかと思っておりますけれども、そういった具体的な事実関係をきちっと確認した上で必要な措置をとっていく、そういうふうにしたいと思っております。

岡本(充)委員 その必要な措置というのはどういうことを想定してみえるのかということについて、食品安全委員会に諮る、御報告をする、そういうことではなくて、いわゆる行政措置としてどういうことをさらに考えてみえるのかということを具体的にお答えいただきたい。

中川政府参考人 今、まだ私ども日本の国内では、飼料規制が強化されて以降生まれた牛でそういった、先ほど申し上げた例外は別としまして、その後、確認はされておりません。したがって、仮に発生が確認された場合に、それがどういう原因だったのかというところは我々は何も知見を持っておりませんので、まずやるべきことは、そういう発生が確認された場合には、その原因をきちっと確認することに全力を挙げるべきだというふうに思いますし、その原因が確認をされた上で、いろいろな専門家の御意見も聞きながら、それに対する対策というのが出てくる。それについては、我々として、そういう事態が起こればしっかり対処していかなければいけないというふうに思います。

岡本(充)委員 そういう事態にならないことを祈るわけでありますけれども、不幸にして、もし平成十四年の春以降に生まれた牛で同様の事態が起こった場合、BSEが確認された場合には、今までのBSEの追跡調査より一層の重点的な調査が必要であろうということは、今までどおりではいけないんだということだけは指摘をしておきたいと思います。

 その上で、またちょっと技術的な話ですが、リスクコミュニケーション、今度はこのことの意義について聞きたいです。

 リスコミというのは、国民の皆さん方にいろいろなリスクを、まさにコミュニケーションするんでしょうけれども、まずは、どういうようなリスクがあるかということをきちっとお話しする必要がある。それは包み隠さず話す必要があるとは思います。

 その上で、そのフロアにいる皆さんからどういうような反応があった場合、つまり、今回の事例で言うと、例えば、米国産牛肉の輸入再開はまだ拙速だ、こういう意見、みえる皆さん、十割ともそう言われる。こう言われると、さすがにそうかなと思わざるを得ないのかなと私は思うんですが、一体どういう基準で、このリスコミで出された意見が反映されるのか。特に輸入再開は拙速だという声は、どのような条件、どのような事態に至れば、政府としても、それはそうかというふうに考えて、拙速だという認識に移るのか、その条件をお聞かせいただきたいと思います。

中川政府参考人 食品安全基本法に基づきまして、食品の安全はリスク分析の手法で実施をしていくということが明記をされております。リスク評価、リスク管理それからリスクコミュニケーション、この三つがそのリスク分析の大きな、大事な要素でございます。

 リスクコミュニケーションにつきましては、まずは必要な情報開示をしていき、そして関係者の方々、消費者、それから事業者、あるいは行政も含めて、関係者の間で意見交換をし、そして科学に基づいた事実関係をきちっと踏まえた上で、そこで出された意見について、できるだけ今度はそれを政策に反映をしていく、そのプロセスがリスクコミュニケーションの持っている意味合いあるいは役割だというふうに思います。

 そこで、今行っております意見交換会、リスクコミュニケーションでありますけれども、そこで出された意見につきましても、単にその数が多い少ないということ、それ自身、意味がないということを申し上げているわけではありませんけれども、そのほかに、それが科学的事実に照らしてどうかといったことも含めて、これは判断をしていく必要があるかというふうに思います。

 まずは、私どもが今行っております意見交換会におきましては、米国産牛肉の輸入問題について、きちっと関係者の方々に情報提供をし、説明をし、そしてまた行政と消費者との、こういった関係だけではなくて、そこにおられるさまざまな人たちの間で意見交換をしていって、それでお互い理解を深め、さらに行政に反映させるべきものがあればそれを反映していくということであります。

 今先生は数についてその基準はどうかということをおっしゃいましたけれども、反対意見の多寡のみをもって判断すべきものではないというふうに思っております。

岡本(充)委員 多寡のみをもってと言われたけれども、多寡も一つの判断要因じゃないかと私は思うわけですね。

 先ほどの話じゃないですが、十割、みんなどこへ行っても反対だという話を、強硬に政府として推進するというわけにはやはりいかないと私は思うんですよ、極端な話だけれども。やはりこれは、反対が多いということは、国民の皆さんの理解が得られていないということの証左だと私は思うわけなんですが、そういった意味で、大臣、反省をされる部分はありませんか。実際、リスコミに行くと反対の方がやや多い、七、三ぐらいで反対が多いんじゃないか、こういう声を聞いておりますけれども、その点について、大臣、お答えいただけますか。

中川国務大臣 今粛々と手続にのっとってやっているわけでございますので、十四日までですか、全国でやっているわけでありますので、その意見をしっかりとお聞きしなければならない。その上で、リスク管理機関としての次の作業をするかどうかということを判断していきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 粛々と事務手続の一つで行っているというようなものではなくて、これは確かに事務手続ではあるけれども、これはきちっと厚生労働省とともに農林水産省も国民の皆さん方に説明をし、理解してもらう、そのとおりだなと思ってもらえる、もしストーリーがあれば、科学的な、もしくは論理的な構成がきちっとしていれば、ほとんどの皆さん方、大部分の人たちはそうだなというふうに思うわけだし、そこに若干の疑念が入れば疑わしいという話になるわけだし、それが懸念が解消されていないこと自体が、少なくとも国内手続のまだ不備な部分ではないかということを今お話をしているわけです。

 さて、時間もありませんので、少し以前の質問でも指摘をさせていただいた部分について、補足で聞きながら、今回、米国産牛肉の輸入問題に係る専門家会合で、米国側による三十五施設のレビューが報告され、それを説明を受けてきたという話を聞いております。

 では、そもそも、二〇〇六年二月十七日に出されたUSDAの「日本向け牛肉輸出証明プログラムに関する調査結果・対策報告書」と言われるもので指摘をされた部分、その中でも、さらにこれから措置をし、物によりますけれども、すべてのものは大体三月中だったと思う。例えば、三月中に行われるというふうに書かれているような措置、特にこの中では、五十ページ以降、USDAにおける十二項目の措置、またその後に始まります、五十八ページから始まるFSISの調査により特定された十五の措置ステップ、こういうようなステップ、それぞれの中で黄色にマーキングされている部分、これがどのように改善をされたのか、それぞれきちっと報告を受けてみえるのでしょうか。

中川政府参考人 二月十七日に米国が発表した報告書の中で、今先生がおっしゃったように、まだその当時においては導入をされていないものもございました。こういった中で、施設に関係するものと、それから行政、USDAの中の組織でやるべきものがございます。それぞれ今どういう状態になっているかというのは、五月の会合においても確認はいたしております。

 私どもの理解しているところでは、施設関係で新たに導入するものというのは、端的に言えば、それぞれの施設ごとにその施設が輸出できる適合品のリストをきちっとつくるということ、それから、農務省が、特にAMS、マーケティングサービスのところでありますけれども、輸出品が輸出適格品であることを確認するための文書、いわゆる第二のサインをするという部分でありますけれども、そういうことが掲げられておりましたけれども、これらは既に四月三日から施行されたということについて確認をしておりますし、それから、それが四月二十四日から五月四日までかけて行われた三十五施設のレビューの中で、こういったものが現に実施されているかどうか、それぞれの施設ごとにチェックをされたということも、先般の専門家会合でアメリカ側から結果について報告を受けております。

岡本(充)委員 では、その中で、USDAが抜き打ち検査をすることをEVプログラムの一つとするということで、二〇〇六年四月、またはそれ以前から、FSISの検査プログラムの担当職員が抜き打ち訪問を実施する、こう書いている。実際、抜き打ち訪問はどれだけ行われて、その結果はどうだったのか、それは聞いてみえますか。

中川政府参考人 抜き打ち査察をするということについては、アメリカ側の方針が出されておりますけれども、このレビューしたところでそれがされたかどうかということについては、私どもはまだ確認をいたしておりません。

岡本(充)委員 まだ確認をしていないんですか。それは対策としてとると書いているじゃないですか。

 では、その後に行われた、これは十八年の三月六日、日本政府が米国の報告書に関して照会を行いました。この照会の中で指摘をし、米国からも回答が来ている部分、例えば米国内や諸外国向け輸出における子牛肉の取り扱いと日本向けEVプログラムの条件の違いについて、具体的にどのような研修が行われたのか。この研修の内容については、このときには明確な答弁をいただいておりませんが、これについてはどのような研修が行われたか。もう承知をされているんでしょうか。七ページです。

中川政府参考人 二十カ月以下ということを確認するための方法としてA40がありますけれども、子牛肉についてそのA40以下ということをどう確認するかという点について、アメリカ側とこれまで議論があったわけでございます。当然、二十カ月以下であれば日本としては受け入れ可能だというふうに思っているわけでありますけれども、そこのところの、今先生御指摘の研修につきましては、まだこれはアメリカ側と話をしている、継続中の案件でございます。

岡本(充)委員 それだけじゃない。日本向けEVプログラムについて、雇用者を訓練するために企業が実施しなければならない、いわゆる研修ですよ。こういう研修をやっていることを確認したんですか。確認しているか、確認していないか。

中川政府参考人 職員が十分な能力があるかどうか、そういう研修をやるということについて、そこは確認をしております。

岡本(充)委員 研修は終わっているんですか。どういうプログラムで、どういう研修をしたか、確認しているんですね。

中川政府参考人 これは東京で専門家会合をやる際のやりとりでございますから、具体的な中身まではその場では確認をしておりません。研修をやっているかどうかということについて確認をしたということでございます。

岡本(充)委員 違う。この三月の段階で具体的にどのような研修が行われたかと聞いているじゃないですか。それで、米国側からの回答は不十分じゃないですか。書いていない。さらに聞くようにと私は言ったはずですよ。どういう研修をして、実際に日本向けのEVプログラムがどういうふうにして遵守をされるのか、きちっと研修をさせる、この研修の内容も確認をしていないんですよ。

 では、今回、EVプログラムが遵守できなかった二社について、同じく日本側からの照会で、それぞれ二社の対日輸出条件への適合を確保する責任を有していた者はだれか、その後に、なぜその彼らはその責任を果たせなかったのか、これについては、まだ終了していないOIGの調査の完了後にさらなる情報が入ると期待している、こう言われている。

 このさらなる情報でどういうことがわかったんですか。

中川政府参考人 これはアメリカ側からまだその調査が完了したという報告もありませんし、その結果について何ら私ども情報を得ておりません。

岡本(充)委員 それは督促しているんですか。結局、情報がありません、確認していませんと。

 大臣、聞いてみえるとおり、私が一人で調べたって、これは確認していない、これはできていないというものがまだいっぱいあるんですよ。

 では、個別にもう少し細かく聞いていきましょうか。

 例えば、このUSDAの二月十七日のレポート、六十ページ、調査結果四の三に載っている、当該研修に用いられるすべての資料は、検査プログラム担当職員向けのFSIS電子研修システムにフォーマットされる、当該システムは新しい職員やEV条件の対象となる製品の生産の任務にローテーションでつく職員向けの、再度の研修実施を可能にする、研修が終了した後、完了したことが各職員についてデータベースに記録される。

 この記録は確認をしているんですか。

中川政府参考人 それぞれについて今私手元に資料は持っておりません。申しわけありませんけれども、こういう個別のことについて先生から御質問いただくというふうに私ども承知しておりませんでしたので、そこは今すぐにお答えできません。

 それぞれ各施設においてやるべきことがきちっと行われているかどうかという点につきましては、三十五施設に対して私どもも事前の確認調査を行う予定にしております。そういった中で確認していきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 これは、米国が五月の会合で新たにAMSによる監査報告を持ってきたんですね。三十五施設のチェックをして、レビューをしてきた。この中で、重要度の高い不適合事例、こういうものと、重要度の低い不適合事例と書いているけれども、例えば、この中でも、二月の時点の報告書で五十九ページに指摘している、屠畜場と部分肉処理施設とが別々の施設である場合は、AMSは部分肉処理施設に対し、部分肉処理施設にとって供給者であるEV認定屠畜場施設リストを保持するよう求める、こう書いてある。

 その一方で、今回の重要度の低い方に入っていたと思いますが、重要度の低い不適合事例三のところですね。ある業者の当該企業の業者一覧は、他業者から搬入されたEV製品ではないとしている。しかしながら、当該企業はこの変更を反映させるための品質マニュアルとEV輸出手順を更新していなかった。その最後に言いわけを書いているけれども、結局、どこがEVプログラムで承認された業者なのかどうなのかということの義務づけが、業者一覧を含むことを義務づけているんだけれども、これも、結局、また今回も同じ問題が指摘をされているんじゃないですか。

 二月の方で見ると、三月一日以前に完了すると書いているけれども、別の業者かどうかは知りませんが、また同じことを今回もまた指摘をされているんじゃないんですか。ということを考えると、改善されていないじゃないですか。それについては指摘をしましたか。

中川政府参考人 今回のレビューにおきましては、新たに強化策として導入された事柄についてもそれぞれの施設で実施をされているかどうかという視点も含めてレビューがされております。

 その中には、これは既に申し上げていることでありますけれども、幾つかの施設において、六つの重要度の高い適合違反……(岡本(充)委員「それはいいです、わかっています」と呼ぶ)そういうような幾つかの指摘がされているわけでありまして、それぞれについては、一つは、それが日本向けの対日輸出の製品に直接かかわるようなものではなかったということと、もう一つは、問題点があったところは五月三十一日まで、五月末までに修正をするということもアメリカ側から報告を受けております。

 この点については、先日、それぞれの施設においてその修正がなされた、その内容については後日の報告になるということですけれども、まずは、それぞれ問題があったところは修正をされたというその確認の報告を受けているところでございます。

岡本(充)委員 されたと、向こうが言っているだけを聞いているだけじゃないですか。

 このほかにも、例えば、OIGの報告書で指摘されている以前、急に急性外傷を負った、生体検査の後に急性外傷を負って歩けなくなったという牛が二十頭ぐらいいたんですか、これについて詳細な事実関係を要求していますが、こういった牛はもう発生していないんですか。もう生体検査の後に突然歩けなくなる牛はいなくなっているというふうに聞いていますか。その点はどうですか。

中川政府参考人 屠畜場に来たときの検査では特に異常はなかったけれども、その後、何らかの理由で歩けなくなった、この点については、前回のOIGレポートの指摘を受けて、アメリカ側でそういったものが発見されたときには、たしかサスペクトという札だったと思います、それをつけていくということで、改善をされたということでございまして、具体的にそういったものが何頭あったかというものについては、私どもは情報は得ておりません。

 ただ、問題は、ここはそういった改善措置がなされたということについては確認をいたしております。

岡本(充)委員 違う。それは指示をしたというだけで、実際にそれが完了したかどうかについては書かれていないし、それから、もっと言うと、今回の三十五のレビューについて、きのうもらった資料で、米国側のレビューに際して日本側から追加要請した重要項目として、屠畜場における特定危険部位の除去に関するマニュアルの具体的記載、研修記録の確認やインタビューによる担当レベルのマニュアルの理解度の確認、日本向け輸出適格品リスト、いわゆるポジティブリストの確認、過去の対日輸出牛肉等の処理関係記録の検証、こういったことを出したと言っている。

 それぞれについて詳細な報告、例えば、どのような理解度の確認をしているのか、ポジティブリストはもらったのか。さらに言えば、マニュアルの具体的記載は日本側がちゃんと確認をしたのか、それについてお答えをいただきたい。

松本政府参考人 五月の十七日から十九日に行われました日米協議におきましては、米国の方からそういう調査結果について一応報告は受けましたけれども、事細かなものについてまでその資料の提出があったわけではありません。報告書は仮訳を出しましたけれども、その内容のとおりであります。

 ただ、議員御指摘のように、結局、アメリカの言うとおりをそのまま真に受けるのかということでありますので、我々としては、アメリカから報告書を受けましたけれども、それにつきましては、今後、対日輸出認定施設の事前調査におきまして、米国側のレビューの実施記録ですとか、不適合事例の改善状況についても検証することで考えております。

岡本(充)委員 その事前調査もぜひ公表してもらわなきゃいけませんよ。頼みますよ。

 それで、その上で、私はもう一点、ちょっと時間がないので、気になる点を聞いておきたい。

 大臣、ここまでの話を聞いていただいて、まだ詰め切れていない部分がたくさんあることをおわかりいただいたと思うんですね。私がざっと見ただけでも、米国側がそう言っているというだけの話が幾つもあった。もしくは、確認をしていないという部分もある。

 そういった状況の中で、よしんば輸入再開が決まったとして、前回の一月の輸入再開停止以前に通関をした、もしくは船積みをされて日本にやってきた牛肉、輸入再々開が決まったら、まずこれが市場に流通するのではないか。それについては、厚生労働省が了としているという話を報道で耳にしました。

 そもそも、一月、この輸入再開が停止された時点において、残念ながら、食品安全委員会が前提とした、いわゆる輸入再開の条件また食品安全委員会の評価、これが成立していないから輸入が停止したんだと。これは、予算委員会でも松田大臣が私に答弁をされました。評価が成立をしていない段階でやってきた牛肉が、輸入を、通関手続が済んで、もしくは船積みが済んで倉庫にあるからといって、一月の停止以前の牛肉が流通するというのは論理にもとると思うんですけれども、これについてはどのような論理で、輸入再開後、流通するということになるんでしょうか。食品安全委員会は、このときの評価は成立していないと言っている。つまりは、食品安全委員会は、このときは輸入に適合するような条件には至っていないと言っているわけだから、必然的にこのときの肉は流通が不可だと考えられるんですが、それについての見解をいただきたい。

松本政府参考人 米国側の調査報告書によりますと、昨年の十二月十二日から本年一月二十日までの間に二十五施設で処理され対日輸出された牛肉等につきましては、保管されていた処理、加工、出荷等のすべての記録を検証した結果、問題点は発見されず、対日輸出基準に適合しないものはなかったというぐあいにされております。

 当該貨物の取り扱いにつきましては、現在十カ所で行われております米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会におきまして、日本側による対日輸出施設の事前調査において特段の問題がなければ、輸入手続の停止を解除し、全箱確認を行い、その結果問題がなければ輸入を認めるという考え方を説明し、消費者や事業者等の方から御意見を伺っているところであります。

 厚生労働省といたしましては、これらの御意見を踏まえ、今後、その取り扱いについて、農林水産省と十分相談しながら検討することとしております。

岡本(充)委員 答えていないじゃないですか。

 食品安全委員会がリスク評価が成立していないと言ったときの輸入してきた肉ですよ。これを流通させるという論理は、全箱あけるからいいというものじゃないでしょう。食品安全委員会が評価が成立していないと言っているんだから、これはこの時期の牛肉は流通できないはずだ、それを超える論理はどこにあるかと聞いているんです。

稲葉委員長 質問時間が経過しております。明瞭にお答えください。

松本政府参考人 輸出プログラムが守られているか否かということを記録により確認したということでありまして、USDA、米国農務省が確認した。今後、我々も事前に調査に行って記録を調べ、その時点で輸出プログラムが守られているかというところを調査して判断したいと考えております。

岡本(充)委員 食品安全委員会の論理をどこで超えるか。答えになっていない。委員長、答えていない。ちょっとおかしい。どこで食品安全委員会の論理を超えるのか。答弁になっていない。

稲葉委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

稲葉委員長 速記を起こしてください。

 岡本委員、再度御質問ください。

 そして、松本政府参考人におかれましては、岡本委員の質問に対して、的確、明瞭にお答えください。

 岡本委員。

岡本(充)委員 一月の輸入再停止、この時点において食品安全委員会が出した、米国産牛肉、日本産牛肉のBSEに対するリスクの差は、無視できるかどうかは別として、小さいという答申を出した。この評価が成立していないと松田大臣は言われている、私に予算委員会の答弁で。

 したがって、停止した時点で入ってきた肉は、この食品安全委員会のリスク評価において、日本産と同等だということを言えないと言われた肉なんだ。これが日本に、今倉庫の中で眠っている。食品安全委員会が指摘をした、まさに日本産と同等であると言えない肉なんですよ。この肉を流通させるということは、リスク評価を無視して肉を流通させるということにならないかと聞いているんです。

 したがって、全箱あけたらいいと言うんだったら、そもそもリスク評価なんか要らないんですよ。全箱あけて確認すれば全部輸入ができる、こういう論理じゃないでしょう。だから、どういう論理で、食品安全委員会が言っている、大臣が言った、リスク評価が成立していないときの牛肉が流通できるのか、それを聞いているんです。

松本政府参考人 米国の輸出プログラムが確認できるというところが前提で諮問しておりました。そういう点からすると、一月二十日の時点で、これらの二十五施設については輸出プログラムが遵守できていたかどうかを確認できなかった。その後、米国の調査において、遵守されておるということが一応報告されましたし、今後、事前の施設の調査に行って、それがどうであるかということを検証して……(岡本(充)委員「今後じゃない、一月時点での話」と呼ぶ)その一月、十二月十二日から一月二十日までの間にその二十五施設について輸出プログラムが遵守されておるかどうかというところを検証し、遵守されておるということであれば、問題はないというぐあいに考えております。

岡本(充)委員 ちょっと違うよ。ちょっとおかしいよ。食品安全委員会は、評価は成立していないと言っているんだから。

稲葉委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

稲葉委員長 速記を起こしてください。

 この案件につきましては、後ほど理事会で協議させていただき、政府見解を明瞭にした上で今後の対応を図りますので、岡本先生には御了解ください。岡本充功君。

岡本(充)委員 そうしましたら、理事会での推移を見守りたいと思います。

 一言だけ言っておきますと、このときの予算委員会、二月十五日の委員会で、松田大臣はこう言っている。輸出プログラムが守られていなかったから評価は成立していない、はっきり言っている。輸出プログラムが守られていなかったときの肉であるということを改めて追加して、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

稲葉委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。

 今、山田委員や岡本委員から細部にわたって議論されました。今日、こういう議論になっているというのは、まだまだ米国産輸入牛肉が輸入再々開の条件が整っていないというあかしだというふうに私は思っていますし、きょうのマスコミ報道で、一部報道でなされましたけれども、国民は八割近い人たちが米国産輸入牛肉の再々開について疑問を持っているという報道もなされています。

 そういう意味においては、今までの一連の経過をたどりながら、どこにこの問題があるのか、政府として今後どのように消費者の理解を得ていくのか、このことが今重要な局面に差しかかっているというふうに思いながら私は質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 ことしの一月の二十日、特定危険部位の混入によって、今も議論になったんですけれども、全輸入牛肉がストップになりました。そして、そのことは、アメリカがそのことに対してどういうふうに言っているのかというと、今回の事態は特異な事例なんだ、ずっと一貫してこの立場を堅持しているというふうに思います。

 今の政府答弁と質問者の食い違いも、一部の牛肉加工業者の問題であってアメリカから輸入される牛肉全体の問題ではないというのがずっと支配してきているというのが今日までの状況じゃないでしょうか。そして、そのことを政府として、この五月に行われた日米専門家会合で日本の立場としてどう主張して、そしてどのような議論がなされたのかということを国民の前にしっかりと示すべきだというふうに私は思うんです。そして、私は、特異事例ではなくて、構造的な問題がそこに存在している、内部監査の未実施と言ってもいいし、不適格品の分別管理を明記した手順書の欠如、こういう問題も明らかになっているというふうに思います。

 それで、食品安全委員会の最終答申は、この対日輸出条件が遵守されているという立場に立って、日本産牛肉と輸入牛肉の差は小さいという結論をもって輸入再開に踏み切ったというふうに思うんです。こういう一連の経過を総体的に加味して、この五月の専門家会合でどのような議論がなされたのか、これをはっきりさせていただきたいと思います。

中川政府参考人 まず、一月二十日の事例について、二月の十七日にアメリカから報告書が提出をされました。その中身は、主として、アトランティック・ビール社、ゴールデン・ビール社という、事件を起こしたその施設に関するものでございました。

 そこで、それ以外の三十五の施設についての状況はどうなのかということを日本側から問題提起をし、そして、それを受けまして、アメリカ側では三十五の施設すべてについて四月の二十四日から五月の四日までレビューをした、その結果が今回の専門家会合でアメリカ側から報告があったわけでございます。

 そのポイントは、一つは、輸出再開がされました昨年の十二月の十二日から一月二十日までの間、二十五の施設で対日輸出が行われましたけれども、その記録を点検、検証した結果、問題点は発見されなかったということが一点でございます。

 また、三十五施設全体についての新たに強化された点も含めたEVプログラムに関する監査におきまして、不適合が確認された施設はあったけれども、これらについては、製品の対日輸出条件への適合性という点で影響を及ぼすようなものではなかった、また、そこで指摘をされ、あるいは発見をされた問題点については、五月中に改善をする予定であるということでございます。

 この最後の点については、既にアメリカから、すべての不適合事例については対応した、つまり、改善をしたという報告を受けているところでございます。

 こういうふうに、アメリカ側からは今申し上げたような説明を受けているわけでありますけれども、私どもとしましては、この後、事前確認調査を行いまして、今申し上げたような点も含めて、それぞれの施設においてきちっと行われているかどうかということを日本側の視点からも点検をしたいというふうに思っております。

菅野委員 中川局長、やはり、個別個別で対応するんじゃなくて、アメリカと日本が政府間で行う会合だというふうに思うんです。そして、個別の施設は条件を満たしているからそれでいいんだという判断で物事を処すんじゃないと思うんですね。先ほど言ったように、構造的な部分が、アメリカの食肉の安全、安心という立場から見た日本と比べた構造的な違いというものが存在するというふうに、私はそこから出発すべきだというふうに思うんです。個別の施設で違反条件がないですから、そして、認定したすべての施設がそういう状態をクリアしているからそれは輸入再々開してもいいんだという議論じゃないと思うんです。ここが根本的に議論の食い違いのところだというふうに私は思うんですね。

 これは、大臣がしょっちゅうおっしゃるように、日本とアメリカの考え方の違いだというふうに言われていますけれども、違いであるならば、日本の主張というのをアメリカにわかってもらうだけどんどんどんどん言っていくことが大切なんじゃないですか。そのことなしには国民的理解を得るというふうにはつながっていかないということを私は主張しておきたいというふうに思っています。

 そして、やはり国民的理解を得ていくために、国民が不信感を持っているというのは、香港で発見された二回の骨片の混入の問題、それから台湾で一回、これらが発見されている。そういうことに対して、政府は、日本への輸出条件では当該骨片の混入は違反ではないという立場をとっているんですね。

 いいですか。消費者から見れば、脊髄であろうが骨であろうが、消費者は、あれっ、危ないものが入っているという立場に立つんじゃないですか。そして、米国側もこういう問題を軽く見ている。こんなのは当たり前のことだというふうに見ているんですね。そして、香港に骨片が混入した牛肉を輸出した業者というのはカンザス州のカーギル・ミート・ソリューションという食肉加工処理施設であります。これはアメリカが認定した対日輸出業者なんですよね。だから、こういうことも考えたときに、この骨片の問題は全然安心なんだということは、これは幾らリスク管理機関が説明したって消費者の理解を得ていかないというふうに私は思うんです。

 このことについて、同社の輸出条件に問題はないとする政府見解の根拠というのはどこにあるんですか。答弁していただきたい。

中川政府参考人 そのときの、その前後関係を私はよく承知しておりませんので、あるいは誤解があるかと思いますけれども、アメリカと香港、あるいはアメリカと台湾の間で合意をされた両国間のEVプログラムの文言、骨なし牛肉、それについて、そういったルールについて違反をしているというふうなことで輸入側はとめているわけであります。

 その際に、アメリカ側は、骨つき、骨なしというのは、明示的に、例えば骨つきというのはTボーンステーキのようなもの、骨なしというのはそれ以外のものだということで、骨片が入っているということは、品質上の問題ではあるけれども、いわゆる骨なし牛肉の定義とは違うんだというのがアメリカ側の主張でございます。そこはそれぞれ両当事国間の解釈の問題だというふうに思います。

 ただ、両国間のルールとして決まっているものが、一方がいい、ある輸入国の方から見た場合にそれはルール違反だと言っている以上は、そこはきちっとその両国間でこの問題を解決していくということが必要だと思いますし、私どもも、それがどういうふうな形で解決されるかということについては注意深く見守っていかなければいけないと思います。

 繰り返しになりますが、ルールとして決められているもの、それが守られるのは当然のことでありますし、特に日本とアメリカの関係においては、これからそういったことがあってはならないというふうに思っております。

菅野委員 まだこれらについても消費者の理解を得るというふうにはなっていかないと私は思っています。

 それで、私は、ずっとこの間議論してまいりましたけれども、本当に、先ほど言ったように、八割に近い人たちは輸入再々開に向けて疑問の声を発しているというのが各種世論調査ではっきりしているわけです。この疑問をどう払拭していくのかという観点から、政府のとるべき道というものを主張してまいりました。そして、その主張の根拠というのが、昨年の十二月に食品安全委員会から示された米国産牛肉と国産とのリスクの差は非常に小さいとする答申というのは、米国が輸出条件を遵守することが大前提というこの注意書きですね、このことが大前提だったんです。

 この大前提が崩れた以上、私は、食品安全委員会プリオン専門調査会で再度議論することなしには国民の理解を得ることはできないんだということを主張してきました。ただし、このことは、農水省や厚生労働省から諮問されない限り議論というのは進んでいかないという仕組みになっているんです。

 だから、農水省として諮問する、厚生労働省として諮問する考えはないのか、このことについて答弁願いたいと思います。

中川政府参考人 今回の事件というのは、日米間で合意をしておりますEVプログラムが守られなかったことによって起こったものでございます。そういう意味で、私どもリスク管理サイドとすれば、合意されているEVプログラムがきちっと守られるように追加的な措置もアメリカ側にも要求していかなければいけないし、また、そういったことについて本当に守られるかどうかということについての確認のための事前の調査もしていく必要があるというふうに思っております。

 その際に、食品安全委員会で行われましたリスク評価というもの自体でありますけれども、今回の事件は先ほども申し上げましたようにEVプログラムが守られなかったということでありますから、そこのところを、管理措置をきちっとしていけばこの瑕疵は担保される、要するに改善、修復されるということでございまして、私どもは、食品安全委員会におきます評価が必要になるというふうには考えておりません。

菅野委員 リスク管理機関として、今、消費・安全局長が考えていることと食品安全委員会の考えていることが違っているとしたらどうするんですか。今はリスク管理機関の考えでしょう。そのことも踏まえて、食品安全委員会としてどうなんですかという私は諮問をすべきだと思っています。

 先ほどから言っているように、構造的な問題なのか個別企業の問題なのか、このことが議論されなければならないというふうに思うんです。リスク管理機関は、構造的な問題じゃない、個別食肉処理場の問題なんだ、あるいは個人の問題なんだということで今回ずっと答弁してきているわけですけれども、私は、構造的な問題があるんだということを踏まえて、食品安全委員会に諮問すべきだということをずっと主張してまいりました。ぜひこのことを考えていただきたいと思います。

 答弁しても同じ答えしか返ってこないと思いますから、答弁は要らないです。

 それでは、食品安全委員会の委員長に来てもらいましたから。

 五月に行われた日米専門家会合での協議の内容は、食品安全委員会に報告されたというふうに聞いております。そして、このことを受けてどのように対処なされるおつもりなのか、これが第一点です。

 そして、全国各地で今、リスク管理機関として農林省、厚生労働省がリスクコミュニケーションを展開しています。食品安全委員会がリスク評価機関としてリスクコミュニケーションをやっているわけじゃないですね。それで、リスク管理機関が行っているといっても、食品安全委員会として同席してその議論の経過というのは聞いているというふうに思うんですけれども、このリスクコミュニケーションで出された問題点を食品安全委員会として今後どのように評価していかれるおつもりなのか。まず、この二点について答弁願いたいというふうに思います。

    〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕

寺田参考人 日米の専門家会合の結果につきましては、私ども、管理官庁から報告を受けております。それをどう感じたかということでございますけれども、こういう平たい言葉で言ってはあれですけれども、大変なところをよく頑張ってやっておられるというのが本当のところです。いろいろ問題点を私どもも指摘はいたしましたけれども、多くの場合はカバーされているというふうに理解しております。

 それから、リスクコミュニケーションに関しまして、私どもの委員会は、評価に関するリスクコミュニケーションをすると同時に、管理官庁が行うリスクコミュニケーションを調整するという役割がありまして、調整という立場で、今全国でやっておられるところへ出て、オブザーバーというわけじゃないですけれども、そういう形で調整するという役割で出まして、その内容に関して報告を受けております。

 残念ながら、これはアメリカの問題というだけじゃなくて、BSEの問題に関しての私どもの努力が足りないのかもわかりませんけれども、じわじわですがBSEという問題が世の中にわかってき出したかなというところなんですね。そこに今度日米のことが入ってきますから、私どもの評価という立場、いわゆる独立性、中立性という立場じゃなくて、いろいろな気持ちを持った方がありますので、そこのところはなかなか難しいところがあると思います。

 最後の方は余りきちっとした答えになりませんですけれども、そういう感じで、これを評価の上にどう取り上げるか。大部分は管理に関することでありますので、これはやはり政策決定をするときに参考にされるんだろうと思います。私どもの場合は、それをやっておりますと評価という意味がなくなりますから、科学的な評価ですから、これはどういう話であっても正しいということを評価するわけで、それの評価の結果は、日米に関しましては答申を出したあれに尽きておるということであります。

菅野委員 ここもずっとすれ違いの議論なんですね。

 委員長は御存じないかもしれませんけれども、食品安全委員会を立ち上げるときに、どれだけこの農水委員会含めて厚生労働委員会等で食品安全委員会のあり方について議論してきたかという、この経過を踏まえれば、国民の、消費者の立場に立って、食の安全、安心という立場から、食品安全委員会は公正中立の立場に立って、本気になって、輸入再開の問題から再々開に至る今日までの経過について、私は委員会として議論すべきだと思うんです。

 こういうことが生じるから、食品安全委員会というのをつくっても、やはりリスク管理機関が主導機関になって物事を処していくという体制は変えることはできないんじゃないかという疑問も示しながら、私どもは議論してきたというような経過がございます。

 今日的な輸入条件が守られないということが発生した以降に、一回も食品安全委員会として評価していないということに対して、食品安全委員会はみずから問題点を拾い上げて評価するという権限も与えられているわけですから、その権限は私は行使すべきだと思うんです。そして、リスクコミュニケーションで出された部分も含めて、食品安全委員会としてしっかりとした対応をとっていただきたい。それなしには、先ほど言ったように、七割を超える人たちが輸入牛肉再開に向けて疑問を呈しているということを、私は、理解を得るための努力というのが進んでいかないんだというふうに思うんです。食品安全委員会のこれからの行動にかかっているから、私はここで議論しているということなんです。

 委員長、その決意を披瀝していただきたいと思うんです。

寺田参考人 これは、評価というのは科学的な評価で、世界のどこへ出しても大丈夫だという評価でありまして、ですから、いろいろなリスクコミュニケーションの場で、ああ、なるほどと。科学的な評価、現代において評価を言われましたら、それは当然それに関して評価をいたしますけれども、政策決定のところまで、あるいは管理の方法まで私どものところがやるというふうには認識しておりません。そうしますと、もとのもくあみで、やはり食品というのは国民の関心が非常に強いものですから、それはそっち側にずっと流されて、そういうところに科学という一つの軸をつくろうというので、これは私はできたと考えております。それはコーデックスもそうですし、EFSAのそういう考えで、管理官庁と分離しているというところでやらないと、全然世の中のお金も何も知らない学者が集まってそれ以上のことをやったら、とんでもないことになると思いますので。学問的とか客観的な評価に関してはきちっとやりますから。

菅野委員 先ほども議論されているんですが、本当に客観的に、中立的に、公正に食品安全委員会は評価していかなきゃならない、これは大原則であります。ただ、これまでの一連の経過をずっと見たときに、本当にそうなのかという疑問を挟まざるを得ない状況というのが生じてきているというふうに、私は外部から見て、客観的に見てそのことが見えますから、ここで議論している部分であります。

 プリオン専門調査会専門委員の半数にわたる六人が辞任しました。辞任した委員の中には、科学的同等性を評価するのは困難だと懸念する危惧は顧みられず、答申が輸入再開に向けてある意味では政治的に利用されたと述べている方もいると私は承知しています。こういうことが一部の人であっても議論されるということにおいて、中立的で慎重な立場が本当に担保されていたのか。そして、そのことに向かって真剣になって、中立性を保つべく慎重な立場をとってこられた方々が委員を辞職されたというこの現象を、食品安全委員会の委員長としてどう考えておられるんですか。

    〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕

寺田参考人 こういう場でそれに対して答えができるのを大変ありがたいと思っています。新聞報道などで、事実と違うことを随分報道されているんです。

 十二人いまして、これは内閣府の取り決めで、任期をつくるというのがありまして、去年の六月に決まりました。プリオン専門調査会と農薬専門調査会は、ポジティブリストあるいは日米のことがございますから、十月じゃなくて、後へ延ばすということで四月一日に変わったわけですけれども、その前に、委員会としまして、三月六日に委員をかえるということをやりました。委員を、辞任というよりも、任期が来たから全部の方に、これはどこの専門調査会も同じですが、辞表を出していただいたんです。辞表を出して、六人のうち一人の方は、前のときからやめたいと言って、これはもうしようがない。もう一人の方は、これは残念なんですけれども、お年の制限で、あとの方はみんな非常勤なもので、私どもの委員会は非常に注目を浴びていまして、物すごく時間を費やすんですね。ですから、名前を言うのと同じですけれども、座長代理も含めまして、大変よく議論してきてくださったんですけれども、年がもう年で、新しいところに移ったので研究と教育に専念したいと。それは電話で僕は何回も話しましたから。それから、吉川座長も説得したんですけれども、だめだったんです。

 それで、やはり構造上、よくおわかりになると思いますけれども、この一つの委員会、一日やるのに大体丸二日やらなくちゃいけないんですよ、準備を、一人一人の先生が。それはほかの審議会と違って、でき上がったシナリオをやるわけじゃございませんから、長くなって申しわけございませんけれども、大変な誤解でありまして、それは新しくお願いする方に対しても、大変僕は失礼になると思っているんです。初めから推進派だとか何とか、わけのわからぬ名前をつけて、大変失礼だと思うんです。大変立派な方を、残念だけれども、前の方にかわっていただいた方もきちっとされた方です。

 以上です。

菅野委員 食品安全委員会ができ上がったというのは、今後の食の安全、安心に果たす役割というのが非常に私は大きいものというふうに思っていますし、いみじくもそういう誤解を、今委員長は、それは、新聞報道は誤解報道をしているというふうに言われましたけれども、誤解を受けるような、そういうことの生じないような体制で、中立、公正な立場というものをしっかりと築き上げていただきたいというふうに思っております。

 質問通告はいっぱいやっていたんですが、時間が来てしまいましたので、最後に政府の見解をお聞きしておきたいと思うんです。

 六月一日から全国十カ所でリスクコミュニケーションを行っています。私の地元の宮城の仙台でも行われたというふうに聞いていますけれども、この十カ所で行われたリスクコミュニケーションの結果を受けて、このリスクコミュニケーションで出された意見というのをどう政府はそしゃくしていくのかなというふうなことが重要だというふうに思うんです。

 それは、この科学的知見と比べてネグレクトしていいなどということは私は行ってはいけないというふうに思いますし、先ほどからずっと申し上げていますけれども、国民的理解を得ることが、どれくらい、これから輸入再開した場合の重要なウエートを占めるかという観点からすれば、これらのリスクコミュニケーションで出された意見を本気になって政府全体で取り組んで、国民的理解を得る努力をしていかなければならないというふうに思うんですが、拙速な輸入再々開は避けるべきだという意見も出されているという新聞報道がなされていますけれども、拙速なというこれらの意見に対して、政府としてどのような対応をこれからなさっていくつもりなのか、大臣にお聞きしておきたいと思います。

中川国務大臣 菅野委員御指摘のように、拙速ということは、我々は当初から避けなければいけないということで、作業を一つ一つ、タイムスケジュールを決めることなく進めてきたつもりでございます。

 五月の十七から十九日の間にアメリカ側と意見交換をし、その上でアメリカ側が講じていること、あるいは講じようとすること、あるいは日本が講じようとすること等について意見交換をいたしまして、それを踏まえて、今リスクコミュニケーション、説明会を行っているところでございます。

 これでもってすべてということじゃなくて、いろいろな御意見をしっかり踏まえて、日本としても、食の安全、安全というのは合理的根拠が前提でございますけれども、安心となりますと、ある意味では国民の皆さん方の理解といいましょうか、感情的なといいましょうか、気持ちの問題も含めて安心ということが大事だろうというふうに思っております。

 そういう意味で、これからも政府として、日本側として何ができるかということも、この説明会を通じていろいろな御意見を聞いて、その上で次のステップに入るかどうかということを判断していくということでございまして、決して拙速とか、あるいはいついつまでに結論を出さなければいけないということで作業を進めているわけではございませんで、一つ一つ、十四日まで全国十カ所、説明会をきちっと開いて、いろいろな御説明をし、そして御意見をお聞きしながら、次の作業に入っていくということを進めていきたいというふうに考えております。

菅野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

稲葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十七分散会


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