第3号 平成19年3月8日(木曜日)
平成十九年三月八日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 西川 公也君
理事 岩永 峯一君 理事 金子 恭之君
理事 近藤 基彦君 理事 谷川 弥一君
理事 並木 正芳君 理事 篠原 孝君
理事 松木 謙公君 理事 西 博義君
赤城 徳彦君 赤澤 亮正君
伊藤 忠彦君 飯島 夕雁君
今津 寛君 小里 泰弘君
小野 次郎君 岡本 芳郎君
河井 克行君 北村 茂男君
中川 泰宏君 永岡 桂子君
丹羽 秀樹君 広津 素子君
福井 照君 福田 良彦君
古川 禎久君 御法川信英君
森山 裕君 渡部 篤君
岡本 充功君 黄川田 徹君
小平 忠正君 佐々木隆博君
高山 智司君 仲野 博子君
福田 昭夫君 山田 正彦君
菅野 哲雄君
…………………………………
農林水産大臣 松岡 利勝君
農林水産副大臣 山本 拓君
農林水産大臣政務官 永岡 桂子君
農林水産大臣政務官 福井 照君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 藤崎 清道君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 町田 勝弘君
政府参考人
(農林水産省生産局畜産部長) 本川 一善君
農林水産委員会専門員 渡辺 力夫君
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委員の異動
三月八日
辞任 補欠選任
斉藤斗志二君 河井 克行君
菅野 哲雄君 辻元 清美君
同日
辞任 補欠選任
河井 克行君 斉藤斗志二君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)
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○西川委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長町田勝弘君、生産局畜産部長本川一善君及び厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○西川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。飯島夕雁君。
○飯島委員 自由民主党北海道選出の飯島夕雁でございます。
本日は、十九年度の酪農、畜産施策や価格対策が山場を迎えているという状況ですが、そういった中で質問の時間を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
早速ですが、酪農の関係についてお尋ねをしたいと思います。
現在、牛乳の消費全般が落ち込んでおります。そういった中で、ガソリン代の高騰のため水道光熱費及び動力費等は上昇、また乳牛の取得価格も上昇、ここ最近では、飼料の基礎となる海外トウモロコシがバイオエタノールへの利用で急騰しております。こういった中で、牛乳の生産費自体が高騰しているという現状がございます。
農林水産省の畜産物生産費調査資料を見ましてもわかるように、経費が年々アップしているという状態は如実に現場にあらわれていまして、全体の四割以上を占める飼料費というのが酪農経営を大きく圧迫している現状がございます。
一方で、生産費の種目の中で唯一労働費のみが年々減少していますが、これは逆に、家庭内労働が大変多いと言われる酪農経営がもう本当に圧迫されていて、そのでき得る限りを尽くして生産費を抑える努力をしている、この限界に達しているということのあらわれであるとも感じております。
このように飼料価格が高騰している中で、切迫している酪農、畜産経営の安定を図るためには、どのように対応しようと考えておられるのかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
○山本(拓)副大臣 今ほど飯島委員の御指摘のとおり、米国のエタノール向けにトウモロコシが使われるようになっておりますので、大変高騰しているわけでありますが、逆に、そのような価格高騰に対応するために配合飼料価格安定制度があるわけでございまして、それを最大限、また適切に運用していく考え方でございます。
また、稲発酵粗飼料の生産、利用拡大、水田や耕作放棄地を活用した放牧の推進等、自給飼料の活用を図るとともに、食品残渣、トウモロコシのエタノール製造がふえるに当たりましてその残渣もふえているというところでありますので、それをさらに積極的に活用するといった未活用資源の積極的な活用を進めてまいりたいと考えております。
飼料の価格変動の影響をできるだけ受けることのないよう、安定的な畜産経営を実現するために、今申し上げましたことを積極的に推進してまいりたいと考えております。
○飯島委員 ありがとうございます。
配合飼料価格安定制度というものがございますが、これは何よりも安定をもたらすために制度化されているものでございます。ぜひとも、今回急騰している、こういった予想外であった飼料の高騰の問題、それから高どまりになるのではないかと懸念されている問題について、ぜひこういった制度を柔軟に活用して、酪農家、畜産家の皆様、生産者の皆様のために、安心を伝えていただけるようにお願いしたいと思います。
また、加工原料乳の限度数量について改めてお尋ねしたいと思います。
これについては、生産者の意欲の向上、また生産基盤の強化というものに十分配慮して、適切に決定をされるべきものと考えております。また、加工原料乳の生産者補給金単価については、生乳の再生産がしっかりと確保されるということを念頭にしまして、今後の飼料費の上昇も含めて十分に考慮した上で決定すべきものであると考えています。
これを強く大臣に要望したいので、補給金単価と限度数量について、改めて大臣のお考えをお伺いさせてください。
○松岡国務大臣 飯島先生にお答えさせていただきます。
先生が御指摘になられましたように、いわゆる限度数量、これは補給金単価の対象となります加工乳の数量でございますが、それからまた、補給金の単価、これは何といっても今回の対策の一番基本をなしております。
私も、平成二年に初当選させていただきました。二月の十八日の総選挙だったわけでありますが、それから国会に出てまいりまして、一番最初にその場面にありましたのが、この畜産物価格の決定でございました。毎年、畜産物の価格の決定を皮切りに、あとは米とか麦とか、いろいろな甘味資源とか野菜とかを決めていくわけでありますが、そのときから本当に印象に残っておりますのは、北海道の先生方はとにかく酪農、畜産、この問題については、特別、他の地域の先生方よりも力を入れてやってまいられた。飯島先生もそのような思いで今質問席に立たれておられると思うわけでありますが、その点につきまして、我々も最大限の答えをしてまいりたい、まず、こう思っております。
この限度数量につきましては、在庫の問題、それからまた需要拡大の問題、そして生産者の皆様方が大変な御苦労もされながら、いわゆる需給調整というものをおやりになっておられる、そういったもろもろのことを私ども総合的に勘案、判断をいたしまして、できるだけのお答えをしてまいりたい、今そのようなことで調整を図っているところでございます。
それから、補給金単価につきましては、特にことしはえさ代、やはり飼料の価格の高騰といったものが大変大きな問題でございまして、こういったことをしっかりと反映した、そのような決定をしてまいりたいと思っております。
いずれにいたしましても、酪農関係、畜産関係の皆様方が意欲を持って取り組んでいただけるような、そういう決定に向けて努力をしたい、このように思っております。
○飯島委員 ありがとうございます。
松岡大臣におかれましては、酪畜以外についても、米の価格が低迷している北海道の状況には、米の価格はきっとちゃんと上がっていく、それだけ北海道がよくなっていますよというふうにいつも後押しをしていただきましたり、いろいろな意味で励ましていただいております。そういった意味で、今のお言葉も大変ありがたくお聞きさせていただきました。
また、先ほど副大臣からも、新たな飼料原料のことも触れていただきましたけれども、そういったことも含めて、とにかく酪畜関係については、再生産が可能であるということ、何も高いものを生産者の皆さんは望んでいるわけではございません、再生産が可能な状況を何とかつくってほしいという声が必至でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
先ほどお話があったような新たな飼料原料としてのエタノールの絞りかすトウモロコシ等の利用、DDGSとか食物残渣の活用とかいろいろあるかと思いますが、今、目の前にある飼料高騰について対応できるものでは現実にはないわけでございまして、まず現実に直近に対応できる方法、それから長期的にこれから飼料をどうしていくのかということ、双方を同時並行で、それぞれぜひ重要案件として、これからも農水委員会としても取り組んでいただきたい、政府としても取り組んでいただきたいということを申し添えさせていただきたいと思います。
改めて、北海道選出議員ということで、北海道は大規模酪農家がほとんどとイメージされることが多いかもしれないんですけれども、私自身の選挙区に目を落としましても、酪農農家が比較的多い留萌管内とまた水田地域の中に酪農家が点在している空知地方というのがございまして、取り巻く状況や環境は酪農家それぞれ個々さまざまでございます。
そうした中で、今後の日本の酪農、畜産政策を考えるときに、大規模酪農家はもちろんなんですけれども、平均的な規模の酪農家、畜産家についても十分に再生産が維持できるように支援することが重要だと考えております。この点について、政府の対策をお尋ねしたいと思います。
○本川政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、我が国の酪農の安定的な発展のためには、大規模な経営だけではなくて、家族経営を中心とする平均的な規模の酪農経営が安定的に経営を続けていくことが極めて重要であると考えております。
このため、経営規模の大小にかかわらず、先ほど大臣のお答えをいただきました、加工原料乳を対象とした生産者補給金を交付する、それとともに、加工原料乳の価格が低落した場合に、低落額の一定部分を補てんするような事業を行っているところであります。
また、需要の伸びが期待できるチーズでありますとか液状乳製品、さらには発酵乳向けの生乳についてその供給拡大を図る、こういうような事業についても支援を行っているところでありまして、今後とも、これらの取り組みを通じて酪農経営の安定に努めてまいりたいと考えております。
○飯島委員 ありがとうございます。
今お答えいただきましたことを踏まえて、まずは、とにかく消費量が減っているということは大きくあると思いますので、供給拡大も含めてさらなる対策を講じていただきたいと強く重ねてお願いを申し上げます。
また、耕畜連携というような言葉も出てきている中でございますが、さまざまな規模の酪農、酪畜農家が安心して未来予想図を描けていけるように、今後も一層の配慮をお願いいたします。
酪農家の皆様に事情を伺っておりますと、先ほど来より申し上げているとおりで申しわけありませんが、現場は本当にきついという声ばかりが伝わってまいります。特に気になるのは、堆肥処理は補助事業費だけでは足りないよという声とか、また自己資金がなくても牛舎が必要な、いろいろと規模拡大をしましょうという国の方針の中で、一生懸命に牛舎をつくり直していったり建て増ししていったりして、懸命に規模拡大に取り組んできた農家の方々でございます。
多くの方々が家族内経営ということで、三百六十五日えさをやり続け、ふんを片づけ、乳を搾りということで、休む間もない酪農家でございます。農家はみんな休みはないんですけれども、特に命を預かるということで、酪農家の皆さんは頑張って、より搾れるようにということで、規模拡大を進めております。
しかし、現在皆さんを取り巻く状況としては、長期の融資は減ったけれども短期の負債がふえているというケースがなかなか目立っております。牛乳市場が低迷する一方で、生産費が高騰して手取りが減少するという中で、前の借金が返せないという悲鳴でございます。規模拡大で借入金が拡大し、経営が不安定になっている酪農家の方も大変多い中で、償還することが困難な借入金に対する対応についてはどのように考えているか、お尋ねさせてください。
○本川政府参考人 御指摘のような、融資機関からの借入金の償還が困難となった酪農経営の方がおられることは十分承知しております。そういう場合には、その酪農家の方と融資機関が相談を行った上で、据置期間でありますとか償還期限を延長するような措置、さらには途中で中間的な据置期間を設定するといったような償還条件の緩和というのを行わさせていただいておるところであります。
また、償還条件のそういった緩和だけでは十分な経営改善が図られないような場合には、地域の農協などから営農指導を受けていただくことを前提に、営農負債を低利で借りかえることができるような資金、私ども大家畜経営改善支援資金というふうに呼んでおりますが、こういうものを措置しているところであります。
これらの措置の活用を推進することによって、償還が困難となった酪農経営の改善を支援してまいりたいと考えております。
○飯島委員 ありがとうございます。
さまざまな施策が実際に活用しやすいように、さらなる対応をお願いします。
地元で伺っておりますと、これまで中小の酪農家が借り入れを行う場合には、酪農家同士が相互に連帯保証人になってやってきた例も結構多いように地元では伺っております。こういった場合に、万が一にだれかが、不幸な例ですけれども、だれかがやりくりがうまくいかなくなって倒れてしまうということになった場合には、返済能力のある、今度は別のだれかにしわ寄せが行くようになってしまいまして、共倒れになってしまうという状況も十分に考えられます。
現在の、近々の借り入れの希望に対する、今お答えいただきました施策とあわせまして、例えば、保証協会などの公的な借り入れ制度の充実とか、体力が落ちた酪農家に、先ほど御答弁いただきましたが、しっかりと指導ができるような指導管理体制も今後の視野に入れていただきながら施策を考えていっていただくのもまた一つあるのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
ちょっと教育ファームのことについて触れさせていただきたいと思うのですが、私は以前から農業という分野には、命をはぐくむ、また自然環境を育てるということから、教育的なフィールドがたくさんある、多分にある、そこに農業の無限の可能性を感じているわけでございますけれども、昨今の世の中の状況を見ますと、自殺とかいじめとか、そういった不幸な事件が頻発する中で、特に酪農教育ファームというものは特筆に値するものがあるのではないかと考えております。
ある酪農教育ファームを実践している農家から伺った話では、子供たちがえさをやったり、ふんを片づけたりして、日を追うごとに生き物に対する愛情を素直にあらわし始めたというふうに伺っています。また、途中、難産のお産を目の当たりにした子供たちが、それを見まして、生まれてくることの難しさとか、ありがたさとか、大切さとか、牛乳を心から好きになったとか、そういう気持ちを、その後に子供たちがそれぞれあふれ出る思いで日記や作文に記したという話も伺っております。
酪農教育ファームの存在は、子供たちにとってもまた酪農家自身にとっても、さまざまな効果を相互に生み出していると考えておりますので、これを推進していく方法を伺いたいと思います。
○本川政府参考人 御指摘の酪農教育ファームにつきましては、社団法人中央酪農会議が事務局を務めております酪農教育ファーム推進委員会というところが認証を行っておる牧場でありまして、全国に二百二十ばかりあるわけでございます。ここが、地域の教育機関と連携しながら、先ほど御指摘のような直接命に触れるような取り組み、食と命に関する学習を支援するといったようなことでありますとか、あるいは子供たちとお母さん方等の酪農への理解醸成を通じて牛乳・乳製品の消費拡大を図る、こういったことを目的に実施しております。
こういう取り組みに対しまして、私ども農林水産省といたしましても、消費者の酪農体験を推進するような取り組みへの支援、あるいは酪農教育ファームの認証でありますとか、その水準を確保していくようなことに対する支援、こういうことを行わさせていただいております。今後とも、酪農教育ファームのさらなる質の向上でありますとか、学校や地域関係者の方々への情報提供、こういうことによるすそ野の拡大、こういうものに努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
○飯島委員 ありがとうございます。
教育ファームについては、酪農家の個々の皆さんがぜひ参加したい。けれども、酪農家の善意による実施というものも結構あるようにも伺っています。ぜひ、教育ファームに必要な宿泊所やさまざまな設備、それから実施に当たっての必要経費、そういったものを、現場の実践を、既に認証を受けている酪農家の皆様からお聞き取りをいただいて、また文部科学省との連携なども含めて、省庁横断的に啓蒙活動に取り組んでいただきたいというふうにお願いしたいと申し上げます。
さて、地元の北海道では、とにかく消費をふやしていかなければならないということで、現在ミルクランド北海道などの取り組みを行っております。そういった中で、牛乳・乳製品の消費拡大のための努力を行っているさなかでございますが、一部で、牛乳が太るとか体によくないといった、間違った報道や指摘がされていることなども影響しているのか、なかなか消費低迷の拍車は歯どめがかかっておりません。
今後、日本中から牛乳や乳製品の消費拡大をしっかりと図っていかなければならないし、また最大限その努力をすべきと思いますけれども、例えば、公立の小学校、中学校の給食での牛乳の一〇〇%実施であるとか、公立幼稚園や公立病院などから消費の取り組みを徹底するということはいかがでしょうか。
○本川政府参考人 お答え申し上げます。
牛乳・乳製品の消費拡大につきましては、まさに牛乳・乳製品のすぐれた点の普及啓発でありますとか、そういう機能性の調査研究、こういったものを支援いたしまして、誤った知識を修正していただくような取り組みを一生懸命やっていきたいというふうに思っております。そういう中で、学校給食における牛乳供給の推進なども行っているところでございます。
また、先ほど北海道のお取り組みの御指摘がございましたが、関係団体の方でも、みずから一日に三回乳製品をとろうというようなスリー・ア・デー運動でありますとか、中高生を対象とした「牛乳に相談だ。」というキャンペーンを実施するなど、役割分担をしながら消費拡大に取り組んでいるところでございます。
十九年度につきましても、こういった取り組みを強化するという観点から、牛乳・乳製品の機能性なり有用性のアピールを強化するでありますとか、あるいは新商品の開発、市場化の促進を行う、こういうことを検討しておりまして、その中で幼稚園でありますとか学校、さらには病院などに勤めておられる栄養士や医者の方々にも、この機能性とか有用性をアピールしていきたいというふうに考えております。さまざまな工夫を行ってまいりたいというふうに考えております。
○飯島委員 ありがとうございます。
今、質問事項として、いろいろな方面から確認をさせていただきました。いずれも、酪農や畜産というものを、日本の中でその産業を守るということでございますけれども、これは農業全般に言えることであります。
農業というのは自然の天候や環境、状況によって大きく影響を及ぼしますし、そういった中で、水田農家であれば、また畑作農家であれば、三年に一回、五年に一回、いろいろな天災や被害に遭って、きちんとした収益が得られないということも見越しながら、それでも農家経営が成り立つようにしていくことが日本の農業を守るコツではないかと思っております。
しかし、そういった中で、きょうは酪農、畜産に特筆させて質問させていただきましたが、なかなか農家の皆さん、生産者の皆さんがその実感を持てていない、後継者不足に悩んでいる。悩んでいるというのは、実際に収益が上がらず、それを担っていく人を安心して選べないからという実態がございます。
そういった中で、安心、安全な日本の農業、きょうは酪農、畜産について伺いましたが、これを守るということは日本の食の安全を守るということでもあります。そのためにも、ぜひ緊急な施策をきちんととっていただきまして、きちんとした消費の拡大についても、これは両方とも大事なことでございますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
終了時間となりましたが、最後に、改めて十九年度の酪農、畜産施策、価格対策について最大の配慮をよろしくお願いしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○西川委員長 次に、西博義君。
○西委員 公明党の西博義でございます。
まず初めに、最近、神戸港に、アメリカからの貨物の中に牛肉と表示されたソーセージが混入していたという問題について質問をしたいと思います。
まず、原因について、現在までにわかっていることを報告していただきたいと思います。また、肉類加工品の輸出に関する手続上または国内法上どんな違反なのか、どんな違反という疑いがあるのかという事実関係について御報告をお願いいたします。
○町田政府参考人 今回の米国産牛肉入りソーセージの誤積載が疑われる事例の原因でございます。
これにつきましては、米国農務省が発行した衛生証明書には牛肉を含むという記載がございませんので、輸出業者によって混載された可能性が疑われます。この件につきましては、その原因を含めまして、今、米国政府に早急な報告を求めているところでございまして、その調査結果を受けて、厚生労働省と十分連携して、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
また、どの点に違反するのかというお尋ねでございますが、今申しましたように、米国政府の衛生証明書の記載内容と異なるということでございますので、我が国が輸入を認めておりません牛肉を含むソーセージの誤積載が疑われるということで、これが事実といたしますと、家畜伝染病予防法、具体的には三十七条一項でございますが、これに違反するということになると考えております。
○西委員 日本に肉類の加工品を輸出しているアメリカの会社、何社あるのかということをお伺いしたいと思います。
さらに、問題を起こした会社以外の会社に対して、今回の事態をもとにして政府からどのようなアプローチをしているのか、または対応しているのかということについて、現状についてお伺いをしたいと思います。
○町田政府参考人 まず一点でございます。
昨年一月から本年二月末までに、日本に対して食肉の加工品の輸出を行った米国の加工業者数でございますが、六十一社八十施設と把握しているところでございます。
本件につきましては、先ほど申し上げましたように、米国政府に対して事案の詳細について早急な回答を求めているところでございまして、その調査結果を受けまして、必要に応じまして、米国政府に対しまして、食肉加工品を日本に輸出いたしますすべての業者に対して適切な出荷体制の徹底を要請するなど、適切に対応していきたいというふうに考えております。
また、今回、この事案を踏まえての私どもの対応でございますが、家畜衛生の確保を図る観点から、米国産ソーセージなどの食肉加工品につきましては、今月五日から、当面、動物検疫所におきまして全ロットの開梱検査を行うということで、水際での動物検疫の強化を図ったところでございます。
○西委員 表示だけで中身が必ずしもわかるわけではありませんし、加工品という性格上、なかなか難しい部分もあると思いますが、まず、輸出する側の方にきちっとそのことについて、もちろん今、事実関係を確認するということの作業と同時に、もう一度、再度食品の安全性の面からきちっと徹底をお願いしたいというふうに考えております。
次に、石油の代替燃料として、先ほどちょっと議論がありましたバイオ燃料の拡大が、今急速に行われております。このことが農業、さらには畜産業に及ぼすさまざまな影響について、これは早急にシミュレーションをしていく必要があるんではないかというふうに考えております。
特に、畜産はエタノール需要の増加などでトウモロコシの価格が上昇しております。これがかなりの影響を及ぼしているわけですが、こうした価格面での影響、それから飼料が安定的に入手できるかどうかという面で心配はないのかという観点からも、畜産業の方からさまざまな懸念が示されております。
アメリカの環境シンクタンク、アースポリシー研究所では、バイオ燃料向けの穀物需要の拡大によって世界的な穀物価格の高騰に直面する可能性があるという報告を公表しているわけですが、この報告の中では、アメリカは世界のトウモロコシの総生産量の約四割を占めている、それから総輸出量の七割を占めているということでございます。トウモロコシ供給の急激な逼迫は、トウモロコシの価格だけではなくて、畜産物などの世界的な食品価格にも大きな影響を及ぼす可能性がある。しかも、アメリカそのもののエネルギー政策がかなりバイオエタノールに傾いてきつつあるということも事実でございます。
そのために、全国のアメリカの豚肉生産者協議会、それから生乳の生産者連盟、それから鶏肉協議会、それから肉牛生産者・牛肉協会、それからアメリカ食肉協会など、アメリカの主要の畜産生産者団体は、ことし一月に、ジョハンズ農務長官に対して、バイオ燃料産業の拡大が米国の畜産業全体に及ぼす影響に対する調査を実施するため、農務省内にワーキンググループの設置を要求したという記事もございます。
国内の畜産業に対する影響について、ぜひ、生産者の経営に関する判断資料として、我が国としても調査するべきではないかというふうに考えておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○松岡国務大臣 今、西先生の御指摘の点は極めて重要な点だろう、このように、まず認識をいたしております。
トウモロコシのみならず、食料全体に与える影響ということは、これは飼料の問題だけではなくて、これから大きな影響を与えていくんだろう、まずはそのように認識いたしておりますが、去年の後半からことしの初めにかけまして、大変な高騰をいたしております。一年間の、当初ということで比較いたしますと、約倍、倍の高騰を見ておる、こういうことでございまして、過去平成八年にも、いろいろな要因があって、これは大高騰、大暴騰したわけでありますが、それに次ぐ暴騰である、このように思っております。
そこで、先生今御指摘のように、我が国にとってそれはどういう影響になるか。我が国の畜産、酪農関係の飼料というものは、これは海外に非常に依存をいたしております。したがって、アメリカのそのような状況といいますのは、国際相場というのは、これは我が国の畜産、酪農経営に大きな影響を及ぼす、まずそのように認識をし、とらえております。
そこで、今後とも、このバイオエタノール向けというのは、先生が御指摘のように、ブッシュ大統領の一般教書演説におきましても、二〇一七年までに大変なエタノールの増産をする。我が国は、二〇三〇年を目標に六百万キロリットルのエタノールの生産をしよう、こう思っているんですが、二〇一七年までに実に我が日本の二十二倍、これをなし遂げてしまおうという計画でございますから、これはもう大変な数量でございます。したがって、こういったことをどのように私どもは受けとめ、対処していくか、これは先生御指摘のように、しっかりとしたシミュレーションをしなきゃならない、こう思っております。
そこで、この三月五日には、私ども省内に国際食料問題研究会を立ち上げたところでございまして、この研究会におきまして、中長期的な視点から、トウモロコシを初めとする主要穀物の国際的な需給や価格動向及びそれが我が国畜産業にどのような影響を与えていくのか、こういった点についてもしっかり把握、分析をしてまいりたい、このような取り組みをしてまいりたい、こう思っているところでございます。
西先生の御指摘は本当に一番大事なポイントでございまして、しっかりこたえてまいりたいと思っております。
それからもう一つには、マイナスの影響だけではなくて、バイオ燃料の生産の中に畜産農家のふん尿、こういったものを今度はどう組み込んでいくか、これをしっかりとした位置づけをしていくか、これはもう環境省とも十分協議をしなきゃならない点があるわけでございますが、こういったことにつきましても、私どもは、積極的にこれをプラスにとらえてプラスに変えていく、そういったマイナスとプラスを、しっかりバランスがとれるように、そういう取り組みもまたやってまいりたい、このように思っております。
〔委員長退席、金子(恭)委員長代理着席〕
○西委員 積極農政の松岡大臣らしい積極的な展開をぜひともお願いしたいと思います。
ただ、このトウモロコシの問題は、気候の変動による凶作というような一時的なものではなくて、かなり長期的な、戦略的な取り組みが必要だと思いますので、十分シミュレーションをしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
次に、一つ提案でございますが、前回もちょっと申し上げたかと思うんですが、この畜産業に関する環境直接支払いについてでございます。
今年度から、農地、水、環境保全等に対する直接支払い制度が実施されます。
ところで、韓国では、実施されている直接支払いの中に六種類あると言われているんですが、その中に、親環境畜産直接支払い制度というものがその一項目に入っておりまして、これは、農薬安全使用基準を遵守し、適切な家畜飼料添加剤など化学資材の使用を適正水準に維持し、畜産ふん尿の適切な処理及び再利用等を通じて環境を保全し、安全な農畜林産物を生産する農業に対して直接支払いをする、こういう仕組みでございます。
日本の直接支払い制度の中に環境保全に取り組む畜産農家を入れていくべきじゃないか、この中に拡充していくべきではないかというふうに私は思っているんですが、大臣の御見解をお願いしたいと思います。また、検討できますようにお願いをしたいと思います。
○山本(拓)副大臣 今、西委員御指摘の点でございますが、飼料作物生産については、化学肥料や農薬を一般的に使用する作物であって五割以上使用を低減する場合には、農地、水、環境保全対策の対象となり得るといたしております。酪農においては、化学肥料や農薬を使用しない飼料生産に対しては直接支払い的事業を実施いたしているところでもございます。
ただ、家畜排せつ物の適正な処理などについては、畜産農家が法令に基づき当然守るべき事項であることから、現状のところ、直接支払いにはなじまないと考えておりますが、今委員の御指摘の韓国の点、今後十分に検討してまいりたいと考えております。
○西委員 積極的な御答弁ありがとうございました。ぜひ検討していただきたいというふうに要望を申し上げます。
今年度、平成十九年度の農林水産予算の中に、高機能たい肥活用エコ農業支援事業という政策が盛り込まれております。これは、畜産に関する環境保全対策の一環であるというふうに考えられます。耕種農家のニーズに合った高機能な堆肥生産を行い、供給することによって、環境保全型の農業に取り組むモデル地域を育成していく、こういうねらいだということでございます。支援対象、支援額、それから多分モデル地域をおつくりになるんだと思うんですが、その規模等について御答弁をお願いしたいと思います。
○本川政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の農業生産全体を環境保全を重視したものに転換していくことが求められる中で、畜産においては、特に畜産が濃密に存在をしておるような地域における堆肥の過剰を解決するような観点から、堆肥の広域的な流通を推進していくことが極めて重要な課題となっております。
こういう観点から、この事業は、堆肥の肥効調整でありますとかペレット化といったような新たな堆肥生産技術を用いまして、耕種農家の方のニーズに合った高機能な堆肥生産を行い、耕種地域に供給することによって、広域的に環境保全型農業に取り組むモデル的な地域を育成しようとするものでございます。
具体的には、モデル性を有する取り組みを行う地区を選定いたしまして、堆肥のペレット化でありますとか散布などに必要な施設、機械の整備、それから、それに附帯した普及活動、こういったようなものに対して支援を行う予算でございまして、予算額は約三億円というふうになっているところでございます。
〔金子(恭)委員長代理退席、委員長着席〕
○西委員 最後の質問になると思いますが、牛乳の消費拡大のことについて、最後にお伺いをしたいと思います。
オーストラリアの例ですが、一人当たりの年間の牛乳の消費量、これは多くの先進国と同様に、清涼飲料水がだんだんとふえてくることによって一九九〇年代半ばから牛乳の消費量はオーストラリアでも減ってきております。その後、しかし、二〇〇三年度以降増加に転じている、こういう前例がございます。いい例がございます。
資料によりますと、外食産業で需要を拡大する、それから、紙パックからプラスチック容器への転換をすることによって利便性を上げる、それから、脂肪分の敬遠など嗜好の変化を反映して、乳業メーカー各社による低脂肪牛乳、脂肪のない牛乳などを市場に投入する、また、機能性を持たせた製品を開発する、それから、味をチョコレート味、イチゴ味などに変えるというようなことをやっております。また、教育現場、家庭内での消費促進のための対策、数々の対策をやることによって、一人当たりの牛乳消費量を拡大に転じている、こういうことを報じております。
特に、ペットボトルの利用、私も、牛乳は紙パックというのが当たり前のことなんですが、これはなかなかおもしろいなという感じもいたしておりますが、消費拡大につながるのではないかなと。ただし、ペットボトルで暑いところに余り長いこと置くと、そこの辺の心配も若干あるのかなというような気もいたしますが、こんな取り組みをしております。
農水省は、このオーストラリアでの消費拡大に転じた取り組みというものをどのように評価され、また参考にされようとしているのかを最後にお伺いしたいと思います。
○本川政府参考人 日本の酪農を発展させるためにも、先ほどからも御論議ございますが、牛乳の消費拡大は極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。
特に、御指摘の豪州の牛乳消費をめぐる状況でございますが、私ども、非常に励みとなる事例だというふうに思っております。二〇〇二年度では一人当たりの消費量九十八・三リットルということでございますけれども、それが二〇〇五年度には百一リットルという形で上向きの方向が出てきておることでございまして、いろいろな取り組みがあるようでございます。私ども、参考にしながら進めていきたいというふうに思っております。
その中でも、御指摘のペットボトルにつきましては、牛乳の容器の選択肢として加えるということは、非常に期待が持てることではないかなと思っております。今御指摘のあったような容器の多様性とか利便性の観点から、若年層向けの商品開発を促すことができるのではないかというふうに考えておりまして、私どもも非常に大きな期待を持っているところでございます。
ただ、そのためには、食品衛生法に基づく厚生労働省令の改正が必要になります。こういう観点から、昨年十一月に、厚生労働省に対しまして関係団体の方から改正を要請いたしまして、同省から安全性について食品安全委員会の方に諮問を行っている状況でございます。現在は、パブリックコメントを踏まえた詰めの議論が行われているという状況でございます。
そのようなペットボトルのあれも含めまして、平成十九年度におきましては消費拡大対策の強化を図るという観点から、牛乳・乳製品の持つ機能性や有用性をアピールしていく、さらには、高齢化や健康志向の高まりといった変化に伴う消費者ニーズの変化を的確にとらまえた新商品の開発を行っていく、こういうことなどを中心にしながら、関係機関と連携をとりながら取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○西委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
○西川委員長 次に、仲野博子君。
○仲野委員 おはようございます。民主党の仲野博子でございます。
まず、委員会、質問に入らせていただく前に、国会が正常化していない中で、委員長職権で本委員会を開催までこぎつけた与野党の理事の皆様の努力に対し、心から敬意を表させていただきたいと思います。
が、残念なことでもあります。やはり、国会では議論しなくてはなりません。畜産物価格問題についても同じであります。ここに、私に質問の機会を与えてくださったことにも深く感謝をさせていただきたいと思います。
農林水産委員会はいいのですが、今国会、予算委員会では、例年九十時間ほど審議しているのに対して、何と六十時間強、予算に深くかかわる税の問題を審議する財金委員会や総務委員会も、二十時間近く審議しているのに対して、わずか三、四時間の審議で、いずれも最後は、西川委員長と違い、悪い職権で委員会を開催され、強行採決をされてしまいました。
私たちは、国民の負託を受けて重要事項を国会の場で議論していくのが役目であります。ほかの委員会も、我が農林水産委員会のように、十分に審議が尽くされ、一日も早く正常化されるよう、与野党とも協力されることを一言お願いして、私の質問に入らせていただきたいと思います。
私は、平成十六年以来、十七年、十八年と、この三月の畜産物価格に関する委員会で質問してまいりました。ことしで四回目になるわけでございますが、殊に酪農を取り巻く昨今の状況は大変厳しい状況になっております。
昨年は、過剰に生産されたということで、生産調整ということ、そして廃棄処分をするということ、そしてまた、新年度に入っては、EPA、FTA、オーストラリアとの交渉に入るということで、大変地元の酪農家及び農業に従事する方たちが懸念をされているわけでございます。
北海道は、御案内のとおり、日本の食料基地であり、特に酪農においては乳用牛の頭数が全国の約半数にもなるなど、重要な地位を占めているわけでありますが、地元の酪農家の方からは、むしろますます厳しくなっている、将来の希望がわいてこないという声が年々強くなってきているわけでございます。
こうした酪農・乳業の現状について、政府はどのように認識をしているのか、大臣の御見解を求めます。
○松岡国務大臣 仲野先生にお答えさせていただきます。
先生御指摘のとおり、今、生乳需給の状況というのが厳しいものがございます。
まず、生産者団体は、十六年度から、脱脂粉乳の過剰在庫処理対策を実施しております。しかしながら、十七年度の期末在庫は七万五千トン、このような高い状況になっておりまして、これは適正在庫の二・二倍、こういったようなことでございます。また、バターにつきましても、期末在庫が三万一千トンまで増加してきている、こういう状況でございまして、これまた適正在庫の一・七倍に当たってしまう、このようなことでございます。
十八年度、生産者団体が十二年ぶりとなる、本当に、テレビの映像でも、先生も随分情けない、つらい思い、特に生産者の方々はつらかったろうと思うんですが、そういったことで、十二年ぶりに減産型の計画生産、こういったことを実施されたわけでございまして、その結果、需給はある一定の改善はされつつありますけれども、まだ、脱脂粉乳、バターとも、期末在庫が依然として適正在庫の二倍近い状況になってしまっている、こういう現実がございます。
そういう中で、ではなぜそういうことになったかという背景でありますけれども、これはやはり、飲料の中でもお茶系を中心とする飲料は伸びているけれども、その分のあおりを受けて、牛乳の需要が減ってきておる、こういったようなことがございます。
そういう状況の中で、この厳しい状況というのを私どもしっかりと認識しながら、そして生産者の皆様方の努力というものを大変評価しながら、今後どうやって取り組んでいくかということでございますが、今、大手乳業メーカー三社が北海道にチーズ工場を建設いたしておる。そうしますと、三十万トン分の需要というものがそこで生まれてくる、こういったことにも期待をしながら、そして生産者の皆様方としっかりと私どもも情報を密にしながら、需給の調整というものが図られまして、バランスのとれた形での酪農生産ができますように、私どもとしても精いっぱい取り組んでいきたいと思っております。
それから、やはり何といっても需要の拡大が必要でございますので、昨年から、上海に向けて、チルドで、今、試験的といいますか取り組みを明治乳業がやっておるわけでありますけれども、こういったことも、私どもも、輸出という面につきましても最大限の後押しをしながら、その方向をしっかりと目指しながら、少しでも需給の緩和に向けて努力をしていきたい、このように思っております。
それから、先ほど西先生からペットボトルの話もございました。こういったあらゆる方法につきましてもしっかりと取り組みながら、このペットボトルについても、これは実は今から二年ぐらい前、酪農家の若い青年がペットボトルのことを思いつきまして、そして私はそれを、もう一昨年になりますか、自民党の畜酪のときに強くこのことを提起いたしました。
それから取り組んで、乳業メーカーそして厚生労働省という形の中で、今、食品安全委員会の方にペットボトルの使用について議論をしていただいておる、こういうことでございますので、ぜひ、いろいろな方法で需要拡大ができますように取り組んで、打開をしてまいりたい。
ぜひ、仲野先生のいろいろな御指導もまたよろしくお願いを申し上げたいと思っております。
○仲野委員 今大臣からお答えをいただきましたけれども、さすが松岡大臣、北海道の酪農事情を本当に詳しく承知されているということで、非常に今、酪農家の目線に立ってお答えをいただいているんだなと思っております。
ただ、またその点について、お答えをいただいた中で質問させていただきたいのでありますが、農林水産省が、おととしの第十一回畜産企画部会において、「需要の長期見通しと生産数量の目標設定の考え方」という資料の中で、生乳の需要の長期見通しについて述べられているわけであります。
それによれば、平成二十七年度まで、飲用乳については需要が伸び悩む一方、チーズ、発酵乳、液状乳製品といった乳製品の需要は拡大するとの見通しを示し、トータルでは総需要が若干伸びているとされているわけであります。
加工原料乳生産者補給金制度の対象となるバターや脱脂粉乳も過剰な状態であり、チーズ、発酵乳、液状乳製品の需要が伸びることは、ある意味では農家にとって数少ない希望であると考えるわけであります。
しかし、これらチーズなどの原料の単価は、残念なことに飲用乳より安く、酪農家にとってこれらの原料に回すことは所得の減少につながってしまうことから、生乳をチーズなどへシフトさせるためには、生乳需要構造改革事業の充実などによって、飲用乳と加工乳のどちらを選択してもコスト面で不利にならない対策をとることが必要であると考えるわけであります。
平成十九年度において、この生乳需要構造改革事業が、今お答えになったんですが、具体的にどのような扱いになるのか。
本当に今チーズの需要が多いということで、工場も、根室管内あるいはお隣の十勝管内でも工場が新設されて、これから稼働に入っていくわけでありますけれども、先ほど大臣からも、バランスのとれた酪農生産ということもおっしゃられました。そういった意味では、一番大事なことは、酪農家、生産者にとって遜色のない酪農、農業行政を推進していくことが大事ではないのかなと思うわけであります。
その点について大臣から、今私の質問いたしたことについてお答えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○山本(拓)副大臣 今ほど大臣が答えたのがベースでございますが、生乳需要構造改革事業については、国際化の進展を踏まえということで、今ほど先生の方から御指摘いただいたことをあえて申し上げますと、チーズ、乳製品にいたしましても、今、中国等、チーズなんかの需要が、国際価格が上がってきておりますので、当然国内の価格も今まで外国から入ってきたものに対して競争力がつくものになってきております。
そういう中で、今ほど大臣からお話がありました、北海道においてチーズを生産する工場が増設される計画が進んでおりますし、そういう企業の増設計画のベースにある資料なんかによりますと、かなり国内で明るい見通しがあるという状態でもございます。
それをしっかり促進する意味での輸出促進とか需要拡大、そういうソフト面での応援もしてまいりますが、ただ、今、あくまでも生産者そしてまた販売者の事業計画があって、それを応援するという形になりますので、そういう環境ができやすいような環境整備をしてまいりたいと考えております。
○松岡国務大臣 需要構造の事業の点につきましては今副大臣から申し上げたとおりでありますが、ちょっと全般的なことを先生の御指摘にお答えしたいと思います。
まず、北海道は加工乳地帯と言われますように、加工乳の八割を北海道が占めている。あとの二割を他の都府県で生産をしておる。したがって、他の都府県は、言ってみれば飲用乳を主体に生産をしておる。先生御指摘のように、加工乳と飲用乳という二つが牛乳の中にあるわけでありますけれども、単価が違う、そういういろいろなことから、いろいろな思いがあるわけですね。
私どももずっと、自民党にあって私ももう十七、八年になるんですが、決してお互い南北でこれが対立にならないように、お互いに相互に加工乳と飲用乳を全体でしっかりとバランスがとれますように、したがって、私どもはある一定のところから総合乳価方式、加工乳もしっかり守る、飲用乳もしっかり守る。
そのためには、メーカーがそれができるようにということで、そうするとやはり、明治の場合なんかは市乳の明治といって飲用乳がもうほとんどなんですね。そういった意味でも、需要拡大、生クリームとか、こういったような方向に大きく進んでいけるように、あれは平成十年前後だったと思うんですが、そういった方向も目指しながら、私どもは全体としての需要の拡大、確保、これをしっかりと図ってきたわけでございまして、先生が御指摘になりました加工乳と飲用乳との関係につきましても、私どもしっかり念頭に置きながら取り組んでまいりたいと思っております。
○仲野委員 今、副大臣そしてまた大臣からもお答えをいただきましたけれども、先日、私は生産者の方といろいろな意見交換、懇談会をさせていただいて、やはりどうしても、今この昨今の中で飲用乳の伸びが悪い。一方では、今言われたチーズの需要がある。しかしながら、生産者にとっては、どうも加工向けで出すということが、非常に単価が違うということで、農家にとってはすんなりくるものがない。逆にそのことを飲用乳と同じくらいの単価に上げていただくような、そういった施策をとっていただくことができないのかどうなのかということを強く言われてきたわけであります。
大臣は、需要の拡大が大事だということをおっしゃっておられました。その中で、本当にチーズの需要は年々非常に多くなって、しかし、ただ残念なことに外国から輸入されているのが大体九割と言われている中で、今ようやく農水省も、その点について、我が日本でもおいしいチーズを加工しようということで、そういった点ではいろいろな意味で応援をしていただいているということで、上海に輸出をしていこうだとか、ソフト面についてかなりそういった前向きな姿勢は評価させていただきますけれども、ただ、やはり農家にとって、生産者にとって本当に喜んでいただけるような施策をいま一度、くどいようでありますけれども、大臣からお答えをいただきたいと思います。
○松岡国務大臣 結論的に言いますと、仲野先生と私どもの思いも一緒でございまして、そのような政策をしっかりととっていきたいと思っておりますが、加工乳と飲用乳というのはそれぞれにまた思いがございまして、もし加工乳を飲用乳に振り向けるといたしますと、これはまた米と同じような状況になってまいります。
どうしたって飲用乳の需要というのは、これはもうやはり人間の胃袋、そしてまた日本人全体の胃袋、言ってみれば消化量といいますか、これは限りがあるものですから、飲用乳の方が高いから、では加工乳もそっちに行くぞ、こうなりますと、需要に対してこれはまた大変な供給が余って、そうすると市場は大変な暴落ということになってくるわけであります。
加工乳は、これは政府保証価格と昔は言いまして、言ってみれば政府で保証して価格をちゃんと守る。そして、飲用乳の方はメーカーと生産者団体が、団体交渉じゃないですけれども、団体交渉というようなことで乳価を決めていく。
そのようなことで、政府に守られた保証価格、そして一方は交渉で決まっていく価格、こういうことの中でお互いすみ分けてきたわけでありますけれども、これが対立ということになりますと、地域間の対立も含んだり、また、ある意味では、加工と飲用が大変な入り組んだ形になって、市場が変なふうになってしまう。こういったこともあるものですから、我々は十分そういったことの整理、バランスをとりながら、その上で、トータルとして、総合乳価的に農家の所得が確保されていくような、こういう取り組みをしっかりやっていきたいと思っております。
○仲野委員 農家の所得を維持するように、何とか守られるようなということで大臣からお答えをいただいたので、そのことにぜひ期待をさせていただきたいと思います。
これに関連いたしまして、どうしても酪農経営者にとって、今問題とされている一つにあるんですが、家畜排せつ物の処理の問題であります。
家畜排せつ物法が平成十六年十一月に本格施行されましたけれども、その後、農家における管理基準の適合状況はどうなっているのか、現状を聞かせていただきたいことと、直接農家の収入増につながらない排せつ物処理設備の整備は、負担が大きいため、支援対策が大変重要であると考えます。酪農家の負担軽減のため、畜産環境整備リース事業に対する要望が強いのでありますが、平成十九年度においてどのような対策を検討されているのかお伺いしたいと思います。
特に、現場からは、ミルキングパーラーからの排水処理施設整備への要望が強くなっております。十九年度における畜産物環境対策はどのように実施するお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
北海道は、本州と違いまして、飼養頭数も非常に多く、設備の規模が大きいこと、また、気候が本州と異なることから、排せつ物の処理が進みにくいことなどによって、施設の増設を望む酪農家が多くおられます。この要望に対して、今後、政府としてどのように対応するのか。
そしてまた、北海道では、この家畜排せつ物の臭気により、観光に大変支障が出ております。周辺環境対策として、この悪臭対策をどのように強化するのか、副大臣にお答えをいただきたいと思います。
○山本(拓)副大臣 平成十八年十二月一日時点の調査によりますと、管理基準適用農家数六万三十三戸のうち、九九・九%の五万九千九百八十二戸が管理基準に適合している状況となっております。
管理基準の適合方法の主な内訳といたしましては、施設整備での対応が八六%、防水シート等による簡易な対応が一〇%となっております。
このうち、防水シートによる簡易な措置により管理基準に対応した農家については、堆肥舎などの施設を計画的に整備するため、二分の一補助つきリース事業を平成十九年度まで継続をいたすこととしております。十九年度中にこれらの施設整備が終了するよう、関係者に周知を徹底しながら事業を徹底してまいりたいと考えております。
そして、悪臭対策についてでございますが、この問題につきましては、それぞれの事業者におかれましては適正に対応されているところでございますが、どうしても、全体、個々のというよりも全体に、空港なんかにおりますと、におうということにつきましては、これは、なれている人はさほど思わないんでしょうけれども、なれない人にとっては大変悪臭に感じる率が高いようでもございます。
この点につきましては、それぞれの事業者単位で、さらなる清掃と申しますか管理の徹底をいたしているところでございますが、ただ、先生の御指摘のような、観光者向けににおいを全くないような形にするための方策としては、従来どおりの対応はいたしておきますが、自治体からでも何かいい方策の提案があれば、積極的にそれをいただいた中で国としても応援させていただきたいというふうにも考えております。
○仲野委員 今お答えをいただいたんですが、ミルキングパーラー、搾乳専用部屋とよく言われるんですが、その排水処理の施設整備への要望が強くなっているということで、これについての具体的なお答えがなかったので、お願いいたします。
○山本(拓)副大臣 その具体的な話につきましては、例えば、家畜排せつ物の適切な処理を行うために堆肥化設備の整備への支援その他、畜産環境アドバイザーによる適正な処理技術についての指導、そして悪臭問題を解決した優良事例の普及、光触媒を活用した効率的な脱臭技術の開発を推進いたしているところでございますが、先生御指摘のありましたミルキー何でしたか……(仲野委員「ミルキングパーラー」と呼ぶ)その具体的な事案が、現場サイドにおきましてはそれぞれつかさつかさで適切に対応されているということでございますので、それを受けて、さらに悪臭対策をやるということにつきましては、個別具体的な話として、多様な要因が複合されていますので、支援対策は制度上のものは適切にやらせていただきますが、それをさらに徹底していく上におきましては、地元の自治体を含めて総合的な対策を応援してまいりたいというふうに考えております。
○仲野委員 今副大臣からお答えいただいた、地元の自治体から要望を出されたことに対して具体的に応援をさせていただくということでありますけれども、いずれにいたしましても、すべてこういう環境対策となれば、非常に巨費が投じられるということになるんです。それを個々の農家が投資をするとなれば、本当に今酪農を営農される方たちが大変厳しい経営状況にある中で、こういった悪臭対策の強化となれば、また別な設備投資というか、かかってくるわけであります。
そういった意味で、具体的に何かいい方法がないのかということになったときに、どうしても、経費がかかるということになってくれば、そこはやはりまた環境対策の一環として国の責任で、それは都道府県あるいはまた各自治体との相談というか、これから前向きに検討、調査しながらやっていただけるのかどうなのかということを改めてお答えをいただきたいと思うんです。
○山本(拓)副大臣 悪臭という観点につきましては非常に基準が難しゅうございますので、確かに、悪臭を除去するための機械、設備等の補助その他につきましては、制度上のものがございますし、自治体にもございますし、それについては最大限運用できるように応援させていただいているところでございます。
それで、先生御指摘の案件につきましては、具体的な話を進めていく話になろうかと思いますので、そういう具体的な問題につきまして、総論ではなしに、それぞれ、排出基準とかそういう数値であらわれるものならしっかりできるんですが、においの問題につきまして、現状のところは、適正なにおいという、適正なにおいと言ったらおかしいですが、それぞれの事業者については最大限の脱臭対策を講じている中で、さらにトータル的にしっかりにおいの対策をしていくということに関しまして、最大限の指導、応援、そしてまた全国的に同じような対策をやっている事例を紹介しながら、よりよき対策、効率のいい対策ということを応援していきたい。
結論を言いますと、そういうものにつきましては、先行投資的に、中小企業に先行投資するだけのお金が十分にあるとは思えませんので、なるたけそういう負担のかからないような最大限のアドバイスをしてまいりたいということでもございます。
○仲野委員 ぜひ、アドバイスするときには、いろいろな融資だとかそういった面での支援、そういう生産者の本当に切実な声に耳を傾けていただければなと、そのようによろしくお願いをしたいと思います。
最後に、時間になってきたんですが、非常に安い価格で良質の食料を国民が手に入れることができるようにすることは、国家として本当に最低限の責務であると思います。
農業政策が国家として最重要戦略であることは、大臣ももちろんおわかりだと思っております。EUにおいては、農業を非常に重要視されており、農業を戦略としてしっかり位置づけていると聞いております。
我が国の国家戦略の農業のあり方について、営農される方たちが将来に希望を持てる、どんどん離農する農家がふえていくのではなくて、どんどん農業経営をしていきたい、新しい方たちがどんどん新規参入して、農業をやっていきたいんだ、日本の農業を守るんだという、そういう国家戦略としての農業に大臣はどれくらいお考えをお持ちになっているのか、お伺いをしたいと思います。
○松岡国務大臣 これは、安倍内閣、安倍総理御自身が施政方針演説でも明確に示されておられますように、農業はこの二十一世紀において我が国の戦略産業として大きな発展の可能性を持っている、このように申されておられます。私もまたそのように認識をいたしております。この二十一世紀を救っていくのは、いろいろな意味におきまして、農業である、農村である。
まず、食料という問題、これは、やはり大変厳しい食料の需給というものが将来見通されます。私も予算委員会でも申し上げましたが、中国がこのまま経済成長を遂げていきますと、例えば肉類なんかでも、もう今アメリカの二倍の需要になっています。ただ、人口十五億ですから、まだアメリカは二億ちょっとですから、これがもし一人当たりが一緒になりますと、これはもう大変なことになる。
八%の経済成長でいけば、二〇三一年ごろには中国とアメリカの個人所得が一緒になる。それをそのまま計算すれば、今の穀物、大体二十億トン前後、世界全体、地球全体で生産されておりますが、そのうちの四割ぐらいは中国一国だけで消費してしまう。このような肉類とかいろいろな需要がふえますから、そうなりますとこれは大変でありますし、そういう観点からも農業の役割というのは大きい。
また、温暖化、これに対するためにも、クリーンなエネルギー、緑のエネルギー、やはりCO2の排出が差し引きゼロになる、少なくなるようなエネルギー、緑のエネルギー、まさにバイオマス生産でありますが、こういった面。
それから、そのほかいろいろな役割というのがあるわけでして、日本の農業というのは、そういう意味で、技術的にもすぐれたもの、また、品質的にはもうどこにも負けないすぐれたものを持っています。したがって、輸出やいろいろな面で、大きな新しい領域、今までは食料だけだった領域が今度はエネルギーも加わってきまして、同じ食料の中でも物のよさを生かして世界の中で競争に打ちかっていく。こういった面もとらえれば、私は、日本の農業というのは日本全体の産業、将来の展望の中でも大きな発展の可能性のある、そういう未来的なものを持っている、このように思っておりますので、国全体の中でもしっかりとその位置づけを持って進んでいきたい。
EUも、先生が今おっしゃいましたが、いろいろな意味で、EUの農業政策、また、EUの政策全体の中における農業の位置づけ、我が国においてもそれと遜色のない形で私どもはこれをとらえ、逆に、遜色のないどころか、EU以上の農業に対する思いを持ってしっかりやってまいりたいと思っておりますので、仲野先生、特に北海道、農業地帯、酪農地帯、そういったところの、私も釧路はよく状況を知っておりますが、一番中心的なところですから、またさらなる御支援も御指導もお願いしたいと思います。
○仲野委員 私は、安倍総理より松岡大臣の方が、ずっと農業に対して、すごく思いだとか情熱があるのではないのかなと思っております。EU以上に、日本の農業を守っていきたい、育てていきたいという御決意をいただいたので、ぜひ農業を重視する目線に立って農業政策を執行していただきたいと思います。
ありがとうございました。
○西川委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。
きょうも、北海道から約三十名の皆さん方が三番町に今待機をして、答申をかたずをのんで見守っているという状況でありまして、第四波ぐらいになるのかなと思いますけれども、特に今回は女性の方が四人来ておりまして、夫婦で酪農をやっておられる皆さん方であります。
そうした皆さん方の思いをぜひ、こういう状況の中ではありますけれども、せっかく与えられた機会でありますので、大臣並びに副大臣にお伺いをしたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
最初に、少し重複いたしますけれども、今回の酪農、畜産物価格というのは、いわゆる補給金と限度数量という二つのポイントがあるわけでありますが、補給金については、飼料代のことやら動力光熱費、とりわけ軽油ですとか、あるいは乳牛の償却費、いわゆるこういった生産コストの上昇分がどれだけ読み込んでもらえるのかということが一つポイントだと思うんですね。
もう一つ、数量の方では、いわゆる計画生産が、先ほど来もお話がありましたが、少し当初の計画どおりに必ずしもいっていないというところがあって、それともう一つは需要拡大、こういう二つのそれぞれの課題があるというふうに思うんです。
それについて、まず、今回の決定についてどのように反映されていかれようとしているのか、その決意など含めてお伺いをしたいと思います。
○山本(拓)副大臣 先生も今御指摘いただいたとおり、本日の食料・農業・農村政策審議会において、今審議していただいているところでございまして、きょうじゅうには決定をいたすところでもございます。
そんな中で、加工原料乳の生産補給金の単価については、御案内のとおり、一定のルールに基づき算定することとなっておりまして、十九年度の単価については、配合飼料価格等の状況、いわゆる先生が今御指摘があったようなことも踏まえて、考慮して審議をしていただいていると理解をいたしております。
○佐々木(隆)委員 ちょっと、もう少し力強い答えが欲しかったんですが。
飼料費の高騰分は見込みたいというふうな新聞報道なんかがあるわけです。これは御案内のとおりでありますが、四半期ごとの飼料費ですから、その分だけおくれていくわけで、今の価格を例えば見込んだとしても、それは、その後また上昇すれば、その分またコスト高になっていくということになるわけであります。そういったことなどもぜひ配慮いただきたいのと同時に、それは基金と裏返しの話になりますので、そこら辺のところもぜひ配慮いただきたい。
それから、先ほど来、チーズのお話がありましたが、言われるように、生乳が百円、脱粉、バターが六十円、チーズが四十円ですから、この価格差というものがあるのと、それに、チーズになれば、またこれはストックが可能になっていって需要がどうなっていくのかという不安もあるわけであります。そうしたことの、先ほど総合乳価ということがありましたが、補給金というのは、少ない分を補給するから補給金というわけですので、その辺、ぜひ配慮いただくようにということ、これは意見として申し上げておきたいというふうに思います。
そこで、もう一つは安全性の問題があると思うんですね。例えばポジティブリストの対応、それから、国内外のBSEの対策、成長ホルモン剤投与の輸入牛肉の安全性の審査、牛肉及び加工品の原産地表示、こういった課題があると思うんですが、これにどう取り組むのか、お答えいただきたいと思います。
○山本(拓)副大臣 今の御質問は、ポジティブリストの施行後の状況と農水省の対応ということだと思いますが、その点につきましては、これまで、厚生労働省、都道府県、関係団体と連携し、説明会の開催、生産現場の巡回指導、相談窓口の設置等、ポジティブリスト制度の周知と対策の徹底を図っているところでもございます。
このような取り組みを通じて、農薬の適正使用、飛散低減のための新技術の導入、普及、農薬使用状況の記帳を重点的に指導するとともに、食の安全・安心確保交付金を活用して、生産現場での積極的な取り組みを支援しているところでもございます。
一方、国際農産物につきましては、農薬の誤使用等、従来の制度においても違反となる事例等が報告されております。原因の究明等に当たり、技術的な指導、支援が必要な場合も生じているところでもございます。
農林水産省といたしまして、生産者団体、業界団体等から成る協議会を通じて、今後とも、関係団体等との緊密な連携を図りつつ、制度の周知徹底を図るとともに、技術的な解決について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 今、主に農薬についてお答えをいただきましたが、このほかにも、BSE対策も国内対策、国外対策、いわゆる水際対策、それから、今成長ホルモン剤を使用した牛肉が入ってきているのではないかというふうに言われておりまして、こういったことの水際対策、あるいは原産地表示などなど、水際、国内両方の対策、これは食の安全という視点で、ぜひ積極的なお取り組みを指摘させていただきたいというふうに思います。
大臣にお伺いしたいのですが、需要拡大ということが限度数量の中でもよく言われております。その中で、実は、大臣、これは農水省も何か反論を出したというふうに聞いているんですが、「病気にならない生き方」という本が百二十万部も売れているということで、牛肉は健康によくないということを書かれていて、間違いなのか誇張なのかわかりませんが、そういったことが言われているというようなことやら、あるいは学校での食育の問題や、それから牛肉の消費拡大で、農水省は積極的に取り組んでいただいているようなんですが、各省庁が必ずしも積極的に取り組んでいるかというと、ちょっとそこら辺は疑問があります。
特に大臣も、何とか還元水よりはぜひ牛乳を飲んでいただいて、消費拡大をしていただきたいというふうに思うんですが、需要拡大について大臣のお考えをお伺いします。
○松岡国務大臣 需要拡大についてでありますけれども、まずは、私どもがずっと申し上げておりますことは、この前もフジテレビでインタビューがございまして、それはどういうインタビューかといいますと、まさにことしもまた生産者が生産調整をして余った牛乳を捨てるんじゃないか、このようなことのとらえ方でちょっとインタビューがあったんですが、いや、ことしは生産調整も実施いたしてきておりますし、ずっと計画生産をやってきておりますから、去年みたいに捨てる映像が出るような、そういったことにはならないし、またそうならないような取り組みを我々もしている、こう言ったんです。
そのとき、私も、ぜひこれは放映で出してくれと頼んだのは、牛乳というのは栄養学的に言えば最もすぐれた食品の一つなんですね。いろいろなすばらしい栄養素を含んでおります。
そこでまず、例えば骨粗鬆症というのがあるわけですが、カルシウムをとれば十分だ。ところが、カルシウムだけじゃだめなわけでして、コンクリートと一緒で、セメントとコンクリートの関係で、セメントだけではコンクリートにならない。やはり砂と水をまぜて、そのまぜた全体の結果としてコンクリートになっていく。だから、骨粗鬆症も、カルシウムだけじゃだめなので、やはりビタミンだとかいろいろな栄養素と一緒になって骨が強くなってくる。そのすべてを含んでいるのが実は牛乳なんです。したがって、牛乳を飲めば、そういった意味で一番いい内容を含んだ栄養でありますから、ぜひ皆さん飲んでください、こういったことを言ったら、残念ながらそこのところを出していただかなくて、ただ、似たようなことは、木村太郎さんですか、キャスターですか、あの人から言っていただいたということなので、私はそのように認識しています。
ただ、急なお尋ねなものですから、各省庁とどのようにこの点について連携しているか、各省がどのようなことをこの点について取り組んでいただいているかということについては、ちょっと今持ち合わせておりません。先生の御指摘を受けて、先生のところにも、またその点、お答えを別途させていただきたいと思っています。
○佐々木(隆)委員 ぜひ、まず自分の近くからきっちり始めていけるように取り組んでいただきたいというふうに思います。コンクリートは鉄筋がなければ崩れてしまいますので、ぜひ骨太な政策をしっかり打ち立てていただきますようにお願いを申し上げます。
そこで、限られた時間でありますが、基本政策のところに触れさせていただきたいというふうに思います。
今、酪農、畜産も価格政策が中心なわけでありますが、私は、総合政策を酪農、畜産においても志向すべきではないか、いわゆる直接所得のようなものを志向すべきではないか。
今は価格ということで乳価の場合は決定しているわけなので、そこについて伺いたいというふうに思うんですが、ことしから品目横断が始まるわけでありますが、畜産、酪農についてはこの枠外にあるわけであります。AMSがまだ余裕があるということもあるらしいんですが、そうではなくて、国際規律ということも意識をしていかなければならないということが一つと、もう一つは、やはり経営所得対策としての下支え政策というものを酪農、畜産においても確立すべきではないかというふうに私は思っています。
例えば、生産条件を補てんする乳製品原料乳生産条件不利補正交付金だとか、これは仮に私がつけましたけれども、あるいは〇六年から始まりました酪農飼料基盤拡大推進事業というのがあります。これは既に緑の政策として位置づけられているわけでありますが、こうしたものを含めて、農家単位でちゃんと所得が確保されるという方式に変えないと、片方で乳価を毎年補給金をどうするという話と、毎年、限度数量をどうするという話をやらなければならないということになるわけで、ぜひそういうところに踏み出すべきではないかというふうに思うんですが、これについてのお考えを伺います。
○松岡国務大臣 これはやはり、総合的にメリット、デメリットを判断して最終的には対応しなきゃならないと私は思っております。
今先生がおっしゃいました飼料基盤、これは、実は昔は横積みといいまして、下がった分を別途の措置で農家の所得を守るということで、おっしゃるとおり黄色なんですよ。したがって、私どもは、これは、WTO交渉がいよいよ本格化してくる、そういうときに、これを黄色にしておけばいずれ貿易歪曲的なものだとしてなくさせられてしまう。したがって、今のうちに、土地利用型という形に着目をいたしまして、そして飼料基盤整備、そういう観点から緑に変えたわけです。そして、なくされないようにしたわけですね。
だから、そういう形で、極端に言いますとこれは北海道だけのものなんですよ。言ってみれば、北海道だけ、ほかの地帯に行っていないんです。私どもは、やはり、そういった形で、北海道の酪農ということについては、随分、そういったような思い入れを持ちましてやったわけです。ほかの北海道以外の先生方もいっぱいいるんですけれども、いろいろな議論の中で、やはり北海道の酪農というのは大きな一番の一つのものである、したがってああいう形で緑にいたしました。だから、あれはあれでやる。
ところが、今、先生、補給金を、黄色ですから、いずれトータルとしては減らしていかなきゃならぬということになりますが、緑というのは過去の実績に対しての一定でしか払えないわけです。ところが、補給金というのは、今回もそうですが、飼料が上がってきた、そういったことも反映して単価を決めていくことができる。
したがって、農家側から見て、所得の確保という観点から見てどちらがよりメリットがあるのか、こういった点も総合的に勘案しながら、ただ、佐々木先生の御指摘は御指摘として、大いに一つの検討の視点だと私どもは思っています。だから、そういった点については、これからWTO交渉も進んでいきますし、また新たな取り決めがどうなるかということも含めて、先生の御指摘の視点、そういった視点も頭に置きながら整理してまいりたいと思います。
○佐々木(隆)委員 大分、北海道、北海道と言われたのでお礼を言わなければならないのかもしれませんが、今、過去実績というお話がありましたが、そこは私とは視点が少し違いまして、確かに過去実績は緑の政策であることはそうなんですが、例えば、CAPですか、EUの今の政策を見ますと、一つにはデカップリングという価格に注目した農家単位の部分と、もう一つはモジュレーションという農村開発というところに着目した、この両方で農家単位の所得を補償しているという政策をとっているわけですね。
ですから、そういった意味では、草地のところはそっちの方に近いのかもしれませんが、両方で、最終的に農家単位としてどうなるんだということが重要だというふうに私は思いますので、ぜひいろいろ工夫をいただきたいというふうに思っております。
そこで、今出ましたWTO並びにFTA、EPAについてお伺いしたいんですが、WTO交渉が何かFTA、EPAより先になるのではないかというような話も報じられているわけでありますが、日本政府としてこの辺についての認識がまずどうなっているのかということが一つ。
もう一つは、経済界の方から、EPA推進論といいますか、私の立場から言わせていただくと関税撤廃推進論とも言えるような意見、とりわけ大田弘子経済担当相などは、むしろ関税撤廃をプラスに転化できるような農業にするのが中長期的な課題というふうなことをどこかで述べておられるということもあったり、それから、EPA交渉を、経済問題であるべきこの問題を、むしろ政治問題としてとらえているやのような話も聞こえてきたり、どうも官邸主導で決まっていくのではないかというようなうわさが流れていたり、非常に不安が今広がっているわけでありますので、そうしたことへの大臣の不退転の決意をお伺いしたいというふうに思います。
○松岡国務大臣 先ほど資料がなかったので、ちょっと先ほどのことをお答えします。
北海道の飼料基盤というのは、今五十四億の予算を持ってやっておりますが、佐々木先生、これはまさに北海道そのものの取り分と思っていただいていい予算措置でございまして、先ほど申し上げましたように、私ども、これは緑として位置づけてまいったわけであります。
それから、EUのことをおっしゃいました。CAP、モジュレーション、おっしゃいました。EUも二〇〇三年からいわゆる直接支払いを緑にいたしました、過去の実績。そしてまた、一方で黄色を組み合わせている。その中で、輸出補助金というようなものは撤廃しよう。
だから、これは、まあどうなるかはまだこれからですが、一応、香港閣僚会合のときには、二〇一三年で撤廃、ということはゼロということですから。しかし、これもEUも条件をつけていまして、他のものはすべてEUの主張でそれも認められたというか成り立ったときに自分たちも受け入れるんだ、だからこれはパラレルだ、こう言っていまして、決してそれだけを受け入れるということはしない、こういうことを言っているんです。
交渉ですから、これからどうなっていくかわかりませんが、先生おっしゃいましたように、緑とその他のものの組み合わせ、こういったもので農家の所得を最大限どう確保していくか、こういった点は我々もしっかり対処してまいりたい。先生の御指摘の検討の視点というのもしっかり受けとめてまいりたいと思っております。
そこで、今のEPAまたWTOの問題でありますが、WTOもさまざま、いろいろ、予測も含めて言われております。私も、おとといもナート・インドの大臣とも電話会談をいたしたわけでございます。ロイタード・スイスの経済大臣とも、ダボス会議の主宰者ですが、会談をいたしたわけでございますが、一言で言いますと、急転直下ということも、あるかないかということは、物事ですから、なかなかいわく言いがたいんですが、それはあるかもしれない。
しかし、一方また、そう簡単でもない。今、アメリカとEUの間もそう簡単でもない。今のところ、EUが、マンデルソンが一番急いでいるというか、一番先を走っているといいますか、では、ほかが果たしてついていっているのか、こういったことも含めますと、なかなか簡単には見きわめはつかない。
いずれにしても、私どもはしっかりとコミットしながら、一言で言うと、我が日本が損をしないようなしっかりした取り組みをやって、いついかなるときにでも、どういう対応でも可能なように対処していきたいと思っております。
それと、EPAの問題でございますが、これはそれぞれ二国間の問題でありますので、WTOとの関係も私ども整合性を持った形も含めてよく念頭に置きながら、これもまた国益を目指して最大限取り組んでまいりたいと思っております。
特に豪州との関係につきましては、予算委員会でもお答えいたしましたが、向こうもすべてをテーブルにのせると言っております。それで、最終の政府間の研究の報告書、これをまとめる最終の合意のときに、外務大臣ともしっかり私は協議をいたしまして、そして、向こうも攻めるためには全部テーブルにのせると言っていますが、こちらも守るに当たってのすべての必要な武器、考えられる武器はすべて取りそろえて防御を固めている、こういうことでございます。
関税の段階的削減、また除外、再協議、あらゆる可能な武器はすべて取りそろえている、そして対処をしていこう、こういうことで取り組んでいるところでございまして、これはお互いぶつかり合った大変な交渉になると思っております。しかし、そこは私どもやり抜いていく、こういうことでございまして、これにはまさに、お互いにひとつ与野党を超えた、一致した御支援をもって対処していかなければならないと思っています。
一方、経済界とか、先生がおっしゃったようなところから、国境措置に頼らない農業、そういう農業を目指していくべきだし、もう国境措置はやめたらどうか、こういうお話があるのも事実でございます。
したがって、そういう中で私どもは、国境措置というのはどの国も、EUでもアメリカでも、どの国でもすべて持っていることでありまして、日本だけが持っているわけじゃありませんし、日本だけが高い関税を張っているわけじゃありませんし、こういったことについてもしっかりと御理解を求めながら対処していこうということです。
そういった意味では、いろいろな議論をしていただくために、豪州との関係においてはどういう影響が出るか、そしてまた、もし国境措置がなくなったときにはどういう影響が出るか。自給率だって一二%ぐらいになってしまいますよ。果たしてそれでいいのかどうか、こういった観点からも幅広く国民的な議論をしていただいて、コンセンサスを得ていただきたいということで、思い切った一つの姿を示して、そして御理解をいただきたいという取り組みであれは出したところでございますので、大変厳しいものがあると思っておりますが、しっかりやり抜いてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○佐々木(隆)委員 だんだん時間がなくなってまいりまして、大臣の熱弁を少し控えていただかないと時間がオーバーいたしますので。
EPAについては、与野党は結構一致できると思うんですが、問題はむしろ官邸かなというふうに私なんかは思っているわけでありますので、ぜひ応援をさせていただきたいというふうに思っています。
それで、これにかかわって、私はなるべくEPAというよりはFTAという言葉の方をむしろ使いたいんですが、これはまさに農業にとっては関税交渉以外の何物でもないわけでありまして、その中で、ことしから実は品目横断が始まります。千七百億の予算が措置をされました。しかし、これは関税差益ですよね、原資となっているのは。
今言われたように、交渉ですから、撤廃されると大変だということはよく新聞なんかでもいろいろ報じられたりするわけですが、撤廃とは限らないわけで、二〇%下がるとか、あるいは五〇%下がるとかということだって、これは交渉ですから、関税ですから、あるわけで、そのときに、千七百億円、関税差益を今原資にしているとすれば、その分だけ原資が減っていくということになるわけですよね。そのときに、そういう不安も今この交渉の中には、もちろん関税が下がると大変だという思いと、もう一つは、品目横断の原資がどうなるんだ、こういう不安も農家の中にあるわけであります。
そのことについて、影響はないということをぜひこの場で大臣から言っていただきたいというふうに思います。
○山本(拓)副大臣 今ほど大臣の方から答弁させていただきましたように、EPA、FTA、今交渉が緒についたところでございまして、その結果が、悲観的な結果を前提にした想定問答は基本的に差し控えさせていただきたいと思います。
そういう中で、品目横断的経営安定対策による担い手への支援につきましては、さきの通常国会において成立した関係法律に基づいてとっているところでありまして、単に予算措置だけをしているわけではございませんので、必要な交付金が安定的に交付されるような措置をなされているところでございますので、そのような答弁だけはさせていただきます。
○佐々木(隆)委員 時間がなくなりましたので、まだたくさんお伺いしたいことがあったのですが、あと一問だけお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
確かに、想定問答はしがたいというのはそのとおりで、私も、質問する側も、もしそうなったらということですから、やるなと言っておいて、なったらという話は、なかなか聞く方も聞きづらい話ではあるんですが、農家の方の不安を取り除くという意味で今お伺いをさせていただきました。
最後の質問にさせていただきたいというふうに思います。
質問する時間がなくなりましたので、一つは指摘にさせていただきたいと思うんですが、直接支払いのことについて、私は、三つの点で、やはり、これから考えるというか論議がもっと必要だという点が三つあるというふうに思います。
一つには、選別農政がむしろ進んでしまったのではないかということが一つ。二つには、ばらまきからの脱却と言いながら補助金が継続されたということ。そして三つ目には、結果主義であって計画主義でない、要するに、作付が決まったらそれに対して補助金を出すという方式であって、計画のところに必ずしも政府が責任を持っていないという、この三つの点が私は問題だというふうに思っております。
大臣も所信表明の中でおっしゃっておられるんですが、農業は天候に左右されやすいんだということを言っていて、天候に左右されるということと、酪農、畜産はもう少し回転が速いんですが、耕種農業というのは一年に一回転しかしないわけですね。経済としては非常に非効率なんです。
だから、直接支払いという制度が下支えとして必要で、その上で自由競争をやりましょうというためのものでなければならないというふうに思うんですが、そういった意味で、必ずしも今の制度が十分にその機能を果たしているとは私は言えないというふうに思っておりますが、これについては、質問はきょうは、またいつか論議をさせていただきたい。
一点だけ、大臣が大変熱心であります日本食レストラン認証制度について、検討されているというふうに伺っているんですが、これは、ちょっと中身が私はよく理解できないので、ぜひこの機会にお聞きしたい。
日本食レストランの、幾つか要素があるんですね、信頼度を高めるためにやるのか、あるいは輸出促進や海外進出のためにやるのか、あるいは正しい食文化を普及するためにやるのか、このどの目的でこれをやろうとしているのかというのがどうもよくわからないわけであります。
予算措置もされるわけでありますので、そういったことを含めて、イタリア方式がいいんだと何かどこかで言っておられたというふうに伺っているんですが、イタリア方式というのは、これはまがい防止のためにやっているのがイタリア方式だと私は認識しているんですが、そういったことを含めて、この認証基準。
それと、これは一部新聞ですが、ニューヨークで日本食のフェスティバルをやったというんですが、これだけ大がかりなものをやったのは初めてだという、そこまではいいんですが、どうもPRに出てきた人が忍者の姿をしてPRをしている、これで本当に正しい日本食のPRになるのかということもちょっと心配だといいますか、大臣の意図と同じなのかどうなのか含めて、ぜひお伺いしたいと思います。
○山本(拓)副大臣 今御指摘の日本食、日本の文化が、忍者、これは別に政府が企画してやったわけじゃございませんので。
そういう中で、御案内のとおり、世界じゅうに二万軒を超える日本食レストランが営業されているところでもございますし、今後、そういったところがさらに営業拡大を計画しているという中で、我々の目的としては、決して日本の文化を押しつけるとか、そしてそういう誤解のないような点は気をつけているところでもございますし、そのあり方、運営、認証のあり方、それを今、元外務省の大使をやっておられました小倉和夫氏を座長にした検討委員会で詰めていただいているところでもございますし、その結果は今月中にいただくことになっております。
そういう中で、我々としては、十分に、先生御指摘がありましたような懸念がないような形で決めていきたい。今の時点では、有識者会議でその詳細を議論していただいていますので、最大限その結論を尊重したいという立場にございます。
政府といたしましては、いずれにいたしましても、その出された結論に即して、日本の食というものが正しく理解され、そういう中で、それぞれのレストランというのは、各民間の人たちの、その国の民間経営者が自己資金で経営されておられるわけですから、それに対してこちらからどうのこうのというのではなしに、ただ、日本食の職人というのも海外におりませんし、そういうことで、まず、日本の基準というものをどのように提示していくか。そしてまた、あくまでも手を挙げていただいて、参加したいという形での、また参加していただいた、登録していただいた現地の日本食経営者にとってどういうプラスがあるかということも今後加味しながら、総合的に結論を出していく予定で今作業を進めているところでもございます。
○佐々木(隆)委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。
○西川委員長 次に、菅野哲雄君。
○菅野委員 社会民主党の菅野哲雄であります。畜産と酪農をめぐる問題について質問させていただきます。
多くの委員が既に指摘されておりますように、飼料価格の高騰に加えて、生乳の需要の低迷、さらには、WTOやオーストラリアとのEPA交渉を控え、酪農、畜産農家はダブルパンチ、トリプルパンチの厳しい状況に置かれております。政府による来年度の畜産、酪農対策がどのようなものになるのか、このことはもちろん重要ですが、酪農、畜産農家を取り巻く厳しい状況を考えれば、毎年この時期だけ委員会で議論するのではなくて、中長期的視野に立った対策というものが必要なのではないのか、私はこのことを冒頭指摘させていただきます。
昨年の秋ごろから、輸入配合飼料の価格が急激に高騰しております。直近でも、一トン当たり五千五百円も値上がりしたと聞き及んでおりますが、これはもう農家の経営努力に対応する水準ではないと思います。このまま飼料価格の高騰が続けば、廃業も考えざるを得ないという悲鳴も聞こえております。
そこで、飼料価格の高騰について、来年度の加工原料乳への補給金、子牛生産者への補給金、さらには豚肉の安定基準価格などに、どの程度反映していくおつもりなのでしょうか。お聞きしておきたいと思います。
○本川政府参考人 お答え申し上げます。
加工原料乳の生産者補給金制度でありますとか、肉用子牛の生産者補給金制度、さらには食肉の価格安定制度につきましては、おのおのの価格の算定に当たりまして、生産コストの変化を適切に反映させることといたしております。
平成十九年度の算定に当たっては、先ほど来御論議がございますが、配合飼料価格が高騰しております。こういうような状況でありますとか、ただ一方で、飼養規模の拡大でありますとか生産性の向上などによりまして、一頭当たりの労働時間は着実に低下をしております。こういった状況を適切に織り込むことが重要であるというふうに考えております。
いずれにいたしましても、おのおのの生産コストの動向について精査をした上で、各制度の算定ルールにのっとり、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて、適切に決定してまいりたいというふうに考えております。
○菅野委員 部長、この問題というのは、今、適切に対応していきますという最後の言葉ですけれども、私は非常に重要な問題を含んでいるというふうに思っているんです。そういうことにおいて、中長期的視点に立って、しっかりとした対応というものをしていただきたいと強く願っているんです。
それで、飼料価格の高騰に対しては、配合飼料価格安定制度が設けられていて、この制度によって、今のところ農家の負担増は最小限に抑えられている、こういう状況なんですね。しかし、中国での需要増や、これは大きいんですが、エタノールの燃料化の推進でトウモロコシの国際価格が急騰している現状、飼料価格は高値安定で推移する可能性は高いと私は見ているんです。
そこで、飼料価格安定制度について、二つの点を私は考えなければならないと思うんです。
一つは、このまま飼料価格の上昇が続けば、価格安定制度の補てん基金の基金自体が底をついてしまうのではないかという懸念です。基金の維持のための対策は講じられているのでしょうか。
二点目は、飼料価格安定制度が、あくまでも価格高騰の激変緩和措置として行われている以上、高値で安定してしまった場合、農家への補てんが行われないんじゃないのか、こういうふうに考えるんです。その際、補てん基金の利用以外に新たな経営安定対策が必要になると考えるんですが、お答え願いたいと思います。
○本川政府参考人 御指摘のまず第一点目の、配合飼料の価格安定制度の基金財源の問題でございます。
十九年当初で、補てんは二つございまして、通常補てん基金と異常補てん基金がございますが、通常補てん基金で約五百五十億、基金残高がございます。それから、異常補てんの基金残高として八百六十億円、合計で千四百十億円の基金がございまして、私どもとしては、当面の補てんの支払いには不足が生じることはないというふうに考えております。
ただ、いずれにいたしましても、今後の飼料穀物価格の動向にも影響するわけでございますから、それを注視して、これも適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
それから、このような価格高騰対策に対しまして、まずは基金からの補てんによりまして、適切な運用で農家の負担を軽減するという対応を行っているわけでありますが、あくまで影響の緩和ということでございます。
本制度によるほか、飼料価格の高騰への対応といたしましては、まず一つは、稲発酵粗飼料の生産、利用拡大でありますとか、水田を活用した放牧の推進を通じた自給粗飼料の生産、こういったものが第一点目であろうかと思っております。
それから、食品残渣でありますとか、トウモロコシのエタノール製造かすでありますいわゆるDDGS、こういった未活用資源の積極的活用、これが第二点目であろうと思っております。
そのような形で、生産段階でできるだけコストを吸収していただくような御努力をいただく、それに対して私どもも最大限の支援をしてまいりたいというふうに思っておりますが、ただ、そういう形で吸収し切れないコスト上昇分については、やはり小売価格への適切な反映、こういったものも、消費者とか流通業者の方々への理解醸成を図りながら、進めていきたいというふうに思っておりまして、関係者と協力しながら、今申し上げたようなものを全力を挙げて進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○菅野委員 二点目の答弁は、飼料価格安定制度という制度がありますよね、そして、激変緩和措置ですから、これが高値でずっと推移していったならば農家は補てんされないんじゃないか、この懸念にどう対応していくのかという視点を聞いたんです。そのことが答弁なされていないんです。新たな政策が必要なんじゃないでしょうか。
○本川政府参考人 あくまで、二点目に、配合飼料基金からの経営の緩和の補てんが行われている間に、私が今申し上げましたような自給粗飼料の生産でありますとか、あるいは未活用資源の積極的活用によりまして生産コストを下げていく御努力を行っていただく、そのために私どもも最大の支援をしてまいりたいというふうに思っております。
それで吸収し切れないものが残ってきますれば、これは最終的にはやはり小売価格に適切に反映していく、そのような努力を消費者あるいは流通業者の方々の御理解を得ながらやっていく、それを私どもとしてもまた最大限支援してまいりたいというふうに考えております。
○菅野委員 今までその努力を農水省としてやってきて、今の制度というものに乗っかっていると私は踏んでいます。
それで、飼料が高値安定という状況が続いたときに、コスト削減を迫られて、農家は耐え切れない、そういう状況に追い込まれる、こういうことを見越したしっかりとした対策というものをつくる必要があるというふうに私は思っています。今後の飼料価格の推移を見ながら、今後継続して、この点については議論していかなければならない大きな課題と私は思っています。
次に、生乳の問題について質問させていただきます。
この間、生乳の供給量、需要量には深刻なギャップが生じています。このこともこの委員会で議論されておりますが、ここ数年来、生産者団体も減産努力をしておりますが、それでもなお、脱脂粉乳やバターの在庫は適正水準の二倍近くに達しております。また、昨年は生乳の大量廃棄という大変残念な事態が生じてしまいましたが、このままでは、ことしも学校が春休みに入る三月下旬に同じような措置がとられるのではないかと強く懸念しているところです。
一方、平成二十年度以降、価格競争力を持つチーズの供給量が三十万トン近く上昇することから、生クリームやチーズ生産へ生乳生産を振り分けていくことに大きな期待がかけられております。しかしながら、キロ当たりの取引価格で、飲用牛乳百円に対して、チーズは四十円程度。チーズ生産へシフトしていけば、それだけで酪農農家の収入は減少してしまうことに不安の声も上がっております。
価格対策はもちろん重要です。同時に、酪農経営の将来を考えれば、生乳、とりわけ牛乳の消費拡大が大きなかぎだと思っております。お茶や野菜飲料、高価な還元水などの消費量が増大、拡大している現状の中、どのようにして、私は、高価な還元水を飲むよりも牛乳の消費を拡大していくことが重要だというふうに思うんです。大臣、農水省の取り組みをお聞かせください。
先ほど佐々木委員の質問に対して、他省庁とどう関連させていくのか、これについては今後検討させてくださいということを大臣は答弁なさいました。生乳の消費拡大をどう図っていくのかという、このことは毎年議論してきているんじゃないですか。それで、今になって他省庁とこれから検討させてくださいなどというのは、今まで取り組んできていなかったということになるんじゃないですか。私は、酪農家にとって、この農水省の今の取り組みの不十分さというのはここで明らかになっているというふうに思えてならないんです。答弁願います。
○松岡国務大臣 菅野先生の御指摘ですが、ちょっと誤解があるんじゃないかと思っております。
私は、先ほど佐々木先生へのお答えではこのように申したわけでありまして、通告があって、そしてそのことについて十分準備ができたら、他省庁との関係についても詳しくお答えができたのでありますが、今は持ち合わせておりませんので、必要な点については後で御報告させていただきます、こう申し上げたわけです。
私も、国会議員になって十八年になりますが、ずっとこれはやってきておりますが、先ほどのペットボトルのことにつきましても、これは菅野先生、私が提起したんです。地元の……(発言する者あり)高山先生、ほうとおっしゃるのは結構ですけれども、礼節はお互い礼節で尽くしましょうよ。(発言する者あり)それはそれとして。
それで、これも地元の人たちと、どういう需要拡大をやるかというと、いろいろな議論がありまして、やはり若い人は、何で牛乳だけペットボトルが認められないのか。それでもってきて、これは皆さん、自民党の方は御存じですが、そこで、私どもは厚生労働省にも言い、そして乳業協会にも言い、そして今二、三年がかりでやっとここまで来ているわけであります。厚生労働省にもそのことはしっかり言って、やっとここまで来たわけであります。それから、もちろん学校給食という問題につきましても、文部科学省に対しても私どもはしっかりと取り組みをしてきております。
先ほどのは、たまたま具体的にどういう内容をやっておるかということについて、実は今ちょっとここで各省のことについては正確に持ってきていないのでということを申し上げたわけでありまして、これはずっと私ども、需要拡大については、例えば生クリームをつくってどう需要拡大をするか、いろいろなことについて、輸出も含めまして、これはもう一番そのことも熱心にやっておるところでありまして、取り組んできているつもりでございます。
○菅野委員 大臣、取り組んでいることは承知しておりますけれども、どうしても消費量が低下してきているということで、大きな問題点を抱えているというふうに思います。ぜひ、今後ともしっかり取り組んでいただきたいと強く要望しておきます。
何か大臣が都合が悪いということですから。
それでは次に、食肉、畜産業の経営についてお伺いいたします。
畜産価格は比較的安定的に推移していると言われておりますが、畜産業を取り巻く現状は、飼料価格の高騰に加え、例えば繁殖牛農家に顕著なようですが、畜産農家の高齢化問題が深刻な状況になっています。体質強化に向けた畜産農家の経営安定対策はここでも必要になっております。
そこでお伺いしますが、地域肉用牛振興対策事業あるいはマル緊と呼ばれる肉用牛肥育経営安定対策事業は、今年度が最終年度とされております。来年度以降も継続していくのか、あるいは別の制度で対策を講じていくのか、考え方をお聞きいたします。
○本川政府参考人 御指摘の地域肉用牛振興対策事業、これは地域肉用牛の増頭をやったりとか地域肉用牛関係の生産振興を行う重要な事業でございます。十六年度から実施をしているところでございます。それから、肉用牛の肥育経営安定対策事業、肥育経営の経営安定のための事業でございますが、十三年度から実施をいたしております。これらにつきましては、肉用牛経営の生産性の向上でありますとか繁殖基盤の強化、さらには肥育経営のセーフティーネット対策として極めて重要な役割を果たしております。
これが今年度をもって終期を迎えるわけでございますけれども、平成十九年度以降につきまして、両事業の重要性を十分考慮しながら、その必要性について十分認識した上で対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○菅野委員 十八年度で終わるわけですよね。十九年度以降は適切に対応してまいりますということなんですが、今の段階で十九年度以降をどのように考えているのですかという質問なんです。
○本川政府参考人 これらの事業につきましては、価格の関連対策事業ということで、価格決定と同時に決定をするということでございます。価格につきましては、本日昼過ぎに審議会の方に御諮問をして、適切に決定していくことにしておりますので、それとあわせて、継続を原則に決定していきたいというふうに考えております。
○菅野委員 わかりました。これから決定ですから今答えられないと言うんですが、継続を前提に検討していくということですので、ぜひその方向で対応していただきたいというふうに思っています。
最後になりますが、日本とオーストラリアとのEPAについて質問いたします。
オーストラリアのハワード首相が今月中にも来日する予定と伺っています。EPAが締結され、農産物に対する関税も撤廃された場合、どのような事態になるのかは、私はここで改めて指摘いたしませんが、恐らくは日本の畜産業は壊滅的な打撃を受けることは間違いないというふうに思います。
予算委員会で、安倍総理は守るべきものは守ると述べ、農業の持つ多面的機能を重視する姿勢を見せております。しかしながら、オーストラリアが強硬姿勢を貫き、とにかくEPAの早期締結を求める経済界の要請を受けて、参議院選挙後にも農業関税撤廃の方向で交渉が進む危惧を私は払拭し切れないんですね。
それで、ハワード首相の来日をもって早期のEPA交渉入りが確認されるのでしょうか。主張する外交を掲げる安倍総理は、ハワード首相に農業は適用除外だと毅然とおっしゃるのでしょうか。先ほど農水大臣は、すべてをテーブルにのせると胸を張っているわけですよね。これは、すべてを交渉のテーブルにのせたならば、それを外すには非常に大きなエネルギーが必要だと私は思うんです。
だから、センシティブ品目として農業は適用除外だという形から私は交渉に入っていくべきだというふうに思うんですが、改めてこの方向についてお聞きしておきたいというふうに思っています。
○山本(拓)副大臣 御案内のとおり、ハワード豪州首相は三月十一日から十四日の日程で日本においでになることになっております。ハワード首相は、滞在中に安倍総理と会談し、日豪二国間関係や国際情勢につき意見交換を行う予定となっております。
また、EPA交渉開始時期については、外交交渉を通じて調整を行うこととなっておるところであります。
こういうスケジュールの中で、農水省といたしましても、御案内のとおり、関税撤廃になった場合にどのような被害というか事態になるかということは試算をいたしているところでもございますし、しっかりとそういう立場で意思の疎通を図らせていただいているところでもございます。
我々としては、しっかり守るべきものは守るという方向を、先ほど大臣が答弁された方針の中で行われるものと理解をいたしております。
○菅野委員 この問題というのは、日本の農業に重大な影響を及ぼす、そういう問題でありますから、私は三月にハワード首相が来日したときの出発点が大事だというふうに思っています。そこで、日本政府がどれだけ毅然とした態度をとるかにかかっているんだというふうに思っていますから、ぜひ、その点でしっかりと対応していただきたい。このことを強く申し上げて、質問を終わります。
○西川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時六分散会