第10号 平成19年4月11日(水曜日)
平成十九年四月十一日(水曜日)午前十時一分開議
出席委員
委員長 西川 公也君
理事 岩永 峯一君 理事 金子 恭之君
理事 近藤 基彦君 理事 谷川 弥一君
理事 並木 正芳君 理事 篠原 孝君
理事 松木 謙公君 理事 西 博義君
赤城 徳彦君 赤澤 亮正君
伊藤 忠彦君 飯島 夕雁君
今津 寛君 小里 泰弘君
小野 次郎君 岡本 芳郎君
木原 誠二君 北村 茂男君
北村 誠吾君 斉藤斗志二君
中川 泰宏君 長島 忠美君
丹羽 秀樹君 西本 勝子君
鳩山 邦夫君 広津 素子君
福井 照君 福田 良彦君
古川 禎久君 御法川信英君
森山 裕君 岡本 充功君
黄川田 徹君 小平 忠正君
佐々木隆博君 仲野 博子君
長島 昭久君 福田 昭夫君
山田 正彦君 鷲尾英一郎君
井上 義久君 菅野 哲雄君
…………………………………
農林水産大臣 松岡 利勝君
厚生労働副大臣 石田 祝稔君
農林水産副大臣 山本 拓君
農林水産大臣政務官 福井 照君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 猪俣 弘司君
政府参考人
(水産庁長官) 白須 敏朗君
農林水産委員会専門員 渡辺 力夫君
―――――――――――――
委員の異動
四月十一日
辞任 補欠選任
今津 寛君 北村 誠吾君
永岡 桂子君 西本 勝子君
渡部 篤君 長島 忠美君
佐々木隆博君 鷲尾英一郎君
高山 智司君 長島 昭久君
同日
辞任 補欠選任
北村 誠吾君 今津 寛君
長島 忠美君 木原 誠二君
西本 勝子君 永岡 桂子君
長島 昭久君 高山 智司君
鷲尾英一郎君 佐々木隆博君
同日
辞任 補欠選任
木原 誠二君 渡部 篤君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)
――――◇―――――
○西川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として水産庁長官白須敏朗君及び外務省大臣官房審議官猪俣弘司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○西川委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川泰宏君。
○中川(泰)委員 自由民主党の中川泰宏でございます。
私は京都の生まれでありまして、京都には、丹後という港、有名な天橋立、そしてNHKドラマになった伊根町の舟屋、それから、歩きますとキュッキュッといって音が鳴く琴引浜、こうしたすばらしい港と、それからそこには、伝統と文化の生まれたところ、聖徳太子のお母さんの間人皇后、これは人間を反対に書いてタイザというんですが、そこにはそうしたものがあり、伊勢神宮のもともと伊勢、港の際に、成相山というところに、伊勢神宮の一番最初、海から来た、そういうところであります。
ここが今日までこうして守ってこられたのは、漁業を営む人たちが必死になって守ってきましたから、このすばらしい、美しい漁村や風景やそうした文化と伝統が残っておるわけであります。
そして、今回は水産基本計画が見直されたことに伴うものであるということですので、私は、今回の新水産基本計画の内容は、そうした漁業を営む人たちが元気になり、そういう方向になると思いながら、三十分の時間をいただいておりますので、質問をさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。
まず、沿岸漁業の問題の一つに、密漁という問題が新聞記事をにぎわわせております。
例えば、昨年の七月、青森県むつ市で、密漁のナマコ約八百八十三キロを所持していたとして十二人が逮捕され、同じく七月、北海道では、三年間で一億五千万円ものウニを密漁したとして五人が逮捕、ことしの二月には、松山海上保安部では、サザエやアワビ、二トン、約百九十万円の密漁で七人の逮捕など、枚挙にいとまがありません。
漁民が丹精込めて栽培し管理してきた水産物が、ある日突然盗まれるわけであります。夜間、高速艇を走らせ漁場に行き、船底から海中に潜ってアワビやウニ、サザエなどを持っていく。それを持ち帰るときに、見つからないように、そのままブイを浮かせてその下に置いておいて、次の船が持って帰る。全く組織的で悪質きわまるものであり、そしてそれをさらに密売のルートで売りさばいておるわけであります。
まず、私は、水産庁長官にお尋ねいたします。
漁業法の改正の背景となった密漁の現状及びこうした現状を受けた漁業法の改正の内容について、御説明をお願い申し上げます。
○白須政府参考人 ただいま委員からお話がございました今回の漁業法改正の背景となりました密漁の現状とその改正の内容でございますが、委員からもお話がございましたとおり、このところ、全国の沿岸域等で発生をいたしております漁業関係法令違反の件数が、近年大変に増加傾向にあるわけでございます。
ちなみに、平成十三年では千件ぐらいだったわけでございますが、これが平成十七年では千七百件ということで、非常にふえてきておる。特に、その特徴といたしまして、漁業者以外によります違反件数が大幅に増加しておるというふうなことが挙げられるわけでございます。
また、ただいまお話もございましたが、アワビでございますとか、あるいはナマコ、ウニ、いわゆるいそ根資源というふうに呼んでおりますが、こういったものの違法な、いわゆる密漁でございますが、これが大変に広域化をしておる、あるいはまた組織化が進んでおりまして、中には、暴力団などが関与をいたします組織的で悪質な密漁グループによります違反が繰り返されておるといったようなことでございまして、地域によりましては、資源そのものが枯渇をするんではないかというふうに懸念をされておる地域も出てきておるわけでございます。
そこで、こういった密漁が後を絶たないという背景といたしまして、罰則の上限が低いということで、ただいまもお話がございましたが、密漁によります大変な利益と比較をいたしますと、どうも量刑が低いのではないかということで、犯罪の抑止力が弱いということが挙げられているわけでございます。
したがいまして、今回の漁業法の改正の内容といたしまして、特に罰則の引き上げというものを今回行うことといたしたわけでございます。
具体的に申し上げますと、現在の罰則は、いわゆる農林水産省令に違反をいたしました無許可操業につきましては、懲役二年、罰金が五十万円以下というふうになっておりますし、あるいはただいまのいそ根資源の密漁といった都道府県の漁業調整規則に違反をいたしました無許可操業につきましては、懲役六カ月、罰金が十万円以下というふうになっているわけでございます。
この現行の水準を今回の法改正によりまして、懲役で三年、そして罰金では二百万円以下に引き上げるというふうにいたそうと考えているわけでございまして、この改正を行うことによりまして、私どもといたしまして、ただいまるるお話がございました密漁の抑止にも相当の効果があるというふうに考えている次第でございます。
○中川(泰)委員 ありがとうございます。
今お話があったとおりに、この密漁というのは物すごく組織化されており、特に暴力団の大きな資金源になっておると言われておるところであります。これは、漁業の問題であると同時に、重大な社会問題であると私は思います。
密漁者の罰則強化は、沿岸漁業関係者の強い願いでありました。それがこのたび漁業法改正案に盛り込まれておりますることは、漁業関係者にとっては大変心強いものであります。
しかしながら、密漁は、密漁をする者とそれを取り締まる者とのイタチごっこで、先ほど申しました組織化、巧妙化等はもちろんでありますが、その事件がさらにふえていく一方ではないか。そこで、罰則強化はもちろん必要でありますが、海上保安庁、警察、漁協などとの連携をいかに密にして取り組んでいくかということが大切ではないかなと思うところであります。
そこで、副大臣にお尋ねをいたします。
漁業法改正後、海上保安庁関係者、関係機関との連携など、密漁の取り締まり強化に向けての決意をお願いしたいと存じます。
○山本(拓)副大臣 今ほど中川先生がお述べになったとおり、密漁など違法操業は大変重要な問題でありまして、適切な保存管理を図る意味では、しっかりと取り締まりをやっていかなければならないわけであります。
このために、水産庁では三十八隻の漁業取り締まり船と四機の航空機を用いて、海上保安庁、都道府県と連携して取り締まりを行っているところであり、具体的には、瀬戸内海海域における潜水器密漁対策として、水産庁瀬戸内海漁業調整事務所、関係海上保安部署及び関係県との間で、洋上、陸上における合同取り締まりの実施、そして、長崎県周辺海域における沿岸漁業の違法操業対策として、水産庁九州漁業調整事務所、関係海上保安部署、長崎県警、長崎県との連携等に取り組んでおります。いわゆるこれは代表的な話でありまして、このような手法で、全国的に頻繁に行われているところに対してそういう取り組みをしっかりとやっていくところであります。
今御審議いただいております違法操業に対する罰則強化を踏まえて、農林水産省といたしまして、これらの洋上における共同取り締まりや、取り締まり対策会議の開催等の中で、先生が今御指摘のありました、巧妙化する個別具体的な対策を情報交換するとともに、その対策をしっかりと立てながら、その横の全国的なネットワークで協力的にそれを実効あるものに変えていく、そういう方向で積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○中川(泰)委員 ありがとうございます。
これは暴力団が関与して非常に組織化しておるということで聞いておりますので、ここは十分、きちっと警察と連携をとりながら、さらに厳しく進めていただきますようお願いを申し上げます。
次に、水産業の生産量を見てみますと、平成十一年の食用魚介類の生産量は四百六十一万トン、平成十七年度は四百四十五万トンですから、九六%に減少しております。これは、ピーク時の昭和五十一年の七百六十九万トンと比較すると五八%でありますから、四割程度も生産量が落ちていることになります。この数年は、若干の出入りがありますが、ほぼ横ばい、長期的には減少しておると言えると思います。
一方、自給率を見てみますと、平成十一年の五五%から平成十四年には五三%へと下がっておりますが、その後、五七%まで回復しております。
そして、新水産基本計画では、平成二十九年には生産量を四百九十五万トン、自給率六五%と見込まれておりますが、生産量が長期的には減少していること等考えまして、今後本当に増加が見込めるのでしょうか。実績を踏まえて考えれば、自給率は減少するか、横ばいと考えます。ところが、平成十七年度の実績見込みは五七%から、二十九年度には六五%、八ポイントも高く見込まれています。これはどういうことなのでしょうか。
最近、価格の安い外国産の水産物が大量に輸入されてきております。こうした輸入圧力の増大や、デフレ経済が続いてきたこと、燃油価格が上昇し、近年の魚価が低落し、生産力も落ちてきているものと思います。
漁業を守り育てるという立場から、ぜひ平成二十九年度の生産量四百九十五万トン、また自給率六五%という目標を現実のものにしていただきたいと思います。漁民や漁協に対する支援対策でもあり、大いに期待しているところでございます。ぜひ目標達成に向けて御努力をお願い申し上げます。
水産庁長官にお尋ねいたします。
生産量四百九十五万トン、自給率六五%という目標達成のために、生産、消費面、また漁業関係者への支援という面でどのような取り組みをされるのか、御決意をお伺いいたします。
○白須政府参考人 ただいま委員からお話がございましたとおり、全体として生産量は大幅にダウンをいたしてきておるわけでございます。ただ、その中で、自給率は、ただいまもお話がございましたが、一時五三%まで下がっておったわけでございますが、このところ若干持ち直してきておる。現在、平成十七年で五七%の自給率というふうになっているわけでございます。
そこで、私ども、今回の水産基本計画を策定いたしました。その中で、平成二十九年の目標といたしまして、ただいまお話がございましたとおり、自給率としては六五%というふうに設定をいたしまして、かつまたその前提の生産量として、四百九十五万トンというふうな生産の目標も立てているわけでございます。
これは、特にただいまお話がございました自給率は、国内の水産物の消費が国内の漁業生産によりましてどの程度賄えておるかということを示す、まさに指標でございまして、そういった意味では、生産と消費の両面のあり方によって変動をいたすわけでございます。したがいまして、やはりこの向上を図るという場合には、生産あるいは消費両面からの対策というものが不可欠であるというふうに考えているわけでございます。
特に生産面におきますれば、やはり何といいましても資源の回復、管理というものを大前提といたしまして推進をしてまいらなきゃならない。そのためには漁場の環境も改善していく必要があるわけでございます。また、ただいま委員からもお話がございました、特に漁業者に対する支援ということでございまして、国際競争力のある経営体、それをしっかりと育成、確保を図っていく、あるいはまた新しい経営安定対策ということで支援をいたすことによりまして、特に生産面における、その生産量の確保ということに努めてまいらなければならないというふうに考えているわけでございます。
また一方、消費面におきましても、やはり国民に対する安定供給という大きな責務もあるわけでございますので、特に市場を核といたしました流通拠点の整備、あるいはまた産地の販売力の強化、そして水産物の安全あるいは消費者の信頼の確保といったようなことも進める必要があるわけでございますし、また、あわせて食育の推進ということも進めてまいらなきゃならないというふうに考えているわけでございます。
こういった生産面、消費面、そういう努力に相まちまして、ただいまお話がございました、生産量四百九十五万トン、そして自給率としては二十九年の目標六五%というものを、私どもとしても、これは政府のみならず、地方公共団体あるいはまた漁業者団体、そして食品産業の事業者、そしてまた消費者の皆さん方とも一体となりましてしっかりと努力をいたしまして、この目標達成に向けまして努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。
○中川(泰)委員 大変ありがとうございます。
何としても漁民を守るためにも支援策の拡充をお願いいたす次第であります。
次に、内水面漁業の生産量を見てみますと、平成八年には漁業、養殖を合わせて十六万七千トンでしたが、平成十七年度には九万六千トンと見込まれています。比率にしますと五七%、九年で六割に減少をしております。
私の地元でありますが、私の子供の時分は水田にコイ子、コイ種を買ってまいりまして、一年間育てます。それをもう一年自分のところの生けすに置いておいて、さらに大きくしてコイを明くる年出荷しておりました。さらには、その家の種池に冬場私どもが食べるためのコイも飼っておいて、家庭でコイをいろいろな料理にして食べておりました。恐らく今はもう忘れられておりますが、私どもでしたらうろこから骨からすべて食べる調理方法を持っておりましたが、今では忘れ去られております。そして、私の村には昔、コイ御殿といって、コイを京都の料理屋にどんどん出荷をしてすごい大金持ちがおられたのを記憶しておるところであります。
こうした状況から、今では全くそうしたことがされていない、内水面の漁業の衰退は、食生活、食文化が変わってきた、これはもう一度食文化を戻していかないかぬなということが一つ。
一方では、長野県の水産試験場では、ニジマスとブラウントラウトという品種を交配して、信州サーモンとして出荷がされております。味もよく、和食からフランス料理まで幅広く使われておるところであります。
元気の出る話も聞いておりますが、副大臣にお尋ねをいたします。
新水産基本計画には、内水面漁業の活性化について触れられておりますが、改めて、内水面漁業の現状と、今後のあり方をどう考えておられるか、お伺いをいたします。
○山本(拓)副大臣 今ほど先生が御指摘のとおりでございます。
御案内のとおり、我が国の内水面漁業は、いわゆる国民の嗜好が強い魚の供給、例えばアユ、ウナギ等が代表の例でありますが、郷土料理や特産品の食材の供給による地域の活性化、釣りなどのレジャーを通じた憩いの場の提供に大切な役割を果たしており、内水面漁業の振興は最も重要な課題だと認識をいたしております。
一方、動物性たんぱく質の供給が非常に多様化し、またぜいたくな環境が整備されている中で、淡水魚等の需要は非常に限られておりまして、低迷をいたしているのが現実であります。
また、河川等の環境の悪化、疾病の発生や、外来魚またカワウによる食害などにより、コイ養殖を初めとする内水面漁業の生産は今減少傾向になっているのも事実でございます。
このため、新しい水産基本計画において、魚道の整備や種苗の放流による資源の増殖、コイヘルペスやアユ冷水病などの疾病、外来魚やカワウによる食害被害の軽減、今ほど先生が御指摘されました信州サーモンのような地域特色を生かした品種改良や加工流通業との連携による付加価値の向上などを推進してまいりたいと考えておりますが、基本的には、もうかる内水面を実施していくためには、正直な話、役人に知恵を出せと言ってもなかなかもうかるところまでは至りませんので、できる限り地域の特性、地域の提案を受け入れて、それにしっかり対応してまいりたいと考えております。
○中川(泰)委員 ありがとうございます。
やはり内水面も大事だし、自給率からいっても私は守っていかなくちゃならぬのかなと、たんぱく質の自給率でも思うところであります。
次に、私、十八年ほど前、八木町長に当選したときに、京野菜を売り出そうということで始めました。私の地元はタマネギをつくって、お年寄りがもう重たいと言ったから、もっと軽いもので金もうけさせたろうかと言って始めたんですが、まず初めに、ではブランド化しようということで、東京に売りに行きまして、みんなはスーパーに売ろうと言ったんですが、私はあかんと。まず百貨店に売ってブランド名をとろうと言うて、京野菜をまず売り出していきました。大ヒットして、十年で一億円ぐらい残した農家もあるところであります。
私は、漁業においてもブランド化が取り入れられるのではないかなと。京都ではブリやマダイ、マガキ、トリガイなどを養殖しておりますが、特にトリガイは全国で京都だけが養殖しておりまして、今ブランドとして認定して出荷をしております。さらには先ほども申しました信州サーモンなど、ブランド化することによって付加価値をつけて、少しでも漁民の所得が向上するということも考えられます。
副大臣にお尋ねをいたします。
水産物についてブランド化を進め、販売力を強化する取り組みが重要だと考えますが、ブランド化の取り組みについてどのような支援策があると考えられておりますか、お尋ねを申し上げます。
〔委員長退席、金子(恭)委員長代理着席〕
○山本(拓)副大臣 先生御指摘のとおり、先生はJA京都の中央会長として農産物のブランド化を結構されておられますけれども、それと全く同じでございまして、地域で生産される水産物やその加工品をブランド化して付加価値のあるものとして販売していくことは大変重要なことでもございます。
そういう中で、農林水産省といたしまして、産地流通を担う漁業協同組合等が小売業者等と連携を図りつつ、まず一つ目として、鮮度がよいという国産水産物の利点や地域の水産物の特性を生かした新商品の開発、鮮度のよさを保ったまま消費者に安定的に供給できる多様な流通ルートの構築を行う取り組みを支援するほか、関アジ、関サバなどの地域団体商標として登録されている地域ブランドの知的財産として保護活用事例の調査を行っているところでもございます。
御案内のとおり、今、地域ブランド申請は大変多様なものが出てきておりまして、今までのように問屋さんに卸すだけで売るのではなしに、今先生も御指摘のとおり、直接小売また直接インターネットのネットワークを利用した販路拡大、生産者がみずから考えていただく支援に対して積極的に応援と申しますか、支援体制を整えているところでもございます。
○中川(泰)委員 ありがとうございます。
やはり漁民の所得向上の上からも、その辺の支援のほどをよろしくお願い申し上げます。
今、私の地元ですが、小さな港に生産組合法人があるわけです。それが定置網を持ってそれぞれ漁業を営んでまいりましたが、だんだん漁民も減ってきた。そして資金繰りも難しい。そうすると、京都の場合、六つあったのが三組合に減少をしておるところであります。さらに減少していくのではないか、そうすると、漁民が港にいなくなってしまうというような問題がこれから起こってくるのではないかなという心配をしております。
そこで、水産庁長官にお伺いいたします。
漁業生産組合というものはどのような方向へ向かって持っていかれようとしているのか、どう育成されていくのかをお尋ねいたします。
○白須政府参考人 ただいま委員からお話がございました漁業生産組合ということでございます。まさにこの生産組合は浜の第一線で漁業生産を直接営むということで、沿岸漁業の大変大きな担い手の一つであろうというふうに考えているわけでございます。
ただ、今お話がございましたとおり、中には経営が全般として困難になってくるというふうな事例も見られるわけでございまして、私どもとしましては、何としても、漁業生産をしっかりと営むことによって地域の活性化、あるいは地域の漁業の担い手として今後ともしっかりとやっていっていただきたいというふうに考えているわけでございます。
特に、そういった意味で、ただいまお話がございました定置網というふうなことをやっておられる場合も多いわけでございまして、資金が必要になるという場合もあるわけでございますが、そういう場合におきましては、例えば、公庫資金におきまして経営改善のための設備資金というふうなこともございまして、この設備資金の中には漁具の取得というのもございまして、その中には今お話しの定置網の交換というための資金ということも当然使えるわけでございます。
あるいはまた、担い手としてより一層しっかりと協業体を形成してやっていこうという場合には、そういう担い手の育成、確保といった意味での支援というものもあるわけでございますので、私どもとしては、そういった支援策も有効に活用していただきまして、漁業生産組合、今後ともしっかりと漁業経営をやっていっていただきたいというふうに考えている次第でございます。
○中川(泰)委員 ありがとうございます。
安倍総理が、総理就任以来「美しい国、日本」と言われております。美しい国の日本には、先ほど申しましたが、文化と伝統、京都の場合、海岸の縁にすべていろいろなものが、日本の国の文化の発祥が並んでおるところであります。それを守ってきたのは漁民でありまして、漁民が今日までその伝統を守ってきたわけであります。
副大臣にお尋ねいたします。
新水産基本計画を策定し、水産政策の全般にわたる政策を総合的、計画的に推進されることになっております。この中で、安全で活力ある漁村づくりのための施策や、担い手たる漁業者の育成等活力ある漁業就業構造の確立を挙げられております。これらの施策を着実に実施していただくことこそ「美しい国、日本」の創造であり、美しい国、漁村をつくり上げていくことではないかと思うのでありますが、副大臣の御決意をお願いいたします。
○山本(拓)副大臣 今ほど先生から御指摘のあったとおり、この三月に策定した新たな水産基本計画に基づいて今対応いたしているところでもございますし、具体的には、先ほど来から申し上げておりますような、藻場、干潟の造成、保全その他、実施いたしているところでもございます。
要は、これから、担い手にいたしましても、やはりもうからなくてはなりませんので、そういう意味では、トータル的に、団塊の世代の、観光も含めた地元の提案を受け入れて、この水産基本計画で対応しております個別具体的な案件をしっかりと結果が出るように対応してまいりたいと考えております。
○中川(泰)委員 ありがとうございました。
すばらしい文化と伝統を守っていくためにも、漁業家がもうかる漁業でありますようお願いを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
○金子(恭)委員長代理 次に、森山裕君。
○森山(裕)委員 自由民主党の森山裕でございます。早速、質疑に入らせていただきます。
まず、水産基本法に関して伺います。
本格的な二百海里時代を迎え、我が国の周辺水域の資源の持続的利用を図るために、水産物の安定供給の確保と水産業の健全な発展を基本理念として二十一世紀を展望した新たな政策体系を確立することにより、消費者には安全と安心を、水産関係者には自信と誇りを、さらに、生産者と消費者並びに都市と漁村の共生の実現を目指し、平成十三年六月に水産基本法が成立をしたところであります。
この水産基本法の基本理念を実現し、具体的な施策を総合的かつ計画的に推進するために、水産基本計画が平成十四年三月に閣議決定をされました。基本計画では、今後十年程度を見通して、自給率の目標、総合的かつ計画的に講ずべき施策、施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項が定められました。また、この水産基本計画は、水産をめぐる情勢の変化及び施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに所要の見直しを行うということにされていたところでありますが、このたび、三月二十日に新たな水産基本計画が閣議決定をされました。
そこで、伺いますけれども、新たな水産基本計画を作成するに当たって、どのような情勢の変化があったのでしょうか。また、それに基づき作成をされた基本計画の柱はどのようなものなのか、お示しをいただきたいと思います。
○松岡国務大臣 それでは、森山先生にお答えいたします。
先生お尋ねの件でございますが、我が国の水産業は、資源状況の悪化や、漁業者の減少、高齢化や漁船の老朽化等の漁業生産構造の脆弱化によりまして厳しい状況にありますとともに、世界的に水産物への需要が高まる等の情勢の変化に直面をいたしております。
このような情勢変化を踏まえまして、本年三月に、水産業の中長期的な戦略として、新たな水産基本計画を策定したところでございます。
この新たな水産基本計画におきましては、藻場、干潟の造成、保全による漁場環境の改善や資源回復計画の着実な推進、漁船漁業構造改革の推進や、積極的に経営改善に取り組む漁業者を対象とする経営安定対策の導入、さらにまた、市場を核とした流通拠点の整備や前浜と消費者をつなぐ多様な流通経路の構築、漁港、漁場、漁村の総合的整備の推進、水産物の輸出促進、これらを中心にいたしまして、水産政策の改革に取り組むことといたしておるところであります。
このような水産政策の改革を早急に進めまして、国民に対する水産物の安定供給を図りますとともに、これを支える力強い水産業の確立を図ってまいりたい、このような内容でございます。
○森山(裕)委員 ありがとうございました。
私もよく水産業の現場を歩くんですけれども、今大臣答弁をいただいたような問題があるというふうに思いますし、ぜひ、今後、具体的に、確実に施策を進めていただきたいというふうに考えております。
次に、自給率の問題と違法操業について伺おうと思っておりましたが、中川議員の質疑とダブりますので、この質疑は割愛をさせていただきたいと思います。
次に、沿岸漁業は、とる漁業からつくり育てる漁業へ、すなわち、施設で卵を採取して、卵からかえった稚魚を一定の大きさまで育てて海に放流し、資源をふやす、あるいは養殖による生産をするという真摯な取り組みが今続けられているところでありますが、このような中で、自給率の向上を図る上でも、また漁業経営の体質強化を図る上でも、養殖漁業への期待というのはますます高まってきているのではないかというふうに考えております。
養殖の歴史は、特に海産業につきましては、非常に古い時代からのようでありまして、江戸時代の初めにタイの活魚輸送のための蓄養が始められたという記録が残っております。また、明治四十年前後から、クロダイやマダイなどの養殖試験が各府県の水産試験場で開始をされております。
本格的な海産魚の養殖が開始をされましたのは、昭和二年、香川県の築堤式の養殖施設で行われ、ハマチ、アジ、サバ、タイ、クロダイなどの稚魚試験養殖が最初と言われております。昭和二十年代末ごろに小割りの養殖方式が開発をされて、養殖魚の生産増加に大きな貢献をしてまいりました。昭和四十年までは養殖魚のほとんどがブリでしたが、昭和四十年代半ばからマダイの養殖が次第に増加をしてきております。平成五年には、ブリ類では養殖の生産量が五〇%を超えました。また、養殖魚種拡大の要請が高まりまして、平成十四年にはクロマグロの試験的な完全養殖に成功するなど、多くの魚種の養殖が推進をされております。
平成十七年度における海面養殖業のうち、魚類の生産量は二十六万九千トン、生産額で千九百十八億円となっております。海面養殖業の魚類の中で最も多くを占めているのがハマチ、カンパチ等のブリ類であります。ブリ類は海面養殖魚類生産量の五九%を占め、ブリ類の生産に占める養殖の割合は七四・四%となっております。また、ブリ類の養殖は、施設面積当たりの生産量では安定した増加傾向を示しておりまして、三十年前の昭和五十年に比較をいたしますと、経営体当たりの生産性は四倍強に拡大をしてきているところであります。
このような中で、ブリ類のうちカンパチ養殖において、平成十六年秋以降中国から輸入したカンパチの中間種苗を国内で養殖していたところ、これらの一部からアニサキス幼虫の寄生が高頻度に認められ、その一部において魚肉の中からも検出をされたという事態が平成十七年の六月に発生をしました。
このため、水産庁では、関係養殖業者や加工業者に対して、当該中国産の中間種苗由来の養殖魚に限って、出荷に際しては冷凍などの処理を行うように指導をなされたところであります。
カンパチ養殖の最も盛んな私の地元の漁協では、冷凍すれば出荷も可能でありましたけれども、やはり安心、安全なカンパチを消費者に届けることをモットーにしていることから、当該する魚すべてを飼料や肥料として処分いたしました。長期にわたる魚価の低迷から回復の兆しがやっと見え始め、さらには一年前に鹿児島の魚ブランドを取得したやさきだっただけに、地元の漁民は大変大きなショックを受けたところであります。
そこで伺いますけれども、種苗の海外からの輸入に頼っているカンパチについて、稚魚の安全確保をどのように進めているのか、まずお伺いをいたします。
〔金子(恭)委員長代理退席、委員長着席〕
○白須政府参考人 ただいま委員からもお話がございましたとおり、カンパチの種苗につきましては、ほとんどが中国からの輸入に依存をいたしているところでございます。
平成十七年、お話がございましたが、中国から輸入をされましたカンパチの養殖用の中間種苗、これは大体六百グラムから八百グラムに育成をいたしました一年魚でございますが、これが冷凍のえさではございませんで、生のカタクチイワシによって育成をされておりましたために、その種苗で養殖をいたしましたカンパチにアニサキスの寄生が認められたということでございます。
そこで、私ども、これに対応いたしまして、早速、カンパチの種苗輸入業者に中国産の種苗を輸入する場合の連絡協議会というものを結成させまして、この協議会が作成をいたしましたガイドラインによりまして、カンパチの稚魚の育成には冷凍の餌料、いわゆるえさでございますが、冷凍餌料を使用するということと、それからアニサキスの寄生の検査をいたしました種苗を輸入するといったようなことで、カンパチの種苗につきましての品質管理措置をとるというふうにしていただいたところでございます。
また、もともと中国からの輸入でございますので、中国政府に対しましても、昨年の九月でございますが、日中水産ハイレベル協議というものを行いまして、中国の漁業局長に対しまして、中国国内におけます種苗の育成業者、これがこのガイドラインを遵守いたしまして種苗生産を行うように指導してもらいたい、そういうふうな申し入れも行ったわけでございまして、中国政府もこの点につきましては理解を示しているところでございます。
私どもといたしましては、ただいま委員からもお話がございましたが、地元は大変に苦労をしておられるようでございますので、この中国産の種苗輸入連絡協議会、こういった指導をしっかりと行うことを通じまして、カンパチ種苗の品質確保に努めてまいりたいというふうに考える次第でございます。
○森山(裕)委員 御答弁いただいてありがとうございました。
ガイドラインをやはりきちっと中国が守っていただくということをさらに努力をしておかないと、またいつ起きるかわからない問題でもありますので、この問題はよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
次の質問に移ります。
カンパチの養殖は、そのほとんどが外国産の天然種苗に依存をしております。そのため、安価な種苗を安定的に確保することが困難でありますし、さまざまな疾病を持ち込む懸念もあります。したがって、早急に親魚養成技術及び種苗生産技術の確立を図って、養殖漁業者の経営安定、地域のカンパチ種苗供給産業の創設、外国産天然種苗輸入に伴う疾病持ち込み防止を図ることが今強く求められているというふうに思うところであります。
このため、鹿児島県では、平成八年に国産の天然魚百五十匹の親魚養成を開始いたしました。平成九年には、水産総合センターを初め、外部からの導入卵による種苗生産の基礎試験を開始いたしました。平成十三年から三年間、カンパチ種苗生産技術開発試験として取り組み、また、平成十六年度からはカンパチ種苗量産化技術開発試験として実施中であります。さらに平成十八年から先端技術を活用した農林水産研究高度化事業にも参画をさせていただきまして、早期の技術開発を図っているところであります。
地元の養殖業者も随分協力をいたしまして、今、種苗から稚魚になって成魚になっていく段階にあるわけですけれども、これは不思議なものでして、最初のうちはなかなか形のいいカンパチにならなかったんですけれども、だんだん改善をされまして、今は非常にスマートな、形のいいカンパチになってきているようでございまして、やはり研究というのは本当に大事なものだなというふうに思うところであります。
現時点では養殖用の種苗を天然種苗に依存しておるカンパチ等の魚介類について、安定した人工種苗の生産技術の開発をどうしても推進していかなきゃいかぬというふうに思うところでありますけれども、そのことについて水産庁の考え方を少しお聞かせいただきたいと思います。
○白須政府参考人 お話がございましたカンパチ、そういったものにつきましての人工の種苗生産という点についてでございます。
人工の種苗生産技術と申しますのは、マダイでございますとかあるいはヒラメ、こういったものにつきましては人工の種苗生産技術というものは確立をされておるわけでございまして、量産された種苗を活用いたしまして、栽培漁業でございますとかあるいはまた養殖生産というものが行われているわけでございます。
一方、先ほど来お話がございましたように、カンパチ、そういった魚介類につきましては、これは共食いを行いましたり、あるいは稚魚のえさというものはなかなか難しいわけでございまして、そういった問題がございますので、なかなか人工種苗生産が難しいというふうな問題がございます。したがいまして、養殖用の種苗を天然に依存せざるを得ない、そういうふうなことになっているわけでございますので、やはり、今後とも安定的な養殖生産を確保していくという上からは、何としても人工の種苗生産技術、こういうものの開発が大変重要な課題であるというふうに認識をいたしているわけでございます。
そこで、私どもも、カンパチにつきまして、人工種苗生産の確立に向けまして、独立行政法人でございます水産総合研究センターと鹿児島県の水産技術開発センターとが共同によりまして、そしてまた、先ほどもお話がございましたが、地元の漁業者の方々の協力も得ながら、問題点でございます共食いの防止でございますとか、あるいはえさの改良といったようなことによりまして、種苗の生残率、要すれば生き残る率でございますが、これが大変現状では低うございまして、五%程度以下しかなかなか種苗が生き残らないというふうな現状でございますが、これを二〇%程度に向上させよう、こういった目標を立てまして、何とか事業化をいたしたいというふうなことを目指しているわけでございます。
そういったようなことを通じまして、今後とも、カンパチの優良な人工種苗生産技術、こういう技術の開発を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
○森山(裕)委員 ありがとうございました。
今、中国から輸入をしてまいります稚魚につきましては、大体ことしは一匹五百円ぐらいまでに上がっているようでございます。人工種苗のところがうまくいって二〇%ぐらいまでに上がれば、大体一匹二百五十円ぐらいでできるんではないかというふうに言われております。これはカンパチの養殖業者にとっては大変ありがたい話でございますので、ここのところの研究をぜひ積極的に進めていただきたいなというふうに思います。
もう一つ、私の選挙区の大隅半島というのは、実は日本一の養鰻の盛んなところでございます。これは、適地適作といいますか、水が非常にいいということ、そして、水温が非常に適しているということがあるんだと思っておりますが、先ほど長官から御答弁をいただきましたように、水産総合研究センターというのは非常にいい仕事をしていただいていると思うんですけれども、この大隅半島の志布志の夏井というところで、志布志栽培漁業センターという施設がありまして、ここでは世界的にも非常に珍しい研究が進んでおりまして、ウナギの種苗生産の研究というのが実は進んでおります。恐らく、これは世界的な研究なんだろうと思います。
ウナギは、卵から仔魚になり、稚魚と言われるシラスになるまでの期間が非常に長いものですから、大変難しいと言われてきたんですけれども、今、シラスになっている、いわゆる稚魚になっているウナギが幾らか残ってきておりまして、これの開発が進んでいくと、シラスウナギをとらなくても人工的に種苗の生産ができるということになりますので、またこれは大変大きな効果をもたらすものだというふうに思うところであります。
ただ、この水産総合研究センター・志布志栽培漁業センターというのは、実は、場長が一人と技術者が三名という極めて小ぢんまりした施設でございますので、どうか大臣、こういうところは少し研究費をしっかりとやっていただいて、もう少し種苗の生産の研究というのをやっていただくことが大変大事だと思いますし、できたら、こういうところを知的財産権でしっかりとくくっておくことが日本の将来の養殖漁業にとっても大変大事なことではないかというふうに思っておりますので、その点もよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
それと、やはり消費者の皆さんから、いわゆる養殖の魚類についての安心、安全への評価というものを高めていく必要があるというふうに思うんですけれども、そのためにはどうしてもトレーサビリティーシステムの導入を推進していく必要があるのではないかというふうに思っております。
その導入をするには、まず第一に、水質、えさの成分及び残留農薬についての検査の方法をどうするのか、あるいは検査単位というのは生けすごとにするのかどうするのか、また費用負担をどう処理するか等の問題があるというふうに思います。
第二に、漁業者が積極的に取り組むためのインセンティブをどう図っていくかということでありますが、具体的には、養殖日誌の記入を日常化し、経営意識の向上を図って、経営体質の改善が目に見えるものとなるとともに、産地ブランドの特性を再発見すること、さらには、漁業者全体の積極的取り組みを促す漁協の指導力と組織力等の課題があるのではないかというふうに思っております。
このような諸課題を乗り越えて、生産履歴を明らかにして、消費に至るまでの流通履歴が追求できるトレーサビリティーシステムをできるだけ早急に導入していくことが消費者に対して安全、安心な情報を発信していくことになりますので、大変大事なことだというふうに思うところでありますが、消費者に信頼される養殖生産を促進するために、トレーサビリティーの活用を初め、どのような取り組みを今後水産庁として考えておられるのか、少しお聞かせをいただきたいと思います。
○白須政府参考人 ただいまお話がございましたように、やはり消費者に信頼をされます養殖生産を促進していきますためには、何といいましても、環境に優しい生産と水産用の医薬品、こういうものを適正に使用していくということが必要でございます。
こういうことを進めているわけでございますが、こういった取り組みにつきまして、今お話がございましたように、トレーサビリティーシステムというものを活用いたしまして、消費者に的確に生産履歴、そういった情報を提供していく。これによりまして、消費者の信頼をかち得ていくということは大変重要な課題であろうというふうに考えている次第でございます。
そこで、養殖魚につきましてのトレーサビリティーシステムの導入につきましては、昨年の三月に、この導入につきましてのガイドラインというものを私ども策定いたしまして、現在その普及を図っているという段階でございます。
そしてまた、その前提といたしまして、ウナギでございますとか、マダイあるいはブリ、そういった養殖の魚につきまして、生産者が行っております投薬でございますとか、あるいは給餌、こういったことにつきましての履歴情報というものを記録していく、あるいは管理をする、そしてこれを消費者へ提供していく、こういうためのモデルシステムというものも開発をいたしまして、生産者の活用を図るというふうにいたしているわけでございます。
こういったことを通じまして、このトレーサビリティーもあわせまして、養殖水産物の安全確保というものに努める必要があるわけでございますが、また、さらに消費者への情報提供というものの充実ということも図りまして、安全で消費者に信頼をされる、そういう養殖水産物の供給ということに努めてまいりたいと考えております。
○森山(裕)委員 養殖漁業をやはりさらに発展させていくためには、トレーサビリティーシステムの導入というものが必要不可欠な政策だろうというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
松岡大臣に最後に少し伺っておきたいと思いますが、大臣は、農林水産物の輸出に積極的に取り組んでおられて、非常に高い評価のできることだなというふうに私は思うわけであります。
養殖魚も今、フィレの加工が随分進んでまいりまして、私の地元でも、中国からも少し引き合いがあるようでございまして、価格的にもうちょっとうまくいくと、輸出が随分可能になってくるのではないかなというふうに思います。
ただ、そこで一番大事なことは、どういう形で加工されているかというHACCP手法の導入というものが、特にこのフィレの加工においては大変大事なことだというふうに思っております。そのことについてどういうお考えなのかをぜひお聞かせいただいて、養殖魚のフィレ加工したものが輸出できるという体制を確立できれば、非常に養殖漁業は明るいなというふうに思うところでございますので、少しお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○松岡国務大臣 農産物の輸出を促進するというのは安倍内閣の一大方針でございます。今、それに全力をもって取り組んでいるところでございます。
実は、きょう朝八時過ぎから中国の李長江検験総局長、大臣と会談をいたしました。米の合意につきまして、最終、正式的な署名をいたした、そういう解決を見たところでございます。また、夕刻は、温家宝総理と安倍総理の会談がありまして、そのことは確認をされることになっております。
いずれにいたしましても、この輸出という中で水産物の占める割合というのは非常に大きなものがありますし、大変な期待がされておるわけであります。長崎県松浦市あたりはこれをもってまちづくりをしていくといいますか地域振興を図っていく、養殖の魚を中国へ向けていく、大変な伸びを示しておるわけであります。
そこで、先生御指摘の点でございますが、この点につきましても、今とにかくこのHACCPによりまして、アメリカやEUに向けてやる場合もこれは義務づけられておるわけでありますから、したがって、そういった中で、フィレ加工を含む水産加工食品のHACCPの認定工場は、厚生労働省と大日本水産会が認定しているものの合計で現在二百六十七施設、うち、こうした養殖魚のフィレ加工の施設はわずか十施設にとどまっている。
こういったこともございまして、水産庁では、加工業者がHACCP手法を導入する際の負担軽減のために、検査機関のコンサルタント等による直接指導、またはHACCPを用いた品質衛生管理のための講習会の開催、さらに、農林漁業金融公庫による低利のHACCP資金等の融資を実施している。いずれにいたしましても、水産加工場におけるHACCPの施設の増加、これについては積極的に取り組んでまいりたい、こう思っているところであります。
また、森山先生からの御指導もよろしくお願いしたいと存じます。
○森山(裕)委員 ありがとうございました。終わります。
○西川委員長 次に、井上義久君。
○井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。
昨日に引き続きまして、我が国水産業の構造改革についてお伺いしたいと思います。
水産業の世界的な動向を見ますと、漁業、養殖業等の水産品への需要というのは非常に伸びています。中国、東南アジアあるいは欧米諸国などでは、健康志向もありますし、それから近年発生したBSEや鳥インフルエンザの影響もあって、魚食への移行が進んでいる。特に、中国、韓国は非常に伸びが顕著でございます。
ところが、このビジネスチャンスともいうべきときに、我が国の水産業は極めて危機的な状況にあって、かつての水産国日本の面影は既にないと言っても過言ではないというふうに思います。
例えば、漁業生産量、生産金額、自給率、これらはピーク時の五〇%に半減をしている。それから、漁業就業者も、一九四九年の百八万人から五分の一の二十二万人に激減をして、しかも六十歳以上の就業者が四七%ということで高齢化している。それから、漁船建造に至っては、その許可数で見ると、ピーク時、これは一九三六年ですけれども、そのわずか二%、二十七隻しかないということで、日本の誇る漁船の造船業はもう崩壊の危機にある。また、水産加工の工場数もピーク時の四分の一となって、経済規模も半減しているという状況です。
私は、我が国の食料自給率の向上とか、あるいは現況の世界の趨勢ということを考えますと、水産業の再生を図るということが我が国としてはもう最重要課題の一つというふうに認識をしております。
まず、松岡大臣に、我が国水産業の現状についてどのように認識をし、またその再生をどのように図っていくのかということについて、その基本的な考え方というものをお伺いしておきたいと思います。
○松岡国務大臣 井上先生の御指摘のとおりでございまして、今、世界の水産物需給というのは大変な大きな変化を実は遂げつつある。私ども、WTO交渉の場に臨みましても、そのことは本当に顕著でございます。
特に中国を初めとする途上国、こういったところの漁獲高の伸びというのは実はもう大変な状況でありまして、今までの水産国と言われていたところがどんどんこういった途上国に漁獲高で追い抜かれている。そしてまた、この需給変化というものが実はまた大変な構造変化も伴ってきておりまして、御指摘のように、中国では余り海の魚はお食べにならなかった、しかし最近では、それはもう大変な伸びでこの需要がふえている、こういうように本当に変化をしてきております。
したがって、私は、こういった変化をどうとらえて生かしていくか、これが日本の水産界にも求められているし、望まれているところだ、それにどう対応していくか、こういう観点だと思います。
そこで、我が国の状況ということになりますと、先生がおっしゃいましたように、漁業者の減少それから高齢化や漁船の老朽化、そういった漁業生産構造というものが脆弱になって、さらにまた燃油価格の高騰、非常に経営も圧迫を受けて厳しい、こういう状況にあるわけであります。
この三月に策定いたしました新たな水産基本計画では、こういった世界全体の需給動向の変化や我が国の現状等をしっかりと踏まえまして、どのように対応していくかということで五つの柱を立てまして、この計画を立てているところでございます。
藻場、干潟の造成、保全による漁場環境の改善や資源回復計画の着実な推進。それから、とにかく収益性重視の経営、もうかる漁業、こういった漁業構造の改善を図っていく、中でも、漁船漁業の構造改革を推進していく、こういうことを目指しておるわけであります。そしてまた、新しい経営安定対策の導入を図っていく、これは積極的に経営改善に取り組む人を対象として行う。また、現場での長期研修、六カ月間を予定しておりますが、を含めた就業までの総合的な支援の提供による新規就業の促進。水産物の輸出戦略の積極的な展開。
こういった五つの柱を立てまして、平成二十九年の食用魚介類の自給率目標を六五%に設定して、現在五七%でありますが、これをそこまで高めていこう、こうした改革を早急に進めまして、国民に対する水産物の安定供給が図られるような力強い水産業の確立を図っていこう、このような思いで取り組んでいるところであります。
○井上(義)委員 そこで、この漁船漁業ですけれども、漁船漁業は、底びき、あるいはまき網、あるいはカツオ・マグロ漁業等、我が国の漁業生産の七割を担っているわけです。
そういう意味で、水産物の安定供給の確保に重要な位置を占めておるわけですけれども、遠洋沖合漁業の一経営体当たりの生産額は昭和五十九年をピークにして減少傾向に歯どめがかからない、さらにまた沿岸漁業も減少傾向にあるということで、今、我が国の漁船漁業は、経営状況の悪化によって代船建造が進まない、高船齢化して、高船齢化するとメンテナンスの経費が増加するということで、さらに、生産性が低下して経営圧迫を生み出すという一種の負のスパイラルに陥っているのが現状だと思います。
今、新しい基本計画の中でも、漁船漁業の構造改革というのが大きな課題の一つになっていますけれども、我が国水産業の骨格を担う漁船漁業の構造改革をどのように進めていくのかということについて、政府の方針をお伺いしたいと思います。
○山本(拓)副大臣 今ほど井上先生から御指摘のように、我が国の遠洋沖合漁業の生産額は大変落ち込んで、大変厳しい現状になってきております。
このため、農林水産省といたしまして、早急に漁船漁業の収益性を改善し、漁船の更新を促進するため、十九年度から漁船漁業構造改革総合対策事業、十九年度予算額五十億を実施することといたしております。
現在、この事業を行うプロジェクトの第一号として、八戸地区において、大中型まき網漁業、イカ釣り漁業等を対象とした、省コスト型で、ヨーロッパ等の輸出市場の基準に合致した漁船への転換を基本として、市場も含めた地域全体が一丸となって収益性向上に向けた改革計画の策定が始まろうといたしているところでもございます。
さらに、室蘭、気仙沼、銚子、下関などの全国地域において、また、沖合底びき網、カツオ・マグロ漁業等の各漁業種類についても同様の取り組みが始まろうといたしているところでもございます。
こうした動きの中で、農林水産省といたしまして、できるだけ地域の皆さんの提案を受け入れながら、また、声に耳を傾けながら、連携をとって、頑張る地域と申しますか、それを積極的に応援してまいりたいと考えております。
○井上(義)委員 今、副大臣からお話がございましたように、今回、漁船漁業の構造改革予算として五十億円を確保したということは、私は大変高く評価しております。ただ、我が国の漁船漁業の実態、先ほど申し上げましたけれども、これを考えますと、まだまだ基本的には十分とは言えないというふうに思います。
一方で、我が国の財政状況は極めて厳しいわけで、限りある予算の中でこの水産業改革を遂行するためには、公共事業予算も含めて、水産予算全体の弾力的な運用が必要なのではないかというふうに私は考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○白須政府参考人 ただいま委員から御指摘ございました水産予算の弾力的な運用という点でございます。
一つには、最近におけますさまざまな政策ニーズ、これが大きく変化をいたしているわけでございますので、これに的確に対応していこうということでございまして、公共予算から非公共予算、こういうものへのシフトというものを実は実施いたしているわけでございます。
また、特にこの十九年度予算につきましては、ただいまのようなシフトという考え方から、委員からもお話がございました、漁船漁業の構造改革ということで、収益性重視の経営への転換、五十億円というものを確保いたしたわけでございますが、これにつきましても、公共予算からの非公共予算へのシフトということで、これを生み出したというふうなこともあるわけでございます。
そういった意味では、まさに委員が御指摘のような、そういう弾力的な運用という観点から予算の執行あるいは策定に努めているわけでございまして、予算の中でも、特に公共事業につきましては、単なるハードの整備のみではございませんで、ソフト的な、資源の生産力の向上、そういうものに資する事業でございますとか、あるいは漁港の整備でございましても、いわゆるコンクリートの塊の整備だけではございませんで、市場の整備といったような、品質なり衛生管理機能の強化というものの整備にも取り組んでいるというふうなことでございます。
そういうふうないろいろな工夫をいたしながら、水産予算の弾力的な運用、そして、それによりまして、全体の水産業の構造改革に資するように私ども努めてまいりたいと考えている次第でございます。
○井上(義)委員 今回のこの五十億円の予算、私はこれが一つのスタートだと思います。ぜひ構造改革のための優先順位というものを明確にして、水産予算全体の弾力的な運用ということを、来年度以降の予算編成の中でもしっかり考えていかなければいけないということを改めて申し上げておきます。
それからもう一点、いわゆる戦後六十年の社会的環境が激変をしているという中で、漁業者間の調整だけでは、我が国水産業の再生と農村の活性化というのは困難な状況になっているのではないかというふうに思います。
我が国の水産業を立て直すためには、新たな資本とか技術とか人とか販売力、そういったものの参入を促すような抜本的な構造改革が必要なのではないかというふうに思います。
今回の法改正でも、一部漁船漁業への参入の促進ですとか、あるいは経営力ある担い手の確保が図られているわけですけれども、水産業の現状ということを考えますと、本格的な構造改革が必要ではないかというふうに思います。
この構造改革によって水産業が再生されますと、これはもう、現行漁業者にとりましても明るい展望が開けるわけでございますし、メリットもあるわけでございますから、私は、構造改革の中長期のビジョンを示して、関係者のコンセンサスの形成を図りながら、早急に改革に着手すべきではないかというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。
○白須政府参考人 ただいま委員から御指摘ございました、構造改革の中長期のビジョン、そういうものを早急に示すべきではないかというお尋ねでございます。
御指摘のとおりかと思っておりますが、この三月に策定をいたしました新たな水産基本計画、これは、水産基本法に基づきまして、今後十年程度を見通して定めました、まさに水産業に関します中長期的な戦略ともいうべきものだというふうに私どもとしては理解をいたしているわけでございます。
また、この策定に当たりましても、実は、相当程度の、もちろん審議会での議論もございましたが、むしろ現地の、水産庁といたしましては、この中間答申が出た段階で、昨年、全国各地で説明会も開催をいたしまして、漁業者はもちろんでございますが、漁業者のみならず消費者の方々、流通、加工の関係の方々、そういう方々にもお集まりをいただきまして、関係者の皆さん方と積極的な意見交換を行うというふうなことで、幅広い、水産業にかかわる皆さん方の、特に現場の意見の反映ということにも努めてまいったわけでございます。
そういったことを踏まえまして、今回、基本計画の策定に至ったわけでございますが、特に御指摘のような構造改革ということが迫られているわけでございまして、先ほど来話に上がっております漁船漁業の構造改革の問題、あるいはまた流通の構造改革の問題、それぞれの分野におけます抜本的な構造改革を行うということによりまして、水産業の新しい展望を切り開く。特に今回の漁業法の改正というものも、一部そういった点も踏まえまして改正をお願いいたしているということでございます。
そういった点を踏まえまして、しっかりとやってまいりたいと考えている次第でございます。
○井上(義)委員 基本計画ができてスタートしたということで、それはそれで大事なことだと思います。極めて待ったなしの状況がありますので、早急に関係者のコンセンサスを図りながら、これに具体的に着手をするということは私は大事だと思いますので、その線に沿って政策運営をぜひよろしくお願いしたいと思います。
それともう一点、この法案に関連して、今回、違法操業の取り締まりの強化を図ることになりました。
私の地元、宮城県でも違法操業、密漁の被害というのは非常に多発して、まじめな漁業者から、取り締まりの強化と無許可操業に対する罰則の引き上げがこれまでも強く求められてきました。今回の改正で違反者の罰則が大幅に引き上げられたわけですけれども、これについては私も大変評価しております。
今回のこの罰則強化による抑止効果とあわせて、漁業者の違反操業に効果のある、この行政処分の今後の運用方針ということについて確認していきたいと思います。
○白須政府参考人 まず、罰則強化の関係でございますが、これにつきましては、まさにそういった密漁でございますとか、あるいは違反操業、大変にこのところ増加をいたしているわけでございます。さらに、これが後を絶たない背景といたしまして、何といっても、罰則の上限が低い、密漁によります利益と比較をいたしまして、量刑が低いということで、犯罪抑止力が弱いということが挙げられておるわけでございます。
したがいまして、今回、罰則の引き上げというものを行うことにしたわけでございますが、過去のやはりそういった違反事例におけます罰則の事例、あるいはまた、そのときの金額等々と比べましても、今回、罰金については二十倍に引き上げるといったような改正ということでございますので、そういった意味からいきまして、ただいま委員からお話がございました密漁の抑止力という点につきましては、私どもとしても、相当の効果があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
それからもう一点、まさにこの違反操業にあわせまして、罰則とあわせまして行政処分ということも実はあるわけでございますが、行政処分につきましては、私どもとしても、漁業法令違反防止、そしてまた漁業秩序の確保ということで、例えば漁船漁業なんかにおきまして、操業禁止区域内において操業したという場合の違法操業でございます。
こういう違法操業を検挙した場合に、停泊命令といったようなことで行政処分というものを行っているわけでございますが、こうした行政処分につきまして、今回、罰則の引き上げとあわせまして、行政処分につきましても、違反の発生の抑止力の向上という観点から、ただいま申し上げました停泊日数の上限を引き上げるといったようなことで、その運用基準につきまして厳格化を図ってまいりたい。さらに、処分の基準を公表することによりまして運用の透明性を図っていくといったようなことを、今回、行政処分につきましても、運用の改善強化というものを行おうということでございまして、こういうことによりまして、しっかりと漁業法令違反の根絶、さらには適切な漁業秩序の維持、確保ということに努めてまいりたいと考えている次第でございます。
○井上(義)委員 捕鯨の問題について、ちょっとお聞きしたいと思います。
捕鯨に係る国際交渉につきましては、IWCを主舞台にして、捕鯨国と反捕鯨国の大変困難な交渉が続いているわけです。本年二月にIWC正常化会合が行われました。この結果を踏まえて、ことしのIWC総会に政府はどのような方針で臨むおつもりなのか。まず、これをお伺いしておきたいと思います。
○白須政府参考人 昨年の第五十八回のIWCの総会におきましては、一票差ということではございましたけれども、鯨類の持続的利用、そして、文化伝統の相互尊重の重要性、こういうことを盛り込みましたセントキッツ宣言が採択されるということで、大変大きな前進が見られたというふうに考えているわけでございます。
私どもとしては、本年の二月に東京でIWCの正常化会合というものを開催いたしまして、いわゆるIWCというのは鯨類の資源管理機関という位置づけなんでございますが、現在のところ、これが機能不全に陥っているということで、このIWCの現状を改善を図っていこうということでの意見交換の場を設けたわけでございますが、残念ながら、多くの反捕鯨国が会合をボイコットいたしました。
しかしながら、スイスを初めといたします一部の反捕鯨国につきましては、これは東京におけます正常化会合にも参加をしてもらいまして、したがいまして、捕鯨国、反捕鯨国の間で、冷静かつ建設的な議論が行われたというふうに考えているわけでございます。
この結果につきましては、議長報告にまとめまして、ことしの五月の五十九回のIWC総会に報告をされることになっているわけでございますが、まさに、ことし五月に開催をされます五十九回のIWC総会につきましては、実は昨年、セントキッツ宣言が採択されたというふうなことでございまして、反捕鯨国側といたしましては大変に危機感を抱いているというのが現状でございます。したがいまして、反捕鯨国におきましては、クロアチアを初めといたします三カ国を新たにIWCに加盟をさせたといったようなこともございまして、現在巻き返しの動きというものが大変に厳しくなってきているわけでございます。したがいまして、ことしのIWCにつきましては、状況としましては昨年よりも大変に厳しくなるのではないかというふうに予想をされるわけでございます。
私どもとしましては、ことしのIWCに向けましては、一刻も早くIWCの正常化が必要でございます。また、それに向けまして、鯨類の持続的な利用を支持する国々と連携をしながら、一日も早く商業捕鯨が再開できるように努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。
○井上(義)委員 これは現実的な課題として、調査捕鯨の継続をどう担保していくかという問題があると思います。
去る二月に、調査捕鯨の母船になっています日新丸、これが九八年に次いで二度目の火災を起こしまして、不幸にして亡くなった方が出ました。御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。
日新丸は二十年前に建造されて、既に老朽化しているという問題があります。しかも、改造を繰り返しておりまして、安全航行上、操業上も大きな問題を抱えています。私は、調査捕鯨の円滑な実施、それから航海及び乗組員の安全のためにも新船を建造すべきだというふうに考えております。今非常に船価が上がっておりまして、建造着手の時期がおくれると経済的な負担も非常に重くなりますし、それから完成の時期も非常におくれてしまうというようなことで、不測の事態が起こると調査捕鯨が継続できないという状況になりかねないという問題がございます。
私は、政府としてもそろそろ決断すべき時期が来ているんじゃないか、早急に決断すべきじゃないか、こう思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
○白須政府参考人 ただいまお話がございました、現在、調査捕鯨を実施しておりまして、今回、残念ながら火災を起こしました、この日新丸の代船建造についてということでございますが、お話のとおり、この船は船齢が二十年を超えておるというふうな状況にあるわけでございます。また、大変に過酷な気象条件でございます南極海で長期間にわたりまして調査を行うわけでございますし、また、平成十八年度からは南極海調査におけます捕獲頭数を大幅に拡大しておるといったような状況もあるわけでございますので、ただいまお話しの日新丸の代船建造ということにつきましては、その必要性につきましては、大変にこれは高まってきているのではないかというふうに認識をいたしているわけでございます。
他方、戦後我が国におきましては、商業捕鯨をやっておりました時代も含めまして、母船の建造は昭和二十六年に一隻を建造して以来やっておらないわけでございまして、半世紀以上の間、新船は建造されておらないということでございます。したがいまして、新船建造を行う場合には、やはり設計に相当な時間がかかるのではないかというふうに考えているわけでございます。
いずれにいたしましても、日新丸の代船建造につきましては、ただいま申し上げましたような状況を踏まえまして、この船舶の所有者は共同船舶という株式会社でございますし、また調査の実施主体は財団法人の日本鯨類研究所でございます。したがいまして、そういうところとも私どももしっかりと協議をしながら、この代船建造の問題については検討する必要があるというふうに考えている次第でございます。
○井上(義)委員 これは、大臣、最後にちょっとこの件について確認しますけれども、要するに、今修理しています、それで、北太平洋の調査捕鯨が始まりますから、そこは大丈夫でも、次の南氷洋は危ないんじゃないかという声が関係者の中にあります。
これができないということになると、調査捕鯨自体が継続できないということになりますと、我が国の国益にとって極めて重大な損失ということになるわけで、政府が直接つくるものじゃないということはよく理解していますけれども、やはりここは政治が決断をしないとこのことはなかなか進まないんじゃないかというふうに私は思います。
我が国の調査捕鯨の継続という政府のきちっとした意思を示すという意味でも、ここは決断すべきときじゃないかなというふうに思いますけれども、ちょっと大臣、お願いします。
○松岡国務大臣 今長官の方からお答えをしたことは、現時点における政府としての一つの考え方、そのとおりでございますが、井上先生の御指摘も、これまた大変重要なポイントであると思います。
したがいまして、どのように対応していくかということにつきましては、いろいろな観点から総合的に検討をして、そして、やはりその上に立って判断をし決めていくべきである。
いずれにしても、先生御指摘のように、調査捕鯨というのは日本にとって重要なものでございますし、国民全体の観点からもこれは大変必要なことでございます。そういう観点で、支障のないように、また、その主体となる船がしっかりとした調査ができるような、そういう状況ということをしっかり我々は責任を持ってやっていく必要がある、こういう観点で、井上先生の御指摘はしっかり受けとめさせていただきまして、今後あらゆる観点から対応を十分検討してまいりたいと思います。
○井上(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○西川委員長 次に、菅野哲雄君。
○菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。
海洋資源保護の観点から、現在、遠洋、沖合漁業の十三種類について、漁業調整のための制限措置が講じられています。
今回の漁業法改正で、これら指定漁業の許可要件として、新たに経理的基礎を持っていることがつけ加えられることになりました。現在の漁業法におきましても、漁業を営むに足る資本を持っていることが適格性の要件とされています。これだけでは不十分だということで新たな要件が加えられることになったのだろうと思います。
そこで、現行の適格要件で何が不十分なのか、どのような問題が起こっているのか、改めて簡潔に御説明願いたいと思います。
○白須政府参考人 現在の指定漁業の許可に当たりましての適格性要件といたしまして、現行の漁業法におきましては、漁業を営むに足る資本を有する、いわゆる資本要件というものが定められているわけでございますが、この要件だけでございますと、慢性的な債務超過でございますとかあるいは構造的な収益悪化に陥りまして継続的に指定漁業を行うことができない、こういった漁業者でありましても許可を受けることができる、こういうふうになっているわけでございます。
そこで、こういった漁業者に対しまして指定漁業の許可を行うということになりますれば、許可期間中の倒産でございますとか、あるいは不定期の休漁というおそれがあるわけでございます。したがいまして、適切なレベルの漁獲量というものが期待をできない。さらにまた、こういった漁業者は経営上の余裕がないということでございまして、したがいまして、先ほどもお話がございましたが、操業ルールの遵守の問題、あるいはまた資源管理への協力というものが期待をできないといった問題がございます。したがいまして、限られた資源の中での、いわゆる水面の効果的なあるいはまた総合的な利用の確保ということを図ることができない、こういうおそれがあるわけでございます。
したがいまして、今回の改正によりまして、現行の資本要件に加えまして、「その他の経理的基礎」ということを追加いたすわけでございます。したがいまして、今後は指定漁業の許可を、その有効期間中に継続的に漁業を行うことができる、そういう漁業者に対して行うことによりまして、効率的な漁業経営の確保あるいはまた安定的な漁業生産の確保というものを図ることができるというふうに考えている次第でございます。
○菅野委員 感覚的には今の水産庁長官の答弁でわかるつもりなんですが、経理的基礎というだけでは、一般的には何を指しているのか大変にわかりにくいと思います。ましてや、それを許認可の要件に据えるのであれば、私は明確な基準が必要だというふうに思っているんです。
許認可権を持つ農水大臣、農水省がこの経営状態では認められないと判断しても、当の漁業者の方は生活がかかっていますから、船舶を持っている限り指定漁業者になることを望むのも当然だと思います。したがって、許認可要件としての経理的基礎の基準がだれにとっても納得のいくようなものでないとトラブルが起きるのではないかと思います。
そこで、適格要件とする経理的基礎の基準はどこに置くのでしょうか。また、申請者とのトラブルが起きた場合の苦情処理、不服申請などの手続はどのようになっているんでしょうか。説明願いたいと思います。
○白須政府参考人 指定漁業の許可要件の見直しにつきましての、今お話のありますいわゆる経理的基礎の具体的な基準ということでございますが、今回の指定漁業の許可要件、これはやはり漁船漁業の経営の改善でございますとかあるいは構造改革というものを促進する、こういう観点から、申請者の経営状況を勘案するというふうに見直すわけでございます。
具体的には、許可の要件として経理的な基礎が備わっているかどうかということを追加するわけでございますが、この判断に当たりましては、一つといたしまして、資本の状況、すなわち一定の年数連続をいたしまして債務超過ではないということでございます。それからもう一つは、経常収支の状況ということでございまして、一定の年数連続をして経常収支がマイナスでないという要件でございます。それから三つ目といたしましては、経営状況が悪化をいたしておる経営体につきまして、経営改善を図ることが可能か否かといったような、そういう要素を十分に考慮するという考えでございます。
したがいまして、この許可要件を見直すことによりまして、優良な経営体の確保ということにつながってくるわけでございますし、また効率的な漁業経営の確立ということにも資するものであろうというふうに考えているわけでございます。
ただ、今回の許可要件の見直しにつきましては、改正法の公布の日から三年以内に施行されるということになっておりまして、実はことし八月に御案内のとおり許可の一斉更新があるわけでございますが、その際にはまだ適用されないということでございます。おっしゃるように、この点につきまして、今後、経理的基礎を入れるということにつきましては、漁業者団体などを通じまして十分周知を行っていく。そして、五年後の平成二十四年の次回の一斉更新に向けまして、各漁業者が経営状況の改善でございますとかあるいは点検を行うことができますように十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
それから、委員から御指摘ございました不服審査でございますとかそういった点、もしあればということでございますが、これにつきましては、現在もそういった許可の際におけます不服審査の手続があるわけでございます。そういった一般の手続でもってこの点につきましては処理をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○菅野委員 もう一点ですが、今回の法改正では、適格性が喪失したとみなされる場合、農水大臣が許認可を取り消しできる条文が新たに設けられております。
そこで、指定漁業の適格性要件を欠いた場合、農水大臣が許可を取り消すことを原則としているんですが、経理的基礎については取り消すことができるという条文になっており、他の要件とは異なって、任意となっております。これは何か意味があるのでしょうか。
○白須政府参考人 ただいまの委員からのお話の、指定漁業の許可を有しております者が経理的基礎を有しなくなった場合に許可の取り消しが行われるわけでございますが、これが農林水産大臣の裁量といいますか、それにゆだねられておるその理由というお尋ねでございます。
この点につきましては、実は、先ほど申し上げました経理的基礎、この経理的基礎の判断に当たりまして、やはり債務の超過の問題、それから経常収支の状況の問題、そういった点につきましての判断ということが前提としてあるわけでございます。
こういった債務あるいは経常収支の状況ということに基づきます経理的な基礎に関しましては、許可を受けました時点では、当然、許可を受けるわけでございますから十分に条件を満たしておったということになるわけでございますが、それ以降、実は、漁業者の責めによらない、そういった事由が発生をいたしまして、これによって、この経理的基礎の先ほど申し上げました債務の点あるいは経常収支の点につきましての要件を欠いていくということで、そういう事由が発生をいたしまして一時的にそういう基礎を欠くということがあり得るわけでございます。
例えば、一たん許可を行いまして、そのしかる後に自然災害が発生をしたといったようなことで、その影響によりまして漁獲量が激減をする、そういうふうなことで経営状況が著しく悪化するということがあり得るわけでございますが、こういった場合につきましても一律に許可を取り消すということになりますれば、漁業者にとりましては大変に厳しい処分になるということがあり得るわけでございます。
したがいまして、こういった事態を回避するということで、資本その他の経理的な基礎というものを事後的に欠くこととなった場合、こういう場合には、農林水産大臣が、その都度許可等の取り消しの要否を判断するというふうなことで、したがいまして、冒頭お話がございました、農林水産大臣の裁量によるというふうな規定にいたしている次第でございます。
○菅野委員 なぜこのことを取り上げているのかという、長官、聞いていただきたいんですが、遠洋マグロ漁業などというのは相当厳しい漁業環境に置かれているんです。この経理的基礎というものの明確な基準は今示されていません。一般論としての答弁だろうと私は思っています。
一回の操業で仕込んでいって、一回の操業で一億、二億、下手するとそういう状況です。それで相当な負債を抱えながらも経営していっているというのが実情なんですね。だから、この遠洋マグロ漁業を取り巻く状況というのは、環境が厳しいがゆえに、非常に経営体質も脆弱化、弱っています。そこにこの基準を設けて厳格に適用していったならば、日本における遠洋マグロ漁業というのは本当になくなってしまうんじゃないのかなという危惧を抱いています。
だから、三番目に、取り消すことができるというふうなやわらかな表現にしたんだというふうに思いますけれども、この適用基準というのは、私は慎重にやるべきだというふうに思っています。そうでなくても、国が漁船漁業に対して大きな負担をしているんだったらわかります、ほとんど負担はしていない、許可だけの実情に今あるわけですから、これは答弁要りません、本当に考えてほしいということなんですね。
それで、私が言いたいのは、許可の条件に経理的基礎を置くというよりも、まず銀行がお金を貸してくれないんです。それで今、金融庁が負債を整理しなさいという状況の中で、銀行から継続して資金援助できなくてどんどん倒産に追い込まれていっているという実態が存在するわけです。
そして、新たに許可要件にこういうものを入れるということは、私は、政府が物すごい援助をしていて、支援をしている中でやるんだったらわかるんですけれども、何にも一切支援なしの状況で、銀行取引だけでやらせておいて、新たなこういう基準を許可の時点で設けるということ自体に疑問を挟んでいるということでございますから、この適用に当たって、三番目の、取り消すことができるという、わざとこういう条文にしたことですから、慎重な判断というものが必要だというふうに思います。
それで、負債は一年、二年で回収できるものではございません。約五年、十年かかってやっと負債を解消できたな、そういう状況が漁船漁業の実態だということを踏まえて対処していただきたいということを強く申し上げておきたいというふうに思います。
次に、指定漁業の許可特例について質問します。
ことしは、指定漁業の一斉更新が行われる年度です。数字だけを見ると、指定漁業の許認可件数は減少傾向にあります。
そこでお伺いしますが、許認可件数の減少は、許認可の基準に合致しない漁業者が多いことが原因なのか、それとも申請件数そのものが減少しているのか、どちらでしょうか。答弁願いたいと思います。
○白須政府参考人 ただいまの点でございますが、その点につきましては、廃業をされた船といったようなものを削りまして、それによって枠の公示を行っている、その結果ということでございます。
○菅野委員 やはり許可申請するにしても、ここにも漁船漁業の体力の低下というものがあらわれているんですね。新規参入しようとしても、なかなか参入していけないという構造的なものが私はあるというふうに思っています。
それで、今回、試験研究や新技術の企業化と合致する基準について、法案は政令で定めるとしていますが、現状どのような内容を考えているのか、御説明願いたいというふうに思います。
○白須政府参考人 まず一点申し上げたいのは、これは政令ではございません、政令で定めるということではございません。
そこで、この許可の特例と申しますのは、試験研究でございますとかあるいは新技術の企業化を行いまして漁業を営む者、これに対する許可の特例ということでございまして、中身といたしましては、未利用資源の活用でございますとか、あるいは省コスト、あるいは省エネ、そういった漁業生産力の発展、特にこれに寄与すると認められます試験研究あるいは新技術の企業化を行います漁業者に対しまして、これは実績者が当然優先をされるわけでございますが、この実績者に次いで、一般の新規参入者には優先をする、こういう形で指定漁業の許可を与える、こういうことでございます。
そこで、この新技術の企業化の成果によりまして、従来から許可を受けておった実績者と同程度の漁業生産を確保することが可能となりました場合には、次回の許可等の更新の際には、実績者ということで優先して許可を与えるということになるわけでございます。
こういった措置によりまして、新たな技術革新でございますとか、あるいは新規参入、こういうことが促進をされまして、漁船漁業の構造改革にも資するというふうに考えている次第でございます。
○菅野委員 そこで、今の答弁で少し疑念が生ずるわけですけれども、漁業経営を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。収入の減少と高齢化、さらには燃油高や魚価安なども加わり、先ほども言ったように、漁業経営者の体力そのものが低下しております。
新しい水産基本計画では、漁業における構造改革の必要性が強調されております。今回の法改正でも、試験研究や新しい技術を持った人たちを優先的に新規参入させることで漁業の構造改革を進めることが一番の目的だという答弁が今の答弁でもされております。
しかしながら、これだけ漁業経営の体力が低下している中で、試験研究や新技術の導入に資金を投入できるような人たちはかなり限られているのではないでしょうか。そのような経営力を持った人たちを優遇することで、既存の漁業経営者、とりわけ、小規模でも自転車操業で一生懸命漁業を営んでいる人たちを駆逐したり、重い負担をかけることにはなっていかないだろうか、ここに疑問を持つんですけれども、このことに対して答弁願いたいと思います。
○白須政府参考人 委員からもお話がございました、試験研究あるいは新技術の企業化を行いまして漁業を営む、こういう形での許可の特例というものが一般の実績者に対して悪影響を及ぼすおそれはないのか、こういうふうなお尋ねでございます。
これにつきましては、こういった許可の特例というものは、一般の新規参入者には優先をして行うというものではございますけれども、一つといたしましては、そもそも資源の増殖でございますとか、あるいはまた漁業調整、そういうものに支障を及ぼさない、こういう範囲で行われるということ。それからもう一つは、実績者につきましては、これは、ただいま申し上げておりますような試験研究、こういうものを行う者を含めました、いわゆる新規参入よりも優先して継続許可を受けることができるということでございますので、現に指定漁業を営んでおられる、現在やっておられる実績者の操業につきましては悪影響が及ぶものではないというふうに考えているわけでございます。
また、実際に申請がありました場合には、指定漁業に関します資源状況でございますとか漁業調整の状況、あるいはまた、試験研究あるいは企業化の内容というものも十分に検討いたしまして、漁業生産力の発展に特に資するものであるかどうかというものを慎重に審査いたしまして許可をするというふうにしております。
そういうことで、実績者に対する影響というものは、これによりまして排除されるというふうに考えている次第でございます。
○菅野委員 私は、指定漁業に新規参入が図られるような農林水産省としてのしっかりとした取り組みというものがぜひ必要になってきているんだというふうに思います。後でも、別の機会に、水産業全体について、まとめて質問していきたいというふうに思っています。
今の経営が非常に厳しい中で、新技術や試験研究というものに手を出しながらも参入していこうという意欲を持った人たちが出てくるのかなという懸念さえ持っているということですから、こういう制度をつくったということであれば、ぜひしっかりとした取り組みを行っていただきたいというふうに思っています。
次に、密漁の問題でお伺いしたいというふうに思っています。
最近は、アワビやウニ、ナマコなどの密漁が広範囲に、組織的に行われているようですが、このような密漁による被害の実態について、簡単に御説明願いたいと思います。また、組織的に、広範囲にわたって行われるような密漁は、いつごろから顕著になってきているというふうにとらえているんでしょうか。答弁願いたいと思います。
○白須政府参考人 密漁の関係でございますが、都道府県からの報告によりますと、こういった密漁も含めまして、沿岸域におけます漁業関係の法令の違反、これは平成十四年で見てみますと約九百件ぐらいでございましたのが、平成十七年には千三百十一件ということで、大変大幅に増加をいたしている傾向にあるわけでございます。
また、特にその割合といたしまして、漁業者が違反をしておる場合と、いわゆる非漁業者の違反というものを見てみますと、かつては漁業者がその違反の八割ぐらいを占めておったわけでございます。非漁業者は二割ぐらいの割合であったわけでございますが、平成十七年を見てみますと、非漁業者と漁業者の割合がほぼ同じぐらいということで、大変に非漁業者の占める割合が増加をいたしておるというふうなことでございます。
委員からお話がございました、いつごろからこういった形がふえてきたのかというお尋ねでございますが、子細に全部をチェックいたしているわけではございませんが、やはりここ近年、ここ三、四年のことではないかというふうに考えているわけでございます。
特に、近年の問題といたしましては、アワビでございますとかウニ、ナマコ、そういういわゆるいそ根資源が大変に高価なものになってまいった、そういうことを期待いたしまして、非常に悪質化した、あるいは組織化、広域化をした、そういう常習の密漁グループによります潜水器を使った密漁というものが問題になっているわけでございます。
昨年検挙をされました悪質な事例を挙げてみますと、北海道の南部におきまして暴力団関係者が中心となった密漁グループでございますとか、あるいは遠くの、むしろ大変に遠隔の県からの密漁グループがわざわざいそ根資源をねらってやってまいるというふうな、そういった形での潜水器密漁というものもあるわけでございます。
ちなみに、この北海道の南部の事例を申し上げれば、地元の海上保安部に検挙をされますまでに、一年九カ月にわたりましてウニを八十九トン密漁しまして、約八千五百万円相当の違法漁獲が行われておったということが報告をされておるというふうに聞いているわけでございます。
○菅野委員 私の地元でもアワビの密漁というものが横行していて、本当にそこに対してどう対応していったらいいのかというのは大きな課題だったわけでございます。
今回罰則が強化されたことによって、大きな密漁に対する取り締まりというものが図られて、密漁の防止につながるように、しっかりとした体制を行っていただきたいと思うんです。現在でも罰則があることを十分承知しながら密漁は行われているわけですが、罰則が強化されれば犯罪の手口も一層巧妙になるのではないかと懸念します。したがって、罰則強化と同時に、違法行為の摘発、取り締まり体制を強化することが大変重要になっております。
今回の法改正で、国の漁業監督官と都道府県の漁業監督吏員の相互の協力や区域外での捜査を可能としておりますが、例えば、国の漁業監督官の数は三百人を少し超える程度だと伺っております。都道府県の漁業監督吏員との協力は結構なことだと思いますが、国の漁業監督官の数や体制は十分なのでしょうか。この点についてお答え願いたいと思います。
○白須政府参考人 ただいま委員からもお話がございました国の漁業監督官の数ということでございますが、これにつきましては、平成十八年、たしか三百十七名ということでございます。平成十九年に向けましてはその数も、たしか定員も増加をいたすというふうに承知をいたしておりまして、そういった意味では、さらに取り締まり体制の強化ということにつなげてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○菅野委員 密漁防止はこれまでずっと課題だったんです。これが広域化して全国展開しているという状況がわかっていても、それを取り締まる体制が不十分だと申し上げなければならないというふうに私は思います。罰則強化されただけで密漁がなくなるというふうには私は思っていません。
ぜひ、漁業経営に大きな影響を及ぼす密漁という問題を、これは漁業者が密漁するんじゃなくて、ほかの、暴力団の方々というふうに広まっていっていますから、非漁業者の密漁が横行しているという実態をしっかりとらえて、体制を整えて密漁防止に取り組んでいただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
○西川委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二分休憩
――――◇―――――
午後二時開議
○西川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山田正彦君。
○山田委員 きょうは、松岡大臣と少し議論できるかと思っておりましたら、我が党は、松岡大臣には、何か釈明するまでは質問しちゃいけないという国対の方針のようで、非常に残念でありますが、きょうは副大臣、政務官と率直にひとつ意見交換をさせていただきたいと思っております。
最初に、昨今、新聞で米国産牛肉の問題がまた出ておりまして、そこだけ少しさわらせていただきたいと思っております。
三月の二十八日ですか、またカーギル社から、ドッジシティー工場ですか、タンが二トン、これは全く日本向けじゃないもの、いわゆる二十カ月齢以下じゃないものと思われるものが入ってきておった。また、タイソンのレキシントン工場、これも先般からいろいろ騒がれておりました。
特に、これについては、ジョハンズ長官が、二月の二十三日に、牛肉問題で月齢違反認めるという記事まで出ておったということで、米国産牛肉の問題があれだけ言われていながら、依然として、さらにまた、二月の二十二日には、ソーセージに米国産牛肉、これは加工食品に入れてはならないというのに入れておった。そういうことまでありまして、これはなし崩し的に米国産牛肉についてはこういう事態が入ってきている。
となれば、当然のことながら、日本とアメリカとの合意にあるように、タイソンとかカーギル、そういった会社については、このレキシントンの工場だけではなく、すべての工場についての輸入禁止をすべきじゃないか、そう思われますが、副大臣、いかがですか。
○山本(拓)副大臣 農林水産省といたしまして、厚生労働省としっかり連携を組みながらさせていただいているところでありますが、いずれにいたしましても、日本の国内で、全品検査と申しますか、水際でそういったものを指摘している点においては、きちっと対応させていただいているところでございます。
その中で、先方の工場単位のどうのこうのという話は、我々として、何事においても、言い方を間違えると怒られますが、万が一という言葉がありますように、どんな製品でも万が一の間違ったものが混入するのが一般の工業製品において言えば例でありますし、要するに、それを排除するというチェックシステムを今国内で整備しております。それが、現時点では、適正にチェックして未然に防止しているという現状でございます。
○山田委員 万が一ということですが、ここのところ、二カ月、三カ月の間に三回も続けて同じようなことがあって、万が一と。しかも私が行ったレキシントン工場について、そういう、そのほかの工場については、やる気はないのかあるのか、はっきりした答えをもらわなかったように思ったんですが、いずれにしても、抜き打ち検査はやらなきゃいけないんじゃないのか。
副大臣、その抜き打ち検査をやるかやらないか、それだけで結構ですから、やらないというならやらないで結構です、その答えだけ言ってください、もう長々と要りませんから。
○石田副大臣 お答えいたします。
この問題につきましては、米国側が行う抜き打ち査察に同行して、対日輸出プログラムの遵守状況を検証している、こういうことでございまして、日本側が直接乗り込んでやるということではないと私は思っておりまして、この抜き打ち検査につきましては、しっかりと対象施設を選定して、効果的なチェックが可能となるように対応してまいりたいと思っております。
○山田委員 相手方と一緒になって抜き打ち検査をやるということですが、抜き打ち検査をやるとは言わないで、抜き打ち検査の検討をしたいと言ったのかな、非常にあいまいで、かつ、私は、この問題はまたいずれの機会に集中的にやらせていただきたいと思っていますので、これ以上言いませんが、一つだけ。
韓国も中国も、まだアメリカからの米国産牛肉は危ないからということで入れていない。しかも、骨つきの肉は入れないということになっているのに、既に日本では骨つきの肉が八百五十八キロも入っている。これについては、聞いたって同じ答えでしょうから、時間がもったいないし、次回に譲りましょう。
いずれにしても、こういう問題は、もう一度我々は、鳥インフルエンザも含めて食の安全ということで、集中審議なり徹底的な審議をぜひ要望いたして、本来の漁業の問題に移らせていただきたい、こう思います。
今回、大臣指定漁業、例えば大中型まき網あるいは底びきについての一つの改正ですが、大きな改正ではなく、ちょこっとした改正なんですが、そんな中で大変気になるというか、むしろ沿岸漁民が求めておったのはそんなものじゃないといいますか、全国各地で、やはり大臣指定の大型のまき網と底びきと、そして沿岸漁民とのトラブルというのは結構あるわけです。
その中で、今回、各地で、例えば長崎県においては対馬とか五島あたりで、沿岸漁民から、大中型まき網について、三マイルと指定されているものを五マイルにしなければ沿岸漁民はやっていけないという請願、陳情がかなり来ていると思っております。それについて、今回、八月に更新されることになっておりますが、そういったことを配慮したのか、そういう審議をしたのかどうか、ひとつ副大臣、答弁いただきたい。
○山本(拓)副大臣 御案内のとおり、そういうトラブルごとは、実は私のところの福井県でも同じようなことがあるわけであります。
ただ、御案内のとおり、今回の一斉更新の中身におきまして、また、特に水産政策審議会の議論の中におきましては、いわゆる全体的な議論は六回にわたりやりましたが、そういうそれぞれの個別具体的な地域の問題については、水産審議会ではいたしておりません。
と申しますのは、御案内のとおり、沿岸とそこの線引きの合意につきましては、それぞれ今までの過程の中で、平均五年置きに、今からいくと五年前ぐらいに合意を得て、そして、絶えず、少し沿岸側から沖合に出たいという一方の希望は一律出てきております。それに対して、それでは困るという、立場変われば逆の立場の議論が成り立つわけでありまして、そこはあくまでも、水産庁というか農水省というか、強制的に合意をさせる権限が法律的背景にありませんので、精いっぱい、同じテーブルにのって話をしていただくという環境づくりに徹しているところでもございます。
先生の御地元の、今御指摘ありました五島のところにつきましても、五年前からなかなか話がまとまりませんで、やっとのこと、昨年、とりあえずの暫定的な線引きを合意していただいて、そしてまた今回、もう一度、話し合いがスタートしたというふうにお聞きいたしております。
○山田委員 副大臣、五島も三マイルの問題なんですが、今の話は対馬の話じゃないかと思うんです。今の、最近合意したとかという話は対馬だと思うんですが、まあそれは結構です。
ただ、副大臣、大臣許可の問題ですから、それについて合意ができなかったとか云々とかじゃなくて、大臣が許可を更新するに当たっては、当然のことながら、本当に更新していいのかどうか、あるいは更新するについての条件、例えば魚種についての条件とか期間についての条件とか、いろいろなものは大臣のところで決めることができるわけでして、合意ができなかったからそのまま更新したということにはならないわけです。
大臣に、農水省に直接そういう激しい陳情が来ているのは御承知のとおりで、それについて大臣として配慮したのかどうか、どういう手続をとってそういう陳情について処理したのか、どういう理由でそれができないと言ったのか、それを明確にお答えいただきたいと言っているわけです。お答えいただきたいと思います。
○山本(拓)副大臣 合意をしなければ大臣許可を出さないという直接的な因果関係で今までの運用はなされたことはございません。
実際問題として、それをリンクしてやらせるのがどうかという議論は、また別な議論が発生するわけでありますが、ただ、御案内のとおり、そういう先生御指摘の点については、しっかりと話し合いに乗っていただくように、特に広げたい方とそれを阻止したい側の立場はそれぞれありますが、大臣許可を出すという水産庁の権限も実際ありますから、そういうものの背景の中で、積極的に、平和的に話し合いのテーブルにのっていただくということを粘り強く、辛抱強く、積極的にお願いしているというのが現時点でございます。
○山田委員 話し合いしろ話し合いしろと言ったら、百年たっても二百年たっても解決するわけはないので、言ってみれば大臣の許可権限なんですから、それについて、当然のことながら、大臣官房としても、大臣としても、水産政策審議会でこのことをかけなきゃいけない、論議してもらわなきゃいけない。論議したのか、論議していないのかと聞いているんです。
○山本(拓)副大臣 先ほども申し上げましたように、個別具体的なものについては議論をいたしておりません。
というのは、個別的な話になりますと、うちの地元の三国沖の話も出てまいるわけでありますが、それはそれぞれ背景が別でございますので、全体的に、地元のルールとしては双方の合意のもとでやっていただくという、山田先生の性格に輪をかけたような粘り強さで、しっかりと今やっているところでございます。
○山田委員 話し合え話し合えと言っていますが、水産政策審議会で大まかな話しかしなかったと言っています。ところが、この問題で私は水産政策審議会の議事録を手に入れてみた。この議事録の中に、この附せんをつけたところ、これはすべてまき網に関しての審議事項です。
ところが、この中で、確かに資源が減ってきた、そして、経営が大変厳しくなったというのはあります。さらに、まき網について細かく、いわゆる技術的な問題についても、まき網側に立った、例えば十三ノットで進入して、回転は八から九ノットで回転させたということです、まき網の一分間隔の画像は図のように云々というふうに、かなり細かい具体的な検討をしております。副大臣、まき網について、かなり具体的な細かい検討をしております。ところが、物すごい陳情が上がっている沿岸からの三マイル、五マイルの問題については、一切これに触れていない。これは何事か。いかがですか。
○山本(拓)副大臣 審議会の下に小委員会が設けられていまして、そこでの議論だと思います。
確かに、全国いろいろな立場で、いろいろな要望、いろいろな議論がございますので、全くそういうものを議論しなかったわけではないとは思いますが、その親元の水産審議会のベースのところにおいては、基本的に一切そういう議論はいたしていないということであります。
○山田委員 一切やっていない、細かい論議はしないんだと言いながら、具体的なまき網の側に立った論議はしていて、そして副大臣は、今言ったような大多数の沿岸漁民の立場は全く考慮せずに話し合え話し合えと言っているわけですが、先ほど言いました分科会、これを検討している分科会のメンバーを副大臣は御承知ですか。ちょっとこれ、手元に資料があったら見てください。
この中に、北海道の海区の漁業調整委員会会長というのがありますが、九州海区の会長はありません。その中で、中央市場とかいろいろなものがあります。いろいろな方々がありますが、全国海水養殖とか全国水産加工とか、日本遠旋というのがあります。ところが、地元の小さな沿岸の代表というのは、全漁連の専務ですか、全漁連は入っていないんですかね、入っていませんね。ということは、結局、沿岸漁民の代表は入っていないということですね、この水産政策審議会の分科会のメンバーに。
これはどういうことですか。いわゆる資本漁業とか、そういう関係ないところの者が含まれておって、大事な、五年に一回更新するに当たっての政策審議会の中で、そういう沿岸漁業の代表者も含まれていないということですか。副大臣、お答えいただきたい。
○山本(拓)副大臣 メンバーとしては、全国漁業協同組合連合会代表理事専務の宮原邦之さんが入っております。ただ、何遍も申し上げますけれども、いわゆる資源管理分科会委員の話し合いにおきましても、個別具体的な議論は本当にやっておりません。
全体の流れを言いますと、沿岸の権利を全国的に見ると、だんだん延ばしているのが実態でございます。そういう中で、もともとのまき網漁業の将来のことをどうするかというのは、その話とは別な議論としてやっているのは事実でございます。
○山田委員 この資源管理分科会委員の中には入っていますが、これを実際に審議している資源管理分科会の特別委員の中には、沿岸漁民の代表は入っていませんね。
いずれにしても、むしろこの構成メンバーからして、これは本来、沿岸漁民の代表を、九州海区の漁業調整委員会の委員とか、あるいは実際に沿岸で漁業をしている、例えばどこの海区でもいいですよ、それは副大臣のところの海区でもいいですけれども、一方のまき網が入っていて、実際に沿岸でやっている漁業者の代表が入っていない、そういうところの政策審が余りにも一方的ではないですか、立場からして。いかがですか。
○山本(拓)副大臣 今ほど、入っている、入っていないという議論がございましたが、基本的には同じ合同会議をやりますので、メンバーとして入っていただいているところでございます。
要は、先ほども申し上げましたが、個別具体的な箇所の件については基本的には議論をしないということで、ただ、それぞれの漁業の業界の問題点とか将来像とか、そういう議論は議題としていたしております。
そういうことで、結果的に沿岸の皆さんに不利益になるような結果は、偏る結論は出ていないというふうに認識いたしております。
○山田委員 個別具体的なことは議論しないと言いながら、まき網についての、大中型まき網の大臣指定については、エンジンの速力からそして細かいことまでかなり詳しい論議がこの中で展開されていて、個別具体的な論議、沿岸漁民とのトラブルについてはしませんというのはおかしな話なので、実際にいろいろな問題がこれからは出てくるかと思いますが、このままでは本当に沿岸漁民としてはやっていけないので、ここは私もさらに追及していく構えですが、これ以上ここで議論してもしようがないので、大臣もその点はしっかり踏まえて、細かい議論をしていながら沿岸漁民については一切触れていない、沿岸漁民からの要望については。これはおかしい。もう一回検討していただかなきゃならない、そう思います。
もう一つ、大臣、マグロのことはこの委員会でもいろいろ問題になっております。マグロ資源の国際的な減少に伴って、資源保護をどうしたらいいか。そういった形で、一月ですか、神戸で中西部太平洋地域でのマグロ類資源についての機関、ICCATとか、あるいは地中海での機関、五つの機関が集まって、国際的なマグロ資源についてどうしたらいいかという話し合いがなされたのは、副大臣もよく御承知だと思います。
このマグロの問題ですが、この前の会議で、地中海でのまき網の混獲の問題について議論されました。確かに、沿岸で、対馬沖なんですが、ひき縄の一本釣りが一本ずつ、ヨコワというんですが、マグロの小さい方ですが、それをとっているのに、まき網がごそっととってしまう。そうすると、一キロ最低七、八百円しておったものが、一晩で三百円とか二百円になってしまう。そのまき網が引いた後の、いわゆるひき縄、一本釣りは全く釣れなくなってしまう、こういう状況が続いているわけですね。
資源回復という観点から考えると、一本釣りが少しずつ、一本ずつひき縄がとっていくことは、それはそんなに資源の云々には関係ない、それほど影響ないと思うんですが、まき網がごっそりとっていくことについては問題がある。これについては、将来どうしたらいいかということについての検討というのは実際されないものだろうかと私も思っているんですが、先ほど話した地中海のまき網については検討され始めたようですが、そうすると、日本について、水産庁の考え方としてはいかがなものでしょうか。
○山本(拓)副大臣 マグロにつきましては、御案内のとおり、太平洋のクロマグロについても、WCPFCにおいて、平成十七年度から回遊域全体の国際的資源管理のあり方について検討が開始されているところであります。
また、沖縄から北海道までの海域において、まき網漁業、マグロはえ縄漁業、ひき縄漁業、定置網漁業等の多様な漁業種類により漁獲されているため、国内の漁業管理についても検討を行う体制をつくっております。
水産庁が中心となって、まき網のヨコワ漁獲を含むクロマグロの利用のあり方について、いわゆる全国の漁業関係者、関係県による話し合いの場を、五月に第一回目の会議を開催する予定にいたしておりまして、できるだけ速やかに結論を得るような検討を開始してまいりたいと考えております。
○山田委員 ヨコワ漁について、まき網のヨコワ漁、いわゆるマグロの小さい分について、検討していただけるもの、そう思いますが、沿岸の一本釣り漁業というのは、これはあくまで大事にしなきゃいけない、ここは十分配慮していただかなきゃいけない、そう思います。
また、大中型まき網においては、北海道関係、北の方の海においてはサケ・マスは禁止になっておりますね。そうすると、大臣許可、指定漁業の中においては、西部九州、この海域においても、例えばまき網においてはヨコワを除外品目にするということは十分可能ですね。法律的にはいかがでしょうか。今具体的にというものじゃないですよ。法律的には可能ですね。今ここで聞いても仕方がないというので、これ以上、副大臣もうなずいておったので、法律的には可能です。
ただ、これから、いわゆる大中型まき網も、それは生きていくためにというか生存していくためとか、いろいろな利害関係もありますし、一方的にそういうわけにもいかないでしょうが、大臣指定の、大臣の許可なんだから、話し合い話し合いではなく、場合によっては除外品目の中に、北海道のサケ・マスと同じように、九州西部地区においてはヨコワというものも入れていただくということをこれから検討いただくということにして、次の質問に移りたいと思います。
副大臣は福井県でしたか、私も福井の方の漁協、漁村のところに行ったことがあるんですが、そこで、いわゆる石川県から来る遊漁船が、あそこの、松出シ瀬というんですか、副大臣のいる近くの松出シ瀬のところに石川県から遊漁船が来るので、実際にあそこで一本釣りで漁を営んでいる漁業者にとっては大変だ、何とか規制できないものかという陳情を私自身直接受けたことがあるんです。
同じようなことが、今、遊漁船、これがかなりあちこちに出てきていまして、例えば長崎県でも男女群島というところがあるんですが、そこの遊漁船がまきえを活発にというか、すごいやりまして、各地で遊漁船によるまきえの大量放棄によるいそ焼け、それが懸念されているわけです。そういったものを取り締まるすべ、それはあるかと思うんですが、副大臣いかがでしょうか。
○福井大臣政務官 遊漁の規制と調和等の御質問でございますけれども、最初から整理させていただきますと、遊漁につきましては、海区の漁業調整委員会で、漁業者、遊漁者を問わず、釣獲量の制限をする、そして、まきえの使用制限等の必要な指示をするということが可能となっております。この海区漁業調整委員会の場で、それぞれの必要な調整を行うということが基本でございます。
ただし、今先生御指摘のいろいろな場所においての具体的な取り組みにつきましては、まず、地域の遊漁と漁業の相互理解を図るということを最初にやって、そして、漁場利用協定などの当事者間の自主的な取り決めを進めるということが基本となります。話し合いが基本ということだと存じます。そしてその上で、必要に応じて海区の漁業調整委員会の指示を使いながら、資源の持続的な利用に努めるというのが基本的な考え方でございます。
○山田委員 話し合いが基本だ、先ほど副大臣も、まき網でも話し合い話し合いと言うんですが、話し合いが基本だというと、本当に話し合いをしたってなかなからちが明かないということが多いわけです。
海区で漁業を営んでいる人たちにとっては、海区そのものは、農業者にとっての畑と同じであって、そこにどこからでも遊漁者がやってきてやるということ対して、遊漁者と話し合いをしなければ海区の調整委員会で指示なんてできませんよという指導、これは間違いではないですか。
やはり海区そのものは、漁業者にとってはまさに海の畑なんです。この皆さん方で話し合って決めることについては、何も水産庁は、まず遊漁者と話し合いしなきゃいけないとかと言う必要はないんじゃないですか。いかがですか。
○福井大臣政務官 まさに海、沿岸が農業者にとっての畑であるという考え方は全くそのとおりだと思いますけれども、現在の取り組みにつきましては、先ほど申し上げました、繰り返しになりますけれども、まず、地域の遊漁者、そして漁業の相互理解を図るということから始めさせていただきたいというふうに思います。
性善説、性悪説いろいろありますけれども、まず当事者間で自主的な取り決めを行っていただくということに精力を集中させていただきたいというふうに思っています。
○山田委員 性悪説、性善説を言っているんじゃなくて、漁業者にとっては海の畑、自分たちの生活権の問題ですから。
水産庁は、先ほどの山本副大臣もそうですが、事があれば、話し合い話し合い、まず話し合いしてくださいと。こんなことで水産行政ができますか。
ここはやはり、漁業者の立場を守る、漁業者がやっている見地から、海区調整委員会が決めることについて、相当であれば、当然のことながら、知事のそれを裏打ちする命令がなければ実効性というものはない、海区漁業調整委員会の指示に罰金を伴う規制ができないわけですから。その段階で、知事さんがいわゆる遊漁者の立場とかいろいろなことを配慮するということがあったとしても、海区調整委員会が指示を出すのに、その前に漁業者と話し合ってくれとか、そんなばかなことを水産庁は言っているから、いつまでたっても遊漁者とトラブルは絶えないし、いわゆる海の畑を漁業者は守れない。ますます漁業をやっていけない。
山本副大臣、福井県の沖合でそういうことが起こっているわけですが、それについてどう思われますか。
○山本(拓)副大臣 粘り強く話し合っているところでもございます。ただ、そう言うものの、今水産庁が強権的に何でもできるかというと、実際、なかなか難しい点があるわけでありまして、国交省などのプレジャーボート規制、要するに条例なんかで、違った意味で線引きを、強制力を持って排除している例がありますが、今後、地域によっては、県の条例を含めた新たな方策も考えてもらった方がクリアになるかもしれません。
ただ、今の現状においては、水産庁としてできますのは、いろいろな背景の権限でもって話し合いをしていただきながら、結果的にいい結果を速やかに出すように努力をしているということでありまして、福井県の例をとりますと、プレジャーボートの件に関しては、かねてから山田先生も協力をいただいているというのは仄聞をいたしておりましたけれども、今のところうまく話し合いがつくような方向でテーブルにのっていただいているものと認識をいたしております。
○山田委員 副大臣御地元の福井県の沖合のことでもそうなんですが、粘り強く粘り強くと先ほどから言っていますが、水産庁は権力を持ってやるんじゃない。これは間違ってもらっちゃ困るんですが、海区は漁民の権利であって、漁民の畑である。その海区を、漁民の代表である海区調整委員会で指示を出す。このことについて、水産庁が粘り強く話し合いしなさいとかなんとかなら、まさにこれは越権行為である。むしろ、これは海区に任せればいいんです。
ただ、知事が裏づけの命令を出す際に、漁民等の立場を考えて、それをどういう裏づけ、命令を出すかということは、そこは行政の配慮であって、水産庁はむしろ海区の海の畑、漁民の立場を守ることに徹すればいい。いかがですか。そう思うか思わないか、それだけで結構です。副大臣、もう一回。
○山本(拓)副大臣 山田先生の卓越した御意見として承っておきます。
○山田委員 もう一つ、遊漁について福井政務官にお聞きしたいと思っておりますが、先ほど言ったように、本当に全国各地で、べらぼうなまきえでもって、いそが荒れている。どんどんまきえをしたところからいそ焼け、これは浜に行くとよくわかることなんです。そういったことでまきえの規制も含めながら、一方で水産庁は、資源回復について、例えば種苗の放流とか、いろいろなことに我々国民の税金もどんどん入れていっているわけです。
そうしたときに、遊漁そのものを、そのままに、だれでも、いつでも、どのように、海に行って釣っていいですよと言っていいものかどうか。もう少し遊漁について、これは水産行政として、例えば入漁料を取るとか、例えばカナダとかアメリカでやっているように、サケ・マスを遊漁するとしたら、一人三匹までとか二匹までとか、あるいは入漁料をいただくとか、遊漁についてそういうライセンス制の導入というものを検討する時期に来ているんじゃないか。
そういった中で、さらに沿岸の資源回復、もうどんどんいそ焼けは進んでいるし、そこにもっと効率的な資源対策を図る、そういった対策は今必要になったんだ、なっているんじゃないか、そう思われますが、政務官、いかがでしょうか。
○福井大臣政務官 今、山田正彦大先生の、遊漁者に対しましてライセンス制など、法的な規制が必要ではないかということですが、農水省といたしましては、この遊漁につきましては、従来から、漁業法そして水産資源保護法、この二つの法律に基づきまして、都道府県漁業調整規則、そして先ほどからの御議論ありました海区漁業調整委員会の指示によりまして、漁業者と同様に、地域の実態に応じました一定の規制措置が講じられているということでございます。
まさに今先生おっしゃいました、アメリカ、カナダで、サケ・マスの一人三匹以内とかを定めたいろいろなライセンスの導入につきましては、二つの理由がありましてなかなかちょっと厳しいなということでございます。
その理由というのは、一般的な遊漁というのは、さお釣り、手釣りで自由に行われておりますけれども、これら遊漁につきまして規制を導入する場合には、同じ漁法で自由に漁業を営んでいる多くの漁業者にもかぶってしまいますので、同様の規制がかかってしまうということになりますのが一つ。
そして、遊漁と漁業の調整問題は、地域によって実情が異なる。先ほど副大臣と先生と御議論されたとおり、地域によっての実情が異なる、また、その程度も大きいということで、全国一律の制度によって規制することがなかなか難しいということがございまして、役所としても直ちにライセンス制などの法的な規制を導入することは困難であるということでございますけれども、今先生御指摘の点を十分踏まえまして、今後とも役所におきまして慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。
○山田委員 内水面においては入漁料を取っております。海面においても、入漁料とまではいきませんけれども、ある一定の規制、そういったものをこれから、今までは検討できなかったとか検討していないということなんですが、理論的に言って、内水面は確かにいろいろな種苗の放流をしているということがありますが、海面でも種苗の放流をしているし、資源回復事業で、いその保全という意味からしても理屈は同じだ、そう思いますので、緩やかな規制から始めて、そして将来的には入漁料という形も考えられるんじゃないか。いわゆるライセンス制の導入ということを、ひとつ全国的な法規制としての検討を水産庁としては漁業行政としてぜひ始めていただきたい、そう思いますので、御検討をお願いします。
次に、実は外規法の問題について、皆さんにも外規法の条例、法文を配ったと思いますけれども、お聞きしたいと思っております。
実は私も対馬によく行くわけですけれども、島にどんどん韓国人といいますか、韓国人が入ってくるのはいいんです。対馬の豊玉というところに、私も何度も見かけたんですが、韓国の人が民宿みたいなものをつくっていて、韓国の人が釣り船を雇って、韓国の人が遊漁に行って、どんどんやってくるわけですよ。やってきて、それこそむちゃくちゃなまきえをして、どんどん魚を釣り上げていく。周りの漁師の皆さん方は手をこまねいて黙ってそれを見ているというだけなんです。それで、十キロも二十キロもどんどん魚をとっちゃう。
それこそ、韓国と対馬の間というのは、上対馬に行きますと、韓国の釜山のネオンが見えているぐらいの距離ですから、非常に近いわけです。そこで大量にやってきて、そしてどんどん魚をまきえでとられてしまうと、いわゆる沿岸漁民の一本釣りの皆さん方はたまったものじゃないんです。これはもうやっていけないところまで来ました。
ところが、この外国人漁業の規制に関する法律、これを見ていただきたいと思います。この第三条、次に掲げるものは、本邦の水域において漁業、水産動植物の捕獲、漁業等附属行為を含む、採捕行為またはそういったものを行ってはならない、そうなっております。いわゆる外国人は、本来、日本の対馬の海域に、韓国の釜山、すぐそばの人がやってきてどんどん魚をとってはならないということは、外規法の三条に明記、定めているわけです。
そして、それに対する法律施行規則、「さおづり又は手づり(まき餌づりを除く。)による水産動植物の採捕」となっております。例外として、いわゆるさお釣りまではいいでしょう、しかし、まきえをしてやっちゃいけませんよと。これをやっているわけです。ところが、大量にまきえをやっているわけですが、この取り締まりをなぜ水産庁はやらせないのか、お聞きしたい。
○福井大臣政務官 今先生が御配付になりました外国人漁業の規制に関する法律、確かに昭和四十二年七月十四日法第六十号ということでございます。日本の国籍を有しない者につきましては、水産動植物の採捕が禁止されております。ただし、さお釣り、手釣りは許されているんだけれども、またその規則によりましてまきえが再び除かれましたので、まきえ釣りは禁止をされているというのが法律関係、事実関係でございます。先生御指摘のとおりでございます。
そこで、今先生御指摘のありましたような事実関係があるかどうかということですけれども、私どもとしても、近年、この長崎県の対馬市に多数の韓国人観光客が訪れている、年間四万人、従前の十倍を超える観光客が訪れている。そして、韓国人の観光客の皆さんが大量のまきえを用いて釣りを行っていて、いそが汚れていて地元漁業者が大変反発をしている、困っていらっしゃるということは、役所としても把握をさせていただいている次第でございます。
そこで、この外国人漁業の規制に関する法律第三条に違反する行為であるということで、水産庁としても、海上保安庁そして長崎県庁そして対馬市役所等と連携をしまして、この韓国人観光客への規制の周知徹底を図るということはしてございます。そして、漁業取り締まり船による釣り現場での取り締まりを再三にわたって行ってきたところでございます。
具体には、取り締まり船による釣り現場での取り締まり、十三回、延べ十五日。それから、フェリーターミナルにおける指導、四十四回、延べ五十一日。これは十八年一月からことしの三月まで約一年間における回数でございますけれども、努力をさせていただきまして、周知徹底、取り締まりを再三やってきたということでございます。
そういう問題がまだ存置しているということで、農林水産省といたしましても、引き続き、韓国人観光客への規制の周知徹底、まきえは禁止されているんだという規制があることの周知徹底を図ることによって違反の未然防止に努めるということ、そして県庁と緊密に連携をとるということによって、今後とも厳格に取り締まりを行ってまいりたいというふうに思っているわけでございます。
○山田委員 厳格に周知徹底を図りたいと、ある程度地元を通じてそれについての監視とか取り締まりもしているようなことを言っておりますが、政務官、私が配った資料の中に、これらの罪は非常に重いんですね。
三枚目にあると思いますが、第九条、見ていただけますか。これは普通の罰金二十万とか三十万とか、禁錮六月とかという罪じゃないんです。いいですか、この第九条、このような罪を犯した場合に該当する者は、三年以下の懲役もしくは四百万円以下の罰金なんです。私も弁護士をやっていますが、三年以下の懲役、四百万円以下の罰金というのは、この種の罪では大変重いんです。政務官、この種の罪では大変重いんです。それを周知徹底しているから周知徹底しているからと言っていますが、それじゃ全く話にならない。現場は泣いているんです。
政務官、水産庁のところに、対馬沿岸海域利用対策協議会、この会長の桟原さん、組合長さんでもあるんですが、桟原さんから、いわゆる、外規法令に基づく取り締まり等に関しての再照会、もう一回水産庁に照会しますよという書面、これが出ています。私はその写しをいただいて今聞いているんです。
これによると、照会事項、外規法令の周知期間はいつまでか、もう業を煮やしているんです。外規法令に基づく検挙はいつか、いつ逮捕してくれるのかと言っておるわけです。そこまで漁民を困らせて、重要な罪を犯している、これがわかって、それを承知していながらこれをやらないということは、どういうことなんですか。これは責任ありませんか。明確に答弁をお願いしたい。
〔委員長退席、金子(恭)委員長代理着席〕
○福井大臣政務官 確かにおっしゃるように、第九条で懲役三年以下そして四百万円以下ということで、大変重い罰則が定められているということは先生おっしゃるとおりでございます。
そこで、現在までに行いましたこと、取り締まりの回数も申し上げました。そして、検挙も辞さずという覚悟で現場では取り締まりを行っているということもあわせて申し上げたいと思います。
が、一方で、日本人にも自主規制をしておりまして、本年一月に、夜間釣りを禁止する、そしてまきえの量を十キログラムということで制限する、そして釣獲量十キログラムということで制限をするということで海区漁業調整委員会の指示が行われておりまして、日本人がそうやって、先ほど先生がおっしゃったサケ・マスのライセンスの考え方のように、日本人もみずから規制をして、それをコンプライアンス、遵守しているということを韓国の方にも今見せ始めたところでございます。本年一月からでございます。
一方ではそういう努力もしながら、しかし、先生おっしゃるように、もう我慢できないという水準にまで来ているということを踏まえて、検挙も辞さずということを覚悟して取り締まりには当たらせていただいているわけでございます。
が、一方では、韓国人旅行客を地元の市が、市を挙げて、ビザなし特区を設定して、積極的に観光客を誘致したというのも事実でございますので、内外差別なく、法律の精神にのっとった、とてもひどい人はどうしても検挙せざるを得ないというところは、ちゅうちょすることなく検挙させていただくという取り締まりに当たらせていただいているところでございます。
○山田委員 政務官、考えていただきたい。考え違いをしてもらっては困るんですよ。
いいですか。対馬にすぐ隣の外国人がやってきて、ばんばん大量のまきえをしてやっている。私、この現場で見てきたんです。それは単なる観光客じゃないんです。観光を誘致しているからそれを配慮したいというのは、日本人も規制しているからそれを向こうに示してからというのは、何という腰の弱いというか、何のためにそういう、相手方にこびて、そして、やめてくださいとか、周知徹底させなきゃいけないような、そんな態度でいるからだめなんだよ、これは。
いいですか。まさに今漁民は、本当に手をこまねいて見ていて、困っているわけですよ。食べられるか食べられないかという、漁業はどんどん厳しい中にあって、生活権の問題なんです。一日も早く逮捕しろと、これは三年以下の懲役ですから。
実は、今ここで持ってくればよかったんですが、あるテレビ局が行って、大量のまきえをしているところのビデオを撮ってきています。これは証拠写真があるんです。顔も写っています。そのテレビ局が水産庁に行って、厳しい取り締まりをするんですかと聞いたら、それはわかりません、周知徹底させますとしか答えていない。もうそこまで来ているわけなんです。これは一日も待てないんです。
大臣の先ほどの答弁を見ていますと、これは、公務員としての任務懈怠、いわゆる公務員としての行為の不当行為あるいは違法行為とまで言えるかもしれない、行政訴訟の対象になるかもしれない、これを検挙しないということ自体。これはそこまで来ているわけです。
そういう意味では、対馬の漁民にとっては一日も早くそれをやってもらわなきゃいけないということ、これから、対馬だけではなく、いろいろなこういう問題が起こるかもしれない。これはぜひとも強い取り締まりをこれからやるということをこの場で明言できるかできないか、はっきりお答えいただきたい。
○福井大臣政務官 国家公務員、地方公務員、一生懸命やっておりますけれども、山田先生、そこまでおっしゃることはないと思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、発見し次第、検挙する覚悟で取り締まりを行っているということは再三申し上げたとおりでございます。
もう一度整理させていただきますと、従来より取り締まりは懸命に行ってきたわけでございますので、もし、ひどい事例、まきえの量がひどい事例を見つけましたら、検挙するつもりで取り締まりを行うということをお約束させていただきたいと思います。
○山田委員 証拠の写真もあるし、ビデオもあるわけですから、これはあすにでも逮捕をお願いします。それをしないということ自体が、法治国家としておかしい。私は、弁護士としての立場からも強く申し上げます。それを、これからもなお周知徹底したい、これからもなお検討したいということは、副大臣としての公務員の立場からしても問題あり、僕はそこまで言いたいところです。法治国家ですから、ぜひお願いいたします。
次に、今度の国会で、水産業協同組合法、中小漁業融資行為等の法律についての改正等ありますが、その中で、一つぜひ聞いておきたいことがあります。それは、全国的に問題になっております漁協の合併の問題です。
前、私も水産庁に何度も言ったんですが、漁協の合併を進めるに当たって、いわゆるかなり強い勧誘の仕方がなされています、例えば自己資本比率。そうですね、これは次の問題として聞きましょう。撤回します。
まず、合併を非常に強行している。これは前回、委員会の質問、平成十五年だと言っていますが、水産庁から出した書面まで見せて、かなりこれは脅迫的な行為じゃないかとまで私が言ったかと思います。
その中で、なかなか合併が進まないということについて、一つは、Aといういい漁協があって、Bという経営状態が悪い、かなりの債務超過の漁協がある。そういう二つの漁協を合併させようとすると、債務超過の内容の非常に悪い漁協の組合員が、組合を合併するためには、その債務超過の部分の債務、それが場合によっては数億あるいは十億に上るところがあるんです、もっと上るところもあります、それについて、整理資金を信連が出しますよと。その整理資金については、一部県と国もあったと思うんですが、利子補給しましょう。ところが、借りた整理資金は、内容の悪い組合の組合員さんが七年なり十年で払ってくださいよ。その分については、新しく合併した漁協の中で、いわゆる手数料、魚を出荷するときの手数料をアップして、その分から支払っていきましょうということになるんですね。
ということは、私は、浜を回って、ある漁協の組合員と話したときにお聞きしたんですが、そのために、養殖業をやっている自分の借金も大変なんだけれども、よその倒産した養殖業者の借金までみんな全組合員でかぶってしまう、それも払わなきゃいけないんです。出荷するときに、手数料がその分でさらに取られるんです。手数料と、実際には賦課金みたいなのがあって、払いもしなきゃいけない。これでは大変だ、やっていけない、そう言っているわけですね。だから、そういうことをやったんじゃ、それは大変じゃないか。
企業の合併だって、合併する前の会社の社員が出資分で責任は持っても、漁協の組合員でも出資分で責任を持つことはあっても、それ以上に、そこの漁協の抱えた整理資金の債務までそこの組合員に持たせる、これは絶対に許されるべきことじゃないと思うんです、政務官。
それをどうしたらいいかということで、私は何回も水産庁にお話しいたしました。B、悪い方の漁協については、出資の限度額で清算してください、清算しましょうと。そうしたら、かつての同僚の重い破綻した養殖業とかの債務まで、何億とか何千万とかを我々が払うということはないわけですから、そうしてください、清算してください、出資の限度で負担してくださいと。そして、そこの悪い方の組合員は、いい方の組合の組合員になって、清算する前に、悪い方の組合といい方の組合とが全員協議したらいいんです。
問題は、前浜の共同漁業権なんです。共同漁業権を、Bという前の悪い方の組合員たちで部会をつくってもらって、そこに県から共同漁業権の許可を与えます、そういう形にすれば、従来と全く同じ形で、整理資金を出す必要もない、みんながそれを負担することもない。そのまま債務を償却して、Aという普通の漁協とBという非常な債務超過の漁協とはスムーズに合併できるわけです。
だから、そういう形での合併をぜひ進めていただきたいと思いますが、ここは副大臣か政務官なのか、お答えいただきたい。
○福井大臣政務官 漁協の合併のことで広範な御質問がございましたので、ちょっと長くなりますけれども、整理をさせていただきたいと存じます。
まず、赤字を有する、先生が今おっしゃった、だめになった漁協の処理の仕方ですけれども、現在のところ一番多いのは、漁協が合併する際の欠損金の処理につきましては、通常は、合併に参加する漁協全体の準備金、積立金等で相殺されるんですけれども、今先生がおっしゃっているのは相殺できない場合だと思います。
相殺できない場合には、累積欠損金として残ることと当然なりますので、このために、欠損金を抱えて合併に参加する漁協は、負債の相当額を借り入れる、そして漁協合併後においても、古い漁協の組合員の負担で当該借入金の償還を行う。これが重いんだというのを今先生御指摘になりましたけれども、合併後においては、古い漁協の組合員の負担で当該借入金の償還を行うという対応が、現在のところ、そういう場合が多くなってございます。
今先生がおっしゃいましたように、利子補給が一・二五%ございます。それに上乗せする場合は、大日本水産会から〇・五%の利子補給もございます。その範囲内で何とか御努力をお願いしているというケースが一番多いというふうに伺っておりますが、今先生御推奨のスキーム、悪い漁協は清算をしろということで、そういう事例もございます。
ただし、法的整理を選択した場合には、当該漁協の組合員の出資金が毀損をしますし、そして当該漁協に債権を有する融資機関、関係取引先にも貸し倒れが起こるという不測の損害が発生いたしますので、地域経済には相当の悪い影響、売掛金の回収不能などの悪い影響が及ぶことが懸念されておりますので、事例はないことはないんですけれども、極めて少ないという状況にとどまってございます。
現在のところは、悪いといいましょうか債務超過に陥りました漁協と、いい漁協とが合併する場合は、悪い方の旧漁協の組合員の負担において、そして利子補給の範囲内において、何とか販売手数料の引き上げの範囲内において御努力をいただいているところでございます。
そしてまた、合併した後の共同漁業権の取り扱いについても言及がございました。
これはできますので、もう一度整理をさせていただきますと、仮に、法的整理を選択して、共同漁業権の権利主体である漁協が解散するということになりますと、組合員は漁業権に基づく操業ができなくなります。悪いといいましょうか解散した漁協の組合員さんは、共同漁業権による漁業ができなくなります。
その場合、都道府県知事が、隣接漁協に新たに漁業権を免許する、そして古い漁協に属しておられた組合員さんは、新しい隣の漁協に加入することによって引き続き漁業を営むということで、一たん解散をして、一たん解消して、新たに隣接の漁協に免許をおろして、そして新たな漁協に加入することによって引き続き漁業を営むということでございますので、そこのところは論理的にも実際的にも可能かと思いますけれども、先生御指摘の、一たん清算をする、解散をするということにつきましては、地域経済に対する悪い影響が非常に大きいのではないかというふうに懸念をさせていただいているところでございます。
○山田委員 政務官、そこはもう一回、政務官自身の御判断を、これは水産庁の判断じゃなしに政務官自身の判断をお伺いしたいんです。
いいですか、いわゆる悪い方というか古い方の組合員が、その債務超過の部分を、貸し付けを受けて、それをみんなで引き受けて連帯保証して払っていくわけですね。それはもうさっき言いました。それがいいのか。いわゆる債務を、他人の債務まで引き受けて、合併してそれを払っていくのがいいのか。あるいは、しかし、それをやると、その漁協に貸している金融機関等の貸し倒れになるから、それで地域経済に与える影響が大きいからそれはだめだという言い方をされましたね、今政務官は。
いいですか、これまで、銀行とか信用組合、信用金庫、随分倒産しました。その前に企業も倒産し、早くそういう不良債権を償却しろと言ってきたわけです。金融庁も、不良債権を償却しろと進めてきたわけですよ。これはまさに不良債権なんですよ、悪い方の。そうであれば、金融機関はむしろ償却した方が助かるんです、払えるか払えないかと残すより。それが地域経済に影響を与えるというのは、これは余りにも実態を知らないことです。
政務官、政務官も我々も政治家です。実態の、例えば銀行とか信用組合に対して、むしろ本当は信連なんですね、むしろ信連の親玉の農林中金なんです。いわゆる利益を出しているんですよ。そういうところは、一小さな古い漁協が貸し倒れになって損失を与えたとしても、利益で全部償却できるんですよ。それよりも、本当に一生懸命、ただでさえ漁業でやっていけない人が、合併しろ合併しろと言われて、ではしようがない、合併しましょう、そのかわり、今までの仲間の、今までの組合の中の債務超過の部分の何億とか何千万という借金をあなた方はずっと支払い続けてください、それを払って新しい組合に来てください。それではやっていけないですよ。それでは合併もできないですよ。
どっちがいいと思いますか。地域経済に対する影響を懸念するのか、それとも漁業者本人の重い債務負担を懸念するのか、どちらかの選択ですよ。
政務官個人だったとしたら、それは水産庁で後ろに企画課長も控えていてどう言われているかわかりませんが、政務官御自身の判断だったらどう思われますか。政治家としてお答えいただきたい。
○福井大臣政務官 私自身も、最も貧しい高知県の出身でございまして、毎日、建設業と銀行との関係で相談を受けるというか、切ない思いをさせていただいております。
今おっしゃった、銀行の損切りのクリティカルポイントのバランス感覚だと思いますけれども、基本は持続可能ということで、もう思い切ってここで閉じてしまうというよりは、とにかく、きょうよりはあした、あしたよりはあさってということで、命をつなげて、お金を回していく。何年か金利を抱えても、その会社をつぶさない、その信用事業はつぶさない、その銀行はつぶさないというチェーンをできるだけ先の方に延ばしていくというのが、やはり今、縮小経済の中で、特に地方の少し毀損させられた経済の中ではそれが一番大事なのではないかというふうに思っています。
拡大局面はまた別ですけれども、地方の、特に全体が縮小する中では、何とか命をつないでいくということの方が正しいかと思いますので、先ほど答弁させていただいたとおり、私自身も心からそういうふうに思っているわけでございます。
○山田委員 どうも政務官の考え方はおかしいと思いますね。日本経済も、むしろ償却を早くして健全になろうとして、この十年、多分本当に一生懸命努力してきたわけでしょう、それはいろいろなしわ寄せがあったわけですが。
そんな中で、結局しわ寄せを受けるのは、今回の悪い方の漁協の場合には、大きいのは信連であって、農林中金なんですよ、地方の銀行も幾らかあるでしょうけれども。そこは償却できる体質を持っているんですよ。むしろ困るのは、古い方のというか、さっき古いという言い方をしたが、内容の悪い方の、合併を強いられている漁協の方の組合員がその債務をからうことなんですよ、一人一人、個人が、組合員全員が。
今、これは合併でからっているわけじゃないんですが、ある県で不正融資があって、私の方は早く償却しなさいと言っているけれども、十億という債務を償却せずに払い続けている漁協の組合員は、一体幾ら払いましたかと言ったら、いや、苦しいんですが、五年間で百二十万、準組合員が八十万払いました、出荷手数料は九%に上げられたんです、これではやっていけませんと。そんな過酷なことをさせてまで、漁民に本当に過酷なことを今やっているということなんですよ。これはよく考え直していただきたいと思います、水産庁も現場をよく見ていただければ。
もう一つ、そのことで関連してなんですが、私が今回っている離島の小さな漁協というのは、ほとんどが信用事業はもうできなくなりました。自己資本比率が一〇%、多分切っていないと思うんですが、切っているということらしいんです。一億円の自己資本がないから信用事業をやらせないというんです。いわゆる貸付事業をやれませんから、漁業者は、漁業組合に入っておっても、いざというときの借り入れができないんです。燃油代とか資材にしてもその他にしても、借り入れができないんです。非常に困っています。
では、そういうところはどうしたらいいのかというと、信連に行きなさいというんですが、信連は遠いところにあるんです。長崎まで出かけていって、漁民の方が信連に行って、その旅費を考えたって、一泊で行くとかということができそうもない。
ところが、漁協そのものは、信用事業を行えなくなった漁協がいっぱいあるんですね。調べてみますと、法律的には、自己資本比率が四%あれば、絶対、信用事業をやっていいはずなんです。どこがそういうふうに信用事業をやらせなくしているのか。これをちょっとお答えいただきたいと思います。
〔金子(恭)委員長代理退席、委員長着席〕
○福井大臣政務官 今先生御指摘のBIS基準で、ちょっと、私自身も昨日まで知らなかったんですけれども、自主ルールで一〇%に引き上げている。
しかし、考えてみれば当然かなと思います。基盤が零細でありますし、その損益が水揚げ動向によって大きく変動するということで、基盤が弱いということで、だけれども信用事業をしなければなりませんので、みずから信用力をできるだけ高めるために、最低出資金一億円、自己資本比率一〇%。
UFJでも一一とか、メガバンクでも一一とか一二という時代に、一〇%というのは、一見いかにも高そうに見えますけれども、しかし、基盤が零細の中で信用事業を行っていくというのは、みずから高める必要があるというのは論理的には当然でありますし、そういう自主ルールにおいて、先ほど申し上げました、とにかく続けていく、チェーンをつないでいくという精神で皆さんがやっていらっしゃるものというふうに信じさせていただいております。
今先生、先ほどからずっと御指摘のように、この三十分ぐらいの御指摘は、地方の末端の本当に困っていらっしゃるところの現状をもっとよく見ろという御指摘だと思います。したがって、私どもとしても、もし、見落としているものがあるのではないかということで、さらにまた情報収集をさせていただいて、現状に即させていただきたいというふうに思っております。
○山田委員 政務官に申し上げたいんですが、今申しましたように、法律では、四%の自己資本比率があれば、いわゆる小さな貸し出しはできるはずなんです。信用事業を行えるはずなんです。ところが、みんなやれなくなった。やれなくされている。これをどこがやれなくさせているのかというのを私は聞いたつもりなんですが、自主規制ですと。
自主規制を指導しているのは水産庁じゃないのか。そして、漁民は本当に困っている。しかも、実際の現場ではどう言っているかというと、だから合併しなさいと。それで、先ほど話したように、債務を全部、弱い小さな漁業者に負担させている。これは絶対に許せないことだ。
政務官が今お答えになっていますが、自己資本比率のこともさることながら、こういう問題が起きていて、私の持ち時間もなくなってきつつあるので、もっと時間があるつもりでゆっくり聞いておったんですが、もう一つお聞きしたいのは、いわゆる中小漁業関連資金融通円滑化事業についてお聞きしたい。いわゆる八千万までの無担保、無保証融資制度の件です。
これは、非常に漁業者にとっては、大きな負担を抱えて、それをもう一回、お金を借りて、事業計画をやり直して、少し資金があれば事業を続けられる。そして、事業を続けられれば、ある意味で魚がとれるようになって、今魚価も少しずつ上がりつつあるんですが、その中でやっていける。そういう中で、この無担保、無保証の融資制度というのは非常な朗報なので、これは私も、水産庁の若い人たちにいろいろ聞きながら、ぜひこの制度をと思って応援したんです。
ところが、この制度ができながら、実際に使われていない。焦げついたらどうなるのかということがあります。焦げついたら国が三分の一負担して、県が、県、市町村ですか、三分の一負担して、あとの三分の一を信用基金協会。信用基金協会も、保険があるのでその三割を負担し、その分についても非常に優遇措置がとられておるので、無担保、無保証の融資がやりやすい。言ってみれば、これは漁業者にとっての非常に画期的な制度なんです。
ところが、これをやっている県とやっていない県がある。山口県とか、九州では鹿児島県、大分県はやっていますね。長崎県はやっていますか、やっていませんか。
○福井大臣政務官 おっしゃるように、無担保、無保証人事業というのが平成十五年度に創設をされました。
実績を御紹介申し上げますと、平成十五年度には、たった二県、そして案件数としては二十九件、四億二千万円でございましたけれども、平成十八年度については、八県で百三十七件、十九億七千万円と増加させていただいておりますし、この実施状況を見まして、先生がおっしゃるように、いろいろ弾力化しております。
都道府県の負担を弾力化することとしまして、市町村や漁業者団体が都道府県の負担を一部肩がわりするという制度が平成十七年度から、そして、この十九年度から保証限度額の引き上げを行っております。八千万円から一億六千万円ということで、順次使いやすいように改革を行って、今二十億近くというふうにやっと来たわけでございます。
残念ながら、今一覧表を見た限りでは、長崎県がございませんので、また山田先生の御指導をいただきながら、全国的な普及に努めてまいりたいというふうに思っております。
○山田委員 これは長崎県の知事さんに、私も二度ほどお会いして、漁民は本当にこれができないので首つりしていっている、自殺者が何人も出ているじゃないかとお願いしたんですが、これをいまだに長崎県はやってくれない。長崎県選出の自民党の代議士さんもいらっしゃることですし、これを契機に、ぜひこれをやってもらわなきゃいけない。ぜひ政務官も副大臣も協力いただきたい。これはぜひお願いいたします。
どうやら私の持ち時間が参りました。(発言する者あり)もうちょっとやってほしいということなので、少しやらせていただきましょう。
今、松岡大臣も輸出、輸出と言っていまして、魚、魚介類の輸出というのもかなり積極的になってまいりました。この件でちょっとお聞きしたいと思います。
いわゆる関税、松岡大臣、お答えはいただきませんから、よく聞いていただきたいんですが、中国にもよくいらっしゃるということなので。
魚を中国に輸出する場合に、中国はこれから大変な市場だと思うんです。そういった場合に、仮に日本からサバを輸出するとした場合に、まず問題なのは関税なんです。関税が随分下がりました。今、約一二%か一三%ぐらいまで下がりました。日本は三・五%ですから、日本ははるかに低いんです。ところが、付加価値税というのがありますので、合わせると大体二四%ぐらいなんです。日本は向こうから入れるとしたら大体三・五%ですから、非常に格差があるわけです。
例えば、韓国に日本が魚を輸出するにしたって、韓国は、タイ、養殖ダイについてはこの前まで七五%の関税をかけていました、対馬とか五島とか熊本、甑あたりから養殖のタイを輸出するとしたら。ところが、日本というのはほとんど三・五%関税。いわゆる関税の壁が非常に大きいということが一つあります。
この関税交渉を、山本副大臣、日本としてどのようにやっているのか、どうするつもりなのか。非常に格差が、開きがあり過ぎる。中国、韓国は高い。日本のものを入れまいとする。それでいて、松岡大臣は、日本はこれから輸出するんだと言っているんですから。日本は入れるときに関税が低い。
IQ枠というのがありますが、IQ枠も、サバとかアジとか、そういったもののほとんどがIQ枠そのものも消化できないでいる、昆布は別ですけれども。昆布は別だけれども、仲野先生いらっしゃるから。だから、IQ枠も消化できないから、IQはほとんど機能していない。それでいて関税は低く抑えられて、これでは余りにも、貿易、輸出するにしても格差といいますか、格差というよりも、むしろ非常に開きがあり過ぎる。障害があり過ぎる。これをどう考えるか、ひとつ副大臣、お答えをいただきたい。
○山本(拓)副大臣 今、山田先生がおっしゃることは私も同感できるところもございます。
水産物等の輸入、いわゆるIQ制度は我が国独自の制度でありまして、WTOルールとの整合性において、我が国が実施している資源管理措置等の補完のためのものであると位置づけられているところでもございます。すなわち、乱獲した資源を我が国に輸出してくることを未然に防止する機能を有しているものであります。
御指摘のように、近年の水産物需給バランスの変化により、品目によって割り当て満限まで輸入されていないものもありますが、一定の輸入枠を設定することにより、我が国周辺国による資源の乱獲を未然に防ぐ等の効果があると認識を今現在いたしているところでございます。
この枠を現状以上に絞ることは、貿易制限的との国際的批判を招くおそれがあるところでございます。
なお、税率を現状以上に増大させ得る調整関税を適用することは、WTOで貿易の自由化を論議している中で、極めて困難であるというのが現状でございますが、ただ、今仰せのとおり、十分に対応を考えていかなくてはならないという認識で私はおります。
○山田委員 副大臣のお答えを聞いていると、どこの国の水産大臣なのか、よその国の資源を守るためにはIQ制度をこれ以上厳しくしちゃいけないんだと。IQ制度そのものは、既に枠よりも輸入できないでいる。完全に形骸化している。それなのに、それをこれ以上減らしませんと。これは昆布とイカだけは別ですよ。そうなれば、韓国がやっているような調整関税をアジ、サバその他の魚についてはやった方が、かえって低開発国とかアジアの他の国の資源保護のためになるんじゃないのか。これは考え違いも甚だしいと思いますので、ここはよく考えていただきたいし、場合によっては、この二種目を除いたIQについては、韓国がやったように調整関税をやった方がよほどいいかもしれない。WTOでどうだこうだとありきたりな、そんなことを言っていますが、そこは考え違いをしないでいただきたい。
そこは一つ検討事項として、もう一つだけぜひ言っておきたいんですが、衛生証明というのが中国向けであります。衛生証明書の交付。これで、松岡大臣が言っているように、日本がどんどんこれから輸出するとしたら、中国から求められている衛生証明書、これは、例えば、下関で中国に対してサバを輸出する商社がA社、B社、D社とあるとします。一方、石巻に百万トン冷凍サバが入っている。ここのいわゆる衛生証明書をそれぞれ、例えば、百万トン入っているのを十万トンずつ実際は輸出するとしたら、それぞれに衛生証明書をとらなきゃいけない。そうなると、これは一通八万から十万かかるんです。入っているのは百万トン、間違いないわけですから、百万トンの冷凍サバについての衛生証明書は一通、それを分割してコピーして、そして証明すれば足りるはずです。さらにまた、冷凍物については半年しか有効期間がない。これは一年間あれば随分違う。
細かい話をしておりますが、こういう衛生証明書の問題、さらに、ロシアに魚を輸出する場合に、動植物検疫所の検疫証明が必要ですが、これについても非常に同じようなことが言えます。
輸出をするに当たっては、単に輸出拡大を声高に叫ぶのではなく、実際に現場でどのように障害になっているか。単に、水産庁の方が一生懸命それを解決してやれば、幾らでも輸出が拡大できるということ、現場の声を聞いて輸出奨励についても取り組んでいただきたい、それをひとつ私の方から強くお願いして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西川委員長 次に、松木謙公君。
○松木委員 民主党の松木謙公でございます。
統一地方選挙があったものですから、声がちょっとかれていまして、お聞き苦しいかなと思うんですけれども、どうかお許しをいただきたいなというふうに思います。
松岡大臣、ずっと座りっ放しで御苦労さまでございます。なかなか大変なお役目で、しばらくこれで続いているわけですけれども、説明責任を果たしていただきたい、さもなくば辞任をされるべきじゃないかということで、うちの篠原筆頭が松岡大臣に言ったわけです。
それから大分時間もたったように思いますけれども、なかなか色よい返事をいただけないということで、我々、質疑のときに、大臣にはその資格が今はないということで、お話をいただかないということで今まで来ているわけでございます。
大分季節もよくなってきました。そして、私の北海道なんかでももう雪も大分解けてきました。松岡大臣、どうですか、そろそろ、何か自分だけ言われるのかなというお気持ちもあるのかもしれない、説明責任をもうちょっと果たすようなお気持ちになられたかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○松岡国務大臣 松木先生の御指摘でございますが、今まで申し上げてきたとおりでございます。
○松木委員 今、この事務所費問題というのはいろいろな動きがあるようでございまして、五万円以上には領収書をつけようかとか、いろいろな話が出てきております。そして、これが例えば決まったとしても、今までのものというのは、遡及されて法律上のいわゆる公表義務というのは多分負わないような形になるんだろうなと思っているんです。しかし一方、公明党の政治改革本部長さんあたり、これは東さんでしょうか、法はさかのぼらないが、法制化されれば、説明の責任はより具体的に生じるだろうということが朝日新聞なんかの報道にも出ているんですね。
これは、こういうことが決まれば、では、少し遡及して、多分、私は思うんですけれども、細かいことまで全部大臣がやったということでもないんだと思うんですね。私も秘書を長くやっていますので、そういう意味では、秘書がやった部分も随分あると思う。それも含めて、私は、ある意味で大臣がだれかをかばっているのかなというような気持ちもするときがあるんですよ。
ですから、そんなことを言わないで全部オープンにしていただいて、もしあれでしたら、別に私も一緒になって、私が一緒になったって、ちょっと小物過ぎるので、大臣には何を言っているんだと怒られるかもしれませんけれども、御一緒させていただいて、領収書から何からオープンにさせていただいてもいいなと私は思っているんですけれども、どうでしょう、大臣。
○松岡国務大臣 松木先生の御意見といいますか御指摘といいますか、として受けとめさせていただきたいと思います。
○松木委員 わかりました。
なかなか色よい返事はいただけないので、また残念ながら、この間の予算委員会のときに私は大臣にいろいろな質問をさせていただいて、それで大臣が、ばっといろいろな答えをしていただいて、本当に私は勉強になったんですよね。
私自身も、今、一次産業中心のところが私の選挙区なんですね。しかし、生まれたところは私は札幌のど真ん中で、それこそ魚というのは初めから切り身で泳いでいるんじゃないかというぐらいの、どっちかといえば、都会派とは言いませんけれども、そういう人間だったんですよ。
しかし、民主党というのもなかなか我々議員にも厳しい政党で、おまえは選挙区をかわれと言われまして、私は、本当に縁もゆかりもない、三百キロ離れたオホーツク海のあたりが今私の選挙区になっているんですけれども、当選させていただいて、そのときに後ろの方から、農林水産委員ができたななんて言われまして、それで、これは勉強しなければいかぬなということで本当に必死になって勉強させていただいて、しかし、まだまだ、農林水産大臣のいろいろなお話を聞いて、やはりさすがだなと。もちろん、それぞれ意見はいろいろとあると思うんですよ。しかし、本当に原稿も何も見ないでばっとお話しになられる、私は、あのお姿というのを見たときに、それは本当に尊敬しました。
その大臣がこんな、水をやはり五百万円も飲めないですよ、そんなことでここで我々が質問できないというのが本当に……(発言する者あり)それは、質問すればいいじゃないかと言われたら、そうかもしれない。それは、やはりそうはいきません。我々はやはりけじめをつけてもらいたいというふうに思っているわけですよ。
ぜひ、大臣が説明責任を果たしていただいて、我々にまた、我々の筆頭の篠原先生もなかなか本当に農林水産業のマイスターみたいなところがありますけれども、松岡大臣も私はそういうところが十分におありだというふうに思いますので、どんなことでどうなるかわかりませんけれども、ぜひそういう責任をお果たしいただいて、そしてまた質問させていただきたいというふうに思っているんですよ。ぜひそうしていただきたいなというふうに思っております。
そうでなければ、残念ながらやはり辞任をしていただくことを相変わらず要求させていただきたいというふうに思います。
一応、お答えをいただきたいと思います。
○松岡国務大臣 また同じことで恐縮ですが、松木先生の御指摘として受けとめさせていただきたいと存じます。
○松木委員 それでは、大臣に聞けないのは残念なんですけれども、質問を続けさせていただきます。
本日は、漁業法及び水産資源保護法の改正案の審議ですけれども、ちょっと私の考えも述べさせていただきたいと思います。
私たち日本人というのは、まず四方を海に囲まれている、海の幸に恵まれること、そして海の幸にいろいろと人生を重ねるという感じのことが当然のこととして生きてきたというふうに私は思っております。
日本じゅうのどこの家庭でも、例えばお節料理のときもそうですけれども、結婚の結納品とか、人生の節目、そういうところに必ず海産物が添えられてきました。そして、めでたい席というのは尾頭つきのタイがやはり欠かせない、こういう国柄だというふうに私は思っております。
そして、贈答品などにはのし紙というのをつけますよね。それで、のしというのは、これはもともとアワビでつくったものらしいですね。私はちょっと勉強させていただいたんですけれども、昔から、アワビを薄くそぎ落として棒で伸ばして干したのしアワビ、これが栄養価値があって長もちするということで随分珍重されて、家運の伸長だとか延命長寿につながる縁起のよいものとして祝いの席に贈られておったわけですね。時代とともに現在の小さな紙に包んで贈り物を添える形になったということなんですね。
また、縦に長く伸びた日本列島、これは北に行けば北の魚がありますよね、そして南に行けば当然南の魚がとれるわけです。長いですから、食べる文化もちょっとずつ違いはまたあるわけですけれども、魚というのは、ある意味では日本の文化そのものというふうに私は思っています。
海に面した国は世界でたくさんあるわけですけれども、日本人ほど、海の幸に恵まれて、また魚食を文化としてはぐくんできた、こういう民族というのは、なかなか日本以外にないんじゃないかなというふうに私は思っておりまして、何世代にもわたって海洋資源を利用してきた日本人の知恵というんですか、魚の生態を利用した漁法とかありますよね。カツオの一本釣りだとかアユの友釣りですか、いろいろなものがありますけれども、一匹の魚を余すところなく利用することが生活技術で受け継がれてきたわけですけれども、これがある意味で日本人のまた原点でもあるんじゃないかなというふうに思っておるわけです。
残念ながら今は、先ほど私、都会育ちなんて話をしましたけれども、輸入品や加工品に頼る都市型の食生活が広まる中で、日本人の大事にしてきた海の文化とか、そういうものが大分ちょっと破壊されてきているような、そんな感じがしているわけです。二百海里の影響で、諸外国による漁業への圧力とか、藻場、干潟の減少や、あと漂着ごみですね、私も対馬の方へ行ってきましたけれども、すごいごみがあった。そういう漁場環境の悪化など、ある意味では国民の多くの人が余り気づかないところで大分異変が起きているわけですけれども、漁業者の減少、高齢化もやはり進んでおるわけです。加えて燃油がやはり高くなってきたんですね。これで、この燃油価格の高騰もあり、漁業というのはますます厳しい状況になっているわけです。
そして今、我が国というのは、国土の十二倍、そして世界で六番目と言われているぐらい広い海を持っていながら、魚の自給率、これが五十数%というふうになってきてしまった。世界百四十七カ国から何と全部で今二兆円ぐらいの水産物を買っているんですね。ふだん食卓に並んでいる例えばアジなんかは二割ぐらい、そしてマグロは大体半分ぐらい、そしてエビなんかは九割ぐらいは今輸入になっちゃっているんですね。
大手水産会社というのはもう大分漁業から撤退していっている。そして、中小企業というのは随分倒産されていますよね。そして、沿岸漁業者は激減してしまったということなんですけれども、今、船を操って網を手繰っている漁師さん、こういう方ももう大分年が上になってしまって、やはり行くと六十歳を超えているような方々が大半になってしまった。まあ大半とまで言わないですけれども、三六%ぐらいというふうに言われていますよね。
消費者というのは、そういうことを余り知らないで、外国の漁師さんがとってくれた、そういう魚を食べているわけですけれども、子供たちも初めから切り身で骨なんかも全部抜いてしまっているようなものを食べて育っている、これが大体今の日本の現状ではないかなというふうに思うんです。
ところで、ここら辺からまた質問に入りますけれども、今回の改正案提出は、漁業者や自治体の方々が強く待ち望んでいたものがありますけれども、この間に漁業者が受けた被害は非常に大きなものがあると考えています。提案までこれほど時間を要したというんですか、その理由を大体、概略的で結構ですから教えていただきたいと思います。
○福井大臣政務官 今般の法律の改正によりまして、罰則の引き上げについて、五十八年以来、長い時間を要したということでございますけれども、漁業法と水産資源保護法による罰則につきましては、この両方、二つの法律を一部改正することによって、当時の急激な物価上昇に対応して、罰金を一律十倍に引き上げたところでございます。
その後、水産庁においては、都道府県と海上保安庁あるいは警察と連携をとりながら、密漁等漁業取り締まりに努めてきたところでございます。
その後は、物価水準に大きな変化がなかったことなどから、引き上げはなされてこなかったわけでございます。
しかしながら、きょうずっと御議論がございますように、違反の件数が増加する傾向にあるということ、アワビ、ナマコ、ウニのいそ根資源の密漁の広域化、組織化が行われているということから、しかも、中には暴力団等が関与する組織的で悪質な密漁グループが違反を繰り返しているという現状にかんがみまして、各地の地方公共団体や漁業者からの強い要望もあった関係で、この罰則を懲役三年、罰金二百万円、すなわち懲役については六倍、罰金については二十倍と、従来の水準から大幅に引き上げたものでございます。
どうしてこんな長い時間がかかったということは、今申し上げたような社会状況に対応させていただいたということでございます。
○松木委員 わかりました。
諸外国なんかはもっと厳しい態度をとるところも多いようですから、これはもっと厳しくしてもいいんではなかろうかなというふうに私は思っているんですけれども、そこら辺は、副大臣、どう思われますか。
○福井大臣政務官 今申し上げましたように、もっと言いますと、昭和二十四年から罰則があるわけですけれども、そういう意味で、それぞれ五十八年には十倍、そして今般は六倍、二十倍というふうに引き上げるわけでございますので、この罰則の量によって罪を予防するということをプラスして、私どもの規制をする、取り締まりをするという活動もさらにまた強化をさせていただきたいというふうに思っています。
○松木委員 最近は何かナマコなんというのが随分高くなっているようでございますけれども、今政務官からも、やくざ屋さんがいろいろと手を出すようになった、こういうお話だったんですけれども、どうも、そのやくざ屋さんにもともとの漁業の関係者の方もちょっとつながっているんじゃないか、そんな話も若干聞くことなんです。こういう方が、私もちょっと詳しいことはよくわからないですけれども、漁業というのは免許ですね、やはりこういう人が捕まったときは、もう免許取り消しみたいなことになるんでしょうかね。そこら辺、ちょっと教えてください。
○福井大臣政務官 悪質で、繰り返し違反をされた場合には、大臣許可は取り消すということでございますし、先ほどおっしゃいました暴力団等とつながっていらっしゃる漁業者がいらっしゃるかどうかについては、ちょっと私ども情報がございませんので、また詳しく調べさせていただきたいと思います。
○松木委員 なかなか、犯罪というのも、過失でやってしまったみたいなものと、やはりわかっていてやったというのじゃ、全然これは質が違ってくるんですけれども、どうもつながっているという人が何か見受けられますよね、はっきり言って。
やはり最終的には、もちろん、二百万円の罰金で三年以下の懲役でしたか、これはわかるんですけれども、では、漁業者としての方の免許なんかは、一回じゃ、とりあえずは取り上げるとかということはないということなんですか。
○福井大臣政務官 これは罰則と、罪と罰といいましょうか、一般的な法律でもあり、常識の範囲だと思いますけれども、繰り返し、悪質である場合、大臣許可の取り消しということに至るわけでございます。
○松木委員 わかりました。悪いやつというのは何回か同じことをやるということだと思うんですけれども、それは、では具体的に例えば二回とか三回とかということは何かあるんですか。
○福井大臣政務官 ですから、日本の法治国家としての常識がそこで援用されると思いますけれども、悪質で繰り返しという方については退場していただくということになろうかと思います。
○松木委員 なるほど、よくわかりました。
ただ、これはきっちりと、厳しいところはやはり厳しく取り締まった方がいいと僕は思うんですよね。というのは、ほとんどの方がやはりまじめにお仕事されていると私は思うんですよね。それも板子一枚で命がけで、皆さん、漁業の方というのはされているわけで、私も時々、オホーツクなものですから、そんなすごいところまで行って、案外自分が嫌われていて、ぼんと落とされたら怖いので、なるべく沿岸の、難しいところまでは行かないようにはしていますけれども、でも、エビ漁だとかあんなのだけでも、やはりちょっと揺れたら本当に怖いですよ。その中で一生懸命お仕事されて、そしてちゃんとルールを守られてやっている方は大半であるわけですよね。そういう方々の権利というのはやはりしっかり守られなきゃいけないというふうに私は思っております。
ぜひ、ここら辺、やはりある程度、ちょっと何となくぬるいかなという気もするんですよ。ですから、そこら辺、今回はこれでこうなるんでしょうけれども、なるんでしょうけれどもと言ったらいかぬですね、こういうことだと思いますけれども、そうしたらまた、やはりもっと厳しくしていくことも次にすぐ考えるぐらいの方がいいんじゃないかというふうに私は思っているんですけれども、そこら辺の御所見はいかがでしょうか。
○福井大臣政務官 罰する方の準備作業といいましょうか、捜査の関係でございますけれども、今先生御指摘のように、実行する者ですが、漁業者もいらっしゃるかもしれませんけれども、今のところは非漁業者、そして外国人と多様になっているというのが現状でございます。
そこで、都道府県の漁業監督吏員というのがおりますのと、警察、そして海上保安官が協力をさせていただいて捜査し、取り締まりを行っておりますし、今後とも行わせていただきたいというふうに思っております。そして、沖合域におきましては、水産庁の漁業監督官というのがおります。そして海上保安官、そして先ほど言いました都道府県の漁業監督吏員と連携協力して、捜査、取り締まりを行っているということでございます。
いずれにしても、先ほど山田先生とも御討議がございました、とにかく悪いやつは検挙するんだという覚悟で、取り締まり、捜査を行わせていただいているということでございます。
先ほど先生がおっしゃるように、日本の漁業権、世界の法律から見て非常に珍しい法律で、日本の農業でいえば里山の入会権が沿岸漁業では共同漁業権ということで、江戸時代までずっと続いてきた日本人のありよう、生きざま、村落共同体のあり方というのを、明治時代に西洋的な今の日本の法律に位置づけたということで、里山の入会権と共同漁業権というのが、世界から見ると、唯一にしてほかには絶対ないという法律でございますので、私どもの、今先生がずっとおっしゃっている、今までの生きざま、日本人としての魂、歴史、伝統、文化が生かされるようにというのは、やはり相変わらず続けていかなければならないし、そして、だけれども、それだけでは、性善説では、密漁その他違反があるというのも現実ですので、性善説だけではなくて、厳しい取り締まりも同時に行っていくということだと思います。
○松木委員 はい、わかりました。
ただ、やってみて、まだまだなかなか犯罪も減らぬなということであれば、もう一度なるべく早い時期に次のことを考えておくというのも、私は必要ではなかろうかなというふうに思っておりますので、そこら辺もしっかり、役所の方も後ろにおられますので、頭に入れておいていただきたいなというふうに思っております。
それではもう一つ、我が国の沿岸漁業者は、経営体数で見ると、平成十二年には十三万九千あったんですね。それが、平成十五年には十二万五千に減少していますね。そして、六十五歳以上の高齢者の割合、先ほど、次の方々がおられないんじゃないかという話をさせていただきましたけれども、やはり、三六%の方が高齢の六十五歳以上の方、こういう状況というのは、日本人の健全な食生活を支えている水産物の安定供給に大きな懸念を生じさせるものではないかなというふうに私思っております。このため、漁業生産の担い手を育成、確保することが極めて重要であると考えます。
そこで、沿岸漁業における担い手の育成、確保対策を政府としてどのように進めていくこととしているのか、もう一度お聞かせをいただきたいというふうに思います。
○福井大臣政務官 担い手の確保の政策でございますけれども、具体の数字から申し上げますと、新規就業者数、平成十三年で千三百七十人、そして平成十七年で約千三百人、間の平成十五年が千五百人ということで、千三百人から千五百人、千人を超える方々が現在でも新たに担い手になっていただいているというのが現実でございますけれども、さらにそれをドライブするために、以下のような施策を今後とも行うということにしております。
一つは、新規就業に必要な情報、町にいても、切り身が泳いでいると私自身も、ゴマも多分工場でつくっていると思っていましたから、そういう都市住民にとっても就業情報がもらえるという提供体制。それから、年三回行いますけれども、漁業就業支援フェアというものを開催いたします。それから、実際に体験をする、研修をしていただくということで、六カ月間の研修の実施も予定をさせていただいております。
いずれにしても、経験ゼロから就業できるような、各段階に応じたきめ細かな支援措置、予算措置も二億円を講じているところでございます。
また、実際に、さあ始めるぞという局面では、青年漁業者等が漁業経営を開始する場合に必要な無利子資金、沿岸漁業改善資金という名前の無利子資金の融資も同時に行っているわけでございます。
いずれにしても、総合的に、PRも含めて、実際のファイナンスも含めて、施策を進めてまいりたいというふうに思っています。
○松木委員 なるほど、わかりました。頑張りましょう、少しでもよくなるように。
大分時間もなくなってきたんですけれども、漁業というのは輸出産業の一翼を昔は担っていたわけですよね。私が子供のころ、結構そういうものを何か見た記憶があるんですけれども、ここのところ、私の地元の北海道のサケを初め、輸出に積極的に取り組む地域というのが増加しておりまして、漁業者みずから、安定的な収益確保のための新たな取り組みとして注目されているところなんです。
そこで、水産物の輸入についての最近の動き、そしてこれに対する政府の取り組みというんですか、方針について最後にお聞かせいただきたいなと思います。
○福井大臣政務官 今、三千億超の輸出のうち、水産加工物が一番多いというのは御案内のとおりだと思いますけれども、この水産物の輸出額は増加傾向にございます。今、十八年度では千七百三億円で、対前年比は一八%増だということでございます。
今、松岡イズムで、水産物もとにかく輸出に取り組もうということで、地元の方でも現場の方でも一生懸命頑張っているということだと思います。このため、農水省だけではなくて、関係省庁とも連携をさせていただいて、総合的な戦略を立てております。
一つは、海外市場、マーケットの情報を収集しているということ、それから、我が国の水産物の品質がいいということで、その品質を生かした販路を創出する、拡大をするということ、それから、今はなくても、商品を開発するということ。そして二番目の大きな柱では、HACCP、危険分析重要管理点手法の導入を初めとする衛生管理体制を強化するということ、それから、先ほども御議論ありました輸出証明書、輸出先の国とか地域が求める輸出証明書を発行する体制の整備に向けて迅速に取り組んでいくということでございます。
大臣、副大臣以下、大号令で省内は頑張っているところでございます。
○松木委員 はい、わかりました。それでは頑張ってください、これからも。
漁業といいましょうか、こちらの方は、農業の方もまだまだやらなきゃならないことももちろんいっぱいあるわけですけれども、こちらの漁業の方は、ちょっといろいろな対策が今までどちらかといえば少なかったのかなというようなこともあるようでございますので、これから積極的に、我々農林水産委員会として、みんなでやはり頑張っていきたいなと私は思います。
ぜひ、やはり食に関する皆様がみんなに尊敬をされるような、これからもそういう日本でありたいなというふうに思いますので、ぜひ農林水産省の方々、それは頑張ってください。そして、我々民主党もこれからも頑張ります。
以上でございます。ありがとうございました。
○西川委員長 次に、篠原孝君。
○篠原委員 それでは、漁業関係の法律改正につきまして、質問させていただきます。
この法律の改正の一つの眼目が、許可の更新のときに経営状況を勘案するというのを何か今非常に大事みたいな感じで改正していますが、それでは、今まで、経営状況というのは一切関係なしに許可されてきたんでしょうか。
○福井大臣政務官 篠原先生が現役のときに一番指導されたわけですので、篠原スクールの生徒としてお答えをさせていただきたいと思います。
確かに片肺飛行だったと思います。つまり、資本を有するということが定められていただけでございますので、漁業を営むに足る資本を有することが定められていたということで、この資本が仮に他人資本、借り入れでもいいということでございました。ですから、借り入れでも他人資本でも、その許可を受けるということが可能でございました。これが今般の問題、課題認識でございます。
そうすると、いろいろなおそれがございました。許可期間中の倒産のおそれもある、そして不定期の休漁のおそれもあるということで、結果的には適切なレベルの漁獲量が期待できないというおそれがあったということ。そして、そういう場合に、操業のルールの遵守とか資源管理への協力が期待しがたいという面がその後出てくるということで極めて憂慮される状況が想像されるということで、今般、この資本要件に「その他の経理的基礎」を追加して、そして継続的に当該漁業を行うということができる漁業者に対して指定漁業の許可を行う、そういう人にだけ指定漁業の許可を行うということで、効率的な漁業経営の確立、そして何よりも安定的に漁業生産を行うということが今般の法律の目的でございます。
○篠原委員 非常に私はいい改正だと思っておりまして、歴代の企画課長が多分一番サボっておったんじゃないかと思っております。
いいことなんですが、ちょっと心配がありまして、なれている人となれていない人、プロじゃない人がやるとミスをしでかす。経理の関係は難しいんですね。ちょっとミスしておられて、僕は大臣のミスではないと思いますが、ミスはミスであるんです。今まで船しか見ていなかった人が、いきなり帳簿を見られるんでしょうかという心配があるんですが、そういうものをきちんと気をつけて、ぜひそういうことをチェックできる人を育成して、経営状況を見てきちんと更新をしていただきたいと思います。
それから、次に、罰則を強化したというのは、僕はこれは絶対賛成でございます。
先ほど、午前中の答弁で、水産庁長官がいかに違反件数がふえたかというのを、我々がもらっている資料よりも一年早い資料が出て、一年早いというか、我々は二〇〇四年までしかもらっていなかったですけれども、二〇〇五年の数字を言っておられましたけれども、違反件数が十年前に比べると千二百八十三件から千七百十三件と言っていました。それで、非漁業者がもっとひどくて、三百八十三件から千二十三件と、三倍から四倍近くになっている。非漁業者がふえているということで、一年間ぐらいでインチキして密漁してもうけたお金が八千五百万円というのは、これはもう許しがたいことだと思います。
二十数年前に厳罰化したときに、厳罰化した効果はその当時あったんでしょうか。つまり、私が何を申し上げたいかというと、二十年間これまたほっておいて今上げる、その四、五年はいいけれども、またこのぐらい罰金払ったっていいやみたいな感じになってきちゃうんじゃないかという気がするんですけれども、罰則を強化する効果というのは、過去の事例を見て、ちゃんと効果あるんでしょうか。
○福井大臣政務官 昭和五十八年六月の漁業法、水産資源保護法の改正で、罰則を一律十倍に引き上げたわけですけれども、この法改正直後の昭和五十八年の件数、つまり五十七年と五十八年とを比べてみますと、昭和五十七年が千三百二十一件、そして五十八年が八百四十一件ということで、瞬間的にはかなりの効果が上がっているということでありますけれども、先ほど来ずっと御議論がありますように、この罰則の量だけで犯罪防止が飛躍的に大きくなるということは考えづらいので、同時に取り締まりを強化するということが何よりも大事だというふうに思っております。
○篠原委員 漁業政策というのは非常に難しいと私は思っております。農、林、水で、農林水産省で一体的に行政が担当されておりますけれども、なかなか難しいんじゃないかと思います。
さっき、十五時から民主党のネクストキャビネットの会合が開かれまして、私が参りまして、この法案の賛否をきちんと手続を踏まなくちゃならないので、行って説明して、四時からすぐ説明するので一番真っ先に説明させてくれ、質問は後でと言ったら、そういうときに限って質問する人がいっぱいいました。
それで、端的に聞かれたのは、今までは、日本の水産業というのは三十年前、四十年前は輸出産業だった、農業はもともとそんな輸出なんかしていなかった、それが何でこんなふうになっちゃったんですか、漁業法改正の中にそういう趣旨は含まれているのでしょうかという大所高所の御質問を受けまして、そのときに、ちょっと私今答えてきたんですけれども、いや、補助金とかなんとかというんじゃない、やはり漁業というのは資源管理をきちんとやることが一番大事なんじゃないか、余りとり過ぎなかったら海はちゃんと我々に海の幸を施してくれる、だから、資源管理、変なことをしなかったら一番いいんじゃないですかという立派な答弁をしてまいりました。
それで、私の資料の一ページをちょっと見ていただきたいんですが、いかに漁業と農業が違うかというのを考えていただこうと思いまして、簡単な表にまとめたものがあります。資源です。資源がすべて、農業の場合は資源といってもぴんとこないんだろうと思いますけれども、それなりにちょっと比べてみました。
農業の場合は、資源が農地だけじゃないんですけれども、農地と、漁業でいうと二百海里の中がそれになるのかもしれませんけれども、漁業の場合は魚ですね、これが減少している。農業の場合に農地だと仮定すると、だんだん減少していってふえることはない。しかし、先ほどちょっと議場外で話したんですが、単収を増大させれば資源はふえるということになるんですね。林業の場合は植林で、そして手入れをちゃんとやられていれば資源がふえていく、みんなちょっとずつ違う。
利用状況をちょっと見てください。今回の法律改正は、私は大賛成で、非常にいいことだと思うんです。取り締まりを強化する、罰則を強化する、漁業監督吏員の権限を相互に協力してうまく動きやすいようにするというのはいいことです。利用状況は、漁業は過剰漁獲なんです。技術革新が進み過ぎて、魚が何でもとれてしまうわけです。それに対して農業の方は、有効活用しなくて、三十九万ヘクタールも放置されている。林業の方は、利用できるのに採算が合わないので間伐せずに放置している。
みんなそれぞれ問題を抱えているんですが、問題の性格が違うんですね。利用し過ぎ、活用し過ぎと有効活用せず。農地の場合は、これは私の趣味という部類に属しているんですけれども、一部の農地については、化学肥料、農薬をぶち込み過ぎて過剰利用しているというようなこと。
利用方法も、漁業はなかなか、私は、一番下の持続性の観点からは将来性のある産業だと思います。農業というのは、真ん中の耕種農業、それから一番下の持続性のところを見ていただきたいんですが、こんなの当たり前のことですけれども、森林や草地を人間に都合のいい作物をつくれるようにだけ変えてしまった、だから、自然破壊というのがもともと内蔵している。それに対して漁業、漁獲漁業、こんな言葉ないのかもしれませんけれども、とる漁業の方は、海に生産していただいて、それをとってくるだけ。そうすると、えさをくれてやる養殖は畜産業と同じで、種をまいて後は成長に任せておくのは、耕種農業、大豆や菜種や米をつくるのと同じ、カキとかノリとかワカメはそれに当たる。
一番効率のいいのは、乱獲さえ防いでいたら自然に生み出してくれるというので、乱獲さえ抑えれば、漁獲漁業というのはいつまでも持続して繁栄できるというか、そういうものじゃないかと思います。この点のところをきちんとやっていけば、日本の水産業は私は復活していくんじゃないかと思っております。
そういう意味からいくと、漁業法と水産資源保護法の改正、今回の改正はそれにぴったりだと思っております。
今度、二ページ目をちょっと見ていただきたいんですが、「取締体制の現状」を見ていただきたいんです。
これはほかの人たちも触れておられます、漁業監督官や漁業監督吏員、国と県ですね、千八百三十八名。では、取り締まり船がどれだけあるか。六隻と三十二隻、官船と用船。海上保安庁、一体どうか。ちょっと数字を書きませんでしたけれども、海上保安庁は、いろいろな名前がついているんです。警備救難業務船舶とか海洋情報業務船舶とかいうので、合計で四百七十八隻もあるんですね。
同じように取り締まりをしているんですが、今、行革行革と言ってきまして、統合統合というので来ました。農林水産省は、数少ない統合をしなかった役所です。しかし、私は、水産関係のこういったことに関係してくると、海上保安庁やなんかと一緒になってこういうことを考えた方がいいような気がするんですが、取り締まり体制なんかの一本化については議論があったんでしょうか、ないんでしょうか、あるいは、将来していくつもりがあるんでしょうか。
○山本(拓)副大臣 今ほど篠原先生のお話を承っておりまして、基本的に、水産庁と海上保安庁とでは、御案内のとおり、役割が違うわけでございますけれども、これまでも、日ごろから長官級の会合を開催しながら、そしてまた、事務レベルの会議も頻繁に開催して、取り締まりに関する情報交換、連携強化を図っているところでもございます。
各漁業調整事務所と管区海上保安部においても、地方ブロック連絡会議を開催して、同様にそれぞれのレベルで連携強化も図っているところであります。
一方、水産庁として、水産資源の保存管理や水産物の安定供給の確保等を任務といたしており、水産庁の行う取り締まりは、この任務を果たすため、資源管理、漁業調整等と一体となって実施しているものでもございます。
また、その内容も、犯罪捜査、取り締まりだけではなく、洋上での監視や指導などの違反抑制のための業務も行っているところでもございます。
他方、海上保安庁におきましては、海上の安全及び治安の確保を任務といたしておりまして、海上における取り締まり機関として、犯罪捜査を主体として行っているところでもございます。
したがって、先生が一番よく存じた上で御質問されているんだろうと思いますけれども、役所ベースとして役割が縦割りでなっている以上は、一本化という概念が、例えば人事交流とかそういったことは当然のことながら検討もいたしておりますし一部やっております。しかし、一本化という意味が省庁再編みたいで、水産庁と海上保安庁が一本化した役所をつくるようなイメージですと、これは篠原内閣をつくってからひとつ実現していただきたいと思います。
○篠原委員 未来永劫できないものを待っていると、それは無理なので、今、進展があるんじゃないかと思います。海洋基本法ができました。その中に、海洋行政を、海洋政策を一本化していくべきじゃないかというので、内閣のところに海洋総合本部ですか、つくることになっています。時代はそういう方向に行っているんじゃないかと私は思いますね。
基本的には、あれはガス田の何とかというので、大陸棚の資源とか深海海底の鉱物資源とかそういったことを、それが野方図に、日本の権益が守られていなくて、ほかの国にやられているからというのでできてきていますけれども、私は、本当に利用されるべきや活用されるべきは、持続的な資源、天然の更新性の資源、つまり漁業資源じゃないかと思います。
食品安全行政も農林水産省と厚生労働省に分かれている。先ほど石田さんにも来ていただきましたけれども、これはやはりよくないので、こういうことを考えたりしたら、一本化していった方が私はいいんじゃないかと思っております。
海上保安庁の仕事のどこかというのを見ましたら、一年間で約六千件送致案件というのがある、そのうちの四分の一が漁業関係案件だそうです。三分の一ぐらいが海事関係の違反だそうです。やはり、一体として運用すべき実態がもうあるということ、そういうことを海洋基本法ができたことを頭に入れてもう考えていくべきじゃないかと思います。
そのときに参考になるのは何かというと、諸外国なんですね。諸外国が一体どういうふうになっているか。それで、私もちょっと、もっと早くこれを準備すればよかったんですが、声はかれていませんけれども、同じように初めての県議選にどたばたしておりまして、なかなかこっちにおれませんでして、月曜日、火曜日に慌てて水産庁に資料要求をしたりしたんです。そうしたら、諸外国の取り締まり体制についての比較をしろということを言ったんですけれども、さっぱり資料がないんだそうです。これはやはり非常によくない。そういうことを勉強していないし、ちゃんとやっていない。これはやはり私はよくないんじゃないかと思っております。
例えば、私の経験でいいますと、私の経験じゃなくて皆さんおわかりだと思いますが、アメリカにはコーストガードという格好いい、沿岸警備隊という、これは物すごく権限を持っていまして、何でもきちんとやっている。水産の関係だろうと密入国の人だろうと、何かそういった人をみんなチェックしているというのがあるわけですね。そういったものをきちんとやっていないんですね。
これはちょっと水産庁の皆さんに姿勢を正していただきたいというのを考えていただきたいんですが、鯨の外交があります。これは非常に熱心にやっています。カリブ海の小さな国とかインド洋の小さな国もIWCに加盟していただいて、日本の捕鯨再開させてくれということで、水産庁の大幹部やOBとかが仰々しく、議員の皆さんも行っておられます。物すごいお金をかけている。
コストとベネフィットを考えていただきたいんです。捕鯨も大事じゃないとは言いません。しかし、日本の資源管理をきちんとやっていくことが日本の水産業の振興に役立つ。それだったら、外国のうまくいっている資源管理の実態を調査して、そして、それを参考にして資源管理をきちんとやっていくということが私は一番近道じゃないかと思っているんです。
こんなの、出張に行かなくたっていいんですよ。こういうときは外務省、日本の役所の中では数少ない増員をしている役所ですよ。調査訓令というのを出して、例えば、水産漁業の取り締まりについて各国の現状がどうか。僕は、アメリカ、EU、ノルウェー、韓国、中国、そういった国、ロシアも含めて、どうやっているか、どういう機関で何人がどういうふうに当たっているかというのを、さっぱり資料が出てこないんですが、外務省に調査訓令を打って調べろと言ったら、大体どのぐらいででき上がるでしょうか。
〔委員長退席、近藤(基)委員長代理着席〕
○猪俣政府参考人 外国におけます政治経済情勢ですとか各国の諸制度について調査するのは、当然、大使館の主要な業務の一つでございます。
今の、具体的にどういう項目かということをお聞きする必要はあろうかと思いますけれども、あとは相手国の状況によりますけれども、調査依頼をして何日でできるかというのは、これまたちょっとここでは明確な御答弁はしにくいわけでございますけれども、内容によっては早く回答も来ると思いますし、できる限りの協力はしたいということを申し述べさせていただきたいと思います。
○篠原委員 猪俣審議官、一日や二日でやれと言っているわけじゃないです。いかに簡単にできるかということをお答えいただければいいんです。一カ月以内で私はできるんじゃないかと思いますが、どうですか。
○猪俣政府参考人 今おっしゃられた範囲内の国であって、どういう制度であるかという制度の概要ということであるとすれば、恐らくそれほどかからないでもできるかもしれません。
問題は、ですから、相手国政府の担当者がいる、いないとか、翻訳するのに時間がかかるとか、そういうのはあるかもしれませんけれども、数カ月かかるということはなかろうかとは思います。
○篠原委員 おわかりいただいたと思います。出張者も要らないんですね。電報を打って、簡単にできるわけです。こういうことをぜひ私はしていただきたいと思います。
ですから、資源管理については日本の方がおくれているんです。とり方とか食べ方とかいうのは、すしが世界じゅうに広まっているのでおわかりのとおり、日本が一番進んでいるんです。しかし、とり過ぎちゃったりしていて、漁業権の制度なんというのは、先ほど福井政務官がおっしゃっておられましたように、日本のユニークな制度で、世界に輸出してもいい制度だと思います。
しかし、沖合漁業やなんかで、やらずぶったくりでとっちゃっているというようなのは、やはりどこかおかしいんです。日本人は器用ですから何でもとってしまいますが、これはやはり抑えていかなくちゃいけない。
ですから、今一カ月以内ということがありましたので、調査訓令、この法案が採決されましたら、すぐ外務省に頼んで出しまして、一カ月後に立派な資料をぜひ提出していただきたいと思います。
次に、日本の資源管理、悪戦苦闘しているんですが、悪戦苦闘しているからこそ、いろいろな国に活用できる。例えば、今マグロについていろいろ違反操業があったりしている。しかし、はえ縄漁業というのは非常に、刺身で食べたりするから傷んではいけないというのでやっている。外国はまき網でとっちゃったりして傷んじゃったりしているわけですけれども、しかし、日本はそれなりにきちんとした国なんじゃないかと思います。世界に冠たる漁業国です。FAOでは、責任ある漁業とかいうのは日本が中心になって主張したりしているという気がするんです。
こういった観点から、日本が資源管理について国際協力とかいうのをちゃんとしているんでしょうか、人を出すとか技術を教えるとかいうこと、いかがでしょうか。
○山本(拓)副大臣 マグロを初めとして水産資源につきましては、非常に資源状況が悪化する中で、持続的な利用を確保するため、国際的な資源管理を推進することが重要と認識の上で、今現在しっかりと取り組んでいるところでもございます。
特に、地域漁業管理機関が、加盟国を十分に指導し、実効的な資源管理に取り組むことができるよう、必要に応じ、これらの機関に対する機能強化のための拠出金の支出、そして事務局員の派遣を行っております。
また、地域漁業管理機関の連携強化を図るため、日本のリーダーシップにより、本年一月に神戸でまぐろ類地域漁業管理機関合同会合を開催いたしたところでもございまして、今ほど先生御指摘の国際的な水産資源管理に向けて、国際貢献という観点ではしっかりとやっていると答弁させていただきます。
○篠原委員 これは詰問じゃなくて提案ですけれども、二、三日前の新聞では、農林水産省は人が多い、だから、全然やったことがない省庁間の配転でもって何人かがほかの省庁に行くんだというような話がありました。
私は、そういうことをするんだったら、日本には優秀な人がいる、経験を積んだ人がいる、そういう人たちは一体どこで役立てるかということを考えたら、水産庁でいろいろ仕事された方、特に漁業監督官とか漁業監督吏員、県庁の人も同じですよ。そういう人たちは知識経験というのが生かせるわけですから、こういう人たちを外国に国際協力で行けるような道というものをつくってやる。意気に感じて行かれる方がいますし、たった一人の人が行っただけで、その国に非常にいい影響を与えるというようなことがあるんじゃないかと思っております。
それから、外務省の審議官、時間がちょっと足りないようですし、もう一つお聞きしなくちゃいけないものがあります。
資源管理なんかをやっているときに問題になってくるのは、漁業者にいかにわかりやすく資源管理が重要かということを説明するかということになってくるんだと思います。
それで、ここの農林水産委員会の皆さんはご存じないかと思いますが、去年、国連公海漁業協定の締結というので、外務委員会で質問をしたことがあるんです。そうしたら、麻生大臣に質問したわけじゃないんですが、麻生大臣が積極的に手を挙げて答えられまして、私に賛意を表していただいたんです。
どういうのかというと、漁獲努力量という言葉があるんです。皆さんに質問してはなんですが、漁獲努力量というのをぱっとわかる方は余りおられないんじゃないかと思うんです、漁獲努力量、英語でフィッシング・エフォートというんです。英語で恐縮ですが、エフォートというと受験英語で努力、それをそのまま直訳して漁獲努力量と言っている。
これは何のことかというと、漁獲投入量なんです。漁船の隻数だとか網の大きさとかなんとか、そういうものなんです。漁獲努力量の削減とか言って漁業者に説明したって、さっぱりわからない。資源管理の概念というのはヨーロッパ由来なんです。それを直訳している。こんなもので説明したってわからないから直してほしいと言っているんですが、長々直さない。
そうしたら、麻生大臣は、いや、おかしなものは直していくべきだと、冗談も言っておられまして、明治の初期の人は偉かった、ニュースというのを新聞と訳したのは偉い、新しく聞く、最近は古く聞くのばかりだけれどもと、この冗談を言いたいばかりに答弁されたみたいでしたけれども。
そのとき、大臣は一年前に、そういった英語から直訳されて漁業者が困るようなわけのわからないようなものはもとから直していくと。水産庁も直していいと思うんですが、海洋法条約からきた言葉をそう簡単に直すわけにはいかないというので、かたくなに古い言葉を使っているわけです。大臣、今おられませんけれども、間違ったことは悔い改めた方がいいんですよ、済みませんと言って。直していくべきだと思います。
資源管理にも大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。外国由来の変な訳だとか片仮名用語は、ちゃんとわかりやすく使うようにしていただきたいんです。
○猪俣政府参考人 お答えいたします。
篠原委員は、この件につきましては随分昔から、十年以上前から訳が違うんじゃないかと、私どもと一緒に、海洋法条約の審議の過程で協力させていただいたときから御議論されていたのは十分よく承知しております。
先ほど引用されました大臣の答弁でございますけれども、大臣が言った部分はちょっと正確でない部分もございますので、あとはきちっと議事録で調べていただければと思いますが、まず、これまで御説明してきておりますとおり、条約や国内法におきまして、基本的には同じ内容は同じ用語で表現することは、一貫性、安定性を確保するという上で重要でございますので、これは条約の訳文の作成に当たっても同様にしております。
このような考え方に立ちまして、条約の日本語訳については、従来から、正文テキストにおける個々の文言の意味をできるだけ正確に反映するように、また、我が国が既に締結している他の条約ですとか国内法令における用語の整合性などを勘案しつつ、関係省庁と協議の上、もちろん内閣法制局審査、閣議を経て確定することにしていることは御承知のとおりでございます。
先ほど言われました、まさに昨年五月の外務委員会におきます麻生外務大臣の答弁を踏まえまして、その後、今も言われました、篠原委員が例示されましたフィッシング・エフォートについて再度調べさせていただきました。
これは、しかし、漁獲努力量という訳をつけさせていただいたわけですけれども、一九五一年に国会で承認されました国際捕鯨取締条約において既に漁獲努力量という用語が使用されておりまして、それ以降、国連海洋法条約ですとかその他漁業関連条約の訳文、それから、漁業関連の法令におきましても漁獲努力量という用語を用いております。
法令用語の整合性の観点、先ほど言いましたけれども、やはりフィッシング・エフォートの訳語としては漁獲努力量が適当であるというふうに考えております。
先ほど言われた、中学生英語の一つ覚えのエフォートというのは努力だという訳し方はしないというお話でございましたけれども、我々は、今まで条約を訳すときに、エフォートは努力という訳で大体統一しておりまして、投入という訳をしたことはないものでございますので、漁獲努力量との訳語が適当であると考えております。
ただ、わかりやすいですとか、当然のことながら、平易、明快なものにするという努力はすべきだともちろん思っておりますし、その観点と、それから先ほど申し上げました法令用語の整合性を図るという観点、両方を考えながら検討していくということが大事であるということは、全く委員おっしゃるとおりだと思っております。
○篠原委員 国内の法律はだんだん言葉を直しているんですよ。例えば、鳥獣保護法というのがありますね。鳥はいいんですけれども、けだものなんです。それから、県の条例は野獣とか言っているんです。余りかわいそうだと思います。それはもともとの名前だと言ってしまえばそうかもしれませんけれども、今風の言葉で言えば、野生生物保護でいいんだろうと思います。そういう方向に環境の分野なんかは、国民の理解を求めなければいけないので、わかりやすい言葉に、すっと入っていく言葉に直しつつあるんです。
ですから、漁業界あるいは外務省やその辺の後ろに控えている人にしか通用しない言葉というのはやめて、ぜひ資源管理をちゃんとわかりやすくしていただきたいと思います。
次に、追加の資料で、「ナマコの中国、香港への輸出量の推移」というのをちょっと見てください。
何で密漁がふえるかというのは、三段論法で、別にこれはどこが悪いかというのはないんですけれども、まず、中国、香港を見てください。すごい輸出量が急激にふえているんです。中国が調子がいい、景気がいいので富裕層がふえている。米の輸出も大事です、米の方がふえているわけですから。価格が高騰する、日本ではナマコが品薄になる、ナマコが好物という人がいるかどうかわかりませんが、高くなる。
水産庁から取り寄せた資料は、十年前と比べて浜値が一キログラム六百円ぐらいから千二百円で二倍にしかなっていませんけれども、商社関係の雑誌のところを見ていましたら、浜値が四、五年前の五倍になっている。それでナマコに手が出てくるわけですね。ですから、午前中の水産庁長官の答弁の八千五百万はウニでしたし、四千五百万というのはナマコで、ナマコの違反件数が相当ふえているんです。十年前と比べて、五、六件だったのが三十何件という、やはり高いものに群がっているわけですね。
これを見ていただくとわかると思いますが、余談になりますけれども、日本にはナマコなんてそんなことないですよね。さっき水産は輸出産業と言いましたけれども、干しアワビだとか干しナマコだとかいうのは昔から日本の輸出産品の一つで、うんと昔から中国に輸出されているんです、江戸時代のころから。
特に北海道産がいいんだそうでして、松木さんの選挙区の紋別の沖なんかではいいナマコがとれるんですよ。人間もいいのがとれているんだと思いますけれどもね。大きさはもちろんいいんです、食味も大事なんですが、あのいぼいぼがどれだけ立派かというのが品質がいいかどうか、悪いかというので、それで、北海道産が一番いいんだそうです。それに群がっている。これに暴力団がちょっかいを出してきているということですね。こういう図式になっているんです。
これをどうやって解決していくかというのは、これは沿岸性の資源ですから各県にもできるんですが、今ナマコの例を申し上げ過ぎたんですが、ここの問題はどうかというと、今回の法律にかかわっているわけですね。国が県に犯罪捜査の要請をできるようにというのが第七十四条の二の第一項、第二項のところですね。第一項がそれで、第二項は、逆に知事が国の漁業監督官に県の漁業取り締まりの手伝いをしてくれるように、協力してくれるように頼める。
何か一つ欠けているなと思うんです。今さらそう言ったってしようがありませんけれども、県同士の協力は何で一緒に法律改正しなかったのかという気がするんです。だけれども、そんなややこしいことをしなくたっていいんですよ。
ここでぜひ建設的に考えていただきたいことは、今、道州制というのを言っているんです。市町村の合併とかいうのは難しいかと思いますけれども、海に県境というのは、あるといえばあるんですけれども、ないんです。海はつながっているわけです。例えば、秋田のハタハタは資源管理で問題になりましたが、枯渇させてしまって、御法川さんの地元ですけれども。でも、秋田ばかり名物にしていますけれども、別に秋田の専属的な魚じゃなくて、青森だって山形だってとれますし、食べられるんですよね。資源はつながっているわけです。
ですから、どうしたらいいかというと、道州制とか言っている前に、そういうことが議論が進んでいる。海洋基本法ができて総合海洋本部ができる、だから、海上保安庁と水産庁が一緒になってやっていくことを考えたらいいというのと同じで、道州制とかいった議論をしているわけですから、水産行政、少なくとも取り締まりや何かについては、県とか国とか言わずに、国が全面的に責任を持ってやっていってもいいような気がするんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。
○山本(拓)副大臣 先生のお話の中で、大変ごもっともな点も多うございますけれども、御案内のとおり、水産資源の保存及び管理については、基本的に国が一元的管理を行うことは確かに適切だと我々も考えているところでもございます。
しかしながら、水産資源を利用する漁業については、いわゆる同一資源であっても、地域によって、その規模、種類、利用の形態が大きく異なっているのが現状でございまして、このようなことから、水産資源の適切な利用及び保存管理を図るために、国のみが資源管理や漁業管理に責任を持っていくというのには、ちょっと難しいところもございます。あくまでも、やはり地域の実情に通じた都道府県等とともに連携をして、分担をして資源管理、漁業管理を行っていくことが適当であるというふうに考えているところもございまして、取り締まりについても、都道府県と連携して行っているところでもございます。
農林水産省といたしまして、資源状況の回復を図るために、広域漁業調整委員会を通じ、資源の回復計画を定めることにより、関係都道府県としっかりとした連携をとって、先生の御指摘の心配がないような、積極的な改善に取り組んでまいりたいと考えております。
要は、今の枠組みでどうかという話は非常に難しいわけでありますが、しっかり将来的にわたって、そういうことも当然議論の、検討の一つだと思うところでございまして、それはぜひとも篠原内閣をつくってからやっていただきたいと存じます。
〔近藤(基)委員長代理退席、委員長着席〕
○篠原委員 だから、一歩一歩やっていかなくちゃいけないんですが、急にというのは、私はそれは確かにできないと思います。
だから、ウニだとかアワビだとかナマコとか貝とか、いそ根、いその資源、定着性の資源については各県でいいんだろうと私は思います。
しかし、あちこち泳ぎ回っている魚、例えば、皆さん考えていただけばすぐわかるはずです。鯨やカツオ・マグロ、これも訳で問題にしたのですけれども、高度回遊性魚というのを、これもハイリー・マイグラトリー・スピーシーズ、広域回遊魚なんです、まあ、それはいいですが。これは、国の管理すら外れているわけです。広いので国際機関で管理するという、そのエリアに応じた管理体制ができているわけです。そうしたら、サンマは、銚子沖でとれたって北海道沖でとれたって同じ種類のサンマですから、国が責任を持って資源管理をすべきなんですよね。
ところが、そういう発想が抜けていて、県で国でというもののままになっているんです。だから、さっき僕が申し上げたのは、ほかの国を見習ったらどうですかということを言っているわけです。
小野さんは警察の御出身なので、警察権なんかでも問題になるわけですけれども、ちょっと古い映画で、年が知れてしまうんですけれども、へえ、そうなっているのかと思ったのは、「俺たちに明日はない」なんて映画を覚えておられるかどうか、これは古い映画で、若い人たちは知らないと思うんですが、ウォーレン・ビューティーとフェイ・ダナウェイが銀行強盗をして逃げて歩いている。それで、逃げていくと、警官が追っかけていく。州境になると、もう自分の州じゃないからといって追っかけないで行ってしまう、それでまたどこかへ行って銀行強盗ができる。密漁者がそうやっているというわけじゃないですよ。そういうのがあって、FBIというのがある。
ああいうものについてはそういうものがあるんですけれども、海なんかはつながっているわけですから、回遊性の資源については、ぴったりで県だ、国だなんて言わずに、道州制と言われている、そしてもう船の能力も非常に増したので、ばっと行ける。昔だったら三十分かかるところを超高速艇で十分で行けるわけですね。捕まえることができる。ですから、率先垂範して国のものとしていく。
これはなぜ申し上げているかというと、我々は行政改革とか何かのところで凝り固まっていって、予算を減らす、人を減らす、国から地方へ、官から民へ、そればかりに頭が行っている。それはそれで大事なことかもしれませんが、はたととまって考えてみた場合、水産の資源管理なんというのは、国から県にじゃなくて、県じゃなくて国が専属的に体系的に一括してやるべきことじゃないかと思います。
それから、機関委任事務というのがかつてありました。何でも国の事務だけれども県に押しつけてやる、そうじゃない、地方分権を確立するために、地方の本来の業務だということでやりましたけれども、僕は、水産の資源管理、取り締まりに関する業務などというのはまさに国の専権に属することだ、だから、水産庁あるいは海上保安庁が一緒になったところが権限を持ってやっていくべきだ。
今、教育基本法、これから議論されるようになっています。いろいろなことを言われているようですけれども、各県で教員を採用するというのじゃなくて、教員資格を国家資格にして、どこへでも行けるようにしておくというようなことが考えられているそうです、いろいろな案が考えられているのでしょうけれども。
そうしたら、こういう漁業監督公務員というのも、きちんと勉強していただいて、資源関係の方も勉強していただいて、生態学も勉強していただいて、国家資格として、国家公務員として採用して、そして、きちんとした使命感を持って仕事をしていただく、そういうことを考えていくべきじゃないかと思います。
何でも減らして減らして、あんたらは何かサボっているとかそんなことばかり言っている、そうしたらこの国はおかしくなっていくと思います。日本の水産業の復活のためには資源管理をきちんとする、そういうことをやる人たちにはお金も出す、資格も与えるというようなことを絶対考えていくべきだと思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。
○山本(拓)副大臣 確かにごもっともだと思います。管理だけはしっかりとしていかなくてはなりません。
ただ、要するに、漁業監督公務員ということでございますが、漁業監督公務員としては、適切な漁業取り締まりを行うためには、漁業法令や取り締まり関係の法令を熟知するとともに、漁業実態や漁業規則に十分知識を有することが求められているところでございまして、いわゆる、通算して一年以上漁業に関する法令の励行に関する事務に従事した経験がある者、また、通算して二年以上漁業に関する行政事務に従事した経験がある者、政令で必要となる資格が定められております。
さらに、漁業監督官に任ぜられた後も、取り締まり実務の研修を毎年受講させるとともに、外国漁船の拿捕、立入検査など取り締まりの実績を上げている取り締まり船に乗船させ、取り締まり技術に熟練している監督官とともに活動させることで、取り締まり実務能力の向上を目下図っているところでもございます。
なお、漁業監督公務員を国家資格にするという今ほどの御提案につきましては、漁業監督公務員という公務員はいわゆる公権力の行使を任務とする職員でございまして、その職務を個人の資格ということになりますと、ちょっとまた別の問題が懸念をされるということで、適切ではないと今現在考えているところでもございます。
○篠原委員 誇りを持たせるということで、民間で文部科学省の外郭団体で何とか士何とか士ということで試験ばかりしてやっているようなのはよくないというのが一時いろいろ国会でも問題になりましたけれども、僕は、こういう資源管理をきちんとするようなのは逆でして、きちんと資格を与えて、そして給料も高くするべきだと思います。皆さん御存じのものでは農業改良普及員、あれは県の職員ですけれども、別途試験をして、そして給料も一〇%から十数%、技術を持っているということで高くしてやっているわけですよ。
ですから、私は、こういうことこそ、誇りを持っていただくためにも国家資格にしてやっていく。ただ、日本はそういうプロフェッショナルを大事にしない官僚社会のくせがありまして、何かあっちちょこ、こっちちょこやっている人たちが幅をきかせている。しかし、これは絶対現場重視でいかなけりゃいけないんじゃないかと思います。
今はそれはありませんけれども、私なんかがそこそこのときに見たことがあるのは、森林レンジャーというのがあります、資源管理をきちんとするというもの、それからコーストガードとか、みんなテレビ番組になっています。非常にきっちりとした使命感を持って、きっちりとしたいいことをしている。もちろん警官が一番、何といっても刑事物が多いわけですけれども、その延長線上で、自然を守る、資源を守るというようなことをしているというものがテレビドラマにもなったりしているわけですよ。ところが、そういうようなことをしていないんですね。ですから、そういう職場づくりというものも私は必要なんじゃないかと思います。
それで、行政改革の一環としてですけれども、この二ページの下の方、「水産研究機関の概要」というところをちょっと見ていただきたいんです。これは、なぜここで申し上げているかというと、二年前の独法のときに申し上げたんですが、そのときに申し上げてから進んでいないんじゃないかと思いまして、再度指摘したいと思います。
「水産研究機関の概要」というのを見ていただきたいんですが、国は、あちこちにあった水産研究機関を水産総合研究センターというふうに一般化して一体的に研究をしていくようになっています、もちろんあちこちにあるわけですけれども。それに対して、県が一体どれだけあるかということです。
農林水産関係全体でも多いわけですけれども、水産だけでも九十四研究機関あります。二ページの私の資料を見ていただきたいんですが、研究員数も国の独立行政法人の倍以上ある、職員全体の数は二・五倍、予算は、国の研究予算が二百三十八億に対して一・五倍の三百二十三億。
我々は国のことばかりで行政改革、行政改革と言っていますけれども、県をほったらかしにしているわけですよ、道州制とか言っている。急に道州制にするんじゃないんです。農業とかいうのは、山一つ越えればもう違ったものというのがあったりして、その地域で品種改良しなくちゃいけないというのがあったりするんですよ。だけれども、魚は広いですから、そんなに変わりないわけですから、水産の研究とかいうのは、取り締まりも国と同じようにしていいんじゃないかと思います。
それで、山本副大臣に敬意を表しまして、福井県、石川県、京都府、兵庫県の日本海側の漁業取り締まり体制及び研究体制の表をつくってまいりました。ちょっと見ていただきたいんですが、現場に即して考えていただきたいんですよ。
取り締まり体制が一体どうなっているかということですね。それぞれ日本海側の似たような県で、漁業監督公務員は、合計、これは四県合わせると五十七人、司法警察員三十三人、取り締まり船数は七隻あるというのですね。境港、香住というところに、兵庫県にあったんですが、今は境港に行っちゃっているそうですけれども、国の漁業調整事務所があって、職員がこれだけ働いている。これは分けている必要ないです、一体なんですね。
ですから、これは、国を減らすことばかり考えている、道州制を踏まえたことをやっていく、そういう点では、僕は道州制の見本になるのは水産だと思うんです。ですから、これは五十七人もいる漁業監督公務員、減らすということにつながったりして、言っていることと矛盾するじゃないかと言われるかもしれませんけれども、こういうものは一体的にやればいいのであって、そうしたら船の数も少なくて済むしというようなことが言えるんじゃないかと思う。これはばらばらなんです。これを一つのものにして、例えば、同じ研究開発するにしたって、北海道と日本海の福井沖、若狭湾は違うかもしれませんが、若狭湾と京都、中川さんのところの京都の北のところとそう大して水温も変わらないし、漁業資源も変わらない、だから一緒にやればいいわけですよ。
そして、これは松岡大臣が農業の分野でよく言われる緑の補助金、研究開発は緑の補助金なんです。漁業も同じなんです。幾ら出したっていいわけです。研究開発で国と県がダブっている、県と県同士がダブっている、取り締まりについてもダブったりしている。だから、こういうものを率先して水産庁がこういうときに一体化してやっていくということを打ち出していくべきじゃないかと思います。これも建設的な提案型質問でございますけれども、いかがでしょうか。
○山本(拓)副大臣 建設的な提案として承っておかせていただきたいと思います。
要は、この福井県のデータもせっかくですから見させていただきましたけれども、今回上程してお願いしております法改正によりまして、県の司法警察官と申しますか監督公務員の取り締まりにつきましては、今までは福井県だけの範囲でやっておりましたけれども、今度は、大臣の許可を得ることによって外に出ることもできるという法改正をさせていただいたところでもございます。
本当を言うと、全体的に一つというのは、形的にはきれいでありますが、既にいる人たち、現場に詳しい熟知した職員と申しますか、その人たちの経験をより効率的に引き出すという方向の方がより合理的かついい結果が出るというふうに、今現在は私ども思っているところであります。
○篠原委員 これは、総務省というか、行政改革ばかりが大手を振って歩いている。国から県だということばかり言っている人たちに対して、もっと柔軟に考えていただきたいという合理的な理由が私はあるんじゃないかと思います。大臣、副大臣、政務官のトリオでやったら幾らでもできるんじゃないかと思います。道州制の先取りだ、国家公務員として一体的にやっていくんだ、その方が人員削減にもつながる。国のことばかり考えると、国と県の行政のダブりをなくすという典型的な例になるんじゃないかと私は思います。
研究機関なども一緒ですから、見ていただければわかると思います。もう申し上げませんけれども、研究機関はもっと言えるんじゃないかと思います。例えば資源状態を調査したりするのには、県だけじゃできるはずないですから、国がお金を出しているわけです、指定研究というもので。
そんなことでそんな迂遠なことをしているんだったら、水産の、それは内水面の云々はちょっと違ったりしますけれども、海面漁業の沖合の云々のことになっていったら、地先でもいいんですけれども、それはもう一体的に運用していくということで、私は非常にうまくいくような気がするんですが、二年前に私が指摘したことを少しは考慮して、各県でダブった研究はしないというようなことでちょっと検討されたんでしょうか。全然そういうことは進んでいないんでしょうか、ちょっとこれは通告していないんですが。
○山本(拓)副大臣 御案内のとおり、各県の水産試験場では、いろいろその地域の海域に合った研究をそれぞれやっておりますが、ただ、先生おっしゃるように、基本的に、各県の水産試験場の考え方というのは、各県で計画を立てて、議会の承認を得て、予算を執行してやっているところでもございます。
そういう中で、隣の県で成功した例をそのまま移せるかどうかということは、私も福井の県会議員をしておりましたので、富山県で成功した事例を福井県でやっているのはおかしいんじゃないかということで、その場合はその場合で、県議会でまた承認をしながら、また変更手続をやっていくという、地方分権のはしりの政策決定変更をやっていただいております。
ただ、国としては、水産庁として、すべての県の水産機関のデータ、結果その他を集約して、そして整理して、検索して、そしてまた問い合わせに応じて指導するという仕組みはもう既に実行いたしているところでもございますので、まず現実的なやり方としては、それをさらに充実していくという方向かと存じます。
○篠原委員 こんな小さな日本で、福井県の開発した品種だ、新しい魚だと。典型的にはコシヒカリですね、コシヒカリは福井県がふるさとだ、だからといって、コシヒカリは福井県でしかつくっちゃいけないかというと、そんなもの、みんな広まっていっていいんですよ。これから審議する種苗法の問題もあるんですけれども、特許と違って、農林水産業はそこのところはリラックスして考えていくべきだと私は思います。
そういうことを考えたりしたら、つまり、何を申し上げたいかというと、各県でやっているから、おれたちの研究成果をほかの県にやらないというけちな考えになっちゃっているんです。国が全部やっていれば、そんなことは関係ないわけです。そして、ほとんど条件は同じですから、自動的にほかの県でも使えるということになって、うまくいくんだろうと思います。
私は、ぜひ、水産研究と漁業とその取り締まり、このことについて、率先垂範して、道州制の方の先鞭をつける形で進めていただきたいと思います。
それから、次に三ページの資料を開いていただきたいんです。これは、一九八三年、昭和五十八年の五月十一日の附帯決議です。これをちょっと見ていただきたいんです。
二十四年前の附帯決議、自、社、公、民とありますけれども、民の内容が違う、これは民社党の方です。新自由クラブという懐かしい名前も出ています。共同提案ということで、日野市朗先生が趣旨説明をされた。
二十四年前の附帯決議をちょっと見ていただくと、我々がぱぱぱっと考えてつけている附帯決議、きょうは附帯決議の議論はしていませんし、つけるつもりはないんですが、二十四年前の附帯決議、一、二、三とあります。「密漁発生の増大に対処し、」ということで始まっているわけです。二を見てください。「内外における漁業規制の強化」、これはこのころが真っただ中だったんですね、密漁の現状に対処して、「特に組織的、広域的密漁の防止対策を早急に確立すること。」とある。三番目は、「漁業法令違反に係る罰金等の額については、今後における社会経済事情の変動等に応じ適宜見直しを図ること。」
本当に見事な附帯決議じゃないかと私は思います。今もそのまま通用する。我々がつけた附帯決議、二十年後の私のように、引用してくれる人があればと思っているんですが。
この二十年間、これを言うと某企画課長もサボっていたと言われちゃうので困るんですが、これは一体、この間、こんな立派な附帯決議があったのを見過ごしてこられたんでしょうか。二十数年間ほったらかしになっていて、今やっておられる。やられればいいと褒めているんですよ、今。坂井課長以下、一生懸命やられたんです。ですけれども、ちょっとおくれたんじゃないか。
それから、最もおかしいのは、ことしが指定漁業の一斉更新の年ですよ。そしてそこに経営の観点を入れるという。だけれども、これは周知徹底期間が必要ですから、余り経営のことなんかにかかわっていなかった漁業者に、ことしの一斉更新は経営状況が悪いのは許可しないぞなんて言われたら怒られてしまいますから、では、いつ適用になるかというと、五年後なんですよね。これまたひどい。罰金はすぐ適用されるんでしょうけれども、一斉更新における経営状況の勘案というのは五年後になってしまうんです。
もうちょっと計画的に改正して、少なくとも二年前か三年前に改正すべきだったんじゃないかと思いますけれども、その点はどうなっておったんでしょうか。
○山本(拓)副大臣 当時の企画課長さんに御答弁申し上げます。
御案内のとおり、漁業法及び水産資源保護法による罰則については、昭和五十八年の両法の一部改正によって、当時の急激な物価上昇の対応に、一律罰金を十倍に引き上げたところでもございます。
この法改正の際に、附帯決議において、罰金等の額の見直し及び取り締まり体制の整備充実の二項目について、今ほどもお話がありましたが、御指摘をいただいておったところであります。
この法改正後、水産庁におきまして、都道府県、海上保安庁あるいは警察との一層の連携をとりながら、密漁等漁業取り締まりに努めてきたところでもございます。
この間、罰則の水準につきましては、物価水準に大きな変化がなかったことから、その引き上げはなされなかったところでもございます。
しかしながら、最近において、全国の沿岸域における漁業関係法令違反の件数は増加する傾向にあり、その特徴といたしまして、漁業者以外、先ほど来から出ておりますけれども、いわゆる違法操業と申しますか、漁業者の違法操業というよりも、平たく、新聞にも出ておりますが、やくざ屋さんみたいな、そういう違法な人たちがかなりグレードアップしたもので、目に余るという新しい状態が出てきているところでもございます。アワビ、ナマコ、ウニ等の密漁の広域化、いわゆる組織化という、組織犯罪にも直結するような動きもありますことから、今回、以前に附帯決議をいただいた適切な時期に今が当たると判断しているところでございます。
○篠原委員 この改正は、私は、非常に理にかなった改正だと思っております。憲法改正とかいうのもいろいろ議論されておるわけですけれども、漁業法というのは水産界における憲法に当たるわけです。不磨の大典としてはいけないのであって、柔軟に改正していっていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○西川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○西川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○西川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時一分散会